小林オペラ「この裁判…絶対に逆転して見せる!」

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214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:09:39.44 ID:axKEPifE0

ザワザワ…ザワ……

カンッ


裁判長「静粛に!静粛に!」

北芝「み…認められるか…!そんなの!そもそも!!」

北芝「奇跡の少女が殺害計画だった!そんな証拠は一体どこにあるのよ!!」

小林「…これは、今までの証言と証拠品を照らし合わせて導き出した、可能性です」

北芝「だったら!何の根拠も――」

小林「しかし、、まだ議論されていない証拠品なら存在します!」ダンッ!

北芝「!?」

小林「それは、この証拠品に書かれています!!」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:10:09.40 ID:axKEPifE0


→証拠D【漆黒の魔法団のチラシ】


北芝「こ…こんなチラシが!一体どうしたって言うのよ!!」ダンッ

小林「…分かりませんか?これが、この殺害計画が存在した証拠の一つになるのです」

小百合「…どういう事…だ?」

ダンッ

小百合「私は…認めない!」

小百合「こんな…!こんな!馬鹿馬鹿しい!私の友達が…私を!?殺すなんて!」ダンッダンッダン

小林「…この証拠品で、気になるのはねこさんのトイズの事です」

ねこ「!!」

小林「ねこさんのトイズは、このチラシによると触れた物を自由自在に動かせる。とあります」

小林「しかし、実際の演目では関節が自由自在に動き回る。そう言われています」

小林「…一体、そんなトイズはどこから現れているのか」

ねこ「…………」

小林「ねこさん」

小林「その手足の付け根を、一度見せて貰ってもよろしいですか?」

ねこ「…!!」

小林「その手足は、見た感じだと全て偽物。義足と義手である事が分かります」

小林「問題は、何によって手足を失ったのか」

小林「服で隠されていて分かりませんが、接合部で分かる筈です」

小林「それが先天的な物なのか、傷がついていれば事故で起こったものかどうかは」

ねこ「…く……くくっ…!」プルプルプル

叶「………」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:10:40.99 ID:axKEPifE0

北芝「…だ、だけど!」ダンッ

北芝「それが!この証人があの事件の被害者である証拠にはなり得ないわ!!」

北芝「だって、手足を失う事故なんて交通事故でもなるんだから!」ダンッ

小林「なら、ドイサースの集団自殺事件の被害者の名簿を調べてください」

小林「その中に四肢を失った少女が居る筈です。そして、その者の名前をここで、公表願います!!」ダンッ

北芝「異議あり!!」

北芝「そんな必要は…無い!!」ダンッ

北芝「何故なら…!仮に!トイズ糸を用いた計画だとして!」

北芝「この証人が犯人だというのは、あり得ない!!」ダンッ!!

小林「……どういう事ですか?」

北芝「証人達のトイズは、硬化、触れた物を動かす能力、そして黒い羽を舞わせるだけのものよ」

北芝「そして、その…トイズ…糸の!………被害者がっ…!!」

小林(…何だ?北芝検事の歯切れが…?)

北芝「…………」ハァー…

北芝「もう一つのトイズ糸の位置!それは歯車を通らなかったからよ!!!」ダンッ

小林「……!」

裁判長「きっ北芝検事!それはどういう意味ですか!?」

北芝「そのままの意味よ!トイズ糸は歯車から位置が少しズレていた!!」

北芝「人間一人分が、歯車から避けられる程にねぇ!それを!歯車で引き殺すには…」

北芝「顔に矢が刺さって、歯車の上から落ちる以外にあり得ない!!」ダンッ

北芝「つまり、殺人を犯せるのは被告人以外にあり得ないのよ!!」

小林「異議あり!!」

小林「…北芝検事、貴方、僕達に隠している事実がありますね?」

北芝「…何ですって!?」

小林「トイズ糸が歯車からズレていた。これを隠した事も問題ですが…」

小林「貴方が隠している問題は…もっと大きな物だ!!」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:11:06.91 ID:axKEPifE0

→証拠E【丸尾椿(15)の解剖記録】 を突きつける


小林「くらえ!!!」


小林「新しく更新された解剖記録によると、被害者は圧死ではあるものの」

小林「それは…歯車によるものでは無かったのです!!」ダンッ

ねこ「!」

叶「!」

小百合「…え!?それってどういう…」

北芝「異議あり!!」

北芝「そんなものは!検死官が解剖を間違えただけに――」

小林「異議あり!!」

小林「貴方は検察側の証拠品を疑うと言うのですか!?それでも貴方は検事か!!」

北芝「ぐぅぅっ…!!」

北芝「ぐぅぁあああああああああああああああああ!!!!」ガガガーン

ダンッ

小林「そう!被害者は別の凶器によって殺されたのです!!」

小林「被害者が、宙に浮いているその時に!」

北芝「異議あり!!」

北芝「だっ…だったら!その凶器は一体何だと言うの!?」

北芝「それが何なのか…弁護側は提示できるというの!?」

小林「…弁護側は、この証拠品を……」


→提示できる

  提示できない
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:11:34.03 ID:axKEPifE0

→提示できない

小林「それは…無理です」

北芝「だったら!」

ダンッ

小林「何故なら、この解剖記録はついさっき更新されたものであり」

小林「この死因が不明と書かれている以上、まだ見つかっていない物の可能性が高いからです!!」

北芝「!!!!」

裁判長「…それでは、一体どこにあるというのですか!?」


小林「…………」


小林「その為には、一度事件をおさらいしておく必要があります」

北芝「おさらい…ですって?」

ダンッ

小林「それじゃぁ皆…聞かせてくれ!」

小林「この裁判を通して気付いた、君達の重要なファクターを!!!」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:12:02.87 ID:axKEPifE0

【暴露開始】


→コーデリアの疑問点
【何故、アルバムにはドイサースのポスターが?】

小林「コーデリア!!」

コーデリア「はい!!」

コーデリア「6年前、一つのサーカス団が事故を起こしました」

コーデリア「その事故は、多くの犠牲者を出したとても痛ましいものです」

コーデリア「そして、ねこさんのアルバムに挟まれていたのは、その事件当日のポスターです!」

コーデリア「彼女が警察関係の者でない以上!このポスターが挟んであった理由はただ一つ!」

コーデリア「ねこさんと、つげさんと被害者!この三人がこの事件の被害者で――」

コーデリア「事件を引き起こした団長の娘…花輪小百合に近づき…復讐する為です!!」

小林「よしっ!!」


小百合「だから…そんなっ…信じない!」

小百合「私はっ…そんな…そんな事…絶対に!!」ダンッ

小林「…しかし、これが無視できない注意点である事は事実です」

小林「それは、彼女が説明してくれます!!」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:12:28.65 ID:axKEPifE0


