【がっこうぐらし】安価ぐらしDAY1【生き延びよう!】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

493 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 19:25:16.77 ID:4RnhAO/po
1
494 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/08/28(月) 19:37:46.37 ID:8zFwJf5t0
もう少しやりたいけど今日はもう無理かもしれん
毎度安価さんくす

臭い
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 19:40:00.59 ID:rOMKo6x1o
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 19:45:05.98 ID:4RnhAO/po
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 22:25:36.35 ID:7KAT6HlcO
乙乙
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 10:07:53.88 ID:QHHVhLAY0
臭い悠里か…ふむ
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 19:59:26.87 ID:SvaZZ6Lp0
舞ってる
500 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/05(火) 13:10:54.99 ID:AXqnTRrc0

アリス「……」

本来なら、慈に何とかしてもらうところなのだろうけど、聞いたのは私だ
悠里のもういやだという言葉に同意も出来ない私では、
私の独特の気にしない方法を説いたところで何の意味もないことは明白
ならどうするかと考えながら、まだ生徒だった頃の記憶を思い出してため息をつく

そういえば……

アリス「職員皇室にならシャワー室が併設されてたはずよ」

悠里「え?」

アリス「私の記憶通りなら、だけど」

たしか、それ以外にも部室棟だったかに施設はあったような気がするけれど
現状、そこまで行くのは自殺行為以外の何ものでもない
もちろん、職員更衣室も

悠里「職員更衣室……ですか」

アリス「ええ」

ぼそりと呟く悠里の姿は、まるで亡霊のようにも思えた
長い髪も相極まって、それらしさが増しているからかもしれないけれど
言うのは失礼だと流石に私でも解るから、言わないでおく

雨さえ止めば……解放できるのだけど、惜しい
そう思うと、この雨が憎たらしく思えてくる

アリス「……」

窓に打ち付ける雨音は、あてつけのように激しさを増していく
501 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/05(火) 13:51:52.09 ID:AXqnTRrc0
【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8 昼の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「…………」

振り注ぐ雨音は止む気配を一切感じさせず、
窓から見える曇天も分厚く大きく晴れ間が見える様子は無い
その永遠に続くとも思える雨は、私達の日常に溶け込み始めていて
それはやはり、希望を浸してダメにしていく

アリス「流石に空気が重い」

誰も元気な声を上げられず、鬱屈とした空気が漂うだけ
慈が同じかはわからないけれどどんな言葉が慰めになるのかわからないどころか
自分で思うたびにどれもこれもが気休めにしか思えなくて、中々に触れ難い
せめて雨さえ止めば、何か言えることもあるのだけど……

いや、止めば言える以前に行動を起こせるか

アリス「……」

下手に疲れるのもアレだから、休んでおくべきかしら
それともこっそり抜け出す?
それとも、誰かと話をする……?


1.悠里
2.由紀
3.慈
4.胡桃
5.こっそり抜け出す
6.休んでおく


↓1
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 13:52:32.75 ID:xr1ExQuQo
503 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/05(火) 15:27:21.45 ID:AXqnTRrc0
【由紀】


由紀にはこちら側に来る切っ掛けが無かったのだと胡桃は言っていた
だから中途半端な立ち位置になってしまって不安定なのだと
どうにかするべき……だとは思うけれど
……仮にパンデミックと名付ける
パンデミック事件が起きてからもうすでに数日経過した今、
改めて彼女にショックを与えてもあまり好転する気がしない

寧ろ、現状よりも酷いことになりそうな気さえする
もちろん、私は心理学者ではないから、
そうはならない可能性のほうが高い。かも知れないが。

正直、由紀と話しただけでどうにかなる気がしない
とはいえ、ただ無言で時間を無駄にしていくのは、彼女の停滞にさえならない可能性があるから

アリス「由紀」

少し面倒ではあるけれど、仕方が無い
だれもが絶望に満たされているのなら、仕方が無い
初めから壊れている私が、仕方がないから相手をしよう

ただし、自体が悪化しても責任は取れないけれど。



1.由紀について
2.アリスについて
3.慈について
4."彼ら"について
5.学校について
6.動物について

↓1
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 15:40:37.83 ID:HpbX/GjVo
505 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/05(火) 19:10:57.12 ID:AXqnTRrc0
【動物について】


アリス「……由紀は動物は好き?」

由紀「え?」

流石に唐突過ぎたかしら?
いや、でもそれ以外に何か話すようなことは特にないし
何か趣味だったり興味があるものに関して聞くのは
突拍子が無いのだとしても、何かを遮るようなときではない限りは
不自然ではない、と思う

由紀は呆然とした無感情に見える虚ろな瞳で私を見ると
抱えた膝に顎を付けて頷く

由紀「……好き、だよ」

アリス「そう……例えば、犬とか。猫とか、鳥とか」

由紀「可愛いのは、好き……犬も、好き」

アリス「……」

途切れ途切れの言葉遣いではあるけれど
一応、しっかりと話はしてくれている
掴みは悪くないはず
とはいえ由紀の瞳はまだ空虚で、声に力は無い

私に出来るのかしら。
由紀を元気付けることなんて
私に出来るのかしら。
誰かに希望を与えることができるのかしら


―アリス、君は私達の希望だよ―


アリス「……」

そう私に言ったのは誰だったか
確か、父……だったような気がする
506 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/05(火) 19:33:12.83 ID:AXqnTRrc0

由紀「アリスさん?」

アリス「!」

ふと、聞こえなくなっていた由紀の声が急に聞こえて、びくりと動く
回想に浸っていただけだとは思うけれど
それだけで無意識になるとは疲れているのかもしれないと
眉間に指を宛がって首を振る

由紀「大丈夫?」

アリス「平気」

由紀の方がダメだろうに、私の心配をするなんて馬鹿にされたものね……
なんて、嫌味たらしく考えながら、一息つく
新しくも何にも無い
寧ろ汚れていそうな空気が身体の中を巡る

アリス「それで、なにか言った?」

由紀「えっと……アリスさんは、動物、好きですか?」

恐る恐ると怯えた様子で、由紀は問う
私との会話を続ける気はあるということだろう
まだそのくらいの気力はあってよかった……と、思うべきか


1.好き(好きな動物も合わせて。明記なしなら全般)
2.嫌い(嫌いな動物も合わせて。明記無しなら全般)

↓1
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 19:35:18.00 ID:1bTPNSfX0
1 狼
508 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/05(火) 19:37:10.45 ID:AXqnTRrc0
今日はここまでかな
できたらまたあとでやるけど無理なら明日
長く空いてすまん

毎度安価あんくす
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 19:38:25.15 ID:2OGX5zsZO
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 19:39:50.32 ID:u2Pui7sWO
乙乙
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 20:04:18.94 ID:6Vjxz7Cp0
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 20:52:46.52 ID:BJe6Zn0io
513 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/06(水) 16:55:46.33 ID:kDouMOa70

