淫魔の国と、こどもの日

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2 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:06:25.83 ID:QqWy6NJ20

勇者「ぷふっ……! おい、サキュバスB! いい加減に――――ん……?」

目を凝らして、カーテンの間から差し込む薄明に照らされたそれは、“枕”だったが……
ただし、その高さはまるで違う。
首がおかしな方向に曲がってしまいそうなほど高く、分厚く、横に広い。
見れば、頭が載っていたと思しい凹みを残してはいるが――――その凹みは、自分の頭のものとは思えないほど大きい。

勇者「……? 何……か、おかしいな」

疑問をこらえながら、吸えた空気を逃さぬように捉え、体をくねらせながらようやくまとわりつく毛布から抜け出て、仰向けに身体を起こす。
そこで、ようやく見えたのはいつもの寝室の風景――――では、ない。

3 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:06:58.31 ID:QqWy6NJ20

勇者「何だ、ここは……」

最初に目に映ったのはあまりに……あまりに広いベッドだ。
見慣れた支柱の象嵌、確かに見覚えのある毛布と天蓋から下がる目隠しの薄絹。
だが、その広さはまるで凪いだ海原のようにも感じて――――ふと、背筋が冷えた。
凪いだ海に落ちてしまったような心細さが、まず心に湧き起こった。
仰げば見える天蓋は文字通り天に蓋するように遠く、立ち上がっても近づく事すらできそうにない。
事態の把握に努めようにも、戸惑い焦るばかりの思考が邪魔をする。
落ち着くべく水差しに伸ばした手をふと見て、更に。

4 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:07:38.06 ID:QqWy6NJ20

勇者(え……? これ、俺の……手、なの……か……?)

伸ばした利き手に宿る小さな爪、細すぎる指、刻まれていたはずの戦傷は跡形もない。
それは伸ばした先にある水差しの背丈と見比べると、ことさらに異様だった。

勇者「……夢か。そうか。……なら、もう少し……眠ってもいいな」

水を飲む事は諦め、もぞもぞと布団に戻り――――高すぎる枕を避けて、折り畳んだ腕を枕に横臥し、毛布の陰に身を寄せるように眠りに入る。
しかし寝入る寸前に。

堕女神「陛下、おはようございます。よくお眠りになられましたか? それでは今朝も――――けさ、も……え? え……?」

いつものように朝を告げに来た声は、凍りつき、やがて――――。

堕女神「……陛下、です……ね?」

気遣い、戸惑いながらの問いかけに変わった。

5 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:08:43.20 ID:QqWy6NJ20
*****

不格好にだぶついたシャツの袖は、三度も折り返してようやく手が出た。
裾はまるで大外套のように腿まで伸びていた。
ズボンの裾もまた同様で――――穴が足りないベルトそのものを結んで留める有り様だ。
ベッドに腰かけている今も床に足がつかない。

勇者「……服……」

堕女神「はぁ、まぁ……今日中に何とか用意いたしましょうか。しばし不自由を御掛けいたします」

勇者「ああ、いい。いいとも。……でもなぁ。これはな……予想外だー……」

奇妙に重い毛布の謎。
まるで化かされたように広く、天蓋まで遠くなっていたベッドの謎。
それに加えて、今――――寝台に腰かける勇者の目線の高さに、堕女神の細くくびれた腰がある。
顔を上げれば、当惑しきった堕女神が忙しなく赤黒の眼を泳がせ、縦細い瞳を収縮させながらこちらを見やる。
6 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:09:42.81 ID:QqWy6NJ20

勇者「……堕女神、正直に答えてくれ。今の俺は……どうなってる?」

堕女神「……本当に、申し上げてもよろしいのでしょうか?」

勇者「頼む。言ってくれ。俺は受け止める」

堕女神「はぁ、それでは……謹んで」

堕女神が姿勢を整え、ゆっくりと視線を眼下の“勇者”へ注いで――――こくり、と喉を鳴らしてから、口を開く。
今目の前にある事実を受け止め、かつ勇者にゆっくりと預けるように。

堕女神「…………陛下は」

勇者「俺は?」

堕女神「……陛下は――――――――幼子の姿に、なっておられます」

7 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:10:57.50 ID:QqWy6NJ20

勇者「……何で?」

堕女神「申し訳ありません、私にも……事態が……」

何度手を見やっても、そこには刻まれた“時”がない。
まっさらで傷一つなく、剣を握り続けた故の隆起もない。
取ってこさせた鏡を覗き込めば、そこにはすでに遠くなった昔の、農作業の合間に川面に映した時そのままの幼い面影が映し出されていた。
生まれてきて十年を越えたばかりの頃――――まだ自分の使命も運命も、宿命さえ知らなかった、あの頃の。

堕女神「陛下。その……確かに、幼少の頃のご自身の御姿であらせられますか?」

勇者「間違いない。でも、そうか。俺は……こんな顔だったのか」


鏡の中には、やや緊張した様子の――――小さな、子供の顔があった。
8 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:11:25.99 ID:QqWy6NJ20

堕女神「……流石にこれも、病のせい……とは……」

勇者「いくらなんでも無いだろう。誰かの呪いか? でなきゃ……薬? それとも……」

堕女神「何か、お心当たりは?」

勇者「無い事もないが……どれだ……?」

堕女神「詳しくお聞かせ願えますか」

勇者「ああ、まず……先日、ナイトメアと出掛けたな。すぐ近くの森だよ」

堕女神「して……?」

勇者「そこでさ。変わった実を食べたんだ」

9 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:11:53.54 ID:QqWy6NJ20

*****

数日前、王都近郊の森の中をナイトメアの背に揺られて散策していた時の事だった。
清澄な空気が満ちて、川のせせらぎが鳥の声とともに耳を楽しませる、時を忘れさせてくれるような一時を過ごした。
そこで小川のほとりで馬上から降り、手を浸してその冷たさを堪能し、顔へ叩きつけて洗っていると――――背後で、気配が小さくなった。

ナイトメア「……さぼり魔」

勇者「相変わらず辛辣だな」

振り返ると、そこには――――ぼろぼろの貫頭衣を一枚だけ纏った、白金髪の少女がひとり。
人間の姿をとったナイトメアは、厚ぼったい前髪の合間から、非難するような冷え切った目つきの悪さを覗かせて呟く。

