マリオ「最近、テニスやパーティーにゴルフばかりで…何かを忘れているような」

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215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 20:20:21.47 ID:pI+qwjJDO
姫をさらう理由が「マリオと闘いたいから」になってそう
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 22:55:29.13 ID:1o5EvbNSO
キノコ王国で対決したら国が滅びそう
だからマリオはわざとピーチ姫をさらわせてたりしてw
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 00:31:37.05 ID:jfcD4atp0
ピーチ城で対決した時も最終的には唐翌揚げ食べーるだったから大丈夫大丈夫
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 04:47:04.88 ID:r4aQrKeN0
マリオ達が老いたって事はピーチもいい年なんじゃ・・・おや、こんな時間に誰だろう
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 23:40:14.62 ID:jogv/lkn0


 殺戮兵器の脳髄を鷲掴む、貫手突きからのアイアンクローへの派生だ
そのまま腕を引き抜き、数本の焼け焦げた配線ごと引っこ抜く


退屈凌ぎにもならない相手を一瞥し、右手のそれを林檎のように握り潰す



 ピクリとも動かなくなった鉄屑を「邪魔だ、どけ」と押し退けクッパは
その巨体を前へと進ませる


 燃え盛る炎の大草原を大魔王は一人歩いていく
揺らめく真紅の芝生を掻き分け、"お仕置き"を遂行するべく…っ!





―――
――



血気盛んな漢達は…この世の終わりでも来たように絶望しきっていた


頼みの綱であったメカキャサリンは赤子の手を捻るよりも楽に屠られ
 戦車隊の武装は主君相手にまるで歯が立たない




 クッパ大王が若りし頃より仕えていた旧クッパ軍の壮年達、それこそ
門番三人衆が一戦交えた【ブーメランブロス】のような玄人も乗っていた









 しかし、割合で言うのであれば、新参の若者がこの部隊には多かった…









百戦錬磨の兵<つわもの>と入隊して間も無い野心溢れる若造共では
場数があまりにも違いすぎる、己の感情も律せない者が喚き宣うのも必然




一種のパニック状態、恐慌に乗り組み員の殆どが陥っていた



「だ、駄目だ!勝てるわけがねえぇ!!撤退だ!」

「落ち着け!狼狽えるんじゃあない!」



チュルゲ「逃げるんじゃねぇ!!死にてぇのか!!」


「どっちにしろ死ぬんだろうが!ならマシな方へ傾くのが道理だ!」
「じゃあアンタには倒せる算段があるってのかよ!」


220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 09:32:34.74 ID:oGjJWPqSO
>>218
キノじい「わしじゃよ」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 09:38:15.98 ID:oGjJWPqSO
テレサの熊本弁すき
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/27(火) 21:52:10.15 ID:5by3wFo50


鼠男は腸が煮え繰り返るような思いだった



 数刻前までの彼は頗る上機嫌であった、幼少の頃から"何かを壊す事"を
愛して止まなかった


 小さい頃は積み木を重ねたモノを蹴り飛ばし
公園の砂場に作られたトンネルやお城を踏みつぶす

 成長するにあたり、火薬の製法、ゲリラ屋の戦術、テロに必要な知恵
成人してからと言えばそれら犯罪に必須の学術へと情熱を打ち込んだ



 全ては数刻前に港の灯台目掛けて打ち上げた花火のように頬を綻ばせる
傍迷惑な芸術作品を生み出す為であった







そんな彼奴の芸術は重い腰をあげた壮年の皮膚は愚か、甲羅のトゲにすら
傷一つ付けられないのだ

更には車両内から湧き上がる臆病者どもの喚き声







糞野郎どころか蛆虫以下とさえ、吐き捨ててやりたい苛立ち…







 さっきだって一人、クッパ大王が砲弾の嵐に呑まれて無傷だったことに
逃げ腰になった奴にアッパーカットをお見舞いし―――
















             チュルゲ「…ぁ?」











煮え繰り返る怒りの熱はそのまま脳に伝っていた
火に掛け湯が沸騰するやかんや鍋のように脳も熱かった


が、その熱が急速に冷めていく、頭は驚くほどクリアに、冷静になる



 冷汗が首筋から垂れ始める、1つ、ある可能性が浮かびゾッとした
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/27(火) 22:15:24.05 ID:5by3wFo50


車両をゆっくりと見渡す、首を動かす


油の切れた機械人形のようにぎこちない動きで


車両内に居るのは旧クッパ軍の古参…と野心を持った若い連中






先述の通りだ


玄人も乗ってはいる…だが圧倒的に"古参と比べて新参の若者が多い"のだ








チュルゲ(…まさかっ!?)バッ!








ドン・チュルゲ


火薬のプロフェッショナル、裏稼業でその名を聴けば誰もが口を揃える
 過去に夢の王国の侵略者たちの誘いに乗り、キャサリンやヘイホー達と
英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>相手に戦う前はその胸の内にある狂気を以て
あらゆる地域を凄惨な阿鼻叫喚の地獄絵図へ変えて来た




 そんな彼が今回、数両の戦車を率いて、航路、空路を押さえるという
大役を"指揮官殿"から授かった

ご丁重に部隊の兵を自由にできる指揮権限までくれた上でだ




港湾、飛行場<エアポート>、同盟国からの軍隊の上陸、補給線を断つ役割を


【ブーメランブロス】のような実力相応の中堅や古参の漢達ではなく
そんじゃそこらの壊し屋風情に任せたのだ






 チュルゲは"指揮官殿"の演説を諳んじた
いともたやすく頭の悪いヤツは乗せられた

そして一部の勇気と蛮行の違いが分かる冷静な玄人たちは自棄になった




  チュルゲ「…ょッ」






  チュルゲ「ちっっっきしょおおおおぉぉぉぉ!!!!
                 そういうことかよぉぉぉっ!!」

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/27(火) 22:52:51.67 ID:5by3wFo50

奇しくも鼠男の憤りが劈くように上がると同時だった


"指揮官殿"を乗せた本隊が国道を進み首都を目視できる距離に到達した


「クッパ城とキノコ王国、その中間の位置に港湾はある」



「ワシ等が今日を作戦決行の日と決めたのはそこにある」

「ええ、マリオ達はカートで遠くへ、戻るのに時間が掛かるでしょうな」

「うむ、そして…」




"指揮官殿"が続く言葉を促す



「…クッパ様、ですね」


「遅かれ早かれ、ジュゲムTVの中継で事はあの御方のお耳に入る
  王国を…ピーチ城を可及可能な限り迅速に制圧
 記憶の戻らぬマリオはともかく弟、それに歴戦の戦士も多数居る」


「英雄兄弟がすぐには戻れぬ状況
  少しでも戦力の薄い状態で挑まねばならぬ
 協定を結んでおるクッパ様もこの事態には御出陣なさるじゃろう」






 嗄れた<しわがれた>声で、老兵は憂いを帯びた目を伏せたまま嘆いた






「…クッパ軍は…我らが栄光のクッパ軍団はあまりにも肥大し過ぎた」

「お前たちとワシ等は長い付き合いじゃな」


「「「はっ!」」」



「…ワシが前線に出たのは【ルドウィック】様らとの世界侵攻作戦の時
  それ以前は城で見張りをしとったわい」

「あのクッパ様が赤子の頃からのお付き合いじゃて」




「…皆が"忠義"をもっておった、じゃが…どうしたことか?
  【ゲラコビッツ】の時を覚えておるか?」


「【カジオー軍団】に洗脳された時とは訳が違う、自らの意志で
  あの御方を裏切る不義の者が出始めた…っ!!」


「…あの御方ですら御し切れぬほどに肥大しすぎた、だから…"選別"した
  僅かな足止めで構わなかった、クッパ様が無視なさるのなら
 そのまま港の摂取とすればよいだけじゃ」




「野心だけを持つ不忠不孝の若造共には生贄の羊となってもらったわい」



225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/28(水) 15:36:20.81 ID:Jg7fJv2A0
クッパを赤ん坊の頃から支える老獪な魔導士が暗躍していたか...
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/28(水) 19:53:27.64 ID:Uyy6TGLoo
ほう
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/06(木) 23:25:50.72 ID:UAExNQhU0
栄光の光が強いほど闇も強いな...
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/07/11(火) 21:11:05.46 ID:9Wamlz1Y0

―――
――



 初めから自分達が"捨て石"だと分かり切っていて既に
諦めの色を顔に浮かべていた玄人の兵




漸く事態に気がつき始めた者

未だに戦車を降りて走って逃げればまだ助かる、と淡い幻想を抱く新人




指揮系統は混乱を極めており最早、誰も戦おうとしなかった



チュルゲ「クソッタレぇ!!」ガンッ!



チュルゲ「……っ」ギリッ









それは混乱の騒ぎに紛れ誰の耳にも聴こえはしなかった




チュルゲ「ゲリラ屋を…この俺を道具として利用しやがったってのか…
         この俺を…っ!爆破のプロフェッショナルを…!!」




チュルゲ「―――っけんじゃねぇ
      舐め腐りやがってッ!この落とし前つけてっやらぁ」







 この状況下なら誰も彼もが怯え、狼狽え
戦意喪失から立ち直れないだろう…この狂人を除いて



 爆弾狂は目先のクッパなど見ていなかった
見るべきは自分をコケにした老兵ただ1人ッッ!!










ゴソッ…



キャサリン(……不味いわね)


キャサリン(あと少しで縄抜けができそうだってのに、このまんまだと
        アイツ諸共クッパ大王にやられちゃうじゃないの!)
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/07/11(火) 22:16:16.77 ID:9Wamlz1Y0

 魔王の快進撃を余所にドラゴン族は拘束から解き放たれるべく
縄抜けを試みていた、平和という湯に浸かり骨抜きとなっていたのは事実



とはいえキャサリンも腐っても強者の部類に属する

悟られぬよう関節を外し、黙々とその作業に没頭していた




 幸いにもチュルゲ以下他の乗り組み員も皆が
迫りくる悪夢にばかり気を取られていて、一言も発さずに事に及んでいた
彼女(?)を訝しむ者はいなかった


 いや、それだけ余裕が無いのだ、気がついていたとして
それをどうこうするより目先のアレをどうにかしたい、と




「おい見ろ!」
「あっ!あいつら…先に逃げる気だ!」


 モニター画面に映る最前列に居た車両の履帯が動き出す
あまりにも遅すぎた戦線離脱を試みたのだ


我先にと逃げ出すそれに続くように他のモノたちもまた撤退を始める


「ど、どうする…」チラッ
「どうったって…」チラッ





チュルゲ「――−ブツブツ」フーッ…フーッ






気でも触れたか



此方の武装が全く以って歯が立たぬ状況に平然とした態度を
保てなくなったか、年若い男達は思った


サングラスの向こうはモニター画面を見てなどいない、息は荒く
 何かを延々と呟いていた






その考察は半分正しい



若手の兵隊ですら、チュルゲの異様さに気がついたのだ

歴戦の兵が気付かなぬ訳が無い、これまで以上の狂気を鼠男から感じる


敵前逃亡を試みる味方を撃ち殺せだの、今にも逃げようとする
乗り組み員を先程のように爆殺しようとすらしない




ただ、"自分を嵌めた老兵"への呪詛を完全に
          イっちまった眼で唱える異様さに身震いを覚えた

230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/07/11(火) 23:15:23.71 ID:9Wamlz1Y0







