男「そこは重要事項だ!!」天使「い、今、確かめます!」

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215 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/28(土) 08:11:49.75 ID:Z2UXBXDw0

友「そうじゃない、男…色々話さなくちゃならないだろ、大事な話を」

男「あ、そうか」

男「天使、大丈夫か…?もう落ち着いたか、まずは横になれ」

男「いっぺんに話されてもキツいだろ、少しずつゆっくり話すよ」

男「まず…よく聞け、お前を女体化させたのは金髪先生だ」

天使「はい?」

女「最後でいいでしょそれ」

(説明中)

天使「…魔界が協力を…」

男「ここまで来てやっと重い腰を上げたそうだ…天界と魔界のお偉いさんが」

男「もっと早く動いてくれたら、お前も今までの被害者も無事だったのにな」

天使(黒髪天使先生…)

男「記録上の最初の被害者なんて100年も前だってさ」

男「事件以来、その天使は姿を消して未だに生死不明だとか、充分大事件じゃねーか」

天使(…赤髪)

天使(今は、赤髪の記憶の夢をしっかり覚えている、思い出せる)

天使(彼と悪魔が融合したのは、おそらく他の誰にも知られていない…)
216 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/28(土) 08:12:28.25 ID:Z2UXBXDw0

女「…大丈夫?あまり考え込まない方がいいよ…」

天使「あ」

天使「だ、大丈夫です…ごめんなさい」

男「いや、俺も一気に余計なことまでしゃべり過ぎたかもしれない…ごめんな、疲れたんだろ」

男「最後にこれだけ、金髪先生の癒し能力は催眠効果が高いらしいな」

男「眠るお前を抱っこしている最中にうっかり女バージョンを妄想したので女体化したそうだ」

男「嘘だと思うなら校長さんに聞いてみろ」

友「お前はこだわり過ぎだっての」

天使「僕、男さんを疑っていませんよ?」

天使「…金髪先生の能力についてはみんな知っていますし」

天使「浄化と、癒しと、相手が望む記憶だけ読む能力」

天使「この3つは下級天使誰もが多かれ少なかれ生まれつき持っています」

天使「修行期間に入ると、能力の成長やその他の能力の発現に、どんどん個人差が出て来るので」

天使「…金髪先生は催眠能力が出始めた頃、なかなかその自覚がなかったので色々大変だったそうです」

男「お前はまだ自分は何が得意なのかわからないのか?」

天使「ええ、子供天使のうちはあまり能力差がないのですが、僕の力もその域を出ていません…」

天使「……」
217 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/28(土) 08:13:02.04 ID:Z2UXBXDw0

天使(戦う能力の高い天使もたまに生まれる、赤髪天使はそういうタイプだったんだろうな)

天使(相手の血から直接記憶を読むのは…元々は悪魔の能力かもしれないけど、僕らと『原理』は同じはず)

天使(僕らは必ず『相手の意志』を間に置かないと読めないけど、結局は血から記憶を読んでいる)

天使(相手の意志という『容器』から無理矢理取り出した血を、強引に読むのが彼のやり方なんだ)

天使(…強引に読む力があるから、僕に強引に読ませる力もある…?)

天使(…わからないけど、僕に記憶を読まれたとは気付いていないだろうな…)

女「また難しい顔してる」

天使「…あ」

天使「ご、ごめんなさい」

女「謝ることじゃないでしょ」

男「話はこんなもんにしとこう、お前は安静にしてろ」

男「…というわけで、明日…月曜日だよな?俺は学校休むから」

友「ああ、まだまだ心配だもんな」

天使「だ、駄目です、男さんはしっかり勉学に励んでください!」

男「お前を置いて行けるかバーカ」

天使「で、でも…僕のために…」
218 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/28(土) 08:13:56.76 ID:Z2UXBXDw0

〜翌朝〜

茶髪「…そうだろうと思っていました…今日は朝から夕方まで私達がこの子を看ていますので、ご安心ください」

黒髪「…」コク

天使「先生…」モゾ

茶髪「…起き上がって大丈夫?黒ちゃん、支えてあげて」

男「あんたら、仕事は?」

茶髪「これが業務です、校長命令で派遣されたのです」

茶髪「天使学校の教員は大勢いるので、在学中の子供たちについては何も心配ありません」

茶髪「それに、平常時でも修行に入って間もない卒業生を見守るのも我々の正式な職務ですからね」

男(…このひと、金髪さんとはタイプ正反対ぽいなあ)

男(昨日の校長さんに気に入られていそう)

茶髪「…というわけで、男さんは勉学に励んでください」

男「ありがたいけど…さっき友からのメールで、午前中は休講になったから単位の心配はしなくていいと」

男「ま、せっかくだから午後の講義だけは出させてもらうわ…天使もその方が気が楽になるなら」

茶髪「ええ、ぜひそうしてください、我々もそのために来ましたから…」

男「…」
219 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/28(土) 08:15:08.10 ID:Z2UXBXDw0

男(このひと、うちの天使ほどでもないにしろそれなりに胸あるのに、微動だにしない感じ)

チラ

黒髪「?」

男(…このひとは揺れるもんがない)

茶髪「…金髪天使が」

茶髪「男さんは私たちの胸に興味があるようだから、とか話していましたけど」

男「!?」

茶髪「別に多少視線が向くくらいでは怒ったりしませんよ、人間の若い男性の本能ですからね」

茶髪「あと、地上の重力下でも『微動だにしない』のが気になりますか?」

男「っちょ、あんた思考読むのかよ…」アワアワ

茶髪「今まで出会った人間達もだいたいそうでしたから…」

茶髪「私の場合、気の持ちよう、精神力で揺らさないようにしているだけです…胸の揺らぎは精神のぶれです」

茶髪「逆に金髪天使は揺らし放題…問題行動と胸の揺れが比例しているとまで言われているのに改善しようともしない」

天使「精神のぶれ…」たゆん…

茶髪「」

茶髪「あなたはそんなこと気にしないで、体を治すことに専念しなさい…そもそもあなたの女性体は一時的な現象」

茶髪「しかもほぼプライベートな場でしか起こらないから安心していいのよ…ごめんなさいね」

男(…なんかこのひともただの真面目じゃなく、ちょっと変わってるかもなあ)