→シャーロックの疑問点を突きつける
【何故、アルバムに断った手紙が挟まっていたのか】

小林「シャーロック!」

シャロ「はい!!」

シャロ「そのアルバムにはもう一つ、怪盗帝国からの手紙が挟まっていました!」

シャロ「復讐を誓った三人、その三人がその手紙をわざわざ保管する可能性は一つしかありません!」

シャロ「それは……武器です!」

シャロ「後に復讐に使えるのではないかという、脅しやマインドコントロールに使用するつもりだったのです!!」

小林「よしっ!!」

ねこ「…そんなの」

ダンッ!

ねこ「そんなの…ただの詭弁じゃん!」

ねこ「私は…!そんな!……ふざけるな!!」

ねこ「もう…もう!これ以上は止めろ!!」

小林「いえ、止める訳にはいきません!」

小林「僕達は、まだこれについての議論が終わっていないのですから!」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:13:20.26 ID:axKEPifE0


→ネロの疑問点を突きつける
【照明の中のトイズ糸は誰のものか】


小林「ネロォ!!」

ネロ「よし来た!」

ネロ「…このトイズ糸だけどさ、ついさっき色々いじってみたんだよ」

ネロ「そしたら…物凄い事が分かったんだよ。聞く?」

ねこ「………!?」

ネロ「これさ、販売経路がそもそも分かんないらしいけど、これは絶対に分からないよ」

ネロ「だってこれ、…君の眼球から作られているよね?」

小林「よs……えっ?」

小林「ぇぇぇえええええええええええええ!!!!???」ガーン

小百合「……えっ?」

ネロ「だからさ、これを化学班に持っていったりして調べて貰えば、これが君の眼球のものだって分かるんだよ」

ねこ「………っ!!!!」

ネロ「よくもまぁ、頑張って作ったよね。これ」

ねこ「…黙れ」

ねこ「黙れ…黙れ黙れぇええ!!」ダンッ

ねこ「それ以上…喋るな!!これ以上…私の…私の生きる目的を…奪うなぁ!!!」

小林「…このトイズ糸が誰の物か、これ以上議論する必要も無いみたいですね」

小林「しかし、まだ聞くべき事があります!!答えてください、ねこ千枝さん!!」ビシッ
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:14:16.08 ID:axKEPifE0


→姫百合の疑問点を突きつける
【何故フェザーズの二人だったのか】


小林「姫百合くん!!」

姫百合「はい!!!」

姫百合「何故、フェザーズの二人が選ばれたのか…それは、抽選の結果なのはそうかもしれません」

姫百合「しかし、トイズ糸の習性から物理的の物でしか引っかけ移動する事ができない…」

姫百合「だから貴方達は、物理的なトイズが使用できるフェザーズの二人を選んだのです!」ダンッ

姫百合「そして!被害者の顔に刺さったあの矢は!」

姫百合「強制発動の時に、必然的に放たれた飛び先だったのです!!」

小林「よしっ!!」

北芝「ぶっ…物理的な…トイズだから…何……!!」

北芝「あっ…ああああ!!」ガガーン

小林「…そうです。このサーカス団には他では珍しく、トイズ席が設けられていました」

小林「普通はトイズ持ちの人は割高になる事も多いのですが、ここでは逆にトイズ割りというものを実施していたみたいですね?」

小林「つまり…貴方達は探していたんですよね?」

小林「冤罪を着せる、被告人になりえる人物を!!!」ビシッ

小百合「…っ!!!!!!」

叶「…………」

ダンッ

ねこ「もう…もうやめろ!喋るな!!」

ねこ「その口を閉じろ!私は…私はまだ…!!!!」

小林「…これで最期です」

小林「さぁ、聞かせてくれ!もう一つの…最期の重要なファクターを!!」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:15:13.08 ID:axKEPifE0