 クッパ『 聴 こ え る か ! 降 伏 し ろ ! 』





「うわっ!?」キーン
「耳がぁっ…」キーン



 モニター画面に映る大怪物は天すら裂ける大音量で
声を発していた、スピーカーは軽い耳鳴りを起こすそれを拾い丁重に
戦場に居る全ての兵の鼓膜を直撃させる






 クッパ『今から車両を全て破壊する…死にたくなければ降りろ』







"死にたくなければ"





今、車両を出れば地獄のような"お仕置き"が主君から執行されるのは明白


だが、主君は部下の命までは取らない
お優しい懐をお持ちの御仁で在らせられるのだ…



 精々、二度と謀反を企てようなどと
思いたく無くなるくらいにお灸を据える程度で済ます



 年老いた今のクッパなら溶岩の真上に縛り上げ
じわじわと皮膚を焼き焦がす熱で炙る程度で許すだろう、お優しい事だ







―――
――







クッパは声をあげたあと、相手方の出方を見ていた


どう出るか…



その答えはすぐだった


231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/07/12(水) 08:54:22.18 ID:5g8uRPVLO
なんとおやさしい

やはり耄碌されたか
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 18:50:52.30 ID:7K7yFLLc0
クッパ大王もかつてはエッジガタガタの荒いドット絵だったのが、今じゃ甲羅の曲線も滑らかに表現されたポリゴンだ
誰だって歳をとれば角が取れて丸くなるのさ
それは耄碌とは違うんだよ
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/26(水) 23:23:23.78 ID:PDZzAv9ho
493 名前: ◆u5jU/0ZJi2[saga] 投稿日:2017/07/26(水) 00:52:06.08 ID:aEebzfjh0
>>492
ご安心を、以降は此方は使わない予定なので…

494 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2017/07/26(水) 00:54:49.63 ID:w8vUfrwto
>>493
なんでこっち使わないの?
Rとかわざわざ専ブラに入れてまで見る気ないからむしろこっちでやって欲しいんだけど
今現在までの投下見ても何もR18要素無いし

495 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2017/07/26(水) 01:19:06.89 ID:aEebzfjh0
…不用意にsagaて失礼、浮上する気はありませんでした


1つ勘違いをなされてらっしゃる…Rスレは別に100%R要素が必要とは誰も一言も言ってない



要するに一昔前、分離する前の速報と全く同じなんですね





だからマリオも何もかも持って行った、こっちで書きたいと1ミリも思いませんので
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 00:59:27.33 ID:CEiesOB1O
>>233
うわぁ…これ>>1
235 :遅れてしまい申し訳ありませんが少しだけ再開します >>234 はい [saga]:2017/08/02(水) 05:15:51.28 ID:CO028NKz0

藪を突けば蛇が出る、蜂の巣を棒で叩けば兵隊がわんさか出る


 輝かしき旧クッパ軍の軍旗という反旗を靡かせていた戦車からは
ぞろぞろと兵士は降り立った、顔色はどれもこれも死人色で
これからを思えばこそ生きた心地など微塵も無かったであろう



「…おい、早く降りろよ」
「うるせぇよ…」




どの声も覇気がない、通夜を迎えたように
そして何かに憑かれ脚を前へ進ませる以外の術を忘れたように歩き出す










   クッパ「…キサマ等、全員降りたのか」




   クッパ「一度は自分達で"旗を掲げた身"でありながら…」




   クッパ「誰一人として今の自分が信ずるモノの為に戦わんのか!」









         …い、命だけは…
…ヒッ!                で、出来心だったんですっ
     …お、お助けを…







若い兵は縮こまり、その場に跪いた

老いた兵は、何も言わず打ち震えた









   クッパ「……」


   クッパ「もうよい…」


   クッパ「命まで取らずともワガハイ自ら鉄槌を下そうかと思った」





   クッパ「もう……怒鳴り散らす気力さえ消え失せた」

236 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 05:40:55.14 ID:DPY+BE3so
来た!
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 05:57:01.33 ID:CO028NKz0


その言葉を聴いて兵は何を想うたか?

主君を悲しませたことへの哀しみであろうか
武人としての器の小ささを思い知った事であろうか



ならば可愛げもある


生贄の羊として切り捨てられた男達は苦渋のあまり皺だらけの顔を歪めた






 だが、跪いてベソをかいていた者は事もあろうにそれを聞き
安堵の息を吐いたのだ


 疫病にでも犯された病人と見紛う程に悪かった顔色は
血行の良い赤みが出た顔へと変わり
絶望のどん底に居る様を表した口角は天にも昇る気持ちを表現した




拳を振るいあげ、石畳の上に叩き付ける





            [<つきでろボボーン>]





           バ コ ンッ ッ ッ!!





梃子の原理、石畳をぶち割りさらには地盤の層をも揺るがす一撃

震撼させた大地は劈くような悲鳴をあげた





その悲鳴は目先にあった一両の底面装甲を突き破る…!


 元より戦車というのは被弾率の高い前面、側面、そして後面の順に厚く
造られる代物なのだ


 取り分けて、戦車装甲の中で弾が最も当たらない底面と上面が薄い
それゆえに爆撃機と地雷が天敵とされている




コストパフォーマンスに特化させた木材と薄い金属板とは言え、それを
ぶち抜く地脈の槍にそれに乗っていた搭乗員は青ざめた


 最初の犠牲となった戦車は大岩の穂先に持ち上げられ、5m程
上がった所で"真っ二つ折れた"
 一枚のビスケットのど真ん中をフォークで突き刺して力を込め
ぱきっ!とへし折るように、それは真っ二つだ


 拉げた燃料タンク、スプリンクラーの散水を彷彿とさせる
ガソリンの飛び散り…電気系統の千切れた配線から飛び出るエレキテル


港町にまた一つ、人工物が燃える音が加わった
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 06:33:05.96 ID:CO028NKz0

 両肩から先に生える2本の太鼓桴は次々と地盤を叩きあげ
破壊音が小気味の好い爽快な拍子を取っていく


ガラガラと音を立てて崩れる炭化した灯台の上部

燃え上がる港酒場の酒庫は酒樽に引火する度に景気の良い花火が上がる

宙ぶらりんになって、"耐え切れなくなった"戦車の木片と金属板の落下音




 ドン・チュルゲの優雅なクラシック音楽に勝るとも劣らない
 狂気的なお祭り音頭が朗らかに冴えわたる




設立記念公園に咲き乱れていたパンジーの花弁も愉快な民謡に堪らず
踊り出したくなったのでだろう




茎から先っぽがもう何も無い





風にひらひら舞い、火の粉と手を取り合って華麗に踊っている











夏祭りの会場に落ちて溶けたかき氷のような頭をした鉄屑の真上をひらり


祭りに来て迷子になった子供みたく泣きじゃくる兵の頭上をひらりひらり


軒並みの屋台のようになった戦車の残骸をひらりひらり










たった一両を残して全滅した戦車隊







さぁ、お祭り最後の締めは頭のイかれた花火職人の乗った御神輿だ!





クッパ大王の鼻先で燃えるパンジーの花弁<はなびら>がひらり…



               ―――ブンッッ!



…鼻先で踊った花弁は鬱陶しそうに払われた腕でかき消された
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 06:58:21.17 ID:CO028NKz0
―――
――





- 溝鼠、いつだって俺は言われてきた


- 最っっ高の褒め言葉だぜ


- そんじゃそこらの在り来たりな綺麗事並べる野郎共より正々してらぁ




-ママに教わったでしょ?人は生きてるならイイコトしなきゃ駄目なのよ
   悪い事すると閻魔さまにベロを抜かれちゃうのよ?





-どいつもこいつも糞だ、道徳だぁ?

-悪い事はしちゃいけないんですぅ?






- 反吐が出るぜッッッ!! 鳥肌は立つわ、聴くだけで蕁麻疹が出やがる

   
- いつだって自分がしたいようにやって、したいように生きた





- 見てて虫唾の走る野郎はケツ穴に爆竹突っ込んでガタガタ言わせた

- 俺様特製の爆竹さ!最後は涙と鼻水と糞撒き散らしてザマァ見ろだ!





- イイコトしろだぁ?するなら綺麗なネェちゃんとイイコトしてぇな!







- 俺に指図する奴ぁ誰彼構わず爆殺した

- 利害が一致するなら多少は何も言わねぇでやった





-生まれてこの方、俺は一度だって舐められた事ぁねぇ


-裏稼業にその人ありと呼ばれた火薬のプロフェッショナル


- いつしかそう呼ばれるまでになった


- "その筋"で首領<ドン>とまで呼ばれるようになった



- そんな俺をこうも舐め腐りやがった…

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 07:02:32.64 ID:CO028NKz0



























            チュルゲ「―――」ブツブツ ブツブツ




















   狂人は動かない




   1人では運用不可能な…もはや巨大な棺桶とかした車両の中で

   誰に聞かせるでもない呪詛を呟いていた











            チュルゲ「―――」ブツブツ ブツブツ








            チュルゲ「―――」ピタッ






            チュルゲ「…ふへ、ふへへ…ヘヘヘ」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 07:17:10.06 ID:CO028NKz0




チュルゲ「ああ、良いさ…やってやらぁ」ニタァ




チュルゲ「糞ジジイが……テメェの大好きな
            ロートル大王をやってやるよ」チュッ








チュルゲ「裏の業界で成り上がった男の意地だ…
          まさか虎の子のコイツを使うとはな」ジャコッ



チュルゲ「"コイツ"をキノコ王国の城に撃ち込んだら
               さぞスカッとしたろうによぉ」










サングラスの裏にある瞳は闇市界隈切っての火薬売りとして集めた資金で
購入した秘蔵の兵器を見つめていた






―――
――




戦車に搭載された砲、メカキャサリン、【マグナムキラー】

どれだけの火力を以てしても大魔王は止まらなかった


 あの戦車に詰め込んだ全ての弾薬を全て撃ったとしても
チュルゲに勝機など無い

それが降伏した兵たち、遠目で見てるノコノコとクリボーの見解だった



クリボー「…!ノコノコ見ろよ
      敵さんの大将がパッチ開けて顔出したぞ!」

クリボー「勝ち目ねぇから遂に白旗あげるんスかね…?」


ノコノコ「いや、よく見るんだ…何か様子がおかしい」



クリボー「…あん?なんだぁありゃ…なんか脇に抱えてんな」

ノコノコ「…筒状の物に見えますな…少し車体を前に進ませましょう」



ブロロロロ…!


242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 07:29:32.34 ID:CO028NKz0

フットペダルを踏み、排気ガスを出しながらカートは前へと動き出す





火薬のプロが脇に抱え込んだ筒状のソレ



バズーカ、…いやロケットランチャーか…何れにせよ
【キラー】の直撃でもビクともしない覇者に効く筈など無く

やけっぱちになった狂人の最期の悪足掻きかと誰しもが思った

















          ――――その時までは













彼奴がそれを構えた途端に戦場に居る皆が顔色を変えた



クッパ大王でさえも驚いた







クリボー「オイオイ…マジか、あれってマジモンかよオイ!?」

ノコノコ「なんてことだ…まさかあんなモノまで…確かにあれなら
      マグナムキラー砲どころの威力ではないっ!
     あのサイズなら車内で誰にも気づかれずに隠し持てる訳だッ」



闇市場でそれがどういった経緯で売られていたのか?

