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【妖怪と人間】ここだけ妖怪世界part7【新規歓迎】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) :2011/06/20(月) 01:12:55.68 ID:QcDvlvqq0
科学の発展と共に忘れ去られた同胞達よ!
妖怪、変化、退魔の狩人
人の間に暮らす者、人知れぬ山奥に隠れし者
人を喰らいて生きる者、彼らより人を護る者、そして、人と共に歩む者
草木も眠る丑三つ時、忍ぶ人目もありゃしない
今宵こそ、失われた力を思う存分振るうがいい!
避難所(雑談、設定投下などはこちら)
ttp://jbbs.livedoor.jp/internet/10398/


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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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2 : :2011/06/20(月) 23:39:18.47 ID:hYX9dBVAO
>>1000
「なっ!?」

飛び上がるという予想外の行動に思わず声を上げてしまう。
しかしすぐに落ち着いて

「すまない露希。加減はするが、ちょっと痛いかもしれない――星霊瞳牙!」

両手に纏っていた退魔のオーラを右手に集め、そのまま突きと共に打ち出す。
狙いは上空の露希。刀の先から上空に向け、退魔のオーラが伸びる。

3 :とある少女と少年 :2011/06/20(月) 23:47:28.66 ID:kvSnkn8E0
>>2
やはり、瞳は凄かった…。
退魔のオーラに吹き飛ばされて、地面に落ちる。
手加減してくれたお陰で怪我は無かったようだ。

「い…たた…。凄いね、ボクの考えたことを瞬時に判断できるなんて。
実戦適応力とか、ずば抜けてるんだよ♪お手合わせ、どうもありがとう!」

『(露希お姉ちゃんも凄いけど…ししょーはもっと凄い…。)
二人ともお疲れ様です。凄く参考になりました。』

爽快な顔で御礼を言った。
逆に夷磨璃は格差を思い知らされ、自分はそこまで強くなれるのかと不安を抱いた。
4 : :2011/06/20(月) 23:56:17.17 ID:hYX9dBVAO
>>3
「ふぅ…成功するかどうかわからなかったがな。
しかし、驚いたよ。まさか、あの重たい一撃が飛び上がるためのものだったなんて。さすが、露希だな。こちらこそありがとう。」

両手を人間のものに戻し、額の汗を拭いながら言う。
その表情は、露希と同じで爽快な顔だった。
5 :とある少女と少年 :2011/06/21(火) 00:00:18.42 ID:a++sRXyT0
>>4
「うん!!じゃあ、ボクは先に帰ることにするよ。じゃあね、二人とも♪」

夷磨璃を抱きしめると、露希は戻って行ってしまった。
そこに残された少年。

『ししょー…僕、強くなれるのでしょうか?
修行だけで…あそこまで強くなれるのですか?』

//>>1
スレ建てお疲れ様です
6 : :2011/06/21(火) 00:05:35.93 ID:lQM6ie6AO
>>5
「ああ、それじゃあな。露希。」

露希に手を振り見送る。

「…それはな……そうだな、夷磨璃は何故強くなりたいんだ?」

真面目な表情を夷磨璃に向ける。
7 :夷磨璃 :2011/06/21(火) 00:09:11.26 ID:SIaeucnDO
『それは・・・・・・分からない・・・です・・・』

なぜ強くなりたいか、根本的な物が夷磨璃にはない。
とある意思を貫く訳でもなく、愛する人を守る為でも無く・・・

『・・・・・・』
8 : :2011/06/21(火) 00:17:58.82 ID:lQM6ie6AO
>>7
「そうか…それじゃあ、それを見つけよう。なんだっていいんだ。大切な人を守るとか、憧れの人を目指すとかな。
私の場合は、ある人と約束したんだ。妖怪と人間の共存する世界を創ると――」

夷磨璃の目をまっすぐ見つめて言った。

「あなたにも、きっと見つかるさ。」

そう言うと、優しく笑いかけた。
9 :夷磨璃 :2011/06/21(火) 00:25:05.80 ID:SIaeucnDO
>>8
『・・・まだ、分からないけど・・・見つけたいな。せっかく妖怪として生まれ変われたから・・・・・・。
ししょー、ありがとうございます』

その笑顔を返すように、力無く少年は笑った。
一段落着くと、瞳に手を振り、ゆっくりと歩いていった。

/私の都合に合わせて貰ってありがとうございます!
/絡みお疲れ様でした!
10 : :2011/06/21(火) 00:30:31.81 ID:lQM6ie6AO
>>9
「ああ、きっと見つけられるさ。夷磨璃ならな。そして、その時に本当の強さを知れるはずだ。
…頑張れよ。」

笑顔を返す。その笑顔には、強い意志がこもっていた。
そして、手を振り、夷磨璃を見送った。


/いえいえ、こちらこそありがとうございます。
お疲れ様でした。
11 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 21:10:31.98 ID:B/ZUFI2Vo
衣蛸は今日もぶらぶらと街中を遊び歩いている。
ミナクチが居るので仕事量は半分ですむし、巴津火の喫茶店ノワールに居たいという希望を
上へ報告したらサポートを任せると言われたので、陸での遊び歩きも継続できることになったのだ。

(今のうちに海での貴重品を買い漁るものもいいな)

そんなわけで今日は買い物をしに出てきたのだった。
12 :??? :2011/06/21(火) 21:22:36.96 ID:LrIP9ZSDO
>>11
叡肖が目の前を通り過ぎる人々も、電機屋のテレビのニュースも、その話題がよく上がる
―――また例の変死体らしい、これで三人目だ
死因、時間、犯人、全てが不明の傷も何も無いまるで眠るような死体が見付かる事件、叡肖も記憶していたならば聞き覚えがあるだろう
奇病か奇人か、その何かの被害者がまた見付かったらしい

「いやー怖い怖い、まるで人のやる事じゃないね、犯人は何を思ってあんな事をやるんだろうか」
「そうは思わないかね?君も」

そんな噂を聞きながら、叡肖について来ながら話し掛ける少女がいた
パープルとショッキング・ピンクのミニスカドレス、紫と黒のオーバーニーのゴスロリ風の少女だ
少女はピンク色の髪の毛を掻き分け生えた猫の耳の片方にドレスと同色のシルクハットを引っ掛けて、まるで違う世界から来たかのような風貌だった
13 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 21:29:59.61 ID:B/ZUFI2Vo
>>12
「そんなに怖いかね?人間ならもっと残酷な事は平気でやってのけるだろう。
 ちょっとニュース画像を検索すれば、そんな例はいくらでも出てくる」

あまり興味なさげに、人の姿に化けた衣蛸は気の無い返事を返した。
そもそも被害者が眠るように傷も抵抗の跡もなく静かに殺して回るなんて、
そんな丁寧な殺し方をする人間にはあまりお目にかからない。

「そうやって見知らぬ相手にホイホイ話しかけるほうが、よほど怖いもんじゃないかい?」

衣蛸的にはあまり趣味がいいとは言いがたい少女の服装に、その時初めて目を向けた。
14 :??? :2011/06/21(火) 21:43:12.77 ID:LrIP9ZSDO
>>13
「まあ尤もだが、怖いのは見た目の殺し方ではないさ」
「犯人の得体の知れなさは恐ろしいとは思わんかね?」

フンフンフン、とまるで鼻歌を歌うかのように鼻を鳴らしながら叡肖の後ろをぴったりとついて歩く
足を出すのも同じ足、同じような歩幅で子供が遊んでいるようだ

「おや、そうだそうだこれは失敬、君は私とはこれが初対面だね」
「私は君を知っているよ?私だけでなく、私の主人も君を知っているし、君も知っているはずさ、君の記憶力が鳥並ではなかったらね」

ニィ、と薄笑いを浮かべて金色の目で叡肖を見詰め返してやる
その目は瞳孔が縦に長い、まるで猫か何か動物のように
15 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 21:51:10.96 ID:B/ZUFI2Vo
>>14
「君の主人?」

はて、そんな悪趣味な服装を使用人にさせる知り合いなんて居たかな、と考え込む少し歪で横長の蛸の瞳孔が
猫の目とかち合う。
悪趣味繋がりでまず丑三のことを思い浮かべたのだが、あの男には使用人を使うほどの余裕があっただろうか。

「生憎だが、俺の記憶には君は居ないね」

この少女の姿のみならず猫の姿であっても、この蛸の記憶に彼女は無いはずだ。
全くの初対面なのである。

「勘違いじゃないかい?」
16 :??? :2011/06/21(火) 22:03:08.52 ID:LrIP9ZSDO
>>15
「ああ初対面さ、初対面だよ?君にとっては…いや、私にとってもそうなるのかな?」
「私は君と出会いはしたが実際に顔を会わせて会話するのは初めてだね、まあ小さな事だ、小さな誤差みたいな物か」

おどけるような口ぶりでのらりくらりと会話をぶらつかせながらくるりと一度体を回す

「そんな事より、君は腹が減らないか?喉が渇かないか?」
「私は腹が減ったし喉も渇いてきた、ああ大変だどうしようか」

話に会わせてお腹を抑えたり、喉に触れたり、ミュージカルのような動きをする
17 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 22:11:54.39 ID:B/ZUFI2Vo
>>16
「それは君のご主人が何とかすべき問題なのではないかね?」

猫耳娘相手に悪戯っぽく笑みを浮かべる衣蛸。
そもそも知り合いでもない相手、出会ったと自称するだけの相手にタダメシ食わせる義理は無い。
しかも相手は身寄りの無い孤児というわけでもなくちゃんと主が居て、
見返りとなりうる何らかの情報や手土産もなし、なのだ。

「しかし、腹が減ったのは事実だな。ちょっと店に寄るか」

スタスタと歩き出した衣蛸の向かう先は駅近くの複合商業施設。
ショッピングも食事も出来る場所だ。
18 :??? :2011/06/21(火) 22:24:54.84 ID:LrIP9ZSDO
>>17
「いや実際、私が生きる為の食い物は主人から貰ってるんだがね、ほら、生きる為だけの分食えばいいと言う訳でもないだろう?」

人差し指を立てた手を軽く振りながら一言ずつ言葉を出すように言う
そうしながら叡肖の表情を見て目を光らせ、唇を舐めた

「ああすまない、やはり君はいい奴だ、私はそうだと思っていたよ」
「私は熱い物が苦手でね、出来ればアイスか何かが美味い場所がいいな」

奢ってもらえると決まった訳じゃないし許可もされていないのにも関わらず、厚かましくご馳走してもらうのが決まったかのような口ぶりで話しつつ
歩幅を合わせる遊びはとうに止め、小さくスキップしてスカートの端を揺らしながら着いていく
19 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 22:30:35.66 ID:B/ZUFI2Vo
>>18
腹が減ったと言った癖に、叡肖がまず向かったのは女性向けのブティックである。
入り口で落ち着いた服装の女店員に頭を下げられた叡肖が、猫耳娘にこいこい、と手招きした。

「そんなに奢ってほしけりゃ、その服装をまず何とかしろ」

にやっと笑った衣蛸、こいつは猫娘の着せ換えを企んでやがるらしい。

「なーに、心配することはないさ。着替えは覗かないからな」

猫耳娘の返事も聞かずに、「ピンクの髪と金色の目、か……」と呟きながら、
色の合いそうな靴やらドレスやらアクセサリーを幾つか選び、女店員にサイズ合わせを依頼する。
20 :??? :2011/06/21(火) 22:42:53.45 ID:LrIP9ZSDO
>>19
「ふむ」と一つ呟いて、呼ばれるままにトテテと着いていく

「成る程、君は私のこの服装を直せと、そう言うのか」
「となると、私のアイデンティティはどうなってしまうのだろう?これでただの在り来りな服装になってしまっては私はただの少し髪がピンク色なだけの少女になってしまうではないか」
「つまる所、私はピンク色と紫色が好きだと君に一応伝えて起きたいのだが」

服を選ぶ叡肖のすぐ後ろでペラペラと饒舌に話しながら、手元を見遣る
なんだかんだと言いながらも自分でこれがいいと選ぶ気は無いらしい
21 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 22:58:38.22 ID:B/ZUFI2Vo
>>20
「こういう服は嫌いですか?」

ピンクと紫のアイデンティティにこだわる猫耳娘に、モードなドレスを広げて蛸がにやりと笑った。

「一口にピンクと紫でも、色調とか合わせ方ってのがあってな」

猫耳娘が身に着けている色よりワントーン暗めの紫のドレスと、
髪色のピンクよりも淡くした桃色の幅広めのベルトに、靴は金のバックルの付いた黒。
ストッキングは黒でも少し模様のあるものに変える。
帽子も黒で、猫耳を隠せるものを斜めにかぶせる。
ベルトと同色のコサージュを付けた黒のボレロを羽織らせて、少し高級感のある猫耳娘が仕上がった。

「うん。黒があると目の金が引き立つな。髪のピンクとボレロの黒も相性がいい」

それまで猫耳娘が着ていたものは女店員が紙袋に纏めてくれたようだ。

「よし、美味いものを食いに行くぞ」

紙袋を手に衣蛸がエレベーターに向かう。
ボタンを押して、最上階の高級レストランへ行くつもりである。

「アキバ系コスじゃ、店のドレスコードに引っかかるからな」

店の格も味もお値段も、それなりに高そうな場所である。
22 :??? :2011/06/21(火) 23:10:17.58 ID:LrIP9ZSDO
>>21
あれよあれよと言う間に着替えさせられてしまった
鏡の前でくるりと回り姿を確認、悪くは無い
というかこの服を着るにしろ着ないにしろ、貰えた物は貰っておいて損は無い

「うん、悪くないね」

「さ、それはそうと行こうじゃないか、紳士な君なら当然良いものを食いにいくんだろう?」

紙袋を片手にぶら下げ叡肖の後ろについて歩く
見えてきたのは、言葉通り高級そうなレストラン

「…驚いたね、私の考えるいい店のレベルのかなり上の方だ」
「こんな店は主人は来たこと…いや、主人にはまず似合いそうにはないな」

レストランを観察しながらうんうんと自分の言葉に頷いている

/すいません、次レス少し遅れます
23 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 23:25:03.88 ID:B/ZUFI2Vo
>>22
「着替えている間に予約を入れておいた。
 君の舌に温度があうか判らないがここの肉は美味いぞ。君の主人も今度来ると良い」

荷物を受け取った店員に案内されて、二人がテーブルに着くとメニューを開いて蛸が一つ注文を付けた。

「個室だから人目を気にしなくていい。好きなものを食べろ」

一口サイズの前菜が色々と盛り合わさったアミューズなら熱々ということもないだろう。
レアなステーキなら猫舌でも大丈夫だろう。
デザートのアイスクリームも期待していい筈だ。

この店に慣れている衣蛸は、さっさと好みのワインを選んだようだ。

「さて猫君。君が俺に声をかけたのはタダメシのためだけじゃあるまい?」

注文がすむと衣蛸が切り出した。

//了解です。
24 :??? :2011/06/21(火) 23:42:48.75 ID:LrIP9ZSDO
>>23
「どうだか、まあ主人はこんな所一生に一回来れるかどうかだろう」

両掌を上に向けて「やれやれ」のポーズをとりながら着いていく
椅子に座って、叡肖が注文を終えるのを待った

叡肖が話を切り出すと、笑みを深くして

「おや、ばれてしまったか」

…と、思わせぶりに言った物の

「…なんちゃって、何も企んじゃいないよ」
「そうだね、別に理由も無いし話も無い、ただ主人の記憶にあった者を見付けたから観察しようとしただけさ」

テーブルに肘をかけ、合わせた両手の指の上に顔を乗せた状態になって叡肖を金色の目で見詰める
その間椅子にかけた足はパタパタと、落ち着きが無い

/ただいま帰りました
25 :叡肖 [sage]:2011/06/21(火) 23:51:17.39 ID:B/ZUFI2Vo
>>24
「ふぅむ…」

この猫耳娘の主人については、それ以外は取り立てて情報はなし。
それならそれで、女性との食事を楽しむまでである。

「君の主人というのは簡単に使用人に心を覗かれているわけか。
 とすると人間で、男か?俺が心あたりあるとしたらそういう人間は一人なんだが、
 どうもその男は使用人を持つような奴じゃないんだな」
 
落ち着きの無い猫耳娘に、言い方は軽いもののずばりと叡肖は問う。

「君が妖怪なら、その男とは何がしかの『契約』でも結んだと見ていいのかな?」

しかし猫耳娘が答える前に、注文した料理が運ばれてきた。
少し返答を考える余裕があるかもしれない。
26 :??? :2011/06/22(水) 00:01:22.69 ID:3vEcnUWDO
>>25
料理が運ばれ、姿勢を直し皿が目の前に置かれる
従業員が場を離れるまで叡肖から目を離さず待っていた
そして、口を開く

「人が最も油断する時、心を解放する時、それは何時だと思う?」
「答えは簡単、誰でもやって、やらなければいけない…眠っている時さ」
「人の寝顔は素顔を見せるとかも言う位、眠った人間は心を開く、そう、夢と言う形で」
「今までの記憶や感情、気持ちから人の夢は作られる、私はただ主人のその夢に住んでいるだけに過ぎない、ちょっとだけ記憶を覗かせては貰ったが」

少し早い調子で畳み掛ける様に言った後、ふぅ、と一息ついてまた口を開く

「君の言う契約≠ニやらを結んだ関係が共生関係だと認識しているのならば私はそれに当て嵌まらないだろう」
「言うならば片利共生…悪く言えば寄生…になるのかな?いや、寄生と言うには害を与えてはいないか」

そこまで言うと、「言いたい事はこれだけだ」と言う様に黙り、運ばれた料理に手を付ける
27 :叡肖 [sage]:2011/06/22(水) 00:14:04.07 ID:C0pjqk6Ro
>>26
「もしかしたら君の主人は、君のその人としての姿を知らない。…あってるかな?」

衣蛸は猫耳娘の割りに猫背ではなく、きちんと姿勢よくテーブルについている少女に好感を持った。
マナーの良い者と楽しめるなら、食事は美味しくなる。

「とすると君は夢を渡り歩くわけか。主人というよりは、棲家なのだな」

早口に言う猫耳娘に、きっと何か言いたく無いものを感じた。

「ま、女性のプライベートをあまり詮索するのも野暮だ。今日は君に食事を楽しんでもらうとしようか」

機嫌よく衣蛸は言った。あけたくない口なら無理にこじ開ける必要は無い。
情報を吐き出させるよりも、今は美味い食事を口にしてもらおう、というつもりである。

(あちらからコンタクトを取ってきたってことは、まだこの先にも会いにくるのだろう。
 例の殺人に関することかな。確か丑三もそれを追っていた…)

その後は衣蛸から聞くこともなく、 時折従業員が皿を運びに出入りする他は
何の妨げもなく食事は進んでいった。
28 :??? :2011/06/22(水) 00:34:24.94 ID:3vEcnUWDO
>>27
「中々勘がいいね、正解だ。正確には、この姿を見せた事はあるがそれが繋がらないのだが」
「きっと、多分、たしか、いや絶対?私の今の姿はまだ主人に見せる必要はないのだよ」

「そうだな、正確には住家、宿主か、私はそうやって過ごしてきた」
「夢の中に巣を張り、宿主が死ぬか飽きれば新しい宿主を探す、そんな存在さ」

それからは、運ばれる料理を食べながら軽く談笑をしたりして
何を考えているのか等の話はせずに、最後の料理、デザートの順番
そこになってから、ようやく真意に迫るような話をする

「―――いや、楽しい食事だった、君に主人をくら替えしたくなってしまうくらいだよ」
「折角だ、面白い話をしてあげよう」
「最近の変死事件、私の主人も興味があるようなんだがね、私にはあの死因が解る」

すっかり気をよくしたのか、テーブルに乗り出すように少しだけ叡肖に顔を近付けて笑う

「あれは死んではいないのさ、いや、生物学的には死んでいるのだろう、何しろ心臓が止まっているんだ、だけど違う」
「彼等は夢に捕われているのだろう、覚める事の無い夢に、可哀相に肉体が既に死んでいる事にも気付かずにね」
「きっと私の同族の仕業だろう、あんな事をやって何になるのかは知らないが私の知った所ではないな」

まるでそれは荒唐無稽で、有り得ないような信じられないような話である
それ以前に、何故お前が解るのか、と疑問が出るだろうが
29 :叡肖 [sage]:2011/06/22(水) 00:46:37.21 ID:C0pjqk6Ro
>>28
「はは、夢に住まわせてやる事は出来ないが、食事ならまた奢らせてもらおうか。
 きちんと行儀良く食事が出来る女性なら俺も歓迎だ」

鞍替えされても、きっと今の叡肖では彼女の相手をするよりも先に、仕事に手をとられるだろう。

「あれが死んでない、と。
 それが判るとは流石、死の双子の兄弟と呼ばれる眠り、その中に住まう猫だね。
 しかしそれは、欲する奴に与えるべき知識なのじゃないかい?
 正直なところ俺は、人間にはそれほど肩入れしてないからな」

それを知ったところで止めようもないし、止めるつもりもまだこの蛸にはないのだ。

(あー、でも丑三にはメールくらいしてやってもいいか)

「仮に、その君の同族にであったところで、君だって止め立てするつもりも無いのだろう?」

食後のコーヒーを飲みながら、衣蛸はそう言った。
30 :??? :2011/06/22(水) 00:56:11.57 ID:3vEcnUWDO
>>29
「成る程ね、行儀を良くしているだけでタダ飯が食えるならいくらでも行儀をよくするとしようか」

実際、元から行儀が良い正確な訳ではなくただ猫を被っているだけなのだが、それだけで飯が食えるならよろこんでいくらでもする

「そうだな、無意味だ」
「だけど私は無意味な事が大好きなんだ、そして気まぐれでね、たまたま話したい事を調度よく目の前にいた君に言っただけさ」

「止める気なんてさらさら無いさ、それは私のやる事じゃあない、私はそれをやる者を見て楽しむだけだ」

情報を然るべき者に渡すような気は見せず、犯人を止める訳でもない、ただ彼女は現状を掻き混ぜてその様子を見て楽しんでいるに過ぎない
食後のコーヒーには手を付けず、ニヤニヤと笑っていた
31 :叡肖 [sage]:2011/06/22(水) 01:04:59.19 ID:C0pjqk6Ro
>>30
「ああ、できれば行儀良く取り繕っててくれ。
 普段きっちりしておくほど、羽目を外す時が楽しくなるからな」

良いながら悪い笑みを浮かべたあたり、羽目を外す時の蛸は相当らしい。

「無意味か。確かに遊ぶにはいいかもしれん」

衣蛸にもそう言う趣味しかないのだ。
面白くその状況を楽しく過ごす、それだけのこと。

「だが、ちょっと見てるだけには地味な事件なんだよなー」

何か状況を面白くかき混ぜることが出来ないだろうか、と衣蛸は思考をはじめたようである。
悪戯を企むときの子供のように目が輝き始めた。

「君は、主以外の夢に出入りできるのか?それとも一人と決めたら、そこにしか居ないのか?」
32 :??? :2011/06/22(水) 01:13:57.02 ID:3vEcnUWDO
>>31
「そうだね、ただ人がぽんぽんと死んでいくだけ、少し地味には見えるね」
「地味なだけに、得体が知れず気味が悪いのだろうが」

コーヒーをひたすら掻き混ぜ、冷ましながら考える
人が死んでいるのに不謹慎な会話、とも言えるのだろうが、人間ではない彼等には関係ない事なのかもしれない

「どうやら面白い事を考えたようだね?」
「私はいくらでも他人の夢には入れるよ、例え宿主の夢に住家を構えたままでもね」

金色の目を光らせ、叡肖の視線と交差させながら期待を込める
33 :叡肖 [sage]:2011/06/22(水) 01:16:43.66 ID:C0pjqk6Ro
>>32
「まあ一つの提案なんだが聞いてくれ。
 あれを君の同族がやっているとしたら、君に同じことが出来ないわけは無い。だろ?」

何を言い出すのかと思えばこの衣蛸、猫耳娘を唆し始めたではないか。

「眠りに取り込まれて、一度は死んだと思われた人間が葬儀の段になって目覚めたら、
 どうなると思う?人が死ぬのはニュースだが、生き返ったらもっとでかいニュースじゃないか?
 それが一人じゃなく二人、三人と繰り返されてみろ、人間も妖怪も大騒ぎじゃないか」

にやにやと実に楽しそうに衣蛸が言った。
34 :??? :2011/06/22(水) 01:26:55.08 ID:3vEcnUWDO
>>33
「はっはっは、それは面白い提案だ」
「どこぞの神も死んでから生き返り神となったと言われるくらいだ、きっと神が大量に出来るだろうな」

楽しそうに叡肖の計画を聞き、肯定の態度を取る
しかし、笑顔のままこう続けた

「まあ、無理だがね」
「体はとっくに死んでいるんだ、夢から起こしてもすぐにあの世に行くだけさ、ご愁傷様」


「…しかし、まあ、アイデアは悪くない」
「夢を見てから少しの間はまだ体は生きている訳だし、それは可能だ」
「つまり、犯人の犯行を片っ端から潰してやって怒らせる、そういう風になら遊べそうだ」

「…ふふ、これはいい遊びを思い付いた物だ、早速計画でも練るとしよう」

結局、コーヒーには手を付けず、紙袋を持って席を立つ
35 :叡肖 [sage]:2011/06/22(水) 01:33:19.90 ID:C0pjqk6Ro
>>34
「ああ、君の同族のそいつを炙りだせそうだしな。
 俺の知る人間でその話を追いかけている奴もいるし、そういう連中へのヒントにもなるだろうさ。
 どう転がるかは不明だが、この地味な事件をただ見ているだけよりはもう少し楽しめそうだろ」

悪戯っぽく笑いながら衣蛸も席を立つ。

「今日は荷物も多いし、下でタクシーを拾って君を家まで送らせるとしようか。
 その真新しい靴じゃ歩いて帰るのも厳しいだろ?」

実に紳士然とした振る舞いだが、猫耳娘はこの蛸の悪いところは十分に見た筈である。
従業員にカードを渡して支払いをすませると、彼らは店を出て行った。

//この辺で〆ます。絡みありがとうございましたー。
36 :夜行集団 :2011/06/24(金) 21:37:21.06 ID:m3QAZy3f0
そろそろ太陽に向かって野次が飛び出し始めるであろう程暑くなり、
その影響でこの街の気温も絶賛うなぎ上りである。
そのため今その繁華街を歩いているこの薄い蒼色の髪のホストも、
そういった影響で、厚手のパーカー3枚重ね着から、2枚重ねというクールビズに移行していた。

時間は昼なので店は回転しておらず、暇を持て余している彼は、
ぶらぶらと当ても無くさまよっている。
37 :威月 [sage]:2011/06/24(金) 21:49:32.37 ID:Eg81L9GJo
>>36
猛暑の繁華街の中を、黒尽くめの女が歩く。
黒い上着に黒い革パンにブーツで身を固め、右手に持った鞄を背負うようにして。
そんな服装でありながら、汗一つかいていない。
不審というより、もはや異常と言っていい。

黒い服に容赦なく太陽光と熱を集めながら、しっかりとした足取りで歩いていく。
道行くものは皆、異質なものを見るような目だが――彼女は、気にも留めない。
38 :氷亜 :2011/06/24(金) 22:03:17.71 ID:m3QAZy3f0
>>37
そして威月の登場によって、この街のこの場所だけが、見ただけでも暑苦しい光景に変化した。
なぜなら彼女の黒一色の服装も、暑さにうだりながらも仕事などに勤しむ人達にとっては、
迷惑行為とも取られないような暑苦しさだと言うのに、
この氷亜のほうも氷亜の方で見るからに秋口の格好という、季節感無視の2者がなんの発汗も無く歩いているのだ。

「(・・・と、あそこに居る人、あんな格好で暑くないのかな?)」

道ゆく人と同じように、彼女に気付いた氷亜はお前が言うなと突っ込まれそうな事を思った。
しかしどうみても、彼女のその光景はあまりにも人からはずれたものだったので、
すぐにその女性が妖怪なのだと気付く。

「暑くない?その格好」

そして本人にナンパしていると言う意思はなく、
彼女の妖力がある程度のものゆえの、夜行集団での役目としての調査なのだが、
いきなり見ず知らずの異性が話しかけているのだから、そう思われてもし方がないところである。
39 :威月 [sage]:2011/06/24(金) 22:15:20.09 ID:Eg81L9GJo
>>38
ぴたりと足を止め、目だけを向けて、声の主を見遣る。
足元からゆっくりと視線を這わせ、品定めするように見上げていく。

「(…何だ、こいつは。何月だと思っているんだ)」

等と、天に向けてツバを吐くような感想を抱いた。
自分の格好も十分に、いやそれ以上に暑そうだというのに。
発汗どころか顔に赤みも差さず、まるで温感が無いかのようだ。

「……さてな。お前はどうなんだ」

低い声で、突き放すように返答する。
何とはなしに、目の前の相手――氷亜が人間では無い事も分かっているようだ。
そこから先の詮索をする気は、まだない。
40 :氷亜 :2011/06/24(金) 22:24:31.84 ID:m3QAZy3f0
>>39
「そんな邪険な反応しないで欲しいな、ただのファッションチェックじゃないか。
 僕?僕としてはこの気温は、過ごしやすい季節になりましたね〜、ってところかな。」

威月の、その初対面の相手に気安く話しかけられても物怖じしない態度と、
むしろ跳ね除けてしまうような吊り目にも氷亜は動じず、更に話しかける。

しかしその途中で、虚倉の報告にあった、
―釣り目で全身黒一色の縊れ鬼、主決めへの意欲は無く、危険性もゼロ―
を思い出し、もしそうだとしたらムダ骨だったかな、とその笑顔の裏で思っていた。

「ところで、なんだけどさ、
 主になる、って意欲はあれ以来突然沸いたりしてない?
 ほら、あのひたすら笑っている骨が聞いて来た時からさ。覚えてる?」

しかし、このままでは本当に唯のナンパになってしまうので、
そのまま笑顔で、再確認ばかりの質問は聞いてみることにした。
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2011/06/24(金) 22:36:07.73 ID:Eg81L9GJo
>>40
「……変わっているな、お前」
あくまで、自分の服装のミスマッチさを認めない胆のようだ。
本人は本当に暑く感じず、寒いとも感じず、ちょうどいいのだが。

ナンパかどうかを考えながら、できる限り彼の様子を探ってみる。
恐らく――この男は、自分の正体を知って声をかけた。
そしてこの男も人間ではない。

「……ああ、覚えてるよ。――『狂骨』だったかな。あの時は主など興味も無かったが……今はどうだろうな?」

唇の左端を僅かに持ち上げ、ふ、と笑ってみせる。
しかし……目は、僅かたりとも笑ってはいない。
42 :氷亜 :2011/06/24(金) 23:06:32.55 ID:m3QAZy3f0
>>41
質問に意味ありげな雰囲気の答えを出し、なおかつ不適に笑って見せた威月にも、
氷亜はこれと言って動揺するような反応はしなかった。
むしろその答えの途中のときも、ずっと笑顔で聞いていたほどだ。

「今は、ってかなりじらしてくれるね〜。
 でも、良いのかな?そんな答えかたしてさ。」

そう言って氷亜は、その右手に若干の冷気を纏わせた。
氷猩々という後ろ盾が無くなったといっても、かなりの実力はある彼なので、
それは決して無視できるような危険度ではなかった。

「僕達って、主への意欲がある妖怪への殺生は禁じられているんだけどね、
 あくまで半殺し程度に収めろ、見たいな感じで。
 でもさ、それって命に別状が無かったらセーフって事だから、

 結構残酷にも為れるんだよね」

そして氷亜のほうも、にっこりと悪威に満ちた顔で笑って見せた。
ちなみに氷亜に本気でその気があるかは別として、この行為には彼女への意趣返しと言う意味の方が強い。

/ただ今戻りました!!御迷惑お掛けしましてスイマセン
43 :威月 [sage]:2011/06/24(金) 23:24:33.16 ID:Eg81L9GJo
>>42
「何、難しい話でもない。……本当に興味が無かった。少なくとも、あの時はな」

少し歩き、彼を追い越して立ち止まる。

「よくある話だ。興味がなかったとしても、他の者達が奪い合っているというのなら。
 ――それにどんな価値があるのか、興味が湧いてくるものさ」

言葉にして、やっと彼女は理解した。
興味がなかったからこそ――奪い合うほどの価値があるのかどうか、興味が湧いた。

「やり合いたいのなら受けよう。……本気でそうしたいならな」

場所は真昼の街中。
見たところ、この男は相当に人間社会に馴染んでいるようだ。
仕掛けてくるかどうか――分の良い賭けになる。


//おかえりなさいー
44 :氷亜 :2011/06/24(金) 23:35:46.34 ID:m3QAZy3f0
>>43
「いいね〜。
 僕は好きだよ、そう言った感じの考え方」

威月は、自身が思っている以上に侮ってはいけない存在だと把握し、
これ以上こちらが質問を続ける事で彼女が本格的に興味が出ないように、
この質問はここでお仕舞い、というような意味で、両手をぱちんと胸の前で叩いた。

「そんな好戦的だと長生きしないよ?
 もっとおおらかに牧歌的に生きれたら一番さ」

喋りながら氷亜は威月に近づく、しかし底に何ら敵意も悪意も無かった。
もしかしたらこのまま彼女の横を通り過ぎて行くような雰囲気である。

「でも、僕もたまにはやんちゃしたくてね」

そして彼女の横に来た時、彼はぽんと軽く彼女の方に手を置いた。
するとその手の置かれた所から、端からは気付かなくとも、
あきらかに危険なほどに冷たい冷気が威月の体に侵入した。

このままだと繁華街のど真ん中で、一人突っ立ったまま凍らされているような、
そんな状況に陥らせれるほどの危険度であった。
45 :威月 [sage]:2011/06/24(金) 23:49:40.85 ID:Eg81L9GJo
>>44
「……雪妖だな、お前」

身体を撫でる冷気にぴくりと身を震わせ、一段低くなった声でぽつりと呟く。
冷気に加え、白々しく寒気を感じる言葉。
正体は恐らく、何らかの雪妖だ。
気付くのが遅すぎた、と言えるだろう。
既にこの状態は、致命的だ。

「…狂骨の時にも感じたな。押し殺しているな、『お前達』」
ふぅ、と息を吐く。

威月の服の両袖から、縄がずるりと垂れ下がる。
先端に輪が作られたそれは、紛れも無く……首吊り縄だ。

「……果たして人外を縊り[ピーーー]事などできるのか、それもまた――興味が尽きないな」
46 :氷亜 :2011/06/24(金) 23:58:48.48 ID:m3QAZy3f0
>>45
牽制としての行為であり、そこに明確な攻撃の意思は無いので氷亜は、
パッとその手を離して威月を氷結の呪縛から解き放った。
そして彼女からひょいひょいとした足取りで距離を取り、彼女に向かって親指を上に上げた。

「そのとおりさ、僕の種族は雪男。
 ちなみに一般に知られているあの白いのは氷猩々って言う別物だから、
 そこはきっちり知っておいて欲しい所だね」

そしてそこには本当に邪気の無い笑顔を向けていた氷亜だったが、
彼女の言葉によって、若干そこに少しの陰りが見えたような気がした。

「いやいや、誰だって持ってるものさ。
 潰して、殺して、消してしまっておかないとやって行けないようなものがね

 ところで、提案なんだけどさ。
 ここは流石に人の目が多いし、戦うには結構不向きだと思わない?」

その指をある方角に指す、つまり違う場所に映ろうと言う仕草をした。
47 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 00:09:33.92 ID:IvBUAoemo
>>46
提案を受け、面白くもなさそうに鼻を鳴らす。
この場でやるというのも良いが、彼女も目立ちたくは無い。
もしかすると、命を拾ったのかもしれない。
そんな事を考えながら、自嘲的に笑う。

「……雪男。私の種族は必要ないな、お前は恐らく知っている筈だ」

言葉の端々から推測する。
恐らく、狂骨の男から聞いているのだろう。
目立っていたとはいえ、声をかけたのもそんなところか。

「…案内しろ。後ろから仕掛ける趣味は無い」

縄を引っ込め、鞄を背負い直す。
場所を移ろうというのなら、それにこしたことは無い。
48 :氷亜 :2011/06/25(土) 00:18:18.02 ID:PEusDRs40
>>47
「その通りだよ
 では参りましょうかお嬢様♪」

仰々しく頭を威月に深く下げてから、くるっと体の向きを変えて、心当たりのある場所へ向かう。
その途中の移動手段は彼の車だったが、その車内での話しはあまりにも他愛の無い無いようなので、
そこはカットである。

「う〜ん、山は良いよね。
 本当は雪山が良かったんだけど、それだとあまりにも不公平だから普通の山にしといたよ」

車から降りて、大きく手を上げて背伸びをした氷亜は、首だけ後ろの威月の方に向ける。
この森は木がうっそうと生い茂り、なおかつ登山やピクニックにしては気候が暑すぎるので、
人の足はここ数年一切入っていない。
つまり戦闘には絶好の場所である。その証拠に以前黒蔵、クロコで一戦をしたばかりだ。

「このままピクニックってのも良いけど、 
 始めようか。」

そして気の無い開けた所に立ってから氷亜は、自身の妖気である冷気を、
槍のように変化させてから、すいっと軽く2,3本威月に放った。
49 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 00:34:20.04 ID:IvBUAoemo
>>48
「……どちらでもいい。私の住処は山ではない」

言って、鞄を持たずに車から降りる。
これから戦うというのに、どこか気だるげで殺気がない。

「――いきなりか、雪男」

降りるなり、いきなり放たれる冷気の槍。
遠距離攻撃の手段をも持ち合わせる事に気付き、横飛びに避けながら木陰に隠れる。
開けた場所に位置している氷亜に対しては、騙し討ちの効果は薄いだろう。
そう判断し、今は隠れた。
50 :氷亜 :2011/06/25(土) 00:39:51.10 ID:PEusDRs40
>>49
「あれ?これでも間は置いたつもりなんだけどね」

威月の言葉に、氷亜はけろっとした顔をしている。
本当に間は置いたつもりだったのだろうが、久しぶりの有意識での戦闘に、
彼は知らないところでうずうずしていたので若干せっかちな行動に出てしまった。

「むう、隠れられるとヘタに動けないね。
 ここはそうだね、こうさせてもらおう」

そしてしばらくあたりをみつめたが威月らしい影は見当たらなかったので、
360度全方位に、ちょうどベースボールのたまほどの大きさの氷塊を、
林へとアトランダムに投げつけた。
51 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 00:50:27.13 ID:IvBUAoemo
>>50
「……(どう仕掛ける?)」

二つの意味を込め、心の中で反復する。
どう仕掛けてくるのか。
こちらはどう仕掛けるのか。
雪妖という事は、冷気や氷を使った遠距離攻撃、あるいは近接攻撃。
捕まれば言うまでも無くアウト。

「!」

放たれた氷塊の合間を縫い、わずかに視線を切った隙に右の袖から首吊り縄を投げつける。
狙いは氷亜の首だ。
速度を持った氷塊が頭のすぐ傍を通り抜けるが、眉一つ動かさない。
52 :氷亜 :2011/06/25(土) 00:56:47.89 ID:PEusDRs40
>>51
相手がこの無差別攻撃に燻し出されてくれれば儲けものだ、
と周囲の微かな音も逃さないように耳をすませていたので、その空を切るロープの音を聞き取り、
さっと素早くそちらの方に振り向いた。

「そこだ!!

 っと?」

しかし振り向いた先に威月がいるものと思っていたので、ロープが来るとは思わず、
あっさりその縄を首へと到着させてしまう。

「これはまずいな」

そして口角を片方だけ上げて、苦笑いをした。
53 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 01:10:11.78 ID:IvBUAoemo
>>52
「(――届いた、が)」

奇妙だ。
いくら妖怪とはいえ、首に縄がかかって落ち着いていられるものだろうか。
――捕まえた、そう思った。だが、もしかすると――逆か。

「……ち」
右袖の縄を切り離し、氷亜にかかっているのと逆側の先端をその場に浮翌遊させる。
そして、ゆっくりと縄の端が持ち上がっていく。
つまり、このまま行けば、氷亜は空中から首吊りとなるだろう。
縄自体は何の変哲もない縄なので、切ろうと思えばいくらでも切られる。

このまま決まれば御の字。
決まらなければ、気を取られている隙に別の木陰に逃げ込む算段だ。
54 :氷亜 :2011/06/25(土) 01:20:15.53 ID:PEusDRs40
>>53
実際にその縄が氷亜の首を締め始めたとしたら、
彼の表情は苦笑いから少し、焦りの色の混じったものになるかも知れなかったが、
それでも特性状、まだまだ反撃のしようがある彼から、
追撃を加えようとしなかったのは正解かも知れない。

「おっととと!?」

そして案の定宙吊りになってしまった氷亜はようやく、その顔に冷や汗をたらした。

「これは本当にマズイ、ね!!」

以前の氷亜であれば、その氷猩々の強力をもってやすやすと縄を引き裂けたが、
今の彼はそんな力は無く、自分の首を締める縄を軽く緩める事しか出来ない。
しかしそれでも氷亜が冷静を失う事が無かったのは、それでもまだ手札は使い尽くしていなかったからだ。

突如、彼の首を吊る縄がある程度の距離からでも聞こえるほど、
音を立てて凍り始めた。彼の冷気が首から伝わったのだろう。
そしてそのままその冷気と氷がまるで毒のように、電気のように、
その縄の源流へと向かって行く。
55 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 01:31:34.36 ID:IvBUAoemo
>>54
「(……やはりか、近づくのは無謀すぎる)」

縄を切り離し、その冷気の到達から逃れる。
支配圏から逃れた縄は力なく垂れ下がり、氷亜を解放するだろう。
この一撃で決まらなかったのは、ほぼ予想通りだ。

「だが、今なら」

木の枝から垂れたツルを能力で支配し、蛇のように蛇行させ、追撃として氷亜の足元に放った。
長さはおよそ2m足らず、太さはおよそ直径1cm。
到達すれば、大蛇のように氷亜に巻きつき動きを奪うだろう。
56 :氷亜 :2011/06/25(土) 01:54:11.41 ID:PEusDRs40
>>55
次の攻撃に備える事が出来た氷亜は、右手に氷の剣に作りだし、
ツルに向かって居合の体勢を取った。
そしてそのまま氷の一閃を放つ。

/パソコンの調子が悪いので返信遅れましたスイマセン
57 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 02:07:55.53 ID:IvBUAoemo
>>56
「………なかなか多芸じゃないか、お前!」

木陰から飛び出し、氷亜へ向けて正面から駆け出す。

氷の剣を振るった直後、返し刃の直前を狙って更なる追撃。
同時に左袖から伸びた縄を、氷亜の腹目掛けて直線で投げかけた。
一切の放物線を描かず、不自然なほどに直線に。
その先端にはバタフライナイフが結びつけられており、殺傷力が増してある。
例えるなら、鞭のようにしなる槍だ。

//はいー
58 :氷亜 :2011/06/25(土) 02:19:46.26 ID:PEusDRs40
>>57
「ありがとう!!
 でも僕の仲間のアネさんアニさんはこの比じゃないよ!!」

振り終えてからの少しの隙に、その一撃は来た。
振り切った事により避ける事も出来なかったため、その一撃は氷亜の腹部に刺さる。
しかも以前の氷猩猩の時と違って、身体の異様な頑丈さは喪失しているので、
刃は深くささり、口からは血が吐き出された。

「カ・・・ハ・・・
 いやぁ・・・なかなか油断したね」

氷亜の笑い顔が、その苦痛に歪む。
一度その激痛に膝をついたが、すぐに立ち上がってその傷を凍らせた。

「・・・流石にこの状態で長時間続けられないし、
 これで最後の一撃にさせてもらおうかな」

傷が凍ったため流血も防ぐ事ができ、何事もなかったように動ける氷亜は、
両手を胸の前に突きだした。そしてその両手の間には小さな氷塊が。
するとその氷塊を核として、大量の冷気が渦巻き始めた。
正確には渦巻くというより核に向かって集中しているのだが、その圧倒的な量な為、
文様がそのように見えるのだ。

【技名は未定】

そしてその零下50度よりも低い温度の冷球が、威月へと放たれた。
59 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 02:32:02.98 ID:IvBUAoemo
>>58
「嫌な手応えだな、全く」

縄を引き戻し、ナイフを折りたたんで収める。
絞めるのとは違う手応えに、表情を歪ませる。
肉を裂く手応えは、どうにもぞっとしないものがある。

「まだ、動けるのか」

冷気渦巻く氷塊に、直感的な危険を感じ取る。
恐らく、これは今までで最大の一撃。
喰らえば間違いなく戦闘不能。

「フフ……。それもいい」

笑って――左腕に幾重にも縄を巻きつけ、左腕を前面に突き出して身を守る。
時間があればもう少しマシな防御も回避もできたが、もはや望めない。
ダメージを最小限に収める事のみが許される間隙。

その場に立ったまま――縄を巻いた左腕で、冷気の弾を受け止めようと試みる。
60 :氷亜 :2011/06/25(土) 02:41:16.87 ID:PEusDRs40
>>59
この冷球の恐るべきところは二つある。
一つ目は冷気が核へと集中すればするほど、つまり対象との距離が遠ければ遠いほど、
その冷球の質量、重量は加算され、莫大な衝撃を生むところだ。
そのため、真っ向から受け止めた威月の腕へのダメージは計り知れない。

しかしそれはいなしたり、さらに大きな力で迎撃する事で破壊できるが、
二つ目に存在している脅威は、それでは防ぎようがない。

「あ、できればその冷球に触れない方が良いよ」

それは爆発的なほどの冷凍の浸食だ。
さきほど氷亜が肩に触れて威月にしむけたそれとは別次元だ。

「・・・あれ?」

しかし未完成な雪男である氷亜では、その技の完成度も低い。
そのため少し冷球には皹に似た弱点が存在し、そこに威月が気づければ、あるいは。
61 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 02:55:49.76 ID:IvBUAoemo
>>60
「…直撃するぐらいなら」

左腕を犠牲にするつもりだったが、直前で変更。
縄の先端をより合わせ、尖らせ――迎撃を試みた。
成功するかどうかは分からないが、ただ防御するよりはマシな結果になる。

槍のように変化した縄を水平に突き出し、すぐ目前に迫るそれを迎撃する。
気付かず、偶然だが――皹状の部分にかなり近い部分を狙い、放たれた。
62 :氷亜 :2011/06/25(土) 03:07:01.19 ID:PEusDRs40
>>61
「へ〜、この状況でそんないい判断できるんだね。
 これは普通に凄いと言うしかないよ」

完全に技を出し切ったため、暢気にも威月の対処の仕方を傍観している氷亜は、
こんなとぼけた発言をした。

冷球の弱点である皹は、その膨大な量な冷気を一か所にとどめるという無茶によって出来た、
一種の歪み、といえるものである。
しかも見た目以上に精密なコントロールのもと発生したそれは、
氷亜の未完具合も相まって、弱点をかすっただけでそのもののバランスが乱れた。

シャリン・・・と氷の砕ける静かな音を立て、冷球は崩れ出す。
そして核が威月に届き切る前に、技は完全に破壊された。

「あっちゃ〜、これも破壊されちゃったんだ。
 これはもう本当に八方ふさがりお手上げ状態としか言いようがないね」

そして大して悔しがるでもなく両手を上に上げ、降参ポーズをとった。

「僕に突き合ってくれて本当にありがとう。
 おかげで氷猩猩の時だった僕と今の僕の、どうしようもない差異を知ることが出来たよ」
63 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 03:17:26.17 ID:IvBUAoemo
>>62
「……いや、私の負けだ」

冷気の球を破壊した余韻にも浸らず、ぽつりと。
縄を袖の中へと巻き戻し、左手を見つめた。

「…本当ならば、街でお前に触れられていた時に私は負けていたんだからな」

仕切り直したから何とかなったが、あの場で勝負はついていた。
雪妖と気付かなかった事。
接近を許した事。
油断が、心に突き刺さる。

「……それに、お前の首に縄を打っておきながら逃してしまった。これもまた、私の負けだよ」

どこか冗談めかして、鼻で笑いながら。
64 :氷亜 :2011/06/25(土) 03:25:01.04 ID:PEusDRs40
>>63
「だいぶ謙虚なんだね、こんなに欠点が冷静に見れるような妖怪、
 主への気はなくても警戒しないといけないね、ははは」

ストイックにも勝利を喜ばない威月に、氷亜はこちらも冗談を交えて笑い返した。
そしてそのままの足で車に向かう。
そのドアの前に立って氷亜は威月に

「もう僕の用はすんだし、君が帰りたいようならこのまま乗せていくけど。
 どうするここでキャンプでもするかい?」

といった。
65 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 03:31:11.84 ID:IvBUAoemo
>>64
「……もう一度言うが、『主』に興味は無い。奪い合う価値があるのかどうか、そこに興味がある」

成り代わる事が目的ではない。
奪うことが目的でもない。
何体もの妖怪が躍起になるそれに、どんな価値があるのか。
それを見極めたいのだ。

「…遠慮する。絞め殺したくなってしまうからな。散歩がてら自分で帰るさ」

あくまで冗談っぽく言って口元を歪めるが、その目は少しも笑っていない。
66 :氷亜 :2011/06/25(土) 03:40:23.26 ID:PEusDRs40
>>65
「あるさ、きっとそれは君もいづれ気づける」

口で事細かに色々単語を並べて説明してみても、
主を目指そうとするこの感情は、とても言い切れるようなものではないらしく、
氷亜は短くそう言っただけである。

「散歩って・・・
 強いとは言え一応女性を残していくっていう男の恥も分かってほしいところなんだけどなぁ」

 でも絞殺なんてされたくないし、
 ここは尻尾まいて帰らせてもらっておくよ」

威月の言葉に困ったように頭を掻いた氷亜は、最後に威月へウインクをしてから、
自分の車に乗り込んだ。
そして車の窓から分かるかもしれないが、かなりの爽快スマイルで手を振っている。
威月の反応を確かめてから、彼の車は動き出した。

/ではもうこれでお終いにさせていただきます!!
 絡みありがとうございました!!
67 :威月 [sage]:2011/06/25(土) 03:50:51.34 ID:IvBUAoemo
>>66
「……恥、か」

思索に耽りながら適当に手を上げ、彼を見送る。
半分は本気だった。
あそこまで行って絞め[ピーーー]事ができなかったでは、あまりに沽券に関わる。

「………百年千年を生きた妖が、命を賭けて奪い合う。
 …それとも、まさかそれが妖の存在意義なのか?」

自殺者の魂を冥界へと届ける役目を担う彼女には、どうにも理解し難いようだ。

「……ふむ。興味深いな、やはり」

言って――少し考え込み、やや合って、ゆっくりと歩き出した。


//ありがとうございます、お疲れ様でしたー!
68 :丑三夜中 :2011/06/25(土) 21:55:03.04 ID:rc7zN5fDO
「ふーむ…」

住宅街と飲食店街の調度間のような位置にある通り
そこはこの時間ともなると人通りも少なく、微かな光で街頭が点々と道路を照らしている

(気をつけなきゃ解らないしそうとも断定は出来ないが…この感じは…)
「…ま、やっぱり人間じゃない訳か…そりゃ俺が頼まれる訳だよ」

この通りは過去に、死者の出る事件があった
それは最近巷を賑わせている変死事件、ここはその第一被害者が見付かった場所

「まったく…警戒が緩くなって漸く現場捜査が出来るが…これじゃ余り進展無しか」
『ニャー』

男が立ち上がり溜息をつくと、その近くの塀に立つ猫が鳴く
その猫はピンクと紫の縞模様をして、鈴の着いた首輪をしていた
69 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/25(土) 22:03:50.82 ID:lBvgwmTuo
>>68
ぱたぱたと軽い足音を立てて、紺と白のジャージ姿の少女が明るい大通りを走って来た。
斜めにかけた高校の指定鞄は重たげに膨らんでいる。
ちらりと腕時計を見た彼女は、こっちのが近道、と一本横の細い通りに入る。
そこは丑三のいる「現場」であった。

「あれ?もしかして丑三さん?」

頬にかかる髪を耳にかけながら、ジャージ姿の女子高生は尋ねた。
ピンクと紫の猫には、

「ニャーっ?」

彼女的に「はじめましてだよね?」のつもりらしい。
70 :田中 夕 :2011/06/25(土) 22:15:58.11 ID:ftVwwTB+0
>>68

そこへ走ってくる一人の影。

「はぁ…狙われるとは聞いたけど…」
「……数が多い!!!!!!」
ボサボサの黒髪で、どこにでもいそうなごく普通の顔立ちの高校生が凄い勢いで走ってくる。

「あ!丑三さん!こんばんは!!」
そう普通に挨拶してくる彼の後ろには……

『…ヨコセ……』
『…ヨコセ…ヨコセ…』
『…オオマガツヒサマ…ニ…ワタセ…』
なんか、日本神話にでてきそうな恰好の三体の屍人のような鬼の兵が向かって来てる。
正直…雑魚で丑三さんなら簡単に倒せる奴らだ…

黄泉軍――日本神話のイザナギとイザナミの話に出て来る黄泉の国の鬼だ
71 :丑三夜中 :2011/06/25(土) 22:23:03.11 ID:rc7zN5fDO
>>69
ぱたぱた走る音が聞こえて、顔を向ければ知り合いがいた
可愛らしい声で話し掛けて来る美雪に笑いながらこう返す

「ニャー」
『こんばんは、初めましてお嬢さん』

猫に対してかけた言葉に丑三が、丑三に対してかけた言葉に猫が答えた、息ピッタリなボケっぷりだ

>>70
「…とかなんとかふざけてる場合じゃないみたいね」
「はいこんばんは、そちらはお友達かい?そうは見えないけどな」

何かに追われ走って来る田中を見て、挨拶を返しながら背中から二本の木刀を引き抜く
右手には月明かりを反射するような純白の、左手には木目の温もりを感じさせる普通の木刀を

「二人とも、ちょっと下がってな!」

言うやいなや田中の後ろへ飛び出して、並べた木刀を二本一緒に鬼にスイングする
72 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/25(土) 22:26:52.13 ID:lBvgwmTuo
>>70-71
「あれ?丑三さんのお友達?っていうか、うちのガッコの生徒じゃん」

美雪は田中君を見知っている。ただそれだけで取り立てて親しいわけでもない。
ごそごそと鞄を漁り、女子高生の色んなもの入れ、つまり膨らんだポーチから
櫛を一つ取り出す。

「はい、これ」

それを手渡す先は田中君である。そのボサボサ頭を何とかしろ、ということなのか
それとも迫り来る鬼に効果のあるアイテムだからなのか…それは判らない。

そして丑三に言われたとおり邪魔にならないところへ下がると

「猫さんガンバー」

のほほーんと緊迫感なく応援するのは猫なのか?
それとも猫真似した丑三なのか?それも良く判らない。
73 :田中 夕 :2011/06/25(土) 22:43:57.09 ID:oMJ0Zd9W0
>>71>>72

「あ…こんにちは。同じ学校の人?
あ…ありがとうございます」
こんな状況にも関わらず美雪に挨拶する、霊感も何も感じない普通な高校生。
そして櫛を受け取り、こんな状況なのに自分の髪を整えた!!……ボサボサのままだが!!!!
多分コイツ黄泉の国の話とか黄泉軍の事とか知らないみたいだ!桃が弱点ってのも絶対知らない。

「いえ、まったくの知らない《人》達です」
危ない状況なのに彼は普通に返事した。
………おい!多分、彼は後ろの鬼たちを人だと思ってるぞ!!

『…ガァ!?』
『!?』
「いでっ!………」
『グッァ!!』
見事に丑三の攻撃が4人にヒットした!!!
……………………………………4人?

「あたたた!!!……」
どうやらご自慢の不幸スキルで、田中くんにも当たったようだが…《右手》でガードしたらしく《怪我》はしてないようだ。

黄泉軍たちは攻撃に当たり消滅したようで灰になっていた。

「あれ?…いなくなってる?
……助かったのかな?
ありがとうございます」
ペコリと彼に御礼をいった。

そして、美雪にも丁寧に櫛を返そうとするだろう。

………普通ならかなり変わってると思われるだろう。
74 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/25(土) 22:50:21.10 ID:lBvgwmTuo
>>73-74
「きゃー、丑三さんかっこいー」

あんまり黄色くない声で応援しながら、取り出したケータイのカメラで丑三の勇姿をパシャリ。
時刻のせいでちょっぴり辺りが薄暗いとなると、当然その際フラッシュも自動的につくわけだ。

 カッ

真っ白な光が、丑三の背後から黄泉の鬼達を射た。
もちろんただのフラッシュで霊力なんて当然ない。

「あ、一緒に写るのもいいな」

あれと一緒に撮ってー、と丑三を指差しながら美雪がケータイを田中君に手渡そうとする時には
既に鬼達は消え去っていた。

「あ!…もう消えちゃった。でもいいや、かっこいい丑三さん撮れたし。
 君は何で追っかけられてたの?あ、私2−1の児佐々ね、知ってるかも知れないけど」

田中君から受け取った櫛とケータイをしまう美雪。
そして向かう先は猫さんだ。モフるつもりである。
75 :丑三夜中 :2011/06/25(土) 22:57:00.16 ID:rc7zN5fDO
>>72>>73
『おや、私が喋る事には驚かないのかな?肝が据わった子だ』

楽しそうに笑いながら美雪を見て、田中と丑三と鬼達に顔を向ける
その表情は猫にしては何処か不思議なような、人間じみた感じがする

「あ、やべ」

ドバキーンと一人の一部分を巻き込みながら撃退完了、木刀を手の中で回してから背中にしまう

(…あれは人じゃないって伝えてやるべきか…それとなく神社か寺にでもいかせた方がいいか?)
(つーかあいつら何だったんだ?ろくな物ではなさそうだったが)

「安心しろ、ホームランでぶっ飛ばしてやったぜ!」

グッと親指を立てながら二人に振り向く、田中は鬼をそうだと理解していないようなので、それっぽく消え様をごまかしておいた

「それよりもなんか巻き込んだ気がするが大丈夫か?怪我なんかさせたらほら、最近PTAとか五月蝿いからさー」

飴の棒をくりくり捻りながら、田中に怪我は無いかと近付く
76 :丑三夜中 :2011/06/25(土) 23:07:55.60 ID:rc7zN5fDO
>>74
「おー、その写真後で送ってくれ、プリントして飾るから」

美雪の歓声に親指を立てた手で返す

『ふむ…主人と似てマイペースだな』
『ニャー』

美雪にモフられつつも塀の上で丸くなって、金色の目で丑三と田中を見ている
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/25(土) 23:10:12.72 ID:E/PaOeHyo
>>72-73,75
【電信柱の影から、2人と猫の様子をそっと伺う影】
【それは顔を口元近くまで長い髪で隠したセーラー服の少女】
【きょろきょろと周囲を伺い、気付かれずに電信柱から離れる方法を探す】
【その度に、髪の先が左右に振られ、電信柱の脇からちらちらと見える】
78 :田中 夕 :2011/06/25(土) 23:11:47.57 ID:nLo3Gph+0
>>74>>75

「ん?丑三さんの彼女さん?」
なんか丑三と仲良さそうな彼女を見て、彼は普通にそう聞く。

「児佐々先輩ですか!俺は1―4の田中 夕です」日暮高校の田中 夕。多分、校内ではお人よしで変わってる1年生として有名だろう。
何が変わってるかって?

「あ…腹話術凄いな。誰が喋ってるの?児佐々先輩?丑三さん?」
こんな感じに猫が喋ってるのにこんな反応を素でしてしまったり…

「大丈夫!この前人生二回目の全身骨折を味わったあとだから」ニカッ
丑三にそんな返しを普通にする所だ。

「え?…なんで狙われてたか…ですか?
………日常的に?」
首を傾げながら、なんて言えばいいのかな?他人巻き込むのはマズイな…と思いながらそう答える。

視線は自分の《右腕》だが…
79 :田中 夕 :2011/06/25(土) 23:14:22.63 ID:nLo3Gph+0
>>77

「あれ?…」
そして、視線に気付きそちらをジーッと見る田中くん。

「こんばんはー」
普通にそっちに向かい挨拶したぞ!!
80 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/25(土) 23:18:46.93 ID:lBvgwmTuo
>>76>>77
「おk、今送るー」

美雪の親指がビシビシとケータイを操る。
今撮った画像を丑三のアドレスへと転送完了。

「夕?一年生なんだ?
 全身骨折ー?うそぉー。右腕だけは骨折してないのに全身骨折はないでしょー?嘘言わないの」

美雪は勘だけで、夕の右腕だけは折れていなかったことを指摘した。

「腹話術?喋ってるのは猫さんだよー。猫さんとお喋りできたほうが嬉しいじゃない?
 私は美雪だよ、猫さんはー?」

尋ねながら猫さんをモフっていると、視線を感じた。

>>77
振り返るとセーラー服がちらりと見えた。

「あれー?別のガッコの人がいるよ?」

美雪達の高校の制服はセーラーではないのだ。
81 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/25(土) 23:20:16.98 ID:lBvgwmTuo
//安価ミス >>76>>77ではなく、>>76>>78です。
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/25(土) 23:27:05.94 ID:E/PaOeHyo
>>79,80
【どきっ、と一瞬体を震わせた後、自分の後を確認する】
【自分以外に誰もいないことを確認すると、ぺこりとお辞儀をする】

(早く逃げればよかった……)
(学校違うと、私が幽霊だって噂も聞いてないだろうし……)

【不安げに、何度も辺りの様子を確認する】
83 :丑三夜中 :2011/06/25(土) 23:37:08.66 ID:rc7zN5fDO
>>77
「――――ッ!!」

その時、丑三に電流走る…っ!
元より現場の妖気を探る為に張り巡らせた妖気センサーがここで思わぬ力を発揮した!

「この感じ…ッ!」

まるで仇の気でも感じたかの様にそっちへ顔を向けた瞬間…

>>78>>79
「…って普通に挨拶するんかーい!」

何故かスライディングする凄く大袈裟な突っ込み、近所迷惑になるだろうってぐらい喧しい
直ぐに何事も無かったかのように立ち上がり埃を払った

「成る程、不幸体質って奴か」
「視線からしてそれになんか理由があるな?とりあえず理由を話したくないなら代わりに不幸だー≠チて言ってみ?」

田中の視線にばっちり気付きとりあえずと聞いてみる、どうしても聞きたいと言う訳ではないが

『まあ少し納得はいかないがいい反応だ少年よ』
『答えは君の中にある、自由に選択しろ、それが君にとっての世界の真実だ』

ニヤッと笑うような表情で田中に話し掛け、前足で顔を洗う猫

>>80
「そーいや、俺と美雪ちゃんの関係ってどうなるんかねー」
「…許嫁…になるのか?」

受信したスマートフォンで自分の勇士を見て、「ほう」と自分に感心しながら思い出したように呟く

『私かね?私の名は紫(ゆかり)、主人が付けてくれたんだ、率直とはいえいい名前とは思わんかね?いや、悪い名前なのかな?』

気持ち良さそうに体の力を抜いて、名乗る
きっと体が紫だからだとか、そういう理由からきた名前だろう
84 :田中 夕 :2011/06/25(土) 23:49:26.63 ID:LlAJSNbR0
>>80

「えっ…何故わかったんですか!?正確には右腕以外全身骨折ですけど…
今まで誰も気付かなかったのに…
ハッ!?さては美少女名探偵!?」
ギクッとしながら彼はそう言う。
……そう、右腕だけは無事なのだ…さっきの時も…
その理由は彼はなんとなく気付いてるが、それを言うべきか少し悩んでる。

「あ…猫が喋ってるのか
最近の猫は賢いんですね。
うちのクロコも喋らないかな?」
普通、猫が喋るっていったら驚くか信じないだろうが…
彼は普通に信じて、そんな事言いながら一緒に猫を撫でようとする。


>>82

「貴女も一緒に猫を撫でますか?」ニコッ
優しく微笑みながら普通な男子高校生は彼女にそう言う。

どうやら彼女の行動を猫撫でたいけど先客がいるな…っと悩んでるんだと、勘違いしたようだ。

>>83

「え?黒い蜥蜴が喋って人になるし、コレくらい普通じゃないの?」キョトン
その蜥蜴ってのは黒龍の事だが……龍だってのに気付いていない。

「え?………理由言ってもいいですけど…もしかしたら巻き込んじゃうかもしれないし…
あ!けど退魔師だから…けど児佐々先輩も巻き込んじゃうかも…」
少し悩んだようにそう言いながら話すか迷ってる。
どうやら美雪の事を心配し悩んでるようだ。

「ふ…深い……さすが猫…いや!先生!猫先生!!」
なんか紫の言葉に感動してる。
そして頭を撫でようとする。

「……って、結婚前提なんですか?
式にはよんでくださいね」
ニコッと微笑みながら彼に言う。
85 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/25(土) 23:51:08.98 ID:lBvgwmTuo
>>82
「あの子どうしたのかな?恥ずかしがり?それとも何か困ってるのかな?」

にこっと人懐こく笑って、セーラー服の少女に手を振った美雪。
噂は知らないが、美雪には怖がる様子もいぶかしむそぶりもない。
ごく普通の女の子だと思っているのだ。

>>83>>84
「うーん、うちの父公認の『お友達からはじめましょう』かな?
 話を持ちかけられた丑三さんが選ぶことだからね。
 丑三さんが決めないうちは、許婚とか言っちゃいけません、って父に言われてるの」

関係の選択権は丑三の側にあるのだ。

「そういう訳で私は、丑三さんとはまだ『お友達』なんだ。ゆかりさん、ヨロシクね」

夕にも紫にも、これで二人の関係は判っただろうか。

>>82
「あなたもこっちへおいでよー。さっきの怖い人はやっつけちゃったから大丈夫」

猫さんを撫でながら、美雪はセーラー服の少女に手招きした。
しかし、さっきやっつけた怖い人は黄泉の鬼なのだ。
退魔師の丑三の前に、セーラー服の彼女は現れてくれるだろうか。
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 00:00:35.67 ID:42ltiqnqo
>>84,85
(顔隠してれば、大丈夫だよね……?)

【こくり、と頷くと、恐る恐る猫のもとへ】
【何となく丑三に睨まれてるような気がするけれど】

【不思議な色の猫にぐっと顔を近づける】
【もしかしたら猫からは、顔を隠す髪が透けて、顔の中央に1つだけある大きな目玉の瞳孔の
 興味深げに開く様子が見えてしまうかもしれない、という事実をすっかり忘れて】

珍しい色の猫ですよねー、なんて品種なんですか?

【どうにか、声が上ずるのを押さえ込む】
87 :丑三夜中 :2011/06/26(日) 00:16:16.21 ID:HVxCEyZDO
>>84
「あー…なんかその黒い蜥蜴知ってる気がする気がする」

そういえば黒い蜥蜴…ていうか龍の知り合いがいた気がする…が、ぼんやり思い出した所で考えるのを止めた

「成る程ね、危険な事か」
「なら尚更一人で抱え込むもんじゃないだろ?一人で何でも出来るって自信があるのはいいけどな」
「ほらほら、だから耳打ちでもいいから俺に言ってみんしゃーい(はぁと)」

と、言いながら耳に手をあて突き出す丑三、ただ首を突っ込みたいだけじゃないかと

『余り感心される事を言った覚えはないのだがね、まあ魚の頭も信心があればなんとやらだ、戯れ事も聞き要によっては格言にもなるか』

頭を撫でられながら気持ち良さそうに目を閉じ答える
>>85
「へえ、あいつそんな事言ってたのか」
「…待てよ?もし結婚したらあれが父親か?オカマの鹿が…」

女好きからすれば嫁は喉から手が出る程欲しかった存在、しかしもしそうなればつまり父親はあの妖怪となる
それで納得できるかと言えば納得しかねる訳で、とりあえず今暫くは友達でいようと思う丑三であった

『うむ、よろしくと言っておこうか』

態度が上から目線によろしくと言った後、チリンと鈴が静かに鳴った
>>86
『おや?』
『おやおやおやおや、君はいつか会ったかな?』
『前髪はしっかりと隠さずとも、ここにいる者達ならきっと受け入れてくれると私は思うよ、多分、きっと、おそらくは』

少女の素顔を見透かすように前髪に隠れた顔を見ると、澄まし顔で言いながら尻尾をぱたりと一揺らし

その後ろで丑三が少女の姿を見て(何処かで見たような…)と考えている

「ああそいつ?化け猫じゃない?」

「よく解らん」と答えた丑三に、猫はフフ、と小さく笑った
88 :田中 夕 :2011/06/26(日) 00:34:00.02 ID:ZEim76nf0
>>85

「なるほど…なんか複雑な?
それで、丑三さんは返事まだしてないのか…」
ふむふむ…っと彼は考える。

きっと児佐々先輩はいい所のお嬢様なんだな…だからそんな関係なのかな?と勘違いする。

>>86

「う〜ん?そういえば不思議な色してるし…雑種なのかな?
喋れるからきっと珍しい種類だと思いますよ?」
………あれ?この高校生、普通に猫が喋るって言ったよ?

けどこの高校生は霊感もない普通の人間だが……


>>87

「もしかして、零と黒龍と知りあいでした?」
そう言いながら首を傾げる。

「えっと…」
とりあえず彼は耳元で小さく話した。

4年前に、幼なじみとその家族と紅葉狩りに出掛けた際に、《八握剣》というのを抜いて持ち帰った事。
それで帰りの車の中、謎の声が聞こえ、気付いたら幼なじみの両親は死に、幼なじみは植物状態。リュックに入れたはずの《八握剣》もなくなり、自分は幼なじみがクッションになり、助かってしまうが…《右腕》だけ怪我していた事。
その事故の原因と幼なじみが起きないのは《八握剣》を抜いたせいだと思い、露希と瞳に手伝ってもらい《剣》を探してた事。
つい最近、《怨霊》というのにフルボッコされた事。ソイツは八握剣に封印されてた一部だという事。4年前の事故はソイツがやった事。幼なじみに《呪い》をかけた事。
そして、黒龍に《怨霊》は《七罪者》という連中の一人で《十種神宝》を狙っていて、《八握剣》を狙い自分を狙っている事。

「……それで、俺の右腕…どうやら《八握剣》と一体化してるそうです」
そう話すと彼は暗い顔をした。
89 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 00:36:50.75 ID:6Vo7DDbPo
>>86
「珍しくて、綺麗な色だよね」

美雪は猫さんをモフモフしやすいように、セーラー服の少女に場所を譲る。

「あなたの髪も綺麗ね」

街灯の明かりの下で、艶のある黒髪に天使の輪が出来ている。
顔を隠すのじゃなく色々髪型を変えたりお洒落もすればいいのに、とも思うのだが
それは美雪が少女が顔を隠す理由を知らないからである。

>>87>>88
「そ。だから『お友達』なんだ」

美雪は父親がオカマ、と言われたのに怒りもしない。事実だからだ。
黒い蜥蜴とか話しているところを見ると、どうやら丑三と夕にはまだ共通の知り合いが居るらしい。

(ふーん、男の子同士だもんね。どっかで誰かしらと会うわよ)

>>87>>86

「?隠す?」

丑三と夕は男同士で放って置けても、猫さんと女の子はほうっておけない。
猫さんは一体何のことを言ってるんだろう?
良く判らないので、女子グループの美雪は猫と少女を交互にみる。
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 00:41:15.81 ID:42ltiqnqo
>>88
ほんとだ、喋った!?
不思議な猫だから、色も不思議……ってことよねきっと

>>87
以前も一度……見かけたことあったよ?
そっか、みんな、友達になってくれるかな……?

>>88,89
【顔を猫に向けたまま、問う】

あの……私、同世代の友達があんまりいないんです
これも何かの縁ですから……お友達になってくれますか?
91 :丑三夜中 :2011/06/26(日) 00:50:31.66 ID:HVxCEyZDO
>>88
「まあ、知り合いっちゃ知り合いだな」

はにかみながら答えると、田中の声に耳を貸す
途中で頷いたりしながらも、茶々をいれたりせず黙って最後まで聞いた
…で

「…よし、つまりお前の右腕が鍵な訳だろ?じゃあお前が頑張るしかないな」

さっき頼れとか言った癖に掌返しやがった!

「まあ簡単に考えればその七罪者とやらをぶっ倒すか封印すりゃいいんだが…」
「その八握剣だかが無くても倒せるもんなのか?そいつら」

ふむ、と飴の棒を捻りながら考える
幼なじみの呪いを解くにしろ、田中が追われないようにするにしろ、その方法なら一番手っ取り早いかもしれない
…とはいえ、そんな簡単に事がすむとも思えはしないが

>>89>>90
『その事に関しては私から言う事は出来ない、最後の一歩を踏み出すのはいつも自分自身なのだから』

少女を見たまま美雪に言った

『それは解らない、私個人の意見を言わせてもらうと、今この場にいる者は私が話す事になんの嫌悪も感じていないように見える、と言うだけさ』

「あ!俺なるよ!友達なるよ!なるなる!」

真面目な顔で田中と話してた癖にいきなり右手を挙げながら真っ先に名乗り出る阿保面がいた
ていうかまずこいつ同世代じゃない
92 :田中 夕 :2011/06/26(日) 01:01:21.68 ID:N981mV8b0
>>89

「じゃあ、丑三さんの友達なら俺も友達ですね」ニカッ
そう子供っぽく笑いながら美雪に言う。

別に彼は変な気持ちはなく、ただ純粋にそう言ったのだ。


>>90

「もちろん!友達ですよ」
「俺は田中 夕といいます。君は?」ニカッ
優しく笑いながら、サムズアップし、彼女の名前を聞く。


>>91

「ですよね…」
ハハハ…っと苦笑いする。

「わからないけど…多分倒せるのかな?」
丑三がもし思い出せるならわかるが
アナタが倒した青行燈の仲間と思うアリサと呼ばれた《魔女/飛縁魔》も《七罪者》の一人といってたはずだ。
なら《七罪者》も倒せるはず……

……つまり青行燈が関わってるだろう。
93 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 01:04:34.15 ID:6Vo7DDbPo
>>90-92
「うん!こちらこそよろしくね」

美雪は夕と少女に元気良く答えた。
俯きっぱなしの少女の背中はなんだか少し寂しい。
だから美雪は彼女に、元気になって笑って欲しいと思った。

「私は児佐々美雪、日暮高校の2年生だよ。あなたは?」

名乗るのはこれで何度目だろう。紫に夕に、この少女に。
今日は友達が増える日のようだ。
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 01:09:09.16 ID:42ltiqnqo
>>91
本当!?
じゃあ、私の姿を見ても……驚かないでね? 友達なら……

【顔を手で覆い、皆の方に振り向く】
【ゆっくりと髪を2つに分けると、目と鼻のある部分を覆うような、巨大な1つの目】

【名前については、答えない】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 01:09:52.65 ID:42ltiqnqo
×>>91
>>91-93
96 :丑三夜中 :2011/06/26(日) 01:25:35.51 ID:HVxCEyZDO
>>92
「…ん?待てよ」
「確かあいつも七罪者とかなんとか…」

まるで電気が走るように、記憶が思い出される、そして繋がる
そこに連鎖して、ドミノ倒しのように推理が繋がっていく

「確かあいつは七罪者と言っていた、そして青行燈の事も、つまりその二つにはなんらかの関係がある」
「青行燈も七罪者の一つか?いや…もっと黒幕のような何かだ…」
「となれば…七罪者が何かを集めて青行燈に持って行く?何のために?」

今までの記憶や関係を繋げ推理をするが如何せん材料が少ない
とにかく青行燈が何か裏で手を引いているかもしれないと考える、あの力のありそうな妖魔ならありえなくもない

「…とりあえず、俺でも手助けはできそうか」

考えるにしても真相を掴むには材料が足りない、それには七罪者への接触が必要だ
そう思い、まずは簡単な武力行使の方法で七罪者への接触を決定した

>>93>>92
『今日はよく挨拶を見るね、こんなに初対面が友人にシフトする瞬間を見るのは今夜が初めてだ』

今夜だけでもよく挨拶をする美雪を見て、猫が笑いながら言った

『やはりいつ見ても面白い顔だ、いや、面白い目≠ゥな?』
『一つ聞きたいのだが、目薬は一度にどれくらい使うのかね?』

少女の大きな一つ目を見て、からかうような質問を一つした
97 :田中 夕 :2011/06/26(日) 01:34:57.03 ID:1vkrWl7K0
>>93>>94

普通なら一つ目の少女を見て悲鳴をあげるだろう。
だが彼は普通じゃなかった!!!!

「え?驚く?何処に?
カワイイ普通の女の子だし?」
………彼は普通に首を傾げた。
ちょっと目が大きくって鼻がないけど、カワイイし何処に驚くんだろ?っと真面目に思ってる。

「…あ!もしかして、今化粧してないから驚くよ?って事か!
大丈夫!大丈夫!化粧しない女の子だっていますよね?児佐々先輩?」
見当違いの事を言いながら彼は美雪の方を向く。


>>96

確かにまだ材料は少ない。
……だが、もし彼が青行燈の仕業と思われる《噂》の出現ポイントをこの街の地図を広げ、ペンで印をつけていけば……
《街の中心から渦状になっている》のがわかるだろう。
何かの術式を噂をつかい街に描いてる?

「丑三さん?」
悩んでる丑三に心配そうに声をかけた。

「ありがとうございます!!」
深々と頭を下げる
98 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 01:41:37.29 ID:6Vo7DDbPo
>>94
「一つ目さんだったのね。だから猫さんはああ言ったの」

驚くというよりもむしろ納得した美雪。

>>97
「それどういう意味よぅ。どうせ私のはせいぜいが百均コスメですよーだ」

美雪はぷぅ、と夕にふくれて見せた。
スマフォも欲しい、ゲーム機だって…と欲しいものが色々あるため、化粧品はまだまだ
後回しにされているのだ。
故に美雪はあまり化粧しないというよりも、出来ない。

>>94>>96
「ねえ。今度、父の屋敷に遊びに来ない?猫さんも。
 小さい頃は一杯友達呼んで遊んだんだけど、学校に上がってからは屋敷に呼べる
 友達はなかなか出来なかったんだ」

学校で人間の友達と付き合うようになってからは、鹿の屋敷へ呼べる友達は出来なかったのだ。

「今度泊まりにおいでよ。うちの家族の前では顔を隠す必要ないわよ」

お菓子食べたりー蛍見たりー花火とかしてー夜はずっとお喋り!
等とあれこれしたい事を数え上げ始める美雪。
猫さんや一つ目少女の返事もまだ聞いちゃ居ないのに。

「決定ね!それじゃ連絡先教えてくれる?」

勝手に仕切って勝手に決めやがったワンマンな鹿姫だった。
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 01:51:51.60 ID:42ltiqnqo
>>97,98
Σ

人間って……こんなに簡単に受け入れてくれるんだね
てっきり、怖がられて逃げられると思ったのに……

【目が、段々潤んでくる】

>>97
連絡先っていったって、携帯なんて持ってないからどうしよう?
欲しいんだけど、戸籍も何もないし、そもそもお金も持ってないから……

でも、だいたい西の橋の下あたりを根城にしてるから、来てくれれば大歓迎だよっ!
【おどおどしていた様子が、今や完全に元気になっている】

>>96
目医者なんていけるわけないから、わかんないもんねー!
【悪戯っぽく笑って言う】
100 :丑三夜中 :2011/06/26(日) 02:00:07.98 ID:HVxCEyZDO
>>97
(そういや…悪い噂が出現するってのも聞くし…少し調べて見るか)
「…調べ物が増えそうだな、夏休みの自由研究もびっくりだ」

右手で頭を抑えると、下を向いて「たはー」と溜息を着いた

「まあ首を突っ込むのは好きだからな、何かあれば言ってくれ」
「一応こっちでも片手間に調べてみるから、何かあったら教えるよ」

そういえば本当は何をしてたんだっけ、と危うく忘れる所だった
自分は変死事件の真相を調べていたのである、首を突っ込みたがる性格が災いして危うく本筋を忘れかけていた

>>98
『ふぅむ、さて、どうするかね…』
『ま、考えておかないこともないという事がない訳でもなく、それはNoでもなくて…』

目を右上に向けて、すっとぼける様に答えた
近くで「俺も!俺も行きたい!」と騒いでる奴がいるような気もする

>>99
『成る程そうか、それではきっと、そうなのだろう』

よくわからない納得の言葉で頷いた時、声がかかる

「ゆかりーん、そろそろ帰るぞ」
「調べもんが増えた、一旦家帰る」

『…どうやら、主人がまた荷物を持ったようだ、それでは一足先に失礼しよう』

チリン、と鈴を鳴らすと立ち上がり、丑三の足元にひらりと飛ぶ

「じゃあな、田中、美雪ちゃん、えーと…一つ目ちゃん」
「ここら辺で変死事件あったから気をつけろよ、じゃーなー」

後ろ手を振りながら夜道をゆらゆらと歩いていく丑三
その横を、鈴を鳴らしながら猫がついていった
101 :田中 夕 :2011/06/26(日) 02:09:25.99 ID:1vkrWl7K0
>>98

ここで彼の不幸スキルが発動し、美雪を怒らせてしまった。

「いやいや!そう言う訳で言ったわけじゃないです!!」
そういえば彼は母親に言われた事を思い出す。『女性はデリケートな生き物だ。何気ない一言でもそれは禁句になる…覚えときな』っと銃を突き付けられながら言われた事を……

「本当にすいません!!俺……そういうつもりなかったんです!!」
それはそれは綺麗な土下座をしながら美雪に謝った。

「えっと……お詫びに今度うちの姉の店でケーキ奢りますから何とぞ…」


>>99

「よくわからないけど…
怖がる人は内面とかを見てないからじゃないかな?
うちの母親もよく言うよ『人を見た目で判断するのはダメな事だ』って
少なくとも俺と児佐々先輩と丑三さんは君を見た目では判断しないよ」
ニカッと優しく笑いながら言うが、土下座の体制のままだから、なんかイロイロだいなし。

>>100

「わかりました。
あと女子会は男が邪魔しちゃダメだと俺は思いますよ?」

美雪に土下座をしたまま、彼はそう言う。

「あ…わかりました!
いざという時は彼女達の盾になります!
それではまた!!」
自己犠牲になる事を言いながら彼は丑三を見送るだろう。
102 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 02:17:11.29 ID:6Vo7DDbPo
>>99>>101
「怖がる?だってあなた何も悪い事しないじゃない?」

美雪はキョトンとした。
むしろ普通なら人間のほうがこの一つ目少女に酷い事をしかねないのだ。

「そっかー、それじゃ今度、橋へ遊びに行くね」

(その時はバイト先のコンビニのいちおしスイーツでも持っていこうかな。
 一つ目ちゃんは何が好きだろう?)

そしてやたら土下座しなれている夕に、ケーキと言われて美雪は目を輝かせた。

「一つ目ちゃんも一緒ならいいよ!ね、一緒にケーキ奢られに行こうよ?」

機嫌よくなった美雪は一つ目少女に誘いをかけた。

>>100>>101
「丑三さん来たら間違いなく、うちの父の晩酌に付き合わされるから大丈夫」

美雪はくすくすと笑った。おそらく女子会は鹿南によって守られるだろう。
なんだかんだで丑三は鹿南に気に入られてしまったのだから。

「うん、気をつける。丑三さん猫さん、またねー」

帰る二人に手を振った。
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 02:24:03.00 ID:42ltiqnqo
>>100
ああ、猫……
【未練がましく後姿を見送る】

>>101
お化けって「見た目で判断」に含まれるの??
ほんとう変な人、学生のうちから彼女に尻に敷かれてるし……?
【くすくすと笑う】

>>102
はぁい、そういう年頃の女の子らしい事って、前からやってみたかったんだよね!
お化けだから、本当は生まれてそんなに経ってないはずなんだけど、おかしいよね!
【そう言いつつも、何となく得意げな表情】

あ、そういえば……やっぱり、人間らしくしようと思うなら、名前考えた方がいいかなー?
やっぱり折角なら、かわいい名前がいいけれど何にしようかなー?
名前って、どういう風に考えるの??
104 :田中 夕 :2011/06/26(日) 02:32:22.49 ID:idhgBuNE0
>>102

「大丈夫です。うちの姉さんもそういうの気にしない人だから」
土下座しながら彼は美雪の言葉にOKする。

>>103

「え?お化けだったの?
それなら今度サインください!!」
コイツ!!今言われて気付いた!!
土下座した状態で、顔をそちらに向けながら目を輝かせる。

「彼女じゃないよ?児佐々先輩は丑三さんに気があるみたいだし、それに今日初めてあったしね。
自慢じゃないけど彼女いない歴=年齢だし」

自分の姉は会って三日で結婚の約束をしてしまったのだが…その事情は彼は知らない。

105 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 02:36:45.93 ID:6Vo7DDbPo
>>103
「名前の決め方?」

この少女にはまだ名前がないのだ、と言うことをここで美雪は知った。
反射的に、名前を聞いてごめんね、と言いそうになったが、それもなんだか憚られる気がした。

「そうだねー。自分の好きな言葉、とか、自分のなりたいと望むこと、とか
 そういうものを選んで名前に取り込むと良いと思うよ」

ゆっくりと思いつくことを言葉にし、さらに一つ思いついて美雪はにっこりした。

「まだ名前がないってことは、あなたは自分で好きな名前を選べるんだね。いいなぁ」

名のない少女にごめんと言うよりは、きっとこちらのほうがずっといい。

>>104
「やったね♪一つ目ちゃんとケーキバイキングだー!」

何時の間にやら美雪の中ではケーキバイキングってことになっている。
田中君のお財布の危機である。南無、不幸体質。
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 02:46:11.36 ID:42ltiqnqo
>>104
えっ!?
だって、こんなにお似合いなのに……

いーじゃんいーじゃん! 折角なんだから彼女いない暦終わらせようよ!

>>105
【ぽん、と手を打って】

そっかー、普通は親がつけた名前だもんねー
好きな言葉とか、理想の自分かー……ちょっと考えてみなくちゃダメだなー
次に会う時までには考えておくねー?
107 :田中 夕 :2011/06/26(日) 02:56:01.96 ID:+z1K968H0
>>105

「……はい。ケーキバイキングでもなんでもどうぞ…」
コレは反論したら更に被害は大きくなると思い、彼は了承した。

お金たりなかった場合は姉により、《女装》させられて店を手伝わされる運命なのだ……
田中くんの不幸は加速する!!


>>106

「いやいや!児佐々先輩は丑三さんが好きみたいだし、俺みたいなのはダメだって」
土下座したまま、苦笑いしながらそう言う。

「それに俺ってかっこよくないし、俺より良い人なんか星の数ほどいるよ」ハハハ…

普通にそう言い、彼は真面目な顔をする。
少なくとも彼の顔は普通である。
108 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 03:01:18.52 ID:6Vo7DDbPo
>>106
「え?君、彼女いるでしょ?それも結構昔からの?」

美雪が眉をひそめた。
《眠り姫》なのは知らないけれど、美雪には田中君の右手と誰かの手が
確かに繋がっている気がした。
つまりただの勘である。

>>106
「自分で選べたら、幾つか候補を使い分けたり試せたのにな、って思うんだ。
 次に会うときに決まってたら、聞かせてね」

美雪の名前をつけてくれた、どうしようもない生みの親。
一生ついて回るこの名前は、その親と美雪を結ぶものでもある。
それを思い返してちょっぴり複雑な気持ちにもなる美雪だった。

>>106>>107
ちらりと見た腕時計はそろそろ門限の時刻に近づいていた。

「もう私は帰らないと。あまり遅いと父が探しに来ちゃうんだ。
 夕君も一つ目ちゃんも、また今度ね」

美雪は二人に別れを告げる。
109 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 03:06:03.00 ID:6Vo7DDbPo
//安価ミス、最初の>>106>>107へです。
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/06/26(日) 03:11:22.34 ID:42ltiqnqo
>>107,108
なーんだ、やっぱり色恋って難しいなー
ホンモノの女子高生みたいにできるように、修行しないとなー

ちょっと落ち着ける場所で、ゆっくり名前考えてくるねっ!
今度あった時は自己紹介くらいできるようになるから!

【大きな目を嬉しそうに弓形に曲げ、ぱたぱたと手を振る】
111 :田中 夕 :2011/06/26(日) 03:16:32.27 ID:DgCnXixd0
>>108>>110

「え?いないけど?」
不思議そうに彼は首を傾げながら言う。

彼と《眠り姫》は強い絆で結ばれてる。
しかし、不幸体質で鈍感な彼は好意とか恋愛に鈍い!鈍すぎる!どこのそげふさんだ?って言いたいくらいに鈍すぎる。
例え、《眠り姫》が自分に好意を持っていても彼は全然気付かないだろう。

「喫茶店《ノワール》ってのが姉さんがやってる店です
商店街の中にあるからきっとわかりますよ!それじゃあ」

「じゃあ、俺も帰りますね?
ひっちゃんも気をつけて帰ってね」
恐らく一つ目ちゃんだから略して呼んだんだろう。

そして彼も手をふり去っていった。

/皆さんお疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます
112 :児佐々 美雪 [sage]:2011/06/26(日) 03:21:42.34 ID:6Vo7DDbPo
>>110
(あー、ああいう表情見せてくれるとホントかわいいなー)

猫さんみたいな毛皮はないけど無性に一つ目ちゃんをモフりたくなってくる。
普段前髪で顔を隠してしまうのが勿体無く思えてくるほどだ。
しかし人間の中では俯いて顔を隠さなくてはならないのだろう。
なんだか森の中にひっそりと咲く花みたいだ。

振り返って手を振りながら、美雪はそんな風に思った。

>>111
「ノワールね。判ったー。
 行ったときには彼女の事、問い詰めるから覚悟しときなさいね」

夕君に宣告して、すっかり暗くなった夜の中を家に向かう美雪が
迎えに来た鹿南と鉢合わせるのは、もう少ししてからである。


//皆さん絡みありがとうございました。
113 : :2011/06/26(日) 22:06:25.04 ID:HVxCEyZDO
街頭が照らす夜の通り、小さな光が闇を照らす道路の上、二つの影がそこにある
一つは成人男性の物、恐らくは帰宅途中だろうか、地面に倒れて眠りこけている
一つは少女の物、紫とショッキング・ピンクのドレスとシルクハットを被った彼女は、その男性の近くにしゃがんでそれを見詰めていた

「…やれやれ、無理矢理こちらに引き戻してやるのも忍びないな」
「それにしてもこれを繰り返すだけで楽しくなるなら、裏仕事も悪くない」

髪を耳の後ろにかけながら立ち上がり、ふぅと一息着いて辺りを見回す
頭に生えた猫の耳をピクリと動かして、静かな無音を聞いた
114 :とある老人 :2011/06/26(日) 22:13:21.98 ID:P7H3G0/DO
>>113
「お主達、なにしてるんだ?」

そこに通り掛かる老人。
片手には長方形のアタッシュケースを持っている。

重そうな鞄からは、不思議な妖気が漏れている。
115 : :2011/06/26(日) 22:21:49.67 ID:HVxCEyZDO
>>114
「御老人、夜に男女が一緒にいてやる事をわざわざ質問するとは、無粋とは思わんかね?」
「…まあそんな事はしていないのだがね、何ちょっとした慈善活動だよ」

くつくつと笑いながらシルクハットを抑え、老人に金色の目を向ける
ニヤリと三日月のように曲がった口には、鋭い八重歯が見て取れる

「御老人よ、君に物事に首を突っ込む嗜好はあるか?私はあるし、そんな者が大好きでもある」
「従って、私は今君に興味津々な訳なのだがこの落し前はどうつけてくれるおつもりか?」

ニヤニヤ笑いながら目上への尊敬のそ≠フ字もないような口調で饒舌に話し掛ける
116 :とある老人 :2011/06/26(日) 22:30:54.83 ID:+mJJKjun0
>>115
「うむ、解せぬ。」

老人は怪しげにくくく、と笑った。

「まぁ…そうだな、お主らの自由にし良いぞ。

質問するのも良し、この鞄を奪うのも良し、わしを[ピーーー]も良し。

しかし…お年寄りは大切に扱わなきゃいかんぞ?」



117 : :2011/06/26(日) 22:41:36.32 ID:HVxCEyZDO
>>116
「うむ、解せぬ。」

「寡黙だな御老人、よく吠える犬は弱いとは言うがそうまで寡黙も困る物だぞ」

老人の返事を真似してから、またぺらぺらと話し出す

「まるで達人の余裕だな、生憎と私は強くなる気はないのだよ」
「では手を出す前に口から聞くとしようか、その鞄の中が気になるのだが教えてはくれまいか?」
118 :とある老人 :2011/06/26(日) 22:51:43.48 ID:+mJJKjun0
>>117
「いいだろう、見せてやる。」

重いケースを地面に下ろし、固定された鎖やら鍵やらを外していく。
厳重に密閉されていたものだが、手なれた手つきで開けて行く。

「お主、<強くなる気は無い>と言ったよな?
ならばこれをどう見る?強くなるとは別の意味で、何か得られると思うがな。」

中に在った物、ソレは妖怪の様で妖怪で無い。
生きているようでで生きてない、一つの黒い小刀だった。

底を知らぬかのように沸き上がる妖気と共に、剣先から一滴の赤い雫が落ちる。
老人はそれを紫に手渡すように投げた。
119 : :2011/06/26(日) 23:08:03.58 ID:HVxCEyZDO
>>118
老人が厳重に閉じられた箱を開くのをワクワクした様子で眺める
時折背伸びして手元を覗き込んだり、踵を一緒にパタパタさせたりして落ち着かない

「随分と厳重だから人間でも入っているのかと思ったが、これはまた面白い玩具のようだ」

投げ渡された小刀を右手で受け取り、弄ぶようにして観察する
真っ黒な色が、極彩色の彼女の姿をその身に写した

「だが、この玩具は私の趣味ではない、私の主人ならともかくね」
「爪になる物なら既に所持しすぎて持て余すくらいだ、よっぽど私を魅了するようなギミックでもあるのならまた話は変わるだろうがね」

小刀を触れたり回したり、色々弄びながら老人に目線を向け、笑って問い掛ける

/すみません、次レス少し遅れます
120 : :2011/06/26(日) 23:09:57.66 ID:HVxCEyZDO
>>118
老人が厳重に閉じられた箱を開くのをワクワクした様子で眺める
時折背伸びして手元を覗き込んだり、踵を一緒にパタパタさせたりして落ち着かない

「随分と厳重だから人間でも入っているのかと思ったが、これはまた面白い玩具のようだ」

投げ渡された小刀を右手で受け取り、弄ぶようにして観察する
真っ黒な色が、極彩色の彼女の姿をその身に写した

「だが、この玩具は私の趣味ではない、私の主人ならともかくね」
「爪になる物なら既に所持しすぎて持て余すくらいだ、よっぽど私を魅了するようなギミックでもあるのならまた話は変わるだろうがね」

小刀を触れたり回したり、色々弄びながら老人に目線を向け、笑って問い掛ける

/すみません、次レス少し遅れます
121 :とある老人 :2011/06/26(日) 23:17:53.38 ID:+mJJKjun0
>>120
「お主には確かに合わないな。」

老人も笑って返して見せた。

「実はな、この小刀を欲しがる奴を探しているのだ。

強さを求める者、恨みを持つ者など、誰でも良いんだが。」

ではなぜ、老人はこんなにも不気味な物を渡そうとしているのだろうか?
紫から小刀を返してもらうと、再びケースへと入れた。

「ふむ、ギミックか…。作ろうと思えば作れるが…。お主、欲しいか?」

ここで出会ったのも何かの縁、老人はにこやかに尋ねてみた。
//了解です。
122 : :2011/06/26(日) 23:47:33.66 ID:HVxCEyZDO
>>121
「それならそこら辺の高校生にでも渡せばいいのではないか?最近の世間なら恨みを持たない人間の方が少ないだろう?」

確かに彼女は強さを求めたり誰かに恨みを持ったりしてはいないし、そういう風にも見えない
ただあるのは、何か別世界の存在のように感じさせる雰囲気だけ

「いや、先程も言ったように私は玩具を持て余しているのでね、これ以上自分から増やすつもりにはならないさ」
「それより君はそんなにも武器を渡したがって、何をしたいのかね?」
「私としては楽しくなるのは大歓迎だし、何か企むのは結構なんだがね」

ピンク色の髪を揺らし、金色の目をキラリと輝かせて老人を見詰めた

/ただいま帰りました
123 : :2011/06/26(日) 23:49:37.26 ID:HVxCEyZDO
>>121
「それならそこら辺の高校生にでも渡せばいいのではないか?最近の世間なら恨みを持たない人間の方が少ないだろう?」

確かに彼女は強さを求めたり誰かに恨みを持ったりしてはいないし、そういう風にも見えない
ただあるのは、何か別世界の存在のように感じさせる雰囲気だけ

「いや、先程も言ったように私は玩具を持て余しているのでね、これ以上自分から増やすつもりにはならないさ」
「それより君はそんなにも武器を渡したがって、何をしたいのかね?」
「私としては楽しくなるのは大歓迎だし、何か企むのは結構なんだがね」

ピンク色の髪を揺らし、金色の目をキラリと輝かせて老人を見詰めた

/ただいま帰りました
124 : :2011/06/26(日) 23:50:47.07 ID:HVxCEyZDO
>>121
「それならそこら辺の高校生にでも渡せばいいのではないか?最近の世間なら恨みを持たない人間の方が少ないだろう?」

確かに彼女は強さを求めたり誰かに恨みを持ったりしてはいないし、そういう風にも見えない
ただあるのは、何か別世界の存在のように感じさせる雰囲気だけ

「いや、先程も言ったように私は玩具を持て余しているのでね、これ以上自分から増やすつもりにはならないさ」
「それより君はそんなにも武器を渡したがって、何をしたいのかね?」
「私としては楽しくなるのは大歓迎だし、何か企むのは結構なんだがね」

ピンク色の髪を揺らし、金色の目をキラリと輝かせて老人を見詰めた

/ただいま帰りました
125 :とある老人 :2011/06/26(日) 23:59:59.37 ID:+mJJKjun0
>>123
「…いや、特別な感情を抱いている妖怪か人間が一番良い。

何をしたい?力を欲する物の手助けをしたい。

これが最初で最後、その使った者がどうなるのか見てみたいな。」

何処か遠い世界を見つめたように話す老人。
少し切なげそうなのは気のせいでは無い。

126 : :2011/06/27(月) 00:13:47.97 ID:r43DadBDO
>>125
「くくっ、とんだ愉快犯もいたものだ」
「力を求める物に望む力を与えその成れの果てを観測するか、それを見て満足の行く結果は果たして訪れるのかな?」

ニィ、と歪めた口で問い掛けた後、下を向いてシルクハットを抑えふるふると首を振る

「望む物が簡単に手に入ってたまる物か、と言うべき所か、生憎私は興味がないんでね」
「まあ君の望む結果が見付かればいいと思うよ、私のやる事の邪魔にならなければ、だが」

ふわりと軽く跳躍すれば、近くの塀の上に簡単に着地する

「そろそろ主人が心配する時間なのでね、一足先に失礼させてもらうとするよ」
「その男もじきに目覚める、夢魔に侵されていたとは思いもせずにな」

くつくつと喉を鳴らす笑いをしながら、塀の上を軽やかに歩いていく
127 :とある老人 :2011/06/27(月) 00:22:15.48 ID:QvWd8McDO
>>126
「お主には解るまい・・・・・・。

それに、その計画のような物が許されるような物で無ければ、邪魔はするぞ。」

再びケースを持ち、老人は見送るだろう。
128 :田中 夕「」&メリー『』 :2011/06/27(月) 21:38:47.48 ID:tUuhSBZ50
とある夕方。

人気のない公園に、走る人影がいた。

『走るんだよー!夕お兄ちゃんだよー!頑張れーだよー!!』
「わかってるって!というかいつまで乗ってるの!?」

ボサボサの黒髪で、どこにでもいそうなごく普通の顔立ちの高校生。
そしてその肩に乗ってる麦藁帽子をかぶって、白いワンピースを着た金髪の幼女。

よく見れば、幼女が田中くんに気付かれないように後ろを向き、その後ろから追い掛けてる。
日本神話に出てきそうな服を着た、屍人みたいな鬼――《黄泉軍》に包丁やナイフなどを投げて撃退してた。

そして《黄泉軍》たちが消滅したときに幼女が田中くんの頭を叩く。

『もう逃げ切れたんだよー!止まるんだよー』バキッ
「ちょっ……ぐえっ!?」
幼女が全体重を乗せるように叩いた為に、田中くんはバランスを崩し顔面から地面にキスをしこけた。

『夕お兄ちゃぁぁぁぁん!!だよー!!!』
幼女は田中くんがクッションになり無事だった。

………今日も彼は不幸だった。
129 :露希「」&白龍『』 :2011/06/27(月) 21:44:22.09 ID:oAN5ulUS0
>>128
「白龍〜」もふっ
『……楽しい?』

空中散歩を楽しんでいる一匹の龍と一人の少女。
なんか下が騒がしいと思ってみてみれば不幸な方が…。

「た、田中君?どうしたの?あっ、メリーちゃんも♪」

メリーを抱きかかえ、尋ねてみた。
130 : :2011/06/27(月) 21:50:00.60 ID:vp0f9zTAO
>>128
「妖気を感じてやってきてみれば…夕、さっきの奴らはなんだ?それにその子は?」

複数の見知らぬ妖気を感じ、不審に思った瞳、急いで家を飛び出したようだ。
しかし、駆けつけた時にはその妖気の持ち主は消えていた。
131 :東雲 犬御 :2011/06/27(月) 21:55:02.49 ID:qSZ646r7o
>>128
メリーに押し潰された夕が地面に顔をふせている公園に、一人の大男が通り掛かった。
丁度黄泉軍が消滅した後で、一見では状況がさっぱり分からない。
だが、幼女にクッションにされた少年に見覚えがあることが分かると、
東雲はそちらの方へ一歩踏み出した。

「この間のガキか」

叫びを上げるメリーと、地面に倒れた夕たちに近付きながら、
東雲はニィと片牙を見せて、凶悪そうな顔で笑った。

「面白ェ漫才やってんな」

>>129-130
「あァ? 着物女と、ガキじゃねェか」

公園の中に入ってみると、他にも人影がある。
132 :田中 夕「」&メリー『』 :2011/06/27(月) 22:12:56.98 ID:TdK1kOqm0
>>129

『こんにちはー!なんだよー!露希お姉ちゃんだよー!!』
露希に抱き抱えられながらメリーは天使みたいな笑顔で挨拶する。

「こんにちは……いや……なんか…狙われてまして…グフッ」
おお!田中よ!死んでしまうとは情けない(生きてます)

>>130

「あ…こんにちは」
ちょっと(?)ダメージ受けながら地面に転がってる田中くん。


『こんにちはー!メリーだよー!!』ニパーッ
「あの子はうちであずかってる子でメリーっていうんです。
…っでさっき追い掛けてたのは《八握剣》狙ってる《人》たちです」
田中よ…アレは人ではなく妖怪である。

ついでに田中くんはメリーも人だと思ってる。

>>131

「こんにちは。
ハハハ…漫才ではないんですけど…」

こんな状況でも普通に挨拶する田中くん。
パンパンと埃を払いながら立ち上がり、いつもの笑顔である。

…ちょっと不幸オーラが見えるのは気のせいだ。

『こんにちはだよー
なんか夕お兄ちゃんみたいなオーラがするんだよー』
そんな事を言いながら幼女が純粋な瞳でそちらを見てる。
133 :露希「」&白龍『』 :2011/06/27(月) 22:18:11.00 ID:oAN5ulUS0
>>130
「瞳!こっちこっち!!」

メリーを抱きかかえたまま、手を振った。
先程までの妖気を心配して来たのかなぁ、と考えていた。

>>131
「犬御君…。」

まぁ、確かにガキなのだが、率直に言われると少し落ち込む。
白龍は翼をぱさぁっと犬御に見せた。

『犬御様の御陰で、あの時は助かりました。ありがとうございます!』

すっかり治って、前の面影は無くなっていた。
これも犬御と黒蔵のお陰なのだ。

>>132
「メリーちゃん萌え〜♪優しく〜愛でよう〜♪って田中君!!