→エルキュールの疑問点を突きつける
【何故被害者はトイズで逃げなかったのか】



小林「エルキュール!!」

エリー「はい!!」

エリー「…被害者である椿さんは、計画の参加者でした」

エリー「当然…殺害計画の内容は把握していたと思われます…」

エリー「だからこそ…!被害者はトイズで逃げなかったのです…!」

エリー「被害者は…団長さんの親友でした…!かけがえの無い親友だと思っていたのは…団長さんだけではありませんでした…!」

エリー「だからこそ!被害者は…暗闇の中だからと…団長の代わりに殺されたのです…!!」

エリー「大切な親友を…守る…為に…!!」

小林「よしっ!!」

小林「これらを全て聞いた上で導き出した答えは!先ほど申した通り殺害計画があったという事」

小林「そして、証拠品は全てサーカスの中にある…」

ダンッ

小林「僕達にそう思われる事を、”知っていた”という事です!!」

北芝「!?」

ねこ「………!!」

裁判長「どっどういう意味ですか!?」

小林「彼女は、テントの中を調べつくされる事を知っていました」

小林「だからこそ、隠しているのです。今もなお、本当の凶器を!」ダンッ

北芝「なっ…なんだと…!?」

カンッ

裁判長「いっ一体!どこにあるというのですか!?」

裁判長「その、本当の凶器というのは!!」


→テントの中

  控室の中

  法廷の中
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:15:43.95 ID:axKEPifE0

→法廷の中を選択


小林「それは…法廷の中です!!」

北芝「なっ…!法廷の…中ですって!?」

ダンッ

北芝「そんな!人間一人を捻りつぶしそうな大きな道具なんて!法廷の中には無い!!!」

小林「しかし!ちゃんと存在しているのです!」

小林「今!僕達が居るこの法廷の中に!!」

シャロ「!?」

ネロ「!?」

コーデリア「!?」

エリー「!?」

姫百合「!?」

北芝「!?」

ザワザワ…ザワザワザワザワ

カンッ

裁判長「…それは、どこにあるというのですか?」

裁判長「ただちに、場所の提示を要求します!!!」



→裁判長席

  検事席

  証言台
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:16:13.70 ID:axKEPifE0

→証言台を選択


小林「……ねこさん」

小林「前から思っていたのですが、その胸にぶらさげた袋の中に、何が入っているのですか?」

ねこ「………っ!!!」

小林「その大きさからすると」

小林「このトイズ糸の一つくらいは入りそうな大きさですよね?」

ねこ「……あ…あ………」

小林「ねこさん」

小林「その袋の中身を、今ここで提示してください」

ダンッ

小林「もし、関係無いのなら謝罪します」

小林「その中に入っているのは…、今回使用されたトイズと関係がありますね!?」

ねこ「…や……やめ…て…」

小林「トイズ糸が作れるのならば!他の物も作れる筈です!」

小林「自分と違うトイズを発生させるなら、違う人物の眼球を使えば良い!そう!」

ダンッ

小林「その中に入っているのは…違うトイズを発生させる”眼球”です!!」

小林「…もし、違うと言うのでしたら、その中身を裁判に提示してください」

小林「すれば、貴方の疑いは全て晴れます!!!」ダァーン!!!
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:16:39.64 ID:axKEPifE0


ねこ「……………」

ねこ「……私の…私の……生きる目的……」

ねこ「私から…全部奪った…あいつを………!」フラフラ

ねこ「…死んでしまったあいつの…復讐が……!!」フラフラフラ

ねこ「娘を…あいつを……殺せば……!!」フラフラフラフラフフラ

ねこ「私の…家族の……復讐が……!!」

バッ!!

ねこ「!?」

メラメラメラメラ

ねこ「あ……あああ…!火…火!!」  ダン! ダン! ダン!!

ねこ「あああ!も…燃えてる!爆発してる!!ああ…!天井が倒れてくるよ…!!」

ポロッ ガラガラガラ

ねこ「ああああ!右脚が…!お父さん!燃えてる!動いて!動いてよ!お父さんの身体が燃えているんだよ!?」

ポロッ ギギギギギ…

ねこ「ああっ!…左脚…!お姉ちゃん!ねぇ…お姉ちゃん!血まみれだよ!?起きて!起きてよ!助けて!助けて!」

ポロッガガ…ガガガガガ…

ねこ「ああ…左腕ぇぇ…!お爺ちゃん!ねぇお婆ちゃん!お爺ちゃんがバラバラだよ!?…何で?何でお婆ちゃん頭が無くなってるの…!?」

ポロッギギ…ギギギギギギギギ

ねこ「右腕……お母さん…お母さん!ねぇ!?何で!?私、もうすぐお姉ちゃんになるんだよ!?お腹の中に私の妹が居るんでしょ!?」

ねこ「何で…!?死んじゃ駄目だよ!だって、私!まだ…皆と一緒に居た……い………」

メラメラメラメラ……

ねこ「……ああ…身体の糸が…絡まって……動き……が……」

ギギギギ……

ねこ「……………」

ブッツン

バラバラバラバラバラバラバラバラ………

…………

……


【暴露完了】
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:17:07.89 ID:axKEPifE0


===回想===

ねこ『ねぇねぇお母さん!今度の誕生日、ドイサースのサーカス行こうよ!』

お母さん『そうねぇ。…でも、取れるか分からないからねぇ』

ねこ『えー!?でも、これを逃したらもう無いんだよ!?だって、ドイサースも今回が最期の公演だって言ってるし!』

お姉ちゃん『ふふ、そうしたら千枝、もうドイサースのサーカス見れないね』

ねこ『そうだよ!だから私、ドイサースのサーカスに行きたい!』

お母さん『はいはい。それじゃぁお父さんにお願いしてみるから、ちゃんと良い子で居るのよ?』

ねこ『本当!?やったー!じゃぁお爺ちゃんとお婆ちゃんも連れてって良いよね!?』

お姉ちゃん『あらら…これじゃぁ、お父さんのお財布が可哀想な事に』

お母さん『でも、折角千枝の誕生日なんだもの。こういう日くらいは奮発してあげないと。ね?』

ねこ『うん!』

お姉ちゃん『もう、お腹に赤ちゃん居るんだから、こういうのは妹で我慢しなさいって言うものだよ』

お母さん『それでも、半年先だから…ね』

ねこ『わぁい!お母さんも、みんなも!だーいすき!!』
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:17:35.09 ID:axKEPifE0




ねこ『…やだ…助けて……』

ねこ『死にたく…ない…。まだ…死にたく…ないよ……』

ねこ『……お母さん…お父さん…お姉ちゃん…お爺ちゃん…お婆ちゃん……』

ねこ『…誰か…誰か……助けてっ!!』

ティロン


===回想終了===
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:18:02.14 ID:axKEPifE0


裁判長「…………」

小林「…………」

小百合「…………」

叶「…どうやら、全てを話す日が来たようですね」

叶「ええ。確かに私達は、ドイサースの娘、花輪小百合さんを殺す為に漆黒の魔法団に入団しました」

小百合「……っ」

叶「動気は、先ほど申してくれたように、ドイサースへの復讐です」

叶「椿さんは、あの事故で兄を失くし、私は両親を失くして」

叶「ねこさんは……”全て”を失いました」

小林「全て…ですか」

叶「はい。両親を含めた全ての家族、そして両手足を失っています」

叶「その時に得たのは、トイズたった一つです」

ねこ「………」

叶「私達三人が出会ったのは、およそ一年前」

叶「出会ったのは、本当に偶然でした。三人とも、あの事件の被害者で大切な人を失った者同士でしたから大層驚きました」

叶「そして半年後…あのドイサースの娘が地下劇場でマジシャンをしている事を私達が聞きつけ、奴の娘の殺害計画が立ちあがりました」

小百合「………」

叶「最初は、椿さんも花輪さんに憎悪を向けていて殺意がありましたが、彼女の反応と人格。そして私達に対する想い等で心が変わってきました」

叶「私も、あんな事件を起こした娘が、こんなにも良い子だったなんて思いもよらなかったのです」

小林「……つまり、最期まで殺害計画を行おうとしたのは、ねこさんだけだと」

叶「それは…そうかもしれません。ねこさんが一番、失った物が多すぎましたから」

叶「もう…引くに引けない。そんな心意気さえ感じましたのです」

ねこ「……………」

ねこ「……生きる…目的だったんだよ」

小林「!」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:18:44.52 ID:axKEPifE0

ねこ「…あの男の…娘を…同じ方法で…」

ねこ「皆が見ている前で…大勢の前で………同じように殺すのが……」

ねこ「私の…たった一つの生甲斐だったんだ……!」ギリギリ

ダンッ!

