【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【7頁目】

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14 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/15(火) 21:47:18.53 ID:yFgwqyuEo
では少しだけ
15 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/15(火) 21:52:21.80 ID:yFgwqyuEo

陽乃「お断りよ」

歌野の言い分は正しいと思うし、

最良を取るためには変化が必要だろう。

それで本当に命を懸けずに済むのかという点には頷くことは出来ないまでも、

それを先延ばしにして時間を得ることは出来るはずだ。

それでも陽乃は拒む。

陽乃「他の誰にも私の命を預ける気はないわ。いつ裏切るかも分からない他人に身を委ねるくらいなら、命を削ってでもどうにかするつもりよ」

明日死ぬかもしれないが、

今日は生き延びることが出来る。

それで良い、それで十分だ

誰かに頼らなければ生きていけないなんて、そんなものに執着する気はない。
16 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/15(火) 22:10:33.83 ID:yFgwqyuEo

歌野「そう……」

歌野は落ち着いた様子ではあったものの、もの悲し気な雰囲気を感じさせる。

ひなたや九尾、もしかしたら水都も。

いずれかであれば、

さっきの流れは図り事であって、望む答えを貰おうと画策していた可能性もあった。

しかし、歌野だ。

陽乃がそうであるように、

それ以上に内部を曝け出された状態である歌野は、それが出来ない。

そんな副作用がなかったとしても、その器用さを持ち合わせていないから、出来ないだろう。

この提案は歌野の本心で、願いだったはずだ。

歌野「残念だわ。良い妥協案だと思ったのに……」

歌野はそう言いつつも、陽乃が拒む可能性があることも重々承知の上だったようで、

口元をくいっとまげて笑みを浮かべる。

同じように曲がった眉が、その感情を晒していた。

歌野「私やみーちゃんのことを体の一部と思ってくれたって良いのに」

陽乃「馬鹿なこと言わないで」
17 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/15(火) 22:41:42.48 ID:yFgwqyuEo

不本意ながら心が通じ合ってしまっているし、

隠し事のできない深いつながりを考慮すれば、一心同体は偽りないだろう。

しかし、それはそれ、これはこれ。

意に反する要求をしてくる体の一部なんて、たまったものじゃない。

陽乃「寝首をかかれそうで夜も眠れなくなるわ」

歌野「そんなことしなかったじゃない。バスの中で。いつだって、久遠さんのことを見守っていたわ」

する気があればすることが出来た。

いつだって。

無意識にそうしたわけではないが、陽乃は致し方なく無防備だった。

その分、凶悪な守り人がいたものだから、

手を出す気が合っても取り殺されるだけだったろうけれど。

歌野はそうしなかったし、それどころか下手に力を手に入れていた。

歌野「久遠さんを傷つけるようなことは……」

歌野はそこで区切ってはっとする。

歌野「ちょっとだけ、しちゃうけど」

今も。と、含んでいそうな視線を向けてくる歌野から目を背けて、陽乃は口を開く。

陽乃「私が貴女を連れてきたのは背中を預けるためでなければ、心を通わせるためでもなく、単に戦力の1つとして使えると考えていたからよ」

歌野「それは頼ってると考えてもいいんじゃないかしら」

歌野はそう言って、鋭い視線を感じて肩をすくめるような素振りを見せる。

見せただけで、体はぴくんっと跳ねただけだった。

歌野「……良いでしょ? 思うだけなら。自由じゃない」

陽乃「口にさえしなければ捉え方は自由よ」
18 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/15(火) 23:03:58.84 ID:yFgwqyuEo

戦力的に見れば、陽乃から借り受けている力がなくても歌野はトップクラスの実力者だ。

底上げする神々の力があるから陽乃の方が上と言うだけで、

全く同一であれば、陽乃よりも歌野の方が上回っていると言えるほどに。

それだけ、3年間最前線で戦い続けてきた歌野の戦闘能力は極まっている。

それを戦力に加えて、自分の生存率を上げたいとしていた陽乃だが、

言い換えれば、歌野の力を当てにしていたと言えるし、それを頼りにしているとも言える。

もっとも、陽乃は断固として認めないが。

歌野「命懸けで連れてきてくれたから……それだけ頼れる戦力だって胸を張るつもりだったのに」

陽乃「実力は認めるわ。でもそれだけよ。私にとってはただの戦力の1つでしかないわ」

歌野「でも、久遠さんが命を懸けてくれたことに変わりはないわ」

陽乃の細まった視線を真っ向から受ける歌野はほほ笑む。

そこにどんな思惑があったって、

命懸けで諏訪に足を運び、人々を連れ出してくれたという結果は変わることがない。

陽乃はああだこうだと言うし、認めないし、拒むけれど。

だとして、その功績に何か違いがあるのか。

こちら側でどれだけの悪態をつかれていようが、

意思を勘繰らせるほど、ここにたどり着くまでの極限の状態で見せた姿は軽くなかった。

歌野「たとえそれで、本当に嫌われるとしても……私は出来る限りの手を尽くすわ。これは私の意思よ」

宇迦之御魂大神様との同調による、精神的な影響ゆえの思想ではないと、歌野は否定する。

歌野「だって、放っておけないもの」
19 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/15(火) 23:06:43.75 ID:yFgwqyuEo
√ 2018年 10月06日目 夕:病院

↓1コンマ判定 一桁

1 球子
3 友奈
7 杏
9 侵攻

※そのほか、水都
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/15(火) 23:07:32.81 ID:aPnRk0MhO
21 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/15(火) 23:14:53.31 ID:yFgwqyuEo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/15(火) 23:24:53.73 ID:aPnRk0MhO

