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わたしとヒトとアライさん
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199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 00:54:25.26 ID:84NM4PReo
アライさんのせいで被害が連鎖的に増えるんだな
200 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/04(月) 00:58:41.21 ID:2mlAmTj60
カラス「カー!カー!!」バサバサバサバサバサバサバサバサ
カラスの群れが動き出した。彼らはカラス避けがアライさん親子によって取り払われるのを待っていたのだ。
彼らの最大の障害はたった今害獣によって取り払われたのだ。最早彼らは遠慮などしない。
黒い翼で羽ばたいて、カラス達が一斉にゴミ捨て場に集まっていく。
アライちゃん3「のぁああああ!?!?」ビクゥ
アライさん1「来た!!食料を確保したら全力で逃げるのだぁ!!!」
アライさん1がゴミ袋を一つ掴み真っ先に逃げていった。
独占欲の強いアライさんにとって、群がるカラスはゴミ捨て場を独占しようとする巨悪以外の何者でもない。
だが、地を這う生物の宿命として空を飛ぶ生物には弱いのだ。
まして止まったボールすら蹴れないほど運動能力が他のフレンズより低いアライさんなら、負傷は免れない。
野生解放すれば簡単に殺せるが、目立ってしまい今度はハンターに射殺される。
普段は街中での発砲は禁じられているが、野生解放したアライさんに対しては即時発砲許可が下りるのだ。
つまり、ゴミ捨て場を餌場とするアライさんの最良の選択は取るものを取ってさっさと逃げる事。アライさん1は最良の選択を迷う事無く行えた。
アライちゃん3「お、おかーしゃぁああん!!」ジョババババババババババババ
アライちゃん4「おいでかないでほじいのだあああああ!!!!」ビチャビチャビチャビチャ
アライちゃん5「のぁあああああぁああ!!!!!」ジョボボボボボボボボボボ
アライさん1に続いてアライちゃん達がそれぞれゴミ袋を持って走り出す。
自分と同じ、下手すれば自分よりも大きいサイズの生物がギラギラとした目をしながら向かってくるのだ。恐怖を感じるのは当然だ。
アライちゃんの群れは失禁しながら必死に逃げて母を追いかけていく。
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 01:06:51.49 ID:lVL+/et9o
なんで子供を連れてきたんだ…
カラスが来ること予想してなかっただけかな
202 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/04(月) 01:12:58.24 ID:2mlAmTj60
アライちゃん5「のぎ!!」ザカァ
アライちゃん5の足がもつれて転倒する。ゴミ捨て場に集まったカラスの群れの中の一部が目を光らせた。
アライさんによる障害の撤去を待つ、という選択肢にはもう一つのうま味がある。
それは、カラスにとってミニサイズのアライちゃんは絶好の餌になるという事だ。
非力で野生解放も使えないアライちゃんからは反撃の心配も無い。
それがカラス避けのネットを外してくれる。カモがネギをしょってやってくるとはまさにこの事か!
群れの一部がアライちゃん5に群がる。
アライちゃん5「びいいぃいいいいいい!?!?!?おがあああじゃあああああん!!!!!!」
自分と同等、もしくは自分より大きいサイズの鳥が自分を捕食する為に近付いてくる。
某ゲームにも出演した有名な敵役怪獣Gをイメージするのが一番ベストだと筆者は思う。その恐怖が現実のものとなった。
だがそんな窮地に立たされた娘を見て母親は叫んだ。
アライさん1「チビはまた産めばいいのだ!あいつを囮にして早く逃げるのだぁあああ!!!!」
アライちゃん5「んぎびいいい!?!?!?!?!?!?」
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 01:23:02.39 ID:jt0hti6Xo
小気味良いワンシーン
204 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/04(月) 01:25:30.94 ID:2mlAmTj60
囮。そう囮だ。娘である前に囮なのだ。
かの有名な王、劉備玄徳は自軍の倍以上の兵数の敵陣の中をたった一人で切り抜けて自分の息子を救出した猛将趙雲子龍と合流した際
自分の息子を投げ出してこう叫んだ。
「世継ぎはまた作れる。だがその世継ぎの為に大切な将を失うところだった」
義の人と名高い劉備玄徳ですらそう叫んだのだ。彼が生きた戦乱の世とはそういうものだ。
将として兵としていつ死んでも、誰が殺されてもおかしくない世界だったのだ。
命を繋ぐ者が途絶えたのならば、次の継承者を作ればいい。義の人であろうとその考えを持つ事を否定してはいけないだろう。
そう考えれば害獣としていつ死んでも、誰が殺されてもおかしくないアライさんの考えは一見正しいようにも思える。
だが囮だ。最初からそのつもりでここに連れて来たのだ。
劉備玄徳のような諦めではない。捨てるつもりで連れて来たのだ。
205 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/04(月) 01:35:09.65 ID:2mlAmTj60
囮のはずだったが運良く逃げ延びられる他のアライちゃんは危機感を抱かない。
お母さんも危険だった。自分も危険だった。だがあいつだけが死ぬ。
自分はそうならない。あいつがガイジだから囮になったのだ。そう信じて疑わなかった。
アライちゃん5「いじゃいい!!いじゃいいい!!!なんあのらおみゃあらあああ!!!」
アライちゃん5「あらいしゃんはいだいなんだぞおお!!あっぢいげええええええええ!!!!」ブンブン
くちばしで貫かれ、筋肉や筋を抉り取られだしたアライちゃん5の絶叫が響く。もはや僅かな抵抗もできない。
そして一羽のカラスがアライちゃん5の右目にくちばしを突き刺した。
アライちゃん5「んぎえええええええええええ!!!!!」ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
目の裏の皮膚が裏返り、くちばしに挟まった眼球が飛び出していく。名残惜しそうに残る視神経に引っ張られ、頭も動く。
ブチッ
アライちゃん5「びぎい!!」ゴン
視神経がついにぶつりと切れ、ごちそうを手に(口に?)入れたカラスはそれを飲み込んだ。
うまい!もう一個!!今回のラッキーバード君がもし人の言葉を喋られたのならそう叫んでいただろう。
アライちゃん5「お…おがぁ…じゃん…」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 01:39:24.28 ID:NMvtoO1ao
カラスに食われるアライちゃんとか良いねえ
207 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/04(月) 01:46:49.61 ID:2mlAmTj60
…
ぼうし「この辺は、ちょっと古い商店街だね」
ぼうし「本とか、アクセサリーとか色々売ってるよ」
ぼうし「アクセサリーは駄目かもしれないけど、本くらいなら係員の人も許してくれるんじゃないかな?」
ぼうし「そのー、ワイン君にも危なくないし」
フルル「…そうだねー」
ぼうし「…ごめん。今はワイン君の話は止めておく」
ぼうし「それよr」ビクッ
フルル「え?」
ぼうし「いや、ちょっと今日は凄い荒らされてたからびっくりした」
彼らが見た先には、ぐちゃぐちゃに散乱したゴミ、ボロになったゴミ袋、そして中身の殆どを抉り出されたアライちゃん5の死体があった。
アライさんが繁殖し、害獣認定を受けてから街の景観は大きく損なわれた。
ゴミ捨て場を荒らすアライさん、便乗し利用して更に荒らすカラス。カラスに襲われ死体を晒すアライさんとアライちゃん。そして路地裏に溜め糞。
だが今彼らが見たものは問題の一端に過ぎない。
アライさんの存在がもたらす問題は、この街にはまだまだ沢山あるのだ。
ぼうし「もうちょっと、賑やかな所行こうか!そっちなら、まだ、大丈夫!多分!」
フルル「多分?」
ぼうし「たぶん!!!」
208 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/04(月) 01:48:13.27 ID:2mlAmTj60
♪Aパートおわり♪
♪後半へつづく♪
209 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/04(月) 01:52:16.49 ID:2mlAmTj60
♪あとがき♪
某スレを参考にしようとしたら殆どそのまま使ってしまいました。
この場を借りてお詫び申し上げます。鳥葬って、いいですよね。
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 02:03:02.19 ID:mOnHimUbo
乙です
囮で連れ回されて姉妹が食われているのに
自分は大丈夫、アイツは間抜けだから死んだみたいな
根拠のない自信に溢れるアライちゃんの思考面白かった
そしてその親は始めっから囮として子供を連れてくるという
アライさんの親子関係って面白い
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 05:43:06.57 ID:GwSbQshV0
乙でしゅ
ほんとSSによって親アライさんの思考が微妙に違いあって面白い
最初から見捨てるのと、いざとなれば見捨てるではまるで違うもの
しかしアライさんの感染症リスクだけでなくミサイル攻撃といった国家間の危機もあるとは驚き
このSSは最終的にどういう結末に行き着くのか・・・楽しみでなりません
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/11(月) 06:07:24.53 ID:2CK/2OmZO
巽の方舟ってノアの方舟のパロディか。もう完全に神話の人間扱いじゃない
213 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 19:09:01.49 ID:KiJ09jlW0
アライちゃん5の中身が散乱した商店街を避け道を歩く二人の視界にある店舗が横切った。
どこにでもある建物の中の、ガラス張りが目立つ小さな店舗。
所謂コンビニエンスストア。本当にどこにでもある店舗である。
ただその店舗の扉には閉店セールと書かれたポスターが貼り付けられていた。
フルル「お店閉まっちゃうの?」
ぼうし「うん。安くなってるみたいだし、ちょっと見てみる?」
フルル「どうして閉まっちゃうの?」
ぼうし「お店自体の売り上げが悪くて利益取れないからってのが普通だけど…」
ぼうし「この感じ、もしかしたらアライさんかな?」
フルル「またアライグマ?」
ぼうし「またアライさんだよ。こういうコンビニってよく狙われるんだ」
214 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 19:32:33.93 ID:KiJ09jlW0
アライさんの被害、こと街中において一番の被害者はコンビニエンスストアだろう。
商品の8割方が食品という特性上、街に潜むアライさん達が狙いを付けないはずがなかった。
何せ何もしなくても人間が自分の餌を持ってきてくれるのだ。あとはそれを取ればいい。
ずる賢く好奇心旺盛なアライさんはそこに餌があるとわかると、あらゆる手段を使ってコンビニに襲撃をかけた。
時には店員が対処できない繁忙期に潜り込んで盗み
時には窓から潜入して気付かれないように盗み
時にはピークが終わって店員が油断した瞬間に集団で押し入り
時には野生解放も利用しながら夜間に押し入る。
等々等。だが結末は全て同じだ。
店舗のイメージの悪化。不潔であらゆる感染症を持つアライさんが入り込んだ事によって客離れが起こる。
想像してみてほしい。駅のトイレに入った時、そこに放置されている、蓋の開いたジュースを飲みたいと思うだろうか?
