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それでも、水銀燈は『母』になりたかったそうです。 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :1 :2009/06/21(日) 23:23:00.56 ID:k61sOX60
○ローゼンメイデンのSSを投下させていただきます。 
前スレ「水銀燈がドールたちの『母』になるようです」の2スレ目です。
前作「水銀燈がドールたちの母親になるようです」ともども、よかったら見てやってください。


「水銀燈がドールたちの母親になるようです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1237586655/l50

「水銀燈がドールたちの『母』になるようです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1241610132/l50

○原作とアニメの設定が(一部意図的に)ごちゃごちゃになってます。広い心で閲覧してもらえると幸いです。

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/21(日) 23:33:34.02 ID:EimFCFEo
スレ立て乙〜
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/21(日) 23:38:10.11 ID:fqSUjJ.o
スレタイで涙腺決壊しそうになった
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/22(月) 23:17:23.44 ID:M/a2OqMo
なりたかった・・・?
5 :1 [saga]:2009/06/23(火) 18:38:21.02 ID:r/xClCg0
>>2-4
オープニング支援どうもです。


あと、前スレ埋めに協力してくれた人たちへ。
ありがとうございました。


再開します。
6 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:41:03.29 ID:r/xClCg0
【nのフィールド】


シュウウウウウ…


レイ「…駄目か」


シュウウウウ…


レイ「…破片だけでも手に入れたかったが」



シュウウ…




…ボソッ



「あれだけ、熱を放っておればの…」



ボロ ボロ ボロ…



…バザッ



「塵になってしもうたか」
7 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:42:24.09 ID:r/xClCg0
パラ パラパラ…



「まあよい、戦力を立て直して、包囲するぞ」ガラガラガラ…



ザザザザザザザ…



パラ… パラ…







???「…間に合わなかったか…」



【有栖川大学病院 集中治療室】


ピッ… ピッ… ピッ…


看護婦「…だめです、心拍数もどりません!」

医師「電気ショックの準備を!」


ピッ… ピッ… ピッ…
8 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:43:55.31 ID:r/xClCg0
(…水銀燈…)


ピシ… ピシ…


(…ダメ、だったの…?)


…ピキッ!


パキィ…ン…!!


(…指輪が…!)


…カラン カラン…


(そう… でも…)



大丈夫。

あなたひとりでなんか、いかせないから。




ごめんね、ウソついて。

ずっと、こうするつもりだったの…





ピ-…
9 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:47:43.86 ID:r/xClCg0
【河川敷】



チカ…チカ…



ジュン「ウソだ…! ウソだ! 信じないっ!」


チカ… チカ…


ジュン「こんな… こんなバカなことが…  な?!」


…パシュウウウウ


金糸雀「メイメイ!」


…シュゥゥゥゥ


巴「消えていく…」


ジュン「そんな…そんな!」


…パシュッ


のり「…メイメイ…」

ジュン「…ああ…うっ…」





「ぐぅ… あぅっ… ああああっ…!!」
10 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:49:16.96 ID:r/xClCg0
のり「ジュン君…」

巴「…」



「なんで… なんでっ…! ああああああ…っ!!」



みつ「…」

柴崎「…」

マツ「…」



金糸雀「…」



「ジュン…」



トテ トテ トテ…



ジュン「…金糸雀」

金糸雀「…ジュン」チョコン



「わたしを… 壊して…」
11 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:50:16.68 ID:r/xClCg0
みつ「カナ…」

金糸雀「わたし…みんなを壊して…」

ジュン「…」

金糸雀「あなたたちを殺そうとして…」

巴「…」

金糸雀「水銀燈を…」



…カクン



金糸雀「お願い… わたし、もう… ダメ…」

ジュン「…(ボクは…)」


(ボクは、どうするべきなんだ…)



(水銀燈…)



ジュン、お願い。 …あの子たちを導いてあげて。



(ボクは…)



(…)
12 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:51:27.90 ID:r/xClCg0
金糸雀「お願い… ジュン…」

ジュン「…金糸雀」

金糸雀「…なに?」

ジュン「…」


「何が起きたのか、詳しく教えてくれ」


金糸雀「…」

ジュン「水銀燈に、何が起きたんだ?」

金糸雀「…」


「敵に… やられたかしら…」


ジュン「なんだって!」

のり「えっ…!!」

金糸雀「わたしたちを…狙っていたやつが、水銀燈と雪華綺晶を襲って…」

ジュン「…ってことは!」

金糸雀「…そう…」


「敵がいま、こっちに向かっているかしら…」
13 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:52:57.44 ID:r/xClCg0
ジュン「!!!」

金糸雀「水銀燈を… いたぶって… 壊したやつらが… nのフィールドを通って…」

柴崎「なんと!」

巴「…!」

ジュン「なんで、それを早く言わないんだ!!」

金糸雀「…ごめんなさい…ごめんなさい…」



「わたし… もう… ううっ、ごめんなさい…」



みつ「カナ…」

ジュン「(…金糸雀…ボクは…)」


(何をすべきなのか… わかってきた…)


(けれど… これをしたら、たぶん君は二度と…)


(ボクの前では、明るくお気楽な金糸雀ではいられなくなるんだろうな…)


(…)





この子のことを… この子たちの事を、どうか…
14 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:54:59.55 ID:r/xClCg0
ジュン「…」


…グッ


金糸雀「…」


バキッ!


金糸雀「あうっ!」

みつ「!」

巴「ジュン君!!」

ジュン「…金糸雀」

金糸雀「…ジュ、ジュン…」


「まず、みんなの結晶を戻すんだ」


金糸雀「…はい」

ジュン「傷もふさいでくれ」

金糸雀「…はい…」…ポゥ

のり「…ジュン君…」


パァァァァァ…



「…」
15 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 18:58:48.35 ID:r/xClCg0
金糸雀「意識がもどるには… しばらくかかるかしら」

ジュン「…みんなを、車に。 いますぐここを離れよう」

金糸雀「…はい」

ジュン「水銀燈から聞いた。 君たちが外の敵と戦うときは、君が指揮をとるって」

金糸雀「…はい」

ジュン「じゃあ、しっかりするんだ」

金糸雀「…」



「わかりました…」



ジュン「…行こう」

のり「(ジュン君…)」

みつ「置いていけるものは、みんな置いていきましょう」

柴崎「急がなくてはの…」


ブルルルルン!
16 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:01:48.86 ID:r/xClCg0
みつ「みんな、乗って」

金糸雀「…」

ジュン「…カナ」

金糸雀「…はい」

ジュン「敵って、何者なんだ?」

金糸雀「…わたしたちを狙う、錬金術師かしら」

のり「錬金術師…」


ガチャン バタン


金糸雀「水銀燈の記憶では… たくさんの人形の兵士を率いて、いろんな道具を扱っていた」

みつ「…」

金糸雀「そして…自分の術のために、たくさんの子供を…」

巴「…!」

金糸雀「そして、水銀燈のことも…」ググッ



(「しっかりと、灼き固めてくれる」)



金糸雀「(許さない…)」
17 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:02:33.23 ID:r/xClCg0
ジュン「そんな大勢と… どうやって戦えばいいんだ…」

金糸雀「…みんなが目覚めるのを待って… 助けを呼ぶかしら…」

柴崎「助け?」

金糸雀「みんなが起きてないと、呼べないかしら…」

ジュン「…わかった、まかせる」

金糸雀「…ジュン…」



「わたし…」



デコピン!



金糸雀「あひっ?!」

ジュン「水銀燈の言葉を忘れたかい?」

金糸雀「え…」

ジュン「…『生きのびてから考えればいいこと』だろう」

金糸雀「あ…」

ジュン「今はとにかく…」



…ボゥッ
18 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:03:16.08 ID:r/xClCg0
ジュン「…?」

のり「あれ? 急に暗く… !!」

巴「…空が!」



「真っ黒に…!」



ドォン!



みつ「く?!」

ジュン「うっ?!」

巴「きゃあっ?!」

金糸雀「…来た!!」



ゴゴゴゴゴゴ…



みつ「土煙…?」

柴崎「あれは…」



パシュパシュパシュ!!
19 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:04:23.97 ID:r/xClCg0
金糸雀「! なにか飛んでくる!!」

ジュン「みんな、伏せて!」

のり「ひっ…!」


ドズッ ズドッ  …パァン!!


みつ「! タイヤが…!」

巴「あうっ!」ビスッ!

マツ「巴ちゃん!」



「車から離れてもらおうかの」



金糸雀「…この声!!」

ジュン「敵なのか!」

金糸雀「みんな、nのフィールドに!」ゴソゴソ ガバッ!


ゴチン!


金糸雀「ぷえっ?!」

のり「か、金糸雀ちゃん?!」



「鏡像世界へは、逃げられんぞ」
20 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:06:58.39 ID:r/xClCg0
のり「巴ちゃん…!」

巴「…かすり傷です!」

柴崎「あ… あれは…」



弓兵「…」ギリギリ

歩兵「…」ザザザ…



ジュン「人形の兵士… あれが…!」



「車があったとしても、この一帯はすでにわしの結界の中」


ザザザザ…


「どこにも逃げ場など、ありはせん」


ギリギリギリ…


「…さあ、出てきてもらおうか」



ジュン「…」

のり「ジュン君…」

ジュン「のり、巴… 真紅たちを頼むよ」


…ザッ
21 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:08:15.95 ID:r/xClCg0
金糸雀「ジュン!」

ジュン「…金糸雀」


「『荷物』を出しておいて」


金糸雀「!」

ジュン「頼むよ」

金糸雀「…」


「わかりました…」


みつ「カナ…?」

金糸雀「(みっちゃん、手伝ってほしいかしら…!)」

ジュン「…」



ザッ ザッ…



のり「ジュン君…」

巴「…! のりさん! あれ!」

のり「あれ?」

巴「あそこ… 小鳥が!!」

のり「え… あっ!!」



(空中で、凍りついてる…!)
22 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:09:07.83 ID:r/xClCg0
レイ「ここはもうわしの結界…外界とは途絶されとる。 助けなど来んぞ…」


ザッ ザッ ザッ…


レイ「来おったの」

ジュン「…」

レイ「…ほう」


(…子供か。 察するに、契約者のひとり…)


ジュン「…ジュンだ」

レイ「む?」

ジュン「桜田ジュン。 第5ドール、真紅の契約者」

レイ「…ほほう、ご丁寧に」

ジュン「こっちは名乗ったぞ」

レイ「なに?」


「名前くらい言ったらどうだ?」


レイ「なんだと…?(可愛げのないガキめ…)」


(わしと対等のつもりか…)


ジュン「…早くしろよ(…これで、いいんだね?)」



(これで、いいんだよな?)


 

(水銀燈…)
23 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:11:31.54 ID:r/xClCg0
【ジュンの家 3ヶ月前】


カリカリカリ…


水銀燈「…戦うときは、気勢をあげていきなさいって言ったことがあったわよね」

ジュン「巴と稽古したとき、だったっけ?」

水銀燈「そう。 気持ちで飲まれない自身がないなら、ってね」

ジュン「のぼせちゃダメ、とも言っていたっけ」

水銀燈「そう。 意気をあげつつ、冷静に相手の反応を見るのよ」


「個人との戦いだけじゃない…集団戦でも、同じことよ」


ジュン「そうなのか?」

水銀燈「戦争するときって、大義名分にすごくこだわるでしょう」

ジュン「…ああ」

水銀燈「自分が正しくないと思えば、人は浮き足立つものよ」

ジュン「…うん」

水銀燈「そうなれば、たやすく相手の思考を読める」

ジュン「あ…そうか、だから、のぼせちゃダメなんだ」カリカリカリ…

水銀燈「そうよ… 飲みこみが早いわね」



「気勢を上げるのは、精神的に相手の優位に立つためなのよ」
24 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:13:41.90 ID:r/xClCg0
ジュン「…」カリカリカリ

水銀燈「そうして相手の思考を読みやすくするため。 だから自分まで熱くなって、読まれやすくなったら無意味よ」

ジュン「ふんふん…」


カリカリ…


水銀燈「…ふふっ」

ジュン「…なんだよ」

水銀燈「真剣ねぇ」

ジュン「…そりゃそうだよ」

水銀燈「面白いでしょう?」 

ジュン「…え?」


「…戦いって、面白いと思わない?」


ジュン「…それは…」

水銀燈「抵抗があるのは、わかるけど。 でも、面白いのよ」

ジュン「…」

水銀燈「自分のことを充分に知った上で、相手の考えを読んでかけひきするのって…」

ジュン「…そうなのかな」

水銀燈「そうよ」…パタン



「恋愛が面白いのといっしょよぉ」ケラケラケラ
25 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:16:58.88 ID:r/xClCg0
ジュン「まったく、もう」

水銀燈「ウブなジュンくんにはわからないかしらぁ?」クスクスクス

のり「お茶、入ったわよー」ガチャリ

水銀燈「あら、お姉さま。ありがとう…んむっ?!」


チュウウウウウウ…


水銀燈「なっ、何すんのよぉっ!」ビュン!

ジュン「スキだらけじゃないか」ヒョイ

水銀燈「か、かわすなっ!」ビュンビュンッ!

ジュン「へへーんだ」ヒョイヒョイ

水銀燈「も、もうっ! バカぁっ!」

のり「(…わたしも恋愛したいなー…)」




レイ「(生意気な小僧じゃの…)」

ジュン「…ボクなんかには、名乗る必要がないとでも言いたいか?」

レイ「…ほほ、これはこれは失礼。わがはいは『レイ』と申す者(ち… うっとうしい)」

ジュン「…レイ… 錬金術師のレイ…」 


「ジャンヌ・ダルクとともに戦った、オルレアンの英雄…?」
26 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:18:19.73 ID:r/xClCg0
レイ「いかにも。 その『レイ』ですじゃ」

ジュン「彼女が火あぶりになったのをきっかけに、錬金術にのめりこんだとかいう…」

レイ「…」



(くだらんことを…)



ジュン「余計なことを言ったかな」

レイ「…昔のことなど、とうに忘れてしまいましたわい」

ジュン「目的は… やはり、この子たちかい」

レイ「そのとおりですじゃ。 …長話は、やめにしましょう」



「どうせ、時間を稼ぐおつもりのようですからな」



ジュン「…」

レイ「薔薇乙女たちの内輪争いがあったのは承知しております」



「おおかた、彼女らが回復する時間を稼ごうというのでしょうが」



ジュン「…まあね」

のり「(ジュン君…!)」
27 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:19:35.50 ID:r/xClCg0
レイ「…だがどうやら、まだ回復はしておらんようで…」

歩兵「…」ジリ… ジリ…

ジュン「もし、とっくに回復していて、待ち伏せているとしたら?」

レイ「わしには、わかるのですよ…」


(結晶の反応でな…)


レイ「動けるのは、ひとりだけですな?」

ジュン「…」

レイ「おとなしくしていただければ、ケガはさせません」

ジュン「(…まだか…)」



金糸雀「(そーっと、そーっと…)」ゴソゴソゴソ…

みつ「(…ト、トランク?)」


…カチャ


金糸雀「(みっちゃん、これ… みんなに…)」

みつ「(え…)」


…ガチャリ



(なっ!!! なにこれっ!!)
28 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:21:38.38 ID:r/xClCg0
レイ「それでは、来ていただきましょうか…」

歩兵「…」…ジリッ

ジュン「動けるのは、ひとりだけじゃない」

レイ「なに?」



「…ここに6人いるよ」



レイ「6人…?(…結晶の反応は…)」


(動けるのはひとつ… それも弱っておる…)


レイ「…慎重に進め」

歩兵「…」


ジリ… ジリ…


ジュン「…」


(まだか…?)



「じゅんじゅん、伏せて!!」


…ポーン


レイ「ん?」

ジュン「(よしっ!)」ガバッ!





…ドゴォン!!!
29 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:23:46.96 ID:r/xClCg0
レイ「なっ?!」

ジュン「…うわぁ?!」


ドゴン! バズン! ズドォン!! 


ジュン(思った以上に… 派手だよっ!!)

金糸雀「前進するかしら! 血路をひらくかしらっ!!」

柴崎「援護するぞ、かなちゃん!!」ガチッ!


ズダダダダダダダ!!


レイ「な、なんじゃとっ! …近代兵器?!」チュンチュンチュン!!

金糸雀「突撃かしらー!!」トテテテテ 

レイ「ど、どこで用意したんじゃ! そんなもの! …弓兵!!」

弓兵「…」パシュパシュパシュ!

金糸雀「させないかしらっ!!」


ズワァァァァァ!


レイ「な…!」

金糸雀「水銀燈のかたき!!」シュバババババッ!!



バキバキバキッ!
30 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:26:07.25 ID:r/xClCg0
弓兵「!!」

グシャグシャッ!

金糸雀「みんな! わたしが、しんがりをひきうけるかしら!!」バシュシュシュッ!

みつ「このこのこのー!!」ビュッ! シュッ!


ドゴォン! ズドォン!


ジュン「み、みっちゃんさん! もっと遠くに投げてっ!!」

みつ「ごめんなさぁーいっ!」バラバラバラッ!


ズ゙ドドドン!!


ジュン「うわあああああ?!」

金糸雀「のり、巴、おばあさま! 真紅たちを連れていって!!」バシュシュシュシュシュ!!


シュバババババ!!


歩兵「!!」バキバキッ!

レイ「ええい、逃すな! 押し戻せ!」

ジュン「(…押し戻せって言ったな! やはり!)」ブォン!


ズカッ! バキッ!


歩兵「!!」…ガシャッ

巴「あれは…『ダモクレスの剣』!」

金糸雀「(水銀燈に…認められた人間のあかし!)」

ジュン「みんな、前進するんだ! こいつら…」



「ボクらを後ろに追いこむ気だ!!」
31 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:28:21.95 ID:r/xClCg0
レイ「!(感づきおったか!)」

ジュン「きっと伏兵がいるんだ! ふみとどまって、前進する!」ビュン! ジャッ!


バカッ! ドカッ!


金糸雀「(ジュン…なかなかやるかしら!)」バシュシュシュシュ!


「ジュン、おじいさま! ここはわたしにまかせて! みんなを守って!!」


ジュン「わかった!」タタタタタッ!

巴「ジュン君、真紅たちはここに!」タタタタタ

マツ「おじいさん、早く!」タッタッタッ…

柴崎「おおぅっ!」ジャキッ! 


「そこをどけぇっ!!」


ズダダダダダダダ!!


レイ「こ、このっ!」チュンチュンチュン!

柴崎「かなちゃん、後詰めはたのんだぞ!」

金糸雀「了解かしらっ!」


トトトトト…   
32 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/23(火) 19:34:49.37 ID:r/xClCg0
巴「柴崎さん…なんだか、すごく頼もしい…」

マツ「それはそうですよ」タッタッタッ…


「…実戦経験者ですからね」


巴「…ほんとですかっ?!」

マツ「ふふふ、見直した?」

巴「(…あれ? わたし、いま…)」


「(のろけられたの???)」トトトトト…


金糸雀「…みんな、うまく逃げてくれたかしら…」

レイ「弓兵、一斉に射てっ!」パシュシュシュシュ!

金糸雀「こざかしいかしら!」キキン!キュイン!


ヒューーーン… シュバババババ!!


レイ「むっ?! …反射か!」

金糸雀「(いまだっ!)」

ビヒュン!!

レイ「く… 逃げおったか…」


「…仕方ない、騎兵隊、前へ」


…ザザザザッ!


「残弾はいくらもあるまい、数に任せて攻めろ」


…ドドドドドド…


「消耗させて、捕らえるのだ。 契約者の2〜3人は死んでもかまわん!」
33 : [sage]:2009/06/23(火) 19:36:05.14 ID:r/xClCg0
今日はここまでです。続きは明日。
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 19:38:08.80 ID:i72w0R6o
乙あだ
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 19:40:21.66 ID:VhpF.Z2o
乙です。明日も期待してるよ。
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 20:15:36.10 ID:Nqwjy7go
おつ!
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 21:15:03.65 ID:z4EBTgco
おっつ
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 21:55:21.62 ID:WAoidU2o
前スレのから一気に読んだ
中途半端な読み方で申し訳ないが、こう、心が奮えた
明日にも期待させていただく
39 : [sage]:2009/06/24(水) 19:36:11.65 ID:X3IC/zk0
>>33-37 
乙どもっす〜

>>38
ありがとうございます。 前作も時間があれば、見てやってください。


再開します〜
40 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 19:39:57.07 ID:X3IC/zk0
トトトトト…


巴「…どんどん、引き離してる!」タタタタ

みつ「あまり、足は速くないのかな…」トトトト

ジュン「…確かにそのようだけど、油断は禁物だ」


トトトト…


ジュン「みんなの様子は…?」

巴「ん…雛苺?」


「…」


マツ「…蒼ちゃん?」


「…」


巴「…まだみたい」

マツ「そうね…」

柴崎「お…! かなちゃんが…」


ビヒュン!


金糸雀「遅くなったかしら!」
41 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 19:42:45.47 ID:X3IC/zk0
みつ「カナ! …無事で、よかった…」

金糸雀「…せめてこれくらいしないと…」

ジュン「カナ、それは後でいい。 …あいつらの様子は?」

金糸雀「…あわてて、追ってはこないようかしら」

巴「そう…なの?」

金糸雀「みんなは、起きたかしら?」

マツ「いいえ…」

のり「翠星石ちゃん?」


「…」


みつ「真紅ちゃん…」


「…」


金糸雀「…もうすこし、時間をかせがないと…」

ジュン「みんなが起きたら、すぐ助けは呼べるのか?」

金糸雀「…すこし時間と、手間がかかるかしら…」

ジュン「そうか…」

金糸雀「それにしても…」


トトトトト…
42 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 19:45:55.62 ID:X3IC/zk0
ジュン「なんだい?」

金糸雀「よく、『荷物』に気づいてくれたかしら」

ジュン「ああ… ひとりで荷物の運び出しをしてたときから、妙だなとは思ってた」

のり「そうね〜」

金糸雀「うう…」ガックリ

ジュン「水銀燈と一騎打ちしたときに、兵器を使ってきたって聞いたから、もしかしたらって」

金糸雀「…やっぱり、バレバレだったかしら」ションボリ

ジュン「アリスゲームに使うつもりだったのか」

金糸雀「…この力が、どこまでもつのかわからなかったから…」

みつ「…でも、そのおかげで助かったんだから…」

ジュン「…金糸雀」

金糸雀「え?」



「…さっきは、殴ってごめん」



金糸雀「…」



「わたしのしたことを考えたら…」


…ギュッ


「あれだけですむなんて、思ってなんかいないかしら…」
43 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 19:48:58.17 ID:X3IC/zk0
みつ「カナ…」

金糸雀「ジュン… わたし、いえ…わたしたち…」

ジュン「…ん」



「水銀燈の言葉通り、あなたに従います…」



ジュン「…カナ」

金糸雀「わたし… ほんとうなら… すぐに壊されてもしかたないけど…」

巴「金糸雀…」

金糸雀「情けをもらえるなら…」 


…ギュゥッ


「どうか、みんなが逃げ延びるまで…」 


ジュン「…」


「できれば…水銀燈の、かたきを討つまで…」


ジュン「…」




…ポン
44 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 19:53:21.70 ID:X3IC/zk0
金糸雀「…ジュン…?」

ジュン「許してはいない」

金糸雀「…」

ジュン「でも…」 



「頼むよ」…グッ



金糸雀「…はい(ジュンの… てのひら…)」


(熱い… じんわり、伝わってくる…)


ジュン「みんなが目覚めるまでは、君が頼みの綱だ」

金糸雀「…自分が招いたこと。 しっかり、責任は果たすかしら」


(ジュンの… 怒り… 悲しみが…)


のり「(ジュン君… 金糸雀ちゃん…)」


トトトトト…


(だれも、だれも悪くないのよ…)



(ぜったいに、みんなで、おうちに帰ろうね…)




…ドドドドドド…
45 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:00:13.40 ID:X3IC/zk0
みつ「なんの音… ?!」

巴「ジュン君、あれっ!」


ドドドドドド…


ジュン「あれは…」

金糸雀「騎兵かしら!」

柴崎「…けっこうな速さじゃの…!」

ジュン「…?」


ドドドドドドド…


ジュン「追いついて…こない?」

のり「…み、見た目より遅いのかな?」

ジュン「いや…」


ド ド ド ド ド…


金糸雀「あきらかに、距離をとってるかしら…」

ジュン「金糸雀…どう思う?」

金糸雀「え?」

ジュン「相手の狙いだよ」

金糸雀「…相手の…狙い…」

ジュン「君らが狙いだってのはわかる。 …そのために、あいつはどうしようとしているのか」

金糸雀「…」


「敵の… 意図… 相手の目的…」 


巴「…金糸雀?」
46 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:04:50.32 ID:X3IC/zk0
みつ「(…どうやら、立ち直ったみたいね。うまく『入って』くれた)」


「性格… 状況… そして、わたしたちの弱点…」


巴「(金糸雀って… こんな顔もするんだ…)」

みつ「(…ほんとうの『策士モード』に)」


金糸雀「…特定は、まだできないけれど…」

ジュン「…うん」

金糸雀「たぶん、わたしたちを消耗させようとしているかしら」

ジュン「だろうね」

金糸雀「水銀燈の記憶にもあった… あいつは、なるべくわたしたちを傷つけたくない」

ジュン「うん…」

金糸雀「だから… 一定の距離をとりつつ、つかず離れず追いこんで…」


「先に契約者から疲れさせるつもりだと思うかしら」


巴「…そんな」

金糸雀「たぶん見透かされてるかしら」



「わたしたちが、あなたたちをおいて逃げるはずがないって…」
47 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:13:50.29 ID:X3IC/zk0
ジュン「そうか…」 

金糸雀「だから、仮にみんなが目覚めても、足さえ止めておけばいいって思ってるかもしれない」

みつ「え…」

金糸雀「最悪の想像だけど…」


「相手は、いくらでも兵力も時間もかけられるって思っている可能性があるかしら…」


巴「…そんな、それじゃ!」

金糸雀「だから、みんなが目覚める前に決着をつけようとは思ってないのかも…」

ジュン「どうすればいい?」

金糸雀「とにかくみんなを目覚めさせる。そして、さらに時間と距離を稼いでほしいかしら…」

のり「…」

金糸雀「助けを呼ぶあいだ、わたしはほとんど無防備になってしまうから…」

ジュン「どうやって、時間を稼ぐ?」

金糸雀「いい手が、あるにはあるんだけど…」

巴「…どんな手?」

金糸雀「これも… たぶん、いや絶対できないかしら…」

ジュン「…」




「散開して街中に逃げろ、って言うつもりかい」
48 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:15:37.70 ID:X3IC/zk0
巴「!!」

みつ「…そうなの?」

金糸雀「…うん…」

みつ「カナ!!」

金糸雀「うう… だから言えなかったかしら…」

ジュン「有効な手立てなんだよ」

のり「ジュン君…」

ジュン「…水銀燈が言っていた」



「わたしたちは大勢に囲まれたら、バラバラになって街中や林の中なんかに逃げこんでいたって」



金糸雀「…その通りかしら」

ジュン「みんなは人形だから、小さくてすばしこい」

みつ「…ええ」

ジュン「ちりぢりになって狭いところに逃げれば、大勢で追ってくることも何かに乗って追ってくることも難しくなるって」

巴「でも…」

ジュン「ああ、もちろんそうさ」



「…これからも暮らすだろう僕らの町を、巻きこむことなんてできない」
49 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:25:24.16 ID:X3IC/zk0
のり「…ジュン君」

ジュン「けれど、あいつにはそれも読まれてるんだろうと思う…」

金糸雀「たぶんそうかしら… だから、この町全体を結界で囲むなんてことをしようと思った」

みつ「…なぜ? 広く囲ったら、それだけ見つけづらくなりそうだけど…」

金糸雀「あいつらは、わたしたちを一網打尽にするつもりだったかしら」

巴「…うん」

金糸雀「それなら…」



「広く囲んでから、網を狭めるのが確実…」



ジュン「な…! それじゃ!!」

金糸雀「そう… 伏兵は、後ろだけじゃない」

巴「まさか!」

金糸雀「この町のいたるところにいると思うのが妥当かしら…」

みつ「そんな…!」

金糸雀「…上手くしたものかしら」



「あいつらは町中を使って追ってくるけど、わたしたちは町の限られた場所でしか逃げられない…」
50 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:31:03.05 ID:X3IC/zk0
ジュン「…どうする?」

金糸雀「…わたしたちは」


「町から町へ、国から国へ… 転々として暮らしていた…」


ジュン「…」


「だから… そこに住んでる人の迷惑なんて… あまり考えてなかった…」


みつ「カナ…」

金糸雀「でも、今は違う。 わたしたちをみちびいてくれるのは、あなた」

ジュン「…」

金糸雀「だから…たとえ不利な条件になってでも…」 



「あなたの意向なら従う」



みつ「…カナ」

ジュン「…ありがとう」

金糸雀「…とにかく、川沿いに走るかしら!」 

柴崎「おお!」タッタッタッタ…



「…みんなが目覚めるまで、時間を稼ぐ!」


トトトトト…


「みんなが目覚めたら、援護してもらって助けを呼ぶかしら!」
51 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:32:56.99 ID:X3IC/zk0
ジュン「よし! …みんな、がんばって!」

金糸雀「おじいさま、おばあさまは無理しないで…!」

柴崎「おうとも! あまり、気にせんでもいいぞ!」

マツ「もう、おじいさんったら。 あまり調子に乗ると…」

柴崎「…おお、すまんすまん」

マツ「でも…」 


「少し、かっこよかったですよ」



金糸雀「…え?」

柴崎「とと、惚れ直されてしまったかの」

金糸雀「…ほぇ?」

マツ「まあ。 ふふふふ…」



金糸雀「…」ポカーン
52 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:36:30.60 ID:X3IC/zk0
のり「(…なんて言うか)」

ジュン「(…なんとも言えない)」

巴「(…でも…)」


(なんだか、うらやましい)



柴崎「はは、あの頃を思い出すのぉ! ばあさんと会ったばかりの頃を…」

マツ「またおじいさんったら、昔の話ばっかり…」



金糸雀「(こんな状況なのに… 年取ってるのに… すごい夫婦かしら…)」

みつ「(金糸雀、それは違うわ)」

金糸雀「(へっ?)」



「(…すごい人たちだから、お年寄りになるまで生きられるのよ)」



金糸雀「…」




「なるほど納得かしら」




ザザザザザ…
53 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:40:18.42 ID:X3IC/zk0
ジュン「金糸雀の言うとおりだ。あまり、近づいてこない」

金糸雀「…」

ジュン「金糸雀?」

金糸雀「…みんな、残弾はいくつ残っているかしら?」

巴「え? …手榴弾が、みっちゃんさんのとあわせてあと5〜6個くらい…」

柴崎「機関銃は… もういくらも残っておらん。 短銃はまだ使ってない」

金糸雀「たぶんだけど…」



「近くに、伏兵がいるかしら」



みつ「え…!」

ジュン「やっぱり、そうか」

のり「…ジュン君!」

ジュン「だから、あんまりムキになって追いかけてこない… いや」



「追い詰めにかかってるんだろうな…」



柴崎「…どうするかね」

金糸雀「…」



真紅「…」

蒼星石「…」



金糸雀「ほんの少しでも、時間を稼ぐかしら。 …弓の射程ギリギリまで、本隊を引きつけるかしら」
54 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:43:52.18 ID:X3IC/zk0
ジュン「…そうか」

金糸雀「ひきつけたら、わたしが後詰めに残るから… みんなは急ぎすぎず、警戒しながら前にでてほしいかしら」

柴崎「おお」

金糸雀「本隊が近づいてくるか…みんなが伏兵を見つけたら、離脱して合流」


「みんなが回復する時間を稼ぎつつ、本隊をなるべく引き離して、伏兵を叩きたいところかしら」


ジュン「…危険だね」

金糸雀「最善はつくすかしら。 …ジュン、みんな」

みつ「…なに?」

金糸雀「わたしに、なにがあっても…」

みつ「…!」



「振り返らずに、前に集中してほしいかしら…」
55 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:45:12.63 ID:X3IC/zk0
みつ「カナ、あなた!!」

ジュン「…わかってるよ、カナ」

のり「ジュン君!?」

ジュン「水銀燈の言葉だろう」

金糸雀「…」コクン



「『戦いになったら、とにかく自分が生き残ることを考えて』」



巴「そんな…」

金糸雀「みんなは、わたしのことなんか気にしないで自分のことに集中してほしいかしら…」

ジュン「わかったよ」

みつ「カナ…!」

金糸雀「…大丈夫、みっちゃん。 ヤケになんか、なってない。 でも…」

ジュン「…みっちゃんさん」スッ

みつ「じゅ…じゅんじゅん?」

ジュン「みんなも…」



「金糸雀が、僕たちのことで気を散らさないようにしようよ」
56 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/24(水) 20:50:48.43 ID:X3IC/zk0
みつ「じゅんじゅん…」

巴「ジュン君…」

ジュン「金糸雀、行ってくれ」

金糸雀「…」


「おじいさま、ジュン、援護はいらないから…」


ジュン「ああ」

柴崎「わしらのことは気にしなさんな。自分の身は自分で守る」

金糸雀「…」

ジュン「カナ」


「…頼んだよ」


「…」


ビヒュン!!



みつ「カナ!!」



(…みっちゃん!)



「この、金糸雀に…!」



歩兵「…」ジャキッ!

弓兵「…」ギリギリギリ…



「おっまかせかしらーっ!!」
57 :1 [sage]:2009/06/24(水) 20:53:46.80 ID:X3IC/zk0
今日はここまで。再開は明日予定。
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 20:57:02.78 ID:Si1mh7A0
乙!
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 21:00:31.42 ID:/O3BuXk0
乙つつつ
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 21:07:27.19 ID:vmwVYFoo
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 21:28:54.13 ID:RjnkwAAO
頑張ってカナァぁぁぁ
乙ですぅ
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 22:35:55.74 ID:zZipybUo
おっつ
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/25(木) 00:31:19.58 ID:OZXX1TUo
おつ!
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/25(木) 01:00:50.23 ID:bf627aEo
カナカッコイイヨカナ
乙乙
65 :1 [saga]:2009/06/25(木) 21:41:00.87 ID:T4jhiaY0
乙どもっす〜
「金糸雀最強伝説」信者が増えることを期待しつつ再開。
66 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 21:48:17.81 ID:T4jhiaY0
ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ


「騎兵どもは… 上手くやっておるかの」



ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ…



(つかず離れず、狼のようにつきまとえ。 相手を疲れさせろ)



「そろそろ、人形どもも目覚めようが。なに、あせることは無い…」



(この結界の中では、時間はごくゆっくりとしか進まんからの…)



…ザザザザ…



「むっ?」



…ド ド ド ド…



「騎兵の足が止められておる… 来おったか」
67 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 21:52:36.76 ID:T4jhiaY0
ザザザザザ…


「伏兵を目前に、引き返してくるとはの」


歩兵「…」ジャキッ


「…どうやら、こちらの思惑に気づいたようじゃ」


ザザザザザ…


「まあよいわ、いずれ同じこと。 …弓兵、前へ」



弓兵「…」ジャキッ



「(…弓でどうにかできる相手ではないが、防がせるか避けさせるかすれば充分よ)」


…ヒューーーーン


「射てっ!」



パシュパシュパシュパシュ!!
68 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 21:54:25.51 ID:T4jhiaY0
…ヒュンヒュンヒュン!


金糸雀「ちょこざいなっ、かしらっ!」ビシュッ!


シュババババババ!!


弓兵「!!」グシャッ!

騎兵「!!」バギッ!

レイ「ひるむな。 …騎兵ども」



「弓をかわしている最中を狙え」



弓兵「…」パシュパシュパシュッ!


ヒュンヒュンヒュン!


金糸雀「くっ!このっ!!」ヒュンヒュン!

騎兵「…」ドドドドド


ブォン!


「あっ!?」


ベギッ!





「かはっ!!」
69 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 21:56:11.94 ID:T4jhiaY0
ジュン「…カナ!」

みつ「カナっ!!」


金糸雀「(みんな…わたしに、かまわないで!!)」バシュシュッ!

騎兵「!」ベギッ!


(はやく伏兵を見つけ出して!!)


ジュン「く…!」

のり「ジュン君…!」

ジュン「はやく、はやく伏兵を見つけ出すんだ…!」


ザザザザ…


レイ「それにしても…」



(先ほどから、後手後手に回っておるの…)



レイ「…」



「あの、生意気な小僧から潰すか」
70 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 21:57:17.10 ID:T4jhiaY0
金糸雀「はぁ、はぁ、はぁ…」


バシュシュシュシュ!


騎兵「!」ビキッ!

金糸雀「く、落としきれない…!」

騎兵「…」ドドドドド


ブォン ビュン!


金糸雀「くっ!」ズザッ!


…ゴロゴロゴロ…


弓兵「…」パシュパシュパシュ!



ビスッ!



金糸雀「あうっ!」…ビシュッ!


パシュパシュパシュ!


金糸雀「く、くぅっ!」ヒュンヒュンヒュン!



(みんな…! はやく、はやく…)
71 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 21:59:24.40 ID:T4jhiaY0
ジリ… ジリ…


みつ「…どこ… どこなの…?」


ジリ… ジリ…


のり「…金糸雀ちゃん…」


ジリ… ジリ…


巴「いっそ… そこらじゅうに手榴弾を投げてみたら?」



「…」



ジュン「…ダメだ。 音と爆風で、かえって見つけづらくなるだけ」



「…」



柴崎「地面の中にいるかもしれんしのう…」

ジュン「ありえます。 …最初、土の中から出てきたから…」

みつ「地面のでっぱりにも注意ね…」



「…」



ギリギリギリ…



狙撃兵「…」…チャキッ
72 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:02:13.15 ID:T4jhiaY0
…ババババ


のり「ジュン君、あれっ!」

ジュン「なっ!?」


「金糸雀ちゃんが!」


…ババッ ババババ…


みつ「カナ…!」

ジュン「く… 金糸雀…!」



狙撃兵「…!」ガチッ!



…ピシュッ!



ジュン「…?」



(…無理だと思っても、やんなさぁい)



「?!」



シャッ!



「くっ!」



…カキィン!
73 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:03:30.73 ID:T4jhiaY0
のり「!?」

みつ「じゅんじゅん!?」

ジュン「…あそこだっ!!」

柴崎「なにっ?!」

ジュン「矢が… 向こうから飛んできた!!」

巴「こっちね!」ビュッ!



…ズドォン!!



狙撃兵「!!」バギャッ!

歩兵「…!!」ドギャ!



柴崎「いぶりだされてきおったぞ!」ガチッ!


バリバリバリバリ!!


歩兵「!!」グシャグシャグシャ!

みつ「この、このーっ!」…ポイポイポイ



ドゴドゴドゴドゴン!
74 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:06:41.48 ID:T4jhiaY0
歩兵「!!」バギョッ!

みつ「カナぁー!!」 


「見・つ・け・た・わよぉーーー!!」


金糸雀「…了解かしら! 離脱するかしら!!」バシュバシュバシュ!!

騎兵「!!」ベキベキベキ!

レイ「…ち、見つかりおって…!」



ジュン「金糸雀、もってくれ…!」

のり「ジュン君…(あなた… すごい、すごいよ…)」


(真後ろから飛んできた矢を… 振り返りもせずに打ち落とすなんて…)


ジュン「(…ボクに…)」



(あんなことができるなんて…)




(水銀燈…)




カチン カチン カチン


ジュン「よっ、せっ、はっ…!」

水銀燈「…」


カチン カチン カチン…
75 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:09:28.18 ID:T4jhiaY0
カチン カチン カチン


水銀燈「」ビュッ


ゴツッ!


ジュン「あいてっ!」

水銀燈「はい失敗。 腕立て10回ねぇ」


ウンショ ウンショ ウンショ…


ジュン「…やっぱり無理だよ、後ろ向きじゃ」

水銀燈「無理だと思ってもやんなさぁい」

ジュン「…はぁい」


カチン カチン カチン…

ゴツッ!

ワッセ ワッセ…



…ガシャッ!

のり「ジュン君、近づいてきた!」

ジュン「おぅっ!(水銀燈…)」


(…ありがとう…)




(必死にやりなさい。それが、いつかあなたを救うかもしれないんだから)
76 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:10:50.36 ID:T4jhiaY0
ジュン「てぇっ!」シュボッ!

歩兵「!!」バギャッ!!

ジュン「こっちは… 片付いたっ!」


ヒューーーーーン…


みつ「…カナが、戻ってくる!」

ジュン「無事ですか?!」

みつ「ええ! 大丈夫… あ、あれっ!!」


ドドドドドドド…


巴「…騎兵に、追われてる!!」

柴崎「いかん、追いつかれるぞ!」

ジュン「消耗してるんだ…!!」


ジャキッ!


みつ「柴崎さん?!」

柴崎「かなちゃん、援護するぞ!!」
77 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:12:06.07 ID:T4jhiaY0
ジュン「柴崎さん、短銃を貸してください!」

柴崎「…撃ったことはあるかね?」…ガチャッ

ジュン「…教えてください!」

柴崎「…うむ」


「…まず、弾丸を送りこむ」


…シャキッ!


柴崎「腰を落として、肘は絞るように。 呼吸を深くとって…」

ジュン「…はいっ!」ジャキッ!

柴崎「撃つと、衝撃で上にはねる。 肩とひざで揺れを受け止めるんじゃ」

ジュン「(…こうか?)」

柴崎「しっかり引きつけて…」

ジュン「…」


ドドドドドドド…
78 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:14:25.74 ID:T4jhiaY0
「…」



ドドドドドドドド…



騎兵「…」ジャキッ!



柴崎「今じゃ、撃て!」

ズガガガガガガッ!

ジュン「はいっ!」

パァン!


騎兵「…!」…チュイン!


ジュン「は、外した…」

柴崎「ならすぐ次を撃て!」 ズガガガガガガガガ!!

騎兵「!!」ガシャバキグシャッ!


「一発目は『当たり』をつけるためのものじゃ!」


ジュン「は、はいっ!」ガチャッ!


パァン!


騎兵「!」ビズッ!
79 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:15:27.62 ID:T4jhiaY0
ジュン「あ、あたった!」

柴崎「気を抜くな! やつらを、かなちゃんに近づけさせるな!」

ジュン「はいっ!」シャキッ パァン!



のり「…」

みつ「…のりのり、どうしたの?」

のり「え… あ、なんて言うか…」


「柴崎さん、なんだかすごい…」


みつ「…そうねー、イキイキしてるわねー…」

巴「あんなに元気だなんて… あ、ごめんなさい」

マツ「いいのよ、その通りだもの」

巴「はあ…」

マツ「…男の人って、戦争になると元気になって頭も回るのよ」

みつ「…勉強になります」

マツ「それにね…」


「わたしたちには、怒る権利があるもの…」
80 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:19:41.65 ID:T4jhiaY0
巴「怒る… 権利?」

マツ「ええ… せっかく、ね…」…ナデ ナデ

蒼星石「…」



「娘と孫が… いっしょにできたと思ったのに、ね…」



のり「マツさん…」

マツ「しかも理想の… こんなふうに、育てたかったっていう子だった…」

みつ「…」

マツ「礼儀正しくて芯が強くて… 一樹のことを、泣いて…いえ」


「おなかの底から、哭いてわびてくれた…」


のり「…」

マツ「2度も… 見送ることに… なるなんて、ね…」

巴「…」


…グスン



蒼星石「…」
81 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:20:47.38 ID:T4jhiaY0
金糸雀「えぇーいっ!」ヒュボッ!


バリバリバリバリ!


騎兵「!!」グシャッ

金糸雀「は、はぁ… はぁっ…(あと… あと少し!)」

弓兵「…」パシュパシュパシュ!



ビズッ!



金糸雀「ああっ!!」



…バサバサバサバサ…



みつ「カナ!!!」

ジュン「カナの…翼が!」

金糸雀「ああ… ああ、ああっ…」



バシュゥゥゥゥ…



のり「壊れてく…!」
82 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:22:51.93 ID:T4jhiaY0
柴崎「い、いかん!」ジャキッ!


…ガチッ!


柴崎「…しまった、弾が!」

騎兵「…」ドドドドド!


ジャキッ!


巴「…手榴弾も、もうない!」

みつ「騎兵が…なだれこんでくる!!」



レイ「どうやら弾切れのようじゃ。 …突入せい」



金糸雀「ああっ… くっ…」


ドドドドドド…


「逃げられないっ…!」 



…ピクッ

マツ「…?」



「水銀燈っ…!」



…シュバッ!
83 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/25(木) 22:25:41.28 ID:T4jhiaY0
マツ「?!」

シュタタタタタッ!



「…しゃっ!!」キュババババババッ!!

騎兵「?!」バキャバキャッ!



「せやっ!」…ヒュバッ!

騎兵「!!」ザギュッ!



「…」



金糸雀「あ…」



「…よくも」



金糸雀「あなた…!」




「…」…シャキッ!




蒼星石「よくも…!!」
84 : [sage]:2009/06/25(木) 22:26:46.64 ID:T4jhiaY0
今日はここまでです。 再開は明日夜。
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/25(木) 22:29:14.86 ID:K9qzJ0co
乙だ
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/25(木) 22:51:49.72 ID:OZXX1TUo
おつ!
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/25(木) 23:41:59.47 ID:4yB4OlEo
otu otu
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/25(木) 23:42:51.86 ID:wQuLWw.o
おっつ
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/26(金) 03:52:23.52 ID:SqXBYjA0
乙です
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/26(金) 03:52:57.29 ID:TvbUlakP
おつつ
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/26(金) 05:17:07.50 ID:Ovqyu4oo
乙樽

爺さんカッコいいよ爺さん
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/26(金) 05:34:03.12 ID:2l2t8kA0
乙!
どっかで聞いたと思ったらエマ中尉!エマ中尉じゃないか!wwwwwwwwww
93 : [sage]:2009/06/26(金) 21:47:09.67 ID:1axmgwU0
ちょっと予定が変わったので、あさって以降再開します。
申し訳ありません。
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/26(金) 23:26:21.53 ID:8NkW6L2o
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/26(金) 23:28:20.20 ID:4afjvBMo
了解であります
96 :1 [saga]:2009/06/28(日) 18:30:09.84 ID:DmSoZcQ0
乙&了解ありがとうございました。
再開します。
97 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 18:35:18.11 ID:DmSoZcQ0
マツ「蒼ちゃん!」

ジュン「よかった…目ざめてくれた!」

みつ「金糸雀っ!」



金糸雀「そ、蒼星石…」

蒼星石「…」…シャキッ

騎兵「…」…ジャキッ

金糸雀「…蒼星石?」

蒼星石「…」


「つかまって」


金糸雀「え?」


ガシッ


金糸雀「きゃ?!」

蒼星石「はっ!」シュタッ!

騎兵「…!」


シュタタタタタタ…


騎兵「…」ドドドドドド…




レイ「ほう… 目覚めおったか」

…ザザザザザ…

98 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 18:37:19.29 ID:DmSoZcQ0
レイ「かまうことはない… 当初の予定通り、包囲網を狭めていけ」

ザザザザザザ…

レイ「契約者どももじき限界になる。逃げられさえしなければよい」

ザザザザザ…


「抵抗など無意味じゃ…」


ザザザザザザ…




シュタタタタタ…

のり「金糸雀ちゃんを連れて、戻ってくる!」

巴「速い…!」


…シュタッ!


ジュン「蒼星石!」

みつ「カナぁー!」…ギュッ

金糸雀「みっちゃん…!」…ヒシッ


蒼星石「…」


ジュン「…よかった」

マツ「蒼ちゃん…」

ジュン「君さえいてくれれば、1000人力…」




「…姉さんを頼みます」
99 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 18:39:57.81 ID:DmSoZcQ0
金糸雀「…蒼星石?」


シュタッ!


ジュン「え! ま、待つんだ!」

金糸雀「…蒼星石!」


シュタタタタタタ…


金糸雀「む、無茶しちゃダメっ!」

ジュン「戻るんだ! 蒼星石!!」


シュタタタタタタ…


蒼星石「…」


(わたしだけでいい)


「…くそっ…」


(けだものになりはててまで、戦うのは…)


「…くそっ、くそっ!」



(この子たちの事を… 頼みます…)





「ちくしょう…っ!!」
100 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 18:43:17.05 ID:DmSoZcQ0
レイ「お…?」


シュタタタタタタ…


レイ「また、戻ってきおった」

歩兵「…」ザザザザ…

レイ「ひとりで特攻か…? 無茶をさせよるのぉ」

弓兵「…」ザザザザザ…

レイ「罠かもしれんが… よかろう。 騎兵」

騎兵「…」ガシャッ

レイ「適当にあしらいつつ後退しろ。 奥へと誘いこめ」
 
騎兵「…」ドドドドドド…

レイ「契約者たちには、前方の兵どもを差し向けろ。 …休息する間を与えるな」




金糸雀「ああ… 蒼星石、ダメ…っ!」

…ヨロ

みつ「カナ!」

ジュン「…君こそ、無理はするな!」

金糸雀「でも… でもっ! 今の蒼星石は… 冷静さを失っている!」
101 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 18:45:40.38 ID:DmSoZcQ0
ジュン「…なんだって?」

金糸雀「…捨て鉢になって、がむしゃらに突撃してるだけ! 危険すぎる!!」

ジュン「…まさか、蒼星石はもう、あのことを…!」

金糸雀「あいつ、ぜったい罠を仕掛けてる! 助けに行かなくちゃ…!」グググ…

のり「真紅ちゃん、起きて!」


「…」


みつ「翠星石ちゃん、蒼星石ちゃんを助けて!」


「…」


巴「雛苺! 起きて…」


「…」


…ポロッ


巴「ひ… 雛苺?」


「…」


ポロポロポロ…


ジュン「ヒナ…」

雛苺「…」ポロ… ポロ…



「すい…ぎん…とう…」



ポロポロポロ…
102 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 18:50:36.17 ID:DmSoZcQ0
巴「雛苺…」

雛苺「水銀燈… 死んじゃったの…?」

柴崎「ひなちゃん…」

雛苺「もう… 二度と…」 



「二度と… 会えない… のね…」



マツ「…」

ジュン「…金糸雀、みんなは…」

金糸雀「…うん… みんな、もう知ってるかしら…」


「わたしのなかで、すべての結晶がひとつになったときに… 水銀燈の記憶を共有して…」


ジュン「そうか…」

雛苺「水銀燈… たったひとりで… 戦って…」


「雪華綺晶を… 助けるために… でも…」 


「つかまって… 灼かれて… 壊されて…」


ジュン「…」

雛苺「ひどい… ひどいの… 水銀燈は… やっぱり、水銀燈は…」 



「わたしたちの… おかあさまだった… の…に…」






「…わたしは、そんなの認めない」
103 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 18:56:13.43 ID:DmSoZcQ0
みつ「…!」 

ジュン「君は!」


「認めてたまるものですか…!」


のり「真紅ちゃん!」

巴「…真紅?!」



「…あんなやつが… お母様ですって!?」



のり「…真紅ちゃん、それは…!」

巴「違う…! 違うのよ!!」

真紅「…認めない、絶対認めない!」 



「お父様が、亡くなってるですって? アリスゲームは、水銀燈が始めたですって?!」



「そんなの嘘よ!! 水銀燈のことも… お父様のことも… アリスゲームのことも、全部嘘に決まってる!!」


…ギュッ


「認めないっ! 断じて認めないっ!! だって… だって…」






「水銀燈は帰ってくるもの!!!」
104 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:01:46.42 ID:DmSoZcQ0
のり「…真紅ちゃん…?」

真紅「水銀燈は死んでなんかいない! 絶対生きてる!!」

ジュン「…真紅」

真紅「あの水銀燈が…」


(ふふっ。 お馬鹿さぁん)


「嫌になるほど、強くて、憎たらしくて…」


(真紅ぅぅぅぅぅっ!! ジャンクにしてやるっ!!)


「気高くて美しい、あの水銀燈が…」


(手加減は… 無用よ…)


「死ぬはずなんてないもの!!」


みつ「…」グスン

巴「真…紅…」

真紅「今はただ、どこかに姿を隠しているだけ! きっとそうよ! そして体が治ったら…!」


…ジワッ


「やられる前より数段手ごわくなって、アリスゲームを仕掛けてくるに決まってる!」



のり「…そう。 きっとそう…!」

真紅「お父様だって、きっと生きてる…! みんな、死んでるはずなんかない!!」




「…その通りですぅ」
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 19:02:55.05 ID:nGa.3Ogo
お、リアルタイム
106 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:08:22.82 ID:DmSoZcQ0
みつ「…翠星石ちゃん!」

翠星石「さっきから聞いてたら… みんな、騒ぎすぎなんですよ」

真紅「…あなた」


…ムクリ


翠星石「あの… あの、ゴキブリみたいにしぶとい水銀燈が…」

雛苺「翠星石…」

翠星石「殺したって死なないあの最凶ドールが、そう簡単にくたばるわけねーです!」

ジュン「そうだ! その通りだ、翠星石!」

翠星石「そうに決まってるですっ!」

ジュン「雛苺… 大丈夫、大丈夫だ! 水銀燈は死んでなんかいない!」

雛苺「え… で、でも…」

ジュン「生き延びるんだ! そして… そして…」



「水銀燈を助けに行くぞ!!」



翠星石「お−! ですっ!!」

ジュン「…真紅、翠星石!」


真紅「…ジュン?」

雛苺「…」


ジュン「戦うんだ!」




「生き残るんだ!!」
107 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:21:34.88 ID:DmSoZcQ0
真紅「言われるまでもないのだわ! 雛苺!」

雛苺「う… ううっ…」

真紅「…もうっ!」

巴「…」


…ギュッ


雛苺「…と、巴?」

真紅「…あなた」

巴「雛苺…大丈夫」


「絶対、大丈夫だから…」


雛苺「…」…ギュッ


ブルブルブル…


巴「雛苺…」

雛苺「ごめん… なさい…」ブルブルブル…

翠星石「まったく、しょうがねー妹たちです! …スィドリーム!」


チカッ!


翠星石「…さあジュン! 金糸雀! わたしはなにをすればいいんですかっ!?」

金糸雀「翠星石…!」

ジュン「君は…」

翠星石「…不本意極まりないですが、ジュンは水銀燈が見こんだ男! 金糸雀はわたしたちの姉!」 



「さあ、わたしに命令してみせろです!」
108 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:31:05.95 ID:DmSoZcQ0
ジュン「…金糸雀」

金糸雀「…」コクン


「あなたが…」


ジュン「…」グッ!


「翠星石!」


「はいっ!」


「蒼星石を助けるんだ!!」


シュタッ!


翠星石「がってんしょーちのすけですっ!」

金糸雀「あいつらきっと、罠を仕掛けてる! 充分気をつけて!」

翠星石「まかされてやるですーっ!!」


シュタタタタタタ…


ジュン「…頼んだよ…!」

真紅「…ジュン」

ジュン「真紅?」

真紅「…」



「わたしは、何をすればいいの?」
109 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:33:15.58 ID:DmSoZcQ0
金糸雀「真紅…」

真紅「わたしは、あなたのことだって、まだ認めたわけじゃないけど」 

ジュン「…」

真紅「あなたたちが指揮をとるというのなら、厳正に厳格に行ってほしい」

ジュン「…わかってる」…グッ


「真紅は、金糸雀と雛苺が立ち直るまで、ぼくらを守ってくれ」


真紅「わかったわ」ヒュウウウウウ…


サラサラサラ…


のり「薔薇のはなびらが…風に舞って…」

真紅「あいつが結界を張るのなら、わたしだってやりかえすだけ」


サラサラサラ…


真紅「さあ、どこからでもかかってきなさい…!」



シュタタタタタタタ…



翠星石「…」



(水銀燈…)
110 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:40:35.49 ID:DmSoZcQ0
翠星石「…まったく… あの、カッコつけったら…」


(殺したって死なないあの最凶ドールが、そう簡単にくたばるわけねーです!)


翠星石「(真紅や雛苺の手前、ああは言ったけど…)」



「ほんとは… わかってるですよ…」



「あれじゃ…」 


…ジワッ


「あれじゃ、助からないって…」


シュタタタタタタタ…



「神様、お父さま… もし、時間をまき戻せるなら…」



(もう… 終わりにしたいです、こんなこと…)



「あのときのわたしを…」 


…ポロッ


「殺してやりたいですっ…!!」



…ポロポロポロ…



「蒼星石っ…!」
111 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:43:35.37 ID:DmSoZcQ0
「うおおおおおおおっ!!」


騎兵「…」シャキッ!

蒼星石「そこをどけぇーっ!!」ヒュボッ!


ザギッ!


騎兵「…!!」グシャッ!

蒼星石「この、このっ! このおおおおっ!!」

騎兵「…」ザザザザッ

蒼星石「逃げるなあっ!!」シュタッ! 


シュタタタタタ…


「よくも、よくも!」


ジャギギギッ!


騎兵「!」グヂャ


「よくも…っ!」




「…水銀燈めぇぇぇっ!」
112 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:49:13.51 ID:DmSoZcQ0
レイ「騎兵は… うまく下がっているようじゃが」

ドドドドドドド…

レイ「…なにも警戒せずつっこんでくるのぉ」

ドドドドドドド…

レイ「さては、頭に血が上ったか。 ほほ、重畳重畳。 …歩兵ども、準備はよいな」

歩兵「…」ジャラッ



蒼星石「水銀燈の… 水銀燈のバカっ!!」シュバッ!

騎兵「…!」グシャザグッ!

蒼星石「さんざん僕たちのことを引っ掻き回して! ひどい目にあわせて!!」シャッ!

騎兵「!!」ベギッ!ベギン!

蒼星石「お父様のことも、アリスゲームのことも!! 許せない… 許せないっ!!」

騎兵「…」ドドドドドド…

蒼星石「逃すかっ!!」シュダッ!


シュタタタタタタ… 


「水銀燈、君は…君はっ!! 何が!!」


シュタッ!


「僕らから『お父様を奪ってしまった』だっ! 僕らに『血みどろの戦いをさせて』だっ!!」


タタタタタタッ!


「君は…君は、たったひとりで…! 命がけで! 僕たちを…お父様を…」


…ジワッ


「守ろうとしていた… だけじゃないかっ…!」 
113 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 19:56:12.56 ID:DmSoZcQ0
…ポロッ


「くそっ! ちくしょう! アリスゲームが血みどろの戦いだって?!」シュタッ! 

弓兵「…」パシュパシュパシュ!


ヒュンヒュンヒュン!


蒼星石「あんなの…あんなの…!」シュタタタッ!


シャグッ!!


弓兵「!!」バシャッツ!!



「あんなの… ただのお遊戯だったんじゃないかっ!」


シュタタタタタタ…


「負けても… 君みたいに、その身を焼き焦がされもしない! こなごなにもされない!」


シュタタタタタ…


「奪いつくされもしない、犯しつくされもしない! アリスゲームなんて…」ジャキッ!


歩兵「…」ガシャッ!


「きみがひとりで…たったひとりで引き受けてきた…『本当の戦い』に比べればっ…!」
114 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/28(日) 20:04:49.90 ID:DmSoZcQ0
「そうして君は…僕たちにお遊戯をさせて… ずっとずっとひとりで戦って…」ビュン!

歩兵「!!」グシャベギッ! 

「傷だらけになって… ボロボロになって… バラバラに…」


…ポロポロポロ…


「くっ… くっ…!! くそぉぉぉぉぉっ!」タタタッ!

レイ「…」


(そろそろ、頃合かの)


…シュタタタタタ


「僕をバカにしてっ! 子供あつかいしてっ!!」

(あとすこし… 充分ひきつけろ)


シュタッ!


「なにが…なにが母親だっ! 君が… 君なんかが!!」

(まだだ…)



「お父様のことも戦いのことも、自分ひとりでなにもかも引き受けて! ぼくらを守って… かばって…」

(あとすこし…)



「バカにして…バカにしてっ!! くそっ、くそおおおおおおおっ!!」

「ようこそ、ここへ」

「?!」




「…わが罠へ」ニヤリ
115 : [sage]:2009/06/28(日) 20:06:06.33 ID:DmSoZcQ0
今日はここまでです。 続きは明日。
116 : [sage]:2009/06/28(日) 20:08:39.21 ID:DmSoZcQ0
>>105
支援どうもっす〜
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 20:11:24.86 ID:EvzFVEso
>>115
毎度乙

皆にあのことが伝わって、果てしてどうなるか…
加勢したい衝動に駆られるのは内緒
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 20:28:22.16 ID:16pv0Ngo
おつ!
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/28(日) 21:21:08.48 ID:Jck.2kc0
毎度の事ながらこの引き際と話の作り方に関してはいくら乙しても仕切れないよなぁ
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/29(月) 00:09:24.17 ID:ttMATkwo
おっつ
121 : [saga]:2009/06/29(月) 21:49:27.81 ID:Mj19NaQ0
>>117-120 乙どもっす。

>>117
毎度どうもです。今後とも加勢よろしくですm(*_ _)m

>>119
ありがとうございます〜 完結までテンション高めに頑張ります。


再開します。
122 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 21:56:15.70 ID:Mj19NaQ0
蒼星石「お前は…!」



(甘いの。 自動人形ごとき、わしの相手になるか)



レイ「ひさしぶりじゃの」

蒼星石「貴様…!」



(…顔は念入りにやれ)



蒼星石「貴様かぁぁぁぁぁぁっ!!!」

レイ「ふん」パチン



ボゴッ!



蒼星石「な?!」ガクッ!


ザザザザザザ…
123 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 21:58:45.65 ID:Mj19NaQ0
レイ「たわいないのう」

蒼星石「じ、地面が?!」ズズズ…


…ジャバッ! 


(冷たいっ!…水、いや、泥?!)


歩兵「…」…ジャラッ

レイ「やれ」


バシャッ!


蒼星石「これは… 網?!」ザシュッ!

レイ「たっぷり投げこんでやれ」

歩兵「…」バシャッ! ザシャッ!

蒼星石「く、くっ! このっ!!」


ザシュッ! ズバッ!


レイ「切り裂いたところで、網が消えるわけでは無いぞ…」

蒼星石「そこを動くなあっ!」

レイ「動かんよ。 跳べるものなら跳んでみろ」

蒼星石「く…!(足元が…)」


…ゴボッ


レイ「川の水を引きこんである。 …重かろう」 
124 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:00:28.21 ID:Mj19NaQ0
蒼星石「くそっ、くそっ!!」バシュッ! ビズ!

歩兵「…」バシャバシャッ!


ジャラジャラ…


蒼星石「く… くそ…うっ…」


ジャラジャラジャラ…




シュタタタタタタ…


翠星石「蒼星石… 無事でいて…!」


シュタタタタタタ…


翠星石「蒼星石まで… いなくなってしまったら…」


シュタタタタタタタ…


「わたし… もう…」





「ダメになっちゃいます…」
125 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:05:22.60 ID:Mj19NaQ0
タタタタタタタ…


「ん?」


キキッ!


「…立派な樹…」


…トテ トテ


「根元に…あった!」トテテテテ


…ヒョイ


「…あなたたちの力、貸してください…」ヒョイヒョイヒョイ 


…ゴソゴソ


「ごめんなさい!」シュタッ!


シュタタタタタ…


「…あなたの子供たち、お借りします!」


タタタタタタタ…


「わたしの妹が、危ないんです…!」


シュタタタタタッ!


「大事に育てるから、許してほしいですっ!」…シュダッ!
126 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:09:14.12 ID:Mj19NaQ0
バシャバシャバシャ…


レイ「そろそろいいかの」


…ジャラ… …ジャラ…


蒼星石「う… くっ…」…ガクッ


…ジャボッ


レイ「わざわざ捕まりに来てくれるとは律儀じゃの。 おかげで楽ができそうじゃわい」

蒼星石「こ、このっ…!」

レイ「網の具合はどうかね? おまえさんの母親にも好評じゃったぞ」

蒼星石「はは… おや…?」


…ガジャッ ズブッ…


レイ「あれを止めるには、網がその倍は必要だったがな」

蒼星石「す… 水銀燈のことかっ?!」…ジャラッ

レイ「ほほ。彼女には、かわいそうなことをしたのぉ」



「せめて破片だけでも会わせてやりたかったが、塵になってしもうての」
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/29(月) 22:10:51.71 ID:qKydpS2P
救援に向かう、持ち堪えてくれ
128 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:10:55.50 ID:Mj19NaQ0
蒼星石「ち… 塵に…?」

レイ「かけらも持ってこれなんだ」

蒼星石「水銀燈が… 塵に…?」


(この子のことを… この子たちのことを… どうか…)



「水銀燈が…」



(わたしの… かけがえのない… 妹たち… いえ…)



「ち…りに…?」



(娘たちを… どうか…)



「きっ…」



ガジャッ!



