男の娘「なんなの? ウザいなぁ……」

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1 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:02:27.87 ID:uKcbTouO0

男の娘「…………」スタスタ

男子1「お、ヒョロガリ君じゃん。おいーっす」

男子2「そんな女みてぇな見た目で男として恥ずかしくないの? 筋トレぐらいしたら?」

男の娘「…………」スタスタ

男子1「無視ですか」

男子2「……あ、おい、ちょっとこっち来いよ」ガシッ

男の娘「は? なんで、離せって……!」ジタバタ

男子2「ぷっ。そんなんじゃ振りほどけないよー?」

男子1「なにすんの?」

男子2「こいつの服脱がして写真撮るんだよ」

男の娘「はぁ!?」

男子1「おいおい、お前ホモかよ」

男子2「最近彼女とヤるのも飽きたし、こいつ顔はいいからチンコ生えた女みてぇで良くね?」

男子1「…………ま、やってみっか」

男の娘「おい! 離せよ!」
2 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:08:18.11 ID:uKcbTouO0

男子2「よしヤるか。お前抑えてろよ」

男子1「なぁ、このトイレって人あんま来ねぇけど、いま昼休みだしさすがに隠れた方がよくね? 個室入ろうぜ」

男子2「狭くて3人も入れねぇだろ」

男の娘「んん! ぅんんん!」ジタバタ

男子1「うおっとっと」

男子2「暴れんじゃねぇよクソが」ボコッ

男の娘「んぐぅ!」

男子1「殴るのはまずくねぇか?」

男子2「腹なんてどうせ見えねぇし手加減してるって。それじゃ、ズボン下ろしまーす」

ガチャッ

男子1「おい!」

男子2「あ? ああ、お前か。今取り込み中だから、便所なら他んとこ行って」

イヤアアアアアアア!!!

男子1「うるせぇ……!」

男子2「おいてめぇ!! 馬鹿デケェ声だしてんじゃねぇよ!」

<なんの騒ぎだ!

男子1「やべぇ! 先生来んぞ!」

男子2「ったく! 死ね!」ドタバタ
3 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:10:43.72 ID:uKcbTouO0

教師「なにがあった!?」

男の娘「…………」

カクカクシカジカ

教師「男子1と2がそんなことを……よし分かった。あとで呼び出して指導しておく。無事で何よりだ」スタスタ

男の娘「…………それだけかよ。こっちは脱がされそうになったっていうのに」

男の娘「……たしか同じクラスだったよね……君、助けてくれてありがと。じゃあボク行くから」

男の娘「は? イジメられてるのって……見れば分かるじゃん、アホなの?」

男の娘「ボク生まれつきこんなんだから、ちょっと馬鹿にされるくらいあったんだけど……高校生にもなってここまでされるとはね」

男の娘「別に平気だし……心配なんてされる筋合いないし。ていうか今まで気づかなかったくせになんなの? ウザいなぁ……」

男の娘「……でもこれで君もあの馬鹿2人に目をつけられちゃったんじゃない? ボクが言えたことじゃないけど、気をつけたら?」

男の娘「バイバイ」
4 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:12:40.80 ID:uKcbTouO0

〜〜〜〜〜〜

男の娘「……なんで図書室にいるの? 放課後なんだから帰りなよ。部活入ってないんでしょ?」

男の娘「ボク? ボクは……本読みに来ただけ……」

男の娘「……やっぱりバレてるか。あれ見て、校門のほう」

男の娘「いるでしょ? あいつら待ってるみたいだよ」

男の娘「裏口から出れる? あれ、そんなのあったんだ……でもあいつらのせいでこっちが裏から帰るなんて悔しいじゃん。やだ」

男の娘「そんな訳でちょっと時間潰しにきた。にしても放課後の図書室って誰も居ないんだね。君とボクだけじゃん」

男の娘「え、君って図書委員だったんだ? じゃあカウンターに居なきゃだめでしょ」

男の娘「たしかに誰も居ないけど……なーんだ。ボクのこと助けたからしっかりしてる人かと思ったけど、意外といい加減なんだね」

男の娘「いいんじゃない、いい加減でも。と、いい加減に答えてみる」

男の娘「それにしてもやることないなぁ。宿題? やだよ、来週提出だし休みにやるよ」

男の娘「それよりさ、なんか面白い本ない?」
5 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:14:04.35 ID:uKcbTouO0

男の娘「『坊っちゃん』? えー……難しくない? もっと軽いのちょうだい」

男の娘「あっ、『蜘蛛の糸』! それの絵本病院で読んだことある!」

男の娘「え? べつに身体が弱くて病院行ってたんじゃないよ。悲劇のヒロインじゃあるまいし、ドラマの見過ぎじゃない?」

男の娘「見た目弱そうに見えるからそう思われても仕方ないんだけどさ。てかボクが行ってたのただの歯医者」

男の娘「これ、怖くて好きだったなぁ。病院に置くもんじゃないよね」

男の娘「じゃあボクそれにする。何年振りに読むんだろ」
6 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:16:14.67 ID:uKcbTouO0

男の娘「…………」ペラッ

男の娘「…………」

男の娘「……な、なに? こっち見ないでよ、気になるでしょ」

男の娘「読むの遅い? それはだって……しょうがないじゃん本なんてほとんど読まないもん」

男の娘「早く読むからえらいなんて無いでしょ? じっくり読ませてよね」

男の娘「…………」ペラッ

男の娘「……? あれ? まだページあるのにこれで終わり?」

男の娘「あ、何本かまとめて載ってるのか」

男の娘「う、うるさい、目次読み落としたくらいで笑うな」

男の娘「おバカじゃない! 読み慣れてないだけ!」

男の娘「まったくもぉ……見てろよぉ、ちゃんと次の話も読みきってやるからな……」ペラッ

男の娘「……それにしても……活字って、読んでると、だんだん眠く……」
7 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:18:47.85 ID:uKcbTouO0