……
220 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/28(土) 08:19:03.82 ID:Z2UXBXDw0
過去の夢のシーンで一文字下げ忘れてた、すみません
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 09:21:30.46 ID:DQsIJNJQ0
おつおつ!
222 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/30(月) 23:12:41.07 ID:3Epa08tQ0

〜大学〜

友「…茶髪と黒髪の先生が来てくれたから、午後からは学校来るってさ」ピッ

女「それなら安心だね…天使ちゃんも男くんの学校の心配してたもんね」

友「夕方、俺らもちょっと顔出すか…また差し入れがてら」

女「いいけど…実家には行かなくていいの?もう姪ちゃんはすっかり大丈夫なの?」

友「…うん…元気は元気だ…元気ではある」

女「ではあるって何よ」

友「…茶髪の先生が来ているなら…ちょっと聞いてみたいこともあって」

女「確か姪ちゃんの怖い記憶を消してくれた先生だよね?」

女「…まさか、消えたはずの記憶が戻ったとか!?」

友「いや、悪魔のことはきれいさっぱり忘れている、でも」

友「姉貴からの電話でさ…昨日あたりから姪が…天使様に会ったの…とか言い出したって…」

女「ちょ」

女「それって天使ちゃんに会った記憶が戻ってるって意味!?いずれ悪魔のことも思い出さない!?」

友「だから…このまま放っておいて問題ないのか、なんとかしてもう一度記憶を消してもらえないか…」

女「ええいもう…緊急を要する事態じゃないの!とりあえずメールで男くんに伝えて、今から行こう!!」

友「わ、わかったから引っ張るな…お前力持ちだから腕抜ける…」イテテ

……
223 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/30(月) 23:15:01.95 ID:3Epa08tQ0

〜男のアパート〜

茶髪「…そんな…記憶が戻ることはまず考えられません」

茶髪「しかも本人が執着していた記憶でもなし…どころか、受け入れることを激しく拒否していた記憶です」

男「そんなんわかるのか」

茶髪「消去してよい記憶がどうか見極めなければ、逆に精神に悪影響を及ぼす危険もありますからね」

茶髪「…もう少し詳しくお聞かせ願えませんか、友さん?」

友「…わかった」

友「俺の姉…姪の母親に様子を聞こうと、ゆうべ俺から電話を掛けたんだが…」

……

〜電話での会話〜

友姉「…ええ、とりあえず幼稚園は明日まで休ませるつもりだけど…あの子自身は元気」

友「そうか、よかった」ホッ

友姉「今朝から、ちょっと変なこと言い出したけど…まさか連れ去り犯の記憶…なわけないわよねー?」

友「…!な、何て言ってたんだ!?」

友姉「なんか…にこにこ楽しそうに話すから絶対違うと思うけど…朝ごはんの時にね、『てんしさまにあったの』って」

友「て ん し」

友姉「『おとーさんよりせがたかくて、ふわふわのひよこさんみたいなかみで、おめめはそらいろで、かっこいいの』って」

友「」

……
224 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/30(月) 23:15:59.36 ID:3Epa08tQ0

男「…長身にヒヨコみたいな髪に空色の目って、うちの天使の特徴まんまじゃねーか…」

女「お姉さんはどう解釈してるの?」

友「普通に夢でしょって、幼稚園には天使の絵があちこちにあるし、それ系の本も置いてるからその影響だろう、って」

男「金髪碧眼のイケメン天使って、男性姿の天使としてはベタなイメージだからな」

茶髪「お姉様は、他には何も?」

友「…天使様は2人いるの、って」

友「『もうひとりは、あかいかみで、でもとおくにいるから、おかおとかはよくみえないの』…と」

女「それ悪魔のことじゃない?あいつ赤毛じゃなかったけどさ」

男「でも、そいつも天使だと言ってたんだろ?やっぱ夢だよ、天使の出て来る絵本でも読んだんだろ」

茶髪「……」ウーム

女「茶髪先生、考え込んじゃった…」

茶髪「…隣の部屋の黒髪天使と少し話をしてきます」

男「うちの天使にはまだ心配かけたくないんだけど」

茶髪「大丈夫…あの子は彼女の癒しでよく眠っていますし、あの子の周辺だけ強力な遮音の結界を張っていますから」

女「何か心当たりがあるのかな」

男「姪ちゃんはもう巻き込みたくないなあ…」

……
225 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/30(月) 23:16:56.06 ID:3Epa08tQ0
進まなくてすみません。暑いので少し休みます
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 12:41:49.64 ID:hOTbleQ00
乙です
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/04(土) 14:28:22.44 ID:gX2LeKZx0
おつ
228 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:27:51.99 ID:VUkPfSTm0

〜数十分後〜

茶髪「…話は終わりました、皆さん、こちらへ…」

黒髪「…」

天使「…すー…すー…」

男「…よく眠ってる」

茶髪「ええ、この子は今、遮音の結界の中…私達の話は全く聞こえていません」

友「で…姪の記憶は、このまま放っておいてもいいのか?それとも…」

茶髪「天界に戻ってから色々と相談する予定ですが…とりあえず現状では様子見で問題ないでしょう」

茶髪「少なくとも、姪御さんに何らかの悪い影響があるとは考えられません」

茶髪「しかし…姪御さんの話にもっと具体性が出て来たり、何かを恐れる素振りを見せたら、すぐ知らせてください」

友「…どうやって??」

茶髪「ああ…失礼しました」

茶髪「姪御さんの周辺も…場所と人々の二重の意味で、男さんの家に次ぐ重点的な監視対象ですから…」

茶髪「友さんが私に助けを求めてくだされば、私もしくは情報を共有した他の天使が駆け付けます」

男「『茶髪さん助けてー』とか叫べばいいの?」

茶髪「これをお持ちください…私の羽根の1枚です」ヒラ

茶髪「これには呼びかけの術がかけられています」

茶髪「屋内でも構いませんので、これを頭上にかざしながら私へ呼びかけてください」

男「なんか間抜けだな」
229 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:30:14.42 ID:VUkPfSTm0