アリス「私ね……私は狼が好きよ」

由紀「狼……」

アリス「そう、狼」

私が何の皮肉もなしに答えたのが珍しかったのかもしれない
由紀は少し驚いたように繰り返して、私を見る
こういった話をした相手も、当然のごとく数えるほどにも居ないし
居ても覚えていない、せいぜい慈くらいだ

相手の印象が薄かったのもあるけれど
そう言った人間は最終的に私の傍から離れていった
歳を重ねていくごとに、私という人間の気味悪さが彼女達の間で強くなったのだと思う
私は私で対して変化した覚えは無いから、きっとそう

だからと言って、私が追うこともなく変化することもなかったから
最終的に喪失へと繋がったのだろうけれど

アリス「私の生き方が一匹狼のまさにそれだから」

由紀「……どうして?」

アリス「どうして、と、言われてもね。単に群れ為す意味が見出せなかった。輪に加わるセンスが私には欠けていたから。じゃないかしら」

かしら? と疑問符を織り交ぜながら言っては見たものの、自分でははっきりと理由がわかっている
くだらなかった。馴染めなかった。必要がないと見限っていた
だって、誰かと付き合うということは、私の自由が殺がれるということに他ならない
そんなことになって何の利点があるのだろう

何でも成す事が出来るはずの貴重な時間を、なぜ、どうでもいい他人に捧げなければならないのか
カウンセラーの女医は言った
それは生きていくうえでの経験を積むためだと。
だから私は言った

付き合いが無駄だと言うことは学んでいるから必要ない。と

アリス「私は面倒くさい子供だったのよ」

由紀「それで、狼が好きになったの?」
514 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/06(水) 17:19:06.82 ID:kDouMOa70

興味を持ったのか、踏み込むように顔を覗きこんでくる由紀を見下ろして、息づく
面倒くさいという気持ちが早くも湧き出してきているけれど
今回に関しては、私が自分から踏み込んだことだからとその思いを飲み込む

アリス「私の髪は白いから、狼だと呼ばれたことがあるのよ。あと、目つき」

由紀「…………」

じっと見つめてくる由紀の視線に、私は思わず呆れた笑みを零して首を振る
今はもう、馴染みすぎて怯えることはないのだろうか
本気で睨めばまだ、怯えさせることも出来るかもしれないけれど

――する意味はまるでない

アリス「人を殺しそうな目だと、昔は言われたわね。だから、なんとなく」

それでも友人が慈を除いてもいたことはあるというのだから、奇跡的だと思う
もっとも、表面上の付き合いでしかなかったけれど……それは今の大学も、同じだ

由紀「最近はいわれなかったの?」

アリス「異性には言われるわ。同性にはあまり」

由紀「アリスさんは……」

アリス「でも、それは間違ってないわ。どんな理由があれ、何であれ。”彼ら”は人間のそれと変わりがない」

けれど私は躊躇無く殴り殺すことができる
その力こそ不足していて、あまり上手くいかないことばかりではあるけれど
出来るか否かといわれれば、答えはできる。一択

胡桃のように切っ掛けがあったわけじゃない
私は初めからそうすることができた。まるで、この世界こそが私のいるべき世界であるかのように。

由紀「私は、言わないよ」

考え込む私に、由紀はそう言った

アリス「?」

由紀「私はアリスさんが、そんな怖い人だなんていわないよ」

アリス「……」

由紀「だから……」

私が泣くとでも? 苦しんでるとでも? 辛いとでも?
まったくもって不愉快だ
そんな心の弱い”化け物”だと思われているのね……心外だわ


1.そんな心配要らないわ
2.そう。好きにして良いわ
3.君がそう思わなくても、私は君を非常食と見ているかもしれないわ


↓1
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 17:23:27.91 ID:wd7BsESDO
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 17:33:08.30 ID:RsejocyUo
やっぱりただのツンデレじゃないか!
517 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/06(水) 19:22:26.23 ID:kDouMOa70

アリス「そう……好きにして良いわ」

由紀がそう思っているのならそれでもいい
それで丈槍由紀という人間が満足できるのなら
由紀にとっての私の人間像が、私にとって害悪とならない限りは、気にする必要も無いと思う

それに、由紀の言葉は慈の言葉と大差ない
まったくの同一人物ということでもないけれど
反応が同じになるのなら、ここからさらに面倒なことになっていくのは間違いない
そうなるくらいなら、触れないほうがいい

アリス「はぁ」

ため息をつく
由紀はびくりと驚きながらも、私の傍に寄り添うようにして
立っている私の膝辺りに頭をくっつける

由紀「アリスさんは、優しいよ」

アリス「そう思うならそうなんでしょうね、君の中では」

由紀「うんっ」

少しだけ、元気になっただろうか
由紀の中での私が変なことになっているかもしれないけれど、
共同で生活しているうちの一人
不本意ではあるけれど、空想のアリスという人間が出来上がる程度で
足手纏いが半分でも消えてくれるのであれば、そのほうがいい

大人が嫌いだ。面倒くさいから。無意味に群れようとするから
自分達は動物から一線を敷いていると言いながら、結局集団行動をし、
働き蟻や蜂のように毎日を”生きていた”から

子供が嫌いだ。面倒くさいから。無意味に関わろうとしてくるから
なりきれて居ない大人を演じようとするから
なにより、面倒だから

アリス「……仕方が無い」

ここに来てしまったのは私なのだから
由紀に触れてしまったのは、私なのだから
518 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/06(水) 19:27:26.04 ID:kDouMOa70
無言で間隔空く前に中断しときます
出来るかぎり明日もやる


毎度安価さんくす
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 19:31:17.06 ID:V2ZCqsO20
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 19:32:35.19 ID:IA6m2twNo
乙でした
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 19:35:23.11 ID:kW57TI6mo

アリスさんはやさしいなあ
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 21:01:56.95 ID:+FYFthY50
523 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 10:13:08.67 ID:VOnp9baq0
【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8 夕方の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


慈「アリスさんは優しいわね」

アリス「……勝手なこと言わないで」

すぐ横で寝息を立てる由紀に目を向けて慈は呟くと
笑みを浮かべながら私へと目を向けてきて、同意を求めるように口元を動かす
だからと言って、私が同意するわけがない

冷たく突き放すように言うと、慈はそうかしら? と茶化すように笑いながら目を逸らす
これは別に優しいからしているのではなう、いわば義務感にも似たようなもの
誰しもが勝手に作り出し、不要なときは邪険に扱いながら
使いたいときには躊躇無く、それも邪険に扱っていた記憶など消え去ったかのようにそれはもう行使しようとする

”年上と年下”

もっと理不尽なたとえをするのなら
私は使ったことはないとはいえ、女だから言うべきではないのかもしれないが

”男なんだから”

というものだろうか。
私としては性別がなんであろうが、自分が出来るのならばすべきことだろうとは思う
もちろん、向こうがそれを一つの理由としてやろうとしているのならば構わないけれど
それを押し付けるというのは、まったく持って不愉快で、不可解で、理解しがたい
ならば、女は”女なんだから”と言われて良い気分になれるのか
とにもかくにも、私は別に由紀に触れることに関して優しさなどと言う甘えを持っているつもりは微塵も無い

