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イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 2 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/05(金) 22:13:03.34 ID:g/uLxe20
◆まとめサイト
http://plaza.rakuten.co.jp/MikenekoMilk/
http://blog.livedoor.jp/minnanohimatubushi/

◆前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1241527139/l50

◆あらすじ
第1章:旧沼地でイャンクックに拾われた女の子。彼女はモンスターのしがらみに巻き込まれてしまいます。
    フルフルの薬を取りに、人間の里へ向かった帰り、ドドに襲われてしまいますが……。
第2章:ランゴスタの毒にやられてしまったグラビモス亜種を救うため、キングチャチャブーの元に向かうイャンクック達。
    その頃、薬の禁断症状に苦しむグラビモスは、人間に捕獲されてしまっていました。
第3章:三年前、シュレイド城での人間との戦いで、モンスター達は内部分裂を起こしてしまいます。
    大切な家族を守るためにイャンクックは戦おうとしますが……。
第4章:キングチャチャブーと共に、ランゴスタクイーンの下へ急ぐイャンクック。
    しかし雪山では、人間を憎むイャンガルルガに女児がさらわれてしまいます。
第5章:ナナ・テスカトリに救われる女児。しかし火傷は深く、ナナは女児を砂漠に連れて行きます。
    その中、シェンガオレン復活を目論む一派のラージャンが襲来し……。

以下続刊です
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/05(金) 22:24:56.67 ID:dR95qL2o
いっちょつ!
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/05(金) 22:39:29.65 ID:V8QV4So0
いち乙なのです
4 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/05(金) 22:50:12.24 ID:g/uLxe20
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/66/img2ad2ddb7zik9zj.jpeg

近日中に続きを投稿させていただきます
気長にお待ちいただけましたら嬉しいです
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/05(金) 23:10:24.18 ID:/lY4iXwo
いっいかついっ!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/05(金) 23:58:08.33 ID:UuO1X9A0
乙です!続きまったり待ってます〜
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/06(土) 01:44:38.78 ID:7/AHRwAO
>>1乙です!
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/09(火) 11:52:53.87 ID:uhROpGY0
乙です!更新楽しみにしてまーす
ついでに、グラビが好きなので更生して活躍するのも待ってますww
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/10(水) 00:34:52.94 ID:mcs4IgAO
おせぇ
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 02:38:10.17 ID:nFcHKgDO
>>1
体調悪いのかなぁ・・
なんか心配なっちまうな
11 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 20:58:26.41 ID:A1QGIGY0
こんばんは。投稿の方をさせていただきます
ご心配をおかけいたします。体調は残念ながら良くありません
低速になってしまっておりますが、ご了承ください

◆らくがき:ゆっくりシリーズ1
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/90/img82f7dbc6zikezj.jpeg

モンスターハンター図鑑(フィギュア)が発売されていました
http://www.e-na.co.jp/omocha/productbox/index.asp?keyword=モンスターハンター
買いましたが、爆弾アイルーとバサルが特に素晴らしいです
近所で見かけたら、ハントしてみてください
12 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 20:59:58.74 ID:A1QGIGY0
イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 第6章

副題:「明日、天気になぁれ」

―二年前、人の里―

女将 「まったく! そこじゃないっつってんだろ!(ビシッ)」
女児 「きゃあ!」
女将 「お前のお袋と同じく、使えない娘だよ。雨が降ってきたら、とっとと洗濯物を取り入れな!」
女児 「はい……ごめんなさい……」
女児 「…………」
女児 「(とぼとぼ)」
13 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:00:33.63 ID:A1QGIGY0
女児 「(雨……)」
女児 「(雨が降ってる)」
女児 「……?」
兵士A 「住民票がないアイルーはこっちだ!」
兵士B 「抵抗するようなら殺せ! 所詮モンスターはモンスターなんだよ!」
14 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:01:03.32 ID:A1QGIGY0
アイルー達 「ひぃぃ! あっしらは何もしてないにゃァァ!!」
兵士C 「黙れ!(ビシィッ)」
アイルー達 「ビャァ!」
兵士D 「どうせお前らが、モンスターに内通してやがったんだ!」
15 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:01:28.44 ID:A1QGIGY0
アイルー達 「あっしらはそんなことは……」
アイルー達 「人間様の味方でさぁ!」
兵士B 「連れてこい! 住民登録もないアイルーは、別の街に奴隷として売りに出す!」
アイルー達 「そ……そんニャ! あっしらは今までギルドに尽くしてきたのに……」
16 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:02:26.36 ID:A1QGIGY0
アイルー達 「横暴だニャ!」
兵士C 「うるせぇ!(ドガッ)」
アイルー達 「ビニャァ!!」
兵士C 「俺は今まで、モンスターが人間と同じような面ァして、そのらへん歩き回ってるのが気に食わなかったんだ!」
17 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:02:58.16 ID:A1QGIGY0
兵士C 「これでせいせいするぜ!!」
アイルー達 「おいらにはご主人がいるニャ! ご主人に会わせてくれにゃァァ!!」
アイルー達 「嫌だにゃァァ! 奴隷生活は嫌だにゃァァァ!!」
兵士B 「(ガチャン)連れて行け」
兵士E 「了解しました。任務ご苦労様です。ではこのアイルー達は、護送車で運び出しますので」
アイルー達 「ヘルプ! ヘルプにゃァァ!!」
アイルー達 「あっしらは無実でさァァ!!」
18 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:03:34.60 ID:A1QGIGY0
住民達 「またネコが連れて行かれるわよ(ひそひそ)」
住民達 「でも、噂ではこの前のシュレイド城の戦いで、アイルーがモンスター軍と内通してたんじゃないかって……」
住民達 「ほんと!? でもあのネコ達、人なのかモンスターなのか分からないから、前から不気味だって思ってたのよ」
住民達 「この機会に、街からいなくなってくれれば嬉しいんだけどね……」
住民達 「ウチの子も、あの戦いで大怪我してね。今はモンスターの顔を見るだけで吐き気がするわ」
女児 「…………」
アイルー達 「ヘルプ! ヘルプミィィィ!!」
猫護送車 「(ガラガラガラガラ)」
19 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:04:40.37 ID:A1QGIGY0
女児 「…………」
女児 「(お洗濯もの……)」
女児 「…………(とぼとぼ)」
女児 「モンスター……」
女児 「モンスターが、お父さんと、お母さんを……」
女児 「…………」
20 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:05:09.03 ID:A1QGIGY0
女将 「何してんだい! とっとと取り込んで来るんだよ!!」
女児 「! はい! ごめんなさい……!」
女将 「ぐずぐずしてると鞭でぶつよ! お前みたいな役立たずを拾ってやったんだ! いくら役立たずでも、働く努力くらいはするんだね!!」
女児 「(ダッ)」
住民達 「……やぁねぇ。あのお屋敷の子、また怒鳴られてるわよ」
住民達 「父親が、母親と軍を脱走したんだろう? 子供もろくな子じゃないのかもしれないね」
住民達 「何でも、あの子を捨てて、二人で逃げる途中に、砦蟹の侵攻に巻き込まれたとか……」
21 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:05:38.63 ID:A1QGIGY0
女児 「…………」
女児 「よいしょ……」
女児 「(ふらふら)」
女将 「それが終わったら、あとはお客さんの食事作りだよ。休むんじゃないよ。とっととしな!」
女児 「はい……!」
女将 「まったく本当、使えない……(ススッ)」
女児 「…………」
22 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:07:02.44 ID:A1QGIGY0
女児 「よいしょ……」
女児 「雨が……」
女児 「……強くなってきた……」
女児 「(お洗濯ものを、中に入れて……)」
女児 「痛っ……」
女児 「(さむい……)」
女児 「(手が、しもやけで切れてる……)」
23 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:07:41.43 ID:A1QGIGY0
女児 「ふーっ……ふーっ……」
女児 「(すりすり)」
女児 「よいしょ……」
女児 「…………」
女児 「(あとは、お食事をつくらなきゃ……)」
女児 「…………」
女児 「(てが……いたい……)」
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/10(水) 21:08:04.83 ID:xQCSuF.o
こっち進めるのは言いことかもしれませんが
前スレ埋めようや・・・
25 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:08:19.65 ID:A1QGIGY0
女児 「……?」
女児 「あ……」
女児 「(こんなところに、アイルーがいる……)」
白アイルー 「…………」
女児 「(あまやどりかな……)」
女児 「(でも、バッジをつけてない……)」
女児 「(へいしさんたちに見つかったら、つれていかれちゃう……)」
白アイルー 「…………」
26 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:11:01.83 ID:A1QGIGY0
>>24
今確認したら埋まっていました。皆さんありがとうございます
あと、1000の人、天鱗GETおめでとうございます
27 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:11:35.83 ID:A1QGIGY0
兵士達 「路地裏も全部探せ! バッジのないアイルーは、全部奴隷市場送りだ!」
アイルー達 「ギニャァァ!!」
兵士達 「逃げたぞ! 追えぇぇ!!」
女児 「…………」
白アイルー 「ふぅふぅ」
女児 「(手に息をかけてる……)」
女児 「(この子もさむいんだ……)」
28 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:12:48.18 ID:A1QGIGY0
女児 「……こっちだよ」
白アイルー 「!」
女児 「そこにいたら、こわい人につれていかれちゃうよ」
白アイルー 「…………(きょろきょろ)」
女児 「かぞくの人と、はぐれたの?」
白アイルー 「(こくり)」
女児 「とりあえず、こっちにかくれて。ほら……」
白アイルー 「(こくり)……(トコトコ)」
29 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:13:42.77 ID:A1QGIGY0
兵士達 「(バタバタ)」
女児 「!」
兵士達 「おい、そこのガキ! この辺にアイルーが逃げ込んでこなかったか!?」
女児 「(ビクッ)…………」
兵士達 「とっとと答えろ!」
女児 「し…………しらない(ふるふる)」
兵士達 「おーい! こっちだ!」
アイルー達 「ギニャァァ! 見つかったニャァァ!!」
兵士達 「チッ(ダダッ)」
30 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:15:18.19 ID:A1QGIGY0
女児 「…………」
女児 「(スッ)夜まで、うごかないほうがいいよ」
白アイルー 「…………」
女児 「さいきん、ずっとこうなの」
白アイルー 「…………」
女児 「(しゃべれないのかな……)」
女児 「そうだ……」
女児 「(ごそごそ)これ、あげる」
白アイルー 「?」
女児 「お魚の干物」
31 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:16:13.85 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「???」
女児 「(ぐぅ〜)」
女児 「あ……」
白アイルー 「…………」
女児 「はい」
白アイルー 「(ふるふる)」
女児 「じゃあ、はんぶんこにして食べようか(ポキッ)」
女児 「……はい」
白アイルー 「(もぐもぐ)……(にこっ)」
32 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:18:33.20 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「……?」
女児 「?」
白アイルー 「(スッ)」
女児 「どうしたの? わたしの手?」
白アイルー 「(こくり)……(ぐい)」
女児 「あ……よごれてるから……」
白アイルー 「(ふぅ)」
女児 「!」
女児 「きずが……」
女児 「きずが、ふさがった!」
白アイルー 「(にこにこ)」
33 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:19:02.56 ID:A1QGIGY0
女将 「女児! 女児、どこにいるんだい! とっとと戻ってこないとぶつよ!」
女児 「(ビクッ)」
女児 「あ……ごめんね、わたし、もういかなきゃ……」
女児 「よくわからないけど……」
女児 「手、なおしてくれてありがとう(なでなで)」
白アイルー 「(ごろごろ)」
女児 「この納戸にはだれもこないから、夜までまっててね。また来るから」
白アイルー 「(こくり)」
34 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:20:19.22 ID:A1QGIGY0
―どこか、遠い場所―

×××××× 「Min datter(娘が)」
×××××× 「…………Hun er ikke her(娘が、ここにいない)」
×××××× 「Hun er ikke(いない)」
×××××× 「Det er nodvendigt at lede efter hende(探さねばならぬ)」
×××××× 「Det er nodvendigt at finde hende(見つけねばならぬ)」
×××××× 「Vores barn er en vigtig barn(あの子は大切な子……)」
×××××× 「At barnet skal vare hvidt(……白くなければいかぬ……)」
35 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:21:10.01 ID:A1QGIGY0
×××××× 「Landsby(人里か?)」
×××××× 「Landsby(人里!?)」
×××××× 「Det beskidte landsby(あの汚らしい人里!?)」
×××××× 「Jorden regeret af menneskelige der defiled (穢れた人間に、支配された土地に!?)」
×××××× 「Ah……(ああ……)」
×××××× 「Fadase der, hvad er det vard(失態をした……)」
×××××× 「Det faldt(落ちたのだ)」
36 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:21:43.12 ID:A1QGIGY0
×××××× 「At barnet vil blive defiled(このままではあの子は、地上の毒に冒されてしまう」
×××××× 「Det er nodvendigt at hjalpe(助けなければ)」
×××××× 「Det er nodvendigt at hjalpe(助けなければいけない)」
×××××× 「Fra rotted jorden(腐った地上から……)」
×××××× 「Min datter(娘を……)」
×××××× 「Lad os komme i gang(……降りましょう)」
×××××× 「Til at rotted jord(あの腐りきった土地へ……)」
×××××× 「Kun en gang nu(今一度……)」
37 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:22:11.08 ID:A1QGIGY0
―二年前、人の里、女児の住む屋敷、夜―

女児 「(すすっ)」
女児 「ネコさん、いる?」
白アイルー 「すぅー……すぅー……」
女児 「(ねてる……)」
白アイルー 「……!」
女児 「ごめんね、おこしちゃった」
白アイルー 「(ごしごし)」
38 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:22:47.90 ID:A1QGIGY0
女児 「いろいろ、あまりものだけどもってきたよ」
白アイルー 「……?」
女児 「干物とか……おやさいとか……」
白アイルー 「!」
女児 「どうしたの?」
白アイルー 「(ちょいちょい)」
女児 「あ……おきゃくさんの食べ残しなんだけど……」
女児 「なんだかよくわからないの……」
39 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:23:44.46 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「(つんつん)……(パカッ)」
女児 「この種、われたんだ……」
白アイルー 「(すっ)」
女児 「たべられるの? でも、種のなかみだよ?」
白アイルー 「(こくり)」
女児 「(もぐもぐ)……! 甘いねぇ。中の方がおいしいんだぁ」
白アイルー 「(もぐもぐ)」
女児 「いつも種はすててたよ。あなたは、すごいこと知ってるんだね」
40 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:24:37.48 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「?」
女児 「あぁ、これ?」
女児 「おかみさんに、おこられちゃったの」
女児 「わたしあんまりやくにたてないから……」
白アイルー 「(くいっ)……(ふぅ)」
女児 「青くなってたのに……治ってく。とってもあったかい」
白アイルー 「(ニコニコ)」
女児 「ありがとう。やさしいんだね(なでなで)」
41 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:26:00.59 ID:A1QGIGY0
女児 「お父さんと、お母さんは?」
白アイルー 「(きょろきょろ)……??」
女児 「どこにいるか、わからないの?」
白アイルー 「(こくり)」
女児 「じゃあ、どうしようね……いま、兵士さんに見つかると、ネコさんはつれていかれちゃうんだよ」
白アイルー 「…………」
女児 「外は雨がすごいから、出れないね……」
42 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:26:33.30 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「……(ぎゅっ)」
女児 「……?」
白アイルー 「…………」
女児 「(なでなで)いっしょにねよう? 明日、雨がやんでたら、一緒にお父さんたちを探しに行こう」
白アイルー 「…………(こくり)」
女児 「明日は雨がやむよ。そんな気がするもん、だいじょうぶ」
白アイルー 「(にこり)」
43 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:26:56.36 ID:A1QGIGY0
女児 「お父さんと、お母さんはね」
白アイルー 「…………」
女児 「きっと、むかえにきてくれるんだよ。だって、かぞくなんだもん。むかえにきてくれるよ」
白アイルー 「…………」
女児 「だから、だいじょうぶだよ。こわい人なんて、心配ないよ」
白アイルー 「(こくり)」
女児 「お母さんがね、よくわたしに言ってたの」
女児 「(ごそごそ)」
44 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:27:25.26 ID:A1QGIGY0
女児 「これ」
白アイルー 「!」
女児 「てるてる坊主っていうの。わたし、沢山つくった。これを吊るして、おねがいすれば、きっと明日はお天気になるの」
女児 「一つ吊るしてもだめなら、もっと沢山吊るせばいいの」
女児 「おねがいすれば、きっと明日はお天気になるって、お母さんはいつも言ってた」
女児 「だからわたし、明日はね、明日こそはね、天気になぁれって、そう思って」
女児 「……そう思いながら、いつもこれ、つくってるんだ」
白アイルー 「…………」
45 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:27:48.10 ID:A1QGIGY0
女児 「小さいのがあるから、あげる」
白アイルー 「(にこり)」
女児 「こうやって、ヒモを通して首にかけておけば……」
女児 「もしかしたら、もしもの時に飼いアイルーって思ってもらえるかもしれないし……」
女児 「明日はきっとお天気になって」
女児 「きっと、あなたのお父さんとお母さんも」
女児 「…………」
女児 「探しにきてくれるよ」
46 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:28:19.33 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「(にこにこ)」
女児 「…………」
女児 「(にこり)」
女児 「…………」
白アイルー 「(ごろごろ)」
女児 「……!」
女児 「(このネコさん、せなかに小さな羽がある……)」
女児 「(きれい……)」
女児 「(特別なネコさんなのかな……)」
47 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:28:45.45 ID:A1QGIGY0
女児 「(今は森はあぶないけれど……)」
女児 「(こわい兵士さんたちにつれて行かれるくらいなら)」
女児 「(もしもの時は、森の方が……)」
女児 「(……森……)」
女児 「(お父さんと、お母さんをころした……)」
女児 「(モンスターたちがいる森……)」
女児 「(モンスター…………)」
女児 「(…………この子も…………)」
48 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:29:08.89 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「すぅー……すぅー……」
女児 「………………」
女児 「(てるてる坊主を、にぎってる……)」
女児 「(お父さんとお母さんに、会いたいのかな……)」
女児 「(そうだよね……)」
女児 「(一人はさみしいよ)」
49 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:29:26.38 ID:A1QGIGY0
女児 「(…………)」
女児 「(でも、だいじょうぶだよ)」
女児 「(この子の分も、お願いするの……)」
女児 「(明日、天気になぁれって……)」
女児 「(どんな幸せがくるのかは、わからないけれど)」
女児 「(明日はきっと、雨が止むよ……)」
50 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:30:28.32 ID:A1QGIGY0
―次の日、朝―

女児 「ん……」
女児 「……(あったかい……)」
白アイルー 「すぅー……すぅー……」
女児 「(この子がくっついててくれたから……)」
女児 「あ……」
女児 「(外……雨……。きのうより、強くなってる……)」
女児 「…………」
51 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:33:20.35 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「(ふぁぁ)」
女児 「あ……おはよう」
白アイルー 「(ごしごし)……(にこり)」
女児 「今日の、夕方に自由時間があるから、そのときにお父さんとお母さんを探しにいこう?」
白アイルー 「(こくり)」
女児 「あとでまた、何か食べるものを持ってきてあげる」
女児 「ここにいてね?」
白アイルー 「(こくり)」
52 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:33:46.92 ID:A1QGIGY0
―女児の住む屋敷、昼―

女将 「女児! ちょっと来な!」
女児 「は……はい!」
女将 「……あんた、何かやらかしたんじゃないだろうね!?」
女児 「(ビクッ)え……」
女将 「兵士が来てるんだよ。お前を呼んでこいってさ」
女児 「わたしを……?」
女将 「ぐずぐずするんじゃないよ。あたしもいくからついといで!」
女児 「…………」
53 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:34:46.34 ID:A1QGIGY0
女児 「(もしかして、あの白いネコさんが……)」
女児 「(そんな……)」
女児 「(あの子は、わたしのきずを治してくれて……)」
女児 「(すごくやさしい子で……)」
女児 「(悪いネコさんじゃないのに……)」
女将 「何ボサッとしてんだい! とっとと入るんだよ!(ぐいっ)」
54 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:35:39.96 ID:A1QGIGY0
女将 「お待たせしました。いやぁ、なかなかこの子がね、融通がきかなくてね」
女児 「(兵士さんたちだ……)」
女児 「(白いネコさんはいないみたい……)」
兵士A 「…………」
兵士B 「君か、シュレイド城から来た子っていうのは」
女児 「!!」
兵士B 「孤児登録を整理していて、少々気になる点があってね……」
55 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:37:01.66 ID:A1QGIGY0
女将 「あの……この子が何かをやらかしたんでしょうか?」
兵士A 「いや、そういうわけではありません。どちらかというと、この子の親が問題でして」
女児 「……!!!」
兵士B 「登録によると、父親が脱走兵となっていましてね。知っての通り、軍規によると脱走は死罪に当たる重罪でして」
兵士A 「死亡は確認されてはいますが、法律では、その家族に、軍罰則による罰金が科せられるんですよ」
女児 「………………」
女将 「罰金!? ちょっと、そんな話聞いてませんよ!」
56 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:37:54.92 ID:A1QGIGY0
兵士A 「ええと……あなたは、この子の保護者という形でよろしいでしょうか?」
女将 「! バ……バカを言わないでください。この子は、ウチでただ雇っているだけ……ただの小間使いとして、雇っているだけです」
女児 「!?」
女将 「奴隷として私が買い取ったんです。市民登録があるなんて知りませんでしたよ!」
女児 「(そんな……うそ……)」
女児 「(おかみさんは、お母さんの遠いしんせきで……)」
女児 「(わたし、奴隷じゃない……)」
兵士A 「はぁ、そうなんですか」
兵士B 「まぁ、このご時世ですから、形態はどうあれ、子供が大人の保護下にあるという状況だけで、私たちは口出しをいたしませんよ」
女将 「…………」
兵士B 「それで、本人確認をしてもらいたいんですが」
57 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:39:59.67 ID:A1QGIGY0
女児 「!!」
兵士A 「(スッ)この映写画像は、君のお父さんとお母さんで、間違いないかい?」
兵士B 「もしもそうだというのなら、君に軍からの罰金が科せられることになる」
兵士A 「奉公しているというなら、そこから税金という形で引かせてもらうよ」
兵士B 「残酷なようだが、これも規則でね……家族を失って辛いとは思うが」
女児 「…………」
兵士B 「認めなくてもいい、ただ、形式的なものなんだ」
女児 「!?」
女児 「(認めなくてもいい……?)」
女児 「(わたしが、お父さんとお母さんの子供だって……?)」
58 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:41:32.63 ID:A1QGIGY0
兵士A 「もし違うというなら、この市民登録は抹消して、また新しく作ればいい」
兵士B 「ただの確認なんだ。そう、構えることはない。別人だということで、いいね?」
女児 「…………」
女将 「ええ、ええ別人ですとも。お前も何とかお言い!」
女児 「…………」
59 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:42:09.17 ID:A1QGIGY0
女児 「(お父さん、お母さん……)」
女児 「(むかえに……)」
女児 「(…………………………)」
兵士A 「ん? どうだい?」
女児 「………………」
60 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:43:17.77 ID:A1QGIGY0
女児 「(お金……罰金……)」
女児 「(女将さんにめいわく……)」
女児 「(わたし、いくところ……)」
女児 「(ない……)」
女将 「ほら!(ぐいっ)」
女児 「ひっ……」
女児 「……………………」
女児 「べ……」
女児 「別のひと……です」
61 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:45:38.78 ID:A1QGIGY0
兵士A 「分かった。ではそのように処理をしておこう」
兵士B 「君の新しい孤児登録市民票の発行手続きもしておくよ」
兵士A 「時間があったら、役所に写真を撮りに来なさい」
女将 「なんだか、たいしたお構いもできませんでして……」
兵士B 「いえ、仕事ですから」
兵士A 「それでは、僕らは失礼します」
女児 「……………………」
62 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:47:06.10 ID:A1QGIGY0
―夕方―

女児 「…………」
白アイルー 「?(ぷにぷに)」
女児 「え? あ……ごめんね(にこっ)」
女児 「お父さんと、お母さんを探しにいこうね」
女児 「探しに……」
女児 「…………」
白アイルー 「…………」
女児 「……わたしの、服の中に入って。そうすればみつからないよ」
白アイルー 「(コクリ)」
63 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:49:54.58 ID:A1QGIGY0
アイルー達 「ギニャァ! こっちにも追っ手がいるにゃァ!」
兵士達 「逃がすな! 捕まえろー!!」
アイルー達 「おいどんらは無害ですにゃァァァ!!」
アイルー達 「奴隷市場はもういやだニャァァ!!」
兵士達 「騒ぐな! この!!」
アイルー達 「ブッギャァァ!」
女児 「…………」
女児 「(ひどい……)」
女児 「(何もしてないのに……)」
64 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:51:13.74 ID:A1QGIGY0
女児 「(でも、だれも……)」
女児 「(だれも、たすけてあげようとしない……)」
女児 「(わたしも……)」
女児 「(…………)」
女児 「(モンスターだから……)」
女児 「(モンスター、だから……みんな……)」
白アイルー 「………………」
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 21:52:00.28 ID:1cxK.pgo
というかアイルー狩り始まってるのになぜ何日も街に居続けてるアイルーがいるのかと
66 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:52:04.25 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「(ちょいちょい)」
女児 「?」
白アイルー 「(スッ)」
女児 「これ……てるてる坊主?」
女児 「木の実の皮で、作ったの?」
白アイルー 「(コクリ)」
女児 「わたしにくれるの?」
女児 「わぁ……」
女児 「ありがとう(にこっ)」
67 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:53:54.50 ID:A1QGIGY0
アイルー 「(ダダッ)」
女児 「!!」
アイルー 「ヘルプ! ヘルプミィ!」
女児 「(ネコさんが、道路に飛び出してきた……!)」
アイルー 「どなたかあっしをヘルプしてくだされ! あっしはれっきとした雇われアイルーでっせ!!」
住民達 「…………」
アイルー 「あっしのバッヂが、盗まれちまったんです! どなたかあっしの無実を証明して……」
兵士達 「こっちに逃げたぞ!(ダダダダッ)」
アイルー 「ギニャァァ! お縄は勘弁にゃァ! どなたかあっしの顔を!!」
アイルー 「ギルドであっしをみかけたっつぅ人おりませんか! どなたかぁぁ!!」
兵士達 「このっ! 暴れるな!!」
アイルー 「あっしは奴隷じゃねぇですぅぅぅ!!」
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/10(水) 21:54:54.74 ID:Dxq7taAo
鬱だ…
69 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:55:04.99 ID:A1QGIGY0
女児 「(奴隷……)」
女児 「(………………)」
女児 「(足が、うごかない……)」
白アイルー 「…………」
アイルー 「だからあっしは……」
アイルー 「無実だって……!!」
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 21:56:22.67 ID:CJ7InuYo
┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /
  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。

       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ
71 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 21:57:05.07 ID:A1QGIGY0
兵士達 「いい加減にしろこの……!(ブゥン)」
アイルー 「!!」
兵士達 「モンスターめ!!」
アイルー 「(ドガッ)ビャァ!!」
兵士達 「へへっ……バケモンが人間様と同じ口ィきいてんじゃねぇよ」
アイルー 「(ずるずる……ばたん)」
住民達 「………………」
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/10(水) 21:59:38.68 ID:A1QGIGY0
兵士達 「おいこれ、死んだんじゃねぇのか?」
兵士達 「強くやりすぎだぞ。あくまで、売るために捕まえてるんだからよ」
兵士達 「構うもんか。ネコなんて腐るほど出てくるだろ」
女児 「………………」
女児 「(血……)」
女児 「(あのネコさん、助けてあげなきゃ……)」
女児 「(でも、体が……)」
女児 「(震えて……)」
73 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:01:37.57 ID:A1QGIGY0
女児 「(奴隷……)」
女児 「(お父さんとお母さんは、もういないの……)」
女児 「(だれも……)」
女児 「(だれも、わたしを守ってくれない……)」
女児 「(もし、兵士さんをおこらせて、お父さんが脱走兵ってわかって……そうなったら……)」
女児 「(お金……………………)」
女児 「…………」
白アイルー 「………………」
74 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:02:43.07 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「(スッ)」
女児 「あ! 駄目! 出ちゃ駄目!!」
白アイルー 「(スタッ)……(トコトコトコ)」
住民達 「ちょっと! あの白ネコ、バッヂをつけてないわ!」
住民達 「野良よ!!」
女児 「あ……ぁ……」
兵士達 「何だァ、あのネコ」
兵士達 「くたばったアイルーに近づいてくぞ」
白アイルー 「(スッ)」
アイルー 「………………」
白アイルー 「(ふぅ)」
75 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:03:58.90 ID:A1QGIGY0
女児 「(あのネコさんの、傷が治っていく……)」
アイルー 「!!! な、何が……」
白アイルー 「(ニコニコ)」
兵士達 「お……おい、今の見たかよ……」
兵士達 「怪我が、消えたぞ……」
兵士達 「それに、あれ……背中に羽が……」
兵士達 「何だあれ……? アイルーじゃねぇ!」
住民達 「ば……化け物……」
住民達 「化け物よ! 化け物猫が、入り込んでるわ!!」
76 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:06:00.94 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「…………」
アイルー 「か……かたじけねぇ! あっしは逃げまさぁ!(ダダダッ)」
兵士達 「その白いのを捕まえろ!」
兵士達 「用心しろ! 強力なモンスターかもしれないぞ!!」
兵士達 「野郎!!(ブン)」
女児 「きゃっ……(剣を、いきなり……)」
白アイルー 「………………」
兵士達 「(キィィンッ)うわぁっぁぁぁ!」
兵士達 「何だ!? 斬りかかった奴が、逆に吹っ飛んだぞ!!」
兵士達 「ひ……ひぃぃ!」
白アイルー 「………………」
兵士達 「目が赤く、光ってる……!! ネコじゃねぇぞあれ!!」
77 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:07:19.32 ID:A1QGIGY0
兵士達 「全員構えろ! ここでしとめるぞ!」
女児 「あ……あぁ……(沢山の兵士さんたちが、剣を抜いてる……)」
白アイルー 「…………」
兵士達 「モンスターめ……どこから入り込んだ!!」
住民達 「ひえええ! 巻き込まれるぞ!!」
住民達 「死ね! モンスター!!(ブンッ)」
白アイルー 「(パチィィンッ)……?」
住民達 「ひっ……石が弾けて消えた……」
78 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:08:08.32 ID:A1QGIGY0
兵士達 「迂闊に近づくな! 矢を射掛けろ!!」
白アイルー 「…………」
女児 「駄目……」
女児 「(あんなに沢山の矢に……)」
女児 「(あの子は何も悪いことを……)」
女児 「(わたしと同じ)」
女児 「(わたしと……同じ)」
女児 「(でも、わたしとちがう)」
女児 「(迎えに来てくれる、お父さんとお母さんがいるの!!!)」
79 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:08:57.42 ID:A1QGIGY0
女児 「やめてぇぇ!(ダダッ)」
兵士達 「! 子供!? しゃ、射撃待て……」
兵士達 「死ねぇ!(ズドドドド)」
女児 「あッ……!!!」
白アイルー 「!!!!」
女児 「う……」
女児 「(撃たれたの……わたし……?)」
女児 「(からだが……しびれて……)」
女児 「(あれ……?)」
女児 「(ドサッ)」
女児 「………………」
白アイルー 「!!! ……!!!」
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:10:05.55 ID:URJU6Bko
なぜ撃ったし!!!
81 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:10:52.51 ID:A1QGIGY0
兵士達 「この野郎! 子供を盾にしやがった!!」
兵士達 「突き殺してやる!!」
兵士達 「うぉぉぉぉおおお!!」
白アイルー 「…………Stop、det!!」
兵士達 「! 何だ!?」
兵士達 「何だこの光……ま……まぶしい!!」
82 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:11:53.42 ID:A1QGIGY0
×××××× 「En del af hendes……!」
兵士達 「耳に刺さる……な……なんだ……この声!!」
×××××× 「Det er sa meget. Menneskelige!!」
兵士達 「(ゴゥゥゥゥッ)うわぁぁ!」
兵士達 「ぎゃああ……ッ! た、台風か!? 目が……」
兵士達 「何だ……黒い猫と……赤い猫……!!! いつの間に!!」
兵士達 「踏ん張っていられねぇ……!! うわあああ!」
83 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:13:43.80 ID:A1QGIGY0
―女児、夢の中―

女児 「(どこ……ここ……)」
女児 「(真っ白い……ばしょ…………)」
女児 「(何も見えない……)」
白アイルー 「(にこにこ)」
女児 「!! ネコさん!」
女児 「良かった……けがはなかったんだね……」
女児 「けが……あれ……?」
女児 「わたし……」
女児 「どこも、けがしてない……」
84 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:14:37.83 ID:A1QGIGY0
白アイルー 「(ちょいちょい)」
女児 「……? 空……?」
白アイルー 「(ふぅ)」
女児 「!! わぁ! 太陽……それに、虹!!」
白アイルー 「(ちょいちょい)」
女児 「それ……わたしの、てるてる坊主……」
白アイルー 「(にっこり)」
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/10(水) 22:16:49.61 ID:A1QGIGY0
女児 「あ……どこに行くの!?」
白アイルー 「(トテトテトテ)」
女児 「…………!」
黒アイルー 「…………」
赤アイルー 「…………」
女児 「………………あ………………」
白アイルー 「(にこにこ)」
女児 「………………」
白アイルー 「ニャァ(ブンブン)」
86 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:17:37.30 ID:A1QGIGY0
女児 「………………」
女児 「……良かったね(にこり)」
白アイルー 「ニャ…………ニャウ…………」
白アイルー 「Fine…………vejr」
女児 「……?」
女児 「言葉……?」
白アイルー 「Desuden…………lad…………os…………modes」
女児 「…………」
白アイルー 「Under……fine…………vejr!」
87 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:18:01.91 ID:A1QGIGY0
女児 「あ……」
女児 「(手を振って……消えて……)」
女児 「(お父さんと、お母さんと一緒に……)」
女児 「きゃぁ!」
女児 「(い……今一瞬、太陽が爆発したみたいに光った……)」
女児 「……!!!」
女児 「空に……」
女児 「大きな……黒と、赤と……白の、ドラゴンが…………」
88 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:18:19.07 ID:A1QGIGY0
―路地―

女児 「…………」
女児 「……けほっ……けほっ……」
女児 「わたし……生きてる……」
女児 「(まわりが……台風みたいに、大きく崩れてる……)」
女児 「(まるで何かがばくはつしたみたい……)」
女児 「…………」
女児 「(白ネコさんは、いない……)」
女児 「(カサ……)」
女児 「(これ……あの子がつくった、てるてる坊主……)」
89 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:18:42.01 ID:A1QGIGY0
女児 「あれ……?」
女児 「雨が……止んだ……」
女児 「(空に、虹ができてる……)」
女児 「(きれい…………)」
女児 「あれ……あそこの雲も……」
女児 「てるてる坊主にみえる……」
90 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:19:04.44 ID:A1QGIGY0
女児 「(どうしてだろ……)」
女児 「(涙、出てくる……)」
女児 「(あぁ……わたし……)」
女児 「(わたし……)」
女児 「…………」
91 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:19:31.36 ID:A1QGIGY0
女児 「………………」
女児 「(お父さんと、お母さんに会えてよかったね…………)」
女児 「(私も……)」
女児 「(あしたは……)」
女児 「(あしたは、天気になると……いいなぁ……)」
92 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/10(水) 22:22:15.59 ID:A1QGIGY0
次回へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/88/img0cd1273czik9zj.jpeg

蒸し暑いのか寒いのか、よく分からない天気が続きますが、全ての皆様に、いいことがありますよう祈っています

お疲れ様でした。今日は休ませていただきます
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:25:24.91 ID:wJ5.ddUo
>>11のゆっくりかわいいww
今日もお疲れ様でした!>>1にもいい事がありますように
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/10(水) 22:27:18.96 ID:xQCSuF.o
お疲れ様
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 22:31:11.14 ID:CJ7InuYo
せめて英語でおk
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 23:23:28.21 ID:V8eBPOko
ミラだったのか
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/10(水) 23:42:13.49 ID:EQVGmkAO
三毛猫さんお疲れさまでした!
まさかまさかのミラ登場ですか…
これで、先が更に予想出来なくなりました^^;
体調に気を付けて頑張って下さい!
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/11(木) 10:48:23.67 ID:xvqtRjk0
ミラキタ!!!そして文もだけど三毛猫さんの絵好きです。おつでした!
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/13(土) 23:58:32.81 ID:ZrE4/PQo
お疲れ様です 面白いです
女児ちゃんがモンスターと話せるのはミラ猫さんのおかげなのですかね
なんだかウチの猫’sが心配になってきたので
久しぶりにMHP2Gひっぱりだしてみようかな
100 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:38:13.57 ID:Ky.D1Uo0
ありがとうございます

少し早めですが、投稿をさせていただきます
101 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:38:32.89 ID:Ky.D1Uo0
―現在、火山、深夜半―

クック 「……ン……ンン……」
キリン 「! おじさま!」
クック 「キリンちゃん……? 私は……」
キリン 「ずっと気を失っていたのよ。良かった、気がついて……」
クック 「ここは……?」
キリン 「アカムトルムさんのお家。洞窟が崩れて、怪我をした人は、みんなここに避難しているの」
102 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:39:06.59 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「……? おお、イャンクック殿。目を醒まされたか」
クック 「テオさんではないか。あなたも、いらっしゃったのですか」
テオ・テスカトル 「ああ。人間側の火山通路は、ほとんど完全に埋まってしまった。ガブラス君達の群落が潰れてしまったな……」
クック 「そうですか……」
テオ・テスカトル 「人間が何かを爆発させて、この騒ぎを引き起こしたと聞くが?」
クック 「! そうだ……女児! 女児は……!!」
クック 「助けに行かねば……!!」
クック 「ぐ……(よろり)」
キリン 「おじさま……」
103 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:39:30.79 ID:Ky.D1Uo0
キリン 「女児ちゃんは大丈夫。ヴォルガノスさんが助けてくれて、今、火傷を治すために砂漠にいるらしいわ。さっきネコ飛脚便が知らせてくれたの」
クック 「そうか……良かった……」
クック 「本当に、良かった……(ふらり)」
テオ・テスカトル 「クック殿。私にはどうにも理解ができないのだが、人間は、あなたが保護していた子を熔岩に落とし……」
テオ・テスカトル 「しかしその一方、あなたの傷を治すために、キリンに薬をよこした。そうだね、キリン」
キリン 「はい。おじさまや、他の方の大きな傷はそれで治しました」
クック 「薬を……? 何故だ。私は、確かに人間が悪意を持って爆弾を撃つのを見た。女児はそのせいで、落ちてしまったんだ」
104 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:39:57.66 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「私にも詳しいことは分かりませんが……とにかく、大事に至らなくて良かった」
黒グラビモス 「(ズシン、ズシン)イャンクック様!」
クック 「! 黒グラビさん!! 良かった、毒が消えたのか!!」
黒グラビモス 「ええ。この通り動くことが出来るようになりました。夫のことも……重ねて、ご迷惑をおかけいたしました……」
クック 「そんな……頭を上げてください。あなた方には、私の家族が生きているとき、妻の産後など随分と世話になりました」
黒グラビモス 「私の方こそそんな……もう、お礼しか申し上げることができずに……」
バサルモス 「…………」
クック 「あァ、バサル君も無事だったか。良かった」
105 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:40:20.34 ID:Ky.D1Uo0
バサルモス 「クックおじさん、怪我は大丈夫!? 俺……俺……(ぐすっ)」
クック 「私はほら、この通りだ。どうしたんだい?」
バサルモス 「…………」
バサルモス 「……目の前で落ちたんだ……女児が……でも、助けられなかった……」
クック 「(そういえば、あの時、女児はバサルモス君の背中に乗っていた……)」
バサルモス 「ごめんなさい……おじさん、俺……」
クック 「そんなに気に病むことはない。それに、女児は生きているのだろう? なら、問題はないさ」
バサルモス 「でも……俺、情けないよ……」
バサルモス 「何もできなかった……俺……」
106 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:40:40.97 ID:Ky.D1Uo0
黒グラビモス 「(なでなで)この子、火山に迷い込んでいた女児ちゃんと、少しの間一緒にいたらしいんです。それで……」
バサルモス 「(ぐすっ……)」
クック 「一歩間違えば、だれもが惨事になりかけたことだった。何事もなく済んでよかったよ」
アカムトルム 「(ズイッ)そうよぉぉ〜、泣いてばっかりいたら、折角のカワイ子ちゃんが台無しじゃない? 駄目よぉ?」
バサルモス 「!!」
クック 「アカムさん!?」
アカムトルム 「あら何? ここ、あたしの家よ」
テオ・テスカトル 「アカム殿、手間をかける」
アカムトルム 「いいのよいいのよ〜、テオちゃんの頼みなら、ンもう何でも聞いちゃうっ!」
107 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:41:00.60 ID:Ky.D1Uo0
バサルモス 「おじさ……お姉ちゃん」
アカムトルム 「なぁに純情ボウイ?」
バサルモス 「その……変態とか言って、ごめん……お姉ちゃん、すごく強くて……男らしかった」
アカムトルム 「ちょ、ちょっと何よ改まって。そんなこと言われると照れちゃうじゃなーぃ!」
クック 「(男らしいというのはいいのか……)」
アカムトルム 「んま、坊やも沢山食べて自分を磨けば、いずれアタシのようになれるわよーぅ」
バサルモス 「俺……お姉ちゃんみたくでっかくなれるかな?」
アカムトルム 「なれるなれる。あたしだってね、あんたくらいの時があったんだからねぃ」
バサルモス 「まじで……!?」
108 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:41:17.77 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「アカム殿、銀さんは?」
アカムトルム 「ん? お銀なら、一旦塔に戻ったわよ。金子を連れて来るってさ」
テオ・テスカトル 「そうか……」
クック 「どれ……(ぐぐ……)」
キリン 「! おじさま、まだ寝てなきゃ駄目よ!」
クック 「そうもしていられない。女児が、砂漠にいるというなら、迎えに行ってやらねば……」
クック 「あの子も、怖い思いをしたことだろう……」
クック 「私が、ついていてやりたいんだ……」
テオ・テスカトル 「そのことなのだが……」
109 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:41:48.88 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「今現在、女児という人間の子は、我が妻に連れられ、夢幻砂漠流、ディアブロス老師の元にいるらしい」
クック 「! 老師の……」
クック 「確かに、老師なら、深い怪我などを治す手立てを知っている……」
クック 「私も随分若い頃、一度だけお会いしたことがある……」
テオ・テスカトル 「しかし、飛脚便で飛んできた猫によると、どうやら今現在、砂漠は、その女児を狙う猿と蟹に囲まれてしまっているらしいのだ」
クック 「! 何だって!?」
クック 「女児は……優しい子なんだぞ!」
クック 「モンスターか、人間かなど関係はない。あの子は、相手が竜でも何でも、自分で薬を塗ってあげるような……」
クック 「そんな、優しい心を持つ子なんだ」
クック 「それを何故、殺そうとなど……!!」
110 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:42:06.25 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「うむ……私も、話を聞いている限りでは、排斥しようとは思わない」
テオ・テスカトル 「しかし、この混乱に対する報復を、猿、蟹族は声高に主張をしている……」
テオ・テスカトル 「ラオシャンロンは、お住まいの樹海奥から出てこず、話し合いもできぬ……」
テオ・テスカトル 「それゆえに、猿蟹族が、強行に出ようとしているのだ」
クック 「なんということだ……!!」
クック 「ラオシャンロン殿は、何をしておられるのだ!」
テオ・テスカトル 「分からぬ……しかし、妙な胸騒ぎがする」
テオ・テスカトル 「猿蟹族は、そんな最中、モンスターが人間を助けている状況を、裏切りと考えているようだ」
テオ・テスカトル 「それゆえ、夢幻砂漠流に女児の引渡しを求めているとのこと……」
111 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:42:26.40 ID:Ky.D1Uo0
クック 「……くっ……」
テオ・テスカトル 「私はこれより、砂漠に向かう。我が妻が心配だ」
クック 「テオ殿。私も行きます」
テオ・テスカトル 「しかしクック殿……クチバシが割れている。完治したわけでもない。無理は禁物だ」
クック 「それでも、迎えにいきたいのです……!」
テオ・テスカトル 「……分かった」
バサルモス 「俺も行く。おじさん、俺の背中に乗ればいいよ!!」
クック 「! バサルモス君!」
バサルモス 「ママ、いいでしょ? 俺、おじさんのことを助けてくる」
黒グラビモス 「ええ。ええ、よく助けてさしあげて。イャンクック様、不肖な息子ですが、使ってやってくださいませんか?」
112 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:42:45.09 ID:Ky.D1Uo0
クック 「そんな……いや、ありがたい。すまないが、助けになってくれ」
バサルモス 「はい!」
アカムトルム 「頑張ってくるのよーぅ、純情ボウイ。ことと次第によっちゃ、あなた、将来二代目カム子の座を継げるかもしれないわ。今から精進なさいな」
バサルモス 「うん!(カム子……?)」
キリン 「おじさま、私も行く。このままここで待っているなんてできないわ」
クック 「ああ、キリンちゃん、行こう」
テオ・テスカトル 「よし、では私の巣から抜けられる近道を通って……」
×××××××× 「(ドバッ)」
黒グラビモス 「!! 何かが、地面から出てきたわ!」
アカムトルム 「ちょぉぉっとぉ! 何アタシの家に穴開けてんのよぉぉ!」
113 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:43:03.52 ID:Ky.D1Uo0
ダイミョウザザミ 「シェキ……シェキ……」
バサルモス 「カニだ……!!」
ダイミョウザザミ 「…………テオ・テスカトルはいるか…………?」
テオ・テスカトル 「私だ。何の用だ?」
ダイミョウザザミ 「……シェキ…………我が父より……伝言だ……」
ダイミョウザザミ 「我々、ギザミ一族は…………この行為を……人間の脅威ととって……」
ダイミョウザザミ 「その報復に……出ることにした……」
テオ・テスカトル 「……! 何だと!? 勝手な戦闘は、ラオシャンロンが禁止をしているはずだ」
ダイミョウザザミ 「シェキ……シェキ……」
ダイミョウザザミ 「その……シャンロンは……どこだ……?」
114 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:43:18.28 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「何……」
ダイミョウザザミ 「もう……奴は…………我々を守っては……くれない……」
テオ・テスカトル 「…………」
ダイミョウザザミ 「自分の身を自分で……守ろうとして……何が悪い……!」
ダイミョウザザミ 「攻撃は…………明朝…………」
ダイミョウザザミ 「我らの…………力と共に……人を攻撃する……」
ダイミョウザザミ 「その前に……」
ダイミョウザザミ 「貴様らが囲っている……裏切り者が囲っている……人間を…………」
ダイミョウザザミ 「血祭りにあげる…………」
クック 「!!!」
115 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:43:33.77 ID:Ky.D1Uo0
ダイミョウザザミ 「以上だ…………」
テオ・テスカトル 「待て! それでは完全な、反乱宣言ではないか!!」
ダイミョウザザミ 「…………ブランゴ一族も、我らに賛同した…………」
ダイミョウザザミ 「我らはもう……止まらぬ……」
ダイミョウザザミ 「三年前のような…………中途半端な…………」
ダイミョウザザミ 「そのせいで、今のような…………」
ダイミョウザザミ 「それはもう……ごめんだ…………」
テオ・テスカトル 「ダイミョウ殿!!」
ダイミョウザザミ 「(ズボボボボ)」
116 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:43:49.05 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「くっ……潜って行ってしまった」
アカムトルム 「ちょぉぉっと! なぁにあれ? 不愉快極まりないわね、まったくカニってやつは!」
テオ・テスカトル 「……とにかく、早く砂漠に行かねばなるまい。アカム殿、後を頼めるか?」
アカムトルム 「それはいいけど……ちょっとあのカニの言ったこと、気になるわね」
アカムトルム 「ラオちゃんには連絡してるの? このこと」
テオ・テスカトル 「ああ。ネコは随分前に走らせている」
アカムトルム 「あたし、ちょっと後で様子見てくる」
テオ・テスカトル 「すまない。では、行くぞ、クック殿方!」
クック 「ああ……!」
117 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:44:04.07 ID:Ky.D1Uo0
キリン 「女児ちゃんを殺すなんて……!! 何ということを!」
クック 「……ギザミ一族は昔からそうなんだ……!」
クック 「人間に対する憎しみが、ここまで根深いとは……!」
バサルモス 「おじさん、俺の背中に捕まって」
クック 「ああ、世話をかける……(ズッ)」
バサルモス 「よっ……と。じゃ、ママ、行ってくる。助けてくるよ。女児も……!」
黒グラビモス 「ええ。イャンクック様をよくお助けするのですよ」
黒グラビモス 「その、人間の子も……」
バサルモス 「うん!」
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/14(日) 18:44:07.47 ID:Fwdqozoo
作者来てる!!
そして黒グラビ含め全員無事か、良かった
119 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:44:30.14 ID:Ky.D1Uo0
―砂漠、秘境、奥間、深夜半―

ディアブロス 「……それで、ギザミ一族とブランゴ一族は、この洞窟の入り口を囲んでいるわけか」
ディアブロス亜種 「はい。奴らの要求は、女児の引き渡しと、可能ならば、人間に対する攻撃への参加ですね。どうにも言葉が野蛮でよく分かりません」
女児 「………………」
ディアブロス 「ラオシャンロンが動けぬこの時期を見計らい、人間に対して報復をするつもりか……愚かなことを……」
ドスガレオス 「何かえらいことになってますねぇ……でも、ずっと監視されてるのも癪だな。俺、外に行って蹴散らしてきましょうか?」
ティガ兄 「同感だな。カニや猿がなんぼのもんだっつぅんだよ。ラージャンもいるんだろ? 叩き殺してやるぜ!」
ドスガレオス 「お、兄さん、話が分かるね」
ティガ兄 「てめーもな! ドス家の連中はどいつもこいつも軟弱野郎とばっかし思ってたが、なるほど良さそうなのもいるじゃねぇか」
ナナ・テスカトリ 「……なりません」
120 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:44:49.97 ID:Ky.D1Uo0
ティガ兄 「先生、でもよ……」
ナナ・テスカトリ 「絶対になりません。私の目の届くところで、もう一度ラージャン君や、他の方に暴力を振るうなど……」
ナナ・テスカトリ 「ティガレックス兄君、それを、私が許すとでも思いますか?」
ティガ兄 「…………ッ……いや……それは……」
ナナ・テスカトリ 「ことに及んで、叩き殺すなど……わたくしは、そのようにあなたを教育したつもりはありませんよ」
ティガ兄 「だぁぁーッ、もう何で俺怒られてんの!? 助けに来たのに!」
ナナ・テスカトリ 「物事には順序というものがあるでしょう。まずは話し合いを……」
ティガ兄 「先生、ラージャンに話し合いなんて通じないって! 分かってるでしょ!?」
121 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:45:03.27 ID:Ky.D1Uo0
ティガ兄 「あいつ、先生を呼び出して襲うような、野蛮な下衆野郎だぜ?」
ティガ兄 「それに、ウチの妹分達も、あん時、随分痛めつけられてんだ。これで二回目だぜ!?」
ティガ兄 「話し合いなんて、もうできるわけがねぇ!」
ナナ・テスカトリ 「それでもです」
ティガ兄 「!!」
ナナ・テスカトリ 「それでも、戦ってしまったら、どちらかが折れない限り、もう後には引けないのです」
ナナ・テスカトリ 「何と言おうと、あなたも、ラージャン君も、私の生徒です」
ナナ・テスカトリ 「生徒同士が殺し合いなど、断固として許すことはできません」
122 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:45:22.21 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス 「…………」
ディアブロス亜種 「いかがいたしましょう、主。随分な数を集めているようですが……」
ディアブロス亜種 「それに、何か、嫌な臭いも感じまして……」
ディアブロス 「嫌な臭いとな……?」
ディアブロス亜種 「はい。腐ったような、生臭い磯の臭いでございます」
ディアブロス 「まさか……シェンか……」
ディアブロス亜種 「…………」
ディアブロス 「あ奴は殻を破壊され、地中に封じられているが……ラオの力も弱まっている。出てきたのか……」
123 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:45:37.74 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス亜種 「して、主……」
ディアブロス 「うむ……」
女児 「あの…………」
ディアブロス 「何だ?」
女児 「わたしのせいで、みなさんめいわくなら……」
女児 「わたし、出ていきます」
ディアブロス 「…………」
女児 「目、みえなくなっちゃったけど……」
女児 「けがなおしてくれて、ありがとうございました……」
ティガ兄 「…………」
ディアブロス 「引き渡しなどせぬ」
女児 「!!」
ディアブロス 「たわけが。命を与え、そしてまた奪うなど愚の骨頂。奪うくらいならば与えぬ。それはわしに対する愚弄である」
124 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:45:54.77 ID:Ky.D1Uo0
ティガ兄 「…………」
ディアブロス亜種 「かしこまりました。そのように伝えてまいります」
ディアブロス 「待て、わしもゆこう」
ナナ・テスカトリ 「老師、わたくしも参ります」
ディアブロス 「良かろう。ゆくぞ、黒ディア、ナナよ」
ディアブロス亜種 「はっ」
ナナ・テスカトリ 「はい!」
女児 「おじいさん……」
ディアブロス 「(ドス、ドス)人間の娘よ」
125 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:46:08.04 ID:Ky.D1Uo0
女児 「何……ですか?」
ディアブロス 「わしもほとんど、目が見えぬ」
女児 「!!」
ディアブロス 「しかしわしには、お前の顔が見える」
女児 「…………」
ディアブロス 「見るということは、ただ、目に映る現実を知覚することではない……」
ディアブロス 「聞き、肌で感じ、想い、そして脳の、心の中でそれを受け止め、想像すること……」
ディアブロス 「それが、見るということだ……」
ディアブロス 「よいか……」
126 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:46:24.70 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス 「お前の目が、見えずとも、全て世界は流れ続ける……」
ディアブロス 「お前の目に光が映らずとも、太陽は昇り、また落ちる……」
ディアブロス 「お前が死のうが、世界はそのままよ……」
ディアブロス 「想像せよ……」
ディアブロス 「心で願え……」
ディアブロス 「そのまま、あり続けるであろう世界を想像するのだ」
ディアブロス 「思い描くのだ、場面を……」
ディアブロス 「それが、見るということだ……」
127 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:46:38.84 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス 「………………(ドス、ドス)」
ディアブロス亜種 「(ドス、ドス)」
ナナ・テスカトリ 「すぐ戻ります。みなさん、ここにいてください(ドス、ドス)」
女児 「…………」
ティガ兄 「…………」
ドスガレオス 「……はぁ、やっぱしいつも、老師の話は難しくてよく分からないや」
ティガ兄 「……あぁー眠っ。つか、お前マジで何も見えねーの?」
女児 「…………うん」
ティガ兄 「ぎゃはっ、いいことじゃね? もう俺の顔見てビビるこたーねぇ!」
女児 「…………」
ドスガレオス 「滋養水が強すぎたんだな……時間を置けば、治るかもしれないから、ま、気にせず過ごせばいいと思うよ」
ティガ兄 「軽いなァ兄弟」
ドスガレオス 「俺のウリはこの軽さなもんで」
128 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:46:55.85 ID:Ky.D1Uo0
ヴォルガノス 「……(ズシン、ズシン)」
ドスガレオス 「誰か起きてきやしたぜ」
ティガ兄 「あァ? ヴォルの野郎じゃねぇか!」
ヴォルガノス 「お前は……ティガか。来ていたのか。兄と弟、どっちだィ」
ティガ兄 「兄だ! 見りゃ分かンだろ!」
ヴォルガノス 「首が痛む……あっし、気を失っていたんですかね……」
ドスガレオス 「………………」
129 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:47:08.65 ID:Ky.D1Uo0
ドスガレオス 「………………てな訳で。ちょっと面倒なことになってるんです」
ヴォルガノス 「…………なるほど、じゃあ、今は、先生は師匠たちと一緒に、話し合いに出てるってとこかい」
ティガ兄 「ここにいろってさ。ラージャンもいるってのに……」
ヴォルガノス 「……あっしを闇討ちしたのも、奴だった。前に戦った時より、雷の力が増幅しやがってましてねェ……」
ティガ兄 「へっ。ざまぁねぇぜ」
ヴォルガノス 「つっても弟サンもやられてんでしょ? クシャル姉妹も見えたが……」
ティガ兄 「…………」
130 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:47:29.81 ID:Ky.D1Uo0
ティガ兄 「……確かに、あいつの力ァかなり異常だ。普通のモンスターが出せるパワーを、遥かに超えてやがる」
ヴォルガノス 「…………」
ティガ兄 「単純な戦闘力なら、校長といい勝負だぜ」
ヴォルガノス 「……猿蟹なんざぁ相手にしても、キリがねぇ。得もねぇ。先生の仰ることは的を射てまっせ」
ティガ兄 「ンだとォ!? てめぇ、ラージャンの野郎をあのまま好きにさせといていいってでもいうつもりか!?」
ヴォルガノス 「あっしがクック氏から頼まれたのは、そこな童を探し出すってことだけなんで。それ以外は、今んとこ関係のないことでして」
女児 「…………」
ティガ兄 「チッ。腰抜け野郎が」
131 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:47:51.45 ID:Ky.D1Uo0
ヴォルガノス 「何でも、目ェ見えんくなったとか」
女児 「うん……でも、わたしをたすけてくれてありがとう」
ヴォルガノス 「礼には及ばねぇ。もともとあっしには何ら関係がねぇことでござんす」
女児 「それでも……ありがとう」
ヴォルガノス 「むしろ、あの熱気の中、ナズチの皮を被ってたとはいえ、それだけで済んだのが驚きでさァ」
女児 「…………」
ヴォルガノス 「感謝なら、自分の悪運の良さにするんですな。死んでた方が幸せってことも、世の中にぁよくありまさ」
ティガ兄 「あァ? てめ、何が言いてぇ?」
132 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:48:06.15 ID:Ky.D1Uo0
ヴォルガノス 「特に言いたいことってァねぇが、師匠が外に出てるってなら、あっしもいかにゃぁならんと思ってな」
ティガ兄 「先生がここにいろっつったんだぜ? てめぇ、先生の言うことが聞けねぇってのか」
ヴォルガノス 「それはアンタらに向かって言ったんじゃなかろうかね。あっしにじゃねぇ(ドスドス)」
ティガ兄 「屁理屈言いやがって……てめぇが行くなら俺も行くぜ」
ヴォルガノス 「先生の言うことァ聞けねぇってかい」
ティガ兄 「それとこれたぁ話が別だ。抜け駆けは許さねェ。野郎をブチ殺すのは俺だ」
ヴォルガノス 「…………」
133 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:48:31.00 ID:Ky.D1Uo0
ティガ兄 「おい、ドスガレ公」
ドスガレオス 「へ? はい、何です?」
ティガ兄 「この小娘、砂漠から連れ出せ。ここ、抜け穴とかあんだろ?」
ドスガレオス 「ぇぇ!? 俺だけ負けクジ? そりゃないですぜ兄さん」
ヴォルガノス 「目上のいうことは黙って聞け、バカ者が」
ドスガレオス 「うぅ……さっきまで気絶してたくせに……」
ヴォルガノス 「何か言ったか?」
ドスガレオス 「何も」
女児 「…………」
ティガ兄 「てな訳だ。俺らも加勢に向かうぜ。てめーはとっととおっさんのところに帰るんだな」
134 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:48:54.23 ID:Ky.D1Uo0
女児 「帰る……私が? おじさんのところに……」
ティガ兄 「目の前でうろちょろされると、気になって仕方ねぇ。とっとと森の奥にでも引っ込んで老衰で死ね!」
女児 「…………」
ティガ兄 「よし、行くぜ。ドスガレ公、火山の方に行ってみろ」
ドスガレオス 「合点しましたッス。兄さん方、まぁせいぜい気をつけて」
ヴォルガノス 「言われるまでもない」
ドスガレオス 「そいじゃ、お前さんはこっちにきなされよ」
女児 「う、うん……(ふらふら)」
ドスガレオス 「土ン中通らなきゃいけないからなァ……口の中に入っててくんない?」
女児 「え? いいの……?」
ドスガレオス 「俺、頬袋あるからそこに入ってりゃいいよ」
女児 「あ……ほんとだ……入れそう……」
135 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:49:10.23 ID:Ky.D1Uo0
―秘境、入り口―

ティガ兄 「ラーの野郎は、前から気に食わなかった……」
ヴォルガノス 「…………」
ティガ兄 「あの時……先生を呼び出して、火山で襲ったとき、熔岩に突き落としときゃぁ良かったんだ」
ヴォルガノス 「ラージャンは普通じゃねぇって話ィ、聞いたことありやしてな……」
ティガ兄 「……」
ヴォルガノス 「ありゃ、ドドブラと砂ブラの子供ぅつう話だが……」
ティガ兄 「砂ブラ? まさか! 雪山と砂漠のモンスターじゃ、そもそも種族が違うだろ」
ヴォルガノス 「それでも突然変異で産まれることがあるってな。そんな話でさ」
ティガ兄 「第一砂ブラなんて、俺だって話に聞いただけで……本当にいるかどうかも……」
ヴォルガノス 「まぁ、そういったわけで、あいつはモンスターでありながら、モンスターを越えた力を持ってるんでさ」
136 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:49:21.64 ID:Ky.D1Uo0
ティガ兄 「ちぃっ。胸クソ悪ィ」
ヴォルガノス 「学生の頃からおかしいたぁ思ってたが、どうにも、興奮すると人格が変わったようになるとか」
ティガ兄 「……確かに。金色になると、妙に滑舌良くなるな……」
ヴォルガノス 「先生は平和主義者だが、敵になるってんなら、早めに叩いとくに越したこたぁねぇって訳で」
ティガ兄 「…………同感だ。ン? 先生達だ」
ヴォルガノス 「ドドとギザミもいやすぜ」
ティガ兄 「くそが……イラつく面ァしてやがる」
137 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:49:34.95 ID:Ky.D1Uo0
ドドブランゴ 「……では、人間の引渡しもせず、攻撃にも参加しないと、そう言うのか」
ディアブロス 「くどい。我らにはせんなきこと。おぬしらの意見も聞く余地などはない」
ショウグンギザミ 「…………キシェッ……おいぼれが…………話にならん…………」
ディアブロス亜種 「(ぐるるるる)」
ナナ・テスカトリ 「ドド様、何故ですか。人間達との争いは、ラオシャンロン様が……」
ドドブランゴ 「黙れ、愚女が」
ナナ・テスカトリ 「……!!」
ドドブランゴ 「……このたびの攻撃で、まだ分からないか。人間は、我らの住処を奪うことなど、なんとも思っておらぬ」
ナナ・テスカトリ 「ですが……」
ドドブランゴ 「ですが、何だ? 貴様には癒せるのか? 住処を、仲間を失った者の苦しみ悲しみ全てを……」
ナナ・テスカトリ 「…………」
ドドブランゴ 「だから我らは、報復をするのだ……人間達に、我らの恐怖を与えるのだ……」
138 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:49:49.89 ID:Ky.D1Uo0
ドドブランゴ 「その何が悪い……砂漠の長よ、答えよ!」
ディアブロス 「笑止」
ドドブランゴ 「何!?」
ディアブロス 「雪山の長よ、悲しみだ、苦しみだとのたまうが……なら、それはお主らだけで勝手に取り組めばよいこと」
ドドブランゴ 「……!!」
ディアブロス 「我々は、知ったことではない」
ドドブランゴ 「…………モンスターの身でありながら、モンスターを支持せぬと申すか……」
ディアブロス 「同じことよ。知ったことではないというだけの話……」
139 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:50:03.60 ID:Ky.D1Uo0
ドドブランゴ 「……これ以上話しても無駄なようだな……」
ディアブロス 「…………」
ドドブランゴ 「我らの攻撃は、明朝予定通りに行う……しかし、その前に……」
ドドブランゴ 「貴様らが保護している人間を差し出せ……」
ドドブランゴ 「……差し出せぬというのならば、貴様らも人間と同じよ……」
ドドブランゴ 「奴らに組するものとして、実力行使に移らせてもらう…………」
ディアブロス 「…………」
140 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:50:22.23 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス 「話はそれだけか……」
ドドブランゴ 「…………」
ディアブロス 「……沢山の蟹と猿をはべらせよく言う……」
ディアブロス 「やるなら来んか……男らしくないぞ、雪山の主……」
ドドブランゴ 「! 貴様……」
ドドブランゴ 「……わしを愚弄するか…………!」
ディアブロス 「………………そちらの愚息に、我が弟子が少し世話になってな……」
ディアブロス 「何、来るというのならば、拒む理由もないというもの……」
141 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:50:37.96 ID:Ky.D1Uo0
ナナ・テスカトリ 「(駄目だわ……話を聞いてくださるような状況では……)」
ナナ・テスカトリ 「(……ラージャン君の姿が見えない……)」
ナナ・テスカトリ 「(せめてあの子だけでも、この不毛な争いから……)」
ナナ・テスカトリ 「……!!」
ナナ・テスカトリ 「(何? 地面が揺れてる……!!)」
ナナ・テスカトリ 「(地震!? こんな、砂漠の真ん中で……)」
ティガ兄 「! 先生危ねぇ!(バッ!!)」
ナナ・テスカトリ 「きゃぁ!(ズザァァッ)」
ヴォルガノス 「師匠!!」
ディアブロス 「!!(バッ)」
ディアブロス亜種 「……!(バッ)」
142 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:50:49.84 ID:Ky.D1Uo0
>ズゥゥゥゥン
ナナ・テスカトリ 「(な……何かが、私たちのいた場所に……突き刺さった……!!)」
ナナ・テスカトリ 「(ティガ兄君が、私を抱えて飛び退ってくれなかったら……)」
ナナ・テスカトリ 「(あ……あの……)」
ナナ・テスカトリ 「(あの巨大な足は……もしかして……)」
ナナ・テスカトリ 「(シェンガオレンの……!!!!)」
143 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:51:05.24 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス 「(ズザッ)」
ディアブロス亜種 「主、お下がりください」
シェンガオレン 「(ズズズズズズ)」
ディアブロス亜種 「…………地中を移動してきたか、ヤド無しカニが……!」
ディアブロス 「今更、ヤドを壊され、気が触れた男の封印を解いて、どうするというのだ……?」
シェンガオレン 「キシェ…………シャァァ!!」
ティガ兄 「な……何て大きさだ……」
ヴォルガノス 「それに、目の色が完璧おかしい……ったく、面倒なことに……」
144 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:51:20.93 ID:Ky.D1Uo0
シェンガオレン 「痛ェェエエェ……痛ぇぇぇええぇヨォォォ」
ショウグンギザミ 「父上…………もうじき……痛みは晴れます…………人間に恨みを晴らし…………」
ショウグンギザミ 「そして……ラオシャンロンの頭を、新たなヤドとすれば…………」
ナナ・テスカトリ 「! 何ということを!! あなた方、ご自分の仰っていることが……」
シェンガオレン 「痛ぇぇぇえよぉぉぉぉ!!(ブゥン)」
ティガ兄 「先生、早く逃げろ!(ドン!)」
ナナ・テスカトリ 「きゃ……ティガ兄君!!」
ティガ兄 「(ドズッ)ガッ………………!!!」
ティガ兄 「…………(ズゥゥゥン)」
145 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:51:34.66 ID:Ky.D1Uo0
ナナ・テスカトリ 「そ……そんな! そんないきなり!!」
シェンガオレン 「ブェァァァァアァ(バシャァァァ!!)」
ディアブロス亜種 「くっ……溶解液を……! これでは近づけない……!!」
ディアブロス亜種 「奴め……本気で、人間に組するモンスターごと、人を叩くつもりか……!!」
ディアブロス 「…………」
シェンガオレン 「キャラァァ!!(ブゥゥゥン)」
ディアブロス 「(スッ)…………(ガキィィィンッ)」
ドドブランゴ 「!!」
ディアブロス 「…………えげつがない……だらしもない……一度負けた負けカニが、今更何をほざく……」
シェンガオレン 「痛ェェえええ! 背中が痛ぇぇよぉぉぉ!(ブゥゥゥン)」
ディアブロス亜種 「……(ガキィィィン!)」
ナナ・テスカトリ 「(あの大きな足を、跳ね返した……!!)」
シェンガオレン 「キシャァァア!!」
146 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:51:47.89 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス 「大方……ラオの監視の目が緩んだのを見て連れ出したようだが……ヤドのないカニは、所詮カニよ……」
ショウグンギザミ 「我が父を……愚弄するか…………!!!」
シェンガオレン 「シャァァ! シャァァ!!(ブン! ブン!)」
ディアブロス 「(ガキィィン! ガキィィィン!) ……ッ!」
ディアブロス亜種 「主!」
ドドブランゴ 「ふん……老体でよくやる……しかし……」
ラージャン 「………………(スッ)」
ナナ・テスカトリ 「!!」
ドドブランゴ 「行け」
ラージャン 「……(シュッ)」
147 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:52:00.77 ID:Ky.D1Uo0
ディアブロス 「(ガキィィン)……!!」
ラージャン 「(ヒュッ)…………(バチバチ)」
ナナ・テスカトリ 「いけない! 駄目、ラージャン君!!」
ラージャン 「……!(ピクッ)」
ディアブロス亜種 「主!(ドドドッ)」
ラージャン 「(ブワッ)」
ディアブロス 「な……(早い……)」
ディアブロス 「(それに気の量が……爆発的に……)」
ヴォルガノス 「師匠!!(ラージャンが、金色に……)」
148 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:52:15.76 ID:Ky.D1Uo0
ラージャン 「ギャォォォォ!!(バチバチバチバチバチ)」
ディアブロス 「ガァァァ!」
ディアブロス亜種 「グ……アァァ!!!」
ディアブロス 「…………(ズゥゥン)」
ディアブロス亜種 「………………(ズゥゥン)」
ラージャン 「はぁ…………はぁ…………はぁ…………」
ヴォルガノス 「(な……何てこった……)」
ヴォルガノス 「(師匠とバトラーに、雷が落ちた…………)」
ラージャン 「はぁ……はぁ……(ガクッ)」
149 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:52:28.75 ID:Ky.D1Uo0
ヴォルガノス 「……ッ! しまった! シェンが……!!」
シェンガオレン 「ギャハハハハ! 痛ぇぇぇよぉぉぉぉ!!(ブゥゥゥゥン)」
ナナ・テスカトリ 「!!」
>ドズゥゥゥゥン
ヴォルガノス 「ぐぁぁぁ!!」
ナナ・テスカトリ 「きゃぁぁあああ!!」
ヴォルガノス 「………………(ズゥゥゥン)」
ナナ・テスカトリ 「………………(ズゥゥゥン)」
150 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:52:42.68 ID:Ky.D1Uo0
シェンガオレン 「ケヒュ…………ケヒュ…………」
ショウグンギザミ 「……もうじき……もうじき新しいヤドが手に入ります……父上……」
ドドブランゴ 「………………戻れ、ラーよ」
ラージャン 「…………(シュバッ)」
ドドブランゴ 「…………」
ディアブロス 「………………」
ドドブランゴ 「よし、者ども……ディアブロスの巣を漁れ……」
ブランゴ達 「キキィ!!」
ラージャン 「はぁ…………はぁ………………」
ラージャン 「せ…………先生…………」
ナナ・テスカトリ 「………………」
151 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:52:56.61 ID:Ky.D1Uo0
―砂漠、火山近く―

ドスガレオス 「(ブハァ!)……ッ、やっと抜けた!!」
ドスガレオス 「(しかし、途中で何か地震みたいな音を聞いたが……)」
ドスガレオス 「(また、火山が崩れたのかね……)」
女児 「はぁ……はぁ……」
ドスガレオス 「おっと、まだ死んでないみたいだな」
女児 「うん……ありがとう……」
ドスガレオス 「ここからは、砂を泳ぐから、俺の背中に登って、ヒレを掴んでな」
女児 「わかった……(よじよじ)」
152 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:53:13.02 ID:Ky.D1Uo0
ドスガレオス 「ん〜〜〜〜、綺麗な星空だ!」
女児 「…………」
ドスガレオス 「……(そういや、目が見えなくなってたんだっけか)」
ドスガレオス 「(人間も、俺らと同じように……)」
ドスガレオス 「(心細くなったりすんのかね)」
ドスガレオス 「? あれは……」
ドスガレオス 「!! テオの旦那に……バサルっち!」
女児 「……バサル君?」
ドスガレオス 「おーい! 何してんですかい〜〜!!」
153 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:53:35.12 ID:Ky.D1Uo0
テオ・テスカトル 「ドスガレオス君ではないか!(ズザザザザッ)」
ドスガレオス 「おっす旦那。こんばんはです。奥さん探しっすか?」
テオ・テスカトル 「その通りだ。そういう君は……」
女児 「…………」
テオ・テスカトル 「そうか……この子を先に連れ出したのだな」
女児 「こ……こんばんは…………」
テオ・テスカトル 「……?」
テオ・テスカトル 「(目の焦点が合っていない……)」
テオ・テスカトル 「(見えていないのか……?)」
154 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:53:46.89 ID:Ky.D1Uo0
バサルモス 「あぁぁ!! 女児!! 良かった!!」
女児 「その声は、バサル君!」
ドスガレオス 「バサルっち、久しぶりだなー!!」
バサルモス 「ドスガレ!? 何でこんなとこにいるの!?」
クック 「女児!? 女児じゃないか!!(バサァッ)」
キリン 「女児ちゃん!?」
155 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:53:58.59 ID:Ky.D1Uo0
女児 「(あれ……)」
女児 「(おじさんと、お姉ちゃんの声が聞こえる……)」
女児 「(見えないよ……何も、見えないよ……)」
女児 「(聞き違い……?)」
クック 「女児!!」
女児 「(おじさんの声……)」
女児 「(おじさんの羽のにおい……)」
女児 「(見えない……見えないけど……)」
156 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:54:12.62 ID:Ky.D1Uo0
女児 「(おじさんが、そこにいるの……?)」
女児 「(おねえちゃんも……)」
女児 「(おじいちゃん……わたし……)」
女児 「(想像してもいいの……?)」
女児 「(むかえに……)」
女児 「(わたしを、むかえに…………)」
クック 「女児! 探したぞ!!(バサァ!!)」
キリン 「女児ちゃん、良かった……心配したのよ……」
女児 「おじさん……おねえちゃん……?」
157 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:54:31.16 ID:Ky.D1Uo0
クック 「女児、どうした? 私だ。クックだ!」
女児 「おじさん…………(ふらふら)」
女児 「…………ッ(ゆらっ)」
クック 「あ……ッ!!(がしっ)」
女児 「……!!」
女児 「これ…………おじさんの羽だぁ…………」
女児 「………………」
女児 「おじさん!!」

第7章に続きます
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/14(日) 18:57:20.62 ID:Fwdqozoo
乙!!
159 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/14(日) 18:58:12.13 ID:Ky.D1Uo0
お疲れ様です
次回へ続かせていただきます

■ゆっくりシリーズその2
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/61/img0e06ad89zik9zj.jpeg
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/14(日) 19:00:25.63 ID:I.zHFv2o
乙乙乙ぅ!
くあああああ、いいところで続くわああああああああ。
そして、ディア師匠!惚れた!抱いて!
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/14(日) 19:07:16.00 ID:f.FIxyco
乙!
最後の「おじさんの羽だぁ……」の部分でガチ泣きしてしまった
最近暑くなってきたから、体調管理に気を付けてな!
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/14(日) 21:40:31.65 ID:6UCnx6AO
三毛猫さんお疲れさまです!
俺も最後の女児の一言にガチ泣きしてしまった…

続きはユックリ待ってます!
無理をせずに頑張って下さい!
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/14(日) 21:59:51.98 ID:8xtkwKA0
ヤドのなにシェンガオレンに糞カニ、猿
ソロでも余裕で狩れるぜ
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/15(月) 00:35:26.55 ID:reERn8ko
俺・・・もうディアにケツ開発されても文句言わない・・・!
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/15(月) 08:00:00.52 ID:4Qi8VQDO
猿蟹うぜぇ
今までうざいとは思わなかったけど今回はホントにうざい

ガルルガは俺の嫁
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/15(月) 22:18:51.39 ID:nzPwHXc0
三毛猫さんのおかげでGドド、狩れるようになりました
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/16(火) 00:05:11.30 ID:DzCD3ago
校長先生強すぎです
初見じゃまったく相手にされません
粉塵以外の予備動作もわからないぜ
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/17(水) 09:17:54.96 ID:bymzKoSO
女児は大丈夫だろ
フルフルのババアだって目みえなくても余裕なんだし

それに女児の悲鳴は音爆弾なみなんだし二代目フルフルいけるんじゃね
フルフルって声でかいじゃん
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/17(水) 11:17:25.17 ID:zoB1Va2P
新ジャンル「フルフル幼女」
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/17(水) 12:27:03.08 ID:AdctARc0
猫さん乙です

>>167
校長先生は後からGO!
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/17(水) 22:28:14.06 ID:qQd95MDO
追い付いた
お疲れ様です

>>167
毒武器にするとか慣れたら頭割るとか
熱いの消せばいつの間にか体力ない→突進とかくらう→1乙が減ると思うよ
172 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:52:54.51 ID:pWMg1/U0
こんにちは。少し早いですが、投稿の方をさせていただきます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 第七章

最終章 「家へ、帰ろう」


―人の里、夜中―

ハンマー 「……(ガチャガチャ)」
ネコート 「そこにいるのは、ハンマーかい」
ハンマー 「!?」
ネコート 「みなももう寝静まっている。お前、その怪我でどこに行くつもりだい?」
ハンマー 「ネコートさん……起きていらしたのですか
ネコート 「……お前が見かけたという、子供を捜しにいくつもりかい?」
ハンマー 「…………」
ネコート 「やめておきな。私たちは、今回ちょっとモンスターを刺激しすぎた。今行くのは、得策とはいえないね」
173 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:53:40.09 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「しかし、もし俺が見たのが見間違いや幻ではないとしたら、あそこには確かに女の子がいたことになる……」
ネコート 「…………」
ネコート 「だが、その子は溶岩の中に落ちていったのだろう?」
ネコート 「もはや無事とは思いがたいがね」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「しかし……それでも、やはり、気になる(ガチャリ)」
ハンマー 「もしかしたら……もしかしたら、モンスターが……あの子を助けてくれているかもしれない」
ハンマー 「だとしたら、同じ人間として……」
ハンマー 「俺は、あの子を迎えに行かねばならぬ」
174 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:53:59.22 ID:pWMg1/U0
ネコート 「……モンスターがかい」
ハンマー 「…………」
ネコート 「小さい頃、家族を殺されてから、がむしゃらにあいつらを狩ってきたお前が、モンスターに心があると言うのかい」
ハンマー 「……分からない」
ハンマー 「分からないが、しかし……」
ハンマー 「あの幻獣は、俺を助けてくれた。それに……」
ハンマー 「…………あの怪鳥…………」
ハンマー 「あの声、あの目は……」
ハンマー 「俺と、同じ目だったんだ……」
ネコート 「…………」
175 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:54:31.37 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「何故、どうして……」
ハンマー 「行き場のない、答えのない憤り、苦しみ……」
ハンマー 「だれも答えてはくれない理不尽……」
ハンマー 「そこから抜け出せない痛み、辛さ……」
ハンマー 「しかし現実はなにも変わらず……」
ハンマー 「そんな、とても悲しい目を、あいつはしていた」
ハンマー 「その時、俺は思ったんだ……」
ネコート 「…………」
ハンマー 「俺と同じ苦しみを、悲しみを感じていても、それでも尚、生き続けなければいけない……」
ハンマー 「生きるために、何か犠牲にしなければいけない……」
ハンマー 「奴らと俺は、何か違うのだろうかと」
ハンマー 「ふと、そんなことをな……」
176 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:54:50.80 ID:pWMg1/U0
ネコート 「……だから、もう一度見に行きたいと言うのかい」
ハンマー 「…………(ガサゴソ)」
ネコート 「お待ち。お前、そんな安っぽい武器で行くつもりかい」
ハンマー 「! ネコートさん」
ネコート 「(ゴソゴソ)……こいつを持っていきなはれ」
ハンマー 「これは……メランジェ鉱石でコーティングされている……! それに、まるで水面のように研いである……!」
ネコート 「…………」
ハンマー 「……見事だ。こいつを、俺に……」
ネコート 「今回、お前さんが村にもたらしてくれた利益の見返りとしては、ちと過ぎた代物だがね……」
177 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:55:13.12 ID:pWMg1/U0
ネコート 「先代の村長の持ち物さね……」
ハンマー 「……! 先代の村長……俺の、祖父のか!?」
ネコート 「ああ。見事な業物だから、捨てるに忍びなくてね。私が毎日磨いてたんだよ」
ハンマー 「どうして、それを……」
ネコート 「…………彼は、モンスターの声を聞くことができる男じゃった」
ハンマー 「モンスターの、声を……?」
ネコート 「人間でありながら、モンスター達の言葉を感じることができたハンターは、私が知る限り彼だけだ」
ネコート 「もし、お前が、彼と同じように……」
ネコート 「モンスターから何かを感じるというのならば」
ネコート 「もしかしたら、それを持つ資格があるのかもしれん」
178 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:55:35.28 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(ブン)……ふむ。手になじむ」
ネコート 「もともとお前の血筋のものだ」
ネコート 「モンスターを倒すためではなく、何かを助けに行きたいというのならば」
ネコート 「持っといで」
ハンマー 「すまない。恩に着る(スチャ)」
ネコート 「ハンマーよ」
ハンマー 「……?」
ネコート 「確かにモンスターはモンスターだ。今回ガンランスがとった行動は間違いではなかったかもしれん」
ハンマー 「…………」
ネコート 「やらねばやられていただろう。人間やネコとは、違う生き物なのだ」
ネコート 「だがね、ハンマー。忘れてはいけないのはね」
ネコート 「モンスターにも親がいて、友人がいて……」
ネコート 「教えを広める教師だっている……」
ネコート 「別の生き物だろうと、それは確かなことなんだ」
ネコート 「それをどうとるかは、お前達ハンターの技量だがね……」
ハンマー 「…………」
179 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:55:58.77 ID:pWMg1/U0
ネコート 「火山に向かう道は不安定で危ない。砦の方から行きな」
ネコート 「それに、お前はまだ足が治っているわけではない」
ネコート 「もし何かがあっても、戦うのは避けるのだ」
ハンマー 「分かっている。少し、様子を見てくるだけだ」
ハンマー 「それじゃ」
ネコート 「…………」
ネコート 「(迎えに……か……)」
ネコート 「(顔も、素性も分からず、生きているかどうかも分からない相手を……)」
ネコート 「(やれやれ……)」
ネコート 「(折角助かった命を、また危険な場所に置こうとするとは……)」
ネコート 「(若い男の考えることは、よく分からぬ)」
180 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:56:49.67 ID:pWMg1/U0
―砂漠、深夜半―