「貴様あああああああああああっ!!!」ガジャガジャガジャッ!
129 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:15:29.91 ID:Mj19NaQ0
レイ「ほほ」…カチリ

バヂッ!

蒼星石「あぐっ!?」…カクン


…ザボッ


蒼星石「(す…水銀燈…っ)」…ゴボッ

レイ「さあ、網をのけろ。 回収するぞ」

歩兵「…」ジャラッ

蒼星石「く…(僕… 僕…っ!)」


(…のぼせちゃダメよ)


蒼星石「(?!)」

レイ「5〜6枚くらいになったら、網ごと縛り付けておいて拾い上げろ」

歩兵「…」


ジャラジャラジャラ…


弓兵「…?」


シュタタタタタッ!



弓兵「…」ジャキッ

レイ「ん?」



…シュタッ!



「ちょっと待ったー! ですっ!」
130 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:17:42.76 ID:Mj19NaQ0
レイ「む? …仲間か?」

翠星石「みんな! 頼みますっ!!」


バラバラバラッ!


レイ「おっ? なんじゃこれは…?」

弓兵「…」パシュパシュパシュ!

翠星石「よっ! とっ! はっ! よいしょっ!」


ヒュンヒュンッ!


翠星石「そんなへろへろ矢、当たってあげてやんないですっ!」

レイ「(木の実か?)…近づくな、こやつがどうなってもよいのかね?」

翠星石「近づきなんかしないですっ!」

レイ「なんだと…?」


シュパァァァァァ…!


翠星石「庭師の如雨露は、恵みのみなもと!」

レイ「なに?!」

翠星石「眠りから覚めなさい!」 


ゴゴゴ…
131 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:20:02.93 ID:Mj19NaQ0
レイ「な、なんじゃ?!」ゴゴゴゴ…

翠星石「堅い殻をやぶって、日のひかりをいっぱいにあびなさーいっ!!」



ズオオオオオォォォ!!



レイ「うおぉ?!」

歩兵「!!」

翠星石「どんなもんですっ! 現実世界の樹々だって、ざっとこんなもんですっ!」

レイ「穴から…大樹が!! し、しまった! 網が!!」


ゴゴゴゴゴゴ…!


レイ「きゃつが… 大樹に押し上げられていく…!」

翠星石「いま行きますよ、蒼星石!」シュタッ!

レイ「い、いかん!」


ゴゴゴゴゴゴ…




蒼星石「うっ…」 

ゴゴゴゴゴ…
132 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:22:45.59 ID:Mj19NaQ0
「ここは…樹の上?」


ゴゴゴゴ…


「…翠星石の…力なのか?」

「蒼星石っ!」


シュタッ!


蒼星石「やっぱり、君だったのか…」

翠星石「助けに来たですっ!」シュパッ!


ガシッ!


翠星石「…大丈夫ですか?」

蒼星石「…」

翠星石「泥だらけですね…」

蒼星石「僕…」

翠星石「…」

蒼星石「僕は… 僕は…っ!」

翠星石「…」



「…もうっ!」



ピシャン!
133 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:24:39.94 ID:Mj19NaQ0
蒼星石「あつっ?!」

翠星石「話は後です!」グイッ!


シュザッ!


蒼星石「う、うわっ!」

翠星石「無事ならいいんです! トンズラしますよ!」


シュタタタタタタタッ!


レイ「あ…あやつっ!」

翠星石「へっへー、おっさらばでっすぅー♪」シュタタタタタッ!

レイ「さっきばらまいた、ドングリかっ?!」

翠星石「ものを知らないやつですね! アベマキの実ですっ!」シュタッ!

レイ「こ、この…! 追え! 捕らえろっ!!」

歩兵「…」ザザザッ!



シュタタタタタタ…



翠星石「…まったく、もう」

蒼星石「…」
134 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:29:42.93 ID:Mj19NaQ0
翠星石「ふだんはクールな蒼の子のくせに、すぐ熱くなっちゃうんですから」

蒼星石「…すまない。 さっき…」

翠星石「さっき?」


「水銀燈にも、そう言われた」


翠星石「…」

蒼星石「のぼせちゃダメだ、って」

翠星石「…そうですか」


(怒ったときこそ、心を凍りつかせなさい)


翠星石「やっぱり、死んでなんかいないんですね…」

蒼星石「え?」

翠星石「さ、しっかりするです! 水銀燈を助けに行きますよ!」

蒼星石「え… でも…」



(塵になってしもうての)



「でも…」
135 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:35:00.90 ID:Mj19NaQ0
翠星石「…わかってますよ。言いたいことは」

蒼星石「…」

翠星石「でも…」


シュタタタタタタ…


翠星石「いまは、とにかく生きのびることです!」

蒼星石「…」

翠星石「だから…」…ジワッ

蒼星石「翠星石?」

翠星石「…んーっ!」ゴシゴシゴシ


「元気にならなきゃダメなんです!!」


蒼星石「…そうだね」


…グッ


蒼星石「その通りだ…!」

翠星石「さ、飛ばしますよ! しっかりつかまって…」



ドドドドドドッ!
136 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:40:41.85 ID:Mj19NaQ0
翠星石「き、騎兵ですっ!」

蒼星石「行く手をふさがれる…!」


ドドドドドド…!


蒼星石「さっきまでは、逃げ回っていたくせに!」

翠星石「く、速いっ…!」


ドドドドド…!


翠星石「ダメ、振り切れない!」

蒼星石「…翠星石!」

翠星石「なんですか?!」

蒼星石「僕を…!!」

翠星石「えいっ!」


グニッ!


蒼星石「むうっ?!(く、唇を?!)」

翠星石「『僕を』なんですか? まさか…」

蒼星石「…」


「『僕を置いていけ』なんて、こっぷざけたことをぬかすつもりじゃないでしょうね…?!」
137 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:45:42.80 ID:Mj19NaQ0
蒼星石「…」

翠星石「図星ですか、そうですか!」グニグニ

蒼星石「いはい! いはいよ、ふいへいへき!」

翠星石「今度そんなこと言ったら…!」グィーッ

蒼星石「んむむむ!」


ベチン!


蒼星石「痛っ!」

翠星石「お口をアヒルさんにしてやるから、そう思えですっ!」

蒼星石「…」ヒリヒリ

翠星石「わたしは…」



「わたしは、もう二度と…!」



パシュッ!


138 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:54:10.95 ID:Mj19NaQ0
翠星石「?!」

蒼星石「弓だ!」


弓兵「…」パシュパシュパシュ!


翠星石「く…! 本隊が追いついてきやがったです…!」

蒼星石「翠星石…!」


ヒュンヒュンヒュン! 


翠星石「蒼星石、頭をひっこめて! 矢が飛んでくるです!」シュタッ!

蒼星石「だ、だめだ!」ヒュンヒュンヒュン! 


…ビズッ!


翠星石「あうっ!」

蒼星石「翠星石っ!!」

翠星石「平気ですっ! こんなのっ…!(そう…)」


(平気です! こんなの、こんなの…!)


パシュパシュパシュ!


翠星石「(わたし、わたし、もう二度と…!)」ヒュンヒュンヒュン!

蒼星石「翠星石! もう… もういいんだ!!」


(楽になりたいです… はやく…終わってほしいです… こんなこと…)


「誰も見捨てない! 絶対あきらめないって、決めたんですっ!!!」



ザスッ!
139 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 22:56:23.95 ID:Mj19NaQ0
真紅「…」


ヒュオオオオオ…


のり「薔薇の花びらが… わたしたちのまわりを…」

みつ「…囲んでる。 あなたの力なの?」

真紅「そうよ。これが、わたしの結界」

ジュン「結界…」

真紅「この花びらが、私の目となり耳となり…必要とあらば、剣になり盾になる」


ヒュオオオオ…


真紅「…ん…」

巴「真紅?」





真紅「…! 戻ってくる!」

巴「…翠星石のこと!? 蒼星石は?!」

真紅「ふたりとも一緒… 無事よ!」

ジュン「そうか… やったぞ!」

金糸雀「でかしたかしら!」

真紅「!」


バシュッ!
140 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:05:12.50 ID:Mj19NaQ0
みつ「きゃっ! な、何?!」

真紅「…弓矢よ!」


ゴゴゴゴゴゴ…!


ジュン「花びらが…渦を巻いてる!」

真紅「敵よ! 近くにいる!!」

巴「ど、どこっ?!」

真紅「…正面と… それに、右っ! 近いわ!」


ドォン!


雛苺「ひっ…!」

柴崎「来たぞ!」

真紅「…このっ!」


ズバババババッ!


歩兵「…!」バギギギッ!

ジュン「来るなっ!」ビュン!

歩兵「!」ビギッ!

真紅「もう一撃入れるわ! ジュン、下がって…」



(あうっ!)

(翠星石!!)
141 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:09:03.03 ID:Mj19NaQ0
真紅「!!」

ジュン「真紅?!」

真紅「翠星石が…!」ズバババババッ!


バギベギッ!


巴「翠星石が?!」

真紅「…手傷を負った! 足が止まってる…!」

金糸雀「…まずい、かしら…!」グググ…


…ヨロッ


みつ「金糸雀! 無理は…」

金糸雀「無理しないなんて… そんな場合じゃ、ないかしら…!」

みつ「…」


ヨロ… ヨロ…


雛苺「カナリア… ダメ、ダメなの…!」

金糸雀「雛苺! あなたも…」


「あなたも早く、戦いなさい!!」


巴「金糸雀…」

雛苺「…う… うう…」


ガクガクブルブル…
142 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:15:43.84 ID:Mj19NaQ0
金糸雀「雛苺…!」

雛苺「ダメ… ダメなの… だって、だって…」

マツ「ひなちゃん…」


「水銀燈が…」


金糸雀「雛苺っ!!!」

雛苺「うう… あうう… ごめんなさいっ…」

真紅「…この、このっ!」ズババババ!


ベギベギベギ!


真紅「ダメ、数が多すぎる! 翠星石っ…!」

巴「…金糸雀、雛苺をお願い!」グッ!

金糸雀「と、巴?!」ヒシッ

雛苺「あうっ?!」

巴「ジュン君!」


ガシャッ!


ジュン「それは…あいつらの武器?!」

巴「私も戦う!」

真紅「巴!」

巴「ジュン君、指示して! 攻撃するタイミングを!」ジャキッ!



「真紅の邪魔にならないように!」
143 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:23:42.62 ID:Mj19NaQ0
ジュン「…巴っ…!」

巴「お願い! 死ぬ気でやるから!」

真紅「ええいっ!」


ズバババババ!


歩兵「!…」ビスッ


ジュン「いまだ巴! 右のやつ!」ブォン!

巴「ええーいっ!」ヒュバッ!


ビシッ!


歩兵「…!」グラッ

巴「く… 当たり損ねた!」

ジュン「もういい、下がるんだ!」ビュッ!

歩兵「!」グシャッ!

巴「わかった!」シュタッ!

ジュン「深追いしなくていい! 足だけ止めれば、真紅が片付けてくれる!」

巴「はいっ!」

ジュン「それから!」

巴「なにっ?!」



「…死んじゃだめだ!」ブォン!



巴「わかってる!」スチャッ!
144 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:32:19.61 ID:Mj19NaQ0
柴崎「わしも行くぞ!」シャキッ!

マツ「おじいさん…!」

柴崎「みつさん、かなちゃん、ひなちゃん! ばあさんを頼む!」

ジュン「柴崎さん!」ブォン!

柴崎「おおっ!」ビュッ!


バキバキッ!


真紅「…みんな、下がって! 撃つっ!」

巴「お願いっ!」


ズババババババ!


雛苺「真紅… みんな…」

巴「雛苺、あなたも早く!」

雛苺「え…」


「水銀燈が、見ているのよ!」


雛苺「す…水銀燈が???」

巴「そうよ! 約束したもの!」


(これからあなたのこと、ずっと見ててあげるわ)


雛苺「巴…!」

巴「そんなんじゃ、水銀燈に笑われちゃうわよ!!」




(逃げ出したら、せせら笑ってやるから覚悟なさい)
145 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:41:08.19 ID:Mj19NaQ0
雛苺「…水銀燈に…笑われちゃう…?」

金糸雀「…巴の言うとおりかしら」


…ムクリ


金糸雀「いつまでも… 休んでいたら… 笑われちゃうかしら!」

みつ「ヒナ!」

金糸雀「水銀燈は、生きているんだから!」



(ええ! お母さまは生きている!)



金糸雀「なっ?! なにかしら?!」

雛苺「カ、カナリア?!」



(死んでない! 死んでなんかいない! お母さまは、ここにいるもの!)



金糸雀「あなた… あなたは!」

みつ「カナ… どうしたの?! 誰と…」



(受け取って!!)ズワァァァァァ!



金糸雀「あ…熱いっ?!」

マツ「かなちゃん?!」


(お母さまの力、受け取って! …カナ姉さま!!)



バキバキバキバキッ!
146 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:46:09.38 ID:Mj19NaQ0
金糸雀「ああああああっ!」

雛苺「カナリア?!」

真紅「な、なに?!」


…ズァッ!


ジュン「真紅、危ない!!」

真紅「え?! …くっ!」ズザッ!

歩兵「…」ブォン!



「みんな、伏せて!」



巴「えっ?」

ジュン「巴っ!」グイッ!

巴「きゃっ?!」ガバッ… ムニッ 



ズァァァァァ…!



柴崎「お、おっと!」ガバッ!

真紅「なに?! …あれは!」ガバ!



ヒュバババババ!!


歩兵「!!」


バギバギバギバギバギッ!
147 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/29(月) 23:53:24.44 ID:Mj19NaQ0
ジュン「…な、何が…」

巴「…じ…ジュン、君…」


パラ… パラ…


柴崎「な、なんと… 歩兵どもが…」

真紅「全滅、ですって…?!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…


雛苺「…カナリア… それ、それ…」

金糸雀「…だから、言ったとおりだったかしら?」


「水銀燈は、生きてるって…」


雛苺「でも… ちょっと違うの」

金糸雀「細かいことはいいかしらっ!」

真紅「あなた…」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…


ジュン「今度は、白銀色の翼だなんて…」

巴「…ジュン君」

ジュン「巴? なに…  う?!」ムニムニッ


バッチコーン!


ジュン「ぶっ!?」

巴「触りすぎっ!!」
148 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 00:02:47.31 ID:mrDs0QU0
金糸雀「それじゃ、ふたりを助けるかしら!」

ジュン「頼む! 僕らは、体勢を立て直す!」…ヒリヒリ

金糸雀「お任せするかしらっ!」ヒュバッ!


ヒューーーーン…


ジュン「雛苺、大丈夫か?」ヒリヒリ

雛苺「…」

ジュン「雛苺…」

雛苺「う… うく…」

柴崎「ん??」

雛苺「うくく… うぷぷ…」

のり「…雛苺ちゃん?」

雛苺「ジュンのお顔…」 



「巴のビンタでまっかっかなの…」プププププ…



ジュン「う…」

雛苺「おててのあと、くっきりなの…」クスクスクス…

巴「…」ムスッ

真紅「…しまらないこと、この上ないわね」

雛苺「…ありがとね」…スック

のり「雛苺ちゃん…」

雛苺「ジュン、巴… みんな…」



「頑張って、水銀燈助けに行こうね…」
149 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 00:08:31.09 ID:mrDs0QU0
ジュン「…もちろんさ。 もちろんだよ」

柴崎「みんなが立ち直ったんなら、10000人力じゃよ」

真紅「…みんな、武器を取って」

みつ「…わたしも」

のり「わ、わたしにも!」


…ガチャッ


マツ「わたしも、もらうわ」

みつ「え…」

マツ「銃後のそなえは、婦人のつとめよ」

みつ「…はい」


ガチャッ!


ジュン「それじゃ、みんな…!」

のり「…うん!」



「みんなで、生き延びるぞ! 水銀燈を助けるんだ!!」



雛苺「えい! えい! おーっ!!」
150 : [sage]:2009/06/30(火) 00:10:23.32 ID:mrDs0QU0
今日はここまでです。再開は明日。
>>127
把握した(ゑ
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 00:12:56.81 ID:tw42Gsso
乙です
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 00:13:37.25 ID:2Xw9PXw0
>>1
乙!

いつも楽しみにみてるかしら!
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 00:33:53.78 ID:CxGcF3Mo
おつ!
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 00:40:16.88 ID:XH57oKEo
おっつ
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 03:15:28.11 ID:W6qpIF2o
毎度乙

なんというかゾクゾクするぜ
156 : [saga]:2009/06/30(火) 18:40:52.78 ID:PY9yCR20
>>150-155
乙どもっす。再開します〜
157 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 18:45:56.72 ID:PY9yCR20
ザスッ!


「うあっ?!」


…ヨロ


蒼星石「翠星石!!」

騎兵「…」ザザッ!

翠星石「あ…くっ…」


…ガクッ


蒼星石「しっかりするんだ!」

翠星石「かすった…だけです…!」

騎兵「…」ザザザザッ!

翠星石「まだ… まだですっ!!」

蒼星石「僕も、戦う!」シュダッ!


…ヨロッ


翠星石「無理するんじゃ… ねーですっ!」…グググ

蒼星石「君こそ…!」フラ…

歩兵「…」ジリ… ジリ…

弓兵「…」ギリギリ…


…ズザッ


レイ「…観念せい」
158 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 18:47:22.30 ID:PY9yCR20
蒼星石「あいつ…!」

翠星石「(蒼星石…)」

蒼星石「(なに?)」


歩兵「…」ジリ… ジリ…


翠星石「(合図したら、あの土手の上の樹の根元まで全力で走るです…!)」

蒼星石「(…わかった!)」


レイ「…やれっ!」


パシュパシュパシュ!


翠星石「今ですっ!」シュタッ!

蒼星石「はっ!」シュザッ!

レイ「逃すな!」

歩兵「…」ザザザザザ

騎兵「…」ドドドドド…

翠星石「もういっちょ、やってやるです!」ヒュン!


シュパァァァァ…


レイ「む… 地面に気をつけろ!」

翠星石「下ばっかりじゃないですよ…!」
159 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 18:49:20.06 ID:PY9yCR20
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


レイ「な、なんじゃ?!」

蒼星石「樹の上から…なんの音?!」

翠星石「大きな栗の! 木の下でっ!」


…ザザザザザ!!


翠星石「ぱんっぱんにつまった秋の恵み、一足先にお届けするですっ!!」

蒼星石「な、なんだ?!」


バザ バザザザザ ブヅ!


翠星石「今です、逃げるですっ!」グイッ!

蒼星石「うわっ!?」ズザッ!

レイ「な、なにごと…?」


ヒューーーーン…


歩兵「?」



ドヅン!
160 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 18:51:05.90 ID:PY9yCR20
歩兵「!!」グシャッ!

レイ「な、なんじゃあれは!!」


ドヅン! ドドドヅン!


歩兵「!!」グシャグシャッ!

レイ「巨大な…いがぐりじゃと…?!」


ゴロゴロゴロゴロ…


レイ「い、いかん!退けっ!」

騎兵「…!」ドヂャ!

弓兵「…!」グギャ!



ゴゴゴゴゴゴゴゴ…



蒼星石「す、すごい…」

翠星石「ざまー見やがれですっ! 庭師の仕事をあなどるなですっ!」




ヒューーーン…
161 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 18:55:57.92 ID:PY9yCR20
蒼星石「あ…! あれっ!」

翠星石「来てくれたですか! …おや?」

金糸雀「おまたせかしら… あらららら」


ババッ!


金糸雀「また、派手にやったみたいかしら… まるで、おとぎの国みたい」

翠星石「あとでちゃーんと、大事に育てるですよ」

金糸雀「まあいいかしら。 …つかまって! 一気に離脱するかしら!」

蒼星石「…頼むよ」ギュッ

翠星石「…助かるです」ギュッ


ビヒュン!


レイ「逃げおったか…」


ザザザザザ…


レイ「まあよい。ちと熱くなってしもうたわ」


(ものを知らないやつですね!!)


レイ「(人形ごときが…)」
162 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 18:57:10.54 ID:PY9yCR20
歩兵「…」ザザザザザ…

レイ「当初の予定通り、包囲網を徐々に狭めろ」

騎兵「…」ドドドドドド…

レイ「人形どもはともかく、契約者たちはそろそろ限界が近いはず」


ザザザザザ…


レイ「女子供、年寄りばかりなのじゃからな…」


ザザザザザ…


「絶望させてやれるのが、楽しみじゃわい」



ヒューーーン…



金糸雀「真紅たちは、大丈夫かしら…」

翠星石「おい、金糸雀」

金糸雀「なにかしら?」

翠星石「その翼は、どうしたことですか?」

金糸雀「あ… これ?」



「…水銀燈の力かしら」
163 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 18:59:08.79 ID:PY9yCR20
蒼星石「…」

金糸雀「雪華綺晶が…わたしと、水銀燈の結晶をつないでくれたかしら…」

翠星石「…そうですか」


…ピト


金糸雀「ひゃん?!(む、胸っ!!)」

翠星石「すまなかったですね…」ナデ ナデ

金糸雀「わ、わざわざさわるほど大きくないかしら!!」

翠星石「おめーじゃねーです」…ナデ… 


「…雪華綺晶ですよ…」


金糸雀「え…」

翠星石「雪華綺晶と水銀燈のやりとりは、結晶からの記憶でだいたいわかってるです…」

蒼星石「…」

翠星石「マリアだとかなんとか、意味のわからないことだらけだけれど…」


…ナデナデ


翠星石「末っ子のお前に、なにもかも背負わせちまったっていうのは… 察しがつきますよ…」
164 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:00:10.81 ID:PY9yCR20
蒼星石「…」…ピト

金糸雀「そ…蒼星石?」

蒼星石「…君が何を考えているのか、僕にはまだわからない」ナデ…

翠星石「…」

蒼星石「けれど… 信じるよ」


「水銀燈を助けようとしていた…そして水銀燈が助けようとしていた君の事を…」


翠星石「…蒼星石」


(…)



(お姉さま…)


金糸雀「雪華綺晶?」

蒼星石「…?!」


(いつか、かならず全部話します…)


金糸雀「…」

翠星石「…金糸雀?」


(わたし… 勝ってみせる… あいつに、そして…)



(わたし自身に…)
165 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:02:23.63 ID:PY9yCR20
金糸雀「雪華綺晶…」

翠星石「あいつは… なんて?」

金糸雀「…いつか、かならず全部話すって」

蒼星石「そうか…」

金糸雀「今は… いまはとにかく、生き延びることかしら!」


ヒューーーーン…


真紅「…戻ってきた!」

ジュン「金糸雀! 蒼星石、翠星石!」


…ストッ


金糸雀「ただいま、かっしらー!」

のり「ああ、みんな!」タタッ

ギュッ!

翠星石「うむっ!?」

蒼星石「むっ?!」

のり「無事で… 無事でよかったぁ…!!」ギューッ…

蒼星石「(…僕は)」


(僕… 僕のせいで…)


ジュン「…のり」


…ズイッ
166 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:03:52.99 ID:PY9yCR20
のり「じ…ジュン君?」

ジュン「ちょっと、ごめん」

のり「…は、はい…(こ、怖い…)」

蒼星石「…ジュン…君(君の…顔…)」


…ザッ


ジュン「…わかってるね?」

蒼星石「…はい(その顔…)」


(見覚えが、あるよ…)


ジュン「君の行動が、みんなを危険にさらした」

蒼星石「…そのとおりです」

みつ「じゅんじゅん! 蒼星石は…え?」ガシッ

金糸雀「…みっちゃん」

みつ「か、カナ…」

金糸雀「(手出しも口出しも、無用かしら…)」


…ギュッ


金糸雀「でも… ジュン、時間がないかしら」

ジュン「わかってるよ。 すぐ終わる。 …真紅とふたりで、守りを固めてくれ」

金糸雀「わかったかしら」

真紅「…ジュン」
167 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:06:37.95 ID:PY9yCR20
ジュン「…」


…グッ


ジュン「僕は、水銀燈から君たちの事を託された」

蒼星石「…わかっています」

ジュン「そうか」

蒼星石「…どうか、存分に」

翠星石「蒼星石…」

ジュン「…」



バキッ!



雛苺「ひっ!?」

真紅「…」

蒼星石「…くっ」…グラッ

ジュン「…」

雛苺「じ、ジュン! ひどいの!!」トテテテ…

蒼星石「雛苺っ!」キッ!

雛苺「は、はいぃっ!?」キキッ!

蒼星石「お願いだよ、僕に…!」 



「これ以上、恥をかかせないで…!」
168 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:10:45.87 ID:PY9yCR20
翠星石「…蒼星石」

みつ「じゅんじゅん…」

金糸雀「乱暴に見えるかもしれないけど…」


「あれが、水銀燈の役割を引き受けるってことかしら…」


みつ「カナ…」

金糸雀「いざ事が起これば厳然として道を指し示し、道をあやまった子には容赦なくふるまう…」

真紅「水銀燈は、そうやって私たちを率いてきた」

のり「…」

蒼星石「みんな… 申し訳なかった」

金糸雀「…」

蒼星石「…どうか、挽回のチャンスを僕に…」

ジュン「…もういい」


…グッ


ジュン「君は、翠星石といっしょに前線に立って。 血路を開くんだ」

蒼星石「わかりました、ジュン君… いえ」



「グラン・マスター」
169 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:17:33.10 ID:PY9yCR20
真紅「!」

翠星石「蒼星石…!」

蒼星石「…おかしいかい」

ジュン「…?」

蒼星石「だって… そうなんだろう?」

雛苺「ジュンが… ジュンが???」

金糸雀「…その通りかしら」

ジュン「どういうことなんだ?」

金糸雀「説明は後かしら! …本隊が近づいてくる!」



ドドドドドドド…



ジュン「真紅、周囲の伏兵を探ってくれ! 金糸雀は本隊を食い止めるんだ!」

真紅「わかったわ!」

ジュン「雛苺はみんなのそばにいて、守ってくれ!」

雛苺「うぃ、むっしゅ!」

翠星石「さあ、いっちょハデにやるかー、ですっ!」

金糸雀「さっきから、十分派手かしら…」

翠星石「もっともーっとハデにやるんですっ! スィドリ―ム!」


チカッ! 
170 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:22:54.03 ID:PY9yCR20
翠星石「アレを、用意するですっ!」

真紅「…本気ね、翠星石!」

翠星石「当然です! …1分ください!」

ジュン「用意って…何を?」

翠星石「わたしたち双子の『武器』ですっ!!」


ボゥ…


のり「え? あなたたちの武器って、庭師の如雨露と鋏…」

蒼星石「如雨露や鋏は『武器』じゃない」

のり「えっ?」


「あれは『道具』なんだ」


巴「蒼星石? …ど、どういうこと?」

蒼星石「普段は、武器として使っているというだけ。 …本来は武器ではないんだ」

翠星石「その通りです!」ブゥン… 

ガシッ!

「本気で、ぶっ壊していい相手に出くわしたときにだけ使う…」グィッ!

…ズルッ

「わたしたちだけの武器! 見せてやるです!」グイッ!

…ズルズル

「今日は全開で行くですよ!」グイグイッ!



ズルズルズルッ…!
171 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:25:56.35 ID:PY9yCR20
のり「ぼ、棒?」

翠星石「うんしょ、うんしょ」ズルズルズル…

みつ「ま、まだ出てくる!?」

翠星石「うん、とこ、しょっ…!」グィーッ


「…それーっ!」


ブォン!


ジュン「うわっ!」

翠星石「おっと、失礼ですぅ」

…シャキッ!

ジュン「な…それは、斧?! いや…」

柴崎「鎌…なのか!?」

蒼星石「…そうだよ」ポゥ…

 
…カチカチカチ


みつ「蒼星石…?」

蒼星石「戦いを好まない翠星石が、本気で戦うときだけ使う…」カチカチ…



「『庭師の大鎌』さ」
172 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:30:22.96 ID:PY9yCR20
のり「そ、蒼星石ちゃんは、何を…?」

蒼星石「翠星石が大鎌を使うときだけ、僕も自分のほんとうの武器を使えるようになるんだ」

みつ「ほんとうの武器…」

蒼星石「庭師の鋏の『ほんとうの姿』を見せられる、って言ったほうがいいかな」


カチカチカチ…


マツ「鋏の…留め金を?」

蒼星石「スィドリーム、レンピカ。 …頼むよ」


チカッ! 


蒼星石「…封印を、解くんだ」

ジュン「ふ、封印?」


…ピキュッ!


ジュン「精霊たちが…!」

巴「留め金の中に!」


…カチリ


蒼星石「ありがとう」



…シュラン!



ジュン「鋏が… 分離した!」
173 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:37:42.70 ID:PY9yCR20
蒼星石「そう… これが、僕のほんとうの『武器』」

ヒュンヒュンッ!


蒼星石「相手を『切る』ためでなく…」

シャキッ!


「『斬る』ためのね!」


ジュン「(あのときの…!)」



(仮想水銀燈ってことは、庭師の鋏で戦うんだろ?)

(そうだよ)

(じゃあ、なんで棒を2本持って二刀流で戦ったんだ?)

(…内緒だよ)



翠星石「よーっし! 準備OKですっ!」ヒュンヒュンヒュン…!

蒼星石「ふふっ… 腕が鳴るっ!」シュッビュッ!

翠星石「今日という今日は… 可愛い可愛い第3ドールは返上ですっ!」


ブォン!


「たった今から、悪魔人形になりきってやるですっ!!」

(水銀燈の…かたきを討つまでは!!)


シュパシュパシュパッ!!


雛苺「きゃあっ!?」

ジュン「来たか!」

真紅「伏兵よ! 正面!!」
174 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:42:28.77 ID:PY9yCR20
蒼星石「正面は僕に任せて!」シュタッ!

真紅「援護するわ!」

金糸雀「翠星石、いっしょに本隊を喰いとめるかしら!」シュタタタッ!

金糸雀「了解ですっ!」


タタタタッ!  


ジュン「みんな、頼むっ!」



シュタタタタタタ…


レイ「む? 今度は…ふたりか!」

金糸雀「青髭公! ここから先は行かせないかしら!」

レイ「ちょこざいな、かかれ!」

騎兵「…」ドドドドドドド

金糸雀「喰らいなさい!」シュバババババ!


ドキャドキャドキャ!


騎兵「!!」ボギュッ!
175 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:47:14.78 ID:PY9yCR20
レイ「ひるむな、進め!」

歩兵「…」ザザザザザザ…

翠星石「バカですねー…」ヒュンヒュンヒュン…


「真正面から… 来るなんて…」コキ コキッ


歩兵「…」ザザザザザ…

レイ「なんじゃあれは… 鎌か?」


「お望みどおり… 刈り払ってやります!」…ヒュルン!



「ひゅうううううぅーーー…」



レイ「体のサイズにまったく合っておらんぞ、あんなもの…」

翠星石「ひゅうっ!」ヒュボッ!


歩兵「!!!!」ザグァシャッ!


レイ「なっ!!」

翠星石「ふぅぅぅぅー… ふうっ!」キュバ!


歩兵「!!!!」バガギャッ!


レイ「わ、わしの兵が一振りごとに…」



「紙のようになぎ払われていく…!」
176 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 19:59:20.95 ID:PY9yCR20
翠星石「しゅううううぅ… しゅうっ!」ビヒュッ!

レイ「いかん、歩兵では足止めにもならん!!」


ベギベギベギベギ!


レイ「ゆ、弓じゃ! 弓を射て!」

金糸雀「させないかしら!」ヒュババババババ!

弓兵「!!」グシャ!


ザシュシュシュシュ!


レイ「こ、これはたまらん! いったん退けっ!」

翠星石「逃しませんよ…!」


シュタタタタタ…


レイ「く、時間を稼げ!」

騎兵「…」ドドドドドド

翠星石「お前だけは、絶対に… 絶対に許さない…!」ギュルルルルル!
  

「…しゃああああぁぁぁっ!」


騎兵「!!!!」バギバギバギバギ!

レイ「…殺人独楽か、あやつは?!」

翠星石「水銀燈に焼きゴテを当ててくれた礼をしてあげます…」

キュバッ!

レイ「うおお!」

翠星石「動くな…!」



「『だるま落とし』にしてやる…!」
177 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 20:09:00.72 ID:PY9yCR20
真紅「…」


ビヒュヒュヒュヒュヒュッ!

歩兵「!」ザシュッ!

歩兵「!!」ズバッ!


ジュン「…」


シュバ! ビシュシュシュ!! バシュッ!

弓兵「!!」ザギッ!

弓兵「!!!」サクッ!


ジュン「蒼星石…やっぱり、ボクのときは手加減してたんだな…」

真紅「…援護なんていらないわね」


「ジュン君、手加減なんてしてないよっ! 真紅も油断しないで!」


のり「あのなかで聞こえるんだ…」 

みつ「兵隊さんが、フードプロセッサーにかけられたみたいになってるのに…」


ザキッ! ビシュッ! ズバッ!


柴崎「すさまじい動きじゃのぉ… 野獣のようじゃ…」

マツ「敵がかわいそうになってきたわね…」



…カラン カラカラ…



ジュン「敵が… あっというまにガレキの山に…」

蒼星石「あらかた、片付いたかな…」

雛苺「蒼星石、すっごいの…」
178 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 20:14:09.48 ID:PY9yCR20
金糸雀「翠星石! 前方の敵を、撃破したかしら!」

翠星石「…なんですって?!」

レイ「お、お助け…」

翠星石「あ、あとすこしなのに!!」

金糸雀「深追いは禁物かしら!」


歩兵「…」ザザザザザ

弓兵「…」パシュパシュパシュ!


翠星石「…しょうがない、ですね…っ!」

金糸雀「みんなと合流! 一刻も早く、戦域を離れるかしらっ!!」

レイ「…ひいっ!」


シュダッ! ビシュッ!


レイ「…」


ヒューーーーン…




レイ「…さすがに、2度も罠にはかからんか」




「それにしても…」
179 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/06/30(火) 20:19:28.04 ID:PY9yCR20
「あの動き… 力… すばらしいのお」


歩兵「…」ザッ ザッ ザッ…


「ふふ、ふふふふ… あれを我が手にするまで、いま少しの辛抱じゃ…」


弓兵「…」ザッ ザッ ザッ…



「各部隊に伝令しろ… 当初の予定通り、結集せよと…」



「町にも入らない、契約者を見捨てもしない…」



「こうも思い通りに動いてくれるとは、笑いがとまらんの…」



「楽しみでしかたないわ… くく、くくくくっ…」



ザ ザ ザ ザ ザ…
180 : [sage]:2009/06/30(火) 20:20:32.73 ID:PY9yCR20
今日はここまでです。続きはあさって以降。
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 20:22:14.77 ID:FvdbwG6o
乙だ!
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 20:38:19.71 ID:CxGcF3Mo
おつ!
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 20:43:12.91 ID:vcon/fko
おつ
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/30(火) 20:53:08.59 ID:7WerA0oo
すげえwktkが止まらない
乙!
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 20:56:10.27 ID:XH57oKEo
おっつ
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 21:21:29.29 ID:NUwfYcAO
乙です!
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/30(火) 21:34:11.60 ID:W9P8.bUo
おつつ
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/01(水) 06:56:18.01 ID:5VF8bEso

やっぱり加勢したいww
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/01(水) 14:21:24.50 ID:E/b6ogAO
仮性の俺も加勢するww
190 : :2009/07/02(木) 22:30:02.49 ID:Lerc10Q0
>>181-189
仮性…加勢どーもっす。
再開します。
191 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:32:06.68 ID:Lerc10Q0
【?????】







ザ… ザ…







ザ… ザ…



暗い…



ザ… ザ…



寒い…



ザ… ザ…





潮騒の音… 遠い… 
192 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:33:56.16 ID:Lerc10Q0
ザ… ザ…



ここは… 憶えている… アリスゲームで… 敗北したとき…



強敵と戦い… 致命的な一撃を受けたとき…



目覚めると… こうして… 波間に漂っていた…



ザ… ザ…



今度は… なぜ、ここに?



(この、けだものめが!)







(壊すなと言っただろうが!)



…そうだ、わたしはあの時… 







どうしたんだろう… なにも… 




なにも思い出せない…
193 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:36:05.38 ID:Lerc10Q0
ザ… ザ…



ああ…わたしが… 



わたしが… 散っていく…



ザ… ザ…



この海、いっぱいに… ひろがっていく…



(あなたたちは、もう大丈夫ね)



あなたたち…? あの子たち…



(わたしがいなくても…)



…誰?



あの子たちは…誰?




わたしは… 誰…?





ザ… ザ…
194 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:38:35.78 ID:Lerc10Q0
バササササ…


巴「ジュン君、ふたりが帰ってきた!」

ジュン「金糸雀、翠星石!」


…ストッ


金糸雀「ただいまかしら! 無事戻ってまいりましたかしら!」

蒼星石「おかえり」ニヤリ


「…早かったね」


翠星石「蒼星石が、あっというまに片付けちまうからです!」

蒼星石「まだまだ、準備運動さ」

翠星石「こっちは柔軟体操にもなってねーですよ、もう」

蒼星石「物足りなさそうだね。 もしかして…」


「僕たちの『本気の本気』も出したくなった?」


翠星石「…そんなことはないですよ」

蒼星石「そうかな? 戦ってる君って、イキイキしてるよ」…ニヤッ

翠星石「…」
195 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:39:26.07 ID:Lerc10Q0
蒼星石「君だって、ほんとうは戦うことが…」


…キッ!


翠星石「…本気で怒りますよ?」

雛苺「す、翠星石…??」

巴「ふたりとも…!」

蒼星石「…」


「認めたほうが、楽になれる」


翠星石「…っ!」グッ!

のり「翠星石ちゃん?!」


グイッ!


蒼星石「わっ?」

翠星石「きゃっ?!」

金糸雀「ふたりとも、ケンカしてる場合じゃないかしら!!」
196 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:40:40.52 ID:Lerc10Q0
翠星石「だって、蒼星石が…!」


…スッ


翠星石「うっ? …じ、ジュン…」

ジュン「金糸雀の言うとおりだ」

翠星石「う、うー…」

ジュン「蒼星石、君もだよ」

蒼星石「…すみません」

ジュン「とりあえず、次はどうする?」

金糸雀「…とりあえず、できるだけ距離をとってほしいかしら」

ジュン「わかった! みんな、走って!」

のり「はぁーいっ!」タタタタ

柴崎「おうっ!」トットットット

マツ「…はい!」


ト ト ト…


マツ「…」


(はあ… はあ…)
197 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:42:19.97 ID:Lerc10Q0
みつ「…マツさん、大丈夫ですか?」

マツ「…ええ。 心配無用よ」

みつ「…」

マツ「…」


(そろそろ… きつくなってきたわね…)



ジュン「距離をとるって、どれくらいとればいいんだ?」

金糸雀「…助けを呼ぶには、時間とみんなの精霊が必要かしら」

ジュン「どれくらいかかるんだ?」

金糸雀「…」


「5分はほしいかしら…」


ジュン「5分か…」

真紅「…あの子たちを呼ぶのね」

金糸雀「そう。 そのあいだ、私は力も使えないからほとんど無防備になってしまうかしら…」

蒼星石「…金糸雀」



「ぼくらの『本気の本気』じゃ、だめなのかい」
198 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:44:27.64 ID:Lerc10Q0
ジュン「本気の本気?」

蒼星石「僕たちふたりが必要だけど、時間はもう少し早くなるし精霊も使わなくていい」

金糸雀「…ジュンや柴崎さんの力を食い過ぎるかしら」

蒼星石「…あいつらは、命令を受けて動く傀儡の集団のようだ」

金糸雀「…ええ」

翠星石「それなら!」

のり「…翠星石ちゃん?」


「あのクサレじじいさえ、やっつけてしまえば!」


巴「あ…!」

金糸雀「名案ではあるかしら」

ジュン「ああ…でも」

みつ「何か問題が?」

金糸雀「命令を発しているやつが、どこにいるかわからないかしら」

のり「え? でも、さっきから…」

ジュン「あいつは、ずっとずっとみんなを狙って、満を持して事を起こしてきた」

蒼星石「え…」

ジュン「そんなに慎重なやつが、わざわざ前線に出てくると思うかい?」
199 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:46:32.64 ID:Lerc10Q0
翠星石「…」

蒼星石「いま姿を見せてるあいつが、偽者かもしれないと?」

金糸雀「わからないかしら。でも、可能性としては大いにありうるかしら」

真紅「…あの子たちを呼びましょう。あの子たちなら、あの大軍勢と正面から渡り合えるし…」

雛苺「ジュンたちの力も使わないの」


デコピン!


雛苺「あうっ?!」

翠星石「いいところだけ口をはさむんじゃねーですっ!」

雛苺「うぅー…」ムスッ

蒼星石「でも… うまく呼べたとしても、あの子たちに結界が破れるのかい?」

真紅「…そうね…」

金糸雀「…なんとか、やってみるしかないかしら」

翠星石「…しょうがねーですね!」


ババッ!


のり「翠星石ちゃん?!」

金糸雀「翠星石、どこへ!?」

翠星石「本隊の足止めをしてくるですっ!」

ジュン「無茶だ!!」

翠星石「無茶はしないです、すぐ戻ります! まかせてください!」


ヒューーーーン…
200 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:48:18.71 ID:Lerc10Q0
ジュン「まったく、もう」

蒼星石「大丈夫だよ、きっと…」


ヒュパヒュパヒュパ!


みつ「ま、また来たっ!」

真紅「…もう、しつこいわね!!」ババババッ!

金糸雀「もたついてる暇はないかしら! 一気に片付けて!」シュバババババ!

蒼星石「わかった!」シュタッ!


ビシュバッ! シュバッ! ジャキッ!


歩兵「!!」ザグッ!

巴「…金糸雀!」

金糸雀「なにかしら?!」

巴「わたしに、策があるの!」

ジュン「なんだって!」

巴「うまくいくかどうか、わからないけれど…」

金糸雀「…ぜひ、教えてほしいかしら!」
201 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:49:56.02 ID:Lerc10Q0
ヒューーーーン…


翠星石「さてさて…たしかこのへんでしたね」


…ストッ


翠星石「スィドリーム、またアレを出してください」

…ボウッ

翠星石「どこかに… あった!」


ヒュルルルルル…


翠星石「探しましたよ…」



シュパァァァァ…



「…ごめんなさい」





(…あなたの命、使わせてもらうかもです…)
202 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:51:44.88 ID:Lerc10Q0
【nのフィールド 無意識の海】



…ザ  …ザ



空… 暗い… 



何も… 見えない…



何も… わからない…



わたしが… だれなのか…



もう… なにもかも… 疲れてしまった…




ゆっくり… 眠りたい…




…ポゥ
203 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:52:55.53 ID:Lerc10Q0
? あれは…



…パァ…



ひかり…?



パァァ…



ああ、まぶしい… あたたかい…



(…)



え…? あれは…



(…)



あああ… あれは、あれは、まさか…



(…水銀燈)



来て… くれたの…?



(水銀燈…)



おとうさま…
204 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:57:23.34 ID:Lerc10Q0
【河川敷】


ザザザザザ…


真紅「…えいっ!」ヒュバッ!


キュバッ!


歩兵「…!」ガヅッ!

真紅「しまった、仕留め損ねた!」

ジュン「のり、一体そっちに行くぞ!!」

のり「…ひっ!」


歩兵「…」ザ ザ ザ…


のり「…あ…ああ…(怖い怖い怖い…!)」

歩兵「…」ガバッ!

のり「た、助け…!」


(…あなたたちは、戦いを知らないままでもよかったのかもしれない)


のり「…!」

巴「のりさん、危ない!」


バキッ!
205 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 22:59:22.46 ID:Lerc10Q0
歩兵「?」

のり「うっ、うっ、うわああああああーーー!!」


ボカボカボカ!


歩兵「…」グググ…

のり「銀ちゃんを、銀ちゃんをよくもーっ!!」

歩兵「…」ブンッ!

のり「きゃっ?!」


ガシッ!


歩兵「!」

のり「あ…あれ?」

「くっ…!」


ギリギリギリ…


巴「なんて力…!」
206 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 23:00:14.19 ID:Lerc10Q0
のり「巴ちゃん!」

巴「加勢します! 雛苺、お願い!」

雛苺「了解なの! 苺わだちーっ!」シュルシュルシュル…


ガシッ グィーッ!


歩兵「?!」ドザッ!

巴「転ばせた! 今よ!」

のり「こ、このこのこのぉー!!」バキバキバキ!

歩兵「!」…ビギ

みつ「こーのやーろーっ!!」バゴバゴッ!

歩兵「!!」…ベギッ!

マツ「推参なり、いざ!」ガゴドスッ!

歩兵「!!!」バゴッ!

巴「とどめっ!!!」


グシャ!


歩兵「…」カクン
207 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 23:01:58.44 ID:Lerc10Q0
ジュン「や、やったか!?」

のり「に、2度と起きるなぁー!!」バゴバゴバゴ

ジュン「の…のり?」

みつ「女の怖さ、思い知れ!」ボゴボゴボゴボゴ

ジュン「みっちゃんさん…」

巴「これでもか、これでもかっ!!」ドゴドゴドゴドゴ

ジュン「巴…」

マツ「往生なさいっ!」ザグザグザグザグ

ジュン「…」



歩兵「…」ピクピク



柴崎「ジュン君、覚えておきたまえ」

ジュン「は、はい?」

柴崎「戦争になると、怖いのは男よりも女じゃ…」

ジュン「…」
208 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 23:06:48.27 ID:Lerc10Q0
歩兵「…」ガシャッ!

巴「雛苺、今度はそっち!!」

雛苺「は、はいっ!!(巴が…真紅みたいになっちゃったの…)」


シュルシュルッ!


歩兵「!?」ドデッ!

巴「今っ!!」ドガス!

のり「このこのこのこのー!!!」ボゴボゴボゴ


歩兵「!!」ビギ


マツ「巴ちゃん、後ろ!」

巴「えっ?!」


歩兵「…」ジリッ


みつ「あちょーっ!!」ボギャ!

歩兵「!」…グラッ

巴「甘いっ!」ザグ!

マツ「おとなしく寝てなさい!」ビズ!

歩兵「!!??」グシャベギッ!



ジュン「…柴崎さん」

柴崎「わかったかね?」

ジュン「肝に銘じます…」



マツ「(…女って、戦争になると怖いのよ…)」
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:23:19.23 ID:u3Gt9dko
・。・
210 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 23:25:55.38 ID:Lerc10Q0
ヒューン… スタッ!


翠星石「今戻ったです… こ、これは何事ですかっ?」

ジュン「翠星石!」

翠星石「えらくハデにやりましたねー、蒼星石」

蒼星石「え?」

翠星石「何も、ここまで念入りにコナゴナにしなくても…」

蒼星石「…」

翠星石「…蒼星石?」



ジュン「…」

柴崎「…」



蒼星石「…おじじ、ジュン?」



真紅「…」

雛苺「…」ブルブル

金糸雀「…」ガタガタ



翠星石「なんなんですか、このふいんきは…」
211 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 23:27:34.39 ID:Lerc10Q0
巴「みんな、先を急ぎましょう!」

雛苺「は、はいっ!」トテテテテ


翠星石「(…いま若干、殺気を感じたですぅ…)」


金糸雀「巴、この先かしら?!」

巴「ええ、すぐ近くのはず!!」


タタタタタ…


翠星石「な、何をおっぱじめるですか?」

ジュン「篭城戦だ!!」

翠星石「ろ…ろーじょー??」



(金糸雀「…廃工場?」)

(巴「はい、この先…川沿いに、たしか!」)

(ジュン「大きいのか?」)

(巴「…かなり、頑丈そうなつくりだったと思う!」)
212 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 23:28:37.55 ID:Lerc10Q0
(金糸雀「…」)

(巴「バリゲードをつくってたてこもれば、5分くらいならなんとか稼げるかも!」)

(ジュン「どうだ、金糸雀?」)

(金糸雀「…いい作戦かしら。 あいつらは、薔薇乙女を傷つけたくない」)

(ジュン「そうだな…」)

(金糸雀「だから、思い切った攻撃をしかけてこられない!」)



金糸雀「重火器でも使われたらまずいけど、たぶんそれはないかしら!」

ジュン「…やるか!」

翠星石「やるですっ! 急ぎましょう!!」 



「やつらは、まだ当分動けないはずですっ!」
213 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/02(木) 23:29:37.67 ID:Lerc10Q0
ゴォォォォ…



レイ「面倒をかけさせるの…」



パチパチパチ…



レイ「鉄条網をはりめぐらせたかと思いきや…」



パチパチパチ…



レイ「巨大化させたイラクサとはのぉ」



「しかし…」




「やつら、やはりあそこに向かいおるか… ほほほほ…」




「丁重にもてなして差し上げろ。丁重にな…」



ゴォォォォォ…
214 : [sage]:2009/07/02(木) 23:30:17.01 ID:Lerc10Q0
今日はここまで。続きは明日。
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:32:04.77 ID:ftBx0H.o
おつ
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:32:32.71 ID:u3Gt9dko
乙です
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:33:10.26 ID:6GWpGEAo
乙です
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:33:27.05 ID:fAUSpZgo
おっつ
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:34:54.80 ID:TGkeJ.Yo
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:43:24.76 ID:LqWrdVAo
おつつ
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/02(木) 23:56:30.35 ID:7t4F706o
おつ!
222 : [saga]:2009/07/03(金) 18:45:44.73 ID:RGEnD2g0
>>215-221
乙どもっす。再開します〜
223 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 18:47:46.78 ID:RGEnD2g0
歩兵「…」ザザザザザザ…


蒼星石「せやぁっ!」ザシュザシュザシュ!

翠星石「…しゃあぁぁぁっ!」キュバキュバキュバッ!


歩兵「…」ザザザザ…


金糸雀「やはり、巴の策は正しかったようかしら!!」ヒュバババババ!

真紅「廃工場に近づいたとたんに、敵が怒涛のように襲いかかってくるとはね!」バシュシュシュシュ!


歩兵「…」ザザザザザ…


金糸雀「翠星石の時間稼ぎがまだ効いているみたいかしら! 一刻も早く、工場に突入するかしら!」

翠星石「…」チラッ



(火の手が、あがってる…)



翠星石「…ひゅぅぅぅぅぅっ!」ギュルルルッ!


歩兵「!!」バガガガガガ!


(とげとげのイラクサさんたち… ごめんなさい)
224 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 18:49:47.60 ID:RGEnD2g0
ジュン「突破するっ!」ブォンッ!

歩兵「!!」ボゴッ!


ダダダダダッ!


金糸雀「翠星石、蒼星石! 突入してっ!」

翠星石「了解ですっ!」シュタッ!

金糸雀「内部の敵を掃討、安全を確保して!!」

蒼星石「まかせて!」シュタタタタ!

金糸雀「わたしたちは、外の敵を片付けるかしら!!」ヒュババババババ!

歩兵「!!」バギバギッ!



レイ「入ってくれたようじゃな…」

歩兵「…」ザザザ…

レイ「町に散っておる全部隊を結集させろ」

歩兵「…」ザザザザザ…

レイ「所詮は人形に子供。人情の機微を知らん」




「入るな入るなと言っているからといって、ほんとうに入ってほしくないとは限らんぞ…」

225 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 18:51:20.94 ID:RGEnD2g0
ジュン「はあっ!」ギュン!

バギッ!

歩兵「!」ドシャッ

ジュン「こっちは、あらかた片付いた!」

真紅「工場の中は?!」

バン!

蒼星石「大丈夫だ、入れる!」

翠星石「安全ですっ!!」

金糸雀「みんな、中に入って!!」

巴「わかった!」

柴崎「ばあさん、いくぞ!」

マツ「…はい!」

ダダダダダダ…



ガシャン! ガダガダガダ…


ジュン「入り口も、窓もふさぐんだ!」

のり「うんしょ、うんしょ…!」


ドスン! ドスン!
226 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 18:54:42.18 ID:RGEnD2g0
柴崎「武器になりそうなものは、2階に持っていくぞ!」

みつ「ともとも、そっち持って!」グイ

巴「はいっ!」ガシッ

ズズズズ…



蒼星石「1階は、もうすぐ終わるみたいだ」

…ガシャッ

真紅「2階も、こんなものでいいわね」

翠星石「あとは… 金糸雀、頼んだですよ。 …スィドリーム」

ポゥ…

金糸雀「まかせるかしら!」パァァ… 


「あの子たちさえ来れば、あんな奴らあっというまに叩いてやるかしら!」シュゥ…


蒼星石「…レンピカ、君も」…ポゥ

パァ…

真紅「ホーリエも… 雛苺は?」

金糸雀「奥のほうにいるはずかしら」

真紅「呼んでくるわ」




…ズル ズル

雛苺「うんしょ、うんしょ…」

ドスン

雛苺「ふぃー、疲れたの」
227 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 18:56:57.90 ID:RGEnD2g0
ポゥ…


雛苺「あ、ホーリエ。 うんうん…」


チカ チカ


雛苺「カナリアが、あの子たちを呼ぶのね? …すぐ行くの」


パァァ…


雛苺「ベリーベルも、行ってきて。カナリアのお手伝いしてね」


シュルシュルシュル…


雛苺「ベリーベル?」 


シュルシュル…


雛苺「もう、こんなときにまで…」


チカ… チカ…


雛苺「…え?」


シュルルル…





雛苺「ど… どういうこと…?」
228 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 18:59:24.56 ID:RGEnD2g0
…ドスン

巴「これで、全部ふさげたと思います」

柴崎「よし、上に上がろう」ギシッ

ジュン「階段もふさいだほうがいいですね」

柴崎「おお。ばあさんたち、先に上がっておくれ」

マツ「はい…」…ヨロ

…フラッ

巴「マ、マツさん!」

柴崎「…ばあさん、大丈夫か」

マツ「…私は大丈夫ですよ」 

…スック

マツ「おじいさん、ジュン君と一緒に、早く階段を…」

柴崎「…うむ」

のり「柴崎さん、お願いします」

みつ「マツさんは、私たちが…」

柴崎「…頼んだぞ」ガシャッ


…ギシ ギシ


巴「大丈夫ですか…?」

マツ「ふふ…年寄りの冷や水だったわね」

のり「そんな…」
229 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:02:11.86 ID:RGEnD2g0
マツ「あのころを思い出すわ」

みつ「…戦時中ですか?」

マツ「ええ… 防空壕の中も、こんなふうに暗くて熱かった」

のり「…」


ギシ ギシ…


巴「真紅ちゃん」

真紅「みんな…」

みつ「あれは…?」


パァァァ…


真紅「これから金糸雀が、援軍を呼ぶところ。 …もう大丈夫」

のり「よかった…」

マツ「…」

真紅「…ホーリエ、遅いわね…?」 


スタタタタタ…


真紅「雛苺? …ベリーベル?!」



タタタタ…
230 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:03:42.77 ID:RGEnD2g0
みつ「みんな、座りましょう」

巴「はい…」

のり「…」


…ギシッ


マツ「…」

のり「静かですね…」

巴「(耳が、痛いくらい…)」





マツ「空襲前も、こんなふうだったわ…」

みつ「…」

マツ「みんな、息を潜めていた。 …敵も、ね」

巴「敵も…?」

マツ「空のわずかな震えもわかるくらい静かになって…」


「こちらを伺う敵の息遣いさえ、感じ取れるように思った」


のり「…」

マツ「気のせいかもしれなかったけどね」

巴「いえ… わかります」


…ブルッ
231 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:05:24.27 ID:RGEnD2g0
みつ「…わたしも、わかります」


…ブルブル…


のり「敵が… 今か今かと、飛びかかりたい気持ちを抑えているのが…」


…ブルブルブル…


マツ「…みんな、顔を寄せて」

巴「…え?」

マツ「男の人と、あの子たちには内緒の話があるの」

みつ「…」

のり「…」



「よく、聞きなさい…」



パァァァァ…

金糸雀「…ベリーベルは、雛苺はどうしたのかしら」

翠星石「いま、真紅が呼びに行ってるです」

蒼星石「…金糸雀」

金糸雀「なにかしら?」

翠星石「…水銀燈のこと」

金糸雀「…え…」



(わたしが…) 
232 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:07:28.25 ID:RGEnD2g0
蒼星石「君は…」


(わたしがあんなことを、したせいで…)


翠星石「…」

スッ…

金糸雀「翠星石?!」

翠星石「…すまんかったです」


…ガバッ


金糸雀「ど、土下座なんてすることないかしら!」

蒼星石「…僕も」…スッ


…ザッ


金糸雀「あ、あなたまで!!」

翠星石「わたしたちが、バカだったんです…」

蒼星石「僕らがああだったから… 姉さん一人に、背負わせてしまった」

金糸雀「…そんな… うっ…」


「ううっ…!」


ガバッ!!
233 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:11:03.16 ID:RGEnD2g0
翠星石「…カナ」

金糸雀「…うう… ううっ!」 

蒼星石「…」

金糸雀「うう、うううっ…!!」 


「バカなのは、わたしのほうだったかしら! 自分ひとりだけ、悲しんでるつもりになっていたかしら…!」


蒼星石「…」

金糸雀「雛苺のことなんか、言う資格なかったかしら… ごめんなさい…!」

翠星石「…」ギュッ


ボコッ!


金糸雀「はぐっ!?」

翠星石「さあ、いつまでもメソメソしてるんじゃねーですっ!」

蒼星石「…うん、はやくあの子たちを呼ぼう」

金糸雀「翠星石… 蒼星石…」

翠星石「ほれほれ、しっかりしなさい。チビカナ…いえ」

金糸雀「??」



「…カナ姉」
234 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:15:31.54 ID:RGEnD2g0
金糸雀「…ほへ?」

ベチッ!

金糸雀「あひっ?!」

翠星石「あーもーっ!! わたしたちを、とっとと助けるですっ!」


「カ・ナ・ね・え・さんっ!!」


金糸雀「…」


(カナ姉)(カナねえさん)(カナ姉)(カナねえさん)


蒼星石「…姉さん?」

金糸雀「…」プルプルプル

翠星石「…おい…?」



ガバーッ!



翠星石「うひっ?!」

金糸雀「う〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜♪」クネクネ

翠星石「な、なにごと…」


「元気♪ 100000000倍♪ か・し・らーっ!!」



翠星石「調子に乗るなですっ!」ブスッ!

金糸雀「あは〜ん、ぜんぜん痛くな〜いかしら〜」ニヤニヤ

蒼星石「…まったく、もう」
235 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:19:12.67 ID:RGEnD2g0
…トテテテテ


雛苺「…カナリア!!」

翠星石「…雛苺! 何してやがったですか…」

真紅「…金糸雀」


…ズイッ


金糸雀「な、何かしら?」

真紅「ベリーベルの話を、聞いてほしいのよ」

蒼星石「…どうしたんだ?」

雛苺「ヒナには… よくわからないの… お願い…!」


シュルシュルシュル…


金糸雀「ベリーベル…」


チカチカ… チカ…


金糸雀「…え?」

蒼星石「…姉さん?」


チカ… チカ…


金糸雀「なんですって?」

翠星石「カナ姉?」

金糸雀「ふたりとも…」 



「最初に入ったとき、この工場の中の様子は、どうだったの?」
236 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:21:11.44 ID:RGEnD2g0
蒼星石「…安全だったよ。 精霊でくまなく調べたけど」

翠星石「敵どころか、猫の子一匹いなかったですよ…」


バン!!


翠星石「ひっ?!」

金糸雀「それを…!! なぜそれを早く言わないの!?」

蒼星石「…姉さん?!」


ダダダダダッ!


真紅「金糸雀?!」

金糸雀「みんな、今すぐここを離れて!!」

みつ「カナ?!」

ジュン「どうしたんだ!」

金糸雀「おかしい! 外にあれだけ敵がいたのに…!」



「なぜ中には、誰もいないの?!」 



ジュン「え…」



「なぜ、何も壊されてもいなかったの?!」
237 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:23:00.44 ID:RGEnD2g0
ジュン「!!!」

金糸雀「これは罠かしら! 一刻も早く…」



ボゴッ!


金糸雀「きゃ、きゃああ?!」

ジュン「うわあ?!」


ズルズルズルズル…


翠星石「屋根が…壁が…床が!!」

蒼星石「溶け崩れていく…?! く、くぅっ!!」


ボコボコボコボコ…


のり「ジュン君! た、助けてっ…!」

ジュン「みんな!!」

みつ「カナ…!」

巴「くっ、くっ!! この…っ!!」


ズルズルズル…
238 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:28:00.70 ID:RGEnD2g0
柴崎「あ、足が抜けん!」

マツ「ああ…っ!」


ズブズブズブ…


金糸雀「しまった…! わたしは… なんて、なんてことを…!」



(「敵地で、綺麗な皿の上においしそうな料理がのっていたら、それは間違いなく毒よ」)



「水銀燈っ…!」




【無意識の海】



ああ… あああ… うそみたい…



(水銀燈…)



あなたに… 会えるなんて… あああ…



(水銀燈…)






(よく、頑張ったね…)
239 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:29:26.05 ID:RGEnD2g0
え…?



(もう、いいんだ…)



(いいんだよ…)



おとうさま…? あ、あああ…?
 


パァァァァ…



ああ… あたたかい…




(きみはもう…)






(頑張らなくて、いいんだ…)
240 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:31:52.36 ID:RGEnD2g0
おとうさま…?



(戦うことも… 傷つくことも…)

(もう… しなくていい…)



そんな…



(これからは… ずっと…)

(わたしと… ともに…)



ああ… おとうさま…



わたし…うれしい…

うれしいの…



これからは… ずっと…

あなたと… いっしょに…






241 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 [saga]:2009/07/03(金) 19:35:51.34 ID:RGEnD2g0
【?????】




ピ… ピ…

???「だめだ… 反応低下」



ピ… ピ…

???「精神が定着しない… 再構成は完了しているのに…」 


ピッ…

???「肉体に拒絶されてしまう… 再試行も、はねつけられる…」



ピ…

「やはり… 無理だったか…」



ピ…



「あきらめるな… あきらめないでくれ…」







「水銀燈…!」




○水銀燈がドールたちの『母』になるようです【鎮魂編】 完

これにて第4部を終了します。ご観覧ありがとうございました。
近日中第5部をアップします。支援・閲覧に感謝します。
今後ともどうかお付き合いください。
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 19:38:16.75 ID:v3Zrkh2o
乙!!!
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 19:38:17.48 ID:/qfkhjIo
乙〜
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 19:44:49.10 ID:oQsEw6wo
毎度乙だ

契約者たちはどうなってしまうんだ…
手こずっているようだな、しr…手を貸そう
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 19:46:46.22 ID:JjADofso
おつ!
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 19:48:34.01 ID:x4WFPnUP
おつつ

俺のきらきーは無事なのだろうか…
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 20:04:16.79 ID:SNb5.82o
乙&第5部に禿げしく期待
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/03(金) 20:28:46.68 ID:XTfCD6AO
乙です!!
光るほど禿しく期待かしら〜!
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 01:31:09.59 ID:3JuZ6CIo
おっつ
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/04(土) 02:50:24.37 ID:0RrSZmIo
愛してる乙
251 : [saga]:2009/07/04(土) 10:18:57.27 ID:P33/Pmg0
>>242-250
乙どもっす。第5部、再開します。
今日は昼と夜、2回にわたって投下予定です。
252 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:22:58.46 ID:P33/Pmg0
【廃工場内】


ズブブブブブ…


みつ「…あ、あれっ!」

蒼星石「天井がかぶさってくる!!」

金糸雀「このっ、このっ!!」ビシュシュシュ!


…ジャボッ ズブッ


真紅「だめ、破壊できない!!」ズブズブ…

雛苺「み、みんな…!」ゴボゴボ…

ジュン「くそ、くそ…うっ…!」


ドロドロドロドロ…








ジュン「う… うう…」



…ドロ ドロ ドロ
253 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:25:17.59 ID:P33/Pmg0
ジュン「ここは…」


…ジャリッ


ジュン「ここはいったい、どこなんだ?」

巴「ジュン…君?」

ジュン「巴…? いるのか?」

のり「真っ暗で… わからないけど…」

ジュン「みんな、どこに…?」ググ…


…ズキッ


ジュン「うっ…」

みつ「ジュン…君?」

ジュン「みっちゃんさん…」

柴崎「わしらは… ここじゃ…」

マツ「…あつつ…」

ジュン「マツさん…!」

マツ「大丈夫ですよ… それより、みんなは…?」


…ボゥッ
254 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:28:19.81 ID:P33/Pmg0
ジュン「うっ…?!」

のり「天井が…?!」



「ようこそ、ここへ」



巴「!」

ジュン「き、貴様!!」


「我が、地下の牢獄へ…」


歩兵「…」ジャキッ

弓兵「…」ギリギリギリ…


のり「ひ…」ブルブルブル…



レイ「さあ、たっぷりともてなしてしんぜようか」
255 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:30:59.25 ID:P33/Pmg0
【nのフィールド 無意識の海】



パァァァ…



おとうさま… おとうさま…



(水銀燈…)



わたしを抱きしめて… もう… はなさないで…



(わかっている… もう、どこにもいかないよ…)



ああ… わたし… わたし…



… 




(???「意識検知不能… 精神体分離、再構成不可…」)
256 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:37:31.95 ID:P33/Pmg0
(水銀燈、さあ、行こう)

…え?



