【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その16

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184 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:44:27.78 ID:8fl/iWPk0
こんばんはー
それではコンマ結果に合わせて書きなおしたら存外長くなりましたが、エピローグを投下していきたいと思います
185 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:45:04.37 ID:8fl/iWPk0
――――


【王国・来賓室】


国王クラウス「お忙しい中、お呼びたてしてしまい申し訳ない」

聖王エカチェリーナ「いえ、私共も本日を心待ちにしておりました」

聖王アルフォンス「我々聖国がこうした関係を築けているのは、全てクラウス王のおかげでございます」

マークス司教「王国に、神の御加護があらんことを」バッ

皇帝アドルラン「ああ。聖王殿の仰る通り。我が帝国も感謝の意を」サッ

国王クラウス「こちらこそ、両国にはお世話になってばかりだ」ペコリ

国王クラウス「さて、それでは……」




クラウス「堅苦しい挨拶は抜きにして、みんなもっと楽にしてくれると私も助かるかな」ハハハ!

アルフ「そう言って頂けると助かるよ……」フゥ…

リーナ「聖国では、もう中々気を抜けないんですの! ただのリーナになれる時間は本当に助かりますわ」フー!

マークス「それでは私も失礼して、服を脱がせていただこう!」バリーン!

アドルラン「ははははは! すごいなマークス、また身体が鍛え抜いたのか?」

マークス「ええ、神が授けてくださったこの身体に限界はありませんからな」

マークス「それに聖王様を支える身となった今は、より強靭な肉体が必要というものっ!」ムキムキィ!

アルフ「私も鍛えてはいるんだが、公務もあってなかなかな」

リーナ「結局はこうして兄妹で聖王の仕事を分担していますけど、やっぱり大変ですの……」

クラウス「はは、アルフが一時王国に逃避してきた時は何事かと思ったよ」

アドルラン「ああ、そんなこともあったな。あれは結局何が理由だったんだ?」

リーナ「ほら、キアラも手伝ってくれた三国共通模試があったでしょう? あれの為ですの」

アルフ「今も変わらず民達から『智将』として羨望の眼差しを浴びる私が……」

アルフ「まさか公務を放って深夜まで勉強をしている姿は、見せられないだろう?」

リーナ「だからといって私に押し付けて、公務に見せかけて王国の一室を借りて勉強もどうかと思いますの……」

マークス「アルフ様、正直に民に打ち明けるのも手だと思いますぞ!」グッ!

アドルラン「うむ! 隠し事はよくないぞ! まあ、アルフがどうしても嫌だと言うなら無理強いはしないがな」

クラウス「そういえば、その試験の結果は――」

アルフ「黙秘」

リーナ「キアラの問題は純粋に難しかったですの……」ガクリ…

クラウス「王国でも、学問書の売り上げが一気に上がったよ……」

アドルラン「やはり三国で学び舎を強化していくという政策は、間違っていなかったな!」

186 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:45:31.46 ID:8fl/iWPk0
クラウス「我が国としては、もう少し学校を増やしつつ授業内容の更なる綿密化をしたいが……」

クラウス「それはまた後日。せっかくこうして『休暇』で集まったのだから、もっと砕けた話をしてしまおう」

アドルラン「はは、クラウスもだいぶ変わったものだな」

クラウス「それは多分、君達のおかげだろう。私を支えつつも気さくに接し、共に鍛錬をしてくれるのだから」

クラウス「流石に民達の前では国王でなければならないが、友の前では気を抜かせてくれよ」

リーナ「うんうん、わかりますの。聖国はまだ聖王の影響力も大きくて……」

リーナ「昔みたいに迂闊な真似ができなくて、つい気を張っちゃうんですの」

マークス「しかし、砕けた話となると何からにしましょうか?」

アルフ「リーナがいなければ、鍛錬場で男仲良く汗を流すのだが……」

リーナ「やめてくださいな兄上……」

リーナ「というよりも、皆さんあえて口にしてませんの? それとも連絡が拗れてますの?」

一同「「?」」

リーナ「……私、今日はアドルランの子供達に会えると聞いて楽しみにしていたんですのよ?」

アドルラン「おお、そうだった! 今はとなりの控室で待っているよ」

アドルラン「いや、我が子ながらに本当に可愛くてだな……///」

アドルラン「……」

アルフ「ん? どうしたアドルラン?」

アドルラン「いや、ふと思ったんだが」



アドルラン「――君達は、結婚する気はないのだろうか?」



一同「「」」

アドルラン「いやな、私も昔は然程意識したことはなかったのだが……」

アドルラン「いざ結婚し子供ができると、愛する妻との生活もますます楽しくなり……」

アドルラン「公務の疲れも苦でなくなるからな! 是非ともこの気持ちを知って貰いたいのだ!」

クラウス「結婚、か……」

187 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:46:10.19 ID:8fl/iWPk0
――

最終特殊判定結果
生き延びた世界の未来で(>>122より)
※一部を除き基準値50。85以上で……?

『未婚者の状況』

1クラウス:71(元より誠実で人望のある国王様。気に掛ける娘は多い)


――


クラウス「私の元にも、確かにそういった話は増えてはいるんだ」

アドルラン「おお!」

クラウス「あと、こう言うと自惚れていると思われるかもしれないが」


コンコン…


狐耳メイド「失礼致します。お茶のご用意を」

クラウス「ああ、ありがとう」ニコリ

狐耳メイド「///」


パタン…


クラウス「……おそらくだが、彼女達からも好意を向けられているような気がする」

リーナ「いや、あれは私でもわかりますの……間違いありませんわね」

アドルラン「なかなか可愛らしい子だったが、あの格好は……」

クラウス「王国に対する帝国の影響力は大きいぞ?」

クラウス「以前アドルランが発表した政策のおかげもあり、私も彼女達の人権を唱えやすかったんだが……」

クラウス「どうにも、メイドという職に就くと高位の人と結ばれるという説まで広まったようでな……」

クラウス「現在、王国のメイド志願者数は上昇を続けているよ」

リーナ「アベルとカインもですからね。あながち間違った説ではないのかもしれませんわ」

クラウス「ありがたい話ではあるんだが……私はアドルラン達と比べるとまだまだだ」

クラウス「今はしっかりと王国の基礎を叩き直し、結婚はもう少し落ち着いてからかな」

アドルラン「なるほど。では、聖国はどうだろう?」

リーナ「……」



188 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:46:47.27 ID:8fl/iWPk0
――

2エカチェリーナ:29(少しは考えるが、前途多難。最近とある理由で凹み気味)

3アルフォンス:09(そんなことより鍛錬と勉学だ! ……後継ぎ大丈夫?)

4マークス:35(顔が良く親身に相談に乗ってくれる彼に焦がれる者は多いが……)

――


リーナ「私も、いい加減にいい歳ですの」

リーナ「ですから、公務の傍らで淑女としての嗜みを再勉強してはいるのですが……」

リーナ「なんと言いますか、その……出会いが、ありませんの」ガクリ…

リーナ「慕われてはいると思うんですの。それはありがたいのですが……」

クラウス「ふむ……聖王という高みにいるため、愛というより崇拝に近いのかな?」

リーナ「そうですの。聖王問題がこんなところにまで……」グヌヌ…

マークス「私も恐れ多くも、多くの民から頼りにされているのだという自負はあります」

マークス「ですがだからこそ、誰かを選ぶということは少々難しいかもしれませんな」

マークス「むしろ私はやはり、誰かの幸せを見ている方が性に合っているかもしれません」

マークス「ああ、思い返してもアベル君達の式は全部素晴らしかったなぁ……!」

リーナ「ええ、本当に羨ましい限りですの。でもあれは、なかなか特殊な事例だと思いますの」

アドルラン「アベルもやはり大変そうではあるが、あいつが幸せなのは間違いないぞ!」ハハハ!

マークス「うむ! きっと彼は神にも愛されているだろうからな!」

マークス「ですから、きっとリーナ様とアルフ様にもいつか素敵なお相手が……」

アルフ「いや、私はいい」

一同「「!?」」

アルフ「私はまだ聖王としては遥かに未熟だ。肉体も頭脳も」

アルフ「女性にうつつを抜かす暇があれば、ひたすら鍛錬と勉学に励まねば」

アドルラン「アルフ、気持ちはわかるが……家族と支え合うことも大事だぞ?」

リーナ「そ、そうですの。守りたいものの為に強くなれるということも……」

アルフ「……わかっている。わかってはいるんだ」

アルフ「ただ……」





アルフ「――何故か世の女性に身体が反応しないというのもある」





一同「「」」

リーナ「兄上ぇぇぇぇ!? それは私も初耳ですのおおぉぉぉぉぉ!?」ガーン!


189 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:47:20.16 ID:8fl/iWPk0
アルフ「待て、待て。みんな落ち着いて欲しい」

アルフ「何も私は、女性の全てを否定しているわけではない」

アルフ「リーナは可愛い妹だし、絶対にいい婿を見つけられるだろう」

アルフ「アドルランの奥方も、二人とも違った美しさを持っていると言える」

アドルラン「ありがとう。あとで二人にもそう言って貰えるかな?」

アルフ「そ、それはなんだか気恥ずかしいな/// 私が不貞を働くようにも取られかねんぞ」

アルフ「とにかく、だ。私は女性に興味が無いわけではない。ここだけは信じて欲しい」

リーナ「いや、兄上、さっき……」ダラダラ…

アルフ「そう。世の女性には反応しない。だが、興味はある……」

アルフ「そもそも反応しなくなってしまったのも、ある日彼女と出会ってしまったからなのかもしれん……」

アドルラン「おおっ!?」ガタ!

クラウス「こ、これはまさか……それほどまでに一人の女性に惹かれていたと!?」ガタ!

マークス「なんということだ、アルフ様はそれほどまでに!?」

アルフ「ああ……」







アルフ「――夢の中で、美しい翼を持った白い女性に出会ってな/// もうその姿が頭から離れないんだ……///」ポワーン…






アドルラン「アルフ、戻ってこぉぉぉぉいっ!?」ユサユサ!

マークス「アルフ様、お気を確かにっ!」グワングワン!

リーナ「兄上……」ホロリ…

アルフ「あと、胸も大きかった……///」ポワーン…

リーナ「兄上ェッ!」クワッ!

クラウス(少し、聖国の未来が不安だ……)




女神『ああ、どうしましょう!? アルフォンスに私の声が届いたかと思えば……』アワアワ

女神『まさかこんなことになるなんて……なんとかアルフォンスを元の道に戻さないと、聖国が……』オロオロ…

女神『カミラ、あなた実は人の子だったとか、そういったことはありませんか!?』

カミラ『!?』ムリムリ!

女神『うぅ、私が発展していく聖国の様子をはしゃいで眺めたりしなければ、こんなことには……』ガクーン…

カミラ『……』ポン…



リーナ「……」ヒク…

リーナ(妙ですわね。巨乳の気配が……気のせいですの?)ヒクヒク…



……


190 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:48:38.02 ID:8fl/iWPk0
――


……


クラウス「……では、アルフの今後は後日改めてしっかりと煮詰める方向でいこう」

リーナ「異議なしですの……」

マークス「大丈夫、きっと神も見守ってくださっていることでしょう!」

アルフ「そ、そこまで深刻に考えずとも……」

リーナ「深刻ですのぉっ!」クワッ!

アドルラン「はは、だがアルフの言う通りかもしれないな」

アドルラン「私のように、遅れて気がつく可能性もあるからな」

リーナ「それはまあ、そうですけれど……」

アルフ「アドルランの言う通りだ。私のことは心配しなくても大丈夫だ」

アルフ「それよりもだな……私よりも心配な者もいるではないか」

リーナ「え?」

アルフ「印象深い二人ではあった。あまりいい意味ではないのだがな」

リーナ「??」

アルフ「……以前の愛の祭りで、エリスをつけ回していた黒騎士バーンズ」

アドルラン「」

アルフ「……私が堪らず抜刀してしまう程、性に正直過ぎる深紅の令嬢スカーレット」

クラウス「」

アルフ「あの二人は、今頃どうしているのか。年齢で言えば私達よりも危機感を持つべきではないのか?」

アルフ「いかんせん、あの行動は目に余ったからな。私以上にまともな恋愛ができるのかどうか……」

クラウス「……」

アドルラン「……」


191 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:49:44.61 ID:8fl/iWPk0
――

5『親衛隊長と深紅の令嬢、今は?』

01〜33:良き好敵手。お互いの主君の為に切磋琢磨
34〜66:遅れて来た仄かな……?
67〜99:忘れられない恥辱。引き換えせぬ被虐の沼へ……?

