淫魔の国と、こどもの日

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67 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:06:19.54 ID:A81DMCj70
すまんです、昨日来れんでした
もうちょいしたら始めていきますー

>>66
書いた順番ならまぁそれで合ってますぞ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/11(金) 23:11:35.21 ID:F76Gtjvh0
ttp://ss.vip2ch.com/ss/勇者「淫魔の国の王になったわけだが」

いちおうwikiもあるみたいやね
69 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/11(金) 23:32:03.01 ID:A81DMCj70
>>57


勇者「どうだかなぁ。あの頃はあの頃で、平和ではあったけれど……貧しい村だった。
……でも、そうだ。いつか叶えばいいと思う事ならあった」

堕女神「それは……?」

勇者「いつか。いつか旅を、したいって。村の外を見たい。一度は、田舎者は思うんだろうさ。
   氷の島と炎の山、戦慄するような死の谷、湖と真っ白い城をこの目で見たかった」

それは、魔王のいなかった世界で。
何物にも脅かされていなかった穏やかな時代に想い描き、村の子供達と語り合った“自由”のひとときの欠片。
“勇者も魔王もいない世界”での。

だが、その平和な夢想は砕かれた。
代わりに叶ったのは――――誰もが寝床で聞かされる、“物語”。
70 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:32:36.02 ID:A81DMCj70

魂まで凍てつかせる氷雪の嵐吹きすさぶ、凍原を見た。
馬をも一飲みにする魔の巨狼の彷徨する、骨と腐肉の谷を見た。
解けゆくはずの氷が解けずに島の形をなし、頑強なはずの岩が溶けて燃え盛る世界の神秘を見た。
白鳥の泳ぐ水面と、そのほとりに立つ研がれた騎槍のような尖塔を連ならせる白亜の城を見た。

船体の横腹に食い付かれながら、それでも魔物に刃を立てる恐れ知らずの船乗り達を見た。
竜と鳥だけが知るはずの風景を、空を泳ぐ船の舷窓から見た。
 
――――闇の巨獣のように鳴動する、“魔王の城”を見た。
71 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:33:02.24 ID:A81DMCj70

勇者「……まぁ、結果的には叶ったよ。……ああ、あとひとつあった」

堕女神「と、申されますと……」

それは、数時間前に叶ったばかりの、貧農の倅のささやかな野望だった。

勇者「柔らかい、甘くて白いパンを腹いっぱいに。……そっか、今日も夢が叶ったんだ」

堕女神「陛下」

布団の中で、いつもは細く小さな――――そして今は自分よりも大きく、包み込むように柔らかい手が伸ばされ、勇者の手を取る。
その手が微かに震えていたのは、手と手が繋がるまでのこと。

子供の姿と変わっても、その魂は昨晩と変わらない。
戸惑いながらも、勇者は受け入れる。

ふだんよりも薄く、小鳥の嘴のように小さく、敏感になってしまった少年の唇へ。

――――女神の、それを。
72 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:33:29.20 ID:A81DMCj70

時にして、ほんの数秒。
ただおずおずと唇を触れ、擦れ合わせるだけのついばむようなキスだった。
そんな、罪のないひとときのキスが――――勇者の背骨を貫くように、甘く痺れさせた。
唇が舌の一部となってしまった、そのような錯覚すら抱いてしまう。
味を受容する器官ではないはずの唇に、確かに一瞬とはいえ感じたからだ。

勇者(っ……感、覚……が……!)

普段なら起こらない甘い電流にも似た感覚に、勇者はひとり驚く。
それは、少年の身ゆえに起こる、敏感すぎる触覚がそうさせたものだ。
繋いだままの手からもそれは伝わる。
普段なら気付けないような、堕女神の手に走る血管の脈動、整えた爪の艶、
さらには産毛ひとつない肌理細かい肌の細胞ひとつひとつまでなぞれるような鋭敏な触覚にようやく気付く。
痛覚だけではなく――触覚も。
少年の姿に変わってしまったからこそ、全てが鮮烈な刺激へ返ってしまっているのだと。
73 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:33:58.19 ID:A81DMCj70

勇者「はっ……くっ……!」

堕女神「陛下……?どう、なさって……」

勇者「なん、でも……ない……」

堕女神「御不調でしたか……?」

勇者「いや、その……びっくり、し……て……」

横臥し、向き合う姿から気付けばもう――――ゆっくりと抱き寄せられ、抱えられるように、再び唇を求められていた。

勇者「くっ……堕……」

堕女神「ん……貴方の、くち……こんなに、小さくな、って……」

突き離せば逃れられるのに……不思議、いや不気味なほどに力が入らない。
抵抗の意思それそのものが湧かず、抑えの利かない堕女神の、蝕むような口づけの渦から逃げられない。
74 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:34:58.24 ID:A81DMCj70

一度、二度、交わすごとに勇者の体に痺れるような快感が襲う。
引き押せられる必然で堕女神の胸が押し付けられる位置は普段のように胸板ではなく、腹部にやや近い。
上背の差が、並び横たわるベッドの上では枕の位置で揃う。
ベッドの中で足掻く爪先が、堕女神の柔らかな太股へ撫でるように触れた。

堕女神「っ……陛、下……くすぐったい、です……」

ひととき口づけを休めた堕女神が身じろぎする。
拇指で触れるだけで、滑らかに張り詰めた太ももの白肌が脳裏を過る。

勇者「あ……すまない、悪……」

堕女神「――――私の願いも、奇妙な形で叶いました」

勇者「?」
75 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:35:24.81 ID:A81DMCj70

堕女神「私は、取り残された女神。――――火矢が落ちるまでの束の間を人の世で過ごし、
    燃え尽きた後の世界で目を覚ましたあの時の願いです」

勇者「…………」

堕女神「願わくば、もう一度。もう一度だけ――――この手で、ヒトに触れたいと。ヒトの子を、もう一度だけ……抱き締めたかったのです」

強まる抱擁の中、胸へ取り込まれるように、ずぶずぶと沈みながら更に言葉は続く。

堕女神「…………せめて、浸らせていただけますか?」

勇者「……ああ、勿論。でも……堕女神」

堕女神「はい……?」

勇者「ちょっと……苦しい。胸、がっ……息っ……!」

堕女神「も、申し訳ございません! か、加減が……」
76 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:35:51.77 ID:A81DMCj70

諫めても、緩んだ力はほんの少し。

勇者(……そう、か。俺も……久しぶりなんだ、こんなの。……もしか、して)

もしかすると――――勇者もまた、求めていた。
凡そ人類の成しうる最高の功績、その報いを。
本当なら、他の何においても。妃を娶るより、望みのままの報酬を得る事より、“勇者”ではなく“人”としての自由の時を過ごすことより。

ただ、撫でられたかった。
頭から抱き締められ安らぎの中で、誰かに褒めてほしかったのだと。
救世の英雄を称える言葉はいらず。

ただ――――抱き締めて、頭を撫でて、褒めてほしかった“子供”もまた、“勇者”の中にも確かにいたのだ。
77 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:36:17.82 ID:A81DMCj70

撫でられ、抱かれ、やがて堕女神の胸の中で聞く鼓動が生命の潮騒に代わる。
産声を上げる前に絶えず聴いていた、あの音と気付くまではゆるやかに時が過ぎ、
気付いてからは――――さらに、時が歩みを緩めた。

堕女神の呼吸音は涼やかな風となって、伝い流れるように吐息が頬を撫でる。
彼女の指が梳くように髪を撫でる感覚は、優しい海風の戯れに変わる。

いつしか堕女神の漏らす吐息は鼻唄へ変調し、やがて子守唄へと行き着いた。

勇者の知る世界の言葉ではなく、彼女のいた神代の調べが広い寝室へ響く。
言葉の意味は知らずとも、子守唄であるのなら籠める祈りはただ一つ。
深まった夜の闇の中、寝所で子へ聴かせる詩は変わらない。

