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少し昔話をしたくなった【消しゴムをくれた女子を・・・】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:46:12.68 ID:ECwp5XSe0
誰かこのスレ知っている人はいますか?
ちょっと暇なもんでスレを立てて見ましたww
てか、トリ有ってるかな?
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【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/

VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/

今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part12 @ 2024/04/29(月) 20:01:59.10 ID:OQox+0Ag0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714388519/

私が書いた文だ 一度読んでみて @ 2024/04/29(月) 13:03:50.96 ID:zomKow9K0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714363430/

私が書いた文はどう? @ 2024/04/29(月) 12:48:33.59 ID:6mJNXBCE0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714362513/

感情から生まれたものたちとの物語【安価】 @ 2024/04/29(月) 10:45:54.36 ID:0XsgiyN10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714355153/

【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2024春 @ 2024/04/28(日) 16:37:54.07 ID:PHuiugtM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714289873/

2 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:48:00.95 ID:ECwp5XSe0
今日は一日休みを貰ったので、何となく昔の話の続きを語りたくなってスレを立てちゃいましたよ
まあ、すこ〜〜〜〜〜しばかり有名になった福田wwと言いますよっと
3 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:49:18.03 ID:ECwp5XSe0
こんな平日の朝早くからは誰もいねーかww
まあ、取り合えず書いて置いとくんで適当に見てくださいまし
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2012/06/20(水) 09:50:22.10 ID:04UiZymy0
待ってるよ
5 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:51:41.57 ID:ECwp5XSe0
>>4
おうwwww
誰かいたwwwwww

それでは、内容を投下していきまつ
久しぶりにスレに書き込むんで遅かったり、至らぬ点はご容赦をww
6 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:52:48.71 ID:ECwp5XSe0
-2011年8月8日AM10:15-

窓から入り込む真夏の朝日が俺の顔を照らし出す。
その光りは柔らかく、まだ真夏の太陽の様相を呈していなかった。
それでも充分な光りのそれは寝不足の俺の目を少しチカチカさせる。
いつの間にか時計の針は10時を越えていた。

病院に入ってから既に5時間を経過しているが俺にはその時間を感じさせなかった。
俺は立ち上がり、その場をグルグルと回る。そして再び長椅子に座り直した。

さっきからかれこれ10回以上同じ行動をしていた。

落ち着かない・・・全く落ち着かない。
7 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:53:53.30 ID:ECwp5XSe0
こんなに落ち着かないのは学生時代に板倉の彼女との別れ話に何故か同席して以来の落ち着かなさだった。

あの時はファミレスで一番壁際に座らされてドリンクバーにも行けずに目の前のアイスコーヒーの氷が溶けるのを見つめていただけの俺。
通路側に陣取り何度もドリンクバーにお代わりに行ける森君を羨んだな・・・と、俺は現実逃避から昔の話を思い出していた。

そして我に返り再び立ち上がりグルグルと回る。
はあー・・・俺は溜息をついていたのであった・・・
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/20(水) 09:54:48.46 ID:jjmkdGi/o
これは運命だな
久し振り〜
9 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:55:06.83 ID:ECwp5XSe0
-2010年11月末-

課長「おーい、来週の忘年会の予約は済んだのかー?」

そう社内に課長の声が響いた。すると竜也が立ち上がり親指を立てて叫ぶ。

竜也「もう、バッチリっす!良い場所取りましたよ!」

すると他の社員が「ホントかよww」「お前が去年、『笑笑』を予約してた時はマジで引いたぞ!」等と笑い声が盛り上がる。

12月はウチの会社に取っては繁忙期だが、多少なりとも浮かれる余裕は有るんだ。
だが、そんな周りと違い俺は余裕が無かった。
勿論、忙しい事も原因では有るが、それだけじゃない。

俺は・・・その時期、どうしようも無いほどに凹んでいたんだよ・・・
10 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:57:17.04 ID:ECwp5XSe0
>>8
運命wwwwwwww
いや、なつかすww

続き
サトミと結婚して俺達二人は、はにーすいーとな生活を送っていた。
まあ、勿論他人同士が暮らすから様々な問題も起きる。

サトミは寒がりだが、俺は暑がりなもんでエアコンの温度設定で揉めたり、又、洗濯物の干し方や皿の洗い方、果ては飯の食べ方まで揉めた。

だけど、それは些細であり、その都度の話し合いで少しずつ解決していった。
それ以上に夜更かししてもサトミを送る必要がなく、ずっと明け方までお喋りしたり、二人でサイクリングをしたり、夕飯の買い物をしたりと、厨房の頃に俺が妄想していたサトミとの新婚生活が現実になった喜びを噛み締めていたんだ。
11 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:58:29.58 ID:ECwp5XSe0
ずっと一人暮らしが長かったので朝起きて隣にスヤスヤと眠るサトミを見ると心が温まった。
カーテンの隙間からこぼれ落ちる朝日が当たった、その寝顔を俺はいつまでも見つめていた・・・

結婚してから俺はなるべく早く家に帰る様にした。
サトミの側に居たい、ずっと二人で居たい、その思いから俺の帰路に着く足を早くさせた。

サトミも勿論嬉しがる。その笑顔が見たくて俺は益々早く家に帰った。

俺はすっかり仕事よりも家庭を優先する人間になっていたんだな・・・
12 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 09:59:32.78 ID:ECwp5XSe0
そんな幸せな結婚生活が三ヶ月を過ぎた頃、事件が起きた。

俺がプロジェクトリーダーをしていたホテルの常駐清掃のチーフを務めていた木下が体を壊して入院する事になった。

課長「後任は赤井さんにしようと思う」
電話でそう言われたのは俺が木下の入院の旨をホテル側に伝えに行った帰り道だった。
俺「赤井・・・さんですか・・・」
俺の返事は少し歯切れが悪い。

正直赤井は苦手だった。今まで何度か現場で揉めた事が有るからだ。
13 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:01:07.19 ID:ECwp5XSe0
彼は50代の現場チーフだが、頑固な上に頭が固い。
木下は頑固だが、それなりに柔軟性があり何よりコスト意識が高かった。
だが、赤井はコスト意識が全くなく、その上に独善的で営業の言う事なんて聞きやしない。
まあ、勿論腕は良いのだが・・・

だが、今回の業務には腕は関係無い。それよりも柔軟性やリーダーシップが求められるんだ。

俺「赤井さんは・・・」
課長「もう、決定事項だ。管理課の課長より言われた」

俺の気持ちを察してか、どうかは知らないが課長がそう言う。
俺は時計を見た。時刻は18:30。
俺は今から会社に戻り課長の上にいる部長に直談判をしようかと思った・・・
14 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:02:03.13 ID:ECwp5XSe0
が、その時にふとサトミの笑顔が浮かぶ。
再び時計を見た。

今から帰れば・・・19:30には家に着けるな・・・
そう思うとサトミが恋しくなる。
まあ・・・俺がサポートすれば、大丈夫かな・・・?

そう思った俺は課長との電話を切り直帰する事にした。
15 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:03:06.08 ID:ECwp5XSe0
まあ、赤井は一応現場部門の長老だし、皆も言う事を聞くだろう。
俺はそう考えた・・・いや、そう自分に納得させたんだ。

俺はミスを犯していた。以前の俺ならば、すぐに会社に行き全力で抗議をしていた。
だけど・・・俺はすっかり油断していたんだ。

サトミへの思いを仕事を雑に行う事への言い訳に使っていた。
結婚前は仕事第一・・・結婚後は家庭第一・・・ホントに極端過ぎるだろ。


これが、俺の出口の見えないトンネルの・・・
始まりだったんだ・・・
16 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:04:14.96 ID:ECwp5XSe0
「いや、赤井さん、それ何で先に言ってくれないんすか!」

俺は電話口に向かい叫ぶ。
赤井「そんなもんは現場の判断だろ・・・」
俺「いや、でもコストの事を考えて下さいよ!」
赤井「・・・チッ」

舌打ちすんな。
俺「いや、理由を言って下さいよ!」
ムッとした俺は少し強い口調で言う。
赤井「るせーな・・・現場の判断だ!今は忙しいから」

ブチッ。あ、くそ、切りやがった・・・
17 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:05:13.94 ID:ECwp5XSe0
俺「くそっ!!!」
俺はビジネスホンを叩き付ける様に切りスーツを羽織る。

俺「松平!今からホテルに行くから、後は頼む!」
松平にそう言うと慌てて松平は立ち上がる。
松平「あ・・・でも・・・」
俺「え?何?」
松平が何かを言いたげだったので、PCを切りながら松平を見る。

松平「いえ・・・分かりました・・・」
松平はそう言って座席に座り直した。

俺は慌てていたので特に気にせずにホワイトボードに行き先だけ書いて会社を出て行った・・・
18 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:06:05.17 ID:ECwp5XSe0
赤井がチーフになってから俺とは全く上手く行ってなかった。
赤井は『現場の判断』その一言でいつも勝手な行動を取る。
その判断の理由を聞いても、返事は『現場の判断』だけだ。

赤井がチーフに成ってから俺は何度もホテルに通う事になった。
お陰で本来の営業の仕事が進まない。月の数字のクリアが厳しくなってきた。

マジかよ・・・俺は苛立ちながらホテルへ向かったのだった・・・
19 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:07:14.46 ID:ECwp5XSe0
サトミ「おはよー!良い天気だよー!」

日曜日の朝、サトミがそう言いながらカーテンを開ける。
俺はサトミが起きる前から起きていたのだが、「ホントだなー」と言いながらサトミを見る。

サトミ「ねえ、今日どっかに行こうか?久しぶりに映画を観たいww」
その一言に答えを窮した。
映画か・・・行きたいな・・・だけど・・・
俺は今日は例のホテルに顔出しをしようかと思っていた。何か嫌な予感がしたからだ。

なんで、嫌な予感がするんだろ・・・?
20 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:08:10.49 ID:ECwp5XSe0
その理由を探るが思い付かない。
だから、念のためにホテルに行った方が早い・・・そう考えていた。

サトミ「えっとねー・・・これ、観たいのーww」
そう言ってサトミが俺に情報誌を見せてくる。俺はサトミの楽しそうな笑顔を見つめる。

・・・まあ、多分大した予感じゃ無いんだろう・・・
もしも何かあったら携帯に連絡が来るだろうしな・・・
俺はそう思い立ち上がるとサトミに言った。

俺「よっしゃ、じゃあ行くかー!」

・・・
21 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:09:25.45 ID:ECwp5XSe0
翌日、月曜日。
俺はいつも通りの時間に起きて、いつもの様に携帯を見る。

俺の仕事は現場で何かあった場合に必ず夜中に連絡がある。
緊急の場合は電話をかけて来るが、たまに熟睡していて気が付かない時も有るんだ。
だから先ずは朝起きたら携帯を見る。

その日は何も連絡が入って無かった。その瞬間に少しホッとするんだ。

俺は安心してサトミの作った朝食を食べた。そしてサトミと共に家を出て駅へと自転車で向かう。
駅でサトミと別れた後は一人電車で揺られながら携帯でニュースを見たり、目の前に女の子が乗ってきたら両手を上げて冤罪対策ww
22 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:10:20.95 ID:ECwp5XSe0
そしていつもの時間に会社の前でコーヒーを買って事務所へ向かう。
大体俺は早く会社に着くので、普段は「おはようございまーす」と事務所に入ると「うぃーす」「おはよーございまーす」と言う徹夜明けのメンバーの疲れた声が聞こえる。

だが、その日俺がコーヒー片手にドアを開けると一人の先輩社員が中腰で机に片手を置きながら焦った声で電話対応をしていた。
そして、その周りでも別の社員が不安げに、先輩社員を見つめている。
その風景はすぐにピンと来るんだ。

クレームだ。
23 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:11:39.95 ID:ECwp5XSe0
うわ、朝からキツイ、誰の客だ?
俺がそう思いながら近付くと、先輩社員はすぐに俺に気が付きメモに走り書きをして俺に見せた。

『Aホテル、人数不足』

その瞬間に俺の頭から血の気が引くのが分かった。
Aホテルは例の常駐清掃の現場だ。

人数不足・・・?どう言う事だ・・・?