なんとなく答えを察してたのか思ってたよりはうたのんの反応が冷静だったな
そして次は凄く久々な気がするタマだけどずっと杏の側にいたのだろうか
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/16(水) 06:02:58.88 ID:N9xAqo+7O
24 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/17(木) 00:21:39.67 ID:OWgF9Xbbo
すみませんが本日はおやすみとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/17(木) 06:11:04.57 ID:5d/UKiTjO
おつ
26 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/17(木) 22:07:45.82 ID:OWgF9Xbbo
では少しだけ
27 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/17(木) 22:30:09.95 ID:OWgF9Xbbo
√ 2018年 10月06日目 夕:病院


意見の対立が起こっている陽乃と歌野だが、2人が使う病室はさほど空気が悪くなったりはしていなかった。

歌野の提案のことごとくを突っぱねた陽乃は、

普段は我関せずといった姿勢を貫いているため誰かがいようと基本的には黙々としている

そして、歌野は陽乃がどんな思いで拒むのかを知っていることもあり、

陽乃の姿勢に対して苛立ったりはしていないからだ。

むしろ「やっぱり」と理解を示してさえいる。

とはいえ、だ

どちらも一理あると思うひなたはどうにかならないものかと、頭を悩ませる。

陽乃が周囲を頼りたくないのは現状を考慮すれば無理もなく、

歌野が命を懸けてでも陽乃を助けたいと考えるのも、陽乃が成し遂げたことを思えば分からない話ではない。

ひなたはせめて妥協を……と逡巡し、病室の扉が叩かれた音にはっと顔を上げた。
28 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/17(木) 22:59:45.46 ID:OWgF9Xbbo

陽乃一人であったときと同様に、

歌野が加わっても日中の施錠はされていない。

本来なら陽乃達の身分上、されていてもおかしくはないのだが、

わけあってそれが出来ないからだ。

そのため――

球子「……起きてるなら返事くらいしてくれよな〜」

数分程度の間をおいて入ってきた球子は様子を伺ってぼやく。

歌野はまた休息に入っていたが、起きていた陽乃は目線を上げると、喉を擦る。

球子「調子が悪いのか?」

陽乃「居留守が使えると思って」

球子「……わざわざ会いに来たんだぞっ」

陽乃「頼んでないし」

球子「……病室変わってるし、聞けばお会いになることは出来ません。とか言われるし」

陽乃「色々あったのよ。話はどうせ聞いているんでしょう?」
29 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/17(木) 23:47:54.63 ID:OWgF9Xbbo
陽乃がそう言うと、球子は「まあ……」と言葉を濁す。

球子にも、千景との一件はしっかりと伝わっているようだ。

もしかしたら、病室が変わっているという話を聞いてから詰め寄ったのかもしれないが、

いずれにしろ、あれを耳にして、一応は気遣っているらしい。

陽乃「心配なら要らないわ。帰って頂戴」

球子「なんだよ、冷たいな」

相変わらずの陽乃の態度

だからこそ、普段通りだと思ってか

言葉に反して安心したような表情を見せる球子は、眉を潜めて困り顔を作る。

球子「でもそうはいかないんだよな〜……杏が心配だからって聞かないんだ」

陽乃「……」

一瞬、きょとんとした陽乃は視線を斜めに下げると、

はっとして息をつく。

陽乃「伊予島さんね。生きてたのね」

球子「勝手に殺すなっ生きてるに決まってるだろっ」

まだ万全とはいえないが、目は覚ましたし、少しは会話できるようにもなっていると球子は嬉しそうに語って「なのに殺されそうになったとかありえないだろ」と、球子は不服そうに零す。


1、私に言わないで頂戴
2、藤森さんとは会った?
3、高嶋さんとは会った?
4、貴女も私を殺そうとする可能性があるけど。
5、貴女、白鳥さんをどうにかする気はある?

↓2

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/17(木) 23:50:33.68 ID:VROckKErO
2
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/17(木) 23:50:48.36 ID:CyUT8iA20
5
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/17(木) 23:50:57.42 ID:QigWSzK/0
3
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/17(木) 23:51:04.83 ID:V4G8kIW8O
3
34 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/17(木) 23:59:32.13 ID:OWgF9Xbbo
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/18(金) 00:05:27.64 ID:gzyEF25uO

どれだけ陽乃さんが突っぱねても理解して接してくれるタマたち本当に優しいなぁ
あと杏もいつの間にか意識を取り戻してて少し安心したわ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/18(金) 00:08:02.62 ID:Z758ysf10
37 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/19(土) 23:39:15.41 ID:ZzXFB/llo
すみませんが本日もおやすみとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/19(土) 23:41:24.18 ID:FO40QzGoO
乙です
お昼の再開待ってます
39 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 15:51:48.96 ID:hq6NCo6oo
遅くなりましたが、少しずつ
40 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 16:08:58.99 ID:hq6NCo6oo

陽乃「貴女、白鳥さんをどうにかするつもりある?」

球子「はぁ?」

何が言いたいのか意味わからん。と、素っ頓狂な声を漏らした球子は、

振り返って、すやすやと寝息を立てている歌野を一瞥し、陽乃を見て顔を顰める。

球子「殺す気は……ないぞ?」

陽乃「どうしてそうなるのよ。そんなこと言ってないじゃない」

球子「いや……えー……」

陽乃は、どう聞いてもそういう流れだっただろと抗議の姿勢を見せる球子を無視すると、

心配そうな視線をぶつけてくるひなたを見て、息を吐く。

陽乃「あの子。死ぬ気なのよ」

球子「あー……」

陽乃「知ってると思うけど、白鳥さんの力は私と同じように多大な代償を伴う神々の力。だから、それをより活用するためにはその命でさえも糧としなければならない」

ただ体が傷つく、侵されるというものではなく、

命――つまりは、魂そのものを贄としなければならないと陽乃は言って。

陽乃「あの子はそれでも、その先に踏み込もうとしている。人間を辞めようとしているのよ」
41 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 16:43:46.56 ID:hq6NCo6oo
黙って陽乃の話を聞いていた球子は、暫く間が空いたのを終わったと判断したらしく、