よほどの変態でなければ飲みたいとは思わないだろう。アライさんが触ったかもしれない食べ物を口に入れる事への嫌悪感とはそういうものだ。
215 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 19:45:18.81 ID:KiJ09jlW0
襲撃をかけた後自分の領地であると主張する為、もしくは便意に駆られて脱糞していくアライさんもいる。
前者なら店内の棚やカウンターで堂々と、後者でも床や棚で堂々と、つまりほぼ全ての事例がトイレの外での脱糞だ。
万が一、いや二百億が一があるかもしれないがそういう事例は記録として残っていない。
「アライさんは賢いから知ってるのだ!これはトイレのマークなのだ!だからここはトイレなのだぁ!」
そう叫びながら脱糞をするアライさんの映像が、どこかのテレビ局の資料の中に今も残っている。
集団での襲撃の場合はそれが溜め糞になる。そうなってしまえばもう終わりだ。匂いが充満し、誰も入りたがらなくなる。
例えアラ信、もしくはフレンズ至上主義者だろうが、変態でもなければ糞の匂いが充満する店舗の、糞の臭いがこびり付いたおにぎりを買おうとは思わない。
そして一匹だろうが複数だろうが、アライさんの糞は普通の清掃では対処しきれない。
臭いもさることながら、ウィルスや寄生虫がもぐりこんでいる可能性があるからだ。
清掃業者に依頼して大掛かりな清掃が必要になる。そしてその費用は店持ちだ。
216 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 19:57:12.04 ID:KiJ09jlW0
また、街に潜むアライさんはタバコを優先的に盗む傾向が強い。どういうわけかタバコに病的な程の興味と執着心を示す。
「アライさんのゴーストが囁くのだ」
その理由に答えるように、今この街のどこかにいるアライさんがタバコを吸いながらそう呟いた。
大事な売上に直結するタバコがアライさんによって片っ端から奪われていく。それによる売上の著しい低下と更なる客離れ。
そしてこれだけの被害が出るにも関わらず、店員が銃を持つ事は忌避されている。
銃社会に馴染んでいない日本で、店員が銃を持っているというのはそれだけでマイナスイメージだ。
人間に対しても使える物である以上、客が怖がるのは必至。
アライさんに対して使おうものなら、例え撃退できたとしてもお客様、上記のフレンズ至上主義者達による大炎上は避けられない。
つまり、店側がアライさんに抵抗する手段は何も無い。商品を差し出し、身を守る事しかできない。
だからこそアライさんにとってコンビニエンスストアは格好の餌場だった。
あまりにも美味しい餌場故にアライさん同士でのコンビニの奪い合い、殺し合いも発生する。
争奪戦に敗れたアライさん一家が負けに負け続けた結果、ゴミに手を出して商店街のアライちゃん5のようにカラスに食われて死ぬのだが、それは置いておく。
今彼らの目の前にあるコンビニも、アライさんによって閉店まで追い込まれた店舗の一つだった。
217 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 20:29:19.80 ID:KiJ09jlW0
ぼうし「自分を殺すかもしれない強盗が連日連夜襲ってくるんだ。普通の人は怖くて抵抗なんてできない」
ぼうし「アライさんはそれで味を占めて何度も何度もお店を襲ったんだ」
ぼうし「コンビニは町中色々な所にあるし、アライさんはそこらを転々とするから保健所も対応し切れない」
ぼうし「問題は解決されない、お店は仕入れ代と清掃代がかさむ、お客さんも来なくなる、アライさんだけが来る。それでこれだ」
ぼうし「もうこういうお店何件見てきたか覚えてないや。特に最近は潰れるコンビニが多い」
フルル「ねぇ、お昼ここでもいい?」
ぼうし「いいよ。優しいんだね、フルルは」
扉をくぐって店内に入ると、空きが目立つ棚が立ち並んでいた。その設備のどれも、汚れはあるものの拭けば取れる程度のものだ。
フルル達は店の奥にあったおにぎりやサンドイッチを手に取りレジに持って行き会計を済ませた。
レジを打つ中年男性は自分達に笑顔を向けているものの、見ていて胸が痛くなる何かを感じさせた。
フルルはそんな彼から既視感を感じ、その正体にすぐ気が付く。
ワイン君に初めて会った時もこうだったな、と。
218 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 22:19:02.52 ID:KiJ09jlW0
扉が開くチャイムが店内に響く。
条件反射のように店員は扉の方を向いた。そして表情と動きが固まった。
入ってきたのはアライさんの一家だからだ。
アライさん2「お腹が空いたのだぁ」
アライさんが、堂々とした様子でずかずかと入り込んでくる。
アライさん2「もぐっぐちゅっくっちゃくっちゅらくっちゃ」
そして店員に何も言わずに店内に残った僅かな商品の袋を破り、食っていく。
クチャクチャクッチャクッチャクッチャクッチャクッチャクチャクチャクチャクチャ…
店内BGMには合わない、粘着質な不快な音が店内に響く。
アライちゃん6「うゆぅぅう〜まえよりかずがすくないのらぁ〜『しけてる』のらぁ」クッチャクッチャ
アライちゃん7「んふぬぁああ〜ん…うんちしながらたべるあまあまどーなつおいしいのらぁ〜」ブリブリクッチャブリクッチャ
クチャクチャクッチャグチャムチャグチュゴリグッチャ
アライちゃん達も店員には何も言わず、勝手に商品の袋を開けて食べ始めた。
アライちゃん7に至っては脱糞しながら飯を食っている。
アライちゃん6「しょうがないからぜんぶくいだめするのらぁ。あらいしゃんはおっきくなってチビをたくさんうむからエネルギーがひつようなのらぁ」クッチャクッチャ
アライちゃん7「ぐっちゃぐっちゃしあわしぇくちゃなのくちゃらぁ〜」ジョボボボボクチャクチャ
219 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 22:30:16.01 ID:KiJ09jlW0
フルル「ちょっと」
アライさん2「何なのだお前は?ここはアライさんの狩場なのだ。餌が欲しいなら他をあたるのだ」
フルル「餌じゃないよ!買い物だよ!」
アライさん2「は?これはアライさんのものなのだ。売り物じゃないぞ」
フルル「この棚にあったからこのお店のものだよ」
アライさん2「ならアライさんのものなのだ!アライさんはここの王なのだ!」
アライさん2「アライさんは偉大だから奴隷がいるのだ!そこの人間はアライさんに屈服してアライさんの奴隷になったのだ!!」
フルル「何言ってるの?」
アライさん2「そこの人間はアライさんを何度も何度も殺そうとしたのだ!だが偉大なアライさんは全てを切り抜け、返り討ちにして完全勝利を収めたのだ!」
アライさん2「アライさんは強い!アライさんは賢い!アライさんは偉大!それに比べて人間はゴミなのだ」
アライさん2「ここをアライさんから横取りしようとアライさんに勝負を挑んできた人間は多くいたが、どいつもこいつもアライさんの頭脳の前ではクソザコナメクジだったのだ」
アライさん2「だからアライさんは偉大!人間はゴミ!」
アライさん2「その真理を一番よぉくわかっているのはそこの人間なのだ!」
アライちゃん6「しょうだしょうだ〜!にんげんは『まけいぬ』なのりゃぁ〜!」
アライちゃん6「あらいしゃんにかしずく『くそどれい』なのりゃぁ〜!!」コスリコスリ
アライさん2「人間に独り占めする権利なんてどこにもないのだ!ここはコンクリートのジャングル、強いものがご飯を食べて弱いものは飢えて死ぬ!」
アライさん2「つまりここは最強王者たるアライさんのものなのだぁ!!」
220 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 22:44:11.28 ID:KiJ09jlW0
街に住むアライさんは森や山に住むアライさんに比べ、人に慣れている。
アライグマのフレンズは、元種であるアライグマ由来の比較的高い知能と学習能力、環境に対する適応力を有する。
アライさんは街で生き残る為に、森や山暮らしのアライさんに比べてより狡猾に、より陰湿に育ったのだ。
コンビニの特性を理解し、自分の特性を最大限に発揮し、行動する。
各地に点在するコンビニをアトランダムに襲撃し、保健所員やハンターが来る前に退散する。
そして同じコンビニは連続では襲わない。欲を掻いてもう一度行った先でハンターに待ち伏せされて駆除される恐れがあるからだ。
コンビニの数は多く、襲撃をするアライさんの数も多い。そして次にどこが襲撃されるか、アライさん以外はわからない。
各地に潜むアライさんの群れ、そして山から降りてきたアライさん、法則性を見出そうにも数と不確定要素が多すぎて決定打が見えないでいた。
ならば全てのコンビニに護衛を付けようと試みたが、それも失敗に終わった。前述の通り、コンビニの数が多いからだ。
護衛に付けたとしても一人・二人になってしまう。野生解放の不意打ちを喰らって殺害されるハンターが出た。
また、何事も無く終わり帰宅している途中にアラ信の襲撃を受け、一話の時のように死体を晒されるハンターもいた。
つまり、アライさんによるコンビニ襲撃問題を解決する手段が何一つ見つかっていないのが現状だ。
囮にされたり、純粋に逃げ遅れたり、縄張り争いに夢中になっている間に駆除されるアライさんもいた。
だがそんな間抜けな個体は遅かれ早かれ殺されている。それが偶然コンビニにいたハンターに駆除されただけだ。
そんな奴等をガイジと罵り、アライさんはただただ日本各地のコンビニエンスストアをむさぼり尽くし閉店に追い込んでいった。
自分達を追い掛け回すだけで何もできない人間たちを嘲り笑いながら、アライさんの群れはコンビニ業界を食らい尽くしていった。