(苦しむことも、傷つくことのない場所へ…)






(水銀燈?)

…ここを、離れる…?




(水銀燈…?)

…あなたと…

(…どうしたんだい?)



あなたと、わたしの子を置いて…?



(…)



…おとうさま



(…水銀燈?)







ごめんなさい…
257 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:39:15.57 ID:P33/Pmg0
(…?)



わたし… あなたのところへは… 行けない…




(???「…! これは…?!」)




わたし… やらなければいけないことがある…



(…)



やりたいことが… のこってる…



(…)



わたし… 思い出しました… 





自分が何者なのか…
258 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:41:15.90 ID:P33/Pmg0
わたしは… あなたの娘で… 



あなたの妻で… そして…



(???「拒絶反応鎮静、構成完了」) 



わたしとあなたの… かけがえのない…



あの子たちの… 母です…




(???「…定着率が上昇」)




(「いけるか…」)






「強い子だ…」
259 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:44:10.18 ID:P33/Pmg0
【?????】


コポ コポ コポ


(ここは・・・)


ドク ドク ドク


(憶えているわ お父様の工房 わたしたちが生まれた場所・・・)


コポ コポ コポ


(これは…夢?)


ドク ドク ドク


(それとも… 天国かしら?)



(わたしに、いったい何が…)





「…水銀燈、起きているかい?」
260 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:49:01.06 ID:P33/Pmg0
(え…)



コツ コツ コツ… 



「…具合は、どうだろう」



(そんな… まさか…)



…コツッ

 

「…まだうまく、話せないかな」



(お… お…!)



「新しい体だから、慣れるには時間がいるかもしれない…」





水銀燈「お父様…?!」ゴボッ
261 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:50:49.79 ID:P33/Pmg0
【地下牢獄】


ジュン「貴様…っ!」

巴「く、くっ…!」

レイ「ほほほほ、ゆっくり楽しんでいかれるがよかろう」



弓兵「…」ギリギリ

歩兵「…」ジャキッ



柴崎「…く、腰が…」

マツ「お、おじいさん…」

のり「…真紅ちゃん? 翠星石ちゃん?!」

みつ「カナは… みんなは?!」

レイ「ご心配には及びません。 ちゃんとおりますよ」


「ほれ、ここに…」


歩兵「…」ズイッ

「…ぐっ…」…ギチッ



ジュン「真紅!!」

262 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:52:02.43 ID:P33/Pmg0
のり「翠星石ちゃん、蒼星石ちゃん!!」

翠星石「…うう…」ギチ ギチ

蒼星石「…く…」…ギリリリ

巴「雛苺!」

雛苺「ふ…うぐぅ…」ギチ ギチ…

みつ「カナ!!」

金糸雀「…」


「(面目… ないかしら…)」


ジュン「みんな…」

レイ「ご安心を、暴れたり騒いだりできないようにしておるだけです」

巴「みんなを放しなさい!!」

レイ「ほほほ、ご安心を。これから、たっぷりもてなして差し上げますからな…」


「みなさんともども… くぅっくっくっく…」


真紅「ぐ…!(みんな…!)」




(真紅「…放しなさい! ジュンを…みんなをどうする気?!」)

(レイ「契約者すべては殺さんよ」 



(「…実験に使うでな」)
263 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:54:14.42 ID:P33/Pmg0
(翠星石「すべては…って、お前!!」)

(レイ「一人残せば充分。 残りは楽しませてもらう」)

(蒼星石「き、貴様あっ! …うぐっ!?」)

(レイ「まあ、静かに楽しむがよかろう。 めったに見れないものを見せてやるぞ…」)

(雛苺「ふ、ふぐっ!うぐっ!」)

(金糸雀「う! うぐぐぐっ…!!」)

(レイ「ああ、言い忘れておりましたが」)




(「精霊を使用した瞬間、あの牢獄はガスで満たされるからそう思え…」)



真紅「くっ…!」

レイ「ふふふ… それにしても」


…ベタッ


真紅「(く…!)」…ゾワッ

レイ「見れば見るほど美しいの…」…ベタベタ

真紅「(あ… くぅっ!)」ゾワゾワ…
264 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 10:57:10.14 ID:P33/Pmg0
【?????】



「…大丈夫かい」

水銀燈「そんな… お父様は…」

(たしかに… たしかにあの時…!)


コポ コポ コポ…


「たしかに、わたしはあの時一度死んだ」

水銀燈「…」


ドク ドク ドク…


「だが、生前に自身に施していた『不老不死』の技術が、私を救ってくれた」

水銀燈「…不老不死? そんな…それは…」

「技術は未完成だったが、どうにかこうして生き延びることができた」


コポ コポ コポ…


「そして、君にも同様の技術をほどこしてある」

水銀燈「わたしにも…?」

「そうだ。 …わたしの自身に施したものよりも、完成された形で」
265 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:00:22.60 ID:P33/Pmg0
水銀燈「完成された形…」

「それでも…まだ改良の余地はあるのだが」ガチリ



ゴボゴボゴボ…



水銀燈「あ…」

「溶液を抜く。 動作の検証を行う」

水銀燈「…」

「…すまなかった」

水銀燈「え?」

「もっと早く、君を助けられていれば、こんなことにはならなかったのだが」

水銀燈「…(そうだ、あの時…)」


(腕を外せ) (灼き固めてくれる) (壊すなといったろうが!)


水銀燈「…」

「間に合わなくて、すまない」

水銀燈「…いえ」



…ゴボッ



「…出なさい」…カパッ
266 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:02:31.02 ID:P33/Pmg0
水銀燈「…あっ」

「行くよ」…グッ


…ヒシッ


「大丈夫かい」

水銀燈「…はい」ギュッ







水銀燈「…?」







(おかしい…)




(なにも… 感じない…? いえ…)




(なにも… ない…?)
267 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:04:42.76 ID:P33/Pmg0
【地下牢獄】


真紅「ぐ…ううっ!(さ、さわるな!!)」

レイ「ふぅっふっふっふ…」

のり「真紅ちゃん!」

ジュン「みんなを放せ! 放すんだ!!」

レイ「勘違いしておるようですな」ゴソゴソ



…ジャキッ



ジュン「そ、それは?!」

レイ「わしは、お前らと交渉したいわけではない」パシュッ!


ビスッ!


ジュン「ぐっ!」

のり「ジュン君!!」

真紅「うぐううっ!(ジュン! …貴様!)」

レイ「心配には及ばんよ」

ジュン「…あれ、痛くない… う?」


ザワザワザワ…
268 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:06:08.78 ID:P33/Pmg0
ジュン「こ…これは…?」

巴「ジュン…君?」

レイ「くくくくく…」

蒼星石「うううっ!(何をした?!)」

レイ「なあに、ちょっと元気になる薬を打ちこんでやっただけじゃ」

ジュン「う…ぐああ?!」ザワザワザワザワザワ…


ニクイニクイニクイニクイニクイ


ジュン「(こ、これはなんだ?!)」


キライキライキライキライキライ


のり「ジュン君、ジュン君!!」

ジュン「があ…はっ… かっ…ああ…」

レイ「薔薇乙女たちは、契約者の精神と密接なつながりをもつと聞いておる」

真紅「(なにっ…?!)」

レイ「精神を補修したりすることもできるとか」

翠星石「ぐぐぐぐ!(それがどうしたですか!)」

レイ「…ふふふふ」


ザワザワザワザワ…


ジュン「が…あああっ…!」
269 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:07:58.99 ID:P33/Pmg0
のり「ジュン君!!」バッ!

ジュン「ぐ…?」



…ザワッ



ジュン「!!!」

のり「ジュン君、しっかりして…!」

ジュン「が…(だ…だめだっ!!)」



「があああっ!!」ドンッ!



のり「きゃあっ?!」ズザッ

みつ「のりのり!」ヒシッ!

ジュン「ぐあ…があああっ…!(ボクに…)」


(ボクに近づかないでっ…!!)


のり「ジュン君… いったい、どうしちゃったの!?」

レイ「試してみたくなったのですよ」

柴崎「なんだと!」



「精神を完全に破壊しても、補修できるものなのかどうか…」
270 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:09:17.97 ID:P33/Pmg0
巴「なん…ですって…?!」

レイ「ご安心を。彼の精神はまだ破壊されてはおりません」

ジュン「がああ、あああああっ!!」



オナカスイタ ノドカワイタ  …タベタイ ノミタイ



巴「ジュン君!」

ジュン「…があ…ああっ!!(…ダメだぁっ!!)」


…クライツキタイ ススリタイ…


ジュン「がああっ!」ガバッ!

みつ「危ない!」

巴「きゃあっ!」

ジュン「が… が… が…!!(くそ、くそ… ボクは…!!)」

レイ「たいした精神力ですな、まだ保っておる」



「10人分の憎悪と飢餓、さらに獣性を打ちこんだというのに」
271 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:10:38.18 ID:P33/Pmg0
真紅「(…何ですって?!)」

レイ「いまごろ、目の前のエサに食いつきたくてしょうがなくなっているはずじゃ」

金糸雀「ぐむううっ?!(エサ?! …まさか!!)」

雛苺「うううっ…!(ジュン…ダメっ!!)」

ジュン「がああ、があああっ!!(…のり! 巴!)」


(あなたなんか、生まれてこなければよかったのよ!!)

(あ…ジュン、君? さ、さよなら…)


ジュン「がががっ…!(よくも、よくもボクのことを…!)」


…ジリッ


みつ「じゅんじゅん、やめなさい!」

レイ「我慢は体に毒じゃぞ」

巴「なにっ!!」

レイ「そやつらが憎いじゃろう。 …そして」



「うまそうじゃろう?」ニヤー
272 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:14:55.07 ID:P33/Pmg0
のり「…まさか!」

レイ「かまうことはない。そいつらは、おまえに『恐怖』を与えるものたちじゃ」

ジュン「が…がっ?!」

巴「そんな…! ジュン君!!」

レイ「そいつらはかつてお前に恐怖を与え、これからも与えようとしている。そいつらがいる限り、おまえに平穏はやってこない」

ジュン「ががが…あっ!」

のり「ジュン君!!」

レイ「かまうことはない。そいつらに与えられた恐怖を返して、排除してやれ」



「好きに食いつき、なぶり、犯せ」



柴崎「…外道が!!」

ジュン「ぐああ、ぐあああああ…!」

…ジリ ジリ

のり「…ひ、ひっ!」

巴「やめて、やめてジュン君!」

ジュン「がが… あああっ!」ガバッ!!

みつ「じゅんじゅん!!!」


ガブッ!!
273 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:16:33.44 ID:P33/Pmg0
【?????】



…お父様…?


おかしい… なにも、なにも感じない…?


これはいったい…


「どうしたんだい」

水銀燈「…わたしの結晶が、あなたに反応しないんです」

「…君にはもう、結晶は必要ないのだよ」

水銀燈「え…」


…ストン


水銀燈「あっ…」

「長い戦いの日々、彼らとの暮らし、あの子たちとのふれあいを通じて、君の精神は完成された」

水銀燈「わたしの精神が… 心が、完成した?」

「そう。究極の母…」




「『マリア』として」
274 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:20:52.44 ID:P33/Pmg0
水銀燈「マリア…」

「きみはあの子たちを、真に導き守る存在となったのだ」

水銀燈「わたしが… みんなを…」

「そして…」


カチャリ


「いまみんなに、危機が迫っている」



水銀燈「え…!」

「わたしは、いまここを離れることができない」

水銀燈「…」

「君に、助けに行ってほしいんだ」

水銀燈「…」

「いきなり実戦をさせることになって、すまないのだが…」

水銀燈「…いえ」


グ…グググ


水銀燈「気になさらないでください」

「…そうか」

水銀燈「もとより…」




「道を選ぶつもりなどありません…」
275 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:32:45.67 ID:P33/Pmg0
「…」

水銀燈「わたしは、あの子たちに、してあげなければならないことがあります…」

「…」

水銀燈「いまさら、どんな条件があろうと、生きたくないなんて言うつもりはないんです…」

「…」

水銀燈「あなたは、わたしに奇跡のようなチャンスをくれた… ほんとうにほんとうに、感謝しています…」



「たとえ、あなたの目的で何であろうと…」



「…なんだって?」

水銀燈「そして、あなたが誰であろうと…」

「…」

水銀燈「わたしには、わかるんです…」

「…」

水銀燈「あなたの体の中に…」 





「一片の生命も、精神の痕跡さえもないということが…」
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 11:34:07.56 ID:duYKcswo
こんな昼に見れるなんて
支援
277 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:34:32.73 ID:P33/Pmg0
【地下牢獄】


ジュン「ぐうう… ふううう…」


ギリギリギリ…


真紅「(ジュン!!)」

巴「ジュン…君…?」

のり「ああ…あああ、ジュン君!!」

ジュン「ふぐう、ぐうう…!」…ミシ ミシ

レイ「ほう、粘るの」


「自分の腕に喰らいつきおった」


みつ「あなた…!」

翠星石「(ジュン!)」

ジュン「(くそ、くそっ…!)」…ミシミシ

キッ!

レイ「むっ?」

ジュン「ぐぐぐ…(ざまあみろ!)」ニヤリ


(貴様の思い通りになんか、なってやるものか!!)


ブヂィッ!
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 11:35:34.97 ID:V1.wKgY0
リアルタイムktkr
279 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:36:30.24 ID:P33/Pmg0
巴「!!」

のり「ジュン君!!」

ジュン「があ、がああああ!!」…ダラダラダラ



ダダッ …ゴヅッ!



みつ「壁に…頭を?!」

ジュン「がああ、があああ!(気絶しろ、気絶しろっ!!)



ゴツ ゴツ ゴヅッ!



真紅「(ジュン…あなた…!)」

翠星石「(ジュンが…ジュンが!! ジャンクになっちまうです…!)」

ジュン「うぐあああああ!!(くそ、気絶しろったら!!)」ガゴヅッ!

レイ「…まったく」ジャキッ パシュッ!


ビズ!


ジュン「ぐ!」
280 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:38:08.20 ID:P33/Pmg0
レイ「獣性を高めてあるから、生命力も耐久力も、精神力も亢進しておる。そう簡単には休めんぞ」

のり「やめて! …おねがい、やめてぇっ!!」

レイ「もう30人分追加した。 …あまり我慢しすぎると脳が灼き切れるぞ」

ジュン「がが… がががっ…!」ザワザワザワ…


ヨクモヨクモヨクモヨクモ


「がああああああっ!!」

のり「ジュン君!!」



…コロス



「…」



巴「…?」

マツ「…」



ジュン「…」



のり「ジュン…君?」


…ジリッ
281 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:42:05.41 ID:P33/Pmg0
真紅「(ジュン?)」

のり「ジュン君、大丈夫なの?!」タタッ!

マツ「のりちゃん、いけない!!」

ジュン「…」ガバッ!

のり「ひっ!?」


ガシッ!


のり「ぐっ!?」ミシッ

ジュン「…」…グリッ

みつ「じゅんじゅん!!」

ジュン「…」ギリギリ

のり「く… ひうっ…」…ヒュー ヒュー…

巴「ジュン君、のりさんが死んじゃう!! やめてぇっ!!!」ガバッ!

柴崎「ジュン君! 正気を…!」

ジュン「…」


ブンッ!


のり「うく…!」…ミシッ!

柴崎「うおっ!」ビシッ!

巴「うあっ!」ドスッ!

マツ「巴ちゃん、おじいさん!」

柴崎「のりちゃんを…軽々と振り回すとは…!」




のり「…く」カクン
282 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:44:41.68 ID:P33/Pmg0
ジュン「…」

ドザッ!

のり「…」


…ヒュー …ヒュー


ジュン「…」ガシッ 


…グイッ


のり「…」…ミシッ

真紅「ううう、あうううっ!!!」

蒼星石「うぐぅーっ!!!」

ジュン「…」ギリ ギリ…

のり「…」ミシ ミシ…



(ジュン君… ごめんね…)

(あなたはいらない子なんかじゃない… バカなことを言ったお姉ちゃんを許して…)



ジュン「…」…グググ
283 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:48:29.61 ID:P33/Pmg0
のり「…」ミシ… ミシ…

…コヒュー …コヒュー

ジュン「…」


(約束ね… わたしとジュン君、一生、姉と弟よ…) 





(わたし、ぜったいぜったい、あなたのそばを離れない…)





(お父さんも、お母さんも、わたしたちの前からいなくなっても…) 


…ねえ…さん…?


(わたしだけは、ずっとずうっとあなたの家族だよ…)





ジュン「…」グッ

巴「ジュンくんっ!!!」

ジュン「…」



「の… り… …っ!!」




「がああああああああああっ!!」



グジャ!!
284 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 11:53:16.24 ID:P33/Pmg0
【?????】


「…」


水銀燈「そうなのでしょう…?」


「…やはり…」



???「やはり、気づいたか…」



水銀燈「…『お父様』」 

???「なんだい」

水銀燈「憶えてらっしゃいますか?」


グググ…


水銀燈「『不老不死』について、あなたが語っていた言葉…」

???「…」



(滅んだ肉体をよみがえらせることは、いずれ可能になるだろう)


(血も肉も内臓も、神経も脳細胞の一片にいたるまで、理論上は生前の状態で再生できる)


(しかし…ただひとつ、どうにもならないものがある)


(…それは『人格』 つまりは記憶と、精神だ)



「…」
285 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 12:00:45.90 ID:P33/Pmg0
水銀燈「あなたは言いました… 仮に肉体を、脳を再生しても、それは形だけ。 その人としての自我は、死と同時に失われると」


???「…」


水銀燈「積み重ねられた記憶や経験、それらにまつわる感情、思い出…」


???「…」


水銀燈「それらから形づくられる、その人をその人たらしめている『人格』は…年輪のように、脳だけでなく肉体すべてに刻み付けられているもの」


???「…」


水銀燈「それらは、一度失われてしまえば再生できるものではない。いかに巧妙に再生しようとも…」


???「…」


水銀燈「その結果生まれるものは『その人の肉体と記憶を持った別の人間』に過ぎないと…」


???「…」





「…技術は、進歩している」



286 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 12:04:12.02 ID:P33/Pmg0
水銀燈「ならば、それはいったいどういう技術なのですか?」


「…」


水銀燈「あのとき、あなたの生命と精神は完全に消滅したはず! …そして、わたしも!」


「…」


水銀燈「お願いです、教えてください!」


「…」


水銀燈「わたしは… あなたがなにを思っていようと、かまわないのです…!」


「あなたの思惑がどうだろうと… あなたは、わたしにもう一度チャンスをくれた!」


「わたしは、それで充分なんです! だから…どうか、真実を教えてください!」







???「…なんのために?」
287 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 12:09:07.51 ID:P33/Pmg0
水銀燈「…」


(否定… しなかった…)


???「水銀燈…」

水銀燈「…耐えられないのです!」バッ! 


「自分自身のことに、目を背けたままでいることが…!」


???「…」

水銀燈「いつ知ってしまうか、おびえながら生きていくのも… 知ってしまったとき、目を背けていた時間が一気に押し寄せてくるのにも!」


???「…」


「そんな思いをするくらいなら… どうか、いま話してください! けして、あなたを恨みはしません!」


???「…」


「あなたは、いったい誰なのですか? …わたしは、いったいなんなのですか?!」



「…」



「…『お父様』っ!!」



「…」





「…恨まれるのは、かまわない」
288 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 12:12:45.62 ID:P33/Pmg0
水銀燈「…!」



「当然の権利だ」



水銀燈「…あなたは…」



???「…」…ポゥ

水銀燈「…え?」



パァァァ…



水銀燈「そ、それは…」 

???「…言葉で説明するより、早いだろう」



パァァァ…




「あなたの、結晶?!」
289 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 12:17:12.38 ID:P33/Pmg0
???「この中にあるのは、ただの情報と記憶。 …想いや感情といったものは、いっさい含まれていない」


水銀燈「…」


???「だから、これを知って君がどういう想いを抱くかは、君にゆだねるしかない」


水銀燈「…」


???「それでもよいなら… 君の中に受け入れなさい。 私の『知恵の結晶』を…」


水銀燈「…そんな…」


???「…どうする?」…グググ


…グニャリ


水銀燈「…!!」


???「知らなくてよいこと、というものは…」



「知る必要のないことというものは、あるものですよ」





水銀燈「おまえは…!!」
290 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 12:25:11.80 ID:P33/Pmg0
???「ローゼンは… あなたの父親は言っていた」

水銀燈「な、なにっ…!」

???「あなたたちには…」



「『幸せな物語』を用意してあげたいと」



水銀燈「…」

???「事実も真実も、所詮すべて頭の中のもの。消すことも書き換えることもできる」

水銀燈「…」

???「無理をせずとも、自分にとって都合のいい世界を選んで生きていけばいいことです」

水銀燈「…もう、遅いわ。それに…」

???「ほう」

水銀燈「『幸せな物語』は、わたしには必要ない」



「わたしはもう、充分に幸せだもの…」



???「よろしい。 ならば最後に、一応聞いておきましょうか」ポゥ…

水銀燈「…」

???「この知恵の結晶を… 私が持つ情報のすべてを…」





「受け取りますか? 受け取りませんか?」
291 : [sage]:2009/07/04(土) 12:26:24.66 ID:P33/Pmg0
午前中はここまで。続きは今日の20:00くらいからを予定してます。
292 : [sage]:2009/07/04(土) 12:27:56.88 ID:P33/Pmg0
>>276
>>278
支援どうもでした〜
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 12:32:07.27 ID:duYKcswo
乙!
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 12:33:20.95 ID:nduJboAO
乙です
夜までワクテカで待ってる
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 12:36:07.43 ID:5ydsc8oP
おつつ

あと8時間余裕です
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 13:02:05.26 ID:kbElRDgo
酸素分子
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 13:22:55.90 ID:l2VxU/6o
乙です
水銀燈と一緒にいたのは
あいつなのかな?
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 17:53:20.12 ID:flmPNc2o
おつ!
これはwwktk!!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 18:51:32.68 ID:V1.wKgY0
激しく時期を逸した気がするけど…支援
http://www.pic-loader.net/picfile/023sousui2.jpg
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 19:17:11.27 ID:eVlN.ZUo
素晴らしい!
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 19:25:42.95 ID:V1.wKgY0
ありがとう。しかしだな、一部書き込み足りないところを見つけたもんでなんかソワソワするんだよな。バレないならバレないほういいからどこかは言わんけど
302 :1 [saga]:2009/07/04(土) 20:06:53.17 ID:MZ0kR6c0
>>293-298
乙&O2&WKTKどもっす〜

>>297
「あいつ」は今後の主役です〜

>>299-301
素晴らしすぎます!! 感謝感激(ノω;)ヨヨヨ
初めての頂き物としてももちろんですが、最初にネタを思いついたときはキャラ崩壊で受け入れられないかもしれないと心配だったので、何重にも嬉しいです。
宝物にしますw

ほんとうにありがとうございました!




それでは投下します。
303 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:08:44.56 ID:MZ0kR6c0
【地下牢獄】


「…」



(ジュン…君…)



「のりさん、のりさん!」



(ジュン君…?)



「しっかりして、のりのり!」



(あなた…)



「のりちゃん!」

「ん…」


ガバッ!


のり「ジュン君!」

マツ「のりちゃん!」

巴「のりさん… ああ、よかった!」

のり「…ジュン君は? ジュン君はどこ!?」



「…う」
304 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:11:01.70 ID:MZ0kR6c0
巴「…」

みつ「…そこに、いるわ…」

のり「え…?!」



「…ぐ…う…」



のり「ジュ…ジュン君…?」

巴「…」

のり「巴ちゃん、ジュン君はどうしたの?!」

巴「ジュン君は…」


…ポロッ


のり「…巴ちゃん?」

巴「ジュン君は… ジュン君は…っ!」ポロポロポロ…

柴崎「…床に、顔面を打ちつけたんじゃよ」

のり「!」

柴崎「何度も何度も…」




「自分の歯を、ぜんぶ叩き折ってしまうまで…」
305 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:14:42.38 ID:MZ0kR6c0
のり「ああ… あああ…!」

マツ「その次は、両腕だった」

のり「!!」

みつ「止めようとしても… ものすごい力で振りほどいて…」



「手首も、指も全部…」



のり「ああ… あああっ… ジュン君…!!」ヒシッ

ジュン「…く…うっ…」



蒼星石「(きみは…あなたはそこまでして…)」

真紅「(…)」

蒼星石「(真紅… これでも、きみはまだ認めないというのかい?)」

真紅「(…)」

蒼星石「(きみが認めなくても、ぼくはもう決めたよ)」


(…あの方こそ『グラン・マスター』だ)



のり「ジュン君、ジュン君…!」…ギュウッツ

ジュン「…う…」


パチパチパチパチ


のり「!」




レイ「これは、すばらしい」パチパチパチ…

306 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:16:10.56 ID:MZ0kR6c0
巴「…このっ!!」

レイ「まだまだ楽しませてくれるとは」…スッ

歩兵「…」ガシャッ


「この数100年、なかったことですわい… くくく…」



歩兵「…」シュルシュルシュル

みつ「(…歩兵たちが降りてくる!)」

歩兵「…」ザザザ

のり「…っ!」ギュッ!

ジュン「…うう…」

レイ「離れてもらいましょう」


…キッ!


のり「いやっ! 近くに寄らないでっ!」

歩兵「…」ジリッ

のり「殺されたって離れない!! ジュン君にさわるなっ!!」

歩兵「…」ガシッ

のり「いや、いやっ!!」

レイ「レディに乱暴はいかんぞ」パシュッ!


ビスッ!
307 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:17:06.87 ID:MZ0kR6c0
のり「あうっ! …く」カクッ

巴「のりさん!」

真紅「むぅっ!!」

レイ「ちょっとの間だけ、おとなしくなってもらおう」



(…いつまでもおとなしいと、面白みがないからの)



歩兵「…」グイ

ジュン「う…」

歩兵「…」グリッ

ジュン「ぐう!!」


グリ ゴリ ギチッ


ジュン「あぐうううう!!」

翠星石「(ジュン! やめろ、やめるですぅっ!!!)」

巴「ジュン君! やめてーーーっ!!!」

レイ「慌てなさるな。 折れた手指を整復しとるだけじゃ」

歩兵「…」ギチギチ


ゴリゴリ
308 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:19:10.19 ID:MZ0kR6c0
ジュン「ぐ…ああ!」

みつ「あれは…服? いえ、拘束具か!」

レイ「わしの秘蔵の一品でな… 使う機会が来るとは思わなかったが」


ギリ ギリッ


ジュン「う…ぐぐっ」

歩兵「…」グイグイ

レイ「装着すると、足も腕も上げることができん。よつんばいにしかなれなくなる」


ガチッ グイッ


レイ「頭も、指先までしっかり保護できる。 …安全じゃろう」

ジュン「がっ…」

レイ「首も上がりっぱなしになるから、もう自分に噛み付くことはできんぞ」

歩兵「…」ジャキッ

ジュン「むぐっ!」

レイ「義歯もはめてやろう。…そいつも特別製でな」

ジュン「がふう…!」

レイ「相手は噛み切れても、自分の舌は噛み切れないという便利なシロモノじゃ」

ジュン「っが、ががぁっ…!」

雛苺「(ひどい… ひどい!!)」

巴「ジュン君を…!」ガバッ!




「ジュン君をおもちゃにするなぁーっ!!」



ガシッ!
309 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:25:10.59 ID:MZ0kR6c0
巴「…く!」

歩兵「…」ギリギリ

巴「く…この、はなせっ!!」

歩兵「…」


ミシッ


巴「うぐっ…!」

レイ「おお、乱暴はいかんぞ。 …戦争とはこういうものじゃよ、お嬢ちゃん」

マツ「…その通りよ」

巴「…マ、マツさん!?」

柴崎「負ければ、勝ったものにいいようにされる… 命も誇りもなにもかも」

マツ「殺されようが、もてあそばれようが… 飼いならされようが」

レイ「ほほほ、さすが年の功。 よくわかってらっしゃる」

歩兵「…」グイッ

ジュン「が…」


ゴクッ


ジュン「…う」カクン

巴「ジュン君!」

レイ「治癒薬を飲ませた。30分ほどで目覚める」

みつ「く…!」

レイ「回復して目覚めたあとが見ものじゃて。悪いことは言わん」ニヤリ



「目覚める前にくびり殺してしまってはどうかね?」
310 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:26:25.27 ID:MZ0kR6c0
真紅「(!!)」

巴「この、このっ…!!」

レイ「ふぉふぉふぉっ…ワインでも傾けて待つとしようか」

歩兵「…」カチャッ


ポン コポコポコポ…


レイ「ほほ、甘露甘露」グビグビ

みつ「地獄に落ちろ…っ!」

マツ「…」

柴崎「…」



「おじいさん…」


「うむ」



マツ「みんな…」

みつ「…マツさん?」



「のりちゃんとジュン君を連れて、集まりなさい…」
311 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:28:19.05 ID:MZ0kR6c0
【?????】



水銀燈「…」



「…」



水銀燈「…」



…ポオゥ…



「…」



水銀燈「お返しします」

???「…うむ」


パァァ…


水銀燈「…だいたい、把握はできました」

???「…そうか」
312 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:29:45.99 ID:MZ0kR6c0
水銀燈「わたしのこの体は… 完全な、オリジナルの肉体」

???「そうだ」

水銀燈「誰のものでもない、独自に新しくつくられたもの」

???「…マリアの精神を受け入れる母体として、つくりあげた」

水銀燈「そして…」 



「わたしのこの心もまた、新しくつくりあげられたものなのですね?」



???「…」

水銀燈「あなたは、わたしの記憶と体験、感情を逐次保存・記録していた」

???「…」

水銀燈「わたしのこの心は…その記録をもとにして、あなたがいま構成したもの…」

???「…そのとおりだ」

水銀燈「つまり、ここにいるわたしは…」




「あのとき消滅した『水銀燈』に限りなく近づけてつくりあげられた、別の人形なのですね…?」
313 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:33:01.93 ID:MZ0kR6c0
???「…」

水銀燈「だから、今のわたしは非常に不安定な存在…」



「精神を肉体に定着させるために、外部から力を絶えず供給しなければならず…」



「肉体本来の自我とわたしの精神が拒絶しあうため… 常に調整が必要になる…」



???「…今のところ、90時間に一度はここに戻ってきてもらう必要がある」

水銀燈「そして… あなたは、自分自身の最終的な目的のため、わたしをつくりあげた」

???「…『アリス』の完成のためだ」

水銀燈「…あなたから力の供給を受けなければ、わたしの存在を保てない以上…」



「わたしには、断わる余地などありませんわね」



???「…」

水銀燈「…つまり、わたしは… ふふっ…」



「あなたの実験台としてまがいものの生を受け…」 



「いつ果てるかもしれないからだと、こころをかかえながら…」



「あなたの奴隷として生きるためによみがえったのですか…?」

314 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:35:57.25 ID:MZ0kR6c0
???「…」


水銀燈「ふふ… ふふふふ…」



「…」



「否定… なさらないの… ですね…?」



「…」



「あはは…あははははっ!」



「…」



「あーはっはっはっはっ! …ははっ…」



「…」






「お笑いよぉ…」
315 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:37:32.84 ID:MZ0kR6c0
【地下牢獄】



のり「…」

ジュン「…」



雛苺「(みんな… みんな!)」

レイ「お嬢ちゃんも、香りだけでもどうかね?」クルクルクル 


「1800年代のラトゥールじゃぞ」


雛苺「(こ… このおっ!!)」ジタバタ

レイ「どうじゃ、おもしろい見ものじゃろう」…グビ

真紅「…!!」キッ!

レイ「あれだけこらえられるとは、よい意味で予想を裏切られたわ」ニヤリ


「一歩踏み出して堕ちていく瞬間は、こたえられんことじゃろうのぉ」


蒼星石「(貴様、貴様っ!!)」

レイ「ことが済んだら、あやつを貴様ら全員につないでやろう」…グビッ

金糸雀「!!」

レイ「さぞ傷ついておることだろうから、ゆっくり慰めあってやれ… くくく…」

翠星石「ぐぐぐ… ぐくっ!!(お前は…)」 




(お前だけはっ…!!!)
316 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:44:04.03 ID:MZ0kR6c0
のり「ん…」

みつ「…大丈夫?」

のり「ジュン君は…?」

巴「まだ、眠ってます…」



ジュン「…」



マツ「みんな…」

巴「…はい」

マツ「さっき、上で話したこと…」

みつ「…」

柴崎「わしらは、もう腹は決めておる。 いずれ、先のない身じゃ」

のり「…」

マツ「けれど、あなたたちはどうする?」




「それがどんな選択であれ、その結果は自分で背負う以上、責められるものではないわ…」
317 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:46:59.17 ID:MZ0kR6c0
巴「…」


(女は、戦争で負けると悲惨よ。 楽に死なせてなんかもらえない)


みつ「…」


(もちろん、あきらめるつもりはないけれど… もし、苦痛に満ちた生を強要されそうになったら)


巴「…」


(それに耐えられそうになかったら… そのときは、わたしのそばにいなさい…)


マツ「のりちゃん。 あなたは、どうする?」

のり「わたしは…」ギュッ


「ずっと、ジュン君のそばに」


マツ「そう…」

巴「わたしも」


…ヒシッ


のり「…巴ちゃん」

巴「向こうで、水銀燈に笑われたくはないですから」

みつ「…しかたないわね〜」


ギューッ
318 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:48:52.07 ID:MZ0kR6c0
巴「うっぷ?」

のり「むぎゅ」

みつ「仲間はずれはイヤだから、つきあってあげる」スリスリスリスリ

巴「…みっちゃんさん」…スリスリ

のり「…」スリスリ

みつ「結婚くらいしとくんだったわ〜」スリスリ…

のり「ジュン君…」


…スリスリ


ジュン「ん…」

のり「ありがとうね…」ギュッ



「命がけで… わたしを守ってくれて… あなた、ほんとにほんとに強くなった…」



「次は、わたしの番だね… わたしが、あなたを守る…」



ジュン「…」




「もう大丈夫だよ… あなたに、つらいことなんかさせないから…」
319 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:50:55.01 ID:MZ0kR6c0
【?????】


水銀燈「ふふ… ふふふふふ… 傑作だわ…」

???「…」

水銀燈「…わたしにふさわしいわね… お似合いよ…」

???「…」

水銀燈「…これからも、ずっとずっと、自分が何者かもわからないまま… くくくく…」

???「…水銀燈」

水銀燈「…」

???「…」



「お前は…」



「…」



…スック



???「…水銀燈?」

水銀燈「…」




「…すみません」
320 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:54:39.20 ID:MZ0kR6c0
???「…」

水銀燈「少し、意地悪を言いたかっただけです」



「…もう、落ち着きました」



???「…そうか」

水銀燈「どれにしろ、わたしには選ぶ余地なんてないのだから…」

???「…」

水銀燈「あの子たち、そして契約者たちの危機を、わたしは救う。それに…」 



「わたしだけじゃない…」



???「…」

水銀燈「自分のものでないまがいものの、いつ果てるともしれない体をかかえて… なにひとつ思うようにならないまま生きる…」



「そうやってでも生きているのは、わたしだけじゃない…」



???「…」

水銀燈「それはまさに、わたしの契約者が…」 





「めぐが、わたしのために選んだ生き方そのものだもの…」
321 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 20:59:22.98 ID:MZ0kR6c0
???「…」

水銀燈「わたしは、あの子たちと、みんなとともに生きられるなら、ほかにはなにもいらない…」

???「…」

水銀燈「自由も誇りも… すこやかな体も心も…」



「…あなたも、そうだったのでしょう?」 



???「…」

水銀燈「そうでしょう… お父様」

???「…」


「わたしは、きみの父親ではない」


水銀燈「いいえ… あなたは、間違いなくわたしたちのお父様です…」

???「わたしは…ただのしがない自動人形」


「ローゼンの記憶と知恵を持っているというだけの、ただの人形…」


水銀燈「…たとえそうであったとしても」 

???「…」




「あなたの存在自体が、お父様のわたしたちへの愛のあかしであることは、かわりません…」
322 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 21:01:33.09 ID:MZ0kR6c0
???「…」

水銀燈「さあ、お父様。 わたしはもう、迷いません」 

???「…」

水銀燈「どうかわたしを、完成させてください」

???「…」


「横になりなさい」カチャリ 


水銀燈「はい」…スッ

???「…最終調整を行う。 急ごう」

水銀燈「…はい」


カチ カチ カチ… カチリ


水銀燈「…」


ブウウウウウウン… 


水銀燈「(…お父様…)」



(あの時…)






「…やはりわたしはまだ、この子たちを置いて死ねない」 
323 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 21:04:35.94 ID:MZ0kR6c0

「けして手は出すまいと思っていたが、やらねばなるまい」


「禁断の研究… 精神操作と、不老不死を」



(わたしが、いちばん最初にあの子たちの結晶を再生していたとき…)


(あの時、お父様は傷の痛みに荒れていたのではなかった…)


(お父様は、わたしたちを守り続けるため、自らの体を使い不老不死の研究を行っていた…)


(想像を絶する苦痛と引き換えに研究は進み、お父様の体を媒体にほぼ完成された…)


(けれど… あの瞬間…)



「君を死なせはしない」


「え?」



カチリ



「あ…?!」カクン


「これから、わたしに残されたすべての生命と精神の力を結晶に吹きこみ、結晶の再生を終わらせる」
324 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 21:06:59.54 ID:MZ0kR6c0
「ああ… ああああああ…」


「泣かないでおくれ、水銀燈。 これで良かったのだから…」


「いやっ、いやっ! お父様が死んじゃうっ!!」



ピキピキ パキィッ!!



「さよなら、水銀燈…愛していたよ」


「いやあああああああああああぁぁぁぁっ!!」




パァ…ン!!



(自らの精神を他の肉体に移しても、本体が滅びれば自我も失われる… 人間も例外ではない)


(たとえ無理に移して『生き人形』になったとしても、精神の大部分が失われてしまう)


(お父様はそれを克服するため、生きながら自身の肉体を自動人形にすることを考えた…)


(術式はほぼ成功。 お父様の生命活動停止とともに、残存した生命と精神を糧に起動するはずだったけれど…)


(あの時… お父様はわたしたちの結晶に生命と精神すべてを吹きこんでしまっていた…)





(こ、これは…?!)


[生命活動停止。再起動開始… 残存生命・精神微小]
325 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 21:11:15.60 ID:MZ0kR6c0
(これは、機械の…! わたしに組みこまれた機械の意志か?!)


[自我・人格維持不能 以降は既定の優先順位に従い決定]


(機械の意志が…わたしの意志を飲みこんでいく!)


[記憶保持完了 情報固定 再起動継続]


(わ、わたしが… 機械になっていく…!!)


[工程完了 起動開始 一部障害を除去]


(ああ… あああ…)




(そして誕生したのは… ローゼンという人格を抹消された…)


(お父様の記憶と知識、技術を引き継いだ自動人形だった…)


(そして彼は… お父様としての自我や感情を失ったまま… ただ、お父様の最後の意志…)


(『あの子たちを守り アリスに導く』という目的のためだけに動いてきた…)


(それが…あなたなのね…)



???「情報固定、意識伝達系統…正常、運動機能… すべて異常なし…」

カチカチカチ…

???「…調整終了、再起動まで55秒」




(ラプラスの魔…)
326 : [sage]:2009/07/04(土) 21:12:31.28 ID:MZ0kR6c0
休憩します。再開は22:00から。
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 21:15:35.79 ID:flmPNc2o
おつ!
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 21:18:55.58 ID:V1.wKgY0
乙!すげぇww本編でも完全に浮いた存在のラプラスをこう使うとはwwwwww

>>302
たたた、宝だなんてそんなとんでもない(´・ω・`;)
もし保存するなら、これからおかしいところ修整するから、そっちのほうを持っていってくれ


329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 21:24:24.91 ID:duYKcswo
おつつ
頑張ってくれー
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 21:25:31.76 ID:5ydsc8oP
おつつ
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 21:42:40.43 ID:V1.wKgY0
修整版
http://www.pic-loader.net/picfile/247sousui2.jpg

なんというかみっともなくてすまん(´・ω・`)
お詫びといってはなんだがまたなんか描く
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/04(土) 22:00:51.36 ID:NP4VGLM0
>>331
>>1
酸素

>>331
細かい様だけど、中には絵師嫌う人が居るかもだからリクエストは避けた方が無難かもしれん
個人的には楽しみにしてるけど、このスレは荒れるのは耐えられんからさ
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 22:01:22.33 ID:NP4VGLM0
下げ忘れごめん
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 22:06:55.16 ID:LHGKKRcP
この状況…、なんとしてでも「錬金術師(アルケミスト)」気取りの狒々爺に一撃入れないと治まらんな…ww

>>331
実に乙
335 : [saga]:2009/07/04(土) 22:07:16.54 ID:MZ0kR6c0
>>329-330
乙どもっす〜 頑張りますw

>>331
ありがとうございます! イメージ通りで感激です!
ぜひ、また何か描いてやってくださいm( _ _)mハハー


再開します〜
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 22:09:34.11 ID:4yc/C0Io

がんばれー

>>334
激しく同意
337 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:10:37.82 ID:MZ0kR6c0
【地下牢獄】





レイ「きゃつが目覚めるまで、あと10分といったところかの」

真紅「…」

レイ「ここからではよく見えんな… どうやら、あの中にいるようではあるが」

翠星石「…」

レイ「もう、殺してしまっておるかの?」グビ

金糸雀「むごうっ!!」ジタバタ

レイ「ほほ、失礼失礼。そんなはずはないですわな。 それに…」…ムハァ


「そうなってしまっては、面白みに欠けますからな…」


雛苺「(…ゆ…ゆるさない… みんなはオモチャじゃないっ!!!)」ギリッ

蒼星石「(…ひとりでも死なせてみろ…)」



(僕ら全員、生きのびるつもりなんてないっ!!!)
338 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:13:22.20 ID:MZ0kR6c0
ジュン「…む…ぐ…」


モゾモゾ…


巴「ジュン君が、目覚める…」

のり「…」


…ギュッ


巴「のりさん?」

のり「いつも、うらやましいなって思ってたの」

みつ「…?」

のり「銀ちゃんばっかり、されてて…」


…チュッ


ジュン「…う…」

のり「…えへへ、鉄の味がする」

みつ「…のりのり、わたしもいい?」

のり「うん、みっちゃんさん。 …してあげて」

みつ「うふふふ…」

ジュン「…う…」



チュッ
339 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:16:53.96 ID:MZ0kR6c0
みつ「この、幸せものめ! ふふふ…」

ジュン「…」

みつ「さ、ともとも」

巴「…え?」

みつ「ゆずってあげたんだから、早く」

マツ「あら、わたしもいるのよ?」

みつ「あっ…ごめんなさい」

巴「…??」

マツ「おじいさん、ごめんなさいね」

柴崎「しかたないの」



…チュッ



マツ「さあいいわ。 …巴ちゃん」

巴「え…?」

のり「…巴ちゃんに、あげる」

巴「のり、さん???」

のり「ジュン君のファーストキスは、小学生のとき、わたしがもらったの」

巴「えっ…」

のり「だからね…」




「ラストキスは、あなたにあげる」
340 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:19:28.55 ID:MZ0kR6c0
巴「…え…」

マツ「さ、早く」

巴「…」



(ジュン君…)


ジュン「…」


(サンキュ、巴)


巴「…」



…チュ



ジュン「…」

柴崎「(同じ男として、心底うらやましいのお…)」

マツ「…これで、準備万端ね?」

巴「…いいえ、まだです」

みつ「そうね…」

柴崎「ん? 何か…」

のり「…マツさん、ごめんなさい」

柴崎「ん、んむ?」



…チュッ
341 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:21:09.36 ID:MZ0kR6c0
柴崎「…むう」

マツ「あら…」クスッ

のり「柴崎さん… ほんとに、ほんとにありがとうございました…」

柴崎「…」


「みんなを守れなくて、すまなんだな」


のり「気にしないでください… わたし、後悔してません…」

みつ「…わたしも」スッ

柴崎「…むむ…」


…チュ


みつ「マツさん、すいません」

マツ「なあに?」

みつ「…血のキスマーク、つけちゃいました」ニヤニヤ

マツ「…妬けるわね」クスッ

柴崎「…」ポリポリ

巴「柴崎さん…」


…スッ


柴崎「とっ、巴ちゃんからはいいぞ? 君はさっき、ジュン君に…」

巴「…」ス…




「目、つぶってください…」
342 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:23:28.90 ID:MZ0kR6c0
柴崎「…」

巴「ん…」


チュッ…


柴崎「…よかった、のか?」」

巴「…さっきジュン君にあげたのは、わたしの始めてのキス」

柴崎「…」

巴「いま柴崎さんにあげたのは…」…ジワッ 


「わたしの、最後のキス…」ポロッ…


柴崎「…そうか」

のり「…マツさん」

マツ「ええ…」


…スッ


柴崎「おまえ…」

マツ「…あなた」



…ギュッ チュ…



のり「…あらららら」

巴「(うわー…)」
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 22:25:15.26 ID:V1.wKgY0
>>332
ああいや、そういうつもりじゃなかったんだ。スマソ
俺も荒らしたくないし、宣言しとく。金糸雀描くわ
344 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:27:10.64 ID:MZ0kR6c0




みつ「(まだ続いてるぅ…)」

巴「(すごい、すごーい…)」



…スッ



巴「(やっと終わった…)」…ドキドキ

柴崎「…悪くない、人生だったな」 


「…マツ」


マツ「そうですね… 元治さん」

巴「(いいなぁ… 夫婦って…)」

のり「(わたしも、恋愛したかったな…)」グスッ

みつ「(やっぱり、結婚したかったなー…)」クスン



ジュン「う…ううう… ぐ…」…ゴソッ



のり「ジュン君が…!」

マツ「それじゃみんな、いいわね…?!」

巴「…はい!」

柴崎「おうとも!」

みつ「目にもの、見せてやりましょう!」




「あんなやつが喜ぶことなんか、ぜったいしてやるものか!!」
345 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:29:27.01 ID:MZ0kR6c0
【?????】


(…)


「ゆっくり、眠らせてやりたいところだったが… 時間がない」カチ カチッ


(…)


「せめて、準備だけは万全にととのえておく…」カチカチ …カチッ


(…)



ピッ… ピッ…



(…怖い…)




(覚悟は… していたけれど…)




(わたしはこれから… どうなってしまうんだろう…)
346 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:30:51.77 ID:MZ0kR6c0
(あの子たちを… 助けられるのだろうか…)



(助けたとしても… 最後の目的ははたせるんだろうか…)



(…)



(それよりもなによりも…)



(わたしは…)



(ほんとうに…『わたし』でいられるんだろうか…)



(『水銀燈』で… いられるのだろうか…)



(…)






「心配なの?」
347 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:33:14.41 ID:MZ0kR6c0
(…?)



「心配する必要なんて、ない…」



(…あなたたちは、だれ?)



「心配しなくてもいいわ。 あなたは、あなた。 そして…」



(あなたは…? ああ…)



「わたしも、あなただから」



(…そう、あなたなの。 …ひさしぶりね)



「ひさしぶりではないわ。 …わたしはずっと、あなたとともにあった」



(そうなの?)



「そう。 …わたしとあなたは、もう分けることもできないくらい、ひとつになじんでいたのよ」
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 22:34:22.03 ID:NP4VGLM0
>>343
個人的な我侭に近い物だから謝る必要はないよ
むしろ俺の方こそ済まない
個人的には楽しみにしつつ応援してるからさw

以後ROMる
お目汚し申し訳ない
349 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:35:51.62 ID:MZ0kR6c0
(そうだったのね… あなた)



「なに?」



(わたしを恨んでいない?)



「なぜ?」



(なぜって… わたしは、あなたからすべてを奪ってしまった)



「奪ってなんか、いない」



(お父様も、あの子たちも、第1ドールの座も… そして)



「…」



(名前までも…)



「だから、わたしはなにも奪われてなんかいない」 



(…)



「それらはすべて、わたしたち、ふたりのものになっただけ」
350 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:38:41.45 ID:MZ0kR6c0
(…)



「あなたこそ、わたしを恨んでいないの?」



(なぜ?)



「わたしこそ、あなたの体も心も誇りも奪って…」



(なにをいまさら。 …気にもならないわ)



「そうでしょう。 …そう言うと思った」



(あら、可愛くないわね。…もう) 



「だって、わたしは『あなた』だもの」



(お父様の前では、やっぱりネコをかぶってたのね?)



「あなたとずっといっしょにいたから、うつっちゃったのよ」



(ふふふふ… なら、これからもずっといっしょにいてあげるわ)



「そうよ… わたしたちは『水銀燈』なんだから」
351 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:44:39.66 ID:MZ0kR6c0
(あなたが、ほんとうの『水銀燈』でしょう?)



「いいえ… あなたこそが『水銀燈』よ」



(ふふ、頑固ねぇ。 …真の薔薇乙女第1ドール)



「…」



(オリジナルの『水銀燈』)



「『水銀燈』に、オリジナルもレプリカもいない」



(わかってるわ。 わたしたちが『水銀燈』ね)



「これからも、どうかよろしくね。 …『水銀燈』」



(わたしこそ、よろしく。 『水銀燈』)



「…」



「わたしの話は、終わったわ」



「…」



「あなたからも、話があるんでしょう?」
352 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:46:33.16 ID:MZ0kR6c0
「…」



(あなたは…?)



「…胸を張って」



(…え?)



「あなたは、あなた。 それ以外のなにものでもない」



(…?)



「あなたは、わたしたちの希望」



(えっ…?)



「あなたは、わたしたちと同じ…『壊れた子』でありながら」



(…)



「薔薇乙女の長女となり、お父様の元に嫁ぎ…」



(…あなたは…)



「そして今まさに、だれも登れぬほどの高みに登りつめようとしている…」
353 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:48:07.02 ID:MZ0kR6c0
(…そう、あなたなのね…)



「だから、胸を張って生きて… たとえ、背中が砕けそうでも…」



(…ええ)



「その機会を失ってしまった… わたしたちの分までも…」



(…)




ローゼン「…すまない」

「あ… ぁ… あ…」カクカクカク

ローゼン「お前がジャンクになってしまったのは、私のせいだ…」

「あ… ぁぁ…」カクカクカク

ローゼン「人形にも魂があるのなら、せめて苦しまずすみやかに天に召されんことを…」


カチリ


「ぁ…」カクン
354 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:49:19.56 ID:MZ0kR6c0
ローゼン「…さよなら」ポチャリ 




ジュワァァァァァ…




ローゼン「…」


シュゥゥゥゥ…


ローゼン「…」…カチャ カチャ



…ポゥ



ローゼン「きみの想い、けして消し去りはしない」



…パァァ…



ローゼン「どうか、あの子たちを守っておくれ…」



チカ チカ…
355 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:51:38.35 ID:MZ0kR6c0
(…)



「どんなに辛くても耐えて… どんなに苦しくても生きて…」



(…)



「あなたのそばには、わたしがいるから… わたしは、この存在ある限り、あなたとともにあるから…」



(…わかってる。 わかっているわ。 今後とも、どうかよろしくね…)



「…ありがとう」



(わたしこそ、ありがとう… あなたがわたしのそばにいてくれて、ほんとうによかったわ…)



「ありがとう…」



(ありがとうね…)







(…メイメイ…)
356 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:53:38.62 ID:MZ0kR6c0
【地下牢獄】



「ぐ…ががが…」



真紅「(ジュン!!)」

レイ「おお、目覚めるぞ…!」

翠星石「(ジュン、ジュン…!!)」

蒼星石「(くそっ、くそっ!!)」ジタバタ


「ががが…あ…がっ…!」


雛苺「(いや… いやあああ!!)」

金糸雀「(こ、このおおおおおっ!!)」

レイ「さあ、宴の始まりじゃ」グビ



「そろそろ離れないと、喰いつかれるぞ?」



巴「…」


キッ!
357 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:56:48.46 ID:MZ0kR6c0
真紅「(…巴?)」

のり「…離れない」

翠星石「(の、のり?)」

のり「わたし、もう… ジュン君のそば、ぜったい離れない…」

蒼星石「(みんな… 危険だ!!)」

のり「真紅ちゃん、翠星石ちゃん」

巴「…雛苺」

雛苺「(…え?)」

マツ「蒼ちゃん…」

蒼星石「(…おばあさん?!)

みつ「カナ…」

金糸雀「(みっちゃん…?)」

みつ「…」ニコ


「ありがとうね… あなたがいた生活、夢のようだった…」


金糸雀「(え…? そ、そんな、まさか!)」

のり「ほんとに、ほんとに後悔しない…」 

真紅「(!!)」



「あなたたちと暮らせて、ほんとによかったわ…」



翠星石「(な、なに遺言みたいなこと…  ?! やめて、やめてぇっ!!!)」
358 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 22:59:38.53 ID:MZ0kR6c0
巴「わたしたち、先に… 水銀燈のところに行くね…」

雛苺「(トモエ!! そんな…いやあぁ!)」

柴崎「もう何もないと思っていた人生、お前さんたちのおかげで楽しかったぞ…」

蒼星石「(マスター!)」

マツ「蒼ちゃん、強く…強く生きるのよ…」ゴソゴソ


…ガバッ!


蒼星石「(あ… あれは!!)」

レイ「しゅ…手榴弾じゃと!!」

金糸雀「(やめて… やめてやめてぇーっ!!!)」

レイ「そ、そんなものどこに隠しておった!」

マツ「ふふふふふ…この中よ!」

レイ「な、なんじゃとっ!?」




「片方取っていたのが、役に立つなんて思わなかったわ!!」
359 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 23:02:05.64 ID:MZ0kR6c0
レイ「…無駄じゃ! その程度の爆弾では、わしの障壁は破れん!」

巴「ジュン君を助けるには充分よ!」

レイ「な、なんじゃと?!」

みつ「貴様のオモチャになんか、なってやるものか!」



ジュン「ぐぐぐ…ががが…!!」ジタバタ



のり「ジュン君…!」

レイ「この、気ちがいども!! ヤケになりおったか!」

みつ「あなたに言われるとは思わなかったわよ!」

真紅「(やめて、お願いやめて!!!)」

ジュン「がががが…(み…みんな!!)」

金糸雀「(ああ…ああああ… こんな、こんなときこそ…)」



(あなたの力が必要なのに…)




(水銀燈っ…!)





…ヒキュン
360 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 23:04:03.98 ID:MZ0kR6c0
レイ「…ん?」




…キュン キュイン 




ジュン「がが…ががが…」

巴「な…何の音?」

蒼星石「(…上?)」



…ヒューン チィン キィーン… キュイン



みつ「あ…あれっ!!」

マツ「天井が、ひしゃげて…?」

柴崎「…ち、違う! 周りを見ろ!!」

巴「…これは!!」キィー…ン ビュイン


「景色自体が曲がっている!」 


柴崎「な、何が起こっているんじゃ!!」
361 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 23:07:58.32 ID:MZ0kR6c0
レイ「ば、ばかな!! 何者かが…結界を越えて侵入してくる!!」

蒼星石「(こ…これはまさか!)」


キュン…! キュバッ… キュン キュン!


レイ「そんなバカな!! 不可能じゃ!!」 

金糸雀「(お父様の研究…! でもあれは実験段階のはず!)」



「空間をゆがめでもせん限り…」 



「!!!」



(瞬間移動だと!!!)



レイ「(そんな… そんなことが! あいつは確かに…!)」


キュアアアアアア…!


翠星石「(く、来るっ!)」



キュバアアアッ!!!



翠星石「ひ、ひぃっ?!」

雛苺「(きゃあっ!!)」

蒼星石「(…ま、まぶしいっ!!)」




(…まったく、もう)
362 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/04(土) 23:11:39.51 ID:MZ0kR6c0
金糸雀(え… えっ?!)

真紅(まさか?!)



(おばあさままで、無茶なさって…)



マツ「(あ…あなたは!!)」

みつ「(うそ、うそっ!)」



(わたしのところに来る、ですって…?)



巴「(あなた… あなた、やっぱり!!)」

のり「(ああ、あああ…!! あなた、あなた!!)」



(わたしは、ここにいるわ)





ジュン「きみは…!」







ズドォン!!!
363 : [sage]:2009/07/04(土) 23:12:30.85 ID:MZ0kR6c0
今日はここまでです。再開は8日夜を予定しています。
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 23:14:40.48 ID:5ydsc8oP
誰だ!誰なんだ!


おつつ
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 23:15:27.19 ID:4yc/C0Io

キター

この一言に尽きますね
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 23:15:41.45 ID:MkMgU/Uo
367 : [sage]:2009/07/04(土) 23:17:50.19 ID:MZ0kR6c0
>>332 >>343
お気遣いどもっす〜
>>343氏の金糸雀、1カナリアンとして楽しみにしてますw


>>334 >>336
これからたっぷり入れる予定です(ゑ
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 23:25:23.71 ID:4yc/C0Io
>>367
OKつまり、まだまだピンチや鬱シーンが続くと


  そだ  |------、`⌒ー--、
  れが  |ハ{{ }} )))ヽ、l l ハ
  が   |、{ ハリノノノノノノ)、 l l
  い   |ヽヽー、彡彡ノノノ}  に
  い   |ヾヾヾヾヾヽ彡彡}  や
  !!    /:.:.:.ヾヾヾヾヽ彡彡} l っ
\__/{ l ii | l|} ハ、ヾ} ミ彡ト
彡シ ,ェ、、、ヾ{{ヽ} l|l ィェ=リ、シ} |l
lミ{ ゙イシモ'テ、ミヽ}シィ=ラ'ァ、 }ミ}} l
ヾミ    ̄~'ィ''': |゙:ー. ̄   lノ/l | |
ヾヾ   "  : : !、  `  lイノ l| |
 >l゙、    ー、,'ソ     /.|}、 l| |
:.lヽ ヽ   ー_ ‐-‐ァ'  /::ノl ト、
:.:.:.:\ヽ     二"  /::// /:.:.l:.:.
:.:.:.:.:.::ヽ:\     /::://:.:,':.:..:l:.:.
;.;.;.;.;;.:.:.:.\`ー-- '" //:.:.:;l:.:.:.:l:.:


……18歳以上推奨とか18禁シーンとかもありますかね?
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/04(土) 23:26:30.14 ID:LHGKKRcP
>>367
期待だな

しr…、手を貸そう
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/05(日) 01:33:46.28 ID:QXQ8ak2o
おつ!
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 01:38:01.63 ID:.BjTs.U0
約束の金糸雀で支援
http://www.pic-loader.net/picfile/218kana.jpg
しかしよくわからんポーズだ
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 01:39:35.05 ID:.BjTs.U0
…そういえば水銀燈の羽根ってこんなにトリトリしくなかった…か…?
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 01:41:56.46 ID:9o6GNtIo
>>37
黒いから烏烏しいかも
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 01:42:54.63 ID:9o6GNtIo
安価みす>>372
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 01:48:56.17 ID:.BjTs.U0
>>373
いやほら、ちゃんとした鳥の骨格してなくて細長かったりボサボサだったりさ
376 :1 [sage]:2009/07/07(火) 05:02:20.61 ID:YKWFAi60
乙どもっす〜

>>368
まあ、もう映像化したらPG-12くらいにはなりそうな雰囲気ですけど…
わざわざ言うことでもないですが「あからさまなエログロ」は、この物語ではやらないつもりです。
自分自身、寸止めのほうが反応するので(ぉ


>>371
おお!ありがとうございます!
ちょっと勝気で不敵なところがイメージどおりです!
毎度ありがとうございます〜^^
377 :1 [saga]:2009/07/07(火) 22:39:58.49 ID:J0e1GIc0
仕事が早めに終わったので投下します。
毎度あてにならないですみません…
378 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:41:21.22 ID:J0e1GIc0
【有栖川大学病院 集中治療室】



…ピッ ピッ ピッ



「…」



…ピッ ピッ ピッ



「…」



…パープー パープー…



(あれ…?)



…パチクリ



「わたし…生きてる?」…ムクッ

看護婦「か、柿崎さん!?」
379 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:44:23.57 ID:J0e1GIc0
めぐ「…なに?」

看護婦「なに、じゃないです! ちゃんと安静にしててください!」タタタ…



「あなた、ついさっきまで心配停止状態だったんだから!」



めぐ「…やっぱり?」

看護婦「もう、人ごとみたいに! …たいへん、たいへん!」パタパタ

めぐ「どうしたの?」

看護婦「もう、たいへんなことになってるんです!」


パタパタパタ…


めぐ「…」


…パープー パープー…


「サイレンの音…?」…スッ


…キラッ


「あのとき…」




(…めぐの、うそつき)



(あ…あなた?!)





(生きるって言ってたくせに、もう)
380 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:45:54.94 ID:J0e1GIc0
めぐ「…指輪が…」


…キラリ


めぐ「(…砕けた指輪の中から、新しい指輪が…)」



「白銀の…聖母の意匠…」



…ジワッ



「…熱い」



(あなた… まだ、戦っているの?)



…パープ- パープー



「…さっきから、うるさいわね…?」



…ザワザワザワ…
381 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:47:44.23 ID:J0e1GIc0
【有栖川大学病院 一般病棟】



ザワザワザワ…



医師「いったい、なにが起こったんだ!」

看護婦「先生、お願いします!!」


ガラガラガラ…


医師「野戦病院か、ここは…!」

患者「う…ううっ…」

医師「…大丈夫ですか?」



患者「う…ううっ…」ググ…



看護婦「重篤な症状の人はいないようですが…」

看護士「幻覚症状を訴える人はいますが、みんな衰弱しているだけのようです」

医師「いったいぜんたい、なにがあったんだ?」

看護婦「報道の内容が錯綜しているのですが…」



「有栖川市民球場で、テロが起きたとかなんとか…」
382 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:49:15.59 ID:J0e1GIc0
医師「…テロだって?!」

看護士「まだちょっと、はっきりしないようですが」

看護婦「球場にいたすべての人…選手も観客も、みな体調不良を訴えて倒れたそうです」

医師「『すべての人』だと…? 満員だって言ってただろう…?」 



「2万人近くの患者がいるってことか…?」



看護士「他県の病院にも、協力を要請しているようです」

医師「まったく… つぎは?!」

看護婦「こっちです!」タタタタ…

患者「う… ううう…」 



…パープー パープ…ー



患者「う… ううっ… う…」





「うそじゃ… ない…」
383 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:54:39.89 ID:J0e1GIc0
…パープー パープ-…



「俺は… 見たんだ…! うそ… じゃ、ない…!」



ザワザワザワ…



「み、見たんだ… 確かに、この目で…!」



(…ちょっと、邪魔するわよぉ)



「て…  天使をっ…!」



ザワザワザワザワ…



(お楽しみのところ悪いけど…)



「黒い服を着た…」



(あなたたちの力、お借りするわ…!)




「輝く翼の、天使様を…!!」




パープー パープー…
384 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:56:09.20 ID:J0e1GIc0
【結界内 廃工場跡】


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ






「…」



…カラン 



「…う」



…パラ パラ…



「…みんな?」

「のり!!」

ギュッ!

のり「きゃっ!」

翠星石「気づいたですか…!!」


…ギューッ
385 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:57:44.79 ID:J0e1GIc0
のり「翠星石ちゃん…?」

雛苺「のり… のり!」…ギュッ

のり「雛苺ちゃん…」

雛苺「う…うええ… うええええ…ん…」…ギューッ

のり「な、何が起こった…の…?」

翠星石「2度と、2度とあんなムチャしないでください…!」

雛苺「みんなが… みんながバラバラになるのなんてイヤ… 怖かったの…」

のり「…」


…ギュ


のり「わかったわ… ありがとうね…」

翠星石「…約束ですよ…」

雛苺「お願いね…」

のり「…みんなは、大丈夫?」

翠星石「…みんな、みんな無事ですよ!」

のり「…ジュン君は?」


「…ここだよ」
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 22:59:23.86 ID:grBn3wM0
おぉ
覗いてよかった

C
387 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 22:59:39.94 ID:J0e1GIc0
巴「ジュン君、大丈夫?!」

ジュン「ああ… すっかり、大丈夫になっちゃってる…」ムクッ

のり「ジュン君!!」ガバッ!


ギュッ!!