盗難か、横流しか…はたまた故障品を誰かが修理したのか、分からない






  クッパ「…そうか…!面白い、面白いぞっ!!」ニヤッ




大王はかつて煮え湯を飲まされたその兵器を見て…


        "[スーパースコープ]"を構えた男を笑ったッッッ!!
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 07:42:56.90 ID:CO028NKz0
*********************************



           今回は此処まで!

      長らくお待たせ申し訳ございませんでした






           【解説】

『スーパースコープ』

SFCソフト【ヨッシーのロードハンティング】でマリオがヨッシーに跨り

敵を撃ち抜いてきたビーム兵器、燃料は乾電池である。



※実際に電池を入れてスーファミの2Pに取りつけた赤外線センサーを
 テレビの上に置いて遊ぶゲームソフトです。



 最近の認識で言うならスマブラのアイテムと言った方が分かりやすい
 連射式からボタン溜め押しで強力な一撃を放つ奴ですね


原作で全身鎧に身を包んだフルアーマー状態のクッパすら倒す驚異の兵器

*********************************
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 22:49:21.87 ID:OdIjYwsTo
あれマリオ出身だったのか
メトロイドとかその辺だと思ってたわ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 02:53:59.01 ID:lfqeq6sbo
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/03(木) 05:11:17.40 ID:FV5aJQs3o
ヨッシーの頭も撃てるゲーム
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 10:38:58.38 ID:i/jdo5yIO
スーパーマリオくんにも出てたなあ…
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 22:39:56.92 ID:x5mJzJC80


肩撃ち式のソレを構える姿は実に様になっていた

トレードマークのサングラスをずらし、接眼レンズを覗く




 パワーリングのダイヤルを片っぽだけグローブを外した指先で回し
標的を見据えた
 距離のある地獄の帝王は何かを期待するような笑みを浮かべていた


 長く伸びた不衛生な爪と灰色の体毛で覆われた指先は
紅い塗装を施したfire<発射>のボタンに触れていた




 照準器のレティクルを地響きを鳴らして前進する
クッパ大王の脚目掛けて移動させる


 十字線の中央が鱗に覆われた雄雄しい脚を捉えると同時にチュルゲは
トリガーを連射する





          ズシャシャシャシャシャ…ッッ!






 ロケット弾やランチャーとの最大の違いは
実弾兵器ではなくビーム兵器であることだ、撃ち出す瞬間の反動が違う




  チュルゲ「オラオラオラァ!!!くたばりがやれぇぇ!!!」



これが通常の兵器であるならば、彼奴の身体はその反動で砲撃を行う度に
照準の合わせ直しが入るのだが
そんなことを意に介さずに連射できることがビーム兵器の利点の一つだ


 光線銃の吐き出す光弾は一つ当たり握り拳大の大きさ



 英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>の【ファイアボール】と
同じ大きさでありながらその威力はそれを大きく上回る


土砂降りの日に降り出した雨粒のように僅かな、合間しか無い連射性
熱源の塊が大魔王目掛けて一直線ッ!


スコープは連射式とエネルギー収束型と二種類の撃ち方ができる

 まずは相手の機動力を削ぐために脚を潰す、エネルギー残量の関係から
全48発分の光弾、収束型で放つのであれば3発分…




闇市場で購入した補充用のカートリッジは2つ

若かりし頃、甲冑に身を包んだフルアーマー状態のクッパに
悲鳴をあげさせたエネルギー弾、まして今現在の相手は生身


勝算は7割強だと判断していた

249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 17:55:38.26 ID:jsyQzSm60


命の保証など無い、それゆえのスリル


 自転車あるいは軽自動車でブレーキを一切利かせずに
下り坂を駆け下りる瞬間、風と化すその一時


湯水の如く湧き出る脳内麻薬、分泌されるアドレナリンは彼にとって
程よい刺激を与えてくれる嗜好品と呼んでもとって過言ではない



口角を釣り上げたままの帝王は先程までの気怠さとは打って変わり
生き生きとした表情で歩行速度を上げていた


爪を立てて大振りに地面を抉るように腕を振るう

 ボーリング球を投げるフォームに酷似した殴打技は直径40〜50pの
マンホールの蓋相当サイズの岩を吹き飛ばす



 吹き飛ばされた岩塊は距離にして100mの位置で光弾の列は接触
熱した鉄板に冷水を浴びたような蒸発音と灰色の煙瞬く間に広がる




チュルゲ「野郎ッ!目眩ましか…!」ズジャジャジャジャ…ッッッ!!


一直線に並んだ光弾の後続は灰色の煙雲が漂う中に
飛び込みドーナッツ状の穴を空け、その後を規則正しく続いていく


右か、左か、どちらかに移ったかに違いないと判断した彼奴は
身体を左右ジグザグに捻らせ∞の字状に弾幕を張る




  バジュウゥゥゥ!!


                      ドジュゥゥゥウゥゥ――z__!








 チュルゲ「くそったれ…っ!健在かよォ!!」ガショッ!




剛腕が風を切る音

採掘現場、あるいは解体工事現場で見かける重機が堅い物質を砕く音



巨石が飛んだ音


蒸発音



広がる鼠色の煙雲、未だ健在の魔王は此方目掛けて一直線だ
顎の下に汗が溜り、ポタリと落ちる…

 焦りを覚え始めたのは汗水が落ちたのと同時で、エネルギー残量が尽き
一つ目のカートリッジを装填しなければならないの時でもあった


250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 18:36:09.63 ID:jsyQzSm60


ズガガガガッ―――――!





一進一退ならばましも、相手に【後退】の2文字は無い

チュルゲの陣取る位置へと煙雲の発生原は押し寄せていた



大王が一歩前に進みながら岩塊を

チュルゲの必死の弾幕は飛んでくる砲丸を食い止める防壁として





足止め、いや…足を止めることすら儘ならない、このままでは…っ!



彼奴が己の体色と同じ暗色の煙を眺め不安に駆られた時、福音は鳴った









   クッパ「ぐぉ "ぉ お゛ おぉっ――!」グジュゥゥゥ!!








これまでテロ活動を続けて来た男は知っている

爆心地で"運悪く"生き延びてしまった犠牲者の呻き声を



"運良く"苦痛を味わうことなく即死した者と違い、致死量の出血と
神経が焼かれ、まともに機能しない身体

それでも生にしがみ付こうと嘲りに来たチュルゲに命を乞い願った人間の
喉奥から絞り出したような声を


無機質な岩ではない、肉が焼ける音と演技でも何でもない苦痛に悶えた声



うねる尻尾はピン!と逆立ち、品の無い笑みが浮かぶ
僅かに空いた唇から齧歯類特有の2本の前歯と粘度の高い涎が溢れていく


チュルゲ「そこかぁッ!糞ジジイィぃぃぃぃ―――っ!!!」チュッ!


 じゅるっ!と口元から垂れていた体液を啜りギラついた目で
大きな丸みを帯びた耳が声を捉えた方角へ照準を合わせた


老体に、それも生身であるならば
喩え掠りであったとしても痛覚は並々ならぬモノだ


 動きが鈍くなるのは明白で、この機を逃すまいと
連射式から収束型の撃ち方に切り替え、ボタンを指で強く押す



先端に集まる光は渦を巻き、それは一つの輝きとなって―――迸った

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 23:15:03.13 ID:qfsn09ULo
待ってた
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 22:34:14.93 ID:g9YP7rrO0







             バッグォオオオオオン…ッッッッッッ!!!








渦を巻いた光は巨大な球となり、――――直撃した



 オレンジ色の閃光に目が眩む、爆心地を中心に波状に広がる衝撃波に
思わず仰け反りそうなった



火柱が上がり、ワンテンポ遅れて爆発…










「く、クッパ様…!」
「み、見ろ!生きてるぞ!」

「け、けどよ…ありゃ…」










腕を十字にクロスさせ、顔の前に出していた…だが、その腕はズタズタで

黄色い鱗の付いた皮膚は剥がれ落ちたように赤黒くなり出血が酷かった

王者の燃え盛る炎を連想させる立派な鬣<たてがみ>も焼け焦げていたし

肩や腕の金属製の腕輪は熔解してしまったのか、はたまた蒸発か消え
 装着していた身体の部位は焼け焦げていた







 年老いた漢は、両脚で立っていた、脚の爪で踏ん張ったのか
 地面には機関車の車輪跡のように2つの跡が残る



 2本線のすぐ傍には破片が落ちていた


 クッパ大王の…脚の爪だ…高火力を真正面から受け止め
 それを踏ん張った際に、脚の生爪が剥がれ、粉々に飛び散ったのだ



当然ながら、脚の指先からも血が噴き出ていた



   誰も、何も言わなかった。 何も言えなくなった。

253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 22:54:21.59 ID:HwBCh5xOO
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 22:58:48.86 ID:g9YP7rrO0


チュルゲ「ッしゃっ!ビンゴだァ!!」



爪が剥がれ、血が指先から噴き出す脚に決して浅くはない痛みを負った腕



 未だ脳内は福音が鳴り響く、チュルゲはスコープの接眼レンズで
相手の顔を見る、どんな顔か、苦悶に満ちた帝王の表情はさぞ愉快だろう


パーティーゲームのミニゲームにありがちな百面相のように
威厳もへったくれも無い顔なのだろうと、嬉々としてそれを眺めた







チュルゲ「…」チュッ…!

チュルゲ「………」




チュルゲ「んだよ、その眼つき…」

チュルゲ「普通そういう時ってのぁなぁ、痛みと死に直面した恐怖で
              凍り付くってので相場が決まってんだよ」







チュルゲ「その諦めないっつー眼差し
      脚も腕もクッソ使えねぇ状態で尚、闘志が薄れない眼つき」





チュルゲ「さいっっっっこうに不愉快だわ…」ジャコッ!


 チュルゲは動きが見て取れるほどに鈍くなった漢へ
砲身を向け再び連射式で撃ち出す


―――
――




      命の保証など無い、それゆえのスリル

  死と隣り合わせの最中でこそ、必死に生を…勝利を掴む事を渇望する




 その危機的状況でこそ初めて到達できる『境地』…ッッ!



 それが彼は堪らなく好きだった






   クッパ「ウオオオオォォォォォォォおおおおおおっ!!」




帝王は咆えた、天すら揺るがす猛々しい声で
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 23:36:44.93 ID:g9YP7rrO0


「は、走りだしたぞ‥っ!」

「ひぇっ…指先からあんだけドバドバ血ぃ出てんのに!?」






脚を一歩前に出す


脚の裏にピリッと痛みが走る
地獄の針山、針の筵の上を素足で駆け抜けていると錯覚する


指先は既に感触が無いに等しい、血を流し過ぎたか



だが、そんなこと些細な事だとでも言いたげに駆ける



加速すればするほどに空気の層を身体は貫いていく

風が焼けた皮膚を傷める、ヒリヒリどころの話ではない



だからどうした?とでも言いたげに駆ける




爆弾狂は絶えず、闇市で手にした光学兵器を撃ち続ける
 雨粒が如くそれは身体に被弾し、火を噴きあげ
たんぱく質が焼ける異臭が否応無しに己の鼻孔へ劈くように流れ込む







それで歩みを止める程、矮小な老人か?
         と、その姿を見せつけるように駆け続ける…っ!!