221 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 23:03:57.19 ID:KiJ09jlW0
コンビニを食らい尽くしていく中でアライさんの自尊心はどんどん膨れ上がっていった。
いつか母から聞いた温室のジャパリパーク、人間のいない森や山
そんな甘ったれた環境を捨て、邪悪な人間を翻弄し、野生を捨てずに生きている気高きけもの。
いつか人間を打ち倒し、人間を支配し、英雄となり王となる存在。
街育ちが板に付いてきたアライさん達の自己評価は概ねこんなものだ。
前述の通り、人間側が手加減を強制されている事や人間同士での潰し合いが起こっている事への違和感は感じていない。
深く考えてもいない。あいつら人間は弱くてガイジだから、としか思っていない。
ここで傍若無人に商品を食らい尽くそうとしているアライさん一家も同じ考えを持っていた。
アライさんは偉大でそれに比べて人間はゴミ。ゴミな人間はアライさんの奴隷として働かせる以外に生きる術は無い。
そこの店員もアライさんがお情けで生かしているだけだ。本当ならアライさんが瞬きする間に殺せるものを。
このクソ奴隷の役割はアライさんにご飯を献上する事だけだ。アライさんの為だけにご飯を集め、アライさんの為だけにご飯を差し出す事だけが人間の生きる術だ。
そのはずなのに、今日はご飯の量が少ない。アライさん2はそう感じ、不満を言葉で表す代わりに大音量のゲップを店内に響かせた。
このコンビニがもう人が滅多に来ない店舗で、もうじき閉店するという事には全く気付いていなかった。
今度来た時も少なかったらもう殺してやろう。奴隷としての役割も果せないなら餌にしてやる。
アライさん2はそんな事を考えながら5つめのおにぎりにかぶりついた。
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/14(木) 23:10:46.02 ID:aRSxviFDo
なんかもう某スレの出来の悪いなろう系のアライさん臭がしてきた
223 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 23:15:12.33 ID:KiJ09jlW0
店員「ふっざけんなぁ!!!」
店員が突然大声を張り上げ、何かを掴んだ右手をアライさん2に向けた。
その右手には、拳銃が握られていた。
暴挙。コンビニエンスストア店員としては一番やってはいけない愚行。
拳銃を持ち込み、大声を張り上げ拳銃を突きつけるなど一番やってはいけない暴挙。
だがそんなものはもう店員には関係が無かった。堪忍袋の尾が切れた店員の指がトリガーにかかっている。
ぼうし「まっず!!!」ガバッ
フルル「わぁ!」ドサッ
ぼうしはフルルの後頭部に手を置きながら押し倒し、庇うように上に覆い被さる。
フルルの視界には見知らぬ天井とぼうしの上着で覆われた。フルルが今まで体験した事のない異常な世界は、少し甘い香りがしている。
その香りがフルルの鼻腔をくすぐった瞬間、BGMを掻き消すほど大きな銃声が店内に響いた。
224 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 23:25:26.12 ID:KiJ09jlW0
床に銃弾がめり込み、破片が舞い上がる。
アライさん2を狙ったその銃弾はアライさん2に直撃しなかった。銃を撃つ経験の無い素人が、感情を爆発させて撃った結果としては妥当である。
だがアライさん一家は大層驚いた。
「「びぃいい!?!?」」ブッピッ
アライさん2「ひぃっ!?な、何でお前がそれを持っているのだぁ!?!?」
拳銃の存在は知っていたが、まさか店員が持っているとは今の今まで思わなかったのだろう。
まさにガイジの甘い考え、と言いたい所ではあるが実際今の今まで店員は拳銃を持っていなかったのだから大目に見てあげよう。
それよりも大事なのは、今店員が拳銃を持っている事だ。
店員としてのタブーを犯してまで拳銃を持ち込み、発砲した。
つまり彼は今初めて、自分の店を今まで存分に食らい尽くしてきたアライさん一家に、明確で、本気で、本当の、強大な殺意を見せている。
225 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 23:31:40.26 ID:KiJ09jlW0
店員「殺してやる、殺してやる」
スイングドアを開け、力任せに叩き付ける。ずがん、という大きな激突音が店内に響き渡る。
アライさん2「ひっ!ひっ!」ズサ、ズサ
殺意に満ちた店員と、二度も虚を突いた爆音にアライさん2は怖気付いてしまった。
それは王が奴隷に対して見せる態度ではない。王は王でも、革命で引き摺り下ろされ殺される直前の無様で哀れな王だ。
アライちゃん6「ご、こ、こ、こわいのりゃぁあああ!!!!!」
アライちゃん7「おがああしゃああん!!こんなやつころしちゃえええええええ!!!!!」
アライさん2「ち、ちちちチビいいい!!!!!」
アライちゃん達が恐怖を共有するかのようにアライさん2にしがみ付く。
店員「殺してやる、殺してやる」
拳銃を向けたまま、呪いの言葉を呟きながら、店員がアライさん一家に歩み寄っていく。
226 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 23:42:49.12 ID:KiJ09jlW0
アライさん2「んぎぃ!!!」ブン
「「じび!!」」バシ
アライさん2が突然うなり声をあげてアライちゃんを弾き飛ばし立ち上がった。
そしてそのまま
アライさん2「逃げるのだあああああああああ!!!!!!!!!」
逃げ出した。出口に向かって、全速力で走り出した。
王の器である自分は他のどこでも王になれる。今は自分の命が優先だ。
そう考え、自分の逃走の邪魔になるアライちゃん二匹を弾き飛ばして一人で逃げ出したのだ。
アライちゃん6「おかーしゃぁあああ!?!?!?!?」ヨチヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん7「おいでがないでぼじいのりゃぁあああぁぁああぁあああああ!!!!」ヨチヨチヨチヨチヨチ
弾き飛ばされたアライちゃん達も汗と涙と鼻水の全力全開ヨチヨチムーブで出口へと向かう。
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/14(木) 23:45:52.55 ID:RzSpN3fgo
>汗と涙と鼻水の全力全開ヨチヨチムーブ
これすき
まだ発育状態は児童ほどの運動能力すらない赤ちゃんなんだなって思う
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/14(木) 23:54:48.95 ID:uwcGrByFO
ここのアライさんのクズ度は群を抜いてるわ
もはやこの地球上に存在してていい生物じゃない
229 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/14(木) 23:56:23.11 ID:KiJ09jlW0
ドスン
アライちゃん7「いだいのだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」ゴキゴキゴキゴキ
店員のかかとがアライちゃん7の腰を踏み付ける。
骨が砕かれる自分の娘の絶叫を聞きながら、それに意も解さずにアライさん2は街の中へ逃げていく。
あれは必要な犠牲だったのだ。あいつがガイジだからああなったのだ。アライさんは悪くない。アライさんは悪くないのだ。
頭の中でぐるぐると自己擁護を繰り返しながら、ひたすら走り続けた。
自分が安心できるまで、いつまでも、いつまでも。
230 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/15(金) 00:09:27.42 ID:mxmLGNy00
結果を言ってしまうと、アライさん2とアライちゃん6は逃げる事に成功した。
自分の娘、自分の妹であるアライちゃん7を囮にする事で、自分は生き残れたのだ。
だが、アライちゃん7は戻ってくる事はなかった。
探そうともしなかった。どうせ死んでいるだろうし、また産めばいいという考えがアライさん2にはあったからだ。
そして、アライさん2は考えるようになった。
チビは、自分から犠牲となる事でアライさんを救ってくれたのだ、と。
勿論アライちゃん7はそんな事を考えてはいない。
だが、この世には恐ろしくも残酷な事実を述べた言葉がある。
『歴史は勝者が作る』
『死人に口無し』
故にアライさん2は思い込んだ。
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2017/12/15(金) 00:12:15.28 ID:RHk+xs2X0
なんかなあと思うな。
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 00:15:02.62 ID:f+jw/G1sO
アライさん2は天罰なしか。
233 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/15(金) 00:19:34.87 ID:mxmLGNy00
けものは死ねば土に還る
生まれ変わりも別の世界に行くこともない
だからこそ、『地獄』を懸命に生き、一匹でも多くの『種子』を飛ばせ――――――――――
アライさん2(それが、アライさんに先祖代々伝わる普遍の教えなのだ)
アライさん2(チビは、その教えに忠実であったのだ)
アライさん2(アライさんを殺そうとした邪悪な人間の魔の手から、まだ未来のあるアライさん達を救う為の犠牲となったのだ)
アライさん2はそう思い込んだ。嘘も百回言えば真実となるという言葉を実行に移した。