コンマ43

34〜66:遅れて来た仄かな……?

――


クラウス「その、実はだな……」スタスタ…

アルフ「?」

クラウス「この窓から、中庭を見てみるといい」


……


スカーレット「ふぅ、今日の手合せはこのくらいにしましょう」ヒュパン

バーンズ「……そうだな」チャキン

スカーレット「最近、また腕を上げられましたわね。ワタクシももっと精進しなくては」

バーンズ「……まだまだ、我が剣も道半ばだ」

スカーレット「それにしても、よかったのですか? 主君から頂いた折角の休暇だったのでしょう?」

バーンズ「……最近は、暇を出されることが多い。陛下はその……最近……」

スカーレット「ああ、お孫さんにご執心なのですね?」ポン

バーンズ「ぐ……その通りだ。私如きが陛下の時間を奪うわけにもいかぬ」

バーンズ「しかし、私は生まれてこの方……鍛錬以外の時間の潰し方を知らぬのだ」

スカーレット「あらまぁ……では、何故ワタクシの元へ?」

バーンズ「……貴女との鍛錬は、得る物が多い。以前敗れた雪辱を果たしたいという想いもあるがな」

スカーレット「そうですか……それはワタクシも同意見ですわね」フフ…

スカーレット「……実は、ワタクシも最近は陛下から暇を出されることが多いのです」

バーンズ「む……?」

スカーレット「これからもお互い、暇な時間が増えるかもしれない……」

スカーレット「その度に鍛錬ばかりでは、流石にマンネリしてしまうかもしれませんわ」

バーンズ「それは……」

スカーレット「ですので、今日は少し趣向を変えて息抜きをしに行きません?」

スカーレット「あなたの主君もですけれど……たまには、武器を置いて穏やかな時間を過ごすのも悪くありませんわ」

バーンズ「そう、なのだろうか……?」

スカーレット「ええ、そうですわ。どうなさる?」

バーンズ「……迷惑でなければ」


……

アルフ「こ、これは……」


192 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:50:14.15 ID:8fl/iWPk0
クラウス「少し前からかな。二人はよく共にいることが増えているようだ」

アドルラン「彼も父に変わらぬ敬意を払ってくれているようだが、もう親衛隊長ではないからな」

アドルラン「父も口にはしないが、バーンズにはバーンズの道を歩んで欲しそうだったよ」

リーナ「徹底した実力主義者でしたけど、長年傍に仕えていた騎士に思うところはあったのでしょうね」

クラウス「その気持ちは私もわかる。スカーレット将軍には今も支えられているが……」

クラウス「そろそろ彼女も落ち着いてもいい頃だと思ってね。極力時間が合うように予定を入れているんだ」

リーナ「それはまた……」

マークス「お二人とも、以前よりも纏う気配が柔らかくなっていますな。これはもしかすると……?」

リーナ「兄上より、よほどまともですの……」

アルフ「」

アルフ「も、もう私のことはいいだろう!?」

アルフ「それよりアドルラン、そろそろお前の子供達を私は見たいな!」

アドルラン「そ、そうか?」

リーナ「そうですわね。今間違いなく幸せを掴んでいるのはあなた達でしょうし」

リーナ「こう見えて私、子供は大好きですの!」

マークス「やはり子供はどこの国であれ、次の世代を担う宝ですからな!」

クラウス「特にアドルランの場合は、次期皇帝になる可能性もあるからな」

アドルラン「ははは! 流石に何も為さぬまま皇帝の座を譲るわけにはいかないぞ!」

アドルラン「それでは、少し待っていてくれ。すぐに連れてくるよ」


……

193 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:50:45.31 ID:8fl/iWPk0
――

……

ヒバリ「皆さま、お久しぶりです」ペコリ

ルーシェ「お久しぶりです……」ペコリ

リーナ「お久しぶりですの。お二人ともますますお綺麗になられて……」

アルフ「うむ、佇まいも美しく……リーナもこうなれればいいのだがな」

ヒバリ「……///」

ルーシェ「……///」

クラウス「あまり緊張をしなくても大丈夫だ。以前のように力を抜いてくれて大丈夫だよ」

ヒバリ「あ、申し訳ありません。やっぱりどうしても緊張しちゃって……///」

ルーシェ「皇妃として、失敗はできないかと思うと……」ブル…

アドルラン「はははは! まあ二人の気持ちはよくわかるが……」

アルフ「私達の場合は、以前から交友があったのが大きいのだろうな」

マークス「ええ。私も立場を忘れ、ついつい友と接する態度になってしまうよ」

クラウス「私はそれで構わないよ。存分に気楽にくつろいでくれ」

ヒバリ「い、いや流石にそこまでは……///」

ルーシェ「子供達の教育、良くないです……///」

リーナ「あ、そうですの! はやくお二人の子を見てみたいんですの!」ワクワク!

ヒバリ「そこまで期待されても困っちゃいますよ!?」

アドルラン「私達にとっては可愛い子ではあるんだがな」

ルーシェ「その、まだ小さくて、ご無礼をしてしまうかも……」

クラウス「はは、だから気にしないと言っているだろうに」

マークス「子供は元気が一番! さあ、どんとぶつかってきたまえ!」バッ!

ヒバリ「どんとぶつかるかもわからないけど……それじゃあ」


ヒバリ「――セッカ! セッカ―! こっちに来て、皆さんにご挨拶してー!」

ルーシェ「――プラチナム、あなたも、です……!」キテキテ



トテトテ…!


194 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:51:16.41 ID:8fl/iWPk0
――

『未来の皇帝二人、両親どっち寄り?』←01(母)50(父)99→

6セッカ:54(両親二人の良い面を見事に継承。努力家ですが暴走はしません)

7プラチナム:21(母に似てセッカよりは控えめ。父とは違いお片付け大好き)

――


セッカ「――はじめまして! ていこくの、セッカともうします!」ビシ!

プラチナム「……プラチナム、です」ペコリ


リーナ「あらまぁ……これは、びっくりですの。なんてしっかりした子……」

リーナ「あ、私は聖国のリーナですの。よろしくお願いしますの」スッ…

セッカ「よろしくおねがいします!」ギュ!

プラチナム「よろしく、お願いします」ギュ

リーナ「ふぐぅ!? わ、私の中の何かが擽られますのぉ……!?」プルプル…!

マークス「それはおそらく母性本能かと。私はマークスだ。よろしく頼むよ二人とも!」ムッキィ!

アルフ「私はアルフだ。しかし流石に真面目な二人の子だな。これは帝国は安泰か?」

クラウス「私はクラウス。みんなと同じく、君達のお父様の友達だよ」

セッカ「みなさま、よろしくおねがいします!」ペコリ

プラチナム「よろしくおねがいします」ペコリ

リーナ「本当にしっかりしていますの……」ナデ…

リーナ「見た目はアドルラン似のようですが、性格はヒバリとルーシェに似た感じですわね?」

アドルラン「ああ、本当に二人には感謝しているよ」

アドルラン「二人とも私に似ないで、思った事をすぐに行動に移したりしないいい子だぞ!」ハハハハ!

セッカ「いえ、ちちうえのこともそんけーしています! たんれん、もっとします!」

ヒバリ「……って言うのを、私が時間かけて抑制したんだよねぇ」

プラチナム「……おかたづけしないちちうえは、めっ」

ルーシェ「……」ムフー!

アドルラン「……どうだ、立派な子供達だろう?」メソラシ

アルフ「まあ、お前の唯一とも言える悪癖が引き継がれなかったのは喜ぶべきことだな……」


195 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:52:13.27 ID:8fl/iWPk0
クラウス「だがプラチナム、おかたづけ以外のお父さんはどうかな?」

プラチナム「……すき」

アドルラン「ん……///」コホン!

マークス「いいですなぁ、いいですなぁ……!」ホッコリ

アルフ「仲睦まじいようでなによりだ。将来が楽しみな子達だよ」

リーナ「プラチナムの髪色はお二人譲りかしら? 私に似た綺麗な白金色ですの」サラ…

ルーシェ「密やかな、自慢、です。名前に、ぴったり……」

プラチナム「……」コクコク

ヒバリ「いいよねぇ……ごめんセッカ、お母さんの髪色ももっと綺麗に伝わっていれば!」クゥ!

セッカ「いえ、ぼくもこのかみすきです!」

アルフ「ヒバリの黒色が混じったのか、セッカの金髪はアドルランよりも深みが増した感じだな」

アルフ「顔つきも凛々しいし、小さいアドルランを見ているようだ」

アドルラン「たぶん、昔の私はセッカよりもずっと頼りなかったぞ?」

アドルラン「今でこれだけ立派な子なのだ。将来きっとすぐに私を超える男になる筈だ!」ハハハハ!

セッカ「はい! いつかちちうえよりりっぱなおーさまになってみせます!」キラキラ!

プラチナム「……ぼくも、あにうえたすけます」ギュ…

ヒバリ「ふふ、二人とも頼もしいけど……今はまだ無茶しちゃ駄目だよ?」ナデナデ

ルーシェ「お母さん達を、もっと頼ってね?」ナデナデ

セッカ「えへへ///」ホクホク

プラチナム「……///」ホクホク

マークス「むぅ、撮影の魔導書を持ってこなかったのが悔やまれますな……」

クラウス「ああ。見ているこちらも幸せな気分になる。これは帝国の活気が増しているという話も頷けるよ」ウンウン

リーナ「うぅ、羨ましいと思うのに結婚とは程遠い我が身ですの……」ガクリ…

リーナ「せめて、せめてこの胸がもっと成長――き、きぇっ、きぇっ……ぇっ!」ビクンビクン!

セッカ「!?」ビクゥ!

ヒバリ「ちょっ、リーナさん大丈夫なのこれ!? どういう表情なのこれ!?」ドキドキ

ルーシェ「……子供、見ちゃ駄目な顔です」メカクシ

アルフ「ああ、すまないな……いつもの癖だ。この数年でなんとか少しは改善したのだがな」

マークス「今は更に可愛い子供達の前で必死に抑えている状態ですな」

クラウス「いつもの……しかし、今は条件に当てはまりそうな女性の姿はないが?」キョロキョロ

ヒバリ「私の大きさにはなんとか慣れてくれた筈だし……なんで?」

アルフ「……原因はフィーアだ」ハァ…

一同「「あー……」」ナットク

アルフ「最近、夜な夜な枕を濡らしているよ。彼女は元気にしているかな?」

クラウス「アドルラン一家が明るいことはわかったが、帝国全体の様子も確かに気になるな」ソワソワ

アドルラン「そうだな、実は……」


……

――
196 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:52:43.39 ID:8fl/iWPk0
――――
―――
――



【帝国・帝都】



ザワザワ…!


帝都民1「うわぁー……今日は一段と混んでいるなぁ」

帝都民2「何か特売でもしているんかね?」



オイオスナ!


オレモミタイ!


帝都民1「誰か来ているのかな?」

帝都民2「セッカ様とプラチナム様じゃないか? この辺りは陛下のお気に入りの散歩道と聞いたけど……」



オイダレカマドウショ!

モッテネエ!



帝都民1「……それにしても熱気がすごくない?」

帝都民2「そうだな。陛下なら一喝して人混みを割りそうだ」」

帝都民1「そうなるとアベル様かカイン様かな?」

帝都民2「カイン様は王城内でのお仕事が多いし、アベル様は……」

帝都民1「ああ、確かにお忙しいあの人の道をあんな風に塞いだらご迷惑だもんなぁ」

帝都民2「そうなると、この人だかりってもしかして……」

帝都民1&2「「……」」

帝都民1&2「「……俺達も見に行こうっ!」」ダダダダダダ!



197 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:53:19.35 ID:8fl/iWPk0
――

8『レディーを目指し、身体は大人になった第二皇女は……?』

01〜33:お淑やかさも身に着け、まさに憧れていたレディー!
34〜66:お勉強はしました。でも染みついた癖はなかなか。変わらぬ君が好き
67〜99:元々アウトドア派。今まで以上にあちこち駆け回るお転婆に!

コンマ65
34〜66:お勉強はしました。でも染みついた癖はなかなか。変わらぬ君が好き

――


帝都群衆「「フィーア様、ありがとうございます! ありがとうございます!」」


フィーア「え、えっと、ただお買いものに来ただけなんですけれど?」オロオロ


帝都群衆「「来て頂けただけで、本当に嬉しいのです! 思わず我らもフィーア様のように跳ねてしまいそうです!」」ビョンビョン!

フィーア「も、もう! 私も大人になったのです! もうこんな風にピョンピョンしたりなんて……」ピョンピョン!


バルンバルン!