大きく息を吐いて「あのさ」と渋い顔で口を開いた。

球子「ぶっちゃけ、タマには難しい話はさっぱりだ。遠回しだとか、比喩? だとか、なんだ。まぁ良く分からないことされても困る。そういうのは杏にやってくれ」

杏にしか分からん。とまで言い切った球子だったが、

だから間違ってるなら間違ってるって言ってくれと、続ける。

球子「歌野は、陽乃を助けたいからってそんなことしようとしてるんだろ?」

陽乃「そう言っていたけど」

球子「歌野は、陽乃に死んでほしくないんだろ? 命を大切にして欲しいんだろ?」

陽乃「……ええ」

言い聞かせて、自覚させようとでもしているのか。

陽乃は怪訝な表情を浮かべて、けれど、球子がそんな心理的な技を持っているわけがないと、息を吐く。

陽乃「何が言いたいの」

球子「何って、間違ってないか確認したかっただけだぞ」

陽乃「なら間違ってないわ。それで? だから?」

球子は「急かすの止めろ」と不満げに唸る。

球子「歌野が本気ならきっとタマには止められない。歌野が命を懸けるのを止める気があるのかと言われれば、止めたいとは思うが、止められるのはタマじゃない」

球子はそれを自覚しているから、あえて陽乃に告げる。

これについては助けを求められても困るのだ。どうしたって、その信念は曲げられないだろうから。

止められるとしたら――

球子「陽乃は歌野がどうしたら命を懸けなくなるんだ? そんなにボロボロになったりしなくなるんだ? 一番命を削ってるのは、他でもない陽乃じゃないか……自分が歌野に求めてることを自分でやれよ」

それは陽乃だけだろうと、球子は訊ねた。
42 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 16:54:45.01 ID:hq6NCo6oo

球子「タマには難しいことは分からないし考えられないし言えない。だから、タマに言えるのはそれだけだ」

でもそれで十分なはずだし、

それでもだめだったなら、球子には力になれることなんてないはずだ。と、

自嘲するでもなく真面目に言い切って。

球子「そもそもこういう超真面目なやつはタマじゃなくて杏の方が適任だぞ。あとは、ひなたとか」

千景は言わずもがなで、友奈は感情が大きく出そうだし、

若葉は真面目だが、真面目過ぎて逆にこういった話には向かない。

だから、杏かひなたなのだろう。

球子「で、どうなんだ? 陽乃はどうして欲しいんだ?」

陽乃「私と白鳥さんは違うわ」

球子「一緒だぞ。タマには同じにしか思えん」

杏達は違うと言うかもしれない。

だがそれはそれとして、球子にとっては似た者同士なのだと言う。
43 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 17:20:30.40 ID:hq6NCo6oo
歌野をどうにかする気はあるのかという問いは、

球子にはするべきではなかったのだろうか。

球子自身、こういった話には不向きだと自覚しているようだったし、

相手を間違えたかもしれない。

下手に命懸けで居られても困るからとはいえ。

陽乃「……」

球子「そんな難しいこと聞いたか? それとも、言いたくないようなことなのか?」

純粋に、ただ不思議そうに聞いてくる球子から、目を伏せる。

陽乃が歌野に求めているのは、命懸けを止めること。

けれど球子が聞きたいのはそうではなくて、

陽乃が歌野に、そして周囲に求めていることだ。


1、特に何も求めてないわ
2、関わらないで欲しい
3、言うようなことじゃないだけよ
4、私は裏切られたくないのよ
5、死ななければそれでいいわ。利用できなくなるもの


↓2
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/20(日) 17:23:40.53 ID:KngwmgO3O
4
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/20(日) 17:23:44.11 ID:DIdQnm140
4
46 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 18:22:21.55 ID:hq6NCo6oo

陽乃「私は裏切られたくないのよ」

球子「なら平気だろ。どう考えても裏切らないし」

というか。と、球子は言って。

球子「裏切る相手のために命を懸けるような奴がいるわけないだろ」

ひなた「そうですよ。絶対にありえません」

球子「事情があるのかもしれないけどさ、命を懸けるとまで言ってるんならちょっとくらい信じてやればいいじゃん。そうしたら、ちょっとくらい突っ走るのを止めてくれって願いくらい聞いてくれるかもしれないし」

陽乃「人の気も知らないで」

球子「知るわけないだろ。陽乃が言わないんだから」

けれど、歌野は知っている。

陽乃の事情も知っているし、気持ちも知っているし、

命を懸けるつもりだと言った時の内面だって、歌野は分かっている。

球子達とは違って、歌野と陽乃の繋がりはとても深いからだ。

それでも歌野は命を懸けるつもりだと言っていた。

いや、だからこそ人の道を踏み外さなければならないと言っていた。

そうでなければ、陽乃に付いていける人は1人もいないだろうから。と。
47 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 19:32:01.89 ID:hq6NCo6oo

でもそれは、陽乃が信じているかどうかは関係なく、

陽乃と歌野の力の繋がりによって、副作用的に起きた影響でしかない。

そこに信頼はなく、

陽乃が歌野を信じているということにはならない。

それでも、歌野は。

陽乃「……それで変わるとは思えないわ」

球子「何言ってんだ」

陽乃「仮に白鳥さんが裏切るような人ではないとして、私が信じてあげると言ったとしても、命を懸けないとは思えないわ。むしろ、命懸けだから信じて貰えるだなんてわけのわからない考えをし出すかもしれないじゃない」

球子「……何言ってんだ」

球子は同じ言葉を、ニュアンスだけ買えるように表情を歪めながら繰り返す。

陽乃「何よ。不満そうね」

球子「不満ていうか……アレだ。馬鹿だろ」

陽乃「貴女よりは賢いつもりなんだけど」

球子「賢いから信じてもないくせに信じたらこうなるって言いきれるのか?」

それで命かけられたくないのに懸けられてるんだから馬鹿なんだよ。と、

球子は臆せず、あからさまに馬鹿にして吐き捨てる。

球子「歌野がそうして欲しいって言ってるならしてやれよ。それもしてくれないくせに、自分の要求は通したいとか、タマでも言わないぞ」

陽乃「……馬鹿でも言わない。ね」

球子「おいっ」
48 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 20:42:59.81 ID:hq6NCo6oo