クック 「……何ということだ……それでは、女児は……本当に、目が見えなくなってしまったのか……」
女児 「うん……でも……」
女児 「でも、私、もう一回おじさんにあえて、嬉しい」
女児 「お姉ちゃんにも、バサル君にもあえた……」
クック 「……くっ……こんな小さな子供に……」
キリン 「…………女児ちゃん、かわいそう…………人間がよこした薬も、怪我した人を助けるために使っちゃったし……」
女児 「人間が?」
キリン 「ええ……少し前に、埋もれてた人を助けたの」
181 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:57:27.56 ID:pWMg1/U0
キリン 「…………そういうことがあって…………」
女児 「ふふっ……」
キリン 「? どうしたの?」
女児 「人間にも、優しい人がいるんだねぇ」
キリン 「…………ええ、そうね」
キリン 「(あの人間の言葉、私には良く分からなかった……)」
キリン 「(女児ちゃんが、特別なのかな……)」
クック 「何とかならないのだろうか……この歳でめしいとは、あまりに不憫すぎる」
バサルモス 「女児……ごめん。本当に……俺のせいで……」
女児 「バサル君のせいじゃないよ。それに、私目が見えなくても……」
女児 「みんなが迎えに来てくれただけで、それだけでいいよ」
バサルモス 「ご……ごめん……うっ……(ぼろぼろ)」
女児 「泣かないでバサル君。バサル君が泣いてると、私まで悲しくなって……」
ドスガレオス 「そうだよ泣くなバサルっち。目が見えなくったって、いつかいいことあるさ」
バサルモス 「君は相変わらず軽いね…………」
182 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:58:02.58 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「ふむ……老師秘蔵の滋養水を使ったのか。確かに、人の身では強すぎるかもしれないな……」
テオ・テスカトル 「むしろ生きているのが不思議なくらいだ。無茶をする」
クック 「テオ殿。どうにかならないだろうか。この通りだ」
テオ・テスカトル 「クック殿、お止めなさい、子供の前で、大人が頭を下げてはならぬ」
クック 「いや、何か手立てがあるというのなら、私は何度でも、誰にでも頭を下げよう」
女児 「おじさん……」
テオ・テスカトル 「……クック殿、それに女児。失ったものを確実に元に戻す方法は、この世には何一つとしてありはしない」
クック 「…………」
テオ・テスカトル 「しかし、一度堕ちたものを改善に向かわせる努力なら、することができる」
テオ・テスカトル 「(ガブリ)」
クック 「! テオ殿、いきなり何を……」
テオ・テスカトル 「我々古龍は、特別な体に加え、特別な血を持っている」
テオ・テスカトル 「私やナナの血は、熱いから適さないかもしれないが……」
テオ・テスカトル 「定期的に服用することで、もしかしたら視力が回復するかもしれない」
テオ・テスカトル 「怪我ではなく、おそらくは神経が焼ききれているのだ。通常の薬ではいかんともしがたい」
183 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:58:23.17 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「私たちの血はすぐに蒸発する。早く舐めてみなさい。ここだ(スッ)」
女児 「こ……これ……?(ぺろ……)」
女児 「!!! げほっ、げほっ!!」
女児 「あ……熱っ…………!!」
クック 「女児!?」
テオ・テスカトル 「大丈夫か? やはり少し、人間には厳しいようだな……」
クック 「では、どうすれば……」
××××× 「そそ……そういうことなら……ぼぼ、ぼくの血を、舐めればいいんだな……」
キリン 「!?」
184 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:58:47.32 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「ナズチ君! 追いついたのか!?」
バサルモス 「え? 誰かいるの?」
ドスガレス 「何も見えねぇですけど」
キリン 「もう! オオナズチ君。人前ではもっと堂々とするって、いつも言ってるでしょう?」
女児 「(あ……いきなり、何か大きい気配が近くに……)」
女児 「(そういえば、おじさん達に会ってから、ずっと一人多いような気が……)」
オオナズチ 「(スゥゥ)ご、ごめんなんだな……」
バサルモス 「ひぃぇ! 何か出た!」
ドスガレオス 「うわぁあ! バケモノ!!」
クック 「オオナズチ君! 透明になって、追いかけてきてくれたのか!!」
オオナズチ 「ぼぼ……ぼくはバケモノじゃないんだな……地味に傷つくんだな……」
185 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:59:12.41 ID:pWMg1/U0
オオナズチ 「…………」
キリン 「こら、あなた達。彼、傷つきやすいんだから、あんまり刺激しないであげて」
バサルモス 「ご……ごめんなさい……」
ドスガレオス 「は……はい」
オオナズチ 「キ……キリンちゃん、しし、しばらく会いにこれなくてごめんなんだな」
オオナズチ 「ヤ、ヤマツカミ様が……なかなか、そそ、外に出してくれなかったんだな」
オオナズチ 「ここ、校長先生も、久しぶりなんだな」
テオ・テスカトル 「大きくなったな。見違えたよ。ヤマツカミ様のところでの仕事は、上手くいっているかい?」
オオナズチ 「つつ……つらいことも多いけど……ぼ、ぼくは頑張るんだな」
186 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 16:59:41.63 ID:pWMg1/U0
女児 「あ……あなたが、オオナズチさん?」
オオナズチ 「そ、そ、そ、そういう君は……誰なんだな?」
クック 「ゆえあって、私の娘として育てることになった子だ」
オオナズチ 「ふへぇ、大人の世界は、む、難しくてよくわかんないんだな」
女児 「あなたの皮のおかげで、命が助かったの。ありがとう(スッ)」
オオナズチ 「(ナデナデ)ほ……ほほっ! そこを掻いてもらうと、き、気持ちいいんだな」
オオナズチ 「さ、最近はキリンちゃんが、や、やってくれないから、痒いんだな」
キリン 「もう、オオナズチ君、そういう話は……」
187 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:00:19.19 ID:pWMg1/U0
キリン 「! そうだわ、ねぇ、どこかまた、皮が剥けそうなところはない?」
オオナズチ 「? し、尻尾の辺りが剥けそうなんだな」
キリン 「ちょっともらうわね(ガブッ)」
オオナズチ 「!!(ビリビリビリ)……!!」
キリン 「女児ちゃん。これを着て。前のは焼けちゃってるみたいだから」
女児 「わぁ、新しい皮? ありがとう!!」
オオナズチ 「い……痛いんだな…………」
オオナズチ 「で、でもちょっと気持ちいいんだな……」
オオナズチ 「そういえば、ち、血が欲しいとか、聞こえたんだな」
オオナズチ 「ぼぼ、ぼくのを飲めばいいんだな」
188 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:00:48.39 ID:pWMg1/U0
キリン 「女児ちゃん、ここを舐めてみて」
女児 「……(ペロ)……う……」
女児 「にがい…………」
キリン 「どう? 見えるようになった?」
女児 「…………(ふるふる)」
テオ・テスカトル 「すぐには無理だろう。少しずつ、時間を置いて治していけばいい」
テオ・テスカトル 「それはそうと、オオナズチ君。夜分ネコを送って失礼したが、よくヤマツカミ様は外出を許可してくださった」
オオナズチ 「なな……何か、ヤ、ヤマツカミ様、む、胸騒ぎがする、言ってたな」
オオナズチ 「そ、それで、キリンちゃんもいるっていうから、ぼ、ぼく、一生懸命頼んで、出てきたんだな」
キリン 「オオナズチ君……」
テオ・テスカトル 「神の胸騒ぎとは、あまりいい気分はしないな……」
テオ・テスカトル 「しかし……」
テオ・テスカトル 「何か、嫌な臭いが砂漠の向こうから漂ってくる……」
189 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:01:17.38 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「……少し離れた場所に、カニ達が沢山配置されている。見つかったら面倒だ……」
テオ・テスカトル 「オオナズチ君、頼めるか?」
オオナズチ 「ま、任せるんだな」
クック 「頼めるかとは?」
テオ・テスカトル 「彼が透明になると、その体についているものが、においや気配まで透明になるのです」
テオ・テスカトル 「わざわざ争いを起こす必要もない……その力で、中にいるであろうナナ達を、包囲の外に出そうと思います」
テオ・テスカトル 「目的がなければ、彼らもたむろし続ける理由が消えることでしょう」
テオ・テスカトル 「クック殿、あなたは女児を連れて、戻った方がよろしいだろう」
テオ・テスカトル 「キリンも、子供達はみな、樹海に退避しなさい。あとは私とオオナズチ君だけで行く」
オオナズチ 「え……えぇぇえぇ? き、き、キリンちゃん!?」
190 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:01:44.76 ID:pWMg1/U0
キリン 「オオナズチ君、ごめんね。また今度遊びにいくから……」
オオナズチ 「…………」
ドスガレオス 「おい、固まっちゃったぞ、この不思議ドラゴン」
バサルモス 「ほんとこれ、何でできてるんだろうね」
テオ・テスカトル 「! みんな、オオナズチ君の背中に!」
クック 「!!」
テオ・テスカトル 「早く!」
ドスガレオス 「な……何だいきなり?」
バサルモス 「ドスガレ、こっちだよ」
キリン 「オオナズチ君、もうちょっと腰を屈めて!」
オオナズチ 「わ、分かったんだな。じゃあ、すてるすもーどになるんだな(スゥゥゥ)」
191 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:02:05.75 ID:pWMg1/U0
ドスガレオス 「すげぇ、俺達見えなくなったぞ」
バサルモス 「ほんとだ!!」
キリン 「しっ。静かに。声は聞こえるの」
ドスガレオス 「は……はい」
ドスガレオス 「(ひそひそ)おい、誰だよこの怖いねーちゃん」
バサルモス 「(ひそひそ)そういえば誰だろう……俺も初めて見るんだよ……」
女児 「(私たち、透明になったの……?)」
女児 「(確かに、みんなの気配がうすくなった……)」
女児 「(……なにかいる……)」
女児 「(つちの中……)」
女児 「…………(ぎゅ)」
クック 「私に掴まっているんだ」
女児 「(こくり)」
192 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:02:46.50 ID:pWMg1/U0
××××× 「(ズボォッ)」
××××× 「とぉさまー」
××××× 「とぉさまーどこー」
××××× 「(ひっく)」
テオ・テスカトル 「……あれは……」
キリン 「カニの子供だわ……」
テオ・テスカトル 「しっ。他にもいる」
ガミザミA 「キ……ッ! お嬢様、捕まえましたぞ……!」
ガミザミB 「ここまでです……!」
紫ガミザミ 「やぁーのー! わらわも行くのー!」
ガミザミA 「お嬢様! ……お聞きわけ……ください!」
ガミザミB 「戦いは……遊びでは……ありませぬ!!」
紫ガミザミ 「(ビクッ)……ひくっ……」
ガミザミA 「帰るのです……!」
ガミザミB 「われわれは……行かねばならぬのです……!!」
193 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:03:13.98 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「AとBが行くのはやじゃ! とぉさまもおるのじゃー!」
ガミザミA 「キッ……失礼!(カコッ)」
紫ガミザミ 「ふぁ……(ドサッ)」
ガミザミB 「…………致し方ない…………昏倒のツボでござる…………」
 >シェンガオレン 「キシェェアァァァァァ!!」
ガミザミA 「!! 総御大の、ときの声……!!」
ガミザミB 「行かねば……!!」
ガミザミA 「……キッ……ここに……オアシスがある…………!」
ガミザミB 「お嬢様を……この…………サボテンの下に寝かせれば……安心だ……」
ガミザミA 「すぐ……部下がくる……大丈夫だ……」
紫ガミザミ 「…………」
ガミザミA 「お許しください……ゆくぞ…………!(ズボボボッ)」
ガミザミB 「ギギ……!(ズボボボッ)」
194 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:04:00.45 ID:pWMg1/U0
キリン 「あのカニ達、小さなカニをサボテンの下に埋めていったわ!」
バサルモス 「早く掘り出さなきゃ……!(バッ)」
テオ・テスカトル 「…………あれは!!」
クック 「…………くっ! テオ殿!」
テオ・テスカトル 「ああ、あれはシェンガオレンの吼え声だ!!」
女児 「(う……うう……!!)」
女児 「(すごく、嫌な声が……聞こえた……!!)」
キリン 「(ダダッ)あなた、大丈夫? しっかりして」
バサルモス 「息してないよ!」
ドスガレオス 「いや、てゆうかカニってどこでどうやって息してるんだよ」
紫ガミザミ 「…………」
195 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:04:32.64 ID:pWMg1/U0
ドスガレオス 「おーい、生きてるか?(ツンツン)」
紫ガミザミ 「う……うぅ……?」
紫ガミザミ 「(ビクッ)……な……何じゃ!? 何じゃおぬしら!」
ドスガレオス 「ひぃえ。喋った。キモッ」
紫ガミザミ 「きも……? と、とにかく無礼であろう! わらわに触れるでない!!」
キリン 「大丈夫? あなた、ここに埋められていたのよ」
紫ガミザミ 「埋められ……? あ、あ奴どもぉぉ! わらわをおいて……」
紫ガミザミ 「(ひくっ)」
紫ガミザミ 「わ、わらわをおいて…………(ボロボロ)」
キリン 「あ……あぁ、泣かないで」
ドスガレオス 「泣いたぞこのカニ。バサルっちみてぇだな」
バサルモス 「一緒にするなよ!」
196 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:04:59.50 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「ええい触るでない! わらわを、ダイミョウ一族の紫としってのろうぜきか!」
キリン 「あなた、ダイミョウザザミさんの娘さん?」
紫ガミザミ 「い、いかにも。ダイミョウザザミは我がとぉさまである」
ドスガレオス 「とぉさまだってさ。ププッ」
紫ガミザミ 「こ……このプラナリア! 何がおかしい!」
ドスガレオス 「ぷらなりあ?」
テオ・テスカトル 「失礼(ずいっ)」
紫ガミザミ 「ピィッ!!(ビクッ)」
テオ・テスカトル 「あぁ、驚かせてしまったのなら、申し訳ない。私はテオ・テスカトル。あなたはザザミ氏の一女とお見受けする」
紫ガミザミ 「てお? 聞いたことがあるぞな。AとBが、火山にそういうつぉい龍がいるといっておった」
テオ・テスカトル 「お気遣いとは思うが、ありがとう。聞きたいことがある。お答えいただけまいか」
197 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:05:35.43 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「何じゃ。何でも聞くがよい」
ドスガレオス 「(ひそひそ)何だ? カニってみんなこうなのか?」
バサルモス 「(ひそひそ)お父さんより、随分とペラペラしゃべるね。しかも偉そう……」
紫ガミザミ 「無礼者! わらわは、えいさいきょういくを受けたスーパーカニであるぞ。それに、とぉさまをバカにするな!」
ドスガレオス 「とぉさまだってさ。プププッ」
紫ガミザミ 「ええい何がおかしい!?」
テオ・テスカトル 「君たち、少し静かにしてくれ。して、紫殿。先ほどシェンガオレンと取れる声が聞えたが……」
紫ガミザミ 「!! そうじゃ! はようとぉさまを止めねば!」
テオ・テスカトル 「? どういうことか?」
紫ガミザミ 「とぉさまは、じじさまに騙されておるのじゃ。しぇんはとても恐ろしいものだって、かぁさまは仰っておられた」
紫ガミザミ 「じゃから、わらわは、しぇんを使おうとしてるとぉさまを止めなきゃならぬのだ!」
198 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:06:05.32 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「やはりあれはシェンガオレンの声か……!!」
クック 「テオ殿、これは……!!」
テオ・テスカトル 「ヤマツカミ殿の嫌な予感が的中したか……!」
紫ガミザミ 「何じゃ、わらわは急いでおる。とぉさまの所に行かねばならぬ。質問はそれだけか?」
テオ・テスカトル 「……紫殿、私をダイミョウ殿のところに連れて行ってはくださらんか? その代わり、私があなたを運ぼう」
紫ガミザミ 「へ? よ、よく分からぬが助かる。一緒にとぉさまを説得してくりゃれ!」
テオ・テスカトル 「そのつもりだ……!!」
クック 「テオ殿!」
 >シェンガオレン 「(グググ…………)」
テオ・テスカトル 「シェンが……立った……!!」
紫ガミザミ 「あ……あぁぁ……!! しぇんが……!!」
199 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:06:38.51 ID:pWMg1/U0
キリン 「あれが……シェンガオレン……でも、殻がない……!!」
クック 「頭に乗っているのは……ドドか! それに、隣に見慣れない猿がいる……」
テオ・テスカトル 「ラージャン……! 何だ、あ奴、何を持っている……」
テオ・テスカトル 「!!! ナナ!?」
テオ・テスカトル 「あ奴め! ナナを連れて行くつもりか!!!」
女児 「ナナ……? ナナさんがいるの?」
クック 「……猿につれて行かれようとしている……!!(ギリ……)」
女児 「!?」
紫ガミザミ 「は……はようわらわをつれてゆけ! このままでは、とぉさままで戦いに巻き込まれてしまう!」
テオ・テスカトリ 「分かっています……!(ぐいっ)」
紫ガミザミ 「きゃぁ!」
テオ・テスカトリ 「ナナ!!(ドドドドドッ)」
200 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:07:14.56 ID:pWMg1/U0
キリン 「! テオ様が……私、後を追うわ!(ダッ)」
クック 「キリンちゃん、待つんだ!! ……くっ……(ズキッ)」
女児 「おじさん!」
クック 「くそ……また、シェンを……暴れさせるわけには……」
クック 「もう二度と、二度とシェンは暴れさせんぞ!!」
クック 「バサル君、女児を連れて樹海に避難するんだ。私はシェンのところにゆく!!」
バサルモス 「え……で、でもその傷じゃ……!!」
女児 「いやっ!(がしっ)」
クック 「女児!?」
女児 「もうおじさんとはなれたくない……! それに……」
女児 「ナナさんは、私をたすけてくれたの!」
女児 「私、ナナさんをたすけてあげたい!!」
クック 「…………」
201 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:07:41.08 ID:pWMg1/U0
ドスガレオス 「ちっ。俺も、師匠たちが気になる。いくぜ!(ズボォッ)」
バサルモス 「俺も行く! 女児とクックおじさんを助けるんだ!」
クック 「バサル君……女児!」
オオナズチ 「あ……キ、キリンちゃんが行っちゃうんだな…………」
オオナズチ 「す、すてるすもーどを解除して、あとを、お、追うんだな」
オオナズチ 「(ドドドドドドドッ)」
クック 「うわっ! 女児、しっかり掴まれ!」
女児 「うん……!!」
バサルモス 「!!!」
ドスガレオス 「! 何だあれ!? めっちゃ早っぇ!!」
バサルモス 「は、早く俺達も追わなきゃ、見失う!!」
ドスガレオス 「あ、ああ!!」
202 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:08:08.93 ID:pWMg1/U0
―砦、真夜半―

ハンマー 「夜分申し訳ない」
衛兵A 「いやいや、気にしないでください。仕事ですから」
衛兵B 「しかし、こんな夜中にお一人でハントですか? 誰か護衛を雇った方が……」
ハンマー 「ただの採集だ。そんなに気にすることもない。税関を通らせてくれればいいだけだ」
衛兵A 「気をつけてくださいよ。昼間、火山が爆発したって噂もありますから」
ハンマー 「……ああ、気遣いありがとう」
衛兵B 「こっちに、私達が使っている抜け道があります。いちいち門を出るより、その方が早いでしょう」
ハンマー 「すまない」
203 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:08:36.27 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(……それにしても、このメランジェ鉱石の武器……)」
ハンマー 「(こんなに大きいというのに、ほとんど重量を感じない……)」
ハンマー 「(祖父……先代の村長の持ち物か……)」
ハンマー 「(祖父も……両親と共に、俺が生まれてすぐに死んでしまった)」
ハンマー 「(顔も良くは憶えていないが……)」
ハンマー 「(祖父は、俺と同じ武器を使っていたのか……)」
ハンマー 「……?」
ハンマー 「(何だ……?)」
ハンマー 「(この武器が、震えているのか……?)」
ハンマー 「(俺は何もしていないぞ……!)」
204 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:08:53.61 ID:pWMg1/U0
衛兵A 「何でしょうね、さっきから虫がうるさいな……」
衛兵B 「最近ハチもさっぱりみかけなくなったと思ったが、もしかしたら入り込んでるのかも……」
衛兵A 「毒煙玉の在庫あったかな……」
ハンマー 「いや、違う。俺の武器だ(スッ)」
衛兵A 「うわっ。な、何だかすごそうな……」
衛兵B 「も、もしかしてあなた、Gランクのハンター様だったんですか!」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(振動しているのは、この武器にはめ込まれた宝玉だ……)」
ハンマー 「(何だこれは…………今まで見たこともない、紫色の宝玉だ…………)」
ハンマー 「(妙な胸騒ぎがする……)」
ハンマー 「(もしかして、これは……)」
ハンマー 「(俺に、危機を知らせているのか……?)」
205 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:09:11.51 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「二人とも、裏口より先に、高見台に連れて行ってくれないか」
衛兵A 「高見台? そんなところに登ってどうするんですか?」
衛兵B 「三年前のシュレイド城みたいに、モンスターが攻めてくるってわけでもないでしょう? 見るものないですよ」
ハンマー 「いや、少し確認をしたいだけだ。こっちか?(ズンズン)」
衛兵B 「え? ああ、まぁ遠くもないですしご案内しますよ。こちらです」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(宝玉の振動が強くなっている……)」
ハンマー 「(杞憂であればいいが……)」
ハンマー 「(何だ、この不吉な気分は……)」
206 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:09:33.02 ID:pWMg1/U0
―砦、高見台―

衛兵A 「っと、ここです。足場は狭いですから気をつけて」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(宝玉が薄く光り始めた……)」
衛兵B 「あぁ、あいつまた寝てやがる。いくら暇だからって、職務怠慢もいい加減にしろってな」
衛兵A 「おいおい起きろ(ドゲシッ)」
衛兵C 「! お、オレ寝てねぇっすよ! 断じて寝てねぇっすよ!!」
衛兵A 「あーあー分かった分かった。お前は寝てないよ」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(武器の向きを変えると、宝玉の振動と光の強さが変わる……)」
ハンマー 「(こちらの方角が一番、反応が強い……)」
ハンマー 「(あっちは砂漠だ……人もモンスターも、滅多に立ち入らない区画だが……)」
ハンマー 「(何かあるのか……?)」
207 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:09:57.96 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(双眼鏡を持ってきていてよかった)」
ハンマー 「……(ゴソゴソ)」
ハンマー 「(やはり何も見えないな……)」
ハンマー 「(砂丘が、夜風に流れて形を変えているだけだ)」
ハンマー 「(……だとしたら、この異様な武器の反応は何なんだ……)」
衛兵C 「あれぇ? あんなとこに山なんてあったかなぁ?」
ハンマー 「?」
衛兵B 「何言ってんだ。砂漠の地形なんて、毎日変わってるじゃねぇか」
衛兵A 「お前、寝てないのは分かったから、下行って顔洗って来いや。涎垂れてるぞ」
衛兵C 「えぇ!? こ、こりゃ失礼!」
208 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:10:38.31 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(山……?)」
ハンマー 「(確かに、風で動く砂丘が見えるが……)」
ハンマー 「……!!」
ハンマー 「ち…………違う!!」
衛兵C 「ふへぇ!?」
衛兵A 「ど、どうしたんですか、ハンター様!」
ハンマー 「あれは砂丘ではない! 砂を被って、何か大きなものがゆっくり移動している!」
衛兵B 「何だって!?」
ハンマー 「(な……何だ!?)」
ハンマー 「! (今、何か触覚のようなものが見えた!)」
ハンマー 「(あれは……カニ系モンスターの触覚だ!!)」
ハンマー 「(し……しかし……)」
ハンマー 「(あの砂丘の大きさ、もしあれがモンスターだとしたら……)」
ハンマー 「(……もしかして、あれは!!!)」
209 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:11:01.67 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「モンスターがこっちに向かってきている! おそらく、三年前にシュレイド城に現れた、砦蟹だ!!」
衛兵A 「え!? えぇぇぇええ!?」
衛兵B 「う、嘘だろ!!」
ハンマー 「砂を被って擬態しているんだ! 早く、迎撃の準備を!!」
衛兵C 「モ、モンスターの襲撃!? この砦に!!」
ハンマー 「(ちっ……ここまで近づかれるまで、分からないとは……!!)」
ハンマー 「(三年前に、あの砦蟹は死んでいなかったのか!)」
ハンマー 「俺は迎え撃ちに出る! 砦の門を閉めろ! 早く!!」
ハンマー 「(な……何だ? 何故今!?)」
ハンマー 「(もしかして、昼間の火山……)」
ハンマー 「(あの報復か!!)」
210 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:11:22.18 ID:pWMg1/U0
―砂漠―

キリン 「テオ様、お待ちください!!」
テオ・テスカトル 「キリン!? 子供は早く戻るんだ!(ダダダッ)」
紫ガミザミ 「ピィィィ!! 早いぃぃぃ!」
オオナズチ 「キ、キリンちゃん、追いついたんだな(ドドドド)」
キリン 「オオナズチ君!」
テオ・テスカトル 「クック殿! 女児も……!!」
クック 「テオ殿、私はシェンを止めたい……!!」
テオ・テスカトル 「!!」
クック 「もう二度と、あんな思いはごめんだ。何としても……何としても!」
211 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:11:58.46 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「……(ブンッ)」
紫ガミザミ 「キャァァ!」
クック 「! (ガシッ)」
紫ガミザミ 「これ、てお!! いきなり何をする!!」
テオ・テスカトル 「失礼。ではクック殿、紫殿を頼む!(ダダッ)」
クック 「分かった!」
女児 「(ぺたぺた)……だ、大丈夫? 私が抱いててあげるね」
紫ガミザミ 「に、人間! 何じゃおぬしは!」
クック 「私の娘だ、敵ではないよ」
女児 「うん、私は何もしないよ」
紫ガミザミ 「ぬ……おぬし、なかなか抱き方を心得ておる。まるでかぁさまのようじゃ。そのままわらわを固定せい」
女児 「え? これでいいかな……(ぎゅっ)」
212 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:12:18.60 ID:pWMg1/U0
バサルモス 「! 猿達、砂に隠れて砦に近づくところだよ!」
ドスガレオス 「くそっ、もうついちまうぞ!」
クック 「ドスガレオス君、君は助けを呼んできてくれ。ヤマツカミ様たちにも知らせねば!」
ドスガレオス 「合点!(ドバッ)」
紫ガミザミ 「あぁ……とぉさまたち……」
紫ガミザミ 「とぉさまは……とぉさまは」
紫ガミザミ 「本当は、人間と戦いたくなどないのだ……」
女児 「!」
紫ガミザミ 「じゃが、じじさまやしぇんの言いなりになって……」
213 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:12:37.57 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「とぉさまは、わらわに、今日帰ったら、極上黒真珠の首飾りを作ってくれるといったのじゃ!」
紫ガミザミ 「わ、わらわもとぉさまに……」
紫ガミザミ 「黒真珠でお守りを作ったというに……」
クック 「(この子、父親のことを……)」
クック 「(黒真珠の装飾品を持っている……歪だが、この子が作ったのか……!!)」
女児 「…………」
女児 「(ぎゅ)うん……うん。お父さんに……」
女児 「お父さんに、渡そうね。大丈夫、大丈夫だよ」
クック 「…………」
クック 「ああ、その通りだ!」
紫ガミザミ 「(ぐす……)」
214 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:13:11.87 ID:pWMg1/U0
オオナズチ 「ぼ、ぼ、ぼくは、ど、どうすればいいんだな?」
テオ・テスカトル 「このままでは、シェンガオレンが人間の砦に突撃してしまう……!!」
テオ・テスカトル 「ディアブロス老師達は、止められなかったのか……!!」
女児 「……!」
女児 「おじいちゃんが……!!」
テオ・テスカトル 「開戦してしまえば、三年前の二の舞だ!!」
テオ・テスカトル 「それに、今回は奇襲とはいえ、あの時とは我々の武力も違いすぎる」
テオ・テスカトル 「……無茶だ!」
テオ・テスカトル 「ブランゴ一族とギザミ一族を止めねばならぬ!」
テオ・テスカトル 「…………ナナ……!!!」
215 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:13:39.83 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「………………」
テオ・テスカトル 「私がシェンを抑える」
テオ・テスカトル 「キリン、オオナズチ君、クック殿方は、ナナをお願いできるだろうか」
クック 「テオ殿! 私も……」
テオ・テスカトル 「今のあなたは、手負いだ。とても戦える状態ではない」
クック 「……!!」
女児 「おじさん……」
テオ・テスカトル 「ナナを助け出したら、全員すぐにここを離れてください。私が、持てる全ての力を解放し、シェンを止めます」
キリン 「テオ様、私も……」
バサルモス 「そうですよ! 俺だって!!」
テオ・テスカトル 「いかん!」
キリン 「(ビクッ)」
バサルモス 「……!!!」
テオ・テスカトル 「馬鹿者! 戦いとは、力足りぬ者が、興味本位で参加して良いものではない!! 場をわきまえよ!」
216 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:14:13.11 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「……ナナを、頼みます(ダダッ)」
キリン 「テオ様!! あぁ! 先に行ってしまわれた!!」
オオナズチ 「……ぼぼ、ぼくは、結局、ど、どうすればいいんだな?」
クック 「……ナナ殿を救出することを、最優先に考えよう。オオナズチ君、私たちを乗せて、シェンガオレンに近づいてくれ」
オオナズチ 「わ、分かったんだな」
キリン 「オオナズチ君、焦らないで。物凄い汗の量よ」
オオナズチ 「ぼ、僕、戦闘って、あんまり好きじゃな、ないんだな。こ、怖いんだな」
キリン 「もう! 男ならしっかりして! テオ様はお一人で行かれたのよ!?」
オオナズチ 「お、怒った顔のキリンちゃんは、す、すごく可愛いんだな」
キリン 「いいから早く、透明になって!」
オオナズチ 「わ、わかったんだな」
女児 「バサル君、どこ!?」
バサルモス 「ここだよ! 今、不思議ドラゴンさんの背中に乗った!」
オオナズチ 「す、すてるすもーどになるんだな(スゥゥウ)」
217 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:15:27.96 ID:pWMg1/U0
―砂漠、砦近く―

ダイミョウザザミ 「…………」
ショウグンギザミ 「キシェ……キシェ…………」
ショウグンギザミ 「人間達め……我らがこうして、地中に隠れて襲うとは……思えまい……」
シェンガオレン 「……………………」
ショウグンギザミ 「しかし雪サルめ……後ろに下がるとは…………所詮腰抜けよ、頼りにできる…………」
ショウグンギザミ 「何を……している! 父上に、沈静剤を……もっと注入するのだ……!!」
ガミザミたち 「キィ!(ブスッ、ブスッ、ブスッ)」
シェンガオレン 「……!! ……!!(ズズズズズ)」
ダイミョウザザミ 「(本当に……これで、いいのだろうか……)」
ダイミョウザザミ 「(ラオシャンロンの……監視の目が緩んだ隙に……)」
ダイミョウザザミ 「(樹海洞窟に……封印されていたシェン様を…………解放したが…………)」
218 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:15:45.74 ID:pWMg1/U0
ダイミョウザザミ 「(我々だけで…………)」
ダイミョウザザミ 「(三年前は……総力でも、かなわなかった人間に…………)」
ダイミョウザザミ 「(…………)」
ダイミョウザザミ 「(紫…………)」
ダイミョウザザミ 「(約束を、守れずに…………すまぬ…………)」
ショウグンギザミ 「ダイミョウよ……歩みが遅れておるぞ…………」
ダイミョウザザミ 「! 失礼……つかまつった……」
ショウグンギザミ 「キキ……ゲゲ…………血が滾る…………」
ショウグンギザミ 「血……血だ…………」
ショウグンギザミ 「我らには血が……足りぬ…………」
219 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:15:58.66 ID:pWMg1/U0
ダイミョウザザミ 「……(父上の言葉…………)」
ダイミョウザザミ 「(末期のシェン様の言葉に……酷似している…………!)」
ダイミョウザザミ 「(まるで、シェン様の生霊が……)」
ダイミョウザザミ 「(乗り移ったかの……ようだ!)」
ダイミョウザザミ 「(どうしてしまったのだ…………)」
ダイミョウザザミ 「(父上……!!)」
ショウグンギザミ 「シェ…………シェ…………」
220 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:16:13.81 ID:pWMg1/U0
ショウグンギザミ 「……?」
 >ウ〜〜〜ッ、カンカンカンカン
ダイミョウザザミ 「!! あれは……!」
ダイミョウザザミ 「人間に……気づかれた……!!」
ダイミョウザザミ 「あれは…………人間の……戦いの奨鼓……!!」
ダイミョウザザミ 「父上……! 奇襲は…………失敗で、ござりまする……!!!」
ショウギンギザミ 「シェ……! シェ!!」
ショウグンギザミ 「キシェシェシェシェ!! シェシェシェシェシェシェ!!」
ダイミョウザザミ 「ち……父上……!?」
ショウグンギザミ 「血だ!!」
221 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:16:40.67 ID:pWMg1/U0
ショウグンギザミ 「殺せ! 皆殺しにせよ!」
ショウグンギザミ 「戦いの太鼓よ! 胸を、心を、体を震わせよ!!」
ショウグンギザミ 「逃げる奴は殺せ! 下がる奴も殺せ! 前に出て、全員死ぬのだ!!」
ダイミョウザザミ 「父上!!」
ショウグンギザミ 「砂上に出るぞ! 興奮剤を注入しろォォ!!」
ガミザミたち 「キ……キィ!!(ブスブスブス)」
シェンガオレン 「!! キシェェェアァァァェェェ!!(ドバァッ!!)」
ダイミョウザザミ 「父上……お……おまち……ください!!」
ダイミョウザザミ 「なりませぬ……!!」
222 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:17:11.77 ID:pWMg1/U0
ドドブランゴ 「……人間に気づかれたか……」
ラージャン 「ケケッ…………(バチ、バチ)」
ナナ・テスカトリ 「…………」
ドドブランゴ 「なるほど、息子よ……その女が気に入ったか……」
ラージャン 「…………(にやにや)」
ドドブランゴ 「良かろう。人間を皆殺しにした暁に、正式にその女との婚姻を認めよう」
ラージャン 「クケ……ッ……最高ォ……」
ラージャン 「人間殺せて、先生もらえて、最高ォォォ……!!」
ドドブランゴ 「だが、しばし待つのだ……」
ドドブランゴ 「もうじき、馬鹿なカニどもが先走る……」
ドドブランゴ 「我ら戦士は、奴ら……肉の盾の後で良い」
ドドブランゴ 「戦には、盾は必要じゃ…………」
223 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:17:26.07 ID:pWMg1/U0
シェンガオレン 「シェァァァァ!!(ドバァァッ!)」
ショウグンギザミ 「進め兵士どもぉぉ!!(ドバァァ!)」
ガミザミ達 「キィ!(バババッ)」
ヤオザミ達 「キィ!(バババッ)」
ラージャン 「……!」
ドドブランゴ 「くくっ……」
ドドブランゴ 「ほらな……」
ドドブランゴ 「思ったとおりじゃ」
ドドブランゴ 「馬鹿と鋏は使いようとな……」
224 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:17:46.37 ID:pWMg1/U0
―砦―

ハンマー 「(……くっ!)」
シェンガオレン 「キシェァァ! シャァァ!(ズン、ズン、ズン、ズン)」
シェンガオレン 「シャァァァァ……(ググググ)」
ハンマー 「! (このままでは、砦蟹に要塞門が破られてしまう!)」
ハンマー 「(真夜中半だからということもあるのだろうが、兵士たちの配置が遅い……!)」
ハンマー 「(止めなければ……竜撃戦車の配置が済むまで……)」
ハンマー 「(俺が……!!)」
ハンマー 「(ダダッ)」
衛兵A 「あ! ハンター様!」
衛兵B 「無茶ですぜ! 砦の奥に逃げるんだ!!」
225 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:18:01.40 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(ぐ……昼間、岩に挟んだ足が、まだ良く動かない……)」
ハンマー 「(かくなる上は……)」
ハンマー 「(この、高所から落ちて、その勢いで……!!)」
ハンマー 「(バッ)」
ハンマー 「っぉらあああ!」
ハンマー 「(ブゥン!!)」
シェンガオレン 「(ドガァァッッ!!)……!! ……!!!!!!」
シェンガオレン 「ギャァアァァァ!!!」
226 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:18:24.47 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(ドズンッ)ぐはっ!!」
ハンマー 「…………う…………」
ハンマー 「(体を打ったが……どこも折れてはいない……)」
ハンマー 「(やったのか……)」
シェンガオレン 「キシェァァ! キシェァァ!!(ドバドバ)」
ハンマー 「! 血が出ている!! 頭の一部を、吹き飛ばしたのか!!」
ハンマー 「こ……この武器…………」
ハンマー 「宝玉の光が、一段と強くなっている……!!」
シェンガオレン 「(ズゥゥゥン!!)」
ハンマー 「(倒れこんだ!?)」
227 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:18:49.10 ID:pWMg1/U0
シェンガオレン 「キィィェェェエエエ!(ブンブン)」
ハンマー 「(ち、違う!)」
ハンマー 「(俺を探して、滅茶苦茶に攻撃を……)」
ハンマー 「(ま……まずい。この足では……)」
ハンマー 「!!!」
シェンガオレン 「シャァ!(ブンッ!!)」
テオ・テスカトル 「ギャォォォォ!!(ガキィィン!!)」
テオ・テスカトル 「(ズザァァァ!!)ガルルルル……!!」
ハンマー 「! あ、あれは……」
ハンマー 「(炎王龍!? どうしてこんなところに!)」
ハンマー 「(い、いや……それより、今、あの炎王龍は、俺に向かって振り下ろされた砦蟹の足を、弾いた……!!)」
ハンマー 「(俺を助けたのか!!)」
228 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:19:19.26 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「ガルルルルル(ゴゴゴゴゴ)」
ハンマー 「(な……なんという熱気だ! 炎王龍から発せられているのか……近づくこともできない!!)」
シェンガオレン 「ガ……ガァァ!(ブゥン)」
テオ・テスカトル 「(ゴゥゥゥゥゥゥ!!!)」
ハンマー 「(巨大な炎を吐いた!!)」
シェンガオレン 「ギャ……ギャァァァ!!」
ハンマー 「(効いている!! あの巨大な砦蟹が、怯んでいる!!)」
229 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:19:49.97 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「…………!!」
ハンマー 「(い……今、あの炎王龍が、俺を見た……!!)」
ハンマー 「(そうか!!!)」
ハンマー 「うぉらぁぁああ!(グルングルン)」
ハンマー 「喰らえぇええ!(ドズゥゥゥッ!!)」
シェンガオレン 「!!! ギギギャァァ!!(ヨロ……)」
ハンマー 「(足が動かなくても、これだけ近ければ……)」
ハンマー 「(当たる……!!)」
ハンマー 「(モンスターと共闘か……!!)」
ハンマー 「(悪くない!!)」
230 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/18(木) 17:30:38.55 ID:pWMg1/U0
お疲れ様でした
次回に続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/84/img5b977427zikezj.jpeg
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/18(木) 17:32:44.36 ID:ds5U3460
乙!
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 17:46:43.94 ID:t/8oBsAO
乙です!相変わらず引きがうまいなぁ
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 18:00:57.53 ID:wgiK86Ao
>ハンマー 「(モンスターと共闘か……!!)」
なのこの台詞、鳥肌たったw
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 18:29:38.49 ID:FMiX7zQo
ダメだナヅチが山下清で再生される・・・
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 19:05:40.87 ID:b9RFW4co
な、なんだかブワってなったんだな。
す、凄い鳥肌なんだな。
三毛猫氏乙なんだな。
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 19:22:42.73 ID:NLi3yOso
オオナズチ良い奴だな
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 19:27:13.67 ID:620.HyMo
この前オオナズチと初対戦して回復イッパイ盗られたんだが、単に腹減ってただけなのかと思えた
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 19:35:56.23 ID:NLi3yOso
言い忘れてしまった
三毛猫さん乙

蟹も全員が全員好戦的というわけでもないんだな
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/18(木) 21:42:27.91 ID:doRY.y2o
中二病乙なんだな
でも読んじゃうんだな
不思議なんだな
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/19(金) 02:56:56.21 ID:zKt082AO
三毛猫さんお疲れさまです。
毎度毎度一気に読ませられます!
マジで書籍化できるんじゃないかと思ってますよ。

体に気を付けて、頑張って下さい!
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/19(金) 03:08:36.15 ID:AZLMUADO
『悪くない』
 
とか言ってみてぇなぁおいwwwwww
三毛猫さん乙ノシ
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/19(金) 06:05:35.16 ID:xTKXAzo0
書籍化wwwwwwwwww自費なら出来るね^^
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/19(金) 10:15:05.61 ID:usWoYns0
ナズチが色々アウトで笑ったwwwwww
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/19(金) 18:48:44.19 ID:ZNla0MDO
三毛猫氏乙ww


ナヅチww今度食えそうなアイテムだけもって会いに行くわww

最後のハンマーの台詞もイイ(゚∀゚)
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/19(金) 19:16:58.95 ID:XNW3UUwo
待ってくれ俺は初対決で回復Gを3個も喰われたんだ
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/19(金) 20:05:59.60 ID:YI7OrOYo
俺は今までに秘薬10個くらいとられたぜ
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/20(土) 17:13:48.64 ID:o3hYaF20
シェン4体狩ってきたわ
248 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 13:58:52.10 ID:7errZqU0
こんにちは。早めですが、夜になると書き込みできないほど重くなるので、今投稿させていただきます
249 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 13:59:30.88 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(あの人間の武器……見たことがある……)」
テオ・テスカトル 「(あれは、古龍の大宝玉……先代のテスカのものだ)」
テオ・テスカトル 「(溜められた気が、シェンに爆発的な衝撃を与えている)」
テオ・テスカトル 「(…………)」
テオ・テスカトル 「(いや! 今重要なのは……!!)」
テオ・テスカトル 「(私も、この人間も、シェンとギザミ一族、ブランゴ一族の侵攻を止めようとしていること……!)」
テオ・テスカトル 「(それを、この人間が受け入れ、あわせたこと、それが全てであり寛容!)」
テオ・テスカトル 「(ならば共に力をあわせ、同じ目的に向かい、足を踏み出せるこの状況)」
テオ・テスカトル 「(それに甘んじることもまた、戦いの性よ!)」
250 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:00:14.79 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(ゴォォォォゥ!!)」
シェンガオレン 「ギャァァ! ガッ! ギャァァ!!(ブンブン)」
ハンマー 「うるぉぁああ!(ブゥン!)」
シェンガオレン 「(ガキィィン!!)……!! ガガガガ!!!」
ハンマー 「×××××××!!!」
テオ・テスカトル 「(この人間め、私の背中を守るつもりか)」
テオ・テスカトル 「(現テスカの王たるこの私の背中を、人間が)」
テオ・テスカトル 「(ふっ……)」
テオ・テスカトル 「(まさかこんな日が来ようとはな……)」
ハンマー 「(ブゥン……ガキィィン!!)×××!!」
テオ・テスカトル 「(ゴゥゥゥゥッ!!)」
シェンガオレン 「ガッ…………!! ガァァ!!(ズゥゥゥン!!)」
251 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:01:26.50 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(やはり人間の言葉は分からない)」
テオ・テスカトル 「(それが理であり、当たり前のことだ)」
テオ・テスカトル 「(最も、今まで人間なんぞと話をしようという者はいなかった……)」
テオ・テスカトル 「(私も、その一人だ……)」
テオ・テスカトル 「(さすれば、あの女児が特別なのか……)」
シェンガオレン 「…………(ググ…………)」
テオ・テスカトル 「敵意を収めよ、蟹の王!!」
シェンガオレン 「(グググ……)」
テオ・テスカトル 「今人間達の砦に攻め込んでも、双方また、取り返しのつかない被害をこうむるのがオチだ!」
テオ・テスカトル 「あなたの深手も、いまだラオシャンロンにより治療中ではないか!!」
テオ・テスカトル 「戻れ! 元の場所に!!」
252 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:02:17.93 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「ガガ……ガ…………」
テオ・テスカトル 「!!」
テオ・テスカトル 「反応がない……何だ……?」
テオ・テスカトル 「(あれは……)」
テオ・テスカトル 「(麻薬にやられたものの目だ!!)」
テオ・テスカトル 「(まさか……シェン殿は……)」
テオ・テスカトル 「(操られている……!?)」
ハンマー 「×××!!!(ブゥン!)」
テオ・テスカトル 「!?」
ショウグンギザミ 「(ズボォッ!))」
ショウグンギザミ 「(ガキィィィン!)ッ……!!」
253 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:03:00.51 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ショウグン殿!」
ショウグンギザミ 「ケケ……ケケケケケッ!! テオォォォ!!(ブンブン)」
テオ・テスカトル 「何をする!? く……っ(ザシュッ)」
テオ・テスカトル 「落ち着け、ショウグン殿!!」
ショウグンギザミ 「落ち着く? 俺は落ち着いてるぜぇぇ? だってこれから、最高の血のショーを見るってのに」
ショウグンギザミ 「おちおちラリってられっかってんだよぉぉ!!」
テオ・テスカトル 「(ショウグン殿もだ……!!)」
テオ・テスカトル 「(正気をなくしている!!)」
ガミザミ達 「(ズボォッ!!)」
テオ・テスカトル 「!!(土の中から、物凄い数が……!!)」
ガミザミ達 「御免!!(ブスブスブスッ!)」
テオ・テスカトル 「! ぐぁ……!!!」
254 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:03:40.32 ID:7errZqU0
ガミザミ達 「(ババッ)」
テオ・テスカトル 「な……何だ…………」
テオ・テスカトル 「目が……霞む……」
テオ・テスカトル 「(痺れ薬を……注入されたのか…………!!)」
テオ・テスカトル 「(ガクッ)」
ショウグンギザミ 「ケケケッ! ケケケケケ!! てめーはそこで、見てな!!」
ショウグンギザミ 「ギャラリーは俺独りで充分だ!! 最前列は俺独りで充分だ!!」
テオ・テスカトル 「と……止まれショウグン殿!! 正気に戻りたまえ!!」
ショウグンギザミ 「やかましいんだよォォォ! 上っ面いい子ちゃんしやがって!(ブゥン)」
テオ・テスカトル 「くっ……(まずい!)」
ハンマー 「…………!!(ガキィィン!!)」
テオ・テスカトル 「! 人間!!」
ハンマー 「×××、×××!!!」
テオ・テスカトル 「! そうか、火を消す! 私の背に乗れ!!」
ハンマー 「××!!(バッ)」
255 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:04:43.97 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「(グググ…………)」
テオ・テスカトル 「シェンを止める……話はそれからだ!!」
ショウグンギザミ 「チィ! まだ動けたのか! 野郎ども、今度は毒をブチこめ!!」
ガミザミ達 「キィ!!」
テオ・テスカトル 「ガルルルルッ!!(ダダダダダッ)」
ショウグンギザミ 「……!! なっ……!!」
ショウグンギザミ 「か、壁を駆け登って……」
テオ・テスカトル 「ギャォォォォ!!」
ハンマー 「っぉらぁぁぁぁ!!」
ショウグンギザミ 「そのまま落下の勢いで……!!」
ショウグンギザミ 「父上! 避けるのです!!」
シェンガオレン 「…………!!」
256 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:05:36.48 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ギャォォォォォ!!(バギィィィン!!)」
ハンマー 「しゃらぁぁ!!(ドゴォォォォッ!!)」
シェンガオレン 「!! グ……ギャァァァァ!!」
シェンガオレン 「頭……頭……頭が……ァァァァァ!!!」
テオ・テスカトル 「やった……!!」
テオ・テスカトル 「(それぞれ、触覚を叩き負ったぞ!!!)」
テオ・テスカトル 「(ドザァァッ!)ぐっ……」
テオ・テスカトル 「(痺れ薬が回ってきたか……)」
ハンマー 「はぁ……はぁ……」
テオ・テスカトル 「(この人間、私に乗りながら、よく合わせる!!)」
テオ・テスカトル 「(敵ながら見上げたものよ!!)」
257 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:06:05.56 ID:7errZqU0
ハンマー 「(炎王龍の動きが鈍ってきている……)」
ハンマー 「(先ほどのカニ達に何かをされたのか……!?)」
ハンマー 「(しかし、砦蟹の触覚は叩き折った!)」
ハンマー 「(これで、奴らの頭が戦意を喪失してくれれば……)」
ハンマー 「(無駄な争いもなく済むというもの……!!)」
ハンマー 「(……ぐっ……)」
ハンマー 「(今は、炎王龍に乗っているからいいが……)」
ハンマー 「(右足の傷が開いたか……!!)」
258 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:06:30.12 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ガルルルル……!!」
シェンガオレン 「シャァァ……!! シャァァ!!(ズリズリ)」
ショウグンギザミ 「父上! 下がってはなりませぬ! 絶対に……」
ショウグンギザミ 「下がらせはせぬぞォォォ!!」
ショウグンギザミ 「血! 血が足りぬ! こんなものでは血が足りない!!」
ショウグンギザミ 「興奮剤を注入しろ!!」
ガミザミA 「し……しかし、ショウグン閣下……!!」
ガミザミB 「これ以上は……!!」
ショウグンギザミ 「黙れえぇえ!(ブゥン)」
ガミザミA 「(ドガッ)ぐはぁぁ!」
ショウグンギザミ 「俺にたてつく奴は皆殺しだ! ここで死ぬか! 前で死ぬか! その二択しかねぇんだよ!!」
259 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:07:26.30 ID:7errZqU0
ダイミョウギザミ 「……くっ……父上たちが……前に出てしまった……」
ダイミョウザザミ 「(こんな状況で戦っても……勝ち目はない……)」
ダイミョウザザミ 「(ズボォッ)……!!」
ダイミョウザザミ 「(あれは……テオ……! テオ・テスカトル……!!)」
ダイミョウザザミ 「(そ、それにシェン様の触覚が……!!)」
ダイミョウザザミ 「(何だ……!? テオ・テスカトルの……背に、人間が乗っている!!)」
ダイミョウザザミ 「(共闘してでも……シェン様の侵攻を…………止めえんとしているのか!!)」
ショウグンギザミ 「早くしろオォォ! 貸せ!(バッ)」
ガミザミB 「なりませぬ……! これ以上は!!」
ショウグンギザミ 「(ブスッ)」
シェンガオレン 「!!(ビクンッ)……!!! ギャ……ギャォォラァァ!!(ズズズズ)」
260 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:08:14.99 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(何だ……!?)」
テオ・テスカトル 「(触覚がなくなったというのに、まだ動くのか!?)」
テオ・テスカトル 「(あれではまるで、人間が操る、不気味な戦車そのもの……!!)」
テオ・テスカトル 「(止めるには、致命傷を与えるしかないというのか……!)」
ハンマー 「(……先ほどの一撃、できるとしたらもう一度……!!)」
ハンマー 「(しかし、カニの数が多すぎる……)」
ガミザミ達 「キシャ……キシェ…………(ゾロゾロ)」
ハンマー 「(包囲されてしまった……)」
ハンマー 「(炎王龍の足もふらついている……)」
ハンマー 「(こいつらを掃除している暇はない……!!)」
ハンマー 「(何とか、突破口を開かねば……)」
261 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:08:47.05 ID:7errZqU0
×××××× 「ギャォォォォ!!(ヒュゥゥゥゥッ!!)」
ハンマー 「(なっ……!)」
ハンマー 「(何だ!? 何かが、脇を、カニを蹴散らしながら……)」
ハンマー 「(物凄い勢いで、飛んで来た……!!)」
ナルガクルガ 「ギャォォォ! ギャォォォ!!(シュババババッ!!)」
ショウグンギザミ 「……っぐ……(ガキィィン)ナルガ……クルガか……!!」
テオ・テスカトル 「ナルガ殿!!」
ナルガクルガ 「ドスガレオスからの、伝令を聞いた。助太刀に入る!!」
テオ・テスカトル 「かたじけない!!」
ナルガクルガ 「シェンガオレンの様子がおかしいが……!!(ガチガチガチ)」
ショウグンギザミ 「(ガキィン! ガキィン!)くっ……この、邪魔だァァ!!!」
テオ・テスカトル 「おそらく、痛みや思考を麻痺させる神経毒を注入されている!」
テオ・テスカトル 「抵抗力を奪うしかない!!」
262 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:09:14.37 ID:7errZqU0
ハンマー 「(黒い竜……迅竜か!!)」
ナルガクルガ 「その人間は!?」
テオ・テスカトル 「同じくシェンを止めようとする者だ!」
ナルガクルガ 「…………!! ……承知!(ビュンビュン)」
ショウグンギザミ 「(ドガッ! ドガガガッ!)ぐぅぁぁああ!!」
ナルガクルガ 「こ奴は俺が! あなたはシェンを!!」
テオ・テスカトル 「お任せする!」
テオ・テスカトル 「行くぞ!(ダダダッ!)」
ハンマー 「(先ほどの攻撃を、もう一度やるつもりか……!!)」
ハンマー 「やるがいい炎王龍! 合わせる!!」
テオ・テスカトル 「ギャォォォォ!!(ダダダダダッ)」
263 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:09:49.16 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(もう一度、この高所から、シェンに一撃を……!!)」
テオ・テスカトル 「……!!」
テオ・テスカトル 「あれは……!」
ドドブランゴ 「…………」
ナナ・テスカトリ 「…………」
テオ・テスカトル 「ナナ……!! ドドめ、ナナに何を……!!!」
ラージャン 「(シュッ)」
テオ・テスカトル 「!」
ハンマー 「何だ……!? いきなり、目の前に金色の猿が……!!」
ラージャン 「ケケケ……ケケケケケ!! 校長ォォォ!(バチバチバチ)」
テオ・テスカトル 「(いかん! この体勢では避けられん……!!)」
264 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:10:58.07 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「グッ……(ブンッ!)」
ハンマー 「うぉわぁぁ!!(お、俺を振り落とした!?)」
ラージャン 「死ねぇぇえ!(バチバチバチバチ)」
テオ・テスカトル 「やらせるものかぁぁ!(ゴゴゴゴゴゴゴ!!)」
 >ドォォォォンッ
ハンマー 「く……空中で、雷と炎がぶつかって、爆発を……!!」
ハンマー 「……!」
ハンマー 「すまない炎王龍! 砦蟹には、俺が一撃を!!」
ハンマー 「ウォォォォ!!(ブンブン)」
シェンガオレン 「!!」
ハンマー 「沈めェェ!!(ズゥゥゥンッ!!)」
265 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:11:40.47 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「!!! ! ……ッ!!! ガッ……!!」
シェンガオレン 「(ゆらゆら……)」
シェンガオレン 「(ドズゥゥゥゥン)」
ハンマー 「ガァッ……!!」
ハンマー 「(俺の、脚と腕にも衝撃が……)」
ハンマー 「(ドサァッ!!)」
ハンマー 「(武器が、突き刺さったままだ……)」
ハンマー 「(ま……まずい……)」
ハンマー 「(意識が……)」
ナルガクルガ 「……! シェンが倒れこんだ……!!」
ショウグンギザミ 「父上ェェ!! くそがぁぁ! 邪魔だァァァ!!」
ナルガクルガ 「いかせん!(ガキィィン! ガキィィン!!)」
266 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:12:14.97 ID:7errZqU0
ハンマー 「くそっ……砦蟹は……要塞門の一部を崩して…………」
シェンガオレン 「ガガ……ガ……(グググ…………)」
ハンマー 「何……!? (ま……まだ動けるのか……!!)」
 >衛兵A 「ハンター様! 遅くなりました!!」
 >衛兵B 「化け物め! 好きにはさせんぞぉぉ!」
竜撃戦車 「(キュラキュラキュラキュラ)」
 >衛兵B 「まとめてブッ飛ばしてやるぜぇぇ!」
ハンマー 「竜撃戦車……! 間に合ったのか!!」
 >衛兵A 「今お助けします!!」
ハンマー 「待て! 敵ではない者も混じっている………! 砦蟹を狙うんだ!! ……ぐっ……」
267 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:13:03.22 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ぐぅぁぁぁ!!」
ラージャン 「(ガブッ! ガブッ!)ヘヘ……ケケケケ……!! 死ねぇぇ!!」
テオ・テスカトル 「(くっ……こ奴離れん……! このままでは、私を下にして地面に激突してしまう!!)」
テオ・テスカトル 「(私の炎も、こ奴を焼いているはず……! 痛みを感じていないのか……!!)」
ラージャン 「先生は……先生はヨォォォォ!」
テオ・テスカトル 「!!」
ラージャン 「俺のものだ! 俺のものだ!! てめぇのじゃねぇ! 俺の、俺に優しくして……」
ラージャン 「俺だけの! 俺だけに優しくしてくれた! 先生はァァ!!!」
ラージャン 「おめぇなんかには渡さねぇぇぇ!!」
テオ・テスカトル 「くっ…………!!」
ラージャン 「落ちろォォォ!!(バチバチバチバチ)」
テオ・テスカトル 「ぐぁぁあっ!」
268 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:13:45.22 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「い……いかん!!」
ラージャン 「あの時もそうだった!」
ラージャン 「俺はただ先生が欲しくて……ただ欲しくて!!」
ラージャン 「先生に言った!!」
ラージャン 「だが先生は、てめぇがいるとぬかした!! 俺がいるのに! ここにいるのにぃぃぃ!!」
ラージャン 「ずっとこの機会を待ってた!」
ラージャン 「てめぇが消え去るこの日をォォ!!」
テオ・テスカトル 「!! (だめだ……この死に物狂いの力……!!)」
テオ・テスカトル 「(こ奴、執念だけで……)」
テオ・テスカトル 「(私と共に、地面に叩きつけられるつもりか……!!)」
269 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:14:44.12 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(不覚!!)」
××××××× 「(ヒュゥゥゥ……ゴゥゥゥ!!)」
ラージャン 「(ドガァァ!)ぐぁぁぁ!!」
テオ・テスカトル 「(拘束が緩んだ……!!)今だ! (ドガッ!)」
ラージャン 「……うわぁぁぁ!! (ドズゥゥゥゥン!!)」
テオ・テスカトル 「(ズゥゥゥン)…ぐ……っ(ガクガク)」
クシャルダオラ 「お父様!(バサァッ!!)」
テオ・テスカトル 「クシャル!? その怪我は!!」
錆クシャルダオラ 「ラージャンと少しね! お父様、大丈夫ですか!?(バサッ!)」
テオ・テスカトル 「錆まで……くっ……(ガクッ)」
270 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:15:20.28 ID:7errZqU0
ラージャン 「…………ちぃぃぃ! くそ女どもがぁぁ!」
ラージャン 「誰にも邪魔はさせねぇ……! 先生と俺の間は、誰にも邪魔はさせねぇ!!」
ティガ兄 「(ドォォォンッ!)へぇ、そいつは興味深い話だな」
ラージャン 「!!」
ティガ弟 「(ドォォォンッ!!)俺らにももう少し、詳しく聞かせてくれねぇかな!」
ティガ兄 「最も……ここじゃねぇ、どっか別の、どっか遠い場所での話だがなぁぁ!!(ブンブンッ)」
ティガ弟 「しゃらぁぁ!(ブンブンッ)」
ラージャン 「が……ぎゃぁぁぁ!!(ドゴォォォォッ!!)」
271 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:15:56.53 ID:7errZqU0
ティガ兄 「行くぞ弟者! ダブル蟲竜デストロイだ!」
ティガ弟 「合点だ!」
ティガ兄 「死ねよやぁぁ!!(ドドドドドッ)」
ティガ弟 「これで仕舞いやぁぁ!!(バッ)」
ティガ弟 「地面と空中からの二連撃じゃぁぁ!!」
ラージャン 「!! (ドゴォォォッ)……ッが…………!!」
ラージャン 「……! (ぐらぐら)」
ラージャン 「(よろ……)が…………」
ラージャン 「な………………が…………」
272 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:17:13.81 ID:7errZqU0
ラージャン 「(目が…………目が…………!)」
ラージャン 「(か…………霞む……!)」
ティガ弟 「(ズゥゥン)」
ティガ兄 「…………(バッ)」
ラージャン 「足が…………(ガクガク)」
ラージャン 「(ガクッ)……ッ…………!!」
ティガ兄 「無茶な戦いのツケが、随分溜まってるみてぇだなァ」
ティガ弟 「ケケッ! トドメといこうぜ兄者!」
ラージャン 「(こんな……こんな……)」
ラージャン 「(こんな奴らに…………!)」
273 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:18:05.69 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「…………ガガッ……(よろ……)」
ティガ兄 「! シェンがこっちによろめいてくるぞ!(ババッ)」
ティガ弟 「離れろ!(ババッ)」
ラージャン 「…………」
ラージャン 「(か……体が動かねぇ…………)」
ラージャン 「!!」
ラージャン 「(シェンが倒れこむ方向に…………)」
ラージャン 「(親父と…………先生が!!!)」
ラージャン 「うぉぉぉぉぉお!!」
ラージャン 「(ダッ!!)」
274 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:18:29.25 ID:7errZqU0
ドドブランゴ 「! く……避け切れん!!」
ラージャン 「(シュッ)…………グゥッォォォ!!(ガシッ)」
シェンガオレン 「ギギ……ギ…………」
ドドブランゴ 「ラー!!? その傷で、シェンを支え続けるのは無理じゃ!!」
ラージャン 「…………クウグググ………………!」
ラージャン 「シャオラァァ!!(バリバリバリバリ)」
ドドブランゴ 「(じ……自分の体ごと、雷を落とした……!!)」
シェンガオレン 「……!! ガ……!!」
ナナ・テスカトリ 「…………ゲホッ……ゲホッ…………」
ナナ・テスカトリ 「う…………」
ナナ・テスカトリ 「ラ……ラージャン君…………?」
275 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:19:00.44 ID:7errZqU0
ラージャン 「……………………(ふらり)」
クシャルダオラ 「……お母様!(ヒュウゥゥゥ!)」
錆クシャルダオラ 「早くここから……!!(バッ!)」
ドドブランゴ 「くっ……ラーよ! ラー!!(バッッ)」
 >シェンガオレン 「(ドズゥゥゥゥン)」
クシャルダオラ 「…………!! あいつ、お母様を助けて…………」
ナナ・テスカトリ 「ああ……ラージャン君!!」
シェンガオレン 「(ズズ…………)」
錆クシャルダオラ 「倒れこんでるのに……まだ侵攻をやめない……!!」
276 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:19:18.28 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「…………(ググ……)」
シェンガオレン 「キ…………ギ…………」
竜撃戦車 「(キュルキュルキュル)」
ハンマー 「! いかん!」
ハンマー 「(まだ新兵なのか!? 反応が鈍すぎる!!)」
ハンマー 「逃げろ!」
シェンガオレン 「ブゥゥァァァアアァ!(バシャァァ!!)」
衛兵A 「な……酸を吐きやがった!!」
衛兵B 「うわぁぁぁ! 脱出しろぉぉ!!」
277 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:19:46.35 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「ブゥァァァ!!(ビシャビシャ)」
クシャルダオラ 「あいつ、四方八方に……!!」
錆クシャルダオラ 「お母様! もっと遠いところに離れます! 私につかまって!」
ナナ・テスカトリ 「だ……駄目……体が痺れて……」
クシャルダオラ 「……!!」
クシャルダオラ 「……くっ……奴らめ、毒を……!!」
錆クシャルダオラ 「ここじゃ、私たちにも……!!」
クシャルダオラ 「お母様をお守りするぞ!(バッ)」
 >オオナズチ 「(ドドドドドドドッ)」
クシャルダオラ 「(ガシッ)……きゃぁ!」
錆クシャルダオラ 「(ガシッ)……きゃ……」
クック 「ナナ殿! つかまれ!」
ナナ・テスカトリ 「イャンクック様!!(ガシッ)」
278 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:20:35.03 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「……! 衰えたなショウグンよ! (ガキィン、ガキィン!!)」
ショウグンギザミ 「!! ッ若造がァァ!!」
ナルガクルガ 「そんな腕では俺の頭に! 体には届かん!! 喰らえっぇ!(シュバッ)」
ショウグンギザミ 「(ズバッ)ガァァァ!!(ズゥゥゥン)」
ショウグンギザミ 「ガ……カ……」
ナルガクルガ 「意味のない戦いを欲するは重罪。反逆的行為には粛清あるのみだ。トドメを切らせてもらおう」
ショウグンギザミ 「クク……カカカ……!!」
ナルガクルガ 「!?」
ショウグンギザミ 「俺が……独りで出てきたとでも思っているのか! やれィ!」
ガミザミ達 「キィ!(ババッ)」
ダイミョウギザミ 「父上!(バッ!)」
ナルガクルガ 「! (地中から……)」
ダイミョウギザミ 「父上から……離れるのだ!!」
279 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:21:03.97 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「ふっ」
ショウグンギザミ 「……!」
ナルガクルガ 「貴様こそ何か勘違いをしている。俺も、単身乗り込んでくるほど馬鹿ではない」
××××××× 「(ゴウッ)」
ダイミョウギザミ 「(ドズゥッ!)ぐはぁぁ!」
イャンガルルガ 「はぁ……はぁ……」
イャンガルルガ 「てめぇらァァァ!!(バサァ! バサァ!)」
イャンガルルガ 「人間をやんのは俺だ! 人間を皆殺しにすんのは俺だ!」
イャンガルルガ 「だがしかし!! かかさまを死に追いやったシェンを……クソガニは……」
イャンガルルガ 「それ以上に許せねぇ!!」
280 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:21:59.43 ID:7errZqU0
イャンガルルガ 「のうのうと生きて……また火を放たせるつもりかァァ!(ゴウッ! ゴウゥッ!)」
ダイミョウギザミ 「(ドズゥ! ドズゥッ!!)ぐぅぁぁぁ!!」
ガミザミ達 「ガァァ!!」
イャンガルルガ 「てめぇら全員許さねぇ!」
イャンガルルガ 「屑はくたばれ! そんなに死にてェなら、全員ここで死ねェェ!!」
ダイミョウギザミ 「く……ぐぅ……!!」
ナルガクルガ 「ふ……(奴め……)」
ナルガクルガ 「(自分に対しての怒りに聞こえる言葉よ)」
ナルガクルガ 「(この状況で、シェンを止めようとするとは……)」
ナルガクルガ 「(心の中に、わずかばかりでも戦士の想いがあるか……)」
ナルガクルガ 「(やはり、あの女の子供よ……!!)」
281 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:22:51.97 ID:7errZqU0
ダイミョウザザミ 「(ドガァ! ドガァ!)ガ…………」
ショウグンギザミ 「何やってやがる! 全員、とっとと血祭りに上げろォォォ!!」
ショウグンギザミ 「全員……ガ……(ズバッ)」
ナルガクルガ 「………………」
ショウグンギザミ 「…………(ズゥゥゥン)」
ナルガクルガ 「次はダイミョウ、貴様だ」
ダイミョウギザミ 「ぐ…………」
ナルガクルガ 「父の元へ、ゆくが良い!!」
イャンガルルガ 「(何だ……? あのカニ、動かねぇ……)」
イャンガルルガ 「(! あれは、首飾り……随分沢山と……)」
イャンガルルガ 「(汚ねぇ首飾りだ……)」
イャンガルルガ 「(子供が作ったのか!?)」
282 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:23:13.70 ID:7errZqU0
イャンガルルガ 「チィィ!(バッ)」
ナルガクルガ 「!?」
イャンガルルガ 「(ガキィィン!)何をするガルルガ!!」
イャンガルルガ 「俺の獲物だ……てめぇは下がってろ……クソ野郎」
ナルガクルガ 「…………(ババッ)」
ダイミョウザザミ 「はぁ……はぁ……(ズゥゥン)」
ナルガクルガ 「……好きにしろ。俺はシェンを止めにゆく!(ダッ)」
ダイミョウザザミ 「はぁ……はぁ………………紫…………」
イャンガルルガ 「………………ペッ」
イャンガルルガ 「…………(バッ)」
283 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:23:44.82 ID:7errZqU0
クック 「くそっ……まだシェンガオレンの侵攻は止まらないのか……!!」
クシャルダオラ 「お母様! しっかりして!」
錆クシャルダオラ 「お母様!!」
女児 「ナナさん!? ナナさん、そこにいるの!?」
ナナ・テスカトリ 「まさか……人間の子……? 良かった、無事だったのですね……」
オオナズチ 「ひ……ここからは、離れるんだな……」
オオナズチ 「何だか、人間達が大砲とかもってきてて、ちびっちゃうんだな」
紫ガミザミ 「待つのじゃ!!」
オオナズチ 「せ、背中の皮を挟まないでほしいんだな」
紫ガミザミ 「とぉさま!!」
284 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:24:05.94 ID:7errZqU0
ダイミョウザザミ 「!! 紫!」
クック 「ダイミョウ殿!!」
紫ガミザミ 「(バッ)とぉさまぁぁ!」
ダイミョウザザミ 「紫! 何故こんな……ところに来た!!」
紫ガミザミ 「紫は……紫は、とぉさまが心配で……!!」
紫ガミザミ 「とぉさま、ひどいけがを……!!」
ダイミョウザザミ 「何の、これしき…………(ガクッ)」
紫ガミザミ 「あぁ! じじさまが!!」
ショウグンギザミ 「………………」
ダイミョウザザミ 「見るな紫…………無事でよかった……」
285 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:24:37.03 ID:7errZqU0
クック 「ダイミョウ殿! 早くここから離れねば、人間の砲撃が来ますぞ!!」
ダイミョウザザミ 「イャンクック……オオナズチまで…………」
クシャルダオラ 「(ガルルルルル)」
錆クシャルダオラ 「(ガルルルルル)」
ナナ・テスカトリ 「おやめなさい、あなたたち。ダイミョウ様。これ以上の争いは無意味です……潔く引きましょう」
ダイミョウザザミ 「…………」
ナナ・テスカトリ 「引くもまた誇り、と、わたくしは先代のテスカトリより教わりました」
ナナ・テスカトリ 「それに、あなた様には……」
ナナ・テスカトリ 「ここまで心配して追いかけてきてくれる、娘さんがいらっしゃる……!!」
ダイミョウザザミ 「………………」
ダイミョウザザミ 「一族以外の……手は借りぬ…………!!」
オオナズチ 「(シュバッ)」
ダイミョウザザミ 「! 何をする! 舌を伸ばして……離せ!」
オオナズチ 「ぼ、ぼくの背中に乗るんだな。と……とっととこんなところ、おさらばするんだな」
キリン 「ナイスよオオナズチ君!」
286 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:25:10.21 ID:7errZqU0
オオナズチ 「じゃ、ぎゃ、逆転急カーブなんだな!! こ、校長先生を回収したら、逃げるんだな!!」
クック 「君たちは行ってくれ! 私は……シェンを止めにゆく!!」
ナナ・テスカトリ 「イャンクック様! あなた様にも、子供が……!!」
女児 「(がしっ)」
女児 「私も……」
女児 「私も、おじさんといっしょに行く……!!」
クック 「女児!!」
バサルモス 「なら、俺が女児を乗せるよ! クックおじさんは、俺につかまって!!」
クック 「分かった! もう離れない! 共に行こう!!(バサァッ)」
女児 「うん!!」
バサルモス 「行こう、おじさん、女児!!(バサァッ)」
ナナ・テスカトリ 「待ちなさい三人とも!」
キリン 「おじさま!!」
287 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:25:37.16 ID:7errZqU0
―砦―

ハンマー 「……くっ! (俺の武器が、砦蟹の頭に突き刺さったままだ!!)」
ハンマー 「(まるでまだ、自分の意思で刺さっているかのような……!!)」
ハンマー 「(トドメを……刺さねば!!)」
ハンマー 「ぐ……(よろ…………)」
ハンマー 「(落下の衝撃で……足と、体中が痛む……)」
ハンマー 「!! アレは!?」
ハンマー 「あの、洞窟で見た怪鳥! それに岩竜!!」
ハンマー 「そして、岩竜の背中に……」
ハンマー 「女の子だ!!!」
288 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:25:59.46 ID:7errZqU0
ハンマー 「シェンを止めるつもりなのか!? 突っ込んでいく!!」
ハンマー 「生きていたのか!!」
ハンマー 「………………良かったッ!!!」
ナルガクルガ 「ガルルルルル(ダダダダダッ)」
ハンマー 「! (ガシッ)すまない、背中を借りるぞ!!(バッ)」
ナルガクルガ 「……!! …………(ダダダダダッ)」
ハンマー 「(……な……なんと言う早さだ!!)」
ハンマー 「(あの武器で、もう一度……)」
ハンマー 「(もう一撃砦蟹に攻撃をできれば……!!!)」
289 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:26:29.47 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「ガァァァ!(バッ)」
シェンガオレン 「…………(ズン、ズン、ズン)」
ナルガクルガ 「シャァァ! シャァァ!(ザシュッ! ザシュッ!)」
ハンマー 「! (もはや砦蟹に反応はない……!!)」
ハンマー 「(ただ前進するのみなのか!!)」
ハンマー 「(…………!? あれは……!!!)」
ハンマー 「(馬鹿な……!!)」
ハンマー 「(そ……そんな……そんな馬鹿な!!)」
ハンマー 「(砦蟹の腹部に取り付けられているのは……あれは……)」
ハンマー 「(爆弾!?)」
290 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:26:49.28 ID:7errZqU0
ハンマー 「(俺達ハンターから奪ったのか!?)」
ハンマー 「(大量の爆弾を持って、桃毛獣が隠れている!!)」
ババコンガ 「………………」
ハンマー 「(突貫して、砦蟹ごと自爆するつもりなのか!? 馬鹿な!!)」
ハンマー 「(モンスターがそんな知恵を……)」
ハンマー 「(いや、違う……!!)」
ハンマー 「(あれは憎しみ……憎しみの心が生んだ報復!!)」
ハンマー 「(俺達との戦いで育まれた憎しみの心による膿みだ!!)」
291 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:27:15.62 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「(……何だ? 何故あんなところに、ババコンガが隠れている?)」
ナルガクルガ 「(しかしこの人間……何故俺の背中に……)」
ナルガクルガ 「(テオ殿と共闘しているところは見たが……)」
ナルガクルガ 「(……そういえば、この人間は武器を持っていない)」
ナルガクルガ 「(……! そうか!)」
ナルガクルガ 「(あのシェンの頭に突き刺さっているものか!!)」
ナルガクルガ 「(遠目にも、アレが強固な装甲を切り裂くのが見えた)」
ナルガクルガ 「(こいつはアレをもう一度叩き込もうとしているのか!!)」
ナルガクルガ 「(人間の乗機にされるのは気に食わんが……!!)」
ナルガクルガ 「(死なばもろともよ!!)……! (ババッ)」
292 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:27:43.80 ID:7errZqU0
ハンマー 「! (迅竜が方向を変えた!)」
ハンマー 「(頭の武器に気づいてくれたのか!!)」
ハンマー 「(し……しかし!!)」
衛兵達 「急げー! 大砲とバリスタの玉を、早く装填しろー!!」
ハンマー 「(まずい……!!)」
ハンマー 「(火薬で砦蟹を攻撃しては、逆に要塞が甚大な被害を受けてしまう!!!)」
ハンマー 「(その前にトドメをさすしか……ない!!)」
ババコンガ 「……!!」
ナルガクルガ 「!!」
ハンマー 「(くっ……桃毛獣がこちらに気づいた……!!)」
ハンマー 「(爆弾を砦蟹に縛り付けて、向かってくる!!)」
293 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:28:08.47 ID:7errZqU0
ババコンガ 「! ナルガよォォォ!! 貴様ァァ! 人間の下僕に成り下がったかァァ!!(バッ)」
ナルガクルガ 「(ドゴォッ!!)グッ……!!」
ナルガクルガ 「(いかん! 体勢が不安定な空中で……)」
ナルガクルガ 「(落ちる……!!!)」
イャンガルルガ 「野郎!! くそ……人間め……」
イャンガルルガ 「人間めェェェェ!!(ゴウッ!!)」
ババコンガ 「(ドゴォッ)!! グァァ!」
ナルガクルガ 「! 拘束の手が緩んだ!! 今だ!」
ナルガクルガ 「人よ!! 行けェェ!!(ブンッ!)」
ハンマー 「(俺を上に……)」
ハンマー 「感謝する! 迅竜!!」
294 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:28:38.48 ID:7errZqU0
ハンマー 「(ガッ)」
ハンマー 「(武器を……掴んだ!!)」
衛兵達 「あれは……!!」
衛兵達 「砦蟹の頭に、ハンター様が乗ってるぞ!!」
衛兵達 「撃ち方待てェェ!!」
ハンマー 「(スッ)」
ハンマー 「終わりだ! 砦蟹!!」
ハンマー 「っおらぁぁぁ!!(ドゴォォォォォォォッ!!!)」
シェンガオレン 「!!!!!!!!!」
シェンガオレン 「……ッ! ……(ズゥゥゥ…………ン…………)」
シェンガオレン 「……………………」
295 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:29:04.52 ID:7errZqU0
ハンマー 「はぁ……はぁ……」
ハンマー 「…………ぐっ……(体中が……悲鳴を上げている……)」
シェンガオレン 「…………(ズリ……ズリ……)」
ハンマー 「(ま……まだ止まらないのか……!!)」
ハンマー 「(……違う! この目の色……もう既に砦蟹に意識はない……)」
ハンマー 「(躯だけが、執念で動いているのか!!)」
衛兵達 「!! あれはァァ!!」
衛兵達 「うわぁぁぁ!!!」
ハンマー 「! 何だ!?」
ハンマー 「この地響き……これは…………」
ハンマー 「三年前と同じ……」
 >ラオシャンロン 「ギャォォォォォォォ!!(ドドドドドド)」
ハンマー 「老山龍か!!!」
296 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:30:11.92 ID:7errZqU0
ハンマー 「老山龍が……!」
ハンマー 「老山龍が、砦を吹き飛ばしながら進んでくる!!」
ラオシャンロン 「ギャォォォォ!!!」
シェンガオレン 「!! (ググ…………)」
ハンマー 「(な……何ということだ!)」
ハンマー 「(このままでは、砲弾やバリスタが発射されて、砦蟹に取り付けられた爆弾が……)」
ハンマー 「(爆発してしまう!!)」
297 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:30:37.73 ID:7errZqU0
ラオシャンロン 「シェンよ! おさまりたまえ!!(ドドドッ)」
シェンガオレン 「…………(ズズ……ズズ…………)」
ラオシャンロン 「!! シェン……!!」
ラオシャンロン 「おぬし、既に…………」
ラオシャンロン 「(ズキリ)……ッぐ…………」
ラオシャンロン 「やはり…………ここまで動く体力が、もう……」
ラオシャンロン 「私には…………」
シェンガオレン 「(グググ……)」
ラオシャンロン 「!!」
シェンガオレン 「(ブンッ!!)」
ラオシャンロン 「(ドゴォォォッ!)ぐはぁぁぁ!!」
ラオシャンロン 「(躯か……!!)」
ラオシャンロン 「(私と……人間に対する憎しみが、彼を動かしているのか!!)」
ラオシャンロン 「(く……ここまで来るのに、体力を……)」
シェンガオレン 「(ブンッ! ブンッ!)」
ラオシャンロン 「(ドスッ! ドスッ!)ぐぁあああ!」
298 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:31:41.40 ID:7errZqU0
衛兵達 「老山龍がひるんでるぞ!」
衛兵達 「今のうちに、もう一機竜撃戦車を出すんだ!」
衛兵達 「大砲撃てェェ!!」
ハンマー 「待て! やめろォォォ!!」
衛兵達 「撃てェェ!!(ドォンッ! ドォンッ!!)」
ドドブランゴ 「(シュッ!!)」
ドドブランゴ 「(ドゴォォォッ! ドゴォォォォッ!)ぐ……ガアァァァ!!!」
衛兵達 「な……何だ!?」
衛兵達 「あの雪猿、大砲から砦蟹を庇ったぞ!!!」
ドドブランゴ 「が……ガ……(グラグラ)」
ドドブランゴ 「ラー………………」
ドドブランゴ 「(下敷きとなっても……分かる……お前はまだ……生きている………)」
ドドブランゴ 「…………(忌み子として育ててきたお前には……随分と辛く生を過ごさせた……)」
ドドブランゴ 「(砂ブラが死んでからも……わしはお前に優しい言葉など一度もかけなかった…………)」
ドドブランゴ 「(強い種を残すための…………教育と思っていた…………)」
ドドブランゴ 「(そのせいで……お前は歪んで…………)」
ドドブランゴ 「(許して……くれ……)」
ドドブランゴ 「…………(ドサリ)」
衛兵達 「! 第二射急げェェ! まだ動いてるぞ!!」
299 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:33:07.88 ID:7errZqU0
―砦、上空―

クック 「な……何ということだ……」
クック 「ドドが……!!」
女児 「…………ドドさんが!?」
クック 「…………」
クック 「(ラージャンがまだ、砦蟹の下敷きになったままだ……)」
クック 「(息子を……庇ったのか!!)」
ラオシャンロン 「ガ……グァ……(ふらふら)」
バサルモス 「! おじさん、ラオシャンロン様の様子がおかしい!!」
クック 「くそっ……病気とのお噂だったのだが、本当のことだったのか!!」
300 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:33:29.46 ID:7errZqU0
女児 「(うっ…………)」
女児 「(あの時と同じ…………)」
女児 「(お父さんとお母さんをおいかけて……)」
女児 「(やけるとりでと…………大きなカニと…………)」
女児 「(だいじなものがみんなやけて…………)」
女児 「そんなのいや…………」
バサルモス 「女児?」
女児 「またみんななくなるなんて、そんなのもういやだよ!」
クック 「そのとおりだ!!」
クック 「お前はこれから幸せにならなければいけない!」
クック 「普通の幸せを享受し、普通の心の安らぎを得て!」
クック 「普通に、楽しく暮らさなければいけない!」
クック 「お前には……子供達には、それが許されている!!!」
301 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:34:37.33 ID:7errZqU0
クック 「たとえ我が身が砕け散っても、シェンは止めてみせる!!」
女児 「おじさん!! 待って!」
クック 「シェンよ! ラオよ! 下がれ! 下がってくれェェェ!!!(バッ)」
バサルモス 「クックおじさん!!!」
女児 「おじさん!! いっちゃやだ! やだぁぁぁ!!(バッ)」
バサルモス 「! 女児!!」
バサルモス 「じょ、女児まで落ちた!!! 自分から……!!」
女児 「(暗い……こわい…………)」
女児 「(どんどん落ちてく……)」
女児 「(でも、おじさんがこの先にいる!!)」
女児 「(ディアブロスおじいさん! わたし想像するよ!)」
女児 「(おじさんが、この先にいる!!)」
302 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:35:46.33 ID:7errZqU0
クック 「(ガシッ)いくぞ女児!!(ヒュゥゥゥッ!)」
女児 「はい!!」
女児 「(な……何だろう……胸が、温かく……)」
女児 「(うぅん……熱い……!!)」
女児 「(これは……ずっと前に、白い猫さんがくれた、てるてる坊主……)」
女児 「(ずっと、焼けたりせずにくびにかかってたんだ!)」
女児 「(熱くもえてるみたい!!)」
クック 「何だ!? 女児の胸が光っている!!」
303 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:37:58.29 ID:7errZqU0
―砦―

ハンマー 「空から、あの怪鳥と、女の子が……!!」
ハンマー 「な……何だ、この……太陽のような光は!!」
女児 「…………たたかいをやめて!!」
ハンマー 「!!」
女児 「たたかいをやめて、下がって!!」
女児 「たたかいをやめてください!!」
ハンマー 「あの子の声が……聞える……!!」
304 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:39:26.28 ID:7errZqU0
女児 「下がって!!」
シェンガオレン 「(ズズ……ズ…………)」
女児 「Flyt!! bagud!!(退がりなさい!!)」
シェンガオレン 「(ビクッ)」
女児 「Tilbageskridt!! og! de!! dode!!(退きなさい! 死人!!!)」
ハンマー 「う……ぁぁぁ!! 白い光が!!」
ハンマー 「物凄い光だ……!!」
シェンガオレン 「ギャォォォォォォ!!!」
305 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:56:11.40 ID:7errZqU0
ハンマー 「(し……白い光の中で……)」
ハンマー 「(砦蟹が……あの硬い装甲が……崩れていく……)」
ハンマー 「(! 何か見える!!)」
ハンマー 「(あの遠くに…………)」
ハンマー 「(白い巨竜が…………!!!)」
ハンマー 「(まさか、あの女の子は…………!!!)」
 >ブワァァッ!!
ハンマー 「うわぁぁ!!」
ハンマー 「(光が……強く…………!!)」
ハンマー 「(あの女の子が……遠くにいってしまう……!!)」
306 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:56:31.58 ID:7errZqU0
ハンマー 「…………(グッ!)」
ハンマー 「…………おーい!!」
女児 「!!」
ハンマー 「人間は! ……いや、君の仲間は!」
ハンマー 「君を待ってる! 少なくとも、俺は!!」
ハンマー 「いつでも待ってる!!」
ハンマー 「……うわぁ!!」
ハンマー 「(白い光が……ッッ!!)」
ハンマー 「(な……何も見えない!!)」
307 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:57:48.53 ID:7errZqU0
―数ヶ月後、雪山―

ティガ弟 「ふぁァァァ……ッア゛ッ! 暇だなぁ兄者」
ティガ兄 「だなァ」
フルフル 「お前達! ただ、ぐうたら文句を言いに来たのかい!?」
ティガ兄 「…………」
ティガ弟 「あーあー、ちょっと兄者、桜レイアちゃんと喧嘩してさぁ。クシャルも巻き込んで泥沼で、帰るに帰れねぇの! ゲヘヘ!」
ティガ兄 「うるっせぇぞ! 俺ァ何も悪くねぇ」
ティガ弟 「ハイハイ分かりましたよ」
フルフル 「すまないねぇ二人とも。折角着てくれたのに、ムサ苦しいのが二匹もいてねぇ」
308 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:58:28.34 ID:7errZqU0
クック 「いや、そんなことはない。久しぶりに地獄兄弟の顔を見れてよかった」
ティガ兄 「ケッ!!」
ティガ弟 「目ェ、随分良くなってきたんだっけか。これでもう介護生活とオサラバできるぜ!!」
ティガ兄 「めでてェめでてェ。もうガキの子守は沢山だ!」
フルフル 「何をお言いだい。あんた達もねぇ、子竜の頃はそりゃもうあたしは」
ティガ弟 「あ〜〜〜ぎゃ〜〜〜〜聞きたくネェ!!」
ティガ兄 「くそババァ! 今はそんな気分じゃねーんだよ!!」
309 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:58:54.15 ID:7errZqU0
少女 「ティガ兄さん、災難だったねぇ。これでも食べて元気を出して」
ティガ兄 「ケッ。ドス食い大マグロの干物なんかで俺が釣られると思うな!(ボリボリ)」
フルフル 「最近は、ラオシャンロンの病気もだいぶ良くなってきたというではないか」
フルフル 「奇跡のようなものという話だからネェ」
フルフル 「女児は古龍の血を飲んでいるんだから、目ェくらい治らなくてどうするよ」
フルフル 「まぁ、あんたたちのムサ苦しい顔をはっきり見ずに済んでるんだ」
フルフル 「今は幸せかもしれないけどねぇ」
少女 「おばあちゃん、そんなことないよ。私は、ティガさんたちは大好きだよ」
310 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:59:27.63 ID:7errZqU0
ティガ兄 「ゲェェェ!! 吐き気の出るセリフ!」
ティガ弟 「俺達が! 好かれている! 頼られている!! 見ろ兄者! じんましんだ!!」
フルフル 「もともとお前らぁ、イボか鱗か分からん顔しとるじゃないけ」
ティガ兄 「うっせ! うっせクソババー!!」
少女 「(くすり)」
少女 「あ……そういえば、おじさん」
クック 「ん?」
少女 「今日は夕方から、トトスさんやナルガさんたちが遊びに来るんじゃない?」
クック 「あぁ、そうだった。うっかりしていた。フルフルさん、それではこれでお暇させてもらうよ」
311 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 14:59:53.89 ID:7errZqU0
フルフル 「そうかい。あんたのクチバシも、だいぶましな形になってきたよ。治療を続ければ、もうじき元通りさ」
クック 「そいつは嬉しい。これで流動食から卒業できるというわけだ」
ティガ兄 「ケケケッ! 流動食!!」
ティガ弟 「子供おっさんだ!」
クック 「ははっ、そう言ってくれるな」
少女 「それじゃね、地獄兄弟さんたち(ナデナデ)」
ティガ兄 「ク……ケケッ! もうちょい右だ」
ティガ弟 「人間は気に食わねぇが、てめーだけは、俺達の鼻掻き要員として残しておいてやってもいいぜ!!」
少女 「(にこっ)ありがと。それじゃ、またね」
312 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 15:00:16.84 ID:7errZqU0
少女 「それと、ティガ兄さん。お花でも摘んでいってあげれば、仲直りできると思うよ」
ティガ弟 「花!? お花だってさ! ギャハハハ!! 兄者がお花!!」
ティガ兄 「う……うるせぇ!! (ヒソヒソ)マジか? 何がいい?」
少女 「雪山草のお花とかどうかな」
ティガ兄 「………………」
ティガ弟 「ギェヒャヒャヒャヒャ!!」
313 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 15:00:50.42 ID:7errZqU0
クック 「よし、それでは行こうか。フルフルさん、また来るよ」
フルフル 「あぁ。最近は人間達の攻撃も、前みたいになりふり構わないものじゃなくなってきたからね」
フルフル 「気をつければ、恐ろしいことはないと思うが……」
フルフル 「少女も、ああいう馬鹿にはついてっちゃいけないよ。いいことないからね」
フルフル 「今日だって、テオとナナの修行をさぼってやがるんだよ。あとで言いつけてやっかんね」
ティガ弟 「兄者が……お花……笑いがとまらねぇ!!!」
ティガ兄 「………………」
ティガ弟 「真剣に考え込んでやがる!!! ウケる!!」
ティガ兄 「あァ? やんのかこらァ!!」
ティガ弟 「上等だァこるぁ!!」
フルフル 「こらあんた達。この前、ラージャンに挑んで返り討ちにされたばっかだろうが。もう面倒ごとはごめんだよ」
ティガ兄 「あれは俺達の勝ちだったぜ!!」
ティガ弟 「あの野郎! しぶといにも程があるぜ! ブランゴ一族の頭になったからって、調子こいてるぜ!!」
314 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 15:02:01.39 ID:7errZqU0
少女 「ふふ……地獄兄弟さんたちは、いつも元気だね」
クック 「そうだな。よし、私の背中に乗りなさい」
少女 「分かったよ!」
フルフル 「そいじゃね。また来なね」
ティガ弟 「ケッ! もう二度と面ァ見せんな!!」
ティガ兄 「…………雪山草か…………」
少女 「ばいばい、またね!」
クック 「それじゃ、帰ろうか」
クック 「家に!」
少女 「……うん!!」
315 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 15:03:54.53 ID:7errZqU0
イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 おしまい

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/99/img2cd2529ezik6zj.jpeg
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 15:11:55.12 ID:XVUV5aYo
乙すぎる・・・・
317 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 15:17:27.45 ID:7errZqU0
お疲れ様でした
長い期間、ご愛読、本当にありがとうございました
4月の私の誕生日から、今に至るまで、この話を書いて、皆さんが書き込みを下さるということ
そのことが私にとって、とても救いとなりました
お返しとしては僭越なのですが、少しでも楽しんでいただけましたら嬉しいです

>>240
書籍化ですか。本当に、夢のようなお話ですね。誰もが一度は憧れることだと思います
もしそのようなことになれば、私の人生も変わるかもしれません

旧沼地シリーズはこれでお仕舞いになりますが、モンスターハンターは、カプコンさんとハンターの皆さんがいる限り、ずっと続いていくと思います
また、違うお話を書きましたら、VIPやパー速で投稿をさせていただきます
その時も同じように、楽しんでいただけますと嬉しいです

Xlinkも、引き続きやっています。お時間がありましたら一緒に遊びましょう
フロンティアのお誘いでも大丈夫です

それでは、一旦ここにて 『イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」』を締めさせていただきます
ご拝読、ありがとうございました
全ての皆様に良きハンターライフが訪れることを切念し、この場にて感謝の言葉を述べさせていただきます

◆おまけ

・オオシッポガエルのとりかた
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/98/img2eb539e3zik0zj.jpeg

・イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 相関図
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/00/img4fd25f06zik5zj.jpeg

まとめブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/MikenekoMilk/

作者ブログ
http://matusagasin.cocolog-nifty.com/blog/
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 15:56:21.06 ID:jkBh3i.o
これまで乙かれでした。
原作ではあり得ないモンスターとの共闘や、
人情味いったモンスターたちの性格にとても楽しませていただきました。

ちなみに、ハンマーがかっこよかったのは、
>>1のメインだったから?
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 16:26:12.08 ID:9b4R9q6o
本当に楽しませてもらいました。
なんだか完結してしまうのが勿体無いくらいですwwww

お疲れ様でした。
320 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 16:39:23.90 ID:7errZqU0
ありがとうございます

>>318
私はどちらかというとライトボウガン速射が大好きです
でも、最初からシェンに一撃を食らわせられる武器はなんだろうと思っていまして、その結果ハンマーになりました
他の武器も好きです。片手剣もいいですね
3になったら、だいぶ減ってしまうようで微妙な気分です
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 16:41:27.51 ID:4Qx5AQQo
乙です
>>320
3ならやっぱりスラアクでロマン砲
三毛氏は3オンやるの?
322 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 16:46:20.79 ID:7errZqU0
>>321
やりたいと思っています
水の中の竜、カッコいいですね
笛や双剣もなくなってしまったので、武器それぞれの品数がもっと多くなったらいいなと思っています
スラアクは、どんな風になるのか楽しみです
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 17:00:05.63 ID:MxVYKpAo
お疲れ様でした。 
毎回楽しみにしながら読ませてもらってました。 この話を読むことが出来て本当に良かったです。
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 18:18:57.51 ID:e5.W1YSO
お疲れ様でした!
楽しかったです。

三毛猫さんとトライで知らないうちにでも一緒に狩れたりしたらうれしいです。
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 18:39:49.42 ID:3lmOzG2o
気が付いたら終わってた・・・・・・
三毛猫さん乙です

モンハン全くやったことがない自分でもとても楽しく読めました
終わってしまうとなると寂しいですね

326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/22(月) 18:39:54.71 ID:y3UIBUSO
乙でした!
モンスの見方がちょっと変わった気がする
三毛猫さんのお陰で猿蟹以外殆ど狩れなくなったww
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 19:15:46.69 ID:T0BAEA60
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 19:16:44.52 ID:sLaczQDO
楽しかった、三毛猫氏乙!!
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 20:02:25.43 ID:WCy.MXgP
やっと読み終わった
今まで本当に乙!
モンスターの性格とか本当に面白かった!