ナイトメア「……でも、大目に見る。そとの空気、やっぱりいい」

勇者「……ああ、そう。喜んでもらえたかい」

10 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:12:32.83 ID:QqWy6NJ20

訥々と、拙い片言で用件だけを手短に言い、刺すような抜き身の言葉で彼女は話す。
馬の姿のままでも発語はできるはずなのに、人の姿をしている時しか話そうとしない。
それどころか馬の時には馬としてしか振る舞わない素っ気のなさが、彼女の特徴だった。

勇者「……にしても……なんだか……懐かしいよ」

ナイトメア「さぼりの感覚が? わるい子、だった?」

勇者「違う……ああいや、悪い子じゃなかった訳じゃない。……こういう森が。懐かしくてさ」

かつて、故郷近くに、分け入って戯れていた小さな森があった。
森とは言っても決して広くなく、ただ二十〜三十本の木が植わっているだけの、思えば単なる木立ちに近いものだった。
しかし子供の頃は、それすら楽しい遊び場で――――よく虫を捕まえに入っていた事を、勇者は思い出す。
11 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:12:59.93 ID:QqWy6NJ20

勇者「そう、あの頃はさ……小さい森だったのに、ただ歩いてるだけで楽しかったな。見た事無い虫もいっぱいいて……」

ナイトメア「ふーん……」

勇者「すぐ近くを流れてる小川には、魚もいっぱい泳いでてさ。警戒心なんてないから手で掬えたんだ。
川底には小さなエビもいて……」

ナイトメア「へー……」

勇者「さっきから……お前聞いてないだろ。話振っといて!」

ナイトメア「んー……でりしゃす」

勇者「コイツ……! ん……何食ってるんだ」

12 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:13:52.16 ID:QqWy6NJ20

しみじみ語るのを止め、その場に胡坐座りをするナイトメアを見ると……山ブドウに似た実をひと房片手に、もきゅもきゅと口に押し込み、頬を膨らませていた。
ぼろ布の貫頭衣が汁で染まるのも意に介さず――――さらに、一粒。

ナイトメア「さぁ。わかんない。……そっちに、いっぱい……なってた」

勇者「そんなの食べて大丈夫なのか?」

ナイトメア「大丈夫。……たぶん」

勇者「多分って。……ああ、あったあった。どれ、俺も……」

立ち上がり、樹上から下がるそれをひと房もいで、じっくりと眺める。
人間界で見た山ブドウと外見は変わらず、匂いを嗅いでもそう変わらない。
一粒を軽く絞って汁を舌の上に垂らし、しびれるような感覚があるか確かめても、問題はない。
思いきって口の中に投げ入れると、きつい酸味がまず襲ってきてから――――噛み締めた瞬間、鮮烈に甘い果汁が口の中で弾けた。
13 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:14:19.90 ID:QqWy6NJ20

勇者「んぅっ……! 美味いな、これ」

ナイトメア「……それ食べても大丈夫なの?」

勇者「だから俺がそう訊いただろ!」

ナイトメア「わたしとあなたじゃ、種族が……まぁいいや」

勇者「別に何ともないし、大丈夫なんじゃないか。さて、夕方までに戻らないといけないけど……もうちょっとだけ……」

ナイトメア「さぼって間食。やっぱり……わるい子」

*****

14 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/07(月) 23:17:23.80 ID:QqWy6NJ20
ひとまず、今夜のスレ立て兼投下を終了とさせていただきます
基本は初代と同じく、少量ずつでも毎日投稿でいかせていただきたいと思います

このスレはSS速報にて更新していた
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1321/13213/1321385276.html

の後日談です。

今回もひとつ、よろしくお願いします


twitter垢
https://twitter.com/inmayusha
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 23:42:50.06 ID:a58eAr29o
おつおつ
これから楽しみ
16 :sage :2018/05/07(月) 23:47:16.54 ID:icf11ZSQ0
待ってました!
乙ですー
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 23:56:06.68 ID:siJA5ZD00
長年まってた
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/08(火) 00:00:24.06 ID:UkvhrPsv0
1月と2月と3月のときと、4月と5月のGWのときも僕はずっと! 待ってた!
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/08(火) 00:20:57.86 ID:65OAoeSO0
待ってた
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 00:26:57.28 ID:jBMygBo10
メアと果実のリクエスト使ってもらえたのかな嬉しい。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 01:09:10.63 ID:z4F4xbUoO
メア編クルー?
ずっと待ってたぞ!!
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/08(火) 01:18:14.62 ID:ddfOt5iQ0
待ってた!!
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 02:29:39.11 ID:CqdFemB40
これのために生きてきた
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/08(火) 03:22:00.73 ID:o4F4FEFf0
まってましたー
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/05/08(火) 11:57:54.76 ID:61DUhYRA0
王の帰還か……期待
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/05/08(火) 13:48:47.65 ID:RDTPMZ0nO
スレタイでもしやと思ったがあなただったか
待ちかねたぞ!
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/08(火) 15:37:23.71 ID:gUdHJxsJ0
何回過去作読み直したか・・・。お待ち申し上げておりました。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 18:25:18.97 ID:gkloq+DXO
我々は、あなたが帰ってくるのを待っていた。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 19:03:34.87 ID:B0mYdbxs0
神居村の続きは書く予定あるの?
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 20:10:31.82 ID:4mEVKeS30
まってた
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 21:19:01.54 ID:YXdRs3uFo
>>29
Twitterでやれ
32 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:24:57.28 ID:7RScKd7G0
こんばんは
十分ほどしたら続きを落としていきます
33 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:39:11.75 ID:7RScKd7G0
*****

勇者「……あれ、かな?」

堕女神「陛下。安全かどうか確認のとれない物をお召し上がりになるのは……」

勇者「悪かった。でも考えにくいな。流石に木の実を食べたら子供の姿に変わる、なんて……」

堕女神「念のため調べておきましょう、後ほど使いの者を出します。ところで、御体に不調などございますか? どこかが痛むですとか」

勇者「いや、不調はない。むしろ……すごく、体が軽い」

堕女神「そうでしたか。……しかし、弱りましたね。その御姿を皆にどう告げたものやら……いやそもそも、告げて良いものかどうか……」

勇者「隠せるものでもないだろう。……それはそうと、どうして?」

堕女神「とは?」

34 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:40:20.59 ID:7RScKd7G0

勇者「いや、な。……どうして、俺だと? 寝室に、どこから入ったか分からない子供が一人きりいるだけで……俺だと分かったのか」

鏡に顔を映せば、面影は確かに残していても――――“勇者”の使命を果たした後の、昨日まで見ていた顔とはあまりに違う。
のどかな小村で農作業の手伝いをしては時折サボり、
近くにあった小さな木立ちを“迷いの森”と称して冒険ごっこに明け暮れていた、
無邪気な少年だった頃のこの顔とはあまりに、違うのに。
それでも堕女神は、誰何する事なく、戸惑いながらも恐る恐るに言い当てた。
勇者が不思議でならなかったのはそこだ。