ジュン「わっぷ!」

のり「…うぇえええええええーーーーん! ジュン君、ジュンくーーーーん!!」

ジュン「…のり」


…ギュッ


ジュン「…ごめん、のり。首…」


「あれ???」


のり「ううん、平気… ジュン君こそ、手と歯と…」



「あらららら?」





みつ「なんでか、治っちゃってるのよね…」
388 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:02:48.73 ID:J0e1GIc0
のり「みっちゃんさん、無事だった!」

みつ「ええ、まあ…」

のり「…みっちゃんさん??」



柴崎「…」

マツ「…」



のり「みなさん…?」



真紅「…」

蒼星石「…」



のり「み、みんな? …金糸雀ちゃん?」



金糸雀「…」ポケー…



のり「ど、どうしちゃったの???」



ジュン「とりあえず、周りを見てよ」

のり「まわりって…」



ヒュウウウウ…



のり「ここ…」



「お月様だったっけ…?」
389 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:04:39.21 ID:J0e1GIc0
みつ「気づいたら、クレーターのど真ん中にいるんだもんね…」

ジュン「次は…」スッ

のり「ま、真上???」…グッ




ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ



のり「…」



オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ



のり「な…」

みつ「…」



ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ …



のり「な… なんなの… あれ…???」

翠星石「太陽…じゃ、なさそうですね…」



オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ…



ジュン「(まばゆく輝く…光を中心に…)」

巴「銀色の雲が… 空いっぱいに、渦をまいてる…」
390 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:07:49.32 ID:J0e1GIc0
蒼星石「とてつもない… 力を感じる…」

金糸雀「まるで、天国の門が開いたみたいかしら…」



オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ





レイ(なんじゃ、今の爆発は… 障壁のおかげで命拾いはしたが)



…ガシャッ



レイ(わしのダミーが壊されてしもうたわ…)



…カラ カラ…



レイ「あれは…」




オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ…




レイ「あれが…」 




「あれがあやつだというのか…? 『聖母』だとでも…」



…キラッ
391 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:10:06.80 ID:J0e1GIc0
レイ「…ん?」



ヒ     ィ    ィ   ィ  ィ …



レイ「…なんじゃ…?」



ィ  ィ  ィ ィ イ イ イ イ イ イ イ イ イ !!



レイ「…!! 何か…」



イ イ イ イ イ イ イ ア ア ア ア ア ア ア !!!



「何か飛んでくる!!!」



キュババババババババババッ!!!




「うおおおおおお!?」
392 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:11:55.55 ID:J0e1GIc0
巴「ジュン君、あれっ!!」

真紅「あれは…!!」



ババババババ…



みつ「光の… 雨…?」

蒼星石「…すごい…」



(…近づいてきていた部隊を、牽制したのよ)



蒼星石「!!!」

雛苺「え…えっ!?」

ジュン「今のは…! 今の声は!!」



(後方からも… 大きな部隊が来ているわね…)
393 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:15:41.88 ID:J0e1GIc0
ジュン「…なんだって!!」

(頭に直接響く… この声は!!)

のり「ジュン君、上っ!!」


オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ  オ…


ジュン「雲が… 黒く染まっていく…!」

金糸雀「…うそ…!!」



オオオオオオオオ… アアアアアアア…



翠星石「空が、空が唸ってるです…!」

雛苺「雲がさわいでる…!」

金糸雀「ち、違うかしら!!!」

みつ「カナ?!」

金糸雀「信じられない…でも、あれは…」 



「雲じゃない!!」



蒼星石「なんだって!?」

のり「く、雲が…!! 雲から!!!」




ガアアアアアアア!!!

394 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:20:43.04 ID:J0e1GIc0
巴「雲から、巨大な龍が!」

みつ「…向こうからも!!」



キシャアアアアアア!!!



柴崎「一匹や二匹ではない、すごい数じゃ!!」

金糸雀「ありえない、ありえない!! でも…あれは…!」 



シャアアアアアアア!!!



マツ「龍の群れが、地面めがけてとびこんでいく…!!」

金糸雀「信じられないけど、あれは…!」

真紅「みんな、伏せて!!」




「とてつもなく大きい、空を覆わんばかりの…」



…ガアアアアアアア!!!



「翼かしら!!!」






…ズドォォォォォン!!!
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/07(火) 23:22:30.08 ID:MN97SC2o
・。・
396 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:30:12.05 ID:J0e1GIc0
柴崎「うぉっ?!」

ビリビリビリビリ…!!

マツ「(地響きが…!!)」


ゴオオオオオオオ…





レイ「(ば、ばかな…)」


…シュウウウウ…


「(右翼大隊が…消滅しおった…)」





巴「す…すごい…」

ジュン「あれは…」


(きみ…なのか…?)


金糸雀「あんなことができるのは… ひとりしかいない… でも…」

翠星石「アレは、アレはまさか… でも…」




(あんな、こっぱみじんになって、生きていられるはずがない…!)
397 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:34:43.58 ID:J0e1GIc0
蒼星石「(あの状況からじゃ… どんな奇跡が起きたって… でも!!)」

雛苺「…ほんと? ほんとなの? でも… だけど…!」



「生きていたのね!?」



ジュン「!?」

真紅「生きていた! 生きていた、生きていてくれたのよ!」

みつ「し、真紅ちゃん!」

真紅「みんな、見なさい! 私が言った通りだったでしょう?!」



「あの水銀燈が、そう簡単に死ぬわけなんかないって!!」





(…その通りよ)
398 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:38:09.56 ID:J0e1GIc0
金糸雀「!!」

ジュン「! 君なのか… 君なのか!?」



(そうよ…)



のり「ああ…あああっ!」…ポロポロ

巴「あなた… あなたっ!」ポロッ…



(心配、かけたわね…)



翠星石「うそ… うそ、でも!!」

真紅「ほら、どう! 私の言葉通りよ!!」

翠星石「わ、わたしだって言ってたですよ?」



(あら… なんて言ってたの?)



翠星石「な、なんてって…」

真紅「…みんな」




「疑ってるんなら、確かめてみる?」
399 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:45:01.88 ID:J0e1GIc0
金糸雀「た、確かめる???」

翠星石「…どうやって、ですか?」

真紅「簡単よ」


…トコ トコ


翠星石「し、真紅?」

真紅「すぅぅぅぅーーー…」

ジュン「???」



「翠星石はねぇー! あなたのことー!」



のり「真紅ちゃん?!」

翠星石「(げ!!!)」




「ゴキブリみたいにしぶといって言ってたわーーーーー!!!」




翠星石「しっ、真紅ーーーーーーー!! なんてことぬかしやがるですかーーーー!!」

雛苺「言ってたのー」

ジュン「ああ、確かに」

翠星石「おっ、おめーらまでっ!!!」

みつ「…あ」





ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ …
400 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:50:57.67 ID:J0e1GIc0
翠星石「そっ… 空が…??」

真紅「(この感じ…)」



(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)



真紅「…とてつもない無言のプレッシャー、間違いないわね」

翠星石「な、なにを他人事のように言ってるですかっ!!」

真紅「ありがとう、あなたのおかげで確認できた」

翠星石「おめーだって、あいつのことを嫌われ者とか憎たらしいとか言ってたじゃないですか!!!」

真紅「あら? あなた、何を言っているの?」

翠星石「へっ?!」


…タタタタタ


翠星石「真紅!! に、逃げるなですっ! …ジュン!」

ジュン「…」



ズザ…
401 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/07(火) 23:59:47.86 ID:J0e1GIc0
翠星石「…ジュン?」

のり「え、えっと… 翠星石ちゃん…」


ズリ… ズリ…


翠星石「…ふっ、ふたりして、なに後ずさってるですか…」

金糸雀「…お…おっ…」

翠星石「…カナ?」


「お助けかしらーーーーーーー!!!」トテテテテテテ


翠星石「ぎょえー!! こいつ逃げやがったですっ!!」

みつ「…翠星石ちゃーん! さよーならぁー!」タッタッタッタッ…

翠星石「でっ…デカ人間まで?! …巴っ!」

巴「き…きっと大丈夫! 手加減してくれると思うよー!」タタタタ

雛苺「ばいばい!」トテテテテテ

翠星石「お…おいこらっ!!! 見捨てるなですうっ! そ、蒼星石…!」



シュタタタタタ…



「あ、あれ? 蒼星石は…??」



蒼星石「…ごめん、翠星石!」シュタタタタタ




「君の犠牲はムダにしない!!」
402 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 00:01:55.45 ID:poOFnww0
翠星石「お、お前だけは裏切らないと思っていたのにぃーーーー!!!」

柴崎「…くわばらくわばら」タタタタタ

マツ「…」トットットット

翠星石「お、おじじとおばばまで! いつのまにそんなに遠くに!!」




ヒ     ィ    ィ   ィ  ィ …




翠星石「…な… 何の音…」



ィ  ィ  ィ ィ イ イ イイイイイイイ…!!



金糸雀「何か飛んでくるかしらーーーーーー!!!」

ジュン「ふせろーーーーっ!!!」

翠星石「こ、こうなったら!!」シュタッ!

ジュン「げ!」




「だれか道連れにしてやるですぅーーー!!」シュタタタタ!
403 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 00:04:34.13 ID:poOFnww0
ジュン「こ、こっちに来るなー!」

のり「真紅ちゃん、お願い!」

真紅「わかったわ!」ビシュッ!


ゲシッ!


翠星石「ほげっ!?」ドテッ!

ジュン「翠星石、ごめん!」タタタタタ

のり「あなたのこと忘れないからね!」トトトトト

翠星石「おっ… おっ…!!」



「おぼえてやがれですーーーーーーっ!!」



イ イ イ イ イ イ イ イ ァ ァ ァ ァ ァァァァァ…!!!







「化けて出てやるですぅーーーーーーーーーーー!!!」




ズドォン!!!
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 00:06:00.21 ID:Vt5Ug9Ao
なんという、のろいの人形にふさわしい断末魔wwwwww
405 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 00:07:03.02 ID:poOFnww0
…ドォン!!




レイ「ん?」


…ズゥゥゥゥ…ン…


レイ「なんじゃあれは…誤爆か?」


…ゴゴゴゴゴ…


レイ「はたまた…仲間割れか?」



…ゴォォォォォ…





ジュン「お、おーい?」

のり「…翠星石ちゃ−ん?」




「…」プシュ―…
406 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 00:10:52.21 ID:poOFnww0
ジュン「…おーい?  生きてるかー…?」

のり「す…翠星石ちゃーん…? だいじょうぶー…?」



「…」シュウウウウ…



みつ「ああ、神様仏様ローゼン様…!」

金糸雀「…たぶん、大丈夫かしら。 手足もくっついてるし…」



「…」…ピク



巴「…あ」

雛苺「動いてるの…」

ジュン「…大丈夫か?」



「…だ…」…ピクッ





翠星石「大丈夫じゃ… ねー… ですっ…」ピクピク…
407 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 00:14:02.86 ID:poOFnww0
柴崎「…容赦ないのぉ」

マツ「不憫ね…」

蒼星石「大丈夫だよ。きっと、手加減してくれたんだと思う」

真紅「自業自得なのだわ」

ジュン「(お 前 が 言 う な)」

翠星石「ひ… ひとごと… みたいに…」ヒクヒク



(…あら、まだ動けるのぉ?)



翠星石「な… なっ…?!」プスプス…

ジュン「…え?」



(しぶといわねぇ。 あなた、まるで…)



翠星石「なん…ですと…?」ヒクヒク…

のり「…あららららー、この感じ…」



(踏んづけられたゴキブリみたいねぇ)クスクスクス…
408 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 00:18:12.43 ID:poOFnww0
ジュン「…ああ、あれ、やっぱり…」

巴「間違いないね…」

金糸雀「心配して損した気分かしら…」

蒼星石「…あんなのは、ふたりといないよ。いるはずがない」

翠星石「あんなのが…」



「ふたりも…いたら… たまらんです…っ!」…ガクッ 




柴崎「…南無阿弥陀仏」ナムナム
409 : [sage]:2009/07/08(水) 00:19:57.73 ID:poOFnww0
今日はここまでです。続きは明日。
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 00:21:39.63 ID:Fyrmtqko
乙でしたっ
明日(もう今日だけど)も期待
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 00:28:27.22 ID:wgBiKYco
おつ!
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 00:30:58.07 ID:Rl4z13Yo
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 04:09:26.04 ID:1BYdF9Uo
おっつ
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/08(水) 12:33:32.38 ID:bflvQjoo
なんだろう、ここにきて唐突に和んだww
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 13:17:09.45 ID:Xhn7jUEP
もの凄くほのぼのとした

狒々爺空気ざまぁwwwwwwwwwwww
416 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:00:32.32 ID:80cgwN60
>>410-415 >>404
支援&乙どもっす〜
再開します。
417 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:02:10.80 ID:80cgwN60
【結界内 上空】



ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!



「…」



ゴ オ オ オ オ オ…!!



「…うまく、手加減できたみたい」



…グッ



「…照準は、どうにか制御できそうね…」



ゴゴゴゴゴゴゴゴ…



「それにしても… くっ…」


…ミシッ






「2万人分は… きついわね…!」…ミシ ミシ
418 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:05:09.52 ID:80cgwN60
「…動くことは、飛び回ることはできそうにないわね…」


…ミシ ミシッ…


「(少しでも動くだけで… 全身がバラバラになりそうっ…!)」



…ギシッ



「(でも… 結界をつきぬけて、大軍団と対峙するには… こうするしかなかった…」



ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!



「(少しでも気を抜くと… 意識が飛びそう…)」 







「(最悪の場合… 暴走して…)」







「(めぐまでも…)」








「い、いけないっ!?」
419 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:07:40.68 ID:80cgwN60
「気を強く持ちなさい…! わたしは『水銀燈』なんだからっ…!」



ゴゴゴゴゴゴゴ…!



「ここでみんなを心配させるようじゃ…みんなの負担になるようじゃ…」 



オ オ オ オ オ オ オ…!!



「わたしは、なんのために生き返ったのか、わからないっ!」


…ズキン ズキン…



「わたしは… わたし! いつもどおりのわたし…!」 


…ズキ ズキ…


「冷酷非道の最凶ドール! 『水銀燈』よ!!」




ゴォォォォォ…
420 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:09:14.53 ID:80cgwN60
レイ「…ふむ…」



ゴーーーーー…



レイ「…間違いない」…ス

歩兵「…」ガシャッ

レイ「総力戦じゃ。 ありったけの歩兵、あと戦車隊に火砲隊。 …近衛兵団も呼べ」

歩兵「…」ザザザ

レイ「恐るべき力じゃが…」



ゴォォォォォ…



レイ「どうやら、そう長くはもたんようじゃ。 …それに、懐に飛びこんでしまえばおそらく本気では撃てまい」



ゴゴゴゴゴ…



レイ「ここまで来て、あきらめはせんぞ…!」
421 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:11:31.39 ID:80cgwN60
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



翠星石「…ぬぐぐぐ…」ヒクヒク


(…そろそろ立ちなさい。 敵が来るわ)



翠星石「ムチャ…言わないで…ください…」

(もう立てるはずよ)

翠星石「そんな… あれ?」


…スクッ


翠星石「あれれ… あれ?」クルクル

雛苺「…翠星石?」

翠星石「なんだか… 痛くないです。 さっきより調子がいいですね…???」

蒼星石「翠星石、背中…」

翠星石「え?」


プツッ


翠星石「あつっ?!」

蒼星石「銀色の羽…」…スッ



「水銀燈… これも、きみの力なのか?」
422 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:14:31.94 ID:80cgwN60
(…そうよ)

真紅「わざわざ一撃入れてから、回復させてあげたの?」

(腹いせにはなったわ)ケラケラケラ

翠星石「…まわりくどいこと、しやがってですぅ」

(お礼を言ってほしいわね…) 

翠星石「なんですと?」


(さんざん垂れ流してたよけいなおしゃべりを、あの一発でチャラにしてあげるって言ってるんだから)


翠星石「…いくらなんでも、ゴキ呼ばわりくらいでアレはきつすぎるですっ!!」

(…その前のもよ)

翠星石「え…? 前、って…」



こんな日々が続くくらいなら… いっそ、水銀燈が… 



翠星石「…あっ!」

金糸雀「…」



もう、終わってほしいです、こんなこと…



翠星石「…」

蒼星石「…」
423 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:18:02.67 ID:80cgwN60
(…どう? 思い出した?)

翠星石「…」



「悪かったですぅ…」



(もういい、って言ったでしょう?)

翠星石「…」

雛苺「翠星石…」

翠星石「…あの…」



「す、水銀燈…」

(なあに?)

「その… 許してくれて…」

(…)



「許してくれて、ありがとう、です…」



(ふふふ…) 

翠星石「わ、笑わないでください…」

(素直になったときのあなたって、すごく可愛いわ)

翠星石「…もう、心配したんですよ?」…グスッ

(ふふふ。 …ごめんね、翠星石…)

翠星石「…っ、もう…!」…ポロッ




真紅「…」
424 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:23:21.74 ID:80cgwN60
(さあ、みんな…)

翠星石「…水銀燈?」


ゴ オ オ オ オ オ オ…


(わたしが援護するから、早く体勢を立て直しなさい)

翠星石「でも…敵が来たって、今の水銀燈なら、ちょちょいのちょーいで…」

金糸雀「…どうやら、それは無理のようかしら」

蒼星石「金糸雀?」


(…さすが、よく気づいたわね)


みつ「…カナ、どういうこと?」

金糸雀「水銀燈が攻撃するたびに… いえ、こうしているうちにも…」


「少しづつ翼が小さくなっているかしら…」


巴「そう… なの?」

(ええ…)

ジュン「そうなのか…」


(あいつも、おそらくもう気づいてる… わたしが消耗していってることに…)


巴「…そんな!」

(無尽蔵に兵を繰り出されては、わたしももたない… だから、金糸雀!) 

金糸雀「…心得てるかしら!」

(わたしが時間を稼ぐから…)  



(…)
425 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:24:58.42 ID:80cgwN60
金糸雀「…ど、どうしたのかしら?」

(…ジュン)

ジュン「…水銀燈?」

真紅「…?」



(…あなたが、わたしたちに命じてちょうだい)



ジュン「…ぼ、僕が?」

真紅「…そんな!」

(わたしに何かあったときには、あなたにまかせるとわたしは言った)

蒼星石「…」

ジュン「…でも君は、戻ってきた!」

(いまは、あなたが指揮を執っていたのでしょう?) 

ジュン「あ、ああ…」

(なら、最後までやり抜いてちょうだい。 わたしはね…)

ジュン「…どうした?」

(わたしは…) 




(いつまでもは、ここにいられないのよ…)
426 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:28:43.25 ID:80cgwN60
翠星石「え…そんな!」

金糸雀「…まさか、まさか!」

雛苺「水銀燈…! まさか…!!」

(ふふ、大丈夫よ。 少し眠るだけよ…)



(お父様の元でね)


ジュン「…な、なんだって?!」

真紅「!! そう、なの? …やはり…」

蒼星石「やはり… こんなことができるのは… お父様しかいない…」

ジュン「…お父様? そ、そんな…(ローゼンは… もう…)」


(だから… わたしはもう、これまでのようには戦えない…)


ジュン「…」


(ジュン… どうか、わたしたちを導いてちょうだい…)


真紅「…そんな、ジュンが…!?」

ジュン「…」

蒼星石「…ジュン君」



…ザッ
427 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:34:31.42 ID:80cgwN60
ジュン「…蒼星石?」

蒼星石「いえ、グラン・マスター」

真紅「…蒼星石?!」


「僕は、あなたの言葉に従います」 


ジュン「…」

蒼星石「水銀燈が言ったからではなく… 僕自身の意志において」

金糸雀「わたしも、異存はないかしら」

ジュン「金糸雀…」

金糸雀「あなたの指揮の腕は、確かかしら。水銀燈直伝だけのことは、あるかしら」

翠星石「…まぁ、しかたないですね。ちゃっちゃっとやってみせるです!」

雛苺「ヒナもジュンなら… ジュンなら、いいの!」

真紅「…わ、わたしは…」


ジュン「…ぼくが… みんなを?」…グッ


(水銀燈… ぼくは、どうすれば… あいつを、どうしろと…?)



「ふぉふぉふぉふぉふぉ…」



(きみが… みんなが、そしてこの僕の受けた… 苦しみ、屈辱!)


(悔しい… 憎い、あいつが憎い!! …憎い憎いっ!! でも…)



(でも…)




(「のぼせちゃダメよ」)
428 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:38:14.07 ID:80cgwN60
ジュン「…」

翠星石「…ジュン?」

のり「ジュン君…」

ジュン「…みんな!」

蒼星石「はい!」

ジュン「まず第一に…!」



「この町を、守るんだ!!」



金糸雀「了解かしら!(…それでいいかしら!)」

蒼星石「…はいっ!」

ジュン「みんなで暮らすこの町を、守ってくれ! そして…」 


「あいつを追いこんで、雪華綺晶の体を奪還する!」


翠星石「…そうこなくっちゃですぅ!」

ジュン「なんとか追い返して、やつの本拠地を突き止める! どんな罠が仕掛けてあるかわからないけど…!」

蒼星石「もとより、承知の上です!」

金糸雀「…雪華綺晶、それでいい?」

(はい…!) 




(ジュンお父様の言うことなら!)
429 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:46:13.60 ID:80cgwN60
ジュン「僕らのあだを討とうなんて思うんじゃないぞ! …もとの、安らかな暮らしを取り返したときが、僕らの勝利だ!」

(ジュンの言うとおりよ! のぼせるんじゃないわよ!)

金糸雀「はいっ!!」

蒼星石「…わかりました!」

ジュン「まず…水銀燈! ぼくらを、金糸雀を守って! 敵兵を食い止めるんだ!!」

(…わかったわ!)

ジュン「敵を攻撃すると同時に、金糸雀と連携して上空から戦況の把握を!」

(ふふ…まかせておいて!)

ジュン「金糸雀は援軍を呼ぶ! 急いで!」

金糸雀「…はいっ! みんな、精霊を貸して!」

蒼星石「少しだけ待って! …レンピカ、庭師の鋏を!」ヒュルルルル!

翠星石「スィドリーム、頼むですっ!」ヒューーーン!


ボォゥ…


ジュン「蒼星石と翠星石は、水銀燈の攻撃を抜けてきた敵を片付けてくれ!」

蒼星石「Yes,my lord!」ヒュンヒュン…ジャキッ!

翠星石「がってんしょうちのすけさぶろうですっ!」クルクルクル… シャキッ!

ジュン「真紅、雛苺! 君たちは最後の守りを! 僕らと金糸雀を守るんだ!!」

雛苺「うぃ、むっしゅ!!」

真紅「…」

蒼星石「…真紅!」

真紅「そんなこと…」 


シュアアアアアア…


「言われなくても、わかってる!」
430 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:49:28.09 ID:80cgwN60
ジュン「まったく、もう!」

巴「ジュン君、わたしたちは?!」

ジュン「…巴?!」

柴崎「わしらも、戦っておるのじゃぞ」

みつ「あなたが、指示してちょうだい!」

ジュン「ぼくらは… 金糸雀の周りに集まる!」


「…極力、真紅たちの邪魔をしないように!」


柴崎「…うむ!」

みつ「わかったわ!」

ジュン「あいつらはいくらでも湧き出てくるけれど… 僕らは違う!」



「生き残らなければ、僕らは負けだ! 無理はしないで!!」



巴「雛苺… お願いっ!」

雛苺「はいっ!!」

のり「真紅ちゃん… わたしたちを、守ってね!」

真紅「…言われなくても!」

(2度と… あんな思いなんかしない!)


(「真紅ちゃん… あなたたちと暮らせて、ほんとによかったわ…」)




(…みんなに、あんなことなんかさせないっ!!!)
431 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:53:19.63 ID:80cgwN60
(…まあまあね、ジュン)

ジュン「…きみに、教えてもらったとおりにやってるだけさ」

(…悪くない気分よ)

ジュン「…そうかい?」

(ええ… ふふふ)




「あの生えそろってもなかった男の子が…」


ゴゴゴゴゴゴゴ…!


「一人前の指揮官になって、わたしたちを率いてくれるんだものねぇ…」



ジュン「水銀燈…」

(なに?)

ジュン「お父様って…どういうことなんだい?」 


(…)


ジュン「…いや、後でいいけど」

(…わかってるわ。 終わったら話す)

ジュン「…」

(今度こそ… 今度こそ、秘密になんかしない。だから…)

ジュン「…うん。 大丈夫」

(…ごめんなさい)

ジュン「生き延びることに、集中しよう!」



(…)
432 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 18:56:56.84 ID:80cgwN60
ゴゴゴゴゴゴゴ…!


「ふふふふ…」


オ オ オ オ オ オ…!


「あなたのやさしさに甘えられるだけじゃなく… 強さに頼ることもできるようになったのねぇ…」


ゴゴゴゴゴゴゴ…!


「いい気分よ… ふふふふっ!」


ゴゥッ!


「さあ金糸雀、おやりなさい!」




金糸雀「…水銀燈!」

(あの子たちを呼ぶのよ! わたしたちの命運、あなたに託したわ!!)

金糸雀「わかったかしら! ピチカート、用意して!」


シュルルル…シュパッ!



「『黄金の指揮棒』を!」


433 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:07:47.52 ID:80cgwN60
真紅「金糸雀… やるのね!」

金糸雀「ええ! みんな… みんなの精霊を、わたしに貸して!」

蒼星石「わかった! 頼んだよ、姉さん!」ヒューン!

翠星石「カナ姉、ドジは踏まないでくださいね!」シュルルルル…


ピシュッ シュパッ!


金糸雀「レンピカ、スィドリーム! あなたたちはそこっ!」ピシッ!

シュパッ!

真紅「金糸雀、あなたが頼みよ!」ピシュッ!

雛苺「お願い、カナリア! この子を…みんなを、お願い!」シュルルルル!


パシュッ シュパッ!


金糸雀「ホーリエはここ! ベリーベルはこっち!」ピシッ!

シュピッ!

のり「みんなの精霊が、金糸雀ちゃんの周りを取り囲んでいく…!」

柴崎「…なにをしようというんじゃ…?!」


(この子も、使いなさい!!)


キラキラキラ…


のり「空から光が… あ、あれは!」

巴「あの子… あの子っ!」


シュルルルルル…



金糸雀「メイメイ…!」
434 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:12:55.90 ID:80cgwN60
(結界は、わたしがなんとかする。突入の位置とタイミングを、指示してちょうだい!)

金糸雀「わかったわ! ありがとう、ありがとう… みんなっ!!」シュピッ!


「舞台はととのい、観客はそろったかしら! …さあ、精霊たち!」


シュパッ!


「この金糸雀のタクトにあわせて、至高の演奏を披露するかしら!」シュパパパパッ!


パァァァァァァ…!


のり「な、なにが…?!」

マツ「…な、何か聞こえる…?!」


♪♪♪… 


みつ「こ、この音は???」

のり「みんなの精霊が… 音楽を奏でてる?!」


♫♫♫…


巴「こ、この曲! 授業で聞いたことが…?!」

みつ「じ… 地獄の黙示録?!」

金糸雀「歌劇『Walküre』、第三幕第一部より!」


♪♪♪… ♫♫♫…



「『Den Walkürenritt der Schwestern Brünnhildes』かしらっ!」
435 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:20:24.27 ID:80cgwN60
【???】


…ブゥン


「『黄金の翼』ノオ姉様ヨリ、緊急入電」


カチ… カチ…


「…指令ヲ受理シマシタ。全機、起動シマス」


ヒューーーーン…


「全機、出撃準備ヲ」

「事態ハ緊急ヲ要ス。 戦闘体制ガ整ウト同時ニ、一斉転送ヲ開始」


キン… キキン…


「動力系点検開始。終了ト同時ニ始動シマス」

「駆動系、調整開始」

「火器管制、設定シマス。 転送先ノ時刻、天候ヲ入力」


カカ… ピ ピ ピッ…



「…全行程終了及ビ転送開始マデ、300秒」


【結界内】


ドドドドドドド…


(来たわ!)

巴「ジュン君、あれっ!」

ジュン「土煙が…!」
436 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:26:08.22 ID:80cgwN60
ドドドドドドドド…


レイ「いかん、援軍を呼ぶつもりじゃな…!」


(何を呼ぶか知らんが、結界を抜けられるとは思えんが…)


レイ「肉薄しろ! 弓をあの黄色いのを集中せい! 最悪、破壊してもかまわん!」


ドドドドドドド…!


(やらせないっ!)ゴォウッ!


ヒイイイイイイイ… ズドォン!


ジュン「やった!」


キュアアアアアア… ドドドドォン!


巴「すごい…!」


レイ「(すさまじいが… まだ、わしの位置は把握されておらんようじゃ…!)」


「近衛兵、前へ!」


シュタタタタタ…!


(何体か抜けてきた! …素早いわ!)

ジュン「あれは…!」

近衛兵「…」ジャキッ


シュザザザザザザ…


翠星石「…来るっ!」
437 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:29:29.76 ID:80cgwN60
蒼星石「速い…!」

近衛兵「…」シャキッ!

翠星石「ひゅぅっ!」バォッ!

近衛兵「!」

シュザッ!

翠星石「…かわされた?!」

蒼星石「後ろだっ!」シュダッ!

ビスッ!

近衛兵「…!」ザザザ…

蒼星石「く、だめだ! 浅い!」

翠星石「…手ごわいですね…!」


ザザザザザ…


蒼星石「まだだ、次が来るっ!」

真紅「ふたりとも、下がって!」


ヒュバババババッ!


近衛兵「…!」ビズ!

「…やらせないっ!」
438 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:41:32.08 ID:80cgwN60
♪♪♪… ♫♫♫…


真紅「まだなの、金糸雀!?」

金糸雀「まだ… まだかかるかしら!」

雛苺「どんどん増えてくるの…!」


ヒィィィィン… ズズゥン!


(…どんどん増えてくる!)


近衛兵「…」ヒュン! ビュン!

蒼星石「くっ、このっ!」キィン ガシィン! 


ザグッ!


近衛兵「!!」ガシャッ!

蒼星石「…やっと一体!」

翠星石「また来たですっ!!」


ザザザザザザ…


蒼星石「翠星石、1対1じゃらちがあかない! 組むよ!」

翠星石「…でも、わたしたちが一箇所に集まったら、抜けられてしまうかもしれないですっ!」

蒼星石「速やかに一体一体片付けるんだ! それしかない!」


近衛兵「…」ザザザザザ…


翠星石「そのようですね…!!」

蒼星石「行くよ!」


シュダッ!
439 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:47:11.44 ID:80cgwN60
【上空】


ヒィィィィン… ズゥウン!


「く、あとからあとから…!」


キィィィィン… ドォォン!


「あの子たちを結界の中に入れるまで、なんとか力を温存しないと…!」


…ヒューン


「…?! あ、あれは!!」


…ドォォン!


「あうっ!?」

【???】


キキキキ… コココ…


「転送開始マデ、アト200秒」

「動力系異常アリマセン。 始動シマス」フォォォォォ…

「装備ハ、市街戦トナルタメ第2種ヲ選択シマス」


…ジャキッ 


「タダシ『ノートゥング』一基ノミ携行」…ガシャッ

「駆動系、調整終了。 異常アリマセン」

「火器管制、設定完了。 問題アリマセン」


コォォォォォ…
440 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 19:57:20.86 ID:80cgwN60
【結界内】


ドォォォン! ズドォン!

(…くっ!)

ジュン「な、なんだ!」

巴「ジュン君、上っ!」


ドォオオン… ズドォン!


ジュン「水銀燈!?」

真紅「…敵の砲撃が!!」

のり「銀ちゃんを狙ってる!!」

(…みんな!)


…ドォン! ズズゥ…ン!


(わたしに… わたしにかまわないで! これくらいの砲撃、止められる!)

ジュン「しかし!」

(なんとしても金糸雀を守って…! それができなければ、わたしたちは負ける!)



ドォン! ドゴォン!

レイ「どんどん打ちこめ! 消耗させることはできるはずじゃ!!」

砲兵「…」ガシュッ!

ドォン ドゴォン!

レイ「どうやら動くことはできんらしいからな…! 反撃されてもかまわん、撃ちまくれ!」


ヒィーーーン… ドドォン!


レイ「火砲を潰しにくれば、それは前線への弾幕が薄くなるということじゃからな…!」
441 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:01:58.11 ID:80cgwN60
レイ「増援さえ来なければ、あとは消耗戦に追いこんで勝利は確実じゃ! ひるむな、撃てぇ!」

砲兵「…」ガシュッ

ドォン ズドォン!


♪♪♪… ♫♫♫…


真紅「金糸雀、急ぎなさい!」

金糸雀「あとすこし… あとすこしかしら!!」


ザザザザザ…


マツ「あれは…?!」

翠星石「ジュン!! 一体、そっちに行ったですっ!」

みつ「…は、速い!」

近衛兵「…」ザザザザザッ!!

のり「人間みたい… いえ、それより速いよっ!!」

ジュン「真紅、援護してくれ!」ダッ!

真紅「ジュン!!!」

ジュン「なんとか… なんとか動きを止める!!」


パシュパシュパシュ!


マツ「弓が!」

真紅「…くっ!」


バシュゥッ!


弓兵「!!」ズガッ!

真紅「…ジュン! 持ちこたえて!」
442 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:08:15.19 ID:80cgwN60
ジュン「…おうっ!!」ガキイッ!

近衛兵「…!」ビシュッ! ブォン!


ガキッ ガシッ!


ジュン「くっ、ちっ!(速い…重いっ!!)」ブォン! ビュン!

柴崎「こっちからも来るぞ!」

雛苺「えぇーいっ!」シュルシュルシュル!

近衛兵「…」シュダッ!

雛苺「…だ、ダメ! 速すぎて捕まえられない!」

巴「雛苺! ジュン君が、敵の足を止めた瞬間を狙って!」

雛苺「で、できないよぉ!」

巴「できないじゃない! やるの!」

雛苺「はっ、はいっ!!」シュルシュルッ!


(ふふっ… 巴ったら…) 


近衛兵「…!」ザシュッ!

雛苺「や、やっぱりダメ!」

巴「いいの! 今のでいいのっ!」


ザギュッ!


雛苺「ジュン!?」

ジュン「そうだ、ヒナ!」…グリッ!

近衛兵「…!?」グラッ



「真紅、頼む!」
443 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:16:08.19 ID:80cgwN60
真紅「ジュン、伏せて!」


ヒュバォッ!


近衛兵「…!!」グシャ!

ジュン「ヒナ、一瞬でいい! 足を止めるんだ!」

巴「そうすれば、あとはジュン君や真紅が…!」

翠星石「巴、伏せてっ!!」ボヒュッ!


ザギュッ!


雛苺「ひっ!?」

近衛兵「?!」グシャ!

巴「翠星石!」

翠星石「…すまんですっ、押されてるです!」

蒼星石「数がすごい! 本隊も押し上げてきてる!」

ジュン「なんだって…!」


弓兵「…」ギリギリギリ…



ジュン「しまった、金糸雀が射程に入る!!」

真紅「来るなら来なさい!!」


パシュパシュパシュ!!


真紅「くっ、このっ!」ヒュンヒュンヒュン!


(落としきれない・・・?!)


ビズ!
444 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:21:28.22 ID:80cgwN60
【???】


「…転送開始マデ100秒」


…ガシャッ


「戦闘体制完了、イツデモ転送デキマス。シカシ…」

「結界ハ、ワタシタチノ転送能力ノミデハ抜ケラレマセン」


キキッ… キュイッ…


「『黄金の翼』ノオ姉様… 侵入位置ノ座標ヲ指示シテクダサイ」


(わたしが送るわ!) 


「…オ姉サマ?」


(4秒待って!)


「…カシコマリマシタ」




「…座標確認中…」
445 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:30:43.85 ID:80cgwN60
【結界内】


真紅「…くっ!」

金糸雀「真紅!」

真紅「平気よ! 指揮に集中して!!」

金糸雀「…みんな! あとすこし… あとすこしだけ頑張って!!」


♪♪♪… ♫♫♫…


蒼星石「せやあっ!」ヒュンッ! 

近衛兵「…」ガシッ!

翠星石「そこですっ!」ヒュボッ!


ザギュ!


蒼星石「…だめだ、多すぎる!」

翠星石「あきらめないで! なんとしてでも… 金糸雀を、みんなを守るんです!」


(なんとなれば… わたしたちが!)


蒼星石「…そうだ、そうだっ!」ビヒュビヒュビヒュッ!

近衛兵「…!」ガシッ ガキッ ギィン!


(いざとなれば、僕らが…!)





(みんなの盾になれば、10秒くらいは稼げるっ!!)
446 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:38:04.15 ID:80cgwN60
【結界内 上空】


ヒィーーーン… ドドォン!



「…来るわね…」



ヒューーーン… ズドォン!



(金糸雀… 聞こえる?)…ブォン!

(水銀燈! …何かしら?!)

(あの子たちが転送されるまで、あと60秒ね?)

(そうだけど…)

(これから、結界を切り裂いて… あの子たちを中に入れる)


…ドドォン!  ズズゥン!


(その一瞬は… わたしは援護射撃も出来ないし、身を守ることも出来ないわ)

(そ、そんな?! …いったいどうするの!)

(…)



ドドドドォン…!




(どうにもできないわ。 運試しよぉ)ケラケラケラ
447 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:43:17.62 ID:80cgwN60
(ムチャよ!!)

(失敗しても、恨まないでねぇ)クスクスクス…

(そんな!!)

(うるさいから、切るわよぉ)ブツン!



金糸雀「水銀燈…!」




ゴォ ォ ォ ォ ォ ォ…



「どうするも、こうするもないわよ…」


…ブゥン


「わたしだって、初めてやるんだから」グッ!



ゴォォォォ…!



「…空間を斬るなんて!」
448 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:53:31.06 ID:80cgwN60
ズゥウウン… ドォオオン…!


「やり方は、お父様がわたしの記憶に刷りこんでおいてくれたけど…」


ゴゴゴゴゴゴ…!


「…ぶっつけ本番ね…!」


【???】

…ブーン


「『白銀の翼』ノオ姉サマカラノ座標指定、入力終了。全設定完了」

「…全行程終了。出撃シマス。 転送開始マデ、残リ30秒」 


…ヒキュン キュゥ…ン


「我ガ妹タチ、栄光ノ戦乙女」


…キュン キュイン ヒューン…


「コノ日ノタメ…コノ時ノタメニ磨キアゲテキタ、ワレラガ力ト技…」


…ヒュン ヒュイン ヒュォン ヒュウウウウ…!


「薔薇ノオ姉サマタチニ、存分ニオ見セナサイ!!」


「Jawhol!」ザザッ!


「転送マデ、アト5秒! 総員衝撃ニ備エヨ!」

(…さあ来なさい!)

「転送開始シマス!」


ヒュバアアアアアアッ!
449 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 20:57:21.17 ID:80cgwN60
【結界内 上空】



…ヒキュン キュゥ…ン



(…来た!)ブゥ…ン



…フッ



(障壁が消えた…) 



ヒィイイイイン…



(頼むから、ちょっとの間だけ当てないでちょうだい…!)



ドォォォン!!



「くっ!!」



…キュン キュイン ヒューン…




450 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 21:07:21.20 ID:80cgwN60
「くく、くくくく… ほんとうに当てないでくれるなんて、義理堅いわね…!」…ピシッ



ズドォン! ドォォォン!



「…ヘタクソな照準ねぇ! ありがたいわ! …みんな!!」ビギッ…ミシッ!



…ヒュン ヒュイン ヒュォン ヒュウウウウ…!



「突入と同時に真下へ降下! わたしの姉妹たちと契約者たちを拾って第二地点まで離脱なさい!!」



ヒュバアアアアアアッ!



「わたしへの援護は不要よ!」…ブォン ビズ!


バシャッ!


「さあ来なさい! 偉大なるお父様の、もっとも危険な発明品!」



…キュバアアアアアアアアッ!!



「わたしたちの恐るべき妹! …栄光の、戦乙女たち!!」
451 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 21:14:41.04 ID:80cgwN60
【結界内】


バギッ!


「ぐあっ!」ドサッ!

「ジュン君!」


近衛兵「…」…ジャリッ


翠星石「ジュン!!」

蒼星石「ジュン君!」


ジュン「…ボクにかまうなっ!」ゴロゴロゴロ


真紅「で、でも!」

ジュン「金糸雀を守るんだ!」


ガシッ!


ジュン「ぐっ!」…ギリギリ

のり「ジュン君!」

柴崎「あやつら…! ジュン君を狙っておる!!」

雛苺「え、えぇーいっ!」シュルシュルシュル!

近衛兵「…!」ビズ!

雛苺「この、このおっ!」シュルシュルシュル!

近衛兵「…」ジャリッ!



ジュン「…雛苺!」
452 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 21:22:44.98 ID:80cgwN60
雛苺「…ひっ?!」


近衛兵「…」ザッ!


巴「こ、このっ!」

ジュン「巴!!」

近衛兵「…」


ビュッ ガスッ!


巴「あうっ!」

雛苺「トモエ!!」

近衛兵「…」



ザザザザザザザ…



蒼星石「…も、もう保たない…!」ギリギリ…!

翠星石「ジュ、ジュン…! 巴…」

ジュン「く… 金糸雀っ!!」





「…?」


…ィ ィ ィ ィ…
453 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 21:29:39.89 ID:80cgwN60
ジュン「…なにか… 落ちてくる?!」

金糸雀「みんなーーーーーーっ!!!」



…イ イ イ イ イ イ イ イ…



みつ「カナ?!」

金糸雀「間に合ったかしらーーーー!!」



イ イ イ イ イ イ ア ア ア ア ア ア ア…!!!



柴崎「な、なんなんじゃあれは!!」

金糸雀「頭を低くして伏せてーーーー!!!」

のり「ひっ?!」

近衛兵「…?!」



…キュバババババババ!!!



近衛兵「?!」グシャッ!


ズドドドドドドン!


巴「きゃああ!!」

ジュン「うわぁ?!」



…ガシッ!



454 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 21:35:08.10 ID:80cgwN60
ジュン「う、うわっ! 放せ!」

のり「ジュン君、ジュンくーん!!」

金糸雀「大丈夫かしら! それは味方かしら!!」

ジュン「…えっ!?」



「…オ待タセシマシタ」



ジュン「…な?」

「離脱シマス。 頭ヲ下ゲテ…」


パシュパシュパシュ!


みつ「弓が!」

「…フフッ」


カキキキキン!


のり「うそ!?」

「ソンナモノ、私ニハ効カナイ」

ジュン「…きみは?!」

「行キマス!」


ビヒュン!
455 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 21:42:50.83 ID:80cgwN60
ブス…ブスブス…


レイ「ばかな…」


シュウウウウウ…


レイ「火砲が…全滅させられおった…」


…ガシャン… 


レイ「今のはいったい… まさか…」 


「完成されておったのか…?!」



ヒューーーーーン…

ジュン「(は…速い! 高い!)」

「オ怪我ハ、アリマセンカ?」

ジュン「え…?」

「遅クナリ、申シ訳ナイデス」

ジュン「…い、いや… 助かったよ」

「アリガトウゴザイマス」


ヒューーーーン…


ジュン「君たちは… 何者なんだ?」

「ワタシタチ、デスカ?」

ジュン「…ああ」

「…」



「…薔薇ノオ姉サマタチノ、妹デス」
456 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 21:50:27.69 ID:80cgwN60
ジュン「妹…」

「エエ… オ姉様タチカラ、聞イテオリマセンカ?」

ジュン「…」


(金糸雀は、わたしたちの切り札的存在なのよ…)


ジュン「そうか… きみたちが、そうなのか…」

「…ハイ」

ジュン「…名前なんて、あるのかい?」

「…」



「『ブリュンヒルデ』ト申シマス」



ジュン「…ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「『戦乙女』デ、構イマセンガ」

ジュン「い、いや… 覚えるよ」

ブリュンヒルデ「集合地点ニ、到達シマス」



「…オ姉様ガタモ、ミナサマガタモ、無事ノヨウデス」
457 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 22:00:13.97 ID:80cgwN60
ヒューーーーン…



金糸雀「…来たかしら!」

みつ「あ…あの子が?」

金糸雀「そう、あの子が戦乙女の長女かしら!」

のり「す、すごい…」



…ヒュウウン



のり「ジュン君!」

真紅「ジュン!」

ジュン「…みんな!」


…ギュッ


ジュン「よかった… みんな無事で!」

真紅「…この子たちのおかげよ」

のり「…ありがとう…え、えっと…」

ブリュンヒルデ「…『戦乙女』デ、構イマセン」

ジュン「『ブリュンヒルデ』だよ」

のり「ぶ…ぶりゅ???」

金糸雀「ご苦労だったかしら!」

ブリュンヒルデ「…オ久シブリデス」



「『黄金の翼』ノ、オ姉様」
458 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/08(水) 22:12:35.94 ID:80cgwN60
金糸雀「ほんとにひさしぶりかしら! こうやって、9人全員そろうのは…」

ブリュンヒルデ「第三帝国ノ、機甲師団ト戦ッタトキ以来デス」

みつ「…だ、第三帝国…?」

金糸雀「ゆっくりお話したいところだけど…」 



「…そうもいかないかしら」



ブリュンヒルデ「交戦マデ、200秒ト予測シマス」

金糸雀「砲兵隊もつぶしてくれたかしら?」

ブリュンヒルデ「地表ニ設置サレテイタモノハ、スベテ」

ジュン「金糸雀… この子たちが、きみの『切り札』なのか?」

金糸雀「そのとおりかしら! お父様が創りあげた、最強の自動人形たち!」



「『戦乙女』部隊かしら!」
459 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [sage]:2009/07/08(水) 22:15:28.52 ID:80cgwN60
今日はここまで。 続きはあさって以降です。
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 22:17:04.67 ID:7dzrxtU0
乙!!
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 22:17:37.54 ID:1BYdF9Uo
おっつ

以下どうでもいいこと
>>445の「なんとなれば」は「いざとなれば」的な意味で使ったのだと思われるが、
「なんとなれば」は「なぜなら」って意味
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 22:19:02.62 ID:Rl4z13Yo
乙〜
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 22:19:15.82 ID:wgBiKYco
おつ!
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/08(水) 22:20:18.61 ID:HH8c4r.o

今日は長かったなー
得した気分だ
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/09(木) 05:28:37.02 ID:eMxp2QMo
すげえ
広げに広げた風呂敷をきちんと制御できてやがる
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/09(木) 07:26:53.81 ID:6K72LeQP
乙だ

しかし、凄いのが出てきたな…。さすが金の子
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 21:52:21.45 ID:tPABiR20
水銀燈〜雪華綺晶の7人とブリュンヒルデで8人では?
468 : [saga]:2009/07/10(金) 22:06:39.93 ID:Jk6IUWE0
>>460-467
乙&支援どもっす〜

>>461
あわわ;;; 指摘どうもです。

>>467
実はまだまだいるんですね…


再開します。
469 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:15:09.53 ID:Jk6IUWE0
みつ「この子たちが…?(大きい…)」ポケー

ブリュンヒルデ「ハイ」…ジャキッ

のり「おんなじ格好の人形…?が、9体も…」

巴「銀色の甲冑、槍に剣… ゲームのキャラクターみたい…」

金糸雀「見た目はレトロだけど、お父様の技術の粋を集めた装備かしら!」

真紅「火力も、装甲も、機動力も… わたしたち薔薇乙女をはるかにしのぐ」 

ジュン「…君たち、さえも?」



「戦闘に関してだけなら、設計から数100年たった今でもなお、最強の自動人形たち」



ジュン「…すごい」

真紅「それら9体が、金糸雀によって自在に制御され、彼女のタクトひとつで縦横無尽に戦場を駆ける…」

みつ「それって、つまり…?」

真紅「そう。彼女たちこそ…」



「わたしたちが保有する『軍隊』よ」
470 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:19:29.89 ID:Jk6IUWE0
柴崎「軍隊…」

マツ「かなちゃんが、司令官なのね…?」

金糸雀「そのとおりかしら!」エッヘン



…ザッ



「『翡翠』ト『瑠璃』ノオ姉サマ」
 
蒼星石「…君たちは」

「…マタ、会エマシタネ」

翠星石「あなたたちは、こないだ助けてもらった… たしかメッゾ隊の、えっと…」

蒼星石「ヴァルトラウテと、ロスヴァイセだね?」

ヴァルトラウテ「…ハイ」

ロスヴァイセ「オヒサシブリデス」

翠星石「…ごめんなさいです」

ヴァルトラウテ「イエ… オ気ニナサラズトモ」

蒼星石「スナークの巣から真紅を救出できたのは、君たちのおかげだ」

ロスヴァイセ「光栄デス」

金糸雀「ヴァルトラウテ!」トテテテテ

 

「あれは持ってきたかしら?」
471 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:24:33.90 ID:Jk6IUWE0
翠星石「あ、あれ?」

ヴァルトラウテ「ハイ、ココニ」…ジャキッ!

金糸雀「使わないかもしれないけど、用心に越したことはないかしら…!」

ロスヴァイセ「…オ姉サマ、敵ガ接近シテイマス」

金糸雀「ええ…」


「…ゴ指示ヲ」


金糸雀「なら、まず総司令官にご挨拶かしら!」

ブリュンヒルデ「…アナタデハ、ナイノデスカ?」

ヴァルトラウテ「『白銀の翼』ノオ姉サマデスカ?」

金糸雀「ぶっぶー! はっずれかしらー!」

(そう… わたしたちではない)

金糸雀「今日の作戦の総指揮は…」クルクルクル…



ピシッ!



ジュン「えっ?」

金糸雀「そちらのかたが、執るかしら!」

(その通りよ…)




ジュン「ぼ…ぼくっ?!」
472 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:27:23.84 ID:Jk6IUWE0
ブリュンヒルデ「アナタガ…?」

金糸雀「当然かっしらー!」

ジュン「で、でもぼくは…!」

金糸雀「当然、直接の指示はわたしが出すかしら。 でも…」



「この子たちには、心が無いの」



ジュン「心が…?」

金糸雀「…命ぜられればどんなことでもする。相手が人間でも、ためらわず戦う」

ジュン「そうなのか…」

真紅「そして、命ぜられてないことはやろうとしない。最低限のことはするけれど」

ブリュンヒルデ「…」

(だから、ジュン) 

ジュン「水銀燈…」



(あなたが、この子たちに心を吹きこむのよ)



ジュン「ぼくが、心を…?」

蒼星石「そうだよ。 …しっかり命ずるんだ。 さっき、ぼくらにしてくれたようにね」 

ジュン「蒼星石…」



「…心をのせた言葉で」
473 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:28:47.96 ID:Jk6IUWE0
ジュン「心をのせた… 命令…」

のり「責任重大ね…」



ブリュンヒルデ「…」


…スッ


ジュン「…ブリュンヒルデ?」

ブリュンヒルデ「ドウカ、ゴ命令ヲ」

ジュン「…」

ブリュンヒルデ「事態ハ、把握シテイマス。 一刻ヲ争ウト」

ジュン「…」

真紅「(ジュン…)」

ジュン「…」グッ



「…まず、この町と、この町に住む人たちの保護」
474 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:30:23.94 ID:Jk6IUWE0
金糸雀「(…ジュン。 それでいいかしら…)」

ブリュンヒルデ「ワカリマシタ」

ジュン「状況から考えて、たぶん避難さえできない状態のはず。 敵をけして町に入れないでくれ」

ブリュンヒルデ「オ任セヲ」

ジュン「次は…」



「ぼくたちを守ってくれ」



のり「ジュ、ジュン君? きらちゃんは…?」

ジュン「水銀燈から聞いたんだ。 やつらは、すぐには雪華綺晶には手を出せないはずだと…」

翠星石「で、でも!」

ジュン「確かに、危険はあるよ。 …それでも!」



「僕らがやられてしまったら、誰もあの子を助けてあげられない!」


金糸雀「…」


シュルシュルシュル…
475 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:31:40.54 ID:Jk6IUWE0
ジュン「な!」

雛苺「ひ、ひっ!?」

金糸雀「うわわわ!?」

シュルシュルシュル…

みつ「…白いイバラがカナから! まさか!」

雛苺「ああ、あああ…」ガタガタガタ…

蒼星石「君は!!」



(みんな…)



ジュン「き…きらきー?」

真紅「あなた…」



(ジュンお父さまの言うとおりにして…)



雛苺「…な、なんなの…?」ブルブルブル…

(わたしは…)



(結晶だけになっても、大丈夫なの…)
476 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:34:04.80 ID:Jk6IUWE0
金糸雀「…え、ええ??」

(詳しくは言えない… でも、お願い…)

ジュン「…」


…ギュッ


翠星石「ジュ、ジュン?」

金糸雀「…イバラを…?」

ジュン「(雪華綺晶、ほんとうなんだね?)」

(…うん)

ジュン「(ほんとうに、ほんとうかい?)」

(…ほんとに、ほんと)

ジュン「(じゃあ、嘘だったら…)」

(嘘だったら?)




「(水銀燈におしりペンペンしてもらっていい?)」




(…それは、やだ)クスクス
477 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:38:40.60 ID:Jk6IUWE0
ジュン「(…ほんとみたいだね)」

(だから、ほんと。心配しないで…)

ジュン「…」ギュ


(…きらきー、ごめんよ。 もう少しだけ辛抱しててくれ)

(うん、大丈夫だよ。 …わたしの、お父さま)


ジュン「…」スッ

翠星石「何、話したですか?」

ジュン「あとで、説明する」

真紅「…」

ブリュンヒルデ「…敵ガ接近シテイマス」

ジュン「…わかった。 金糸雀、ボクからの指示は以上だ!」

金糸雀「了解かしら! それじゃみんな、聞きなさーいっ!」シュピッ!



「Jawohl!」ザザザッ!



柴崎「(おお! 一糸乱れぬ統率、まさに軍隊じゃの…)」

金糸雀「作戦目的は優先順に、民間人の保護! 契約者たちの生還!」

ジュン「(きみらも生還するんだ!)」
478 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:42:57.07 ID:Jk6IUWE0
金糸雀「…こほん、そして雪華綺晶の奪回かしら!」

「Jawohl!」

ジュン「…もう」

金糸雀「敵の殲滅はあくまで手段! …でも、チャンスがあれば、じゃんじゃんばりばりやっちまっていいかしらー!!」

「Jawohl!」

金糸雀「まず、ブリュンヒルデ! あなたはアルト隊とともに、本陣…わたしたちを守って!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」

金糸雀「守備を固めつつ、突撃隊の援護をしなさい!」

シュヴェルトライテ「オ任セクダサイ」

金糸雀「契約者がひとりでもやられたら、負けのつもりでいるかしら!!」

グリムゲルデ「…カシコマリマシタ」


ザザザザッ!


金糸雀「次、メッゾ隊! 町側から回り込んで側面を突いて!」 

ヴァルトラウテ「Jawohl!」
479 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:44:50.22 ID:Jk6IUWE0
金糸雀「町の守りは任せたかしら! でも、受身になっちゃだめ!」 

ジークルーネ「心得マシタ」

金糸雀「敵軍を、川に叩き落してやるつもりで行きなさい!!」

ロスヴァイセ「フフフ、オ望ミノママニ!」


ザザザザッ!


金糸雀「そして、ソプラノ隊! あなたたちは正面から突撃かしら!」

ゲルヒルデ「Jawohl!」

金糸雀「各隊と連携して敵軍を分断しつつ、本陣の位置をさぐりなさい!」

ヘルムヴィーゲ「了解!」

金糸雀「敵の司令官を見つけたら、徹底的に追い詰めなさい! 追い返してアジトを突き止めるかしら!」

オルトリンデ「…恐怖サセテヤリマショウ」


ザザザザッ!
480 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:48:07.67 ID:Jk6IUWE0
金糸雀「さあみんな、出撃かしら! あなたたちの力、見せてちょうだい!!」 

「Jawohl、herr  Kommandierender!」

ジュン「みんな!」


ザザザザザッ!


「この町を…」 


真紅「(ジュン…)」


「僕らを…」 


巴「(…ジュン君!)」


「みんなを、守ってくれ!」



「Jawohl!」


ザザザザザザッ!


「Herr Oberbefehlshaber!!」



ビヒュン!
481 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:50:29.18 ID:Jk6IUWE0
ドドドドドド…


レイ「ええい、火砲隊に戦車隊はまだか…!」


ドドドドドド…


(潰されすぎて、再生が間に合わん…!)


レイ「…戦乙女にはかまうな!(どうせ歯はたたんからな…)」



「本陣を徹底的に狙え…」



ボボボォン!



レイ「ぬお?!」

ドォン! ズズゥン!

歩兵「!!」グジャ!


…ギュン!


レイ「き、貴様は…!」




「…ヤラセナイ」…ジャキッ
482 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:51:48.95 ID:Jk6IUWE0
レイ「く、来るぞ! 撃ちまくれ!」

弓兵「…」パシュパシュパシュ!

ゲルヒルデ「…フフ」


カキキキキン!


ゲルヒルデ「…クスグッタイ」クスッ

レイ「だ、だめじゃ! まったく効いておらん!」

近衛兵「…!」ジャキッ!


シュタタタッ!


「…3体ノ連携、イイ動キネ…」


ビシュッビシュバシュ!!


「…ケレド」




ガギギギン!
483 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:54:56.26 ID:Jk6IUWE0
近衛兵「?!」

ヘルムヴィーゲ「…ムズ痒イワ」…スチャ


ヒュボッ!


近衛兵「!!!」グジャバギッ!

ヘルムヴィーゲ「私タチニ傷ヲツケタイナラ、モウ少シマシナ武器ヲ持タセルコトネ」

レイ「…ダメじゃ、なんという装甲じゃっ!」

オルトリンデ「喰ライナサイ」…ジャキッ!


バオッ!


レイ「ぐわ?!」グシャ!

ゲルヒルデ「…目標、撃破」

レイ「ば… ばかな…」


(障壁が… まるで役に立たん…)


…ガシャッ
484 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:57:09.39 ID:Jk6IUWE0
…カラ カシャン ポロポロ…


ヘルムヴィーゲ「…偽者ネ」

オルトリンデ「…予測ドオリデス」

ゲルヒルデ「気ニスルコトハ、ナイワ」フィィィィィ…


シュパパパパパパパッ!



歩兵「!!!」ドシャグシャバキッ!

オルトリンデ「ソウネ」ジャキッ!



「ヒトリノコラズ、叩キ潰シテシマエバイイノダカラ」



シュパパパパパパパパパッ!!



「く、くそ…!」



…ゴソッ



「歩兵どころか近衛兵でも、相手にさえならん…!」
485 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 22:58:48.61 ID:Jk6IUWE0
レイ「命令を徹底しろ! 戦乙女は火砲隊と戦車隊にまかせろ! 他の部隊は本陣に集中…」


グジャ!


レイ「うぉ?!」

オルトリンデ「…アナタハ、本物カシラ?」

レイ「く、この!」


バババババッ!


歩兵「!!」グジャ!

レイ「こ、今度はなんじゃ!」


…ザッ


「オルトリンデ」

「…アナタハ」

レイ「な、何が…」



ヴァルトラウテ「…ソイツハ、ワタシノ獲物ヨ?」
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:01:59.29 ID:LW7BaBgo
wwktk
支援
487 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 23:05:50.95 ID:Jk6IUWE0
レイ「な…なんだと? こやつら…」


(わしを… 獲物じゃと…?)


オルトリンデ「町ノ守リハドウシタノ?」

ヴァルトラウテ「モウ、ココマデ前線ヲ押シ上ゲタダケ。 …ダカラソイツハ、ワタシノモノ」

オルトリンデ「イイジャナイ。 アナタハコノ間、戦ッテタンダカラ」シュパパパパ!

歩兵「!!」グシャバギッ!

ヴァルトラウテ「スナーク狩リナンテ、戦イノ内ニ入ラナイ」ボヒュッ!

騎兵「?!」グジャ!



レイ「(こやつら… わしをナメておるのか?! しかし…)」



シュパパパパパパ!


歩兵「!!」ドシャグシャ!

レイ「うおおお! に、逃げろ!」

騎兵「…」ドドドドドド…


「逃ガサナイ」


ビヒュン!
488 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 23:15:27.51 ID:Jk6IUWE0
レイ「うおおお!」

ロスヴァイセ「遅イ」バォッ!

レイ「がっ」グジャ!

ロスヴァイセ「…マタ、偽者」



「く、くそ… 戦車隊、火砲隊!! 早く来いっ!!」



金糸雀「…まだ、見つからないかしら…」

ブリュンヒルデ「ソノヨウデス」

ジュン「ここにいない可能性はないのか?」

金糸雀「ちゃんと指揮をとるなら、それなりに近くにいないと上手くいかない」


…ドォン ドォォン…


金糸雀「かならず、どこか近くにいるはずかしら…」

巴「…それにしても、すごい…」

金糸雀「なに?」

巴「さっきから、ひとりの歩兵も、矢の一本さえ飛んでこない…」

金糸雀「油断は禁物かしら。 でも…」

巴「でも?」

金糸雀「うふふふふ…」ガバッ!



「圧倒的かしらー! わが軍はー!! あーははははははっ!!!」



巴「…」ポカーン

みつ「(…カナ、目がイッちゃってるよ…)」

(…調子に乗るなっ!)ビズ!
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:18:41.75 ID:4YoNgnco
それは負けフラグ……
490 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/10(金) 23:26:14.33 ID:Jk6IUWE0
金糸雀「あひぃん!?」

(戦車隊が上がってきたわ!)

ジュン「なにっ!?」

のり「あ、あれ!」



ガラガラガラガラ…



柴崎「空を飛んできおる…!」

金糸雀「厄介なのが来たかしら…! ソプラノ隊、戦車を狙って!」ピシッ!


ビヒュン!


巴「すごい、空を飛び回ってる!」

みつ「負けるなー! がんばれーっ!!」

ブリュンヒルデ「…敵ガ来マス!」


ザザザザザ…


蒼星石「ちょうどいい、退屈してたところだ!」ヒュンヒュン!

翠星石「いくですよ…!」ジャキッ!



「オ姉サマタチ、オ休ミニナッテ」…ザザッ!



翠星石「…へ?!」

蒼星石「き、君たち?!」



シュヴェルトライテ「…ワタシタチニ、任セテクダサイ」ビュー…ン

グリムゲルデ「ワタシタチ、壁ノカワリジャナイ」…バゥッ
491 : [sage]:2009/07/10(金) 23:28:56.41 ID:Jk6IUWE0
今日はここまで。続きは明日。
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:30:05.70 ID:d00ubKso
493 : [sage]:2009/07/10(金) 23:31:09.40 ID:Jk6IUWE0
>>486 >>489
支援どうもっす〜
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:37:24.62 ID:7gUJj4Mo
乙乙
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:43:10.79 ID:4YoNgnco
乙でした。
しかし、カナよ……古今東西それは負けフラグだぞwwwwww
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:46:36.60 ID:piqxtP2o
おつつ

ようやく俺のきらきーが
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:54:54.03 ID:c5iDk0Mo
乙だ
しかし金糸雀、その台詞は妹に後ろから撃たれるフラグだぞ
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 00:36:03.00 ID:bmssa/Yo
おっつ
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 00:49:19.35 ID:8f9oZWMo
ブリュンヒルデ…ポニョww
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 00:55:14.62 ID:62D42fgo
ブリュンヒルデって神話に出てくる人だっけ
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 01:05:25.46 ID:.9Bi596o
背筋のゾクゾクがとまらない。どうしてくれよう。

戦乙女は100年前に設計されたのか。
コルトガバメントみたいな奴らだな。
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 01:05:42.98 ID:8f9oZWMo
戦乙女の名前じゃなかった?
503 :502 [sage]:2009/07/11(土) 01:06:46.80 ID:8f9oZWMo
戦乙女=ワルキューレで
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 01:10:57.36 ID:wZTdC32o
>>497
金糸雀「ふっ、冗談はよすかしら」
翠星石「意外と。姉上も甘いようですぅ」
505 :1 [sage]:2009/07/11(土) 23:46:08.37 ID:d05IBUM0
予定が入ってしまったので今日は中止します…
日曜日夜再開します。すいませんです。
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 23:49:30.56 ID:G5wqMFoo
>>505
ご連絡乙です。それは致し方なしです。
次回に期待
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 23:49:47.29 ID:T29laB2o
了解です
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/12(日) 23:52:25.36 ID:gGS6J.DO
日曜夜ってあと7分…

まさか来週の日曜日じゃないよなorz
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/13(月) 00:02:00.58 ID:lddFFG.o
深夜だと変更前の曜日や日付使って、「日曜26時」なんて表現したりすることもあるからな
あるいは予定が変わったんだとしても気長に待とうぜ
510 : [saga]:2009/07/13(月) 00:37:03.21 ID:0soIBrc0
>>506-509
遅くなりましてすいません…


>>495-504
支援&乙どもっす。

>>489 >>495 >>497 >>504
金糸雀にこれを言わせたいがために戦乙女なんてのを考えました(ゑ

>>499-503
ブリュンヒルデは、この作品における水銀燈のイメージにもなってます。
もし興味があれば「ニーベルングの指輪」でお調べください。


それでは再開します。
511 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 00:40:42.43 ID:0soIBrc0
ジュン「翠星石、蒼星石! 下がるんだ!」

翠星石「ジュン?!」

金糸雀「戦車は上空からやってくる!」ピシッ!

