幼女魔王N「小さなお城で甘えたい」 母性巫女「晴れ渡る雨の新世界」

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292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/08(金) 06:33:17.72 ID:EF/mVNel0
お待つり
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 06:25:21.29 ID:1eOFrzzo0
今年はもうないのかな
294 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 12:49:05.44 ID:YLzMVWk6o


母性巫女 「髪がぼさぼさになっているじゃないですか。。ちゃんと梳かしていますか」


淫魔幼女 「うるさい。気安く触るな」

淫魔幼女 「おろせ」


ナデ ナデ


詐欺商人 「」








295 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 12:50:09.16 ID:YLzMVWk6o
>>294
無かったことに
296 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 13:47:48.82 ID:YLzMVWk6o


母性巫女 「髪がぼさぼさになっていますよ。ちゃんととかさなくちゃ」


淫魔幼女 「うるさい。気安く触るな」

淫魔幼女 「膝からおろせ」


母性巫女 「あっ、ここ、小さな石が絡んでる」

母性巫女 「もう、いったん髪留めとっちゃいましょうか」


淫魔幼女 「ふざけるな、やめろ」


ナデ ナデ クシ クシ


母性巫女 「……ここに階段をつくったら、あの子が私の知るあの子になるのだとしたら」

母性巫女 「じゃあ、私の知らない、過去のあの子は完全に消えてしまうんですか」


詐欺商人 「いくらか、名残のようなものは残るだろう」

詐欺商人 「技能や体質とか、な」


淫魔幼女 「それではいけない」

淫魔幼女 「完全に消してしまうべきだ。何千年かかろうとも」





297 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/12/31(日) 13:56:27.35 ID:YLzMVWk6o


詐欺商人 「そこは納得したはずだろう」

詐欺商人 「完全には無理だ」

詐欺商人 「彼女とならなくとも、もとが彼女である以上、彼女の面影は残ってしまう」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「あの子が差し入れてくれる料理が好きだったのだろ」

詐欺商人 「もしかしたら、彼女の料理の記憶が新しい彼女にも残っているかもしれないぞ」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「それ以上に残酷なことは無い」


298 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/02(火) 16:53:09.55 ID:5mWsLcSPo


母性巫女 「元に戻すことは、本当にできないんですか?」


詐欺商人 「今のおれたちはその術を知らない」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「私の知らないあの子」

母性巫女 「よく知らないけれど、よく知らないまま消えてしまうのは、悲しいです」

母性巫女 「少しでも残るなら、良いんじゃありませんか」


淫魔幼女 「愚かな考えだ」

淫魔幼女 「それは残された者の慰みにすぎない」

淫魔幼女 「身におぼえの無い、そのうえ虫食い穴だらけの過去を押し付けられたら、どうだ」

淫魔幼女 「砂漠でオアシスの蜃気楼を追い続ける並に気が狂いそうな、歯がゆい喪失感を」

淫魔幼女 「ずっと抱えながら生きることになるのだぞ」


母性巫女 (妙な説得力がある)

母性巫女 「ごめんなさい」


ナデ ナデ


淫魔幼女 「やめろなでるな」


詐欺商人 「まあ、新しく生まれる者にとっての足かせにもなりかねん」

詐欺商人 「無理に過去を押し付けることも無いだろう」


母性巫女 「寂しいような気もしますけど……」


詐欺商人 「しかたのないことなのさ」


299 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 14:06:59.65 ID:MAFUH0o7o


母性巫女 「しかたないですか……」

母性巫女 (……やっぱり気になる)

母性巫女 (いったいあの子に何があったのかしら)

母性巫女 (私も生まれ変わったようなものだけれど、過去に暮らしていた世界のことを思い出すことはできる)

母性巫女 (他の世界のことなんて考えもしなかった私が見てきたもので)

母性巫女 (自信を持っておぼえているとは言えないけれど……思い出が嫌だとは思わない)

母性巫女 (……あの子にとっては違うのかしら)

母性巫女 (あの子にとって思い出は、嫌なものなのかしら)


詐欺商人 「」














300 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 14:51:17.19 ID:MAFUH0o7o
>>299 なかったことに2
301 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 18:16:03.63 ID:MAFUH0o7o


母性巫女 「しかたないですか……」

母性巫女 (……気になる。いったいあの子に何があったんだろう)

母性巫女 (私も生まれ変わったようなものだけれど、過去に暮らしていた世界のことを思い出すことはできる)

母性巫女 (他の世界のことなんて考えもしなかった頃の私が見てきたもので)

母性巫女 (自信を持っておぼえているとは言えないけれど……思い出が嫌だとは思わない)

母性巫女 (……あの子にとって思い出は、嫌なものなのかしら)

母性巫女 (もっと、ちゃんとあの子と、そのあたりのことを話しておくべきだったのかしら)


詐欺商人 「納得いかないかな」


母性巫女 「ええ」

母性巫女 「……あ、いえ、その」


詐欺商人 「おれたちも納得しているわけじゃない」

詐欺商人 「傷を癒すのではなく、傷を負ったことを忘れさせるだけ」

詐欺商人 「おれたちのやろうとしていることは、そういうことだ」

詐欺商人 「彼女が彼女自身の傷跡に気づかないことが、彼女の災いとなるかもしれない」


302 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/03(水) 18:26:15.36 ID:MAFUH0o7o


淫魔幼女 「それでも、やらねばならない」

淫魔幼女 「姫は死んだのだ」

淫魔幼女 「死者は完全に死者とならなければならない」

淫魔幼女 「姫の全てを棺におさめ、姫の死を完遂するのだ」


母性巫女 (棺……)


詐欺商人 「それがお前の、棺持ちとしての矜持というやつかい」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「分からない」


母性巫女 「…………」


……ナデ


淫魔幼女 「なでるな」

303 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:01:45.14 ID:iXjPRWkIo


詐欺商人 「過去のある者なら、一つや二つ、あるだろう」

詐欺商人 「できれば思い出したくない、思い出すだけで苦しくなる、そんな思い出が」

詐欺商人 「後悔と羞恥が放たれた猟犬のように追いかけてくる、そんな思い出が」


母性巫女 (……森で、毛むくじゃらのモンスターに……)

母性巫女 「あ、あります……ウプ」


フラ


淫魔幼女 「………!」


詐欺商人 「大丈夫か」


母性巫女 「は、はい……」


詐欺商人 「よほど辛いことがあったのかな」


母性巫女 「そうですね……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「ふん。脳みそ乳化女でも、あるものはあるのか」


母性巫女 「…………」


ダキ


淫魔幼女 「うぐおああああ゛……」

304 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:18:40.50 ID:iXjPRWkIo


詐欺商人 「そういう思い出は悪いものでは無い」

詐欺商人 「後悔は、自分を律するのに役立つ。次の失敗を防ぐ助けになる」

詐欺商人 「予防薬のようなものかな」


母性巫女 「予防薬……」


詐欺商人 「ああ。おっ、予防薬といえば」

詐欺商人 「最近、毒の予防薬と麻痺の予防薬が手に入ったんだ」


母性巫女 「……はい?」


詐欺商人 「おひとつ、どうかな」

詐欺商人 「聖職者や施設の無い地での冒険やダンジョン探索などで役に立つぞ」


母性巫女 「それが、あの子とどう関係……」


淫魔幼女 「……おまえ商売の腕は相変わらず絶望的だな」


詐欺商人 「このタイミングは違ったか……」

詐欺商人 「コホンッ。しかし、少量で薬であっても、多量では毒となることもある」

詐欺商人 「新しく生まれる彼女にとって、古い彼女の思い出は、きっと毒となる」

詐欺商人 「おれたちはそう考えている」


305 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:28:12.00 ID:iXjPRWkIo


母性巫女 (あの子はひどい呪いを受けたという……)

母性巫女 (ひどい呪いを受けるようなことを、あの子はしたということ?)