俺はすぐに近くのビジネスホンを取り、挿話モードにして話しを聞く。
そして携帯を取り出し赤井を呼び出してもう片方の耳に当てる。

ビジネスホンからは『いや、どうなってるんですか!これちゃんとチェックインまで間に合うんですか??』と相手の声が聞こえた。
24 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:19:08.02 ID:ECwp5XSe0
先輩社員「申し訳ございません・・・何分にも原因が分かりませんもので・・・すぐに確認を致しまして・・・」

先輩社員は俺をチラチラ見ながら焦っていた。
もう一方の耳に押し当てている携帯からは呼び出し音が聞こえるだけだ。
出ない。
俺は舌打ちをしながら携帯を切ってPCを立ち上げながら、近くのメモを取り
『15時までには間に合わせる、至急に増員を送る』
そう書いて先輩社員に渡した。
先輩社員は頷きながらホテル側にその旨を告げた。

PCが中々立ち上がらない。
クソッ、イライラする!なんで人数が居ないんだ???どう言う事だ???
PCを待っている間に再度赤井に連絡した・・・
25 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:20:06.07 ID:ECwp5XSe0
が、呼び出し音しか聞こえない。
赤井に至急に連絡して欲しい旨をメールしたらPCが立ち上がった。
瞬間に赤井から送られているシフト表を見た。

が・・・シフト表は土曜日から更新されていない。

あああ???なんで???
すると先輩社員が顔面を蒼白にしながら叫んだ・・・


先輩社員「え・・・昨日も・・・ですか・・・?」
俺は溜息を付きながら椅子に座り込んだ・・・
26 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:21:26.03 ID:ECwp5XSe0
俺「ホントに申し訳ございません・・・今後はこの様な事が無いように・・・」

ホテルの担当者の怒声を頭上でやり過ごし、少し落ち着いた瞬間に型通りの謝罪を行った。
そして清掃員の控室に向かう。
そこには、グッタリとした作業員とウチの営業社員数人が作業着姿で椅子に座っていた。

結局、事務所に居た営業社員達に来てもらったのだ。
俺は営業社員達に謝罪をした後に奥で報告書を書いている赤井の元に向かい「赤井さん・・・」と呼んだ。
だが、赤井は何も言わずに報告書を書いている。これには俺の頭に血が上る。
27 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:22:40.44 ID:ECwp5XSe0
「聞いてんのかよ!!!!」

そう声を荒げ机を叩いた。
その瞬間に赤井もムッとした顔で立ち上がり俺を睨んだ所で俺は限界。
怒りに任せて赤井の肩を掴んだ。
いやはや、俺もガキだねぇ。

その瞬間に他の営業社員達に俺は取り押さえられ引き離される。
なんか叫んでたな、俺。
そのまま「まあ、落ち着け福田」そう言われながら俺は数人に引きずられ外へポイ。

外へ出された時に何故かパックの牛乳を手に渡された。
カルシウムか!カルシウムが足りて無いんか俺は!

・・・・
28 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:23:59.98 ID:ECwp5XSe0
課長「赤井さんが、お前を外せ・・・そう言ってる・・・」

そう言われたのは俺が人間シュレッダーとして不用書類を破りまくってやっと落ち着きを取り戻した時だった。
あの後、他の営業社員が赤井から事情を聞いて課長に報告をしてくれた。
やっと落ち着いたのに、再び頭に血が上る俺。

俺「はあああ?????!!!!!」
課長「まあ、聞け」
俺「どう言う事ですか????!!!!」
課長「いや・・・聞けって・・・」
俺「意味が分かんないんすけど!!!!!」

先輩社員「まあまあ、落ち着けって」
そう言って先輩社員が再び俺にパックの牛乳を渡す。

カルシウムか!!!カルシウム足りて無いんか!!!
29 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:24:57.08 ID:ECwp5XSe0
課長「赤井さんから用具や人員の補充をして欲しい旨を言われていたそうじゃないか」
牛乳をチューチューを吸っている俺に言う。
俺「はい」
課長「お前は無視していたそうだな」
俺「いや、それは・・・」

俺は慌てて言い訳をする。
何故用具を購入するか又は人員を補充するかを聞いても理由の説明が無い事。
そもそも木下がチーフの時は、その用具自体が必要が無かったし、人員も足りていた。

経費は無尽蔵に沸く訳では無い。必要と採算が有れば経費を掛けるのは吝かでは無い。
30 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:26:09.58 ID:ECwp5XSe0
だが、あの世代、特に赤井は無闇に経費を使う。
だから俺は説明を求めるんだ。しかも安い備品を勝手に購入して精算用紙だけを俺に送る。
塵も積もれば山となるので俺は都度、赤井に注意を促すが一向に聞き入れてはくれなかった。

それを説明すると課長は頷いた。
課長「お前の言い分は分かった。で、まあ、赤井さん曰くは人員や用具が無くて作業員が忙しくて反発を起こし、シフトが組めなかったそうだ」

嫌々嫌々・・・
俺「なら、事前に分かってた事じゃないっすか・・・それに、木下さんの時には、そんな反発は起きてませんでしたよ・・・」
俺は怒りを抑えて、そう言う。
イコール、赤井の言い訳だ、と言う事だ。
31 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:27:09.04 ID:ECwp5XSe0
課長は俺の言葉に頷き、そして椅子をクルリと四分の一程、回転させて窓の外を見た。

課長「まあ・・・首をすげ替えるのは簡単だが・・・」
課長の呟きに俺は少し下を向く。
まあ、赤井以外ならば俺も操縦しやすい。
だが、元々いくら決定事項とは言え人選に反対しなかったのは俺だ。

課長「どうする・・・?いけるか?」
その言葉に「無理です」とは言えない俺がいた。
俺「やります・・・今から、赤井さんと話し合って来ます」

課長はジッと俺を見つめた後に頷いた。
32 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:27:58.16 ID:ECwp5XSe0
課長「分かった・・・だが、ちょっと待て・・・」
課長はそう言い俺の後ろを見る。

課長「松平!お前、福田に同行しろ!」
え?
松平は立ち上がり「はい」と返事をした。
俺「いや、なんで・・・」
課長「また、乱闘騒ぎを起こされたらかなわん。流石に松平の前ならお前の頭も冷めるだろ」

グウの音も出ない俺。

先輩社員が松平にパックの牛乳を渡していたのがムカついた・・・
33 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:29:17.18 ID:ECwp5XSe0
赤井「だから、一々お前に許可を取ってたら大変なんだよ!!ただでさえ現場は忙しいのに!!」
俺「いや・・・だけど、電話を一本する時間位は有りますよね?若しくはメールとか?」

赤井の怒声に俺は額をピクピクさせながら引き攣った笑顔で話す。

赤井「どうせ反対するだけだろうが!!」
俺「理由にもよりますけど」

話し合いは平行線を辿る。てか、俺達二人はそもそもの原因や今回の顛末について何も話をしていなかった。
俺も完全に冷静さを失っていたんだよなー。

松平は俺の後ろで黙って話を聞いていた。
俺は部下の手前、キレる事が無いように必死だった。
34 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:30:46.62 ID:ECwp5XSe0
だが・・・

俺「ですから・・・」
赤井「あー!!!!もう良い!!!お前の話は聞きたく無い!!!」

赤井が突然叫ぶ。
ああああん???!!!

赤井「どけ!!!邪魔だ!!!俺は忙しいんだ!!!」
赤井はそう言って立ち上がり俺の肩を押した。そして・・・

赤井「お前ごときに偉そうに言われたら、やる気を無くすんだよ!!!」

ピキッ。

俺「なんだと、糞ジジイ!!!!!」


キレる俺。
対抗する赤井。
俺を止める松平。
舞い上がるパックの牛乳。


暴れん坊将軍が「殿中でござる」と俺を止めていた・・・

35 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:32:33.05 ID:ECwp5XSe0
部長「で・・・?」

定期会議の場で俺の報告を聞いた部長が無表情で聞いて来た。
部長の隣に座る課長は気まずそうに頭を掻いている。

俺「ですので・・・ホテル関係の仕事にかかりっぱなしで・・・月次予算が達成出来ませんでした・・・来月、上乗せ予算を達成致します」

俺が今月の営業ノルマの達成が出来なかった言い訳を伝える。
今まで達成出来なかった事は何度か有る。
だが必ず翌月に上乗せで達成していたので、いつもの事の様に俺は報告をしたのだ。・・・
36 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:33:46.70 ID:ECwp5XSe0
だが・・・

部長「・・・出来るのか?うん?」
いつもは渋々ながらも「分かった」と言うだけの部長が突っ込んで来た。
俺はチラリと部長を見て「勿論です・・・」そう答える。
部長は無表情の顔で俺を見据えた。部長「ホテルの問題が解決していないのにか?」その言葉に何も答える事が出来ずにチラリと報告書を見た。
松平、竜也と言った俺の部下は黙って俯いている。他の社員もいたたまれない気持ちで俺を見ていた。

あれから四日が経過したが、何も状況は進展していなかった。
作業員のボイコットは続いており、現場の人数が足りていない為に別の作業員を回して調整を取っている。
それにより他の現場にも影響が出ていたのだった。
37 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:34:59.89 ID:ECwp5XSe0
部長「何の解決方法も示さずに、お前はいるが・・・どれだけ他に影響を与えているのか、分かっているのか?」

部長は冷たく、そう言い放つ。俺の額にうっすらと冷や汗が滲んだ。

バン!!
部長は突如目の前の机を叩いた。

部長「今、この場で解決方法を示せ!!そうでないとお前はイラン!!!!」

その言葉に俺は目の前がチカチカとして来て、胃の中の物が逆流しそうであった。

入社して五年が経過したが、初めて会議で詰められていた。
昔に先輩社員が何度か詰められているのを見た事が有る。
その時はちゃんと数字や自己管理をすれば良いのに・・・そう冷ややかな目で見ていたのだ。

が、今俺はその逆の立場に立たされていた。皆の憐れみや、同情、蔑み、そう言った物が痛い程に伝わって来る。
38 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:36:35.00 ID:ECwp5XSe0
部長「お前・・・作業員からヒヤリングはしたのか?」
しばらくの沈黙の後の言葉に俺はハッとして顔を上げる。

部長「赤井とお前の間柄なんか、どうだって良いんだよ!解決すべきは根本だろうが!!!」

その通りだ。何故それをしないんだ・・・俺は完全に頭に血が上っていたのだろう。
部長は少し溜息をつき、続ける。
部長「ちなみに・・・だな」
部長の手に何かの報告書が握られており、それを見ながら話した。

部長「お前に、四日同行していた松平からの報告が上がっている・・・お前が赤井にばかり目を向けている間に、作業員からヒヤリングしていたんだよ」

え・・・?!俺は焦って松平の方を見そうになった。
が・・・それだけは・・・どうにか抑える事が出来た。
39 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:37:47.95 ID:ECwp5XSe0
いつの間に・・・?