「すげぇ…」ゴクリッ

「傷だらけになって尚も立ち向かう…」
「あんなとんもねぇ兵器を前にして、俺じゃあできこねぇよあんなの」


「…はは、戦車がいくらあったって俺達じゃ逆立ちしたって勝てねぇな」
「老いゆえに衰えた、…そうタカを括った自分が情けない」





「…あの御方こそが…!」

「我らが城主を何故信じなかったというのだ…っ!」



「…反旗を翻した自分にこんなことを仰る資格も
      想うこともすらも烏滸がましい事だろう…が…!!」




  「クッパ様…!」「クッパ様!」「クッパ様!!

256 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 18:41:07.35 ID:hlL/7izqo
おつ
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 07:07:54.67 ID:7NZYK6VL0
まだかな
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/09/17(日) 03:40:49.52 ID:an4Ol8eB0
続きはよ
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/09/17(日) 03:41:26.72 ID:an4Ol8eB0
はよはよ
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 18:09:00.82 ID:BZYJIi9SO
>>258
>>259

sageろks
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 17:01:00.13 ID:h94stw6k0


おそれ


恐れ、惧れ、畏れ


字面で表すならその3文字の発音は次の順に次の意味合いがある


1つ、其は単純に目の前で起きている出来事に対しての恐怖心

1つ、其は自分達の身に降りかかるやもしれぬ未確定の未来への危"惧"








1つ、其は――――







「クッパ様!!」「大魔王クッパ様!」「クッパ様ぁぁぁ!」





       ――其は、恐怖の中に『敬い』の念すら抱く恐ろしさ




生物は本能的に巨大な力に惹かれる

 喩えば獅子や虎の咆哮に竦み上がる肉食獣、同じ狩る側でありながらも
その雄叫びに身を縮こまらせる


 幼子が"おいた"をやらかして父親に怒鳴られた時、心臓がひゅっとなる
そんな経験はなかろうか?



生物は本能的に力を強く前面へ出す者に対して恐怖を感じながらも
そこに惹かれ、時として敬意すらも抱くのだ


嗚呼、目の前に居る彼こそが"王"であり、自分は跪き頭を垂れる側だ、と






扇動は確かにあった、だが自分達の意志で謀反を起こしたも同然


後に処罰を受けるだろうと分かっていても声高々にあげずにはいられない



今この時だけは、この瞬間だけは
何も考えず華やかな舞台に熱狂する観客で居たい






クッパ「うおおぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっっっっ!!」


チュルゲ(っ、くっっそだらぁぁぁぁ!!
        此処まで来られちゃ賭けにでるしかねぇ!!」)

262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 17:48:18.80 ID:h94stw6k0


捨て身、身の守りなど完全に捨て去った進軍は狂人を震え上がらせた


弾幕なんぞ意味を成さない、チュルゲは最後の博打に出る他ないっ!




ガコッ! ギュォォォォオオオオオオオオオ




連射式から収束へと切り替え、至近距離で放つ



至ってシンプルだ、それをやれば間違いなく自分も巻き添えは喰らう


悪く言えば追い詰められた
良く言うので在らば脳天をぶちまけるには都合の良い至近距離に来た



 チュルゲ(早く溜れッ!)ギュォォォオオオオオオ


 クッパ「―――――」ブォンッ!!






魔王は血の滲んだ両腕を車体へ伸ばす、指先が触れるまで十秒も要らない















 チュルゲ「っっしゃぁあああああ勝ったのはぁぁぁ俺だあああぁぁ!」








腹の底からの声、唾で出来た泡を口から下品に吐き散らしながら高らかに
己の勝利を宣言する






僅かな秒差ッッ!!



チュルゲが光の迸流を解き放つ準備が整う方が早かったのだ!!




263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 17:55:50.77 ID:h94stw6k0


















         ボ ウ ッ ッ ッ ッッ ッ!














発射音は確かに鳴った、チュルゲの耳にもよく聴こえた
























            ゴォ ッ ッッッ シャ ッッ…!












鈍い音が鳴った、チュルゲの後頭部からだ、本当によく聴こえた










「ハァ〜イ♡ 私のタマゴのお味はどうかしらぁ?クソネズミ〜♪」

264 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 18:08:29.85 ID:h94stw6k0



カチッ





  ギュゥオオオオオオオオオォォォォォッォー――――――…







巨大な光の渦が、迸流が解き放たれた、包砲からの莫大なエネルギーは

大魔王クッパでさえも滅することができたのではないかと思式熱量で




それは天へと昇る龍の煌めきが如しであった





鈍い音と鈍い痛み、突然の衝撃はスコープの照準に映っていたクッパから
大きく逸れ、晴れ晴れとした大空へ強制的に移動させるには十分だった









チュルゲ「っんの糞オカマ野郎があああああああああああああああっ!」





キャサリン「はんっ!いいザマね、裁いてもらうと良いわ」










ガシッ!



クッパ「ぬんッッ」



チュルゲ「―――ま、待てっ、や、やめ









クッパ「 う"お" お"お お"  お"  お"おぉ ぉお

      おお" お " お "おおお お " お"お" お 

             お"おおお ォォォォァァ ッッッッッ!!!」


265 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/28(木) 21:14:45.56 ID:9DDkbHISO
いたそう(小浪)
266 : ◆u5jU/0ZJi2 [saga]:2017/10/15(日) 01:36:36.17 ID:Xn7nVrpQ0



チュルゲの言葉を待たずして車体は母なる大地を離れる


 キャサリンはすぐさま飛び退き、乗員がたった一人となった戦車を
剛腕が持ち上げる、水平だった筈の視界は傾き、バランスを崩した鼠男は
転げ落ちるようにハッチの底へと転落した


がんっ!彼奴が車内に落ちて行ったと同時にハッチは幸か不幸か閉じた




 ズシンッ!!60t相当のメカキャサリンの比ではない戦車を抱え上げ
それを肩に担ぐようにして身体の軸を回転させるッッ!!









  かつてッ!大魔王はあのスーパーマリオに尻尾を掴まれ

 ハンマー投げ選手を彷彿させるジャイアントスイングを見舞われたッ!





 自分よりも遥かに小さき漢、身の丈は自分の半分以下のちっぽけな人間
体格的にも圧倒的に優位にあるはずの帝王は英雄の筋力に
文字通り振り回された、そして自らが設置した爆弾目掛けて投げる


 自分がマリオを振り飛ばし
最後には粉微塵にしようとした物によりにもよって自分が投げられたのだ


相手を掴んで遠心力を加えながら投げ飛ばす…苦汁を舐めさせられた技を
"敢えて"クッパ大王は使う




大気が震え、そこに渦ができる




竜巻だ





トンデモナイ重量の塊が円を描き、その力の中心は―――




クッパ「ウ"ヴォオオオオオオオオオオォォォオオオオオ―――ッ!!」




血走った目でGを加え続ける地獄の帝王である


超スピードで重力の壁が圧が次々と重なり、棺桶と化した戦車は軋みだす


 ミシ…ッ  ミシッ…!
                メキメキッ!


べっこべこに潰れた空き缶のように装甲はへこみ、ボロボロと崩れ始める

267 : ◆u5jU/0ZJi2 [saga]:2017/10/15(日) 02:14:42.50 ID:Xn7nVrpQ0


外側だけソレなのだ、ならば内部はどうなっているのか?


既に全速力で安全地帯まで逃げ切ったキャサリンの耳にも聴こえない






棺桶の内部から上がる悲鳴と何かが思いっ切りぶつかる音


読者諸氏は虫取り網と虫かごを持ち昆虫採集に行った経験はあるだろうか

 虫を入れておく箱に小石を一つ入れ
それを思いっ切り上下左右に振った記憶は無いだろうか



もしもそんな記憶があるのならばそれを連想すればいい



"箱"の中で壁へ、鋼鉄製の梯子へ、機器へ、モニタリングへ撥ねては跳び
跳んでは衝突する、それを延々と繰り返す


硝子や鋼鉄の破片が身体中に刺さったかもしれない

骨も肉も避けるし、粉々かもしれない









車内は地獄のピンボール状態だ、玉は…言うまでもあるまい









大回転ッ!クッパ大王その勢いに乗り遂にがそれを天目掛けて投擲ッッ!
時速300を超えた棺桶が大気圏すら貫くのではと思いかねない速度で上昇


 遊園地の絶叫系アトラクションでも体感できないだろう
急上昇&急落下のコンボ、上空3300ft<フィート>に到達し空気の薄い層から
それは落ちて来る


当然、落下地点では魔王が拳を練り上げて待っていた




          クッパ「破ァッッッ!!!」







              破裂




膨らんだ風船がパンッ!と割れる様にその一撃を合図に戦車が"破裂"した

もう一度言う、"破裂"だ

268 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 02:16:58.73 ID:Xn7nVrpQ0
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           今回は此処まで!



  クッパVSチュルゲに時間掛け過ぎて申し訳ない

  別視点に次から移ります!





ミンチよりひでぇや
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269 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 08:19:18.23 ID:kXwrqkTSO
寺生まれのKさん
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 14:34:55.71 ID:pLfVwO9IO
乙乙
寺生まれワロタww
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/08(金) 22:56:18.65 ID:u9bYzKbbo
ほしゅ
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/14(木) 13:43:21.68 ID:uwTslMweo
まだ?
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/19(火) 23:02:47.59 ID:8tJ19dmT0
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   長らくお待たせして申し訳ありませんでした!!

マリオオデッセイが一段落ついたので明日の陽が明るい内に更新ですッ!



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274 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/19(火) 23:17:23.21 ID:YP6GjJE2O
待ってた‼
楽しみにしてる‼
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 13:04:55.09 ID:/NaxgDC30

物々しい排気音をあげて【過去からの贈り物】達はキノコ王国国道を進む

 塗装整備もなされていない道を走り続けた履帯は途中から国道線に乗り
その侵攻速度をあげて行った





皮肉にも国民の為に築かれた政策が国民を脅かす敵対勢力の促進となった





砲門が2門、砲塔が3基の大型戦車が2両、そして小型の車両が6両…

それが"指揮官"の搭乗する車両であった



 門番三人衆を前に小型を2両残し、後に本隊等と合流し
その内、"篩に掛けて"…ドン・チュルゲに権限を持たせた"癌細胞"と分離





10両だけの戦車…部隊は今や














 BUROOOOOO…!




BUROOOOOOOOOOOOOOO…!!






BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !










 二 個 中 隊 規 模 の 軍 勢 と な っ て い た ッ!





「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!」」」」」」




軍隊に置いて、分隊は約13名の人員、小隊で43名ッ!

中隊が一個中隊につき182名に及ぶ!!

即ち360余名の武装した歴戦の兵<ツワモノ>共が国攻めに馳せ参じたのだッ!