アリス「君がしていることと、私がしていることに違いはないわ。一周り近く歳が離れているから。そうせざるを得ないというだけ」

慈「私の記憶にあるアリスさんは、だから何? って、離れていくような人だった覚えがあるけれど」

アリス「今は違う。何もかも……ね。助けてしまったから。ここに居ると決めてしまったからには最後まで責任は持つ」

慈「心強いわ」

アリス「私は電信柱ではないから、頼るだけではそのまま倒れるわよ。生きたいのなら、自分で歩くことね」
524 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 10:29:13.68 ID:VOnp9baq0

慈「手厳しい」

アリス「君の記憶の中の私は、いつだってそういう人間だったはずよ」

慈に呟きにはっきりと言い捨てて、息をつく
淀んだ空気を吸い込むことにはもう慣れた
けれど、他の子供や、慈がそうとは限らない

だからこその、息抜き
しかしそれを阻害するのが今なお廊下に蠢く”彼ら”の声
そして、止まない雨

前者を何とかするのはまずできることじゃない
私か胡桃、どちらかが死ぬ覚悟で何かを実行したとしても
向こう側の棟を自爆で崩壊させるくらいしか方法が無さそうに思う
それでも結局、校舎が倒壊して壊滅するのだからどうしようもない

かといって、降り続く雨なんかは運が味方してくれない限り
どうしようもないことだから

アリス「はぁ……」

やっていられない


1.悠里
2.由紀
3.慈
4.胡桃
5.こっそり抜け出す
6.休んでおく

↓1
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 10:31:55.86 ID:IIWbzOODO
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 11:06:04.42 ID:ONnwDrfzO
抜け出すことで進展があるんだろうか
リスクはかなり高そうだが……
527 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 14:51:30.64 ID:VOnp9baq0
【慈】


慈「その癖は変わらないのね、アリスさん」

アリス「……つかせるものが絶えないからよ。お酒やタバコのように自分の意志でやめられるそれとは違うのよ」

けれど、お酒やタバコに関しては嗜好で楽しむのとは別に
ストレスからの逃避も含まれているかもしれないし
それはそれで、私のため息とまったく違うものとは言い切れないかもしれない

慈はまだ明るさを失い切っては居ないように見えるけれど
その実、限界が近いのだろうとは思う
笑みこそ見せては来るけれど、確かな疲れがそこに現れてしまっているから

とはいえ、由紀たちはまだ年下だから何とかできる可能性もあるけれど
慈に関しては、私にできることがあるのだろうか
いや、そもそも慈は私と同年代
そのような義務も責任も無いはず

アリス「……」

それが理解できているのに、なぜどうにかできるのかと考える必要があるのだろう
私は優しくない。と、思う
けれど、今あるこの生活を改善しようという意思はある
生き難いよりは生き易い空間にしたいのだ
少なくとも、この安全圏内では。

慈「ごめんね、負担をかけちゃって」

アリス「仕方が無いわ。世界が変わったのだから」

慈「それでも、ね」

先細りしていく慈の声
表情こそ笑みを形作ってはいるけれどその内面はボロボロなのが良く解る
晴れ間も見えないようなこの世界で、自由に出歩けないこんな世界で
穏やかに過ごせるのが寧ろ珍しいのだけど。



1.別室で話す
2.悠里について
3.由紀について
4.胡桃について
5.慈について
6.職員更衣室

↓1
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 14:53:52.04 ID:MY2oFSI8o
529 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 17:26:08.30 ID:VOnp9baq0
【別室】


悠里「どこかいかれるんですか?」

慈「ちょっと隣の教室に行くだけよ」

アリス「私が居るから、心配するようなことはないわ」

一人で移動だったり、慈と由紀の組み合わせだったりしたら問題はあるし
誰かがやはり追加で行くべきだとは思うけれど、私が居る
もちろん、それでも最善の対策とはいえないけれど
別に安全圏内から出る予定はないし、すぐ隣の教室に移動する程度だ

悠里「私も一緒では、ダメ……ですか?」

アリス「……」

話の内容にもよるけれど、絶対に悠里が居てはいけないなんてことはない
寧ろ、何か相談事をするのなら学生代表として悠里が居てくれた方が話はしやすくなるといっても良い
けれど、私が移動する理由の一つとして、慈の心のケアも目的としてはある

年下であり、生徒
そんな悠里たちの傍では”年上”であり”強者”でなければいけないと思うだろう慈は
まったく心を休めることはできない
それでは、別室に移動する意味が無い

とはいえ、悠里の心も限界なのよね……
だからこそ、疑心暗鬼に近い様子で私達が部屋を離れる理由を気にする
悠里の同席、断れば少し面倒なことになるかしら……


530 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 18:37:12.91 ID:VOnp9baq0

ちらりと慈を見ると、慈は困った様子で私を見る
それもそうだろう、別室に誘導したのは私なのだから
別室に行かなければいけない理由を把握しているのは私だけ

心を慰めようというのも、慈に頼まれたからではなく、私個人の……
だから、そう。別に、それが出来なくても良いはずだ
私の義務ではないし、責任でもない
ただ、私が環境を良くしたいという”わがまま”なのだから

――わがまま?

アリス「……は?」

慈「え?」

アリス「いや、なんでもないわ」

思わず声に出た驚嘆を崖下に突き飛ばして息をつく
何を驚くことがあるのだろうか
自分の生活空間をより快適なものにしたいというだけなのに
驚くことではないし、押し黙ることでも隠すことでもない

驚くということはそれ以外に何か意味があるというこの奈の葉重々承知ではあるけれど
このときばかりは知らん振りを決め込んで首を振る
棚上げとは正しくこういうことを言うのだろう

さて、問題は悠里を連れて行くかどうか
下手な答えを返すと面倒なことになりかねない
上手くごまかせれば良いのだけど。

――もちろん、別に誤魔化さなければいけないわけでもないけれど



1.悪いけれど、大人の話だから
2.そうね……良いわ
3.見られたくないことをするのよ
4.いっそ慈にキスでもして、”こういうことだから”と誤魔化す
5.それ以外の自由な安価


↓1
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 18:40:27.75 ID:LSRHCa8FO
1
532 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 18:46:53.19 ID:VOnp9baq0
【1:下記範囲以外なら回避】

判定↓1:1.3.5.8.0 ぞろ目奇数
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 18:47:27.17 ID:55c8GBIyo
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 18:55:54.01 ID:WdjrUtj8o
お姉ちゃんのこと取ったりしないわよ、くらいのことは言ってもよかったかもしれない。
535 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 19:19:42.24 ID:VOnp9baq0
【大人の話:回避】