ユサユサ

男の娘「……ん、んん? あれ、ボク寝ちゃってた? 起こしてくれてありがと。今何時?」

男の娘「もう6時か。うっ……お腹痛い……」

男の娘「あ、そっか、君が来る前だったっけ。お腹パンチされたんだよ、ボクが暴れたから」

男の娘「大丈夫大丈夫、心配しないで。病院なんて行かなくても平気だって」

男の娘「それより、もうあいつら消えた?」

男の娘「どれどれ……お、いなくなってる。よしよし」

男の娘「それにしても、ふぁ〜……はぁ、図書室に来てよかった。久しぶりにぐっすり眠った気がする。イスで寝たからちょっと体痛いけどね」

男の娘「んじゃ、帰ろっか」

男の娘「なに? あ、施錠ね。こういうのって司書さんがやるんじゃないの?」

男の娘「今日は休みなんだ。へぇー、大変だね」

男の娘「どうせ誰も来ないんだから閉めときゃいいのに」

男の娘「……今日はボクが来たけどね。そっか。そう考えると閉まってなくて良かった」

男の娘「じゃあ鍵返しにレッツゴー」

男の娘「え、なに? ボクが付いて来ちゃだめ?」

男の娘「そんなことないよね。もしあいつらが隠れてたら怖いじゃん……また守ってよ」

――――――

男の娘「…………」キョロキョロ

男の娘「よし。下駄箱周辺、クリア」

男の娘「あれ、知らない? 敵がいないことが分かった時に使う言葉。ゲームとかで聞かない?」

男の娘「知らないのか……ボクってオタクなのかな……」

男の娘「……よかった。今日はちゃんと靴あったよ」

男の娘「当たり前なんだけどね、普通だったら……」
8 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:23:40.78 ID:uKcbTouO0

男の娘「…………」テクテク

男の娘「ねぇねぇ。あのさ……」

男の娘「お昼休み、ごめんね」

男の娘「なんのことって……ほら、助けてくれたのにあんな態度しちゃって」

男の娘「悪口とか物隠されたりとかはあったけど、あんな乱暴されたのは初めてだったから気が動転してて、先生もすぐ帰っちゃうし……」

男の娘「腹が立ってしょうがなくって……よりによって助けてくれた君に当たっちゃった。冷静に考えたらボク、ひどいこと言っちゃったと思って……」

男の娘「……気にしてないの? 本当? た、たしかにムカついてたら一緒に帰ってなんかないと思うけど……」

男の娘「ううん、でも謝らせて? 本当にごめんなさい」

男の娘「……許してくれるの?」

男の娘「今まで気づかなくてごめん? あ、ごめんねボクが変なこと言ったから……あいつら人がいないとこでしかイジメてこないし、わかんないよね……」

男の娘「でも今日は助けてくれて……本当にありがと。君って優しいんだね」

男の娘「ねぇねぇ、なんか食べて帰ろうよ。今日はお詫びにおごってあげるから」

男の娘「え、教室とキャラが違う? 失礼だな、ボクは本来良い人なんだから。環境で人は変わっちゃうの」

男の娘「漢文の授業であったじゃん。『江南の橘、江北の枳となる』って。覚えてないの? ふふーん、だめだなぁ。真面目なフリして授業聞いてないんだ?」

男の娘「そういえば君の家ってどこなの?」

男の娘「へぇー。案外ボクの家と近いんだね。中学どこだったの?」

男の娘「……全然知らないや。高校になって引っ越してきたんだ?」

男の娘「あ、そうだねどこで食べる?」

男の娘「そこのファミレス? あんまりいっぱい食べないでね? えっとねー……千円以内!」
9 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:25:35.88 ID:uKcbTouO0

店員「いらっしゃいませ、2名様ですね?」

男の娘「はい」

店員「こちらのお席へどうぞ」

男の娘「どっこいしょー」ポスン

男の娘「なに頼む? ボクはねー……」

男の娘「山盛りポテトとドリンクバーかな。ポテト少し手伝って? ちょっと多いんだ。君は?」

男の娘「……ハンバーグ。ドリア……え、それとフライドチキンとドリンクバー……? た、食べすぎじゃない? ていうか! 千円以内って言ったよね!?」

男の娘「収まってる? ウソでしょ……? ちょっと待って計算するから!」

男の娘「…………ほんとだ。ぴったり千円だ……ハンバーグ単品って安いんだね」

男の娘「でも食べられるの? ボク手伝えないからね? 無駄にしないでよ?」
10 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:26:51.39 ID:uKcbTouO0

店員「お待たせしました。山盛りポテトです」

男の娘「あ、ボクです」

店員「どうぞ。こちらハンバーグと、ミートドリアと、フライドチキンになります」

男の娘「全部そっちです」

店員「前、失礼致します。ご注文の品は以上でしょうか」

男の娘「はい」

店員「ごゆっくりどうぞ」

男の娘「……ねぇねぇ、やっぱり多いよ。食べられるの?」

男の娘「大丈夫なの? すごいね……ボクそんな食べられないから、うらやましい」

男の娘「すごくおいしいって思ってもあんまり食べられないんだもん。好きなだけ食べられるのってちょっと憧れるんだぁ」

男の娘「あ、ドリンクバー行ってきてくれるの? ありがと、お願いします」
11 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:30:51.96 ID:uKcbTouO0