女「余計なこと言わない」

友「…確かに絵面は少々間抜けだが、それがあなた達を呼び出す方法ならその通りにする…ありがとう」

女「あんたら失礼」

茶髪「こういう反応は慣れていますから平気ですよ」

茶髪「ただ…紛失しないでくださいね、見る人が見れば鳥類の羽根ではないとわかって、騒ぎになりかねません」

男「そうなん?素人目にはさっぱり区別付かないけど」

茶髪「まあ不用になった時点で私が遠隔操作で術を解きますので、その瞬間に跡形もなく焼失しますから」

友「わかった、使わずに済めば一番だけど、大事に持ってるよ」

友「それにしても…こんな軸の太い羽根、引っこ抜くの痛かったんじゃないか?」

茶髪「風切羽根です…これをむしるのは数分間動けなくなる激痛なので、ちょっと無理ですね」

茶髪「しかし我々の翼も時おり換羽します…何かと便利なので、状態の良い羽根は常に数枚ほど持ち歩いています」

男「物理法則とか超越している存在のくせに妙に生身らしい面もあるし、不思議な生き物だよなあ、あんた等…」

茶髪「ふふ…私に言わせれば、人間より不思議な生き物はいませんよ」

茶髪「とにかく、今日の所は皆さん登校されてはどうですか?午後の講義とやらがあるのでしょう?」

男「それもそうだ…今からバスで行けば学食で昼飯食っても午後間に合うよな、どうする?」

友「ああ、姪のことはとりあえず今日明日どうこうって話じゃなさそうだし」

女「そうね…天使ちゃんも先生達がいれば何も心配ないし」

黒髪「…」ニコ

……
230 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:32:22.44 ID:VUkPfSTm0

茶髪「この窓から停留所が見えるのね、今、3人が乗ったバスが出たとこ」

茶髪「…黒ちゃん、結界はまだ有効?」

黒髪「…」コク

天使「すやすや…」

茶髪「…この子にも彼等にも心配かけたくないけど、現時点ではわからない部分がちょっと多すぎる」

茶髪「まず、教頭先生と校長先生にこの話をして…それから…姪御さんが」

茶髪「誰かの生まれ変わりなのか、誰の生まれ変わりなのか、出生記録管理局で調べないと」

茶髪「…仕方ないとは言え、地上生物の転生とは気まぐれとしか言えない不規則な現象」

茶髪「上級天使様達の間では、天界は人間の転生も管理すべきって議論は大昔にあったらしいけど」

茶髪「結局は、出生後の調査による記録だけを管理する役割に留まった」

茶髪「…世界中で日々生まれる人間の子供達の調査は簡単ではない」

茶髪「生後4〜5年のお子さんの調査結果が、もう出ているかどうか…」

黒髪「……」

茶髪「そうね…あなたのように、転生前の人間と親しかった天使であれば、見ただけでわかるのにね…」

……
231 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:34:20.45 ID:VUkPfSTm0

赤髪天使の記憶の夢はずっと時系列だったから…僕に呪いを送り込んだ時点までで終わったはず

でも…この夢は…誰かの記憶…?

…ああ、これは黒髪先生の記憶だ…

黒髪先生が僕を膝枕して…歌を歌ってくれているから…

今の先生の声はあまりにも微かで、人間には聞き取れない歌声だけど…優しい歌

そして、記憶の中の先生の声は本当にきれいで…素敵な歌声だなあ…

きっと、かつての先生のこの声も、癒しの能力を帯びていたのかもしれない

…黒髪先生の大切な人、ピアニストさんが作って、先生が歌って、世の中に送り出した歌

僕、この歌、目が覚めても覚えていられるかな…?

先生がピアニストさんと過ごした地上での日々は、本当に幸福だった…僕にはよくわかる…

…赤髪…

赤髪にも、あの女の人と過ごした日々の中で、幸福だった時はあっただろう…

だからこそ、それを失ったことが悲しくて、辛くて…

…だからこそ、憎む…の…?

きみはこれからも…人間と心を通わせる天使を…天使と心を通わせる人間を…?

……
232 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:36:06.50 ID:VUkPfSTm0

〜夕方〜

男「ただいま」

茶髪「おかえりなさい男さん」

黒髪「…」ニコ

天使「男さん」

男「おう、目が覚めたか…なんか今朝と比べても、ずいぶん顔色よくなったなあ」

茶髪「思った以上に翼の傷の回復が早いようです…まだ『出せる』状態ではありませんが」

男「黒髪さん、ずっとこいつを膝に抱いててくれたのか?きっとそのお陰だな」

男「あんたの癒し能力は、なんか邪念とか余分なもの入ってない気がして…信用できそうだもん」

黒髪「……」

茶髪「男さんの看病が一番の治療薬です、と言っています」

茶髪「私達の能力は言わば不快な症状への対処療法のみですからね」

男「それでも間接的にでも回復は早まるだろ…ありがとう」

天使「男さん、黒髪先生はずっと眠っている僕に歌を歌ってくれていたんですよ」

黒髪「…!」

茶髪「…」

天使「…でも、目ざめたら忘れちゃいました…覚えていたら自分でも歌ってみたかったのに」
233 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:37:57.75 ID:VUkPfSTm0

黒髪「……」

天使「…また今度…僕が元気になったら…?そうですね、早く治さないと、いつまでも先生達にも…」

男「なあ、前から思ってたけど、黒髪さんて天使同士でテレパシーでも使ってんの?」

茶髪「彼女も発声はしています、ただ、人間の可聴領域に達していないだけで…」

茶髪「我々にも、近くにいれば辛うじて聞き取れる範疇です」

茶髪「昔は私達のように話せていましたが…地上での修業中に、喉を負傷して…」

男「あ…悪ぃ、ごめん…」

黒髪「……」

茶髪「気にしていません、こちらこそ不便おかけしてごめんなさい…って」

男「いやいや、謝ることねーよ…あんた律儀だな、いいひとなのはわかるが…気恥ずかしくなるわ…」ボリボリ

黒髪「……」

茶髪「そろそろ帰りましょう…?そうね、この子の回復も順調だし、学校へ戻って今日あったことの引継ぎもしないと」

男「もう帰るの…あ、でも、長時間こいつと一緒にいてくれたもんな」

天使「今日一日、ありがとうございました…頑張って早くケガ治します」

黒髪「……」ナデナデ

茶髪「頑張らなくていから元気になることだけ考えてね」

茶髪「男さん、明日は教頭と金髪天使が来る予定です、よろしくお願いします」

男「上司とセットでないと来れないのか、金髪さん」

……
234 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:39:49.36 ID:VUkPfSTm0