小林「しかし、貴方も迷っていたのではないですか?」

小林「そんな、憎悪の為に動いていたというのなら…アルバムにこんなに写真を載せたりはしません!」

小林「中には個人の写真も、4人で仲良く撮っている写真もあります!そして、その撮影者は貴方だった!」

小林「なら、貴方も悩んでいた筈だ!そして、分かっていた筈です!ドイサースと彼女とは、違うという事を!」

ねこ「……そんな綺麗事がまかり通るくらい、もう私は綺麗な身体じゃ無くなっているんだよ…」

ねこ「私のこの袋…ね。見る?この中には…」

ねこ「私の…”たった一人の家族”が…入っているの…」ゴソゴソ

スッ

小林「!?」

北芝「っ!?」

小百合「…!!」

裁判長「…なっ!?そっ…それは!?」

裁判長「胎児のようなものに…肥大化した眼球が!!」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:19:12.49 ID:axKEPifE0

ねこ「…私のね、生まれてくる筈だった…私の妹なのよ」

小林「…ま、まさか!貴方はそれをいつも持ち歩いて…!?」

ねこ「凄いんだよ…?妹…智以ちゃんはね?たった6歳でトイズが発動したのよ」

ねこ「本当に…凄かった…。だって…この子のトイズは…」

ねこ「…視界に入ったどんなものも、全て捻り潰す能力だったんだから…!」グッ

小林「!!」

姫百合「!!」

ねこ「だから……これが、最期のチャンスだ」

ねこ「ここに居る皆……全員…!捻りつぶして!智以!!」グッ

ブンッ!!

北芝「!!」

裁判長「うっ…上に!?ぶん投げました!?」

小林「……くっ!!」



△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:19:39.42 ID:axKEPifE0

→Rエラリー姫百合


小林「姫百合くん!!」

姫百合「はい!!」ティロン♪

ねこ「…………」ブンッ

姫百合「きゃぁっ!?」ビチャッ

コーデリア「!?」

小林「タバスコ!?」

シャロ「ヒメちゃん!」

姫百合「くっ…あぁっ…!!」ビリビリビリ

小林「…っ!!」


△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:20:06.41 ID:axKEPifE0


→△シャーロック


小林「シャーロック!!」

シャロ「はい!!」ティロン♪

フワァ…

裁判長「!胎児が…落ちてきません!」

小林「良いぞシャーロック!そのまま胎児の目を天井に向けるんだ!」

シャロ「はい!ムムムム…!!」プルプル

ねこ「………」ユラァ…

ビュンッ!

小林「!!」


△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:20:32.73 ID:axKEPifE0


→□コーデリア


小林「コーデリア!」

コーデリア「はい!」ティロン♪ パシッ

コーデリア「これは…!針!?」

ネロ「シャロの眼球を狙っていたの…!?」

ねこ「………」パキリッ

小林「…え?」

コーデリア「腕を…外して…?」

ねこ「……」スッ

ゴォッ!

小林「!」

ネロ「肩で、証言台を持ち上げた!」

小林「そうか…!トイズは!触れた物を自在に動かす事のできる能力!」

ねこ「…」ブォォンッ!!



△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:21:00.07 ID:axKEPifE0

→×エルキュール


小林「エルキュール!!」

エリー「は…はい!!」ティロン♪

バッ

バッキャァアアアアアン!!

ねこ「……!」

コーデリア「やった…!エリーが盾になってくれたおかげで!証言台が!」

シャロ「あ…ううぅ…!」プルプルプル

シャロ「もう…限界ですぅぅう…!!」プルプルプル

小林「!」

コーデリア「シャロ!待って!」

姫百合「シャーロックさん!お願いです!もう少しの辛抱を――」

シャロ「あっ――――」フッ

エリー「あっ…あ!」

ネロ「アレが!落ちてくる!」

小林「―――!!」


△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:21:34.05 ID:axKEPifE0


→○ネロ


小林「ネロォ!!」

ネロ「ぬぅうっ…!こうなったらヤケだ!!」バッ

ティロン♪   バチバチバチ

叶「…無駄です。智以の目は、夜目にも効きます。だから、暗闇の中でも椿さんを、殺せたのですよ」

ネロ「……だったら、こうするまでさ!!」カッ!

バァアッ!!

ねこ「かっ…!!」

姫百合「きゃぁっ!この…光!」

シャロ「まっ眩しすぎて何も見えません!!」

ネロ「これだけ眩しかったら…アイツもしばらく何も見えないだろうさ!!」バチバチバチバチ

フッ

ねこ「あっ…あっ!智以!」タッタッタッタ

グシャッ

ねこ「…………あ」

ねこ「…………智以」

ねこ「………」

ねこ「…………死んじゃった…」スゥ…


「……」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:22:03.30 ID:axKEPifE0


カンッ!!