終わったとなると何か寂しいな…
楽しみは減ったが思い出は増えました!
330 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/22(月) 20:41:12.53 ID:7errZqU0
みなさん、ありがとうございます
次回また違う作品を書きましたら、VIPに投稿させていただこうと思います
その際、こちらでも告知をさせていただきますので、ご覧いただけましたら幸いです
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 21:05:36.48 ID:bLtCB6SO
お…終わってしまった…のか?
でも乙!超オツ!
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 21:06:39.31 ID:nitMDfgo
お疲れさまでした。
すごく楽しかったです。
毎日楽しみにしていたので、なくなるのは寂しいです…

次回の作品楽しみにしています。
X-linkは、私のMacではちょっと不安定なので、もう少し安定したら、参加させてもらいます。

本当に、いままでお疲れさまでした。
何度読み返しても楽しいので、まとめで読ませていただきます。
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 21:34:08.52 ID:AFDoXEUo
お疲れ様でした
モンハンやったことないけどすごく楽しめました
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/22(月) 21:54:38.00 ID:CsRUDW.0
乙!
久々にいい大作だった!
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 22:37:25.87 ID:INxYz16o
乙!おもわず記念下記子
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/22(月) 23:02:03.57 ID:z4yZ4ISO
本当に悪いモンスが全然いなくて全然狩れなくなった
ショウグンとババコンガ
オマエラだけは別だ


桜レイアと戯れてくるかな
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/22(月) 23:09:37.95 ID:v0hyGdM0
ガルルガに裏切られたwwwwwwww
涙と鳥肌がとまりません!!

三毛猫さん乙&ありがとう!
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/22(月) 23:50:47.52 ID:cd1CF2AO
乙です!!
本当に楽しかったー(´∀`)
ありがとうございました!
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 00:37:55.98 ID:gvH/CU20
本当にお疲れ
VIPにひっついているんで
次も支援します
…多分
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/23(火) 00:50:03.88 ID:/ORs2eU0
乙ですたー
ところで紫ガミザミって紫ヤオザミの間違い?
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 01:01:14.95 ID:4ok4N6DO
ずっとROMってたんですが、なかなか楽しませていただいたので御礼が言いたいです。
ありがとう、お疲れ様。
342 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/23(火) 01:09:14.50 ID:ZP8RMuk0
沢山の方が見てくださっていたのですね
嬉しいものです
次回の作品はまだ未定ですが、気長にお待ちいただけますと嬉しいです

>>340
紫ガミザミは、ガミザミ変種のさらに変種と、勝手に作ってしまった設定でした
沢山いるカニの中でも特別エリートな子という設定にしたかったので、違和感が生じたのかもしれません
そのあたり、私も深くは考えていませんでしたので、ご自由な解釈で大丈夫です

また、ミラが喋っていた言葉についてですが、あれはルーマニア語となっています
私自身、あまり得意ではないために、不思議なことになってしまっているかもしれません
もし間違いなどがありましたら、ご了承ください

雨が続きますね
季節の変動期となりますが、くれぐれも体調にはお気をつけください
おやすみなさい
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 01:14:32.72 ID:D7YOZ.ko
三毛猫さんお疲れ様でした、ゆっくりとお休み下さい
……やっぱり寂しい(´・ω・`)次回作待ってます
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 01:40:43.52 ID:2uz/mh60
うっ・・・終わってしまったorz
今までお疲れ様でした
続編を楽しみにしてます

ナルガー!俺だー!結婚してくれー!
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 01:50:09.20 ID:fuWl.LQo
乙でした!
まだスレの残りあるから告知とかしてください
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/23(火) 05:46:04.00 ID:vU11tYSO
乙でした。
次回作楽しみにしてます。
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 05:52:02.96 ID:vU11tYSO
すいません。sage忘れました
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 07:10:35.74 ID:CdfkPgAO
てす
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 07:55:09.70 ID:93ugAUAO
乙でした。楽しかったです。
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 08:51:31.66 ID:QzNL4BMo
いつのまにか終わっちゃったな
乙でした!次回も期待してるよ
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/23(火) 08:53:12.66 ID:zdfZ3Ds0
三毛猫氏乙です!
とても面白かったです。最高でした。
次回作楽しみに待ってます…
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 09:33:13.21 ID:aqqSJIDO
乙。超乙

こんなに長いこと張り付いたのは久しぶりな気がする
何度でもいうがガルルガは誰にも渡さん。
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 10:48:06.98 ID:Re9u9bs0
相関図のキリンとナズチが両思いだったことにびっくりしたwwwwww

乙でした!!いつかその後の話とか外伝なんかも読んでみたいです。
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 13:50:05.93 ID:nvMqPgAO
三毛猫さんお疲れさまです!

次回作品を心待ちにしておりますよ!
女児とミラの関係の謎や、少女へと成長した女児は?
本当に楽しみに待ってます!

体調的には厳しい状態と思いますが、今はユックリと休んで鋭気を養って下さいまし。

355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/23(火) 16:21:34.14 ID:za2UqIDO
三毛猫氏乙!


最初から張りついたかいがありましたwwww

次回作やもし思いついたら外伝等wktkしてます。



ちょっと闘技場でクック父さんに稽古付けてもらってくる。
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 19:12:38.57 ID:WZqK45E0
お疲れ様!
凄い楽しかったです。
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 19:26:58.42 ID:KBrGPkAO
お疲れ様でした
これを読んだら全モンスター狩れなくなっちまったぜ・・・
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 23:35:34.27 ID:K..616AO
乙でした

パー速に移った頃場所がわからないって言って迷子になってたものです

すごく楽しくて、終わるのが寂しいくらいです。

三毛猫さんの作品に出会え奇跡に乾杯!これだからVIPはやめられません

女児が恋しくなったら何度も読み返しにきます
素敵な作品を、ありがとうございました。
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 02:38:43.71 ID:2WZMmIQ0
>357
シェンだけは許す(゜Д゜)
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 02:49:24.73 ID:NIo8fwAO
乙です
ほんとうに楽しく読ませて頂きました
各キャラの人間臭さが何とも……

伏線ととれる部分もいくつか見受けられましたので、もし気が向かれた時には外伝等のお話を書いてくださるとうれしいです

が、とにもかくにも乙でした
ゆっくりやすんでくださいね
ありがとうございました
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/24(水) 08:24:25.43 ID:UrcdMoAO
超乙です
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 10:06:35.22 ID:WBd3/dg0
乙です!すごく面白かった!
キャラも皆特徴があって好感が持てた。
簡単でいいからほんとそれぞれのキャラの外伝とかも読んでみたい。
次回作も楽しみにしてます!
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 20:58:46.36 ID:VgOaEMY0
三毛猫さん超乙でした!!
物語の組み立て方がとても素敵でした。
読みながらイメージ化し易い文章で、泣きながら読ませて頂きましたwwww
次回作も是非読ませて頂きたいです!
ありがとうございました。
マジで書籍化できないかなぁ・・・。
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 22:41:05.43 ID:pELjOkAP
俺は漫画化とかして欲しいなぁ
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/25(木) 02:37:38.32 ID:.69A9poo
モンハンにこのスレの内容を反映したクエストとか配信されたら嬉しいなと思う
ただどれもHR100越えとかになりそうだww
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/25(木) 20:54:07.45 ID:bPqs31c0
最後まで轟竜じゃなくて、蟲竜だったのが気になった…

けど大好きな作品でした、お疲れ様でした
ありがとう
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/25(木) 21:30:41.23 ID:KUcYqQco
>>366
バグ竜かっけぇ
368 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/26(金) 03:38:12.28 ID:SPrS1sk0
こんばんは。物凄く蒸し暑い日が続きますが、皆さん、冷房病に気をつけてくださいね

沢山の書き込み、とても嬉しいです
書籍化や漫画化など、ご意見をいただけるだけでも幸せなものです
同人への参加や、このお話を素材としてご利用されたい方など、もしもいらっしゃいましたら、どうぞ、ご自由にお誘い&お使いください

>>366
そうですね、轟竜ですね。何故か蟲竜と憶えてました
随分前にもポポをボボと書いたり、PCの字が小さいからかもしれません。ご了承ください

スレがまだ残っていますので、近日中に、ミニストーリーでも数点、投稿させていただきます
気長にお待ちいただければ嬉しいです
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/26(金) 10:05:10.93 ID:3.d80zk0
おお三毛さん!ミニストーリー待ってる!少女達の方も見たいし
テオナナラージャンやグラビ一家のその後とかも気になるww
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/26(金) 20:47:40.00 ID:FLc3W2SO
うぉぉぉ!ミニストーリーwktk!
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/27(土) 09:22:10.26 ID:BLfldMAO
このスレに影響されてモンハン買ったお
(`・ω・´)
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/27(土) 21:28:53.76 ID:7hmkHaAP
ミニストーリーだと…
こりゃ楽しみだ!
373 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/27(土) 21:55:45.48 ID:b2Ra/F.0
こんばんは、遅れてしまっていまして申し訳ありません
体調不良が重なってしまいました。今しばらく気長にお待ちください

少し前に書いて中途の別の話がありますので、お暇な方は、よろしければご覧ください
女児とキャラが同じ子が主人公の、ファンタジーのお話です

■ドラコニス〜優しさ欠乏症〜 http://www16.plala.or.jp/LastComets/Matusaga.html#Doraconis

蒸し暑いですが、お体に気をつけてください
申し訳ありませんが、休ませていただきます
374 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/27(土) 21:59:55.03 ID:b2Ra/F.0
上手くリンクされないようなので、一話をこちらに貼らせていただきます

■ドラコニス――1話 http://blog.livedoor.jp/matusagasin/archives/51210020.html

お目汚し失礼しました
375 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:25:35.54 ID:QqDzUTY0
こんにちは。ミニストーリーというよりは続きになってしまいましたが、投稿の方をさせていただきます
376 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:26:11.75 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「あの人にわたしたい」

―密林、子供達の遊び場―

紫ガミザミ 「のう、少女よ。ちと聞きたいことがあるのじゃがの」
少女 「ん? どうしたの?」
紫ガミザミ 「時たまおぬしの家に顔を出す、黒い竜がおるじゃろ?」
少女 「黒い竜……ナルガさんのことかな?」
紫ガミザミ 「ナルガ? ナルガというのか?」
バサルモス 「そうだよ。ナルガクルガさんは、樹海の防衛隊長をしてる人なんだ」
紫ガミザミ 「何と。おぬしも知っておるのか」
バサルモス 「そりゃもう。あの人は、俺達の目標みたいなものだからね」
377 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:26:30.29 ID:QqDzUTY0
バサルモス 「俺も、もう少し大きくなったら防衛隊に入るんだ」
紫ガミザミ 「カム子の修行は良いのか?」
バサルモス 「まだオカマになるなんて、俺は一言も言ってないよ!」
少女 「紫ちゃん、それで、ナルガさんがどうかしたの?」
紫ガミザミ 「う……うむ。いや……まぁ……」
少女 「?」
紫ガミザミ 「な……何が好きなのかとか、どういう食い物が好みなのかとか……」
紫ガミザミ 「何か知っておらんかと思ってな……」
378 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:26:59.12 ID:QqDzUTY0
少女 「そうだねぇ……ナルガさんは、お家に来てもほとんど喋らないからなぁ」
バサルモス 「あんまりコミュニケーションがとれる人じゃないって話だよ。パパが意思疎通ができないって怒ってた」
紫ガミザミ 「ふむ……」
少女 「あぁ、でもお家にきたら、必ずお酒を飲んでいくね」
紫ガミザミ 「酒か! 何を飲んでおるのじゃ」
少女 「うーん……何だろう。この前、紫ちゃんはいなかったけれど、ナルガさんとキングさんがお家で鉢合わせしたことがあって……」
バサルモス 「あぁ……あの時か……とても重い空気だったね……」
少女 「うん……黙々とおじさんと三人でお酒を飲んでたよ。一言も喋らずに……」
紫ガミザミ 「キングチャチャブーなどどうでもよいのじゃ。ナルガ殿の好物を、わらわは知りたいのじゃ」
379 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:27:49.09 ID:QqDzUTY0
バサルモス 「でも、そんなの知ってどうするのさ」
紫ガミザミ 「う゛っ……それは……まぁ……」
少女 「とりあえず、ツチハチノコのお酒だったと思うな。私、まだ良く見えないから、はっきりとは分からないけれど……」
少女 「ナルガさんとお話をしたいの?」
紫ガミザミ 「そっ……そんなことは申しておらぬ。わらわはただ、ちょっと、お渡ししたいものがあって……」
少女 「渡したいもの?」
紫ガミザミ 「あの方、いつもからだに傷がついておるじゃろう。とぉさまからお聞きしたのじゃ。常に前線で人間と戦っておると」
少女 「そうだねぇ。あの人、いつも血の臭いがするよ」
紫ガミザミ 「じゃ、じゃからわらわは、お守りにならんものかと思って……」
少女 「これ? (スッ)わぁ、耳飾り? 作ってきたんだぁ」
バサルモス 「ププッ」
380 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:28:16.78 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「! 何がおかしい!」
バサルモス 「ふふふ、いやぁ、何でも」
紫ガミザミ 「その笑い顔無礼であるぞ! 何がおかしいかと聞いておる!」
バサルモス 「青春だと思った」
紫ガミザミ 「せいしゅん? よ、よく分からぬが馬鹿にするでない! わらわは、不意にだな」
紫ガミザミ 「ナルガ殿に、この黒真珠のお守りを、お渡ししたくなっただけじゃ!」
紫ガミザミ 「他意はない!!」
バサルモス 「いやぁ、渡したいって時点ですごい他意だよ」
紫ガミザミ 「ええいやかましい! 何がおかしい!?」
少女 「うぅん、おかしくないよ(なでなで)」
紫ガミザミ 「!!」
少女 「今日、ナルガさんがお家に来ることになってるの。そのときにちゃんとお話して、渡せば喜んでくれると思うな」
紫ガミザミ 「ほ、本当か!? ナルガ殿は受け取って下さるのだろうか」
381 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:28:41.95 ID:QqDzUTY0
少女 「大丈夫だよ。あの人、顔は怖いけれどちゃんとお話をしてくれるよ」
バサルモス 「プププッ」
紫ガミザミ 「何を笑っておる! 二代目カム子!」
バサルモス 「まだカム子を継ぐなんて言ってないよ!!」
紫ガミザミ 「おぬしはあのオカムどもと乳繰り合っておるがお似合いじゃ。大人の話に口を出すでない」
バサルモス 「やめてよ人をもうカマみたいに言わないでよ!」
紫ガミザミ 「そ、そうと分かれば今日お伺いしてもいいだろうか」
少女 「(にこにこ)いいよ。一緒に渡そう」
紫ガミザミ 「(パァッ)少女……よし、とぉさまに頼んで、お酒も持ってくるぞな!」
紫ガミザミ 「夕刻また来る!(ズボッ)」
382 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:28:57.20 ID:QqDzUTY0
バサルモス 「行っちゃった……何? ナルガさんに一目ぼれでもしたのかな」
バサルモス 「カニなのに……」
少女 「一目ぼれって、素敵なことだと思うよ。種族が違くても愛し合えるって、すごいことだと思わない?」
バサルモス 「そ……そうだね」
バサルモス 「うん、確かにそうだ」
少女 「ナルガさん、おじさんのお話だと結婚もしてないみたいだし……」
少女 「もし紫ちゃんとカップルになれたら、もっと素敵だと思うな」
バサルモス 「いや、それはどうかなぁ……」
バサルモス 「いくらなんでもカニはないよ、カニは」
383 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:29:25.92 ID:QqDzUTY0
―クックの巣、夕方―

クック 「(少女たちが少し遅いな……)」
クック 「(最近は日が落ちるのが遅くなってきたから、大丈夫だとは思うが……)」
クック 「(もう少し遅くなるようならば、探しに行った方が良いだろう)」
クック 「(……しかし、あの子にも友達ができて良かった……)」
クック 「(私は親にはなれるが、あの歳の子にとって、一番大切な、友達にはなれないからな……)」
ナルガクルガ 「邪魔をする(ヌッ)」
クック 「! ナルガか、早いな、今日は」
ナルガクルガ 「迷惑か」
クック 「そんなことはない。入ってくれ」
384 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:30:18.25 ID:QqDzUTY0
クック 「最近、ラオシャンロンの容態もだいぶ快方に向かってきたようだ。めでたいことだ」
ナルガクルガ 「あの人間はいないのか」
クック 「あぁ、少女ならバサルモス君達と一緒に遊びに出ているよ」
ナルガクルガ 「……無用心だな」
クック 「?」
ナルガクルガ 「いくらラオシャンロンが認めたにせよ、人は人よ。あまりのうのうと出歩かない方が身のためかと、俺は思うが」
クック 「まぁ……確かに、それはそれなんだが。座ってくれ」
ナルガクルガ 「(スッ)」
クック 「あの子が人間でも、子供達は仲良くしてくれている。それは、とても大切なことではないかと私は思うんだ」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「ただそれだけのことが、私達大人にはなかなかできない。しかし子供なら、できるんだ」
クック 「随分前に、テオ殿とナナ殿の学び舎を見学した際に、聞いた言葉なのだがな」
385 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:31:36.17 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「いいか、クックよ……人は人よ」
ナルガクルガ 「俺が竜であり、お前が鳥竜であるように、変わらぬ種というものは、本能のもっと奥深くに刻まれた業よ」
ナルガクルガ 「変えようとしても、そのカルマは変わることなどありはしない」
ナルガクルガ 「いつかきっと、お前が……」
ナルガクルガ 「後悔をするような日が来るのではないかと、俺は思うのだ」
クック 「…………」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「いや、今日は随分と饒舌ではないか。何も出さずにすまなかった。今、つまめるものでも用意しよう」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「わかっているよ」
ナルガクルガ 「?」
クック 「人間は人間だ。私達とは違う」
ナルガクルガ 「ならば何故ゆえに」
クック 「分からん……」
386 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:33:03.92 ID:QqDzUTY0
クック 「分からんが……」
クック 「悲しいことというのは、なかなかに消えないものだからな」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「この壁に刻まれた焦げ目のように、奥まで入り込んで、とれやしない。悲しいことというものは」
クック 「その反面、私達は、人でも、モンスターでも変わらず、嬉しいことはすぐ忘れてしまう」
クック 「だから、心の底から喜べるという機会は、人生の上でとても、とても貴重なものなのだ」
クック 「悲しいことなんてすぐ、心に刻み込まれるものだがな」
クック 「私は、それゆえに子供達が、喜びを得ることができるのならば、将来ではなく今が」
クック 「今が、大切なのではないかと思うのだよ」
クック 「将来を作るのは、その今を経た、子供ではないか」
クック 「そうは思わないか」
387 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:34:38.68 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「…………」
クック 「や、話し込んでしまった。すまない。ツチハチノコの地酒でいいか?」
ナルガクルガ 「(スッ)…………つまみにはこれでも切るか」
クック 「! それはラオシャンメロンじゃないか。わざわざ持ってきてくれたのか。悪いなァ」
ナルガクルガ 「密林では今が熟れ時でな」
クック 「ほら、酒だ」
ナルガクルガ 「(ぐびっ)……うむ……」
クック 「そういえば、緑コンガさんの怪我も、あの時から快方に向かっているらしいな」
ナルガクルガ 「……あァ。そう聞く」
クック 「前よりもますます、ブランゴ一族……いや、今はラージャン一族か……と、交流が減っていくばかりだが……」
ナルガクルガ 「……猿には猿の掟というものがあるのだろう(ぐびっ)」
ナルガクルガ 「それに、また勝手に侵攻を始めるなどという馬鹿な真似は、当分しないだろう」
ナルガクルガ 「奴らにも、子供がいる……」
388 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:34:56.86 ID:QqDzUTY0
クック 「(ぐびり)……そうか、そうなのか……」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「ナルガ、お前はそろそろ、相手を探さないのか?」
ナルガクルガ 「……ククッ」
クック 「?」
ナルガクルガ 「お前に会うと、必ずその話になる」
ナルガクルガ 「酔いが回ると、また言い出すぞ。今日は一回目だ」
クック 「そう言うな。これでも友人として心配しているんだ」
ナルガクルガ 「心配……?」
ナルガクルガ 「それこそ、余計なお世話というものよ(ぐびり)」
389 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:35:26.06 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「独りはいい……独りは気楽だ」
ナルガクルガ 「お前のように、厄介者を抱え込もうとする、その気が知れん」
ナルガクルガ 「人は所詮独りよ。共にいようが、共に戦おうが、結局成すのは自分自身よ」
ナルガクルガ 「自分自身の行動に、誰が責任を取る。誰も興味などない、他人の行動などにはな」
ナルガクルガ 「責任を取れねば朽ちてゆくだけよ。何者と共にいようが変わらぬ」
クック 「否定はしないよ。それは、お前が強いから、そう感じるのだと思う」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「しかし、どんなに強いものでも、どこかでほころびというものが、いつかは出てくる」
クック 「何となくそう言える……」
クック 「心も、体も、強ければ強いほど、何かを失った時の喪失感は埋めることはできない」
クック 「もはやそこで完成してしまっているからな……」
390 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:35:48.56 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「…………」
クック 「誰か、お前のことを分かってくれる子と話をするということだけでも、随分に世界が違うものと思うぞ」
ナルガクルガ 「くだらん……」
クック 「(ぐびり)まぁ、好き悪しといえば好き悪しなんだがな」
クック 「折角だ、ラオシャンメロンを切ろう」
クック 「もう少ししたら、私は少女を呼びに行くよ。お前は自由に飲んでいてくれ」
ナルガクルガ 「その必要はない」
クック 「? 何故?」
少女 「おじさんー、ただいまー」
クック 「おお、帰ってきたか。杖の調子はどうだ?」
少女 「(コツコツ)うん、大丈夫だよ。なくてもけっこう歩けるようになったの。誰か来てるの?」
ナルガクルガ 「…………」
少女 「分かった。ナルガさんだ」
ナルガクルガ 「……ふん……」
391 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:36:10.23 ID:QqDzUTY0
クック 「バサル君は?」
少女 「もうじき日が落ちるから、今日は早く帰るって。アカムさんに呼ばれてるらしいよ」
クック 「アカムさん……本気であの子を二代目にするつもりなのか……」
ナルガクルガ 「……何かいるな。嗅ぎなれぬ臭いがする」
少女 「あ、今日はじめて遊びに来たんだけど……」
紫ガミザミ 「(おどおど)」
少女 「ほら」
紫ガミザミ 「こ……こんにちは」
クック 「紫殿じゃないか」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「(チラッ)…………(ビクッ!!)」
クック 「どうしたんだ、そんなところに突っ立ってないで入りなさい」
少女 「ほら、行こう。紫ちゃん」
紫ガミザミ 「う……うぬ……」
392 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:36:29.74 ID:QqDzUTY0
クック 「ダイミョウ殿が頭首になられてから、無茶な争いはなくなったのだろう。気に病むことはない」
紫ガミザミ 「邪魔をする」
ナルガクルガ 「ザザミ一族の一人娘ではないか……」
紫ガミザミ 「(ビクッ)」
ナルガクルガ 「恐ろしいか。なるほどそうだろう。お前の祖父を手にかけたのは、俺だからな」
少女 「あ……」
少女 「(紫ちゃんのおじいさん……ショウグンギザミさんは、あの時にナルガさんが……)」
393 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:36:57.04 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「き……気にしてはおらぬ」
ナルガクルガ 「ほう。随分と異なことを言う」
紫ガミザミ 「じじさまは、随分前からおかしかった」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「三年前の事件から、じじさまはお人が変わったようになってしまった……」
紫ガミザミ 「でも、誰もじじさまをお止めすることはできなかった」
紫ガミザミ 「とぉさまも……」
紫ガミザミ 「あの時は、じじさまは、わらわの側近や、何よりとぉさまを巻き込んで、大変なことに陥らせるところであった」
紫ガミザミ 「わらわはとぉさまが好きじゃ。側近のAとBも大好きじゃ」
紫ガミザミ 「じゃが、わらわは戦いをとめることができなんだ」
紫ガミザミ 「大切な、とぉさまや側近達を失うところであった」
紫ガミザミ 「ザザミ一族を代表して、お主には……」
紫ガミザミ 「一度、お礼を申さねばならぬと、わらわはそう思っておった」
394 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:37:15.67 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「……」
紫ガミザミ 「だから……その……」
紫ガミザミ 「気にするでない。わらわは、お主にそう言いたいのじゃ」
ナルガクルガ 「……ふっ……」
紫ガミザミ 「……?」
ナルガクルガ 「手にかけた孫から気にするなとはな。笑い種も良いところよ」
紫ガミザミ 「わ、わらわは真面目に言うておる」
ナルガクルガ 「良いか蟹の娘」
紫ガミザミ 「…………」
ナルガクルガ 「いかなる理由があろうと、仲間殺しは法度よ。許されることではない」
ナルガクルガ 「賞賛されることでもない……」
ナルガクルガ 「ゆえに、俺はお前に礼を述べられる筋合いはない」
395 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:37:38.11 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「…………」
クック 「まぁ、そう言うなナルガよ。子供からの言葉は、素直に受けておくべきだ」
ナルガクルガ 「知ったことではない。どんな事情があろうとな(ぷいっ)」
クック 「紫殿、こっちに来なさい。丁度彼がラオシャンメロンを持って来てくれてね。今切ってあげよう」
少女 「ラオシャンメロン!」
紫ガミザミ 「う……うむ」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「(改めて見ると、傷だらけの恐ろしい顔じゃ……)」
紫ガミザミ 「(しかしこの人が……)」
紫ガミザミ 「(AやB、とぉさまを、じじさまの狂気から救ってくれたのだ)」
紫ガミザミ 「(きっと、物凄く強いのじゃろう……)」
ナルガクルガ 「(ぐびり)」
396 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:38:25.08 ID:QqDzUTY0
クック 「紫殿は、お家には連絡をしたのか?」
紫ガミザミ 「うむ。それと、これをとぉさまから預かった」
クック 「これは……ツチハチノコの上酒だ。わざわざこんな高価なものを……」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「いつもわらわは少女に世話になっている。その礼と、とぉさまはもうしておった」
ナルガクルガ 「どれ……(スッ)」
紫ガミザミ 「え……」
クック 「ナルガ、もう帰るのか?」
ナルガクルガ 「子供がいる場所で酒盛りというわけにも行かぬだろう。俺は、コレで失礼する」
少女 「ナルガさん、一緒にラオシャンメロンを食べていこうよ」
ナルガクルガ 「あまり近づくな、人間」
少女 「……?」
ナルガクルガ 「他の者はどう思っていようが、俺はまだ人間の存在を認めたわけではない。無害であるから、放置しているだけよ」
少女 「でも、ラオシャンメロンは今食べなきゃなくなっちゃうよ」
397 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:38:44.04 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「…………」
クック 「そういうわけだ。妙な気遣いはいらんよ。なぁ紫殿」
紫ガミザミ 「う……うむ。ザザミ一族の中でも、ナルガ殿は噂の種なのじゃ」
ナルガクルガ 「……?」
紫ガミザミ 「じじさまの圧政から、みなを解放してくれた黒くつぉい竜だって、みんな噂をしておるのじゃ」
ナルガクルガ 「…………(ドスッ)」
ナルガクルガ 「……お前は何か、勘違いをしている」
紫ガミザミ 「勘違い?」
ナルガクルガ 「俺は黒いが、強い竜ではない。それこそ、俺より強い竜などごまんといる」
ナルガクルガ 「その中でも俺が強く見えるのは、俺が独りで、それゆえに非情だからだ」
ナルガクルガ 「褒められるようなことではない」
398 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:39:04.28 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「それでも、つぉいことには間違いないのじゃろう?」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「先日も、ハンターの攻撃からとぉさまを助けてくれたらしいではないか。どんな理由であれ、つぉいのは格好いいぞな」
ナルガクルガ 「格好いい……俺がか。奇妙なことを言う餓鬼だ」
紫ガミザミ 「わらわはがきではない。英才教育を受けたスーパーカニであるぞ」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「お主、話をしてみると存外無礼じゃな。友達おらぬじゃろ?」
ナルガクルガ 「ふっ……子供に何が分かる」
紫ガミザミ 「ぬぅ、さっきから褒めてしんぜておるのに、子供扱いばかりしおってからに!」
399 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:39:22.50 ID:QqDzUTY0
クック 「三人とも、ラオシャンメロンが切れたぞ」
少女 「わーい!」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「おお、いい香りがするぞな。何じゃこれは」
少女 「樹海の奥の方に生えてるメロンらしいの。時々ナルガさんが持ってきてくれるの」
紫ガミザミ 「初めて見るぞな」
ナルガクルガ 「(ぐびり)」
紫ガミザミ 「! お主また、わらわのことを子供と思って笑ったな!」
ナルガクルガ 「……(ぐびり)」
紫ガミザミ 「むきぃぃ! 何だか腹がたつぞ!」
400 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:40:25.14 ID:QqDzUTY0
クック 「ほら、紫殿も」
紫ガミザミ 「う……うぬ。(シャリ)ほう! 火薬イチゴより甘くて冷たくてンまいぞな!」
クック 「それは良かった。まだ沢山あるから、どんどん食べるといい」
少女 「おいしいね!」
紫ガミザミ 「うぬ!」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「そういえば、ナルガ。麻薬の取り締まりは上手くいっているのか?(ぐびり)」
ナルガクルガ 「正直なところ、全ての取り締まりは難しいな」
クック 「そうか……」
ナルガクルガ 「エスピナス兄妹にも手伝わせ、森の中のマンドラゴラはほぼ全て摘み取ったが、クイーンランゴスタが非協力的だ」
クック 「だろうな……彼女達は、それを餌にしている一面もある」
クック 「今度、またキングに頼んで、クイーンと話をしてみないといけないな」
401 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:42:03.30 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「それに最近は、別エリアからの新種のヤクも確認されている」
クック 「別エリア?」
ナルガクルガ 「樹海を抜けた先にある、ラオシャンロンの統治から外れた自治区域から流れて来ているとの話だ」
クック 「あそこか……我々も滅多に寄り付かないように、提携を結んでいる、海を挟んだ場所……」
ナルガクルガ 「マンドラゴラのヤクは、ある程度息などで分かるが、あちらからのものは判断がつけがたいな。何しろ前例がない」
クック 「猫が海を渡って持ち込んだのだろうか」
ナルガクルガ 「おそらく」
クック 「しかし、彼らが海路から持ち込む品々は貴重なものも多い。それら全てを規制することもできないだろう」
クック 「考えられるとすれば、あちら側と交易を結ぶことだが……」
クック 「今の我々のまとまりでは、難しいかもしれん」
ナルガクルガ 「…………」
402 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:42:38.51 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「……新種の獣竜種らしき卵も、この前猫が持ってきたものが今、フルフルの所で保管されている」
クック 「何!? よりによって卵を持ち帰ってきたのか!?」
ナルガクルガ 「持ち帰ってきた猫は、寂れた巣の中で拾ってきたと言っていたが、本当のことかどうか……」
ナルガクルガ 「盗んできたのならば、孵る前に返してこねばならぬが、フルフルの話では、もうじき生まれるそうだ」
ナルガクルガ 「そうなれば面倒なことになる……」
ナルガクルガ 「俺が心配しているのは、ヤクよりもむしろそれよ」
ナルガクルガ 「面倒なのは一匹で充分よ(ギロリ)」
少女 「?」
403 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:43:17.63 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「いずれにせよ、一度海を渡らねばならぬかも知れぬ」
クック 「…………人間達も、里に近い場所の素材はとりつくしたからな……」
クック 「外に目を向けるかもしれない時期に、面倒なことに……」
クック 「その卵は、ラオシャンロン殿やヤマツカミ様は存在を知っているのか?」
ナルガクルガ 「まだ知らぬはずだ。興味本位で猿どもが何をするか、分かったものではない。俺が戒厳令を敷いた」
クック 「そうか……明日あたり、私もフルフルさんのところに行ってみよう。ヤマツカミ様には、少なくとも知らせねばなるまい」
ナルガクルガ 「問題は誰が親になるかということよ」
クック 「…………」
ナルガクルガ 「フルフルは高齢だ。もはや昔のような力はない」
ナルガクルガ 「本来ならば親としての条件付けを施すのは適切ではないが……」
ナルガクルガ 「やはり、テオ殿とナナ殿に任せるしかなかろう」
404 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:44:06.80 ID:QqDzUTY0
クック 「とにかく、面倒なことになる前に、もう一度猫を、卵を拾った場所に向かわせねばなるまいな」
ナルガクルガ 「卵は孵化が近いため、もはや動かすことはできんが、猫は既に向かわせた」
クック 「そうか……」
少女 「ねぇ、ナルガさん。あたらしい子が生まれるの?」
紫ガミザミ 「どんないかつい奴が生まれるのか、楽しみじゃのぅ」
少女 「きっと、すごく可愛い子だよ!」
ナルガクルガ 「ふっ……子供の発想だな……」
紫ガミザミ 「ぬぅ。何がおかしい! お主先ほどから子供子供と無礼であろう」
ナルガクルガ 「………………」
紫ガミザミ 「わらわも見てみたいぞな。ひょっとしたら、一番最初にわらわを見て、かぁさまと思うやも知れぬ!」
クック 「紫殿、それはちとまずい」
紫ガミザミ 「何故じゃ?」
クック 「今回の件に関しては、安易に条件付けはしないほうがいいだろう。いずれにせよ、フルフルさんと話をしてからだな」
紫ガミザミ 「むう、しかし興味はあるぞな。ナルガ殿、生まれる時はわらわも連れて行ってくりゃれ」
ナルガクルガ 「……俺は必要以上に揉め事には干渉せん。行きたいのならば自分の力で、独りで向かうんだな」
紫ガミザミ 「つれないのぅ。お主、ますます友達おらぬじゃろ?」
ナルガクルガ 「…………」
405 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:44:45.35 ID:QqDzUTY0
クック 「まぁまぁ。悪戯をしないというのなら、私が連れて行ってあげよう」
紫ガミザミ 「本当か!? 話が分かるぞなクック殿。ナルガ殿とは大違いじゃ!」
ナルガクルガ 「(ぐびり)」
クック 「この前、数十年前の大地震のとき、地下に埋もれてしまったフルフルさんの卵も何個か見つかったそうじゃないか」
クック 「孵る確立は物凄く低いだろうが、雪山の氷層に埋もれていたから、もしかしたら新しい子が誕生するかもしれない」
少女 「本当!?」
クック 「今、フルフルさんは卵を温めている過程で動くことができないんだ」
クック 「少女はまだ見ていないだろう? 新種の卵の確認がてら、紫殿と見に行こうか」
少女 「小さなフルフルさんが生まれるの!? わぁ、楽しみ! 行くぅ!」
紫ガミザミ 「そういえばフルフルとは誰ぞな?」
少女 「雪山に住んでる優しいおばあちゃんだよ。紫ちゃんも、すぐ好きになるよ」
406 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:45:06.16 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「(ぐびり)」
アクラ・ヴェシム 「大将、つきましたぜ……」
××××××××× 「ご苦労」
クック 「あの足音は……」
クック 「アクラ君、それにキングじゃないか!」
キングチャチャブー 「邪魔するぜ……」
チャチャブーA 「ビィッ!」
チャチャブーB 「ビィッ!」
キングチャチャブー 「お前らはここにいろ……」
アクラ・ヴェシム 「了解ですぜ……」
チャチャブーA 「ビィ!」
チャチャブーB 「ビィ!」
407 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:45:29.27 ID:QqDzUTY0
クック 「どうしたんだ、キング。わざわざこんな夜分に」
キングチャチャブー 「いや……いい魚が入ったもんでな……」
ナルガクルガ 「…………」
キングチャチャブー 「……ほらよ(ドサッ)」
クック 「これは、太公鯉ではないか! わざわざすまないな。今、ツチハチノコの上酒を開けるところなんだ。飲んでいってくれ」
キングチャチャブー 「………………(ドスッ)」
ナルガクルガ 「………………」
クック 「アクラ君には、ハチミツ酒でいいかな?」
アクラ・ヴァシム 「お構いなく……」
クック 「遠慮せずに。君達も飲んでいくといい」
チャチャブー達 「ビィィ!」
408 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:45:54.55 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「あ……あれがキング……初めて見た……」
少女 「キングチャチャブーさん、こんばんは」
キングチャチャブー 「(じろり)…………あァ…………」
紫ガミザミ 「(ひそひそ)何じゃ、こやつもコミュニケーション不全か……?」
少女 「(ひそひそ)そういう言い方をしたら失礼だよ。いい人だし、とっても偉いみたいだよ」
キングチャチャブー 「(ぐびり)」
ナルガクルガ 「(ぐびり)」
クック 「折角だから太公鯉を焼くか。少女、薪に火を起こすから手伝ってくれないか」
少女 「うん、分かったよ」
紫ガミザミ 「な……待つのじゃ少女! 独りで置いていくな!」
少女 「薪は……これでいいかな……」
紫ガミザミ 「あぁ……行ってしまった。空気が重苦しいぞな……」
キングチャチャブー 「(ぐびり)」
ナルガクルガ 「……(ぐびり)」
409 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:46:23.59 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「(しかしコレはチャンスじゃ……)」
紫ガミザミ 「(想像とは違う人じゃったが、とぉさまを助けてくれたのは事実じゃ)」
紫ガミザミ 「(……じゃが、こんなものを渡しても喜んでくれるのじゃろうか……)」
キングチャチャブー 「……ダイミョウ家の娘じゃねェか……」
紫ガミザミ 「(ビクッ)……う、うむ」
キングチャチャブー 「餓鬼が、ここで何をしている…………」
紫ガミザミ 「な……何をしているって、そんなことお主には関係がなかろう」
キングチャチャブー 「…………(ぐびり)」
紫ガミザミ 「(う……怒った……?)」
キングチャチャブー 「違ェねェ(ぐびり)」
410 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:46:57.85 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「ぬ!? 魚の焼けるいい匂いがしてきたぞな」
キングチャチャブー 「おい小僧……」
ナルガクルガ 「…………(ぐびり)」
キングチャチャブー 「てめぇのことだ……」
ナルガクルガ 「……?」
キングチャチャブー 「(ドサリ)」
ナルガクルガ 「! これは……マンドラゴラ? こんなに沢山……」
キングチャチャブー 「今朝方、ウチのモンがハチから巻き上げた……てめぇ、集めてやがるんだろう」
ナルガクルガ 「(スッ)」
キングチャチャブー 「処分しとけ……」
ナルガクルガ 「(グビリ)」
411 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:47:21.82 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「何ぞな、この赤いキノコは……」
紫ガミザミ 「うあ、変な臭い……」
ナルガクルガ 「(バッ)」
ナルガクルガ 「何してる……餓鬼」
紫ガミザミ 「な……何じゃ。ちと気になっただけではないか」
紫ガミザミ 「そんなに乱暴にせずとも良いではないか」
ナルガクルガ 「黙れ……」
紫ガミザミ 「!」
ナルガクルガ 「餓鬼が触っていいものと、悪いものがある……」
ナルガクルガ 「好奇心も大概にしろ……」
キングチャチャブー 「(ぐびり)」
412 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:47:40.09 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「(ひくっ)」
紫ガミザミ 「ふ……ふん! そんなもの、こちらからお断りじゃ!」
紫ガミザミ 「不愉快じゃ。わらわはもう帰る!」
紫ガミザミ 「(ズボボボッ)」
ナルガクルガ 「…………」
紫ガミザミ 「(ズボッ…………チャリィィン)」
少女 「みなさん、お魚焼けたよー」
少女 「あれ? 紫ちゃん?」
クック 「ん? 紫殿は帰ったのか?」
クック 「何か落ちているな……」
クック 「黒真珠の耳輪ではないか」
少女 「!」
413 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:47:58.06 ID:QqDzUTY0
少女 「それ、紫ちゃんが、ナルガさんのために作ったものなの」
ナルガクルガ 「? 俺のために?」
少女 「お父さんを助けてくれて、カッコよくて……」
少女 「それに、いつも傷だらけだから……」
少女 「お守りだって、そう言って、今日はそれをナルガさんに渡しに来たのに……」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「子供からの贈り物だ。ほら、持っているといい」
クック 「お前が独りきりで活動していると思っても、沢山の人がお前の活躍を見ているんだぞ」
キングチャチャブー 「…………」
ナルガクルガ 「ふん……こんなもの……」
414 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:48:19.14 ID:QqDzUTY0
キングチャチャブー 「……てめぇ、女からの貢物を投げ捨てる気か……?」
ナルガクルガ 「……貴様には関係がないことだ……」
キングチャチャブー 「あァ……ねェな……」
キングチャチャブー 「だが、男にゃァ、守らなァいけんものがあるってな……」
キングチャチャブー 「どんな外道になっても、それだけぁ忘れるなと……」
キングチャチャブー 「俺ァ……先代のキングから教わったことがあるもんでな……」
ナルガクルガ 「(ぐびり)」
キングチャチャブー 「……女からの供物と、うめぇ酒はな……命の次に大事なもんだ……」
キングチャチャブー 「(ぐびり)どっちも……そう簡単には手にはいらねぇ」
415 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:49:16.44 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「ふん……(グッ)」
クック 「ナルガ、魚を食べていかないのか?」
ナルガクルガ 「興が削がれた。また、出直すことにしよう……」
キングチャチャブー 「(ぐびり)」
ナルガクルガ 「邪魔をしたな(ズン、ズン)」
少女 「またね、ナルガさん」
ナルガクルガ 「…………(ズン、ズン)」
少女 「あぁ、紫ちゃん……何か怒っちゃったのかな……」
少女 「私が目を離してる間に……」
少女 「独りでちゃんと帰れるかな……」
クック 「大丈夫だ。心配は要らないよ」
少女 「どうして?」
クック 「ほら」
少女 「あ……! キングさんが持ってきた袋と……紫ちゃんの耳輪がなくなってる!」
クック 「ナルガはああ見えて義理堅い男さ……」
クック 「ほら、キング。それにアクラ君やチャチャブーさんたちも、魚が焼けたぞ」
アクラ・ヴァシム 「や、こりゃあり難ェ」
チャチャブー達 「ビィィ!!」
キングチャチャブー 「(ぐびり)」
クック 「少女、明日あたり、一緒にフルフルさんのところに行こうか」
少女 「うん! 紫ちゃんも連れて行っていい?」
クック 「もちろんだ。さぁ、ラオシャンメロンの残りを食べてしまおう」
416 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:49:46.57 ID:QqDzUTY0
―樹海入り口―

紫ガミザミ 「(ふん、子供子供と……)」
紫ガミザミ 「(馬鹿にしくさりおって……)」
紫ガミザミ 「(もうあんな黒いの、知ったことか!)」
紫ガミザミ 「(お礼を受け取る気もないみたいだし、最初っからわらわのことなんぞ馬鹿にしておるのじゃ!)」
紫ガミザミ 「(所詮、カニと竜など、別の種族なのじゃ!!)」
紫ガミザミ 「…………」
紫ガミザミ 「(うぅ……寒くなってきた)」
紫ガミザミ 「(勝手に飛び出してきてしまったが、少女やクック殿に失礼であった……)」
紫ガミザミ 「(しかし今更戻るのも情けのぅ)」
紫ガミザミ 「(少し遠いが、歩いて帰るか…………)」
紫ガミザミ 「(トボトボ)」
417 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:50:01.95 ID:QqDzUTY0
紫ガミザミ 「! (何じゃ? 何かが木の上を飛び回っておる!)」
紫ガミザミ 「ひっ……(ビクッ)」
紫ガミザミ 「(こ……怖い……!)」
紫ガミザミ 「(もしも凶暴な奴じゃったら……)」
紫ガミザミ 「(は……はよう地面に……)」
紫ガミザミ 「(うわっ! ここは硬くて潜れぬ!!)」
紫ガミザミ 「(ど……どこかに身を隠さねば……)」
×××××× 「(シュバッ)」
紫ガミザミ 「ピィィッ!!(ビクッ)」
418 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:50:51.13 ID:QqDzUTY0
ナルガクルガ 「…………何を死んだふりなどしている。餓鬼め…………」
紫ガミザミ 「(チラッ)…………し……死んだふりなどしておらぬ!!」
紫ガミザミ 「な、何じゃ。またわらわを馬鹿にせんと、おいかけてまで来たのか!」
ナルガクルガ 「お前になど興味はない……俺の巣もこちらの方向なだけだ……」
紫ガミザミ 「!!」
紫ガミザミ 「(ぬ……! ナルガ殿の耳に、わらわが作った黒真珠のお守りが!!)」
紫ガミザミ 「(怒って出てくるときに、落としてしまったのか!)」
紫ガミザミ 「(もしかして、この方は、わらわのことを心配して……)」
ナルガクルガ 「……何をしている。それとも独りで帰るか。それもまた一興」
ナルガクルガ 「この一帯は、夜は猿の縄張りとなるがな……」
紫ガミザミ 「さ……猿!?(ビクッ)」
ナルガクルガ 「行くぞ……」
ナルガクルガ 「背中に乗れ」
紫ガミザミ 「…………」
紫ガミザミ 「う……うぬ!」
419 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/06/28(日) 17:52:05.27 ID:QqDzUTY0
お疲れ様でした。SSの書き溜めはここまでとなります

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/38/imgf00d20ebzik5zj.jpeg

また、続きを書きましたら投稿させていただきます
短編完結ではなく、続き物となってしまい申し訳ありません
気長にお付き合いいただけましたら幸いです
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 18:07:26.74 ID:k9Z4moQo
乙です!
アクラ・ヴァシムって誰だと思ったら、そんな新モンスター出てきてたんですね。
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 19:08:24.82 ID:twZKPXUo
それもまたいい・・・

どんどん続けろ

422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 19:17:38.61 ID:crx/P6AO
乙です!ナルガいいなぁ…戦ったことないけど。
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 20:44:37.45 ID:BGHoNZUo
乙です
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/29(月) 17:27:51.02 ID:fKbn/wDO
乙!


しかし、安易にやってはいけないと思いつつもつい脳内で擬人化してしまったら

紫がとんでもなく萌キャラになり、ナルガがとんでもなく渋いイケメンになってしまったwwww/(^o^)\
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/29(月) 22:19:46.12 ID:JAEWhbYo
ナルガイケメンは人類の通る道\(^o^)/
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 10:02:25.08 ID:tb2CEVs0
俺の脳内ナルガはずっとクールなねーちゃんだった。
でもイケメンもいいと思った\(^o^)/
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 14:25:29.99 ID:K/15zmU0
乙です!
ナルガもイケメンだが、ここのキンチャチャはすごいかっこいいと思うんですけど
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 22:18:34.49 ID:qNOSBrMo
サソリは好かねぇ
しょせん奴等も甲殻類だろ
そのうえサソリときたもんだ
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/02(木) 18:52:25.04 ID:98GqnQSO
パリアプリアはピザキャラ
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 10:02:55.34 ID:YPXiVADO
うおぉぉぉい何の気無しに覗いてみればサブストーリー
乙乙

新キャラはwwiiのやつか?全然わからん。
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/03(金) 13:48:51.25 ID:N4/X3.20
三毛猫さん乙でした


ちなみに樹海で釣れるお魚は鯛公望ですよ、三毛さん
432 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:13:57.01 ID:zd2zU5k0
こんにちは。投稿の方をさせていただきます

>>431
そうですね鯛公望でしたね。何か違和感を感じていました。すみません

433 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:14:55.23 ID:zd2zU5k0
2.リオレイア 「どうしてあなたはそんななの?」

―水没林―

ラギアクルス 「それでは本当なのか……ボルボロス様の卵が盗まれたという話は」
チャナガブル 「ああ。今は砂原は大騒ぎになっている。何しろ、数十年ぶりのお子だ」
ラギアクスル 「このままでは我ら騎士の面目が立たぬ……」
チャナガブル 「どうするつもりだ、ラギア」
ラギアクスル 「盗んだのは、チャチャ族ではあるまい。おそらくは猫だ」
ラギアクルス 「ボルボロス様の巣付近で、見慣れぬ猫の姿を見たという者の話を聞いた」
ラギアクルス 「このあたりには、あまり猫は生息していない」
ラギアクルス 「おそらく、臨海線を越えた、あのフィールドからやってきた者だろう」
434 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:15:37.78 ID:zd2zU5k0
チャナガブル 「お主、まさか……」
ラギアクルス 「お前はボルボロス様をお守りするのだ。我は海を越え、あちらに渡ろうと思う」
チャナガブル 「早計ではないのか」
ラギアクルス 「身内ではあるまい。卵を盗むなど重罪甚だしい。そんな愚考を成す者が、我ら騎士団の中にいるとは考え難い」
チャナガブル 「それはそうだな……だがお主のみに任せるわけにはいかぬ。私も……」
ラギアクルス 「いかぬ。お前はここで、副騎士団長としてみなの統率に当たらねば」
チャナガブル 「うむ……しかし……」
ラギアクルス 「何、我の速度ならば三両日もあればあちらに着くだろう。また、みなに余計な心配をさせたくはない」
チャナガブル 「分かった。いつ経つのだ?」
ラギアクルス 「一度ボルボロス様に拝謁してからだな……」
ラギアクルス 「このことが、御身に響かねばよいが……」
435 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:15:58.57 ID:zd2zU5k0
―雪山、朝―

少女 「おばあちゃん、こんにちは!」
クック 「フルフルさん、お邪魔するよ」
フルフル 「ああ、少女にクックかい。すまないねぇ。出迎えもせんで」
クック 「いやいや、気にしないでくれ(ブルブルッ)」
少女 「外はすごい雪だよ。あんまり動かないほうがいいかも」
フルフル 「そうかいそうかい。今茶ァでも淹れてあげっかね」
クック 「いや、気遣いなく。私が淹れよう」
少女 「卵、みつかったの?」
フルフル 「あァ、そうなんだよ」
436 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:16:52.24 ID:zd2zU5k0
フルフル 「雪山の割れ目に落ち込んでた、あたしの卵が少しねぇ。ためしにあっためてみてるんだがね。ここさね」
少女 「(ぺたぺた)うわぁ、卵でも大きいんだね」
フルフル 「どうやら、氷付けになってたみたいでね。この一つだけは無事のようなんだよ。もうじき生まれるねぇ」
少女 「素敵! 子フルフルちゃんだね!」
フルフル 「はっは。この歳のババァが子供っつぅのもおかしな話なんだがね。まぁ捨て置くわけにもいかんじゃろ」
少女 「こっちの卵は……何だかゴツゴツしてる」
フルフル 「うむ。猫が、どうやらここから離れた場所から盗んできたらしい卵でなァ」
フルフル 「このままにしておいては、氷付けになる前に死んじまう」
フルフル 「しょうがないから温めてるってなわけじゃよ」
少女 「おばあちゃんの卵はつるつるしてるのに、まるでこれは岩みたい。それに、とっても熱いよ」
フルフル 「火山のモンスターかもしれんねぇ。ババァの皮はしなびて、もう熱さはよぉ感じんけどねぇ」
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 16:18:11.13 ID:e6J.KQco
お、投下中か
438 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:18:19.19 ID:zd2zU5k0
クック 「それが、猫が海の向こうから盗ってきてしまったという卵か……見たことのないものだな」
フルフル 「あたしにもわからんねぇ。何が生まれるのか見当もつかんよ」
クック 「面倒ごとにならなければよいが……フルフルさんも、そのお歳では一度に二匹の子育ては辛かろう」
フルフル 「若造が心配なんて気の利いたことをするんじゃないよ。あたしはまだまだ大丈夫さ」
少女 「そういえば、地獄兄弟さんたちがいないね」
フルフル 「あいつら、卵を温める役をさせようとしたら逃げよった。いくじのない男どもよ」
少女 「おばあちゃん、私手伝うよ!」
フルフル 「ありがとよ。でも人間のお前にできることかい……そうさね、木の葉で、覗いてる方の卵の面を拭いてやってくんないかい」
少女 「うん!(ごそごそ)」
フルフル 「目はどうだい」
少女 「少しずつオオナズチさんの血を飲ませてもらってて、ずいぶん良くなったよ」
少女 「ぼやーっと何かが見えるくらい」
フルフル 「そうかい、それはなによりさね」
439 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:19:15.31 ID:zd2zU5k0
少女 「あ……中で何か動いた。おばあちゃん、卵の中で何か生きてるよ!」
フルフル 「そりゃそうさ。卵は強いんだ。氷漬けになったくらいじゃ、死にゃせんよ」
フルフル 「まさかあの人との忘れ形見が、ひょっこり出てくるとはねぇ」
少女 「こっちのごつごつしたのは、動かないねぇ」
フルフル 「うむ……ひょっとしたら、温めるのが間違っているのやもしれん」
フルフル 「どうにも火山の竜の処置は分からなくてね。ナナ・テスカトリを呼んでいるんだ。聞こうと思ってね」
少女 「ナナさんがここに来るの?」
フルフル 「あァ。もうじき来るはずさね」
少女 「わぁい。ナナさん、優しいから大好きだよ」
フルフル 「お前さんももう少し大きくなったら、ナナの学校に通ってみるといい」
クック 「おぉ、それはいい考えだ」
少女 「学校? 私が、学校に行けるの?」
クック 「少女が行きたいと言うなら、私から頼んであげてもいいぞ」
少女 「行きたい!」
440 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:19:38.25 ID:zd2zU5k0
フルフル 「! 今卵が動いたな」
クック 「何と、もう生まれるのか?」
クック 「フルフルさん、ここに温めた木の実のスープは置くよ」
フルフル 「火山の卵は分からんが、あたしの卵はそろそろ生まれそうだねェ」
フルフル 「クックよ、火のついた炭を少し、ここらに集めてくれないか」
クック 「ああ、これくらいでいいかい?」
フルフル 「そこに、この卵を置いてくれ」
クック 「どっこいしょ……これでいいかな」
少女 「どうして卵を炭で炙るの?」
クック 「雪山は寒いから、生まれてきてすぐに凍えてしまわないように、こうするんだ」
441 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:20:00.11 ID:zd2zU5k0
クック 「お……! 卵にヒビが入ってきたぞ!!」
少女 「わぁ……!!」
少女 「(よく見えないけれど、私くらいの大きさの卵が動いてる!)」
少女 「(フルフルさんの赤ちゃんが生まれるんだ!!)」
卵 「(カタカタ)」
卵 「(パリ…………)」
子フルフル 「キィィ!(モゾ……ッ)」
フルフル 「おぉ、ほんに生まれおった!」
クック 「元気な子じゃないか!!」
子フルフル 「ピィ、ピィ(モゾモゾ)」
442 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:25:01.72 ID:zd2zU5k0
少女 「おじさん、もがいてるよ」
クック 「大丈夫。竜は自力で卵を出てきて、初めて一人の竜として認められるんだ」
子フルフル 「キィ……キィ…………」
フルフル 「坊や、こっちじゃ、おいで」
子フルフル 「! キィ……!(バッ)」
子フルフル 「(ドダッ)」
子フルフル 「(ズリズリ)……キィ…………」
フルフル 「よぉしいい子じゃ。こっちにきな。体ァ舐めてやっかんね」
子フルフル 「キィ」
443 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:26:35.05 ID:zd2zU5k0
少女 「赤ちゃんでも大きいねぇ。無事に生まれてよかった!!」
フルフル 「少しすれば言葉を覚えるさね。竜は青年期までは成長が早いから、これだけ歩けりゃ大丈夫さ」
フルフル 「ペロペロ」
子フルフル 「クゥン」
フルフル 「はっは。あたしが母ちゃんだって分かるのかい。賢い子だ!」
クック 「良かったなぁフルフルさん。何か食べさせてあげないといけないんじゃないか?」
フルフル 「もう作ってあんのよ。魚のすり身をあわせたやつさね。ほれ、食いねぇ」
子フルフル 「キィ(もぐもぐ)」
フルフル 「ほっほっほ。食いよる。この子は元気に育つぞい!」
少女 「良かったね、おばあちゃん!」
少女 「(すっ)」
少女 「(なでなで)よろしくね。お姉ちゃんだよ」
子フルフル 「キュゥ」
444 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:28:31.56 ID:zd2zU5k0
クック 「めでたいめでたい。樹海に猫を飛ばしてヤマツカミ様たちにも知らせよう」
フルフル 「そんな大げさなことでもないさ。でも生まれて悪いことなんてなにもないかんねぇ」
フルフル 「最も、あたしがちゃんと育ててやれるか、体がもつかどうかちょいと心配だが」
少女 「おばあちゃん、私、この子を育てるの手伝う! おじさん、いいよね?」
クック 「手伝うって、ここでかい?」
少女 「(こくり)」
クック 「(ふっ)……ああ。フルフルさん、迷惑でなければ少女も使ってやってくれ」
フルフル 「迷惑なもんかい。逃げた不祥の息子どもよか、よっぽど頼りになるさね」
子フルフル 「(ムグムグ)」
少女 「どれくらいで喋れるようになるかな?」
フルフル 「ちゃんと毎日喋りかけてやれば、すぐに簡単な受け答えは出来るようになるだろうよ」
少女 「人間とは違って、強いんだねぇ」
フルフル 「それくらいでないと、竜はやっていけんのよ」
445 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:29:16.62 ID:zd2zU5k0
ナナ・テスカトリ 「こんにちは。フルフル様、いらっしゃいますか?」
少女 「!! ナナさんだ!」
クック 「おお、ナナ殿。吹雪の中ご苦労だった。迷わなかったかい」
ナナ・テスカトリ 「ごきげんよう、イャンクック様、それに少女。ええ、わたくしにとって雪は、たいした障害にはならないのです」
ナナ・テスカトリ 「(ブルブルッ)フルフル様?」
フルフル 「おおナナよ、こっちへおいで」
ナナ・テスカトリ 「!! まさか!? お生まれになったのですか!!!」
子フルフル 「(むぐむぐ)キュゥ」
フルフル 「はっは。ついさっきな。クック達が手伝ってくれて、無事に生まれた。元気な子だよ」
ナナ・テスカトリ 「まぁ! 良かった……本当に! 夫も、随分と心配しておられました。可愛らしい子ではないですか!!」
フルフル 「あたしに似てしわくちゃだが、そこらへんは愛嬌さね」
446 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:30:18.21 ID:zd2zU5k0
ナナ・テスカトリ 「あぁどうしましょう。まさかこんなことになっているとは思わず、何もお祝いの品を持参いたしませんでした」
ナナ・テスカトリ 「ご滋養に良いかと思い、ゲリョス君に協力してもらって、狂走エキスの滋養酒はお持ちしたのですが……」
フルフル 「ほう。それはありがたい。それと、気ィ使うんじゃないよ」
フルフル 「あんたが来てくれたってことだけで、もう充分さね」
ナナ・テスカトリ 「フルフル様……」
クック 「ナナ殿、滋養酒を木の実の椀に注ごう」
ナナ・テスカトリ 「よろしいのですか? では、お願いいたします(スッ)」
少女 「ナナさん、久しぶりです(すっ)」
ナナ・テスカトリ 「ああ少女ちゃん。目は、少しは見えるようになったかしら」
少女 「ぼんやりと輪郭だけ……」
ナナ・テスカトリ 「こちらに来なさい。わたくしの毛に包まっていれば、幾分温かいでしょう」
少女 「(もぞもぞ)うわぁ、ぽかぽかしてる」
447 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:30:53.60 ID:zd2zU5k0
ナナ・テスカトリ 「後程夫も伴い、きちんと御祝儀にお伺いいたします」
フルフル 「いいさいいさ。テオも忙しいのだろう」
ナナ・テスカトリ 「めでたいことはみなで祝わなければ。フルフル様は、もう少しわがままになってもよろしいと思われますよ?」
フルフル 「言うようになったじゃないかい。小娘がねぇ」
クック 「ほら、フルフルさん。ナナ殿がお持ちになった滋養酒だ」
フルフル 「ありがとよ。(ぐびり)うむ。体が温まるねぇ。ゲリョスにも、礼を言っておいておくれ」
フルフル 「あいつの頭のクリスタルは、そろそろなじんだかい?」
ナナ・テスカトリ 「フルフル様の治療のお陰で、新しいライトクリスタルもぴったりはまったって喜んでいましたわ」
フルフル 「そうかいそうかい。それは何よりさね」
子フルフル 「すぅー……すぅー……」
ナナ・テスカトリ 「ふふ……眠ってしまいましたね。わたくしの毛を少し、差し上げましょう(がぶり)」
ナナ・テスカトリ 「こうしてかけてあげれば、寒くないでしょう?」
フルフル 「若い女が、そういうはしたないことをすんじゃないよ」
フルフル 「しかし炎妃龍のたてがみが生まれの贈り物かい。帽子でも作ってやって、大事にせんとねぇ」
448 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:31:36.97 ID:zd2zU5k0
ナナ・テスカトリ 「いえ、でも本当に良かった。今日は幸せな日です」
フルフル 「お前さんらも、はよ子供つくりなよな。人のこと見て一喜一憂する歳でもあるまいさ」
ナナ・テスカトリ 「まぁ、フルフルさんったら。わたくしたちはまだ、王子を残す気はありませんよ」
フルフル 「運命はどう転ぶか分からんからね。あたしも、まさか数十年前に谷底に落ちた卵が、今孵るとは思わなんだよ」
フルフル 「その時のためさ」
ナナ・テスカトリ 「(くすり)……そうですね」
クック 「フルフルさん、その子は女の子かい?」
フルフル 「そうみたいさね」
クック 「そうかそうか。私の鱗も、何かに使えるだろう。ほら、収めてくれ」
フルフル 「お前さんまで、まったく気にするなと言うに」
クック 「フルフルさんはその子を見てやっていてくれ。しばらく、家事は私と少女がやろう」
クック 「ナナ殿も、何か食べて行かれるといい」
449 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:32:12.02 ID:zd2zU5k0
ナナ・テスカトリ 「いいえ、イャンクック様、お構いなく」
ナナ・テスカトリ 「早く夫に、このことを知らせてさしあげたいのです」
ナナ・テスカトリ 「あの人も、きっと喜びますわ」
少女 「そういえば、おばあちゃん」
フルフル 「何だい、少女?」
少女 「もう一つの卵のことを、ナナさんに聞かなきゃ」
フルフル 「おぉ、うっかりしておった。ナナよ、先日の卵のことなんじゃが」
ナナ・テスカトリ 「ああ、わたくしもうっかりしておりました。これですね……」
ナナ・テスカトリ 「お送りいただいた猫さんから、お話はお聞きしています」
ナナ・テスカトリ 「海の向こうの地から、盗まれてきたらしいですね……」
ナナ・テスカトリ 「お母様やお父様は、どれだけ心を痛めていることでしょう……」
ナナ・テスカトリ 「できうることなら、すぐに元の場所に戻してあげたいのですが…………」
450 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:34:00.00 ID:zd2zU5k0
フルフル 「それができりゃ苦労せんわなぁ。一応温めてはおるのじゃが、あたしの体温よりも卵の方が熱いのよ」
フルフル 「どうしたものかと思ってねぇ」
ナナ・テスカトリ 「生まれつき炎をまとっている、特殊な竜なのかもしれません」
ナナ・テスカトリ 「その場合、卵は温めるよりもむしろ、適度に冷やした方が子にとっては良いと思われますわ」
フルフル 「やはりそうかい。でも、だからといって雪の中に埋めるわけにもいかんねぇ」
ナナ・テスカトリ 「氷を拾ってきて、その上に立てかけておくだけで充分ですよ」
フルフル 「おお、そうだったのかい」
クック 「今、少し入り口からとってこよう」
フルフル 「すまないね、頼むよ」
ナナ・テスカトリ 「しかし……フルフル様、竜は、生まれてすぐに見た者、感じた者を親と思ってしまうことが、往々にしてあります」
ナナ・テスカトリ 「この卵の実情が分からないまま、生まれてしまっては双方のためにはならないと思われます……」
ナナ・テスカトリ 「残酷なようですが、もう少し詳しいことが分かるまで……」
ナナ・テスカトリ 「もし、近いうちに生まれてしまった場合には、目隠しをしてあげてください」
451 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:35:23.64 ID:zd2zU5k0
フルフル 「ふむ……そうするほかあるまいな」
ナナ・テスカトリ 「今、盗んできた猫さんの取り調べをナルガクルガ様が行っております」
ナナ・テスカトリ 「場合によっては、海を渡り向こうの地へ行く必要もあるかと思われます」
ナナ・テスカトリ 「なるべく早くことを進めるよう、ナルガクルガ様にはお伝えいたしますゆえ……」
フルフル 「まぁ、とってきちまったもんはしかたないさね」
フルフル 「丁度家族が増えたとこだ。もう一匹くらい増えても、どうってことはないさね」
フルフル 「もしもの時はあたしがちゃんと育てるよ」
ナナ・テスカトリ 「フルフル様……」
クック 「よっ……と(ドサリ)これくらいでいいかな?」
ナナ・テスカトリ 「あぁイャンクック様、ご苦労おかけいたします」
クック 「何の何のこれくらい。それでは、この卵は、氷の中に置いておくぞ(グッ)」
クック 「しかし熱いな……燃えるようだ(ゴロン)」
452 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:36:53.32 ID:zd2zU5k0
ナナ・テスカトリ 「それでは一旦失礼いたしますわ。夫と共にまたお伺いいたします」
少女 「ナナさん、待ってるね」
ナナ・テスカトリ 「後で一緒に遊びましょうね(すりすり)」
フルフル 「気をつけて行くんだよ。吹雪はもっと強くなるからね」
ナナ・テスカトリ 「わたくしは炎龍です。これしき問題はありませんよ」
ナナ・テスカトリ 「それでは、失礼いたします」
クック 「ああ、私たちもここにいるから、ゆっくり来て下さって大丈夫だ」
ナナ・テスカトリ 「はい。それじゃね、ぼうや」
子フルフル 「すぅー……すぅー……」
クック 「行ってしまったか……炎龍とはすごいな。吹雪が割れるようだ」
少女 「テオさんも来るんだって。楽しみだね」
453 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:37:48.80 ID:zd2zU5k0
クック 「折角だ。私も狂走エキスの滋養酒を少しいただいてもいいだろうか」
フルフル 「おぅおぅ、飲みぃや」
クック 「(ぐびり)うむ、体が温まる。少女もほら」
少女 「(ちびり)辛っ……」
クック 「はっは。まだ早かったか」
クック 「フルフルさん、何かやることはないだろうか。何でも手伝うぞ」
フルフル 「それじゃ、魚の干物を一旦お湯で戻してから、すり潰してくんないかね」
クック 「分かった。少女もやるかい?」
少女 「やるぅー!」
フルフル 「まったく、あんたらがいてくれて助かるよ」
フルフル 「あのバカ息子どもはまったく持って役にたたん」
クック 「男の子というものは、どこか格好つけてしまうものだ。気恥ずかしいんだろう」
フルフル 「あいつらはただ阿呆なだけさね。いい歳こいて、子供のままさ」
454 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:39:01.43 ID:zd2zU5k0
クック 「ん? 裏口の方が騒がしいな」
 >ガタガタガタ
××××× 「あ、開けてくれェェ! この岩をどかしてくれェェ!」
クック 「誰か来たみたいだ。でも、わざわざ裏口から来るなんて……」
クック 「岩をどかしてくるよ」
フルフル 「あの声は、レイアの旦那じゃないかい」
リオレウス 「ぶぅっはぁぁ! 死ぬかと思った!」
クック 「レウスさん! 雪まみれじゃないか!!」
リオレウス 「や……やぁイャンクックさん(ガチガチ)」
リオレウス 「少女さんに、フルフル婆さんも、こんちは(ガチガチ)」
リオレウス 「レイアに、こんがり肉Gを渡してくるように言われたんだけど……」
リオレウス 「も、物凄い吹雪で……遭難しちゃったんだ……」
リオレウス 「ぶえっくしょぃ(ゴウッ)」
 >ボッ
クック 「お、薪に火がついたぞ」
455 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:40:05.48 ID:zd2zU5k0
フルフル 「久しぶりじゃないか、坊主。とんと顔を見せに来ないから、鬼嫁に虐め殺されたかと思ったよ」
リオレウス 「酷いなぁ婆さん。それより、地獄兄弟をどうにかしてくれよ。家に居場所がなくなってきてるんだ」
少女 「こんにちは、リオレウスさん」
リオレウス 「こんにちは。お。それは狂走エキスの滋養酒だね。いただいてもいいかい(グビリ)美味い!」
少女 「(あ……私の……)」
リオレウス 「婆さん、レイアが焼いたこんがり肉G、ここに吊るしておくね」
フルフル 「まったく、気を使うこたぁないのに。よろしく言っといてくれ」
リオレウス 「(ブルブル)うぅ寒っ……少し温まっていっていいかい?」
リオレウス 「ふぅ。まったく何だってこんな吹雪の時に」
子フルフル 「すぅー……すぅー……」
リオレウス 「!?」
リオレウス 「ひぃぇ! 小さい婆さんがいる!」
フルフル 「今ごろ気づいたのかい。例の卵が、ついさっき生まれたんだよ」
リオレウス 「何てこった!! 二代目じゃないか。良かったなぁぁ婆さん!!」
フルフル 「おいおい、そんなに騒いじゃ、この子が起きちまう」
リオレウス 「おっとこりゃ失敬。いやぁぁ! でもめでたいなぁぁ!! 婆さんに子供か!」
リオレウス 「レイアにも知らせてやらなきゃ!」
リオレウス 「……あー…………吹雪が止んだらね……」
456 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:40:58.84 ID:zd2zU5k0
リオレウス 「寝てるのかい? はっはっは! 婆さんそミニチュアにしたみたいだ!」
フルフル 「あたしも若い頃は、こんなにつやつやした肌だったんだよ」
クック 「よし、魚のすり身煮込みの仕込みは終わったよ。レウスさんが持って来てくれたこんがり肉Gにも火を通したから、みんなで食べよう」
リオレウス 「へぇ! そいつはありがたい!」
リオレウス 「ついでに温かいスープももらえると最高だね!」
クック 「ははは。ほら、どうぞ」
リオレウス 「うん、美味い! レイアのより断然美味い!」
フルフル 「今のは聞かなかったことにしてやるよ」
リオレウス 「ん? 何であの卵は氷に漬けてあるんだい?」
少女 「さっきナナさんが来てくれて、火山の竜の卵はそうした方がいいって」
リオレウス 「ふぅん。あぁあれか。猫が海の向こうから盗んできたってやつだね」
457 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:41:31.81 ID:zd2zU5k0
フルフル 「そういや、あんたはあっちの方から来たんだっけかい」
リオレウス 「まぁ、生まれてしばらくして、こっちに渡ってきたけどさ。詳しくはあっちのことを知ってるわけじゃないよ」
リオレウス 「でも、もし騎士団の竜の卵なら、まずいことになるかもしれないな……」
クック 「騎士団?」
リオレウス 「ああ。海の向こうは、一つの王族を中心にして、その周りを騎士団が守って暮らしているんだ」
リオレウス 「騎士団は王族に絶対忠誠を誓ってて、結束も固い」
リオレウス 「束になって襲い掛かってくるから、怒らせたら面倒だ」
リオレウス 「早いところ、元の場所に戻した方がいいと思うけどな」
フルフル 「それができりゃ苦労せんわ。もうじき生まれそうなんじゃ」
リオレウス 「ヘェァ! 本当かい!? まったく、何だってそんな面倒なものを持ってきたんだ!」
458 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:42:04.20 ID:zd2zU5k0
リオレウス 「うーん……俺は全然子育ては分かんないからなぁ」
リオレウス 「雪が止んだら、レイアを連れてくるよ」
フルフル 「そうかい。あたしも久々にあのじゃじゃ馬を見たいもんだ」
リオレウス 「最近酷いよ……狩りの獲物が小さいと、容赦なく締め落とすんだ」
リオレウス 「段々それが快感になってきてしまっている自分がいる……」
フルフル 「快感になってるならいいじゃないかい」
リオレウス 「変わっていく自分が怖いんだよ……」
クック 「よし、少女。そこの木の実の器に、すり潰した魚を入れるんだ。できるかい?」
少女 「うん、頑張る」
リオレウス 「俺も何か手伝おうか?」
リオレウス 「どうせ吹雪で、しばらく外には出れそうにないからね」
459 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:42:25.77 ID:zd2zU5k0
少女 「じゃあ、リオレウスさんはこの香辛料を振り掛けてくれる?」
リオレウス 「よしきた! 任せてくれ(バッバッ)」
リオレウス 「(ムズムズ)……う……鼻が…………」
リオレウス 「ぶえっくしょい!(ゴウッ!)」
少女 「きゃぁ!」
 >ズゥン
クック 「少女! 大丈夫か!」
リオレウス 「ああごめんよ! 家でもよくやって、レイアに半殺しにされるんだ!!」
少女 「ちょっとびっくりしただけ。平気だよ(なでなで)」
リオレウス 「あ……何か優しくされると涙が……」
460 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:42:49.56 ID:zd2zU5k0
クック 「ん!? 今のレウスさんの火の玉、あの卵に直撃したぞ!!」
リオレウス 「何だって!?」
フルフル 「お、おい。大丈夫なんだろうね?」
クック 「氷は全部溶けてしまっている。割れてはいないようだが……」
クック 「熱っ……!!」
クック 「ま……真っ赤に発熱している!」
リオレウス 「お……俺のせいかい!?」
クック 「卵にヒビが入ってきた! 生まれるぞ!!」
フルフル 「何だって!? 振動を与えたからかい!?」
フルフル 「ちょっと急すぎるさね。早く目隠しの用意を……」
461 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:43:10.67 ID:zd2zU5k0
卵 「(ピキ……ピキ……)」
卵 「(バリィィィンッ!!)」
×××××× 「ピィィィィ!」
クック 「うわっ! 火の玉が飛び散った!!」
少女 「きゃぁあ!」
リオレウス 「あ……あれは……!!」
竜の子供 「ピィ……ピィ……」
フルフル 「いかん! 目を開けるぞ!!」
竜の子供 「ピ……?」
竜の子供 「(きょろきょろ)」
竜の子供 「(じーっ)」
少女 「……?」
少女 「(何か、私くらいの大きさの竜さんが、こっちを見てる……)」
竜の子供 「まんまー(バッ)」
竜の子供 「まんま(ドスドスドス)」
少女 「(こっちに来た!)きゃぁぁ!」
462 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:43:35.17 ID:zd2zU5k0
竜の子供 「まんまー、まんまー(ぺろぺろ)」
少女 「え……あ……?」
少女 「(この子、もしかして……)」
少女 「(私のことを、お母さんだって思っちゃったの!?)」
フルフル 「……遅かったようだね……」
クック 「まさか少女のことを……」
クック 「しかし、この異様な姿は……」
クック 「まるで岩が絡み合ったような……どことなくグラビさんに似ているが、頭が物凄く大きい……」
竜の子供 「(すりすり)」
少女 「う……うふふ。くすぐったい(なでなで)」
リオレウス 「何てこった……」
クック 「レウスさん?」
リオレウス 「これは……ボルボロスの子供じゃないか……!」
463 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:45:12.44 ID:zd2zU5k0
リオレウス 「……いや、違う……? 俺が知っているボルボロスとは形が……」
クック 「ボルボロス? 一体誰だい?」
リオレウス 「海の向こうの土地の、騎士団が守っている女王だよ」
フルフル 「何だって? 女王じゃと……」
竜の子供 「まんまー」
少女 「あはは、くすぐったぃ〜」
クック 「面倒なことになったな……こんなに孵化が早まるとは思わなかった」
リオレウス 「もしかしなくても俺のせいだよね……ごめんよみんな」
フルフル 「いや、楽観視しておったあたしらも悪かった。とにかく少女。そのいかつい子をこっちによこしな。凍えちまう」
少女 「うん。でもこの子、すごくポカポカしてるから大丈夫だと思うよ」
クック 「そういえば湯気が立ってるな……」
クック 「グラビさん達でも湯気は立たないというのに……よほど体温が高いのか」
464 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:45:43.52 ID:zd2zU5k0
少女 「どっちかというと、お水を飲みたいみたい」
フルフル 「そうさね。あたしの後ろに大きな木の実の殻があるだろう? そこに、作っておいたハチミツ水があるから、飲ませておやり」
クック 「これか? ほら」
竜の子供 「ふんぎゃぁぁ!」
少女 「きゃっ……いきなりかくれて、どうしたの?」
クック 「私の顔に驚いたのか?」
リオレウス 「しかし、それにしてもごっつい赤ん坊だなぁ」
竜の子供 「ピィィィ!!」
リオレウス 「う、うわ! 何だ、顔に似合わず怖がりだ!」
少女 「落ち着いてね、みんないい人だよ」
竜の子供 「ブフゥー、ブフゥー」
少女 「これ、ハチミツ水。飲める?」
竜の子供 「!! (ゴクゴクゴクゴクゴク)」
少女 「ひゃっ……すごい勢い……」
少女 「もうなくなっちゃった……」
竜の子供 「ぷふぅ〜」
竜の子供 「まんま〜(ごろり)」
少女 「ふふ、よく見えないけど、可愛いね(なでなで)」
竜の子供 「ふぶぅ〜」
465 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:47:18.02 ID:zd2zU5k0
クック 「(困った……王族の子だったのか!)」
クック 「(私やフルフルさん、レウスさんならともかく、よりにもよって人間の少女を親と思い込んでしまうとは……)」
クック 「(海の向こうの土地が、人に対してどんな感情を抱いているのか分からないが……)」
クック 「(こうなっては引き離すわけにもいかん……)」
クック 「(どうしたものか……)」
フルフル 「おいおい、少女、気をつけな。いくら子供とはいっても竜なんだ。知らない間に大怪我をすることだってあるよ」
少女 「うん、気をつける」
少女 「ねぇ、ここは風が入るから、もう少し奥に行こう?」
竜の子供 「??」
少女 「こっちだよ」
竜の子供 「(じり……じり……)」
少女 「この人はフルフルさん。そして子フルフルちゃん。私の、家族みたいな人たちだよ」
少女 「大丈夫、怖くないよ」
竜の子供 「(ズン、ズン)」
フルフル 「(なでなで)ふむ……手触りはバサル坊主に近いねぇ」
竜の子供 「(ふぁぁぁ)」
少女 「あ……ちょっと待って……」
竜の子供 「(ゆらり……ずぅん)」
竜の子供 「すぅー……すぅー……」
少女 「寝ちゃった……私の服を掴んでるから、動けないよ」
少女 「どうしよう、おじさん……」
466 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:48:57.45 ID:zd2zU5k0
クック 「うむ……もしレウスさんの言うとおりに王族の子だとしたら、迂闊なことはできないな」
クック 「少女、すまないが少し、その子の近くについていてやってくれないか?」
少女 「うん、分かったよ」
リオレウス 「何か責任感じちゃうなぁ。イャンクックさん、どうするよ?」
クック 「もうじきテオ殿とナナ殿がいらっしゃるはずだ。彼らならいい知恵を持っているかもしれないから、少し待とうか」
クック 「どっちにしろ、赤ん坊が二匹も生まれたんだ」
クック 「大人の私達がここを離れるわけにはいかないだろ?」
リオレウス 「うぅん、そうは言われても」
リオレウス 「吹雪だけど、俺は頑張って家に帰って、事情を話してレイアに来てもらうよ」
リオレウス 「俺よりも、何かとあいつのほうが役に立つと思うし」
フルフル 「そうかい。ついでに地獄兄弟がいたら、ブッ叩いてつれてきてくれないかい?」
リオレウス 「ひゃぁ、バイオレンスだなぁ婆さんは。反撃されない程度にやっておくよ」
クック 「レウスさん、これを持っていくといい。狂走エキスの滋養酒を木の実に入れておいた。飲めば寒くないぞ」
リオレウス 「お、ありがたいねぇ。それじゃ皆さん、邪魔しかしてない気がするけど、すぐ役に立つ奴を連れてくるから!」
少女 「気をつけてね、リオレウスさん」
467 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:49:37.74 ID:zd2zU5k0
少女 「(この子、私の服を強く掴んでる……)」
少女 「(私のことを、お母さんだと思ってるんだ……)」
少女 「(まだ頭とかが濡れてる……)」
少女 「(拭いてあげなきゃ……)」
少女 「……(ごしごし)」
テオ・テスカトル 「御免。日中最中だが失礼する」
ナナ・テスカトリ 「フルフル様、夫とまた参りました」
クック 「お、テオ殿とナナ殿だ。レウスさんと入れ違いになってしまったな」
フルフル 「おお、お入り。中は温かいよ」
テオ・テスカトル 「いや、すごい吹雪だ(ブルブルッ)フルフル殿、久しゅう」
テオ・テスカトル 「む、その子が、あなたのお子様か」
テオ・テスカトル 「僭越ながら、私のたてがみで毛布を編んできた。使ってください」
フルフル 「そんなに気を使わずともよいのに」
少女 「テオさん、こんにちは!」
テオ・テスカトル 「おお少女よ。久方ぶりだな…………ぬ? 何だ、その子竜は?」
ナナ・テスカトリ 「あぁ! もしかして、生まれてしまったのですか!?」
クック 「うむ。少々困ったことになってしまって……」
468 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:50:36.01 ID:zd2zU5k0
クック 「………………というわけなんだ。おそらく、熱を受けて孵化が早まったんだろう」
テオ・テスカトル 「私は海の向こうに行ったことはないが、もしリオレウス殿の仰るとおりに、王族の子としたら、少々面倒なことだ」
テオ・テスカトル 「竜は、一度親と認識した者は、およそ死ぬまで親と思い続ける」
テオ・テスカトル 「物心ついても、本能の奥でずっと、その感情は消えることはない」
テオ・テスカトル 「はからずも少女が、この子竜の『親』となってしまったわけだが……」
少女 「ご……ごめんなさい……どうしよう……」
テオ・テスカトル 「いや、君の責任ではない。いたし方がないことだろう。それよりも、無事に生まれてよかった」
ナナ・テスカトリ 「! そうですわ! 何の問題もなく、綺麗に生まれて、こんなに嬉しいことはありません」
クック 「あ……ああ。そう考えれば、確かに……」
クック 「ちゃんと生きていて、生まれて来てくれたというのは嬉しいことだ」
少女 「じゃ……じゃあ、この子に何もしない?」
クック 「何を言うんだ。私たちは、これから少女、お前とこの子を守らなければならないんだ」
テオ・テスカトル 「左様。ナルガクルガ氏より話を聞き、一度海の向こうに渡ることを考えていたが……」
テオ・テスカトル 「この状態では、少女も共に渡らねばなるまいな」
ナナ・テスカトリ 「………………」
少女 「海の向こうにいけるの!?」
少女 「私、ずっと海に行ってみたかったの!!」
469 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:51:24.21 ID:zd2zU5k0
テオ・テスカトル 「少女、酷なようだが忘れてはいけない」
少女 「?」
テオ・テスカトル 「君は人間だ。そして海の向こうの土地では、人間のことをどう思っているのか、我々はよくは知らぬ」
少女 「あ…………」
少女 「ごめんなさい……」
テオ・テスカトル 「謝ることではないが、危険ではある。派遣隊は慎重に選ばねば」
竜の子供 「ブフゥ……まんま……(ぎゅっ)」
少女 「うん……大丈夫だよ(なでなで)」
ナナ・テスカトリ 「とりあえず、火山の竜は塩分が不足しがちです。岩塩の塊も取ってきました。スープを作ります」
ナナ・テスカトリ 「フルフル様、お台所をお借りしてもよろしいでしょうか?」
フルフル 「ああ、ええよ。好きに使いな」
クック 「ナナ殿。私も手伝おう」
ナナ・テスカトリ 「ありがとうございます。それでは、この材料を……」
470 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:51:59.55 ID:zd2zU5k0
テオ・テスカトル 「ふむ…………」
テオ・テスカトル 「リオレウス殿はボルボロス、と仰ったのだな?」
少女 「うん。女王様だって……」
テオ・テスカトル 「向こうの地に渡った猫から、話だけは聞いたことがある」
テオ・テスカトル 「女王がボルボロス、そして王がウラガンギンと……」
少女 「ウラガンギン……」
テオ・テスカトル 「王は随分前に死去したらしいが、その方と女王の子供だとすると、どちらかの種の特徴が色濃く出たようだな」
テオ・テスカトル 「推測するに、雄であるところを見るとウラガンギンか……」
テオ・テスカトル 「(なんと言うことだ……)」
テオ・テスカトル 「(もしもこの推測が本当のことだとするなら、未来の皇帝ではないか……!)」
471 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:52:49.71 ID:zd2zU5k0
―密林、昼間―

