小林オペラ「この裁判…絶対に逆転して見せる!」

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64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:47:50.68 ID:Wu3x7vqR0

小林「…あ、あの?ねこ…さんで宜しいですか?」

ねこ「…ん?」

ねこ「おおー!また警察の人かな?だから何度も言っている通り、私達は知りません!!」バーン

小林「いや、警察じゃないんだけど…僕は、その、被告人の弁護士をしている…」

ねこ「弁護士?」

姫百合「ちょっと!?小林さん!」

小林「……あっ!」

小林(そうだ…殺されたのは、ここの団員の一人だったんだ!)

小林(また、気分を悪くされたら…情報提供の拒否なんか――)

ねこ「弁護紙って、何?何かの書類?書くの?」

叶「…………」

小林「………」

ネロ「………」

シャロ「弁護士を知らないんですか?それじゃぁ教えてあげます!先生はフェザーズの二人のムグッ」パフッ

姫百合「…それで、今回の事件の事について、何か知ってる事を教えて欲しいのですが」

ねこ「事件?…あー!実はこの部屋はね!あそこに居るネジシキが私のアルバムを――」

小林「いや、それは既に分かっているので大丈夫です」

ねこ「ええ!?嘘ぉ!普通はこんなに滅茶苦茶だったら分からないよね!?」

ねこ「…あれ?そういえば私も分からないや。どうして気絶してたんだっけ?」

叶「…コホン」

姫百合「…失礼ですが、頭が若干弱い人のようですね」

小林(…こう言ったら、なんだけど)

小林(あまり、情報に期待できそうにないな…)
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:48:38.32 ID:Wu3x7vqR0


→【アルバム】


小林(…事件の事をいきなり聞いても、恐らく有力な情報は出てこないだろう)

小林「そちらのアルバムは、貴方の物ですか?」

ねこ「…ん?」

ねこ「ああ!これ?私の一生が全て記載されている大事な大事な思い出だよ!」ドーン

小林「ええ。まぁ…アルバムですしね」

ねこ「えっとねー、これが一昨日公演した後の打ち上げでー!これが皆で海に行った時のでー!」

小林「…ああ、ええと、とても楽しそうな写真ですね」

ねこ「それでこれが着替えてる時の花輪ちゃんの全裸を激写した写真――」

小林「うわぁっ!…いっいや、いや。そういうプライパシーに関わるものは遠慮しておきます…」ソッポムキ

ネロ「……」ジー

シャロ「……」ジー

ねこ「そうなの?レアなのに。後、これが皆でバーベキューした時のでー!んでこれが怪盗帝国からのお誘いの手紙でー」

小林「!?」

ねこ「後、これが打ち上げでブッフェ行った時のでー、これもブッフェ行った時のでー、これも――」

小林「ちょっ…ちょっと待ってください!怪盗帝国から!?お誘いの手紙が来たんですか!?」

ねこ「ん?そうだよ。誘われたのは花輪ちゃんだけど」

姫百合「そ、それで…、花輪さんは誘いに乗ったんですか?」

ねこ「あれ?どうだったっけ…ねぇ!つげちゃん!」

叶「…さぁ、私も聞いてないので分かりません」

小林「…あ、あの、もうちょっと詳しく見せて貰っても良いかな?それ」

ねこ「ん?いいよ!でも思い出だから後で返して!」

小林「は…はぁ」


→証拠ファイルC【怪盗帝国からの手紙】を証拠ファイルの収めた!
〈花輪小百合を怪盗に誘う旨が書かれている。送り主は怪盗帝国〉


ネロ「ね、ねぇ小林。…これって」

小林「…うん。間違いない怪盗帝国のものだ」

小林(中身は、確かに怪盗帝国からの誘いのものだ。…トリックと演出の魅せ方に才能を感じたとの事らしい)

小林(…というか、スカウトもやっていたのか怪盗帝国…)

シャロ「…先生。団長さんはもしかして、怪盗帝国の誘いに乗っちゃったんでしょうか?」

小林「それは分からないけど、…もし、あの団長が怪盗という裏の顔を持っているとしたら…」

姫百合「…あの団長が、より一層怪しくなりますね…」

小林(…どうやら)

小林(…この殺人事件、相当闇が深いようだ)
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:49:47.33 ID:Wu3x7vqR0

→【ねこのトイズ】

小林「…僕たちは、まだ団員全員のトイズの能力を把握していません」

叶「はぁ」

小林「なので、良ければ教えて貰えませんか?つげさんのトイズは分かっているのですが…」

ねこ「ん?何?何の話?」

叶「…どうやら、この弁護士様は、私達の事をご存知で無いみたいなのです」

姫百合「………」

ねこ「え!?私達、すっごく有名になったと思ったんだけどなぁ…」ポリポリ

ねこ「…まぁいいや!教えちゃおう!まず私の名前はねこ千衣って言って…」

叶「名前の方は、もう既に存じていると思いますわ」

ねこ「あれそうなの?そんなのチラシを見ればすぐ分かるもんじゃない?」

小林「…チラシ?」

シャロ「あっ!ここに一枚だけありましたよ漆黒の魔法団のチラシ!」ピラッ

姫百合「どれ…あ、名前の横にトイズの名前が書かれてますね」



→証拠D【漆黒の魔法団のチラシ】

【名前の横にトイズの能力が書かれている。花輪小百合は黒い羽を散蒔く、つげ叶は何でも一つ硬化する、丸尾椿はテレポート、ねこ千衣は触れた物を自由に動かせる】



小林「…被害者はテレポートが出来たんですか」

叶「ええ。…そのような能力を持っていた筈なのに、このような事件が起こってしまって…」

小林「いえ、現場は暗くなった時に行われたと聞いているので、トイズを用いても逃げるのは――」

シャロ「先生!それでもカズミちゃんとアリスちゃんは――」ムッス!

小林「う、うん。僕もそれは、ちゃんと信じているから」

小林(…そうだ)

小林(被害者はテレポートが出来た。なのに現場から逃げられず歯車に巻き込まれて絶命した…)

小林(…何か、理由があったのか?)
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:50:54.91 ID:Wu3x7vqR0


→【被害者について】


小林「…貴方達の団員だった、丸尾椿さんの話を伺いたいのですが」

ねこ「おっ!団長さんのマブダチだね!?」

叶「私達の仲間でもあります」

小林「その仲間である丸尾椿さんなのですが、最初は三人一緒に団長である花輪小百合さんに弟子入りしたのでしたよね?」

ねこ「その時の事はよく覚えてるよ!すっごく泣いて喜んでたの花輪ちゃん!」

叶「…団長さんと出会った時は、私達ともども運命だと思っておりました」

叶「丸尾椿もその一人で、…彼女は団長様とは波長が合ったのでしょう。次第に親友と呼べる程になっていましたわ」

小林(あの言動と波長が合ったのか…会話を想像するのが怖いな)

ねこ「…最初はねー。私達の中でも当初の目的が私の次に強い子だったんだけど」

ねこ「そんなの忘れちゃったように、今では団長さんの右腕になるほどに仲良くなっちゃったんだよねー!」

姫百合「…先ほどから思っていたのですが、当初の目的とは何ですか?」

姫百合「話を聞く限り、団長さんと関わるのが目的であっても、仲良くする気が無かったように聞こえるのですが」

叶「それは当然でしょう。私達は団長様の技術に惚れて入団したのです」

叶「師弟の関係。それが当初私達が考えていた目的ですわ」

シャロ「それでも!仲良くなっちゃったのなら嬉しい事ですよね!」ニコニコ

ねこ「ん。まぁ、そうなのかなー?」ポリポリ

小林「…………(何だろう)」

小林(先ほどの叶さんの言っていた事、表面だけの事しか感じ取れなかったような…)

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:52:41.03 ID:Wu3x7vqR0


バターン!


北芝「…よぉし、残りの証人はここね」

神津「むやみに動かないよう指示をしたからな」

シャロ「…あっ!」

小林「きっ…北芝検事!」

ネロ「またお前かぁ!今回の裁判もケチョンケチョンにしてや――」

北芝「邪魔」ゴッ

ネロ「ゴハッ!」クルクル

小林「ネロ!?」ガーン

カッ

北芝「アンタ達が、残りの被害者の関係者よね?」

叶「………」

ねこ「ん?被害者ってなんだ?調味料?」

神津「…………」

北芝「これより、アンタ達は被告人常盤 カズミと明神川 アリスの殺人罪を立証させる為の証人として明日の裁判に召喚されるわ」

北芝「丸尾椿を殺した、殺人鬼としてね」

ねこ「……!?」

叶「………」

北芝「…しかし、きったない部屋ね。掃除が行き届いてないの?」

コーデリア「」

シャロ「ちょっと北芝検事さん!コーデリアさんを踏まないでください!!」

北芝「ん?…おーおーこれは済まなかったわね。床が散らかりすぎてて分からなかったわぁ」

北芝「じゃぁ、こっちに移動するわね」ダンッ

エルキュール「きゅぅっ!」

小林「今度はエルキュールを踏んだ!!」

ネロ「ちょっと!いくらなんでもやって良い事と悪い事があるでしょうよ!!」

北芝「そんなの知った事じゃないわ!そもそもなんでこの二人が散らかった床の上で寝そべってんのよ!!!」

姫百合「それは―――…ごもっともな意見ですけど…」

北芝「とにかく!この二人は明日の証言台に立つ手続きをしてもらうわ。こっちに来なさい!!」

ねこ「………」

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:54:03.14 ID:Wu3x7vqR0

叶「…どうやら、お話できるのはここまでのようです」

小林「…ええ、そのようですね」

神津「詳しい話は、明日の裁判で語られる」

小林「……」

神津「特時操作権限と言えど、司法には逆らえないのは分かっているな?」

北芝「へへーん!神津くんの言う通りなんだから!」フンスッ

神津「…だが、最低限の情報提供は義務付けられているのも確かだ」

神津「被害者の解剖記録と、凶器の写真の発行は完了した」

小林「!」

神津「裁判に出る前に、目を通しておく事だな」


→証拠D【丸尾椿(15)の解剖記録】
〈歯車による圧死もしくは失血死。死亡推定時刻は不明。顔にはトイズにより発生した矢が貫かれている〉


→証拠E【奇跡の少女の歯車】
〈一人の人間なら容易く圧死させることも可能な歯車。全方位の写真が送付されている。血まみれだが人が一人入れるスペースがあったようだ〉


小林(…死亡推定時刻が、不明!?)

神津「遺体の損傷が激しすぎの故、解剖班が最終的に下した決断だ」

神津「頭部にも、巨大な矢による損傷が酷すぎるのと、現場で起こった状況を考えれば不明でも問題無いとの考えで――」

北芝「神津くん!それ以上敵に情報を教えちゃ駄目よ!」

シャロ「誰が敵ですか!」ドーン

ネロ「こっちには特時操作権限があるんだぞ!」ドーン

姫百合「…私達が敵側だと思われそうな言い方はやめてください」

北芝「…はん!まぁ、でもどうせ無駄だろうけど」

北芝「明日は、司法の実験も兼ねた”特殊裁判”なのだからね」

小林(……特殊裁判?)
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:54:45.65 ID:Wu3x7vqR0

北芝「ふっふっふ…覚悟しなさいよ小林オペラ。今回の裁判は、敵は私だけじゃないのよ」

北芝「今回の事件、観客席に座っていた者だけが選ばれた”陪審員6人”という私の頼もしい仲間が居るんだから」

小林「…陪審員」

小林「つまり、裁判長一人が決定権を持つわけでは無いのですね」

北芝「その通りよ!今回はあのヒゲだけを騙せても、善良な一般市民である陪審人は騙せないんだから!!」ドドーン

北芝「せいぜい数の暴力に負けて、依頼人を処刑台に送ってやりなさい!あーっはっはっはっは!!!」

ネロ「なんだよ小林に勝った事無いくせにー!!」

シャロ「カズミちゃんとアリスちゃんはヤっていません!陪審員さんなんて、先生の力で蹴散らせてみせます!!」ドーン

姫百合「いや、陪審員蹴散らしちゃ駄目ですよ」

小林「…それに、陪審員は正当な判決を促すものであって」

小林「別に検察側の頼もしい仲間っていうわけではないですよね?」

北芝「…それはどうかしらね」

小林「…え?」

北芝「先ほど陪審員の話を聞いてきたけど、全員間違いなくあの二人を殺人犯扱いしている者ばかりよ」

シャロ「!!」

北芝「つまり、開廷する前から結果が見えているようなもんよ!せいぜい頑張りなさい。ま、どうせ負け戦だろうけどね!」ドドン

北芝「アァーッハッハッハッハッハッハ!!」ゲラゲラゲラ

小林「………」

北芝「…さて、それじゃぁさっさと行くわよ!ちゃんと有力な情報を喋りなさいよね!明日の裁判でも!」

ねこ「………」

叶「………」

神津「…陪審員が現れた事により、検察側と弁護側には対立する目的がもう一つ現れた」

神津「それは、陪審員を納得させる証拠品と証言を証明する事だ」

小林「…!」

神津「検察側は、被告人二人が殺人をした事実を証明する」

神津「弁護側のやることは、その対照的だ」

小林「………」

神津「せいぜい、目的を見失わないことだな」スタスタスタ

「それじゃぁ一緒に向かいましょう神津くーん!」  「離れて歩いてください。北芝検事」

小林「………」

ネロ「クッソーあのクソガキ検事め!神津と一緒に歩いてた事を明智警部補にバラしてやる!!」ムッキー!