詐欺商人 「この塔は彼女そのものだ」

詐欺商人 「ここで彼女の過去を語りすぎるのは、彼女の中に過去を残すことにならないとも限らない」

詐欺商人 「というわけで、あまり彼女の過去は語りたくないんだ」


淫魔幼女 「せっかく、ここまで片付けたのだからな」





母性巫女 (棺。私が未来? ……の塔に来たときに襲ってきたものに似ている)


淫魔幼女 「…………」


母性巫女 (淫魔幼女……あの子のことを姫って呼んでいた。姫は死んだ……死者は死者になる……片付けた……)

母性巫女 「その棺……あの子の思い出が入っているんでしょうか」


淫魔幼女 「…………!」

淫魔幼女 「……そうだ」


306 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 22:38:32.31 ID:iXjPRWkIo


淫魔幼女 「ありし日の姫を完全に消し去ることで」

淫魔幼女 「ようやくこの塔……幼女魔王という存在は始まることが出来る」

淫魔幼女 「ゼロに足りぬものがゼロになる」

淫魔幼女 「姫にまっとうな死を。幼女魔王の中に二度と蘇らぬよう、安らかにお休みになられるよう」

淫魔幼女 「そのためならば何でもしよう。それだけが、おれの……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (声からも表情からも心の中は読めないけれど、とても辛そう)


ナデ ナデ


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「……? どうした?」


詐欺商人 「……いや」

307 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 23:01:06.64 ID:iXjPRWkIo


淫魔幼女 「時間がない」

淫魔幼女 「こんな無駄話をしている暇なんて、本当は無い」

淫魔幼女 「さっさと階段を作るぞ。そして新たな塔を始める」

淫魔幼女 「ここを出てからも、やることはたくさんあるんだ」


詐欺商人 「…………」

詐欺商人 「お前はそれで良いんだな」


淫魔幼女 「それが良い」


詐欺商人 「お前と彼女の思い出が、彼女の中から永遠に失われることになるんだぞ」

詐欺商人 「そしてお前の中にだけ残るんだ」


淫魔幼女 「おれと姫の思い出だ。おれと幼女魔王の思い出ではない」

淫魔幼女 「だから、良い」


母性巫女 「……あの子の過去を全部消して、どうするつもりですか」


淫魔幼女 「……その心配は必要ない」

淫魔幼女 「そのときには、おれは幼女魔王の前から消えている」


308 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 23:40:30.01 ID:iXjPRWkIo


母性巫女 「えっ……」

母性巫女 「あの子のことを放り出すんですか?」


詐欺商人 「いや……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「巣立ちが出来る程度になるまで多少の世話は焼こう」

淫魔幼女 「だが、いずれ完全に消える」

淫魔幼女 「あの狐耳、くその魔法少女ども、姫に関わるものを、道連れにしてでも……」


母性巫女 (どうして、こんなに頑ななのかしら)


詐欺商人 「そこまでする必要があるかね」

詐欺商人 「彼女とお前との新たな関係を、消えずに築いていけば良いじゃないか」


淫魔幼女 「…………」



309 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/04(木) 23:56:19.14 ID:iXjPRWkIo


詐欺商人 「それはお前にとって残酷なことなのかな」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「……まあ良いさ」

詐欺商人 「だったらおれは、お前が躓いたときのための杖でも用意しよう」


淫魔幼女 「……何をするつもりだ」


詐欺商人 「ちょっとしたズルの試みさ」

詐欺商人 「ここに、ある紋章がある」


白蝶貝の紋章(複製)


母性巫女 「私の……」


詐欺商人 「ここより先の時間で幼女魔王と関わりがあるらしい、お嬢さんの紋章」

詐欺商人 「読み解けば、かなり役に立つんじゃないか」



310 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 00:05:03.41 ID:l6+RPMZ8o


淫魔幼女 「そういうのは良くないと言わなかったか」


詐欺商人 「言ったかな」


淫魔幼女 「……少なくとも、ここでやるべきでは無い」



母性巫女 (先の時間……本当に私は、過去に来てしまったのかしら)

母性巫女 (波魔法少女は私の過去と交差させてくれると言ったけれど)

母性巫女 (Nの過去と交差することになるなんて)

母性巫女 (……あれ、私って、ちゃんともとの時間に戻れるのかしら?)

母性巫女 (お城への戻り方は……)


釜のかけら


母性巫女 (これを使えば良いのかしら)

母性巫女 (いえ、お城に戻れたとしても、もとの時間には戻れないんじゃないの……?)

母性巫女 (もとの……)

母性巫女 (……あれ?)

母性巫女 「あ!」


詐欺商人・淫魔幼女 「?」


311 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 00:53:04.47 ID:l6+RPMZ8o



詐欺商人 「どうした」


母性巫女 「真の、幼女魔王……」


淫魔幼女 「?」


母性巫女 「私がどのくらい先の時間から来たか分からないけれど」

母性巫女 「もしかしたら、塔が滅ぶ前のあの子が、まだちゃんと生きているかも……」


淫魔幼女 「……!!!」


詐欺商人 「どういう……いや、聞かない方が」


淫魔幼女 「どういうことだ……!」


母性巫女 「塔で聞いたんです」

母性巫女 「あるとき、この層よりももっと深いところで、大きなものがいなくなるのを感じたって……」

母性巫女 「新しい塔にいてそれを感じたとしたら、過去……ええと、今この時も……」


詐欺商人 「……探しつくしたはずだが」


淫魔幼女 「……まだ、残っている」


母性巫女 「だから、消してしまうなんて……」


淫魔幼女 「棺におさめるべき、姫の残骸が!」


母性巫女 「え」


淫魔幼女 「言え……! どこだ、どこにいるどこだ」


母性巫女 「い、いえ、だから、消すなんて……」

母性巫女 (……あ)

母性巫女 (幼女魔王Y……仮面の女の子が言っていたじゃない)

母性巫女 (あの子じゃないものが、この塔をどうこうしようとするのはいけないって)

母性巫女 「そうだ、駄目ですよ!」


母性巫女の お母さんチョップ!
淫魔幼女のHPが 1 になった!
詐欺商人は ひらりと かわした!


淫魔幼女 「ぬぐうっ!?」


312 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 01:09:55.79 ID:l6+RPMZ8o


詐欺商人 「いきなりどうしたってんだ」


母性巫女 「ここはあの子の塔」

母性巫女 「私たちのような外から来た人が勝手にしすぎると、あの子の存在を歪めてしまうかもしれない」

母性巫女 「あの子の塔のことはあの子たち自身に任せて、どんな結果になるとしても見守るべき」

母性巫女 「ということを聞いていて……」


詐欺商人 「……そうか。まあ、そうなんだろうが」


淫魔幼女 「誰だ、そんな余計なことを言った馬鹿は……!」


母性巫女 「N……塔にいる幼女魔王たちはその人のことを、知らない私と呼んでいました」


詐欺商人 「知らない私。知らない自分、か」


313 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 01:23:25.93 ID:l6+RPMZ8o


ザア……ン


母性巫女 「……?」


キョロ キョロ


詐欺商人 「今度は何だ」


母性巫女 「今、波のような音が……」


詐欺商人 「波?」


母性巫女 「ええ」


ザザア

ザザア ン


母性巫女 「また……」


詐欺商人 「……いや、おれには聞こえない」

詐欺商人 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「……幼女魔王が知らない幼女魔王」

淫魔幼女 「そうか、その手が……」


詐欺商人 「それどころじゃ無い、か」



ザア ザアン

ザザア


母性巫女 「……あ」

母性巫女 (眠たくなってきた)


ザザアアア



詐欺商人 「なあ、その波の音はどこから……」


詐欺商人は 話しかけた
しかし そこには 誰も いない……


詐欺商人 「……あれ?」



ザア ン

314 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 14:20:28.98 ID:l6+RPMZ8o


淫魔幼女 「何をボーッとしている」


詐欺商人 「……いや」

詐欺商人 「ここに、誰かいなかったか」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「かわいそうに。帽子の被りっぱなしで、脳みそがはげたのだな」


詐欺商人 「……ふむ」


淫魔幼女 「早くするぞ。やることはたくさんある」

淫魔幼女 「この塔でも、まだやっておかねばならんことがある気がする」


詐欺商人 「もう姫の欠片はあらかた回収しただろうに。お前も頑なだね……」

詐欺商人 「ん?」


白蝶貝の紋章(複製)


詐欺商人 「はて、これは……?」



……………









315 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 14:38:24.20 ID:l6+RPMZ8o


ザザア ン



??? 「……ま」

??? 「まま!」


母性巫女 「!」

母性巫女 「…………?」


キョロ キョロ


母性巫女 「えっと」

母性巫女 (Yの部屋に招かれて、そこで釜のかけらを使って世界を渡ったら、過去の塔にいて)

母性巫女 (そこで二人組と会って話をしていたら、波の音が聞こえて……)


幼女魔王M 「びっくりしたよ。あっちの方に行ったと思っていたら、全然逆の方にいるんだもの」


幼女魔王A 「まま、大丈夫、まま」


母性巫女 「A、M……」

母性巫女 「はい、大丈夫ですよ」

母性巫女 (戻ってきた?)