リオレイア 「もう! あなたって人は本当に馬鹿なんだから!」
リオレイア 「私は、お婆様を助けに行きなさいって言ったのよ?」
リオレイア 「どうしてそんな簡単なことさえ出来ないの!?」
リオレウス 「わ……分かった……悪かった……」
リオレウス 「悪かったから……飛びながら尻尾で首を絞めるのはやめてくれ…………」
リオレウス 「お…………落ちる…………」
リオレイア 「(バサァッ)ふぅ……あなたは本当に頼りにならないわね……」
リオレウス 「言葉もないよ……」
リオレイア 「とりあえず、出産祝いは持ったわね? 早くお手伝いに行くわよ!!」
472 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:53:14.13 ID:zd2zU5k0
リオレウス 「(バサァ、バサァ)」
リオレウス 「(雪山の悪天候のせいか、こっちまで霧がかかってるな……)」
リオレウス 「レイア、そんなに飛ばしたら、前が良く見えないだろ? 危ないよ」
リオレイア 「軟弱なあなたと一緒にしないで!」
リオレウス 「怒るなよ。俺は俺なりに頑張って生きてるんだよ!!」
リオレイア 「はいはい。どうでもいいから遅れないで」
リオレウス 「分かってるよ…………ん?」
リオレウス 「(何だ、あれ?)」
リオレウス 「(海と密林を繋ぐ入り江で、何か動いてる……)」
リオレウス 「(霧でよく見えないけど……)」
リオレウス 「(地獄兄弟かな……?)」
リオレウス 「……!! ひぃぇ!!」
リオレイア 「(ビクッ!)な、何、いきなり奇声を上げて!」
473 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:53:34.10 ID:zd2zU5k0
リオレウス 「レ、レイア! 下に何かいる!!」
リオレイア 「下? 何も見えないけど……」
リオレウス 「そっちじゃないよ! 入り江の方に……」
リオレウス 「(で……でかい!!)」
リオレウス 「(竜!? でも、あんな竜は見たことがない!!)」
ラギアクルス 「……………………」
リオレイア 「!! 何、あれ!?」
リオレウス 「分からない……でも、このままだとあの竜、奇面族の土地に入っちゃうぞ!」
リオレイア 「う……嘘! そんなことしたら……」
リオレウス 「止めなきゃ……!!(ヒュゥゥゥ)」
リオレイア 「あ……あなた!!」
474 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:53:55.32 ID:zd2zU5k0
―密林、奇面族の里―

キングチャチャブー 「…………?」
キングチャチャブー 「何だ……?」
キングチャチャブー 「(森の空気が、いつもと違う……)」
キングチャチャブー 「(ざわついてやがる……)」
キングチャチャブー 「(さっきから感じるが、気のせいじゃぁねェ)」
キングチャチャブー 「(何か近づいてきてるってのか……)」
チャチャブーA 「ビィ! ゴッドファーザー! 緊急報告!」
キングチャチャブー 「…………」
チャチャブーA 「エリア1の守備隊より、正体不明の竜の進入を確認との連絡!」
チャチャブーA 「現在、その竜は速度を変えずに、こちらに向かってきております!!」
キングチャチャブー 「…………(チッ)」
475 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:54:15.78 ID:zd2zU5k0
キングチャチャブー 「……(嫌な霧だ……)」
キングチャチャブー 「…………」
チャチャブーA 「守備隊は正体不明を追いながら南下中! ご指示を!!」
キングチャチャブー 「(スッ)」
キングチャチャブー 「……酒が切れた」
キングチャチャブー 「丁度暇ァなったとこよ」
キングチャチャブー 「一番隊、二番隊、出撃準備」
チャチャブー一番隊 「ビィ!!(ザッ)」
チャチャブー二番隊 「ビィ!!(ザッ)」
キングチャチャブー 「行くぞ……」
キングチャチャブー 「(変な胸騒ぎがしやがる……)」
キングチャチャブー 「(チッ……酒が切れたせいならいいが……)」
476 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/03(金) 16:56:12.28 ID:zd2zU5k0
お疲れ様です。次回へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/87/img8beaa61bzikfzj.jpeg

3も、あと一ヶ月で発売ですね
楽しみなものです
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 16:57:12.37 ID:/V6Cggso
乙でした!しかし毎回気になる引きだわww
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 17:06:13.27 ID:e6J.KQco
名前に聞き覚えの無いのがいっぱいいると思ったら3のモンスターかぁ
乙です!
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 17:19:39.76 ID:NWFLg46o
新しいモンスターの画像はまだか!
三毛猫乙
480 :「私は人形じゃない」 :2009/07/03(金) 22:13:02.76 ID:4esiaC.o
3には全く期待してなかったんだけど・・・
これを読んだらプレイしたくなる不思議
481 :「人は闇を恐れ、火を使い、闇を削って生きてきたわ…」 [sage]:2009/07/03(金) 22:16:03.58 ID:4esiaC.o
上げスマソ・・・
しかも名前欄が勝手に入力されてるし・・・
482 :「何を願うの?」 [sage]:2009/07/03(金) 22:16:46.20 ID:TD9ZBlgo
^p^
483 :「中に誰もいないですよ? 」 [sage]:2009/07/03(金) 22:17:21.32 ID:J11TCB.o
確かに3やりたくなるな
wii持ってないけど

名前欄は多分エヴァ仕様だ
484 :「くそっ!止まれよ、止まれ、止まれ、止まれ止まれ止まれ止まれぇっ!」 [sage]:2009/07/03(金) 22:21:41.19 ID:4esiaC.o
>>483
俺も持ってないwwww

エヴァか・・・確か今放送してるんだっけ?運営も頑張るね〜
485 :「わかってるわ。わたしはエヴァに乗るしかないのよ」 [sage]:2009/07/03(金) 22:34:20.01 ID:KMOvT760


終わると思ってたけど、まだ続くんだなww
支援
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 23:21:49.64 ID:UKbp6hIo
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 23:56:01.93 ID:CWfDC.6o
乙です!
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 01:46:35.25 ID:I5xX.2AO
三毛猫さんお疲れさまでした!
毎日、続きを楽しみに待ってます!
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 11:06:01.64 ID:EW6kmwAO
乙です!
トライで会えたらいいなぁ
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/05(日) 00:44:20.92 ID:BavcZmwo
ベルキュロス様にベシベシ叩かれたいです
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/05(日) 03:51:27.56 ID:BiqtGYDO
三毛猫さん乙
また読めて本当に嬉しい
もうアニメ化して 放送されればいいのにww
ちなみに俺はティガ兄弟が好きだ めちゃめちゃ好きだ
・・・狩れない・・・
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/05(日) 17:17:24.84 ID:gDIVAsAO
終わったと思ってたのにまだ続いてたwww
493 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:38:53.73 ID:S/GPSHQ0
こんにちは。次話を書きましたので、投稿の方をさせていただきます
494 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:39:46.42 ID:S/GPSHQ0
3.キングチャチャブー 「空は飛ぶんじゃねぇ、駆けるもんだ」

―密林、運河内―

ラギアクルス 「(弱った。何だ、このまとわりつくような霧は……)」
ラギアクルス 「(このあたりは水深も浅く、水が濁っている……)」
ラギアクルス 「(頭を出して泳ぐしかないが、現在位置も分からぬことには……)」
ラギアクルス 「(我自身、こちらの土地に来るのは初めてのことだ)」
ラギアクルス 「(突発的に攻撃はしてこないと思うが……)」
ラギアクルス 「(もしも他人の縄張りだった場合、少々厄介だ……)」
ラギアクルス 「……!!」
ラギアクルス 「(何だ……? 霧の向こう……木を盾にして、何か大量にうごめいている……)」
ラギアクルス 「(チャチャ族……? 違うな。一回り大きい……)」
ラギアクルス 「(こちらの奇面族……!)」
ラギアクルス 「(まずい。別大陸のチャチャは凶暴と聞く)」
ラギアクルス 「(我は、奴らの縄張りに入ってしまったのか……)」
ラギアクルス 「(蹴散らすことには造作はないが……)」
ラギアクルス 「(奴らに、御前様の御卵を奪われている以上、表立って騒ぎを起こすのは得策ではない……)」
ラギアクルス 「(さて、いかとするか……)」
495 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:40:40.51 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「…………」
チャチャブー達 「………………」
ラギアクルス 「(弓……? 人間の武器を真似て作ったのか……)」
ラギアクルス 「(あの光沢、おそらく痺れ毒が塗られている……)」
ラギアクルス 「(知らぬこととはいえ、領域侵犯は重罪よ……)」
ラギアクルス 「(それは分かる。我も同じ状況になれば、騎士団員に同様な命令を発するであろう)」
ラギアクルス 「(優秀な指揮官がおるのだ……)」
ラギアクルス 「(となれば、木っ端と話をいくらしようとも無駄……状況は好転せぬ)」
ラギアクルス 「(指揮官に事情を説明せねばならぬ……)」
ラギアクルス 「(だが……)」
ラギアクルス 「(川の両脇に、毒矢の奇面族か……)」
チャチャブー達 「…………」
ラギアクルス 「(囲まれた…………)」
496 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:43:13.30 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「(仕方がない)」
ラギアクルス 「(我にも、我の身を守る権利がある)」
ラギアクルス 「(それに、御卵を盗んだのはこちらの方……)」
ラギアクルス 「(義は、我にある……!!)」
チャチャブーA 「三番隊、四番弓隊、構え!」
チャチャブー達 「ビィ!!」
チャチャブーA 「三番隊、てェ!!」
チャチャブー達 「ビィィィ!!(ピュンピュンピュンピュン)」
ラギアクルス 「!!」
ラギアクルス 「(撃ってきた……やはり、いたし方あるまい!)」
ラギアクルス 「ふんッ!!(バリバリバリバリ)」
チャチャブー達 「!!」
チャチャブーA 「……電撃!? 竜が電撃だと……!?」
チャチャブーA 「矢が、空中で弾け飛んだ…………!!」
497 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:44:21.61 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「シャァァ!!(バシャァァァ!!)」
チャチャブー達 「ビィィ!!」
ラギアクルス 「(ゴゴゴゴゴ)」
チャチャブーA 「退避ィ!」
チャチャブー達 「ビィィィ!(ズザザザザッ)」
ラギアクルス 「(ゴウッ!!)」
チャチャブーA 「(こちらに向けて、白い電撃を吐いた……!!)」
チャチャブーA 「(まずい……避けられない…………!!)」
リオレウス 「ギャォォォ!!(ゴウッ!)」
 >バシャァァァッ!!
ラギアクルス 「!!」
リオレウス 「奇面族! 下がりなさい!(バサッ! バサッ!)」
チャチャブーA 「貴様は……リオレウス……!!」
498 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:45:29.72 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「(新手か……!!)」
ラギアクルス 「(誰にも目撃されずに、奇面族を片付けるつもりだったが……しくじった!)」
ラギアクルス 「(我を敵とみなしたか……!!)」
リオレイア 「あなた! 危ない!!」
ラギアクルス 「(かくなる上は、貴殿らにも気絶を願うこととする!)」
ラギアクルス 「(ゴゴゴゴゴ)」
リオレウス 「ひゃぁ! カッコよく登場してみたはいいけど、もう限界だよレイア!」
リオレウス 「俺は戦える星の元に生まれてきてないんだ!!」
リオレイア 「あなた前見て! 馬鹿なの!?」
リオレウス 「ば……夫に向かって馬鹿はないだろう馬鹿は!!」
ラギアクルス 「(バリバリバリバリ)」
リオレイア 「!! (ヒュゥゥゥ)」
リオレイア 「(ゴウッ!!)」
ラギアクルス 「(ドゴォッ!)ぐっ……」
リオレウス 「お……お前! いきなりそんな……」
ラギアクルス 「(あの緑の竜の方が危険だな……)」
ラギアクルス 「(ドプン)」
499 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:46:56.13 ID:S/GPSHQ0
リオレウス 「! 水に潜った……!!」
リオレウス 「くそ……霧でよく見えない……」
リオレウス 「レイア!!」
 >ズズズズズズ
ラギアクルス 「(バシャァァ!)ギャォォォ!!」
リオレイア 「!! きゃぁぁぁ!!」
リオレウス 「レイアァァ!!(ヒュゥゥゥ)」
リオレウス 「こ……このォォ!(ドガッ)」
ラギアクルス 「! ガッ……(よろ……)」
リオレイア 「あ……あなた!」
リオレウス 「助けを呼んでくるんだ!」
ラギアクルス 「シャァァ! (ブンッ)」
リオレウス 「(ガキィィン)早く!!」
リオレイア 「わ……分かったわ!(バサッ)」
500 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:48:04.09 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「!! (緑の竜が逃げる……!!)」
ラギアクルス 「(させてなるものか……!)」
ラギアクルス 「ガァァ!(バシャァァァン)」
リオレウス 「しまった! 宙に飛び上がった!!」
リオレウス 「あいつ! レイアを狙ってる!」
リオレウス 「させるかぁぁ!(バサァッ!!)」
リオレウス 「ふんぐぅッ!(ガシッ)」
ラギアクルス 「くっ……は……離せ!!」
リオレウス 「このまま水の中に戻ってもらうよ!!」
ラギアクルス 「(しくじった……この赤い竜、予想外に力が強い……)」
ラギアクルス 「(このままでは、水に激突してしまう……)」
ラギアクルス 「(だがッ!)」
リオレウス 「! うわぁぁ!」
ラギアクルス 「我の体を舐めるな! 締め付けるくらい造作もないわ!!」
リオレウス 「(ギチギチギチ)ぐぅぁぁぁあ!」
リオレイア 「あなたぁぁ!!」
リオレウス 「ば……馬鹿! 行け!!」
ラギアクルス 「頭を下にして落ちるのは、貴殿の方よ!!」
501 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:48:59.10 ID:S/GPSHQ0
リオレウス 「(な……何だ……?)」
リオレウス 「(チャチャブー達が、大きなパチンコ台のようなものを……)」
××××××××× 「…………(ヒュッ!)」
リオレウス 「(岸から、何か小さな影が、こっちに向かって飛んできた……!!)」
ラギアクルス 「ぬっ!(ヒュッ)」
キングチャチャブー 「(ガキィィンッ!!)」
リオレウス 「キング!!」
ラギアクルス 「くっ……チャチャ族か……!! 頭から離れろ!! 無礼者!」
キングチャチャブー 「(ヒュンヒュン)」
キングチャチャブー 「(ドガッ)」
ラギアクルス 「! グァァァ!!」
リオレウス 「(あの堅い頭に、痺れ矢を突き刺した!!)」
リオレウス 「(しめた! 拘束が緩んだ!!)」
リオレウス 「キング、こっちに!」
キングチャチャブー 「(ヒュッ……スタッ)」
リオレウス 「この……落ちろ!(ドガッ)」
ラギアクルス 「うああぁあ!(バシャァァァァンッ!!)」
502 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:49:50.36 ID:S/GPSHQ0
リオレウス 「はぁ……はぁ……」
キングチャチャブー 「………………」
ラギアクルス 「(バリ……バリ……バリ……)」
キングチャチャブー 「降ろせ」
リオレウス 「あ……あぁ」
リオレウス 「(ヒュゥゥゥ……ズザァッ!)」
キングチャチャブー 「(ピョン……スタッ)」
チャチャブー達 「ゴッドファーザー!!」
チャチャブーA 「ご無事で!?」
キングチャチャブー 「見て分かるこたぁ聞くな……」
チャチャブーA 「これは失礼を」
チャチャブーA 「あの、麻痺した正体不明はいかがいたしましょう?」
キングチャチャブー 「…………」
リオレウス 「何だこの竜……見たことない形してるぞ……」
リオレウス 「(もしかして、向こうの地の、騎士団……!?)」
503 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:51:24.60 ID:S/GPSHQ0
―雪山、深夜―

ウラガンギン 「…………すぅー…………すぅー…………」
少女 「眠ってる……ちょっと離れても大丈夫かな……」
クック 「グガァ……グガァ……」
フルフル 「グゥ……グゥ……」
子フルフル 「スゥー……スゥー…………」
少女 「(そそ…………)」
少女 「(ナナさんとテオさんは、一旦お家に帰ったけれど……)」
少女 「(いつ地獄兄弟さんたちが戻ってくるか分からないし……)」
少女 「(私の杖は……)」
少女 「(あった……)」
ウラガンギン 「すぅー……すぅー……」
少女 「(なでなで)……すぐ戻ってくるからね」
クック 「………………(チラッ)」
504 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:52:16.37 ID:S/GPSHQ0
少女 「(……雪が止んでる。良かった……)」
少女 「(これなら、私一人でも大丈夫……)」
少女 「(……風が寒い……)」
少女 「(あの人、またあそこにいるのかしら……)」
クック 「………………(ササッ)」
少女 「(大分人の里から離れているけれど……)」
少女 「(でも、この前は、しばらくこの雪山で待ってるって……)」
少女 「あ……」
少女 「(氷の、小さな洞穴から光が見える……)」
少女 「(もしかして……)」
少女 「(よろっ)きゃっ!」
少女 「(どてっ)」
×××× 「……? 誰かいるのか?」
505 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:54:01.15 ID:S/GPSHQ0
ハンマー 「! 少女ではないか!」
ハンマー 「大丈夫か? 目が不自由だというのに、こんな雪の中……」
少女 「ハンマーさん、こんばんは」
少女 「ここはモンスター達のお家が近いから、あんまりキャンプはしないほうがいいのに……」
ハンマー 「何、俺は慣れている。問題はない」
ハンマー 「夜中に抜け出してきたのか?」
少女 「(こくり)」
ハンマー 「そうか……」
ハンマー 「簡易的なものだが、寝床がある。少しそこで温まっていくといい」
少女 「うん……」
ハンマー 「こっちだ」
少女 「ハンマーさんは、ここで何をしていたの?」
ハンマー 「地図を作っていた。このあたりの、詳細な」
ハンマー 「それに、君のことも気になったしな……」
少女 「…………」
ハンマー 「しばらくぶりだな……俺の、人里に帰ろうという誘いを、君が断って以来だ」
506 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:55:04.22 ID:S/GPSHQ0
―雪山、ハンマーの野営地―

ハンマー 「…………なるほど。そんなことがあったのか」
ハンマー 「海の向こう……ここから離れた場所にも、人の住む場所がある」
ハンマー 「シュレイド城へのモンスター侵攻事件により、あちらへ渡った人も多いと聞く」
ハンマー 「俺も見たことのないモンスターなのだろう」
ハンマー 「(話を聞く限りでは、危険な竜のような気がするが……)」
ハンマー 「(この子を親と思ってしまったのか……言わない方がいいかもしれない)」
ハンマー 「(だが、人間がモンスターの親になれるのか……?)」
ハンマー 「(いくら、モンスターの中で暮らす少女とはいえ……)」
ハンマー 「(それは、やはり違うのではないか……?)」
507 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:56:11.70 ID:S/GPSHQ0
少女 「可愛い子だよ。そうだ、ハンマーさんにこれをもってきたの」
ハンマー 「?」
少女 「私のお友達が作った、狂走エキスのお酒。体が温まるよ」
ハンマー 「ほう……」
ハンマー 「それは珍しい。いただこう(グビリ)」
ハンマー 「…………ッ!!」
少女 「だ、大丈夫?」
ハンマー 「いや、俺は酒があまり得意ではなくてな。だがいけるぞ、これは(チビリ)」
ハンマー 「(モンスターの作った酒か……)」
ハンマー 「(少女と出会っていなかったら、口に入れることさえできずに一生を終えていた……)」
ハンマー 「そうだ、俺も君に渡したいものがあったんだ」
少女 「?」
ハンマー 「これだ。持っておくといい」
508 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:57:18.77 ID:S/GPSHQ0
少女 「これは?」
ハンマー 「村の再興が進んできて、調合屋が開いたので調合してもらってきた。秘薬だ」
ハンマー 「量は少ないが、持っていて損はないだろう」
少女 「ありがとう!」
ハンマー 「…………少女よ」
少女 「?」
ハンマー 「少し前に森の中で君に、偶然遭った時、俺は人里に、一緒に戻らないかと聞いた」
少女 「…………」
ハンマー 「無論、君から今までの顛末は聞いたし、理解をしている。君は人間というよりも、どちらかというとモンスターに近い」
ハンマー 「だが、俺とこうして話をしている。それだけで君が人間であるという資格はあるんだ」
ハンマー 「人間ならば、人間の土地で暮らしても誰も咎めはしない」
ハンマー 「少なくとも俺は、咎めはしない」
ハンマー 「君一人の面倒くらいならば、俺が見よう」
ハンマー 「やはり人里に戻る気はないか?」
509 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:58:36.15 ID:S/GPSHQ0
少女 「…………」
ハンマー 「(あの時……砦蟹の侵攻の際、俺にはこの子が白い竜に見えた……)」
ハンマー 「(それゆえに心配だ……)」
ハンマー 「(もしかしたら、この子には言い伝えのあの竜が……)」
ハンマー 「(このままでは、人間ではなくなってしまうかもしれない……)」
ハンマー 「(目も見えず、モンスターの中で……)」
ハンマー 「(もしもだ……)」
ハンマー 「(もしも、この子が人間ではなくなった時……)」
ハンマー 「(もう一度森の中で見かけたとき、俺は、攻撃をしなければならなくなるのではないだろうか……)」
ハンマー 「(確かにか人間の、この子を……)」
少女 「…………」
少女 「私、ここがいい…………」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「………………そうか」
510 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 13:59:53.80 ID:S/GPSHQ0
ハンマー 「……この話はここまでにしよう。何も、すぐに結論を出すことはないんだ」
少女 「…………」
ハンマー 「何か食べていくといい。モンスターの中で暮らしていて、食事は大丈夫なのか?」
少女 「うん。おじさんの作るご飯はおいしいよ」
ハンマー 「おじさん……か(あの怪鳥のことだ……)」
ハンマー 「(俺には、とても人間と同じように考えることはできないが……)」
ハンマー 「(この子にとっては、家族に等しい存在なのだろう)」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「…………他に何か、入用なものはあるかい?」
少女 「うぅん。大丈夫……この前、靴ももらったから……」
ハンマー 「あれくらいどうということはない。裸足のままでは、足がどうにかなってしまうだろう」
ハンマー 「ほら、モスの苔皮を乾燥させて作ったお菓子だ」
少女 「わぁい!」
ハンマー 「(……こうして見ると、普通の女の子なんだが……)」
ハンマー 「(何だろう……時折、人間ではないような……)」
ハンマー 「(奇妙な感じだ……)」
511 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:01:01.01 ID:S/GPSHQ0
ハンマー 「(俺の武器も、少し反応している……)」
ハンマー 「(わずかに大宝玉が光っている。この子に対してなのか……)」
ハンマー 「(振動はしていない。危険を発しているわけではないようだが……)」
少女 「ハンマーさん、何か大きなものを持ってるの?」
ハンマー 「? ああ、これは、俺の先代が使っていた武器なんだ」
ハンマー 「大事なものだ(ガシャコン)」
少女 「……ハンマーさんは、それでモンスターを倒すの?」
ハンマー 「……ああ。それが仕事であり、俺の指名だからな……」
少女 「…………」
ハンマー 「だが、君の家族は覚えておこう。他の者にも、手を出さないようにとは伝えてある」
少女 「でも……」
少女 「ハンマーさんたちが怪我をさせたモンスターにも、家族がいるかもしれないんだよ」
少女 「昔、人間に酷い目に遭わされて、今でもすごく怒ってる人もいる」
少女 「みんな仲良くすることはできないかな……」
少女 「私、今ハンマーさんと話をしてて、とってもそう思う」
512 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:02:14.12 ID:S/GPSHQ0
ハンマー 「…………」
ハンマー 「みんな仲良くか……」
ハンマー 「本当は、それが一番いいのだろう」
少女 「…………」
ハンマー 「だが少女、憶えておくといい。君もいずれ、成長して大人になる。子供ではなくなる」
ハンマー 「その時には、何故か同じセリフを口に出すことはできないんだ」
少女 「どうして?」
ハンマー 「さぁ……どうしてだろうな……」
ハンマー 「俺も、小さい頃……そう思っていた時があった」
ハンマー 「だが…………何故だろう……」
ハンマー 「きっとそれが、大人になるということなのだろう」
ハンマー 「俺は、そう思っている」
少女 「…………」
513 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:03:11.92 ID:S/GPSHQ0
ハンマー 「君にどんなに糾弾されようと、俺はモンスターと戦う」
ハンマー 「それがハンターとしての俺の使命であり、生活なんだ」
ハンマー 「すまないが」
少女 「……うぅん。ハンマーさんは悪くない」
少女 「わがままを言ってる私のほうが悪いんだと思う」
ハンマー 「……いい子だ」
少女 「あ……ハンマーさんの武器、光ってる」
少女 「とっても温かい玉……? 何だか、懐かしい感じ……(なでなで)」
少女 「この感じ、どこかで…………」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「別の大陸に行くのかい?」
少女 「……うん、みんな迷惑だろうと思うけれど……」
少女 「あの子にとって私がお母さんになれるんだったら、ついていってあげたいの」
ハンマー 「そうか……」
514 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:04:15.41 ID:S/GPSHQ0
ハンマー 「(あちら側の大陸には、スラッシュアックスがいる……)」
ハンマー 「(モンスター嫌いのあいつのことだ……もし少女が見つかってしまったら、厄介なことになる)」
ハンマー 「(族長をしているあいつに、もしもの時のために説明をする必要があるかもしれない……)」
少女 「……? ハンマーさん?」
ハンマー 「ああ、いや。考え事をしていた」
ハンマー 「……そろそろ戻った方がいいだろう。君の『おじさん』の、巣の近くまで送ろう」
少女 「それは駄目」
ハンマー 「?」
少女 「おばあちゃんはすごく鼻がいいの。ハンマーさんが近づいたことなんて、すぐ分かっちゃう」
ハンマー 「そうなのか。では、このエリアの境界線まではついていってやろう」
少女 「え……」
ハンマー 「どうした、行くぞ。手を掴め」
少女 「………………」
少女 「(ぎゅ)」
515 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:05:15.78 ID:S/GPSHQ0
―雪山エリア、境界線―

少女 「ハンマーさん、いつまでここにいるの?」
ハンマー 「もうニ、三日で地図は完成する」
少女 「そうなんだ……」
ハンマー 「あとは密林の地図を、探検隊を組織して作ることになっている。もしかしたらまた遭うかもしれないな」
少女 「! うん!」
ハンマー 「そうだ。これも持っておくといい」
少女 「これは?」
ハンマー 「小型の打ち上げ樽爆弾を改良したものだ。火薬をほとんど使っていない代わりに、煙が空に打ち上げるようになっている」
ハンマー 「もしもの時は紐を抜いて、地面にたたきつければいい」
ハンマー 「すると作動する。近くにもしも俺がいた場合は、助けに行こう」
少女 「ありがとう……ハンマーさんって、すごくやさしい」
ハンマー 「……そんなことはない」
少女 「みんな仲良くできれば、本当にいいのに……」
少女 「今度また会ったら、お返しするね。それじゃね」
ハンマー 「ああ、気をつけるんだ」
ハンマー 「! (大宝玉が一瞬強く光った……)」
ハンマー 「(少女に対して反応しているのか……?)」
ハンマー 「(無事に、仲間のところに戻れるといいが……)」

クック 「………………(スッ)」
516 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:06:19.23 ID:S/GPSHQ0
―雪山、フルフルの巣―

少女 「(いろんなものもらっちゃった……)」
少女 「(顔、見えないけど……)」
少女 「(きっと、格好いい人なんだろうな……)」
少女 「(みんな寝てる……ばれてない……)」
クック 「…………」
ウラガンギン 「グゥ〜…………クゥ〜…………」
フルフル 「スゥー……スゥー…………」
子フルフル 「スー……スー…………」
少女 「(もらったものはポケットにしまって、私も寝よう……)」
517 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:07:11.26 ID:S/GPSHQ0
少女 「すぅー……すぅー……」
クック 「(少女……)」
クック 「(あの人間と、何を話していたんだ……?)」
クック 「(近づいてみたが、私には言葉が分からなかった……)」
クック 「(うすうす感じていたが、少女は特別なのか……)」
クック 「(人間でありながら、モンスターと話ができる……)」
クック 「(どういうことだ…………?)」
クック 「(それに、忘れかけていたが……)」
クック 「(あの時、シェンガオレンを退けた光の中で、あの子は聞いたことのない言葉を叫んだ……)」
クック 「(あれはもしや……)」
518 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:08:13.62 ID:S/GPSHQ0
クック 「………………」
クック 「(いずれにせよ、あそこで人間が野営をしているのは、誰かに言ったほうがいいのだろうか……)」
クック 「(しかしあれは、あの時にナルガと共に戦ったという人間だ……)」
クック 「(私は傷を負わされたことはあるが、悪意はないらしい……)」
クック 「(本来なら、すぐに警備隊に言うべきだが……)」
クック 「…………」
少女 「すぅー…………すぅー…………」
クック 「(まぁ……)」
クック 「(あそこなら、特に誰が困るわけでもないか……)」
クック 「(まぁいいだろう……)」
519 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:09:09.53 ID:S/GPSHQ0
―翌朝、フルフルの巣―

ウラガンギン 「ふぁぁ゛ぁッ」
少女 「んう……? (ごしごし)」
ウラガンギン 「まんま」
少女 「あ、おはよう(なでなで)」
フルフル 「おう、起きたかい、少女。朝飯ができてるよ。それにお客だ」
子フルフル 「クゥーン」
ナナ・テスカトリ 「おはよう、少女。ウラガンギンちゃん? でしたっけ? 君もおはよう」
ウラガンギン 「ふぎゃぁ!(ドタドタ)」
ウラガンギン 「うー……まんまー」
ナナ・テスカトリ 「ふふ、私は怖い人ではありませんよ」
少女 「ウラちゃん、この人はナナさん。優しい人だよ」
ウラガンギン 「うう゛ー」
ナナ・テスカトリ 「顔はしっかりしているのに、少し臆病な子ねぇ」
ナナ・テスカトリ 「でも、ほら。温かいスープができていますわよ」
ウラガンギン 「!」
ナナ・テスカトリ 「どうぞ。少女ちゃんも」
ウラガンギン 「(そ〜…………)」
ウラガンギン 「(チラッ)」
ナナ・テスカトリ 「(ニコリ)」
ウラガンギン 「(ガブガブガブガブ)」
少女 「ふふ、すごい勢いで食べてる」
ナナ・テスカトリ 「竜は沢山食べて大きくなるんですよ。まだまだこんなものじゃありません」
520 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:10:11.44 ID:S/GPSHQ0
クック 「あぁおはよう少女。よく眠れたかい?」
少女 「え……う、うん。おはようおじさん。眠れたよ」
クック 「そうか。ウラガンギンも元気そうで良かった」
フルフル 「じゃ、とりあえずナナ、クック、頼んだよ」
ナナ・テスカトリ 「ええ。お任せください」
クック 「フルフルさんこそ、育児で無理はしないようにな」
少女 「?」
クック 「朝方、ナナ殿が知らせてくださってな」
クック 「昨日、リオレウスさんたちが、どうやら別大陸から来たという竜を捕まえたという話だ」
少女 「!!!」
少女 「も……もしかして、この子を追って?」
ウラガンギン 「?」
クック 「ああ、おそらくな……」
521 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:11:27.72 ID:S/GPSHQ0
ナナ・テスカトリ 「その竜は、今ヤマツカミ様のところにいるそうです。夫が先に向かいました」
ナナ・テスカトリ 「準備ができてからでいいですので、わたくしたちも向かいましょう」
ナナ・テスカトリ 「少女ちゃん、ウラガンギンちゃんを誘導してくれないかしら?」
少女 「うん、分かったよ。ウラちゃん、お出かけだって(なでなで)」
ウラガンギン 「まんま!」
クック 「………………」
クック 「(ひそひそ)おおごとにならなければいいが……」
ナナ・テスカトリ 「(ひそひそ)既に、ナルガクルガ様たちもいらっしゃっているようです」
ナナ・テスカトリ 「(ひそひそ)奇面族の王も、姿をお見せになっているとか……」
クック 「何と。キングが?」
ナナ・テスカトリ 「ええ。ですから、もしもその竜が暴れても問題はないと思われます」
ナナ・テスカトリ 「問題は、少女ちゃんがこれからどうすべきなのか……」
ナナ・テスカトリ 「それが、わたくし達にも分からないということです」
クック 「…………そうだな…………」
クック 「だが、少女は守らねば……」
ナナ・テスカトリ 「…………そうですね…………」
522 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:12:33.22 ID:S/GPSHQ0
〜しばらく後〜

ナナ・テスカトリ 「それでは準備はいいですか?」
ナナ・テスカトリ 「しかし……ウラガンギンちゃんは、見た目よりもずっと重いですね……」
少女 「ごめんなさい、ナナさん」
少女 「やっぱり私はおじさんの背中に……」
ウラガンギン 「!! まんま!!」
少女 「あぁ……ごめんね、どこにもいかないから……」
ウラガンギン 「(すりすり)」
クック 「……やはり、ナナ殿にお願いするしかないな……すまない」
ナナ・テスカトリ 「いえ、そのために来たのですから、お気になさらずに」
ナナ・テスカトリ 「それではフルフル様、空から一気に密林まで行ってまいります」
フルフル 「気をつけな。少女も、変な子竜も落ちるんじゃないよ」
少女 「うん! おばあちゃん、また来るね!」
523 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:14:08.79 ID:S/GPSHQ0
―樹海、ヤマツカミの聖域―

ヤマツカミ 「…………ふむ。話は大まかに把握させてもろうた」
ラギアクルス 「先に攻撃を仕掛けてきたのはそちらだ。我に過失はない」
キングチャチャブー 「………………」
リオレイア 「過失がないって……あれだけ暴れまわっておいてよくそんな口が聞けるわね!」
リオレイア 「それに、奇面族の土地に入り込んだのは事実よ。私たちは見ました」
ラギアクルス 「それに関しては先ほど釈明した通りである。我はこの土地に対し不慣れであった。他意はない」
リオレイア 「あなたね、それで済むと思ったら、何もルールなんていらないのよ。分かる?」
ナルガクルガ 「レイア殿、少しよろしいだろうか」
リオレイア 「……はぁ、埒が明かないわ。あなたも何か言いなさいよ! 何? さっきの勢いはどこに行ったの!?」
リオレウス 「お前……ナルガさんが話をしたいというのだから黙りなさいよ……すまないな、ナルガさん」
ナルガクルガ 「いや……」
524 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:15:07.06 ID:S/GPSHQ0
ナルガクルガ 「つまりお前は、海の向こうの土地から来たというわけか。それは事実でいいのだな」
ラギアクルス 「いかにも。しかし、『お前』呼ばわりはやめていただきたい」
ラギアクルス 「我には聖騎士団団長、ラギアクルスという名前と肩書きがある」
テオ・テスカトル 「ふむ……では聖騎士団団長殿」
ラギアクルス 「何だ?」
テオ・テスカトル 「貴殿が求めている卵は、確かにここにある」
ラギアクルス 「!? 何! どこだ!?」
ラギアクルス 「大切な、御方のご子息なのだ」
ラギアクルス 「頼む。即刻返還してくれ」
ナルガクルガ 「それはできない」
ラギアクルス 「何だと!? まさか、貴様達……我が主君ボルボロス様のご子息と知って、それで奪い取ったのか!」
ラギアクルス 「何故ゆえにだ!(バチバチバチ)」
テオ・テスカトル 「落ち着かれよ。団長殿」
525 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:16:02.30 ID:S/GPSHQ0
テオ・テスカトル 「我々も、卵を奪うということはどれだけ重罪なのかは、俗物ながら分かっているつもりだ」
テオ・テスカトル 「あなたの騎士団がそうであるように、我らにも相応の常識は存在している」
テオ・テスカトル 「盗んできたのは、ここから少し離れた場所の群落に暮らす、トレジャーハンティング猫だ」
テオ・テスカトル 「後程、その身柄をあなたに引き渡そう」
ラギアクルス 「……やはり猫だったか……くっ……何たる失態……!!」
ラギアクルス 「しかし、返還ができないとはいかに?」
ナルガクルガ 「結論から言おう。卵は既に孵化をしてしまった」
ラギアクルス 「!!!!!」
ラギアクルス 「な…………何だと!?」
ラギアクルス 「次代皇帝閣下の卵が、もうすでに別の土地で……」
ラギアクルス 「孵化を!?」
526 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:16:57.61 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「何故だ!? まだ孵る時期には余裕があったはずだ!!」
ラギアクルス 「保護をしてくれていたのには感謝をするが、貴殿ら何かを……!!!」
リオレウス 「あぁ……それなんだけど……」
ラギアクルス 「赤い竜……?」
リオレウス 「……………………ってなことがあって…………」
ラギアクルス 「(ギリギリ)きっさまぁっぁぁ!!」
ヤマツカミ 「おっと……落ち着くんじゃ、ラギアクルス殿」
リオレウス 「な……何だよ謝ってるじゃないか。偶然だったんだよ。レイアも何とか言ってくれ」
リオレイア 「………………」
リオレウス 「おぉい! 見捨てないでくれよ!」
527 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:17:57.15 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「…………何と…………」
ラギアクルス 「あぁ……ウラガンギン様……」
ラギアクルス 「蛮族どもの手の中で……くっ!!!! 無念!!!」
ラギアクルス 「貴様ら! この責は必ずとらせるぞ!!!」
キングチャチャブー 「…………ビービーうるせぇ騎士団長とやらだな……」
ラギアクルス 「何!?」
キングチャチャブー 「……ガキィ無事に生まれて、怒り狂う阿呆がどこにいる……」
キングチャチャブー 「それともてめぇ……生まれちまったとかほざくつもりじゃねぇだろうな……」
ナルガクルガ 「…………」
ラギアクルス 「わ、我はそんなことは……」
キングチャチャブー 「ガキに罪はねぇ…………どんな極悪人だろうが、女王だろうが……」
キングチャチャブー 「そのガキはただのガキよ」
キングチャチャブー 「外野がビービー泣き喚いて、てめぇ一体何がしてぇんだ?」
ラギアクルス 「………………」
528 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:19:31.00 ID:S/GPSHQ0
キングチャチャブー 「………………」
ヤマツカミ 「奇面の王の言うとおりじゃ。ラギアクルス殿、子供はこちらで保護し、生まれた。五体満足じゃ」
ヤマツカミ 「それは事実。まずは安心していただきたい」
ラギアクルス 「……確かに、少々我は感情的になって見境をうしなっていたようだ」
ラギアクルス 「そのとおりだな……」
ラギアクルス 「ウラガンギン殿は、大切に保護されているのだな?」
テオ・テスカトル 「いかにも」
テオ・テスカトル 「しかし、一点大事な問題がある」
ラギアクルス 「そうだ、その通りだ」
ラギアクルス 「誰を親と、お思いになってしまったのだ?」
ラギアクルス 「…………ウロボロス様…………!! 嘆かわしい……!!」
テオ・テスカトル 「…………人間の少女だ」
ラギアクルス 「………………? 今、何と?」
テオ・テスカトル 「これを貴殿に理解いただくためには、少々話をせねばならぬ。聞いて、いただけるだろうか」
ラギアクルス 「………………」
ナルガクルガ 「…………」
ラギアクルス 「分かった。聞こう」
529 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:20:38.33 ID:S/GPSHQ0
―数時間後―

ウラガンギン 「まんま、まんま」
少女 「どうしたの? またお水?」
ウラガンギン 「まんま(こくり)」
少女 「こまったなぁ。水筒のハチミツ水はこれで最後だよ」
ウラガンギン 「(ゴクゴクゴクゴク)」
ナナ・テスカトリ 「もうじきヤマツカミ様の聖域に到着します。そこで少し分けていただきましょう」
クック 「しかし天候がすぐれないな……こう霧が深くては、やはり歩くしかないか……」
ナナ・テスカトリ 「! 見えてきました」
530 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:21:48.18 ID:S/GPSHQ0
少女 「…………?」
少女 「水の、匂いがする……」
少女 「とっても大きくて、澄んだ水の匂い……」
クック 「ナルガさん! それにキングも!!」
ナルガクルガ 「来たのか、クック」
キングチャチャブー 「………………」
リオレイア 「あぁ! ナナ様、クックさん、夫がご迷惑を……」
ナナ・テスカトリ 「レイア夫人、お気になさらず。レウス様は、ご立派に働かれましたよ」
リオレウス 「ナナさん……!!!」
ヤマツカミ 「ほっほ。皆到着したようじゃの。こちらにおいで」
少女 「ヤマツカミのおじいちゃん!」
ヤマツカミ 「少女か。久しぶりじゃなぁ」
ウラガンギン 「(ビクビク)」
ラギアクルス 「………………」
531 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:22:43.29 ID:S/GPSHQ0
少女 「な……何!? 誰かいるの!?」
ラギアクルス 「……………………」
ウラガンギン 「まんま……(ぎゅ)」
ラギアクルス 「(スッ)お初にお目にかかり恐悦至極に存じます。ウラガンギン閣下」
ラギアクルス 「あなたの聖騎士団、団長ラギアクルスと申します」
ウラガンギン 「………………」
ウラガンギン 「(クンクン)」
ウラガンギン 「!! まんま(ぐいぐい)」
少女 「ど……どうしたの?」
ウラガンギン 「(なでなで)」
ラギアクルス 「! 頭をなでていただけるとは! 感動にてござります!!」
ウラガンギン 「らむー」
ラギアクルス 「ハッ。ここに」
532 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:23:53.23 ID:S/GPSHQ0
リオレウス 「えらく俺らに対する態度と違うな……」
クック 「それは、次代の皇帝なんだから仕方ないだろう?」
ラギアクルス 「……話は聞きました。あなたが少女か」
少女 「は……はい。あなたは……この子の土地からいらっしゃったんですか?」
ラギアクルス 「左様」
少女 「ご、ごめんなさい」
ラギアクルス 「?」
少女 「この子、私のことお母さんだと思っちゃって……本当のお母さんに、とっても、とっても悪いことを……」
少女 「で、でも、すごくいい子なんです」
少女 「もう少し大きくなって、ちゃんと説明すれば分かってくれると思います」
少女 「だから…………」
ラギアクルス 「……成る程。人の身でありながらモンスターの言葉を解するか」
ラギアクルス 「それに、我やウラガンギンさまの異様の姿を前にしても、物怖じ一切せぬ」
ラギアクルス 「普通の人間ではないようだな……」
クック 「…………」
少女 「え……わ、私……普通の人です……」
少女 「とくにとりえもありませんし……役にも立てませんし……」
ラギアクルス 「………………」
533 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:25:44.25 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「そなたからは、白光の匂いがする」
クック 「!!」
少女 「びゃっこう?」
ラギアクルス 「状況は分かり申した。ウラガンギン様もご無事なようだ」
ヤマツカミ 「やっと、落ち着いてくれたかの?」
ラギアクルス 「正直なところ、動転している。しかし……」
少女 「……?」
ウラガンギン 「まんま、まんま(ぐいぐい)」
ラギアクルス 「ウラガンギン様のご安全を確認するのが、我の使命。それは果たせ申した」
ヤマツカミ 「ならば、いかがいたしたものだろう」
ラギアクルス 「………………」
ラギアクルス 「やはり、一度こちらの大陸にお越しをいただく必要がある」
ラギアクルス 「この件については、我が単独で何かを決められる問題ではない」
ナルガクルガ 「ふん……妥当な判断だな……」
534 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:26:56.47 ID:S/GPSHQ0
ラギアクルス 「我の背中に乗れば、遅くとも四両日中には到着できる」
ラギアクルス 「いかがか」
テオ・テスカトル 「ふむ。今回のことに関しては、我々の責任もある」
テオ・テスカトル 「直接ボルボロス殿とやらに拝謁させていただく必要もあるだろう」
テオ・テスカトル 「我も行こう」
ヤマツカミ 「助かる、テオ殿。それでは、ラギアクルス殿、こちらで、渡る人選をさせていただく時間を、すこしいただけるだろうか」
ラギアクルス 「なるべく即急に頼む」
ヤマツカミ 「分かっておるよ。お主は、この奥にわしの弟子が使っている部屋があるでな、少し体を休めるといい」
ラギアクルス 「……言葉に甘えさせていただこう。ウラガンギン様、こちらに……」
ウラガンギン 「…………まんま……(ぎゅっ)」
ラギアクルス 「…………」
少女 「あ……ごめんなさい。この子私から離れなくて……」
クック 「少女、ラギアさんのところに私と行こうか。ウラも」
少女 「おじさん!」
ラギアクルス 「……かたじけない」
クック 「イャンクックだ。よろしく」
ラギアクルス 「………………ああ」
535 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:28:17.94 ID:S/GPSHQ0
―別大陸―

×××××× 「何だって? ラギアの野郎が、卵を探してあっちの大陸に行ったって?」
メラルー達 「ええ、話じゃ、今ごろつく頃じゃねぇかとおもいやス」
×××××× 「ちっ……まさか生きちゃぁいないとおもうが、もし卵が無事に生まれてたら面倒なことになるぜ……」
×××××× 「お前達、あたしの名前を使っていいから、他の猫を使って、卵の安否と奴らの行動を確かめるんだよ!」
メラルー達 「オウイエスッス!!」
×××××× 「(次期皇帝なんざ、誕生させてなるものか……)」
×××××× 「(次に王位を狙うのは、あたしなんだよ……!!)」
536 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/07(火) 14:32:19.53 ID:S/GPSHQ0
お疲れ様です。次回へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/70/img88d0499fzik7zj.jpeg
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 14:42:08.87 ID:QdiYV4.o
乙でした〜
こんな時間に投下来てるとは・・・
キングは相変わらずかっこいいぜ
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 14:45:52.51 ID:DmC6QTgo
wii買ってくる
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 16:48:34.81 ID:wc0cUvAo
乙ですー
そういや気づいたら女児から少女に変わってたんですな
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 16:50:44.00 ID:gaJwIIAO
やっとレウスが活躍できた……
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 18:18:34.56 ID:OBc3CV6o
乙です
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 18:54:36.66 ID:azZIIpQo
イモトにてねlwwwwwwwwww
アイアンマスク似てるのにww
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 20:07:16.05 ID:8YiA7NMo
乙!ルーツいつでるのか楽しみにしてます
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 22:43:41.40 ID:PtGGYqAo
三毛猫さん乙です!
キングの図解GJですwwww
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/09(木) 13:02:33.86 ID:QTL.h.60
キングかわいすぎワロタww

これ読んでモンハン始めたんでかなり好きなSSです。三毛猫さん、頑張ってくだしあ
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/09(木) 18:43:07.14 ID:aCbvnOMo
後日、キンチャチャに嬲り殺される>>545
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/09(木) 19:07:52.60 ID:7lYm8MAO
乙でした!
トライの情報をできるだけ見ないようにしてるからSSを読むとより想像が膨らむな〜。
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/13(月) 00:38:44.46 ID:vMz.Oo.o
Fで火竜夫婦と渓谷で戦ってたんだがレイアに集中砲火してたらいつの間にかヘタレウスが同じMAPに来ててブレスくらった
やっぱり奥さん大事なんだな・・・
こんどヘタレウスの尻尾落としたらレイア突っ込んできたし
ソロじゃさすがに二匹同時はキツイ

てか二匹以上大型が同じMAPにいて綺麗にコンビネーション決めてくるって初めてだったんだが
なんか行動パターン弄ってるのかな?だとしたらカプコンGJ
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/13(月) 08:06:04.89 ID:CS/Eb6SO
>>548
自分がそのクエストをした時、確かに夫婦そろって来たが…
レウスがレイアのブレスくらいまくって
攻撃する間もなくレウス戦闘不能に…頑張れレウス。
その瞬間を見たとき真っ先にこのスレが思い浮かんだ。
550 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:21:15.44 ID:ElE255w0
こんにちは。続きを書きましたので投稿をさせていただきます
551 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:22:07.45 ID:ElE255w0
4.チャナガブル 「アンコウの肝は美味しいんですぞ」

―翌朝、樹海、ヤマツカミの聖域―

テオ・テスカトル 「それでは、向こうの大陸に渡るのは私、クック殿にナルガ殿、そして女児ということでよろしいな」
ラギアクルス 「あまり大勢で押しかけられても困る」
ラギアクルス 「そちらに戦争の意思が皆無であるというのであれば、少数で来られるのが礼儀であろう」
テオ・テスカトル 「仰るとおりだが、こちらにも事情というものがある」
テオ・テスカトル 「レウスとレイアには遠慮を願ったが……」
テオ・テスカトル 「キング殿はいかがする?」
キングチャチャブー 「…………」
少女 「キングさんも一緒に行こうよ」
キングチャチャブー 「……餓鬼の観光ァ、俺の趣味じゃァねぇ。勝手にやってろ……」
少女 「そっか……残念だな……」
キングチャチャブー 「…………」
テオ・テスカトル 「そういうわけだ、妻よ。留守の間を頼む」
ナナ・テスカトリ 「ええ、かしこまりました」
ナナ・テスカトリ 「少女ちゃん、ウラちゃんも充分に気をつけるのですよ」
少女 「うん!」
ウラガンキン 「うもー」
552 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:23:39.50 ID:ElE255w0
ラギアクルス 「時間が惜しい。日が天中となり、少し傾き、日差しがおさまった時分に出立したいが」
テオ・テスカトル 「かしこまった。クック殿、よろしいか?」
クック 「こちらからは依存はないよ。ナルガは?」
ナルガクルガ 「……別にはない」
ナルガクルガ 「ただ、こちらに卵を盗んできた猫はどうする?」
ラギアクルス 「あぁ……それを失念していた」
ラギアクルス 「とりあえず、会わせてくれるか?」
ナルガクルガ 「いいだろう、少し待っていろ。連れてくる」
ラギアクルス 「…………」
ラギアクルス 「(今ここにウラガンキン様がいらっしゃるということは、その猫は、砂原の秘境、ボルボロス様の皇居に侵入したということ……)」
ラギアクルス 「(あのあたりはドス一族の縄張り……警備が薄かったということか……?)」
ラギアクルス 「(通常では考えられん……)」
ラギアクルス 「(戻ったら、あ奴らも詰問せねばなるまい)」
553 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:25:02.17 ID:ElE255w0
〜数分後〜

トレニャー 「ひぃぃ。お助けぇぇ」
ナルガクルガ 「無駄口を叩くな。行け」
トレニャー 「もう知ってることは全部話しましたニャァァ……(おどおど)」
ヤマツカミ 「君が、卵を盗んだというアイルーかね?」
トレニャー 「い……いかにもそうでさぁ。でもそんな重要な卵だとは思わなくて……」
トレニャー 「そ、それに、崖の下に落ちてたんでさァ!」
トレニャー 「オイラはそれを拾ってきただけでさ! 無実なんでさ!」
ラギアクルス 「何だって……? 崖の下に?」
トレニャー 「ひぃぃ! また何か変なのがいるニャ!」
ナルガクルガ 「騒ぐな。質問に答えろ……」
トレニャー 「わ、分かりましたニャ……雪原と水没林の間あたりで拾ったんでさ……」
トレニャー 「水にプカプカ浮かんでやして……」
トレニャー 「その時は、何となく荷物に放り込んだんでさ」
トレニャー 「オイラは無実でさ!」
554 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:26:00.14 ID:ElE255w0
ラギアクルス 「…………」
ナルガクルガ 「と、いうわけだ。こちら側はこう主張している」
ラギアクルス 「一つ、質問したい」
トレニャー 「な……何だニャ?」
ラギアクルス 「もしかして、洞窟の裏側にひっかかっていたのか?」
トレニャー 「!! ま、まさにそうでさ!」
トレニャー 「船を止めたら、浮かんでるのが見えたって訳で……」
ナルガクルガ 「それが、どうかしたのか?」
ラギアクルス 「雪原と水没林を繋ぐ運河は、流れが速い……」
ラギアクルス 「卵が引っかかるとしたらその位置しか考えられぬ」
ラギアクルス 「少し水流を外れれば、真っさかさまに滝の下に落ちていたところであった」
ラギアクルス 「(偶然か……?)」
ラギアクルス 「(いや、これは、この猫の言うとおりだとすると、もしかしたら……)」
ラギアクルス 「…………」
ラギアクルス 「(…………我は何を考えているのだ)」
ラギアクルス 「(身内を疑うなど…………!)」
555 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:27:10.32 ID:ElE255w0
トレニャー 「そ……そろそろオイラを解放しておくんなせぇ。本当にただ拾っただけでさ」
ヤマツカミ 「ふむ……ラギアクルス殿、どう思われる?」
ラギアクルス 「本来、皇居に猫が侵入できるとは思いがたいところがあった」
ラギアクルス 「どうしてそんなところに卵が浮かんでいたのかは分からないが……」
ラギアクルス 「どちらかというと、その言の方が信憑性はある、としか言えぬ」
トレニャー 「旦那ァ! 話が分かりやすぜ!!」
ナルガクルガ 「……黙っていろ」
トレニャー 「……ひゃい…………」
ラギアクルス 「………………」
ラギアクルス 「(雪原付近は、我が騎士団もあまり立ち入らない場所だ……)」
ラギアクルス 「(しかし、あそこを通れば、遠回りをせずにすぐに砂原に出ることができる)」
ラギアクルス 「(……ドス家を呼ぶか……?)」
ラギアクルス 「(…………いや…………)」
556 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:28:18.74 ID:ElE255w0
ラギアクルス 「トレニャーと言ったな。本来なら故意だろうが何だろうが、卵を盗んだ者は重罪だ」
ラギアクルス 「解放などという生易しい言質などとれるわけもない」
トレニャー 「そ……そんニャ…………」
ラギアクルス 「しかし、お前……雪原の地理を知っているか?」
トレニャー 「! へへんニャ! おいらにとっちゃぁ、あのあたりは庭みてぇなもんでさぁ!」
ラギアクルス 「猫ならではの柔軟性というわけか……」
ラギアクルス 「そこを通れば、ボルボロスさまのところに近いのだが……」
ラギアクルス 「生憎、我ら龍族は滅多に近寄らぬ」
ラギアクルス 「トレニャーとやら。雪原の道案内、斥候を勤めるのであれば、そちの罪、酌量の余地を与えてやっても良い」
トレニャー 「えぇぇぇぇぇえぇええ!? またあそこに行くんですかィ!?」
ラギアクルス 「? 嫌か?」
トレニャー 「嫌って聞かれりゃ嫌でさぁ! だってあそこには…………」
ナルガクルガ 「(ギロリ)」
トレニャー 「(はぁぁ〜…………)分かりやしたよ。いきゃァいいんでしょ。いきゃぁ」
トレニャー 「それで無罪になるってんなら、たとえ火の中水の中、オトモしやす」
557 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:29:45.72 ID:ElE255w0
ヤマツカミ 「(ふむ……ただの激情漢と思っていたが、中々この男、冷静な判断を下す……)」
ヤマツカミ 「テオ殿、いかがじゃろうか」
テオ・テスカトル 「土地勘に詳しいものがついてくるというのは心強い。断るにべもない」
テオ・テスカトル 「道案内人が詳しくないと言うのであれば、尚更だ」
ヤマツカミ 「そういうわけじゃ、トレニャーよ。共にゆくのじゃ」
トレニャー 「へいへい。しかたねぇっすねぇ…………」
ラギアクルス 「……まだ貴様が、ウラガンキン様を盗んだことは許してはおらぬ」
トレニャー 「ひぃっ。オイラぁ勝ち目のねぇ戦いはしねぇんでさ」
トレニャー 「ウラガンキン? ……あひゃぁ! 変なのがいる!」
ウラガンキン 「まんま!(ばたばた)」
少女 「あ……っ……怖がらせないでください」
トレニャー 「こいつは失礼しゃした……でも、もしかしてアレが……」
ナルガクルガ 「……ああ。うまれている。既にな」
トレニャー 「へえあぁ!? 何てこった!! 生きてたんですかい!?」
558 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:31:08.01 ID:ElE255w0
―雪原、モンスターの墓場―

×××××× 「(バサァッ! バサァッ!)」
×××××× 「ちぃ! いつ来ても辛気臭いところだよ!」
×××××× 「寒くって冷たくって、目も上手く開きやしない!」
×××××× 「けぇ! こんなところに住んでる奴の気が知れないね!!」
ベリオロス 「…………」
×××××× 「おっと、聞えてたのかい」
ベリオロス 「電撃の姫か……」
ベルオロス 「何をしにきた……この、墓場に……」
559 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:32:11.62 ID:ElE255w0
ベルキュロス 「あたいだって好きでここに来たんじゃないさ」
ベルキュロス 「ただ、ちょっと気になることがあってね」
ベリオロス 「………………」
ベルキュロス 「あんた、今の王政に反対してるクチだろ?」
ベリオロス 「……」
ベルキュロス 「隠すこたぁないのよ。見てれば分かる。あんたもあたいも、同じ穴のムジナならぬ、ドラゴンってわけさ」
ベルキュロス 「やっとこさ、あのうざったいウラガンキンが死んで、別の王家に王族の権利が回ってくるとこだったんだ」
ベルキュロス 「あんただって、王家直属の墓守なんて仕事抜け出して、日の当たる場所に出れるチャンスだっただろ?」
ベリオロス 「…………我輩は、この仕事に誇りを持っている」
ベリオロス 「話はそれだけか……?(くるり)」
ベルキュロス 「誇りィ? 誰も来ない、この冷たい墓場を守り続けることが誇りかい?」
ベルキュロス 「安っぽいプライド! 笑いがこみ上げてくるね!」
ベリオロス 「……愚弄するか……?」
ベルキュロス 「奥さんも子供も捨てて、こんなところに押し込められて、そんであんたは満足ってか!」
ベルキュロス 「ハッ! あたいの飛んだ見込み違いだったみたいだね」
560 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:33:03.77 ID:ElE255w0
ベリオロス 「…………」
ベルキュロス 「ねぇ、見込み違いなら見込み違いでさ、それでいいんだけど」
ベルキュロス 「どうせ退屈してんだろ? ちょっといい話があんだよ」
ベルキュロス 「小娘の戯言ってことで聞き流してくれていいからさ」
ベリオロス 「…………」
ベルキュロス 「……卵、なくなったの知ってるだろ?」
ベルキュロス 「あれやったのあたいなんだよね」
ベリオロス 「…………」
ベルキュロス 「あたいだって王家だ! ガンキンが死んだら、第二継承者のあたいが、継承権を持つはずだったんだ!」
ベルキュロス 「なのにあのクソドラゴン、よりにもよって懐妊してやがった……!!!」
ベルキュロス 「今思い出しても胸くそ悪くなるぜ……あの幸せそうな顔……!!!」
ベルキュロス 「…………」
ベリオロス 「…………」
ベルキュロス 「ヘヘっ……だからさ、ちょっとね」
ベルキュロス 「捨ててやったンだ。卵」
561 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:34:04.82 ID:ElE255w0
ベルキュロス 「でもおかしいんだよねぇ」
ベルキュロス 「あたいは、完璧滝つぼ真ッさかさまなコースで落としたはずだったんだけど」
ベルキュロス 「どうにも、その『死んだはず』の卵がさ、別の大陸にいるかもしれない、らしいんだよ」
ベルキュロス 「ラギアの野郎がとりにいってる。もうじき帰るとか、そんな噂も出てるくらいだ」
ベルキュロス 「いや、まぁ生きてはいないと思うんだけどさ」
ベルキュロス 「もし、ラギアの野郎が、卵を持ち帰ってきたら……おかしいし、面倒なことになると思うんだよねぇ」
ベリオロス 「…………」
ベルキュロス 「なぁ……? あんた、この付近で卵ォ見なかったか? こう、こんな形をしててさ」
ベルキュロス 「湯気立っててさ……」
ベルキュロス 「岩みてぇな、不細工な卵」
ベリオロス 「…………」
ベリオロス 「……知らんな」
562 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:35:32.27 ID:ElE255w0
ベルキュロス 「…………ふぅん。そう、そうなんだ」
ベルキュロス 「なら、いいんだけどさ」
ベルキュロス 「あんた、これからのこと考えたら、あたいとあいつら、どっちにつくべきか、分かるよね?」
ベリオロス 「…………」
ベルキュロス 「ね、命令していいかな? 墓守さん」
ベルキュロス 「(ぐぐっ……)もしラギアが卵持ってきたらさ、ここ通ると思うんだ」
ベルキュロス 「やっちゃってくんない?」
ベルキュロス 「あんたなら、造作もないだろ?」
ベルキュロス 「もう、こんな墓を守る任からも解かれたいだろ?」
ベリオロス 「…………」
ベルキュロス 「あたいは耐えられないなぁ!! こんな寒くて暗くて冷たいところに一人!!」
ベルキュロス 「ずっと一人!!」
ベルキュロス 「きゃはは! 永遠の孤独って奴!? なぁ?」
ベルキュロス 「あたいにつけば、あんたをそこから解放してやるよ」
563 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:36:30.00 ID:ElE255w0
ベリオロス 「…………姫よ」
ベリオロス 「(くるり)今の話は聞かなかったこととしよう」
ベリオロス 「去ね」
ベルキュロス 「あぁらま、連れない男」
ベルキュロス 「ま、独り言だよ、独り言」
ベルキュロス 「でも良く考えてみるんだねぇ」
ベルキュロス 「あんたのこれからのことと、照らし合わせてさ」
ベルキュロス 「(バサァッ!)」
ベリオロス 「…………」
ベリオロス 「(やはり姫が…………)」
ベリオロス 「…………」
ベリオロス 「(これから……)」
ベリオロス 「(我輩の……これから……)」
564 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:37:28.75 ID:ElE255w0
―樹海、ヤマツカミの聖域近くの海岸―

ウラガンキン 「すぅー……すぅー……」
クック 「よっ……と、しかし本当に重いな、この子は……」
クック 「ラギアクルスさん、ここでいいかい?」
ラギアクルス 「ああ、ウラガンキン様は、我の頭の近くにお座りいただきたい」
ラギアクルス 「貴殿らは、どこへなりと好きなところに乗るが良かろう」
テオ・テスカトル 「いや、私もイャンクック殿も、ナルガクルガ殿も、ある程度までなら飛ぶことができる」
テオ・テスカトル 「羽休みに貴殿の背中を借りるくらいで大丈夫だ」
ラギアクルス 「そうか、それは助かる」
少女 「失礼します……」
ラギアクルス 「うむ。お主は我の頭にまたがるが良い」
ラギアクルス 「ウラガンキンさまのお世話をするのだ」
少女 「うん、よろしくね。ラギアクルスさん。私頑張る!」
ラギアクルス 「…………あぁ、よろしく頼む」
565 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:38:36.76 ID:ElE255w0
ヤマツカミ 「食料は皆の背中に分配した。問題はなかろうの」
××××× 「(ドドドド)お……お師匠さまぁぁ!」
ヤマツカミ 「! オオナズチではないか」
オオナズチ 「(ズザァァァ!)少女、わ、わすれもんだって……」
キリン 「(バッ)少女ちゃん!」
少女 「お姉ちゃん! オオナズチさん!!」
キリン 「(ダダッ)少女ちゃん! 久しぶり! しばらくの間に、大きくなったわねぇ」
少女 「お姉ちゃんは相変わらずふかふかだねぇ」
キリン 「うふふ。ちょっと密林の方で、ガノトトスさんたちの巣穴を作るのを手伝ってたの」
キリン 「お話は途中でナナ様にお聞きしたけれど、大変なことになってるのねぇ」
キリン 「私も一緒にいきたいところだけれど……」
566 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:39:33.01 ID:ElE255w0
少女 「うぅん。その気持ちだけで嬉しいよ」
キリン 「(かみ)もしもの時のために、私のたてがみを少し持っていくといいわ」
少女 「ありがとう!!!」
オオナズチ 「そ……それに、血を忘れてるんだな」
少女 「あ! そういえば!!」
オオナズチ 「こ……これ、人間が捨ててった……ビンに、キリンちゃんが、ぼ、ぼくの血を詰めてくれたんだな(スッ)」
少女 「嬉しい! 大事に飲むね!!」
オオナズチ 「へへ……へ……」
クック 「(バサァッ)おお、これは! オオナズチ君とキリンちゃんじゃないか」
キリン 「おじさま!」
567 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:40:34.77 ID:ElE255w0
キリン 「お気をつけてくださいね。それに、少女ちゃんも充分と……」
少女 「うん。すぐに帰ってくるよ。お土産いっぱい持ってくるね!」
キリン 「うふふ。楽しみにしてる」
オオナズチ 「ぼ、ぼくはオオシッポガエルがいいんだな」
少女 「分かったよ。憶えておく」
テオ・テスカトル 「それでは、皆の者、ゆくぞ!!」
ラギアクルス 「……みたことのない幻獣と古龍だ。こちらの大陸も、中々謎が深いな……」
キリン 「あなたが、少女ちゃんを連れて行く龍さん?」
ラギアクルス 「あ……あぁ」
キリン 「少女ちゃんは私の妹なんだから、手荒なことしないでくださいね。絶対ですよ!」
ラギアクルス 「…………分かっている」
ラギアクルス 「こんなに皆に大事にされている娘を、どうこうできるわけもないだろう」
568 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:41:40.94 ID:ElE255w0
ラギアクルス 「それでは、出発するぞ!!」
少女 「うん! じゃあね! お姉ちゃん! オオナズチ君!」
キリン 「帰ってきたら、お話をいっぱい聞かせてね!!」
オオナズチ 「ほ、本当に気をつけるんだなー!!」
クック 「(バサァッ!)」
テオ・テスカトル 「(バサ! バサッ!)」
ナルガクルガ 「(シュバッ!)」
少女 「(す……すごい!!)」
少女 「見えないけど……私、今海を進んでる!!」
ラギアクルス 「人間よ、海は初めてか?」
少女 「うん!!」
ラギアクルス 「海はいい……深く、広く、どこまでも続き、そして澄んでいる」
ラギアクルス 「地平線の向こうまで続く宝石のようだ……」
少女 「ぼんやりと……明かりが見える……」
少女 「これ、全部海……水に、光が反射してるんだ!!」
少女 「(ザバァッ)きゃっ!」
少女 「しょっぱい!!」
ラギアクルス 「(くすり)」
569 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:42:49.98 ID:ElE255w0
少女 「ん? なんだろこれ……」
少女 「こんなところに袋なんて置いてないのに……」
××××× 「(バッ!)こりゃぁ!」
少女 「きゃぁ!」
紫ガミザミ 「わらわを置いていくとは、お主本当に友達か!」
少女 「紫ちゃん!」
ラギアクルス 「何だ? カニの子供か?」
紫ガミザミ 「子供ではない! わらわは英才教育を受けたスーパーカニ、紫である!!」
ラギアクルス 「そ……そうなのか……」
少女 「紫ちゃん! ついてきちゃったんだ……」
570 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:44:12.37 ID:ElE255w0
クック 「(バサァッ!)女児! 大丈夫か? …………ややや! 紫殿!!」
紫ガミザミ 「クック殿、久しゅう。わらわも行くぞな!」
クック 「ついてきてしまったのか……!」
ラギアクルス 「もう戻れぬぞ。このまま海流に乗って進むのみだ」
紫ガミザミ 「こんな面白いことに行かずして、スーパーカニがどうする!」
紫ガミザミ 「少女も人が悪いぞよ」
少女 「うん……ごめんね」
紫ガミザミ 「おうおう、変な顔じゃのう」
ウラガンキン 「すぅー……すぅー……」
クック 「……(仕方ないか……)」
クック 「(何事も起こらねばよいが……)」
571 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:45:33.82 ID:ElE255w0
―モガの村、船着場―

ハンマー 「(雪山での調査が終わったがいいが……)」
ハンマー 「(少女のことも気がかりで、密林での調査を延期して、こちらの大陸に渡ってしまった……)」
ハンマー 「(こちらの大陸のモンスターは凶暴らしい……)」
ハンマー 「(何事もなければいいが……)」
太刀 「どしたの? ハンマー、船酔い?」
ハンマー 「いや……少しばかり考え事をしていた」
ハンマー 「しかし、こちらの大陸は暑いな……」
太刀 「そりゃ、船で三日もかかる場所にあるんだから、天候も違うよ」
太刀 「薬でも飲む? クーラードリンク」
ハンマー 「助かる(グビッ)」
太刀 「少し離れた場所には、渓谷を下がっていったところに、万年雪の場所があるし、ここいらの地形も安定しないんだけどね」
572 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:46:39.23 ID:ElE255w0
太刀 「でもどうしたの? あたしの交易船に乗りたいなんて、あんたがね」
太刀 「確か密林の調査に行くんじゃなかったっけ?」
ハンマー 「ああ……」
ハンマー 「少し気晴らしだ。雪山の地図も作り終わったしな」
ハンマー 「それに、気になることもある……」
ハンマー 「(武器の、古龍の大宝玉が淡く光っている……)」
ハンマー 「(少女……やはりこちらの大陸に来たのか……)」
太刀 「気になることって……あんたが前から言ってた、その、モンスターと一緒に暮らしてるって女の子? こっちの大陸にいるの?」
ハンマー 「…………」
太刀 「あたしは見たことないけど、不気味だよねぇ」
太刀 「ひょっとしたら、チャチャブーが進化した姿かもしれないよ。あいつら得体が知れないもん」
ハンマー 「……少女はそんなものではない」
太刀 「え……?」
ハンマー 「……船が泊まったな。外に出よう」
太刀 「あ、ちょっと待ってよハンマー!」
573 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:47:59.00 ID:ElE255w0
太刀 「(何よ……折角二人で船旅だったっていうのに……)」
太刀 「(あいつ、ずっとあの変な玉見て考え込んでるし……)」
太刀 「(その、少女とかいう女の話が噂になってから、何だか様子が変だし……)」
太刀 「(どうしちゃったのかしら……)」
ハンマー 「日差しが強いな……さすが、海沿いの村だ」
ハンマー 「何をしている、太刀。おいていくぞ」
太刀 「今行くってば!(ダダッ)」
太刀 「で、どうすんの?」
太刀 「相手の交易業者と話をするのは明日だし、今日は特にすることはないね」
ハンマー 「確か、スラッシュアックスの家がこの辺りにあったな」
太刀 「げっ。あいつと会うの?」
ハンマー 「? 小さい頃、よく一緒に遊んだではないか。忘れてはいないと思うが」
太刀 「まぁいいけど……あいつ、気難しいから苦手なんだよねぇ」
574 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:48:50.61 ID:ElE255w0
漁師 「お、あっちの大陸からのお客さんかい」
ハンマー 「こんにちは。ハンマーといいます」
漁師 「太刀ちゃん、久しぶり! 今日は彼氏同伴かい?」
太刀 「かっ……彼氏だなんて、そんなんじゃないよ。こいつはただの幼馴染」
ハンマー 「ああ。それより聞きたいことがある」
太刀 「………………(ふぅ)」
漁師 「何だいあんちゃん? しっかしすっげぇ武器だな。Gランクハンターか……」
ハンマー 「このあたりで、モンスターの群れに混じった女の子を見かけなかったか?」
漁師 「モンスターの群れに? 何だ? 連れ去られでもしたのかい?」
漁師 「見かけたって話はきかねぇなぁ。もしそうだったとしたら、大変な騒ぎになってらぁ」
ハンマー 「そうか……」
漁師 「太刀ちゃん、今スラッシュアックスさんは族長の家にいるよ。顔出してやんな」
太刀 「あはは、ありがと。そうするよ」
漁師 「肌ァ出しすぎじゃねぇか? 日焼けに注意しろよ〜」
太刀 「うっさいエロおやじ。あたしはこれで、雪山も火山も通してるの!」
575 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:50:04.38 ID:ElE255w0
ハンマー 「(人間に目撃はされていないのか……)」
ハンマー 「(それとも、まだついてはいないのか……)」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(少女には、沢山のモンスターがついているじゃないか……)」
ハンマー 「(それこそ、俺独りではかなわないような強力な奴らが……)」
ハンマー 「(なのに何故、ここまで気になると言うんだ……)」
ハンマー 「(…………古龍の大宝玉はまだ光り続けている……)」
ハンマー 「(俺にはどうも、こいつが、少女を守れと言っているように見える……)」
ハンマー 「(それとも、俺自身の意思なのか……?)」
太刀 「(ぐいっ)ハンマー、行くよ?」
ハンマー 「あ……ああ」
太刀 「あんた、最近ちょっとおかしいよ? 何? その武器に恋でもした?」
ハンマー 「…………」
太刀 「それとも、その謎の少女ってのに恋でもしてんの? あんた昔からゲテモノ趣味だからねぇ」
ハンマー 「…………」
太刀 「ちょっと、黙んないでよ……」
576 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:50:57.27 ID:ElE255w0
―モガ村、族長の家―