裁判長「…係官は、すぐに証人を拘束するように」

裁判長「そう、今すぐに!!」

係官「…は、はい!了解しました!」タッタッタ

ガシッ

叶「…どうやら」

叶「これで本当にお終いみたいですね」

ねこ「…………」

小百合「…………」

叶「……でも、これで良かったのかもしれません」

叶「…小百合ちゃん。私は、貴方と友達でいれて本当に良かったと思っています」

ねこ「………」

叶「こんな計画、私と椿ちゃんが…全力で止めていれば…きっと」

叶「まだ…貴方と友達で居れたのかもしれませんね」

ねこ「………」

係官「ほら!立て!歩くぞ!」

ねこ「…」フラ

叶「…いえ、私は止められなかったのだから、どのみち本当の友達には…なれなかったのでしょう」

叶「さようなら…小百合ちゃん。どうか、お元気で…」

小百合「…………ぁ」

小百合「……」

小百合「…………っ!」

ダンッ

小百合「待って!!」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:22:47.89 ID:axKEPifE0

ねこ「……」

叶「…!」

小百合「私のお父さんが…!とても…酷い事したのは……私が謝っても許される事じゃ…無い…かもしれない…」

小百合「…でも!私は!…皆の事!友達だと思っている!」

小百合「今までも!そして、今でも!」

ねこ「………」

ねこ「…」

小百合「だから……私!二人が戻ってきても分かるように!今よりずっと!ずっと頑張るから!」

小百合「だから…戻ってきて!!」

叶「…!」

小百合「ねこちーの新しい生甲斐なんて、私が!私達が作るから!!」ジワッ

小百合「だから…!また、一緒にサーカスをやろう!」ポロポロポロ

ねこ「……」

ねこ「…!!」

小百合「だって!私達は…友達…なんだから!!」ポロポロポロ
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:23:13.81 ID:axKEPifE0

ねこ「……何…言ってるんだよ…本当に…」

ねこ「私は…貴方を…花輪……小百合ちゃんを…殺そうとしたんだよ…?」

ねこ「もう…生甲斐が…無くなって…殺す事も……無い…のに…」

ねこ「親友を…奪った……のに……」ポロポロポロ

ねこ「…私…ただの…馬鹿…だったのに…!」ポロポロ

ねこ「こんな…!こんな大切な物が…近くにあったのに…今になってようやく…ようやく気付くなんて…!」ポロポロポロ

ねこ「いや…違う。気づいてたんだ。気づいて…気づいて気付かなかったフリをしてただけなんだよ…!!」ポロポロ

ねこ「それを…今になってようやく気付くなんて……」

ねこ「私は……そんな馬鹿野郎…なのに……!!」ポロポロポロ

ねこ「う…ううぅ……うわぁぁぁぁぁぁ……ぁぁぁぁぁ……」エグッエグッ グスッグス


……………

………
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:23:39.41 ID:axKEPifE0


裁判長「……それで、先ほどの証人は…」

係官「はっ!先ほど、留置所へと届けられました!」

裁判長「……よろしい」

裁判長「私達は、ようやくこの事件の本当の真実にたどり着きました」

裁判長「それはここに居る全員、陪審員の皆も納得済みです」

北芝「…ぐっ…ぐぐぐぐっ……!!」ギリギリギリ

小林(納得していないのが一人居るな)

北芝「こっ…この…!小林…オペラァァ…!!」プルプルプル

北芝「またしても…この私に…敗北をぉぉおお……!!」ギリギリギリ

北芝「ぐ……ううぅ………あ…あ……」ガタガタガタ

北芝「ぎゃぁぁあああああああああああああ!!!!!」ガラガラガラガラ  バッターン

グサグサグサ  ザクッ  ギャァァアアアアアアアアアア!!

「……………」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:24:16.48 ID:axKEPifE0

小林「…今、色々刺さる音がしましたが、大丈夫なんですか?」

裁判長「…どうやら、今回のダンボールは彫刻等が入っていたようです」

裁判長「検察側は伸びてしまったようなので、ここで判決を下してしまいましょう」

裁判長「それでは!これより判決を――」


「待った!!」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:24:43.08 ID:axKEPifE0


5号「…その判決、ちょっと待って貰おう」

裁判長「…貴方は、陪審員5号さん?」

姫百合「また、山本がとか言うつもりですかね?」

5号「今回の裁判、全て拝見させて頂きましたが」

5号「…やはり、私は間違えている事に今、気づきました」

裁判長「…まぁ、確かに今回の裁判に山本さんという人物は存在しな――」

5号「いえ、そちらの方ではなく…」


バッ


J・ファントム「私の、過去の過ちにです」

裁判長「……え?」

小林「………あっ!!おっ…お前は!!」

アリス「……おっ…お爺ちゃん!?」

小林「怪盗!J・ファントム!!」

姫百合「……え?」

ミルキィホームズ+カズミ「「「「「ぇぇぇうぇええええええええええええええ!!!!!」」」」」ガガーン
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:25:10.29 ID:axKEPifE0

J・ファントム「…私はあの日、探偵オペラに負けて逃げ出してしまった」

J・ファントム「いや、あの時は負けたとは思っていなかったのです。何せ…」

J・ファントム「我が弟子、ドイサースの最期の公演についての、真実を奪う仕事だったのですから」

小林「!!」

裁判長「ど…ドイサースですって!?」

J・ファントム「はい。この裁判にも出てきたと思います」

J・ファントム「あの日、…彼が自殺する前日、彼は確かに言いました」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:25:37.52 ID:axKEPifE0



===回想===

J・ファントム『…おい、何だこの火薬の量は…?』

ドイサース『……来てくれましたか。師匠』

J・ファントム『おい、一体何のつもりだ?それに、この火薬の量は…?』

ドイサース『…これは、今回のサーカスに使うものですよ』

ドイサース『私は、今回のサーカスで全てを終わらせるつもりです』

J・ファントム『…一体、何をするつもりだ?』

ドイサース『娘を守る為ですよ』

ドイサース『裏の世界の奴らが、私の眼球と娘を狙っているのはご存知の筈でしょう』

ドイサース『今回、このショーの後に取引をする事になっていましてね。奴らもここを見に来る筈なんですよ』

ドイサース『一応、客として参加している…と、言っていたものですからね』

J・ファントム『…きっ貴様!それで観客もろとも奴らを殺す為に…この火薬の量を!?』

ドイサース『…仮に殺せなくても、身よりが居なくなった娘は孤児院で守られます』

ドイサース『あの卑劣で少女を穢れた道具としか思っていない奴に奪われるくらいなら…』

ドイサース『闇の世界に落としてしまうくらいなら…ね』

J・ファントム『だが!お前のショーを見に来る客は!?そいつらは何の罪も無いぞ!!』

ドイサース『師匠…貴方も子供や孫が居るなら分かるでしょう』

ドイサース『親は…子供の為なら、悪魔にだってなれるんです』


===回想終了===
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:26:07.85 ID:axKEPifE0