――――今はただ眠りなさい、いとし子。
――――目が覚めた時はきっと、暖かい朝日が貴方を照らす。

不朽の祈りの中で勇者は微睡み、やがて――――蕩けるようにして、眠る。
78 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:36:44.18 ID:A81DMCj70

*****

不可解な少年化の一日目は、堕女神とほぼ過ごした故に気付けなかった事があった。
勇者は、それを身を以て知る事になる。

人の身では決して抗えない。
抗えないはずだった――――淫魔の国の洗礼を。

79 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/11(金) 23:38:28.44 ID:A81DMCj70
今夜分投下終了です、ではまた明日……と言いたいところですが、ちょっと明日はインシデントにより分からないです

では、また次回
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/12(土) 00:50:00.57 ID:yna2nXaSo
堕女神にバブみを感じる
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/12(土) 02:29:44.67 ID:IqlCifwV0
今回はおねショタですか良いですな
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 07:00:01.04 ID:JMS7Pzf9O
遠き過去の、切なき願い、か・・・。元愛の女神だから、慈愛も母性も半端ないわな・・・。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 10:49:10.65 ID:Zenvsz7r0
サキュBとイチャラブ・・・無理だな(きっぱり
ドジ属性がどう出るやらわからんw
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 11:39:24.16 ID:dvTZfAcbo
授乳ありますかありませんね
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 18:15:13.20 ID:N5kplrpQ0
あったらちょっと引くわ・・・
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/13(日) 00:29:24.90 ID:/CM2FL990
以前隣女王がBの吸ってなかったっけ
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/13(日) 00:34:43.54 ID:VXSm7/rQ0
pixivの追加であったかな
88 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/14(月) 00:32:57.90 ID:DlfG3gWz0
こんばんは
スレを立てた直後になんて事だ……

再開します
89 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:33:26.06 ID:DlfG3gWz0

*****

翌日は、春先に似合わず酷く蒸す夜を迎えた。
その日は夕食を終えてなお湿気が収まらず、就寝前まで待てずに早々に勇者は大浴場へ向かった。

膝小僧まで届かない丈の黒絹のズボンはまだ穿き慣れず、
小さくなった足を包む革の短靴は微かにヒールが高いが、歩けぬほどではない。
ただ、子供の歩幅では移動のほとんどに倍の時間がかかってしまう事は、変えられるはずもなく不便だった。
衣類などの問題はどうにかできても、城の廊下を縮めることは無論できず、階段の高さを変える事もできはしない。
隣女王含め、隣国の淫魔たちがこの城へ訪れた時はかような不便を強いたのか――――と、勇者はひとりごちて歩く。

勇者「……広いのも考えもの、なんて。昔の俺は考えもしなかったろうな」

90 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:34:19.76 ID:DlfG3gWz0

故郷、土地だけは潤沢に使えたが家が広かったわけはない。
あの村は、曽祖父のひとつ上あたりの世代が必死で拓いた村だと父母からは聞いていた。
樹を切り、耕し、小屋を立て……買いつけた種を撒き、
芽吹いた作物を売って鳥を仕入れ、豚を仕入れ、涙ぐましく額に汗して開拓したのだと。

二階建ての、奥にある狭い部屋が自室だった。
一階で父が木槌を振りあげ工房仕事をすれば家そのものがびりびり震えて、
炊事をすれば怪しくきしむ床板のすき間からスープの匂いが上がってきた。
階段前の床板の一枚はうっかり踏むたびにヒヤヒヤするような不穏な触感があり、
いつもそこだけは誰も踏まないように務めていたほどだ。
とうとう、誰かが踏み抜くような場面を見る事はなかったものの……今その床板が無事なのか、急に気になり始める。
91 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:35:15.78 ID:DlfG3gWz0

いつもより豊富に使える思考の時間、郷愁に想いをめぐらすうちにやがて大浴場へ辿りついた。
脱衣場の時点ですでに広く把握しきれないものの、ひとまず誰かの気配は感じ取れない。
人目を避けていたわけではないものの、とりあえずの安堵とともにシャツのボタンを外していく。
さっさと浴場に入ってしまいたい。
そして、果たしてこの体で浸る浴槽はどれほどに感じるのかと――――かすかに期待しながら、
浴場へ続く扉を開き、もくもくと上がる湯煙へ挑む。

勇者「お、わっ……! 広い……!」

この姿だから、改めてしっかりと大浴場の広さを感じ取れた。
確実に、生家の母屋と納屋、庭の総床面積を合わせたよりも広い。
ちょっとした池ほどに見える湯船は対岸まで泳ぐ事すらおっくうなほど遠く、
魔物の頭をかたどった給湯口はまたがる事ができてしまいそうだ。
更には普段は頭一つ小さく見える淫魔像の装飾、その豊かに悩ましい肢体に感じる迫力も違う。
さながら、いや間違いなくそうなのだが――――“淫魔の国”に子供が力無く迷い込んだ、そんな錯覚も起きたほどだ。
92 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:35:46.16 ID:DlfG3gWz0

勇者「……深いんだろうなぁ、きっと」

いきなり湯船へ飛びこみたい衝動を必死で押し込めながら、冷静に勇者は分析した。
この背丈でそんな事をすれば目測が狂い、足がつかないという事も考えられる。
薄紅色に揺らぎ輝く水面は、そんな“少年”の衝動と自制を嘲笑いながら手招きするようにたゆたう。

遠回りになるが、勇者は湯船への入り方を考え――――正面から大きく回った場所にある、傾斜した入り口を目指す。
さながら海へ向かう砂浜のようになっているゆるやかな斜面、
そこで波打ち際で戯れるようにのんびりと沐浴する使用人のサキュバス達をよく見かけた。
幸いにして人影はなく、そこから一歩、また一歩と、海へ挑むようにゆっくりと足を踏み入れていく。
かすかに波打つ水面は、そのうねりを飲み込むように打ち消していった。

やがて、肩口まで浸かる具合のところを探り当てると、勇者は腰を下ろす。
それでようやく――――探り探りながらも“入浴”が叶った。
93 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:37:26.81 ID:DlfG3gWz0

勇者「はぁ……。何で、こんな事になってるんだ……」

ふだんとは勝手の違う、風呂に入る事ですら気を使う有り様にあらためて情けなさを覚えた。
湯から手を覗かせて見れば、いよいよ頼りなく細くて、短剣を握るのがせいぜいの大きさだった。
とはいえ――――見慣れない“手”でもあった。
この姿が当たり前だった頃は、いつも爪の間に土が挟まり、指の関節には砂埃が詰まり、青草の香りがしみついていた。
爪はでこぼこに変形して、割れて欠けていたのが常だった。
だが、今あらためて見る手は、違う。
整った爪と、砂などついていない指。そもそも花を浮かべ香油を溶かした熱い湯に身体をつけるという事などできるはずもない。
あるはずのなかった過去が、手の形を借りていた。

勇者「……そういえば、思い出した。もしかして……あれか……?」

退行現象の心当たりが、もうひとつだけ――――ふと、思い出された。
94 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:38:21.66 ID:DlfG3gWz0
*****

サキュバスA「陛下、あぶない! なぞの液が!!」

勇者「うぉ、わっ!?」

遡る事数日前。
サキュバスAを伴って城下へ出たある日の夕方近くの事だ。
路地裏からおもむろに姿を覗かせた、奇妙に脈打つ名状しがたい生き物が、
ぐぷっ、と吐き出した真っ白くベトベトとした液を頭からかぶってしまった。
彼女が身を呈してかばおうとした頃には遅かったのだ。