あ、そうだ。剣のレプリカが完成したんだけど…。」

なんか変な歌を歌い始めた…。そしてメリーちゃんを撫で始める。
そんなことをしながら、腰にある一つのレプリカを差し出した。
134 : :2011/06/27(月) 22:25:49.22 ID:vp0f9zTAO
>>131
「ああ、犬御か。なあ、今の奴ら見てたか?」

瞳は、黄泉軍たちをしっかり見ていなかったため、詳細を見ていないか尋ねる。
瞳には、夕を狙っているように見えたようだが…?


>>132
「こんにちは。私は瞳だ。」

優しい口調でメリーに話しかける。

(この子はいったい…?いや、それよりも…)

「やはり夕を…しかし、八握剣…ということは、何かわかったのか?」

夕に視線を移し話す。あえて、“人”には突っ込まない。他に気になることがあったからだ。
十種神宝の事について進展があったのかと、真剣な表情で尋ねる。


>>133
「露希も来たのか?なあ、露希はさっきの奴らどう思う?」

犬御の時と同様に尋ねる。
135 :東雲 犬御 :2011/06/27(月) 22:37:50.22 ID:qSZ646r7o
>>132
「はァ?」

言葉の意味が分からず、東雲は顔を顰める。
メリーの純粋な視線を向けられ、居心地悪そうに顔を背けると、少しふらりとした。
慌てて一歩踏み出し、倒れるのを防ぐ。

苦々しい顔をした東雲の脳裏に浮かぶのは、にこにこした小鳥遊医師の顔だった。
いつもどこか怪我して出勤する東雲に「お仕置きっすよ」などといって、
今朝妙な薬を打ったのだ。

(あンの腹黒クソ医者がァ……)

心中で舌打ちし、ちらりとメリーを見遣る。
子供は苦手だった。視線を夕に戻し、「妹か?」と尋ねた。

>>133
「ハッ、何の事だ? 覚えてねーな」

そう言うなり、東雲はつい、とそっぽを向いてしまう。
落ち込んだ露希にもフォローなし。
相変わらずのひねくりっぷりである。

>>134
「今の奴ら?」

東雲も黄泉軍が消滅した後公園に来たため、その存在を見ていない。
気付いていたら助太刀に入っただろう。……多分。

「何かいたのか」
136 :田中 夕「」&メリー『』 :2011/06/27(月) 22:46:36.80 ID:FAU+3Moa0
>>133>>134>>135

『わふー♪だよー♪』
『瞳お姉ちゃんだよー!よろしくだよー』
露希に撫でられて嬉しそうにする幼女。

『どうしたんだよー?』
不思議そうな視線で、東雲を見ている。そりゃあもう純粋な瞳で。

「あ!ありがt…うおっ!」
レプリカが出された瞬間、それに呼応するかのように田中くんの右手の甲に《丸い円に八つの棒が生えてる模様》が浮かび上がった。

「実は…《八握剣》が見つかったんです。さっき追い掛けられてたのも、それが理由です」

もし、犬御がアリサから《十種神宝》について知ったときに調べてたらわかるだろう。
《八握剣》は《十種神宝》の一つだと。

「いえ、あずかってる子供ですよ?」
アハハっと笑いながら犬御に言う。

ついでにメリーから妖気が出てるのはわかるだろう。
137 :田中 夕「」&メリー『』 :2011/06/27(月) 22:48:37.16 ID:65l/am8z0
>>133>>134>>135

『わふー♪だよー♪』
『瞳お姉ちゃんだよー!よろしくだよー』
露希に撫でられて嬉しそうにする幼女。

『どうしたんだよー?』
不思議そうな視線で、東雲を見ている。そりゃあもう純粋な瞳で。

「あ!ありがt…うおっ!」
レプリカが出された瞬間、それに呼応するかのように田中くんの右手の甲に《丸い円に八つの棒が生えてる模様》が浮かび上がった。

「実は…《八握剣》が見つかったんです。さっき追い掛けられてたのも、それが理由です」

もし、犬御がアリサから《十種神宝》について知ったときに調べてたらわかるだろう。
《八握剣》は《十種神宝》の一つだと。

「いえ、あずかってる子供ですよ?」
アハハっと笑いながら犬御に言う。

ついでにメリーから妖気が出てるのはわかるだろう。
138 :露希「」&白龍『』 :2011/06/27(月) 22:59:29.39 ID:oAN5ulUS0
>>134
「変な妖気は感じてたけど、来た時はいなくなってたよ。

……まぁ田中君を狙う奴らはこらしめちゃえばいいんじゃないかな?

ボクと瞳が居れば問題ないしね。」

左程強大な妖気でも無かったので意外とのんびりしてる。
ただ、やる時はやるはずだ。

>>135
「まぁ、そんなことよりさ、最近どう?
犬御君と会ったのも久しぶりだしさ、七生ちゃん達は元気?」

とりあえずガキ扱いのことは置いといて、話を少し逸らす。
袂山のことはとっても気になるのだ。

>>137
『可愛いね、メリーちゃん。私も抱いていいですか?』

露希が話す間、メリーは白龍にもふもふされるはず。

「なるほどね…田中君が持ってたのか……。
注意事項を話すね。そのレプリカ、本物を所有する者のみに力を発揮するんだ。
だから、田中君が使えば完璧なレプリカとして使える。
だから、身の危険な時はそれを使うと良いよ。」
139 : :2011/06/27(月) 23:14:35.16 ID:vp0f9zTAO
>>135
「ああ、鬼のような奴らがいたんだ。まぁ、そんなに強い奴ではなさそうだったんだが…」

不可解な敵の存在を疑問に思いつつ言った。


>>136
「見つかったのか!?…その手の模様…手の中にあるのか?あの時のは見間違えじゃなかったのか…」

驚きつつ、手の模様をまじまじと見る。そして、あの時手の模様の事を言うべきだったかと少し後悔した。

「しかし、何故奴らは八握剣を…?取り返そうとしているのだろうか?」

もしそうなら、どうするべきだろうと考えながら話す。


>>138
「ああ、そうだな。
と、言いたいところだが今回はメリーが夕を守ってくれたみたいだな。あの程度の奴らなら、メリーが居れば平気そうだ。
だが、更に強い奴が現れたら私たちの出番だな。」

瞳のやる気は十分。本当に夕を救おうと思っている。
140 : :2011/06/27(月) 23:15:16.96 ID:vp0f9zTAO
>>135
「ああ、鬼のような奴らがいたんだ。まぁ、そんなに強い奴ではなさそうだったんだが…」

不可解な敵の存在を疑問に思いつつ言った。


>>136
「見つかったのか!?…その手の模様…手の中にあるのか?あの時のは見間違えじゃなかったのか…」

驚きつつ、手の模様をまじまじと見る。そして、あの時手の模様の事を言うべきだったかと少し後悔した。

「しかし、何故奴らは八握剣を…?取り返そうとしているのだろうか?」

もしそうなら、どうするべきだろうと考えながら話す。


>>138
「ああ、そうだな。
と、言いたいところだが今回はメリーが夕を守ってくれたみたいだな。あの程度の奴らなら、メリーが居れば平気そうだ。
だが、更に強い奴が現れたら私たちの出番だな。」

瞳のやる気は十分。本当に夕を救おうと思っている。
141 : :2011/06/27(月) 23:16:41.22 ID:vp0f9zTAO
>>135
「ああ、鬼のような奴らがいたんだ。まぁ、そんなに強い奴ではなさそうだったんだが…」

不可解な敵の存在を疑問に思いつつ言った。


>>136
「見つかったのか!?…その手の模様…手の中にあるのか?あの時のは見間違えじゃなかったのか…」

驚きつつ、手の模様をまじまじと見る。そして、あの時手の模様の事を言うべきだったかと少し後悔した。

「しかし、何故奴らは八握剣を…?取り返そうとしているのだろうか?」

もしそうなら、どうするべきだろうと考えながら話す。


>>138
「ああ、そうだな。
と、言いたいところだが今回はメリーが夕を守ってくれたみたいだな。あの程度の奴らなら、メリーが居れば平気そうだ。
だが、更に強い奴が現れたら私たちの出番だな。」

瞳のやる気は十分。本当に夕を救おうと思っている。
142 :東雲 犬御 :2011/06/27(月) 23:25:28.99 ID:qSZ646r7o
>>136
「……」

メリーから必死に視線を外しながらも、東雲は幼女から妖気を感じ取った。
「そういうことか」と心中頷く。
考えてみれば、そもそも外見が違いすぎる。
人間の常識的に見て、二人が兄妹の可能性は限りなく低い。

「八握剣? ……あァ、あの女が探してたモンの一つか」

十種神宝について知った時一度、袂山の古株である銀狐に尋ねたのだ。
どこかで聞いた事のある名称だった、とそれを思い出す。

「テメェが持ってんだな?」

東雲は、なぜだが咎めるような視線を夕に送る。

>>138
「変わらねーよ。アイツらもな」

東雲は依然病院で扱き使われては、喧嘩して怪我を負っている。
四十萬陀も、多少浮かれ気味ではあるが、いつも通り元気だ。

そして二人の関係もいつも通り、進展はない所か後退する一方だった。
そのせいで、東雲は最近やさぐれ気味である。
彼の表情にも、それが如実に表れていた。

(ッたく)

余談であるが、織理陽狐も毎日、神社で願いを叶える日々を送っている。
神社にも参拝客が増えているようだ。

>>141
「八握剣を狙ったやつらってワケか」

東雲はぽつりと呟くと、険しい顔を夕に向ける。
143 :田中 夕「」&メリー『』 :2011/06/27(月) 23:41:30.88 ID:vq88naFH0
>>138>>139>>140

『いいよー!だよー』ニパッー
『アレらはメリーがやっつけといたんだよー』フンス『…って気付かれてたんだよー!?』ガビーン
『こっち見てよー…だよー』ショボーン

まばゆい程の幼女スマイルをしながら白龍に抱かれる。
そして白龍に聞こえるように自慢げに言う。
が、瞳に指摘されガビーンって顔をする。
更に目を背ける東雲に落ち込む。
本当に表情豊かだ…

「って、メリーが追い払ったの!?俺メリーがいるから逃げたのに…」
あっ…田中くん軽く落ち込んでる。

「ありがとうございます」
レプリカを露希から受け取る。

「……はい
お兄さんにも話しますけど、どうやら…右腕が《八握剣》と一体化したみたいです」
「………彼女に呪いをかけた奴もわかりましたし」
一瞬……田中くんとは思えない程の怒りの表情が見えたが、すぐに元の優しそうな表情に戻る。

「実は…《怨霊》って奴に襲われたんです。ソイツが言うには、4年前に《八握剣》を抜いた時にソイツの一部が解放されたらしく…
あの事故は…ソイツの仕業らしいんです…彼女が目覚めないのは《呪い》をかけたから…
4年前は《八握剣》が気絶してる俺を使って、追い返したらしくって……
今の俺はまだ使いこなせてないって…熊やライオンを仕留めた事ある自慢の拳もダメでした…」
ギリッと悔しそうに歯をかみしめる。

「今回は……気絶してる所を零と黒龍って方たちに助けられました…」
「その人達が言うには…俺は《七罪者》って連中に狙われてるみたいです
《怨霊》もソイツらの一人みたいです…
なんでも《十種神宝》を狙ってるみたいで…」

東雲は知ってるだろう…アリサも七罪者の一人だ。

「……言っておきますけど、俺も戦いますよ?」
そう言いながら近くの木におもいっきり《左手》で突きの形で殴りつける。
木は大きく揺れ、倒れた…

「これでも昔から鍛えてるから…守られるだけは嫌なんです。
力が弱いとか、何も知らないとかの理由だけで他の人に任せ…自分だけ守られるのは……嫌なんです!!!!」
《漢》の目をしながら真剣な表情で見る。
144 :露希「」&白龍『』 :2011/06/27(月) 23:49:47.45 ID:oAN5ulUS0
>>141
「でも瞳も無理しちゃだめだよ?

限度を知ってながら頑張りすぎるって言うのも良くないからね。

…でも瞳は大丈夫だねッ♪さて、メリーちゃん〜、お菓子あげるよ〜。」

露希も助ける気ではいる。
しかし、田中以上になぜか瞳の方を心配してしまう。
それはどんな時でも…。

>>142
「良かった。ボクも袂山に挨拶しに行かなきゃぁ。

(犬御君の表情的に…黒蔵君が勝ってるんだな…!なるほどね…。)」

分かりやすい表情だったので直ぐに察した。
三角関係に首を突っ込む訳には行かないので、とりあえず心の中で応援だけしておく。

>>143
『メリーちゃん、凄く強いんですね。
私もメリーちゃんを見習わなきゃなぁ。』もふもふ〜。

「田中君…」

メリーと仲良く会話する白龍と、田中の真剣な表情に力を貸そうと思った露希。
しかし、話は思わぬ展開に。

「零が助けた?!」
『あのシスコn…いえ、黒龍が夕様を?』

「…あのね、田中君…。零ってボクの兄でね、黒龍は白龍のお兄さん……。」

145 :セツコ中 :2011/06/27(月) 23:50:22.44 ID:QyYLl1iC0
>>143訂正

>>140ではなく>>142です
146 : :2011/06/28(火) 00:02:34.47 ID:Fnl19MAAO
>>142
「ああ、そのようだ。やはり、夕のためにも八握剣を夕の手から離す方法を考えるべきだろうか?」

メリーや、瞳達がいようとも、人間である夕が狙われるのは危険なこと。
そう思い、引き離すということを思いつく。


>>143
「そうか…やはり、夕の腕に…
怨霊?いったい何者なんだ…?」

思っていた以上にヤバそうな奴が相手だと思い、瞳に緊張が走る。

「零に会ったのか…七罪者…十種神宝を手に入れて何をするつもりなんだ?」

瞳にはわからないことが多い。ただ、敵は予想以上に危険なことはわかったのだった。

「夕…あなた、強かったんだな。」

瞳が言っているのは、力のことだけではない。心もだ。

「そんなに真剣に言われちゃ止められっこない。ただ、無茶はしないようにな。」


>>144
「大丈夫だよ。私には、露希や支えてくれるみんながいる。」

そう、瞳には支えてくれる者がたくさんいる。そうやすやすと負けないだろう。
147 :東雲 犬御 :2011/06/28(火) 00:24:54.67 ID:mRd9GB7SO
>>143
落ち込むメリーを無視して、夕の目の前に立つ。
見下ろしながら、赤い眼が厳しく少年を睨み付ける。
夕のそれと近しい、真剣な表情で。

「ハッ、分かってんじゃねーか。だが……それじゃまだ足りねェな。
 お前は分かってねェ。熊なんざ倒せても意味なんてねーんだ。お前ら人間と俺らは違う」

それは精神的な意味ではない。
違う世界から来たもの。死から蘇りしもの。
例え人間と同じ考えを持てたとしても、根本的な存在の違いは変えられはしないのだから。

「守られるのはテメーが弱いからだ。強い奴は守られねェ。強さは強さでねじ伏せるしかねェ。そうだろ。
 「強さ」っつーのは危険なものだ。振りかざせば簡単に大切な何かを奪える。自分が弱けれりゃ奪われる」

過去に奪い、そして奪った東雲の、強い言葉。

「奪われたくねーなら、腹ァ決めて強くなれ。ま、そんなこたァ分かってるだろうけどな。
 ……八握剣を持ってるテメーは、どちらにも転がりうる存在だ。それを忘れるな」

>>144
「好きにしろ」

四十萬陀たちも、露希たちに会いたがっているだろう。
袂山に来れば、他の送り妖怪からも歓迎を受けるはずだ。
……彼を除いては。

>>146
「その方法に心当たりがあるなら勝手に調べりゃいい」

ただの人間がそんなものを持つことは、東雲にしてみても賛同できることではない。
離せるなら離したほうがいいだろう。
……だが、夕にも何かしらの因縁があるようだし、一概にどうとは言えない。

東雲は瞳たちを見ながら、独り言のようにつぶやく。

「テメェらは本当に甘ェな……」
148 :田中 夕「」&メリー『』 :2011/06/28(火) 00:47:30.52 ID:aR5xheE50
>>144

『そんな事ないんだよ……メリーは《失敗作》だし……』
落ち込むようにそう言う…
青行燈に造られ、田中くんにより阻止された、《噂のなりそこない》である彼女は少し顔を背けた。


「………はい?
うちの姉さんに女装されてた黒龍が白龍のお兄さんで……恐ろしい料理を作った零は露希のお兄さん?」ポカーン&ブルブル

「………って事は零は妖怪で……白龍は喋る蜥蜴だったの?」
白龍を見ながら、実は喋る蜥蜴なんだ…って顔をしながら白龍を見る。
実は白龍を人間と思ってた田中くんだった。

…田中くんよ。この中で人間は君だけだ。


>>146

「わからない…けど、アイツは《背中から黒い腕》を生やしてたし…俺の攻撃も効いてなかった…」

「俺は《普通》ですよ…ただ鍛えてるだけの…けど、守られるのは嫌なんです」
真剣に瞳を見つめる。

「ありがとうございます!
わかりました…無茶はしません」
深く頭を下げる。

「あと《八握剣》はこのままで大丈夫です……これは俺がやるべき事だと思うんです…」

>>147

「………よくわからないけど…俺は同じだと思うけどな…」
苦笑いしながら彼は首を傾げる。
ついでに東雲を人間だと思ってる。

「確かに俺は《普通に弱い》です。
俺が弱かったから……《彼女》を守れなかった…」
彼の言葉が胸に響く…そう、守れなかった……

「………わかりました。
アドバイス……ありがとうございます!!!」
自分の持つ右手の存在の危険さを再認識し
夕は自分を心配してくれた(と思ってる)東雲に深く感謝をする。
149 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 00:56:22.58 ID:yKHmHk2DO
>>146
「そうだよね、まずは田中君の心配しなくちゃね。」

「でも七罪者って一体・・・」

零の左手に深い傷を負わせ、黒龍の意識が戻らない程のことをしたのは七罪者なのか。

露希には全く分からない。
>>147
「ありがとう、犬御君!
袂山には何を持ってこうかな〜?可愛い子はいないかな〜?」

完全に脳内妄想し始めた!とりあえずスルー奨励。

>>148
『蜥蜴ではなく、ドラゴンです。』
「うん、そうなんだよ・・・。しかも、料理食べたんだorz」
なんか変なことを聞いてしまったと軽く後悔していた。

>>ALL
「じゃあ、そろそろボクたち戻らなきゃ。また会おうね!!」

白龍に乗ると、手を振って飛び去った。

//すいません、寝落ちしそうなのでここで落ちます。絡みありがとうございました!
150 : :2011/06/28(火) 01:03:48.52 ID:Fnl19MAAO
>>147
「ああ、とにかく八握剣…いや、十種神宝のことをもう少し調べてみる。」

自分のやることを整理するように言った。
しかし、やはり図書館で調べるのにも限界が…


>>148
「背中から…うーん、やはり妖怪だよな。調べてみるよ。」

調査も対策も大切。何かわかればいいのだが…

「いいや、あなたは強いよ。絶対にもっと強くなれる。」

その心は、瞳よりもずっと強いかもしれない。

「そうか、夕のやるべきことか…そうだな。」

納得してくれたようだ。


>>149
「やはり、七罪者は気になるよな。零はなにか掴んだのだろうか?」

気になることは、まだまだある。
だが、とりあえずは親友にあいさつをすることにした。

「じゃあな。露希。」
151 :東雲 犬御 [sage]:2011/06/28(火) 01:14:37.89 ID:mRd9GB7SO
>>148-150
「いずれ嫌でも違いが分かる。テメェがそれを持ってる限りな」

共存だとか考えの違いだとかは、東雲にとってはどうでもいい。
実際自分が妖怪として、人間の中に馴染みつつあるのも事実だ。
だけれど、できるできないの問題ではない。
人の中で生きるほど、やはり人間と妖怪は違うのだと東雲は感じざるを得なかった。

人間は脆く、弱い。

自分は普通だと彼は言う。
だからこそ、八握剣を持つためには、理解(しら)らなければならないことがたくさんある。

「……オイ、お前、今度俺と戦え」

東雲はそう言うと、夕の頭に手を置いた。
ぐしゃりと黒髪が潰れる。
満足したのかすぐその手は離され、
さよならも言わず、東雲は去っていった。
152 :田中夕「」&メリー『』 :2011/06/28(火) 01:26:11.26 ID:+nVKafOO0
>>149

「七罪者がなんなのか俺もわかりません…」
「え?ドラゴンだったんですか!?蜥蜴じゃなかったのか…
あ…はい……クッキーとお粥を…」((((;゚Д゚))))
「またね!露希!白龍!!」
『バイバイだよー』
田中くんとメリーは手をふり見送った。


>>150

「…けど、アイツと戦ってた時…アイツ一人の筈なのに複数と戦ってるように感じたんですが」
そう言うが…果たしてそれはヒントになるのか?

「瞳……ありがとうございます」
彼は深く頭を下げ、御礼を言った。


>>151

「わっ!?……はい!!」
髪をぐしゃりと潰され、驚くも、戦えという言葉に緊張したように言う。

「あ…また会いましょう!」
彼は去り行く東雲の姿に手をふった


>>150

「それじゃあ、俺たちも行きます…
瞳…貴女も無茶はしないでください」
真剣に心配するように瞳を見つめる。

「それじゃあ、またね!瞳!」
『バイバイだよー!!』
二人は手をふり去っていった。

/皆さんお疲れ様でしたー
/ありがとうございます
153 : :2011/06/28(火) 01:33:28.50 ID:Fnl19MAAO
>>151
「……」

犬御の言葉には、何も言わなかった。いや、言えなかったのかもしれない。
犬御も夕もやはり心配だ。だが、今は無言で見送るしかなかった。


>>152
「一人なのに複数…?うーん…
礼を言われるほどのことはしてないよ。私はただ、あなたに大切な人を失って欲しくないだけだ。」

「ああ、無茶はしないよ。心配するな。
それじゃあな。」

優しく微笑み、二人を見送った。


/乙でしたー、絡みありがとうございました。
154 :黒蔵 [sage]:2011/06/28(火) 21:56:33.66 ID:X9S6vWz9o
コンビニから、黒いズボンとシャツの黒蔵が出てきた。
喫茶店からお使いに出たついでの道草である。

(食べ物を扱う店に住み込んでて、何かを食べる機会が無いってどういうこと)

穂産姉妹に会ってから、成長するためにまずちゃんと食事を取る
という気になった巴津火が、最近食事を残さなくなっている。
それはつまり、黒蔵の食事の機会がない、ということでもある。

(なんか久しぶりに俺が食べ物を口にしたな…)

こういう買い食いレベルの食べ物だと巴津火の口には合わないのか、
邪魔されずに黒蔵が食事できるのだ。

(けど、あんま腹が減ってないってのもな…)

かじり掛けのタラコおにぎりを片手に、黒蔵は溜息をついた。
155 :露希 :2011/06/28(火) 22:03:13.25 ID:yKHmHk2DO
>>154
「コンビニなんて珍しいね、黒蔵君♪」

白い制服姿の少女が不意に後ろから抱き着くだろう。
実は彼女もコンビニで買い食いしていたところだった。
そこへ黒蔵が現れたのだ。なんとも不幸な方である。
156 :黒蔵 [sage]:2011/06/28(火) 22:09:31.92 ID:X9S6vWz9o
>>155
「あふっ!?」

もう一口、とおにぎりを咥えたところで後ろから露希に抱きつかれた。

「え?その声は露希?ちょっ!!こんな所で!」

一瞬の驚きの後、黒蔵の顔が真っ赤になった。
背後の露希からは赤くなった耳の先が見えるだろう。

(こんな人目の多い場所で抱きつくとか……露希はいつも大胆すぎる)

「あの、そろそろ離して…っ!ねっ?」
157 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 22:20:42.79 ID:yKHmHk2DO
>>156
赤くなる彼に気を使わず、嫌な笑みを零す。

「離す?ショタがいるのに離すなんてそんなことはできn『露希、黒蔵君を離そうね。』」

紙パック式紅茶を片手に、店内から白い女性が現れた。

注意された露希は渋々離れたようだ。

『ごめんね、露希っていつもこんなんだから。』
158 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 22:21:23.87 ID:yKHmHk2DO
>>156
赤くなる彼に気を使わず、嫌な笑みを零す。

「離す?ショタがいるのに離すなんてそんなことはできn『露希、黒蔵君を離そうね。』」

紙パック式紅茶を片手に、店内から白い女性が現れた。

注意された露希は渋々離れたようだ。

『ごめんね、露希っていつもこんなんだから。』
159 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 22:22:31.44 ID:yKHmHk2DO
>>156
赤くなる彼に気を使わず、嫌な笑みを零す。

「離す?ショタがいるのに離すなんてそんなことはできn『露希、黒蔵君を離そうね。』」

紙パック式紅茶を片手に、店内から白い女性が現れた。

注意された露希は渋々離れたようだ。

『ごめんね、露希っていつもこんなんだから。』
160 :黒蔵 [sage]:2011/06/28(火) 22:30:02.92 ID:X9S6vWz9o
>>157
「うん、露希がこうなのは知ってる。元気なのは嬉しいことだけどね。
 あと白龍、助かったよありがとう…」

あの事件の後で、氷亜も露希も元気なのは良いことだ。
でも、危うくおにぎりを落っことすところだった、と黒蔵はほっと息をつく。

「最近、巴津火が全部自分で食べて、俺には食事させてくれなくてさ。
 だから今日は用事で出たついでの買い食い…。腹は減ってないんだけどね」

久しぶりの食事のはずなのに、空腹でもないし買い食いレベルではどうにも味気ないのだ。
161 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 22:43:27.14 ID:yKHmHk2DO
>>160
『どういたしまして。』

ちゅうちゅう吸いながら、黒蔵の話を真剣に聞く白龍。
・・・と、によによと微笑む露希。狙われてます、黒蔵君!

『・・・食べ物か。零の料理なら、巴津火君も食べられないと思いますよ。』

「それを黒蔵君が食べ続ければ巴津火君が出て来なくなるかもね。」
162 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 22:46:25.46 ID:yKHmHk2DO
>>160
『どういたしまして。』

ちゅうちゅう吸いながら、黒蔵の話を真剣に聞く白龍。
・・・と、によによと微笑む露希。狙われてます、黒蔵君!

『・・・食べ物か。零の料理なら、巴津火君も食べられないと思いますよ。』

「それを黒蔵君が食べ続ければ巴津火君が出て来なくなるかもね。」
163 :黒蔵 [sage]:2011/06/28(火) 22:50:52.14 ID:X9S6vWz9o
>>161
「零の…」

ぎくり、と黒蔵が強張った。

「二人とも、巴津火も俺も出てこられなくなる、っていう可能性のほうは考えないんだね?」

というか白龍もそっち方面だったのかー!と裏切られた気分になる黒蔵。
まあ、黒龍があっち方面だったから白龍もきっと普通じゃないんだろうな。

「あの…ところで、今皆は変わりない?」

何とか話題を変えようと黒蔵は頑張った。でも多分話題はまた戻されそうだけど。
164 :ペトラ :2011/06/28(火) 23:01:51.61 ID:zTqAYmvqo
きぃー…こー...きぃー…こー…
夜の公園、”人”ひとり居ない此処に、ブランコの揺れる音が響いていた
乗っていたのは、まだ幼い少年。差し詰め小学校高学年程度の年齢だろうか、顔つきもあどけない
何故か迷彩柄のつなぎを着、持て余し気味の袖からは確りとブランコを握る小さな指が覗いていた

「…お腹空いた…。」

下向きな視線と共に呟かれた言葉は、宛らダダを捏ねる子供の様に
心細さを感じながらもひとり、ブランコを漕ぐ小さな音を当たりにこだまさせながら、少年はそこにいた
165 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 23:02:56.24 ID:yKHmHk2DO
>>163
『黒蔵君、てっきり平気なのかと・・・・・・』

うん、こいつらは普通じゃない。変なところで本性がでるのだ。

「変わってないよ、瞳も田中君も、皆。ただ・・・」

言葉を躊躇してしまう。言うべきなのか、零たちのことを。

悩んだあげく、「零と黒龍が少し変わったくらいかな?」と余り心配させぬよう言う。
166 :露希「」&白龍『』 :2011/06/28(火) 23:05:02.29 ID:yKHmHk2DO
>>163
『黒蔵君、てっきり平気なのかと・・・・・・』

うん、こいつらは普通じゃない。変なところで本性がでるのだ。

「変わってないよ、瞳も田中君も、皆。ただ・・・」

言葉を躊躇してしまう。言うべきなのか、零たちのことを。

悩んだあげく、「零と黒龍が少し変わったくらいかな?」と余り心配させぬよう言う。
167 :ペトラ :2011/06/29(水) 23:24:56.26 ID:9oovXqDXo
寂れた通りの寂れた公園、日中でさえ人が居るかどうか怪しい、そんな処に

「うーん…」

不満げな声を漏らす、動物が一頭
茶色い毛並みをしたそれは、バクと呼ばれる種族に酷似していた
唯違うのは、その動物の鼻先から淡いピンク色の風船が膨らんできているということだ
サイズは水晶玉くらい、次第に膨らんでいきそして…『パ ン !』
軈て辺りに大きな破裂音を残して、風船は消えてしまった

「あー…やっぱりだめだー…」

破裂音の余韻を遮って聞こえるしょぼくれたような幼い声は、バクから発せられていた
168 :六貨 [saga]:2011/06/29(水) 23:34:07.95 ID:Fw8KQv0Qo
>>167
「………何だ、あれ」

スーツを着た青年が、おもむろに公園内を通りかかる。
一応は妖怪だが、パチンコ屋の景品を詰め込んだ紙袋を抱えている様子からは、全くオーラを感じない。
大勝しているのだろうが、嬉しそうでもない。

「えっと、保健所に通報した方がいいのかな?」

と、その動物に近寄りながら。
169 :ペトラ :2011/06/29(水) 23:41:30.03 ID:9oovXqDXo
>>168
「...ッ!」

ふと聞こえた声に視線を向けてみれば、紙袋を抱えた成年の姿が
未だ若いこの獏には妖怪かどうかなんて見分けも付かず、明らかに動揺していた。

「こ...ここなら見つからないと思ったのにぃ...っ」

近寄る青年から遠ざかる事もせずにその場にへたり込むと、バクの瞳は青年の顔を見上げて
泣き出しそうな声をあげた。その瞬間、もうもうと煙がバクの周囲に立ち籠める
....ほどなくしてそれが晴れた時、其処には少年の姿
何故か迷彩のつなぎを着て、裸足。加えて髪は灰色、涙の溜まった鳶色の瞳は上目遣いに青年を見上げていた
170 :六貨 [saga]:2011/06/29(水) 23:49:57.83 ID:Fw8KQv0Qo
>>169
「喋っ……」

喋った、と驚く間もなく、煙と共に変化する動物。
動物ではない、と気付いたのも束の間。

「えー……。これってどういう状況?動物が人間になった?それとも、動物に化けてた?あれ?すると人間じゃない?」

動揺しながらも思考をめぐらせてみる。
動物が喋り、変な煙を出しながら人間になり……。
妖気を探る事もしないまま、考え込む。
171 :ペトラ :2011/06/29(水) 23:54:32.48 ID:9oovXqDXo
>>170
「....僕は、あやかしだよ...っ」

混乱した様子の青年に、そのままの状態で声を掛ける。
突然こんな事があれば無理もないだろう、少年もまた相手が妖怪だとは思っておらず
どうせ信じてもらえないだろうな、などと思いつつの告白であった。

過去に厭な思い出があったのかもしれない、少年の瞳には紛れも無く恐怖が写っていた
これからどうされるのだろうか―――と、憂鬱に思いながらも、その場から動く事が出来ず
172 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 00:05:58.63 ID:5H/pkpMIo
>>171
「……あ、そうなんだ」

呆気も無く、その答えを受け取る。
疑いもせず、むしろ合点がいった、というような面持ちだ。

「身構えないでいいよ、僕も妖怪だからさ。お仲間だよ」

一般人が見ていれば、正気を疑うようなやり取り。
言葉と共に紙袋の中をごそごそと探り、小さな紙箱入りのキャラメルを差し出す。
173 :ペトラ :2011/06/30(木) 00:47:33.23 ID:cJwU8Z8lo
>>172

「ほ、ほんとっ!?」
予想以上に青年の反応は薄く、寧ろ納得がいったようでさえあった
加えてその口から出た一言―――喜びに表情綻ばせながら、聞き返した
そして答えが返ってくるよりも速く、差し出されたキャラメルを受け取り舐め始める

「おいしい…おいしいや」

しみじみとその味を確かめ、心底嬉しそうにそう呟いた
まさか相手も妖怪だとは思っておらず、喜びも大きかった

「ありがとね、お兄ちゃんっ」

同じ格好のままそう、呟いた

/すみません...すみません!
174 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 01:01:47.54 ID:5H/pkpMIo
>>173
「いやいや、余ったメダルで交換したものだし……礼には及ばないよ」

またしても、ギャンブル帰りらしい。
麻雀をやればヘコまされ、競馬をやれば人と馬の底力をナメて負ける。
しかし、パチスロだけはプロ級である。

「…ところで、君は何の妖怪?さっきの姿は、何かで見たような気がするんだけど」

紙袋を片手で持ち、頭に手を当てて考え込む。
もしかすると祖父に聞かされた話かもしれないが、出てこないようだ。

/いえいえー
175 :ペトラ :2011/06/30(木) 01:17:16.04 ID:cJwU8Z8lo
>>174
「そっかぁ....メダル?」

一応相槌を打ったもののメダルと言う言葉の真意が判然とせず、
少年は疑問符を浮かべながら、僅かに首を傾げた

「んしょ....と..えっとね、僕はね、獏の妖怪なんだっ」

手に持っていたキャラメルを食べ終わると、手をぱんぱんと叩いて立上がった
それでもやはり、見下ろされる形なのは変わらず―――少年は、快活な声で質問に答えた

「じゃあじゃあ、お兄さんは、何の妖怪なの...?」

そして今度は自分の番、とでも言う風に
瞳一杯に好奇心を湛えながら、尋ねるのであった

/感謝...ッ
176 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 01:29:34.37 ID:5H/pkpMIo
>>175
「……あ、いや……気にしないでね、うん。良い子は知らなくていい事だから」
うっかり口を滑らした事に反省し、慌てながら取り繕う。
説明してもいいが、確実に教育によくない。

「バク?……あー、爺さんから聞いた事があるよ。確か、大陸から来た連中だ、とか言ってたかな」

と、スーツが汚れるのも気にせず、その場にどっかりと腰掛ける。
どうも、見下ろして話す事に差し障りがあると感じたようだ。

「僕は……銭神。まぁ、お金の精霊ってとこかなぁ」

にしては、安っぽいスーツに、冴えなさそうな見た目だ。
177 :ペトラ :2011/06/30(木) 01:40:01.71 ID:cJwU8Z8lo
>>176
「うー…分かった。...。」
はぐらかす様な青年の科白に、納得がいかない様子で
未だ気になってはいたものの、しぶしぶ了承して、これ以上考えない事にした

「最近はちょっと、数も減っちゃったんだけどね」

えへへ、と笑いながら、自然な風を取り繕って少年は答えた
その実笑顔の裏では何処か、寂しさに似た感情を抱いていたが、それは相手に見せようとせず

「お金の精霊......ほんとう?」

お金の精霊という言葉に一瞬目を輝かせるも、やがて少々訝しむ様な目付きへと変わり、こんな事を尋ねてしまった
少年としては悪気はなかったのだが...。
178 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 01:49:34.77 ID:5H/pkpMIo
>>177
「……最近は妖怪がどんどん減ってるからなぁ。時代の流れだね」

溜め息とともに、笑いかける。
銭神の眷属も年々減っていく一方で、結果、世の中の不景気は下げ止まらない。
大陸から渡った、ありがたい金運のカエルですら、街中で彷徨っていた。
まぁ、別に世の中の流れなどはどうでもよいのだが。

「本当さ。……まぁ、正しくは『落ちてるお金』の精霊かな」

一段レベルが下がったような説明。
ますますありがたみが薄れそうだ。
179 :ペトラ :2011/06/30(木) 01:59:16.60 ID:cJwU8Z8lo
>>178
「時代の、流れかあ…」

その言葉に釈然としないものを感じながらも、納得するほか無く
行き場の無い寂寥感を感じながら少年は、過去の出来事を少し回想していた

「落ちてるお金の...」

本当さ、という言葉と共に付け足された説明を、思わず反芻
とことこと青年の方へ近づいていくと、ずいっと相手の顔、瞳を覗き込んだ

「なんだかよく分からないけど...凄そうだね」

何を感じ取ったか、少年はそう呟いて人懐っこい笑みをその顔に浮かべた
生まれてそう時間も立っていない彼は、他の妖怪に対する知識も皆無な為、そう言った話を聞くのはとても好きで
今も好奇心から、瞳は爛々と輝いていた

「そういえば、おにーさんは名前、何ていうの?...僕はペトラ、よろしくねっ」

思い出した様にそうも言葉を付けたして、少年は彼の隣に座り込むのだった
180 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 02:10:19.16 ID:5H/pkpMIo
>>179
「……おっと、そうだった」

種族名は名乗ったが、名前は言っていなかった。
今の名前も自分でつけたものだが、割かし気に入ってはいる。

「僕は、六貨。ちなみに爺さんは僕より偉い『金霊』っていう妖怪。……親父は…」

隣に座った少年に向けて、名乗る。
祖父と父の種族も言おうとするが、同時に微妙な表情で苦笑いする。
同時に紙袋からヤクルトを一本取り出し、ごまかすように差し出した。
これも余ったメダルを交換した戦利品である。
181 :ペトラ :2011/06/30(木) 02:23:46.88 ID:cJwU8Z8lo
>>180
「六貨、ね。うん、分かった。...金霊?...うん、そっちの方が、すごそうかも」

六貨、という名前を聞くと何度も頷いてみせ、その名前を頭の中に刻み込もうと心がけ
彼の祖父の話になると、遠慮などない素直な感想を零した。
その辺り配慮などが出来ないのは子供だから仕方ないと考えるか、それとも
父親の下りになれば彼は、微妙な表情を造って苦笑い。口を開いてといかけようとするも―――

「わ」

差し出されたヤクルトを目を輝かせながら受け取って、気にしなくなってしまった
その万能さに感心した様に紙袋に対して熱っぽい視線を向けると、ヤクルトに向き直り
「ありがと」、とお礼を言った後せっせと銀紙を取り外しに掛った

「―――あのね、その...僕、生まれたばっかりで、あんまり知ってる人も居ないんだ..だから」

「僕と...友達になってくれない?」

そして唐突なタイミングで銀紙へと視線を向けたままに―――言葉を紡いだ
友達とは頼んでなるものか、という人も多いだろうが、少年は確かな絆を求めていたのだ
先程までのように視線を付き合わせたままだと言い出し辛かったのだろう。それは恐る恐る、といった声音で宛ら捨てられた子犬の様な
この言葉は決して、物を沢山くれるからという理由だけで言い出した訳ではない筈だ
182 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 02:38:29.04 ID:5H/pkpMIo
>>181
「……友達」

少し考え込む。
彼もまた、友達などというものはいない。
知り合いはいるが、友達と呼ぶに相当するものはいない。

「……いいよ。君と僕は今から友達だ」

二つ返事で承諾する。
表情はどこか困惑が感じられるが、嫌という訳ではない。
分からないのだ、「友達」という関係が。
100年足らず生きてきて、友達と呼べた人間も、妖怪も存在しなかったから。
183 :ペトラ :2011/06/30(木) 02:48:37.94 ID:cJwU8Z8lo
>>182
考え込むような青年の様子を見て、戦々恐々
一体どんな返事が返ってくるのだろうか―――と
もしかしたら...そんな事も考える、が。それは杞憂に終った

「...やったっ!」

殆ど間を置かずに青年から、承諾の言葉が聞こえてきて
ヤクルトをその場に置くと喜びをかみしめながら、青年の顔を見やる
何処か困惑する様な表情に見受けられたが何となく、嫌がってる訳ではないと、そう感じられ
何でそんな表情なのか疑問を持つもやはり先立つのは嬉しさであった
少年は青年の腕を取って、その小さな手と青年の手を交わし握手をしようと、した

「えへへ、改めてよろしくねー、六貨」

友達が出来たと考えると、公園で一人佇む心細さもまるで始めからなかったかの様な、気持ちになれ
無邪気な笑みを浮かべながら少年は、そう零した
184 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 02:58:55.31 ID:5H/pkpMIo
>>183
「うん、よろしく」

惑いながらも、握手を交わす。
大きさの違う手が重なり合い、アンバランスだ。

「…参ったな。どうにも慣れない」

笑っている少年に向け、こぼす。
初めて出来た友達というものは、困惑をもたらす。
まして、外見年齢が相当に違っているのもそうだ。
妖怪に年齢などという概念は薄く、何百年も生きている妖怪が美しい少女の姿だったりなどは珍しくない。
とはいえ、どうも付き合い方が掴めないらしい。
185 :ペトラ :2011/06/30(木) 03:10:29.57 ID:cJwU8Z8lo
>>184
確りと握手を交わした少年は、安堵感にも似た喜びを噛み締めていた
すると一言、目の前の青年から呟きが零れ。うーん、と、思い巡らせて

「そのうち、慣れるよきっと。しぜんたいが一番、だよ」

「あ、それと...遠慮とかしたらだめだかんね?..だって、友達なんだから」

「あとあと、困った事とかあったら何時でも相談してくれていいんだからね?友達なんだからさー」

適した言葉を捜しながら、慎重に口に出していく
そしてその後、付け足す様にしながら2回、今度は歯切れよく滔々と青年に向って話しかけた
それは本心からの言葉であり、何処か”友達”、という言葉の響きを楽しむようでもあった
気恥ずかしさも込み上げて来たが今はこの満足感を、存分に感じていたかった
186 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 03:20:46.57 ID:5H/pkpMIo
>>185
「あ、うん……君こそ、何かあれば言ってくれるかい」

子供(見た目は)に気を遣わせるのも、しのびない。
何とか、それだけ言葉を搾り出した。
これだけ言うにも、中々勇気が必要だったらしい。

「さて、と。……名残惜しいけど僕はそろそろ帰るよ、ペトラ」

寂しげに笑い、腰を浮かせて立ち上がる。
表情からすれば、彼にしても、気恥ずかしさというのは感じなくも無いらしい。
187 :ペトラ :2011/06/30(木) 03:28:43.40 ID:cJwU8Z8lo
>>186
「うん、必ずそうするよ...っ」

ちょっと考えて、本当に打ち明けられるか少し心配になりもしたのだが
結局、青年の言葉を快諾した。自分からそう言ってくれた青年ならば相談しても、迷惑にはならないだろうと信じて

「あ…うん、それじゃあ、”また”ね?」

立上がった青年、浮かんだ寂し気な笑顔と同じ様に少年もまた、少し寂しそうだった
併しだからといってどうにかなる話でもないし、そのくらいの分別は彼にも付けられる
倣うようにして少年も立上がる。そして「またね」、という声を相手にかけた
188 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 03:34:41.44 ID:5H/pkpMIo
>>187
「うん、またね」

寂しげな少年の姿に何となく胸が締め付けられる気になる。
だからこそ、だろうか。
同情で一緒にいたくはない。
それは、「対等」な「友達」だからそう思うのか。

「何、またすぐ会えるさ。そんなに広い町でもないから」

笑い飛ばし、冗談交じりに言う。
手に紙袋を抱えてスーツについた土を払い、ひらひらと手を振りながら、歩いていく。
189 :ペトラ :2011/06/30(木) 03:40:38.36 ID:cJwU8Z8lo
>>188
「...うん、そうだよねっ」

別れる最後の最後まで哀し気な表情というのも、後味が悪い
冗談混じりの青年の言葉に朗らかに笑ってみせた。此れが最後のお別れじゃあ、ないんだから
そして、去りゆく彼の背中に小さな腕を精一杯動かしてその姿が見えなくなるまで手を振り見送っていた

「...」

そして。公園は再び静寂に包まれる。併し心持ちは青年と出会う前とは随分、違うものになっていた
獏の姿に戻ると公園の隅へ。おとうさん、おかあさん、今日は幸せな1日でした...。くすりと笑みを漏らして、少年は眠りに付いた

/長い絡みお疲れさまでした...!楽しかったです、ありがとうでした
190 :六貨 [saga]:2011/06/30(木) 03:50:26.60 ID:5H/pkpMIo
>>189
/お疲れ様でしたー!
191 :黒蔵 [sage]:2011/06/30(木) 21:52:05.18 ID:dtn9U6cDo
細い道に面した、喫茶店ノワールの裏口の脇にて。

(もうやだ、しばらくここで引きこもる)

空瓶の並んだプラスチックケースや、大きなゴミ箱、空のダンボール箱などとと一緒に、
逆さまになった業務用のキッチンペーパーのダンボールの箱から、黒くて細長い何かが覗いている。
その中からは何かメソメソした気配が漏れていたりする。

ちなみに今は、喫茶店の営業時間中…の筈なのだが。
ノワールの居候は、すっかりサボりモードのようである。
192 :天ッ堕 :2011/06/30(木) 22:07:24.98 ID:KQoIkmVmo
>>191
田中家が経営する喫茶店、ノワールの裏口。
地上に落ちてきた夜、初めて眠った場所に似ているそこは、天ッ堕にとって不思議と安心できる場所だった。
だから家を抜け出した時は、時々このゴミ捨て場に来ていたりするのだが、
どうやら今日は、先客がいたようだ。

逆さまになった段ボールから漂う、マイナスの気配に気付いた天ッ堕は、
それをがばっと持ち上げた。

「……ハツビ」

電気鼠の着ぐるみを着た少年が見たのは、以前雷球を与えてくれた少年だった。
茶色の瞳でじっと黒蔵を覗き込み、鼻先を押し当て、ニオイを嗅ぐ。
だが、以前会った時のように、美味しいご飯のニオイはしなかった。

「??」
193 :黒蔵 [sage]:2011/06/30(木) 22:15:15.24 ID:dtn9U6cDo
>>192
「!!」

不意にダンボールが持ち上げられ、その下に蹲っていた小柄な少年は眩しさに驚いた。
光と、ダンボールを持ち上げた誰かの視線を遮るように顔の前に手をかざす。
ダンボールから覗く細長い黒いもの…それは尻尾だった。
しかしそれに鱗はついていない。

「…アマツキ?」

相手がもう一人のノワールの居候だった事に、黒蔵は幾分ほっとする。
この日の店長の気分により、今の黒蔵は猫耳尻尾付き冥土服姿なのであった。

「アマツキ、俺がここにいるの他の皆には内緒な」

黒蔵は、人差し指を唇にあてて天ッ堕にそう言い含めようとした。
194 :天ッ堕 :2011/06/30(木) 22:28:16.00 ID:KQoIkmVmo
>>193
段ボールの下からこちらを覗くのは、猫耳冥土(ショタ)だ。
黒い尻尾と、黒蔵を交互に見遣り、首を傾げる。

実は、同じ居候同士であるが、天ッ堕には黒蔵と巴津火の見分けがよくついていなかった。
どちらかというと、「ごはん」をくれた巴津火のほうが印象が強いのだった。

「ないしょ」

人差し指を唇に当てる動作で、意味が分かったのか、
天ッ堕はこくんと頷いた。
田中家にいることで、段々と通じる言葉も増えてきたようだ。
195 :夷磨璃 :2011/06/30(木) 22:29:24.18 ID:v+P3VqgDO
>>193-194
(オムライス〜♪)

すっかりノワールの常連になってしまった夷磨璃。
今日は一人でのご来店である。

店に入ろうとした時、ふと声が聞こえた。
恐る恐るそこを除くだろう。
196 :黒蔵 [sage]:2011/06/30(木) 22:38:11.14 ID:dtn9U6cDo
>>194
「そう、内緒。アマツキはいい子だな。
 あと、この格好の時は巴津火は出てこないんだ。ごめんな」

天ッ堕の頭をなでながら、黒蔵はふと思いつく。

「アマツキ、お店の2階から俺の黒いズボンと白のシャツ、探して持ってこられる?」

店員や店長の目を盗んでそれを持ってきて貰えたら、黒蔵はこっそりと普段の服に着替えられる。
…そう思って天ッ堕に頼んでいたのだが。

>>195
「…うっ!」

店にやってきたもはや常連の客と、猫耳冥土(ショタ)は目が合ってしまった!

(なんで今日に限って裏口へ来るんだよ!)

今回、黒蔵の運の悪さはこういう形で出たらしい。
197 :天ッ堕 :2011/06/30(木) 22:50:41.53 ID:KQoIkmVmo
>>196
「…………」

頭を撫でられて、心地よさそうに目を閉じる。
ぱちりと瞳を開いて、天ッ堕はやっと黒蔵だと気付いたようだった。

「?」

黒いズボンと白いシャツ、と頼まれるが、天ッ堕はよく分からなさそうに首を捻る。
だが幼いなりに、期待に応えようとしたのか、その頼みにこくりと頷いた。

色は分かる。黒と白。
天ッ堕は立ち上がると、裏口の扉を開いた。

>>195
裏口に入ろうとした時、一瞬夷磨瑠と目が会う。
常連客であるため、お互い何度か見たことがあるかもしれない。
しかしついっと目を逸らしてしまい、店の中へ入って行く。

>>196
数分後。
再び裏口から戻ってきた天ッ堕の手には、

「クロクラ」

……黒を基調とした、白のレースをふんだんに使った、ゴスロリドレスが握られていた。
198 :夷磨璃 :2011/06/30(木) 22:55:41.23 ID:v+P3VqgDO
>>196
「あ・・・・・・」

蘇る記憶・・・。それは恐怖。
夷磨璃も巴津火と黒蔵の事は知らないので、怖い物扱いである。

逃げたいけど、蛇に睨まれた蛙状態でそれが出来ない。

>>197
(助けてでござるよ〜(泣))

その想い、見事に届かず。彼は店へと入ってしまう。
また何かされるのか、と不安が過ぎる。

しかし、ゴスロリの服を持って彼が戻ってきてくれたので少し安心だ。
199 :黒蔵 [sage]:2011/06/30(木) 23:06:07.84 ID:dtn9U6cDo
>>197
「いいぞ、アマツキ!頼む!頑張ってくれ!」

天ッ堕が素直に着替えを取りに行ってくれたのを祈るような気持ちで見送って、
幾分ほっとした猫耳冥土は、自分に少しだけ運が向いてきたのを感じていた。

>>198
(何で黙ってんだ?すげー…居心地悪いんだけど)

なぜか何も言わずその場から立ち去りもしない夷磨璃を、恨めしげに睨む猫耳冥土。
相手が睨まれた恐怖で動けなくなることなぞ想像もしていない。
そして裏口周辺に息詰まる空気が充満したとき、それを打開するかのように天ッ堕が戻ってきた。

>>198
「アマツキ偉いぞ!良くやった!!……って、それ違うーー!」

一瞬、天ッ堕の手にした白と黒に歓喜した猫耳冥土は、良く見るとそれがゴスロリ服であることに
激しく落ち込んだ。

「あは、あはははは……そうか、アマツキは俺にこれを着て欲しいのか…」

ゴスロリ服を受け取った黒蔵は、涙を浮かべながらもう笑うしかない。

「もういっそのことこれ、アマツキかこのお客に着せちゃおうかな…」

追い詰められた猫耳冥土にちょっぴり危険思想が混じり始めたらしい。
下手すると皆も一蓮托生?
200 :黒蔵 [sage]:2011/06/30(木) 23:06:47.00 ID:dtn9U6cDo
//安価ミス、後のほうの>>198>>197へです。
201 :天ッ堕 [sage]:2011/06/30(木) 23:16:05.82 ID:a8zS9ltSO
>>198>>199
夷磨瑠と黒蔵の固い雰囲気をぶち壊して戻ってきた天ッ堕は、
取ってきたゴスロリドレスを嬉々として黒蔵に手渡した。
猫耳冥土は泣いているが、本人は期待に添えたつもりである。

ちょっとした達成感に浸っていると、天ッ堕はやっと夷磨瑠の存在に意識を向けた。
しかし、こちらに向けられる視線の意図には気付いていない。
とりあえず、ノワールで学んだことの一つ、挨拶を試してみた。
天ッ堕がぺこりと、ぎこちない動きで頭を下げる。

「??」

本人はちゃんと任務を達成したつもりであるため、黒蔵の不穏な雰囲気には一切気付かない。
ゴスロリの意味も知らないので、渡されたら考えなく着てしまうだろう。
202 :夷磨璃 :2011/06/30(木) 23:22:53.71 ID:v+P3VqgDO
>>199
蛇が急に笑い始めたではないか。
まさか、このゴスロリの服のせいだと、夷磨璃が思うはずがない。

そして、更に黒蔵に不信感を抱く。

(拙者・・・危ないでござるね・・・・・・。)

>>201
「こ・・・んにちはでござる・・・。」

やっと口を開いた夷磨璃。そして、すぐさま天ッ堕の後ろへと隠れた。

ゴスロリが怖いのでなく、黒蔵が怖い。ただそれ一つ。

「た・・・すけて?」
203 :夷磨璃 :2011/06/30(木) 23:28:06.21 ID:v+P3VqgDO
>>199
蛇が急に笑い始めたではないか。
まさか、このゴスロリの服のせいだと、夷磨璃が思うはずがない。

そして、更に黒蔵に不信感を抱く。

(拙者・・・危ないでござるね・・・・・・。)

>>201
「こ・・・んにちはでござる・・・。」

やっと口を開いた夷磨璃。そして、すぐさま天ッ堕の後ろへと隠れた。

ゴスロリが怖いのでなく、黒蔵が怖い。ただそれ一つ。

「た・・・すけて?」
204 :黒蔵 [sage]:2011/06/30(木) 23:31:29.93 ID:dtn9U6cDo
>>201-202

「これにお着替えしませんか〜〜〜ぁ?」

ゴスロリ服を手にしたまま、引きつった笑顔の猫耳冥土はふらふらと夷磨璃に迫る。
夷磨璃が天ッ堕の背後に隠れているので、必然的に二人に迫る事になる。

(これに着替えてから店に入ってもらって、店員さんの注目浴びてる間に俺の服を探しにこっそり上がる!)

所詮、その裏にあるのはこの程度の浅知恵なのである。
しかし、黒蔵の考えた計画などそんなに上手く行くわけが無い。

ダンボール箱の陰からこちらをじっと見ている丸い瞳に、まだこの場の誰も気づいていなかった。
205 :天ッ堕 [sage]:2011/06/30(木) 23:39:32.47 ID:a8zS9ltSO
>>202-204
「……たすけて?」

後ろに隠れた夷磨瑠を横目に見たあと、黒蔵を見る。
自分が取ってきたはずの服を持ち、引きつった笑みで、猫耳冥土が迫りつつあった。
巴津火とも、いつもの黒蔵とも様子の違う彼に、天ッ堕はわずかに恐怖を覚えた。

「……」

いつもなら漏電なりなんなりあるだろうが、絶縁グローブが仇となった。
完全に電気は防がれている。
だがこれ以上黒蔵が近付けば、あるいは天からの制裁が降るかもしれない。

夷磨瑠を背中に、迫る来る黒蔵を見上げる。
背後の視線には気付いていないのか、例え気付いていたとしても、天ッ堕が意識を向けることはないだろう。
206 :夷磨璃 :2011/06/30(木) 23:47:27.23 ID:v+P3VqgDO
>>204
「〜〜っ!!」ブルブル

なんか天ッ堕の服を握りしめ、怯え始めた。

ここで天ッ堕が守ってくれない場合、パニックに陥るか、壊れてしまう。

武士の魂、 されど子供。

>>205
隠れていて、天ッ堕の表情は見えない。
しかし彼も、黒蔵に恐怖してるかもしれない。

「・・・怖いよぅっ!」

雷が落ちるか、ゴスロリドレスを着させられるか、先は全く見えない。
207 :黒蔵 すねこすり [sage]:2011/06/30(木) 23:54:16.60 ID:dtn9U6cDo
>>205-206
「逃げても無駄ですよ〜〜ぉ、お客さ〜ん?」

どんどんと黒蔵は夷磨璃に迫る。同時にそれは天ッ堕に迫る事にもなる。
そして夷磨璃には、着せるというよりも、頭からバサリと網で捕獲するかのように服を被せようとする。

そして服が被さるその瞬間を狙って、ダンボールの蔭の丸い瞳がキラーンと光った。

(最近、あんまり脛擦れてないよ!脛ひっ擦るぞ!脛!)

もふもふの獣が、黒蔵・天ッ堕・夷磨璃の足の間をさっと走って、道の反対側へと消えようとする。
そしてすねこすりに擦られた脛の持ち主は、転びやすくなるのだ。
208 :天ッ堕 [sage]:2011/07/01(金) 00:02:19.87 ID:9fofvFESO
>>206-207
迫る猫耳冥土、そしてゴスロリドレス。
元はと言えばこの電気鼠が原因であるのだが……。

ついに追い詰めら、背中の夷磨瑠ごと、服を被せられそうになる。
たが、

「!?」

突然、足の間を何かが通り過ぎた。
何だろうと目で追おうとするが、天ッ堕はそれによってバランスを崩した。
今にも服を被せられそうになっている、夷磨瑠側に倒れ掛かる。
209 :夷磨璃 :2011/07/01(金) 00:09:17.40 ID:xXwHt8hDO
>>207-208
「ぅぅっ・・・」

今にも泣き出しそうなそのとき・・・!救世主(?)が現れた。

そのもふもふした獣のお陰で、天ッ堕が倒れ掛かる。
「ひゃあっ!?」

そのまま夷磨璃も倒れてしまう。
よって、冥土の攻撃は回避出来たのだった!
210 :黒蔵 [sage]:2011/07/01(金) 00:14:14.49 ID:rsk56vbso
>>208-209
さあ捕獲した!と思ったその時、捕獲対象が消えた。
というか、天ッ堕も夷磨璃もすっ転んだのである。

「へ?」

足首を柔らかい何かがくすぐった感触があった。
夷磨璃に被せようとしたゴスロリドレスが空振りして、闘牛士のケープのように翻る。

 がっしゃーん!

次の瞬間、ゴスロリドレスを手にした猫耳冥土は空き瓶の箱に突っ込んでいた。

 ぴっしゃーん!!!!

次いでもっとずっと大きな、耳をつんざく音が炸裂する。
天ッ堕が転んだその瞬間、天からの制裁が下ったのだ。
辺りが真っ白な光に包まれたあと、そこには黒く焦げた猫耳冥土が痙攣しつつ転がっていたそうな。


//ここで〆ます。お二人ともお疲れ様でした。
211 :丑三夜中&紫 :2011/07/01(金) 21:20:13.77 ID:/vhJwGUDO
熱い

とにかく熱い

とにもかくにも熱すぎる、日も沈んだのにまだ熱い、夏も始まったばかりなのに尚熱い
そんな熱帯夜のコンクリートジャングルを歩く、熱そうな格好の男がいた

「…っあー熱い、あー熱い」
「そろそろ衣更えの時期だなー」

『既に期を逃しているとおもうぞ、主人』

熱気ムンムンなコンクリートの上を歩く男が着るのは黒いジャケットと白いニット帽子、いくらファッションだとしてもこの季節には似合わない
その男の横では、ピンクと紫の縦縞模様の猫が鈎尻尾を立てて塀の上で男に並んで歩いていく
そんな男が歩くのは以前に変死事件が起きた通り、傷も何もない眠るような死体が見付かった場所である
212 :叡肖 [sage]:2011/07/01(金) 21:31:27.03 ID:rsk56vbso
>>211
「その色は、もしやこの前のお嬢さんじゃないか?やっぱり丑三のところに棲んでたのかい」

二人の後ろから声が掛かる。
涼しげな紺絣の浴衣姿の人間に化けた衣蛸が、下駄を鳴らして通りがかった。
蛸ははたはたと片手の扇子で扇ぎながら、もう片手には小さなコンビニの袋を持っている。

「どうだい、二人とも。一杯やるかい?」

軽く持ち上げたその袋からは、缶ビールらしいものが幾つか、薄く透けて見えている。
袋の上からもうっすら結露しているのは、中身が冷えている証拠だ。
どうやら冷えた酒を買いにふらりと出てきた帰り道らしい。
213 :宝玉院 三凰 :2011/07/01(金) 21:42:55.64 ID:F5ZV7zpAO
>>211,>>212
「…手がかりは無し、か…」

一人呟く男、三凰。
どうやら、彼の目的は例の変死事件の調査らしい。もしかしたら、紫狂に繋がるのではないかとダメ元で来ていた。
彼は、紫狂がどうなったか全然知らないでいた。二仙も飛葉も、彼が無茶をすることを恐れ情報を渡さないことにしているからだ。

「まったく、とんだ無駄足だったな…」

214 :丑三夜中&紫 :2011/07/01(金) 21:50:28.73 ID:/vhJwGUDO
>>212
「お嬢さん?」

聞き覚えのある声の、お嬢さんと言う言葉に反応してピタリと足を止める
そして振り向くや否や、叡肖ではなく周りを探して

「どこどこ!?お嬢さんどこ!?」

たった一言で簡単に考えと行動が切り替わった、先程まで感じていた暑さも何のそのである

>>213
そんな彼の偶然に目に入ったのは、三鳳の姿
勝手に勘違いして女の姿を探した彼が見た物は、その期待を裏切る物だった

「…嘘つきッ!!」
「何がお嬢さんだ!ただのコウモリ野郎じゃねーか!!」

自分が勘違いしたのにそれに気付かず叡肖にぶちギレる、三鳳にも失礼な気がしなくもない

『ニャー』

その様子を見て、猫は塀の上に座って一つ鳴いた
215 :叡肖 [sage]:2011/07/01(金) 21:55:14.14 ID:rsk56vbso
>>213-214
「ちゃらら〜ちゃらららん♪と、第三の男の登場か?」

恵●寿ビールのCMテーマを口三味線で真似る叡肖。
大騒ぎする丑三をチラ見すると、

「ああ、それにしても暑いな、何が暑いって丑三が暑苦しいわ」

扇子をたたんで帯に差し、冷えた缶ビールを一つ取り出してプルタブを引く。

「お嬢さんはのむかい?」

開けた缶を軽く持ち上げて、塀の上の猫に訪ねた。
216 :宝玉院 三凰 :2011/07/01(金) 22:06:20.77 ID:F5ZV7zpAO
>>214
「失礼なことを言う奴がいると思ったら…
貴様だとはな…これは、無駄足どころではないな。…最悪だ。」

みるみるうちに三凰の表情が不快そうなものに変わっていく。

「まてよ…これは、考えようによってはリベンジのチャンスではないか?
フッ…紫狂の奴らから百鬼夜行の主の座を奪い取る前のウォーミングアップ、兼リベンジだ。貴様に決闘を申し込む!」

三凰もそんなことをしている場合ではないのに
リベンジをしたいようだ。そもそも、すでに自信過剰気味だ。こんな調子じゃ勝てる筈がない。


>>215
意気揚々と決闘を申し込む三凰の姿は、丑三よりも暑苦しく見えるかもしれない。
声が無駄にでかいし…
217 :丑三夜中&紫 :2011/07/01(金) 22:16:06.62 ID:/vhJwGUDO
>>215
「お嬢さんってそいつかよ!猫じゃねーか!ていうか猫だよ!」

叡肖の口ぶりからお嬢さんが猫を指す物だと解り、また理不尽に怒る

『君は猫が酒を呑むとでもお思いかね?』
『猫が呑むのなら酒よりミルクであろう?当然人肌の温度のな』

猫はビールを一瞥すると、興味なさそうに金色の目を逸らして言った

>>216
「お前もうるせーよ!女の子じゃないなら帰れよ!」
「俺は忙しいんだよ!女の子…じゃなかった、手掛かり探すのに!」
「だからちょっとだけ!ちょっとだけなら付き合ってやる!!」

否定的な口ぶりの癖して、やってやると背中から二本の木刀を抜く

『やれやれ、困ったものだね主人は』

そんな主人を見て、猫は大きな欠伸をした
218 :叡肖 [sage]:2011/07/01(金) 22:21:43.64 ID:rsk56vbso
>>216-217
「丑三、猫だってお嬢さんはお嬢さんだよ?」

非難めいた台詞ではあるが、蛸の口調は丑三の様子を可笑しがっている。

「暑苦しいもの同士での暑さ対決するなら、人払いの結界をお兄さんが用意してやんよ」

コウモリ野郎と丑三とは知り合いらしいので、安心して見物に回る叡肖。
三凰は紫狂の現況についてまだ知らないらしいが、
今は知らないほうがこの戦いが面白くなるだろうと読んでまだ黙っていることにした。

「生憎だが、ミルクのほうは骨男が持ち歩いててな。
 ビール片手に面白く観戦できるとは、今夜は暑苦しいが悪くない夜だねぇ。
 で、その後お嬢さんは例の件について、何か掴めたのかい?」

叡肖はビールを飲みながら、同じく観戦者の立場となった猫に尋ねた。
219 :宝玉院 三凰 :2011/07/01(金) 22:27:59.48 ID:F5ZV7zpAO
>>217,>>218
「フッ…そうだな…貴様に華麗に勝利したら帰ってやろう。」

勝つまで帰らないということだろうか…すごく迷惑だ。

「そう来なくてはな。来い!」

丑三の方を見据え、レイピアを引き抜き、構える。

220 :丑三夜中&紫 :2011/07/01(金) 22:38:27.51 ID:/vhJwGUDO
>>218
「そうだけど!そうだけどね!?お嬢さんって言われて猫思い浮かべる人間なんていなくね!?」

三鳳に向かって構えたまま叡肖に顔を向け、叫ぶ
五月蝿いに暑苦しい事この上ない

『はて、何のことかね?こんな猫が何か掴めるとでも?』

おどけるようにそう言って、前脚を叡肖に見せてやる
確かに物が掴めそうな手ではないが、そういう意味ではないのは本人も百も承知だ

>>219
「いや、負けて無様に逃げ帰りな!」

右手の純白の木刀と、左手の普通の木製の木刀とを交差させ…

「といやっ!!」

二つ一緒に空中に投げ上げる
すぐに開いた両手で素早くジャケットを脱ぎ、広げて三鳳に投げ付ける
服を脱いで暑さを軽減すると同時に、目隠しを謀った

「ふんぬっ!」

落ちてきた木刀を両手にまた持つと、ジャケットのヒットを確認する前から攻撃に移る
ただただ二つ同時に振り下ろすだけの、両肩狙いの攻撃だ
221 :叡肖 [sage]:2011/07/01(金) 22:44:10.04 ID:rsk56vbso
>>219-220
「コウモリは随分血気盛んだね。
 ありゃ、上手い引き方を知らんタイプかな。長生きできりゃ良いが…」

戦う二人の周りに結界を書き終えて、衣蛸は完全に野次るモードである。

「猫なのに知らんのか?猫の手ってのは案外、ものを掴める作りだぞ?
 猫じゃらしをしっかり掴まれて、ひっぱりっこになることも珍しくは無いしな」

とぼける猫にはとぼけ返す蛸である。
と、その時、丑三が仕掛けた。

「どっちも負けるなよー」

実は勝ち負けがつかないほうが楽しいと思う衣蛸であった。
222 :宝玉院 三凰 :2011/07/01(金) 22:53:12.52 ID:F5ZV7zpAO
>>220
「フン…負けるのは…貴様だっ!」

コウモリの姿に変化し、強く羽ばたく。
ジャケットは、強風で飛ばされるが、その動作が隙になり――

「ぐぅっ!」

翼と頭に攻撃がヒット。強風と変化により、肩は守れたが、頭はマズい。

「まだだ!」

頭を打たれたことにより、クラクラした状態だが、空中に飛んでなんとか距離を取る。
地上5メートルほどの高さだが、クラクラしているので今の三凰はまるで空中に浮かぶ大きな的だ。


>>221
残念ながら、すでに三凰の劣勢だ。勝ち負けは、予想以上に早くついてしまうかもしれない。
223 :丑三夜中&紫 :2011/07/01(金) 23:01:45.50 ID:/vhJwGUDO
>>221
『しかしコウモリといえばもっと狡猾だったり冷静だったりすると思っていたが…中々どうして、面白い者ではないか』

叡肖と一緒に闘いの様子を眺めて実況モード、止めたりする気はさらさら無いらしく、楽しそうに見ている

『おや、それは知らなかった』
『猫じゃらしなどで遊んだ事はなくてね』

>>222
「くっそ…また飛ぶか…」

攻撃は当たった物の飛ばれてしまっては手出しは出来ず、ただ見上げて構えるのみ
遠距離への攻撃手段が殆ど無く、簡単には使えない彼には、相手に空中に逃げられる事が辛い事だった

(…とは言え、あいつも遠距離での攻撃手段がないならそこを迎撃出来るか)
(…あったら…その時はその時か)

とにかくこうなれば待ちに徹して対処するしかない、木刀を交差させる体制で待ち構える
224 :叡肖 [sage]:2011/07/01(金) 23:08:58.37 ID:rsk56vbso
>>222
「おーい、落ちるなよー?落ちたら人間に馬鹿にされるぞー」

三凰に声援(?)を送ってみるが勝敗は見えている。
落ちてくるのを受け止められるように準備だけはしておこうと、衣蛸は飲みかけの缶を塀の上に置いた。

「…って、ありゃ俺でも落とせそうだけどな」

まだ開封していないビール缶を投げてぶつけたら、それだけで落とせそうではある。
…ビールが勿体無いのでやらないけど。

>>223

「そりゃな。猫じゃないんだから、猫じゃらしよりはもっと楽しい遊びを知ってるだろ?」

夢の中でどんな遊びをしているかは知らないが、
この猫なら楽しくない事はまずしないだろうことは予想が付く。

「ふーん。剣技では丑三の方に分があるが、コウモリは今の利をどう使うかな?」

叡肖はコウモリの次の手を注視している。
225 :宝玉院 三凰 :2011/07/01(金) 23:26:10.97 ID:F5ZV7zpAO
>>223
「…一気に行くぞ!」

コウモリの姿での弱点の一つは、攻撃の手数の少なさだ。
空中で三凰が取る行動は2つ、急降下タックルか、高速で接近し、人の姿になりレイピアの突きを食らわすかのどちらかだ。
彼が、取るのは…急降下タックルだ。
丑三に向かい、急降下する。しかし、どこか安定しない。頭への一撃が効いているようだ。


>>224
「うるさいぞ外野!」

しっかり聞いていたらしい。
226 :丑三夜中&紫 :2011/07/01(金) 23:36:45.89 ID:/vhJwGUDO
>>224
『一体何のことかね?私は何処からどう見ても可愛らしい猫そのものだが』
『もしかしたら、君には私が何か別な物にでも見えているのかね?』

何のことか、としらばっくれて猫は笑う
叡肖にはばれていると自分でも気付いているが、そうだと自分でばらすまではい≠ニ言わないらしい

『どうかな、案外挑発すれば簡単に乗りそうだが?』
『…それは両者ともか?』

>>225
(いよっしゃ!近付いてきた!!)

急降下してくる三鳳を見て彼は内心ニヤリと笑う
しかしそれは相手が近接手段に出たからで、それをどうするかは今考える
あの大きさだ、前回やった時はなんとかなったが腕がぶっ壊れそうになった
まだやるべき事もあるしまたそうなる訳にはいかない

「…閃いた!」

ピキーン!と頭に電球を浮かべ突破口を閃いた
あの速さで急降下、真正面から受ければ一たまりも無い
真正面から=Aならである

「こいやああああああああああ!!!」

三鳳に向かって武器を構えて叫び、攻撃を受ける
…と、見せかけて寸前で体を回転させ受け流し、そのまま一回転して反対側から木刀をたたき付ける
227 :叡肖 [sage]:2011/07/01(金) 23:44:03.11 ID:rsk56vbso
>>225
「煩いってなぁ…コウモリなら闇使えよ、闇」

今は夜なのだ。
手近な街灯を幾つか叩き壊して闇を呼べば、超音波で的を絞れるコウモリには有利な筈である。
しかし、三凰はそうしないのだろう。

「あー、やっぱり急降下しちゃうのか」

三凰が弾き飛ばされても受け止められるように、衣蛸は片袖から触腕を2本出し「衣」の膜を広げる。
船を丸ごと包める衣蛸の触腕とその膜は、腕2本分でも三凰一人位なら楽に包み取れる筈だ。

>>226
「しゃべる猫がただの猫な訳ないだろう」

衣蛸は鼻で笑う。

「それに挑発よりもお嬢さんがアイツの目の前で本性出したほうが、余程簡単に乗ると思うぞ?
 剣技はともかく、色々残念な男だからなぁ」

三凰相手に華麗に戦う丑三を、なぜか溜息をつきながら衣蛸は見ていた。
228 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/01(金) 23:52:17.76 ID:F5ZV7zpAO
>>226
「フッ…そう何度も同じ手を…なにっ!?」

前回と同じ手で来ると思い減速。しかし――

「受け流された…だと…!?」

そのまま、反対側から来た木刀の一撃が決まった。

「くぅっ…何故だ…」


>>227
三凰にそんな芸当ができる訳もなく、あっさり倒される。
ふらりと膜に落下し、気を失う。

『遅かった…ようですかな。』

その直後、老人の声が聞こえた。
229 :丑三夜中&紫 :2011/07/02(土) 00:03:44.11 ID:kbncD3fDO
>>227
『そりゃそうだ、ただの猫が話してたまるか』

はっはっはと笑い、自分で自分の言った事を否定するような事を言う

『残念な所の一つでもなければ面白くないものだよ』
『それと、本性とは一体なんの事かね?私にはさっぱり』

>>228
「そりゃ、何度も同じ手をくらう程の馬鹿とは思ってないからな」
「あと、腕痛くなるのやだし」

右の木刀を肩に担ぎ三鳳を見て、ニヤと笑いながら言う
理由の殆ど、というか全てが二つ目の理由なのだが

「お、なんだなんだ?黒幕か?」

続いて聞こえた老人の声に、楽しそうに言いながら辺りを探す
230 :叡肖 [sage]:2011/07/02(土) 00:07:56.07 ID:6JfJb33Io
>>228-229
ぽふん、とハンモックのように叡肖の腕の膜が気を失った三凰を柔らかく受け止めた。
間近で良く見れば、このコウモリは随分と幼い。

「なんだ、まだ子供じゃないか。そりゃ、駆け引きはまだまだだよな。
 …ん?俺より猫さんの方がそこんとこ詳しいだろ?なんせ俺はさっぱりだからなー」

などと猫相手に笑顔で混ぜっ返していると、そこへ老人の声が響く。

「ああ?ちょーっとばかし遅かったかな。仕合は終わっちまったよ。
 もしかしてこのコウモリの親御さんか保護者かい?」

声の主に叡肖が尋ねた。
しかし、蛸の腕の中の三凰の頭の傷は大丈夫なのだろうか。
231 :飛葉 :2011/07/02(土) 00:19:47.71 ID:M1CpMPoAO
>>229
『いえいえ、黒幕なんてそんな大層なものではございませんよ。私は、ただの爺です。』

建物の影から、顎に白い髭を蓄え、杖をついたただの爺ではないような爺が姿を現した。


>>230
『まあ、そのようなところですな。』

間違いではないが、ぼかして答える。

一応は、警戒しているようだ。
232 :丑三夜中&紫 :2011/07/02(土) 00:30:41.49 ID:kbncD3fDO
>>230>>231
「ただの爺がこんな所に出て来るもんか、叡肖が人払いの術を失敗してなけりゃ普通の奴がこれる訳ねえだろ」
「大体、何かある奴にかぎってただの≠ニか言うんだよ」

背中に木刀をしまい、訝しむように老人を見ながら飴の棒を捻る

『ま、私は本当にただの#Lだがね』

丑三の言葉を聞いて、ふざけた猫が一言呟いた
233 :叡肖 [sage]:2011/07/02(土) 00:33:12.78 ID:6JfJb33Io
>>231-232
「あー。ちと頭を打ってるんで、気をつけてやって欲しい」

膜の中で気絶している三凰を、そっと触腕で飛葉の元へ寄せながら、
叡肖はこの老人がコウモリを連れて帰れるだろうかと危惧した。
三凰が気づいてくれればいいのだが、そうでなければこの老人が背負って帰ることになりそうである。

「そして、目が覚めたら『紫狂』の『窮奇』は主争いを降りた、って伝えてやってくれないか」

老人に突っ込みたいところは先に丑三が突っ込んでくれたので、叡肖は猫に突っ込む事にした。

「ただの猫なら、鼠を追いかけなくちゃな」
234 :飛葉 :2011/07/02(土) 00:45:28.97 ID:M1CpMPoAO
>>232
『いえいえ、本当にただの爺ですよ。彼にとっても私は特別な存在ではありませんし。』

と、三凰の方を見る。


>>233
『頭を…急いだ方がよさそうですな。』

軽々と三凰を背負う。三凰がまだ若く、痩せ型なのを差し引いても老人とは思えない体力だ。

『なんと、紫狂が…これは、思わぬところで…三凰坊ちゃまの勧も案外馬鹿にはできませんな。
情報、感謝致します。』

235 :丑三夜中&紫 :2011/07/02(土) 00:48:47.94 ID:kbncD3fDO
>>233
「え、あいつそうなったの?へー」

叡肖から三鳳に向けて語られた事実、それは丑三に取っても初めて知った事であった
まあ、百鬼の主など人間の自分にはどうでもいい話なのだが

『私は鼠をとらないただの猫さ、猫は鼠をとるという固定概念で物を考える物ではないよ』

>>234
「よーし解った、そこまで言うのならあんたはただの爺という事にしておいてやる」

絶対にただ者じゃない、根拠はないがそう実感して、そういう目で老人を見ている
236 :叡肖 [sage]:2011/07/02(土) 00:54:26.52 ID:6JfJb33Io
>>234
(三凰坊ちゃま、か)

ふむ、どうやら爺は爺でも祖父ではないほうの爺らしい、と叡肖は推察した。
そしてコウモリの名も知れた。

>>235
「ああ、どっかで生きてはいるらしいんだがな。詳細は不明なままだ。
 これでまたしばらく、主争いする連中が五月蝿くなりそうじゃないか?」

叡肖は丑三に肩をすくめた。蛸にとっては争うより遊ぶほうがずっと楽しいのだ。

「ただの、という言葉の意味を勝手に変える物ではないよ?」

そう猫に片目を瞑って見せて、ぬるくなったビールを一気に飲み干した。
237 :飛葉 :2011/07/02(土) 01:04:14.95 ID:M1CpMPoAO
>>235
『そう思ってくれると幸いです。』

ただの爺じゃない、爺はそう言った。


>>236
(さて、二仙様に早く知らせねばなりませんな。)

紫狂の脅威は去ったというのに、その表情は晴れやかではなかった。
238 :丑三夜中&紫 :2011/07/02(土) 01:11:46.90 ID:kbncD3fDO
>>236>>237
「百鬼の主ね…俺はまったくマジでどうでもいいけど、阿保な奴が人間にも手出さないか心配になるな」
「…ま、その時はその時か」

百鬼の主という物は、妖怪にとっては至高なれど人間の彼にとっては至極どうでもいい物だ
こちら側に手出しされなきゃ何が主になろうと関係ない、しかし手出しするのなら容赦はしないというスタンスでいる

「んじゃ、俺もまだやる事あるしそろそろ行くわ」
「あー調べ物めんどくせ」

右手を上げると、ふらりとした様子で歩いていく
その横を、塀の上に乗った猫が並走していった

/すみません、先に落ちます
/お疲れ様でした
239 :叡肖 [sage]:2011/07/02(土) 01:16:39.09 ID:6JfJb33Io
>>237-238
「さて、俺もうちの紫狂のお守をしに行くか。あいつまた携帯ぶっ壊しやがったんだ」

GPS追跡用キッズケータイは何代目だろうか。既に蛸も覚えていない。
それでも冷蔵庫やらエアコンやらをぶっ壊されるよりは、まだずっとマシなのである。

「人間好きな妖怪が主候補になれば、お前の興味の持ち方もまた全然違うんだろうがな。
 じゃ、お前らまたな。爺さんも、そいつの見張り厳しくしたほうが良いぞ」

空になったビールの缶を挨拶代わりに振って、衣蛸もゆるゆるとその場を去っていった。


//こちらも落ちます。お二人とも絡み乙&ありがとうございました。
240 :飛葉 :2011/07/02(土) 01:20:57.00 ID:M1CpMPoAO
>>238
『三凰坊ちゃまの相手をしてくださってありがとうございます。
それでは、お気をつけて。』

三凰を負かした相手にも関わらず、礼を言う。
皮肉などではなく、三凰は敗北によって成長すると分かっているからだ。


>>239
『無茶はしないようにと、しっかり言っているつもりなのですがね…』

これについては、二仙すら頭を痛めている。

『それでは、お気をつけて。』


/お二方とも、絡みありがとうございます。お疲れ様でした。
241 :《暴君》と《黄泉軍》 :2011/07/02(土) 21:46:39.27 ID:jdm8Gkvz0
とある森の中。

そこには、小さな神社があったが…まるで荒れ地のように破壊されていた。
近くには無残な神主である人と中年の親父の死体が転がっていた。


「ったく!無駄足かっ!糞が!!
しかも余計なマネしやがって!!!」

短い金髪に、毛皮のコートを着て、右耳にピアスをした今時の若い男が、タバコを吸いながら苛々しながら、その死体を足蹴りにしていた。

「俺様に逆らいやがって、糞が!うぜえ!うぜえ!!」
死体の頭を踏み潰し、悪態をつき、唾を吐く。

その後ろには20人の《黄泉軍》が無言で立っていた。

……………
242 : :2011/07/02(土) 21:51:58.17 ID:u+ewaAlDO
>>241
「変な妖気を感じる〜。なんでだろぉ?」

その荒れ果てた神社の道のりを歩く、浴衣姿の男。
どうやら、夏にパーカーは熱いので浴衣にフォルムチェンジしたようだ。
243 :巴津火 [sage]:2011/07/02(土) 21:56:38.52 ID:6JfJb33Io
>>241-242
黒いズボンに白いシャツ、見た目は低身長中学生男子。

(今日はボクの作戦勝ちだな♪)

喫茶店の裏にあらかじめ男物の服を隠しておくという小ずるい手段で冥土服から逃れた巴津火は、
機嫌よく仕事をサボってうろついていた。
このところ成長を目的に、たっぷり食べてたっぷり寝ているお蔭で力は漲っている。
何事も無ければ自分が一騒動起すつもりの小さな邪神は、風が運んできた血の匂いに惹かれて
森の中へ入ってきていた。

「面白そうなことしてるじゃないか」

《黄泉軍》や《暴君》の居る場所の反対側から、巴津火は荒ぶる若い男に声をかけた。
まだ神社への道のり半ばの澪には気づいていない。
244 :《暴君》 :2011/07/02(土) 22:13:43.20 ID:ZxFxGdjk0
>>242>>243

「……ちっ!!俺様に何タメ口聞いてんだ?」
死体を潰しながら、やって来たはつびーを睨む。

「何様だ?貴様?」
次の瞬間、何処からともなく巨大な金棒がはつびーに向かい振り落とされるだろう。

一方、澪に向かい黄泉軍三人がそちらを向いて近づいてくる。
245 : :2011/07/02(土) 22:18:21.75 ID:u+ewaAlDO
>>243
少し遅れてやって来た澪。
「はつび〜、やっほ〜。」

周囲がどんな状況か読まないまま、呑気に話し掛けた。
・・・実は読んでいたりするかも知れない。巴津火にはきちんと気づいたのだから。

>>244
近づいて来る不審な者達。なのに澪ときたら・・・

「こんなところでなにしてるの〜?」

・・・多分、戦闘にならぬ限りずっとこのテンションのはずだ。
246 :巴津火 [sage]:2011/07/02(土) 22:22:24.79 ID:6JfJb33Io
>>244-245
「あいつか…ふん、まあいい。邪魔するなよ」

もう一人の大蛇、澪の登場に、紫濁の瞳の瞳孔が三日月のように細くきつくなる。

「ボクは巴津火。遊びに来たのさ」

《暴君》に応えて巴津火は片手で巨大な金棒を受け止める。
こちらへ向ける表情は、澪へとは異なり愉快そうである。
器である黒蔵の本性は金気を厭う大蛇であるが、それを使う巴津火のほうは金属を不得手とはしない。
そして黒蔵は見た目に不釣合いな大力なのである。

「流石にちょっと重かったな」

靴が地面に少しめり込んだのを片足づつ引き抜いた巴津火は、
もう片手も金棒に添えてそれを奪い取ろうとする。
その手からはうっすらと熱気が空気を揺らめかせていた。
247 :《暴君》 :2011/07/02(土) 22:30:45.18 ID:yylwHvqA0
>>245>>246

《………》
《………》
《………》
無言のまま黄泉軍、三人はそれぞれ槍をもち、澪の身体めがけ突き刺そうとする。

「次から次へと…俺様は今凄い機嫌が悪いんだよ。
その態度…万死に値する」
凄い八つ当たり臭い事を言いながら、《暴君》ははつびーに受け止められ、奪われそうな巨大な金棒を馬鹿力で横に振るい、はつびーを吹き飛ばそうとする。

「ふざけた奴だな…《青行燈》の言った《三人の邪神》ではないだろうが、俺様相手に遊ぶとは気にいらねえ」
ついでに大きさは3mくらいでかなり重い。

《………》
《………》
《………》
17人の黄泉軍はまだ後ろで待機している。

黄泉軍――残り20人
248 : :2011/07/02(土) 22:39:55.52 ID:d0BIp93x0
>>246
「楽しんでおいで〜。あ、大怪我だけは駄目だよ?」

紫濁の瞳を返すかのように、緑がかった瞳が細くなった。
澪の場合、巴津火を自由にさせておくようだ。
万が一、巴津火が危険になったら助けるだろうが、それ以外の手出しは絶対しない。

>>247
「おっと…不意打ちか?…危ないねぇ…。」

突き刺される寸前、高く飛ぶ。
空中で体を回転させると、三人の後ろへ着地した。

「隙あり…っ。」

直剣を一人に向けて振り下ろすだろう。
249 :巴津火 [sage]:2011/07/02(土) 22:41:32.82 ID:6JfJb33Io
>>247
「あはは、実はボクは今ものすっごく機嫌が『良い』んだよ。なぜか判るかい?」

巨大な金棒の、横向きに振るわれる力を殺さずに、その方向だけを僅かに変える巴津火。
金棒の、巴津火の両手が添えられた部分が飴細工のようにぐにゃりと曲がる。
巴津火の手が触れた部分は灼熱している。
「く」の字ですらない、「ん」の字の形に金棒がひん曲がってしまった。

「それは遊び相手を見つけたからさ」

「ん」の字に曲がった金棒に、さらに巴津火が雷を叩き付ける。

「三人の邪神?なんだそりゃ」

>>248
「言われなくても」

もちろん大怪我をする気は巴津火には無い。
金棒に雷を打ち終わると、次の雷光を纏いながら、けらけらと笑う巴津火は身軽に飛び下がった。
250 :《暴君》 :2011/07/02(土) 22:55:02.21 ID:yylwHvqA0
>>248>>249

《……》
《…ヨケラレt》ザクッサッ…サラサラサラ
《………》

槍を避けられ、真ん中にいた黄泉軍は背後から斬られ、灰となり消えていった。
だが二人は、それに一切動揺せず、まるで機械のように振り向き様に槍で左右から薙ぎ払おうとする。

「ちっ!……」
金棒が《ん》の字になり、金棒を捨てる。

炎か何かの熱で、曲げたと推測し、持ってたら自分も危険と判断して捨てたのだ。

そして雷が金棒に辺りドロドロに溶けた。

「俺様の《モノ》壊すんじゃねえよ!
逆に俺様は機嫌が悪い!」
タバコを吐き捨てながら、両手に二本の刀を出す。

「……黄泉軍!テメーらあのムカつく奴押さえとけ」
そう言うと10人の黄泉軍がゾロゾロと剣を持ち、はつびーに向かい走ってくる。

そして、その隙間から《暴君》がハツビーと澪に向かい一本ずつ出した刀をダーツのように投げ付ける。
251 : :2011/07/02(土) 23:04:08.43 ID:d0BIp93x0
>>249-250
薙ぎ払う攻撃を、今度は頭を下げてかわした。
機械的な攻撃だったからだろう、案外簡単だった。

「おい…巴津火の邪魔になるだろ……君たち?まぁ巴津火なら余裕だからいっか。」

澪の妖気の質が変わった。共に態度も変わった。
目の前に居た二人の腹を抉りとる。
そして、飛んでくる刀をひらりとかわした。
252 :巴津火 [sage]:2011/07/02(土) 23:08:42.81 ID:6JfJb33Io
>>250-251
巴津火は楽しくて仕方が無い。
その表情は新しい玩具を貰った子供のように輝いている。
巴津火にとって《暴君》は、ようやく出会えた遊び相手なのだ。

「いらないならそいつはボクが貰うぞ」

投げ捨てられて溶けた金棒を、飛び込んだ巴津火の熱い手が掴みとる。
赤熱した金属がうっすらと淡い色の輝きの無い炎を纏った。
巴津火の手元で柔らかく丸く溶けつつある金属が、飛んできた刀をも受け止め飲み込んだ。

「おまけもつけてくれるのかい」

巴津火は楽しそうに柔らかくなった金属を粘土のように弄ぶ。
朱色に輝くその金属を、ねじりながら引き伸ばして丁度良い大きさに形作った。
その先は巴津火の妖力で練り上げて、両端に鎖の伸びる棍棒にする。

作り変えられた金棒の、握りの長さはおよそ1.5m。
その両端から伸びる錘のついた鎖はそれぞれ長さ3m、と言ったところだろうか。
ゆっくり冷えつつあるその鉄に、神社の手水場からの水が呼ばれて絡みつく。
水が煮えて気化する音がした。

「悪くないな。次は何をくれるんだ?」

巴津火は武器の出来に満足そうである。
253 :《暴君》 :2011/07/02(土) 23:32:43.19 ID:pj2SkrOe0
>>251>>252

《…!?》
《……》

黄泉軍は簡単に攻撃を受け、灰になり消えていった。

《………》
10人の黄泉軍のうち、5人は高く跳び上がり、上空から真下にいるハツビーにむかい斬りかかろうとし、残る5人は左右から襲いかかろうとする。
だがハツビーなら対処は簡単だろう。

「……頭きた」
《暴君》は頭をかきながら、表情を歪ませた。
なにせ《自分のモノ》を次々と相手のモノにされている。
それは彼にとっては許せなかった。
《強欲》な彼には……


ピキピキピキピキピキピキピキ

何かが皹入る音がした…
それは彼の足元の地面に亀裂が入る音だ。

暴君の姿が、赤くなり、その身体は5m程に膨れ上がり、顔は凶悪になり、額に二本の角がはえる。毛皮のコートを着て、右耳にピアスをしてるのは変わらない。

鬼……それが《暴君》の正体

だが彼は、酒呑童子や温羅や悪路王や鬼童丸のような有名な鬼ではない。
のにも関わらず…それに負けないような威圧を放つ。
そして、欲しい物はどんな手でも奪う他の鬼たちに負けない《強欲》が妖気のように強く感じるだろう。

「ぶち[ピーーー]!!!!」ドンッ!!!!!!
次の瞬間、彼から吐き気を催すような、気味が悪く、膨大で凶悪な《妖気》が溢れ出す。それは彼らは知らないが《七罪者》が共通する《青行燈》のような妖気。

「オラァァァァァア!!!!!!」
大地をおもいっきり踏み、そこから大地を削る衝撃波が仲間の黄泉軍を飲み込みながら二人に襲い掛かる。
254 : :2011/07/02(土) 23:41:25.82 ID:d0BIp93x0
>>252-253
「はつびー、楽しむのはいいけどさぁ。なんで僕が巻き込まれるの?」