帝都群衆「「〜〜〜〜いえぁ!」」グッ!

フィーア「って、あぁぁ……///」カアァァ!

フィーア「ついまた昔の癖で跳ねてしまいました……まだキアラ姉様には程遠いです……」ショボン…

帝都群衆「「いえ、フィーア様はそのままが一番です! そのまま我らの太陽でいてください!」」

フィーア「むぅ……でも、民の皆さんの為にも、私はもっと立派な淑女としてですね……」

群衆1「いえ、フィーア様の明るさは、他の方々にはないものです」

群衆2「フィーア様が元気な笑顔を見せてくれるだけで、こっちも元気を貰えるんですよ!」

フィーア「皆さん……///」

群衆3「っと、申し訳ありません。お買いものの途中なのでしたね」スッ…

帝都群衆「「失礼致しました! お気をつけて!」」ビシ!




帝都民1「……あれはもう、兵器だと思うよ。女の子の成長期ってほんとすごい」ボタボタ…

帝都民2「ああ。でも同時に、守らなきゃいけないこの国の宝でもあると思うよ」ボタボタ…

帝都民1「フィーア様、可愛くて優しくて小っちゃくて、それでいてあのおっぱいだからな……」

帝都民2「いつ悪い奴に目をつけられるか、正直俺は不安で仕方がないよ……」ハァ…

帝都民1「俺達の間だと、尊過ぎて絶対不可侵が暗黙の了解になってるけど、心配だよねぇ」

帝都民2「一応、お付きの白髪執事が害虫は追っ払ってるらしいけどさぁ……」

帝都民1「その執事と恋仲だったりした日にゃ、どれだけの帝都民が泣き崩れるだろう……」

帝都民2「陛下筆頭に皇族の方がみんなかつての従者と結ばれているから、余計にその可能性あるのがまた……」ハァ…

帝都民1&2「「あ〜……フィーア様がずっと俺達のフィーア様でい続けますように!」」オイノリ



……

――
198 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:53:52.30 ID:8fl/iWPk0
――

【帝都・街道】


フィーア「ふぅ、キアラ姉様への道のりは遠いですね」テクテク

フィーア「皆さんからの期待もありますし、はやく私も一人前にならないと!」グッ!


ザリ…


フィーア「……」ピク


ゾロゾロ…


帝国貴族「これはこれはフィーア様、ご機嫌麗しゅう」

貴族私兵団「「……」」ズラッ!

フィーア「……なんの御用ですか?」

帝国貴族「いえいえ! フィーア様のお時間はとらせませんよ!」

帝国貴族「ただ――少し、我が家に来て頂きたいだけでございます」ジュルリ…

帝国貴族「お前達! 護衛がいない今が好機だ! すぐに――」



シュン…



――『刻印の刃』発動――

★『刻印の刃』★
戦闘開始直後、敵に確定で2劣勢を与えかつ回復不能の状態異常と軽傷状態にする(奇襲とは異なる)
このスキルで相手を倒した時、敵の負傷判定を1増加させて逃走判定に移ることができる
またこのスキルを持つ限り、補正差が50以上であったとしても25までに軽減し戦闘を行う
さらに戦闘時、ネームレス敵兵の存在を全て無視して敵将のみへの攻撃が可能となる



帝国貴族「か……ぺ……?」ドシャァ…


貴族私兵団「「!!??」」


フィーア「……安心してください。峰打ちですから」ユラリ…

フィーア「私、あなた達みたいな人とのお付き合いは、絶対にいたしませんからね!」チャキ…


貴族私兵1「こっ、この――っ!」ブオン!

フィーア「……」ハァ…


ドゴォ!


貴族私兵1「ぐぺっ!?」グシャア!

フィーア「えっ?」


199 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:54:22.90 ID:8fl/iWPk0
アイナ「フィーア様への狼藉は、私が許しませんよ!」ザッ!

フィーア「アイナさん!?」

貴族私兵2「げ……帝国メイド長だと!? なんでここに――ぐぼぉ!?」ザシュ!

貴族私兵団「「!?」」バッ!

スミレ「……ボクもいますよ。覚悟はできているんでしょうね?」ジャキン!

フィーア「スミレさんまで!?」

貴族私兵3「嘘だろ執事長まで……今日は護衛はいないって話じゃなかったのかよ!?」オロオロ

貴族私兵4「ひ、怯むな! この人数なら――」


ズドォォォォン!


ローズ「やあねぇ本当に……久々だワ。こんな馬鹿な連中を見たの。――喰い殺してあげましょうか?」ゴキゴキ!

サク「名案だ。私は普段は肉は食べないんだが……焼き加減はローで頂くとしよう」ゴキゴキ!


貴族私兵団「「」」



ギャアアアァァァァァァァァ!



……



メイド隊「「メイド長、この連中は我々がしっかりと連行しておきます!」」バッ!

アイナ「うん。ごめんね急に呼びつけちゃって?」

メイド「いえ。メイド長達は、引き続き休暇をお楽しみください。それでは!」シュバ!


フィーア「どうしてみんなここに……今日は、お休みの日でしたよね?」

ローズ「ええ、そうネ。でも嫌な気配を感じちゃったから」

スミレ「元々ボク達は今日はこの先の湖に行く予定だったんですよ」

サク「フィーア、やっぱりまだ私が傍にいた方が安全じゃないっきゅか?」ハラハラ

フィーア「ありがとうございます。でも、あのくらいの相手なら私一人でも対処はできますよ?」

フィーア「……その、む……胸が急に大きくなって変装がしにくくなっちゃいましたからね///」

フィーア「エリス義姉様とノワール義母様に無理を言って、鍛錬は欠かしていませんから!」エヘン!

ローズ「……もう、あなたって子は」ヤレヤレ…

フィーア「本当は、アベル兄様と一緒に戦っている時にこのくらい強くなれていればよかったのですけど……」

ローズ「やめてちょうだい」ペチ

アイナ「あはは、確かにフィーア様のお力ならあの程度難なく切り抜けられたと思いますけど……」

アイナ「やっぱりフィーア様の危機は見過ごせませんし、私もたまにはお仕事をしてるところを見せなきゃいけませんし……///」

フィーア「え? あ!」


ローナ「ふぃーあさま!」キラキラ!

リリィ「ふぃーあさま!」キラキラ!

200 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:54:52.09 ID:8fl/iWPk0
フィーア「ローナちゃんにリリィちゃん! また大きくなりましたねー!」ナデナデ

ローナ「えへ〜///」ホクホク

リリィ「ぼくおおきくなれたー?」

フィーア「ええ。私にもちょっと分けて欲しいです……」ボソ…

フィーア「……今の光景、見せて大丈夫だったんですか?」ダラダラ

ローズ「アタシも不安だったんだけどネ。もうすっかり両親の影響を受けちゃってて……」

スミレ「ボクが一番まずかったですね……。リリィもローナも甘えん坊で、よく後ろをついてくるんです」

スミレ「鍛錬場にまでついてきてからは、ボクとアイナさんの格闘術にまで興味を持ってしまったようで……」

フィーア「リリィちゃん、自分のことをボクって言ってますし、そこもスミレさん似ですね!」

スミレ「お恥ずかしい……/// 直さなければと思ったのですが、この服共々ボクには馴染み過ぎていたようで///」

アイナ「スミレちゃん、ますます執事服が似合うようになったもんね〜」

スミレ「今はサクさんもいますから、ボクもメイドになっていいのかもしれませんけど……」チラ…

リリィ「おかーさん、きょうもかっこよかったー!」キラキラ!

スミレ「このリリィの笑顔を見ていると、脱ぐに脱げなくて……!」ガク…

サク「私もまだ修行の身っきゅから、執事長の座はまだまだスミレのものっきゅねー」

スミレ「そもそもなんで執事長なんて座が増えていたのか、これがわかりません……」

アイナ「あ、ごめん。一緒にいたかったし、ローズさんが引退するって不安だったからつい分担して貰おうかなって///」

スミレ「アイナさん発案だったんですか!?」ガーン!

ローズ「いや、一部執事から不満があったのも事実なのヨ?」

ローズ「メイド試験も、ちゃんと名前に執事もいれてくれって意見も多いしネ」

サク「でも、一応執事の私とスミレが女って知ったら新米執事はどんな顔をするんきゅかね?」

サク「この前、メイドの子から告白された時は流石に驚いたっきゅよ」

フィーア「確かにその姿のサクちゃん、羨ましいくらい背が高くてカッコいいですものね!」

ローズ「……待って、それ初耳ヨ? それでどうしたの?」

サク「え? ちゃんと丁重にお断りしたっきゅよ?」

サク「――私にはフィーアがいるから、お受けできないって」

一同「「」」

サク「きゅ?」

ローズ「……何か、一部で誤解が広まりそうネ」ダラダラ

ローズ「いや、アタシ達が既にちょっと性別がややこしくなっているんだけど……」

フィーア「……そういえば、ふと思ったんですけど」

フィーア「――ローナちゃんとリリィちゃんにとって、ローズさんはどちらなんでしょう??」

アイナ「あ、あー、ローズさんかローゼンさんかということですね?」ポン

アイナ「実はですね……」

201 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:55:26.86 ID:8fl/iWPk0
――

『お父さんなの?お母さんなの? 愛娘はローズとローゼンどっちがいいの?』←01(ローズ)50(ローゼン)99→

9ローナ:06(圧倒的ローズ。お母さんの私服の影響でもう服もゴスロリ趣味になっちゃった)

10リリィ:17(硬く真面目なローゼンよりも、家族みんなが笑顔なローズの方が大好きです)

――


アイナ「見ての通り、私の影響もあってかローナはローズさんの方が大好きなんですよ?」

ローナ「ろーずさんすきぃー///」ゴスロリー!

アイナ「我が子ながら、この服の可愛さに今から目覚めてくれて、本当に嬉しいです……!」ギュッ!

ローナ「おかあさんもすきぃー///」

ローナ「かわいくて、かっこいいのー!」キラキラ

アイナ「もう、もう……!///」クネクネ…

ローズ「天使に勝るとも劣らない天使っぷりよネ……!///」

サク「格好だけみると、親子三代で妙な服を着ている様にも見えるっきゅ……」

スミレ「確かにその服可愛いんですけど、それはアイナさん達だから似合うんですよ」

スミレ「やっぱり執事服の方が動きやすいですし、公的な場でも違和感がありませんからボクはこっちですね」

リリィ「しつじー!」キャッキャッ!

フィーア「なるほど……ローナちゃんがローズさん派で、リリィちゃんがローゼンさん派なんですね?」

スミレ「いや、それが……」チラ


ローズ「さぁーて、悪い人はみんな懲らしめたし、お出かけの続きをしましょうネ!」ニコニコ

ローナ「おでかけー!」ワーイ!

リリィ「おかあさんとおかあさんとおでかけー!」ワーイ!


スミレ「ローズさんの姿の方が甘えやすいみたいで……ボクに女らしさが足りないせいでしょうか?」ウーン…

スミレ「ローナ同様にリリィもローズさんの方が喜んでくれるので、最近はずっとローズさんなんですよ」

アイナ「ローゼンさんなのは、夜だけなの……///」ゴニョゴニョ…

フィーア「な、なるほど……///」

サク「よし、ちょっと時間取っちゃったし、湖までは私に乗って行くといいっきゅ!」ボウン!

白帝サク「キュルル、キュルー?(フィーアも来るっきゅよね?」バサァ!

フィーア「え? で、でも折角ローズさん達で家族水入らずなのに……」ワタワタ

ローズ「何を言ってるのヨ! 確かにアタシにはかけがえのない天使がさらに増えたけど……」

ローズ「あなたとキアラちゃんも、ずっとアタシの天使で大切な家族なんだからネ? 遠慮しないの!」ガシ!

フィーア「ローズさん……」ジーン…

アイナ「お城にはカイン様も優秀な後輩もいるから、大丈夫!」

スミレ「今日のお弁当、結構自信作なんですよ。フィーア様の感想も聞きたいですね」

サク「きゅっきゅ、きゅー!」バサァ!バサァ!

ローナ&リリィ「「さくちゃんはやいはやーい!」」キャッキャッ!

フィーア「はやーい!」キャッキャッ!

ローズ「天使達が天使過ぎてアタシ死んじゃうかもっ!!!」ブバァッ!

アイナ&スミレ「「ローズさん落ち着いて!?」」ワタワタ!


