このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください
アライちゃんのいる日常5
- 3 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 19:05:06.23 ID:FXzvQF+hO
- 〜登場人物〜
・アライちゃん達(♀)
本作の主役。
必死に生きる姿は美しいが、生にしがみつこうともがきながら絶望の中死んでいく姿もまたそれ以上に美しい。
・バイト(♀)
アライちゃんが大好きな女子高生。
愛でるのも大好き。虐めるのも大好き。
殺すのも大好き。食べるのも大好き。
・肉料理屋店主(♂)
肉料理屋の店主。筋肉モリモリのマッチョマン。
バイトと一緒にアライさん料理をたまに食べている。
・アラキレス(アライちゃん)
バイトのペット。
飼い主に愛され、よく躾られている。
アラキレスもまた飼い主が大好きなようだ。
・男児兄(♂)
男子小学生。活発でやんちゃ。
・男児弟(♂)
男子小学生。大人しくて慎重。
・男児母(♀)
アライさん駆除業者。
普段はおっとりしているが、極めて戦闘能力が高い。
・黒パーカーの少女(♀)
神出鬼没の少女。
DQN。
・工場男(♂)
うだつの上がらない男。アラ虐にハマっている。
・狂人卍(♂)
仮面をつけているアラ虐動画投稿者。
アラ虐コミュニティ『ジェノサアライド』の元締め的存在らしい。
- 4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/07/03(火) 19:25:51.67 ID:MRCXs7OmO
- 新スレ乙
アライさん達を皆殺しにしなくてもいいけどアライさん被害にあった人たちには何らかの形で救われて欲しいなぁ・・・
アラスコの親片親子とかそのあとも救いが無かったし
- 5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 19:27:13.74 ID:5uXqUQyQO
- キターーーー!
- 6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 19:30:07.67 ID:TZNglXuT0
- 乙
新スレが立ったから、前スレはまとめられても問題ないのかな?
- 7 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 19:31:27.76 ID:FXzvQF+hO
- …
野良アライちゃん3「ぴいぃーーー!ひとしゃん!たしゅけてぇええーーーっ!」シッポブンブン
植木鉢の前に大量に仕掛けられたアライホイホイ…
粘着テープの罠。
そのうち1つだけに、野良アライちゃんが一匹くっついている。
花好きおばさん「あああああああ!!クソ!!!あたしのチューリップがぁ!」
花好きおばさんは、荒らされ、ほじくり返されたチューリップの植木鉢の前で激昂している。
チューリップは球根をほじくり返され、食われていた。
…以前も、ダリアの球根を野良アライちゃんに食われたことがあった。
その対策として、アライホイホイを仕掛けたのだが…
野良アライちゃん3「うゆうぅ〜〜!ひとしゃん!とってくれたらあらいしゃんのせなかなでなでしていいぞぉ!ほっぺなめなめちてやゆぞぉ!」ヒグッグスッ
罠にかかったのは、大泣きして涙と鼻水を垂らしている野良アライちゃん3…一匹のみ。
おそらく、他にも何匹か来たのであろう。
だが、罠にかかった野良アライちゃん3の様子を見て、アライホイホイを罠だと学習し、植木鉢を荒らして帰っていったようだ。
花好きおばさん「ハァー…ハァー…くそ…」ピポパ
花好きおばさんは、最近このあたりにできた『野良アライ回収センター』へ電話をかけた。
- 8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 19:38:55.32 ID:hb+KEXHz0
- 残機を消費して学習しちゃったか
- 9 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 19:39:50.77 ID:FXzvQF+hO
- 間もなく、軽トラに乗った回収業者が来た。
荷台には大きな箱が積まれており、中からはアライちゃんと思われるくそやかましい声が絶えず響き、助けを求める叫び声、泣き声がいくつも重なっている。
アライ回収業者「どうも…野良アライちゃん一匹ですね。50円で引き取ります」ガシィ
野良アライちゃん3「ひとしゃん!とってぇ!とってぇ!うゆぅ、うみゅみゅぅぅ〜〜〜っ!」ジタバタシッポブンブン
野良アライちゃん3は、アライホイホイにくっついたまま、懸命に身をよじっているが…
アライ回収業者「ほいっと」ポイッ
野良アライちゃん3「ぴいぃい!」ヒュー
野良アライちゃん3は、箱の上から投入された。
大きな箱『だぢでえええええ!せまいのやなのりゃああああっ!おうぢがえゆうぅう!おながしゅいだあああ!』ガタガタ
花好きおばさん「ども」スッ
花好きおばさんは、50円玉をひとつ受け取った。
アライ回収業者「ご利用ありがとうございました」
軽トラ「」ブゥーン…
アライ回収業。
最近、この近くの大学で始まった産学官連携のベンチャー企業だ。
アライちゃんは害獣でありながら、その肉体は有用な資源として注目を浴びている。
ペットフードに加工すれば、ペットの様々な健康促進作用がもたらされ、
ドライフリーズして畑に撒けば、大変いい肥料になるのである。
- 10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 19:43:00.80 ID:CL0Rcr460
- 新スレ乙、楽しみにしてるでー
ところでフリーズドライって逆のが一般的じゃないかな?