アリス「悪いけれど、大人の話だから」

少し問題がある気もしたけれど、特に理由は言わなくても良いだろう。と
凡庸性の高い言葉をぶつけると、悠里は少し感情を揺らして私と慈を交互に見る

悠里「そうですか……」

納得をしてくれたのかは解らない
いや、きっと納得したわけではないのだろうけれど、
悠里はそれ以上の疑いの目を向けることなく呟いた
その声には少し漢詩サガ紛れている気がしたが、こんな世界だ
年長者のみで今後の方針を検討するのもおかしくは無いと考えてくれたのかもしれない

――そんなのはただのばかげた希望的観測でしかない

しかしそうであれば良いとほんの少しだけ思う
私の選択が必ずしも正しいとは限らないけれど、△くらいは評価を付けてもらいたい
所謂コミュニティ傷害である私の精一杯の言い訳なのだから。

もっとも、ここらで自分の経験不足差に悪態をつくことも
ましてや、過去の世界においてもう少し明るく振舞っておけばよかったなどとも思わないけれど。

悠里「そういうのも必要……ですね」

慈「ええ……ごめんなさい。悠里ちゃん」

悠里「いえ。ですが、何か方針を決める際には、私達にも聞かせてください」

アリス「解っているわ」

思った以上に、大人
いや、そうなってしまっているだけかもしれない
そんな様子の有利をおいて、二人で部屋を出てすぐ隣の教室へと向かう
背中にぶつかる”彼ら”の声ゆえか、慈との距離は以前よりも少し近い気がした
536 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 19:32:34.01 ID:VOnp9baq0

慈「……」

教室に入った途端、深く息をついた慈は、自分の胸元を撫で下ろすと
首を横に振って、安心したように笑みを浮かべる
時間的に暗いのは当然のこと、それを雨がより暗くしているのだが、
ゾンビが光に集まってきてしまう可能性も考慮して電気がつけられない教室と廊下は、
”彼ら”の声も相極まってより不気味さが増してしまう

アリス「大丈夫?」

慈「ええ……」

社交辞令のごとく聞いてみた言葉は、
不安一杯の笑顔になりきれてない笑顔で返される
そんな表情で返されたら、心配する以外の道が無さそうなのだけれど

それなら良いわ。と返したくなってしまうのが私だ
向こうが平気だというのなら、それで良い
それが私と言う人間だからだ
いや、この状況でも平然としているのだから、化け物と言うのが正しいかもしれない

慈「それで……アリスさん。大人の話って?」

アリス「真に受けたのね」

あの場をやり過ごすためのただの言葉だったのだけど。
ある意味子供っぽい慈は本気にしてしまったのだろうか
さて……


1.大丈夫? 精神的に
2.由紀について
3.悠里について
4.そのほか、自由な言葉か行動


↓1
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 19:33:35.35 ID:IIWbzOODO
538 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/08(金) 19:45:49.84 ID:54+4BSJOO
今日はこれが限界かな
また後で余裕があればやるけど多分また明日になる

毎度安価さんくす
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 19:51:37.79 ID:55c8GBIyo
乙でした
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 21:35:03.83 ID:ngL1VZwM0
悠里のメンタルが心配
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 23:16:36.57 ID:twYJZHSa0
542 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/11(月) 15:45:18.82 ID:ezW2SvvX0
【悠里について】


アリス「さっき、君も感じたかもしれないけど悠里についてよ」

慈「悠里ちゃん……?」

アリス「思わなかったの? 様子がおかしいって」

とぼけたつもりではなかったのだろうけど、まだ上手く捉え切れていないというようなのんびりとした表情に、
思わず強い口調で追撃を加えて、慈を見る
私のその反応に驚いたのか、慈は少し怯えた表情をしていて
けれど、すぐにそれは悲しげなものへと変わる

慈「……思ったわ」

アリス「そうよね」

気づかなかったらどうしようかと。と余計な一言を加えそうな口を閉ざして、一息
こんな状況下に陥って、なお冷静で居られる自分自身がもはや恐ろしくなってしまうけれど
逆に、追いついて来れない”足手纏い”に対しての私は厳しいものになってしまっているのかもしれない

自由を押し殺して合流した
救ってしまったからと理由を付けてはいるけれど、私の本質は不満を蓄積させているのだろうか
だとすれば、私もまだ人間のような一面もあるということだろうけれど。
それは別に、喜べることではない

アリス「悠里一人を挙げるつもりは無いわ。でも、特に追い込まれてるように見えるのは。ね」

由紀も追い込まれているけれど、あれはまだ酷すぎるほどではないように思える
もちろん、私の独断だから正しいとは限らないけれど

アリス「なにかしら、気を紛らわせるものが必要になってくるでしょうね」

慈「紛らわせるもの……」
543 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/11(月) 16:02:51.21 ID:ezW2SvvX0

スコップの子はまだ強くいてくれているけれど、いずれ崩れてしまう可能性はあるし
全員を何とかできる何かがあると良いと私は思う
とはいえ、そう簡単に紛らわせられるのかといえば、そうでもないのよね

まず、環境が悪すぎる
空気の入れ替えはもちろん、一日中”彼ら”の声が絶えない
なにより、自分達が不衛生すぎて(いずれ不感症になるかもしれないけれど)心穏やかになれるものではない

アリス「ねぇ、職員更衣室には今もシャワー室があるのよね?」

慈「ええ、あるけど……」

アリス「この階の奥……よね」

慈が言いよどんだ言葉を引きついで呟く
まるでそこが重要拠点であるかのように”彼ら”が蠢く部分にそれはある
確かにこれがゲームなのだとしたら、第一ステージのラストダンジョン的な部分とでも言うべきかもしれない

ただ、戦力は整っていない、アイテムも心もとない
どこで何をすれば良いのかと攻略サイトを頼りたくなるような状況
人生はハードモードだのなんだの良く聞くけれど
これがハード程度なら、ベリーハード等はどうなるのかと聞きたい

せめて、レベルアップステージでも欲しい
あるいは、武器商人でも欲しい

アリス「ゲームなら、初期装備銃でしょうに」

慈「アリスさん?」

アリス「……何でもないわ」

さて、気を紛らわせるために必要なのは、色々あるけれど……まずは3階の解放?