……

――
202 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:56:02.04 ID:8fl/iWPk0
――

……

【帝国王城・執務室】


カイン「メイドから伝令?」

エメリナ「はい。どうやら無謀にもフィーア様を狙った一団を捕えたそうです」

カイン「はは、これは久々に大馬鹿が釣れたんだね」

カイン「変わっていく帝国を受け入れず、自分の世界に閉じ籠もるからそんなことになるんだよ」

カイン「前にフィーアの護衛隊が暴れ回った件ぐらい把握しておけばいいのに」ククク…

エメリナ「フィーア様、この数年でご立派になられましたものね。色々と……」

エメリナ「それに引きかえ、私ときたら……」ペタン…

カイン「何を言うんだエメリナ。君は日増しに立派になっているじゃないか」

カイン「最初は皇妃の作法、あれだけ酷かったのにな……!」プクク…!

エメリナ「カ、カイン様の奥さんとして恥ずかしい姿は見せられないじゃないですか!?」

エメリナ「その、昔は夜のお勉強を重点的にしちゃいましたけど、他のことだって頑張れるんですから……///」

カイン「ああ、わかっているよ」


コンコン


アーシャ「カイン義兄様、失礼致します」

カイン「……アーシャ、いつも言うがからかうのはやめてくれ。普通でいいんだよ普通で!///」

アーシャ「ふふ、これは失礼カイン様。どうにも照れるあなたが可笑しくて」クスクス

エメリナ「前から思っていたのですがカイン様、何故義兄と呼ばれると恥ずかしがるのですか?」

カイン「だって、こうして歳をとると益々昔の言動が、僕の恥が、鮮明かつ強烈に思い返されるんだよ///」

アーシャ「アベルは今も自信家なお兄さんを尊敬しているようですよ?」

カイン「あー、あー、聞こえないな。ったく、なんで僕はあの程度でアベル達を見下して知的な兄ぶっていたんだよ……」ハァ…

エメリナ「カイン様は、今も昔も凄く知的な方です!」グッ!

アーシャ「ええ、そうですよ? 今や帝国の結界の要ではありませんか」

アーシャ「それに転移魔法や魔道具の作成まで。高度な知識がなければできないことばかりですよ」

カイン「まあ、確かにそれは多少の自信はあるけどさぁ……」

カイン「それは多分、母さんの魔法の才の影響が大きい。皇族全員で見れば、僕が一番下だよ」

カイン「原因もわかっている。長年道化だった僕と努力を続けていたきょうだい。差がつくのは当たり前だよ」

エメリナ「……でも、カイン様は変わられたのです! 毎日頑張っているカイン様なら、きっといつか一番になれます!」

カイン「ああ。見ていてくれよエメリナ。この僕の勇姿をね!」バッ!

アーシャ「ふふ、やっぱりそちらの方がお似合いですよ?」クスクス


203 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:56:28.73 ID:8fl/iWPk0
カイン「それは、いい意味でだよな? 道化がお似合いってわけじゃないよな?」

アーシャ「もう、いい意味に決まっているじゃないですか」

エメリナ「カイン様、もっと自信を持ってくださいよー……」

カイン「いや、ことアーシャを相手にするとなぁ……」

アーシャ「あら? それはどういう意味ですか?」

カイン「……この前の、キアラ監修の試験を忘れたとは言わせないぞ」

エメリナ「あれ、凄く難しかったですねぇ……それでもカイン様、かなりいい点数でしたよね?」

カイン「数年前の悪夢を繰り返す気はないよ。我ながら結構頑張ったつもりだったんだけど……」

カイン「なーんで君は平然とまた満点を取れるかなぁ……?」

アーシャ「ふふ、アベルが褒めてくれるところですもの。何歳になっても手は抜けないでしょう?」ニコニコ

カイン「そのアベルも凹んでたじゃないか。そろそろ君に勝ちたいって……」

エメリナ「アベル様も十分凄かったですよね? あの旧帝国歴史問題、敵陣営を味方損害無しで壊滅させた戦法の解答なんて無理だもの……」

カイン「約一名が正解してるけどね。あの問題をキアラが作ったっていうのはもっと驚きだけど」

アーシャ「キアラちゃんは最近、特に守りの戦術の研究に拘っていますからね。軍縮した帝国でも従来以上に機能する守り……」

アーシャ「平和な世だからこそいざという時の守りは強固かつ迅速に。あの問題は、旧時代のものでも再利用ができると報せる意味もあるの」

カイン「なるほどねぇ……今度はそっちの勉強もちゃんとしておくかな」

エメリナ「はい! あとで書庫で探しておきますね!」

アーシャ「ふふ、本当に勤勉家になられましたね。私ももっと頑張らなくちゃ!」

カイン「くそ、アベルじゃないけど、いつか君の成績に土をつけてやりたい……!」グヌヌ…

カイン「――これじゃあ、いつまでもジェイドに父の威厳を見せられないじゃないか……」ボソリ…

アーシャ「あらあら、努力を欠かさない一番の理由はやっぱりそこなのかしら?」クスクス

カイン「……悪いか! せめて、せめて息子の前では頼れる父さんでいたいんだよぉ!」

カイン「そっちはいいよなぁ! 馬鹿みたいに子供作ったかと思えばアベルの奴、娘全員から慕われてるもんなぁ!」

アーシャ「……だからこそ、私もこう見えて毎日色々悩んでいるんですよ?」ハァ…

エメリナ「え? アーシャさんが!?」ビックリ

アーシャ「ええ。確かにソフィアに限らず、みんなお父さんのことは大好き。それは問題ないんです」

アーシャ「――だからこそいつ、娘がお母さんに振り向いてくれなくなるのかと思うと怖くて怖くて!」ガタガタ!

アーシャ「私って昔からこれって突出したものはないし、正直に言うと勉強を続けているのも娘の為でもあるんですっ!」

カイン「わかる! わかるぞその気持ちっ!」ガタ!

エメリナ「もう……お二人とも、心配し過ぎですよ?」

エメリナ「ソフィアちゃんはもちろん、ジェイドだってそんな――」


コンコン


エメリナ「あ、噂をすれば丁度ジェイド達のお勉強会も終わったみたいですよ?」

カイン「!!」ビクン!

204 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:57:03.64 ID:8fl/iWPk0
――

『自信家なカインの息子ジェイド。どれくらい似てしまったのか……』

11ジェイド:21(父の真似はするが、自分の力はわかっている。これにはお父さんも一安心)


『秀才だけど隠れた嗜好を持つアーシャの娘ソフィア。妙なお勉強は……』

12ソフィア:24(妙なことは学ばない。堅実に知識を蓄えていく将来有望株)

――


ジェイド「ちちうえちちうえ! やっぱりソフィアはすごいです!」キラキラ!

ソフィア「おかあさま、ジェイドすごいの! わたしのよめないまどうしょを、すぐによめるのです!」キラキラ!


カイン「んんっ……! ジェイド、もう少しだけ待っていなさい。父は国の大切な書類を書いているところだからね」カキカキ

アーシャ「ソフィアももう少し待っていてね。お母さんもそのお手伝いをしているから」カキカキ


ジェイド&ソフィア「「はーい!」」

エメリナ(あの一瞬で二人同時に書類の前の椅子に座るなんて、早業すぎます……)

エメリナ(う〜ん……あんなこと言っていた直後だから、ちょっと落ち着きたいのかな?)

エメリナ「ジェイドもソフィアちゃんもお勉強頑張って偉いね」ナデナデ

エメリナ「ご褒美に甘いバナナをあげようね?」サッ!

ジェイド「ははうえ、ありがとうございます!」モキュ!

ソフィア「ありがとうございます!」モキュ!


カイン「……」チラ

アーシャ「……」チラ


カイン(くっそ、相変わらず君のソフィアは賢いようだな! 見たかジェイドのあの輝く瞳! 僕に向けて欲しいのに!)ヒソヒソ…

アーシャ(それを言うならジェイド君の方でしょう? 魔導書はずるいですよ! ソフィアの感心全部持ってかれています!)ヒソヒソ…

カイン(だいたいなんだいソフィアは? 君の知性とアベルの瞳が遺伝したせいなのか、まるで小さな義母さんじゃないか!)ヒソヒソ…

カイン(もうその段階で半ば勝っているよね! きっと将来は僕よりも優しくて賢い子になるんだろうよ……!)ヒソヒソ…

アーシャ(ジェイド君だって、あの歳であの見た目はずるいです!? カイン様譲りの綺麗な金髪にエメリナさん譲りの優しい眼差し!)ヒソヒソ…

アーシャ(我が家は女の子ばかりですし、ただでさえ同年代の男の子の免疫ないのに! 来年には私よりもジェイド君に懐くかも……!)ヒソヒソ…


エメリナ(やっぱりカイン様達の小声でお喋りしつつも手は休めない技術はすごいなぁ……)


ジェイド「ちちうえたち、しんけんだね」ジー…

ソフィア「うん……」ジー…

205 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:57:43.29 ID:8fl/iWPk0
エメリナ「……ねえ、二人とも?」

エメリナ「将来、そうだな……大きくなったら、どうなりたい?」


カイン「!?」ガタ!

アーシャ「!?」ガタ!


ジェイド「――ふふ、ぼくをだれだとおもっているんだい?」

ジェイド「――にいさんなんかいなくても、このぼくがいればていこくはまわる!」


カイン「」ドサドサドサ!

アーシャ「おっと!?」キャッチ!


ジェイド「……ってちちうえみたいにかっこよくいってみたいけど、ぼくはまだまだなんだ」

カイン(……え?)

ジェイド「ソフィアはいろいろしっているし、きょうだいもみんなすごいから」

ジェイド「だからずっとがんばる。おおきくなってもみんなとがんばりつづけて、ちちうえとははうえをたすける!」キラキラ!

ソフィア「わたしもだよ? しらないことはたくさんあるから、いつもおかあさまにきいちゃうの」

ソフィア「おかあさますごいの。おとうさまもいつもすごいすごいってほめてて、わたしおおきくなったらおかあさまみたいになる!」キラキラ!

ソフィア「……でもおかあさまはまどうしょはよんでくれないから、よんでくれるジェイドはすごいのです!」

ジェイド「そ、そうかな……///」テレテレ

エメリナ「そうなんだ。二人とも頑張り屋さんだから、きっと大丈夫だよ?」ナデナデ

ジェイド&ソフィア「「……///」」ホクホク

エメリナ「……だそうですよ、お二人とも?」ニコニコ


カイン(うおおおぉぉぉぉぉ……! なんだこれは、夢なのか!?)ヒソヒソ…

カイン(我が子とは思えない! 僕の愚かな道化成分を、エメリナの純真さが洗い流してくれたとしか思えないっ!)ヒソヒソ…

カイン(でもジェイド、多分お前の前ではあんな恥ずかしいことは言ってない筈なんだけどなぁー……!)ガクリ…

アーシャ(……実は帝都でも、近年のカイン様は優しくなったけど何か物足りない。あの頃こんなこと言ってたのにって話題に……)ヒソヒソ…

カイン(………………それって、今後もずぅっと言われ続ける可能性あるよね?)ヒソヒソ…

アーシャ(ええ。でもよかったじゃないですか。今は帝都の人からもジェイド君からも慕われている何よりの証拠ですよ?)ヒソヒソ…

カイン(前向きに考えるしかないかぁ……。君もよかったじゃないか、愛しのアベルからもソフィアからも評価されていて)ニヤリ

アーシャ(……ええ、嬉しかったです。でも、だからこそより気を引き締めないと!)ヒソヒソ…

アーシャ(あんな真っ直ぐに育ってくれたソフィアに、私と同じ道は歩ませるわけには……///)

カイン(君が何を危惧しているか知らないけど、ジェイドが僕の二の舞になる方が遥かに地獄だよ。僕も気を引き締めよう……!)



エメリナ(頑張り屋なお二人の姿を、この子達が見ていないわけがないのに)ニコニコ

エメリナ(私ももっともっと頑張る。家族みんなで頑張って、もっと幸せになろうね……!)グッ!


206 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:58:09.40 ID:8fl/iWPk0
――

……

【帝国王城・中庭】


フローレン「……なんであなたがここにいるのかしらぁ?」

ノワール「孫の一人の付き添いですよ。こんなおばあちゃんでも頼ってくれるなんて、嬉しいわ」ニコニコ

フローレン「私だってそうよぉ! 全く、どうしてこうあなたと行く先々で遭遇するのかしらぁ……」ハァ…

フローレン「まぁ? この私とあなたの圧倒的な差を目の当たりにしたら……」

フローレン「あなたのとこの孫も、全員あたしに縋るようになっちゃうかもしれないけどねぇー?」アーハッハッハッ!