ハンマー 「失礼する」
太刀 「やっほー。元気ィ? 根暗男」
スラッシュアックス 「……太刀? それに……ハンマーではないか」
ハンマー 「久しぶりだな。子供の時以来だ」
スラッシュアックス 「ふむ……奥に入れ」
太刀 「何よ、あたしにはたいした挨拶もないわけ?」
スラッシュアックス 「突然押しかけてきて、礼儀もへったくれもなかろう。ツチハチノコのビールでいいか?」
ハンマー 「すまないが、俺は酒は飲めないんだ」
スラッシュアックス 「そう言うな。ここでは一杯目は飲み干すのが礼儀だ(ドクドクドク)」
ハンマー 「……分かった。いただこう」
太刀 「(ぐび、ぐび、ぐび)ぷはぁ。あぁ生き返るわ。むさくるしいのと一緒で、死ぬかと思った」
太刀 「ねぇ、お風呂貸してもらえない?」
スラッシュアックス 「どうせここに泊まるつもりだろう。勝手に使え」
太刀 「あら、わかってるのね。それじゃ遠慮なく。二人とも後でまた〜(バタバタ)」
ハンマー 「(グビリ)」
スラッシュアックス 「まぁ、座れ」
ハンマー 「ああ」
577 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:51:54.85 ID:ElE255w0
スラッシュアックス 「何用だ? こっちに移り住むつもりか?」
ハンマー 「いや……休暇のようなものだよ。しかし、こっちの村は発展しているな」
ハンマー 「城下町で流行り病が起こったとき、特効薬をいち早く海輸してくれて助かった」
スラッシュアックス 「……あれは太刀が、勝手に持っていっただけだ。俺ではない」
ハンマー 「それでも黙認してくれたお陰で、沢山の命が救われたんだ。代表して礼を言わせてもらいたい」
ハンマー 「! そうだ、忘れていた。これはオオモロコシの種だ」
ハンマー 「こちらの大陸にはあまりないと聞いてな。持ってきた。収めてくれ」
スラッシュアックス 「こんなに大量に悪いな……遠慮なくいただこう」
ハンマー 「俺も少し、ここで厄介になっていいか?」
スラッシュアックス 「別に問題はない。俺一人の家ではないしな」
ハンマー 「何だ、結婚したのかい?」
スラッシュアックス 「いや……ここは、旅人などを一時的に留め置く場所にもなっている」
スラッシュアックス 「俺やお前のような偏屈には、まだまだ結婚は早かろう」
ハンマー 「ふっ……違いない。変わらないな、昔と。お前は……」
578 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:53:15.09 ID:ElE255w0
ハンマー 「どれ、俺も潮風がべたつく。川か何かがあれば、流してこようと思うんだが」
スラッシュアックス 「この家の裏手に泉がある。使えばいい。話は夕食の席でいいだろう」
ハンマー 「助かる……なぁ、一つ聞きたいことがあるんだが」
スラッシュアックス 「何だ?」
ハンマー 「後程訳を話すが、モンスターに混じった女の子を、お前はみかけなかったか?」
スラッシュアックス 「何だそれは……? モンスターに、人間が?」
スラッシュアックス 「このあたりのモンスターは凶暴だ」
スラッシュアックス 「完全に人間とは敵対している。それに、最近はモンスター達の警戒が妙に強まっていてな……」
スラッシュアックス 「先日も、熟練のハンターが数人やられた。現在は治癒処で治療を受けているところだ」
スラッシュアックス 「もし子供が飛び込んででもいったら、すぐに八つ裂きにされている」
スラッシュアックス 「お前も、一人ではモンスターの縄張りに近づかないようにするんだ」
スラッシュアックス 「……最近は、なるべく刺激をしないようにしているが……」
スラッシュアックス 「何かがおかしい…………」
ハンマー 「…………そうか」
ハンマー 「(少女……やはり、彼女が言っていた、王族の卵というのが原因なのか……?)」
579 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:54:33.66 ID:ElE255w0
―水没林、夜―

テオ・テスカトル 「しかし、まさか紫殿がついてくるとはな……」
紫ガミザミ 「まだ言っておるのか、てお。わらわは邪魔にならんというに。立派な戦力として役に立つ(ジャキン)」
ナルガクルガ 「……ガキが……遊びじゃァないんだぞ……」
紫ガミザミ 「! 子ども扱いするでない! まったくお主は……友達おらぬじゃろ?」
ナルガクルガ 「………………」
ウラガンキン 「むー(ぐりぐり)」
紫ガミザミ 「ぬ? 少女、ウラが腹をすかせているぞ」
少女 「ほんと? 紫ちゃんにもウラちゃんがなついてくれてよかったよ。はい」
ウラガンキン 「(もぐもぐ)むー!」
紫ガミザミ 「はっはっは。じゃ、またあとで遊ぼうの」
ウラガンキン 「むんむ(もぐもぐ)」
トレニャー 「ぐがぁぁー…………ぐがぁぁー………………」
紫ガミザミ 「こいつはよく、こんな揺れる場所でずっと寝ていられるのぅ」
580 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:55:24.49 ID:ElE255w0
クック 「……まぁ、過ぎたことをいくら言っても仕方はないだろう」
テオ・テスカトル 「確かにそのとおりだが……適当なところで送り返す必要がある」
クック 「そうだな……ダイミョウザザミ殿は、このことをご存じないだろうし……」
ラギアクルス 「ご三方、水没林に入り申した」
ナルガクルガ 「(バサッ)ふん、やっとついたか」
ラギアクルス 「海流の流れによる遅延もある。時間としては最速だったといえる」
クック 「あぁ。しかし、こう暗くてはどこに何があるのか分からないな……」
クック 「ラギアクルス殿、近くに休める場所はないか?」
テオ・テスカトル 「そうだな……少し羽を休めよう」
テオ・テスカトル 「……む? 何か、提灯のような光が近づいてくるな……」
チャナガブル 「止まれ!!」
581 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:56:26.82 ID:ElE255w0
チャナガブル 「(ズォォォォ)何奴!? 名乗れ!!」
テオ・テスカトル 「な……(水中から、巨大な魚のようなものが……)」
テオ・テスカトル 「(あの発光体で獲物を引き寄せるのか!)」
クック 「うわっ! な……何だ!?」
チャナガブル 「ここは、我が聖騎士団の領域と知っての進入か! ならば覚悟をしてもらうぞ!」
ラギアクルス 「待て、チャナ!」
チャナガブル 「団長……!?」
ラギアクルス 「この方々は、ゆえあってあちらの大陸からお招きした。敵ではない」
チャナガブル 「お戻りになっていたのか! お迎えが遅れてしまい、申し訳ない」
少女 「(何か、すごく大きな……でも、ラギアさんと同じ、すんだ水の匂いがする人がいる……)」
チャナガブル 「……して、団長。あなたの頭に乗っているものどもは……」
少女 「びくっ」
チャナガブル 「…………人間……! 人間臭いぞ……!!(グルルルルル)」
582 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:57:32.68 ID:ElE255w0
ウラガンキン 「(バッ)グルルルルルル」
少女 「ウラちゃん!」
紫ガミザミ 「こ……こやつ、少女を守ろうとしておる!」
ラギアクルス 「やめないか、チャナ! 事情はおって説明するが、この人間は普通の人間ではないのだ」
ラギアクルス 「それに、この御方の前で、そのような威嚇は許さぬ」
チャナガブル 「御方……もしかして!!」
チャナガブル 「そ……そのお顔は、ウラガンキン様!!!!」
ウラガンキン 「まんま(ぐいぐい)」
少女 「う……うん。ありがとう」
チャナガブル 「ど……どういうことだ……?」
ウラガンキン 「らむー(バシバシ)」
ラギアクルス 「御前様、敵ではございませぬ。こやつは、聖騎士団副団長、チャナガブルと申す者。あなた様の忠実なる部下でございます」
チャナガブル 「はっ!(バッ)」
583 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:58:26.01 ID:ElE255w0
テオ・テスカトル 「成る程、副団長殿か。私はテオ・テスカトル。お初にお目にかかる」
クック 「私はイャンクック。こちらはナルガクルガだ。縄張りとは知らず、失礼している」
ナルガクルガ 「…………」
クック 「子供達もいる。できれば、休める場所が欲しいんだが?」
チャナガブル 「……分かり申した。私の後についてきてください(スイーッ)」
紫ガミザミ 「お、光が動いておる。これは分かりやすいぞな!」
テオ・テスカトル 「よし、行こう。ラギア殿、よろしいか?」
ラギアクルス 「ああ。この先に、大木が連なっている場所がある。そこで休むといいだろう」
少女 「(なでなで)ありがとう、ウラちゃん。私を守ろうとしてくれたんだね」
ウラガンキン 「まんまぅー(ゴロゴロ)」
ラギアクルス 「………………」
584 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 11:59:37.54 ID:ElE255w0
―水没林、夜、大木の秘境―

チャナガブル 「…………成る程。ではウラガンキン様は、今は少女を母とお思いなのか」
ウラガンキン 「スピィー……スピィー……」
少女 「(なでなで)ごめんなさい……私、わざとじゃなくて……」
チャナガブル 「いや……話を聞いている限り不可抗力であろう。君の責任ではない」
チャナガブル 「しかし、気になるは卵を皇居から持ち出したもの……」
チャナガブル 「団長、もしや王族が……」
ラギアクルス 「言うな、チャナよ」
チャナガブル 「はっ。失礼を……」
ラギアクルス 「我々が仕えるべき王族の悪口など、口が裂けても申すものではない」
ラギアクルス 「(だが……)」
ラギアクルス 「(あのトレニャーが逃げずについて来ているということからも、本当に卵は投棄されたという可能性がある……)」
トレニャー 「グガァァ……グガァァ……」
紫ガミザミ 「なぁなぁ、提灯アンコウ殿」
チャナガブル 「提灯アンコウ……? 私のことか?」
紫ガミザミ 「うむ。腹が減ったぞな。何か食わしてくりゃれ」
585 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:00:40.04 ID:ElE255w0
テオ・テスカトル 「これ、紫殿。淑女がはしたない……」
チャナガブル 「いや、はは。あまりにとっぴな話が続いたので、すっかり忘れておりました」
チャナガブル 「少しお待ちくださいな(トプリ)」
紫ガミザミ 「ありゃ、潜っていってしまった」
ナルガクルガ 「…………して、ラギア。これからどうする?」
ラギアクルス 「うむ……なるべく早くウラガンキン様を、ボルボロスさまの御前にお連れしたい」
ラギアクルス 「そのため、水没林から、渓谷を下り、雪原を通って砂原に向かいたい」
ラギアクルス 「最も、滅多に我らも通らぬため、トレニャーの案内が必要になるが……」
ラギアクルス 「だが、雪原には騎士団の男が一人いる」
ラギアクルス 「大分前に一度会ったことがあるが、信用の置ける奴だ」
ラギアクルス 「…………」
ラギアクルス 「そういえば、お主……」
ナルガクルガ 「……?」
ラギアクルス 「いや……だが、お主はあちらの大陸出身なのか?」
586 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:01:32.70 ID:ElE255w0
ナルガクルガ 「……そんなことを聞いてどうする?」
ラギアクルス 「単なる興味本位だ」
ナルガクルガ 「…………出身は分からぬ。生まれてすぐに、親に捨てられたからな……」
ラギアクルス 「…………」
ラギアクルス 「(もしかして……)」
ラギアクルス 「(そういえばこの男、奴に似ている……)」
ラギアクルス 「(色の違いはあれど、そっくりだ……!!)」
ラギアクルス 「(だとしたら、上手く話が運ぶかも知れぬ……)」
ラギアクルス 「(無論その反対もありえるが……)」
チャナガブル 「(ザパァァン)ほら!(ドサッ)」
 >ビチビチビチビチビチ
紫ガミザミ 「! わぁ! 魚が沢山おるぞな!!」
587 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:02:44.07 ID:ElE255w0
ラギアクルス 「ふむ……まぁ、少し遅いが、夕食とするか」
クック 「すまない、チャナガブル殿。どれ、少女の分は私が焼いてあげよう」
少女 「おじさん、ありがとう!」
ウラガンキン 「(もぐもぐもぐもぐもぐ)」
紫ガミザミ 「ああ! ウラ! お主みんなの分までもう……!!」
チャナガブル 「はっはっは。いや、すぐにまたとってきますので、気にしないで(トプリ)」
ラギアクルス 「……今日は休んで、明日、雪原に向かおう」
ラギアクルス 「かなり寒くなる。我らモンスターの墓場とも呼ばれる」
クック 「モンスターの墓場……」
ラギアクルス 「我々竜は問題ないが、少女や紫は、防寒対策をしていった方がいい」
紫ガミザミ 「それなら問題ないぞな。わらわは少女の服の中に入っておる」
少女 「二人でくっついてたら、あったかいから大丈夫だよ」
ラギアクルス 「ふむ。まぁ、今日は休んでくれ」
クック 「ほら、少女。焼けたぞ」
少女 「わぁい!!」
トレニャー 「(くんくん)飯の匂いだニャ!(ガバッ)」
ナルガクルガ 「ふん……現金な奴よ……」
588 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:03:42.48 ID:ElE255w0
―少女の夢の中―

少女 「……(真っ白い……何も見えない……)」
少女 「(私、目、本当に見えるようになるのかな……)」
少女 「(もしかしたら、ずっとこのまんま……)」
少女 「…………」
少女 「(でも、今はおじさんもいる、紫ちゃんも……ウラちゃんも……)」
少女 「(みんなが近くにいてくれる)」
少女 「(それだけで、とっても幸せ……)」
少女 「?」
少女 「(何か、光が見える……)」
589 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:04:33.77 ID:ElE255w0
少女 「!! あれは……」
白アイルー 「(ニコニコ)」
少女 「白い猫さん!! 久しぶり!!」
少女 「あれ? 何でだろう、あなたのことだけは、はっきり見える……」
白アイルー 「(なでなで)」
少女 「あはは……くすぐったい」
白アイルー 「(くいっ)」
少女 「あ……これ?」
少女 「あなたが作ってくれた、小さなてるてる坊主、ずっと大事に首に下げてるの」
少女 「大事なお守り」
白アイルー 「(にこにこ)」
白アイルー 「(スッ)」
少女 「? もう一つ……てるてる坊主?」
白アイルー 「(こくり)」
少女 「私に……? ありがとう!」
少女 「可愛い!!」
590 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:05:36.35 ID:ElE255w0
少女 「また、首にかけておくね!」
白アイルー 「(こくり)」
少女 「あ……待って。もっとお話したいこととか、沢山……」
白アイルー 「(パタパタ)ミャァ!」
少女 「……あ……」
少女 「(遠くに、黒い猫さんと白い猫さんが見える……)」
白アイル 「(パタパタ)」
少女 「うん! またね!」
少女 「あなたがくれたもの、大事にする!!」
591 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:06:40.70 ID:ElE255w0
―翌朝―

少女 「…………」
少女 「(夢……?)」
少女 「!! (てるてる坊主の首飾りが……二つに増えてる!!)」
少女 「(白い猫さん、本当に来てくれたんだ……)」
少女 「(また会えるかな……?)」
クック 「少女、起きたか。そろそろ準備をして、雪原に向かうぞ」
少女 「うん。おはよう、おじさん」
クック 「これを食べて、顔を洗ってくるんだ」
592 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:07:43.98 ID:ElE255w0
トレニャー 「はぁぁ……まーたあそこに行くんですかい……」
クック 「何か、嫌なことでもあったのかい?」
トレニャー 「嫌なの何も、あそこにはおっそろしい墓の番人がいるんでさ」
トレニャー 「真っ白くて、金色の牙を生やした……」
トレニャー 「ん? そういや、あんた……」
ナルガクルガ 「…………?」
トレニャー 「い、いや! 何でもねぇっす」
ラギアクルス 「それでは準備をしてくれ! 一刻も早くボルボロスさまのもとに向かわねば!」
チャナガブル 「団長、私は水路から回る。気をつけて」
ラギアクルス 「ああ。道中、騎士団は砂原に集結するように伝えてくれ」
紫ガミザミ 「ふぅ。ここの魚は美味しくて、いくらでも食べれてしまうぞな」
チャナガブル 「はは。気に入ってくれたなら嬉しい。帰りにでもまた寄るがいい」
紫ガミザミ 「うむ!」
593 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:09:19.82 ID:ElE255w0
―渓谷、雪原―

紫ガミザミ 「(ガチガチガチガチ)なななな何じゃこれはぁぁ……凍ってしまうぞなァ…………!!」
少女 「そ……そうだね……山を下ったら、すごい氷……」
ウラガンキン 「まんま、むー?」
少女 「あ! ウラちゃんが少し温かくなった!」
紫ガミザミ 「お主便利じゃのう!」
ラギアクルス 「私の頭から落ちないよう、気をつけてくれ」
ラギアクルス 「(幸い雪も降っていない。すぐに抜けることができるだろう)」
トレニャー 「うぅ……」
ラギアクルス 「どうした?」
トレニャー 「オイラの髭にビンビンくるんでさぁ。何か妙な気配を感じやす」
ラギアクルス 「妙な気配?」
594 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:10:40.95 ID:ElE255w0
テオ・テスカトル 「確かに、誰かに見られているような……」
ナルガクルガ 「…………」
トレニャー 「悪いこたぁ言いませんぜ。少し待ってからのほうが……」
ラギアクルス 「ならん。我は今は、一分一秒も惜しいのだ」
トレニャー 「そうは言いますけどねぇ」
 >ゴゴゴゴゴゴ
ラギアクルス 「!! 何の音だ!?」
クック 「(バサァッ!)!! 何だ!? 雪崩がこっちに向かってくるぞ!」
ラギアクルス 「何!?」
ラギアクルス 「こ、こんな谷底で雪崩に襲われたら、すぐに埋もれてしまう……!!」
テオ・テスカトル 「走れ、ラギア殿!! (バサァッ!)」
テオ・テスカトル 「雪崩は私達が何とかする!!(ゴゴゴゴゴ)」
ラギアクルス 「かたじけない!!(ドドドドド)」
少女 「きゃっ……」
紫ガミザミ 「うわ!」
トレニャー 「お……オイラも乗せてぇぇ!!」
ラギアクルス 「しっかりつかまっていろ!!」
595 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:11:33.06 ID:ElE255w0
テオ・テスカトル 「クック殿は火球を! 私は炎の力で雪崩を溶かす!」
クック 「あい分かった!(ゴウッ! ゴウッ!!)」
ナルガクルガ 「!!」
ナルガクルガ 「何だ!? 雪崩の中から何かが……」
クック 「!!?」
ベリオロス 「ギャォォォォ!!(バッ)」
テオ・テスカトル 「(ザシュッ!)ぐあぁぁ!」
クック 「テオ殿!!」
ナルガクルガ 「!!」
ベリオロス 「ギャォォ!(シュバッ! シュバッ!)」
ナルガクルガ 「……ふん!(ガキィィン!!)」
596 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:12:36.80 ID:ElE255w0
ナルガクルガ 「な……何だ!?」
ベリオロス 「(ズザザザザザ……!!)」
ナルガクルガ 「この白いモンスターの姿……太刀筋……」
ナルガクルガ 「(俺にそっくりだ……!!!)」
ベリオロス 「!!! (何だ、この黒いモンスターは!!)」
クック 「ナルガ! 雪崩が!!」
ナルガクルガ 「!!!!」
597 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/14(火) 12:15:05.74 ID:ElE255w0
お疲れ様でした。次回へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/03/imgb22b40dczik7zj.jpeg

50秒規制と、最近のパー速の重さのため、書き込み時間が不定になっています
ご了承ください
また、私の体調具合があまりすぐれないため、速度が低下している部分があります
ちゃんと続けますので、気長にお待ちいただけましたら幸いです
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 12:37:58.48 ID:3fsucoAO
乙でした!

また良いところで…

つづきが気になる
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 13:16:50.56 ID:qwBaysSO
続き来てた!乙!
三毛猫氏よ、お大事に。
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/14(火) 22:30:49.50 ID:/wY69pc0
気長に待つので気にせず体調を第一に三毛猫さんのペースで続けてください。
楽しみにしています。
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 22:40:54.74 ID:Pl5kTWQo
三毛猫氏お疲れさまです。
体に気をつけてゆっくり書いてください。
健康第一です!
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 00:24:08.79 ID:5SmSfwYo
三毛猫氏乙です!
続きが気になる・・・・。

お体にお気をつけ下さい!
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/16(木) 04:24:42.40 ID:8Eo2ucSO
ベル様キター

3にはでるのかな?
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/20(月) 00:01:29.91 ID:58Yfv5o0
口調のせいか紫がC.V巻田 彩乃.で再生される俺は恋姫信者
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/20(月) 15:46:49.82 ID:0PwAe.AO
リオレウスがマスオさんで脳内再生される俺…
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/20(月) 15:54:13.43 ID:F/dKX5Mo
リオレウス「ええ!本当かい!!!!」
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/20(月) 17:58:42.94 ID:eTGGBDgo
リオレウス「びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛」
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/21(火) 00:00:14.87 ID:qkIoR460
リオレウス「まいったな〜」
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/21(火) 00:35:43.15 ID:wr8nMgAO
今追加分読んだお疲れ様です

>>597
きちんと完結もなにも、一度素晴らしい完結を迎えてるんだ
そんな張りつめずにのんびり楽しんで書いてもらえたら良いなって思うよ

そんな俺は夢で女児達の森に行ってしまった…夢にも観てしまうなんて、私はナニカサレタヨウダ…

女児のためにwwii買っちゃったよ…今は一緒に買ったマリオカートしかないよ…
3出たら三毛猫さんや他の読者達にばったり会えたら嬉しいな
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/21(火) 00:37:59.66 ID:UcUw7XMo
ここの連中はkaiしてるんだろうか?
してるならちょいやってみたい
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/21(火) 09:51:24.74 ID:Drcjk0Qo
>>610
kaiはやってるが
自分はkaiスレでいうとこのIPなんだろうな・・・ww
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/21(火) 14:02:16.52 ID:UcUw7XMo
>>611
^^とか使ってるとkaiスレだとうざがられるかな
613 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 14:58:15.33 ID:oVCt.mo0
お疲れ様です。続きを書きましたので投稿させていただきます

>>609
ありがとうございます。私も先日Wiiを買いました
オンラインにつながりましたら、ここで告知をいたします
一緒に狩りにいきましょう

>>610
先日PCがクラッシュしてしまい、それ以来PSPのKaiが繋がらなくなってしまいました
申し訳ありません
3が発売されましたら、Wiiで接続いたしますので、出来たらご一緒しましょう

私のサイトからでも大丈夫ですので、個人的に遊びたいという方も、ぜひご連絡をください
http://blog.livedoor.jp/matusagasin/

また、Mixiもやっていますので、数が集まるようでしたらコミュニティも作ろうと思います
お気軽にコンタクトをください
614 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 14:59:50.91 ID:oVCt.mo0
5.クルペッコ 「俺のホイッスルを聴け」

―雪原―

ラギアクルス 「! あれは……もしや、ベリオロスか!?(┣¨┣¨┣¨┣¨)」
少女 「すごい音……! どうしたの!?」
紫ガミザミ 「てお達が……雪崩に……」
トレニャー 「ぎゃぁぁぁ! 速い! 速いにゃァァ!」
紫ガミザミ 「……! ナルガ殿が今、ちらりと見えたぞ!」
紫ガミザミ 「このままではナルガ殿が……雪崩に巻き込まれてしまう!」
紫ガミザミ 「ッ!!(バッ)」
少女 「紫ちゃん!」
ウラガンキン 「むー!」
ラギアクルス 「何だ!? カニの子が飛び降りたのか!?」
紫ガミザミ 「ナルガ殿ぉぉ!!(ダダダダ)」
615 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:00:52.30 ID:oVCt.mo0
ナルガクルガ 「(何だこの白いモンスターは……)」
ナルガクルガ 「(まるで、俺の亜種のようだ…………!!)」
ナルガクルガ 「(どういうことだ? 俺は何かのモンスターの変種かと思っていたが……)」
ナルガクルガ 「(こんなところに、血族がいたのか!?)」
ベリオロス 「(この黒いモンスター……)」
ベリオロス 「(あいつにそっくりだ!!!)」
ベリオロス 「(も……もしかして…………)」
テオ・テスカトル 「ナルガ殿! そこを離れるんだ!」
クック 「ナルガ!! 雪崩に巻き込まれるぞ!!」
616 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:01:56.25 ID:oVCt.mo0
ナルガクルガ 「……くっ……」
ベリオロス 「(じり……じり……)」
ナルガクルガ 「(動けん……まったく隙がない)」
ナルガクルガ 「(もし俺が一瞬でも背中を見せれば、その瞬間に殺られる……)」
ナルガクルガ 「(理屈ではない……感覚でわかる!)」
ナルガクルガ 「(じり……じり……)」
 >┣¨┣¨┣¨┣¨ドド
ナルガクルガ 「!」
ベリオロス 「ガルルルルッ!(シュバッ)」
ナルガクルガ 「(ズバァッ!)ガッ……(サッ)」
ナルガクルガ 「はぁ……はぁ……」
クック 「ナルガ!! 雪崩が!!」
クック 「!? あれは……」
紫ガミザミ 「ナルガ殿!!(バッ!)」
ベリオロス 「!!」
617 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:03:02.28 ID:oVCt.mo0
紫ガミザミ 「はよ逃げるのじゃ! ここは飲み込まれて……」
ベリオロス 「(カニの子供!? なぜこんなところに……)」
ナルガクルガ 「(! 隙が出来た!)」
ナルガクルガ 「ガルルルルルッ!(シュバッ)」
ベリオロス 「!!」
ナルガクルガ 「(シュバッ! シュバッ!)」
ベリオロス 「(ザシュッ!)グゥ……ッ!!」
ナルガクルガ 「(ズザッ!)……(スタッ)何故来た!?」
紫ガミザミ 「何を言うておる! ボーッとしておったのはおぬしではないか!!」
ナルガクルガ 「俺は……」
クック 「ナルガァァ!!」
 >ゴゴゴゴゴゴゴ
ナルガクルガ 「くっ……掴まっていろ!」
紫ガミザミ 「う……うぬ!(ガシッ)」
618 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:04:11.18 ID:oVCt.mo0
ナルガクルガ 「とぅぁ!(バッ!!)」
テオ・テスカトル 「! だめだ!! 高度が足りぬ!」
ナルガクルガ 「くっ……」
紫ガミザミ 「……きゃぁぁ!!」
 >ゴゴゴゴゴゴゴ
クック 「飲み込まれた!!」
ベリオロス 「!」
ベリオロス 「…………(ズボァッ!)」
テオ・テスカトル 「あのモンスター、自分から雪崩に飛び込んでいったぞ!!」
テオ・テスカトル 「くっ……雪崩の規模が大きすぎる!!」
クック 「ナルガ! 紫殿ォォ!!!」
619 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:05:20.84 ID:oVCt.mo0
ラギアクルス 「くっ……ベリオロスめ! 謀ったか!!」
少女 「紫ちゃん! 紫ちゃん、戻ってきて!!」
トレニャー 「こ……こここ、こっちにも雪崩が押し寄せてきやがりやすぜ!!」
トレニャー 「(バシバシ)は、早く谷の向こう側に逃げておくんなせぇ!!」
ラギアクルス 「……いたしかたあるまいっ!(ダダダッ)」
少女 「待って! まだ紫ちゃんが!!」
ラギアクルス 「雪崩に巻き込まれたら、いくら我とはいえ無事では済まぬ!」
ラギアクルス 「後続のおぬしの仲間に任せるのだ!!」
少女 「(おじさん……! みんな……!!!)」
ウラガンキン 「むー! むー!!」
トレニャー 「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴ
620 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:06:12.21 ID:oVCt.mo0
クック 「ナルガー!!! 少女ォォ!!」
テオ・テスカトル 「まずい……巻き上がった雪で、ラギアクルス殿の居場所も見失ったぞ!!」
クック 「くっ……雪も強くなってきた……飛ぶのも困難になってきた……!!」
クック 「!! テオ殿! あそこにナルガが!!」
テオ・テスカトル 「! 切り出した岩に掴まっている!」
ナルガクルガ 「!! ……!!!」
紫ガミザミ 「た……助け……」
クック 「ナルガ、今行くぞ!(ヒュゥゥゥゥ)」
テオ・テスカトル 「待て、クック殿!(ヒュゥゥゥゥ)」
ベリオロス 「(ズボァッ!)ギャォォォ!!」
クック 「! 雪の中から……」
ベリオロス 「シャァァ!(ズバッ)」
クック 「ぐあぁぁ!」
テオ・テスカトル 「クック殿ォォ!」
ナルガクルガ 「……くっ!」
テオ・テスカトル 「クック殿が墜落された! ナルガ、早く私の体に掴まれ!!」
ナルガクルガ 「す……すまない……!!」
紫ガミザミ 「うぅぅ……う……」
621 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:07:04.06 ID:oVCt.mo0
―雪原、少し離れたエリア―

ラギアクルス 「しくじった……雪崩を振り切れん……!!」
トレニャー 「も……もっと早く走れないんですかい!?」
ラギアクルス 「無茶を言うな! 我の体は、陸上用には出来ていないのだ」
少女 「!!」
少女 「何か……聞こえる」
トレニャー 「聞こえるゥ!? 雪崩の音で何がなんだかわかんねぇっすよぉ!!」
少女 「ラギアさん、何か、ラッパのような音が聞こえる!」
ラギアクルス 「ラッパ!? どこからだ!」
少女 「右上の方から!」
少女 「長く三回吹くのを繰り返してる!」
ラギアクルス 「もしやホイッスラーか! わかった、右上だな!」
ラギアクルス 「とぅぁ!!(バッ)」
トレニャー 「ひぃぇぁ!! 雪にダイブしてどぉぉぉすんですかぁぁぁ!!」
ラギアクルス 「(ホイッスラー・ペッコの誘導だとすると、逃げ道があるということ……)」
ラギアクルス 「(空耳以外であってくれ!!)」
622 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:08:26.96 ID:oVCt.mo0
ラギアクルス 「(ドバァッ!!)」
トレニャー 「こ……こいつぁ! 氷壁に、抜け穴が!!」
ラギアクルス 「助かった!!」
ウラガンキン 「まんま! まんま、むー!」
少女 「ウラちゃん、大丈夫……? …………紫ちゃん…………」
トレニャー 「ひぃぃ、もう抜け穴の入り口が、雪で埋まっちまった……」
トレニャー 「ここは……洞窟ですかねぃ。オイラもこんなところにくるのは初めてでさぁ」
トレニャー 「……何か高くポッケポイントもらえそうなもんねぇかなぁ……(スタッ)」
トレニャー 「(トテトテトテ)」
ラギアクルス 「! 勝手に出歩くな猫! 逃げる気か!」
トレニャー 「人聞きの悪いこと言わねぇでくだせえ。第一、こんな洞窟の中でどうやって逃げるってんでさぁ」
トレニャー 「おいらの中のトレジャーハンティングの血が騒ぎ出しただけで……」
 >ピュルッピュ、ピュリュッピュ
少女 「あ……さっきのラッパが、また聞こえる……」
ラギアクルス 「この音はまぎれもなく、ホイッスラーの笛の音!」
ラギアクルス 「この奥か……」
623 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:09:21.85 ID:oVCt.mo0
―雪原、洞窟内―

少女 「おじさんたち、大丈夫かな……」
ラギアクルス 「翼がある者達は逃れているだろう。心配することはない」
少女 「うん……でも……」
少女 「(変な胸騒ぎがする……)」
トレニャー 「……こいつは、自然に風と水で削れて出来た洞窟ですな」
トレニャー 「奥から変な笛の音と、風が吹いてきやす」
トレニャー 「どっかに繋がってるみてぇですな」
トレニャー 「お! こんなとこにメランジェ鉱石!」
トレニャー 「(サササッ!)」
ウラガンキン 「…………まんま…………(ぐりぐり)」
少女 「(なでなで)大丈夫だよ。私がついてるから……」
624 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:10:34.76 ID:oVCt.mo0
ラギアクルス 「……ん? 少し開けた場所に出たな……」
ラギアクルス 「あれは……」
クルペッコ 「(♪)ピュルル〜ィ、ピュルル〜ィ」
ラギアクルス 「ホイッスラー! 駆けつけてくださったのか!」
クルペッコ 「(♪)ピュルルィン(こくり)」
トレニャー 「な……何ですかい、このヘンテコな鳥は……」
少女 「(果物の匂いがする……)」
少女 「(不思議な匂い……誰か、すぐ近くにいるみたい……)」
クルペッコ 「(♪)クルッポ〜! クルッポ〜!」
クルペッコ 「……カァァァッ!!」
トレニャー 「(ドォォンッ!)ぐぅっはぁぁ!!」
クルペッコ 「カァァァァッ!!」
トレニャー 「(ドォォォンッ!)っぐぁぁ!(ガクリ)」
トレニャー 「…………(ドサ……)」
625 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:11:45.30 ID:oVCt.mo0
ラギアクルス 「ホイッスラー、この者達は敵ではない。音玉を使うことはない」
 ※音玉=ものすごくがんばることで、気合を飛ばす攻撃
クルペッコ 「……うむ(こくり)」
クルペッコ 「(♪)ピュルッピュ、ピュリュウゥプ!」
クルペッコ 「!! ハッ!!」
ウラガンキン 「………………」
少女 「…………(口笛で何かを言おうとしてるみたいだけど……)」
少女 「(口笛だから何言ってるのかわかんないや……)」
クルペッコ 「…………マイ、ロード!!」
ラギアクルス 「左様、卵は無事に見つかり、このように御体も無事だ」
ラギアクルス 「ウラガンキン様、この者は騎士団の重鎮、人呼んでホイッスルの申し子、ホイッスラークルペッコです」
ウラガンキン 「ぺこー」
クルペッコ 「……ハッ!!」
626 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:12:55.16 ID:oVCt.mo0
クルペッコ 「(♪)ピュルルィ!」
クルペッコ 「!!!」
クルペッコ 「(♪)ピュゥ! 何故〜〜♪」
クルペッコ 「(♪)人間が〜!」
クルペッコ 「(♪)ピュルッポ、ピュルッポン! ピュッピュルウポッポ!」
ラギアクルス 「ホイッスラー。口笛になっているぞ」
クルペッコ 「(♪)ピュルッポ…………」
トレニャー 「……う……何か心臓にドカンとインパクトが…………」
クルペッコ 「カァァァァッ!」
トレニャー 「(ドォォォンッ)ぶぅぁぁぁ!」
トレニャー 「………………(ドサリ…………)」
ラギアクルス 「詳しいことは、ここを出ながら話そう。連れが雪崩に巻き込まれている」
クルペッコ 「うむ(こくり)」
627 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:13:59.39 ID:oVCt.mo0
クルペッコ 「…………そうか。こちらのバンビ〜ナは、ウラガンキン様の……」
ラギアクルス 「ああ。途中で、ベリオロスの裏切りに遭った」
ラギアクルス 「ホイッスラーが来てくださらなかったら、どうなっていたことか」
クルペッコ 「何……いつもとは違う空気を感じてな……」
少女 「(普通にしゃべれるんだ……)」
クルペッコ 「しかし……」
ラギアクルス 「ああ。ベリオロスは、キュロス王家の傍仕えだ。だんだんと話が見えてきたな……」
ラギアクルス 「考えまいとしていたことだが、これは、早急にボルボロス様に拝謁せねばならぬ」
クルペッコ 「(♪)ピュル」
クルペッコ 「ボルボロス様は……伏せっておられる」
ラギアクルス 「!! 何!?」
クルペッコ 「卵を盗まれたことで、気が落ちておられる。そこから持病が悪化されてしまったのだ……」
ラギアクルス 「何ということだ……! くっ……!!」
クルペッコ 「(♪)とにかく〜♪」
クルペッコ 「(♪)ここから出るぞ〜〜(↑↑)♪」
少女 「(歌った……!?)」
ラギアクルス 「了解した。テオ殿たちも気になるが、引き返せない以上、前に進むしかあるまい……」
少女 「………………(おじさん…………紫ちゃん…………)」
628 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:14:51.20 ID:oVCt.mo0
―凍土、ドスバギィの群落―

子バギィ 「チィ。親父ィ、何だァ今の雪崩は?」
ドスバギィ 「…………」
子バギィ 「もうちっとで俺らァもまきこまれっとこだった。どいつかが山の上で暴れたのか? とんでもねぇことしやがる」
ドスバギィ 「………………」
子バギィ 「親父ィ、面倒ごとは御免だぜ。早いとこ戻ろうぜ」
バギィA 「若旦那! 報告です!」
子バギィ 「おう。下ァどうなってた?」
バギィB 「完全に雪で埋まっちまってらさァ。こりゃ、しばらくの間上にはァ行けんでさぁな」
子バギィ 「そうか。巻き込まれたアホはいねぇだろうなァ?」
バギィA 「そいつぁ確認ずみでっせ」
バギィB 「全員無事でさ」
子バギィ 「オーライオーライ。てめぇら、そんじゃ母ちゃんのとこ行って、問題ねぇって報告してきな」
バギィA 「了解しやした」
バギィB 「合点でさ」
629 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:16:10.65 ID:oVCt.mo0
ドスバギィ 「…………」
子バギィ 「親父ィ、さっきから黙りこくってどうしたぃ」
子バギィ 「こんな雪崩吹雪じゃ、獲物なんざとれやしねぇ。今日のところは帰ろうぜ」
ドスバギィ 「…………血…………」
子バギィ 「ん? 何か言ったか親父……」
ドスバギィ 「(ドスン、ドスン)」
子バギィ 「お……おい親父ィ!」
バギィA 「若旦那! 大旦那!」
子バギィ 「てめぇらは早く戻れや。おーい、親父ィ!!(ドスン、ドスン)」
ドスバギィ 「………………」
ドスバギィ 「掘れ」
子バギィ 「掘れって……この雪を? 何でさ」
ドスバギィ 「…………(バシッ)」
子バギィ 「痛っ。叩くなよ。ったく……いい歳こいて偏屈はなおらねぇな」
子バギィ 「ここでいいのかい」
ドスバギィ 「………………」
子バギィ 「(ザクッ、ザクッ、ザクッ)」
630 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:17:01.74 ID:oVCt.mo0
子バギィ 「しっかしよぉ」
子バギィ 「最近は王族の動きもあわただしくて、統率とれんくなってらぁな」
子バギィ 「いろんなとこで小競り合いもおきてやがる」
子バギィ 「聞けば、ボルボルスの卵がなくなったせいだっつぅじゃねぇか」
子バギィ 「まったくよ。もしこの雪崩がその余波だっつぅなら、とんだとばっちりだぜ」
子バギィ 「(ザクッ……ガチンッ)」
子バギィ 「!? 何だァ? 親父ィ、ビンゴだ!」
子バギィ 「まったく、親父の鼻には驚かされるぜ。獲物が埋まってらぁ」
ドスバギィ 「………………」
子バギィ 「しっかし何だ……でっけぇな……(ザクッ……ザクッ……)」
631 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:18:22.22 ID:oVCt.mo0
子バギィ 「……? ンだァ、こりゃ」
クック 「……………………」
子バギィ 「鳥……? 竜……? 何だこのエリマキトカゲの化けモンは……」
子バギィ 「親父? 知ってるか?」
ドスバギィ 「………………イャンクック………………」
子バギィ 「親父が知ってるモンスターなのかい」
子バギィ 「つぅか食えるのかこれ……なんか筋張ってそうだな」
ドスバギィ 「(くいっ)」
子バギィ 「はぁ? 運べって? 食わねぇのか?」
ドスバギィ 「………………」
子バギィ 「まぁ……親父がそう言うならいいけどよ。おい! てめぇーら!」
バギィC 「へい!」
バギィD 「お呼びで!?」
子バギィ 「このヘンテコな物体を、巣の中に運びな」
632 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:19:41.60 ID:oVCt.mo0
バギィC 「何だァこの不気味な鳥は!?」
バギィD 「鳥!? トカゲじゃねぇのか!?」
バギィE 「いや、これ竜じゃね? 一応羽あるぜ」
子バギィ 「ガタガタ言ってんじゃねぇよ。まだ息はあんのか?」
バギィC 「生きてるっすが、雪の中に埋まってたんだ。凍傷になってる部分がありやすぜ」
子バギィ 「俺も行くぜ。母ちゃんたちに手伝ってもらって、湯で温めっぞ」
バギィ達 「合点でさ!」
ドスバギィ 「…………」
子バギィ 「親父、戻るぜ?」
ドスバギィ 「…………」
子バギィ 「どうしたんだィ、雪山の上なんて見上げて」
ドスバギィ 「…………異邦の臭いだ…………」
ドスバギィ 「………………」
子バギィ 「異邦?」
ドスバギィ 「巣に全員戻り、入り口を岩で固めろ……」
バギィ達 「合点承知でさ!!」
633 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:20:37.82 ID:oVCt.mo0
―クックの夢の中―

青クック 「あなた、もうすぐ産まれそうよ」
クック 「そうかそうか。いや、今度は私が卵を温めよう」
青クック 「本当? お願いしていいかしら」
クック 「どれ……こっちが男の子で、こっちが女の子かな?」
青クック 「ふふ……まだ産まれてくるまでは分からないわよ」
クック 「一度に二つも卵を産むなんて、お前もずいぶん無理をしたなぁ」
青クック 「あら、まだまだ私は大丈夫よ。現役です」
青クック 「それじゃ、私は夕食を作ってこようかしら」
クック 「今日はなんだい?」
青クック 「確か、キレアジの干し物がまだあったわね。焼いてくるわ」
クック 「おお、私のは」
青クック 「ミディアムレアね。分かってるわ」
634 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:21:52.38 ID:oVCt.mo0
クック 「(私達の、初めて出来た子供……)」
クック 「(元気に育ってくれるといい……)」
クック 「(外の世界は、つらいことや悲しいことも多いが……)」
クック 「(どうか、そのしがらみにとらわれずに、自由に羽ばたける子に育ってほしい……)」
クック 「(ふふ……いい匂いがしてきたな……)」
クック 「(無事に産まれてくれることが、今は一番の望みだ……)」
クック 「(そうだ、フルフルさんに、子供の育て方をもう一度、明日聞いてこよう)」
クック 「(みんなにも、子供が生まれるということを言わなければ)」
クック 「(みんな驚くぞ……)」
クック 「(どうか……どうか元気に……)」
クック 「(無条件に、幸せに……)」
クック 「(それが、親の願いだ……)」
635 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:23:15.49 ID:oVCt.mo0
―ドスバギィの群落、巣の中―

クック 「…………(ズキッ)うっ……」
母バギィ 「……?」
クック 「うう……?」
母バギィ 「目ェ覚めたかい」
クック 「ここは…………」
母バギィ 「父ちゃん、イャンクックとやらが目を覚ましたよ」
ドスバギィ 「(ズン、ズン)…………」
クック 「あなた達は……それに、どうして私の名前を……」
クック 「(ズキッ)……ぐっ……」
母バギィ 「動くんじゃないよ。あんたの足と翼の先は、今凍傷で腫れ上がってるんだ」
母バギィ 「お湯で暖めた薬草を貼り付けてある。剥がすんじゃないよ」
クック 「………………?」
クック 「(本当だ……きれいに処置がされている……)」
クック 「すまない。苦労をかけます」
636 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:24:06.49 ID:oVCt.mo0
母バギィ 「うちらはバギィ一族さ。あんたが雪に埋まってるとこを掘り出したんだ」
クック 「雪に埋まって……? そうか……私は、攻撃を受けて……うっ……」
クック 「(処置がなされているが、右翼が切れてしまっている……)」
クック 「(これでは、しばらくの間飛ぶことは出来ない……)」
クック 「バギィさんというのですか。お初にお目にかかります」
母バギィ 「やっぱ父ちゃんの言うとおり、こっちの出じゃないね」
クック 「ええ。私は海の向こうの大陸からやってきました」
クック 「助けていただいて、感謝の言葉が見つからない。何かお礼をさせていただきたいが……」
クック 「あいにく今、相応の代価を持っていないのです」
ドスバギィ 「(ドスン……ドスン……)」
ドスバギィ 「てめぇ……」
母バギィ 「父ちゃんのドスバギィさ」
クック 「助けていただいて、治療もしていただき、迷惑をかけています」
ドスバギィ 「…………馬鹿はモノより口で語ろうとする……」
クック 「は?」
637 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:25:51.39 ID:oVCt.mo0
ドスバギィ 「てめえが、腰に下げてるモンは何だ……?」
クック 「これは……」
クック 「(出発前に、少女が私にくくりつけてくれた、狂走エキスの酒ひょうたんだ……!!)」
クック 「…………いや、うっかりしていた」
クック 「収めてください(スッ)」
ドスバギィ 「(パシッ)………………」
ドスバギィ 「(グビ、グビ、グビ、グビ)」
母バギィ 「まったく、父ちゃんは昼間ッから酒かい」
ドスバギィ 「(プハァ)………………」
ドスバギィ 「いーい酒だ……」
クック 「私の故郷の酒です。仲間が作ってくれました」
ドスバギィ 「(グビリ)」
クック 「(どことなくキングチャチャブーに似ているが……)」
クック 「(さらに輪をかけて無口なようだな……)」
クック 「(だが、悪い人たちではないようだ)」
638 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:27:23.69 ID:oVCt.mo0
母バギィ 「父ちゃん、あちきにもおくれよ」
ドスバギィ 「昼間ッからはマズいんじゃなかったのか……?」
母バギィ 「あちきはいいんだよ(グイッ)」
母バギィ 「(グビッ)……ふん、あちきの地酒の方がまだましさね」
ドスバギィ 「…………」
母バギィ 「待ってな。もっとうンまい酒のましてやっから(ドス、ドス、ドス)」
クック 「あ……いえ、おかまいなく」
クック 「(行ってしまった……)」
ドスバギィ 「(グビリ)………………で、だ…………」
クック 「?」
ドスバギィ 「てめぇは何代目のイャンクックだ……?」
クック 「! 先代のクックに会ったことがあるのですか?」
ドスバギィ 「(グビ、グビ)………………ずいぶん前の話だがな…………」
ドスバギィ 「そうか、野郎は死んだか」
639 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:29:06.37 ID:oVCt.mo0
クック 「私は、18代目のイャンクックです。先代……私の父、母は流行り病で命を落としました」
ドスバギィ 「………………」
クック 「あちらの大陸にお住まいだったことが?」
ドスバギィ 「……あァ。若ェころ、少しな……」
ドスバギィ 「あの時も俺ァ、イャンクックに酒をもらった……」
クック 「父さんが……」
ドスバギィ 「その餓鬼からも、もらうことになるたぁ思わんかったがな……」
母バギィ 「(ドス、ドス)なんだいなんだい。父ちゃんは今日は、ずいぶんと饒舌じゃないかい」
ドスバギィ 「………………」
母バギィ 「ほらよ、キノコ酒だ」
クック 「すみません、いただきます」
母バギィ 「ぐいっとやるのが粋だよ」
クック 「(うっ……これは……)」
クック 「(狂走エキス酒の何倍のアルコールだ!?)」
640 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:30:07.88 ID:oVCt.mo0
クック 「(ええい、ままよ!)」
クック 「(グビッ、グビッ、グビッ)」
クック 「〜〜〜〜〜〜ッカァァッ!!」
母バギィ 「!! こいつ、全部飲み干しよった!」
母バギィ 「ははっ、嬉しいねぇ。おいお前達来てみな! 予想外に粋な奴だよ!」
バギィ達 「何ですかい姐さん」
バギィ達 「うおっ、エリマキトカゲの化け物! 起きたのか!!」
バギィ達 「みればみるほどヘンテコだなぁ」
母バギィ 「お前達も鏡ィ見てきな。ほいよ、イャンクックとやら。どんどん飲みねぇ(ドクドクドク)」
クック 「あ……ありがとうございます。しかし、私はもう行かねば」
母バギィ 「行くってどこにさ?」
ドスバギィ 「………………」
クック 「雪の中から白い獣に襲われて、私の娘や仲間とはぐれてしまいました」
クック 「みな、心配しているはずだ……」
母バギィ 「ふぅむ」
子バギィ 「(ドスン、ドスン)駄目だァ、母ちゃん。雪崩に加えて雪も強ェや」
子バギィ 「裏口からも出れねェな。今日一日、獲物はナシだ」
バギィ達 「若旦那! おかえりなせぇ」
子バギィ 「ふぅ。ん? おォあんた。起きたのか」
641 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:31:09.59 ID:oVCt.mo0
クック 「ああ。君達に助けてもらって、このとおりさ。ありがとう」
子バギィ 「ま、食料にしようとしてたから礼には及ばねぇよ。しかし食えそうにもねぇな、あんたは」
クック 「私の肉はあまり美味くはないと思うよ。それより……」
子バギィ 「何だァ? 外にでてぇのかおっさん」
子バギィ 「無理だ無理。雪崩のせいで、雪が強くて、しかも雹がまじってやがる」
子バギィ 「今外に出るのは自殺行為だぜ」
クック 「………………そうなのか………………」
クック 「(少女……紫殿……)」
クック 「(私が墜落して、飲み込まれる寸前に、テオ殿がナルガ達を助けるのが見えた……)」
クック 「(問題は、ラギアクルス殿が、雪崩から逃げ切ってくれているかどうかだが……)」
母バギィ 「で、あんたァ何でこんなとこにおる?」
ドスバギィ 「…………(グビリ)」
クック 「あぁ、お話しよう」
子バギィ 「ん? 父ちゃんいい酒持ってんな。少しくれ(グビリ)……〜〜ッ効くぜ!」
バギィ達 「若旦那! 俺達にも!!」
バギィ達 「ギブミー! ギブミー酒!」
子バギィ 「おいおいお前ら、慌てるない」
母バギィ 「こら、静かにおし!!」
642 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:32:00.31 ID:oVCt.mo0
クック 「………………というわけなんだ」
子バギィ 「へぇ、こりゃたまげた。盗まれた卵が、そっちの大陸に行ってるとはな」
母バギィ 「ボルボロスの卵が盗まれたっては聞いたけど、そんな大変なことになってるとはねぇ」
ドスバギィ 「………………」
クック 「私の娘と、ウラガンキンは一緒にいる。何もなければいいが……」
クック 「ラギアクルス殿は王政だと言っていたが、あなた方は関係がないのか?」
母バギィ 「あちきらは、そういったしがらみが嫌でここに住んでるってなところがあるからね」
母バギィ 「ドスジャギィ達ならいざ知らず、王政についてはよぉわからんのよ」
クック 「そうなのか……(いや、むしろそのような方々に助けてもらったのは幸運だ)」
ドスバギィ 「………………ウラガンキン2世がいるのか?」
クック 「あぁ、私の娘と一緒にいます」
ドスバギィ 「で、その娘ってのが人間ってか……」
クック 「…………はい」
ドスバギィ 「……………………」
ドスバギィ 「変わってンな、今も昔も、イャンクックはよ…………顔も、中身もな……」
クック 「はは……よく言われます」
643 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:32:54.43 ID:oVCt.mo0
ドスバギィ 「……ドスジャギィにみつかったらコトだな……」
子バギィ 「確かにな、あいつらの人間嫌いは異常だ」
子バギィ 「それに今ァ、卵がなくなったとかで妙に警戒が強くなってやがる」
子バギィ 「なるべくなら遭いたくねぇ相手ではあるな」
ドスバギィ 「…………」
クック 「残った仲間の方は、私よりはるかに強いから問題はないと思うが、やはり娘が心配だ」
母バギィ 「ふぅむ。とにかくさ、ラギアクルスはボルボロスのところに向かってるんだろ?」
母バギィ 「明日になりゃ雪もやむさね。その時に、子バギィ、このおっさん連れてってやりな」
子バギィ 「あん? 別にいいけどよ……揉め事は御免だぜ」
母バギィ 「次期党首が何言ってんだ。ガタガタぬかしてっと、口に尻尾詰め込んで、もっとガタガタ言わすぞい」
子バギィ 「ケェ。母ちゃんの言葉はマジにとれっからやめてくれ」
母バギィ 「あちきはいつでも本気さ。ま、ラギアが無事なら、砂原に出てるだろ。行ってみりゃわかる」
クック 「すまない、お願いできるだろうか」
子バギィ 「あぁ……別に構わねーけどよォ。ジャギィだな、問題は」
クック 「ジャギィ?」
子バギィ 「砂漠に住む、嫌な奴らだ。ハーレムを作って暮らしてやがる
子バギィ 「一応騎士団のメンバーだが、キュロス王家の方だから信用はならねぇな」
644 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:35:40.85 ID:oVCt.mo0
クック 「キュロス王家?」
子バギィ 「ああ。王家には二種類あって、ボルボロスとウラガンキンの正当王家と、ベルキュロスの摂政王家だ」
子バギィ 「摂政王家は、正当王家が王政を行えなくなったときに代わりに王座につく奴らさ」
子バギィ 「普段は、政治に関することをやってる」
子バギィ 「どうも、キュロスは昔ィから正当王家にいいイメージを持ってないからなァ」
子バギィ 「あんたらを襲ってきたベリオロスも、キュロス王家に仕える墓守さ」
クック 「なるほど……そうなのか……」
クック 「話が見えてきたぞ……ウラガンキンの卵は、もしかしてキュロス王家が……」
クック 「だから、私達が連れ帰ってきたときに、殺そうとしてきたのか……!!!」
子バギィ 「ま、先走りすぎる考えもどうかとは思うがね」
子バギィ 「人生何しろ慎重が一番だぜ、おっさん」
母バギィ 「誰の言葉だいそれ」
子バギィ 「どっかの若旦那さんの言葉さ。危ない橋には手ェ出さないのが吉だ。いずれ勝手に共倒れになってくれる」
645 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:36:50.62 ID:oVCt.mo0
クック 「……一理あるが、娘が巻き込まれている……」
クック 「砂原の騎士団、ジャギィとは、そのキュロス王家に仕える者たちなのか?」
子バギィ 「ああ。ベリオロスが襲ってきたんなら、ジャギィにも気をつけたほうがいいな」
子バギィ 「奴ら、本格的に反乱をたくらんでるのかもしれねぇ」
ドスバギィ 「………………」
ドスバギィ 「…………俺も行こう…………」
クック 「!! ドスバギィ殿! いいのですか?」
ドスバギィ 「…………いーい酒だった」
ドスバギィ 「昔を思い出した………………」
クック 「………………」
ドスバギィ 「それ以上はねぇ……」
クック 「かたじけない……!!!」
母バギィ 「ふぅん、父ちゃんもモノ好きさね。ま、とにかくそういうことなら、今日はしっかり食って傷を休めんさい」
母バギィ 「あちきが、いっちょ精の出る料理を作ってやっか。手ェ空いてる奴は手伝いな!」
バギィ達 「合点っす!!」
クック 「(少女……無事でいてくれ……!!)」
646 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:37:55.05 ID:oVCt.mo0
―モガの村、昼間―

太刀 「ちょ……ちょっとハンマー。本気?」
太刀 「スラッシュアックスは、危ないからモンスターのいる場所には近づくなって言ってたじゃない」
太刀 「いくらあんたでも無茶があるよ」
ハンマー 「……しかし、雪原の方で、巨大な竜を見たという話を村人から聞いた」
ハンマー 「それが本当なら、もののついでだ。少し見てこようと思ってな……」
ハンマー 「(それに、先ほどから古龍の大宝玉が静かに明滅を繰り返している……)」
ハンマー 「(赤い光だ……振動はしていないが……)」
ハンマー 「(少女……もしかして、俺に助けを求めているのか……?)」
ハンマー 「(……約束した。俺達は仲間だと)」
ハンマー 「(たとえ適わずとも、役に立たずとも、仲間ならば……友達ならば)」
ハンマー 「(困ったときに助けて、近くにいてやらなければいけない)」
ハンマー 「(なぜなら、あの子は人間なのだから……!!)」
647 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:39:17.29 ID:oVCt.mo0
ハンマー 「(ガチャコン)……それじゃ、少し行ってくる」
太刀 「……はぁ。あんたってば、ほんと昔から言い出したら聞かないわね」
太刀 「わかった。あたしも行くよ」
ハンマー 「お前も?」
太刀 「(ジャキィン)この前、武器新調したしね。試し切りができるかもしれないじゃん」
太刀 「連れて行きなさいよ。嫌とは言わせないわ」
ハンマー 「…………分かった。一緒に行こう」
太刀 「そうと決まったら、防寒と防暑対策をしていかなきゃ。あそこまじ寒くて、少し抜けると暑いからおかしくなるよ」
ハンマー 「う……うむ」
太刀 「そんな軽装で行ったら絶対死ぬ。いいからあたしに任せておきなさい」
ハンマー 「……分かった。よろしく頼む」
648 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2009/07/22(水) 15:40:33.47 ID:oVCt.mo0
―雪原、少し前―

テオ・テスカトル 「ナルガ殿、紫殿、無事か!?」
ナルガクルガ 「俺は大丈夫だ。このガキを頼む」
紫ガミザミ 「ひっく……ひっく……」
テオ・テスカトル 「泣かないでください、紫殿。しかし、二人で力をあわせた方が……」
ナルガクルガ 「奴の狙いは俺だ……あんたは、それよりクックを……」
 >ゴゥゥゥゥゥ
ナルガクルガ 「くっ……(風が強くなってきた……それに、雪も!!)」
ナルガクルガ 「(奴の白い体が保護色になって、どこにいるのかわからない……!!)」
ナルガクルガ 「(上か!? 下か……!!)」
ナルガクルガ 「(切られた部分の出血も止まらない……)」
ナルガクルガ 「(早く処置をしなければ……)」
テオ・テスカトル 「ぐぅ……こう雪が強くては飛び立てん……」
テオ・テスカトル 「それにラギアクルス殿を完全に見失ってしまった……!!」
テオ・テスカトル 「くそ……クック殿ォォォー!!」
649 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:41:40.52 ID:oVCt.mo0
ナルガクルガ 「!! 来る!」
ベリオロス 「ガルルルルルッ!!」
ナルガクルガ 「(また雪の中……下からか!!)」
ナルガクルガ 「(ズザッ!!)」
ベリオロス 「(スカッ)……!!?」
ナルガクルガ 「(動きが鈍ってきている……! 疲れているのか!!)」
ベリオロス 「はぁ……はぁ……!!」
ナルガクルガ 「そう何度も同じ手にかかるか!!(ズバッ!!)」
ベリオロス 「(ザシュッ)ぐぁ…………」
ナルガクルガ 「終わりだ! 死ね!!(バッ!!!)」
ベリオロス 「!!!!」
650 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:43:18.13 ID:oVCt.mo0
ナルガクルガ 「…………(ビクッ)」
ナルガクルガ 「な……(何だ!?)」
ナルガクルガ 「(このモンスターの顔を、真正面から見たとき……体が動かなくなった!!)」
ナルガクルガ 「(何だ、この感情は……!!)」
ナルガクルガ 「(胸の奥から、溢れるような……これは……!!!!)」
ナルガクルガ 「(くそっ……攻撃が来る……早く、殺さなければ……!!)」
ナルガクルガ 「(体よ、動けぇ!!)」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ 「(……攻撃してこない……)」
ベリオロス 「………………」
ベリオロス 「…………貴様、名は…………?」
ナルガクルガ 「………………」
ナルガクルガ 「…………ナルガクルガだ」
ベリオロス 「覚えておこう。勇士ナルガクルガ。我が名はベリオロス」
ナルガクルガ 「(ベリオロス……?)」
ナルガクルガ 「(この声……懐かしい声……!!)」
ナルガクルガ 「(俺は、この声を知っている!!)」
651 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:44:25.91 ID:oVCt.mo0
テオ・テスカトル 「ナルガ殿!!(ドドドド)」
ベリオロス 「……また合間見えようぞ(ドバッ)」
ナルガクルガ 「………………」
ナルガクルガ 「……(去ったか……)」
テオ・テスカトル 「奴は!?」
ナルガクルガ 「去ったようだ……ぐっ……」
テオ・テスカトル 「傷が深い。とにかく、休める場所に移動しよう」
ナルガクルガ 「………………」
ナルガクルガ 「(あのモンスターは、もしや……)」
ナルガクルガ 「(俺の…………)」
652 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:45:17.07 ID:oVCt.mo0
―雪原、少し離れたエリア―

ハンマー 「……何だこれは……いきなり雪がひどくなったぞ……」
ハンマー 「天候がまったく安定しない島だな……」
太刀 「さ……寒いね……」
太刀 「でもここが、砂原通ってぐるりと一回りするのに最適なコースなんだよ……」
太刀 「ううう寒っ……」
太刀 「ちょっとハンマー、もう少しくっついて歩いてくれる?」
ハンマー 「ああ、こうか?」
太刀 「ちょっ……! そこまでくっつけとは言ってない!」
ハンマー 「…………! しっ」
太刀 「大体あんたは昔から……」
ハンマー 「(大宝玉が強く光り始めた……)」
ハンマー 「もしかして、少女が……」
太刀 「ん? 何?」
太刀 「あ……その武器光ってるじゃん。それにあったかい〜〜」
太刀 「もうちょいそれこっちによせて」
653 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:46:33.81 ID:oVCt.mo0
ハンマー 「(方向は……こちらが、反応が一番強い……)」
太刀 「ちょっとハンマー、聞いてるの?」
ハンマー 「(雪崩でもあったのか……? やけに谷が雪で埋まっているが……)」
ハンマー 「(あっちは氷山のふもとになる……)」
太刀 「……!! あれ! ハンマー、何かいる!!」
ハンマー 「!! あれは……!!」
太刀 「(ジャキィ)あれってまさか……炎王龍と、迅竜!? 何でこんなところに!!」
ハンマー 「(少女と一緒に来たのか……)」
ハンマー 「(しかし、ガミザミの子供以外に少女達の姿が見えないが……)」
ハンマー 「(…………様子がおかしい……)」
654 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:47:36.88 ID:oVCt.mo0
ナルガクルガ 「…………ぐっ…………」
紫ガミザミ 「ナルガ殿! ひどい……こんなに深く斬られて……」
ナルガクルガ 「これくらいどうということは……」
テオ・テスカトル 「処置をしようにも、我にはこうやって、酒で消毒をしてやることくらいしか……」
ナルガクルガ 「(ジュッ)ぐっ……」
紫ガミザミ 「ナルガ殿……!!」
テオ・テスカトル 「それに完全にクック殿やラギアクルス殿を見失ってしまった……」
テオ・テスカトル 「見渡す限り雪だ……こんな中で、どう動けと言うのだ……」
テオ・テスカトル 「!!」
テオ・テスカトル 「何か近づいてくる!!」
655 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:48:29.69 ID:oVCt.mo0
太刀 「何してんの!? ハンマー、あんなの一時に相手に出来ないよ。逃げるよ!!」
ハンマー 「………………」
ハンマー 「迅竜が怪我をしているのか……!!」
太刀 「え!? 怪我?」
太刀 「ちょっ……待って!!」
ナルガクルガ 「…………人間の臭いだ…………!!」
テオ・テスカトル 「あの武器は…………」
テオ・テスカトル 「まさか、あの時の人間!?」
紫ガミザミ 「ひゃ……に、人間…………」
ナルガクルガ 「俺の後ろに隠れていろ」
紫ガミザミ 「(コクリ)…………(サササッ)」
656 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:49:41.28 ID:oVCt.mo0
ハンマー 「(ザッ)…………久しぶりだな、炎王龍、それに迅竜。砦蟹の侵攻の折には世話になった」
テオ・テスカトル 「……グルルルルル」
ナルガクルガ 「グルルルルル…………!!」
ハンマー 「襲いかかってこないところを見ると、やはりあの時の……そう威嚇するな。ここで遭ったのも何かの縁だろう」
太刀 「ハ……ハンマーがモンスターと話してる……」
ハンマー 「太刀、何度も聞かせただろう。このモンスター達は、砦蟹の侵攻のとき、俺を助けてくれた」
太刀 「ずいぶん噂になってたりもしたけど……ご、ごめん。正直作り話かと……」
ハンマー 「迅竜……怪我をしているのか」
ナルガクルガ 「……!!」
ハンマー 「俺も昔、お前たちモンスターの仲間に命を救われた。恩返しをさせてくれ」
ハンマー 「秘薬は……まだ残っているな」
657 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:50:55.00 ID:oVCt.mo0
紫ガミザミ 「す……すごいぞな! 人間が薬を塗ったら、ナルガ殿の怪我が治っていく!!」
テオ・テスカトル 「こ奴、やはりあの時の……」
テオ・テスカトル 「もしや少女を追って、ここまで来たのか……」
ナルガクルガ 「……ふん……」
ナルガクルガ 「痛みは消えたが……礼は言わぬ」
テオ・テスカトル 「だが、これでクック殿達を探しにいける」
ナルガクルガ 「………………」
ハンマー 「×××××××!!」
ナルガクルガ 「何かを言っているな……」
テオ・テスカトル 「おそらくは、少女を探すのを手伝わせてほしいとのことだ」
ナルガクルガ 「言葉が、分かるのか?」
テオ・テスカトル 「いや……しかし、どことなく、こ奴の気持ちというものが分かるような気がしてな……」
テオ・テスカトル 「よかろう。人間。我の背中に乗るがよい」
紫ガミザミ 「ひぃぃぇぇ。てお、人間じゃぞ!!」
ナルガクルガ 「お前は俺の頭に早く乗れ」
658 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:51:57.96 ID:oVCt.mo0
ハンマー 「む……炎王龍、また背中に乗せてくれるのか!!」
太刀 「ま……マジ? 古龍の背中に乗れるの!?」
ハンマー 「少女が何かトラブルに巻き込まれたようだ。助太刀する!(バッ)」
太刀 「待って、あ……あたしもいいの!?」
ハンマー 「俺の仲間だ! 手に掴まれ!」
太刀 「……うん!(バッ)」
テオ・テスカトル 「ギャォォォ!(バッ)」
ナルガクルガ 「………………(シュバッ!!)」
太刀 「きゃぁぁぁ!! と……飛んだ!!」
ハンマー 「(少女……今、助けに行くぞ!!)」
659 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/22(水) 15:53:52.12 ID:oVCt.mo0
お疲れ様です。次回に続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/38/imga97a0a7ezikczj.jpeg

コンタクトやトライのお誘いなど、>>613をご参照ください

夏休みですね。蒸し暑かったり寒かったりしますが、体調が一番とも申します
おいしいものを食べて、しっかりと夏を乗り切ってください
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 15:55:27.19 ID:sO7459Yo
乙!
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 15:57:50.43 ID:9dXCg/6o
相変わらずの面白さで安心するぜ
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 17:44:32.42 ID:H.cPyEAO
三毛猫さんお疲れ様です。
読む度に鳥肌もんですよ…

いつか、PSPやwiiが復活したら一緒に狩りに行きたいもんです!

まずは体を大切にして下さい!次回も楽しみに待ってます!
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 18:29:18.50 ID:I0tLnTYo
ハンマー良いねぇ。乙です。
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 20:02:41.57 ID:WwWT7HQo
三毛猫さん乙です!

ひさびさの共闘きましたねww
ハンマーさんかっこええわ!
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 21:27:21.87 ID:K.8gQIwo
>>613
wiiはないだんぜ・・・
残念だ・・・
とりあえず読ませてもらう
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 22:00:25.12 ID:OGnuzToo
ベル様にペシペシ叩かれたいぉ
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/23(木) 01:14:14.81 ID:8fJwJp6o
http://www.famitsu.com/image/2753/vr772CPZMdr11G85Mww6s33DSpZ4u2O3.jpg
http://www.famitsu.com/image/2753/Ebvd22Vlu2i5K5VAn3m826lQ5Hd3p5Q8.jpg
http://www.famitsu.com/image/2753/IZ143FM61V9ud2Zxj1O686Aackp7ISp5.jpg
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/23(木) 03:52:20.62 ID:gRDNK9k0
三毛猫さん乙です!

炎王龍に乗るハンターとかハァハァする!(熱血展開的な意味で)
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/23(木) 20:42:49.97 ID:PC1Xz3I0
乙です。
毎回楽しくみさせてもらってます!!
くそう、wiiがないから3できない・・・
買う金もない・・・・
PSPででないかなあ〜〜〜
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 12:41:51.58 ID:aw7bUQAO
乙でした。
なにげにペッコがかっこいい!
671 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/25(土) 12:39:47.89 ID:Iq6HVHM0
こんにちは。コメントありがとうございます。
まとめサイトにBBSを設置しましたので、トライのお誘いなど、ぜひお願いします。

http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/25(土) 13:50:39.31 ID:GvSWnm6o
言えない……実はモンハンプレイしたことないけど面白いから読んでるとか言えない……
673 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/25(土) 20:26:34.93 ID:Iq6HVHM0
>>672
ありがとうございます。もしWiiをお持ちでしたら、この機会に一緒に狩りに出かけましょう

今日は地元で花火大会がありました
モンハンと関係はないですが、お仕事で忙しい方など、花火気分をおすそ分けいたします

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/92/imgec7d51b1zik4zj.jpeg

下段真ん中の子がとても美人ですね
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/25(土) 20:42:25.43 ID:hPtohMDO
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 00:01:39.78 ID:Da34x6AO
更新乙です

花火大会良いですね
今年は地元の花火大会を観に実家に帰れなくてしょんぼりです…

テオの背中に乗って実家へ帰りたい…!!!ナルガでも可!
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 00:43:03.56 ID:GP/5nEQ0
うちの地元でも花火あった・・・wwww

買う気なかったトライが気になりだすー
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/30(木) 22:15:55.42 ID:xKwC.dc0
こうしん は ないのかー(゜p゜)
こうしん が ないと…
(^p^)あうあうあー



(´・ω・)つC
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/30(木) 23:28:34.50 ID:bZBfyoAO
>>677
oi daijoubuka?oi!!kiitennnoka!!!
679 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:01:18.71 ID:eU25ltU0
だいぶ間が空いてしまいまして申し訳ありませんでした
次回更新予定なども書くべきでした
6話が上がりましたので投稿させていただきます
680 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:02:12.26 ID:eU25ltU0
6.毒リオレウス 「三十年前の結婚式の後悔を、ここで晴らしてくれらぁ!」

―モガの村―

スラッシュアックス 「…………」
熟練ハンターA 「やはり探しに行くべきだ」
熟練ハンターB 「よそ者をほいほいと、この村に入れるからこうなる」
熟練ハンターA 「聞けば、先日ここに来た二人は、止めるのも聞かずに、凍土の方に向かったらしいではないか」
熟練ハンターA 「無茶な刺激でもして、またモンスターに子供が襲われたらどうする?」
スラッシュアックス 「(ハンマー……太刀、あれほどモンスターの縄張りには近づくなと言ったというのに……)」
スラッシュアックス 「(何か訳があるのか……?)」
スラッシュアックス 「(しかし俺は、族長として皆を守らねばならぬ)」
スラッシュアックス 「(…………行くしかあるまい)」
熟練ハンターC 「どうする、スラッシュアックス」
熟練ハンターA 「やはり追いかけて止めるべきだ。皆もそう思わないか?」
熟練ハンターD 「ああ。余計なことでもされたらコトだ」
熟練ハンターD 「こうしてる間にも、モンスターをブッ殺してるかも知れねぇ」
熟練ハンターD 「ここいらのモンスターは報復してくる。それを知らない奴らじゃないと願いたいが……」
681 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:03:23.63 ID:eU25ltU0
スラッシュアックス 「……二人を追うぞ」
スラッシュアックス 「凍土でやられたハンターもいたな。そうならないよう、俺たちで向かうぞ」
スラッシュアックス 「この機会に、根絶やしに出来るモンスターは根絶やしにする」
スラッシュアックス 「…………それでいいか?」
熟練ハンターA 「戦うとしたら、そのモンスターの巣まで叩かなきゃ意味がないからな」
熟練ハンターB 「俺達は、あんたの決定に従うまでだ」
スラッシュアックス 「……わかった。準備が出来次第出発だ。二人の確保を最優先に考える」
熟練ハンターC 「奴らはどこに行くつもりなんだ……?」
スラッシュアックス 「…………おそらくは砂原」
熟練ハンターD 「! まさか! 今はあそこは……」
スラッシュアックス 「そのようなことをチラリと言っていた。止めねばならぬ」
スラッシュアックス 「村を守るのだ……!!」
682 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:04:16.58 ID:eU25ltU0
―砂原、入り口、夜―