- 11 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 19:45:49.16 ID:FXzvQF+hO
- 花好きおばさん「あーーーもう!どうしたらあのアライどもを殲滅できるんだい!」
古道具屋おばさん「花さん、大変ですねぇ…」
花好きおばさん「全くだよ…。でも、花を植えるのはやめたくない…」
古道具屋おばさん「…そうだ、うちの息子が今帰ってきてるから、ちょっと相談してみようかねえ」
花好きおばさん「ん…。何だっけ、くず鉄業者の?」
古道具屋おばさん「そう、廃品回収やってる息子がね、アライちゃん捕る罠作るの上手なんだよ〜。ちょっと何かいいのないか、聞いてみるとするよ」
花好きおばさん「どうも〜、お願いしますね〜」
古道具屋おばさんは、自宅へ帰っていった。
- 12 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 19:55:37.51 ID:FXzvQF+hO
- …
〜古道具屋の家、長男の部屋〜
廃品男「…」ジジジ…
広い部屋の中で、一人の青年がくず鉄いじりをしていた。
何やら、壊れた電化製品のパーツをいじっているようだ。
冷蔵庫のラジエーターを箱に仕掛け、木造の巣箱のようなものに繋ぎ合わせようとしている。
古道具屋おばさん「ユーちゃん、ちょっといいかい?」ガラッ
廃品男「どうした?母さん」
古道具屋おばさん「お隣の家のお花が、アライちゃんに荒らされて大変なんだよ〜。なんかいい罠ないかな?」
廃品男「…どんなのがいい?安上がりだけど手入れがやや面倒なやつと、高いけど生け捕りにできるやつ」
古道具屋おばさん「安い方がいいねぇ」
廃品男「…分かった。なんとかしてみよう」ピポパ
廃棄男「もしもし…課長、オレです。バケツとか、安いスクラップをいくつか持っていっていいですか?」
廃棄男「…ありがとうございます。では、持ってったものは休み明けにリスト提出します」ピッ
廃品男は家を出ると、軽トラに乗り、職場へ向かった。
- 13 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 20:06:13.30 ID:FXzvQF+hO
- やがて、廃品男はいくつかのスクラップを持ってきた。
穴は空いてないが、持ち手が外れた金属バケツ。
ラムネの瓶。
錆びかかった金属製の細長い棒。
錆びた金属製の網など…。
廃棄男「よし、作るか」サッ
廃棄男は、ラムネの瓶の底へ穴を空け、細長い金属棒を貫通させた。
そして金属棒の両端を、バケツの持ち手があった部分に空いている穴へ通した。
さらに、匂いの強いサラミに接着剤をつけ、ラムネ瓶の外側の真ん中あたりへ貼りつけた。
最後に、金属棒の両端へ登れるように、網を梯子として垂直に取り付けた。
廃品男「よし…できた。母さん、お隣さんのとこへ行こう」スッ
古道具屋おばさん「おお、じゃあ行こうかね」スタスタ
廃品男は、出来上がった物体と、墨汁ボトル、サラダ油を持ち、車に乗った。
- 14 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 20:11:53.79 ID:FXzvQF+hO
- 〜花好きおばさんの家の前〜
廃品男「このバケツへ水を溜めて、墨汁を混ぜて黒い色をつけ…最後にサラダ油を垂らします。これで完成です」
廃品男が持ってきたのは、明らかにみっともないガラクタだ。
市販のアライホイホイよりもずっと見映えが悪い。
花好きおばさん「…こ、これでアライちゃんが捕れるのかい?ありがとう…お代は?」
廃品男「お代は、きちんと害獣を駆除した後に頂きます」
花好きおばさん「そ、そうかい…どうも…」
花好きおばさんは、サラミがくっついたラムネの瓶が金属棒を軸としてクルクル回る、このぶきっちょなガラクタバケツを、球根を植えた植木鉢の前に仕掛けた。
…なぜこんなハイペースで球根を植えてしまうのか。
きっと、1日でも早く開花するのを見たいからだろう。
- 15 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 20:16:42.65 ID:FXzvQF+hO
- 続く
>>6
大丈夫ですよ
wikiにまとめて頂く際は、登場した害獣がほぼ殲滅されるアラ虐回の見出しに、なんかのマークをつけておいて貰えると助かります
『ストーリーはおいといて、きちんと駆除完遂するアラ虐だけ読みたい』という読者の方が、そこだけピックアップして読めるようにしておきたいです
- 16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 20:26:24.90 ID:hb+KEXHz0
- 乙ー
どんなトラップか次回が楽しみです
アライちゃん買取料金が動物園より安いのは
人件費が掛かってるのと都会のは森とかに住んでるのより不味いからとかかな
- 17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 20:40:21.66 ID:dwy0TVzk0
- おつー
またいいトラップ
こういうの好き
- 18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 21:04:48.55 ID:TZNglXuT0
- 乙
これ、ようつべで見た気がする。
たしか、そっちはネズミだったような...
- 19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 21:08:16.24 ID:TZNglXuT0
- これだ
https://www.youtube.com/watch?v=6SIlYiiCGLI
- 20 : ◆19vndrf8Aw [sage]:2018/07/03(火) 21:09:47.45 ID:FXzvQF+hO
- >>19
Yes、元ネタはそれです
- 21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 21:15:14.33 ID:hb+KEXHz0
- こっちはトラップって訳じゃないけどアライグマ版だとこんな感じになるのかな
https://www.youtube.com/watch?v=JzolLysZ6MA
- 22 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23:40:16.35 ID:Qav9Swgco
- やがて夜が来て、アライちゃんの活動時間が始まった。
花好きおばさんの植木鉢には…
野良アライちゃん4「きょーもおやしゃいたべゆのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん5「あたらちーおやしゃい、たくさんはえゆからここはたべほーだいなのりゃ!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん4&5「「ごっはん!ごっはん!」」ヨチヨチヨチヨチ
…ヨチラー害獣共が近寄ってきた。
味をしめたのだろう。
野良アライちゃん4「ん?…くんくん…!」クンクン
野良アライちゃん5「なんかいーにおいしゅゆのりゃあ!こっちなのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん4&5「「のりゃ!のりゃ!」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
野良アライちゃん達は、バケツのサラミの匂いにつられて近寄ってきた。
https://i.imgur.com/n1VlHQ7.png
- 23 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23:44:13.87 ID:Qav9Swgco
- 野良アライちゃん4「ごちそーのよかんしゅゆのりゃあ!」ヨチヨチ
野良アライちゃん5「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジ
野良アライちゃん達は、バケツに取り付けられた金網を登り始める。
野良アライちゃん4「わっちぇ!わっちぇ!ごっはん!ごっはん!」ヨジヨジヨジヨジ
野良アライちゃん5「おっいちーごっはん!のりゃっ!のりゃっ!」ヨジヨジヨジヨジ
やがて野良アライちゃん達は、バケツの縁まで登った。
https://i.imgur.com/Y1vzXvu.png
野良アライちゃん達は、瓶についたサラミを発見した。
野良アライちゃん4「んおー!あそこなのりゃあ!」ヨジヨジ
野良アライちゃん5「よーし!いっぱいたべゆのりゃあ〜!」ヨジヨジ
野良アライちゃん4「これはわなじゃないのりゃ?」ピタッ
流石は秋まで生き残ったアライちゃん。
一応の警戒心はあるようだ。
- 24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 23:44:35.71 ID:2H6VqbXz0
- おばさんおばさん!
スイートピーや鈴蘭、水仙を植えなさいよ!