母性巫女 「あの、私がYの部屋に呼ばれて、どのくらい経ったんでしょう」


幼女魔王M 「あんまり経ってないよ」

幼女魔王M 「Aのまだが無いし」


母性巫女 「え?」


幼女魔王M 「Aは黙って待つのが苦手なんだ」

幼女魔王M 「待てなくなったら、まだ、まだ? ってぐずるんだ」


幼女魔王A 「そんなことないもん」

幼女魔王A 「ないからね?」


母性巫女 「はいはい」


ナデ ナデ


316 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 14:58:15.34 ID:l6+RPMZ8o


幼女魔王M 「どうだった? 何か変なことされなかった?」


母性巫女 「ええ。変なことはありましたけど」

母性巫女 「それに、大事な話を聞きました」


幼女魔王M 「大事な話?」


母性巫女 (話してしまって良いのかしら)

母性巫女 「その……」

母性巫女 「私はやっぱり、Yと同じ知らない私……みたいです」


幼女魔王A 「!」


幼女魔王M 「……そんな気はしてたけど、そうなんだ」


幼女魔王A 「駄目え!!」


ダキ


母性巫女 「わっ……」


幼女魔王A 「一緒だもん! ままは知らない私じゃ無いもん!」


母性巫女 「A……」


ナデ ナデ


幼女魔王M 「A、事実とちゃんと向き合おうとしないと」


幼女魔王A 「嘘だもん! Yが嘘を言ったんだもん、ままが嘘を言ってるんだもん!」

幼女魔王A 「ままはままだもん!知らない私じゃないもん!」

幼女魔王A 「ずっと一緒だもん! 約束したんだもん!」


母性巫女 (したかしら?)


ナデ ナデ

317 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/05(金) 15:05:28.32 ID:l6+RPMZ8o


幼女魔王M 「本当なんだね?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「あの……Yは、この塔のことを心配していたと思います」


幼女魔王M 「へえ」


幼女魔王A 「ままぁ……グスンッ……ままぁ……!」


エグ エグ


母性巫女 「あらあら、そんなに泣いて」

母性巫女 「知らない私だって、こうして一緒なんですから、大丈夫ですからね」


ナデ ナデ


幼女魔王M 「さて、どうだろね……」


318 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 15:30:00.32 ID:COm72olL0
あけおめ更新乙
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 19:59:45.03 ID:IAp+cICfo
正直めっちゃ更新待ってた
320 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 00:47:30.73 ID:sDfxiEaao


……………


幼女魔王の塔 円形広間

いびつな円卓



母性巫女 (塔の探索を終えて、また皆で集まった)

母性巫女 (誰も、Nの部屋は見つけられなかったみたい)


幼女魔王C 「……本当に?」


母性巫女 「私はYと同じ、幼女魔王ではない存在だと」

母性巫女 「そう言われました」

母性巫女 「私も、そう思います。私は幼女魔王ではありません」



幼女魔王たち 「……!」


ザワザワザワ


幼女魔王W 「偽者か……!」


幼女魔王I 「知らない私なんだから、偽者とは違うんじゃない?」


幼女魔王L 「そもそも知らない私って何なの?」


ザワザワ


幼女魔王C 「あの人、もったいぶっていたくせに……」

幼女魔王C 「あなたが知らない私だから教えたのかしら」


母性巫女 「ええ、たぶん……」

母性巫女 「そして、この塔は幼女魔王の塔だから、私があまり出しゃばるべきでないとも言われました」

母性巫女 「幼女魔王という存在を歪めてしまうかもしれないから」


321 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 01:02:15.51 ID:sDfxiEaao


幼女魔王G 「歪めてしまう、か」


幼女魔王C 「たしかに、私たちの塔のことは私たちでなんとかするべき」

幼女魔王C 「知らない私に頼りすぎるのは良くないと思う」


幼女魔王J 「じゃあどうするの。他の知らない私みたいに、Kには隠れてもらう?」


幼女魔王A 「……うぅぅううーーーー!」


ガシ


母性巫女 「A……っ」


幼女魔王M 「また抱きついた! この甘えんぼう!」

幼女魔王M 「会議のときくらい、甘えるのをやめなさい!」


幼女魔王A 「やだあ!」

幼女魔王A 「やだやだ、やだあ!」

幼女魔王A 「ままだもん! ままは一緒にいるんだもん!」

幼女魔王A 「隠れないもん、どこにもいかないもん!」


母性巫女 「A……」


幼女魔王M 「この、離れなさい!」

幼女魔王M 「いつまでもそんなんだから、この塔も……!」


グイッ グイッ グイッ


幼女魔王A 「!! やだああああ゛あ゛!」

幼女魔王A 「ま゛ま゛っ! ま゛ま゛! ま゛ま゛ぁ!」

幼女魔王A 「うわああーーーん!!」


322 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 01:24:32.99 ID:sDfxiEaao


幼女魔王C 「A、取り乱しすぎよ」


幼女魔王M 「鼻水まで垂らして! いい加減にしな、A!」


幼女魔王A 「いやああああああ!」

幼女魔王A 「やだやだやだやだあああああ! やあああああ゛あ゛あ゛!」

幼女魔王A 「うええええーーーーん!」


幼女魔王G 「あ、はは……相変わらずすごい泣き声だ……っ」


母性巫女 「A……」


ダキ ギュウ


幼女魔王A 「! ……ヒック……ウグッ、エグッ……」

幼女魔王A 「ううぅううーーーー……」


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですよ……」


ポム ポム……


母性巫女 (小さな背中……)

母性巫女 (Nも、強く抱きしめたら壊れてしまいそうだったっけ)


幼女魔王A 「ウッ、ク……うぅ」

幼女魔王A 「うえええ……、ままぁ……」


母性巫女 「離れませんから。ちゃんと一緒にいますから」

母性巫女 「大丈夫、大丈夫……」


ポム ポム ポム


幼女魔王A 「……ぅ、ぅう……」


ギュウウ


母性巫女 「大丈夫……」

母性巫女 (一緒にいるって、思わず言ってしまった……)


幼女魔王A 「………うぅ、グスッ、ぅぶうぅ」


母性巫女 (ああ、そうか)

母性巫女 (私は、きっと……)


323 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/01/06(土) 01:42:10.89 ID:sDfxiEaao


幼女魔王A 「グスン……グスン……」


母性巫女 (静かになった。私の胸に顔をうずめて……)


ナデ ナデ


幼女魔王M 「ちぇっ、見てるこっちが恥ずかしい」


幼女魔王G 「しかし、K。君は実際どうするんだい」


母性巫女 「え……」


幼女魔王G 「君が知らない私だとして」

幼女魔王G 「それでも私たちと一緒にいてくれるのかい」


母性巫女 (私の過去との交差はまだだし、お城にも戻らなきゃいけないんだけど)


幼女魔王A 「…………」


母性巫女 (こんな状態で、放っておけない)

母性巫女 「そのつもりです」

母性巫女 (本当に良いのかしら。きっと駄目なのよね……)


幼女魔王M 「駄目だよ」


幼女魔王G 「M」


幼女魔王M 「だって、そうしたらAはずっとこんな調子だよ」

幼女魔王M 「甘えっぱなしで、塔のことを何一つやらなくなる」


324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 02:17:10.02 ID:O/p4Ycry0
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/08(木) 19:01:51.03 ID:yZMPxG5J0
ほしゅ
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 12:38:39.16 ID:VrSZfBt1O
はよはよ
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 05:05:59.64 ID:xIY8o5yU0
ままぁ…
328 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 01:57:22.50 ID:+kMjquZ5o