部長「現場の生の声だ・・・」
部長はそう言って俺の前に報告書を滑らせる。俺はそれを手に取りソッと見つめた。
赤井への不満がツラツラと書かれている・・・
そう思っていた俺の頭を何かが殴りつけた様な気がした・・・
そこには・・・赤井への不満では無く・・・

俺への不満が書かれていたのだ・・・

『福田さんは、コストしか言わない』
『効率しか言わないので現場の声を聞いてくれない』
『少しの物も稟議をかける、しか言わずに買ってくれない』
等々。

俺の報告書を持つ手が少し震えているのが分かった。
40 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:39:06.64 ID:ECwp5XSe0
それは、部下に先回りされた事なのか・・・
それとも作業員が俺への不満が有った事なのか・・・
若しくは何も分かっていない自分への憤りなのか・・・
何が原因かは分からない。

だが、確実に言える事は・・・原因は俺の怠慢だ、と言う事は確かだったんだ・・・

今すぐに逃げ出したい気持ちを抑えて俺は一つ息を吐き、そして頭を黙って下げた。
言い訳のしようが無い。

部長「それを念頭において・・・で、お前はどうするんだ?」
そう言われても何も俺の頭に考えが沸かない。
俺は必死に頭を落ち着かせ様とするが、良い考えが何も浮かばなかった。

沈黙の時間だけが過ぎて行く。
41 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:40:15.82 ID:ECwp5XSe0
端から見れば・・・
そんなもん、まずは作業員全員に頭を下げて、もう一度信頼を勝ち取るまでフォローして、赤井に教えを請う形で上手く赤井をコントロールする・・・
そう端から見ればスラスラと浮かぶもんなんだが・・・
いざ、あの立場に立たされると何も言えないもんなんだよねーww
ホント、誰か俺を殴れよ。

沈黙の後に部長は時計をチラリと見た。そして一言呟く。
部長「まあ・・・何も浮かばないなら・・・首をすげ替えるか・・・」
部長の言葉にホッとした俺がいた。

良かった・・・赤井以外となら、まだ上手くやれるし、作業員にも信頼回復のチャンスが見える・・・

と思っていた馬鹿一名
42 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:41:21.07 ID:ECwp5XSe0
勿論、会社はそんなに甘く無い。その上更に俺にショックを与える。

部長「松平・・・お前、福田の代わりにリーダーを引き継げ」

え・・・???!!!
俺は顔を上げて部長を見る。
部長「ん?赤井を変えても何の解決には成らんだろ?」
部長は俺の気持ちを知ってか知らずか、そう言い放つ。
俺の隣に座る松平は一瞬何も答えずにいた。

頼む・・・松平、断ってくれ・・・俺に、もう一度チャンスを・・・くれ・・・!

俺は泣きそうになりながら、そう願う・・・

が・・・
松平「・・・はい、分かりました・・・!」

俺は情けない顔をしてたんだろうな・・・
43 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:42:00.62 ID:ECwp5XSe0
勿論、松平を責める気は無い。
逆に俺が松平の立場ならば頭に血が上った上役の代わりにヒヤリングもしただろうし、それを早期解決の為に上司に報告していた。

そして回って来た大きなチャンスを断る言われは無い。
松平は正しい。
正しいんだが・・・

だけど、俺と松平の仲ぢゃないのさー・・・悲しいよ・・・
44 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:43:03.81 ID:ECwp5XSe0
その日、俺は家に帰っても普通通に振る舞った。
サトミに心配をかけたくない。その思いからだった。
だけど、気が付いてるんだよね。サトミちゃんは。

おかしいと思いながらも何も聞かずに普段通りにしてくれる。
とびっきりの笑顔で俺に接してくれるんだ。
俺は益々、自分が情けなく思えていたよ・・・


ホテルの担当が松平に代わり、俺は営業に力を入れる。
これで数字が達成されなければ言い訳が立たない。
そう思い必死に頑張る・・・だけど、営業って不思議な物でさ、焦れば焦る程に上手くいかない。
いつもの自分らしさを失うんだろうね
45 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:44:13.10 ID:ECwp5XSe0
そして、今まで俺は仕事が出来る、そう言う自信があった。
だが、その自信は担当替えのショックで失う。

また、松平が担当になり、俺は嫌な奴なんだが、上手く行かなければ良い・・・その気持ちが有ったんだ。
ホントに最低だけどさ。
上手く行かずに俺に泣き付くか、若しくは部長から再び俺に担当が戻って来る・・・そう思っていた。

今回の担当替えは俺へのお灸、そう思っている自分がいたんだよ。
甘いねぇ、俺も。
しかし現実は悲しいもんで、松平は上手く管理をした。
問題は収まり俺の時よりスムーズに事を運ばせる。

もうね・・・俺の最後の砦が壊れた瞬間だった。
46 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:45:35.75 ID:ECwp5XSe0
俺は空回りを続ける。
営業も上手くいかないし、事務処理や管理の仕事でもミスを起こす。
そして更に自信を無くし、益々落ち込み空回りを続ける。
正に出来ないスパイラル。

結局、ノルマが達成されないままに翌月の定期会議を迎え、又もや会議の場で部長に詰められる。
「数字を持ち帰らないなら、会社に戻らなくて良い」
そう、まるで新人に言われる事を後輩や部下の前で言い放たれた。

もうね、逆に殴ってくれ、そう思う。
昔の俺ならば「は?見とけよ、コンニャロー」と思って発奮したんだろうけどさ・・・
この時の俺は・・・なんか弱くて、何も言えずにうなだれているだけだったんだよ・・・
情けないねぇ、ホント。
47 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:46:56.85 ID:ECwp5XSe0
そして俺は言われた通りに遅くまで営業を回る。
そして会社に戻り遅くまで事務処理を行う。
正直、遅くまで回れば良いってもんじゃ無いんだけどね。
俺はダラダラと営業をする奴は自分が出来ない人間、と言う事へのエクスキューズだと思っていた。
だが、あの時の俺は正にそれww

たまに竜也が「福田さん、今日はパーッと行きません?ww」と誘ってくれる。
竜也に慰められている時点で俺は傍目にも相当参っていたんだろうな。
松平は俺を避ける。いや、逆だな。
俺が松平を避けていたんだ・・・松平は悪く無いのに。
48 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:48:45.35 ID:ECwp5XSe0
よく考えれば、前に俺が赤井に対して頭に血が上ったままホテルへ抗議をしに行こうとした時に松平が俺に声をかけた。
今考えると、あれは冷静さを欠いていた俺を止めようとしてくれていたんだろう。
だけど止め切れなかったんだ。

そんな俺は今、松平に嫉妬している。
自分が出来なかった仕事を上手くこなしている部下に嫉妬をしていたんだよ。

サトミは俺が遅く帰っても笑顔で迎えてくれた。
ひょっとして竜也から色々と聞いていたかもしれない。
だが、何も聞かない。俺も言いたく無かったしね。

そうやって、時間が流れて冒頭の11月末、俺はまあ・・・凹みまくっていたんだよ。
49 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:49:41.41 ID:ECwp5XSe0
皆が騒いでいる中で俺は一人ポツンとしていた。
すると竜也が俺の側に来る。
竜也「福田さん、忘年会の場所なんすけど・・・」
竜也がそうニコニコしながら言うが俺は上手く笑えない。
俺「ああ・・・いや、どこでも良いよ・・・」
そう言うと竜也は少し困った顔をする。
そりゃ嫌だろうな・・・義兄であり、上司が凹んでるのを見るのは・・・

俺「まあ、竜也に任せるよ・・・ちょっと俺、処理が忙しいから・・・」
俺はそう言ってPCの画面を見つめる。
竜也は何も言わずに先に退社したのだった・・・
50 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:50:41.10 ID:ECwp5XSe0
俺「ただいまー・・・」
俺が家の扉を開けると、「おかえりーww」そういつもの笑顔のサトミが現れる。
すると後ろから「おかえりなさーい!!!」と言う声を放ちながら竜也がヒョッコリと顔を出した。

竜也・・・?
そして更に後ろから「お邪魔してます・・・」と言う女の声が聞こえ、キリリとした表情が少し崩れた・・・・

松平が現れた・・・
俺はあの時、どんな顔をしていたんだろう・・・?



竜也「ささっ!飲んで、飲んで!」
竜也がそう言って俺のグラスにビールを注ぐ。
俺「・・・・」
サトミ「松平さんも、ドンドン食べてねww」
エプロン姿のサトミが松平の前に唐翌揚げを置く。
51 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:52:00.83 ID:ECwp5XSe0
松平「あ、私がやります・・・」
松平が慌てた様にサトミに言った。
サトミ「良いの、良いのww松平さんは、お客さんなんだからww」
俺はただ黙ってビールを飲んだ。
松平は何度か竜也と共にウチに来た事は有った。

もう、昔のわだかまり(社会人編参照)も無い。
竜也は言わずもがなで、ちょくちょく週末にウチに来ては食材と酒を漁っていく。
たまに、俺とサトミが二人で出掛けているにも関わらず、ウチで勝手に酔っ払い寝ている事もある。

竜也と松平が来るのは楽しかった。気兼ねしないしね。
だが、その日の俺は違った。
恐らく竜也は俺と松平の新たなわだかまりを憂慮して松平を連れて来たのだろうけどさ・・・
逆効果も良い所だった。
52 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:53:03.61 ID:ECwp5XSe0
俺「サトミ・・・風呂沸いてる?」
サトミ「え・・・?まだだけど・・・」

そりゃそうだ。お客さんが来ているのに、風呂に入るホストは居ない。
俺「ふーん・・・じゃあシャワーで良いや・・・」
俺はそう言うと立ち上がった。竜也と松平は少し焦る。
竜也「先にシャワー浴びろよ・・・ってww何してんすかww」
竜也が場を和ませようと、そう言うが、笑ったのはサトミ位。
松平は俯いており、俺は何も言わずに・・・風呂場へ向かったのだった・・・