男の娘「ハンバーグおいしい? ……ねぇねぇ、ボクにも一口ちょうだい? 出資者はボクだぞ。いいじゃんひとくち!」

男の娘「あーん。え? フォーク出すのめんどくさいもん。あーん」

男の娘「んっ。おいしー! ドリアもひとくちちょうだい!」

男の娘「あー……ってちょっと! 絶対熱いじゃんそれ! 冷まして冷まして」

ふー、ふー

男の娘「あー、んっ。おぉ……ドリアもおいしいね」

男の娘「チキンはいいよ、もう無くなっちゃいそうだし。お礼にポテトあげる」

男の娘「あーんして、はい」

男の娘「おいしい? よかった♪」

男の娘「……ドリンクバー行くの? じゃあボクのもお願いしまーす♪」

〜〜〜〜〜〜

店員「ありがとうございました」

男の娘「おいしかったねー。それにしてもきっちり千円分食べるなんて、遠慮がないんだから」

男の娘「いっぱい食べるから君って大きいのかな? 身長何センチ?」

男の娘「175もあるの? いや充分高いよ……ボクより30センチ近く高いじゃん」

男の娘「ボクも大きくなりたいなぁ……君みたいにいっぱい食べたら大きくなれるかな?」

男の娘「……このままでいいの? えぇー……だってチビで女みたいだからイジメられてるんだよ? いいわけないじゃん」

男の娘「……ほんとにいいの? じゃあイジメられたら君が守ってよ?」

男の娘「えっ、ほんとに守るの!? じょ、冗談だよ。守るなんて……無理だよ……」

男の娘「いいよ。君がボクを助ける義理なんて無いんだもん」

男の娘「……ぇ? 友達だから? 友達……ボクが……」

男の娘「…………」

男の娘「……あっ、ごめんね、考えちゃってた。なんかそういうの久しぶりだなって」

男の娘「友達……あんまり居なかったから……」

男の娘「君はボクの友達になってくれるの? ……って、なんか小学生みたいだねこれ」

男の娘「うん。これから友達として、よろしくお願いします♪」

男の娘「でも助けるとかはほんとにいいよ? 巻き込みたくないし……」
12 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:33:23.95 ID:uKcbTouO0

男の娘「着いたぁ。ここがボクの家だよ」

男の娘「……あ、それでさ、もしよかったらでいいんだけど……これから朝一緒に登校しない?」

男の娘「いいの? やった! じゃあえっと……ボクが君の家行った方がいいかな? 場所しか知らないけど……」

男の娘「あ、迎えきてくれる? えへへ、ありがと♪」

男の娘「なんか今日一日ですごい仲良くなっちゃったね。全然良いことなんだけどさ♪」

男の娘「帰り気をつけてね? ほんとにあいつらに目をつけられてるかもしれないし……」

男の娘「バイバイ。また明日ねー!」
13 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:36:08.15 ID:uKcbTouO0

男の娘「ただいまー」

娘父「おかえり……」

娘母「ちょっと! こんな遅くまでどこに居たの! 遅くなるならケータイに連絡してって言ってるでしょ!」

男の娘「友達とご飯食べてたんだよ。ライン見てないの?」

娘母「え、メールしたの?」

男の娘「メールじゃなくてラインだって。ちょっとスマホ貸して」

娘母「あぁん。何も来てないわよ」

男の娘「あれぇ? なんで通知出てないの……あっ! ママ! ボクのことミュートにしてるじゃん! もぉ〜!」

娘母「えぇ〜? みゅーとなんてママいじってないわよ?」

男の娘「いじってなきゃならないの! なんで変なことするの?」

娘母「そんなつもりじゃなかったのに……」

男の娘「ほら。6時半に『今日はちょっと遅くなる。ご飯食べてくる』って送ってるでしょ?」

娘母「あらほんと。すごいのね〜時間まですぐ分かるなんて」

男の娘「メッセージが来てたらアプリの上に数字が出るから、これが出てたらとりあえずアプリ開いて確認してね!」

娘母「は〜い……」

娘父「そんなことだろうと思った……」

娘母「じゃあ言ってくれればよかったじゃない!」
14 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:38:01.63 ID:uKcbTouO0

娘母「あら? そういえばお友達ってどこの子?」

男の娘「たしか……向こうの通りのドラッグストアの近くだってさ」

娘母「だってさ、って……遊びに行ったことないの?」

男の娘「今日会ったばかりだもん」

娘母「あら! 会ったばかりでご飯なんて大胆ね!」

男の娘「なっ、べつにそんなんじゃないし! そもそも相手男子だよ!」

娘母「……彼氏〜?」ニヤニヤ

男の娘「は、はぁぁ〜!?/// 何言ってんのこの人!? もー知らない! ボク部屋行くから!!」

娘母「あ、ちょっと、ご飯はー!?」

男の娘「いらない!」
15 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:40:54.54 ID:uKcbTouO0

娘母「あららら……」

娘父「……母さん」

娘母「なぁに?」

娘父「あんまりからかうのもいい加減にしなさい……」

娘母「ご、ごめんなさい」

娘父「それから、あの子は見た目を気にしてるんだから……彼氏とか言うのはやめなさい……」

娘母「でももったいないわ〜。せっかく可愛く生まれたのに見た目が嫌いなんて……」

娘父「そうは言ってもあの子も男なんだから……」

娘母「それでも生き方は色々あるでしょ? 私はあの子が彼氏連れてきてもいいと思うわ。お父さんはどう?」

娘父「……そんなの、うーん……本人次第だし、連れて来てもらわんことには、分からん……」

娘母「そう?」

娘父「まぁ、彼氏彼女云々より、あの子が幸せならなんでも構わんがな……」

娘母「……そうね」
16 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:45:07.96 ID:uKcbTouO0

男の娘(もーママってば! 彼氏なわけないじゃん! あいつが彼氏とかほんと、ほんと……!)