姫百合「…やめてあげましょう。神奈川県警が荒れてしまいます」

シャロ「…ううう。でも、どうしましょう…」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:55:18.46 ID:Wu3x7vqR0

小林「…神津の言った通り、僕たちがやることは陪審員が来ても変わらないよ」

小林「フェザーズの二人を、最後まで信じれば良いんだ」

シャロ「!」

ネロ「!」

小林(そうだ…。やることは変わりない)

小林(僕が行う事は、依頼人をどんな時でも心の底から信じる事だ)

小林(…しかし、)

小林(僕は証明できるのか…?現場に居た目撃者に対して、しかも6人の一般人に…)

姫百合「……あれ」

シャロ「どうしたんですか?ヒメちゃん」

姫百合「さっきの人、アルバムを置いていっちゃいましたよ。しかも開いたまま」

小林「ああ、相当ショックだったんだろうね。団員が殺された事が――」ピラッ

小林「………っ!!?」ガタッ

シャロ「えっ!?どうしたんですか先生!」

小林「……い、いや、これ……」

シャロ「…これ?」ピラッ

シャロ「ええと、あっ!これ6年前のサーカスのチラシです!」

ネロ「本当だ。…ただ、漆黒の魔法団とは違うみたいだけど」

小林「…………」

姫百合「…あの、小林さん。どうしたんですか?」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:56:10.77 ID:Wu3x7vqR0


小林「……(6年前)」

小林(メディアにも引っ張りだこで、ブームを引き起こしたサーカス団”ドイサース”があった…)

小林(その団長はある日、団員全員を解雇してワンマンショーが開催された)

小林(…悲劇は、そこから始まった)

小林(団長がある機械に入ると、機械は大爆発を起こしテントの中に居た大勢の観客の命を奪った…)

小林(瓦礫となったテントの中から遺書が見つかり、内容は大勢の人間を巻き添えにして自殺すると言った内容だった…)

小林(共用される不服な仕事に、自由のない演出。細かい事のバッシングや同業者の嫌がらせ等、そういった事への復讐の告白も書かれていた)

小林(…団長は、壊れてしまっていたのだ…)



シャロ「………」

ネロ「………」

姫百合「………」

小林(僕は、そのような過去があった事を全員に話した)

シャロ「…こっこれが、その…団長さんの大規模自殺があった公演日のチラシなんですか…?」

小林「ああ、間違いない」

姫百合「そっそれじゃぁ、どうしてそんなものがアルバムの中に…!?」

小林「それは…まだ、分からない」

小林「しかし、彼女達にはまだ僕たちに隠している事実があるのは明らかだ」


→証拠F【アルバム】を証拠ファイルに収めた!
〈団員達の思い出の全てが、この中に詰まっている。最初のページにはドイサースの大規模自殺があった公演日のチラシが挟まっている〉


小林「…だが、もう今日は彼女達の話を聞くことができない」

小林「全ては…明日の裁判に持ち越しだ」

ネロ「………この過去の事件と、今回の事件、本当に関係あるの?」

小林「それも…今はまだ分からない」

小林(しかし、彼女達が隠しているのは、それだけじゃない)

小林(漆黒の魔法団の団長に憧れて入ったというのも…何か、違和感があった)

小林(…一体)

小林(この事件の裏には…何が隠されているって言うんだ?)
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:56:44.08 ID:Wu3x7vqR0

シャロ「あっ!あと…コーデリアさんとエリーさん!」

コーデリア「」

エリー「」

シャロ「二人も目を覚まさないのですが、どうしましょう!」ツンツン

小林「うん…それは、担いで歩くしかないよね」

ネロ「ええー?二人共僕たちより重いんだよ?小林が担いでよ」

小林「うん……んんっ!?」ギクッ

シャロ「そうです!先生は男の人ですし、私達よりずっと力持ちです!」

ネロ「エリーが起きていれば何とかなったんだろうけど、今はエリーも気を失ってるからね」

小林「えっええええっ!?いや、でも!僕は、その、男だし、」

シャロ「そうです!男の人です!」

小林「うんそう!だから!さすがに、女の人を担いで歩くというのは、その……」

姫百合「…何を考えてるんですか?」ジトー

小林「え”っ…いや、やましいことは無いんだけど…!さすがに!ヤバイんじゃないかなって!」アタフタ

小林「しかもその…二人だし」

ネロ「あー!小林もコーデリアとエリーの事重いって思ってるんだぁー!!」

小林「いや、そういう訳じゃ…」

ネロ「コーデリア、起きてそれを知ったらショック受けるだろうなー!!エリーも泣きだすだろうなー!酷いなー小林は!」

小林「だから、そういう事じゃ…」

姫百合「……はぁ」

ガラガラ

姫百合「部屋の隅に、台車がありました。これに乗せて運びましょう」

シャロ「ヒメちゃん!ナイスアイディアです!」

ネロ「えー、ちょっとヒメ、もう少しだけ空気読んでよー」ブーブー

小林「…ネロ、君分かってて僕をいじってたね?」

姫百合「年頃の女性といえど、さすがに二人は小林さんの負担が大きいので、これが一番良手だと思います」

ネロ「…まぁいいか。小林、僕が気絶したら、その時はちゃんと背負ってね」ニヤニヤ

小林「はは…。考えておくよ」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:57:21.84 ID:Wu3x7vqR0


【ホームズ探偵学院前 同日 某時刻】


ガラガラガラガラ

シャロ「うーん…戻って来ちゃいましたね」

ネロ「あんまり、有効な証拠品も見つかってないし」

姫百合「…このままで、明日の裁判は大丈夫なんでしょうか?」

小林「…う〜ん、陪審員とかも出てきちゃったからなぁ」

シャロ「先生!先生がそんな弱気になっちゃダメです!」ドンッ

ネロ「そうだよ!ただでさえ僕たちも不安だってのに!」ドンッ

小林(…ちょっと軽めに発言しただけなのに、凄いバッシングされた…)

姫百合「ま…まぁまぁ、小林さんなら大丈夫ですよ」

姫百合「今までに何度も、依頼人を冤罪から救ってくれたんですし」

シャロ「それは……その通りです!」

ネロ「うん!今までどおりに弁護すれば、フェザーズの二人の冤罪も晴れるのは間違いないしね!小林!」

小林「はは…うん。そうだね」

小林(陪審員が居るから、今まで通りとはいかないんだけどなぁ)

小林(…だから、戦略を少し変えないと。フェザーズの二人の印象を良くする必要もある)

小林(そのためにも二人の話をもう少し聞いていきたいのだけど…)

小林「…ん?」

???「………」

小林「学園の前に、誰かが居るな」

シャロ「…あっ!」

小林「シャーロック、君の知り合いかい?」

シャロ「いえ、でも確か…、アリスちゃんのお兄さんです!」

小林「アリスくんの…”お兄さん”?」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:57:54.63 ID:Wu3x7vqR0

シオン「………」

シオン「…」ズカズカズカ

ネロ「うわ、こっちに近づいてくるよ?」ササッ

シャロ「きゃぁ!凄い怖い顔です!」ササッ

姫百合「…あの、お二人共。年下の後輩の後ろに隠れるなんて情けないと思わないのですか?」

シオン「………」ピタッ

小林「……あの、僕に何か用でしょうか?」

シオン「…………」

シオン「…貴方が、小林オペラですか?」

小林「え?…はい。そうですけど」

シオン「―っ!」ガシッ

小林「!」グイッ

ネロ「襟首!?」

シャロ「せっ先生を離してください!」

シオン「…話が違うじゃないか…!」グググ

小林「…え?」

シオン「貴方は…!僕のアリスを弁護するんじゃなかったのか!?」

姫百合「!」

ネロ「ちゃんとするよ!…確かに一人しか弁護依頼受けなかったけど」

シオン「さっき、アリスに聞いたら…小林オペラの弁護は受けていないと!一体、何をしていたんだお前らは!」ギリギリ

姫百合「…先ほどの私達の事務所を荒らしたのは、貴方ですか!?」

シオン「そうだ!だが、今はそれは関係無い!」

姫百合「関係あります!掃除してください!」

小林(そういう問題なのか…)
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:58:21.53 ID:Wu3x7vqR0

シオン「…このままアリスだけ弁護されずに殺人犯扱いされるのは絶対に許されない事だ!アリスの弁護を受けないというのなら…今ここで――」

小林「…アリスくんからは、弁護を断られてしまったのです」

シオン「!」

小林「身に覚えはありませんが、…彼女は僕に強い敵意を抱いているように見えました」

シャロ「はい!まるでいつものアリスちゃんじゃないみたいでした!」

小林「一体、彼女は僕に何の憎悪を抱いているのですか?その問題を解決しない限り、彼女は絶対に僕の弁護を受けないと思います」

シオン「くっ……」

小林「…もし、彼女の弁護を取り付けたいのであれば、分かって居る事を話してください」

シオン「…………」

シオン「…そうか。やっぱり、まだあの事を…」

小林「…あの事?」

シオン「…分かった。話そう。アリスが君に敵意を向ける理由。それに心当たりがある」

小林「!」

シャロ「いっ一体それはどういう事ですか!?」

シオン「…まず、一つ大前提として話しておきたいのは」

シオン「僕の…いや、祖父にあたる人物は、…名のある怪盗だった」

小林「…!」

姫百合「!」

シャロ「ええ!?」

ネロ「……」

シオン「…貴方も知っている名でしょう、何せ…」

シオン「祖父は、貴方と対峙して負けてから、行方不明なのですから」

小林「………」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:59:03.49 ID:Wu3x7vqR0

シオン「祖父の通り名は、怪盗ジュエル・ザ・ファントム」

シオン「過去の怪盗Lと、同じくらいに強大な怪盗だったと聞く」

小林「…はい。確かに覚えています。怪盗J・ファントム」

小林「一度は追い詰めたものの、逃げられてしまった怪盗の一人です。…その後のことは、情報がなく僕も行方を追っているのですが…」

シオン「…アリスは、君のせいで祖父を失ったと思い込んでいるようだ」

シャロ「…!」

シオン「祖父は、怪盗以外の普段は、家族想いで人格者であった。…当然、アリスも俺も祖父に対しては良い思い出しかない」

シオン「…かくいう僕も、そんな祖父を追い詰め僕たちから取り上げた貴方のことは好かない」

小林「………」

シオン「…だが、貴方の弁護実績はどんな依頼者も無罪判決を勝ち取っているのは事実…」

シオン「僕にとっても苦渋の選択だが、だからこそどうしても貴方に弁護をしてもらいたいんだ!!」ダンッ

小林「………」

シオン「………頼む」

シオン「僕の妹を……、アリスを…!助けてくれ……!!」ガクッ

小林「………」

小林「………分かりました」

ネロ「!」

小林「その覚悟を、前向きに受け取っても良いのなら」

小林「是非、貴方の妹であるアリスくんを弁護させていただきます」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:01:01.82 ID:Wu3x7vqR0

シオン「……!」

姫百合「…そもそも、本当にフェザーズの二人が殺人を犯していないのなら」

姫百合「真実を明らかにするだけで、無罪も同然なんですけどね」

シャロ「その通りです!何度も言っていますが、フェザーズの二人が人を殺すなんて事しません!」

ネロ「だからさ、もうちょっと妹を信じてあげなよ。小林は弁護するのは二の次で、真実を明かすのがあくまで第一なんだからさ」

シオン「…………」

シオン「…どうやら、僕は貴方をほんのちょっぴり誤認していたようだ」フッ

小林(ほんのちょっぴりか…)

スタッ

シオン「明日はよろしくお願いします。…小林”先生”」

小林「ええ。あなたも妹さんを信じてあげてください」

小林「やっていないと信じているのなら、僕がそれを証明してみせますから」ニコッ

シャロ「はい!カズミちゃんとアリスちゃんは殺っていません!」

ネロ「それさえ分かれば、後は楽勝さ!」

コーデリア「」

エリー「」

姫百合「……ええ、その通りですね」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:01:57.22 ID:Wu3x7vqR0


小林(そして、今日の捜査はこれで終わった)

小林(後は、警察側が捜査している情報がハッキリするまで待つしかない)

小林(…恐らく、もう裁判に出るまで僕たちは何もできないだろう)

小林(そして僕は思い知らされる事になる。この裁判、この事件は…)

小林(….僕たちが思っている以上に、残酷で強大な憎悪と闇が、裏に隠れている事を…)

小林(…その事件の闇に、対面した時)

小林(僕たちは歪んだ戦士の姿を見ることになる…)



つづく
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 20:02:00.12 ID:8ZqgzGVSo
つまんね>>1中学生か?
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:02:33.19 ID:Wu3x7vqR0
探偵編終わり。
次は裁判編やります。しばらくお待ちください
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:06:36.94 ID:Wu3x7vqR0
証拠品整理

証拠品@【矢文】
<発光塗料を塗られた矢と一緒に結ばれていた手紙。筆跡から強い念を感じる>


→証拠品A【抽選チケット】
<トイズ割とトイズ席の番号が書かれている。二人のトイズの用途も併記されている。>



→証拠品B【現場写真】
〈二つの歯車に巻き込まれ、体は引きちぎれバラバラになり被害者の顔もろともトイズの矢が突き刺さっている〉


→証拠ファイルC【怪盗帝国からの手紙】
〈花輪小百合を怪盗に誘う旨が書かれている。送り主は怪盗帝国〉


→証拠D【漆黒の魔法団のチラシ】

【名前の横にトイズの能力が書かれている。花輪小百合は黒い羽を散蒔く、つげ叶は何でも一つ硬化する、丸尾椿はテレポート、ねこ千衣は触れた物を自由に動かせる】

→証拠E【丸尾椿(15)の解剖記録】
〈歯車による圧死もしくは失血死。死亡推定時刻は不明。顔にはトイズにより発生した矢が貫かれている〉


→証拠F【奇跡の少女の歯車】
〈一人の人間なら容易く圧死させることも可能な歯車。全方位の写真が送付されている。血まみれだが人が一人入れるスペースがあったようだ〉

→証拠G【アルバム】
〈団員達の思い出の全てが、この中に詰まっている。最初のページにはドイサースの大規模自殺があった公演日のチラシが挟まっている〉

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 20:11:47.38 ID:OX8IV0k/o
また見れるとはおもわなかった
期待
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 20:35:58.81 ID:mt4Wnehu0
なんでこっちなんだろう?少なくてもグロ要素はないのに
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 22:18:06.00 ID:geC0R7yco
復活ktkr
本家ホームズも出てる大逆転裁判要素もあるとは、ええのう
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/12(土) 01:50:36.13 ID:OLLu19Aq0
個人的キャラのイメージ

ダークシュタインさん



ねこ



一部を硬くする人


87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 04:44:02.89 ID:Y3ykNaqZo
さっき気づいて追いついた
また先生の活躍が見られてうれしい
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/21(月) 22:21:09.80 ID:coNdreQ70
今日の深夜、もしくは明日の夜に投下予定です。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/21(月) 23:26:48.19 ID:coNdreQ70
投下します
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:27:32.32 ID:coNdreQ70
【横浜裁判所 第二控え室  12月02日 午前11時45分】


小林(…うぅ、ついに来てしまったな…殺人事件の裁判)

小林(いつ来ても、この空気は慣れないな…)

小林「…しかし、陪審員か…」

小林(平等で民主主義な判決を目的とした制度。…の筈なんだけど)

小林(何故だろう。物凄く嫌な予感しかしない)

シャロ「……先生!」ズイッ

小林「ん?…うわぁ!シャーロック!顔が近い!」ビクッ

シャロ「だって、何度呼んでも返事してくれないじゃないですか!」ムッ

小林「…え?ああ、さっきから呼んでいたのかい?」

小林「その、それは…ごめん」

コーデリア「…今日は、私達の大事な後輩、フェザーズの無実を証明する裁判ですが…」

コーデリア「いつもの事ながら、こちらが有利になる証拠品がほとんどありませんね…」

小林「まぁ、うん。いつもの事ながら…ね」

姫百合「まぁ、本当にいつもの事ですけどね」

ネロ「…いつもの事だから、気にしなくても良いんだけど…」チラッ

カズミ「………」ツーン

アリス「………」ツーン

エリー「あのお二人は…いつもの様子じゃ…ありません」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:28:12.84 ID:coNdreQ70

カズミ「…あっ!小林オペラさん!」パァッ

カズミ「今日一日!よろしくお願いします!」ペコッ

小林「う、うん…。君達の無罪を証明できるよう、全力を尽くすよ」

カズミ「はいっ!」

アリス「………」ツーン

コーデリア「…ところで、どうしたの?」

コーデリア「さっきから、お互い喧嘩してるようにも見えるんだけど…」

カズミ「…喧嘩?」

カズミ「喧嘩だってしますよ!そりゃぁ!」ダンッ

カズミ「小林さんが!私達を無償で!もう無償で弁護してくれるっていうのに!断固として小林さんに対してあんな態度!」

カズミ「もう!口だって聞いてやらないんだから!!」プン プン

アリス「………」

小林(…随分仲の良い喧嘩だな)

シャロ「…で、でも!でも!アリスちゃんのお兄ちゃんは小林さんにお願いしてくれたよ!?」

アリス「…!」

コーデリア「ええ!…ええ!?そうなの!?」ガビーン

ネロ「そうそう。「ウチのアリスを助けてくれー」って言ってたよ。何なら言質だってあるし」

小林「録音していたの…?」

アリス「……」

カズミ「…シオンさんも、そう言ってたの?」

シャロ「はい!アリスちゃんの事も聞きました!」

姫百合「お爺さん、名のある怪盗だったみたいですね」

アリス「………」

シャロ「お兄さんだって応援してくれてるんだから、アリスちゃんも先生に――」

アリス「余計な事を…しないでください!」ダンッ

シャロ「!?」

アリス「……」ツーン

小林(…どうやら、想像以上に傷が深いようだな…)

シャロ「ううぅ…先生、どうしましょう」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:28:41.80 ID:coNdreQ70

小林「……6年前、僕は確かに怪盗J・ファントムを追い詰めた」

小林「その事に関しては、僕も謝る理由が無いから、どうにもならない」

アリス「………」

小林「それに、僕は捕まえてすらいない。し、彼は行方不明だ」

小林「…少し酷い言い方だけど、今回の事件に関係ない事まで面倒は見られないよ…」

ネロ「………」

姫百合「…………」

カズミ「…そんな必要ありませんよ。小林さん」

カズミ「だって、アリスのおじいちゃんが捕まったのは自業自得なんですから!」ムキー!