35 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:41:48.70 ID:7RScKd7G0

堕女神「何故と申されましても……確かに不可思議には感じましたが、誰何するほどの事ではございませんでしたので……」

少なく見て十歳分ほどは若返っているのに、それでも彼女はそう答えた。
尋ねられた事そのものを戸惑いながら、さも当然かのようにあっさりと。

堕女神「私は、貴方がどのような姿と化しても――――必ず」

その竜にも似た瞳に映し出されていたのは――――真摯さではない。
忌まわしい仮定が真実となっても必ずそうすると誓う、“決意”だった。

勇者「……ところで……そろそろ……」

小さく細い腹部から、くぅ、と子犬の鳴くような“声”が響き、空気を壊してしまう。
間の悪さを勇者は苦笑するも腹の虫に言って聞かせる事もできず、更にもう一鳴きが加わる。

堕女神「……ですね。ひとまずこちらへ運んで参ります。どうです、普段と同量をお召し上がりになれそうでしょうか?」

勇者「多分大丈夫だろう。無理そうなら時間をかけて食べるよ」

堕女神「はい、それでは少々お待ちを。それと……朝食を終えるまでは、誰も御部屋に入れぬよう」
36 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:42:27.55 ID:7RScKd7G0

勇者「さっきも言ったけど……隠し通せないだろう、こんなの……アレが収まらなかっただけの事ですら、あんな騒ぎだったのに」

堕女神「……ええ。なので、とりあえず……今からの朝食だけは、ゆっくりとお摂りになってくださいませ。
心穏やかに。その後、改めて事態の把握と解決といたしましょう」

一礼して堕女神は部屋を去る。
穏やかに、ゆっくり――――と願われても、それは叶わない。
この、唐突で、懐かしく、始末の悪い、懐かしさをもたらす変化のせいで。
それと、堕女神の危惧に反して普段よりも増した食欲のせいで。
ただ何故か、葉野菜のサラダだけは普段よりも苦く感じて、完食までには時間を要してしまい。
堕女神へ慈悲を求める視線を向けても、微笑みかけられただけに終わるのだった。
37 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:43:23.55 ID:7RScKd7G0

*****

勇者「それで……どうすればいいんだ、これから」

堕女神「……ひとまずはいつも通りに。必要なものは私室へ運んで参ります。それにしても……どう、伝えれば良いものか……」

普段使う椅子に座っても、足が床につかない。
所在なくぶらつかせたまま、子供の姿に変わってしまった勇者は改めて、目前に立つ堕女神を見た。
必然視線は濃紺の布地に覆われ、ぴったりと張りつくように浮き上がらせる双丘のラインに引き寄せられた。

勇者(す、ご……っ! い、いや。いけない。堕女神は、真剣に……考えて、くれて……)

理性では利かせられない歯止めがある。
それもそのはず。
大人の姿で見て触れていた時も、なおその豊かさには並び立つもののない、堕女神の“それ”だ。
まして子供の目で見ればなおさらの、畏怖すら感じてしまうほどの重質量の肉の起伏。
今現在の勇者の顔を遥かに凌ぐ大きさに圧倒され、引力により――――いくら目を離そうとしても、離れない。
38 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:45:08.39 ID:7RScKd7G0

堕女神「陛下?」

勇者(駄目だ……視線が……逸らせない……)

それは、旅のさなかで初めて“竜”と出くわした時に似ていた。
場数もまだ踏まない時分、不運にも遭遇した時には身は強張り、目を逸らす事もできず、ただ、震えることすらできずに固まっていた。
おとぎ話に聞く“竜”の威容に、勇者は見惚れてしまい――――動く事すらできなかった、あの感覚と似ていたのだ。

堕女神「――――陛下」

勇者「え」

刹那、鼻先に上質な生地の触感があり――――やがて、暖かい柔肌のぬくもりが、顔を包み込んだ。
とっさに吸い込んだ息には良く知る“彼女”の匂いと、普段にまして鮮やかに薫る花の香りが漂う。
視界を奪われ、張り詰めた顔の触覚いっぱいに広がる暖かな柔肉とに包まれ、勇者は堕女神の胸に抱かれていた。
後頭に優しく添えられた手もまた、握り合っていた夜毎のそれとは違い、大きく感じる。

堕女神「どうか、ご心配なさらないで下さい。……私が、お傍におります」

双丘に抱かれる事、十数秒。
当の勇者にとっては数分にも感じていた頃――――厚く実った乳房の奥から、早鐘のように脈打つ鼓動が伝わる事に気付いた。
乳房の谷間を縫って吸う息に、熱い香りが混じり始める。
39 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:45:43.01 ID:7RScKd7G0

勇者(っ……な、に……? 堕女神……)

かぶりを振って微かに身じろぎし、離れかけたところで……優しく、引き戻される。
添えられていた手は後頭部を優しくさすり、背にまでもう片手が回されて抱きすくめられていた。
ほのかな淫気――――ともまた違う気配が勇者の六感をくすぐる。

勇者「堕女神……苦、し……っ」

堕女神「っ! も、申し訳ございません……つい……」

はっ、と我に返った堕女神が手を離すと同時に、顔に押しあてられていたドレス越しの重質量が離れ、とたんに新鮮な空気が帰ってきた。
呼吸しながら顔を上げると、今まで呼吸を妨げられていた勇者以上に上気した堕女神の細面が、許しを求めるようにしながら視線を泳がせる。
40 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:46:24.80 ID:7RScKd7G0

勇者「堕女神……?」

堕女神「申し訳ございません……」

勇者「……いや、いい。こっちこそすまない、何か……その、ええと。取り乱した」

その理由までは流石に言い澱み、彼女に与えた誤解のまま押し通すと決める。
わざとらしく視線を首ごと強引に逸らし、目を閉じ――――そのまま、言葉を続ける。

勇者「それより……くどいが隠してもしょうがないし、隠しようもない。急病だと言って伏せるにも、
   城内のサキュバスの目に触れないなんて無理だ。……もう言おう。今日。今から」