母性巫女 「やります」


幼女魔王M 「!?」


母性巫女 「Aは頑張ります」

母性巫女 「いっぱい甘えたら、いっぱい頑張ります」

母性巫女 「ね?」


幼女魔王A 「……ぅう……」


コクン


母性巫女 「ほら」


幼女魔王M 「そんなの……そんな」

幼女魔王M 「駄目だ!」

幼女魔王M 「だったら、A、あんたの口で言わなきゃ! 頑張るって」

幼女魔王M 「知らない私にしがみついてないで、ちゃんと立って!」


グイ


幼女魔王A 「うぅ゛〜!」


母性巫女 「ちょっ、ちょっと……乱暴に引き剥がそうとしちゃいけませんよ……!」


グイ グイ タユユン


幼女魔王M 「A! 幼女魔王A! 私! 知らない私じゃなくて、あんたの口で、頑張るって言うんだ!」

幼女魔王M 「じゃないと……そうやって、おばけが怖くて枕に顔を埋める弱虫みたいにしていたら」

幼女魔王M 「きっとすぐにつまずいて、駄目になるんだ!」


幼女魔王C 「M……」


幼女魔王M 「私たちは……私は、私ひとりで立てなきゃいけないんだ!」

幼女魔王M 「だから……!」


329 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 02:20:27.05 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王G 「落ち着くんだ、M」


幼女魔王M 「落ち着くってのは何さ!」

幼女魔王M 「怠けること? 先送りにすること!?」


幼女魔王C 「M」

幼女魔王C 「あなたも私も、じゃあ何をすれば私が、この幼女魔王の塔がきちんとするのか、分かっていないのではないの」


幼女魔王M 「……そうだよ」

幼女魔王M 「でも……!」


幼女魔王C 「M、今日はおかしいわ」

幼女魔王C 「いつにも増して、Aに厳しい」


幼女魔王M 「……いつもこうだよ」

幼女魔王M 「変なのはAさ。Kが……知らない私が来てから……」


幼女魔王E 「ああ。Kにずっとべったりかも」

幼女魔王E 「いつもは、Mに引っ張りまわされない限りボーッとしてるのに」

幼女魔王E 「ね、P」


幼女魔王P 「興味ない」


幼女魔王I 「知らない私の影響ってやつ?」


幼女魔王G 「ふむ…………」


330 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 02:50:13.70 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王C 「Nを見つけたら何か良い方へ向かう手がかりが見つかるかもしれないと思ったけれど」

幼女魔王C 「他にも問題は多いようね」


幼女魔王G 「Tを失ったのは痛手だね」


幼女魔王F 「こうなったら、やっつけるか! 覚悟しろにせもの!」


母性巫女 「え……」


幼女魔王C 「落ち着いて、F。にせものじゃなくて、知らない私よ」

幼女魔王C 「けれど……」


ジーッ


母性巫女 「……?」

母性巫女 (じっと見つめてくる)


幼女魔王C 「母性巫女……いえ。でも……」


ザ ストン


母性巫女 「あら」

母性巫女 (座って、身体をくっつけてきた)


幼女魔王たち 「!」


幼女魔王C 「…………」


母性巫女 (こうして見ると、この子もやっぱり幼女魔王そのもの)

母性巫女 「…………」


ソ


幼女魔王C 「私は大丈夫。あなたはAを抱きしめたままで良いわ」


母性巫女 「あ、はい……」


幼女魔王D 「初めて見た。Cが誰かによりかかるなんて」


幼女魔王L 「これも、知らない私のせい?」


ヒソ ヒソ



幼女魔王C 「…………」

幼女魔王C 「なぜかしら」

幼女魔王C 「新しくて、懐かしい」


331 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 03:08:34.87 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王C 「とても安らかな、この気持ちを知っていた気がする」

幼女魔王C 「塔が崩れるずっと前、私がうまれるもっと前」

幼女魔王C 「……星くずの揺りかご……まだかたちになっていない、命の波だったころから……」


幼女魔王H 「大丈夫? 言葉が例の夜のあの人(笑)みたいになってるけど」


幼女魔王W 「これも知らない私の影響?」


母性巫女 「…………」


幼女魔王C 「Aも、同じ気持ち?」

幼女魔王C 「この気持ちの来るところ、知ってる?」


幼女魔王A 「…………」

幼女魔王A 「……ままが、ままだから」


幼女魔王C 「そう……」

幼女魔王C 「あなたは知っているのね。私よりも」

幼女魔王C 「……ぱぱでも、こんな気持ちになるの?」


幼女魔王A 「………ううん」


幼女魔王C 「………そう」

332 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 03:39:49.63 ID:+kMjquZ5o


幼女魔王A 「私も、ぱぱ、知らない」

幼女魔王A 「ままのことしか……ううん、本当は、ままのことも」

幼女魔王A 「でも……」


幼女魔王C 「そうなのね」


母性巫女 (ぱぱ、ままって、この子の本当の両親のことかしら)

母性巫女 (……あれ? Nは魔王ってことは、じゃあ……)

母性巫女 (魔物? 見た目は私とほとんど変わらないけれど)

母性巫女 (ああ、私の故郷の世界でも、私たちとほとんど見た目が同じ魔物もいたっけ)

母性巫女 (そういえば魔物と人間の境目って、正直よく分かっていなかったなあ)

母性巫女 (動物と魔物の境目も……)


幼女魔王M 「何してるんだよ、C……あんたまで、Aの甘えんぼがうつったの」


幼女魔王C 「分からない」

幼女魔王C 「けれど、この感じは、とても大事なもののような気がするの」


幼女魔王M 「何が! 知らない私に甘えることが?」


幼女魔王C 「いいえ」

幼女魔王C 「いえ、そうなのかもしれない」

幼女魔王C 「とにかく、この安らぎは大事なものだと思う」


幼女魔王M 「でもそれをくれているのは、知らない私なんだよ! 私じゃない、知らない私の!」

幼女魔王M 「だったら、それを大事にしちゃうってことは……!」


幼女魔王C 「待って。実際に体験しないと、この気持ちは分からないと思う」


幼女魔王G 「…………」


幼女魔王S 「わ、私も、Cみたいにしてみたい……」


幼女魔王P 「……別に、気が向いたら、私もやっても……」


幼女魔王M 「み、みんな」


幼女魔王C 「……K、良いかしら」


母性巫女 「え、ええ、それは、はい」


幼女魔王A 「……っ。ままは、私の……」


幼女魔王C 「A、あなたはそこにいれば良いわ」

幼女魔王C 「じゃあ、みんな、興味のある人は私みたいにしてみて」

333 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/03/06(火) 04:02:59.86 ID:+kMjquZ5o


…………

……


幼女魔王S 「あ、あのあの、ナデナデも……」


母性巫女 「うふふ、はいはい」


ナデナデ


幼女魔王S 「でへへへ……」


幼女魔王A 「むー……」

幼女魔王A 「まま、私も、私も……!」


母性巫女 「はいはい」


ナデ ナデ



幼女魔王W 「ふぇにっくすだ!」


幼女魔王H 「ふぇにっくすだった!」


幼女魔王P 「まあ、悪くは、無いのかなってくらいだけど……もう一回やってみれば、ちゃんと分かるかも……」


幼女魔王L 「何だか、まだフワフワしてる。すごくウキウキして、だけど落ち着く感じ……」


幼女魔王C 「みんなも何か感じているみたいね」

幼女魔王C 「次はG、どう?」


幼女魔王G 「私は、Mのあとで良いよ」


幼女魔王M 「いらない」

幼女魔王M 「私は、しない。興味ないならしなくて良いんでしょ。G、やれば良いよ」


幼女魔王G 「では、私もしない」


幼女魔王C 「G?」


幼女魔王G 「興味が無いわけじゃないさ。君たちの、Kに関する決断を否定することもしない」


幼女魔王C 「そう。強制はしないけれど……」


334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 06:37:50.58 ID:+ynXz6iC0
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 16:19:35.46 ID:GSQenKq+O

書き込まなかったけど、結構な頻度で更新きてないか確認しつつ更新待ってたで
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 09:49:46.13 ID:yeewbPat0
ほしゅーん
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/06(金) 22:53:35.74 ID:rGKiOStfO
まだか
338 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 00:24:31.72 ID:AxUdHX/co