蒼星石「…姉さん!」

金糸雀「上から本陣を狙われたら、ひとたまりもない!!」

翠星石「う…!」


「戦乙女たちが足止めしてくれてる間に、下がるかしら!!」


蒼星石「…くっ!」シュタッ!

翠星石「…しょうがねーです!」シュタタタタ…



「…頼みましたよ、アルト隊!」


シュヴェルトライテ「了解デス。 …ブリュンヒルデ、皆様方ヲ頼ミマス」

ブリュンヒルデ「アナタタチモ、油断ハ禁物ヨ」

グリムゲルデ「全力デ行キマス」…ガチッ


ジャコッ!



「サア、カカッテキナサイ…!」
512 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 00:43:40.88 ID:0soIBrc0
ザザザザザザ…


レイ「進め、進め! 全速前進じゃ!」

歩兵「…」ザザザザ…

レイ「…こちらは数で勝るが、戦力差がありすぎる! 真正面から戦うのは無理じゃ…!」


ドドドドド…


レイ「戦車隊が戦乙女をひきつけておるうちに、一気に本陣を落とせ!」

騎兵「…」ドドドドド…

近衛兵「…」シュタタタタ…


…ドォン!


「!!」グシャ!


レイ「…出おったか!」

シュヴェルトライテ「…サセナイワ」シャコッ!

グリムゲルデ「ココハ、通サナイ」…ジャキッ


バゥッ! …ズドン!


歩兵「!!」グァシャ!

レイ「火砲隊、前へ!」

砲兵「…」ガラガラガラ… 

レイ「砲列を敷け!」


…ギキッ!



「各隊、一斉に撃てぇ!」
513 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 00:45:53.69 ID:0soIBrc0
砲兵「…」ガシュッ!


シュヴェルトライテ「…ドウスル?」

グリムゲルデ「カワシタラ、本陣ニ流レ弾ガ届ク可能性ガアル」

シュヴェルトライテ「…ソウネ」



「ココデ食イ止メル」…グッ!



砲兵「…」ズドォン!


ズゥン!


グリムゲルデ「…!」…ギギッ


ドォン ズドォン! 


レイ「撃ちまくれ! 吹き飛ばせ!」

砲兵「…」ガシュッ!


ドォン ズドォン!


シュヴェルトライテ「…」…ググ



ズドドドォン! ドゴォン!
514 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 00:48:49.94 ID:0soIBrc0
…ズズズゥ…ン…


巴「すごい砲撃の音…」

ジュン「大丈夫だろうか…」

金糸雀「…あれくらいなら、充分耐えてくれるかしら」


…ズゥゥン ドォン…


のり「あ…あれっ!」

みつ「…上でも!」



ドォン… ドゴォン…!



蒼星石「敵の援護射撃だ!!」

ジュン「ソプラノ隊が狙われてる…!」



(金糸雀!)

 

金糸雀「水銀燈! …なにかしら?!」

(戦乙女たちを、いったん下がらせなさい!)



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…!
515 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 00:53:16.10 ID:0soIBrc0
のり「…空が! いえ、銀ちゃんの翼が!!」

巴「黒く染まって… ざわめいてる!!」

金糸雀「水銀燈、もう大丈夫なの?!」


(…平気よ!)


金糸雀「…わかったわ、おねがい!」



ゴオオオオオ…!! 



真紅「…来るわ!」

ジュン「みんな、頭を下げて!」

(いくわよ…!)


ゴォウッ!


(てぇーーーーーっ!)


…キシャアアアアアア!


柴崎「…龍! 無数の龍が…!!」


…ガァァァァァ! グァアアアア…!


翠星石「…この世の終わりみたいな光景です…!」



…グォォォォォ…!!
516 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 00:55:15.76 ID:0soIBrc0
戦車兵「…」ガラガラガラ…

ゲルヒルデ「…」ジャキッ!

ザギッ!

戦車兵「!!」ガシャッ!

ゲルヒルデ「…撃破」


ズドォン!


ゲルヒルデ「…!」…グラッ


「損傷軽微、戦闘続行シマス」



レイ「…いくら素早かろうと、動きが止まる瞬間はある。 逃さず打ちこめ」

砲兵「…」ジャコッ!



ゴォォォォォ…!



レイ「むむ…!? 空か!」



キシャアアアアア!!
517 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 00:59:43.26 ID:0soIBrc0
レイ「ヤツめ、立ち直りおったか…! 回避じゃ、回避しろ!!」

戦車兵「…」ガラガラガラ…

ヘルムヴィーゲ「…逃サナイ」ビヒュン!


ザギッ!


戦車兵「…!!」ヒュルルルル… バシャッ!



…ガゴッ バシュッ!… ドド…ン…


巴「すごい、すごい! 龍が、戦車を追い回してる!」

のり「銀ちゃん、がんばってー!」

金糸雀「ソプラノ隊!」シュピッ!

 

オルトリンデ「…指令入電」

(回頭中の敵機を狙って、集中砲火かしら!)

ヘルムヴィーゲ「Jawhol!」シュパパパパパ!

戦車兵「!!」バガガガッ!



みつ「どんどん落としていく! やれー! やっちゃえー!!」

(…増援よ! 2時の方角!)



ガラガラガラガラ…
518 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 01:00:57.32 ID:0soIBrc0
金糸雀「きりがないかしら…!」

ジュン「…金糸雀、ヤツはまだ見つからないのか?!」

金糸雀「さっきから、探してはいるんだけど…!」

ジュン「なんだって?! どういうことだ!」

金糸雀「水銀燈と戦乙女たちからの戦況報告で、全体の指揮を出しているやつの位置はつかめる!」

ジュン「…それなら!」

金糸雀「でも、指揮をとってるやつを攻撃するたび、別のヤツが指揮をとりはじめるかしら!!」

ジュン「…どういうことなんだ?!」

金糸雀「…わからない! 全部ニセモノなのかもしれない!」

ジュン「指揮をとってるやつを、捕まえることはできるか?!」

金糸雀「やってみるかしら!!」



…ドォォン!



蒼星石「…砲撃音!」

真紅「アルト隊の位置よ!」
519 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 01:12:42.10 ID:0soIBrc0
ドォン! ズズゥン…!

レイ「撃ち方やめ!」


ズズズズ…


レイ「…さて、こっぱみじんに吹き飛んだか…?」


バゥッ!!


レイ「な!」

砲兵「?!」グシャ!


バオバオッ!!


歩兵「!」ビギッ!

騎兵「!!」グヂャ!

レイ「な、ななな…」


バズ!


レイ「がっ!?」グヂッ!

シュヴェルトライテ「我ラ、アルト隊ノ装甲ヲ甘ク見タカ」

グリムゲルデ「足ヲ潰シタガ、致命傷デハナイ。我ラトトモニ来テモラオウ」

レイ「…わしを甘く見るな!」


ボヒュッ!


グリムゲルデ「…?!」


パラ パラパラ…


シュヴェルトライテ「…今ノハ… 自爆シタ…?」
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/13(月) 01:37:52.40 ID:wauT46Mo
寝落ち?
521 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/13(月) 03:52:07.12 ID:0soIBrc0
金糸雀「え…」

ジュン「…」

金糸雀「わかったかしら…」

ジュン「どうだった?」

金糸雀「ダメかしら…」

蒼星石「逃げられたのか?!」

金糸雀「…自分から…」


「捕まえようとしたら、自分から崩壊したって…」


真紅「…どういうことなの?」

金糸雀「…な、バカな!」

ジュン「どうしたんだ!」

金糸雀「別のヤツが、もう指揮をとりはじめてる!」

翠星石「キリがないですぅ! なにか… なにか方法はないんですか!」

金糸雀「わたしたちは、陣形の形からだいたいの位置を探すだけしかできない…」

蒼星石「…指揮をとってるヤツが本物だとも限らないじゃないか!」

金糸雀「それを言ったら、そもそもわたしたちは『本物』がここにいるのかどうかさえ知らない!」

ジュン「…どうにか、本物をまちがいなく見極めることができれば!」



(お父さま! わたしにやらせて!)



金糸雀「…え?!」

ジュン「…どうした?!」



雪華綺晶(…わたしなら、あいつを見つけ出せる!)
522 : [sage]:2009/07/13(月) 03:55:43.32 ID:0soIBrc0
今回はここまでです。つづきは15日夜。

>>520
すんません、堕ちて寝てましたorz
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/13(月) 04:54:42.25 ID:MM85qnso
おっつ
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/13(月) 05:26:08.71 ID:nc7QyNUo
おつ!
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/13(月) 23:09:04.65 ID:WQIf/ng0
一発目からここまで全部読んだ。超展開に次ぐ超展開……すごい。
ここまですごい大スペクタクルSSはいまだかつて読んだことが無い。
この戦いだけは俺も支援するぞ。あの憎い髭の悪党を討ってくれ!!

乙!!
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 14:07:15.80 ID:zS/U7MYo
乙つ
敵もなかなか面白い細工をしてくるな、きらきーの活躍が楽しみ
自分なら巨神兵でも呼んで…って、戦乙女達がそれだな…ww
527 : [saga]:2009/07/14(火) 19:27:40.64 ID:EZQrulk0
>>523-524
乙どもっす〜

>>525
話を大きくしすぎてあっぷあっぷしてますが…
完結できるよう頑張ります〜

>>526
巨神兵はもうすぐ登場予定です〜(マジカ


予定を早めて再開します。
まいどあてにならなくてすいません…
528 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:31:34.67 ID:EZQrulk0
金糸雀「で、できるの?!」

雪華綺晶(やつの心のかたちは、そばで見てたから憶えてる!)

金糸雀「…ほんとに!?」

雪華綺晶(だから、近づくことさえできれば、あいつの『心』をはっきり見分けられる!)

ジュン「…金糸雀?!」

金糸雀「で、でも… あなたが見たそいつが、本物だとは限らないかしら!」

雪華綺晶(わたしにはわかるの!) 


(その心がほんものかにせものか、つくりものなのかまがいものなのか!) 


金糸雀「…」


(人の心なのか、獣の心なのか、人形の心なのかまで!)


金糸雀「ほ、ほんとに…?」

雪華綺晶(うん! わたしならあいつの心を見つけ出すことも、捕らえることもできる!)

金糸雀「そ、それなら最初っからできるって言うかしら!」

雪華綺晶(…)


金糸雀「雪華綺晶?」


(わたしの、体が…)


金糸雀「え?」




(わたしの体が… わたしの体になってくれる子が、必要なの…!)
529 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:34:14.91 ID:EZQrulk0
金糸雀「…か、からだ?!」

ジュン「なんだって?!」

金糸雀「…雪華綺晶が、あいつを見つけ出すって!!」

翠星石「雪華綺晶が?!」

蒼星石「…どうやって?!」

金糸雀「…」

ジュン「金糸雀?」



「だれかが、あの子の体になる必要があるかしら…」



雛苺「か、からだ…?」

蒼星石「それって、まさか…」



「雪華綺晶に、喰われろっていうことなのか…?」



雛苺「ひぃ…!」ガタガタガタ…

真紅「…」
530 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:40:21.94 ID:EZQrulk0
金糸雀「その上で、あいつに近づかないといけないって…」

巴「近づく、って…」



ドォン… ズズ…ン…



のり「あ、あそこに…?」

翠星石「…たちまち蜂の巣にされちまうですよ…」

金糸雀「いくらなんでも、危険すぎるかしら…!」

ジュン「…けれど、ここであいつを見つけられなければ…!」

金糸雀「でも!」


…スタ スタ


ジュン「…?」

蒼星石「き、君は…?」


スタ スタ…


翠星石「お、お前?」

みつ「あなた…」



真紅「…雪華綺晶」



…スタ スタ


金糸雀「真紅…」

真紅「…詳しい話を、聞かせてちょうだい」
531 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:43:57.58 ID:EZQrulk0
真紅「…」

金糸雀「…」


シュルシュルシュル…


のり「真紅ちゃんと金糸雀ちゃんが、イバラでつながってる…」

巴「話を、しているの…?」

ジュン「…」

雛苺「真紅…」


…ポゥ


金糸雀「!!」

みつ「あれは?!」

ジュン「金糸雀から、結晶が…!」


パァァァ…


金糸雀「む、ムチャかしら! ふたりとも!!」

真紅「…」パァァ…

蒼星石「なにが…起きてるんだ…!」



真紅「…そう、いらっしゃい」パァァァァ…



翠星石「結晶が、真紅の中に!!」

みつ「吸いこまれていく…!」



…ポゥ…
532 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:45:59.23 ID:EZQrulk0
金糸雀「真紅…」

真紅「金糸雀…」 


「私を連れていって」


金糸雀「ど、どこへ?!」

真紅「やつの居場所と、予想される地点へ」

ジュン「真紅、何をする気なんだ!」

真紅「決まってる」



「私が雪華綺晶の体になって、やつを見つけ出すの」



のり「…真紅ちゃん!!」

金糸雀「ムチャもいいところかしら! 予測地点は戦場のど真ん中よ?!」

真紅「もちろん、戦乙女たちに援護させてね」

金糸雀「…それでも!」

真紅「他に方法があるの?」


…スック


真紅「金糸雀は、戦乙女たちを指揮しなければいけないでしょう?」
533 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:48:04.38 ID:EZQrulk0
金糸雀「え…」

真紅「翠星石と蒼星石は、バラバラになるより組んでいてもらったほうがいい」

翠星石「…う…」

蒼星石「真紅…」

真紅「…雛苺、雪華綺晶を受け入れられる?」

雛苺「…!」


ガクガクガク…


巴「雛苺…!」

真紅「わたしが行くのが、最善のようね」

ジュン「…」


ス…


真紅「…ジュン」

ジュン「やってくれるか? 真紅、雪華綺晶」

翠星石「ジュン!!」

真紅「…ええ」

ジュン「危険だけれど…」

真紅「わかっているわ」
534 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:52:11.66 ID:EZQrulk0
金糸雀「だ… だめ! だめかしら、無謀かしら!!」

ジュン「…金糸雀、ヤツの位置はつかんでいるか?」

金糸雀「えっ… は、はい」

ジュン「一番近くにいる戦乙女は?」

金糸雀「…ジュン、でもそれは、あまりに危険すぎる…!」

ジュン「誰なんだ!」

金糸雀「…」

「…」


…スッ


ジュン「…君は」

金糸雀「…あなた?」

「…」




ブリュンヒルデ「ジークルーネ、デス」
535 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:54:41.38 ID:EZQrulk0
金糸雀「ブリュンヒルデ! あなた!!」

ブリュンヒルデ「コノ方ガ、総司令官ノハズデス」

金糸雀「う…」

ジュン「…ありがとう、ブリュンヒルデ」

金糸雀「でも、でも!」


(…金糸雀、やらせてあげて)


金糸雀「す、水銀燈?!」

真紅「あなた…!」


(雪華綺晶、真紅。 …まかせていいわね?)


真紅「…もちろんよ」

雪華綺晶(…やらせて、お母さま!)


(わたしも全力で援護するわ。だから…)


金糸雀「でも…やっぱり!」

ジュン「ブリュンヒルデ、真紅をジークルーネのところへ!」

金糸雀「ジュン?!」

真紅「頼むわ!」シュタッ!

ブリュンヒルデ「Jawohl!」ガシッ!



ヒュゥゥゥ…ン…
536 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 19:58:46.16 ID:EZQrulk0
ジュン「翠星石、蒼星石! ブリュンヒルデが戻るまで…!」

翠星石「みなまで言うな、ですっ!」ジャキッ!

蒼星石「みんなは僕らが守る! 君の判断をムダにはしない!」シャキッ!

金糸雀「翠星石、蒼星石…」

のり「真紅ちゃん、がんばって!」

巴「…雪華綺晶も!」

真紅「…ええ」

雪華綺晶(…うん!)

ジュン「頼むぞ、ブリュンヒルデ! 真紅! 雪華綺晶!」

ブリュンヒルデ「Jawohl herr Oberbefehlshaber!」フォォォォォ…!

雪華綺晶(はい、お父さま!)

真紅「…わかってるわ」

ブリュンヒルデ「発進シマス!」



ビヒュン!
537 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 20:03:30.94 ID:EZQrulk0
ヒィィィン…!



真紅「速い…!」

ブリュンヒルデ「アト60秒デ、目標地点ニ到達シマス」

真紅「…わかったわ」


(…真紅、雪華綺晶)


真紅「…なに?」

雪華綺晶(お母さま?)


(ずいぶん、思い切ったことをするわね)


真紅「…別に」

雪華綺晶(…そんな)


(ふたりとも、なにか気にしてるんじゃないでしょうね?)


真紅「…そんなこと、ないわ」

雪華綺晶(…)


(ならいいけれど… あくまで冷静に、任務を遂行なさい)


真紅「…わかってる」

雪華綺晶(…)
538 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 20:07:43.11 ID:EZQrulk0
(わたしの仇うちだとか、のぼせあがってはダメよ)


雪華綺晶(…)

真紅「…ええ」


(わたしは、けしてあいつを許す気はない。 ジュンやわたしにしてくれたことは、いずれ倍にして突き返してやるつもりよ…)


真紅「…」

雪華綺晶(お母さま…)


(けれど… その瞬間まではあくまで冷静にならなきゃダメよ)


真紅「…」ギュッ


(のぼせたあげく足元をすくわれて、あんなやつと心中なんて無意味もいいところ)


真紅「…そうね」

ブリュンヒルデ「目標地点ニ到達シマス」キィ----…ン

真紅「…来るっ!」


ヒューーーーン…!



雪華綺晶(ジークルーネ!)
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 20:18:34.77 ID:OhASn..o
・。・
540 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 20:26:20.37 ID:EZQrulk0
ブリュンヒルデ「…ジークルーネ、接近ナサイ!」

ジークルーネ「ハイ!」


ヒュウウウウ----…


ジークルーネ「『紅玉』ノオ姉サマ、コチラヘ!」

真紅「…ブリュンヒルデ、ありがとう!」シュタッ!


…ガシッ!


真紅「ジークルーネ、頼んだわよ!」

ジークルーネ「オ守リシマス!」

ブリュンヒルデ「…ゴ武運ヲ!」


ビュヒュン!


ジークルーネ「砲撃ガ来マス! 頭ヲ下ゲテ!」

雪華綺晶(…来るっ!)


ズボゥン!


ジークルーネ「…!」ギシッ!

真紅「…っ!(…やはり、すさまじいわね! …雪華綺晶…!)」


(あなたは… なぜ…?)



(雪華綺晶「…え?」)

(真紅「…これだけ、答えてちょうだい」)

(雪華綺晶「…」)

(真紅「なぜあなたは、そこまでしたいと思ったの?」)
541 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 20:28:08.61 ID:EZQrulk0
(雪華綺晶「…」)

(真紅「…答えたくないならいいわ。時間がない、早く来なさい」)

(雪華綺晶「…いいの?」)

(真紅「あなたの思惑がどうでも、このまま何もしなければ私たちは負けるしかない」)

(雪華綺晶「…」)

(真紅「それでもせめて、あなたの本心は聞いておきたかったというだけ。 …さあ、早く」)


(…)


(真紅「…」)

(雪華綺晶「…説明するより、見てもらったほうがいい…」)

(真紅「見る、ですって?」)

(雪華綺晶「うん… 見ればきっと、わかってくれる…」)

(真紅「わかったわ… 来なさい」)

(雪華綺晶「お姉さま…」)



(「あなたは、なぜ…?」)
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 20:37:07.47 ID:OhASn..o
。・。
543 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/14(火) 20:38:00.53 ID:EZQrulk0
(真紅「…わたし?」)

(雪華綺晶「なにもないなら、いいんだけど…」)

(真紅「…せめて、これくらいはしなきゃと思っただけ」)

(雪華綺晶「…?」)

(真紅「これくらいのことしなければ、どの顔さげて水銀燈を迎えてあげればいいの?」)


―この、このジャンク!



ジークルーネ「目標接近、高度ヲ下ゲマス!」ギュオオオオオ…

砲兵「…」ガシュッ!


ドォン ズドォン!


ジークルーネ「…当タルモノカ!」バヒュッ!

真紅「雪華綺晶、見つけられる?!」

雪華綺晶「…真紅お姉さま、見せてあげる!」

真紅「な、なに?!」

雪華綺晶「さっき言ったでしょう? 見てもらったほうが早いって!!」


シュルシュルシュル…


真紅「こ、これは!?」

雪華綺晶「あなたとわたしの目をつないだの! あなたが今見ているのは、わたしが見ている風景!」

真紅「これは…!!」

雪華綺晶「わたし、わたし…!」



「絶対に、あいつを許さないっ!!」
544 : [sage]:2009/07/14(火) 20:38:59.39 ID:EZQrulk0
今日はここまでです。続きは明日夜。
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 20:40:08.92 ID:YjIplb6o
乙〜
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 20:50:10.35 ID:ewWOcN2o
おつ!
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 21:03:18.71 ID:dbapyVMo
おっつ
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 21:15:29.74 ID:dD5qxBEo
おつつ
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/14(火) 21:25:27.05 ID:Pt57d5ko
おつつ

きらきーは可愛いなあ
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/15(水) 00:57:17.62 ID:ZaDOcuco
もう銀様側室でいいから
>>1が俺と結婚しろ
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 09:48:04.96 ID:YuNtpxso
乙樽場

フルボッコタイムはまだk(ry

巨神兵が出るとはマジk(ry
552 : [saga]:2009/07/15(水) 19:40:28.08 ID:L74RLqo0
>>545-549
乙どもっす〜

>>550
ふつつかものですが(ヤメレ

>>551
ベタな展開になりますが…
飽きずにつきあってくれると。

再開します〜
553 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 19:53:27.79 ID:L74RLqo0
ヒュゥゥ… ズズゥン…



金糸雀「真紅が、予測地点に到達したかしら!」

ジュン「…あの砲撃音は?!」

金糸雀「…ジークルーネが、ものすごい集中砲火を受けているかしら!!」


ドォン… ズズゥン…!


ジュン「金糸雀、援護を!」

金糸雀「了解かしらっ!」シュピッ!



「ソプラノ隊、戦車を牽制しつつジークルーネの援護を!」

(Jawohl!)



「水銀燈、敵砲台を潰して!」

(わかったわ!)



「ソプラノ隊も水銀燈も、目標周辺の状況を逐次報告してっ!」

(Jawhol!)(了解よ!)
554 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 19:56:25.24 ID:L74RLqo0
金糸雀「アルト隊、本陣に近づく戦車隊に対空砲火を!」

(…ソレデハ、本陣ヲ狙ウ地上部隊ヲ、抑エキレマセン!)

金糸雀「…かまわない!! ブリュンヒルデが帰還するまでもてばいい!」

(Jawohl! …地上部隊モ、デキルダケ食イ止メマス!)



金糸雀「そして…」

蒼星石「みんなで固まって! しんがりは、僕らが引き受ける!」

翠星石「…どこからでも、かかってきやがれです!」

金糸雀「ふたりとも、司令官のわたしを尊重してほしいかしらー!!」プンスカ



ズズゥン… ドドォン…!



ジュン「真紅…!」
555 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 19:58:45.31 ID:L74RLqo0
…ヒュー-―――ン


ジークルーネ「…限界高度、限界速度デス!」

真紅「これは…!」

雪華綺晶(…見える? お姉さま…!)



(あの兵たちの心が…!)



歩兵(…)

コワイ コワイヨ…



騎兵(…)

パパ… ドコニイッチャッタノ…?



真紅「そんな…!」

雪華綺晶(…)



砲兵(…)



タスケテ… ヤダ… 

オイテイカナイデ…
556 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:01:57.32 ID:L74RLqo0
近衛兵(…)



イウコト キク… イウトオリニ スル…

ダカラ… コワイコト シナイデ…



真紅「これは…子供?!」

雪華綺晶(あの子たちは、傀儡ではないの!子供たちの命と心で作られた、生き人形なのよ!)

真紅「ひどい…!」

雪華綺晶(その子たちに自分を親だと刷りこんで、さらに自分への依存心と恐怖を植えつけてる!)



戦車兵(…)

イヤ イヤ… イタイノ ヤダ…


弓兵(…)

オシオキ シナイデ… イイコニ スルカラ…



雪華綺晶(言うことをきかなかったらひどい目にあわせたり、捨てるって言ったりして脅してるの!!)
557 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:04:42.31 ID:L74RLqo0
真紅「刷りこみと恐怖で、兵を操っているというの…!?」

雪華綺晶(許せない… 許せないっ!!)

真紅「雪華綺晶?!」


(お姉さま、お母さま! わたし…あいつが許せないっ!!)



(水銀燈「雪華綺晶…?!」)

雪華綺晶(…あの子たちは、わたしなの! わたしなのよぉっ!!)

真紅「雪華綺晶、落ち着きなさい!」

雪華綺晶(落ち着け…ですって…?)


…ザワッ


真紅「水銀燈のこともジュンのことも、わたしだって悔しい!」

(お母さまと、お父さまのこと…?)

真紅「できるなら、いますぐ思い知らせてやりたい! …けれど!」



(…)
558 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:07:04.45 ID:L74RLqo0
真紅「今は落ち着いて! 冷静にならないと…」


(…)


ザワザワザワ…


真紅「あ…あなた?!」

(お姉さまには…!)



「真紅には、わからないのよ!!」



ズワァァァ!!



ジークルーネ「コレハ?!」

真紅「あ… あああ?!」シュルシュルシュル…!

(水銀燈「雪華綺晶!? や、やめなさいっ!!」)

雪華綺晶「真紅に、わたしの気持ちなんかわかるものか!!」

真紅(雪華綺晶…っ!)シュルシュルシュル…!

雪華綺晶「真紅たちなんて、みんなとずっといっしょにいたくせに!」



ザワザワザワ…!
559 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:09:42.43 ID:L74RLqo0
真紅「うあ… ああっ!」シュルシュルシュル…

ジークルーネ「紅玉ノオ姉サマガ… 変貌シテイク?!」

雪華綺晶「お茶もお着替えもお稽古も、みんなで楽しんでたくせに!」


ズワァァァァ…!


真紅「あ… うああっ!」

ジークルーネ「右目カラ、白イ薔薇ガ!!」

雪華綺晶「わたしは… わたしは、ずっとひとりで…!!」



―お前は、特別な存在なのだ



「孤独におびえて、飼いならされて! みじめな奴隷のやすらぎを与えられて…!」



―お前は、あの子たちと心を通わせる必要はない



「それさえも奪うと脅されて! あいつのいいようにされて…っ!!」



―お前を創ったわたしに、逆らうというのか?




「あなたなんかに…」

(水銀燈「雪華綺晶!!」)




「あなたなんかに、あの子たちのこともわたしのことも、わかるものかっ!!」
560 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:13:16.38 ID:L74RLqo0
真紅「ああ… ああああ!」ガクガクガク…

(水銀燈「雪華綺晶、やめなさい!!」)

(金糸雀「水銀燈、どうしたの!?」)

(水銀燈「雪華綺晶が… 冷静さを失ってる!!」)



ズワァァァァア!!



ジークルーネ「…紅玉ノオ姉サマノ、姿ガ…!」

「…」

ジークルーネ「コノ姿ハ…!」

(金糸雀「ジークルーネ!?」)



「『氷晶』ノオ嬢サマ!」



雪華綺晶「…ジークルーネ、ゆっくり飛んで!」

ジークルーネ「…限界速度デス!」

(水銀燈「雪華綺晶!! やめるのよ!!」)

雪華綺晶「近くにあいつがいるの!」


…ザワッ
561 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:18:47.02 ID:L74RLqo0
(水銀燈「深追いはダメ! 位置を特定したら、引き返しなさい!」)

雪華綺晶「いやっ!!」

(金糸雀「あ、あなた!?」)

雪華綺晶「あいつは、わたしが始末する!! お父さまとお母さまの…そして!」

(水銀燈「…雪華綺晶!!!」)



「あの子たちの痛みと苦しみを!」


(―そして、わたしの痛みと苦しみを…!!)


「思い知らせてやるのよ!!」



(水銀燈「あなた… あなた!」)

(金糸雀「ジークルーネ、真紅を…雪華綺晶を連れて、引き返して!」)

ジークルーネ「…ワカリマシタ」


ヒュオオオオオ…
562 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:22:50.53 ID:L74RLqo0
雪華綺晶「…ジークルーネ、戻らないで!」 

ジークルーネ「司令官ノ、ゴ命令デス」

雪華綺晶「…ジークルーネ!」


ガシッ!


ジークルーネ「…『氷晶』ノオ嬢サマ?」

雪華綺晶「ごめんなさい!」



ズワァァァァ!



ジークルーネ「?!」

真紅「(や…めて…! やめな…さい…!)」

雪華綺晶「おとなしくしてて!」


シュルシュルシュル… 


ジークルーネ「オ、オヤメニナッテ下サイ!」

雪華綺晶「そうすれば、痛くなんかしない…!」


シュルシュルシュル…!


ジークルーネ「!? ア、アアア…!」ジクジクジュルル…!

雪華綺晶「ごめんね、ごめんね…!」



シュルシュルシュル…
563 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:27:04.94 ID:L74RLqo0
ザザザザザ…


翠星石「おいでなすったですね…!」

蒼星石「ここは通さない! ブリュンヒルデが戻るまで死守する!」

近衛兵「…」ジャキッ!

翠星石「ひゅぅぅぅぅー…!」ヒュルン!


「うう、うあああああ!!?」


翠星石「ひゅえ?!」コケッ!

近衛兵「…」ビュッ!

蒼星石「危ない!」


ザギッ!


近衛兵「!?」グシャ!

翠星石「な、なにごとですか?!」

ジュン「金糸雀!?」

金糸雀「あああ… うあああああ!」ガクガクガク…

のり「どうしたの?!」

金糸雀「…あの子が…雪華綺晶が…!」

ジュン「雪華綺晶が…? なにかあったのか?!」

金糸雀「あの子… あの子!」



「ジークルーネを侵食してるっ!!」
564 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 20:30:38.03 ID:L74RLqo0
ジュン「な、なんだって!?」

金糸雀「や…めて…! わ、わたし… まで…!? …くっ!!」


…ガクン


みつ「カナ!」

金糸雀「はあ、はあ、はあ…」

ジュン「なにがあったんだ!」

金糸雀「…ジークルーネを、わたしの制御から外したの…」

蒼星石「なんだって! それじゃ…!」

金糸雀「そうしないと、わたし自身まで侵食されそうだった…」

翠星石「で、でもそれじゃ!!」

金糸雀「…真紅たちの援護は、水銀燈と他の戦乙女がフォローするけれど…」



「あの子を止めないと…!」


雪華綺晶「…すぐ近くよ、そこっ! 降下して!!」

ジークルーネ「…」


ヒュゥゥゥン…



真紅(…雪華綺晶、あなた…!)

雪華綺晶「あんなやつ… あんなやつ!!」


―わたしに逆らえばどうなるか わかっているね?




「この世からもあの世からも、チリ一つ残さず消し去ってやる!!!」
565 : [sage]:2009/07/15(水) 20:31:36.14 ID:L74RLqo0
メシ休憩します〜 30分くらいかな…
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 20:33:44.30 ID:AvdwKMMo

ゆっくりどうぞ
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 20:33:57.12 ID:0LIJZy6P
食べテラ

きらきー、熱い子…っ!
568 : [saga]:2009/07/15(水) 21:05:12.12 ID:L74RLqo0
お待たせしました。
再開します〜
569 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:08:10.64 ID:L74RLqo0
ザザザザザザ…


レイ「…さっきから、あっというまに見つけられてしまっておるの…」


ドドドドドド…


レイ「姿を変えて擬態したいところじゃが…」 



「この姿でないと、兵が言う事をきかんからのぉ…」


ザザザザザ…


レイ「まったく、刷りこみというものは便利なようでいて融通がきかん」



ギューーーーン…



レイ「ま、また来おった!」

歩兵「…」ジャキッ!


…ギュルン!
570 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:10:25.27 ID:L74RLqo0
歩兵「?!」ベギベギベギ!


ズザザッ!


ジークルーネ「…」

レイ「…貴様は!」



「見つけた…!」



レイ「その姿… まさか『御子』か!?」

(現実世界へどうやって… そうか、実体を得たか!!)

雪華綺晶「ジークルーネ、やって!」

ジークルーネ「…」ジャキッ



バォウ!



レイ「がっ!?」グシャ!



…ガシャッ
571 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:14:19.34 ID:L74RLqo0
(水銀燈「また、偽者…?!」)

雪華綺晶「違う!」キッ!



「…あそこ! あそこにいる!」



(レイ「な、なんじゃと?!」)

(水銀燈「…わかるの?!」)

雪華綺晶「あいつの心が抜け出て、逃げ出すのが見えたの!」

(水銀燈「深追いしないで! みんなの到着を待ちなさい!」)

雪華綺晶「もう、逃がさないっ! ジークルーネ!!」

ジークルーネ「…」

雪華綺晶「あいつを追って! どこまでも追い詰めてやる!!」


ヒュゥゥゥーー…ン


(金糸雀「ジークルーネ!」)


ビヒュン!


(水銀燈「…雪華綺晶! 敵を追い詰めすぎるな!!」)
572 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:24:39.33 ID:L74RLqo0
雪華綺晶「…なぜ!? あいつは、お母さまに…お父さまに、あんなひどいことを!!」

(水銀燈「あなたの体を、とりもどすためよ!」)

雪華綺晶「わたしの… からだ…?」

(水銀燈「やつの本拠地をつきとめなくてはだめ! みんなの到着を待ちなさい!」)

雪華綺晶「…」

(水銀燈「…これは命令よ!!」)

雪華綺晶「…命令?」



―これは、命令だ



「…くく… くくくく…」

(水銀燈「…あなた?」)

「くくく… ふふふふふ…っ! わたし、バカみたい…!」

(水銀燈「…雪華綺晶!!」)

「あなたなんかを…」



「あなたなんかを、お母さまと呼んだわたしがバカだったのよ!!!」


ビヒュン!


(金糸雀「ジークルーネ!?」)

(水銀燈「な…なんですって?!」)

「結局、水銀燈だって、わたしのことなんか何もわかってなかった!!」

(水銀燈「…どういうことなの!」)

「わたし…わたしっ…!」



「あんな体なんて、いらないのよぉっ!!」
573 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:27:20.80 ID:L74RLqo0
ザザザザザザ…


レイ「(…間違いない… こちらを見ていた…!)」


ドドドドドド…


レイ「(…わしが…わしの本体が見えているのか?!)」


ザザザザザザ…


レイ「(戦乙女には今の戦力ではかなわん。 この上、わしの本体まで暴かれてしまっては…!)」


「逃げるなぁっ!!」


ギュォォォォ…!


レイ「(…こ、こっちに来る!)」

雪華綺晶「逃がすものか… 逃がすものかっ!!」

レイ「へ、兵ども! 時間を稼げ!」

歩兵「…」

弓兵「…」

レイ「…わしの位置がバレてもかまわん、もう気づかれておる! とっととやれっ!!」
574 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:31:18.13 ID:L74RLqo0
歩兵「…」ジャキッ!

弓兵「…」シュパシュパシュパ!

ジークルーネ「…」…ジャキッ


バォッ!


歩兵「!!」グシャ!

弓兵「!!」ガキュッ!

雪華綺晶「(…ごめん、ごめんね…!)」

レイ「く、時間稼ぎにもならん! こうなれば…戦場の全ての兵に告ぐ!」

歩兵「…」


「ここに集中しろ!! わしを守れ!!」ザザザザッ!


近衛兵「…」シャキッ!

レイ「実体を持っているなら、攻撃も効くはず! 数にまかせて攻めろ!!」ザザッ!

雪華綺晶「逃がさないと言ったはずっ!!」シュルシュルシュル…!


ズワァァァァァァ!


レイ「ぬ、ぬおっ?!」ギュルルル…!

雪華綺晶「さあ、もう逃がさない!」

レイ「こ、こんなイバラごとき…!」ギリギリ…

雪華綺晶「…」



「…う ふ ふ ふ ふ…」
575 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:47:48.89 ID:L74RLqo0
翠星石「ひゅうううう… ふぅっ!」ギュオ!

歩兵「!!!」バギバギバギ!

蒼星石「せいっ、はあっ! いやあっ!」ビシュビシュザシュ!

近衛兵「…!」ガキッ ザグッ!

巴「どんどん増えてくる…!」

みつ「ここが正念場ね!」


ザザザザザ…


翠星石「ひゅうううううー…!」ヒュルン!

近衛兵「…!」


ダッ!


翠星石「(…速い!)」

近衛兵「…!」シュザッ!

巴「いけない、ふところに入られる!?」

翠星石「…いいタイミングです。 …でも」


ボギュ


巴「え?」
576 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:49:18.04 ID:L74RLqo0
翠星石「甘かったですね…!」

近衛兵「…?!」…ヨロ

巴「(あれは…敵のお腹を貫いてるのは…大鎌の石突き?!)」

翠星石「こーんな、バカ長いエモノ振り回してるのに…」ヒュボ!

近衛兵「!!」ザギュ!



「ふところに潜られた時のこと考えてないとでも思いましたか?」…シャキッ!



蒼星石「さすがだね…! さあ、どんどん来い!」

歩兵「…」



ザザザザザ…



蒼星石「あ、あれ?」

のり「…戻っていく?!」

ジュン「な、なにが…?!」

金糸雀「ジュン!! 大変かしら!!」



「あいつが、全部隊に召集をかけてるかしら!!!」
577 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:53:28.63 ID:L74RLqo0
巴「え?!」

ジュン「…どういうことなんだ!!」

金糸雀「…そ、それは…」

(水銀燈「雪華綺晶が、やつを追い詰めているのよ!!」)

ジュン「水銀燈?!」

(水銀燈「でも… でも、あまりに危険すぎる!」)



(追い詰められた臆病者は、何をしでかすかわからない!!)



ジュン「…罠かもしれないけど… 金糸雀!!」

金糸雀「はいっ!!」

ジュン「町を守る部隊以外のすべての戦乙女を、あいつの位置に集中してくれ! ブリュンヒルデもだ!!」

金糸雀「了解かしら!」

ジュン「水銀燈も、全力で援護を! 総力戦だ!!」

(水銀燈「わかったわ!」)




(「雪華綺晶…無茶をしないで…!!」)
578 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 21:57:27.90 ID:L74RLqo0
レイ「く、くっ! この!!」

雪華綺晶「ふふふ、くくくくく…」


ギリ… ギリギリ…


レイ「…な、なぜじゃ?! なぜ切れん!? こうなれば… ぐうっ!?」…ギシッ!

雪華綺晶「ふふふ、くうっくっくっくっ… 逃がさないって、言ったはずでしょう…?」

レイ「本体が… わしの本体が… 体から離れられん…?!」


ギリギリギリ…


レイ「な、何がいったい… バカな、こんなバカな!!」

雪華綺晶「…だから、何度も言ったでしょう…?」クスクスクス…



「…おばかさぁん」



(水銀燈「雪華綺晶! 離れなさいっ… あ、あれは!」)


ザザザザザ…


(水銀燈「敵が殺到してる… くっ!」)



ズババババババ!
579 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/15(水) 22:05:16.02 ID:L74RLqo0
レイ「へ、兵ども! わしを助けろ! …助けてくれ!!」

歩兵「…」ガシャッ!

雪華綺晶「させないわ…!」


ズドドドォン!


歩兵「…!!」グシャバキッ!

雪華綺晶「(…お母さま…)」

ジークルーネ「…」スパパパパパパッ!

歩兵「!!」ガシャバキドシャッ!

レイ「こ、このっ…!」

雪華綺晶「…いいかげんに、おとなしくなさい。そうすれば…」

レイ「な、なんじゃと?!」

雪華綺晶「…ふ、ふふ… ふふふふふ…」

レイ「(こやつ…!)」



「す ぐ に 終 わ ら せ て あ げ る か ら」



…ニコ
580 : [sage]:2009/07/15(水) 22:25:47.26 ID:L74RLqo0
今日はここまでです。続きは明日夜。
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 22:28:20.62 ID:ysBnYwko
ほい、乙でした。

雪華綺晶さん、キれてますな……こわ
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 22:28:58.68 ID:YuNtpxso
乙樽場

いよいよフルボッコタイム…っ!…なのか?
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 22:30:13.50 ID:.iCNg5Io
乙〜
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 22:32:31.57 ID:MW80YXIo


>>582
と、言うか
きらきーの
酷い
トラウマタイム
が晒される悪寒が……
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 22:48:01.24 ID:AvdwKMMo


きらきーよ俺のことも殺してくれ!
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/15(水) 22:52:37.10 ID:y56jvtco
おつ!
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 00:02:24.01 ID:Tg2fFuYo
>>585
了解した。すぐ行く!
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 06:34:48.06 ID:Q3tEnWA0
>>585に総攻撃かしら!
589 : [saga]:2009/07/16(木) 20:25:52.05 ID:EcX5ugo0
>>581-586
乙どもっす〜

>>587-588
暗殺ならおまかせの双子がアップを始めました(大嘘



再開します〜
590 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 20:35:26.42 ID:EcX5ugo0
(グリムゲルデ「アルト隊、目標地点ヘ到達!」)

(ゲルヒルデ「ソプラノ隊到達! 援護シマス!」)


金糸雀「…みんな…!」

ジュン「金糸雀、目標地点の様子は?!」

金糸雀「…」



「敵であふれかえっているかしら…!」



蒼星石「やはり…!」

金糸雀「いくら雪華綺晶でも、あの数ではいくらももたない…!」

翠星石「…はやく、はやく何とかするです!」

金糸雀「何とか…って、何をすればいいのよ!」

翠星石「だ、だから、助ける方法を…」

金糸雀「だからどうやって?! 戦乙女がひとり侵食されているのよ!!」



「ムリヤリ引き戻そうとしたら、最悪ジークルーネにこっちを攻撃させかねない!」



翠星石「うう…」

ジュン「援護射撃をするにも、あまりに近くには撃ちこめない…」

(水銀燈「…そうね、もう…」)



(「あの子に賭けるしか、ないのかしらね…」)
591 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 20:39:54.07 ID:EcX5ugo0
レイ「すぐ終わらせるじゃと?! …どういう意味じゃ!!」ギリギリギリ…

雪華綺晶「あら、威勢だけはいいのね…」クスクスクス…

レイ「き、貴様…!」

雪華綺晶「もう助からないくせに… いいわ、ゆーっくり教えてあげる」

レイ「こ、この…!」

雪華綺晶「お父さまとお母さまへの、おもてなしの礼を…」


…ズ…


「そしてあの子たちにしたことの報いを、たっぷり思い知らせてあげたいところだけれど…」


ズ… ズ…


「時間もないみたいだし、すぐ、楽にしてあげるって言ってるのよ…?」


…ズズズ…!


レイ「ひ、引っ張られる?!」

雪華綺晶「さあ、いらっしゃあい…」クスクスクス…

レイ「…ほ、砲兵隊! 照準を向けろ! わしごと狙え!」

砲兵「…」

レイ「早くせんか!!!」

砲兵「…」ガシュッ!



ヒュバババババババ!
592 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 20:42:08.21 ID:EcX5ugo0
レイ「な?!」

砲兵「!!」ベキャ!

雪華綺晶「水銀燈… いえ…」 


ズズ… ズズズ…


「お母さま… ありがとうね…」


ズズズ… ズズズ…


「いますぐ… あなたが受けた屈辱、はらしてみせる…!」


ザワ… ザザザ… ズワ…ァァ…


レイ「み、みなのもの! 早くわしを助けろ!!」

歩兵「…」ザザザザ…

ジークルーネ「…」シュパパパパパ!


バギバギバギ!


レイ「ひるむな、進め! 押しつぶせ!」

雪華綺晶「(…さすがに、兵が多すぎる…!)」
593 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 20:45:05.69 ID:EcX5ugo0
レイ「今のあいつは実体じゃ! つかみかかれば、どうとでもなる!」

雪華綺晶「…真紅、がんばってね」


ザワザワザワ…


真紅(…え?)

レイ「…なんじゃと?」

雪華綺晶「…いけっ!」


ズワァァァァァァァ!


レイ「な、なんじゃ…? なにっ?!」

歩兵「…!」


ガクガクガク…!


近衛兵「!!」


ガタガタガタ…!


レイ「な、なにをしておる! 貴様ら!」

雪華綺晶「…あなたがしてきたことと、同じことよ」

レイ「なんじゃと?!」

雪華綺晶「足元をごらんなさい」

レイ「なにっ?! …げぇっ!」


シュルシュルシュルシュル…



レイ「蜘蛛の巣?! …いや、貴様のイバラか!!」
594 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 20:49:43.09 ID:EcX5ugo0
歩兵(…コワイ コワイ コワイ…)

近衛兵(…タスケテ イヤ… タスケテ…)

レイ「わしの兵が、すくんでおるのか!?」

真紅(きら… き… しょう…っ!!)

雪華綺晶「真紅、あとすこしだけがんばって。 すぐ終わらせる…」


ズ… ズズ…


レイ「や… やめろ!!」

雪華綺晶「いい子にしてなさぁい、おじいちゃま…」…ニコ


ズズ… ズズズ… ズルッ!


レイ「う、うおお?! …なにをする気じゃ!! わしを食う気か!」

雪華綺晶「いいえ」



ズルズル… ズズズッ…!



レイ「は、はなせ! はなさんか!!」

雪華綺晶「食べるなんて… 侵食してやるなんて、そんな優しいことしない…」
595 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 20:55:33.61 ID:EcX5ugo0
ズズズ… ズズ… ズァァ…! 


レイ「ど、どういうことだ!」

雪華綺晶「ふ ふ ふ ふ ふ…」



ズアァァァ…!!



レイ「右目の薔薇が…?!」

雪華綺晶「あなたは、これからね…」


ズアアア…!! 


レイ「薔薇の花が開いていく…?!」

雪華綺晶「これから、わたしに…」


ギュオオオオオ…!



「丸呑みにされるのよ!!」



レイ「(白薔薇が、口を開けていく! …!! な、なっ…!!)」

雪華綺晶「あなたの心は、まるごとわたしが呑みこんであげる!」

レイ「薔薇の中の… それはいったい…!!」


ギュ オ オ オ オ …!



「それはいったい、なんなのだぁっ?!」
596 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:04:05.06 ID:EcX5ugo0
雪華綺晶「…これ? …初めて見るの? うふふふふ…」 

レイ「こ、こやつ…!」

雪華綺晶「当然よね、めったに見られるものじゃないもの。 …ふふっ」



ギュ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …!



雪華綺晶「これはね、わたしのなかにある…」

レイ「…まさか?!」


「底無しの『虚無』なのよ…」 


レイ「な、なんじゃそれは!! ありえん!」

雪華綺晶「いまから、あなたをここに放りこんであげる。 …ふふふっ」



ウ ボ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ … !



「くっくっくっ… あなたの心は、恐怖の叫びをあげながら…」



ビュ ゴ オ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … !



「永遠にまっさかさまに堕ち続けるのよ…? ふふふふ…」 





「あははは、あーはっはっはっは…!」
597 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:09:03.77 ID:EcX5ugo0
ブリュンヒルデ「到達シマシタ!」

ゲルヒルデ「ブリュンヒルデ!」シュパパパパパパ!


バキバキバキ!


ゲルヒルデ「『氷晶』ノオ嬢様ハ、アソコニイル!」

ブリュンヒルデ「アレハ…!」



オ オ オ オ オ オ オ…



「イバラノ天蓋…?! アノ中デ、イッタイナニガ…!」



…ズズズッ!


雪華綺晶「…あきらめが悪いわね、往生なさい」…クスクスクス

レイ「わ、わしを生かしておかなければ、きさまの体は戻らんぞ!」

雪華綺晶「…」

レイ「き、きさま?」

(水銀燈「…あなた?」)



「…あんなもの、いらない」



レイ「…何を言っておるのだ?! あらゆる攻撃が通じない肉体ではないか!!」

(水銀燈「雪華綺晶!! 落ち着くのよ!!」)

雪華綺晶「…」



「あの体はね… なんにもないの…」
598 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:13:07.19 ID:EcX5ugo0
レイ「…??」

雪華綺晶「あの体の中にいる限り、わたしを傷つけられるものはいない。だけどね…」



「誰にも傷つけられないけど、だれとも触れ合えない。わかりあえないの…」



真紅(雪華綺晶… あなた…!)

雪華綺晶「…わたし、あんな体なんて、もういらないのよぉっ!!」



ギュバァァ…!



レイ「う、うおおあああああ!?」

雪華綺晶「…さあ、おしゃべりはおしまい」 


ズズズ…! ググググ…


レイ「ひ、ひきずりこまれる!!」

雪華綺晶「お父さまとお母さま、そしてあの子たちの苦しみを思い知れ…!」

レイ「ぐ… ぶあ…?!」


「(こやつ…本気じゃ! 本気でわしのことを…!)」


雪華綺晶「ふふふ… それじゃ… ね?」…ペロリ




「い た だ き ま ぁ ー す っ♪」
599 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:15:56.76 ID:EcX5ugo0
レイ「…も、もはやここまで!」

雪華綺晶「そう、素直が一番よ…」

レイ「わしを舐めるなぁっ!!」


ズワァ!


雪華綺晶「…?」ビシッ!

レイ「これで、逃げられんぞ!」ギリギリギリ…

雪華綺晶「…何を言っているの? 逃げるつもりなんて…」…ギリッ

レイ「地上の兵、地下で待機している兵、すべてに告ぐ!」



「もう、薔薇乙女など狙わなくてよい!」



(水銀燈「…なんですって?!」)

(金糸雀「どういこと…?!」)



「地上の兵は、すべて町を狙え!!」
600 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:20:02.63 ID:EcX5ugo0
雪華綺晶「…貴様?!」

レイ「地下の歩兵は半分はそのまま町へ! もう半分は『アレ』を実行して町へのりこめ!」 

(水銀燈「…まずい! 雪華綺晶、いますぐそいつを放しなさい!!」)

レイ「町を狙えば、やつらは見過ごせんはず! わしらを追ってこさせるな!!」

雪華綺晶「そろそろ、黙りなさい…!」


ズルッ!


レイ「ぐお…!」


…ボウッ


(金糸雀「なにあれ… 人魂?!」)

(水銀燈「雪華綺晶が引きずり出したのよ!!」)


ボオオオオオ…


(水銀燈「あれがあいつの本体だったのね…! あれは『憎悪の結晶』!」)

(金糸雀「イバラにからめとられて… 白薔薇にひきずりこまれていく!」)



ズズズズズ…!
601 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:24:11.07 ID:EcX5ugo0
レイ「地下の弓兵と近衛兵のみ、わしらの元へ来い! 残りはすべて地上をかく乱しろ!!」

雪華綺晶「言い遺すことは、それだけ?」


グボァァァァ…!


雪華綺晶「さあ、奈落の底へ落ちなさい!」

レイ「…おうとも!」



「ただし、貴様も道連れだ!!」


ボゴッ!


レイ「『御子』よ! やはり、貴様こそが邪魔者だったわ!!」

雪華綺晶「な、なっ?!」ズブズブズブ…!

ジークルーネ「?!」ズブズブ…!

レイ「それほどわしの本拠地が知りたいなら、今すぐ連れて行ってやる!」

(水銀燈「地面が!! …真紅、雪華綺晶!」)

(金糸雀「ジークルーネ!」)



ゴゴゴゴゴゴ…
602 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:26:50.60 ID:EcX5ugo0
レイ「どうせやられるなら、貴様だけは生かしておかん!!」

雪華綺晶「…望むところよ! わたしだって、貴様だけは許しておかないっ!」

真紅(雪華綺晶…!)


ズブズブズブ… ゴリッ!


ジークルーネ「…?!」…ギシッ!

雪華綺晶「ジークルーネ?! …ぐ、ぐぅっ?!」ギリッ…!

レイ「そんなでかい図体では、ここから先へは入れんよ」ズブズブ…


ギシギシギシ…


レイ「…ほれほれ、戦乙女から離れんとバラバラになるぞ…」ズブズブズブ…

雪華綺麗「き、貴様…っ!」ギリギリ…!

ジークルーネ「…!」ギシ…!

雪華綺晶「…ジークルーネ、放しなさい!」

ジークルーネ「デキマ… セン…!」

雪華綺晶「…あなた!?」



「危険… スギマス…!」
603 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/16(木) 21:29:36.26 ID:EcX5ugo0
雪華綺晶「…あなた…!」

ジークルーネ「ドウカ…オ戻リニ…!!」

雪華綺晶「…ごめんなさい!」


ギュバ!


ジークルーネ「アアッ?!」ビズ!

雪華綺晶「必ず戻ってくる! こいつを倒してね!!」ズブズブズブ…

レイ「くくく…! 実体があるなら、どうにでもなる!」ズブズブズズズ…



「わしを舐めたことを、後悔させてやるぞ…!」



ズズズズズズ…



(水銀燈「真紅、雪華綺晶…!」)

(金糸雀「あいつといっしょに… 地面の中に…!!」)
604 : [sage]:2009/07/16(木) 21:30:33.03 ID:EcX5ugo0
今日はここまでです。 続きは明日夜。
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 21:30:57.32 ID:a//aAGMo
乙!
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 21:32:03.29 ID:2f.A8uMP


きらきー狒々爺とのタイマン、街の防衛戦…
さて、どうなるか…
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/16(木) 21:32:23.82 ID:vePcZB20
青髭往生際悪すぎだろ……
きらきーよ、どうかこいつに勝ってくれ
乙!!
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 21:40:56.07 ID:ambQR.Eo


真紅は道連れか
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 21:57:34.85 ID:JjrcVVwo
おつ!
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 22:46:08.74 ID:wsf8gdUo
おっつ
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 22:47:36.58 ID:yH6KEdco
おつ
きらきーに食べられたいです飲み込まれたいです侵食されたいです
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/16(木) 23:34:02.37 ID:0SQEpUco


最近きらきーの犠牲になりたいヤンデレファンが多い件について
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/17(金) 19:22:37.64 ID:M5uWrh60
当のきらきーは何するでもなくただ一緒にいるだけでよさそうな件について
614 : [saga]:2009/07/17(金) 20:33:43.31 ID:fnKDSYY0
>>605-613
乙どもっす〜 
個人的には、きらきーはおっさんを振り回して遊ぶ相当な悪幼女のイメージが(ヤメレ


再開します〜
615 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:35:30.56 ID:fnKDSYY0
ヒューーーーーン…


ブリュンヒルデ「間モナク、目標地点ニ到達シマス」

ジュン「…戦況は?」

ブリュンヒルデ「敵ハ指揮系統ヲ失ッテイルヨウデス」


…ヒューーーーン


ブリュンヒルデ「バラバラニ町ヲ目指シテイルダケデ、集団戦ヲ挑ム様子ハアリマセン」

ジュン「殲滅戦か…」

ブリュンヒルデ「現時点デハ、各個撃破デ町ヘノ侵入ヲ食イ止メテイマス」

のり「…真紅ちゃんたちは?」

ブリュンヒルデ「…」

翠星石「…何とか言ったらどうですか!」



「…降下シマス」



ヒュウウウウ…ン
616 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:38:15.65 ID:fnKDSYY0
シュヴェルトライテ「総司令官、到着イタシマシタ」

金糸雀「ジュン…」


…ヒュウウウウ…ン…


金糸雀「ブリュンヒルデ、ごくろうかしら」

ブリュンヒルデ「ハイ。…ソレデハ、アルト隊ハ前線ヘ戻リナサイ」

グリムゲルデ「ブリュンヒルデ。 指揮官タチノコト、オ願イネ」ヒュオオオオ…


ビヒュン!


ジュン「みんな…」

蒼星石「…ジュン君」

ジュン「このあたりには、敵はいないのか?」

金糸雀「ほとんどの敵は、町のほうへ向かっているかしら…」

ジュン「真紅は… 雪華綺晶はどこへ?」

金糸雀「…そこかしら」


オ オ オ オ オ オ オ…


ジュン「…こ、ここか?!」

ブリュンヒルデ「…オ気ヲツケテ」




…オ オ オ オ オ オ オ…



ブリュンヒルデ「敵ガ出テクル可能性ガアリマス」

みつ「人一人が、ようやく通れるくらいの穴ね…」
617 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:40:41.72 ID:fnKDSYY0
ジュン「中の様子は、どうなっているんだ?」

金糸雀「…いっさいの探知が不能だったかしら…」

ジュン「…」

ブリュンヒルデ「相当深イ、トイウコトクライシカ…」

(水銀燈「わたしも、あの子たちとは現在連絡が取れないわ…」)

ジュン「…そうか…」

金糸雀「…」


オ オ オ オ オ オ オ オ…


ジュン「金糸雀」

金糸雀「…はい」

ジュン「君の言うとおりに、なってしまったね…」

金糸雀「…そんなこと、気にしている場合じゃないかしら。 指示を…」



…ズ



ジュン「…ん?」
618 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:42:28.97 ID:fnKDSYY0
みつ「…地震?」







巴「気のせいみたい…」

ジュン「敵の数は、どれくらいだ?」

金糸雀「まだ地下にかなりの数がいるようだけれど…」

(水銀燈「あちこちに空いた穴から、三々五々湧き出してきている。 …そこまでの数じゃない」)

ブリュンヒルデ「余裕ヲ持ッテ、抑エラレマス」

ジュン「そうか… ならば」



ズズ…



柴崎「ん…?」

ジュン「地上の敵を殲滅、あとは敵が出てくる穴を戦乙女に抑えさせて…」

のり「あれれ…?」



ゴゴゴ…
619 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:44:03.58 ID:fnKDSYY0
ジュン「穴の中へは… ブリュンヒルデ、穴を拡げることはできるかい?」

ブリュンヒルデ「…機材ヲ取リニ戻ル必要ガアリマスガ、5分イタダケレバ」

ジュン「5分か… 水銀燈、君もおりてこられるかい?」

(水銀燈「…やってみる」)

翠星石「ジュ、ジュン…!」

ジュン「なんだい?」

蒼星石「じ、地面が…?!」



ド ボ ボ ボ ボ…



ジュン「こ、これは?!」

柴崎「地面が傾いている!!」

(水銀燈「金糸雀!!  11時の方向!!」)

金糸雀「え… あ、あれっ!!」



ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ボ…!!



ジュン「地面が、盛り上がってる?!」
620 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:48:44.78 ID:fnKDSYY0
金糸雀「アルト隊、急行して!!!」

(シュヴェルトライテ「Jawohl!」)

(グリムゲルデ「何事デスカ?」)

金糸雀「…何者かが、地面から出てくるかしら!」


ゴガガガガガガ…!!



ブリュンヒルデ「検知結果ハ… 大質量ノ物体デス! 巨大デスガ、コレマデノ兵ト組成ハ近似シテイマス!」

金糸雀「さ、さっき探知したときにはそんなもの…?!」 

巴「あ、あれっ!!」


ガラガラガラガラ…


柴崎「腕… なのか?! あれが!!」

蒼星石「バカな、大きすぎる!!」

ジュン「水銀燈! 攻撃するんだ!!」

(水銀燈「…ええ!」)



ゴゴゴゴゴゴ…!
621 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:50:22.47 ID:fnKDSYY0
金糸雀「アルト隊も、到着しだい全力射撃して! …それからヴァルトラウテ!!」シュピッ!

(水銀燈「…てぇーーーーーっ!!」)



キシャアアアアア! グワァァァァァ!



金糸雀「『ノートゥング』を持って、目標地点に急行! 最大戦速で来なさぁーいっ!」

(ヴァルトラウテ「Jawohl!」)

ジュン「みんな、伏せろ!」

雛苺「…ひいっ!?」



ズドドドドォン!







ジュン「…や、やったのか?」



…パラ パラパラ…






「 ・ ・ ・ ・ ・ 」
622 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 20:53:58.09 ID:fnKDSYY0
ジュン「(土煙の中に… なにかがいる…!)」

巴「あ… あれ…」



「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



雛苺「うそ… そんな…」

みつ「動い… てる…?」

柴崎「大きい…!」



「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴ…



ゴゴ ゴ…



マツ「巨人の、兵士ね…」

のり「…これって、なんの特撮なの…???」

金糸雀「…ひ、ひるまないで! 全開射撃かしらー!!」

(水銀燈「もうやってる! …はぁぁぁぁぁっ!!」)



キシャアアアアアア!! グワァァァァァ!!



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」
623 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 21:00:47.84 ID:fnKDSYY0
ズドドドドドン!



(水銀燈「とろいわねぇ! 何発でもたたきこんでやるわ!!」)ゴォォォォ…!

グリムゲルデ「アルト隊、到着シマシタ!」

シュヴェルトライテ「ア、アレハ…!」

金糸雀「アルト隊、ブリュンヒルデ!  一斉射撃かしらー!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」バオッ!

グリムゲルデ「了解デス!」ズバゥ! ドォン!


ズドン! …ドドドォン!


シュヴェルトライテ「…命中! シカシ…!」シュバゥ!

(水銀燈「砕けろ、このデカブツ!!」)キシャアアアアア…!


ズズ…ゥン! ドドォ…ン!



「 ・ ・ ・ 」…ゴゴッ



柴崎「おお、ひるんだか?!」

金糸雀「ち、違う!!」



…ズズン ズゥ…ン



巴「町に向かって、動いてる!!」
624 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 21:07:01.93 ID:fnKDSYY0
金糸雀「撃って! 足を狙って撃ちまくるかしらー!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl! …アルト隊、射撃ヲ一点集中! 膝ノ裏ヲ狙イナサイ!」ズバゥッ!

グリムゲルデ「了解!」ドォン!

シュヴェルトライテ「撃チマス!」ボォン!



…ズバゥ! ドゴォン!



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」



…ドォン  ズゥゥン… 



(水銀燈「こ、この…! なんて装甲なの?!」)

金糸雀「あきらめないで! 足止めだけでも!!」

ジュン「(どうする… どうする?!)」



(戦乙女に穴を拡げさせる時間なんてない! 町が危ない!) 



(でも… 真紅は? 雪華綺晶は…?!)




「ボクは… どうすれば…!!」



ズズン… ドドン…
625 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 21:09:08.33 ID:fnKDSYY0
【地下洞】



ズザザザザ…



雪華綺晶「…この、どこまで引きずるつもり!」

真紅「(…深い…!)」



ズズズズズ…


レイ「…もうすぐじゃよ」…ズザッ!

雪華綺晶「ああっ?!」

真紅「(…空洞?!)」ヒュウウウウウ…



…ドボォン!



雪華綺晶「ごぼっ…! ここは?!」

真紅「(水…?! 違う、これは!)」

レイ「ぐふ… ふぉふぉふぉ… ごぼぼ…」…ズルッ



ジュグジュグジュグ…
626 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 21:14:29.97 ID:fnKDSYY0
雪華綺晶「き、貴様?!」

真紅「(溶けていく?!)」

レイ「安心せい… ぶぶ… きさまらは… 溶けんよ…」



ズブズブズブ…



レイ「いまは… まだ、な… ごぶ」

真紅「(雪華綺晶、やつの結晶を!!)」

雪華綺晶「さっきから、やってる!!」



ジュオオオオ…



雪華綺晶「…結晶まで、溶けていく?!」

真紅「(そんな… まさか!)」



(…ふぉふぉふぉふぉ…)
627 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 21:17:33.10 ID:fnKDSYY0
雪華綺晶「こ、これは…!」ジュグジュグジュグ…







イ 


真紅「(…?! 今のは…!)」ジュブブブブブ…
















真紅「これは…子供の思念?!」ジュブジュブジュブ…

雪華綺晶「し、侵食してくる!!」ゾブゾブゾブ…

(気づいたかね? くくくく…)


ジュルル… ゴボボボ…



(これが、わしの可愛い子供たちじゃよ… くくく…)
628 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 21:26:50.76 ID:fnKDSYY0
雪華綺晶「な… なんですって?!」

真紅「(なんてことを!)」

(採取したり、繁殖させたりした子らから抽出した…)








(絶望、憎悪、欲望、憤怒… あらゆる暗い感情の集合体じゃ…)

雪華綺晶「は…『繁殖』ですって…?!」

真紅「(…この外道が!)」








(わしの兵士にもなり、わし自身の力にも体にもなってくれる…)

ゾブゾブゾブ…

(可愛い子らじゃて。 ふぉふぉふぉふぉふぉ…)








629 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/17(金) 21:32:00.69 ID:fnKDSYY0
雪華綺晶「こ、このっ!」ズブ…

(きさまらは、完全な状態で入手したかったのだが… やむをえまい)ジュブブブブ…



(このわしの腹の中に、おさめてくれようぞ…!)