小林「いや、捕まってはいないんだけどね?」

カズミ「そんな事を、こんな状況でもズルズル持ってくるなんて女々しすぎだし鬱陶しい!」

アリス「!」

アリス「カズミちゃんには分からないよ!…私の、気持ちなんか!」

カズミ「なんだとー!!」プン プン

アリス「ムッスー!!」プリプリ

カズミ「フンッ!」プイ

アリス「フンッ!」プイ

小林(…口を聞かないんじゃなかったのか?)

エリー「ううぅ…どうしよう…?」

シャロ「…そうだ!マリネちゃんの事務所の隣の空き地に私の秘密農園があります!」ピコーン

シャロ「ちょっと今から仲直りの為に私の野菜を――」

係官「弁護人!被告人!開廷の時間が迫っています!」

係官「今すぐ入廷するように!」

シャロ「あ…ああうううぅ…」オロオロ

カズミ「………」ツーン

アリス「………」ツーン

コーデリア「どっ…どうしましょう…教官」

小林「…今は、こっちの方が大事だ」

小林「彼女達は今、殺人容疑がかけられているんだからね」

シャロ「そっ…!…それもそうです…けど……」

小林(…でも、どうでも良いというわけでは無い…んだよなぁ)

小林(殺人容疑に陪審員に複数の証人…弁護側に不利な証拠…)

小林(…大丈夫だ。やれる。だって、二人を信じれば――)

小林(真実を明らかにすれば、二人の無実も明らかになる筈だっ――!!)ドンッ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:29:15.80 ID:coNdreQ70


【横浜裁判所  第一法廷室】



カッ!!

裁判長「これより、常盤 カズミと明神川 アリスの裁判を始めます」

裁判長「弁護側、検察側、準備はよろしいですか?」

小林「弁護側、準備完了しております」

北芝「検事側、準備完了しているわ」

裁判長「…分かりました」

裁判長「今回の裁判は、更なる正当な判決を目的に陪審員制度を採用しています」

裁判長「選ばれた6人の陪審員よ、罪を裁く覚悟は持ち合わせていますか?」


1号「ダー!!ソ連の星将軍の空の下、軍法会議を今こそ開廷する!!」バババババババババ!!

2号「はい。ソフィアちゃんの準備が完了しているのでしてー」ニコニコ

3号「…三分二十二秒の遅れがあります。早急に判決に移る事を推奨致します」ペラペラ

4号「ハイ。ワタクシニホンゴ。ワカリマセン」

5号「勿論じゃぁああ!!山本ぉ!!貴様の命もこれまでぇ!!覚悟しろぉお!!」ゴゴゴゴゴ

6号「電波を受信しています。ピコピコ。ローディングローディング…ローディング完了しましたぁー」ピコピコピコ


裁判長「……分かりました」

裁判長「それでは検察側は、今回の事件のあらましを…」

小林「ちょっと!!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:30:09.60 ID:coNdreQ70

小林「あの…正気ですかっ!?」バンッ

北芝「…言いたい事は分かるわ。弁護人」

北芝「それでは、今回の事件は至ってシンプル――」

小林「異議あり!!」

小林「いやあの…本当にやるんですか!?この陪審員で!?本気で!?」

裁判長「…陪審員は、司法が厳正なチェックの下に選ばれています」

ネロ「嘘だっ!!」

裁判長「確かに、ちょっぴり個性豊かな人たちですが、判決に関しては問題ないでしょう」

北芝「そういう事。ちょっぴり個性がついてるくらいで騒ぎ過ぎなのよ」

3号「弁護側は自乗してください。貴方のせいで私のスケジュールが5分遅れです。今すぐその口を閉じなさい」ペラペラ

1号「往生際が悪いぞ弁護側よ!ヤーは既に覚悟を決めている!ヴィも軍人なら覚悟を決めろ!!」ガチャンッ カチャッ カチャッ カチャッ

5号「もう逃げられんぞ…山本ぉおおおお!!!」ゴオオオオオオ

4号「ワタクシ、ニホンゴワカリマセン」

6号「スタートボタンを押してください。スタートボタンを押してください」フラフラ

小林(…いや!これは絶対にちょっぴりでは済まされない人選だっ!!)

姫百合「…小林さん、私、今すぐ帰りたいです」

カンッ

裁判長「…それでは、気を取り直して」

裁判長「検察側は、事件のいきさつを証言してください」

北芝「…了解したわ」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:31:14.53 ID:coNdreQ70

北芝「今回の事件は、漆黒の魔法団というサーカスの公演の最中に行われた」

北芝「一度照明が消された後、再び点灯した。その後に観客の全員が目撃しているわ」

北芝「歯車に巻き込まれ、トイズにより発生した矢に貫かれ絶命している被害者を」

小林「…ほとんどの人が、これ以上の情報を知り得ませんでしたが」

北芝「ええ。それでも私達は被告人が殺人を犯した事を立証できるわ」

シャロ「…!」

北芝「まず、被害者の遺体の顔には常磐アリスのトイズである矢が貫かれていた」

北芝「更に、被告人以外に被害者の血液を浴びた者がいない」

北芝「そしてもう一つ、これは、天井の照明の電球の中にあったものだけど、分かるかしら?」カラッ…

小林「……これは、何ですか?」

北芝「…電気を消して、トイズ可視機を使用すると…」パチン

パッ

小林「!!」

裁判長「何と…!二本糸が直線で壁や障害物を通り抜けていますぞ!」

北芝「これは、トイズにより発生した物質に反応する特殊な糸よ」

姫百合「…!」

北芝「人間の眼球を用いた裏世界の商品だから、持っている者は限られている」

北芝「まず、トイズを持たない人間は使う事がない。更に、この糸はテントのある観客席に繋がっていた」

小林「……まさか」

北芝「そう、被告人の席…その下よっ!!」ドドンッ

小林「うっ…」

小林「うぉおおおおおおおおおおお!!!?」ガガーン
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:32:07.15 ID:coNdreQ70

裁判長「…何と、被告人の席に、そんなものが…」

北芝「この球体は、その糸の中間点だと言う事が分かったわ」

北芝「被告人は、この糸を使い、自分の持つ矢と盾のトイズに引っかけ、被害者の元へと移動した…」

北芝「…つまり」

ダンッ!

北芝「この殺人を行える者は、被告人二人以外に存在しない!!」

北芝「それは、この隠されていた特殊糸により明らかよ!!」

小林「ぐ…ぐぅぅ…」

小林(…まさか…そんなものが…!)

→証拠H【トイズ糸】を証拠ファイルに収めた!
<トイズにより発生した物質に反応し、糸に沿って移動する事ができる。が、物質が無ければ何もできない>


裁判長「…なるほど。分かりました」

裁判長「確かに、これで被告人が怪しいという事実は浮き彫りになりましたな」

裁判長「…では、次に検察側は最初の証人――」

「待った!!!」

1号「――裁判長!!我々の決議は今!確定された!」

2号「うん。こんなにも犯人が明らかななんだから、ソフィアちゃんの意志を尊重するね」

3号「やれやれ、ようやく判決に移れますか」パタン

小林「…え?」

6号「ピピピー。電波を受信中。被告人は有罪ー」ピコピコ

5号「山本ぉぉお!!ワシはなぁ!最初から貴様がクロだと分かっていたぁああ!!」バシーン

4号「ワタクシ、ニホンゴガ、ワカリマセン」

コーデリア「えっ…?えっ!?」

姫百合「あ…アンタ達まさか!?」

ダンッ!

小林「ちょっ…ちょっと待って下さい!まだ、最初の証人すら――」

1号「不要だ!時間の無駄だ!これより、我々の最終決議を開示する!!」ガッチャンッ!
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:32:34.85 ID:coNdreQ70

1号「有罪!」ボッ

2号「有罪」ボッ

3号「有罪」ボッ

4号「ユーザイ」ボッ

5号「有罪ぃい!!!」ボッ

6号「ピコーン、有罪」ボッ

ボシュボシュボシュボシュボシュボシュ

ギギギギギ…

ガタァァァァァン…!
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:33:28.81 ID:coNdreQ70

小林「……えっ」

小林「ぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!???」ガガガガガーン!

裁判長「…これは、前代未聞です」

裁判長「まさか、証人が現れる前に判決が下されてしまうとは…」

小林「異議あり!!」

姫百合「異議あり!!!!」

姫百合「こんなの!認められるわけがありません!まだ、何の議論もしていないのに判決なんて!!」

ネロ「そうだそうだ!こんなの認めるかあー!!!」

コーデリア「弁護側は!やり直しを要求します!!」ダンダン

北芝「…どうやら陪審員達はそう考えでないみたいよ」

北芝「裁判を開くまでの事ですらない。ですって」ハンッ

ダンッ

小林「…冗談じゃありません。こんなもの…審議ですらない!!」

小林「弁護側は!ただいまの判決を断固拒否致します!!」

1号「何だと!?軍事裁判の最終判決を受け入れぬというのかっ!?」ガッチャンッ

1号「甘えるなぁ!!貴様も極刑だ極刑ぃいい!!」バババババババババ

5号「ワシは貴様を絶対に許さんぞ山本おおお!!」ダンダンダン

姫百合「…小林さん。あの陪審員達は危険です。特に1号さんと5号さん」

小林「うん。それは…見れば分かるよ」

カンッ

裁判長「…確かに、まだ、何の議論もしていない上での判決は決議に欠けます」

裁判長「しかし、陪審員の判決も無碍にする事はできません」

シャロ「そっ…そんな…」ガタガタ

裁判長「…ですので、弁護側には”最終弁論”の権利を与えたいと思います」

小林「………」

小林「最終弁論…ですか?」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:34:04.41 ID:coNdreQ70

裁判長「はい。今から陪審員が下した評決の理由と根拠を証言して頂きます」

裁判長「それを聞いたうえで、弁護側は弁論し評決を覆す事ができれば」

裁判長「――この審議を続けるものとします」

北芝「はん!そもそもこの陪審員達は全員もれなく被告人を疑ってるのよ?」

北芝「判決を覆す事なんて無理なのに、そんなもの本当にやるつもりなのかしら?」

裁判長「…確かに、前にも何度か陪審員制度を取り入れた裁判はありますが」

裁判長「最終弁論を成功させた前例はありませんね」

エリー「そっ…そんな…!」

小林「…………」

小林(成功した前例がない、最終弁論…か)

小林(もし、これを受けなければ…フェザーズの二人は問答無用で有罪判決を受けてしまう)

小林(そんなもの…許してなるものか!)カッ

小林「……分かりました」

ダンッ!

小林「弁護側は、最終弁論の権利を主張します!!」

シャロ「!!」

ネロ「!!」

コーデリア「!!」

エリー「!!」

姫百合「こ…小林さん!本気ですか!?」

小林「…元より、これしか手は無いんだ」

小林「それに、まだ裁判は始まってすらいない。つまり、まだ陪審員も詳しい事は分かっていない!」

小林「だから、絶対にここで終わらせてはいけないんだ!!」ダンッ!!

裁判長「…分かりました」

裁判長「それでは!これより最終弁論を行うものとする!!」

裁判長「陪審員は答えてください。被告人の有罪を確定する理由と根拠を!!」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:34:38.17 ID:coNdreQ70


【陪審論告】

〜陪審員の主張〜


1号「被害者を殺せる可能性を持つのは奴ら二人しかいない!!これは軍事裁判にかけるまでも無い!!」ババババババババ

2号「私はソフィアちゃんの言う事に従うだけでしてー」ニコニコ

3号「判決を急いでいるのです。犯人が被告人なら早急に判決を下すまでです」ペラペラペラ

4号「ワタクシ、ニホンゴ。ワカリマセン」

5号「犯人は山本じゃぁ!!奴は絶対にクロなんじゃぁああああ!!」ゴゴゴゴゴゴ

6号「電波を受信したのです。有罪だと受信したから有罪なのです」ピコピコ







小林(うわぁ…見事に主張がバラバラだ…)

姫百合「…そもそも、事件の事を全く理解していない人が何人かいますよね?」

小林「こんな判決で裁判を終わらせるわけにはいかないな…」

コーデリア「その通りです!その気持ちを奴らにぶつけて、説得してやりましょう!」ダンッ

シャロ「私達の熱い気持ちで!二人の無罪を主張するのです!!」

小林「…いや、それだけだと、ちょっと厳しい」

シャロ「え!?」

エリー「…どういう、事ですか?」

小林「一度出した評決の後に被告人の無罪を信じている僕達の言葉を彼らが耳を傾けるとは考えられない」

小林「おそらく、皆が頑張って説得だけしても逆効果になるだろう」

シャロ「そっ…そんな。それじゃぁ…」

ネロ「どうしろっていうのさ!理不尽すぎるよ!」

小林「うん。本当にね。今までの裁判の中でも今のこの瞬間が一番の理不尽だと思うよ僕も」

小林「こういう時に一番効果が期待できるのは、”陪審員達の言葉”なんだ」

エリー「言葉…ですか?」

小林「そう。だから僕達が今することは説得ではなく、彼らの理由と根拠をよく聞く事だ」

小林「その中に、彼らの評決を覆す鍵が必ず存在する。…フェザーズの無実を信じるなら、絶対にね」

カンッ!