特に自分は何もしてないが、なぜか切れられてしまった。
それにきょとんとする澪。
しかし、放たれる妖気もその変化にも動じなかった。

ぱちり、と自分の直剣に高電圧を流し込む。

「はつびー、一人で殺(や)る?それとも、協力するっ?」

にんまりと笑い、巴津火へと問いかける。
表情から察するに澪も結構楽しんでいた。
255 :巴津火 [sage]:2011/07/02(土) 23:50:40.24 ID:6JfJb33Io
>>252
「次は道具を試す『的』か、気前がいいな」

ぶん、と鎖が唸りを上げた。
巴津火が頭上で柄を振り回すのに合わせて、錘と鎖が黄泉軍を薙ぐ。
横手から切り込んだ5人のうちの、2人の頭がまず錘に叩き潰された。

「もっとだ、もっと!」

巴津火の棍棒を振る速度が上がった。
3人目、4人目は首に鎖を巻きつけて引きずられ、5人目に次々とぶつけられる。
頭上から切りつけた5人の刃は柄の部分で受け止められて、巴津火の纏った雷光に迎撃された。

「来たか、本命♪」

《暴君》の変化にわくわくしていた巴津火は、大地を削る衝撃波に向かって
棍棒の柄の一端を地に突き出し受け止めようとした。

「…くっ!」

その時、初めて巴津火の表情に苦しげなものが混じる。
棍棒の先端から衝撃波は左右にぶれて、巴津火への直撃は無かったものの、
棍棒を握る両手から血が滲んでいる。
衝撃波の一部が棍棒を伝って、掌に伝わったのだ。

「痛ぇな!コラ」

>>254
「ボクは巻き込んじゃいないぞ!お前が巻き込まれに来たんじゃないのか?」

掌の痛みに少々イライラした様子で巴津火は澪に言い返した。

「お前の勝手にしろっ!」

巴津火には協力なんてする気は無いらしい。
怒鳴りながら地面から引き抜いた棍棒の先を衝撃波が砕いたらしく、鎖が片方ちぎれている。
掌の血をぺろりとなめて、巴津火の表情は遊びよりももう少し、戦闘向きのそれへと変わった。
256 :《暴君》 :2011/07/03(日) 00:00:47.84 ID:pL4V17VM0
>>254>>255

「テメーも同罪だ…すかした野郎が」
完全に澪に対しては八つ当たりである。

「うるせえ!!俺様の物を奪いやがって!!テメーらサッサッと潰して、《十種神宝》を捜すかぁぁぁあ!!!」
その巨体に似合わない、身軽さで二人に接近し、周りのモノを横に薙ぎ払うように、右腕を振るおうとする。

動きは単純だが、それは《速く》、《馬鹿力》だ。
257 : :2011/07/03(日) 00:11:39.01 ID:8EPkigIG0
>>255
「えぇぇ…僕が巻き込まれに来るとかないよ……」

大抵本人は自覚してないことが多いのだ。
澪もその一人。ふらふらと現れて巻き込まれに来たのだ。

「じゃあ、あいつを倒そうか。巴津火!!」

なぜか燃えている澪だった。

>>256
「……ったく、はつびーは凄い妖怪を怒らせちゃったね。ってほら巻き込まれた。」

馬鹿力に対抗できる力を、澪は兼ね備えていない。
それに動きが早くなると近接近攻撃は不利になる。

ならば……「遠距離戦だ!」
右払い攻撃が来る直前、大きく飛んだ。
そして水で作り出した弓に力を込め始める。
258 :巴津火 [sage]:2011/07/03(日) 00:16:28.20 ID:q9BQ/KJ+o
>>255-256

「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」

棍棒を担ぎ、痛みを堪えて手を叩きつつ巨大化した《暴君》を巴津火は誘う。
鬼が相手ならするべきものは鬼ごっこである。

「見た目の割りに足は早いじゃないか。褒めてやるよ」

のんびり誘う必要は無い、と判断した巴津火は神社の手水場へまっすぐ走る。
屋根も壊され皹の入った水受けに、巴津火が掌の傷を浸して振り返ったとき、
横なぎの腕の一撃が来た。

「これでも喰らえ」

巴津火に鬼の拳があたるギリギリのところで、巴津火の血に呼ばれた水が
太い水柱となって吹き上がった。
鬼の顔面へと真っ直ぐにカウンターを狙う。
その水柱に乗って一緒に上昇した巴津火はさらに棍棒を構えて跳んだ。
狙うは鬼の角である。

(癪だからこいつの角、土産に貰ってやる)
259 :巴津火 [sage]:2011/07/03(日) 00:17:17.94 ID:q9BQ/KJ+o
//安価ミス、>>256-257でした。
260 :《暴君》 :2011/07/03(日) 00:22:11.25 ID:B5yZvhHS0
>>257>>258

ピキッ…

「俺様をおちょくるな!!」

そう叫ぶが、顔面に水の柱が当たり、少し後ろに下がり、ふらつくが…

「舐めるな!小物!!」
左手で迫りくる、こん棒を受け止め、はつびー事地面にたたき付けようとする。

澪には現在、注意が向いていない。
261 : :2011/07/03(日) 00:29:39.17 ID:8EPkigIG0
>>258-260
「はつびーは危なっかしいなぁ。でも強いんだよね。」

叩きつけようとするその腕に狙いを定める。
そして標的が定まった時、ぴんと軽快な音と共に、雷を纏った水の矢が放たれた。

「次は何の攻撃をしようかなぁ。」
262 :巴津火 [sage]:2011/07/03(日) 00:34:25.70 ID:q9BQ/KJ+o
>>260
迫る鬼の左手に巴津火はにやりとした。

「よし」

《暴君》は顔に水がかかったことで、巴津火の狙いには気づいていないようだ。
棍棒をふるって残った鎖の錘を飛ばす。巴津火は最初から、角に鎖を絡めるつもりだったのだ。

「楽しくなってきたなっ♪」

鎖は右の角に絡みついた。その上で棍棒だけを鬼の左手にパス。
角の付け根付近の鎖を握ってぶら下がった巴津火は、鬼の目を蹴ろうとする。
鎖を握る瞬間は痛みに顔を顰めたものの、既に巴津火の表情は遊びを楽しむそれに戻っている。

>>261
(あいつは…遠距離攻撃型だったな、そういえば)

以前、湖で戦いになりかけたときも、澪は矢を使っていた。
巻き添えを食う前にさっさと角を手に入れよう、と巴津火は思った。
263 :《暴君》&??? :2011/07/03(日) 00:51:59.74 ID:pL4V17VM0
>>261>>262

「ちっ…がっ……」
矢に腕を射られ、動きが鈍り、角に鎖を巻き付けられる。

更に目を蹴られる。

遊ばれてる…完全に相手たちは《暴君》を遊んでいた。

「ふ…」
《暴君》は両手を地面におき

「ざけるなぁぁぁぁあ!!!!!」
突然、ハツビーの真下から《巨大な門》が地面から突きあげて鎖を破壊しようと現れる。
二人にはわかるだろう。そこから数多くの凶悪な鬼達の気配がするのを…
黄泉軍とは比べモノにならない《最悪》
もしこの門が開いたら山のような凶悪な鬼たちが解き放たれてしまう。

「らj」

『それは禁止ですよ』
そんな門を解放しようとした時、水溜まりから手を伸ばし《暴君》を回収しようとする。

成功すれば《暴君》はいなくなり、《門》も消えるだろう。

『まったく、《強欲》の癖にプライド高く怒りやすいってありえない』
そんな声が水溜まりから聞こえるだろう。
264 : :2011/07/03(日) 00:57:51.44 ID:8EPkigIG0
>>262-263
「何あれ……。」

その門の大きさ、そこから放たれる妖気、すべてにおいて少し驚いた。
だが、特に焦る訳でもなく、いたって平然としていられたのは巴津火が居たからだろう。

「…誰?」

不意に現れた手に問う。
265 :巴津火 [sage]:2011/07/03(日) 01:01:56.68 ID:q9BQ/KJ+o
>>263
「っ!?」

目を蹴り、角に撒きついた鎖に雷を叩きつけようとしたとき、《門》が現れた。
鎖が切られ、落ちそうになった巴津火は慌てて、捕まりやすいものに手を伸ばす。
右の角にぶら下がっていた巴津火の、捕まりやすいもの。それは鬼の右耳、だった。

「うえっ、脂っぽい」

そりゃー耳だからね。夏だし。しかも、男鬼のだし。
ぬるりと手が滑って慌てて捕まりなおした先は、鬼の右耳のピアスだった。
しかし巴津火がそんなところにぶら下がって、大丈夫か?(主に、鬼の耳たぶが)

「誰だ、ボクの遊び相手を勝手に連れて行こうとする奴は!名乗れ!」

右の角にぶつけるつもりだった雷光を、巴津火は声のする水溜りへと投げつけた。

>>264
「澪、そいつ捕まえられるか?」

鬼の耳たぶから次に肩へ飛び移ろうと、身体を大きく揺らしながら巴津火が声をかけた。
266 :《暴君》&《悪魔》桔梗 :2011/07/03(日) 01:13:52.56 ID:B5yZvhHS0
>>265>>266

『危ないね…コレだからヤマタノオロチは』
水溜まりの声はそんな事をいいながら、水溜まりに当たる瞬間、雷をハツビーに反射させるだろう。
ついでに《暴君》にも当てる。悪魔だ

「ぎゃぁぁぁぁあ!!!いでででで!!離せ糞がぁぁぁぁあ!!!!!あと《悪魔》覚えてろ!!!」
あっ…耳たぶが切れて、ピアスがとれた。
そして、肩に捕まってるハツビーを澪に向かい振り落とそうとする。
成功したら《暴君》は水溜まりの中へ消えるだろう。

『こんにちは。二匹の《ヤマタノオロチ》』
『私は《七罪者》が一人。《嫉妬》の《大罪》を持つ《悪魔》。桔梗です』

水溜まりを覗くと
金髪に赤い口紅をした今時の普通な女子高生が写っていた。
267 : :2011/07/03(日) 01:19:32.97 ID:8EPkigIG0
>>265-266
「どうだろう……」

捕まえられるかどうか、それは分からない。
だが正体を明かす<悪魔>の元へと駆け寄る。

そして、水たまりへと女子高生目掛けて手を伸ばした。

268 :巴津火 [sage]:2011/07/03(日) 01:23:02.92 ID:q9BQ/KJ+o
>>266-267
「残念だったな。ボクに雷は効かないぞ」

鬼の方からピアスを片手に振り落とされた巴津火が、水面から跳ね返された雷をあっさり受け止める。
雷の影響で、幸いにも着地場所は澪の上からすこしだけずれたようだ。

「おいそこの鬼、待て。
 あと、桔梗とやら。こいつもこの《羅生門》も、ボクが貰うぞ。いいな」

《強欲》よりも強欲な発言である。
しかもこの《鬼》よりたぶんプライドのほうも高い。
低身長・ショタ認定された黒蔵の外見であっても、その中身と行動は大分違うようだ。
269 :《暴君》「」&桔梗『』 :2011/07/03(日) 01:35:16.68 ID:B4z19xGw0
>>267>>268

「誰が渡すか!コレは俺様のもn」
言葉を言い切る前に、連れてかれた哀れな《暴君》でした。そして《門》も消えた。

『残念ね。私が許可しないかぎり入れないの』
悪戯っぽく笑いながら、澪が触れると跳ね返されるだろう。

『あれ?気付いたのね、あれの正体に。それと《暴君》にあれをとったらただの力馬鹿の鬼よ』
おい…仲間に散々に言われてるぞ。《暴君》

『けど、《暴君》がまた何処で暴れるからその時奪えば?
どう奪うかはしらないけど…クスクス』
コイツ仲間の不幸喜んでやがる。悪魔だ
哀れ《暴君》
270 : :2011/07/03(日) 01:41:29.55 ID:8EPkigIG0
>>268-269
「はつびー、無理みたい。」

一度弾かれただけで諦めてしまう。

「なんか…貴方も暴君って妖怪も仲がいいんだね。」

ん?散々言われてる暴君と貶してる悪魔をどう捉えれば仲が良いのだか…。
とりあえず、澪にはそう見えたらしい。
271 :巴津火 [sage]:2011/07/03(日) 01:47:34.16 ID:q9BQ/KJ+o
>>269-270
「なーんだ、捕まえておかなくてもアイツとはまた遊べるのか。それならいいや。
 お前ら仲いいみたいだし、これアイツに渡しとけ」

と、あっさり《強欲》を諦めてピアスを水溜りに放り込む巴津火。
澪も巴津火も、どうしてこの二人が仲良しに思えるのだろうか。

「それで、アイツが鬼ならお前は雲外鏡か?また次にアイツと遊べる場所知ってたら教えろ」

雷を跳ね返したり水溜りから覗いたりする《悪魔》に、巴津火はそう尋ねた。
272 :桔梗 :2011/07/03(日) 02:00:36.73 ID:pL4V17VM0
>>270>>271

「……仲よく見えるの?貴方たち眼科いったら?」
ピアスは水溜まりに入り受け取る。
澪とハツビーの言葉に若干、驚きながらも冷静にそういう。
……実は仲間同士悪口いうが実は仲間思いなのだが…
事実、《魔女》の死、《神もどき》の裏切りと死の時内心悲しんでたりする。
実は零をかなり怨んでる。

「……よく気付いたね。
あと、私が教えなくっても、妖気で気付くと思うわ。ヤマタノオロチA」
なにその呼び方。

「ソレに…《お祭り》の準備をしてるからね…嫌でも私たちに遭遇するわよ」クスクス

「さようなら!二匹のヤマタノオロチ
貴方たちに不幸を」

そういいながら、《悪魔》は消え、ただの水溜まりになった。


/皆様お疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます
273 : :2011/07/03(日) 02:07:06.90 ID:8EPkigIG0
>>271-272
「ってことは僕がB?」

なんか凄くどうでもいい様な所に喰いつく。なぜだ…。

「…不幸って。まぁいっか。
はつびー、僕この後ノワール行くから一緒に買えろ。」

水たまりを後にし、ノワールを目指した。

//絡みお疲れさまでした&ありがとうございました。
274 :巴津火 [sage]:2011/07/03(日) 02:11:48.98 ID:q9BQ/KJ+o
>>272
「仲悪かったらああやって助けに来るか?普通?
 あとボクはヤマタノオロチAじゃない、巴津火だ!」

もしもこっちがヤマタノオロチBだったら多分呼び名もはつBになっていたところだ。
しかし、《悪魔》からの返事は無い。

「…でも《祭り》か。楽しくなりそうだな」

暴れられるなら口実は何だっていい巴津火。
《羅生門》を手に入れたら、退屈だからと言うだけで開きかねない気がする。

>>273
「うん、帰ったらプリン食う」

楽しく遊んでうきうきと帰宅した巴津火は、店長さんと蛸のお説教が待っていることをまだ知らない。

//お二人とも、絡みありがとうございましたー。
275 :丑三夜中 :2011/07/03(日) 21:42:50.28 ID:vCFmtfqDO
フンフンフンと鼻歌を歌いながら、右手にコンビニ袋を引っ提げて、薄い草履でペタペタ歩く男がいる
男は袋からアイスを取り出すと、既に飴をくわえているというのに器用に歯と手で封を開いて、表面から白い蒸気を沸かす青い長方形を口にする

「んー…何処いったんだ?」

男はアイスを食べながら不注意に周りをキョロキョロ見回して歩く
趣味の悪い目玉模様のシャツが陽炎で揺れるようにゆらゆらしていた
276 :天ッ堕 [sage]:2011/07/03(日) 21:52:21.68 ID:iFrcvEzSO
>>275
丑三の背後から、初夏だというのに有名な電気鼠の着ぐるみにすっぽりおさまった、小学校低学年ぐらいの幼児が歩いてきた。
短いブロンドの髪に、ガラス玉のような茶色の目。フードから覗く頬には、不可思議な文様が描かれている。
日本人には見えない。ついでに、一部の者からには、普通の人間にも見えないだろう。

「……」

ぼーっと、どこか遠くを見てながら歩いていた天ッ堕は、目の前の丑三に気付かなかった。
アイス片手で何かを探す男に、どんと衝突する。

「!」
277 :丑三夜中 :2011/07/03(日) 22:04:26.31 ID:vCFmtfqDO
>>276
飴を舐めながらアイスをかじる、焼タラコ味とソーダ味の超科学反応が咥内で起こっているのも、本人にはそれ程気になる物でもなくて、その舌は冷たいソーダの味だけをより分けて感じていた

「サモンッ!!」

そんな折、ズムと背中に幼児がぶつかる
大きさや重さ諸々の関係からそこまでダメージは無く転んだりはしなかったが、衝撃に思わず奇声を上げた
ついでに予期せぬ衝撃にアイスを取り落とし…

「―――ガッデム」

全てを悟った時には、その冷たい氷菓子はアスファルトに横たわっていた
278 :天ッ堕 [sage]:2011/07/03(日) 22:12:17.15 ID:iFrcvEzSO
>>277
べちゃり。
無惨にも固い地面にアイスが落ちた。
God damnの呟きと共に、甘い誘惑が溶けていく。

「? ……」

等という事は気にせず。
天ッ堕は「あー何かにぶつかったなー」ぐらいの感じで、丑三を一瞥すると、
再び歩きだそうとする。
279 :丑三夜中 :2011/07/03(日) 22:24:47.33 ID:vCFmtfqDO
>>278
「………………」

希望は潰えた、暑さという敵に対する氷の剣は、今まさに奈落へと落ちる
救いは無い、全ては無慈悲に流れる、時間とは、運命とはそういう物だ

「…………いや」

だが、救いは自らの手で作る事は出来る、運命は崩す事が出来る
この間、アイスが地面に落ちて、約一秒、まだ間に合う、絶望するにはまだ早い

「…三ッッッ秒ッッッ…!!」

手を伸ばせ、救いを掴め、壁を砕け、希望は自らの手で掴む物だ

「ルルルルルゥゥゥウウウウウウル!!!」

そして、アイスは掴み上げられた、三秒経つ前にその手に掴んだ

「―――って食えるか!!」

と思ったらすぐに地面にたたき付けた、当たり前だ、溶けた上に砂利まみれな物が食える訳がない、乾物ならともかく

「ヘイ!ヘイユー!ボーイ!ボーイミーツガール!!ウェイウェイウェイ!!」

無駄にスタイリッシュな動きでアイスを拾いたたき付けたかと思うと今度は用事を呼び止める
暑苦しい、暑苦しくて五月蝿い事この上ない
280 :天ッ堕 [sage]:2011/07/03(日) 22:33:48.47 ID:iFrcvEzSO
>>279
背後で丑三が見えない何かと戦っている間にも、電気鼠の少年はすたこらと歩いていく。
清々しい程全く気にも止めていない。
アイスを地面に叩き付けた丑三が、大声で天ッ堕を呼び止める。

「……??」

それでも、呼ばれたことに気付くまで数秒の時間を要し、
天ッ堕は首だけで振り返った。
幼児の視界に写ったのは、スタイリッシュ・ポーズを決める、悪趣味Tシャツを着た男の姿。

「……」

数秒、丑三を見つめる。
そして天ッ堕は、正面を見て歩き始めた。
281 :丑三夜中 :2011/07/03(日) 22:46:13.93 ID:vCFmtfqDO
>>280
「いや、ちょ、待ちなさい待ちなさい、お前だから、お前に言ってるから」

歩こうとする幼児に慌てて話し掛けながら近寄る
手をかけて止めようとするが、最近モンペが五月蝿かったりするので止める

「止まろう、せめて止まろうか、お兄さんほら、超困ってるから、一番堪えるからその反応」

何かのスポーツ選手もびっくりなステップで幼児の前に回り込み通せん坊、開いた足元が(幼児の背丈によってだが)がら空きだが
282 :天ッ堕 [sage]:2011/07/03(日) 22:53:21.93 ID:iFrcvEzSO
>>281
「」ビクッ

突然前に回り込まれ、驚いた天ッ堕は目を真ん丸くして丑三を見上げた。
しばらく呆然と男を見ている。
透き通った茶色の目に、丑三の姿が写る。

がら空きの足元にも目を遣るが、流石の幼児でも丑三の言葉に反応したらしく。

「……とまる」

二度ほど繰り返した言葉を鸚鵡返しして、天ッ堕はその場に立ち止まった。
しかし、何故止まらなければならないか分かっていない為、
相変わらず不思議そうに首を傾げた。
283 :丑三夜中 :2011/07/03(日) 23:04:10.96 ID:vCFmtfqDO
>>282
「よーしよし、まだとまんなかったらモンスターボール投げてた所だぞ本当」

ふーやれやれ、と額の汗を拭い、膝を曲げて屈んで幼児と目線を合わせる

「いいか、えーと…ピカチ○ウ、お前は今俺にぶつかったんだ、それで俺は一口しか食ってないアイスを落とした訳だけど、それはいい」
「とりあえず人にぶつかったらやる事があるだろ?不注意だった俺も悪いが、まず謝らなきゃいけないんじゃないか?」

見た目と先程の行動に反して言う事はまとも…な、気がする
内心、「近くに怖い親とかいたらマジやべぇ」とヒヤヒヤしているのだが

/すいません、次のレス少し遅れます
284 :天ッ堕 [sage]:2011/07/03(日) 23:21:03.74 ID:iFrcvEzSO
>>283
丑三が膝を曲げたことで、視線が真っ直ぐと絡み合う。
茶色の瞳は怯えからか若干揺らいでいた。

「ぴか……?」

その鳴き声は、まんまピカ〇ュウである。
絶縁グローブがなければ、今頃「ほうでん」でもしていたかも知れない。
自分のことを、電気鼠の名前で呼ばれたことが気になったのか、

「アマツキは、アマツキ」

天ッ堕は静かに自己主張した。

「あやまる」

謝る。その言葉は知っている。
夜や夕からも習ったことだ。
『悪いことをしたら、ごめんなさい』。
天ッ堕の頭の中で言葉が巡る。
……ええと、そう、ぶつかった、だから。

「ごめんなさい」

何秒か掛けて、天ッ堕はちょこんと頭を下げた。
285 :丑三夜中 :2011/07/03(日) 23:32:15.05 ID:vCFmtfqDO
>>284
「よし、それでいいんだそれで」
「聞き分けがいい子は好きだぞ、お兄さん」

天ッ堕が謝ると、頷きながら立ち上がる

「…で、お前は何だ?天ッ堕」

いつから人間じゃない、と感じ取っていたのか、唐突に質問を投げ掛ける
端からみりゃ変人な事この上ない

/ただいま帰りました
286 :天ッ堕 [sage]:2011/07/03(日) 23:44:38.20 ID:iFrcvEzSO
>>285
「なに、」

唐突な質問に、天ッ堕は目を白黒させる。
何、とか、どれ、なんかの曖昧な受け答えは、まだ得意ではなかった。
けれど少しして、天ッ堕は裾を捲って見せた。

「アマツキは……らいじゅう」

複雑な文様は彼の種族を表していたが、それが丑三に伝わるとは限らないだろう。
しかし腕にはもう一つ、天から堕ちると書いて「天ッ堕」と読む少年の名前も書かれていた。
287 :丑三夜中 :2011/07/03(日) 23:55:44.76 ID:vCFmtfqDO
>>286
「雷獣、か…」

ふむ、と声を出して文様を見遣る、見たからと言ってそれが雷獣の種類を表す物とは解らないが

「雷獣…なんかカッコイイイメージがあるんだけどな…」
「お前は可愛い系だな、ピカ○ュウだし」

勝手なイメージの雷獣とは違う見た目の天ッ堕をじっと見る
288 :天ッ堕 [sage]:2011/07/04(月) 00:03:05.46 ID:z3RYkqfSO
>>287
「ピカ……」

むっと顔をしかめ、天ッ堕は小さい頭をぶんぶんと振る。
どうにも保護欲を誘う行動は、小学生というか、どちらかといえば幼稚園児のようだ。
こちらを見る視線を、背伸びして見つめ返す。

「アマツキは、アマツキっ」

じぃーっと丑三を見るその顔は、名前を知りたがっているようにも見えた。
289 :丑三夜中 :2011/07/04(月) 00:14:17.45 ID:Opzi1BUDO
>>288
「あー、悪い悪い、天ッ堕だな、解ってるよ」
「ちなみに俺の名前は丑三夜中、かっこいい丑三お兄さんって呼べよ?」

腕組みポーズにニヒルな笑いを決め、天ッ堕に名乗り返す
子供が見ても解るくらいの駄目な大人オーラがムンッムンに滲み出る出で立ちは、ある意味記憶に残るかもしれない

「あ、そうだそうだ」
「天ッ堕、お前ここら辺で猫見なかったか?紫とピンクのしましまな猫」

思い出したかのように手を叩いて問い掛ける
そんな色の猫がいたら忘れる筈がないだろうが、残念ながらこの辺りをその猫は通ってはいない
290 :天ッ堕 [sage]:2011/07/04(月) 00:24:14.48 ID:z3RYkqfSO
>>289
「カッコイイウシミツオニイサン」

言われた通り丸々、鸚鵡返しする。意味が分かっていないので仕方がない。
このままでは丑三の名前が、そのまま記憶されてしまうだろう。子供の頃に覚えたことは忘れないものだ。
それは彼独特の雰囲気によって、更に加速されかねない。

「?」

尋ねられるが、天ッ堕は知らないと頭を振る。
というか見ていても、多分気付いていないだろう。
前を歩く丑三にさえ気付かないのだから。
291 :丑三夜中 :2011/07/04(月) 00:38:57.03 ID:Opzi1BUDO
>>290
「OKOK!!それでいいそれでいい!!」

言い方が少しアレでも言われりゃなんでもいいのだろうか、本人は嬉しいようだ

「見てないか…何処にいったんだろうな…」

「悪いな、少し遊んでもやりたい所だが、捜し物がある」
「また今度会ったらかっこいい丑三お兄さんが遊んでやるよ、じゃな」

猫がいないと解ると、首を捻って
天ッ堕に謝ると、右手を振りながら小走りで何処かへ行ってしまった
292 :天ッ堕 [sage]:2011/07/04(月) 00:47:56.56 ID:z3RYkqfSO
>>291
小走りで消えていく背中を、天ッ堕はぼうっと見つめる。
その姿が見えなくなると、思い返すように、少年はつぶやいた。

「カッコイイウシミツオニイサン……」

長い。
少しだけ顔をしかめる。
それからしばらくして、天ッ堕は何か思いついたような顔をした。

「……カニサン」

丑三が去った後、少年の中で彼に対する名前が決まってしまったのだった。
293 : :2011/07/04(月) 20:30:07.81 ID:sjuZBW+DO
人気のない、暗い森。
そこに、車椅子の音が響く。乗っているのは、力無い悪魔。

「はぁっはあっ・・・・・・」

どうやら一人で漕いでいるらしく、かなり疲れているのが分かる。
294 :零にそっくりな悪魔 :2011/07/04(月) 20:40:42.60 ID:FqHJsvz8P
>>293

 葉陰の後ろから、その様子をじっと見つめる一人の悪魔。
 その姿は車椅子に乗る零に瓜二つだったが、見開かれた瞳は爛々と輝いていた。

「・・・間違いない、間違いないよね」

 ブツブツと呟くように、何度も独り言で確認する。
 次第にその声は弾むような響きを含み、やがて表情は歓喜を浮かばせていた。

「ゼロ・・・、ゼロ!!」

 飛び出し、車椅子に駆け寄る。
 汗ばんだ零の肌にその冷たい手が触れ、しっかりと堅く堅く抱きついた。

「会いたかった、会いたかったよ・・・ゼロォ!!」

 見開かれた目に狂気を浮かばせ、瞳孔は興奮で収縮し。
 その頬には行く筋もの、涙を流していた・・・。
295 : :2011/07/04(月) 20:45:35.58 ID:sjuZBW+DO
>>294
びくり、背筋が凍り付いたかのように思えた。
と、その時、自分の手を握る者が。それはまさしく・・・自分。

「・・・・・・!?」

声が出せない、そして、なぜか少し恐怖感のあるような・・・・・・。

気の性なのか、それとも・・・
296 :ネロキナ :2011/07/04(月) 20:52:03.45 ID:FqHJsvz8P
>>295

「・・・どうしたの、ゼロ? ねぇ、私だよ。
 ネロキナだよ。ねぇ、まさか忘れたの? そんなわけないよね、ねぇ!」

 抱きつく力が徐々に強くなっていく。
 見開かれた瞳孔が零の心を覗き込むように凝視してくる。

 その不気味な口調で。
 そのおぞましい声で。

 悪魔よりも黒く、残酷な言葉を吐き出した。

「前みたいにロキって呼んでよ・・・兄さん」
297 : :2011/07/04(月) 20:59:06.32 ID:sjuZBW+DO
>>296
「な、何を言ってるの?人違いだよっ・・・!う・・・っ。」

抱きしめられる力が強くなるたび、傷が痛む。
それに何だろう、この妖気は。
自分は・・・会ったことがあるのだろうか?

「離してっ、私の妹は露希だよ!」
298 :ネロキナ :2011/07/04(月) 21:10:57.21 ID:FqHJsvz8P
>>297

「露希・・・ッ!!」

 発音の少し違う、自分と同じ名前を聞いて。
 “二人目のロキ”は一瞬でその表情を引き攣らせた。

「違う、違う! 目を覚ましてよ、ゼロ!!
 あの女は・・・あの魔女はゼロの妹なんかじゃない!!」

 零と同じ色の、黒々とした翼がネロキナの背から現れる。

「ロキ=イノセントは・・・ゼロの、私達の50年後の子孫だよ。
 ゼロの、兄さんの妹は・・・正真正銘、私だけなんだからぁ!
 ほら・・・見てよ、思い出してよ。ゼロに貰った最後のプレゼントだよ?」

 ニタリと、粘りつくような笑みを浮かべて自分の服を少しまくる。
 そこには痛々しくグロテスクな包丁の刺し傷の痕が残っていた。

「私はずっと、350年間ゼロのことを探してたよ。
 ずっとゼロの事ばっかり考えてたよ。痛かったけど、悲しかったけど、辛かったけど。
 それでも私は、悪魔でも私はゼロの事が大好きだよ? だって許しあえてこその兄妹でしょ?
 愛し合う者同士は、その痛みや傷すら受け入れることができるんだよぉ?」

 吐き出される呪詛のような言葉は。
 真実なのか、歪んだ記憶なのか。

「ねぇ、ゼロ」

 眼前に浮かぶ、歪んだ笑み。
 果たして真相は・・・
299 : :2011/07/04(月) 21:16:42.78 ID:sjuZBW+DO
>>298
「それは・・・っ!」

確かにあの時の傷だった。包丁で、何度も突き刺したあの傷。

ごくり、と息を呑む。彼女の事が本当なら、露希は何なのだろう?
いつも一緒に居た露希は何なのだろう?

「ネロキナ・・・詳しく教えて欲しい・・・・・・。」

冷静さはどこかへと、ただ本当のことを知りたかった。
300 :ネロキナ :2011/07/04(月) 21:29:51.74 ID:FqHJsvz8P
>>299

「本当に・・・覚えてないんだね・・・」

 どこか悲しげな顔をした後、
 ネロキナは零の耳元で囁きかけた。

「私の事はロキって呼んでよ・・・。兄さんがいきなり私に襲い掛かったあの後。
 自殺して、ゼロは完全に悪魔になったよね。しばらくしてからゼロは露希を殺した」

 あれほどキツく抱きついていたのにあっさりと離れ。
 今は車椅子の背をカラカラと押している。

 朝の陽光が陰り、辺りを薄暗く照らす森の中を。
 ただ語りながら、森の奥へ進めて行く。

「でも露希は死ななかった。逆に天使として蘇生して、ゼロの心の隙を付いて改心させてしまった・・・ッ!!」

 車椅子の取っ手からミシミシと音が聞こえた。

「その様子だと・・・過去の傷も都合の悪い事実も忘れさせられたみたいだね!!
 ヌケヌケと、ゼロの妹のフリをしやがって・・・ッ!!」

 怒りと憎しみの孕んだ、おぞましい声が聞こえた。
301 : :2011/07/04(月) 21:37:32.96 ID:sjuZBW+DO
>>300
「・・・っ、離せ・・・・・・ネロキナ。私は零。露希の兄だよ。
君のお兄さんじゃないんだ。だからもういいよ。」

自分で車を回し、ネロキナと距離を取る。
自分の記憶は間違っていない、という風な眼差しだった。

この零を見て、どう思うのか・・・
302 :ネロキナ :2011/07/04(月) 21:53:59.60 ID:FqHJsvz8P
>>301

 ふと緩んだ隙に、手元から離れる車椅子。
 想い続けた相手に、自分の愛が届かない。

「・・・」

 ただ薄暗い視線を送り、憎々しげに呟く。

「そっかー、そこまであの女に漬け込まれてたんだねー」

 どこか狂気を含んだ、感情を押し殺しきれない強がったような声で呟く。
 継いでいきなり大声を上げた!

「どうすれば認めてくれるんだいゼロ! どうしてわかってくれないんだゼロぉ!!
 あの女を殺せばいいのか? 事実を忘れるくらい、長い時間一緒にいればいいのかい!!」

 ネロキナは泣いていた。
 瞳孔が収縮し、見開かれた目は更に狂騒的に見える。

「そんなに待てないよ、もう我慢できないよっ!
 私はもう350年間、ゼロを探したんだ! 350年間ずっと一人だったんだ!!」

 いいきった後、ネロキナは肩で息をし、しばしの沈黙が続く。
 ふと、何かを思いついたように。
 ククク、と笑い声を漏らし始めた。

「・・・そうかぁ、わかったよ。
 もうゼロはあの女の兄さんになっちゃったんだね・・・」

 懐からギラギラと黒光りする包丁を抜き取る。
 その眼は、怒りと狂愛に満ちていた。

「もう触らせない、もう譲らない。
 ゼロを殺して! これからはずっと私がゼロを独り占めにしてやる!!」

 飛び掛り、車椅子のゼロに向けて凶刃が振り下ろされる!
303 : :2011/07/04(月) 22:03:37.20 ID:sjuZBW+DO
>>302
「ネロキナ・・・さっきから、何を言ってるの・・・・・・?」

零は酷く困惑している。やはり、彼女が妹なのか。

しかし、自分は子孫を作った覚えも何もない。
あるのは露希達と過ごした『日常』だった。

しかし、考える余裕もなく、包丁が降り懸かる。

「ぐぁぁっ・・・・・・」

左手で体を守るようにしたため、治っていない傷を更に広げる。
刺したところからは、少しずつ血が流れ落ちる。

彼女の目に入るのは、悲痛な顔の「零」だろう。
304 :零&露希 :2011/07/04(月) 22:37:38.91 ID:sjuZBW+DO
そんな時だった・・・。
白い翼を持った、純白なる天使が舞い降りた。

手には漆黒と純白が混じり合うような、双刀。
幻想的な物だった。

『零、もう大丈夫だよ。』「露・・・希・・・・・・。」

天使は零に微笑みかけ、零を襲った者に冷たい視線を送る。

『・・・なんの目的で、ボクの兄を襲ったの?』
305 :ネロキナ :2011/07/04(月) 22:55:33.99 ID:FqHJsvz8P
>>304

 包丁を引き抜き、再び振り下ろすとしたその時。
 甲高い金属音と火花を上げて、交じり合う双刃。

 一瞬、ネロキナの眼を丸くしてあっけに取られたが。
 次の瞬間、冥界の怨念をそのまま吐露するような、邪気の籠もった怒声を上げた。

「露希・・・露希ぃいいいいいいいいいッ!!!」

 怒りに任せて、そのまま包丁を振り下ろそうとするが。
 寸でのところで思いとどまって、飛び退くように後退する。

「・・・はっ、襲ってたなんてとんだ誤解だよ!
 取り返そうとしただけだよ、“私の”兄さんをねぇ・・・」

 そのままポツリポツリと、囁くように呪詛のような言葉を唱える。

「健やかなる時も、病める時も、私達は共に有る・・・シェアリング・ダメージ」

 徐々に、零の体中の傷が治癒していく。
 それとは対照的に、ネロキナの身体には生傷が現れていく!!

「ほら・・・見てよゼロぉ。私はそんなヤツより、ずっと近くにいるんだよ。
 ゼロと同じ痛みを感じてるんだぁ・・・」

 突如、ガクりと肩膝を付く。
 笑いかける、どうやら動かない足すら!
 痛みを共有してしまったのだ!!

「ゼロの何も知らないくせに、何も共感できないクセに・・・。
 ボクの兄なんて随分都合がいいじゃないか・・・この魔女がぁ!!」
 
306 :零&露希 :2011/07/04(月) 23:04:29.07 ID:sjuZBW+DO
>>305
『ボクに何の怨みがあるか知らないけど・・・。
零を譲る気はないよ?

それとも・・・ボクを倒して奪う・・・?』

「待って露希・・・。彼女の話を聞こう。」

零を守ろうと、露希は刀を構える。が、零に制止されてしまう。

「ネロキナ、君は一体何者なんだ?私をどう思ってる?」
307 :ネロキナ :2011/07/04(月) 23:16:34.44 ID:FqHJsvz8P
>>306

「・・・もう言うことはないよ」

 どこか寂しそうな目で二人を一瞥し。
 そのまま吐き捨てるように語りかける。

「私はネロキナ、ゼロにロキと呼ばれていた本当の妹。
 ・・・ゼロのことは、唯一の肉親で、兄さんで、世界一愛してる」

 臆面も無く、そう呟くと。
 そのまま包丁をしまい背を向けた。

「今日は退散するよ。350年も待ったんだ・・・数日くらいなんてこと無いさ」

 黒い翼を生やし、目晦ましのような霧の煙幕弾を噴出すと!
 そのまま黒い闇に紛れて消えていった。

「でも私は諦めないよ、ゼロが本当の記憶を取り戻すまで。
 兄さんを取り戻すまで・・・私は絶対諦めない!!」
308 : :2011/07/05(火) 00:40:38.44 ID:eBc1kXRDO
>>307
『・・・・・・?』
「はあっ・・・はあっ・・・・・・」

今の二人には、彼女が何を言おうが理解しないだろう。
だが、いずれこの生活が変わってしまうかもしれない。
世界が変わるかも知れない。

零は少しの恐怖感を覚えた。

//すいません・・・ここで切ります。
絡みありがとうございました!
309 :小鳥遊 療介/東雲 犬御 :2011/07/05(火) 20:50:01.19 ID:1YbLCW4ao
鍵の掛かった診察室の入り口には、「不在」と書かれたプレートが掲げられていた。
しかし、室内は微かなノイズ音で満たされている。
小鳥遊が肘を掛けるデスク上の、簡易スピーカーから流れているものだ。
ヘッドフォンを付けた小鳥遊は、リズム良く指先で机を叩きながら、どこか浮かない顔でそれを見ていた。

――どうも黒蔵さん、メーターチェックお疲れ様っす。
   ……ああ、ボールペンすか? 差し上げますよ。使ってください

先程の自分の言葉を思い出す。
仕事ついでに黒蔵に渡したボールペンには、小型盗聴器が取り付けていた。
正直気は進まなかったが、機械に弱いらしい彼の正体を知るには、この方法が一番だろうと考えた結果だった。

(結局、東雲さんには渡せなかったな。あの人勘良いから)

自嘲気味に笑みを漏らす。
その後黒蔵には、東雲と共に書類運び及び整理を一緒にやるよう言い付けてあった。



人気のない病院地下の資料室。

「クソガキ、その束取れ」

小鳥遊の指示により、黒蔵と揃って仕事を行う東雲は、
運び入れた関係書類の概要をさらさらと表に書き込んでいた。
ついでに、彼が使うボールペンは自前のものだ。

随分この仕事にも慣れたらしく、手付きに迷いはない。
しかし相変わらず生傷の絶えない顔は、具合が悪いのかわずかに青ざめており、動きも鈍かった。
310 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 20:57:54.65 ID:pFYxSqATo
>>309
小鳥遊医師に貰った、つるりと滑らかなボールペンは黒蔵にとって目新しかった。

「ん?これ?はい。
 こういうの前にも見たけど、これ一々墨つけなくても書けるんだね。初めて使う」

書類束の付箋の番号をチェックしながら犬御に手渡してゆく。
ここの仕事で算用数字にも大分慣れ、古い資料を番号順に並べなおすのも
間違えないようになった。

「…あのさ狼。最近気になってるんだけど」

どう切り出そうか少し迷ったが黒蔵は、犬御に怪我の理由を聞く事にした。

「その怪我、どうしたんだ?」
311 :東雲 犬御 :2011/07/05(火) 21:11:42.20 ID:1YbLCW4ao
>>310
「ただのボールペンだろーが」

受け取った書類束を横目に見ながら、書き込む腕を動かす。
意外に達筆な字だ。
黒蔵が躊躇いがちに尋ねると、東雲は気だるげに傷だらけの顔を向けた。

「あー……? テメェに気にされることじゃねーよ。
 町に出る奴らと軽くやりあっただけだ」

肩を回すと、関節が音を立てる。
人間がこの会話を聞けば、町の不良とでもやりあったと捉えるのが普通だろう。
だがこの場でいう「奴ら」とは、彼らと同類、つまり妖怪のことだ。
東雲の発する態度や風貌から、寄ってくるものも多いのだろう。
312 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 21:17:27.91 ID:pFYxSqATo
>>311
「そうなのかもしれないけどさ。俺は自分の物持つの、はじめてだもん」

こういうものを持たされたのが、黒蔵にはちょっぴり嬉しいのだ。

(もしかして狼、俺のことで鬱憤溜めて喧嘩してんのかな)

そして犬御の怪我にどこか罪悪感を感じた黒蔵は、おずおずと提案した。

「今度、いい薬融通するよ。
 お前があんまり怪我してると、四十萬陀だって心配するだろ」

衣蛸の悪戯以来、犬御のぶっきらぼうながら面倒見のいいところにどこか親近感を覚えている黒蔵は、
今の自分に出来る事としてそれを提案してみた。

「今なら巴津火の名前で人魚の血も河童の膏薬も、楽に手にはいるし」

犬御の前で、叡肖の名前を出す事は流石に控えた。
313 :東雲 犬御 :2011/07/05(火) 21:36:21.08 ID:1YbLCW4ao
>>312
「いらねーよ」

黒蔵の提案を一蹴して、書類束を放るよう投げる。
紙束はどさりと、重さを感じさせる音をたてて机に落ちた。
あくまで東雲にとって恋敵である黒蔵からの提案だから、というのもあるだろうが、
元より彼は借りを作るのが嫌いな性分だ。

それより、と東雲は険しい視線で黒蔵を睨みつけた。

「……テメェ、まさか自分のせいで鬱憤溜めて、とか考えてンな提案したんじゃねーだろうな?」

ならさっさと面差し出せ、と付け加えて、東雲は視線を外した。勘の良い狼だ。



その二人の会話を、小鳥遊は静かに傍聴していた。
今の所おかしな部分はない。
ぎしり、と椅子の背もたれに体を預ける。
だが次の瞬間、小鳥遊は信じられない言葉を耳にした。

『……今なら巴津火の名前で――』

『人魚の血も河童の膏薬も――……』

「……」

かたん、と、デスクを叩く指の動きが止まった。
小鳥遊は身を乗り出し、かじりつくように会話を聴く。
314 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 21:44:13.94 ID:pFYxSqATo
>>313
断られるだろうと予測はしていても、やはり実際にそうなると凹むのだ。
犬御は恋敵であり同僚であり、なによりこの人間だらけの場所では
唯一安心できる妖怪である。決して好き好んで争いたいわけではないのだ。

「気を悪くさせたなら、謝る」

俯いたまま、資料をチェックして並べなおす黒蔵。
資料の番号に混じるアルファベットのほうはまだ完璧ではないのか
OとQの順序を間違えて並べている。

「殴りたきゃ今のうちに殴れよ」

この、みっともない作業服で仕事中の今なら、巴津火は出てこない。
今ならまだ巴津火ではなく黒蔵なのだ。

(何時まで俺は、俺で居られるんだろう)

抱え込んだ不安を押し殺して黒蔵は犬御から顔を背けた。
315 :東雲 犬御 :2011/07/05(火) 22:02:29.40 ID:1YbLCW4ao
>>314
「……」

外した視線を戻す。
俯いた黒蔵を見て、東雲は吐き捨てるように舌打ちすると、大股で少年に近付いた。
そして彼の手元の資料番号を見て、

「間違ってんだよ、ボケ」

いつもの通り、拳骨を黒蔵の頭に飛ばした。
だが、その威力はあまりない。
手加減している訳ではなさそうだが……。

「しょげてるテメェ殴っても気分晴れるわけねーだろうが。
 そのウッゼェ面やめて、さっさと仕事しろ」

その場で机に向き直り、黒蔵の手元から書類を引っ手繰る。

「この仕事はあのガキにはできねーんだ」

それだけ言うと、東雲は黙々と仕事を始めた。
316 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 22:19:34.89 ID:pFYxSqATo
>>315
がつん、と鈍い衝撃が走る。
殴られたと理解するのと同時に、なんだか無性にほっとした。
これがいつもどおりの犬御の反応である。

いつもの、あたりまえにある日常は、なんと脆いのだろうか。
この仕事をできないあのガキ、というのが巴津火のことであると判っていても、
やっぱり、黒蔵の心臓は不安に鷲づかみされたままなのだ。

「俺、もしかして居ない方が良いんじゃないかなって、たまにだけど思う」

番号を間違えた黒蔵は今度は部屋の奥の方で、シュレッダーにかける予定の資料を
バサバサとダンボール箱に放り込みはじめる。
物音に遮られて、犬御に聞えるかどうかは判らない。
しかし作業服の胸ポケットにさしたボールペンは、その呟きを拾ったかもしれない。

「妖怪の身体を作り出す方法って、無いもんかなぁ」

織理陽狐さんなら、そんな魔法のような道具を出せるんだろうか。
そんなことを思いながら首にかけた守り袋と、その中の硬い感触2つを探る。
一つは黒蔵の友人の欠片、もう一つは…窮奇の作った、まがいものの翡翠の輪。

「もう一つ身体があったら…巴津火も俺も、楽なのに」

それはもしかしたら、小鳥遊医師にとってのつけこむ隙かもしれない。
317 :小鳥遊 療介/東雲 犬御 :2011/07/05(火) 22:33:12.43 ID:1YbLCW4ao
>>316
「……」

東雲の聴力は、黒蔵の呟きを捉えていた。
だが、何も答えなかった。
そしてそれを拾い上げた盗聴機の向かい側、小鳥遊は、

「……」

ごくりと唾を飲み込む。
はっきりと聞こえた単語に、小鳥遊は額に脂汗を浮かべた。その表情は暗がりでよく見えない。
だが、その指先は、デスクの上の携帯に向かっていた。



――ブブブブ……。
一瞬、静かになった空間を裂くように、
東雲の持っている携帯が彼のポケットの中で震えた。
携帯が鳴る、ということは十中八九、あの医師からの呼び出しということだ。

部屋の奥にいる黒蔵を一瞥し、東雲は着信を受けた。
しらばく、会話が続く。

黒蔵が書類束の一つをシュレッターに掛け終わった頃、
会話を終えた東雲が、そちらに声を掛けた。

「クソ医者が俺とクソガキをお呼びだ。行くぞ」

ばさりと白衣を翻し、出口へ向かう。
318 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 22:41:16.86 ID:pFYxSqATo
>>317
狼が携帯で誰かと喋っている。黒蔵にもその相手は大体見当がついた。
そして、やはりその予想は当たっていたらしい。

「判った」

まだ作業途中だが、呼び出しなら行かなくてはならない。
あの医師は油断ならないが、狼が一緒なら多分安心だ。

白衣を翻す犬御の後を小走りに追いかけて、黒蔵も3階へと向かう。

「あれ?でも不在の札がかかってるよ?」

黒蔵はドアの前で不思議そうに首をかしげた。
確かに中には気配があるのだけれど、勝手に入って良いものだろうか?
犬御を見上げて、その反応をみることにした。
319 :小鳥遊 療介/東雲 犬御 :2011/07/05(火) 22:55:06.56 ID:1YbLCW4ao
>>318
「……?」

怪訝そうに東雲が眉を潜める。
今まで何度も呼び出せれたが、こんなことはなかった。
扉の奥に気配はある。いないということはないだろう。

ともかく東雲は、扉に手を掛ける。
開かれた診療室の奥には、いつものように小鳥遊が腰かけいた。

「どうも――東雲さん、黒蔵さん」

しかし、どこか、

「少しお話があるんすけど、お時間いただいてもいいすかね?」

どこかいつもと様子の違う小鳥遊は、薄笑いを浮かべていた。
彼のデスクに堂々と乗せられた盗聴機械の電源は切られていない。
どころか、ヘッドフォンも外されいる。
今となっては、彼にとっては、もう隠す必要はないのだ。

「? さっさと用を『さっさと用を――……』」

東雲が言葉を発すると、それを追うように、スピーカーから言葉が流れた。

「……!?」

状況を、理解するのにそう時間は掛からなかった。
目を見開き、さあっと顔を青くさせる妖怪に、人間はにたりと口許を歪ませた。
320 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 23:03:24.84 ID:pFYxSqATo
>>319
犬御の後について黒蔵も室内へ入る。
デスクにはやはり小鳥遊医師が座っていた。
ディスプレイの光を照り返すあの眼鏡で、口元の薄笑い以外の表情は黒蔵にはよく判らない。

スピーカーから送れて犬御の声がした。
そして犬御の表情が変わった。医師がほくそえんでいる。
まだ良く判らない黒蔵は、少し緊張気味に医師に問うたのだが。

「どういうこと?『どういうこと――-…?』」

その声をスピーカーが反復する。
何か物凄く不味い事が起きたのだと狼の表情からは判ったのだが、
それがどういうことなのかまだ黒蔵にはよく飲み込めなかった。
321 :小鳥遊 療介/東雲 犬御 :2011/07/05(火) 23:13:07.25 ID:1YbLCW4ao
>>320
小鳥遊は椅子から立ち上がると、盗聴器の電源を落とした。
部屋を満たしていたノイズ音がぷつりと途切れ、次いで不気味な静寂が包み込む。

状況の飲み込めない黒蔵を、小鳥遊の細められた瞳が捉えた。
ゆるりと指が動き、真っ直ぐに黒蔵を指差す。

「すいません、黒蔵さん。簡潔に言いますと、
 あなたに差し上げたボールペンに、盗聴器を仕掛けさせてもらいました」

激しく焦りの様子を浮かべる東雲が、黒蔵を振り返る。
しかし、もう遅い。
小鳥遊はくつくつと肩を揺らす。

「もっと簡単に言えば、先程のあなた方の会話を、全て聞かせてもらったということっす」

デスクに無造作に置かれた再生機に、小鳥遊が手を伸ばす。
ボタンを押すと、ノイズ交じりの黒蔵の声が再生された。

『今なら巴津火の名前で人魚の血も河童の膏薬も、楽に手にはいるし――……』

停止ボタンが押され、再び静寂が訪れる。
眼鏡の奥の瞳が、二人を見遣る。
歪んだ唇が、言葉を紡ぐ。

「いやあ、普通の方々じゃあないことは常々思ってましたが、

 まさか本当に人間じゃないとは、驚いたっすよ」
322 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 23:19:23.51 ID:pFYxSqATo
>>321
事情を把握するにつれて、黒蔵の表情が次第に色を失ってゆく。
再生機が自分の声を再生した時、爬虫類特有のあの冷たい無表情を貼り付けて黒蔵が動いた。

「犬御、逃げろ」

その言葉と同時に、黒蔵は一歩デスクに近づく。
自分のせいでこの狼まで巻き込んでしまった、その悔いが黒蔵の心を抉る。

「お前なら、逃げ切れる」

それは犬御の倍の年月を経た妖怪、黒蔵からの、威圧を含んだ初めての命令だった。
323 :小鳥遊 療介/東雲 犬御 :2011/07/05(火) 23:40:06.21 ID:1YbLCW4ao
>>322
(クソッ、甘かった!!)

気付かれた。気付かれてしまった。東雲は苦々しく唇を噛む。
最近妙なことをしていたのに勘付いていたのに、介入しなかった自分が原因だ。後悔が頭を先走る。
だが、彼の背後から、黒蔵が一歩デスクに踏み出した。
小鳥遊は僅かに強張った薄笑いを浮かべたまま、普段と威圧感の違う黒蔵を見ている。

逃げろ、などと命令されたのは久々だった。しかも黒蔵からだ。
だが、それに刃向う言葉が、すぐには思い浮かばなかった。
焦りより先に、妖怪としての黒蔵の重圧感に、無意識に背筋を震わせる。

「黒――」

「いやあ、そうでもないかもしれないっすよ?」

小鳥遊が、さえぎるように言う。
その言葉の意味はすぐに分かった。
黒蔵の隣で、突然、東雲が地面に膝を付いたのだ。

「……!?」

受け身をとった腕すら震えている。
――手足の感覚が、ない。どころか、視界も霞んでいる。
東雲は弱弱しく頭をもたげると、小鳥遊を睨みつけた。

「テメェ……」
「いやあ、こうなる可能性は低いと思ってたんすけどね。
 仕事前に『保険』をかけておいてよかったっすよー」

にこにこ、と小鳥遊は笑顔を浮かべたままだ。

「あ、命に別状はないっすよ。ただの遅効性の麻酔薬っす。
 何度か投薬した時に、東雲さんのデータは取ってますから。
 あなたに効くように調合するの大変だったんすよ?」
「舐めやがって……」

睨む視線を嘲笑うように一瞥すると、小鳥遊はデスクを振り返った。
そして、フラスコに入った「試作品第一号」を手に取ると、

「さて、黒蔵さん……本題といきましょうか」

小鳥遊は、黒蔵へと向きかえった。
324 :黒蔵 [sage]:2011/07/05(火) 23:49:50.40 ID:pFYxSqATo
>>323
「貴様!」

犬御を押さえられて黒蔵の声に怒気が混じった。無表情の中でその邪眼が冷たい輝きを放つ。
しかし黒蔵であるうちは、恩人でもあるこの医師を[ピーーー]事はできない。
罪人が二度道に背くのは破滅に繋がるのだ。

(暗示が効けば、暗示さえかけられれば。殺さずに記憶を消せるのに)

久しぶりに黒蔵は怒りで一杯だった。医師の狡猾さと、何より愚かな自分自身への怒りだった。
だからこそ黒蔵はまだ逆上せずにいられたのかもしれない。

「本題、だと?」

医師のにこやかな笑みとは対照的に不機嫌さを隠さない口調が、医師の次の手を見てやろうと先を促した。
325 :小鳥遊 療介/東雲 犬御 [sage]:2011/07/06(水) 00:11:28.19 ID:KCPjDw/SO
>>324
「そう怒らないでくださいよ、黒蔵さん。何も悪い話をしようってわけじゃないっすから」

薄笑いを張りつけた小鳥遊の頬には、僅かに汗が滲んでいた。
いくら余裕がある振りをしようと彼も人間だ。
目の前の妖怪に恐怖を感じるのを、誰が禁じえよう。

「これ、何か分かりますか?」

だがそれでも、小鳥遊は言葉を止めない。
不気味な色を浮かべる、フラスコに入った赤い薬。それを掲げて見せる。

「あなた方の血を基調に作った薬っす。
 けれどまだ試作品で実験もしていない段階なんすよ。どんな効能があり、どんな副作用があるかも分からない、危険な段階っす。
 ここから実際に使用できる医薬品にするまで、僕のような人間の力だけでは何十年掛かるか……」

小鳥遊は、懇願するような声を上げる。

「だから、もう一度お願いしたいんすよ。僕に手を貸してくれないすか?
 さっき言ってたでしょう。人魚の血、河童の膏薬。あなた方について詳しく教えてほしい、それだけなんすよ」

「もちろん、あなた方にも協力は惜しまないつもりっす。
 ほら……、もう一つ、妖怪の体が欲しいんでしたっけ?」

誘惑する小鳥遊に割り込むように、東雲がよろよろと声を発した。

「オイ、惑わされるんじゃねーぞっ……!」
326 :黒蔵「」→巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 00:26:05.98 ID:N+NTuONto
>>325
「そういうことはやめろと、以前言った筈だ」

苦々しげに黒蔵は吐き捨てた。
人魚の血や河童の薬、それをこの人間に与えるだけならまだ良い。前例もあるのだから。
しかし、あのフラスコの中身は問題だ。

「その中身は捨てろ、そうしたら…」

不意に黒蔵が言葉を切った。そして医師の言葉に割って入った犬御のほうを見る。

『君は少し黙って居てくれたまえ』

くすくすと嫌な笑みを含んで、紫濁の瞳が犬御を覗き込んだ。
さっきから黒蔵の中で様子を見ていた巴津火には、今、とても面白いところなのだ。
黒蔵の邪眼を操って、巴津火は犬御に黙るように、そしてこの件は忘れて眠りにつくよう命じた。

『さて、お医者さん。あんたは何を企んでいるのかな?面白ければボクも乗ろうか』

ついさっきまで黒蔵だったものが、小鳥遊医師の眼鏡越しに紫濁の邪眼で覗き込む。
その瞳は黒蔵と違い、眼鏡越しでも十分にその力を発揮した。
327 :小鳥遊 療介 [sage]:2011/07/06(水) 00:47:22.98 ID:KCPjDw/SO
>>326
「それはきけない相談なんすよ。なにせ、もう時間がない」
「……時間だと?」

東雲がその言葉について詮索する暇もなく、巴津火がその体を乗っ取った。
麻酔に掛かった体は動くことを許さず、その邪眼に魅入られた東雲は、静かに眠りに落ちた。

黒蔵の変化を、小鳥遊も敏感に感じ取っていた。
恐らくあれは黒蔵の中に潜む、巴津火と呼ばれた存在。それが目の前にいる。
少年の邪眼は、小鳥遊までもを魅入った。

「……僕は……人を助けたいんすよ」

操られた小鳥遊は、呆然と呟きはじめた。
本心、本意、真意――彼が未だ隠す真実を。

「この世界には、今の技術では治らない病をかかえた人がたくさんいる。
 だから、東雲さんや黒蔵さんを診察した時は心が震えるようだったんすよ。あなた方を研究すれば、そんな人たちを救える薬が作れるかもしれない。
 結局、こういう結果になりましたけどね。
 あなた方の世界の薬を借りれば、確かに……いくらかの人間は助かるかもしれない。でもそれじゃあ、ダメなんすよ。その技術を、僕は、僕のものにしたい……」

「それは、僕自身のためでもある……」

そう語る小鳥遊の雰囲気は、いつもと少し違った。

「僕の体はもう、人間《ヒト》の力では治せない……。助けるためなら、助かるためなら、

 例え、人間と妖怪の境界を曖昧にしようと、僕は躊躇わない」

――半妖。
人と妖怪の血を混ぜた存在。
命の為に、小鳥遊は、その境界を踏み躙ろうとしているのだ。
328 :巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 00:58:37.20 ID:N+NTuONto
>>327
『ふぅん。人を救うとか言いながら、結局は自分が助かりたいのか』

にたりと巴津火が笑う。

『お前に人魚の血をやれば、お前は病も癒え思う様長生きできるのだろうな。
 それこそお前たち人間の忌み嫌う「化け物」のようにだ。
 お前が人と妖の境を極めようとするのなら、それを面白くボクはみててやるさ』

ただし、と巴津火は医師に条件をつけた。

『お前が何を得ようとも、それを他の人間に一切秘密にして漏らさないと約束するならば、だ』

黒蔵の口は巴津火が封じておくつもりだ。犬御はそのための人質にとる。
今日の記憶を消せば、明日からもまたこれまでどおりに、犬御はここで勤務出来る筈なのだ。
329 :小鳥遊 療介 [sage]:2011/07/06(水) 01:24:03.00 ID:KCPjDw/SO
>>328
巴津火からの提案に、小鳥遊は術に掛けられながらも頷いた。
今の彼なら、どんな犠牲も厭わないだろう。
例え誰かを犠牲にしようと。
例え、その体を化物へ変えようと。

「……妖怪や、あなた方の存在については、秘密を守ることを約束しましょう……」
330 :巴津火『』→黒蔵「」 [sage]:2011/07/06(水) 01:33:43.22 ID:N+NTuONto
>>329
『覚えておけ。約束を破ったら、ボクは祟るぞ』

邪神であっても、その半分は神なのだ。それゆえ呪うのではなく祟るのである。
小鳥遊医師の手の甲に巴津火は触れた。
その指先がはなれた後には、約束の印の赤い痣が浮かび上がる。

『上手くすればお前は永遠に近い命を得て、病人を救いながら世界中を歩くことが出来るだろう。
 その魂が安息を求めて悲鳴をあげ、見るもの全てに絶望するようになっても休めずに』

楽しげにそう言いながら巴津火は犬御の首筋にも触れる。眠ったままの犬御にも赤く印がついた。

『次に会うときに、お前の望むものをやろう。人魚の血でも、この身体の詳細でも欲しいものをな。
 そういうわけだから黒蔵。この狼の命が惜しければ、ミナクチにも蛸の奴にも黙っておけよ』

笑いながら巴津火が消えた後には、黒蔵が震えながら立っていた。

「お…い、起きられるか?」

黒蔵は倒れたままの犬御に手をかけて、揺り動かそうとする。
331 :小鳥遊 療介/東雲 犬御 [sage]:2011/07/06(水) 06:33:33.40 ID:KCPjDw/SO
>>330
「……望むところっす」

手の甲の印を見据え、小鳥遊は緊張した面持ちでにやりと笑った。
これでいい。これで、僕は人を、自分を助けられる。
それがどんなに恐ろしいことであっても――。

しかし東雲を人質に取られたのは、小鳥遊としても意外だった。
揺り起こされた東雲が、ぼんやりとした様子で薄目を開く。

「あ、ぁ……?」
 っ、クソガキ……? ここで何を……」

体を持ち上げようとするが、何故だか力が入らない。
東雲があたりを見回すと、小鳥遊の姿も見れた。
だが、東雲はきょとんとした様子で何も言わない。当然だ。覚えていないのだから。
332 :黒蔵「」 [sage]:2011/07/06(水) 19:42:44.08 ID:N+NTuONto
>>331
「暑さで倒れたんだ。ここへは俺が運んだ。
 まだしばらくは起き上がらないほうが良い」

嘘をついた黒蔵は、犬御と目を合わせることができないまま、医師のほうをちらりと見た。
唯でさえ勘のいい犬御相手にこの先も嘘を突き通さなければならない。
上手くできるのだろうか?しかし、そうしなくては犬御が危ない。
秘密を知るのは、小鳥遊医師と黒蔵と巴津火だけ。
誰一人として頼れず、犬御にもミナクチにもバレぬように日常を取り繕う、
そんな綱渡りの日々がはじまった。

//〆でいいのかな。絡みありがとうございました。
333 :叡肖「」 巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 21:47:41.71 ID:N+NTuONto
陽射しが突き刺さるような白昼の昼下がり。

「確かに暑いし涼むのはいいとして、何もここまで来る必要ないと思うんだけどねぇ」

今日はラフにジーンズと半そでシャツの叡肖がぼやく。
山道を歩いてきた足元は、街中向きのしっかり磨き上げられた革靴なのだ。

『だってここなら人間の姿じゃなくてもいいじゃないか』

叡肖をお供に巴津火はうきうきと、あの、澪と戦いかけ、飛葉と出会った湖に涼みに来ていた。
あの時とは違い湖面は青く水は澄み、不穏な気配は何も無い。

(おぼれる心配はないから、俺はのんびり過ごさせてもらおう)

歓声をあげて水に飛び込む巴津火を他所に、
湖岸の倒木に腰を据えた叡肖は持っていた鞄から文庫本を取り出した。
334 : :2011/07/06(水) 21:54:49.92 ID:NKT0/f4k0
>>333
「今日は二人してどうしました?鬼t……叡肖さん?」

倒木に座る叡肖の肩をトン、と叩いた。
途中何か言い掛けたり、読書の妨害をした澪は何かされそうな気がするのだが。
等の本人は全く気にしてない様子で。

「はつびー、店長さんから良い物預かってきたよー。」
335 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/06(水) 22:03:33.95 ID:oIuRjAtAO
>>333
「はぁ…はぁ…」

『三凰坊ちゃま、そろそろ休憩なされた方が…』

近くから聞こえる青年と老人の声。どうやら、修行中のようだ。

「そうだな…」

ガサッと、草をかき分け出てくる青年と老人。

『おや…』

「な、貴様は!」

見たことのある顔を見つけ、声をあげる。


>>334
「澪、貴様もいたのか。」

飛葉(彼が三凰坊ちゃまの言っていた澪さんですか。なるほど…)

澪のことは、三凰から聞いていた。自分を打ち負かしたヤマタノオロチは、もう僕の仲間だと。
にわかには、信じがたかったが、本当のようだ。
336 :叡肖「」 巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 22:10:39.10 ID:N+NTuONto
>>334-335
「よう、婿さん。新婚の嫁さん置いて一人でうろついてちゃ罰あたるぞ」

文庫本を顔の上に屋根のように乗せて、倒木の上で昼寝を決め込むつもりだった叡肖。
澪が妨害したのは読書ではなかったが、後で何かされるかもしれないのは変わらない。

『なんだお前か。良いものって何だ』

虹鱒を咥えて水から丸太のような太く黒い大蛇が頭を出した。
ごくりと鱒を飲み込むと、泳いで岸へ上がってくる。

そこへもう2つの影が現れた。

「ありゃ、この前のコウモリ坊ちゃんと爺様じゃないかい。確か三凰だっけか?
 あの様子じゃ怪我は治ったらしいな」

叡肖は二人を覚えていたが、澪と知り合いということはまだ知らなかった。

『お前ら、知り合いなのか?』

岸に這い上がった黒い蛇が澪と三凰、そして叡肖を見比べた。
337 : :2011/07/06(水) 22:19:53.99 ID:NKT0/f4k0
>>335
「三凰、また会ったね。もしかしてこの湖が好きだったりする?」

ただ単に修行していただけとは思うが…。
だが、ここは静かで美しい自然が広がっている。
修行には最適なはずだ。

(あれは…誰だろう?お父様ではないよね?)

「こんにちは。三凰の友達の澪です。」

ぺこりとお辞儀をして飛葉に話しかける。

>>336
「大丈夫ですよ、きちんと許可は取ってきました。

はつびーが甘いもの好きって聞いてね、厨房で作ってきた。」

バケットから取り出したのは、澪特製【シナモン林檎のアップルパイ】である。
巴津火の召使(?)ポジションなので、お菓子の作り方をマスターした。

「この人、僕の友達。」
338 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/06(水) 22:27:17.29 ID:oIuRjAtAO
>>336
『先日はどうも。
ところで、彼は以前にも会いましたが、何者なのでしょうか?』

巴津火のことだ。飛葉は、いまいち正体がつかめないでいる。

「フッ…聞いて驚くがいい…あのヤマタノオロチ、澪と僕は――友人だ!」

誇らしげに言う。目の前の黒い蛇が何者かも知らずに


>>337
「いや、ただ修行に最適な場所だと思ってな。」

三凰自らが飛葉を修行の相手に選び、ここへ連れてきた。
今まで、父しか師とは認めなかった三凰が自分を誘ったことに飛葉は、たいそう驚いただろう。

『これはこれは、ご丁寧にどうも。私、宝玉院家の使用人をしております、飛葉と申します。』

お辞儀を返して、自己紹介した。

339 :叡肖「」 巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 22:39:52.60 ID:N+NTuONto
>>337-338
『友達?ふぅん』

巴津火は甘いもののほうへ興味が移ったらしい。
黒い蛇は澪の持つアップルパイのほうへと頭を近寄せると、人の姿をとった。
身に着けるものは半ズボンのみで濡れた黒髪からも雫を落としているが、
飛葉にも見覚えのあるあの小柄な少年の姿である。

一見みすぼらしい傷だらけの濡れた少年は、得意げに胸を張る三凰に『そうか』
とだけ返し格別驚いた様子も見せなかった。
それは三凰にとっては、がっかりするような反応だったかもしれない。

「宝玉院家?」

衣蛸のほうは、面白いことになりそうだと、飛葉を注視している。

「俺は衣蛸だ。叡肖という」

左腕を一瞬だけ蛸の触腕に戻して飛葉に見せた。
三凰を受け止めたあの蛸の腕である。

「今日の爺様は坊ちゃんのお守らしいな。
 俺もそうだ。あれがうちの手の焼ける坊ちゃんさ」

言いながら叡肖は、アップルパイに気を取られている巴津火に視線をやる。
340 : :2011/07/06(水) 22:45:35.04 ID:NKT0/f4k0
>>338
「三凰の…使用人様……。かっこいい!!」

眼をキラキラと輝かせ、飛葉を見つめる。
偉大なる三凰達の使用人なら、とても凄い能力を持っていると思ったからだ。
そして、その優しそうなイメージから、いい人だと直ぐ分かった。

「って待って!!(はつびーは僕より格上の大蛇だよ…)」

三凰の耳元でそっと呟いた。

>>339
「濡れたままじゃ駄目だよ。」

タオルで巴津火を吹きながら、アップルパイを食べさせる。
その光景を、三凰はどう捉えるのだろう?

「(叡肖さん、また何か企んでる…。)」

一方で、何か嫌な予感のする澪。
341 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/06(水) 22:58:04.77 ID:oIuRjAtAO
>>339
「貴様…少しは驚け。」

軽く舌打ちをし、そう言った。

『ええ、宝玉院家の使用人をしております、飛葉でございます。
と、言いますと、彼も特別な立場なのでしょうか?』

ますます、巴津火が何者なのか気になっているようだ。


>>340
『お褒めの言葉、ありがとうございます。』

優しそうに微笑みながら言う。
実際に優しいようだ。

「なんだと…?というか、貴様らはどういう関係なんだ?」

信じられないと言ったような表情で返す。
342 :叡肖「」 巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 23:06:35.01 ID:N+NTuONto
>>340
『だってどうせまた湖に入るんだし…』

澪に子供のように扱われて不満そうな巴津火。怒らないのは単にアップルパイがあるからだ。
格上の筈のヤマタノオロチ(クローン)は、アップルパイを頬張りながらタオルでごしごしされている。
その世話の焼かれようは三凰からしたら、友人をとられたようにも見えるかもしれない。

「俺は竜宮で文官なんぞやってましてね。
 祖父がいわゆる重鎮の一人な関係で、先代の主の遺言に従ってあの巴津火殿下をお守してる訳ですよ。
 あれが次期竜宮の主、の筈の八岐大蛇ですが、大人しく育ってくれそうになくて」

いやーこれがまた大変な暴れん坊でしてね。等と衣蛸は茶目っ気を交えつつ飛葉にこぼしてみせる。
一方、アップルパイの屑をポロポロこぼしながら、巴津火は三凰に短く答えた。

『俺も八岐大蛇だし。澪?喧嘩相手』

本当なら「敵」でも良い筈なのだが、ノワールの店長の夫でもあるし澪に謝られたのもあって
澪は巴津火にとって『友達未満好敵手以上』くらいの位置付けになったらしい。
343 : :2011/07/06(水) 23:14:18.79 ID:NKT0/f4k0
>>341-342
「どういう関係…ってねぇ?あ、うん。(喧嘩相手ってなんか悪い響き。)」

実際はあんまり喧嘩はしないのだが。
とりあえず、この位置で安泰である。

まだ残っているアップルパイを取り出し、三凰にも勧める。

「三凰もどう?あっ、はつびー、まだいっぱいあるよ。」
344 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/06(水) 23:19:17.51 ID:oIuRjAtAO
>>342
「喧嘩相手か…それにしちゃ、随分と仲が良いようだな。」

まだ怒っているのか、不機嫌そうに言った。

『なんと…竜宮とは…恐れ入ります。』

予想以上の大物だったため、驚きを隠せない様子。こんなに驚いたのは、いつ以来だろうか。


>>343
「せっかくだ。少しいただこう。」

そう言って、アップルパイを受け取る。

『澪さんがお作りになったのですか?』

関心したように飛葉が尋ねる。
345 :叡肖「」 巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 23:29:08.47 ID:N+NTuONto
>>343-344
『ん。食う。これうまい』

もう一つに手を伸ばす巴津火。そしてふと思い出したように、三凰に聞いた。

『お前は何者だ?俺は巴津火。あと何時でも喧嘩はできるぞ』

べたついた指を舐めながら、巴津火の紫濁の瞳は探るように三凰を覗き込んだ。
みすぼらしい少年から、ゆらりと妖気が立ち上る。

「あー、そんなに畏まらなくても。山の妖怪と海の妖怪はあまり接点がないし、
 世の中、名が知れているから即影響力が大きいとは限らんものでしょう」

衣蛸は飛葉を安心させるようにそう言う。

「逆に山では、宝玉院家の力や名前のほうが影響は大きいのではないですかね?飛葉殿」


346 : :2011/07/06(水) 23:35:29.98 ID:+OITryODO
>>344
「そうですよ。三凰達の役に立ちたいな、なんて。
飛葉さんも一ついかがですか?」

役に立つ・・・とは言い難いが、とりあえず大丈夫だろう。

「味はどう、三凰?」

>>345
「ありがとう、嬉しいよ。

でも三凰と喧嘩は・・・。うん、大怪我はさせないでね。」

澪は二人の喧嘩を暖かく見守るようです。
だが、行き過ぎる行動は必ず止めるだろう。

「場合によっては僕も喧嘩しようかな。」
347 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/06(水) 23:47:32.32 ID:oIuRjAtAO
>>345
「僕は、宝玉院三凰。百鬼夜行の主になる男だ。」

もはや、おなじみになりかけている台詞で自己紹介。

「やるか?」

ギロリと睨みつけ、腰のレイピアに手をかける。
三凰の背中には、飛葉がおやめくださいと言わんばかりの視線を向ける。

『そうでしょうか?しかし、老人の心臓には応えますな。』

若干安心したのか、冗談めいて笑う。

『そんなことは、ございませんよ。
宝玉院家の歴史は確かに古くから続いておりますが、今では一部の種族の者達にしか影響など与えておりませんし。』


>>346
『ほぅ…では、おひとつ貰います。ありがとうございます。』

アップルパイを一つ受け取ると、ぺこりと頭を下げた。

「なかなか美味いじゃないか。さすが、澪だな。」

348 :叡肖「」 巴津火『』 [sage]:2011/07/06(水) 23:55:12.28 ID:N+NTuONto
>>346-347
巴津火が澪の言葉に喜んでその気になったとき、叡肖からの横槍が入った。

「またぶっ倒れられるのはお兄さんごめんだぞ」

巴津火が力を使いすぎて倒れたら、背負って山道を帰るのは叡肖である。
飛葉は以前それをやったのに、叡肖はそんな肉体仕事極力したくない。
それが面倒臭いのでそう釘を刺したのだ。

そして今の巴津火に、澪と三凰の両方と戦って力を使い果たさないよう加減するなど至難の業である

『喧嘩はこの次だな。いずれお前達と三つ巴の喧嘩をしてみたい』

しぶしぶと言った様子で巴津火は力を納める。そして、あくびを一つした。
どうやら満腹になって眠気がさしたらしい。

「その一部種族しかない影響はそれでも強いようですな。
 現に飛葉殿、貴方は実によくあの三凰殿の面倒を見ている」

衣蛸だったらあそこまで甘やかさない。
巴津火が転びそうなら転ばせる、あらかじめ手を出すときは面倒が自分にかかると
目に見えている場合のみなのである。
349 : :2011/07/07(木) 00:05:51.08 ID:8+wLrBuDO
>>347-348
どうやら二人に気に入って貰えたようで、嬉しいようだ。

「じゃあ、するときは思いっきりね。手加減なしで。」

あくびをする巴津火を撫でると、口調を弾ませて言った。

「とりあえず渡す物渡せたし、僕は一足先に戻るよ。皆さん、それではまた!」

空のバケットを持ち、山を下りて行った。

//ここで落ちます。
絡みありがとうございました&お疲れ様でした
350 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/07(木) 00:11:59.19 ID:sICs3cGAO
>>348
「フッ…そうだな、僕も貴様の実力は知りたい。」

戦わないとわかり、後ろで飛葉が一安心する。
倒れた三凰を運び、さらに手当てをするなど、老人の体にはキツい。しかも、今日は三凰の修行に付き合ってやったばかりだ。もし、今日三凰に倒れられたら、さすがにキツすぎる。

『あの方の息子ですからな。まぁ、私は孫のようなものだと思っていますよ。
三凰坊ちゃまに言うと、怒られてしまうかもしれませんがね。』

心の内を語る飛葉。本当に三凰が大切らしい。


>>349
「ああ、それじゃあな。澪。」

『さようなら。お気をつけて。』

二人は笑顔(三凰は気どった笑顔)で見送った。


/ありがとうございましたー&お疲れ様です。
351 :叡肖「」 巴津火『』 [sage]:2011/07/07(木) 00:33:45.87 ID:KwPk+UIeo
>>349-350
『また今度、店でな』

巴津火は帰る澪に声をかける。
ノワールへはまた近々澪もくるだろう。その時に三凰と巴津火ともまた鉢合わせるだろうか。

「ほら、坊ちゃん。しっかり起きる」

あくびをしだした巴津火にやっかいな兆候を見て取って、巴津火が眠くならないようたたせる衣蛸。
眠ってしまったら、背負って帰らねばならない。

「飛葉殿はよほど主大事な方のようだ。その理由を含めてまたいずれ、ゆっくり話をしたいですな。
 しかし今日はそろそろ俺も帰らねば」

眠気のさした巴津火が起きているうちに山から下ろそうと、叡肖は飛葉たちに別れの挨拶をする。
352 :三凰「」&飛葉『』 :2011/07/07(木) 00:55:03.57 ID:sICs3cGAO
>>351
『ええ、またいつか。
それでは、お気をつけて。』

二人を見送る。

『さて、修行の続きをしますか?』

「ああ、もう少し頼む。もう少しであの技が完成しそうだからな。」

ニヤリと笑う三凰。
そして、飛葉と三凰は、再び修行を始める。
353 :極楽鳥 :2011/07/07(木) 21:54:13.77 ID:eqAfE9tKP

 深夜帯のコンビニにて・・・。

「はい、とりあえず説明はこれぐらいだから後は一人でやってみて。わからないことがあったら呼んでくれればいいから」
「は、はぃ! わかりました!!」

 店長らしき人物が、新入りのバイト君になにやら説明しているようであった。

「いやー、助かるよ。深夜のシフトを進んでする人、最近やめちゃったから。じゃあがんばってね」
「はい・・・」

 そういうと店長は奥へ引っ込んでしまう。
 このコンビニはかつて平次郎がバイトしていた場所である。

 人間恐怖症克服の為、そして大家さんを少しでも恩返しする為、
 あとついでにナイチンゲール(仮)の治療費の為にも

(極楽鳥、頑張ります! 見ていてくださいね、波山!!)

 本日は七夕フェアらしく、様々なものがフェア仕様で売られていた。
354 :夷磨璃「」&澪『』 [sage]:2011/07/07(木) 22:03:01.27 ID:8+wLrBuDO
『夷磨璃君、修行お疲れ様。何か欲しい物ある?』

「拙者?ううむ・・・・・・悩むでござる。」

『じゃあとりあえずお店いこっか。』

緑浴衣の青年と、青着物の少年が店に入る。
見るからに仲の良さそうな二人は、兄弟に見えるかも知れない。

『(・・・妖気?)』

夷磨璃がいる時は、回りを常に警戒しているため、店員には気づいているだろう。
355 :夜行集団 :2011/07/07(木) 22:08:28.30 ID:buJBdmk00
>>353>>354
そのコンビニの店内に、
先ほどから飲み物コーナーの、乳製品が陳列されている場所で、
首をかしげながら小さく唸るホストがその商品たちを見つめ、立っている。

「・・・さて、
 ここはネームバリュー頼りの『超期間限定品!!七夕牛乳』にするか、
 それともとてつもなく冒険心を駆り立たせる『マジパンダ・笹味牛乳草の香り』にするか」

どうやら彼は、この二つの七夕フェアに合わせて作られた二商品を、
どちらにするべきかについて悩んでいるらしい。

「なあwwwwwwそこの店員さんwwwwww
 どっちが旨いかわかるか?コレっていうwwwwww」

そしてその結果、商品ついて知識がある筈の店員の判断にゆだねる事にした。

二人の来店による妖気は感じていたが、
この街には人にまぎれている妖怪も多いと、そちらのほうにあまり気はいっていなかった。

/いきなりですが次のスレ少し遅れますすいません
356 :極楽鳥 :2011/07/07(木) 22:15:12.20 ID:eqAfE9tKP
>>354->>355

「い、いらっしゃいませー!!」

 電動ドアが開くと同時に、やや上ずった声を上げる。

(あぁ・・・仲良さそうな兄弟だなぁ・・・ウチには負けるだろうけど!)

 姉御、二人をガン見。
 店員さん、それはダメですぜ。

「は、はい!? ど、どちらが・・・ですか?」

 そんな姉御の思考を、突如青年が遮った。
 差し出された2つの牛乳に・・・。

「こっちですね!」

 自信満々で『マジパンダ・笹味牛乳草の香り』指差す!

(祖国のレッドデータアニマル仲間のパンダさんも言ってました!
 『笹、マジ旨いわー。マジ一日これだけ食ってても全然飽きねぇわー』)
357 :夷磨璃「」&澪『』 :2011/07/07(木) 22:23:30.42 ID:8+wLrBuDO
>>355
『・・・あの時の妖怪だ。』
「知り合いでござるか、澪殿?」

一度だけ、会ったことがある。
その時はごたごたしてた為、話すことは出来なかったのだが。

>>356
中へ入り、飲み物売り場へ足を運ぶ。

「この笹のお茶ってなんでござろう?」

牛乳と同じメーカーのお茶バージョンが売っているではないか。
夷磨璃はワクワクしながら、これを買うことにした。
『店長さん、これ安全な品ですよね?
笹って大丈夫なんですか?』
358 :極楽鳥 :2011/07/07(木) 22:31:29.95 ID:eqAfE9tKP
>>357

「は、はい!」

 同じメーカーのお茶を手に取る。

(安全、一体何を基準に見れば・・・!)

「はい、大丈夫です! 信頼と安心の中国産です!
 中国の歴史はお茶の歴史ですよ!!」

 姉御、自信満々。
359 :虚冥 :2011/07/07(木) 22:36:40.34 ID:buJBdmk00
>>356
「マジかっていうwwwwww
 もし不味かったら覚えてろよwwwwww」

彼女のさしたほうの牛乳パックを手にとって、少しの脅す冗談を言った。
そしてそのままレジへと足を向かわせる。

「レジしてくれっていうwwwwww」

>>357
「何だお前wwwwww
 俺の顔に何かついてんのかっていう?wwwwww」

レジに立っていると視線を感じ、振り返った先には彼が見つめていた。
別に喧嘩を売っているわけではないのだが、
何分言葉遣いは悪いほうなのでそう取られてしまうかもしれない。

/ただいま戻りましたすいません!!
360 :極楽鳥 :2011/07/07(木) 22:43:00.94 ID:eqAfE9tKP
>>359

「ひぇ!」

 脅す文句を真面目に捉えてしまう極楽鳥。

(だ・・・大丈夫、大丈夫だよね? パンダさんが言ってたし!!)

 姉御よ、パンダと人間の味覚は違うのだ。
 まぁ相手は妖怪だからどうなのかわからないが・・・。

「あ、はい・・・えーと、こちら一点で525円になりまーす!!」

 ・・・高けぇ!!
361 :夷磨璃「」&澪『』 :2011/07/07(木) 22:45:59.91 ID:8+wLrBuDO
>>358
『ありがとうございます、店員さん。あ、会計もお願いします。』

「笹って食べ物じゃないでござるよね?」

『なんなんだろうね?』

見るからに怪しそうな牛乳、そして、お茶は大丈夫なのだろうか。

>>359
『・・・貴方妖怪ですよね。』
「やはりそうでござったか。」

二人は更に虚冥を見つめる。じーっと見てる!

『・・・夷磨璃君、こんな大人にはなっちゃ駄目だよ』
そして、酷いことを言った。
362 :虚冥 :2011/07/07(木) 22:54:46.92 ID:buJBdmk00
>>360
商品の値段が相場の遥か上を行っていることにもあまり気にせず、
そうかっていう、と笑い顔で財布からつり銭なしのぴったりでお金を出した虚冥。
彼くらいの乳製品のみからすれば、この値段帯はまだ良心的なほうだ。
本当の期間限定品の値段は、理解不能なほど高いものもある。

「ほい、つりはいらねえぜ!!wwwwww」

小ボケをかましてから虚冥は袋からパックを取り出し、
店内だというのに飲み口のほうをわくわくしながら開けた。

「っていう?」

しかしそのパックの中身を見て、虚冥は固まった。

>>361
「ああ、そうだけどっていう?wwwwww」

もちろんあちらもこっちの方の妖気に気づいているのは分かっていたので、
割とそっけなく返答した。
するとこのお子様たちはいきなり失礼も無礼も通り越したようなことを言い出すではないか。

「おいコラwwwwww
 なんだてめえはっていうwwwwww本当に喧嘩売ってんのかwwwwww」

度肝を抜かれつつも、例のほうに突っかかる虚冥。
大人気ないようだが笑い顔なので、あまり本気ではないようだ。
363 :極楽鳥 :2011/07/07(木) 23:03:59.54 ID:eqAfE9tKP
>>361

「あ、はい! こちらは一点で735円になります!!」

 こっちも高けぇ! 笹だけど!!

「あわわわわっ! あ、あまりそういうことを言うのは宜しくないかと・・・!」

 小さな男の子の二人組が、このような見るからにチャラくて、
 夜の世界で働いてそうな男に喧嘩売るのは無謀としか思えない!
 経験上、この手の普段ヘラヘラしている人間は恐ろしく沸点が低いのだ!!

>>362

「あぁっ! やっぱり!!」

 案の定、チャラ男は挑発に乗ってしまった!!
 マズい、マズい! これは喧嘩に発展しかねない!!

「て・・・店長ーーーゥ! 店長ーーーーーゥ!!」

――極楽鳥は仲間を呼んだ∇

「な、なんだいなんだい!?」

――テンチョウが現れた!!∇
364 :夷磨璃「」&澪『』 :2011/07/07(木) 23:09:51.80 ID:8+wLrBuDO
>>362
『冗談ですよ。ただ・・・ぷふっ。』

喋り方がツボったらしい澪は、プルプル震えながら笑っていた。

『あの時はよく解りませんでしたが、一度会いましたよね?
それが・・・っていうの人・・・ww』

きっと悪気はない18歳。
>>363
『はい、1000円札。』

人間世界には慣れてきたが、流石にコンビニの買い物とまでは目が行かず。

「ありがとうでござる!」
『店長・・・?』

ぽわわんといい響き。
これが夜ならばどれほど嬉しいか・・・。
365 :虚冥 :2011/07/07(木) 23:17:05.67 ID:buJBdmk00
>>363
ビクッ!、と彼女の大きな声を出したことに驚いて、咄嗟にこちらのほうに振り向いた虚冥。
何事かと困惑した目で彼女を見つめている。

「な、なんだっていう・・・」

すると奥のほうから男が出てきた。
妖気があるかはともかく、見るからに普通そうな男の登場に虚冥は余計に混乱している。

「コレなんだ店長!」

いまだに状況がつかめていないため、見当違いの方に問い詰める。

>>364
笑う澪の方に振り返り、何もいわないで突っ立って、
厳密に言えば、怒りのあまり言葉が出ないままで立ち尽くしていた虚冥であったが、

「なんだてめーーーー!!」

ついに彼の堪忍袋の尾はぷちんと切れ、感情が噴火した。

「てめえなんざ覚えてねえよっていう!!
 お前とは違ってこっちはたくさんの交流があるんだぞコラ!!
 お前見てえな地味ヤローが記憶に残ってるわけねえだろ!!」

澪を指差して畳み掛ける虚冥は、とてもとても大人気なく、
零とあの時話していた彼の姿はなかった。
366 :極楽鳥 :2011/07/07(木) 23:25:14.17 ID:eqAfE9tKP
>>364

「は、はぃ・・・1000円からになりまーす・・・」

 カウンターの下に隠れながら、会計を済ませる極楽鳥。
 そのまま手だけ出して、レシートとお釣りを渡した。

>>365

「なんだとおっしゃられましても、期間限定の新製品です!!」

 店長、大きな声でご説明。

(チィイイ! この店長暦6年の俺をビビらせるとは・・・。
 いや、コイツ・・・間違い無い! コイツは・・・ホストと呼ばれる一番信用なら無い人種の匂いだぜ!!)