〜日本上空〜

黒髪「……」

茶髪「…明日から、地上での担当地域を変えてもらう…?」

黒髪「……」

茶髪「自分と接触することで、男さんが前世を思い出すかもしれないから…って?」

茶髪「…あの子とも、男さんと一緒にいる限り、会わないつもりなの?」

茶髪「人間が自然に前世を思い出すのは『仕方ない』のよ、何がきっかけになるかなんて誰にもわからないもの」

黒髪「……」

茶髪「あの歌を歌ったのも失敗だった、って…そんな」

茶髪「他意があって歌ったのではないのでしょう、それくらいわかるわ」

茶髪「…でも黒ちゃんが切ない思いをするなら、しばらく距離を置くのもありかもね…」

黒髪「……」

茶髪「うん、それもわかってる…今の男さんとあの子を見ているのが辛いわけじゃないのよね」

茶髪「それにしても、私達が張った遮音の結界は癒しの力は通すけど、音声は通さないのに」

茶髪「あの子の耳に歌が届いていたなんて」

黒髪「……」

茶髪「それがあの子の能力かもしれない…か…」

……
235 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:42:00.68 ID:VUkPfSTm0

〜男のアパート〜

天使「午前中に女さんと友さんがお見えになっていましたね、僕はそのあと夕方まで眠ってしまいましたが…」

天使「お二人にも毎日来ていただいて、申し訳ないです…」

男「気にすんなって…そうだな、お前が元気になったら美味い料理でも作って振る舞ってやったらいいかもな」

男「女なんて大喜びすると思うぞ」

天使「それはいい考えですね」ニコ

男「…」

男(姪ちゃんの件で来たことは黙っておこう)

天使「…男さん」

男「うん?どうした?」

天使「僕が昨日まで見ていた、夢について…ですが…」

男「なんだよ、余計なことは考えるなって」

天使「…僕、『悪魔』の過去を、夢で見ていたんです…」

男「!?」

天使「夢は夢、普通はそうかもしれません、ですが…」

天使「友さんの記憶を読んだ時のこと、覚えていますか?」

男「あ、ああ…」
236 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:43:13.54 ID:VUkPfSTm0

天使「相手の血液の流れから記憶を読みますが、通常の天使の力では、相手が知って欲しい情報しか読めません」

天使「音の入った映像記録のように鮮明に伝わるので、口頭で説明してもらうよりずっと正確ではあります」

天使「…悪魔は、僕の血から、知られたくない記憶までも強引に読み取りました」

男「天使」

天使「大丈夫です…つまり、記憶を読むために血液を使うのはどちらも同じです」

天使「悪魔が僕にかけた呪いは、悪魔の血液から作られると聞きます」

天使「僕が夢と言う形で見たのは、悪魔の血液に残っていた彼の記憶…そうとしか思えません」

男「悪魔の記憶か…天使をいたぶって喜んでいるような奴の記憶なんて、碌なもんじゃねーよな」

天使「…でも、それはあの悪魔の記憶であると同時に、悪魔の記憶ではなかった…」

男「どういうことだ?」

天使「あの悪魔の体の中に、元の悪魔と、悪魔から被害を受けた天使のひとり、ふたつの魂が混在している…」

男「なっ…!?」

天使「僕が見たのは、その天使のほうの記憶です…」

……
237 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:45:41.43 ID:VUkPfSTm0

男「…なんてこった、きのう校長さんから聞いた話とも一致する…」

男「校長さんの冷淡な言葉にその赤い髪の天使がキレて…教頭さんが斬り付けられて大怪我したって話」

男「校長さんは事件を後悔して、治安部隊長から転職したって、な」

天使「校長先生…」

男「それ以来、その天使が行方不明だとも」

天使「やっぱり、彼等が融合したのは他の誰も知らないんですね…」

男「本当だとしたら大変な話じゃないか?今日来た先生達には話していないのか?」

天使「は、はい…伝えるべきかどうか今日1日ずっと迷っていましたし…」

天使「…黒髪先生は僕の前に『悪魔』に重傷を負わされた天使でもあったので、より慎重になってしまいました」

男「まさか、声を出せなくなったのは」

天使「夢で見るまで、僕もそれが悪魔の…他者の悪意による怪我だとは知りませんでした」

天使「…直接ではありませんが、悪魔が利用した人間の手で、悪魔の用意した呪い付きの武器を使って…」

天使「刺客として使われたその人間は、悪魔に見捨てられ…直後に亡くなりました」

男「くそ…何もかもひでえ話だ」

男「…でもな、正直…一連の話を俺だけが知っても何か役に立てそうな気はしないぞ?」

天使「…ごめんなさい」
238 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/05(日) 23:47:22.34 ID:VUkPfSTm0

天使「それでも…悩んだ末、男さんに最初に話すべきだと思ったのです…僕の大切な人ですから」

男「」

男「お、おま、何を、何を言ってくれちゃってるの!?///」ボボボ

天使「なぜ赤く?」キョトン

男「ってお前、何の気なしだったのかその言葉…しかし…うーむ…」

男「そうだ…明日は金髪さんと一緒に教頭さんが来るそうだ」

男「赤い髪の天使と関わったひとに相談するのがいいと思うけど、どうだろうか?」

天使「教頭先生が」

男「しかし…赤い髪の天使…ね…」

  友「『もうひとりは、あかいかみで、でもとおくにいるから、おかおとかはよくみえないの』…と」

男「…!?」

男(姪ちゃんには見えたのか?悪魔の中にいる、赤い髪の天使が…!!)