裁判長「それではこれより、≪最終弁論≫に入ります」

裁判長「証言台へ移動の上、明確な”反証”を述べてください」

小林「……はい。了解です」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:35:06.03 ID:coNdreQ70

【弁論開始】


1号「被害者を殺せる可能性を持つのは奴ら二人しかいない!!これは軍事裁判にかけるまでも無い!!」ババババババババ


小林「待った!」

小林「なら、他に被害者を殺害できた人物が居れば、評決を変えてくれますか?」

1号「…どういうつもりだ?」

小林「確かに今のところは被害者を殺害できたのは被告人だけだと思われるかもしれません」

小林「しかし!審議はまだ始まってすらいないのです!」ダンッ

1号「はんっ!審議など始める必要すらないわ!!」ガッチャン

1号「ナーシ(私達)は観客席に居たのだからなぁ!!これ以上の裁判などするだけ無駄だぁ!!」バババババババババババ

小林「うわぁ!…ほっ法廷内で発砲しないでください!!」ビクッ!

1号「はんっ!この国はいつもそうだ!銃を持ちこむだけで違法だの犯罪だの!!」ガッチャン

1号「だから私が止むなく持っているのはなんだと思う?偽物だ!!」

1号「実弾が打てない虚しさを、偽物で我慢するしか無いのだぁあ!!」ババババババババ

小林「いえ、そういう訳ではなく、というか偽物でも法廷内での発砲は…」

1号「この国はいつもそうだ!偽物でも危険だから駄目とか人に向けては駄目だの!!」ガッチャン

1号「だから私が泣く泣く撃ってるのは何だと思う!?マシュマロだっ!!」

1号「プラスチックすら撃てないこの国の現状に涙するしか無いのだぁ!!!」バババババババババ

小林(この人も人の話を聞かないな…)

シャロ「あっ本当です!あの娘が撃った銃弾、柔らかくて甘い!」モグモグ

ネロ「こりゃぁ、もっともっと撃って貰った方が良いかもね!」モグモグ

小林「…落ちてるマシュマロを食べてはいけません」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:35:53.39 ID:coNdreQ70

2号「私はソフィアちゃんの言う事に従うだけでしてー」ニコニコ


小林「待った!」

小林「…つまり、1号さんの評決が覆された時には」

小林「貴方も評決を変えてくれるというのですか?」

2号「はい。そうするのでしてー」

1号「はんっ!!だが、それは無駄な事だな」ガッチャン

1号「私は評決を変える気はビタ一文無い!一文もだ!!」バババババババババ

姫百合「…どうやら、1号さんの評決を変えれば、一気に二票こちらに入りそうですね」

小林「はは。…うん。そうだね」

小林(1号さんは評決を変えるつもりは無いと言っているけど…まだ、審議は始まったばかりだ)

小林(つまり、そこまで詳しい事は分かっていないに違いない)

小林(それを突いて行けば、評決を覆す鍵になるかもしれないな)
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:36:36.95 ID:coNdreQ70

3号「判決を急いでいるのです。犯人が被告人なら早急に判決を下すまでです」ペラペラペラ


小林「待った!」

小林「しかし、まだ裁判は始まったばかりです!まだ事件の詳しい事は審議すらされていません!」ダンッ

小林「そんな状態で、判決を下しても良い筈が――」

3号「…7分です」

小林「…はい?」

3号「この裁判が開廷してから、既に7分の時が経過しています」

3号「私は、後1時間後には横浜を出て新宿支部の○×ビル22階にある第三会議室に向かわねばなりません」

3号「貴方は、責任を取れると言うのですか?」

ダンッ!

3号「この重役会議に遅れた時の、私の責任を!!」

小林「そっそれは…」

3号「答えられないのならば、この審議はとっとと閉廷するべきです!後、5分以内にねっ!!!」ダンッダン

小林(…どうやら、この人は物凄く不本意に選ばれたみたいだな)

コーデリア「陪審員の選択って、時に残酷に選ばれるのね…」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:37:04.87 ID:coNdreQ70


4号「ワタクシ、ニホンゴ。ワカリマセン」


小林「待った!」

小林「………あの、すいません」

小林「この事件の主旨は、理解できていますでしょうか?」

4号「ワタクシ、ニホンゴ。ワカリマセン」

姫百合「…してないみたいですね」

小林「…なら、安易に評決を決める事はできない筈です!」ダンッ

4号「ワタクシ、ニホンゴ。ワカリマセン」

小林「貴方は、この裁判にただ流されているだけですよね!?」ダンッ!

4号「ワタクシ、ニホンゴ。ワカリマセン」

小林「ぐくぅ!!」グッサ

ネロ「…どうやら、全然話が通じて無いみたいだよ」

小林「…ええと、…Do you speak English?」

4号「ワタクシ、エイゴ。ワカリマセン」

小林(分かってるじゃないか!!)

姫百合「分かってるじゃありませんか!!」ダンッ

4号「ワタクシ、ニホンゴ。ワカリマセン」

コーデリア「教官!この人、私達を馬鹿にしています!絶対!!」

小林「ううぅ…どうするべきかなぁ…?」

姫百合「この人の評決を覆すのは、難しそうですね…」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:37:30.72 ID:coNdreQ70

5号「犯人は山本じゃぁ!!奴は絶対にクロなんじゃぁああああ!!」ゴゴゴゴゴゴ


小林「待った!」

小林「…あの、山本ってどちら様ですか?」

5号「なんじゃと…?しらばっくれるか山本ぉおおお!!」ダンッ!!

5号「貴様がぁ!!貴様がワシの大事なせがれを殺したんじゃろがぁああ!!」カァー!!

小林「覚えがありませんが…」

5号「可哀想に…!ワシが、ワシが3年かけて育てた、世界にも認められた美しい模様を持つ錦鯉と謳われたせがれが…!」

5号「せがれが昨日!死んでおったんじゃぁあああ!!」ダンッ!!

5号「貴様だけは許さんからなぁ!!山本ぉおおおおお!!!」ダンッダンッダンッダン

姫百合「…この人も、今回の事件の主旨を全く理解していないみたいですね」

小林(…この人の評決は諦めよう)
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:38:15.41 ID:coNdreQ70

6号「電波を受信したのです。有罪だと受信したから有罪なのです」ピコピコ


小林「待った!」

小林「…その、電波…とは?」

6号「ミミミプ星から流れ出てくる、ノノの機密事項なのです。教える事はできなません」

小林「…分かりました。その電波から出てきたのは、本当に有罪判決の内容なのでしょうか?」

6号「あなたの主旨が理解できないです」

小林「いや、まだ審議も始まっていないし…。その、もしかしたら無罪判決の内容なんじゃないかなーって」

コーデリア「そうよ!だって、有罪判決も無罪判決も頭文字が違うだけでほとんど同じ文字だし!」

姫百合「いやいや!全く逆の意味ですよ!?無理があるでしょう!」ガーン

6号「理解不能です。確かに頭文字が違うだけで読み間違えた可能性は否めません。ピピピピガッシャーン」ピロピロ

6号「しかし、ノノ以外の全員が真っ黒。まるで私のパンツの色とは違う。だから多分絶対有罪なのだ」ピッコーン

小林「どういう根拠なのですか?それ…」

6号「仮に一人でもシロく無罪に判決してたら、私のパンツを確認してから評決を変えるものとする」ガシッ

姫百合「小林さん、あの人スカート掴みましたよ」

6号「その色を見て、私もミミミプ星人のプライドにかけて無罪判決と認めるのだ」ピピピッコーン

小林「あの、言っている意味がちょっと―――」

ダンッ!

ボシュ

小林「…あ?」

姫百合「え?」

シャロ「ん?」

ネロ「おっ?」

コーデリア「え?」

エリー「あっ……」

ギギギ…ガッターン

シャロ「むっ無罪に一票入りました!!」

ネロ「なっ…何で?!一体誰が…」

コーデリア「あっ…あれは!4号さん!?」

姫百合「!」

エリー「4号さんの票が、真っ白に…!」

4号「………」

小林「よ…4号さん……!」

小林(絶対…日本語知ってるじゃないかっ!!)
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:38:41.83 ID:coNdreQ70

6号「ピピピピピ…ガッターン」ガバッ

小林「っ!」ビクッ

6号「…どうやら、私のパンツと同じ色のようなので」パッ

6号「無罪」ボッ

ダンッ!

ボシュッ

ギギギ…ガッターン

シャロ「やりました!これで二票入りましたよ!」

姫百合「何はともあれ、裁判続行に少し近づきましたね」

小林「うっ…うん……」

シャロ「どうしたんですか先生!?顔が少し赤いです!」

小林「いっいや!別に、何でも…」

ネロ「…もしかして、パンツ見て動揺しちゃってるー?」

エリー「えっ…!」

コーデリア「そっ…そうなのですか教官!」

小林「いっいや!そういう訳じゃなくて…!」

姫百合「…とにかく、まだ最終弁論は終わっていません」

姫百合「小林さんも、気を引き締めてください!」

小林「う…うん。分かったよ…」

ネロ「もー。ヒメはもうちょっと空気を読むって事意識しようよ。折角面白くなってきたのに…」

コーデリア「ネロ!教官を苛めて楽しもうとしてたわね!?」ダンッ

小林(敵が内部にも居る…)
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:39:14.88 ID:coNdreQ70


小林(…一通り陪審員の根拠を聞いてきたけど)

小林(こんなバラバラのまま、本当に評決を下して良いと思っているのだろうか…?)

コーデリア「しかも、半数以上が普通の人間ですらないですもんね…」

姫百合「全く事件の主旨を理解していない人が二人くらい居ます」

ネロ「後、聞こうともしないで終わらせようとしてる人が一人だね」

小林「ううん、絶望的だなぁ…」

小林(とにかく、この普通じゃない根拠も詳しく聞いていこう)

小林(すれば間違いなく、武器になる証言がある筈だ!)

小林(それを、他の陪審員の主張にぶつけてやれば、突破口はある!)
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:40:00.42 ID:coNdreQ70


5号「犯人は山本じゃぁ!!奴は絶対にクロなんじゃぁああああ!!」ゴゴゴゴゴゴ

↓ぶつける

1号「被害者を殺せる可能性を持つのは奴ら二人しかいない!!これは軍事裁判にかけるまでも無い!!」ババババババババ


小林「異議あり!!」

小林「この二つの主張は、明らかに矛盾しています!」

裁判長「…どういう事ですかな?」

1号「…そうだ!どういう事だ貴様…!」ガッチャン

1号「この私を嘘つき呼ばわりとは、よほど軍法会議にかけられたいみたいだなぁ!!」バババババババ

5号「そうじゃぁ!どういう意味じゃ山本ぉおお!!」ダンッ

小林「…1号さん。先ほど貴方は言いましたよね?」

小林「被害者を殺せる可能性があるのは、被告人の二人だけだって」

1号「…確かに、言ったが?」

小林「しかし、5号さんはしきりに言っています」

小林「この事件の犯人は、山本だと」

5号「そうじゃ!犯人は…貴様じゃ山本ぉおおお!!」ダンッダンッ

姫百合「…あの、小林さん?」

コーデリア「まさか…」

小林「そう、つまり…」

小林「犯人は、別に居るという事実に他なりません!!」ビシィッ

シャロ「………」

ネロ「………」

エリー「………」

5号「そうじゃ!この事件の真犯人は被告人じゃない!!」

5号「貴様じゃぁ山本ぉおお!!せがれを返せぇぇえええ!!!」ダンダンダン
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:40:27.17 ID:coNdreQ70

姫百合「…あっあの、小林さん。本気なんですか?」

1号「……クッ!確かに!」

1号「他に殺人鬼が居る可能性が証明された以上、うかつに判決を下せない!」ダラダラダラ

3号「…え?」

1号「…致し方ない。ソ連兵士に二言は無い」

1号「この裁判、もう少し見届けてやるとしよう。貴様の覚悟を認めて!」ボッ

2号「それじゃぁ、私も便乗するのでしてー」ボッ

ダンッ

ダンッ

ボシュシュッ

ギギギ…ガッターン

3号「…なっなんだとぅー!!」ガーン

カンッ!

裁判長「…ただいまの最終弁論の結果、評決が変更されました」

裁判長「有罪が二人、無罪が4人…したがって、本法廷は現時点で評決不一致とみなして」

裁判長「審議の続行を行うものとします!」カンッ!

北芝「…………」

シャロ「やっやりました先生!評決を覆しましたよ!」

ネロ「うん!僕もう駄目だと思った!さっきのは!!」

コーデリア「よっ良かったですねー!さっさっきの説得ー」

姫百合「わっ私もー、良かったと思いますよー?」

エリー「………結果、オーライ…です」

小林「…うん。分かるよ。君達の言いたい事は」

小林「正直僕も、押し通せて良かったと思っているよ、心の底から」

北芝「…ヘンテコな反論で、評決を覆せておめでとう。弁護人」

北芝「だけど覚えておく事ね。こいつらが、こんな早急に有罪判決を下した意味を」

小林「…!」

シャロ「…ど、どういう意味ですか?」

ダンッ

北芝「…陪審員は、早急に判決出来るほどに心の奥底から被告人二人を疑ってるって事よ!」

ネロ「…!」

コーデリア「…!」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:40:57.53 ID:coNdreQ70

北芝「…今回の敵は、私だけじゃない」

北芝「せいぜい今回の裁判、醜くのたまうがいいわ」

小林(確かに、彼らの評決は覆されたとは言え異常に早かった)

小林(…どうやら、僕達にとってかなり厄介な存在なのは確かのようだな)

カンッ

裁判長「それでは!検察側は最初の証人を――」

3号「ああああぁぁあああぁぁあぁぁっぁぁぁああぁぁぁあああああああ!!!!!!」

小林「!?」

裁判長「!?」

シャロ「!?」

姫百合「!?」

ダンッ

3号「…貴様ぁ…!弁護士ぃ!!貴様のせいでぇぇ…!完全に遅刻ではないかぁあああ!!」

3号「もう間に合わない…会議がぁあ!!スケジュールが!!あああああああああああああああああああああああ↑!!!!!!!!」

裁判長「…そうですか」

裁判長「それでは、これからはゆっくりと審議していくとしましょう。検察側は最初の証人を召喚してください」

北芝「…了解したわ」

北芝「係官!最初の証人をここに連れてきなさい!!」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:41:28.77 ID:coNdreQ70