・・・・・・

男の娘『それよりさ、なんか面白い本ない?』

男の娘『じゃあ鍵返しにレッツゴー』

男の娘『ねぇねぇ、なんか食べて帰ろうよ。今日はお詫びにおごってあげるから』

男の娘『んっ。おいしー! ドリアもひとくちちょうだい!』

男の娘『おいしい? よかった♪』

男の娘『バイバイ。また明日ねー!』

・・・・・・

男の娘(ボクが女の子だったら客観的に見て、わ、悪くないかもしれないけど……///)

男の娘「いや、そもそもまともに話したの今日が初めてじゃん! それに男同士でとか変だし! ありえないでしょ!」

男の娘「ていうか誰に言い訳してんだボクは! やめやめやめ!」

男の娘(でも……僕がほんとに女の子だったらこんなに苦労しなくていいのかなぁ)

男の娘(イジメられることもないし、あいつとも……)

男の娘「いやいや、あいつは関係ないよボク」

男の娘「あ、そういえばライン交換し忘れてた」

男の娘「明日ってほんとに迎えに来てくれるのかな、あいつ。くそぉ、ライン知ってれば確認できるのに……」

男の娘(ほ、ほんとに来てくれたら、ちょっとうれしい……かも……///)

男の娘「って、ちがうよ!? 友達としてうれしいだけだから! 男同士でとか無いから! 急に仲良くなったから距離感つかめてないだけ、そうそれだけ!」

男の娘「はっ、またひとりで言い訳してるし……よし、もう終わり! お風呂入って寝よーっと!」

〜〜〜〜〜〜

娘母「ちょっと! 早く起きなさい!」

男の娘「……いまなんじ……?」

娘母「7時過ぎ!」

男の娘「まだ大丈夫じゃん、そんな怒鳴ることないでしょ……」

娘母「お友達来てるわよ!」

男の娘「…………」

男の娘「うそぉ!?」
17 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:47:23.01 ID:uKcbTouO0

男の娘「わぁ!? ほんとにいる! なんでこんな早いの!?」

男の娘「楽しみで眠れなかったって……遠足前の小学生じゃあるまいし!」

男の娘「ちょっとちょっと! こっちはまだ全然準備出来てないんだから待ってて!」ドタバタ

娘父「…………」

娘父「……久しぶりだな、朝あんなに明るいあの子を見るのは……」

娘父「君、あの子と仲良くしてくれて、ありがとう……なにか飲むかい……?」

娘父「よし。母さん、なにか出してやってくれ……」

娘母「はいはい。朝ご飯はもう食べた?」

娘母「あらあら、食べちゃったの? せっかく作ったのに」

娘父「家を出てきたんだから普通朝ご飯は済ませてるだろう……」

娘母「どうしようかしら〜……え、食べてくれるの? うれしいわ〜」

娘父「気を使わなくてもいいんだよ……?」

娘母「そんなことないわよねぇ? 男の子はいっぱい食べなきゃ。いま準備するから待っててね?」
18 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:49:22.27 ID:uKcbTouO0

男の娘「ふぅ、やっと準備終わったよ。……なんで君もご飯食べてるの?」

娘父「母さんが彼の分も作ってたんだ……」

男の娘「いつのまに……君はご飯食べてなかったの?」

男の娘「え、食べたの? ほんとよく食べるね……」

男の娘「ママー、ボクの分はー?」

娘母「出来てるけど、あんたはお客様じゃないんだから自分で持っていきなさい」

男の娘「ちぇっ、ケチ」
19 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:51:44.50 ID:uKcbTouO0

男の娘「いただきまーす。あ、パパ、チャンネル変えてもいい?」

娘父「構わんよ……」

男の娘「ありがと。今日の占いは何位かなー」

男の娘「え? ボクはいつも見てるけど……君ってこういうの見ないの?」

男の娘「たしかに順位低いとちょっとヘコむけど、高いと気分いいじゃん! ボクは結構信じちゃうよ」

男の娘「え〜信じないの? ……じゃあさ、ちょっとは信じられるかもっていう話していい?」

男の娘「……昨日のボクの運勢、1位だったんだよ?」

男の娘「う、うん。それだけだけど……分かるでしょ! そういうこと!」

男の娘「ていうかボク今日最下位じゃん! うぇ〜……」

男の娘「え、君は1位!?」

男の娘「……くやしい。隣に1位が居ると思うと一層みじめな感じがしてきたような……」

男の娘「ていうか君ってさそり座なんだね。覚えとこー」

男の娘「なんでかって? これから毎日君の運勢も見てあげるからだよ。ボクより下だったら気分がいいからね」

男の娘「え、ちょっと! ボクのは覚えなくていいからー! 忘れて忘れて!」
20 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:55:06.30 ID:uKcbTouO0