堕女神「はい、かしこまりました……今、今ですか……?」

勇者「ああ。朝食を運んで来てもらっておいてだけど……今から部屋を出る。とりあえず執務室まで行こう」
41 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:47:16.20 ID:7RScKd7G0

堕女神「はい、お伴を……きゃっ!?」

椅子から下りると、足首とふくらはぎのベルトを限界まで締めても余りあるブーツのせいでつんのめってしまい、
慌てて目の前にいた堕女神の露わの脚に掴まり、体勢を保つ。
その瞬間、かっと顔に血が昇ってくる感覚が勇者を襲う。
思えば、堕女神の前でこんなに分かりやすい醜態を晒したのも初めてで――――それが、こんな変貌のせいとはいえ。
脚にしがみついてしまった事が急に気恥ずかしくなり……中身までも子供に戻ってしまったように、ひたすら赤面して言葉に窮する。
42 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:48:08.74 ID:7RScKd7G0

勇者「ご、ごめん……っ」

堕女神「……陛下、どうか焦らず。さぁ、御手を……お繋ぎいたします」

勇者「え」

堕女神「その靴では危ないかと存じます。流石に、その……おぶったり、抱いたりでは……権威に……関わりますので……」

差し出された手を見て、勇者は一人ごちる。
子供の姿になって、手を繋がれ引かれ、だぶだぶのズボンとまくりあげたシャツ、
ギュッと締め込んで無理やり履いたブーツで保てる権威などあるか、と。
だが、それでも。

勇者「……頼む。執務室まで、な」

その手を振り払う事など、できるはずもなく。
堕女神の握り返した手を取り、歩き慣れないブーツを引きずるように、大きすぎるドアをくぐってゆっくりと寝室を出た。
43 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/08(火) 23:50:44.35 ID:7RScKd7G0
ひとまずこれで今夜分終わりといたします
また明日


>>29
今はこれの事しか考えていないので何とも……
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 14:09:18.79 ID:ax0g+cucO
今回はばぶみを感じる…
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/09(水) 15:16:59.60 ID:j2dwegSnO
オレは、世界で一番このSSを待ってた!!!!!!!!
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/09(水) 21:59:01.45 ID:UQzOaC730
生きがい
47 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/10(木) 00:02:49.78 ID:Qe86yV0R0
こんばんは、会社とは悪の組織であり圧制です

十分ぐらいしてから誤字サラっと見てから投下していきます
48 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:31:38.45 ID:Qe86yV0R0

手を引かれながら、ときおり振り向いてくる堕女神を“見上げ”て歩き慣れない心地で廊下を歩く。
だぶだぶのズボンとブーツのせいだけでなく、普段の半分近い歩幅は、ともかくよたよたとしたものになった。
それを知ってか堕女神も歩調を落とし、ゆっくり、ゆっくり、彼女もまた慣れない様子で手を引いて歩いてくれている。

勇者「くっ……! 靴、だけでも……早く、何とかしたい。裸足で歩いちゃダメかな」

堕女神「流石にそれは……。ともかく執務室まで。幸い、靴ならばすぐに調達して来られます。淫魔の国にも、子供はおりますし」

勇者「面目ない」

堕女神「いえ、陛下のせいでは……。しかし、その……何と、申しましょうか……」

勇者「?」

階段に差し掛かる寸前、堕女神が言い澱み、繋いでいた手指を緩めた。

堕女神「おかしな心地がいたしますね。……貴方の手が、こんなに小さく柔らかいのは」
49 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:32:45.10 ID:Qe86yV0R0

それは、勇者も胸に抱いていた気持ちと似ていた。
堕女神が、子供の姿に変わった勇者の手へそう感じたように。
子供の手だからこそ伝わる、堕女神の手の暖かみと――――絡めてくれるしなやかな指に伝えられる、“女神”の優しさ。

勇者「……子供扱いするな、って言ってるだろ」

堕女神「は……。ですが、今の陛下は……」

勇者「大丈夫だってば。ほら、階段だってきちっと昇り切れて――――あっ!?」

若干緩めた手を引かれながら階段を上がり――――そぞろになっていた気のせいで、歩幅を忘れていたせいで、
そして何より合わないブーツのせいで爪先が空を掻いて、上がるはずだった最後の段を踏み外し、体勢を前のめりに崩してしまい。

まくりあげていた裾から覗く、むき出しの白い脛が――――。

勇者「っっあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁっアぁぁ!」

薄い皮膚ごしの直下にある骨が体重を乗せ、階段の直角へ吸い込まれて行く。
その瞬間勇者はとっさに閉じた瞼の裏に、真昼の星が散るのを見た。
50 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:33:37.37 ID:Qe86yV0R0

堕女神「陛下!?」

勇者「ッ――――――!」

堕女神「陛下、しっかりなさってくださ――――あっ……」

廊下の奥にまで響き渡り反響する“少年の”叫び声に、銘々働いていた仕事を中断し、集まってきてしまう。
甲冑の埃を払っていたサキュバスが、洗濯場へ向かっていた水精が、城内へ出入りしていた獣人種の商人が。

「い、今の声……何? 誰ですか!?」
「えっ……なんで、人間の……子供?」
「堕女神様、その子……」
「産んだんですか?」
「誰か人界からさらってきた? まずいですよ、これ……早く帰してあげなきゃダメな案件ですよ」
「――――いや、待って。まさか――――」

口々に勝手な事を呟き合い寄り集まってきた淫魔達へ、脛を起点に背骨を走り抜け痺れさせるような痛みを堪えて、
“人間の子供”はゆっくり、告げる。
51 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:34:36.00 ID:Qe86yV0R0

*****

堕女神「……混乱を招きかねないタイミングでした」

勇者「あの場で芝居なんて打てるか。それに何人かはもう気付いていたしな……恐ろしい、淫魔の勘」

集まってきた使用人達には、ありのままに伝えて――――しかし、みだりに城外へ広めないよう言い含めた。
しかしそれも、かしましい淫魔達の事だから……もっても、二日が限度だろう。
鈍い痛みのまだ残る脛を椅子の上に立て膝に抱き、さすりながら勇者はそう一人ごちる。
桃の腐ったような青いアザが鮮烈に残ってしまい、子供に特有の鋭い感覚、
薄い皮膚、未発達な骨をしたたかに打ちつけた激痛は忘れられないのだ。