神津「…………」

北芝「それじゃぁ神津くぅん!貴方の名前と職業を言ってもらえる?」

神津「……神津玲。今は警視正をしている」

北芝「うんうん!立派な出世コースまっしぐらで将来有望ね!」

「警視を品定めするんじゃないわよこのババァー!!」

「はいはい小衣落ちつこうな。また追い出されたく無いだろ?」

シャロ「ココロちゃーん!法廷内ではお静かにー!」

「ココロちゃん言うなぁー!!」

北芝「それで、この事件について詳しい証言、お願いできるかな?神津くん!」

神津「…それは承知してるが、いいのか?」

神津「陪審員の一人が、首を括ろうとしているぞ」

3号「…」キュッ

裁判長「係官!今すぐ止めてください!」

係官「了解です!」ダッ

3号「はっ離せぇぇ!!私のスケジュールは狂った!道から外れた!もう死ぬしか無いんだぁああ!!」

3号「死んでやる!この裁判に最も迷惑をかける方向で命を使ってやる!!うわぁあああああああ!!!」

小林(なんて迷惑な人なんだ…)

北芝「問題無いわ。それじゃぁ早速証言してちょうだい!神津くぅ〜ん!」キャピ

神津「…承知しました。」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:42:03.78 ID:coNdreQ70


【証言開始】


@「場所は横浜みなとみらいに建てられたサーカステントの中で起きた」

A「犯行時刻は11時45分。奇跡の少女の公演の開始直後に、それは起こった」

B「証明の暗転までは予定通りだったが、再び明るくなった時、それは現れた」

C「血まみれの被告人二人の後ろに、トイズの矢に貫かれ歯車に巻き込まれた無惨な被害者の姿が――」

D「トイズ糸が被告人の席からのびているのを発見。検察側は被告人をサイコパス殺人者と断定している。」





小林「………」

神津「…以上が、警察側が被告人を告訴した理由と根拠だ」

裁判長「…なるほど。分かりました」

北芝「神津く…証人が言うように被告人の二人は客席から一瞬のうちに移動していた」

北芝「トイズでしか接触できない糸を使ってね」

小林「待った!」

小林「しかし!彼女達には動機がありません!それを証明できなければ――」

神津「――サイコパス殺人では、動機は大して意味を持たない」

神津「何故なら、サイコパスの殺人動機は我々の理解しないものや無い物が多いからだ」

小林「しかし――」

北芝「一応、無い訳では無いのよ。大して意味が無いだけで逮捕には必要な事だし」

北芝「被告人の一人は、過去に怪盗の経験があるそうね」

小林「!」

北芝「更にサーカス団はトイズを魅せる事から、怪盗からも目をつけられている…」

北芝「これだけで様々な動気の立証が可能よ。更に、」

北芝「トイズ糸が使われている以上、トイズ所持者が真犯人であるのは間違いないわよ」

北芝「更に、糸は被告人の席にあった事から、検察側は被告人二人以外に犯行は不可能だと断言するわ」

小林「ぐっ…!」

カッ

裁判長「…それでは、弁護人。尋問をお願いいたします」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:42:30.01 ID:coNdreQ70

【尋問開始】



@「場所は横浜みなとみらいに建てられたサーカステントの中で起きた」


小林「待った!」

小林「犯行場所は、本当にそこ間違いないのか?」

神津「…そもそも、あんな巨大な建物を間違う筈が無いのだが」

北芝「あのテントも銃弾は貫通しない特殊なものを使用しているし、寧ろその中以外での犯行は不可能よ」

小林「いえ、死体が見つかったのはあくまで死んだ状態のままです」

小林「殺害された場所は、他ではありえなかったのですか?」

神津「あり得なかった」

コーデリア「そんなキッパリと答えられるなら、ちゃんとした証拠があるんでしょうね!」ダンッ

神津「…証言は最期まで聞け」

神津「死亡時刻こそハッキリしなかったが、犯行時刻は正確に把握できている」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:43:31.24 ID:coNdreQ70


A「犯行時刻は11時45分。奇跡の少女の公演の開始直後に、それは起こった」


小林「待った!」

小林「奇跡の少女…、結局内容はどんなものだったんだ?」

神津「…情報提供者の独特なニュアンスのせいで詳しい事までは把握できなかったが」

神津「どうやらあれは、入れ替わりを主題とした手品だったようだ」

小林「…手品?」

神津「歯車の中に入れば、出口から出てくる者は全く違う人物で」

神津「中からはウサギやら蛇、揚句の果てには虎など人外も現れたようだ」

神津「被害者がその中に入り、他の二人が葡萄酒とパンを入れた瞬間に次々と客や多種の動物が現れる…」

神津「それが、奇跡の少女の全貌のようだ」

小林「…それは、被害者のテレポート能力を使っての事かい?」

神津「ああ。そうだ」

小林「……一つ、疑問があるんだけど」

小林「被害者は、殺害される前にテレポートをして逃げる事はできなかったのかな?」

北芝「…真っ暗闇の中で、被告人が不意に襲ってきてる時に?」

北芝「面白いわね。貴方はできるのかしら!?真っ暗闇の中でそんなアサシンみたいな事が!」ダンッ

小林「…無理かもしれません」

北芝「はんっ!だったら神津くんの証言に難癖つけるんじゃないわよ!!」

小林(純粋な疑問だったんだけどな…)
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:44:24.48 ID:coNdreQ70


B「証明の暗転までは予定通りだったが、再び明るくなった時、それは現れた」


小林「待った!」

小林「…明るくなった時、被告人は被害者を殺す瞬間が映されましたか?」

神津「いや、その時は既に殺された後だった」

小林「なら、被告人が殺したという証明には――」

北芝「異議あり!!」

北芝「現場では、被告人以外殺人ができる者は誰ひとりとして居なかった!それを断言しているのよ!?」

北芝「それに、まだ証言は終わっていないわ!それ以上難癖付ける気なら、退廷させるわよ!」

シャロ「異議あり!!」

ネロ「例え証人が誰であれ、弁護側は難癖をつける権利がある!!」ダンッ

コーデリア「検察側だって、同じような事してるじゃない!」ダンッ

姫百合「弁護側の権利を潰そうとしないでください!!」ダンッ

北芝「ぐっ…!ぬぬ…」

小林(…凄いな、総攻撃だ)

神津「…難癖をつけるのは構わないが、ちゃんとした根拠を提示する事だな。小林」

小林「そこで僕を睨むのか…」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/21(月) 23:44:54.37 ID:coNdreQ70

C「血まみれの被告人二人の後ろに、トイズの矢に貫かれ歯車に巻き込まれた無惨な被害者の姿が――」



小林「待った!」

小林「…他に、歯車の近くに居た者は?」

神津「…傍には、サーカスの関係者以外誰も居ない」

神津「強いて言うなら団長が一番近かったが、被害者の血痕は付着していなかった」

北芝「…現場で被害者の血痕を浴びていたのは被告人二人だけよ」

北芝「それを示しているのは一つ、至近距離で被害者を殺害した事他ならない!」ダンッ

小林「異議あり!」

小林「しかし、被告人のトイズは”アロー”と”バウンド”です!遠距離でも十分に殺人ができる!」

小林「わざわざ凶器の近くに行って殺人を犯すなんて、考えられません!」

北芝「異議あり!!」

北芝「遠距離から犯行を犯せば、自己紹介しているようなものじゃない!」

北芝「更に言えば被害者の顔にはその”アロー”が貫いていたのよ!?これは、被告人が殺人を犯した確かな証拠よ!!」ダンッ

北芝「それも、バウンドを使えばさぞ強力な威力でしょうね!!」

小林「ぐっ…!」

神津「…被告人は12歳前後だった」

神津「爪が甘かったと、警察はそう考えている」

ネロ「くっそー!動機なんてコジツケで何とかなるからってー!」

シャロ「カズミちゃんとアリスちゃんを馬鹿にしないでくださいー!!」

神津「…証言を続けさせて貰おう」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:45:22.90 ID:coNdreQ70

D「トイズ糸が被告人の席からのびているのを発見。以上の事から検察側は被告人をサイコパス殺人者と断定している。」



小林「待った!」

小林「…そのトイズ糸というのはどういう代物なんだ?どこから来たんだそんなものは」

神津「……それは、警察にも良く分かっていない」

小林「…分かっていない?」

北芝「トイズ糸は主に裏ルートからでしか入手する事ができないのよ」

北芝「何せ、今のところトイズ所有者の眼球を用いないと作れないのだから」

小林「!?」

コーデリア「ト…トイズ使用者の…眼球!?」

神津「…その通りだ」

神津「怪盗の間でも、トイズ所有者の眼球を狙うものも多い。非常に高値で売れると聞くからだ」

神津「逃走路の確保、暗殺の応用、使い方は様々だが非常に利用価値が高いと見れる」

神津「…公にはされていないが、過去にも眼球を抉られた事例が存在している」

北芝「暴力団の中では、不用になったトイズ持ちの組員の眼球を抉り売りに出されるとも聞くわ」

小林「…そんな…恐ろしい物が…!?」

神津「…ああ。被告人二人が独自ルートで購入した可能性がある」

神津「もしくは、誰かに譲り受けたか…だが。どちらにせよ、それらを追跡するのはほぼ不可能だ」

小林「なっなら、それが被告人の物である可能性だって…」

北芝「異議あり!!」

北芝「答えの無い議論をするつもりは無いわ。証言はここで終了よ!!」ダンッ

神津「…ああ、これらを持って俺達は」

神津「被告人をサイコパス殺人罪の容疑として告訴する」

小林「くぅぅっ…!!」

小林(…くそぅ…トイズ糸…かっ……)

小林(そんなものがあるなんて…聞いてないぞ…)

シャロ「わっ…私も…怖い人に眼球取られちゃうんですか…!?」

コーデリア「やっやめてよシャロ!わっ私だって…怖くなっちゃうじゃない…!」ガタガタ

エリー「あうあう…あうあうあう…」プルプル

小林(…こっちもこっちで、大変な事になってるな…)

小林(しかしどうだろう。この証言…)

小林(もっと、言及してみるべきか?)

  →言及する

    言及しない
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:45:48.91 ID:coNdreQ70

小林「…裏ルートと言う事は、怪盗なら容易に手に入るという事でしょうか?」

神津「そういう問題ではないが、…その通りだ」

小林「そして、決定的な証拠はそのトイズ糸…なのですよね?」

神津「…まぁ、その通りだ」

小林「神津」

小林「その事を、証言に加えてくれないか?」

北芝「!」

神津「…どういう事だ」

小林「頼む、とても重要な事なんだ」

小林「弁護側は、その証言を加える事を要求します!」

北芝「ちょっと!何を勝手に――」

裁判長「…弁護側の要求を認めます」

北芝「!」

ネロ「よっし!」

神津「………承知した」


D「トイズ糸が被告人の席からのびているのを発見。以上の事から検察側は被告人をサイコパス殺人者と断定している。」

↓追加

E「トイズ糸は裏ルートで手に入れる事ができる。主に怪盗側の人間だ」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:46:16.18 ID:coNdreQ70


E「トイズ糸は裏ルートで手に入れる事ができる。主に怪盗側の人間だ」


小林「待った!」

小林「それならば、被告人がそれを手に入れたという根拠を――」

北芝「異議あり!!」

北芝「だから!無理だって言ってるでしょうが!!」

北芝「匿名ブラウザと裏社会のネットワークを通じてじゃないと無理なのよ!?使い方さえ分かれば手には入るけど、ルートを探るのは不可能!」

北芝「誰が手に入れたなんて、この法廷では何の意味も持たない!!」ダンッダンッ

小林「………」

小林(ルートを見つけるのは不可能。それならば…)

小林(”そこ”だけは不安定な証言という事だ)

小林(この証言を上手く突けば、他の可能性を提示できるかもしれない)

小林(……まずは、証拠品を見直してみよう)
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:46:42.39 ID:coNdreQ70


姫百合「…さすがに神津警視は、隙の無い証言をしますね」

コーデリア「どこにツッコミを入れれば良いのか、私には分かりません…」

小林「…そうだね。この証言だけではツッコミの入れようがない」

小林「まだ審議は始まったばかりだ。神津から情報をどんどん引きだそう」

小林「その中にきっと、答えがある筈だ」

小林(もう一つの可能性を示す、答えが―!)
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:47:12.05 ID:coNdreQ70
しばらくお待ちください…
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:53:50.67 ID:coNdreQ70

E「トイズ糸は裏ルートで手に入れる事ができる。主に怪盗側の人間だ」に

↓を突きつける

→証拠ファイルC【怪盗帝国からの手紙】



小林「異議あり!!!」

ダンッ

小林「…悪いけど神津、警察側の告訴がそれだけなら…」

小林「被告人を犯人だと断定する事は、できない」

北芝「何ですって…!?」

神津「…ほう」

小林「まず、こちらを見てください」ピラッ

裁判長「はいはい。どれどれ……」

裁判長「こっこれは!怪盗帝国からの招待状ではありませんか!!」

北芝「!」

神津「…!」

小林「その通りです。このサーカスの団長は、怪盗への誘いの手紙が来ています」

小林「つまり、団長も怪盗を兼業している可能性があるのです」

北芝「…それが、何だと言うの」

小林「…弁護側は、召喚を要請します」

小林「漆黒の魔法団の団長、花輪小百合さんに!!」ダーン
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:54:31.33 ID:coNdreQ70

ザワザワ…ザワ…

カンッ!

裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「…まさか、その団長を殺人犯の容疑で告訴するのですか?」

小林「…いえ、そうではありません」

小林「あくまで確認の為です。彼女がこの誘いに乗ったのかどうか」

北芝「…何よ、さっさと言ってしまいなさいよ」

北芝「どうせアンタの事だから!そいつが人を殺したと言いたいんでしょう!?まどろっこしい事すんなっての!!」ダンダン

小林「異議あり!!」

小林「…確かに、彼女も殺人をしている可能性がある事を否めません」

小林「しかし、今のこの状況では立証はほぼ不可能です!!」ダンッ

姫百合「私達は!検察側のように雑な告訴を許すわけにはいかないのです!!」

北芝「なっ…なんですってぇえええ!!?」ダンダンダン

小林(凄い事言ったな…姫百合くん)

カンッ

裁判長「…弁護側の意図は、良く分かりました」

裁判長「それでは、漆黒のまちょ…漆黒のまも…しっぽ…」

裁判長「…サーカスの団長を、検察側は連れて来て下さい」

小林(今噛んだな、裁判長)

姫百合「噛みましたね…今」

シャロ「噛みまみた!さいばんしょーさん!」

小林「…うん。僕は何も言わないよ。シャーロック」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:54:57.87 ID:coNdreQ70


小百合「…………」

北芝「…証人、名前と職業を」

小百合「………クックック…我の名を要請し召喚するというのか?それが魔族解放の鍵とも知らず…」

小林「………」

北芝「……は?」

小百合「良いだろう、申そうでは無いか。世界樹の精に伝えておけ!我が名は漆黒の魔術師(ダークシュタインズ)だ!!!」ドドーン

小百合「漆黒の魔法団で、世界のマナを集め黒きサタンを背中に宿いし民衆の絶叫をもたらす……」

小百合「闇の世界の、魔王だっ!!」ババーン

小林「………」

北芝「………」

裁判長「………あの」

裁判長「証人は、一体何を言っておられるのですかな?」

小林「分かりません……」

北芝「…おい、私達を馬鹿にしてるのか?」

小百合「クックック…違うな。ここは裁きの地。我がここに立つという事は、ラグナロクが始まるのだろう!?」

北芝「……は?」

小百合「良かろう!語ってやろうではないか…我が世界の歴史と全てを!!」ババーン

北芝「あー…分からぁあん!!黙れぇえ!!この中二病!!!」ダンッ ダンッ

小百合「うひぃ!?」ビクッ

北芝「私達の分かる言葉で喋れ!喋らないと法廷侮辱罪を施行させて、刑務所に送るわよ!!!!」

小百合「ぴっ…!!……花輪小百合です。漆黒の魔法団の団長をしています…」

小林(弱っ!)