J・ファントム「…そして、私は奴の暴行を止める事ができなかった…」

J・ファントム「せいぜい、観客の被害を最小限控える為に、引率するしか…無かったのだ」

J・ファントム「…幸か呪いか、裏世界の奴らは全滅していたがね」

小林「…一体、彼は何をしていたのですか?」

J・ファントム「分からない…だが、裏世界の奴には目をつけられていたのは間違いない。トイズ糸の材料にするつもりだったのだろう」

J・ファントム「だが、奴を狙う裏世界の奴らは…まだ残っていたのだ」

J・ファントム「私は、そいつらからドイサースの残した大切な宝を…娘を守る為に、今までに暗躍していた」

アリス「…………」

小林「……では、あの時僕と対峙していた、あの時の事件の目的は――」

J・ファントム「……そうだ。ドイサースの遺産のものだ」

小百合「…!」

J・ファントム「だが、後一歩のところで小林オペラ…お前に邪魔をされたのだったな」

J・ファントム「……しかし、もういい…もういいのだ」

スッ

J・ファントム「今までに、ずっと奴の尻拭いをしてきたが…、もう、それもこれで終わりだ」

J・ファントム「奴を狙う裏世界の奴らも、もう居ない。娘を狙う奴も、もう居ない」

J・ファントム「…これからは、罪を償う時だ」

カッ

J・ファントム「裁判長!この裁判が終わった時、私はすぐにでも拘束してくだされ!」

J・ファントム「私は全ての罪を認め!小林オペラに負けた事も認める事とする!!」

小林オペラ「…………」

J・ファントム「かの娘が、これほど立派な女性に育ってくれたのなら、もう私が心配する事も無いからな」

小百合「…………」

J・ファントム「そしてアリスよ…すまなかった」

J・ファントム「弟子の娘に執着するばかりか、孫娘を窮地に陥るようなこの老害を…どうか、許してくれ」

アリス「……………」

J・ファントム「それでは裁判長、この審議に終わりを――」

アリス「お爺ちゃん!」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:26:36.81 ID:axKEPifE0

J・ファントム「…!」

アリス「…また、帰ってきた時には…」

アリス「今までのお話…全部、聞かせて」

アリス「お兄ちゃんと一緒に、全部、聞くから…!お爺ちゃんの活躍を、…全部!」

J・ファントム「……………」

J・ファントム「…アリス、あまり老人を泣かせるな」

J・ファントム「……だが、ありがとう」


カンッ!


裁判長「これより!常盤 カズミと明神川 アリスに判決を下す!!」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:27:31.52 ID:axKEPifE0



 
       無         罪    




248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:27:57.94 ID:axKEPifE0




ワーワー! キャー!!  ワーワーワー!!  ワー!!



裁判長「それでは!これにて閉廷!!」




カンッ!!!



249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:28:24.85 ID:axKEPifE0

【横浜裁判所 第二控え室  12月02日 午後3時11分】


小林「…………」

小林(…やった…んだよな?)

小林(…勝った…んだよな?)

小林(…本当に、この瞬間だけは、実感が湧かないな…)

小林「…はは、ははは……」

カズミ「小林さんんん!!!」ダダダダダッ

ギュッ

小林「うっうわ!」

カズミ「あり…ありがとうございます!本当に…本当に!私達の無実を証明してくれるなんて!!」

カズミ「本当に…さすがは!名探偵!ミルキィホームズの生みの親!!本当の恩人です!!」

シャロ「ぜんぜぇえええええ!!!」ダキッ

シャロ「やりまじだぁああ!!勝ぢまじだぁあああ!!ぜんぜぇえええ!!」ビエエエエエエエエ

ネロ「やった!また勝った!もうこれで、負けなしって感じだよ!ねぇ小林!」ダキッ

エリー「小林さん…う…ううう…!!」ポロポロポロ

コーデリア「また…また!勝ってしまいましたね!教官…教官!」ダキッ

小林「みっ…皆……」

姫百合「…今回の裁判の、勝訴…おめでとうございます」

姫百合「これでまた、冤罪から依頼人を助けられましたね」ニコッ

小林「姫百合くん……」

アリス「………………」

小林「…あっ!明神川くん」

アリス「………小林さん」

アリス「…今までの無礼…本当に申し訳ありませんでした!」ガバッ

アリス「今の今まで…助けてくれていたのに…!とても…とても失礼な態度を取ってしまって…!」

アリス「もう本当に…何てお詫びすれば良いか…!」

小林「いや、そんな事はいいよ。僕だって君達の無実を証明出来た事が、一番嬉しいんだから」

小林「勝ったのに、そんなに申し訳なさそうな顔をされる方が…ちょっと、かな?」

アリス「あっ…ごっごめんなさい!」バッ

カズミ「もーアリス!小林さんが嫌がっているのは、そういう態度だよ!」ガバッ

カズミ「もっとこうやって笑っていれば良いんだよ!イーって!」ギュゥゥゥ

アリス「イ…イイイイ〜〜」ギギギギギギ

小林(指で……)
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:28:51.65 ID:axKEPifE0

シオン「ああ…アリス!アリィイス!!」ババッ

カズミ「あっ…!シオンさん!」

小林「あ…どうも。このたびは――」

シオン「僕は信じていたよ…アリスが無実だって事を!!」ガシット

シオン「そりゃぁそうさ!こんなに可愛いアリスが人を殺す筈無いじゃないか!なぁ?皆!」ガバッ

アリス「おっお兄ちゃん……」

カズミ「……え、私は?」

シオン「さぁ、裁判で疲れただろう?今日はもう帰ってゆっくり休みなさい」

シャロ「あっ!ちょっと待ってください!これからカズミちゃんとアリスちゃんの為の打ち上げがあるんですよ!」

コーデリア「そ…そうです!まだ連れて行かないでください!」

ネロ「そうだよ!今日”も”小林に奮発してもらうんだからさ!」

小林(どうしよう…僕も帰りたくなってきたぞ…)

シオン「…ん?貴方は…確か、アリスの弁護士の……」

小林「……いや、昨日挨拶しましたよね!?さすがに忘れてませんよね!?」ガーン

シオン「…はは、冗談さ」スッ

シオン「今日は、アリスとカズミちゃんの為に、全力で戦ってくれてありがとうございました。…小室オイラーさん」

小林「……いえ、それに関してはおめでとうございますとしか申し上げられません」

小林「ですが、僕の名前は小林でオペラです。」

シオン「これは失礼いたしました。小野オクラさん。このたびは、是非謝礼金を払わせていただきます」キラッ

小林(…僕の名前って、そんなに覚えにくいのだろうか…?)
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:29:25.78 ID:axKEPifE0

小百合「……………」ズーン

小林「……ん?」

小林「うっうわぁ!花輪さん!?」ビクゥッ!!