陽乃は茶化すように言ったが、

球子が言っていることも別に間違っている話ではないとは思っていた。

相手の要求は聞き入れないが、自分の要求は押し通そうとする。

それでは対立するだけだし、相手だって押し通そうとしてくる。

どちらかが妥協する必要があって、

けれど、普通ならどちらだって可能な限り妥協したいわけがなくて。

球子「なんだって良いけど、歌野はたぶん引かないぞ」

陽乃「どうしてそう言い切れるのかしら」

球子「そりゃぁだって――」

球子は、まるでそれが当たり前で、

避けようのないものであるかのように、断言する。

球子「――じゃなきゃ死ぬだろ。陽乃が」

陽乃「そうとは限らないわ」

球子「まだ生きてるってだけで、死んでもおかしくなかった。だから無茶するんだよ。みんな」

球子はそう言って、常に持ち歩いているらしい、楯を持ち出す。

球子「何かを守るためにどうするかって考えれば、そりゃ、体を張るしかないからな。タマはそれをよーく分かってんだ」
49 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 20:47:45.47 ID:hq6NCo6oo
√ 2018年 10月06日目 夜:病院

↓1コンマ判定 一桁

0 歌野
2 若葉
4 ひなた
6 友奈
8 水都

ぞろ目 特殊
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/20(日) 20:50:44.37 ID:Umn3fXR+O
51 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 22:00:07.64 ID:hq6NCo6oo
√ 2018年 10月06日目 夜:病院


歌野が良く眠るのは、陽乃と同じ理由だ。

体だけでなく、魂そのものを消耗している為、

そうしていなければ回復することが難しくなるからだ。

それに歌野の場合、陽乃を治癒する力を使い続けており、

諏訪の結界を維持し続けている陽乃と同様に回復が遅い。

陽乃はこれでようやく、通常に近い回復力を得られた。というのが辛いところで、

だからだろう。

九尾はその"諏訪の維持"を好ましく思っていない。

歌野「……昼夜逆転するって、意外に辛いわ」

陽乃「夜も眠れるでしょう。心配いらないわ」

眠くなるのではなく、眠ってしまう。

それが今の陽乃達だ。

歌野「今までは農作業で早起きだったのよ。それが、気付いたらもうお昼手前だったり」

陽乃「それが嫌ならやめることね」

歌野「またそう言う意地悪を言うんだから」

歌野は呆れたように言うと、陽乃の隣に目を向ける。

歌野「私がいるから、上里さんは先に眠っちゃっても平気よ」
52 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 23:09:13.81 ID:hq6NCo6oo

ひなた「……いえ、もうしばらくは」

陽乃と歌野を見ている為か上体を起こしているひなたは、うつらうつらと時折体が揺れている。

返答も、少しばかり時間がかかっているのは眠気のせいだろう。

陽乃「夜泣きする赤ちゃんに付き合っているならともかく、私達は中学生よ」

歌野「そうそう。心配せずに休んで平気よ。大丈夫」

意見が対立している2人だが、

殴り合いするような体の状態ではないし、

どちらも、互いの心持の理解はある。

であれば、千景と陽乃のような酷いことになったりはしない。

特に歌野がそれをしない上に、陽乃はやられなければやらない質だ。

ひなたが仲裁に入るべく待機している意味はない。

ひなた「本当に問題はありませんか?」

陽乃「その気遣いは不愉快よ」

ひなた「……すみません」

ひなたはそう言いながらも笑みを浮かべて横になって

数分もせずに、粛々とした寝息を立てる。

歌野「ほら、上里さんも久遠さんを信頼して眠ったわ」

陽乃「それは余計な一言よ。覚えておきなさい」



1、それで? 考えは変わった?
2、こうして寝ていれば、貴女もこの子も静かでいいのに
3、良いわよ。妥協してあげても
4、貴女、土居さんとは仲が良いの?
5、私には、貴女達の記憶だって弄る力があるのよ


↓2
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/20(日) 23:13:20.35 ID:DIdQnm140
4
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/20(日) 23:13:23.40 ID:xzhG/vajO
4
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/20(日) 23:15:27.26 ID:ieX4GF0cO
3
56 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/20(日) 23:29:06.64 ID:hq6NCo6oo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/20(日) 23:36:41.99 ID:ieX4GF0cO

タマが結構直球な説得してくれたけど陽乃さんにどう影響与えられたのか気になるな
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/21(月) 07:04:09.24 ID:NsFeOuQwO

人間不信をどうにか脱却しないことにはな…
59 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/21(月) 20:42:27.36 ID:pNhU7I3nO
別端末ですが、少しだけ
60 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/21(月) 20:50:33.53 ID:pNhU7I3nO

陽乃「貴女、土居さんとは仲が良いの?」

歌野「土居さん? そう、ねぇ……」

歌野は逡巡するように呟いて、こくりと頷く。

歌野「仲良いわ。久遠さんと一緒に諏訪に来てくれたこともあるし、こっちに来てからも関わることが多かったから」

今は入院中のために、関わりがないように思えるが、

こうなるまでは命懸けの戦いに一緒に赴き、共闘していた。

陽乃と違って、信頼しあって。

歌野「だけど、それが何かあるの? もしかして」

陽乃「違うわよ。嫉妬なんてする理由がないわ」

歌野「そうかしら」

陽乃「そうよ。貴女が納得いくかどうかなんて関係ないわ。それが事実だから」

ベッドは離れていて、歌野の声はそんなに大きくない。

それでも十分に話が出来るのは、通じ合っているからだ。

先読みするように答える陽乃に、歌野は苦笑いを浮かべる。

陽乃「ただ、土居さんは貴女に肩入れしているようだったから気になったのよ」
61 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/21(月) 21:10:19.68 ID:pNhU7I3nO
歌野「肩入れって、志を同じくしているだけじゃないかしら。私も土居さんも守りたいものがある。だから、シンパシーを感じちゃって、不思議と同じ答えにたどり着くのよ」