ガキ丸出しだな、ホント。
53 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:54:11.58 ID:ECwp5XSe0
風呂から上がると松平も竜也も居なかった。
サトミが怒るかと思ったがニコニコしながら「サッパリした?」と聞いて来る。
俺はサトミに無理に笑いかけると「ゴメン・・・」そう呟く。
サトミは「疲れてるんだよねー?お仕事、お疲れ様ww」それだけ言うと、風呂へと向かった。

俺は目の前のサトミが作った料理を見つめる。
せっかくの御馳走が台無しだった。

サトミの気持ちを踏みにじる俺。
竜也の優しさを踏みにじる俺。
松平の思いを踏みにじる俺。
目の前の料理を見て涙が滲んだ。
夫として、義兄として、上司として・・・ホントに最低だった。

最低なのに・・・俺は無力だった・・・
その時の俺は・・・泣く事しか出来なかったんだ・・・
54 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 10:54:42.53 ID:ECwp5XSe0
ちょい休憩を・・・
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/20(水) 10:57:56.59 ID:WWpXzREb0
初遭遇でキモイぐらいニヤニヤしてる俺www
56 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:01:52.53 ID:ECwp5XSe0
>>55
なんでニヤニヤするんだよwwww

では続きを
57 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:03:11.16 ID:ECwp5XSe0
-2010年12月1日-
終わりの無いトンネルは俺を暗闇から出す事は無かった。
益々、出口が見えない気がしていた。

あの竜也達が家に来て俺が無礼を働いた翌日も竜也は普段通りに接してくれた。
なんて出来た義弟なんだよ、ホント。
だが松平は俺と目を合わさない。
勿論、その前から俺が避けていたから状況は変わっていないんだが、松平が積極的に避ける様になっていた。

今まで松平は俺に対して一定の尊敬の念が有ったと思う。だが、今回の失態で、そのカケラも壊れてしまったんだろう。勿論、壊したのは俺だ・・・
58 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:04:15.68 ID:ECwp5XSe0
その日も俺は遅くまで営業を回った後に直帰するか帰社するか迷いながら駅で電車を待っていた。
直帰をしても良い時間だが、明日の10時までに送らなければ為らない書類があるのだが、しばらく過ぎ行く電車を見つめると全てが面倒臭くなってきた。
直帰する事に決めた俺は目の前の電車に飛び乗る。
こうやって今日済まさなければ為らない仕事を明日に回してしまう事で益々、己の首を絞めてしまう事は分かっていた。だが、そうさせてしまう甘い自分に対する言い訳を自分でしている自分がいる。
59 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:05:33.38 ID:ECwp5XSe0
自宅マンションの前に到着するとホッとしてきた。
サトミだけが俺を安らいでくれる。
その思いでドアを開けて「ただいま」と言うと、サトミが「おかえりー」と少し迷った様な表情で言ってきた。
ん?
と思うが深く気にせずにカバンを置いてスーツを脱ぐ。

サトミ「お風呂・・・沸いてるけど・・・」
サトミが又もや何か迷っている様な表情で言う。
俺「ああ・・・ありがとう、入るよ・・・」
俺はそう言って料理をしているサトミの後ろ姿を見た。

なんだ・・・?洗面所に行きシャツとパンツを脱いで洗濯カゴに入れた時に少し違和感を覚える。
ん・・・?何の違和感?
が、気にせずに風呂場に入った。
60 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:06:32.40 ID:ECwp5XSe0
ボーッと頭を濡らしシャンプーを手探りで探す。
そしてそれを手に付け頭を洗い始めた。

ハゲるな、ハゲるな。
最近、抜け毛が気になり始めた俺は念入りに呪文を唱えながら頭を洗う。
ウチの父親の家系はハゲて無い。だが、母親の祖父ちゃんと叔父さんはハゲていた。
高校生の頃にそれを気付いた俺は、それ以来シャンプーの際に呪文を唱える様になった。

ひとーつ、一人のハゲがいるー♪ふたーつ振り向くハゲがいるー♪
どんなに凹んでいても、この歌は口ずさんでしまう。
61 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:07:55.13 ID:ECwp5XSe0
「ユウくん・・・」

調度シャンプーをしながら、五つ、いつでもハゲがいるーの歌詞を口ずさんでいた時に洗面所からサトミが声を掛けてきた。
サトミ「バスタオル・・・置いとくね・・・」
俺「あー、ありがとー」
そう言って、むーっつと再び歌おうとした時に「ユウくん・・・」と再度サトミが声を掛けてきた。
俺「んー?」
サトミ「あのさ・・・れない・・・」
サトミが何かを言ったが、シャワーの音でよく聞こえない。
俺「あ、ちょ、待ってー」
シャワーを止めて俺はドアの側に行く。
俺「え?なんてー?」
風呂場に俺の反響した声が響いた。
62 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:09:23.36 ID:ECwp5XSe0
サトミ「あの・・・出来た・・・かもしれない・・・」

え・・・?出来た?ご飯が?・・・
いや、それをこんなモジモジして言う奴は居ないだろう・・・
て、事は・・・?

まさか・・・俺はシャンプーを付けたまま、ドアを開けた。
サトミは顔を赤くして少し下を向きバスタオルが胸に抱きしめられていた。
そして手には体温計の様な物が有った。

あ、それは・・・
さっき洗面台の上に置かれていた違和感の元だった。
サトミは恥ずかしそうに、その体温計の様な物を見せる。
63 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:10:28.49 ID:ECwp5XSe0
丸い穴に赤い筋が一本引かれている。

ん・・・これって・・・?
サトミ「多分・・・検査薬だけじゃ・・・確実じゃ無いかも知れないけど・・・」
サトミが益々恥ずかしそうに言う。
俺はシャンプーを付けたまま固まっていた。

サトミ「赤ちゃん・・・出来たかも・・・!」

・・・そりゃね・・・俺達は夫婦だからね・・・出来る様な事はしてましたよ、ハイ。
だが・・・改めて、そう言われた瞬間に思った事、それは・・・

早くシャンプーを洗い流さないと頭皮がヤバい・・・だった・・・
64 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:11:42.78 ID:ECwp5XSe0
翌日、俺は仕事中ずっと上の空であった。
PCの画面をボーッと眺めているだけだ。お陰で10時に出す書類を課長の催促が無ければ忘れる所だった。

昨日、あれからサトミに上手く笑えずにいた。
恥ずかしそうに話すサトミを、ただ見つめているだけだったんだ。
風呂場での告白で逆に良かった。
「先に頭を洗う」と言って俺の困惑した表情を見せずに済んだからだ。

昔、俺が思い浮かべていたサトミに子供が出来た瞬間のシーン・・・
俺は「やったー!でかしたー!」と言ってサトミを抱きしめキスの嵐・・・と思っていた。

だが、現実にはそんな歓喜も訪れずに、頭皮の心配をする俺。
いや、もうハゲちまえよ。
65 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:12:57.15 ID:ECwp5XSe0
冷静にサトミの話を聞きながら、無理に笑う俺。
俺は完全に・・・戸惑いを感じていた・・・


昼休みに俺は近くの道路に売りに来る安い弁当屋に飯を買いに行った。
そして社内で食べる気になれずに近くの公園に行く。
オフィス街の公園はすぐにベンチが埋まるんだが、流石に12月の寒空の下では空いていた。

ベンチに弁当を置いて熱いお茶の缶を開けて、それをグビリと口に含んだ。
熱いお茶が口に広がる。
それをベンチに置くと、そのまま弁当を手に取る事も無く、ただ両肘を両膝の上に置き、そのまま両手で口の前を覆っていた。
66 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:14:20.20 ID:ECwp5XSe0
その状態でボンヤリと前を見ていた。木枯らしが俺の顔をくすぐる。
そこまで寒さを感じないのは陽射しが柔らかなせいなのか。
その時に、ふと思った。
何を黄昏れてやがる・・・お前はまだ厨二病が治らないのか、と。

だが、あの高校時代に海で一人黄昏れていた時とは自分の気持ちが全く違っている。
本気でどこかへ消えてしまいたい気がしていた。

俺が・・・父親・・・?
全く仕事が出来ずにウジウジと悩んでいる俺が父親・・・
部下に追い越されて、それを拗ねている俺が父親・・・
義弟の優しさを受け入れる事が出来ない俺が父親・・・
子供が出来た嫁の喜びを受け止める事が出来ない俺が父親・・・
67 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:15:04.28 ID:ECwp5XSe0
目の前にビニール袋が舞い上がるのを目で追いながら少し自嘲気味に笑う。

無理だろ・・・マジで・・・
こんな情けない父親じゃ・・・

久しく辞めていたタバコを吸いたくなりスーツを探るが勿論持っていない。

タバコ・・・吸いてぇ・・・

そう思いながら俺はそのまま昼休みの時間を潰したのであった・・・

68 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:17:01.82 ID:ECwp5XSe0
その日も俺は遅くまで会社に残っていた。
社内の人間が次々と退社をして行く。
俺が残っていたのは、営業が出来ないエクスキューズとしてが一点。

もう一点は、なるべくサトミと・・・顔を合わせたく無かったんだ。

勿論、サトミが嫌いとか、そんな事では無い。
ただ、サトミに上手く笑えず、そしてそれをサトミに見透かされる恐怖だった。
そうやって俺がPCに向かっていると、ふと課長も珍しく居残っているのが分かった。
時計の針が23時を回った時に、気がつけば社内には俺と課長だけしか居なかった。

課長は伸びを一つして立ち上がると窓の外を見つめる。
そして、ウンと一つ頷くとハンガーからコートを取り羽織った。
69 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:17:57.85 ID:ECwp5XSe0
ジャラジャラと鍵の束を無造作にポケットに突っ込み俺をチラリと見る。
課長「福田ー、セコム忘れんなよー」
そうノンビリとした声を出した後に「コートも冬用にしなきゃなー」と独り言か分からない呟きをした。
俺はそれに何と答えて良いか分からずに頷きを一つ返しただけだ。

課長は部屋を歩いて行きドアの前に立つとポツリと呟いた。

課長「仕事は・・・誰もが壁が有るもんだ・・・」

俺は課長を見た。課長は顔を半分だけ俺の方に振り返り続けた。
70 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:19:27.17 ID:ECwp5XSe0
課長「お前の失点は・・・今までの得点よりも・・・遥かに少ないんだぞ・・・」
え・・・?
課長「自信を持て・・・」

課長・・・
課長はそれだけ言うと「お疲れさん」と言って帰って行った・・・
課長の気持ちは痛い程に伝わった。だけど・・・

俺はその日、家に帰らなかった。結婚後初めて外泊をした。
サトミには『仕事が片付かない。終電が間に合わないからサウナに泊まる』とだけメールをした。
サトミから『遅くまでお疲れ様!ちゃんとご飯を食べるんだよ!明日も忘年会でしょ?今日はちゃんと寝てね』
そう返信が来る。