 店長の思考も明後日の方向へ。
 しかしいきなり大声を上げて、男の子達につかみかかる様子を見て。
 正確に見ろというほうが無茶な話である、お茶あったけど。

「お客様、ちょっと落ち着いてください!!」

 カウンターの下についてる“あのボタン”を押すと。
 そのまま店長は二人の間に割って入った。
367 :夷磨璃「」&澪『』 :2011/07/07(木) 23:36:06.76 ID:8+wLrBuDO
>>365-366
「うわあ、澪殿、喧嘩は駄目でござる!」
『・・・ごめんなさい。』

ちびっ子に説教され、普通に謝ってしまう。
空気的には店長を巻き込む乱闘となる筈だが、あっけなく終わる。

『店長さん、僕が悪いです。ごめんなさい。』

ああ、これが本当に夜だったら・・・・・・。
澪のイメージでは、店長=夜なので、この店長が若干ウザいと思ってたり。
368 :虚冥 :2011/07/07(木) 23:43:11.44 ID:buJBdmk00
>>366
「そっちじゃねえよ!!
 どちらかというなら、このままそれを嗜もうとしてたところだよ!!」

割って入った店長に突っ込む。
彼の態度から推測すると、自分と澪のことなのだろうということに気づいた。
そして、少し先ほどよりかはおとなしくなってから、彼は言う。

「落ち着いた。
 てか落ち着いて気づいた。」

明らかに顔には仁王レベルの怒りが垣間見えて、いや、
丸出しになっているが、それでも声の調子はぐっと抑えている。
それでもまだ澪のほうへがんを飛ばしていた。

「店長、おいコラ店長。
 お前今なに押したんだよっていう」

>>367
しかし、その仁王顔は彼らのすごく下のほうにいる、
小さな小さな夷磨璃のほうによって解消せざるを得なかった。
さすがの虚冥でも子供の前でマジ切れはできないのである。

「俺は謝らねえっていうwwwwww俺別に何もしてねえしwwwwww
 たとえここに犬のお巡りさんが来ても意見は変えねえっていうwwwwww」

しかしそれでもまだ往生際悪いようで、
あきらかに大人の余裕、と言う概念を古紙回収の日と一緒に捨ててしまったような、
少し残念な姿があった。
369 :極楽鳥&店長 :2011/07/07(木) 23:53:51.51 ID:eqAfE9tKP
>>367

「いやいや、大丈夫ですよ私は!」

 ウザいと思われているにも拘らず、穏やかに呟く店長。
 店長、アンタって人は・・・

 極楽鳥はそのままカウンターの下に隠れて、息を殺している。

>>368

「通報があったのですが!!」

 来たよ、青い服の人たち!
 青い服の二人は懐中電灯を片手に駆け寄ってくる。

「あ、この人です! いきなり商品にクレームをつけたかと思ったら、
 今度はいきなりこちらのお客様に掴みかかって来て・・・」

「あぁ、なるほど・・・。わかりましたー」
「あぁそれじゃあちょっと、一端署まで来ていただけますかー?」

 そのまま二人はズルズルと虚冥を店外へ引っ張っていってしまった。
 今この場で言い逃れすればするほど、立場が悪くなっていくだろう。

 悲しいけど、虚冥。見た目の印象悪いのよね。


 深夜のコンビには危ない人がいっぱい来るので、みんなも気をつけようね!!
370 :夷磨璃「」&澪『』 :2011/07/08(金) 00:02:34.49 ID:kizk900DO
>>368-369
「犬の・・・お巡りさん?なんでござるか、それ。」

食いつくとこおかしいよ!や、確かに犬にお巡りさんはいないけどさ・・・

そんなことしてたら、来ちゃいました、POLICEが。

『・・・・・・えぇ!?ちょ、待って!』

彼を追い掛けようとするが、店長に止められ、彼は連れ去られて行く。
澪は一つ、悪いことをしたようだ。

深夜にはコンビニは危険なようだ。
371 :虚冥 :2011/07/08(金) 00:03:45.42 ID:7yZAiiRj0
>>369>>370
犬のおまわりさんは来ず、本職の方がご来店。
へらへらと笑っていた虚冥にとっては、突然の来客に頭が追いつかず、
は?、と一言漏らすだけであった。

「いや、ちょっとまて俺は飲んですら」

自分が彼らに連行されそうになっていることに気づいて弁解しようとするも、
ホストかつチャライ銀髪のせいで、まったくの功はなさない。

「は?チョイ待ち?おい、は?」

まだ意味の分からないまま、両肩をもたれて引きずられていく。
ふりほどこうにも彼らのガタイはよく、それに虚冥は非力かつ軽体重なので、
面白いほどにあっさりと連れて行かれるのだろう。
372 :巴津火 [sage]:2011/07/08(金) 22:32:33.58 ID:RyIYLecZo
巴津火は朝っぱらから逃亡中である。
今日は衣蛸が戦闘訓練ではなく、礼儀作法の勉強やらを巴津火にさせようとしたので、
そんな糞詰まらない事やってられるか、と、居候先の喫茶店を飛び出したのだった。

「ここまで逃げたら、多分見つからない筈」

街から川を遡り、山中の滝壷の傍へ来た巴津火。
細かな水飛沫が心地よい少し開けたこの場所で、一息入れる気になったようである。

しかし、ポケットの中のケータイのGPSできっちり追跡されていることにはまだ気づいていない。
373 : :2011/07/08(金) 22:40:52.99 ID:kizk900DO
>>372
「はつびーみっけ。
逃げたら後々大変だと思うんだよね。」

携帯片手に追跡してきた澪。
巴津火は知らなくとも、こちらの大蛇はGPSを知っているようで。

「戻らないと、あの鬼畜さんに怒られるよ。」
374 :巴津火 [sage]:2011/07/08(金) 22:44:04.20 ID:RyIYLecZo
>>373
「なんだ、澪か」

巴津火は不満そうである。
ここまで逃げて来たというのに、こうもあっさりと喫茶店の関係者に追跡されるとは。
巴津火は同じ大蛇である澪に、妖気と水を辿られたと思ったのだ。

「止めるなよ。ボクは今日は蛸抜きで遊ぶんだからな」

握り締めた巴津火の両拳に、薄紫の雷光が纏わりつく。
今日は黒蔵の双剣は持ってきていない。
逃走を邪魔翌立てするなら例え相手が澪でも、一撃食らわせて昏倒を狙い
その隙にさらに逃走するつもりなのだ。
375 : :2011/07/08(金) 22:54:56.40 ID:kizk900DO
>>374
「僕は、はつびーの邪魔をしようとは思ってないよ。
ただ、鬼畜さんになんかされる君達を見てられなくて。」

君達、つまり黒蔵の心配もしてるようだ。
あの衣蛸を怒らせた場合、必ず何かされると思った澪。
忠告する為だけについてきたのだ。

「・・・やる気かな?いいよ、接近戦は苦手だけど。」

ちなみに、人間世界に慣れてしまった澪は機械便りになることが多くなったとか。
376 :巴津火 [saga]:2011/07/08(金) 23:01:05.68 ID:RyIYLecZo
>>374
(アイツには雷は効かないだろうが、あの人間の道具は厄介だ。アレで蛸を呼ばれたら適わん)

巴津火は澪の手の携帯電話を狙っている。
自分の持つ携帯のせいで澪の携帯を壊したところで結局居場所は蛸へ筒抜けなのだが
その事にはまだ気づいていないのである。

「ふん、あの蛸はいずれボクが殺ってやる」

逃げても逃げなくてもどのみち、叡肖は黒蔵にも巴津火にもミナクチにも澪にも平等に鬼畜なのだ。

「見てられない、というのなら貴様があの蛸の相手をしてやればいい」

言葉と同時に右の拳が振るわれ、その雷光が澪の手のケータイ目掛けて伸びた。
377 : :2011/07/08(金) 23:11:15.30 ID:kizk900DO
>>376
「またそんなこと言って・・・あ!!」

巴津火の放った雷は見事に携帯に的中。
当たったdoc○moの携帯はぱちぱち音を鳴らして炎上してしまった。

「・・・巴津火、やってくれたな。・・・・・・お仕置きだ。」

携帯が壊れたことでぶち切れた澪は、直剣を巴津火へと振るう。

この直剣、普通の物ではない。
378 :巴津火 [saga]:2011/07/08(金) 23:16:46.55 ID:RyIYLecZo
>>377
「お仕置きか」

澪の本気を見て、紫濁の瞳は狂喜した。

「楽しみだなぁ!だが、お前に出来るかな」

巴津火は直剣を雷光を纏った左拳で受け止めようとする。
同時に右拳には新たに、滝壺から呼んだ水を纏わせようとする。

もし左拳で受け止められたら剣を折ることが可能かどうか、その右拳で試してみようとするだろう。
379 : :2011/07/08(金) 23:28:04.00 ID:kizk900DO
>>378
剣はあっさりと受け止められてしまう。だが・・・・・・

折れないのだ。この剣は。殺傷能力は低いが、何があろうと破壊することは不可能だ。

「・・・・・・・・・」

隙を見て、地面へと火を放とうとする。
狙いは、霧を作り巴津火の視界を遮ることだ。
380 :巴津火 [saga]:2011/07/08(金) 23:34:18.59 ID:RyIYLecZo
>>379
「……ちっ!」

思いのほか剣が頑丈だったので、巴津火は剣を雷光を纏った左手で掴んだまま飛び下がろうとする。
剣を奪い取れればよし、そうでなくても澪の体勢が崩せたらそれは次の手に繋がる。

そして地へ火が放たれ蒸気で視界が遮られた。

「面倒なことを」

イラついた巴津火は右手に纏った水流を細く伸ばして霧の中を横なぎにする。
これで右手に纏う水は無くなった。
水流が澪に当たらなくても、地面の火を消す事は出来るかもしれない。
381 : :2011/07/08(金) 23:42:41.19 ID:kizk900DO
「・・・・・・やはり強いね。ならば、卑怯なことをしてまで勝ちたいね・・・。」

地面の火はあっけなく消される。そして、視界が少し戻ったとき。

澪は巴津火から距離を置いた。どうやら、遠距離での戦闘を試みたようだ。

両手に纏った水を掛け合わせ、圧縮された弓を作った。
狙うは巴津火の腹、それは放たれた!
382 :巴津火 [saga]:2011/07/08(金) 23:50:56.79 ID:RyIYLecZo
>>381
「糞っ、遠距離か」

近距離戦を得意とする巴津火は、あえて澪との距離を詰めずに滝壺へ向かう。
しかし矢のほうが早いのだ。
右拳で飛んできた矢を叩き落すが、拳に力を纏わせていなかったので、その時に腕を浅く負傷した。

(あの剣が奪えていたなら、少しは有利なんだがな)

血を滴らせながら、巴津火は滝壺に飛び込もうとする。

(遠距離攻撃相手なら、こっちは水の大技を使うか)
383 : :2011/07/08(金) 23:57:35.92 ID:kizk900DO
>>382
「・・・・・・!」

少しダメージを与えたことで、少し油断した澪。

巴津火は滝壺へと入ってしまった。
使用できる水の量は巴津火の方が上、場的には不利である。

そのため、一本の水矢に妖力を練り込む。
384 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 00:05:08.59 ID:85tuiEero
>>383
ざぶんと水に飛び込んだ巴津火は、直ぐに白く泡立つ水に包まれて姿が見えなくなる。
しばらくして滝壷の水が盛り上がって、三つ頭の蛇の鎌首の形となった。

3つの水蛇の頭はそれぞれに口をあけ、澪を睨んでいる。
滝壺の水に巴津火の血が混じっているため、通常の水よりも澪の力の干渉を受けにくくなっている。

(一度にやるには、出力が足りないな…)

体は黒蔵なので、黒蔵の妖力の最大値が一度に巴津火が使える力の最大値である。
故に巴津火は、一つづつ蛇の頭を動かすことしかできない。

まず一つ目の頭が、低く地を這うように澪へと迫ってきた。
大きく開いた顎が澪の足元を狙う。
385 : :2011/07/09(土) 00:12:36.43 ID:jladUQMDO
>>384
(血のせいで、巴津火の水の方が有利・・・か。)

澪のチャンスはたった一度。一匹目の蛇へは使うべきではない。

一度、力を込めるのをやめ、直剣を投げる。
破壊は出来ないが、威力を軽減するくらいは出来るはずだ。
386 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 00:18:07.21 ID:85tuiEero
>>384
直剣が水蛇の大きく開けた喉に突き刺さって、一つ目の頭は崩れた。
すかさず2つ目の頭は高く持ち上がり、今度は上から澪に口を開けて迫る。

そして巴津火は三つ目の水蛇の頭の上に現れた。

(ボクとあちらのどちらに狙いがくるか…賭けだな)

巴津火はじっと澪の反応を見つめている。
387 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 00:23:48.48 ID:85tuiEero
//安価ミス、正しくは>>385へです
388 : :2011/07/09(土) 00:27:07.02 ID:jladUQMDO
>>386
澪の狙い、それは・・・・・・。巴津火!!・・・ではなく、上にいる水蛇だ。

矢をソイツへ放つと、走って先程の投げた剣を取ろうと駆け寄る。

しかし、巴津火が攻撃できるスキはありありである。今なら水蛇の攻撃を当てられるだろう
389 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 00:34:58.65 ID:85tuiEero
>>388
2つ目の頭が水の矢を受けて崩れる。
しかしそれは同時に澪の頭上からぶちまけられた水が落ちてくる事にもなり、
一時的に澪の視界を奪うだろう。

その隙に、三つ目の頭は巴津火を乗せたまま滝の上へと伸びる。
巴津火が滝上の川岸に飛び降りたと同時に三つ目の頭も崩れて、
雪崩落ちる水量が一時的に増えた。

どぉん、と響く音と立ち上った白い水飛沫が滝壺周辺を霧のように包み、
飛沫が晴れた時には巴津火はさらに上流へと遡っている。


//そろそろ〆ますか?続けることも可能ですが。

390 : :2011/07/09(土) 00:44:37.44 ID:jladUQMDO
>>389
「・・・っ、巴津火!」

気づいた時には、巴津火は滝の上にいた。
妖力の消費も激しかったため、戦闘を中断した。

「・・・っはは、はつびーはやっぱり凄いよ。
甘いの作って待ってるから程々に〜。」
先程のお仕置き澪はいなくなり、いつもの澪になった。
大声で巴津火に伝えると、燃え尽きた携帯を持ち、フォード宅へ向かった。

//この先はいつ寝るか分からないので〆でお願いします!絡みお疲れ様でした!
391 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 00:56:59.88 ID:85tuiEero
>>390
(蛸のところに戻る気にはまだなれないからな)

この後ミナクチに水伝いに送ってもらった叡肖が巴津火を捕獲するまで、あと4分。
結局、鬼畜な衣蛸から巴津火は逃げおおせなかったのである。

//絡みありがとうございました。お疲れ様でしたー。
392 :伽耶野姫 :2011/07/09(土) 21:31:05.25 ID:ChOEu7KlP

 山肌を湿った風が伝い、霧を吹いている様に見える。
 雪の淡く残るその高さ、その風光はさながら薄墨の水墨画のようだった。

 そんな山奥の森にて。
 鮮やかな彩色の長衣を着た女性が樹上でポンポンと手拍子を打っている。

「はい、アンドゥトロア・・・ノンノン、まだ動きが硬いでございます」

 霧獣の舞踊の稽古をしている。
 しかしその口調からはどこか気の抜けたような、心許無い響きを含んでいた。

「それでは見せますよ、リムーブ、アフターミー」

 とうとうじれったくなったのか、樹から飛び降りて自ら手本を見せようとした。
393 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 21:38:07.13 ID:85tuiEero
>>392
がさり、と茂みをかき分けて甚平姿の少年が顔を出した。
藪の中を走ったらしく、服にも手足にも引っ掛けて破った跡がついている。
少し慌てた様子の少年は不意に木から飛び降りた女性に驚いたものの、

「頼む、ちょっと匿ってくれ」

背後を気にかけながら、声を潜めてそう頼んだ。
今日も巴津火は「お勉強」から逃げてきたのである。

(あれ?この女は…)

どこかで会った様な気もするが、追いかけてくる海妖たちから隠れるほうが先である。
394 :伽耶野姫 :2011/07/09(土) 21:49:42.06 ID:ChOEu7KlP
>>383

「ム? ・・・殿下でありマスか」

 飛び出してきた少年を見止めたとき、ほんの少し眉を潜めた。

「OK、それではゲートオープン・界法!」

 辺りから白い霧が噴き出したかと思えば。
 少年と女性はあっという間に異天の狭間へと飲み込まれていった。


 飛ばされた先は、夕暮れ時の草原だった。
 どこまでも果てしなく続くその長草の原、辺りには樹の一本も生えておらず。
 ただ傾いた陽光が辺り一面、そして巴津火と伽耶野姫を照らしていた。

「・・・相変わらずでありマスね、殿下。
 つくづくMr.伊吹のアフターやネクストには見えませぬぜよ」


 現世から隔絶されたその場所に入ったら携帯のGPSすら遮断されるだろう。
 そこにはそのままの姿勢で固まった霧獣が立ち尽くしている。
395 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 22:02:57.29 ID:85tuiEero
>>394
「あ。お前はあの時の」

異天の空間に取り込まれて、ようやく巴津火は伽耶野姫を思い出した。

「伽耶野姫、助かった。海上臈達に追われていたんだ。礼を言う」

ほっと息をついて、巴津火は草の中に座り込んだ。

巴津火を追っていたのは海御前の手下である。
壇ノ浦で海に没した平家の奥方が変じた河童の女頭領とその手下の女河童達は、ソバの白い花を嫌う。
この山間の畑の幾つかでは少し前までソバの花が咲いていたのを覚えていたので、
巴津火もこの山に逃げ込んだのであるが。

「ここらのソバの花がもう終わっていたとは誤算だったな。でも、伽耶野姫に会えて助かった」

そして、伽耶野姫の言葉にちょっぴり微妙な表情になる。

「ボクはアフターとかネクストとかになるつもりは無いんだ。勉強なんて向いてないよ。
 蛸爺ィにも散々言われたけど、そんなに伊吹って凄い奴だったのか?」

伊吹のと同じヤマタノオロチの欠片から作られたものの、巴津火にはまだぴんとこない。

「ボクは『紫狂』なのに……その筈なのに、竜宮の主になれと皆は言う」

自分を呼び起こした窮奇も今はどこかへいってしまった。
あのニヤニヤ笑いが気持ち良いものだったとは言い難いが、それでも巴津火には心の拠所の一つではあったのだ。
巴津火を構ってくれる者は竜宮にも陸にも居るのだが、それでも「紫狂」として呼び起こされた筈の巴津火は
どこか所在の無さを常に感じ続けていた。

「でもボクには竜宮がボクの居場所だとは思えないんだ。
 そもそもなぜ伊吹は、先代は、そんなところに居る気になったんだろう」

膝をぎゅっと抱えて伽耶野姫を見上げる今の巴津火は、普通の迷い悩む子供と同じだった。
396 :伽耶野姫 :2011/07/09(土) 22:32:32.09 ID:ChOEu7KlP
>>395

「流石にこの辺りでもソバの花は終っちまったですよぅ。
 ソバなのに遠くに離れちまった、とか言ってみたりー」

 海河童の事等わかるわけもなく、
 伽耶野姫は先月まで見ていたソバの花の思いに耽り始めた。

 しかし伊吹、という単語にピクリと反応し。
 少し口早になって語り始める。相変わらず無表情のままだが・・・。

「いや、凄くねーヤツでごじゃりますね。とんだマザコン野郎ですたん。
 享年でこそ偉そーにしてましたが、幼い頃はウザいくらい大人しくて引っ込み思案のおガキ様でしたね」

 伊吹、ボロクソ。
 しかし未だに紫光の残照に照らされる巴津火を見て、
 そんな軽口もフツと噤んでしまった。

「・・・紫狂でありマスか」

 神格を持つ者がその存在意義に縛られるように。
 この小さな邪神にも、小さいなりの葛藤や迷いがあるのだろう。
 いや・・・。小さく、生まれたばかりゆえの迷いか。

 紫狂がどういう者達なのかはわからないが、首領であるあの者の様子を見れば大体の想像は付く。
 おぞましく、歪で子供染みた感情思想ではあるが。
 それでもこの者にとっては、それが存在意義なのだろう。

「・・・伊吹は、そうでありマスね。
 邪神の力への復讐と追悼だのといっておりました。たぶんありゃ嘘でまんがなー」

 膝を抱える巴津火の隣に座り込む伽耶野姫。
 相変わらずの無表情で、ただいつまでもそこに留まり続ける斜陽を見据える。

「なんで山恋しさにちょくちょくこちらに来るくせに、あの竜宮で生きたのか。
 オレ様にはわからねェーでごじゃりマス。多分本人もわからねーとは思わしまする」

 この隣にいるのは、同じ存在であり同じ命を持つものではあるが同じではないのだ。
 ぼんやりとそんなことを考えながら、今は亡き友人の事を語っている。

「ただいつも愚痴のように語っていました、それはもう嫌そうに、誇らしそうに。
 竜宮の中でできた友人の事や、恋人の事。新しい場所で得た“繋がり”についていつも熱くぬるく語っておりましたん」
397 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 22:44:34.16 ID:85tuiEero
>>396
「まざこん?」

当人は自覚はしていないが、きっと巴津火の窮奇への思慕もその範囲に含まれるのかもしれない。

「復讐と追悼?うーん?」

話が抽象的で、巴津火の頭は伊吹の心をまだ汲みきれない。
それでも山が恋しかったのは確かだと知ると、ちょっぴり納得する。

「ボクも山のほうが好きだ。川を遡ってもっと上まで行きたくなる。
 でも、繋がり?友人とか恋人って、それが伊吹を海に縛ったのかな」

登りつめた先からさらに天に昇りたくなる衝動は、初めて雨を降らして天に呼ばれた時に自覚した。
でも、友人?恋人?先生ぇ、ボクには良く判りません!

「伽耶野姫からみても、結局伊吹は海と山と、どっちつかずだったのか?」

あからさまに矛盾している先代の行動には、巴津火も首を傾げるのだった。
398 :伽耶野姫 :2011/07/09(土) 23:13:07.05 ID:ChOEu7KlP
>>397

「お子ちゃまでごじゃりますねー」

 ンフーと、鼻から息を噴出しながら小馬鹿にしたような顔になる。
 普段、無表情なだけに凄く腹立たしい。

「そりゃあそうですねー、コウモリもビックリのどっち付かずブリでしたぜよ!」

 変異なのか、差異なのか。伊吹の神格は海での役割を持っていた。
 あまねく淡水は紆余曲折を経て海へと還るように。
 その邪悪も豊穣や穢れを陸から海へ持ち帰る役割を担っていたのだろう。

「縛ったといえば縛っていましたし、解放したといえばそうなんでありましょうねぇ。
 オリにもよくわからんトカ、わかるトカ。気持ちや感情なんてのは神格ほど単純じゃないのですYo」

 斜陽は相変わらずそこに留まり続けている。
 伽耶野姫はプチプチと濡れた草を数本千切り、一本に結んでいく。

「我等、神や妖怪は自然の片鱗でしかねぇのになぜ気持ちなど持ったのか。
 どうして自分が今や昔、こんなあんな気分だったのか。
 それはオレ様にもわからねぇですし、伊吹も知らねぇです。
 テメーも、あやつも・・・多分天道ですらわからねぇだろうなぁー」

 結んだ草は一つの輪になり、伽耶野はその中から斜陽をのぞきこんでいる。

「・・・ただね、焦ることねぇんですよ。オレ様たちは半分不死なんでスカラー。
 生きていく居場所も、生きる理由も・・・人や獣よりちょっと見つかりにくいけど。
 案外、気づいたらそこに在る様に思い込んでるモンでごぜーますだー」

 だから、と。
 草の輪をポイと投げ捨て、巴津火に向き直る。

「おガキ様はおガキ様らしく、せいぜいいっぱい学んでいっぱい遊んでいっぱい寝てなさい。
 逃げまくって、殴りまくって、盗んだバイクで走り倒して・・・そうやってるうちに見つかるモンだとか、ね」

 どこまでも子ども扱いしたように鼻で笑い、ヤレヤレというポーズをした。
399 :巴津火 [saga]:2011/07/09(土) 23:27:20.72 ID:85tuiEero
>>398
伽耶野姫に小馬鹿にされて、逆に巴津火は笑みを浮かべた。
かしづく者らに変に馬鹿丁寧に遇されている今、こういう扱いはむしろ裏が無くて好もしい。

「そっか。コウモリ以上か。
 もしも恋人とか友人とか山にだけ居たら、伊吹はきっと山を選んだのかな。
 ……でも、ボクに選ぶ機会はあるんだろうか」

じっとしている霧獣を撫でようと手を伸ばしながら巴津火は呟く。
巴津火は暴れ神としての存在を期待されて生まれたのだ。
ここに来て統治せよといきなり言われても、幼い邪神は戸惑うばかりなのである。
だから今、焦る事は無いとはっきり肯定してもらえて、巴津火は安心できたのだ。

「伽耶野姫はボクの話を聞いてくれるんだな。
 そしてしたいようにしていい、と言ってくれる。
 伊吹がお前に色々話したのが何故なのか、ボクには判るような気がする」

紫濁の瞳は、今は夕暮れを移しこんで日没直後の夕空の色になっていた。
こんな風に巴津火の言葉に正面から耳を傾けて、思うことを言ってくれる者は竜宮にはいない。

「伽耶野姫。また逢いに来てもいいか?」

ここに匿われたときは迷子のようだった表情が、今は悪戯小僧の自信を取り戻しつつある。

「ボクはこれから逃げまくって、暴れまくって、好き勝手してこようと思う」

悪戯を企んで、夕空色の瞳が楽しげに煌いた。
400 :伽耶野姫 :2011/07/09(土) 23:56:32.39 ID:ChOEu7KlP
>>399

 ジッと、舞踊のスタンバイポーズをしていた霧獣は、
 撫でられると目を細めてグルグルと喉を鳴らした。

「選んだでしょうなー、って誰が魅力の薄い女やねーん」

 ピシリと霧獣にツッコミチョップを打つ。
 無理のある体勢で止まっていた霧獣はそのままコテン、と倒れこんだ。

 もしも伊吹が山を選んでいたら・・・。
 ウザかったのだろうか、愛しかったのだろうか。
 あんな風に腹の底に恨みを溜めたりしなかったのだろうか?

 そこまで考えて、ハンッと鼻で笑う。
 まぁ考えるだけ無駄だろう。ヤツの選んだことなのだから。

「在りますYo。選ぶ機会も、選ばせるような出会いも。
 というか長生きなんだからウザいくらいいっぺえあるでござります」

 なにか少し晴れやかになったような巴津火の横顔を見て。
 嬉しいような気恥ずかしいような想いが浮かび上がった。
 もっとも、それは表情には出なかったが。

「HAHAHA、こんなおガキ様に口説かれちまったぜよ。
 いいですYo、いつでもいらっしゃい。ママのおっぱいが恋しくなったらね」

 ス、と手を振ると。
 異天の帳は徐々に薄くなり、やがて元の霧多き森へと戻っていた。

「やんちゃもほどほどにしりゃしゃんせー、Mr.巴津火ぃ」
401 :巴津火 [saga]:2011/07/10(日) 00:02:29.14 ID:mZGUYDSAo
霧獣と伽耶野姫のやり取りに、巴津火はくすりと笑いを零した。
よしよしと寝転ぶ霧獣を撫でてやると、気分が軽くなった悪戯小僧は
彼らに見送られて元の世界へと向かう。

「おう!悪戯し終わったら、また匿ってもらいにくるからなー♪」

そして巴津火が異天空間の外に出ても、その瞳に写りこんだ夕暮れの橙色は残ったままだった。
紫狂のしるしの瞳の色は、伽耶野姫のおかげでほんの少し変質したらしい。
それは「紫狂」として与えられたの役割の外にも、巴津火が目を向け始めたことを示していた。

巴津火の繋がりはまだこれから作られるのだ。
これからの巴津火を怪物にするのも神格にするのも、その繋がり次第である。
もしかしたら、いつまでも邪神と神格のどっちつかずのままなのかもしれない。
伊吹が海と山のどちらも選べなかったように。

それでも巴津火の中に伽耶野姫の語る伊吹の影と、新たな心の拠所はしっかりと残ったのだ。

(焦らなくて良いのなら、ボクもしたい事だけしてやろう)

まずは衣蛸の墨を含んだ筆を盗んで、それであちこちに落書きしてみる計画を立てながら
伽耶野姫に見送られた巴津火は山を下っていった。


//この辺で終わりにしますね。お疲れ様でした&絡みありがとうございました。
402 :ペトラ :2011/07/10(日) 21:31:20.46 ID:lw2Cm5Qyo
夜遅く、何時も閑散としている公園は珍しく――”賑わって、いた”

其処でじりじりと壁際まで追いつめられていたのは一人の、小学生程の年齢と思しい少年
煤けた様な灰色の髪はあちこちが撥ねており、眉に掛るくらいの長さ
所々汚れた着衣と相俟って何処かみすぼらしい印象を与えるかもしれない

怯えを滲ませる鳶色の瞳が見上げる先には如何にも柄の悪そうな、三人の男の姿が在った
大凡高校生くらいだろう…鮮やかな頭髪とにやついた笑み、彼が所謂”不良”であるということは、容易に想像できる

「な...なにすんのさ…っ」

少年は堪らず抗議の声をあげるが当然の如く聞届けられず、彼らの笑みは深くなるばかり
彼らは大人げない自からの行為を恥じ入る様子も無く――腕を振り上げた
403 :伽耶野姫 :2011/07/10(日) 21:47:45.30 ID:fatv7TAnP
>>402

「ふーーー、最近夜も蒸し暑いなぁ・・・」

 半袖、ジャージズボンの普通のオッサン・・・もといオジサン。
 ガリガリ君片手に、夜道を歩いていると・・・。

「むっ! あれは!!」

 コンビニ店長歴、6年の勘が告げている・・・彼らは危険だと!!
 店長、素早く携帯を取り! 110番!!
 素早い! 流石店長!!

「○○街の××公園で事件です! すぐに来てくださ――あっ!」

 振り上げられた手を見止めて、素早く駆け出す。

「あぶなぁあああい! 後ろからやってくるぞおおおお!!」

 よくわからない叫びを上げながら突っ走り、
 不良の一人にぶつかって行った。

「ぐはぁ!!」

 そのまま後ろへ倒れこむ。
404 :店長 :2011/07/10(日) 21:48:08.17 ID:fatv7TAnP
//名前欄は店長です
405 :ペトラ :2011/07/10(日) 21:56:52.63 ID:lw2Cm5Qyo
>>403>>404

突如現れた男の行動により、不良の意識は少年から逸れる事となり
結局腕が振り下ろされる事は無く、倒れ込んだ男へと三つの視線が集まった
『――どうする?』『――さっさと済ませ―――』『ああ、さっさとずらかろうぜ――』
彼らはひそひそと静かに話し合うと、手早く行動を始める

まず、ひとりが倒れ込んだ男へと向い財布を盗もうと、もうひとりが男を取り押さえようとする
もう一人は逃げる準備をして――、首尾よく事が進んだとしても、抵抗に遭い失敗したとしても
通報する声が聞こえたからだろう、三人の不良は公園をそそくさと後にする筈だ

―――後に残るのは、目に涙をためながらきょとんと男を見下ろす、少年だけ
406 :店長 :2011/07/10(日) 22:10:45.97 ID:fatv7TAnP
>>405

「甘いわ、若造!!」

 取り押さえようとしたその男に吹きかけられた催涙スプレー!!
 突然の噴射で、紫色の・・・カプサイシン満載の煙が吹きかけられる!!
 その射程、なんと2m!! それが至近距離で撃たれたのだ!!

「オジサンが夜出歩く時ッ! 防犯グッズの一つも用意してないと思うたかぁ!?」

 体よく一人やっつけたところで調子にのるオッサン。
 ちなみにもう防犯グッズはネタ切れである。

 そのまま勢いよく・・・ではなく普通に起き上がる。

「来るかぁ!? これでも半年前から通信空手を始めているんだぞぉ!!」

 ぷっくりとした下腹に注目しないのがお約束。
407 :ペトラ :2011/07/10(日) 22:18:34.86 ID:RKsTWN9Xo
>>406
『―――ッ!?』
歩み寄った男に、催涙スプレーが直撃。数瞬ばかりの逡巡ののち、結局不良達は諦め
目をやられた一人を庇いながら、夜の闇に紛れていった
――通信空手の下りは、誰一人聞いていなかったそうな。ひゅう、と風が通り抜ける

「……」

一方、残された少年は男をじっと見据え、敵か、味方か。
まだ怯えてはいるものの、淡い期待の様な物を、鳶色の瞳に宿らせていた
408 :店長 :2011/07/10(日) 22:27:01.86 ID:fatv7TAnP
>>407

「ふぅ・・・、危なかったぜ・・・」

 ほんとにあそこで粘られたらどうするつもりだったんだろうね、店長。
 そんな疑問もあさっての方向に。店長は少年に歩み寄る。

「さて、怪我は無かったですか?」

 さっすが店長! 普通だぜ!!
 最近ずいぶんショタに縁がある中年だ。

「通報があったのですがーー!!」

 そして駆け寄ってくる青い服の人。


 まずい! マズいぞおおお!!
 このままでは妖怪の正体が人にバレてしまうッ!!
409 :ペトラ :2011/07/10(日) 22:39:26.47 ID:XQpnfVIOo
>>408
男が少年に発した第一声は、”怪我は無かったか”、と問うもの
どうやら、危害を加えるつもりは無いのだろうと簡単に信じ込み、こくりと頷いた

「...ッ」

すると聞こえてくる、凛とした警官の声
このままではマズい――、ぴくりと少年の矮躯が揺れる、が、彼に出来る事と言えば
指先から野球ボール程の風船を生み出し警察の方に飛ばす、くらい
此れは長い事見つめていると次第と意識が朦朧とし、最終的に眠りに付いてしまう代物だ
果たして効くかどうかは分からないが...咄嗟に対応出来ただけ、上出来だろう
410 :店長&青い服の人 :2011/07/10(日) 22:46:54.62 ID:fatv7TAnP
>>409

「!? ぐ、あああぁぁぁ・・・Zzz」

 小さなボールは直撃し、青い服の人は倒れこんでしまった。
 無理もなかろう、最近夜勤続きだったのだ。

「んな!?」

 そのままいきなり倒れた青い服の人に駆け寄る。
 どうやら息はあるようで、寝息を立てているのを見ると安心したが。
 それ以上に未知なる恐怖が湧いてきた・・・。

「・・・ぼ、ぼく? 今一体何を?」

 ビクビクとそのままぺトラの方を見る。
 この中年もサッサと眠らせないと、面倒になるかもしれない。
411 :ペトラ :2011/07/10(日) 22:58:17.94 ID:XQpnfVIOo
>>410
風船は効き目が在り、警官は無事に眠りに付いた
自分の姿を見られずに済み、少年はほっと息をつく。少年院になんて送られたら色々と困ってしまう

「...あ、その......。」

戸惑いを見せながら、問い掛けてくる男。無理も無いだろう、少年は迂闊な行動を後悔し始め
歯切れ悪く言葉を紡いだ。視線は自然と下向きになり、バツが悪そうな表情となる

「こ、怖かったから、つい......」

そして漸くか細い声で辛うじてそれだけ告げると、
座り込んだまま、身体を護る様に両膝を立てるのだった
尤も、相手を眠らせるという強行手段に出ようとは思っていない
そこまでする必要はないだろうし、何より彼は恩人だからだ
412 :店長&青い服の人&極楽鳥 :2011/07/10(日) 23:15:07.99 ID:fatv7TAnP
>>411

「そっかーー」ホッコリ

 ペトラの様子に店長はほっこりと微笑んで、なでなでした。
 怖かったならしょうがないね、うん。

「店長ーーーぅ! 店長ーーーぅ!!」

 そこに泣きながら現れるコンビニエプロンの極楽鳥。
 (もちろん人間の女の子に変化してるよ!!)

「ど、どうしたの!? ていうかお店は!?」
「えっと・・・あの! コンビニ支払いのレシートってどうするんですかーー!?」
「あぁあれはこう、バーコードリーダーで・・・ってお客様ほっといて来ちゃったの!?」

 すごい話だ・・・、ていうか新入りのバイト君一人に任せとくなよ店長・・・。

「あぅあぅ・・・すいません・・・」
「まぁいいや! 俺が行ってくるからそこの少年見てて!!」
「はい! ・・・え? あっ! 店長ーーーーーぅ!!」

 涙目の極楽鳥を置いて、店長はそのまま駆けて行ってしまった。

「え、えっと・・・?」

 そのまま極楽鳥はジーーーッとペトラを見つめている。
 いや、見ろって言われたけどアンタ・・・。

「・・・!!」

 何気なしに探知したとき、小さな妖気を感じ取り、そのままペトラの元へ駆け寄る。

「キミ・・・もしかして妖怪なの?」

 近くにこれば駄々漏れな極楽鳥の妖気を感じ取ることができるだろう。
413 :ペトラ :2011/07/10(日) 23:28:53.62 ID:qumaOKsso
>>412

「...っ」
戸惑っていた様に思っていた男の手の感触が頭に伝わり
少年はきょとんとした表情で男を見上げた、満更でも無さそうだ

すると唐突に、少女の声がしたかと思うと
男は少女と数度やり取りを交わした後に慌ただしくかけていってしまった
暫く其の後ろ姿を名残惜しそうに見ていたが、やがて

「..あ、うん......そうだよ。

...おねえ、ちゃんも?」

問い掛けられた質問に、おずおずと答え。逆に問いを返した
因に先程の恐怖体験の所為で少年もまた、目に薄らと涙を溜めていた。
それでもこの女の人は悪い人では無さそうだなー…と、そう信じきっている
414 :青い服の人&極楽鳥 :2011/07/10(日) 23:36:33.52 ID:fatv7TAnP
>>413

「あっはい! 私、極楽鳥です!! 生まれは中国なんですよー!」

 少年からお姉ちゃんと呼ばれ、極楽鳥はあっという間に警戒を解いた。
 極楽鳥は嬉々として語り掛ける。

「なんだか貴方から似たような気がします! 貴方も中国ですか?」

 姉御、なんだか嬉しそう。
 自分より弱い妖怪を探す方が難しいくせに、お姉ちゃんぶりたい困った子なのである。
415 :ペトラ :2011/07/10(日) 23:43:41.24 ID:qumaOKsso
>>414
元気のいい少女の答えにふうん、と相槌をうちながら
弱々しい笑みを浮かべた。ぶかぶかの服の袖で、目に溜まった涙を拭う

「うん、...多分、そんなようなとこだったと思うよ」

こくりと頷きながら、肯定する内容の言葉を紡いで
どうやら少年の方も少女に好感を持っていた様だ
壁にもたれたまま、再度足を伸ばして楽な体勢を取る。因に靴は穿いていない
416 :ペトラ :2011/07/11(月) 00:15:25.14 ID:tLBOF+sZo
「そういえばお姉ちゃんは...どうして、ここに来たの?

さっきのおじさん、何だか慌ててたみたいだけど......あ、親子、なの?」

ふとか顔を上げると、そう、少女に向って問い掛けた。小首を傾げ、如何にも不思議そうに
こんな公園に年端も行かない子供が独り、という光景の方がよっぽど不思議な気もするが
未だ幼いからなのか、好奇心も強く
ついつい質問が多くなりがちな、少年であった。瞳にも好奇心の片鱗をのぞかせる

/上のに追加で...申し訳ない
417 :青い服の人&極楽鳥 :2011/07/11(月) 00:23:51.21 ID:bVdz7wrAP
>>416

「うぐっ!!」

 痛いところを突かれた様で、少し仰け反る。

「え・・・えっと・・・、実は私じゃできないことがあって・・・その」

 自分で言ってて情けない。
 しかし親子? という質問に慌てて手を振る。

「ちちちち違いますよ!! 店長はれっきとした普通の人です!!
 人なんだから私みたいな妖怪を子供にできるわけ無いじゃないですか!!」

 しかし少し思うところも在ったようで。
 フツ・・・と、言葉を続ける。

「あ、でも・・・なんていうか・・・。
 血の繋がりなんて無くても、家族になれることはありますよね」

 現に自分は波山という生まれも種族も違う妹が居て。
 人である大家さんと仲良く暮らしている。

「・・・貴方にはご家族とかいらっしゃるんですか?」
418 :ペトラ :2011/07/11(月) 00:34:48.24 ID:tLBOF+sZo
>>417
どうやら、自分は、聞かれたく無い事を聞いてしまった様だ
ただしそれが何なのかは、余りよく分からない。少し不思議そうな表情を浮かべていた

「あ、そうなんだ...」

しかし、親子ではなかったらしい。それはきっぱりと否定されてしまった

「うん、そうだよね。...僕も、そう思うよっ」

血のつながりなんて無くても、家族にはなれる
大きく首を縦に振って、その言葉に首肯した。そう、少年にも嘗てはそんな人がいたのだ
少女のそんな話をするんだから、家族の様に想っている人がいるのかなあ・・

「......ううん、居ないよ」

少女の問いに、少しの間を置いて
襲いくる悲しみを隠すように控え目に微笑みかけながら、少年は答えた。
嘗ては、家族と呼べる人もいた。だが、今は――
419 :青い服の人&極楽鳥 :2011/07/11(月) 00:54:09.65 ID:bVdz7wrAP
>>418

「・・・そうですか」

 少年の心の闇に迂闊に触れてしまったようで。
 この質問をしたことを後悔した。

「・・・」

 おそらく自分には、この少年の家族になることはできないだろう。
 少なくとも、今は。

 だけど、少しだけ何か琴線に触れられることがあったようで。
 言葉を連ねる。

「・・・前はいらっしゃったんですか?」

 しかしそんな質問を言い切る間もなく、
 持たされた携帯から店長の呼び出しが入った。

「あっ! あわわわゎ・・・すいません!」

 心残りがあるように後ろを振り向きながら声を上げる。

「あの! もしお暇があったら東風荘にいらしてください!!」

 家族になることは無理でも。
 きっと、できることはあるはず。

 そんなことを考え、ボロアパートの名前を口にして。
 極楽鳥は駆けていった。
420 :ペトラ :2011/07/11(月) 01:06:50.08 ID:tLBOF+sZo
>>419
何となく暗い様な雰囲気になってしまって
申し訳なく思いながらも、何も言うべき言葉は出て来なかった。少しの間、嫌な沈黙が降りて
重ねられた質問に答えようと、口を開こうとして――

「ううん、気にしないで」

何処か間の抜けた様な、着信音が聞こえた
謝罪の言葉を口にしながら後ろを向く少女に、へらりと笑ってみせるのだった

「...東風荘。ありがとう。今度、行ってみるね」

そして咄嗟に出た固有名詞を、しっかりと脳に刻み込み
こんな生活だから、毎日が暇で仕方なかった。だからといって直ぐ行ける程、勇気もないけど
ばいばい、と手を振りながら少年は、慌ただしく駆けていく少女を笑顔で見送るのだった

/絡みありがとう&お疲れさまでした!
421 :牙王丸 :2011/07/11(月) 21:40:53.69 ID:RstjCTEr0
人々が寝静まった夜。

街中に怪しい集団が行進している。
目指す場所は…とある病院。
……そう、そこは田中くんの幼なじみが入院してる病院。

「ったく…俺様がなんでこんな夜襲をかけなければいけないんだ?
まあ、いい…サッサッと《怨霊》の言ってたガキ掠うか」
短い金髪に、毛皮のコートを着て、右耳にピアスをした今時の若い男が、タバコを吸いながらその場所へ向かう。

その背後には《黄泉軍》の大群が行進をしていた。
422 :露希 :2011/07/11(月) 21:44:59.77 ID:Zz97INYDO
>>421
「こんばんは」

空から、声が聞こえる。
月夜に照らされる、その暗い影の正体は一人の天使だった。

白い翼を羽ばたかせ、その天使は下りていく。

「ここは病院ですね、どうしましたか?」
423 : :2011/07/11(月) 21:49:54.10 ID:CX0HcDYAO
>>421
「待て。」

黒い着物の少女が男の前に立ちふさがる。

「あなた達、何しに病院へ?お見舞いには見えないが…」

不振がり、声をかけた。
424 :牙王丸 :2011/07/11(月) 21:53:24.47 ID:RstjCTEr0
>>422>>423

「あっ?」
右手を横に伸ばし止まると、後ろの《黄泉軍》も止まり、一斉に《天使》と《刀》を見る。

「俺様が何しようが俺様の勝手だ!
愚民が俺様に質問するんじゃねぇ」
タバコを地面に落とし、タバコを踏み消しながら露希と瞳を睨む。

「痛い目に会いたくなければ消えな!」
……いかにも三下な台詞だ。
425 :露希 :2011/07/11(月) 21:58:22.79 ID:Zz97INYDO
>>423-424
「ねぇ瞳、この妖怪達危ない気がする。どうする?」

黒い着物の少女の隣へと駆け寄り、話す。
いつものスキンシップは無く、真面目さが分かる。

ひゅうっと風が吹いたとき、露希は双刀を構えた
426 : :2011/07/11(月) 22:06:24.70 ID:CX0HcDYAO
>>424
「な、なんて奴だ!放ってはおけないな!
あなた達が何を企んでいるか知らないが、その企み――止めてみせる!」

このままでは、病院の人達に被害が出る。そう思い、右手を刀に変化させ、戦闘体制に入る。


>>425
「露希か。放っておくわけにはいかないな。
このままでは、病院の人間達に被害が出てしまう。なんとしてでも、止めなくては。」

右手を構え、すぐにでも戦闘に移れる体制でそう答えた。
427 :牙王丸 :2011/07/11(月) 22:13:58.76 ID:yPWWbjwF0
>>425>>426

「ちっ…やかましいな」
舌打ちをしながら、右手を上にあげる。

「やれ…《黄泉軍》ども」
それが合図と共に後ろの軍団…よく見ると田中くんを襲ってた雑魚鬼たちが、群がるように一斉に二人に、剣で切り掛かろうとしてくる。
動きは機械的で攻撃も読みやすく、ダメージを与えればすぐ灰になる雑魚だ…

しかし余りにも数が多すぎる。
何か一斉に多くの相手を攻撃する技があれば有利だろう。

一方、暴君はまだ動く気配はない。
428 :露希 :2011/07/11(月) 22:18:29.64 ID:Zz97INYDO
>>426-427
「行くよ、瞳!!」

白い妖気を溜めると、敵を一体ずつ切り込んで行く。油断などせず、ただ的確に斬る。

「白龍、いい感じ!!もっと気持ち良く行こっ。」

武器とのコンビネーションもバッチリ、ベストコンディションだ。
429 : :2011/07/11(月) 22:28:32.57 ID:CX0HcDYAO
>>428,>>427
「さすが露希だな。よし、私も!」

剣を見切り、バックステップでかわす。

(数が多いな…ここは、一気に…)

一歩引いたところで、左腕も刀に変化させ――

「食らうがいい!瞳幻流奥義!退魔連瞳斬!!」

瞳の全身から黒い退魔のオーラが噴き出す。恐らく鬼達には、良く効くと思ったからだ。
そして、間合いを一気につめ、派手に連激を放つ。
430 :牙王丸 :2011/07/11(月) 22:38:48.80 ID:AHT1NpnD0
>>428>>429

《ギィッ…》ザクッ
《………》グシャッ
《アギィ!?》ズザッ

露希と白龍のコンビネーション。瞳の退魔の連撃により次々と倒されていく《黄泉軍》

その数は半分くらいに減っていく。

「………そろそろ動くか」
そう呟くと同時に右手から3mある巨大な金棒を出現させると…

「うらぁぁぁあ!!!!」
《黄泉軍》を巻き込みながら、露希と瞳に横からの一振りを放とうとする。

威力も高く、黄泉軍を巻き込みながら迫ってくるが、なんとか対処はできるだろう。
431 :露希 :2011/07/11(月) 22:44:17.18 ID:Zz97INYDO
>>429-430
「わぁ、瞳のはいつ見ても迫力あるね!!」

敵の数が減り、少し一息。しかし直ぐに攻撃が迫って来る。

その強大な力は露希がまともにやっても勝てる物でない。
まずは動きを止めるべく、少ない電気を剣に流し始めた。
432 : :2011/07/11(月) 22:50:57.57 ID:CX0HcDYAO
>>430,>>431
「あの技は風月の最大奥義だからな。
それより、露希!あの一撃は重たいぞ!気をつけろ!」

そう言って、金棒を見る。

(く…さすがにあれは私の力では防げないな…ならば…)

横振りに真っ向から立ち向かうのは、危険と判断し、空中に跳び上がりそれを回避。

「今だ!飛晶瞳激!」

そして、空中で右足を刀に変化させ、そのまま金棒を振った腕を狙い、かかと落としをした。
433 :牙王丸 :2011/07/11(月) 22:59:14.08 ID:M6qYaJDK0
>>431>>432

「ちっ…!!」

瞳にかわされ、露希の剣に当たり僅かに電流が走る。
その瞬間、暴君は金棒を離してしまう。

「《七罪者》を舐めるなぁぁぁあ!!!!愚民共!!!」
迫り来る刀の足での踵落としにダメージ覚悟で金棒を離した右手で切られながら刀の足を掴もうとする。

退魔の力で腕が焼け、血を流すも掴むのに成功した場合、渾身の力で近くの壁に投げ飛ばそうとする。
434 :牙王丸 :2011/07/11(月) 22:59:25.27 ID:QW1X9Vgk0
>>431>>432

「ちっ…!!」

瞳にかわされ、露希の剣に当たり僅かに電流が走る。
その瞬間、暴君は金棒を離してしまう。

「《七罪者》を舐めるなぁぁぁあ!!!!愚民共!!!」
迫り来る刀の足での踵落としにダメージ覚悟で金棒を離した右手で切られながら刀の足を掴もうとする。

退魔の力で腕が焼け、血を流すも掴むのに成功した場合、渾身の力で近くの壁に投げ飛ばそうとする。
435 :露希 :2011/07/11(月) 23:07:13.55 ID:Zz97INYDO
>>432-433
「瞳、駄目ッ!!」

どん、と瞳を突き飛ばし、自分が捕まれる。

そして、思うがまま吹き飛ばされた。
ダメージはそれなりにでかい。
「・・・ッ、瞳?大丈夫・・・?」
436 : :2011/07/11(月) 23:22:59.56 ID:CX0HcDYAO
>>434,>>435
「露希!大丈夫か!?」

急いで露希の元へ走る。

「くそっ!よくも露希を!」

キッと男の方を睨みつける。
437 :牙王丸 :2011/07/11(月) 23:34:08.26 ID:CB2wkawX0
>>435>>436

「素晴らしい友情って奴か?くだらねぇ」
庇った露希とそれに駆け寄る瞳を見下すように見つめる。

「まあ…いい。テメーら潰してサッサッと《姫崎琴葉》って小娘を拉致るか」
そう言いながら、気味が悪く不気味で、吐き気をもよおすような凶悪な《妖気》――彼女らは知らないがそれは《七罪者》が共通する《青行燈》のような《妖気》――を放たれる。


ピキピキピキピキピキピキピキ

何かが皹入る音がした…
それは彼の足元の地面に亀裂が入る音だ。

暴君の姿が、赤くなり、その身体は5m程に膨れ上がり、顔は凶悪になり、額に二本の角がはえる。毛皮のコートを着て、右耳にピアスをしてるのは変わらない。

酒呑童子や温羅や悪路王や鬼童丸のような有名な鬼ではない……のにも関わらず…それに負けないような威圧を放つ。
そして、欲しい物はどんな手でも奪う他の鬼たちに負けない《強欲》が妖気のように強く感じるだろう。


「サッサッとくたばれ…」
438 :露希 :2011/07/11(月) 23:39:23.47 ID:Zz97INYDO
>436-437
「ありがとっ、瞳。でも・・・私怒ったよ。」

巨大化する双刀、それは暴食にも十分対抗出来る物だった。

先程の妖気の質も濃くなり、何処か神聖な雰囲気が露希と瞳の回りに漂う。

「瞳、やり返すよ!」
439 : :2011/07/11(月) 23:47:42.51 ID:CX0HcDYAO
>>438,>>437
「ああ!反撃開始だ!」

その妖気に怯むが、すぐに立ち上がり、声を張り上げる。

「うおおぉぉ!滅鬼瞳斬!!」

右腕を再び刀に変化させ退魔のオーラを纏う。
そして、走り出しその右手で切りかかる。
440 :牙王丸 :2011/07/11(月) 23:54:26.06 ID:AHT1NpnD0
>>438>>439

「舐めるな!愚民共!!!」
負傷してる右手に向かってくる瞳に対し、そのまま《巨体》と《馬鹿力》をいかし、瞳に右手を振るおうとする。
右手から使いモノにならなくなるだろうが、それと同時に瞳にダメージを与えようとする。

そして、露希に対し右足で地面を蹴り飛ばし、2mくらいの塊を露希に砲弾の如く飛ばそうとする。
441 :露希 :2011/07/12(火) 00:00:23.97 ID:1WWh1W5DO
>>439-440
「クロス・アルエット!」

交差させた双刀から生み出された刃は貫通、殺傷性が高い。

これをもろに喰らえば、怪我所でない。
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関東) :2011/07/12(火) 00:10:13.58 ID:RuEsnvqAO
>>440,>>441
右手と右手がぶつかり、吹き飛ばされる瞳。

「ぐぁっ!」

地に倒れる瞳。ダメージは大きい。

443 :牙王丸&桔梗 :2011/07/12(火) 00:19:36.90 ID:s8CJn6Vs0
>>441>>442

刃が塊を貫き、迫ってくる。

瞳にトドメをさそうとしていた暴君は危険を察知しすぐさま、その身軽な動きで避けようとする。

「ガァッ……!!クソがぁぁぁぁぁあ!!!!!」
だが彼の腹部を大きくえぐり出す。
下手したら致死量にたっする怪我が暴君はしぶとく生きて立っている。

「[ピーーー]!![ピーーー]ぞ!!愚民共がぁぁぁぁあ!!!」
そう言いながら地面に両手をやろうとする。

二人はその行動にかなりの嫌な予感を感じるだろう……

しかし

『はいはい。回収回収』
近くに止まってた車のバックミラーから手が延びて来て《暴君》を回収しようとする。

『まったく…
本当ただの力馬鹿の扱いが困るのよね…貴女たちもそう思わない?』
その声は車のバックミラーから聞こえる。
444 :露希 :2011/07/12(火) 00:23:55.73 ID:1WWh1W5DO
>>442
「・・・!!瞳・・・・・・」

倒れた瞳を優しく起こし、肩を貸す。
その間に、相手の仲間らしき物が現れた。

不吉な予感がして、その心が隠せなかった。

「・・・だれ?」
445 : :2011/07/12(火) 00:32:53.52 ID:RuEsnvqAO
>>443,>>444
「ありがとう。露希。」

ゆっくりと立ち上がる。

「!?なに者だ!?」

突然の鏡からの声。瞳は、それに驚きを隠せなかった。

「な、なんだあなたは!」

警戒しながらも声をかける。
446 :牙王丸「」&桔梗『』 :2011/07/12(火) 00:40:37.78 ID:rBKNJb7e0
>>444>>445

「離せ!《悪魔》!!……ゴハッ!!
俺様はまだやr…」
血を吐き、台詞を完全に言い切る前に、《暴君》は回収されていった。

後に残るのは大量の鬼の血。

『まったく…立ってるのもやっとの癖に煩いわね…
コレで二回目よ?負けて私に回収されるの』
その声は《暴君》に呆れてる様子だった。

現に《暴君》は《悪魔》に止められなければ、技の発動の前に死んでいたのだろう。


『初めまして、こんばんは』
バックミラーから出て来るのは、金髪に赤い口紅をした今時の普通な女子高生。


『《七罪者》の一人。《嫉妬》の《大罪》をもつ《悪魔》――桔梗よ』
『さっきのは《強欲》の《大罪》をもつ《暴君》』
ニコリと微笑みながら《悪魔》はお辞儀をする。
447 :露希 :2011/07/12(火) 00:49:44.76 ID:1WWh1W5DO
>>455-456
「七罪・・・者?まさか・・・。」
そう、彼らこそあの田中を狙う者達なのだ。
かなり不快な気分になりつつ、向こうに戦う気力が無いのを理解すると、無言のまま帰っていった。

この時、露希は何を考えていたのだろうか・・・

//私はここで落ちたいと思います。
絡みありがとうございました!
448 : :2011/07/12(火) 00:58:07.19 ID:RuEsnvqAO
>>447>>446
「七罪者…あなた達が…」

現れた七罪者とその実力に驚く

「あなた達は、一体何をしようとしている?」
449 :桔梗 :2011/07/12(火) 01:14:35.06 ID:m4FAmk3P0
>>447

「あら?伝言頼もうと思ったのに行っちゃうのね」
去っていく露希を見つめながら肩を竦める《悪魔》

/露希さんお疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます


>>448

「目的?
今回は《怨霊》の遊びにつきあってあげただけよ」
「《八握剣》の持ち主を釣るのに、彼の幼なじみを拉致ろうとね」
口を押さえながら笑う。

「けど…それは諦めるわ。もっと面白そうなやり方見つけたしね」
まるで新しい悪戯を考えた子供のようだ。

「そうそう。《九十九神》さん。さっきの《天使》ちゃんの《お兄さん》に伝言お願い」
「……《魔女》と《神もどき》の敵(かたき)をと《道返玉》をとりにいく…ってね」

憎しみを込めた声で《悪魔》は鏡の中に消えていった。

……それはつまり田中くんだけではなく零の命を狙っていくという事だ…
しかも《零》が《十種神宝》の一つ《道返玉》を持ってるという事だ…

今夜の出会いは……果たしてどう動く?

/姫さんお疲れ様でしたー
絡みありがとうございます
450 : :2011/07/12(火) 01:27:15.36 ID:RuEsnvqAO
>>449
「遊びだと!?ふざけるな!
くそっ、どういうことだ…八握剣の持ち主?」

困惑、いまだにわからないことが多いのだ。

「何っ!零が…?おい!それは、いったいどういう…」

叫ぶが、すでに鏡へと消えていた。

「くっ!早く、零に知らせなくては!」


/お二人とも絡み乙&ありがとうございます。
451 :ネロキナ :2011/07/12(火) 22:28:40.07 ID:jYUejRrZP

 月が綺麗な夜。
 静かな湖面に満月が映っている。

 湖の辺にてネロキナはその様を見つめている。

「・・・」

 その背からは黒い翼が伸び、小さく羽ばたく度に湖面は波打った。
 湖面に映る月を掬おうとしても、ただ月明かりはせせら笑うだけである。
 零と同じ色、同じ形、同じ顔、同じ妖気・・・。

 それでも零からしてみれば他人でしかなく。
 こちらは待ちに待った350年間でも、向こうからすれば昨日今日パッと出ただけの狂言なのだろう。

「零・・・、どうしてくれようかな」

 行き場の無い感情の激流を押さえ、
 それでも必死に来るべき未来を手に入れる画策していた。

「やっぱり露希をけしておこうかな」
452 :夜行集団 :2011/07/12(火) 22:40:50.48 ID:j4ctHVl30
>>451
そんな物思いにふけるネロキナの背後の茂みから、
気配を消していたわけではないが、ネロキナが気づかないうちに銀髪のホストが姿を現した。
しかし、ネロキナに話しかける彼は気づいていない。
その話しかけた相手が、零ではないことを。

「よう零wwwwwwそんな感情をむき出しにしてどうしたっていうwwwwww
 何か悩みでもあったらwwwwww俺に解決できるようなことなら、なんでも相談に乗ってやるよwwwwww」

だからまったくの警戒心は彼になく、身構えもなにもない状態で、
今まさに激情をこらえんとしているネロキナに歩き近づく。
453 :零「」&黒龍『』 :2011/07/12(火) 22:47:31.60 ID:1WWh1W5DO
>>451-452
その反対岸には本物の零、そして黒龍がいた。

本物は疲れきった顔をして、目の下には隈が出来ている。

「・・・・・・?どうしたの?」
『零、アイツが居るぞ。お前とそっくりの・・・。』

それを聞いた途端、再び嫌な気分に襲われる。
零が逃げようとする姿は、きちんとネロキナに見つかるだろう
454 :ネロキナ :2011/07/12(火) 22:56:03.42 ID:jYUejRrZP
>>452

 ジロリ、と湿った視線が銀髪のホストを射抜いた。
 少しでも零の事を知る者ならわかるだろう。

 この者は零のように穏やかな気性など持たない。
 もっと陰湿で、強い激情を持つ者である事を・・・。

「人違いだよ」

 苛立ったような、唸るような声を上げ。
 ゆっくりと歩み寄っていく。

 その右手には、黒々とした刃物がいつの間にか握られていた。

>>453

 しかし途端に虚冥は視界と認識から外れた。
 自分を見止めた瞬間、背を向ける零を見つけたからだ。

「零・・・ぉ!」

 そのまま弾かれた様に飛び出した。
 飛影のようなその移動はあっという間に零に追いすがり。
 すっかり細くなった肩を爪を立てて掴まれる。

「どうして逃げるんだい?」
455 :虚冥 :2011/07/12(火) 23:03:10.28 ID:j4ctHVl30
>>453
ネロキナへ、本人にとっては零へと向けたと思っている視線を、
ふいに湖面に向けたとき向こうにいる黒竜と、零が目に入る。

「?」

しかしあまりにも情報が乏しいため虚冥は、ただ不思議そうな顔をするだけで、
二者の間をゆっくりと交互に見つめることしかできなかった。

>>454
怪訝な顔をしていたら、ネロキナのほうがこちらに反応し振り向いた。
その目は、負の感情に鋭敏な虚冥でなくとも気づけるほどに荒んでいて、
すぐさま虚冥が今まで意味の理解できなかったこと、なぜ零が二人いるのかということの答えを語っていた。

「そっかwwwwwwそりゃすまねえなっていうwwwwww
 手かお前何?零のファン?wwwwww」

時間は余りかかることなく、直ぐにいつもの笑いの混じった口調に戻る。
たとえそいつが刃物を所持していても、であった。

しかし身構えてかいもなく飛んでいったネロキナに、
ぽかんと再び口をあけて対岸からそれを見るだけとなる。
456 :零「」&黒龍『』 :2011/07/12(火) 23:11:23.32 ID:1WWh1W5DO
>>454
「ネロキ・・・ナッ・・・・・・」

『止めろ、零に触るな!』
涙目で怯える様な零と、今にも切れそうな黒龍。

肩を捕まれると、視線を逸らすかのように下を向く零。
ネロキナは何を思うのだろう。
>>455
『虚冥さん、助けて!!コイツ、以前に零を襲った奴だ!』

ネロキナが何を言おうが、零の記憶には彼女はいない。
それが元々ないのか、消えた物なのかは分からないが・・・
457 :ネロキナ :2011/07/12(火) 23:17:16.23 ID:jYUejRrZP
>>455>>456

 笑いの混じった声を上げる虚冥には目もくれず。
 その左手はギリギリと零の肩に食い込んでいく。

「・・・まだちゃんと答えを聞いてなかったね」

 立てられた爪は、零の肩を抉り血を流していく。
 それと同時にネロキナの肩からも血が滲み始めた。

 ギョロリと見開かれた目は。
 ただただ零を急き立てている。

「うるさいよ、隣で」

 黒い包丁を振り上げ、黒竜の額に振り下ろされる。
 半ば八つ当たりのような感情を纏い、その切っ先はギラギラと赤黒く煌めいていた。
458 :虚冥 :2011/07/12(火) 23:21:31.30 ID:j4ctHVl30
>>456
呆けたように眺めている場合ではないと、向こうの零の反応から把握し、
直ぐさまその体を狂骨へと変化させて湖面を飛んでネロキナたちのところに到着した。

「こいつは何なんだ!!」

到着するまでの間に体から出させた紫の靄二体を、
二人の間に滑り込ませてから、ネロキナのその手を振り這わせることによって、
ネロキナが零に接着することを妨げていた。

>>457
「おい!!黒龍を守れ!!」

ネロキナの凶刃が黒龍へと振り下ろされる前のすでに、
虚冥の悪霊たちの中でも特に刀に秀でた者を向かわせていて、
その紫の靄は難なくその包丁を刀で受け止め、金属のぶつかる音をさせた。

459 :零「」&黒龍『』 :2011/07/12(火) 23:33:18.99 ID:1WWh1W5DO
>>457-458
「つぅっ・・・・・・。だから私はネロキナの兄じゃないっ・・・!」

何処か迷いがあったようだが、言うには言った。

やはりまだ混乱しているのだ。痛みに耐え、すうっとネロキナから離れる。

『はっ!すまない!!』

虚冥の霊に守られ、間一髪のところで怪我せずに済んだ。

『誰だかは知らないんだ、ただ零が狙われていることは確かだ!』

ネロキナにも狙われ、最近では見知らぬ鬼達に狙われるようにすらなった。

戦うことの出来ない零にとって、かなり危険なことである。
460 :ネロキナ :2011/07/12(火) 23:44:31.39 ID:jYUejRrZP
>>458

「・・・」

 突如入った邪魔に、苛立ったように睨み付ける。
 しかし切っ先から突如口が現れ、
 その霊たちをぺロリと平らげてしまった・・・!

 ボリボリと包丁の中から、硬いものが砕ける音が鳴り響いた。

>>459

 手から逃れる零を見続け、やがてポツリと呟く。

「また逃げるんだね・・・」

 今度、目に在ったのは。
 愛憎でも、激情でもなく・・・ただの軽蔑。

「私からも逃げて、過去からも目を逸らして。いつまでそうしている気だい?」

 すると、今度はその刃物を自らのこめかみに添え。
 思い切り突き刺した!!

「・・・ッ! ほら・・・思い出しなよ!! シェアリングペイン」

 今度はネロキナに発生した傷が零にフィードバックしていく!
 分かち合わされるのは・・・過去の痛み!!

「アハハハハハハハハハ!!」

 心が壊れんばかりのトラウマの再来に。
 零は何を思うのか。
461 :ネロキナ :2011/07/12(火) 23:48:56.44 ID:jYUejRrZP
−妖怪目録−
【 幽鬼 -ゆうき- 】

 死したる者の強烈な残留思念が触媒を得て実体化した悪魔。
 思念から生じた存在ゆえに実態はやや薄く、
 その感情に多くの者を巻き込み害を与える。
462 :虚冥 :2011/07/12(火) 23:51:38.65 ID:j4ctHVl30
>>459
零が決断する様を、背中で黒龍の声を聞きながら狂骨は黙って見守る。
その顔はいまだに困惑があるようだが、しかしなにか大事な決断を下した零に狂骨は、
なにか起こってしまったとき、いつでも参戦できるよう身構えた。

>>460
「井坂!?」

かなりのてだれな筈の悪霊があっさりと鎮められ、
狂骨は驚愕し、いまだに信じられないという顔で振り返った。

「・・・貴様ぁ。」

そして仲間を消されてしまった事で怒りの沸点を超えてしまった虚冥は、
先ほどよりも強く、槍を持った悪霊をネロキナにけしかける。
すぐさまその悪霊は足元に狙いを定め、疾風のように突き出した。

井坂と違って、格段に力の違う彼女は、術はわからずとも簡単に倒されるものではない。
463 :零「」&黒龍『』 :2011/07/12(火) 23:59:51.92 ID:1WWh1W5DO
>>460
どすっ、腹に鈍い感覚を感じる。そこからは赤い血が吹き出した。

「ぐあぁっ・・・」

車椅子から転げ落ち、腹を抱えてうずくまる。

だが、零は笑っていた。
気持ち良さそうに。

「そ・・・そんなに過去をえぐり出して楽しい・・・?

私はもう・・・そんな過ちはしないし・・・露希を守る・・・」
>>462
『虚冥さん、ちょっと任せた!零が危ない!!』

倒れ込む零を起き上がらせながら、黒龍は言い放つ。零が心配で、黒龍も若干焦ってるが、冷静な判断は出来ていた
464 :ネロキナ :2011/07/13(水) 00:14:23.24 ID:OUnDh4HoP
>>463

「・・・、まったく」

 一つため息をつくと、黒々とした刃を引き抜いた。
 その包丁はグネグネと生き物のように蠢いている。

 虚冥ならばわかるだろう、これは集合霊。
 零に殺された者達の怨念がその刃から毀れ始めた。

「わかってないね・・・、あれだけ殺しておいてなにを今更。
 零は今から、償いきれるというのかい? 背負いきれるとでも言うのかい?」

 ドロドロと濁った感情の流れが零に覆い被さり、深遠へと引きずり込もうとしている。

「そう、私はネロキナ。君が犯した罪の顕現」

 この邪霊の正体は。
 “人間だった頃”の露奇だった。

 零への想い、そして殺された人々の恨み。
 数多の感情はこの刃の上で一つになって、このどす黒い幽鬼を生み出したのだ。

「ねぇ零、迎えに来たよ・・・一緒に逝こ――!?」

>>462
 そんな言葉も、急に貫かれた痛みによって途切れてしまった。

「・・・!!」

 足を押さえ、のた打ち回るネロキナ。
 しかし再びその視線を零へと向け、這いずるように縋って行く!

「零ぉおおおお!!」

 左手で胸元を掴み、
 振り上げられた刃が、零へと向けて振り下ろされる・・・!
465 :狂骨 :2011/07/13(水) 00:24:48.10 ID:Yb6d0rwG0
>>463>>464
黒龍が狂骨へと話しかけても、彼は返事を返さない。
ネロキナが零を問い詰める。
その状況の中狂骨は何も、まったく一言も零に話しかけることはなかった。
ただ、試すような目で零を見つめるだけであった。

「(俺からはどうとでも言える。
  だが、この答えは、お前がおまえ自身で出すしかない)」

零に決定させる。
その狂骨の苦渋の決断は強く、ネロキナが再び切りかかったときも、
狂骨は動かない。
466 :零「」&黒龍『』 :2011/07/13(水) 00:36:56.93 ID:ZE0qD5vDO
>>464-465
「ネロキナ、償うよ、私は。きっと最後まで・・・。」

赤い液体が月夜に弧を描いた。綺麗なそれは留まることなく吹き出し続けた。

「くっ・・・はぁはぁ・・・・・・。私は何の為に生きてきたか分からないけど・・・。

もしかしたら、罪を償う為に産まれた者なのかもね・・・?」

『零いやああああ!!』

悲鳴がその場に児玉した。
467 :ネロキナ :2011/07/13(水) 00:52:46.08 ID:OUnDh4HoP
>>465>>466

「・・・できるわけないよ」

 肉を抉る感触、顔に掛かる紅く暖かい液体に。
 ネロキナは目を細めた。

「相変わらず口ばっかりだね」

 どこか懐かしそうに、それだけ呟くと。
 ネロキナは零から離れた。

 零の腹に、既に傷は無く。
 飛び散った鮮血は全て、ネロキナの腹から溢れ出ていた。


 最後の最後で、零の傷を奪い取ったのだ。

 ネロキナは既に跡形もなく。
 ただ、黒々とした色の包丁がそこに転がっていた。
468 :狂骨 :2011/07/13(水) 01:00:11.93 ID:Yb6d0rwG0
>>466>>467
「零よ、俺としては、
 露希のために生きるという道を選んで欲しかったんだがな」

零が贖罪という道を選択し、断罪の刃が振り下ろされたとき、
狂骨はようやく零を守ろうと動き出した。
しかし結果として零を守ったのは、今先ほどまで零を危めようとしていたネロキナである。

「またお前は露希と別れ、彼女を悲しませるつもりなのか?」

零の傷の消失に安堵しながらも、狂骨の言葉は少し強めの調子で、
責めるわけではなくとも零に問い詰めたような雰囲気があった。
469 : :2011/07/13(水) 05:33:54.51 ID:ZE0qD5vDO
>>467
「え・・・?」

消えていく傷と痛みに不思議がっていた。
そして、消えたネロキナをゆっくりと考え始めた。

ネロキナとは誰なのか、彼女は何の為に自分の所に着たのか。
少しずつ、ネロキナの優しさが心に染みてくる。

「ネロキナ・・・最後の最後まで気づけなかったね、私。
ロキ、私の自慢の妹だよ・・・」

落ちた包丁を、そっと抱きしめた。

>>468
「露希は・・・悲しんでくれるのかな?正直不安だった。
だから、こんな私を正しにロキは来てくれたんだね。」

露希とロキの接触時、彼女達はお互いに分かっていたのかも知れない。

零はネロキナの優しさと自分の愚かさで胸がいっぱいだった。
470 :夷磨璃 :2011/07/15(金) 21:54:04.56 ID:snLg1U3l0
とある山奥にて。
しとしとと降る雨の中で、刀を振る物が一人居た。

見るからに幼いながら、一生懸命にやっている。

「ござるっ!?」

水たまりに足を取られて転ぶも、再び立ち上がろうとする。
471 : :2011/07/15(金) 21:59:04.15 ID:eQG49qLAO
>>470
「夷磨璃…こんな時位休んだらどうだ?」

転んでしまった夷磨璃を見かけ、心配そうにした瞳が近づいてきた。

472 :六貨 [saga]:2011/07/15(金) 22:08:39.69 ID:Con0A0Ogo
>>470
「子供……?」

山奥に似つかわしくない、背広姿の青年。
素振りを行っている子供を見つけ、近づこうとしたが。

>>471
近づいていく少女を見かけ、立ち止まる。
別に隠れる必要もないのだが、何となく、木陰から二人の様子を見る事にした。
473 :夷磨璃 :2011/07/15(金) 22:12:03.90 ID:snLg1U3l0
>>471
「あれ?ししょー?」

どうしているの?と言う風に目をぱちくりさせる。
泥を払うと、ニコっと笑ってみせた。

「ししょー、僕ね、守りたい物を見つけたんだよ!!」

>>472
瞳と一緒に居る為、気配には気づいていない。
雨は止み始め、辺りには霧が出てきた。
474 : :2011/07/15(金) 22:16:46.93 ID:eQG49qLAO
>>472,>>473
青年には気づかずに、夷磨璃に心配そうな視線を向ける。

「偶然通りかかってな。
おお、見つかったのか?もし良ければ、聞かせてくれないか?」

自分のことのように嬉しそうにする。
475 :六貨 [saga]:2011/07/15(金) 22:25:22.54 ID:Con0A0Ogo
>>473>>474
「ししょう……?あの子の師匠なのかな?すると……」

木陰から僅かに身を乗り出して話を聞いていた。
剣を振っていた子供。師匠と呼ばれた少女。
その二つを結び合わせ、ある結論が導き出されたようだ。

「(ちょっとだけ……ちょっとだけなら…)」

ぴぃん、と一枚の500円硬貨を指で弾く。
雨音が止んだため、もしかすると音が聞こえるかもしれない。

「(えーと……すみません)」

心の中で唱え、右手の人差し指と中指に挟んだそれを、手首のスナップを利かせて放る。
それは霧の中を通り抜け、>>474へとまっすぐに向かっていく。
476 :夷磨璃 :2011/07/15(金) 22:30:42.68 ID:snLg1U3l0
>>474-475
「うん、ししょー。それはね…」

瞳の耳元に口を持っていき、話そうとした時だった。
ちゃりーんと音がした。
他には誰もいなさそうなこの空間に、お化けでもいるのかと恐怖した。

「ひゃあぁぁっ!!ししょー怖いよぅ!」

妖怪でもなんでも怖いものは怖いらしい。
泣きべそをかいて瞳に抱きついた。

477 : :2011/07/15(金) 22:38:30.79 ID:eQG49qLAO
>>475
キンッと硬貨を弾く音がする。
よく見れば、少女の右腕が刀に変化し、硬貨を弾いたことがわかるだろう。

「何者だ!?姿を現せ!」

霧の中の青年に対して、叫ぶ。


>>476
「大丈夫だ。夷磨璃は私が守る。だから、私から離れないでくれ。」

抱きついてきた夷磨璃を、さらに自分の方へ引き寄せ、庇うような体勢になる。
そして、辺りを警戒し始めた。
478 :六貨 [saga]:2011/07/15(金) 22:48:44.04 ID:Con0A0Ogo
>>476
「うぇっ……な、泣かした?」

泣かれるのは予想外だったらしい。
怖がらせようというつもりもなかったのだが、結果はこうだ。
何となくきまりが悪くなり、のそり、と木陰から出る。

>>477
「す、すいません、出来心だったんです!猛烈に手が滑ったんです!」

と、木陰から出ていきなり土下座しつつ一気にまくしたてた。
師匠というからには剣か何かを使うと思ったのだが、身体自体が刀になるのは予想外。
ともかく、謝り倒す。
479 :夷磨璃&白き乱入者白龍 :2011/07/15(金) 23:00:37.18 ID:snLg1U3l0
>>477
「(怖いよ…で、でもこれじゃあ駄目だ……)」

瞳からそっと離れ、涙を拭うと刀を構えた。
霧に反映するかのように、刀は白くなり、そして刃は透明化した。

「(僕だってししょーを守るんだ…!)」

>>478
「や…こ、来ないでー!」

恐怖のあまり、棒読みになりつつある。
だがここまで出来るのは【師匠を守りたい】と言う心が出来たからだ。
優しくて強くて分かり合える師匠の為に…。

しかし…次の出来事でぽっきりと心は折れてしまった。
なんと、空から龍が舞い降りたのだ。

『今、この辺りで悲鳴が聞こえましたが…。』

「きゃーっ!!怪物ー!!!ししょー(号泣)」

『怪物?どこですか!?』

泣き喚く少年と白き怪b…龍。
480 : :2011/07/15(金) 23:07:10.58 ID:eQG49qLAO
>>478
「手が滑ってあんな風に硬貨が飛ぶか?本当の目的は何だ?私達を試したのか?」

さすがに刀の右腕を突きつけたりはしないが、警戒を解かずに話す。


>>479
「夷磨璃…無理はするなよ。私がいるんだ、な?」

なだめるように優しく言う。
しかし…

「は、白龍!?
って夷磨璃!大丈夫だ!彼女は、私の友達だよ!」
481 :六貨 [saga]:2011/07/15(金) 23:15:23.31 ID:Con0A0Ogo
>>479
「え……ちょ、待っ……!」

更に白龍が空を割って現れた。
もはや、変なちょっかいを出した事を後悔するのみ。
低頭しつつもチラチラと白龍に目が行く。

>>480
「い、いやー……師匠と呼ばれてらしたんで、強いのかなーと……つい……」

試したというか、遊び半分だったのだろう。
結果、予想外の手段と反応速度で防がれ、更には白い龍まで現れた。
戦意は最初から無かったが、もはや腰を抜かして弁解するのみ。
482 :夷磨璃&白き乱入者白龍 :2011/07/15(金) 23:23:51.56 ID:snLg1U3l0
>>480-481
「ししょーに怪物の友達が!?でも怖いよぅ…。」

『瞳様、怪物とはこの人のことですね!?』

立貨をじぃと睨みつけるが、どう見ても怪物では無い。
白龍は夷磨璃を見つめ、顔を近づけた。

『夷磨璃君、怪物はどこですか?』
「ししょー!!なんでこの怪物、僕の名前知ってるの!?」
『怪物…私?』がーん

一度は露希経由で、同じ場に居たのだが、白龍が武器化してたため、夷磨璃は気づいてない。
白龍は人間に化けて、夷磨璃に説明した。
483 : :2011/07/15(金) 23:31:12.70 ID:eQG49qLAO
>>481
「だったら、口で聞けばいいだろう!いきなり、物を投げるなんて危ないじゃないか!」

一通り怒鳴った後、敵意は無いと判断し、右腕を人間のものに戻した。


>>482
「まぁ、そういうことなんだ。夷磨璃、わかったか?」

夷磨璃に確認をしておく。
484 :六貨 [saga]:2011/07/15(金) 23:37:57.03 ID:Con0A0Ogo
>>482>>483
「はい……すみませんでした」

何とか許しを得たと判断し、頭を上げる。
そこには子供に化けた妖怪、少女、そして白龍。

「えーと……この状況は……?」

膝をついたまま、なんとか口を開く。
485 :夷磨璃&白き乱入者白龍 :2011/07/15(金) 23:42:52.40 ID:snLg1U3l0
>>483-484
「う…うん…。」

『申し訳ございませんでした、瞳様、夷磨璃君。』

六貨には何も言わず、飛んで行ってしまった白龍。何しに来たんだろう…。

「ししょー、怒らないで…。この人、悪い人じゃなさそうだし…。」

刀をしまうと、おずおずとした表情で二人を見つめる。
486 : :2011/07/16(土) 00:21:34.60 ID:IAjnevHAO
>>484,>>485
「白龍…って、行ってしまったか…」

なんのために来たんだと疑問に思いつつ言った。

「ああ…まぁ、敵意はなさそうだしな…」
487 :六貨 [saga]:2011/07/16(土) 00:29:59.92 ID:6WYIm96so
>>485
「(あー……行った)」

白龍が去っていったのを見て、息をつく。
凶暴ではなかったようだが、それでもこの男にしてみればかなり怖かったらしい。

「あ、ありがとうございます。出来心だったんです……」

弁護してくれる少年に礼を述べる。

>>486
「ご迷惑をおかけしました……」

膝をついたまま、項垂れて。
488 :夷磨璃 :2011/07/16(土) 00:36:08.50 ID:3skAhE4DO
>>486-487
「喧嘩にはならなくてよかったぁ」ホッ

二人にニコリと笑った。

「ししょー、内容は今度教えるね!」

と言い残し、帰って言った。
瞳を守る、これを言ったらししょーがどのような反応するのか楽しみだ。

//ここで〆ます!
絡みお疲れ様でした!!
489 : :2011/07/16(土) 00:57:26.81 ID:IAjnevHAO
>>487
「まぁ、夷磨璃に免じて許してやるよ。」

そう言うと、穏やかな顔になっていた。

>>488
「ああ、絶対だからな。それじゃあな。」

手を振って夷磨璃を見送った。


/ありがとうございました。お疲れ様です。
490 :六貨 [saga]:2011/07/16(土) 01:03:27.26 ID:6WYIm96so
>>488
「なんと、よく出来たお坊ちゃんか……」

帰って行く少年を見て、何となく感動する。
小さいながらも、実に心が広い。
まぁ、妖怪なのだから厳密には子供では無いようだが……。

/ありがとうございましたっ


>>489
「ありがとうございます。いやぁ……しかし、いい反応でしたね」

立ち上がりつつ、先ほどの反応速度を思い出す。
膝の汚れを手で払い落とし、愛想笑いをしながら。
491 : :2011/07/16(土) 01:20:05.95 ID:IAjnevHAO
>>490
「私なんてまだまださ。もっと、もっと、強くならなければ…」

やたらと強さにこだわるように言う
492 :六貨 [saga]:2011/07/16(土) 01:24:08.78 ID:6WYIm96so
>>491
「何か、大きな目的でも……?」

そう言った彼女に、問いかける。
そこまでこだわるからには、何か目標があるのだろう。
先ほどの行為といい、どうにも好奇心が抑えられないようだ。
493 : :2011/07/16(土) 02:11:35.06 ID:IAjnevHAO
>>492
「人間と妖怪の共存さ。私の目標はそれさ。
それじゃあ、そろそろ。また縁でもあれば、じゃあな。」

と、言い。ゆっくりとした足取りで帰って行った。


/途中、寝落ちしてました。すみません。
絡み乙でした。ありがとうございます。
494 :六貨 [saga]:2011/07/16(土) 02:45:12.53 ID:6WYIm96so
>>493
「……いいですねぇ、それ」

のんびりとした口調で。
帰って行く彼女を見送り、彼もまた、我が家へと帰って行く。

//ありがとうございました、お疲れ様ですー
495 :夜行集団 :2011/07/16(土) 22:17:17.97 ID:oPD5squG0
繁華街から、少し離れたところに流れている川幅の大きな河。
そこのあるところには一本、大橋と名のつく橋がある。
その橋の中央あたりは広がっていて、よく人がたむろしたり待ち合わせに使っているのだが、
今は夜、つまりその橋の欄干に腰掛けている彼を除けば、あたりに人影はまったくない。

「(大丈夫・・・大丈夫だよ、僕はデキルコ僕はデキルコ僕はデキルコ・・・・)」

その顔は走ったわけでもないのに朱に染まり、至る所から冷や汗が。
そもそも、その男の格好はどこか、勝負どころや決心の場に着るような、
かっちりとしたスーツ姿なので、おそらく彼は今夜に、
勝負を仕掛ける気なのだろう。
496 :露希&白龍 :2011/07/16(土) 22:25:53.73 ID:zd7s1/Jx0
>>495
「白龍、たまには映画とか見るのもいいと思わない?」
『そうだね。凄く楽しかったよ、露希。』

映画を観終わって、帰る途中、その橋に着いた。
普段は人で賑う場所も、今日は一人だけ。
しかも珍しく、知った顔の人はスーツ姿だった。

「氷亜さん!?なんでそんなに汗かいてるの?」
497 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/16(土) 22:27:26.42 ID:jwplVKgQo
>>495
「そうそう、最近の殿下は悪戯に目覚め始めてな」
『良いのですか?そのまま放っておいて』
「まだ様子見だなー。ある意味じゃ順当な成長過程だろうし」

大橋を渡ってくる人影が一つ、しかし喋る声は二つ。
人の姿に化けて涼みに出てきた衣蛸の叡肖と、その肩にちょこんと腰掛けた小さなミナクチである。

「…ああ、川沿いの風は涼しいな」

浴衣姿で橋の下を流れる水を覗き込む叡肖。
そしてミナクチのほうは、知った気配に気づいたようだ。

『もしかしてあれは、氷亜さんじゃないでしょうか?』

ミナクチが指差す先を叡肖も振り返って、訝しげに思ったことを口にした。

「なんだか、彼らしくないな?」

叡肖の知る氷亜は、あんな風に勝負前に切羽詰るような男ではない筈なのだ。

「一体どうしたんです?氷亜殿らしくありませんな」

叡肖はつかつかと歩み寄って、直に尋ねる事にした。
498 :氷亜 :2011/07/16(土) 22:38:40.18 ID:oPD5squG0
>>496
勝負服に身を包み、それでもまだ決心のつかないこの氷亜が、
自分のはく付けのために何度、僕はデキルコ、と言ったかわからない。
しかしおそらく150回以上はいったであろうと時に、ついに声をかけられた。

「え、えええ、え?露希!?」

予定では覚悟を決めてから、彼女をこの橋に電話で呼び出そうという予定を立てていたのに、
覚悟も決まっていないし、それにあらゆる手順がすっとんでいるので、
氷亜の面食らい方、驚き方は尋常ではないのだろう。
汗が余計にでるが、それ以上にテンパッテいるので汗は冷気で雪へと変化する。

「へ?あれ?なんでここに!?」

>>497
先ほど露希に話しかけられたときのように、ビクッと体がその声に反応している。
太平洋を横断できるかもしれないほどに泳いでる目を見せながら、
そちらのほうにぎこちなく首を向けた。

「あ、ほら、その、あれだよ、あれ・・・
 な、なにもないよ!!何もする気はないよ!!」

その発せられた言葉は明らかに、なんでもあるし限りなくしどろもどろであった。
499 :露希&白龍 :2011/07/16(土) 22:47:17.88 ID:zd7s1/Jx0
>>497
『叡肖様、こんばんは。』

ふと見た先に居たのは叡肖だった。
ミナクチに気づかず、近づいていく。

『こんなところで……露、露希っ、ミナクチ様が!!』
「ミナクチ様!?」

叡肖への挨拶なしに、ミナクチへと話しかけた。

「御礼を言えてませんでした、ミナクチ様。どうもありがとうございました。」

>>498
「ボク?白龍と遊びに行って来た帰りだよ。
たまたま歩こうかな、と思ったら氷亜さんが居て…びっくりだよ!」

ちょっぴり驚いた後、むぎゅっと抱きついた。
ちなみにコレ、露希の好きな人に対するスキンシップの一つだ。
これをされた場合、その人は好かれているぞ!!
500 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/16(土) 22:52:30.84 ID:jwplVKgQo
>>498-469
(はーん、そういうことかね)

叡肖の方は何かを納得した様子。しかしミナクチのほうは…

『本当に大丈夫でしょうか?何か私でお役に立てることならお手伝いしますよ?』

心底氷亜を心配しているようだ。

「やあ、露希ちゃんに白龍ちゃんじゃないかい」
『お久しぶりです。いえ、お礼などされるようなことは何もしておりませんよ?』

露希の復活と引き換えにミナクチの半分が犠牲になったことを、もう半分のミナクチは知らない。

「白龍ちゃん、今日はまた一層の美しさだね〜」

衣蛸は馬に蹴られるつもりは無い様子。白龍に愛想を振りまき始めた。
501 :氷亜 :2011/07/16(土) 23:01:36.51 ID:oPD5squG0
>>499
「ぐ、ぐあああああああ!!」

たださえ露希とまともに話すのが大変なのに、その上抱き疲れたとあっては、
もう氷亜は悲鳴に似た声を上げるしかない。だが、
今回はただ抱きつかれているだけではなかった。
その露希の体を自ら引き剥がしたのだ、あくまで優しく。

「い、いいかい?
 今僕は少し前に、滝に打たれたり山を走ったりで雑念は抜いたといっても、
 それでもなにか、な、なにかあ、過ちを犯しかねない状態なんだよ?
 だ、だからいきなり抱きついちゃだめだよろ、露希。」

肩を両手で掴み、テンパリながらも諭すように露希に説明する。
そして顔の色は、よけいに赤く赤くなっていた。

>>500
露希へと体を向けながら、氷亜は声をかけたミナクチのほうを見る。
ミナクチのそれはありがたい言葉がけだが、いま役に立てることといえば、
氷亜と露希を二人きりにするか、このまま去ってくれることしかなかった。

「だ、大丈夫だよ?僕は何もしないからね?
 あ、そ、そうだ。く、黒蔵君は元気かな?」

だから氷亜はどうでもいい話題を口走る。
502 :露希&白龍 :2011/07/16(土) 23:10:37.20 ID:zd7s1/Jx0
>>500
「…?あ、いえでも、今度は私たちから御礼に伺います。」

深々と頭を下げるそれは、可愛い物を愛でる物では無かった。
と言うか、きっとミナクチ様に露希は何も出来ないだろう。

『え、叡肖様っ!!わ、私、お世辞には慣れてないんですっ//////』

夷磨璃に怪物扱いを受けたように、龍を美しいと言ってくれる人は少ない。
その為か、結構恥ずかしそうにしていた。

>>501
「え…あ、うん…。」

なぜか瞳も氷亜もそれほど喜んでくれてないと見た露希。
本人はこれが普通の行為だと思っているからである。

「でも氷亜さん、何かあるでしょ?だって顔が赤かったもん!」

赤らめる氷亜を、可愛い物を愛でるかのような視線で見つめる。
503 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/16(土) 23:16:36.98 ID:jwplVKgQo
>>501-502
『黒蔵は…』

ミナクチが少し表情を翳らせて口ごもる。最近の黒蔵はちょっと様子が変なのだ。
しかし叡肖が、はいはいそこまでね、と割って入った。

(ええい、空気の読めないこの野暮天め)

「実はさ、暴れん坊殿下が寝付いたから、俺らちょっと涼みに出てたんだよね。
 朝まで大人しく寝ててくれれば良いんだが、この暑さだからな。
 殿下が目を覚ます前に戻らなくちゃならないんで、そろそろお暇するよ?」

叡肖に言わせれば、抱き合うカップルを目の前にしてもまだ察せない奴は大馬鹿である。
つまりミナクチも大馬鹿の範疇に含まれるのだ。

「何言ってんの白龍ちゃん。お兄さんの言葉はお世辞じゃないよー?
 慣れてないならこれから慣れないとな。今度から会うたびに褒めることにしようか」

ニヤッと笑って、叡肖は白龍の反応を楽しんでいる。
504 :氷亜 :2011/07/16(土) 23:22:24.23 ID:oPD5squG0
>>502>>503
氷亜の目は、その彼にとっては強力すぎる視線をかわしながら、
まだもキョロキョロとどこかを泳ぎ続ける。
口元は痙攣するように引きつり、
汗はもはや顔から落ちる頃には完全に雪へと変わるほどだった。

「な、なにかって、なにも・・・
 赤くなんて、な、なってはいるけど、だって露希が、
 僕の前に、いや!!なんでもない!!なんでもないよ!!」

そのテンパリようから見ると、おそらくミナクチが言い切ったとしても、
彼の耳に届くことはなく馬耳東風していたであろう。

氷亜の上がり方は、そして気温の下がり方では、
おそらくこのまま氷亜は何もできず、ずっとどもり続けるだけだ。
もし叡肖が、なにがしかの文字を氷亜に書いたくれたのなら、
多少なりとも冷静にはなるかもしれない。
505 :露希&白龍 :2011/07/16(土) 23:28:25.99 ID:zd7s1/Jx0
>>503-504
『叡肖様、止めてくださいっ/////』

あたふたと、赤らめながらもそう言うが、内心は満更でもなさそう。
白龍にとっての叡肖はやはり良い人なのだ。
多少は退くこともあるだろうが、きっと良い人…なのだ。

「氷亜さん、ちょっと落ち着こう!
もしも落ち着かないならば、もう一度抱いちゃうよ!?」

こっちは脅しに出た様子。
叡肖がやらない場合、きっと彼は更にパニくるだろう。
506 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/16(土) 23:30:38.81 ID:jwplVKgQo
>>504
「そう言うわけで、俺たちお邪魔虫はそろそろ退散するよ」

氷亜の横を通り過ぎざま、ぽん、とその肩を叩く。

(やれやれ、この俺が縁結びとは柄じゃないねぇ)

こっそりと、叡肖の浴衣の袖から筆を持った第3の腕が伸びて、氷亜の肩に「勇気」の文字を記す。
同時に、氷亜にだけ聞えるように低く囁いた。

「何を恥じることがある?言い出せないままのほうがよほど情けないだろうに」

大馬鹿者のミナクチはというと、叡肖の手の中に捕まって言葉を封じられてしまっていた。
507 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/16(土) 23:31:09.91 ID:jwplVKgQo
//安価ミス、>>505まで含みます。
508 :氷亜 :2011/07/16(土) 23:40:22.30 ID:oPD5squG0
>>505
「だ、だめだあああ!!
 い、いや、抱きしめては欲しいけど、って何言ってんだ僕!?
 だめだよ露希!!人目もあるしさ!!」

じたばたと、もがいてもがいて露希から逃げ出そうとしている。
しかしテンパリすぎて力の入っていない彼が、露希のホールドからのがれられるはずもなく、
ただ目をぐるぐると回しているだけであった。

>>506
そんな時書き込まれた言葉、勇気。
その文字は沸点を超えてしまっていた氷亜の感情を少し、ほんの少しだけでも冷やし、
目が泳ぐことはなくなった。

「(・・・。
  ありがとう・・・またこの恩はどこかで・・・)」

そして汗が雪に変わってしまう、とんでも現象は収まったとはいえ、
いまだに顔が赤いままの氷亜は叡肖には背中を向けながら、
ぽそっと彼にしか聞き取れないような声を口から発した。

>>505
「ろ、露希。
 お願い事があるんだけど、聞いてくれるかな?」
509 :露希&白龍 :2011/07/16(土) 23:44:25.78 ID:zd7s1/Jx0
>>506-508
『(急にミナクチ様が黙っちゃった…。)』

何が起きているかなんて知るはずもなく。
ただ、もうちょっと一緒に居たそうな目で叡肖を見つめる。

「さぁ、言え、言うんだぁ!」

何処かの悪役の様に、脅す酷い子。おふざけだが。
しかしここで、氷亜は口を開いてくれた。

「ボクにお願い?聞いてあげるよ。」
510 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/16(土) 23:49:12.81 ID:jwplVKgQo
>>508-509
「今度は夜行集団の店に届ける四斗樽が必要そうだな。
 人数も多いだろうから他の種類の酒も用意しておくべきかね」

誰にとも無くそう呟いた叡肖は、ひょい、と白龍に向き直る。

「で、白龍ちゃん、お兄さんと今から帰り道デートとかどーよ?天に昇るまで褒めちゃうよ?
 天の川の彦星が白龍ちゃんの美貌に吃驚するよきっと?」

ミナクチは強制的に黙らせた。
白龍にはこのカップルの傍から離れる口実を作って誘ってみようかと言う算段である。
511 :氷亜 :2011/07/16(土) 23:57:18.26 ID:oPD5squG0
>>509>>510
どもるような声も出さず、目ももう泳いではいない。
顔はまだ赤いままなのだが、それでもこれほどに氷亜が落ち着いたのはきっと、
叡肖の文字が効いているのだろう。手は震えているが、礼として後ろにいる彼に親指を立てた。

きっと露希の目を見すえて、話し始める。

「無理にってわけじゃないから、いやだったらいいんだ。
 別に断ってくれてもかまわないよ、僕として少しかまうことだけど、
 だけど。話は聞いてほしい」

ここで氷亜は言葉をとめる。
気を落ち着かせるためなのだろう、息を深く深く吸うためなのだろう、
そして、より自分の心を確かめるためなのだろう。
そして深呼吸を二つしてから、ふっと言葉を続けた。

「キスをさせてください」
512 :露希&白龍 :2011/07/17(日) 00:07:13.33 ID:eRmrc60X0
>>510
『デートですか…(二人にさせてあげよう)そうですね、行きましょうか。叡肖様。』

ある程度は理解出来てるため、離れることにした。
ちなみに白龍、デートは初めてだったり。

>>511
その一言は、露希の周りの物すべてを止め、どうでもいい物にさせた。
言葉は胸に透き通るように染み渡り、何度も頭に響いた。
頬は自然と赤く、そして思考が止まり掛ける。

「キ…ス?」

ぽぉっと考えて、導き出した答え。それは勿論…。

「喜んで////」
513 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/17(日) 00:15:12.95 ID:w0AfWS86o
>>511-512
(駄目だこりゃ)

白龍を誘っていた手前、叡肖は派手なリアクションこそしなかったものの
その内心では氷亜の言葉にずっこけていた。
同時に「情熱」とか書かなくて良かった、とも思っている。
氷亜が雪妖なので熱の字は控えたのだが、それが良かったらしい。
情熱を込めてのキスの申し込み…は、その場でドン引きされなくても後々に彼女側の笑い種にされる。

「白龍ちゃん、よかったら見てきた映画の話してくれる?
 俺も今度、殿下に何か見せてやろうかと思ってるんだがね。
 映画館でよりもDVDで見せたほうが、あの暴れん坊が興奮したときの周辺被害は
 少なくて済む筈なんで、まだちょいと迷ってるんだよね」

氷亜にはひらひらと手を振り、白龍と歩き出す叡肖。
ミナクチの声が白いカップルに届かなくなるまで離れてから、その手を緩める。

『ぷはっ!いきなり何かと思いましたよ』
「どんだけ自分が野暮だか、よーく判ったろ?」

喋れるようになって息をつくミナクチはまた、叡肖にあんな一面があったことにも驚いていた。

『そうですね。叡肖さんをちょっとだけ見直しました』
「全面的に見直してくれても構わないんだぜ?」

悪いほうにも良いほうにも、見直されるのは衣蛸にとっては慣れっこである。
514 :氷亜 :2011/07/17(日) 00:26:41.19 ID:QKdQPkmz0
>>512>>513
返答を聞いて氷亜は、またも顔色を赤く変えた。
おそらく露希の返事で、自分が言ったことをより強く感じてしまったのだろう、
心臓がうるさく脈を打つ。その振動のせいなのか、氷亜は言葉を詰まらせる。

「あ、ありがとう・・・
 でも、」

でも、と続けたその時には、もう一度決心し直したのか彼の言葉は、
ゆっくりとかみ締めるようでありながらも、詰まることはなかった。

「とても大事なことだから、聞いておいてほしいことがある。
 僕がなぜこんなことを言ったのかという理由を。」

できることなら、その時の目線は露希へではなく、
どこか別のところに逸らしたい衝動に駆られていた氷亜であったが、
それでもよっぽど大事なことなのか、逃げずまっすぐに見つめていた。

「僕は、完全になりたい。完全な雪男になりたい。
 その為には、その条件としては、愛を知る必要があるんだ。」

雪男、世間には雪女のほうがよく知られているし、そっちのほうが起源なのだろう。
しかし、そのどちらともに共通していることがある。それは、
愛を扱い、そして愛によって騙すことを自分たちのアイデンティティーとしていることだ。

「ただ好きなだけじゃだめだ、告白するだけじゃだめだ、
 手をつなぐだけじゃだめなんだ」

だから、彼らがそれをよりしっかりと成功させるには、愛そのものを知る必要がある。
愛を知る、それは愛を失うことも含めてである。

「僕は雪花のおかげで感情を知った。姫のおかげで光を知った。
 そして露希のおかげで愛をついに知ったけど、それだけじゃだめなんだ。
 告白をしてくれて愛を知った、一緒にいて愛が育つことを知った、
 そして波旬と戦ったとき、愛を失うことを知った。」

「最後に僕は、愛の概念を強く持ったその行為をして、
 どれほど心に変化が起こるかを知りたいんだ。」
515 :露希&白龍 :2011/07/17(日) 00:37:03.72 ID:eRmrc60X0
>>513
『あぁ、だからミナクチ様喋れなかったのですか。
……神様は恋に鈍感だったりするのでしょうかね?』

なるほど、と納得すると叡肖の隣を恥ずかしそうに歩く。
確かに美しいかもしれないが、残念ながらつるぺったんで、そこまでノリも良くない。
叡肖はこんな娘と一緒に居て楽しいのだろうか?