陽乃「味方するように事前にお願いしておいたんじゃないの?」

歌野「えぇ……」

陽乃「疑り深くて良いじゃない。馬鹿みたいに信じるよりよほどいいわ」

歌野「もう……」

口にはしてなかったじゃないと内心に浮かべる歌野を一瞥して、陽乃はため息をつく。

心を読んで答えるなら、もういっそそれで会話してやろうとでも言っているかのようだ。

それでも確かに出来てしまうのが2人ではあるけれど。

陽乃は口を開く。

陽乃「副作用よ。諦めなさい」

歌野「恩恵って言わなきゃ」

陽乃「副作用」

歌野「腹に何か抱えているか分かるからいいことでしょ?」

陽乃「伊予島さんの受け売りだなんて、やっぱり信用ならないじゃない」

歌野「どうしてそうなるのよ、もう……意地っ張り」
62 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/21(月) 21:45:43.90 ID:pNhU7I3nO

呆れる歌野は、

けれどもやっぱり、志が同じだからと、繰り返す。

杏の受け売りはともかくとして、そこは間違っていないと思っているようだった。

歌野「私も守りたい。土居さんも守りたい。だから、肩入れしてくれる」

陽乃「……そう」

歌野「だから、土居さんのことを敵視したりしないで」

陽乃「別に敵視はしてないわよ。ただ、それが気に喰わなかっただけよ。貴女は本来なら、勇者達のリーダーに抜擢されていたはずだし、人心掌握にも長けているだろうから」

歌野「そうかしら」

陽乃「ええ」

歌野は間違いなく、人心掌握に優れている。

でなければ、3年間も、あの救いのない場所でみんなを取りまとめることなんて、不可能だからだ。

歌野だけしかいなかったとしても、

徐々に追い込まれていく中で、反発されることはあったはずだし、

四国と違って、大社のような大人の組織の助力もなかった諏訪では、初動の時点で乱れてばらばらになっていてもおかしくなかった。

だけど、そうはならなかった。

まとめ上げ、3年間も守り続けた。

それは実績として確かに存在し、疑いようのない実力である。

陽乃「でも、郡さんを制御できなかったから、やっぱり信頼は出来そうにないわね」

歌野「それはそうだけど、取り付く島もなかったわ」
63 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/21(月) 22:27:33.53 ID:pNhU7I3nO

千景は、自分の立場を奪いかねない歌野に対しても敵意が強かったため、

歌野が仲良くできるような状態ではなかった。

友奈が多少はフォローをしてくれていたけれど。

仲良くできているなんてものではなかったのだ。

歌野「私も仲良くしたかったけど……」

陽乃「でしょう? だから信用ならないの」

歌野「採点が厳しいわ。99点でも叱りそう」

陽乃「そうよ。嫌なら諦めたら?」

99点だとしても、100点ではないから失格。

それ以外は認めないと言う陽乃に、歌野はまた困って、息を吐く。

歌野「土居さんは、大丈夫かもしれないけど、伊予島さんや高嶋さんは命を懸けてしまうかもしれないわ」

友奈は、歌野以上にそういう方に傾倒しやすい性格だし、

杏は、もう。

陽乃「自分では通じないからって、他人を使うのね」

歌野「そんなつもりはないわ。ただ、そうでしょう?」


1、だったらそう出来るだけの実力を示せばいいのよ
2、知らないわ。勝手にしたらいいのよ
3、まぁ、そうね。で、だから?
4、貴女が加わったなら、一人くらい死んだって問題ないわ


↓2
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/21(月) 22:30:56.69 ID:XthZxD8dO
1
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/21(月) 22:31:14.87 ID:87FoU9VJ0
1
66 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/21(月) 22:39:01.11 ID:pNhU7I3nO

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/21(月) 22:51:22.07 ID:XthZxD8dO

陽乃さんにしてもうたのんにしても千景についてがネックになりそうだな…
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/22(火) 06:01:05.07 ID:+dT5n4vhO
69 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/22(火) 23:56:43.80 ID:VP4KtIXeo
すみませんが本日はおやすみとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/23(水) 00:02:42.76 ID:39VoqMwxO
乙ですー
71 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/23(水) 22:39:24.13 ID:vbccsoeaO
遅くなりましたが、少しだけ
72 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/23(水) 22:50:57.59 ID:vbccsoeaO

陽乃「だったらそう出来るだけの実力を示せばいいのよ」

歌野「……命を懸けるのは?」

陽乃「それは、どういうつもりで聞いてるのよ」

歌野「強ければ良いのかなと思って」

冗談のようなことを聞いてくる歌野を睨むように見つめると、

歌野は「だと思った」と、苦笑する。

本気だったのか冗談だったのか。

どちらにしても、陽乃の答えが分かり切ってはいたのだろう。

歌野「ええ、分かってる……久遠さんが本当に求めているのは、そういうのじゃないって」

陽乃「だったら」

歌野「でも、出来ないことだってあるわ。ううん、出来ることがあるからこそ、それをせずにはいられないことだってある。そうしなくちゃ、守りたものも守れないのなら、なおさら」

陽乃「私は守って貰いたいなんて思ってないし、守ってもらうほど弱くない」

歌野「違うわ。強すぎるから、守るのよ。強すぎて、何でも出来ちゃうから……」

だから、何でも自分でやろうとしちゃうんだもの。と、

歌野は困ったように吐露して、息を吐く。

少しだけ、辛そうだ。

歌野「少しくらい、肩の荷を預けられる場所にいてあげたいなんて思うの」
73 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/23(水) 23:09:44.59 ID:vbccsoeaO

