幼女魔王N「小さなお城で甘えたい」 母性巫女「晴れ渡る雨の新世界」

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1 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 19:23:38.87 ID:km+JiU0Vo




古びた日記1 :宝舟の月 1の日

          とがり野の森を抜け、廃城を見つけた。
          ひどい崩れようだ。どうやら、無人になってから何百年も経っているようだ。
          この近くに こんな場所はなかったはずだが……。

          雲が重く、何か空気がよそよそしい。
          こんな夜は危険だ。今夜はここで過ごすことにしよう。
          帰ったらきっと大目玉だ。



古びた日記2 :宝舟の月 2の日 晴れ
       
          森に入り、来た道を戻ってみたが帰れない。
          いつの間にかこの廃城にたどり着いてしまう。
         
          おぞましいほどに星が綺麗だ。
          玉座の地下に部屋を見つけた。
          たくさんの傘と、開かない箱がある。
         


古びた日記3 :宝舟の月 3の日

          やはり帰れない。
          これはとがり野の神様がくださった試練なのだろう。

          この不思議な廃城を歩いて答えを探し、もしくは、時を待とう。

          一安心だ。きっと師匠も許してくださる。げんこつをもらわずに済む。
          幼馴染は、怒るだろうな。ここで見つけた傘でも持って帰ってやろう。 



古びた日記4 :湿った肉がこびりついている    



古びた日記5 :宝舟の月 4の日

          ここには生き物がいない。けれどたくさんのものがある。

          風と、水と、雲が、ゆったりとした時間のように流れて、
          昼には太陽と、夜には月と星がある。

          地平のどのくらい向こうか分からないが、空にとほうもなく大きな岩が浮いている。

          もう4日も何も食べていないのに、空腹を感じない。
          草原に寝転び、ただ呼吸を繰り返すだけで、心が満たされる。
          やはりここは、神々のおわすところなのだろうか。
        
          静かで、とても賑やかだ。
          こんなに孤独が安らかなのは、どうしてだろう。  
    

古びた日記6 :宝舟の月

          誰か見ている。



                
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