小百合「…………」

小百合「…その」

小百合「……我が団員が…迷惑を…か、かけて……」

小百合「も…申し訳…な……」ブワッ

小百合「ふぇ…うぇぇえええええええええええん!!!」ビェエエエエエエエ

小林「えっ……えっ!?」

シャロ「どっどうしたんですか!?団長さん!!」

小百合「ヒグッ…!お父さんが…自殺…して…!裏の世界…とか…!団員に…色んな人に酷い事して……」

小百合「私…私…やっぱり、一人ぼっちなんだ……!!」ポロポロポロ

小百合「これからも…ずっと、友達もできずに一人なんだ……!!」グスッグス

小百合「ううぅ……ぐすっ……うううううううう」ポロポロポロ

小林「……………」

小林「……いえ、きっとそんな事はありませんよ」

小百合「……?」

小林「だって、貴方はさっき言っていたではありませんか。友達だからと、ずっと待っているからとも」

小百合「……………でも、」

小百合「きっと…ねこちーも叶ちゃんも……もう…私に会いたくない……って……!」ブワッ

小林「そんな事はありません。それは――」

小林「この証拠品を見れば、明らかです」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:30:05.41 ID:axKEPifE0


→証拠G【アルバム】


小林「くらえ!」


小林「…これは、紛れもなくねこさんのアルバムです」

小百合「……?」ポロポロ

小林「最初の方こそ、貴方のお父さんに対する憎悪に対してしか無かったかもしれません」

小林「しかし、最期のほうまでめくっていってください。すると、最初の方とは違う物が沢山あります」ペラ

小百合「……あっ!」

小林「そう、日付が進むたびに彼女達の笑顔も増えているのです。それも、心の底から笑っているものばかり…」

小林「丸尾さんも、貴方を守ろうと命を投げうってでも守ろうとしました」

小林「叶さんも、貴方の事を友達だと思っていました。ねこさんも最期には迷いました」

小林「貴方のお父さんも、貴方を守る為に悪魔に魂を売りました。そしてJ・ファントムも…貴方を守る為に今までずっと戦ってきました」

小林「誰も、貴方が一人ぼっちだと思わない筈です」

小百合「…………」

小百合「……」ゴシゴシ

キッ

小百合「…我が名は、漆黒の魔術師(ダークシュタインズ)だ…!」

小百合「仲間達と出会ったその時も!漆黒の魔術師(ダークシュタインズ)だ!!」

小百合「これは、永遠の別れですらない!仲間はいずれ戻ってくる!」

小百合「父の命の下に!我の守護神J・ファントムに感謝の念を!」

小百合「我は生きて行くだろう…」

小百合「私の大切な、大切な人たちの光として!!永遠に!!」

小百合「フハーハッハ…フハーッハハッハハハハハハハ!!!」タッタッタッタ

姫百合「…行ってしまいましたね」

小林「ああ。…彼女なら、きっと大丈夫さ」

小林「どんな困難にだって、立ち向かっていける…。そう、J・ファントムも言っていたからね」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:30:50.14 ID:axKEPifE0



パチパチパチパチパチ


パチパチ



ネロ「あれ?何この拍手の山…」

シャロ「……あっ!」

アンリエット「今回の裁判、大変見事な物でした。小林さん」パチパチパチパチ

シャロ「アンリエット会長!」

姫百合「…と、後ろに居るのは…ホームズ学院の生徒達…ですか?」

アンリエット「ええ。今日の講義は小林さんの裁判の見学。それに徹底していたのです」

アンリエット「おかげさまで、有意義な授業ができました。本当に、おめでとうございます小林さんと、ミルキィホームズ」パチパチパチパチ


おめでとー! おめでとう小林先生!!

勝訴おめでとー!!  大好きー!!  結婚してー!!


小林(…と言う事は、傍聴席の半数以上がホームズ学院の生徒達だったのか…。僕もよく気付かなかったな…)

コーデリア「…今二人ほど、教官に告白した奴が居るわ!?」ピキーン

アンリエット「…まぁ、そういう事で」

アンリエット「今回も、フェザーズのお二人の勝訴込みで、小林さんの勝訴を称えるパーティを開きたいと思っています」ニコッ

カズミ「わっ…私達の無実がおまけ扱い!?」ガーン

アリス「まぁ、ほとんど小林さんのおかげだから…」

シャロ「アンリエット会長ー!!私達も頑張りましたー!!」ブンブン

ネロ「そうだぞ!小林を称えるなら、僕達も称えろー!!」ペチペチ

姫百合「ちょっと…図々しすぎませんか…?」

小林「…いや、今回も彼女達がいなければ解決できない事件だったよ」

小林「だから、…その、できるならそういうパーティには僕…欠席したくて」

アンリエット「駄目です」ニコッ

小林「…さいですか」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:31:17.13 ID:axKEPifE0

アンリエット「もう既に石流先生が今回の裁判の勝訴パーティの準備を仕上げている頃ですから」

小林(…石流先生、本当に大丈夫なのかな…?)

根津「今頃、石流先生は過労でミイラになってる頃だぜ、そろそろ行ってやれよ」

小林「根津くん…」

二十里「そう!僕も先ほどまで僕の為に華麗な装飾を手伝っていたのさイエスベリベリワーン!!」グルグルグル

根津「そして俺が、所々に張られたこいつの全裸が描かれたシールと写真を全部撤去してきたって訳だ」

小林(それは凄く大変だったな…)

根津「だから、いやいや言ってないでとっとと出席しろよナヨナヨ先生」

根津「…あんた以上に分かりやすく授業してくれる先生なんて、他に居ねぇんだから…」ボソッ

小林「…ん?何だって?よく聞こえなかったんだけど」

根津「うっ…うるせぇ!!やっぱてめぇなんか祝ってやんねー!!とっとと帰れ!!」クワッ!