男の娘「あ、君は目玉焼きにしょうゆ? なんかイメージ通りって感じ」

男の娘「ボクは塩だよ? 変かな? しょうゆだとベチャついちゃってちょっとだけ微妙なんだよね。塩が一番!」

男の娘「まぁそんな言うほどこだわりは無いんだけど」

男の娘「……ところでさぁ、ちょこちょこ寝癖立ってるけど、ちゃんと直してきたの?」

男の娘「ちょっとごめんね、手櫛だけど……」スイスイ

男の娘「これでおっけー」

男の娘「あれ、制服のネクタイも曲がってるじゃん。もー、そんな格好でよく来たね。いい加減な奴だって思われちゃうよ? もう思われてるけど」

男の娘「直してあげる。こら、ご飯食べるのストップ! 直せないじゃん」シュッキュッ

男の娘「よしよし、直ったよ。早く来るのはいいけど身だしなみちゃんと整えてよね?」

娘父「…………」ジーッ

男の娘「あっ! ごめんなさいご飯食べてる最中に……」

娘父「いや……そうじゃないんだが、なんていうか……」

男の娘「……?」

娘父「……やっぱりなんでもない……」

男の娘「……ぼ、ボクなんかしたかな?」

男の娘「君も分かんない? うーん……」

娘父「…………」
21 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/23(月) 23:58:36.21 ID:uKcbTouO0

男の娘「ごちそうさまー」

男の娘「君のも持ってってあげる。一応お客様だからね」カチャカチャ

男の娘「ママー、お弁当できた?」

娘母「はいはい、これね。お友達の分は作らなくてよかったのかしら……」

男の娘「いやいや、大丈夫でしょ」

娘母「ほんと〜?」

男の娘「……ねぇねぇー、自分でお弁当持ってるよね?」

コクリ

男の娘「ほら」

娘母「ならよかった♪」

男の娘「ボクが歯磨き終わったら学校行こうね。君もくち濯いでよ?」

娘母「あら? そういえば今日って何か用意してって言われてなかったかしら」

男の娘「そういえば先週ぐらいに言った気がする……なんだっけ?」

ペラペラ

男の娘「あ、そっか家庭科に使うエプロンと三角巾! あぶないあぶない、忘れるとこだった」

娘母「エプロンは学校で作ったのよね?」

男の娘「うん。あ、てことはお弁当いらなかった……ごめんねママ」

娘母「いいわよ。でも一応持っていきなさい。せっかく作ったんだし、もしお腹空いたら大変だから」

男の娘「はぁい」

娘母「三角巾三角巾……どこにしまったかしら……あ!」

〜〜〜〜〜〜

男の娘「なんでピンクのチェック柄なの……」

男の娘「可愛くないよ! いや、可愛いけど……着けるのが憚られる……」

男の娘「もー……しょうがないから使うけど……君みたいに無難なのがよかったのに」

家庭科教師「では今日は各グループでケーキとチキンソテーを作ってもらいまーす」

一同「オオー!」

男の娘「なんか豪華だね。クリスマスメニューなのかな?」

家庭科教師「ではまずグループの友達にご挨拶!」

金髪(♀)「よろしくねー♪」

黒髪(♀)「どうぞよろしくお願いします」

男の娘「よ、よろしくお願いします」

ペコリ

男の娘「君ってあの二人としゃべったことある?」コショコショ

男の娘「金髪さんとはあるの? へー、なんか意外な交友……」

男の娘「ボクはどっちとも無い……悲しいね……」

男の娘「でもあいつらと同じになるより何千倍もいいよ」

男の娘「なにより君と同じグループだし……♪」
22 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:01:05.95 ID:VsnDAS2L0

家庭科教師「じゃあ皆さん自分のエプロンをつけてください」

男の娘「自作のエプロンってちょっと恥ずかしくない? って君のすごいね!? 何その刺繍の量!」

金髪「わっ! すごー!!」

黒髪「バラ園みたいです……」

男の娘「な、なんでそんなに豪華なの?」

男の娘「時間が余ってたからって……単純に時間余ってるだけでできる代物なの……?」

黒髪「イバラのトゲトゲまで完璧ですね……」

金髪「えーすごくない? あたしこんななんだけど!」

黒髪「これは……猫?」

男の娘「犬じゃないの?」

金髪「実は途中でごちゃごちゃになっちゃってさー、よく分かんなくなっちゃった。刺繍必ず入れろとかまじキツくない?」

黒髪「そうですね。私もこんな感じです」

男の娘「わぁー五線譜に音符! 可愛いね」

金髪「全然いいじゃん! 男の娘くんはどんなん?」

男の娘「ぼ、ボクはいいよ」

金髪「えーなんでー? 見せてよー!」

黒髪「一人だけ見せないのはずるいですね……」

男の娘「やだよー!」
23 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:03:12.05 ID:VsnDAS2L0

シュバ

男の娘「あっ、ちょっと! 返せ!」

バッ

黒髪「これは……」

金髪「ハートマーク!? かわいいー!」

男の娘「だから嫌だったのに……」

金髪「ねーねーなんでハートなの?」

黒髪「そういう趣味が……」

男の娘「違うって! 時間がギリギリで、なに入れたらいいのかよく分からなくて……」

黒髪「そこそこ簡単なハートにしたと」

男の娘「そう……」

金髪「えー? でもそしたら星とかの方が直線で簡単そうじゃない? ハートってカーブあってむずくなかった?」

男の娘「…………」

黒髪「今気づいたという顔ですね……」

男の娘「何考えてたんだろボクは……」

ペラペラ

男の娘「え? だからボクの趣味じゃないって! もー!」

男の娘「……でもほんと君の刺繍すごいね、葉っぱも花もすごく綺麗……なかなか器用なんだね」
24 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:05:30.05 ID:VsnDAS2L0