- 25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 23:48:14.86 ID:2H6VqbXz0
- 話の中では秋か、納得
- 26 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23:48:28.23 ID:Qav9Swgco
- 野良アライちゃん5「べとべとしないのりゃ!だからへーきなのりゃ!」ガシャガシャ
野良アライちゃん4「のりゃっ!のりゃっ!」シッポフリフリ
だが、今まで自分達が見て経験してきた罠に、こんなものはない。
それ故に、このバケツは罠でないと判断したようだ。
アライちゃんは、いくら年々賢くなっているとはいえ…
所詮は幼獣である。
自分が予想していない罠…
人間がどんな罠を仕掛けているかを、全ての個体が前もって想像できるわけではない。
https://i.imgur.com/ZLdS0hZ.png
野良アライちゃん4「いーにおいなのりゃああ!たべゆのりゃああ!」ヨチヨチシッポフリフリ
野良アライちゃん5「ごーはんっ!ごっはん!なのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチ
野良アライちゃん達は、瓶の真ん中にあるサラミへ向かって猪突猛進した。
- 27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 23:53:56.36 ID:sawy9BNdo
- 二匹同時に行ったー!www
- 28 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23:54:48.97 ID:Qav9Swgco
- だが。
二匹分の重さが乗った瓶は…
ぐるんと、横に回った。
https://i.imgur.com/0HJughj.png
野良アライちゃん4「ぴぃ!?」ズルゥ
野良アライちゃん5「のりゃあ!?」ズルゥ
全く予想していなかった瓶の回転によって、野良アライちゃん達はバケツへまっ逆さまに落下した。
野良アライちゃん4「ぶへぇ!」バッチャアアン
野良アライちゃん5「ひびゅ!」バッチャアアン
墨汁が混ざった、黒い水へダイビングした二匹。
野良アライちゃん4&5「「ごぼごぼごぼごぼごぼごぼ!」」ブグブグ
水かさは、二匹が頑張ってバケツの底へ直立しても、頭が出ない深さであった。
- 29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 23:58:36.72 ID:2H6VqbXz0
- はい、バイバイwww
- 30 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/03(火) 23:59:19.70 ID:Qav9Swgco
- 野良アライちゃん4「ぶはぁ!ぶぐぶぐ!ごぼごぼ!」バチャバチャ
野良アライちゃん5「ごぼぼ!げぼぉ!だれが!だぢゅげでぇ!」バチャバチャ
https://i.imgur.com/YdDMOhV.png
二匹の幼獣は、必死に水面に顔を出し、息継ぎをしている。
アライさんは、泳ぎが上手な生き物だ。
頭が異様にデカい幼獣でさえ、そこそこ泳げる。
だが、だからといって、朝から晩までずっと泳ぎ続けられる無尽蔵のスタミナなど無い。
第一、この頭のデカさだ。
水面に顔を出そうとするだけでもかなりのスタミナを消費する。
- 31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 23:59:53.67 ID:sawy9BNdo
- アライちゃんお得意の姉妹の絆パワーでがんばえー(棒)
- 32 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:03:36.16 ID:qPLw05kfo
- 野良アライちゃん4「ぎぎなのりゃあああ!ありゃいしゃんのぎぎなのりゃああああ!」ペタペタ
野良アライちゃん5「のぼれないいぃい!ちゅゆちゅゆちててのぼれないのりゃあああああ!」ペタペタ
野良アライちゃん達は、バケツの壁を登ろうとして、必死に壁を手でペタペタしている。
だが、こんなアルミの壁を登れる生き物など、掌に吸盤がついた生き物…
カエル等々でなくては無理だろう。
野良アライちゃん4「ぐゆぢ、いいいういいい!ぶぎゅぅううううう!」ゴボゴボゴボゴボ
野良アライちゃん5「の゛ぉ゛ぁ゛あ゛あ゛ーーーーん゛っ!!の゛ぁ゛あ゛ーぁ゛あ゛ん゛っ!!」バチャバチャバチャバチャ
二匹はそろそろスタミナが尽きかけてきたようだ。
- 33 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:09:40.76 ID:qPLw05kfo
- 野良アライちゃん4「ご…ぼ…だぢゅげ…でぇ…!おが…しゃ…」ブクブク
野良アライちゃん4は沈みかけている。
もう足をばたつかせる体力もないのだろう。
野良アライちゃん5「う…うゆううぅう!たあー!」バッ
その時、突然野良アライちゃん5は、姉の上に飛びかかった。
野良アライちゃん4「ごぼぉお!」バッチャアアン
野良アライちゃん5「ごぼぉ!ぶはぁ!じぎだぐないいぃい!ごぼ!だれがだぢゅげ!ぶはぁ!」バシャバシャ
野良アライちゃん4「ブクブクブクブ…」バシャバシャ
なんと野良アライちゃん5は、姉の上に乗ることで、水面から顔を出そうとしている。
野良アライちゃん4「…」ブクブクピクピク
野良アライちゃん5「おねーしゃんぼーとなのりゃあ!ごぼ!?おねーしゃ!しずむなぁああ!げほぉ!たて!たてええええおねーしゃあああ!」バシャバシャ
だが、肺から空気を絞り出してしまった姉は、水の底へどんどん沈んでいく。
- 34 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:16:29.23 ID:qPLw05kfo
- 野良アライちゃん4「おばえ…の…ぜい…で…!ぶぐ…おばえが…ありゃ…しゃ…を…さ…そっだ…ぜい…で…」ブクブク
野良アライちゃん4「」ビグビグッビグッググッ
野良アライちゃん4は、激しく痙攣を始めた。
野良アライちゃん5「ぐぶぶ…ぶぐごぼぼ…」ブクブク
野良アライちゃん4「」ブクブク…
野良アライちゃん4は、とうとう痙攣すらしなくなった。
野良アライちゃん5「ご…ぼ…だぢゅ…っぶぐぐぐ…ごぼ…」ゴボゴボ
いくら姉にしがみつこうととも、共に沈んでいくのみであった。
野良アライちゃん5「がば…び…ぼ…」ブクブク
必死に今まで生き延びてきた、小さな命。
こんな小さな体であっても、天に与えられた命が確かに宿っているのである。
果たして、生き延びたいという野良アライちゃん5の意思は…
このまま功を為すことなく、消えてしまうのであろうか。
この憐れな命に、天は味方をしてくれないのであろうか。
- 35 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:19:35.60 ID:qPLw05kfo
- https://i.imgur.com/6xkx5kN.png
野良アライちゃん4「」プカー
野良アライちゃん5「」プカー
真っ黒な墨汁水の上へ、真っ黒に染まった物体がふたつ浮かび上がった。
…神は弱き者へ手など差し伸べない。
無情にも、当たり前のことが当たり前に起こるだけであった。
力無く幼稚で愚かな二匹の害獣は、為す統べなく完全に呼吸も心拍も停止した。
- 36 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:23:07.74 ID:qPLw05kfo
- その後、もう二匹の害獣がやってきた。
野良アライちゃん6「くんくん…!」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん7「いーにおいしゅゆのりゃ!」ヨジヨジヨジヨジ