………


幼女魔王の塔 ???の部屋



ギイイ

モワ モワ


母性巫女 「ケホッ……」


幼女魔王G 「ずっと使っていなかったとはいえ……」

幼女魔王G 「ほこりがすごいのはまだしも、ひどく荒れているな」

幼女魔王G 「まあ、部屋自体はしっかり無事だからマシか」


母性巫女 「ええ、お掃除すればきっと大丈夫」


幼女魔王M 「…………」


幼女魔王G 「すまないね。用意できるのがこの部屋くらいで」

幼女魔王G 「ほかの部屋は壊れ放題、私たちの部屋にいてもらうとしても、きっと君の取り合いで喧嘩になるだろう」

幼女魔王G 「それにやはり、一緒にいるとは言っても、君が知らない私である以上……」

幼女魔王G 「君を私たちとして扱うべきではないと思うから」


339 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 03:47:25.67 ID:AxUdHX/co


母性巫女 (もう何年も使われていないみたい)

母性巫女 (大きなベッドも丸いテーブルも、部屋の中のものはみんな色あせている)

母性巫女 (誰の部屋だったのかしら。何となく、大人っぽい部屋……)


幼女魔王M 「…………」


母性巫女 (MとGが案内してくれたけれど、M、ずっと難しい顔をしている)


幼女魔王G 「何か足りない物があったら遠慮せず言ってくれ」

幼女魔王G 「可能な限り応えられるようにするよ」


母性巫女 「ええ、ありがとうございます」

母性巫女 (Gは落ち着いている……というか、大人びているのね)


幼女魔王M 「私に言って」

幼女魔王M 「他の子には頼まない方が良い。きっと張り切りすぎて無理をするから」


母性巫女 「あら……」

母性巫女 「ありがとうございます、M」


幼女魔王M 「……お礼なんて、いらない」


プイ


母性巫女 (目を合わせてくれない……)


340 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 04:41:17.81 ID:AxUdHX/co


母性巫女 「あの……」


幼女魔王M 「ごめん、見回りの時間、忘れてた」

幼女魔王M 「先に戻るよ。G、あとはお願い」


スタ スタ スタ


母性巫女 「あっ……」

母性巫女 (……行っちゃった)


幼女魔王G 「やれやれ、真面目だなあ。私らしくもない」

幼女魔王G 「仕方ない。ここからは私だけで案内させてもらうよ」

幼女魔王G 「と言っても、もうとくに必要無いんだけどね」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「…………」


幼女魔王G 「Mのことが気になる?」


母性巫女 「何かあの子を遠ざけるようなことをしてしまったとしたら」

母性巫女 「それが分からなくて……」


幼女魔王G 「彼女はあれが普通だよ」

幼女魔王G 「君を避けているとしても、それは君のせいじゃないと思うよ」

幼女魔王G 「うまくは言えないけど、それが彼女なんだ」


341 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 08:11:32.05 ID:AxUdHX/co


…………


幼女魔王の塔 ???の部屋



パタパタパタ

サ サ サ

キュ キュ キュ


母性巫女 「……よいしょ」

母性巫女 (思ったより早く、部屋を綺麗にできそう)

母性巫女 (家具もそのまま使えそうだけど……)


黒い編みカゴ
桃色の毛糸玉
編みかけの手袋


母性巫女 (テーブルの上にあったカゴ。中には編みかけの手袋が出てきた)

母性巫女 (ここを使っていた人のものかしら)

母性巫女 (……あの子の髪の毛と同じ色の毛糸。これだけ、ほこりひとつ付いていない)


揺りかご
額縁


母性巫女 (他にも、気になるものがちらほら……)

342 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/06(日) 08:17:21.78 ID:AxUdHX/co


>>341訂正ごめんなさい



…………


幼女魔王の塔 ???の部屋



パタパタパタ

サ サ サ

キュ キュ キュ


母性巫女 「……よいしょ」

母性巫女 (思ったより早く、部屋を綺麗にできそう)

母性巫女 (家具もそのまま使えそうだけど……)


黒い編みカゴ
桃色の毛糸玉
編みかけの手袋


母性巫女 (テーブルの上にあったカゴ。中には編みかけの手袋が入っていた)

母性巫女 (ここを使っていた人が編んでいたのかしら)

母性巫女 (……Nの髪と同じ色の毛糸。これだけ、ほこりひとつ付いていない。不思議)


揺りかご
額縁
魔王の指輪



母性巫女 (他にも、気になるものがちらほら……)

母性巫女 (この部屋、本当に私が使って良いのかしら)



343 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 12:54:03.82 ID:DUoiXX5lo
生きとったんかワレ
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 06:03:08.74 ID:pYns7rxPo
乙なの
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/11(金) 22:44:52.74 ID:ldMs095U0
待ってた
346 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/15(火) 07:24:07.73 ID:KzSAp6ZXo


母性巫女 (Gが広場へ戻る前に、聞いておくんだった……)


コツン


母性巫女 「……?」

母性巫女 (物音。入り口の方から)

母性巫女 (Gが戻ってきた……?)


クルリ


??? 「!」

幼女魔王A 「ぇーと……」


ササッ


幼女魔王Aは 扉の裏に 隠れた!


母性巫女 「A……」


347 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 23:23:46.37 ID:1IPh4N180
Aかわいいな
348 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 12:51:22.62 ID:aQ2FNW4Xo


母性巫女 「A」


幼女魔王A 「…………」


ソ


幼女魔王A が 現れた!


幼女魔王A 「……まま」


母性巫女 「どうしたんですか」


幼女魔王A 「あ……う」


モジモジ


母性巫女 「……?」

母性巫女 「とりあえず、入ってきませんか?」


幼女魔王A 「………!」

幼女魔王A 「うん……!」


トコトコトコ


349 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 12:59:26.19 ID:aQ2FNW4Xo


トコトコトコ


幼女魔王A 「…………」


ダキ


母性巫女 「あららら」


幼女魔王A 「………えへへ」


母性巫女 「ここまで一人で来たんですか?」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「うん」


母性巫女 「迷わずによく来れましたね」

母性巫女 「危ないものも出てくるかもしれないのに……」


幼女魔王A 「あう……」


母性巫女 「怒ってるんじゃありませんからね」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「……えへへ」


ギュ

350 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 13:15:26.62 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王A 「お手伝い、しに来たの」


母性巫女 「あら、ありがとうございます」

母性巫女 (お手伝いしてもらうのは良い……のかしら?)

母性巫女 「みんなには、このこと言ってきたんですか?」


幼女魔王A 「え」


ドキッ


幼女魔王A 「……う、うん」

幼女魔王A 「してきた、よ……」


母性巫女 「あら、ドキッとしましたね」


幼女魔王A 「うん……う、ううん、してないよ」

幼女魔王A 「話したよ」

幼女魔王A 「本当だよ」


母性巫女 「話しておかないと、みんな心配しますよ」


幼女魔王A 「話したもん」


母性巫女 「あらあら」


ナデナデ







351 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 14:00:33.76 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王A 「…………」


ギュ タジ タジ


母性巫女 (この様子じゃ、たぶん話してきていないわよね……)

母性巫女 (大事なことだけど、この子に必要なのは嘘が駄目だとかじゃなくて)

母性巫女 (まずは無条件に信じてもらうことのような気がする)

母性巫女 (うーん……)

母性巫女 「……とりあえず、私の方からもみんなに話した方が良いかしら」


幼女魔王A 「い、いいよ、必要ないよ、私がちゃんと話したよ」


母性巫女 「でも、連絡はこまめにしておいた方が良いですし」

母性巫女 「ちゃんとこっちに着きましたよって、しらせないと」


幼女魔王A 「うぅ〜……」


母性巫女 「いやですか?」


幼女魔王A 「……やだ」


母性巫女 「あら」

母性巫女 「どうして」


幼女魔王A 「うぅ〜……」


母性巫女 「あらあら」


ナデナデ


幼女魔王A 「あぅう……むぅ〜」


ギュ


母性巫女 (気長に取り組みましょう)

母性巫女 (……って、そんな時間あるのかしら)



352 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 16:56:02.13 ID:aQ2FNW4Xo


コツン


母性巫女 「?」

母性巫女 「また、入り口の方から……」


??? 「…………」

幼女魔王S 「はぅあっ」


コソコソ ゴン


幼女魔王S 「ぎゃんっ」


幼女魔王Sは 逃げ出した!
しかし 扉に頭をぶつけてしまった!