アライちゃん7に敬意を表したわけではない。なぜなら最初から囮にするつもりだったからだ。
だがそれでは格好が付かない。ただ人間の銃に恐れをなして逃げ出したなんて誇り高いアライさんにはあってはならない。
故にアライさん2はその事実を忘れた。
故にアライさん2は思い込んだ。
自分がそのような誇り高い娘を産んだ偉大な母である事。
娘にとって自分こそが生きるべき特別な存在であった事。
自分が、娘の命まで背負って生きる気高き存在である事。
自分が、娘の遺志を継いで新たな命をこの身に宿す決意を固めた事。
自分が、それほどまでに素晴らしく、偉大で、誇り高い、稀有なる存在である事。
アライさん2は都合の良い妄想の中に都合の良い幻の現実を見るようになった。
合流したアライちゃん6も大体似たような考えに至った。これらは今後もこの街でこれらなりにたくましく生きていくだろう。
出会った同属やこれから生まれてくる娘や孫たちに、ありもしなかった妄想を現実のように伝えていきながら。
234 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/15(金) 00:25:55.64 ID:mxmLGNy00
そんな妄想はさておき、結果としてアライさんとアライちゃんを撃退した店員は店の入り口でただ呆然と立ち尽くしていた。
アライちゃん7「あ、あ、あらいしゃんの、あんよが…」ピクピク
足元のアライちゃん7に視界を向ける。腰ごと踏み潰された脚ではもう逃げることはできない。
店員はアライちゃん7の後頭部をわしづかみにする。
アライちゃん7「ぴっ!ひぃ…ひ、ヒトしゃん、あらいしゃんは」
何かを言おうとしたアライちゃん7の顔面を思いっきり石畳に叩き付ける。
アライちゃん7「ぐび!?」ガン!
アライちゃん7を掴み上げる。頭や鼻から出た血がぽたぽたと地面に落ちる。
アライちゃん7「あらいしゃん、あらいしゃんは、しかたがなかったのりゃ」
アライちゃん7「あぶ!!」グシャ
掴み上げる。口を開けたまま石畳に激突したせいで歯が折れ、口から涎と共にぼろぼろと崩れ落ちた。
アライちゃん7「おかーひゃ…あほがいじをさがすのをてつだうのあ…だから、あらいしゃんは、あらいしゃんだけは」
石畳に叩き付ける。
掴み上げる。
叩き付ける。
掴み上げる。
叩き付ける。
掴み上げる。
叩き付ける。
血痕が辺りに散らばり、アライちゃん7の顔面を中心に血溜まりができあがる。
アライちゃん7は、もう二度と喋る事も動く事もしなかった。
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 00:27:56.99 ID:pP0mDa//O
醜いな
どうしようないほどに醜悪だ
236 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/15(金) 00:36:26.15 ID:mxmLGNy00
血溜まりに顔を浸からせたまま動かなくなったアライちゃん7を、荒い息を吐きながら見ていた店員は
その呼吸を落ち着かせると今度は涙を流し始めた。
アライちゃん7は殺した。
だがもう失ったものは何も戻らない。
店も、客も、人生も、時間も、何もかもが元に戻らない。
アライさん一家が食らい尽くした、人生を賭けて立ち上げたコンビニは、再来週にはもう無くなっている。
残るのは、あまりにも大きな借金だけだ。それ以外は何も残らない。
あるものは全てあのアライさん達に奪われてしまった。
アライちゃん7を殺した所でどうにもならない。これからどうしていいかもわからない。
ただ、こうなってしまった自分が悔しくて、どうしようもなくて、店員はただただ泣くしかできなかった。
石畳にぶつけて傷が付いた指先に、アライちゃん7の血液を染み込ませながら。
二人は、店の中から店員、いや店長のそんな小さな背中を見つめていた。
237 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/15(金) 00:39:41.37 ID:mxmLGNy00
ぼうし「行こう」
フルル「でも」
ぼうし「ぼく達にはどうしようもできない」
ぼうし「あの人に、何もしてあげられないんだよぼく達は」
ぼうし「だから行こう」
フルル「…わかった」
238 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/15(金) 00:40:59.40 ID:mxmLGNy00
♪続きはまたこんど♪
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2017/12/15(金) 00:50:04.50 ID:RHk+xs2X0
虚しさだけが残るな。
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 01:52:30.85 ID:TSO9eTgN0
乙でしゅ
店員さん、感染しなければいいけど
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 02:57:30.44 ID:MZ0VAH9m0
この世界には警察も軍隊も存在しないのか
被害が凶悪で保健所とかの次元じゃないやん
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 11:03:45.01 ID:hk6rCNeoO
このひとの作風なんだろうけど、アライさん2や前回のキャンプファイアのアライさんとかあっさりしてる感じがあるな。
243 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 21:06:42.72 ID:7W0kIh6Z0
読み返していて流石にちょっとあっさりしすぎたなと自分でも思ったので、
>>230
から追記修正していこうと思います。
244 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 21:14:00.45 ID:7W0kIh6Z0
>>230
結果を言ってしまうと、アライさん2とアライちゃん6は逃げる事に成功した。
自分の娘、自分の妹であるアライちゃん7を囮にする事で、自分は生き残れたのだ。
だが、アライちゃん7は戻ってこなかった。二度と会うことができなかった。
探そうともしなかった。どうせ死んでいるだろうし、また産めばいいという考えがアライさん2にはあったからだ。
だが、胸に引っかかる何かは長い間アライさん2の心にあり続けた。
その内アライさん2は今回の逃走劇をこう考えるようになった。
チビは、自分から犠牲となる事でアライさんを救ってくれたのだ、と。
勿論アライちゃん7はそんな事を考えてはいない。
アライちゃん7が帰れなかったのはアライちゃん7が逃げ遅れたからであり、もっと言えばその前にアライさん2が弾き飛ばしたからである。
アライちゃん7は汗と涙と鼻水を垂れ流し、糞と小便をこびりつかせ、置いてかないでと叫びながら店員に踏み潰された。
アライちゃん7に、自分が犠牲になって母親を救おうなんて気持ちは微塵も無かった。
だが、この世には恐ろしくも残酷な事実を述べた言葉がある。
『歴史は勝者が作る』
『死人に口無し』
その言葉に従い、アライさん2は思い込んだ。
245 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 21:21:59.71 ID:7W0kIh6Z0
けものは死ねば土に還る
生まれ変わりも別の世界に行くこともない
だからこそ、『地獄』を懸命に生き、一匹でも多くの『種子』を飛ばせ――――――――――
アライさん2(それが、アライさんに先祖代々伝わる普遍の教えなのだ)
アライさん2(チビは、その教えに忠実だった)
アライさん2(アライさんを殺そうとした邪悪な人間の魔の手から、まだ未来のあるアライさん達を救う為の犠牲となったのだ)
アライさん2(チビはアライさんの中のアライさんだったのだ)
アライさん2はそう思い込んだ。嘘も百回言えば真実となるという言葉を実行に移した。
アライちゃん7に敬意を表したわけではない。なぜなら最初から囮にするつもりだったからだ。
だがそれでは余りにも自分が格好悪い。誇り高いアライさんは常に誇り高くなければいけないのだ。
アライさん2は自分の娘の死すら自分のアクセサリーとしたのだ。
自分が、そのような誇り高い娘を産んだ偉大な母である事。
自分が、娘にとって自分こそが生きるべき特別な存在であった事。
自分が、娘の命まで背負って生きる気高き存在である事。
自分が、娘の遺志を継いで新たな命をこの身に宿す決意を固めた事。
自分が、それほどまでに素晴らしく、偉大で、誇り高い、稀有なる存在である事。
死んだ娘がどう、ではない。自分だ。全ては自分の為だ。
アライさん2は都合の良い妄想の中に都合の良い幻の現実を見るようになった。
自分の為に娘の死を捏造し、自分の箔にした。
合流したアライちゃん6も大体似たような考えに至った。これらは今後もこの街でこれらなりにたくましく生きていくだろう。
出会った同胞やこれから生まれてくる娘や孫たちに、ありもしなかった妄想を現実のように伝えていきながら。
246 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 21:54:30.12 ID:7W0kIh6Z0
娘をカラスの囮として使ったアライさん1
娘の死を捏造して自分の箔付けをしたアライさん2
今現存しているアライさんはこの2つに分類される。
そしてどちらも共通して言える事は、究極的なまでに身勝手で自己中心的であるという事だ。
アライさん1の場合は、娘を囮にして生き残るクレバーなアライさんは凄い!