『巴津火君ですか…。ならば感動する映画はどうでしょうか?
私の見た映画は、迫力有りのハッピーエンドでしたよ。』

>>514
「…………」

真剣な顔つきで氷亜を見つめて、すべてを聞いた。
愛、たった一文字だけど、伝えるにはとても大きな物になる。

氷亜が話し終わると、口元を少し緩めた。

「氷亜さんがその気持ちを持ってくれたことだけでもボクは嬉しいよ。
ボクは氷亜さんと一生生きて行く覚悟も出来てる。

貴方が何を臨もうと、ボクが出来ることはすべてやるよ。氷亜。」
516 :叡肖「」 ミナクチ『』 [saga]:2011/07/17(日) 00:46:21.30 ID:w0AfWS86o
>>514-515
(あの様子だと、一言目はちょっとアレだったが上手く想いを言葉に出来たようだな)

はっきり氷亜の言葉が聞える距離ではないが、二人の様子からどうやら本題に入れたらしいと
衣蛸は持ち前の恋愛の勘で察した。
もう大丈夫だろう、後は衣蛸の文字が無くなっても氷亜の持ち前の勇気が働く筈である。

『ええ、恥ずかしながら疎い方です』

恋心と気づいたのは、あの人が眠りについてからだったな、としみじみ思い返すミナクチ。

「感動ストーリー、ね。確かにバッドエンドや犯罪物はあのお子ちゃまにはまだ早いなー」

巴津火は何かと影響されやすいお年頃である。下手にポ○モンやらドラゴ○ボールを見せたら、
百万ボ○トやら、か○はめ波を真似されるだろう。人間の子供なら害は無いのだが…。
せめて巴津火が真似ても害の無いものを選ぼう、と蛸は思いながら夜の中を露希の家まで
白龍を送って帰っていった。


//自分はここで落ちます。お二人とも絡みありがとうございました。

517 :氷亜 :2011/07/17(日) 00:49:19.08 ID:QKdQPkmz0
>>515
「ありがとう。」

もう一度、微笑みながら礼を言った。
顔の赤みはもう引いていて、いつもの青く白い肌の色に戻り、
しかし先ほどよりも目には力が入りながら、付け足すように

「でも、どうか誤解をしないで欲しい。
 確かに僕は完全なものになるために、君とこれからキスをしようとしている。
 そこには確かに利己的で、なおかつ傲慢な意思がないとは言えない。
 でも、でもコレだけは知って欲しい。
 僕がしたいと思う気持ちには、君を愛している、だから口付けをしたい、そんな気持ちもあるってことを」

と口から流れるように囁いた。
そして、いよいよ。氷亜は顔を露希に近づける。
しかしその動作は、途中で止まってしまった。なぜかというと

「・・・露希。
 僕はどこにキス、口づけをすればいいんだろう・・・」
518 :露希&白龍 :2011/07/17(日) 00:59:02.77 ID:eRmrc60X0
>>516
『ミナクチ様が…珍しいですね。』

かつては恋をしたが、そんな物、とおの昔に置いてきた。

『巴津火君のことですからね。
幼児向けのをお勧めしますよ。』

ア○パンマンとかならば多分問題ない…はず。
家に送り届けて貰うと、満面な笑みを叡肖に向けた。

>>517
「うん、氷亜の気持ちはきちんと伝わったよ。

…本当に、愛し合ってる者ならば…。同じ場所にキスをすると思うよ。」

口でキスをするならば、狙うは自分と同じ場所。
そぉっと目を閉じて、氷亜を待った。

//蛇さんありがとうございました!!
519 :氷亜 :2011/07/17(日) 01:07:43.96 ID:QKdQPkmz0
>>518
「そっか、ははは。
 一応僕がどこにするか、君はわかっているのか確認しただけさ」

強がりである。
彼女が目をつぶっているからこその、精一杯の強がりだ。
なぜなら、顔は再び紅潮し手と足は、もうどうしようもなく振るいているのだから。



「―。」

唇が重なったとき、氷亜は少し後悔していた。
厳密に言うとこの感情は後悔ではないのかもしれないが、
しかし氷亜は、彼女の唇のその柔らかさが、近づくことでより香る彼女の存在が、
これほど自分の血や肉だけでなく、あらゆるすべてを沸騰させるとは、
さすがに予想していなかったのだ。
520 :露希 :2011/07/17(日) 01:12:32.56 ID:eRmrc60X0
>>519
「……。」

氷亜と出会ってからどれくらいの月日が経ったのだろうか。
出会ってから、つい先程までのことまで、鮮明に覚えている。
恋、それは本当に凄い物だ。

ふと目から流れる一筋の涙。
後悔とか、悲しみとかではない、嬉しさ。
今の露希は、それに浸ることしか出来なかった。
521 :氷亜 :2011/07/17(日) 01:21:13.87 ID:QKdQPkmz0
>>520
それがしばらくだったのか、それとも二人の感じた時間だけが異常な引き伸ばしをされていて、
実はそれほど時間は経っていなかったのかは知らないが、
氷亜にとってはとても長い時間、だった。

「ふう、危ない危ない。これはあまり長くしちゃだめだね。
 危うくなんでもいいや、みたいに愛に溺れちゃいそうだったよ。」

気恥ずかしさはまだまだ残り、それが彼の顔を赤く染めているが、
でも笑いながら、露希煮そんな冗談を言った。
しかしそれは本当に冗談だったのかは、氷亜、と、露希しか知らない。
522 :露希 :2011/07/17(日) 01:27:55.18 ID:NJlNyxbDO
>>521
その時間は露希にとっても長かったようで。

しかも、声が出せなかった。彼の唇の感触が今だにあるし、煙所ではない。

「氷亜・・・・・・。」

ぎゅむっと再び抱きしめ、しばらく氷亜と時を共にすることにした。

//眠気の限界なので落ちます。とても楽しい危険タイムをありがとうございました!&お疲れ様でした!!
523 :氷亜 :2011/07/17(日) 01:36:48.19 ID:QKdQPkmz0
>>522
「はいはい〜氷亜だよ〜」

先ほどまで子供のようだったのは氷亜だというのに、
この時こそは、とでも思ったのか露希を、まるで子供の頭をなでるように、
優しく優しくなでた。

氷亜もこのまま露希とお別れをするつもりはない。
その為、二人はずっとそこにい続けるのだろう。
それは、星が見えなくなるまでか、空が白み始めるまでか、しかしいつまでかは、
この二人しか知らない。
524 :氷亜 :2011/07/17(日) 01:38:02.27 ID:QKdQPkmz0
/こちらこそ氷亜にいい夢を見させてもらってありがとうございました!!
/そして絡みありがとうございました!!
525 : :2011/07/17(日) 23:46:44.09 ID:VliWP36DO
…さて、どうしたものか、と彼女は思案する
泳がせては見た物の、少し気になり突っつきに来た、が…

「見た所、大分見違えたようじゃないか?」

目の前のそれが、余りに前回見た様子とは違っている物だから、少しだけ躊躇いに似た興味が産まれた

『…神だ』
『神がもっと人々に夢を見させろと、私はその為に必要だと、力を下さった』

黒いタキシードを来た、オールバックの黒髪の男は、少女を睨んでそう答える
右手には、だらりと体から力の抜けた人間の頭を掴んで

「ほう?人間を勝手に無作為に永遠の眠りにつかせるなんて、とんだ神もいたものだ」
「せめて相手は選んでほしいね、そうなりたい人間ならいくらでもいるだろうに」

少女が言い終わる前に、少女のすぐ右を何かが通過した
ピンク色の髪を揺らしてそれを軽くかわした少女は、紫とピンクのストライプ模様のスカートを揺らしくるりと回転して、男に向き直る

「神にイカれた頭は直してもらわなかったのかい?それとも、神すら無理なのかな?」
『黙れ、それ以上神を侮辱するのは許さんぞ』

少女の笑ったような金色の眼を睨む男は、その右腕にギリギリと力を込めていた
526 :黒龍&白龍 :2011/07/17(日) 23:56:45.57 ID:eRmrc60X0
>>525
そこに現れるのは、いつもと様子の違う二人。
悪口の言い合う兄妹、が今はお互い別のことをやりながら歩いてきた。

紺色の服の青年はヘッドホンを付けて、片手にはコーラを、もう片手にはP○Pを持っている。
白色の服の女性はケーキの入った小さな箱を大事そうに持って、紅茶を飲んでいた。

「(このゲームクリアしたら、ポ○モンの乱数しなきゃな。やはりここはストレートに砂パ?)」
『(このケーキに相応の紅茶を帰って作らねば…。)』

趣味に没頭している二人、だがこう見えて元・『神』と扱われた物の一つ。
527 :田中 夕 :2011/07/17(日) 23:59:13.40 ID:YsDZvn340
>>525

そんな現場に場違いな人影が近づく。

「すいません…なんか不穏な空気を感じたんで来てみたんですが」
ボサボサの黒髪で、どこにでもいそうなごく普通の顔立ちの高校生。
霊感も妖気もない普通な人間。

「とりあえず……その人を離せ」
シュッ………ドン!!!
少し離れた距離から、倒れるように全体重を上半身に乗せ、滑るように速く…まるで《風》のように男に近づき、《右手》で《人を掴んでる腕の肩》を殴り付けようとする。
田中くんの右手の甲に《丸い円に八つの棒が生えてる模様》が浮かび上がっていて、それには《破邪》の力が篭っていた。
528 : :2011/07/18(月) 00:25:03.92 ID:ycae3cpDO
>>526>>527
「………シシッ!」

『…何だ?貴様は…ッ!?』

突如その場に割って入った田中の姿、介入してきた人間に、一人笑い、或いは驚く
男が怪訝な目で田中を見たかと思うと、その右腕は殴られていた
殴られた箇所にヒビが入り、割れた隙間が不自然に見える、衝撃で離された人間はその右手から滑り落ちた

『…貴様、神の遣いに手を出すとは、何を意味するか解っているのか?』
『人間の子供だと言え、邪魔だてするのならば赦さんぞ』

殴られた右腕のヒビを抑え、男は田中を睨む
近くに現れたあの男女の事も気になった、奴らも仲間だろうか?しかしそれ程の覇気は今は感じられない、いざとなれば…


(いい、いい、いい流れじゃあないか)
(これだよ、この流れを見たかった、私はこんなストーリーを待っていた)
(…しかし役者をその気にさせるにはどうするか、あの男の子はいいとして、あの二人をその気にさせるには骨が折れるな)
「……シシッ、役者を選べない、アドリブはこれだから面白い」

誰もが気付かないくらい小さく笑い、小さく呟くと、少女は右手に本を開く
厚い本のページをめくり、左手を本に差し入れると、挿絵の剣を抜き取った

「さあ、これで数はこちらに分があるぞ?」

抜かれた剣はすぐに刀身が掻き消えて、柄と鍔だけになった得物を左手に男に突き付ける
529 :黒龍&白龍 :2011/07/18(月) 00:32:16.23 ID:4A1FvBNDO
>>527-528
「ん、田中!?」
『田中様、どうかしましたか?』

趣味に没頭していた二人だったが、田中を見つけると真面目な表情になった。

しかし、陽気や覇気は全く変わらず。
相手の様子を見るようだ。
なので二人は、手を出さずにいる。
530 :田中 夕 :2011/07/18(月) 00:40:11.15 ID:X+75vYmW0
>>528

「神の遣い?
………よくわからないけど、神の遣いなら人を傷つけていいって理由にならないぞ?
その人に何をしたか説明しろ!納得いく理由なら手はださない!!」

倒れた人を直ぐさま左手で抱き上げ、後ろに下がり安全そうな場所に置こうとする。
その顔は少し怒ってるようだ。

「君…なんかどっかで聞いた事ある声だね?
あと、つい手を出したけど理由を簡単に説明して?」
少女にそういいながら、凄い手品だな…っと剣を出したのを見てそう思った。


>>529

「あ…黒龍、白龍」
友達である二人に気付き

「俺もよくわからないけど、あの《神の遣い》って言う人(多分妖怪だが)がその人に何かしたみたいだから、ちょっとムカついたから喧嘩売った」
倒れてる人間を壁によりかけながら、《自称・神の遣い》を睨んでる。


「だから……危ないから離れてて」
彼は友達を巻き込まないようにそう言った。
531 : :2011/07/18(月) 01:00:02.83 ID:ycae3cpDO
>>529>>530
『嘗めるな、猫、この程度で』

『子供、貴様に言った所で到底理解は出来ん、大人しく帰って眠りにでもつけ』
『そうすれば、今回は無かった事にしてやる』

男は田中を冷たく睨み、ただ邪魔者を見るかのように扱う
右腕に入ったヒビはまるで、陶器の人形に入ったようで、その中身は闇が渦巻いている

「少年よ、奇遇だな、私も同じ事を考えていた」
「まあ説明してやってもいいが、まずはあれをなんとかしなくてはいけないのではないか?」
「ついでに、あそこの二人も参加させてくれれば、その分早く済むし余った時間で詳しく話も出来るのだが」

猫耳を揺らし、パタン、と本を閉じると、本がフッと消える
残った剣の柄を手元で小さく振るうと、急に現れた深緑の長い刀身が鞭の様にしなりながら男に向かう

『その攻撃は一度見たぞ、猫!』

その剣撃を、男は左の袖口に隠した何かで防ぐと、右の袖を猫少女に向ける

『喰らえ!』

袖から打ち出された銛がキラリと光ったかと思えば、それは猫少女の左二の腕に深々と突き刺さっていた
ふ、と深緑の刀身が掻き消え、血溜まりの中に柄が落ちる音と、続いて猫少女が膝から崩れ落ちる音がした
532 :黒龍&白龍 :2011/07/18(月) 01:09:50.78 ID:4A1FvBNDO
>>530
「田中、お前の優しい気持ちは受け取ったぞ。」

『でも、田中様を前に退くことは出来ません。戦いましょう。』

黒と白の龍は田中の両側へと立った。
友達として、田中と戦うことを決めた。

>>531
「生温い攻撃だな。あいつらを倒す価値はあるのか?」
『まあ、やるしかないよ。』
「ふん、とりあえず田中の援護だな。」

完全に舐めている。
普段は使用人により使われている二人は、あんな敵を山ほど見てきた。

その上での結果を元に強さを予想した。
533 :田中 夕 :2011/07/18(月) 01:19:59.88 ID:JttGQf5C0
>>531

「悪いけど、理解できないから帰れって行って帰る訳にはいかないよ?
……アンタがやってるのは正しいかどうか俺にはわからない。
けどな……」
彼の右手の模様が強く光り出す。

「《女の子》を眉一つ動かさずに傷つける奴を放って置くわけにはいかないんだよ!!」

シュッ………ドン!!!
再び彼は倒れるように上半身に全体重を乗せ、その勢いで滑るように《風》のように移動し、少女と男の間に移動しようとする。

「とりあえず《殴る》!!話はそれからだぁぁぁあ!!!!」
そう言いながら《右手》で殴るモーションをする……が、それはフェイント。相手が彼の《普通じゃない右手》を警戒してるのを考えてるかどうかわからないが…
左足を軸にし、《普通》の右足による《鍛えられた》廻し蹴りを男の腹部に放とうとする。


>>532

「二人共……ありがとう!!」
「とりあえず、白龍はその女の子(紫)の手当をお願いします!」
「黒龍は俺と一緒にアイツ(神の遣い)を大人しくさせるの手伝ってください!!」
《神の遣い》に攻撃する直前に彼はそう言った
534 : :2011/07/18(月) 01:38:02.67 ID:ycae3cpDO
>>532
「話を聞くに、随分と腕が立つようだな、お二方」

地面にぺたりと座り込み、左腕の傷を押さえながら俯いて黒龍と白龍に話し掛ける

「私の事はいい、とにかくあの少年を手伝って…もとい、あの男を倒してくれまいか」

>>533
『…御託を、正義でも語るつもりか』
『貴様の様な子供が正義を気取るのは見ているだけで反吐が出る、正義は一人、神だけでいい』
『夢は寝て見る物だ、起きてまで寝言を吐くな』

叫ぶ田中を、まるでつまらない演劇を無理矢理見せられているかのような冷ややかな目で見つめる
男にとって、そんな夢は見るに値しない物である、取り込むにも値しない、見せるにも値しない、つまらない夢

『(恐らく、その右腕…何かからくりがあるのだろう?)』
『(そうなれば、それに当たらなければいいだけの話だ)』

田中の考えは、大方当たっていた
まるで打ち合わせでもしたかのように、まんまと男は右腕を警戒し、右腕だけ≠警戒し、それに対する最善の対処をする
右腕のパンチを右へのスウェーでかわし、カウンター…それが、男のシナリオだった

『―――ッガ!!?』

ドス、と鈍い音と、衝撃が響く
すべては、愚かな知略の結果、破邪の力程のダメージは無いにしろ、その力を好きに叩き込むだけの隙を作るには十分過ぎる威力であった
535 :黒龍&白龍 :2011/07/18(月) 01:45:58.92 ID:4A1FvBNDO
>>533-534
こくり、そう二人は頷く。白龍は少女の傷に触れ、そこをきゅっ、と押した。

するとどうだろう、傷が消え、痛みが和らぐだろう。
『あの二人ならば大丈夫ですよ。貴方様はゆっくりお休み下さい。』

優しく微笑む女性は、やはりどこかに美しいものがあった。

「田中、一発お見舞いしてやろうぜ。」

こちらは、人間姿での体術を当てようとする(回し蹴り)
536 :田中 夕 :2011/07/18(月) 01:56:04.07 ID:hHzwIud/0
>>534>>535

「俺は正義を語るつもりはない……
だけどな…誰かを傷つけていい、そんな正義を語る神なんか神じゃない。
ましてや、アンタみたいのが正義を名乗るなら俺は悪でいい」
蹴りを喰らわせた後、彼はそう言いながら、腰を深く降ろし、右足を前に出し、上半身を右側に回転させ、《右手》で殴る構えをして……

「はい!!」
黒龍の言葉に力強く返事をして


「歯………食いしばれぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!!!!!!!!!」
右側に向いた上半身を前へと戻す力を利用した《右手》での《破邪の力が篭った渾身の一撃》を
《黒龍》の攻撃に合わせ、《神の遣い》の顔面に食らわせようとする。
537 : :2011/07/18(月) 02:12:49.12 ID:ycae3cpDO
>>535>>536
「ああ…すまないな」

傷が治っても腕を押さえたまま、俯いて白龍に答える
顔がよく見えない、が、その心は…

(あぁ…これだなこれこれ、ゾクゾクしてくる)

これ程にないくらいに、笑っていた

『…ふざけるな』
『ふざけるなああああぁぁぁぁあガッッッッ!!!!』

眼を見開き、大口を開けて、叫びながらも男は蹴り飛ばされ、殴り飛ばされた
体を捻りながら吹き飛び、砕けた体にヒビや隙間が出来ていく
顔面から地面に落ちて、ピクピクと痙攣し始めた

「…頃合いかな」
「いやあありがとう、君達の協力で無事、連続変死事件は解決だ」

男が倒れたのを確認すると、俯いていた顔を上げ、少女が語りはじめた

「恐らくそいつは夢魔の一種だろう、奴が人々を夢ごと取り込んでいたのが事件の真相だったようだ」
「もっとも、そんな事―――」
[もっとも、そんな事一般人に言っても信じる訳無いけどな]

少女の言葉を遮って―――追記するように、そう言いながらまた一人、現れた
飴を口にくわえた、白いニット帽の男がのそのそと歩いて来た

「遅いぞ、主人」
[まあ、色々あってな]
538 :夜行集団 :2011/07/18(月) 21:59:38.91 ID:ATKYnFzo0
突如の連行から数日後、
ぶち切れした氷亜による三日間の監禁も終了し、久方の外出。

「まったく、なんなんだっていうあいつは・・・
 加減のない罰をくれやがったと思ったら、次の日にはつやつやとしてやがる・・・」

本当にわかんねえ、とぼやきながら彼は『完全王道』と名高い
(これぞ真実、神聖牛乳)を飲んで、とある建物の入り口の階段に腰掛けている。
539 :黒蔵 [saga]:2011/07/18(月) 22:06:10.36 ID:B/jAnGFvo
>>538
しおたれてとぼとぼとその前を通過しようとする病院の仕事帰りの黒蔵。
牛乳片手に座るホストには気づきもしない。
今の心中は酷く落ち着かないのだ。

(採血も嬉しくないけど、なんか色々針刺されて狂うかと思った)

身体を色々調べられたらしく、げっそり疲れている。
540 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/18(月) 22:16:34.69 ID:Wp0AGXpIo
>>538-539
「ん〜あっついじゃーん」

半袖の白いセーラーを着た四十萬陀は、初夏にしては過ぎた暑さにうだっていた。
冬よりはまだマシだが、蒸し暑いのは勘弁だ。
ぱたぱたと片手で顔を扇ぐもほとんど効果はない。
元の姿も真っ黒だ。

「うにゃー……」

へろへろんと歩いていけば、しばらくしてく黒蔵たちのもとへ着くだろう。
541 :虚冥 :2011/07/18(月) 22:20:11.13 ID:ATKYnFzo0
>>539
だらけきった目で街を眺めていると、知った顔が目の前を歩くのを見つけた。
よおとでも言って声をかけようとするも、黒蔵の態度は明らかにいつもと違う。
不幸オーラーはいつもどおりだが、疲れているらしい。

「お〜い黒蔵wwwwwwいくら多忙だからってwwwwww
 そのやつれ様はねえだろっていうwwwwww」

しかしふらふらと、片手を振って、道行く彼を引きとめ呼びかける。

>>540
手を振っていると、彼女がやってくるのも見えたので、
四十萬陀のほうへとその手を振る方向をくるっと変える。

「四十萬陀ちゃ〜んwwwwwwこいつ疲れているみたいだからさあwwwwww
 そのキュートさで癒してやってくれよっていうwwwwww」

その大声で発せられた内容は、明らかに冷やかしであった。
542 :黒蔵 [saga]:2011/07/18(月) 22:24:24.05 ID:B/jAnGFvo
>>540-541
鮮度抜群とまでは行かないが、死んだ魚のようだった虚ろな目がいきなり正気に戻る。

「うわ虚冥さんだやべぇ」
(あれ四十萬陀?おーい!久しぶり!)

心の中で呟くつもりだった台詞がだだ漏れで、言うつもりだった言葉が脳内だけで反復された。
知人に出会ってちょっぴりスイッチは入ったものの、やっぱり今の黒蔵は色々アンバランスな状況のようだ。
543 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/18(月) 22:40:18.04 ID:Wp0AGXpIo
>>541
「その声虚冥君、て!
 ちょ、ちょっと恥ずかしいからやめてじゃん……!」

周りに人もいるというのに向けられた大声に、四十萬陀の肌がかっかと赤くなる。
ちらちらと左右を気にしながら、駆け足気味に虚冥たちの元へ向かう。

(……でも黒蔵君いるんだ、へへ、らっきーじゃん♪)

にへら、と俯かせた頬が緩んだ。

>>542
(ほんとだ、顔色悪い)

黒蔵の前で立ち止った四十萬陀は心配げに顔を寄せた。

「大丈夫じゃん? 黒蔵君」
544 :虚冥 :2011/07/18(月) 22:46:20.86 ID:ATKYnFzo0
>>542
「よし、お前ちょっと来い。
 今からコブラツイストかけてやっから」」

こちらは悪意なく(彼にとっては悪意なく)声をかけたつもりなのに、
流石にあの邪険のされ方には、虚冥の脆い堪忍袋が耐えられるはずがなかった。

「ど、こ、が、やべぇんだっていう?wwwwww
 ほら、言ってみ?レッツミーテール!!!!」

だからどうせだからと、疲れているはずの黒蔵にやたらうっとおしい、
通常時でもうだるような絡みを始めてしまう虚冥である。

>>543
顔を赤くする四十萬陀に、虚冥はただ意地の悪そうにニヤニヤと笑うだけ。
この暑い時期にお熱いことだ、と近づく彼女を見ながら思う。

「いやいやwwwwww実際キュートなんだからwwwwww
 別に言ってもよくね?よくね?」

なおも冷やかす彼は、その言葉ともに牛乳パック(サラ)を差し出した。
これで涼め、ということなのだろう。
545 :黒蔵 [saga]:2011/07/18(月) 22:55:23.08 ID:B/jAnGFvo
>>543-544
「…あれ?虚冥さん?四十萬陀?」

何か変だ、と思いつつ黒蔵は自分の失態にまだ気づかない。
この暑さでとうとう脳みそが茹ったんだろうか。
そこにコブラツイストがかかる。

「ちょっ…!虚冥さん近い近い!その妖気がやばいっつの」

今は夏、唯の人間でさえ体温とか体臭とかきつくなる季節。
そして妖怪ならば大概のものが、元気一杯に活動する力に満ちた季節でもある。
むんむんと立ち上る元人間の虚冥の妖気は負の感情によるものであり……蛇は陰の気を好む。

「あ……」

カクン、と黒蔵が落ちた。コブラツイストのせいではない。

「四十萬陀ー……」

最後の抵抗に頼みの綱の夜雀の名を呼ぶと、再びとろんとどこか焦点の合わないおかしな目になる。
疲労した目がちょっぴり潤んでいる。

(あー、この妖気気持ち良い)

ぬるり、と蛇を思わせる動きで黒蔵は虚冥に絡みつくと、虚冥の首筋に鼻を寄せて
その妖気を恍惚として吸い込んだ。それはどこか薬物中毒の気配にも似ている。
546 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/18(月) 23:09:45.75 ID:Wp0AGXpIo
>>544
「うぅ〜……」

暑さで既にうだっているというのに、頬まで紅潮して余計暑い。

「虚冥君のいじわる」

ぎゅっと口を結んで、じとーと虚冥を睨む。
文句を言いつつも、差し出された牛乳パックを半ば奪うように受け取った。

>>545
「なに……ってうええ!!??」

突然虚冥に絡みつき、恍惚とした表情で首筋にすり寄る黒蔵を見て、
四十萬陀の顔がぼぼぼっと赤くなった。

「くくく黒蔵君!? ななななにしててて……」

あうあう、と手を上下に動かし、夜雀がテンパる。
な、なんかダメだ! これはほっといたらだめだ!

「ちょ、っちょっと虚冥君離れてじゃん!」

ぐるぐると目を回した四十萬陀は、がしいっと黒蔵の肩に手をやり、ゆすり始める。
547 :虚冥 :2011/07/18(月) 23:16:37.16 ID:ATKYnFzo0
>>545>>546
「おおん?俺はいつだって陽気だぜ?っていうwwwwww」

黒蔵のタップにも技を止める事はなく、さらに締め付ける。
氷亜とは対極的に暑さが苦手な虚冥だが、皮肉なことに盆の近いこの季節は、
どうしても妖気が自然と高くなってしまう。

「っし、落ちた」

それが余計に黒蔵に作用したのだろう。
黒蔵の脱力を判断し閉める力は緩めても、構えは解かないつもりだった虚冥だが、
黒蔵の異様な変化には流石に恐れをなし、四十万陀の声の前にばっと乱暴に引き剥がした。

「なんだてめえ!?
 変温動物にこの季節は無理すぎたか!?」
548 :黒蔵 [saga]:2011/07/18(月) 23:24:18.41 ID:B/jAnGFvo
>>546-547
引き剥がそうとする虚冥と四十萬陀の力に黒蔵はゆるゆると抵抗するが、
それでも疲労の蓄積故か、最後には虚冥の力で引き剥がされてぐたりとその身体が緩んだ。

「あぁー…」

半開きの唇から溜息が漏れて、力を無くした左腕がずるりと虚冥の肩から落ちた。
さらに四十萬陀に肩を揺すぶられて、拡大していた瞳孔が次第に焦点を結び始める。

「えへへ…なんかしじまだがキラキラしてる」

黒蔵はとろーんとふやけた笑顔で、地べたから四十萬陀に笑いかけた。

「きょめーさんのよーき、もっとほしいー」

さらにもぞもぞと緩慢な動きで、再び虚冥のほうへ這い寄ろうとする。
549 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/18(月) 23:32:05.47 ID:Wp0AGXpIo
>>548-547
「き、きらきらって……うわわわ」

引き剥がしたはいいものの、黒蔵の様子は相変わらずおかしい。

「だーめーじゃーん!! なんか危ないからだめええ!!」

顔を赤くしたり青くしたり、うええと半泣きになりながら、無我夢中で黒蔵にしがみ付く。
もう周りが見えない。というか見ている暇なんてない。

「虚冥君逃げてええ超逃げてええ」
550 :虚冥 :2011/07/18(月) 23:38:20.22 ID:ATKYnFzo0
>>545
「おおん?俺はいつだって陽気だぜ?っていうwwwwww」

黒蔵のタップにも技を止める事はなく、さらに締め付ける。
氷亜とは対極的に暑さが苦手な虚冥だが、皮肉なことに盆の近いこの季節は、
どうしても妖気が自然と高くなってしまう。

「っし、落ちた」

それが余計に黒蔵に作用したのだろう。
黒蔵の脱力を判断し閉める力は緩めるが、構えは解かず、
さらに黒蔵の不審な変化には気づかない虚冥。

>>549
ある程度一撃を食らわせたことで気持ちが落ち着いたのか、
少し冷静になって黒蔵を見下ろしていたが、しばらくしてから四十萬陀の方を向いて話しかけた。

「四十萬陀ちゃん。
 四十萬陀ちゃんなりの方法で黒蔵を起こしてやったらどうだっていう?
 たぶん俺より、彼女のほうがガツンと頭にくると思うぜ。」

顔がまじめにしてはいるが、確実に中に冷やかしが混じり、
よけいに本気で黒蔵の心配をしているのか怪しいことになっている。
551 :黒蔵 [saga]:2011/07/18(月) 23:42:14.11 ID:B/jAnGFvo
>>549-550
「えへー、しじまだはやーらかいなー♪」

今度は逆にしがみ付かれて、妙な多幸感と供に四十萬陀に抱きつき返す黒蔵。
普段の赤くなりっぷりから考えると、やっぱり今の黒蔵はどう見ても正気じゃないのだ。

「しじまだもーいいにおいなんだなー」

抱きついたついでにすんすん、と四十萬陀の首筋の匂いを嗅ぐ。
夜雀の妖気は虚冥のような陰の気ではないので、次第に黒蔵も静まってくる。
しかしまだ虚冥の冷やかし込みの視線には気づいていないのだ。

がつん、と一発やるなら今しかない。
552 :虚冥 :2011/07/18(月) 23:43:51.75 ID:ATKYnFzo0
//レス入れのミスです
>>548
「誰がきょめーだ、誰が」

先ほどまで引いていたが、名前を間違えられたことに対するツッコミとして、
強めの拳骨を彼の頭上にガツンと振り下ろした。

「俺は虚冥(こくら)だ馬鹿たれ」
553 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 00:07:46.41 ID:eXYZj7Kwo
>>550
「わ、私なりの方法じゃん……?」

黒蔵にしがみつきながら、虚冥のほうを見てぱちくりと目を瞬かせる。

「それっとどういう」

>>551
「ふえええっ!?」

尋ねようとしたところで、黒蔵が抱き着きかえしてきた。
今まで無意識にしがみ付いていたことも分かり、余計に顔が真っ赤になる。

「くくく黒っ、ふ、ふにゃあぁ///」

さらに首筋に鼻を寄せられ、体からへにゃんと力が抜ける。
だが、すぐにぶんぶんと頭を振り、目を見開いた。

「(はっ!? だ、駄目じゃん七生こんな所で参っちゃ! 私なりの方法でガツンと……ど、どうすれば……)」

頭を回転させる四十萬陀。
黒蔵の視界を奪うか? いや、今は昼間だし意味はない。
仲間を呼ぶか? 東雲ならすぐ来るかもしれないが、この状態を見られるのはさすがに気が引ける。
なら、他にどうすれば――

「く、黒蔵君……

 う、うう〜……」

どうすればいいか分からない四十萬陀は、ついにぽろっと一粒の涙を零した。
女の最期の武器は涙、とはよく言ったものである。
真っ赤の頬に、ぽろぽろ涙が落ちる。
554 :虚冥 :2011/07/19(火) 00:09:18.97 ID:wA63KFcs0
【個体名】
【種族名】
【性別・年齢】  (人間に化けた時:)
【妖怪としての姿】
【人間に化けた姿】
【能力】
【設定】
【人間社会での職業・設定】
【人間をどう思っているか?】【個体名】
【種族名】
【性別・年齢】  (人間に化けた時:)
【妖怪としての姿】
【人間に化けた姿】
【能力】
【設定】
【人間社会での職業・設定】
【人間をどう思っているか?】
555 :虚冥 :2011/07/19(火) 00:13:01.52 ID:wA63KFcs0
>>551>>553
「いやいや、本当に何してんだてめえ」

黒蔵が四十萬陀に珍しく絡んでいっている光景は、
見ていておもしろいものだったかもしれないがしかし、
当の本人の四十萬陀の涙に虚冥は黙ってみているわけにはいかない。

先ほどのよりも強く、黒蔵の頭をはつった。

/本当にスイマセン、誤爆しました!!
556 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 00:21:38.28 ID:GKSi51KOo
>>552-553>>555
「いっ…ってぇ!っくぅ〜〜っ!」

がつんごつん、と虚冥に強めに二度殴られて、黒蔵の視界がブレる。
目の奥の痛みに思わず頭を抱えた拍子に、サイズのあわない作業服の袖がめくれあがる。
その肘の内側に張り付いた脱脂綿のエタノール臭が黒蔵の鼻をついて正気に戻す手助けをした。

「うえっ……え?」

ぽつん、と濡れた感触が落ちてきたのに気づいて、黒蔵は目を開けた。
さらに、ぽたりぽたりと続けて落ちてくる。
その落ちてくる先を辿った視線が、夜雀の濡れた瞳とかち合った。

(泣いてる?四十萬陀が?)

「あのっ!え、ええ?!」

多幸感は一気に吹っ飛んだ。
地べたに尻餅をついた格好のまま座り込んでいた黒蔵は、ようやく正気に戻り、
涙を流す四十萬陀と、仁王の形相で見下ろしている虚冥の両方を見比べておろおろしていた。

「ごめん!なんか良くわかんないんだけど、ごめんなさい!」

…最悪の謝り方である。
557 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 00:36:37.12 ID:eXYZj7Kwo
>>555-556
「ふえっ、ひっく……」

四十萬陀が顔を真っ赤にしてしゃくり上げる。
そのうちに、虚冥が黒蔵の頭を殴った。
正気に戻った黒蔵が上げた声に気付き、泣きじゃくる少女が顔を上げた。

「あ、黒蔵君、戻った……?」

涙で潤んだ丸い目を、ぱちくりと瞬かせる。
きょとんとしたのも束の間、またふにゃりと顔を崩した。

「よかったぁ、うええ」

あのままだと危険なバラ色の世界に進むところだった。
その安心感からか、先程よりも少しだけ声を大きくして、肩を震わせる。
……というか、周りの視線が痛いぞ!
558 :虚冥 :2011/07/19(火) 00:43:25.36 ID:wA63KFcs0
>>556
「分かんないけどって・・・」

なにかさらにいい足したかった虚冥だが、
それについて怒る資格を持っているのは四十萬陀で、部外者の自分(と思っている)は、
これ以上言うべきことはないと、言葉を飲み込んだ。

「・・・それにしても、お前どうしたんだっていう?
 疲れてるにしても度が過ぎるだろ。」

しかしこの雰囲気に合わずにやっと笑って

「なにかに酔った振りして、
 四十萬陀ちゃんに抱きつきたかったとかじゃねえよな?wwwwww」

>>557
「お、おいここはまずいっていうwwwwww」

泣く少女、力の抜けた少年。
以前冤罪の連行を受けてから、少し周りの視線に過敏になった虚冥は、
なるだけ人の目に付きそうにないところへ二人を連れ出そうとする。

「ほら、せっかくきれいな涙なんだからwwwwww
 彼氏意外に見せたら勿体ねえだろっていうwwwwww」
559 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 00:52:55.16 ID:GKSi51KOo
>>557-558
「うわぁぁぁごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

ずざっ、と姿勢を正して華麗なる土下座を披露し、コメツキバッタの如く四十萬陀に頭を下げる黒蔵。
それは喫茶店《ノワール》で田中君と共に叱られた時に身に着けた一分の隙もない土下座である。
しかし虚冥に促されて、場所を移動することになった。

「虚冥さんの妖気は陰の気の塊だから、俺には変に作用するんだよ。
 疲れてるときは陰の気に引きずられるんだ。酒よりも酷く酔う」

ようやく黒蔵は弁解できた。
しかし抱きつきたかったのじゃないか、という指摘には、俯いて真っ赤に耳を染めた。
確かに黒蔵は抱きつきたかった。というより、なによりもまず会いたかった。
でも正直、四十萬陀に会うのは怖くもあったのだ。

(病院でのこと、狼のことを……話してしまいそうになるから)

しかし誰かに小鳥遊医師との秘密を話せば、犬御の命が危ないのだ。
結局俯いたまま黙ってしまった黒蔵の様子は、虚冥の言葉を肯定したようにも見えるかもしれない。
560 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 01:18:08.54 ID:eXYZj7Kwo
>>558
「う、うん……ひっく」

虚冥に促され、しゃくり上げながらもよろよろと立ち上げる。

「ごめんね、虚冥君」

ガツンといくつもりだったんだけど……、と、四十萬陀は眉を下げた。
また零れそうな涙を、指先で拭う。

>>559
「(酔ってたんだ……)」

黒蔵の弁解を横耳に聞きながら、虚冥たちの後を付いていく。
俯いて赤くなる黒蔵につられて、四十萬陀も赤くなる。

「〜〜〜///」
「(抱き着かれるのは、い、嫌なわけじゃなんだけど……)」

思わず泣いてしまったこともあり、色々な思いがぐちゃぐちゃになってしまう。
四十萬陀は静かに顔を上げ、前を歩く黒蔵に声をかけた。

「黒蔵君」

それから、振り向くであろう黒蔵の額に向かい、ぴしっとしっぺをした。

「めっ! ……さっきのお返しじゃん」

少し潤んだ瞳で、にひっと笑う。
561 :虚冥 :2011/07/19(火) 01:29:10.25 ID:wA63KFcs0
>>559>>560
黒蔵が身の上におきたことを説明をするのを、虚冥は無表情で聞いていたが、
話が進んで自分にも原因の一端があるとわかってくると、
たらたらと静かに暑さとは関係なく冷や汗を掻き出した。

「まじか・・・お前どじなだけじゃなくて、
 かなり陰気な体質持ってんのなっていう」

とても傷つきそうなことを、虚冥はさらっと言ってのける。

「・・・だってさ四十萬陀ちゃん。
 抱きついて安心したかったんだってよ、よかったな愛されてて」

流石にその態度からそう思うほど馬鹿ではないし、
してやったりという雰囲気も、図星だという焦りも感じられないので、
黒蔵にもなにか悩みを抱えているのかと思ったが虚冥は、
ここで四十萬陀に、そのことで心配をかけさせるのも彼の望むところではないと、
冷やかしておくことにした。
562 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 01:34:53.89 ID:GKSi51KOo
>>560-561
「だって蛇だもん。陰の気にはどうしようもなく引かれるんだ。
 それに虚冥さんはどうなのさ、陰気の塊垂れ流してあるいてるんだよ?」

陰気な体質、と虚冥にだけは言われたくない黒蔵。
そんな時、四十萬陀に呼びかけられて振り向いた。

「うん?」

その額に、ぴしっと軽いしっぺ。
戸惑った黒蔵に、四十萬陀のまだ涙の残る瞳が笑いかける。

「あ……うん」

お返しじゃんと優しく言われて、鼻の奥がつんと痛んだ。
言えない。
後でまたきっと泣かせてしまうかもしれないけれど、やっぱり四十萬陀には言えない。

(上手く、嘘をつかなくっちゃ駄目なんだ)

「四十萬陀、心配かけてごめんね。
 お詫びに今住み込んでる店の食事、ご馳走するよ」

ホストのバイトをしたお蔭で、今はそこで覚えた嘘のつき方が使える。
でも本当は、四十萬陀にはこんな嘘のつき方をしたくは無いのだ。
ほんの少しだけ、黒蔵の声には悔いが滲んでいた。

「虚冥さんも《ノワール》のご飯食べていってよ。俺奢るからさ」

不安を隠して、勤めて明るく黒蔵は二人を誘った。
563 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 01:41:25.99 ID:eXYZj7Kwo
>>561
「かかかからかわないでじゃん!」

調子も戻ってきたようで、顔をかっかさせながら頬を膨らませる。

「っていうか、さっきの黒蔵君の説明だと、虚冥君にも責任あるじゃん!」

びしいっ!と虚冥に向けて指を差す。

>>562
「……?」

少しだけ、反応の鈍い黒蔵に、四十萬陀は首を傾げた。
だけどその原因がなんなのか、彼女には想像もつかないだろう。
重みを一人背負う、彼の心中を。

「……うん、ありがとうじゃん!」

四十萬陀は、僅かに赤い瞳を細めてほほ笑んだ。

――そして、
ブルブルと音をたてて、黒蔵の携帯が震えるだろう。
その画面には、東雲の名前があるはずだ。
564 :虚冥 :2011/07/19(火) 01:50:36.58 ID:wA63KFcs0
>>562>>563
珍しくも虚冥の、狂骨である領域に踏み込んだ話をする黒蔵に、
虚冥は怒るようなことはせず、ただ単純に小さく、おっ、と言っただけだった。

「そりゃ垂れ流しにもなるっていうwwwwww
 だって人の姿でも笑ってないと飲まれるからなwwwwww負の感情にwwwwww」

そして笑いながら返答して、なぜか胸を張る虚冥。
自慢というわけでもないのだろうが、こんな自分のようなやつのことで、
周りを陰気にするわけにはいかないとお調子に乗っているのかもしれない。

「言うじゃねえかwwwwww
 いつの間に俺をおごれるようになったんだ?wwwwww」

笑顔で振り返る黒蔵に、先輩風を吹かせて茶化して見せた。
だが彼のその怒っているわけでもない様子なのでおそらく、快く奢って貰おうとしている。

「俺は悪くありませ〜んwwwwww
 黒蔵が疲れてたのが悪いんです〜wwwwww」

指差す彼女の前で小躍りするようにふざける虚冥。
虚冥から見ると、この四十萬陀はとてもからかいがいがあるらしい。
565 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 01:57:13.49 ID:GKSi51KOo
>>563-564
今なら黒蔵でも四十萬陀とタッグを組んで虚冥に言い返せるのだ。

「年だけなら多分俺のほうが上だもん」

ぷぅっと膨れて虚冥に言い返すショタジジィは、どう見ても虚冥より幼稚である。
…と、そこに着信が。

「あれ?……狼からだ。ちょっと二人ともごめん、電話かかってきたから」

戯れる二人から少し離れたところで、黒蔵は着信を受ける。

「もしもし?狼?」

携帯の向こうの人物へと呼びかけた。
566 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 02:05:35.73 ID:eXYZj7Kwo
>>564
「むぅぅ〜……!!」

小躍りする虚冥をにくたらしげに睨む。
いいようにからかわれる姿は、いつも以上に幼い。

「でっでもでも、黒蔵君にひっつくのも悪いじゃん!」

おかげであんなことやそんなことに! はならなかったが。
呂律の回っていないあの黒蔵を思い出すだけで、四十萬陀の顔が赤くなる。
あのまま放っておいたら禁断の扉が……。

「〜〜〜〜!!///」

妄想が妄想を呼んでいるぞ! 誰か止めろ!

>>569
「え、犬御?」

確か、東雲は今病院のはずだ。
おそらくは仕事の電話だろうが、横目で気にしながらも、四十萬陀は虚冥のほうに向き直った。


東雲にむけて語りかけられた言葉に、

『――もしもし、黒蔵さんすか?』

違う人物の声が、帰ってきた。

『少し用事を思い出したもので、電話を掛けさせてもらいました。あ、東雲さんの電話で驚いたっすか?』

携帯越しにでも表情が思い浮かぶような、笑いの交じった声。

『今、ちょっと彼に実験に付き合ってもらってまして。丁度よかったので、携帯を借りたんすよ』
567 :虚冥 :2011/07/19(火) 02:12:07.49 ID:wA63KFcs0
>>565
「だが、社会人年齢としたら俺のほうが圧倒的だっていうwwwwww」

今一、四十萬陀とタッグとまではいっていない反論を、
虚冥は嘲るような目をして、一蹴した。

「なんだ?あいつに電話するような仲のやつなんていたかっていう?」

電話に出るために二人から距離を置く黒蔵の背中に、
すこし間抜けな顔をして虚冥は誰にでもなく独り言を言った。
ここで仕事の話か、と思わない虚冥は、確実に黒蔵をなめている。

>>566
「おいおいwwwwww俺だって誰にも彼にも技かけたわけじゃねえんだぞっていうwwwwww
 こいつが出会いがしらに、あ、ヤベ、なんて言いやがったからだぞwwwwww」

また同じように言い返していると、
四十萬陀の様子が少し、いやだいぶおかしくなっていた。

「でも四十萬陀ちゃんも多感だなっていうwwwwww
 黒蔵思い出して赤くなってやんのwwwwww」

虚冥はそれを見ても、ああいった嗜みはないため彼女が、
黒蔵の記憶をフラッシュバックさせて自分で赤くなっているのだろうと、ぼんやり思った。
568 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 02:15:33.64 ID:GKSi51KOo
>>566-567
「おい」

黒蔵の声が不穏な気配を孕んで低くなった。
それでも、四十萬陀や虚冥には悟られないように小声にはしている。

「今すぐ犬御と代われ」

そう要求はしたものの、あの時麻酔をかけられた犬御の姿がどうしても思い起こされる。
四十萬陀とは違う意味で、想像が勝手に広がってゆくのを止められない。
あのニヤニヤ笑いとそれに続く嫌な結末ばかりが思い浮かんだ。

「そもそも何の用事で今かけてきたんだよ」

黒蔵は舌打ちしたい気分だった。
さっきまでデータを取るために身体を提供していたのは、自分だったのに。
なぜあの医師は今更犬御を盾にするのだろう。
569 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 02:26:38.92 ID:eXYZj7Kwo
>>567
「そのくらいで怒るとかどんだけ短気じゃん!」

犬御じゃあるまいし、と四十萬陀が言い返す。
ついでに東雲に出合い頭に同じセリフを吐いたなら、即・暴行間違いなしである。

「ちちちちtっち違うじゃん! 虚冥君のばか!///」

むんむんと膨らむ妄想をかき消すように大声を出す。

「(だって、い、色々危なかったし……!!)」

>>568
『そう怒らないで下さいよ』

電話越しに、くすくすと小鳥遊が笑う様子がうかがえる。

『東雲さんにっすか? ……今は無理っすね、ちょっと「お疲れ」みたいすから』

そう答えながら、小鳥遊は眠りに落ちた東雲がいるであろう、隣の部屋に目をやった。
もちろん彼にとって東雲は「盾」でもあり、この行為は黒蔵に対する牽制でもある。
だがそれ以上に、東雲もまた「実験体」なのだ。サンプルは多いに越したことはないのだから。

『ああ、用事っすね。明日、「そちら側」の薬をいくつか持ってきてほしいんすよ。参考にしたいと思いまして』
570 :虚冥 :2011/07/19(火) 02:36:43.26 ID:wA63KFcs0
>>565
「だが、社会人年齢としたら俺のほうが圧倒的だっていうwwwwww」

今一、四十萬陀とタッグとまではいっていない反論を、
虚冥は嘲るような目をして、一蹴した。

「なんだ?あいつに電話するような仲のやつなんていたかっていう?」

電話に出るために二人から距離を置く黒蔵の背中に、
すこし間抜けな顔をして虚冥は誰にでもなく独り言を言った。
ここで仕事の話か、と思わない虚冥は、確実に黒蔵をなめている。

>>569
「面と向かってヤベッ!は流石に失礼じゃね?」

否定しようとするその言葉が、
感情のせいでしどろもどろになってしまっている四十萬陀に追い討ちをかけるように、

「はいは〜いwwwwww
 そういう事にしておいてあげますよ〜wwwwww」

と余計にボルテージをあげるようなことを言う。

>>ALL
「おうwwwwwwそれじゃあ俺wwwwww店の準備あるからもう帰るわっていうwwwwww
 じゃあな!!」

ふと自分の持っている時計を見たとき、
もうそろそろ話して入れる時間ではなくなったことを知った。
虚冥はふたりに大声とともに手を振りながら、繁華街にあるホストクラブへと、
足早に去っていった。

/もう眠気がやばいので、これで落ちにさせてもらいます
/絡みありがとうございました!!
571 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 02:39:26.72 ID:GKSi51KOo
>>569-570
「そんなことか。そっちはもう巴津火が準備してる。催促はいらない」

苛々と黒蔵は電話の向こうへあたる。
医師には巴津火がついているのだ。それだけで黒蔵には勝ち目は無い。
その上にまだ、犬御を盾にして強請られているのだ。

「あまり欲張るなよ」

何とかして犬御だけでもあの医師から遠ざけられたら。
そうしたら、まだ黒蔵にも動く余地があるのだが。

「もう十分お前は手に入れてる筈なんだ。これ以上望むとしっぺ返しがくるぞ」

もしかしたら自分自身もそうなのかもしれない。
生き延びたいと願って、生き延びた。ここへ来て色んな相手に優しさを貰った。

(…俺も、年貢の納め時ってやつなのかな)

そうだとしても、せめて犬御だけは取り戻そう。
その時去ってゆく虚冥に気づけるほど、黒蔵の頭は冷えていなかった。
572 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 02:53:49.02 ID:eXYZj7Kwo
>>570
「べーだ!!」

去っていく虚冥に、子供のように舌を出す。
だが声が届かなくなるかぎりぎりの辺りで、

「またね〜!」

ぶんぶんと手を振り、彼を見送った。
その表情に、先程まで泣いていた様子はまったくない。平和そのものだ。
――黒蔵が誰と話しているかも、知らずに。

>>571
『いいえ、まだまだっすよ』

小鳥遊は静かに答えた。
その声は冷たく、いやに現実味を帯びていて。

『僕には「目的」がありますから――それじゃあ』

追及される前に、とでもいうように、小鳥遊は一方的に電話を切った。

(まだ足りない、)
(もっと「完璧」に――その為には)
(あなたに邪魔されるわけにはいかないんすよ、黒蔵さん)

彼の絶対にして唯一の切り札は、隣で眠っている。
小鳥遊は、にたりとほくそ笑んだ。
573 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 03:02:23.88 ID:GKSi51KOo
>>572
「くそっ!」

どうしようもない無力感と共に切れた携帯を握り締めて、ふと気づけば虚冥が居なかった。

「あれ?虚冥さんもう帰っちゃった?」

努めて平静を保った声で、四十萬陀に声をかけた。同時に携帯の表示する時刻に気づく。

「そうか、もう虚冥さん、お店の準備時間なのか。どうしようかな……四十萬陀もまた今度にする?」

黒蔵はどこかそわそわしながら、まず四十萬陀に尋ねてみた。
もし四十萬陀が望むならこのままノワールへ向かい、
また次に虚冥も一緒の時に、ということになれば急ぎ病院に取って返すつもりなのである。
574 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 03:06:23.36 ID:eXYZj7Kwo
>>573
「あっ♪」

電話が終わったらしい黒蔵を見て、四十萬陀が声を上げた。
すこし長かった気もするが、虚冥と話していたため、あまり気にならなかった。

「うん、ついさっき」

四十萬陀はそう返すと、そわそわしているように見える黒蔵を不思議そうに見た。
しかし特に気にするわけでもなく、

「う〜〜ん……でもそろそろ戻らなきゃいけないから……」

今日は織理陽狐に頼まれて、一緒に神社の清掃をするのだ。
しばらく悩んだようだったが、

「ごめん黒蔵君! また今度でいいじゃん?」

残念そうに両手を合わせ、四十萬陀は軽く頭を下げた。
575 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 03:12:11.99 ID:GKSi51KOo
>>574
「そっか。ついさっきだったんだ」

あの虚冥のことだ、本当なら自分にもわかるように声をかけて行ったに違いない。
それに気づかなかった自分は、どれほど切羽詰っていたのだろう。
もしかしたら、何かばれたりしなかっただろうか。

「じゃ、四十萬陀もまた今度かな。
 俺の今の住み込み先は「ノワール」っていう喫茶店なんだ。
 もしかしたら、鳥たちなら場所は知ってるかもしれないね」

翼ある者たちなら行動範囲は広い。
あんなに妖怪だらけの人間の店くらい、知られていても不思議は無いのだ。

「俺もちょっと用事すませて帰らなきゃ、またね。四十萬陀。
 織理陽狐さんにもよろしく」

頭を下げる四十萬陀に、黒蔵は何時もどおりに手を振ってみせた。
576 :四十萬陀 七生 [sage]:2011/07/19(火) 03:18:38.88 ID:eXYZj7Kwo
>>575
「ノワールだね。聞いてみるじゃん」

四十萬陀は素直に頷く。
例え知らなくても、その気になればすぐにでも探せるだろう。

「うん、またね黒蔵君」

手を振る黒蔵に、四十萬陀もそれを返す。
用事が何か知らないが、彼もまた忙しいのだろう。
それは、少しさびしいけれど。

「……さーって、帰るじゃん♪」

今日のことで、上機嫌そうに鼻歌を口ずさみながら、四十萬陀も帰路につきはじめた。
577 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 03:22:32.59 ID:GKSi51KOo
>>576
(何もされてなければいい、何もなければ)

四十萬陀と別れて病院のほうへ走ってゆく黒蔵の表情からは、余裕も血の気も無かった。
白い建物が見えてくるまで、疲れた身体で走りながら祈っていた。

(あの扉の向こうから、狼が何時もどおり出て来たらそれでいい)

通り過ぎる職員に訝しげな顔をされながら通用口を駆け足で抜け、あの医師の部屋へと向かう。
何時もは嫌いなエレベーターが丁度来ていたので、飛び込んで息を整えながら3階へ。
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2011/07/19(火) 03:45:27.67 ID:INRzyQKSO
>>577
小鳥遊の診察室の扉から、あの医者の気配がすることはなかった。
どうやら今は出掛けているらしい。
だが、一つの気配がないわけではない。

「……」

黒蔵が診察室の中に入ったなら、その奥の扉の先に、東雲がいることが分かるだろう。
579 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 03:50:12.59 ID:GKSi51KOo
>>578
そっと、診察室の扉を開ける。幸い、あの医師は居ないらしい。

(留守、か?それじゃ狼は…?)

ふと、気配を感じてさらに奥の扉へ向かう。

「無事か?」

そうであって欲しい、そう願いながら奥の扉を開こうとする。
580 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/19(火) 10:36:18.85 ID:INRzyQKSO
>>579
扉を開くと、すぅすぅと息の抜ける一定した寝息が聞こえてきた。
部屋の端にあるベッド。そこに東雲は横になっていた。
顔色は悪くない。無事なのは確かなようだ。

「……っ、……」

声が聞こえたからか、気配を感じたからか、ともかく東雲が目を覚ました。
体を重たそうに持ち上げ、顔を手のひらで覆う。

「ここは、……クソガキ……?」

辺りをキョロキョロ見渡し、見付けた一人の影をきょとんとして見つめる。
様子を伺う限り、なぜ自分がここにいるのか分かっていないようだった。

一見すれば、何の問題もなさそうに見える。
だが、黒蔵は気付くだろうか。
この部屋全体に漂う、ほんの僅かな――自分の血のにおいに。
581 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 11:35:43.78 ID:GKSi51KOo
>>580
(よかっ…た)

犬御が無事起き上がったのを見て、黒蔵は心底ほっとした。
同時にここまで走ってきた膝が限界に来て、がくがくと震え始める。

「採血の量がちょっと多かったみたいでさ。お前、寝てたんだよ」

安心しての虚脱と震える膝を手で押さえているのとで、俯いた黒蔵の表情は前髪に隠れる。
嘘をつくときは、この勘のいい狼の顔をまともに見ることが出来ない。

「…俺も、だけどね」

黒蔵の肘の内側の脱脂綿が隠すのは、仕事上がり間際に採血された時の針の跡。
鉄の針を刺されるのは、蛇にとってはダメージが大きい。
刺す場所を間違えたらそれこそ、その針一本が命取りなのである。
その為、度々採血されるようになってからの黒蔵の疲労はこれまでよりもずっと酷くなり、
虚冥の妖気に誘われるようにもなってしまっている。

採血されたばかりで鈍っている黒蔵には、うっすらとこの部屋に漂う自分の血の匂いに
気づいてはいても、それが指し示すものが何なのかは判らないのだ。
582 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/19(火) 12:19:51.92 ID:eXYZj7Kwo
>>581
「……」

黒蔵の様子がおかしいことは、一目見て分かった。
「採血の量が多いから寝ていた」という説明も、東雲にそんな記憶はない。
思う出そうとしても、眠る――おそらく数時間前からの記憶が、ぷつりと途切れている、そんな感覚に苛まれていた。

「そうかよ」

それでも、東雲は納得したような返事をした。
鈍い動きでベッドから起き上がると、軽い眩暈に体がふらつく。

黒蔵とすれ違う際、ちらりと横目に見た少年の体は震えていた。
ここで気遣うような言葉を掛けるほど、東雲は素直ではないのだが。

(採血の量が多いだと?)

俯きながら吐き出した台詞に、嘘が混じっていることは間違いないはずだ。
だが、東雲には分からない。
黒蔵が何を隠しているのか、それを察するにはあまりにパーツが足りなかった。

「……帰るぞ。テメーも、仕事終わったんだろ」

黒蔵の隣を通りすぎ扉を開ける。
東雲が通った後に、蛇の血の残り香が漂った。
583 :黒蔵 [saga]:2011/07/19(火) 14:20:32.15 ID:GKSi51KOo
>>582
「うん」

(ちがう。狼から匂うんだ)

犬御の後を付いて歩いたとき、自分の血臭の出所がこの部屋ではないことにようやく気づく。

(あの医者は、俺の血を使ってこの狼に一体何をした?)

黒蔵は丸く見張った目で犬御に異変が生じていないか、背後であるのを良いことにじろじろと観察した。
自分の血肉が強壮剤として使われる知識はあったものの、それをどうあの医者が作り変えたものか
皆目検討がつかない。

(やっぱり、狼をここから遠ざけなきゃ駄目だ。でも、織理陽狐さんも蛇神も頼れない)

そのためには多少、荒っぽい手段を使うのも止むを得まい。
病院の外へ向かう犬御の後ろをついて歩きながら、黒蔵は拳をきつく握り締めていた。

(今はまだだ。まだ準備が要る)

何とかして犬御を眠らせて、どこかに監禁でもしなくてはならない。
584 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/19(火) 19:28:40.11 ID:eXYZj7Kwo
>>583
背後からの視線の意図は知るところになく、東雲はそのまま黒蔵と共に診察室を後にした。
ただ、部屋から出ると、彼もまたその「におい」に気が付いた。
自分から漂う、自分とは違う「血」のにおい。
それは背後にいるはずの少年のそれに酷似していた。

「……?」

振り返ろうとすると、くらりと再び眩暈が襲う。
失われた記憶を、頭の中にある、掴みどころのない違和感として感じる。
だが、それをうまく言葉にすることのできないまま、二人は病院を出ることになった。

//〆ます。ありがとうございました
585 :巴津火 [saga]:2011/07/19(火) 21:58:22.96 ID:GKSi51KOo
喫茶店ノワールの裏手、田中家のガレージ前にて。

うだるように暑い日差しの下、塀の上に座って足をぶらぶらさせながら
が○が○君ソーダ味を齧っている少年が居た。
今日はタンクトップに短パン、サンダルの軽装である。

喫茶店の手伝いをする気など欠片も無いこの居候は、さっき盗んだ衣蛸の墨を含んだ筆で
何の悪戯をしようかと考えていた。
その視線は、目の前の車道を自転車で軽やかに走ってゆく、
自分と同じくらいの年恰好の子供達にぼんやりと向けられていた。

(あいつら、どこ行くんだろ)

人間の子供の夏休みが始まったばかりである。
586 :夷磨璃 :2011/07/19(火) 22:03:21.12 ID:bD83hIZDO
>>585
今日もノワールへとやってくる常連、夷磨璃。
ハヤシライスを食べようと、心を弾ませてやってきたのだが・・・・・

「何かを食べる音でござるか?」

裏から聞こえて来る音を不思議に思い、そっと覗いて見た。そこには、あのドジっ子の様な怖い子だった。
「あ・・・・・・」
587 :夜行集団 :2011/07/19(火) 22:11:55.02 ID:wA63KFcs0
>>585>>586
巴津火と夷磨璃の遭遇。
その現場に引き寄せられるように(実際子供オーラーに引き寄せられている)、
ふらふらと二人が姿を現す。

「あ、巴津火さん。
 こんばんは」
『それと・・・なんだあの・・・
 ひどくかわいらしい語尾のあの子は・・・』

ちゃんと巴津火に挨拶をかけたほうの彼女は、
涼しげな印象を与える薄手の薄桃色のブラウスに、白いふわっとしたロングスカート姿。
夷磨璃に目を奪われている方の彼女は、
対照的に黒のホットパンツの上に、少しパンクなプリントの入ったTシャツ姿だ。
588 :巴津火 [saga]:2011/07/19(火) 22:18:28.54 ID:GKSi51KOo
>>586-587
《あたり》が出たのでやったもう一本貰ってこよう、とアイスの棒をくわえたまま
塀から飛び降りた巴津火が、こっそりと覗く夷磨璃に気づく。

「おっ、澪のおまけか。今日はアイツは一緒じゃないのか?」

コイツに悪さをしようか、と獲物を見つけた巴津火の目が一瞬輝いた。
しかしそこに穂産姉妹が現れて、巴津火に声をかけたので、夷磨璃の危機は回避されたのである。

「こんばんは?今は真昼間だぞ?」

きょとんとした表情で日子神を見つめた巴津火は、当人の意図しない子供っぽさであった。
589 :夷磨璃 :2011/07/19(火) 22:23:39.20 ID:bD83hIZDO
>>587
「だ、誰でこざるか?拙者は悪いことは何もしてないでござる・・・・・・。」

何か自分がしたのだと思い込む。着物の袖を持ち、縮こまる体勢になった。

どうやら、ちょっぴり怯えているみたいです、はい。
>>588
「せ、拙者はおまけじゃないでござる!夷磨璃と言うでござる!
それに、拙者は修行帰りでござるから澪殿は居ないでござる。」

おまけ扱いんされたことにちょっぴり腹を立て、きっ、と巴津火を睨みつけた。
ちなみに、巴津火が夷磨璃に何かした場合、夷磨璃はすぐに泣くだろう。
590 :穂産姉妹 :2011/07/19(火) 22:29:10.73 ID:wA63KFcs0
>>588
「せ、正解ですよ!!巴津火さん!!」

素で挨拶を間違えるという、天然でも不可能なレベルの間違いを起こして、
日子神は見苦しくもセルフフォローをした。
巴津火の、その可愛らしさに保護者ぶりたいその欲求が、
もしかしたら余計にそうさせたのかもしれない。

「は、巴津火さんがお、お仕事をサボタージュしていることへの、
 私のちょっとした皮肉ですよ!!分かりましたか?」

>>589
『いやいや・・・君は悪い子だよ盗人だよ・・・
 なぜかって?・・・君は大事なものを僕から奪った・・・』

僕の心をね!!、
と言いながら飛びつきたくなる衝動を、子共は守るという責任感によって抑えているが、
それでも御し切れなかったエネルギーが夷磨璃ににじり寄らせる。

『ちょっと・・・ちょっとでいいんだ・・・
 少しだけ抱きしめたい・・・』

ちなみに夷磨璃のその怯える様子が、雨子神の暴走を手伝っているのは、
言うまでもないほどの公然の地である。
591 :巴津火 [saga]:2011/07/19(火) 22:36:30.37 ID:GKSi51KOo
>>589-590
「夷磨璃ー?澪いないのか、ふーん……。
 じゃ、お前、こざるでいいよな。お前、こざる、な」

巴津火の中では、ござるが転じてこざるになったらしい。
そして日子神の皮肉には

「ううん、全然わかんなかった」(キッパリ

巴津火にお仕事は…今のところ、ない。
せいぜい蛸にお勉強させられる程度だが、それはさっき終わった。
今はその時くすねた蛸の筆で悪戯してみたくて仕方が無いのだ。
しかし、その前に巴津火にはまずすることがある。

「これからコンビニでもう一本アイス貰いに行くぞ、こざるも来いよ!」

雨子神に迫られている夷磨璃にそう呼びかけ、
大通りの少し先、歩道橋を渡った向こうのコンビニへと、巴津火は行こうとする。
592 :夷磨璃 :2011/07/19(火) 22:42:23.61 ID:bD83hIZDO
>>590
「せ・・・拙者は何もっ・・・・・・。」

うるっとした表情で、雨子神を見つめる。
そして、抱きしめたい、と言われて戸惑う。

「な、なんで拙者を・・・?でも・・・いい、でござる。」

知らない人に何かされるのは危ないことだが、雨子神から滲み出る妖気に安心したのか。
抱きしめをおKする。

>>591
「こざ・・・・・・」ズーン

自分には理解不能なあだ名を付けられ、落ち込む。
夷磨璃んだのなんだの、なんでこんな扱いを受けるのか不思議でしょうがなかった。

「コンビニ?うむ、行くでござるっ!」
593 :穂産姉妹 :2011/07/19(火) 22:47:24.75 ID:wA63KFcs0
>>591
巴津火がその悪あがきに乗ってくれたおかげで、日子神はふんすと鼻から息を吐いてどや顔になった。
どうやら先ほどまでのテンパリはなくなったようだ

「あ、私が付き添います!!」
『ぼ・・・僕も・・・!!』

しかしどや顔タイムもすぐさま終了。
子供が行動するときの、あのお約束の保護者付き添いをしたいという気持ちが勝った。

彼女達の本気度はとても高く、断られてもごり押しのお願いをしてでもついてくるのだろう。

>>592
『ありがとう・・・!!』

いいでござるの、い、の部分でもう雨子神はすでに抱きついていた。
手荒にではないものの、かなりのホールド力だ。

『あ〜・・・可愛い・・・本当にいいなあ・・・』

子供成分を吸収し続けることのできている彼女は、
若干だがそのテンションが、少しよったときのそれに近づく。

『あ・・・なんなら君・・・
 僕がおんぶをしてあげようか・・・?』

その為なのだろう、こんなにおかしなことを言い出したのは。
594 :ペトラ :2011/07/19(火) 22:51:15.34 ID:GeAUM8TVo
同刻、コンビニの周りをうろつく不審な影―――…迷彩のつなぎを着た少年が、いた
灰色の髪は相変わらずぴょんと跳ねていて、鳶色の瞳は今...羨望を浮かべながら、店内を覗き込んでいた
明るくて、食べ物があって、...何より入った事が無い、そんな最高に興味を惹き立てられる場所にも拘わらず
外から中を見渡す様な真似をしているかといえば、靴も穿いていない子供の自分が、中に入れば絶対に目立つと分かっていたからだ
そうなれば、なにをされるか分からないし…そんな事を思いながら、周りをうろちょろ。――――充分、目立つ。
595 :巴津火 [saga]:2011/07/19(火) 22:57:55.52 ID:GKSi51KOo
>>592-594
「おんぶに抱っこで、こざるはモテモテだなw」

雨子神と夷磨璃にそう冷やかして、巴津火はコンビニに向かう。
日子神が一緒についてくるのなら、何か買ってくれとねだって見るのも良いな、とも思っている。
そして店舗の前に見たことのある服装を見つけ、近づくにつれてそれが確かにその相手だと確信する。

「おーい、ペトラ」

祭りの日に遊んだ相手、悪ガキ巴津火にとっての子分候補である。

「何?お前も買い食いか?」

ピコピコと咥えたままのアイスの棒を上下させながら、巴津火はそう尋ねた。
596 :夷磨璃 :2011/07/19(火) 23:01:40.24 ID:bD83hIZDO
>>593
「ぼ、僕は一人で歩けます!!・・・・・・あっ・・・。」

そして、テンションに惑わされた結果、こうなる。
一人称から語尾まで、それはそれはごく普通の子供の様な感じで。

「ぁ・・・・・・////」

袖で顔を隠し、とても恥ずかしがっている。

>>594
コンビニの前へと来ると、昨日友達になった者が一人。
やっと夷磨璃は心から安心できた。
「ペトラお兄ちゃんっ!」

久しく会うかの様に走って行き、ペトラに抱き着くだろう。
>>595
「ペトラお兄ちゃんと知り合いなの?」

ちょっと意外だった。
まさかとは思ったが、ペトラの表情から察するに、どうやら本当のようだ。
597 :穂産姉妹 :2011/07/19(火) 23:06:25.95 ID:wA63KFcs0
>>594
巴津火が呼ぶ声に気づき、そちらのほうを向いた穂産姉妹もペトラを発見した。

『「こんにちは〜」』


今日はなんといい日だろう、とたくさんの子供との接触に感謝して、
ぶーんと大きく手を振りまだ少し遠い彼に挨拶をする。

>>595>>596
『(くーーーーーっ!!)』

夷磨璃のあわてる様子の放つその魔翌力に、
雨子神は危うくキャラ崩壊を犯しかねないほどの叫びを拳をぐっと握ることで抑えた。

『無理して言葉は変えなくていい・・・
 君はそんなことしなくても・・・十分に・・・』

十分に何なのだろうか?
薮蛇となりたくないのなら、雨子神のその領域には手を出さないほうがいいのだろう。
598 :ペトラ :2011/07/19(火) 23:21:27.29 ID:GeAUM8TVo
>>595

「...あ、巴津火君」

やっぱり入ってみようかな..そんな事を思って立ち止まると、不意に声がして
振り向いてみれば其処には、見知った友達の姿が在った。――そして他にも...

「う、うん。そんな感じかな」

何となく、コンビニに入るのを躊躇っていたとは言い出し辛く
こくりと小さく、巴津火の言葉に頷いた

>>596

「おお、夷磨璃っ」

元気のいい声が聞こえ、視線を移ろわせると其処には、昨日出会った少年、夷磨璃の姿
抱きつかれると、少年もまた夷磨璃の背中へと手を回して、顔を綻ばせた
二人も知り合いに――…友達に会えるなんて....そんな幸運を噛み締めている、と

>>597

「あっ!こんにちはっ」

遠くから声を掛ける、二人の姉妹を視認した
夷磨璃の身体に回していた右腕を離すと、
長めの袖にすっぽり覆われた手を、二人に向けて勢い良く振った
599 :巴津火 [saga]:2011/07/19(火) 23:22:30.32 ID:GKSi51KOo
>>596-598
「何?おまえら兄弟だったの?似てないな」

夷磨璃の兄がペトラなのだと思った巴津火。まじまじと二人を見比べる。
でも全然似ていない。

「それにしてもペトラ、足の裏熱くないのか?」

相変わらずの裸足である。
土の上や夜ならともかく、今日のような昼日中のアスファルトの上は辛いだろうと、巴津火は尋ねた。

そして巴津火の背後では穂産姉妹のボルテージが絶賛上昇中である。

「…何?」

彼女達の子供好きの度合いを知らない巴津火は、
こっちの二人の様子もなんだか急に変わったし、変だなとしか思わなかった。
しかしその突っ込んだ「何?」の問いは、雨子神のその領域への問いかけとも
受け取られてしまうかもしれない。
600 :夷磨璃 :2011/07/19(火) 23:28:29.42 ID:bD83hIZDO
>>597
聞かなければ、それで済むかもしれない。しかしまだ子供、気になってしまうお年頃なのだ。

「お姉ちゃん・・・十分・・・って何でござるか?」

まだよく知らない人の為、とりあえず口調は武士風にしておいた。

そして、驚くべきことに、雨子神の手を握っていたのだ。理由はしらないが。

>>598-599
「ううん、ペトラお兄ちゃんは兄弟じゃないよ。友達なんだ。ねっ。」

ペトラには安心して話せる。その為、巴津火達に普通の口調がバレバレである。
「そういえば、君の名前を聞いて無かった。」

巴津火を見て言った。
601 :穂産姉妹 :2011/07/19(火) 23:37:29.41 ID:wA63KFcs0
>>598
「今日はお買い物ですか?」

大きな声を発する必要がない距離まで近づくと、ぱたぱたと日子神は近づき、
ペトラの目の高さにまでしゃがみこみ笑顔を向けた。

『なんだったら・・・僕達が何か一つ買ってあげよう・・・
 いや・・・買わせて欲しいな、保護者として・・・』

後ろで立ってペトラと手をつないでいるため近づけなかった雨子神も、
いい顔をしたいのか、ペトラにまたどや顔で言った。

>>599>>600
「十分に?」

ぴくっと二人の質問に体を反応し、動きが止まった。
いきなり止まったかと思うと今度は大きく息を吸い込み、

「かわいいしかわいいしくぁわいいし、
 キャラとして立ってるじゃ〜ん」

ついにキャラが崩壊した。
602 :ペトラ :2011/07/19(火) 23:47:38.24 ID:GeAUM8TVo
>>599-600

「うんうん、兄弟じゃなくて、友達だよ」

夷磨璃の言葉に二回、頷いてみせながら、今度はその頭をゆっくり撫で始める
そして二人を見比べていた巴津火へと視線を向けて、友達だ、と重ねて伝えた
兄弟だと思われたのが可笑しかったのか、くすりと笑いながら...悪気は、ない

「うーん、暑いは暑いけど...もう慣れちゃったかな」

少しだけ考え込んだ後、控え目な笑いと共に問い掛けに答える
数年はこの姿でいたのだから、皮膚が厚くなったりだとか...原理は分かっていないものの
我慢出来ない程の熱気は、感じていなかった。
もっともこのままだと危ないし、履物があるに越した事はないのだが

>>601

「うん、かいものー…お姉ちゃん達も?」

わざわざしゃがみ込んで、眼の高さを合わせてくれた日子神に
無邪気に笑ってみせながら、答え。逆に問い掛けてみた

「...ほんとっ!? ありがとう、お姉ちゃん!」

すると後ろから雨子神がこれ以上なく嬉しい提案を
遠慮する事も無く少年は、喜びを露にして爛々と瞳を輝かせる
無一文の彼にとっては、とてつもなく嬉しい提案だった。
603 :巴津火 [saga]:2011/07/19(火) 23:49:33.59 ID:GKSi51KOo
>>600-603
「こざるとペトラは友達?ふーん、そうだったのか」

この二人が友達なら、夷磨璃を苛めるのはやめとこっかな、と巴津火は思った。
そして夷磨璃に名前を尋ねられてちょっとだけ驚いた。

「ボクの名前は巴津火。こざるも澪に聞いて知ってると思ってた」

今さっきもその名をペトラに呼びかけられたのだ。
そして、ペトラに履物を買ってくれるよう日子神に頼もうとしたその時。
日子神がキャラ崩壊した。

「うわわっ!何かやばいぞっ」

祭りの日、ぬいぐるみをきつく抱きしめていた時の日子神と今の日子神はどこか似ている。
しかし今はぬいぐるみが無い。
なぜか嫌な予感しかしなかった巴津火は、とりあえずコンビニ内に逃げ込む事にした。

「ペトラも来いっ」

通り過ぎざまにペトラを捕まえて一緒に店舗内に引っ張り込む。
不運な夷磨璃のほうは雨子神の手を握っていたため、巴津火に見捨てられた。
604 :夷磨璃 :2011/07/19(火) 23:56:39.59 ID:bD83hIZDO
>>601
「かわ・・・いい?拙者が・・・?・・・・・/////」

そして再び顔を隠した。今のは嬉しさから来るものである。
「可愛い」、夷磨璃は今までにこんなこと言われたのは少ない。
自分は駄目な子、と思っていてもこんなことを言ってくれる人がいるんだ。

「・・・がとうござ・・・ます//」
小さな声だが、お礼を言った。
>>602-603
優しく頭を撫でられながら、巴津火の方を向く。

「念のための確認。巴津火お兄ちゃん・・・ね!」

夷磨璃から見たら、ほとんどがお兄ちゃんかお姉ちゃんだ。

ペトラと話をしようとしたら、巴津火が慌ててコンビニ内へ。
キャラ崩壊に、夷磨璃は差ほど違和感を感じでいない。
605 :夷磨璃 :2011/07/20(水) 00:00:25.82 ID:caVCMBnDO
>>601
「かわ・・・いい?拙者が・・・?・・・・・/////」

そして再び顔を隠した。今のは嬉しさから来るものである。
「可愛い」、夷磨璃は今までにこんなこと言われたのは少ない。
自分は駄目な子、と思っていてもこんなことを言ってくれる人がいるんだ。

「・・・がとうござ・・・ます//」
小さな声だが、お礼を言った。
>>602-603
優しく頭を撫でられながら、巴津火の方を向く。

「念のための確認。巴津火お兄ちゃん・・・ね!」

夷磨璃から見たら、ほとんどがお兄ちゃんかお姉ちゃんだ。

ペトラと話をしようとしたら、巴津火が慌ててコンビニ内へ。
キャラ崩壊に、夷磨璃は差ほど違和感を感じでいない。
606 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 00:07:08.99 ID:WuG3zq/N0
>>602
「いいんだよ!!じゃんじゃん買ってあげるよ〜」

さすさすさす、ペトラが剥げてしまうのじゃないかと思うほどに、
優しくではあるが高速でなでる日子神。
酔ったときのどSモードとは違い、彼女はテンションが上がると子供への欲求が全開になるようだ。

>>603>>605
「待ってよー!!」

目の前でペトラを連れ去られたと思ったのか、
全速力でコンビニへと巴津火達を追って入店しようとしたが、
そのとき感じた瞬間最大可愛い率(穂産姉妹神調べ)にその動き始めた足を止める。

「お、お?」

そしてくるっと身を翻して向いた先は、恥ずかしそうにしている夷磨璃であった。
ぎらんと目が光ったかと思うと、その瞬間にはすでに夷磨璃の体を雨子神から奪っている。

「かっわい〜!!」

そして彼の両脇あたりを両手で掴み、ぐいっと夷磨璃を自分の顔の高さまでもちあげて、
お父さんよろしくのぐるぐるを始めた。すこし通常よりは早いが。
607 :ペトラ :2011/07/20(水) 00:13:18.64 ID:sYM2O9b0o
>>603-606

「あ、ありがとね、お姉ちゃん...っ」

自分の頭を撫でる腕を、くすぐったそうにしながらもう一度、お礼を言って
笑みを浮かべるのだが――少し、いつもと様子がおかしいような。そんな印象を受けていた

「う...うんっ!」

そのタイミングで、巴津火らしからぬ(――と、ペトラは思っている)焦った様な声
彼もまた、日子神から何時もと少し違う様な雰囲気を感じ取っていたため、直ぐさまこくりと頷き
捕まえられてもなすがまま、コンビ二の中へと連れられていく

「あ――…ご、ごめんっ」

その際少年は、夷磨璃の事が見捨てきれず、その腕を掴んで一緒に引き入れようとするのだが
ずるっ。無情にも、照り付ける太陽に依って生じた汗にじゃまされてしまい、少年の伸ばす手は空を切った
反射的に謝りながら...ペトラは巴津火に連れられて、始めてのコンビニ内へと――
608 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 00:19:41.53 ID:H5EbYMPxo
>>604-607
コンビニ内のひんやりした空気に、ほっと一息つく。
そしてガラス戸越しに夷磨璃の現状を見て、逃げ出したのは正解だったと改めて思った。

(あのままこざるの取り合いになっててくれたら、こっちは平和なんだけど)

そうならなかったとしても、人目のあるここでならとんでもない事にはならないに違いない。
もし何かあっても、所詮店に居るのは人間だ。どうとでも出来る自信が巴津火にはあった。

「ペトラ、こざるは気にしなくて良い。あいつはあいつで幸せみたいだし。
 あ、何か欲しいものあったらここに入れておくんだぞ」

そう言って店内用の籠を一つペトラに持たせると、巴津火はカウンターにアイスの棒を持っていった。
そして店員の許可が出ると、アイスクリームのフリーザーへ向かう。

「これだな」

そして先にアイスを会計してもらう。会計とはいってもあたり棒と引き換えなのでタダだけど。
溶けるものは最後に回す頭がないあたりは、まだまだ巴津火も子供である。
アイスの袋に会計済みのテープを貼ってもらって、それを片手にペトラのところへ戻ってきた。

「ボクもラムネとか買っていこうかな」

巴津火の首に下げた守り袋には、先日祭りの日にくすねたお金の残りが多少あるのだ。
609 :夷磨璃 :2011/07/20(水) 00:24:28.01 ID:caVCMBnDO
>>606
「わぁっ・・・!」

気づいた時には既に足が着いていない!
そしてぐるぐるっ!!

何が起きたか理解出来ぬまま回されるうちに、着物が開け、それを手で必死に抑える夷磨璃。

若干エロさを含んだ少年は、雨子神に助けを求めた。
>>607-608
「た、助けっ・・・うぁぁっ!」

小さな声が店内に届く訳も無く、ただ振り回されていた。
可愛いと言われ、いい人と思ったのが間違っていたのか?
夷磨璃は日子神に対し絶望していた。

頼れるのは雨子神だけだ
610 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 00:32:39.98 ID:WuG3zq/N0
>>607-609
『こ、こら・・・
 そんなに手荒にしたら・・・』
「男の子はこんくらい少し手荒いほうがすきなんだよ〜!!」
『だから夷磨璃は・・・』

ぐるぐると回す日子神と、無理に止めると夷磨璃が危ないので手を出しあぐねている雨子神。
とても珍妙な光景がコンビニの前で展開されている。
しかし雨子神も、夷磨璃のことを思うといつまでも戸惑っていられず、
ぐぐぐ、と歯を食いしばって覚悟を決めた。

『・・・ごめん日子神!!』

そして雨子神は、日子神のその満面の笑みを浮かべている顔面に、
情け容赦もなく、グーで右ストレートを決めた。

「ぐb」はぶーー!!」

夷磨璃から手を話して4メートルほど飛んでいく日子神。
落ちそうになった夷磨璃を、さながらヒーローのように受け止める雨子神であった。
611 :ペトラ :2011/07/20(水) 00:37:45.91 ID:sYM2O9b0o
>>608-610
ひんやりとした、店内の空気に...目をぱちぱち。冷房。中々感じた事の無い体験だった

「う...うん。分かったっ」

ちらちらと、心配そうな視線を硝子越しに夷磨璃へと向けるも
声を掛けられると結局は素直に、返事をしてしまうのであった
この前の二人はとても親切だったし、其処迄大変な事にはならないだろう...とも、思って

「何か...ごめんね?」

その場で籠を持ちながら辺りをきょろきょろ見回していると
アイスを持った巴津火が返ってきた。少し躊躇った後少年は、上目遣いに謝りの言葉を紡ぐ
...と言うのも、お祭りのときから巴津火には奢ってもらったり、世話になりっぱなしで
何もお返しが出来ていないのが、友達だからこそ...申し訳なく感じていた

――その一方で外では、グーパンチが飛び、日子神は飛んでいた
今は巴津火に眼を合わせていて、見えていない。...幸か不幸か
612 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 00:44:16.65 ID:H5EbYMPxo
>>609-611
(うわ、こざるの奴が剥かれた)

飲料のコーナーへ向かう途中、コンビニの中から夷磨璃の様子をちらりとみて、
そのまま見なかったことにする巴津火。
白昼堂々あんな目にあうのは巴津火なら御免である。

「うん?なんで謝るんだ?
 ボクはボクがしたいようにしてるだけだぞ。ペトラもペトラのしたいようにすればいいのさ」

ふふん、と鼻を鳴らす巴津火。威張りん坊で暴れん坊、しかし親分肌でもある。

「ところで、欲しいものは見つかったか?」

ペトラに尋ねながらふとガラス越しに外をみると、日子神が吹っ飛んでいた。

(…あれはペトラに見せられないな)

なんだか穂産姉妹よりもずっとペトラの保護者な巴津火であった。
613 :夷磨璃 :2011/07/20(水) 00:56:21.29 ID:caVCMBnDO
>>610
「はぁ、はぁ・・・・・・。助かりました・・・。」

お姫様抱っこの体勢で、夷磨璃は言った。
雨子神に対しては警戒心などないが、日子神は苦手な存在となったようだ。
>>611-612
「(巴津火お兄ちゃんも酷いよ・・・置いてくなんて・・・・・・)」

構われるのはいいかも知れないが、怖い思いをするのは嫌だ。
抱かれたまま、羨ましそうに店内を見ていた。

>>ALL
雨子神から降ろして貰うと、少し申し訳ないような態度で話し掛けた。

「僕のせいで迷惑掛けました。僕はもう帰ります・・・」
ペコッと小さなお辞儀を残し、去って行った。

//私はここらで落ちます。三人共、絡みお疲れ様でした。
614 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 01:02:49.78 ID:WuG3zq/N0
>>611>>612
衝撃があまりにも大きすぎたのか、
しばらく動けないでぴくぴくと日子神は体を痙攣させていた。
一応車道には出てはいなくとも、いきなり女性が吹き飛んだので歩道の人は驚くかもしれないが、
運よく通行人の影はなかった。だが日子神の元に駆け寄るものもいないという不幸も発生している。

『はあ・・・はあ・・・』

全力のストレートを食らわせただけに、
雨子神は疲労したのか顔を下げ肩で息をしている状態。

『あ・・・はははぁ・・・』

しかしふと巴津火の視線が目に入ったのか、先ほどの一撃を誤魔化すかのように彼女は、
苦笑いをしながらひらひらとガラス向こうの巴津火に手を振った。

>>613
『本当に申し訳ない・・・僕の馬鹿が・・・』

冷ややかに目を日子神の方に向けて、雨子神は夷磨璃をゆっくり降ろしながら謝る。
地面に足がついてから、体に怪我はないかと確認するが、
夷磨璃は無傷だと分かったのでほっと胸をなでおろした。

『君のせいじゃないよ・・・でも・・・ばいばい』

去っていく夷磨璃に、名残惜しそうな声で別れを言う雨子神。
きりっ、と彼が見えなくなってから凄い目つきで日子神をにらんでいた。

/こちらこそ絡みありがとうございました!
615 :ペトラ :2011/07/20(水) 01:06:38.21 ID:sYM2O9b0o
>>612-614

「...そっか」

鼻を鳴らす巴津火の、言葉が終ると少年は柔らかく微笑み
連ねられる問いに答えないまま、歩み寄り...外を見る巴津火に、抱きつこうとした
――それがしたいようにした結果であり、一番感謝を伝えられると思ったからだ
小さく呟く様に、ありがとうともう一度。殆ど間を空けずに身体を離すと、少年は再び籠を持って辺りを見回す

「うーん、どれも珍しいものばっかりだから」

何事も無かったかの様に、答える少年の声音は、珍しい物を見る興奮と考え倦ねている悩みが混同していた
普通の人間なら見慣れている様な物も、こういった所に縁のない少年には珍しく写った


「あっ...また、ね」

ふと、どうなっただろうかと向けた視線の先には、夷磨璃の後ろ姿が見えた
今度、謝った方が良いかなあ...そんな事を考えながら、届く筈も無い別れの挨拶を零し、少年は手を振った

「あ...巴津火君、あれって....」

苦笑いをする雨子神が手を振っているのを見て、思わず手を振り返しながら
雑誌コーナーに阻まれ少年の位置からは、ぴくりとも動かない下半身しか見えない日子神を指差して
視線は巴津火へ、あれってお姉ちゃんかな、と問い掛けた。日子神の姿が見えないため
そんな気はするのだが、それにしたら何故倒れているのか...分かっていなかった
616 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 01:18:21.37 ID:H5EbYMPxo
>>613-615
(あの二人は…)

こちらに手を振る雨子神に、じっとりと冷たい視線だけを返す。
そんな、なんともいえない気分の巴津火に、ペトラがきゅっと抱きついた。

(へっ?)

その時間はほんの一瞬ではあったが、
暴れ神としての巴津火の本性とは対極のものがその時のペトラにはあった。

(なんだろう、この感じは)

なんだか不思議な思いで、まじまじとペトラを見る。
しかしペトラは何事も無かったように夷磨璃へ手を振っていた。
そして去ってゆく夷磨璃の恨めしげな思いなぞ露知らず、巴津火はペトラの指差したほうをみる。
そして、頭を抱えた。

「なんなんだあいつらは…保護者って自称してあれか?」

舌打ちして、巴津火は手持ちの諭吉をペトラに押し付ける。

「これ、全部やるよ。ペトラが欲しいもの買うんだぞ?ボクはちょっとあれを回収してくる」

流石にあのまま日子神を放って置くのは色んな意味で迷惑だ。
ニッとペトラに笑って店の外にでた巴津火は、日子神を支えて立たせようとする。

「ほら、しっかりしろってばー」

/夷磨璃さん、乙でしたー。
617 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 01:24:38.55 ID:WuG3zq/N0
>>616>>617
「うーん・・・?」

巴津火が立たせようとする振動で、先ほどまで気絶していた日子神が目を覚ます。
しかし、とろんとした寝起きのような目つきには先の暴走の気配はなく、
あの時完全に雨子神は、日子神の欲求ごと吹き飛ばしていた。

『手を掛けさせてゴメン・・・』
「あれ?おはようございます巴津火さん
 あなたがなぜここに?」

ついでに今日の記憶も吹き飛ばされていたようだ、ここがどこだか分かっていない。
618 :夜行集団 :2011/07/20(水) 01:25:46.24 ID:WuG3zq/N0
安価ミスです
>>615>>616でしたスイマセン
619 :ペトラ :2011/07/20(水) 01:30:43.98 ID:sYM2O9b0o
>>616-617

巴津火の抱く不思議な想いも気付かずに、外を指を指しては視線を向けていた
...と

「へ...うん、分かったっ」

何だか舌打ちをして、怒っている様な巴津火。呟きの内容までは分からず
諭吉を受け取ると少し不思議そうにしながらも、こくりと頷き、笑みを返す。
――「気をつけてね」本能がそう、巴津火の背中へと声を掛けさせた

「うーん。それじゃあ...」

ふうと息を吐いて、改めて店内を見回す
そして慣れない様子で様々な商品を物色、逡巡、そして――購入。
結構な時間をかけてから、少年は片手にビニール袋を持って、コンビニから出て3人に合流した
620 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 01:34:14.65 ID:H5EbYMPxo
>>617-619
(うー、なんだか無性に暴れたくなってきた)

日子神が無事起き上がるのを確認し、
少し湿り気を帯び始めたアイスを袋からだして齧りつつ巴津火はうずうずしていた。
自分とは対極のペトラの優しい妖気に触れたからなのか、穂産姉妹の駄目っぷりに苛々したからなのか
それは判らない。

(くそぅ、おちつけ。今はアイスたべてるんだぞボクは)

しかし溶けかけたガ○ガ○君を齧りながら喧嘩は出来ない。アイスを犠牲にするなら別だが。

「もうちょっとしっかり相方の管理してくれよなっ」

アイスがあるせいで巴津火は暴れず、雨子神に注文をつけるに留まった。
その苛立ちも、店を出てきたペトラの存在により次第に静まっていく。

「ん?買えたか?」

半分になったアイスを片手にペトラに尋ねた時の巴津火は、比較的穏やかだった。
621 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 01:42:38.55 ID:WuG3zq/N0
>>619>>620
「管理?なんのことでしょう?
 あ、この前のお祭りの子。こんばんは〜」
『日子神・・・日子神はちょっと黙ってて・・・』

完全に今日のことはガッツリ忘れてしまっているらしい。
夷磨璃と再びあったとき、そのせいでおそらく意味なく夷磨璃に嫌われていると、
自分がしたことも知らずにショックを受けるのだろう。

『本当に申し訳ない・・・』

先ほどまで保護者だと思っていたのにただひたすら平謝りを繰り返すという、
まさかの立場逆転に驚きつつも、シュン、としてしまう雨子神だった。
622 :ペトラ :2011/07/20(水) 01:52:35.25 ID:sYM2O9b0o
>>620-621

「うんっ、買えたよー」

暴れたいという、巴津火の衝動も、彼の優しい面しか見ていない少年には
推し量る事は到底出来なかった。元気よく頷きながら、袋の中身を取り出していく
ガム、グミ、二つの意味で危ないアルコール入りのチョコレートボンボン…どれも、二つずつ入っていた
それぞれ一つずつ、青年は巴津火に手渡そうとするだろう――…そして

「はい、お姉ちゃん、これ! 仲良くしようよ、せっかくなんだしさ」

アイスが三本、巴津火が食べている物と同様の物だ
とことこと姉妹の元へと歩いていって、それぞれ一本ずつ、笑みを浮かべながら差し出した
なんだか、巴津火と姉妹が言い争いをしている様な、そんな雰囲気を感じ取ったのか
飽くまで明るく、仲良くしようと呼びかけながら―――……ん?

「あ、あとこれ...なんだかよく分からなかったけど、おもしろそうだったから」

三人の前で、最後に取り出されたのは何と、口紅であった
何故そんな物を買ったのか――無邪気な笑みを浮かべる少年の姿から、類推出来るだろうか
否、おもしろかった...その言葉が全てなのだろう、恐らく
623 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 01:55:36.25 ID:H5EbYMPxo
>>621-622
「…何言っても無駄な気がしてきたから、ボクもういいや」

(それに、またこんばんはに戻ってるし…)

今、暖簾に腕押し、ぬかに釘、の意味を巴津火は棒アイスと一緒にかみ締めている。
何もかも忘れたらしい日子神に無駄に腹を立てたとしても、
雨子神に謝られても、多分巴津火はどんどん暴れたくなるばかりだろう。
暴れればすっきりするのかもしれないが、せっかくあたり棒で引き換えたアイスを無駄にするのは、
運をなくすみたいで巴津火は嫌なのだ。

(次は、次があったら、その時は絶対に暴れるぞ)

その時もアイスがあれば良いのだが。

「ペトラ、居てくれてありがとな」

お菓子を受け取りながら、巴津火にしては珍しくしみじみと呟く。
ペトラが居なかったら、確実にこの場は暴風雨である。

「それ、何だ?食べ物?」

ペトラが差し出した口紅、それは巴津火も良く知らないものだ。
624 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 02:06:17.74 ID:WuG3zq/N0
>>622>>623
なにがなんやら日子神とは対照的に、
ペトラが巴津火にお菓子をあげているというのどかな光景が、
雨子神の自業自得ながらも下降していた気持ちを少し、やわらげてくれた。

「はい?」
『これを・・・僕達に・・・?
 ありがとう・・・』

そうして見つめているとそのお菓子、アイスがこちらにも回ってきた。
少し驚いたような顔をしていたが、優しく笑顔をふっと浮かべてアイスを受け取る。

それと同じように差し出された口紅。
不思議そうに覗き込む二人の間に、日子神は自信満々に顔を突き出した。

「ふふ、これは口紅といいましてね。女の子が綺麗になるための道具なんですよ」
『君が持っていてもどうしようもないから・・・
 巴津火・・・君がもらっておいたらどう・・・?』

化粧品とはいっても、あまりそちらのほうをしない穂産姉妹からしてもどうしようもないもので、
どうせなら、巴津火から黒蔵に変わった時に、
四十萬陀への手土産のひとつにでもしてもらおうと巴津火にそう提案した。
625 :ペトラ :2011/07/20(水) 02:15:46.90 ID:sYM2O9b0o
>>623->>624

「……?」

巴津火にいきなりお礼を言われ、少年は何が何だか分からないといったようすで
不思議そうに、小首を傾げた。...まあ、お礼を言われたのだから悪い事ではないだろう

「どういたしまして!」

アイスを受け取られると少年は、満足そうに笑い。...尤も、巴津火の金で買った物なのだが

「んー…分かんない。多分違うと思うんだけど...」

巴津火なら、と思ったのだが、どうやら彼も知らなかった様だ
棚の位置が大きくズレていたから食べ物ではない、と思うのだが...疑問は増すばかり

「...口、紅。......へぇー…。」

併しその答えは、姉妹が知っていた。口紅を見やり、二人を見やり、口紅を見やり。
――尊敬のまなざしを、姉妹へと向けた。...始めて?いやいや、そんな事は無い筈

「お姉ちゃん、物知りなんだね......はいっ」

ありのまま、思った事を感心した様に呟いた後
身体の向きを巴津火に向けて、話の内容通り、口紅を差し出した
626 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 02:18:07.11 ID:H5EbYMPxo
>>624-625
(こっちのは当たらなかったな)

そうそうあたりくじは続くものでもない。
アイスの棒をコンビニのゴミ箱へ入れて、ペトラのくれたお菓子を口に入れる。
チョコレートボンボンは蛇妖の舌には美味かった。

「これ美味い。今度ボクも買おう」

パッケージを忘れないように、包み紙を大事にポケットにしまう。
そして次のグミを口に入れる。うん。桃味。

「口紅?それこそボクが持ってても仕方ないだろ?せいぜい海上臈にやるくらいだ」

巴津火は黒蔵と四十萬陀の仲のことまで思いは回らない。
仮に回ったとしても、黒蔵なんかのために巴津火が何かしてやるわけもない。

「それにそもそもペトラのものだもん…えっ?」

こくん、と口の中のものを飲み込みながら、自分に口紅を差し出すペトラを見た。
受け取っても…使い道はない。多分。
627 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 02:24:40.08 ID:WuG3zq/N0
>>625>>626
「そ、そんなことないですよ」
『本当にそんなことないよ日子神・・・』

ペトラに褒められて気をよくしたのか、赤くなった顔で手を横に振って照れている。
しかし雨子神はそれにたいしてばっさりと切り捨てた。

巴津火の反応にそれもそうだと思った穂産姉妹。
なので雨子神はもらおうとしない巴津火の耳元まで顔を近づけ、こうささやいた。

『ここは使うとか・・・女性用とかは・・・関係ないよ・・・
 大事なのは・・・子分のプレゼントなら親分はうけとってあげなくちゃ・・・てことだよ』
628 :ペトラ :2011/07/20(水) 02:30:39.12 ID:sYM2O9b0o
>>626
口に合わなかったらどうしよう、少し心配に思っていたため
少年はそっと胸を撫で下ろした。どうやら気に入って貰えたみたいだ

「でも、僕は凄いとおもうよ!」

仄かに顔を赤らめながら手を横に振る日子神に、尚も凄い、と言葉を
勿論、本心であった雨子神はそういうけれど、少年にとっては憧れですらある――…


「うーん、それもそう、かなあ...」

此方を見る巴津火を見て、自信なさげにじーっと、口紅を凝視
なんだか、姉妹よりも巴津火の言い分の方が、当たってる気がしたので
耳打ちに気付く事も無く、口紅を――ポケットの中に、仕舞おうとした
629 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 02:40:36.38 ID:H5EbYMPxo
>>627-628
雨子神に耳打ちされて少し気持ちが動いた巴津火だが、大事な事に気づく。

「でもペトラはまだボクの子分と決まったわけじゃないぞ?」

そもそも、ペトラだって承諾していないのだ。

(あれ…)

その時、巴津火は世界がかすかに揺れているのを感じた。
真っ直ぐ立っているのに回っているような感覚に襲われて、少し目を瞑る。
途端に倒れそうになり慌てて踏みとどまるが、平衡感覚の狂いは徐々に酷くなってゆく。

巴津火は口紅に気を取られて、口にした菓子に警戒していなかった。
顔が熱くなって視界までもが揺れ始めてからようやく、口の中に残る桃の風味に気づく。

「ペトラ、さっきのお菓子……」

最後まで言い切る前に、巴津火はがくりと膝をついた。
その頬は上気したように赤い。
630 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 02:47:42.47 ID:WuG3zq/N0
>>628
雨子神に一蹴されても、子供に尊敬の視線を送られるのは嬉しいらしい。
その証拠に日子神は鼻高々な心持になっていた。

『君は優しいな・・・』

ペトラが本気でそう思っているのも知っているが、
それ以上に日子神のフォローでもしてくれているのだろうと思ったので、
彼の頭をもういちど優しくなでながら雨子神は言った。

>>629
一方でそうしていると、膝が地面鳴らす音がする。
その方向に二人は振り向き巴津火が顔を赤くしながら、意識が朦朧となっているのを見た。

「どうかしましたか!?
 なにか変なものでも・・・」
『日子神・・・このパッケージにあるものの中に・・・』
「あ、桃・・・ですね」

突然の巴津火の変化に日子神はあたふたとしたが、
雨子神は冷静に彼のポケットから包み紙を取り出して広げ見た。
その製品の中には桃に関する食材が入っている。

「大丈夫ですか〜?」
『なんだったら・・・ノワールまで運んであげるよ・・・?』
631 :ペトラ :2011/07/20(水) 02:56:13.50 ID:sYM2O9b0o
>>629
子分か、否か、そんな会話も少年の耳には入っておらず
何時か使う日も来るだろう――そんな事を思いつつ、口紅をポケットに仕舞い

「そんな事、ないよー…」

優しいなと褒められると、やっぱり照れた様に。前にもこんなだった気がするが
右手の指で頬をぽりぽりと掻きつつ、優しく撫でられる気持ちのよさに目を細めていた
...と

「……っ!?」

姉妹の視線が、巴津火の方へと向けられ、何やら尋常でない様子
不思議に思いつつ振り返ると、其処に居たのは顔を赤く染めながら膝をつく、見た事の無い様な巴津火の姿

「大丈夫っ?」

するりと、姉妹の手を抜けて、少年は大慌てで巴津火に駆け寄った
それだけ彼は少年の中で大事な存在であり、同時に自分の買った物が原因でないかと心配だったのだ
膝を付いた巴津火と視線の高さを合わせ、紫色の瞳を今にも泣き出しそうな、心配そうな表情で覗き込んだ
632 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 03:01:50.72 ID:H5EbYMPxo
>>630-631
(やめろっ!今この状態であの店に連れて行かれたら…!)

間違いなく、店長か蛸の玩具にされる。
彼らなら嬉々として「巴津火」をコスプレさせて喜ぶであろうことが目に見えているのだ。
そしてこんな時に限って黒蔵も疲れきって眠っている。
もっとも、そう仕組んだのは巴津火自身なのだが。

しかし、何か喋ろうとすると吐きそうになる。
グミの直前に食べたチョコレートボンボンのアルコールが、桃の悪酔いを促進させていた。

「うっ…!」

泣き出しそうなペトラの表情が目の前にあった。
膝と手を地面についた巴津火は、歯を食いしばって吐き気を堪えた。

(くそー、こんなとこで吐いてたまるか!)