天使「ど、どうかしたのですか?」

男「ああもう、なんてこったな話だらけだよ…まさしくオーマイゴッドだよ」

男「天使…今のお前にはしんどい内容かもしれんが、聞いてくれ…実は今日、友が来た本当の理由は…」

天使「…!?」

……
239 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/08/05(日) 23:48:16.10 ID:VUkPfSTm0
ここまでです。早くエロシーン書きてえ
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/06(月) 04:23:55.40 ID:QzncYapA0
おつです
エロシーンも期待してまっせ
241 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/09(木) 00:03:15.47 ID:aIKYOkgx0

〜天使学校、校長室〜

教頭「…姪御さんが、そのような話を…」

校長「0歳児に比べると格段に下がるが、それでも成人よりは幼児の天使に対する感受性は強い、しかし…」

校長「教頭、出生記録管理局に連絡を取ってくれ…無事に閲覧許可が出たら、お前達3人で管理局へ」

金髪「あたしも一緒に行っていいんですか?」

校長「…出生した国ごとや誕生日順、あるいはイニシャル順にファイリングされていればまだ良いのだが…」

校長「例えば『西暦2013年に生まれた人間』という大雑把な分類しかされていないのだ、あそこの記録ファイルは」

校長「しかも安易な情報漏洩を防ぐとか何とかで、法力で検索できないよう閲覧室に特殊な結界が張られている」

校長「手動でページを繰り肉眼で探すしかない、だから1人でも人数は多い方がいい」

茶髪「」

黒髪「…」

金髪「3人でも明日の朝までかけても終わりませんよお…たぶん」

校長「うむ、だから明日は男さんの家には私と教頭とで向かう」

金髪「えー、そんな…自分だけずーるーいー!!楽しみにしてたのにーー!!」ジタバタ

校長「またお前は…それでも教師か!!」

教頭「校長、閲覧許可がもらえましたよ」

茶髪・黒髪・金髪「「「……」」」

校長「頑張れよ」

……
242 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/09(木) 00:04:56.65 ID:aIKYOkgx0

〜男のアパート〜

天使「姪ちゃんが…僕のことを忘れていない上に、赤髪天使の存在を感じ取っている…?」

男「かもしれない、だけどな」

天使「…どうしよう…このことで、また姪ちゃんを巻き込んでしまったら…」

男「茶髪先生はおそらく姪ちゃんに悪影響はないと言ってたし、天界で相談するとも言ってた」

男「校長さんや教頭さんも、赤い髪と言うキーワードにピンと来たら何か対策立ててくれるだろうさ」

男「大丈夫…」

天使「……」

男「天使…すまなかった、お前ひとりに姪ちゃんを守らせて、悪魔に立ち向かわせて…」

天使「え」

男「記憶を消したからって、姪ちゃんは確かに恐ろしい思いをしたんだ…それをお前だけに背負わせてしまった」

天使「でも、でも…あの時は一刻も早く助けに行かなくてはならなかった…」

天使「僕が一人で先行して廃工場に乗り込む、あの時は他に選択肢がありませんでした、だから」

男「ああ、姪ちゃんの誘拐もお前が怪我をしたのも、すでに起きてしまった事実だよ…なかったことにはできない」

男「でもこれからは…何かが起きても姪ちゃんを守るのはお前ひとりじゃない」

男「俺も、友も、女も、お前の先生達もいるんだぞ?」

天使「男さん」
243 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/09(木) 00:06:09.89 ID:aIKYOkgx0

男「もう、姪ちゃんに恐ろしい思いはさせない、お前にもあんな傷は負わせない…絶対だ」ギュッ

天使「あ…」

天使(男さんの腕、男さんの胸…服越しに伝わる男さんの鼓動…)

天使(すごく、あたたかい…)ギュウ…

男「天使…」

…ぷに…

男(…この感触は…おっぱい…女体化天使とお互い正面向いてがっつりハグしているから当然だけど…)

男(微かだが甘く爽やかな天使の体臭…禁欲中?の俺には嗅いだだけで勃起しそうな芳香…)

男(た、耐えろ俺…かなり元気になったとは言え)

男(天使はまだ死にかけたほどの傷が治りきっていないんだ…我慢我慢、おあずけ、ハウス)

男「…だから、明日のためにもう寝ろ天使」スッ

男「ほら横になれ、布団ちゃんとかけて、と…眠るまでここにいてやるから、安心しな?」

天使「は、はい…」

天使(しがみついたりして、迷惑だったかな…)

男(天使が眠ったら、こっそりトイレで抜いてこよう…)

……
244 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/08/09(木) 00:06:55.02 ID:aIKYOkgx0
男の抜きシーンは省略
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/10(金) 09:43:07.79 ID:Za7oxm6h0
来てたか乙
246 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:26:00.82 ID:+75plVjZ0

〜翌朝…男のアパート〜

校長「おはよう、男さん」

男「…ども」

教頭「だいぶ元気になって来たようだね、よかった」

天使「教頭先生…」ニコ

男「今日は金髪さんが来るんじゃなかった?」

校長「彼女はちょっと急ぎの業務で手が離せなくなってな」

男「…そっすか」

男(またなんかやらかして、謹慎でもくらってんだろ…金髪さんのことだから…)

〜天界…出生記録管理局(閲覧室)〜

金髪「…とか、今ごろ絶対に思ってるわよ男さんは!!」

茶髪「まあまあ…確証がない話は無駄に不安にさせるから男さん達にはまだ話せないのよ」

茶髪「それより真面目に見てるの?そっちのテーブルに山と積み上げた分がまだ残っているのよ…」ハァ

黒髪「……」黙々

〜男のアパート〜

男「でもあんた達2人が来たなら話が早いかな…」

天使「…」

……
247 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:27:18.89 ID:+75plVjZ0