俺は胸が痛む。
違うのに・・・ただサトミから逃げているだけなのに・・・
71 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:20:47.92 ID:ECwp5XSe0
俺は会社の前でサトミの返信を見ながらしばらく佇んだ後に、携帯を胸ポケットにしまい込み夜のオフィス街を歩き出した。
平日の深夜のオフィス街はガランとしている。
遠くの大通りでタクシーが通り過ぎる音が響いていた。

そう言えば・・・忘年会の翌日の土曜日は休みだった。
確か、サトミが産婦人科に行く、って言ってたな・・・それを思うと俺は憂鬱になった。

確認して欲しく無い・・・もっと、先延ばしにして欲しい・・・そう身勝手に思う。
そして、そんな事を思う自分に更に嫌気をさした。

繁華街に行き、手近な松屋の前に立つ。特に何も食べたくは無かったが何か口に入れないと・・・
72 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:22:10.30 ID:ECwp5XSe0
そう思い、松屋にの前で財布を探ると、割引券が出て来た。
これ・・・使えんのかな?
期限は2010年5月・・・これいつのだよ・・・その時、俺は記憶がフラッシュバックした。

あ・・・これ・・・森君がくれた奴だ・・・

結婚式の前に、あの二人が押しかけて俺に渡した物だ。
俺は板倉を思い出した。板倉には子供が誕生している。
ユミに子供が授かった時には嬉しそうに俺に報告をしていた。

・・・羨ましかった・・・
板倉は全うに父親として子供を受け止める事が出来ている・・・
所が俺は・・・
73 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:23:11.34 ID:ECwp5XSe0
板倉に電話をしようか・・・そう思った。
だが、平日の夜中だ。子供が居る家庭の旦那に電話をする時間じゃない。
俺はしばらく携帯を握り締めるが諦めて携帯を直す。
益々、食欲を無くして松屋には入らずに後にした・・・

近くのサウナに到着して、俺は風呂に入った。
風呂から上がり、ふとビールの自販機が目に付くと普段買わないビールを買う。
500ミリgの淡麗が目の前に現れ蓋を開けると一気に口に流し込んだ。
74 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:24:09.59 ID:ECwp5XSe0
冷えたビールが喉を流れて行く。
一息で半分を飲み干し、空いている椅子に座った。
空っぽの胃にビールが染み渡った。
俺は前を見るとも無しに見つめる。
そして・・・思った事は、

『堕ろす』

その一言だった。
今、子供が居なければ全てが上手く行く・・・何故かそう思った。
サトミには悪いけど・・・今回は諦めて貰おう・・・


そうやって、俺は夫として、人間として最悪な考えを、いとも簡単に考えていた・・・
75 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:25:21.35 ID:ECwp5XSe0
-2010年12月3日-

朝から、俺の頭の中では『堕ろす』その単語がこびりついていた。
そうする事は俺に取っては簡単だ・・・俺に取っては。
だが・・・サトミはどうなんだよ。
喜んでいるサトミに対して何て言うんだ?

それに・・・何より・・・サトミの体は・・・?

昨日は酔いに任せて簡単に考えていた・・・だけどそれは簡単じゃ無い。
そんな事を考えながら俺は営業中に街で子連れの親子を見た。
何故か、それがサトミと今から出来るで有ろう子供とダブった。
76 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:26:17.57 ID:ECwp5XSe0
その瞬間だった・・・とんでもない罪悪感と、情けなさが沸き上がる。

俺は・・・逃げるが為に、子供を殺そうとしている・・・それを痛烈に感じた。

最低だ・・・そして・・・こんな自分の元に生まれて来る子供を不憫に思った。
そうすると益々、堕ろそうと言う考えが湧き出・・・
そして更に自己嫌悪に陥る・・・

最低のスパイラル。
人間って、こうやって壊れていくんだねぇ。
77 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:27:10.36 ID:ECwp5XSe0
竜也「それじゃあ一気しまーす!!!」

いつもの様に竜也が一人盛り上がる。
忘年会は例年並みのポツポツとした盛り上がりを見せていた。
俺はいつもより酒を飲んだ。
普段飲まない焼酎に手を出してグビグビ飲む。そして顔が赤くなり、頭がグラグラしているのが分かった。

竜也「わっ・・・大丈夫っすか??福田さん???」
頭にネクタイを巻いた竜也が隣に来て心配する。
俺「・・・ベタだな、お前・・・」
竜也「飲み会では、頭にネクタイが正装かと」
何故かドヤ顔の竜也。

俺はケタケタ笑った。久しぶりに竜也の前で笑った。
78 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:28:55.74 ID:ECwp5XSe0
その瞬間、猛烈な吐き気を催し俺は立ち上がると竜也が「リ・バー・ス!リ・バー・ス!!」そう叫びながらついて来た。
何、そのコール・・・そんな事を思いながら俺はトイレに直行した・・・

竜也「ほら、全部吐いて!」
俺「・・・いや、もう・・・」
竜也「ダメっすよ!!全部吐いたら楽になりますから!」
竜也はそう言って俺の背中を摩りながら再び、「リ・バー・ス!リ・バー・ス!!」と叫ぶ。
いや、そのコール、もう良いから・・・

俺はとにかく吐いた。胃の中の物と共に、涙が出て来る。
馬鹿だな俺。仕事が出来ずに家にも帰らず、酒に酔い、そしてサトミの中に居る子供を殺そうとしている。
このまま急性アル中で市ねば良いのに・・・

そう思いながら胃を空にして俺はトイレを出た
79 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:30:22.40 ID:ECwp5XSe0
竜也が「なんか飲み物を持って来ます」そう言って俺から離れた。
俺は一人トイレの前に座り込みながら目頭を押さえる。
周りの音が遠くに聞こえフラフラとする。瞼が重い。完全に酔っている。
だけど頭は妙に冷静だった。
俺は携帯を取り出して時計を見た。そして、そのまま携帯を見つめていると、ある考えが浮かんだ。
今、サトミに・・・
「子供を堕ろさないか?」
そう言ってみようか・・・?

今ならサトミは俺が酔っている事を知っている。
それで反応をみようか・・・?

そう言う最低な気持ちが俺に沸き上がった・・・
携帯のサトミのアドレスを開いて、通話ボタンを押そうとした瞬間に冷静になった・・・
80 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:31:30.34 ID:ECwp5XSe0
何を考えてやがる・・・最低も良いとこじゃねーか・・・

そう思い携帯を閉じてポケットにしまい込んだ時に声を掛けられた。
「大丈夫・・・ですか・・・?」顔を上げると少し酔っている松平が心配そうに見ていた。

松平・・・
俺は「だいじょーぶだよ〜ん、松平ー飲んでる〜?」そう言って酔いに任せて仲直りの道を選ぶべきだった。
だが、さっきはサトミに酔っ払いで通そうとした癖に松平に対しては、それが出来ずに小さく「ああ・・・」と返事をして、その上、携帯を取り出しメールをする振りをした。

もう俺何なの?
松平は俺の素っ気ない返事に少し何かを考えていたが、そのまま踵を返し部屋へと戻った。
81 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:32:34.09 ID:ECwp5XSe0
松平のそれを確認すると携帯を閉じて、「フフッ」と笑い声を漏らす。
自分の行動に情けなくて、恥ずかしくて笑ってしまったんだ。

竜也「福田さーん、ほら飲んでください」
竜也はそう言ってコップに水を汲んで来てくれた。
俺「・・・スマン・・・」
そう言って水を飲んだ。
竜也「酔っ払いは、仕方ないっすねーww」
竜也は笑った。
俺はコップに入った冷たい水をユックリ口に含んでは、少しずつ喉の奥に流し込んでいく。

酔っ払い・・・そうだ、俺は酔っている・・・
そうして俺は竜也を見る。

今・・・酔いに任せて・・・コイツに俺の悩みを口に出してしまおうか・・・?
82 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:33:46.08 ID:ECwp5XSe0
そうだ・・・今なら酔っ払ってるから愚痴を零した、で済むんじゃないか・・・?
先程と同じ考えが頭に浮かぶ。
だが・・・竜也は知らないんだろうか?
サトミに子供が出来た事を・・・?
まあ、知らないんだろう。
サトミも医者に診せてから言うだろうし、人間スピーカーの竜也に言えば、すぐに俺の所へ来る筈だ。

俺がそう思いながら竜也の顔を見ていると竜也がキョトンとする。
竜也「どうしたんすか?」
俺は竜也から視線を外し再度、水を飲むと「竜也・・・」と呟いた。
83 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:35:04.31 ID:ECwp5XSe0
竜也「はい?」
ドクッ・・・言うのか・・・俺は・・・?
ドクッ・・・サトミに子供が出来た事を・・・
ドクッ・・・だが、逃げている俺には子供を持つ自信が無い事を・・・そして・・・
ドクッ・・・お前の血が繋がった・・・甥、若しくは姪を・・・殺そうとしている事を・・・!
ドクッ!

俺「竜也・・・」
俺のカラカラに渇いた口から言葉を発した。
竜也「・・・はい?」
竜也も何かを感じたのか少し身構える。
俺「・・・あのな・・・」

ドクッ・・・「ゲボッ・・・」
ゲボッ?

竜也「うわっ!また吐いた!!!」
竜也が叫び俺を引き起こす。
84 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:36:44.90 ID:ECwp5XSe0
竜也は慌てて俺をトイレに引き連れて便器に顔を突っ込ませた。
俺はさっき飲んだ水に含まれたアルコールを吐き出す。

言えない・・・吐き出しながら俺は思う。
優しい義弟を・・・傷付ける訳には行かない・・・
いや、違う。

俺は義弟に嫌われたく無いんだ・・・
最低な行為をしようとしている事を言って、優しい義弟に見放されるのが怖いんだ・・・
だから、俺は板倉にも森君にも言えなかったんだ・・・
見放されるのが怖いから・・・

全く、俺は大学のカズミとの別れから成長していない。あの時と同じだ。
いつも自分が可愛いんだ。常に自分が悲劇の主人公なんだ。
最低な自分なのに、周りの優しさに甘えて、嫌われたく無いばかりに自己保身に走るだけだ・・・!

いつまで俺は厨二病なんだよ・・・!


薄れ行く意識の遠くで竜也の「リ・バー・ス!リ・バー・ス!!」と言う声が響いていた・・・
85 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:37:50.70 ID:ECwp5XSe0
竜也「大丈夫っすかー??福田さーん!」

竜也に揺り起こされ俺は少し目を開ける。気が付くと繁華街の自販機の横に座り込んでいた。
竜也がペチペチと俺の頬を叩く。止めろ、俺は寝たい。
手で竜也のそれを払いのける。
課長「福田が潰れたかー、どうする?」
意識の端で課長が竜也に語りかけるのが分かった。意識が少し覚醒している。
だが、頭がガンガンと痛んでいた。気分が悪いー

課長「まあ、兄貴の世話は任すぞww」
竜也「・・・どうすっかなー、まあ僕の家でも連れて行きますか」
竜也がそう課長に言う。
86 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:38:46.80 ID:ECwp5XSe0
そうだ・・・酔っている癖に覚醒した頭で考える。
俺は泥酔してるから・・・今日も帰らなくても良い・・・このまま竜也の家に泊めて貰おう。
そしたら明日は病院に行かなくても良い・・・逃げる事が出来るんだ。・・・
まあ、それは一時凌ぎも良い所なんだが俺はまともに考える事が出来なかったんだよ。

とにかく俺は家に帰らない旨をサトミに伝えて貰おうと竜也に呻き声の様に言う。
俺「・・・サトミに・・・って伝えて・・・」
上手く言葉が出ない。
だが、竜也は気が付き「ああーwwハイハイ分かりましたよww」そう言うと携帯を取り出した。
87 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:40:16.58 ID:ECwp5XSe0
俺はホッとする。全くもって情けない。
竜也「あ、姉ちゃん?俺、俺。あのさー、福田さんがー酔い潰れてさー」
竜也がサトミに電話をしていた。
そうだ。俺は酔い潰れてるんだ。
竜也「でさー・・・俺んチに連れて行こうと思ったんだけどさー」

うん。今日はアナタのウチに行きたいのアタシ・・・
サトミと話す竜也がチラリと俺を見て笑う。

うん?