アライさん2の場合は、誇り高い娘を育て、その誇り高い娘に生きる事を望まれたアライさんは凄い!
最終的には全て自分は凄い!という結論に辿りつく。
ありとあらゆるものを自分の都合の良いように思い込み、捏造し、自分に箔付けをしていく。
要するに誇大妄想気質で、自分が最も優れた存在だと思い込んでいるのだ。
本来のけものが持たなかったもの、名誉・名声・威信・威厳、それらにアライさんは強い憧れを抱いている。
ヒトと同等の頭脳を持ったフレンズだからこそ、ヒトだけが持つそれらに対する欲求が生まれたのかもしれない。
プライドという、けものとして生きていく上ではあまりにも無価値なものに、アライさんは強く惹き付けられていた。
故にアライさんは捏造する。
故にアライさんは自分の悪行を臆面も無く正当化する。
故にアライさんは他者を見下す。
故にアライさんは他者を貶め、時には排除する。
アライさんの全ての行動の原理は自分が肉体的・精神的な充足感を得る為だけなのだ。
247 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 22:13:51.63 ID:7W0kIh6Z0
もし万が一、この先の未来、アライさんという種族に平和が訪れた時、この世界の歴史は大きく塗り替えられるだろう。
その時に出来上がる歴史は、恐らくこうなる。
フレンズを不当に差別し迫害する邪悪な人間。
人間はアライさんだけでなく多くのフレンズを自分の欲望の為だけに殺していった。
そんな邪悪な人間が支配する世界で立ち上がり、全てのフレンズの『大母』となったアライさん。
邪悪な人間の矛先を引き付け、何度も傷付きながらも立ち上がり、フレンズを先導し人間を打ち倒す偉大な『大母』。
その『大母』の家族であり子孫であるアライさんの一族もまた偉大で誇り高い、フレンズの中のフレンズ。
だからアライさんは偉大なのだ!!
だから他のフレンズはアライさんに傅くのだ!!
そんな歴史が作り上げられてしまうだろう。
それまで培われてきた知識は畑の野菜のように蹂躙され
アライさんにとって都合の悪い記録は溜め糞のような意志に塗り潰されて消える。
アライさんが勝者となった未来とは、アライさん以外にとっての絶望の未来でしかないのだ。
248 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 22:21:57.03 ID:7W0kIh6Z0
そんな妄想はさておき、結果としてアライさんとアライちゃんを撃退した店員は店の入り口でただ呆然と立ち尽くしていた。
アライちゃん7「あ、あ、あらいしゃんの、あんよが…」ピクピク
足元のアライちゃん7に視界を向ける。腰ごと踏み潰された脚ではもう逃げることはできない。
店員は左足を一歩前に踏み込み
アライちゃん7を踏みつけている右足を、左足を軸に円を描くように動かす。
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!!!!!!!!!
アライちゃん7「いぃぎえぇええええええええええええ!!!!!!!」
石畳やアスファルトとの摩擦力や凹凸がアライちゃん7の身体を削り抉り取っていく。
人間で例えるならば、巨大なヤスリで下半身を削られていくようなものだ。
そして本日の天気は快晴、正午近く。地面は雨に濡れてもいないし凍結もしていない。
アライちゃん7はその摩擦を最大限味わう事になるだろう。
249 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 22:28:35.77 ID:7W0kIh6Z0
右足を元の位置に戻す。
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!!!!!!!!!
アライちゃん7「ぎびぃいいいいいいいいい!!!!!」
右足で円を描くように動かす。
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!!!!!!!!!
右足を元の位置に戻す。
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!!!!!!!!!
右足で円を描くように動かす。
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!!!!!!!!!
右足を元の位置に戻す。
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!!!!!!!!!
右足で円を描くように動かす。
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!!!!!!!!!
右足を元の位置に戻す。
ぬるりとした感覚が店員の右足を襲った。
アライちゃん7「がっ…ぺ…がぺ……むが………」ピクピク
赤い液体が地面に半円を描き、アライちゃん7はその上を滑るようになっていた。
ぼうし「こりゃまずいかもね。とりあえず早く出よう」
フルル「え?」
ぼうし「もうすぐこの辺は人が集まるよ。目立ちたくないでしょ?」
フルル「そうだね」
店員の後ろを二人が通り過ぎて行ったが、退店のチャイムは店員の耳には届かなかった。
店員の目は、右足で踏みつけているアライちゃん7だけを見ていた。
250 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 22:38:13.42 ID:7W0kIh6Z0
店員はアライちゃん7の後頭部をわしづかみにする。
アライちゃん7「びっ!ひっ!お、おかーひゃ…あほがいじをさがすのをてつだうのあ…だから、あらいしゃんは、あらいしゃんだけは」
何かを言おうとしたアライちゃん7の顔面を思いっきり石畳に叩き付ける。
アライちゃん7「ぐび!?」ガン!
アライちゃん7を掴み上げる。頭や鼻から出た血がぽたぽたと地面に落ちる。
アライちゃん7「あらしゃん、あらい、しゃんは、しかたがなかったのりゃ」
アライちゃん7「あぶ!!」グシャ
アライちゃん7「おぶぇえええええええ…」ボロボロボロボロ
掴み上げる。口を開けたまま石畳に激突したせいで歯が折れ、口から涎と共にぼろぼろと崩れ落ちた。
店員も、思いっきりぶつけた指先が擦りむけ、爪が割れ、出血している。その傷からアライちゃん7の血液が染み込んでいく。
感染したかもしれない。店員はそう思いながらも心を動かす事はなかった。
もうどうでもいい。
石畳に叩き付ける。
もうこれで終わってもいい。
石畳に叩き付ける。
もう何も戻らない。
石畳に叩き付ける。
店も、客も、人生も、時間も、何もかもが元に戻らない。
アライさん一家が食らい尽くした、人生を賭けて立ち上げたコンビニは、再来週にはもう無くなっている。
残るのは、あまりにも大きな借金だけだ。それ以外は何も残らない。
あるものは全てこのアライちゃん7が、あのアライさん一家が奪ってしまった。
アライさんと紙一重のお客様に耐え、必死にやってきたコンビニが、たった一つのきっかけから全てを失ってしまった。
だからもう店員は、自分がこの先感染しようがアラ信に殺されようがどうでもよかった。
251 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 22:45:52.56 ID:7W0kIh6Z0
店員「あぁああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
自暴自棄、怒りその外諸々全ての感情を爆発させ、店員は吠えた。
グッシャアアア!!!
そしてアライちゃん7の頭を石畳に叩き付けた。
アライちゃん7「」ビクンッ
アライちゃん7「」ビクッビクビクビクガックゥン!ビクンビクンガタガタガクンガクン!!!
アライちゃん7が頭を店員に抑えられたままゴキガイジムーブをする。先程の一撃がとどめとなってアライちゃん7は死んだ。
店員は何も言わず、アライちゃん7のゴキガイジムーブが止まるまでじっとしていた。
そしてゴキガイジムーブが止まったアライちゃん7の死体を持ち上げ、
地面に投げて叩き付けた。
アライちゃん7「」グッシャァ
叩き付けられた水風船のように、地面にアライちゃん7の血痕が散らばる。
252 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 22:47:50.00 ID:7W0kIh6Z0
全てが終わった店員は、店の中に戻る。
がらんとした店内
アライさんが残した糞の匂い
食い散らかされた商品
それらを見直して店員、いや店長は泣いた。彼はただ泣く事しかできなかった。
253 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/17(日) 22:49:37.95 ID:7W0kIh6Z0
♪つづく♪
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2017/12/17(日) 22:54:43.73 ID:ZzLZrP7e0
乙。
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2017/12/18(月) 00:29:00.36 ID:GItVa6Js0
アライさん2号もひどい目に合ってほしかったな。乙。
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/18(月) 01:26:54.53 ID:cus9iOMt0
この世界観でコンビニ営業するとかすごい感
257 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 19:25:59.30 ID:xyiU/C1n0
ジャジャーン!!デッデレデレデレデッデデレデレ!!
テレーン!!グゥレイトォ!!!
フルル「わぁAだって」
ぼうし「おぉA評価いった!?すっごーい!この曲結構難しいんだよ!?」
ぼうし「初見でここまでできるなんて流石トップアイドル!」
サンキュフォーユアープレイーング!!シーユーネクスターイム!!