北芝「…よーやく分かる言葉が出てきたわ」

裁判長「それは良かった。特殊な言葉が飛び交う裁判の中で審議できる自信がありませんでしたから」

裁判長「それでは証言して頂けますね?証人」

裁判長「貴方達サーカス団の事について、話せる事を全て話して下さい」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:55:25.44 ID:coNdreQ70

【証言開始】


@「聖騎士4天皇の我らは以前、孤独の戦いであった」

A「しかし、三人の我が友が舞い降りた時、我らは4天皇となった」

B「強固なる絆と共に、我らが力は強大していった…」

C「だが、その絆も失われた…ゴドムとソドラによって!!」ダンッ!



北芝「………」

小林「………」

裁判長「…どうやら、戻ってしまったようですな」

北芝「…これを記録しなきゃいけないのが一番の拷問だわ…」

小林「…(これを…尋問しなければならないのか)」

北芝「もういい。もう分かった。じゃぁ後は頼むわね弁護人」

カンッ

裁判長「それでは、弁護人は尋問をお願いします」

小林「…早急に僕に回そうとしないでください」

小百合「フゥーハハハ!!」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:56:04.90 ID:coNdreQ70


【尋問開始】


@「聖騎士4天皇の我らは以前、孤独の戦いであった」


小林「待った!」

小林「…え、ええと、ちょっと待って下さい?」

小林「……4人になる前は、一人で活動していた。という事でしょうか?」

小百合「……貴様は、あのゴドムとソドラの仲間だな?」

小林「え」

小百合「酔狂な!そのような者に情報を与えるわけにはいかぬ!!」ダンッ

小百合「我が重要な記憶を、貴様らの手で改惨などされてたまるものかっ!!」クワッ

姫百合「…どうやら、全然信用していないみたいですね」

小林「あ、あの。証言してくれないと裁判が進まないのですが…」

小百合「神殺しに塩を贈るくらいならば、我はこの舌を噛み切って死ぬ!!」

ダンッ!

姫百合「証人!」

小百合「ひぃっ?!」ビクッ

姫百合「本当に舌を噛み切るのであれば、止めはしません」

姫百合「できるものなら、今すぐやってください!!」ダンッ

小百合「…あ、…あうぅ…」ビクビク

小百合「……椿ちゃんとつげちゃんとねこちゃんが入る前は、一人で手品やってたの…」

小林「………」

北芝「………」

裁判長「…それは、なんとも寂しいサーカス団ですね」

小百合「…うっ…ううぅ…」プルプル

小林(…苦労していたんだな…)

裁判長「それでは証人。証言を続けてください」

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:56:30.14 ID:coNdreQ70


A「しかし、三人の我が友が舞い降りた時、我らは4天皇となった」


小林「待った!!」

小林「…それは、何年ほど前の事なのでしょうか?」

小百合「…クックック!月の変わりが6となり、隣合わせになる時、三人は舞い降りた…」

小百合「我は、孤独から脱却し4人の聖戦士として世界と戦っているのだ!!」バッ

小林(…何と戦っているんだ?)

シャロ「団長さん、お友達の事になると嬉しそうに証言しますね!」

姫百合「…月の変わりが6回。という事は半年前の事でしょうか?」

ネロ「以外と近いんだね」

小百合「フハーッハッハ!我ら4人が揃えば!世界を掌握するのも容易い!」

裁判長「…その内の一人がお亡くなりになった事、心苦しく思います」

小百合「…………」

小百合「うっ…うううっ…うっ…」ポロポロポロ

シャロ「あー!裁判長さんが証人を泣かせたー!!」

コーデリア「何て酷い!軽蔑します!」

ネロ「見損なったよ!!」

エリー「最…低……!」グスッ

裁判長「えっ…?えっ!?」ギクッ

北芝「…裁判長」

北芝「失礼だけど、今のは無かったと思うわ」

裁判長「………っ!?」ガーン

小林(可哀想に…裁判長総攻撃だな)
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:57:09.61 ID:coNdreQ70

B「強固なる絆と共に、我らが力は強大していった…」


小林「待った!」

小林「…つまり、彼女達三人が入団した事で評価が上がった。と考えても良いのでしょうか?」

小百合「愚問!我が漆黒の魔法団は一人では成しえなかったのは確実だった!」

姫百合「まぁ、一人だと団にはなりませんからね」

小百合「母と別れ、父が死別し…仲間のいない世界で一人、孤独の中で私は悟った」

小百合「例え魔王であれど、一人では帝国にすらならぬと!!」ババーン

小林(…想像以上に辛い境遇の中に居たみたいだ)

小林(どうする?心の傷を抉るようだが…何か聞いてみた方が良いだろうか?)


→【家族の事】

→【一人ぼっちの学園生活】
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:58:37.44 ID:coNdreQ70

訂正

B「強固なる絆と共に、我らが力は強大していった…」


小林「待った!」

小林「…つまり、彼女達三人が入団した事で評価が上がった。と考えても良いのでしょうか?」

小百合「愚問!我が漆黒の魔法団は一人では成しえなかったのは確実だった!」

姫百合「まぁ、一人だと団にはなりませんからね」

小百合「母と別れ、父が行方不明…仲間のいない世界で一人、孤独の中で私は悟った」

小百合「例え魔王であれど、一人では帝国にすらならぬと!!」ババーン

小林(…想像以上に辛い境遇の中に居たみたいだ)

小林(どうする?心の傷を抉るようだが…何か聞いてみた方が良いだろうか?)


→【家族の事】

→【一人ぼっちの学園生活】
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:59:05.87 ID:coNdreQ70

→【家族の事】を選ぶ

小林「…大分辛い境遇を受けて育ったみたいですが」

小林「良ければ、家族の事についてお話願えますか?」

小百合「…それは、この裁判に必要な事なのか?」

小林「え?」

小百合「我の家族の事は、本当に事件と関係あるのかと聞いている!!」ダンッ

北芝「…確かに、全く関係無い事に思えるわね」

裁判長「ふむぅ…確かに」

小林「……」

小林「確かに、この事件の事には関係無い事かもしれません。ですが」

小林「今聞く事は、事件の背景を知る為ですよね?」

裁判長「!」

北芝「………」

小百合「…?」

ダンッ

小林「…では、話して下さい証人。貴方の家族の背景を!」

小百合「……なっ何故だ!?何故そこまでして知ろうとする!?」ガーン

小林(……探偵の勘。とか言ったら、総攻撃を喰らうんだろうなぁ)

小百合「グヌヌ…!分かった!だが、この事件とは一切関係ないぞ!」

小百合「せいぜい無意味な時間を堪能するがいい!ゴドムとソドラの使用人め!!」ダンッ

小林(…僕が仕えてるのはカズミくんとアリスくんの二人なんだが…)

小林(名前を覚えようともしていないな。この子…)


→D「母は幼き頃に別居し、父は行方不明だ!それ以外に家族はおらぬ!!」が追加
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:59:32.85 ID:coNdreQ70

C「だが、その絆も失われた…ゴドムとソドラによって!!」ダンッ!


小林「待った!」

小林「しかし、被告人二人は殺人を犯していないと主張しています!」

北芝「異議あり!!」

北芝「被告人には発言力は一切存在しない!!それを分かって反論しているのかしら!?」

小百合「そうだ!罪人の意見など戯言当然!聞くに値しないのだ!!」ダンッダンッ

小百合「このっ…返せ!椿ちゃんを返せ!!ううぅ…返せぇ!!」ポロポロポロ

小百合「返せ…返してよぉ…ううぅ…うぇぇぇ……」グスッグスッ

小林(…やっぱり、今この証人は感情が不安定のようだ)

小林(こんな状態の証人に証言をさせても良いのだろうか?)

シャロ「うう…団長さん、なんだか可哀想に見えてきました」

コーデリア「そうよね。恨む相手を間違えてるとは言え、親友を失ったんだもの」

裁判長「…その気持ちは、私も痛い程に分かります」

裁判長「しかし、ここは裁きの場。感情は心証にこそなれど証拠にはなりません」

小百合「ううぐぅ…しんしょーってなんなのぉ…?しょーこってなんなのぉ…」グスッグスッ

姫百合「…何か、泣くたびに幼児退行していませんか?あの人」

ネロ「赤ん坊になる前に、全ての証言を吐かせた方が良いね!」ダンッ

小林「…君達も酷いな」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:00:33.72 ID:axKEPifE0


D「母は幼き頃に別居し、父は行方不明だ!それ以外に家族はおらぬ!!」


小林「待った!」

小林「…母親と父親の名前までは、覚えていませんか?」

小林「後、できれば職業を…」

北芝「異議あり!!」

北芝「証言以上の情報はこの法廷には不必要!余計な発言は控えてもらえるかしら!?」

小百合「…それは、そうだ!確かに――」

北芝「どうせ!この証人の頭では覚えてないでしょうしね!!」ダンッ!

小百合「なっ――失礼な!!」

小百合「覚えてるもん!そりゃぁ、お母さんは他の男の所に行ったから分かんないけど…」

小林(重すぎる…!)

小百合「でもお父さんは立派な人だもん!覚えてるんだもん!!」プンップン

姫百合「…父親の事になると、口調が戻りましたね」

小林「ずっと、このままだったら良いんだけどね」

小百合「お父さんは立派なマジシャンで!あの”ドイサース”の団長なんだから!!」

小林「……えっ!?」

ダンッ

小林「証人!それは本当ですか!?」

小百合「勿論だ!ただ、6年前から行方が分からなくなって――」

小林「証人!それを証言に加えてください!!」

小林「それは何よりの、重要な証言です!!」カッ

小百合「…ほう、我の父に強く敬意を示すとは、貴様、なかなか見どころがあるではないか」

小百合「よかろう!我が父の名、証言に付け加えてしんぜようぞ!!」


→D「母は幼き頃に別居し、父は行方不明だ!それ以外に家族はおらぬ!!」

     →D「母は幼き頃に別居、父は偉大なドイサースの団長だった!!」に変更
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:01:03.75 ID:axKEPifE0


小林「…彼女についての証言は、これくらいか」

姫百合「一聞しただけでは全然分かりませんね…」

小林「そうだね。これは証言から更に情報をゆさぶる必要がある」

小林「彼女の不可解な言葉の中に、重要な意味が隠されている可能性があるからね」

シャロ「…なるほど!それではネロもお願いします!」

ネロ「いや、さっきから意味を読み取ろうとトイズも使ってるんだけど…かなりキツイよこれ」

ネロ「誰か…交代して…」

コーデリア「ネロ!貴方以外に誰が読心術できると思っているのよ!」

エリー「ネロしか…できない……」

姫百合「頑張ってください。ネロさん!」

ネロ「ううぅ…もう僕泣きそう…」

小林(…ネロの心が折れる前に、証言を終わらせないとな…)
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:01:30.05 ID:axKEPifE0
しばらくお待ちください…
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:09:55.86 ID:axKEPifE0

D「母は幼き頃に別居、父は偉大なドイサースの団長だった!!」

↓突きつける

→証拠G【アルバム】 を突きつける


小林「異議あり!!」

小林「…証人、こちらのアルバムをご覧ください」

小百合「…なっ!それは!我が団員、ねこちーのアルバムではないか!」

小林(ねこちー…)

シャロ「可愛い呼び名ですね!」

小百合「ねこちーが見つからないと言っていたが…貴様が持っていたのか!返せ!!」

小林「…花輪さん」

小林「貴方はこのアルバムを、詳しく見た事がありますか?」

小百合「ふん!侮るなよ…、我は、ねこちーと叶ちゃんから横からの観覧を許可されているのだ!」

小林「…つまり、自分から見た事が無いのですね?」

小百合「…………」

小百合「…なっ何を言っている!そもそも、人のアルバムは勝手に見たら…駄目なんだぞ!」ダンッ

小林「そっそれは……ご尤もですけど」

姫百合「痛い所を突かれましたね」

小林「…それじゃぁ、こちらのページは見た事が無いのですね?」ペラ

小百合「何を…あっ!これは!?」

小百合「おっ…お父さんのサーカスのチラシ!」

北芝「…なっ!?」

裁判長「何ですって!」

小林「…そう。更にこの日付、覚えがありませんか?」

小林「サーカス団ドイサースにとって、とても重要な日なのですが」

小百合「……こっこれは…!」

小百合「6年前……お父さんが最期に仕事をした日だ!」ガーン

北芝「……なっ」

北芝「なんですってぇえええ!?」ガガガーン

ダンッ

小林「…そうです。貴方の父親は、この日を境に行方不明になっているのですね?」

小百合「うっ…うん!あっ!いや…うむ!我が叔母…悪魔騎士の一人が!我に耳打ちでそう伝えた!」

小林「やはり、親族から語られたのですか…分かりました」

小林「では、今から本当の事を弁護側が証言します」

小百合「本当の事…?」

北芝「…ちょっと待って、6年前…ドイサース…そしてそのチラシのデザイン…」

北芝「…ま、まさか…!」

ダンッ

小林「…花輪さん。大変心苦しい事なのですが…」

小林「貴方の父親は…、この日を境に死んでいるのです」

小百合「………え?」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/22(火) 00:10:53.37 ID:axKEPifE0

小林「この日、テント内で事故が起こりました」

小林「…貴方の父親が機械の中に入った瞬間に、それは行われたのです」

小林「大規模な、観客を大勢巻き込んだ大爆発が…」

小百合「…………え?」


ザワザワ…ザワ…

カッ


裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「…その事件は、私も分かっております」

裁判長「それは…本当に、とても残酷な…」

小百合「待った!!」

小百合「なっ…何なの…?それ…。嘘…絶対嘘だ!」

小百合「信じない…!私は、絶対に信じないんだから!!」ダンッ!!