クルペッコ 「(♪)さぁ〜♪」
クルペッコ 「(♪)ドッバダ! ドゥバッダ♪」
クルペッコ 「(♪)ダフゥゥゥ!!!(↑↑)♪」
クルペッコ 「(♪)抜けたぞぉぉぉ〜〜♪」
少女 「(いい声で歌った……!!)」
ラギアクルス 「はぁ……はぁ……」
ラギアクルス 「やっと、凍土を抜けたか……」
少女 「ラギアさん苦しそう……大丈夫?」
ラギアクルス 「何……我の体は陸上には適しておらぬでな……」
ラギアクルス 「地上が少しばかり体に響いているのだ……」
クルペッコ 「(♪)こっちで〜休むがいいだろうぉぉ〜〜〜(↑↑)♪」
トレニャー 「いちいち歌わなくていいんだよ、ヘンテコ鳥め」
クルペッコ 「カァァァッ!!」
トレニャー 「(ドゴォォォッ!)ごうっふ!」
クルペッコ 「カァァ! トゥァァ!」
トレニャー 「(フドゴォォ! ドゴニャァ!)ビャ! グギャァ!!」
トレニャー 「(ふらふら…………バタリ)」
トレニャー 「…………」
683 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:07:09.70 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「ホイッスラーを甘く見るな」
ラギアクルス 「彼は、今までの人間との戦い、同族との縄張り争いにホイッスルひとつで立ち向かってきている」
ラギアクルス 「彼のホイッスルはもはや口笛の域を超えて戦いの技となっているのだ」
トレニャー 「そ……そういうことは早く言ってくれにゃ…………」
トレニャー 「てか何でおいらばっか……」
ウラガンキン 「まんま、まんま」
少女 「あ…………」
少女 「(空気が変わった……)」
少女 「(夜かな……寒いけど、乾燥した砂のにおいに……)」
ラギアクルス 「……砂原に出たか。これで我の体にはもっと厳しくなったな……」
ラギアクルス 「ホイッスラー、ドスジャギィ達は……」
クルペッコ 「…………」
クルペッコ 「……うむ」
クルペッコ 「奴らは、今はボルボロス様にお会いしようとしている者、すべてに検閲を敷いている」
クルペッコ 「話を聞く限り、遭遇はまずいかも知れぬ」
少女 「(普通に喋ってる…………)」
684 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:08:22.32 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「そうなると、少し待たなければならないな……」
少女 「ラギアさん、ドスジャギィさんって?」
ラギアクルス 「うむ。君達には説明をしていなかったが……」
ラギアクルス 「………………と言うわけで、この土地は王政により二つの王族が統治している」
ラギアクルス 「ウラガンキン様は、その王子大公というわけだ」
少女 「そ……そうだったんだ」
少女 「ウラちゃん、すごい人だったんだね」
ウラガンキン 「??」
ラギアクルス 「おそらく、キュロス王家はこの機会に王権打倒を狙っている」
ラギアクルス 「あくまで秘密裏にコトを進めるつもりならば……」
ラギアクルス 「継承者がいなくなったボルボロス様が、王位継承をキュロス家に渡すこと」
ラギアクルス 「それを狙っているのだろう」
ラギアクルス 「そう考えると、ベリオロスの裏切りも説明がつく」
ラギアクルス 「つまり、秘密裏に、生きていたウラガンキン様を始末しようとたくらんでいるのだ」
ラギアクルス 「恐れ多いことを……!!」
685 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:09:25.26 ID:eU25ltU0
少女 「そのドスジャギィさんっていうのは……」
ラギアクルス 「騎士団のメンバーだが、我らボルボロス王家ではなく、キュロス王家に仕える者だ」
ラギアクルス 「それに、奴らは数が多い。見つかったら厄介なことになる」
ラギアクルス 「(しかし憶測の域は出ない……)」
ラギアクルス 「(もしかしたら、ベリオロスの独断かもしれない……)」
ラギアクルス 「(仲間を疑うのは……団長としては本来恥ずべき行為……)」
ラギアクルス 「(仲間に裏切りが出ると言うのは、団長としての不敬……)」
ラギアクルス 「(ボルボロスさまに申し訳が立たぬゆえ、極力そうは考えたくないが……)」
ラギアクルス 「(事実は事実として認識しなければ……)」
ラギアクルス 「………………」
ラギアクルス 「ウラガンキン様は、まだお生まれになって間もない。ドスジャギィの裏切りを確認している暇はない」
ラギアクルス 「我も弱っている。ホイッスラーがいるとはいえ、余計な戦闘は避けるべきだ」
クルペッコ 「(♪)ドゥバ〜ドゥバダ〜(↑↑)♪」
クルペッコ 「………………その通りだ」
少女 「(何でいま歌ったんだろう……)」
686 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:10:23.31 ID:eU25ltU0
トレニャー 「うう……まだふらふらしやすぜ」
トレニャー 「ん? あれは黒真珠じゃねぇですか!」
トレニャー 「オイラが一番に見つけたんですぜ!(ダダダダッ)」
ラギアクルス 「あ! おい猫! 待つんだ!!」
ラギアクルス 「それは、ジャギィ一族の、縄張りの印だ!!」
トレニャー 「へ?(ガサゴソ)」
ラギアクルス 「!! 奴め! 早くそこから離れろ!!」
トレニャー 「離れろったって……何も見え……」
ジャギィノスA 「(ドバッ)……!!」
ジャギィノスB 「(ドバッ)……!!」
ジャギィノスC 「(ドバッ)……!!」
トレニャー 「ひぃ!」
トレニャー 「す……砂の中に隠れてやがったのか!!」
トレニャー 「囲まれた!!!」
687 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:11:15.31 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「くっ……あの猫、殺されるぞ!!」
ウラガンキン 「にゃー!!」
少女 「ウラちゃん、だめ! 私の方に来て!」
ウラガンキン 「まんま……!!」
ラギアクルス 「くそっ……我の体も上手く動かぬ……」
ラギアクルス 「蹴散らせるか……」
クルペッコ 「………………(スッ)」
ラギアクルス 「ホイッスラー!!」
クルペッコ 「ここは私に任せろ、団長」
688 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:12:07.25 ID:eU25ltU0
ジャギィノスA 「何かいるよ」
ジャギィノスB 「何かいるね」
ジャギィノスC 「猫か?」
ジャギィノスA 「猫みたいだよ」
ジャギィノスB 「どうする? 食べる?」
ジャギィノスC 「まずはドスに報告しなきゃ」
ジャギィノスA 「そうだね、ドスに報告しなきゃ」
トレニャー 「ひぃぃぃ。周りをぐるぐる回ってるにゃぁぁ!! キモい! キモいにゃぁぁ!」
ラギアクルス 「あの猫は! よく今まで生き残ってこれたな!」
ラギアクルス 「いくら騎士団とはいえ、縄張りは縄張りだ……」
ラギアクルス 「まずはそこを統括するものに挨拶をせねばならぬと言うのに!」
トレニャー 「お……オイラは美味くねぇですにゃ! やめておくんなましぃぃ!」
ジャギィノスA 「(くすくす)」
ジャギィノスB 「(くすくす)」
ジャギィノスC 「命乞いしてるよ。どうする?」
689 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:13:00.33 ID:eU25ltU0
ジャギィノスA 「とにかく動けなくしてから、ドスに報告しよう」
ジャギィノスB 「よっぽどの馬鹿か敵だもん」
ジャギィノスC 「ドスもきっとそう言うよ」
ジャギィノスA 「そうだよ、そうしよう」
トレニャー 「ひ……ひぃぃぃぃ…………」
少女 「トレニャーさんが…………このままじゃ……!」
ウラガンキン 「にゃー……!!」
クルペッコ 「ン……ッ! ン〜〜ン! マ〜ァ〜〜ァ〜〜」
少女 「クルペッコさん!?」
クルペッコ 「ンン〜〜マァァ〜〜ァァ〜〜〜(↑↑)♪」
クルペッコ 「ふんもっふ! ふんもっふ!」
クルペッコ 「とぅにゃぁぁ!!」
少女 「(ビクッ!)」
ラギアクルス 「少女、下がるんだ。ホイッスラーは今精神集中の儀式に入っている」
少女 「集中? 集中って何を……」
クルペッコ 「(カッ!!)」
クルペッコ 「…………ふぅ」
クルペッコ 「ァァ〜ァ、ゴホン」
690 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:14:27.49 ID:eU25ltU0
トレニャー 「(ガチン)ぎゃぁぁ!」
トレニャー 「こなくそぉぉ! そう簡単に食われてたまるかってのぃ!(ガチンッ!)」
ジャギィノスA 「こいつ……予想以上に生きがいいね」
ジャギィノスB 「(くすくす)でもあたしたちの包囲網は逃れられないよ(ビュンッ)」
トレニャー 「(サササッ)ひぃぃぃ!」
ジャギィノスC 「ほらほら、必死に逃げな!(ヒュンヒュン)」
トレニャー 「きゃぁぁ! お助けぇぇ!!」
クルペッコ 『…………何してんだてめーらよー』
少女 「!!!」
ウラガンキン 「!!?」
少女 「(え……!? 今、クルペッコさんがしゃべったはずなのに……)」
少女 「(別の人の声! しかも、少し離れた場所から……!!)」
691 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:15:27.53 ID:eU25ltU0
ジャギィノスA 「! ドス!?」
ジャギィノスB 「え!? 嘘! ドスが!?」
ジャギィノスC 「み、みんな、急いで頭を下げよう!」
ジャギィノスA 「そ、そうだね頭を下げよう」
ジャギィノス達 「(ザザッ)」
クルペッコ 『何だ、その猫は……』
ジャギィノスA 「ドス、何かこの猫が縄張りに侵入してきて……」
ジャギィノスB 「それをあたし達が捕まえようとしてたんです」
ジャギィノスC 「そうなんです」
ジャギィノスA 「ドスに差し上げます」
ジャギィノスB 「持ってってください」
トレニャー 「ひぃぃ(ブルブル)どっかから声が聞こえるにゃぁぁ…………」
692 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:18:12.28 ID:eU25ltU0
クルペッコ 『いらねぇよ。そんなちいせぇ獲物はよ……バカにすんな』
ジャギィノス達 「(ビクッ)」
クルペッコ 『てめーら……日ごろの狩りはサボってやがるくせに、猫ごときにゃ全力出すのかいオラ』
クルペッコ 『なんとも世知辛いねぇ、ウチの家族は』
ジャギィノスA 「そそそそ、そんなことは」
ジャギィノスB 「あたしたちはサボってなんて」
クルペッコ 『てめーらごときがよぉ』
クルペッコ 『オレに口答えすんのかい』
ジャギィノスC 「(ひそひそ)ば……バカ……謝るんだよ」
ジャギィノスA 「す……すみません!」
ジャギィノスB 「実はサボったり猫をいじめてたりしました!!」
クルペッコ 『…………ケッ』
693 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:19:03.48 ID:eU25ltU0
ジャギィノスB 「で、でもドスは今どこに……?」
クルペッコ 『寒ィから土ン中移動してたら、てめーらが見えたわけだ』
ジャギィノスC 「ドス、せっかくきたんなら、あたし達のところで今夜はゆっくりしてください!」
ジャギィノスA 「たっぷりサービスします!」
クルペッコ 『おいおい、俺ァてめぇらのサボりを叱りにきたんだぜ?』
クルペッコ 『とにかく、猫をいじめるのはやめな。王家がうるせぇ』
ジャギィノスA 「わ……分かったわ(ぐいっ)」
トレニャー 「な……何をするにゃ! 離すにゃ!!」
ジャギィノスA 「(ブゥン)」
トレニャー 「(ヒュゥゥゥ)ギニャァァア!! 投げやがったぁぁ!!」
トレニャー 「(ズボッッ!!)ぶぎゃ!!」
トレニャー 「…………(ガクリ)」
ジャギィノスB 「(くすくすくすくす)頭から落ちたよ」
ジャギィノスC 「(くすくすくすくす)死んだかな? あれ?」
694 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:19:55.43 ID:eU25ltU0
クルペッコ 『何遊んでやがる。それよりてめぇら、何だってこんな夜遅くに、入り口なんかの周りを警備してやがる?』
ジャギィノスA 「そ……それは、ドスが……」
ジャギィノスB 「ねぇ、ドスが……」
ジャギィノスC 「うん……ドスが、ラギアクルスが来るからって」
ラギアクルス 「!!」
クルペッコ 『へぇ。あぁ、そんなことを言ったような気もするな』
ジャギィノスA 「ドスは本当に忘れっぽいねぇ」
ジャギィノスB 「本当にねぇ」
クルペッコ 『てめぇら後で、ひいこら泣かせてやるから覚えてやがれ』
ジャギィノスA 「え? ほんと!?」
ジャギィノスB 「私待ってる!!」
クルペッコ 『で、ラギアが来るからどうしろって俺ァ言った?』
ジャギィノスC 「ラギアクルスが来たら、みんなに知らせて……」
ジャギィノスA 「うん、持ってる『卵』を壊せって」
ジャギィノスB 「聞いたよ」
ジャギィノスA 「確かに聞いたねぇ」
ジャギィノスC 「うん、そうだね」
695 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:20:59.76 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「………………」
ウラガンキン 「…………?」
ジャギィノスA 「その後、ドスがラギアクルスにとどめをさすって」
ジャギィノスB 「だから私達は今、砂原に集まってるってわけさ!」
ジャギィノスC 「あぁ! ドスがラギアの首を噛み千切るなんて!」
ジャギィノスB 「素敵!!!」
ジャギィノスA 「あいつ、態度がでかくて気に食わなかったんだ!!」
ジャギィノスC 「これで次期団長はドス! 私達は団長の妻だ!!」
ジャギィノスB 「うれしいねぇ」
ジャギィノスA 「うれしいことだねぇ」
クルペッコ 「………………」
クルペッコ 『そうかいそうかい。お勤めご苦労』
クルペッコ 『ついでに、お前ら、俺の巣から何か食い物とってこい』
クルペッコ 『少し小腹がすいたもんでな』
ジャギィノスA 「うん! 分かった」
ジャギィノスB 「とってくる! とってくる!」
ジャギィノスC 「すぐとってくる!!!」
ジャギィノス達 「(バババッ)」
696 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:21:56.61 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「…………何と言うことだ…………!!」
クルペッコ 「ゲフン、ゴホン、ン、マァァ〜〜ァァ〜〜♪」
クルペッコ 「……とりあえず近くの三匹はどかしたが……」
少女 「す……すごい! 今の何!?」
ウラガンキン 「???」
ラギアクルス 「ホイッスラー・ペッコは、この島に生きるすべてのモンスターの鳴き声や声音をまねることが出来るんだ」
ラギアクルス 「それに腹話術で遠くに声を飛ばしたりもできる」
クルペッコ 「……これもホイッスルを極めた故のパゥワーだ……」
トレニャー 「ひぃ……こら……死ぬかと思った…………」
少女 「トレニャーさん!!」
ラギアクルス 「次に勝手なまねをしたら見捨てていくぞ」
トレニャー 「ひぃぃん! 怖かったよぉぉ!」
少女 「よしよし、怖かったね(なでなで)」
クルペッコ 「連中は、あなたを狙っている。団長」
ラギアクルス 「…………」
クルペッコ 「急がねば、先ほどの見回りジャギィノスが戻ってくる。行こう」
ラギアクルス 「ああ……」
クルペッコ 「縄張りを避けて秘境に入れば、後はすんなり行ける筈だ」
697 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:22:47.12 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「………………」
ラギアクルス 「よし、とにかくここから離れよう。ドスジャギィに遭うのは避けるべきだ」
クルペッコ 「……そうだな。しかしすべて避けていくのは無理な話だろう」
少女 「トレニャーさんは、私の後ろから離れないでね」
トレニャー 「もう一生少女さんについていくっス」
少女 「助けてくれたのはクルペッコさんだけれど……」
クルペッコ 「このまま進んでいてはいずれジャギィかジャギィノスの見張りに遭遇してしまう」
ラギアクルス 「…………」
クルペッコ 「団長の巨体ならなおさらだ」
ラギアクルス 「どうすべきだ?」
クルペッコ 「増援を呼ぼう。幸い、今は夜。歌うには絶好の空気だ」
ラギアクルス 「増援……そうか!」
クルペッコ 「ようは秘境に、ウラガンキン二世閣下をお連れすればよいのだ」
クルペッコ 「私の音玉は多角からの攻撃に弱い。ならば多角からの攻撃に強い者を呼べばよい」
698 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:23:39.19 ID:eU25ltU0
少女 「(普通にしゃべってればいい声なのに……)」
クルペッコ 「場所は……あの丘がいいだろう」
ラギアクルス 「分かった。移動しよう」
クルペッコ 「ン……ンン……マア〜〜ァァ〜〜〜」
トレニャー 「また何かを始めるつもりだ……」
クルペッコ 「このあたりでいいか……」
クルペッコ 「ホ……ホァァァ〜〜〜〜♪」
クルペッコ 「アァァァ〜〜〜〜ァ! アァ〜〜〜〜〜〜♪」
クルペッコ 「アァァァ〜〜〜〜〜〜アァ〜〜〜♪」
少女 「(高らかにうたいだした……!!)」
クルペッコ 「ブルァァァ!!! ブルァァァ!!」
クルペッコ 『キシャァァァアァァァ!!!』
クルペッコ 「アァァ〜〜〜ァァ〜〜〜♪」
クルペッコ 「………………」
クルペッコ 「…………ゲホッ」
699 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:24:44.26 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「…………」
少女 「…………」
トレニャー 「…………」
少女 「(ずいぶん遠くまで、叫び声が響き渡ったけれど……)」
少女 「(いろんなところに音が反響して、どこから出てきたのかは判然としないみたい……)」
少女 「(でも、いろんなところから、さっきのジャギィノスさんたちと同じ気配が出てきた……!!)」
少女 「(こ……こんなにたくさん……)」
ウラガンキン 「……まんま…………」
×××××× 「(バサッ…………バサッ…………)」
少女 「!! (後ろ……何か、すごく羽音を小さくして、静かに近づいてくる……!!)」
ラギアクルス 「来たか!」
毒リオレイア 「(シュバッ)……………………」
毒リオレイア 「団長と……変態じゃねぇか……」
毒リオレイア 「こんな夜更けに、こんな色気のねぇ場所にあたいを呼び出して、どーするつもりだい」
少女 「リ……リオレイアさん!?」
700 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:25:45.51 ID:eU25ltU0
毒リオレイア 「あん? 何で人間がこんなとこにいんだ?」
毒リオレイア 「(カァ)食っちまうぞ、こら」
少女 「(うっ……お酒臭い……)」
ラギアクルス 「待つんだ毒レイア。事情を話す。少々厄介なことになっていてな」
ラギアクルス 「力を貸してほしい」
毒リオレイア 「そりゃあぁま、色男の頼みとあっちゃ断りようがないけどさぁ(ニヤニヤ)」
毒リオレイア 「相応の代価ってやつぁもらえるんだろうね」
クルペッコ 「こら、毒レイア。お前、目上に対してその口の聞き方は」
クルペッコ 「ンン(♪) 何たることだぁぁ〜〜(↑↑)♪」
毒リオレイア 「うるさいよ音玉親父。つか、爺ちゃんの声まねすんのやめてくんない? いい加減」
毒リオレイア 「ぶっ殺すよ?」
クルペッコ 「やかましいぃぃぃ〜〜〜♪」
クルペッコ 「お前たちを育て世話した私の頼みくらい〜〜♪」
クルペッコ 「あ、聞いたら〜♪ どうなんだ〜〜(↑↑)♪」
毒リオレイア 「あーあーウザいウザい。わかったよ。話くらいはきいてやろうじゃねーか」
701 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:26:48.41 ID:eU25ltU0
トレニャー 「こりゃまた、リオレイアさんにそっくりなドラゴンですなぁ」
ラギアクルス 「………………と言うわけなんだ」
毒リオレイア 「へぇ、これがウラガンキン二世様々ってことか」
ウラガンキン 「…………?」
ラギアクルス 「ウラガンキン様、この者は我が騎士団でも信用の置ける幹部、毒リオレイアです」
ウラガンキン 「れあー」
毒リオレイア 「はいはいばぶーばぶー。あたい子供はもーこりごりだよ」
毒リオレイア 「つか、団長。そこちょっとどいた方がいいな」
ラギアクルス 「ここを? これくらいでいいか?」
毒リオレイア 「あぁOKOK。もうじきだと思うんだよね」
少女 「(? 何か落ちてくる)」
×××××× 「(ヒュゥゥゥゥゥゥ……)……………………(ズバァァンッ!!)」
少女 「きゃぁぁあ!」
毒リオレウス 「へんだらぁ! ジャリがぁぁ! 人の臭いじゃぁぁ!!」
702 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:27:41.55 ID:eU25ltU0
ラギアクルス 「毒リオレウス! 君も来てくれたのか!」
毒リオレウス 「(くんくん、くんくん)ちっ……なんだなんだなんだぁ? 人の臭いがするでぇ?」
毒リオレウス 「って、毒レイア! てめ、わしより先に飛ぶなっつーたやろが! 女(スケ)がこらァ!」
毒リオレイア 「あぁぁん!? やんのかこらぁ! 女(スケ)ナメんなやこらぁ!」
毒リオレウス 「妻は夫の後ろォ飛ぶもんやろがこら! てめ、わしの立場なくね? 夫を立てるべきじゃね?」
毒リオレウス 「いやいいわそれ。それよか人の臭いがするわ。何か臭いわ」
少女 「(今度は、リオレウスさんにそっくりな気配の人…………)」
クルペッコ 「シャッ! ラップッ!!」
毒リオレウス 「ンンンンン……〜〜〜〜ッ? 何やぁぁ? このちっぽけな臭ェ人間はよぉぉ〜〜〜」
クルペッコ 「カァァァァッ!」
毒リオレウス 「(ドォォォォンッ)ふぶほっ!」
クルペッコ 「カァァ! カァァ!」
毒リオレウス 「(ドォォォンッ! ドォォォォンッ!!!)ぶっ! ふぶあ!」
毒リオレウス 「(ぴくぴく……)…………(ドサリ)」
毒リオレイア 「あーあー。話聞かねぇから、音玉喰らってやんの」
ラギアクルス 「…………下が騒がしくなってきた。ホイッスラー。毒夫婦。急いだ方がいい」
クルペッコ 「うむ。起きろ馬鹿者(ドゲシ)」
703 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:28:34.60 ID:eU25ltU0
毒リオレウス 「……………………へぇ。じゃ、これがガンキン二世と」
ラギアクルス 「ウラガンキン様、紹介がまた遅れてしまいましたが、こちらは毒レイアの夫で、騎士団百人隊長の毒レウスです」
毒リオレウス 「よろしゅう、おチビちゃん」
ウラガンキン 「りおー」
少女 「よ……よろしくお願いします。毒レウスさん、毒レイアさん」
毒リオレウス 「(チッ)人間がァ」
毒リオレウス 「気安く話ィかけんじゃねェ。耳が腐らァ」
少女 「(ビクッ)ご……ごめんなさい……」
少女 「でも私、あなた達によく似た気配の、同じ名前の竜さんを知ってて」
少女 「あっちの大陸では、とても良くしてもらったから、もしかしたら関係があるんじゃないかって……」
毒リオレイア 「よく似た……? もしかして、リオレウスのことかい!?」
毒リオレウス 「あんクソガキャァァ! 見事な軟弱小僧に育ちやがってからに!!」
少女 「え? は、はい。リオレウスさんです」
ラギアクルス 「そういえば、あなた達にそっくりな竜に遭ったな。ただの同種と思って気に留めなかったが……」
ラギアクルス 「何か、関係があるのか?」
704 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:29:32.83 ID:eU25ltU0
毒リオレウス 「関係も何も、ウチィ飛び出したバカ息子やねん」
毒リオレイア 「のたれ死んだと思ってたよ」
少女 「元気ですよ。今は奥さんと…………」
毒リオレイア 「……………………チッ。一度も挨拶にきやがらねぇと思ってたら、そんなことになってたのか」
少女 「びっくり。リオレウスさんのお父さんとお母さんだったなんて……」
毒リオレウス 「…………………………」
毒リオレウス 「で、団長。急ぐんやろ? 何や? クソガキィとクソ人間の話ィはあとや」
ラギアクルス 「助かる。先ほど話をしたとおりに、ウラガンキン様をこの先の秘境、ボルボロス様の御前にお連れしたい」
ラギアクルス 「しかしどうやら、キュロス王家側が寝返って、ウラガンキン様の抹殺をたくらんでいるようなのだ」
ラギアクルス 「ドスジャギィもその一派だ。何とかここを突破したい」
毒リオレイア 「そんであたし達ってことか」
毒リオレウス 「ケケケケケッ! 合法的にジャギィをブッ殺せるのか?」
ラギアクルス 「まだベルキュロス様と話をしたわけではないから、戦争を起こすつもりはない」
ラギアクルス 「しかし、少しばかり注意を引いてほしい」
ラギアクルス 「私達はその隙に、秘境に繋がる洞窟に入り込もうと思う」
ラギアクルス 「ボルボロス様は……?」
705 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:30:43.90 ID:eU25ltU0
毒リオレウス 「まだ中にこもったままやね」
毒リオレイア 「ベルの野郎に卵を盗まれたせいでまいっちまったんだ! くそが!」
クルペッコ 「よし。それじゃ、お前らバカ夫婦〜〜♪」
クルペッコ 「仲良く喧嘩しな〜〜〜♪」
毒リオレウス 「はぁ?」
毒リオレイア 「あたいらが喧嘩ぁ?」
ラギアクルス 「なるほど。それは妙案だ」
ラギアクルス 「ここでひと暴れして、ジャギィ達の目をひきつけてくれないだろうか」
ラギアクルス 「頼めるか?」
毒リオレウス 「頼めるかも何も、このクソ女(スケ)にゃぁ、日ごろから鬱憤たまりまくってるねん(ポキポキ)」
毒リオレウス 「やっと合法的にてめ、ぶっ殺せる機会が来たってもんよ」
毒リオレウス 「三十年前の結婚式の後悔をここで晴らしてくれらぁぁ!!」
毒リオレイア 「上等だぁコルァ!!」
毒リオレイア 「男は女にかなわねぇってことを、またその体に刻みこんだるよ!!」
少女 「(あぁ……)」
少女 「(リオレウスさんは、多分これが嫌で、あっちの大陸に行ったんだ……)」
706 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:31:39.00 ID:eU25ltU0
毒リオレウス 「死にさらせぇぇ!!(ゴウッ!!)」
毒リオレイア 「熱ゥッ! てめぇぇ!!!(ゴウゥッ! ゴウッ!!)」
 >ドォォォンッ! ドォォォン!!
ラギアクルス 「あの二人は、よく酔った末に喧嘩をしているんだ!」
ラギアクルス 「珍しい光景じゃないから、目くらましになる!」
ラギアクルス 「ジャギィ達の目があっちに向いた!」
クルペッコ 「この隙に〜〜秘境に入るぞぉぉ〜〜(↑↑)♪」
トレニャー 「ギニャァァ! こっちに火の玉が来たにゃあああ!!」
クルペッコ 「カァァァァッ!」
 >パァァァァァンッ
トレニャー 「滅茶苦茶だにゃぁぁ!!」
毒リオレイア 「しゃぁぁ! んなろぉぉぉ!!(バシッ! バシッ!)」
毒リオレウス 「痛ッ! 痛ッ! マジ痛ッ!!」
毒リオレウス 「もう許さねぇぇぇ! クソがあぁぁあ!!(ゴウゥゥッ!!!!)」
クルペッコ 「こっちだ!」
ラギアクルス 「しめた! 避難したジャギィ達の目がない。洞窟に入るぞ!!」
707 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:32:58.69 ID:eU25ltU0
―砂原、別のエリア―

スラッシュアックス 「砂原への抜け道を通ってきたが……騒がしいな」
熟練ハンターA 「スラッシュアックス、あれを見ろ!」
スラッシュアックス 「……!! あれは、火竜と雌火竜!? どうして夜の砂原に……」
熟練ハンターB 「やっぱりモンスターの挙動がおかしい。あのよそ者達のせいじゃないのか?」
スラッシュアックス 「……(ハンマー、太刀、お前たちが刺激したのか……!?)」
熟練ハンターC 「どうする? さすがに二体を相手にするのはきついぞ」
熟練ハンターD 「構うこたぁねぇ。やつらには仲間が数人やられてる。戦うぞ(ガチャコン)」
スラッシュアックス 「……待て」
熟練ハンターD 「何故だ!? 火竜達の暴れっぷりには多大な被害を受けてるんだ」
スラッシュアックス 「前方を囲まれている。火竜の前に、こちらが危ない」
熟練ハンターD 「何だって!?」
708 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:33:54.21 ID:eU25ltU0
スラッシュアックス 「(気配を消して砂の中に……多数のモンスターがいる……)」
スラッシュアックス 「この敵意と殺意が混じった気……これは、通常のモンスターではない!」
スラッシュアックス 「D、避けろ!」
熟練ハンターD 「な……うわぁぁ!」
 >ズバァァッ
ドスジャギィ 「キャラォォォ!!(ズバッ)」
熟練ハンターD 「ぐっ……う゛っ……!!(ドサッ)」
熟練ハンターC 「D、大丈夫か!? くそ……腕をやられて気ィ失ってやがる!」
スラッシュアックス 「B、CはDをかばって後退してくれ。A、俺の背中を」
熟練ハンターA 「分かった」
熟練ハンターA 「月明かりだけでは分からん。一瞬、肉食獣の巨大種のように見えたが……」
スラッシュアックス 「俺にもそう見えた。見たことのない種だ……」
709 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:34:50.02 ID:eU25ltU0
ジャギィ達 「グルルルル……(ババッ)」
ジャギィノス達 「グルルルル…………!!(ババッ)」
熟練ハンターA 「くそ……砂の中に隠れてたのか! こんなにたくさん……!」
ドスジャギィ 「(ドス、ドス)グルルルルルル………………!!」
スラッシュアックス 「(お……大きい!)」
スラッシュアックス 「(こいつが親玉か!)」
スラッシュアックス 「(俺たちは、あの火竜達が暴れているところ、気が立っているこいつらの縄張りに侵入してしまったんだ!!)」
ドスジャギィ 「…………(ギロ、ギロ)」
スラッシュアックス 「(肉食獣とは戦ったことがあるが、親玉と、こんなに多量の敵を相手にしたことは無い……)」
スラッシュアックス 「(今の手数ではいかんともしがたい……!)」
スラッシュアックス 「Dの様子は!?」
熟練ハンターC 「完全に不意打ちだった……まだ目を覚まさない!」
熟練ハンターD 「………………」
スラッシュアックス 「俺とAが時間を稼ぐ。お前たちは下がってくれ」
熟練ハンターB 「無理だスラッシュアックス。数が多すぎる」
スラッシュアックス 「いいから行け!(ガシャコン)」
熟練ハンターC 「……分かった。すぐに戻ってくる!!」
710 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:35:47.09 ID:eU25ltU0
スラッシュアックス 「うおぉぉおお!(ブゥゥン)」
ジャギィ達 「(ドォォォン)ギャァァォ!!」
スラッシュアックス 「チッ……ちょこまかと……つぉら!(ブゥゥン!!)」
ジャギィノス達 「シャァァ!(スカッ) ……ギャォォォ!(バッ)」
熟練ハンターA 「(ズババババッ!!)ぐぁぁああ!」
スラッシュアックス 「A!!!」
熟練ハンターA 「くそ……こいつら、戦い慣れしてやがる……」
スラッシュアックス 「BとC、Dは下がったか……」
スラッシュアックス 「(しかし親玉が……)」
ドスジャギィ 「グルル……グル…………」
ドスジャギィ 「キシャァァ!!(バッ)」
スラッシュアックス 「ぐっ!(ガチィィン)」
ドスジャギィ 「グゥゥァァ!!(ブゥンッ!)」
熟練ハンターA 「な……尻尾が……(ドスゥッ!)ぐあぁぁ!」
スラッシュアックス 「A!! ちぃぃ!(ブンッ)」
ドスジャギィ 「(ガキィィン!)」
スラッシュアックス 「今だ! 属性を開放する!(バッ)」
ドスジャギィ 「!! (ヒュバッ)」
スラッシュアックス 「(何!? 察知したのか……避けた!?)」
711 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:36:39.09 ID:eU25ltU0
熟練ハンターA 「はぁ……はぁ……」
スラッシュアックス 「お前も下がるんだ。今の状況では俺たちが不利だ」
熟練ハンターA 「くそっ様ァねぇな……」
熟練ハンターA 「! スラッシュアックス! 火竜と雌火竜がこっちに気づいたぞ!」
スラッシュアックス 「何ィ!?」
毒リオレウス 「ギャォォォォ!!」
毒リオレイア 「シャァァァァ!!(バッ)」
ドスジャギィ 「(ギリ……)グルルル…………」
スラッシュアックス 「(これは本気を出してかからねばならぬようだ……!!)」
712 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:42:53.23 ID:eU25ltU0
毒リオレイア 「しゃぁぁ! 死ねよやぁぁ!!」
毒リオレウス 「あ痛ァッ!! ちょ、もうラギアたちは行ったんからいいんちゃう!?」
毒リオレウス 「かてって腹立つわぁぁ! くらぁ!(ドゴォッ)」
毒リオレイア 「妻の顔殴りやがったなぁぁぁぁ!!」
毒リオレウス 「じゃあぁかし! 殺気むんむんでそな台詞吐くなや! 正当防衛や!!」
毒リオレイア 「!? おい父ちゃん、何か変だ」
毒リオレウス 「! ……そういや、人間の臭いが……」
毒リオレイア 「ジャギィ達が集まってやがる……」
毒リオレイア 「あれは……ドスジャギィ!?」
毒リオレイア 「人間が砂原に侵入してやがる!!」
毒リオレウス 「こうしちゃいられねぇ! ヒャァ! 人間を久々にブッ殺せるぜ!(ヒュゥゥゥゥ)」
毒リオレイア 「あ! 抜け駆けすんなや!!(ヒュゥゥゥゥ)」
713 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:44:06.92 ID:eU25ltU0
ドスジャギィ 「……何だ? バカ夫妻か?」
ドスジャギィ 「ずいぶんと騒がしい夜だなァコラ」
ジャギィ達 「頭領(ドス)、どうする? こいつら?」
ジャギィ達 「細切れにして海に捨てる?」
ジャギィ達 「それとも、重しつけて沈める?」
ジャギィノス達 「バカ夫婦が向かってくる! 手柄を横取りするつもりなんだ!」
ジャギィノス達 「ドス、判決を出して!」
ドスジャギィ 「人間……」
ドスジャギィ 「じゃぁめんどくせぇからよぉ」
ドスジャギィ 「不法侵入と、何かムカつくの罪で、判決ゥゥ、死刑!」
ドスジャギィ 「やっちまうぜ野郎ども」
ドスジャギィ 「準備が整うまで、バカ夫婦に手柄ァ横取りさせんな」
ドスジャギィ 「ラギアのクソ野郎はとりあえず後だ!!」
ジャギィ&ジャギィノス達 「ギャォォォォ!!」
714 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:45:01.41 ID:eU25ltU0
スラッシュアックス 「A、お前も下がれ!」
熟練ハンターA 「スラッシュアックス、お前はどうするんだ!?」
スラッシュアックス 「幸い雷の武器を持ってきている。属性を開放すれば、渡り合えるはずだ!(ジャキィン)」
熟練ハンターA 「無茶だ! お前一人でこんな大勢と……」
スラッシュアックス 「いいから逃げろ! その傷では戦闘は無理だ!!」
スラッシュアックス 「うぉぉぉ!!(ブゥンッ!)」
ドスジャギィ 「(サッ)ギャォォォォ!」
スラッシュアックス 「……閃光玉を食らえ!!(バッ)」
スラッシュアックス 「A、目を閉じろ!」
 >シパァァァッ!!
ドスジャギィ 「ぐっ……光の玉か!!」
ジャギィ達 「うわぁぁぁ!! 目が!」
ジャギィノス達 「きゃぁぁ!!」
毒リオレウス 「……人間めがぁ!!」
毒リオレイア 「目が……やってくれるじゃねぇか……!!」
715 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:45:53.44 ID:eU25ltU0
毒リオレイア 「……? 何だ、この地響きは……」
毒リオレイア 「まさか……」
毒リオレウス 「こ、この振動は……」
スラッシュアックス 「うぉぉぉぉ!!」
ドスジャギィ 「(ザシュッ)ちっ…………!!」
ドスジャギィ 「(ニヤリ)」
ドスジャギィ 「(……やっと来やがったか……)」
ドスジャギィ 「(この人間達を入り口で始末することは簡単だった)」
ドスジャギィ 「(だが、ここまで進入させたのには訳がある!!)」
××××× 「(ドバァァッ!)ギャォォォォォォ!!!」
毒リオレウス 「!! ボルボロス様!?」
毒リオレイア 「何でだ!? 伏せってらっしゃるんじゃなかったのか!?」
スラッシュアックス 「こ……これは……土砂竜!? 隠れていたのか!?」
ボルボロス 「人間……!! 人間ンンン!!!! ギャォォォォ!!」
716 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:47:20.56 ID:eU25ltU0
―砂原、秘境の洞窟―

クルペッコ 「よし、進入に成功したぞ〜(↑↑)♪」
ラギアクルス 「毒夫婦の暴れ方が良かった。このまま奥まで進めば、ボルボロス様にご拝謁できるはずだ」
少女 「ウラちゃん、お母さんに会えるよ」
ウラガンキン 「???」
トレニャー 「ひぃぃ。外で火の玉がビュンビュン飛んでるにゃぁ……」
トレニャー 「くわばらくわばら」
少女 「ウラちゃん。あのね、よく聞いてほしいの」
少女 「私はね、ウラちゃんのお母さんじゃないんだよ?」
ウラガンキン 「??」
少女 「ウラちゃんのお母さんはこの奥にいるの。だから、これからは私みたいな弱い人間じゃなくて……」
少女 「もっと強くて、もっと大きなお母さんに守ってもらってね」
ウラガンキン 「まんま……」
少女 「分かった?」
ウラガンキン 「まんま(ぎゅっ)」
少女 「私の後ろに隠れちゃった……」
ラギアクルス 「…………」
ラギアクルス 「少女、ともかくボルボロス様にご事情を説明せねばならぬ。ウラガンキン様と共に来るが良い」
少女 「はい……分かりました」
少女 「(おじさん……紫ちゃん……大丈夫かな…………)」
717 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:48:13.92 ID:eU25ltU0
クルペッコ 「この奥が〜〜ボルボロス様の寝所だ〜〜」
クルペッコ 「…………」
クルペッコ 「ボルボロス様、夜分遅く恐悦至極に存じます」
少女 「(普通にしゃべった……!!)」
クルペッコ 「即急にお話差し上げたいことがありまして……」
 >ゴゴゴゴゴゴ
ラギアクルス 「な……何だ!?」
クルペッコ 「これは……ボルボロス様が地面を移動するときの地鳴りだ!!」
ラギアクルス 「何だって!? 何故移動など……!!」
クルペッコ 「御免!(バッ)」
クルペッコ 「やはり、ボルボロス様は、今しがた壁を掘りぬいて外へ……!!」
ラギアクルス 「ボルボロス様!! 何をお考えで……!」
クルペッコ 「団長、うろたえるな。洞窟の天井が不安定になっている。落石の前に外に出るぞ」
ラギアクルス 「あい分かった。少女、ウラガンキン様もこちらに!!」
718 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:49:05.72 ID:eU25ltU0
―砂原、少し離れたエリア―

ボルボロス 「グォォォォォォ!!!」
ボルボロス 「人間……!!」
ボルボロス 「わたくしの子供を奪った人間……!!」
ボルボロス 「これ以上何を奪おうというのか……これ以上私から何を奪おうと言うのか!!!」
ボルボロス 「あぁ許さぬ!! 許さぬ!!!」
ボルボロス 「ギャォォォォォォ!!」
ボルボロス 「絶対に許さぬ!!」
熟練ハンターA 「こ……これはまずいぞ。今、土砂竜などと戦う用意はない…………」
スラッシュアックス 「(くそ……これは本当にまずい……)」
スラッシュアックス 「(肉食獣の親玉だけならなんとかなったが、Aが手傷を負っている中、俺一人で……)」
スラッシュアックス 「(いや……)」
スラッシュアックス 「(やるのだ!!)」
スラッシュアックス 「(できないではない、やるのだ!!)」
スラッシュアックス 「(ガチャコン)」
スラッシュアックス 「A、隙を見て安全な地帯まで下がるんだ」
熟練ハンターA 「スラッシュアックス! 死ぬ気か!?」
スラッシュアックス 「死なぬ!」
熟練ハンターA 「!!」
スラッシュアックス 「俺は死なぬ! このモンスターどもにやられた仲間達の重さ、強さ、心がこの武器にはこもっている!」
スラッシュアックス 「それらをすべて開放すれば、俺は負けない!!」
719 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:50:20.74 ID:eU25ltU0
ボルボロス 「シャァァァァァ!!(ズン、ズン、ズン)」
スラッシュアックス 「(肉食獣たちが攻撃をしてこない!?)」
スラッシュアックス 「(火竜と雌火竜は離れている……まずは、この土砂竜をしとめる!)」
スラッシュアックス 「うぉぉぉぉおおお!!(ダダダダダッ)」
スラッシュアックス 「つぉら!!(ザンッ)」
ボルボロス 「(ズバァッ!!)……ッギャァァ!!!」
スラッシュアックス 「! (効いた!? この土砂竜、かなり弱っている!!)」
スラッシュアックス 「(やれるか…………)」
スラッシュアックス 「(いや……)」
スラッシュアックス 「(やるんだ!! 殺すのだ!!! 敵を!!)」
ボルボロス 「ギャォォォォ!(ドドドドド)」
スラッシュアックス 「(土砂を飛ばしてきた……!!)」
スラッシュアックス 「そんな緩い攻撃があたるか!!(ザザザッ)」
720 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:51:15.97 ID:eU25ltU0
スラッシュアックス 「うおぉぉぉぉ!!」
ボルボロス 「!!!」
ドスジャギィ 「(ニヤッ)」
ドスジャギィ 「(そうだ、殺しあえ人間)」
ドスジャギィ 「(俺がチラッと言ってやったんだ。チラッとな……言っただけだ)」
ドスジャギィ 「(上に、あんたの卵を盗んだ人間がいますぜってな……)」
ドスジャギィ 「(ふん……今の弱ったボルボロスに、戦いなど出来ない)」
ドスジャギィ 「(ベルキュロスは子供を殺せとかまどろっこしいことを言っていたが……)」
ドスジャギィ 「(手っ取り早い方法が、こんなにあるじゃねぇかよ)」
ドスジャギィ 「(あばよボルボロス王妃)」
ドスジャギィ 「(あんたにゃ恨みはねぇが、俺の今後のために、安らかに逝ってくれ)」
ドスジャギィ 「(さびしくはねぇぜ。その後、すぐ子供にも後を追わせてやる)」
ドスジャギィ 「(そうすりゃ、俺はめでたく百人隊長だ)」
ドスジャギィ 「(人生ボロいぜ)」
721 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:52:07.02 ID:eU25ltU0
毒リオレウス 「何や!? 何でドスはボルボロス様を助けねぇ!?」
毒リオレイア 「父ちゃん、今のボルボロス様は戦えるような状況じゃねぇ!」
毒リオレウス 「お助けに行くぞ!(ヒュゥゥゥ)」
毒リオレイア 「ああ!(ヒュゥゥゥゥ)」
ドスジャギィ 「(バカ夫婦が近づいてくるが……)」
ドスジャギィ 「(残念、タイムオーバーだ)」
スラッシュアックス 「うぉぉぉ!!」
ドスジャギィ 「!! (あの人間、ボルボロスの頭に取り付いた!!)」
ドスジャギィ 「(剣を突き刺す気か!)」
スラッシュアックス 「つぉら!!(ドスッ)」
ボルボロス 「ギャァァァ!!」
ボルボロス 「(ブンブン)」
スラッシュアックス 「ふり飛ばされて……たまるか…………!!」
スラッシュアックス 「剣は頭の鱗に突き刺した……」
スラッシュアックス 「雷の属性を、全開放してやる……!!」
722 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:52:59.66 ID:eU25ltU0
―砂原、秘境入り口―

クルペッコ 「ボ……ボルボロス様が人間に襲われている!!」
ラギアクルス 「ボルボロス様ァァァ!!!」
少女 「ラギアさん、どうしたの!?」
ラギアクルス 「人間にボルボロス様が襲われている!! おそらく、ドスジャギィにハメられたのだ!!」
ラギアクルス 「ここからでは、お助けしようにも間に合わぬ!!」
少女 「人間に……」
ウラガンキン 「………………」
ウラガンキン 「まんま……?」
少女 「(ぐっ…………)」
少女 「(やっと会えるのに……)」
少女 「お父さんや、お母さんに会いたくても会えない人も、たくさんいるのに……」
少女 「ウラちゃんは、これからやっと会えるの!」
少女 「だから、やめて…………」
トレニャー 「少女さん……」
トレニャー 「ここからじゃ声も届かねぇッス…………」
723 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:53:51.96 ID:eU25ltU0
少女 「(ぎゅっ…………)」
少女 「(これ……白い猫さんにもらったてるてる坊主のネックレスが、熱い…………!!)」
少女 「やめて…………」
トレニャー 「ひゃっ! 少女さんの体が、薄く白く光りはじめた!!」
ラギアクルス 「こ……これは……」
ラギアクルス 「我ら竜族の神が纏う、白光!!」
少女 「Halten……Sie……es…………an………………」
トレニャー 「……? 少女さん?」
少女 「……Halten! Sie! es! an!!!(やめなさい!!!)」
クルペッコ 「!!!!」
ラギアクルス 「!!!!!」
724 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:54:48.90 ID:eU25ltU0
―砂原、少し離れたエリア―

スラッシュアックス 「今だ……属性を……」
スラッシュアックス 「(ビクッ!!)」
スラッシュアックス 「な……何だ!?」
スラッシュアックス 「(今、巨大な何かににらまれたような……)」
スラッシュアックス 「(!! あれは……!!)」
スラッシュアックス 「(水竜!? その脇に、小さな…………)」
スラッシュアックス 「(人間の、女の子!!!!)」
スラッシュアックス 「(何故あんなところに……!? 襲われているのか!? 物の怪の類か!?)」
ボルボロス 「グ……グォォォォォ!!!(ブンブン!!)」
スラッシュアックス 「(くっ……このままでは振り落とされてしまう!)」
スラッシュアックス 「(とどめを……)」
 >ヒュゥゥゥゥゥ
スラッシュアックス 「(何だ!? 何かが上空を飛んでいる!!)」
スラッシュアックス 「(モンスター!? 見たことのない種が、空を……!!)」
スラッシュアックス 「(! 何かが飛び降りた!!)」
725 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:55:40.09 ID:eU25ltU0
ハンマー 「スラッシュアックス! 少女の声が聞こえなかったのか!!」
スラッシュアックス 「ハンマー!?」
ハンマー 「剣を収めろ! この戦、俺が預かる!!」
スラッシュアックス 「貴様…………!! モンスターに心を冒されたか!!」
ハンマー 「(このままでは、あの竜が止めを刺されてしまう……!!)」
ハンマー 「(この上空に差し掛かったとき、少女が何かを叫んだのが聞こえた……!!)」
ハンマー 「(その時、大宝玉が強く光り輝いた……!!)」
ハンマー 「(おそらくあれは、少女にとって大切な竜……)」
ハンマー 「(つまり、彼女を母と思っている子竜の親!!!!)」
ハンマー 「(スラッシュアックスは、口で止められる男ではない!!)
ハンマー 「(ガシャコン)」
ハンマー 「(落下の勢いで、力ずくで……!!)」
726 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:56:33.63 ID:eU25ltU0
スラッシュアックス 「狂ったか! ハンマー!!!!」
ハンマー 「やらせはしない! うおぉぉぉ!!」
スラッシュアックス 「(駄目だ! 一度この竜から剣を抜いて、迎撃しなければ……!!)」
スラッシュアックス 「つぉらぁぁ!!」
 >ガキィィィンッ!!
ハンマー 「(ドサッ)ぐはっ…………!!」
スラッシュアックス 「(ドサッ)ぐああっ!!」
ドスジャギィ 「(な……何だ!? 見たことのねぇモンスターが空から、人間をもう一匹落としやがった!!)」
ドスジャギィ 「(畜生が! もう少しであの人間は、ボルボロスに止めをさせるところだったのに……!!)」
ボルボロス 「はぁ……はぁ……」
ボルボロス 「人間…………」
ボルボロス 「わたくしの子供を奪った人間……」
ボルボロス 「許さない……絶対に許さない!!!!」
ボルボロス 「ギャォォォォォォ!!!!」
727 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:57:24.37 ID:eU25ltU0
―砂原、秘境入り口―

少女 「(ふらり…………)」
ウラガンキン 「まんま!!」
トレニャー 「少女さん、しっかりしてくだせぇ!!」
クルペッコ 「い……今のは紛れも無く、神の言葉……!!」
ラギアクルス 「この少女は、やはり……!!!
 >ギャォォォォォォォッ!!!!
 >ビリビリビリビリビリビリビリ
ラギアクルス 「グッ……何だ……この咆哮は…………」
クルペッコ 「空気……いや、大気が……揺れる…………!!!」
ウラガンキン 「(ピクッ)」
ウラガンキン 「……!!!」
ラギアクルス 「……! いかん!」
ラギアクルス 「少女、ウラガンキン様! はやくそこから離れてください!」
ラギアクルス 「秘境の入り口が、今の大咆哮で崩れるぞ!!」
728 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:58:32.30 ID:eU25ltU0
少女 「え…………」
 >ゴゴゴゴゴ
ウラガンキン 「まんま……!!(バッ)」
トレニャー 「少女さん!!」
少女 「(ドガッ)うっ…………」
トレニャー 「く……崩れた岩が少女さんの頭に……!!」
ウラガンキン 「まんま!! まんま!!!」
ラギアクルス 「うぉおおお!!(バッ)」
ラギアクルス 「私の体の下に、早く!!!」
トレニャー 「あ、ありがてぇ! 王子さんもはやく!!」
ウラガンキン 「まんま! (ぐいぐい)」
少女 「………………」
729 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 11:59:26.21 ID:eU25ltU0
―砂原、少し離れたエリア―

ハンマー 「(!!! あそこに少女が!!)」
ハンマー 「(だが、今の咆哮の衝撃で、砂漠のところどころが崩れてきている!!)」
ハンマー 「(……! 少女が倒れた!!)」
スラッシュアックス 「ぐ……モンスターめ!!(ガシャコン)」
ボルボロス 「ハァ……ハァ……(ふらふら……)」
ハンマー 「待てスラッシュアックス!!(ガシャコン)」
スラッシュアックス 「何故止める!!」
スラッシュアックス 「貴様、人間を裏切るつもりか!!」
スラッシュアックス 「我らは人間だ! モンスターは敵だ!!!」
スラッシュアックス 「この土砂竜にはおびただしい数の仲間がやられている!!」
スラッシュアックス 「邪魔をすると言うのならば、貴様も斬る!!!!」
730 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/07/31(金) 12:03:53.14 ID:eU25ltU0
お疲れ様でした。次回へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/61/imgee5a592ezikdzj.jpeg

次回の更新は、今の私の体調ですと、およそ一週間後前後(8月4〜7日)を見積もっていただけますと幸いです

明日、トライが発売されますね
私も購入いたしますので、一緒に遊べる方は是非合流しましょう
接続しましたら、その旨こちらで告知させていただきます

また、
BBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
私のサイト(http://blog.livedoor.jp/matusagasin/)にてお誘いなどをいただくことも出来ます
もし何かありましたら、どんどんご接触ください

まだ梅雨が明けていないらしく、雨が続きますが皆さんの体調はいかがでしょうか
蒸し暑い日が続きますが、これから晴天になると思われます
皆さんの夏休みが善き日となるよう、お祈りしております

それでは、今回は失礼をさせていただきます
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/31(金) 12:39:38.50 ID:5LrBI.SO
続きktkr乙!
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/31(金) 13:03:28.20 ID:bz38mkAO
乙でした。
いよいよ明日だ〜
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/31(金) 14:07:10.70 ID:YXu/Mj.o
乙です
スラッシュアクス邪魔くせ〜ww
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/31(金) 15:57:57.78 ID:lUR6zGAo
乙乙!期待してるぜよ
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/31(金) 19:12:35.18 ID:8R9qWIAO
乙です!
今回も楽しかったー
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/31(金) 22:00:25.82 ID:6RvwxOYo
乙!
三毛猫さんと是非一緒にプレイしたいもんだ
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/01(土) 09:37:47.02 ID:HabqxoDO
おまいらいよいよ発売日ですよ(゚∀゚)今日からトライで狩りが始まるぉ
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/01(土) 14:50:30.93 ID:/vvHIWs0
2009/7/31に発送済みの商品:
1 点 モンスターハンター3(トライ)(通常版) 特典 モンスターヘッドフィギュア付き
配送予定日: 2009/8/7


…ナンテコッタ
739 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/01(土) 19:29:09.58 ID:CCbSg8o0
>>738
;x; まだ他のお店に残ってるかもしれません。諦めないでちょっとご覧になってみてはどうでしょうか

接続しました
名前は『Mikeneko』です
でも、ずいぶんと2Gと勝手が変わってしまい色々よく分からないですね……
とりあえず、求人区ワイズ1、街角1にいるようにします
合流できる方、私にこのゲームのやり方などを教えてください……
740 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/01(土) 19:38:31.56 ID:CCbSg8o0
時間を決めた方がいいですね
今日は21:00までいるようにします
合流できる方、よろしくお願いいたします
741 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/02(日) 00:09:53.28 ID:PBb5Ocg0
今日ご一緒できた方々、楽しかったです
時間が来てお先に失礼させていただきまして、すみませんでした

明日(2日・日曜日)は、求人区ワイズ1、街角1に21:00から2〜3時間程いるようにします

ボウガンの調整がいまいちよく分からなくて難しいですね

クルペッコさんが想像をはるかに超えて強くて驚きました
まさか話の通りに、ボスモンスターを鳴き声で呼び寄せてくるとは思いませんでした

3の攻略情報など、分からないこともすごく多いので、是非色々教えてください

それでは明日、またお会いしましょう
742 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/03(月) 00:01:59.22 ID:U5VCZPE0
今日ご一緒した方、ありがとうございました
★2の緊急クエは、どうやらHRを8まであげないといけないみたいですね
対くるぺっこさんはずいぶんと慣れてきました
ロアルドロスが強いですねぇ

明日以降も、21:00に求人区ワイズ1、街角1にいるようにします
合流できる方は是非お越しください
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/03(月) 00:40:12.75 ID:9lUVZUAO
今日やっとオフの緊急ドスジャギー討伐出来ました
若干ハンマーや他の武器の動きが変わってて難しいですね

オンは明日デビューします、三毛猫さんや他の読者とどこかで会えたら良いな
744 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/04(火) 00:19:30.69 ID:zL/DzbY0
>>743
おめでとうございます
全体的に敵が強いですよね、今回は
私は>>742の時間と場所に出没しますので、お時間が合いましたら、ご一緒しましょう
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/04(火) 00:22:28.37 ID:ShvkznEo
いいなー
俺もオンラインでモンハンやりたいなー
でも家のWii、ネットに繋がらないしなー
だからトライも買ってないしなー
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/04(火) 00:26:49.95 ID:3NtYW.AO
>>744
>>743の今日(昨日)ご一緒させていただいたハンマーです

楽しかったです よろしかったらまたいつかご一緒させてください
747 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/04(火) 02:06:48.00 ID:zL/DzbY0
>>745
そうなのですか……でももし機会があれば、是非ご一緒しましょう
トライも、ソロでも歯ごたえがあって楽しいと思いますので、もしお気が向かれましたら、オススメですよ

>>764
ボルボロスさんの頭部破壊ご苦労様でした
欠けたのでびっくりしましたね
是非一緒にHRを上げていきましょう
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/04(火) 02:21:04.40 ID:iZRo5P.o
2Gしかない俺はソロでいいや・・・寂しくなんてないやい・・・
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/04(火) 22:42:29.22 ID:bqOJ5GEo
俺はようやくフロンティアで黒龍討伐して51なったぜ
ガルルガが怖い
750 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:34:03.94 ID:7KHfNew0
>>748
今度XLinkが復活しましたら一緒に狩りをしましょう

>>749
黒龍討伐おめでとうございます
ガルルガさんはいつでもキレてますからねぇ
751 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:35:12.41 ID:7KHfNew0
お疲れ様です。7話を書きましたので投稿させていただきます
752 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:36:07.54 ID:7KHfNew0
7.少女 「声が、聞こえない」

―十数年前、モガの森―

スラッシュアックス 「……父さん、母さん……」
ハンターA 「怪我人はこっちに運べ! 傷の重い者から奥に入るんだ!!」
ハンターB 「畜生! モンスターどもめ! 奴ら徒党を組むことを覚えやがった!」
ハンターC 「水没林に行った奴らもやられた! これ以上は危険だ!!」
村長 「いたし方あるまい……全員撤退じゃ」
ハンターD 「村長!!」
村長 「元々森の奥は未開の土地……わしらはそこに、あえて手を出さないことで今まで生きてきた……」
村長 「その均衡は破ってはいけないものだったのじゃ……」
村長 「モンスターにはモンスターの領域、わしらにはわしらの領域がある」
村長 「このままでは、働き手が全員やられ、村が滅んでしまう」
村長 「全員村まで戻るように伝えるんじゃ」
753 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:37:54.23 ID:7KHfNew0
スラッシュアックス 「………………」
スラッシュアックス 「(戻る……? 戻るだって?)」
スラッシュアックス 「何でだ!? 何でみんな戻って来いなんて言うんだよ、爺ちゃん!!」
村長 「…………」
スラッシュアックス 「父さんと……母さんがやられたんだぞ!」
スラッシュアックス 「俺は行く!(ガシャコン)」
村長 「いかん……!! スラッシュアックス、もう森の奥には手を出すな……!!」
スラッシュアックス 「俺の家族をやったモンスターが……」
スラッシュアックス 「『モンスター』が……この森の奥にいる!」
スラッシュアックス 「のうのうと生きている!!!!」
スラッシュアックス 「なのに何故止めるんだよ!!」
754 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:38:47.42 ID:7KHfNew0
村長 「……村を、守るためじゃ……」
村長 「そのときの怒りで行動していては、大事なものを見失ってしまいかねない」
村長 「お前の父と母は、何を守るために戦った?」
村長 「わしらと……お前をだ……!!」
スラッシュアックス 「!!!!」
村長 「そのお前がむざむざ死にに行くというのか!!」
村長 「恥を知れィ!!」
スラッシュアックス 「…………(ギリ……)」
スラッシュアックス 「…………その程度の恥なら、いくらでも背負ってやる……!!」
村長 「スラッシュアックス!!」
スラッシュアックス 「俺は行く! まだ勇気のある者はついて来い!!」
スラッシュアックス 「モンスターにやられない、強い心を持つ者は、次期族長の俺について来い!!」
スラッシュアックス 「父さんと母さんをやったモンスターはどこだ!?」
755 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:39:43.51 ID:7KHfNew0
村長 「いかん! 皆スラッシュアックスを止めるんじゃ!!」
スラッシュアックス 「やかましいィ! 腰抜けは黙っていろ!!」
村長 「!!!」
スラッシュアックス 「どこだ!? その、金色の牙の白い獣と……」
スラッシュアックス 「赤い目の黒い獣は!!!(ガシッ)」
ハンターD 「お……落ち着いてくれ、スラッシュアックス」
ハンターD 「その二匹なら、手傷を負って凍土の方に……」
スラッシュアックス 「凍土か……!!!(バッ)」
ハンターD 「お……おい待て!!」
村長 「…………」
村長 「(父と母に続き、スラッシュアックスまでも……)」
村長 「スラッシュアックス! 待て!!」
スラッシュアックス 「父さんの武器……くっ……重い……(ずるずる)」
スラッシュアックス 「(手傷を負わせたと聞いた……まだ遠くには行っていないはずだ……)」
スラッシュアックス 「(今追いかければ、先回りできる……!!!)」
スラッシュアックス 「殺す…………殺してやる!!」
スラッシュアックス 「今、殺しに行ってやるぞ……『モンスター』め!!!!」
756 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:41:31.33 ID:7KHfNew0
―凍土―

ベリオロス 「しっかりしろ、もうじき水没林まで抜ける。そこまで頑張るんだ」
ナルガクルガ剛種 「はぁ……はぁ……」
ナルガクルガ剛種 「あなた……この子を……」
子ナルガクルガ 「………………」
ベリオロス 「諦めるんだ……!!」
ナルガクルガ剛種 「!!!」
ベリオロス 「人間の攻撃で、もうその子は事切れている……」
ベリオロス 「ここに埋めていこう。今は一刻も早く、ベルキュロス様たちの所に行かねばならん」
ナルガクルガ剛種 「まだ……まだ生きているわ!」
ナルガクルガ剛種 「まだこの子は生きている!!」
ナルガクルガ剛種 「私達の子供よ……やっと出来た子よ……」
ナルガクルガ剛種 「捨てていくなんて出来るわけがないじゃない!!!」
ベリオロス 「落ち着け、傷に触る……」
ナルガクルガ剛種 「私は……ゲホッ! ゲホッ!!」
ベリオロス 「……人間に打たれた傷が深い……」
ベリオロス 「このままでは本当に死んでしまう」
757 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:42:23.01 ID:7KHfNew0
ベリオロス 「………………分かった。その子は私が抱える」
ベリオロス 「お前は、私の前を歩きなさい」
ナルガクルガ剛種 「はぁ……はぁ……(ドクドク)」
ベリオロス 「早く!」
ナルガクルガ剛種 「あなた……絶対よ……」
ナルガクルガ剛種 「絶対に、この子と……」
ナルガクルガ剛種 「この子と、三人で暮らすのよ……」
ナルガクルガ剛種 「約束よ……」
ベリオロス 「(この深手では……もう…………!!)」
ベリオロス 「………………」
ベリオロス 「……ああ、約束だ!!」
子ナルガクルガ 「………………」
ベリオロス 「やはり私に掴まって歩きなさい。いつ人間の追っ手が来るか分からない(ぐいっ)」
ナルガクルガ剛種 「はぁ……はぁ……」
758 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:44:49.64 ID:7KHfNew0
スラッシュアックス 「………………見つけた………………」
スラッシュアックス 「金色の牙に、白いモンスター……それに……」
スラッシュアックス 「黒い毛に、赤い目のモンスター……!!」
スラッシュアックス 「父さんと母さんの仇……!!!」
スラッシュアックス 「『モンスター』……ッッ!!!!」
ベリオロス 「!!!!(人の臭い!!)」
ベリオロス 「(くっ……ここは身を隠す場所が無い……!!)」
スラッシュアックス 「(ガタガタガタ)ま……待て!!!」
ベリオロス 「!! (背後から!!!)」
ナルガクルガ剛種 「………………!?」
ベリオロス 「(何だ……小さな人間が一人……)」
ベリオロス 「(巨大な武器を背負っているが……他に人の気配は無い……)」
ベリオロス 「(軽装だ……寒さか、恐怖か。震えている……)」
ベリオロス 「(人間……)」
ベリオロス 「(私の子……………………!!!!)」
子ナルガクルガ 「……………………」
ベリオロス 「(私の子の、命を奪った人間……!!!)」
ベリオロス 「グルルルルルルルルルッ!!!!!」
759 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:46:17.52 ID:7KHfNew0
ナルガクルガ剛種 「あなた……」
ベリオロス 「三十秒で終わらせる。待っていなさい…………」
ベリオロス 「グルルルル……(ザッザッ)」
スラッシュアックス 「のうのうと……」
スラッシュアックス 「父さんと母さんを殺して、のうのうと自分達は逃げるつもりか……!!!」
スラッシュアックス 「くそっ……!! くそっ……!! 震えるな! 俺の脚!!!」
スラッシュアックス 「震えるな!!! (ガンッガンッ!!)」
ベリオロス 「(ふん……恐怖でおかしくなったか?)」
ベリオロス 「(自分の武器で自分の足を殴っている)」
スラッシュアックス 「うぅぉぉぉぉぉおおお!!!!」
スラッシュアックス 「(ガシャコン)がぁあぁぁああ!!(ダダダダダダッ)」
ベリオロス 「!!!!!!!?」
ナルガクルガ剛種 「あなた……!!」
ベリオロス 「(何だ!? 無茶苦茶に武器を振り回しながら突撃してくる!!)」
ベリオロス 「(下がれば、剛種に攻撃が……)」
ベリオロス 「(かえって危険だ! 受けるしかない……!!!)」
760 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:47:16.53 ID:7KHfNew0
ベリオロス 「(ガギィィィィン!!)ッ!!」
スラッシュアックス 「うぉぉぉぉ!!!! (ブンッ! ブンッ!!)」
ベリオロス 「(ギィィン! ガギィィンッ!!)……くっ……」
ベリオロス 「(私も人間に数箇所撃たれている……)」
ベリオロス 「(体の自由が効かん!!)」
ベリオロス 「(それにこの人間の餓鬼……太刀筋は滅茶苦茶だが、威力がある!!)」
スラッシュアックス 「(いける……! 俺でもやれる!!!)」
スラッシュアックス 「(ピンッ)食らえ……!! 打ち上げ樽爆弾Gだ!!」
ベリオロス 「(ドドドドドドッ)……っ……ぐぅぅぅ!!!」
スラッシュアックス 「(何て硬い皮膚だ!! だが……!!)」
ベリオロス 「ギャォォォォォォ!!!」
スラッシュアックス 「今だ! 閃光玉……!!!」
 >パシャァァァアッ!!
ベリオロス 「!!! ガッ……目……目が……!!!」
761 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:48:20.17 ID:7KHfNew0
スラッシュアックス 「いかに貴様ら強力なモンスターと言えど……」
スラッシュアックス 「頭をやられて生きてはいけまい!!(ガシャコン)」
スラッシュアックス 「もらった!! その首切り落として、我が父母の墓前に捧げてくれる!!!!」
ナルガクルガ剛種 「あなたぁぁぁ!!!!」
ナルガクルガ剛種 「(バッ)」
スラッシュアックス 「つぉらああああ!!(ブゥンッ)」
ナルガクルガ剛種 「(ザンッッ!!)か………………」
ベリオロス 「!!!!!!!?」
ベリオロス 「剛種!!!!」
ナルガクルガ剛種 「あ……(ぐらり)」
ナルガクルガ剛種 「あなた…………」
ナルガクルガ剛種 「(ズゥゥゥゥンッ!!)」
子ナルガクルガ 「……………………」
ナルガクルガ剛種 「(ズルズル……)」
子ナルガクルガ 「(ヒュゥゥゥゥゥ………………)」
ナルガクルガ剛種 「坊やぁぁぁあああ!!!」
ベリオロス 「(子ナルガが、凍土のクレバスに落ちた!!!!!!)」
ベリオロス 「(それにこのままでは、剛種も落ちてしまう!!)」
ベリオロス 「おぉぉぉぉ!! どけ人間!!!」
スラッシュアックス 「次は貴様だァァァ!!!!」
762 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:49:15.82 ID:7KHfNew0
ナルガクルガ剛種 「あなた……あなたぁぁ!!」
ナルガクルガ剛種 「坊やが……坊やが!!!」
ベリオロス 「剛種ゥゥゥゥ!!!!」
ナルガクルガ剛種 「(ずるっ……)」
ナルガクルガ剛種 「あ………………っ」
ベリオロス 「!!!!!」
ベリオロス 「(剛種が………………)」
ベリオロス 「(剛種が、クレバスに落ちた……!!!!)」
ベリオロス 「そ……そんな……そんな……」
ベリオロス 「そんな!!!!」
スラッシュアックス 「もらった! 去ねよモンスタァァァ!!!!」
ベリオロス 「(ザンッッ!!!)ぐ……があぁああ!!!」
スラッシュアックス 「とどめだぁぁ!!!」
>ゴウッ
スラッシュアックス 「!! (ガキィィン)……(ズザザザザザ)」
763 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:50:06.24 ID:7KHfNew0
ベルキュロス剛種 「(バサァ……バサァ……ッ!!)ベリオロス!!」
ベリオロス 「…………ベル……キュロス様…………」
スラッシュアックス 「くっ……新手か…………!!」
スラッシュアックス 「(今の電撃で、腕が上がらない……)」
スラッシュアックス 「(まずい……)」
ハンター達 「スラッシュアックスーッ!!!!!」
スラッシュアックス 「!!」
スラッシュアックス 「みんな!!!」
ベルキュロス剛種 「……人間の増援か……」
ベルキュロス剛種 「ナルガは……」
ベリオロス 「………………(ギリ………………)」
ベルキュロス剛種 「…………そうか………………」
ベルキュロス剛種 「下がるぞ、ベリオロス。こちらまで来れるか?」
ベリオロス 「…………(ずる……ずる…………)」
スラッシュアックス 「くそ……モンスターめ……」
スラッシュアックス 「逃がしてしまう……」
764 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:51:47.84 ID:7KHfNew0
スラッシュアックス 「うぉぉぉぉぉおお!! モンスター!!!」
スラッシュアックス 「俺は貴様を許さない!!!」
スラッシュアックス 「絶対に許さない!!」
スラッシュアックス 「いつの日か、必ずこの手で、貴様に止めを刺すッッ!!!!」
スラッシュアックス 「化け物……化け物めええぇぇ!!!!」
ベリオロス 「……………………」
スラッシュアックス 「!!!」
スラッシュアックス 「(な……何だ!?)」
スラッシュアックス 「(何だ、あの白いモンスターの目は…………)」
スラッシュアックス 「(あれは怒り……いや、違う……)」
スラッシュアックス 「(深い……悲しみの目……!!?)」
スラッシュアックス 「(何故!? 何故だ!!!)」
ベリオロス 「………………」
ベルキュロス剛種 「………………」
ハンター達 「スラッシュアックス、これ以上の深追いは危険だ」
ハンター達 「遠目だが、お前が黒いモンスターを仕留めるのが見えた」
ハンター達 「さすが次期族長だ!!!」
スラッシュアックス 「……………………」
スラッシュアックス 「くそ…………」
ハンター達 「? どうした、さぁ、早く村に……」
スラッシュアックス 「何だこの気持ちは……くそ…………!!!」
スラッシュアックス 「くそぉぉぉっぉおお!!」
765 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:52:51.79 ID:7KHfNew0
―現在、砂原―

テオ・テスカトル 「(ズゥゥゥゥン)」
ナルガクルガ 「(ズゥゥゥゥン)」
ハンマー 「スラッシュアックス、ここは剣を収めろ! 訳は後で話す!」
テオ・テスカトル 「グルルルルルル…………」
ジャギィ&ジャギィノス達 「(ビクッ)」
太刀 「ハンマー! あんな高さから飛び降りるなんて……」
スラッシュアックス 「(見たことのないモンスターの背中から、太刀までも……!!)」
スラッシュアックス 「モンスターの手先と化したか……!!(ギリ……!!)」
ハンマー 「違う! 戦うべきときと、戦わざるべきときがある!」
ナルガクルガ 「ガルルルルル…………!!!」
スラッシュアックス 「!!!!」
スラッシュアックス 「(あのモンスターは……!!)」
スラッシュアックス 「(間違いない! あれは……)」
スラッシュアックス 「(父さんと、母さんを殺したモンスターの片割れ!!)」
スラッシュアックス 「生きて…………」
スラッシュアックス 「(ギリギリ)生きていたのかァァァ!!!」
766 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:53:42.78 ID:7KHfNew0
ナルガクルガ 「!?」
スラッシュアックス 「うおぉぉぉおお!!」
ハンマー 「(ガチィィィンッ!!)待てェェ! 落ち着け!」
スラッシュアックス 「邪魔をするか! ならば貴様も敵だ!!」
ハンマー 「何故そうなる!? (ガチィィンッ! ガチィィンッ!)」
ハンマー 「俺の話を聞け!!!(ガチィィン!!!)」
スラッシュアックス 「問答無用ォォ!! どけぇぇ!!」
太刀 「ハンマー! スラッシュアックス! やめてよ!」
太刀 「あたしたち仲間なのに、なんで戦わなきゃいけないの!?」
ハンマー 「(話して通じる相手ではない……ならば、拳で答えるまで!!)」
ハンマー 「うぉぉぉおおお!!(ブゥンッ!!)」
スラッシュアックス 「(ガチィィンッ)……ぐっ…………」
スラッシュアックス 「! 俺の武器にヒビが……!」
スラッシュアックス 「(このまま打ち合うのは危険だ……!!)」
ハンマー 「何をしている! 炎王龍、迅竜!」
ハンマー 「お前たちは、お前たちの仲間を助けに来たのではないのか!!」
ハンマー 「太刀、炎王龍と共に、少女を頼む!!」
767 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:55:02.19 ID:7KHfNew0
テオ・テスカトル 「騒がしいので降りてきてみれば……ずいぶんと厄介なことになっているようだ」
ナルガクルガ 「…………」
テオ・テスカトル 「どうやら状況を見るに、あの方がボルボロス……」
テオ・テスカトル 「そして仲間割れが起きているようだな……」
ナルガクルガ 「あの人間が、トドメを刺そうとした人間を抑えている」
紫ガミザミ 「救出するなら今じゃ! 何をしておる二人とも!」
紫ガミザミ 「せっかくあの人間が、隙を作ってくれたんじゃぞ!」
紫ガミザミ 「それに、あっちに少女たちが見えた!!」
紫ガミザミ 「はようせぬか!(バシバシ)」
ナルガクルガ 「頭を叩くな……!!」
ボルボロス 「はぁ……はぁ……(よろよろ)」
ナルガクルガ 「先ほどの咆哮で、体力を使い果たしたようだな……」
ボルボロス 「(よろっ……)」
テオ・テスカトル 「(がしっ)大丈夫ですか? あなたを助けに来ました」
ボルボロス 「ゲホッ……ゲホッ…………」
ボルボロス 「人間……私の……」
ボルボロス 「私の赤ちゃん……(ググググッ)」
ボルボロス 「許さない…………!!!」
768 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:56:11.26 ID:7KHfNew0
テオ・テスカトル 「ボルボロス殿で間違いないな!?」
テオ・テスカトル 「あなたの子供は生きている。落ち着きたまえ!!」
ボルボロス 「……!! 私の赤ちゃんが…………!!」
ボルボロス 「生きている!?」
テオ・テスカトル 「はい。だから今は、落ち着いて後退してください」
ボルボロス 「あなたは……それに、背中に人間が……」
テオ・テスカトル 「私はテオ・テスカトル。隣の大陸から来ました。この人間は、私が信用を置く人間の仲間です。敵ではありません」
太刀 「……………………」
ナルガクルガ 「テオ殿、この周りのうざったい連中を蹴散らすぞ!!」
テオ・テスカトル 「任せる! 私は少女たちの所にゆく!!」
紫ガミザミ 「(ササササッ)……ほれ、おばさん、こっちじゃ」
紫ガミザミ 「暴れても何もならぬ。おぬしの子、ウラガンキンは生きておる」
紫ガミザミ 「静かに下がるんじゃ」
ボルボロス 「カニの子供………………」
ボルボロス 「………………分かりました……(ズズズ)」
769 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:57:33.94 ID:7KHfNew0
ナルガクルガ 「ギャォォォォ!!!」
ジャギィ達 「!!(ビクゥッ!!!)」
ジャギィノス達 「こ……こいつ、ベリオロスの仲間かい!?」
ジャギィ達 「とても俺たちじゃかなわねぇ!!」
毒リオレウス 「へんだらぁぁ! ジャリどもォォオ!!(ドドドドド)」
毒リオレイア 「この落とし前はつけさせてもらうかんよぉぉぉ!!!(ドドドドド)」
ドスジャギィ 「(チッ……)」
ドスジャギィ 「分が悪ィ。全員撤退だ!! さっさと撤収するぜ!!」
ジャギィ&ジャギィノス達 「了解!!」
ナルガクルガ 「(逃げていく……)」
ナルガクルガ 「(しかし……何だ、この殺気は……)」
ナルガクルガ 「(あの人間から発せられている……)」
770 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 15:58:54.11 ID:7KHfNew0
スラッシュアックス 「くっ………………!!!」
スラッシュアックス 「貴様……ハンマー!! どうしてもモンスターの側につくというのだな!」
ハンマー 「そうとるのならそうとってくれて構わん!」
スラッシュアックス 「!!」
ハンマー 「今は、俺は仲間を守るために、仲間の大事な人を守るために戦う!」
ハンマー 「お前がそれでもなお、俺の話を聴かずに向かってくるというのならば、受けて立とう!!」
ハンマー 「スラッシュアックス!!!」
スラッシュアックス 「…………(ギリ…………)」
スラッシュアックス 「『モンスター』…………!!」
ハンマー 「!?」
スラッシュアックス 「貴様も、モンスターになるのか!!」
スラッシュアックス 「化け物の仲間でいいと、そう言うのか!!!」
スラッシュアックス 「我らの敵に!!」
スラッシュアックス 「ならばもはや貴様を友とは思わぬ!」
スラッシュアックス 「俺の前に立ちふさがる敵として、俺は貴様を倒す!!」
ハンマー 「上等!」
771 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:00:38.83 ID:7KHfNew0
毒リオレウス 「クソ人間がァァ!!(ゴゥッ!!)」
毒リオレイア 「夫婦コンビネーションを食らえやぁぁ!!(ゴウッ!!)」
スラッシュアックス 「!!」
ハンマー 「!!!」
 >ドォォォォンッ!!
スラッシュアックス 「くそ……ッ! 邪魔が入った!!」
ハンマー 「……ぐ……」
ハンマー 「(今の火の玉で肩をやられた……!!)」
スラッシュアックス 「………………」
スラッシュアックス 「この勝負、後に預ける!!!」
スラッシュアックス 「(ここは下がらなければ、俺の命も危ない……)」
スラッシュアックス 「(ハンマー、太刀……)」
スラッシュアックス 「(何故だ……!!)」
ナルガクルガ 「………………」
スラッシュアックス 「………………」
スラッシュアックス 「(クルッ……ダダダダッ)」
772 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:01:57.06 ID:7KHfNew0
ハンマー 「ぐ……(ガクッ)」
毒リオレウス 「トドメじゃぁぁぁぁ!!」
毒リオレイア 「死ねよやぁぁ!!」
ボルボロス 「……やめなさい、毒リオレウス、毒リオレイア」
毒リオレウス 「!」
毒リオレイア 「!」
毒リオレウス 「女王様、正気が戻ったんで!?」
毒リオレイア 「やめろって!? でもこいつ人間だぜ!?」
ボルボロス 「話はこの異国の者に聞きました……そこな人間は敵ではありません……」
紫ガミザミ 「そ、そうじゃ! そいつは敵じゃないんじゃ!!」
ナルガクルガ 「………………」
毒リオレイア 「はぁぁぁ!? 人間が、敵じゃない!?」
毒リオレウス 「バカァ言っちゃぁいけませんぜ、女王!!」
ボルボロス 「わたくしの命令が聞けないのですか……?」
毒リオレウス 「そ……そんなことはねぇけど……」
ハンマー 「………………ぐ…………(ドサッ)」
773 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:03:12.54 ID:7KHfNew0
―少し離れたエリア―

テオ・テスカトル 「ラギア殿!!」
ラギアクルス 「(ガラガラ)はぁ……はぁ……」
ラギアクルス 「ウラガンキン様……ご無事ですか?」
テオ・テスカトル 「(落石から、身を挺して少女たちを守ったのか……!)」
テオ・テスカトル 「(この男、優男に見えて、やる……!!)」
ウラガンキン 「まんま! まんまーッ!!!」
トレニャー 「少女さん!!」
クルペッコ 「ぐ……むぅ。すさまじい女王の声で、洞窟の入り口が崩れたのか……」
クルペッコ 「!! 少女の頭から血が!!」
テオ・テスカトル 「少女! どうしたんだ!!!」
クルペッコ 「うおっ! あなたは!?」
ラギアクルス 「大陸の向こうから共に来た、テオ・テスカトル卿だ。はぐれてしまった連れとはこの方々のことだ」
774 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:04:32.87 ID:7KHfNew0
少女 「………………」
太刀 「この子……モンスターの毛皮や、古竜の皮を継ぎ合わせた服を着てる……」
太刀 「まさか、この子がハンマーの言ってた女の子……?」
太刀 「(頭を強く落石で打ってる)」
太刀 「(秘薬がまだ少しあったはず……)」
クルペッコ 「む!? テオ殿とやら、何故人間を背に乗せておる!?」
テオ・テスカトル 「後ほど説明しよう。敵ではない」
太刀 「(バッ)ちょっとどきなさい、変な竜と猫。邪魔よ」
ウラガンキン 「グォルルル!! グォルルル!!」
トレニャー 「キニャァァ!!」
太刀 「はいはい。あたしは何もしないから」
太刀 「(薬を塗って……これは飲ませて……)」
太刀 「……どこか休める所に連れて行かなきゃ……」
太刀 「………………」
太刀 「え……炎王龍」
テオ・テスカトル 「…………」
太刀 「言葉、分からないだろうけど……」
太刀 「応急処置はしたけど、この子のことを休ませなきゃいけない。どこか落ち着ける場所につれてって」
775 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:06:45.93 ID:7KHfNew0
テオ・テスカトル 「(この人間、少女のことを治療してくれたのか……)」
テオ・テスカトル 「(あれは、ナルガの傷を治した薬と同じ……)」
テオ・テスカトル 「(しかし少女はまだ目を覚まさぬ。重症なのだ!)」
テオ・テスカトル 「(人間が何かを私に言っている)」
太刀 「×××××!」
テオ・テスカトル 「……分かった。少女を我の背に乗せろ」
ラギアクルス 「テオ殿、少女は……」
テオ・テスカトル 「落石が防ぎきれなかったようだ。この人間が処置をしてくれたが、容態は危ないらしい」
ラギアクルス 「人間だ。信用していいのか?」
テオ・テスカトル 「…………大丈夫だ。どこか、この近くに身を隠せる場所はないか?」
テオ・テスカトル 「とにかく落ち着かねば」
ラギアクルス 「分かった。一旦凍土に下がろう」
クルペッコ 「凍土? ここからだと……そうか!」
ラギアクルス 「ああ……ドスバギィに協力を仰ぐ」
ウラガンキン 「まんま! まんまー!!(ぐいぐい)」
少女 「……………………」
776 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:08:13.55 ID:7KHfNew0
―凍土、ドスバギィの巣前―

ドスバギィ 「………………」
ラギアクルス 「申し訳ない。あなた方との不戦不干渉の条約はわきまえている」
ラギアクルス 「しかし、ことは緊急を要するのだ。ボルボロス様と、人間の少女の手当てをしたい」
ラギアクルス 「あなた方の洞窟の一部を使わせてもらえないだろうか」
母バギィ 「ケッ。お断りだよ」
ラギアクルス 「!!」
母バギィ 「王家があちき達になにをしてくれた? 何の力もないじゃないか」
母バギィ 「持ってくるのは災難だけさね。これ以上の面倒ごとは、もう御免なんだよ」
ラギアクルス 「…………」
クルペッコ 「まぁ……そういわないでくれ。私の顔を立てると思って」
母バギィ 「! クルペッコ先生!?」
クルペッコ 「子バギィは元気か? お前も、ずいぶんと大きくなった」
クルペッコ 「ンン〜ッ、マァァ〜〜! 綺麗になった〜〜(↑↑)♪」
母バギィ 「ちょ……やめておくんなましよ先生、こんな所で……」
777 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:09:48.80 ID:7KHfNew0
ドスバギィ 「…………良かろう。入れ」
母バギィ 「ちょっと、父ちゃん! 王家はともかくとして、人間だよ!?」
ドスバギィ 「……………………」
ドスバギィ 「あぁ……」
母バギィ 「人間があちきたちに何をしたか、忘れたって訳じゃないんだろうね!?」
母バギィ 「いくらあの変なイャンクックがかばったって、人間は人間さ!」
母バギィ 「それに余計なのがくっついてるじゃないかい!」
ハンマー 「…………」
太刀 「ハンマー、しっかりして……」
ドスバギィ 「てめぇよぉ……」
ドスバギィ 「イャンクックが恐れねぇものを恐れて、どうすんだ」
母バギィ 「……!!」
母バギィ 「そ……それはそうだけど……」
ドスバギィ 「洞窟は誰の物でもねぇ。勝手に入って勝手に休めばいいぜ……」
ラギアクルス 「すまない、恩に着る……!!」
778 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:10:49.93 ID:7KHfNew0
―ドスバギィの巣、内部―

ラギアクルス 「ボルボロス様、こちらに……」
ボルボロス 「その前に……」
ウラガンキン 「………………」
ボルボロス 「坊や……わたくしの坊やなの……?」
ウラガンキン 「…………(ササッ)」
ボルボロス 「!?」
ウラガンキン 「まんま……(ぐいぐい)」
少女 「………………」
ボルボロス 「……あの姿は、我が夫ウラガンキンのものと瓜二つ……なのに何故……」
ラギアクルス 「少々込み入った事情がございます。ご説明をばさせていただきたいのですが、お時間頂戴したく……」
ボルボロス 「…………」
ラギアクルス 「ホイッスラー、毒夫婦、テオ殿こちらに来てくれないか?」
毒リオレイア 「あ、あぁ……」
毒リオレウス 「まぁ……しゃぁねぇな、ここまできちまったんならよぉ」
紫ガミザミ 「わらわは数のうちにも入っておらぬのか……」
ナルガクルガ 「少女の意識が戻らぬ……この人間たち、本当に信用が置けるのか……?」
テオ・テスカトル 「ご指名だ。君たちは少女を頼む」
779 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:12:01.91 ID:7KHfNew0
太刀 「ひどい怪我……でも、落石に押しつぶされた割には、頭の打撲だけだわ」
ハンマー 「俺がいながら……くっ……」
太刀 「ハンマー、あなたも腕の火傷がひどい。自分の怪我の応急処置に専念して」
太刀 「この子、本当にあなたが言っていた……」
ハンマー 「ああ。間違いない」
ハンマー 「その証拠に、モンスターたちが俺たちを恐れて逃げ出したり、飛び掛ってきたりしないだろう」
ナルガクルガ 「………………」
紫ガミザミ 「………………」
太刀 「本当……不思議。まるでこの子自体がお守りみたい。だってここ、モンスターの巣の中でしょ……?」
太刀 「あたし、モンスターの巣、こんな奥深くまで入ったことないよ」
太刀 「包帯があってよかった。これで一応、止血は終わったわ(ぎゅ……)」
少女 「………………」
780 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:13:49.51 ID:7KHfNew0
ドスバギィ 「おい、話の前にイャンクックを呼んで来い」
ドスバギィ 「娘とやらがみつかったとな」
母バギィ 「あぁ! うっかりしてたわ」
母バギィ 「ちょい待っとき」
ラギアクルス 「イャンクック殿は、あなた方が保護してくださっていたのか!」
ドスバギィ 「…………あァ。偶然な」
ラギアクルス 「良かった……」
テオ・テスカトル 「クック殿!」
クック 「!! テオ殿! それにラギアさん達も!!」
クルペッコ 「おやまぁ、これまたヘンテコな鳥だ」
毒リオレイア 「人のこと言えるかい」
毒リオレウス 「全くだ」
テオ・テスカトル 「クック殿、無事でよかった」
クック 「ドスバギィさんたちが、雪に埋もれた私を掘り出してくれたんだ」
クック 「ナルガ! 紫殿!!」
ナルガクルガ 「クック……無事だったか」
紫ガミザミ 「クックおじさん! 良かった!!」
781 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:16:00.48 ID:7KHfNew0
ボルボロス 「ラギア、この方は……」
ラギアクルス 「はい、向こうの大陸から共に来た、イャンクック殿です。ベリオロスの裏切りで、途中はぐれてしまいました」
ボルボロス 「なんということ……ベリオロスが……」
クック 「……少女! 少女は……」
太刀 「ハンマー!! こんなところにイャンクックがいるよ!!!」
クック 「クケェェー!!(人間!!)」
太刀 「威嚇してきやがった!(ガシャッ)」
ハンマー 「やめろ、太刀。少女から離れるんだ。俺たちは少し距離をとった方がいい」
太刀 「どうして!?」
ハンマー 「あのイャンクックは、この子の父親なんだ」
太刀 「はぁ!?」
ハンマー 「久しぶりだな、イャンクック。あの時俺がお前のくちばしを砕いて以来か」
クック 「(この人間は、少女が時々会っていた、あの時の……)」
クック 「(いや、それより少女だ!)」
クック 「少女! 少女!(ゆさゆさ)」
少女 「………………」
クック 「(処置は人間がしてくれたようだが、意識がない……!!)」
クック 「ど……どうしてこんなことに!?」
ナルガクルガ 「落石に巻き込まれたのだ。ラギアクルスが身を挺して、つぶれる所から助けてくれた」
クック 「しかしこれは……」
ナルガクルガ 「後は、道中遭遇したこの人間たちの処置が功を奏すことを祈るしかないな……」
782 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:17:11.80 ID:7KHfNew0
〜しばらく後〜

ボルボロス 「…………事情は分かりました。では、確かにベルキュロスが私の卵を……」
ラギアクルス 「ドスジャギィはそのように言っておりました」
ボルボロス 「………………」
テオ・テスカトル 「心中お察しする。しかし、子供はこうして無事なのだ」
テオ・テスカトル 「その点では、我らが偶然保護したことは幸運だったといえる」
トレニャー 「ほいきた。オイラのおかげですぜ」
テオ・テスカトル 「説明をさせていただいたとおり、あの少女は我々の仲間です。害ある者ではない」
テオ・テスカトル 「あの人間達もそうです」
ボルボロス 「ええ……あそこにいる人間は、自分達の仲間からわたくしを、身を挺して守ってくれました」
ボルボロス 「しかし…………」
ウラガンキン 「………………(ビクッ)」
ボルボロス 「やっと会えた我が子に、触れることさえも出来ないとは……」
ボルボロス 「何ということ……」
783 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:18:46.64 ID:7KHfNew0
クルペッコ 「…………これは、元老院に相談をした方がいいかもしれぬな」
毒リオレウス 「元老院に!?」
毒リオレイア 「ゲェ。ジエン・モーランに!? あの偏屈じじい、どこにいるかもわからねぇじゃんか」
クルペッコ 「しかし、ベルキュロスの反乱に加え、ウラガンキン二世様の問題。それにいい知恵を授けてくれるかも知れぬ」
クルペッコ 「お前たちは、今から火山に赴き、イビルジョーとアグラコトルにこのことを知らせるのだ」
クルペッコ 「ウラガンキン様の右腕と左腕の二人ならば、必ずはせ参じるはずだ」
毒リオレイア 「な、何だよ。急に真面目になるなよ……」
毒リオレウス 「あんさんに真面目になられると、頼みィ聞かんでられんわな」
ボルボロス 「私からも命じます。二人に事情を知らせてください」
毒リオレイア 「あァ。任せてくださいな(ドスン、ドスン)」
毒リオレウス 「ちょっくら行ってくらぁ(ドスン、ドスン)」
クルペッコ 「さて……肝心のジエン・モーラン老だが……」
ラギアクルス 「居場所が分からぬ。それに、人間達の目にモーラン老を触れさせるわけにはいかない」
クルペッコ 「確かに……」
784 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:19:39.81 ID:7KHfNew0
ドスバギィ 「……ボルボロスさんよ……」
ボルボロス 「何でしょうか? バギィの長」
ドスバギィ 「戦争か? なら別ンとこでやれ……」
ドスバギィ 「もう家族を出すのは勘弁だ……」
ボルボロス 「……………………」
ボルボロス 「ええ……分かっています。戦争などは起こしません」
ボルボロス 「あくまでわたくしは、ベルキュロスと話をし、穏便に事を運ぶつもりです」
ドスバギィ 「……なら、いい……」
クルペッコ 「…………ジエン老の居場所について、私が少し心当たりがある」
クルペッコ 「ンッン〜〜♪ ちょっくら〜♪」
クルペッコ 「様子を見に行ってみるとしますかなぁぁ〜(↑↑)♪」
ボルボロス 「頼めますか、彩鳥の長」
クルペッコ 「あなた様のお頼みとあらば、何なりと〜〜♪」
ラギアクルス 「ホイッスラー、我も……」
クルペッコ 「団長、あなたはボルボロス様とウラガンキン二世様の護衛という最重要任務があるではないか」
ラギアクルス 「う……うむ……」
クルペッコ 「そういうわけで、少しの間、私もおさらばすることにしましょうかな」
785 :SCSC :2009/08/07(金) 16:20:07.82 ID:EaH8uPY0
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786 :SCSC :2009/08/07(金) 16:20:59.89 ID:EaH8uPY0
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787 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:21:39.32 ID:7KHfNew0
トレニャー 「これでうるせぇ鳥がいなくなるニャ(ボソ)」
クルペッコ 「カァァァァッ!」
トレニャー 「(ドォォォォンッ)ぶぅぁぁああ!」
トレニャー 「………………(ドサリ)」
ボルボロス 「砂原はベルキュロスの管轄です。十分に気をつけて」
クルペッコ 「私は〜死にません〜〜♪ あなたが! 好きだから!(ドス、ドス)」
ボルボロス 「(くすり)」
ラギアクルス 「クック殿、少女はまだ目を覚まさないのか?」
クック 「あぁ……どうしたものか……」
少女 「………………」
太刀 「ハンマー、やっぱりこの子、ちゃんと村に連れて行って治療した方がいいと思う」
ハンマー 「…………」
太刀 「傷口から雑菌が入るかもしれないし、秘薬の効果だって万能じゃないし……」
ハンマー 「その心配はない。見てみろ」
太刀 「! もう傷が消えかかってる!?」
ハンマー 「この少女は、どこか不思議な力を持っているんだ。人間というよりも……少しモンスターじみているところがある」
ハンマー 「村に連れて行くのは簡単だが、この土地の者の、モンスターに対する憎しみや恐怖は、俺たち以上だ」
ハンマー 「避けた方がいいと、俺は思う」
ハンマー 「それに、親がそれを許さないだろう」
クック 「………………」
788 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:23:04.25 ID:7KHfNew0
ラギアクルス 「して、ボルボロス様、これからいかがいたしましょうか……」
ボルボロス 「………………」
ボルボロス 「イビルジョー達の到着を待ちましょう。話し合いを行うにも、まずは頭数が必要です」
テオ・テスカトル 「賢明な判断だ。それにあなたは傷ついている。十分な休息が必要だ」
ボルボロス 「………………」
テオ・テスカトル 「(しかし、やっと見つけた息子が他の……しかも人間の子を親と思っているとは……)」
テオ・テスカトル 「(身を切るような不安のはずなのに、彼女は気丈に振舞っている……)」
テオ・テスカトル 「(立派なことだが、不憫だ……)」
ウラガンキン 「まんま…………」
少女 「…………(ピクッ)」
ウラガンキン 「!!」
ウラガンキン 「まんま! まんま!」
クック 「! 少女が目を開けた!!」
少女 「………………」
少女 「(頭ががんがんする……)」
少女 「(私、気を失っちゃったの……?)」
少女 「(ガツーンッっていう衝撃があって……目が回って……)」
789 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:23:57.80 ID:7KHfNew0
少女 「! おじさんの匂い……!!」
少女 「おじさん!!」
クック 「クケェ!」
少女 「!? おじさん、そこにいるんでしょ?」
クック 「クケェ、クッ、クッ、クッ、クッ!!」
ウラガンキン 「ギュルルル……ルルル!!」
少女 「……? あ、あれ……?」
ラギアクルス 「シャォォォォ!!」
少女 「どうしてみんな、鳴き声だけなの……?」
クック 「クケェ!(すりすり)」
少女 「おじさん……」
少女 「おじさん、私だよ、少女だよ」
クック 「クケッ。ケッ、ケッ」
少女 「(まさか……)」
少女 「(私、モンスターの言葉が、分からなくなってる……!?)」
790 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:24:49.69 ID:7KHfNew0
ハンマー 「よかった、少女。目が覚めたか」
ハンマー 「太刀、この子は目が不自由だ。補佐してやってくれ」
少女 「ハンマーさん!? それに、女の人の匂いがする……」
太刀 「あなたが少女ね。あたしは太刀。ハンマーの幼馴染さ。くっついてここまできちゃったよ」
少女 「ハ……ハンマーさん!」
ハンマー 「どうした? どこか痛むのか?」
少女 「私、しゃべれなくなっちゃった……」
ハンマー 「何?」
少女 「モンスターの言葉が、分からないの!!」
クック 「クケェ! クケェ!!」
クック 「(どうしたことだ!? 急に少女の言葉が分からなくなってしまった!!)」
クック 「(人間とは普通に話をしているようだが……)」
クック 「(私の方を向いた……!!)」
少女 「×××××!! ××××!!」
クック 「少女! どうしたというんだ……私の言葉が分からないのか!?」
少女 「×××!! ××!!」
テオ・テスカトル 「もしや……頭を強く打ったときに、脳が衝撃を受けてしまったのかもしれぬ」
テオ・テスカトル 「(むしろ、正常に戻ったというべきか……)」
791 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:26:20.02 ID:7KHfNew0
クック 「くそっ……何ということだ……せっかく再会したというのに!!」
ナルガクルガ 「………………」
紫ガミザミ 「少女! わらわの言葉も分からぬのか!」
紫ガミザミ 「一緒にたくさんおしゃべりをしたではないか! もう、おしゃべりできないのかぇ!」
紫ガミザミ 「少女、何とか言ってたもう!」
少女 「(紫ちゃんが、空気が漏れるみたいな音を出してる……)」
少女 「(何かしゃべってるんだ……)」
少女 「でも分からない……分からないよ……」
ハンマー 「……ふむ、頭を打った時に、君に備わった神通力が支障をきたしたのかもしれない」
少女 「どうしよう……私、おじさんやみんながいるのに!!」
ハンマー 「俺たちがいて幸運だった。落ち着くんだ」
太刀 「ねぇ……あんた、本当にモンスターとしゃべることが出来るの?」
少女 「出来たけれど……今は出来なくなっちゃったの!」
少女 「う……(じわ……)」
少女 「うぁあぁぁぁん…………」
太刀 「あ、ちょっと……泣かないで」
太刀 「よしよし、落ち着いて」
792 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:28:00.79 ID:7KHfNew0
クック 「……どうやら、本当に私達の言葉が分からないらしい」
紫ガミザミ 「そんな……!!」
ナルガクルガ 「テオ殿の言うとおり、頭を打った時のショックが原因だろう」
ナルガクルガ 「元々俺たちと話せることが異常だったのだ」
ナルガクルガ 「それが正常な歯車に戻ったと考えるのが妥当だろうな」
紫ガミザミ 「おぬしは……!! どうしてそう冷静なのじゃ!!」
ナルガクルガ 「子供は黙っていろ」
紫ガミザミ 「なっ……」
ナルガクルガ 「クックよ。いずれこのような日が来るであろうことは、俺は警告したはずだ」
ナルガクルガ 「所詮人間は人間、我らは我らだ」
ナルガクルガ 「そもそもが別の生き物よ」
ウラガンキン 「まんま……」
クック 「………………」
クック 「しかし……少女は私の娘だ……」
ナルガクルガ 「……クック。時が来たのだ」
クック 「………………」
少女 「×××……(スッ)」
ウラガンキン 「(なでなで)まんま…………」
クック 「(少女が私の方に、手を……)」
クック 「(ぎゅっ)」
少女 「………………」
クック 「………………」
793 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:29:53.08 ID:7KHfNew0
ラギアクルス 「……その少女からは、白光の匂いがした」
クック 「!」
ラギアクルス 「我ら竜の神がまとう、きらめく光だ」
ラギアクルス 「一度、我が師匠、ナバルデウス様の御前でそれを見たことがある」
クック 「少女は……何とか治らないのか?」
ラギアクルス 「分からぬ……そもそも、人間とモンスターが言葉を交わすなど、前例がないことだ」
ラギアクルス 「ナバルデウス様は深海の奥の奥にお住まいで、今はお会いすることは適わないが……」
ラギアクルス 「だが、ジエン・モーラン老なら何かをご存知かもしれない」
クック 「少女……」
少女 「…………(ぎゅっ)」
クック 「お前は、私の娘だ」
クック 「どんなになっても、私の家族だ」
クック 「安心しろ。絶対に……絶対に見捨てたりはしない……!!」
ナルガクルガ 「………………」
テオ・テスカトル 「現状を打破する鍵は、ジエン・モーランという方が握っているようだな……」
ハンマー 「(炎王龍が、こちらをじっと見ている……)」
ハンマー 「(分かっているさ。炎王龍)」
ハンマー 「(お前の仲間は、俺が責任を持って守る。少女は、俺の仲間でもあるんだ……!!)」
794 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:31:02.94 ID:7KHfNew0
少女 「(おじさんたちの声が聞こえない……)」
少女 「(私、見えない……聞こえない……)」
少女 「(おじさんの顔も……声も……)」
少女 「(これ以上、私、何をなくせばいいの……?)」
少女 「(もうやだよ……)」
少女 「(せっかく一人じゃなくなったのに……)」
少女 「(私、怖い……)」
少女 「(このまま、私がなくなってしまいそうで……)」
少女 「(私…………)」
795 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/07(金) 16:34:35.57 ID:7KHfNew0
お疲れ様でした。次回へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/92/img8cc9a9cdzikbzj.jpeg

トライは全般的に敵が強いですね
私は、先日オフでやっとラギアクルスさんを討伐しました
他にトライをプレイされている方がいらっしゃいましたら、是非オンでご一緒しましょう

21:00周辺に求人区ワイズ1街角1にて、『Mikeneko』という名前で出没しています
時々見に来てみてください

また、狩りのお誘いなどは
私のサイト(http://blog.livedoor.jp/matusagasin/)や
BBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)などをお使いいただくことも出来ます
是非ご連絡をください

それでは、今回は失礼させていただきます
夏休みに入った方も多いと思われます
みなさまに、善きハンターライフが訪れるよう……
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 16:37:24.81 ID:DFmA.I.o
おつー
今日も元気最大金冠出しにいこうかな・・・
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 18:00:11.50 ID:vvQ2JaAo
乙〜
ちょうちんあんこうに勝てないから挫折したぜorz

らぎあ?なにそれおいしいの?
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 20:58:03.08 ID:qGBcbQgo
乙、次回いつごろ?
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 22:00:14.60 ID:GvXxmhIo
乙。相変わらずいいテンポだ
800 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/08(土) 00:43:16.80 ID:H/6ZyDY0
>>796
チャナガブル強いですよね
私はボウガンで倒しました
どちらかというと水中の操作に慣れればいける気がします
今度オンで一緒にやりましょう〜

>>798
また一週間ほどを見積もっていただけますと幸いです(12〜14日)
なるべくはやめに上げるようにしますので、気長にお待ちくださいね
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/08(土) 01:36:32.52 ID:UPN/9Gc0
まさかのジョー登場フラグ、あいつはマジで怖かった。
三毛猫さんは勝てましたか?自分?乙した瞬間に諦めました。
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/08(土) 07:46:47.78 ID:6GF8UQAO
読みました
女児かわいそす(;ω;)
どうにか幸せになってほしいなぁ


triたまにご一緒させていただいてます
今日から盆休みなんで思いっきり遊ぶ予定です
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/08(土) 09:27:32.09 ID:uU4K.oAO
乙でした〜

たしか三毛猫さんはボウガン派でしたっけ?
同じガンナーとして是非ご指導頂きたいです。
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/08(土) 16:01:44.83 ID:wWIff.AO
三毛猫氏お疲れ様です。
しかし、毎度のことながら氏の文章力や構成、完成度の高さには驚きます!
無理はせずに、ご自身のペースで頑張って下さい!
次回作を楽しみに待ってます!
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/08(土) 17:26:36.55 ID:dp.oT.wo
ナルガって剛種でいいのかな?基本飛竜系って変種じゃない?
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/08(土) 17:56:58.07 ID:YYUBhpU0
片手剣以外使ったこと無いお…
ちょうちんあんこう強すぎる…防具がハンター一式だから辛いのかな…

>>800
ぜひご一緒させてくださいwwクルペッコすら満足に倒せない雑魚ですがwwwwww
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/08(土) 17:59:59.77 ID:WNyFXtoo
最大金冠を2Gで一緒にやってくれるのか
そうかそうか
トライなんてやらねーし!
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 01:08:29.08 ID:LEtjffoo
>>805
MHFで呑竜や舞雷竜とかの新しいモンスターは剛種扱いのはず
新たにナルガとかが実装された場合剛種になるとおもうよ
ただつがいにできる亜種とかが居ないからやむなく剛種にしたとかそこらへんじゃない?