勇者「ぐっ……! 何だ、こりゃ……いったい何だコイツは」

サキュバスA「……ローパーの変種かしら……? こんな外観は初めて見ますわね。“ポチ”の同類ではなさそうだけれど……」

ローパーに大まかに似ているものの、目のような器官を各所に持ち、枯れた枝、あるいは翼のような触手が一対生えている。
加えてぐねぐねと蠢くイボつきの触手が醜悪そのものの見た目をしている。
95 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:40:09.77 ID:DlfG3gWz0

淫具店主「うわっちゃぁ……モロかぶりしましたね、陛下。大丈夫ですか?」

勇者「……まさかお前の所で?」

淫具店主「いやぁ、私は仕入れただけですよぅ。愛玩用淫獣店に連れて行くところで……」

遅まきに出てきた、淫具店を営むサキュバスがハンカチを差し出しながら呑気に告げる。

勇者「何なんだコイツ……この液?」

淫具店主「いや、それが……分からなくて。何か作用するモンだとは思うんですが……新種みたいで」

サキュバスA「あら、まぁ……何ですの、この啓蒙の高まりそうな外見。何処から連れて?ヤー○ムからでしょうか?発狂耐性が必要かしら」

淫具店主「いや、ここの近傍から……いや、申し訳ありません陛下。お詫びに……私が、カラダでお支払いいたします……」
96 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:41:50.51 ID:DlfG3gWz0

勇者「そういうのはいい。……?何書いてるおまえ」

淫具店主「ええ、まぁ。……“媚薬効果はナシ。繊維への溶解、金属腐食効果も無し……”と……」

勇者「何メモしてんだ!反省してないだろ、さては!?」

淫具店主「していますとも、ええ。次に活かす事こそが、起きてしまった事への真の償いではないでしょうか?」

勇者「……まぁいい。今のところ不調もない……としたらこの液は何の意味があるんだか」

サキュバスA「進化の過程で無毒化はしたものの、分泌腺だけが残った……ですとか?フフッ、何にせよ楽しいではありませんか」

勇者「全ッ然楽しくない。人がベタベタになってるの見て楽しいか」

サキュバスA「ええ、思いのほか」

*****
97 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/14(月) 00:44:19.75 ID:DlfG3gWz0
今夜分投下終了
次回からようやくアレ……

では、また明日
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/14(月) 00:58:09.46 ID:iyoHTWaL0
やはりリアルタイムは良いものですね。
楽しみにしております。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 01:01:03.78 ID:OZBQ0eLk0
上位者は即刻狩れ(ヤー◯ム並感)
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 01:01:20.97 ID:MC5TrSQz0
エーブリエータスちゃんか。来たなヒロイン
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 01:16:34.39 ID:GMsokBaio
風呂で溺れるのか
何cmぐらいに縮んだんだろうか
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 02:30:40.20 ID:6kd2tBGE0

陛下あぶなーい(棒)
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 01:21:27.32 ID:ctQonDfN0
今日更新ないか?
104 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/15(火) 07:11:58.23 ID:L8XfZl3U0
朝っぱらからだが投下していくぜ
夜じゃなくてすまなんだ

それでは
105 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:12:57.78 ID:L8XfZl3U0

*****

勇者「……本当に……本当にあいつは……もう……」

べたべたの粘液をまとって城に帰りついた時の、堕女神の眼は忘れ得ない。
思い起こせば胃がきりりと痛むような心苦しさのまま浴場へ向かった、あの気まずさも。

ナイトメアと出掛けた際に食した果実。
サキュバスAと城下へ出掛けた際にかぶってしまった、奇怪な粘液。
今思い当たった、この状況の“理由”はこの二つだった。
城下で済ませた用事があと一つ二つはあるものの……どれも、身体が急に若返る理由とは思えない事ばかり。

勇者「……戻れるのかな」

ふと、心細さを覚えて――――まっさらで小さな手を、うんざりするような視線で見つめる。
傷一つなく、土埃も油染みもない手と、水面の下に見える頼りなく細い脚と、視界に垂れる細い前髪。

その時、水面に波紋が対面から投じられ、広がった。
106 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:13:29.26 ID:L8XfZl3U0

勇者(ん……誰かいるのか)

数日前の災難を思い起こす間に、何者かが浴場へ入っていた。
誰何しようとも考えたが――――若干、警戒する。
危害を加えられるような事はないとしても、本能がそうさせた。
漂ってくる、淫魔に独特の花の媚香と気配が……普段よりも、濃く感じられたからだ。
それはあまりにくっきりと嗅ぎ取れたせいで、誰のものなのか逆に掴めなかったのだ。

続けざまに湯煙の向こうからは戯れるような水音が響き、薄紅色の水面が揺れ、散らされた花びらが泳ぐ。

そして、やがて――――誰もいないと思っているのか、歌声が混じる。
調子はずれに、子供じみた節回し、時折忘れた箇所をごまかすように鼻唄に変わり。

勇者(……あいつ)

気の緩んだ拍子に勇者は身じろぎし、水音を立ててしまった。

???「えっ……?誰?」
107 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:14:03.31 ID:L8XfZl3U0

ぱしゃ、ぱしゃ、と水音とともに、声の主は湯船の中を物怖じせず近づいてくる。
その正体は、十中八九気付いている。
だからこそ――――勇者は、あえて悪戯心を起こした。

勇者「え、え……と……」

湯煙を掻き分け、姿を見せたのは――――予想に違わない姿だ。
胸から上までを水面上に惜しげもなく覗かせた、稚気を宿したままの姿のサキュバス。
くりくりと瞬く黄金の瞳に若干の怯えを宿し、子供のような姿に似合わない豊満な質量と桜に色づいた尖端が見え隠れする乳房。
警戒する猫のように広げ逆立たせた翼の産毛を逆立たせる、今の己と比べて尚もそう変わらない背丈。
彼女は、一度こちらの姿を認めると……ぎこちなく身を強張らせる。

勇者「……だ、誰……?」

分かりきっていたのに。
姿の見える前にすでに気付いていたのに。
白々しく、そんな言葉を口にする。

サキュバスB「え……」

戸惑いを隠せない彼女は、はっきりと勇者の――――人間の子供の姿を認め、身を強張らせる。
だが、それも一瞬の事。

サキュバスB「……きみ、人間だよね? 怖がらないで。わたしは……」

誰何する事無く、サキュバスBはゆっくりと、微笑みを絶やさずに近づいてきた。
108 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:14:44.97 ID:L8XfZl3U0
*****

勇者(……何も気付かないのか?)

湯船から上がり、今となってはもはや彼女と変わらなくなってしまった姿の背中を洗われながら、疑念は尽きない。
泡をたっぷりまとわせた生地で、痛くならないようにと気配りながらサキュバスBは上下に背中を擦ってくれる。

サキュバスB「ふふ、どう……かゆい所、ないかな?きみ、お肌綺麗だねー……こういう所はじめて?……なんちゃって、えへへ」

勇者「え、あ、ハイ……」

湯船の中で二、三言。
上がってからもそう言葉を交わしていないのに……気付けば、こうなっていた。
湯は熱くないか、喉は乾いていないか、のぼせてはいないか――――気遣われ、
今はサキュバスBに、いつかのように身体を洗う手伝いを申し出られた。
名乗るタイミングを見失い、起こした悪戯心を引きずるように。
何も知らない、人間の子供として……彼女に。“淫魔”に身を任せて。

勇者(なん、だか……悪い事、してる……ような……)

背中越しに漂う気配は、先ほどにまして濃い。
平素の彼女がまとっていた、甘酸っぱい花の薫りが――――いつにもまして、濃く嗅げた。
109 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:15:50.76 ID:L8XfZl3U0