353 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 17:02:29.30 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王S 「えーん」


母性巫女 「あらあら……」


テクテク


母性巫女 (この子は……S、よね)

母性巫女 「大丈夫ですか」


ソ


幼女魔王S 「ふおあっ」


ビクッ


母性巫女 「……ごめんなさい。痛かったですか」


幼女魔王S 「い、いいえっ!」

幼女魔王S 「い、いいの!?」


母性巫女 「え?」


幼女魔王S 「さわっちゃって、いいの!?」

幼女魔王S 「わ、私、処女ですけど!」


母性巫女 「はあ……」


幼女魔王S 「私、貧乳ですけど……!」


母性巫女 「さっきはくっついてたでしょう。大丈夫、大丈夫ですよ」

母性巫女 (うちどころが悪かったのかしら)


354 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 17:19:29.34 ID:aQ2FNW4Xo


幼女魔王A 「むぅ〜……」


母性巫女 「Sは、どうしてここに?」


幼女魔王S 「え゛っ、来ない方が良かったかしら!?」


母性巫女 「いえいえ、そんなことありませんよ」

母性巫女 「何か用事があるのかなって」


幼女魔王S 「おて、お手伝いしようかなって」

幼女魔王S 「お部屋、散らかってるかもしれないから……迷惑かもしれないけど……」


母性巫女 「あら。迷惑だなんて、そんなことありませんよ」

母性巫女 「ありがとうございます」


幼女魔王S 「わひっ……!?」

幼女魔王S 「……あ、うん」

幼女魔王S 「い、いえ。ええ、うん、私は魔王だから、そのくらいはしてあげるわ……!」


母性巫女 「あはは……」


ナデナデ


幼女魔王S 「ぉ、おへぇ……」


ジィン


幼女魔王A 「むぅ〜……」


355 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/18(金) 17:25:36.51 ID:aQ2FNW4Xo


母性巫女 「Sはみんなに、ここに来ること言ってきましたか?」


幼女魔王S 「えっ!?」

幼女魔王S 「……ご、ごめん、なさい」


母性巫女 「言ってないんですか?」


幼女魔王S 「ひっ」


ビクッ


母性巫女 「あっ、怒っているわけじゃありませんからね……」


ナデナデ


幼女魔王S 「……ふわぁ」


幼女魔王A 「……まま!」


母性巫女 「はい」


幼女魔王A 「お部屋、はやくお掃除しよう!」

幼女魔王A 「私、一番手伝えるよ!」


356 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/05/19(土) 03:28:55.84 ID:g3lG8+51o


母性巫女 「あら、頼もしい」

母性巫女 「でもその前に、やっぱり、二人がここにいることをみんなに言った方が……」


コツン コト


母性巫女 「あら、また……」


??? 「何やってんのよ」

幼女魔王P 「私が先に来たのよ」


??? 「じゃあこんなところでコソコソしてないで」

幼女魔王I 「さっさと入ってよ」


357 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/29(火) 09:25:32.80 ID:TPEQVHAho
さすがの母性
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/30(水) 19:34:33.73 ID:Kt4fqvcIo
幼女ホイホイ
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/23(土) 06:28:45.27 ID:8fLqMcbv0
360 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:22:34.58 ID:1iXIamQMo


…………


パタパタ ドタバタ


幼女魔王S 「……あんぎゃあ、目が、目があぁあああ!」


母性巫女 「目を触らないで。ちょっと見せてください。埃かしら……」


幼女魔王A 「むう!」

幼女魔王A 「まま! 椅子、こっちに動かしたよ。次はなにするの?」


母性巫女 「ありがとうございます。えっと……」


幼女魔王S 「うぐおぁ……ふぎぁえおぅ……!」


母性巫女 「あっ、ちょっと待ってください」

母性巫女 「はい、痛いでしょうけど、ちょっとまばたきしてみてください……」


母性巫女A 「むうー!!」



幼女魔王I 「ちょっと、ちゃんとそっち側持ってよ」


幼女魔王P 「今、厳選中だから」


ピコピコ


幼女魔王I 「あんた何しに来たのよ……」


361 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:24:05.86 ID:1iXIamQMo

>>360 ミスごめんなさい



…………


パタパタ ドタバタ


幼女魔王S 「……あんぎゃあ、目が、目があぁあああ!」


母性巫女 「目を触らないで。ちょっと見せてください。埃かしら……」


幼女魔王A 「むう!」

幼女魔王A 「まま! 椅子、こっちに動かしたよ。次はなにするの?」


母性巫女 「ありがとうございます。えっと……」


幼女魔王S 「うぐおぁ……ふぎぁえおぅ……!」


母性巫女 「あっ、ちょっと待ってください」

母性巫女 「はい、痛いでしょうけど、ちょっとまばたきしてみてください……」


幼女魔王A 「むうー!!」



幼女魔王I 「ちょっと、ちゃんとそっち側持ってよ」


幼女魔王P 「今、厳選中だから」


ピコピコ


幼女魔王I 「あんた何しに来たのよ……」
362 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:37:51.71 ID:1iXIamQMo


幼女魔王S 「……まだひりひりするけど、取れたかも」


母性巫女 「良かっ……」


グイ


幼女魔王A 「まま! 早く、こっち!」


母性巫女 「はいはい、うふふ……」


幼女魔王I 「ねえ、これ、こっちで良かった?」

幼女魔王I 「違ってたらおしおきしても良いよ」


母性巫女 「はい。ありがとうございます」

母性巫女 「手伝ってもらえて、すごく助かりますよ」


幼女魔王P 「……別に、好きで手伝いに来たわけじゃないけど」


ポッ


幼女魔王I 「だからあんたは何しに来たのよ」


母性巫女 「あはは……」

母性巫女 (結局、部屋の片付けを手伝ってもらった)

母性巫女 (この塔で私がこの子たちに関わるのは良くないことかもしれないけれど……)


幼女魔王S 「ごめんなさい、何度もバケツひっくり返しちゃって」


幼女魔王I 「私も、絨毯燃やしちゃって……」


幼女魔王P 「お皿割っちゃって……」


幼女魔王A 「わ、私は何もしてないよ、本当だよ」


破れたページ


母性巫女 「大丈夫、大丈夫ですよ」

363 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/20(金) 22:50:44.24 ID:1iXIamQMo


ピカピカ


母性巫女 「おかげで部屋も綺麗になりました」


幼女魔王I 「こんなに速く掃除が終わるなんて、びっくり」


幼女魔王S 「私も、やればできるもんね……じゃなくて、と、当然のことだけどね」


幼女魔王P 「…………」


ピコピコピコ


幼女魔王S 「ちょっとP、何勝手にソファでくつろいでんのよ」


幼女魔王P 「ここだと集中できそうだから」


幼女魔王I 「まったく、この子はいっつもこうね」


母性巫女 (掃除が終わって、何だかみんな自信がついた……かも?)

母性巫女 (掃除を手伝ってもらったのは良いことだったのかしら)

母性巫女 (……お礼にお菓子と飲み物でも出せたら良いのだけど)


幼女魔王A 「まま、まま、まま」


ギュ


母性巫女 「はいはい」

母性巫女 (この子とは、気がついたら手を繋いでいる気がする)


幼女魔王A 「ごみ、どうするの?」


364 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/21(土) 01:15:41.86 ID:XnJ1jXiho
まってた
365 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 02:28:40.37 ID:wgSLHiPjo


ゴミ袋×3


母性巫女 「けっこう出ましたね」


幼女魔王A 「私が三つとも縛ったんだよ!」


母性巫女 「ありがとうございます」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「えへへ……」


母性巫女 「うーん……この塔にあるもの、私が勝手にゴミにしちゃって良いのかしら」


幼女魔王I 「大丈夫だよ」


幼女魔王S 「私たちから見てもただのゴミだよ」

幼女魔王S 「捨てちゃおう」


母性巫女 「そうですか……そうですね!」


幼女魔王I 「私が持つ」


幼女魔王S 「私が」


幼女魔王P 「…………」


ピコピコ


幼女魔王S 「あ、ずるい! ゲームしながらもう一つ持ってる!」


幼女魔王I 「しかも一番軽そう。楽して褒められる気ね!」


幼女魔王A 「だめ、私が三つとも全部持つの! 返して!」


幼女魔王P 「無理、いま手を離せないから。それにあんたが三つとも持つなんて出来るわけないし」


幼女魔王I 「そうよ、A。あんた一番力無いじゃないの」


幼女魔王S 「だいたい、あんたばっかりKと仲良くしてずるいわよ。処女のくせに!」


幼女魔王A 「いいんだもん。ままは私のだもん!」

幼女魔王A 「約束したもん!」


幼女魔王S 「出た、Aの約束したもんが!」


ギャアギャア


母性巫女 「み、みんなで持っていきましょうね」

母性巫女 (この塔にゴミを捨てるとこなんてあるのかしら)


366 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 04:19:04.80 ID:wgSLHiPjo


…………


幼女魔王の塔 穴だらけの廊下




母性巫女 「これは……」


幼女魔王A 「ゴミは、だいたいここの穴に捨ててる」


幼女魔王S 「ときどき落ちそうになるよね」


母性巫女 「えぇ……」


幼女魔王A 「んしょっ……じゃあ、捨てる、よっ」


ヨロ


母性巫女 (うわあ、危なっかしい!)