竜也「でさーwwなんか福田さんが伝えて、って言うからさーww」
88 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:40:56.66 ID:ECwp5XSe0
竜也「なんか『愛してる』みたいな事を言ってるわww」

え・・・?

竜也「なんか熱いなーwwいや、だから今から姉ちゃんの元に連れて帰るよwwひゅーひゅーww」


はあああああああああ??????このバカアアアアアアア!!!!!!

忘れてたけど・・・コイツも天然なんだよなー・・・
とタクシーに乗せられながら俺は思っていた・・・
89 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:42:09.42 ID:ECwp5XSe0
-2010年12月3日-

目を覚ますと、良い匂いが俺の鼻をくすぐる。味噌汁の匂いだ。
起き上がるとそこは自宅のベッドの上だった。俺はシャツとパンツ姿で寝ている。
ボクサーパンツの股間部分が盛り上がってる。
二日酔いで人生の憂鬱を抱えているのに朝立ちはするんですか。

ベッドから下りてスウェットを着ると、そのままトイレに向かった。
トイレで朝立ちを治め(いや、普通にションベン間違っても抜いたりはry)リビングに向かうと横にある和室では竜也が布団に包まり惰眠を貪っている。

そっか・・・竜也が連れて帰ってくれたのか・・・
90 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:43:02.29 ID:ECwp5XSe0
俺が竜也を見ていると「おはよー!」と元気な声が聞こえた。
サトミがキッチンで朝ご飯を作っている。
俺「おはよー・・・」
そう言って俺はサトミの顔を避ける様に下を向いた。
サトミ「朝ご飯、食べられる?吐き気とかはしない?」
そう言ってサトミが俺の側に来た。
俺「うん・・・」
サトミは俺の真正面に立つと、俺の頬に触れ、そして笑う。

俺「・・・ん?」
サトミ「なんか・・・久しぶりに会った気がする・・・ww」

その言葉に俺は苦笑いを浮かべた。
91 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:43:56.19 ID:ECwp5XSe0
俺「・・・ゴメン・・・」
サトミ「ううん・・・さ、お味噌汁入れるから、座って」
サトミに促され俺はテーブルに座る。
サトミ「ご飯食べたらさ、行こうか」
俺「え・・・?」
サトミは俺に背を向けたまま呟く。

サトミ「・・・病院に・・・」
その瞬間、俺は下唇を噛み締める。
来たか・・・まるで死刑宣告だな・・・

サトミはそれ以上、何も言わなかった・・・
92 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:45:09.33 ID:ECwp5XSe0
産婦人科は最寄駅のすぐ側にあった。小さい個人院。
俺達はまだ寝ていた竜也を一人残してテクテクと歩いて病院に向かった。

土曜日の朝一番だからか、待合室に居るのは既にお腹の大きい妊婦さん一人だけだった。
サトミは家を出る時から、ずっと黙っていた。
俺も同じく黙ったままだ。

天気の良い小春日和の土曜日の朝。
子供が出来て喜びで溢れる筈なのに俺達は押し黙っていた。
サトミも・・・薄々、気が付いてるんだろうか?俺が子供を望んでいないことを。
そりゃまあ、そうなんだろうな・・・俺の動きを見れば分かるか・・・

待合室でも俺達は黙っていた。サトミは膝に手を置いて下を見てる。
93 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:46:21.89 ID:ECwp5XSe0
それを見て俺は何かを思い出した・・・
そうだ・・・あれは、厨房の頃だ・・・
太鼓を見に行く時に、サトミの案内で間違えて急行電車に乗った時・・・
サトミは今と同じに身を固くして、電車のシートに座っていた・・・

そうか・・・緊張してるのか・・・
そう思うと俺は少し笑いそうになる。
気が付いてたんじゃないんだ・・・俺はサトミの右手を握る。
サトミも俺の左手を握り返した。

こんなに緊張して・・・恥ずかしい思いをさせるている妻に・・・
俺は子供を諦めてくれ・・・そう言えるのか・・・?
94 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:47:25.44 ID:ECwp5XSe0
そう思った時に「福田さーん、中へどうぞー」そう看護婦さんに言われた。
サトミは立ち上がると俺に微笑んだ。
サトミ「・・・じゃあ・・・行って来るね・・・」
緊張した顔はあの頃のままだった・・・

サトミが診察室に入ると俺は膝の前で手を組み下を向く。待合室から外の景色を見た。
道路の向こうに線路が見えて私鉄が走っていた。

・・・あのかき氷を食べて舌を見て笑っていた中学生の時のサトミ・・・
あの日のサトミはまさか、舌を見せている未来の夫に、子供を堕ろしてくれ・・・
そう言われるとは夢にも思っていなかっただろう・・・

目を閉じると中学生のサトミの笑顔が現れた。
95 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:48:51.41 ID:ECwp5XSe0
俺が捨てたカズミには子供がいる。
カズミは俺と別れて正解だったな・・・
ちゃんと子供の誕生を喜んでくれる旦那と一緒になれて・・・

所がサトミは・・・胸が張り裂けそうだった。
頭を掻きむしりたい思いだった。

俺は・・・全くサトミを幸せにしてやれてない・・・
プロポーズの時に、必ず幸せにするから・・・そう言った筈なのに・・・!

頭を抱えたまま俺はいた。端から見たら、結婚前に子供が出来て悩んでいる彼氏の図だったと思う。
どちらかと言うと、その方がマシに思えた。
96 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:49:38.90 ID:ECwp5XSe0
顔を上げて時計を見るとサトミが診察室に消えてから30分位経過している。
遅いな・・・と思っていると診察室のドアが開き看護婦が顔を出す。
そして俺の顔を見て、「あ、ご主人さんも、お入り下さい」そう告げる。
え・・・?俺も?
看護婦は「どうぞ」と言いながら診察室のドアを開けていたので入らざるを得なかった。
俺は怖ず怖ずと診察室の中に入る。

診察室の左手にベッドがあり、サトミが横になりながら俺に微笑みかけた。
97 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:50:48.88 ID:ECwp5XSe0
サトミはお腹を出してそこに看護婦さんが機械を当てている。
右手には医者が座っていて俺が入ると振り返り「あ、ご主人さん・・・どうぞ、お掛け下さい」そう笑った。
俺は首を動かして黙礼した。医者は優しそうな、お爺ちゃん先生だった。

俺が医者の前に座るなり医者が言う。
医者「妊娠、八週目ですね。恐らく予定日は8月位ですかね」
そう淡々と言われた。
本来ならば飛び上がって喜ぶ所なんだろうが、俺には勿論感慨も無く何故か、じゃあ種付けは10月か・・・どの時だろう?と思った。
98 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:55:21.82 ID:ECwp5XSe0
とにかく医者には「・・・そうですか」と一言だけ言って下を向いた。
医者はしばらく俺を見つめた後にチラリとサトミを見たのが分かった。
ちゃんと結婚しているのに妻の妊娠を喜ばない夫を医者はどう見ただろう?
このロクデナシ、そう思ったんだろうか?
・・・だが、そうじゃ無かった。

医者はしばらくの沈黙の後に「ふむ」とだけ言う。
そして椅子をクルリと回転させてカルテを見た。
医者「まあ、お二人でご相談されたら良いと思うんですが・・・私も歳だし、ここも小さいもんだから、御出産は大きい病院に行かれた方が良いかも知れません」
と医者は言う。
99 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:57:46.90 ID:ECwp5XSe0
俺はそれにも「そうですか・・・」としか答えない。
その時、サトミはどんな顔をしていたんだろう?
俺はサトミを見る事が出来なかった。
医者はボールペンをカチカチと鳴らした後に俺を見て言った。
医者「あ、ご主人、これを見て下さい」
医者は俺にモニターを見せる。

なんだ、これ?
医者「エコーの映像です」
モニターには白黒でなんか時折、なんかグルグルとユックリ回っている様な映像があった。
あ、これがエコーって奴ね。余り見たく無い気持ちの俺を無視する様に医者が説明していく。
医者「これが胎内でしてね・・・そして、これ・・・分かりますか?」
100 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 11:59:05.19 ID:ECwp5XSe0
医者のボールペンの先を見る。
時折、チカチカと瞬いている黒い点の様な物が見えた。
医者「これが、胎児です。分かりますか?」
いや、よく分かんね。
医者「たまに、白くチカチカしてますよね・・・」
医者は俺を見て優しく笑う・・・
101 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:03:51.20 ID:ECwp5XSe0
「心臓が・・・動いてるんです・・・!」

ドクン・・・!
その言葉に俺の胸が鼓動する。

心臓が・・・???
ドクン・・・!

俺は小さな点を見つめる。
点が一定の感覚で瞬いていた。


心臓が・・・動いてる・・・?

ドクン・・・!再びそう思った時に俺の右手がモニターに触れていた。
その手は微かに震えている
102 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:05:01.46 ID:ECwp5XSe0
医者「アナタ方二人が生み出した・・・生命です・・・!」


ドクン・・・!
俺と・・・サトミの・・・子供・・・

ドクン・・・!
生きてる・・・

ドクン・・・!
ちゃんと生きてる・・・!

ドクン・・・!
こんな小さくて、点にしか見えないのに・・・この子は生きてるんだ・・・!

俺は目を閉じて下を向いた。
103 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:05:50.97 ID:ECwp5XSe0
俺の胸の奥底から何かが込み上げ、それは喉の奥を鳴らし、そのまま体を震わせた・・・

それは『感動』だった。

陳腐で在り来りな気持ちだ。
だが・・・俺は感動していたんだ。
俺とサトミが出会い、結ばれた事で・・・今、目の前に生命が生まれている・・・

その感動に俺は震えていた。
あの時の気持ちを俺の文才では上手く表現出来ない。
104 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:06:42.54 ID:ECwp5XSe0
ただ一つ、俺に生まれた感情があった。
それは・・・

『抱きしめてやりたい』

・・・その気持ちだった。
目の前に映る生命体は、こんな小さな点なのに必死に生きようとしている。
それを俺は・・・ただ抱きしめてやりたかったんだ・・・!