その為には、今のままでは力不足なのだと歌野は言う。

あれもこれも、陽乃は役不足でありながら拾い上げて行こうとする。

後からついてくるみんなに任せちゃえばいいのに、

出来るからってあれもこれも……どんどん拾い上げて行く。

歌野「久遠さんはそれ、嫌いだと思うけど」

陽乃「分かっているなら止めたらいいのよ」

歌野「久遠さんが止まってくれないから」

それが悪いとは、歌野は言わなかった。

むしろ、それに追いつくことが出来ていない自分が悪いとさえ思っていたりもする。

陽乃にはそれが伝わってきていて、

けれど、だからと優しい言葉をかけたりはしなかった。

陽乃「貴女がとろくさいのよ」

歌野「ふふっ、厳しい……でもだから、命でも懸けなきゃとか思っちゃったり……なんて、言い訳だわ」
74 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/23(水) 23:20:20.55 ID:vbccsoeaO

自分が最強だなんて、うぬぼれたことはなかった。

諏訪では、そう言って胸を張っていなければみんなを不安にさせてしまうから頑張っていたけれど、

ここに至ってまで、そんな無理をする必要はないだろうと歌野は思っている。

陽乃屋、若葉達は諏訪を3年間も守ってきた実績があるだなんて言っているけれど、

だとしても、歌野はある程度の実力があるだけだとしか思っていない。

今、陽乃に次ぐ戦力として考えて貰えているのは、

その陽乃の力を借り受けているからに過ぎないと、思っていた。

だから、歌野は嘲笑するように笑う。

どうせ、その心の内だって……隠せてはいないだろうからと。

歌野「私が弱いのは良く分かってる。だから、宇迦之御魂大神様の御力を借りたんだもの。それでも足りないから私は手っ取り早く強くなろうとしてるだけ。野菜の品種改良をするみたいに」

それは陽乃が嫌いなことだ。

陽乃は、本人に力があるかどうかなんて全く求めていない。

自分でどうにでもできてしまうから、相手に求めていることはただ一つ。

抗おうという気概があるかどうか。

武器を手に立ち向かえなくたっていい。

背中を向けて、全身全霊で逃げようと、生きようと。

そうするだけの力があるのなら、それで十分だと考えている。

もちろん、そんなことは言わないけれど。

歌野「……久遠さん。体が治ったら、勝負しましょ」
75 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/23(水) 23:27:23.37 ID:vbccsoeaO

本気で殺し合うわけではなく、模擬戦をするという程度。

神様の力を使うのはなしで、純粋に力の勝負。

陽乃と歌野が使える同質の力のみでの模擬戦

それでも勝てる保証はない

だけれど、勝ちたいとは思っている。

勝たなくちゃいけないと思っている。

バーテックスにどれだけ対抗できるかなんて、証明にはならない。

完成型のバーテックスを圧倒できるかどうかなんて意味がない。

それは結局、神様の力を使ったものだからだ。

歌野「私が勝ったら、お願いを聞いて」

陽乃「貴女が負けたら?」

歌野「その時は……久遠さんのお願いを聞くわ。もう二度と、助けるな。なんてお願いだって聞いてもいい」

自分で言いつつ、とても嫌そうな顔をする歌野の心には、

そう言ってでも自分を追い詰めて、勝とうとする強い意思が感じられた。

歌野「だから、まずは体を治しましょ。ね?」
76 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/23(水) 23:28:44.41 ID:vbccsoeaO
√ 2018年 10月07日目 朝:病院

↓1コンマ判定 一桁

0 友奈
2 侵攻
4 水都
6 若葉
8 大社

ぞろ目 特殊
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/23(水) 23:31:42.09 ID:NfZLqrFeO
78 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/23(水) 23:33:47.61 ID:vbccsoeaO

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/23(水) 23:54:02.13 ID:NfZLqrFeO

陽乃さんは相変わらずあんまりデレないけどうたのんやみんなの思いがいつか届いてくれるといいなぁ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/24(木) 06:42:00.17 ID:RzXFJPyJO

退院っていつ頃になるんだろう?
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/24(木) 11:28:34.47 ID:2H75oLZ0O
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
82 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/24(木) 23:50:32.94 ID:hQxvJRSuO
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます。
明日は可能であれば通常時間から
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 05:21:49.64 ID:mn3llGW3O
84 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/26(土) 22:23:16.18 ID:ZP8lVM28O
遅くなりましたが、少しだけ
85 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/26(土) 22:31:16.55 ID:ZP8lVM28O
√ 2018年 10月07日目 朝:病院


歌野が一緒にいるため、1人でいたときよりも回復が早い。

そのおかげか、目を覚ました時の体の重みがなくなって、ほんの少し、快適に思える。

正面のベッドではまだ歌野が眠っていて、

同じベッドでは、ひなたが隣で寝息を立てている。

少しずつ治りつつある身体を確かめるように、目を瞑って神経を張り巡らせていく。

陽乃「……ん」

指先だけでなく腕にも力が入り、

まだ歩くには遠そうだけれど、足も少しは動かせそうだ。

歌野からの力の供給があるだけでここまで変わってくるのだから、

その繋がりさえ確保できればと言う前提はあるものの、

勇者を補助する巫女と言う存在は、

とても、重要なものになってくると、陽乃は目を開く。

死の危険は、歌野と同様にある。

だが、それでもと……水都もひなたも望んでいる。

そして、それを陽乃は良しとした。

ならどうして、歌野にそれを良しとしないのか。

陽乃はどちらも同じものなのではと、頭の中では、考える。
86 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/26(土) 23:42:53.81 ID:ZP8lVM28O