1.3階の解放を優先すべきだわ
2.慈は何か意見ある?
3.少しは日常感味わえれば……落ち着くかしら
4.自由

↓1
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 16:03:41.74 ID:/ffRUoSjo
545 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/11(月) 16:33:46.79 ID:ezW2SvvX0
【少しは日常感を】


アリス「少しは日常感を味わうことができれば、落ち着くかしら」

慈「日常感……でも、アリスさん。それは焼け石に水になったりしない?」

アリス「というと?」

慈「未だ声は聞こえるし、不穏な空気は薄れない。このままやっても、ハリボテにしかならないと思うの」

日常感の演出をしたとしても
現状では吹けば飛ぶような背景でしかないということだろうか
確かに、学校のチャイム、生徒の喧騒
その代わりのように常に聞こえる”彼ら”の声は厄介だ

慈も意外と考えてはいたということね……
多少追い詰められているとは思っていたけど
その分、考えることは出来ていたのなら、嬉しい誤算だわ

とはいっても、何かが解決するわけではないから辛い

アリス「慈はどうするつもりだったの?」

慈「授業……とか。学校らしいことをしたほうが良いかなと思って」

アリス「らしいといえばそうだけど」

それはやらないほうが良いと思った
悠里のように真面目な子(今はともかく)ならそれも良いのかもしれないけれど
授業が好きではなかった、勉強が嫌いだったというような子に関しては、
はっきり言って悪影響にしかなりえないように思える

そう思って首を振ると
慈は「やっぱり?」と、困ったように笑みを浮かべて息づく

慈「今のみんなはそういうの無理だろうって、やめておいてよかったわ」

アリス「賢明な判断ね」
546 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/11(月) 18:11:20.38 ID:ezW2SvvX0

アリス「……」

しかし、否定してばかりいるわけにも行かない
私が今やっていること、悠里に言ったことそれも全部付け焼刃のようなものでしかない
悠里に関しては、ここから打開策を見つけて進まない限り
悠里に無意味な期待、希望を持たせただけに留まってしまう

今までの私ならどうでも良いと切り捨てる案件ではあるし
今でもその考えは半分を占めているけれど
何か手を打つと、手を出すと決めてしまったのもまた、私なのだから

何とかするべきだろう
あるいは、何とかすることのできる策を見出すべきだ

……言うは易しとはまさにこのことね

考え付くことはあっても、それをさらに考えるとやはりダメだと切り捨ててしまう
自問自答の罠にはまった姿はまさにコミュニティ障害らしいと嘲笑さえしたくなる

ああ言うとどうなるだろう
こうするとどうなるだろう
自分の言動による影響を深く考えてしまうのは悪くないけれど
そこで悪い方になるのではないか。と考えてしまうのがネガティブ思考であり、
コミュニティ障害に陥る原因だと私は個人的に思う
なにせ、私自身がそれに片足踏み入れているのだから。

アリス「さて……」

ではコミュニティ障害のアリスさんには必死に考えてもらうこととしましょうか
悪い方を考え抜いて……
それに、慈もいるのだから、私一人で穴の中を転がり続けるわけでもないはずだから。

――頼りになるかは、別として



1.なら、懸念事項の声の排除、つまりは3階の解放優先かしら
2.学校なら、部活という手もあるわ
3.いっそ非日常に突き抜けてみる?
4.自由


↓1
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 18:31:58.10 ID:oK3Tcu640
2
548 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/11(月) 19:02:17.06 ID:ezW2SvvX0

【部活】


アリス「そうね……」

慈が言うように、授業をするというのも学校生活
つまりは日常らしい部分ともいえる
それに真面目に取り組むこと、それに隠れて寝たり、遊んだり
それもやはり日常のものだと私は思う
けれど……

いや、もしかしたら私が今考えているこの方法も、
その授業と同じように”今することではない”と批判を受けるかもしれない
寧ろ、その可能性が高いと言っても良い

この緊急時に何を言っているんですか。と

アリス「……」

慈「アリスさん?」

アリス「……大丈夫よ」

ここで口にしなくても良いか。と、切り捨てて何もしないのが今までの私
けれど、今の私は違うから
声をかけて、不安そうな目を向けてくる慈に笑みを向けて、息を呑む
ため息をつくのはまた今度で良い

アリス「学校なら、部活と言う手もあるんじゃないかしら」

慈「部活……?」

アリス「そう。例えば屋上でやってる園芸部。この学校で篭城するのなら……そうね」

少しだけ、考える
自分のセンスが良いとは間違っても言えないけれど、
適当に言うのは何か違うと思うから

学校……学園……篭城……生活
色々と言葉を考えて、つなぎ合わせて。
変に考える必要も無い、シンプルな名前

アリス「例えば、学園生活部」

慈「学園生活部……」

アリス「生活していくうえで、一つ一つ目標を立てていくのよ。それなら由紀も無力に沈まなくて済む。勉強だけに追われずに済む」

慈「アリスさんにしては、珍しい」

そう言った慈は嬉しそうに笑って「悠里さんたちにも相談ね」と続ける
少なくとも間違った選択ではなかったのだろうと、思って、願う
これが悪いことになる原因にだけはならないように。と
549 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/11(月) 19:26:10.08 ID:ezW2SvvX0
【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8 夜の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「もう夜ね……」

早いのか遅いのかさっぱりだけれど
気づけば夜になった今日と言う時間
せめて曇りであれば、解放も少しは進んだのだろうけど……

アリス「たらればで話しても仕方が無い」

そうならなかったのが現実で、過去で、今
なら、その後のことを考えるべきだ

由紀は横になっているし、悠里も隅で固まっているだけで
胡桃は”彼ら”の警戒をしているのか、ドアの近くでスコップを片手に待機していて
慈はそのみんなを不安そうに見渡す

雨は相変わらず、そんな私達をあざ笑うかのように降り続く

みんなは早めに寝させたほうが良いのかしら
夜よりも朝の方が精神的には優しいだろうし……と言っても
明日も雨だったら悲惨だ


1.悠里
2.由紀
3.胡桃
4.慈
5.全員
6.少し廊下へ
7.休む


↓1
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 19:27:04.80 ID:tAwSW8oBo
551 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/11(月) 19:32:16.75 ID:ezW2SvvX0
そしたらここまでかなー
時々空いて不定期になるけど極力やってくけど大体この時間くらいまで

安価さんくす
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 19:55:23.36 ID:ST1sYcXcO
乙乙
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 06:06:55.26 ID:PF85vgQCo
554 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/12(火) 17:03:50.13 ID:Ue1diNnn0
【休む】


アリス「……ふぅ」

慣れてしまってはいるけれど、きっと汚れてしまっている空気を肺に溜め込んで吐き出す
雨天時特有のどんよりとした空気感と身体の重みを感じながら、ゆっくりと目を閉じる
できることも、何も今はないだろうから、休もう

少し離れた場所にいた由紀がこっそりと近付いて着ている気配がしたけれど
突き放すのもと、何も言わず何もしないでいると
その華奢な身体が触れて来て……しかし
それ以上何かするわけでもなく、由紀は小さな寝息を立て始めた

私に依存したということは無いだろうけれど
それでも、どちらかといえば頼りになるという認識なのだろう
あるいは、安心できるのかもしれない

アリス「……」

私は優しくないし、甘くも無い
状況に応じて見捨てることも厭わないのに
高校生とはいっても、まだ子供と言うことだろうか
日常を取り戻す……というよりも
失わないために、私は慈に部活はどうかと言う提案をした

それはまだみんなに話せていないけれど、由紀は受け入れられるだろうか
限界の近い悠里は平気だろうか
そう考える自分が、教師ではないしても
すっかり染まっているように思えて、考えを払うように息づく
私は私だと、変わらないのだと、そう思いたくて。信じたくて

アリス「……弱くなる。から」
555 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/12(火) 17:08:42.94 ID:Ue1diNnn0
【   】