ナルガ剛種なんて多分夢見たいな話でナルガ自体実装されないとおもうけど
あくまでFの世界に居ないだけのはなしであって、この世界には存在するかもしれないからこまけぇことは無視なさいな

しかし少女をこれ以上不幸にしないでくれ・・・
809 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/09(日) 01:27:15.91 ID:lSkauW60
>>801
今回は敵が強すぎて、ジョーどころかベリオロスさんたちにも大苦戦してる状況です
防具が悪いのか、立ち回りが悪いのか……おそらく立ち回りなんでしょうね(汗)
ジョーもすごいですけれど、地味にリオレウスさんが強化型リオレウスさんになってて驚きました

>>802
またご一緒しましょう。楽しかったですよ^^
>>806
21:00周辺に、求人区ワイズ1街角1に【Mikeneko】という名前で出没しています
是非ご一緒しましょう
チャナガブルはハンター防具じゃ辛いかもしれないですね
少し上のランクにしてみれば、案外イケるかもしれませんよ

>>803
どうしてもボルバレルを使いたくて、色々いじってたら、使えるセットが判明しました
ロアル+ボルバレ(点射珠)+ライト(点射珠×2)
リノプロス一式(点射珠×5)
で、ある程度の弾が撃てて、反動小、ブレなしになります
攻撃力252なので大火力です。オススメですよ

>>804
ありがとうございます。気楽に進めさせていただこうと思います。
楽しんでいただけてうれしいです^^

>>805>>808
剛種か変種かで悩んだのですが、結局剛種かなぁ……という感覚で、勝手に作ってしまいました
私の想像なのでご了承ください。
でもナルガの剛種、変種なんて出てきたらどえらい強さでしょうね

>>807
どうにもPCがクラッシュしてからXlinkが使えなくなってしまって、申し訳がありません
2Gで一番大きかったモンスターは、ディアブロスで3000というのがいました
あの時は一緒にやってた人も相当ビビりましたねぇ……
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/09(日) 11:19:37.23 ID:PmQ22co0
マ王は…マ王はもういやだ…!
でかすぎて尻尾は切れんは、角には当たらんわ、攻撃翌力は即死級。
あいつのせいで普通のディアすら苦手意識が付いたほど。
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/09(日) 11:23:47.93 ID:HTK9WgEo
>>810
マ王をクリアしたことない俺がいますよっと
根性が無い弓だとあの攻撃力は確実に死ねる
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 11:54:34.27 ID:LEtjffoo
潜って出てを繰り返しているときはノーダメなんだけど突進が多いとよけきれないことがしばしばおきてきがついたら瀕死・・・
813 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/09(日) 21:12:47.27 ID:lSkauW60
マ王強いですよね
ソロのときは氷属性の双剣がいいですよ
音爆弾はフルに持っていくと楽です^^

今日(9日)の狩りは、ワイズ1が飽和状態なので移動します
合流できる方はどうぞ〜

自由区ミナガルデ2街角8に『Mikeneko』という名前で出没します
21:00〜やってますので、是非〜
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 21:44:13.00 ID:B7pcFJgo
乱舞厨乙としか言えない・・・
ランスでツンツンしてたら死ぬよ!よ!
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 23:33:58.03 ID:LEtjffoo
3にはあの憎きナナ様を狙ったラージャンは出てくる?

Fでいま百式装備作ろうと思ってラージャン狩ってるんだけど強すぎる・・・
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/09(日) 23:44:41.17 ID:PmQ22co0
>>815
その書き方だと、ナナ先生を憎んでるように読めるから気をつけれ。
3にはラージャン出ないよ。
というか、牙獣種そのものが出なかったような気が…。
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/10(月) 09:03:01.20 ID:LW1EjO20
>>816
ラー並の強さの奴居なかったっけ?
全モンスターを食べるとか何とかって奴

やっとクルペコ狩れるようになったぜorz
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/10(月) 12:38:05.78 ID:l.fk4Vso
>>816
ごめん
ナナ様好きだよ
素材ほしいとき以外は50分フルでつかってゆっくり戯れてるし

牙獣いないんだ
これ読む前から猿とカニは嫌いだ
>>817
聞いた話だとイビルジョーってやつのことだと思う
猫まで食べるらしいぜww
Fでサソリの最終形態の立ち回りもなれた俺ならいける気がする
819 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/10(月) 14:38:23.07 ID:SvrOkN.0
>>815
3には今まで登場したモンスターはディアブロスさんくらいしか出てきませんよ
ほぼ新規になっています

全モンスターを食べてしまうのはイビルジョーですね
あれはもう、倒す倒さないの問題じゃなくて、逃げるしかない代物と化してます(汗)
本当に倒せるのかは疑問が残るモンスターです……

段々と、今まで募集させていただいていた場所が飽和状態になってしまったので、今日からオンの場所を変えさせていただきます

◆自由区 ミナガルデ2 街角8 に 21:00周辺に『Mikeneko』という名前で部屋を作っています

短時間での参加なども歓迎です。HRの上下は問いませんので、皆様是非お越しください
チャットだけという方でも大丈夫です
お待ちしています
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/10(月) 16:10:51.29 ID:4iOL5qYo
イビルジョーの恐ろしいところはレウスレイア、はてはラギアまで食ってしまうところ
しかも聞くところによるとクエストクリア対象が食われたらクエスト失敗だとか
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/10(月) 18:27:30.84 ID:LW1EjO2o
イビルジョー…
ちょうちんあんこうに苦戦してる俺には勝ち目がなさそうだ…

『REN』という名前でプレイしていますw見かけたら声をかけてくださいw

戦闘中は敵味方構わず空へ飛ばしますが

>>820
じゃあ捕獲系クエで出るって事かな?
ってかクルペコが呼んで自分が食われたら面白そうだ
クエスト失敗だけど
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/10(月) 19:32:22.76 ID:l.fk4Vso
>>821
あるらしいぜww
823 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/10(月) 20:56:43.85 ID:SvrOkN.0
>>821
ジョーはそのために出てくるといっても……
街★3とかで出現されても成す術ありませんからねぇ
一応『REN』さんというお名前で検索をしてみましたが、該当のRENさんがどなたなのか……
私の名前『Mikeneko』さんも他に何人かいらっしゃるようなので、現在HR18の7NEJ32のMikenekoさんとお考えください
メッセージなどいただけると凄くうれしいです
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/10(月) 23:29:31.44 ID:LW1EjO2o
>>823
わかりましたw
出来る日があればメッセージ送らせていただきますw

ジョーってペッコとか食べるんだったらハンター即死じゃないのかな?
と一瞬おもたw
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/10(月) 23:47:01.72 ID:KfgxxBw0
>>824
実際、怒り状態の時の攻撃はヤマツカミの吸い込み以上に即死率高いです。
しかも、防御力を半減させる攻撃までしてくる。
虫やアイルーなどの雑魚を常に食っているので体力は回復しっぱなし。
どうしろと。 orz
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 01:13:27.10 ID:7kl.kIAo
ベルキュロスとラージャンが双璧をなす強敵だったけど上ができたのかorz
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 11:23:05.60 ID:GT09D1c0
イビルジョー伝説に新たな1ページが…

「倒しても2匹目登場」

……えっ?まさか、無限沸き?
828 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/11(火) 17:01:49.41 ID:mcj7vSs0
>>827
ジョーって無限湧きするんですか!?
てゆうか倒せたんですか!? 是非倒し方などリポートを……

ジョーのダークマターブレスは凶悪ですね。何も出来ずに散るしかないです

一応オフをクリアしました!
これからはじめる人のために、村下位の個人的感想を書いておきますね
829 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/11(火) 17:03:04.97 ID:mcj7vSs0
モンハン3、下位村ワンポイント(ガンナー視点)攻略

■ドスジャギィさん
よくクルペッコさんに呼ばれる人その1。王者のエリマキは頭部破壊で手に入ります。
ジャギィ、ジャギィノスを大量に召還してリンチしてくるので、ボウガンの散弾が有効です。
バレーのトスのタイミングで体当たりをしてくるので、華麗に避けましょう。

■クルペッコさん
いろんな人を呼ぶホイッスラー。果てにはイビルジョーまで召還してくださる、ほんとすごい人。
何考えてるんだかわかんない。
召還の儀式と体力回復?の儀式は攻撃を当てることで中断可能。
やっぱり散弾が有効です。
寒がりなので、凍土に住む人とはあまり交流が無いようです。

■ドスバギィさん
青いあいつ。暗闇ではウルトラセブンのように目が光る。かっこいい。
この人もジャギィを大量召還してきて、さらに眠り玉を吐いてくるので注意です。
やっぱり散弾が有効です。また、結構麻痺るのでシビシビさせて攻撃もGOOD。
若干ドスジャギィのバレータックルより早い気がします。

■リオレイアさん
前作より若干突進性能が増したような気がするあの人。
突進しても、疲れてないときは倒れずに攻撃に移行してきます。
滞空攻撃も多くなったので、無理せずに着地後ブレス後とかに電撃弾、貫通弾を撃てば十分です。
サマーソルトは痛いので正面に立たないように。やっぱり散弾も有効です。

■リオレウスさん
前作よりかなり強化された感がある強化型お父さん。
ちなみに今回は、閃光弾でうおっまぶしっしても二回目以降劇的に時間が短くなるので、ハメは使えません。
滞空時間が長いので、疲れてる時などに散弾をばら撒くと落ちてきます。
でも滑空や空中タックルなどを多用してくるので、やはり無理せずに、降りてきてブレス後などに貫通弾を撃ちましょう。
村だと、貫通弾1,2を撃ちつくしたあたりで弱りだします。

■ギギネブラさん
キモさが増したフルフルさん。とてもグロいです。卵を産むシーンはヤバいですが、隙だらけなので攻撃しましょう。
いつの間にか子供達(ギィギ)に囲まれてる時があるので、適度に散弾をばら撒くとGOODです。
動きが早くて、トリッキーなバック転を披露してくれるので混乱しがちですが、頭が二つあるわけではないらしいです。
みんなが欲しがる『おそろしいクチ』は頭と胸を二回ひるませて(破壊する)おくと入手できますよ。
貫通弾が有効です。正面に立つと毒玉を食らうので、少し横から抜くように撃つといいです。
多分女の子なんでしょうけれど、キモいです。

■ベリオロスさん
雷と火が有効です。遠距離にいると一気に間を詰められるので、どちらかというと近接向きかもしれません(主観)
オススメ武器は飛竜刀【双火】、電撃弾が速射できるボウガンなど。ボウガンは距離を詰めたほうがむしろ安全です。
前作のナルガさんは左側が死角でしたが、この人は向かって左にも尻尾振り回しをしてくるので注意。
彼が目に見えて疲れてきた頃に、周りをぐるぐる回りながら攻撃を繰り返すと比較的楽です。
正面に立つと雪玉攻撃を食らうので、脇か尻尾から攻撃するのがベストかも。
830 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/11(火) 17:04:43.57 ID:mcj7vSs0
■ラギアクルスさん
めっちゃ強い人。水中での操作に慣れないと、結構厳しい戦いになります。
ボウガンはシールドがあったほうがいいと思います。シールドありの場合は、ヘビィ+ヘビィ+ミドルがベストです。
バズロボローガだと飛距離が下がってしまうので、あまり(特に水中では)お勧めは出来ない武器です。
ランスが最適だと思います。全般的に、防御しつつ待ちながら、突進をガードして近距離から攻撃を撃ち込みましょう。
横なぎの攻撃は上か下回避で避けれます。
後ほど、ボウガンは尻尾の素材が必要になるので、この人に対してはランスなどをオススメします。

■チャナガブルさん
どうみてもアンコウですね。ちなみに提灯は破壊できますよ。
釣り上げることも可能なので、カエルを忘れずに。
水底にもぐったら吸い込みが来る可能性が高いので、距離をとって後ろ側に移動しましょう。
真正面から見ると結構かわいい。
毒弾と貫通弾が有効です。アイアンメイデン横転がりが来ることもあるので、後ろか斜め下、上からの攻撃がベストかも。

■ロアルドロスさん
ポンデライオン。クルペッコさんによく呼ばれる人その2。肥やし玉を投げつけてやりましょう。
水中で何故かボーッとしてることが多いので、貫通弾をブチこんであげましょう。
首のわたわたは破壊すると硬くなるようです。
この人の攻撃はラギア、ナバル様も使ってきますので(突進とか)練習台にちょうど良いかも。
ルドロス達が激しく彼を守ろうとしているところに家族愛を感じますね。

■ボルボロス閣下
スタミナがあると俄然元気に突進しまくってくるので、ヘイトがあがりやすいガンナーさんは注意です。
毒、麻痺が効くので、落ち着いて水冷弾を撃ち込んでいきましょう。殆ど横回避で事足ります。
疲れてくると俄然、目に見えてやる気がなくなってきます。減気弾も有効だと思われます。
打撃武器だと頭の潜水部分を破壊できますよ。

■ウラガンキンさん
動きがのろいのでガンナーさんにはかっこうの的です。水冷弾、毒弾、貫通弾が非常によく効きます。
ローリングアタックだけには注意。本人見えてないはずなのに、正確に突進してくることがあります。
一回ヴァニラアイスに襲われるポルナレフの気分を味わいました。
ローリングが来たときは横よりも後ろなどに落ち着いて下がるのがいいと思います。
打撃武器ではあごが砕けます。かわいそうです。

■ナバルデウス様
村クエの最終で戦うことになる、前作のラオシャンロンに位置するサメ?クリオネ?の一種?です。
何で戦っても良いような気がします。ガンナーさんは弾切れに注意。
ヒレや尾にも攻撃判定がありますので、下がりすぎに注意。
また、ヒゲを壊すとエリア3に逃げ込みますので、撃竜槍でツンツンしてやりましょう。
その時に角も折れるとGOODです。
水中ブレスは威力が強大なので、動作が来たら横に逃げるべきかと。ガード不可っぽいです。

■イビルジョー
見たら逃げましょう。
831 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/11(火) 17:11:12.99 ID:mcj7vSs0
あくまで主観なので、皆さんも倒し方やオススメなどありましたら、書き込みお願いしますね

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/43/imge446df0czikczj.jpeg

オンの集会所や私のアドレスは>>819にありますので、よろしくお願いします

あと、ボルバレルを使う方法(まっすぐ飛ばす方法)はあるのですが……
個人的には、飛距離が0.6〜0.7前後になってしまうので、結局はロアル+ラギア+ラギアで落ち着きました
飛距離がないと水中はつらいですね
832 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/11(火) 17:12:26.11 ID:mcj7vSs0
私のアドレスは>>823でした。メッセージなどいただけるとすごくうれしいです
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 17:32:55.73 ID:GT09D1c0
私は討伐ではなく捕獲で〆ました。(チキンですので)
で、苦労の末に捕獲して皆で喜んでいると、眠らせたジョーが消えて後ろから…

倒し方…といっても罠を4人フルで持ち込み、麻痺らせつつフルボッコしてただけですし。
でも、広域持ちのサポ専が一人いるとすごい楽ですよ。
会心率が50%下がる状態異常になった時、広域の人が「龍殺しの実」を食べて回復。
というのがあったから勝てたようなものですし。

かなり大変でしたが捕獲したときの充実感は、ほかのモンスターとのそれとは比べ物にならないので、三毛猫さんも頑張ってみてください。 以上、長文失礼しました。
834 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/11(火) 17:44:39.93 ID:mcj7vSs0
>>833
そうなのですかー。それでも倒せたっていうのはすごいです
私は恐怖しか抱けませんでしたからね……
麻痺が効くんですね。今度遭遇したら試してみます。
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 18:33:58.24 ID:qwFdDEso
ジョー倒したいねぇ
今回は奴の爪が護符との調合材料だって聞くし
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 18:44:57.97 ID:Xsemy.A0
クリアおめですwwwwww
オフよりオンの方が進んでる俺orz

攻略参考にさせて貰いますww
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 20:33:25.54 ID:1/S/7QAO
イビルジョーがなにかわからないHR20村クエナバルクリアの俺…

ネタバレ気にしてネット止めてたら結局乗り遅れただけで気になる話わんさか…

これから会えるのかな
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 20:59:08.16 ID:GT09D1c0
>>837
大丈夫、割と簡単に合えますから。
ええ、嫌というほど…ね。
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 22:04:09.85 ID:qwFdDEso
>>837
上位に入りたてだとよく遭遇することになるよ
最初は畏怖の対象だったけど今は非常に倒したいんだよなぁ
でも避ける人が多いし街検索にもイビルジョーの項目がないから狩りたくても狩れない状況
最上位までいったら正規クエストがあるけどそこまでが長いし
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/12(水) 17:25:36.48 ID:QPHXVvYo
MHPとか3では皆さんで遊んでるみたいだけどフロンティアやってるひとどれくらいいる?
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/13(木) 16:24:49.39 ID:L4aCpWoo
F勢の俺 ノ
842 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:13:13.51 ID:iIQPapQ0
>>840
私もやっていましたが、ずいぶん入っていませんね……
ID他がわからなくなってしまっています(汗

8話を書きましたので投稿させていただきます
843 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:15:19.34 ID:iIQPapQ0
8.パリアプリア 「真珠の耳飾りを……」

―十年前、砂原、ベルキュロス剛種の巣―

ベルキュロス 「父様ー、父様ー(バタバタ)」
ベルキュロス 「見て、父様! こんなに大きな貝が取れたよ!」
ベルキュロス剛種 「…………」
ベルキュロス剛種 「(バシッ!)」
ベルキュロス 「あっ……(ガシャン)」
ベルキュロス剛種 「娘よ……お前は、また人間の村の近くに行ったのか……」
ベルキュロス 「と……父様……?」
ベルキュロス剛種 「(バシンッ!)」
ベルキュロス 「きゃっ!」
ベルキュロス 「い……痛い……痛いよぉ……」
ベルキュロス剛種 「何度言っても分からぬ子だ……」
ベルキュロス剛種 「そなような子は我の子ではない。どこへなりと、好きなときへ好きな場所へ行くが良い……」
ベルキュロス剛種 「いつも言っている通りにな……(ドスン、ドスン)」
ベルキュロス 「ひっく……う……」
844 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:16:12.96 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「父様…………」
ベルキュロス 「喜んでくれるかと……思ったのに……」
ベルキュロス 「粉々になっちゃった…………」
パリアプリア 「お嬢…………」
ベルキュロス 「なっ……見てたの!? 無礼者!(ブンッ)」
パリアプリア 「お……おで、何も見てない。見てない」
ベルキュロス 「…………」
パリアプリア 「…………」
パリアプリア 「お嬢、片付け、おでがやる……(ズシン、スジン)」
ベルキュロス 「ひっく……ひっく……」
パリアプリア 「…………」
パリアプリア 「お嬢よぉ……」
パリアプリア 「お館様が、きづーく言ってらしてっじゃねぇかぇぇ」
パリアプリア 「なして人間の里さ近くいくだ?」
パリアプリア 「そっだらことすったら、あぶねぇぜぇ」
845 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:17:13.15 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「お……お前には関係ない!」
パリアプリア 「でもよぉ」
ベルキュロス 「うるさい! うるさい! 無礼者!(ビシ! バシ!)」
パリアプリア 「あ痛っ、痛っ! お嬢、勘弁さ勘弁さ」
ベルキュロス 「…………」
パリアプリア 「あ痛ァなァ。お嬢はいっづも容赦ぁねぇがんなぁ」
パリアプリア 「…………」
パリアプリア 「お館様ァ、ご機嫌悪ィんだっぺ」
パリアプリア 「なぁに、運が悪かっただけさ」
パリアプリア 「お!」
ベルキュロス 「?」
パリアプリア 「この巨大な貝殻、中に真珠を持ってだ!(キラキラ)」
ベルキュロス 「うわぁ……」
ベルキュロス 「…………」
ベルキュロス 「………………」
パリアプリア 「真珠にはァ、幸運のまじないがかかってるんだァ」
パリアプリア 「これは……こうして(プス、プス)」
846 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:18:15.72 ID:iIQPapQ0
パリアプリア 「ほうれ。耳輪が出来たぞィ」
ベルキュロス 「わぁ」
パリアプリア 「お嬢にィ、いいごとがありますよぉぉーに」
ベルキュロス 「くれるのか?」
パリアプリア 「お嬢がとってきたんだっぺ?」
ベルキュロス 「ふ……ふん!(バッ)」
ベルキュロス 「幸運のまじない……」
ベルキュロス 「(もぞもぞ……)」
パリアプリア 「あんれまぁ、こりゃまた美人だっぺぇ」
ベルキュロス 「…………」
ベルキュロス 「ふん、お前などに世辞を言われても、うれしくも何ともないわ」
パリアプリア 「お嬢は今日もつれねぇなぁ」
パリアプリア 「(サッサッ)」
パリアプリア 「しっかしよぉ、やっぱ人間の里へは近づいちゃいけねぇ」
パリアプリア 「ウラガンキン様がそう決めてんだっぺ。なら従うのが道理だっぺェ」
847 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:19:07.48 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「ふん……」
ベルキュロス 「あんな王家、滅んでしまえば良い……」
パリアプリア 「お……お嬢、いきなり何を言い出すんだァ」
パリアプリア 「どこぞで誰が聞いてるか、わがったもんじゃねぇで」
ベルキュロス 「知ったことか! 事実ではないか」
ベルキュロス 「あいつがいるせいで、父様はいつまでも……」
ベルキュロス 「父様は…………」
ベルキュロス 「ひっく…………」
ベルキュロス 「…………」
パリアプリア 「あーあー、美人さんが台無しだァ」
パリアプリア 「ほーれ、部屋に戻っぺなぁ」
パリアプリア 「おでがうんめぇ魚汁作ってやっがらなぁ」
ベルキュロス 「…………いらない…………」
パリアプリア 「そういわずに、ほれほれ(ぐいぐい)」
ベルキュロス 「ええい引っ張るな……!」
848 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:20:04.74 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「父様………………」
ベルキュロス 「…………」
ベルキュロス 「パリア」
パリアプリア 「何ですだ?」
ベルキュロス 「父様は、私がいらないのだろうか……」
パリアプリア 「…………」
ベルキュロス 「今日も……とても、怒ってた」
ベルキュロス 「私のせいで…………」
ベルキュロス 「我の子ではない、って言われた……」
パリアプリア 「そりゃ、お嬢がァ、お館様の言うこど聞かねぇからだっぺェ」
ベルキュロス 「…………」
パリアプリア 「…………」
パリアプリア 「お館様も、奥方様が亡くなっでがら、気難しくなっぢまったからなぁ……」
ベルキュロス 「前の父様は……あんな父様じゃなかった……」
ベルキュロス 「もっとやさしくて……もっと……」
ベルキュロス 「…………」
ベルキュロス 「母様…………」
ベルキュロス 「ひっく…………」
パリアプリア 「あぁもう。泣くでねぇよぉ」
パリアプリア 「ほうれ、べろべろぶるぶるば〜」
ベルキュロス 「や……やめぬか! 変な顔など……私はもう子供じゃない!」
849 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:20:58.40 ID:iIQPapQ0
パリアプリア 「(ぷくぅぅぅ)はぃはぃ、お嬢は立派な大人ですよ(ひゅるるるる)」
ベルキュロス 「…………」
パリアプリア 「今日はちと運がァなかっただけでさぁ」
パリアプリア 「だけんど、真珠のお守りがあるお嬢は無敵さ!」
パリアプリア 「明日はきっど、お館さまの機嫌もいいに違いね」
パリアプリア 「この貝殻は、おでが拾ってきだって言っておっからな」
ベルキュロス 「!! 何を言う! お前に罪を被ってもらおうなどど思わん!!」
ベルキュロス 「召使いの癖に、恥を知れ!」
パリアプリア 「ゲゲッ、怒られちまった」
パリアプリア 「んでもお嬢、罪っで言っで、悪ィことしだって、分かってんじゃねぇか」
ベルキュロス 「…………」
パリアプリア 「んなら、夕食の時にでも謝ればええ。正直に言えば、お館様も邪険にはしねぇよお」
ベルキュロス 「………………」
パリアプリア 「しっがし、なしてそんな遠くにいっただ?」
ベルキュロス 「……ウラガンキンの作った境界線なんて、知らない」
パリアプリア 「お嬢……」
ベルキュロス 「王家の作った決まりなんて知らない……!」
ベルキュロス 「王家なんて……王家なんて……」
ベルキュロス 「母様が人間に殺されたときも、何もしてくれなかった……!!」
ベルキュロス 「何もしてくれなかったくせに、えらそうに父様に命令して……」
ベルキュロス 「私は、王家なんてゆるせない……」
パリアプリア 「………………」
850 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:21:50.79 ID:iIQPapQ0
―夕刻―

ベルキュロス剛種 「(もぐもぐ)」
ベルキュロス 「………………」
パリアプリア 「(つんつん)」
ベルキュロス 「………………」
ベルキュロス 「あ……あの、とおさ……」
メラルー 「(タタッ)報告しますニャ!」
ベルキュロス 「………………」
ベルキュロス剛種 「聞こう」
メラルー 「今朝方、水没林にハンターが三人侵入しましたがラギアクルスが撃退しましたニャ」
ベルキュロス剛種 「…………そうか。若いのによくやる」
メラルー 「また、昼ごろ火山で怪しい人影を見たと、アグナコトルが言っていましたニャ」
メラルー 「現在イビルジョーが捜索に当たっていますがニャ、まだ発見できずとのことですニャ」
メラルー 「イビルジョーを戻してもいいでしょうかニャ」
メラルー 「と、ウラガンキン様からの伝言ですニャ」
ベルキュロス剛種 「……火山に人影か……」
ベルキュロス剛種 「イビルジョーは全て喰らってしまい、確認が出来ない」
ベルキュロス剛種 「分かった。私が見に行こう。ガンキン様には、そのようにお伝えするのだ」
メラルー 「合点ですニャ!(ササッ)」
851 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:23:15.67 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「と……父様……?」
ベルキュロス剛種 「パリアプリアよ、少し空ける」
パリアプリア 「は……はいですだ」
ベルキュロス 「………………」
ベルキュロス剛種 「…………(ドス、ドス)」
ベルキュロス 「父様……」
パリアプリア 「……残念だったなぁ、お嬢。お館様は仕事だで」
ベルキュロス 「(ギリ……)そんなの、ウラガンキンが自分で行けばいいんだ……!!」
ベルキュロス 「摂政だからって、父様ばっかり頼って……」
ベルキュロス 「自分では何も出来ないくせに……!!!」
パリアプリア 「………………」
パリアプリア 「(なでなで)」
ベルキュロス 「な……何をする!」
パリアプリア 「お嬢は口は悪ィけんど、さっき、ちゃーんと謝ろうとしてたなぁ」
パリアプリア 「えらいえらい」
ベルキュロス 「ええいやめぬか! 私はもう子供じゃない!」
パリアプリア 「ははっ。ほうれ、汁が冷めっぞい」
852 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:24:53.15 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「………………」
ベルキュロス 「(父様、私の方を見てもくれなかった……)」
ベルキュロス 「(やっぱり私は……)」
ベルキュロス 「(いらない子なんだ……)」
パリアプリア 「(お嬢…………)」
パリアプリア 「(お館様は、奥方様が亡くなってから、お嬢に冷たくなっだ)」
パリアプリア 「(お嬢は悪くねぇ)」
パリアプリア 「(奥方様に……お館様が守れなかった奥方様に、お嬢がだんだん、似でぎてんだァ)」
パリアプリア 「(お館様のお気持ちもわがっけど、お嬢はまだ子供だで……)」
パリアプリア 「(どうにかしでやりでぇけんどなぁ……)」
853 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:26:05.41 ID:iIQPapQ0
―翌朝、水没林―

ベルキュロス 「(家にいるとパリアプリアがうるさいや……)」
ベルキュロス 「(抜け出してきちゃった)」
ベルキュロス 「(父様……結局昨日は帰ってこなかった……)」
ベルキュロス 「(火山…………)」
ベルキュロス 「(王家の連中がいる所なんて、行きたくない……)」
ベルキュロス 「(でも、父様……)」
ベルキュロス 「………………」
ベルキュロス 「(そうだ、昨日の巨大な貝殻……)」
ベルキュロス 「(あれをもう一度拾ってくれば……)」
ベルキュロス 「(父様に、おそろいの真珠の耳飾りをプレゼントできる……)」
ベルキュロス 「(………………)」
ベルキュロス 「(でも、今度こそ、捨てられちゃうかも……)」
ベルキュロス 「(私は、要らない子なんだ……)」
ベルキュロス 「………………」
854 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:26:56.85 ID:iIQPapQ0
ラギアクルス 「……?」
ラギアクルス 「ベルキュロス様!」
ベルキュロス 「! ラギアクルス!? こんな入り口で何をしている?」
ラギアクルス 「ベルキュロス剛種様から伝達がありました。ここから先は、立ち入り禁止になっております」
ラギアクルス 「申し訳がありませんが、お引き返しください」
ベルキュロス 「(父様……)」
ベルキュロス 「(私には何も、直接言ってくれなかったのに……)」
ベルキュロス 「………………」
ラギアクルス 「……?」
ベルキュロス 「…………う、うるさい!」
ラギアクルス 「……な……」
ベルキュロス 「騎士団風情が無礼であるぞ。『王族』の私が通るといっているのだ」
ベルキュロス 「道を空けい、駄竜!」
ラギアクルス 「…………」
ラギアクルス 「ベルキュロス様、ご立腹推し量りまする。しかしながら我は、その王家に仕える身」
ラギアクルス 「王家次期党首候補のあなた様に危険が及ばぬようにするのも、我が命をかけての努めの一つです」
ベルキュロス 「ふんッ」
ベルキュロス 「次期党首候補……よく言うわ。王家の犬のくせに」
ラギアクルス 「………………」
855 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:28:23.44 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「貴様と話すことなど何も無いわ」
ベルキュロス 「ただ散歩で立ち寄っただけよ」
ラギアクルス 「左様でしたか」
ラギアクルス 「お気に障ってしまったのなら、謝罪いたします」
ラギアクルス 「我はこのあたりを巡回しておりますので、何かありましたら御用付けください」
ラギアクルス 「それでは……(とぷり)」
ベルキュロス 「ふん!(くるり)」
ベルキュロス 「(何よ、パリアプリアの奴……)」
ベルキュロス 「(何が、真珠のお守りは幸運を呼ぶだ! 邪魔者がいるじゃない!)」
ベルキュロス 「(王家の犬が……)」
ベルキュロス 「(王家なんてみんな滅びちまえばいいんだ……!!!)」
ベルキュロス 「(バサァッ)」
856 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:29:28.67 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「(はぁ……)」
ベルキュロス 「(父様……)」
ベルキュロス 「(火山で、何かがあったのかな……)」
ベルキュロス 「(火山に行くなっては、言われていないよね……)」
ベルキュロス 「(バサァッ)」
ベルキュロス 「! パリアプリア!」
パリアプリア 「お嬢ー! お嬢ー!!(ドドドドド)」
ベルキュロス 「何をしてるのこんなところで(バサッ)」
パリアプリア 「あぁよかっだ! お嬢、人の里に行ってるのかと思っだ!!」
ベルキュロス 「そんなことしないわ……」
ベルキュロス 「…………」
パリアプリア 「こんなことぁしてらんね。お嬢、今すぐ巣さ帰ってくれ!」
ベルキュロス 「? 何かあったの?」
パリアプリア 「火山に人間が入り込んだでな。今、ウラガンキン様から外出禁止令がこの辺りに発令されたんだァ」
ベルキュロス 「火山に……人間!?」
857 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:30:55.39 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「父様が……!!」
パリアプリア 「わぁーっでる! わかっでる。連絡がねんだ。んだから、これからおでがいっでくっがら」
パリアプリア 「お嬢はここを動かねで……」
ベルキュロス 「父様……!!!(バサッ!!)」
パリアプリア 「お嬢! 駄目だで!!!」
ベルキュロス 「(ヒュゥゥゥゥ)…………(父様が、人間と……!?)」
ベルキュロス 「(もしかして、人間にひどい目に……)」
ベルキュロス 「(でも火山にはイビルジョーやアグナコトルが……)」
ベルキュロス 「(ブンブン)…………(王家なんて信じられるもんか!)」
ベルキュロス 「(父様、もしかしたらお一人で戦ってるのかも……)」
ベルキュロス 「(私が……)」
ベルキュロス 「(私がお助けするんだ……!!!)」
858 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:32:39.43 ID:iIQPapQ0
―火山、同時刻―

スラッシュアックス 「はぁ……はぁ……」
熟練ハンターA 「くそっ……残ったのは俺とお前だけか……」
熟練ハンターA 「回復薬も底をついた。それに……」
イビルジョー 「ギャォォォォォオオオオ!!」
熟練ハンターA 「危険すぎる。あれは恐暴竜だ!!」
熟練ハンターA 「俺たちの姿を見失って騒いでるんだ」
熟練ハンターA 「この隙に逃げるぞ!」
スラッシュアックス 「……俺は逃げん!(ガシャコン)」
熟練ハンターA 「何言ってんだ! この頭数で、恐暴竜を相手に出来るわけがないだろ!!」
スラッシュアックス 「…………」
熟練ハンターA 「炎戈竜は何とか撒いたが……舞雷竜まで合流してきやがった……!!」
ベルキュロス剛種 「シャァァ………………」
熟練ハンターA 「聞いてるのか!? この辺りのウロコトルやリノプロスは殲滅したが、あんな大型二匹……」
熟練ハンターA 「殺されるぞ!!!」
スラッシュアックス 「お前は逃げろ。巻き添えになる前に(バッ)」
859 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:34:33.60 ID:iIQPapQ0
熟練ハンターA 「お前……スラッシュアックス、お前それは……!」
スラッシュアックス 「俺が改良した、小型の大樽爆弾Gだ。一つで大岩を吹っ飛ばす威力がある」
スラッシュアックス 「全部で五十本だ」
スラッシュアックス 「一度に起爆させれば、いくら恐暴竜だといっても手傷を負わせられるはずだ!」
熟練ハンターA 「だ……だが無茶だ!」
熟練ハンターA 「もう罠だって使い切っちまってないんだぞ!」
スラッシュアックス 「だが……俺は逃げるわけにはいかない……(ギリ……)」
スラッシュアックス 「モンスターは皆殺しにする……!!」
スラッシュアックス 「あの恐暴竜には、おびただしい数の仲間がやられた!」
スラッシュアックス 「それに、あの舞雷竜……!!!!」
スラッシュアックス 「あれは……俺の両親の仇を……」
スラッシュアックス 「仇をかばった、敵だ……!!」
860 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:36:15.53 ID:iIQPapQ0
スラッシュアックス 「いいか!? 俺は族長だ! 人間の長だ!」
スラッシュアックス 「背を向けて『逃げる』というのがどういうことか、分かるか?」
スラッシュアックス 「1パーセントでも勝てる見込みがあるのに、そこで逃げてしまったら……」
スラッシュアックス 「そこで諦めてしまったら……」
スラッシュアックス 「俺たち弱い『人間』は、もう二度と挑もうと思えなくなってしまう」
スラッシュアックス 「俺たち人間は、そこで終わってしまう!」
スラッシュアックス 「弱い人間は、諦めてしまったらそこで負けだ。永遠に! 二度と勝つことは出来ない!!」
スラッシュアックス 「だが俺はハンターだ。モンスターを狩る、モンスターハンターだ!!」
スラッシュアックス 「諦めぬ! 逃げぬ!」
スラッシュアックス 「敵は、俺が食い止める……!!!!!」
熟練ハンターA 「滅茶苦茶な暴論だ! 死んじまったら元も子もないんだぞ!!」
スラッシュアックス 「それでもやるんだ!」
イビルジョー 「! ギャォォォオオオオオオォオオ!!!!」 
熟練ハンターA 「!!!! こっちに気づいたぞ!」
ベルキュロス剛種 「シャォォォォ!!!」
861 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:37:07.60 ID:iIQPapQ0
イビルジョー 「ゲヘヘヘヘヘヘヘ!! ヒャハハハハハ!! ゲス野郎二匹見ィィィィッけェェ!!!」
ベルキュロス剛種 「気をつけろイビルジョー。あの人間には見覚えがある」
ベルキュロス剛種 「かなり強力な武器と道具を使う……見た目にだまされてはならぬ」
イビルジョー 「ケケケケケ!! 構やしねぇ! 人間が何をしようがな!」
イビルジョー 「所詮人間は人間よぉぉぉぉ! 何をやろうが、俺ァァ! ン!! ノン! ストップ!!」
イビルジョー 「かくれんぼはおしまいだぜぇぇぇぇ!! ド腐れ共の残党狩りじゃぁぁぁ!!」
イビルジョー 「ギャオオオオオ!!(ドドドドド)」
ベルキュロス剛種 「(戦闘モードに入ったイビルジョーを止めることは出来ん……)」
ベルキュロス剛種 「(この目で、確かに人間の侵入と、一部の撃退は確認したが……)」
ベルキュロス剛種 「(何だ? この妙な胸騒ぎは……)」
イビルジョー 「ケケケケケケケケ!!!(ドドドドド)」
スラッシュアックス 「もう少し……もう少しだ……」
熟練ハンターA 「もう駄目だ……!!」
スラッシュアックス 「諦めるな!」
イビルジョー 「ギャオオオオオ!!!!」
スラッシュアックス 「巨体が災いしたな! 食らえ!!!!(カチッ)」
 >ドカンッ
862 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:37:58.49 ID:iIQPapQ0
イビルジョー 「(ガクンッ)……な……ッ!?」
ベルキュロス剛種 「(イビルジョーの体が傾いた……! 何かに躓いたのか!?)」
ベルキュロス剛種 「(あの人間、溶岩でドロドロの場所を岩で隠して、簡易的な落とし穴を……)」
ベルキュロス剛種 「(いつの間に……!!)」
イビルジョー 「しゃらくせぇぇぇ!!(ググググ)」
熟練ハンターA 「攻撃が来るぞ!」
スラッシュアックス 「(口を開けた……! 今だ……!!!!)うおおおおおおお!!!(ダダダダダッ)」
熟練ハンターA 「スラッシュアックスーッ!!!!」
ベルキュロス剛種 「(何だ!? あの人間、逃げるではなく向かってくる!?)」
ベルキュロス剛種 「イビルジョー! 何かおかしい、下がれ!!」
イビルジョー 「アァァァ!?」
スラッシュアックス 「遅い!!(ブゥゥゥゥゥンッ!!!)」
イビルジョー 「(バクンッ!)」
ベルキュロス剛種 「(イビルジョーの口に、人間が何か大きなものを投げ込んだ!)」
 >チュッ………………ドォォォォォォォォォォォンッ!!!!
ベルキュロス剛種 「うおおおおおお!?」
イビルジョー 「ギャァァァァァァアア!!!!」
スラッシュアックス 「特製大樽爆弾Gと、斬裂弾、竜撃弾!! 閃光弾全ての味はどうだ!!!!!」
863 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:40:03.56 ID:iIQPapQ0
イビルジョー 「(ふら……ふら……)」
ベルキュロス剛種 「イビルジョー!!!」
ベルキュロス剛種 「くっ……爆発の閃光と土煙で、何も見えぬ!!!」
スラッシュアックス 「がぁぁああああああッ!!!!」
ベルキュロス剛種 「!!!!!!!!!?」
ベルキュロス剛種 「(こっ……この人間……!!)」
ベルキュロス剛種 「(最初から、イビルジョーではなく、私を狙っていたのか!!!?)」
スラッシュアックス 「もらったァァァァ!!!!」
スラッシュアックス 「父の仇……母の仇……」
スラッシュアックス 「散っていった仲間達の仇……!!!!」
スラッシュアックス 「全ての子供と、全ての人間のために……!!!」
スラッシュアックス 「ハンターを…………ナメるなぁぁぁぁああ!!!」
スラッシュアックス 「(ザンッッ!)………………うあああああ!(ズッ……ドドドドドドドド)」
ベルキュロス剛種 「…………!!!!!!!!!!」
864 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:41:14.80 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「父様ァァァ!!!」
ベルキュロス 「(イ……イビルジョーの全身から煙が……!!)」
ベルキュロス 「(それに、すさまじい音と、煙と光……!!)」
ベルキュロス 「(父様、戦ってるんだ!!!)」
ベルキュロス 「父様! お返事を……お返事をしてください!!!」
ベルキュロス 「父様ァァーー!!!」
ベルキュロス 「あ………………」
ベルキュロス剛種 「………………(ズゥゥゥゥン)」
ベルキュロス剛種 「………………」
ベルキュロス 「父……様……?」
スラッシュアックス 「はぁ…………はぁ………………」
スラッシュアックス 「うおおおおおお!!!」
ベルキュロス 「(ビクッ…………!!)」
ベルキュロス 「(な……何だ!? この人間の……声……!!)」
ベルキュロス 「(怖い……? きょ、狂気……狂気を感じる!!!)」
ベルキュロス 「ああ………………あ…………」
ベルキュロス 「父…………………………様……………………」
865 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:42:06.37 ID:iIQPapQ0
イビルジョー 「が……カ…………(ズゥゥゥゥン)」
ベルキュロス 「イビルジョーまで……!!!」
ベルキュロス 「…………う……嘘………………」
ベルキュロス剛種 「父様! 父様ァァー!!!」
スラッシュアックス 「!! 仲間か!!」
スラッシュアックス 「(小さい! この舞雷龍の子供か!!)」
スラッシュアックス 「(禍根は残さん!!)……!!(ガシャコン)」
ベルキュロス 「父様が……父様が……!!!!」
ベルキュロス 「誰かァァ!!!」
スラッシュアックス 「隙だらけだ! 喰らえェェェ!!!(ブゥゥンッ!!!)」
×××××× 「危ない!!!!(ドドドドドド)」
スラッシュアックス 「(ズザシュッ!!!)くっ……何だ!(バッ)」
866 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:43:15.02 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「あ……ああ…………」
パリアプリア 「お……お嬢、怪我は…………?」
ベルキュロス 「パリア! 何で……」
パリアプリア 「お嬢こそ……何で火山に…………」
パリアプリア 「まっだく、聞き分けのない子だない…………」
ベルキュロス 「パリア! 父様が息を…………」
パリアプリア 「…………(ガクリ)」
ベルキュロス 「!!!!!!」
ベルキュロス 「パリア!!」
ベルキュロス 「きゃぁぁああ! 血が…………お前の頭から、血が!!!!」
パリアプリア 「………………お、嬢。逃げるんだ」
パリアプリア 「あの人間は……ヤバいでよ…………」
パリアプリア 「化け物じみた…………狂気を感じるでよ…………」
ベルキュロス 「ば……バカを申すな!! 父様も……お前も、早く手当てを…………」
ベルキュロス 「誰か! 誰かぁぁ!!!」
867 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:44:05.47 ID:iIQPapQ0
スラッシュアックス 「何かと思えば呑竜が乱入してきたのか……」
スラッシュアックス 「だが今の一撃で致命傷を与えた……!!」
スラッシュアックス 「やれる! 舞雷竜の子供もろとも!!」
スラッシュアックス 「うおらぁああ!!(ブゥン!)」
ベルキュロス 「(ビクッ)……!!」
パリアプリア 「お嬢!!」
パリアプリア 「(バッ)…………ッ!(ザグシュッ!!)」
パリアプリア 「……ガアァァ!!」
ベルキュロス 「パリア! パリア!!!」
スラッシュアックス 「うおおおお! 死ねぇぇえ!!」
パリアプリア 「(ザシュッ! ザバシュッ!!!)ガッ……ガァァ!! ガァァアア!!」
ベルキュロス 「パリア! パリア、私から体をどけるのだ!!」
ベルキュロス 「反撃して!!! パリア!!!!」
パリアプリア 「……………………」
スラッシュアックス 「はぁ…………はぁ………………」
スラッシュアックス 「やった……」
スラッシュアックス 「俺一人で……モンスターどもを…………!!!!」
パリアプリア 「………………(ズゥゥゥン)」
868 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:45:23.96 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「あ……ああ…………」
スラッシュアックス 「ふん、恐怖で威嚇をするしかないか、舞雷竜の子供……」
スラッシュアックス 「(ガシャコン)」
スラッシュアックス 「お前たちに殺された子供達の気持ちが分かるだろう……」
スラッシュアックス 「お前たちに蹂躙された仲間達の気持ちが……叫びが……!!!」
スラッシュアックス 「俺の父と母を殺し、仲間達を殺し、それでものうのうと生きているお前たちモンスター!!!」
スラッシュアックス 「俺は、お前たちを絶対に許さないッ!!!」
パリアプリア 「ガ……アァァァ!!!(ドドドドドドッ)」
スラッシュアックス 「!! (ドズゥッ!!)ぐはぁぁああ!」
スラッシュアックス 「(ドガッ)………………(ずるずる)」
スラッシュアックス 「(くっ……)」
スラッシュアックス 「(呑竜が最後の力で……体当たりを……)」
スラッシュアックス 「(腕が折れた……くそっ!!!!!!)」
ベルキュロス 「パ……パリア…………」
スラッシュアックス 「貴様も……」
スラッシュアックス 「貴様も覚えたぞ……」
スラッシュアックス 「禍根は残さん! 絶対に俺の手でしとめてくれる!!(バッ)」
869 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:46:15.80 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「(人間が逃げていく……)」
ベルキュロス 「(か……体が動かない……)」
ベルキュロス 「(あれは人間ではない……化け物だ…………)」
ベルキュロス 「(こ……怖い……)」
ベルキュロス 「(怖いよ………………)」
ベルキュロス 「……………………」
イビルジョー 「………………」
ベルキュロス剛種 「………………」
パリアプリア 「………………」
ベルキュロス 「父様……? パリア……?」
ベルキュロス 「パリア……(ゆさゆさ)」
パリアプリア 「………………」
ベルキュロス 「パリア……」
パリアプリア 「…………ゲホッ…………」
ベルキュロス 「!!! パリア!!」
パリアプリア 「…………お、嬢…………無事でよかった……だ……」
870 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:47:13.88 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「しゃ……しゃべるでない。今助けが……」
パリアプリア 「おでは……もう、駄目だで。へっへ……しくったなァ…………」
ベルキュロス 「パリア……パリア、父様が……それに、お前まで……?」
ベルキュロス 「嘘……そんなの嘘だ……」
ベルキュロス 「嘘だ……」
ベルキュロス 「王家は……王家は何をしている!!」
ベルキュロス 「助けはまだか!!!!!」
パリアプリア 「おいおいィ…………泣くんで……ねぇよ、お嬢…………」
ベルキュロス 「ひっく……ひっく…………」
パリアプリア 「王家を……憎んじゃいけねぇだ……」
パリアプリア 「みんな……仲良くだ……」
パリアプリア 「泣くんでねぇ…………美人さんが台無しだぁ……」
パリアプリア 「真珠のお守りは……幸運の……」
パリアプリア 「……………………」
ベルキュロス 「パリア!? パリア!!!!」
パリアプリア 「……………………」
ベルキュロス 「うわぁああぁぁああぁぁあ!!!」
871 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:48:26.95 ID:iIQPapQ0
―現在、モガの村―

スラッシュアックス 「…………」
スラッシュアックス 「(ハンマー……太刀、何故だ?)」
スラッシュアックス 「(モンスターは俺たちの敵のはずだ。なのに……)」
スラッシュアックス 「(…………それに、俺は確かにモンスターの群れの中に女の子が混じっているのを見た)」
スラッシュアックス 「(物の怪か幻かと思ったが、やはりあれは小さな女の子……)」
スラッシュアックス 「(捕まっているのか……? いや、そうは見えなかった……)」
スラッシュアックス 「(もしやハンマーたちは、あの子を守ろうとして……)」
スラッシュアックス 「…………」
スラッシュアックス 「(モンスターは敵だ)」
スラッシュアックス 「(俺は、それだけを信条に今まで生きてきた)」
スラッシュアックス 「(たくさんのモンスターを殺し、たくさんの仲間がやられた……)」
スラッシュアックス 「(その上で、今の生活があるんだ……)」
スラッシュアックス 「(その生活を、均衡を壊させるわけにはいかん……)」
スラッシュアックス 「(モンスターに組する者は仲間ではない……)」
スラッシュアックス 「(排除しなければいけない、敵だ……!!!)」
872 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:49:17.75 ID:iIQPapQ0
熟練ハンターA 「スラッシュアックス、どういうことなんだ!?」
熟練ハンターA 「あんたの友達とやらは、モンスターを庇っているようにしか見えなかった」
熟練ハンターA 「それに、見たことのないモンスターに乗ってきたじゃないか!」
熟練ハンターA 「どういうことなのか説明をしてくれ!」
スラッシュアックス 「………………」
スラッシュアックス 「俺も、詳しいことまでは知らん。だが……」
スラッシュアックス 「ハンマーがこの島に来た時、妙な事を俺に聞いていた」
スラッシュアックス 「『モンスターの群れの中に女の子を見なかったか』とな……」
熟練ハンターB 「女の子……?」
熟練ハンターD 「俺……見たぞ! 戻るとき、確かに女の子が何かを叫んでいるのを見た……」
熟練ハンターD 「あの時は見間違いかと思ったが……」
スラッシュアックス 「………………」
スラッシュアックス 「どうやら、ハンマーと太刀の狙いはその女の子らしい」
スラッシュアックス 「そして、信じがたいことだが、その子はモンスターの中で生活をしているようだ」
熟練ハンターA 「モンスターの中で!? そんなバカな!」
スラッシュアックス 「考えられないことではない。モンスターにも高度な知能を有する者がいる」
スラッシュアックス 「ただ、敵意を持たずに保護しているという事実が少々気になるが……」
873 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:50:20.63 ID:iIQPapQ0
熟練ハンターA 「どうするんだ、スラッシュアックス」
熟練ハンターA 「さっきの戦闘で、モンスターを刺激してしまった。奴らはきっと報復に出るぞ」
熟練ハンターA 「女の子のことなんて、考えている暇は無いんじゃないのか?」
スラッシュアックス 「(ギリ……)その通りだ」
スラッシュアックス 「それに……あの中に、俺の仇の姿を見た……」
スラッシュアックス 「(黒い毛皮に、赤い眼の獣……)」
スラッシュアックス 「(あれは紛れもなく、父と母を殺したモンスターの片割れ……!!)」
スラッシュアックス 「(谷底に落としたと思っていたが、生きていたとは……)」
スラッシュアックス 「引くわけにはいかない……」
スラッシュアックス 「俺たちは村を守らなければいけない」
スラッシュアックス 「そのためには、モンスターを狩り続けなければいけないんだ」
スラッシュアックス 「ハンマーや太刀が立ちふさがるというのならば、蹴散らして進むのみよ!」
熟練ハンターB 「で……でも、女の子は?」
熟練ハンターB 「モンスターの中にいるとしても、人間であることに代わりは無いんだろう」
熟練ハンターB 「保護するべきじゃないのか?」
熟練ハンターD 「確かに……仲間を傷つけるのは気が引けるぜ……」
スラッシュアックス 「……まだきちんと見たわけではない。その子が何なのか、確認しなければいけない」
スラッシュアックス 「古い伝承では、いにしえの竜はあらゆるものに姿を変えることが出来る力を持っていたとも聞く」
スラッシュアックス 「(あのときに聞いた叫び声……あれは人間の言葉ではなかった……)」
874 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:51:43.73 ID:iIQPapQ0
熟練ハンターB 「まさか……竜神がこのモガに降りてきてるって言うのか!?」
スラッシュアックス 「あくまで憶測だ。だとしたら、モンスター全体の総攻撃という危険も考えられる……」
熟練ハンターA 「それは……」
スラッシュアックス 「憶測だ。まずは真実を確かめなければいけない」
スラッシュアックス 「砂上船を出すんだ」
スラッシュアックス 「土砂竜には手傷を負わせた。あのモンスターの群れは、そう遠くにはいっていないはずだ」
スラッシュアックス 「(それに、ハンマー達も……)」
スラッシュアックス 「攻撃をかけるなら今だ」
熟練ハンターD 「し……しかし、あのハンター達は相当な手馴れだ」
熟練ハンターD 「モンスターに加えて、あいつらも相手になんて……」
スラッシュアックス 「(ガシャコン)…………」
スラッシュアックス 「俺が出る」
スラッシュアックス 「奴らとは、俺が話をつけよう。奇妙な女の子のことも……」
スラッシュアックス 「今は、手傷を追った土砂竜が奥地に逃げ込む前に、トドメをさすことを考えよう」
スラッシュアックス 「この機を逃したら、次はいつ戦えるかわからん」
スラッシュアックス 「村中のハンターを集めるんだ!!」
875 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:52:36.68 ID:iIQPapQ0
―砂原、夜―

ドスジャギィ 「聞いてねぇぜ、ベルキュロス様よ。あんなけったいな奴らがついてるなんてな」
ベルキュロス 「…………」
ドスジャギィ 「人間とボルボロスを戦わせる方法は成功したが、今一歩で邪魔が入った」
ドスジャギィ 「あいつらは何者なんだ? 見たこともねぇ奴らだ」
ベリオロス 「…………異国の者だ」
ドスジャギィ 「異国? まさか、海を渡ってあっちの大陸から来たってのか?」
ドスジャギィ 「そういや、あんたにそっくりな黒い獣もみたような……」
ベリオロス 「………………」
ドスジャギィ 「な……何だよ睨むなよ。俺はただ見たまんまを言っただけだぜ」
ベリオロス 「………………」
ベリオロス 「(ベルキュロス様の父、ベルキュロス剛種様には、命を救っていただいた恩がある)」
ベリオロス 「(それゆえ娘の気まぐれに付き合うことにしたが……)」
ベリオロス 「(気になる……あのモンスターは……)」
ベリオロス 「(本当に、私の息子なのか……!?)」
ベルキュロス 「……それで尻尾巻いて逃げ出してきたってか? ドスジャギィ」
876 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:53:27.55 ID:iIQPapQ0
ドスジャギィ 「! し……仕方ねぇだろ。頭数が違いすぎる」
ベルキュロス 「くそ……王家め。あっちの大陸から助っ人を呼ぶとは思ってもいなかった……」
ベルキュロス 「いつでもしぶとく、卑怯な手使いやがって……!!」
ドスジャギィ 「騎士団も戻ってきちまった。ラギアが近くにいる限り、ボルボロスにゃもう手は出せねぇ」
ベルキュロス 「お前……人間を戦わせたって言ってたね」
ドスジャギィ 「ああ。いつもの村の、いつもの野郎だ。見たら逃げろって言われてるアレな」
ベルキュロス 「ふふ……くくくっ……」
ベルキュロス 「それならなおさら好都合じゃないか」
ベルキュロス 「そいつは絶対に、手傷を負わせた相手を忘れない」
ベルキュロス 「何年たっても、どこまでも追いかけてくる化け物さ」
ベルキュロス 「ボルボロスが傷をつけられたんなら、後は勝手にあっちからやってきてくれる」
ベルキュロス 「そう遠くないうちにね……」
ベルキュロス 「(あの化け物と、王家が共倒れになってくれれば……)」
ベルキュロス 「ふふ……ようはボルボロスと、ガンキン二世が死ねばことたりるんだ」
ベルキュロス 「まだ、あたしたちの勝ちの目は消えてないよ……」
ベリオロス 「………………」
877 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:54:19.13 ID:iIQPapQ0
―凍土、ドスバギィの巣、深夜―

少女 「(ウラちゃん……まだ私から離れない……)」
少女 「(おじさんも……)」
ウラガンキン 「ブフー…………ブフー…………」
クック 「グガァ……グガァ……」
少女 「(私、モンスターの言葉がわからなくなっちゃった……)」
少女 「(私がここにいる意味って何だろう……)」
少女 「(言葉もわからないのに、ウラちゃんは私のことを……)」
少女 「(私はウラちゃんの顔を見ることも出来ない……)」
少女 「(守ってあげることも出来ない……)」
少女 「(私はここで、みんなと一緒にいていいの……?)」
少女 「…………」
少女 「(なでなで)」
ウラガンキン 「グゥ……」
878 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:55:33.05 ID:iIQPapQ0
少女 「あのね、私は……」
少女 「あなたの、本当のお母さんじゃないの」
ウラガンキン 「ブフー……ブフー……」
少女 「私にはあなたを守ってあげられる力もないし……」
少女 「モンスターのみんなと一緒にいる資格もなくなっちゃったの」
少女 「ここには、あなたのお母さんもいる……」
ボルボロス 「グゥ…………グゥ…………」
少女 「あなたのお母さんはとても強い人だし、あなたを守ってくれる騎士団の皆さんは、頼りになるよ」
少女 「私はいない方が……いいのかもしれないね」
少女 「……………………」
少女 「(すっ)」
少女 「?」
少女 「…………ウラちゃんが、私の手を握ってる……」
少女 「…………」
879 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:56:35.90 ID:iIQPapQ0
ハンマー 「少女、どこに行こうというんだ?」
少女 「ハンマーさん……」
ハンマー 「炎王龍達が特に何も言わないので、俺たちも泊まらせてもらった。少し奥にテントがある」
ハンマー 「そっちに来るか?」
ハンマー 「……いや、君はここの方がいいか……」
クック 「ガァ……ガァ……」
少女 「………………」
少女 「うぅん……そっちにいく」
少女 「(ごめんね、ウラちゃん)」
クック 「………………」
ハンマー 「そうか。携帯食料を持ってきている。何か腹に入れておいた方が良いだろう」
少女 「ありがとう……」
880 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:58:06.62 ID:iIQPapQ0
〜ハンマー達のキャンプ〜

太刀 「へぇ、そんなことがあってから、モンスターの声が聞こえるようになったんだ」
少女 「うん……私は、ずいぶん長い間それが当たり前だと思ってたんだけれど……」
少女 「ハンマーさんに聞いて、それがとっても特別なことだって気がついたの」
太刀 「ね、モンスターはどんなことを言ってるの?」
太刀 「あたしそれ、すごく興味があるな」
少女 「え……どんなことって……」
少女 「クックおじさんは、私に始めてやさしくしてくれて……」
少女 「テオ先生は、時々怖いけれど、面白いお話をたくさん知ってて……」
少女 「ナルガさんやキングさんはあんまり話さないけれど、とってもやさしい人……」
少女 「みんな、みんなすごくいい人だよ」
少女 「人間と変わらないよ」
少女 「ううん……人間より……」
少女 「………………」
太刀 「そっかぁ。昔ね、あたし爺ちゃんに聞いたことがあるんだ」
太刀 「モンスターにも家族がいて、学校があって、あたしたちと同じように考えて暮らしてるって」
太刀 「そのときは良くわからなかったけど、あんたを見てて何となくわかるような気がするよ」
881 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 12:59:35.81 ID:iIQPapQ0
少女 「でも……私、言葉わからなくなっちゃった……」
少女 「もう、どこにもいけない……」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「そんなことはないと思うぞ、少女」
少女 「?」
ハンマー 「お前の親は、お前の目が見えなくなっても、お前の耳が聞こえなくなっても、お前を捨てたりはしないだろう」
ハンマー 「お前は、お前の親が、目が見えず、耳が聞こえなくなったら捨てるのか?」
ハンマー 「邪魔者だと、邪険にするのか?」
ハンマー 「少女、これは大事なことだ。よく、考えてみるんだ」
ハンマー 「どんなに形が違おうが、どんなに種族が違おうが、お前たちは親子、家族、仲間なんだろう」
ハンマー 「少なくとも俺は、お前が人間の言葉を忘れてしまおうが、お前のことを見捨てたりはしない」
ハンマー 「『友達』だからな」
882 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:00:26.39 ID:iIQPapQ0
少女 「………………」
少女 「私、まだみんなと一緒にいていいの……?」
少女 「何の役にも立てないのに……」
少女 「声を聞いてあげることも出来ないのに……」
少女 「それでも、あの人たちは、私を家族だって、友達だって、思ってくれるの……?」
ハンマー 「俺にはモンスターの言葉はわからない」
ハンマー 「だが、目はわかる」
ハンマー 「男の目はわかる」
ハンマー 「炎王龍は、迅竜は。お前の父、イャンクックは、そんなにごった目をしていない」
ハンマー 「お前の『子供』、あの竜もそうだ。澄み切った、信じきった目をしている」
ハンマー 「逃げるな、少女」
少女 「!!」
ハンマー 「お前は、人間が一生をかけて手に入れようとしている、本当に大切なものを、その手につかもうとしているんだ」
ハンマー 「自分では気がつかないだろうが、もう少しで手が届く所に、お前はいる」
ハンマー 「その本当に大切なものは、とても曖昧なもので、とても不確かなもので」
ハンマー 「簡単なものなのだが、たったそれだけのものを手にするだけのことが、人間には中々出来ない」
ハンマー 「それは、誰かを心の底から信じて、そして誰かに心の底から信じられるということだ」
ハンマー 「それがあって初めて人間は、生きる意味を得ることが出来るんだ」
少女 「生きる……意味……?」
883 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:01:41.87 ID:iIQPapQ0
ハンマー 「だから諦めるな、少女」
ハンマー 「目が何だ。耳が何だ」
ハンマー 「お前はお前じゃないか。ここにいるじゃないか」
ハンマー 「お前の親も、友達も、子供も、ここにいる」
ハンマー 「俺もここにいる」
ハンマー 「お前は一人ではない。立ち向かうんだ」
ハンマー 「お前が欲しいものを手にするために、立つんだ」
ハンマー 「人には、生まれつき許されているたった一つの資格がある」
ハンマー 「それは、幸せをつかむということだ」
ハンマー 「どんな人間にもそれは許されている」
ハンマー 「お前が何を幸せと思い、どれを幸福を感じるのか……そこまで俺は知らない」
ハンマー 「だが、お前が幸せになろうとすること、それは罪ではない」
ハンマー 「その結果、俺はお前がモンスターの中で生きることを、行き続けることを選択することは……」
ハンマー 「それが幸せのために望むことだったら、間違いではないと思うんだ」
少女 「ハンマーさん……」
少女 「ハンマーさん、私…………」
少女 「私…………(ひくっ)」
884 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:03:03.23 ID:iIQPapQ0
少女 「う……うう…………」
ハンマー 「心細いときは泣けばいい(ポンポン) 気を使うことはない。お前がいくら特別でも……」
ハンマー 「俺たちは、友達だ」
太刀 「(ふぅ)」
太刀 「(適わないなぁ、こいつには……)」
クック 「……………………」
太刀 「うわぁ!! いつの間に!?」
ハンマー 「イャンクック。話を聞きに来たのか」
少女 「おじさん…………」
クック 「クワァ、クッ、クッ、クッ」
少女 「おじさん、ごめんなさい……」
少女 「私、おじさんのこと大好きなのに……」
少女 「おじさんの声も、顔もわからないよ……」
ハンマー 「………………」
ハンマー 「イャンクック、俺たち人間の携帯食料だ。少し火で炙っておいた。食うか?」
クック 「………………」
ハンマー 「ほら(ポイッ)」
クック 「(パクッ)…………(モグモグ)」
885 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:04:01.94 ID:iIQPapQ0
太刀 「イャンクックが……私たちの食料を食べた……!!」
クック 「クケェ」
ハンマー 「何だ? 腰に何かぶら下がってるな」
少女 「あ……」
少女 「私が、出かける前に狂走エキスのお酒を用意してあげたの……」
ハンマー 「俺達に、くれるというのか?」
ハンマー 「ありがとう、イャンクック」
ハンマー 「(グビリ)〜〜〜〜ッ!!!!」
ハンマー 「カァッ! やっぱりこの酒は効く!」
太刀 「モ……モンスターの作ったお酒なんて、あたしはじめて飲むよ……」
太刀 「(グビッ)…………苦ッ!!」
少女 「…………(くすり)」
クック 「………………(ニコッ)」
886 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:04:52.89 ID:iIQPapQ0
ハンマー 「(気のせいか……今、イャンクックが笑ったような気がした)」
ハンマー 「何を突っ立っているんだ、イャンクック。こっちに来て、一緒に飲もうじゃないか」
クック 「クケェ(ドスッ)」
太刀 「うわっ! あたしの……あたしの隣にイャンクックが腰を下ろした!!!」
少女 「おじさん……」
クック 「ケェ(スリスリ)」
ハンマー 「少女、言葉が何だ?」
少女 「……」
ハンマー 「種族が何だ。俺とイャンクックは、これで友達になったぞ」
ハンマー 「太刀もだ。これで俺たちは友達だ。お前のおかげで」
少女 「私の……おかげ?」
ハンマー 「ああ。お前がいなかったら、俺たちはここに来ることも無かった」
ハンマー 「イャンクックに酒を振舞われることも無かった」
ハンマー 「わかるか? お前は、自分で思っている以上にこの男の家族なんだ」
少女 「おじさん……」
クック 「クケェ」
少女 「(ぎゅっ……)」
887 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:06:00.37 ID:iIQPapQ0
―砂原、深夜半―

クルペッコ 「(むぅ、これだけお呼びしても姿を現す片鱗さえないとは……)」
クルペッコ 「(ジエン・モーラン老はいったいいずこへ……)」
クルペッコ 「(過去の移動範囲から推測すると、この辺りで間違いないのだが……)」
クルペッコ 「(もう一度、ソウルを響かせてみるとするか……)」
クルペッコ 「(む!? あれは……)」
クルペッコ 「(人間の砂上船!!)」
クルペッコ 「(こんな夜更けに……しかもあっちは凍土、ボルボロス様たちが休んでおられる場所に……)」
クルペッコ 「(足跡や血から、痕をたどっているのか!!)」
クルペッコ 「(ジエン・モーラン老がお出でにならないのも説明がつく……)」
クルペッコ 「(こうしてはおれぬ。早くボルボロス様たちにこのことをお伝えしなければ……)」
 >ヒュッ……チュッッドォォォンッ!!
クルペッコ 「ガァァァ!!!」
クルペッコ 「(こ……これは……電撃…………)」
クルペッコ 「(ふ…………不覚…………)」
クルペッコ 「(ドサリ)」
888 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:07:27.20 ID:iIQPapQ0
ベルキュロス 「(ニヤッ)くくっ……こんなところで何やってたのか知らないけどさ」
ベルキュロス 「ボルボロス達に知らされちゃ困るんだよね、クルペッコ先生」
クルペッコ 「……………………」
ベリオロス 「………………」
ドスジャギィ 「兵の配置終わったぜ。凍土の出口は岩でふさいできた」
ベルキュロス 「ご苦労。さて……人間の、あの化け物と王家が戦って、果たしてどっちが残るか……」
ベルキュロス 「どっちがつぶれても、あたしには得だけどね……」
ベルキュロス 「くくく……ははは!!」
ベルキュロス 「せいぜい殺しあえば良いよ!」
ベリオロス 「(歪んでいる……)」
ベリオロス 「(この子をここまで歪ませるのは、恐怖か……それとも……)」
889 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/14(金) 13:14:18.11 ID:iIQPapQ0
お疲れ様でした。次回(20〜21日)へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/09/imgc1bb2503zik1zj.jpeg

モンハントライ、オフのクリア報告などは>>829>>830>>831に画像つきであります

また、毎日、トライは『21:00』から『自由区 ミナガルデ2 街角8』に部屋を作っています
人が多く、当初とは場所が変わっていますのでご注意ください
IDは『Mikeneko』で、『7NEJ32』です

また、狩りのお誘いなどは
私のサイト(http://blog.livedoor.jp/matusagasin/)や
BBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)などをお使いいただくことも出来ます
是非ご連絡をください

夏休みも半ばになってまいりました
蒸し暑いのが続きますが、くれぐれもお体にお気をつけください
それでは、今回は失礼させていただきます
890 :UDON [sage]:2009/08/14(金) 13:30:27.50 ID:rIsFZoDO
みけさん乙!!w今回も楽しかった!!ハンマーかっこよすぎワラタwあんなハンターになりたいなぁ〜後クック先生と酒盛り出来たらもう死んでもいいw
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/14(金) 13:36:12.46 ID:p7Ed3oSO
ktkr乙!
892 :REN [saga]:2009/08/14(金) 19:35:00.88 ID:yl9mV6.o
みけさん乙ですw次回も楽しみに待ってますw
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/15(土) 06:01:19.12 ID:OH17zoAO
三毛猫さん乙です!
読めば読むほどに情景の脳内再生率がハンパないですわwwww
体調には十分気をつけて頑張って下さい!

今回も有り難く読ませてもらいました。
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/15(土) 21:24:08.90 ID:SWNIXoAO
乙です
ハンマーさんはハンマー使いの自分まで誇らしくなっちゃうような素晴らしいハンターですね
今回は特に、言葉一つ一つに電気が流れました…

女児ちゃん頑張れ!