校長「融合の術…だと…」

教頭「悪魔の中に赤髪天使…あの子の魂が混在している…そんな…」

男「単なる夢、という可能性は?」

校長「可能性がないわけではない…ただ…」

教頭「…気配を切り替えられるのなら、悪魔が見つからない理由も腑に落ちます…」

校長「我々は『悪魔』だけを捜していたのだ、それ故に天使の気配を纏った者が捜査網にかかるはずもない」

校長「…加えて…この子の能力…」

天使「?」

校長「一昨日、君に近付いた時に違和感を覚えた…在学中の君とは何かが違うと」

校長「何人も試練を終えた生徒達を知っているが、単に試練を超えて大人天使になっただけの違いとは別物だ」

校長「昨日は茶髪天使と黒髪天使から、それを感じ取ったと思われる報告を受けた」

校長「そして今日、確信したよ…今の君は『読み取りの能力』に秀でている」

天使「読み取りの…」

男「…能力って、なんすか?」

教頭「この子が友さんの記憶を読んだのは、男さんも目の前で見ているのでしょう?」

男「うん」

教頭「基本的な能力とは言え、この子の年齢ではまだまだ力は弱く」
248 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:30:42.97 ID:+75plVjZ0

教頭「友さんに姪御さんを助けたい強い想いがあり、救出に力を貸したいこの子が集中し、ようやく読み取れました」

教頭「ですが、それから数日の間にこの子の力は明らかに成長しています」

男「記憶を読み取る能力が…成長?」

校長「『記憶だけ』ではない、厳密に言えば、他者が外へ発信するものを読み取る能力全般が強くなっている」

校長「ことばとして発されるもの…独り言だろうと歌であろうと詩吟であろうと」

校長「更にことばに出さなくとも他者へ伝えたい想い…例え発した本人が無自覚であっても」

天使「他者へ伝えたい想い…」

校長「ただ、そのへんを歩いている人間からも読み取れるわけではなく」

校長「この子の体に直接触れ、そしてこの子自身が睡眠状態である、この2つの条件がそろって初めて発揮される」

校長「昨日は君の安静を保つため、あの2人は君の周辺だけ強力な遮音の結界を張っていた」

教頭「にも関わらず、黒髪天使の歌は眠っている君に聞こえていた…そうだろう?」

天使「では…あれは僕の『耳』で聞いたのではないのですね…」

教頭「そう、身体機能としての聴力を使えない状態で、読み取りの能力が発揮されたのだ」

男「そんな何日かで…能力が成長するって、よくあるの?」

校長「この子には潜在的に備わっていた力だったのだろう、年齢や経験とともに徐々に成長するのが本来だが」

校長「今回は外的要因によって強制的に覚醒させられた」

天使「外的要因…」
249 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:32:09.75 ID:+75plVjZ0

教頭「君はもう推測できているだろう?」

天使「…あの『悪魔』の血が呪いとして僕の中に入って来たから…記憶を強引に読む能力を持つ悪魔の…」

校長「そう、あの悪魔に限らず血の呪いを受けた天使は過去にもいたが、全員が君のようになったわけではない」

校長「君の元々持っていた能力、あの『悪魔』個人の能力、もしかしてその他の要因も合わさったのかもしれん」

天使「……」ギュ

男(天使…唇を噛みしめて…)

校長「…悪魔の能力を部分的にでも引き継いでしまった、そう思うか…?」

校長「案ずるな、悪魔の能力そのものは呪いと共に完全に浄化される…君らの浄化能力は半端ではないぞ?」

校長「君の能力が引っぱり出され成長したきっかけに過ぎないのだ」

校長「…まあ、それでも…気分の良いものではないだろうが…」

天使「…ごめんなさい、大丈夫です…」

天使「僕の能力と、悪魔であり赤髪天使でもある『彼』の能力、でも…本当にそれだけでしょうか」

天使「校長先生の仰る、もしかしたらの他の要因…」

天使「僕が彼の記憶を覗き見た本当の意味は…そこにあるのかもしれません…」

教頭「……」

男「…なあ、校長さんと教頭さん…悪魔は魔界へ送り返すのはわかったが、赤髪天使は…どうする?」

教頭「赤髪…」

男「あんた、赤髪天使に殺されかけたよな?」
250 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:33:35.83 ID:+75plVjZ0

教頭「…あのことは、わたしが迂闊だったためです」

教頭「手当に一刻を争う傷など負わなければ、悪魔の所に向かわせたりせず彼を天界に連れ帰れたはずです」

校長「あれは…失敗したのは私のほうだ」

天使「教頭先生は…今も、彼を…救いたいのですか…?」

教頭「君…」

天使「僕は…彼が怖い、恐ろしい…昔、人間を利用して黒髪先生にしたことも許せない…ですが、それでも」

天使「彼が救われるのと、これから誰も傷つけられなくなるのが一緒であれば」

天使「それが一番いい道だと思います…」

男「…」

教頭「わたしは…あれから…」

教頭「…天界に戻り傷が癒えるまでさほど日はかからなくとも、すぐには地上への再訪は叶いませんでした」

校長「治安部隊の事情聴取だの過失として処理するための手続きだの…忙しかったからな」

教頭「あなたも一緒になって動いてくれたおかげで、1週間はかかるところを3日で済みましたが」

教頭「地上へ降りる許可が出るとすぐ、わたしは人間に変装してあの貧民街に向かいました」

男(翼引っ込めて違和感ない服を着るだけだよな、変装)

教頭「赤髪と女性が住んでいた部屋は既にアパートの家主が片付けてしまっていましたが…」

教頭「幸い、女性の遺品を預っている人がいて…わたしが赤髪の関係者と名乗ると…どうか彼に、と」

教頭「…我々を…わたしを憎んでいてもいい、それでもわたしは、あの子に…彼女の遺品を受け取ってほしい…」
251 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:35:05.48 ID:+75plVjZ0

男「あんた立派だな」

天使(赤髪、きみは見捨てられていないよ…)