堕女神「陛下、大丈夫ですか?」

勇者「……死ぬほど痛かったけど、折れたりはしてない」

堕女神「よろしいのですか? 治癒を施しましょうか」

勇者「いや、いい。そう大げさにしなくていい」

堕女神「はい、仰せのままに」
52 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:35:03.01 ID:Qe86yV0R0

勇者「それはそうと……サキュバスA、サキュバスBの姿が見えない。真っ先に寄ってきそうなものだけど……」

堕女神「サキュバスBは明日まで。サキュバスAはさらにその次の日まで休暇を。サキュバスAがこう長い休みを取るのは珍しいのですが……」

勇者「理由は何か言っていたか?」

堕女神「いえ、どちらも特に。……いや、サキュバスAは……少しばかりの遠出をするとか」

勇者「ヘンな物捕まえてきたりしないだろうな。あいつ、この間……谷に棲む“媚薬ヒュドラ”の分泌液と臭腺がどうとか……」

堕女神「……留意するといたしましょうか」

勇者「もし連れ帰って来たら倒そうか」

堕女神「いえ、サキュバスAに責任を取って生息地に帰させましょう」

勇者「あぁ、そっちの方が良いか。……さて、俺は適当に始めるよ。堕女神は服を調達してくれ」

堕女神「はい、かしこまりました。それでは後ほど」
53 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:35:33.25 ID:Qe86yV0R0

*****

――――いつもの執務室で、いつものように書面に目を通していてもいくつもの不便が襲ってくる。
まず、ひとつ。

勇者(……机が、高い……)

椅子に座ったまま執務机に向かえば、肩口までの高さに天板があって……とても、その上で作業をする事などできない。
椅子の上に膝立ちの姿勢で向かおうとすれば、できてしまった“スネの傷”のせいで転げ落ちそうな痛みが走る。
苦心しながら紙束と羽ペン、インク壺を床へ下ろして、床に座りながらの仕事を余儀なくされた。
本を積み上げて即席の机を作りどうにかこうにか片付けていくと、ふたつめの問題。
54 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:37:00.27 ID:Qe86yV0R0

勇者(腹、減った……何でだ……)

朝食からいい時間も経っていないのに、早くも空腹が襲ってきてしまった。
窓の外を見れば、日はまだまだ低く、室内へ向けてまっすぐ突き刺さる陽射しが投げかけられているのに。
昼食まではまだあるにも関わらず、もう既に胃がカラッポになってしまったような空腹感がやって来てしまった。

勇者(我慢だ。これぐらい我慢。そうだ、こんなの、砂漠で遭難しかけたあの時に比べれば……!)

人間界での旅の苦境を思い出せば、それは耐えられた。
あらためて羽ペンを握るその手を見れば、見るほど――――その小ささに心細さが募る。
“聖剣”を振るっていた手、“魔王”の外殻を切り裂いた手と同じとはまるで思えない。
その手に握っていた魔を微かに震わせれば、青白く帯電させる事はできた。
雷の魔力は失われていない。
ただ――――姿だけが小さくなり、運動能力も子供の頃まで戻ってしまったようだ。

勇者「これ、戻るのかな……はぁ……」

ついた溜め息まで小さく、か細くなってしまっていたせいで、とうとう……紙の一枚も微動だにさせられなかった。
55 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:38:07.09 ID:Qe86yV0R0

*****

堕女神が揃えさせた服へ着替え、夕食を摂り、ようやく寝室へと辿りつく。
一日が異様なほどに長く感じるその時間感覚もまた、この異変の副産物だった。

勇者(どうなってる……俺の体)

体に反して、食欲はいつもの数倍にも増していた。
牛の粗挽き肉と香味野菜を練り合わせ、成形して焼いた肉料理を六皿。
普段の精妙な味付けとは異なり、単純にして明快な食べ応えが拍車をかけたのは間違いない。
ナイフを入れてさえこぼれず閉じ込められていた肉汁が、噛み締めたとたんに溢れて口内をほとばしる料理だった。
仕上げにかけたトマトソースと重なり合って――――気付けば、皿の上から消えていた。
朝食と昼食、たった二回の食事でぴったりと味覚の変化を探り当てて重ねてくる堕女神の技量に改めて舌を巻く。

ワインを出すように頼んでも頑として聞き入れてくれなかったのが、今日の唯一の心残りだった。
いくら「中身は大人だ」と主張しても徒労に終わってしまったのだ。
56 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:38:38.87 ID:Qe86yV0R0

そして今、就寝時間を大きく回ってしまっているのに、月が煌々と輝いているのに寝付けない理由は、大きく二つ。
ひとつは。

勇者(……いや、俺……言ったのに。一人で……寝られる、って)

堕女神「陛下? まだお眠りになられないのでしょうか?」

勇者「あ、ああ……眠気が起きないんだ」

堕女神「僭越ではありますが、寝物語など? それとも唄いましょうか」

勇者「だから……」

ベッドに潜り込んで、時にして数分の間、うとうとと寝入りかけた時の事だ。
扉の音にも気付けず――――気がつけば堕女神がベッド脇に腰かけ、じっと見つめていた。
そのままなし崩し的に添い寝をされる形となって、今……こうして間近から寝顔を見守られながら必死に眠ろうと務めていた。
57 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:40:16.09 ID:Qe86yV0R0

強引に振りほどいたくせに階段でケガをした以上、あまり偉そうな事は言えない。
執務室の窓を開けようとすれば落ちかけたし、机には届かなかったし、
いつもは腰に差していた剣も背が足りずに引きずってしまうためにそうできず、
思いきって丸腰で過ごした。