判定↓1

【判定:5.7.9 ぞろ目偶数】
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 17:17:50.32 ID:BMb0+tiko
557 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/12(火) 17:20:44.85 ID:Ue1diNnn0
【  判定:失敗】
558 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/12(火) 17:22:14.33 ID:Ue1diNnn0
【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8:集計】

【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】 →変化なし

関係性変動

【由紀 大人(姉のような人)→大人(姉のような人)】
【胡桃 恩人(尊敬)→恩人(尊敬)】
【悠里 知合(優しい人)→知合(優しい人)】
【 慈  友人(信頼)→友人(信頼)】

巡ヶ丘学院高校解放率:変化なし)
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
【疑問:ゾンビの習性1/3:音に反応】
【疑問:命の使い方】
【疑問:”彼ら”の範囲】
【約束:男子生徒の介錯】
559 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/12(火) 17:53:18.49 ID:Ue1diNnn0
【雨の判定:2.8.5.9 止む】

↓1
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 17:54:07.43 ID:a2K4zKLDO
止む
561 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/12(火) 18:13:22.99 ID:Ue1diNnn0
【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY9 朝の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「……まったく」

まだみんなが眠ったままの朝、もはや親しみさえわきそうな雨音の煩わしさに目を覚まして
すぐ隣でくっついて眠る由紀の暢気な寝顔に悪態をつく
携帯を見てみれば、正確な日付がわかるのだろうけど
まだ職員室にいけていないから、充電できるかもわからない現状では
つまらないことで電源は入れられない
あとで代わりに電源を入れている慈の携帯を見せてもらおうかと目を向けたところで、異変に気がつく

アリス「……なんで」

慈がいる。由紀がいる。胡桃がいる
なのに――悠里がいなかった

外は大雨だから、屋上を見に行くのは危険だというのは何度も言い聞かせた
もちろん、それでも心配になって見に行った可能性はあるけれど……
手元のボールを強く握り締めて、目を瞑る

どうする。どうする

屋上に行っているならまだ良い
一人でバリケードを超えていたらどうする?
いや、不安定になっているとはいえ流石に一人でそんなことをするなんていうのは……

アリス「いや……!」

いや……そんなことをする理由が悠里にはある
――職員更衣室になら、シャワールームがあると思う
私は彼女にそれを言ってしまったから

アリス「悠里の目的は……職員更衣室!」

きっとそうだ
耐え切れないと彼女は言った
だから、きっと……

アリス「どうする……まだ、雨が降ってるのに」


1.慈を起こす
2.胡桃を起こす
3.全員を起こす
4.急ぐべきだ。一人で行く


↓1
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 18:29:59.11 ID:KkcXj3RD0
2
563 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/12(火) 19:09:43.15 ID:Ue1diNnn0
あと少しと思ったけど無理そうだから終わっときます
悠里@もう耐えられない

毎度安価さんくす
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 19:23:05.06 ID:qjBOmTzXO
最後でちょっと笑ってしまったww
乙乙
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 19:24:24.75 ID:BMb0+tiko
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 21:33:52.56 ID:xvJ4cBa3o
屋上に出れば天然のシャワーが絶賛営業中なのに……
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 01:49:52.63 ID:ZVlnwgDP0
悠里が一番メンタル弱いからね(´・ω・`)
568 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/13(水) 16:07:53.23 ID:VbS725qQ0
【胡桃】


アリス「胡桃、胡桃!」

耳元で、小声で、少し開け強く名前を呼びながら
胡桃の体を揺すると、
無理矢理に覚醒へと引きずり出されたからか、不快な声を漏らしながら、胡桃が私へと目を向けた

胡桃「どうかしたのか?」

アリス「悠里がいなくなったわ」

胡桃「りーさん……りーさんが!?」

まだ寝ぼけた感じだった胡桃は目を見開いて、声を張り上げる
最初の言葉遣いも(私は別に気にしないけれど)普段とは違っていたし
ようやく話が出来るといったところだろうか

けれど、あまり騒がれては困るから
口元に人差し指をあてて、静かに。と囁く
緊急時でみんなを起こすべきだとは思うけれど
雨が降っている現状では、ただ餌が増えるだけでしかない

アリス「いついなくなったか、わかる?」

胡桃「いや、私が寝る頃にはいたから……」

アリス「……そう」

精神的に追い詰められているとしても
絶対に引き止められると判っているから
そのあたりにはしっかりと警戒していたはず

とはいえ……

アリス「時間が経っていたら不味いわね」
569 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/13(水) 16:49:31.78 ID:VbS725qQ0

ついさっきなら、まだ希望はあるけれど
出て行ってから時間が経っている場合、
噛まれていたりしたらもはや救いはありえない

アリス「……」

胡桃「アリスさん、今すぐに行こう」

アリス「……」

今すぐ行って救いがあるのだろうか
いや、胡桃を連れて行っても平気なのだろうか
普段なら考えもしない”他人”の心情を考える

そんな無駄なことを考えてしまうから、時間がかかる
手詰まり感を覚える
胡桃が悠里の状態に対しどんな影響を受けるのだとしても
そんなことは気にせずに突き進んでしまえばいいのに

アリス「……悠里が”彼ら”に成り果てても。君は平気?」

胡桃「!」

驚いたように目を見開いた胡桃は、
歯を食い縛って苦悶の表情を浮かべると
ギリギリと歯軋りしながら、俯く

平気でいられる自信が、無いのだろう




1.胡桃を連れて行く
2.スコップを借りて、一人で行く


↓1
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 17:09:04.09 ID:+mPlluCfo
571 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/13(水) 18:00:29.97 ID:VbS725qQ0
【スコップを借りて】


アリス「胡桃はここで待ってなさい」

胡桃「何言って……」

アリス「万が一のこともあるから」

悠里がもう手遅れである可能性
現状では、残念ながら一番可能性の高い結末を考えて
私は胡桃のスコップを奪うように取って、胡桃を見る

胡桃だって、その可能性が判らないわけではない
いや、私と同じようにその可能性が高いことくらい頭でわかっている
けれど、認めたくないんだと思う

悠里が”彼ら”と同じになってしまうなんてことは信じたくないんだと思う
大丈夫だからと呟いて、私が手に取ったスコップを掴む
けれど、その表情のどこにも、”大丈夫”といえるものは無かった

アリス「いいから」

胡桃「っ……」

アリス「何かがあったとしたら、それは私の責任だから」

更衣室の件を話してしまった責任
注意しきれなかった責任
負う必要は無いとい痛げな自分を制して
私は胡桃の頭を優しく撫でる

私は大人で胡桃は子供
悠里は子供で他人だけれど、一応、知り合ってしまった子なのだから
仕方が無い。と、つぶやいて

アリス「行ってくるわ」

悲しくて、辛くて、苦しそうな胡桃の小さな呟きが聞こえた気がしたけれど
私は振り返らずに、何もかもを教室に置いて行く

アリス足手纏いになるだけだから」
572 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/13(水) 19:27:46.26 ID:VbS725qQ0
【巡ヶ丘学園高校3階 未解放区画 DAY9 朝の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「……ああ」