野良アライちゃん6「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
バケツの縁まで登った二匹。
野良アライちゃん7「よいしょ…んー?したになにかあゆのりゃ」
野良アライちゃん6「うゆ?なんなのりゃ?」キョロッ
野良アライちゃん6&7は、バケツの水面を見た。
黒く染まった物体1「」プカー
黒く染まった物体2「」プカー
…先客の姿である。
- 37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 00:23:57.51 ID:xRjd+U/00
- 腹黒さを表しているようで滑稽
- 38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 00:25:24.24 ID:FfnAcdzfo
- 汚い汚物が浮いてらっしゃる
- 39 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:27:07.89 ID:qPLw05kfo
- 野良アライちゃん6「うゆ〜…よくわかんないのりゃ!それよりごはんなのりゃ!」ヨチヨチ
野良アライちゃん7「なのりゃー!ごっはん♪ごっはん♪」ヨチヨチ
…だが、二匹は浮いている物体が、同族の死骸だと気付かなかった。
理由は二つ。
ひとつ目は、二つの死骸が墨汁で黒く染まっていたため、同族であることどころか、生き物だとさえ認識できなかったこと。
そしてもう一つの理由は、同族のにおいがしなかったためである。
これは、垂らされたサラダ油の効果だ。
野良アライちゃん達の体の獣くさい匂いは、水の中へ溶け込んでいたが…
水面から空気中には放出されなかった。
何故なら、水面に浮かぶサラダ油の油膜によって、匂い成分が吸着されたためである。
- 40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 00:29:20.41 ID:FfnAcdzfo
- なるほどなー
夜だと余計分からなそう
- 41 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:29:32.13 ID:qPLw05kfo
- 野良アライちゃん6「び!」バッチャアアン
野良アライちゃん7「ぴゃぶ!」バッチャアアン
野良アライちゃん6&7「「ごぼぼ!ごぼごぼぼ…!」」バシャバシャバチャバチャ
…アライホイホイと違って、先客の死骸が認識できないが故に。
続く二匹も水へ落下し、やがて黒く染まってぷかぷか浮かんだ。
- 42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 00:32:40.27 ID:jH1JHz4HO
- エクセレント。
- 43 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:33:32.25 ID:qPLw05kfo
- …翌朝…
花好きおばさん「どれどれ?罠のほうは…」
花好きおばさんは、バケツを覗き込んだ。
中には…
黒く染まった物体1「」プカー
黒く染まった物体2「」プカー
黒く染まった物体3「」プカー
黒く染まった物体4「」プカー
黒く染まった物体5「」プカー
花好きおばさん「ひいいぃぃ!気持ち悪い!」ビクゥ
…五匹もの害獣が、仲良くぷかぷかと浮かんでいた。
古道具屋おばさん「おお、やったみたいだね」
廃品男「5匹か」スタスタ
花好きおばさん「おお、ありがとう…!アライホイホイが全然効かなかったのに、こんなに捕れたよ!」
- 44 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:37:30.73 ID:qPLw05kfo
- 花好きおばさん「これは、二晩とかもっと長く仕掛けていれば、もっとたくさん捕れるのかい?」
廃品男「ダメです。一晩使ったら、すぐに死骸を捨てて水を交換してください」
花好きおばさん「だめなの?」
廃品男「…この油膜では、獣くさい匂いはシャットアウトできても、強い死臭は防げません」
廃品男「強すぎる死臭は、アライちゃんを警戒させますし、何より片付けるのが大変になります。ハエもたかります」
花好きおばさん「そ、それは…やだね…。でも、これがあればもう大丈夫だね!」
廃品男「だが、墨汁バケツトラップは完全ではない。いくつか抜け目がある」
花好きおばさん「そうなの?」
- 45 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:39:50.61 ID:qPLw05kfo
- 廃品男「まず、体の大きいアライしゃんには通用しません」
廃品男「そして、4〜5匹ぐらいの群れでやって来られたら、溺れる声でさすがに警戒されます」
廃品男「今回は、2〜3匹ぐらいが2回に分けて来たから、無事でしたね」
花好きおばさん「そんなにたくさんこなけりゃいいけど…。ああそうだ、罠のお代はいくらだい?」
- 46 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:41:51.57 ID:qPLw05kfo
- 廃品男「300円です」
花好きおばさん「や、安いねえ!」
廃品男「ほとんどスクラップですからね。一番高かったパーツはキャラメルです」
花好きおばさん「壊れた物も、案外役立つもんだね…」
その後花好きおばさんは、アライ回収業者へ死骸を持っていってもらった。
死んだアライちゃんは、一匹10円ほどであった。
- 47 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:42:18.13 ID:qPLw05kfo
- >>46訂正
×キャラメル
◯サラミ
- 48 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:46:11.92 ID:qPLw05kfo
- そして古道具屋親子は家に帰った。
古道具屋おばさん「よかったねー!ユーちゃんの罠がまた役に立って!」
廃品男「ああ。動画で観たネズミ捕りトラップを、アライちゃん用にアレンジしたんだ。安上がりにしては交換があるな」
古道具屋おばさん「…」
廃品男「どうした?母さん」
古道具屋おばさん「…ユーちゃん、お休みの日はよく部屋に籠って、罠を作って…。いろんな人に売ってるみたいだね」
廃品男「趣味なんだ。機械や電子の弘産はな」
古道具屋おばさん「ユーちゃんがやってることは、いろんな人の役にたってて立派だと思うよ。でもね…」
古道具屋おばさん「…生き物殺すの、そんなに楽しいかい?」
廃品男「…」
- 49 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 00:49:03.74 ID:qPLw05kfo
- 古道具屋おばさん「別にアライちゃんを可哀想だっていってるわけじゃないよ。蚊もゴキブリも殺してるし、アライちゃんだって似たようなもんだし」
古道具屋おばさん「でもね…。生き物を殺すのって、普通の人はもっと、負い目を感じるもんだよ」
廃品男「…ああ。分かってる」
古道具屋おばさん「ユーちゃん、昔から機械いじりや工作大好きだったけど…。こんなに生き物を殺す道具たくさん作ってはいなかった」
古道具屋おばさん「私はね、ユーちゃん。あなたがどれだけ立派なことしてるとしても…。生き物を喜んで殺してるように見えるユーちゃんが、怖いよ」
廃品男「…」
- 50 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01:00:17.47 ID:qPLw05kfo
- 廃品男「オレのやっていることは…確かに、歪んだ動機があるかもしれない」
廃品男「母さんの言うとおり、生き物を殺すのに夢中になるのは、正常じゃないかもしれない。たとえ相手が害獣であろうとも」
廃品男「だが、これがオレだ」
古道具屋おばさん「…!」