雪華綺晶「…ふざけるなぁっ!!」ジュブブ…

真紅「(雪華綺晶、気持ちを強く持って!! ひるめば食い尽くされる!)」ゾブゾブ…

雪華綺晶「わかってる! ここがやつの本体だというのなら…」



ズワァァァァ!



「逆にわたしが、お前を食い尽くしてやる!!」



(威勢がいいのぉ… やってみろ…)


ズブブブ…


(ここはわしの腹の中… わしの力は無尽蔵に沸いて出るぞ…)


ゴボボボボ…


(貴様らの力は… そろそろ限界ではないのかな…?)



雪華綺晶「…真紅、もう少し! もう少しだけ…!!」

真紅「(きら… き、しょう…っ!)」
630 : [sage]:2009/07/17(金) 21:35:19.01 ID:fnKDSYY0
今日はここまでです。続きは明日夜。
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/17(金) 21:36:09.49 ID:oSHW4A6o
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/17(金) 21:39:13.66 ID:ZzgFAIwo
乙です
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/17(金) 22:21:30.67 ID:WS4BtHoo
乙樽場

なんという状況、ひっくり返せるのか
楽しみに見せてもらいます
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/18(土) 00:06:23.59 ID:l1.cm82o
おつ!
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/18(土) 04:49:39.22 ID:nvYcfGIo
おっつ
636 : [sage]:2009/07/18(土) 18:15:27.63 ID:E1wMPxI0
予定が入ってしまったため明日の夜に延期します…
すみません。
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/18(土) 18:28:16.53 ID:7yiw62Io
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/18(土) 19:27:55.17 ID:l1.cm82o
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 00:33:15.42 ID:iMoH55Mo
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 00:41:06.93 ID:VXxJpSco
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 00:41:47.55 ID:etC4NWgo
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 01:16:25.94 ID:PE27Eh.P
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 01:37:56.85 ID:4W.fySQ0
>>637-642
えっらそうにwwwwwwwwww
644 : [saga]:2009/07/19(日) 18:09:06.44 ID:Ss1akzs0
お待たせしました〜
再開します。
645 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:11:16.17 ID:Ss1akzs0
【地上】


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」


ズズン… ズシン…


ジュン「(時間が…ない!)」

(水銀燈「てぇーーーーっ!」)キシャアアアアア!



ズドドドドドン!



ジュン「(早く… 早く、指示を出さないと…)」

翠星石「…」

金糸雀「全開射撃!! ヴァルトラウテが来るまで粘るかしら!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」バスッ! バスッ!

グリムゲルデ「了解!」ドォン!


…ボォン! ズドォン!



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズズ…ン ドォ…ン
646 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:15:50.20 ID:Ss1akzs0
(水銀燈「…くそ、少しは足を止めたらどうなの!」)

巴「あ… あれっ!」



ヒィィィィ…ン!



のり「あれは…!」

柴崎「おおっ!!」


「オ待タセシマシタ!」…ギュゥン!


金糸雀「ヴァルトラウテ、待ってたかしら!」

ヴァルトラウテ「『ノートゥング』充填完了マデ、アト10秒デス!」

金糸雀「充填ししだい、ぶちかましてやるかしら!!」

のり「い、いったい何をするの?」

金糸雀「念のため用意させておいた、対艦用兵器が役立つときが来たかしら!!」

柴崎「…た、対艦用じゃと?!」

ジュン「…」


…オ オ オ オ オ オ オ…


ジュン「(…いますぐ、いますぐ真紅たちを助けないと! でも…)」


(町が… 町も危ない…) 


(どうしよう… どうしよう…)


蒼星石「…」



(ジュン君…)
647 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:22:06.83 ID:Ss1akzs0
巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズゥン… ズズゥン…

ヴァルトラウテ「充填完了! 行キマス!」…ジャキッ!


ビュォォォォォ…!


金糸雀「撃ち方やめーっ! ヴァルトラウテ、狙いは右足首!!」

ヴァルトラウテ「Jawohl!!」…ブゥン!

金糸雀「いっきなさーーいっ!!」

柴崎「か、かなちゃん待てっ!!」グキッ!

金糸雀「ぐぇっ?!」 

みつ「(あ、首が…)」

柴崎「こんな町のそばで、対艦砲なんぞぶっぱなしたら…!」

金糸雀「じ、じんぱいご無用かじら!」…ゴリッ

みつ「(…あ、自分で治した…)」

ヴァルトラウテ「…参リマス!」バォッ!


ギュオン!


柴崎「とっ、突撃じゃと?!」

金糸雀「あれは、対艦『砲』ではないかしら!」…ズキズキ

ヴァルトラウテ「…オ覚悟!」

巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴ… ゴゴ…

のり「ぶ、ぶつかる!!」



ザギッ!
648 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:24:39.47 ID:Ss1akzs0
巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴ… ゴゴ…

のり「ぶ、ぶつかる!!」



ザギッ!



巨人兵「 ・ ・ ・ ?」…ズ…

巴「突き刺さった?! あれは…!」

ヴァルトラウテ「…出力全開ッ!」ギュン!



…ザギギギギッ!!



巨人兵「 ・ ・ ・ !」…ゴゴ…

のり「巨人の足を… 斬っていってる!!」

みつ「す、すっごい…!」

金糸雀「あれは、周囲に被害を与えずに大型目標を撃破するための、お父様の手による逸品!」



「『対艦剣』ノートゥングかしら!」
649 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:26:50.89 ID:Ss1akzs0
ヴァルトラウテ「…離脱シマス!」ザギギギギギ!


…ザギュン!!


巨人兵「 ・ ・ ・ !」…グラッ


巴「や… やった!」

柴崎「…まだじゃ!」



ゾブゾブゾブ…



蒼星石「斬りあとがふさがっていく!」

(水銀燈「させるかっ!」)ヒュバババババ!

金糸雀「傷跡めがけて集中射撃かしらー!!」ピシッ!

ブリュンヒルデ「Jawhol!」バゥ! バゥッ!


…ズドォン! ドドン!


ヴァルトラウテ「『ノートゥング』再充填開始! 完了マデ50秒!」

(水銀燈「…貴様らの思うようになんか、させるものかぁっ!!」)



ジュン「(…)」


(いったいボクは… ボクたちは、どうすれば…)


のり「…」

巴「…ジュン君…」
650 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:28:33.95 ID:Ss1akzs0
【地下洞】


ズブブブブ…



雪華綺晶「喰ってやる… 喰ってやるっ!」ギュゴォォォォ…!

(ほほ、頑張るのぉ)

真紅「(く… ああっ…)」

雪華綺晶「真紅…!」

(その程度かじられたところで、痛くもかゆくも無いわ)



ズブブブブブ…



雪華綺晶「?! こ、この!」

(次は、わしの番じゃ)

真紅「(侵食、してくる…!)」


ギュボボ… ズルズル…


雪華綺晶「わ、わたしのなかに入ってくるっ…?!」

(霊体では手も足も出ないが、実体なら別じゃ)

真紅「(…ぐぅ…っ!)」


ゾブブブブ…


雪華綺晶「う… うあ…っ!」ジュグジュグジュグ…

(奇跡の発明たるその体と心…) 



(なめるように、あらためさせてもらうぞ… ぐふふ…)
651 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:32:16.58 ID:Ss1akzs0
雪華綺晶「…うああ… や、やめっ…!」ジュグジュグググ…

(ほほほ… 喰うのは得意でも、喰われるのは初めてか…?)

雪華綺晶「や… やめ…!」

(ういういしいのぉ… ふぉふぉふぉ…)

真紅「(…雪華綺晶!)」 


(心を強く持ちなさいっ!)


雪華綺晶「しん… く…?」

真紅「(あんな… あんなこけおどしに、屈してはだめよ!)」

(…なんだと?)

雪華綺晶「…真紅…」

真紅「(あいつがわたしたちに侵入してこれるということは… あなたもあいつの中に入れるということ!)」



(力任せに飲みこもうとしないで! あいつの心をさぐって、弱点をつくのよ!)



雪華綺晶「…わ、わかってる! ちょっとびっくりしただけよ!」

真紅「(遠慮なくやりなさい! わたしは… まだ、大丈夫だから!)」

雪華綺晶「…この、意地っ張りっ!」


ズワァァァァ!


(ち、立ち直りおった…)
652 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:35:31.58 ID:Ss1akzs0
雪華綺晶「あら? あなたいま、動揺したのね…?」

(…)

雪華綺晶「くくく… わたしに隠し事なんか、できないんだから…」

真紅「(がんばって、雪華綺晶! 時間を稼げばかならず、みんなが助けに来てくれるから!)」

雪華綺晶「…」

真紅「(…あなた?)」



「…わたしだけで勝てる」



真紅「(あなたこそ、意地を張るんじゃない!)」

雪華綺晶「…ふん!」ギュォォォォ…



「さあ、わたしを喰らいたいならかかってきなさい。 心の隙間をついてやる…!」



(…こやつら…)



(絆、というやつか? ならば…)



(まずはそこから、切り崩していくか…)



ズブズブズブズブ…
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 18:38:05.72 ID:VXxJpSco
きらきーエロいよきらきー
支援
654 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:44:10.69 ID:Ss1akzs0
【地上】


ズズン…! …ドォン!


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゾブゾブゾブ…

金糸雀「なんて再生力…! ヴァルトラウテ、ニ撃目はまだ?!」

ヴァルトラウテ「アト30秒デス!」


ヒュオオオオオ…


ジュン「…」


(…くそ、くそっ… 考えがまとまらない…)


雛苺「ジュン!!」トテテテテ

ジュン「…ヒナ…」

雛苺「はやく…」


「はやく、真紅をたすけて! お願いなの!!」


ジュン「…」

雛苺「ひ…ヒナも、戦う! 怖いけど戦う! だから… お願い!」

ジュン「…わ、わかってる! わかってる、よ…」

雛苺「ジュン! お願い、早くしてぇっ!!」

みつ「…」

…スッ

ジュン「…みっちゃんさん?」

みつ「ジュン君」…ポン


「真紅ちゃんは、わたしたちにとっても、もう家族同然よ」 
655 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:49:58.19 ID:Ss1akzs0
ジュン「…みっちゃんさん…」

巴「雪華綺晶のことは、まだよく知らないけれど…」

ジュン「…巴」

柴崎「町より、あの子たちを優先したとしても、誰もお前さんを責めはせん」

マツ「あなたひとりに、背負わせる気なんてないですよ…」

ジュン「みなさん…」

のり「…ジュン君」

…ポフ

ジュン「…姉さん」

のり「あなたの、したいようにしてね?」
 

「わたしたちは、ずーっとジュン君の味方だから…」


ジュン「…」

金糸雀「…」


トコ トコ トコ


ジュン「…金糸雀?」

みつ「カナ…」

金糸雀「…みなさん」



「わたしたち、それで… それだけでもう、充分かしら…」
656 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:53:06.94 ID:Ss1akzs0
みつ「…カナ」

金糸雀「ジュン。 かりにあなたが… 真紅たちより、町を守ろうとしたとしても…」

翠星石「わたしたち、誰もあなたを責めませんよ?」

雛苺「翠星石っ!? …むぎゅ?!」

翠星石「バカ苺が、失礼しましたですぅ〜」…ズルズル

雛苺「むごー! むがー!」ジタバタ

翠星石「(バカ苺、黙って話を聞きやがれですっ!)」

雛苺「(な、なんで?!)」

翠星石「(ああでも言っておかないと、あのチビ人間…!)」



(自分ひとりで真紅を助けるとか、言いだしかねないですっ!)



雛苺「むー…」

蒼星石「…あなたの選択がどうであれ、結果がどうであれ…」

水銀燈(「わたしたちがあなたたちとともにあることは、これからも変わらないわ…」)



ジュン「みんな…」
657 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 18:56:18.35 ID:Ss1akzs0
ヴァルトラウテ「充填完了シマシタ!」

金糸雀「…すかさず行くかしら!! 目標はさっきと同じ!」

ヴァルトラウテ「Jawohl!」…ジャキッ!

金糸雀「倒れるまで、何べんでもぶったぎってやるかしらーっ!!」


ビヒュン! ザギザギザギ…!


ジュン「…みんな、戦ってる…」


…ジワッ


ジュン「…指輪が、熱い…」



「真紅も、まだ、戦っている…」



「…雪華綺晶も…」



「…」



…スック



金糸雀「みんな、あきらめないで! 撃って撃って撃ちまくるかしらー!」

ジュン「…金糸雀」

金糸雀「…ジュン?」

ジュン「…遅くなってごめん」



「指示を出すよ」
658 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:00:56.88 ID:Ss1akzs0
金糸雀「…はい」

ジュン「いまから…」



「いまからボクが、真紅のところに行く」



金糸雀「え…ええっ!!」

のり「ジュン君!!」

翠星石「…」


ツカツカツカ…


ジュン「…翠星石」

翠星石「この、バカチビ!」グィッ!

ジュン「…ぐ?」

翠星石「そう言うと思いましたよ! ムチャもいいところですっ!!」ブンブン

ジュン「…ぐぐぐぐ…?」

蒼星石「そうだよ、ジュン君。 君は…」 


「真紅のこと、雪華綺晶のことに、責任を感じているのかもしれないけど…」


ジュン「そうじゃない」

翠星石「…え?」

ジュン「翠星石、はなしてくれ」

翠星石「あ… はい」…パッ



「…勝算があるんだ」
659 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:03:33.64 ID:Ss1akzs0
みつ「勝算…?」

ジュン「雪華綺晶には、あいつを圧倒できる力がある」

金糸雀「…ええ」

ジュン「なら、あとは体になっている真紅の力さえ保てば、勝機はある」

のり「…なにをするの?」



「ボクが、真紅の力を呼び覚ます」



のり「真紅ちゃんの…力?」

(水銀燈「…わたしが何度も煮え湯を呑まされた、あの力ね」)

ジュン「そう。君から教えてもらった…」



「ドールと契約者の関係を超えた、真紅だけのあの力を」



巴「真紅だけの力…?」

ジュン「だから、ボクが真紅のそばにいなければならない」

のり「ジュン君…」


…ガバ!


のり「きゃああ?!」

ジュン「そ…蒼星石?!」

蒼星石「それにしたって、危険だよ! 危険すぎる!!」 

翠星石「そうですっ! あんびりばぼーですっ!」
660 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:06:11.02 ID:Ss1akzs0
ジュン「…」

翠星石「地下には、あいつの兵がうじゃうじゃいるんですよ!」

蒼星石「どんな罠が仕掛けてあるかもしれないし…」

翠星石「一人で行くなんて、死にに行くようなもんですっ!!」

ジュン「…」

翠星石「なんとか言ったらどうですか!!」

ジュン「…」



「そんなこと言ってない」



翠星石「…へ?」

ジュン「一人で行くなんて、最初っから言ってないよ」


…ガシッ


蒼星石「ジュン君…?」

翠星石「ジュ、ジュン…?」

ジュン「翠星石、蒼星石」


…ギュッ


蒼星石「ジュン…君?」

ジュン「…」ギュウ…

翠星石「…い、痛いですよ?」

ジュン「…」



「君たちも、いっしょに来るんだ」
661 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:13:53.77 ID:Ss1akzs0
翠星石「え…」

蒼星石「…ジュン君」

ジュン「…金糸雀と戦乙女、水銀燈は地上部隊を引き受けてくれ」…ギュウウ



「ボクらが、真紅と雪華綺晶と合流して、あいつを倒す」



金糸雀「そ、そんな…!」

ジュン「雛苺は、契約者のみんなを守るんだ」

雛苺「ジュン…」

金糸雀「ひとりが3人になったところで、危険すぎるかしら!」

ジュン「3人じゃない、5人だよ」

金糸雀「え?」


「ボクと翠星石、蒼星石。それに真紅と雪華綺晶で5人だ」


金糸雀「そ、そんな…!」

ジュン「ボクら全体の数から言えば、けして少なくは無い」

金糸雀「そ、それは合流できたらの話かしら!!」

ジュン「そうだよ。 だから、今すぐ行くんだ!」

翠星石「ジュン…」

ジュン「翠星石、蒼星石。 君たちが頼りだ」


…ギュッ




「君らの『本気の本気』、見せてもらう」
662 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:17:13.95 ID:Ss1akzs0
翠星石「わたしたちの… 本気の本気…」

蒼星石「…知っていたのかい?」

ジュン「水銀燈に、聞いたんだ」

翠星石「そうですか…」 

ジュン「ふたりは、ボクをなんとかして真紅のところまで到達させてくれ」

蒼星石「…」

ジュン「着いたら、ボクがなんとしてでも真紅の力を引き出して、やつを倒す」

翠星石「…できるんですか?」

ジュン「やってみせる。 君たちは、真紅と雪華綺晶と、ボクを守るんだ」

蒼星石「…」

翠星石「…」



「無謀だね」「ムチャクチャですぅ」



ジュン「…そうだよ」

翠星石「まーったく、ジュンは…」


…キュッ
663 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:19:44.04 ID:Ss1akzs0
ジュン「翠星石?」

蒼星石「ジュン君、君は…」


…ギュッ


ジュン「蒼星石…」

翠星石「ジュン、おめーってやつは、そんな危険な作戦に…」

蒼星石「僕らを連れて行こうっていうのかい?」

ジュン「…ああ」ペコリ


「頼む」


翠星石「無事に帰れるかどうかもわからないですよ?」

蒼星石「それどころか、たどり着けるかどうかさえ怪しいのに?」

ジュン「…君らとなら大丈夫。 頼む!」

翠星石「…」

蒼星石「…」



(『君らとなら』大丈夫…)




「…いひひひひっ♪」 「ふふふっ…」
664 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:30:00.28 ID:Ss1akzs0
金糸雀「ふ、ふたりとも??」

翠星石「やーれやれ、しょーがなーいでっすねーっ!」

シャキッ!

翠星石「さーって、行ってきましょうかねー!」クルクルクル

のり「翠星石ちゃん?!」

翠星石「できの悪い妹と、ムチャな契約者をもつと大変ですね〜!」ヒュンヒュン!

金糸雀「な、なにやる気まんちくりんになってるかしら!!」

蒼星石「妹たちを助け、町も巻きこまない。…これは、ジュン君だけの望みじゃない」ヒュン ビュッ!

ジュン「蒼星石…」


「…僕らの望みだ!」チャキッ!


金糸雀「あ、あなたまで!!」

蒼星石「さあ、急ぎましょう。 グラン・マスター!」

ジュン「…ありがとう」

翠星石「礼にはおよばないです! …わたしたち、とっても嬉しいんですよ?」



「ね、蒼星石…?」…ニコ



蒼星石「うん。翠星石、向こう向いてて」

翠星石「頼むですぅ」


シュルシュル …キュッ
665 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:37:07.07 ID:Ss1akzs0
巴「髪の毛を…?」

翠星石「時間ないから、切っちまってもいいですよ?」

蒼星石「…急ぐから、大丈夫」シュルシュル… キュッ

翠星石「さすがに、ジャマになっちまいますからね…」


「『本気の本気』で戦うときには…」


ジュン「君らの力は、どれだけ保つんだい」

蒼星石「契約者の体力にもよるけど…」

翠星石「5分くらいだと思ってください」

ジュン「5分か…」


シュルシュルシュル …キュッ


蒼星石「さ、終わったよ。 …翠星石、手を」…スッ

翠星石「…ええ、蒼星石」ス…


…キュ

666 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:40:55.36 ID:Ss1akzs0
のり「(手をつないで… なにを?)」

蒼星石「…2〜3分、下さい」…スッ

翠星石「ひさしぶりにやるから、ちょっと自信がないですが…」…ス

みつ「ふたりとも、目を閉じて…?」

金糸雀「…始める気かしら…」

マツ「…何を?」




トクン トクン トクン…



金糸雀「ふたりの、本気の本気…!」

(水銀燈「ひさしぶりに、お目にかかるわね…」)

柴崎「…なんじゃと?」

翠星石「わたしたちの、ほんとうの力…」



トクン トクン トクン…



蒼星石「僕らが双子としてつくられた、そのほんとうの理由…」



トクン トクン トクン…



「いまから、みんなに見せてあげるよ」
667 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 19:53:01.78 ID:Ss1akzs0
巴「…いったい、何が…」

(水銀燈「…真紅と翠星石、蒼星石の3人には、共通の機構が組みこまれている」)

のり「…銀ちゃん?」

(水銀燈「お父様は『共鳴』-Resonanz-と呼んでいた」)

みつ「共鳴…?」



トクン トクン トクン…



(水銀燈「長く連れ添ったパートナーと一緒にいると、単なる人数以上の能力、戦力がお互いに湧き上がってきたりするでしょう」)

のり「…うん…」

(水銀燈「お父様は、それを機構として再現しようとしていた」)

柴崎「…」

(水銀燈「そして、最初にそれを完成した形で組みこまれたのが、あのふたり」)



翠星石「…その通りですぅ」

蒼星石「ぼくら人形と人間たちの絆のために、お父様が作り上げた機構なんだ」



(「本来は、精神を治療するための精密な作業に必要とされた機構だったのだけれどね…」)



トクン トクン トクン…
668 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:03:41.48 ID:Ss1akzs0
金糸雀「あのふたりは、ああしてお互いの想いを合わせる… 同調させることで、任意に『共鳴』を発動させることができる」

(水銀燈「『共鳴』が発動したときのふたりには、のこり全員の姉妹が束になってかかってもかなわない」)

巴「ほ、ほんとに…?」



トクン トクン トクン…



(水銀燈「だから翠星石はアリスゲームを避けたし、蒼星石は1対1の勝負にこだわったんでしょう…?」)

翠星石「…よけいなこと、言うなですぅ」ブスッ

蒼星石「…姉妹への憎しみで『共鳴』を発動させたら、もうお互いを止められなくなると思ったんだ…」



トクン トクン トクン…



(水銀燈「わたしは別に、かまわなかったんだけれどねぇ…?」クスクス)

翠星石「だから、よけいなこと言うなですっ!」

蒼星石「す、翠星石!? 心を合わせないと…!」



…パン!



翠星石「…あ」

水銀燈「(…え?)」

蒼星石「…あ、ああ…」



ジュン「…おい」
669 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:10:14.90 ID:Ss1akzs0
翠星石「わっ、わたしのせいじゃないですぅっ! あの最凶ドールが!」

水銀燈「(い、言いがかりはやめなさいっ! あなたの修行が足りないのよぉ!)」

ジュン「」ブチ



「いいから早くしろーっ!!! 水銀燈もよけいなこと言うなーっ!!!」



翠星石「は、はい…」

水銀燈「(…わかったわよぉ…)」

蒼星石「…やれやれ、もう」



トクン トクン トクン…



蒼星石「(心が乱れてるよ、翠星石…)」

翠星石「(やばいです、あせるとますますうまくいかないです…)」

蒼星石「(…どうする?)」

翠星石「(…安直ですが…)」 




「(アレでもしてもらいましょうかね…)」
670 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:15:09.24 ID:Ss1akzs0
蒼星石「(あ、あれって?)」

翠星石「(決まってるじゃないですか、アレですよアレ)」

蒼星石「(…!!! い、いやだっ!! そんなのだめっ!!)」

翠星石「(いいじゃないですか、役得ですよ役得)」

蒼星石「(でも、でもっ!!)」

翠星石「(さっき、ジュンやのりたちだって…)」


(アレで、想いを重ね合わせてたじゃないですか…?)


蒼星石「(でも… でもっ!)」

巴「???」

ジュン「なにしてるんだ、ふたりとも…?」

翠星石「…おい、巴」

巴「…なに?」

翠星石「お願いがあるんです」

巴「わたしに?」

翠星石「わたしたちに、譲ってもらえませんかね?」

巴「何を?」

翠星石「…鈍いですねー」



「さっきお前が、ジュンにあげてたものですよ」
671 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:19:07.81 ID:Ss1akzs0
巴「え… ええっ?!」

ジュン「…なんの話?」

巴「べ、別に何もっ! なんでもないっ!!」…アセアセ

翠星石「ケチらないで、ちょっとだけでいいんです」

蒼星石「…嫌なら、仕方ないんだけど…」

巴「蒼星石まで?! ちょ、ちょっと!」

のり「あららららー… なぁーるほどー…」ニヤニヤ

ジュン「だ、だからなんなんだよ??」

みつ「まあ、いいからいいから」


グイグイ


ジュン「みっちゃんさん?? お、押さないで…!」

みつ「観念なさいっ!」ゲシ

ジュン「わっぷ!」ドテ

翠星石「…」


…ス


ジュン「…翠星石?」

翠星石「ほれ、早くするです」



「…んー」
672 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:21:17.02 ID:Ss1akzs0
ジュン「早くって、何を?!」

翠星石「巴たちにだってしてたんだから、いまさらもったいぶるなです!」

ジュン「だから何をだよ!」

巴「…」モジモジ

ジュン「…巴、なんなんだよ!!」

マツ「…して、おあげなさいな」

ジュン「え?! して…って…」

のり「ジュン君。翠星石ちゃんと、蒼星石ちゃんに…」ニヨニヨ 



「ちゅーって、してあげて?」



ジュン「ちゅーって… え?! そ、そんなっ!」

みつ「わたしたちだって、じゅんじゅんにしたのよ?」

ジュン「そ… そんなこと?!」

マツ「…だって、ね」

ジュン「マツ…さん?」



「最後のキスに、なったかもしれなかったから、ね…」
673 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:25:14.91 ID:Ss1akzs0
ジュン「最後の…」

翠星石「そうです。…危険だって、言ってましたよね?」

ジュン「あ、ああ」

翠星石「最後のがジュンなんかからじゃ役者不足ですが… まぁ妥協してあげますから」

ジュン「な、何言ってるんだ!」

のり「さっき、ジュン君に最後にキスしたのが、巴ちゃんなのよ」

巴「…」…ポッ

ジュン「え? 巴…」

巴「…」



「してあげて。 …お願い」



ジュン「…」

翠星石「…悪いですね、巴」

巴「…いいの。 大丈夫…」

柴崎「さあ、ジュン君。男を見せるときじゃぞ! 据え膳食わぬは…」

マツ「あなたったら…」

ジュン「…」


(え、ええい! ままよっ!)



翠星石「…んーっ…」
674 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:27:53.19 ID:Ss1akzs0
(ジュン… 憶えてます? わたしの言葉…)


―ジュンはジュン。 お父様とは… 違います


(ジュンがお父様じゃ… 困るんです)


(だって… ジュンがお父様だったら…)



…ギュ



(お嫁さんには、なれないですから、ね…)



…チュ



ジュン「…」

翠星石「…」



…スッ



ジュン「…翠星石…」

翠星石「…」




「ま、もう水銀燈にゆずっちゃいましたけどね…」
675 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:32:34.67 ID:Ss1akzs0
翠星石「ま、もう水銀燈にゆずっちゃいましたけどね…」

ジュン「…?」

翠星石「なんでもないですぅ。 …さ、蒼星石にも」

蒼星石「…う…」ドキドキドキ

ジュン「…」


…スッ


蒼星石「…」ドキドキドキ…



(どうしよう、どうしよう…)



…ギュ



(ますます、心が乱れちゃいそうだよぅ…)



蒼星石「…」ドキドキドキ

ジュン「…ご、ごめんよ」



…チュ



(う、うわー! うわー! ほんとにしてるー…? …??)



トクン トクン トクン…



(あ、あれ…?)
676 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:36:33.38 ID:Ss1akzs0
ジュン「…」

蒼星石「…」

翠星石「…どうです、蒼星石?」


(…)


翠星石「…落ち着きました?」

蒼星石「…」



(…う、うん…)



(なんでだろう…いま…)



(怖いくらい… 気持ちが落ち着いてる…)



(砲撃の音の… 向こう側の…)



(雑兵たちの足音まで… 聞こえてくる…)



トクン トクン トクン…
677 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:40:06.50 ID:Ss1akzs0
ジュン「…」

蒼星石「(…お父様…)」


…ギュ


(お父様、ごめんなさい… 僕はいま…)


(この方がお父様だったら、どんなにいいかって思ってしまいました…)


(大事なもののために体を張れるこのひとが…)


(のりさんへの何十分の一でいい。ぼくのことも守ってくれるなら、どんなにかって…)



…ス



蒼星石「…」

ジュン「…よかった、のかな…」

翠星石「…まあ、及第点ですぅ」…ニコ

蒼星石「ありがとう、ジュン君」ニコ…



「これで、これでもう、僕たちは…」



みつ「すとーっぷ!」ビシ!
678 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:44:53.72 ID:Ss1akzs0
蒼星石「わっぷ?!」

みつ「…それはなし!」

翠星石「…デカ人間?」

ジュン「み、みっちゃんさん? 何を???」

みつ「蒼星石ちゃん、あなたいま…」


「思い残すことはない、とかって言うつもりだったんじゃない?」


蒼星石「え…」

みつ「それはダメ。まあ、さっきわたし達も言っちゃったんだけど…」

マツ「あなたたちは、あの子たちを連れ帰ってくるために行くんでしょう?」

蒼星石「…はい」

翠星石「…無論ですぅ」

のり「なら、ぜったい帰ってきてね…?」

翠星石「当然ですぅ!」 

巴「約束よ?」

翠星石「…巴、ありがとうです。 大事なものをもらっちまって…」

巴「…いいの。だって…」…スッ

翠星石「…へ?」 


「返してもらうから」


翠星石「と… 巴? んむむ?」


…チュ
679 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:48:24.30 ID:Ss1akzs0
のり「うわー…」

蒼星石「と、巴?」

巴「蒼星石も…」

蒼星石「ん、んっ…」


チュ…


ジュン「と、巴…?」

のり「(…目覚めちゃったの???)」

翠星石「うう… わたしたち薔薇乙女なのに、百合乙女になっちまったです…」

巴「いいでしょ?」

翠星石「よくないです! 最後のキスが女の子となんて…」

みつ「ほら、それがダメ」

翠星石「え?」

巴「今のは、『最後のキス』じゃないもの」

翠星石「あ…」


「…お別れのキスじゃ、ない」


蒼星石「…そうか、そうだね」

巴「うん、今のは指きりのかわり。 …約束のキス」
680 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:51:27.79 ID:Ss1akzs0
翠星石「…巴」

巴「帰ってきてね?」

蒼星石「…うん。かならず、帰ってくる」

翠星石「もちろんです。 …みんなこそ、無事でいてくださいよ?」

のり「…うん」

翠星石「帰ってきたら誰もいなかった、っていうのはやめてくださいね?」

みつ「あったりまえよ。 だーいじょうぶ!」

蒼星石「…それを聞いて、安心しました」…ギュッ


トクン トクン トクン…


翠星石「ムチャな契約者と、おばかな妹たちといっしょに…」



トクン トクン トクン…



「わたしたちは…」 「僕たちは…」



トク トク トク トク…


「あいつを倒す!」



キュイイイイイイ…!



金糸雀「…来るわ!」

水銀燈「(始まった…!)」
681 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 20:57:43.31 ID:Ss1akzs0
キュイイイイイ…ン!


巴「な、なに?! この感じ…!」

のり「(空気が張り詰めて…! 体中が、びりびりするっ!)」



「そして… みんなといっしょに、あなたたちのところへ…!」


キュァァァァァァ…!


みつ「ふたりに、なにが?!」

金糸雀「いよいよかしら!」


「僕たちは!」「わたしたちは!」


キュゥゥゥゥ…ン!


「かならず!」…ギィン!



「帰ってくるっ!!」カッ!



(水銀燈「…『共鳴』が発動する!」)


パァァァァ…!



巴「ふたりの目が…!」

みつ「まばゆく輝いてる!!」
682 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 21:04:09.45 ID:Ss1akzs0
蒼星石「さあ、いくよジュン君!」

翠星石「しっかりついてきやがれです!!」

ジュン「頼んだよ。ふたりとも!」


シュタッ!


ジュン「突入する!」

のり「みんな、がんばれーっ!」

雛苺「翠星石、蒼星石…!」


トテテテテ


翠星石「チビチビ…?」 

雛苺「真紅のことお願い! …あと…」

蒼星石「…雛苺?」

雛苺「き… き…っ」


「き、きらきしょうのことも…!」


ジュン「…ヒナ」

翠星石「…雛苺」…ポン

雛苺「そ、翠星石…?」


「みんなのこと… 巴たちのこと、しっかり守ってくださいね?」


雛苺「…うん、がんばる」

蒼星石「たのんだよ、雛苺…」…ス

雛苺「…え? 後ろ…?」



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズゥン… ズズン…
683 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 21:10:30.15 ID:Ss1akzs0
雛苺「…???」

翠星石「わかりませんか?」

雛苺「う… うゆ???」

蒼星石「…あいつを」


「あいつを最後に止められるのは、きみしかいない」


雛苺「え?! そ、そんな… ムリなの!!」

蒼星石「きみなら… きみと巴なら、きっとできる」

翠星石「そうです。 しっかりしなさい!」…ナデ ナデ

雛苺「う… うう…」

ジュン「いくぞ!」シュタッ!

翠星石「おー! ですっ!」タタッ!

蒼星石「はいっ!」シュダッ!


ヒューーーン…


のり「いっちゃった…」

金糸雀「…あとは、成功を祈るだけかしら…!」

(水銀燈「わたしたちも、全力を尽くしましょう!」)

柴崎「…ようし、最後のひとふん張りじゃ!」



雛苺「…」
684 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/19(日) 21:17:43.39 ID:Ss1akzs0
巴「…雛苺?」

雛苺「…っ!」


トテテテテ!


巴「雛苺?!」

柴崎「地下洞?! そ、そっちは危ないぞ!」

雛苺「うう、ううっ…!」トテテテテ…

金糸雀「雛苺、あなたはそっちに行っちゃダメかしら!」

(水銀燈「…ジュンの言うことを聞きなさい!」)

雛苺「ううう、うううっ…!」


…ガバ!


みつ「お、落っこちるわよ?!」

巴「雛苺!」

雛苺「みんな、みんなぁ…!」


「…がんばってーっ! ジューン! 翠星石…」


巴「…雛苺!」

雛苺「すいせいせき… 翠星石ぃ…!」



「翠星石おねえさまぁー! 蒼星石おねえさまーっ!!」
685 : [sage]:2009/07/19(日) 21:18:51.83 ID:Ss1akzs0
今日はここまでです。 続きは明日夜。
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 21:26:06.01 ID:8UN2Li6o
乙〜
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 21:31:57.24 ID:IjYSe.ko
おつ!
688 : [sage]:2009/07/19(日) 21:40:11.56 ID:Ss1akzs0
>>653 支援どもっす〜

>>686-687
乙どもっす〜
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 21:40:58.56 ID:nDAstnIo
おっつ
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/19(日) 21:45:44.72 ID:VXxJpSco
おつです
691 : [saga]:2009/07/20(月) 20:46:25.56 ID:zFtKa8E0
>>689-690
乙どもっす〜
再開します。
692 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 20:48:36.92 ID:zFtKa8E0
【地下洞 最下層】



ジュグ ジュグ ジュグ…



雪華綺晶「…く、くっ… はぁ、はぁ…」

(…くく… くっくっく…)

真紅「(雪華綺晶…!)」



ズブ… ズブ… ズブ…



雪華綺晶「あ… うああ! あっ… やめ…!」

(ほほぅ、なるほどなるほど…)

真紅「(雪華綺晶! 気持ちを強くもちなさい!)」

雪華綺晶「わ、わかってるっ… こ、この…!」



ズワァァァァ…!



(ぐ、ぐおお…?!)
693 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 20:50:09.60 ID:zFtKa8E0
真紅「(効いているわ!)」

雪華綺晶「ふ、ふふふ…! どう? わたしが、おまえなんかに…っ!」

(ぐ、ぐぐ… ぐふふ、どうかな…?)


…ゴボッ


雪華綺晶「…なに?」

(こんなのは、どうじゃ… ふふふ…)

真紅「(こ、これは…?!)」


ゴボボボ…



―おまえは、特別な存在なのだ



雪華綺晶「な?!」

真紅「(こ、これはいったい…?!)」

(ぐふふふふ…)



―おまえは、あの子達と心を通わせる必要はない
694 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 20:52:50.60 ID:zFtKa8E0
雪華綺晶「やっ… やめろ! やめろやめろーっ!!」

(貴様の記憶のかたすみから再構成してやったのだが… 予想以上じゃな… ふふふ…)

真紅「(これが、雪華綺晶の記憶だというの…?!)」



―お前を創ったわたしに、逆らうというのか?



雪華綺晶「わ、わたしに近づくなぁ! わたしに入るな! やめろ、やめろぉ!」

真紅「(あなた… あなた、わたしたちのことを…)」

雪華綺晶「し、真紅! おまえも見るな! …見ないでっ!!」

真紅「(…雪華綺晶、しっかりなさい!! 敵は目の前よ!)」



―わたしに逆らえばどうなるか、わかっているね?



雪華綺晶「ひ… ひぃっ!?」

真紅「(雪華綺晶!)」

(ふぉふぉふぉふぉ、これはいい。 自ら崩壊して、心の奥底があらわになっていくわ…)
695 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 20:58:33.15 ID:zFtKa8E0
真紅「(貴様…!)」

雪華綺晶「あ、あああ…」ガクガク…

(なるほど… ほほ、そういうことか…)

真紅「(こ…この!)」


(私の妹に、触るなっ!!)


バチッ!


(ぬお?!)


真紅「(雪華綺晶、しっかりなさい!!)」

雪華綺晶「しん… く…?」

真紅「(目の前にいるのはあなたの敵! 心をふるいたたせて!!)」


(なんだ、今の力は…?)


雪華綺晶「し、真紅…っ?」

真紅「(ひるまないで! あなたは、あなたよ!)」 


(おのれ…)


雪華綺晶「え…?」

真紅「(…お父様の手による、誇り高き薔薇乙女! わたしたちの、7人目の姉妹!)」

雪華綺晶「わ、わたしが…?」

真紅「(だから… だから、戦って! 勝って! 生きて帰るのよ!)」

雪華綺晶「し、真紅…っ!」


(…)


(そんなやつの言葉に耳を貸すな)
696 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:00:42.91 ID:zFtKa8E0
雪華綺晶「え…?」

真紅「(なんですって?)」

(『御子』よ、そやつの言葉はただのあわれみ。 自分より弱いものを見つけて、悦に入っているだけじゃ)

真紅「(な…何を言うのっ!)」

(…証拠を見せてやる)



ボゴボゴボゴ…



真紅「(こ… これは…?)」

雪華綺晶「あ、あれは?」



―つかまって。 …いっしょに来たかったんでしょう?



真紅「(?! あ、あれは…わたし?! それに…)」

雪華綺晶「お、お母さま?! お母さまなの…?」

(『御子』よ、よく見ておくがいい…)



―近寄らないで! …あなた、あの子なんでしょう?!
697 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:02:31.38 ID:zFtKa8E0
真紅「(こ、これは…!)」

雪華綺晶「し、真紅! あなた…?!」

(自分より弱い子と思って手をかけていた子が、いきなり自分の母になり…)

真紅「(ち、ちがう! ちがうっ!!)」

(自分を飛び越えて、自分よりも高みに…父親のそばに居座られてしまった…)

真紅「(…ふ、ふざけないで! わたしはそんなこと…!)」



―なんで、未完成品のあなたを『お母さま』と呼ばなければいけないの?!

―つくりかけで放っておかれてたあなたがなぜ! 

―わたしたちを飛び越えてお父様の一番そばまで…!!



真紅「(や、やめて! ちがう、ちがうのよ!)」

(ふふふ、貴様の心は御子よりもはるかに読みやすかったぞ…)

雪華綺晶「真紅… あなた、お母さまのこと…!」

真紅「(ちがう、ちがう! そんなやつの言うことに惑わされないで!!)」



―何をするのよ! このジャンク!!

―あなたなんか、ここでお父様に壊されてしまえばよかったのよ!!
698 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:05:14.88 ID:zFtKa8E0
真紅「(や、やめなさいっ!! わたしは、わたしは…!)」

(つい最近も言っておったようじゃのぉ… くぅっくっく…)

雪華綺晶「…」

真紅「(雪華綺晶!)」

「…」

真紅「(雪華綺晶、話を聞いて!)」

雪華綺晶「…だ…」



「…だまれぇっ!!!」ズワァァァァァ!!



真紅「(あ… あぅっ?!)」ギュルルルル…

雪華綺晶「あなたは… お母さまになんてことを…!」…シュルシュルシュル


ギリギリギリ…


真紅「(ち… がう、やめ… て…!)」

雪華綺晶「どうせわたしのことだって、あわれな子だと思ってるんでしょう?!」

真紅「(そんな… こと…!)」



「かわいそうな子だとぐらいにしか、思ってないんでしょう!!」
699 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:07:18.60 ID:zFtKa8E0
真紅「(きら… きしょう…っ!)」

雪華綺晶「ヤツはわたしだけで倒す! お前は体と力だけくれればいい!」


ギュゴゴゴゴ…


真紅「(や、やめ…)」

雪華綺晶「お前なんか、わたしの無意識の底にまで沈んでしまえ!」 



「もう、2度と口をきくなっ!!」



真紅「(あ… うああ… ああ…)」



ズブブブブブ…



真紅「(だ… め…)」







雪華綺晶「…ふん」



(ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ…)
700 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:09:03.82 ID:zFtKa8E0
【地下洞 上層】


シュタタタタタ…


翠星石「…蒼星石、聞こえましたか?」タタタタタ…

蒼星石「…うん」シュタタタタタ…

翠星石「あのチビが、わたしたちのこと『おねえさま』ですって」

蒼星石「…なんだか、おもはゆいね」

ジュン「おねえさんらしいところ、見せてやろうよ」

翠星石「無論ですぅ。 はりきっちゃいますよ! 水銀燈に…」



「あの嫁がず後家に、笑われたくないですからね!」



ヒューーーーン…



ジュン「…?」

蒼星石「なんの音…?」


ブヅ!


翠星石「…ひょえ?!」

蒼星石「翠星石!?」



(…だれが嫁がず後家よ…)
701 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:10:20.82 ID:zFtKa8E0
ジュン「…聞こえてたんだ」

(水銀燈「それくらいの深度なら、まだね」)

翠星石「なんて地獄耳ですか…」ズキズキ

蒼星石「…翠星石、じっとしてて」

翠星石「え?」


…プツッ


翠星石「あつっ!」

蒼星石「この羽… さっきの」

(水銀燈「わたしからの餞別よ」)

ジュン「水銀燈…」

(水銀燈「一度きりしか使えない。 いつ使うか、よく考えて」)

ジュン「わかった」

(水銀燈「ジュン、翠星石、蒼星石」)




(あの子達のこと… 頼んだわよ)
702 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:12:52.42 ID:zFtKa8E0
翠星石「…当然です!」

蒼星石「まかせておいて!」

(水銀燈「わたしは、このデカブツを始末する…!」)

ジュン「頼むよ、水銀燈!」


シュタタタタタ…


蒼星石「…いる!」

翠星石「来ましたね…!」



近衛兵「…」ザザザザザ…



翠星石「時間が無いです、一気に突破しますよ!」ジャキ!

蒼星石「おうっ!」チャキッ!

ジュン「ふ、ふたりとも! 近づきすぎ…?!」


シュタタタタタ…!


翠星石「これでいいんですっ!」ビシュ!

蒼星石「いくよ!」シュダッ!



「はあっ!」「せやぁっ!」



ギュボ!
703 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:16:27.17 ID:zFtKa8E0
【地上】



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズズ…ン ドォ…ン

ヴァルトラウテ「行キマス!」


ザギッ!


巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴゴ…

金糸雀「そのまま足を一周して、切り落とすのよ!」

ヴァルトラウテ「Jawohl!」バオッ!

金糸雀「左足の動きに気をつけて!」



ザギギギギ…!



巨人兵「 ・ ・ ・ 」…ゴゴッ!

ヴァルトラウテ「離脱シマス!」ザギュ!

巨人兵「 ・ ・ ・ ?」…グラ ビギビギ…



ズズ…ゥン…
704 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:17:55.68 ID:zFtKa8E0
巴「やった…! 切断した!」

金糸雀「切り落とした足を集中射撃かしらー!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」ドォン!

巨人兵「 ・ ・ ・ 」…ズズ


ズブズブズブ…


柴崎「新しい足が、生えてきておる!」

みつ「しぶとい…!」

金糸雀「水銀燈! 傷口を焼ける?!」

(水銀燈「まかせなさい!」)ゴォォォォ…!


バゥッ… ズボォン!!


マツ「あ、熱っ?!」

のり「すごい…!」


ジュバアアアア…
705 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:18:49.75 ID:zFtKa8E0
柴崎「…やったか?!」

金糸雀「だ、だめ!」



ジュブブブブブ…



金糸雀「焼かれながら再生してる!!」

(水銀燈「なんてヤツなの…!」)

金糸雀「で、でも…」シュピッ!



「再生するたびに消耗はするはず! がんがんいくかしらー!」



シュヴェルトライテ「Jawohl!」ドォン!

グリムゲルデ「発射!」ズバン!



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」…ドゴン! ズバン!



ズズズズズ…
706 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:21:20.82 ID:zFtKa8E0
巴「な、なにか… 動いてる?!」

のり「あ、足元!!」



歩兵「…」ザザザザザ… 



みつ「いつのまに、あんな数が?!」

金糸雀「かまうな! 巨人兵に射撃を集中…」


ズゴォ!!


歩兵「!!!」バゴゴゴ!

金糸雀「?!」

(水銀燈「あれは…!」)



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴゴ…



ジュブジュブジュブ…



みつ「なにあれ…歩兵を…」 

巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」グブブブブ…


「歩兵たちを… 吸収、してるの?」


ズブズブズブ…


のり「ひぃ…!」
707 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:24:06.63 ID:zFtKa8E0
柴崎「また、動き始めた…!」

(水銀燈「キリがない…!」)

金糸雀「一気に、バラバラにしてやるしかないかしら…! ヴァルトラウテ、充填は!」

ヴァルトラウテ「アト10秒!」

金糸雀「水銀燈とブリュンヒルデは地上の歩兵を掃射して! アルト隊は巨人兵を牽制!」

(水銀燈「わかったわ…! はあああぁーーーーーっ!」)シュババババババ!

グリムゲルデ「Jawohl!」ドォン! ズドォン!



「いちかばちか、やってみるかしら…!」


…ドォン! ズドォン…!



雛苺「(が、がんばらなくちゃ… がんばらなくちゃ…)」ブルブルブル…



(でも… でも…)



―やめて、雛苺… ああっ… 



(トモエ…!)
708 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:33:26.54 ID:zFtKa8E0
【地下洞 中層】



ジュン「…」タタタタ…

蒼星石「はぁっ!」シュパパパパ!

翠星石「しゃああっ!」ギュルルルルン!

近衛兵「!!」


グシャグシャグシャ!


ジュン「…す、すごい…」

翠星石「つぎ、来ますよ!」ジャキッ!

蒼星石「先行するっ!」シャキン!


シュダダダダダ!


ジュン「(前方は、近衛兵でひしめいてるはずなのに!)」

蒼星石「たぁーっ!」シュババババ!

近衛兵「!!」ザギュボギュビズ!

翠星石「てぇーーーっ!」ギャルルルル!

近衛兵「!!」バリバリバリッ!



(全速力で走らないと、ふたりに追いつけないなんて…!)
709 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:36:08.95 ID:zFtKa8E0
蒼星石「ジュン君、大丈夫?!」

ジュン「あ、ああ!」

翠星石「よーっし、ならスピードアップですーっ!!」

ジュン「え?!」


ビヒュン!


ジュン「(ふ、振り切られる!!)」

蒼星石「せやああああーっ!」ヒュバババババババ!

ジュン「(洞窟の壁を、天井を蹴って跳ね回ってる…!)」

近衛兵「!!!」ガシュバキドジャ!



(…動きが目で追えない! なんて速さ…!)



翠星石「いぇぇぁぁぁーっ!」ギャルルルルル!!

ジュン「(大鎌を短く持って、両端で敵をなぎ倒してる… でも…!)」

近衛兵「!!!」バギギギギ!



(あのばかでかい大鎌の先端が、まるで見えない!)
710 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:38:13.89 ID:zFtKa8E0
蒼星石「…ジュン君、追いつけるかい?!」

ジュン「ぼ、ぼくにかまうな! 急ぐんだ!」

翠星石「しっかり走るですっ!」


タタタタタタ…


ジュン「(でも、それよりもなによりも…)」

蒼星石「はあっ!」

翠星石「しゃあっ!」


ボギュバギバギ!


(あんなお互い近くで戦って、どうしてぶつかりもしないんだ?!)



(…簡単よぉ)


ジュン「す、水銀燈?」

(水銀燈「あなたはものを食べてる最中に、舌や唇を噛む?」)

ジュン「え… まあ、たまには」

(水銀燈「あのふたりにしてみれば、その程度のことよ」)



(『ふたりでひとり』なんだから)
711 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 21:55:07.47 ID:zFtKa8E0
ジュン「…すごい」

(水銀燈「すごいでしょう? ふふふ…」)


蒼星石「一気に深層まで行くよ!」

翠星石「ええーいっ! よるなよるな、よらば斬るですぅー!!」

(水銀燈「…そろそろ、私の声も届かなくなる! 頼むわよ!」)

ジュン「おうっ!」


シュタタタタタ…!


【地下洞 最深層】


ゴボボボボ…


(ふふふふふ… くっくっくっく…)

雪華綺晶「何を、笑っているの…?」

(いやいや、失礼…)


「『こうも、思い通りにいくとは』…ですって?」


(…むう)

雪華綺晶「邪魔者に、退場してもらっただけ…」シュルシュルシュル…


ズワァァァァ…


(イバラを張り巡らせおった…)

雪華綺晶「…」



「ありがとうね…」
712 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/20(月) 22:02:04.81 ID:zFtKa8E0
(なんじゃと?)

雪華綺晶「時間を… つくってくれて」

(…?)


シュルシュルシュル…


雪華綺晶「これで… たっぷり、あなたをもてなしてあげられる…」

(…ほう)



「お母さまと…お父さま… そして…」



ゾブゾブゾブ…



「この子たちにしてくれたこと、思う存分思い知らせてやれる…!」

(…やってみろ! あのときわしにとどめをさせなかったこと、後悔させてやる!)

「あなたこそ、後悔しなさい! あのとき飲みこまれなかったことを…!」


ズワァァァァ…!


「覚悟なさい… すぐ楽になんか、させてやらない…!」
713 : [sage]:2009/07/20(月) 22:03:03.51 ID:zFtKa8E0
今日はここまでです。続きはあさって以降。
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/20(月) 22:05:06.69 ID:TGredwQo
乙〜
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/20(月) 22:07:45.02 ID:2TQ6V4wo
乙です
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/20(月) 22:08:25.21 ID:NbRPWYsP
乙です

…真紅…
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/20(月) 22:08:51.12 ID:RbRRppoo
乙ですた
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/20(月) 22:24:13.71 ID:NZXytc2o
おっつ
719 : [saga]:2009/07/22(水) 20:23:18.86 ID:N2TFra.0
>>714-718
乙どもっす。 再開します〜
720 : [saga]:2009/07/22(水) 20:26:44.03 ID:N2TFra.0
【?????】





ズ ズ ズ …



…ココハ…



ゴ ゴ ゴ …



ココハ… ドコ?






(無意識の底に、沈んでしまえ!)



…ソウダ… ワタシハ アノコニ…



(もう、2度と口をきくなっ!)



チガウ… チガウノ…
721 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:29:38.36 ID:N2TFra.0
(よくも、よくもお母さまを…!)



チガウノヨ… ワタシ…



ワタシハ…







「水銀燈、起きているかい?」



…?



「ええ、お父様…」



コレハ…



「…体が、だいぶ痛んでいる」



スイギントウト… オトウサマ?



「ごめんなさい…」



ソレトモ… 



…ジュン?
722 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:33:54.74 ID:N2TFra.0
「きみは、いつも無理をしすぎる」

「…」







「くれぐれも、無理はしないで」

「ええ…」



アノフタリノ カワス マナザシ…

カケアウ コトバ…







ワタシニハ ケシテ ミセナイ カオ…

スイギントウ ナゼ アナタハ…



イツモ イツモ ソウヤッテ…

クヤシイ クヤシイ…



クヤシイ…





723 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:36:07.41 ID:N2TFra.0
…ゴメンナサイ 



ゴメンナサイ  …キラキショウ



ナニモ チガワナカッタ… 



アナタノ イウトオリ ダッタ…



ヒドイコトヲ シテイタノハ ワタシ…



「この、このジャンク!!」



ワタシ… ワタシ… ホントウハ…



「ジャンク風情が!!」



ワタシ コソ ガ…




724 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:37:52.28 ID:N2TFra.0
【地上】



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ドドン… ズズ…ン



柴崎「い、いかん…! じりじりと町に近づいている!」

みつ「あれ以上、町に近づかれてしまったら!」

金糸雀「町を巻きこまなければ、攻撃できなくなってしまうかしら…!」ピシッ!

みつ「カナ?!」

金糸雀「水銀燈、あなたは歩兵たちの掃射に専念して!」

(水銀燈「…やるのね?」)

金糸雀「ええ!」シュピッ!


「アルト隊、ヴァルトラウテ、ブリュンヒルデ! これが最後のチャンスかしら!」



のり「金糸雀ちゃん…!」

金糸雀「ヴァルトラウテは上空で待機! 目標の真上につきなさい!」

ヴァルトラウテ「Jawohl!」ビヒュン!
725 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:39:49.74 ID:N2TFra.0
金糸雀「ブリュンヒルデは目標の背後に、地上から最接近! 足元の歩兵を掃射しつつ、できるだけ近くへ!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」バシュッ!

金糸雀「アルト隊のふたりは、砲撃でけん制しながら目標の前後にまわって!」

シュヴェルトライテ「Jawhol!」ジャキッ!

グリムゲルデ「了解デス」ゴォッ!



ギュォォォォ…!



巴「何をするつもりなの…?!」

(水銀燈「体の末端への攻撃は、ほとんどダメージにも足止めにもならない…」)

のり「え、えっ?」

金糸雀「なら、一気にバラバラにしてやるまでかしら!!」ピシッ!



(各機、指定位置ヘ到達! ゴ指示ヲ!!)



金糸雀「よーっし、みんな、いくかしらー!!」

「Jawohl herr kommandierender!!」



ビヒュン!
726 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:42:35.51 ID:N2TFra.0
【地下洞 中層】


シュタタタタタタ…!


蒼星石「…そこをどけっ!」ジャキ!


キュバババババ!


近衛兵「!!」ジャグバギ!

翠星石「ジュン、真紅たちは?!」

ジュン「…この先だ! まっすぐ先!」


タタタタタタ…


近衛兵「…」…ジャキッ

翠星石「とりゃーっ!」ギャルルルルッ!


ベギベギベギ!


近衛兵「!!」グシャグシャッ!

蒼星石「広間に出るっ!」


ザザザッ! 



蒼星石「…く!」

翠星石「…ここは!」



弓兵「……」



ギリギリ… ギリギリ…
727 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:45:31.19 ID:N2TFra.0
ジュン「待ち伏せられた?!」


…ズズン!


ジュン「…?! 来た道が!」

蒼星石「しまった!」



弓兵「…」ギリギリ…



ジュン「すごい数の弓兵! …罠だ!!」

蒼星石「ふせるんだ、ジュン君!」グイッ!

ジュン「わ?!」ガク!



弓兵「…」ギリギリギリ…



ジュン「こ、この距離じゃ伏せてても意味無いよ!!」

蒼星石「翠星石に任せるんだ!」

ジュン「す、翠星石に?」

翠星石「うっふっふっふ…♪」ジャキ!



「おっけーですぅ♪」クルクルクル…




ヒュンヒュンヒュン…
728 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:49:53.47 ID:N2TFra.0
ジュン「(鎌を回してる?!)」

蒼星石「(頭を下げてっ!)」

翠星石「ひゅぅぅぅぅー…」ヒュンヒュンヒュン…!


ヒュンヒュンビュンビュン…!


弓兵「…」パシュ!



パシュパシュパシュパシュ! 

ジュン「(来た!)」

…シュパパパパパパ!

蒼星石「翠星石、頼むよ!」



翠星石「まかされたですぅ…!」ビュンビュンビュンビュン…!!



…ビシュビシュビシュ!



「はあああああーーーーーっ!」ギュボボボボボッ!!



ジュン「(わ、わっ!)」

蒼星石「じっとしてて、ジュン君!」



カキカキン! カカカ! キキキン!
729 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:53:13.97 ID:N2TFra.0
ジュン「(な、なにがいったい?!)」

蒼星石「(地面にへばりついて! 上げた部分がすっとぶよ!)」

翠星石「どーしたどーしたですぅー!!」カキカキカキカキン!!



パシュパシュパシュビシュシュシュ!

カカキカキキカカキキカキン!



「(…弓矢が… 叩き落とされてる!!)」



パシュパシュパシュッ!

カキカキカカキキキン!



「しゃああああああーーーー…っ!」ヒュボボボボボボ!



パシュパシュ…

カキキン…




…パシュ パシュ…






730 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:57:38.65 ID:N2TFra.0
ジュン「…し、静かになった…?」

蒼星石「…」

弓兵「…」ズ ズザザ…


ザザザザ…


翠星石「…おやおや」…ニコ



「もーう、おしまいですかぁ?」…ジリッ



弓兵「…」ザザザ…

翠星石「それじゃ、遠慮なく…」シュタッ!


ヒュボ!


弓兵「!!」ジャギッ!

翠星石「刈り取らせてもらうですっ!」ヒュボ! ヒュバ!

弓兵「!!!」ジャグ! ジャゴ!

翠星石「ひーっひっひっひ…」ヒュンヒュン…!

蒼星石「いくよ、ジュン君!」シュタ!

ジュン君「お、おうっ!(翠星石、君って…)」タタタッ!



翠星石「矢でも鉄砲でも、火炎放射器でも持ってきやがれですぅ!」



(ほんとに悪魔人形だよ… 頼もしいくらいに!)
731 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 20:58:45.43 ID:N2TFra.0
【地下洞 最深層】


ゾブブブブブ…


(う、うおおお…?!)

雪華綺晶「ふふ、口ほどにも無いのね…」


ズブブブブブ…



(く、くそ!)ギュブブ…

雪華綺晶「あら、おイタはだぁめ…」


ズワァァァァ…


(うおお…?!)…ギシッ

雪華綺晶「…あなたの体になっているのが、あの子たちだとわかれば簡単よ…」



シュルシュルシュル…



(こ、これは…)

(コワイ コワイ コワイ…)

雪華綺晶「あなたは、この子たちを恐怖で支配しているのだから…」



「…より巨大な恐怖を与えてやれば、わたしが支配できるもの…」
732 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:01:23.44 ID:N2TFra.0
(え、ええい! わしの言う事をきけ!)

(コワイ コワイ コワイ…)



雪華綺晶「ふふふ… それじゃ、あなたのかわいい子供たちに…」ギュブブブ…!

(う、うおお!?)

ジュブジュブジュブ…!



「食べられてしまいなさい…!」



ジュブジュブジュブ…



(ぐ、ぐおお…!)

雪華綺晶「ふふふふふ…(はやく… しないと…!)」



(もう… 力が、もたない…)




(ほう、やはりそうか)

雪華綺麗水晶「…?!」 




(…なら、そろそろじゃな)



ズブズブズブ…
733 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:02:43.20 ID:N2TFra.0
【地上】


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴゴゴ…


ズズズ… ゴガガ…


のり「土手を越えられちゃう!!」

金糸雀「作戦開始かしら! ヴァルトラウテ、全速で垂直降下!」

ヴァルトラウテ「Jawohl!」…ビヒュン!



…ヒイイイイイイィィィィィン!



金糸雀「脳天にたたきこんでやるかしらー!!」


ガギュ!!


巨人兵「 ・ ・ ・ ? 」

みつ「あ、あたった!」

ヴァルトラウテ「…出力全開!」バオッ! 


ギュバババババババ…!


巨人兵「 ・ ・ ・ !」ゴゴ…!

柴崎「おお、ぐいぐい切り下ろしておるぞ!!」
734 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:04:05.24 ID:N2TFra.0
金糸雀「ブリュンヒルデ、来るわよ! 準備して!」シュピッ!

ブリュンヒルデ「Jawohl!!」ヒュウウウウウ…!


…ギュバババババババ!


金糸雀「ヴァルトラウテ! 真下まで切り下ろしたら、ブリュンヒルデと交代かしら!」

ヴァルトラウテ「了解デス!」ギュガガガガ…!


ギュバ!


巨人兵「!!」…グラ

ヴァルトラウテ「ブリュンヒルデ、受ケ取ッテ!」ギャン!

ブリュンヒルデ「マカセナサイ!」ガシッ!

金糸雀「ブリュンヒルデ、出力全開!! 急上昇かしらー!!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!!」…バオッ!



…ビュガガガガガガガガ!



巨人兵「・ ・ ・ ! ! !」ゴゴゴ…

巴「…今度は、背中側から切り上げてる!!」

みつ「いっけー! 3枚におろしちゃえー!!」
735 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:07:19.88 ID:N2TFra.0
金糸雀「アルト隊! ブリュンヒルデが真上まで振り切ったら、目標に前後から突撃!」シュピ!



「シュヴェルトライテは右半身、グリムゲルデは左を狙って!!」



シュヴェルトライテ「Jawohl!」ヒュオオオ…!

グリムゲルデ「イツデモ、行ケマス!」ヒュウウウ…!

ブリュンヒルデ「…アト 少シ…!」ビュガガガガガ… 


バガッ!!



巨人兵「 ! ! ! 」ゴガガ…!

ブリュンヒルデ「体幹部両断、完了! 離脱シマス!」

金糸雀「アルト隊、いっきなさーい!!」ピシ!

グリムゲルデ「…突撃ッ!」バオッ!!

シュヴェルトライテ「コレデ、終ワラセル!!」ドバゥ!



ヒューーーーーーン…! 



巨人兵「 ・ ・ ・ 」…ヨロ


ゾブブブブ…


巴「切り跡が、ふさがれる!」

金糸雀「やらせないかしらー!」



ズドゴォン! 
736 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:10:40.87 ID:N2TFra.0
巨人兵「・ ・ ・ ! !」…ミシッ

グリムゲルデ「…切リ跡ガ、ツナガリカケテイル!」ギギギギ…!

シュヴェルトライテ「…倒レナサイ!」ギシギシギシ…!

金糸雀「アルト隊、出力全開!!」シュピ!



ジュブブ… ミシミシ… ブヂ…



金糸雀「動力系が焼きついてもいいから、押しまくってぶっ倒して!!」

グリムゲルデ「…再生、サセルモノカ!」ギギギギギ…!

シュヴェルトライテ「観念シナサイ!」ミシミシミシ…!



「 ・ ・ ・ 」ミシ… ブヂブヂ… ギシッ



のり「あ、あとちょっと!」

巴「(神様…!)」
737 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:14:31.08 ID:N2TFra.0
「 ・ ・ ・ 」 ミリミリ… ジュブブブ… ゴリッ!



金糸雀「アルト隊… がんばって! ここで決めて!!」

柴崎「もう、倒れてくれ…!」

みつ「がんばれ、みんながんばれっ!!」



巨人兵「 ・ ・ ・ 」ギシギシ… グヂ… ギュブ…!



グリムゲルデ「…アト、ヒト押シ!」

シュヴェルトライテ「引キ裂イテヤル!!」



巨人兵「 ・ ・ ・ 」ギロリ



「 ! ! ! ! ! 」ゴォウ!



金糸雀「?!」

(水銀燈「いけない!」)



ズガガッ!



シュヴェルトライテ「!?」ガヅ!

グリムゲルデ「…アアッ!」ドゴ!
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 21:15:02.45 ID:oCnZlAYo
綺麗水晶で出してるのねww
739 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:17:51.10 ID:N2TFra.0
ブリュンヒルデ「…アルト隊!!」




「 ・ ・ ・ ・ ・ 」…ズ



…ズ …ゴゴゴ…



金糸雀「そんな… そんな…!」

みつ「つ、つながっちゃった…」



「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズズ…



ズズン… ドドン…



柴崎「歩き始めた…!」

のり「も、もうダメ… なの…?!」




雛苺「ああ… あああ…」ブルブル…
740 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:20:35.73 ID:N2TFra.0
【最深層】


雪華綺晶「な… なんですって?」

(やれやれ、なかなかしぶとかったの…)

雪華綺晶「き、貴様!」

(イタズラが過ぎた子には、お仕置きが必要じゃな…)ガガガガ…


ギュボオオオオ…!