堕女神「――――貴方は、この姿でいた頃の事を覚えておいでですか?」

勇者「え……?」

高く遠くなった天蓋の下、向き合う堕女神からの問いは唐突だった。
暗闇の中で薄く開いた赤い瞳が、ゆっくりと動いたのが見える。

堕女神「今ではなく。陛下。貴方が、“勇者”の名を拝命する前の……本当に、小さかった時の事を」
58 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/10(木) 00:40:45.00 ID:Qe86yV0R0
今日ちょっと短いですがここまで
続きはまた今夜
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 01:02:39.16 ID:WexSK2BD0
乙!
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 01:06:01.88 ID:S4P10e4H0
ナイトメアちゃんの出番もしかして冒頭回想だけ・・・
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 01:16:09.25 ID:3h+GsmIsO
>>60
ナイトメアです…出番が無いとめあです
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 02:41:37.59 ID:zXr/Arwh0
乙です
堕女神から溢れ出す母性よ
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/10(木) 04:02:31.17 ID:ZE7KghQRO
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 07:56:56.86 ID:FMz9NE2no
駄女神えっちです
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/11(金) 04:27:23.06 ID:qkmpXmtwO
堕女神からの母性がハンパない
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/11(金) 17:40:58.84 ID:eFw/YXPb0
淫魔の国で過ごす日々
神居村
風邪をひくとこうなる
ここ

で合ってる?
67 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:06:19.54 ID:A81DMCj70
すまんです、昨日来れんでした
もうちょいしたら始めていきますー

>>66
書いた順番ならまぁそれで合ってますぞ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/11(金) 23:11:35.21 ID:F76Gtjvh0
ttp://ss.vip2ch.com/ss/勇者「淫魔の国の王になったわけだが」

いちおうwikiもあるみたいやね
69 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/11(金) 23:32:03.01 ID:A81DMCj70
>>57


勇者「どうだかなぁ。あの頃はあの頃で、平和ではあったけれど……貧しい村だった。
……でも、そうだ。いつか叶えばいいと思う事ならあった」

堕女神「それは……?」

勇者「いつか。いつか旅を、したいって。村の外を見たい。一度は、田舎者は思うんだろうさ。
   氷の島と炎の山、戦慄するような死の谷、湖と真っ白い城をこの目で見たかった」

それは、魔王のいなかった世界で。
何物にも脅かされていなかった穏やかな時代に想い描き、村の子供達と語り合った“自由”のひとときの欠片。
“勇者も魔王もいない世界”での。

だが、その平和な夢想は砕かれた。
代わりに叶ったのは――――誰もが寝床で聞かされる、“物語”。
70 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:32:36.02 ID:A81DMCj70

魂まで凍てつかせる氷雪の嵐吹きすさぶ、凍原を見た。
馬をも一飲みにする魔の巨狼の彷徨する、骨と腐肉の谷を見た。
解けゆくはずの氷が解けずに島の形をなし、頑強なはずの岩が溶けて燃え盛る世界の神秘を見た。
白鳥の泳ぐ水面と、そのほとりに立つ研がれた騎槍のような尖塔を連ならせる白亜の城を見た。

船体の横腹に食い付かれながら、それでも魔物に刃を立てる恐れ知らずの船乗り達を見た。
竜と鳥だけが知るはずの風景を、空を泳ぐ船の舷窓から見た。
 
――――闇の巨獣のように鳴動する、“魔王の城”を見た。
71 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:33:02.24 ID:A81DMCj70

勇者「……まぁ、結果的には叶ったよ。……ああ、あとひとつあった」

堕女神「と、申されますと……」

それは、数時間前に叶ったばかりの、貧農の倅のささやかな野望だった。

勇者「柔らかい、甘くて白いパンを腹いっぱいに。……そっか、今日も夢が叶ったんだ」

堕女神「陛下」

布団の中で、いつもは細く小さな――――そして今は自分よりも大きく、包み込むように柔らかい手が伸ばされ、勇者の手を取る。
その手が微かに震えていたのは、手と手が繋がるまでのこと。

子供の姿と変わっても、その魂は昨晩と変わらない。
戸惑いながらも、勇者は受け入れる。

ふだんよりも薄く、小鳥の嘴のように小さく、敏感になってしまった少年の唇へ。

――――女神の、それを。
72 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:33:29.20 ID:A81DMCj70

時にして、ほんの数秒。
ただおずおずと唇を触れ、擦れ合わせるだけのついばむようなキスだった。
そんな、罪のないひとときのキスが――――勇者の背骨を貫くように、甘く痺れさせた。
唇が舌の一部となってしまった、そのような錯覚すら抱いてしまう。
味を受容する器官ではないはずの唇に、確かに一瞬とはいえ感じたからだ。

勇者(っ……感、覚……が……!)

普段なら起こらない甘い電流にも似た感覚に、勇者はひとり驚く。
それは、少年の身ゆえに起こる、敏感すぎる触覚がそうさせたものだ。
繋いだままの手からもそれは伝わる。
普段なら気付けないような、堕女神の手に走る血管の脈動、整えた爪の艶、
さらには産毛ひとつない肌理細かい肌の細胞ひとつひとつまでなぞれるような鋭敏な触覚にようやく気付く。
痛覚だけではなく――触覚も。
少年の姿に変わってしまったからこそ、全てが鮮烈な刺激へ返ってしまっているのだと。
73 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:33:58.19 ID:A81DMCj70

勇者「はっ……くっ……!」

堕女神「陛下……?どう、なさって……」

勇者「なん、でも……ない……」

堕女神「御不調でしたか……?」

勇者「いや、その……びっくり、し……て……」

横臥し、向き合う姿から気付けばもう――――ゆっくりと抱き寄せられ、抱えられるように、再び唇を求められていた。

勇者「くっ……堕……」

堕女神「ん……貴方の、くち……こんなに、小さくな、って……」

突き離せば逃れられるのに……不思議、いや不気味なほどに力が入らない。
抵抗の意思それそのものが湧かず、抑えの利かない堕女神の、蝕むような口づけの渦から逃げられない。
74 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:34:58.24 ID:A81DMCj70

一度、二度、交わすごとに勇者の体に痺れるような快感が襲う。
引き押せられる必然で堕女神の胸が押し付けられる位置は普段のように胸板ではなく、腹部にやや近い。
上背の差が、並び横たわるベッドの上では枕の位置で揃う。
ベッドの中で足掻く爪先が、堕女神の柔らかな太股へ撫でるように触れた。

堕女神「っ……陛、下……くすぐったい、です……」

ひととき口づけを休めた堕女神が身じろぎする。
拇指で触れるだけで、滑らかに張り詰めた太ももの白肌が脳裏を過る。

勇者「あ……すまない、悪……」

堕女神「――――私の願いも、奇妙な形で叶いました」

勇者「?」
75 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:35:24.81 ID:A81DMCj70