廃品男「残酷な動機があろうとも、正常じゃなかろうと…。オレは胸を張って、そんなオレ自身を肯定できる」
廃品男「オレは模範的な人間になどなれない。大多数の人が好む人間になどなれない。短所のない人間になどなれない」
廃品男「人は皆、自分だけの個性…長所と短所を持っている」
廃品男「だったらオレは、自分の長所を活かして、胸を張って生きていきたい」
古道具屋おばさん「…そうか。ユーちゃんがそういうなら、あたしは構わないよ。…さて、今日は作るものがあるんだろ?」
廃品男「ああ」
- 51 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01:04:29.21 ID:qPLw05kfo
- 廃品男「改造した冷蔵庫の罠…。それを一つ、仕上げて送るつもりだ。工場男さんっていう人にな」
古道具屋おばさん「…頑張るんだよ」
もはや隠すまでもないだろう。
この男こそが、ジェノサアライドの革命児…
ゴミパンドラの箱をたった一人で作り、全国のアラ虐愛好家へ届けている男。
『トラップパウンダー』である。
ゴミパンドラの箱の価格は2万円。
それは、廃品を再利用して作っているからこそ、この値段に収まっているのである。
- 52 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01:11:29.64 ID:qPLw05kfo
- …アライちゃんは、人間のサンドバッグとして天に作り出されたわけではない。
弱くたって、れっきとした命。
運が良く、賢く育てば、人間の攻撃から生き延びて成長し続けることができるだろう。
だが、だからといって…
神様が、アライちゃん達をサンドバッグにならないよう、外敵から保護してくれるはずなど無い。
アライちゃんを殺すことに極めて長けた、駆除のエキスパート達に命を狙われては、生半可な運と実力では生き延びることなど敵わない。
アライちゃん自身が、好むと好まざるとに関わらず…
覆すことの敵わぬ圧倒的な実力差の前には、為す統べなくサンドバッグとなり一方的にぶちのめされるだけである。
- 53 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 01:11:57.23 ID:qPLw05kfo
- 続く
- 54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 01:13:26.39 ID:FfnAcdzfo
- 乙乙
やったね工場男さんプレイの幅が広がるね!
そして一般人にもナチュラルに虫と同系列に語られるアライちゃんに草
- 55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 01:13:42.84 ID:U/apqnFco
- はい乙
可愛い可愛いペットアライちゃんも期待してるぜ
- 56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 01:42:40.95 ID:unbiNCO30
- おつおつ
しかしそうだね、今回のも冷蔵庫トラップも
少数行動のアライちゃん向けではあるけど
大グループのアライちゃん、大きくなったアライしゃんには通じにくいか
まだまだ課題はあるね
まあ残機の多いうちは学習が足りなくて一般罠とか野生動物に狩られる可能性高いだろうけど
大きくなったら大きくなったで隠れにくくて駆除されやすい?
2年で成体になるんだっけ?
アライしゃんの生態も興味深い
どれくらいの割合で生き残ってるんだろう
- 57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 04:59:16.54 ID:zhSVo81P0
- 乙でしゅ
バケツ罠は安いけど毎日交換せにゃならんのは手間だね。これなら高値でも冷蔵庫を買う人のほうが多そう
- 58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 19:13:16.79 ID:0GS8WH/t0
- 乙
いい展開だったね。
バケツを大きめにしたら、捕獲量も上がりそう。
- 59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/07/04(水) 20:34:50.97 ID:YHwu+gCT0
- 乙
「この水を飲み干すのりゃ!」とか斜め上の発想をする(可能性がある)ハエガイジ用にエチレングリコールでも混ぜとけばいいんじゃね?
- 60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 21:02:32.71 ID:hQ9oTprt0
- こういうオープンワールド?みたいな世界でアライちゃんが生きたり死んだりする世界観のほうが好きですね
- 61 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:46:56.64 ID:qPLw05kfo
- …
アラキレス「あ、ゆ、こー!あ、ゆ、こー♪あらーきれしゅげーんきぃー♪」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「あーゆくーのーだいーしゅきぃー♪どぉーんどぉーんゆーこーぉー♪」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「しゃっかみっちぃー♪とーんねゆぅー♪くぅーしゃーあっぱーやー♪≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「いっぽんばーちにー♪でこーぼこーじゃーいーみーちー♪」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「くーものーしゅくーぐぅってぇー♪くーだり、み、ちぃー♪なのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリ
私は、アラキレスの首輪に繋がれたリードを持ち、アラキレスと一緒に散歩している。
アラキレス「かいぬししゃーん!あらきれしゅ、おうたちゃーんとうたえたのりゃー!ほめてー!ほめてなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリフリフリフリフリ
私は、アラキレスの頭を撫でる。
アラキレス「のりゃー!かいぬししゃーんしゅきしゅきなのりゃあ!せかいでいーーーっっちばんだいしゅきなのりゃあー♪≧∀≦」スリスリ
私のペットアライちゃん…アラキレス。
アラキレスは、他のアライちゃんとは、明らかに異なる点がある。
何だか分かるだろうか?
- 62 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:47:44.03 ID:qPLw05kfo
- そう。
私のアラキレスは…
世界で一番、可愛いのである。
- 63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 21:51:29.10 ID:0GS8WH/t0
- 今回は、飼い主の可愛がりパートかな?
- 64 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:52:08.83 ID:qPLw05kfo
- …誰がなんと言おうとも、それだけは譲れない。
私とアラキレスは、公園の広場についた。
ちょっと歩くの休憩しようか。
アラキレス「なのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ
私は、アラキレスの首輪のリードを放した…。
そのとき。
アラキレス「わーい!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
なんと、アラキレスは私に背を向け、広場の真ん中へ勝手にヨチヨチ歩いていくではないか。
脱走だろうか?