いつの間にか、俺の目に涙が滲んでいた。
涙で滲ませながら、俺はモニターに映る『我が子』を見つめていたんだ・・・

105 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:08:02.00 ID:ECwp5XSe0
こんな小さなボールペンの先位の大きさなのに・・・この子は生きてるんだ・・・
俺達の子供が生きてる・・・!
俺の手が震える。殺したく無い。この必死に生きている小さな生命を・・・ちゃんと抱きしめてやりたい・・・!
鼻水を流し俺は思った。


サトミ「・・・この子かな・・・?」
モニターを見つめている俺の後ろから、サトミが言う。
106 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:09:38.02 ID:ECwp5XSe0
サトミ「私達が中学で、出会って・・・何度も再会したのは・・・」
俺はサトミを見る。サトミは柔らかく笑った・・・


サトミ「この子が・・・私達を・・・引き寄せたのかな・・・?」


その言葉に俺の目から止めどなく涙が溢れる。
俺は泣きながら再び鼓動を刻む小さな命を見つめた。

『運命』その言葉が頭に響く。
107 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:10:50.00 ID:ECwp5XSe0
そうか・・・君が、俺とサトミを・・・俺は震える手でモニターに触れた。
サトミ「で・・・もう、この世界で・・・待ってるのかもね・・・」
え・・・?俺は振り返りサトミを見る。
少し恥ずかしそうに笑い・・・

そして言った・・・



サトミ「この子の・・・運命の人が・・・」



俺は泣き崩れた。
そうだ・・・待っているかも知れない・・・この子を・・・一途に思う・・・
最愛の人が・・・!
108 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:12:08.84 ID:ECwp5XSe0
サトミ「ユウ君・・・」
サトミはそっと俺の手を触れた。

「辛い時は辛いって言っても良いんだよ・・・」

え・・・?
サトミ「情けないとか思わないで何でも言って・・・私はちゃんと受け止めるから・・・」
サトミ・・・
サトミ「ずっと・・・側に居るから・・・」
サトミ・・・!!!!

俺は嗚咽を漏らした・・・
サトミは全てを分かっていた。全てを分かって俺を見守ってくれていたんだ。
俺は情けなくなんか無かった。ただ、馬鹿だったんだ。
こんな近くに、こんなすぐ側に・・・俺を思ってくれている人が居るのに・・・気が付かない馬鹿だったんだ・・・
109 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:13:01.54 ID:ECwp5XSe0
医者「・・・親になる時には不安に駆られる人がいます」
医者がポツリと呟いた。
医者「でも、それは・・・責任感の現れなんですよ・・・責任感が強い人程、不安に駆られる」
俺は顔を上げる。医者は俺に笑った。

医者「大丈夫・・・!アナタは既に親としての一歩をちゃんと歩んでます・・・!」
俺は頷いて、医者に頭を下げた。
医者はサトミの心配を聞いて俺にエコーを見せてくれたんだ。
110 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:14:33.86 ID:ECwp5XSe0
俺達が家に帰り着いた時に、竜也が一人でゲームをしていた。
竜也「どこ行ってたんすかー、暇だから三國無双で千人切りしてましたよー」
俺「ソナタこそ真の三國無双よ」
サトミ「あれ、ストレス解消になるよねーww」
サトミちゃんにストレスを貯めさせてすみません・・・

竜也「腹減りましたよー」
俺「じゃあ、飯でも食いに行くか・・・オジさん」
竜也「そうっすねー・・・って、オジさん?」
サトミ「あ、行こうwwオジさんは何が食べたい?」
竜也「いや、姉ちゃんも・・・何だよ・・・」
俺「オジさん何だよ、お前は!・・な?」
サトミ「うんwwオジさんww」
竜也「はあ???意味分からんし!俺がオジさんなら、福田さんもオジさんじゃないっすか!」
俺「俺はオジさんじゃないよ、なあ?」
サトミ「うん!ユウ君はお父さんww」
竜也「はあ??意味分かんね」


俺達は勘の鈍い竜也を連れて飯を食べに行った・・・
111 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:15:40.98 ID:ECwp5XSe0
翌、月曜日。

俺は朝一で会社に到着する。そしてキャビネットから俺の訪問履歴と行動記録を取り出した。
自慢じゃないが、俺の記録は人一倍多い。だからこそ数字を上げる事が出来ていたんだ。
俺はそれをコーヒーを飲みながら眺めていた。
一番俺が数字を上げていた時の記録を見つめる。

もう、何故数字が取れないか?を考えるのは辞めた。
俺が一番数字を上げていた時のイメージを思い起こさせるんだ。
俺は開き直っていた。取れない物は取れない。じゃあ、足掻いてやるだけ。
それでも取れなかったら・・・もう、知らんww
112 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:16:35.87 ID:ECwp5XSe0
やるだけの事をやってダメなら・・・仕事を変えたら良いだけww
俺にはサトミがいる。いざとなったら、一応清掃の技術は有るから、どっかで作業員でもすりゃ良いさww

俺がそんな事を思っていると、「おはよーございまーす・・・」と言う声が聞こえた。
顔を上げると松平が事務所に入って来る。
まだ早い時間なので課内には俺達二人だけだ。松平は俺を見ると少し下を向いて、そして怖ず怖ずと席に座る。
俺は立ち上がると自分の机からファイルを取り出し、松平の机に置いた。
113 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:17:27.33 ID:ECwp5XSe0
松平は顔を上げて俺を見る。俺は少し照れながら言った。

俺「ホテルの常駐清掃の作業員の個人特性とさ・・・あと、コストの計算式」
松平は少しビックリしてファイルを手に取る。
松平「・・・良いんですか・・・?」
俺「いや、今更役立つかは分かんないけど・・・ww」
俺の言葉に松平は慌てて首を横に振り「・・・ありがとうございます・・・」そう言った。

俺は少し恥ずかしくなり、そして有ることに気が付いて松平を見て呟いた。
俺「・・・すまなかった・・・俺、拗ねて・・・そんで、お前に嫉妬してたんだ・・・」
そして頭を下げる。
114 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:18:32.39 ID:ECwp5XSe0
俺「ホントにつまらん上司で、ゴメン!」
松平は慌てる。
松平「いえ・・・私こそ・・・福田さんの頭越しに物事を進めて・・・すみませんでした・・・」
松平も頭を下げて来た。
俺「嫌々、あれは俺が冷静じゃ無かったしww」
松平「でも・・・」
俺「まあ、これからさ・・・お前から尊敬される上司を目指すからさww」
俺はそう言って笑う。
松平は少し下を向いて下唇を噛むと再び顔を上げて少し恥ずかしそうにした・・・

松平「私は・・・今でも、尊敬してますよ・・・!」

その言葉に俺は顔を真っ赤にしたと思う。
ガキか、俺はww

松平は俺の顔を見て笑っていた・・・
115 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:19:23.79 ID:ECwp5XSe0
その日から俺は暗い顔をせずに、笑顔に努めた。
元気を出そう・・・常に前を向こう・・・そう思い仕事をする。
すると、まず課長が反応して昼休みに「それで良い」と笑う。
部長と廊下ですれ違うと「一皮向けたな」と小さく呟かれた。

そしてね・・・笑う門には福来たるってね。あれはホントなんだな・・・
俺はドンドン契約を上げて行った。

そして・・・2010年12月末・・・

俺は、10月、11月の足りなかった数字を含めて、12月度の数字をクリアした・・・!


最終日の契約の際は流石にガッツポーズしたよ・・・ww

116 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/06/20(水) 12:21:03.67 ID:ECwp5XSe0
とりあえず以上です
一応、まだ僕の親友の一人の眼鏡君の結婚式の話もまとめて有るんですが、ちょい疲れました
取り合えず続きはまたカキコミますが、疲れたんで一回落ちますね
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/20(水) 12:25:45.88 ID:jjmkdGi/o
乙乙〜
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/20(水) 12:33:21.82 ID:Ib81fifjo
壁にぶつかり乗り越えたか
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/20(水) 22:13:33.72 ID:VEFP5v2Do
おつかれ
続き期待しとくわ
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2012/06/21(木) 01:10:57.99 ID:Qi2JuoSuo
乙です
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/21(木) 09:33:40.66 ID:7fGrHS2A0
福田やないかい!





福田やないかい!!
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/21(木) 23:20:22.70 ID:XSjdf5jIO
おーっ!
まとめで読んでたよ!
続き待ってるよ♪( ´▽`)
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2012/06/22(金) 02:15:52.22 ID:4UeRsifro
本買ったよ。
大変だったね。
今じゃ一児の父親だね

もしかしたら、二人目ももう居るのかな?
なんにしても、人生は一度きりなんだから、後悔しない生きかたが出来ると良いね
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2012/06/25(月) 02:37:37.31 ID:izxiw3ico
待ってるよ!
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山口県) :2012/06/25(月) 03:03:01.21 ID:iw9tTgGP0
やばい…懐かしくて涙でそうw

偶然と言う名の運命か
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/25(月) 03:21:14.35 ID:Z9006p8SO
うおおおwwwwww
好きでまとめを何度も読んでた人が今ここに…!
続き待ってます!
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(四国) [sage]:2012/06/25(月) 11:26:59.00 ID:fmogNPuAO
福田おかえりー
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/25(月) 16:16:09.31 ID:xWEM4X2l0
楽しみにしてるよ!
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/27(水) 06:29:04.95 ID:QkzsyGX+0
まさかの福田wwwwww
続き楽しみにしてる
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/06/27(水) 23:25:29.16 ID:scoPWepf0
楽しみだなー
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/27(水) 23:41:33.26 ID:M7tglJyc0
やべぇぇぇwwwwww
これは何編になるんだろうな
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岡山県) [sage]:2012/06/28(木) 12:03:28.42 ID:RfB50f+mo
焦らすのが好きだな福田は・・・
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/28(木) 22:44:19.46 ID:+8sukCeDO
あの福田なのか?
まとめとかめっちゃ見てたしwwwwww
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2012/06/29(金) 17:42:40.82 ID:6E5dAcbc0
福田か!
また会えて嬉しい!
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) [sage]:2012/06/29(金) 20:31:30.78 ID:ihFAdTYJo
福ちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━!!!
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海) :2012/06/29(金) 21:24:03.86 ID:Yv6WZK1AO
懐かしいー運命の人福田さんだー。 苦難を乗り越えて成長しましたね。 おめでとうっ。 報告お待ちしてます。
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/06/29(金) 22:26:03.67 ID:kYC5WiKIO
数日前から【中学編】から見始めて、しばらく夢中になってたが、まさかこのタイミングで再開してるとは
福ちゃん、投下まっとります
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/06/30(土) 23:51:23.32 ID:NN1AkdhDO
待っとうよ
139 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:38:13.63 ID:odjJLeyt0
どうもです福田ですww
こんなに楽しみにしてもらって光栄ですww

では、このスレを初めて見た人の為に以前のあらすじを・・・

140 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:39:32.12 ID:odjJLeyt0
とある、星に住む主人公少年フクーダ
彼と幼なじみの少女サトーミ。