フルル「あれ、これで終わり?」
ぼうし「うん。三曲やったら終わり。切りもいいしそろそろ別のところ行こうか」
258 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 19:38:06.64 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「どう?ゲームセンター面白いでしょ」
フルル「そうだね。色んなのがあって、凄い楽しいよ」
フルル「ぼうしちゃんのあれもすごかったね?銃の」
ぼうし「ガンシュー?あぁーあれはぼく一番好きだからね。結構やり込んでるんだ」
フルル「本物も持てちゃうのにゲームでいいの?」
ぼうし「持てるからっていつでも撃っていいってわけじゃないからね」
ぼうし「銃を持つのは自衛の為。自分の思うがまま好き勝手に他人を傷つけていいですよってわけじゃないんだ」
ぼうし「自分勝手な論理で他人を傷付ければ罰を受ける。当たり前の事だよね」
ぼうし「でもまぁ、銃ってかっこいいからね!格好良く使えるってのはやっぱり男の子の憧れだよ」スッ
ぼうし「ばぁーん」
ぼうしは右手の親指人差し指でL字を模り、銃に見立ててフルルを指差した。
ぼうし「へへへ」
屈託無く笑うぼうしを見てフルルも自然と笑みがこぼれるのであった。
259 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 19:45:30.53 ID:xyiU/C1n0
フルル「次はどこに行くの?」
ぼうし「そうだね…ちょっと疲れたからまたカフェにでも」
オヤジ「ふぅー」
ぼうし「…あ」
フルル「あれ」
オヤジ「サーバルBちゃんのお陰で、オジサンまた頑張れそうだ」
サーバルB「また来てね!オヤジちゃん!!」
サーバルB「オヤジちゃんとの交尾ごっこ楽しみにしてるから!!」チュッ
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/19(火) 19:48:19.38 ID:q6IN9YKp0
親父ちゃんワロタ
サーバル喫茶ってこれかww
261 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 19:55:15.76 ID:xyiU/C1n0
ぼうし(…おいおい)
フルル「これは何のお店?」
『サーバル喫茶 たのしーちほー』デロデロデエエエエエエエエエエエエエエエエン
ぼうし「え?ここ、は。うん、あの、その」
フルル「?」
ぼうし「フレンズと、ヒトの出会いの場?っていうか、その、あー」
フルル「ここでヒトとフレンズがお話するの?」
ぼうし「あ、そう!そうなの!フレンズって凄い人気だから、こういうフレンズとの出会いの場的な場所が増えてるんだよ!!」
フルル「フルルここ入りたい」
ぼうし「え!?いや、それは駄目!!ここに入れるフレンズはここの店員だけなの!!」
フルル「そうなの?」
ぼうし「そうなの!だから…」
オヤジ「…ん、何だお前ら」
262 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:03:32.82 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「あ、いや。ちょっとこの辺の地理についての話をしてまして」
フルル「ヒトさん、サーバルと交尾してたの?」
ぼうし「ちょっ」
オヤジ「何だ、興味あるのかお嬢ちゃん?」
ぼうし「ちょ、待ってくださいオヤジさん!この子は駄目です!」
オヤジ「ん?お前何だ?この子の彼氏か?」
オヤジ(…あれ、この流れ前にもあったな?)
オヤジ(つーか今こいつ…)
フルル「彼氏」
ぼうし「ではありませんけど、友達です。この子をそういう目に遭わせたくないんです」
オヤジ「お前はそうだとしても、その子は興味津々みたいだが?」
フルル「…」
ぼうし「ちょフ…んんー!!ジェニファー!用があるのここじゃないんだから!!」グイッ
フルル「わっ」
ぼうし「すみませんでした!!失礼します!!」ピュー
オヤジ「…」
263 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:10:17.05 ID:xyiU/C1n0
サーバルB「オヤジちゃんのお友達?」
オヤジ「どうだろうな。どっかで会ったのかもしれねぇけど」
オヤジ「ま、そんな事よりお仕事だ。また来るよ、サーバルBちゃん」ヒラヒラ
サーバルB「じゃーねー」ヒラヒラ
ぼうし「んもう、駄目だよ。正体バレたら大騒ぎになるんだから」
フルル「…」
ぼうし「あーなんか気分転換に…あぁ、ちょっと遠いしベタだけど遊園地がいいか」
ぼうし「万が一の逃走用だったけど持ってきてて正解だったな…あれ」ボソッ
フルル「え?」
ぼうし「よし、次はちょっと頑張ってとっておきの所を案内するよ」
ぼうし「ちょっと付いてきて」
264 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:17:05.36 ID:xyiU/C1n0
ブオォオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
フルル「わー!すっごーい!ジャパリバスよりはっやーい!!」
ぼうし「このままちゃんと捕まっててねー!離すと怪我するからー!」
フルル「わかったー」ギュッムニュ
ぼうし「原付乗るの初めてかー!ってかロケバスとか乗らないのペパプって!?」
フルル「車に乗ったことはあるけど、外見えないようになってるのー」
フルル「こんな速さで動いてたんだねー」
ぼうし「あぁ、まぁ、そりゃそうか」
ぼうし「じゃあ思いっきり楽しんじゃって!もうちょい時間かかるからー!」
ブオォオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
265 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:40:40.80 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「うし到着!ヘルメット頂戴」
フルル「ふぅ…ここって」
ぼうし「遊園地。人の手でちゃんと動いている遊園地」
ぼうし「やっぱデートっていったらここだよね」ブンブン
フルル「ヒトもフレンズもいっぱいいるね」
ぼうし「うん」
フルル「みんな楽しそう」
ぼうし「うん」
ぼうし「フレンズがジャパリパークから日本にやって来て、ヒトはそれを受け入れた」
ぼうし「色々あったけど、ヒトとフレンズはこうやって共存して仲良くできる社会ができあがってる」
ぼうし「…これ見ると、そういう話も納得できるでしょ?」
フルル「うん」
ぼうし「今こうなってるのは、フルルのお陰でもあるんだけどね」
フルル「え?」
ぼうし「さぁー、思いっきり楽しんじゃおう!」
ぼうし「行きたい所、回っちゃおう!食べたいもの全部食べちゃおう!」
ぼうし(多分、ここが最後だろうからね)
266 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:44:27.45 ID:xyiU/C1n0
●数時間後●
ぼうし「ねぇ、一日回ってどうだった?初めて歩いて見る外の世界って」
フルル「アライさんとか怖いものはあったけど、楽しかったよ」
フルル「ジャパリパークにいた時よりもずっと」
ぼうし「そっか。それならよかったよ」
ぼうし「でももう終わりだ」
267 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:49:28.12 ID:xyiU/C1n0
フルル「え?」
ぼうし「もう暗い。流石にそろそろ帰らないとまずいよ」
ぼうし「人気アイドルが一日中行方不明だなんてさ」
ぼうし「抜け出してきたんでしょ?ペパプのメンバーも係員の人も心配してるよ」
ぼうし「あぁ。一番心配してるのは、ワイン君かな?」
フルル「…」
ぼうし「駅まではぼくも一緒に行く。あと数分間。それで、お別れにしよう」
フルル「」ガシッ
ぼうし「フルル?」
268 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:52:36.12 ID:xyiU/C1n0
フルル「フルルが」
フルル「フルルが外に出た理由って言ってなかったよね」
フルル「フルルは」
フルル「ヒトに会いたかったの」
ぼうし「…係員の人とか、じゃなくて?」
フルル「そうじゃないの」
フルル「誰かに、ヒトに、触れたかったの」
ぼうし「どうして」
フルル「フルルは、日本に来てすぐにワイン君と結婚した」
フルル「フルルの事が好きだって子を紹介されて、ずっと一緒にいて、そのまま気が付いたら結婚してた」
フルル「ずっとワイン君と一緒にいた。カメラが回った二人きりの部屋で」
フルル「出会えるヒトは、係員の人と、握手会の時に30秒程しか会えないファンの人だけ」
フルル「だから、外の世界を知りたかった」
フルル「外の世界に出たかった」
269 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:54:06.63 ID:xyiU/C1n0
フルル「ぼうしちゃん。フルルはもう戻りたくない」
フルル「ぼうしちゃんとずっと一緒にいたい」
フルル「ぼうしちゃんと、ずっとここにいたい」
ぼうし「………フルル」
270 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 20:55:24.87 ID:xyiU/C1n0
「身の程ってものを、わきまえろよ」
271 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:01:29.41 ID:xyiU/C1n0
フルル「え?」
ぼうし「フルルにはね、ヒトと一緒にいられる役割じゃないんだよ」
フルル「どういう事なの…」
ぼうし「ヒトの世界に君の存在価値は無いって事だ」
ぼうし「君の存在が世間で認められているのは、フンボルトペンギン、ワイン君の妻であるからこそ」
ぼうし「『失恋したフンボルトペンギンに再び希望を与え、支える存在になった心優しいフレンズ』っていう美談」
ぼうし「それが君の存在価値の全てなんだよ」
ぼうし「…それは、ワイン君の存在価値の全てでもあるんだろうけどさ」
ぼうし「ワイン君もワイン君で『フレンズに魅了された可愛らしいフンボルトペンギン』としての価値」
ぼうし「フレンズが『原種をも魅了する可憐な存在』という生きた証拠としての価値。『君のかませ犬』の価値しかない」
ぼうし「もし君の事を好きにならなかったら、係員の人以外の誰の気にも留められず、一人ぼっちで死んでいった命だ」
ぼうし「いや、そもそも、ワイン君は本当に君の事が好きなのか?」
ぼうし「それもただワイン君に金落とさせたいが為に飼育員がでっちあげた嘘だったんじゃないのか?」