ペトラも見ているのだ。絶対に吐かないと決めた。
……実際は、さっさと吐くもの吐いたほうが楽にはなるのだが。

今の巴津火には、ペトラの頭を片手でポンポンと安心させるように軽く叩いてやることしか出来ない。
が、それでもペトラには巴津火がペトラを責めては居ない、ということが通じるかもしれない。
そしておそらく穂産姉妹には、巴津火がノワールへ連れ帰って欲しくない事は伝わらないだろう。
633 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 03:11:37.88 ID:WuG3zq/N0
>>631>>632
「・・・とりあえず、」
『僕がおぶる・・・ノワールまで・・・』

ペトラを思いやる巴津火の思いは無駄にはすまいと、
彼がまいり切ってしまう前に安全な場所へ運ぼうとした。
だがそこはあきらかに彼にとっては安全でも、安静でもないのだが。
店員やそこにいる者の思考など毛頭知らない上に、
今一ペトラへと気を向けてしまっているためいやがるそぶりをしていないから、
彼女達は巴津火の気は知らず連れて行こうとする。

「あ、でも酔ったときの対処法なら」
『もしかしたら・・・狂骨や氷亜のほうがいいのか・・・?』

ペトラを一人で残すわけには行かないので、手の空いている日子神は彼に手を差し出す。
もし巴津火がもどしそうになったときは、もよりのトイレに直行だ・
634 :ペトラ :2011/07/20(水) 03:18:54.94 ID:sYM2O9b0o
>>632
巴津火の様子からだけでは、何を思っているか予想も出来ず
苦しそうに手を付くのを見て、益々少年は心配そうに
それでも、頭に手が置かれ、ぽんぽんと叩かれると、表情は和らいだ
半べそのまま小さな小さな笑みが浮かんで、泣き笑いの様な状態になってしまうのだった

>>633
差し出された手を、少年は確りと握る。
巴津火をこのまま置いておく事なんて出来る筈も無く、状態が落ち着くまで見守っているつもりだった
余程強く否定されなければ、その意志は揺るがないだろう

「...ねえ、どうなっちゃったの...?」

そして少年は、視線を前方の巴津火へとやりながら、震える声で日子神へと問い掛けた
まさか、死んでしまったりなんて事は...そんな筈は無い、と、思うものの、厭な想像は広がるばかり
635 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 03:23:06.35 ID:H5EbYMPxo
>>633-634
巴津火は大人しく雨子神に背負われて運ばれてゆく。
吐き気を堪えるのに必死で、運ばれる先の事まで気が回せないのだ。
おそらくこのままノワールもしくは夜行集団の本拠地まで運ばれてゆくのだろう。
何をされても今の巴津火には、どうにも抵抗できないのだ。

そしてどこに運ばれるにしても、巴津火が酷い二日酔いになるのは確実である。
そしてペトラが望むなら、ずっとついている事は出来る筈だ。


//そろそろ〆ようかと思いますが。
636 :穂産姉妹 :2011/07/20(水) 03:29:02.20 ID:WuG3zq/N0
>>634
「うん?そうですねぇ」

歩いていると自分の斜め下のほうから心配そうな声がする。
そちらのほうに顔を向けると案の定ペトラの顔は不安でいっぱいになっていた。
日子神はいかにこの子をあんしんさせられるか、言葉を選び選びで答える。

「夏あたり、というものですよ。
 暑すぎて巴津火さんも参ってしまったようですね。よくあることなので心配後無用です。
 でも、あなたも気をつけないとああなっちゃいますよ。」

最後に、先生のような顔つきで人差し指を立てて締めくくった。

>>635
雨子神は背中に巴津火を背負いながら前を向いて、がんばれ、まだもどすな、
などと声を掛けて励ましつつ歩いている。

『最初は・・・ノワールにしようかと思ったけど・・・
 やっぱり酔うみたいな関係は・・・僕達のところのほうが良いと思う・・・』

どうやらその口ぶりだと、彼らが向かうのは夜行集団本拠地なのだそうだ。

/では、僕はコレで落ちにします
/絡みありがとうございました!!
637 :ペトラ :2011/07/20(水) 03:36:41.44 ID:sYM2O9b0o
>>635-636

「ふうん、そっか......」

日子神の優しい言葉遣いに、其処まで大事ではないという事が分かり、少年は安堵を覚えるも、
目の前で巴津火が苦しそうにしているのを見ると、言い様の無い不安が少年を苛むのだった
やっぱり、元気になるまで見ていよう...そう、誓って
宛ら先生の様に警告する日子神には、上の空ながら頷く事によって、答えていた

どうやらこれから行くのは、今まで言った事の無い所らしい
其れでも少年は、巴津火の後を付いていって眼を覚ますまで、側に居てやる筈だ
――看ている途中で、寝てしまうかも分からないけれど

/それでは僕も此れで〆という事で!
/絡みありがとうございましたー!
638 :巴津火 [saga]:2011/07/20(水) 03:39:44.23 ID:H5EbYMPxo
>>636-637
夜行集団の本拠地に運ばれたため、幸いにもコスプレはされずに済んだようである。
しかし、酔い覚ましのエキスパートたちに吐くよう忠告されても頑固に吐かなかった為、
巴津火の桃酔いは長引いて三日続くことになった。

そして三日目にペトラとようやくほのぼの過ごせるようになったかと思えば、
夜行集団に連絡を貰った衣蛸が叱りに来て、
巴津火は文句たらたらに三日分の宿題をやる羽目になったりもするのだった。


//ではお三方とも、絡みありがとうございました&お疲れ様でした。
639 : :2011/07/20(水) 21:48:19.55 ID:uE4kjKSDO
「ふ、ふふふ、うふふふふ」

何処からか、楽しそうな笑い声がする
その声が楽しそうな程、それは不気味に聞こえるくらい、辺りは暗く、誰もいない
夜の公園の広場の真ん中、奇抜な色のスカートと猫耳を揺らしてくるくる踊る少女がいる

「ああ楽しいなあ、こんなに楽しい気分になったのは何時ぶりだろう」
「愉快な気分だ、この気分を例えるなら、お子様ランチの旗が自分の好きなサッカーチームと同じ国旗だったのを見た子供と同じくらいの愉快さだ」

誰に話すでもなく少女は言い、笑って、ただ一人楽しそうに踊っている
640 : :2011/07/20(水) 21:48:50.47 ID:uE4kjKSDO
「ふ、ふふふ、うふふふふ」

何処からか、楽しそうな笑い声がする
その声が楽しそうな程、それは不気味に聞こえるくらい、辺りは暗く、誰もいない
夜の公園の広場の真ん中、奇抜な色のスカートと猫耳を揺らしてくるくる踊る少女がいる

「ああ楽しいなあ、こんなに楽しい気分になったのは何時ぶりだろう」
「愉快な気分だ、この気分を例えるなら、お子様ランチの旗が自分の好きなサッカーチームと同じ国旗だったのを見た子供と同じくらいの愉快さだ」

誰に話すでもなく少女は言い、笑って、ただ一人楽しそうに踊っている
641 : :2011/07/20(水) 21:49:20.95 ID:uE4kjKSDO
「ふ、ふふふ、うふふふふ」

何処からか、楽しそうな笑い声がする
その声が楽しそうな程、それは不気味に聞こえるくらい、辺りは暗く、誰もいない
夜の公園の広場の真ん中、奇抜な色のスカートと猫耳を揺らしてくるくる踊る少女がいる

「ああ楽しいなあ、こんなに楽しい気分になったのは何時ぶりだろう」
「愉快な気分だ、この気分を例えるなら、お子様ランチの旗が自分の好きなサッカーチームと同じ国旗だったのを見た子供と同じくらいの愉快さだ」

誰に話すでもなく少女は言い、笑って、ただ一人楽しそうに踊っている
642 :ペトラ :2011/07/20(水) 21:59:50.13 ID:97e4pUc3o
>>641
「う、うーん…。」

何時もの様に公園で眠りに付いていた少年は、楽しそうな笑い声を受け目を擦った
端に植わっている木の幹から身体を起こし声のする方を見れば――…

「...どうか、したの」

始めは朧げだったその姿も、起き上がって徐々に近づいていくと段々はっきりとしてきた
猫耳を揺らしながら少し変わった色のスカートを身に纏う少女、少年は不思議そうに首を傾げつつ問い掛ける
距離は2mくらいだろうか、他に人は居らず、暗いこの公園は、少し不気味な様子も遭った者の、
少年にとっては寝起きする家同然の様な所、余り特別な感情はわいて来なかった
掌がすっぽり覆われる様なだぶだぶのつなぎ、灰色の髪に鳶色の双眸。――そんな、少年だ
643 : :2011/07/20(水) 22:12:34.77 ID:uE4kjKSDO
>>642
「どうか、した…くくっ、どうかした、ねえ」

声をかけられると、少女はぴたりと動きを止めた
何がそんなに面白いのか、くすくすと笑いながら黄金色の眼を少年に向ける

「どうかしてないのにこんなに笑っていると思うかね?」
「うふふ、ああ、そうだな、どうかしてるよ、まったくね」

その答えはおおよそまったく解答になっておらず、この少女に対する印象を混沌とさせるだけだろう
少女自身も、空を仰いで笑っている

「ふふ、うふふ、ふふ、…ふぅ」
「ああすまない、ようやく落ち着いてきたよ、何か用かな?」
今まで訳が解らないくらいに笑っていた癖に、急にそれが無くなって少年に問い掛けた
それでも笑みは口元から消えず、嫌になるくらいにニヤニヤしてはいるが
644 :ペトラ :2011/07/20(水) 22:22:36.32 ID:97e4pUc3o
>>643
声を掛けると、少女の踊りはぴたっと止まり、
彼女の黄金色の眼が、自分に向けられた。
それはくすくすという笑いと相俟って、不気味な雰囲気を醸し出し
よく分からない答えを聞きながらじり、と、少年は一歩あとずさった

「うーん、用がある訳じゃないけど...こんな時間だし、なにしてるのかなー…って」

ニヤニヤとした少女の笑みを見ながら、ちょっと困った様に右手で髪を掻きつつ、
途切れ途切れに少年は答えた。本人は意図していないのだが、妖気がだだ漏れだったりもする
645 : :2011/07/20(水) 22:35:58.93 ID:uE4kjKSDO
>>644
「こんな時間に何をしているか、面白い質問をするね」

くるんとその場で回ると、困っている様子の少年を見て眼を細める
少女は別段性格が悪いとは自分でも思ってはいないのだが、人や動物をからかう事はとても好きだった

「そうだね、ならこうしよう」
「私は両親に嫌われたのでたった今家出して、これからどうしようか途方に暮れている、と」
だから、当然ながらにしてまともに答える気は更々無く、躊躇う様子も考える間も無く出任せを言える
話の前後からまるで怪しさを隠す気もなく、嘘だとわかりやすい話ではあるが
646 :ペトラ :2011/07/20(水) 22:48:56.96 ID:97e4pUc3o
>>645

眼を細めてみられても、少年は困った様にその場の土を蹴ったり
そんな事ばっかり、居心地の悪さを感じつつ――…嫌っている訳ではないだろうが

「そうなの...?」

こうしよう、という言葉から楽し気に紡がれた内容は
如何にもあまり本当には思えない様な、そんな気はするのだが
初対面の少女の言葉を嘘と断定する事は出来なかった。
本当だったら、可哀想過ぎるし...そんなこんなで少年は、その言葉を信じてしまったかのように
瞳に心配そうな色を残しながら、少しだけ首を傾げてみせるのだった
647 : :2011/07/20(水) 22:58:09.55 ID:uE4kjKSDO
>>646
「こんな純心無垢な少女が、嘘をついているように見えるかね?」

少年の問い掛けるような返事と、信じるような眼差しを見返すと、ニヤと笑って

「まあ、嘘だがね」

いとも簡単に嘘とばらす
別にそうだと騙して後にどうにかするつもりもないし、要は騙したというのが面白いからそれでいいのだ
その証拠に、嘘をばらした後に腹を抑えてくつくつと笑っている
648 :ペトラ :2011/07/20(水) 23:09:54.33 ID:97e4pUc3o
>>647

「う、うーん…。」

ニヤリと笑いながら発せられた言葉、となると本当なのだろうか?
未だ決めかねた様な返事、併し気持ちの中ではほぼ信じかけていた
といっても自分にはどうする事も出来ないだろうしなあ、と、そんな事考えていると

「なんだい、やっぱり嘘じゃんかー…」

あっさり嘘、という言葉が少女の口から呟かれた
くつくつと可笑しそうに笑う少女をちらりと見上げ、顔を少し赤くしながら
口を尖らせ、恨みがましく少女に話すのだった。こつん、小石に八つ当たりしつつ
649 : :2011/07/20(水) 23:21:31.23 ID:uE4kjKSDO
>>648
「いや、もしかすると本当かもしれない、猫は気まぐれだから、そのうち本当になる事も有り得ないとは言えない」

うふふ、と笑い、矛盾をわざと発生させているような口ぶりで話す
少年の反応がとても楽しいようで、笑みは一層深く、鋭い八重歯が見え口角が三日月型になるくらいに笑う

「申し遅れたね、私の名前は紫(ゆかり)、夢魔という種族だ」
「君は?どういう名前でどういう種族なんだね?」

くるりと回転して後ろに下がり、ハットを右手に持って目を閉じ頭を下げて自己紹介
その後、片目を開けて頭を少し上げ、少年を見て聞き返す
少年が妖怪なのに気付いていたようで、きっちり種族まで聞く

/すみません、次のレス少し遅れます
650 :ペトラ :2011/07/20(水) 23:34:24.32 ID:97e4pUc3o
>>649

「なんだよ、それ...」

笑ってみせる少女から、赤くなった顔を隠す様に背けてみせながら
相変わらず不満げな調子で少年は、言葉を紡ぐのだった

「ん...僕はペトラ......獏って言う種族さ」

相手のからかうような態度に不満をもちつつも、
自己紹介に伴うその仕草には”キマっている”という感情を抱いていた
少しぽけーっとした少年の様子からはそれが容易に見て取れる。
やはり子供だけあって、感情を隠したりする事は苦手らしい。
そして、少しだけ間を空けた後、相手に自分の名前を名乗った
一発で妖怪と見抜かれ、少し吃驚したが、前にもこんな事があったので仕草には出なかった

「ねえ、むま、って、どんなことするの?」

どうやら夢魔という言葉、始めて聞くらしい。当然漢字を当てはめる事も出来ず
一体どんな種族なのだろう、と――…気を取り直しつつ、少なくない好奇心を抱きながら問いかける

/了解です、では此方も烏の行水を済ませてきます...
651 : :2011/07/20(水) 23:59:03.02 ID:uE4kjKSDO
>>650
「ふむ、君は貘か」
「貘と言えば夢を食う妖怪、参ったな私の天敵ではないか」
「今の内に潰しておいた方がいいかな?」

なんて、冗談に聞こえない冗談を言ったりする
夢の中で生き、人の夢を媒介とする彼女は貘が食う夢そのものに近い存在、そうでなくとも夢が食われればそれだけ生活圏が減るという事にもなる
一応天敵という存在とは認めたが、ペトラ自身を警戒する気はないらしい

「夢魔は夢に魔物の魔と書く、つまり夢の中で色々する魔物だ」
「淫魔の類にも分類されてね、思春期の男子諸君が鼻血を垂らして喜ぶような事もする者もいる、私はどうだろうね」

ペラペラと聞かれたまま自分の存在の説明をする
しかしそうしてはいるが実は自分でも自分の事はよく解っておらず、説明する殆どはある一人の人間の知識から拝借したものだ

/ただいま帰りました
652 :ペトラ :2011/07/21(木) 00:14:34.32 ID:30ZhFboko
>>651

「て、てんてき...?」

潰す、という物騒な言葉、響き。
少年は不安げにぽつりと呟くと、それを冗談だとも知らずじり、と、また後ずさる。

「そ、そうなんだ...」

説明を聞いて更に納得した。
それならば確かに、自分が天敵となりうるだろう。
それを知って益々、先程の言葉が現実味を帯びてきた。自分をどうするつもりなのだろう

「鼻血を垂らして、喜ぶ...?」

淫魔の下りとなると、その比喩がいまいち分からなかったのだろう、少し離れた所で首を傾げた
653 : :2011/07/21(木) 00:29:17.48 ID:Ct29wf1DO
>>652
「所でなんだね君は?いきなり私を怖がるように見るやいなや後ずさるなんかもして」
「ああ成る程、冗談が通じなかったのかな?安心したまえ、何も君を悪いようにするつもりはない」

ペトラが後ずさるのを見逃さなかった紫は、眼をキラリと光らせるとペトラに近寄る
それも先程までとの位置よりも大分近く、本当に至近距離で、ペトラを下から覗き込むように腰を折って

「まだそれが解る歳ではないか、これは喜ばしいのか悲しいのか」
「どうかな?気になるか少年?知りたいか少年?」

ペトラを覗き込む顔を、ゆっくりと相手の顔に近付けながら、尚話す
ニヤニヤニヤニヤ、表情には不気味なくらいの満面の笑みを浮かべて
654 :ペトラ :2011/07/21(木) 00:39:42.12 ID:30ZhFboko
>>653

「ほ、本当...?...っ」

なおも少年は心配そうに聞き返す...と、少女がいきなり近づいてきた
少年は隠しきれない不安を滲ませながら、少女の瞳をじっと見やる

「え、そりゃあ気になる、けど......」

相手がどういう意味でその言葉を紡いだのか、興味はあった
併しそのニヤニヤとした笑みを見ているとなんだか――素直に言い出し辛いような、嫌な予感
段々近づいてきた少女の顔に緊張を覚えつつ、思わずぎゅっと目を瞑ってしまう
655 : :2011/07/21(木) 00:51:00.64 ID:Ct29wf1DO
>>654
「そうか、気になるのだね」
「なら、暫くそうやって目を閉じているといい」

ペトラが目を閉じると、囁き声で言いながらペトラの頬を撫で、音を立てずに少し離れる
固く目を閉じるペトラの様子を楽しそうに見ると、フッと少女は姿を消した

チリン、と鈴の音がして、目を開けばそこに少女の姿はもういない
代わりに、一匹の猫がいるのが見えるだろう
656 :ペトラ :2011/07/21(木) 00:58:57.89 ID:30ZhFboko
>>655

目を閉じたらそれはそれで、何も見えず、怖い。思わずごくりと唾を飲み込んだ
それでも言われるままに目を閉じて――頬を撫でられるとびくっ、肩が跳ねたが

「……あ、れ?」

軈て鳴る鈴の音に、おやなんだろうかと思わず目を開いてしまう
すると目の前に、少女は居らず、代わりに...一匹の猫が、其処にいた

「ゆかり、さん...?」

思わず彼女の名前を呼びかけながら、きょろきょろと辺りを見回して
もしかして、帰ってしまったのだろうか...否、あるいは...。
視線は猫へと、観察する様な不思議そうな、鳶色の瞳を向ける
657 : :2011/07/21(木) 01:05:17.73 ID:Ct29wf1DO
>>656
「にゃー」
その猫は、慌てた様子のペトラを観察するようだったが、話し掛けられると一度だけ無く
その鳴き声が否定か肯定かは解らないが、チリンと鈴を鳴らして立てた尻尾を揺らす

夜なせいで目を懲らさなければよく見えないがその猫は紫とピンクの縞模様をしていて、明らかに普通には有り得ない色をしているのが見て取れる
それを見て何かを思い付いても、それをする前に猫は何処かへ言ってしまうだろう
658 :ペトラ :2011/07/21(木) 01:14:51.17 ID:sJNdivJpo
>>657

「もしかして...」

反応する様にして、猫の鳴き声。今度は疑惑を口に出してみる
尻尾をゆらゆらと揺らす猫をじっと見てみると、紫とピンクの縞模様という変わった姿
だんだんと、確信に近づいていき、少年は猫に近づこうと――

「...っ」

併し猫は、直ぐにその場から去っていってしまった
追う事も出来ず少年はその場で、今日この日の変わった出来事を思い起こしながら、猫を見送るのだった

/絡みありおつでした!...かね?
659 :夜行集団 :2011/07/21(木) 22:34:24.47 ID:Qmn7NHPG0
街より、どちらかというと山に近い地域にある公園。
人の入りがが時間帯ということを除いても少ないそこの、
ブランコに仲良く隣り合って座っている姉妹がいた。

「・・・。」
『・・・。』

片方は、薄めの水色の生地で作られたワンピース、もう片方はピンク地のTシャツに黒のジーンズ姿だ。
二人は心の整理がつかず、ここに二人きりでなにるすわけでもなく、
ただ座りつくしていた。
660 :黒龍&白龍 :2011/07/21(木) 22:37:16.37 ID:iC5Me93DO
>>659
忘れていた呪いと言い付け、それが今になって現れるとは、思いもしなかった。
黒の目は青み掛かり、白の目は赤みがかっている。
息もお互いに荒いような、そんな感じがする。

「・・・・・・」
『・・・・・・』

二人は公園のブランコの前で立ち止まり、無言で二人を見つめた。

/次レス遅くなります・・・
661 :穂産姉妹 :2011/07/21(木) 22:43:10.17 ID:Qmn7NHPG0
>>660
下を見てたそがれていた二人は、
目の前に影が落とされたことに気づきふらりとゆっくりと顔を上げる。

「あ・・・こんにちは・・・です」
『どうした・・・二人とも
 そんな浮かない顔なんてして・・・』

その目の前の相手たちが見知った顔だと知り、
目が少しふわっと和らいだものになって、彼らに二人とも力なく微笑んだ。

/あい分かりました
662 :黒龍&白龍 :2011/07/21(木) 22:54:46.14 ID:iC5Me93DO
>>661
『・・・ちはです。』
「・・・っす。」

掠れている声、それは消えかかりそうな物だった。
うっすらとした瞳には活気がない。

「・・・二人に、お願いがある・・・・・・。」
『聞いて・・・くださいますか?』
663 :穂産姉妹 :2011/07/21(木) 23:01:49.88 ID:Qmn7NHPG0
>>662
うつろな二人、そんな二人が突然口に出した願い。
なにかと穂産姉妹は少しその身を乗り出し、
下から見上げるようにその寝ぼけ眼の視線と大きく丸い目視線を向けた。

『聞いてあげよう・・・僕が叶えられるものなら・・・
「最後になんでも叶えてあげますよ」
664 :黒龍&白龍 :2011/07/21(木) 23:07:44.12 ID:iC5Me93DO
>>663
『ありがとうございます・・・・・・』

「すまない・・・・・・。」

力無き笑顔で、お礼をする。

「・・・俺達を殺してくれ。」
『・・・・・・ぐっ!』

急に白龍が胸を抑えだした。と同時に、目の色に更に赤みが増す。
665 :穂産姉妹 :2011/07/21(木) 23:14:47.62 ID:Qmn7NHPG0
>>664
黒龍の口から聞こえてきたその言葉は、
ふざけたような態度こそは感じないが、やはり冗談のように聞こえた。
穂産姉妹も、両方とも虚言のようなそれに眉間にしわを寄せる。

『一体・・・』
「それはどういう・・・」

そう言い出そうとしたときに、変化は起きる。
白龍が苦しみだしたことに目をかっと見開いて驚き、
ブランコからすばやく立ち上がって二人とも彼女の両肩をつかんだ。

「どうしました!?」

声を先にあげたのは日子神だった。
666 :黒龍&白龍 :2011/07/21(木) 23:22:22.02 ID:iC5Me93DO
>>665
『くはぁっ・・・・・・』
「こう言うことだ・・・・・・。」
黒龍は二人の額に手を当てて、過去の出来事を伝えた。
神の宣告、それを無視したが為に、このようなことになったのだ。

「本当に悪いと思っている・・・。だが、時期に意識は無くなる。
その前に、手を打って欲しい・・・・・・」

『露希っ・・・あああ・・・』

黒龍も白龍も、必死に辛さを抑えて、頼んでるのだ。
667 :穂産姉妹 :2011/07/21(木) 23:31:42.30 ID:Qmn7NHPG0
>>666
なにかしたいのか手を差し出したので二人とも顔を突き出した。
そして、その後額に当てられた手から彼らの体温とともに流れ込んでくるのは、
彼らの犯した罪、罪状。
そして二人は記憶の回想が終了した後、ぱっと眼を開けた。

「・・・あなた達にも」
『そんな罪があったんだ・・・』

目に入ったのはその罪に対する、神が与えし罰。
この二龍は、自分達の負う罰を、だれにも被害をあたえることなく完遂したいのだろう、
理解した穂産姉妹は、覚悟を決めたようにふうと口から短くため息をつく。

『了解した・・・』
「できるだけ苦しむことなく、一度でしてあげます」

二人は公園の地面を隆起させ、自分達の手に持てるサイズの太い杭を作り出した。
そして歯を強く食いしばりながら、彼らの心臓めがけその土の杭を振りかぶる。
668 :二組の兄妹 :2011/07/21(木) 23:43:07.42 ID:iC5Me93DO
>>667
覚悟を決めて、そうっと眼を閉じた。
死を目の前に、彼らは微笑んでいた。

しかし・・・家族とは通じ合う物なのか。
それだけ、大切なのか?
解らないが、なにかが起きた。

白龍への攻撃は破壊され、黒龍は誰かに押され、攻撃を免れた。

それは・・・彼らの持ち主だった。

露希「アネさん達、何してるの!?」

零「黒龍、これは一体・・・?」

流石の零でも、こんなことは聞いていない。
669 :穂産姉妹 :2011/07/21(木) 23:50:50.49 ID:Qmn7NHPG0
>>668
「さようなら」

日子神の振りかぶったそれは、白龍へと届く前に粉々に砕かれ、
彼女はその際に受けた小さな手の傷を見て、その露希を見た。
雨子神の振りかぶったそれは、虚しくも空をきりさき、
彼女は勢いあまって下がった顔をゆっくりと持ち上げ、零を見た。

『なに・・・?』
「それは、そこの二人に聞いてもらいたいですね」

突然彼らが飛び出して自分の攻撃を妨害されたというのに、
さして驚くような雰囲気もなく、その目に浮かんでいるのは、冷ややかなものであった。
670 :黒龍&白龍 :2011/07/21(木) 23:58:28.46 ID:iC5Me93DO
>>669
零「黒龍・・・詳しく教えて。」
露希「・・・どうして?」

時間が刻々と進む。
酷く心配した露希達は、無理矢理白龍達を家へと送った。

酷く、辛そうに、龍達は雨子神、日子神を見つめていた。

//すいません、早いですが、ここで〆ます。
絡みありがとうございました!
671 :穂産姉妹 :2011/07/22(金) 00:04:55.07 ID:Yb8uT55a0
>>670
『物事には・・・』
「どうしようもないものもあるんです」

去っていく彼らを、当てのない途方にくれたように微笑んで見送る。
公園には静かに風が通り抜けていくが、
この中でだれも、それを爽やかなものと受け取れるものはいないだろう。

「じゃあ、そろそろ行こうか、雨子神」
『・・・そうだね・・・日子神』

この姉妹意外誰もいない公園でしばらく立ち尽くした後、
二人はゆっくりと歩き始めて、この場を、夜行集団を去っていった。

/分かりました、こちらこそ絡みありがとうございました!!
672 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 21:39:57.91 ID:DT7A/LTDO
「んふぅっ♪」

爽○美茶片手に、山の散歩をする少年。
軽くピクニック気分になりながら鼻歌を歌っている。
川岸まで来るとちょこんと座って川を見はじめた。
673 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 21:44:27.06 ID:kGR/3FdLo
>>672
見える人には見える、見えない人には見えない、そんな小動物が居た。
脛のことしか考えていない、すねこすりである。
この暑い季節に、ふかふかの毛皮は暑苦しくないのだろうか。
しかし尻尾の毛にたっぷり空気を含ませて、当のすねこすりは涼しい顔をしている。

(脛、すね来ないか、脛)

すねこすりは二本足が歩いてくるのを、山道で見た。
夷磨璃の後を付いてゆくすねこすりは、しかし、川岸で座り込んでお茶を飲む彼に
しばし興味を失うと辺りを見回した。

耳がぴこぴこと辺りを探るように動いている。

(脛?)
674 : :2011/07/22(金) 21:49:55.70 ID:o6WPay3AO
>>672
「双転瞳斬!星霊瞳牙!」

山道に響く声、どうやら修行中のようだ。

「ふぅ…少し休むか…」

顔を洗いに川岸まで来たところ、夷磨璃に気づく

「おっ、夷磨璃じゃないか。」

675 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 21:55:01.00 ID:DT7A/LTDO
>>673
「あれ?」

なんかもふもふがある!
夷磨璃は立ち上がり、すねこすりに近づいた。

夷磨璃のすべすべな脛がすねこすりの前にあるだろう。

>>674
「ししょー、これ何?」

もふもふを指差す少年は、まさしく子供。
興味ありありな夷磨璃は、すねこすりを抱こうとする
676 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 21:59:54.06 ID:kGR/3FdLo
>>674-675

(脛!)

新たな歩く二本足が現れた!すねこすりのテンションが上がった!
しかし歩く二本足は、歩かない二本足の傍に来て立ち止まってしまう。
一瞬立ち上がってまた緩んだ耳と、一瞬膨らんで持ち上がりかけた尻尾がへたり
と垂れてしまったところに、すねこすりのテンションが駄々下がりになったのが見て取れる。

(脛、歩かない、脛)

そしてひんやりした川の水に惹かれて、すねこすりも水辺に下りて水を飲み始めた。
桃色の舌先が水をぴちゃぴちゃと跳ね返し、長い髭先に雫がぶら下がる。
そこへ、座っていた二本足が歩き出して近寄る。

(脛!!!)

濡れた髭を夷磨璃の脛へ擦りつけようとしたすねこすりは、夷磨璃の手が伸びてくるのに
気づかなかった。

「ちぃ?」

抱き上げられて戸惑うように鳴くすねこすり。
濡れた前足がたらりとぶら下がり、もふもふの尻尾はぱたりと揺れた。
677 : :2011/07/22(金) 22:08:56.54 ID:o6WPay3AO
>>675
「うーん…恐らく、何かの妖怪かな?まぁ、危険性は無さそうだな…」

すねこすりをまじまじと観察する。
妖怪であることは、なんとなくわかったが、正体についてはわからないようだ。

>>676
「あなたは、何なんだ?
って、話すわけないか…」

もしかしたら、と思い、話しかけてみる。
678 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 22:14:30.26 ID:kGR/3FdLo
>>677-678
夷磨璃にわきの下で持って支えられ、ぶらーんとぶら下げられているすねこすりは
しばらく抜け出そうとじたばた暴れてみた。
しかし、無駄であった。
思いっきり指股の広げられた後足は、ぷにぷにした肉球を見せながら空を掻くばかりである。

瞳の顔がまじまじと覗きこんで、話しかけられても、すねこすりの頭はイヤイヤをするように
大きく左右に触れるばかり。

「きーっ、きゅいーっ!」

瞳に向けてぱっくり開いたピンクの口内から、抗うような鳴き声があがる。
その牙は鋭いものの、とても小さい。
捕まれてしまっては神出鬼没の技もつかえないのだ。
679 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 22:16:50.71 ID:DT7A/LTDO
>>676-677
「ししょー、これ暖かい・・・・・・/////
君はなんて言う名前?僕は夷磨璃だよ。」

優しく声を掛け、顔にもふもふする。
すねこすりが可愛いのか、夷磨璃は中々離さなそうだ
680 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 22:18:19.98 ID:kGR/3FdLo
>>679
顔をこすりつけられ、くねくねと身をゆすっている。
しかし、離してはもらえないようだ。
681 : :2011/07/22(金) 22:21:45.97 ID:o6WPay3AO
>>679,>>680
「うーん…やっぱり、話すことはできないみたいだな。
ところで夷磨璃、離してやった方がいいんじゃないか?」

すねこすりの様子を見て、そう判断した。
682 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 22:25:25.92 ID:DT7A/LTDO
>>680-681
「え・・・ああっ!ごめんねっ、もふもふくん!!」

気づけばじたばたしてた為、そっと離してやる。
今まで見たことない物をじいっと見つめ、今度は撫でようとした。

「ししょーも撫でようよ。」
683 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 22:31:24.99 ID:kGR/3FdLo
>>681-682
すねこすりにとって、人に抱き上げられている時と地に足が着いているときは別世界である。
なにしろ、脛の代わりに顔のある世界と、脛のある世界とを行き来するようなものなのだ。

(脛!)

離してもらったすねこすりはようやく、念願の脛のある世界へと戻ってきた。
しかしすねこすりの目の前のその脛の持ち主は、さっきまですねこすりを別世界に拉致していた生き物である。
再び夷磨璃の手がのびてくると、すねこすりはちょっぴり警戒した。
耳がぴたりと首の後ろに伏せられて、背中の毛が逆立つ。

「ふしぃーっ!」

夷磨璃に対し、あまり友好的ではない音が、すねこすりの引いた口元から響いた。
ちっぽけな牙も先を覗かせている。
684 : :2011/07/22(金) 22:36:41.92 ID:o6WPay3AO
>>682,>>683
「そうだな。じゃあ、私も…
って、夷磨璃…あなた、この仔を怒らせちゃったんじゃないか?」

すねこすりの様子を見て、恐る恐る言う。
685 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 22:41:49.47 ID:DT7A/LTDO
>>683-684
「ふぇっ・・・。」

びくりと驚き、後ろに後ずさりする。

「え・・・怒っちゃった・・・かな?ごめん、なさいっ!」

言葉は通じるかどうかは解らないが・・・夷磨璃の脛は(ry

擦るなら今だ。
686 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 22:42:26.91 ID:kGR/3FdLo
>>684-685
少しづつ、じりじりと後じさりして夷磨璃から離れていたすねこすりは、
広がった視界の中にもう一つの脛を見た。
そうだった。すっかり忘れていたが、今ここに二本足は二組あるのだ。

(脛ーっ!!)

すねこすりが跳ねた。
狙いは、自分に手を伸ばしてこないほうの脛の持ち主、瞳である。
短い足を精一杯伸ばし、瞳の足の間を毛皮をなびかせながら通り過ぎようとする。
しかし相手は瞳なのだ。
687 : :2011/07/22(金) 22:46:58.46 ID:o6WPay3AO
>>685,>>686
「おっと、せっかく夷磨璃が謝っているんだ。聞いてあげなきゃ駄目だよ。」

何を思ったのか、瞳は足元に来たすねこすりを抱き上げ、夷磨璃の方へ向けてしまう。
688 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 22:50:08.92 ID:DT7A/LTDO
>>686-687
「ししょー・・・捕まえちゃった・・・。」

流石師匠様、弟子の前ではカッコ良すぎます!!

夷磨璃は捕まったすねこすりを見て、もう一度謝った。
すねこすりは警戒を解いてくれるのか・・・?
689 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 22:51:28.06 ID:kGR/3FdLo
>>687-688
「ちきーっ!」

夷磨璃よりも素早い瞳の手に捕まって、再び脛のない世界を体験するすねこすり。
じたばたもふもふ暴れるものの、流石に2回目は暴れるだけ無駄なのが判ったのと
疲れたのとで、徐々に大人しくなってゆく。

「……ちぃ」

しばらくして瞳から夷磨璃へと手渡された時は、暑くなったのか
すねこすりはふぅふぅと小刻みに鼻息を立てるのみであった。
690 : :2011/07/22(金) 22:55:44.34 ID:o6WPay3AO
>>688,>>689
「あれ?もしかして、私も怒らせてしまったかな?
すまないな、いきなり抱き上げてしまって…大丈夫か?」

申し訳なさそうな表情をすねこすりに向ける。
691 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 23:00:17.61 ID:DT7A/LTDO
>>689-690
「はい、もふもふくん、地面だよ。」

手を出し、すねこすりを脛世界へと戻してやる。
夷磨璃はもう抱く気もない。
692 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 23:05:33.19 ID:kGR/3FdLo
>>690-691
瞳に謝罪されても、すねこすりは濡れたつぶらな目をぱちぱちさせ、鼻をひくひくとうごめかすだけである。
抵抗することなく夷磨璃の手の中のすねこすりから夷磨璃の掌にじんわりと伝わる
獣の高い体温と、ときときと打つ心臓の早い鼓動だけがその興奮を表していた。

解放されてすねこすりは、再び脛の目の前に戻ってきたのだが。

(……。)

脛をこするでも、走って逃げ出すでもなく、すねこすりはじっとそこにへたり込んでいる。
捕まったショックが大きかったのだろうか?
その妖気も小さくしぼんだようになっている。
693 : :2011/07/22(金) 23:09:27.54 ID:o6WPay3AO
>>691,>>692
「ああっ…なんだか、落ち込んでいるみたいだぞ!
すまなかった!本当にこの通りだ!」

申し訳ないと思い、すねこすりに深く頭を下げる。ちゃんと伝わっているかは気にしていないようだ。
694 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 23:13:42.92 ID:DT7A/LTDO
>>692-693
ししょーも謝るが、効果がなさそうに見える。
何を思ったか、夷磨璃は本来の姿へと変化する。

青い炎となった夷磨璃はすねこすりの前をふよふよ飛んでいる。
695 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 23:15:35.38 ID:kGR/3FdLo
>>693-694
頭を下げた瞳の髪の毛がさらさらと揺れる。
その様子に気をとられたのか、すねこすりがちょん、と後足で立ち上がった。
すんすん、と首を伸ばして、ゆれる瞳の髪の匂いを嗅ぐと、ちょこまかと辺りを歩き始めた。
しぼんでいた妖気も、また盛り返してきたようである。

謝罪の気持ちが伝わったのだろうか?

そして炎になった夷磨璃のところにも近よってきて、びくびくしながらもまた後足で立って伸び上がると
すねこすりは匂いをかぐようにその鼻先を伸ばして寄越した。
長い髭が夷磨璃のほうへその先端を向けて、もぞもぞと揺れている。

……好奇心?
696 : :2011/07/22(金) 23:20:09.01 ID:o6WPay3AO
>>694
「おお、夷磨璃の本来の姿か…そういえば、初めて見るな。」

興味深そうに夷磨璃の方を見る。


>>695
「伝わったのか?
何はともあれ、元気になってきて良かったよ。」

安心し、ホッとため息をつく。
697 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 23:26:51.13 ID:DT7A/LTDO
>>695-696
青い炎は無言ですねこすりの回りを廻ると、人間へと化けた。

「はぁはぁ、やっぱりこの体は疲れるよぅ。
君、よろしくね。」

すねこすりに手を差し延べる。握手・・・?
698 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 23:35:04.11 ID:kGR/3FdLo
>>696-697
瞳の言葉に首を傾げると、すねこすりはぶるぶるっと身体を振るった。
空気を含んで毛皮がふっかりと膨らむ。

そしてしっぽをちょいちょいと揺らし、青い炎を追いかけてみる。
さっきまでそこにあった脛がどうして消えたのか、すねこすりには判らない。
かわりにこの青い炎から、脛と同じ妖気、同じ気配がするのだ。

ぐるりと青い炎に釣られてその場で一周したすねこすりの前に、再び夷磨璃の脛が現れる。

(脛!)

さっきまでの脛と今ある脛との関係は、すねこすりにはわからない。
新しく脛が現れたのなら擦りたいのだ。しかし……。

また、手が差し伸べられてきた。

また捕まるのだろうか?その割にはゆっくりと伸びてくるし、相手の気配もさっきとは違う。
どうすればいいのだろうと戸惑ったすねこすりは、夷磨璃の手に片方の前足ではしっと一瞬タッチした。
すねこすり的には撃退のつもりだが、そのパンチは軽いので握手のようにも思える。
699 : :2011/07/22(金) 23:37:56.35 ID:o6WPay3AO
>>697,>>698
「無事、仲良くなれたな。良かった良かった。」

そう思い、笑顔になる。
瞳には、そう見えたようだ。
700 :夷磨璃 :2011/07/22(金) 23:45:10.06 ID:DT7A/LTDO
>>698-699
ぱあっと少年が明るくなり、瞳を見る。

「ししょー!友達になれたよ!!」

嬉しい夷磨璃は、すねこすりに名前を付けようと思った。

「ししょー、このこに名前付けたいのですがっ、何がいいかな?」
701 :すねこすり [saga]:2011/07/22(金) 23:52:53.68 ID:kGR/3FdLo
>>699-700
瞳と夷磨璃がすねこすりに何か名前を思いつくその前に。

夷磨璃の手にタッチし、飛びのいたすねこすりはその場からフッとかき消えた。
すねこすりとしては撃退したつもりなのに、相手にちっとも堪えた様子がないのだ。
それなら逃げ出すしかない。
脛に未練はあるけれど、つくづく、今日であった脛は危険な脛であった。

そして少し離れた山道にその小さな姿が現れる。
すねこすりは何時もよりずっと働いた小さな心臓を休ませるため、ねぐらの茂みの蔭へと滑り込んで消えていく。
そしてまた何時か脛を擦れる機会を夢見るのだろう。

(脛ェ……)
702 : :2011/07/22(金) 23:57:57.08 ID:o6WPay3AO
>>700
「名前か…うーん…名前…」

何かいい名前がないか考え始める。


>>701
「あれ?」

そんなことを考えているうちにすねこすりは、消えていた。

「行っちゃったのか?気まぐれな奴だな。だけど、また会えるといいな。」
703 :夷磨璃 :2011/07/23(土) 00:04:35.25 ID:Y24Bw7qDO
>>701-702
「あっ、もふりんっ!」

もふりん、夷磨璃の付けた名前だった。
寂しそうだったが、瞳に励まされ、また会おうと誓う。

「また・・・会いたいな。もふりん・・・。」

友達、また夷磨璃には出来た。淋しさと嬉しさの入り混じる中、瞳に別れを告げて去って行った。

//ここで〆ですかね?
絡み乙&ありがとうございました!
704 : :2011/07/23(土) 00:08:42.15 ID:EdyalegAO
>>703
「きっとまた会えるさ。」

そう信じることにする。すねこすりにとっては、たまったものではないかもしれないが…

「ああ、それじゃあな。」

瞳も別れを告げ、去って行った。
705 :ペトラ :2011/07/23(土) 23:05:42.74 ID:5493Z4h7o

夜、涼し気な風が木の葉をたなびかせる、平穏無事な公園にて

「あー・・・どうしよう...」

一人の少年だけが例外、困った様に、小さく溜息を吐いて...暗澹たる気持ちを抱えていた
此処は木の上、幹にもたれ掛かり、枝に腰掛けて。――少年はどうやって降りようかと、思案に暮れていた
登るのは楽々だったものの、景色を堪能したのち、いざ降りようと下を見た時...それが無理だと、確信してしまった
怖い。怖過ぎる。...憂鬱な気持ちを抱えつつ、されど解決方法も思い付かず

「...誰かー・・・」

ぽつり、と、助けを呼んでみるのだった。人間に見つかったら、マズい。そう思いつつも、背に腹は代えられない
小学生程度の容貌に、癖っけのある灰色の髪、鳶色の瞳。所々汚れたつなぎで、靴は履いていない。それが少年の格好だった
明らかに常軌を逸していた。一体人間に見つかったらどうなるのだろうかと考えると、背筋が寒くなった
――因に妖気はだだもれ。単に抑え方を知らないだけであったが、今回だけはそれが幸いする...かも分からない
706 :織理陽狐 [sage]:2011/07/23(土) 23:22:38.96 ID:8yvZVNJVo
>>705
初夏を感じさせる涼夜の空に、ぽっかりと月が昇っている。
しんと静かな公園に一人、木の上から降りられなくなった少年が頭を抱えていた。
存在を示すように妖気が溢れているが、辺りに人の気配はない。
だが、少年が「誰か」と、助けを求めた途端だった。

「呼んだかの?」

がさり! と、少年の頭上から葉の擦れる音がした。
顔を上げてみれば、枝に木下駄で片足立ちする、若い金髪の男の姿があるだろう。

「童、怪我はないか」

着物をはおり、どこか現実味のない、仙人のような雰囲気をもった男が、少年に微笑みかける。
しかし突然現れて、まるで事前にスタンバイしていたかのような登場だった。
707 :夜行集団 :2011/07/23(土) 23:27:49.82 ID:rs6x93c+0
そんな少年が危機的状況にある公園の空間が、
突如、というより前触れなくやってきたとある少女によって、
言いようもないようなひたすらに感情が安らぐような、そんな幸福感に満たされた。

「〜♪」

明るい橙の着物を着て、頭に髪飾りをつけて鼻歌を歌っている少女は、
ペトラの困難も知らずに彼のいる木へと歩いていく。
しかしそうしていると彼の声を聞き、う?と小さく声を上げて、
こくっと顔を上げると、ようやくペトラのいることを知った。

「こんにちは〜、なぜあなたはそんなに悲しい顔をしているの?」

可愛らしげな声をその小さな口から出しながら、彼が一切動かない理由を聞く。

>>706
見上げる彼女の視界の中にさらにもうひとつ、金髪のふんわりとした印象の男が追加された。
ばさっ、とあまりにも突然に音を立てて現れるものだから、
少しその丸く大きな目がさらに少し大きく開く。

「あ、狐さんだ〜。こんにちは〜」

しかしそれが誰かと分かったとき、彼女はぱたぱたと片手を上に上げて、
そのままふりながら久しぶりの再開を喜ぶかのように嬉しそうに挨拶をした。
708 :ペトラ :2011/07/23(土) 23:43:42.48 ID:5493Z4h7o
>>706

「...へ?」

もしかしたら、このまま一晩過ごすのだろうか...泣きたくなるような気持ちを抱いていた少年が聞くは
待ちに待った人の声。ただし聞こえてきたのは――頭上?

「.......な、無い、です...」

見上げてみれば其処には、片足で枝に立って...器用な金髪の、男の姿が在った
一瞬唖然としつつも、浮かべられた微笑みに安堵を覚え、震える声で答え微笑を浮かべながら...こくり、首を縦に

>>707
すると今度は下から聞こえてきた、何処か聞き覚えのある声
見れば其処には、やはり見覚えのある、少女の姿が在った

「...あ、お姉ちゃん! ...そ、その......木から、降りれなくて」

その姿に今度こそ完全に安心し、ほっと息を付きながら
――やはり妖怪が木から降りれないだなんて、恥ずかしいのだろう
ぼそぼそと小さな声で、今の自分の状況を少女に向って告白した
709 :織理陽狐 [sage]:2011/07/23(土) 23:51:53.91 ID:8yvZVNJVo
>>707
にべも無いように思えた公園が、唐突に暖かな幸福感に包まれた。
覚えのあるその感覚に、織理陽狐は迷わず目下に視線をやった。

「おお、やはりお主か、久しぶりじゃのう!」

ふわりと花のように笑う少女を見て、袖を持ち上げる。

>>708
「そうか」

織理陽狐は安堵の表情と共に頷くと、ぼんやり灯る提灯をどこからか取り出した。
提灯の中で揺れる炎は、光の粉となり外へ。
そしてそれらは、少年のいる木の幹から地面へと繋がる、ゆるやかな足場を作り出した。

「これで降りられるな?」

にかり、と織理陽狐が笑う。
710 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 00:00:45.88 ID:IStedmVI0
>>708
彼が感じた声、その見た目の雰囲気は確かに、
何度も会ってそして一緒に楽しい時間を過ごした、日子神のものだったのだろう。
しかし、目の前にいるのは彼女ではない。

「降りれない?
 あ、それで怖くて悲しくなってたんだね」

彼女は、異質ながらも屈強な妖怪の集団、夜行集団の頭領、桔梗姫だ。
穂産姉妹が神格を剥奪されたためにその存在の安定が取れなくなったとき、
自身の力を存在の主軸とすることによって彼女達を救った彼女から、
彼が姉と仰ぐ者と同じ雰囲気、妖気を感じるのも無理はない話だ。

>>709
「お昼寝してたの?」

彼女の身長では見上げるのもしんどいのかもしれないが、
そんなことは気にしていないのか笑顔のままで、木に登る彼に言った。

「わあ、ありがとう!
 この子ちょうど降りれなくて困ってたの!」

織理陽孤がペトラの為に力を使い足場を作ったことに、
彼とは初対面であるというのにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねて、
手を胸の前で叩きながら喜んでいる。
711 :ペトラ :2011/07/24(日) 00:08:45.39 ID:tb2a1i/io
>>709
どうやらこの青年と、木の下に居る少女は、顔見知りのようだった
その様子を、ぼうっとしたまま、見ていながらも
実際、自分はどうやって降りればいいんだろう...誰かに見つかったからと言って、助かる保証は無い
そんなネガティブな思考に、行き着いていたときだった

「うわあ...」

少年は思わず感嘆の声をあげながら、その光景を見ていた
顕われた足場を、おそるおそる辿りながら..........。

「お兄さん、ありがとっ!」

少年は、再び地面を踏みしめる事が出来た
振り返ると真っ先に、木の上にいる青年に向い満面の笑みを湛えながら...お礼を言った

>>710

「うん......でももう、平気さ!」

少年はその勘違いに、全く気付いていなかった
青年へとお礼を言うと、再び身体をくるりと回転、少女に向けて無邪気な笑みを見せ
先程の緊張から一転、気が抜けてしまったのだろう。とてとてと少年は駆け、少女に抱きつこうとした
――これも相手が、すっかり見知った相手だろうと、それならば怒ったりはしないだろうと...判断してのことだった

/素で間違えてました...申し訳ない
712 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 00:15:31.06 ID:Qgtd5rGso
>>710-711
「ははは、バレたか?」

織理陽狐は頭を掻きながら、あっけらかんと笑った。
よく見てみれば、ぐしゃぐしゃの金髪のあちこちに、木くずや葉が引っかかっている。
少年が足場を降り切るのを見届け、

「次は降りれる木に登るんじゃぞ」

そう言ってほほ笑む。
その場で軽く跳ぶと、そのままふわりと地面に降り立った。下駄の音はない。

「こんな夜に散歩かの?」

二人に近寄り、桔梗姫の頭を撫でながら尋ねる。
713 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 00:21:14.40 ID:IStedmVI0
>>711
振り向く彼の顔にあるのは笑顔、それで満足したのかこちらもにっこりと、
口角をやんわりあげて微笑んだ桔梗姫。

「そっか、良かった!」

そしてその笑顔のまま、
ペトラが抱きつこうとしたのでこちらもまだ短い両手をすっと広げ、
がばっとお互いに両手を相手の体にまとわせるという、とても熱い抱擁をした。

「あなたは外国人なんだね〜」

この光景を見たのなら、虚冥はこの小さな小さな年端もいかないペトラに対しても、
阿修羅のような憤怒を爆発させたのだろうが、
そういう行為に恥じらいのない桔梗姫は、まったく気にしていない。

ちなみに外国人というのは虚冥が、
―そういうのは外国人しかしないものだから、日本人の桔梗ちゃんは俺以外の人とは、
 絶対しちゃだめだっていう―
とかっちり禁止していたためのものだ。

>>712
「うん!!虚冥と一緒にいたんだけど、
 虚冥がおまわりさんとお話してるときにはぐれちゃった。」

へへへと照れたように頭をさする仕草をしながら、
ぺろっと舌を出した。

「あなたもお散歩?
 それともお仕事?」
714 :ペトラ :2011/07/24(日) 00:28:45.08 ID:tb2a1i/io
>>712-713

「うん、そーする......お兄さん、名前はなんていうの?」

もう一度振り返って――くるくるくるくる、目が回りそうだ
苦い思いでを彼方に、明るい笑みを浮かべつつ了承した。本当に、聞いているのだろうか?
それにしても...目の前のこの、神秘的(だと勝手にペトラは思っている)な青年に興味は絶えない
なんだかお話ししてくれそうな、そんな優しい雰囲気を感じ取って、名前を聞いてみた

>>713
少女の身体の感覚を感じながら、じんわりとこの平穏を噛み締める
木なんて、もう登るもんか――……そんな思いを抱きつつ、気持ち良さに眼を細め......かけていた

「......え?」

外国人、という、言葉
余りにも突拍子無く少年は、思わずそのままの体勢で、聞き返してしまった
何でいきなり、そんな事を言うんだろう......正体の分からない悪寒が、少年の脳裏に過った気がした
715 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 00:39:34.58 ID:Qgtd5rGso
>>713
「こんな夜遅くに、子供一人は些か心配じゃのう」
(まあ……この童なら大丈夫かもしれんが)

口中に言葉を残しつつ、桔梗姫の頭をくしゃりと掻く。
この場面も、彼に見つかれば憤怒かもしれない。

「今仕事が終わったところじゃのー」

少年の「願い」を一つ叶えたこと。「願い」を叶えるのが彼の仕事だ。
逆に言えばどこかに「願い」さえある限り、織理陽狐はずっと仕事中ともいえるだろう。

>>714
「儂は織理陽狐。願いを叶える狐じゃよ」

神秘的という表現は的を得ているだろう。
一見すれば青年だが、見る度に少年にも老人にも、全く別の何かにも見える。
くるくる回るペトラを微笑ましそうに見つめる瞳も、透き通るような金色に輝いていた。

思えば、紫狂の親玉であった窮奇を倒してから、彼の形容しがたい何かが強まったようにも感じた。
716 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 00:48:27.65 ID:IStedmVI0
>>714
「子供が抱きしめてもいいのは、外国の人だけなの」

するっとペトラから体を離して会話ができるまでの距離をとってから、
まるで先生が生徒に教え込むように、自分の間違った知識を教えた。
その自信満々にきらきらと輝く目には、なぜか説得力がある。

「だからあなたは、外国人、だよね?」

首をこくんと横にかしげて、まとめるように質問をした。
彼が感じた悪寒の正体は、もしかしたら虚冥の、
理解しがたいというか理解できない桔梗姫への愛情なのかも知れない。

>>715
織理陽孤が自身の頭を撫でる手に、気持ちよさそうに表情がさらにゆるゆるになる。
たいした力も作為もないのにさまざまな形に変えさせられるほど、
やわらかく桔梗の花の香りをする髪をなびかせながら、桔梗姫は小さな親指をぐっと上げた。

「じゃあ、お疲れ様!!だね」

そのポーズはよく夜行の仲間がするのを真似したもので、
ねぎらいをしているつもりなのだろう。

「そういえば、桔梗のお友達のアネさんアニさんがね、どっか行っちゃんたんだよ。
 どこにいるか見たことない?狐さん」

最近の彼女の日課は、道行く人にこの質問を繰り返すことだ。
717 :ペトラ :2011/07/24(日) 01:00:55.41 ID:tb2a1i/io
>>715

「織理陽狐、さん。僕はペトラって言うんだ...よろしくね」

名前を聞くと、神秘的、という彼に抱いていたイメージが増した。うん、やっぱり不思議な感じ。
併し、返事を聞くのは、少女に抱きつきながらという状態になってしまった
何とも礼を失した振る舞いだが、少年は気にせず気分良さげに自己紹介を返して――
一体許してもらえるのだろうか、怒られても仕方が無いかも、しれない

>>716

「......そう、なの?」

身体を離し、見慣れている――筈――の、少女を見る。その知識は、始めて聞くものだった
抱きつかれた事もあったし、さっき見たくこちらから抱きついた事もあったけれど...嫌な顔はされていなかった、と、思う
きらきらと輝く目を見ていると、やっぱりやめておいた方がよかったのかなあ...という、気がしてきた

「ううん、違うよ...。...―――」

でも、外国人ではない。其れは確かな筈だ
首を左右に振って、その意志を表しながら――おかしい、と、思っていた。何故いまさら、そんな事を聞くのだろうか
その答えを予想した瞬間――さっと少年の、血の気が引いた

「もしかして...お姉さん、今まで僕と会った事、あった?」

どことなく、雰囲気が違う気はしていた
何とも微細な事に感じられたので、気の所為だと処理していたのだが...その声はやや、緊張を孕み
718 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 01:06:58.61 ID:Qgtd5rGso
>>716
桔梗姫なりのねぎらいの言葉に、織理陽狐は嬉しそうに頬を緩めた。
言葉はどんな形でも、気持ちが伝わりさえすればいいのだ。

アニさんとアネさん――穂産姉妹の行方を尋ねられるが、それを彼が知る由もない。
嬉しそうだった顔を、眉を下げて悲しそうにする。

「儂は見ていないのう……。
 じゃが、導くのは送り妖怪の得意技じゃ」

その狐火を見るものは、永遠に惑い続ける。また、欲するものの場所へ導かれる。
にっと口角を上げ、織理陽狐は送り提灯を取り出した。

「さあ桔梗、お主の願いを聞かせてくれ」

>>717
「よろしくのう、ペトラ」

怒ることもなく、織理陽狐は二人の様子を微笑ましそうに見ている。
あまり、そういうことにこだわらない人物なのかもしれない。

「そういえば、お主はなぜ木に登っておったんじゃ?」

先程まで足場があった木に一度視線をうつし、不思議そうにたずねる。
719 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 01:14:30.43 ID:IStedmVI0
>>717
「ないよ」

彼の緊迫など露知らずばっさりと、
悪意のない笑顔を彼に向けながら桔梗姫は首を横にふるふるとふって、言い切った。

>>718
「そう・・・見てないの」

織理陽孤の返答に桔梗姫は悲しむ様子は見えなかったが、
すうっと今まで彼に向いていて視線が、自然と下へさがり地面を見つめていた。

「本当?」

いくら姫が理屈もなにもかもを無視して叶えさせる、
不条理なまでの幸運を持っていても、自分の願いは叶えることができない。
だから、この織理陽孤の提案には素直に、喜んで笑顔になった。

「じゃあ、お願い言うね。
 桔梗をアネさんアニさんの元に連れて行って」

そして覚悟したような顔つきになり、向き直って息を小さく吸い込み、
願いを願った。
720 :ペトラ :2011/07/24(日) 01:22:55.68 ID:tb2a1i/io
>>718
幸い、この青年は気にしてもいない様だった
自分の振る舞いに気付いていない少年は、その事に特別な思いを抱く事は無いが...

「えっとね...月、もっとよく見えるかなー・・って」

少しだけ気恥ずかしそうに髪を掻きながら、少女から少し離れて少年は、ずばり月を指差して言った
――結局、あまり変わらなかったけれど、景色はきれいだったのでその点は、よしとした

>>719

「...えっ......」

(嫌な)予感は、的中してしまった
見る見るうちに、少年の顔が赤く――真っ赤になっていく
初対面の人に、いきなり抱きつくだなんて...穴があったら入りたい、そんな気持ち

>>718-719

「そ、それじゃあ、僕はこれでっ!」

一刻も早くこの場から立ち去りたい、そんな気持ちが少年を支配していた
顔を真っ赤にしたまま、少年にお辞儀を一回、少女を一瞥すると
だぶだぶの服に悪戦苦闘しながら――公園の外へと、駆けていった

/区切りも良さそうなので自分はこれで! ありがとうございました!
721 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 01:30:19.49 ID:Qgtd5rGso
>>719
桔梗姫の願いに呼応するように、送り提灯の中に火種が生まれ、それは大きく燃え上がった。
以前彼女の願いを聞いた時と同じく、暖かくそれでいて力強い「想いの灯」。

(相も変わらず、美しい焔じゃ。これもこの童の力か……)

誰も彼もを幸せにする力。
少しだけ羨ましそうに、織理陽狐は輝く炎を見つめる。
大きな灯は時間が経つにつれ、ゆるゆると小さくなっていった。
しかしその輝きは消えたわけではなく、濃縮されたという表現が適切だろう。

提灯に収まる大きさになった、桔梗姫の「想いの灯」は、そよ風に流されるようにある方向へ向いていた。
しかし、実際の風向きとは異なっている。
織理陽狐は送り提灯の長い柄を、彼女に持たせた。

「これがお主を導いてくれるじゃろう。だが、あまり一人で追ってはいかんぞ」

小さな手を覆うように握りながら、織理陽狐が言い聞かせる。

>>720
「なるほどのう。それは確かに魅了的じゃが……お?」

突然顔を真っ赤にして、ペトラが公園の外へ駆けていく。

「またのー」

織理陽狐はそれを不思議そうに眺めながらも、袖を振って見送った。
722 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 01:38:58.44 ID:IStedmVI0
>>720
いきなり顔を赤くし始めたペトラに不思議と思い、
うん?と目をぱちくりさせながら下から覗き込むように顔を寄せた。
しかしどうしたの、と聞く前に少年は駆け出してしまう。

「ばいば〜い、またね〜」

しかし気にはなるもののあまり引きずらずないのか、
去っていく少年の背中に、大きく手を振りながら別れを告げた。

/分かりました!こちらこそ絡みありがとうございました!!

>>721
自身の願いの結晶の焔、それはゆらゆらと彼女達がいるのであろう場所を示す。
場所はどこかは特定できていないが、その方面は分かった、
そして桔梗姫は先ほどから浮かべていた笑顔を顔からなくし、
珍しくも真顔で、そちらのほうをじっと見つめていた。

「ありがとう」

そしてしばらくたった後、ようやく言葉を発して織理陽孤の差し出した、
その提灯を手にとって優しく微笑み礼を言った。

だが、桔梗姫がそちらのほうへと歩き出そうとしたとき、
手に持ったその提灯は、途端にめらめらと、大きな火炎をあげて燃え始めた。

「アニさん!!アネさん!!」

熱さに持っていられずに手を離してしまった桔梗姫であったが、
その現象の意味を察したのか、炎を上げて燃え盛る提灯のほうに、
必死で手を伸ばして触れようとする。
723 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 01:46:57.52 ID:Qgtd5rGso
>>722
桔梗姫が落とした提灯が地面に転がる。
燃え上がり始めた炎に、織理陽狐も驚きを隠せずに目を見開いた。

「!? これは……」

目的のもの、場所に近付けば確かに炎は反応するが、この激しい反応は一体どういうことだ?
桔梗姫の想いの強さか、それとも――。

織理陽狐はすぐさま提灯を拾い上げると、三叉の尾を出現させた。
狐火が円を描くように広がり、暗い公園を照らし上げる。
同時に、織理陽狐はこの場における妖気を探った。
これらの動作を一瞬で行えるほど集中していたためか、その目つきはいつもとは違いとても鋭い。
724 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 01:57:22.63 ID:IStedmVI0
>>723
静まり返る公園。
その中にいるのは織理陽孤と、桔梗姫、なだけのはずであった。
しかしその提灯は燃え上がり、あやうくそれごとを燃やし尽くそうとした。
それが意味すること、それは

「もう、探さないでくださいといったじゃないですか、姫」
『僕達は・・・僕達の幸福の為に進む・・・だからあなたが止める意義はないはず・・・』

突如公園に、どこからか声が響きわたる。
桔梗姫はそれにいち早く反応し、あたりを見渡すが姿は見えず声が響くだけ。

「だってそれは!!」
「織理陽孤さん、余計なことをしないでください」
『これ以上余計なことをするなら・・・あなたには報復を・・・受けてもらう・・・』

桔梗姫の声を無視して、二人の声は織理陽孤に話しかける。
725 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 02:09:50.72 ID:Qgtd5rGso
>>724
燃え上がる狐火が、何かに反応するように揺らめいた。
表情を崩した織理陽狐は、ゆるやかに息を吐きながら顔を上げた。

「……やはり、お主らじゃったか」

どこからか響き渡る声の主に向けて呟く。
桔梗姫が悲しそうな声を上げ、辺りを見渡すが、その姿は認められない。

「余計なこと、といわれてもの。
 お主らがいなくなれば、この童が悲しむじゃろう」

織理陽狐は穏やかな口調で言うと、桔梗姫の頭に手を乗せた。
安心させるように、優しく撫でる。

「聞かせてくれぬか。お主らのいう「幸せ」とは何か」

全てが幸せであれと願う織理陽狐は、
以前には桔梗姫を想い、美しい輝きをもつ炎を産み出した二人の幸せとはなにか尋ねた。
726 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 02:18:51.82 ID:IStedmVI0
>>725
「姫は本当に優しく素晴らしい方です」
『だからこんな私達にも・・・涙を流してくれる・・・』

声だけがその織理陽孤の問いに答えた。
彼女達のその決意したときも姫の話をするときは、やはり嬉しそうだった。

『子供の涙は・・・嫌だ。だから・・・僕達も姫には泣いて欲しくない・・・。
 でも・・・姫の悲しみは・・・夜行のみんなが埋めてくれる・・・』
「私達は、なにも埋まることのない子供、
 そんなあの子を救うことの幸せを、選ぶんです」

しかしそう答えた声はあきらかに、幸せとは言えない響きを孕んでいた。
727 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 02:36:03.20 ID:Qgtd5rGso
>>726
「……」

織理陽狐は、安心させるように桔梗姫の頭を撫でたまま、彼女たちの話を聞いた。
優しい声、だった。
桔梗姫を想い、誰かを想い、織理陽狐だからこそ如実に感じるそれに耳を傾ける。

救うことの幸せを選ぶ。それは、織理陽狐とて理解できないことではなかった。
けれど……違う。
織理陽狐は一つ、二つ、間を置いて尋ねた。

「それはお主らにしかできぬことか?
 桔梗の前から、お主らの仲間の前から、姿を消さねばできぬことなのか?」

姿は見えずとも、真っ直ぐに心を射抜くような、金色の瞳を持って言葉を続ける。

「――お主らは、本当にそれで幸せなのか?」

彼女達の声に本当の幸福はない。
織理陽狐がそれを逃すはずもなかった。

「自己犠牲は悪ではない。
 じゃが誰かの「幸せ」の為に、お主らが「不幸」になるなど……儂は見過ごせぬよ」

微笑みながら、ゆるやかに首を振る。一人で背負う必要はない、と。
728 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 02:50:18.99 ID:IStedmVI0
>>727
穂産姉妹の決意を桔梗姫は黙ったまま俯いて聞いている。
彼女の頭を撫でている織理陽孤ならば伝わってくるかもしれない、
黙って聞いている桔梗姫が、かすかに震えているのを、小さく声を上げているのを。
彼女は理解していた、彼女達のやろうとしていることを。だから今。

「『それは』」
「私達にしかできない」
『私達は消えなくてはいけない』
「そして」
『すべての繋がりを・・・切らなくてはいけない・・・』

彼女達は織理陽孤の問いに、
硬くあまりにも堅い決意をまとった返答を公園に響かせる。

「あなたがどう止めようと・・・」
『僕達は止まらない・・・』
「だって私達の幸せの為に、みんなと一緒にいたら」
『全てが終了してしまう・・・全てが不幸になる・・・
 そんな悲劇は僕達で止める・・・』
「私達で終わらせる、それが私達の幸せなんです」

だから、あなたは見過ごす必要もとめる必要もないんですよ、と、
最後には優しい口調で語りかけたのは、穂産日子神だった。
729 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 03:09:38.49 ID:Qgtd5rGso
>>728
彼女達の言葉は、固い覚悟をもっていた。
それは織理陽狐でなくとも分かることだ。
けれど彼の掌に如実に伝わる、小さな少女の悲しみ。
不幸を受け止める決意を決めている姉妹の声。

そんなものを前にして、この狐が立ち止れるわけがない。
止まれるわけがない。

「自分に嘘を吐くな」

鋭い言葉が、静かな公園に遠く響く。

「幸せの為に生きて何が悪い。それを咎めることなど誰にもできぬ。
 本当に……本当にそれがお主らの「幸せ」ならば、儂に止めることはできぬ。じゃが、」

違うはずだ。違うのだ。
ここで彼女達が消えるなんて、許されていいことじゃない。

織理陽狐の羽織りが突然たなびいた。
涼やかに吹いていた風が、大きく流れはじめる。
周囲を照らす狐火がさらに燃え上がった。

「儂は止めるぞ。そして、お主らを幸せにしてみせる」
730 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 03:21:29.39 ID:IStedmVI0
>>729
「嘘なんて・・・つくはずがない・・・!!」

今先ほどまで冷淡な話し口調だった日子神だが、
織理陽孤のその言葉に、声だけなため表情は見えないが、少し語気が荒くなる。

『・・・だから・・・余計なことをしようとしないで欲しい・・・
 でも・・・本当に僕達の幸せを願うなら・・・叶えてほしいことがある・・・』

しかし雨子神のほうは感情はでておらず、いまだに冷淡だ。
そしてその口調で織理陽孤に願いを願った。

『もし・・・あなたがこれから先・・・すべてに弾劾された子共が現れたとき・・・
 その子供に言ってほしいことがある・・・

―穂産姉妹神という神は悪だ。
 その行いは災厄しか招かず、心は荒み切っている。
 あれは死によってしか、その身に善を宿すことはない―

 叶えてくれるよね・・・だってあなたは・・・幸せを願っているのだから・・・』

そういって二人の声は、公園から消えていった。
731 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 03:29:23.95 ID:Qgtd5rGso
>>730
彼女達の言の葉は、炎として形になる。
けれどその想いは、どこか悲しげに揺らめいていた。
狐は肩を震わせながら、泣きそうな顔を持ち上げた。

「人の幸せを願えるお主らが、悪のはずがないじゃろうが……!」

織理陽狐の語気が僅かに荒ぶる。
けれどそれも意味をなさぬように、二人の気配は公園から消え去った。

今、一番不安なのは、目下のこの少女だろう。
「桔梗」と名前を呼んで、織理陽狐はしゃがみこんだ。
そこで、ふと気づく。

(桔梗の願いは、まだ残っている)

織理陽狐は送り提灯に視線を遣った。
本当に彼女達の存在が消えてしまったのなら、この炎も消えてしまうはずだ。
732 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 03:40:01.94 ID:IStedmVI0
>>731
「・・・・・・・。・・・狐さん?
 たぶん無理かも知れないけど、もし、
 もしアニさんアネさんが助けを求めてくれたら、その時は狐さんも一緒に助けてくれる?」

まだ俯いて、でもその提灯に微かながらも灯る火を見つめながら、
ぼそっと桔梗姫は唇を少しだけ動かして呟いた。

「アネさんアニさんは、死んじゃいたいの。未練もいろいろ残ってるかもしれないけどそうなの。
 でもアネさんたちが行きたいと願ったら、」

一緒に叶えて欲しいな、と無理やりなのか悲しみを消そうとして自然になのかは分からないが、
すっと立ち上がって織理陽孤を見つめる。柔らかく優しい笑顔で。
733 :織理陽狐 [sage]:2011/07/24(日) 03:47:40.75 ID:Qgtd5rGso
>>732
「……当然じゃよ」

俯く桔梗の肩に手を乗せたまま、織理陽狐が頷く。
まだ提灯の灯は消えていない。これを持っていれば、いつかきっと導きが訪れるだろう。

幼くとも、彼女もまた覚悟を持ち、
柔らかな笑顔でほほ笑む桔梗姫を、織理陽狐は優しく抱きしめた。

「幸せになりたいまま消えるなど、儂が許さぬ。
 あやつらがいくら余計なことと言おうとな」

少女には見えぬだろうが、優しくからからと笑う。
そして桔梗姫から離れると、織理陽狐は頭を撫でながらいった。

「だから、お主にも頼みたい。
 彼女達の幸せを、いつも祈ってあげてくれ」

拾い上げた送り提灯を、もう一度桔梗姫の手に握らせる。
734 :桔梗姫 :2011/07/24(日) 03:57:02.70 ID:IStedmVI0
>>733
抱きしめられ、織理陽孤の優しい体温を間近に感じた。
頭を撫でられてようやく桔梗姫は、本当の意味で表情に安らぎが戻った。
そして離れたとき、いつものおおらかな優しさを持つその笑顔が、
桔梗姫の顔には灯っていた。

「ありがとう、狐さん。
 うんん、桔梗もアネさんアニさん大好きだもん」

そして提灯を強く握って桔梗姫は、公園の出口へ向かう。
ばいばい、と笑顔で手を振って、そのまま公園を去っていった。

/ここあたりでもう落ちにさせていただきます。
/遅い時間までスイマセン&絡みありがとうございました!!
735 :星護 :2011/07/24(日) 21:26:42.23 ID:zTGXWMb7o

「やれやれ...」

公園のベンチに身体を預けつつ、雲一つない空を見上げる、青年がひとり
短めの黒髪に黒い双眼、紺色の着流しを身に纏ったその姿はまさに黒尽くめ
如何にも目立たない出で立ちであった――・・・といっても、外灯に照らされた彼の姿は
判別するのが然程難しい訳でも無い。彼は懐かしむような眠た気なような、ぼんやりとした表情を浮かべて

「暇だ、なあ...」

退屈な日々の暮らしを噛み締めていた。幸か不幸か
その答えはとっくに、出ているのだが
736 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 21:31:09.45 ID:5Vw4TVtDO
>>735
今日は修行を休み、ペトラに会おうと公園へ訪れた少年。
しかし、そこにいたのはペトラでなく、自分より遥か年上の青年。

「こんばんはでござる。」

青い着物の少年は、愛くるしい笑顔で挨拶した。
737 :星護 :2011/07/24(日) 21:37:53.26 ID:zTGXWMb7o
>>736
ふと近寄って来た少年は、愛くるしい笑顔をこちらへ向けて来た
青い着物を着た彼、こんな時間に出歩いて大丈夫なのだろうか...

「うん、こんばんは」

そんな疑問すら押しのけて青年は、その少年に微笑を返した
背もたれに凭れさせていた身体を前へと傾けると、二の腕を膝に付いて
穏やかな視線を目の前の、少年へと向けた

「どうしたんだい、こんな夜に一人で」

未だ相手が妖怪だとは、気付いていないのだろうか
飽くまで優し気な声音と努めつつ、青年は問いかけた
738 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 21:42:24.30 ID:5Vw4TVtDO
>>737
(そういえば、ししょーが、夜に出歩く時は気をつけろって言ってた・・・。)

滲み出る星護の妖気に多少警戒し始め、距離を置く。
「お主、妖怪でござるな?何か目的があるならば申せ。」
739 :星護 :2011/07/24(日) 21:46:58.22 ID:zTGXWMb7o
>>738
...と、唐突に
少年から警戒するような気配があり、少し距離を置かれてしまった

「なんだ、君も妖怪だったのか。...目的なんて、ないよ」

どうやら、要らぬ心配をしていたのかも知れない。左手が乱雑に、自身の髪を掻く
そして相手を落ち着ける様に目的は無い、と、告げ、立上がった

併し――其れにより相手を見上げる形になる為
青年の思慮の外で、更に警戒をさせてしまうかもしれない
そんな事もいざ知らず、笑みを浮かべながら青年は、空いた距離を埋めるため、一歩歩みよろうとした
740 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 21:53:36.03 ID:5Vw4TVtDO
>>739
「寄るな・・・!」

なぜか馴れ馴れしい妖怪。深夜の為、更に警戒は強くなるばかり。

夷磨璃は腰にある刀に手を掛けた。
その長刀を向け、睨みつけた。
741 :鹿南 [saga]:2011/07/24(日) 21:57:58.63 ID:gYyiyn9So
>>739-740
「あらぁ。夷磨璃じゃないのさ」

くすくすと笑う声がした。
女言葉でありながら低いその声音は男のもので、声に続いてその姿が現れる。
現れた男は30代後半と言ったところか。
今日は革靴にスーツ、この暗がりなのにサングラスをかけているのが奇妙ではある。

「そっちは知らない相手ねぇ。誰?あ、アタシはガンゴジの鹿南よ。
 で、そんな剣呑な妖気纏って、何やってんのよあんたたち」

面白がっている声音で、二人を交互に見る。
742 :星護 :2011/07/24(日) 21:58:19.02 ID:zTGXWMb7o
>>740

「そんなに怒らなくてもいいじゃないか...」

馴れ馴れしいのは、過去の――思い出から、理由があるのだが
無論相手は知る筈も無い。青年は刀にまで手をかけた少年をみて、困った様に眉をさげた

「べ、別に取って喰おうとしてる訳じゃあないさ...ああ、どういえば伝わるかなー…」

困った様に、自身の黒髪を再びくしゃくしゃと弄くって
少年を見下ろしながら、思慮する。...うーん。
743 :星護 :2011/07/24(日) 22:01:09.79 ID:zTGXWMb7o
>>741

「ん...?」

すると、唐突に、新たな人影が見える
男の身体にも拘わらず、発せられる言葉は――…

「俺は狛犬の星護。...この子が、誤解してるみたいなんだ」

少し変わった相手に困惑しつつも、男は少年と顔見知りのようで
それならば好都合、誤解を解いてもらえるかもしれない...
そんな事を思いながら自己紹介を返した。――逆の結果になる危惧とかは、特にしていない
744 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 22:05:03.07 ID:5Vw4TVtDO
>>741
「えっ?えっ?お兄ちゃんっ?」

なぜ彼がここにいるのだろうと考える。だが、解らない。

「この人、僕に近づいてきたんです。」

話し掛けたのは夷磨璃なのだが・・・。

>>742
「拙者が子供だからって舐めてると痛い目に合うでござるよ?」

瞳と言う師匠を持ち、きちんと修行はしてきた。
瞳の退魔のオーラではないが、夷磨璃もそのような物を纏えるようになった。
745 :鹿南 [saga]:2011/07/24(日) 22:08:47.47 ID:gYyiyn9So
>>743-744
「ふーん、誤解ねぇ?
 夷磨璃、アンタは彼を何だと思ったのよ?何か言われたり、脅されたりしたの?」

サングラスを外しポケットに差し込みながら、鹿南はその隻眼で夷磨璃を見下ろした。
まずは事情を整理するつもりのようだ。

「順番に話を聞くからね。まずは夷磨璃から」

鹿南は星護の弁解をする機会もちゃんと作るつもりである。
746 :星護 :2011/07/24(日) 22:16:12.69 ID:zTGXWMb7o
>>744
(あれ、俺から近づいて来た事になってる...?)

「おいおい、そう息巻くなよ...?」

依然疑いの色が強い少年を見て、小さく溜息を吐いた青年は
その後紡いだ言葉に少し、相手を諌めるような――棘を持たせた
併しまだ、相手と本気で戦おうと思っている訳ではない。押してダメなら引いてみろとか、そんな発想

>>745
どうやら男は、理性的な人物の様だ
誤解も解けるのだろうか...内心僅かにほっとしつつ、その様子を見守っている
747 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 22:19:03.88 ID:5Vw4TVtDO
>>745
「え・・・僕に近づいてきたんだ。挨拶したのは僕だけど・・・」

夷磨璃は不審者と言いたいのだろう。
星護にはその気が無くとも、夷磨璃にはそう見えたらしい。

>>746
「むぅ・・・」

鹿南の登場で、戦闘は免れたが、頬っぺたを膨らませて睨んでいる。

どう考えても夷磨璃が悪いのに、可哀相な星護である。
748 :鹿南 [saga]:2011/07/24(日) 22:23:28.01 ID:gYyiyn9So
>>746>>747
「…と、この子の言い分ではこうなのね」

夷磨璃を指して星護に向き直った鹿南は、今度は星護に言う。

「で、あんたの言い分は?」

その隻眼は夷磨璃の勘違いらしいと察して、面白そうな光を浮かべている。

「誤解があるならきっちり弁解しときなさいな」
749 :星護 :2011/07/24(日) 22:28:37.71 ID:zTGXWMb7o
>>747-748
「この子が、満面の笑顔で話しかけて来たから、俺も嬉しくなって挨拶し返しただけさ」
「そしたらいきなり、警戒しはじめてなあ...」

男に対して包み隠さず、言葉を紡いだ
困った様に苦笑しながら、左手は頬を掻いて...一体どんな風に、思われるのだろうか

「...そんな顔、しないでくれよ」

頬を膨らませた少年を見ると、気を悪くするどころか、再び青年は破顔
一歩近づくと相手を宥める様にして、その頭を撫でようとした
――やっぱり、馴れ馴れしい
750 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 22:32:23.04 ID:5Vw4TVtDO
>>748-749
鹿南の後ろに隠れ、星護を見る。
よくよく考えると、星護は悪いことはしていない。
それを悪いと決めつけるのは良くない。

そんなことを考えいると、彼が手を出してきた。
ちょっぴり警戒はしていたが、撫でられた。
751 :鹿南 [saga]:2011/07/24(日) 22:41:33.50 ID:gYyiyn9So
>>749?750
「…たぶん夷磨璃は、怖かったのね?」

自分に隠れた子供の柔らかなその髪を撫でようとしながら、鹿南は尋ねた。

「でも、星護は怖くはないらしいわよ?アタシも彼にそういう危険な気配は感じないしね。
 でも、どうにもわだかまりがあるというのなら、ここは男同士腕比べでもして
 すっきりしちゃうのも一つの手ね」

公園の周囲をざっと見回す鹿南。今の時間帯は人の邪魔が入りそうもない。

「言葉で誤解を解くか、とりあえずぶつかってみるか、そこはあんたたち次第じゃない?」

牡鹿どうしなら、出会ったらまず角突き合わせての力比べである。
出合った相手が自分より強いか弱いか、それを確かめるのもコミュニケーションの一つの形ではある。

「殺し合いになりそうなら、その時はアタシが止めてあげるわよ」

ニヤニヤしながらそう言う鹿南は、単に面白がっているだけのようだ。
752 :星護 :2011/07/24(日) 22:50:38.59 ID:zTGXWMb7o
>>750-751
鹿南の後ろに隠れて、未だに警戒を解かない少年
少し凹みつつ、ダメ元で手を伸ばしたのだが...届いた

「分かって...くれたか?」

ゆっくりと腕を動かして、少年の頭を撫でつつ
青年は柔らかな笑みを浮かべた。
やはり自分が好いている人物(変な意味じゃなく)に嫌われると、切ない

「そうか、怖かったのか...」

気をつけてたつもりなんだがなあ、と、続け青年は
少年の頭の上にやっていた腕を離し、代わりに自身の髪をがしがしと掻いた
それは、悪い事をしたなあ...等と思っていると、鹿南からの提案

「...お前がそれで気が済むなら、それでいいぞ」

...鹿南のやつめ、楽しんでるな...そんな事を思いながらも
少しだけ逡巡したのち、少年の瞳を覗き込みながら答える
その声音には、隠される事無く心配や遠慮といった感情が織り交ぜられていた
753 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 22:57:45.80 ID:5Vw4TVtDO
>>751-752
「・・・怖かったよ。」

髪を撫でられながら、こくりと頷いた。
安心したかのように、鹿南の横に出ると、提案が出される。

「戦う・・・の?」

少し悩んだあげく、俯いた顔をあげ、

「僕は大丈夫だよ。」

と言った。
754 :鹿南 [saga]:2011/07/24(日) 23:06:10.37 ID:gYyiyn9So
>>752-753
「今日はPTAの行事で面白くない時間をすごした日だったけど、締めくくりは面白いことになりそうねぇ」

そう言いながら鹿南は金の扇子を出すと、大仰な振りでさっと開く。

「それじゃ、人の邪魔の入らないようにしておくわね」

開いた扇面の絵に鹿南がふっと息を吹くと、青い紅葉の葉が風と共にさっと散ってあたりの空気を変えた。
公園の景色は何も変わらないのに、暑い街中のよどんだ空気が澄んだ山中のそれに変わる。

「この中ならどんな姿になっても、派手な技を使っても、人間にはまず見つからないから安心なさい」

街の雑踏が不意に小さく遠ざかったのも、鹿南の結界のためのようである。

「それじゃ、二人とも頑張んなさいな。アタシは見物と洒落こむわ」

鹿南は近くのベンチに腰掛けてゆったりと足を組む。靴まで脱いで、大分リラックスしているようだ。
いざという時、本当に止める気があるのだろうか。
755 :星護 :2011/07/24(日) 23:17:28.41 ID:zTGXWMb7o
>>753-754

「そうか...そりゃあ、悪かったな」

怖かった、と、頷く少年
当然ではあったが少年は、怯えていただけで喧嘩を売っていた訳ではないのだ
ちくりと罪悪感に胸が痛む。小さく浮かんだ笑みを消しつつ、小さく頭を下げた

「……!」

鹿南が金の扇子を取り出したかと思うと、ひと振りにあわせて辺りの雰囲気が一片したのが判る
――これが、彼の能力なのか。俄に青年は、目を見開いて

「こりゃあ、便利な能力だなあ...」

鹿南へと視線を向けつつ感心した様に息を付き、軽口を叩くと
再度、少年を見据える。ニッ、と、笑みを浮かべて

「じゃ、やるか」

こっちは何時でも大丈夫...と、言葉を付け足した。久しぶりに力を使うが、大丈夫だろうか
この戦いが終われば、胸に残った罪悪感も何もかも取り払われてきっと、仲良くなれると
そう信じていた
756 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 23:25:23.39 ID:d30Mp+Ai0
>>754-755
わぁっと夷磨璃は驚いた。
始めてみる鹿南の力だが、予想もしない展開に驚きを隠せなかった。

しかし、それも慣れてくると星護を見た。
彼は笑っているが…まだ馴染めていない。

(ししょー、見ててねっ。)

長刀を腰から取り出して、構える。
何やら不思議な妖気が夷磨璃から出ている。
それは白のような黒のようで、他で例えるならば無だ。
757 :鹿南 [saga]:2011/07/24(日) 23:28:53.40 ID:gYyiyn9So
>>755-756
「いっとくけど、これはアタシの能力じゃないわよぅ?」

鹿南が山で拾った謎の宝珠、実際には平次郎という狸の僧侶が残した金の宝珠なのだが、
それが鹿南にあわせて形を変えたものがこの金扇である。
宝珠はその持ち主に合わせて、その形状や力の表し方も変えるもののようだ。

「これには何か色々不思議な力があるらしいわね。
 アタシの力は、これとは全然別のものなのよ」

鹿南は掌で扇子を弄ぶ。不思議と開くたびに扇面の絵柄が変わるのだ。

(金ぴかの珠が金ぴかな扇子に化けて、絵もころころ変わって。なんだか狸が化けてるみたいね。
 …さて、二人のお手並み拝見)

ベンチの鹿南は涼しい顔をして扇子で仰いでいる。実際涼しいのだろう。
758 :星護 :2011/07/24(日) 23:37:01.91 ID:zTGXWMb7o
>>756-757
「あれ、違うのか......へえ」
どうやらあれは、鹿南の能力ではなく
元来扇に宿っていた力の様だ。それはそれで、凄い話だ
そんな事を思い浮かべながらも既に、頭は此れから始まる戦闘についてで、一杯だった

「よし、...行くぞ」

目の前の少年が取り出した、長剣
滲み出す妖気は何とも名状し難い...不思議なもの、であった
対する自分も、能力を使って...ぼんやりとした膜のようなものが、青年の前に顕われる
半透明で、膜を通してその先が見える...併し膜もまた、はっきりと視認出来る状態だった
そんな青年が放つ妖気は、狛犬の持つ、”護”の力が如実に顕われたものだった
併し、その妖気には波があり...確実に何かが欠けている。それも、判然としており

(―――…よし)

膜はぐにゃり、と、形を変える。それは刀の形となって、青年の右腕に収まった
長さは二尺八寸。...80cmと、少し

「何時でも、こい...!」

やっぱりこれは発動するだけでも疲れる。併し、そんな疲労は、出来るだけ隠し
青年は切っ先を、少年へと向けた。――臨戦態勢
759 :夷磨璃 :2011/07/24(日) 23:45:17.78 ID:d30Mp+Ai0
>>757-758
「あれ?お兄ちゃんの力じゃないんだ…。また今度、力を見せてよ。」

鹿南の力に期待し、今は戦闘に集中しようと、話はそこで切った。

相手の刀が80p、こちら側は刃の部分だけで120pはある。
近距離での攻撃では、小回りの効く相手側が有利なはず。

「では…夷磨璃、参る!!」

長刀を地面へと思い切り突き刺すと、そこから地割れが発生する。
とても小規模ながら、割れる速度は速い。
760 :鹿南 [saga]:2011/07/24(日) 23:52:06.66 ID:gYyiyn9So
>>758-759
「アタシの力はまだナイショ。こんど遊びにきたら見せてあげるわよ」

くすくすと笑いながら鹿南は夷磨璃に向かって、唇に指を当てて見せた。
その視線に含まれた笑みは、星護に向いたときに消える。

「狛犬の星護、ね」

あの不安定な気配からして星護る犬は、護るものを失ったのだろうか。
その力はどこか頼りなくも見える。

(見たところ、狛犬に使える社は無さそうなのね)

対になっている筈の狛犬も見当たらない。
逆に夷磨璃のほうは、以前に山中であったときより腕もあがり、妖気も安定している。
一つ心配なものといえば、その持久力だろうか。
夷磨璃が疲れてしまえば、狛犬には有利だろう。
761 :星護 :2011/07/24(日) 23:57:15.70 ID:zTGXWMb7o
>>759-760

(...夷磨璃って言うのか)
そんな事を考えている暇は、殆どなかった
刀同士、てっきり近距離攻撃だけだと思っていたのだが、それは間違いだった様で

「………っ」

素早く伸びた地割れ、そんな事も出来るのかと青年は、驚きを露にしつつ
横に跳ぶ事に依って間一髪、それを避ける事が出来た――今度は反撃、だ

「行くぞ...ッ」

夷磨璃に伸ばした左手の先に膜が生じ、矢の形へと変貌を遂げると、直ぐに直進を始めた
それは非常に小さく、スピードも余り速くない。しかしそのため、迎撃は難しいかもしれない
命中すれば傷こそ出来ないものの、矢に弾かれる様にして、体勢を崩す事になるだろう
そして青年は、矢の後ろから付けるようにして、夷磨璃へと接近を始めた。
眼光は鋭く、やるからには手を抜かないタイプ――なのかもしれない。
762 :夷磨璃 :2011/07/25(月) 00:04:37.04 ID:7qdh1v+s0
>>760-761
その膜が銃だったなら、当たっていた。
だが…奇跡的にそれは矢だった。

澪との模擬戦闘、それが役に立ったのだろう。
難なく矢を弾くことが出来た。だが、問題はこの先。
弾いたときに隙が出来てしまい、すぐ後ろに居る彼には良いチャンスだ。

763 :鹿南 [saga]:2011/07/25(月) 00:08:20.69 ID:6bMo3qBso
>>761-762
(夷磨璃は力押し、星護は万能対応なのかしらね)

狛犬の能力は応用がいろいろ出来そうだ。
他方、小さな夷磨璃がなかなかやるので、鹿南は楽しんで見ていられる。
しかしあの長剣は、相手に接近されればやりにくいだろう。

(夷磨璃って格闘戦には対応できるのかしら)

迫り行く星護に夷磨璃がどう対応するか、興味が湧くところだ。
764 :星護 :2011/07/25(月) 00:13:10.70 ID:JwGDZVDOo
>>762-763
呆気なく弾かれてしまう、能力製の矢
予想以上に相手は、実力を付けているらしい...子供だからといって油断は出来ない
そう、改めて心に刻みつつ――矢の後から接近していた甲斐あって、夷磨璃は眼前に

「...ていっ!」

青年は身体を低くしつつ、手に持った剣を袈裟切りに切り込んだ
相手の懐へと入り、長剣を上手く使わせない作戦である。果たしてそう、上手く行くかどうか
もし命中すれば、刀は傷を作らずただ強い衝撃を与え、夷磨璃を吹き飛ばすだろう
765 :夷磨璃 :2011/07/25(月) 00:24:28.13 ID:7qdh1v+s0
>>764
隙を突かれて吹き飛ばされてしまう。
だが、長刀を地面に刺して、上手く体制を整えた。

「強い……。でも…これはどうでござるか?」

夷磨璃の持っている小さな妖気を空へと向けて放つ。
それは現在晴れている天候を変える為の物である。

天候は次第に悪化し、大雨が降りだした。夜、と言うのもあって視界はかなり悪い。

瞳の教えてくれたワードを元に、自ら作り出した技の一つであった。
766 :鹿南 [saga]:2011/07/25(月) 00:30:16.73 ID:6bMo3qBso
>>764-765
やはり星護は接近戦で仕掛けるつもりのようだ。
あの形を変える膜は不安定ながらも、近距離では実に対応しづらい。
そして不安定な妖気とは真逆に、星護の行動は意思にブレが無く真っ直ぐで
それ故隙があまり無い。

(あの子のひたむきさはやはり犬、ね)

妖気が安定さえすれば、星護はそこそこ腕が立つだろう。
そして、青年と子供のあの体格差である。やはり、夷磨璃が吹き飛ばされた。
斬りつけても夷磨璃に傷を負わさないのは、狛犬の力が守護のものである故か。

(それに、優しい子だわ)

「天候操作までするとは、夷磨璃、なかなかやるじゃない」

先の地割りといい今の降雨といい、どちらも大技だ。

(でも体力よりさきに妖力が尽きないと良いのだけれど)

夷磨璃に感心もし心配もする鹿南であった。
767 :星護 :2011/07/25(月) 00:37:51.66 ID:JwGDZVDOo
>>765-766
斬撃は命中し、夷磨璃を吹き飛ばすに至る。尤も、確り受け身を取られてしまったのだが
ゆっくりと追撃すべく、青年は接近していく。その眼光は油断など見せず、鋭いままだ

「……!」

夷磨璃の妖気が、解き放たれたのを感じる。―――すると
空から降り注ぐ雫、雨。それは見る見るうちに、激しさを増していく...

「こんな大技を使うとは、な」

篠突く雨が降り注ぎ、身体はびしょびしょに濡れていく
視界も、大分狭まってしまった――自分から突っ込むのは、得策でないだろうか
青年はその場に留まり、様子を伺う事にした
併し、それでも妖気は安定せず、不完全さを露呈させたままだ
768 :夷磨璃 :2011/07/25(月) 00:43:48.17 ID:7qdh1v+s0
>>766-767
(よし、成功したっ!)

降り注ぐ雨、これなら武器の方にも力が宿って戦いやすいと思った。
相手が動かなそうなのを確認し、武器に力を込めようとした。

だが…鹿南の予想通り、妖気が底を尽いてしまった。
彼なりにはペース配分を考えていたつもりだろうが、爪が甘かった。

「不覚でござるっ……」
769 :鹿南 [saga]:2011/07/25(月) 00:49:08.39 ID:6bMo3qBso
>>767-768
こう雨が降っては狛犬の嗅覚はあてになるまい。
獣の鹿南の耳はそれでも、雨の中に佇む二人の居場所をしっかりと捉えていた。
水溜りではなく身体に雨の当たる音、その中の息遣い。
そして妖気がある。
不安定な星護のものと違い、夷磨璃の妖気ははっきりと、
視界を悪くする夜の雨の中でもその存在を示していた。

(星護が動かないで待つと、夷磨璃には不利ね)

そんな事を思っていると、夷磨璃の悔しげな声が響いた。

「それじゃ二人とも、そこまでかしら。アタシもびしょぬれだわ」

天候に負けず、からりと明るい声で鹿南は終了を告げた。

「夷磨璃、雨を止められる?」
770 :星護 :2011/07/25(月) 00:55:14.73 ID:JwGDZVDOo
>>768-769

(来ないのか...?)