276 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 13:35:34.84 ID:/NaxgDC30


卑怯、卑劣?なんとでも言うがよい






相手は自分達のような蟻の群れを蹴散らす主君たる大魔王

そしてその魔王と同格の英雄兄弟、の内の一人

それに付け加えて、この国にはその兄弟に勝らずとも劣らぬ豪傑揃いだ





たかが300名如きで正面から戦って何故勝てると口にできようか

なにゆえ大戦時代の兵装を復元した程度で勝てる道理が見出せようか







なればこそ一生涯にあるかないかの機を逃す手が何処にあると申すのだ!






"指揮官"は皺だらけの瞼を閉じ、静かに熱を感じていた



眼を閉じていても感じ取れる


自分達の……恋焦がれたあの美しくも儚い、輝いていた世界がそこにある



砂塵も、煙炎も、傷つき倒れていく友の姿さえも…ッ!



その瞬間は何もかもが愛おしかった

その刹那を、瞬きすらも惜しい、命取りになる最高の瞬間を…





 どんな絶世の美女を見たとしても決して抱けない
胸を熱く燃やし尽くす程の"焦がれ"がそこにあった


【埃】被ってた闘争心に再び『誇り』を滾らせる魂の唄がそこにあるッ!





眼で見るまでも無い



"指揮官"は今、光の中に居る…薄暗い蜘蛛の巣が張った部屋で

ただ堕情を抱いて、泥濘の底へ何処まで沈みやがて消えるだけじゃない


志を共にした猛者の"闘いそのもの"を称える賛歌が溢れていた!!



「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!」」」」」」

277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 14:10:41.63 ID:/NaxgDC30

1つ、それはある意味で救いであるが、救いではないのだ


何が言いたいか、まず結論から言っておく



彼等は勝敗そのものは精々持って"オマケ"程度と考えている

無論、やるからには勝ちたいが、だが本命はそこじゃない





昔、戦争で活躍した漢達が…ッ、闘争に誇りを持ち雄姿を称えられた兵が

時代の流れと共に朽ちて塵芥となり消えていく…



誰の記憶にも残らず、やがては姿も名前でさえも忘れられてしまうこと


 それが彼等には【死ぬことなんかよりも百倍辛い事】なのである




どうせ消えるなら

このまま日の目を拝むことも無く霞のように四散していくならば





もう一度、戦<イクサ>場に馳せよう…部隊の花形となろう

栄光のクッパ軍団はかつて誰よりも闘いこそを生きがいとした筈だ


強敵と闘いそして自分達がどこまでやれたのか、いつだってそうだった



  今の若い小僧共には理解できんだろうよ

    大戦時代に誇りを持った男の心なぞ、鼻で嗤うだろうよ!




玉砕上等!自分達の戦火を見て何かを感じる者が"たった一人"でも居れば

その姿を記憶の片隅に留めてくれる者が現れたならば



…もしも、主君たちが、敬愛する強敵たちが何かを想ったならそれでいい




彼等にとっての『平和』は身体蝕む"甘い毒"でしかない

      自分の存在意義が無い、生きている意味が亡い




   だから【戦火】という"激しい治療薬"を追い求める…





今の常世は"生き辛い"のだよ…今、自分達が乗ってる戦車と同じ…

「役目を終えたらもう要らない」「邪魔だ」「不要な存在だ、捨てよう


ある意味で戦いは『生きる意味を見出せる』救い
だけどそれは…平和に馴染めない不器用な漢達を本当の意味では救えない
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 14:27:46.89 ID:/NaxgDC30

自分達の誇りの為に。

生きる意味をもう一度取り戻したい、廃棄物で終わりたくない。


またアイツ等と戦いたい。


誰かに忘れ去られたくない、俺達を思い出してほしい。






色んな感情が渦巻く、自分自身の都合、主君の事、強敵と拳を交えた時








「なんじゃ、子供の喧嘩と同じじゃのう」


「は!…指揮官殿?」



「ん、ちとな…おかしゅう思うただけじゃわい見てみぃ」スッ


「…」チラッ


「ふ、ふふ…どいつもこいつもイイ歳したモンが眼を輝かせおる
               余程血肉湧き踊っとるんじゃろう」ニィ!



「そういう指揮官殿も…随分と"お若い"ようですね」ニヤリ


「ハッハッハ!こやつめ!…クッパ様のため声をあげとるがの…」

「あげておりますが…なんですか?」






「それ『も』紛れも無く本心じゃがのう
      …結局はワシもお前らも皆、自分の夢、望みの為じゃて」



「…………」




「恥じるな」



「……」



「クッパ様にかつての栄光を思い出して欲しいのもまた本心だが
  自分の欲もまた同時に存在する本心じゃ

 いっそ開き直れ、認めぬ方が尚更タチが悪いわいマヌケ」


「ハッ!」ビシッ


279 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 14:43:32.95 ID:/NaxgDC30


「ワシ等は平和な世の中でのんびり暮らす事のできんデカイ子供じゃよ」


「…」





「毎日テニスやゴルフにパーティー三昧、そんな天国みたいな平和に…

   【退屈】に順応できんと駄々を捏ねる馬鹿デカイ子供よのぉ」






「……」




「退屈が嫌いだから刺激を求める、そしてふと真っ先に思い出すのは
 "大好きな喧嘩相手"でちょっかい掛けたがる…
     そんな悪餓鬼だと思うたんじゃよ!ハッハッハ!」



「ふっ、違いありませんな」




「うむ…!王国城壁が見えたな、さぁ!"ちょっかい"を出しに征くか!」


「「「「応ッッッッ!!」」」」




「皆に通達!天は我らに最大の好奇を与え給うたッ!!!
  これを逃すのは大虚けじゃ!予定通り切り込み部隊―――隊出陣!」









「さぁ!ワシ等の愛した世界の門戸を叩けぇぃ!!放てぇぇ―――ッ」













  ボッッッッッッ!!!



                     ――――カッ!







稲妻が近くの木々に落ちる音に酷似していた、音が止むころには

キノコ王国の城壁に大穴がガッポリと開いていた

   平和という脆い壁もボロボロと崩れ始める事を象徴するように
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 15:06:10.67 ID:/NaxgDC30

―――
――



 市民の避難は完了している、実戦経験など皆無に等しい
平和のぬるま湯にどっぷりと浸かった城仕えのキノピオ達が
その手に棒きれを持っていた



英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>に頼り切った彼等はその小さな脚と細い腕を
プルプル震わせていた…


小刻みに震える紅い斑点模様の彼等は
国内の至る所に配備されていた何処から侵入されても
東西南北、全方位に十数名居れば(無意味だろうけど)対応できると考え



キノピオA「だ、だだだ、大丈夫かな…」ガクガク

キノピオB「ししし、心配ななにゃいでしゅよ
       く、クリボーくらい追い払えます!」ガクガク


キノピオC「あ、あっちの方ってワリオさんや向こうにヨッシーさんが
            居るから、あぅぅ…向こうに配備されかった」



キノピオD「いざとなったら!この棒を投げつけてやりましょう!!
      いつまでも怖がってちゃ駄目なんだ!
            僕たちだってお城の兵隊さんだもん」




キノピオB「…な、投げたら棒がなくなるけど、その後囲まれたら?」



キノピオD「……」

キノピオD「や、やっぱりモノを投げるのは良くないよね、うん」








  ボッッッッッッ!!!



                     ――――カッ!





   ズドガァァァァー――ン!!




キノピオs「「「「キャー―――!!」」」」



吹き飛ぶ城壁ッ!パラパラと空から降ってくる破片
タルや木箱の影に光の速さで隠れる十数名のキノピオの群れッッ!



クッパ大王も港で足止めされ、マリオ達も遠くの空でゲドンコと交戦中


護りが完全に手薄になったキノコ王国に遂にッ!
           "旧"クッパ軍が攻めて来たァ――――ッッッッ!!
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 05:22:51.59 ID:LOhFhYVS0
>タルや木箱の影に光の速さで隠れる十数名のキノピオの群れッッ
これだから毎回ピーチ拐われんだろうなこの国
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 08:00:08.82 ID:nghJb7tpO
キノピオかわいい
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 19:37:49.07 ID:9xX5pQ2d0


ドッゴォォォォン


ズゥゥゥン! ボガァァン!!




キノピオB「に、西側からも音が…!」

キノピオC「そ、それだけじゃないよ、もっと遠くからも」






"旧"クッパ軍はキノコ王国首都をぐるりと包囲するように囲んでいた


 王国そのものを…そう、一枚のマルゲリータ・ピッツァと考えて貰おう

 英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>不在、加えて協定を結んでいるであろう
彼等が主君クッパが部下の不始末を罰すべく如何に迅速に動いたとしても
到達にはまだ猶予がある(港の足止めを計算に入れなかったとしてもだ)


しかし、国内には怪力ワリオを始めとする超人がまだ居る



だからこその四方八方から一斉攻撃を仕掛ける必要がある





国家の本丸…ピーチ城を陥落させる為にどれだけの戦力が必要か?

何処から攻め込めば、最短ルート、かつ最低限の兵力で可能か?



それも踏まえて"指揮官殿"は配置した






クッパなら、間違いなく駒をこう動かしただろう、と考えて



以前記述したがクッパは内政はともかく戦<イクサ>に関しては秀でていた

幼少の頃より、"指揮官殿"の教育をスポンジが水を吸うが如く取り入れた

…政治はあまり良くなかった事からカメックは頭を痛めていたが




話を戻そう





カメ一族の覇者となったクッパの手腕はいつだって英雄兄弟を苦しめた


砦内に針の山、マグマの上に浮かぶ金網、ドッスン…隠しブロックと扉

ジャンプ台で跳ねた瞬間にピンポイントで撃ち出されるキラー

乗った瞬間に落下する板、飛び移りを困難にさせる数々の敵達…etc




いつだって難易度の高い"旅路<ゲームステージ>"を考案してきたとも
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 20:09:35.75 ID:9xX5pQ2d0



時には足を滑らせて、憐れ!奈落の底へ真っ逆さま!


 敵を避けきったかと思えば思わぬ位置に配備された伏兵に一撃貰い
身体が縮むような思いさえもしたことだろう



そんなクッパの恩師でもあるのが"指揮官殿"であり


今、キノコ王国を誰も逃げられないように完全包囲し
一枚のピッツァを8等分するようにそれぞれ地域分担で
同時侵攻作戦の展開も進ませているのだ



南側、南西側、西側、北西側…と切り分けていったピザ生地の"どれか"は
一騎当千の怪物が居ることだろう


如何に英傑であれど身体は一つだ、1区画で攻め込んできた敵と交戦中に
他の区画から侵攻した自軍…内どれか一つでも
本丸を落として降伏させればよいのだ




―――
――


ガラガラ…!

   パラパラ…





   ワリオ「へっ!奴さんのおでましか…」ポキッ、ポキッ




ガラガラと崩れ落ちる煉瓦と破片、立ち込める真っ白な煙


紫色のオーバーオール、長袖を愛用する英雄兄弟とは違い黄色の半袖から
見える筋肉盛々の丸太のように太い腕
 トレードマークの帽子同様に『W』の文字が描かれたグローブを嵌めた
手をポキポキと鳴らし煙の向こうから規律正しい足音の行進曲を聴く





ザッザッザッザッ!