家庭科教師「各グループ冷蔵庫から材料を持っていってくださーい。必ず決まった分量だけ持ってってくださいねー」

男の娘「分担ってどうする?」

黒髪「ケーキではないですがお菓子作りの経験があるので、私はケーキがいいです……」

金髪「あたし細かいのやだしお肉がいい!」

男の娘「ボクも細かいのちょっと苦手だからお肉にしようかな。君もお肉やりたかった?」

男の娘「大丈夫? よかったぁ、ボク不器用だからケーキなんて出来ないし、君の方が安心だよ」

黒髪「上手く別れましたね」

金髪「それじゃあお肉チーム、がんばろー!」

男の娘「お、おー」

黒髪「私たちも頑張りましょうね」

コクリ
25 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:07:05.38 ID:VsnDAS2L0

黒髪「まずはボウルに卵とグラニュー糖を入れて、湯煎でかき混ぜる……」

金髪「これってさ、皮取らなくていいの?」

男の娘「ちょっと待ってね。えーと……皮は取らなくていいらしいよ」

金髪「ほんとぉ? なんかブニブニでキモくない?」

男の娘「あっ、脂身と筋は取るみたい」

金髪「筋ってどこよ? ここかな? てか包丁ってどう持つんだっけ?」

男の娘「あれ? 左手は猫の手じゃなかった?」

金髪「え、なんか左手猫の手にしたら全然ちから入らないんだけど。なにこれウケるー♪」

黒髪「あ、あの……そちらは大丈夫ですか……?」

金髪「たぶんだいじょぶ!」

男の娘「ボクはちょっと不安かも……」
26 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:09:09.97 ID:VsnDAS2L0

黒髪「ここからは素早くかき混ぜればいいんですね……」

黒髪「ふっ、んん、ふぅ!」カシャカシャカシャ

黒髪「ぜ、全然変化なしですね……ん……! んぅっ、ふっ……!」シャカシャカ

男の娘「……な、なんか」

金髪「エロくない?」

黒髪「ふぇ!? え、エロ……なぜですか!」

男の娘「だって、ねぇ?」

金髪「エッチな声出してるんだもん」

黒髪「そ、そんなことありません……!」

男の娘「あ、かき混ぜ続けないと!」

黒髪「え、は、はい。ふ……ふっ……んっ……!」シャカシャカ

男の娘「……」ジーッ

金髪「……」ジーッ

黒髪「ふっ……ん……ふぅ……!///」シャカシャカ

男の娘「……」ジーッ

金髪「……」ジーッ

黒髪「……す、すみません交代してください!///」

金髪「すごいエロかったよ!」

黒髪「そんなこと言われても嬉しくないですから……!///」
27 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:11:21.51 ID:VsnDAS2L0

シャカシャカシャカシャカ

男の娘「おぉ〜……」

金髪「なんかプロっぽいね!」

黒髪「手早い……あ、あれ? お二人ともお肉は……?」

金髪「やばっ忘れてた! 次は何するんだっけ?」

男の娘「スパイスをかけて揉みこむ、だって」

金髪「これ?」

男の娘「そうそう」

金髪「ドーーン!」ドサッ

男の娘「……え、全部かけてよかったのかな?」

黒髪「スパイスまみれですが……」

金髪「だいじょぶでしょ!」モミモミモミ

家庭科教師「あ、言い忘れてましたがスパイスは多めに用意してありますから、少しずつ入れて各自調整してくださいね!」

金髪「えっ」モミ…

黒髪「…………」

男の娘「…………」

金髪「……ごめんね?☆」
28 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:12:48.20 ID:VsnDAS2L0

黒髪「気を取り直してこっちやっていきましょう……薄力粉を少しずつ加えて、粉気が無くなるまで混ぜる……」

黒髪「私が入れますから、かき混ぜお願いしてもいいですか……?」

黒髪「ではいきます……!」ポサポサ

金髪「男の娘くん」

男の娘「なに?」

金髪「あっちの方がお肉より楽しそうじゃない?」

男の娘「でもあんなうまくかき混ぜられないよ。力もないし」

金髪「たしかに〜。でもあとお肉焼くだけだしつまんな〜い」

男の娘「まだ付け合わせの野菜切ってないでしょ……がんばろ?」

金髪「はーい」
29 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:16:09.37 ID:VsnDAS2L0

金髪「男の娘くんってさー」

男の娘「なに?」

金髪「結構しゃべるんだね。教室にいる時となんか違う感じ」

男の娘「ぇ……ぁ、そ、そんなことないよ?」

金髪「……ちょっと耳貸して?」

男の娘「う、うん」

金髪「男子1と2が男の娘くんのこといじめてるって本当?」ボソボソ

男の娘「ぁ……え、と……うん……」

金髪「やっぱりかー……それでちょっと怖い顔してるんだ」

男の娘「ボク怖い顔してた?」

金髪「話しかけづらいなって感じしてたかなぁ。ごめんね、男の娘くんのせいじゃないのに」

男の娘「大丈夫、気にしてない……」

金髪「……でもあいつとは仲良いんだね。なんで?」

男の娘「ボクが乱暴されてた時に助けてくれたんだ……昨日のことなんだけどね。それで仲良くなった」

金髪「あ、そうなんだ。へぇー……」

男の娘「なにか気になるの?」

金髪「え、付き合ってはないんだ?」

男の娘「付き合う!?」

黒髪「わっ……! ど、どうかしましたか?」

男の娘「あっ、ゃ、なんでもないよ!」

男の娘「付き合ってるわけないじゃん……! 男同士だよ……!?」コショコショ

金髪「え〜? だってあいつと一緒にいる時すごい嬉しそうじゃん。朝だって二人でイチャイチャしながら登校してたし」

男の娘「イチャイチャなんてしてないよ……!」

金髪「うそだー♪」

男の娘「してないもん……!」
30 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:19:24.38 ID:VsnDAS2L0