アラキレス「かいぬししゃーん!こっちおいでなのりゃー!おにごっこなのりゃあー!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ
…なるほど。
アラキレスは、お外で私と遊びたがっているのか。
無理もない。
アラキレスにとって、私との散歩は貴重な時間。
外を歩きまわれる、数少ない時間なのである。
それに加え、アラキレスは最初に飼った時よりずいぶん大きくなった。
育ち盛りの食べ盛り。
日頃ケージの中でなまった体を、動かしたくてしょうがないのであろう。
- 65 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:54:20.51 ID:qPLw05kfo
- アラキレス「かいぬししゃーん!あらきれしゅをちゅかまえゆのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
アラキレスはヨチヨチと走り回っている。
よし、捕まえるか…
だが、全力疾走してしまっては、すぐにこのおいかけっこは終わってしまうだろう。
私は、全力を出さずに、適度なスピードでアラキレスを追いかけ回した。
…そのとき。
- 66 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:57:15.65 ID:qPLw05kfo
- 突如、空中から素早い何かが、アラキレスに向かって飛んできた。
アラキレス「う゛ゆぅ!?」
鷲「キュエェーッ!」ガシィィ
アラキレス「ぴいぃぃっ!?」グイイ
私は、とっさにアラキレスのリードを握った。
リードはすぐにピンと張られた。
鷲「キュロロロォ!」バサバサバサバサバサバサ
アラキレス「ぐ、ぐゆじぃいい!が、がい、ぬじじゃ!ぴ、ぎぃいい!」グググ
…なんてこと!
鷲がアラキレスを捕まえ、飛び去ろうとしているではないか!
とっさにリードを掴み、綱引きをする私。
- 67 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:01:13.56 ID:qPLw05kfo
- アラキレスを離して!
その子は食べ物じゃない!
私はパニックになり、無我夢中でアラキレスの首輪に繋がるリードを引っ張った。
鷲「クエエエエ」バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサ
だが、鷲も負けじとアラキレスの背中を鷲掴みし、アラキレスを引っ張る。
アラキレス「ぐびゅぎゅぎゅびゅぎゅ!びゅぎぃいいいいいいい!おご、ごぉぉぇえええ!」グググメキメキ
あああ!アラキレスの首が絞まっている…!
どうしよう、どうしよう…!
私は少しでもアラキレスの首への負担を和らげるために、鷲が飛んでいこうとしている方へ走った。
- 68 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:06:15.11 ID:qPLw05kfo
- アラキレス「ぎ…ひいぃ!ぴぎぃいいい!がい…ぬじ…じゃ…!だ…ぢゅげ…でえええ…!じ…に…だぎゅ…ないぃい…!ぴぎゅぅるるるるうぅぅ!」メキメキ
離して!お願い!
早くアラキレスを離して!
私は鷲を追って必死に走り回る。
このままでは、鷲が諦めるより先に…
アラキレスが絞殺されてしまう…!
ふざけるな…
ふざけるな。
お前なんかにやるものか。
アラキレスの命は私のものだ!
そして、それを奪う権利も!私だけにある!
アラキレスを殺していいのは私だけだ!
横取りされてたまるか!害鳥がぁ!
私は、鷲と戦うことに決めた。
何か、鷲に向かって投げられるものはないか?
辺りを必死に見回した。
野良アライちゃん「うゆ〜?なんのあそびなのりゃ?ひとしゃん?いっしょにあそんでなのりゃ」ヨチヨチ
…広場で暴れる私の様子を見て、遊んでいるものだと思ったのか。
野良ヨチラーがヨチヨチと這い寄ってきた。
- 69 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:10:52.61 ID:qPLw05kfo
- 可愛いねアライちゃん。
おやつあげるからこっちおいで。
野良アライちゃん「おやつなのりゃ?たべゆのりゃ〜!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
野良アライちゃんが、尻尾を振りながら私の足下へ近寄ってきた。
私は、野良アライちゃんの尻尾を握りしめ、持ち上げた。
野良アライちゃん「ぴ…ぎぃいいいい!いぢゃい、いぢゃいのりゃあ!ひとしゃ、ありゃいしゃんのふわふわちっぽつかむのやめてぇ!。≧Д≦。」ピギィイイイイ
そして私は、その尻尾を握ったまま、野良アライちゃんをブンブンと振り回して回転させた。
野良アライちゃん「ふぅうぎゅうぅぅぶぐぎゅぅうう!?はなぢでいっぢゃあああいいいいい!」ブンブンピイイイィィイ
- 70 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:14:50.85 ID:qPLw05kfo
- 野良アライちゃん「はなぢでええええ!ごあいいいい!はあああなああぢでええええっ!」ブンブンブンブン
私はハンマー投げの要領で、尻尾からぱっと手を放し、野良アライちゃんを空へ放り投げた。
野良アライちゃん「ふみゅぅううううううう!」ヒューーーンッ
野良アライちゃんは、空中へ…
鷲のほうへ向かって、高々と飛んでいく。
鷲「…!」パッ
アラキレス「び…ぎ…」ヒュー…
鷲はアラキレスを離した。
鷲「キュロロロォ」ガシィィ
野良アライちゃん「びぎぃ!?」ガシィィ
そして、野良アライちゃんを掴んだ。
鷲「キュララァ」バッサバッサ
野良アライちゃん「ぴぃいいいい!とりしゃ、やべ、は、はなぢで!やな!やなあああああ!」ブランブラン
…鷲は野良アライちゃんを掴んで飛んでいき、視界からすぐに消えた。
- 71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 22:15:40.79 ID:dwYS/dnU0
- ナイスキャッチ
- 72 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:20:03.83 ID:qPLw05kfo
- アラキレス「ぐ…げ…」ヒュゥウウウ
アラキレス!
私は、自分のお腹をクッションにして、アラキレスを受け止めた。
アラキレス「ふぎゅぅっ!」ボフン
痛いぃ!
お腹の中身、内臓を打ち付けられる激痛が走る。
アラキレス「ひ…ぎ…」ピクピク
アラキレスは落下のダメージを受けずに済んだようだ。
私はお腹の激痛に悶え苦しみ、悲鳴をあげながら広場をごろごろと転がり回った。
そして、地面の上に胃液をぶちまけた。
血が混じっていなかったのが幸いだ。
- 73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 22:24:01.55 ID:dwYS/dnU0
- 受け止めて結構ダメージ受けてるとは、アラキレスも結構大きくなってるっぽい?