歌野は、陽乃が拒んでいたって本当に命を懸けるだろう。

それを望んでいないと知りつつも、絶対に必要だと確信しているからだ。

陽乃は歌野に人外になってもいいのかと尋ねたが、

歌野も承知の通り、陽乃自身がすでに人外に踏み込んでいる。

だからこそと、歌野は言っているわけで。

どちらも妥協しなくたって、平行線のまま停滞することはあり得ない。

ならばせめて、最低限度の現状維持を出来る方法を選ぶべきだろうか。

その意志がない限り、歌野はすでに戦いでは死なない体だ。

それを思えば、すでに歌野は一線を越えているとも言えるが。

陽乃はそう考えて、眉を潜める。

けれど――一緒にいたいからだなんて理由は駄目だ。

そんな言葉は嫌いだし、そんな思いも大嫌い。

陽乃は、利益を感じない感情論なんて、信じる気はなかった。

歌野は寝ているし、ひなたも寝ているし、

かといって自由に出歩ける身分でも体でもなく、

暇を持て余している陽乃は、ふっと息を吐いた。



1、ひなたを起こす
2、九尾の力を借りて移動する
3、九尾と交流
4、水都を呼ぶ
5、イベント判定


↓2
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 23:44:11.80 ID:piqA4Mieo
1
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 23:44:21.54 ID:9b0FJWmhO
4
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/27(日) 03:31:17.76 ID:7Ab0k+lkO
もしかして寝落ち?
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/27(日) 23:35:28.34 ID:dlzTuv35O
突然更新が止まったままだけど大丈夫だろうか…
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/29(火) 23:03:17.31 ID:EGFYBzRtO
今日も休み?
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/30(水) 00:05:13.74 ID:mJP+nc+NO
急に連絡も途絶えて一体どうしたんだろう…
流石に心配になってきたなぁ
93 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/31(木) 00:09:48.75 ID:sfZaYqorO
所用で更新できなくなっていましたが、問題がなければ明日の通常時間で再開いたします
ご心配おかけしました
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/03/31(木) 00:24:30.25 ID:+PYSwedDO
連絡乙ですー
数日ぶりのアナウンスで安心しつつ明日の更新楽しみに待ってます
95 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/31(木) 22:54:51.76 ID:eSYQL9F8o
遅くなりましたが少しだけ
96 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/31(木) 23:04:19.23 ID:eSYQL9F8o

当然と言うと歌野は本来なら……と、

無駄に張り合おうとするが、今はひなたの方が起きるのが早いため、

歌野が起きる前に、水都を呼ぶことを伝えておく。

ひなたは水都のことを覚えているが、水都はひなたのことを覚えていない。

水都が自分から情報が漏れてしまうことを気にして、

ひなたが陽乃のそばにいるという記憶を消しているからだ。

その為、ひなたが水都に会わないようにしたい可能性もあるし、

逆に、また会いたがる可能性もある。

ひなたは少し考えて、心配そうに陽乃を見る。

ひなた「そうしたら、また記憶を消すんですか?」

陽乃「今回は白鳥さんもいるから」

ひなた「消さない?」

陽乃「消せないが正しいわ。別に邪魔されるわけではないけれど」

力の行使を阻むことは不可能だが、

それをした場合に起こり得ることは、今の意見の対立以上に面倒だ。

陽乃「それに……白鳥さんのサポートをさせるために呼ぶんだから、貴女が関わらないのは不可能よ」
97 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/03/31(木) 23:50:59.97 ID:eSYQL9F8o

ひなた「白鳥さんには命を大切にすることを望むのに、私達には許可をしてくださるんですか?」

陽乃「勇者は戦力として困るけれど、巫女は別に大差がないから」

ひなた「……酷い言い方ですね」

陽乃「事実を言っているだけよ。それに、消耗品は消耗品だわ。それが高級かどうかって違いしかない」

粗悪品よりはマシでしょう。と、

陽乃は苦笑しながら言って、ひなたから目を逸らす。

陽乃「長持ちさせるには、その為の道具を使うべきだし、それもやっぱり消耗品だもの」

ひなた「久遠さんは私達を道具のように扱うことなんて――」

陽乃「役に立つか立たないか。それだけで評価されるのなら、それは道具と変わりのないことだわ」

ひなた「……」

ひなたは眉を潜めて、けれど、口を閉ざす。

陽乃が離れてからそうかからずに大社預かりとなったひなただが、

だとしても、世間の評価と言うものは多少なりと耳にしている。

そもそも、大衆の総本山とも言える大社内部でも、そう言った扱いが全くないとは言えないからだ。

陽乃「だから滑稽なのよ。郡千景も、白鳥歌野も」

ひなた達も同じように命を懸けようとしているが、

それは歌野とは似て非なるものだから、断固拒否することはしない。

陽乃「自分の命の使い道はもっと、有益であるべきなのよ」
98 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/01(金) 00:14:42.25 ID:+XhYKSlzo

ひなた「それは……」

それは、久遠さんの言えることですか。と、

ひなたはそこまで言わなかったが、

言われなくても、陽乃は言葉を察して薄く笑みを浮かべる。

陽乃「私は私にとって最も有益な使い方をしているのよ。貴女と同じで、あの子とは違う」

ひなた「白鳥さんも、同じだと思います」

ひなたは静かに言う。

声を張ることは出来るが、それでは歌野を起こしてしまうかもしれないし

感情的になるべきではないと自制しているからだろう。

ひなた「白鳥さんにとっては、最も有益な使い方なんだと思います。もちろん、命を懸けなくても済むのなら、それが一番かもしれませんが」

若葉達もそうだが、

精霊の力を行使していること自体が、命を削っているに等しいもので、

その上位に当たるだろう神々の力は、より大きく消耗する。

だからこそ。と、ひなたは思って。

ひなた「久遠さんは、久遠さんが思っている以上に価値があるんです。特に、白鳥さんにとっては」

陽乃「眼識がないのよ。もう少し、世界をする方が良いと、教えてあげなさい」

まるで聞いていない陽乃の返答に

ひなたは「また……」と、呆れたように息をついた。
99 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/01(金) 00:16:15.34 ID:+XhYKSlzo