フルル「それは!!」
フルル「…」
272 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:03:42.75 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「どうして言いよどむんだい?ワイン君が嘘を付けるわけないじゃないか」
ぼうし「今言ってちょっと後悔したよ。確かにワイン君は君の事が好きだ」
ぼうし「だって彼に嘘なんてつけるはずがないんだから」
ぼうし「人間でもない動物が嘘なんてつけるはずがないんだから」
ぼうし「ただのフンボルトペンギンに、嘘をつくなんて小賢しい頭脳は無いはずなんだから」
ぼうし「ワイン君は動物で、人間じゃないんだから」
フルル「それが嫌だった!!!」
273 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:05:31.30 ID:xyiU/C1n0
フルル「どうして?どうしてフルルは、ヒトを好きになっちゃいけないの?」
フルル「どうしてフルルだけがヒトを好きになっちゃいけないの?」
フルル「どうしてフルルはワイン君のお嫁さんじゃなきゃいけないの!?」
フルル「コウテイも、ジェーンも、イワピーも、プリンセスも!みんなヒトと仲良くしてる!」
フルル「楽屋で、知り合ったヒトの話を聞いているのがいつも辛かった!!」
フルル「フルルは、もう結婚しているからって、いつも仲間外れにされた!!」
フルル「フルルが!フルルだけがヒトと仲良くできない!!」
フルル「同じフレンズなのに…同じペパプなのに…何で…」
フルル「何でフルルだけ、ヒトを好きになっちゃいけないの…!?」
274 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:09:23.83 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「さっきも言ったけど、君の存在価値がそれしかないからだよ」
ぼうし「君が外の世界に興味を持ったり、ヒトに興味を持ったりなんて事は許されない」
ぼうし「君は、一生ワイン君だけを愛し、ワイン君だけを見て生き続けなければいけないんだ」
ぼうし「それが、君の生きる理由で唯一の存在価値なんだ」
ぼうし「だって、『あのフルルが不倫』なんて報道がされてみなよ?」
ぼうし「それがどういう影響を及ぼすか。ペパプにも、フレンズ自体にも、それとその不倫相手にも」
ぼうし「君たちフレンズを、神の遣いという人もいる。その為に君たちに命を捧げている人たちがいる」
ぼうし「そいつらを裏切ったらどうなるか」
ぼうし「…ついでに教えてあげるよ」
ぼうし「君たちがどうして人気絶頂アイドルグループになれたか」
ぼうし「ぼくからしてみればね、今も過去も、どいつもこいつも同じような事しか歌わない、何の代わり映えもしないもんさ」
ぼうし「誰が一番だろうが、誰が人気だろうが、ヒトだろうがフレンズだろうが何も変わらない。それで何がどうなるって事も無い」
ぼうし「じゃあどうして君たちがそんな中で一番になれたのか?」
ぼうし「どうしてフレンズがヒトに受け入れられたのか?」
275 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:12:39.85 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「誰も君たちを批判する事ができないからだよ」
ぼうし「君たちが最初に日本でデビューした時に起こった色々な問題を知っているか?」
ぼうし「どうして君たちを批判したアナウンサーが君たちに公開土下座をしたか、その理由がわかっているか?」
ぼうし「どうして君たちを批判する人たちが誰もいないのか、わかっているか?」
ぼうし「どうしてペパプのメンバーがこんなに好かれているかわかっているか?」
ぼうし「みんな、君たちが怖いんだよ。君たちの裏にいる奴が怖いんだよ」
ぼうし「君たちを批判する人はみんな殺されるか大怪我を負わされた」
ぼうし「土下座したアナウンサーも君たちの批判をしてからずっと、一日中バッシングや襲撃を受けて心が折れた」
ぼうし「それを見てきたから、みんな君たちが怖いんだ」
ぼうし「君たちの事を受け入れるフリをしなければ、次に殺されるのは自分達かもしれない」
ぼうし「だからヒトはフレンズを受け入れた」
ぼうし「だからペパプは誰よりもヒトと仲良くできる。相手は、自分が傷付けられない為に最大限の好意を向けてきてるんだからね」
ぼうし「フレンズは純粋無垢で可憐な存在…そのイメージを持つ事を、ヒトは強制されているのだから」
276 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:14:54.21 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「それを踏まえた上でもう一度言うよ」
ぼうし「君たちはそのイメージから反した事をしてはいけない」
ぼうし「そのイメージが覆された瞬間、世界は、もっと滅茶苦茶になる」
ぼうし「だから、諦めろ」
フルル「でも、私は外の世界の事をもっと知りたいの!」
ぼうし「君の意思は誰も聞いていない」
ぼうし「君は美談を美談として成り立たせる為の歯車だ。歯車が歯車以外の働きをするのは絶対に許されない」
ぼうし「だから君の意思やそれ以外の人生になんら価値は無い。そういう意味では…」
ぼうし「君と、アライさんには、何の違いも無い」
277 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:17:53.08 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「個の意志なんて関係ない。ただ群に弄ばれる為だけに存在する命」
ぼうし「君の意思も人生も全て、誰かに踏み躙られる為だけに存在しているんだよ」
ぼうし「君が今日見てきたアライさん達のように、踏み躙られる為だけの命だ」
ぼうし「そこに反感も疑問も持ってはいけない。アライさんのように、最期の最期まで踏み躙られなければいけない」
ぼうし「それが君とアライさんの役割だ」
ぼうし「アライさんは害獣として駆除されるという役割」
ぼうし「君は美談、フレンズという種のアクセサリーとして一生を終えるという役割」
ぼうし「自分の役割だけを全うして、フレンズをフレンズたらしめろ。それが君の役割だ」
ぼうし「その役割を放棄した瞬間、ヒトはフレンズを受け入れなくなる」
ぼうし「だから君が、ヒトと交わりたいなんて願いはもっての他だ」
278 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:21:50.64 ID:xyiU/C1n0
フルル「いや…」
フルル「それじゃあ、帰りたい」
ぼうし「どこに」
フルル「ジャパリパークに、帰りたい」
フルル「ジャパリパークに帰してよ」
ぼうし「無理だよ。もうジャパリパークは生き物が住める場所じゃない」
ぼうし「核汚染されたジャパリパークにはもう草一本も生えやしない。もうあそこから新しいフレンズも、セルリアンすら現れない」
ぼうし「万が一住めたとしても、みんな反対するよ」
ぼうし「『影川財閥が支配するジャパリパークになんて行こうとするな』って」
フルル「でも嫌…こんなの嫌…」
ぼうし「嫌か。まぁ、そうだろうね。ぼくが君の立場だったしても嫌だって思うもの」
ぼうし「じゃあぼくからプレゼントをあげるよ」スッ
279 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:28:38.69 ID:xyiU/C1n0
ぼうしは懐から手袋を出し自分の手にはめてからもう一度懐に手を伸ばした。
懐から二度目に取り出した、布で包まれた何かをフルルに手渡す。
ぼうしの手からそれが離れた瞬間、フルルの手にずしりと重いものが圧し掛かる。
フルルは思わず落としそうになるが、ぼうしの片手がフルルの手をしっかりと支えていた。
そのままぼうしが包んでいる布を丁寧に解いて行くと、その布の下から黒光りする鉄の塊が見えてくる。
それは銃だった。ゲームセンターにあるような玩具ではない、本物の銃だった。
280 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:31:49.59 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「使い方は、さっきゲーセンでやったからわかるよね?握って、ここのレバーを引く」ガチン
ぼうし「今は弾が出ないようにしていたけど、次からは出る」ガチャ
ぼうし「当たれば、当たったやつは死ぬ」
ぼうし「これをあげる」
フルル「これを、どうするの?」
ぼうし「これは現状を変える力だよ。一回でも使えば、現状は大きく変わる」
ぼうし「それをどうするかは君次第だよ」
ぼうし「ワイン君を撃つか、係員を撃つか、それともぼくを撃つ?」
ぼうし「どれでもいいよ。それはもう君のものなんだから、君の思うように使っていい」
ぼうし「ただ、それを誰かに撃ったらどうなるか、よく考えた方がいい」
ぼうし「フレンズが自分の夫を殺すか、フレンズが人間を殺すか、フレンズがフレンズを殺すか」
ぼうし「どうなったとしても、フレンズの未来は大きく捻じ曲がる」
ぼうし「どうなったとしても、現状は大きく変わる」
ぼうし「現状はぼくが言った程、君が思うほど強く固いものじゃない」
ぼうし「何かがあればあっさりと崩れて滅茶苦茶になっちゃうものだ」
ぼうし「だからその気になれば、死ぬ気にでもなれば簡単に変えられる。でも撃つ人はよく考えた方がいいよ」
ぼうし「現状の何が滅茶苦茶になるかなんて予想は、誰にもできないんだから」
281 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:33:17.55 ID:xyiU/C1n0
「それじゃ」
「もう二度と会う事は無いと思うから…さようなら、フルル」
282 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:34:18.07 ID:xyiU/C1n0
●翌日●
283 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:36:38.99 ID:xyiU/C1n0
テレビ「次のニュースです」
テレビ「人気アイドルグループPPPのメンバー、フンボルトペンギンのフレンズのフルルさんが」
テレビ「本日午前10時頃、自宅で亡くなっているのが係員によって見つかりました」
テレビ「フルルさんの近くには拳銃が落ちており」
テレビ「自殺と見られています」
ぼうし「そっか。自分を撃ったんだね」