母性巫女 「ま、待ってください、A」

母性巫女 「私がやりますから……!」


幼女魔王A 「だ、大丈夫だもん」


母性巫女 「じゃあ、一緒! 一緒に捨てましょう」

母性巫女 「ね?」


幼女魔王A 「一緒……」


母性巫女 「ええ、一緒……」

母性巫女 (あれ、手助けしない方がこの子のためなのかしら)

母性巫女 (でも危ないし……)


幼女魔王A 「でも、一人で捨てた方が……」

幼女魔王A 「いっぱいナデナデしてもらえる」


ヨロ ヨロ


母性巫女 「あああ、一人で捨てなくてもいっぱいナデナデしますから」

母性巫女 「ね、ね?」


幼女魔王A 「……ほんと?」


母性巫女 「本当。だから無理して危ないことしなくても大丈夫ですよ」


幼女魔王A 「……えへへ。じゃあ、一緒に捨てる」


幼女魔王S・I・P 「いいなあ……」


幼女魔王P 「……わ、私は別に興味ないけど」



367 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 04:33:22.82 ID:wgSLHiPjo


母性巫女 「じゃあ私がゴミ袋を持ちますから……」

母性巫女 「Aは私の服を掴んでいてください」


幼女魔王A 「うん!」


幼女魔王S 「それ何か意味あるの?」


母性巫女 「せーの……」

母性巫女 「あら?」


幼女魔王A 「?」


母性巫女 (穴の向こうに、誰かいる)


??? 「…………」


フラ フラ


母性巫女 「あれは……」



??? 「…………」

幼女魔王R 「…………」


フラ フラ


368 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 12:37:04.28 ID:wgSLHiPjo


幼女魔王I 「Rだわ」


幼女魔王S 「どうしてあんなところに。穴を飛び越えたの?」


幼女魔王P 「まさか。私たちの誰一人、ここの穴を飛び越えられない」


母性巫女 (R、たしか料理が得意な……)


幼女魔王I 「ふらふらしてる。危ないわ、落ちちゃう」


母性巫女 「こっちに連れてきます」


幼女魔王S 「ええっ、どうやって?」


母性巫女 「.穴を飛び越えて向こうまで行って、あの子を抱えて戻ってきます」


幼女魔王I 「危ないわ。穴だらけだし、どこが崩れるか分からないし、私が縦に十人寝そべっても足りない穴があるし」

幼女魔王I 「落ちてしまうとどうなるか分からな」


母性巫女 「えいっ」


母性巫女のジャンプ!


369 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 13:49:49.31 ID:wgSLHiPjo


ピョーーーン

スタ


母性巫女 「大丈夫ですか」


幼女魔王R 「あう……」


母性巫女 (朦朧としている。……熱がある)

母性巫女 「いま向こうへ連れていきますからね」

母性巫女 「よいしょ」


ダキ


幼女魔王R 「ふあ……」

幼女魔王R 「おかあさんの、におい……」


母性巫女 「力を抜いて……そう。じっとしていてくださいね」

母性巫女 (この子を抱えて穴を飛び越える。負担がかからないように気をつけて……)


幼女魔王I 「危ないわ! 穴だらけだし、どこが崩れるか分からないし、私が縦に十人寝そべっても足りない穴があるし!」

幼女魔王I 「落ちてしまうとどうなるか分からな」


母性巫女 「やあっ」


母性巫女の小ジャンプ!


370 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 13:59:07.38 ID:wgSLHiPjo


ピョーー


幼女魔王S 「あ、さっきより小さいジャンプ」

幼女魔王S 「それでも余裕っぽい!」


幼女魔王I 「これが知らない私の力!」


幼女魔王S 「あっ!!」


幼女魔王A 「えーん」


ズルル


幼女魔王S 「ああっ、Aが穴に落ちかけている!」


幼女魔王I 「着地してから助けたら間に合わない感じ!」

幼女魔王I 「大ピンチ!」


母性巫女 「はあっ」


母性巫女の多段飛び


トトト

ダキ

ピョイーン


幼女魔王S 「あっ、空中を歩くように跳んでAを助けて空中でジャンプして戻ってきた」

幼女魔王S 「すげえ!!」



371 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/21(土) 19:38:22.11 ID:wgSLHiPjo


母性巫女 「ふう」


幼女魔王A 「グスン、グスン……まま、ままぁ」


母性巫女 「よしよし」


ナデ ナデ


母性巫女 「間に合って良かった」

母性巫女 「いったい何がどうなって、あんなことに……」



幼女魔王S 「R、大丈夫?」


幼女魔王R 「うあ……」


幼女魔王I 「朦朧としてる。こんな状態で、どうしてあんなとこにいたのかしら」


母性巫女 「早くどこかで休ませないと」

母性巫女 「Rの部屋はどこでしょう?」


幼女魔王Iは 上を 指差した!
幼女魔王Sは 左を 指差した!
幼女魔王Pは 右を 指差した!
幼女魔王Aは 泣いている!


母性巫女 「仕方ありません。私が使わせてもらう部屋に運びます!」


372 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:16:13.09 ID:2gTBUdCDo


…………

…………


母性巫女の部屋



母性巫女 「…………」


幼女魔王R 「……ぅう」

幼女魔王R 「? あれ、私……」


母性巫女 「気がつきましたか?」


幼女魔王R 「……あなたは、だあれ?」


母性巫女 「私は、えっと……」

母性巫女 (どう言えば良いのかしら)

母性巫女 「最近この塔に来た、母性巫女です」


幼女魔王R 「……! そう、新しい、私……?」


母性巫女 (あんまり私のことを話しすぎても、今は混乱するだけかもしれない)

母性巫女 「ここは私が使わせてもらっている部屋です」

母性巫女 「あなたが穴だらけの廊下にいたところを見つけて、他のあなたたちと私で、ここに連れてきました」

母性巫女 「おぼえていますか?」


幼女魔王R 「穴だらけの廊下……?」

幼女魔王R 「私、気分が悪くて、部屋で寝ていたのに」

幼女魔王R 「そんなところにいたの?」


373 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:25:40.90 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「やっぱり、意識はなかったんですね」


幼女魔王R 「うん……」


母性巫女 「熱は大丈夫ですか。頭のタオル、かえましょうね」


幼女魔王A 「まま、はい」


濡れタオル


母性巫女 「あら」


幼女魔王A 「私が絞ったんだよ、ぎゅーってね」

幼女魔王A 「水、冷たかったけど、頑張ったの」


母性巫女 「ありがとうございます、A」

母性巫女 「さあ、タオルかえますからね……」


パタ ペタ


幼女魔王R 「……気持ちいい」


母性巫女 「良かった」


ナデ ナデ


幼女魔王R 「ん……んふふ……」


幼女魔王A 「……むぅ」


母性巫女 「Aが絞ってくれたおかげですね」


幼女魔王A 「えっ」

幼女魔王A 「う、うん」


374 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:30:53.30 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「今、IとSがみんなに報せに行っています」