勇者「あ、え、と……貴方……」

サキュバスB「んー……?言ったでしょ、わたしはサキュバスB。よろしくね。お姉ちゃん、って呼んでもいいよ?」

勇者「あ、うん……」

サキュバスB「それにしても、ほんと……お肌綺麗だねぇ、きみ。……こういう所はじめて?なーんちゃって……」

いつか、彼女が背中を洗ってくれた時の事を思い起こす。
その時、サキュバスBは背中まで貫通した刺し傷を撫でさすり、その痛みを偲ぶように言葉を失っていた。
失った言葉の代わりにいたわり、やがて……その掌は前の男心にまで伸びて、吐き出させてくれた事も。

勇者「あの……ここは……?」

サキュバスB「ここはね、淫魔の国。わたしみたいなサキュバスが暮らしてる魔界の一国。
         ……ここの王様はね……す、すごく……カッコいいんだよ。優しくて……え、えっち……も……ゴメン、なんでもない!」

勇者「……え、そ、そう……なんですか……?」

白々しい演技のさなか、唐突な言葉にしばし言葉を失い、照れが顔を染める。
背を預ける姿が幸運となったまま、気付かれぬように顔を覆う。
110 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:16:42.10 ID:L8XfZl3U0

サキュバスB「でも……たまにね。すっごく、寂しそうな顔も……するんだよね」

勇者「寂し、そう……?」

サキュバスB「王様はね。昔……でもないけど、人間界を救ったんだって。あんまりお話してくれないけど……」

勇者「…………」

サキュバスB「……わたしね、いつか、王様に訊いてみたい事があるんだ」

勇者「……なに?」

サキュバスB「えへへ、聞いてくれるの? 優しいね、きみ」

背を往復していた垢すりの布が、止まる。

サキュバスB「さみしく、なかったかな、って」

勇者「……?」

サキュバスB「“魔王”をやっつけて。もう人間の世界にいるのをやめよう、って思ったって。……やっぱり、さみしかったかな。
         大切な人に、お別れをちゃんと言えたのかな。食べたいもの、あったのかな。憧れてたものをちゃんと味わえたのかな、って……」

111 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:17:09.71 ID:L8XfZl3U0

勇者「……きっと、さみしかったと思うよ」

サキュバスB「おっと、それじゃ、泡流すね。お目々つぶってー……いくよー」

相槌を待たず、サキュバスBが頭から流すように汲み溜めたお湯をかける。
二度、三度と繰り返すたびに細かな泡が足もとを流れ、排水口へ消えていく。
それはまるで、問いかけそのものを水に流すようで――――……。

サキュバスB「はい、おしまい。……それじゃ、次はきみの番だよ?」

勇者「え……俺……何が?」

サキュバスB「何が、じゃないよー。“お姉ちゃん”の背中、流してくれる?」

勇者「……え、うん……分かった……」

普段は絶対にされない頼み事だった。
今まで背を洗ってくれていたサキュバスBが入れ替わるように前に出てきて、ちんまりと座ってほっそりとした背中をさらけ出す。
水滴を弾き玉粒のように流す、やや白みの強い蒼肌の背。
背骨に沿って中ほどが柔らかく切れ込み、浮き立つ肩甲骨の薄さも際立つ目を奪われるばかりの後ろ姿だった。
112 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:17:49.59 ID:L8XfZl3U0

だが、美しくとも――――人とはかけ離れた特徴がやはりある。
後ろからでも見てとれる……小さなあどけない頭に存在を主張する、ねじれ尖った山羊の巻き角。
それは彼女の頭部と比較してみると、重心を大きく狂わされそうなほどに逞しい。

薄く張り出た肩甲骨のやや下部から生えていたはずの翼は影も形も無い。
己の意思で収納できるから、今は気遣い消しているのか――――。
そこから徐々に視線を下ろしていけば、やわらかな円みを帯びた尻、その切れ目の始まる頃の場所から“尾”が伸びている。
短いベルベット地にも似た体毛が湯で濡れて光り、深みを持つ紫色に輝いていた。
その先端は矢じりのように、あるいは――――心臓を、“心”を示す図案のような形を描く。

サキュバスBの後ろ姿は、今の自身と比べれば変わりないほどの背丈で――――可憐な少女の背中そのものだ。
全てが美しく均整がとれ、はなはだしく主張する凹凸もないのに弾けるような瑞々しさに溢れ、何より……見合わぬほどの色気を放っていた。
背筋の切れ込み、薄い肩甲骨、小さく丸い尻、細い鎖骨。

すべて、すべてが――――触れれば溶けてしまいそうな少女の姿のまま、男の情欲をくすぐるまでの色気を宿し、催すような香りを放っていた。

――――それを、勇者は受けた。
――――鋭敏になった、五感と――――その奥底にある、雄の本能そのもので。
113 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:18:37.14 ID:L8XfZl3U0

サキュバスB「どうしたの?」

勇者「い、いや……えっと……」

サキュバスB「あっはは、照れてる?かわいー……ほら、洗って?」

勇者「う、うん……」

先ほどそうされたように、彼女の背におずおずと触れ、泡をまとった布を施す。
指先が触れるたびに彼女は小さく喘ぎ、ぴくん、と小さな背を震わせた。
たちまちに泡立つ石鹸が彼女の蒼肌を覆い隠してしまい、もはや見えない。
湯船から立ち上り流れて来る湯煙と、泡とに隠されていながら……サキュバスBから漂う、石鹸とも湯の花とも違う香りに中てられる心地に震えた。
“匂い”から――――“色”を意識する。
サキュバスの翼の持つ深い紫。サキュバスの内側に宿る、美麗な桃色。
全てが、嗅ぐだけで脳裏を過るような……今の自身には過分なほどの劣情を催してしまった。

サキュバスB「んっ……こら。何か当たってるよ?」

勇者「うわっ!? ご、ごめ……」

自然、抑えられない“それ”が反り上がるようにしながら、座る彼女の尻へ、無意識のうちにすりつけられてしまっていた事に気付く。
だが、彼女はそれを言葉で制しはしても……咎めない。

サキュバスB「……ね、きみ」

勇者「……ん」

ほんの少しだけ振り返った、彼女の顔は。

サキュバスB「……お姉ちゃんと、したくなっちゃった?」


――――“魔性”だった。
114 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/15(火) 07:19:46.11 ID:L8XfZl3U0
それでは、また次
ではの
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 08:09:28.58 ID:MvyiEeBSO
やっぱりBが一番だ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/15(火) 13:52:21.43 ID:68X3ybUV0
最高なのはAだぞ?
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/15(火) 14:59:44.12 ID:ejZYTJTUO
いやいや堕女神が…
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [Sage]:2018/05/15(火) 15:31:50.82 ID:UBzGd74U0
いやCの良さがわからんとか...
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 15:38:44.99 ID:iL51F/QSO
戦乙女「あ、あの!」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 16:08:41.39 ID:cx/0DDXtO
>>119
無かった事にされてて悲しい…
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 19:04:12.68 ID:J+ZJPs+Po
皆最高
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/16(水) 03:19:49.06 ID:vUSyNwLo0
AのドMっぷりがたまらぬ
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 22:55:21.94 ID:jX2gMyUsO
ナイトメアです…出番が無いとめあって身内ネタやってたら出番が来て大歓喜です…
ナイトメアです…待ってたよ…
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 22:56:58.88 ID:i+5BnDqj0
出番が来た(開幕のみ
125 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/16(水) 23:25:58.00 ID:+btcL/IB0
一日開いて申し訳ない
飛び飛びだな、畜生何がなんだか

始めます>>113より
126 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:26:28.04 ID:+btcL/IB0

*****

湯船に注がれる湯の音に混じり、ぬめる水音と――――ふたつの喘ぎが重なり、溶けていく。
忍び笑いを堪えるような、鼻にかかった甘い吐息は“淫魔”より。
漏れているという意識すらないまま、絞り出されるような必死の吐息は“少年”より。
くちゃ、くちゃ、ぬる、ぬちっ――――。
粘液をまぶし合わせるような“淫律”が、徐々に、徐々に速度を増す。