廊下に出ただけで、気色悪くなりそうな不快な空気感を感じて
耳障りな雨音にも負けない”彼ら”のうめき声に眉を潜める
降り続く雨のせいか、ゆっくりと昇ってくる”彼ら”は日に日に増えてきているのかもしれない
だとしたら、もう悠里は手遅れだろうか
そう考えると、スコップの持ち手を握る手に力が篭ってしまう

他人。だったのに

本当にそう思う。と、自分の心の呟きに同調して、息をつく
悠里が”彼ら”の仲間入りしていようと、私は殺す覚悟はもうできている
きっと、胡桃は躊躇うだろうけれど、私は冷酷だから躊躇わずに殺せてしまうと思う

でも、だからと言って
そう、だからと言って、私と言う人間が知り合いを殺したいのかどうかといえば話は別だ
殺さなくて良いのなら、私は殺さずにいたい
そこには別に、特別な感情があるわけではないけれど
殺人鬼ではないのだから、当然だ
化け物ではあるけれど、一応人間の心を持ち合わせているから

アリス「それじゃ、まるで私がフランケンシュタインみたいじゃない……」

自分の考えに苦笑して前を見る
申し訳程度のバリケードを乗り越えて”彼ら”の元に向かう



↓1

【判定:1.3.5.7 一箇所集中 2.4 分散 6.8.9 ”悠里” 0 怪我した悠里 】
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 19:28:46.98 ID:XnUJP24DO
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 19:32:03.70 ID:JdwKYV4D0
これは…?
575 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/13(水) 19:33:51.30 ID:VbS725qQ0
時間だからおしまい
出てくるのは悠里ではなく”悠里”

毎度安価さんくす
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 19:54:01.73 ID:i6e8A5NC0
雨は危険だけど大丈夫と信じたい
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 21:08:15.84 ID:IBxVZjvnO
マジかよ……いや、まだ……?
乙乙
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 03:31:21.52 ID:43fDgTuSo

りーさん死亡確認!
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 13:16:19.15 ID:dVr42kEm0
りーさん……(´・ω・`)
580 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 15:52:02.01 ID:S+JseP3H0
【判定:”悠里”】


アリス「あぁ……」

世界は総じて理不尽なものだと私は思う
悩んで、考えて、こうしようと思ったときにはもう手遅れになっていたり
だからと言って直感に任せて行動すると結局後悔したり
そういった軽いものから、
善行を積んでいる人が死んで、悪行を行う人が長生きだったり
今までほったらかしにしてきたものに対して、正しく接しようとした傍から
奪われていってしまったり

アリス「……」

誰が言ったのかは覚えていないけれど
善人だろうと悪人だろうと、生物は運命の前では有象無象の中の一つでしかないという言葉
私はあながち間違いではないのだと思う

学校で出てくる給食を残しても死にはしないけれど
その残飯でさえ手に出来なかった誰かは死んでしまう
生きることの大変さを知っている者が淘汰され、苦を知らない未熟者が生き残る

アリス「逃避している場合では、無いけど」

いつぞやの自由研究、神と人、生と死の研究結果にまでたどり着く思考を振り払って、前を見る
この一週間程度、何度も見てきた……一緒に生活していた彼女は覚束無い足取りで彷徨う
まだ私に気づいていない彼女の傍では、”仲間”がうろつく

アリス「良かったわ、胡桃を連れてこなくて」

きっとショックを受けただろう
耐え切れずに叫び声を上げて”彼女達”を呼び寄せていただろう

アリス「良かったわ。私は貴女のことなんてどうでも良くて」

そうでなかったらスコップを振るうことはできないから
そうでなかったらきっと悲しんでいたと思うから
そうでなかったらもしかしたら戸、無意味な希望を抱くから

アリス「良かったわ。私は冷酷な人間で」

この事実を下手に隠したり悩んだりせずに、慈達に告げてしまえるから


1.スコップで首を叩き折って殺す
2.スコップを首に突き刺して殺す
3.窓から突き落として殺す

↓2
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 16:00:41.74 ID:N7eG92moo
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 16:02:33.31 ID:XZsSFjDDO
583 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 16:59:36.32 ID:S+JseP3H0

アリス「……」

足音をかき消してくれる雨の音に感謝しながらはいている靴を脱ぎ、ゆっくりと踵を上げて前傾姿勢に移行する
忍者ならこんな余計な動作も要らないのかもしれないけれど
私は忍者ではなくただの大学生だから
踏み込むための足の力を何度か確認して、一息

アリス「ッ!」

”彼女達”が道を開け、目標へのルートが開けた瞬間を見はからって――一気に蹴り出す
強い雨の音に紛れる柔らかい足音、靴下を湿らせる入りこんだ雨水の不快感に、肺を冒す”彼女達”の異臭
妨害ともいえない妨害を無視して突き進み、肉薄した”彼ら”のみが私の存在に気づいて目を向け、手を伸ばす
だが、遅い

アリス「――大丈夫」

彷徨う彼女の背中は引き裂かれたのか制服は破れさって、隙間から見える肉は赤く爛れて痛々しい
その苦しみに呻くしかない姿に声をかけてスコップの柄を右手で掴み、持ち手の部分を左手で掴む
後ろから”彼ら”の声が迫ってくるけれど、その一切を無視して彼女に差し迫って――

悠里「ぁ゛……」

足音が聞こえたのか、彼女は私へと振り向く
まだ綺麗な顔だった
苦しみに喘ぎ歪んだ表情ではあるけれど、まだ新鮮だった
若狭悠里そのものだった

生易しい子だったら、彼女と親しい人だったら
希望を抱き、幻覚を見てしまいそうな姿だった

アリス「悪いわね」

けれど、私は容赦なく喉にスコップを突き刺して押し倒し――土を掘り起こすように全体重をかけて押し込む
グジュリと肉が潰れて、血溜まりに濁った呻き声がゴボゴボと漏れ出して
ゴツリとぶつかった頚椎の骨は、運よくと言って良いのかは解らないけれど、その隙間を貫いて躱して
押し込む力への鈍い抵抗が薄れたのと同時に掬い上げると、ころりとスコップの先端に遺体の一部が乗っかって。

アリス「……私は貴女のこと嫌いだったのよ。本当はね」

近付いてくる”彼ら”の頭を横薙ぎに払い除けて、遅れて近付く一人の胸部を蹴飛ばす
どれもこれも致命傷にはならなかったけれど、退路は確保することができた
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 17:10:35.41 ID:CfzIg7Kp0
実質バッドだな
585 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 17:11:09.13 ID:S+JseP3H0

アリス「さて」

胡桃たちのばかげた希望を打ち砕くための道具を手に入れることは出来たけれど
身体の部分もしっかりと回収したいといわれたら困る
雨の日だから群がっているというのもあるけれど、そうでなくても群がってくるだろうし
遺体という荷物を抱えるのなんてごめんこうむりたい
かといって、流石の私にも身体まで持っていくほどの余裕は無い