最近九時にログインできなかったりと全然ご一緒出来ませんが、またそのうち一緒に猟したいです!
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/15(土) 22:59:28.62 ID:EdPlCwco
ハンマーかっこいいな
ふだんガンナーか太刀なんだがハンマー転向しようかな
今期間限定クエストでバインドキューブを使うことおおいからだんだん操作なれてきたし

ただ見方ふっとばしちゃうからな・・・
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:47:46.31 ID:2widAqQ0
ハンマーメインの俺はハンマーさんが活躍するのはうれしい
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/21(金) 20:37:09.73 ID:0X0qtEAO
ええい!三毛猫さんはまだか!!
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/21(金) 21:03:35.07 ID:10MZizw0
ホンとまだでしょうか?
そのうちに本人来ないまま1000いってしまうかも・・・
899 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/21(金) 21:53:46.04 ID:iYd9a7s0
申し訳ありません。私の体調の問題で、今週の分を書くことが出来ませんでした
楽しみにしてくださっていた方々には、非常に申し訳がないことです
重ねて陳謝させていただきます。どうかご了承ください

代わりといっては何ですが、当SSをまとめてくださっているブログさんの方に投稿させていただいた、企画SSを一つ貼らせていただきます

■魔王 「奴隷でも買ってくるか……」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12874/1250595407/

お時間がある方など、もしよろしければご覧ください

また、私のブログ(http://blog.livedoor.jp/matusagasin/)のサイドバーから、今まで書いた小説へ飛ぶことも出来ます
お時間をつぶされたい方など、ご利用をいただけますと幸いです

今回はご期待を裏切る形になってしまいまして、すみません
28日までの一週間の間に、必ず次話を上げますので、気長にお待ちください

また、トライのお誘いなどもお受けしています
自由区、ミナガルデ2、街角8に21:00から待機しているようにしています
最近は体調のこともあり、合流できない日が多くなっていることも申し訳ありません

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/89/img17b90d7azik2zj.jpeg

先日やっと上位に上がりました
ジョーについて色々書き込みをいただきましたが、四人がかりで無事捕獲に成功しました
上位のガンナー装備でも辛かったので、おそらく彼が歴代最狂ですね

BBSもあるので、ご利用いただければうれしいです
http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html

それでは、今日は失礼させていただきます
申し訳ありませんでした
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/22(土) 15:01:47.04 ID:MzrmRwSO
ゆっくり書いていけばいいですよ
お大事に
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/22(土) 21:49:58.47 ID:fuetksM0
急がせるようなかといってすいませんでした
お大事に
902 :楽しみ :2009/08/24(月) 17:44:00.26 ID:.f.ABp60
ゆっくり書いてもらって結構ですー
お大事に〜
903 :楽しみ :2009/08/27(木) 11:48:04.35 ID:8wuCyKo0
ゆっくりいい物をかいてくださいww
904 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:12:31.18 ID:CfNFRWc0
お疲れ様です。9話を書きましたので投稿させていただきます
905 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:13:56.01 ID:CfNFRWc0
9.ナルガクルガ 「家族などいない」

―凍土、真夜中―

ドスバギィ 「……ヘェ。あの人間がな……」
ラギアクルス 「ウラガンキン様が母親だと思われてしまっている。ドスバギィ殿は何か、解決策をご存じないだろうか」
ドスバギィ 「こればかりはどうしようもねぇ……」
ドスバギィ 「卵から産まれた時、普通近くにいるのはその親だ……」
ドスバギィ 「いなかったんなら仕方がねぇさな……」
ボルボロス 「………………」
ドスバギィ 「まだ言葉も上手く介さねぇ赤子だ……教えるにはちと難しい」
ラギアクルス 「やはりそうか……」
ボルボロス 「…………この際、あの子が生きていたことを喜びましょう」
ボルボロス 「遅くなってしまいましたが、あちら側の大陸からお越しいただいた方々……」
ボルボロス 「テオ様、ナルガ様……紫様、それに、卵を救ってくださったトレニャー様」
トレニャー 「いやいやそれほどでも……」
ボルボロス 「ここに、心からお礼を述べさせてください」
906 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:14:53.08 ID:CfNFRWc0
テオ・テスカトル 「礼には及ばない。それより、この状況をどうにかすることを考えよう」
ナルガクルガ 「全くだ。ただ返しにきただけが、紛争に巻き込まれてしまうとはな……」
ナルガクルガ 「因果なものよ。俺たちは戦に引き寄せられてしまうタチらしい」
紫ガミザミ 「これ、なるが殿。ぼるぼろす殿は何も悪くはないではないか」
紫ガミザミ 「責めるような口はやめるのじゃ」
ボルボロス 「ふふ……小さなカニさん。ありがとうございます」
ボルボロス 「しかしこ度の騒乱、私にそのほとんどの責任があるといっても過言ではないでしょう」
テオ・テスカトル 「…………」
ボルボロス 「部下の失態や裏切りは主の不敬と申します。主、主足らずば臣、臣足らずとの言があるとおりに……」
ラギアクルス 「言葉もございません……」
ボルボロス 「お前の責任ではありません。全ては、ベルキュロスの心を察してやることができなかった私の罪……」
ボルボロス 「彼女が、ウラガンキン二世の誕生にどれだけ憤懣を抱いていたか、それを知りながら……」
テオ・テスカトル 「自責なさることはないだろう。いつの世も、心は風雲のごとく移り変わるとも言う」
テオ・テスカトル 「誰にもそれを完璧に推し量ることなど、出来ようはずもない」
テオ・テスカトル 「それがたとえ主であれ、臣であれだ」
907 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:15:48.18 ID:CfNFRWc0
ボルボロス 「ありがとう。その言葉でわたくしはずいぶんと救われます」
ラギアクルス 「………………」
ボルボロス 「ベルキュロスの戦闘力は高い……それに、あちらにはベリオロスとドスジャギィがついています……」
ボルボロス 「これからどうすべきか……わたくしにも決めあぐねている部分はあります」
ボルボロス 「……そういえば。そこなお方……ナルガクルガ様」
ナルガクルガ 「…………」
ボルボロス 「あなた様は、ベリオロスにまさに……いえ、ベリオロスのかつての伴侶、剛種に瓜二つです」
ボルボロス 「名前をお聞きしたときにもしやと思いましたが……」
ボルボロス 「もしやあなたは……」
ナルガクルガ 「…………剛種とは?」
ボルボロス 「……強く、美しい方でした」
ボルボロス 「しかし、十数年前、人間との激しい戦いの中で、その子供と共にクレバスの中へ……」
ボルボロス 「わたくしたち王家は、何もすることが出来ませんでした……」
ナルガクルガ 「………………」
ボルボロス 「もし、あなたがその子供だとしたら……」
908 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:16:49.83 ID:CfNFRWc0
ナルガクルガ 「俺は一人で生きてきた」
ボルボロス 「…………」
ナルガクルガ 「目が覚めた所は奈落の底だった。それから俺は、襲い掛かる者を倒し、無法な者を従え……」
ナルガクルガ 「だからこそ、今の俺がある」
ナルガクルガ 「俺が、俺の力のみで行ったことだ」
ナルガクルガ 「家族や親など、俺にはいない。必要がないものだ」
紫ガミザミ 「…………」
ナルガクルガ 「俺は独りで十分よ。独りは気楽だ……独りが良い」
ボルボロス 「……そうですか。余計な詮索でした」
ナルガクルガ 「気にするな……」
ドスバギィ 「(しかしこの小僧……)」
ドスバギィ 「(ボルボロスの言うとおり、あのときに死んだ剛種に瓜二つ)」
ドスバギィ 「(子供か……隣の大陸に流れ着いていたとはな……)」
ドスバギィ 「(因果なことよ)」
909 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:17:57.37 ID:CfNFRWc0
テオ・テスカトル 「よく分からないのでお聞きしたいのだが、よろしいだろうか?」
ボルボロス 「何でしょうか?」
テオ・テスカトル 「ジエン・モーランとは何者です? 聞き及ぶにあなた方の長ではないようだが……」
ボルボロス 「ジエン・モーラン老は元老院のお一人です」
ナルガクルガ 「元老院?」
ボルボロス 「はい。この大陸は陸と海、二箇所に一つずつ元老院があり、そこを治めるお方なのです」
テオ・テスカトル 「元老院……王家の上に立ち、助言や諫言を行う者のことか……」
ラギアクルス 「いかにも。海の元老院は、我が師ナバルデウス様が治められている」
ラギアクルス 「それと同時に、陸の元老院はジエン・モーラン老が治められているのだが……」
テオ・テスカトル 「?」
ラギアクルス 「ジエン・モーラン老はとても奔放なお方だ。規律や規則を好まず、自由を愛するお方ゆえ」
ラギアクルス 「王家の争いに嫌気がさし、十数年前に行方をくらまされてしまったのだ」
ボルボロス 「…………」
ラギアクルス 「しかし、度々砂原でその姿を確認されている」
ラギアクルス 「ホイッスラーはそれを当てに出て行かれたに違いない」
ボルボロス 「ジエン老にご助言を頼めれば、我が子の問題、それに少女さんの言葉の問題も解けるかもしれません」
910 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:20:11.50 ID:CfNFRWc0
テオ・テスカトル 「(ずいぶん前に、ラオシャンロン様に、はるか昔自分と同じ古龍と暮らしていたとお聞きしたが……)」
テオ・テスカトル 「(もしや、そのお方か……)」
ドスバギィ 「……餓鬼と人間は寝たか……」
ウラガンキン 「ぐぅー……ぐぅー……」
少女 「すぅ……すぅ……」
ハンマー 「………………ぐがぁ………………」
太刀 「…………うーん……むにゃ…………」
クック 「グガァ……グガァ……」
ドスバギィ 「人間のくせに太ェやつらよ。人の巣でこうも堂々とくつろがれては、手出しする気も起きねぇ」
テオ・テスカトル 「はは、違いない」
テオ・テスカトル 「あの人間のオスの方は、私たちの大陸で事件があったときに、力を貸してくれた男だ」
ドスバギィ 「ヘェ。人間が……」
テオ・テスカトル 「お話しよう。あの時は……」
911 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:21:32.72 ID:CfNFRWc0
ドスバギィ 「……………………聞くに信じられん話だが………………」
ボルボロス 「人間が、そうやってモンスターと共闘するなど……」
ラギアクルス 「驚きだ。こちらの大陸の人間とはずいぶん違うのだな」
テオ・テスカトル 「いや、この人間が特殊なのだろう。それに、少女に好意も持っているらしい」
テオ・テスカトル 「言葉は通じないが、あの時私は、あの男の顔……目に、我らと同じ澄んだ闘志を見た」
テオ・テスカトル 「信用に足りる人物だとは思うのだ」
ボルボロス 「卿にそこまで言わせるとは、よほどの男性なのですね」
ナルガクルガ 「……気に食わんが、腕の立つ男であることは間違いがない」
ナルガクルガ 「それに、今は少女が言葉をしゃべれなくなってしまっている」
ナルガクルガ 「………………奴の力が必要だ……」
紫ガミザミ 「…………(こくり、こくり…………)」
ナルガクルガ 「………………(ぐい……)」
紫ガミザミ 「すぅー…………すぅー…………」
ボルボロス 「なるほど、わたくしを助けてくれたのもそのような理由だったのですか」
ボルボロス 「モンスターであれ、人間であれ、仲間は仲間と考えることが出来る人間がいるなんて……」
ボルボロス 「もう少し早く出会えていれば…………」
912 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:22:23.14 ID:CfNFRWc0
テオ・テスカトル 「……………………」
テオ・テスカトル 「ん? 何か気配がするな?」
ドスバギィ 「……客だ」
母バギィ 「父ちゃん、ギギネブラが来たよ」
ドスバギィ 「……入れな」
子バギィ 「ギギィ、こっちだ」
ギギネブラ 「こんばんは。お初にお目にかかります。ギギネブラと申します」
テオ・テスカトル 「!! フルフル殿!?」
ナルガクルガ 「!」
子バギィ 「洞窟の奥で会ってな。つれてきた。親父、いいだろ?」
ドスバギィ 「………………あァ」
ギギネブラ 「おじ様、ごきげんよう。ボルボロス様の匂いもしますね。みなさま重ねてごきげんよう」
ボルボロス 「お久しぶりです、ギギネブラ」
ギギネブラ 「お話は途中で子バギィから聞きました。何でも、異国の方がいらっしゃっているとのことで……」
913 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:23:14.53 ID:CfNFRWc0
テオ・テスカトル 「いや、驚いた。あなたにそっくりな方がこちらの大陸にもいるものでな」
子バギィ 「ヘェ、ギギィ、あっちに親戚でもいるのか?」
ギギネブラ 「母が、私の祖父があちらの大陸の出身だと仰っていました。あなた様は……?」
子バギィ 「あぁすまねぇ。ギギィは目が不自由なモンでな。気にしないでくれ」
テオ・テスカトル 「私の知り合いもそうだよ。私はテオ・テスカトル」
ナルガクルガ 「俺はナルガクルガだ」
トレニャー 「おいらはトレニャーでがんす」
ギギネブラ 「……? ナルガクルガ……様……?」
ナルガクルガ 「……?」
ギギネブラ 「いえ、申し訳ありません。ベリオロス様と同じ匂いがしたもので……」
ギギネブラ 「気のせいですわ。あなたからは、深い森の苔の香りがします」
ギギネブラ 「テオ様という方からは、荒れ狂うマグマの香り……」
ギギネブラ 「お二人とも、とても勇壮ながら、やさしさを秘めた香りですわ」
テオ・テスカトル 「これは、お褒めに預かり光栄だ」
ナルガクルガ 「…………」
トレニャー 「おいらは無視ですかい……」
914 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:24:07.97 ID:CfNFRWc0
ギギネブラ 「……………………まぁ。私がお昼寝をしている間に、そんな大変なことになっていたなんて」
ギギネブラ 「ウラガンキン様の二世閣下が誕生なさっていたんですね」
ギギネブラ 「通りで懐かしい香りがすると思いました」
ギギネブラ 「しかし、人間がこうやって私たちと仲良くするなんて……」
ギギネブラ 「素敵なことですわ(にこり)」
子バギィ 「ギギィは平和主義者だからな。何でも受け入れちまって困りモンだ」
母バギィ 「はいはい、酒追加よ、飲みねぇ(ドスドス)」
テオ・テスカトル 「や、これはありがたい(ぐびり)」
ナルガクルガ 「(ぐびり)」
トレニャー 「ケェー……ぺっ、ぺっ、辛っ。甘酒はねぇんですかい」
ギギネブラ 「はい、どうぞ猫さん」
ギギネブラ 「私が火山イチゴから作ったお酒ですよ」
トレニャー 「お、気が利くねぇねぇさん(ぐびり)ンんまぁぁ〜い!」
ナルガクルガ 「静かにしろ。餓鬼共が起きる」
915 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:25:08.19 ID:CfNFRWc0
トレニャー 「何だい何だい。オイラが猫だからってみんな冷たくするんだい……」
ギギネブラ 「ふふ……猫さん、こちらに来て一緒に飲みましょう」
トレニャー 「姉さん……!!」
ギギネブラ 「ボルボロス様、ジエン・モーラン様をお探しなんですって?」
ボルボロス 「ええ。この状況を打開できる策をお持ちではないかと思うのです」
ギギネブラ 「私、少し前に砂漠の奥地でお会いしましたわ」
ラギアクルス 「! 何だって!? それはいつのことだ!?」
ギギネブラ 「今から一ヶ月ほど前になりますでしょうか……」
ギギネブラ 「砂漠下の地下道で、私うたた寝をしていましたの。そうしましたら、いきなり地面が揺れて……」
ギギネブラ 「突然、壁にぽっかりと穴があきましたわ」
ギギネブラ 「何かと思って近づいてみますと、目が見えない私にも分かるほど、巨大な力強いお方がそこにいらしましたの」
ギギネブラ 「何か飲むものを欲しいと仰ったので、イチゴ酒をお渡ししましたら、いたく喜んでおられました」
ギギネブラ 「それから少しお話をして、その方は自分が『ジエン・モーラン』だと名乗って行かれました」
916 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:26:18.47 ID:CfNFRWc0
ラギアクルス 「一ヶ月前か……なら、まだこの近くにいらっしゃる可能性が高いですね!」
ボルボロス 「ええ……! 良かった……」
ギギネブラ 「とても壮大で、海と風と、空の匂いを感じさせる方でした」
ギギネブラ 「そういえばテオ・テスカトル様。あなた様からも同じような匂いを感じます」
テオ・テスカトル 「サイズは違えど、私も同じ古龍だからな」
ギギネブラ 「まぁ、そうだったのですか」
子バギィ 「よかったなぁギギィ。俺だってジエンのおっさんには一回しか会ったことねぇんだぜ」
ギギネブラ 「そんなにレアイベントだったとは知らなかったの。後からびっくりしたわ」
母バギィ 「ジエン様はでかすぎるからねぇ。ま、仮にここにお越しになっても、巣が潰れちまう」
母バギィ 「ギギィちゃん、生き埋めにならんくてよかったなぁ」
ギギネブラ 「大丈夫です。私、掘るのは自信あるんです」
子バギィ 「ギギィはすげぇ勢いで地面を掘るんだぜ」
母バギィ 「へぇ、そりゃ初耳だ。なら今度、あちき達の巣の拡張工事を手伝っておくれよ」
ギギネブラ 「ええ、喜んで」
917 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:27:20.01 ID:CfNFRWc0
ドスバギィ 「…………!」
母バギィ 「父ちゃん、どうした?」
ドスバギィ 「………………何かが裏口の方に集まっていた」
ドスバギィ 「お前たち」
バギィ達 「親方、何ですかい?」
ドスバギィ 「裏口を見て来い」
バギィ達 「イエッサーですぜ!」
ドスバギィ 「………………風が変わった」
ドスバギィ 「嫌な風だ」
ボルボロス 「どうかされましたか、バギィの長」
ドスバギィ 「空気に混じって、人間の火薬の臭いがする」
ドスバギィ 「……鉄の鳴る音……」
ドスバギィ 「何かが近づいてきている」
918 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:29:21.95 ID:CfNFRWc0
テオ・テスカトル 「何だと……!? 昼間の人間か……!!」
ナルガクルガ 「……俺も様子がおかしいと思っていた。無数の気配にここは囲まれている」
ナルガクルガ 「手出しをしてこないので、様子を見ているだけかと思ったが……」
ナルガクルガ 「人間の、鉄くさい臭いが近づいてきているのを感じる」
ドスバギィ 「(この小僧……)」
バギィ達 「親方、大変だ!」
ドスバギィ 「…………」
バギィ達 「裏口が、外から岩で塞がれてる。凍り付いてこっち側からじゃ開けられねぇ!!」
ドスバギィ 「やはりな……」
ボルボロス 「まさか……ベルキュロス達が……」
ドスバギィ 「こんな姑息なまねをするのはドスジャギィ達しかいねぇ……」
ドスバギィ 「どうやら、ボルボロスさんよ、あんたに傷をつけた奴が……」
ドスバギィ 「……追ってきているようだな」
ボルボロス 「…………!!!」
ラギアクルス 「くっ……しつこい奴らめ……!!!」
919 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:31:20.72 ID:CfNFRWc0
ギギネブラ 「人間が、ボルボロス様を狙っているのですか?」
ギギネブラ 「戦うのは良くないわ。無駄な血を流すことは、野蛮よ」
ラギアクルス 「しかし相手から向かってきているのだ。それに……」
ラギアクルス 「出口まで塞がれてしまっては、戦わざるを得ない……!!」
子バギィ 「やれやれ。これだからポッと出のボンボンは……」
ラギアクルス 「何だと!?」
子バギィ 「俺たちバギィ一族と、ギギィの穴掘り能力を甘く見るんじゃねぇぞ」
ギギネブラ 「おじさま、もしよければこの脇に通路を作って、水没林まで抜けられるようにするわ」
ドスバギィ 「…………頼めるかい、嬢ちゃん」
ギギネブラ 「(にこり)ええ、喜んで」
ラギアクルス 「水没林……助かる! 水の中なら我が騎士団の天下だ!」
テオ・テスカトル 「しかし……これは誰かが足止めをしなければいけないな……」
テオ・テスカトル 「この位置からでも分かるほど、人間の鉄の臭いが近づいてきている」
テオ・テスカトル 「おそらくは、ボルボロス殿に襲い掛かった人間が、何かマーキングのようなものをしたのだろう」
テオ・テスカトル 「恐ろしいものだ。あれだけの戦力差を見せ付けられておきながら尚、止めを刺しにこようとは……」
920 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:32:31.93 ID:CfNFRWc0
ドスバギィ 「…………卿よ、あの妙な武器を使う人間には気をつけろ」
テオ・テスカトル 「……?」
ドスバギィ 「ありゃぁ人間じゃねぇ。デーモンだ……」
テオ・テスカトル 「デーモン……悪魔か?」
ドスバギィ 「………………」
テオ・テスカトル 「(確かに、あの時異常な俊敏さでボルボロス殿の頭に駆け上がっていった……)」
テオ・テスカトル 「(まるであの人間のように……)」
ハンマー 「………………ぐぅ…………ぐぅ…………」
テオ・テスカトル 「(しかし、決定的にあの姿は何かが違った……)」
テオ・テスカトル 「(勇気や覇気ではない……もっと黒い何か……)」
テオ・テスカトル 「(死を恐れない、奇妙な感覚をまとっていた……)」
テオ・テスカトル 「…………」
テオ・テスカトル 「ご忠告感謝する」
ドスバギィ 「………………」
921 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:33:33.01 ID:CfNFRWc0
少女 「(ゾクッ)…………!!」
少女 「ハッ…………!!」
ハンマー 「…………? どうした、少女? ……ん?」
ハンマー 「(古龍の大宝玉が光っている……)」
ハンマー 「(少女の意思に反応しているのか……? いや、違う……!!)」
ハンマー 「(この張り詰めた感覚……これは、危険を知らせる信号だ……!!)」
ハンマー 「太刀、起きろ!」
太刀 「んぅ……? 何よまだ真夜中じゃない……」
少女 「ハ……ハンマーさん、何か、とても嫌な感じがするの……」
ハンマー 「俺もだ。武器がさっきから振動している」
ハンマー 「それに、モンスター達も何かを感じているようだ」
テオ・テスカトル 「………………」
ドスバギィ 「………………」
ナルガクルガ 「………………」
922 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:34:23.54 ID:CfNFRWc0
ハンマー 「もしやスラッシュアックスが…………!!」
太刀 「ハンマー、何かさっきから音が聞こえない?」
ハンマー 「音……? これは……!!」
太刀 「砂上船の駆動音だよ!!」
太刀 「あいつ……まさか……!!!」
太刀 「(バッ)……え……えぇ!?」
太刀 「ちょっ……」
ハンマー 「どうした太刀!? ……はっ!?」
少女 「ど……どうしたのハンマーさん!?」
ハンマー 「やってくれる……スラッシュアックスの奴、砂上船の大銅羅を向けて、洞窟に突撃してくるぞ!!」
ハンマー 「このままここにいれば、洞窟もろとも吹き飛ばされる!」
クック 「……!! クケェ!」
トレニャー 「(とことことこ)…………(くいくい)」
少女 「え……?」
ハンマー 「誘導している……ん? あそこに大きな穴が……!!」
太刀 「モンスター達が穴を掘ってるんだ!」
923 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:35:19.00 ID:CfNFRWc0
ハンマー 「少女、ここにいたら巻き込まれる。太刀と一緒に逃げるんだ」
少女 「ハンマーさんは!?」
ハンマー 「俺は(ガシャコン)あのバカ者を黙らせてくる……!!」
クック 「ケェ、ククックッ」
ハンマー 「……分かっている。少女を頼む」
太刀 「少女ちゃん、行くよ!(バッ)」
少女 「ハ……ハンマーさん!!」
テオ・テスカトル 「……どうやら人間の方も、尋常じゃない様子に気づいたようだな」
ナルガクルガ 「あの巨大な武器で突っ込んでくるつもりか」
母バギィ 「ケェ! だから王家は厄介ばっかを抱え込んでくるって!!」
ボルボロス 「も……申し訳ありません……」
ドスバギィ 「子バギィ、母ちゃんたち連れて行け」
子バギィ 「父ちゃんは!?」
ドスバギィ 「……人ン家に土足で上がりこんでくるような野郎どもにゃ……」
ドスバギィ 「えェ? お灸すえにゃならんだろうがな…………」
924 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:36:16.60 ID:CfNFRWc0
紫ガミザミ 「ナルガ殿! わらわも……」
ナルガクルガ 「足手まといなだけだ! クック、こいつを連れて行け!」
クック 「分かった! ナルガ、無茶はするなよ!!(ガシッ)」
紫ガミザミ 「こ、これクック! 離せ、離すのじゃ!!」
クック 「紫殿、聞き分けてくだされ!!」
クック 「少女……!!(ぐいっ)」
太刀 「イャンクック、あんたの背中借りるよ!」
クック 「(背中に乗るつもりか……)早くしろ、人間!」
太刀 「少女ちゃん、こっちだよ!」
少女 「でも、ハンマーさんが……」
太刀 「あいつは大丈夫。死なないから!!」
少女 「(ハンマーさん……!!)……(ガシッ)」
クック 「(少女と人間の女が背中に乗った……)よし、行くぞ!!」
ラギアクルス 「ボルボロス様、お入りください!」
ボルボロス 「しかし、テオ様達が…………」
テオ・テスカトル 「我らは心配ご無用! 先に行かれたまえ!!」
ナルガクルガ 「……行け!!」
ラギアクルス 「ボルボロス様!!」
ボルボロス 「…………申し訳ありません……!!(バッ)」
925 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:37:16.78 ID:CfNFRWc0
ハンマー 「(ものすごいものだな……この短時間で、あれだけの洞窟を作り出すとは……)」
ハンマー 「(これで少女たちは守れる……)」
ハンマー 「フッ……」
ハンマー 「新顔もいるが、シェンガオレン討伐の顔ぶれがそろうとはな……」
テオ・テスカトル 「…………ガルルル」
ナルガクルガ 「グルルルル……」
ドスバギィ 「………………」
ハンマー 「炎王龍達、ここは危険だ、脇に下がった方がいい!!」
砂上船 「(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)」
ハンマー 「……!!!(な……っ……加速した……!!!)」
テオ・テスカトル 「(バッ)」
ハンマー 「炎王龍! 俺をくわえて……」
 >ドッゴォォォォォォンッ!!!
 >ズゥゥゥゥゥン
926 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:38:08.31 ID:CfNFRWc0
―二十年前、凍土―

ベリオロス 「(くっ……人間に受けた傷が痛む……)」
ベリオロス 「(目も霞んできた……あの、光る玉のせいだ……)」
ベリオロス 「(足も上手く動かぬ……)」
ベリオロス 「(俺は……俺は、このまま死ぬのか……)」
ベリオロス 「(ズゥゥゥゥン)」
ベリオロス 「(……思えば何もない人生だった……)」
ベリオロス 「(友も、守るべきものも、何もない人生だった……)」
ベリオロス 「(産まれたときから俺は一人だった……)」
ベリオロス 「(独りはいい……独りは気楽だ……)」
ベリオロス 「(失うものは何もない……)」
ベリオロス 「(そう考えて生きてきた……)
927 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:39:06.98 ID:CfNFRWc0
ベリオロス 「(だが……失うものが何もない生に、何か意味はあったのだろうか……)」
ベリオロス 「(俺の生に、何かしらの意味は、あったのだろうか……)」
ベリオロス 「(俺が生きることで、何か変わったのだろうか……)」
ベリオロス 「(………………死にたくない………………)」
ベリオロス 「(だが………………)」
ベリオロス 「(俺が生きることを誰も望まず……)」
ベリオロス 「(俺が生きて欲しいと、誰も望まず……)」
ベリオロス 「(そんな世界に、戻ってどうするんだろう……)」
ベリオロス 「(…………ふっ…………)」
ベリオロス 「(死の寸前に、こんなセンチメンタルな気分になるとはな……)」
ベリオロス 「(俺もヤキがまわったものだ……)」
ベリオロス 「(疲れた……もう……)」
ベリオロス 「(願わくば、このまま死なせてもらえることを……)」
ベリオロス 「(願わくば…………)」
928 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:40:01.11 ID:CfNFRWc0
ナルガクルガ剛種 「…………あなた、ちょっと、あなた!!」
ベリオロス 「……………………?」
ナルガクルガ剛種 「ひどい怪我……人間にやられたの!?」
ナルガクルガ剛種 「ここは危険よ。早く奥のほうに移動しましょう」
ベリオロス 「………………君は………………」
ナルガクルガ剛種 「私はナルガクルガ剛種。あなた、ベリオロスね」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ剛種 「独りで人間の群れに向かっていくなんて、あなた何を考えているの!」
ナルガクルガ剛種 「こうなることは分かりきってるのに……!!!」
ベリオロス 「………………ふっ………………」
ベリオロス 「俺のことなんて、放っておけ……」
ベリオロス 「じきにここに、俺の血をかぎつけた人間が来る……」
ベリオロス 「お前には関係がないことだ……」
929 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:40:53.52 ID:CfNFRWc0
ナルガクルガ剛種 「…………バカ!」
ベリオロス 「……?」
ナルガクルガ剛種 「いい? この奥には、まだ小さな子供たちが遊んでいる場所があるのよ」
ナルガクルガ剛種 「死ぬんなら、迷惑がかからない場所で死になさいよ!」
ベリオロス 「………………」
ベリオロス 「(ここは……)」
ベリオロス 「(戻ってきてしまったのか……)」
ベリオロス 「(小さい頃から、俺がずっと……)」
ベリオロス 「(同族たちが遊ぶこの場所に……)」
ナルガクルガ剛種 「それに、私の目の前で死ぬなんてナメたこと、ほざかないで」
ベリオロス 「………………何……?」
ナルガクルガ剛種 「あなたは生きるのよ。立ちなさい」
ナルガクルガ剛種 「……」
ナルガクルガ剛種 「バカじゃないの!? 誰が好き好んで、こんなところで独りで死のうっていうの!」
930 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:41:45.40 ID:CfNFRWc0
ベリオロス 「……俺は……助けなど要らない」
ベリオロス 「俺の問題だ……(ググ…………)」
ベリオロス 「もう……疲れたんだ……」
ベリオロス 「俺は今まで独りだった…………」
ベリオロス 「だから、独りで死なせて欲しい…………」
ベリオロス 「ただ、それだけだ………………」
ベリオロス 「俺が生きることで何が変わる…………」
ベリオロス 「俺が生きることで何かが変わるか…………」
ベリオロス 「何も変わりはしない………………」
ナルガクルガ剛種 「…………」
ナルガクルガ剛種 「(バシッ!)」
ベリオロス 「……!!! 〜〜ッ!!!」
ナルガクルガ剛種 「そこまで演説できるんなら、自力でまだ立てるでしょ。ほらさっさと立ちなさい(ググッ)」
931 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:42:36.74 ID:CfNFRWc0
ベリオロス 「何故……俺なんかを助ける……」
ナルガクルガ剛種 「いいから早く!」
ベリオロス 「何故だ……(グググ)」
ベリオロス 「俺はお前と初対面だ…………」
ベリオロス 「お前は俺と……関係がない……」
ナルガクルガ剛種 「ええ。確かに関係がないわ」
ナルガクルガ剛種 「でも、一人ぼっちで死にそうな、弱そうなのを見かけておいていけるわけがないでしょ!」
ベリオロス 「弱そう……俺が…………」
ナルガクルガ剛種 「あなた、私と同じ種族ならもっと胸張って堂々と死になさいよ!」
ナルガクルガ剛種 「こんなところで惨めったらしくつぶれて死んで、それで満足!?」
ベリオロス 「…………それで、いい…………」
ナルガクルガ剛種 「………………」
ベリオロス 「もういいんだ…………」
932 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:43:37.04 ID:CfNFRWc0
ナルガクルガ剛種 「……確かに、あなたが生きることで、何か変わるか? って聞かれたらね、何も変わらないわ」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ剛種 「当たり前じゃない。少なくともあたしは何も変わらない」
ナルガクルガ剛種 「だってあたしはあんたのことを知らない」
ナルガクルガ剛種 「あんたはあたしのことを知らない」
ナルガクルガ剛種 「変わりようがないじゃない!」
ナルガクルガ剛種 「変えるの、これから。生きていればそれが出来るわ!」
ベリオロス 「変える………………俺が……?」
ナルガクルガ剛種 「さぁ、あなたの足は何のためにあるの? その立派な尻尾は何のためについてるの!」
ナルガクルガ剛種 「立ちなさい!!」
ベリオロス 「………………(ググググ…………)」
ベリオロス 「…………女ごときにここまで叱責されたのは初めてだ…………」
ベリオロス 「この屈辱……忘れんぞ……」
ナルガクルガ剛種 「はいはい、いい顔になってきたじゃない。男の顔だよ」
ナルガクルガ剛種 「氷河に入って臭いと血を消して、逃げるよ!」
ベリオロス 「(よろよろ)」
933 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:44:32.15 ID:CfNFRWc0
ベリオロス 「(何だ……この女は……)」
ベリオロス 「(どうして俺なんかのためにここまでする…………)」
ベリオロス 「(何故、死なせてくれない……)」
ベリオロス 「(俺が生きることで、何も変わらない……)」
ベリオロス 「(変える……俺が……?)」
ベリオロス 「(独りじゃなくなる……)」
ベリオロス 「(子供………………この奥で遊んでいるのか……)」
ベリオロス 「(小さい頃からずっと……あの輪に入りたかった……)」
ベリオロス 「(俺は……今からでも、輪に入れるのだろうか……)」
ベリオロス 「(俺は……生きていても、いいんだろうか…………)」
ナルガクルガ剛種 「(ガシッ)」
ベリオロス 「!!」
ナルガクルガ剛種 「あたしの巣に行くよ。まだ大丈夫。それほど血が流れてない」
ナルガクルガ剛種 「あなたは生きるの。あたしの前で、もう二度と人は死なせない」
ナルガクルガ剛種 「いい? 生きるのよ!」
ナルガクルガ剛種 「誰もいないってんなら、あたしが一緒にいてあげる! だから死ぬなんてバカなこと……」
ナルガクルガ剛種 「考えるんじゃないよ!!!」
ナルガクルガ剛種 「だって、あんたはまだ、生きてるじゃないか!!」
ベリオロス 「……………………(よろよろ)」
ベリオロス 「………………」
934 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:45:32.76 ID:CfNFRWc0
―現在、凍土―

ベリオロス 「………………」
ベリオロス 「(剛種…………)」
ベリオロス 「(私は、間違ったことをしているんだろうか……)」
ベリオロス 「(お前を奪った人間、お前を助けられなかった王家…………)」
ベリオロス 「(私には、どちらも助ける気がおきない……)」
ベリオロス 「(共倒れになるのを見ている、この浅ましい私を、お前は笑うか……それとも、あのときのように……)」
ベリオロス 「(叱責するのだろうか……)」
ベリオロス 「(お前ならどうする……)」
ベリオロス 「(お前なら…………)」
935 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:46:58.05 ID:CfNFRWc0
ベルキュロス 「ひゃははは! 人間達、ずいぶんと思い切ったことをしてきたね!」
ドスジャギィ 「ひでぇ……ドスバギィの洞窟に直撃だ……」
ドスジャギィ 「何がここまで、あの人間達をやらせるんだ……」
ドスジャギィ 「そこまで俺たちモンスターが憎いのか……?」
ドスジャギィ 「(だって、ボルボロスは手負いだろ……!?)」
ベルキュロス 「フンッ、関係ないね!!」
ベルキュロス 「ここであたし達は、あの悪魔と王家が共倒れになるのを楽〜に見てればいいって寸法さ」
クルペッコ 「………………」
ベルキュロス 「何してたかわかんないけど、残念だったねぇクルペッコ先生」
ベルキュロス 「王家は今日でおしまいさ! あの悪魔に狙われたら、誰だって生きてはいられないんだ!」
ベリオロス 「…………」
ベリオロス 「(ベルキュロス……震えているのか……?)」
ベルキュロス 「その後に代頭してやる……」
ベルキュロス 「次に王家を継ぐのは、ベルキュロス王家だ!!!」
936 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:47:51.91 ID:CfNFRWc0
ベリオロス 「…………」
ベリオロス 「(人間は、あの巨大な船で突っ込んできたのか……)」
ベリオロス 「(! 中から人が……!)」
ベリオロス 「(あれはバリスタ!?)」
ベリオロス 「……!!!!」
ベリオロス 「(……洞窟から出てきた誰かが撃たれた……)」
ベリオロス 「(撃たれたのは……黒い獣……!!)」
ベリオロス 「(剛種にそっくりな……)」
ベリオロス 「(私の……)」
ベリオロス 「(私の息子……)」
ベリオロス 「(私の息子が、撃たれた……!!!)」
ベリオロス 「(……あの兵器の威力は、よく知っている)」
ベリオロス 「(私の足に古傷を負わせたのも、あのバリスタだった……!!)」
ベリオロス 「(このままでは、黒い獣が……)」
ベリオロス 「(息子が……『ナルガクルガ』がやられる…………!!!)」
ベリオロス 「…………チィッ!(バッ)」
ベルキュロス 「あ!! こ、こら、ベリオロス!! 何をしている!!!」
937 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:48:59.50 ID:CfNFRWc0
―凍土、ドスバギィの巣前―

ハンマー 「(くっ……まさか本当に、大銅羅をドリルのようにして突っ込んでくるとは……)」
ハンマー 「なりふり構わずか! スラッシュアックス!!!」
ハンマー 「(洞窟の入り口が崩れる……)」
ハンマー 「すまない! 炎王龍、また背中を借りる!(バッ)」
テオ・テスカトル 「ギャォォォォォ!!!」
ナルガクルガ 「グォォォォ!!」
ドスバギィ 「ギギ……グ……ガォォォォォ!!!!」
ハンマー 「くっ……モンスターが怒り狂っている……」
ハンマー 「少女のためにも、何とか止めたい……抑えてくれ……!!」
ハンマー 「! あれは……バリスタ!?」
ハンマー 「やめろぉぉぉ!!」
バリスタ 「(ドヒュゥゥゥンッ!!)」
ナルガクルガ 「!! (ズガガガガガガッ)ギャ……ォォォォ!!!!」
ハンマー 「! 迅竜が撃たれた!!」
バリスタ 「(キュルキュルキュル)」
ハンマー 「トドメをさすつもりか! 炎王龍!」
テオ・テスカトル 「シャァァ!(バッ!!)」
938 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:49:51.10 ID:CfNFRWc0
バリスタ 「(ドヒュゥゥゥゥッ!!)」
ハンマー 「っっおらぁぁ!!!(ガキィィン!!)」
テオ・テスカトル 「!! (ギィィィィン!!)」
ナルガクルガ 「………………グ…………が………………」
ナルガクルガ 「(な……何だ……)」
ナルガクルガ 「(撃たれたのか……? どこから!?)」
ナルガクルガ 「(ぐっ……両翼を貫通している………………!!)」
ナルガクルガ 「グゥ…………ッ!!」
テオ・テスカトル 「ナルガ殿!!」
ナルガクルガ 「不覚………………ッ! 腕をやられた……!!」
バリスタA 「(キュルキュルキュル)」
バリスタB 「(キュルキュルキュル)」
バリスタC 「(キュルキュルキュル)」
バリスタD 「(キュルキュルキュル)」
テオ・テスカトル 「あそこか! 船の中からバリスタでこっちを狙っている!!」
テオ・テスカトル 「卑怯な!!」
ドスバギィ 「人間の使う常套手段だ……」
ドスバギィ 「だが、さすがにあの数はやべぇな…………」
ハンマー 「やめろォォ! スラッシュアックス!」
ハンマー 「ここに敵はいない!!」
939 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:50:43.57 ID:CfNFRWc0
ハンマー 「(もしや、土煙で正確に見えていない中、やたらめったらに攻撃をしているのか……!!)」
ハンマー 「(村の仲間のために俺たちを捨てたか……!!)」
テオ・テスカトル 「しくじった……なるべく後方に下がるぞ! ナルガ殿、動けるか!?」
ナルガクルガ 「う……ぐぅ…………」
テオ・テスカトル 「ナルガ殿!!」
ドスバギィ 「小僧……!(バッ) つかまれ!」
ナルガクルガ 「………………すまない………………」
ドスバギィ 「ちぃ! 足を動かせ!!」
テオ・テスカトル 「来るぞ!!」
ハンマー 「やめろスラッシュアックス!!」
ハンマー 「俺が……俺たちがここにいる!」
ハンマー 「お前の仲間にもなれるかもしれない奴らが……ここにいるんだ!!」
バリスタ 「(キュルキュルキュルキュル)」
ハンマー 「(駄目か……!!)」
ハンマー 「(モンスターに対する恐怖と、憎しみで物事の本質が見えていない……!!)」
ハンマー 「(全て目に付いたものを倒す……)」
ハンマー 「(かつては俺もそうだった……)」
ハンマー 「(だが、それでは駄目なんだ……スラッシュアックス!!)」
940 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:51:39.38 ID:CfNFRWc0
バリスタ 「(ドヒュゥゥゥゥンッ!!)」
ハンマー 「! 来る!!」
テオ・テスカトル 「!」
××××× 「グォォォォォォオ!!」
××××× 「(ドスドスドスドスドス)…………ギャ……ァァァァ!!!!」
ナルガクルガ 「……!」
ナルガクルガ 「(何だ……)」
ナルガクルガ 「(俺の前に、何かが飛び出してきた……)」
ナルガクルガ 「(白くて…………)」
ナルガクルガ 「(大きい………………)」
ナルガクルガ 「(あれは…………)」
ベリオロス 「ググ……ガ………………」
ドスバギィ 「ベ……ベリオロス!!!」
ベリオロス 「………………(ゴフッ)」
ベリオロス 「(ズゥゥゥゥゥゥン)」
941 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:52:36.59 ID:CfNFRWc0
テオ・テスカトル 「何だ……!? 私たちを襲ってきた白い獣が……」
テオ・テスカトル 「ナルガ殿を庇った!?」
ベリオロス 「………………逃げろ、戦士よ………………」
ナルガクルガ 「!!!」
ベリオロス 「お前は……こんなところで死んでいい者ではない…………」
ナルガクルガ 「何故……何故俺をかばった……!!」
ナルガクルガ 「俺とお前は敵同士のはずだ……」
ナルガクルガ 「俺に……家族などいない……!!!」
ベリオロス 「家族…………フッ………………」
ベリオロス 「戦士よ……」
ベリオロス 「家族はいいぞ…………」
ベリオロス 「仲間はいいぞ…………」
ベリオロス 「気楽ではないが……その方が断然いい………………」
ナルガクルガ 「………………」
ベリオロス 「逃げろ……」
ベリオロス 「『ナルガクルガ』…………!!」
942 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:53:32.88 ID:CfNFRWc0
バリスタ 「(キュルキュルキュルキュル)」
ハンマー 「まだやるつもりか……!!」
ドスバギィ 「卿! 力を貸せ! ベリオロスを運ぶ!!」
テオ・テスカトル 「分かった!(バッ)」
ハンマー 「(バッ)行け、炎王龍! 俺は奴らを止める!!」
ハンマー 「うおおおお!(ダダダダッ)」
ハンマー 「!! (中から人が出てきた!!!)」
スラッシュアックス 「! ハンマー!! 貴様……また邪魔をするつもりかァァ!!」
ハンマー 「お前は間違っている! 敵ではない者を倒して、何が残るというんだ!」
スラッシュアックス 「敵ではない……!? 何をバカなことを!!」
スラッシュアックス 「その白い獣と、黒い獣は……」
スラッシュアックス 「俺の父と母を殺した、仇だ!!!」
ハンマー 「!?」
スラッシュアックス 「どけぇぇぇ! 奴らの始末は、俺自らの手でつける!!!」
スラッシュアックス 「おおおおお!!!(ダダダダッ)」
943 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:54:26.29 ID:CfNFRWc0
スラッシュアックス 「邪魔をするというのならば……モンスターの肩を持つというのならば……」
スラッシュアックス 「貴様も敵だ! 斬る!!!!」
ハンマー 「(スラッシュアックスの武器が変わっている!?)」
スラッシュアックス 「うぉらぁああ!(ブゥン)」
ハンマー 「(ドガァァアッ!!)うおおお!!(ば……爆発した!?)」
スラッシュアックス 「引けハンマー! 引かねば殺す!!(ジャキィィィン)」
ハンマー 「引けぬ訳がある! 問答無用!!(ジャキィィィン)」
スラッシュアックス 「なら受けるがいい!!(ブゥンッ!)」
ハンマー 「(ドォンッ! ドォン!)ぐ………………」
ハンマー 「(撃ち込むたびに爆発する! 衝撃が…………)」
ハンマー 「(くっ……火竜にやられた肩の傷が………………)」
拘束弾発射装置 「(ドヒュゥゥゥゥン)」
テオ・テスカトル 「!! ギャォォォォォ!!」
ハンマー 「(! 炎王龍がバリスタ拘束弾に捕まった!!)」
スラッシュアックス 「隙あり! もらったあぁぁ!(ブゥゥゥゥンッ!!)」
ハンマー 「(ドッゴォォォォンッ!!)ぐぁぁああああ!」
944 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:55:25.40 ID:CfNFRWc0
ハンマー 「(ドサッ)……が…………」
スラッシュアックス 「そこで寝ていろ! 俺は、俺の仇を殺す!!」
スラッシュアックス 「組するモンスターも殺す!」
スラッシュアックス 「モンスターは全て敵だ! 俺たちを脅かす敵だ!!!」
スラッシュアックス 「俺はハンターだ! モンスターハンターだ!!」
スラッシュアックス 「子供を……仲間を、俺は守る!!!」
ハンマー 「ま……待て……」
ハンマー 「(くそ……鎧がひしゃげている…………)」
ハンマー 「(体がしびれて…………)」
スラッシュアックス 「うおぉぉぉぉお!」
ベリオロス 「!!!」
ベリオロス 「(あれは……私と剛種を襲った人間……)」
ベリオロス 「(剛種とナルガクルガを、谷底に突き落とした人間……!!!!!)」
ベリオロス 「ガ……グォォォォォォ!!!(グググ)」
ナルガクルガ 「……無茶だ……! その体で……!!」
ベリオロス 「止めるな戦士よ……!! 男には、決着をつけねばなるまい時がある……!!!!」
ベリオロス 「ドスバギィよ、息子を頼む!!」
ナルガクルガ 「!!!!!」
ドスバギィ 「ベリオロス! ここは一旦引け!!!」
945 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:56:32.04 ID:CfNFRWc0
ベリオロス 「グオォォォォォォオオ!!(ドドドドドッ)」
スラッシュアックス 「閃光玉を食らえ!!!(バッ)」
ベリオロス 「(ピシャァァァ!)……ギャォォォ!!(バッ)」
スラッシュアックス 「! うぉぉぉぉ!?(ガキィィンッ)」
スラッシュアックス 「(閃光玉が効かない……!?)」
ベリオロス 「(私の目は、濁って光に疎くなっている……)」
ベリオロス 「(もうあの光る玉は効かぬ……!!)」
スラッシュアックス 「……だが!!(ドバッ)」
ベリオロス 「!! これは……」
ベリオロス 「(痺れ毒の煙玉……!? しまった、傷口から…………)」
ベリオロス 「(体が痺れて…………)」
スラッシュアックス 「うぉぉぉぉぉ!!(バッ)」
スラッシュアックス 「父の! 母の仇!! 今ここで晴らさせてもらう!!」
ベリオロス 「!!!!」
ナルガクルガ 「…………ベ、ベリオロ…………」
ナルガクルガ 「…………!!!」
946 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:57:26.46 ID:CfNFRWc0
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
スラッシュアックス 「! な……何だ!? 地震……!?」
ハンマー 「(地面が……揺れている! これは……)」
 >ドバァァァァッァァアァッ!!!
×××××××× 「キシャォォォォォォォォォォォォォオオオ!!!!」
×××××××× 「(ブゥゥゥゥン!)」
砂上船 「(ドガァァァァァッ!!)」
×××××××× 「シャァァァァァアァ!!(ブゥゥゥゥン)」
砂上船 「(ドゴォォォォォッ!!)」
スラッシュアックス 「うおぉぉぉぉお!!?」
ハンマー 「あれは……古龍!? だが……老山龍よりもはるかに大きい!!!!!」
ジエン・モーラン 「シャァァァァァァ!!(ブゥゥゥゥンッ)」
スラッシュアックス 「!! 峯山龍か! こんな所に隠れていたとは!!」
スラッシュアックス 「角で船を壊されるぞ! 大銅羅を撃ち込むんだ!!!」
熟練ハンターA 「む……無理だ! セットにまだ時間が……うわあぁああ!!」
砂上船 「(ズゥゥゥゥゥンッ)………………(ズズズズズズ…………)」
ハンマー 「(船が……倒れる!!!)」
947 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:58:25.03 ID:CfNFRWc0
ドスバギィ 「こ、これは……ジエン・モーラン老!!」
ジエン・モーラン 「見ておれぬ……!! 我、いざ助太刀せん!!!」
ジエン・モーラン 「ガァァァァ!(ブゥゥゥゥン!!)」
砂上船 「(ドッガァァァァンッ! ………………ドズゥゥゥゥゥン!!)」
スラッシュアックス 「みんな!!!!」
テオ・テスカトル 「! 拘束が緩んだ!」
テオ・テスカトル 「もしやこの巨大な影は……ジエン・モーラン殿か!?」
ジエン・モーラン 「おぬし等を口の中に入れる……ここを離れるぞよ……」
テオ・テスカトル 「! 分かった! ドスバギィ殿!」
ドスバギィ 「合点だ」
テオ・テスカトル 「人間!(バッ)」
ハンマー 「炎王龍! ありがたい!(ガシッ)」
ジエン・モーラン 「(ググググ……バクゥゥゥッ)」
スラッシュアックス 「!! モンスター達を、砂ごと口の中に……!!」
スラッシュアックス 「くそ…………!」
スラッシュアックス 「くそぉぉぉぉぉ!!」
スラッシュアックス 「土の中に…………大銅羅はまだか!! このままではまた逃げられてしまう!!!」
ジエン・モーラン 「………………(ズズズズズズズズ)」
スラッシュアックス 「待て! 待てぇぇぇぇえ!!」
ジエン・モーラン 「(ズズズズズズ)」
948 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 12:59:16.42 ID:CfNFRWc0
―凍土、少し離れたエリア―

ベルキュロス 「!!! あれは……ジエン・モーラン!!!」
ベルキュロス 「元老院が!! 王家を助けるの!?」
ベルキュロス 「ど……どうして!!」
ベルキュロス 「どうして……!!!」
ベルキュロス 「私たちの時は、助けてくれなかったじゃないか!!!!」
ドスジャギィ 「ベルキュロス様、ここは危険だ。人間に見つかるかもしれねぇ」
ドスジャギィ 「早く離れた方がいい」
ベルキュロス 「(ギリリ…………)」
ベルキュロス 「ジエン・モーラン……この屈辱、絶対に忘れない…………」
クルペッコ 「………………」
ベルキュロス 「クルペッコ先生は連れてくよ。あんたたち、ふんじばってきな」
ドスジャギィ 「あ……ああ」
ベルキュロス 「(王家め…………)」
ベルキュロス 「(絶対にこのままじゃ済まさない…………!!!)」
949 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/08/28(金) 13:03:22.36 ID:CfNFRWc0
お疲れ様でした。次回へ続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/45/img2b188f33zik3zj.jpeg

トライのお誘いなど、お受けしています
時間があるときには、21:00に自由区ミナガルデ2、街角8に出没するようにしています
BBSがありますので、事前にご利用くださいね(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html

また、私のブログから、以前書いた小説などをごらんいただくことも出来ます
http://blog.livedoor.jp/matusagasin/
お時間があるときにでも、気が向かれたらお越しください

少し肌寒くなってまいりましたが、皆様、体調にお気をつけて過ごされてください
それでは、今回は失礼させていただきます
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/28(金) 14:37:14.16 ID:tObTrWoo
おっつー
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/28(金) 15:27:41.57 ID:KcWoWIQo
おつー

モンハンにまたシンモンスターが登場しますね
みけさんのイラストで書いて欲しいかもです
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 19:20:33.53 ID:AMSM56go
スラッシュアックス[ピーーー]
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/28(金) 20:34:30.98 ID:vV.59t.o
おつ!

>>952
おいおいww
確かに過激派だが、スラッシュアクスの言い分はわからんこともないぞww
954 :UDON [sage]:2009/08/29(土) 00:10:29.37 ID:qtgLeoDO
みけさん乙〜。今回も楽しかったぜ。体調しっかり整えてまた遊ぼう〜
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/29(土) 10:39:40.69 ID:BhkWS6AO
お疲れ様です
どんどん盛り上がってきますね!すごく面白いです

体調悪いときは無理せず、ゆっくり休んでくださいね
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 21:47:08.33 ID:x7qmQkAO
ずーっと前にVIPで見掛けた覚えがあるなあ
キャラ付けがうまいよな
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 22:16:05.38 ID:PjDwMQAO
三毛猫さん漫画の原作やればイケそうな気がしますぜ
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/01(火) 01:53:05.76 ID:4Yys7kAO
三毛猫さんお疲れ様です!
じっくり読ませて貰ってます。
体調にはくれぐれも気をつけて無理せずに頑張って下さい!
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/01(火) 11:06:43.50 ID:/KFl7UAO
>>957
誰か同人とかで出してほしいなww
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/01(火) 12:07:18.37 ID:yF4r71.o
>>959
原型のままか擬人化するかで分かれそうだな
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/01(火) 12:10:09.76 ID:4P8A96SO
原型しか認めない
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/01(火) 14:13:33.36 ID:qMBg0RIo
擬人化したらサイズとかいろいろおかしくなる。
擬人化したテオに乗っかるハンマーと太刀ww
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/01(火) 14:44:20.20 ID:9BiG8I60
>962
三段肩車じゃねーかwwww

まあ原型じゃないと少女の特異性が感じられないし擬人化は無いな
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/03(木) 18:47:44.97 ID:wqWL7Tc0
さて・・・wii買ってくるか・・・
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/04(金) 11:00:47.22 ID:O2X48k.o
MH3のイベクエに出てくるガンキンはここが元ネタ。

これ豆ちしきな。
966 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:46:49.52 ID:RGmCGys0
お疲れ様です。第10話を書きましたので、投稿させていただきます
みなさま、暖かいコメントありがとうございます

>>957 >>969>>963
もしどなたかが使ってくださるのでしたら、それほど素敵なことはないと思います
ご自由に、同人なり色々使ってください。私も嬉しいです

>>965
本当ですか!? もしそうだとしたらすごいことですね(笑)
MH3、ご一緒できるときは一緒に遊びましょう〜
967 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:47:50.22 ID:RGmCGys0
10.ベルキュロス 「この声が、聞こえるか」

―水没林、真夜中―

ボルボロス 「はぁ……はぁ……」
ラギアクルス 「ボルボロス様、しっかりなさってください。もうじき体を休めることが出来る場所に着きまする」
ボルボロス 「ええ……心配をかけます……」
ギギネブラ 「あら、水がある場所に出たわ。良かった。体を洗いたいと思っていたところなの」
ボルボロス 「……? ……何かしら……地面が揺れている……」
ウラガンキン 「まんま……!(ガシッ)」
少女 「ウラちゃん……大丈夫だからね、大丈夫……」
クック 「(何だ……この揺れは、大きいぞ……!!)」
紫ガミザミ 「じ……地震じゃぞ!」
トレニャー 「ひぃぃ! もうちっとで外に出れるってのに!」
クック 「(少女と紫殿だけでも守らねば!!)」
クック 「(……何か大きなものがこっちに近づいてくるのか……)」
クック 「みんな、急いでここを離れるんだ!」
968 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:49:13.04 ID:RGmCGys0
ギギネブラ 「あら、この地響きは……」
ラギアクルス 「ギギ殿、心当たりがあるのか?」
ギギネブラ 「これは、ジエン・モーラン様の足音ですわ」
ラギアクルス 「!! 何だって!?」
ギギネブラ 「一ヶ月ほど前に聞いたものと同じ。こちらに向かってこられるようです」
ラギアクルス 「こうしてはいられない。急いで外に出よう!」
母バギィ 「ったくなんだってんだい」
子バギィ 「母ちゃん、走りながら愚痴ると舌噛むぜ?」
クック 「地震がだんだん強くなっている……!!」
少女 「(地面が揺れてる……)」
太刀 「あぁもう何だっての!?」
少女 「太刀さん、何が起こってるの?」
太刀 「あたしにもわかんないよ。ただモンスター達がひどく慌ててる」
太刀 「手、離しちゃ駄目だよ!」
少女 「はい……!!」
969 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:50:14.01 ID:RGmCGys0
太刀 「! 外に出た……!!」
太刀 「で、でもこの地震やまない……何かがこっちに来る……!?」
 >ドッパァァァァンッ!!
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
太刀 「な…………何これ!?」
太刀 「滝の中から……牙が……!!!」
少女 「(何か大きくて……土と砂の……風の匂いがする人がいる……)」
少女 「(ラオシャンロン様にそっくりな匂い……)」
少女 「(でもちょっと違う……)」
少女 「古龍……」
太刀 「え……?」
少女 「太刀さん、古龍様がいるんだよ!」
太刀 「こ、この地震とあの牙……あれ、モンスターなの!?」
ウラガンキン 「グォォ! グォォ!(ガシッ)」
少女 「ウラちゃん、落ち着いて……」
970 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:51:11.93 ID:RGmCGys0
ジエン・モーラン 「……………………(ググググ)」
ジエン・モーラン 「……………………(ザッパァァァンッ!!)」
ラギアクルス 「これは……ジエン・モーラン老!!!!」
ボルボロス 「来てくださったのですか!!」
ジエン・モーラン 「(ベッ)」
テオ・テスカトル 「……グッ(ドサリ)」
ハンマー 「ぐぁ!(ドサッ)」
ドスバギィ 「(スタッ)」
ナルガクルガ 「…………(ドサリ)」
ベリオロス 「…………(ドサリ)」
紫ガミザミ 「あのでっかいのが、てお達を口から吐き出したぞ!!」
紫ガミザミ 「!! ナルガ殿!(ダダダッ)」
紫ガミザミ 「ナルガ殿! ナルガ殿、しっかりしてくだされ!」
ナルガクルガ 「……………………ぐ……うう……」
クック 「ひどい怪我だ……人間にやられたのか!?」
クック 「(それに、あの白いモンスターは、私たちを雪崩に巻き込んだ者だ)」
クック 「(一体何があったんだ……!?)」
971 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:52:04.28 ID:RGmCGys0
ボルボロス 「(スッ)久方ぶりです、ジエン・モーラン様」
ジエン・モーラン 「…………左様、随分と久方ぶりである。ボルボロスよ」
ジエン・モーラン 「……? そこな女は、わしにこの前酒を勺した者ではないか?」
ギギネブラ 「はい! しばらくぶりです、ジエンおじさま」
ジエン・モーラン 「くはっはっは。おじさまとな。悪い気はせぬ」
ラギアクルス 「(バッ)」
ラギアクルス 「お初にお目にかかります、ジエン・モーラン老子。騎士団団長のラギアクルスと申します」
ラギアクルス 「仲間たちにご助力をいただいたご様子」
ラギアクルス 「まことに、ありがとうございます」
ジエン・モーラン 「ラギアクルス……ほう、おぬしが……武勇は聞いておる。だがまだ若いな」
ラギアクルス 「ハッ。精進いたします!」
ジエン・モーラン 「やめい。わしは堅苦しいのは好きではない」
ラギアクルス 「は……はぁ……」
ジエン・モーラン 「それよりこの者達を世話してやれ。怪我をしている」
972 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:53:32.68 ID:RGmCGys0
ハンマー 「……助かった……のか……?」
少女 「ハンマーさん!!」
ハンマー 「少女! 無事だったか! ……ぐっ」
太刀 「ハンマー、一体どうしたの? このでっかいの何!?」
ハンマー 「俺にも良く分からん、モンスター達の仲間らしい」
ハンマー 「ぐっ………………スラッシュアックスの奴、思い切りやったな……」
太刀 「うわぁ! 鎧が食い込んでる! 早く手当てしなきゃ……!!」
ハンマー 「そうしてもらえると助かる」
少女 「ハンマーさん、人間と戦ってきたの……?」
ハンマー 「……ああ。頭の固い奴が一人いてな……お灸をすえるつもりが、逆に手傷を負わされた……」
ハンマー 「あいつは復讐と恐怖で見境がなくなっている」
ハンマー 「この巨大なモンスターが、口の中に俺たちをかくまってくれなければ危ない所だった」
ハンマー 「感謝をしなければいけないな……」
973 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:54:32.05 ID:RGmCGys0
テオ・テスカトル 「ジエン老。助かった。正直私たちだけではどうしようもないところだった」
ジエン・モーラン 「見慣れぬ者どもが混ざっておるな……だが何となく覚えているぞ」
ジエン・モーラン 「お前はテスカの王だな。先代に会ったことがあるぞよ」
テオ・テスカトル 「何と、我が父をご存知か。いかにも、私はテオ・テスカトル。隣の大陸から来ました」
ジエン・モーラン 「はっは。随分と今宵はにぎやかなことだ」
ジエン・モーラン 「本当ならば見過ごす所だったのだが……」
ジエン・モーラン 「懐かしい白い気配を感じてな」
テオ・テスカトル 「白い気配……?」
ジエン・モーラン 「………………」
少女 「…………?」
少女 「(何か、大きなものが私を見てる……)」
ジエン・モーラン 「なるほど……少々事情が込み入っているようじゃなぁ」
ジエン・モーラン 「少し説明をしてくれぬか」
974 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:55:32.36 ID:RGmCGys0
ジエン・モーラン 「………………ほう。そのようなことが現実に起こっているとは……」
ジエン・モーラン 「何とも世の奇妙なことよ。時に何かがちょっと悪戯せば、思いもつかぬ展開になり申す」
ジエン・モーラン 「あの子が、ウラガンキン二世の母親代わりか…………」
少女 「(じっとこっちを見てる気配がする……)」
少女 「(………………怖い………………)」
少女 「(ぎゅ……)」
クック 「大丈夫だ。私がついている」
ウラガンキン 「まんま……」
クック 「そのようなわけで、何か策はないものかとお伺いしたいのです」
ジエン・モーラン 「ふむ……」
ジエン・モーラン 「策……というほどのものではないかも知れぬが、考えられるとすれば、先代の記憶を受け継がせることじゃな」
テオ・テスカトル 「!! 宝玉か!」
ジエン・モーラン 「察しが良いな。そのとおり、竜の宝玉を与え、父や先代の記憶を受け継ぐほかあるまい」
ボルボロス 「………………」
ボルボロス 「しかし……夫の紅玉は、人間と戦った際に奈落の底に落ちてしまったのです」
ボルボロス 「今はなき宝です……」
975 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:56:30.60 ID:RGmCGys0
ジエン・モーラン 「探すしかあるまい。ウラガンキン二世に、記憶を与える他、少女にとっても、子供にとっても良くないだろう」
ジエン・モーラン 「それが我の考えられる最上の策じゃな」
ラギアクルス 「ボルボロス様、騎士団総出で、紅玉の捜索にあたります」
ボルボロス 「………………以前にも一度、紅玉を探す隊を組織しましたが、結局は見つからずじまいでした」
ボルボロス 「火山のどこかにあることは間違いないのですが……」
ジエン・モーラン 「……ふむ。あとは時間じゃな……」
ジエン・モーラン 「まだ言葉も解さない赤子では、教えるわけにも行かぬ」
ジエン・モーラン 「少女とともに、現実を理解するまで守るしかあるまい」
ボルボロス 「そうですか……ご意見、ありがたく頂戴いたします」
ジエン・モーラン 「たいしたことは言っておらぬ。堅苦しくなるな」
ジエン・モーラン 「そして少女……我らの言葉を解せなくなったとのことだが……」
クック 「はい……以前は会話が出来ていたのですが、頭を打ってから、その衝撃で力を失ってしまったらしいのです」
ジエン・モーラン 「………………」
ジエン・モーラン 「その少女からは、白光の匂いがする」
クック 「!! (白光……)」
クック 「(確か前にも、そのような単語を聞いた覚えがあるが……)」
クック 「白光とは……?」
976 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:57:55.67 ID:RGmCGys0
ジエン・モーラン 「我ら竜の神が持つ、神聖な輝き、命そのものとも言われる光だ」
クック 「命そのもの……」
ジエン・モーラン 「その少女は、人間というよりも我らモンスターに近い存在となっている」
ジエン・モーラン 「わしの目には、白い光が映っている……」
ジエン・モーラン 「まるで、一度だけお会いした事のある煌皇竜様のように……」
ジエン・モーラン 「まぁ、それはよい」
ジエン・モーラン 「怪我をしている者がいるようだな。それに、少女は目が見えなくなってしまっているようだ」
ジエン・モーラン 「わしの血を分け与えよう」
ボルボロス 「……そんな、ジエン老の血液を……!!」
ジエン・モーラン 「わしの血は傷を癒し、疲れを流す力を持っている」
ジエン・モーラン 「(ガリ…………)」
ジエン・モーラン 「口の端を切った。全員に舐めさせるが良い」
紫ガミザミ 「も……もらっても良いのか!?」
ジエン・モーラン 「乗りかかった船だ。かまわぬだろう」
紫ガミザミ 「(サササッ)……ナルガ殿、この血を舐めてくだされ!!」
ナルガクルガ 「……ぐ……うう……」
977 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:58:59.34 ID:RGmCGys0
ドスバギィ 「お前ら、ベリオロスの世話もしてやりな」
バギィ達 「へい! 合点でさ!!」
ベリオロス 「……………………」
クック 「少女、こっちだ」
少女 「(おじさんが私を、連れて行こうとしてる……)」
少女 「(血の匂い……)」
少女 「(舐めろって言ってるのかな……)」
太刀 「少女ちゃん、危ないって、戻ってきなよ……!!」
クック 「クケェ(ぐいぐい)」
少女 「(この大きな人から、血が出てるところがある……)」
少女 「(古龍様なんだ……)」
少女 「(ペロ…………)」
少女 「……!!!!」
少女 「に……苦っ………………」
978 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 11:59:58.33 ID:RGmCGys0
クック 「…………(少女はちゃんとジエン老の血を舐めてくれた……)」
クック 「(ナルガに、あの白いモンスターも問題はないようだが……)」
クック 「(少女よ……よくなってくれ…………)」
少女 「(………………あれ………………?)」
少女 「目……目が…………」
少女 「光が見える…………」
少女 「これは……私の手……?」
少女 「私の服………………」
少女 「!! おじさん!!!」
クック 「クケェ!!」
少女 「私、おじさんの顔が見える!!!」
クック 「クッ、クッ、クッ!!!!」
クック 「(もしや……少女!)」
クック 「(目が、見えるようになったのか!!!!)」
979 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:03:05.54 ID:RGmCGys0
テオ・テスカトル 「少女! 目が……」
クック 「ああ! テオ殿!!」
ジエン・モーラン 「わしの血を舐めたのだ。それくらいの傷、すぐに治るだろう」
少女 「おじさん! おじさん!(ぎゅ)」
クック 「少女! 良かった……良かったなぁ……!!」
クック 「目の焦点が合っている! 本当に見えるようになったんだ!!」
ウラガンキン 「まんま……!!」
クック 「言葉はまだ分からないようだが……ジエン老、心から感謝いたします!!」
ジエン・モーラン 「堅苦しいのはやめよ。そういうのは好きではない」
少女 「ハンマーさん、太刀さん! 私目が見えるようになったよ!!!」
少女 「目が見えるよ!!」
少女 「あなた達の姿が見える!!」
太刀 「良かったねぇ、少女ちゃん!」
ハンマー 「本当か!? あの古龍の血のおかげなのか!!!」
ハンマー 「少女、良かったなぁぁ!!」
少女 「おじさん……もう二度とおじさんの顔、見れないと思ってた……」
クック 「クッ、クケェ!!」
980 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:03:58.33 ID:RGmCGys0
少女 「大きな古龍様、ありがとう!!」
ジエン・モーラン 「(ググググ…………)」
少女 「(今、うなずいたような……)」
ハンマー 「いやぁめでたい! モンスターの怪我だけではなく、少女の目が見えるようになるとは!!」
ハンマー 「太刀、モンスターとは戦うだけが道じゃないんだ」
ハンマー 「俺たちと彼らは、共存していけるんだ!」
太刀 「うん、そうだね……!!」
太刀 「あたし、今までモンスターは倒すものだってばっかり思ってたけど……」
太刀 「こうやって分かり合って、助け合うこともできるんだ……!!!」
少女 「(うれしい……またおじさんたちのことを見れる……!!)」
少女 「(言葉は話せないけれど、こんなにうれしいことはないよ……!!)」
少女 「おじさん……!!」
クック 「クケェ(すりすり)」
トレニャー 「ニャァ! ニャァ!!」
テオ・テスカトル 「グルル……(コクリ)」
ハンマー 「(今、炎王龍が深くうなずいた……)」
ハンマー 「(彼らも、少女のことを喜んでいるんだ……!!)」
981 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:04:51.76 ID:RGmCGys0
紫ガミザミ 「少女、まだ言葉は分からんのか?」
少女 「………………」
紫ガミザミ 「ええい! ジエン殿、効いておらぬではないか!」
ジエン・モーラン 「焦るな、カニの子よ。力というものは取り入れることはできれども、なくすということは出来ない」
ジエン・モーラン 「今はまだ少女の中で眠っているだけなのだ」
ジエン・モーラン 「いずれまた、以前のようにおぬしらとしゃべることが出来るようになる日が来る」
ジエン・モーラン 「なぜならそれが運命だからだ……」
紫ガミザミ 「運命……?」
ジエン・モーラン 「この世には偶然というものは存在せぬ。全てはすべからくして起こっていることなのだ」
ジエン・モーラン 「その結果がいかに悪しきものだったとしても、それもまた運命」
ジエン・モーラン 「少女が我らモンスターと言葉を交わすことが出来るようになったのもまた運命よ」
ジエン・モーラン 「そこに何かしらの意味があるのならば、焦らずともいずれきっと、また話せるようになる」
ジエン・モーラン 「その、なくすことかなわぬ力を手に入れて、どう使うか、それは本人しだいであるがな」
紫ガミザミ 「むう。話が難しくてよく分からぬ」
ジエン・モーラン 「はっは。いずれ分かるときが来る」
982 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:05:44.42 ID:RGmCGys0
紫ガミザミ 「そういえばトレニャー、おぬし人間の言葉は話せんのか?」
トレニャー 「おいらは猫専門の運び屋(トレニャー)だから、人間の言葉なんて知るかいよ」
紫ガミザミ 「ちぃ。つくづく使えない猫じゃ」
トレニャー 「姉さん、またみんなが冷たくするよォォ」
ギギネブラ 「はいはい、よしよし」
ジエン・モーラン 「ボルボロスよ」
ボルボロス 「はい、ジエン様」
ジエン・モーラン 「おぬしの子と少女が出会ったのもまた運命。流れに逆らおうとせず、あえて受け入れるのじゃ」
ジエン・モーラン 「さすればおのずと道は開けてくるじゃろう」
ボルボロス 「しかしジエン様……私はこれからどうすればよろしいのでしょう」
ボルボロス 「王家から反乱が出るなど、今までになかったことです」
ボルボロス 「すべてわたくしの責任でございます」
ジエン・モーラン 「責を被っても何も変わらぬ。受け入れるのじゃ」
ボルボロス 「受け入れる……?」
ジエン・モーラン 「おぬしを受け入れないものをまずは受け入れねば、全ては始まらぬ」
ジエン・モーラン 「それが解決の糸口になると、わしは思うのだ」
983 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:06:37.38 ID:RGmCGys0
ジエン・モーラン 「さて。そろそろわしは行くとする」
ラギアクルス 「ジエン老……!! もう行かれてしまうのですか!」
ジエン・モーラン 「本来わしの力は、お前たちに介入させていいものではない」
ジエン・モーラン 「それゆえ静観を決めていたのだが、今回はちょっとした気まぐれで手を貸したまでよ」
ジエン・モーラン 「それに、わしがここにいてはおぬしらに迷惑がかかってしまう」
テオ・テスカトル 「!! (そうか……!)」
テオ・テスカトル 「(ジエン老は、あの人間達が自分を攻撃してくることを予見しているのだ……)」
テオ・テスカトル 「(何しろ船を破壊までしたのだ……ただで済むとは考えづらい)」
ボルボロス 「残念です……もう少しお話をお聞きしたかったのですが……」
ジエン・モーラン 「本当にわしの助けが必要になったとき、またわしは現れる」
ジエン・モーラン 「しかし、子供たちの問題は子供たちで解決をするのが、本来の上策というものよ」
ジエン・モーラン 「なぜならば、これからの時代は子供たちが作っていくからだ」
ウラガンキン 「………………」
ジエン・モーラン 「それでは、さらばだ(ズズズズズズズ)」
984 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:07:29.36 ID:RGmCGys0
ハンマー 「巨大な古龍が帰っていく……」
太刀 「よし、これで応急処置は済んだよ、ハンマー(ギュ)」
ハンマー 「すまないな。だいぶ楽になった」
少女 「ハンマーさん、私の服に、あの古龍様の血がついてたの。舐めてみて」
ハンマー 「血を? 俺が……いいのか?」
少女 「うん」
ハンマー 「(ペロ)……!! これは……傷の痛みが消えていく……」
太刀 「マジで? あんた、すごい怪我だったんだよ!?」
ハンマー 「腕が上がる! すさまじいものだな、古龍の血というのは!!」
少女 「うん。私の目も見えるようにさせてもらったから、凄くうれしい」
ハンマー 「(なでなで)よかったじゃないか。これで、本当に普通の子供だ」
少女 「普通の…………」
クック 「…………」
クック 「(ジエン老は、全ては運命であり、偶然ではないと言っていた)」
クック 「(それが真実だとすると、少女が口をきけなくなった事にも、何らかの意味があるのかもしれない)」
クック 「………………」
クック 「(ナルガの言うとおり、人里に戻すべきだろうか……)」
クック 「(特異な力はなくなったのだ。何の気兼ねもすることはないだろう……)」
クック 「(私たちモンスターと一緒にいるより、その方が少女のために……)」
985 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:08:22.02 ID:RGmCGys0
ナルガクルガ 「…………くっ………………」
紫ガミザミ 「ナルガ殿! 目が覚めたかぇ!?」
クック 「ナルガ! 大丈夫か!?」
ナルガクルガ 「グ……俺は、生きているのか……?」
ナルガクルガ 「不覚をとった……だが、体の痛みは消えている……」
クック 「ジエン・モーラン様が血を分け与えてくれたんだ。大事に至らなくて良かった」
ナルガクルガ 「……!! あの白い獣……ベリオロスは!?」
クック 「まだ起き上がらない方がいい。彼はすぐそこで眠っているよ」
ベリオロス 「………………」
ナルガクルガ 「(ふぅ)…………(ドサッ)そうか」
クック 「何があったんだ? 話してくれ」
ボルボロス 「わたくしも興味があります。人間にやられたのですか?」
ドスバギィ 「あぁ。しかし、逃げ道を塞いだのはベルキュロス配下のドスジャギィどもだ」
ドスバギィ 「うまいこと嵌められるトコだったってなわけよ」
ボルボロス 「………………」
テオ・テスカトル 「私の方から、何があったのか説明しよう」
986 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:09:16.58 ID:RGmCGys0
ボルボロス 「……………………そうですか……人間が、私を追ってきているのですか……」
テオ・テスカトル 「おそらく取り付かれたときにマーキングのようなものをされているのだろう」
テオ・テスカトル 「水没林の水をくぐってきた方がいいと思われる」
ボルボロス 「ありがとう。そうします(ドス、ドス)」
ウラガンキン 「………………」
ボルボロス 「………………」
クック 「テオ殿。これからどうする?」
テオ・テスカトル 「ふむ……ジエン老の言葉をお借りするわけではないが、乗りかかった船だ」
テオ・テスカトル 「ウラガンキンの宝玉というものをさがすことに、私は協力しようと思う」
テオ・テスカトル 「それに、少女もまだ治っていない」
テオ・テスカトル 「もしかしたら、宝玉の力で元に戻るかもしれないからな」
ラギアクルス 「度々あなた方には迷惑をかける。すまない……」
テオ・テスカトル 「頭を上げてください、困ったときはお互い様だ」
ラギアクルス 「火山には、この滝をくぐっていくと出ることが出来るが、水の底を通るために貴殿らには危険だ」
ラギアクルス 「少し遠回りになるが、回り道をするしかあるまい」
ラギアクルス 「私の姉も、火山にいる。協力を頼むことができるでしょう」
987 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:10:08.68 ID:RGmCGys0
―水没林、滝の上―

ベルキュロス 「奴ら……のうのうと全員生きている……!!」
ベルキュロス 「ウラガンキン二世も無事だ……」
ベルキュロス 「どういうことだ! ドスジャギィ!!」
ドスジャギィ 「ちぃっ、ギギネブラの姿が見える!!」
ドスジャギィ 「穴を掘って逃げていたんだ!!」
ベルキュロス 「(ギリ……)許せない……」
ベルキュロス 「元老院は、私たちが大変なとき助けてもくれなかったのに……」
ベルキュロス 「こいつらは助けるのか!!!」
ベルキュロス 「…………殺す!!」
ドスジャギィ 「!?」
ベルキュロス 「殺してやる! ウラガンキン二世!!!」
ドスジャギィ 「お、落ち着いてくだせぇ、ベルキュロス様!」
ドスジャギィ 「頭数が違いすぎる! それに、ここは騎士団の連中の縄張りだ!!」
ベルキュロス 「許せない……!!」
ベルキュロス 「どうしてこいつらだけのうのうと生きていられるんだ!!」
988 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:11:23.35 ID:RGmCGys0
ベルキュロス 「許せない!!!(ピシャァァァァンッ!!)」
ドスジャギィ 「うわっ!! 雷が……!!」
ベルキュロス 「この声が聞こえるか!!」
ベルキュロス 「卑怯者ども! 私の大切なものを奪った卑怯者ども!!!」
ベルキュロス 「あたいはお前たちを、絶対に許さない!!!」
ベルキュロス 「ギャォォォォォォ!!!(ピシャァァァァン! ピシャァァァン!!)」
ドスジャギィ 「が……崖が崩れる!!」
ジャギィ達 「ドス!」
ドスジャギィ 「お前たち、急いで退避だ!!」
ドスジャギィ 「ベルキュロス様がお怒りになるぞ!!」
 >ピシャァァァァンッ!!
 >グラグラグラ
989 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:14:23.91 ID:RGmCGys0
―水没林―

ラギアクルス 「!? 何だ……雷!?」
テオ・テスカトル 「崖が崩れてくるぞ!!!」
ラギアクルス 「あの光は……ベルキュロス様!? ま、まさか……」
クック 「崖が崩れてくるぞ! 全員離れろ!!」
 >ズズズズズズ……
 >ピシャァァァン!!!
 >ドッゴォォォンッ!!!
クック 「(こっちに破片がくる……!!)」
クック 「(少女を守らねば……!!)」
ベルキュロス 「キャォォォラァァァ!!1」
 >ピシャァァァ!! ピシャァァァン!!
少女 「おじさん! 危ない!!(ダッ)」
ウラガンキン 「まんま!!!(ダダダッ)」
ラギアクルス 「ウラガンキン様! 少女!!」
クック 「(!! 巨大な崖の破片が、私の頭上に……)」
クック 「(よ……よけられない……!!)」
ハンマー 「少女ォォ!!」
太刀 「少女ちゃん! 戻って!!」
990 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:15:15.78 ID:RGmCGys0
少女 「おじさん!(ガシッ)」
クック 「(少女を庇わねば……)!!(バッ)」
 >ゴゴゴゴゴゴ
ウラガンキン 「!! グォォォォォォ!!!」
ラギアクルス 「くっ……間に合わない!」
ラギアクルス 「! (ウラガンキン様が、ボールのように丸くなった!!)」
ウラガンキン 「ガァァァ!(ゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!)」
 >ドガァァァンッ!!
ラギアクルス 「(クック殿と少女に激突しかけていた崖の破片を打ち砕いた……!!)」
少女 「ウラちゃん!!!」
クック 「少女! 待つんだ!!」
ウラガンキン 「(ザパァァァンッ)まんまー!!!」
ラギアクルス 「(し……しかし別の破片が……)」
ドスバギィ 「ちっ! ここからじゃ……」
テオ・テスカトル 「少女! クック殿ー!!!」
 >ドッパァァァァァァンッ!!
991 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:16:27.07 ID:RGmCGys0
テオ・テスカトル 「(少女達が、崖の破片の下敷きに……)」
テオ・テスカトル 「どんどん下に沈んでいってしまうぞ!!」
ボルボロス 「……な、何の騒ぎです!?」
ラギアクルス 「ボルボロス様! ウラガンキン様と少女達が、滝つぼの下に……!!」
ボルボロス 「何ですって!?」
ラギアクルス 「すぐに後を追います!(バッ)」
ベルキュロス 「そうはさせないよ!!!(ヒュゥゥゥゥゥ)」
ボルボロス 「ベルキュロス!!!」
ベルキュロス 「ウラガンキン二世には死んでもらう! それに! あんた達にも!!!」
ベルキュロス 「ガァァァァァ!!!」
 >ピシャァァァン! ピシャァァァン!!
テオ・テスカトル 「な……何だ!? この竜は、ラージャンのように雷を呼べるのか!!」
ボルボロス 「おやめなさいベルキュロス! 今は争っている場合ではないのです!!」
992 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:17:19.80 ID:RGmCGys0
テオ・テスカトル 「紫殿、トレニャー、私の後ろに!!」
紫ガミザミ 「で、でもナルガ殿が……」
ナルガクルガ 「俺は大丈夫だ! 邪魔なガキはあっちにいっていろ!」
トレニャー 「ひぃぃ、くわばらくわばら!」
 >ピシャァァァンッ!!
テオ・テスカトル 「くっ……これでは近づくことも出来ない!!!」
テオ・テスカトル 「(まだ崖の崩落は続いている……滝つぼに飛び込むことも出来ない……!!)」
テオ・テスカトル 「(少女……クック殿! それに、ウラガンキンまで!!!)」
テオ・テスカトル 「(うかつだった……! 人間の敵に気を取られすぎて、同族の敵に気が回らなかった!!)」
ベルキュロス 「あたいは王族を許さない! 元老院も許さない!」
ベルキュロス 「あたいから大事なものを全て奪っておいて、自分たちだけはのうのうと……」
ボルボロス 「……!!!」
ベルキュロス 「のうのうと生きているなんて、そんなこと許せるものかぁぁ!!!」
 >ピシャァァァンッ!!!
993 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:18:12.40 ID:RGmCGys0
ラギアクルス 「くっ……ベルキュロス様をお止めしなければ……」
ハンマー 「くそっ……少女が滝つぼの中に……!!」
ハンマー 「折角目が……目が見えるようになったところだというのに……!!」
ハンマー 「あの龍が道を塞いでいる!!」
ハンマー 「(今動けるのは、俺とあの海竜だけだ……!!)」
ハンマー 「(ガシャコン)太刀、炎王龍たちと避難するんだ!」
太刀 「ハンマーは!?」
ハンマー 「俺は海竜とともに、あの雷の龍を止める!!」
ハンマー 「うおおおぉぉ!!(ダダダダダッ)」
太刀 「ハンマー! 無茶だよ!!!」
ラギアクルス 「(この人間……)」
ラギアクルス 「(テオ殿の言うとおり、その場その場での決断が早く、的確だ……!)」
ラギアクルス 「(動ける位置にいる私と、ベルキュロスさまをお止めするつもりか!!)」
ハンマー 「頭を借りるぞ!!(バッ)海竜!!!」
ラギアクルス 「良かろう! 行くぞ人間!!」
994 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:19:07.77 ID:RGmCGys0
 >ピシャァァァァンッ!!
ラギアクルス 「(くっ……これでは水中に逃げることが出来ない……)」
ラギアクルス 「(水の中に雷を落とされてしまっては厄介だ……)」
ラギアクルス 「(先に落ちてしまっているウラガンキン様たちが感電してしまう……)」
ラギアクルス 「(ベルキュロス様には申し訳がないが、すぐに勝負を決めさせていただく!)」
ハンマー 「いけるのか、海竜!!?」
ラギアクルス 「ギャオォォォォォオ!!(ゴウッッ!!)」
ベルキュロス 「シャォォォォォォォ!!!」
 >ピシャァァァンッ!!
 >ドッパァァァアンッ!!
ハンマー 「!! (雷が、海竜が吐き出した電撃弾ではじき消された!!)」
ハンマー 「!(海竜がこっちを見ている……!)」
ハンマー 「みなまで言うな、分かっている!(ガシャコン)」
995 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:20:24.31 ID:RGmCGys0
ベルキュロス 「しゃらくせぇ! しゃらくせぇぇ!!」
ベルキュロス 「ラギア! あんたは昔ッから気に食わなかった!!」
 >ピシャァァアン!!
ラギアクルス 「…………!!」
ベルキュロス 「あたいの家族が殺されたとき、あんたは何をしていた!?」
ベルキュロス 「おとなしく川の警備だ!!!!!」
 >ピシャァァァァン!!
ベルキュロス 「たいした力もないくせにいきがって! 偉ぶって!!」
ベルキュロス 「あたいはあんたみたいな男が、一番嫌いだ!!」
 >ピシャァァアン!!
ハンマー 「くっ……すさまじい雷の嵐だ……」
ラギアクルス 「………………」
ラギアクルス 「(ベルキュロス様…………)」
ラギアクルス 「(お気持ちは分かる……痛いほど……!!!)」
ラギアクルス 「(なぜなら、我の家族もまた、人間に殺されているから……)」
ラギアクルス 「(絶望に染まってしまうそのお心は、とてもよく分かる……!!)」
996 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:30:56.53 ID:RGmCGys0
ラギアクルス 「(だが……!!)」
ラギアクルス 「(今の我には、守らねばならない者がいる……)」
ラギアクルス 「(この命に代えても守らねばならない大切な者が……!!!)」
ラギアクルス 「(そのためにも、あなたに討たれてしまうわけにはいかぬのです!!)」
 >ピシャァァァアンッ!!
ラギアクルス 「カァァアァ!!」
 >ドッパァァァンッ!!
ラギアクルス 「シャァァァァ! ォォォォォォオ!!!(ドドドドドド)」
ハンマー 「! (海竜が動き出した……!!)」
ハンマー 「(まさか、この海竜……)」
ラギアクルス 「ベルキュロス様!!」
ベルキュロス 「!!」
ラギアクルス 「お怒り、どうかお納めください! 我が身を挺してお願い申す!!」
ベルキュロス 「やかましい!!」
ベルキュロス 「元老院の心はしかと見た!! もはや語ることなど何も……ない!!!」
ラギアクルス 「ベルキュロス様!!!!!」
997 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:32:17.01 ID:RGmCGys0
ハンマー 「(やはり、この海竜、自分の身を盾にして突っ込むつもりだ……!!)」
ベルキュロス 「邪魔をするのか! ならお前も死ねェェ!!」
ハンマー 「!!!!!」
ハンマー 「(な……何だ!?)」
ハンマー 「(あの雷の竜の目……)」
ハンマー 「(スラッシュアックスにそっくりだ……!!!)」
ハンマー 「(恐怖と、憎しみに歪んだ目……)」
ハンマー 「(モンスターにも、あんな哀しい目をすることが出来る者がいるのか……!?)」
ハンマー 「……ッ!(ガシャコン)」
ハンマー 「(いや、今は少女だ……!!)」
ハンマー 「(早く助けに行かねば!!!)」
ハンマー 「(そのためには、この雷の嵐を止めねばなるまい!!)」
ハンマー 「(やるのだ!!!)」
998 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:33:42.76 ID:RGmCGys0
ベルキュロス 「シャァァァァァ!!」
 >ピシャァァァァンッ!!
 >バリバリバリバリ!!!
ラギアクルス 「ぐ……!! くぅぅぅぅぅ!!! ……強い……私の雷よりも……!!」
ベルキュロス 「あたいの雷を受けても、倒れない!?」
ベルキュロス 「ならばこれでどうだぁぁ!!」
>ピシャァァァン! ピシャァァァン!!
ラギアクルス 「(グラァッ……)かっ………………!!!!」
ラギアクルス 「(やれ、人間よ……)」
ラギアクルス 「(もしもお前たち人間にも、私たちと同じ『心』があるのなら……)」
ラギアクルス 「(どうすればいいか、わかるはずだ……)」
ラギアクルス 「(もしも、私たちが分かり合えるのならば……)」
ラギアクルス 「(この思い……『絶望』を止めるにはどうすればいいのか……)」
ラギアクルス 「(お前には、分かるはずだ……)」
ベルキュロス 「はぁ……はぁ……」
ラギアクルス 「(ズゥゥゥゥゥン)」
ベルキュロス 「てこずらせやがって…………」
ベルキュロス 「……!? あの人間がいない!?」
ベルキュロス 「どこに……」
999 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:35:56.67 ID:RGmCGys0
次スレに移動します
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1252035257/l50
1000 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2009/09/04(金) 12:36:51.60 ID:RGmCGys0
全てのハンターの皆様が、善きハンターライフを送れるよう、願っております
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