雨に振られながら、いつまでも来ない反撃に少し違和感など覚えていると
聞こえて来た鹿南の声――どうやら、もう、戦闘は続行出来ない様だ

「ああ、...分かった」

ほっと小さく息を吐くと、右手で持っていた刀を雲散霧消させてしまう
その瞬間がくっと――膝が折れそうになるが、必死に堪えた。この能力は、体力を多く使う
取り敢えず今は、何も見えない...目を合わせようにも、声をかけようにも、今の状況では無理だ
青年はその場に佇立し、雨が止むのを待った―――くしゅん。気が抜けたら、くしゃみが出た
771 :夷磨璃 :2011/07/25(月) 01:06:21.13 ID:7qdh1v+s0
>>769-770
「終わりでござるね…。」

両手をパンと叩くと、雨は止んでしまった。

「拙者…もっと学ばなきゃいけないでござるね。
お付き合い感謝するでござるよ。」

疲れ切った顔を笑顔にさせ、星護にぺこりとお辞儀した。
その直後、ずぶ濡れの夷磨璃もくしゃみをしてしまった。
772 :鹿南 [saga]:2011/07/25(月) 01:12:06.83 ID:6bMo3qBso
>>770-771
仲良くくしゃみをする二人に、鹿南は笑う。

「そこまでずぶ濡れのまんまじゃ流石にアレね。
 ふたりともアタシん家来なさい。この近くに娘のために借りたアパートがあるから
 そこで風呂とご飯を済ませるといいわ」

ベンチから立ち上がった鹿南は、小さな夷磨璃を軽々と肩車する。
雨で濡れた鹿南に近寄ればその身からは麝香が香った。
そして鹿南は同時に、今にも崩折れそうな星護にも、肩を貸そうかと視線で問うた。

「あんたは帰る場所、あるの?無いなら泊まっていきなさい」

二人の同意があれば、鹿南は美雪の待つアパートへ向かうだろう。
そこには温かい風呂と食事があり、妖怪であっても人心地つく場所であるはずだ。

「ずぶ濡れでさえなければ、山中の屋敷のほうへ行くんだけどね」

くしゃみと疲労のずぶ濡れコンビには、まず風呂と乾いた着替えが必要だ。
773 :星護 :2011/07/25(月) 01:24:36.01 ID:JwGDZVDOo
>>771
「こちらこそ、有り難う。...うん」

雨が止み、前方に夷磨璃が見える。
もっと学ばなくてはいけない、と呟く夷磨璃を見る青年の瞳には、羨望が浮かんでいた
併しそれも――お辞儀されると我に返ったのだろう、直ぐに見えなくなり
青年もまた、疲弊の残る顔に笑みを浮かべながら、お辞儀を返した
戦ったからなのか、どうなのか。青年の中のわだかまりは、完全に消えていた

>>772

「むう...いいのか?」

笑われて少し、気恥ずかしそうに、鼻をすすりながら
風呂とご飯という至極ありがたい申し出に遠慮を見せつつも、その心は既に固まっていた
鹿南の視線を感じると、首を振って断り――さすがに其処まで世話になる訳には行かない。半ば意地であった

「わ、悪い...ありがとう」

罰が悪そうに頭を下げる青年を見れば、宿無しであるのは明らかであった
願ってもない提案をありがたく受けいれつつ、何時かこの借りは返さなければ、と、心に誓うのだった
青年は胸に手を当てて、呼吸を整えた後...二人に付いてアパートへと向う
774 :夷磨璃 :2011/07/25(月) 01:33:13.68 ID:7qdh1v+s0
>>772-773
「いいの?鹿南お兄ちゃん?」

肩車され、少し遠慮気味になるが、せっかく誘ってくれてるので断るのも悪い。
それに、先程戦った星護も一緒に来るのだ。
戦って、悪い奴じゃないと分かったからか、彼への警戒心は全くない。

「鹿南お兄ちゃん、ちょっと下ろして。
こっちのお兄ちゃんの名前、教えてっ!」

そう言って下ろして貰うと、星護の手を繋いだ。
もう…安心出来る存在なのだ。
星護が夷磨璃を好いてくれるなら、きっと良い友達になれるだろう。
そして、二人は鹿南に連れられ、家に向かうだろう。

//眠気が限界なので、ここで落ちます。
絡みありがとうございました!
775 :鹿南 [saga]:2011/07/25(月) 01:36:00.96 ID:6bMo3qBso
>>773-774
「いいのよいいのよ、それじゃいきましょ」

夷磨璃を下ろして歩き出しながら、鹿南は雨で濡れた顔をポケットから出したハンカチで拭った。
するとハンカチに色がつく。

「あらー、雨でメイク落ちちゃったわ。嫌ーねぇ」

どうやらこのオネェ男は化粧までしていたらしい。
というのも、高校生の娘の父親にしては素の顔では若すぎるからなのだ。

養女の美雪が成長するのに、その父親が何時までも若いのでは不審感を持たれる。
その為にこうして学校行事に親として顔を出す際は、老け顔に化粧して頑張っているのだが、
雨や汗でメイクが崩れるとその隻眼も相まって色々と不気味である。
今が夜で本当に良かった。
時折、通り過ぎる人にぎょっとされながらも、ずぶ濡れの鹿南達はアパートへと向かうのだった。


//ではこの辺で落ちます。お二人ともありがとうございました!
776 :星護 :2011/07/25(月) 01:49:27.11 ID:JwGDZVDOo
>>774
最初に会って、満面の笑み見せてくれたときの様に
夷磨璃は自分から、声をかけて来てくれた。その事が凄く、嬉しく感じられて

「俺は星護、だ。...よろしくな、夷磨璃」

青年はしっかりと夷磨璃と手を繋ぐと、穏やかな笑みを見せつつ言葉を紡いだ
きっと彼も、自分の事をもう嫌ってはいないのだろう――青年も当然、夷磨璃の事は好いていた
その感覚にくすぐったいような嬉しさを覚え...つい空いていた左手が、頭を引っ掻く
独りの青年に、友達が出来た。その存在は、決して小さくない

>>775
「………」

この男は、どうやら化粧までしていたらしい
つい閉口してしまうが、大の恩人なのだから決して何も言わない
視線を引き剥がす様にして、空へと向ける
嗚呼、今日は珍しく、退屈しない良い日になりそうだ――
いまさらながらに、そんな事を想う。
アパートでは風呂に入って、飯を頂いて。...一泊させてもらって
予想は当然、的中した様だ

/お二方、どうもありがとうございました!
777 :??? :2011/07/25(月) 22:29:59.57 ID:t8LEshpF0
繁華街から少し離れた所のとある神社。
しかしそこに神格の気配は一切なく、社や鳥居や産道は目も当てられるのほどに、
そこらじゅうが砕かれ、抉られ、叩き壊され、破片がそこらに飛散していた。

はっきりいって廃墟としか言えないその神社の社の前の開けた場所に置かれた、
装飾の細かなところまで刻まれている、貴族の使うような気品漂うティーセットが一式。

そこにそんな光景でありながらまったく気にもしないように腰掛ける、
黒を基調とした、ボディーラインの強調されるドレスに身を包んだ女性がいた。
その身からはえもいわれぬような気品が漂うも、
それすらその女性の持つ美貌には霞むほどの顔立ちの整いよう。

はっきり言って、異質すぎる。
778 :星護 :2011/07/25(月) 22:37:08.06 ID:1mOgR8ado
>>777
「これ……は」

通りがかりにふと、何気なく眼をやった神社――其の有様は、酷いものだった
紺色の着流しを身に纏った青年は声を堅くしながら、神社の中へと入っていく

「おい…どういう、事なんだ?」

彼の黒い双眸が、軈て見えて来た女性を睨みつける。明らかに神社と合わない異様な、その風貌
それに加えて周りのティーセット。ほぼ間違いなく此の騒動の原因だろうと、見ていた
――青年は狛犬の種族。”元は”、神社を守護する職にあった
此の神社も、青年の前の仲間が、守護していた筈だ。……それがこの、有様だとは
以前の自分の姿と重なって、気分が悪くなるのを堪えながら...女の反応を、伺う
779 :威月 [saga]:2011/07/25(月) 22:47:53.53 ID:BbLl/zASo
>>777>>778
「……(何なんだ)」

社の近く、木陰から両者の様子を窺う影。
しかし隠れる様子はなく、煙草まで吸っている。
なんとなく異質な気配を感じて来てみれば、壊滅状態の神社に異質な黒衣の女。
来てみたはいいが、異質すぎて状況すら飲み込めない。

そこにもう一人現れ、どうにも空気が重く変わっていく。
もう少し様子を見てみようと、煙草を一口吸って両者の様子を覗き込む。
780 :??? :2011/07/25(月) 22:51:43.37 ID:t8LEshpF0
>>778>>779
星護の声に気づいた女性。
最後に音をすず、と小さく立ててそのカップに注がれていた紅茶を飲み干すと、
丁寧にそのカップをソーサーに置いた。
静寂が支配している神社に、器たちのたてる短い音だけが響く。

「どうって・・・
 ここの神様が、お亡くなりになられたということでは無いかしらぁ?」

ふふ、と薄くその美麗に潤む唇から笑いを発し、
とても綺麗に手入れされた、さらさらと空気になじむように滑らかな金髪を振りなびかせ、
女性は振り返って星護に金色の視線を向けた。

威月のほうに気づいているのか、
星護に笑いかけながらもちらりと、僅かにそちらのほうへ目だけが向けられる。
しかし別段表情も変わらず、直ぐにその金色の視線は星護に戻されていたので、
これといった敵意などは彼女には無いようだ。
781 :星護 :2011/07/25(月) 22:58:18.62 ID:1mOgR8ado
>>779>>780
青年が声をあげた後
暫しの静寂に女の手の中のカップの音だけが、嫌に不気味な音となって響き渡る
その間青年はずっと、身じろぎもせずに女を見据えていた。...女性が、口を開く

「...っ」

あっさりと、彼が口に出さなかった、考えない様にしていた言葉が女の口から呟かれ
青年は眼光を鋭くしながら――ぎり、と歯軋りし、逸る気を必死に抑えた
こんな状況でなければ思わず赤面してしまいそうな美貌と目が合っても、青年の気は昂るばかりで

「なんで、そんなことを...ッ」

ずんずん、と、早足で…青年は詰め寄っていく
激昂は最早隠しようも無く、声は怒りに震えていた
――その為だろう、興奮した彼に、第三者の存在が悟られる事はなかった
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/25(月) 23:10:35.05 ID:BbLl/zASo
>>780>>781
「(…ここからじゃ良く聞こえん)」

思い切って木陰から離れ、彼女の方へ歩いていく。
早足で近づいていく青年とは対称的に、ゆったりとした足取りで。

敵意が無い事に気付いてはいないが、いきなり攻撃される事は無いだろうとの判断だ。
青年と彼女を結ぶ線に、横合いから加わる形で、ゆっくりと歩いて行った。

「……邪魔をする」

言って、彼女と詰め寄っていく青年の間に、遮るように火のついた煙草を投げつけた。
783 :??? :2011/07/25(月) 23:20:39.63 ID:t8LEshpF0
>>781
大股で怒気を含ませながら迫る星護に対しても、
この女性にはあまりそれについて恐れおののき取り乱したり、
また臨戦態勢に入ったりする様なことは無かった。
困ったように美麗を漂わせながら苦笑し

「あらぁ?
 いつまにかわたくし、こちらの主犯となっておりますわねぇ」

ただ、その女性の腰掛ける白い椅子の、
腰掛の上の箇所に肘をついて、まるで扇情的な雰囲気で頬杖をするだけであった。
そんな不躾な格好であるのに、それでも気品は漂ったままである。

>>782
「お出になさるのですかぁ?
 わたくしはてっきり、最後までおかくれんぼをなさると思っておりましたわぁ」

最初から警戒も敵意も持っていない彼女の反応は、そんなものであった。
ふふ、とまた薄い笑いを威月に向ける。
しかし

「いけませんわぁ、そちらの貴女。
 どれほどここが用の無くなってしまわれた空間であっても、
 わたくしとしてはそのようなポイ捨てなどという行為、快く思いませんのぉ」

今度は苦笑しながら、首を横にふって威月を嗜めた。
それにともなって気品漂う金の髪は、さらさらと空間に少し漂った。
784 :星護 :2011/07/25(月) 23:32:19.89 ID:1mOgR8ado
>>782-783

「当たり前だ。そうじゃなきゃ、こんな所で暢気にお茶など飲むものか!」

余裕の態度の女性に煽られるような形で、青年の口調は激しさを増していく
このままの状況で、放っておく訳にはいかない…瞳は相変わらず、炯々と鋭く輝いていた
――そのまま歩み寄って、無理にでも全容を聞き出すつもりであった

「……ああ、邪魔だ、退け。お前も此の女の、仲間なのか」

突如現れた人物、青年の表情は益々険しくなっていく
棘のある声を隠そうともせずに、間を遮ろうとする威月に投げ掛ける
女はその存在に、既に気付いていた様で。
その事がまた悔しく、自分の未熟さを表している様で――益々、苛立は募った
辺りに青年の、大きな...併し不安定さを感じさせる妖気が、充満する
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/25(月) 23:39:45.26 ID:BbLl/zASo
>>783
「……ふん、気付いていたくせに」

小さく毒づき、左手をズボンのポケットに突っ込んで立ち止まる。
これ以上近づくと、仮に何かされても反応が遅れかねない。
故に、彼女から2mほどの距離を取り、立ち止まった。

「それで、何をしたんだ。私は神に興味は無いが、お前には興味がある」
ポイ捨てを咎められた事には、敢えて触れず。

>>784
「…仲間?そんな訳が無いだろう。初めて見た」

仲間かと疑われるも、即答。
事実として見ず知らずである。
殺気立っていく青年に気後れを見せないのは、余裕か――それとも、何かあれば最速で逃げるつもりだからか。

「一つ言うなら、相手の正体も目的も手管も分からずに挑むのは……そうだな、『自殺』になりかねないぞ」

自殺、という点に冷ややかなアクセントを置いて、言い放つ。
まるで、子供に向けて「お化けがくるぞ」と威す母親のように。
786 :??? :2011/07/25(月) 23:50:54.85 ID:t8LEshpF0
>>784
先ほどよりも圧倒的に近い地点から発せられた怒号を、
閉ざされた口の口角をやんわりとあげながら浴びせられる。
そして彼が言い切った後、なぜか独りでにティーポットから注がれた紅茶をすすり、
一口ほど喉を通してから扇情的な雰囲気も持つ、その唇を開いた。

「飲茶というものは、とてもとても奥深さのある行為ですわぁ。
 なにが奥深いかと説明させていただきますと、
 それはどちらでいただいても、やはり暢気になるという点ですわねぇ」

その答えから推量すると彼女が言いたいのは、
至極単純、どこで飲もうが何の跡で飲もうが、茶は茶ということだけだった。

「まあ、確かにぃ。
 これがわたくしのせいなのかとお聞きになられたら、いいえとは言い難いですわねぇ」

そしてさらに相手を混乱させるようなことを、にやにやと下品さは無く笑いながら告げた。

>>785
「何をとお聞きになられても、お茶をいただいておりましたとしか、
 わたくしには言うだけのことはそれ以上しておりませんわぁ」

紅茶の持つ手を、くいっと小さくあげて答える。
どこか馬鹿にするわけでもないが、この状況を面白がる様子は、
威月をどことなく蛇に睨まれた蛙のような、圧倒的な存在を前にしているような感覚に陥らせるであろう。

「わたくしは失礼ですが、あなたには興味ありませんのぉ。
 もちろん守るものを失ったあの殿方にもですわぁ」
787 :星護 :2011/07/26(火) 00:09:14.49 ID:iA4xkltco
>>785

「……どうだかな。自ずから正体を明かす敵も、居まい」

少しの間、逡巡を見せて。それでも答える言葉は懐疑に満ちていた
一応、仲間ではないのだろうと...そう、思いつつも、信用しきれていない
今の青年に信用させるのは、相当困難かも、分からないだろう

「…五月蝿い。自殺だか何だか知らないが、俺の邪魔をするなら赦さんぞ」

威月の警告に、浮かぶ過去の絵。――荒れ果てた社、友の遺骸、瀕死の自分
それらを振り払って青年は、低く唸るような――犬の様な声音で、言葉を返した

>>786

「コイツ...ッ」

口角を上げ笑みを浮かべた女は、態と要領を得ない言葉を選んでいる様だった
焦らす様に――小馬鹿にする様に紅茶が、啜られて

「お前がやったんだな?……そう簡単に赦されると思うなよ」

曖昧な答え。…青年の我慢は、限界にきていた
青年の背後に、半透明の膜のようなもので出来た、弓矢が三本
それらはそこそこの速度を持ってして、紅茶をすする女へと射抜かれた
命中すれば皮膚が”破け”出血する。威力は洒落にならない、本気の攻撃だった
788 :威月 [saga]:2011/07/26(火) 00:15:50.54 ID:XXotNDByo
>>786
「なるほど、ティータイムを前に運動でもしたか」

薄笑いとともに、荒らされきった神社を一瞥する。
足元に転がる鳥居の欠片を爪先で弄び、軽く蹴って見せた。
状況証拠でしかないにせよ、荒れた境内で不釣合いに茶を飲む女性。
関与していない訳が無い、と踏む。

「……少し、面白くないな」
煙に巻かれるような掛け合いに、何だか得体の知れない重圧。
威月の言葉に重みが僅かに加わったのは、何のためか。
自尊心か、あるいは苛立ち、それとも嫌悪か。

>>787
「…取り付くしまもない、とはこの事だな」

正論で返され、更に殺気で威圧される。
言葉を重ねても信頼は得られないだろう。

それでも何かを言おうとした直後、青年が攻撃を放つ。
反応し、ほんの数歩ほど、巻き添えを食わないように下がる。

「……私は警告したからな」
789 :??? :2011/07/26(火) 00:25:28.43 ID:KemTEMiw0
>>787
ふつふつと怒りを、己の心のうちに煮えたぎらせる男。
その様を紅茶とともに楽しむように見つめる彼女の口が、
にやり、と獲物を見つけた蛇のように不気味にゆがんだ。

「ふふふ、この国の男性は積極的ですわねぇ。
 わたくしのような奥手な女からすれば、」

とても恐ろしいですわぁ、と呪いの言葉のように言い放ちながら、
女性はその三本の矢を、三本すべて難なく姿勢をふわりとたったまま崩さずに、かわした。

「赦されるなんて、果たしてそのようなことがいくつ、
 この世にあるのかしらぁ」

かわし終えてから女性はすっとその場で立ち止まる。
すると女性の体から、あまりにもおびただしく膨大な量と質の妖気が放たれた。
その妖気の影響で、崩れかけていた鳥居は完全に崩れ去り、
社はぎしぎしときしみながら悲鳴をあげている。

「あなたも、わたくしのこのお気に入りのティーセットを壊したこと、
 赦されると思わないでくださいまし?」

星護がもし、
この女性の妖気に気を取られていたら、気づくことはできないかもしれない。
彼の後ろには、全長8mほどの白い大蛇が、彼を今まさに狙わんと鎌首をもたげていることに。

「でしたら貴女も、わたくしとお遊びになさりませんことぉ?
 ちょうど食後の運動をしたいところでしたのぉ」

もはや完全に悪意の塊のような、しかし美麗な笑みを浮かべ威月を見た。
790 :星護 :2011/07/26(火) 00:38:15.50 ID:iA4xkltco
>>788
「仲間で無いのなら、其処で黙って見ていろ」

じろりと威月を睥睨しながら、そんな言葉を吐く
――其処に何時もの青年の面影は無く
過去のトラウマともいうべき出来事と今の状況を、重ね合わせている様だった
正気じゃない、そう言っても過言でないような、異様な雰囲気が、青年にはあった

>>789

「…ッ」

あっさりと躱されてしまった矢、その動きからも、相手が尋常でない実力者である事が分かる
そもそも、神社を――神を殺せるという時点で青年では遠く及ばない事実が在るのだが
それすら気付かない...或は気付いていても突っかかっていく、彼はそんな、無鉄砲な存在となっていた

「くっ……!?」

突如女性の身体から奔流する、夥しい量、そして質を兼ねた  妖気
思わずそれに気圧される様にして、一歩後退してしまう――背後の存在には、気付かず
青年の手には負けじと、一本の透明な剣が現れる。これで太刀打ち出来るのだろうか?
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/26(火) 00:50:58.70 ID:XXotNDByo
>>789>>790
「……そろそろ、不快になってきた」

言って、静かに俯きながら左袖から縄を2mほど引き出す。
それを左手で握りこみ、鞭のように構えた。

「…何者かなどどうでもいい。聞くならこちらの方が早いな」

言って、妖力を左手の縄に込める。
鞭として振るうだけではなく、意のままに操るために気を巡らせたのだ。

直後、左手の縄を星護の背後に現れた蛇へ向けて振るう。
先端が一連の動きの中で鳥居の20cmほどの欠片をからめ取り、蛇の顔面へ向けて投石器のように投げつけた。
倒せる訳などないが、目晦ましにはなると願って。
792 :??? :2011/07/26(火) 00:56:47.59 ID:KemTEMiw0
>>790
悔しさ、圧倒、不安。
星護の表情の変わっていく様を、片手の側面を口元に当ててくすくすと笑い声を漏らしながら、
ギロリと、そして意地の悪そうな目付きで見つめる。

「あらぁ?
 先ほどの勇ましいお姿は、どこへ仕舞われたのかしらぁ?」

そしてついっと綺麗に輝く目を、星護の背後の高いところへ向ける。
不意打ちは好んでも、対面した相手にはしたくないという、
彼女なりの戦闘における美学からの行動であった。

「がんばってくださいましぃ。
 もししていただけないと、わたくしもやり辛いですわぁ。
 わたくし、圧倒的な弱者をいじめるということをよしとするほど、
 野蛮な教育は受けておりませんのぉ」

そしてその挑発的な言葉とともに星護の後ろにいた白い大蛇は、
しゃっ、と乾いた声を上げながら大口を開けて彼に迫りくる。
その蛇の持つ牙には、大型の生物であっても相手にならないほどの毒を含んでおり、
食らってしまうとかなり危険な代物であった。

>>791
しかしその破片は白い大蛇に届くことは無かった。

なぜならそれは、どこからか、
いや、威月の背後から突如現れた緑の体色の大蛇に止められたからだ。
背後からの行動なため、威月には気づかれずにそれをやりとげ、
挑発するように下を震わせて鳴らす。

「貴女にはこの子を相手にしていただきますわぁ。
 毒牙はありませんが締め付けは貴女のような華奢さでは、」

一たまりもありませんわよぉ?と彼女はくすくすという笑いを、今度は威月へと向けた。
793 :星護 :2011/07/26(火) 01:06:03.65 ID:iA4xkltco
>>791-792

威月が取り出した縄は、何故か自分の背後へと飛んだ
それと同時に、女性の視線が自分の背後に向いているのを見て――振り返る

「なっ……!」

其処には巨大な、余りにも巨大な大蛇の姿が在った
威月は、自分を助けようとしていたのか...?脳裏にそんな事を考えつつ、身構える

「五月蝿い...ッ」

背後から聞こえてくる挑発的な言葉、青年が怒りを露にすると、妖気は更に増大し
2mはあろうか――半透明の巨大な槍がその場に現れ、大蛇の口目がけて飛んだ
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/26(火) 01:15:42.99 ID:XXotNDByo
>>792>>793
「……少し、お前が見えてきた気がするよ」

背後へ顔だけを向けて、緑の大蛇を気だるく睨みつける。
二種の大蛇を出現させた彼女に、はったりとも聞こえる言葉とともに。

「…あいにく、締め殺すのが得意なのはこちらも同じだ」

一瞬――彼女の額から二本の角が覗かせ、犬歯が鋭く伸びる。
右手側からも先端に輪が作られた縄が伸び、虚空へと”蛇”のように躍る。

横目で青年を見れば、何とか対応できていたらしい。
余計な世話だったかな、とも考え、直後、緑の大蛇の喉元を目掛け、両手の縄を投げかけた。
795 :??? :2011/07/26(火) 01:24:55.49 ID:KemTEMiw0
>>793
今まさに襲い掛からんとしている白い大蛇の口に、
その強力な一撃は突き刺さり、そのまま後ろへと貫通した。

「それでよろしいのですわぁ。
 でないとわたくしのティーセットの代償には、あまりにも乏しいですものぉ」

槍が自身に刺さり、一瞬苦しそうな顔をして首を少しのけぞらした大蛇も、
すぐその後には槍に貫かれたままで、突進を再開した。
傷つき先ほどよりも少し弱ったが、それでもまだ威力を持った牙と質量が星護に迫る。

>>794
挑発をしていた大蛇も流石に自分が締められるとは思わず、
縄が蛇の喉にかかったとき、口から息を漏らすときのような音をがらがらとともに立てる。
その表情はうかがい知ることはできないが、おそらく激怒しているのだろう。

「わたくしとしては、貴女に正体を見破られましてもさして気にはしませんわぁ。
 それでも、
 まだ自ら名乗るようなことは控えさせていただきましょうかしらぁ。
 一応潜伏している身の上ですので、バレてはいけない相手がいますのよぉ?」

怒りを覚えた緑の大蛇は、
その白い大蛇と同じ丸太かと見まごうほどに太い自身の尻尾を、
乱暴に鞭のように威月はなつ。通常の木々ならば、これで薙ぎ払われてしまうものだ。
796 :星護 :2011/07/26(火) 01:33:46.22 ID:iA4xkltco
>>794-795
瞥見した威月の様子を見て取り敢えず大丈夫だろうか、そんな感想を抱き
それに、こちらとしても精一杯でとても構っている暇は無い。
槍が突き刺さったにも拘らず突進してくる大蛇をみながら、そんな事を思う

――先程助けようとしてくれたからなのか
威月の存在は、敵かもしれないというものから気にかける存在とまで変化している様だった

「くそっ……しぶとい奴め」

まさか槍で貫いたにも拘わらず突進してくるとは思わなかった
これ以上《生成》で体力を消耗する訳には行かない。...青年は手に持った剣で、迎え撃とうという様だ
もしこれ以上蛇の顔が近寄ってくれば、急所の喉目がけずぶりと突き刺すつもりだ
……もっとも成否に問わず、それを成功させるには代償が必要かもしれないが
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/26(火) 01:47:00.32 ID:XXotNDByo
>>795>>796
「……ふん、食えない蛇女め」

嘲るように言い放ち、薙ぎ払うような尻尾を目の端で認める。
直後、地を蹴り、蛇へと巻きついた両手の縄をリールのように巻き取り、
逆バンジーの要領で勢いをつけた飛び蹴りを蛇の喉元、縄の巻きついた部分に放つ。
女とはいえ妖怪、その威力はそれなりだ。

ベストの手では無いが、薙ぎ払う尾の一撃の回避も兼ねた結果である。

行動の合間に見せた表情は、平素の倦んだ無気力な顔ではなく、
どこか――高揚感を感じているようにも見えた。
それは同じ相手と戦う、青年の存在すら忘れているようにも。
798 :??? :2011/07/26(火) 01:56:07.13 ID:KemTEMiw0
>>797
喉元に強力な蹴りを食らった緑の大蛇は、より怒りを強くする。

攻撃もよけられ、さらに鬱陶しいこの縄で蹴りを浴びせられたので当然といえば当然だが、
怒り狂い、しゃぁああ、と音を漏らす蛇は威月が蹴りを浴びせた後、
地面へと降り立つ前にその体に大きな胴体で締め捕まえた。

がっちりと締められたその体から抜け出すことは、おそらく並大抵の難易度ではなく、
彼女が出あぐねいている間にも、さらに締めるその力は大きくなっていく。
799 :??? :2011/07/26(火) 01:56:28.31 ID:KemTEMiw0
>>796
槍が突き刺さり、そしてなおも星護は剣を構えているというのに、
所詮蛇は蛇。
彼女の操作から離れたそれは、一直線に愚直なまでに突進を試みる。

ぐさり。
肉を鋭いものが突き刺さり、貫く嫌な音が神社にひびく。
突き立てられたのは剣、星護の剣であった。
白い大蛇の毒牙は紙一重ながらも彼に届くことは無く、蛇は急所である場所を的確に貫かれていた。

「ティーセットの代償としては、
 あなたにはこれくらいになっていただきたいですわぁ」

しかし、消えそうになっていた大蛇の目にともる眼光が、かっと再び強くなった。
そして最後の力を振りしぼって、その剣をつき立てられたまま星護ごと突進を再開した。

今度は星護にではなく、その後ろにある社へ。
壮絶な速さで社に衝突した大蛇は、まもなく力尽き眼光も消えうせた。
それでもその衝突の力は凄まじく、社はそれによって完全に崩落している。
800 :星護 :2011/07/26(火) 02:09:13.17 ID:iA4xkltco
>>799
直進して来た蛇に、構えた剣がぐさりと突き刺さる
――間一髪。覚悟していた毒牙は届く事無く、残ったのは両手の手応えのみ
漸く、やったか...?そう思い一瞬肩の力を抜いた瞬間

女の声が響く

「―――ッ!!」

再び鋭くなった眼光。対処する時間も無く…全てが、手遅れだった
青年を、剣を引き連れたまま社へと凄まじいスピードで突っ込む大蛇。――直撃

「がっ…ぁ…」

背への強烈な衝撃に息がつまり、呼吸が出来なくなる
両腕は力無く、死骸に突き刺さった剣から離れ、だらりと垂れた
その場に倒れ込みながら、何とか状態だけは起こし。――併しそれが、精一杯であった
801 :威月 [saga]:2011/07/26(火) 02:14:44.39 ID:XXotNDByo
>>798
「……久しぶり、に、息…が……詰まるな」

身体を締め付けられるその感覚は、やはり良い心地ではない。
みしり、と骨が軋み、肺の中の空気が搾り出されていく。
もはや無表情とはいかず、僅かに苦悶に眉を寄せた。

「…だ、が」

それは、注連縄だった。
破壊されつくした神社で用いられていたものだろう。
その先端がゆっくりと、地面に落ちていた太めの木の枝に巻きつき、”蛇”がくわえ込むかのように拾い上げる。
彼女の体を締め上げる蛇の右目を狙い、後ろから忍び寄るように――鋭く閃いた。
802 :??? :2011/07/26(火) 02:25:11.59 ID:KemTEMiw0
>>800
最後の一撃によって崩れ去った社の瓦礫は、
偶然にも星護あたることはなくそこらじゅうに散らばっていた。
白い大蛇の死体はと言うと、息絶えた後あまり時間もたっていないうちに、
全身にびし、と大きな音を立てて皹をはしらせて、
最後にはまるで石像のようにこなごなに砕け散り、砂となって風に散らされていった。

「すばらしいですわぁ。
 守るべきものも存在意義も、全て無くされたというのにこの善戦なんてぇ。
 わたくし、あなたの実力に免じてティーセットの事は不問にさせていただきますわぁ」

ぱちぱちと、静かに拍手をしながら星護に歩み寄ってくる女性。
その表情はまるで楽しいショーを見たかのように、とても満足げだ。

>>801
ぎしゃあああ。
大きな大蛇の泣き声が神社の空間を振るわせる。
その一撃によって潰された右目からは、夥しいほどの血が。

「これは油断しましたわねぇ」

痛みに混乱しつつも、余計に怒りを爆発させて睨む大蛇は、
荒い息を立ててからしばらく後に、たまらず威月を離していた。

「そこの貴女。
 わたくしとしてはこの子を片目のまま続行させるのは、
 あまりにもいたたまれませんわぁ。
 ですから、この勝負、貴女の勝ちでこの子は見逃していただきませんこと?」

おずおずとまるで子供のように女性の元に戻って言った緑の大蛇の、
その大きな頭を愛おしそうに撫でながら、気品とそれでも消えない美麗を漂わせて提案した。
803 :星護 :2011/07/26(火) 02:35:52.29 ID:iA4xkltco
>>802
背中を中心に身体中に走る激痛に、歯を食いしばりながら
見れば息絶えた大蛇の身体に罅が入り、砕け散る所だった
何とか、倒した。...脱力する身体から何とか意識を保ち、近寄ってくる女性を睨みつける

「うるせえ...近寄るな...ッ」

守るべきものを、守れなかった。
――こんな思いをまたしても、抱く事になるなんて。
見つけた時には手遅れだった、併しこの女性に勝てないという事は、明らかだった

相手は、自分の過去を知っているのだろうか...そんな事を思う程的確に、心を抉られて
青年は顔を苦痛に歪めながら――決して痛みだけの所為ではなかった――必死に、女を睨みつける
意識は既に朧げで、大声を上げる大蛇の鳴き声にすら……反応を示さない
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/26(火) 02:38:42.67 ID:XXotNDByo
>>802
締め付けから解き放たれた彼女は、受身も取れずに倒れこみ、ぎりぎりで膝と片手を着いた。
咳き込みながら酸素を取り込み、蛇と女の方へ睨みつけるような視線を向ける。

「糞っ……あと二秒あれば、脳まで抉ったものを」

物騒な台詞とともに、体を起こす。
足元がおぼつかないのは、無理をしている事の証か。

「……好きにしろ、蛇女。次は絞め殺してやる」

どこか強がるような台詞を吐き捨てる。
気に入らない。
手を穢さず蛇に戦わせ、余裕を見せ付けるかのような女が、心底気に入らない。
気取った態度も、毒々しい艶気も、何もかもが。
彼女が抱くには珍しい、『敵意』だ。
805 :??? :2011/07/26(火) 02:50:59.41 ID:KemTEMiw0
>>803
星護が放ったその静止も聞かずに、
装飾の丁寧に凝らされたヒールを参道の石でこつこつと短く音を鳴らしながら、
やすやすと近づいて見せた女性。

「そう悔しがらないでくださいまし?
 貴女も十分にお強いですわぁ。
 ただわたくしがそれよりも、何十倍何百倍と力を持っているだけですのよぉ」

最後のところにはすこし嘲るような調子を混じらせながら、
彼のあごに手をやり語り掛ける。

>>804
「寛大なお心、至極うれしいかぎりですわぁ」

威月の返答に満足したのか、ふふ、とまたあの時のように笑みを漏らした。
最後に一撫ですると大蛇は女性の体に光となって入っていき、
そして後は何も残らなかった。

「ですが、勘違いしないでいただきたいことがありますのぉ。
 わたくしこれでも、プライドは人一倍持ち合わせておりますので。
 もし貴女が、後二秒、この子と戦おうとするものでしたら、

 確実な形で貴女の命の時は、終わりを告げておりましたのよぉ?」

そしてまた膨大かつ絶大な妖気をその体から発し、
悪意と気品の織り交じった笑みを、口角を不気味にゆがませながら威月に向ける。
その妖気はあまりにも大きく、威月の喉元に牙を突きつけたかのようであった。
806 :星護 :2011/07/26(火) 02:59:43.46 ID:iA4xkltco
>>805
凄み静止させようとしたものの、女性には効果が見られず
コツ、コツ、コツ、近づく足音に焦りと恐怖を覚えるも、何もする事が出来ない

「くっ…畜生…」

そんな言葉が、慰めになる筈も無い
顎にやられた手、語られる言葉にこれ以上無い屈辱を感じ
併し、其れでも身体は全く言う事を聞いてくれなかった
――その事が青年の劣等感を、煽る様でもあった
それでも、抱く恐怖をひた隠しながら黒い瞳を怒りに滾らせ、女性を弱々しく睨むのだった
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/26(火) 03:02:18.16 ID:XXotNDByo
>>805
「………やって、みろ。クソ女」

妖気に呑まれかけながらも、虚勢とともにぎっと睨み返しながら問う。
以前見かけた蛇の大妖とも違う、凶悪な気配。
神殺しの蛇女。
正体は、彼女自身にもまるで思い当たらない。
想像を巡らせようにも、濃厚すぎる気配で頭が回らない。
身じろぎ一つしようがない。
808 :??? :2011/07/26(火) 03:13:32.68 ID:KemTEMiw0
>>806>>807
ふふふ、とまた薄く笑って星護から手を離し、
ゆっくりと威月のほうを振り向く、その顔に挑発に乗ったのか狂気すら感じさせるほどの、
まるで長年そうであったかのような悪意を纏い、口角は口が三日月上になるどの上げられていた。

「でしたら、ご期待通りに。

 なんて冗談ですわぁ。」

ぱっとその悪意を霧散させて妖艶に微笑む女性。
くすくすと手を当てて、今度は威月の反応を楽しんでいたようだ。

「わたくしがしたかったのは食後の運動ですものぉ。
 これ以上してしまうと、その言葉の範疇を超えてしまいますわぁ。
 ですから、今日はこれまで。」

その言葉とともに彼女の姿は、数千数万の蛇へと変わり、
それぞれが各方向の草むらへと姿を消していった。

―最後に、わたくしから貴方がたへのご友人の方々に、
 伝えて欲しい情報がありますのぉ。
 穂産姉妹は悪の神だ。その罪は死によってしか償われない、と。
 どなたかあなた方ではご存じないでしょうが、伝えておいて損はありませんことよぉ?―

そしてそんな言葉を神社に反響させながら、あの女性はいなくなった。
809 :星護 :2011/07/26(火) 03:17:17.67 ID:iA4xkltco
>>808
目の前で数度言葉を呟き、あっという間に蛇の姿へ変貌してしまう女
その様子を狭まる視界で、朧げながら何とか視認していた

「……」

穂産姉妹...?その名前を聞いた事は、一度も無く
何の事かと首を傾げる一方で――その内容を確りと、記憶して

青年は、意識を失った。がくり、首が力無く垂れ下がる
このまま放っておいても、死にはしないだろうが――
心身共に、負った傷は小さくない。

/絡みありがとうございました!
810 :威月 [saga]:2011/07/26(火) 03:29:29.02 ID:XXotNDByo
>>808
絡みつくような悪意を跳ね除けようと強気に振舞うが――もはや、格付けは済んでいるかに思えた。
それでも眼力は落とすまいと、努めた。

無数の蛇へと変わって消え行く様は、彼女に何かの確信を抱かせた。
蛇妖、もしくは類するものに違いないが――どうにも、掴めない。
手がかりが今ひとつ少ないのだ。

「穂産……?」

最後の言葉に、かろうじて人名らしきものを聞き取る。
内容は当然理解できないが、それでも耳には遺した。

立ち上がり、木に寄りかかって煙草を咥える。
帰ろうにも疲弊しきって力が戻っていない。
体力回復のため、一時休息しようというらしい。


//ありがとうございましたー!
811 :黒蔵 [saga]:2011/07/26(火) 22:44:59.12 ID:VLi/OC1co
サイズの合わない作業服を来た小柄な少年が、
道中の沼にて摘んだ白い蓮の花を片手に山道を登っていた。
双龍を見送った場所は、朝見ると全く違う景色に見えた。

(嘘みたいだ)

でも、あの夜の事は本当で。
額に滲む汗を拭って、黒蔵は蓮の葉で包んだ花を置こうとその場所にかがみこんだ。
草の香りが強く鼻を打つ。
812 :黒蔵 [saga]:2011/07/26(火) 22:49:00.90 ID:VLi/OC1co
//避難所へ移動します。
813 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/27(水) 21:43:49.34 ID:RAmcw6ASo
「暑ィ……」

隠す雲もなく、眩い太陽光がアスファルトの地面を焼いている。
その上を東雲は、いつもの白衣でなく薄手の黒いシャツを着ていた。
裾を捲りあげた腕や額には、うっすら汗がにじんでいる。

「ちっ、折角の休みだってのに……山に戻るか……?」

羽を伸ばすついでと思い、適当に歩いてここまできたのだが、
さすがにこの暑さは堪えるのだった。

「ン、」

目を遣った先に、公園と自動販売機を発見する。
丁度いいと思いそちらへ歩いていく。
814 :黒蔵 [saga]:2011/07/27(水) 21:48:51.20 ID:Gc9khqeko
>>813
斜めにかけた布鞄の中身を気にしながら、人に化けた蛇は街中をできるだけ急いで走る。
今日は大事な荷物を運んでいるのだ。
暑いので作業着の上着は脱いで、鞄の肩紐にくくりつけている。
おかげで白いTシャツの汗ばみ具合と、ズボンの緩さが良く判る。

毒牙を返してもらった今、人の多い場所を走る時には
うっかり瘴気を吹かないように気を使わなくてはならない。

(必要なくなったら、また抜いてもらおうかな…でも痛いしな……)

妖怪同士ならあまり気を使わなくてすむのだが、今は人間の街に住んでいるのだ。
下手をすると毒ガステロとしてニュースの元になってしまう。

(それにしても暑い……)

公園前に差し掛かったとき、そこの涼しげな木陰と共に黒蔵の気を引くものが居た。

「狼?」

少し躊躇ったが、犬御に《十種神宝》の話をする機会だ。
人の多い病院と違い、公園なら多少突っ込んだことを話しても大丈夫だろう。
そう判断して黒蔵は犬御の方へ駆けてゆく。

「ちょっと話あるんだけど、良いか?」

暑い中を急いできた真っ赤な顔で、黒蔵は犬御を呼び止めた。
815 :丑三夜中 :2011/07/27(水) 22:02:24.76 ID:MXeN15yDO
>>813>>814
暇だ

そして、暑い

「やってられるか!俺は電気屋に帰るぞ!!」

こうも暑くては事務所で客を待つのもままならなく、おまけに勝手に助手になった猫娘は出掛けていて暇潰しの対戦ゲームも出来ない、買っておけばよかった次世代機
という事で、涼しい喫茶店でも行こうかと出掛けてみれば、それも出来るかどうかというくらいに暑い
こうなったら電気屋にでも行ってクーラーにでもあたろうか、と思い出したその時

「…お?」

何処かで見覚えがある二人を発見
こりゃ避暑より楽しそうだ、と小走りで二人に近づいていく

「何々ー?俺も話に混ぜてー」

(特に頭が)汗だくの男が、キラキラと輝きを撒き散らしながら二人に声をかける
816 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/27(水) 22:07:14.74 ID:RAmcw6ASo
>>814
ガコン、と音がする。
東雲は大きな体を屈み込ませ、自動販売機からアイスコーヒーを取り出した。
この暑さの中、手のひらの冷たさが心地よい。

「――?」

ふと、妖気を感じて体を持ち上げる。
顔を向けた先には、こちらに向かってくる黒蔵がいた。

「テメェか、何の用だ?」

小走りで駆けてきた少年の顔は、暑さにやられて真っ赤になっていた。
蛇って暑さに弱いんだっけか? とぼんやり思うが、どのみちこの暑さはどんな生き物でも参るかもしれない。

「やる。いらねェなら返せ」

ふとした気まぐれで、東雲は黒蔵にコーヒーを投げた。

>>815
「……」

まーた暑苦しいのが来た、とでもいいたそうな顔に、露骨に変化する。

「何が話に混ぜてェだ。仕事じゃねーのか?」

これは四十萬陀から聞き及んだ話だが、確か丑三は探偵をしているはずだ。
817 :黒蔵 [saga]:2011/07/27(水) 22:17:45.48 ID:Gc9khqeko
>>815-816
「やたっ!ありがとな狼!」

飛んできた缶を飛び上がってキャッチして、黒蔵は嬉しそうに缶に赤い顔を擦り付ける。
変温動物とは言えやはり暑かったらしい。そこへ丑三も混ざってきた。

「あれ?飴男?
 …お前なら話しても大丈夫かな」

双龍の件以来、丑三は良い奴としてちょっと黒蔵に見直されている。

「なあ狼、前に街中で《魔女》を名乗る女と会ったの、覚えてるか?」

アリサに出会ったとき、犬御と黒蔵と、解峰が一緒だったのだ。

「その《魔女》の仲間《七罪者》ってのが狙ってるものが、袂山にもあるらしいんだ」

黒蔵は二人に《七罪者》の狙う《十種神宝》と、それに関わる田中家の話を伝えた。
桔梗と名乗る雲外鏡が、ゲームとして十種神宝の争奪戦を持ちかけたことも。
田中夕の事は丑三も知っているだろう。
そして叡肖達が袂山を探しに行ったものの、送り妖怪たちの結界のためか見つけることは
出来なかったことも話した。

「《七罪者》の狙った場所は大抵襲撃されてるらしい。
 袂山の《十種神宝》を早く見つけて山から持ち出さないと、四十萬陀たちが危険になるかもしれないんだ」

織理陽狐の存在は心強いが、常に彼が駆けつけられるわけでもないだろう。

「狼、しばらく病院の仕事休んで山を護れないか?
 それに袂山のことは詳しいだろ?探すの手伝ってくれないかな?」

この件を口実に、何とかして犬御を小鳥遊医師から遠ざけようと黒蔵は必死で説得を試みる。
818 :丑三夜中 :2011/07/27(水) 22:27:13.28 ID:MXeN15yDO
>>816
犬御の表情の変化を楽しそうな笑顔で返すと、十分な距離で止まる

「仕事はほら、最近依頼を解決させたから今はまたフリーなんだよ、悲しい事にそんなしょっちゅう依頼も来ないしな」
「そんな事より、楽しそうな話なら仕事中でも混ざるぞ、年中暇だし仕事しながらでも首は突っ込めるしな」

仕事がないから今は尚更、別になくとも変わらず首を突っ込む、それが妖怪の問題であろうとお構いなしな人間、それがこの男である
>>817
「魔女?ああ、七罪者とかいう奴らの事か」

黒蔵の言う魔女の事は知っている、あの魔女が消えた時にその場にいたのだ、忘れはしない

「成る程、つまり…」

黒蔵の説明を聞いて、うんうんと頷く
本当に解ってるのかお前ってくらいに簡単な反応を示した後、目と口を大きく開き

「つまり敵味方分かれて宝探し合戦だな!?」

…ある意味あっているのかもしれないが、その反応はそれをゲーム≠ニ称したと言われるそいつと同じようなものである
819 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/27(水) 22:34:48.94 ID:RAmcw6ASo
>>817
「フン」

缶コーヒーを受け取った黒蔵を一瞥して、東雲はもう一度自動販売機に向き直った。
硬貨を入れてボタンを押す。

「あ? ……あァ、あの女か……」

再び音をたてて缶が落ちる。
あの時のことを思い出しているのか、不快そうに眉間に皺を寄せる。
だが次の黒蔵の言葉で、その皺は更に深くなった。

「どういう事だ?」

――黒蔵の話を全て聞き終わる頃には、手を付けていなかった缶コーヒーの表面に水滴が浮かんでいた。
難しそうな顔をして腕を組む。
思い当りそうな場所は……あるといえばある。何せ歴史の深い山だ。
だがその分、彼の知らぬ場所もある。

(爺ィに聞いてみるか……)

袂山の古株である銀狐なら、何か知っているかもしれない。

「……わかった」

黒蔵の提案に、東雲は意外と素直に頷いた。
四十萬陀たちに危険が及ぶのはもちろん避けたい。
それに向かってくる敵がいるなら、彼にとっても好都合なのだ。

>>818
「そォかよ」

相変わらず自由な人間だ、と呆れ交じりに言う。

「……」ハァ

丑三が黒蔵に放った言葉にも、頭を抱えて溜め息をついた。
820 :黒蔵 [saga]:2011/07/27(水) 22:41:20.95 ID:Gc9khqeko
>>818-819
(ああー、俺喉渇いてたんだなぁ)

冷たい缶コーヒーを喉に一気に流し込んで、ぷはぁ、と思わず息をつきそうになった黒蔵は、
片手で口元を慌てて抑える。

(…っと、やばいやばい)

この場には人間の丑三も居るのに、うっかり瘴気を吐くところだった。
なにより毒牙のことはまだ、狼にも小鳥遊医師にも隠しておかなくてはならない。
この慌てぶりを隠すのに、丑三の反応のボケっぷりは絶好だった。

「そりゃ、間違っちゃ居ないけどさ。
 命の取り合いにもなるんだぜ?判ってんのかなぁ…」

田中夕の右腕そのものが神宝の一つなのだ。黒蔵は瘴気を吐かないよう、そっと小さな溜息をつく。
折角上昇中だった丑三の株は、黒蔵の中で2ランクほど格下げされた。
その落胆を打ち消したのは、犬御の言葉。

「ホントか!」

犬御を山に留めるのに成功した喜びで、少々良すぎる食いつきっぷりを晒してしまう。

「助かったよ狼、ありがとう!そして、ありがとう、探すのも手伝ってくれて!」

これで四十萬陀の危険も犬御の祟られる危険も減る、と手放しで喜んでしまっている黒蔵。
あまり頭の良くない蛇は、この察しの良い狼の前なのに、ちょっとばかし不自然な浮かれっぷりである。
821 :丑三夜中 :2011/07/27(水) 22:55:17.69 ID:MXeN15yDO
>>819>>820
「なんすかなんすかー?二人してそんな軽蔑してー」
「解ってるよ、解ってるに決まってるじゃないっすか、ちょっと空気を和ませようとしただけだよ」

ヘイヘイヘーイ、と自棄にテンションを高くして、本心から楽しんでいる訳ではないとアピール
とは言っても、全く楽しみじゃないと言えば嘘になるか

「命の取り合いとは言え、犬御の仲間達も協力するなら大丈夫なんじゃないか?」
「まあ相手の強さや何人で来るかもわかんないから一概には言えないけどな」

「なんとかなるなる」、無責任極まりない一言で片付けた

「山の辺りを狙わせない方法には一つ考えがあるんだけどな」
「ほら、わざと宝持った奴が囮になって山から出て逃げるとか」
822 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/27(水) 23:06:31.34 ID:RAmcw6ASo
>>820
(後はあのクソ医者が何ていうかだな……)

仕事を休ませる代わりに、何を要求されるか分かったものじゃない。
最近、小鳥遊自身上手く隠してはいるものの、様子がおかしいことに東雲は気が付いていた。
エスカレートしているのだ。行為が、全体的に。

「っ、」

ぼうっと考えていた所に、黒蔵の突然の喜びように、少し驚いたようにたじろぐ。
I確かに手伝うとはいってが、それにしても異様な喜びようではないだろうか。(ありがとうを二回も繰り返しているし)
分かりやすいその行為は、聡い彼に対してはマイナスだ。

「……」ジトォ

明らかな疑いの眼差しを向けている。

>>821
いかんせん楽観的とはいえ、丑三の考えには概ね同意であった東雲は特に反論などをすることはなかった。
「なんとかなる」とまでは言わないが、袂山には東雲を始め、和戌姉、なにより織理陽狐がいる。
大抵の敵ならば、往なすことができるだろう。
四十萬陀は含めない。あまり戦わせたくないからだ。

「囮か……」

確実は方法ではある。
行うとすれば、東雲は必ず立候補するだろう。
823 :黒蔵 [saga]:2011/07/27(水) 23:14:56.10 ID:Gc9khqeko
>>821-822
案外丑三が真っ当な提案をしたので、黒蔵はむぅと唸った。

「でもそれ、逃げ足も早くて防御もそれなりにできる奴じゃないと無理じゃないか?」

しかも囮なのだから、攻撃力に長けた者はまず一番に除外される。
となると、竜宮の面子は足の遅さでまず無理だ。
喫茶店の妖怪にも少しばかり荷が重い。
袂山の送り妖怪で適任そうなのは……と考えると、犬御くらいしか思いつかない。
そう思って犬御を見ると、じっとりとこちらを見つめているではないか。

「…な、何?」

黒蔵の不幸メーターの針がびくり、と震えている。

「狼なら俺、一番向いてると思うんだけど、さ。足速いし」

でも、嫌と言われたらそこまでなのだ。

(狼、怒るかなぁ……)

既に黒蔵の表情は拳骨を覚悟している。
気の短いものなら、その表情だけでも十分に拳骨を落としたくなるかもしれない。
824 :丑三夜中 :2011/07/27(水) 23:24:31.83 ID:MXeN15yDO
>>822>>823
「まあ、囮ったって適任もいるしな」

自分で提案したくせに肝心な所はまったくの無計画、飴の棒を捻りながら適当に頭を捻る
「ていうか寧ろ俺がやりたい、楽しそうだし」なんて言おうものならさらに軽蔑されそうなので黙っておく

「お、そういや適任っぽいのいたじゃん、じゃあ俺も犬御に一票」
「ちなみに、あくまでも囮なんだから、宝を持ってる事を知らせる為に貼り紙でもして解りやすくしないとな」

黒蔵の不安な思いも露知らず、また馬鹿みたいな提案を一つ
825 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/27(水) 23:28:52.95 ID:RAmcw6ASo
>>823
「……オイ」

お前、何か隠してるだろう、と。
そう言い掛けるが、黒蔵の言葉にニタリと口元が歪んだ。

「テメェ、俺の逃げ足が速いって言いてェわけか……?」

何とも理不尽な言い草である。
ビキビキと浮き立つ血管に、加えて黒蔵の情けない表情が怒りを沸かせる。

「言われなくても、」

言いながら、問答無用で黒蔵の頭に拳骨を振りかざす。
ヒットしたのならば、ごいぃ〜んといい音がなるだろう。

「俺がやる」

>>824
「もうテメェは黙ってろ」

軽い調子の丑三に呆れたように言う。
だが、これで囮作戦の囮役はほぼ決定した。
あとは袂山に隠された≪十種新宝≫を探すだけだ。

(まァ、強ェやつが来るンなら大歓迎だ)

口許に薄く笑いを浮かべ、拳を鳴らす。
826 :黒蔵 [saga]:2011/07/27(水) 23:37:18.26 ID:Gc9khqeko
>>824-829
「ぅきゅ〜〜……っ」

ごいぃ〜んと重い一撃を脳天に喰らって、黒蔵の目に涙が浮かぶ。
下唇をかみ締めて瘴気を吐くのだけは堪えたが、代わりに鼻水が垂れた。

「う……そんなこと言ってないってば」

しかし黒蔵が何を言っても、犬御の怒りに油を注ぐだけだろう。
ずずびっ、と鼻をすすりあげて犬御と丑三を見上げる黒蔵の表情は、情け無いにも程がある。
丑三が犬御と黒蔵の実年齢を聞いたら、心底呆れるかもしれない。

「…狼の怒りんぼっ」

メソメソしながらと丑三の後ろに隠れて、こっそりと黒蔵は呟いた。
827 :丑三夜中 :2011/07/27(水) 23:50:47.65 ID:MXeN15yDO
>>825
「ぶー、そんなにムキにならないでよ犬御ちゃーん」

むぅ、と口を尖らせ膨れっ面、当然の如く可愛くない

「んじゃあ囮役も決まったし宝探しか」
「心当たりとかあったりすんの?」

いくら場所が解ると言っても範囲は山全域、虱潰しに探して簡単に見付かるとも思えない
犬御に心当たりがあるならそれでいいが、無いならまた知恵を絞るしかないだろう

>>826
犬御に質問した後、後ろに隠れる黒蔵を目で追って

「なー、何も子供相手に怒る事ないよなー」
「犬御ったら大人気ないんだからもー」

黒蔵を優しく慰める…ように見えて犬御を馬鹿にしているようにも見える
まともに話していたかと思えばふざけたり、またまともになったり、正直どちらか片方でいられないのだろうか
828 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/27(水) 23:59:46.03 ID:er9aHgZSO
>>826
拳骨した拳を解き、ぱっぱっと振りながら、

「ウゼェ」

黒蔵に目をくれもせず一蹴する。その表情は心底ウザそうであった。
だが丑三の後ろに隠れながら呟いた台詞に、東雲は少し心配になった。

(何かコイツ、やたらにガキ臭くなってねーか)

前からだったか。それとも彼の中にいるオロチの影響だろうか。
鼻水を啜る黒蔵の姿に、東雲が心配していたのは少年に思いを寄せる夜雀のことだった。
以前病院で東雲を庇った、あの時の黒蔵を覚えていればまた印象は違っただろうが……残念ながら何も覚えていない。

>>827
「キメェ」

こちらも一蹴。しかし先程より額に青筋が深まっているが大丈夫か?
心当たり、と問われて東雲は顎に手を置いた。
先程も思い返したが、確かにあることにはあるのだ。

「……俺が知っている中で一番可能性が高いのは、頂上近くに空いてるデケェ穴だ。袂山の妖怪はあそこに好んで近寄らねェから、何があるかは知らねェ。
 人間達もいない所を見ると、結界に守護されてるみてーだしな」

怪しさでいえば、かなりの部類に入るだろう。
829 :黒蔵 [saga]:2011/07/28(木) 00:09:14.75 ID:e+x6zxueo
>>827-828
以前の黒蔵ならこんな風に、丑三にからかい半分に庇われたらむっとしただろう。
しかし今はどうにも幼児退行の気配がある。
犬御の危惧どおり、少しづつ、黒蔵は巴津火に吸収されているところかもしれない。

「袂山付近の深い森で、小さな祠に隠されてるってことまでは判ってるんだ。
 狼のいう穴がそういう森の中なら、まずそこを当たったほうがいいね」

くすんくすんと鼻を鳴らしながら、それでも黒蔵は情報を与える。
しかし冬枯れの季節ならまだしも、今は緑の勢い旺盛な盛夏である。
人間の丑三が踏み込むならば、毒虫にも注意が要りそうだ。

「もし飴男も捜しに行くのなら、叡肖さんが虫除け・疲労軽減のまじない書いてくれると思うから、
 喫茶店ノワールに寄ってみてよ。俺はこの後用事があるんで、一緒には行けないけど」

犬御と丑三がこの後山へ捜索に向かうのなら、黒蔵は病院へ届け物に行くつもりだ。
830 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 00:25:04.76 ID:PQmTHBuDO
>>828
「まあまあ、そんな怒るなって、ハゲるぞ?」

それを言うなら小皺がふえるの間違いである、この男の事だからわざとなのだろうが

「穴…洞窟かなんかか?聞いただけでワクワクしてくるな」

山にある穴と言えば奥に宝やら勇者の武器やら封印された魔物やらがいるイメージがある、それが実際にあって怪しいとなると余計にワクワクが止まらない丑三であった

>>829
「なんだお前、てっきり馬鹿にするなとか言うと思ったのに言わないんだな」

何となく、ではあるが、丑三も黒蔵の様子が少し違うのを感じている…のかもしれない

「ああ、あいつか…うーん、どうするか…」
「犬御は今から探しに行くのか?行くなら俺も着いていくんだけど」

顎に手をやり、首を捻りながら犬御に問い掛ける
まあ探しに行かなくてもどっちらけ喫茶店には涼みに行くつもりである
831 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/28(木) 00:33:16.35 ID:gM2kNfaSO
>>829
「森だァ? ……なら違うじゃねーか。そこまで分かってンならさっさと言いやがれ」

文句を言いながら、また腕を振りかぶる動作を見せる。
東雲がいう穴には、また別のものが隠されているのだが、それは別の話だ。

しかし黒蔵が幼児化しはじめたとなれば、東雲の拳骨が毎日黒蔵の頭に降る日も近いだろう。
巴津火は黒蔵の三倍は東雲をイラつかせるのだから。

>>830
「黙れっての」

そろそろ丑三にも拳骨が飛びそうだ。
当たるかは分からないが。

「俺のいった場所はどうやら違うみてーだがな」

付近の森……それでも範囲はかなりある。
送り妖怪を総出すれば早い話だが、それでは四十萬陀に話が伝わるのは間違いない。
となると、少人数の力で見つけだす他ない。

(時間が掛かるな)

「……俺は一足早く探しにいく。ついてくるなら勝手にしろ」

この場合、一秒でも早く見付けだすのが先決だ。小鳥遊には電話で話を付けるとしよう。
ここではからずも、黒蔵の思惑が再び功を奏すことになった。
832 :黒蔵 [saga]:2011/07/28(木) 00:44:14.65 ID:e+x6zxueo
>>830-831
「ごめんなさい!ごめんなさい!」

犬御が怒りで禿げるというのなら、黒蔵のほうは拳骨の貰いすぎて脳天から禿げそうである。
今にも拳骨が飛び出しそうな犬御をみて黒蔵は思わず頭を抱えてぎゅっと目を瞑り
……予想した拳骨が飛んでこないので、そろそろと目を開ける。

(振りかぶっただけだったのか)

犬御がさっそく山へ向かい始めたので、黒蔵は二つの意味でほっとする。
病院から犬御を遠ざけられたのと、殴られずにすむことと、である。

「二人ともありがと。それじゃ、俺はもう行くよ」

犬御が病院に来て小鳥遊医師に休暇願いを出すようなら、黒蔵は困った事になるところだった。
胸をなでおろした黒蔵は空き缶をゴミ箱に投げ入れて、丑三に手を振ると
また日差しの中を駆け出した。向かう先は病院である。
833 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 00:51:19.24 ID:PQmTHBuDO
>>831
「うーっす」

これからも一緒に行動するかもしれないのでこれ以上ふざけてマジギレなんかさせたら大変だ、とりあえず今は言うことを聞く

「おっけー、とりあえず虫よけしてから行くぜ!」

右手の親指を立てて答えると、早速とばかりに走り出す

>>832
「じゃーな、車に気をつけろよー」

そんな事を黒蔵に言い残す丑三、完全に子供扱いである
834 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/28(木) 00:56:25.70 ID:gM2kNfaSO
>>832-833
「ケッ」

言葉を吐き捨てて黒蔵に背を向ける。
今から彼が何をしようとしているか、いくら聡いと言えど東雲が気付くことはなかった。
虫除けに行くという丑三の後を、緩慢な動作で着いていく。
ここで、彼らは二手に別れることになった。


そして――少年が向かった先、総合病院では。
診察室にて、黒蔵、いや、巴津火の到着を今か今かと待つ小鳥遊がいた。
その瞳に、膨らみはじめた狂気を淀ませて……。
835 :黒蔵→巴津火、叡肖&ミナクチ [saga]:2011/07/28(木) 01:03:44.51 ID:e+x6zxueo
>>833-834
喫茶店《ノワール》では、ミナクチと叡肖が古地図を開いて頭をつき合わせていた。
どうやら夜行集団近くの神宝について、在り処の目星をつけようとしているようだ。

叡肖 「丑三じゃないかwww女体化って書かれに着たのか?」

犬御にとって嫌な思い出が付きまとう相手が、丑三に軽く声をかけた。


一方その頃、小鳥遊医師の部屋の前では、一つ深呼吸した黒蔵が扉を開ける。
同時にその纏う雰囲気と瞳の色が変わった。

『薬、届けに来てやったぞ。有難く思えよ』

紫濁の瞳が邪な笑みを含んで、狂気の混じる医師の瞳と交わる。
ぞんざいに机の上にぶちまけられ、布鞄の中身が転げ出る。

人魚の血、九穴貝、封(ほう)と呼ばれる妖怪の肉。どれも人間が食せば不老不死を得る。
龍角膏と竜宮の布は、魂のみになった幽鬼に使ってすら三ヶ月で
その失われた肉体を復元する。
そして切り落とされた手足もくっつける万能薬、河童の膏薬。

妖怪にさえ貴重で手に入れにくいその薬が、巴津火によって惜しげもなく提供された。
836 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 01:13:25.03 ID:PQmTHBuDO
>>834>>835
「よう、女体化は俺じゃなく連れに書いてやってくれ」

等と犬御を指して冗談をかましながら店に入る
折角なんで冷たいジュースの一杯でも飲みたいが、そんな呑気な事をしていたら犬御に殴られそうなので我慢する

「ちょっと捜し物したいから、虫よけと疲労軽減のまじないをかけてくれないか?」
「…あ、ついでに暑さも軽減してくれたらうれしいなー」

叡肖達が何の話をしていたか気になる…が、今はそれどころじゃない、やっぱり我慢
837 :東雲 犬御/小鳥遊 療介 [sage]:2011/07/28(木) 01:22:22.56 ID:gM2kNfaSO
>>835-836
カランカランと開いた扉を潜って、まず見たものは。

「げっ……」

その男の顔を一目見た瞬間、東雲は激しく顔を歪めてその場から一歩後退した。
丑三が余計な一言を言ったために、「ちょっと黙れ」と結構マジな殺意を込めながら、肘で背中を押す。
だが、そうだ。用は丑三の虫除けだけなのだから、一緒にいる必要はない。

「オイ、俺は入り口で待ってるぞ」

東雲は丑三の背中に声を掛けると、ノワールから立ち去ろうとする。


診察室の扉が開き中から現れた少年の紫濁の瞳に、イスに深く凭れ掛かっていた小鳥遊は、満足げに笑みを浮かべた。
立ち上がると、巴津火を迎え入れるように頭を下げる。

「お待ちしていましたよ」

机の上に投げられた、見たこともない薬の数々に、小鳥遊は感嘆の息をもらした。
これを使えば、彼の体を蝕む病も、失われようとする命も助けることができるのだ。
ただ「生」だけに縋るその瞳に、狂気があふれだす。

「これを……食べれば、」
838 :巴津火『』 叡肖&ミナクチ「」 [saga]:2011/07/28(木) 01:30:03.56 ID:e+x6zxueo
>>836-837
丑三が指差す「連れ」をみて、叡肖の笑みがさらに深まった。

叡肖 「そっちはこの前、意外にも子供の頃は女の子みたいな顔だった子か。
    いいねー、女体化したら別嬪になりそうだ。
    しかし、育つと可愛げってなくなっちまうもんだな」ケラケラ

ミナクチ「ちょっ!叡肖さん、悪ふざけしてる暇は無いんですってば!探し物が先です!」

蛇神が割って入るが、叡肖の悪ふざけが止むはずも無く。
丑三にまじないを頼まれ、この衣蛸の蛸の腕が一本、素早くのびて犬御の足首を捕まえる。

叡肖 「よし、おまえらまず服を脱げ」ニヤニヤ

蛇神は絶句している。

虫除け・暑さ避けのまじないは服に書いたほうが汗に流れなくて良いのだが、
疲労軽減のまじないは肌に直接書かなければならないのだ。
しかし叡肖は、明らかに誤解を招く事を楽しんでいる。


病院の診察室では、幼い邪神が笑いはじめた。

『ああそうさ、これを食せば晴れてお前は化物だ』

巴津火が掴みあげた封の肉。それは腐った人の死肉に、匂いも見た目も酷似していた。
紫濁の瞳が医師を誘う。
魅了の力は使わない。その必要はもうないのだ。
839 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 01:39:51.15 ID:PQmTHBuDO
>>837>>838
「なんだお前ら、知り合いだったのか」

明らかに焦ってる様子の犬御と、楽しそうな叡肖を見てニヤニヤ笑う
言わずもがな、どちらかと言うと叡肖側に近い性格だ
足を捕まれた犬御を見て、更に大笑い

「服を脱げだと?なんだいきなり、そんな事言われてやる奴がどこに…」


「ここにいるッ!!」

やけにテンション高く、拒む事もなく言われた通りに服を早脱ぎ、なんかもうよく解らない柄のトランクスが顕わになる
因みに、パンツ一丁でも帽子は脱がない、とても変態度の高い格好だ
840 :東雲 犬御/小鳥遊 療介 [sage]:2011/07/28(木) 01:54:21.37 ID:gM2kNfaSO
>>838-839
「ぐっ……」

必死に無視して、扉に手を掛ける。
ついでに言うと四百年前のあの日、陰陽師がやって来なければ東雲の人間体はまた違う容姿になっていたのである。
恐らく女体化したらそれに近い姿になるだろうが、それはまたの機会だ。

東雲が扉を開ける直前、にゅるりと足首に蛸の腕が絡み付き、脱出は不可能となった。
半ば分かっていたことだが、ドアノブを握りながら哀れな狼は打ち震えていた。何か握ってる手がミシミシいってるぞ。
だが、次の叡肖の命令に、

「」

東雲も絶句した。
背筋に寒気が走り、顔が一気に青くなる。
こいつが言ったらシャレにならない。マジで。
そして、いきなり脱いだ丑三にも絶句した。
危ない。こいつらと一緒にいたらマジ危ない。
何が危ないってry


巴津火が掴み上げた封の肉を受けとる。
腐敗した死人の肉、そのもののそれ。
医師である彼だからこそ、これを口にすることを目前に生唾を飲んだ。
彼は「まだ」人間なのだ。
人を救うという思いがある。理性がある。
だが今、彼はそれを捨てんとしていた。

「……」

口を開き、舌の上に、持ち上げた封の肉を乗せる。
不思議と味の感覚はなかった。
つんとした臭いだけが嗅覚を刺激する。
ゆっくりと口を閉じ、、舌を丸め込む。
噛むことはしなかった。

ごくり、

喉が動く。
妖怪の肉が、人間の体に、
再び血肉となりて流れていく。

「……、く」

小鳥遊の唇が釣り上がった。

これこそが、求めていたもの。
これこそが、永遠。
これこそが、

彼は「もう」、人間ではなくなった。
妖怪でもなく、人間でもない、化け物へ。
狂気が、瞳に満ちる。
841 :巴津火『』 叡肖&ミナクチ「」 [saga]:2011/07/28(木) 02:06:18.27 ID:e+x6zxueo
>>839-840
叡肖 「丑三は素直で良い子だなー。よーし、お兄さんサービスしちゃうぞ」

絶句どころか凍り付いているミナクチを尻目に、取り出した筆を口に咥えて
衣蛸はたっぷりと墨を含ませる。
同時に片手の指先を小刀で切り、青い血を少し垂らしてそれも同じ筆先にとる。
文字の効力を増し、消えにくくするためだ。

叡肖 「いいかお前ら良ーく聞け。汗かいた上から擦ったら消えるからな。
    汗を拭う時は、こすらないように抑えながら拭えよ?」

叡肖の2本の筆が丑三の両肩に「疲労軽減」「体力増強」の文字を記した。
同じ文字を背中と、脚にも記す。
まじないを複数記せば効力は強化され、同時に汗をかいても文字が残る確率が増えるのだ。
そして脱いだ服にも、「爽快」「除虫」の文字を記す。
丑三に書き終わった叡肖は、蛸の腕で抑えたままの犬御にも目を向けた。

叡肖 「なーに?こっちの僕タンはまだ自分で脱げないんでちゅかー?
    もしかしてお兄さんに脱がせて欲しいのかなー?んー?」ニヤニヤ

嫌がる犬御を脱がせるのもなかなか楽しそうだよな、と衣蛸は意地の悪い笑みを浮かべた。
自分で脱ぐか、脱がされるか、犬御の選択はどっち?



診察室

医師の狂気、それは蛇妖には酷く心地よいものである。
紫濁の瞳は医師が自ら化物と化すのを、楽しそうに眺めていた。
生きることへの執着、生きようとする意欲、それは神格にとっても決して不快なものではない。
半分は神、半分は邪である巴津火にとって、この人間はその両方を満たす好ましい者だったのだ。

『ボクはお前のような人間が大好きだ』

かつて徳川家康が食べそこねたとも言われる封の肉、それを小鳥遊医師は口にした。

『人間の中に居られなくなったら、ボクのところへ来い。召抱えてやろう』

そう医師に言い置くと、笑いながら巴津火は診察室から軽やかに駆け出した。
楽しげに声を立てて笑う黒蔵など見たことの無い看護士や職員たちが
驚いたような視線を投げる中を抜けて、巴津火は病院から去っていった。
842 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 02:14:43.03 ID:PQmTHBuDO
>>840>>841
元から何もされないのが予測できていたのか、抵抗が無いだけなのか、黙ってまじないを書かれる
途中、「あんっ」とか「ひゃんっ」とか、わざとらしく気持ち悪い喘ぎ声を上げたりしたが、何事も無く終了した

「あいよ、まあ暑くないならそんなに汗もかかないと思うけどな」

ふぃー、と息を漏らしながら服を着る、着る時は脱ぐ時と比べてだいぶ普通な様子

「おいおい犬御、早くしろよ、待ってんだぞ?」
「あまり遅いと一人で先行っちまうぞ?」

嫌がる犬御にこの一言、犬御はわざわざ着いてきてくれたというのに、なんともまあ自分勝手である
というかこの場合、服を脱げと言われてすぐに脱ぐ丑三が以上なだけで、犬御は何も間違った反応ではないのだが
843 :東雲 犬御/小鳥遊 療介 [saga]:2011/07/28(木) 02:25:44.34 ID:gM2kNfaSO
>>841-842
「死ね、今死ね、本当死ね、頼むから死ね」

小刻みに震えながら、呪いの言葉を吐くように低い声で呟く。
脱がされるのは絶対嫌だが、こいつの前で脱ぐのも絶対嫌だ。
東雲は必死に腕を解き、扉から出ようとする。

「つーか!!」

顔だけで後ろを向き、丑三と叡肖を指差して必死の形相で睨み付ける。

「俺は妖怪なんだから文字書かれなくていいんだよ! 虫除けも暑さ避けもいらねェし!! 分かったらさっさとこの腕離せクソ蛸!!」

暑いのは暑いが我慢できない程ではないし、むしろ森なら日陰も多い。
虫刺されなども、日頃山にいるのだから今さら気にすることではない。
……だからとりあえず離せ、というのが東雲の言い分だった。


呆然と心地のいい狂気に酔う小鳥遊は、巴津火の言葉もまるで聞こえていないようだった。
とろんとした瞳で、どこか遠くを見ている。
彼の頭の中で、今まで考えたこともなかったような考えすら浮かんで来ていた。

そうだ……そうだ、そうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだ。

「――――――ありがとうございます」

診察室から出ていこうとしていた巴津火に、声を掛ける。
顎は上をむいたまま、ぐりんと光のない虚空の瞳だけが少年を見ていた。
唇は気味悪く笑っている。

かしゃり、と眼鏡が落ちた。
もう、こんなガラスがなくとも見える。
今まで以上に、
今なら世界の全てが、見える気がした。

「は、はは、ははははははははははは」

乾いた笑いが、止むことなく、狭い部屋を占領した。
844 :叡肖&ミナクチ [saga]:2011/07/28(木) 02:38:30.76 ID:e+x6zxueo
>>843-844

叡肖 「あーあ、そこに気づいちゃったか。残念だねー」

犬御の言い分に、ゆるりと蛸の腕が叡肖の服の下へと引き下がる。
しかしその笑顔の中の藍色の瞳はちっとも残念そうではない。
銀髪のホストに続き、実にいい玩具を見つけた残酷な喜びで輝いている。

  (これは先が楽しみな逸品)

叡肖 「まー、見ての通りお兄さん達は今忙しいのよ。
    丑三ー、そういうわけでこの子の女体化はまた今度ね」

茶目っ気たっぷりにそう言ってみせながら古地図のほうに戻る衣蛸。
犬御はこれに安堵したかもしれない。
しかし丑三と犬御が喫茶店を出ようとすれば、その背中にこう投げかけられるのだ。

叡肖 「女物の衣装、色々と用意しておいてあげるからねー」

犬御の服のサイズがどれほど大きくても、ノワールの店長さんならきっと
ぴったりなものを準備してくれる筈なのだ。
そして店のドアベルが二人の退出を知らせるまで、古地図の上でミナクチは凍りついたままだったとか…。


// ではこの辺で落ちます。お二人ともどうもありがとうございました!
845 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 02:49:38.32 ID:PQmTHBuDO
>>843>>844
大慌てする様子の犬御を見て、人の気も知らず大笑い
むせたりしながらもまだ笑う、薄情ったありゃしない

「あー、そういえばそーだっけー(棒)」
(ちっ…あともう少しだったのにな」

煩悩だだもれ、これから協力できるのかこいつ

「うっし、じゃあ早いとこ行っちまうか」

そう言ってマイペースに店を出ていこうとする

「あ、メイド服の用意、お願いします」

…しっかりとリクエストも忘れずに
というか、リクエストした瞬間犬御を待たず全力ダッシュで出発、もとい逃げ出した
846 :東雲 犬御 [sage]:2011/07/28(木) 02:53:30.76 ID:gM2kNfaSO
>>844-845
腕が離れると共に戻っていった叡肖に、東雲は心底安堵した。
言い分が通用したようで何よりだ。
もしあのまま流されていたらと思うと、……考えたくない。

「しねーよ!!」

フザケんな!!と付け加えて、東雲は乱暴に扉を開いた。
やっとこの場からおさらばできる。
後ろを振り向き、「さっさと行くぞ」と丑三に声をかけると、
最後の最後で最悪な一言を残された。

(……もう絶対ェこの店には来ねェ!!)

そう心に誓い、颯爽と逃げ出した丑三を、

「テメェ待てやゴルァァァァ!!!」

全速力で追い掛ける東雲であった。
まさかこの顔で人を殺せそうな狼が美少女になるなど、誰も思いはしないだろう。

//ありがとうございました!
847 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 03:03:18.57 ID:PQmTHBuDO
>>846
「うぅぃぃぃいいいいいいいいいやっほおおおおおおお!!!!」

犬御の怒号を背後に走りまくる丑三
叡肖に書いてもらったまじないのおかげで全力疾走でも疲れないし暑くない

(体が軽い…こんな幸せな気持ちで走るのなんて初めて…)
「もう何も怖グロボッシャ!!!」

と、思ったらこけた、盛大に、顔面から地面に突っ込んだ
もう少しで山中に到達し森の木々に紛れられたというのに…まあそうともなれば地形も悪くなるのでこけてもなんら不思議でもないが
848 :丑三夜中 :2011/07/28(木) 03:31:29.11 ID:PQmTHBuDO
>>847
/このレスは無かった事に…
849 :巴津火 [saga]:2011/07/28(木) 22:01:45.00 ID:e+x6zxueo
巴津火はついさっきまでご機嫌だった。
何時もは田中家のガレージに置いてある車が、今日はなかったのだ。
その為、ガレージ奥のママチャリが目に付いた。
スーパーライジング・ファルコン号4世、田中君の愛機である。

鍵がかかっていたが、巴津火には無意味である。
ワイヤー錠はあっさり焼き切られてファルコン号は白日の下、自由になった。

(人間の子供にできるんだ、ボクに乗れないわけが無い)

夏休みの子供たちが銀輪をきらきら輝かせながら、喫茶店の前の道を自転車で走っていった光景が
巴津火の脳裏には焼きついている。

……しかし。

路上に引き出したママチャリの、まずサドルに跨るところからして身長的に無理があった。
高さ調節など知る筈も無い巴津火は、がっしゃんと派手な音を立てて
ファルコン号ととともにひっくり返った所である。

「う〜〜っ…」

涙こそ堪えたものの、十分に悔し泣きの表情である。
こんなところを誰かに目撃されていたら、巴津火には酷く癪だろう。
起き上がろうとするが、腕や脚がハンドルやペダルに引っかかって上手く抜け出せないようだ。
850 : :2011/07/28(木) 22:10:31.50 ID:aJ6SS0DI0
>>849
「はつびー、おやつの時間だよー。………え?」ぽかーん

今日もノワールに澪が来ていた。
来る度に試作のおやつを食べて貰っている為、それでガレージへ呼びに来たのだが…。
光景を見て唖然としてしまっている。
助けるべきなのか、知らないふりをするのか、凄く迷うところだ。

巴津火が転んで抜け出せないようだ ▼
澪はどうする?  ▼

  1、助ける
  2、知らんぷりする
ニア3、おやつを持ってきたふりをして助ける

うむ、これだ。
「巴津火、遊んでないでおやつ食べてよ。」
851 :星護 :2011/07/28(木) 22:19:51.31 ID:YEVaxFIIO
>>849-850
道を歩く青年の脳裏にか浮かぶのは昨日の出来事
破壊された社、またも護れなかった自分…
……ふと
そんな悔しさも息を潜める光景が目の前にあった

「...おい、だいじょうぶか?」

倒れた自転車、悔し気に表情を歪める少年
青年はゆっくりと近づくと、自転車から抜け出す補助をしてやる
それが癪に障る行為とも知らず…青年は子供が好きだった
嘗て神社で仕事をしていた自分を見て、親に手を引かれながら
目を輝かせて感嘆の声を漏らす子供が。
…併し今日ばかりは、浮かべた笑みも硬い

「ちょっとサドルが高すぎないか?」

やってきた少女を一瞥、任せた方がいいかとも思うも
取り敢えず、アドバイスなどしてみた
852 :巴津火 [saga]:2011/07/28(木) 22:25:17.11 ID:e+x6zxueo
>>850-851
口をへの字に結んだ巴津火の顔は真っ赤である。気まずいのだ。
星護にありがとうと言わなくてはならないと判ってはいても、素直に言えない。
しかも、澪にも見られてしまった。

(こんなもののせいで!)

八つ当たりは、哀れなスーパーライジング・ファルコン号4世へ向かった。
とは言え、派手に蹴る殴るしたわけではない。
ハンドルを握る巴津火の手元から、ぷすぷすと焦げ臭い煙が立ち昇り始めたのだ。
鉄を溶かす巴津火の熱が、転倒で既に籠の変形したママチャリのグリップを焦がしはじめている。
プラスチックやゴムの焼ける匂いと粘っこく掌に張り付いた樹脂が、さらに巴津火の機嫌を悪くした。

助け起された巴津火のタンクトップと半ズボンから覗く右膝と右肘が、赤く擦りむけている。
その人のものではない血の匂いを、狛犬の鼻ならば感じ取れるだろう。
さらに妖気を隠しもしないので、星護は巴津火にあの嫌な「蛇」の気配を感じるかもしれない。
853 : :2011/07/28(木) 22:39:05.00 ID:aJ6SS0DI0
>>851-852
「……(顔真っ赤…。やっぱり子供なんだね。)

って巴津火!!そんなことしちゃったら怒られちゃうよ!」

田中君の愛機が可哀そうなことに。
とりあえず、まずは機嫌を直させようとおやつとラムネ、
それから田中家から救急箱を持ってくる。
妖怪なので、そこまできちんとしなくてもイイのだが、念のため。

「そこの<妖怪>のお兄さんも手伝ってくれませんか?」

彼からは負…ではない物の、そのような妖気が漏れていた為に直ぐ分かったようだ。
それに…蛇は一人じゃない。澪もまた、同じ蛇である。
854 :星護 :2011/07/28(木) 22:53:40.43 ID:YEVaxFIIO
>>852
羞恥からか、顔を真っ赤に染める少年
自分の過去と照らし合わせてみたりして、微笑ましく…

「……!?」

突如漂ってきた厭な臭い
見れば少年の持つグリップが燃えている

(俺は子供の時こんなことしなかった…!)

「おい、ものに当たっちゃダメじゃないか」

彼が妖怪であることはその妖気から分かっていた
そのため青年の声音に宿るのは驚きでなく、諭す様な感情

「…っ!」

その時、焼けた樹脂の香りに隠れていた、他のものを感じ取った

「…怪我、よく見せてくれないか
…それと、聞きたいことがある」

血の臭いに反応して青年は、怪我を見せてくれるよう頼んだ
軽度なものなら…能力の範疇だ
続く問いは少しの緊張を帯びていた

>>853
「…ああ、分かりました……もしかすれば、俺の能力が役立つかもしれません」

救急箱を指差し、そんなことをいいつつ
…彼もまた、その妖気を感じ取った。
問題はその妖気、である

「…貴方は、俗に言う良い妖怪ですか?」

青年は一旦、視線を少女にむける

「それとも、神社を襲うような妖怪ですか?」

脳裏に映るは、屈伏させられた女の飼う、蛇
敵意は、明らかであった
855 :田中 夕 :2011/07/28(木) 22:58:47.26 ID:GIJr3p/60
>>851>>852>>853

「ハツビー!!!約束守りにきたy」
ひょっこり現れる普通の人間の高校生。

しかし自分の愛車がスクラップになりそうな状況 だ。

「スーパーライジング・ファルコン号4せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!!!!!!!!!!!」
悲しき叫びがこだました…



「不幸だ…」OTL
こんな感じで落ち込んでると……聞き逃せない単語が

「神社襲う………君!!その人は神を[ピーーー]のが目的っぽい外国人でオラって口癖の自称《悪》の男の人だった!?」
星護に顔を向けながらそう聞く。

目は涙目
856 :巴津火 [saga]:2011/07/28(木) 23:09:36.69 ID:e+x6zxueo
>>853?855
澪と星護に止められて自転車から手を離すと、巴津火は黙っておやつとラムネを星護に押し付けた。
素直にありがとうと言えない巴津火の、屈折した表現方法である。
星護と視線が合うと怒ったように目を逸らしたのは、やはり気まずいせいであろう。
そして、澪が救急箱を手に戻ってくると、巴津火がようやく口を利いた。

「いーらーなーいー!舐めとけば治るー!」

オキシドールの沁みるのが痛くて嫌なのだ、という本音は口が裂けても言わないつもりである。
澪から逃げようとした巴津火だが、怪我を見ようとした星護に手を捕まれてしまった。

「夕?遅かったじゃないかー。それ、夕のか?乗ったらこけたぞ」

田中君が遅かったので自転車が壊された…わけではない。
巴津火が転んだのも田中君のせい・・・…というわけでもない。
しかし肘と膝を星護に見せながら、そう答えた。

「神社?壊す?ボクが会ったそういうのは《鬼》だったぞ?」

巴津火が《七罪者》の一人、鬼である《暴君》と遊び(のつもりのフルボッコ)をしたのは
《暴君》が壊した神社でだった。
しかしそれは、星護のであったあの蛇女とはまた別口である。
857 : :2011/07/28(木) 23:20:27.30 ID:aJ6SS0DI0
>>854-856
星護が妙な質問をしてきたときに田中が叫んだ。
いきなり愛機が大変なことになってるということは滅多に無い。

「夕、止められなかった…。なんとか直そうと思えば直せるけどどうする?」

フォードならばこれくらい直せるはずだ。
そして再び口を開いて、星護の質問に答える。

「良いも悪いも無いと思うよ。どう思うかは個人の勝手だから。
……まぁ、僕は人も妖怪も殺 したことはあるけどね。

あっ、それとこの子の怪我お願いしますね。」

質問の問いに関しては、真面目な表情で話していた。
神社は壊さないけど、それ以上に大変なことをこいつはしている。
しかし、話題からそれるとマイペースっぷりな笑顔でお願いした。
858 :星護 :2011/07/28(木) 23:33:08.07 ID:YEVaxFIIO
>>855
突然やってきた少年の叫び声が突然木霊する

(これ、子のこのなんだろーか…)

遺骸に成り果てたスーパーライジ(ryをみて、思う
居心地悪く頬をぽりぽりと掻き

「…いや、上品な見た目の女だった…何でそんなこと聞くんだ?」

突然の問いに、表情を硬くしながら答える
あの日の事を思い出し、拳に力がこもる
妖気を感じない少年、何でそんな事を聞くのか
未だ警戒は弱まっていない
…涙目の所為で少し、気が抜けたけど

>>856
「…ん、もらって良いのか?」

無言でずい、と差し出された菓子に、少し困ったように屈みこむが
目を逸らされて彼なりの感謝なのだろうと受け取り、「ありがと」、などと言いながら一先ず肩掛けの鞄の中へ。
笑みを作りながら頭を撫でようとする

「よしよし、動くなよー…?」

青年は見せられた傷に、素早く腕を伸ばした
触れれば指先の膜に指先が"拒絶"され、もとどおりになるはずだ
これも狛犬の業の、応用の一つであった。小さな傷にしか、効かないのだが
…因みに、結構痛い

「俺が見たのは女の姿だったんだが…てか、鬼に会ったのか」

となれば、あんなに強いのが複数いるのか。自分でも勝てないようなのが。
無意識に表情が、険しくなって行く
そしてこの自転車に乗るのに失敗していた子が鬼にあったと聞くと、驚きを隠せない
…妖怪は見かけによらない、やっぱり

>>857
「…そうか、変な事言って悪かったな」

暫く見定めるように、その表情を、見
…警戒を納めながら、やがて頭を下げた
今までの話、そして態度からこの人があんな事をやったとは思えなかった
相手が笑みを浮かべると、
「任せとけ」、と、笑いつつ言いながらはつびに向き直った
859 :田中 夕 :2011/07/28(木) 23:46:26.44 ID:BHsOGQZE0
>>856>>857>>858

「高さが違うからね…それに自転車って最初乗るの難しいから……
次から自転車乗りたい時は俺に言って……」OTL
もうなんか彼のいる場所だけ、暗い影が落ちてるような……

「うん……とりあえず、奢る約束守らないと…」
そうハツビーに微笑む顔は何処か哀愁が漂ってた……

「大丈夫…………スーパーライジング・ファルコン号4せぇっ…………
……お金は払うからお願いします……スーパーライジング・ファルコン号4せぇっ……」
澪にそう涙目で頼む義弟。

スーパー(ryの残骸に涙しながら星護を見て

「いや…実は一緒に住んでる女の子と一緒に山奥の神社にいったら畑になってて、農作業手伝ってたら実はその人が破壊して神を殺したって言ってたんだ……けど悪い人には見えなかった。だから次見つけたら殴って止める予定」
そう言いながら思い出す。

「目的がどうも偉い神様を[ピーーー]つもりなんだ
もし、その女の人の神を[ピーーー]のが目的なら、その人の仲間かも…言葉的になんか仲間がいるような感じだったし」
彼の言葉を思い出しながら…彼は少し悔やんだ顔をする。

「けど不思議な人だったよ。俺と一緒にいた子がその人は《マンドラゴラ》って言ってたんだよね。」
彼は相手が妖怪って気付いてなかった!!
さらに重要な情報…田中がたいじした妖怪は西洋の妖怪《マンドラゴラ》だと……
860 :巴津火 [saga]:2011/07/28(木) 23:56:50.70 ID:e+x6zxueo
>>857-859
傷が癒える際の痛みで、ぴくりと巴津火の身体が震える。
ボクは泣かないぞー、と意地を張ったが、ちょっぴりその目が潤んだ。
やんちゃをして怪我をするのは平気なくせに、治療される時に痛いのは嫌なのだ。
しかしその痛みも奢りの約束を思い出して吹っ飛ぶ。

「そいつ女なのか?うん、鬼と遊んだぞ。今度その女と会ったらまた遊べるかな」

星護に撫でられながら、次の遊び相手の気配にわくわくしている。
どっちかといえば、巴津火は神社を壊すほうだ。

かつて百鬼夜行の主の座を狙ったグループ、紫狂。
そのリーダー、窮奇により呼び起こされたあのヤマタノオロチのレプリカが巴津火である。
そのためこの邪神のミニレプリカは、しょっちゅうやりたいように暴れるのだ。
その荒んだ部分を封じ大人しくさせるには、主に食べ物で釣るのが手っ取り早い。
オリジナルのヤマタノオロチが酒と女でコロリと参ったように、このちび邪神も美味しいもの、
甘いものには酷く弱い。

奢りの約束とは、つまりそう言うわけである。
なので巴津火は、田中君の影の濃さも一切気にかけていない。

「ジャンボチョコパフェ!お子様ランチ!」

ついさっき昼飯を食べたくせに、まだ食べる気である。

「まんどらごら?それ、美味しいのか?」

巴津火には聞き慣れない言葉であるが、パフェの事が頭にあるため
あまり興味はなさそうだった。
861 : :2011/07/29(金) 00:08:52.21 ID:oQx0lExR0
>>858-860
「凄い…」

膜を器用に使って傷を治すのを見ると一安心した。
痛みはないのかな?と巴津火を見ると…田中と同じ涙目だった。

「お金とか大丈夫だからさ…とりあえず巴津火のことは許してあげて。

…また物騒なことが起き始めてるんだね。マンドラゴラ…か。」

西洋の妖怪については良く知らない澪。
だが身近には西洋も少なくはない。今、田中家にお世話になっている悪魔もその一人。

ちなみに治った時のスー(ryは新品同様に奇麗になって戻ってくるだろう。
862 : :2011/07/29(金) 00:18:14.16 ID:nhSg4dFIO
>>859
「ふうむ、そんなことが…てか君、人間じゃないのか?」

相槌を打ちつつ、夕の言葉を反芻する
神社が他にも破壊されたとは、知らなかった。

「…俺は星護。神社を守護する仕事をしてた。…今でもその思いは変わらない。そんな奴らがいるなら俺は、"死んでも"止めてみせる」

なるほどこれで、あの女の目的が明らかになった
自己紹介とともに言葉を返す青年の声音には、決然たる意思が込められていた
今度あったなら、絶対に止めて見せる。たとえ助かる見込みが、なかったとしても
最後にマンドラゴラという言葉を脳に刻み、
自身の不甲斐無さに自嘲的な笑みを浮かべた

>>860

「よく、我慢できたな」

瞳を潤ませながらもぐっと涙をこらえた少年に、偉い偉いとまた優しく頭を撫でる
ひょっとすれば子ども扱いされたと不快に思うかもしれないが、
そんなこと考えておらず。まして相手が莫大な力を持つ大蛇のレプリカとは
思いもよっていない

「ああ、遊べると良いな…」

遊びという言葉のニュアンスの差異も、当然わからない
本能的な悪寒を抑え込みつつ、笑みを浮かべ答えた

>>861
「…もっと上手に、治せる人もいるんだけどな」

それこそ、もっと大きな傷も難なく。
そういいつつも少しだけ照れ臭そうに、頬を掻いた

「物騒なこと、か…」

その言葉を聞くと、俄かに目を細めて
自分にも何かできるのだろうか、と、少しかんがえ始めた
863 :田中 夕 :2011/07/29(金) 00:32:14.31 ID:n9Zcoyj70
>>860>>861>>862

「じゃあ喫茶店《ノワール》でいいかな?それともファミレスにする?」
食べる場所をたまには変える?とハツビーに聞き

「うん……大丈夫…怒ってないから…子供がした事だし…ス(ry

うん…澪も気をつけてね。澪に何かあったら姉さん悲しむから…俺も気をつけるから」
澪に涙目でそう言い、若干哀愁が漂ってる。

「え?俺は人間だよ。《普通の高校生》」
注・普通の人間は妖怪と殴り合いません


「……死んでもはダメだ。命を失うって事は誰かが悲しむ……少なくとも俺は貴方が死んだら泣くよ?」
真っ直ぐと星護を見つめ、そういう《人間》。
初めてあった相手なのに彼は星護を心配したのだ。

「俺は田中 夕。普通の高校生だよ」
…もっとも彼の右手は《十種神宝》の一つ《八握剣》と一体化してるのだが……


「ところでその女の人はどんな事できたの?
俺が会った男の人(マンドラゴラ)はスイカやトマトを袋から出したり、スイカの種を飛ばしてで樹を削ったよ。
俺も神社を守るの手伝うから」ニカッ
864 :巴津火 [saga]:2011/07/29(金) 00:41:27.33 ID:a63SoNx7o
>>861-863
「星護か。ボクは巴津火だ」

助け起してくれて、傷口も、痛いけれど塞いでもらった。
紫濁の瞳の暴れ神はすこし偉そうに名乗るが、何しろ行動がお子様である。
その上、巴津火が器にしている黒蔵の身体は、人の姿での身長は1hyde。
…元気ではあるが、あんまり格好は付かない。
なので同じオロチの澪には、はつびー呼ばわりされるのである。

「ファミレス!」

行ったことが無い場所に惹かれ、田中君に即答した巴津火。
行けば写真に彩られたメニューと、その種類の豊富さに、いずれ全制覇するつもりになるだろう。
それは田中君のお財布の死亡フラグが立った瞬間でもあった。

そして澪の「物騒」という言葉と田中君の星護への様子、そして質問に、
何かきな臭い気配を感じた巴津火は、話に興味を持ち出したようである。

(遊べそうな話か?)

巴津火の目が輝いて話に耳を傾けている。ちょっと危険な兆候かもしれない。
865 : :2011/07/29(金) 00:58:59.61 ID:oQx0lExR0
>>862-864
「星護って言う名か。僕は澪、よろしく。」

彼の話を聞く限りでは、とても優しい妖怪だと分かった。
だが、やはり彼にもなんかしらの過去はあるようで。

「大丈夫、夕。夜が生き続ける限り、僕は絶対死なないから!

(……夕、自覚してない時点で普通じゃないぞ!?自分が不幸体質持ちも知っているのか?)」

昔は命を捨てるなど容易いことであったが、今は違う。
愛される、それがどれほどに良い物か実感した彼は命の重みも分かるようになった。

そして、突っ込みどころ満載の彼の自己紹介には心の中でだけ突っ込んでおいた。
愛機破損の次は金欠…。本当に可哀そうな田中である。

「じゃあ、僕はこの自転車を修理に持って行くから。
それとはつびー、楽しんで来いよ。」

そう言って手を振ると、スーパーライジング・ファルコン号4世を持って行ってしまった。

//私はこの辺で落ちます。

//絡み乙&ありがとうございました。
866 :星護 :2011/07/29(金) 01:05:38.55 ID:nhSg4dFIO
>>863
「そう、か…そうだよな…?」

やはり、普通の、人間らしい。
妖怪慣れしていることはともかく、そんなことをして大丈夫なのか
無邪気な目の前の少年が無性に心配になった

すると真っ直ぐにこちらを見て、少年が語りかけて、きた
その言葉を聞いた青年の目が、驚いたように見開かれーー…

「…ああ、分かったよ。くくっ、お前は優しいんだな」

初めて会った、自分の事を心配してくれるなんて
何とも心根の真っ直ぐ少年だと
喉を鳴らして笑いながら、少し嬉しそうに彼の頭を撫でる

「夕、か。…あいつは二体、でかいな蛇を召喚してきた。…それより、夕こそ無茶ないでくれよ?」

思い出すと、自然に表情が強張った
最後に青年は、夕に対し気遣う素振りを見せる
警戒から信頼へ、変わるのは早かった

「夕が死んだら俺がーー…困る、からな」

流石に泣く、と言うのは、恥ずかしかったようだ

>>864
「巴津火、だな。まあ、今度は自転車の乗り方でも教えてやるよ」

紫色の瞳に向き直り、青年は笑みを浮かべる
自転車、自分も最近乗っていないがーー…さて

夕との会話を聞いている事には、気がついていない様子

>>865
「澪、だな。こちらこそ宜しく頼む」

人付き合いの少ない青年だったのだが、一気に知り合いが増えてしまった
名前を全員、なんとしてでも憶えようと小さな誓いを立てる
そして、去って行く彼に控え目にてを振った

/ありがとうございました!
867 :田中 夕 :2011/07/29(金) 01:16:40.82 ID:XqS7uQom0
>>864>>865>>866

「よし!じゃあファミレスね」
金欠フラグがたったのに気付かず、行く準備をすると
ハツビーが物騒な話を目をキラキラさせて聞いてる……

(コレは嫌な予感……よし!!)

「ハツビー!!星護の手伝いだ!神社を狙うその悪い奴ら捕まえたら好きなの奢るから
あ…命は奪っちゃダメだから」
田中くぅぅぅぅぅぅぅん!!!!!!!それ壮大な自爆だぁぁぁぁぁぁあ!!!主に財布の……
まあ…多分ハツビーの制御の仕方はコレで合ってると思うが…
一応、あとでミナクチさんにハツビーとこの件を説明しにいくだろうが

「ならいいよ。じゃあスーパーライジング・ファルコン号4世をよろしくお願いします」
そう言いながら去る澪に手をふった。


「俺は《普通》だよ」ニカッ
ついでに、彼はこの場にいる自分以外が妖怪だってのにまったく持って気付いてない。


「蛇を召喚か………ハツビー(黒蔵)は蛇に変身できるし…蛇って流行ってるのかな?」
なんかズレた事を考える。

田中くん…蛇に変身できる=妖怪って気付こうよ……

「大丈夫!俺は死なない」ニカッ
安心させるようにそう笑う。


「じゃあ、ハツビーそろそろファミレスに行く?」
868 :巴津火 [saga]:2011/07/29(金) 01:27:31.87 ID:a63SoNx7o
>>865-867
話を聞くに、神社に居れば遊び相手に出会えるらしい。

(牛神神社には来るんだろうか?)