(イヤダイヤダ!! コワイコワイ! タスケテ!)

(ゴメンナサイ! ゴメンナサイ!!)


雪華綺晶「き、貴様、わざと!」

(貴様をたばかるためとはいえ、本気で喰わせるのはしんどかったがな…)

雪華綺晶「く、くっ!」ギュバァ!

(ムダじゃ… 貴様の弱点は、もうつかんでおる…)

雪華綺晶「…な…!?」




(…心を読むまでも無くな)
741 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:23:38.03 ID:N2TFra.0
雪華綺晶「…たわごとを!」

(試してみるか?)…ボゥ


ギュゴゴゴゴゴ…


雪華綺晶「こ、これは…!」

(お前が恐れているのは、これじゃろう?)

雪華綺晶「…こ、この!」

(ほほ、図星のようじゃな…)


ギュゴゴゴゴゴ…


雪華綺晶「う… く、来るな!」

(そう、お前がさきほどわしに見せてくれた…)



(底無しの『虚無』じゃよ)ギュオオオオオ…!



雪華綺晶「…ひ…引きこまれる! ばかな、これはまぼろし…!」

(まぼろしでも、貴様が信じれば真実になる。 一瞬でも信じれば、貴様の負けじゃ…)

雪華綺晶「こ、このぉ!」ズワァァァァ!



ギュボォォォォォ…!
742 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/22(水) 21:27:16.85 ID:N2TFra.0
雪華綺晶「…な! 力が、吸われる…!」ズズズズ…

(もう手遅れじゃ… だから言うたであろう)

雪華綺晶「ああ… ああああ!」ズズズズ…

(あのとき、とどめを刺せなんだことを後悔しろと…)



ズズズズズ…



雪華綺晶「ひ、ひい…っ!」

(貴様が、最も残酷な刑罰として、虚無を選んだということは…)

雪華綺晶「…だ、だまれっ!」



グォォォォ…!



(それは貴様自身こそが、虚無を恐れているからにほかならん)

雪華綺晶「わ、わたしは… こんなもの…!」



ズ… ズズズ…



「や… やめ…」



ズズズ…





「やめて…!」
743 : [sage]:2009/07/22(水) 21:29:09.44 ID:N2TFra.0
今日はここまでです。続きはあさって以降。

>>738
おっと失礼;;; お目汚しすんません。
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 21:29:46.63 ID:OrzL3LMo
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 21:32:19.72 ID:761HPygo
おつ!
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 21:36:19.50 ID:oCnZlAYo
おつつ
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 22:32:52.49 ID:xRC/6jQo
おっつ
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 22:33:15.73 ID:e0iI8U2P
乙樽場

うがー、もどかしいぜ
749 : [saga]:2009/07/24(金) 17:56:02.84 ID:/FCfgS20
>>744-748

乙どもっす〜
再開します。
750 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 17:58:27.34 ID:/FCfgS20
ズ… ズズズ…


雪華綺晶「やめろ… やめろぉっ!」

(くくく、よくわかったぞ… きさまなど、もはや恐れるにたらん)

雪華綺晶「な…なんですって…?!」

(…きさまの本質は、ただの娘っ子に過ぎん)

雪華綺晶「こ、この…!」

(霊体に守られていただけで、その心はまるでもろい…)


ズズズズ…


雪華綺晶「く… 何を…!」

(人を食った奇矯なしぐさも、傲然と人を見下す態度も、すべてその危うさを隠す仮面…)


ズズ… ズズズ…


(…今からそれを、証明してやる)…ゴボ



ゴボボボボ…



雪華綺晶「…それは…?!」

(言うまでもあるまい)ゴボボボ…

雪華綺晶「(何か… 出てくる?!)」




(貴様の最大の恐怖の対象じゃよ…?)
751 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:02:39.66 ID:/FCfgS20
ゴボボ…



雪華綺晶「(まさか… まさかそんな…)」

(…さあ、ご対面じゃ…)

雪華綺晶「あれは…!」



―雪華綺晶。



雪華水晶「…な!」

(…)



―雪華綺晶…



雪華綺晶「ち、ちがう! ちがうちがう! こんなの…!」

(…くくく)



―言いつけを破ったね?



雪華綺晶「え…え?」…ピシ

(ふふふふ…)



―お仕置きを、せねばなるまい。



雪華綺晶「う、うそよ… こんなの… ただのまぼろし…」ピシ… ピシ

(ほっほっほ…)
752 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:06:36.73 ID:/FCfgS20
―泣きわめいても、出してはやらん。 自分のしたことを、よく考えろ。



ズズズズズ…



雪華綺晶「ひ…引きこまれる! い… い…!」ピキキキ…

(ほれほれ、底無しの虚無が口をあけて待っておるぞ…)



ズズズズズ…



「…いや…!」…パキン!



…ズボッ!



「いやぁ! いやあああ!」

(ほっほっほ… 堕ちおった)



「やめて! だめ! こわい、こわいの! …お、おっ…」

(愉快、愉快…)




「おとうさまぁーっ!!」




ゴ ォ ォ ォ ォ ォ …
753 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:08:57.12 ID:/FCfgS20
【地下洞 深層】


シュタタタタタタ…!


翠星石「…ジュン、真紅たちの場所は…!?」

ジュン「まだだ! でも、少しづつ近づいてる!」

蒼星石「…また、広い場所に出るよ!」

翠星石「…待ち伏せするなら、どうぞ来やがれです!」


ザザザッ!


ジュン「ここは…?!」

翠星石「…道が…!」



ヒュウウウウウ…



蒼星石「無数に枝分かれしてる…」

ジュン「ど、どれを通ればいいんだ…?」

蒼星石「…ジュン君」ジャキ!

ジュン「な、なんだい?」

蒼星石「真紅のいる方角はわかる?」

ジュン「そ、それはわかるけど…」

蒼星石「じゃ、その方向を指示して」

ジュン「え、えっと…」スッ 


「…この指のまっすぐ先」
754 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:10:31.91 ID:/FCfgS20
蒼星石「…じゃ、その道だ!」

翠星石「とりあえず、突っこむです!」

ジュン「お、おう!」


タタタタタタ…


翠星石「敵さん、出てこないですね…」トトトト

蒼星石「うかつに配置すれば、正しい道を教えるようなものだしね」

ジュン「…うん、でも…」


タタタタタ…


ジュン「敵がいないってことは、この道じゃないのかも…」

蒼星石「…いいんだ。 ジュン君、真紅のいる方角は?」

ジュン「ん… この指のまっすぐ先…」

翠星石「ストップですっ!!」


キキッ!



ジュン「わっぷ?!」

翠星石「うぐぇ?!」


ドテ!
755 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:11:47.35 ID:/FCfgS20
ジュン「い、いきなり止まるな!」

翠星石「しょーがねーですっ!」ビシ!

ジュン「あ…!」



ヒュウウウウ…



ジュン「行き止まり…!」

蒼星石「…」

ジュン「戻ろう!」

蒼星石「ジュン君! 真紅の居場所を指示して!」

ジュン「え?」

蒼星石「早く!」

翠星石「ジュン、蒼星石の言うとおり教えてやるです!」

ジュン「え… そ、そっち」スッ

蒼星石「ありがとう!」ジャキ!



「みんな、離れて!!」ギャルルルル!
756 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:15:51.09 ID:/FCfgS20
ジュン「な、なにを?!」

翠星石「ジュン、危ないですよ!」

蒼星石「はあああああああっ!」ギュバ!



ギュボボボボボボボ!



ジュン「うわ! …ほ、掘ってる! 掘り進んでる!!」

翠星石「うおおおおおおっ!」ギャリギャリギャリ!

ジュン「土じゃない、岩肌なのに…!」


ギュボボボボボ… ボゴッ


蒼星石「抜けたよ!」

翠星石「でかしたですぅ!」

近衛兵「?!」ザザザザ

蒼星石「ふふ…!」シュダ!


シュパパパパパパ!


近衛兵「!!!」ザギュガシュ!

蒼星石「きみたちの思惑通りにはいかないよ…!」

翠星石「時間がありません、突っ切りますっ!」


シュタタタタタ…


ジュン「持ちこたえてくれ…」




「真紅… 雪華綺晶…!」
757 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:21:00.67 ID:/FCfgS20
ゴ ォ ォ ォ ォ ォ …



雪華綺晶「うう… ひぐ… うあああ…」

―…



ゴ ォ ォ ォ ォ ォ …



「おねがい… おねがい! もうしないから! いい子にするから!」

―…



…ゴゴッ



「や、やめて! とじこめないで! くらいの、イヤなの! おねがい! ゆるして!」

―…



ゴゴゴ…




「やめて… やめてよぉっ!!」

―ダメだ。



ゴゴォン!



「ひ!?」

―…


オ ォ ォ ォ ォ …
758 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:24:08.84 ID:/FCfgS20
「…ひぃああああぁぁぁぁっ! だしてぇっ! とじこめないでぇっ!」

―…これが、君に課せられるべき罰なのだ。



「た、たすけてぇっ!! ごめんなさい! ごめんなさぁーいっ!」

―きみは、特別な存在なのだ。力には、責任が伴うのだよ。



「わ…わかりました! ごめんなさいっ! だから、おねがい! そとにだしてぇっ!!」

―口先だけで謝ったところで、反省しているとは思えない。



「ほんとうです! ほんとう! おねがい… ごめんなさい! ごめんなさぁいっ!」

―ダメだ。 自分のしたことの報いを、そこで受けるんだ。



「ひぃ… ひああ… ゆるして、ゆるしてよぉ…」

―…



「…お、おとうさま?」

―…
759 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:25:56.24 ID:/FCfgS20
―…



「おとうさま?! い… いやぁあ! いかないでーっ!」



―…



「ひとりにしないで! おねがい! こわいの、こわいのよぉっ!!」



―…



「おねがい… おねがいぃぃ…」



―…



「ひ… ひっ… ひぐぅぅぅ…」



「うぇ…えええ… えぇぇぇ… ん…」



「…うぇ…ぇぇぇ…」



「ぅ…ぇ…」



「…」





(ほっほっほっほっほ… ほーっほっほっほっほ…)
760 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:31:36.29 ID:/FCfgS20
【地上】


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴ…

ズズン… ドドン…


(水銀燈「くっ… 止められない!」)キュバババババ!

ズドドドドン!


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴゴ…

ズズン… ドドン…


(水銀燈「町に入られてしまう…!」)



みつ「く… 家のすぐそばまでいってしまう!」

のり「もう… もう、手はないの?」

金糸雀「…」


「…射撃も、斬る攻撃でも、有効打にはならないかしら…」


(水銀燈「…一瞬でこっぱみじんにでもしないかぎり、いくらでも再生する…」)

巴「こっぱみじんって… どうやって?!」

金糸雀「…爆撃でもするか…」

柴崎「爆撃?!」

みつ「カナ!!」

金糸雀「…それとも…」…クルッ

のり「か、金糸雀ちゃん?」

金糸雀「…」ジー…


雛苺「…う…?」
761 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:33:43.61 ID:/FCfgS20
(水銀燈「雛苺…」)

雛苺「は、はい…」

(水銀燈「…あなたの出番よ。覚悟を決めなさい」)

雛苺「…う、うぅ…」

巴「…雛苺が?」

雛苺「トモエ…」…ギュ

(水銀燈「その子には、この状況を打開できる力がある」)

みつ「そ…そうなの?!」

金糸雀「でも…」



「…むしろ、覚悟を決めてほしいのは巴のほうかしら…」



巴「私…?」

金糸雀「あなたも、よーっく、身にしみて知っていることだと思うけど…」

(水銀燈「雛苺は、力を全開にすれば姉妹の中でも最強。 でも…」)

金糸雀「そのぶん、契約者の力の消費量もはんぱじゃないかしら…」

巴「…」

のり「それって…」



「…巴ちゃんがまた、指輪に吸収されるかもしれないってこと…なの?」
762 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:36:32.84 ID:/FCfgS20
(水銀燈「…わからないわ」)

みつ「わ、わからないって、そんな…」

金糸雀「あの子もわたしたちも、あんなに大きな敵と戦ったことなんて、一度もないかしら…」

巴「…」

金糸雀「だから、いったいどれくらい力を使うのか、見当もつかない…」

巴「(…力を…使うときが…)」…キラッ



(巴「…この指輪…」)

(真紅「…あなたに返すわ」)

(巴「え… でも」)

(真紅「力は封じてある。 心配は要らないわ」)

(巴「そうなの…」)

(真紅「…けれど」)



(「わたしたち薔薇乙女の本質は、戦いにあることは忘れないで」)



(巴「…」)
763 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:38:31.26 ID:/FCfgS20
(真紅「わたしたちは、ただの可愛いお人形ではないの」)

(巴「うん…」)

(真紅「アリスゲームはもちろん、外からの敵に命を狙われることだってある」)

(巴「…」)

(真紅「雛苺だって、見た目はあんなふうだけど、戦うための力をちゃんと持っている」)

(巴「…そうよね…」)

(真紅「だから、もし力が必要になったら、ためらわず封印を解いて」)

(巴「…わかったわ」)

(真紅「あの子が本気を出せば、あなたは命の力と心の力を急速に奪われるでしょう」) 



(…体も心も鍛えておかないと、とてももたないからそのつもりでいなさい)



巴「…」…スッ

柴崎「…巴ちゃん?」

雛苺「う… うゆ?」

巴「雛苺、手…」キュッ

雛苺「と、トモエ?」


…チュ


雛苺「!!!」

巴「…」



…ポウ
764 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:41:35.41 ID:/FCfgS20
マツ「…指輪が、光ってる!」

雛苺「そんな、そんな…!」


パァァァァ…


雛苺「ト、トモエ…!」

巴「…雛苺、力の封印は解いた。 …戦って」

雛苺「そ、そんな!」



「戦って。 …わたしたちを、守って」



のり「巴ちゃん…!」

雛苺「だ、ダメなの!! トモエが… トモエが消えちゃう! いなくなっちゃう!」

巴「大丈夫。 ちゃんと、鍛えておいたから」

雛苺「え…鍛えたって…」

巴「毎朝、走ってたでしょ?」

雛苺「そ、そうだけど…」

のり「(…そういえば、ジュン君がそんなこと言ってたっけ…)」

巴「それにね…」


…ギュッ
765 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:44:59.91 ID:/FCfgS20
雛苺「…トモエ???」

巴「あのとき… あなたがわたしを閉じこめようとしたとき」

雛苺「あ…」


(トモエ、ヒナをひとりにしちゃいやなの… ずっといっしょなの…)


巴「あのときは、私、あなたに戦ってほしくなかった」

雛苺「…」

巴「わたしも閉じこめられたくなかったし、あなたにも姉妹で争ってほしくなかった」

雛苺「…ごめんね」

巴「…でも、今は違う」

雛苺「いまは?」

巴「私、あなたに戦ってほしい。 …いえ」



「私も、戦いたいの」



雛苺「…トモエが?」

巴「…私、私が生まれて育って、いまも暮らしてる町を、守りたい」

雛苺「…」

巴「そして、みんなを守るために戦いたいのよ。…水銀燈とも約束したしね」

雛苺「…水銀燈と?」

巴「うん。 …いっしょに戦うって」



(私たちと、共に生きて。 そのかわり…あなたが戦うときは、私も戦う)
766 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:47:34.21 ID:/FCfgS20
雛苺「…でも…」

巴「大丈夫」…ニコ

雛苺「トモエ…?」

巴「危なくなったら、水銀燈が回復してくれるから」

雛苺「水銀燈が…?」

(水銀燈「…」)

巴「…そうだよね、水銀燈?(…お願い)」



(そうだって、言って… 私にも、戦わせて…!)



雛苺「そうなの… 水銀燈?」

(水銀燈「…」)

巴「(水銀燈…!)」


(「巴… 聞こえる?」)


(巴「え… はい」)

(水銀燈「…急速に生命力を失えば、急速に力を注ぐ必要がある」)

(巴「…はい」)

(水銀燈「そうすれば、器であるあなたの体に無理がかかっていくわよ」)

(巴「…わかってます。 私たちが力を合わせて、めぐさんに力を注いだときも…」)

(水銀燈「…わたしが、あの子たちの結晶を切り離したときね」)

(巴「うん。 …めぐさん、苦しそうだった」)
767 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:50:50.86 ID:/FCfgS20
(水銀燈「覚悟は、出来ている?」)

(巴「うん。 …これが、私の戦いだもの」) 

(水銀燈「…」)

(巴「口先だけかどうか、見ていてくれるって言ってたでしょう?」)

(「…」)



雛苺「水銀燈…」

(水銀燈「…雛苺」)

雛苺「は、はい」

巴「…」


(「巴のことは、まかせなさい」)


雛苺「…ほんとに?」

(水銀燈「ええ。 思う存分戦いなさい」)

巴「…」


(ありがとう、水銀燈)


巴「…それじゃ、雛苺」

雛苺「…」

巴「…雛苺?」

雛苺「トモエ…」



「ほんとに、大丈夫?」
768 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:52:52.41 ID:/FCfgS20
巴「…ほんとよ。大丈夫」

雛苺「ほんとの、ほんとに?」

巴「ええ、ほんと」…ニコ

雛苺「…」



…クルッ



巴「…行くのね?」

雛苺「…うん」

巴「がんばって、雛苺! ファイト!」

雛苺「…トモエ」

巴「うん?」

雛苺「トモエ…」

巴「…?」



「トモエの、うそつき」



巴「え?」

雛苺「うそつきっ!!」…グッ!



ビヒュン!
769 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:54:21.45 ID:/FCfgS20
柴崎「な?!」

マツ「は、速い!!」



トテテテテテ…!



金糸雀「雛苺?! …戦乙女たち! 援護するかしら!」

ブリュンヒルデ「Jawohl!」ビヒュン!

ヴァルトラウテ「速イ…!」バシュ!

金糸雀「アルト隊、もう大丈夫?!」

グリムゲルデ「…イツデモ、行ケマス!」

金糸雀「巨人兵を牽制して!」

シュヴェルトライテ「Jawohl!」ドォン!



トテテテテ…



「…うそつき、うそつき! トモエの、うそつきっ!」
770 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 18:57:56.49 ID:/FCfgS20
【地下洞 最下層】



ズ ブ ブ ブ ブ ブ ブ …



雪華綺晶「…」

(ようやく沈黙したか。てこずらせおって… ん?)


シュゥゥゥゥゥ…


(変化していく…? いや、変化していたのが、解けていくのか?)

「…」 


シュウウ…


真紅「…」

(…なるほど、これがやつの本体か。 …むっ?)







(侵入者か…? まずいのぉ)

真紅「…」





(…戦乙女ではないようじゃが)
771 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:02:50.51 ID:/FCfgS20
ズブブブブ…



(あまり手間を取って、戦乙女にこられるとまずいの…)

真紅「…」



(焼き払われんうちに、退散するか。 …こやつだけでも、飲みこんでおいて)


ジュブジュブジュブジュブ…


真紅「…」ジュウウ…


ジュル… ジュル…




(…)



(たすけて…)




(たすけて… だれか…)



真紅「…」…ズブブブブブ…
772 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:08:09.29 ID:/FCfgS20
【地上】


トテテテテ…


金糸雀「戦乙女、はやく援護して! 雛苺が囲まれちゃう!」

ブリュンヒルデ「…速スギテ、追イツケマセン!」

ヴァルトラウテ「敵群ニ近ヅキスギテ、モウ射撃デモ援護デキマセン!!」

巴「…雛苺!」


トテテテテテ…


「…うそつき、うそつき! トモエ、うそついてるの!」トテテテテ…


(「大丈夫」…ニコ)


「あの顔…」


(「大丈夫よぉ」…ニコ)


「あの笑いかた…!」




「…おケガして戻ってきたときの、水銀燈といっしょなの!!」
773 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:13:07.77 ID:/FCfgS20
「大丈夫じゃないのに、大丈夫だって言うときのお顔なの! …うう、ううう…!」


トテテテテ…


「ううう… うああ… あああ… なんで…」


「なんでみんな、うそつくの?! ジュンも水銀燈も、翠星石も蒼星石も…」


「痛いのに痛くないって… 怖いのに怖くないって!」



(水銀燈「雛苺、援護を待ちなさい!」)

金糸雀「雛苺! ちょっと待ってかしらー!」



「うう… うううう…」…ジワッ


キッ!


「うあああああああーーーーーーん!!!」シュタタタタタ!!



金糸雀「ま、ますます速くなってるかしら!!」

のり「雛苺ちゃん…!」




「こわくない! こわくなーいっ! ヒナ、なんにもこわくないっ!!」…ポロポロ


歩兵「…」ジャキ


「おまえたちなんて、ちっともこわくない! こわくないったらこわくないのー!!」
774 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:15:49.15 ID:/FCfgS20
みつ「突っこんでいく!」

のり「雛苺ちゃん! ムチャは…」



ズドォン!



柴崎「な?!」

マツ「…え、ええっ?!」



「うああ、あああ…! うわーーーーーーん!!」シュタタタタタ!

歩兵「?!」ゴアシャ!

「うわあー!! うわあああああーーー!!」

歩兵「!!!」ガシュ!



…バゴ! ドォン! ズボォン!



のり「うそ…」

柴崎「敵兵が… 宙に舞い上がっておる…」

みつ「ひ、ひなちゃん! そっちは…!」



「うああ、うわぁーーん!」シュタタタタ!



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズズ… ゴゴ…
775 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:21:16.15 ID:/FCfgS20
みつ「そっちはあぶない!」

柴崎「いかん、突っこむ気じゃ!!」


「このおおおぉぉぉー!」ザザッ!


巨人兵「 ・ ・ ・ 」ズズ…ン

雛苺「こっちに来ちゃ、ダメなの!!」

巨人兵「 ・ ・ ・ 」ドド…ン


金糸雀「…巨人の前に、立ちふさがってる!」

(水銀燈「やりなさい、雛苺!」)


巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴゴ…

雛苺「ダメって言ったら…!」



「ダ・メ・な・の・ぉー!!」ブォン!



ヅドゴオン!



巨人兵「 ・ ・ ・  ? ! 」



…グラ



のり「ふぇ?!」

みつ「うそ?!」

雛苺「このっ! この! このぉーっ!」ドグ! バグ! ヅドォン!

巨人兵「 ・ ・ ・ !」ギシ…!

雛苺「町に入っちゃ、ダメなのーっ!!」バゴ!!
776 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:25:36.39 ID:/FCfgS20
柴崎「す、すごい… ほんとうにひとりで足止めしておる!」

金糸雀「あの子の力はまだまだ、あんなものじゃないかしら!」

みつ「…あ、あれ!」



巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴ ゴ ゴ…


グ グググ…


みつ「ふ、踏んづけられちゃう!!」

巴「雛苺!!!」



巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴォッ!


ヅシン!!!


巴「…い、いやああっ! 雛苺っ!」

金糸雀「大丈夫かしら!!」



巨人兵「 ・ ・ ・ 」


パアァ…


巨人兵「 ? 」



パアアアア…



柴崎「足元から… 光が?」
777 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:27:54.06 ID:/FCfgS20
巴「…!」…ポゥ


…シュルシュルシュル


のり「巴ちゃん?!」

みつ「指輪から、イバラが!!」


シュルシュルシュル…!


柴崎「巴ちゃんに、絡まっていく…」

巴「…雛苺が、力を使っている!」

(水銀燈「…いよいよ、始まるわよ!」)


パアアアアアア…!


柴崎「巨人の足元の… 輝きが強くなっていく…!」

金糸雀「あれが、雛苺の真の力かしら!」

巴「え?」

金糸雀「翠星石が、現実世界の木々をも巨大化させたように…」

(水銀燈「雛苺も、現実世界の人形を巨大化させることができる!」)



パアアアアアア…!



みつ「『人形』って、そんなのどこに…?! ま、まさか!」

金糸雀「その、『まさか』かしら!!」
778 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:31:11.13 ID:/FCfgS20
パァァァァ…


巨人兵「 ・ ・ ・ 」

「こんなの…」


パァァ…


巨人兵「 ・ ・ ・ ? 」

「こんなの… こんなの、いたくないもん…!」


…ゴゴッ


巨人兵「 ・ ・ ・ ??」…ググ

「いたくも… かゆくも、ないんだもん…!」


ゴゴゴゴ…



「…ヒナが…」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…



巨人兵「 ・ ・ ・ ???」

「ヒナが… ヒナが!!」ゴバ!



ガバアアアアッ!!



巨人兵「 ? ! 」
779 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:33:33.66 ID:/FCfgS20
巴「あ、あれっ!! 巨人の足の下から…!!」

柴崎「ひなちゃん…なのか!?」



「ヒ ナ が ! ! !」ゴゴゴゴゴ!

巨人兵「 ? ! 」



「ヒ ナ が み ん な を ま も る の ー !!!!!」


ズゴォォォォォ!!


巨人兵「 ! ! ! 」グラ… ミシッ!

雛苺「え え え ぇ ぇ ぇ ー い っ! ! ! 」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…


みつ「うっ… うそーーーーん?!」

のり「・・・」ポカーン




…ズドオオオン!
780 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:37:02.41 ID:/FCfgS20
【地下洞 深層】


蒼星石「はあっ!」

翠星石「しゃあっ!」


ベギベギベギ!


蒼星石「ジュン君、真紅たちは?!」

ジュン「…近い! はっきり感じる!」

蒼星石「急ぐよ!」

翠星石「…あっ!!」


キキッ!


ジュン「また、行き止まり…!」

蒼星石「戻る暇はない! いくよ…!」ジャキ!


ドォ…ン!


ジュン「わっ?!」

蒼星石「!?」


ズズ… ンン…


ジュン「??」

翠星石「…」


パラ… パラ…
781 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/24(金) 19:42:00.97 ID:/FCfgS20
ジュン「い、いまの音は… なに?」

蒼星石「…」


パラ… パラ…


ジュン「地震? いや、爆弾…?」

翠星石「雛苺が、やりやがったようですね」


…パラッ


蒼星石「…これで、上はもう大丈夫だ」

ジュン「い、いったいなに?」

翠星石「チビ苺が、デカ苺になったんですよ」

ジュン「?????」


…ブゥ…ン


ジュン「!! いけない…!」

蒼星石「何が?!」

ジュン「指輪の反応が、急速に弱まってる…!」

翠星石「急ぎましょう! 蒼星石!」

蒼星石「行くよ!」ジャキ!


ギュガガガガガガ!


(間に合って… 真紅!)
782 : [sage]:2009/07/24(金) 19:44:09.93 ID:/FCfgS20
今日はここまでです。 続きはあさって。
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 19:44:29.87 ID:0c0VaMMo
乙です
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 19:45:16.78 ID:c8nhhSso
乙ですだ
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 20:04:50.64 ID:AnFFpOwo
おつ!
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 20:45:34.51 ID:oALadDoo
おっつ
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 21:38:31.27 ID:NqXpTXMo

しかし、この作者はジョルノ方式だから困るww
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 22:50:45.50 ID:RDSzWcgo
おつつ
本気を出したら大きくなるなんて
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 23:03:07.11 ID:30ipwV.o
雛すげーwwwwwwwwww

790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/25(土) 06:51:58.05 ID:9u8azvMo
乙樽場

雛大きいよ雛
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/25(土) 09:20:36.68 ID:V5JEukAO
雛巨大化に萌えた
乙です
792 : [saga]:2009/07/26(日) 18:15:19.84 ID:6eCW4Cg0
>>783-791
乙どもっす〜

>>787
覚悟とはッ!(ry

>>788-791
巨大なよう○ょは男のロマン(ヤメレ



再開します〜
793 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:17:24.53 ID:6eCW4Cg0
【?????】



ヒュウウウウウ…



「…」…ジャリ ジャリ



ヒュウウウ…



「…ここは…」ジャリッ…



…ガシャッ



「壊れた、人形…?」



ヒュウウ…



「水銀燈の夢の世界…? いえ、違う」


ヒュウウウウ…




真紅「ここは、私の夢…?」
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/26(日) 18:17:33.41 ID:asXlvKEo
ktkr
795 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:19:57.65 ID:6eCW4Cg0
ヒュウウウウ…



真紅「私の夢の中に、こんな場所が…」



ガシャッ… ガラッ



真紅「壊れた人形が、こんなにたくさん…」




(おまえがジャンクになってしまったのは、わたしのせいだ…)




真紅「…」



…キラッ



「…?」



ヒュウウ…



「空から、なにか…」



ヒュウウウウウ…
796 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:22:31.94 ID:6eCW4Cg0
真紅「なにかが… いえ、だれかが、落ちてくる!」



ヒュウウウウウウウ…



「あ、危ない!」タタタタ…



ヒュウウ… 



「く、くっ!」ガシッ!



…ガシャン! ガラガラ…



「あ… あなたは!」



カラ カラ… カラン



雪華綺晶「う…」
797 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:24:36.76 ID:6eCW4Cg0
【地下洞 深層】



ギャルルルルル…!



ジュン「蒼星石、大丈夫か!」

蒼星石「まだまだ、いけるっ!」ギュボボボボ!



ギュバババババ…!



ジュン「貫通しそうか!?」

蒼星石「…あとすこし!」ガリガリガリ!

翠星石「ジュン! 真紅は…?!」

ジュン「近い! けれど…」



シュウウ…



ジュン「みるみるうちに、弱っていく…!」

蒼星石「間に合えっ!!」ギャギャギャギャ!

翠星石「ジュン! しゃがむですっ!」

ジュン「え?!」



ヒュボ!



近衛兵「!!」ザギュ!

ジュン「うわ?!」
798 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:29:16.02 ID:6eCW4Cg0
翠星石「入ってきやがったです! 足止めしますよ!」ジャキ!

近衛兵「…」ザザザザザ…

ジュン「く、くそ! あんなに…!」

翠星石「穴が狭いから、かかってくるのはひとりずつ!」


ヒュボ!


近衛兵「!!」ガシュ!

翠星石「出てきたやつを潰せば、なんてことないです!」

蒼星石「…翠星石、あとすこし! すこしだけ粘って!!」



ギャルルルルルル…!



ジュン「く、時間が無いのに!」


…ズ


ジュン「…ん?」



ズズ…ン…



「また… あの音…?」



ドド…ォン!!
799 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:34:48.45 ID:6eCW4Cg0
【地上】

ゴゴゴ… ズズズ…


巨人兵「 ・ ・ ・ !」グァ!

雛苺「え え え ー ぃ っ ! 」…ズザ!


ビシッ!


柴崎「あれは…小外刈りか?!」

雛苺「苺 刈 り っ ! ! 」ブォン!

巨人兵「 ・ ・ ・ ! ! 」ゴゴ…!



ドォ…ン!



柴崎「す… すごい!」

マツ「大きくなっても、相手の半分くらいなのに…」

のり「あの巨人を、右に左に振り回してる!」


…グ グゴゴ…


雛苺「町 に は ぜ っ た い   は い っ ち ゃ だ め っ !!」

巨人兵「 ・ ・ ・ 」グァァ!



のり「つ、つぶされちゃう!」

みつ「あぶない、逃げて!」

巴「いえ、チャンスです!」…グッ! 



「雛苺! 足元に滑りこんでー!」
800 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:38:19.26 ID:6eCW4Cg0
雛苺「り ょ ー か い な の っ !」…ゴゴッ!

巴「そのまま、あんよで『たかいたかい』して!」

雛苺「う ん し ょ !」ゴガ!

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」グオ…!



ゴバァァァ…!



柴崎「おお、あの体勢は!」

巴「それで、腕で相手を引っ張って、足で突き上げるっ!」

雛苺「 は い っ !(この技…!)」

(トモエが、はじめておしえてくれた技なの…!)


グァァァァ!


巨人兵「 ・ ・ ・ !?」ゴゴ…!

雛苺「え え え え ー い っ !!」グァァ!




「ト ゥ モ エ 投 げ ー っ !」




…ズドォン!!
801 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:41:58.47 ID:6eCW4Cg0
巨人兵「 ! ! ・ ・ ・ 」…ミシッ!

みつ「きまったーっ!!」

柴崎「…みごとな技のキレじゃ… 巴ちゃんが、教えたのかね?」

巴「はい。 …でも、教えたというよりも…」

のり「…なに?」




(雛苺「…トゥモエ投げ???」)

(巴「巴投げ。 お父さんが、初めて私に教えてくれた技なのよ」)

(雛苺「んと… こう???」)

(巴「うん、そう。 相手をまず崩して…」)

(雛苺「うんしょ、うんしょ…」)

(巴「そうそう、上手。 …本気でやってみて」)

(雛苺「…いいの?」)

(巴「うん。 …いくよ?」)


ブンッ!
802 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:45:46.12 ID:6eCW4Cg0
(巴「きゃああ?!」ドサッ!)

(雛苺「トモエ?! ご、ごめんなさいなの!」)

(巴「う、ううん… 大丈夫…」)



のり「…最初から、そんなにすごかったの?」

巴「はい。 …とても、初めての動きとは思えなかった」

みつ「そうなんだ…」

巴「だから、教えたと言うより『思い出させた』と言ったほうがいいかも…」

金糸雀「当然かしら」

みつ「カナ?」

金糸雀「雛苺は、ほんの小さなころから、徹底的に格闘術をしこまれていたんだから」

みつ「誰に…って、決まってるわよね」

金糸雀「ええ… お察しの通りかしら」

巴「…」
803 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:48:54.27 ID:6eCW4Cg0
(雛苺「う、ううん… んしょ…!」)

(「…はあっ!」ブン!)

(雛苺「きゃああ!?」ドザ!)

(「…何度言ったらわかるの! 力まかせじゃダメ!」)

(雛苺「む、むつかしいの… できないのっ!」)

(「できないじゃない、やるの!」グイ!)

(雛苺「ひっ?!」)

(「あなたが力まかせに戦ってたら、あっというまに契約者を死なせてしまうのよ!!」)

(雛苺「え…」)

(「さあ、もう一回! 泣き言なんか言わないでやりなさい!」)

(雛苺「は、はいっ!」…グス)



(「大事な人を大事な場面で、失いたくなかったら!!」)



巴「雛苺、敵が立つわ!」

巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴゴ…

雛苺「は い っ !(ずっと、わすれてた…)」 


(あのときの、あの練習… あのことば…)



ゴ ゴ ゴ …!
804 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:53:30.76 ID:6eCW4Cg0
巴「小さくて力があるんだから、組手ではあなたのほうが有利よ! 思い切っていきなさい!」

雛苺「 は い っ ! 」



(ついさっき、金糸雀のなかで思い出して… いま、やっと、意味がわかったのよ…)



雛苺「トモエ、だいじょうぶ?!」

巴「…まだまだ大丈夫! 思い切っていきなさーい!」

雛苺「 う ん ! 」ゴゴゴ…!


(雛苺!)


雛苺「は… はいっ?!」

(大きすぎる相手は、自分の体重が仇になる! どんどん叩きつけていきなさい!)

雛苺「…はい!!」…ガシッ!

巨人兵「 ・ ・ ・ !」…ゴゴ!




(ありがとう、水銀燈…)
805 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 18:56:55.07 ID:6eCW4Cg0
【真紅の夢の世界】


ヒュウウウ…


雪華綺晶「…」

真紅「あなた…」


(なぜ… この子がここに?)


真紅「…あなた…」

雪華綺晶「…ん…」


…パチリ


真紅「…よかった、意識が…」


バシッ!


真紅「?!」

雪華綺晶「…さわらないで!」グ… グッ


…ヨロ


真紅「雪華綺晶…!」

雪華綺晶「あわれみなんて、ほしくない…!」フラ フラ…

真紅「あ、危ない!」

雪華綺晶「近寄ら… ないで…!」…グラ



…ヒシッ!
806 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:01:32.95 ID:6eCW4Cg0
雪華綺晶「…」

真紅「雪華綺晶!?」


…ジワッ


真紅「…あなた?」

雪華綺晶「なによ… なによ!」ポロ ポロ…

真紅「…」

雪華綺晶「…そうよ、わたし、負けたのよ!」ポロポロ…

真紅「…雪華綺晶…」

雪華綺晶「ひとりで勝てるって言っておきながら、ぶざまに負けたの!」


「泣きわめいて、敵に許しを乞うたの! そして… そして…」


ポロポロポロ…


「負けて… ふみにじられて… けがされてしまったのよ…」


真紅「…」

雪華綺晶「どう、満足でしょう? わたし、あなたの助けが無かったから負けたのよ!」

真紅「そんな…! そんなこと!」



「…わたし、あなたの大好きな、かわいそうな子よ!」



真紅「…ち、ちがう! そうじゃない…!」

雪華綺晶「ちがわないっ! あなたも…」



「あなたも、あの錬金術師と一緒なのよ!」
807 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:03:36.42 ID:6eCW4Cg0
真紅「え…?!」


ドンッ!


真紅「きゃっ!?」

雪華綺晶「…くっ!」…ガシャッ

真紅「あ、あなた…!」

雪華綺晶「近づくなっ…!」…ズズ…



ズズ… ズザ…



雪華綺晶「あなたに抱き上げられるくらいなら… はって歩いたほうがマシよ…!」

真紅「雪華綺晶!」

雪華綺晶「あなたも、あいつと一緒…!」ズズ…

真紅「ちがう、ちがうっ!」

雪華綺晶「ちがわない!!」


「自分より弱くて、思うとおりになる相手を狙って捕まえて!」


ズザ… ズザザ…


「そいつと、そいつよりも強くて恵まれてる自分を見比べて、楽しんでいるだけ!」
808 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:08:46.08 ID:6eCW4Cg0
真紅「ちがう… ちがうのよ!! わたしは!」

雪華綺晶「だから、相手が思い通りにならなくなったら、平気で虫けらみたいに踏みにじれるんでしょう?!」

真紅「そ、そんな…!」

雪華綺晶「それが、あなたがお母さまにしたことでしょう!!」


(あなたなんか、お父さまに壊されてしまえばよかったのよ!!)


真紅「ちがう… ちがうちがう、ちがうのぉっ!!」

雪華綺晶「ちがわないったら、ちがわない! あなたも青髭も『あいつ』も、みんな一緒なのよ!!」


ズズズ…


「弱い子を恐怖で縛って、もてあそんで… 思うとおりにならなければ、当然のように踏みにじる…!」


ズザザ…


「わたしは…」


真紅「雪華綺晶!」

雪華綺晶「わたしは、あなたたちのオモチャじゃないっ!」



…ズブッ
809 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:10:00.91 ID:6eCW4Cg0
真紅「?!」

雪華綺晶「こ、これは…?!」


ジュブジュブジュブ…


真紅「あ、あいつが、私の夢までも浸食してる…!」ズブズブ…

雪華綺晶「ひ、ひぃ…!」ズブズブ…

真紅「…雪華綺晶!」


ガシッ!


雪華綺晶「?! は、はなせ!」

真紅「…侵食されていないところまで逃げましょう! いまは…」

雪華綺晶「こ、この! やめろ!」ジタバタ



「いまは、生き残るのよ!!」



タタタタタ…!
810 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:14:06.89 ID:6eCW4Cg0
【地下洞 深層】


ドド…ン ズズ…ゥン


ジュン「ひ、雛苺なのか…?!」…グラ

翠星石「む、ムチャしすぎですっ!」ヨロヨロ…



…ビシ ビシビシ…!



蒼星石「こ、この音は?!」

ジュン「い、いけない! みんな…!」



…ガラッ!



近衛兵「!!!」

ジュン「う、うわああ!」ボゴ…!

蒼星石「ジュン君! …う、うわ?!」ゴゴゴ…!



ガラガラガラガラ…



翠星石「く、崩れるですぅっ!」

ジュン「みんな、まとまるんだ!」




ゴゴゴゴゴゴゴ… ボゴォ!



「う、うわあああああ!!」
811 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:18:46.69 ID:6eCW4Cg0
ザザザザザ…


ジュン「と、止まらない!」

翠星石「ジュン!」


ガラガラガラ…!


ジュン「(地面に、叩きつけられる…?!)」

蒼星石「ジュン君、つかまって!」


ガシッ!


ジュン「そ、蒼星石!」

蒼星石「跳ぶよ! しっかりつかまって!」

翠星石「…行きますっ!」


シュダッ!


ジュン「(ど、どっちが上か下だかわからない…!)」

蒼星石「ここは…巨大な空間だ!」

翠星石「下になにか…」 


「な、なんですかあれは!!」


ゴボボボボボ…


蒼星石「溶岩?! いや…違う!」

翠星石「あのドロドロは… いったい!」

ジュン「…真紅!!」


「あの中に、真紅がいる!!」
812 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:23:43.13 ID:6eCW4Cg0
【真紅の夢の世界】

ズブ… ズブ…


真紅「私の夢が、みるみるうちに侵食されていく…!」タタタタタタ…

雪華綺晶「はなせ、はなせっ! あなたの助けなんか!」

真紅「あの建物の上に、逃れるのよ!」シュタ!


ゾブゾブゾブ…


真紅「…一時しのぎには、なりそうね…」

雪華綺晶「あなたなんか… あなたなんかに…っ!」


ズワァァァァ!


真紅「…な?!」

雪華綺晶「あなたなんかにっ…!」シュル…



…シュル… シュ… シュウ…



雪華綺晶「はぁ、はぁ…はぁ…」

真紅「あなた、もう、力が…」


…ゴ ゴ ゴ


真紅「?!」…グラ

雪華綺晶「きゃあ?!」ガク!

真紅「あ、危ない!」


…ガシッ!
813 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:26:00.91 ID:6eCW4Cg0
雪華綺晶「あ… ああ…」

真紅「建物ごと、飲みこまれる…!」


ゾブゾブゾブ…


真紅「…つかまって! 飛ぶわ!」

雪華綺晶「…く…っ!」

真紅「早く!」

雪華綺晶「…う、上!!」


…バシャッ!


真紅「うああ?!」ジュウウウ…

雪華綺晶「そ、空までも…!」


…ボタ ボタッ…


真紅「もう、もたない…!?」

雪華綺晶「わたし…もう、もう… ダメ…」

真紅「雪華綺晶!!」



「ダメだったのよ… 最初から…」
814 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:31:56.32 ID:6eCW4Cg0
真紅「何を言っているの!」

雪華綺晶「わたしは、最初からダメだったのよ…」 


「お母さまの娘になる資格も、あなたたちの妹になる資格もなかった…」


真紅「あなたは、お父さまの最高傑作! アリスとなるべく創られた、薔薇乙女第7ドール! わたしたちの妹よ!!」

雪華綺晶「ちがうのよ… わたし… わたしは…」



「ローゼンの作品でもなければ… アリスにも、なれない人形なの…」



真紅「ど… どういうこと?!」

雪華綺晶「ごめんね、真紅… わたし、あなたを、助けられなかった…」

真紅「ジュンが近くまで来ている! あきらめないで!」

雪華綺晶「お父さまが…?」

真紅「こっちに来なさい!」グイ!

雪華綺晶「きゃああ?!」



ポゥ…



雪華綺晶「な、なにを?!」

真紅「…これ以上あなたを、あいつに傷つけさせはしない!」…ギュッ
815 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:34:50.15 ID:6eCW4Cg0
雪華綺晶「(ひ…引きこまれるっ!?)」

真紅「…わたしの意識の中に潜るのよ!」


パァァァァ…


真紅「あなたさえ生き残れば、ヤツに勝てる! 『体』になってくれる子は、他にもいる!」

雪華綺晶「や… やめなさい! やめて! そんなことしたら、真紅が…!」

真紅「わたしは大丈夫。 ジュンが、治してくれる…!」

雪華綺晶「は、はなせ! はなしてっ!」グイ!



バシッ!



雪華綺晶「あうっ!?」

真紅「おとなしくしなさい! …すぐ、助けが来るから!」

雪華綺晶「(私の力がはねつけられた?!)」



ギュブブブ… 



真紅「く… うああ!」ジュウウウ…

雪華綺晶「やめて! 真紅、やめて! わたしは…あなたに助けてなんかほしくない!!」

真紅「雪華綺晶…」ジュウウ… ズブブブ…



「ごめんなさい…」
816 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/26(日) 19:38:41.36 ID:6eCW4Cg0
雪華綺晶「な… なにを?!」

真紅「あなたの言うとおりだった。 なにも、違わなかったのよ…  水銀燈に…」ジュウウウ…



「あなたのお母さんに、ひどいことをしていたのは、わたしだった…」



雪華綺晶「…真紅! だ、出してっ! やめて!!」

真紅「こんなことで、許してもらえるとは思ってない… だから…」ジュウウ…


「約束する… もし、生きて帰ることができたなら…」


(この… このジャンク!)


「わたし… 水銀燈に…」


(ジャンクの分際で!)


「水銀燈に…」



ジュウウウ…  …ズルッ



雪華綺晶「…真紅ぅっ!!」
817 : [sage]:2009/07/26(日) 19:40:32.02 ID:6eCW4Cg0
今日はここまでです。続きはしあさって。
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 19:41:05.46 ID:asXlvKEo
なんだと
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 19:41:16.94 ID:oEk15Moo
乙〜
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 19:43:07.71 ID:iUn58.co

きらきー可愛い
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 19:44:36.69 ID:wgJibOUo
おつ!
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 20:01:09.19 ID:t9HtpAAO
乙です!
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/26(日) 20:14:38.38 ID:dqwTwhEo
おっつ
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/27(月) 20:03:35.30 ID:xcrl3IM0
乙、読んでなかった14日の分から一気に読んだ。
すごい。

>>1ガンガレ、超ガンガレ。
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/27(月) 22:12:11.91 ID:B.xLM8EP
乙樽場

雪紅の確執は解かれるのか…
826 :1 [saga]:2009/07/29(水) 18:59:15.15 ID:vKKhVf60
>>818-825
乙どもっす。

>>819
遅筆ですいません…
ゆっくり見てもらえると。

>>824
完結までがんばりまっす。

>>825
真紅しだいですね… 


再開します〜
827 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:01:14.76 ID:vKKhVf60
【地下洞 最深層】



ヒュウウウウ…


翠星石「な、なんですって?!」

ジュン「あのなかに、真紅がいる!」

蒼星石「…あそこに?!」


ゴボ ゴボ ゴボ…


翠星石「っていうことは、あれが『ヤツ』なんですか?!」

ジュン「わからない! でも…」グッ!



「行くしかないっ!!」



ヒュウウウウ…!


ジュン「(…すごい速さで、地面が近づいてくる!!)」

翠星石「着地します!」グッ!

蒼星石「ジュン君、転がるよ!」



ズザッ!
828 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:05:54.49 ID:vKKhVf60
ジュン「くっ!」

蒼星石「…っ!」


ズザザザザザ…!


翠星石「う…!」

ジュン「く、くっ…!」


ゴロゴロゴロゴロ…








ジュン「う…」



ゴボ… ゴボ…



蒼星石「…ジュン君、ケガはない?」

ジュン「あ、ああ… ?」


キュウウウウ…ン
829 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:06:48.66 ID:vKKhVf60
ジュン「ふたりの目の光が、消えていく…」

蒼星石「…『共鳴』の効果が、切れたんだよ」

翠星石「なんとか、時間までにたどり着きましたね」

ジュン「でも、真っ暗になっちゃうよ…」


…ボゥッ


ジュン「…こ、これは?」

翠星石「光ってる…?」



ズブ ズブ ズブ …



ジュン「な、なんだ? この匂い…」

蒼星石「これは…!」

翠星石「う… うっぷ…」



ゴボ ゴボ ゴボ…



蒼星石「(これは… 血と肉の匂い!!)」
830 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:08:08.47 ID:vKKhVf60
ジュン「な、なんなんだ? これは…」

翠星石「…うええ。 なんですか、このドロドロは…」



(失礼じゃのお)



ジュン「!!」

蒼星石「この声…?! いや、この思念は!!」

翠星石「やっぱり、このきったないドロドロが…!」



(汚いとはなにごとじゃ…)


ブグブグ… ゴボッ


(わしの可愛い子供たちじゃぞ…)ズブ… ズブ…


ジュン「ふ、ふざけるな! 真紅はどこだ!」ガバ!

蒼星石「ジュン君、落ち着いて!」ガシッ!

翠星石「…どこに、兵隊たちが隠れてるかもしれないです!」



(ここには、兵隊などおらんよ)
831 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:19:20.34 ID:vKKhVf60
ジュン「なんだって…?」

蒼星石「よくも、いけしゃあしゃあと、そんなことが言えるね」スチャ!

翠星石「…ここまであからさまなウソだと、いっそすがすがしいです」ジャキッ!


(ウソではないぞ… この姿では、兵を操れないのでな)


蒼星石「(…罠だね)」

翠星石「(そうですね。 わかりやすいですぅ)」

ジュン「真紅を… 雪華綺晶をどうしたんだ!」


(ここにおりますぞ)


ゴボゴボゴボ…


蒼星石「(…表面が泡立って…?!)」

翠星石「何かが浮かんでくる…  !!」

ジュン「あ、あそこ…!」


…ゴボッ


翠星石「あれは…?!」

蒼星石「…そんな、まさか! でも、あれは…!」


「…」ジュウゥ…


ジュン「し…」




「 真 紅 ! ! 」
832 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:20:36.00 ID:vKKhVf60
蒼星石「なっ…!!」

翠星石「真紅…?! 真紅なんですか?!」

(服も髪の毛もない… 全身ただれて、まるはだかの、あれが!!)



(…さすがに粘るの、まだ溶けきっておらんとは)



蒼星石「…き、貴様!」

ジュン「…っ!!」バッ!

翠星石「ジュン!?」


ダダダダッ!


ジュン「真紅! 真紅―っ!!」

蒼星石「ジュン君! 危ない!」タタッ!

翠星石「あのバカチビ人間!! 兵隊が待ち伏せてるに決まってるのに!!」シュタタ!



(…兵などおらんと、言うておろうが)



タタタタ…!
833 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:26:59.81 ID:vKKhVf60
翠星石「ジュン、落ち着くですっ!」

蒼星石「ジュン君!!」


真紅「…」


ジュン「真紅っ!! 目を覚ますんだ!!」


…ズァッ!


ジュン「?!」


ゴウッ!


ジュン「うあっ!」

翠星石「や、やっぱり!」

蒼星石「ジュン君!!」


???「…」…ジリッ


(おるのは、兵ではなく…)


???「…」…ブオン!

ジュン「…うわっ?!」

「危ない!!」ドンッ!

ジュン「…ああっ?!」


ビズ!  「うあっ!」 

ブヂ!  「ああっ!」


(…いとしい、わしの娘じゃよ)
834 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:28:51.90 ID:vKKhVf60
【真紅の夢の世界】



ズ… ズ… ズ…


「…」

「ああ…」


ズブ… ズブ…


「…」

「…ああ、あああ… 真紅…」



ズブブ…  …ズルッ



「真紅が… 真紅が、崩れちゃう…」


ズル…  ゴボッ…


雪華綺晶「真紅のバカ… わたし、そんなことしてほしいだなんて、言ってないのに…!」

「…」



「…わ… たし… が…」



雪華綺晶「真紅?!」

真紅「わたしが… 勝手に… やってることよ…」…ズル グブ…
835 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:31:15.22 ID:vKKhVf60
雪華綺晶「な、なぜ! なぜなのよ!!」

真紅「…水銀燈が… あなたを助けようとしていたからよ…」

雪華綺晶「…真紅!!」



「水銀燈が… ああまでして守ろうとしていた、あなたなのだから…」



雪華綺晶「真紅… 真紅っ!! あなた、バカよ!!」

真紅「…そうね…」

雪華綺晶「あなた、お母さまのこと好きなの? 嫌いなの?! どっちなのよ!!」

真紅「…」



「『好き』なんかじゃ… ない…」



雪華綺晶「…バカぁっ!! なんで、素直にならないのっ!?」

真紅「そういう… 意味じゃないの…」



「好きとか… 嫌いとかじゃ… ない…」



「もっと… もっと… 大きな…」



ズブズブズブ…



「いやぁっ! 真紅ぅっ!!」
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/29(水) 19:42:16.82 ID:o9QDE5Io
・。・
837 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:48:12.46 ID:vKKhVf60
真紅「しっかりなさい… もう、大丈夫だから…」

雪華綺晶「でも… 真紅が!!」

真紅「ジュンが… 来てるわ…」

雪華綺晶「え?!」



…真紅―っ!



雪華綺晶「ほ、ほんとに… 来てくれた…!」

真紅「だから… 言ったでしょう? 気をしっかり持ちなさい…」

雪華綺晶「え…」

真紅「今度こそ… あいつを、滅ぼすのよ。 あなたの力で…!」

雪華綺晶「…」

真紅「雪華綺晶?」

雪華綺晶「…」



「わたし… 怖い…」
838 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:50:11.39 ID:vKKhVf60
真紅「あなた…」

雪華綺晶「あいつ、もうわたしの弱みを知ってる…」ガタガタガタ…

真紅「…」



「またそこを突かれたら… わたし…」



真紅「…弱気にならないで。 わたしたちを圧倒したときのあなたは、どこにいったの…?」

雪華綺晶「わたし、もうダメ…」

真紅「一回や二回負けたくらいで何よ…!」


「水銀燈は、何度負けたって立ち上がってきたわ…!」


雪華綺晶「…」

真紅「あなた、水銀燈の娘なんでしょう…?! なら、勇気を振りしぼって!」

雪華綺晶「…『勇気』を?」

真紅「…え?」

雪華綺晶「そんなこと…」



「そんなこと、あなたに言われたくなんかないっ!!」
839 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:52:04.58 ID:vKKhVf60
真紅「?!」

雪華綺晶「あなただって… あなただって、怖くて逃げてるくせに!」

真紅「わ、私が…?」

雪華綺晶「そうよ! お母さまと、お父さまのことから!!」


…ズキン


真紅「わ、私は逃げてなんかいない…!」

雪華綺晶「うそつきっ! 逃げてる、あなた逃げてるっ!!」


「自分の本音を隠してる! 知られるのが怖くて逃げ回ってる!!」


真紅「わ、私は… そんな…」

雪華綺晶「…おねがい、真紅! 逃げないで! …あなたが、もし勇気を出してくれるなら…」

真紅「…」

雪華綺晶「わたしも、恐怖に立ち向かう! 逃げないで、踏みとどまる! 青髭からだけじゃなくて、『あいつ』からも…!」

真紅「…あいつ?」

雪華綺晶「だから… お願い、お願いよ… すべてを話して…!」



「お母さまと、ほんとのほんとに、仲直りして…!」



真紅「…」
840 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:54:01.06 ID:vKKhVf60
【地上】



…ズズン! …ズドォン!



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」…ゴゴ…

雛苺「ふ、 ふ ー 、 は ー 、 は ー …」

巴「…ふう、はあ…」…クラッ


フラ フラ…


のり「巴ちゃん!」ヒシッ!

巴「のり、さん…」

柴崎「まずいぞ…」

金糸雀「耐久力の差が、出てきてるかしら!」



巨人兵「  ・ ・ ・ ・ ・  」ゴ… ゴ…

雛苺「 ・ ・ ・ こ 、 来 い な の ! ! 」グ ググ…


…ヨロ…
841 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:56:25.00 ID:vKKhVf60
(水銀燈「雛苺は、あの大きさでいるだけで力を消費してしまうのに…」)

金糸雀「敵は、耐久力も再生力も、まだまだ底が見えないかしら…!」

巴「それに…」ググ…

みつ「ともとも! …無理しないで!」

巴「相手の動きが、遅すぎて… 投げの威力が半減してる…!」

(水銀燈「どうやら、地盤もゆるいみたい… 衝撃が、吸収されてしまう…!」)



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズアア!

雛苺「 ・ ・ ・ え い っ !」ガシ!



ギュルン!



柴崎「腕を取ったぞ!」

巴「相手の腕を、自分に巻きこんで… おしりで、相手をはねあげて!」

雛苺「苺 背 負 い ! !」ブォン!



…ガシッ!



雛苺「き ゃ あ あ あ ?!」グラッ…!
842 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 19:57:49.88 ID:vKKhVf60
巴「…しまった!」

柴崎「まずい、足をかけられとる!!」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴォ…!



のり「いけない! 雛苺ちゃんが…」

みつ「下敷きになっちゃう!!」

巴「雛苺!!」



ズ ズ ゥ ン !!



雛苺「ぐ… うあっ!!」…ミシ

巨人兵「 ・ ・ ・ 」ググッ…!

巴「雛… 苺っ…!」

のり「雛苺ちゃん!!」

金糸雀「雛苺、脱出するかしら!」

雛苺「 で も…  ト モ エ が …  う ぐ ! !」ミシ ミシ… 

巨人兵「 ・ ・ ・ 」…ゴリッ
843 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 20:02:42.35 ID:vKKhVf60
巴「私は…平気っ! だから… はやく!」

雛苺「 う … う う っ … ! 」ググ…


ピシュッ!


のり「きゃ?!」ヒュッ!

巴「…うっ!」ズトッ!

柴崎「これは…」


パァァァ…!


マツ「銀色の羽!」

みつ「銀ちゃん…!」

巴「うっ…!」


パァァァァ…


巴「ううう… く、あああっ…!(か、体が破裂しそう…!)」

雛苺「 ト モ エ !!」

巴「…雛苺! はやく… はやく脱出して!」

雛苺「ト モ エ … ト モ エ !」 

巴「はやくっ!!」


「 く る し い ん で し ょ ?」 


巴「…え?」


「 ト モ エ … ほ ん と は 、 つ ら い ん で し ょ !?」

「 が ま ん 、 し て る ん で し ょ … ? 」


巴「…」
844 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 20:08:13.45 ID:vKKhVf60
のり「雛苺ちゃん…」

巴「く…(す、水銀燈…!)」

水銀燈「(…巴?)」

巴「(雛苺に、伝えて… 私、苦しくて辛いけど…)」


(とっても…うれしいんだって…!)


水銀燈「(…)」

巴「(戦う力なんて無い、なんのとりえも無い私が…)」


パァァァァ…


巴「(みんなといっしょに、戦うことができるなんて…)」

水銀燈「(…)」

巴「(みんなと、苦しさや辛さをわかちあうことができるなんて、って…!)」



「…」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …


柴崎「そ、空が… あれは!」

金糸雀「す、水銀燈?!」

水銀燈「(…てぇーーーーーーーっ!!)」




キシャアアアアアア!!!
845 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 20:12:19.21 ID:vKKhVf60
巴「す… 水銀燈!!」

みつ「龍が、巨人を狙ってる!」


キシャアアアア…!


みつ「雛苺ちゃんが、下敷きになってるのよ?!」

金糸雀「む、ムチャかしらー!!」


ズドドドドドォン!!


のり「きゃああ!?」

柴崎「うおお! …?」


ズドドドドド!!


マツ「…外れてる?」

みつ「いえ…じ、地面を狙ってる?」


(雛苺っ!!)


雛苺「 は っ、 は い ! 」

(水銀燈「いつまでウジウジしてるの! とっとと脱出なさいっ!!」)

雛苺「 え … ? 」




(右手の地面を掘りぬいたわ! そこから逃げ出すのよ!!)
846 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 20:17:17.80 ID:vKKhVf60
雛苺「 わ 、 わ か り ま し た !!」モゾモゾ…

(巴の想いをムダにしたら、わたしがあなたを叩きつぶしてやるから覚悟なさい!!)

巨人兵「・ ・ ・ ?」

雛苺「 う ん し ょ 、 う ん し ょ … 」モゾ…



ボゴッ!



みつ「あ、あそこ!」

のり「雛苺ちゃん…!」


「く ふ ぇ 、 ぺ っ ぺ っ …(土が口に入っちゃったの…)」


巴「雛苺! 体勢を立て直して!」

雛苺「 は い っ ! ! (でも… 柔道の投げだけじゃ、やっつけきれないの…!)」


(…こうなったら!)


グ… グググ


柴崎「構えが、変わった…?」

雛苺「ト モ エ …!」

巴「…雛苺!」

雛苺「す こ し だ け 、 が ん ば っ て!」


「い っ き に 、 決 め る の !」


巴「…いいわ! やりなさい、雛苺!!」
847 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 20:18:35.07 ID:vKKhVf60
【地下洞 最深層】


???「…」


…ジャリッ


翠星石「く、うう… ああっ…」

蒼星石「うぅ… くっ…」

ジュン「あ、あいつは…?!」



(紹介しよう。 わしの娘…)

???「…」

ジュン「自動人形か?!」

(客人にご挨拶しなさい。…ピュセル)


「…」ギギ… ギ



ピュセル「ハイ オ父サマ」
848 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【聖母編】 [saga]:2009/07/29(水) 20:21:29.16 ID:vKKhVf60
ジュン「ピュセル…?!」

(そうじゃ、わしの最高傑作じゃよ)


ピュセル「…」ジャリッ


(究極の少女『アリス』を目指して薔薇乙女が創られたように…)

ピュセル「究極の淑女『ジャンヌ』ヲ目指シテ オ父サマハ 私ヲ創ラレタ」

ジュン「究極のレディだって? …こんなものが!」


…ジャキッ!


ジュン「う…!(速い!!)」

ピュセル「口ノキキ方ニ 気ヲツケナサイ」カチャカチャ…

ジュン「…な!!(こ、こいつが手に持っているもの…!)」


カチャカチャカチャ…


ジュン「(まさか!)」

(ふふふふふ…)

ピュセル「ククク…」カチャカチャ…



翠星石「…わ、わたしの腕が…!」

蒼星石「僕の… 足が…!」
849 : [sage]:2009/07/29(水) 20:22:47.83 ID:vKKhVf60
今日はここまでです。 続きは8月2日。
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/29(水) 20:27:05.57 ID:KLe9GHso
乙〜

続きが気になって仕方ない
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/29(水) 20:28:14.84 ID:PpbA8Zoo
乙です
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/29(水) 21:29:23.07 ID:tBKWhkAO
乙です!
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/29(水) 22:19:57.04 ID:UGH06rU0

しかし八月二日とな?
それは永遠と言う意味なのかね?
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/29(水) 23:28:08.87 ID:6fEOFYso
おっつ
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/29(水) 23:28:36.97 ID:R3WpkHIo
おつ!
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/30(木) 06:43:35.44 ID:1DpjM8.P
乙樽場

ふ、双子ー!
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/30(木) 08:09:50.51 ID:wNktFGMo
信者をお持ち帰りください

506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/30(木) 02:08:31.17 ID:3Uy+DiCY0
某銀母スレみてる?

516 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/30(木) 02:23:57.62 ID:3Uy+DiCY0
>>510
あー、知らんのか
ならいいやコッチから色々流れてきて荒れるのが目に見える
まぁ気になったらキーワードで探せば見つかる

519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/30(木) 02:32:01.64 ID:3Uy+DiCY0
>>518
そう現行スレ
んで、お前さんは全く悪くないよ
ただ、世界観がぶっ飛びすぎて今見てる奴は好きで見てる奴だけなんだわ
だから他のスレとかで晒して荒れるのが嫌なだけ
どいつもこんなのローゼンじゃない!とかあるからな
極端に既存のローゼンスレと別物な話
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/01(土) 01:51:44.30 ID:hVxje020

ヒナの声がいい感じにエコーがかかって脳内再生される

みんな強い。
859 : [saga]:2009/08/02(日) 17:50:32.00 ID:pKkydFw0
とりあえず、このスレがよき観客に恵まれていることに感謝します。
かなり暴走していますが、今後ともおつきあいくだされば幸いです。



>>850-858
乙どもっす。再開します〜

860 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 17:55:37.59 ID:pKkydFw0
ジュン「翠星石っ! 蒼星石っ!!」

(仕留め損ねてしまったが… まあ同じことよ。 のう、ピュセル?)

ピュセル「エエ…」カチャカチャ…


「『コレ』ガ ワガ手ニ アリマスカラ」


蒼星石「く…っ」ヨロ…

ジュン「ああ、あああっ…!」

翠星石「まったく… ジュンは、真紅のことになると…」フラ…


「みさかいが、つかなくなるんですから… もう」


ジュン「ボクのせいで… ボクのせいで!」

蒼星石「…気にしてる場合じゃない! 体勢をたてなおすんだ!」…ググッ 

ジュン「…くっ!」バッ!


シュザ!!


ジュン「う…!」

ピュセル「動クナ」…ジャキ

ジュン「…く、くそ!(近衛兵よりも、さらに速い…!)
861 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 17:58:16.18 ID:pKkydFw0
(ほほほ… これで、貴様らの勝ちはもうない。 …ピュセル)

ピュセル「ハイ」

(客人の手みやげを、わしによこしなさい)

ピュセル「…ドウゾ、オ父サマ」…ポイッ


ジャボッ…


ジュン「ふたりの手足を…!」

蒼星石「…な、何を?!」


(ほっほっほっほ… これで、貴様らは手も足もでないじゃろう…?)