サキュバスB「ん、ふふふっ……すごく熱いね、きみの……硬くて……すごく立派……」

勇者「ふ、あっ……!」

にゅる、にゅる、と……淫魔の小さな手中から幾度も“それ”は頭を見せる。
床に膝を立てて広げて座る“少年”を後ろから支え、もたれかけさせながらの手淫だった。
つぶれたバストの危ういほどの柔らかさを背中に感じて。
耳もとからのサキュバスの囁きを脳髄を侵すように届けられて。
体が震えるたびに閉じそうになる脚は、そのたびに彼女の脚に絡め取られ、閉じられないようにより深く開脚させられた。

今、勇者は――――あられもなく脚を開かされたまま、サキュバスBに抱き留められて――――泡をまとう手で、“自身”をくどく、そして優しく扱かれていた。
127 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:27:06.87 ID:+btcL/IB0

サキュバスB「ふふっ……お姉ちゃんのお尻に勝手にこすりつけちゃって。だめだよ?こんな事しちゃ……女のコに嫌われちゃうよ?」

勇者「あ、ぁ……ごめ……な……」

サキュバスB「あんな悪い事、どこで覚えたのかなぁ。……ほら? きもちいいね……お姉ちゃんの手で“しこしこ”されちゃって……ね?」

昂ぶり続けて、今にも果ててしまいそうなのに――――その瞬間が、いつになっても訪れない。
密着されて薫るサキュバスBの匂いそのものが、鼻から流し込まれたように鼻腔の奥に突き刺さり、
その度、思考が遠くへ連れ去られて行く。
いつもなら抗えたはずだ。
いつもなら、意識を保てたはずだ。

勇者「ハッ……あぁぁ……っ!」

それなのに、背中に押しつけられてぐにぐにと形を変える果実の感触が。
尖端にある乳首のしこった硬さが。
背中を愛撫するように蠢くたびに――――ぞくぞくと痺れが走り、股間に向かい、びきびきと震えさせている。

やがて、硬さを注がれて反り返っていくささやかな怒張の包皮が押し広げられて――――つつましいピンク色の亀頭が、顔を覗かせる。

サキュバスBはそれを見ると――嬉しそうに、喉奥にいたずらな笑いを潜める。
128 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:27:43.38 ID:+btcL/IB0

サキュバスBの戯れるような魔手の導きはまだ止まない。
現れたピンク色の亀頭へまだ触れないよう、注意を指先に込めつつ、小さな茎を上下にしごき、
空いた片手が解きほぐすように伸びたのは――――湯の中で皺が伸び、
つるんとした薄皮に包まれた指先だけでつまめてしまうほどの二つの珠。

サキュバスB「ね。この中……分かる?今、きっと……いっぱい、お精液つくられてってるみたい。早く出したい?苦しい?」

柔らかく、猫の喉でも撫でるような繊細なタッチでふたつの珠を嬲られる。
細い指先が“嚢”の中にしまわれたそれを優しく捕まえ、その内に滾る白いスープを想うように――――じわり、じわりと。
刺激の度に陰嚢は脈打ち、どぷんっ、という音と脈動が体を駆け上り、沸き立つような感覚と共に体が跳ねた。

勇者「ぐ、っ……!」

だが、それでも……縛めから逃れる事はできない。
背後をとる“淫魔”に身体の中心の茎を文字通りに掌握され、あと少し力を込めれば――――薄皮の中の珠も、指先で弾けてしまうだろう。

否、もしそれらがなかったとしても。
この快楽の呪縛から逃れる事など、できはしなかった。

もはや視界には何も映らず。
ただ、ひたすら――――チカチカと明滅し、おぼろげに時折大浴場に上り揺らぐ湯煙が見えるのがやっとだった。
129 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:28:30.79 ID:+btcL/IB0

小さな肉竿は、とめどなく作られていく若い精のスープで満ちていく。
それを淫魔の掌中で弄ばれ続け、もはや脚をふんばる事さえできないままにずるずるとだらしなく力が抜けていった。
泡と、先走りの吐液と、堪えられない顎の端から垂れ、薄い胸板の上を、筋肉の凹凸ない腹部を経て秘部まで流れ落ちる唾液。
ぐちゃぐちゃにそれらの混交液がサキュバスBの手で掻き混ぜられ、肉竿を蕩かせる潤滑液へと変わっていった。

サキュバスB「あっははは……すごいお顔。イきたい? ね、どぴゅ、どぴゅ、ってしたいでしょ?」

勇者「っ……は……っは……っ……っ!」

快楽は留まるところを知らず、そうしている間にも肉の竿は漲り続け――――
パンパンに張り裂けそうなまま、いつまでも作り出された快楽をせき止められ、決壊の寸前にあった。

サキュバスB「もう辛いよね?おねだり……は許してあげるね。
         だって、もう喋れないみたいだし……それじゃ、ボク。初めてのお射精、してみよっか?」
130 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:29:24.08 ID:+btcL/IB0

ずり、ずりゅ、ぬちゅ、ぬちゃ、しゅこ、しゅこっ――――
湿り滑る水音と、摩擦の奏でる――――誰の耳にも明らかな、“手淫”の調べ。
その中にはもう、堪える少年のうめきはない。
うめく体力すら奪い尽くされ――――快楽の奔流に押し流されるその時を、ただ待つことだけが許された。

尖端を覗かせる桃色の亀頭を、包皮ごと扱き上げ――――同時に、ぐりんっ、と勇者は睾丸より更に下へ異物感を覚える。
見るでもなく、聞くでもなく――――昂ぶりを極めた下肢の触感が、その身に起こったことを理解する。

勇者「っ……ゥ……く、はっ……!」

サキュバスB「えへ、へっ……ここで、合ってるかなぁ……」

睾丸を弄んでいた左手、その中指が――――抵抗を失い緩んだ“門”の隙をつき、深く、深くへ槍として。
そして、槍は“鉤”へと変わり――その奥にある、膀胱から肉茎へ繋がる“管”に隣接する何かを探し求めてうねる。
やがて、抵抗虚しく探り当てられた“そこ”を、くりっ、と指先で腸壁越しに押された、途端――――

勇者「っ――――――………!!」

吸う事すら難しかった息が肺の奥までとっさに吸い込まれ、満ちる。
酸素が血流として運ばれ、全身へと急稼働で運ばれ、ちりちりに滾り、燃え、そして尽きる――――そんな、破滅のような快感に襲われた。
131 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:29:58.30 ID:+btcL/IB0

サキュバスB「わきゃっ……!?す、すごい勢い……!わたしの顔にまで飛んできちゃってるよぉ」

体ごとガクン、ガクン、と震えながら、少年の肉茎は粥のように詰まった“精通”の飛沫を吐き出していく。
下腹部どころではなく、勢いに任せ……調節の狂った噴水のように断続的に噴き出しながら、少年の姿の勇者の胸へ、顔へ。
後ろから抱きすくめ縛めるサキュバスBの顔にすら降りかかり、上気した蒼肌へ、“白”を化粧していくように。

ふたつの珠が溜め込み、作り出したとは思えない――――水分低下による卒倒を招くのではないかと思えるほどの射精は、
集めればワイングラスのふちから零れてしまうほどの量だ。
大量などという生易しさではなく、人体が、子供が吐き出してしまっては危険なほどの量を。

サキュバスB「……ふふ、いっぱい出たね♪ えらいえらーい♪」
132 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:30:34.05 ID:+btcL/IB0