北芝「…そもそも、その事故が今回の事件に何か関係あるのかしら?」

小林「……!」

ダンッ

北芝「私には、全く関係無い事件を持ってきてこじつけようとしてるように見えるけどね!?」

小百合「そっそうだ!信じない!我はそのような戯言信じないぞ!!」

小林「…ドイサースはこの事故の前、多くの噂が飛び交っていました」

小林「父親は隠していたように思えますが、何か心当たりがありませんか?」

小百合「…!」

小林「僕も当時、依頼があってドイサースの事を調べていた時期があったのですが」

小林「確実な証拠はなく、悪い噂もほとんどがねつ造によるものでしたが、一つ」

小林「…怪盗と繋がりがあったのは、間違い無かったようです」

小百合「…え?」

北芝「…それが、どうかしたの?」

小林「小百合さん。貴方の最近心当たりがありますよね?」

小百合「………」

小林「貴方と怪盗とつなぐ、とある証拠品も存在します!」

カンッ

裁判長「そっそれは!一体何だと言うのですか!?」

北芝「…だったら、提出してもらおうかしら?」

北芝「この証人が、怪盗と繋がってるっていう証拠を!!」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:14:38.28 ID:axKEPifE0


→証拠ファイルC【怪盗帝国からの手紙】

小林「これだ!」

小林「…怪盗帝国から、貴方宛てに手紙が届きましたよね?」

小百合「!」

小林「そう、こちらがその手紙で、間違いありませんか?」

小百合「あっ…あ!?どうして!?」

小百合「私…間違い無く捨てた筈なのに!!」

ピラッ

裁判長「これは……ああっ!確かに怪盗帝国って書いてあります!」

北芝「!!」

小百合「ちっ…違う!」

小林「何が、違うと言うのですか?」

小百合「だって私…確かに、お誘いは来た、でも!」

小百合「ちゃんと断った!我は魔王だと怪盗である器ではないと!更におととい来るがいいともな!!」

小林「断った…?」

シャロ「一体、どうして断ったんですか!?」

小百合「だっ…だって…」

小百合「泥棒なんて…悪い事だもん!!」ドーン
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:15:35.43 ID:axKEPifE0

小林「………」

北芝「………」

裁判長「………」

裁判長「…これは、完全無欠の正論ですね」

北芝「どんな証拠品突きつけても、突破はできないわね」

小林「………はい。分かりました」

カンッ

裁判長「それでは、もう聞きたい事は聞いた事と思います」

裁判長「もうそろそろ、この証言を終わらせても宜しいかと…」

シャロ「!」

シャロ「どっどうしましょう先生!証言が終わってしまいます!」

姫百合「そ、そんな事言われましても…あんな正論を崩す事は…」

小林「…いや、正論を踏まえると、新しい疑問が生まれるよ」

ネロ「…え?」

コーデリア「どっどういう事ですか?教官!」

小林「考えても見てくれ、彼女は怪盗とのお誘いを断った。更には手紙も捨てた」

小林「なら、どうしてこの手紙は今もこうして残っているんだ?」

シャロ「……あっ!!」

裁判長「それでは!これでこの方の証言を終わ――」

小林「待った!!」

ダンッ

小林「…その前に一つ、質問をよろしいでしょうか?」

裁判長「…一つだけ、ですか?」

小林「はい。今ハッキリとさせたい事があるのです」

小林「証人、貴方は本当にこの手紙を処分したのですね?」

小百合「うっ…うむ!確かに我が手でゴミ箱に捨てたぞ!間違い無い!」

小林「……分かりました」

裁判長「…分かりました」

裁判長「では証人、次に事件についての証言を――」

小林「待った!!」

ダンッ

小林「…弁護側は早急に、ある人物の召喚を要請します」

裁判長「……召喚、ですか?」

小百合「召喚!?」キラキラキラ

姫百合「…団長の目が輝きだしましたよ」

小林「弁護側は、怪盗からの手紙を保存していた、このアルバムの持ち主――」

小林「ねこ千枝さんとつげ叶さんの召喚を求めます!!」

裁判長「ねこ…?まさか、団員さんの事でしょうか?」

北芝「異議あり!!」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:16:26.26 ID:axKEPifE0

北芝「弁護側は勝手に流れを変えないように!今はこの証人の次の証言を――」

小林「この証人は、この事件について我々以上の事は知り得ていない!!」

小百合「なっ――!」

ダンッ

小百合「失礼な!ちゃんと我も目撃しているのだぞ!あの事件を!」

小百合「きゅうに真っ暗になって!電気がついたら歯車に巻き込まれた……その前には!あのゴドムとソドラが――」

小林「…それ以上の事は?」

小百合「…そっ…それ以上とは、何だ?」

小林「例えば、事件の前に何かがあった。とか」

小百合「それ以上に…何かあるのか?」

ダンッ!

小林「…これが、この証人が事件当日の事について覚えている事です」

北芝「……何が言いたいの?」

裁判長「これ以上、この証人からの証言を却下し、新しい証人の召喚を要請を?」

小林「…いいえ。この証人にも証言台に立って貰います」

小林「証言台に、三人同時に立たせるのです!!」

北芝「!?」

シャロ「!?」

姫百合「!?」

ネロ「!?」

裁判長「……それは、また……突拍子もない事ですが、どうしてですか?」

小林「…あの手紙は、ねこ千枝さんのアルバムに挟まれていました」

小林「そして、つげ叶さんもその事については知っている様子でした」

小百合「……え?」

小林「更に、最初のページに挟まれていた大事故があった日のドイサースのチラシ」

小林「…それと、先ほどから気になっていたのですが、部屋の隅にある耳が――」

シュシュッ

コーデリア「…あっ!今何かが高速で横切りましたよ!?」

裁判長「いっ…今のは?」

北芝「…控室の中に…入って…!?」

小林(……やはり、誰かが聞いていたのか…)

ダンッ

小林(やっぱりだ。やはり、この事件には…)

小林(僕達が知り得ない。大きな闇がある!)

小林「――裁判長!もう一度言います」

小林「弁護側は、証言台に三人立たせる事を要請します!!」ダンッ

北芝「異議あり!!」

北芝「あっ…あんた!裁判の規則を根元からぶっ壊す気なの!?」

北芝「そんな…そんな事!私が絶対に許さな――」

カンッ

裁判長「…こんな事は、正直言って初めてです」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:16:54.64 ID:axKEPifE0

裁判長「証言台に三人立たせる等…しかし」

裁判長「前例が無いわけでは、ありません」

北芝「……!」

裁判長「まぁ、それはあくまで早急な判決が必要だった時の話ですが…弁護側は、何か考えがあるのですね?」

小林「……はい」

裁判長「良いでしょう。本法廷は15分の休廷の後、再審理を行うものとする!」

裁判長「その時までに、検察側は三人の証人を準備するように!」

北芝「………」

北芝「…クソッ!!」ダンッ

小林(…よしっ!これで、何とか繋げた!)

小林(あの耳は、おそらく団員の内の一人の物に違いない。彼女達は間違いなく…何かを隠している)

小林(逃げられる前に、ここで一気に叩けば――)

3号「ふん!弁護人貴様ぁ!これが私の為になるとは思うなよ!!」ボロボロ

3号「この遅刻はそもそも!貴様が余計な事をしたせいなのだからなぁ――!!!」ダンッダンッ

小林「……あ、はぁ…」

シャロ「なっ…何だか見ない内に凄い荒れてますよ!三号さん!」

小林「…うん。スーツが引っ張り跡と引っかき傷で穴だらけだね」

姫百合「審議中に一体何があったんですか…?」

カンッ

裁判長「それでは、!一時閉廷!」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:21:00.06 ID:axKEPifE0
【横浜裁判所 第二控え室  同日 某時刻】


小林「………」

姫百合「…あの、今回の裁判も…」

ネロ「相当…ヤバかったよね」

コーデリア「まさか、初っ端から有罪判決を喰らうとは思わなかったわ…」

ネロ「ねぇ、二人もどう思う?あの6人に判決を委ねられてるんだよ?」

カズミ「………」

アリス「………」

小林(…そりゃぁ、かなり不安だろうなぁ)

カズミ「…う…うぅ…」ポロポロ

カズミ「なっ…何で…何で私達がこんな目に…」ポロポロ

アリス「…!」

アリス「………」アタフタ

小林(アリスくんがカズミくんの前でアタフタしている…)

カズミ「私達…何もやってないのに…!ただ…座って楽しんでただけなのに…!」ポロポロ

カズミ「何で…!殺人犯呼ばわりされなきゃ…いけないんですか…!」ポロポロ

小林「…確かに、それはかなりの理不尽だろうね」

シャロ「………」アタフタ

小林(シャーロックもアリスくんと一緒にアタフタしている…)

小林「……今はまだ、泣く時じゃない」

カズミ「!」

小林「今回の事件、何かが後ろに隠れているのは間違いないんだ」

小林「そして次の審議の時、僕をそれを引きずり出す事になる」

シャロ「なっ…何かって、何ですか?」

小林「…その前に一つ、皆の意見を聞きたい」

ミルキィホームズ「「「「えっ!?」」」」

小林「皆は、この事件を通して何か気になる所とか疑問点とか無かったかい?」

小林「どんな些細な事でも良いから、教えてくれ」

シャロ「…あ、はい!」

ネロ「よし来た!」

コーデリア「了解です!話させてもらいます!」

エリー「……はい!」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:21:43.40 ID:axKEPifE0

小林「…ありがとう」

小林「それじゃぁ、シャーロックから」

シャーロック「はい!」

シャーロック「…団長さんは、怪盗帝国からのお誘いの手紙を断り、更に手紙を捨ててしまっています!」

シャーロック「なのにどうして、アルバムには手紙が挟まっていたのでしょうか?」


シャーロックの疑問点をメモに挟んだ!
【何故、アルバムに断った手紙が挟まっていたのか】
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:22:23.18 ID:axKEPifE0


小林「うん。確かにそれは重要なファクターだ」

小林「この事件の裏を暴く鍵になるだろう…次にネロ。君の意見を聞かせてくれないか?」

ネロ「勿論だよ!」

ネロ「あのトイズ糸の事なんだけど、照明の中に隠されているって言ってたよね?」

ネロ「そもそも、あんなものをフェザーズの二人が仕掛けられるかな?」

ネロ「もっと、このサーカスに近い人じゃないと無理だと思うんだけど」


ネロの疑問点をメモに挟んだ!
【照明の中のトイズ糸は誰のものか】
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:23:04.74 ID:axKEPifE0

小林「…確かに、トイズ糸をフェザーズの二人が仕掛けたとは、考えにくいかな」

カズミ「そんなの当然ですよ!だって!私なんて今日までそんな恐ろしいものが存在するなんて思いもしなかったんだから!」ダンッ

小林「…僕も知らなかったからね。眼球が売り買いされているのは知っていたけど…」

小林「…それじゃあ、コーデリアは?」

コーデリア「はっ…はい!」ビシッ

コーデリア「…その、シャロとちょっと被ってしまうんだけど…」

コーデリア「どうしてねこ千枝さんは、ドイサースのそれも最後の公演のポスターを大事そうにアルバムに挟んでいたのでしょう…」

コーデリア「あんな、…教官から聞くまで分かりませんでしたが、酷い大事故の事なんかを…」


コーデリアの疑問点をメモに挟んだ!
【何故、アルバムにはドイサースのポスターが?】


小林「…そう、これこそが最も重要なファクターだ」

小林「恐らく、この事件の闇はそのポスターに掛かっていると言っても良い」

コーデリア「!」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:23:31.45 ID:axKEPifE0

小林「最後にエルキュール。君の意見も聞きたいな」

エリー「あっ…はい!」

エリー「…一つ、心の奥に引っかかっているのがあって…」

エリー「…どうして、被害者は逃げ出そうとはしなかったのでしょうか?」

エリー「いくら暗闇とは言え、歯車に巻き込まれるまで…トイズを使わないでいられるでしょうか…?」

エリー「まるで…逃げ出したくても逃げ出せなかったように見えます…」


エルキュールの疑問点をメモに挟んだ!
【何故被害者はトイズで逃げなかったのか】
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:24:02.09 ID:axKEPifE0

小林「…分かった。確かにそこも、気になる点だね」

小林「姫百合くんはあるかな?一つでも疑問に思った点が」

姫百合「…そんなもの、一つしかありませんよ」

姫百合「どうして、フェザーズの二人があの場所に立っていたのですか」

カズミ「!」

アリス「!」

姫百合「…これが、誰かの罠だと言うのなら、何故この二人だったのか」

姫百合「それだけが、どうしても分からないんです」

姫百合の疑問点をメモに挟んだ!
【何故フェザーズの二人だったのか】
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:24:29.66 ID:axKEPifE0

小林「…確かに、その通りだ」

シャロ「本当です…どうしてカズミちゃんとアリスちゃんなんですか!」

ネロ「何だか益々理不尽に思えてきたぞ…!」

小林(しかしそれは、もしかしたら…)

小林(大した理由が、無いんじゃないのか?)

小林「…もしかしたら、それがこちら側の有力な武器になるかもしれない…」

エリー「…え?」

シャロ「どっどういう事ですか?」

小林「今はまだ確証はない。しかし」

小林「そう考えれば、仮説のつじつまが合うんだ」

姫百合「…仮説、ですか?」

小林「ああ。このサーカス公演には裏がある事、そしてフェザーズの二人がトイズ糸のある席へと座った事」

小林「この二つを合わせれば、おのずと二人が選ばれた意図が見て取れるよ」

シャロ「…?」

カズミ「…?」

アリス「…」

小林(…だが、今ここで確信はできない。全ては次の審議の時だ!)

小林(この事件の闇を、この裁判で全て暴いてみせる!)

カズミ「……」

アリス「……」

小林(彼女たちの、為にも!)
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:25:05.57 ID:axKEPifE0


神津「…まだ、入廷していなかったか」スタッ

小林「!っ…神津!」

アリス「!」

カズミ「ちっ違います!私たちはやってないんです!刑事さん!」ガシッ

神津「……」

カズミ「信じてぐだざい!無実なんでずぅぅ!」ビェエエエ

神津「…被告人の無実を証明するのは、弁護人の仕事だ」

小林「…何しに来たんだ?神津。何の用事もなしに来る奴じゃないだろ?」

神津「なに、被害者の新しい情報が入ったから、お前にも伝えに来てやっただけだ」

姫百合「!」

シャロ「えっ!?」

小林「被害者の…新しい情報!?」

神津「ああ。まず、死因についてだが…」

神津「被害者は即死であった事と、圧死だった事は変わらんが、歯車によるものではなかった」

小林「…え?」

姫百合「ど、どういう事ですか!?神津警視!」

神津「…被害者は歯車に巻き込まれる前、別の力で押しつぶされ、引き裂かれていた」

神津「推定すれば、巨大なローラーのようなものだ」

証拠E【丸尾椿の解剖記録】を書き加えた!
〈ローラーのようなものに巻き込まれて即死。歯車は死因に関係がない。顔にトイズで発生した矢が貫かれていた〉
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:25:57.27 ID:axKEPifE0

小林「…な、何なんだ?それは…」

神津「…現場からは、そのようなローラーは見つからなかった」

神津「恐らく、これもトイズによる犯行と考えた方がいいだろう」

小林「…この事を、北芝検事は?」

神津「当然、伝えてある」

小林(そこは黙っていて欲しかったな…)

ネロ「なんだよー!そこは黙っていてよ!使えないなー!」プンプン

神津「…俺はお前らの味方ではない」

神津「この情報提供も、平等な審議を目的として、だ」

小林(…まぁ、仕方ないか)

係員「被告人!弁護人!開廷の時間だ。直ちに入廷するように!」

シャロ「あっ!裁判が始まります!」

小林「…そのようだね」

小林「行こうか。みんな」

姫百合「…はい!」

シャロ「はい!」

ネロ「勿論!」

コーデリア「ついていきます!」

エリー「頑張り…ます…!」

カズミ「…小林さん」

カズミ「どうか!よろしくお願い致します!」

アリス「……」

小林(…よし、気を引きしめろ!小林オペラ!)