男の娘「ていうか……金髪さんあいつのことあいつって呼んでるけど、知り合いか何か、なの……?」

金髪「男の娘くんもあいつって呼んでんじゃん」

男の娘「そ、そうなんだけど……金髪さんが誰かのことあいつって呼んでるのはじめて聞いた気がするから……」

金髪「そうだった? 意外と見てるね〜」

男の娘「ひとりぼっちだと周りの声が嫌でも耳に入って来ちゃうんだもん……」

金髪「あ、あー……まー暗い話は置いといて! 実は普通の関係じゃないんだ♪」

男の娘「そうなの……!?」

金髪「男の娘くん、あいつとあたしの関係、知りたい?」

男の娘「ぼ、ボクはべつに無理にでも聞きたい訳じゃないよ?」

金髪「……ふーん。そっか、じゃあ言わなーい」

男の娘「え……ぁ……」

金髪「言わなきゃいけないなんてこともないし?」

男の娘「それは……」

金髪「ほんとは知りたいんでしょ?」

男の娘「…………す、すこし」
31 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:21:11.58 ID:VsnDAS2L0

金髪「どうしよっかなー?」

男の娘「え、教えてくれないの……?」

金髪「ただ教えるんじゃつまんないし……あ、そーだ! あたしのお願い聞いてくれるなら教えてあげる!」

男の娘「お、お願いって……なに?」

金髪「今度一緒にお出かけしようよ!」

男の娘「お出かけ!? って、どこに……?」

金髪「服買いに行きたいからさー、一緒に来て?」

男の娘「……服? それだけでいいの?」

金髪「あとはねー、ご飯ちょっと食べてー……細かいことは後で考えるから、今度の土曜は一日空けといて?」

男の娘「……わ、わかった」

金髪「交渉成立! じゃあ男の娘くんだけに教えてあげるよ、あたしとあいつの関係……」

男の娘「……」ゴクリ
32 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:22:59.08 ID:VsnDAS2L0

金髪「あたしはねー……」

男の娘「……」ドキドキ

金髪「あいつのねー……」

男の娘「……」ドキドキドキドキ

金髪「……いとこ!」

男の娘「……いとこ?」

金髪「そう、いとこ」

男の娘「いとこって、え? ボクの知ってるいとこでいいの? なんか変な意味とかじゃなくて……」

金髪「変な意味?」

男の娘「あ、やっぱりなんでもない///」

金髪「男の娘くんはなんだと思ってたの?」

男の娘「えっ……か、彼女とか……?」

金髪「あはは、ないない!」

男の娘「だって普通の関係じゃないって言ってたじゃん!」

金髪「そうだっけー?」

男の娘「そうだよもー!」
33 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:25:04.93 ID:VsnDAS2L0

金髪「でもよかったね、男の娘くん」

男の娘「うん、よかっ……いやいや! べつによかったとかないから! あいつに恋人がいてもなんとも思わないし!」

金髪「そこまでは言ってないよ?」

男の娘「……ほんとにそういうんじゃないから……///」

金髪「素直になればいいのにー♪」

男の娘「そういう問題じゃないよ、どう考えても変でしょ……ボク、男だよ……?」

金髪「そのために今度出かけるんだよ」

男の娘「え? それってどういう……」

金髪「むふふー、ひみつー♪」

男の娘「えぇ! 教えてよー!」
34 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:26:13.66 ID:VsnDAS2L0

黒髪「とりあえず後は焼いて、スポンジ部分は終わりですね……かき混ぜ、お疲れ様でした。お肉の方はどうですか?」

金髪「あと焼くだけー」

黒髪「では生地が焼き上がるまでは一旦休憩ですね」

金髪「あ、ごめん黒髪ちゃん、ちょっといい?」

黒髪「なんでしょうか……?」

金髪「お話があってね♪」
35 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:28:31.41 ID:VsnDAS2L0

男の娘「お疲れさまー……」

男の娘「え……? あぁ、うん。ちょっと金髪さんの話に付き合ってたら疲れちゃった……」

男の娘「なに話してたか? ……い、言わない。言わなきゃいけない事でもないし?」

男の娘「べ、べつに隠してなんかないよ? あ、ていうかそっちこそボクに隠しごとしてたでしょ!」

男の娘「金髪さんといとこなんでしょ! なんで言ってくれなかったの?」

男の娘「言う必要があったのかって……あるでしょ! だって! ……だって」

男の娘「あ、あれ? ない……全然……」

男の娘「ぇあ、ご、ごめん。ちょっと、ボクおかしいね、ごめん……」

男の娘「その……実はね? 金髪さんとしゃべってて、その流れでなんか……金髪さんが君の彼女かなんかだって早とちりしちゃって……」

男の娘「…………」

男の娘「え、それで? それで、なんていうかその…………」

男の娘「あっ、待ってちがうから!/// べつになんとも思ってないよ!?/// 君に恋人がいてもボクには全然関係ないから、変な勘違いしないでね!?///」
36 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:29:50.58 ID:VsnDAS2L0

男の娘「ほ、ほんとだから。全然関係ないし……」

男の娘「…………」

男の娘「…………」

男の娘「で、でも一応聞いておきたいんだけど……君って、こ、恋人いない……よね?」

男の娘「そんな、隠さなくてもいいじゃん。いない? いる?」

男の娘「……いない? ほんと?」

男の娘「よかったぁ……」

男の娘「あっ、ほらだって、恋人いたらあれでしょ?/// 遊びに誘うタイミングとかよく分かんなくなっちゃうでしょ?///」

男の娘「そうそう、他意はない……ないない///」

男の娘「ふぅ……///」
37 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:32:51.53 ID:VsnDAS2L0