勇者「うっ……ぁあ……っ」

サキュバスB「お顔、汚れちゃったね?拭くのもったいないから……わたしが、綺麗にするね」

自らの白濁で染まった少年の頬に、淫魔の舌が伸び、丹念に舐め取る。
胸まで飛び散ったそれを掌に掬い取り、徐々に、少年の体を床に寝そべらせるように解いていき――――
勢いを失い、白濁液の残りを情けなく吐き出しぴくぴくと震える肉茎へ唇を寄せて。

サキュバスB「んふっ……きみの、すっごく美味しいよ。一滴も残せないなー……ほら、見ふぇ?」

ちゅる、ちゅるり、と尿道にまで残った全てを吸い集め、小さな口腔の中になみなみと溜まったそれを、億劫に首だけを起こした少年へ見せつける。

サキュバスB「こんらに……いっふぁい……んっ……!こくっ……ふふ、きみの、美味しかったなぁ。ごちそーさま、陛……あっ」
133 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:31:53.28 ID:+btcL/IB0

勇者「……おい」

サキュバスB「な、何かなー?うん、元気みたいでよかったよかった。それじゃ上がろ?ね?一緒に冷たいミルクでも……」

堕女神「“ミルク”なら、充分なのではありませんか?」

先ほどまでの妖艶もどこへ消えたか。
狼狽し、振り返った淫魔の視線の先には――――湯浴み用のタオルに身体を包んだ、この城のNo.2の静かな憤怒の表情。

サキュバスB「あえっ、だ、堕……め……いや、これは……!」

勇者「サキュバスB?気付いてたな?最初から知ってたんだな!?俺が――――俺、俺はなぁ!!」

サキュバスB「いや、待っ……は、話せば分かるんです。ね、ね!?これには訳が!」

堕女神「貴女は……貴女という、方は……」

勇者「尻を出せ。サキュバスB。淫魔じゃなく――――人間の伝統のやり方でお仕置きだ」

吐き出すものを吐き出し、萎えていた両脚へ力が吹き込まれ、立ち上がる。
指先までぴしりと伸ばした左手に青白い稲妻が走り――――

サキュバスB「い゛っ……きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」

広い浴場へ、目の覚めるような快音が響き渡った。

134 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/16(水) 23:32:38.29 ID:+btcL/IB0
今夜分投下終了

(子どもに)えっちなのはいけないと思います
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 23:40:40.27 ID:EwJS92Yh0
乙!
いつものサキュBで安心した
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 00:04:22.94 ID:RR0YeS240
おつ!
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [Sage]:2018/05/17(木) 09:10:42.55 ID:Dz+1WxJ5O
Bは気づいてたし陛下は子供のフリしてたしってこれは幼児プレイってことでいいんですかね
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 12:21:03.98 ID:VD3iWawvo
つまり陛下はバブみを感じておぎゃったわけですよ変態だ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/18(金) 01:32:02.40 ID:iYEfo/po0
今日はなしかな?
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 08:04:16.25 ID:WLMP3uDSO
悪いもの体に入れたら出さないといけないからな(棒)
141 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/18(金) 22:21:01.63 ID:xOMyQe3L0
こんばんは
すまん、昨晩文字直ししてたら崩れ落ちていて……投下を開始します
142 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/18(金) 22:21:31.54 ID:xOMyQe3L0

*****

サキュバスB「うっ……うぅぅ……っ」

勇者「……大げさな奴」

すっかり夜も深まった城内を歩くのは風変わりな組み合わせの三人。
最後尾のひとりは、真白い肌と濡れ羽色の艶やかな髪の堕ちた女神。
ひとりは、動きやすそうな服に身を包み……今は腰を砕かせ、ヒップを幾度もさすりながらぎこちなく歩くサキュバスの少女。
そして先頭は、膝小僧から下を晒す絹のズボンと短靴、やや袖の長いシャツから指先を覗かせる“人間”の少年。

ときおり、サキュバスの少女――――サキュバスBが立ち止まり、尻をさするたびに一行は立ち止まり、促しながらも、待ち続ける。

サキュバスB「お、尻……“ビリッ”……て……何、するんですかぁ……ただのお尻叩きじゃ……まだひきつるぅ……」

勇者「こっちのセリフだ。……何するんだお前は」

サキュバスB「つ、つい……陛下が、なんか……変な事が起きちゃって、また……変な……」

勇者「“また”って言うな、またって。俺のせいじゃないんだぞ」
143 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:22:26.99 ID:xOMyQe3L0

堕女神「……本当にそうでしょうか?言いきれますか?陛下?」

勇者「……ん……」

堕女神「ナイトメアを説き伏せて郊外へお出かけになりましたね。聴取の結果、彼女は陛下を止めたそうですよ。それをしつこく説得したと……」

勇者「んっ……!」

わざとらしい咳払いを二回挟み込んでも、堕女神の言及は止まない。

堕女神「二つ目。これも思い出したのですが――――城下町で“なぞの液”を浴びた時も。
     サキュバスAを巧みに誘導し、もしくは誘導されて向かったと。間違いありませんか?」

勇者「……ごほっ」

堕女神「“ごほ”では分かりかねますが」

サキュバスB「……やんちゃな事してるからバチが当たったんじゃないですかね?」

堕女神「貴女がそれを言えますか。……ともかく、今申し上げた理由の一つ目は否定されました」
144 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:23:34.63 ID:xOMyQe3L0

勇者「へ」

堕女神「ナイトメアと一緒に召し上がったという果実です。ご安心ください、調べた結果、あれは無毒です。
     人界の山中にも生えているものですから問題ありません」

勇者「そう、なのか……良かった」

堕女神「いえ、良くは……。二つ目、街中で浴びた“なぞの液”……いったい何なのでしょう、“なぞの液”とは。全く……」

勇者「本当に謎らしいんだ。“服だけ溶かす液”よりマシだったろ。流石に裸で城まで帰ってくるのはマズいじゃないか」

堕女神「全身を白濁させて帰るのも問題ですけれど」

サキュバスB「そうですよー。酔っ払った子じゃないんですから」

勇者「酔……?どういう事だ、それ?」

サキュバスB「暑くなってくるといるんですよー。スライムって、すっごくヒンヤリしてて気持ちいいんです。
         体を冷やしてくれますし、体温……水温?どっちなんでしょ……とにかくそれも一定に調整されてるからぬるくならないんです。
         ですから、スライム浴で涼む子とかいるんです。で、たまにスライムが寝ちゃった子を置いてどっか行っちゃって……」

勇者「で、スライムまみれで残されるだらしない酔っ払いサキュバスが出ると……」
145 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:24:23.16 ID:xOMyQe3L0

堕女神「それはそうと、陛下。何故あのような事に?」

勇者「……あまり掘り返さないでほしいな」

浴場での“惨劇”は、思い出すにはあまりにあまりの出来事だった。
サキュバスBに、まさか――――ああも、と。
だがすぐに言葉の曇りを察した堕女神はニュアンスを切り替え、言葉を補う。

堕女神「いえ……いつもならば、サキュバスBの放つ淫気にああまで中てられはしないでしょう。何か……」

その指摘は、当然のところを言い当てていた。
まがりなりにも“勇者”の持つ耐性のためか、彼女らの持つ魔力に中毒する事はなかった。
一糸まとわず密着すれば、サキュバスの魔の淫気を感じはしたものの不覚に陥るほどではなかった。
例外は隣女王で、正体を見せた彼女のそれは――――もはや、“攻撃”と言っても過言ではない。

サキュバスB「つまり、わたしにメロメロになっちゃいましたか。そーですかー……くふっ」
146 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:25:24.61 ID:xOMyQe3L0

勇者「畜生……まさか……サキュバスBなんかに……!!」

サキュバスB「いやあの、本気で悔しがらないでくださいよ……さすがに傷付きますから」

堕女神「恐らくは、浴場というのも不運だったのでしょう。多量の発汗を促し、湯煙に溶けて漂う、裸体を晒し合う空間。
     それと……恐らく、魔力への耐性が下がっていますね」