ノワール「まあ怖い。そうならないよう、私も頑張りますよ」ニコニコ

フローレン「……」

ノワール「フローレン?」

フローレン「……なんというか、あなたも随分と変わったわよねぇノワールゥ?」

ノワール「そうでしょうか?」

フローレン「そうよぉ! 昔のあなたは口数少なかったし、大人になってからも鉄面皮で面白くない子で……」

フローレン「そんなあなたが、ここ最近はずっと笑顔って……ちょっと怖いくらいよぉ?」

ノワール「……子供達、そして孫達と暮らせる平和な時間。それが、ようやく手に入ったからかもしれませんね」

ノワール「でも変わったといえばフローレン、あなたもじゃないですか?」

フローレン「……そうねぇ。認めたくないけれど、あなたの言う通りかもねぇ……」

フローレン「昔だったら、とっくに飽きてそうなことを今も続けている。子供達は玩具にしたけど……孫には、そういう気持ちがないしぃ……」

ノワール「あなたなりの、贖罪なのでしょうか? カインとキアラの相談にも乗っているのでしょう?」

フローレン「知らないわよぉ。多少変われど、私は私。死ぬまで私が興味を持ったか否かで世界は決まるのよぉ?」

ノワール「だとすれば、孫の成長に凄い興味があるのでは? カイン達にもね?」クスクス

フローレン「あーもう、相も変わらず嫌らしいわねノワールゥ! ええ、そうよぉ? 文句あるぅ!?」クワッ!

ノワール「いいえ?」ニコニコ

フローレン「……嬉しい誤算だけど、私の孫はみーんな優秀よぉ?」

フローレン「セッカは病弱じゃないアドルランみたいだし、プラチナムは落ち着きがあって冷静」

フローレン「ジェイドはもう魔導書が読めるのよぉ? 同時代のアドルランやカインよりも立派だわぁ」

ノワール「あの子達は私にとっても大切な孫ですし、それは知っていますよ?」

フローレン「血の繋がりあるんだから、わ・た・し・の孫よぉ!」

フローレン「で、そっちはどうなのよノワールゥ? この布陣を破れるかしらぁ!?」

ノワール「やれやれ、大切な孫まで争いの火種にしないでください……」

ノワール「ですが、そうですね……あなたの言う優秀の基準で言うと――」

207 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 18:59:50.18 ID:8fl/iWPk0
――

『真っ直ぐな真の貴族の子に育ってほしいと願うパトラ。娘アトラの欲は……』

13アトラ:16(も、もうちょっと我儘言ってもいいんだよ? 歳不相応な愚直な真面目さ)

――


パトラ「――ノワール様! お待たせしてしまい申し訳ありません!」ハァハァ!

パトラ「道に迷われているご老人がいたので、つい案内を……」

ノワール「気にしないで。私もついさっき着いたところですから」

ノワール「困っている人は助ける。アトラに模範を見せることができてよかったではないですか」ニコニコ


アトラ「そぼうえ、こんにちは!」ペコリ

アトラ「フローレンさま、こんにちは!」ペコリ


ノワール「ええ、こんにちはアトラ」ニコニコ

フローレン「……こんにちは」

パトラ「フローレン様もいらしたのですね。もしかして……」

フローレン「残念だけど私は私の用事がちゃんとあるわぁ。あなたの孫の面倒を見るのはノワールだけよぉ?」

ノワール「あらあら。折角だから、私が至らないところを補って貰おうかとも思ったのですが……」

フローレン「……偶々居あわせた天才を頼る気持ちはわかるわよぉ? でも……」

アトラ「……」ピシィ!

フローレン「……アトラ、あなたちょーっと真面目すぎない? そんなぴっちりして疲れるでしょぉ?」

アトラ「いえ! アリスねえさまとおなじくちちうえとははうえのなをいただいたからには、さらなるしょうじんを!」ピシィ!

フローレン「かたいかたいかたいわぁ!? セッカ達すらもうすこし緩いわよぉ!? なにがあったのよこの子!?」

パトラ「わ、私ももう少し我儘を言う子に育ってもよかったと思いはするんですよ?」アセアセ

パトラ「ただ正しい貴族はどうあるべきかなどといったことを赤ん坊の頃から説き続けた結果といいますか……」アセアセ

フローレン「私が言うのも変だけど、力抜くべきところは抜いた方がいいわよぉ……?」

フローレン「……ほら、アトラ。もう少し子供らしく笑ってみなさいな?」っアメ

アトラ「もうしわけありません。じかんがいいんしょくはきしどうにはんします!」ピシィ!

フローレン「パトラァ!? おやつくらい許してあげなさいよぉ!? あと騎士道は絶対関係ないし、真面目に何かが混同されてなぁい!?」

パトラ「その、まだアトラも小さいですし」アセアセ

フローレン「そこだけ子供扱いしなぁい!」

ノワール「……どうです? 優秀な子だと思いませんかフローレン?」

フローレン「優秀が過ぎるというか、英才教育も行き過ぎると毒になるって学べたわぁ……」ハアァ…

フローレン「そういえば、パトラの両親もかなり突き抜けた貴族らしいし、そういう血なのかしらねぇ……」

パトラ「誇りは持っていますが、返す言葉はございません……」

208 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:00:22.71 ID:8fl/iWPk0
フローレン「まったく……」スッ…

フローレン「アトラ、よぉく覚えておきなさぁい?」

アトラ「?」

フローレン「人からの厚意は、時に素直に受け取ることも大事。ましてやこの天才からなんて滅多にない幸運よぉ?」

パトラ「そうですね。アトラ、ここはフローレン様のご厚意に感謝して頂きましょう」

アトラ「……はい!」

アトラ「フローレンさま、ありがとうございます!」ニパ!

フローレン「……っ!?///」

フローレン「そ、そう。それでいいのよぉ?」サッ

アトラ「あまぁい……♪」コロコロ…

パトラ「ありがとうございます、フローレン様」ペコリ

フローレン「別にいいわよぉ飴玉の一つくらい。それより、ノワールの方の用事をさっさと済ませなさいな」

ノワール「おっとそうでしたね。今日はどのお勉強にしようかしら……」

フローレン「なによぉ、本当に教育熱心ねぇ……飴玉一個で報われる労力じゃないわよ多分?」

ノワール「ああ、大丈夫ですよフローレン。そうお堅い勉強ではありませんから」

パトラ「一般的な勉強は、私以外にもアーシャさん達が手伝ってくれるんです。最近はカインさんにも」

フローレン「ふふ、カインもどんどん成長しているから、当然よねぇ? でもそれじゃあノワールは何を?」


ノワール「――昔アベルにも教えた、食べられる草のお勉強です」

パトラ「――万が一家が没落した時も、アトラには折れず逞しく育って欲しいんです……!」グッ…!


フローレン「もう逞しいと思うんだけどぉ!? もしかしなくてもこの庭の草を食べるつもりだったのぉ!?」ガーン!

フローレン(……セッカ達も、もう少し甘やかしてあげた方がいいかもしれないわぁ……)



タタタタタタ!



パトラ「あら?」

フローレン「はっ!? 色々振り回されて私の本来の目的を見失うところだったわぁ!?」

ノワール「なるほど、フローレンは――」

209 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:00:50.30 ID:8fl/iWPk0
――

『お母さんも初恋の人も最愛の人もみんな巨乳。そんなマックスの息子アルへの遺伝具合は……』

14アル:92(がっつり遺伝というか父親越え。大きなおっぱいに吸い寄せられちゃう!)

――


タタタタ!


アル「おばあちゃーん!」モニュン!

ノワール「おっと。今日も元気ですねアル」ナデナデ

アル「えへへー///」スリスリ


タタタ!


マックス「はぁ、はぁ! すみませんノワール様ぁぁぁ!?」ズザー!

キアラ「こら、アル。いけませんよ、いきなり走り出すこともですが人様に飛び込むこともですね……」

フローレン「相変わらずねぇ、あなた達もアルも……」ヒキヒキ…

マックス「ひへああぁぁぁ!? お義母様も申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!?」ガバ!

フローレン「おばあちゃんは、私だって教えたでしょうアルゥゥゥゥゥ!?」

アル「もう一人のおばあちゃんおっぱい小さい」

フローレン「」ゴボァ!


パトラ「………………」ゴゴゴゴゴゴ!

マックス「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!? 痛い痛い、ゆっくり脇腹を抓り上げないでくださいパトラ義姉様ぁぁぁ!?」

パトラ「マックス、あなたねぇ……」ミチミチ…

キアラ「パトラさん、マックスさんは悪くないんです。私がちゃんとアルを叱れないから……」


アル「あっ! パトラお姉ちゃんもいる! わーい!」ピョーン!

パトラ「なっ!?///」モニュン!

アル「……! おばあちゃんより、もっとおおきい///」スリスリ…

アル「おばあちゃんより上で、お母さんやシアお姉ちゃんより下かなぁ……///」スリスリ…


マックス「」

キアラ「」


ゴイン!


アル「いたぁっ!?」バッ!

アトラ「またですかアル! ははうえやおばさまたちをこまらせてはいけません!」ピシィ!

アル「な、なんだよぅ! ぼくの方がおにーさんなんだぞぉ……!?」プルプル

アトラ「きりつあるきぞくにねんれーはかんけいありません!」

アトラ「あとでアリスねえさまにもいいます! そこにせいざ!」

アル「」ガタガタ…

フローレン「……アトラが堅い理由の一端を担っていそうで頭痛いわぁ……」

マックス「本当に申し訳ありません……」フカブカ…


210 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:01:19.19 ID:8fl/iWPk0
……


フローレン「今日は予定よりも厳しくお勉強するわよぉ!? まず胸は脂肪の塊! 萎むのぉ!」クワッ!

ノワール「いけませんよフローレン。小さい子には、もっと丁寧に優しく教えないと」

アル「やっぱりこっちのおばあちゃんのほうがいいー///」モニュン!

フローレン「この子に関しては厳しさが正解よぉ! この前なんて大人しいプラチナムからすら怒られてたのよこの子!?」


……


パトラ「……子育ては大変。それは私もわかっているつもりです」

パトラ「ですが、今の内にしっかり教えないと駄目なこともありますからね?」

マックス「俺もキアラちゃんも、注意しているんですけど……」

キアラ「アルはマックスさんに似て、随分と活発な子に育ってしまって……」

マックス「一応はアルも、大人しい時はちゃんとしているんですよ」

パトラ「ええ、それは知っています。アルは他の子よりもお兄さんだし、本人もそれを理解している」

キアラ「皇族の一人として、そして兄として……お勉強も嫌がらずに真面目にしているんです」

マックス「アリスちゃんの真似して、鍛錬も始めたり……ほんと、妙なところは真面目なんだよなぁ」

パトラ「……それは、二人の子供だという証とも言えるわ」

マックス「え?」

パトラ「キアラさんの真面目さや優秀さは今更説明不要でしょう。そしてマックス、あなたも根っこではそうだったでしょう?」

パトラ「……まあ、あなたの唯一の欠点でもあった欲望に正直過ぎる面が色濃いのが悲しいですけど」ヤレヤレ

マックス「父さんに見せた瞬間、我が孫に間違いないって叫ばれましたからね……嫌な遺伝ですよほんと」トオイメ

キアラ「お母様もこうして偶にアルの面倒を見てくれるんだけど……」チラ…


フローレン「父親のせいにしちゃ駄目よぉ!? 遺伝は嘘! でなければなんでキアラだけじゃなくてフィーアまでぇええああえぁぁぁ!」グルグル…

ノワール「フローレン、脱線していますよ……?」

アル「フィーアっぱい!」キラキラ!