校長「まだ融合していると決まったわけではない、本人と対峙してみなくては…しかし」

校長「私も同じだ…救えるものなら…私が追い込んだ彼を救えるのなら」

校長「可能であれば悪魔と分離して、天界で罪を償わせ、赤髪として立ち直らせたい」

校長「可能であれば、な」

男「あんたも、責任を感じているんだな」

男「…俺は、人間だから…そんなに優しい生き物じゃないと思う」

男「誘拐した姪ちゃんでこいつをおびき出し、嬲って楽しんだ…それだけで少なくとも半殺しにしたいほど憎い」

男「悪魔じゃなく赤髪天使のほうの意志でそれをやったのなら、余計に許せない」

天使「…」

男「だけど、魔界には魔界の、天界には天界のルールがある…俺にはどう罰してくれとか言う資格もない」

男「ただ、もう二度と奴を危険な存在のまま逃がさないで欲しいんだ」

男「こいつや姪ちゃん、俺や友たちが、奴の件では一切心配なく過ごせるようにしてくれ」

男「俺からの勝手なお願いは、それだけだ」

天使「男さん…」

校長「約束する、必ず…二度と彼に罪を犯させない」

……
252 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:37:05.97 ID:+75plVjZ0

〜同日、夕方〜

男「ただいま…」

教頭「男さんおかえりなさい」

天使「おかえりなさい」

男「起きてたのか」

校長「おかえり男さん…この子はさっき目を覚ましたところだ」

校長「皮膚の自浄作用も回復しているようだな、まだ他の法力は使えないが」

教頭「明日あたり、茶髪天使に翼の回復具合を診てもらおうね」

天使「翼を…」

男「…」

教頭「大丈夫、まだ外には出せないから、体の中に納まっている状態で診てくれるよ」

校長「彼女は心身の医療系の能力に長けているから心配いらんよ、男さん」

校長「では我々はおいとましようか…またな男さん」

教頭「またね、天使」

天使「はい、ありがとうございました」

男「留守番ありがとな…今日は瞬間移動か」

男「なあ天使、翼はまだ痛むのか?」

天使「い、いいえ、もう痛みは…でも…」
253 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:39:18.08 ID:+75plVjZ0

天使「…本当に元通りに治るのかなって、それが…少し…」

男「あのケガじゃ不安なのも無理ないけど、順調に回復してるってみんな言ってるだろ」

男「それに、教頭さんに聞いたがお前らにとって」

男「地上生物の栄養に当たる物はその…なんだ、他者からのあi…思い遣りとか心配とか、そんなんだってな?」

男「先生達も女も友も俺も、めっちゃ心配して元気になれって思ってんだぜ」

男「それで効き目がないわけねーよ」

天使「そ、そうでした…そうですよね…ごめんなさい」

天使「僕にはこんなに心配してくれるひとがいる…天界にも、地上にも」

天使「僕には皆さんがいてくれる…」

天使「でも赤髪は誰にも助けてもらえなかった…今も、先生達が責任を感じていることさえ知らないで」

男「…だからあの2人が、今度こそそいつを救いたいって言ったんだろ?」

男「教頭さんは見かけによらず漢気あるし、校長さんも見た目ほど冷酷じゃないらしいし」

男「お前も重要な情報提供という仕事を果たしたんだ、後は…あのひと達にまかせておこうぜ?」

天使「…はい」

男「ところで、皮膚の自浄作用は戻って来たらしいな」

天使「無意識なのでよくわかりませんが、そうみたいですね…自分の意志で使用する法力はまだ無理だけど」

天使「…体を拭いてもらって助かりました、でももう大丈夫です」

男「あ、うん…とにかくよかった、お前も汗で気持ち悪い想いしなくて済むよな」
254 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:41:03.39 ID:+75plVjZ0

男(…俺の賢者モードもそろそろ限界だったから丁度良かったかも)

男(そう、耐えに耐えた…お湯で絞ったタオル越しに触れる天使のおっぱい…)

男(………………やばい)

男「お、俺!シャワー、シャワー浴びてくるわ!」ドドド

天使「は、はい?」

〜数分後〜

腰にタオル巻いただけの男「なあ…天使」

天使「シャワー早いですね…どうしたのですか?」

男「きれいに、きれいに洗って来たんだ…ほんのりボディソープの香りしかしないはずなんだ」

天使「は、はあ…それで…?」

男「しゃぶってくれ」

天使「…はい?」

男「お前の身体に(たぶん)負担はかけない、お前は着衣のままでいい、しゃぶってくれ!!」

タオル「ばさっ」

天使「」

男「どうだ…ギンギンのゴッチゴチだろ…?これを、フェラチオで鎮めて欲しい…お願い…します…」
255 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:44:20.57 ID:+75plVjZ0

天使「ふぇら…ちお…??」

天界の本「パラパラ…」

男「ちょ、そんなん載ってるのかよ」

天使「…なるほど、口を使って男性器を…という人間の性行為のバリエーションのひとつ…」

男「載ってるのか…」

天使「あ、そう言えば男さんも時どき僕のことを…舐めたり…吸ったりしています…よね?」

男「…そ、そうだ…女性器の場合はクンニリングスと言う…のは、おいといて」

男「俺がお前にしてるのと同じことを俺のちんこにして欲しいんだ、そうしてくれないと…」

男「俺はお前の身体が完全に治らないうちに性的な意味で襲い掛かってしまうかもしれない」

天使「そ、そうなんですか?」

男「ええいもうなんでもいいから…この状態は辛いのです、ちんこ舐めてしゃぶってくださいお願いです!!」

天使「は、はい、男さんの望みであれば、そうしなければ男さんが辛いなら」

天使「僕、男さんの『ちんこ』舐めます…!」キリッ

男「」

へにょ

天使「…え!?なんだか萎んで?ぼ、僕、男さんの気分を害してしまいましたか!?」オロオロ
256 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:45:55.98 ID:+75plVjZ0

男「い、いやその…これは極めて個人的な嗜好の問題に過ぎないけど…」

男「…『ちんこ』はやめて、お前の口から聞きたくないの…」

天使「で、でも男さんは自分でそう言って…」

男「俺はいい、でもお前は駄目なんだってば!」

天使「お、大きい声出さないでください…僕まだ結界張れないんです」アタフタ

男「どうせ呼んでくれるなら…そうだな…もっと可愛く…『おちんちん』と呼んで欲しい、お前には」

天使「ど、どちらも男性器の俗称ですよね?どのような違いが…」

男「だから俺個人の嗜好だってば…いいから、おちんちんって呼んでくれ」

天使「わ…わかりました…それでは」

天使「僕、男さんのおちんちん舐めます…」

男「」

むくっ

天使「あ」

男「実にいい感じだ、天使…さあ、頼む…!」

天使「は…はい…個人の嗜好ってすごい…ええと…?」

男「まずは軽く、亀頭に唇を…あ、手は軽く添える程度で、きつく握らない」

天使「こ…こうですか…?んっ…」

ちゅ…

男「ほぅおっ…!」ゾクゾク
257 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:48:04.25 ID:+75plVjZ0