 『―――』ザッザッ!

 『―――』ザッザッ!

 『―――』ザッザッ!

 『―――』ザッザッ!



未だ白煙の中で揺れるだけの人影、…相手は何か分からない



"指揮官殿"とやらが、切り込み部隊『―――隊』である

285 :脱字) "指揮官殿"とやらが、  送り出した  切り込み部隊『―――隊』である [saga]:2017/12/21(木) 20:49:57.00 ID:9xX5pQ2d0



ワリオ(…あぁん?なんだぁ、ヤケにすっとろい動きじゃあねーか)



白煙の向こうから、ぞろぞろ…わらわら…数は…? 思ったより少ない?

それに何故、"突撃"してこない、奇妙だ




壁をぶち破ったなら、その勢いに任せ電撃作戦を展開すれば良いモノを…
 白煙や砂埃で互いの姿は認識し辛い、そのまま散らばるように
穴から這い出て、建造物を利用する市街地戦に持ち越せば
防衛戦に徹せねばならないこちらとしては不利になるはずだが…?




 『―――』ザッザッ!
 『―――』ザッザッ!
 『―――』ザッザッ!
 『―――』ザッザッ!





ワリオ「…薄っ気味悪ぃ連中だな」チッ

ワリオ「なんだか知らねぇが来ねぇならこっちから行ってやらぁ!!」



ゴォ!!闘牛の突進を思わせる力強い動き、煙の向こうに揺れる"人影"は
4、5…7ッ!! 辛うじてだが『手足』や『頭部』のシルエットが見える



つまり【クリボー】や【サンボ】…【ハナチャン】のような相手ではない

人型…【ノコノコ】系のカメ一族だろうとワリオは推測を立てていた





 『―――』ザッザッ!…ヒュンッ!!






       ワリオ(っ!野郎…何か投げやがった!)サッ!




―――視界を遮る白の中で猛者は風切り音を確かに聞いた



とすればあれは【ハンマーブロス】か!?
 煙に巻かれる最中、肉眼では確認できなかった"何か"を音を頼りに回避

紙一重で己の真横を過ぎ去った"何か"は棒状の形をしていた、とし
か認識できず、ハンマーであるとは断言できなかった




ワリオ「うらっしゃあああぁぁぁァァ―――ッ!喰らいやがれぇぇ!!」




その短い脚からは想像もつかぬフットワーク
 横跳び回避からのステップインでそのまま2体の『―――』目掛けて
渾身のダブルラリアットをお見舞いしてやるッ!

286 :今回ここまで [saga]:2017/12/21(木) 21:11:08.18 ID:9xX5pQ2d0


ボキャァァァアアアッッッッ!!

決まったッッ!!



渾身のダブルラリアットッ!ワリオの丸太のように太い腕が
前方2体の『―――』の首を情け容赦なく捉え、そのまま走り抜ける


『――ギッ”!』ゴシャアッ!
『――ゲッ”!』ゴシャアッ!


小さな悲鳴をあげ、2体は後頭部から硬い石畳目掛けて倒れ込む


 ごしゃあっ!!―――鈍い音がしたが振り向かない
そのまま倒した2体のすぐ左後ろに居た奴目掛けてエルボーを喰らわせる

めしゃっ!!硬いモノが砕ける感触を肘に感じた

手加減はしてやったつもりだが鼻っ面は確実に折れただろう




  ヒュンッ! ヒュンッ!




ワリオ「!」サッ

ワリオ「ほっ!!」パシッ!


エルボーを喰らった相手が膝をついて崩れ落ちるように倒れると同時に
左右から挟み撃ちをする形で投擲

1つは屈んで避ける

もう1つは、真剣白羽取りを彷彿とさせる動きで"それ"を掴んだ



 ワリオ「ケッ!てめぇ等さっきから何投げてやがん…だ…?」




風が吹いた、視界を遮る粉塵は煙共々に晴れていく…




ワリオ「な、なんじゃああこりゃあぁ〜!?」ガーン!!



彼が掴んでいた物…それは『骨』だった…





カロンA「―――」ザッザッ!

カロンB「―――」ザッザッ!

カロンC「―――」ザッザッ!

カロンD「―――」ザッザッ!



倒されてバラバラになったカロンの骨『―――』カタカタ…!!


復活カロン「―――ギッ””…―――」バッ!……ザッザッ!


287 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 13:19:58.47 ID:BE3j5RqB0
続ききてた。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 17:17:54.90 ID:EkqbXMrF0
おつおつ、オデッセイは過去作オマージュ多くて知ってると超楽しいよね
289 :メリークリスマス! ◆zJZqNVVhtuCN [saga]:2017/12/25(月) 00:30:26.34 ID:JNraNh8M0


カロン…なるほど、通りで動きが遅い筈だ


動く屍兵たる彼等は倒せど倒せど何度でも蘇るのだ、頭部を踏みつけても
一時的に動きが止まるだけで、一定時間が経過すれば再動する




ヒュッ!ヒュッ!



ヒュヒュヒュ!!!





ワリオ「うおっ!?」



骨を十字にクロスさせた手裏剣のような"ソレ"…先程からワリオ目掛けて
投擲されていた棒状の武器の正体だった


彼奴等、自身の肉体(というか骨格)から数本、骨を抜き取りソレを敵に
投げつける習性がある

 2本の骨をバツ印になるように合わせれば、中心点が結合して
ブーメランと化す




驚くべきはそこじゃない、連中は骨を抜き取っても数分もすれば
何事もなかったかのように再生するのだ


投げても投げても無くならない、増殖する

そのメカニズムはどのような原理なのか自軍の者同士でさえも分からない





 ヒュッヒュッヒュッ! ヒュンッ! ヒュンッ ヒュンッ!





屍兵の胴体の一部が豪傑目掛けて投げられる、躱された骨はそのまま
民家の壁や石畳の地面にめり込む様に突き刺さる

これが直撃すれば間違いなく人の肉など抉れてしまうだろう





ワリオ「ぐっ…!――んだよっ、こりゃあ!さっきより数増えてんぞ!」



カロンA〜D「―――」ザッザッ!



"一度倒されたが復活した"カロンA〜C「―――−」ザッザッ!


290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 03:38:23.77 ID:JNraNh8M0



骸骨を殴る、蹴る、踏みつける、物言わん骸<むくろ>と化す








 しかして不死の兵隊は起き上がる




 一度起き上がる、再び倒れても蘇る、三度敵として相見える





死なぬのだ、彼奴等は…












     カロンA〜H「「「「「――――」」」」」ザッザッザッザッ







煙の向こうから見えた影はそれほど多くは無かった




だが…ッ!





ワリオ「うぉおおおおりゃぁああああああああああぁぁぁッ!」



ブンッ ビュンッ! グルンッ!ゴベシャッ!



カロンD「ギッ」ベキャッ!

カロンC「ゲギィ――!」メシッ!ミシミシッ!!




拳が猛威を振る度に、蹴りが薙ぐ度に、ひび割れ破壊されていく死の兵隊



死、破壊――――そして―――



"復活した"カロン「…―――」パラララッ…!カシャッ!…ザッザッ


                 そして――――再生、復活


291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 03:50:38.89 ID:JNraNh8M0

―――
――




ワリオ「…はぁ、はぁ…ぜぇ…」ハァハァ…



カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ

カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ


カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッザッ





カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ!





どう見ても数が減るどころか増えている、それは一目瞭然であった


それもその筈だ







カロン「―――」ブンッ ヒュッ




ワリオ「くそったれ!」サッ スカッ








地面に大量に散らばったカロンの身体の一部たち『―――』


地面に大量に散らばったカロンの身体の一部たち『―――』カタカタ…!




地面に大量に散らばったカロンの身体の一部たち『―――』バラララララ!






"増殖"カロン「ギッ!―――−」ザッザッ





カロンは自身たちで個体数を増やす事ができるのだッ!

これこそが"指揮官殿"が第一陣の切り込み隊として送り出した際たる理由


 疲れ知らずの不死身の兵を一人送れば侵攻先で増殖し、気がつけば
始末に負えない程に量産し終えているという状況になる

相手は倒せない上に数が増え続けるそれ相手に勝手に疲弊してくれる

292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 04:21:57.61 ID:JNraNh8M0


ワリオ…彼もまた紛れもない超人の領域に到達した漢だ



単純なパワーだけならそれこそマリオにもクッパの怪力にだって匹敵する

それこそ重さ100t越えの超重量級戦車だって素手で持ち上げ、投げれる






こと此処に至っては"相性が悪すぎた"…



 英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>は一体、如何にして
この恐るべき敵を退けたのか?




その答えを此処で言うとしよう





 彼等が初めてこの死骸兵共と遭遇したのは【7匹の子クッパ達】が
世界各国への侵攻作戦を展開していた時代だ


砦を始めとする要塞の守りに配置されていることが多かった

あの頃は今と違って4足歩行の亀だったが…




不死身のこいつ等をどう処理したか


ある時はハンマーを投げ、二度と復活できないように
完全に原型が分からない程に粉々にした



ある時は背中に付けた大空さえも飛べるマントを利用した
 空すら飛べるマントの風圧を利用した回転攻撃で
『場外へふっ飛ばした』…つまり倒せないから視界に映らない程遠くへ
飛ばしただけである




ある時は踏みつけて、バラバラになった瞬間、頭部を拾い上げて
奈落の底や煮え滾る溶岩の中へ放り込んだこともあった



…ただ最後のに限っては復活が遅くなるというだけで
完全に倒しきれなかったが



 ワリオ「ずらぁぁぁッ!」ドゴォォ!!



繰り出された正拳突きがカロンの頭部を首の付け根部分から弾き飛ばす
 頭部は口をあんぐりと開いた、なんとも間抜けな表情を晒したまま
ピンボール玉か何かのように他の同族にぶつかり目をぐるぐると回しながら



吹き飛んだカロンの頭部『―――』ズリ…ズリズリ



ワリオ「うっへぇ…生首だけで胴体に向かって這ってやがる」


293 : ◆MQKemQ7EZz9R [saga]:2017/12/26(火) 22:53:24.54 ID:7N6w40K90
―――
――



「カロン部隊!各所で成果を挙げています!」

「報告ですっ!Dブロック、Gブロックの侵攻が著しくありません!」



「うむ、…とすればそこに居るのじゃろうて」




塵芥同然のキノピオの群れはともかく、警戒すべき強敵はそこの居る

 "指揮官殿"はすぐにD、Gを除く別の区画の王城制圧専門部隊の増加
ワリオ等の為だけに用意した精鋭部隊をすぐさま向かわせる指示を出す





「うむ!!そろそろ向こうも疲弊し始めた頃じゃ!第二陣!用意ッ!」






どしっ!どしっ!