マックス「正直、我が子ながらに俺以上にやばいってのはわかりますよ……」

マックス「今はまだかろうじて身内の胸にしか飛びこまないですけど、悪化して街中の人にまで飛びこんだら……」ブル…

キアラ「お部屋に籠ってお勉強しても、私の胸に飛び込んできちゃって、あまり効果が無かったし……///」

パトラ「……マックスの血が濃いなら、きっと最後には真面目な子になってくれる筈よ」

パトラ「あ、そうだ。今度、アベルさんも交えて子育て悩みを言いあうとかどうかしら? 何か共感できたり参考になることがあるかも」

マックス「いいですねそれ! というか、本当にアベル義兄さまは兄様って崇め慕いたいですよ……」

マックス「色々な人に迷惑かけて、協力して貰って、それでいて子供一人育てるのってこんな大変なんですよ?」

マックス「それをあの人、奥さん達も子供達もしっかり面倒みながら公務もこなしてるって、同じ人間とは思えませんよ」

パトラ「ふふ、アベルさんは私達の自慢の旦那様ですもの♪」

キアラ「でも本当にアベル義兄様、いつも大変なのにアルのこと相談しても大丈夫でしょうか?」

パトラ「アベルさんなら大丈夫ですよ。あ、でも今日は難しいですね。この時間だと――」


211 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:01:49.02 ID:8fl/iWPk0
フローレン「――から、あなたにもこの世で最も優れた男の血も流れているのよぉ?」

フローレン「あの人の血を引いてるからには、動じず待ち構える姿勢は大切なの。わかるかしらぁ?」

アル「おじいちゃんの、ち……」

アトラ「わたしにも、ながれている?」

ノワール「ええ、そうですよ。勿論、お父さんとお母さんの方が色濃いとは思いますけど……」

フローレン「しかもこの天才の血も流れている最強の遺伝子……」

フローレン「……」

フローレン「……あなたのお母さん、キアラも……かなり遅咲きだったけど、それを証明してみせたわぁ」

フローレン「だから、アル。あなただってその気になればセッカにプラチナム、それにジェイドにだって負けない――」





アル「お母さん、このまえお父さんに負けてたよ? ベッドの上でもうだめーって」

アル「お父さんのほうがつよいなら、お父さんのまねをしなきゃ!」エヘン!





フローレン「………………」バチバチバチィ!

ノワール「………………」ヒュオオォォォォォ!

アトラ「!?」ビクゥ!



マックス「」

パトラ「…………」チラ…

キアラ「あぅ、あぅぅ……っ!?///ち、違うんです!? あ、あれは……///」カアァァァァ!

マックス「いや、俺が悪いんだ……! 俺が、俺が我慢できなくてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」ドゲザ

パトラ「…………仲がいいことは良いのですけどね」アタマオサエ

パトラ「とりあえずマックス、この後は久々に私と一緒に汗を流しましょうね?」ポン

マックス「お願いします……」ガクリ…



……


――

212 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:02:24.38 ID:8fl/iWPk0
――

【帝都・商店街】


ザワザワ…


アベル「っと……流石に混んでいるな」

アベル「今日はあまり遠出ができず、この辺りが限度だが構わないか?」

シア「勿論ですよ〜」ポヤポヤ

ロウル「アベルさんとのおでかけは、どこでも楽しいですからねぇ」パタパタ!

シア「今日はこのあとおやつを買って〜」ワクワク

ロウル「子供達の新しい服を作る為にも、布も補充したですねぇ」ワクワク

アベル「ああ、わかった」



ザワザワ…



帝都民1「アベル様だ……今日は、あのお二人とご一緒なのか」

帝都民2「あの人、毎日あちこち動いてないか?」

帝都民3「公務に警邏に家族との時間ってわけているって話だが……お休みになられているのか?」

帝都民1「前は一夫多妻羨ましいって思ったけど、アベル様見ていると無理だって思うよ」

帝都民2「ああ……俺だったら仕事か家庭のどっちかがすぐに崩壊する自信あるよ」

帝都民3「でも、やっぱ羨ましいよなぁ……///」


シア「ふんふん〜〜♪」

ロウル「ふふ〜ん♪」


ザワザワ…


帝都民3「奥様方はみんな超絶美人で、それにあの幸せそうな雰囲気!」

帝都民2「見た目も性格もみんな違うし、本当によりどりみどりだよなぁ」

帝都民1「しかもあのキアラ様とフィーア様が妹だからな。隙が無いぜ……」

帝都民3「ああ。だけどそれ以上に……」チラ

213 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:02:55.70 ID:8fl/iWPk0
――

『魔法で補助していたけど、元はのんびり鈍足な運動音痴シア。娘オリヴィエは大丈夫なのか……』

15オリヴィエ:69(のんびり屋だけれど、動く時はお母さんよりも少し活発に動けます)

『なかなか素直になれなかったロウル。娘フェリは素直に育ってくれるといいけど……』

16フェリ:90(素直を通り越してもの凄い甘えん坊。娘達の中でも一番べったりな子に)

――


オリヴィエ「おとうさ〜ん、まって〜」テテテテ!

アベル「ははは、落ち着けオリヴィエ。置いてなんかいかないから安心しろ」ヨシヨシ

シア「迷子は怖いですし、お父さんと手を繋ぐといいと思いますよ〜?」

オリヴィエ「は〜い」ギュッ…

フェリ「あっ! ずるい〜、わたしもパパとおててつなぐの〜!」パタパタ!

アベル「わかってるわかってる。ほらフェリ、離すんじゃないぞ?」スッ…

フェリ「ん、パパのてだいすき〜……///」パタパタ

ロウル「おうおう、両手に華ですねぇアベルさん。可愛いお嫁さん達に可愛い娘達……」

ロウル「男としてこれ以上の幸せはないんじゃないですか〜?」ウリウリ

アベル「あぁ。まさか俺が、こんな時間を過ごせるとは思ってもみなかったよ」

ロウル「む、むぅ……/// そう素直に返されると、こっちまで恥ずかしくなるじゃないですか!///」

シア「ロウルさんもフェリちゃんみたいに、もっと甘えればいいのに〜」ポヤポヤ



帝都民3「いいよなぁ……子供って///」ホッコリ

帝都民2「俺も娘からあんな風に甘えてほしいよ……」

帝都民1「本当にアベル様になついているんだな。尻尾があんなに揺れているよ。毛並みいいなぁ」


ロウル「!」ピクン!


ロウル「そうでしょう!?」ズザザザ!

帝都民達「「うおっ!?」」ビク!

ロウル「そう、フェリは凄いんですよ! 見てくださいよまだこの小ささでこの毛の艶と輝き、そして柔らかさ!」

ロウル「この数年で私以外の獣人とも結構会いましたけど、フェリのは圧倒的! ここまでの毛並みは見たことがありません!」

ロウル「それに私に似て感覚も鋭いですから、もう将来の副官の座も決まったようなものですし!」

ロウル「しかもお父さんから腕っぷしのよさと氷の魔力まで継いでいるんですから、もうお母さん超えは確定ですね!」

ロウル「将来は周りの目を気にしなくてもいいくらい立派な子になって欲しいって、願いを込めて名付けましたけど……」

ロウル「あ、キアラ様の本に載っていた想像上の狼なんですけどね? 凄く強い氷の狼の名前から取ったんですよ!」

ロウル「それがどうですか!? 将来を待つ前からこんな凄くて可愛いだなんて、我が子ながら恐ろしい子ですよまったくぅ♪」クネクネ!

帝都民達「「」」

アベル「……ロウル、気持ちはわかるが落ち着け」

シア「皆さんロウルさんの勢いに押されてかたまっちゃっていますよ〜?」

ロウル「だってぇ……実際にフェリはすごくてこんなに可愛いんですよ?」ナデクリナデクリ

フェリ「えへへ、ママのてもだいすき〜///」パタパタ!

ロウル「ああっ、もう/// 悩んでいた私本当に馬鹿みたいです! 産まれてきてくれてありがとうフェリッ!」ムギュー!

シア「ロウルさん、本当に嬉しそうです〜」

214 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:03:27.43 ID:8fl/iWPk0
シア「でも、私も気持ちはわかりますよ〜? オリヴィエも私の願い通り、のんびり優しい子になってくれましたもの〜」ホクホク

アベル「そうだな。俺の娘達はみんな妻に似たのかみんなにそっくりないい子ばかりだ」

オリヴィエ「いいこ〜?」

シア「ええ、とってもですよ〜♪」ナデナデ

アベル「……フェリだけは、ロウルに似ず随分と甘えん坊だがな」

ロウル「それだけフェリが凄いってことですよぉ♪」パタパタ!

アベル(やれやれ……気がついているか、ロウル?)

シア(その嬉しそうな姿はそっくりそのままフェリちゃんですよ〜?)

ロウル「まあでも、私の拗れた部分を継がなかったのは本当によかったですよ」

ロウル「その点オリヴィエちゃんはシアさんの血が濃いですよねぇ」

アベル「というより、娘全員俺の部分はあまり出ていない気もするんだが……」

シア「そんなことないですよ〜? いい子ばかりなのはアベルさんの血と教育のおかげですよ〜」

シア「それにこの綺麗な紫の瞳もアベルさん譲りで大好きです〜♪」

オリヴィエ「ん〜?」トローン…

ロウル「あはは。まあ鋭さは無く、シアさんよりもとろんとしてますけどねぇ」

シア「……でも、おやつを出すと〜?」サッ!

オリヴィエ「!!」シュバッ!

ロウル「あっ! 一瞬だけ眼光がアベルさんそっくりになりましたよ!?」

フェリ「オリヴィエ、おやつとるのいつもわたしよりはやいの!」

ロウル「なっ……フェリの反応速度以上だなんて、甘い物に対する執念もアベルさん譲りですか!?」

アベル「待て待て、何故俺由来のものになる! 甘味への欲の強さはシアの方だろう!?」

シア「その言い方にはちょっと疑問がありますよ〜!?」


パキン!


オリヴィエ「はい。フェリにもはんぶんこ〜♪」

フェリ「わーい! オリヴィエありがとうー!」パタパタ!

ロウル「……子供達の方が、私達よりもある意味大人かもしれませんね///」

アベル「だな……///」

シア「本当に優しい子に育ってくれて、嬉しいです〜……///」

フェリ「……!」ピョコン!

フェリ「パパたちも、おやつたべる?」

ロウル「ん゛うぅぅぅぅ!///」パタパタパタ!

シア「フェリちゃんの優しさにロウルさんが痙攣しています〜!?」ガーン!

アベル「だからロウル落ち着け! 嬉しいのはわかるんだが……」



帝都民達「「」」



アベル「……このままでは俺達の威厳が地の底だ///」

ロウル「」

シア「」


……

――
215 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:03:56.89 ID:8fl/iWPk0
――

……


ロウル「うぅ、恥ずかしいです……///」

アベル「だから落ち着けと言ったんだ」

アベル「まあ、俺達の威厳なんてとっくに無くなっているだろうし、今更ではあるか」

ロウル「ど、どういう意味ですかそれぇ!?」

アベル「ロウルはついさっき、フェリの可愛さを興奮しながら語っていたじゃないか」

アベル「内容が事実であれ、あの勢いで詰めよれば親馬鹿と呼ばれても仕方がないだろう?」

シア「わ、私は〜!?」ワタワタ

アベル「……王国協賛、帝国甘味大会」ボソリ

シア「!?」ビクン

シア「な、なんのお話でしょうか〜?」アセアセ

アベル「……オリヴィエ、お母さんがこっそりもってきたお菓子は美味しかったか?」

オリヴィエ「おいしかった〜♪」

ロウル「シアさん、またこっそり大会出てたんですね……」

アベル「以前とは立場も変わっている。俺のところにも報せが来るのは当然だろう?」

シア「あ、穴があったら入りたいです〜……」プルプル…

アベル「……それも含めて、あまり気にするな」

ロウル&シア「「え?」」

アベル「下手に威厳を振りまくよりも、ありのままの姿を見せた方が……きっと子供達にも慕ってもらえるだろうしな」

アベル「さ、少し表通りを外れるが買い物の続きにいこう」

ロウル「そ、そうですね!」

シア「この道なら、みんなで手を繋いで横になっても大丈夫でしょうか〜?」

アベル「そうだな。ここならそれもできるか。よし、フェリ、オリヴィエ」サッ

フェリ「こんどはこっちのおててにぎるー!」ギュッ…

オリヴィエ「わたしはこっち〜」ギュッ…

シア「それじゃあ、私は空いた手を〜」ギュ

ロウル「あはは、流石にこれは帝都じゃ難しいですねー///」ギュ

シア「お買いものはどこから行きます〜? あ、折角だから皆さんにもお土産買っておかないと〜」ポン

ロウル「そうですねぇ。特に今日はアリスちゃんとエリスさんくたくたでしょうし……」

アベル「ああ、念の為にティアも同行を買って出てくれたんだが……」

シア「だ、大丈夫でしょうか〜……?」


……

――
216 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:04:23.90 ID:8fl/iWPk0
――

【帝都・鍛錬場】



帝国兵1「おらぁっ!」ブオン!

帝国兵2「うおっと!?」ギィン!

帝国兵1「へへっ、勝負ありだな」チャキン!

帝国兵2「ってー……また強くなったんじゃないかお前?」

帝国兵1「まぁな。むしろお前こそ、今の一撃は防いできそうなもんだが……」

帝国兵2「その前の無理に防いでから、ちょっと腕痛めてんだよ」

帝国兵2「なさけねえが……いいこともあるな///」ニヤニヤ…


ティア「だ、大丈夫ですか?」パタパタ!