仕事と食事の時はノワールに来る黒蔵と巴津火が、今、寝泊りする先は神社である。
黒蔵は牛神神社の森のどこか隅っこに居場所を貰おうと思っていたのだが、行ってみたら
色々予定とは違ったりした。
巴津火はまだ警戒しているので、神社に居る時は黒蔵の中に潜んだままで様子見中である。
故にまだ巫女Bさんや姫さんと巴津火は、顔を合わせていない。

聞いた話に考え込んでいると、星護が乗り方を教えてくれるといい、田中君からも自爆があった。

「そうか。星護、乗り方のほうは頼むぞ。
 殺さないで捕まえる?…奢ってくれるなら瀕死くらいで頑張ってみるよ。
 …っていうかあれ、自転車っていうのか。チャリンコって言うのかと思ってた」

子供たちの集団は、あの乗り物のことをそう言っていたので
巴津火はあれをチャリンコで覚えているのだ。

「ファミレス行く行く!星護、またなー!」

星護に手を振って、巴津火は嬉しそうに田中君の後を付いてゆく。
それは田中君がうわばみの胃袋の本気を知る、30分ほど前のことだった。



//では自分もこの辺で落ちます。絡みありがとうございました。
869 :星護 :2011/07/29(金) 01:50:45.97 ID:nhSg4dFIO
>>867-868
「おいおい、良いのか…?」

巴津火にも協力を、頼んでくれる夕に対し、
感謝しつつも青年は心配そうだった。何せ、まだ子供だ
それに彼の自腹何てーー…
この埋め合わせは何時かする、そう誓う青年(無職)だった

「普通、ね。それじゃあそういう事にしとくよ…流行り?」

普通の少年は、こんなに親身になってくれないと
そう思ったのだが、あえて言う事もないし。普通と言う事にしておいた
流行り、と言う意味は良くわからなかったらしい。小さく首を傾げ

「ああ、そう信じてるよ」


「おう、任せとけ…自転車でもチャリでもいいだろ」

巴津火にどんと胸を張って見せ、少し得意気だ
どうやら二人はファミレスにいくらしい。
住所不定無職の身としては少し羨ましいが、そんな事言えない
またな、と言って青年は、小さな笑みで二人を見送った
…その夕君の財布に黙祷するのは、また次のお話。

/自分も落ちます!絡みありがとうございました!
870 :田中 夕 :2011/07/29(金) 01:56:24.53 ID:fg6uaOmm0
>>868>>869

「それじゃあまたね。星護」
そう言いながら手をふり、ハツビーと去っていった。

……………30分後…………そこには燃え尽きた田中の姿が……

コレは喫茶店《ノワール》以外のバイトを始めようと決意した。

だがそのバイト捜しがまた彼の不幸を呼ぶかどうかは……中の人もわからないだろう


/皆さんお疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます
871 :黒児 :2011/07/29(金) 22:31:55.42 ID:FcReSy0DO
「……………」

ふらりふらり、街中をゆっくり歩く男がいた
雨も降らない晴れた日だと言うのに、彼の格好は上から下まで深緑のレインコート、フードの中の表情は明るいとは言えない

「…腹減った……」

よくありそうな台詞を吐いて、お腹をグゥと鳴らす男が、道端に屈み込んだのは、あるものを見付けたから

「……………」

男は道端に生えていたタンポポをちぎると、腹の足しにはならないがもしゃもしゃと食べてまた歩き出した
872 :六貨 [saga]:2011/07/29(金) 22:41:55.44 ID:dVPMZfkio
>>871
「……お腹、壊しますよ?」

タンポポを食った男に、後ろから声をかけるスーツ姿の青年。
流石に暑いらしく、上着は脱いで手に持っている。

「…っていうか、大丈夫ですか?」

男の姿を見て、気遣うように。
服装から表情から行動から、すべてをまとめて尋ねた。
873 :黒児 :2011/07/29(金) 22:51:37.11 ID:FcReSy0DO
>>872
「…ん?」

もしゃもしゃもしゃり、口から出ていた花を完全に口に引き込んで、青年に顔を向ける

「腹減って全然大丈夫じゃねえよ」

グゥ、とまた腹が大きく音を鳴らす
874 :六貨 [saga]:2011/07/29(金) 23:01:15.44 ID:dVPMZfkio
>>873
「……………」

何だか、いたたまれない。
腹が減ったと言って野草を貪る男。
視線が当て所なく虚空を彷徨い――

「……い、一緒にメシでもどうです?」

と、近くのマ○ドナルドの看板を指差して提案する。
875 :黒児 :2011/07/29(金) 23:07:18.55 ID:FcReSy0DO
>>874
その男の目は、死んでいた
半開きで、光が無くて、濁った目をしていた
その男の目が、一つの言葉と、看板で光を取り戻す

「…俺、物凄く食うぞ?」

遠慮するような口ぶりながら、目はキラキラ、よだれダラダラ、期待で胸は一杯である
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/29(金) 23:17:38.90 ID:dVPMZfkio
>>875
「あー……うん、大丈夫。お金なら。……いや、俺がお金そのものっていうか……」

大丈夫、と言いながら、訳の分からない事をぶつぶつと漏らす。
そして、先導するようにマ○ドナルドへと入っていった。
店内はそれなりに客がいるが、混んではいない。

『いらっしゃいませー!ご注文お決まりですか?』

入店し、カウンターに進むと女性店員から尋ねられた。

「えーと、何にします?」
877 :黒児 :2011/07/29(金) 23:29:25.95 ID:FcReSy0DO
>>876
「難しい事は解んねぇ、奢ってくれんなら遠慮なく食うぞ」

青年の説明は元から聞く気は無かっただろう、後ろに着いて店に入る
みすぼらしい格好の男を見て、少し嫌に感じた客や店員も少なからずいるだろう

「遠慮しないでいいんだな?」
「あるメニュー全部五つずつ、飲み物も全種類で同じようにな」

一応確認はする、するもののその答えを聞く前に勝手に注文、その量も凄まじい
いくら腹が減っているからってそんなに食うのか、いや食えるのか

/すみません、次のレス少し遅れます
878 :六貨 [saga]:2011/07/29(金) 23:40:31.17 ID:dVPMZfkio
>>877
「あ、はい。遠慮なく」

と、懐に手を入れて何かを確認する。
たまにはとパチンコに挑戦して何台か打ち止めにしたため、一応の余裕はある。
店内の人間の嫌そうな顔には、気付いていない。
気付いていたとしても、全く気にしないだろう。

「うおお……」

常識外れの注文量に、何とも言えない声を上げた。
いくらなんでもこれは想定外。見積もりが甘すぎた。

「物理的に入るのか……?……あ、俺はビッグマックセット、飲み物はコーラです。店内でね。以上で」

注文を終えて、会計に入る。
異常に長いレシート、ファーストフードとは思えない金額に驚くが、何とかギリギリ、本当にギリギリで金は足りたようだ。

「……さ、座りましょうか」

番号札が載ったトレーを持ち、近くにあった四人席に座る。

//はいー
879 :黒児 :2011/07/30(土) 00:06:52.53 ID:zbawy1FDO
>>878
頼んだ量はともかく、それが嘘ではないようだ、目が本気である
青年に促されるままだまって向かいに座り、だまって商品が来るのを待つ

「…言ったろ、すごく食うって」

青年の気持ちを感じ取ったのか、今更な忠告、後の祭り

「………………」

グゥ、と待ちきれない腹の虫が鳴いた

/ただいま帰りました
880 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 00:13:49.29 ID:nf5vrPfpo
>>879
「ま、まぁ……いいんじゃないですか、健康的で」

何とかフォローしてみる。

「……ところで、その格好は一体……」

質問しかけたところで、注文した量の『半分』を店員が四人がかりで持ってくる。
六貨の前にはビッグマックセット一つ、そして残りは黒児の前にうず高く『積まれ』た。
その量に店内の客の注目を集め、女子高生にいたっては写メまで撮っている。

//おかえりなさいまし
881 :黒児 :2011/07/30(土) 00:30:10.46 ID:zbawy1FDO
>>880
「…引くなら引いてもいいんだぜ」

とは言う物の、商品が来れば遠慮なく食べ始める
ハンバーガーは包みを剥くと、人間には無いようなギザギザの歯が並んだ大口で、一口で頬張る
口に入れた物を数回噛むと飲み込み、ポテトはまるで飲むように口に流し込む
とりあえず噛む回数は少なく大量に、食べる≠ニ言うよりは飲み込む≠ノ近い

「…あ?格好?」

質問されても食う事はやめず、絶えず何かを口に入れながら話す

「…気に入ってるからこれ着てんだよ、俺が唯一持ってる物だからな」
「まあ、貰い物だけどな」

882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/30(土) 00:38:26.66 ID:nf5vrPfpo
>>881
「いやいや、引きませんよ。ファンキーな人にはわりと慣れてますからね」

と、尋常ではない食べっぷりを披露する彼を見る。
いくら空腹とはいえ、こんな量を通常の人間が平らげられるものだろうか。
『大食い』というレベルには留まらない。

「なるほど、一張羅って訳ですね」

対照的に、ビッグマックをゆっくりと齧りながら。

「……こういう事訊くとバカみたいですが、その……あなたは、『人間』ですか?」
883 :黒児 :2011/07/30(土) 00:44:24.06 ID:zbawy1FDO
>>882
「いや、違う、人間じゃない」

普通の人間が聞いたら「何を馬鹿げた事を」、となるような質問に、随分簡素に、何でもないかのように答える
これだけ桁違いの食欲を持つ物が人間だとは思えないだろうが、それを隠そうとしていない辺り彼にはそんな事はどうでもいいらしい

「…鰐だ、俺はワニ、下水道のワニ」
「信じられないならそれでいい、何なら証拠に尻尾でも見せてやるよ」

「んで、そんな事を聞くあたり、あんたはどうなんだ?」

質問を返しながら、ジュースを氷ごとかみ砕いて一気飲みし、一旦休憩
それでも、運ばれた分はとっくに殆ど胃袋へと消えている
884 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 00:55:23.28 ID:nf5vrPfpo
>>883
「……下水……。まさか、耳が腐るほどよく聞く都市伝説の?」

何と無く失礼な言い方で聞き返す。
それならば、と合点が言ったような様子である。

「あ、いや……尻尾はいいですよ、人目がありますから」

慌てて取り繕う。

「……俺もですよ。人間じゃなく、お金の精霊の『銭神』で……」

コーラをすすりながら答える。
言い切る前に残りの『半分』が運ばれてきて、どん、と黒児の前に置かれた。
番号札を持っていく店員の表情は、まさしく『一仕事終えた』という感じである。
885 :黒児 :2011/07/30(土) 01:10:43.04 ID:zbawy1FDO
>>884
「らしいな、それが俺の事なのかは知らん」

自分で自分が何なのかは理解してはいるが、その存在がどういう事か、それが自分なのか、とにかくよく解っていない
尻尾を出さなくていいと言われたので、大人しくやめておく

「金の神様か…それじゃいくら食ってもいい訳だ」
「…神様がこんな所にいていいのか?」

食い物が目の前に追加されたのを合図に、また大食いが始まる
前よりも更にペースが上がり、山の様な食べ物が一気に男の胃袋へと消えていく
886 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 01:23:25.57 ID:nf5vrPfpo
>>885
「…どうなんでしょうねぇ。噂が先だったのか、それともあなたを元ネタに噂が生まれたのか……」

ずごごー、と空になったコーラをすすり、トレイの上に置く。
微妙に残っているポテトをかじりながら、暢気な様子だ。

「……いやいや、神様なんてもんじゃないですよ。『落ちてるお金』を司る精霊っていうか」

言って、イリュージョンのようにどんどん減っていくバーガーの山を見る。
バカげた量の包み紙が積まれ、さっきから店内の注目を独り占めしている。

「…しかし、よく食いますねぇ」
887 :黒児 :2011/07/30(土) 01:32:05.13 ID:zbawy1FDO
>>886
「…まあ、どっちでもいいんじゃね、俺がいるって事にかわりはねえし」

実際に自分がどっちであろうとどうでもいい、存在している以上はなんであろうと生きているだけだ

「落ちてる金でも、何かの精霊っつーの?そういうのはすごいと思うよ、なんとなくな」

「…これでも六分目くらいには遠慮してんだぞ」

とんでもないカミングアウトをしたと思った時には、既に商品はすべて胃袋に消えていた
当の本人は腹が膨れているようにも見えず、とりあえず空腹感は消えたようで満足そうだ
888 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 01:41:43.54 ID:nf5vrPfpo
>>887
「そうですねぇ。『存在してる』事に変わりはないですもんね」

ポテトをちびちびと齧って、しみじみと。

「うーん……。落ちていて、誰にも拾われず使われないお金の『無念』の結晶とでも言いましょうか……」

自分の存在を省みて。
落ちているお金の無念が集まり、形を成した。
それが、『銭神』だ。

「…ろく……?」

ぽと、と掴んでいたポテトを一本落とす。
この食いっぷりでもまだ、60%?
金の心配はないが、物凄い食欲だと感嘆する。
889 :黒児 :2011/07/30(土) 01:53:12.58 ID:zbawy1FDO
>>888
「ふーん…拾われない金か…」
「もったいねえ事すんな人間ってのは、金がねぇと困る癖に」

牙の間に挟まった食べかすを爪で取る、行儀が悪いというかなんというか

「最近、満腹になった事もねぇや」
「海に出て鯨でも喰ってみようかね」

質量的に見ても有り得ないくらいの食欲だ、一体胃袋はどうなっているんだ
890 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 02:05:19.50 ID:nf5vrPfpo
>>889
「全くですねぇ。……訳の分からない価値観を作ったせいで、俺の一族みたいな妖怪が現れちゃって……」

しなびたポテトを口に運び、椅子にもたれかかってぼやく。
さっきから色々超越した会話をしているせいで、隣の席の女子高生二人組みからガン見されていた。

「鯨って……。いやいや、今は色々厳しいみたいですよ?」
「南蛮の人達が、鯨を捕るなとうるさいみたいですからねぇ」

止めようというつもりではないらしい。
むしろ、この男ならやりかねないと思ってすらいる。
891 :黒児 :2011/07/30(土) 02:15:33.98 ID:zbawy1FDO
>>890
「よくわかんねーからな、人間って」
「あいつらとか、怪しがってる癖に見るばっかで質問にもこねえ」

別に嫌に思った訳ではないが、気になったので女子高生に目を向ける
…が、何分目付きは良くないので睨んだようにも取られるだろう

「人間の言い分なんか知ったこっちゃねえよ」
「弱肉強食だ、自分で狩った奴を喰って何がわりぃってんだ」

首の骨を鳴らして背もたれによりかかり、外を歩く人間達を眺める
892 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 02:27:32.44 ID:nf5vrPfpo
>>891
「色々考えているのに、見るばかりで何も言わない。不気味ですよね」

と、目を細めて笑いながら同意する。
女子高生二人は目を逸らし、小動物のようにおどおどとしていた。

「それもまたワイルドな話ですけど。……っていうか、その格好暑くないんですか?」

レインコートにフードまでかぶっている。
冷房の効いた店内とはいえ、不自然といえば不自然だ。
893 :黒児 :2011/07/30(土) 02:42:32.42 ID:zbawy1FDO
>>892
「人間にとっちゃ俺達みたいな奴らの方が不気味らしいけどな」

まあ、少し寂しそうな物言いではあるが本人はそこまで気にしてはいない

「別に、寒いよりゃマシだ」

ワニは変温動物なので寒いのは苦手、だからと言って暑いのに強い訳でもないのだが

「なんなら、頭だけでも脱いでやろうか」

と言って男はフードを脱ぐ
フードの下はバッサバサにワイルドな黒い長髪と、色白な肌、長い前髪の中に半開きの目が覗いている、といった風貌だ
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2011/07/30(土) 02:50:42.98 ID:nf5vrPfpo
>>893
「……っていうか、ワニって水の中で暮らす生き物なんじゃ」

普通、かどうかは知らないが、ワニは水に浮かんで獲物を探すような動物だった筈。
陸に上がり、人間に化けまでするとは。

「なんだ、いい感じじゃないですかー」

と、フードを脱いだ顔を見て。
食欲はともかくとして、人間と遠く離れてはいない。
感嘆を秘めた相槌を打ち、ポテトの残りカスを平らげた。
895 :黒児 :2011/07/30(土) 03:00:42.69 ID:zbawy1FDO
>>894
「本当はそうらしいな」
「…あんた、人間になれちゃう奴に今更そんな常識通じると思うか?」

自分でもワニとしてはおかしいとは思っているのか…と思ったら結構どうでもいいらしい

「…首にな、鱗が残ってんだよ」

少し見づらいが首筋に爬虫類らしき鱗があるらしい、変身は完全とは言えないようだ

「こういう所、食い終わってあまり長いしちゃ駄目なんだろ?さっさといこうぜ」

飲食店で長居するといけないというのは何故か知っているらしく、食い終わった青年に退出を促す
896 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 03:10:48.51 ID:nf5vrPfpo
>>895
「……通じないですねー、アハハハ」

と、肩を竦めてヤケクソ気味に笑い飛ばす。
人に化けまでする者に、人間の常識など通じる訳も無い。

「ほほう。……んじゃ、出ましょうかー」

鱗……のような痕を見つけるか見つけていないか、というところで店を出ようと席を立つ。
すでに会計は済んでいるし、あとは店を出るだけだ。
897 :黒児 :2011/07/30(土) 03:18:19.90 ID:zbawy1FDO
>>896
「…ま、これで夜までは持つか」

店を出て一言呟く、逆に言えばあれだけ喰って夜までしか持たないのか

「…ありがとな、腹、膨れたぜ」
「俺は黒児、あんた、名前は?」

一応お礼は言える、青年に礼をすると名乗り、名前を聞いた
898 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 03:28:16.43 ID:nf5vrPfpo
>>897
「夜まで……か……」

もはや驚く気力も、ツッコミを入れる気力もない。

「あ。俺は、六貨っていいます。数字の六に硬貨の貨で」

礼を受け、名乗る。
899 :黒児 :2011/07/30(土) 03:32:04.88 ID:zbawy1FDO
>>898
「…飯の恩は忘れねえ、いつか絶対に返すぜ、六貨」

フードを被り治し、頭を隠すと、辺りを見回して人のいない路地裏の入口へと歩き出す

「じゃあな、飯、美味かったぜ」

振り向き加減にそう言うと、手慣れた手つきでマンホールを開け中へと入って行ってしまった

/お疲れ様でした
900 :六貨 [saga]:2011/07/30(土) 03:48:16.08 ID:nf5vrPfpo
>>899
「いやいや、そんな気になさらずー」

礼を言われるも、気にはしてないらしい。
むしろ、貴重な出会いに感謝すらしている。

「…はい、また会いま……って、そこから!?」

マンホールの中に消えていく彼を見て、思わず大声で突っ込む。
正体を聞いてはいたが、まさか、と。

//お疲れ様でしたー!
901 :穂産姉妹 :2011/07/30(土) 22:03:19.13 ID:WhlKTmVv0
この街には神社、寺、祠などは数あれど、
それが教会となると、その存在している量は比較的少ないように感じる。
喧騒渦巻く繁華街から離れて、静けさを満遍なく纏っているとある丘。

その一番高いところには一つだけ、ぽつんとその数少な目の教会が建っていた。
しかしそこに人影などは無く、どうやら信仰をなくし、
手入れも無くなったために建物は老朽しきって朽ち果てていた。

教会の建つ地点より少し下った丘の中腹あたりに、
穂産姉妹はいた。
二人は仲良くランチョンマットを引き、ぼんやりと空を眺めている。
902 :黒蔵 [saga]:2011/07/30(土) 22:10:24.31 ID:hDR1j45zo
>>901
今日は珍しく何の仕事も無い休日なのに、黒蔵はちょっぴり暗い表情である。

(しくじった。こうなったらあの医者の居ない隙に診察室に忍び込んで、何をしてるか探るかな)

小鳥遊医師に薬を渡す際、薬と引き換えに犬御に何をしたのか聞きだそうとしたのに、
その場では巴津火に先を越されてしまったのだ。

(狼の居ないうちに何とかしないと…って、ここどこ?)

考えながらうろうろと歩き回っていたら、いつしか見知らぬ場所まで歩いてきてしまったようだ。
風の運ぶ土の匂いの中に、覚えのある匂いと妖気が混じっているのを辿ると、
座り込む穂産姉妹の姿が見えた。

「アニさん、アネさん!」

手を振りながら二人に向かって駆け上ってゆく。

「ねぇここって、どこー?」
903 :露希 :2011/07/30(土) 22:15:34.62 ID:udANb/wN0
>>901-902
いつもならば、二人仲良く会話しながら歩いてくる少女と女性。
しかし、もうその女性の姿は無い。
少女は消えてしまった女性の為に、お供え物の花を摘みにこの丘へとやって来たのだ。

そのついでに、噂に聞いたことのある教会へと立ち寄ろうと丘の上を目指していた。

「あ、あれ?アネさんアニさん?それに黒蔵君も。」

そこには思いもしない三人が。
一瞬動揺するも、直ぐに三人の元へとやってくる。
904 :穂産姉妹 :2011/07/30(土) 22:24:26.13 ID:WhlKTmVv0
>>902
流れる雲に心にあるすべてを奪われて、
数時間とその流動の下で茫然自失としていた二人。
しかし、その停止と流動の混在する空間に一石を投じたのは、
よくよく自分たちがお世話にもなり、感謝の念を持ち続けている彼だった。

『「こんばんは」』

短く答えてよく似た瞳(雨子神は寝ぼけ眼)を向けて、
短くあっさりと挨拶する。

「ここですか?
 ここにも以前名前があったようなのですが」
『人の足が無くなってからは・・・名前とともに信仰もなくなった丘だよ・・・』

>>903
『あなたも来ていたのか・・・
 どうやら今日は・・・なじみの顔と良くあう・・・』

ボソッと露希を見つめて呟く。
以前の件もあるので腹に一物抱えていると思ったが、
別段そんな態度も見せない露希に二人は、静かに驚いた。

>>ALL
「あなたたちはなぜここに?」
『ここは人の記憶から消え・・・ついには地図からも消えた丘・・・
 なかなか簡単にこれるはずは無いのに・・・』

まあ、相手が妖怪なのだから、
人間の記憶から消えたとしてもそれに伴って妖怪が忘れるわけでもないが。
かつては信仰の大きく、とても栄えていた場所。しかし今は廃墟。
自分達がここに狙ってくるならまだしも、彼らにはその理由は無いはずなのだ。
905 :??? :2011/07/30(土) 22:30:35.34 ID:zbawy1FDO
>>901-903
「あら、あらあらあらあら」
「なんだなんだぁ?やけに綺麗な花が咲いてると思ったら、綺麗な女性が三人もいるじゃない」

聞くだけで恥ずかしくなるような台詞を言った物がいる
それは他の誰でもなく、遅れて丘を歩いてきた

「やあやあこんにちは、俺も混ぜて貰っていいかな?」

スラックスにチェーンをジャラジャラ付けまくり、ボタン開けと着崩れまくった黒い高級スーツ、すっごく派手なヒョウ柄ワイシャツが目を引く男
ライオンの様にセットして、長い後ろ髪を纏めた金髪をなびかせ、どこか胡散臭い下まつげが長い目をしている
906 :黒蔵 [saga]:2011/07/30(土) 22:36:28.76 ID:hDR1j45zo
>>903-905
「えっ!そんなところなのここ?!でも境の神にも会わなかったし…何時の間に」

いったい何時の間に人界と異界の境を越えたのだろう。
境界にいる番人、道祖神の類にも出会わなかった。
とはいえ黒蔵も妖怪ではあるから、さほど不安はないのだけれど。

「露希〜俺、完璧に道に迷った。帰り道おしえてくれると嬉しいな」

朝からずっと悩みながら歩き回って、いい加減足も頭も痛いのだ。
黒蔵は穂産姉妹を見習って草の中に座り、そのまま大の字にひっくり返る。

(今日は普通にズボンはいて来てて良かった)

今日は喫茶店で貰った、黒ズボンに半そでのYシャツ姿のままである。
夏場の学生服にも似たその姿なら、街中を歩くのにも浮かなくてすむのだ。
背中で地面の冷たさを楽しんでいると、さらに誰かがやってくる。

「ん??」

頭だけ起してそちらを見る。

「…ホスト?」

現れた見知らぬ男は、バイト先のホストクラブ界隈でよく見かけるような格好である。
907 :露希 :2011/07/30(土) 22:45:32.24 ID:udANb/wN0
>>904
「…白龍の大好きだった花とハーブを取りに来たんだ。
ここって、たくさんの種類の花が自生しているし、時々二人で来ていたんだ。」

良く見ればラベンダーやアルカネットなどの花があちらこちらに咲いている。
そよ風に揺れるそれらは、寂しさを訴えているように見える。

「あの時は、二人のことを想ってしてくれたことなんですよね。ありがとうございます。」

>>905
「こんにちは。えぇっと…誰ですか?」

声を掛けられたので挨拶はするも、初対面なためかあまり視線を合わせようとしない。
と言うか、見た目的に合わせにくいのかもしれないが。

>>906
「迷ってここまで来ちゃうの?
…てあれ?どうしてボクもここに来ちゃったんだろう?」

初めて来た時、たまたまここに辿りつき、
二回目以降は誘われるようにこの場所に来てしまった。

「あはは、ごめん♪ボクも分かんないや。」

アネさんの隣にちょこんと座り、にこにこと笑っている。
908 :穂産姉妹 :2011/07/30(土) 22:51:41.90 ID:WhlKTmVv0
>>905
「『?』」

顔見知ってすっかり聞きなれた声に包まれていたので、
突如入ってきた初耳の声には、一番強く耳につく。
それでもゆっくりとした動作で声のしたほうに顔を向ける。

「こんにちは」
『氷亜よりももっと・・・掴みづらいかも・・・』

二人がともにこの男に感じた印象は、
絡みづらそう、ということだった。

>>906
事実に驚いて、少しわたわたと落ち着かない反応をした黒蔵を、
日子神は特別感情を顔には出さず、彼の言葉の後に続けた。

「神がいなくなっても、異空間は発生しますよ。
 例えば人どころか神格もち、妖怪すべてにすら忘れ去られた土地は、
 このようにどこか結界にも似た虚無の空間に変化するでしょ?」
『でも・・・相当の低確率で偶然・・・
 そういった空間に行ける事ができる・・・例えば・・・
 今の君みたいに心ここにあらずで・・・彷徨う様にしていれば・・・』

日子神の説明を、ぼんやりとした口調で補完してから雨子神は、
じとっと、その睡眠欲に駆られて光の少ない瞳で黒蔵を見つめた。

>>907
『そう・・・』

彼女を思い出すように話す露希の声を、雨子神はいとも無く目を下に向けて聞いている。
そう、その後に何も言わなかったのは、
おそらくあの二龍はどう見ても助けられず、今花を摘みに行く彼女に、
あの龍のことを思い出させる必要はないと理解していたからだ。

「あなたも・・・迷っていたんですよ」

露希が座りやすいように場所を空ける雨子神。
そして座り込んだ彼女の顔を覗き込むように顔を接近させ、
彼女の心自身に語りかけるように言葉を発した。
909 :??? :2011/07/30(土) 23:10:24.46 ID:zbawy1FDO
>>906
「やあ、ボク、こんにちは」
「そんなに小さいのによくホストなんて知ってるねぇ、でも俺はホストなんかじゃないよ」
「俺はねぇ…何て言うのかなぁ?一応、神職ってのになるのかな?洋式のね」

見た目は確かにホストと呼ばれる職業によくあるような格好
しかしそのラフな見た目に反して神職をしているらしい

>>907
「ああすまない、言い忘れてたね」
「俺の名前はアモール、愛と言う意味があるらしくてね、気に入っている名前なんだ」

「よければ、君の名前も聞かせて頂きたい」

大袈裟なそぶりのお辞儀をして名乗り、顔を上げながら露奇を見て名前を聞き返す

>>908
「やあ、少し突然で驚いたかな?でも出会いってのはそういう物さ」
「俺の名前はアモール、君達の名前も聞かせて欲しいな」

聞く事ははっきり、グイグイくるが見た目通り性格もチャラい、という訳でもない…?
話し方はフランクだが優しげで、丁寧に言葉を選んでいる≠ニいうのが客観的にも解るだろう


「いきなりだからもしかしたら俺とは話しづらいかもしれないと思う、だから俺から話の種を蒔かせてもらうよ」
「それじゃ、突然だけど君達、愛についてどう思う?」

いきなり来て何を、と思うだろうが、これも親密になりたいが為の彼なりの会話の種なのだろうか
にしても、いきなり難しい事を聞く男である
910 :黒蔵 [saga]:2011/07/30(土) 23:25:04.53 ID:hDR1j45zo
>>907-909
「あの時?」

(アニさん達が何かしていたのかな?二人って、どの二人だろう?
 …っていうか、あの話だとアニさん達も迷い込んで帰れないとか?)

疑問な表情を浮かべながらも、露希と穂産姉妹の間の真面目な空気に、
詳細を尋ねられないままの黒蔵。
仕方ないので、起き上がって見知らぬ男の様子を観察することにした。

「神様なの?俺、黒蔵。ホストはバイトでやってるから知ってた」

神様ならば縋ってみよう、と黒蔵は帰り道を尋ねようとしたのだが、
逆に愛についてどう思うかと先に聞かれてしまった。

「あい?藍色?」

色の名前が先に出てきたらしい。
同時にその色の目の衣蛸を思い出して、キッズケータイをポケットから取り出した。

(そうだ、叡肖さんに迎えに来てもらえばいいんだ)

果たしてこの異界、ケータイの電波は届いているのか。
911 :黒蔵 [saga]:2011/07/30(土) 23:26:16.57 ID:hDR1j45zo
>>907-909
「あの時?」

(アニさん達が何かしていたのかな?二人って、どの二人だろう?
 …っていうか、あの話だとアニさん達も迷い込んで帰れないとか?)

疑問な表情を浮かべながらも、露希と穂産姉妹の間の真面目な空気に、
詳細を尋ねられないままの黒蔵。
仕方ないので、起き上がって見知らぬ男の様子を観察することにした。

「神様なの?俺、黒蔵。ホストはバイトでやってるから知ってた」

神様ならば縋ってみよう、と黒蔵は帰り道を尋ねようとしたのだが、
逆に愛についてどう思うかと先に聞かれてしまった。

「あい?藍色?」

色の名前が先に出てきたらしい。
同時にその色の目の衣蛸を思い出して、キッズケータイをポケットから取り出した。

(そうだ、叡肖さんに迎えに来てもらえばいいんだ)

果たしてこの異界、ケータイの電波は届いているのか。
912 :露希 :2011/07/30(土) 23:33:43.14 ID:udANb/wN0
>>908
「迷ってる?ボクが?」

雨子神から一旦視線を逸らして俯く。
しばらくその状態が続くが、再び顔を上げる。

「…そうだね、迷ってるかもね…。色々なことで…。」

先程のラベンダーのように、露希も寂しそうな表情で
雨子神を見つめた。

>>909
「ボクは露希。アモール、確かにね。いい名前だと思うよ。」

案外良さそうな奴かな、と安心して口を開く。
だが、やはりどこかチャらいと言うか、紳士的なのに見た目とのギャップとか…
やはりアモールを理解出来なかった。

「愛?むぅ…。好きな人へ送る…宝物かな?」

好きな人に注ぐもので有るが、どう思う、と聞かれても応答に困る。
確かに彼氏もいて愛は有るのだが、やはり説明は難しいようだ。

>>910
「ぇ……」

藍色についてどう思うか聞かれることはあるのだろうか?
多分…滅多にない。
愛と藍を間違える黒蔵への反応も困ってしまう。
913 :穂産姉妹 :2011/07/30(土) 23:42:52.97 ID:WhlKTmVv0
>>909
少し遠くを見つめるような目つきが、
二人分、アモールと名乗る男に注がれる。
それは出会った当初の氷亜にも浴びせられたもので、彼女達はその彼の態度に、
追体験をしているかのような不思議な感覚に陥っていた。

『初対面で・・・言葉多く話しかける者は・・・』
「まず信頼しないほうが良いと言いますね」
『でも・・・名乗らないのは失礼だ・・・僕は穂産雨子神』
「私は穂産日子神です」

流石に初対面の者に笑顔で、フランクな挨拶できるほどの性格でも二人は無い。
だがそれでも相手に不快な念を与えないように、口調は丁寧である。

「愛・・・ですか?」
『多分・・・あなたが今思っているものと同じ・・・だと思う・・・
 もしあなたが・・・よっぽどの性癖を持たない限りは・・・』

さらっとその質問にさっくりとした返答をした雨子神。
この返答は以前氷亜にもそれを聞かれた際にしていた物だが、彼の場合はケースが違い、
本当に愛を知らなかったため効果は無かった。
しかし彼に対しては、その意味があるという彼女の判断だ。

>>911
ふとした疑問から発せられたその質問に、日子神の顔は気持ち険しくなる。
その表情はまるで何も知らない黒蔵に対して、
立ち入り禁止をしているようだった。

ちなみに携帯に関しては、別段繋がらないなどの障害は発生しない。
しかしその電話が彼に届き、その足でここに駆けつけたとしても、
迷った者でもここの存在を知るものでもなければ彼が、
この空間に侵入することは、不可能だ。

>>912
『忘れられた空間は・・・そんな心を引き寄せる性質がある・・・』

心が寂しさに支配されているそんな露希の頭を、
雨子神はゆっくり、優しく撫でた。
その仕草はまるで、彼女の見た目が大人の女性ではなくとも、
そこには確かに母親の放つ、今日だいな母性があった。

『でも・・・迷ってる間にいづれ気づくんだ・・・
 迷えている間が一番・・・幸せだったと・・・』

しかしその後繋げた言葉には、どこか荒神にも似た風格があった。
914 :穂産姉妹 :2011/07/30(土) 23:42:53.65 ID:WhlKTmVv0
>>909
少し遠くを見つめるような目つきが、
二人分、アモールと名乗る男に注がれる。
それは出会った当初の氷亜にも浴びせられたもので、彼女達はその彼の態度に、
追体験をしているかのような不思議な感覚に陥っていた。

『初対面で・・・言葉多く話しかける者は・・・』
「まず信頼しないほうが良いと言いますね」
『でも・・・名乗らないのは失礼だ・・・僕は穂産雨子神』
「私は穂産日子神です」

流石に初対面の者に笑顔で、フランクな挨拶できるほどの性格でも二人は無い。
だがそれでも相手に不快な念を与えないように、口調は丁寧である。

「愛・・・ですか?」
『多分・・・あなたが今思っているものと同じ・・・だと思う・・・
 もしあなたが・・・よっぽどの性癖を持たない限りは・・・』

さらっとその質問にさっくりとした返答をした雨子神。
この返答は以前氷亜にもそれを聞かれた際にしていた物だが、彼の場合はケースが違い、
本当に愛を知らなかったため効果は無かった。
しかし彼に対しては、その意味があるという彼女の判断だ。

>>911
ふとした疑問から発せられたその質問に、日子神の顔は気持ち険しくなる。
その表情はまるで何も知らない黒蔵に対して、
立ち入り禁止をしているようだった。

ちなみに携帯に関しては、別段繋がらないなどの障害は発生しない。
しかしその電話が彼に届き、その足でここに駆けつけたとしても、
迷った者でもここの存在を知るものでもなければ彼が、
この空間に侵入することは、不可能だ。

>>912
『忘れられた空間は・・・そんな心を引き寄せる性質がある・・・』

心が寂しさに支配されているそんな露希の頭を、
雨子神はゆっくり、優しく撫でた。
その仕草はまるで、彼女の見た目が大人の女性ではなくとも、
そこには確かに母親の放つ、今日だいな母性があった。

『でも・・・迷ってる間にいづれ気づくんだ・・・
 迷えている間が一番・・・幸せだったと・・・』

しかしその後繋げた言葉には、どこか荒神にも似た風格があった。
915 :アモール :2011/07/31(日) 00:08:05.59 ID:PLcwdBPDO
>>910
「神様じゃないよ黒蔵君、それに仕える職業」
「俺の仕える神様は素晴らしいよ、愛と正義と…とにかく色んな物を語るのさ」

自らが仕えると言う神を思い浮かべ、うっとりとして語る
すぐに気を取り戻して、黒蔵の答えを聞いた

「ああ、綺麗な色だよね、黒というか青というか…って違うよ」
「…ま、まあ、君のような子供にはまだ難しいかな」

黒蔵のボケ(ボケではないが)にノリツッコミが出来る辺り、それなりにユーモアが通じる方

>>912
「露奇、露奇か、うん、いい名前だね」

「成る程、君の考える愛も素晴らしい」
「好きな人に贈る…そうだね、それこそ正しく愛の形の一つだ」

返答に困った露奇の答えに、うんうんと頷きながらそれらしい考えを語る
しかし話し方や見掛けは少しおかしいだけで怪しくはないのだが、何か違和感がある
妖怪が放つ妖気や、気配、それよりももっと違う、言うなれば詐欺師のような、何と無くの胡散臭さ

>>914
「あらあら、ガードが固いなぁ」
「ま、仕方ないよね、これから仲良くしていこうよ、雨子ちゃんに日子ちゃん」

怪しまれていると解っても態度は崩さずそのままに、名前を勝手に略して呼ぶ

「成る程、面白い回答だね、好きだよ、そういうの」

「俺の思う愛は言うなれば鎖、みたいな物かな」
「こう言うと縛る≠ニか冷たい≠ニか見たいだけど、そうじゃないんだ」
「鎖みたいに連鎖して、繋がって、色んな物を固く繋ぐって言うのかな」
「双方に繋がる一本に見えて、実は沢山連なって一つになる物、みたいな感じかな」

よく回る舌で、聞かれてもいない己の愛を簡単にペラペラと話す
途中、手を顎にやったり身振りをしたりの動きも合間って、演劇の役者のような演技っぽさが強く出ている

「ちょっと臭かったかな?職業柄ロマンチストでね、すまない」

916 :アモール :2011/07/31(日) 00:08:34.86 ID:PLcwdBPDO
>>910
「神様じゃないよ黒蔵君、それに仕える職業」
「俺の仕える神様は素晴らしいよ、愛と正義と…とにかく色んな物を語るのさ」

自らが仕えると言う神を思い浮かべ、うっとりとして語る
すぐに気を取り戻して、黒蔵の答えを聞いた

「ああ、綺麗な色だよね、黒というか青というか…って違うよ」
「…ま、まあ、君のような子供にはまだ難しいかな」

黒蔵のボケ(ボケではないが)にノリツッコミが出来る辺り、それなりにユーモアが通じる方

>>912
「露奇、露奇か、うん、いい名前だね」

「成る程、君の考える愛も素晴らしい」
「好きな人に贈る…そうだね、それこそ正しく愛の形の一つだ」

返答に困った露奇の答えに、うんうんと頷きながらそれらしい考えを語る
しかし話し方や見掛けは少しおかしいだけで怪しくはないのだが、何か違和感がある
妖怪が放つ妖気や、気配、それよりももっと違う、言うなれば詐欺師のような、何と無くの胡散臭さ

>>914
「あらあら、ガードが固いなぁ」
「ま、仕方ないよね、これから仲良くしていこうよ、雨子ちゃんに日子ちゃん」

怪しまれていると解っても態度は崩さずそのままに、名前を勝手に略して呼ぶ

「成る程、面白い回答だね、好きだよ、そういうの」

「俺の思う愛は言うなれば鎖、みたいな物かな」
「こう言うと縛る≠ニか冷たい≠ニか見たいだけど、そうじゃないんだ」
「鎖みたいに連鎖して、繋がって、色んな物を固く繋ぐって言うのかな」
「双方に繋がる一本に見えて、実は沢山連なって一つになる物、みたいな感じかな」

よく回る舌で、聞かれてもいない己の愛を簡単にペラペラと話す
途中、手を顎にやったり身振りをしたりの動きも合間って、演劇の役者のような演技っぽさが強く出ている

「ちょっと臭かったかな?職業柄ロマンチストでね、すまない」

917 :アモール :2011/07/31(日) 00:09:35.57 ID:PLcwdBPDO
>>910
「神様じゃないよ黒蔵君、それに仕える職業」
「俺の仕える神様は素晴らしいよ、愛と正義と…とにかく色んな物を語るのさ」

自らが仕えると言う神を思い浮かべ、うっとりとして語る
すぐに気を取り戻して、黒蔵の答えを聞いた

「ああ、綺麗な色だよね、黒というか青というか…って違うよ」
「…ま、まあ、君のような子供にはまだ難しいかな」

黒蔵のボケ(ボケではないが)にノリツッコミが出来る辺り、それなりにユーモアが通じる方

>>912
「露奇、露奇か、うん、いい名前だね」

「成る程、君の考える愛も素晴らしい」
「好きな人に贈る…そうだね、それこそ正しく愛の形の一つだ」

返答に困った露奇の答えに、うんうんと頷きながらそれらしい考えを語る
しかし話し方や見掛けは少しおかしいだけで怪しくはないのだが、何か違和感がある
妖怪が放つ妖気や、気配、それよりももっと違う、言うなれば詐欺師のような、何と無くの胡散臭さ

>>914
「あらあら、ガードが固いなぁ」
「ま、仕方ないよね、これから仲良くしていこうよ、雨子ちゃんに日子ちゃん」

怪しまれていると解っても態度は崩さずそのままに、名前を勝手に略して呼ぶ

「成る程、面白い回答だね、好きだよ、そういうの」

「俺の思う愛は言うなれば鎖、みたいな物かな」
「こう言うと縛る≠ニか冷たい≠ニか見たいだけど、そうじゃないんだ」
「鎖みたいに連鎖して、繋がって、色んな物を固く繋ぐって言うのかな」
「双方に繋がる一本に見えて、実は沢山連なって一つになる物、みたいな感じかな」

よく回る舌で、聞かれてもいない己の愛を簡単にペラペラと話す
途中、手を顎にやったり身振りをしたりの動きも合間って、演劇の役者のような演技っぽさが強く出ている

「ちょっと臭かったかな?職業柄ロマンチストでね、すまない」

918 :黒蔵 [saga]:2011/07/31(日) 00:14:08.50 ID:IXdrBnoHo
>>912-915

びくっ!

アニさんアネさんがなんか怖い。
そして露希の困った子を見るような視線が痛い。
黒蔵はおろおろしている。

「そんな難しい事判んないよっ」

露希とアモールの返答に自分の答えが変なのは判ったが、そもそもの質問が抽象的過ぎる、
と黒蔵は思った。

(この人が喋るほどにアニさんアネさんの表情は厳しくなっていく気がするし、
 この人が神様じゃないなら帰り道については多分、当てに出来ないんだろうな)

なんとなく感じる居心地の悪さに、祈るようにケータイの発信中表示を見つめる黒蔵。
しばらくたってようやくの応答は……機会音声の留守電応答だった。

「叡肖さーーーん……」orz

(何この四方八方から打ちのめされた感)

黒蔵の蛇生は、今日も通常運行である。
919 :露希 :2011/07/31(日) 00:27:36.45 ID:pZuBHFKd0
>>914
「…迷いと忘れ去られた空間…。」

何処だか分らぬこの空間、だが凄く懐かしい。
白くて、いつもそばに居てくれた家族の様な。

雨子神に撫でられ続けた露希の眼からは、
少しばかりの涙が零れ落ちた。

「…アニさん達は一体、何者なの?」

>>915
感はそこまで鋭くない露希でも、彼の怪しさには気づいていた。
彼から距離はあるが、隣に居る雨子神に体を寄せて少しだけ警戒する。

「へ、へぇ、アモールさんの愛はそう言う物ですか…。」

>>916
「ぇぇと、黒蔵君っ、一緒に帰ればきっと出られるよ!?
ああっ、そんなorz見たいに堕ちこまないでっ!」

今の彼女にはショタとかロリとか追うことはまず考えていないので安心なのだが。
一緒に帰るとなると、少し気まずくなるかもしれない。
920 :穂産姉妹 :2011/07/31(日) 00:34:48.09 ID:W8skkMWo0
>>917
『いや・・・構わない・・・』
「臭くたって、我慢できないほどじゃあありませんから」

雨子神と日子神は言い切り、そして演じきったアモールに目はやらず、
ただ彼方に目をやって答える。

『姫こそが愛の権化・・・とか』
「僕が迷わないための座標軸・・・のようなことを聞かされるよりましです」

フランクな内容と、そっけない態度。
そんな矛盾を作り出しているのは、彼が神官と知ったからかそれとも、
彼らと出会うまでの彼女達の精神状態が影響しているのか。

「それと、あなたがそうである以上」
『僕たちと仲良くできると・・・思わないで欲しい・・・
 そこはあなたも分かってる・・・と思う・・・』

>>918
自然と追い込まれていった黒蔵の苦悶を、
なおも無表情で雨子神は気づき話しかけた。

『ここは異空間というより亜空間・・・トバリ、と呼ばれるようなものじゃない・・・
 これに拘束力は無い・・・ただ・・・入りづらく出づらいだけ・・・』

全てはあなたの心しだい、と眠気が多量に含まれた言葉で締めくくる雨子神。
黒蔵のいるここは、迷いによって入り込んでしまった空間なのだから、
その迷いを晴らすような地点、目的地さえ明確になれば、
出ることは彼が考えている以上に容易いのだ。

>>919
露希が、その瞳に涙を溜めて、戸惑うように問いかける。
そんな質問を聞いて雨子神は、なぜかゆっくりと微笑んで答えた。

『何者・・・?
 それはあなたも前から知っているはず・・・
 僕達は・・・神崩れ・・・。この教会と同じように忘れ去られ・・・
 そして教会よりも迷い・・・彷徨ったあげくのあてに・・・堕落するもの・・・』
921 :アモール :2011/07/31(日) 00:53:05.44 ID:PLcwdBPDO
>>918-920
「愛という形は様々、誰に注ぐかも」
「俺は人も人じゃない物も全てを愛しているんだよ、愛せば愛される、と教えられていてね」

自分に対する思われ方も、どういう風に見られているかも全て無視、というより見ようとしていない
周りを見ずに愛を語りつづける、こんなに自分勝手な愛があろうか

「そうそう、教えの一環として街でたまにカウンセリングみたいなのしてるから、また会った時はよろしくね」
「と言うことで、余り油を売ってちゃ怒られるから俺は行くよ」

「じゃあね、皆」と軽く手を振って、愛を語る男はまるで嵐のように去っていく
彼が一体何だったのか、よく解らない謎はきっと近い内、解る筈
922 :解峯 [saga]:2011/07/31(日) 23:07:12.00 ID:IXdrBnoHo
盆の時期は水辺もまた、あの世との境目である。
あの世の者に引かれぬ様、この時期は水辺に近寄らぬようにと昔は言ったものらしい。

(釜蓋朔日、か)

街中をさらさらと流れる夜の川岸に、背の高い男がぬぅと現れた。
歩いてきたにしては足音もなく、その服装もまた少々異様ではある。
そのどこか大陸風の甲冑には大きく皹が入っており、頬は血に汚れていた。

(折角だし、この機会にあの馬鹿がメソメソしてないか見に行ってやろうか)

心残りの一つを片付けに、男はゆらりと歩き始めた。
歩を進めるごとに少しづつその姿は変わる。
甲冑の皹は埋まり血の汚れは消え、やがて黒の着流しに白い帯の姿となって
人の街の明かりのほうへと向かってゆく。

暗がりなのに躓くこともなく、その足音は一切しない。
923 :露希 :2011/07/31(日) 23:19:17.93 ID:0RHRSIcDO
>>922
白龍の死からしばらく経ち、落ち着いた頃。
彼女は、深夜の街へ出掛けていた。目的は特に無く。
そこに、いつしか会ったことのあるような人が遠くから近づいてくる。

まさか、と思うが疑問は確信に変わる。

「か・・・解峯さん!?」
924 :露希 :2011/07/31(日) 23:20:27.85 ID:0RHRSIcDO
>>922
白龍の死からしばらく経ち、落ち着いた頃。
彼女は、深夜の街へ出掛けていた。目的は特に無く。
そこに、いつしか会ったことのあるような人が遠くから近づいてくる。

まさか、と思うが疑問は確信に変わる。

「か・・・解峯さん!?」
925 :解峯 [saga]:2011/07/31(日) 23:32:07.88 ID:IXdrBnoHo
>>923
その少女の横を何気なく通り過ぎようとしたのだが、どうやら彼女には解峯が見えていたらしい。

「おー、露希ちゃんじゃないか。どうりで俺がみえるわけだな。
 どうだい、まだ黒蔵は君の家に厄介になっているのかな?
 お兄さんや龍の二人は元気かい?」

露希の現状を知らない死者の魂は、露希に軽く挨拶をした。
話の流れで、おそらく露希の家に居るであろうと思われる黒蔵の様子を、
こっそり見に行くつもりなのだ。
926 :天多 [sage]:2011/07/31(日) 23:41:18.95 ID:UO1SG5+SO
虫の声と、川の流れる音。
天井の星明かりの下、川の岸辺に、ぼうっと白い火の玉のようなものが現れた。
ゆっくり回転するそれは、しばらくすると、溶け出したように形を崩す。
それから再び、今度は白い鼬の――400年前に二つの未来を守って死した、送り鼬の姿になって地面に降り立った。

(……あら、)

目を瞬かせて、白鼬の天多はきょろりと辺りを見回す。

(もうこんな季節なのね)

合点が言ったように頷くと、白鼬はぴょんと跳ねて歩き出した。
送り妖怪の仲間たちのこともだが、やはり気になるのは、四十萬陀と東雲のことだ。
927 :露希 :2011/07/31(日) 23:42:35.55 ID:0RHRSIcDO
>>925
「・・・・・・いえ、黒蔵君は別の場所にいますよ。一緒に行きましょうか。」

彼の質問には答えず、場所まで案内する露希。
それ程悲しい表情を見せる訳でも無く、ただいつも通りに接していた。

「黒蔵君、凄い悲しんでましたよ。何も言えずに別れるのが相当辛かったんでしょうね。」
928 :解峯 [saga]:2011/07/31(日) 23:52:51.80 ID:IXdrBnoHo
>>926-927
「案内してくれるのか、有難う。アイツら、迎え火も焚いてくれないんで、俺も迷っちまうところだった」

渡りに船、と解峯は露希に礼を言う。

「残った者にあんまり気を病まれると、俺らは次へ行けなくなるからアイツにも乗り越えて欲しいんだがな。
 今は丁度、俺たちが戻ってこられる時期なんだよ。特に、心残りのある者にとってはね。
 …ほら、また一人来た」

そう言いながら背後に現れたもう一つの気配に振り向くと、丁度火の玉が姿を変えるところだった。

「姐さん、こんばんは。俺らには随分良い夜だね」

目のあった白鼬に、人の姿の竜宮の武官はひょいと頭をさげて挨拶をした。
闇ですらとろりと粘度を増しそうなほど、じっとりと湿気を含む生ぬるい夜である。
魑魅魍魎は活発に活動しているに違いない。
929 :天多 [sage]:2011/08/01(月) 00:20:50.68 ID:bB2lIPYSO
>>927-928
「こんばんは、お兄さん。ええ、ふふ、なんだか体が軽いわ」

解峯が頭を下げるのと同時に、天多も挨拶で応えた。
湿気た深い闇の空気は、彼女らにとって心地よい。
ふらりと隣にいる露希にも視線を映すと、

「お嬢さんは、……違うのね」

白鼬は柔らかく微笑み、「こんばんは」と頭を下げた。
落ち着いて暖かみのある彼女は母親のイメージを彷彿とさせる。
天多は長い尾を揺らしながら二人に近付いていった。地面を移動する足音はない。

「どちらか袂山の場所を知らないかしら」

会いに行きたい子がいるの、
と、その脳裏に夜雀と狼を思い描きながら、天多は尋ねた。
930 :露希 :2011/08/01(月) 00:28:50.27 ID:TEOFYOoDO
>>928-929
「やはり、死んだ人達の為にも想いは断ち切った方がいいのですね・・・。」

やはり、まだ辛い出来事は頭から離れず。
乗り越えなければならない壁も、実はまだ乗り越えてないのだ。

「こんばんは。袂山?ボク知ってるよ。
解峯さん、袂山に寄ってもいいかな?もしかしたら、七生ちゃんと一緒に黒蔵君もいるかもしれないから。」

七生、と言う単語から、露希が袂山の妖怪達と友達なのが分かるかもしれない。
天多に頭を下げると、解峯に視線を移して尋ねてみる。
931 :丑三夜中 :2011/08/01(月) 21:44:09.10 ID:hcEQ5M4DO
殆ど日が落ちた薄暗い黄昏時、山に近い散歩道をぶらぶら歩く男がいる
生温い風が頬を撫でるのを感じながら、男は咥内の飴を転がしながら歩いていた

「お盆か…早いもんだな」
「…っつー事は、探したらいんのかね」

「ま、どうでもいいか」と独り言を切り捨てて、ふらりふらりと一人歩く
932 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/01(月) 21:55:39.48 ID:4sdwzZYAO
>>931
「む…貴様は…」

『おや、あなたは…』

歩いていたのは、青年と老人。丑三を見つけたとたん、声をあげる。

「ちょうどいい…今度こそリベンジを」

『三凰坊ちゃま。いくら山に近いといっても、ここは人も通りますので…』

三凰の方は、戦う気満々でレイピアを抜こうとするが、飛葉がそれを抑える。

『すみませんな。三凰坊ちゃまが…』
933 :丑三夜中 :2011/08/01(月) 22:05:41.34 ID:hcEQ5M4DO
>>932
「お」

目の前に現れた青年と老人を見ると、短く声を出して立ち止まる

「よう、蝙蝠野郎と執事」
「保護者連れて散歩か?」

面白そうな奴らを見付けた、とニヤついて、三鳳を挑発するような台詞を吐く
934 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/01(月) 22:11:19.63 ID:4sdwzZYAO
>>933
「保護者じゃない!」

飛葉(実際保護者のようなものですがね。)

「それに、散歩でもない。修行の息抜きに来ただけだ。」

ピリピリした雰囲気で三凰が言った。

『あなたは、何をしていらしたのですか?』

935 :丑三夜中 :2011/08/01(月) 22:25:36.46 ID:hcEQ5M4DO
>>934
「へぇ、修行ねえ…」
「修行してどーすんのよ、悪の組織でもいるのか?」

三鳳の修行の一言を茶化すような反応で返す

「俺も息抜きに散歩だよ、折角だから墓場にでも行って肝試ししようかと思ってた所」
「どーせなら一緒に行くか?怖いってんなら無理にとは言わないけどな」

ニヤニヤと三鳳を見ながら、半ば焚き付けるように誘いの言葉をかけてみる
936 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/01(月) 22:34:58.68 ID:4sdwzZYAO
>>935
「百鬼夜行の主になるために、力をつけているに決まっているだろう。」

不機嫌そうに言う。

『この時期に墓地で肝試しとは、趣がありますな。』

「怖いわけないだろ。霊を怖がるのは、人間だけじゃないのか?
いいだろう。行ってやる。」

まんまと乗る三凰。

『行くんですか…』
937 :丑三夜中 :2011/08/01(月) 22:43:25.44 ID:hcEQ5M4DO
>>936
「百鬼夜行ねぇ…そりゃまたでかい夢だこと」
「でもお前、それになってどーすんの?王様になった所でただ椅子に座ってるだけか?」

人間である自分に妖怪である百鬼夜行の主は殆ど関係がない物
ぶっちゃけどうでもいい訳だが、遠い場所の存在故にそれを目指す者の志がなんとなく気になる

「季節は楽しまないとな、肝試しは冬でもするけど」
「よっし、んじゃ早速行こうぜ、話は歩きながらだ」

行くと決まれば話は早い、手招きをしてから墓場へ歩き出す
938 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/01(月) 22:51:48.53 ID:4sdwzZYAO
>>937
「フッ…百鬼夜行の主になり、宝玉院の名を世の中に知らしめるんだ。そして、父上のように絶対的な力を持った存在になる。」

目を輝かせながら語る。よほど、父のことが好きなのだろう。

『冬に肝試し…それも乙なものなのでしょうか…』

とか話しつつ、歩き始める。
939 :丑三夜中 :2011/08/01(月) 23:01:54.76 ID:hcEQ5M4DO
>>938
「名前を、か…」
「妖怪を支配してどうの、とかは考えたりしないのか?王様だぞ王様」

話し方の態度とは裏腹に野望の少ないような志に、ほぅと声を漏らす
目を輝かせる三鳳を珍しそうな目で見て

「いつ何をやろうと俺の勝手さ、やりたいときにやりたいことをやる、趣とか考えんのは後後」

そんな話をしていると、薄暗い中に墓場がみえてくる
流石に不気味な雰囲気だが、唯一の人間はそういう感覚が麻痺している
妖怪は、そういう感情を抱く物なのだろうか
940 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/01(月) 23:15:28.33 ID:4sdwzZYAO
>>939
「フッ…支配だなんだと考えるのは、二流のやることだ。
一流なら、自然に下に部下はついてくる。支配する必要なんてない。」

事実、父の二仙には飛葉を始めとする妖怪達に従われている。

『ほほう、これはまた…人間だったら、気味が悪いと表現するのですかな?』

「フッ…今にも何かでそうだな。」

なんとなく、楽しんでいる様子。三凰は、なにか期待しているようだ。
941 :丑三夜中 :2011/08/01(月) 23:30:05.01 ID:hcEQ5M4DO
>>940
「成る程ね、そりゃいい考えだ」
「いやまあ、お前が変な野望考えてなさそうで良かったよ」

こいつ嘘が下手そうだし多分いい奴だろ、と勝手に判断した

「気味が悪い、だろうな、俺はもう慣れてるけど」

普通ならこんな時間の墓場に近付こうと思う者は少ない、いたとしても思うのは気味が悪いか、何かを期待する気持ちだろう
そんな気持ちをこの場所に抱くのは久しく無く、今となっては全くの無、ただ暇潰しに歩く散歩道と同じ

「何かが出てくりゃ面白いんだけどな」
「お盆だし、期待してみるか」

とか言いながらも、ただぼんやりと歩くように墓石の間を縫って歩いていく
942 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/01(月) 23:41:57.76 ID:4sdwzZYAO
>>941
「もし僕が野望を抱えていたら、どうしたんだ?」

無表情で、確かめるように言った。

『やはり、退魔師をやっていると、そうなるのでしょうか?』

「そういえば、お盆というのは、霊が帰ってくるとかいう行事だったな。」

思い出したかのように言う。
943 :丑三夜中 :2011/08/02(火) 00:01:35.04 ID:rQeoug7DO
>>942
「そりゃぶった斬ってたよ、悪の芽は早めに摘まないと後々大変だからな」

なんてこと無いかのように答える、もし答えが違えばこの瞬間に闘いが発生していたかもしれない
しかし本当にしていたのかは怪しい所である、それを確かめる事はもう出来ないが

「まーね、つっても俺は慣れが先だけど」

幼少の頃、物心ついた時から見えざる物が見えていた
人間と見分ける術を知らなかったその頃は、同じ境遇にしか解らない苦悩もあったのもいい思い出である
その苦悩をこんな風に昇華させてしまうのだから、かなり図太い人間だ

「そうそう、おれも何人か見たよ」
「こう沢山黄泉還ると、化けて出る必要もないのかね」

そう言いながら歩いている途中、一つの墓石の前で止まる

「どうなんかねー」

と思ったら墓石にチョップ連打、なんとも罰当たりな

/すいません、次のレス少し遅れます
944 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/02(火) 00:14:39.19 ID:qTfIoPmAO
>>943
「フッ…そりゃ面白い。なら、全妖怪の支配とでも言っておくべきだったか?」

戦いたかったのか、ニヤリと笑いながら言った。

『三凰坊ちゃま。そのようなことは、例え嘘でも言わないでいただきたいですな。』

飛葉は、真面目な表情で三凰に言った。

『慣れが先とは、苦労なされたのでしょうな…』

「…?」

飛葉には、その苦労がなんとなくわかっていた。しかし、三凰には、なんのことだかわかっていない様子だ。

『って、そのような行動には感心できませんなぁ…』

墓石にチョップをかます丑三を見て、一言。
945 :丑三夜中 :2011/08/02(火) 00:35:47.14 ID:rQeoug7DO
>>944
「やめとけ、[ピーーー]気でいく方が殺さないようにするより楽なんだぞ」

墓石をチョップしながらやんわりと、「本気でやったら負けねぇよ」との意味の言葉をかける

「苦労したかも忘れたさ、ま、今が楽しけりゃいーの」

そう言って、ようやく墓石チョップを止める

「しかし、影も形もないな」
「こんな事すりゃ、怒って出てくるとも思ったが」

硬い墓石にチョップしたために痛む右手を振りながら辺りを見回す
暗い墓場は生温い嫌な空気が漂ってはいるが、人魂や影の一つもない

/ただいま帰りました
946 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/02(火) 00:55:57.64 ID:qTfIoPmAO
>>945
「フン…僕だって…」

『三凰坊ちゃま。殺し合いと手合わせは、全く違いますよ。』

「わ、わかっている!」

飛葉に言われ、機嫌悪そうに叫ぶ三凰。

『霊だって、こんな墓地にいたくないのでは?まぁ、考えにくいことではありますが…』

飛葉でさえお世辞にも、心地よいとはいえない墓地。それを好む者もいるのだろうが…
947 :丑三夜中 :2011/08/02(火) 01:09:33.95 ID:rQeoug7DO
>>946
「ま、その高すぎるプライドを奮いたくなったらいつでも相手してやるよ」

宥められる三鳳を愉快そうに見て笑い、人差し指をまげて挑発

「今回は断るけどな、流石に墓場で暴れるのは気が引ける」

さっき叩いた墓石に手を宛てて頭を下げる、謝って許してもらえるのかは解らないが

「そうかもな、俺だったら墓場にいるくらいなら風呂覗くし」
「んじゃ、そろそろお開きといくか」
948 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/02(火) 01:16:36.45 ID:qTfIoPmAO
>>947
「フン…」

拗ねたのか、そっぽを向いた。

『そうですな。墓地だからといって、何かに出会える訳ではないようですしな。』

949 :丑三夜中 :2011/08/02(火) 01:24:52.81 ID:rQeoug7DO
>>948
「そんじゃ、俺は帰って飯でも食うわ」
「じゃーな、仲良くやれよ」

後ろ手を振りながら、墓地を歩いて帰って行った
950 :三凰「」&飛葉『』 :2011/08/02(火) 01:40:25.65 ID:qTfIoPmAO
>>949
「言われたくても…」

『はは…お気をつけて。』

三凰とは違い、飛葉はしっかりと頭を下げて見送った。
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2011/08/02(火) 14:55:21.61 ID:8VHVf60SO
         /      / /   |    ヽ \
         ,′ /   / ⌒´`^⌒|      |
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.        │ | |  | 00:00:00.00||  │  |
.        │ | |  |│      |│|  │  |
.        │ | |  |│      |│|  │  |
        V八|  八|      |八| /|/  |
           | \|∩      ∩ |V  |     
           |  } ∪      ∪ |   / /  
            l  〈 //  r ─┐ // |    /    
.          八  |丶、  、__ノ   │ / /  
.            \|\lV>ァ--r=≦、|/}/
            xく  \-‐} /∧
              ∧\.二/∨二/| '.
952 :稀璃華 :2011/08/02(火) 22:07:51.58 ID:LEzPl+w90
「……ここどこ?」

とある男から呼び出され、この街へとやってきた妖怪。
服から髪の毛まで灰色で、
瞳の色は金色の様に輝いているサイドテールの…男性。

これを見て、一般人ならば女性と見間違えてしまうだろう容姿。

そんな女s…男性は、深夜の街を徘徊していた。
953 :児佐々 美雪 [saga]:2011/08/02(火) 22:08:14.36 ID:uFR5KQDGo
炎天下、自転車の路駐を避けながら、歩道を歩く美雪は汗だくになっていた。

「何でこのガラクタってば、こんなに重いのかしら」

鹿の屋敷を掃除して、出てきたガラクタ同然の古いものを古物商に届けに行く途中である。
それなりに骨董品もあるので、ただ捨てるのも何だし、売ってアンタのお小遣いになさいな、
と鹿南に言われてガラクタを運ぶところである。

「それにこの箱持ちにくいんだもん、もー!」

おそらく掛け軸でも入っているであろう細長い箱、こいつが厄介なのだ。
他のものは風呂敷で四角く纏めてしまえるのに、この細長さがやたら持ちにくい。

「お父さんも手伝ってくれればいいのにー!あー、もっと涼しい服で来れば良かった」

マキシ丈のワンピースなどよりも、ショートパンツのほうがよかったかも、と今更に後悔している。
954 :児佐々 美雪 [saga]:2011/08/02(火) 22:10:36.15 ID:uFR5KQDGo
// >>953は取り消しで。
955 :巴津火 [saga]:2011/08/02(火) 22:20:36.51 ID:uFR5KQDGo
>>952
街中を徘徊する灰色の妖怪の後を、面白半分にひたひたと付いて歩くものが居る。
黒い髪を頭の後ろで一つに縛った、紺の甚平姿の背の低い少年だ。

(あれ、なんだ)

ゴム草履の足音を忍ばせて物陰にも上手く隠れながら、灰色の妖怪が歩けば歩き止まれば自分も止まる。
妖気こそ押し殺しているものの、時折暗がりできらりと光る紫の瞳は隠し様が無かった。

(こんな時間に、こんなところで何をしている?)

自分の事は棚にあげ、少しづつ距離を詰めて
手が届くところで後ろから声をかけてやろう、というつもりの悪戯だった。
956 :夜行集団 :2011/08/02(火) 22:27:29.00 ID:KJb5OHPI0
そんな虎視眈々な巴津火の後ろにも、
彼に気づかれること無くつけている者がいた。

もともと彼はこの街の初心者のように歩いている彼女、もとい彼を見つけ、
街案内というお節介心で、話しかけようと近づいていた。
しかしその際に視界に入ったのが、あのいたずら小僧。

「おい・・・お前は女子にも悪戯するキャラだったかっていう・・・?」

そして彼の耳元で、その向こうにいる灰色の彼には気づかれないよう、
囁くようにして話しかける。
957 :稀璃華 :2011/08/02(火) 22:35:03.40 ID:LEzPl+w90
>>955-956
「………」ぽろり

男の眼から涙が零れた。
普段から涙目なので、ちょっとしたことで涙が零れ落ちてしまうのだ。
本人は嘘泣きとかそう言うつもりでないのに心配されたりすることが多い。

キョロキョロと辺りを見渡して、誰かに道を尋ねようとしたら、巴津火と目が合ってしまった。

「…??」ぽろぽろ

涙を流しながら、巴津火を見つめる男性。
958 :巴津火 [saga]:2011/08/02(火) 22:43:48.42 ID:uFR5KQDGo
>>956-957
「何あれ女なの?」

元々蛇の視力はあまり良くない上、この暗がりである。
単に相手の妖気を感知しただけの巴津火には、その相手の性別など
大した問題ではなかったのだ。

「うん、暴れられるならボクは相手が何でもいいんだぞ」

機嫌よく背後のホストに、実は物騒な返事を返すお子様であった。

「でも何かあれ、湿っぽそう」

べそかき相手では遊んでもらえない事が多いので、巴津火はがっかりである。

「水商売なんだろ?それ、話術の見せ所」

降水をもたらす邪神は、銀髪のホストの背中をぐいと押し、灰色の妖怪の前面に出した。
頑張れ、と無責任に親指を立てて見せる。
このお子様にこういうことを教えたのは、多分あの衣蛸だ。
959 :虚冥 :2011/08/02(火) 22:53:46.78 ID:KJb5OHPI0
>>957
巴津火との会話が聞こえたとは思えないが、結果として稀璃華はこちらに気づいた。
場合によっては自分も、と少し黒っぽい期待をしていたので、
振り返って気づかれたとき、虚冥は残念そうに、あ、と小さく声を漏らした。

>>958
巴津火の返答を聞いて、改めて目を細めながら稀璃華の姿を見る。

「いやー、あれは女の子だろっていうwwwwww
 このド近眼wwwwww」

くくくと少し馬鹿にした笑いを喉から漏らした。
物騒な巴津火の頭を、注意するように手のひらで軽く叩いてから、
背中を押す巴津火に目の前の稀璃華には気づかれないよう、グッと親指を立てる。

>>957
「おいおいwwwwwwどうしたっていうwwwwww
 こんな糞暑い中大事な水分流しちまってwwwwww」

へらへらと軽薄な雰囲気を出して近づく。
氷亜であれば、もう少し口説きも入れられたかもしれないが彼は虚冥。
やはりどこか粗野な口調にしかできないのであった。
960 :稀璃華 :2011/08/02(火) 23:01:59.06 ID:LEzPl+w90
>>958-959
「……?あの…私に何か?」ぽろぽろ

本人、泣いてる気なんてまっさらなので、なぜ話し掛けられたのか理解してない。
それに、よく見ると…小さい男の子と超絶イケメンのセットではないか。
まじまじと二人を見つめ、言葉を失う。

「……くっ!」

ぐい、と虚冥から顔を逸らす。
それはなぜか?地面を見れば分かる。赤い液体が滴り落ちていたから。
961 :巴津火 [saga]:2011/08/02(火) 23:09:56.90 ID:uFR5KQDGo
>>959-960
やっぱりどうにも湿っぽい泣き虫妖怪だ、と間近でしげしげと稀璃華を見て
巴津火はそう結論付けた。
水分をだだ流している稀璃華に対し、虚冥のほうはまた何か違うものを
だだ漏らししているような気もするが、喧嘩の花が咲かないのならば巴津火には
ここはあまり面白くはないのだ。

(あそこのコンビニで甘いもの買おうかな)

通りの大分先、白い光の漏れる店のほうに、巴津火は惹かれている。
ポケットには少しばかりの小銭があったのだ。

そこで、なにやら覚えのある匂いが巴津火の鼻をくすぐった。
蛇は視力こそ良くなくても、嗅覚と温度変化の察知ならばそこそこできる。

「おい、何時の間に殴ったんだ?」

わくわくしながら虚冥にそう尋ねた巴津火。
稀璃華の流す鼻血に、喧嘩が始まったと思ったのだ。

(乱入準備完了)

巴津火の拳に纏わり付いた雷光が小さく弾ける。
銀髪ホストのハイパーテンションタイムの始まりか?
962 :虚冥 :2011/08/02(火) 23:17:06.02 ID:KJb5OHPI0
>>960
「いやいやwwwwwwむしろこっちのほうが何があったの?だよっていうwwwwww」

涙目に心配したというのに、キョトンとした表情と質問が返って来た。
それを右手を顔の前まで上げ手首だけ振り、否定しながら笑って突っ込む。

「いや、は?」

そうやって笑っていると今度は、
涙の透明ではなく赤色の液体が稀璃華から流れた。
あまりにもの唐突さに、間抜けな声を漏らしながら彼は、
自分から逸らされたその顔を心配というよりは状況把握のために、ぐいっと覗き込む。

>>961
稀璃華に話しかけてからしばらくも立たない間に、
巴津火の興味は遠くかなたに、飛んでいったことは背中で感じていた。
心の中でやれやれと短いため息をつく。

「いやいや、
 俺そんなどこぞカンムリワシ見てえなことできないから」

覗き込んだままの姿勢で、目線だけは巴津火へと向けて突っ込み。
ちなみに彼の思考など知らないので、巴津日の体に、
小さく電撃がほとばしっている理由は知らない虚冥であった。
963 :稀璃華 :2011/08/02(火) 23:29:03.02 ID:LEzPl+w90
>>961-962
「うわぁぁっ!!わ、私は何もしてませんよ!!……(超絶萌え…ッ)」

脳内妄想が広がって、色々な意味で暴走し過ぎてます。
巴津火を見るなり声にもならぬ悲鳴を出したと思えば、
超絶イケメンに心配されて意識が飛びそうになったり。

やっとのことでポケットティッシュを取り出し、鼻に詰めた。

「すまない…。ちょっと暴走仕掛けてしまってな。
君たちはこの街の者か?」
964 :巴津火 [saga]:2011/08/02(火) 23:32:53.99 ID:uFR5KQDGo
>>962-963
「お前手ェ早いなー!流石!」

パンチの速さなのか、会ったばかりの女の子の顔にいきなり
ちゅーしようと言わんばかりに屈みこむその大胆さへの賞賛なのか、
そのどっちにも取れる台詞で巴津火はホストを褒めた。
衣蛸の教育によれば、こういうときは何て言うんだっけ?そうだ。

「いいぞーもっとやれー♪」

ちなみにこのお子様にカンムリワシの例えはちょっちゅねー、判んないだろうと思われる。

そして稀璃華が鼻にティッシュを詰め込む直前、巴津火の握る雷光からごく小さな
しかし静電気にしてはちょっと強すぎた火花が、ぱちんと虚冥の背中へと飛び火したのは
決してわざとじゃーないのだ。
965 :虚冥 :2011/08/02(火) 23:43:56.13 ID:KJb5OHPI0
>>963
覗き込むために近くまで寄せられていた顔が、
彼女がオーバーヒート目前にまで熱せられ不意に動いたので、
その手に危うくひっぱたかれそうになって思いっきり仰け反らされた。

「(お?・・・おお?)」

突如の攻撃と、自分がなにかされたらしい稀璃華の言動に頭は混乱し、
荒く息をつきながら、正体不明の爆発物でも見るかのような視線を彼に向ける。

「ぼうそう?房総かっていう?」

地名?とさらに混乱から来る、意味が完全に不明な質問が虚冥から飛び出す。
じりじりと引き下がる足が止まったのは、
その稀璃華の暴走タイムも終わったからかもしれない。

「てか、街のもんだっていう。
 お前は何だ?一見ってやつか?」

>>964
違えよと短く簡潔に突っ込んだ虚冥。
その顔は巴津火が年齢に似合わない言動に驚いたのか、
すこし眉間に皺がよっている。

「冷やかすならお前がいけばいいんじゃね?
 ほら、社会勉強だ社会勉強」

そしてさっと彼の後ろへと移動し、巴津日の背中を強くぐいぐいと押す。
先ほどは押される形だったが今度は押す側。
その押す力がやけに強いのは、もしかしたらテンションが2RANKほど上昇したからかもしれない。
966 :稀璃華 :2011/08/02(火) 23:57:06.41 ID:LEzPl+w90
>>964-965
「(なんだこの街……。
深夜にイケメンとショタがつるむとか聞いてねぇぞ、零ォ。)

暴走な、暴走。そうだ、ここは初めてなんだ。」

イケメンに押されるショタっ子を見るなり、更に暴走モードに突入しそうだ。
だが、ここは落ち着き、ゆっくりと話した。
相手のテンションがランクアップしようが、変に冷やかされようが気にせず。

「そうだ、そこの二人。一つ、大事なことをお願いしていいかな?
駄目は承知で聞く。……抱いてください。」

もうこれ変態でしょ、とでも言うべきだろうか。
967 :巴津火 [saga]:2011/08/03(水) 00:03:00.93 ID:TCQmBrH8o
>>965-966
「ボクは街の者じゃないぞー?」

まだ海の者とも山の者ともつかない中途半端な存在は、
虚冥にぐいぐいと押し出されながらも、
稀璃華の抱いてくれという頼みに即答した。

「駄目。お前がなめくじの妖怪だったらボク嫌だもん」

良く知らない妖怪とホイホイ接触しちゃいけません、って衣蛸は言ってなかったけど
ミナクチは言ってた気がするのだ。確か。

そしてテンション上昇中の虚冥の押しが思いのほか強く、
足元の何かに躓き転びそうになった巴津火は慌てて虚冥の腕を掴む。

「ちょ、押しすぎだろ!うわうわうわ…、あ。」

ちなみにその巴津火の手にはまだ雷光が纏わり付いたままだったりした。
968 :虚冥 :2011/08/03(水) 00:13:39.16 ID:Yi3z1NYR0
>>966
色々と予定外のことが彼の身に振りそそいだが、
ようやく期待していた答えを聞けたので虚冥の口角は、気分とともに上がった。
今こそハイテンションとともに彼のお節介心が走り出す、

「・・・・・は?
 やだっていう」

と思ったのもつかの間。
その言葉によって彼のテンションも計画も吹き飛ばされた。
それはもう、ぽーんと。

>>967
しかしここで、ハイテンションがカムバック。
ひはははははは、と劈くような高笑いが街に大音量で響き渡る。
目はらんらんと輝いて、顔には満面満点の笑みが。

「来た来た来たああああ!!!!
 久々に来たぜえええwwwwwwwwwwwwすううぱあああ俺タイムがよおおぅwwwwwwwwww」

そして少しの間、
よほどテンションが有り余っているのかその場でいきなり飛び跳ねたりしていたが、
いきなりバッと高速で巴津火へと首を向けたかと思うと、目が光っていた。

「なめくじがいやならあああwwwwwwww塩まみれの汗かいているようなお前!!!!
 お前が確かめりゃいいじゃねえかっていううううwwwwww!!!」

その直ぐあとに巴津火の脇を、両手でがっしりとつかまえホールドした。
そして彼のどこにそんな力が埋没していたのか、
巴津火を手荒くも稀璃華へぶん投げる。
969 :稀璃華 :2011/08/03(水) 00:23:41.00 ID:LZXNDtKr0
>>967-968
「………」ズーン

こちらのテンションが最底辺にまで降下した時。
虚冥の超スーパーハイテンションが。
そして比例するかのように、こちらの眼もキラキラと(うるうるしてるが)輝き始めた。

「わっはっは、私も好きだぞ!そのノリ!!ん…?」

虚冥と言う神様が舞い降りたのか、巴津火が飛んでくるではないか。
もう、それはもう幸福に満ちた笑顔で受け止めようとした。

「おお、私はこれを臨んでいたのだぁー!」
970 :巴津火 [saga]:2011/08/03(水) 00:33:18.68 ID:TCQmBrH8o
>>968-969
「雷一つでこうなるのか。アマツキと反応違うけどこれはこれで面白いな」

跳ね回る虚冥を観察していたら、がしっと捕まれ稀璃華の方へと放り投げられた。

「ボクは塩まみれの汗なんてかいてないぞぅ」

虚冥に言い返しながら宙で体をひねる。
飛ぶ方向は変えられないが、着地体勢ならなんとかなるのだ。

(高いところから飛び降りるのと同じ要領だな)

「お前と一緒にすんな!べーっだ!」

そして虚冥の投げは稀璃華の顔へ、巴津火のゴム草履の底が迫る結果となったのである。
このままでは巴津火は笑顔の真ん中に着地する。
ちなみに稀璃華が目を見開いていれば、位置的に甚平の上衣裾からは腹チラが
ちょっぴり見えるはずだ。

顔をとるかショタを取るか、稀璃華の選択はどっち?
971 :虚冥 :2011/08/03(水) 00:39:17.58 ID:Yi3z1NYR0
>>969>>970
馬鹿大きい笑い声をあげながらピッチングをした後、
肩をぐるぐるとまだ笑い声をあげながら回した。

「どうだっていう!!!!そこのグレイウううううメンよwwwwwwwwwwww
 御待ちかねの男だっていうう!!!!!」

どや顔とすらもはや言い尽くせないほどに、
どやっ!!顔をした。
972 :稀璃華 :2011/08/03(水) 00:51:25.24 ID:LZXNDtKr0
>>970
輝きを放つハイテンション虚冥、
魅惑のショっ子(の皮を被った)巴津火。

どちらを取るか、それは凄く簡単なことである。

「まずは君だな?」

ぴょんっと飛び、巴津火の背中を抱きかかえるようにして着地。
甚平越しに感じられる柔らかい肌をぷよぷよと揉むなり、強く抱いたりする。
そして、最後には頬っぺたに…ry

「うん、私が大好きなのは男だぞ!」

次の標的は虚冥。秒速6,25mで彼に接近する!
このままでは抱きつかれてしまうぞ。(男に)
973 :巴津火 [saga]:2011/08/03(水) 00:57:54.45 ID:TCQmBrH8o
>>971-972
さて、深夜に街中で馬鹿騒ぎしすぎると、どうなるだろうか。
スーパーハイテンションな虚冥は、そして虚冥に迫る稀璃華は、気づけるだろうか。
彼らの背後に、赤色灯を載せたパンダ色の車が
サイレンは鳴らさずにすっと寄って来て停止したのだ。

どうやら近隣住人の心ある方に通報されたようです。
降りてきた青い服の二人組みが彼らに職質するまであと15秒、逃げるなら今。

「うわああああああ!気持ち悪いやめろ離せええええ!」

一方、巴津火はというと、稀璃華に抱えられたまま体中をなで回されていた。
稀璃華の感じるショタの手触りは、さぶいぼでざらついている。
暴れん坊の巴津火、しかも甚平なのでめくれ易いのは仕方が無い。
紺の甚平とのコントラストで夜目にも目立つ肌の色が、ばっちりお巡りさんにも目撃されているようだ。
974 :虚冥 :2011/08/03(水) 01:04:59.25 ID:Yi3z1NYR0
>>972>>973
巴津火が足を向けて迎撃体制をとったというのに、
彼はあっさりとそれをかわし、それはもう好き放題なことをした。
その様で、虚冥の爆笑はさらに加速する。
抱きしめられるショタっ子と抱きつく灰色の男性と爆笑のホスト。

道行く人々がその狂乱の現場を、近づくまいと迂回し続けているの説明するまでも無い。

「おっしゃあああ!!!次は俺だな!?この俺様だなっていう!?
 かかってこいやあああああ!!!!!wwwwwwwwww」

普段の彼なら、稀璃華の速度に度肝を抜かれていただろう。
だが今はスーパー虚冥だ。動じず、むしろプロレスの取っ組み合いの前のような体制になっている。

「そいやっ!!!」

そんな突っ込んできた稀璃華に、虚冥は素早くしゃがみこんだ。
そしてその流れで片足を地面すれすれに蹴り出し、稀璃華に足払いをする。

彼はこれで転んでしまうかもしれないが、それでもまだ良識の残っている虚冥が、
がっちりと地面と衝突する前に受け止めてくれるだろう。
ちなみにそんなことをしているから、あの人たちのほうは見ていない。
975 :稀璃華 :2011/08/03(水) 01:12:19.51 ID:LZXNDtKr0
>>973-974
「(よし、これであの人も…?)」ぴきィん

ニュー○イプでもあろうことか、脳裏に光が走った。
そう、悪い子は捕まえてしまうあのお方が来てしまったのだ。

虚冥を狙うと言う目的から、ショタを連れて逃げると言うミッションに変更。

足を掛けられるが、軽やかな身のこなしで転ぶのを避け、虚冥と距離を置いた。
そして、きゅっとショタッ子の手を握り、逃走を図る。

もしここで、巴津火ーが逃げてくれなかった場合…。うん……。
976 :巴津火 [saga]:2011/08/03(水) 01:19:09.42 ID:TCQmBrH8o
>>974-975
立ち止まって見守る通行人も居る中、ぽん、虚冥の肩に手が載せられた。
そして聞き覚えのある声がする。

「はい、二人ともそこまで。ちょっとこっちへ来て…ん?もしやまた君か」

覚えているだろうか、以前にもコンビニで彼らにお世話になった事を。
しかも今はこのテンションの高さである、飲酒か薬物使用を疑われても仕方が無い。

「ちょっと…一緒に来て貰おうか」

もう一人は稀璃華に近づくが、冷静な彼には巴津火共々逃げ去られてしまった。
仕方なく二人目の青服さんも虚冥の確保に来たようだ。
このままでは虚冥がパンダ色の車で再びドナドナされてしまう!

そして、少し離れたところでは。

「あっ…!ひっぱるなっ…痛ッ!」

猛烈な勢いで引っ張られ遠ざかりながら、巴津火は途切れ途切れに稀璃華に抗議する。
公権力から逃げ出せても、この変態にがっちりホールドされていては、ちっとも嬉しくないのだ。
977 :虚冥 :2011/08/03(水) 01:29:48.94 ID:Yi3z1NYR0
>>975
さらりと足払いをかわされ、仕方なく立ち上がった。
しかしその顔には、ライバルへと向けるようなあの笑顔が。

「かわすとはやるじゃねえか平井wwwwwwwwww平井って誰だよ!!!!wwwwwwwwww」

また技を放つ気なのか先ほどと同じ構えをとり、
挑発するようににやにやと手招きしていた。
しかしその意思とは違って、稀璃華は巴津火へとターゲットをシフトする。

「っておい!!!wwwwwwwwww
 俺じゃねえのかよっ!!!!あんなに楽しませておいて・・・ひどい人!!!」

とふざけてみてもそれを見るはずの彼は、もうすでにどこかへ。

>>976
げらげらと一人で笑っていると、肩に叩かれた感触が。
そう、虚冥は一人ではない。一緒に同じ車に乗った仲間がいるから。
この前と同じように、は?、と短く声を出して彼らのほうに振り向いた。

「お前、誰に話しかけてるんだっていう?」

しかしこの前のようにはいかない。なぜなら今彼はスーパー虚冥だから。
振り返った顔に張り付いたいた表情は、理解の追いついていない困惑の顔ではなく、
にやにやと、まるでお化けのような笑みを浮かべていた。

「夏で幻想でも見たか?」

そしてその言葉を最後に虚冥は、ふわふわと煙のように霧散し、消滅した。
厳密に言うと彼は消滅したのではない。人間には見えない狂骨となったのだ。
その為彼らは、言葉通り幻想を見たかと思うかもしれない。
978 :巴津火 [saga]:2011/08/03(水) 01:33:38.92 ID:TCQmBrH8o
>>977-978
虚冥が衆人環視の元で雲散霧消したころ、走るほどに巴津火は不機嫌になっていった。

「む〜……」

いつの間にか巴津火のゴム草履は片方脱げてしまっている。
走っているうちに何かにぶつけたのか、裸足の足指の爪に血が滲んでいた。
もう幾つ目の角を曲がろうか、という頃、汗ばんだ掌がすべって巴津火は稀璃華から解放される。

「あにすんだよっ!」

その憤りは自然と、稀璃華にぶつけられた。
979 :稀璃華 :2011/08/03(水) 01:36:32.43 ID:LZXNDtKr0
>>976-977
「(イケメンさん、すまぬな…。
…それに…あんながっちりした警察……捕まりたかった…。)

あ…あぁ、逃げるのに夢中でな。すまない。言い遅れたが、自己紹介しなくてはな。
私の名は稀璃華だ。君は?」

虚冥のことも考えていたが、あの青服の方たちのことも考えていたり。
そんな危ない彼は、優しく微笑むと巴津火に名前を聞いた。
980 :巴津火 [saga]:2011/08/03(水) 01:38:22.61 ID:TCQmBrH8o
>>979
「はつびっ」

息を切らしつつ返答する。
同時につかまれた手が溶けていないかと確認し、安堵する。

(よかった、なめくじじゃない)

なめくじに触ったら蛇は溶けてしまう。
981 :稀璃華 :2011/08/03(水) 01:47:15.77 ID:aHZ4RpuDO
>>980
「そう・・・巴津火、ね。
今日は私の都合で付き合わせてしまって本当にすまなかった。

もし、今度会ったら、君の暴れるのに付き合ってあげるよ。じゃあ、またね。」

手を振って別れた灰色の男性。一つ、彼は大事なことを聞くのを忘れていた。

「零はどこだ・・・」

そして、深夜の街を再び徘徊することとなった。

//では私も〆ます。
お二人とも、絡みお疲れ様でしたっ!
982 :巴津火 [saga]:2011/08/03(水) 01:52:36.25 ID:TCQmBrH8o
>>981
「今度会ったら、殺すっ!」

巴津火は足の痛みに稀璃華を追うことは諦め、神社へと帰ってはいったものの、
その後は激しい雷雨が翌朝まで続いたという。
そしてなぜか夜行集団の店周辺に落雷が集中し、付近は停電したそうな。


//ではこの辺で。お二人とも、お疲れ様でした。
983 :神隠し :2011/08/03(水) 21:30:27.89 ID:FvbnAbk7P

 夕闇の薄暗い空にて、サラサラと葉が生温い風にたなびいている。
 その森の下に腰掛ける、道士服を着た少年。

「・・・、唄ぁ。思い出せねぇなぁ、ゲタゲタゲタ」

 尾を引くような笑いも力ない。
 彼は遥かにある故郷の山を見つめていた。

「・・・」

 そこは神聖を失い、主すらも倒され。
 今や辺りと変わらぬ一辺倒の山になってしまっている。
 山の気も精霊も、もう全て居なくなっているだろう。

「あーぁ、負けたんだなぁ。俺達・・・」

 彼のような自然の一端そのものである妖怪は、死んだら“次”などない。
 彼等にとって死とは存在軸の消滅である。故に屍も魂も残さぬのだ。

 それでも彼がここに居るのは、夜行神の残した残渣。
 そして死者の還るこの季節の地風が呼び起こした偶然の産物なのだ。
984 : :2011/08/03(水) 21:44:07.30 ID:KPf7IuYAO
>>983
今日も修行の瞳。この時期は、風月のことを考えてしまうが、今の自分には風月に会う資格なんてないと思っている。
その寂しさを紛らわすかのように、より修行に励む。
しかし、さすがに疲れたようで、休憩しようと休める場所を探していたとき、その少年が目に入った。

「……!?」

目を疑ったが、間違いない。神隠しだ。

「あなたは…まさか…神…隠し…?」

985 :神隠し :2011/08/03(水) 21:54:44.46 ID:FvbnAbk7P
>>984

「・・・!」

 瞳の姿を認めると、ニタリと笑って立ち上がった。
 その存在は既に薄く、向こうの風景が透けて見える。

「よぉ、久しぶりだなぁ」

 よろける様に歩み寄ってくる。
 相変わらずの嫌な笑みだが、やはりその凄みも悪意も感じられぬほど薄かった。

「・・・隣、いいか? そうビビんな、今の俺じゃ虫一匹殺せねぇよ」

 そのままふらつくように瞳の傍らに腰掛ける。
 焦点の会っていない目は遠い空を見つめていた。

「死者が還える日、か」

 ゲタゲタと小さく溢すように笑う。
 ほんの小さな、聞こえるか聞こえないかの小さな声で。
 神隠しはポツリと呟いた。

「願わくはあいつ等にあってみたかったね」
986 : :2011/08/03(水) 22:01:05.77 ID:KPf7IuYAO
>>985
「ああ…久しぶり…だな。」

生きていた頃とは、変わってしまった神隠しに戸惑いつつ言った。ただ、警戒は一切なかった。

「……今、今なんて言ったんだ?」

その呟きは、わずかにしか聞こえず、思わず聞き返してしまう。
987 :神隠し :2011/08/03(水) 22:09:53.20 ID:FvbnAbk7P
>>986

「ゲタゲタゲタ、別に。たいしたことじゃあねぇよ」

 瞳の疑問を聞き流してしまう。
 それより、と呟き。
 少しジトリとした目付きで瞳を見上げる。

「どうなんだ、テメェこそよぉ。俺達を・・・紫狂を倒して。
 人と妖怪が仲良くなれる世界は作れたか? テメェの望む人との関係は築けたか?」

 答えを聞く前に、皮肉っぽく笑う。

「まぁ、聞くまでも無さそうだなぁゲタゲタゲタ」
988 : :2011/08/03(水) 22:17:04.41 ID:KPf7IuYAO
>>987
「私の目指す世界の実現は、まだまだ先になりそうだな。でも、そう遠くはないと信じているよ。」

そうきっといつかそんな世界に…そう思って死んでいったのが風月だった。

989 :神隠し :2011/08/03(水) 22:28:08.79 ID:FvbnAbk7P
>>988

「・・・」

 神隠しは目を細めて瞳を魅入っている。
 その夢を語る姿に、少しばかりの春花の面影を重ねて・・・。

「そうかい」

 どういうわけなのか、清々しい。
 目の前に自らの宿敵が居るというのに、心中は穏やかだった。

(これも窮奇の手の内なのかね・・・)

 ぼんやりと物思いにふける。
 この未熟な妖怪に、とても後は任せられるとは思えないが。
 そんな夢など、とても実現できるとは思えないが。
 一つだけ確かに考えられる。

「・・・俺に勝ったのが、お前で良かったよ」

 ただそれだけを、その一言だけを小さく呟き。
 降り往く山霧と、紫の宵闇の中に。

 その存在は静かに溶けて消えた・・・。
990 : :2011/08/03(水) 22:47:14.46 ID:KPf7IuYAO
>>989
「神隠し…私は、本当はあなたを救いたかった…だけど、戦う道しか選べなかったんだ…本当にすまなかった…」

戦う道しか選べなかった瞳と、最期まで戦うことをせずに命を落とした風月。
どちらが正しかったのか、どちらも正しくなかったのか、瞳にはわからない。
しかし、これだけは言っておかなければならなかった。

「……」

今度の呟きは、ちゃんと聞いていた。しかし、何も言わずに涙を流すだけだった。

991 :丑三夜中と紫 :2011/08/03(水) 23:26:15.33 ID:UvMNVD1DO
ドンドンドンと太鼓の音、ピーヒャララと笛の音、それにまじって人のざわめき
どこかで開かれている縁日の音をBGMに、今日も男は何の目的もないかのように歩いていた

「祭か…」
「行ってもカップルばっかで殺意の波動が抑えられなくなるしな…」

ふらふらうろうろ、やることも無いのか、何もしていないのか、独り言を呟きながら男は歩く

『楽しそうじゃあないか主人よ、何なら私が人の形になってやろうか?』

その隣を歩くピンクと紫の縞猫が人間の言葉でそう返した
992 :神隠し :2011/08/03(水) 23:38:02.93 ID:FvbnAbk7P
>>991

「やっぱり祭りは楽しいですねぇー、姉御」
(だから人前ではしゃべらないでください!!)

 浴衣を着た乙女とそれに抱きかかえられたニワトリ。
 そして・・・

「アー、アー、ナイチンゲールナイチンゲールカワイイナイチンゲール♪」
「ナイチンゲールも静かに!!」

 カンちゃーーーーーーーん!!!
 哀れ閑古鳥のカンちゃん、普通の職人に普通に修理されて、なんだかよくわからないことに!!
 木彫りの鳥はパタパタ翼をはためかせ、謳っている。
 目は若干ラリっているように見えるのも多分気のせいだろう。

「カ・ワ・イ・イ・ワタシーーー♪」
「うっせーーー!!」
「ブホッ!!」

 波山のツッコミチョップがナイチンゲールことカンちゃんの喉下に炸裂する。
 いや、お前も充分うるさいぞ!

 ふと、前を見据えると丑三の姿が波山の眼に入った。

「あ、あの時のクソヤローだ」
「クソヤローダナ」
「えっ! そんな方が居るんですか!?」
993 :クロコ :2011/08/03(水) 23:38:29.84 ID:qotwWpyV0
>>991

そこへ歩いてくる一人の女性。

「祭ってのはどうも騒がしいな」
尖った犬耳を生やし、茶色のロングヘアーで、尖った犬歯がチャームポイントの、赤い首輪をつけて着物を着た女性が
犬耳を両手で押さえながらしかめっつらで歩いてくる。

「んっ?この匂いは丑三と…………んだっ?よくわからん匂いだな?」
鼻をヒクヒクさせながら二人に向かってくるだろう。
994 :鳥3羽 :2011/08/03(水) 23:39:55.65 ID:FvbnAbk7P

「やっぱり祭りは楽しいですねぇー、姉御」
「だから人前ではしゃべらないでください!!」

 浴衣を着た乙女とそれに抱きかかえられたニワトリ。
 そして・・・

「アー、アー、ナイチンゲールナイチンゲールカワイイナイチンゲール♪」
「ナイチンゲールも静かに!!」

 カンちゃーーーーーーーん!!!
 哀れ閑古鳥のカンちゃん、普通の職人に普通に修理されて、なんだかよくわからないことに!!
 木彫りの鳥はパタパタ翼をはためかせ、謳っている。
 目は若干ラリっているように見えるのも多分気のせいだろう。

「カ・ワ・イ・イ・ワタシーーー♪」
「うっせーーー!!」
「ブホッ!!」

 波山のツッコミチョップがナイチンゲールことカンちゃんの喉下に炸裂する。
 いや、お前も充分うるさいぞ!

>>991

 そんな時、波山の眼に独りでぼやいている丑三が映る。

「あ、あの時のクソヤローだ」
「クソヤローダナ」
「えっ!? そんな方がいるんですか!?」
995 :丑三夜中と紫 :2011/08/03(水) 23:51:34.75 ID:UvMNVD1DO
>>992>>993
説明しよう!
モテない男には、女センサーという物がある!
女センサーとは!その名の通り近くに女性がいるのを察知するセンサーである!
勿論ジョークだ!現実には多分ないぞ!

「いよっし!お祭り行こう!一緒に行こう!」

立ち止まったかと思うと瞬時に方向転換、女性二人にいきなり誘いの言葉をかける、一人は初対面なのと、なんか大変な事になっている二羽は無視して

『これはこれは、主人は運がいい…のかな?寧ろ悪いかもしれないね』
『それにしても面白い様に直されたね、私はその方が好みだよ』

節操無い主人と、騒ぐ二羽を見た猫が、静かな様子で言った
996 :鳥3羽 :2011/08/03(水) 23:54:48.47 ID:FvbnAbk7P
>>993

「うわっ! 今度はなんですか!?」

 突然の少女の出現に極楽鳥は驚き飛び退く。

「い、犬耳に首輪なんて・・・非常識ですよ!
 も、もしや妖怪ですか!? ダメですよ、もし人間に見つかったら・・・」

「ヘイヘイ、ネーチャンワンワンプレーカイー♪
 オイラが飼い主になってアンナコトやコンナコトでムフフな躾シテヤンY――ブフゥ!!」

「うっせーよ、ガラクタがぁ!!」

 やんや、やんやと賑やかだが・・・

>>995

 丑三のその態度を見て一瞬で全員の笑顔が消えた。

「え・・・嫌です」
「うわっ、キモッ!!」
「ダセーニーチャンダナー♪ 服ニモ金カケネェデナンパトカハズカシクネーノカー♪」

 女性陣、ドン退き。
997 :クロコ :2011/08/04(木) 00:01:30.58 ID:CbN/Qhlc0
>>993

「テメー!!あん時の鶏!!ゴラァッ!!あっ!?そっちの小さい騒がしいのはテメーの舎弟かっ!?騒がしいんだよ!!」
なんかチンピラのように波山に因縁ふっかける馬鹿犬。

「よっ!鳥の姉ちゃん
そこの騒がしいの何とかしろよ。耳が壊れそうだ」
極楽鳥に対しては気さくに挨拶した。
なんだ…この違い……


>>995

「あっ!?ナンパかっ?
よくわかんねえな…お前は」
呆れたようにそう言いながら、右手でパタパタとあしらうような仕種をし

「……テメーなんだ?猫の姿してるが匂いがよくわからねえぞっ」
睨むように紫を鋭い眼で見つめる。
998 :鳥3羽 :2011/08/04(木) 00:06:23.70 ID:wNrwBm8sP
>>997

「あぁ!? テメェコラそういやあん時のワン公じゃねぇか!
 上等だボケェ、ホットドックにしてやらぁ!!」

「アーアーアー、ケンカハーヤメテー♪ ワタシノタメニー、争ワナイデー♪」

 煽る波山、焚きつける九官鳥。
 もはや周囲の眼はお構いなく、喋り捲る2羽の鳥。

「あぅあぅ・・・」

 肝心の極楽鳥、思考回路はショート寸前!
 いや、ショートし終わってた!!
999 :丑三夜中と紫 :2011/08/04(木) 00:15:13.37 ID:pnBm7cQDO
>>996>>997
「畜生」

この一言に尽きる、後は何とも言えない表情が彼の気持ちを物語っていた

「畜生」

大事な事なので二回言ったのか?

「さっきからうるせーぞ、頭お前どんな奴に直してもらったんだ?小学生か?」
『頭のネジと足のネジを間違えたみたいな感じだね』

そして何事もなかったかのように九官鳥に突っ込みを入れる
元々の原因がこいつらにもあるのだが

『そりゃあ犬なんかに見抜けはしないさ、私の事はね』
『違うと思うなら当ててみるといい、尤も私が遊ばないとは限らないがね』

ふふん、と、馬鹿にするのとは違うが近い、そんな笑いでクロコを見返す
1000 :クロコ :2011/08/04(木) 00:24:50.17 ID:CbN/Qhlc0
>>998

「あああああ!!!!!やかましいんだよっ!!!!!ゴラァッ!!!!!!
私がホットドックならテメーは羽むしって、カラッとあげてフライドチキンにすんぞ!!!馬鹿鳥二匹がぁぁぁぁあ!!!!」
犬耳を押さえながら、こちらも煩い声をあげ波山とカンちゃんに向かい怒鳴りちらす。
ぶっちゃけコイツも迷惑である。

そしてツッコミがいない!!いないからカオスがどんどん加速していく!!!


>>999

「んだっ?よくわからねえな!!
お前は猫じゃないのは確かだが……」
ムムムっと頭を押さえながら悩む馬鹿犬だった。

/あわわ……今気付いた……順番めちゃくちゃにしてスイマセン……OTL
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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・・・ちゅっ、あむっ・・・今度はもっと舌を絡ませながら・・・下着ちょっとズラすよ?ずりっ・・・これで見えたおっぱいが触りやすいね @ 2011/08/04(木) 00:23:55.31 ID:WEBRXBFMo
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照英が就活がんばってる画像ください @ 2011/08/04(木) 00:11:08.55 ID:WG8141IIO
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神羅万象チョコ ウェハーマン達の避暑地 2 @ 2011/08/03(水) 23:49:21.25 ID:hLaexPrH0
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ほむら「撃ちなさい!臆病者!」 @ 2011/08/03(水) 23:36:18.22 ID:6hQ6iWkw0
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創作系新SNS「OTOKAKI」(仮)作ってやんよ ドジ8回目 @ 2011/08/03(水) 23:33:30.15 ID:MySDur7do
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1312382009/

何もかも捨てるのが幸せでしょうか? @ 2011/08/03(水) 23:31:40.34 ID:4T2c3cedo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1312381898/

後輩「あ……あの……先輩!」 @ 2011/08/03(水) 23:29:46.16 ID:HctXkrxIO
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キラケン「闘志也、ワシとやらないか?」 @ 2011/08/03(水) 23:18:59.67 ID:m9QWtuwA0
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