アンリエット「…根津くん?」ニコッ

根津「ヒッ」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:31:46.79 ID:axKEPifE0

「小林先生も行きましょうよー!」  

「そうそう!今回の裁判!もっと色んな事が聞きたいです!」グイッ

ネロ「!」

コーデリア「!」

小林「うわっ!そんなに引っ張らな――」

コーデリア「このっ…教官を引っ張らないで!!」ギギギギギ

ネロ「そうだよ!僕の小林を取るなぁー!!」ギギギギギギ

エリー「小林さんを…取られたら…また…私達……!」グググググ

小林「痛たたたたた!!待って!板挟みになってるから!一回離して!ねぇ!?お願いだから!!」

ネロ「シャロも加勢してよ!このままだと小林取られてまた僕達の地位がダダ下がりだよ!!」

シャロ「え”っ!?…先生が取られる何て、そんなの嫌でずぅううううう!!!」ガバッ

小林「うわあああ!!シャーロック…顔にしがみつかないでくれっ!!」

「何よー!あんた達の小林先生じゃないでしょー!?」

「あんた達ばっかり独占してー!ズルイのよこのダメダメホームズー!!!」

ネロ「むぅぅうううううう!!!」

コーデリア「ぬぅぅうううううううう!!!!」

姫百合「うわぁ…」

根津「うわぁ…」

カズミ「あの中に入っていく勇気は無いなぁ…」

アリス「真ん中の小林さん、凄いダメージそうですね」

アンリエット「…ふふ、本当に、小林さんが居ると賑やかで面白い事になりますわね」ニコニコ
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:32:16.78 ID:axKEPifE0

小林「…………」ギギギギギ

小林「……ちょっと、一言だけ良いですか?」

ネロ「勿論!言ってやりなよこいつらに!」

コーデリア「教官最大の武器!見せてやりましょう!」

エリー「私達と一緒に…戦ってきた……」

姫百合「その言葉で、何度も誰かを助けてきた」

カズミ「勿論私達も助けて貰った!」

アリス「真実を…貫き勝ちとる言葉……!」

シャロ「折角なので、皆で言っちゃいましょう!!」

小林「それじゃぁ、遠慮なく………」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:32:52.79 ID:axKEPifE0




               i.     i'ヽ、        ,
   、       !ヽ、 _  i.ヽ,.--、 i  ノヽ      ./i           _,.-
   ヽ丶、._   ノ,.._ヽヽ ̄ヽ,._ヽ、`' ´_,.!ヽ 、__ /. |        _. -'./
    ヽ  _.. '´  iヽ、i. '´ .`'´,.ィ ."'´〉.<      !、  __..-‐' ´ /
   ___ ..`''´ ._. -'! 、.!-‐'´ _ .. -<' _,. .'´'´、 <ヽ      ̄       /
  <  _..-'! `''´.、 .ヽ、,シ'´_.ィ',.:'´、.'i i'.ゝ'、ヽ          / ___
   i `-'´,.  !-' _ノ i、_-'´_._-、. r'" ,. ヾ、_.ィヽ    ____    /´  `ヽ、
    !  !.-'´_,.、 !_'´ヽ_> 、´" .'´ : ';'、 /´ >! ヽ..__ ヽ、  `.i、.,'      iヽ
 .  i ,ri `'´_i ''"´ `!  i'´! .、-‐ヾィ.、 `'''´ .i´  `)ヽ.!   ! i    ,. ' _!
   _,`r'"_, `'´_,.._. =ニ、.'i  !''、_/i   ) _> ̄ヽi  /´,、.ィ|  .i i    / /
 ーニ_,. >'´  -、ヽ.   ノ!_.ノ i'ヽ!   '´_...  _ノi   ! /./. 〉!  .||  / /、_
   ヽ_,..イ  / ソ ,.-'´ノ、ー-'‐'´  i''、-‐ 、二!  .'' .| .,' !.  ‖ / /---‐'
     >' / .ハ、_,.:-'´. ヽ、__ノ,i  '´  ,.、_  ヽ.  `iノ   /.| ,:' /
.   < '´_.,.-'´        .>'´_,  !' /. /!.  !`'´   _.-' .!i /
     `´/  _. - ' ´ヽ   /  / !  / //  // _..:‐'´_.. -'ノヾ、ヽ
   . /, -'´       |  _!、_ '、/ .,、!,_/'_.-'/_ : ' _. -'´ r'´   ヽ、ヽ
   -'´        !./  ヾi、__/. 人 _/-'´_ 、'.i'    ヽ_ ...-'. !`ヽ
            !     .ヽ--'  < _ -'´ ヽ     `ー‐''´




                      外伝【悲劇と意志から生まれし戦士達】 ……終わり
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:34:03.35 ID:axKEPifE0


【某日 某所 ベルギー ブリュッセル】



小林(…それは、ある街に表示された電子広告で見た)

小林(12月の初旬、あのサーカス、漆黒の魔法団の公演広告だった)

小林(ポスターに移っているのは、団長一人だけで他には誰も居ない)

小林(しかし、ポスターに移っている花輪小百合は、)

小林(とても…清々しく楽しそうな表情をしていた)

シャロ「あっ!先生見てください!あの人は!」

ネロ「へぇー…。あの団長、とうとうここまで来たのか」

小林「…うん。そうみたいだ」

小林「良かったら、今度見に行ってみようか」

シャロ「えっ!?本当ですか先生!」

コーデリア「ええ!ぜひ見に行きましょうとも教官!」

エリー「楽しみ…です」

姫百合「…ええ、どのように魅せてくれるのでしょうか」

小林「……うん。きっと」

小林「迷える人の見る希望のように、強く輝いているんだろうね」




259 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 01:35:15.79 ID:axKEPifE0
お終いです。久しぶりに描きましたが楽しかったです。ありがとうございました。
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 17:39:33.99 ID:uDbcNleDo

面白かった
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/22(火) 19:44:43.54 ID:axKEPifE0
陪審員の勝手なイメージ
1号

2号

3号

262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/22(火) 19:47:11.37 ID:axKEPifE0
4号

5号

6号

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 23:16:17.98 ID:anrR5X+S0
トイズ糸ってのがどういったものか最後までよくわからなかった
球体から不可視の糸が伸びているって解釈でいいのか?
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