堕女神「私は、取り残された女神。――――火矢が落ちるまでの束の間を人の世で過ごし、
    燃え尽きた後の世界で目を覚ましたあの時の願いです」

勇者「…………」

堕女神「願わくば、もう一度。もう一度だけ――――この手で、ヒトに触れたいと。ヒトの子を、もう一度だけ……抱き締めたかったのです」

強まる抱擁の中、胸へ取り込まれるように、ずぶずぶと沈みながら更に言葉は続く。

堕女神「…………せめて、浸らせていただけますか?」

勇者「……ああ、勿論。でも……堕女神」

堕女神「はい……?」

勇者「ちょっと……苦しい。胸、がっ……息っ……!」

堕女神「も、申し訳ございません! か、加減が……」
76 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:35:51.77 ID:A81DMCj70

諫めても、緩んだ力はほんの少し。

勇者(……そう、か。俺も……久しぶりなんだ、こんなの。……もしか、して)

もしかすると――――勇者もまた、求めていた。
凡そ人類の成しうる最高の功績、その報いを。
本当なら、他の何においても。妃を娶るより、望みのままの報酬を得る事より、“勇者”ではなく“人”としての自由の時を過ごすことより。

ただ、撫でられたかった。
頭から抱き締められ安らぎの中で、誰かに褒めてほしかったのだと。
救世の英雄を称える言葉はいらず。

ただ――――抱き締めて、頭を撫でて、褒めてほしかった“子供”もまた、“勇者”の中にも確かにいたのだ。
77 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:36:17.82 ID:A81DMCj70

撫でられ、抱かれ、やがて堕女神の胸の中で聞く鼓動が生命の潮騒に代わる。
産声を上げる前に絶えず聴いていた、あの音と気付くまではゆるやかに時が過ぎ、
気付いてからは――――さらに、時が歩みを緩めた。

堕女神の呼吸音は涼やかな風となって、伝い流れるように吐息が頬を撫でる。
彼女の指が梳くように髪を撫でる感覚は、優しい海風の戯れに変わる。

いつしか堕女神の漏らす吐息は鼻唄へ変調し、やがて子守唄へと行き着いた。

勇者の知る世界の言葉ではなく、彼女のいた神代の調べが広い寝室へ響く。
言葉の意味は知らずとも、子守唄であるのなら籠める祈りはただ一つ。
深まった夜の闇の中、寝所で子へ聴かせる詩は変わらない。

――――今はただ眠りなさい、いとし子。
――――目が覚めた時はきっと、暖かい朝日が貴方を照らす。

不朽の祈りの中で勇者は微睡み、やがて――――蕩けるようにして、眠る。
78 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:36:44.18 ID:A81DMCj70

*****

不可解な少年化の一日目は、堕女神とほぼ過ごした故に気付けなかった事があった。
勇者は、それを身を以て知る事になる。

人の身では決して抗えない。
抗えないはずだった――――淫魔の国の洗礼を。

79 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:38:28.44 ID:A81DMCj70
今夜分投下終了です、ではまた明日……と言いたいところですが、ちょっと明日はインシデントにより分からないです

では、また次回
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/12(土) 00:50:00.57 ID:yna2nXaSo
堕女神にバブみを感じる
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/12(土) 02:29:44.67 ID:IqlCifwV0
今回はおねショタですか良いですな
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 07:00:01.04 ID:JMS7Pzf9O
遠き過去の、切なき願い、か・・・。元愛の女神だから、慈愛も母性も半端ないわな・・・。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 10:49:10.65 ID:Zenvsz7r0
サキュBとイチャラブ・・・無理だな(きっぱり
ドジ属性がどう出るやらわからんw
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 11:39:24.16 ID:dvTZfAcbo
授乳ありますかありませんね
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 18:15:13.20 ID:N5kplrpQ0
あったらちょっと引くわ・・・
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/13(日) 00:29:24.90 ID:/CM2FL990
以前隣女王がBの吸ってなかったっけ
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/13(日) 00:34:43.54 ID:VXSm7/rQ0
pixivの追加であったかな
88 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/14(月) 00:32:57.90 ID:DlfG3gWz0
こんばんは
スレを立てた直後になんて事だ……

再開します
89 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:33:26.06 ID:DlfG3gWz0

*****

翌日は、春先に似合わず酷く蒸す夜を迎えた。
その日は夕食を終えてなお湿気が収まらず、就寝前まで待てずに早々に勇者は大浴場へ向かった。

膝小僧まで届かない丈の黒絹のズボンはまだ穿き慣れず、
小さくなった足を包む革の短靴は微かにヒールが高いが、歩けぬほどではない。
ただ、子供の歩幅では移動のほとんどに倍の時間がかかってしまう事は、変えられるはずもなく不便だった。
衣類などの問題はどうにかできても、城の廊下を縮めることは無論できず、階段の高さを変える事もできはしない。
隣女王含め、隣国の淫魔たちがこの城へ訪れた時はかような不便を強いたのか――――と、勇者はひとりごちて歩く。

勇者「……広いのも考えもの、なんて。昔の俺は考えもしなかったろうな」

90 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:34:19.76 ID:DlfG3gWz0

故郷、土地だけは潤沢に使えたが家が広かったわけはない。
あの村は、曽祖父のひとつ上あたりの世代が必死で拓いた村だと父母からは聞いていた。
樹を切り、耕し、小屋を立て……買いつけた種を撒き、
芽吹いた作物を売って鳥を仕入れ、豚を仕入れ、涙ぐましく額に汗して開拓したのだと。

二階建ての、奥にある狭い部屋が自室だった。
一階で父が木槌を振りあげ工房仕事をすれば家そのものがびりびり震えて、
炊事をすれば怪しくきしむ床板のすき間からスープの匂いが上がってきた。
階段前の床板の一枚はうっかり踏むたびにヒヤヒヤするような不穏な触感があり、
いつもそこだけは誰も踏まないように務めていたほどだ。
とうとう、誰かが踏み抜くような場面を見る事はなかったものの……今その床板が無事なのか、急に気になり始める。
91 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:35:15.78 ID:DlfG3gWz0

いつもより豊富に使える思考の時間、郷愁に想いをめぐらすうちにやがて大浴場へ辿りついた。
脱衣場の時点ですでに広く把握しきれないものの、ひとまず誰かの気配は感じ取れない。
人目を避けていたわけではないものの、とりあえずの安堵とともにシャツのボタンを外していく。
さっさと浴場に入ってしまいたい。
そして、果たしてこの体で浸る浴槽はどれほどに感じるのかと――――かすかに期待しながら、
浴場へ続く扉を開き、もくもくと上がる湯煙へ挑む。