 その掛け声と共に城壁の外
王国を包囲する旧クッパ軍の陣営から彼等は進軍を始める……





 ガタイの良い屈強な身体だ、のしのしとがに股歩きでその集団は
ゆっくりと近づく…

 トゲ付きのスパイクシューズ、肩に白いグローブに
青いユニホームとお揃いの背中の甲羅、そして――日に映えるヘルメット


所謂、アメリカン・フットボール選手のような出で立ちであった

 何人か脇にラグビーボールを抱え、また後方に居る者は手に野球で使う
硬式ボールを握りしめていた

地面でも掘って岩を投げつける気なのか…
まるで工事のおじさんが持ってるようなスコップを担いだ奴すら居た






「第二陣!!!突撃準備!!城壁を破壊せよッ!!」




「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ」」」」」





そう…!その集団とはクッパ軍の中でも血の気が高く
 なおかつ闘争心を誰よりも持つ戦士、【ブル】の集団だったのだ!!

294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 01:14:10.92 ID:rgEsobld0


―――
――




キノピオJ「うわああぁぁぁぁぁ!!」ドタバタ

キノピオK「きゃあああああぁぁぁぁ!!」ダッダッダッ

キノピオN「に、にげろおぉぉぉ」ヒィィィ!!





カロン×64『――――』ザッザッザッ









 東南部城壁から入り込んだカロン部隊は順調にその数を増やし
大通りへと到達していた、まるで我が物顔で凱旋するかのように









キノじい「…くっ、姫様」


ピーチ「…マリオ」ギュッ




 王城テラスから双眼鏡でその有様を見渡す家臣
歯痒さと不甲斐なさを胸に英雄たちの帰還を祈るしかできない姫…


 今、王城の門は固く閉ざされている、国民の多くが城内に避難しており
城門はピーチ姫の力によってより強固なモノとなっている


 注目されることが少ない為知らぬ者も多いが姫は
封印を施す力に長けている、過去に【ダークスター】を始め
【ゲドンコ姫の姉】だって封じていた事があるし

もっと昔の話をすればブロックに変えられた国民の魔法を
解除することすら可能なのだ



自分<ピーチ姫>にできること―――それは国民の安全を守る為
絶えず城に結界を張り続ける事である


歯痒い、一国を治める者が結局いつもマリオに…誰かに頼るしかできない



 好奇心と歯痒さから、かつては【カジオー軍団】との闘いに
同行したこともあったが今は前線に出るべきではない、守りに徹せねば








……このままでは時間の問題であろうが

295 :あけおめ!!! [saga]:2018/01/02(火) 13:27:54.97 ID:qbXKW1rh0



ドガァァァァァン!!


   ドゴォォォォォッ――――z___________________________ッッン!!






"このままでは時間の問題"…その懸念は現実となる














ワリオ「な、なにぃ〜!?」グググッ

カロン「ギッギッ…ぎべっ!」ゴバキャッッ!




骨亀にチョークスリーパーを掛けていたワリオは城壁の方へ視線を送る

 相手方の頭部やら胴体やらが軋み、音をあげて砕け散るのとるのと
ほぼ同じタイミングで首都を守る城壁が破壊された



ブルの集団「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ!」」」」」





 逞しい筋肉の鎧を持ったマッシブなショルダータックルが
一斉に仕掛けられたのだ

粉々に粉砕された壁の向こうから【ブル】が…その後ろから
控えていた無数の兵が雪崩れ込んでくる…ッ!









カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ
カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ


復活カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ
復活カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ


増殖カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ
増殖カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ






   ワリオ「うっ!…ぅ、ぅおおおおおおぁぁぁああああああ!?」





中も外も、敵だらけだった…体力が消耗し始めた男は驚愕した
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 13:49:47.42 ID:qbXKW1rh0



カロン「「「「「――――」」」」」ワラワラ…ゾロゾロ



ワリオ「畜生ッ!どけぇテメェ等!」ベキッ!バキャァァァ!!ゴスッ!


ワリオ「どけっつってんだろうが!!聞いてんのか!頭腐ってんのか!」




無駄に頭数だけは増えた骨頭共は怪力ワリオの動きを阻害する


武装した【ブル】、メットを深々と被り金鎚を投げる【ハンマーブロス】

痛くないのか棘付き鉄球を口の中に入れて優々と歩く【ガボン】

ガボンと似たような挙動をし、地表を歩ける【フーフーパックン】





 その後からも"旧クッパ軍"の兵が続いてくるが…
そのどれもがワリオにとって見覚えのない者達だった


"緑のデカイ靴を履いたクリボー"、"ブロックに潜む小さな奴"…

"蝋燭に灯るサイズの灯に脚が生えた奴"

"蛇のようにうねるファイアーバー"…etc








 屍兵に纏わりつかれているワリオを尻目に彼等はそのまま首都の中心
目掛けて走り出すっ!














       ヨッシー「お困りのようですね」シュッ!








カロン「ビッ」カパッ







 一瞬の出来事だった、白に緑の斑点模様がついた"何か"が
数十匹に及ぶ骸骨を彼の視界から消した

297 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 14:06:50.16 ID:qbXKW1rh0



ワリオ「あぁ!?お前…!」




 この緊迫とした状況下に不釣り合いな、暢気な声だった

靴を履いたスーパードラゴン、ワリオ曰く『食えない奴』の御出ましだ




ヨッシー「随分と侵入されましたね…」アチャー

ワリオ「…お前、あっち側担当だろーが、なんで此処に居んだよ!」



ヨッシー「んー?あぁー、それですか?」
















ヨッシー「既に殲滅しましたので
           一番近場のワリオさんの援護に来たんですよ」






ワリオ「はぁ〜!?」



ヨッシー「…今回、私怒ってますよ?
        これではお祭り屋台の御馳走も
           ルイージさんの晴れ舞台(?)もおじゃんです」





既に食い尽くした屋台も時間が経てば材料を仕入れるだろうに、と
 ヨッシーは嘆いていた、そんなことを聴きたいんじゃあない
ワリオの目線に気がついたのか食い意地の張った蜥蜴が続ける



ヨッシー「…ええ、先に城へ走れば良いだろうと言いたいのでしょう」




ヨッシー「ハッキリ言いますが、手遅れです」キッパリ

ヨッシー「戦力が足りないんですよねぇ、これが…
        いやはや今回は流石にしてやられましたねー」


ヨッシー「普段頼りなく見えますがルイージさん一人居ないだけでも
      十分国内の防衛力は衰えますよ?
        向こうはそれを見越したんでしょう、ええ」



相性の悪い相手、【ヨッシーにも喰えない存在】は確かに居る
 その上、護りが手薄の状態での人海戦術…
何もかもが不利だった、今から駆けたところで勝敗は見ている、と
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 14:30:01.81 ID:qbXKW1rh0

ヨッシー「向こう側で私が敵を鎮圧し終えた頃には
        既に大群がお城に向かってます、仮に全力で向かっても
      数の上で奮闘してる間に敵は私達を素通りして制圧する」


ヨッシー「…私の見立てだと
       どうにもクッパとはまた違う誰かの指揮に思うんですね」



ヨッシー「何が目的か存じませんが、城の制圧後、住人やピーチ姫には
       すぐには手をあげないでしょう…」


ヨッシー「敵の動きを見てて分かります、なら今私がすべきこと」







ヨッシー「…悔しいですが、此処は"奪還に備える"、ですね」


ヨッシー「緊急体制が敷かれたのはTV越しにクッパもしてるでしょうし
      ルイージさん達も遅からず知るでしょう…」






悔しいだろうが、此処は『"奪還に備える"』…それが意味するところは





つまり……






ワリオ「…けっ、てめぇはやっぱ喰えねぇ奴だぜ」


ヨッシー「辛抱強く待たれる方ですからね、ピーチ姫は」




ヨッシー「…ええ、悔しいですよ、悔しいですとも
                自分が情けなくなるくらいに」ボソ



ヨッシー「城自体はピーチ姫の御力で簡単には落とせません
       多くの方はお城へ避難しましたが、お城から離れた
       避難用シェルターに入った人も居ます」



ヨッシー「…近場の避難所へ急行します」スッ【ヨッシーのタマゴ(下)】


  ブンッ!!!! ギィィッ!? カパッ!


ヨッシー「それ」ブンッ【ヨッシーのタマゴ(上)】


カパッ!


ワリオ「…その卵の殻であっち側の【カロン】達をやったのか」


ヨッシー「ええ、倒せない敵を倒そうとする必要性は
     ありませんから、閉じ込めて無力化すればいいだけです」ブンッ

299 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 14:51:08.12 ID:qbXKW1rh0
*********************************


            今回は此処まで!




  【解説:ヨッシーのタマゴ】


 ヨッシーが生む卵と言えば多くの人が投げて使う武器と考えるでしょう

(スマブラとかヨッシーアイランドとか…





 ゲームボーイ版ソフト『ヨッシーのたまご』

同じくGBソフトの『ドクターマリオ』同様の…所謂ぷよぷよ的なゲーム



上から【クリボー】【テレサ】【ゲッソー】【パックン】

そして『ヨッシーのタマゴの欠片(下半分)』

『ヨッシーのタマゴの欠片(上半分)』が落ちて来る



同じキャラを2つ重ねると消滅し、また、卵の欠片を使って
サンドイッチを作るように挟めば挟んだ敵を一気に消して得点が入る




 このように、卵で敵を閉じ込める、という使い方があるわけですね…


*********************************
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/02(火) 18:59:31.13 ID:niG2uJ/Jo
懐かしいな!
色々な設定含まれてて好き
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/30(火) 22:45:34.22 ID:/8uQjEDA0

―――
――



【キノコ王国 工業区】



ハンマーブロスA「ブル隊に続け!閉ざされた城を開城させるんだ!!」




ムーチョ工作兵「「「了解<ラジャー>」」」つ『ボム兵』




 国家の経済を支える要衛、工場が立ち並ぶ工業区画にて
【ブル】の集団に続き【ムーチョ】の部隊が先頭に居るリーダー格の兵に
従うように走り続けていた


 ガスマスクを装着したヘイホーの酷似した容姿の彼等の両手には
自我を持たぬボム兵が抱えられていて、背中の撥条<ゼンマイ>を捻れば…

その丸っこいフォルムについた可愛い脚で"カミカゼ=アタック"とやらを
遂行しようとするのだろう





鉄と工場油の独特な匂いが鼻につく中、彼等は坂道を登っていく
 乗用車からレースで使用されるカートの製造…
ガスや水道の配管に必要な道具に機材の類も多くは此処で精製される


 工場が多い区画というのは近隣住民への生活環境の問題で
人の住まいからはそこそこ離されている

緊急事態寂れた故に稼働ラインを停止し業務員が撤退したのなら尚更
寂れた印象を感じるのも無理はない



 赤茶色の錆びたフェンスを、タイヤや廃車を無造作に積み上げた
廃材置き場を横切って彼等は確かに見た










           ヒュッ!











   何者かの影が…


        横たわり全滅したブル隊の傍を飛び去ったのを…





ハンマーブロスB「なっ!今のは―――」

ハンマーブロスC「オ、オイ!しっかりしろ…くそっ!気絶してやがる」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/30(火) 23:05:08.72 ID:/8uQjEDA0


ハンマーブロスA「お互いに背を護れ!周囲をしっかりと見るんだ!」バッ


ハンマーブロスB/C「応ッ!」バッ!サッ!
ムーチョ「「「了解!」」」サッサッ!







嫌に静まり返っていた





飛び去った人影の様なものは何だったのか?