男「思った以上…こ、今度は、鈴口…先端を舌先でちろちろっと…」

天使「こ、こうかな…」チロチロ…

男「は、はわわわわ、待って待って、これらめぇ!」ビクン

天使「え、駄目?」

男「いや、その…えーっと、理性が残っているうちに伝えておく…さ、最後まで…射精するまでお願いしたい」ハァハァ

男「歯は立てない、優しくお願い…あとお前が苦しいだろうから、口に含む時は奥まで飲み込まんでいい」

男「それからイキそうになったら言うから、顔面にまともに浴びないように注意」

天使「なぜですか?」

男「目に入ったら超痛いらしい…それ知ってからエロゲやAVでも顔射…顔面射精シーンは苦手で…これも個人の嗜好」

天使「気を付けます…では最後はどのようにするのが正解ですか?」

男「うーん…口で受け止めてくれたら嬉しいけど、それは今のお前にはちょっとしんどそうだし」

男「そうだな、手で包んでくれたらいいか…ほら、ティッシュも使っていいから」

天使「は、はい、善処します」

男「あとは一任する…リクエストがあればそのつど言うから」

天使「一任された…責任重大…」

天使(自分が男さんにされた時を思い出して、同じようにしたらいいのかな…形状は違うけど)

天使「では…改めて、おちんちんを…失礼します…」
258 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:49:34.91 ID:+75plVjZ0

ちゅ…くちゅ…ぺろぺろ…

男「お、おうお…しょ、初心者にしては、上手じゃないの…」ハァハァ

天使(男さんの真似…ですけどね…)

男「こ、今度は、亀頭の段差になってるとこ、舌でなぞるように……おうっ、いい…」ピクン

天使(男さん『いい』って言ってくれる…)

ぺちょ…れろれろ…くちゅる…

天使(僕が寝込んでから、男さん何日も我慢してたんだもの…今の僕でもお役に立てるの、嬉しい)

…ちゅう…

男「ふお」ゾワ

天使(この先っぽ…ここから、男さんの精液が…)

ちゅるちゅる…ちゅっ

男「はひゅ…さ、先っぽ吸われてりゅ…あああ」ビクンビクン

男「あ、イキそう…イく、だ、だいじょぶ?イっちゃうよ俺っ…!」ブルブル

天使(口で受け止めたら…嬉しいんですよね…?)

男「んくうぅぅイっくうう!!」ガクン

天使「んっ…!」
259 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:52:00.29 ID:+75plVjZ0

どぴゅ…びゅるびゅる…どくどく…

男「く、う…すげー出、る…?」

天使「…」

男「ちょ、お前、口で…!?ひ、引き抜いてやるから口開けろ」

にゅぽんっ

天使「んん…っ」キュ

男「口閉じるな、吐き出せって…そんなばっちいもの、キモいだろ!?」アワワ

天使「はっひいはんへ、ほんや(ばっちいなんて、そんな)」

天使(これも男さんの血肉だけから作られた男さんの一部です)

男「く、口なら嬉しいとは言ったけど…そのあと吐き出されても失礼とか決して思わないぞ、いいから出せ、な?」

天使「…」

天使(飲み込もうと思ったのに、意外と…粘度とか味とか厳しいかも…でも…)

男「今日は特に濃いし、絶対臭いし、伝聞でしか知らんけどめっちゃ不味いから出せってば」

天使「…はええふ(だめです)」ブンブン

男「涙目で拒否しないで…」

天使(だって、いつもなら僕の体で受け止めているのに…)

…ちゃぽん
260 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:53:31.76 ID:+75plVjZ0

男「…水音?」

天使「」

…ごくん

天使「…はー…」ゼーハー

男「飲んじゃっ…あ、そうか、さっきの水音…」

男「天使の自浄作用…口の中でただの水になったんだ…?」

天使「そ…そのようです…」ポテッ

男「ちょ、倒れ込まないでえええ」

天使「ご…ごめんなさい…ちょっとだけ疲れちゃった、みたいです…」

男「ああああ俺のバカばか馬鹿!!天使に負担かけちゃったじゃないかあああ」エーン

天使「ひ、一晩眠れば大丈夫ですよお…」

天使「…僕のほうこそ、お役に立てなくて…申し訳ありません」

男「いいんだ、お前のフェラチオはすっごく上手かった、めっちゃ気持ちよかったから!」

男「その証拠に、しばらく賢者モードでいられそうだ…」

天使「…じゃあ我慢して辛いの、治まりました…?」

男「ああ、お前のおかげで…ありがとう」ナデナデ

天使「よかったです」ニコ
261 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/08/15(水) 01:54:15.75 ID:+75plVjZ0

男「天使…」

天使「…すー…」コトン

男「眠っちまった」

男「…熱は出てないか…とりあえず」

天使「…すー…すー…」

男「ほんとに…すまなかった…でも、嬉しいよ天使…」

男「…監視か…怒られるかなあ、これは」ハァ

……

〜翌早朝〜

男「…」

子供天使「……」

男「こ、これは…女体化からの子供化って、初めての現象…」

天使「…僕にもわかりません」ボーゼン

男「つまり省エネモード…昨夜のあれでお前の身体に悪影響が…!?」

天使「で、でも、別に体調が悪化した気もしないのですが…?」

金髪「ありゃー…何がどうしてこうなった」

茶髪「……男さん」

男「」

……
262 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/08/15(水) 01:55:09.68 ID:+75plVjZ0
ここまでです。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/15(水) 09:35:49.17 ID:rNIWURmJO
乙!
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/15(水) 19:22:04.86 ID:GsfgSmLx0
初フェラきた!
目に入るとクソ痛いって聞いてからそれが気になっちゃうのめっちゃワカル
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