男の娘「す、スポンジどんな感じかな? ちょっと様子見てみない?」

男の娘「おー、結構膨らんでる」

男の娘「君見えてる? もっと近づいて見てよ」

男の娘「ね、さっきより上の方に盛り上がってきてる。こういうのって面白いよね」

男の娘「あと何分くらい焼くの? 8分?」

男の娘「あ、お肉そろそろ焼いた方がいいかな?」

男の娘「金髪さーん」

金髪「じゃ、そーゆーことで予定空けといてね」

黒髪「分かりました」

男の娘「……金髪さん、何話してたの?」

金髪「こっちの話☆」

男の娘「ほんとかなぁ……」
38 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:36:06.67 ID:VsnDAS2L0

黒髪「焼けましたね。取り出し……熱っ」

カチャン

黒髪「あ、すみません、ありがとうございます」

黒髪「取り出したら、濡れ布巾をかけて冷ますと……」ポサッ

金髪「え、冷ますの?」

黒髪「熱々では切れないので……」

金髪「でもお肉は焼いちゃってるよ?」

男の娘「あれ? 早かった?」ジュー

黒髪「えーと……とりあえず、いま焼いているものは後で焼き直して、残りはケーキのデコレーションが終わってからで……」

男の娘「ごめんね、ちょっと早かった……」

金髪「気にしない気にしない。食べられればなんでもいーよ」

黒髪「それはそれで問題だと思いますが……」
39 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:42:03.98 ID:VsnDAS2L0

男の娘「そういえばホイップクリームは?」

黒髪「先生が前で用意してるのを貰ってくるみたいですね」

金髪「なんで自分たちでつくらせないのかな?」

黒髪「恐らく時間がかかりすぎるのを防ぐ為かと……デコレーションもありますし……」

男の娘「じゃあボクもらってくる」

金髪「よろしくー」

黒髪「よろしくお願いします」

――――――

男の娘「もらってきたよ」

金髪「よーし、デコろデコろ」

黒髪「まずは横から半分に切って、間にクリームと苺……そ、そういえば苺を切り忘れていました……!」

スッ

黒髪「あ、切っててくれたんですか? ありがとうございます……」

金髪「あたしクリームぬる!」

男の娘「じゃあボクが切るよ。こんな感じでいいのかな?」グッグッ

黒髪「ま、曲がってます……!」

男の娘「うそ!? えーと……こ、これでいい?」グム…

黒髪「あ、ああ……!」

男の娘「え、ええ……!?」アタフタ

スッ

男の娘「あ、代わってくれる? ごめんなさい……」

スッスッスーッ

男の娘「上手い……」

黒髪「綺麗ですね……」

金髪「うまっ!」

黒髪「えぇ本当……って金髪さん! 勝手にホイップクリームつまみ食いしないでください……!」

金髪「あははー、ごめーん☆」
40 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:44:36.86 ID:VsnDAS2L0

金髪「じゃあここにクリーム出せばいいのねー」ムニュー

男の娘「も、もういいんじゃない?」

金髪「そお?」

黒髪「そしてパレットナイフで広げます」

金髪「こうかな?」スッ

黒髪「全然広がりませんね……」

金髪「おかしいなー? スィーっと」ススッ

男の娘「広がらないね」

金髪「えームズっ。黒髪ちゃん、パス」

黒髪「えぇ! で、出来るでしょうか……」

金髪「チャレンジチャレンジ!」

男の娘「がんばって!」

黒髪「分かりました、が、頑張ります……!」
41 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:45:41.30 ID:VsnDAS2L0

黒髪「えい……!」スーッ

金髪「おぉ! おぉ?」

男の娘「うーん……?」

黒髪「難しいですね……」スッスッ

金髪「でしょー? ケーキ屋さんがあるわけだねー」

男の娘「ちょっとデコボコだね」

黒髪「外からは見えませんので、大目に見てください……」

金髪「あとはイチゴを置いてー」ポイポイ

男の娘「あいだはこのくらいでいいかな?」

黒髪「ですね。ではスポンジを乗せて表側もクリームで……」

金髪「表、誰がクリームぬる?」

黒髪「私はちょっと……」

男の娘「ボクも無理だよ!」

金髪「あたしもムリー。ってことは」
42 : ◆2XHIgyr0Jw [saga]:2019/12/24(火) 00:47:48.09 ID:VsnDAS2L0

スッ

男の娘「がんばって!」

黒髪「ファイトです……!」

金髪「良いとこ見せてよー?」

ムニューー

金髪「ここまでならあたしでも出来るよ!」

黒髪「誰でも出来ます……」

男の娘「広げるのが難しいんだもんね」

シャキン

男の娘「できそう……?」

コクン

金髪「まぁうまく出来なくてもね?」

黒髪「みんなそんなに上手ではないですから……」

スィーー……

男の娘「おぉぉ……!」

金髪「え、え、スゴくない!? え、スゴイよね!?」

黒髪「す、すごいですね。パティシエみたいで……」

スーーッ

金髪「デコボコなし!」

男の娘「きれい!」

黒髪「側面もお願いします……!」

ムニュー スィーー……

金髪「うまっ」

男の娘「なんでできるんだろ?」

黒髪「力加減が絶妙なんでしょうね……」

ムニュー スーッスーッ

金髪「えーなんかムカつくー」

男の娘「どうして?」

金髪「あたしこんなに上手く出来ないもん! 一発でこんなに出来るのってズルくない?」

男の娘「そうかなぁ? ボクはカッコいいと思うけど……」

金髪「……のろけ?」

男の娘「ちがうよ!///」
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