ぼうし「君は本当に優しいフレンズなんだね。他の誰かなんて知った事かと、アライさんみたいに振る舞う事だってできたのに」
ぼうし「君は君の現状を何とかしたかった。でも他の誰かを撃つなんて事はできなかった。だから自分を撃った」
ぼうし「最期の最期まで君は多分、優しいフレンズのままだったんだね」
ぼうし「でもね」
ぼうし「だから何だって話なんだよ」
284 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:45:23.40 ID:xyiU/C1n0
テレビ「自殺、というのは本当でしょうか」
テレビ「フルルさんはずっとワイン君と一緒にいて、拳銃なんて持ち込めるはずがありません」
テレビ「とすると?」
テレビ「他殺の可能性も十分に考えられるかと」
テレビ「例えば、影川財閥」
テレビ「影川財閥はフルルさんとワイン君の仲を引き裂こうとこれまで数々の妨害工作をしてきました」
テレビ「影川財閥の刺客によってフルルさんが殺害された可能性は十分に考えられます」
テレビ「…確かに」
テレビ「影川財閥の総帥は『事故死』していますが、あまりにも巨大な組織です」
テレビ「影川総帥の遺志を継いで、フレンズを陥れようとする輩は今でも多くいます」
テレビ「聞けば副総理の親族に影川財閥の者がいて、影川財閥を忖度して特定有害駆除対象フレンズ法案の成立や銃刀法の改法がされたとか」
テレビ「それが本当なら政府は今後特定有害駆除対象フレンズの枠を拡大していくはずです」
テレビ「とにかく、あのフルルさんが自殺しただなんて考えられません」
テレビ「フルルさんは、間違いなく、影川財閥の刺客によって暗殺されたのです」
テレビ「フレンズを憎み、フルルさんとワイン君の仲を引き裂こうと画策し続けた、影川財閥の生き残りによって」
テレビ「フルルさんは、殺されたのです!」
ぼうし「…ふふっ」
ぼうし「ふふふふふっ」
ぼうし「あはははははははは!!!!はははははははははははははははは!!!!」
285 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:47:08.95 ID:xyiU/C1n0
ぼうし「可哀想…可哀想なフルル」
ぼうし「結局君の人生は全て、誰かに利用される為だけのものだったんだね」
ぼうし「アライさんと何も変わらない」
ぼうし「意志を踏み躙られて、死んだ後も、永遠に、利用され続ける運命」
ぼうし「誰も君の本当の心に気付いてくれない。誰も君の本当の心に見向きもしない」
ぼうし「君の事が好きだった、ワイン君でさえも」
ぼうし「心の底から同情するよ」
ぼうし「本当に、本当に、可哀想なフルル」
ぼうし「せめてぼくだけは君の本当の気持ちを覚えておいてあげるよ」
ぼうし「…覚えてあげておいたほうがいいよね?せめて、ぼくだけはね?」スッ
286 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:47:52.17 ID:xyiU/C1n0
「そうだよね…パスカル」
287 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/19(火) 21:49:38.66 ID:xyiU/C1n0
♪次回予告♪
「ぼくです」
「いただきます。っていう言葉があるよね?言わない人もいるけどさ」
「誰に向けて言うかはその人次第」
「作ってくれた人に言う事もあるし、犠牲になった命に対して言う事だってある」
「でも、けものにそんな言葉はないんだよね」
「人間だけだよ?そんな無駄な言葉を使うのは」
次回
「わたしとコックとアライさん」
半分くらい書けたら投下します。
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/19(火) 21:53:19.47 ID:q6IN9YKp0
めちゃくちゃダークな世界観だな
こういうのすき
アニメでみたいね
あと飼い主ちゃんは一体何者なんだ・・・。
裏にいる奴とは?
乙乙
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/19(火) 22:14:33.87 ID:dSmf37QE0
乙
何というか…凄まじい世界観だな
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/20(水) 07:22:24.55 ID:Uv3y0McMO
グレープ君、どうぶつビスケッツMステ出演と古舘アナの謝罪、ツイッター炎上騒動が元ネタ?
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/20(水) 16:01:27.95 ID:qmVTYnL0O
>>42
でアライさんを吊ったのもぼうしもとい飼い主なのかね
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/20(水) 17:41:41.35 ID:4eDeDE/pO
飼い主がフレンズ嫌いだとすると、影川の関係者なのだろうか。
293 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/22(金) 15:42:22.32 ID:tYqgc3ZM0
雑談スレの方を見ていて少し思うところがあったので、このssのスタンスを表明します。
・アラ虐です。誰が何と言おうがアラ虐です
・一話一殺以上を心掛けています。つまり毎回アライさんを一匹以上確実にブッ殺します
・アラ虐が成り立つ社会というのがどういう世界なのかなぁと考えながら作っています
→アライさん駆除は日常でありふれた光景に近いものです
→その周りの環境や状況、そこで暮らす人が何を感じているかどう振舞うかを文字にする事で、アラ虐世界を深めていければなと思っています
→ディスパッチシーンの文章力で先駆者様に勝てる自信が無いっていうのも理由のひとつです
・フレ虐?要素は今後あまり無いと思います。死ぬのは99%アライさんです
→腐ってもフレンズであるアライさんを駆除している負い目が人間にある為、一般人は他のフレンズには優しいです
→フェネックの死についてはやります
・無意味にアニメを意識した作り方をしていまして、映像でイメージした時に30分で収まるかなーってボリュームで作っています
→アラ虐があっさりしてしまうのはストーリーパートで色々詰め込みすぎたしわ寄せが来ているからです
→あとディスパッチシーンの文章力で以下略
→ド素人が作る作品なのでこりゃアホな事考えてましたなぁと思ったらこれは撤回します
・何があっても全12話で終わらせます。今は3話まで終わり、次が4話なので進捗は3分の1くらいです
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/22(金) 16:18:17.66 ID:H01/3URV0
了解乙
295 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/22(金) 17:26:26.36 ID:WwBXAkqd0
♪アライさんについての色々
・この世界のアライさんは合理的に考えれば一匹残らず駆除しなければいけない世界一危険な害獣です
・人間にとって善良な個体や、所謂『補正付き』のアライさんは●『最終話以降も一切出ない世界です』●
→つまりアライさんが駆除されるべきという観念が揺らぐ事は●『この話が終わったとしても一切揺らぎません』●
・殺しきれずに逃げられる描写が多いのは最終話以降も簡単には絶滅せずにこんな世界が続きますよ、というつもりでした
・『あぁこいつ駆除しなきゃやばいな』という危機感のようなものを感じていただく為に意図的に強くしました
・アライさんが害獣認定を受けたのはアライさんがアライさんだからこそ、起こるべくして起こった事として設定しています
・フルルがフルルであったからこそ自殺したように、アライさんがアライさんでなければ害獣として成り立ちません
・生態系は先駆者様方の作品と同じです
・害獣としての特性と人間の知能と学習能力を併せ持つため、一筋縄ではいかない相手になっています
・口伝で『人間は巨悪』と伝えられて育っているため、人間に対する憎しみが全個体共通で強いです
・幼獣期、アライちゃんの時から人間に憎しみを持っています
→愛嬌振りまいて近付いて、上手く人間の保護者を作れたとしても『このにんげんはあらいしゃんのくちょどれい(クソ奴隷)』という認識しか持ちません
→それで上手く成長できたら野生解放して保護者を殺し喰らって逃げます
→酷い場合は群れを呼び寄せて一家全員惨殺という目に遭います
・要するに人間に対する悪意と殺意と優越感全開な生物です
・性欲が強く、ヒト(アライさんのクソ性奴隷)やアライグマ以外でも同族同士で生物学的に無意味な性行為(要するにレズセックス)を行う個体も多いです
→繁殖せよ、繁殖せよとアライちゃん期から叩き込まれているため隙あらば性行為をしようとします
・アライさんと呼ばれる個体は全て野生解放ができます。野生解放ができるようになって一人前、という価値観が群れでもできています
→大きくなっても野生解放ができない個体はガイジとしてアライさん間でいじめ殺されます
→そうでなくても囮にされてハンターに殺されたり、群れごと駆除されたりですぐ死ぬのでまず出ません
長々と書きましたが
『アライさん勝利は問答無用で完全無欠のバッドエンド』『人間側の勝利条件はアライさんの絶滅のみ』
という所だけ覚えておいていただければ大丈夫です。
他に何があってもそこだけは変わらないので、安心してください
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/22(金) 17:35:02.06 ID:H01/3URV0
これはこれで設定突き抜けてて好きよ
作者さん自分の書きたいように書いてくだされ
応援してるのだ
297 :
◆7Yg2t5JHRU
[saga]:2017/12/22(金) 17:35:43.18 ID:WwBXAkqd0
♪おまけ セルリアンについて
・セルリアンという言葉は普通に出てきていますが、そんなものはこの世界に存在していません
・ジャパリパークにいたセルリアンはロボットで、フレンズは幻覚を見せられてあの見た目に見えていました
→フレンズの様子がテレビで放送された際は、特殊撮影でフレンズの幻覚を再現していました
・幻覚のトリガーはじゃぱりまんです
→じゃぱりまんを食べる事で病原菌の完全殺菌、幻視、避妊、それともう一つ秘密の何かがフレンズの身体に起こります
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/12/22(金) 17:39:04.73 ID:H01/3URV0
セルリアンが幻覚の発想はなかったww
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