帝国兵2「おぉ、ティアちゃん悪いな! ちょっとこっちの腕が……///」デレデレ

ティア「ここですね。ちょっと待っててくださいね」パアァ!

帝国兵2「あぁー……ティアちゃんの癒しの力が染み渡るわぁ……///」デレデレ

帝国兵1「お前なぁ……」ハァ…

ティア「はい、これで大丈夫ですよ。無茶はしないでくださいね……?」

帝国兵2「おう!///」デレデレ

帝国兵1「なぁに気の抜けた顔してんだ。アベル様にどやされても知らねえからな?」

ティア「だ、大丈夫ですよ。アベル様はとてもお優しい方ですもの」

帝国兵1「……確かに、本来ならアベル様の妃であるティアちゃんにも相応の敬意を払うべきところだ」

帝国兵2「それを昔どおりに接することも許してくれたのは、俺らからすると本当ありがたいんだよな〜」

帝国兵2「アベル様と結婚して、ティアちゃんが一気に遠い存在になった感じしたしさぁ……」

ティア「いえ、私は何も変わっていません。アベル様に救われた、ただの衛生兵の一人ですよ?」

帝国兵達((ますます美人になってるし、回復速度も上がってるのになぁ……))

ティア「相変わらず体力も無くて……鍛錬に私まで混ざって、お邪魔ではないでしょうか?」

帝国兵2「全然全然! ティアちゃんと一緒に走り込みできるなら、俺は帝都何週でもできるね!」

帝国兵1「アベル様やアドルラン様流の鍛錬やったら、ぶったおれかねないもんなぁ……」

ティア「小さなことからこつこつと。はやく、皆さんに並べるだけの体力がつくといいなぁ……」

帝国兵2「まあ、俺らでよければいつでも鍛錬に付き合うから、遠慮なく声をかけてくれよな!」

帝国兵1「それは俺らが言う言葉ではないだろうに。さっきみたいに回復の世話にもなりっぱなしなんだから」

帝国兵2「そ、それはそうなんだけどな。ところでティアちゃん?」

ティア「なんでしょう?」

帝国兵2「今日は、アリアンナちゃんは?」

ティア「アリアンナは――」


217 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:04:50.88 ID:8fl/iWPk0
――

『時々想いが暴走しちゃうティア。彼女のそれは母譲りだったが、娘アリアンナは……』

17アリアンナ:18(ティアの本来の心優しさのみ継承。でもお母さん以上に人見知りかも?)

――


アリアンナ「……あ」ピクン!


ティア「……あそこの木陰ですね」

帝国兵1「あー、まだ心を許して貰えないか」

帝国兵2「いや、この前会った時より木一本分前に来てくれてるぞ!」グッ!

帝国兵1「なぁ、やっぱり俺らがティアちゃんになれなれしいのが原因なんじゃないか?」

帝国兵1「アベル様が認めてくれているとはいえ、傍からみたら俺ら命知らずの不敬者だし……」

帝国兵1「さらにアリアンナちゃんから見たら、お母さんが知らない男と話しているって不味い現場のような……」ダラダラ

ティア「い、いえアリアンナが人一倍人見知りというか、照れ屋さんなだけです……」

ティア「おうちでは、みんなとも仲良く遊んでいるんだけどなぁ……」

帝国兵2「そりゃあ家にはアベル様に美人な嫁さんと可愛い姉妹が沢山いるわけだろう?」

帝国兵1「いかつい俺らとじゃ、天と地程の差があるよなぁ……」


アリアンナ「うぅ……」ジリ…


帝国兵2「でも、ちょっとづつこっちに近寄ってきているような……?」

帝国兵1「俺達に慣れようって気持ちは持ってくれているんだよなぁ……ティアちゃんに似て、いい子だよ本当」ウンウン

ティア「私も、人前はあまり得意ではないから、そこが似てしまったのかもしれません」

ティア「でも流石にあそこまで臆病だと、今後に支障が出てしまうかもしれませんよね……」

ティア「ちゃんと優しい人達なんだって、教えてあげないと」スク…

帝国兵達「「……へへ///」

ティア「アリアンナ? この人達は大丈夫。だから、こっちへいらっしゃい?」ニコリ


アリアンナ「おかあさま……」オズオズ…

アリアンナ「…………」

アリアンナ「……」トコトコ…


帝国兵1「……やばい、可愛い/// ちっちゃいティアちゃんみたいだ///」

帝国兵2「……アリアンナちゃん大きくなったら、俺と結婚してくれないかなぁ///」


ゴス!


帝国兵2「いってぇ!?」バッ!

ネスト「はいはーい、馬鹿な発言は控えておこうなー?」ヒラヒラ

帝国兵2「てめ、ネスト! 何するんだよ! アリアンナちゃんが怖がったらどうすんだ!?」

ネスト「おっとそれは確かに。でもな?」

ネスト「――今の発言、アベル様に聞かれてたら命の保証できないから気をつけろ? あの人、娘全員溺愛してるからな……」ヒソヒソ…

帝国兵2「お、おぅ……」ゴクリ…

218 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:05:18.80 ID:8fl/iWPk0
ティア「ネストさん、お疲れ様です」

ネスト「お疲れ様でーす。いやぁ、六妃の一人がこんなむさ苦しいところにいるってのも凄い話だよほんと」

ティア「み、皆さんもあちこちに出払っていると思いますよ?///」

ネスト「はは、確かに。アベル様もみんなも、従来の皇族の柵とかは気にしてないってのは大きいよね」



アリアンナ「……こ、こんにち、は?」プルプル

帝国兵1「おぉ……っ///」フルフル

帝国兵1「こんにちはアリアンナちゃん。俺はね……」


帝国兵2「あぁー! てめ、俺がちょっと目を離した隙になに抜け駆けしてんだ!?」



ネスト「で、今日はどうしたのさ。アリアンナちゃんも連れて鍛錬は流石に無茶だと思うけど」

ティア「その、私はいざという時の備えです。大丈夫だと思うけど、エリスさんとアリスちゃんが怪我をした時のために……」

ネスト「……」

ティア「さ、流石にこの奥には踏み込めないので、待っている間にここで兵士の皆さんに混じったり回復したり……」

ネスト「はぁ……無茶はしていないようでよかったよ」

ティア「ネストさんはどうしてこちらに?」

ネスト「……アベル様からの指令。同行を申し出てくれたけど、やっぱりティアちゃんのこと心配なんだってさ」

ティア「アベル様……///」ジーン…

ネスト「いや、俺もその気持ちすごいわかるわー……だってあのティアちゃんがだよ?」

ネスト「帝国兵の集まる鍛錬所にいるってだけでも不安だけど、あの人の傍に自ら近寄りそうなことをするって……」

ネスト「本当、大丈夫? 俺以外の面子も来てるし、今からでも代わろうか?」

ティア「ありがとう、ネストさん。でも、大丈夫です……」

ティア「まだ直接相対したり、鍛錬の様子を眺めることはできないけど……いつかは必ず」

ネスト「……君も強くなったねぇ」

ティア「アベル様のお傍に、ずっといたいですから……///」

ネスト「おお熱い熱い。それじゃ、俺達もここで待機しておくかー。あ、アリアンナちゃんとも遊んでいいかな?」

ティア「は、はい! きっとあの子も喜ぶと思います!」

ネスト「よしきた! ――お前達!」


斥候部隊「「子守りは任せろ!」」シュバッ!


アリアンナ「ひぃっ!?」ガクブル!

帝国兵1「あ、馬鹿かお前達!?」

帝国兵2「そんな塊で一斉に来たらアリアンナちゃん怖がるに決まってんだろ!?」


斥候部隊「「」」

ネスト「……俺達が、任務を、しくじっただと……!?」

ティア「うーん、アリアンナの人見知り、アベル様にもご相談した方がいいかなぁ……?」


……

――
219 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:05:48.40 ID:8fl/iWPk0
――


【帝都・鍛錬場奥地】



キィィィン!


ガキン!


ドゴォ!



ギルバート「ぬうっ!」バッ!

エリス「くっ!」バッ!


ギルバート「やりおる。また腕を上げたようだなエリスよ」チャキン

エリス「いえ、まだギルバート様の足下にも及びません……」チャキン

ギルバート「ふっ、我は更に高みを目指す。そうそう抜かれるわけにはいかぬ」

ギルバート「しかし誇れエリスよ。お前は間違いなく、帝国が誇る最強の剣よ……」

エリス「お褒めの言葉、ありがとうございます。ですが私も、より高みを目指さなければならないのです」

エリス「私はアベルさんの剣であり、妻であり……」


アリス「……」ジー…


エリス「この子の、母親なのですから!」

ギルバート「ふははは! メイドに拘りがあったお前がどう変わるのか少し気になってはいたが……」

ギルバート「なるほど、子を得ることで母の強さを手に入れるか。フローレンが持ちえなかった強さでもあるな……」

エリス(……実はアベルさんの前では今もメイド服を着たりすることは黙っておきましょう)

ギルバート「あの日、お前達に敗れ……キアラの願いで、今日まで我は生き延びてきたが……」

ギルバート「……今であれば、言える。この時を過ごせているということに、感謝するぞ」

エリス「ふふ、それは是非キアラ様やフィーア様にお伝えください」ニコリ

ギルバート「……そうだな。キアラも魔法の才だけでなく教育の才まで開花させた」

ギルバート「息子のアルは未だ未熟ではあるが……光るものはある。いずれあやつとも鍛錬をしてみたいものよ」

ギルバート「それにフィーア……やはり我の見込んだ通り。つくづく、我が子や孫達は我を楽しませてくれるわ……!」ククク!

エリス「……」

ギルバート「……だが、それ以上に我を昂ぶらせるは――」

220 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:06:19.48 ID:8fl/iWPk0
――

『ギルバートも興奮する才の持ち主アリス。アベルとエリスの血を継ぐ彼女の戦闘スタイルは……』

18アリス:50(どちらにも偏らない完璧な『二刀流』。幼い身ながらに、戦況に合わせて戦い方を変えられます)

――

ヒュォッ!


エリス「っ!?」バッ!


アリス「……っ!」サッ!


ギルバート「ふふふ、良い反応だぞアリスよ……!」

アリス「おじい様、ありがとうございます」ペコリ

エリス「ギルバート様っ! いくら小石でも、あなたの腕力で投げつければ怪我ではすまないのですよ!?」ハラハラ

ギルバート「案ずるな。我も加減は心得ておるわ」

ギルバート「それよりもエリス。お前は気がついたか?」

エリス「え?」

ギルバート「我がアリスに石を投げた時、お前は剣を抜きそれを切り捨てようとした」

ギルバート「確かに、お前の反応速度であれば出来るであろう。だがアリスは、回避を選択した」

ギルバート「先程まで、間近で我とお前の模擬戦を熱心にみていたこやつが、だ」

ギルバート「子供であれば、親の真似事をすることも多い。だがアリスはそれをしなかったのだ」

ギルバート「己の今の力量を理解し、冷静に対処する……これはどちらかといえば、アベルの血か?」ククク…

ギルバート「良い、良いぞ……! まさかその歳で既にこの域とは、今後も成長が楽しみよ……!」

エリス「アリスを害するつもりなら、私もこの身を賭してお相手しますからねっ!?」プンプン!

エリス「アリス、大丈夫だった?」ドキドキ

アリス「だいじょうぶです、お母さま。お父さまは言いました。にげることははじではないと」

アリス「今はかてずとも、いつの日か。お母さまのように石もきれるようになってみせます」

アリス「わたしはお父さまとお母さまのむすめで、みんなのお姉さんなのですから!」

アリス「たんれんはうらぎらない、ですよねお母さま? いつかお母さまやお父さまをたすけられるくらい強くなります!」フンス!

エリス「あああぁぁ……! 嬉しいのに、今になって自分の発言を後悔しそうです///」

エリス「私はあなたに、もっと平和で穏やかな時間を過ごして欲しかったのに……」

アリス「お父さまとお母さまといっしょにいるときはすごくおだやかですよ?」キョトン

エリス「んうぅ……/// そうではなく……」

ギルバート「ふはははは! 血は争えぬか。野心を抱き我を下そうとしたアベルに、それに忠誠を誓い鍛錬を怠らなかったお前の子だ」

ギルバート「アリスは必ずや、我を満足させるに足る立派な強者になろうぞ!」クワッ!