- 74 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:26:23.95 ID:qPLw05kfo
- 私がうつ伏せに突っ伏していると…
アラキレス「かい…ぬし…しゃ…」ゼェハァ
アラキレスが、私に話しかけてきた。
よかった…死んじゃったかと思ってた。
私は、まるでアライちゃんのような無様な四足歩行をして、アラキレスにずるずると這い寄った。
アラキレス「ごめ…ごめんなしゃい…なのりゃ…!あらきれしゅが、かいぬししゃんから、はなれたせいで…!」ブルブルウルウル
アラキレスは涙を流し、泣いていた。
首を手で押さえている。きっと痛いのだろう。
アラキレス「ごめんな…しゃいぃ…!かいぬし…しゃん…!しなないで…しなないでえぇっ…!」ヒグッグスッ
私は、なにも言わずアラキレスを抱き締めた。
アラキレス「がいぬししゃんっ…!ありがとぉ…だぢゅげでぐれで…ありがとぉぉっ…!」スリスリ
アラキレス。
助かって…よかった。
- 75 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:31:26.99 ID:qPLw05kfo
- しかし、アラキレスの身代わりに放り投げた野良アライちゃん。
あれが来てくれて、本当に運が良かった。
もしあの子が来なかったら、アラキレスは今頃、首が締まり窒息死していた。
野良アライちゃんも、役に立つときがあるんだな…。
私は、お腹の痛みが和らぐのを待ってから…
首を辛そうに擦るアラキレスをしっかりと抱き抱えながら家に帰った。
- 76 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:39:33.09 ID:qPLw05kfo
- さて。
家に帰った私は、アラキレスの気持ちがまだ落ち着かないうちに…
しっかりと、教育を施すことにした。
アラキレス「ひ、ひいぃい…!」ブルブルガクブル
私はアラキレスを膝の上に乗せ、タブレットPCで色々な動物のことを検索し、その写真をアラキレスへ見せた。
…これがさっき、アラキレスを捕まえた大きな肉食の鳥。『鷲』だよ。
アラキレス「ぴっ…ぴいぃいいいいいいいいいいいいい!!!」ガクブル
アラキレスは先程の体験を思い出して恐怖している。
この『鷲』に、アラキレスみたいな小動物が捕まったらもう逃げられない。
この鋭いクチバシでお腹をつつかれ、内臓を引きずり出されて、生きたまま食べられるんだ。
アラキレス「やなあああああ!やなああああああああああっ!たべられゆのやああなあああああああっ!のぁああああああーーーんっ!のぉおおおおぁああああーーーんっ!」ビエエエエン
- 77 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:49:05.91 ID:qPLw05kfo
- 怖い生き物はこれだけじゃないよ。
こっちの写真はね…『熊』っていうの。
アラキレス「く、くま?」ブルブル
そう、熊。
こいつは森の中に住んでる、凄く強くて大きな肉食獣。
アラキレスみたいなちっちゃい子はもちろん…
アラキレスがどんなに大きくなって大人になっても、だこいつに会ったら絶対に食べられちゃうよ。
アラキレス「う、うゆぅ!?」ビクゥ
この熊はね、大人のアライさんが大好物なんだよ。
アライさんを見つけると、大喜びで襲いかかって。
鋭い爪と牙でバラバラに引き裂いて!頭から…がぶり!脳みそをすすり食う!!
アラキレス「ぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!やなあああああああああ!くまこわいいぃいいいいいーーっ!こあああああいいいいいいーーーーっ!」
ふふふ。
怖がるアラキレスの顔…とってもいい表情だ。
もっと見たくなるね。
私はアラキレスへ、森でヒグマがアライさんを襲って貪り食っている動画を見せた。
アラキレス「ひぃ、ひぃいいいいいいいいい!やなのりゃあああ!かい、かいぬししゃあああんっ!くま、くまこわいいいぃい!びえええええええんっ!」ビエエエエン
- 78 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:54:46.45 ID:qPLw05kfo
- まだまだ怖い生き物はいるよ。
こっちはティラノサウルス。
アラキレス「てぃ、てぃら!?なんなのりゃ!?もうやなのりゃあ!」ブルブル
これは体の大きさが10メートルもある、すごく大きいトカゲ。
こいつに襲われたら、人間だって食べられちゃう。
アラキレス「ひ…ひとも!?」
こんな風にね。
私は、恐竜が人間を襲って食べる映画のワンシーンを見せた。
アラキレス「ぴ…ぴいいいいぃぃぃぃ!?こんなにおっきいのりゃあ!?びえ…ぴぃいいっ!やなああ!こあいいいーーっ!こああああいいーーーっ!」ビエエエエン
でも、こいつは人がたくさんいる所には出てこないから心配しないで。
アラキレス「う、うゆぅぅ…!?」グスグス
そう、アラキレスが私に守られている限りは、来ないよ。
もしアラキレスが大人になった後、私のところから自由になろうとして、お家を出ていったら…
アラキレスも、さっきの人みたいに、こいつにぱくり。丸かじりだ。
アラキレス「や…やなのりゃ…!がいぬししゃ…!あらきれしゅ…ずっといっしょに…いたいのりゃあ…!」ブルブル
ふふ、いい子だ。
- 79 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 23:07:55.92 ID:qPLw05kfo
- アラキレス。
よく聞いて。
アラキレス「う…うゆ!」
アラキレスはそのうち、大人になる。
大人になったペットアライちゃん達は、みんな『立派』になろうとして…
『独り立ち』しようとする。
そう。
ケージの中にいるのが嫌になって、お家の外へ出たくなる。
自分は何でもできると思い込む。
自分は一番強いと思い込む。
だけど、その大半が、さっきの熊やティラノサウルスに食べられる。
これは、アラキレスよりずっと先に生まれた、たくさんのアライちゃん達の末路だ(嘘だけど)。
よく覚えておいて。いいかな?
アラキレス「は、はいなのりゃあ…」ブルブル
もしも、アラキレスが、お外で暮らしたくなったら、きちんと私に言って。
熊や恐竜に食べられると知っていても、それでもお外で暮らしたくなったら、必ず私に言って。
怒らないから。
…わかった。
アラキレス「わかったのりゃ…。でも、あらきれしゅは…おそとになんて、ひとりででないのりゃ…!」
アラキレス「さっき、わしにたべられそうになったとき…!ほんとに…ほんとに!こわぐってええぇ!」ヒグッグスッ
アラキレス「かいぬししゃんいながったら、あらきれしゅ、たべられでだのりゃあああっ!」グスグス
アラキレス「もうやなのりゃああ!おとなになっても、かいぬししゃんといっしょにいゆのりゃあ!くまもてらのしゃうゆしゅもたべられだぐないのりゃあああっ!」ビエエエエン
よしよし。
いい子だ。
その気持ち、決して忘れちゃあ駄目だよ。
私はアラキレスを抱き締め、優しく撫でた。
- 80 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 23:09:37.01 ID:qPLw05kfo
- それからしばらくの間…
アラキレスは、散歩に行くことすら怖がるようになった。
ケージの中で、一生懸命、石膏粘土で動物のお人形やアクセサリーを作るのに没頭しているようだ。
どうやら、しっかりと…
『教育』の成果が出たようだ。
いつまでも、一緒にいようね…アラキレス。
- 81 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 23:10:16.36 ID:qPLw05kfo
- 続く
- 82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 23:16:17.14 ID:dwYS/dnU0
- 乙ー
アラキレスが大きくなってもギャルの前の子みたいにならないといいが
- 83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 23:16:52.57 ID:0GS8WH/t0
- 乙。
アラキレスが死ぬのか、とヒヤヒヤしました。
てか、飼い主はヤンデレ化してないか...?