勇者「……でも、魔法は使えるぞ」

堕女神「そこは不自然ではありますが……ともかく、仮説ではありますが、でなければ……ああも不覚に陥る説明はつきません」

サキュバスB「あの、堕女神さま。一つだけ訊いていいですか?」

堕女神「は……?何でしょうか」

サキュバスB「えっと、どのあたりから見てました?」

堕女神「……陛下が、その……達する、直前ほど……流石に、と、止めに入ってしまうのは……陛下も、お苦しい事になるかと……」

勇者「正直に言う。“死にたい”」

サキュバスB「さっきは“いきたい”って言ってましたよ?」

勇者「うるさい」
147 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:26:09.56 ID:xOMyQe3L0

途中で自室へ戻るサキュバスBと別れ、寝室までの道のりを歩く。
二日目となれば歩幅にも慣れ、少なくといつまづく事はなくなった。
それも、“手を引かれる子供”が、“先行して歩く子供”になっただけ――――と言えばそれまでだ。

勇者「……そういえば、鉢合わせたが……どうして浴場に?」

寝室のドアに手をかけ、開く寸前に訊ねる。
しかし、彼女から返答はない。
怪訝に思い、振り向けば――――暗闇の中でも覗ける赤い瞳が当てどなく泳いでいた。

勇者「……訊かなかった。ごめん」

堕女神「い、いえ……偶然でしょう。はい。それより、本日は――――」

???「嘘をおっしゃいなさいな。いたいけな幼子に性を感じていたのではなくて?なんとした事でしょうか……」

勇者「!?」
148 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:27:06.61 ID:xOMyQe3L0

ドアが力を込めるまでも無く内側へ引かれ、開く。
その中から姿を見せたのは、闇に溶ける翼と蒼肌を持つ紫水晶を想わせる瞳の――――

勇者「サキュバスA?どうして……戻るのは明日じゃなかったのか?」

サキュバスA「えぇまぁ、そのつもりだったのですけれど……それより、中へどうぞ。狭いお部屋で申し訳ありませんが……」

勇者「狭くて悪かったな!」

サキュバスA「ほら、保護者様も。幼子と交わす睦まじき蜜月を阻まれたからと言ってそうお怒りになるものでは」

堕女神「怒っては……いえ、そもそも誰が“保護者”ですか!」

サキュバスA「これは失礼を。しかし……その割には堂に入ったものでしたわよ?」

堕女神「は……?」

寝室へ二人を迎えたサキュバスAが扉を閉め、勇者はベッドの上に腰かけ、堕女神は近くのベッドサイドの椅子を引いて座り、
最後にサキュバスAが、手近な壁に立ち姿のままもたれかかる。
149 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:28:07.46 ID:xOMyQe3L0

サキュバスA「無垢な子供の唇を吸い寄せて、その二つの果実に儚く小さな童顔を埋めて。頼りなく細い爪先にて太ももを優しく掻かれて……
        “ああ、陛下。くすぐったいです……おやめください……”などというやり取りです。何と度し難い……何と乱れた……」

堕女神「っ!?な、何故それ、……え……!?」

サキュバスA「ああ、やっぱりしたんですの?大胆ですわ。では、“ふふっ……まるで、赤ちゃんのようですね……私と……貴方の……”」

勇者「そこまではしてない」

サキュバスA「そこまではいけませんでしたか。もっと攻めてもよいでしょう……嘆かわしい」

紫の瞳の闖入者が軽妙に投げかける言葉の数々で、堕女神の顔が段々と赤らみ、
俯き――――ひとしきり嗜虐心を満足させた頃か、彼女が話題を変える。

サキュバスA「さてさて、だいぶお困――――ってはおりませんね、一見しました処」

勇者(……そう言えば、あまり困ってない気がするな)

サキュバスA「ほら見なさいな、ボイン大好きしょ○太くん」

勇者「誰だよ!」
150 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:28:58.24 ID:xOMyQe3L0

堕女神「……陛下が不便を感じておられないなら何よりですが。ともかく、理由は……」

勇者「そう。理由が分からないんだ。病気か?」

サキュバスA「ひとまず、ここ数日の出来事を更に洗い出していく事ですわね。更に丁寧に。
         更に――――ええ、エグく、クドく、しつこく、しつこーく……」

勇者「変な言い方はやめないか。……最初に訊いたが、何で今夜戻った?」

サキュバスA「ええ。ひとつだけ。――――ひどく、気に入らないモノを見つけてしまいましたの」

いつの時も余裕を見せ、善意も悪意も露わにしない彼女には珍しく――――攻撃性を帯びた物言いだった。
彼女が取り出したのは、一本の羽根。
それも……曇りひとつない、“純白”の。

勇者「白鳥の羽根?」

サキュバスA「流石は陛下。……ですが、だからこそ。見逃せないのです」

勇者「……?」

サキュバスA「人間界ではありません。――――この世界に、“白鳥”はいない」
151 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/18(金) 22:29:42.86 ID:xOMyQe3L0
今夜投下終了です

サキュバスAはガンガン話を進めてくれるので非常に得難い
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 23:29:58.26 ID:WLMP3uDSO
某AVかわかります
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/18(金) 23:46:03.68 ID:LFg4Qo3f0
最高じゃ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 02:56:32.58 ID:ecjxLmPTO
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [Sage]:2018/05/21(月) 01:20:18.25 ID:5gUEO7pB0
創造神は随分とご多忙のようであるな
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 01:24:20.65 ID:GB84xGo7o
おー、まだ続いてたのか懐かしいな
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/21(月) 02:39:04.47 ID:6BBOHM3F0
さみしくなってきた
158 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/05/21(月) 04:59:25.63 ID:yxSbP5Ah0
ここで変な時間に投下していきます
どうも二日に一回ペースになってる……大ウソつきか私は
159 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:00:27.48 ID:yxSbP5Ah0

“魔族”の翼には、羽毛がない。
サキュバスに限らず――――魔界を出身とする種族は例外なく、そうだ。
人間界では珍しくない生き物、闇を駆る蝙蝠はかつて地を這う生き物だった頃、
古代現れた魔族の姿を模倣してその前肢を翼へ進化させたという寓話も勇者は聞いた事があった。

サキュバスA「無論、抜け落ちる羽根を持つ“堕天使”もこの国にはおります。ですがその色は漆黒。白鳥の羽根など、この国に落ちるはずがない」

勇者「その羽根、見せてくれ。……まだ新しいな」

堕女神「人間界から迷い込んだ可能性は?ここ最近は人間界に出向くサキュバスも多く……」

サキュバスA「ええ、その可能性も捨て切れませんけれど……白鳥が現れたという噂も聞きません。そもそも、この羽根……」

勇者「魔力がある。……いや、魔力じゃない。もっと……」

サキュバスA「いえ、ここまでとしましょうか。悩み事など、夜にすべきではありませんのよ。……その羽根は陛下がお持ちになっていてくださいな」
160 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:01:20.59 ID:yxSbP5Ah0

背を預けていた壁から離れ、サキュバスAが尾を振り立てて背後から堕女神へ忍び寄り、耳もとへ口を寄せる。
たおやかな指先で彼女の細い顎を弄ぶようになぞり、微かに持ち上げ――――燭光が蠱惑を照らし出す。