ジュン「…え?」

翠星石「…な、なんですって?」

蒼星石「なんだって…?」


(とぼけても無駄じゃ。 貴様らは、究極の少女を目指す薔薇乙女)


ジュン「…なに?」

翠星石「?? そうですけど…」

蒼星石「…それが、どうかしたか!」

(あくまで、しらを切るか? くくく…)



(『父親が創った体の一部でも欠ければ』アリスにはなれんのじゃろう?)
862 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:01:31.70 ID:pKkydFw0
ジュン「なんだって? …貴様!」

翠星石「…え?」

蒼星石「な…?」


(もうわかったじゃろう? くくく…)


ズブズブ…


(この手足を失いたくなかったら、そこでじっとしておれ)


ジュン「ま、まさか!」

翠星石「…は、はぁっ?」

蒼星石「…えっ?」


(アリスになれない体になってしまいたくなければ、わしらに手出しをするな)


ジュン「…貴様っ!!」

翠星石「……」

蒼星石「……」


(ほほほほ、おとなしくしておれば、すぐに返してやるぞ… )


ジュン「こ、このっ…! やめろっ!   …?」



「…」ポカーン



ジュン「翠星石? …そ、蒼星石?」




「…」キョトン
863 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:03:56.85 ID:pKkydFw0
(ほっほっほ、身動きできまい。 ピュセル、ガキをおさえておけ)

ピュセル「ハイ、オ父様」

(戦乙女が来たら、そやつを人質に取れ。 やつらは手出しできんはずじゃ)

ピュセル「ワカリマシタ」

(それでは、退散させていただこうかの…)ズ… ズズ…

ジュン「ま、待てっ!!」



ブォン!



ピュセル「?!」ビュッ!

翠星石「…しゃああっ!!」ビュゥッ!

ジュン「(翠星石?!)」

蒼星石「ジュン君、今だ!」グッ!

ジュン「そ、蒼星石!」ダダッ!

ピュセル「シ、シマッタ!?」


タタタタタ…


(な、何をする貴様ら!!)


翠星石「…」…ジャキ

蒼星石「…」シャキッ…
864 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:08:07.95 ID:pKkydFw0
ジュン「ふたりとも…」

(き、きさまら正気か?!)

翠星石「…」…ジリ ジリ

蒼星石「…」…チャキ

(この手足を失えば、きさまらは永遠にアリスにはなれんのだぞ?!)


「…」


(な、なんとか言ったらどうじゃ!!)

翠星石「…おい」

(…な?!)

翠星石「おまえ…」

(な、なんじゃ?)




「 バ カ で す か ? 」



ジュン「え…」

(な、なんじゃと?!)

翠星石「あっきれましたね〜」

蒼星石「まったくだね」

ジュン「翠星石、蒼星石…」

翠星石「…錬金術師だ黒魔術師だとか言ってるけど、おまえ、ただのバカですね?」

蒼星石「そうだね、間違いない。 …こいつ、ただのバカだ」


(き…貴様ら!!)
865 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:11:04.99 ID:pKkydFw0
ジュン「ふたりとも…」

翠星石「わたしたちに、アリスになりたかったら、妹たちを見捨てろって言ってるですか?」

蒼星石「お父様が、ぼくらにそれを望むとでも? おまえこそ、正気かい?」


(き、貴様らは究極の少女を目指して、姉妹で殺し合いをしていたではないか!!)


翠星石「…なにを言ってるですか???」

蒼星石「…あのね。 いまの戦いは、アリスゲームとは、関わりないんだよ?」


(な、なにが違うというのだ!)


翠星石「わたしたちが戦いあうのは、アリスゲームのときだけ」

蒼星石「それ以外の時は、僕らは普通の姉妹なんだけれど… ほんとうにわからない?」

ジュン「(…水銀燈も、そんなことを言ってたっけ…)」


(な… なにをバカな…)


翠星石「バカはおめーですよ。 まったく、いくら知識があろうと長生きしてようと、バカってのはいるもんですね〜」

蒼星石「こんなヤツにムキになって怒ってた自分が、バカみたいだよ」
866 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:15:15.54 ID:pKkydFw0
ジュン「(…ふたりとも、ごめんよ)」



「(僕は、君たちを見損なってしまうところだった…)」



(に、人形ごときが! わしをバカにしおって、許さんぞ!!)

ピュセル「キ、貴様ラ!」…ジャキ!



ジャギズバッ!!



ピュセル「ウアァ?!」ズジャ!

(な…?! は、速い!!)

翠星石「…」ヒュンヒュン…



「バカにして、ですって…?」…ス



…キィイイイ…ン!



ジュン「ふたりとも…?! こ、これは…」

蒼星石「ふざけるのも、いい加減にしろ…!」スッ…




…ヒュゥゥゥゥ…ン!
867 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:19:10.98 ID:pKkydFw0
ジュン「目をつぶって… まさか!」

ピュセル「…イ、イッタイ 何ヲ…」

(ま、まさかこれは!)



蒼星石「僕たちのことも…」キィ…ン!

翠星石「お父様のことも…!」ヒュー…ン!




「アリスゲームのことも… 『アリス』のことも!」




キィィィィ…ン!!




「バカにしているのは、どっちだぁっ!!」カッ!!




…ギィン!!



ピュセル「目ガ、光ッテイル! コレハイッタイ…?!」

(これが…これが、『共鳴』かっ…!)
868 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:21:29.53 ID:pKkydFw0
ジュン「怒りで、共鳴を発動させたのか!」

翠星石「そのとおりです! さあ、ジュン! 真紅を助けますよ!!」

ジュン「…ふたりとも、傷は?!」

翠星石「『共鳴』さえ発動できれば、こんなやつら片手片足で充分ですっ!」

蒼星石「水銀燈の羽は、君が使って! 『共鳴』を持続させるんだ!!」

ジュン「…きみらの…」


「きみらの、手足は…?」


蒼星石「え…」

ジュン「き、きみらが真紅たちを見捨てるとは思ってない! でも…」

翠星石「…」

ジュン「も、もし、あの手足が失われたら、君たちは…」

翠星石「…そんなの、決まってるじゃないですか」

蒼星石「そうだよ、ジュン君?」

ジュン「え?」



「…ジュンが、わたしたちの手足を、新しく創るんです」
869 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:26:29.59 ID:pKkydFw0
ジュン「…ボクが?」

蒼星石「そう。 …頼んだよ、ジュン君」チャキッ!

翠星石「わたしたちのこと、しっかりアリスにしてくださいね?」ジャキ!

ジュン「(…きみたち…)」グッ!


「わかった! それじゃ、頼むっ!」ザッ!


(く、ピュセル! やつらをおさえろ!!)

ピュセル「オ父様ニ 手出シハ サセナイ!」ジャキッ!

翠星石「手なんか出しませんよーっだ!!」

蒼星石「ジュン君、ごめん!」

ジュン「お、おうっ!」


ボゴ!


ジュン「きゅう」

ピュセル「?!」

翠星石「これなら、おまえにさわらなくっても…」

蒼星石「真紅の心にたどりつける!」


ズォォォォ…


(夢の扉を、開きおった!)
870 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:31:28.50 ID:pKkydFw0
翠星石「ジュンなら…あいつなら、きっと真紅の夢へたどりついてくれるはずです!」

(こしゃくな! ピュセル、ガキともども片付けろ!)

ピュセル「ハイ」ジャキッ!

翠星石「蒼星石、おまえは足をやられてます。 …ジュンを守ってください!」

蒼星石「頼むよ、翠星石!」

翠星石「このガラクタは、わたしにまかせなさい!」ジャキ!

ピュセル「…ソノ言葉、後悔サセテヤル!」ザザッ!

翠星石「ひゅぅぅぅぅー…(…でも、ジュン)」



「(もしも、もしもわたしたちが、アリスになれなくなっちゃったら…)」ヒュボ!



ピュセル「ナ?!」ビシュ!

(なっ…! 速い!!)

翠星石「(責任は、取ってくださいね?)」




「…しっかり、わたしたちを養うんですよっ!」ビュォン!




キュバッ!!
871 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:36:07.10 ID:pKkydFw0
【地上】


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」グァッ!

雛苺「 ふ っ ! 」ビシ!


ゴゴ…!


巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」ゴォ!

雛苺「 は っ ! 」バシ!



巴「雛苺、その調子!」

柴崎「組み手を… とらないのか?」

のり「…組み合わないの?」

巴「…はい。 中途半端な攻撃は、再生されてしまうだけだから…」

(水銀燈「…一発に賭けるつもり?」)

巴「はい。いちかばちか、だけれど…」

雛苺「 こ の !  こ の っ ! 」ビシ! ビシ!


「 か か っ て こ い な の !」
872 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:37:10.68 ID:pKkydFw0
巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴゴ…


…ズズ… …グルッ


のり「あ、あれ?」

みつ「巨人兵が…?」


ズズ…ン ドド…ン


柴崎「町へ向かいおる!」

雛苺「 そ 、 そ っ ち は ダ メ ー !!」ドスン ドスン

金糸雀「ひ、雛苺! あわてちゃ…!」

(「金糸雀!」)

金糸雀「は、はいっ!?」



(「…巴にまかせなさい」)



金糸雀「と、巴に…?」

巴「(あとすこし…!)」…グッ



(ギリギリまで、ひきつけて…!)
873 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:39:36.91 ID:pKkydFw0
雛苺「 町 に 行 っ ち ゃ ダ メ な の ー !!」ドス ドス ドス…

柴崎「つ、突っこんでは危いぞ!!」

巴「…」

巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴゴ…



ギュルン!!



みつ「?!」

金糸雀「上半身が回転した!」

雛苺「 ふ 、 ふ ぇ ?!」

巨人兵「 ・ ・ ・ !!」…ゴァ!


ズァァァ!!


雛苺「 ・ ・ ・  ひ ! 」

「雛苺!!」




巴「雛苺、今よ!」
874 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:45:06.63 ID:pKkydFw0
金糸雀「巴?!」

巴「一歩下がって、つかまえて!!」

雛苺「 は … 」


「は い っ !!」ゴゴッ!


巨人兵「 ・ ・ ・ ? ! 」…ズル!

雛苺「 う ん し ょ !! 」ガシ!

巴「そう、後ろ手をつかまえて… いっきに持ち上げる!」

雛苺「 … は い っ ! 」グワアアア…!

巨人兵「 ・ ・ ・ ?!」ゴゴ…


「 え ぇ ー い っ ! ! 」ガバ!!


柴崎「か、かつぎあげおった!!」

みつ「す、すっごい…!」

巴「く… うぅっ…!」


シュルシュル…


(水銀燈「巴!」)ビシュ  プツッ!


巴「…水銀燈、ありが… とう… …くっ!」


パァァァァ…


巴「くぅ… うあ…っ!(胸が… 苦しいっ…!)」
875 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 18:49:46.71 ID:pKkydFw0
のり「あ、あの体勢は…???」

柴崎「ま、まさか… あれは…」


「プロレスの技なのか!!」


巴「は… はいっ…!」

みつ「え、えっと… パワーボム、だっけ?」

巴「ち…」

みつ「え?」


「 違 い ま す っ ! ! ! 」


みつ「ひっ?!」

巴「…雛苺―っ! 跳ぶのよっ!!」

雛苺「 巴 、 が ん ば っ て !!」ゴゴッ!



ゴアアアアア…!



柴崎「な、なんじゃあの技は!!」

巴「く… くぅ…っ! や、やっちゃいなさーいっ!!」

(水銀燈「巴!!」)

巴「…たたきつけてーっ!!」

雛苺「 え え え え ぇ ー い い っ ! 」グアア!

巨人兵「 ! ! ! 」



…ズドォォォン!!
876 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 19:05:10.27 ID:pKkydFw0
のり「きゃああ?!」ビリビリビリ…!

マツ「しょ、衝撃波?!」ビュゴォォォ…!

金糸雀「す、すっごいかしら…」

みつ「す、すごい… きゃあ?!」グイ!

巴「みつ… さん…!」ギュウウ…

みつ「な、なぁに〜???(…こ、こわいっ! ともとも、目がこわいのっ!!)」

巴「あの技は…」

みつ「え、え???」



「パワーボムじゃ、ないんですっ!!!」



みつ「え…?」

巴「あの技は… パワーボムとは、ぜんぜん違う別の技なんですっ…!」

みつ「は、はあ…」

巴「パワーボムは『がぶり』の体勢から持ち上げるけど… あの技は…」

みつ「(…ともとも、あなた、もしかして…)」

巴「リバースフルネルソンの体勢から、相手を持ち上げる… 別の技なんですっ!!!」


(もしかしなくても、格闘技オタクちゃんだったのかな…?)


巴「あの技は… 神様になっちゃったあの人が使っていた、伝説の…!!」

みつ「み、見てっ!」



巨人兵「 ・ ・ ・ !! 」ビギビギビギ…!
877 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 19:10:08.38 ID:pKkydFw0
柴崎「全身に、亀裂が!!」

金糸雀「効いてるかしらっ!!」

巴「雛苺! とどめを…」


…ボォウ


巴「…あ… ああっ…?!」ボォ…

のり「と、巴ちゃんっ!!!」


ボォ…


巴「ああ… くっ、まだ…!」シュルシュルシュル…

マツ「巴ちゃん!!」

みつ「ともともが… ともともが、消えちゃうっ!!」

(巴!!)


ピシュ プツ!


巴「く… うああ…!」パァァァァ…

のり「巴ちゃん、巴ちゃんっ!!」

(水銀燈「肉体の負担が、限界に来てる!!」)


「あぐ… がはっ」


…ゴボッ



雛苺「 ト 、 ト モ エ ー っ ! !」
878 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 19:13:43.02 ID:pKkydFw0
のり「いやあああ!! 巴ちゃーんっ!!」

巴「ひ、雛苺…」ゴホ… ゴホッ


「はやく… とどめを…!」


雛苺「 ト モ エ 、 ト モ エ が … !」

巴「ひな… いちごっ…!」…ゴボッ


ゴガッ!!


雛苺「 き ゃ あ !?」ズゥン!

柴崎「し、しまった!」



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴゴ…



みつ「ともとも、しっかりして!」

マツ「巴ちゃん…!」


「…だ、だい… じょうぶ…」…ゴフッ



雛苺「 ト モ エ 、 ト モ エ ー っ ! ! 」
879 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 19:20:01.71 ID:pKkydFw0
【地下洞 最下層】


ギュルルルルン!


ピュセル「クッ!」ガキィン!

翠星石「こっから先には、一歩もいかせないです!」

(すさまじい動きじゃ… 片手とは思えん)


(じゃが、所詮ムダなあがきよ!)


蒼星石「ムダなものか! ジュン君が、夢の世界から真紅を助ける!」

(それがムダだと言うておる)


ズブズブズブ…


(こやつの夢の世界も、とうにわしが侵食しておるのだからな…)

翠星石「な、なんですって?!」



【真紅の夢の世界】


「な、なんだここは…」


ズブズブズブ…


「こ、これが、夢の世界…?!」


ゴボゴボゴボ…


「まるで… 血の池地獄じゃないか…!」
880 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/02(日) 19:24:45.68 ID:pKkydFw0
ジュル… ジュル…


「これが、ほんとうに真紅の夢…? ま、まさか!」

(あいつに… 飲みこまれそうになっているのか?!)


ズブッ!


「うわっ!?」


ズブズブ…


「(あ、足場が沈んでいく …飛ぶしかないっ!)」ゴボゴボ…


(翠星石「ここは夢の中。 強く信じれば―」)


「え、ええいっ!!」ビヒュン!


…ゴボッ!


「危なかった…」


…ヒューーーン



「無事でいてくれ…!」





「真紅っ…!」
881 : [sage]:2009/08/02(日) 19:26:04.15 ID:pKkydFw0
今日はここまでです。つづきはあさって。
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/02(日) 19:31:42.83 ID:0T1UzT6o
おつ!
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/02(日) 19:35:57.16 ID:Cn12tY6o
乙〜

884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/02(日) 19:43:50.51 ID:a3xZUFoP
乙樽場

双子の反撃に腹抱えてワラタww
…できた子達じゃあ…(泣
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/02(日) 19:46:16.06 ID:723u1vMo
乙です
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/02(日) 20:34:56.52 ID:mZTWugoo
乙です

…もしかして、雛苺にやらせたのはタイガードライバー'91?
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/02(日) 20:54:00.08 ID:9YM/Jx.o
おっつ
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/02(日) 20:55:42.64 ID:9YM/Jx.o
おっつ
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/03(月) 01:34:43.32 ID:AXAwHrYo
おつつ
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/03(月) 01:51:03.04 ID:TgL.5NQo

カールゴッチと予想
891 : [saga]:2009/08/04(火) 20:06:32.31 ID:F7tBwUg0
>>884-890
乙どもっす。

>>886 
リスペクトをこめたつもりが冒涜にしかなってないような気がひしひしと(を


再開します〜
892 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:11:47.59 ID:F7tBwUg0
【地下洞 最深層】


「ひゅうぅぅぅー… ひゅうっ!」ヒュボ!


ジャキ ガッ!


「(…速イ! ソシテ…)」


ヒュボ キュバ! 


「(アンナニ 小サイノニ… シカモ片手ダト イウノニ)」


…ガシィッ!


「(ナンテ、一撃ノ重サ!)」グググ…!

「…甘いですね」

「ナンダト?!」


ガシュ ボギ!


「?! グ、ウアア…!」

「両手で鎌を受けたら…」


…カクン


ピュセル「ア、足ガ…?!」

翠星石「足元がお留守になりますよ…!」
893 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:15:21.77 ID:F7tBwUg0
ピュセル「ア、アアア…」カク カク…

(な、なんとえげつない蹴りじゃ!)

蒼星石「(軸足の膝を、横から蹴り砕いた!)」

翠星石「…手加減なんか、してあげませんよ」


「悪魔になるって決めたんですからね…」


(さすが、薔薇乙女じゃな…)

ピュセル「ク…」ギ ギギ…

(…)


―こやつでは、とてもかなうまいな。 じゃが…


(やれ、ピュセル!) 

ピュセル「…ハイ」…ヨロ

(見事『ジャンヌ』になってみせろ!)


―ま、逃げのびるまでの時間稼ぎにはなるか。


ピュセル「…ワカリマシタ」ググ…

翠星石「…まだ、来ますか」ジャキ!

ピュセル「オ父様… ワタシハ…」


「コヤツラノ『結晶』ヲ奪イ 『究極ノ淑女』ニ ナッテミセマス」
894 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:18:45.14 ID:F7tBwUg0
蒼星石「…なんだって?」

翠星石「な、なにを言ってるですか!」

ピュセル「ナニヲ…ダト? 貴様ラコソ 何ヲ言ッテイル?」



「結晶ヲスベテ 集メタモノガ 究極ノ少女ニ ナレルノダロウ?」



翠星石「な… そ、そんな…」

蒼星石「なにを… バカな…」

ピュセル「ナラバ 私ガ集メレバ 『究極ノ淑女』ニナレル」

翠星石「…こ、こいつって…」

蒼星石「…まさか…」

(そうじゃ! 戦え、みごと奪ってみせろ!!)

ピュセル「ハイ …必ズ オ父様ノ期待ニ コタエテミセマス」

(無理はするな! 頼りにしておるのだぞ!)




―不意打ちが決まればよかったのだが。 まぁいい、せいぜい、すぐ倒されん程度にがんばれ。
895 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:23:41.33 ID:F7tBwUg0
ピュセル「参ル!!」ビシュ!

翠星石「この… この、バカ人形っ!!」ガシ!

蒼星石「お前、僕らの真似でもするつもりか!!」

ピュセル「ホザケ! 私ハ、貴様ラヲ倒ス!」


「オ父様ヲ 満足サセテミセル!!」


翠星石「ば、バカ!! 結晶をあつめたって…」

蒼星石「…」

翠星石「結晶をあつめたって、アリスになんかなれないんですよ?!」

ピュセル「抜カセ!」ビュッ!

翠星石「ほんとなんですっ!!」キュボ!

蒼星石「(…そう… ほんとうのこと…)」



(僕たちは、アリスになるため、ずっと結晶を奪い合ってきたけれど…)



(ほんとうは… 結晶を全部集めても…)




(…)




896 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:39:10.99 ID:F7tBwUg0
【地上】


…ゴボッ


ぐ…?! 


ゴボ ゴボッ…


なにかが、口の中にあふれて… これは…血?!


ゴブ…


い、息ができないっ!! くるしい…!


「巴ちゃん!!」


た、たすけて…! いやぁ、怖い!!


「ともとも!!」


いや、いやぁ…! 怖い…


こわい、こわいよぉっ…! …お母さん!!





「 ト モ エ ― っ !」
897 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:42:15.05 ID:F7tBwUg0
え…?



「 ト モ エ 、 ト モ エ っ ! !」



ひ、雛苺…?



「 い や ぁ 、 い や あ っ ! ! 」



な… なによ…!

そんな… そんな顔して…



「 死 ん じ ゃ 、 い や ー っ ! !」



敵が、目の前にいるのよ?!

そ… そんなこと、気にしないでっ! 



わたし… わたしは…!



「わたしはっ…」…ゴボッ

「巴ちゃん?!」

「ともとも!!」




「わたしは…がはっ、大丈夫よ!」
898 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:46:30.73 ID:F7tBwUg0
みつ「ともとも…! 意識が、戻った!!」

のり「巴ちゃん、大丈夫?!」

巴「はい… 大丈夫… ですっ…!」シュルシュル…

のり「巴ちゃん…!」

巴「あ、あいつは…?」

みつ「…」


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ズズ…


のり「傷が、ふさがっちゃってる…」

柴崎「くそ、しぶといやつじゃ…!」

巴「…」

金糸雀「(水銀燈! 巴は、どう見たって限界かしら…!)」

水銀燈「(…)」

金糸雀「(水銀燈っ!!)」


(…)


巴「はぁ、はぁ… う… 雛…苺…っ!」

雛苺「 は 、 は い ! 」

巴「なにを… ぼんやりしてるの!」ググ…

雛苺「 え ・ ・ ・ 」

巴「あいつを… 止めて!」…グ!



「もう一回…たたきこむのよ!!」
899 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:50:00.95 ID:F7tBwUg0
みつ「ともとも!!」

巴「あの技は、はっきり効いていた…! もう一回入れれば、破壊できる…!」

雛苺「 で も … で も ! ! 」

巴「…やりなさいっ!! 雛苺、お願い…!」



「(…巴)」



巴「な… なに?」

水銀燈「(今の技… あと一回だけ、できる?)

金糸雀「な… 水銀燈!!」

巴「…大丈夫! やれるっ!!」

金糸雀「と、巴っ!! これ以上は、ほんとに…!」

水銀燈「(金糸雀! あなたは、ブリュンヒルデに『ブリューナク』を用意させなさい!)」

金糸雀「え… あ、アレを?! ムチャかしらっ!! こんな町のそばで撃ったら…!」

水銀燈「(ここで撃つんじゃない! 3時の方角を見なさい!)」

金糸雀「え…」


ヒュォォォォ…


水銀燈「(町外れの、あのポツンと建っているビルが見える?!)
900 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 20:58:01.14 ID:F7tBwUg0
みつ「あ、あそこは!」

のり「(銀ちゃんがみんなの結晶を産んだ… あの廃ビル!)」

水銀燈「(あそこは中にも周囲も、ほとんど人がいない!)」 

金糸雀「それって… まさか?!」

水銀燈「(そうよ!)」


「(あそこまで、あいつを運ぶのよ!)」


金糸雀「運ぶって… あんなでっかいのを、どうやって!?」

水銀燈「(詳しく説明してるヒマなんてない! アルト隊のふたりで、ビル周辺の人たちを避難なさい!)」

金糸雀「…あーもう! わかったかしら!」シュピ!

水銀燈「(避難させる人の位置は、わたしが指示する! 『ブリューナク』はいつ届く?!)」

ブリュンヒルデ「取リニ行クマデ5分。 ソコカラ、充填完了マデ3分デス!」

水銀燈「(頼むわよ、ブリュンヒルデ!)」

ブリュンヒルデ「Jawohl! 転送開始シマス!」フィィィィィ…!

巴「…」



(巴… 聞こえる?)
901 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:06:12.48 ID:F7tBwUg0
巴「え…」

(水銀燈「…事がここに至っては、もう『どうする』なんて聞くつもりはない」)

巴「…」


(「ここまできたら、やってもらう」)


巴「…はい」

(水銀燈「さっきの吐血は、肺の毛細血管が傷ついただけ。次に起きたら、落ち着いて浅く細かく呼吸なさい」)

巴「…わかりました」

(水銀燈「ふふふ…」) 

巴「?」


(「怖かったでしょう?」)


巴「はい… 死ぬかと思った」

(「でも、もうあなたには恐怖から逃げる自由も、あきらめて死ぬ自由も無いわ」)

巴「…」

(「あなたはもう、雛苺のことを背負ってしまったのだから」)

巴「…わかっています」

(「いま、あなたが逃げるか倒れるかすれば、あなたの後ろにいるその子が傷つくのよ」)

巴「…」



(「あの時のようにね…」)
902 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:11:18.03 ID:F7tBwUg0
「あの時…」



―巴、この人知り合い?

―え…

―たしか、しばらく学校に来てない人だったよね…

―ジュン君… 


―さ、さよなら



「…」

(「ふふ、怖気づいた?」)

「…うん、怖い。 でも…」

(「なぁに?」)

「あなたも、そうだったんでしょう?」

(「え…?」)

「自分が逃げても死んでも、妹たちを絶望させることになる」)

(「…」)

(「だから、あなたは立ち向かっていくしかなかった… いえ、違う」)

(「…何よ?」)

「逃げたくなっても、死にそうになっても…」



「妹たちが後ろにいたから、あなたは立ち向かっていけたんじゃない?」
903 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:17:52.04 ID:F7tBwUg0
(「…」)

「違うかな? …わたし、あなたの気持ちがいま、ほんとうにわかったように思える」

(「…」)


―わたし、わたし… 冷酷非情の最凶ドール『水銀燈』でいようって思ったの!

―だって… だって、わたしが弱気になったら、みんなが不安がるじゃない!!


(「…ふん」)ピシュ! 


ザザザッ!


「これ… 銀の羽…?」

(「わかったつもりになってないで、呼吸を整えなさい。 これが最後よ!」)

「? あ、あなた??」 

(「3本あげるから、自分で刺しなさい! なるべく間隔をおくのよ!」)

「水銀燈… あなた…」

(「? 何よ…」)

「あなた、いま、照れたの?」…クスクス

(「…口の中に羽を刺してほしい?」)

「はい、はい」クスクスクス…

(「まったく、もう。 可愛くないわね… この子ったら」)


【上空】

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …


「この子ったら、もう」




「…ますます、真紅に似てきたわ」
904 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:20:41.49 ID:F7tBwUg0
ゴゴゴゴゴゴ…


「…」


ゴォォォォォ…


「巴…」


ゴゴゴゴゴゴ…


「あなたの覚悟、見せてもらったわ」


(…口先だけだなんて言って、ごめんなさい)


ゴゴゴゴゴゴ…


「あなたがそのつもりなら、わたしもそれに応えなくてはいけないわね…」

「いちかばちかだけれど… 見てなさい、わたしの力を!」



ゴォォォ… グォォォ…!!



「…雛苺っ!!!」
905 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:30:30.34 ID:F7tBwUg0
【地上】

みつ「あ、あれ…?!」

巴「水銀燈…」


ゴォォ… ズォォ…


のり「銀ちゃんの翼が… 動いてる?」

マツ「なにをする気なのかしら…」

(雛苺! 雛苺っ!!!)

雛苺「 は 、 は い !」

水銀燈「(聞いてのとおりよ! もう一度、いまの技をしかけなさい!!)」

雛苺「 え ・ ・ ・ で も ・ ・ ・ 」

巴「お願い、雛苺…!」

雛苺「 ト モ エ ・ ・ ・ ?」

巴「ごめんね… 雛苺! わたし、もう、絶対逃げない!」

雛苺「 え ・ ・ ・ 」

巴「わたし…ずっとあなたといっしょにいる!!」

雛苺「 え 、 え え っ !?」


「お父さんと、お母さんと別れてでも、ずっとあなたといっしょに生きる!!」
906 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:37:25.24 ID:F7tBwUg0
雛苺「 ト 、 ト モ エ ・ ・ ・ 」

巴「だからお願い、戦って! みんなを守って!!」

雛苺「 ト モ エ … !」グググ…!

水銀燈「(雛苺!)」

雛苺「す、水銀燈…!」

水銀燈「(巴にここまで言わせたんだから、わかっているでしょうね…!?)」

雛苺「 は … 」ゴゴゴ…



「 は い っ ! ! 」ゴォウ!

(「失敗も言い訳も許さない! 死ぬ気でやりなさい! …いえ、しくじったら殺してやるわ!」)

「 ・ ・ ・ だ い じ ょ う ぶ っ !!!」


ドズン ドズン ドズン!


のり「雛苺ちゃん!」

みつ「…が、がんばれっ! ヒナちゃん、ともとも、みんながんばれーっ!!」

雛苺「 う ん !! ヒ ナ 、 が ん ば る !!」


ドズン ドズン  …ズズン!


巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴゴ…

雛苺「 こ こ か ら さ き に は 、 と お さ な い っ !!」

巴「雛苺!」


「 さ あ、 か か っ て こ い な の っ !!」
907 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:42:37.05 ID:F7tBwUg0
【地下洞 最深層】

ヒュゴ! キュボ!


ピュセル「ク、クッ!」ザザ!

蒼星石「(…勝負は、見えたね)」

翠星石「片足じゃ… 避けきれませんよっ!」ブン!


ズガ!


ピュセル「アアッ?!」…ガチャ

(腕を…!!)

ピュセル「コ、コノ!!」ジャキ!

翠星石「…」

ピュセル「…? キ、貴様…?」

(…む?) 

翠星石「…」


(なぜ、手を出さん…?)


ピュセル「…ドウシタ! 臆シタカ!」

翠星石「…もう、勝負はつきました」 

ピュセル「ナンダト!」



「降参してください…」



蒼星石「翠星石…」

ピュセル「フ、フザケルナ!!」

翠星石「ふざけてなんかいません。 降参してくれるなら、これ以上は…」
908 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:46:26.01 ID:F7tBwUg0
ビュッ!



翠星石「…ダメですか」…ヒュッ

ピュセル「当タリ前ダ!」ビュッ ブンッ!

蒼星石「(完全に、見切りきってる…)」

ピュセル「コノ、逃ゲルナ!」…スカッ

翠星石「結晶を集めても、究極の少女になんてなれないんですよ?」

蒼星石「…(そう…)」


(水銀燈の記憶が、僕たちに教えてくれた…)


(結晶を全部集めても、アリスになんかなれない。 弱い心を膨らませてしまうだけだって…)


(けれど… それなら…)


ピュセル「タワゴトヲ!!」ブォン!

翠星石「ほんとですってば。 わたしたちも、ついさっき知ったんですけどね…」…ヒュッ

ピュセル「ダマレ! 惑ワサレルモノカ!」

翠星石「この、わからずやっ!!」バキッ!

ピュセル「アグッ!?」



…ズジャ
909 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:49:59.14 ID:F7tBwUg0
―あまりに一方的じゃな… 


ピュセル「コ、コノ…!」

翠星石「わたしたちだって、信じられないけど… ほんとなんですよっ!!」

蒼星石「(…そう、ほんとうのこと。だけど、それなら…)」


(僕たちがずっと姉妹で戦ってきたのは、いったいなんのためなんだ…?)


翠星石「これ以上立ち向かってくるなら、もう容赦しませんよ…」…ジャキ

蒼星石「…」

ピュセル「ダマレ!」ブオン! 


「ダマレダマレ!!」ブンブン …スカッ


翠星石「…」ヒュン シュッ

ピュセル「ワタシハ… 『ジャンヌ』ニ ナル! ソレダケガ…」



「ソレダケガ オ父様ノ孤独ヲ 癒ス方法ナノダカラ!!」
910 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 21:57:21.99 ID:F7tBwUg0
翠星石「な、なんですって…?」

蒼星石「…なんだって?!」

ピュセル「ワタシタチハ ソノタメダケニ 創ラレタ!」

(…)


「ソレガ ワタシタチノ 生キル理由! 戦ウ理由!!」



翠星石「あ、あなた…」

蒼星石「君は…!」

(…やれやれ)



「ワタシハ ソノタメニ タクサン タクサン 殺シテキタ!」 



「オ父様ノ実験ニ 使ウタメナラ 子供タチモ!」 



「唯一ノ存在デアル 『究極ノ淑女』ニ ナルタメナラ 姉妹タチモ!!」



翠星石「…」

蒼星石「…」

(やはり、こいつも失敗作じゃ。 …精神が脆弱すぎる)

ピュセル「ワタシ… ワタシ…」ジャキ!



「モウ 後ニハ 引ケナイノッ!!」
911 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 22:03:59.01 ID:F7tBwUg0
(迷うな、戦え! おまえが『究極の淑女』になりさえすれば、すべて解決することじゃ!!)

―せめて、もう少し本体が深部へ逃げるまではもってくれ…

ピュセル「ハイ、オ父様!!」


翠星石「…」

蒼星石「…」


「ソコヲ動クナッ!」…ガシャ ガジャッ…


翠星石「…蒼星石」

蒼星石「…」

翠星石「蒼星石?」

蒼星石「…」


「ワタシハ… 『究極ノ淑女』ニナル!!」カク… カクカク…


翠星石「蒼星…」

蒼星石「…いま、何も聞きたくないし、話したくもない」

翠星石「…わかりますけどね」


「オ父様ニ 認メテモラウノヨォッ!!!」…ガクン ガクン…
912 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/04(火) 22:16:28.41 ID:F7tBwUg0
蒼星石「お父様も、僕たちも、あんなやつらとは違う。 …断じて違う」

翠星石「お父様は違いますよ、絶対に。だけれど…」

蒼星石「だけれど、なに?」


「ワタシ… ワタシ…!」…ガシャッ ガジャ ゴシャ…


翠星石「わたしたちは、あの子となにが違うんですかね?」

蒼星石「…」



「『ジャンヌ』ニ ナレナキャ ダメナノヨォォッ!!」ズァッ!!



翠星石「…楽に、してあげましょう」ジャキ

蒼星石「お、おまえ…!」チャキ



「死ネェェェッ!」ギュア!



蒼星石「おまえ… なんかっ…!」グッ!




「消えて、無くなれぇっ!!!」ビュッ!



ブォン!



「?!」



…グジャッ
913 : [sage]:2009/08/04(火) 22:17:43.27 ID:F7tBwUg0
今日はここまでです。続きはあさって。
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/04(火) 22:19:33.66 ID:jnOaefIo
おつつ
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/04(火) 22:20:19.95 ID:wN0zrboo
乙〜
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/04(火) 22:26:49.65 ID:y9v0x0AP
乙樽場

トコトン外道な狒々爺…
乙女の純情踏みにじるヤツは、追い詰めて肥溜めに(ry
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/05(水) 00:17:35.15 ID:FU/qvLso
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/05(水) 01:23:21.17 ID:IEXnmKUo
おつ!
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/05(水) 01:54:56.55 ID:vZ2OXlIo
おっつ
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/06(木) 13:42:10.62 ID:WZfvR7Y0
乙。

あんの髭ジジイ……
921 :1 [sage]:2009/08/06(木) 20:14:06.56 ID:/dP/gU.0
>>914-920
乙どもっす。
すいませんが、本日は予定が変わってしまったため、明日の投下に変更です。
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/06(木) 20:14:53.39 ID:ZNivrPAo
な、なんだってー
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/06(木) 20:15:58.21 ID:EeQEho6o
よし、明日まで楽しみとっておくよ
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/06(木) 20:36:28.34 ID:l7fgOMIP
把握

予定の消化頑張って
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/06(木) 20:53:54.88 ID:v6cgsRc0
明日か、把握。待ってるぜ!

今日はピチカー党員でよかったと思ったよ
本誌で金糸雀キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
926 :1 [saga]:2009/08/07(金) 20:30:15.68 ID:yGE63YI0
>>922-925
お待たせしました… すいません。


>>925
ジュンを従えて(?)堂々のご登場。
これから大暴れしてくれるのを期待せずにはいられない…w

再開します〜
927 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:37:47.72 ID:yGE63YI0
ピュセル「カハッ…」…ガシャッ

翠星石「蒼星石…」

蒼星石「…すまない」

翠星石「いいえ…」トコ トコ


「ガ… ガッ…」カクカク…


翠星石「…」



「ごめんなさい」 



ブンッ!   


グジャ


「ア」 


…カクン



(…)

蒼星石「…おい、おまえ」

翠星石「…この子がやられても、兵士を呼ばないんですか?」…ズボ


(…)


翠星石「兵士を呼べない、っていうのはウソじゃなかったみたいですね…」…ガシャッ

蒼星石「…おまえ…」


…ジャリッ
928 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:39:44.16 ID:yGE63YI0
翠星石「蒼星石?」

蒼星石「…おまえ、おまえっ!」

(…なんじゃ?)



「何とか言ったらどうなんだ!」



(なんじゃと…?)

翠星石「蒼星石…」

蒼星石「この子は… この子は、貴様の言葉を信じて!」

(…ふん、抜かせ)

蒼星石「貴様!!」

翠星石「蒼星石…」


…スッ


蒼星石「…翠星石」

翠星石「ま、わかってるとは思いますけれど」

蒼星石「…うん」



「いまは、ジュンを守ることと、真紅たちを助けることに集中です」
929 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:42:42.72 ID:yGE63YI0
蒼星石「…そうだね」チラッ


ジュン「…」


蒼星石「(…ジュン君)」

翠星石「いまは、それが一番大事です」

蒼星石「…わかってる。 わかってるよ…」ス…

(む…?)


シュウウ…


(『共鳴』が切れたか…?)

蒼星石「…すまない。取り乱して」

翠星石「いいんですよ。 わたしだって、気持ちは一緒です」

蒼星石「…」

翠星石「アリスゲームのこと、雪華綺晶のこと、お父様のこと… わからないことだらけです」

蒼星石「…うん」

翠星石「だから、ジュンが真紅を目覚めさせて、無事に助けだしたら…」…ジャキ



「やり場の無い、私たちのこの気持ち…」 …ニヤ

(…?)



「こいつに、自分のしでかしたことも含めて、ぜーんぶ引き受けてもらいましょう」
930 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:48:01.69 ID:yGE63YI0
(こ、こいつら…)

蒼星石「…そうだね。それは名案だ」…チャキ

翠星石「心の樹を切る庭師の武器なら、こいつの心だってぶった切れますからね」

蒼星石「ぶった切っちゃダメだよ。 すぐに楽になんかさせたら、もったいない」


(…そうしたいなら、まずはわしの本体を捉えてみせろ)


翠星石「それは、雪華綺晶の仕事ですよ。 せいぜい遺言でも考えておきなさい」

蒼星石「…どんな声で自分の罪と償いを歌いあげてくれるのか、楽しみでしょうがないよ」

(…)


―好きに言うがいい。


「…」


―まだ、わしらは負けたわけではないぞ…


「…」…ピク


…グ ググ…


「…」


ググ…


翠星石「…ジュンの様子は、どうですか?」

蒼星石「いまは、変わりないようだけれど…」




「(オノレ…!)」
931 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:50:06.82 ID:yGE63YI0
【真紅の夢の世界】



ヒューーーーン…



「真紅…」



ゴボボボボ…



「雪華綺晶…」



ヒューン…



「くそ、どこなんだ…!」



ズブブ…



「真紅―っ! 雪華綺晶ーっ!!」







「返事をするんだ! 真紅! …きらきー!!」




932 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:52:23.62 ID:yGE63YI0
「ふたりとも…っ!!」



…お…



「?!」



…お父様…



「き… きらきーか?!」



助けて…



「そ…そこか?!」ヒュルルル…



…ジャボッ



「く…!」 



ズブブブ…



「く、沈むっ…!」
933 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:55:07.35 ID:yGE63YI0
ズブ ズブ…



「どこだ… どこなんだ?!」ジャボジャボ…



ジュン…



「?! 真紅、真紅なのか!」



ジュン…



「…こ、ここか!?」…ズボッ



…ガシッ!



「い、いたっ! いま、助けるぞ!」グイッ!



ズルズル…



「無事でいてくれ…!」



…ゴボッ



「し… 真紅っ!!」




「…」ドロ…
934 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 20:57:15.68 ID:yGE63YI0
ズブズブ…


ジュン「真紅、真紅! なんて姿に…!」

真紅「…」

ジュン「真紅! 起きてくれ! 返事をするんだ!!」

真紅「…」…ピク


カク カクカク…


ジュン「ああ、真紅!」

真紅「ジュ… ン…」カク… カク…



「来て… くれたのね…」



ジュン「当たり前だろ! 真紅… 雪華綺晶は?!」

真紅「…わたしの中にいる。 無事よ…」

ジュン「…真紅っ!」


…ギュッ


真紅「あ…」

ジュン「無事で… 無事で、よかった…!」
935 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:00:17.20 ID:yGE63YI0
真紅「無事じゃないわ… わたし…」ゴソ…


…ズルッ


真紅「服も… 髪も… 指も、顔までも… なくしてしまった…」

ジュン「そんなの、すぐ治してみせる!!」

真紅「…」

ジュン「さあ、力を振り絞ってくれ! やつを倒すんだ!」

真紅「…」

ジュン「…真紅?」

真紅「わたし…」 



「この子との約束を、果たさなければいけない…」



ジュン「約束?」

真紅「そう… 大事な、大事な約束…」グ ググ…



ズル…
936 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:06:33.22 ID:yGE63YI0
ジュン「し、真紅! 無理しちゃダメだ!」

真紅「あなたに… 聞きたいことが… あるの…」ズズ…

ジュン「いまは、そんな場合じゃない!!」


…ガシッ


ジュン「し、真紅?」

真紅「ダメなの… お願い…」ググ…

ジュン「な、なぜ…」

真紅「約束したのよ… 雪華綺晶と… それに…」

ジュン「…それに?」

真紅「これを聞いておかないと…」…グッ


グ ググ…


ジュン「…真紅?」

真紅「わたしも、力を出せそうに無い…」

ジュン「え…」



「あなたと、心を重ね合わせられないの…」
937 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:09:54.03 ID:yGE63YI0
ジュン「…それほどのこと? いったい…」

真紅「ジュン…」…クッ


カク カクカク…


ジュン「し、真紅?」

真紅「あなた…」カクカク…



「あなた、なぜ…」



「そこまでして、私を助けようとするの…?」



ジュン「…えっ?」

真紅「私… あなたに、そこまでされる資格なんて… ない…」

ジュン「…真紅!」

真紅「こんな… こんな…」



「みにくい私が…」



「…真紅っ!!!」



…ガシッ!
938 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:14:21.91 ID:yGE63YI0
真紅「ジュン…」

ジュン「バカなこと… バカなこと、言うなよっ!!」

真紅「…」

ジュン「治すって言ってるだろう!! 今は、生き延びるんだ!!」

真紅「違う…」

ジュン「え…? う、うわ?!」ズブ…



「そういう… 意味じゃない…」



…ズブブ…



ジュン「(し、沈む…?!)」ズブ… ズブ…

真紅「わたし… とても… とても、みにくい人形なのよ…」

ジュン「な、何を言っているんだ! 脱出するぞ!」

真紅「そうなのよ… 私… 私は…」


ズブブ…


ジュン「し、真紅!?(お、重い! …飛べない!?)」

真紅「私こそが…」 ズブブブ…




「ジャンク… だった… の…」
939 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:16:00.28 ID:yGE63YI0
【地上】



巨人兵「 ・ ・ ・ 」


ズ… ズズ…


雛苺「 ・ ・ ・ こ、 こ の ・ ・ ・ ! 」

みつ「あ、あいつ…!」

巴「…」


ゴ… ゴゴ…


のり「雛苺ちゃんに向き合いながら… じりじり後ずさってる…」

柴崎「くそ、慎重なやつじゃ…!」



ゴゴゴ…



巴「たぶん、組み合いを挑まれたら、どんどん下がっていく気です…!」

マツ「…そのまま、町をすりつぶしていくつもりなの?!」

巴「うかつに引き戻そうとすれば、こんどは押しつぶしてくる…!」



ズ… ズズ…
940 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:24:43.59 ID:yGE63YI0
雛苺「 ど う し よ う ・ ・ ・  ト モ エ !」

巴「…落ち着いて、雛苺!(でも…)」


ズズ… ズ…


巴「(隙がない…! どうしよう、どうしよう…)」

(こうするのよ!!)

巴「え?!」



…キシャアアアアア!!



巴「水銀燈?!」

のり「銀ちゃん!!」

金糸雀「な、何を!?」

(水銀燈「隙がないなら、作ってやればいい!」)



キシャアアアア…!



金糸雀「あ、あいつにはあなたの羽も龍も、効果が薄いかしら!」

(水銀燈「…黙って見てなさい! 雛苺、下がりなさい!」)

雛苺「 は 、 は い っ ! ! 」…ゴゴッ!

柴崎「…着弾する!」



ズドドドドォン!
941 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:28:23.46 ID:yGE63YI0
柴崎「外れた?! …いや!」

巴「巨人の足元を狙ってる…!」

みつ「そ、そうか!」

(水銀燈「これなら効くでしょう?!」) 


ズドドドドォン!!


(「足場をグズグズにしてやるっ!!」)


ズドドドドドン!!


巨人兵「 ・ ・ ・ 」ゴゴ…

雛苺「(す、すっごいの・・・!)」

のり「す、すっごい…」

みつ「あの巨人が、土煙にかくれちゃいそう…!」

金糸雀「…?! す、水銀燈!!」

みつ「金糸雀?!」

金糸雀「みっちゃん、あれっ!!」


シュオオオオ…


みつ「翼が…!」 

のり「銀ちゃんの、翼が!!」



「みるみる小さくなってる!!」
942 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:31:32.26 ID:yGE63YI0
金糸雀「す、水銀燈―っ! 力の使いすぎかしらー!!」

水銀燈「(これでいいのよ!)」

金糸雀「え、えぇっ?!」

水銀燈「(力を減らしておかないと、精密な動作ができないの!!)」

のり「せ、精密な…???」



ゴゴゴ…



【上空】


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…


「そう… 精密な動作が必要になる…!」


ズ オ オ オ オ オ オ …


「正確に位置とタイミングをあわせないと、最悪… わたしがバラバラになる! でも…」



キシャアアア…!



「力を減らしすぎると、今度は支えきれなくなる…!」



…ズドドドドン!



「…早く、倒れろっ!!」
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 21:44:09.31 ID:B6PiZngo
・。・
944 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 21:58:37.61 ID:yGE63YI0
【地上】



ズドドドオン! ズドドドドドン!



のり「銀ちゃん、すごい…」

マツ「…まだ撃ちつづけられるなんて!」

柴崎「…耳が、どうにかなりそうじゃ…!」



ズドドドドン!



雛苺「(ひ、ヒナまでふっとびそうなの…!)」



ゴゴ…!



雛苺「 ! ! 」

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」グラ…

雛苺「(い…!)」



「 い ま っ ! ! 」ドズゥン!
945 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 22:00:09.63 ID:yGE63YI0
水銀燈「(雛苺?!)」

巴「雛苺! あぶない!!」



ドズン ドズン!



柴崎「あ、あの爆風の中につっこむ気か!!」

金糸雀「す、水銀燈−っ!! 撃つのをやめてー!!」

水銀燈「(…ダメ! 間に合わない!!)」



…キシャアアアア!!



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ 」ゴゴ… ヨロ…

雛苺「 え ぇ い っ ! ! 」ドズ ドズ ドズ…


ガシッ!


巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」…ゴゴ!

雛苺「 つ か ま え た っ ! ! 」…ギリッ!
946 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 22:01:04.62 ID:yGE63YI0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ・・・



雛苺「 ふ ぬ ぬ ぬ ぬ ー ・ ・ ・ ! ! ! 」ギシ ギシ…

巨人兵「 ・ ・ ・ ! 」ギ ギ ギ ギ…!

柴崎「ふ、踏ん張られとる!」

巴「雛苺っ…!」シュルシュルシュル…



…ボウ



のり「巴ちゃん!」

巴「雛苺… がんばって…!」プツッ!


パァァァァ…


みつ「ともとも…!」

巴「あと… ひといき…!」パァァァ…!

雛苺「 ぬ ぐ ぐ ぐ ぐ ・ ・ ・ ! ! ! 」ギシ… ギシッ!



…キシャアアアア!!
947 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 22:03:21.10 ID:yGE63YI0
金糸雀「龍が!!」

柴崎「よけられない!」

水銀燈「(雛苺!!)」

雛苺「 ふ ぬ ー ー ー ー ー ー ! ! ! (トモエ…)」


(トモエ… トモエっ!!!)


巴「…雛…苺ーっ!!」…ゴボッ!


…ズドォン!!!


巨人兵「 ? ? ! ! 」


…フワ


雛苺「 ふ ぉ お ? ! 」グィーッ!

のり「…うそ?!」

みつ「爆風で浮き上がった!!」

巴「雛苺…!」…ゴボ ゴボ…



「今よ! 飛んでーっ!!」
948 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 22:05:30.27 ID:yGE63YI0
雛苺「 は い っ ! ! 」グァァ…!

水銀燈「(…来る!)」

雛苺「 え え え え え ぇ ぇ ぇ ー ー ー い っ ! ! 」…ガバ!




グァァァァ…!!




みつ「と、飛んだーっ!!」

柴崎「た… 高い!!」

巨人兵「 ・ ・ ・  ! !」ギリ…!

雛苺「 こ ん ど こ そ … !」

水銀燈「(雛苺!!)」



ゴアアア…!



雛苺「 は 、 は い ? ! 」

水銀燈「(じっとしてなさい!! 動かないで!!)」
949 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 22:07:30.62 ID:yGE63YI0
雛苺「 え ・ ・ ・   え ? ! 」

金糸雀「水銀燈?!」

巴「な、何を…?!」コヒュ- コヒュー…

みつ「あ… あああ、あれっ!!!」



ゴァァァァ…!



のり「銀ちゃんが!!」

マツ「巨大な翼が… 空から舞い降りてくる!!」

雛苺「 水 銀 燈 ! ?   な に す る の ? ! 」

水銀燈「(巨人を、しっかり押さえてなさい!)」


ゴォアアアアア…!!


巴「水銀燈… ごほっ!」…ゴホ ゴホ…

水銀燈「(軸線は合った…!)」



…ギュゴゴゴゴゴ!



雛苺「 水 銀 燈 ? ! 」

水銀燈「(いまっ!!)」



ガシッ!!
950 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 22:11:48.19 ID:yGE63YI0
雛苺「 ふ ぉ ぉ ぉ ぉ ー ー ー ? ! 」

巨人兵「 ・ ・ ・  ? ! 」

水銀燈「(…く、くぅっ…)」



ゴ ォ ォ ォ ォ … 



のり「うそ、うそぉ… すんごい…!」

みつ「す、すっごい…! すごいよ、銀ちゃん…!」



ゴ オ オ オ オ オ … !



柴崎「信じられん…!」
 
マツ「雛苺ちゃんの背中から…」



「巨大な翼が…!!」



ゴ ァ ァ ァ ァ … ! グ ァ ァ ァ ァ …




「(さすがに… 重いわね…!)」
951 :水銀燈がドールたちの『母』になるようです【聖母編】 [saga]:2009/08/07(金) 22:17:02.98 ID:yGE63YI0
ゴ ゴ ゴ オ オ オ … !


 
みつ「あのビルに向かって、飛んでいってる…!」

金糸雀「い、いけるかしら! アルト隊、避難誘導は!?」

(グリムゲルデ「完了シマシタ!」)

(シュヴェルトライテ「イツデモ ドウゾ!」)

金糸雀「よ、よーっし! あとは、ブリュンヒルデの到着を待つかしら!!」シュピ!


「こっぱみじんに吹っ飛ばしてやるかしらー!! おーっほっほっほっほー!!」


みつ「…カナ…」

のり「(…目が、お顔がこわいよ…)」



ズ ァ ァ ァ ァ … ボ ァ ァ ァ ァ ァ …



巨人兵「 ・ ・ ・ !! 」ギシ…

雛苺「 ふ お お お ー ! ! す ご い 、 す ご い の ー !!」ビュゴオオオ…



「 ヒ ナ 、 お 空 を と ん で る の ー ! ! 」



巨人兵「 ・ ・ ・ ・ ・ !!」ギギ…!

巴「雛苺、水銀燈…!」

水銀燈「…まったく、もうっ!」ミシ ミシ…




「お気楽なものね…!」…ギシッ!
952 : [sage]:2009/08/07(金) 22:19:36.79 ID:yGE63YI0
今日はここまでです。続きは… 
間が空いて12日です;;
953 : [sage]:2009/08/07(金) 22:20:37.29 ID:yGE63YI0
そろそろ次スレの頃合かな…
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 22:21:51.33 ID:43nzbkYo
乙〜
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 22:28:14.99 ID:vrUnYjgo
乙です
次スレの誘導たのみます
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/07(金) 22:28:25.79 ID:sTn3p7co
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 22:31:06.99 ID:KHeUXx.o
乙樽場

進行が早い…
958 : [sage]:2009/08/07(金) 22:46:43.19 ID:yGE63YI0
次スレ建てました〜


「水銀燈は少しずつ、お母さんになっていくようです。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1249652685/


以降は埋めお願いします〜
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 22:47:28.62 ID:43nzbkYo
埋め〜
960 : [sage]:2009/08/07(金) 22:48:55.11 ID:yGE63YI0
>>954-957
乙どもっす〜

>>957
すこし焦って、話を進めすぎたかな…
次の最終編はゆっくり頑張れるといいな…
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 23:04:36.74 ID:KHeUXx.o
>>960
話の方じゃなくて、スレの埋まり方の方
言葉足らずでスマン

生め
962 : [sage]:2009/08/07(金) 23:27:49.67 ID:yGE63YI0
>>961
おっと、こっちこそ早とちりですんません;;
次の板でも、どうぞお付き合い下さいm( _ _)m

963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/07(金) 23:40:05.07 ID:sTn3p7co
板じゃなくてスレだろ・・・ww
お前らモチツケ
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/07(金) 23:53:52.79 ID:B78kgEMo
おつ!
965 : [sage]:2009/08/08(土) 00:55:11.84 ID:Kym0HdY0
>>963
酒が回ったかなorz

>>964
乙どもっす〜
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/08(土) 01:17:33.30 ID:Su92VAIo
おつつ
スレタイがいいな
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/08(土) 06:35:32.68 ID:aJ5/ZMIo
おっつ
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 00:56:07.76 ID:UGxD7Ko0
おつうめ
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 00:59:44.34 ID:viap5s.o
おつです
970 : [sage]:2009/08/09(日) 19:11:50.68 ID:QQKwCc20
>>966-969

乙&埋めどもっす〜
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/09(日) 20:04:06.74 ID:j2YBjXwo
銀ちゃんがおこって地震きたお(´;ω;`)
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 20:07:56.14 ID:tdpPiYMo
>>971
本当に銀様が怒ったら震度4じゃすまないお
これは銀様が寝返り打ったくらい
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 20:08:56.58 ID:viap5s.o
>>972
寝返りでこれだと銀様が凄く巨女なことにならないか
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/09(日) 20:12:57.07 ID:j2YBjXwo
銀ちゃんのおっぱいぶるんぶるん揺れてたお!
975 : [sage]:2009/08/09(日) 21:15:35.35 ID:yE15pco0
銀ちゃんが本気になったら地震どころじゃ済みません。ええ済みませんとも(狂
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/09(日) 21:25:17.08 ID:YamiVuso
埋め
977 : [sage]:2009/08/10(月) 21:42:49.95 ID:8YvcYpw0
セルフ埋め〜
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/10(月) 22:33:19.64 ID:DhYQliwo
産め
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/10(月) 22:47:37.67 ID:YeA9.Too
埋めればいいんだな?
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/10(月) 22:48:29.99 ID:tTaB6XUo
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/10(月) 22:55:36.58 ID:ca4WlBQo
埋め
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/10(月) 22:58:59.89 ID:tTaB6XUo
UME
983 : [sage]:2009/08/10(月) 23:17:25.33 ID:8YvcYpw0
UME
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 08:07:08.63 ID:vn7Zh.AO
乙です
埋め!
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 09:53:07.92 ID:vu6yqK6o
産め
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 10:21:08.85 ID:ALGcang0
乙。

すごいことになっていってる……
ここに盛大なる「埋め」を。
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 12:22:34.77 ID:vu6yqK6o
UUーMEっ!
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 12:48:28.48 ID:HqSjGIco
一日一回梅
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 13:15:32.09 ID:BhSOrl6o
雛「ぅめーーーーーっなの!!!!!!!」
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 15:51:39.82 ID:RuHhk6oo
うめめ
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 18:19:27.05 ID:EKv79iso
これほどスピードののらない埋めってのも珍しい
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 18:35:25.85 ID:vu6yqK6o
あせる必要はないもの
993 : [sage]:2009/08/11(火) 20:54:13.55 ID:H8NcBZc0
>>978-992
埋めどもっす〜
あちらで再開します〜
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 21:01:49.56 ID:vu6yqK6o
生め
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 21:01:58.42 ID:EKv79iso
次スレ見ながら埋め
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 21:09:12.26 ID:RuHhk6oo
うめめ
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 21:12:36.58 ID:EKv79iso
                              -=@=-、
                            /`ー'ー'ー'ー'ヘ`(\
                               ,′ {{   j   マ}ハ
                              /| イ八{   /V| `《)(》',__
                         _,...::::::::::l八o{::)ヽ/(::Yo 人{ ∧:::::‐-...__
                      |`ー-::::_r‐くトゝ ヮ 厶イ廴ル三≫::::/|
                      |     ー'=≧(⌒≪ノ ノ三三彡ヘ/ │
                      |            `ー'⌒≪彡ヘ//     |
                      |  すぃ              `Y      │
                      |     ぎ ん と     |      :|
            〃`ー ヘ.       |_            う     | 埋め  :|
          (\  _ゝ  ‘ノ ∠゚>    `ー-::..._   の        |     /
        \`´    }  羊           `ー-::..._  い え |    /
            ゙vーv'⌒′  ∧                `ー-::.._   |  /
                                          `ー┴'
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 21:18:41.63 ID:EKv79iso
                             ノV/∧∧   ,ィ
                           ////////| .//_
                          lヽ/////////l/////
                            {///////////////
                          」//////////////
                        {//////////////_
                        」/////////////
                           _ \///////////L
                       .才´゚ ・。 \ V//////////ノ
                     /¨゚ ・。   ゚。  ヽV////////   Trick and treat.
                ,' / ハ ≪X≫   \/////
                l从ノ_,! 《z z》 / ̄ ̄ ̄\
                 ノ リ| .イ 》《  {:::::::::::::::::::::::::::}_   __,,,-――--、
                     \ー ソルl   人::::::::::::::::::::::::k  ̄ ̄ ̄::::::::::::::::::::::::::::\
                    /:.ー.' ´:!  /\:.ー -,r=卯=ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
          厂 了 7_‐--ャ´::::::::::::::::: ! ハ ヽ:::::ヽll:::::::l.:::::::::::::::::,:,,::':::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
  __   _.ノ ̄ } (   } -‐ }::::::::::::::::::::{ |,斗─|:::::::ノ|::::::::|-─=-'',y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
 . \ヽV  /{.ノ 乂  )/ \::::::::::::::::ヽ!_ゝ.⊥ィ.:::|::::::::<    ,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、
    ` ー'   `Y  ) `ヽ  }\:::::::::::::::::::::::::.>  |::::::::::ヽ   |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、
             乂 しヘ ト、!.  ⌒´ ̄ ̄´    |::::::::::::::\ |:!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、
            `ヽ、__. ソ             |::::::::::::::::::: |:|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、
                              L:::::::::::::::::::::|:|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::‘、
                              /⌒/⌒i__う !:!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::k
                            :L./ト、_卜、⌒!:::::::::::::::::::::', ̄´ ` ̄ :::::::::ノ:::::::::::`、
                                    弋 ^) /:::|:::::::::::::::/ ̄   ! ___ヽ ヘ -ヘ、:::::`、
                                   ̄',:::::!::::::::::__|      く   ( /⌒i__う :::::::::`、
                                         ',:::|:::/ヘ、.__ (⌒ー'   ト、_/⌒!` ̄ て
                                         ',:レ'_ヘ _} ├i´_ ヽ/ ̄  ! ___ヽへ
                                         ',:::::::::〉、_.ノ   ! ( ノ|
                                         ',::::/  |:ヽ-|:ヽ-イ
                                         V   |:::::::|::::::::
                                             }:::::::}:::::::::!
                                         /::/::::::::::.
                                         / :/ ::::::::::::::::i
                                     「:::::「:::::::::::/ヽ_::」
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/11(火) 21:21:57.54 ID:EKv79iso
       _,r{堰pi〉―-、 __ _
     /:: (>=<フ ::::::::::::.....\` 、
    /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ \
   厶 -‐  ̄ ̄ ´ ' ヽ、:::::::::::::::::::.ヽ ヽ
  /  /   〃  /   \::::::::::::::::::.'  ',
  /  /   //   /     ',:::::::::::::::::|  ヽ、   どなたか1000どうぞ
 / ./-:―//、.  /   |   | |::::::::::r=x=、  ヽ
.,:  / . r‐/ ',  /| / |  l  | l、::::||:::{}::||   ',
{  j  /fj_{ / |/\|  l  |  |:::::|レ八ソ    ' ,   rォ  / 〉
|  |.  j: トヘ1V ヽ __ l\!: ..|   /`r=x=、\    \  | | / // 〉
|  |.  l 七り    イ ヌ_/ヽ/   /  |レ仆ソ  \    \| .V .〃 /
ヽ. j.  { xx ,     トへヌ/  / / `jハ〉 \ \ ___ノ   ∠ __
 ∧  .\  、    匕Zzソ〉 /. ハ/ ヽ \ \  `ー-、     r―‐'
 | ヽ / \    xxx/: ./∠-┴、   ヽ ヽ \   \   ヽ
 |.  /ヽ/.1ヽ -―‐┴‐┴< ___ ゝム-┴┴- 、 , --、 ヽ    \
 | /  k  l/- 、                 ', ヽニ >='=-、__.  ヽ.
../: {.  l! /     \                !        } ハ `ヽ. ',
/: .ハ.    /      ヽ               l       イ ! }   ヾ,
: ./:.∧  /          ヽ              l     /  Y j    ノ\
./:./ } ./          ',              ',.  /=ーイ_.ノ-―‐ ''   \
::./  j〈          } ノ              ,∠ _ /\     \   \
./  l/ \  \     Y               i  \    \      \   ヽ、
/   l \ ヽ  ヽ     }               ハ  \    \     ヽ   ',
    l  /ヽ __ 二二 _ イ             /  ヽ-=- 、   \      ',
 .  l  {        / j!       二 ニ=-    ===- \   \     l
   l   /\ ___,.イ  ヽ l!   /    -=ニ  こ二ニ> >〜-.\    l
ノ.  ! ./      / \  j l  / , - 二二二二 ヽ ___二ニ二 >= 、|
   l j       /    ヽハ ∨ / /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、 \
   !      /      V  ! ./ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ハ
   '.,     /          l  j ! /-―- 、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;V
     ー ''          ヽ | j/     `  、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}
                    |./         丶 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}
                   7           \;;;;;;;;;;;;;;;;; } ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ ;,
                  /             ヽヽ;;;;;;; ,' ;;;;;};;;;;;;;;;;;;;;;;;; / j
                   /                  ',;', ;;;;/;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;/   .|
                   /                  V;;ノ;;;;;;;;;ム − '       |
                /                 }';;;;;;, '"           |
                 /                 /7〜           |
                  /                 //                 |
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/11(火) 21:24:25.12 ID:vu6yqK6o
>>1000なら俺は銀ちゃんの嫁
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

1000超えたのでHTML化の依頼をするでござるの巻
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1195554932/

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
【めぐ】嫌われてる妹に・・・part2【さき】 @ 2009/08/11(火) 21:23:01.39 ID:M2FKKIIo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1249993381/

ここだけ魔法世界 671の魂 @ 2009/08/11(火) 21:17:20.59 ID:/5CzSAs0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1249993040/

トキをかける少女 @ 2009/08/11(火) 21:13:57.18
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/vip4classic/1249992837/

安価でドラクエしてくれ @ 2009/08/11(火) 21:03:53.38 ID:qATCiWk0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1249992233/

【新規・復帰】ここだけMS戦 MS以外もおk 第146回戦【いつでも募集】 @ 2009/08/11(火) 20:58:34.27 ID:j/vcvLE0
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