執着具合が怖い。
- 84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 23:49:01.27 ID:uA5SXidao
- >>61
どうもー、JAS○ACでーす
- 85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 01:20:54.81 ID:Vd4B+FWm0
- 乙でしゅ。T-REXは草
クマの動画がどんな様子なのか気になる。視てみたい
- 86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/05(木) 03:46:55.21 ID:9MQikfQPO
- 早くアラキレス死なないかな
- 87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 07:13:39.45 ID:x2zmYxoo0
- なんだまたアライさんかよ
- 88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 09:25:07.28 ID:scvHUxDYO
- そろそろアラキレスはアライしゃんになるのかな?
- 89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 15:40:46.51 ID:l5WrYaKZ0
- T-REXが歩きまわっていたらしょうがねえ
- 90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 09:59:03.21 ID:6uq3lFKD0
- アラキレスがアライしゃんになるまで残り数ヶ月ってところ?
どうなるのか
飼い主がどうするのか
楽しみですねぇ
引取りサービスは使わなそう
- 91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/06(金) 23:33:49.09 ID:IcLWNDQu0
- もうそんなに大きくなったのかぁ〜
- 92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:37:27.64 ID:N9FFM+iw0
- sageしろって
- 93 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/07(土) 00:09:11.80 ID:tjns6SC+o
- 〜東大学 アライ生物学研究室〜
研究員1「近年、アライグマによる被害が全国で急増しているみたいです」
研究室教授「アライグマ?アライちゃんじゃなくてか」
研究員2「アライちゃんもそうですが…。動物のアライグマです。分布がどんどん増えているらしいですよ」
研究室教授「へぇ〜…。捨てられたペットアライグマ達が繁殖したんだっけか」
研究員1「今も捨てられてるペットアライグマはいるんでしょうかね?」
研究員2「いや、アライグマは楽園システムができてから、捨てる人はいなくなったそうだ」
研究員1「楽園システム…ペットアライちゃんみたいな?」
研究員2「そうだ。飼えなくなったアライグマは、楽園で引き取って世話するんだって」
研究員2「どっちかというと、ペットアライグマの楽園システムが先に出来てから、ペットアライちゃんにも同じようなシステムを導入したそうだ」
研究員1「へえ…。ほんとにあるんですか?面積が足りないような…」
研究員2「あるんだよ。…それ以上聞くな」
研究員1「す、すみません」ペコリ
- 94 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/07(土) 00:15:58.03 ID:tjns6SC+o
- 研究員1「ええっと…それで。非常に興味深いデータがあるんです」
研究室教授「何かな」
研究員1「全国で捕獲されたアライグマの、雌雄割合が算出されたのですが…。奇妙なことに…」
研究員1「雌が1に対して、雄が…5です」
研究室教授「…!?」
研究員1「オスのアライグマは、メスの5倍多く捕獲されているんです。それも、全国的にその傾向があります」
研究室教授「…たしかアライグマの性比バランスは、ほぼ1:1だったと思うんだが…?性比が偏るように遺伝子が変異したとか?」
研究員2「捕獲したアライグマを、人工的に繁殖した場合、出生した子供の性比はそうなります」
研究室教授「つ…つまり…性比の偏りは、遺伝子が変異したことによるものではない?」
研究員1「…おそらく自然環境の中でも、出生した赤ちゃんアライグマの性比は1:1ですが、何らかの後天的理由で、メスが減らされている…と想定されます」
- 95 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/07(土) 00:19:46.93 ID:tjns6SC+o
- 研究員1「こちらが、発見されたアライグマの個体数増加グラフです。右肩上がりにどんどん増えています」
研究室教授「あり得ん…!メスが1に対して、オスが5…!?こんな比率で、こんなペースで増殖できるはずがない!」
研究員1「しかし、すべて事実に基づいたデータです」
研究室教授「どうしてこんな性比の偏りが…?」
研究員2「何者かが、人為的にメスの赤ちゃんを間引きしている…とか?」
研究室教授「そんな者が全国に満遍なくいるとは思えんがな」
研究員2「むうぅ…?」
- 96 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/07(土) 00:22:22.58 ID:tjns6SC+o
- 研究室教授「…アライグマと交尾したアライさんが、オスのアライグマを産んでいる…とか?」
研究員1「今のところ、アライさんがアライグマを産んだというケースは全国で一切ありません」
研究室教授「…もしかしたら、アライさんは自然環境の中ではアライグマを産むようになる…?」
研究員2「科学的性質が未解明なアライさんだ…そういう可能性もあるかもしれませんね」
- 97 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/07(土) 00:25:18.58 ID:tjns6SC+o
- 研究室教授「…不明な点だらけだな…」
研究員1「そうですね…。まあ、こういうデータもあったよ、ということです」
研究員2「本日も実験、始めますか。今日はアライちゃんの迷路知能テストでしたね」
研究員教授「ああ、そうだな…。貴重な実験用捕獲野良アライちゃんだ、無駄遣いしないように実験しよう」
- 98 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/07(土) 00:25:44.71 ID:tjns6SC+o
- 続く
- 99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 00:34:07.56 ID:ZZSHh3AV0
- 乙
次回は実験パートか
ATLの参考にしようかな?
- 100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 01:24:37.61 ID:EvYtJdnp0
- 乙
何というかアラスコ以上に誰かの意を感じるのが不安な世界
- 101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 04:12:13.77 ID:bcEAK+9R0
- 乙でしゅ
オスが増える原因、果たして明かされる日はあるのか。そして実験の内容とは。次回も楽しみです
- 102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:39:38.61 ID:kLmDbg4uo
- オスが増えてるんじゃなくてメスが減ってるんじゃね?
429.22 KB Speed:0.4
↑
VIP Service
SS速報R
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
スポンサードリンク
Check
荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)