小林(この先に、どんな闇が現れようが…怯むな!進め!)

小林(僕には、こんなに頼もしい仲間たちがいるんだから…!)
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:26:41.08 ID:axKEPifE0

【横浜裁判所  第一法廷室】



ザワザワ…ザワ……

カッ!!


裁判長「これより!審議を再開する!」

裁判長「弁護側と検察側は、準備完了していますか?」

小林「弁護側、準備完了しています」

北芝「……ドウイウコトナノ...?ナンデハグルマガシインジャナイッテケツロンヲダシタノヨ?アノケンシカンナニヲカンガエ…」

裁判長「…あの、北芝検事?」

北芝「イミガワカラナイ...フツウニカンガエレバツブレタゲンインハハガルマノハズナノニナニヲコンキョニ...」ブツブツ

裁判長「北芝検事!」

北芝「きゃわァァァアアー!」ビックーン

裁判長「…検察側は準備が完了していますか?」

北芝「………はい」

小林(北芝検事も混乱してるな…)

裁判長「…よろしい」

裁判長「弁護側は、証言台に三人を立たせるとの意見ですが」

裁判長「証人の準備も完了していますかな?」

北芝「………………はい」チッ

小林(今舌打ちしたな)

裁判長「よろしい」

裁判長「それでは、係官は三人の証人を連れてくるように!」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:28:07.92 ID:axKEPifE0


小百合「……」

ねこ「……」

叶「………」

北芝「…それでは証人、名前と職業を」

小百合「……クックック!我が名は…」

裁判長「いえ、貴方の名前は聞きましたので言わなくても大丈夫です」

小百合「……」シュ-ン

ねこ「…私の名前はねこ千枝!ねこチーって周りから言われてるよ!真っ黒な魔女団ていう劇団してまーす!」

叶「…私はつげ叶と申します。四国の魔法使い劇団という劇団員をしております。どうぞお見知り置きを…」

小林(…全員劇団の名前言えてないじゃないか)

裁判長「ふむぅ…みんな違う劇団に所属しているみたいですが…」

小百合「否!私たちは漆黒の魔法団だ!」ダンッ!

裁判長「えー、ではしこくっ、しっこつ、こっせつ…」

裁判長「…同じ劇団に所属している。という事でよろしいですね?」

小林(裁判長も未だに言えてないな…)

小百合「しかり!」フンス

北芝「…そこにいる弁護人はせっかちのようでね。貴方達の証言を一気に聞くつもりでいるようなのよ」

ねこ「なんと!」

叶「…それはそれは、聖徳太子みたいなお方なのですね」ニコ

北芝「ええ。弁護人が、もう一度言うわ。弁護人がね、一気に証言を聞くというものだから」

北芝「…尋問ができなくなるくらい、どんどん証言して頂戴!」ダンッ!

小林「………」

カンッ!

裁判長「…それでは、証言していただきます」

裁判長「事件当日、貴方達は何をしていたのか!」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:29:46.07 ID:axKEPifE0

【証言開始】

叶「ショーは予定通り、11時から開始されました」

小百合「我々は実に快調に現代人共に我々の魔法を魅せていた!…奇跡の少女が舞い降りるまでは」

ねこ「奇跡の少女が始まる前に消灯するんだけど、そこまでは順調だったんだよね」

叶「再び照明がついた時には、血まみれの被告人と歯車に巻き込まれて絶命している椿さんが…」

小百合「…我が友の顔には、ゴドムとソドラの持つ光の矢が刺さっていたのだ!!」



裁判長「…なるほど。よく分かりました」

北芝「証人達は、恐らくこれ以上の情報は持ち合わせていないわよ」

北芝「それは、取り調べでも明らかだったわ」

小林「……」

裁判長「…分かりました」

裁判長「確かに、三人は同じ光景を見ていた。これ以上の情報は無いと思うのですが…弁護側は、それでも尋問を要求しますか?」

小林「…当然です」

小林「弁護側は、尋問の権利を手放すつもりはありません!」ダンッ

裁判長「分かりました」

裁判長「それでは!弁護側は尋問を行ってください!」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:30:13.90 ID:axKEPifE0

【尋問開始】


叶「ショーは予定通り、11時から開始されました」


小林「待った!」

小林「その証言は、確かですか?」

叶「…どういう事ですか?」

小林「いえ、もしかしたら…少し遅れていたり、早めていたり…とか?」

姫百合「何で疑問形なんですか」

ねこ「それは無い!」ビッシー

小百合「うむ!我ら魔法団の演武の公演を待たせる等、神の冒涜!神は時間に厳しいのだ!」ビシッ

小林「…神、とは?」

叶「スポンサーの事です」

小林「あぁ…」

小百合「なっ…何なのだ!?その憐れむような目は!?」

ねこ「しょうがないじゃん!お金いっぱいくれるんだから!」

ネロ「聞きたくなかった黒い部分が見えた!」

コーデリア「教官!ここでビシバシ突っ込み入れましょう!!」

小林「いや、ここは別に聞かなくても…」

シャロ「一体誰と誰がスポンサーなんですか!その人たちが犯人なんじゃないですか!?」ビシッ

コーデリア「そうよ!その人たちがお金を払いたくなくて殺人を――」

小林「ねぇ君達!チラシを見よう!?書いてあるから!スポンサーの名前なら!!」

叶「…投資者に、大変失礼な物言いですなぁ」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:30:39.33 ID:axKEPifE0

小百合「我々は実に快調に現代人共に我々の魔法を魅せていた!…奇跡の少女が舞い降りるまでは」


小林「待った!」

小林「…事件が起こるまでは、順調だったのですね?」

小百合「しかり!我が友の椿が織りなす綱渡り!つげが操るネジシキの曲芸!ねこちーの回る全関節!!」

ネロ「うわ…ねこちーの技すごく気持ち悪そう」

ねこ「なんだとー!股間接と肩関節をぐるぐるあり得ない方向に回しながら柱を登るって凄い技なんだからなー!!」プンプン

叶「ええ。それはとても、ゴキブリのような動きで這いまわるのです」

小百合「幼き人間と観測の女性の金切り声は、相変わらず健在であった!」

小林(これは相当気持ち悪かったらしいな…)

小百合「しかし技術は本物、ねこちーの動きに魅いられ慕うカルトが居るのは事実」

小百合「彼女は新たなる神その者となったのだ!」ドドーン

小林(かなり失礼だけど…物好きっているんだなぁ)

小林「…被害者の 丸尾椿さんは、どうだったのでしょうか?」

叶「椿さんですか?」

小百合「…我が友は、細い針の上にも一本の紐の上にも乗れる」

小百合「更には、テレポートというトイズまで持ち合わせる。我ら魔法団の中でも大きな戦力だった」

ねこ「いわゆる、王道な芸は全部椿ちゃんがやってたんだって!」

叶「…ただ、哀しきかな。あんまり人気は良く無かったと聞きます」

ねこ「だから今回、椿ちゃんの為だけに奇跡の少女を新しく採用したって訳さ!」

小百合「なっ…!それでも椿ちゃんは私達の大事な仲間だもん!」ダンッ

小百合「あっ…我が友は!例え知られなくとも、我らにとって酸素のような、いやグリモアのような存在であったのだ!!」ドドーン

小林「いえ、言いなおさなくても良いです。ややこしくなるので」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:31:06.49 ID:axKEPifE0

ねこ「奇跡の少女が始まる前に消灯するんだけど、そこまでは順調だったんだよね」


小林「待った!」

小林「事件が起こる前、消灯の前までは被害者は生きていたのですか?」

小百合「当然だ!我らがこの目でちゃんと確認したからな!!」ダンッ

叶「確かに、消灯の前はしっかりと生きていました」

ねこ「うーん、私も目視でだけど、ちゃんと立って歩いて動いてたよ?」

姫百合「…どうやら、殺されたのは照明が消えた時と考えて間違いないようです」

小林「…その消灯時間。厳密には何秒ほどの事ですか?」

叶「そうですねぇ…一応、プログラムには…1分以内には再灯するように書かれていたと思います」

小百合「奇跡の少女は天界の歯車を台車で運ぶだけの事。ほとんど時間はいらぬからな!」ダダーン

小林「消灯の前、その内に何か怪しいものとか見ませんでしたか?」

叶「…怪しい物ですか?」

小林「ええ。仮に被告人が犯人であれば、何かしらの怪しい動きがあった事と思います」

小林「どんな些細な事でも良いので、何か証言して頂いてもよろしいですか?」

ねこ「そりゃぁー無理な話だぜ!だって、私達ショーは凄く真剣に取り組んでるんだよ!」

ねこ「私達だってお互い、一言も言葉を交わさず次を待っていたのさ!」

小百合「…?」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:31:32.43 ID:axKEPifE0


→疑問を浮かべた花輪小百合をゆさぶる

小林「ちょっと!!」

小林「…小百合さん。ちょっと良いですか?」

小百合「!?」

小百合「なっ…何だ!我が何か変な事でも言ったのか!?」

姫百合「ええ。ある意味変な言葉だらけです」

北芝「記録するのも面倒くさいわ」

小林「…その、変な言葉はともかく」

小林「先ほどのねこさんの言葉に、何か思い出したような顔をしましたね」

小百合「!」

小林「話していただけますか?一体何を思い出したのかを」

小百合「…………」

小百合「…照明が落とされる前、我が友と話をしたのだ」

小林「被害者とですか?」

小百合「ああ。と言っても、禁書目録ほど大した言葉では無く、証言に転生も不可能であるが…」

北芝「…大した言葉じゃないなら、証言にする必要すらないわね」

ダンッ

小林「そういう訳にはいきません。証言してください!」

小林「照明が落とされる前、貴方は被害者と何を話していたのですか!?」

小百合「…ほっ本当に大した事は話していないよ?」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:31:59.37 ID:axKEPifE0


===回想===


椿「…………」

椿「…ねぇ、椿ちゃん」

小百合「うむ、儀式の最中に何用か我が友よ」

椿「……私ね、この劇団に入って…本当に良かった」

椿「本当に…本当に良かったの…」

小百合「ほほう、我もだ!我も君達が我が漆黒の魔法団に入団してくれた所為で、なんとも充実した――」

椿「あっ、もうそろそろだね」

パッ

椿「そろそろ…行かなきゃ」

椿「……バイバイ」


===回想===
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:32:25.72 ID:axKEPifE0


小林「………」

小百合「………」

北芝「…確かに、何の他愛の無い会話にしか聞こえないわね」

裁判長「ふむぅ…確かに、今回の事件とは何の関係も無いように聞こえますが」

裁判長「どうですかな?弁護人。この証言、重要な意味を持っていると思いますか?」

小林(……どうしようかな)


→証言に追加する

 証言に追加しない
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:32:51.65 ID:axKEPifE0

ダンッ

小林「この証言は、本法定に置いて非常に重要な証言です!」

小林「弁護側は、証言に加える事を求めます!」

北芝「はんっ!どうせハッタリでしょうが!」ダンッ

カンッ

裁判長「…いいでしょう」

裁判長「証人、先ほどの被害者と交わした言葉を証言に加えるように」


証言を追加

小百合「我が友と交わした言葉は、まるで最期の別れのようであった…」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:33:19.87 ID:axKEPifE0


叶「再び照明がついた時には、血まみれの被告人と歯車に巻き込まれて絶命している椿さんが…」


小林「待った!」

小林「…本当に、歯車が被害者の命を奪ったのでしょうか?」

叶「…どういう意味ですか?」

小百合「そんなもの…一目瞭然だろうが!」ダンッ

小百合「我が友のあの引き裂かれた身体は!どう見ても歯車に巻き込まれた事による所為のものだ!!」

ねこ「まぁ、なんだってんなら1万人以上の観客が証人になるからね」

叶「…そういう事です」

小林(…しかし、入廷する前に神津は確かに言った)

小林(被害者の死因は、歯車による圧死では無い。という事を)

小林(…という事はつまり、歯車以外の何かの圧迫で絶命したという事になるが…)

小林(それが何か分からない以上、ここに突っ込みを入れても無駄だな…)

北芝「……ソウヨ。アレハハグルマイガイノシインハアリエナイ。アリエナインダカラ…」ブツブツ

小林(北芝検事も、このことには頭を抱えているようだし)

小林「…分かりました。次の証言に移ってください」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:33:56.64 ID:axKEPifE0


小百合「…我が友の顔には、ゴドムとソドラの持つ光の矢が刺さっていたのだ!!」


小林「待った!」

小林「それは、本当に被告人の矢だったのですか!?」ダンッ

北芝「ええ。間違いないわよ」

北芝「あれから徹底的に調べて、調査の結果被告人の一人常盤 カズミが作り出す矢の物だと断定したわ」

北芝「なんなら、調書だってあるのよ」

小林「うっ…!」

シャロ「し…しかし!カズミちゃんは…カズミちゃんは…!」

北芝「はん!殺人鬼は所詮クズなのよ。それに」

北芝「トイズ糸で移動する際には、物理的なトイズの発生が必要不可欠なのよ?」

北芝「だからその時、被告人のトイズが発生していても、何一つも疑問は無い!!」ダンッ

小林「くぅっ……」

小林「うぉぉおおおおおお!!!」ガガーン

北芝「…所詮、アンタなんてその程度なのよ」

北芝「あぁーっはっはっは!!」ゲラゲラゲラ

ネロ「ぬぐぐぐ…!ちょっと小林を言い負かしたからって…!」グヌヌ

シャロ「カズミちゃんとアリスちゃんは、絶対に有罪になんてさせませんから!!」

小林(…た、確かに、トイズ糸は説明通りならばトイズが発生しないと使えない…)

小林(しかし、なら何故二人のトイズはあの時発生したんだ?)

小林(……ん?)


【暗闇の時、フェザーズの二人のトイズが発生した】

この疑問点を覚えますか?

→はい
  いいえ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 00:34:25.57 ID:axKEPifE0

→はいを選ぶ


小林(………)

北芝「まぁ、せいぜい頑張りなさい。この味方の少ない裁判の中で」

北芝「陪審員の6人も、既に心証は有罪に傾きかけてるわよ」

小林「……くっ」

小林(何か…何か、この証言で真実につながるものを見つけないと…!)
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