状況を見るにそれがブル隊を全滅させたのだと思うが…、あの跳躍力は…



英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>が帰還して来たにしては早すぎる
通信機による報告では豪傑ワリオもこの地域担当ではない…ヨッシーもだ



では、誰だ?



眼を細め周囲を見ていたハンマーブロスBは忙しなく目を動かす…




  倒れた同胞<ブル>(全員 気絶で死者は0名)

  錆びたフェンス…鉄と油の匂いの工場地帯の風景

  ゆっくりコロコロと転がるタイヤ、積み重なった廃車

  横倒しのドラム缶、地べたに直置きされた工具

  所々に散らばったブル達のメットやアーマーの破片






…ここで違和感に気がついた






ハンマーブロスB(…ぁ?)







   転がってるタイヤ「」コロコロ……ピタッ




 西部劇で転がってる干し草の様な物体<ダンブルウィード>よろしく転がる
ゴム製のタイヤがある…


積み上げられたタイヤの山から1つだけ落ちて転がったとしよう

 落下して転がったとするならば、あんなに"ゆっくりと"…それも倒れず
直立でピタリと止まるモンか?普通…
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/31(水) 00:47:56.48 ID:arfO+Zfs0


違和感を抱く、すると次に人は疑念を抱き、朧げな疑念は次の推理へ繋ぐ
判断材料へ変わる



ハンマーブロスBが答えを出す前に日光を遮る影が自分達の真上に現れた













         鋼鉄製バレル『 』ギュルンッ!!









顔をあげた時にはもう遅いッ!


 "ヤツ"はタイヤをジャンプ台の代わりにして飛び去った、あの跳躍力は
そういうことだったのだ…っ!!



此処は工場地帯だ横倒しのドラム缶は幾らでもある




鋼鉄製のバレル―――金属の『樽』を"いつものように投げた"



そうとも、祖父から直伝のタル投げだ

















     ドンキー「 バ ナァ ナァ パワ ァァァァ!!」ブンッ!






ゴベシャッ!!  一発目は顔を上げたブロスBの鼻っ面にクリーンヒット

被っていたヘルメットはブル隊の破損したメット同様に罅割れて砕けた
顔面――鼻先の骨も砕けた

 そして跳びながら片腕で放り投げた二発目は
地面に叩きつけるように投げつける、それはワンバウンドして
 ブロスCは使い物にならなくなった利き腕の二の腕を抑え
痛みに唸るような声をあげながら倒れ伏した
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/31(水) 21:42:18.51 ID:WK017X+KO
工業用のドラム缶を投げつける……化け物かこのゴリラ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 10:11:02.68 ID:2u7mhuQEO
某狩ゲーの金獅子かな?
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 22:33:05.46 ID:UpECHZUc0


ハンマーブロスB「」バタッ

ハンマーブロスC「ぐ、ぐおぉぉおおお―――ッ」





ドサッ!



ハンマーブロスA「き、貴様は…!!」





「おおっと!その手に持ってるの下した方が良いよ?」スッ




 降り立ったソイツは体格のイイ、全身毛むくじゃらで
厚い胸板に映える赤いネクタイが目につく輩だった


 そしてブロスAが金鎚を手に持ち振りかぶろうとした所で聴こえた声
年若い子供に多く見られる中性的な音域で―――




「それを投げるよりも先にオイラが撃ち抜いちゃうからね」



ゆっくりと首を後方へ、見えたのは赤いネクタイの相棒とお揃いの赤帽子
黄色い星が目立つシャツ一枚と長いしっぽ




世にも奇妙な武装、『ピーナッツ・ポップガン』を構えた少年の姿だった



ドンキー「君たちのお友だちにはちょっと寝ててもらったよ」


ドンキー「こんな楽しいお祭りの日に暴れるなんて悪い事だからね」




歴戦の兵を2名、瞬く間に沈めたゴリラこと"ドンキーコング"は
どこかマイペースな、穏やかでのんびりとした口調でそう告げた



ディディー「公演報酬<バナナ>の為に遥々来たってのに、物騒だなぁ」




彼等は今日この日、島から遠路遥々船でキノコ王国へ来ていたのだ

 祭りを盛り上げるための演奏者を探していたキノピオに良い伝手がある
そう言って紹介料と交渉の駄賃を稼いだワリオの誘いに乗ってきて
 偶々この騒動に巻き込まれた



ディディー「やれやれだよ、ウチの馬鹿ワニ軍団以外に銃を使うなんて」


ディディー「ランキー、タイニー、チャンキーも皆呆れてるだとうなぁ」


307 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 22:49:27.33 ID:UpECHZUc0





- ワリオ『という訳で、この日にパーティーあるからな
              おたくらに来て貰いたいって訳だ』-


 -ワリオ『『ボンゴ』『エレキギター』『サキソホン』『トロンボーン』
    それに『トライアングル』…おたくらのバンドなら最高に舞台を
                    盛り上げられるだろ?』-



-ワリオ『んん?報酬?心配すんなってちゃんと
         良質なバナナ用意しとくから、じゃあな!』-









演奏者"5人"…それに加えて全員を束ね
 尚且つ彼等の盛り上がる公演のDJを務める人物が1人…そう、彼こそは









  「なんじゃ…お前さんら、そんな生っちょろい腕で
           マリオの敵を名乗るつもりだったのか?」カツカツ






杖を付いて歩いてきた彼は部隊を一瞥、しわがれた声でため息を吐く
















 そう、彼こそは…――"マリオの宿敵にして原点ともいえる伝説の男ッ!"













 クランキー・コング「三下共が、…お前さん等じゃ100年早いわい」





    初 代 ド ン キ ー コ ン グ …ッッ!!
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 23:04:33.70 ID:UpECHZUc0




- 1つの『国』があった…雲の上まで届く高層ビルが立ち並ぶ大都会 -



- 文字通り天に近く夏の屋上は雨上がりだと陽炎<カゲロウ>が揺れる程 -



- コンクリートジャングルと呼べる都市が設立されたのは【1981年】 -



     - 今は『1人の女性が市長として治めている』 -












通称『都市の国』と呼ばれたその国の市長が、政治の舞台に立つ前に

1匹のゴリラに攫われるという事件があった…



それは当時の新聞にも大々的に取り上げられ、その経緯もあって
 注目を浴び、一躍時の人となった彼女に選挙の票が入ったとも言われる







 人々は知らない





 その事件はまだ、"無名だった頃の英雄"が関与した事を



 人々は知らなかった、女性を救い出した後に
 都会の喧騒から静かに暮らせる国に移住した1人の配管工を






 知る者は少ない、限られた極僅かしか知らない








 英雄マリオの好敵手…クッパ大魔王よりも前のライバル…









-それが今、この目の前に居る年老いた老人であるという事を…ッッ!-


309 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 23:33:06.19 ID:aI7ewEsA0
更新きたか
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 23:58:05.88 ID:UpECHZUc0


ハンマーブロスA「ク、クランキー・コング…だと!?」





蓄えた白髭、丸渕眼鏡、折れ曲がった腰…ヨボヨボの爺さん
 高齢者と武装した兵士ではタイマン張ってどちらが勝つかは一目瞭然




…の筈なのだが





クランキー「ハァ…ワニ公共と言い、爬虫類に碌なモンがおらんわい」



クランキー「おい、そこの若造、武器を捨てて投降せい命までは取らん」





ハンマーブロスC「ぅ、ぐ…は、ハンマーブロスA!!!」
ハンマーブロスA「!」ハッ!




気絶したB、そして使えなくなった利き腕を抑えながらも自分に
『老いぼれ相手に屈するのか!?』と叱咤しようとする同志の目線



冷静に考えろ、今この場にいるのは3匹だ







ディディー『ランキー、タイニー、チャンキーも皆呆れてるだろうなぁ』





後ろで銃を構える少年の発言だ

他に仲間がいるのは分かる、だが今の言い方では
               "この場に居ない"のも分かる




ボム兵を所持したムーチョ工作兵、利き腕が使えない同僚1人、自分自身


数の上ではこちらが有利だ、肉を切らせる覚悟で突撃すればあるいは――






長年の付き合いであるCの視線で意図を察した
利き腕の使えない彼が後ろのディディーに肉壁として突撃し
 盾の役目を果たしながらムーチョ隊にヤらせる

お前はネクタイ付きを頼む、と…老人など恐るに足りん



いや、むしろ、あの老人を人質にしてしまえば…!!!


311 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/14(水) 00:49:29.53 ID:VnGZa1YP0






       クランキー「やめとけ、死に急ぐな小童」






ハンマーブロスA/C「「!!」」



ドンキー「?」
ディディー「は?何言ってんだよクランキー」キョトン





クランキー「長生きしとるからの、眼を見ればなんとなーくわかるわ」

クランキー「ほれ!さっさっと武器を捨てんかい、このウスラトンカチ」



ハンマーブロスA「〜っ!ふ、ふざけるなぁぁァ!!!耄碌ジジイがぁァ」









 クランキー「ふぃ〜〜…今日は暑いのぉ?
            怒鳴り散らすと体温があがるぞ、ほれ」パサッ





ハンマーブロスA「うっ!?」ピタッ





突撃せよ、そう続けるつもりだった…それを見て踏みとどまった、否


足を止めてしまった





 ドンキー「ディディー!」バッ!

 ディディー「OK!」パァン!



ハンマーブロスA「ぐぎゃっ!」ベシャッ!

ハンマーブロスC「おごっ!?」ズドッ



クランキー「なっさけないタマじゃのぉ」フゥ…パタパタ


クランキー「…そこでビビらず、突っ込んくれば
       ウチの馬鹿垂れ共の一瞬の隙をつき、撃たれることも
       組み伏せられることなく一矢報いたろうに」


クランキー「肝っ玉の小さい奴め」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/14(水) 01:44:11.16 ID:VnGZa1YP0




パタパタ、ワザとらしく暑い日に手で風を仰ぐ仕草
目の前の老人がやった事?


そんなモンは簡単な事だ




ただ着ていた上着を少し脱いだだけだ



 パサッと、布のすれる音、若き在りし日の逞しい胸板も
筋肉質な上腕二頭筋も見る影も無い


如何にもな"か弱いお爺ちゃん"身体がそこにあるだけだった








…ただ、小さな筒が上半身に大量に巻き付いていただけだ






南国特有の椰子の木、その繊維を生かした紐で大量に括りつけた小さな樽




 職人魂とでも言うべきか、太さ、長さは竹水筒程のモノで
よくこのサイズの樽を創ったモノだ…



それが脱いだ上着の下に左右5本ずつ、計10本!






その樽には一本、毛糸のような物が伸びていた



その樽には白い塗料で文字が書かれていた、英語で3文字









           『 T N T 』







クランキー「全く以って情けない
        こんなもんで臆病風に吹かれおってからに」



クランキー「老い先短いこのジジイと
           運命を共にする覚悟も無い玉無しとはな」

313 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 18:38:51.90 ID:16L2CpQZ0
マリオとかクッパとかが老いを痛感しているなか二人より年取ってるキャラがカッコイイってのがいいな
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 17:36:10.88 ID:YIOvi0RHO
わかる、格好いいジジイキャラ良いよね
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