では短いですがここまでとさせていただきます。
明日も可能であれば通常時間から

このまま水都交流
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/04/01(金) 00:22:04.35 ID:AUS3VUJ2O

陽乃さんが自分自身の価値に気付けるか否かも今後重要になりそうだな
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/04/01(金) 07:12:02.66 ID:AclYMgCyO
102 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/02(土) 00:02:02.56 ID:03BS8EUIO
すみませんが本日は、お休みとさせていただきます
明日は可能であれば少し早い時間から
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/04/02(土) 00:06:16.04 ID:T9QUmUhKO
了解、乙です
104 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/02(土) 22:57:09.54 ID:4/zsRVTno
遅くなりましたが、少しだけ
105 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/02(土) 23:20:04.93 ID:4/zsRVTno


水都「う……上里さん!」

ひなた「……はじめまして」

水都「や、やっぱりここに……」

思っていた通りだって言うように陽乃の方に目を向けてきた水都に、

陽乃は苦笑いを浮かべる。

記憶を消されているだけで、

本当なら知っているはずなのに、

初対面としての反応をするしかなかったひなたは少し、心苦しそうに顔を顰める。

ひなた「藤森さ――」

陽乃「上里さんがここにいることなんてどうだっていいでしょう」

水都「良いわけないじゃないですか……おかげで、大社は大パニックです」

陽乃「いい気味だわ」

水都「上里さんの消息不明は巫女のみんなにも伝わっちゃって……」

ひなた「何か、問題が?」

水都「いえ、大社のやり方に懐疑的だった人も少なくなかったので、上里さんが救われたって喜ぶ人の方が大多数です」

それで暴動が起きているとか、

そう言った問題も出ているわけではないと水都は言って。

水都「ちなみに、若葉様が助けに来たって説と、例のあの人がまた問題を起こしたって説が有力でした」

ひなた「ふふっ、確かに……また。ですね」
106 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/03(日) 00:24:01.45 ID:Z6kqpt/co

大社の管轄からの逃走と言えば、あの人。

つまりは、陽乃だ。

病院から奇術を用いて逃げ出したり、

四国自体から逃げおおせたあげく、諏訪から勇者達を連れ込んだり。

何かしらの問題の中心人物と言えば陽乃の為、

巫女達も優勢なのは陽乃の仕業だったそうだ。

水都「それでちょっとした賭けをしているみたいですよ」

ひなた「賭けですか……まったく」

陽乃「そんなことはどうでもいいのよ。大社は気づいているの?」

陽乃に確認に来たが、誤魔化して、下がらせた

ただ、違うとは思っていないだろうし疑いの目は向けられているままのはず。

そこから断定に切り替わられると、面倒だ。

だが、水都は首を横に振る。

水都「まだです。とはいえ……ほとんど陽乃さんにあたりをつけている感じですよ」

病院から抜け出した一件が、大きな証拠になっているのは間違いないだろう。

陽乃はそう考えて、壁にまで流れている水都の影を一瞥する。

陽乃「そう……まぁ、仕方がないわね」


1、本題だけど、死ぬ覚悟はできているのよね?
2、白鳥さんが人間やめたいらしいわ
3、諦めるつもりはある?
4、テスト、やってみましょうか


↓1
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/04/03(日) 00:26:12.55 ID:tk3wugQVO
1
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/04/03(日) 00:26:31.50 ID:eHNyi4Ho0
2
109 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/03(日) 01:02:46.00 ID:Z6kqpt/co
短いですがここまでとさせていただきます
その分、明日は可能であればお昼ごろから
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/04/03(日) 01:08:14.91 ID:tk3wugQVO

直接会えてる訳ではないけど大社にいる巫女さんたちは陽乃さんの味方になりつつあるな
そしてみーちゃんがどうなるのか、昼再開に期待
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/04/03(日) 07:06:36.02 ID:FyleYUJqO
おつ
112 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/03(日) 18:45:13.06 ID:Z6kqpt/co
遅くなりましたが、少しずつ
113 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2022/04/03(日) 18:46:30.29 ID:Z6kqpt/co

陽乃「本題だけど、死ぬ覚悟はできているのよね?」

包み隠すことをしていない率直な問い

けれど、ひなたも、それを問われた水都も驚くことなく、頷く。

その奥にいる歌野も、それを聞く意味なんてないとでも言いたげな表情を浮かべている。

陽乃「私は責任を取らないし、貴女達を守ってあげることもしない。それでも?」

水都「それでもです。命懸けの勇者を助けるなら、命懸けになるのは当然だから」

陽乃「当然だなんて、随分と大きく出たじゃない。貴女の命が勇者と同じくらいの価値があるとでも思ってるの?」

水都「思ってません」

水都は、悩むことなく断じる。

自分のことを貶されているようなものなのに、

水都は、なぜだか自信に満ちている。

水都「だから――」

陽乃「それは、とてもご立派なことね」

歌野「やっぱり、久遠さんはそういうのが嫌いなのね」

陽乃「はぁ?」

歌野「久遠さんってば、自分のことはすっごく軽く見ているのに、他の人のことは人一倍重く見てる」

歌野はまるで、水都と示し合わせていたみたいに、すらすらと言葉を並べる。

陽乃が命を軽んじる発言は好まないこと

それは勇者であれ巫女であれ同じであること。

巫女であれ、勇者であれ、ただの人であれ……等しく、見ているということ。

歌野「でもだから、私達は等しくあるべきなのよ。久遠さんが命を賭けるなら、それにつり合うだけ本気でいないといけないわ」

水都「死ぬのが怖くないと言えば嘘になっちゃいますけど、でも……いつ死んでもおかしくない戦いを目にして、そこで戦っている人達がいると知っていて、出来ることがあるって知っていて、それでも何にもしないなんて、私は絶対に嫌だから」
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