アリス「……蹴散らす?」

出来る限り蹴散らし体を引きずって持っていくか
身体はやはり諦めて逃げ帰るか
目的はすでに達成したわけだし、常識的には後者であるべきなのだけど


1.撤退
2.身体も回収


↓1
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 17:12:14.68 ID:2WXu1D8r0
1
587 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 18:01:35.71 ID:S+JseP3H0
【撤退】


アリス「ミイラ取りがミイラ取りになるわけにも行かないわ」

彼女たちに文句は言われるだろうけれど
そのときは死にたければどうぞ、とお送り出してあげればいい
最善を尽くしたかといわれれば尽くしてはいないけれど
命をかける場面だとは思えないもの……仕方が無い

アリス「せめて一部だけでも持って帰――邪魔よ」

うめき声を上げながら接近する彼らの頭部を叩き飛ばして、一息
ガラス片が飛び散ってはいるけれど、その程度なら仕方が無いと割り切って強く床を蹴り飛ばし駆け出す
雨は止まない、うめき声も途絶えない
割れた窓から入り込む雫が頬に当たるのが煩わしくて拭う

アリス「……煩いわね」

文句を言っても仕方が無いとは思うけれど、”彼ら”に悪態をつきながら一直線にバリケードへと向かってよじ登り、
拾った道具を脇に抱えて飛び降り、接触と同時にぐるりと体を回して衝撃を殺してそのまま駆け、安全圏内のすぐ傍の部屋に駆け込む

アリス「少し……」

扉の隙間から様子を伺うと、バリケードに向かってくるいくつかの影はあったけれど
私を追ってきた様子は特になく、ため息
薄汚れて不快感しかない靴下に気づき、忘れ物を思い出しても後の祭りだ
バリケードを超えてすぐだから回収は楽だろうけれど、今はいい

アリス「……やっぱり、臭うわね」

見開かれた瞳を閉じ、血に塗れている悠里の顔を袖で拭い、髪に触れる
不衛生なのもあるけれど、誰かの血が固まったそれは指通りも悪く
触れば触るほど異臭が漂う
掘り砕き、断ち切った首からは未だに血が滲み出てきて私の服を汚す

アリス「改めて感じると……まぁ、我慢できなくなったのもわかるわ」

聞き手のいない、独り言
聞こえなくなることのない自然の合唱を耳に、ぴりっと痛む唇

アリス「この部屋もダメね……雨漏りする。さっさと戻りましょうか」

連れ帰るのではなく、持って帰る
その結果を彼女達はどう思うだろう、どう見るだろう、どう感じるだろう
かんじたことのない私には何も解らないけれど
あまり良くないことになるということだけは確実だと思った
588 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 18:22:30.30 ID:S+JseP3H0
【巡ヶ丘学園高校3階 安全圏 DAY9 昼の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


胡桃「は……え? な……ど、どういうことだよ……」

胡桃「なぁ、どういうことなんだよ!」

慈「胡桃ちゃ――」

胡桃「りーさんは……りーさんが……こんなッ!」

胡桃「ふざけないでくれよッ!」

近くにあった適当なものを床へとたたきつけた胡桃は
肩で息をしながら私を睨み、頭部のみの悠里を見つめて首を振る
認めたくない、認められない
こんなのは嘘だ、たちの悪い悪戯だ。と

由紀「りー……さん……」

アリス「事実よ。若狭悠里は"彼ら"になって私に殺されたのよ」

慈「アリスさん、そんな言い方――」

胡桃「!」

躱すことは容易だったけれど、あえて避けなかった
私に胸部を打った肘、突き抜けた勢いに倒れこんだ私に馬乗りになった胡桃は、
近くに散らばった小物の中からはさみを手にとって私へと向ける

由紀「胡桃ちゃん、ダメだよ!」

胡桃「うるさい!」

慈「胡桃ちゃん……」

胡桃「殺されたってなんだよ……殺したんだろっ!」

アリス「そうとも言うわ」

由紀「アリスさんもそんな言い方は」

アリス「事実を語っているだけよ。変に歪曲したところで無意味でしょう?」
589 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 18:37:29.92 ID:S+JseP3H0

薄く笑う私はきっと、3人には不気味に映るだろう
本当に”彼ら”になったから殺したのか?と疑問を抱かせただろう
それならそれで構わない
私は悠里を殺した……その事実に偽りは無いのだから
悩まず、考えず、希望も何も無くただ無心に首を刎ねた

――それは、嘘だ

慈「胡桃ちゃん、落ち着いて……お願い」

はさみを持つ胡桃を警戒してか、慈は少し引き気味ではあるけれど
落ち着くように求めて、「”彼ら”が来るから」と強い説得力を持つ言葉を紡ぎ、
降りあがったままの胡桃の手を優しく握る

胡桃「めぐねえ……りーさんが……」

慈「うん……」

胡桃「分かって……けど、殺し……でも……くそっ……」

慈「うん」

ゆっくりと膝を折った慈は胡桃の身体に手を回して抱き寄せて、小さく頷く
胡桃も本気で私を殺そうとしたわけではないのだろう
ただ、怒りをぶつける先が、やるせなさをぶつける先が
今ここには殺した私しか存在していないだけで。

慈「アリスさんも、あまり傷つける言い方はしないで」

アリス「殺したのは事実よ」

慈「それでも」

アリス「……分かったわ」
590 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 19:16:40.09 ID:S+JseP3H0

胡桃は少し一人にして欲しい。と
悠里の頭部を持って安全圏内の別の教室に篭って
由紀は胡桃の暴走のおかげもあって
数少ない生存者の中からもまた死人が出てしまったことによる絶望に浸りきることこそなかったけれど
やはり、そのショックは相当なもので抜け殻のように隅で膝を抱え
悠里がいた場所を見つめては、体を強く抱きしめて

慈「…………」

慈も大切な教え子が死んだせいか、疲れ切った表情で身動ぎ一つしない

アリス「……ダメね」

一つの綻びで崩壊しかけている
そういうこともあると想定できていたはずだし
覚悟だってしていたはずだ
なのに、ここまでボロボロになってしまうというのは先が思いやられてしまう

とはいえ、この状況を私がなんとか出来るのかと言われれば、そんなことはない
むしろ、誰かに何かをするのなんて、私がもっとも不得手とするところだから

アリス「……」

私だってこうなることが想像できていたくせに
いざこうなってからどうしようもないというなんて……馬鹿らしいわね

みっともない
まるで、こんな状況にはしないと現実逃避していたみたいね


1.胡桃
2.由紀
3.慈
4.屋上へ

↓1
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 19:18:30.93 ID:s0EXjSnBo
592 : ◆JIAuvu1PvIJ6 [saga]:2017/09/19(火) 19:32:34.98 ID:S+JseP3H0
そしたらここまで一週間以内には続き

悠里が死んでも続くがっこうぐらし
なおリスポーン地点は悠里を殺すところからという鬼畜仕様(嘘)
380.52 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)