サキュバスA「久しぶりに……“真夜中の密会”と洒落込みましょうか、堕女神様」

堕女神「!? へ、変な言い方をしないでください!陛下、違います。単に……」

サキュバスA「そう。真夜中に、魔性を持つ女がもつれ合い、赤裸々に全てを曝け出し……響くは淫魔達の嬌声。まさしく淫魔の国にふさわしく――――」

勇者「要するに飲むんだな。俺も行く」

サキュバスA「いえ、それはなりません。……何故ならば、子供は眠る時間です。“殿下”」

勇者「誰が殿下だ」

サキュバスA「まぁ、それはそれとし……“殿下”。実際、眠そうですわね?」

勇者「ん……」

一日を終え、夕食を終え、風呂に入ってよけいな“運動”までさせられた。
普段であればまだ降りてこないはずの眠気がゆっくり襲い……とろとろと瞼が落ちてくる。
161 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:02:49.64 ID:yxSbP5Ah0

堕女神「……もしや……それも、またその御姿だから?」

勇者「ん……変だな……こんな時間に、眠く……なんて……」

サキュバスA「まだ宵の口ですが――――続きは明日の朝ですわよ。おやすみなさいませ」

もはや目を開けているのが億劫なほどに眠気は強い。
ベッドの上を力無く這うように、枕へ近づくと、うつ伏せで顔を横に向けたままとうとう力尽き、一瞬で夢の世界へ誘われた。

サキュバスA「さて、“王子様”も眠った事です。厨房をお借りしますわ。実は下町の狐の店から、良い仔豚の肉を分けていただきまして……」

堕女神「です、が……そんな、場合では……」

サキュバスA「言ったでしょう。夜中に考え事などするものではありません。一日の終わり、疲れた頭で何が思い浮かぶものでしょう?
         ……夜とは、“何も考えない”ためにあるのですから」

堕女神「……では、ご相伴に与らせていただきます。……陛下、おやすみなさい」

すっかり寝息を立てる勇者に毛布をかけ、頬をひと撫でずつしてから、二人は寝室を出た。
162 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:03:24.54 ID:yxSbP5Ah0

*****

サキュバスA「さて、本日は仔豚のバックリブを焼き上げて――――」

堕女神「お待ちください」

サキュバスA「はて、どうなさいましたの?」

堕女神「……どうして彼女が?」

尖塔のひとつにある、サキュバスAの隠し部屋へ招かれ――――そこには既に、先客があった。
はめ殺しの窓辺に脚を投げ出して座り、片手にぷらぷらとエール酒の小瓶を弄び、足もとにはいくつもの空いた酒瓶。
その無作法な“先客”は料理の匂いへ顔を向けるなり歯噛みし、苦々しい顔をわざとらしく見せつけた。

サキュバスC「……テメェこそ何でいんだよ」

堕女神「こちらの台詞ですが。侵入者はどちらだと?」

サキュバスC「あァ、うるせぇな“お利口さん”は。……おい、アイツは?」

サキュバスA「陛下ならお眠りに。子供に夜更かしは厳禁ですわ」

サキュバスC「いい言葉じゃねーか。吐いたのがサキュバスなんぞじゃなけりゃもっといい」
163 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:04:22.50 ID:yxSbP5Ah0

一角に竪琴の鎮座する、さして広くもない隠し部屋に芳醇な香りがふわふわと漂う。
テーブルの上に並ぶ料理の数々は無作法な先客、サキュバスCの目と鼻を釘付けにし、不満げな表情を浮かべる堕女神もまた、静かに喉を鳴らす。

岩塩をふって焼き上げた骨付きのバックリブと分厚いベーコンの肉山からは溶けた脂の薫りが立ち上り、黒胡椒の粒もそれを強調する。
触れただけでほどけてしまいそうな柔らかさは、見るだけで伝わるほどだ。

サキュバスC「へぇ、こんなもん何処で仕入れた?超うまそーじゃん」

サキュバスA「狐の師弟のお店よ。分けてもらったの。……それと、今日はこんなものも用意したわよ?」

堕女神「……それは、チーズ……ですか?煮溶かした?」

肉山の隣に、小鍋いっぱいになみなみと湛えられたチーズに三人の視線が移る。
魔術で保温され、くつくつと沸くチーズの上にはハーブが一振り。
やがてサキュバスAは、笑いを含みながらその意図を明かす。

――――魔の誘惑を。

サキュバスA「この上質の仔豚肉を、とろとろのチーズにくぐらせて――――かぶりつくなんて、いかが?」
164 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:05:13.30 ID:yxSbP5Ah0

堕女神「い……いけません、そんな!」

サキュバスC「おいおい……悪魔かテメェ……正気か、こんな時間だぞ!?」

堕女神は慌てて目を逸らし、サキュバスCはそうしたくとも目を逸らせず――――
ちらちらと肉山とチーズの小鍋を交互に見やりながら、提案の主を咎めるように声を張り上げた。
更に畳みかけるようにサキュバスAは無言のまま、テーブルの上に発泡ワインと軽い果実酒を並べる。

サキュバスA「フフッ。体は正直ねぇ。ほぅら……こんなによだれを垂らして……欲しがっているわよ?」

サキュバスC「いや、垂らしてねェし……くそ、マジか……マジか、テメェ……」

本能を直撃する魔の食撰に抗えず――――サキュバスCの手が伸びる。
震える手で骨付き肉をつまみ上げると、どっぷりとチーズの鍋に浸し、すくい上げると、どこまでも追いすがるようにチーズの糸が引く。
こんがりと焼きあがったバックリブの肉汁の薫りが、チーズの熱い香りと合わさる事で、魔性そのものへ変わる。
そこで一度、サキュバスCの意識が途切れ――――

サキュバスC「……はっ!?」

気がつけば、三切れ目をその手に取っており、目の前に、ふたつ分の骨だけが転がっていた。
165 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:06:12.50 ID:yxSbP5Ah0

サキュバスA「……貴方、まさか食べながら気絶してたのかしら?」

サキュバスC(おい、おい……全然記憶に……ねェ……)

ちらり、と視線を横にずらすと堕女神がグラスを傾け、楚々とした仕草で発泡ワインで喉を潤していた。

サキュバスC(このアマ、何気取りくさって……あん?)

グラスから離れた唇は肉の脂で濡れて光り、彼女の前にある取り皿には丹念に肉をしゃぶり取られた骨が二本。
やがてグラスを置いた堕女神は、どこか放心したように虚空を見つめていた。

サキュバスC(コイツ……肉食ってイったんじゃねぇだろうな)

堕女神「下品な事を考えないでいただけますか?」

サキュバスC「はァ!?てめェ、何使って……!」

堕女神「何も。貴方の考える事などお見通しですよ」

サキュバスC「ふん。変態がエラそーにほざきやがるな、オイ」

堕女神「誰の事を言っているのでしょう?……くどいようですが、何故貴方がここに?」
166 : ◆1UOAiS.xYWtC [sagesaga]:2018/05/21(月) 05:06:57.53 ID:yxSbP5Ah0

サキュバスC「いやぁ、アイツがガキになったってから……これは笑ってやらねぇとな、ってさ」

堕女神「良い度胸ですね」

サキュバスA「仲睦まじいのは喜ばしいけれど……そこまでになさったら、ご両人?」

堕女神「睦まじくなどありません」

サキュバスC「アタシの台詞だ。……つゥか、鉢合わせにさせたのはテメェだろ、サキュバスA」

サキュバスA「あら、そうだったかしら。私はただ、貴方を誘ってこっそり飲もうとしただけよ?」

サキュバスC「そしたらコイツ連れてきてんじゃねーか。何のつもりだ?性悪め」

サキュバスA「別に他意なんてないわよ、失礼ねぇ。たまにはいいじゃない、こういうのも」

堕女神「……あなたは面白がっているだけでしょう」

サキュバスA「あら、バレてしまいました?」

サキュバスC「……あー、もう、よせよせ。コイツまともに相手すんの死ぬほど疲れっから」

堕女神「ええ、ですね」

サキュバスA「あぁん、酷い」
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