母性巫女 「あなたのこと、会議でも心配していましたよ」


幼女魔王R 「みんなが……」


母性巫女 「はい」


幼女魔王P 「私はどうでも良いけどね」


ピコピコ


母性巫女 「んもう」


幼女魔王P 「でも、良かったんじゃない。穴に落ちなくて」

幼女魔王P 「Rがいないとお菓子が食べられないって、みんな言ってたし」


幼女魔王R 「おかし……」

幼女魔王R 「私、料理が得意な幼女魔王なのよね……」


幼女魔王P 「今さら何言ってんの」



375 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:46:31.32 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「病気と聞いていますけど」

母性巫女 「どうですか、今と前で、変わったところはありませんか?」


幼女魔王R 「……分かんない」

幼女魔王R 「でも、ちょっとずつ、悪くなってる気がする」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「熱の他に、何かきついところはありますか?」


幼女魔王R 「……うーん」


母性巫女 「無理に考えなくて良いですからね」

母性巫女 (日に日に悪くなってると聞いたけど、話はできるみたい)

母性巫女 (意識が無くても出歩く体力はあるみたいだし、顔色も悪くはない)

母性巫女 (ちゃんと休めばきっと治せるわ)

376 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 03:59:37.19 ID:2gTBUdCDo


幼女魔王R 「……あなたは、知らない私?」


母性巫女 「え?」

母性巫女 「はい、たぶん……」


幼女魔王R 「そうだと思った」

幼女魔王R 「髪は黒くてサラサラだし、背も高いもの」


母性巫女 「そうですね……」


幼女魔王R 「私は?」


母性巫女 「え?」


幼女魔王R 「髪はピンク色でピョンピョンしてるし、背も低いし、痩せっぽちだけど」

幼女魔王R 「私は私? それとも、知らない私?」


377 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:08:06.06 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 「あなたは、Rじゃないんですか?」


幼女魔王R 「……Rよ」

幼女魔王R 「でも私、本当にそうなのか、分かんない」


母性巫女 「分かんない?」


幼女魔王R 「分かんないの」

幼女魔王R 「分かんなくて、分かんなくて……うーん、うーん」


母性巫女 「料理が得意なRじゃないんですか?」


幼女魔王R 「そうよ。私、料理は得意」

幼女魔王R 「料理が得意な、幼女魔王R」

幼女魔王R 「でも、でも、でも、分かんない」

幼女魔王R 「私は私? 知らない私?」


378 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:18:15.24 ID:2gTBUdCDo


幼女魔王R 「私、私、私……」

幼女魔王R 「ううん、分かんないの、あのね、そうじゃなくてね、あのね……っ」

幼女魔王R 「ううん、うーん、んーん……」


母性巫女 「R」


ギュ


幼女魔王R 「……!」

幼女魔王R 「手……」


母性巫女 「大丈夫」

母性巫女 「大丈夫ですよ」


幼女魔王R 「……でも、私、私……」


母性巫女 「大丈夫、どんなあなたでも、あなたですからね」



379 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:26:29.32 ID:2gTBUdCDo


幼女魔王R 「私、どんな私でも……どんな」


母性巫女 「分からないのも、あなた」

母性巫女 「料理が得意なのも、あなた」


幼女魔王A 「…………」


幼女魔王R 「でも私、料理が得意な私なの」

幼女魔王R 「私は幼女魔王Rで、Rは料理が得意なの」

幼女魔王R 「どうして?」

幼女魔王R? 「どうして私は、料理が得意なの?」


母性巫女 「R……」


ズシン


母性巫女 「?」

母性巫女 (今、揺れ……)


ユッサユッサユッサユッサ


母性巫女 「きゃあ!?」


幼女魔王たち 「ひゃあ!?」



380 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 04:29:14.11 ID:2gTBUdCDo





隠し実績!
母性巫女の乳揺れ1000回 達成!
天使の触手下着(上)を 手に入れた!


381 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 06:37:45.79 ID:2gTBUdCDo


母性巫女 (地震!?)

母性巫女 「皆、テーブルの下へ……!」


ガシ


幼女魔王A 「ううぅー! まま、ままぁ!」


ギュウウウ


母性巫女 「……!」

母性巫女 「危ないので口を閉じて、私にしっかりつかまってるんですよ……」


幼女魔王A 「はぶぅ」


母性巫女 (Pは……?)


幼女魔王P 「……! ………!」


母性巫女 (テーブルの下に入っている)

母性巫女 「R……」


幼女魔王R 「私、私……」


母性巫女 「…………」


母性巫女の かばう!
幼女魔王Rは かばわれた!
幼女魔王Aは かばわれた!


ユサユサユサ

ゴゴゴゴゴゴ

…………


382 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2018/07/22(日) 06:49:37.72 ID:2gTBUdCDo


ゴゴゴゴ

ユッサ ユッサ

…………



母性巫女 「……止まった?」


幼女魔王A 「フーッ、フーッ、フーッ……!」


ギュウウ


母性巫女 (すごい呼吸の乱れ)

母性巫女 「怪我がなくて良かった……」


ナデ ナデ


幼女魔王A 「…………」


ガタ ガタ ブル ブル


母性巫女 (身体が震えてる。怖かったのね)


幼女魔王R 「…………」


母性巫女 (Rも無事)

母性巫女 「P?」


幼女魔王P 「……ああああああああ゛!」


母性巫女 「!?」


幼女魔王P 「せっかく出たのに、やっと出たのに! クソ地震のせいで! クソ甘ゆるゆるボタンのせいで!」

幼女魔王P 「うおぁあぁあ゛ぁあ゛〜〜〜〜ぁ゛!?!?!?」


ピコピコピコピコ


母性巫女 (よく分からないけど大丈夫みたい)


383 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 16:12:08.58 ID:gs+fqyEJO
キテタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/22(水) 02:55:51.38 ID:HBWvTFRI0
待ち
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 19:48:06.99 ID:oWgC3DER0
待機
386 : ◆9eN28dDkrjul [saga sage]:2018/10/19(金) 18:51:37.31 ID:lA1CgCrd0
復活おめでとるこ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/01(木) 02:46:33.55 ID:HkU6/dyd0
待ち
388 : ◆9eN28dDkrjul [saga]:2018/11/09(金) 22:35:34.62 ID:cAiD0rTk0


…………


幼女魔王P 「終わった……何もかも……もう、死なせて……」


母性巫女 「はいはい、ちゃんと手を繋いでいるんですよ」

母性巫女 (さて、どうしよう。外へ避難……って、部屋を出ても塔の中だし……)


幼女魔王R 「…………」


母性巫女 (他の子たちの様子が心配だけど、Rから離れるわけにも……)



??? 「……おお〜い」


389 : ◆9eN28dDkrjul [saga]:2018/11/09(金) 22:43:14.81 ID:cAiD0rTk0


母性巫女 「!!」


幼女魔王A・P 「ひっ……」


母性巫女 (階段で聞いた声……)


??? 「…………おおーい」
??? 「…………おおーい」


母性巫女 (この声に答えては駄目……)


幼女魔王A 「だ、駄目だよ、まま、ぜ、絶対、駄目……!」


幼女魔王P 「答えなかったら、こ、怖くないから……!」


ガタガタガタ


母性巫女 「はい。はい……っ」


ギュウ

390 : ◆9eN28dDkrjul [saga sage]:2018/11/10(土) 22:01:31.63 ID:1Y1a2Flc0


???「……おおーい」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (ずっと下の方から聞こえてくる、かすかな声なのに、強い存在感)

母性巫女 (得体の知れない影が、暗いところでおどろおどろしく蠢く様子が、嫌でも頭に浮かんでくる)

母性巫女 (考えたくなくても逃げられない。気持ち悪い……怖い……吐き気が……)


??? 「……おおーい」


幼女魔王P 「…………」


幼女魔王A 「…………まま」


母性巫女 「……っ」

母性巫女 「……大丈夫。大丈夫ですよ……」


ギュ


幼女魔王A 「……うん」


母性巫女 (この子たちを守らなきゃ……)


??? 「…………おおーい」
??? 「…………おおーい……」


391 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/13(火) 11:09:38.65 ID:ziidznMPO
更新キテタ―(゚∀゚)―( ゚∀)―( ゚)―(  )―(゚ )―(∀゚ )―(゚∀゚)―!!
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