勇者「お、わっ……! 広い……!」

この姿だから、改めてしっかりと大浴場の広さを感じ取れた。
確実に、生家の母屋と納屋、庭の総床面積を合わせたよりも広い。
ちょっとした池ほどに見える湯船は対岸まで泳ぐ事すらおっくうなほど遠く、
魔物の頭をかたどった給湯口はまたがる事ができてしまいそうだ。
更には普段は頭一つ小さく見える淫魔像の装飾、その豊かに悩ましい肢体に感じる迫力も違う。
さながら、いや間違いなくそうなのだが――――“淫魔の国”に子供が力無く迷い込んだ、そんな錯覚も起きたほどだ。
92 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:35:46.16 ID:DlfG3gWz0

勇者「……深いんだろうなぁ、きっと」

いきなり湯船へ飛びこみたい衝動を必死で押し込めながら、冷静に勇者は分析した。
この背丈でそんな事をすれば目測が狂い、足がつかないという事も考えられる。
薄紅色に揺らぎ輝く水面は、そんな“少年”の衝動と自制を嘲笑いながら手招きするようにたゆたう。

遠回りになるが、勇者は湯船への入り方を考え――――正面から大きく回った場所にある、傾斜した入り口を目指す。
さながら海へ向かう砂浜のようになっているゆるやかな斜面、
そこで波打ち際で戯れるようにのんびりと沐浴する使用人のサキュバス達をよく見かけた。
幸いにして人影はなく、そこから一歩、また一歩と、海へ挑むようにゆっくりと足を踏み入れていく。
かすかに波打つ水面は、そのうねりを飲み込むように打ち消していった。

やがて、肩口まで浸かる具合のところを探り当てると、勇者は腰を下ろす。
それでようやく――――探り探りながらも“入浴”が叶った。
93 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:37:26.81 ID:DlfG3gWz0

勇者「はぁ……。何で、こんな事になってるんだ……」

ふだんとは勝手の違う、風呂に入る事ですら気を使う有り様にあらためて情けなさを覚えた。
湯から手を覗かせて見れば、いよいよ頼りなく細くて、短剣を握るのがせいぜいの大きさだった。
とはいえ――――見慣れない“手”でもあった。
この姿が当たり前だった頃は、いつも爪の間に土が挟まり、指の関節には砂埃が詰まり、青草の香りがしみついていた。
爪はでこぼこに変形して、割れて欠けていたのが常だった。
だが、今あらためて見る手は、違う。
整った爪と、砂などついていない指。そもそも花を浮かべ香油を溶かした熱い湯に身体をつけるという事などできるはずもない。
あるはずのなかった過去が、手の形を借りていた。

勇者「……そういえば、思い出した。もしかして……あれか……?」

退行現象の心当たりが、もうひとつだけ――――ふと、思い出された。
94 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:38:21.66 ID:DlfG3gWz0
*****

サキュバスA「陛下、あぶない! なぞの液が!!」

勇者「うぉ、わっ!?」

遡る事数日前。
サキュバスAを伴って城下へ出たある日の夕方近くの事だ。
路地裏からおもむろに姿を覗かせた、奇妙に脈打つ名状しがたい生き物が、
ぐぷっ、と吐き出した真っ白くベトベトとした液を頭からかぶってしまった。
彼女が身を呈してかばおうとした頃には遅かったのだ。

勇者「ぐっ……! 何だ、こりゃ……いったい何だコイツは」

サキュバスA「……ローパーの変種かしら……? こんな外観は初めて見ますわね。“ポチ”の同類ではなさそうだけれど……」

ローパーに大まかに似ているものの、目のような器官を各所に持ち、枯れた枝、あるいは翼のような触手が一対生えている。
加えてぐねぐねと蠢くイボつきの触手が醜悪そのものの見た目をしている。
95 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:40:09.77 ID:DlfG3gWz0

淫具店主「うわっちゃぁ……モロかぶりしましたね、陛下。大丈夫ですか?」

勇者「……まさかお前の所で?」

淫具店主「いやぁ、私は仕入れただけですよぅ。愛玩用淫獣店に連れて行くところで……」

遅まきに出てきた、淫具店を営むサキュバスがハンカチを差し出しながら呑気に告げる。

勇者「何なんだコイツ……この液?」

淫具店主「いや、それが……分からなくて。何か作用するモンだとは思うんですが……新種みたいで」

サキュバスA「あら、まぁ……何ですの、この啓蒙の高まりそうな外見。何処から連れて?ヤー○ムからでしょうか?発狂耐性が必要かしら」

淫具店主「いや、ここの近傍から……いや、申し訳ありません陛下。お詫びに……私が、カラダでお支払いいたします……」
96 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:41:50.51 ID:DlfG3gWz0

勇者「そういうのはいい。……?何書いてるおまえ」

淫具店主「ええ、まぁ。……“媚薬効果はナシ。繊維への溶解、金属腐食効果も無し……”と……」

勇者「何メモしてんだ!反省してないだろ、さては!?」

淫具店主「していますとも、ええ。次に活かす事こそが、起きてしまった事への真の償いではないでしょうか?」

勇者「……まぁいい。今のところ不調もない……としたらこの液は何の意味があるんだか」

サキュバスA「進化の過程で無毒化はしたものの、分泌腺だけが残った……ですとか?フフッ、何にせよ楽しいではありませんか」

勇者「全ッ然楽しくない。人がベタベタになってるの見て楽しいか」

サキュバスA「ええ、思いのほか」

*****
97 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:44:19.75 ID:DlfG3gWz0
今夜分投下終了
次回からようやくアレ……

では、また明日
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/14(月) 00:58:09.46 ID:iyoHTWaL0
やはりリアルタイムは良いものですね。
楽しみにしております。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 01:01:03.78 ID:OZBQ0eLk0
上位者は即刻狩れ(ヤー◯ム並感)
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 01:01:20.97 ID:MC5TrSQz0
エーブリエータスちゃんか。来たなヒロイン
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 01:16:34.39 ID:GMsokBaio
風呂で溺れるのか
何cmぐらいに縮んだんだろうか
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