エリス「うぅー……」ガクリ…

ギルバート「それに、エリスよ。お前自身もわかってはいるのだろう? わかっているからこそ、お前は今も強くなろうとしている」

ギルバート「そして、鍛錬の様子をアリスに見せている。現実から目を背けさせていない……」

エリス「……」

221 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:06:51.71 ID:8fl/iWPk0
――

19『おまけ・現在の帝国の『海』の攻略具合』

50>30(漁はできるが、まだ未知の大陸を求めての大航海は難しい)

――


ギルバート「……この世は、広い」

ギルバート「我はお前達に敗れたが……その後、海でも敗北を喫した。完敗と言っても相違ないだろう」

アリス「おじいさまが、まけた……?」

ギルバート「お前の母は、海すらも己が戦場として戦えそうだがな。問題はそこではない」

ギルバート「海は強く、そして王国領よりもさらに広大だ。我が海を完全に克服したとして……攻略は未だ難しかろう」

エリス「王国や聖国の協力もあり、今は造船業も発展してはいますけど……」

ギルバート「あの程度の船、嵐がくればすぐに崩れる。白帝の翼で飛ぼうとも、餌が無ければ奴の体力が先に無くなる」

ギルバート「海の先に何があるのか。何もないのか。それは誰にもわからぬ。だからこそ、この先何が起こるかもわからぬ」

アリス「……?」

ギルバート「よいか、アリス。これだけは覚えておくがいい」

ギルバート「――たとえこの世が実力主義でないとしても、自らを高めることだけは努々忘れるな」

ギルバート「もしかすると、海の先には我がまるで歯が立たぬ強者がいるかもしれぬ」

ギルバート「そうでなくとも、意思無き海の荒波は、どれだけ懇願しても慈悲の心を見せることはない」

エリス「……そうですね。それは、他の災害や魔物達にも言えることです」

エリス「確かに、私達は強くなりました。それでも、完璧ではないんです」

エリス「……大切なものを守りたい。そう思うことは、みんなできます」

ギルバート「だが、それを実現できるかは個々の力よ。野心を持ったにせよ、やはり力を伴わなければ実現はできぬ」

ギルバート「お前の父や母達は、それを怠らなかった。故に我を打ち倒し、こうしてお前や姉妹たちは今存在するのだ」

ギルバート「お前が平穏な時を望むにしても……家族を守りたければ、強くあれ」

ギルバート「日々自らを高め……そしていつの日か、我に挑むがよい」ニィ…

アリス「はいっ!」

ギルバート「くく、実に楽しみなことよ。では明日からは毎日我と――」

エリス「……」

エリス「確かに、何かを守るためにも成し遂げるためにも、力は必要。それは私もわかります」


エリス「――でも、その力は学力も含まれていますよね?」


ギルバート「!?」ピクン!

エリス「なんだか今のギルバート様を見ていると、これからどんどんとアリスを鍛錬漬けにしそうな雰囲気でしたけど……」ジト…

ギルバート「う、うむ。お前のその強さも日々の鍛練――」

エリス「私はアベルさんの為に、他のことも頑張っていました! お掃除にお料理は勿論ですが、お勉強もです」

エリス「まさか、はやくアリスと戦いたいからと本当に鍛錬ばかりなさるおつもりですか?」ジトー…

エリス「アリスはまだ小さいんです。この頃は、お勉強もとっても大切な筈ですよ!」

アリス「はい。ソフィアやアトラも、おべんきょうがんばっています」

エリス「ですよね? お聞きになった通りですのでギルバート様、鍛錬はまだ月に数回程度で大丈夫です」ニコリ

ギルバート「ぬ、ぬぅぅ……」ガクリ…


……

――
222 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:07:20.15 ID:8fl/iWPk0
――


【帝国・アベルの城塞】



アベル「ふぅ、今戻ったぞー」


アーシャ「あら、お帰りなさいアベル。もうすぐ夕飯の用意もできますよ」

パトラ「きょ、今日は私も少しだけ作ってみましたので、後ほど感想を頂けると……///」ドキドキ…

アベル「ああ、楽しみにしているよ。そっちはどうだった?」

アーシャ「ふふ、それはね……?」チラ

ソフィア「おとうさま、おとうさま! わたしもまどうしょがよんでみたいです!」ピョンピョン!

アトラ「ちちうえ! きょうはフローレンさまからあまいあめをいただけました! あ、あとアルがまた……!」

アベル「その様子だとジェイドに触発されたか? わかった考えておくよ」ナデナデ

アベル「そしてアルはまあマックスの子だし仕方がないとして……フローレンが?」ビックリ

パトラ「その、少しアトラが堅すぎるとご指摘を受けまして……///」

アベル「……なるほど、頑張ったご褒美みたいなものか。確かにアトラは物欲もないしなぁ……」

シア「はいは〜い♪ それなら大丈夫〜! 今日は甘いものを材料以外にも沢山買って来ましたよ〜」ドサ!

オリヴィエ「みんなでわけっこしましょ〜♪」

アトラ「……」ゴクリ…

フェリ「もー、アトラったらもっとよろこびなよー? パパやママにオリヴィエもえらんだんだよー?」

アトラ「う、うん……///」

ロウル「ふふ、アトラちゃんも今しっかり喉を鳴らしていましたし、やっぱり実は我慢してたんですかねぇ?」

ロウル「駄目ですよー我慢のし過ぎは。もっと自分に正直に生きないと!」パタパタ!

アーシャ「あら、いい尻尾の揺れ具合。ロウルちゃんも今日のおでかけで素直になれたのかしら?」クスクス

シア「ふふ、実はですね〜?」ニコニコ

ロウル「そ、そう! 実は帝都でもフェリの可愛さが圧倒的に帝都の人の注目の的で! アドルラン様の政策にも感謝ですよぉ!」アセアセ

アベル「ああ、そうだな」クスクス

ソフィア「わたしたちも、フェリはだいすきです!」

フェリ「……///」パタパタ!

アーシャ「ふふ、楽しい一日を過ごせたならなによりだわ」

223 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:07:48.90 ID:8fl/iWPk0
パトラ「ところで、エリスさんとティアさんは?」

シア「ん? まだ戻られていないんですか? ちょっと心配ですけど〜……」


ヒヒーン!


ロウル「今の鳴き声は、ファフニールですかね。となると……」


バタン!


エリス「お、遅くなってしまいもうしわけありません……!」ハァハァ…

ティア「ごめんなさい、これでもファフニールに頑張って貰ったんですけれど……!」ハァハァ

アベル「はは、落ち着け二人とも」

アーシャ「夕飯には間に合っていますから、ゆっくり……あら?」


アリアンナ「んにゅ……」スゥ…


ティア「ネストさんや兵士の方がアリアンナと遊んでくれたんです」

ティア「久々に家族以外と遊んで楽しめたのか、いつのまにかぐっすりです」ナデナデ

アベル「そうだったのか。アリアンナが俺達以外にも心を開いてくれるのはいい傾向だな」ナデナデ

シア「気持ち良さそうですね〜。もうちょっと寝かせてあげましょう〜」ポンポン

パトラ「では、アリスちゃんは……」


アリス「わたしは、だいじょうぶです! まだ、がんばれます……!」ウツラウツラ…


ロウル「あらら、やっぱり相当お疲れじゃないですか……」

エリス「お勉強もしなければと、ギルバート様との鍛錬を切り上げようとしたのですが……」

エリス「その、何かと理由をつけて鍛錬の時間を引き伸ばされて今に至ります……」ガクリ

アベル「父上にももう少し俺達から強く言った方がいいのだろうか……子供にさせる鍛錬量じゃないぞ?」ダラダラ

エリス「ティアさんとファフニールがいなかったら、もっと帰りが遅くなっていたかもしれません……」

オリヴィエ「アリスだいじょうぶ〜? これたべる〜?」スッ…

アリス「あ、ありがとうオリヴィエ。でも……」



カンカン!



アーシャ「それは食後に食べましょう? お夕飯が入らなくなってしまうわよ?」

アベル「そうだな。それじゃあみんな、ちゃんと綺麗にしてからご飯を食べような?」


娘達「「はーい!」」



……

――
224 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:09:11.00 ID:8fl/iWPk0
――――
―――
――



【城塞・アベルの私室】


アベル「……」カリカリ…

アベル「……」カリカリ…

アベル「ふぅ……」パサ…


コンコン…


アベル「ん、あいているぞ?」


ガチャ…


エリス「もう、やっぱりまだ起きていらしたんですねあなた?」

アベル「す、すまない。だがエリス、今日は父上の相手で疲れただろう?」

エリス「最近は少し慣れてしまいました……今日アリスに投石したのには、かなり驚きましたけど」

アベル「またそんな無茶を……だからか」チラ…

アリス「くぅ……くぅ……」

エリス「あら、やっぱりここにいたんですね」ナデナデ

アベル「ああ。俺の仕事の様子を勉強すると意気込んでいたが、やはり疲労や緊張は相当だったんだろう」ナデナデ

アベル「明日はエリスとアリスでどこか息抜きにでかけるとしようか?」

エリス「ふふ、嬉しいですけれどお仕事の溜めすぎもよくありませんよ? 眠気覚ましに紅茶はいかがですか?」カチャ…

アベル「いただこう。なに、仕事の方は急ぎのものは済ませてあるんだよ」コク…

アベル「これは、俺が個人的に書いている本の続きだ」スッ…

エリス「あっ、ふふ……子供達の成長記録でしたか。これは時間がかかってしまうのも仕方がありませんね」

アベル「ああ。みんなから聞いた出来事はその日の内に書いておきたいしな」カリカリ

エリス「……そういえば、以前から気になっていたのですが」


祝福の羽ペン「……」キラキラ…


アベル「ああ、これか。不思議とこの羽には惹かれるものがあってな。アリスが産まれてからペンにしたんだよ」カリカリ

アベル「なんだかこれで子供達の記録をつけていると、子供達の未来が穏やかなものになりそうな気もするんだ」カリカリ

エリス「確かに優しい光で落ち着きますね……」ホゥ…

アベル「だが、あの子達を本当に幸せにするには俺達が頑張るほかはない。その為にもエリス……」スッ…

エリス「ええ、勿論です。いつまでもどこまでも、私はあなたのお傍に……」ギュッ…

アベル「……ありがとう。俺のこの幸せが、みんなの幸せが、どこまでも続くといいな」カリ…





アベル「――この世界に生きる全ての者に、祝福を……」パタン…





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

    剣と魔法の世界で生き延びる   〜Fin〜

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

225 : ◆gEU9La026k [saga]:2021/02/20(土) 19:09:55.73 ID:8fl/iWPk0
これにて、アベル達の物語は完結となります。
深く考えず初めてこのようなスレを立てて、しかも年単位で続けてここまで来れたのも、
更新不安定でもこのスレに参加してくださった皆様のおかげです

プロットは幾つも木端微塵になりましたが、荒ぶるコンマは悶えつつ私も非常に楽しかったです
前スレ1000のこともあり、別大陸の話も考えてはいますが、出来ても正直更新速度は不安定になるかと思いますが……
見切り発車で新しいスレを建てているかもしれませんが、コンマを大量に取って悶えていれば多分それが私です

最後に改めて、本当にありがとうございました!
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/20(土) 19:13:59.51 ID:6HG9Gn1eO
あぁ、ついに終わってしまった……二年余りに渡ってお疲れ様でした
アリスの資質から、最後の最後までエリスは正ヒロインの座を突き進んで行ったなぁ
次のシリーズも楽しみにしています
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/20(土) 19:22:46.01 ID:w0uQBI8z0
乙乙
本当にお疲れ様でした
この作品は途中から見始めたから、次のシリーズでは最初から安価などに参加して楽しみたい
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/20(土) 20:02:42.76 ID:DrZ1Z9ni0
本当にお疲れさまでした
最後まで楽しませてもらいましたわ
モブ王国兵ネームドに昇格させてはどうかなと提案したら
最後まで存在感見せつける主要キャラになったのマジで感慨深い
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/20(土) 21:09:15.58 ID:ymaJ3l6AO
全体的にほのぼの平和な中一人だけガチで危なそうなアルフとさりげにスキルで常人は問答無用で倒せるようになってるフィーアとか
まだまだ続き気になるけどとにかくお疲れ様でした!次のスレも楽しみにしています!
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 00:34:39.93 ID:T+oSGjmjO
完結おめでとうの祝いたい気持ちと本当に終わってしまったんだという悲しみが入り混じる…
もう一回最初から読み直そうかな
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 00:38:35.24 ID:VHJtbWZ60
乙です!
とうとう終わってしまったのか…
また今度新しいスレあったら楽しみにしてます!
本当にお疲れ様でした!!!
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2021/03/03(水) 22:42:36.56 ID:afFPPkCRO
おおっ乙です
新作の方も始まってて楽しみ
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 22:43:39.60 ID:afFPPkCRO
上げちゃった……
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