だが、ある日フクーダはその星の皇帝マーツダイラーに捕らえられる。
そして、そこで特殊部隊の訓練を受けさせられたのであった。
・・・数年後、A級特殊部隊員になったフクーダは、数年ぶりにサトーミと再会する。
だが、世は乱世。圧制を敷くマーツダイラーを倒す為に世界中が蜂起した。戦いに巻き込まれるフクーダとサトーミ。
彼らの運命は・・・

マーツダイラーが倒れた世は三人の若き王によって治められる・・・
一人は「北のヘンタイ王イッタクーラ」もう一人は「南のトウサツ王メガーネ」・・・
最後の一人が民衆に推され王に就いた「東のチュウニ王フクーダ」・・・

この三国の王はそれぞれ自らの理念を信じ天下統一を目指す・・・
あらゆる策謀、圧巻の戦い・・・そして・・・フクーダとサトーミの愛の行方・・・
手に汗握る大スペクタルの物語り・・・!
141 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:40:12.79 ID:odjJLeyt0
確か、こんな話だったよね。

まあ、それじゃあ続きでも置いとくかいの
142 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:42:02.03 ID:odjJLeyt0
-2011年1月7日19:40-

『当機はまもなく着陸体勢に入ります。シートベルトを・・・』
ポーンと言う機内アナウンスが流れいつの間にか窓の外には街の明かりが見えて来た。

サトミ「あー・・・なんか食べたいー・・」
窓側に座るサトミが呟いた。
俺「また・・・ですか・・・?」
キーンと言うジェット音の機内に響いている
143 :福田 ◆RzEettbBGE [sage]:2012/07/01(日) 00:43:10.27 ID:odjJLeyt0
サトミ「食べないと気持ち悪いんだもん・・・」
俺「もうベルト着用のランプが点いてるから・・・荷物取れないよ」
サトミ「食べたいー・・・なんか持ってない???」
俺「え??いや、ちょっと待てよ・・・」

俺はダウンのポケットを探る。
俺「あ、フリスク見っけ」
サトミ「頂戴!」
と言うなりサトミは俺の手からフリスクを取った。
そして、手の平にフリスクをぶちまけ、一気に口に放り込みボリボリ食べた。

まさかのヤク中食べに俺は軽く引く。
144 :福田 ◆RzEettbBGE [sage]:2012/07/01(日) 00:44:59.82 ID:odjJLeyt0
サトミ「はぁ・・・ちょっと落ち着いたー・・・」
俺「良かったよ・・・足りなくて飛行機を食べだしたら、どうしようかと思った」
サトミ「面白くない」

サトミが少しプンプンしながら頬を膨らませていると、少し風に揺られた飛行機はそのまま俺達の地元の空港の滑走路へと向かって行った・・・


サトミがこんなに食べるのは特に餓鬼に乗り移られた訳ではなく、ツワリだった。
サトミのツワリは食べれなくならずに、逆に食べないと気持ちが悪くなるらしい
145 :福田 ◆RzEettbBGE [sage]:2012/07/01(日) 00:46:04.62 ID:odjJLeyt0
とにかく胃が空っぽだと気分が悪いらしい。
だから、俺がションベンがしたくて夜中に起きた際に、サトミが恥ずかしそうにトンカツを食べている時は何かのドッキリかと思った。
まあ、ちょっと恥ずかしそうな顔でトンカツをくわえた姿に萌えたんだが。

俺達は実家に帰る最中であった。
例の如く正月も殆ど休む事が出来なかったので、成人の日を含む三連休を実家で過ごす為が一つ。
なるべく時間を短縮させる為と、サトミの「気分が悪いから長い時間乗り物に乗りたくない」の一言で金曜日に仕事を早々と済ませて空路を利用した。
俺的には気圧の関係とか、赤ちゃんに影響が無いのか心配だったが・・・
146 :福田 ◆RzEettbBGE [sage]:2012/07/01(日) 00:47:13.41 ID:odjJLeyt0
到着ロビーに出ると俺の義理じゃない実弟が手を振っていた。

サトミ「あ、久しぶりだね〜ww」
そう言って弟に手を振り返す。弟は緊張して返事をした。
弟「ひ、久方ぶりでござります・・・」
武士かよ。
サトミ「あ、少し遅くなったけど・・・明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します」
そう言ってサトミが丁寧に頭を下げた。
弟「あ、明けまして、お、おめでとうごじゃります・・・」
平安貴族かよ。

まだサトミに慣れない弟だった
147 :福田 ◆RzEettbBGE [sage]:2012/07/01(日) 00:48:10.20 ID:odjJLeyt0
サトミ「ゴメンね〜、わざわざ迎えに来てくれて〜」
弟「い、いえ・・・そ、それより・・・ね、ね、ね・・・」
弟は何やら口ごもっている。何となく俺は分かったが面白かったので放置した。

弟「ね、義姉さんも・・・あ、ご、ご懐妊、おめでとう、ございます・・・」
そう来たか弟よ。
そう言われサトミが照れる。
サトミ「あww言いづらかったら、前みたいに『サトミさん』でも良いよww」

そこ?ご懐妊って言ってたよコイツ。
148 :福田 ◆RzEettbBGE [sage]:2012/07/01(日) 00:49:47.92 ID:odjJLeyt0
弟は少しホッとして「あ、じゃあ・・・サトミさん・・・」そう言う。
サトミ「あ、そうだ、ハイこれww」
そう言ってサトミはポチ袋を取り出して弟に渡した。
サトミ「お年玉wwお父さん、お母さんには内緒ねww」
小さい子供かよ。
弟「あ、ありがとうございます!!」
弟は頭を下げて受けとった。まあ、ちなみに弟は大学生なんで。

てか、この二人の会話はスゲエ面白いんだが・・・
まあ、フォローする訳じゃ無いけど弟は高校時代から付き合ってる彼女が居るので決して女慣れしてない訳じゃないんだ。
ただ、どう対応して良いのか分からないんだww
149 :福田 ◆RzEettbBGE [sage]:2012/07/01(日) 00:50:48.55 ID:odjJLeyt0
俺が今回、仕事を強引に休み実家に戻った理由が、もう一つ有った。
それは・・・

家に到着して久しぶりに家族団欒で晩飯を食べていた時だった。
家の電話が鳴り母親が電話を取った。
母親「ああーww久しぶりー!ウンウン、ああそう・・・ww」
そう言って話し出す。
母ちゃんの知り合いか・・・そう思いながら俺達は普通に飯を食っていた。
母親「あ、そう今から?ウンウン。ああ、それじゃあねww」
そう言って電話を切る。

こんな夜に誰か来るの?サトミもそう思ったのか俺を見る。
150 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:51:48.38 ID:odjJLeyt0
その5分後だった。家のインターフォンが鳴る。
うん?さっきの電話の人か・・・?
俺がそう思うと母親が「出て」と俺に言った。
なんで俺が・・・と思いながらも素直に応じ玄関を開けると・・・



そこには、まあ、母ちゃんの知り合いと言えなくも無い奴らが・・・居た・・・
151 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:52:46.02 ID:odjJLeyt0
「うぉめでとぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」


そう言って近所迷惑を省みず馬鹿が叫びながら入って来た。
「はい!!!これ、お祝い!!!!」
そう言ってもう一人の馬鹿が、すき家の割引券を渡して来る。

だから、なんで牛丼・・・

二人は金曜日の21時台にも関わらず・・・



出来上がっていた。
152 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:53:59.06 ID:odjJLeyt0
母親「あらー、いらっしゃいww急に電話して来たからビックリしたww」
てか、さっきのコイツらかよ。
何で俺に言わんか分からんし、そして何故に俺の携帯に電話しないのか・・・
ツッコミ所満載過ぎて何も言えない俺がいた。
板倉「いやーwwwwwwおばさんも遂にお婆ちゃんっすねーwwwwww」
母親「そうなのよーww板倉君はもうパパだもんねーww
板倉「いや、ヤバいっすよ・・・マジ、ウチの子カワイイっすから・・・!」


板倉の一言に母親と板倉がケラケラと笑う。何が面白いんだ。
153 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:54:59.37 ID:odjJLeyt0
サトミ「あーww久しぶりーww」
サトミが出て来た瞬間に森君がカメラを構えパシャパシャと写真を撮り始める。
森君「妊婦ww妊婦ww」
サトミが慌てる。
俺「何してんだああああ!!!!お前は何フェチだあああ!!!」
板倉「何回目で孕ませたんだ、このスケベ」
俺「おい!!!親と嫁の前でヤメロおぉぉぉ!!!!」
母ちゃんは笑ってるがサトミは顔を赤くしていた。

森君「妊婦の赤面、萌えるwwwwww」
森君がカシャカシャと再び撮影。


俺「だから・・・ヤメロおおおお!!!!!!!」
154 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:56:11.27 ID:odjJLeyt0
板倉「まあまあwwさ、宴もタケナワなので・・・」
そう言って板倉はカバンから一升瓶を取り出す。

板倉「さ!飲むぞ!」
森君「お邪魔しまーすww」
母親「板倉君、森君!」
母ちゃんが慌てる。そりゃそうだ。
が・・・
母親「なんか、おつまみ作る???」
そっちかよ!!!
板倉「あ、ちゃんと持って来てますからww」
持参すんな。
森君「石原さん用にちゃんとサイダー買って来たからww」

何て用意が良いんだ・・・
二人は俺の昔の部屋に入る。
155 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:57:15.48 ID:odjJLeyt0
板倉「おい、福田エロ本はー?」
俺「ねーに決まってんだろーが!!!!」
俺はサトミをチラチラ見る。まあ一応ウチはエロ類は黙認。
その時、森君の眼鏡(現在はコンタクト)がキラリと光った。
そして素早い動作で押し入れを開けて昔の雑誌の中からエロ本(エロ漫画)を取り出した。

森君「大体、目線で分かる・・・!」
俺「うおおおおお!!!!これ、俺の昔持ってた奴ううううう!!!ちょー懐かしいぃぃぃぃ!!!!・・・って、なんだ、このデジャヴュ!!!!!!」

俺はエロ本を床に投げ付けた。
156 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:58:13.49 ID:odjJLeyt0
板倉はケラケラ笑っている。サトミは少し困っていた。

森君「このページがお気に入り折り・・・」
俺「もおおお、ええわいぃぃぃぃ!!!!!」
俺はしゃがんでエロ本を見てる森君を蹴った。
板倉「ほら、石原見てみ、君の旦那さんが昔、君の代わりに使ってた奴」
板倉がエロ本をサトミに見せるが、サトミは顔を赤くして目を逸らす。
俺「変態かあああ!!!!」
157 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 00:59:02.44 ID:odjJLeyt0
森君「そのページがお気に入り・・・ムゴッ」
俺「もうエエ言うとろおおおがああああ!!!!!」
俺は森君にヘッドロックをかけていた・・・


何年たってもホントにコイツらは馬鹿だ。
一人は妻子持ちで・・・
そして、もう一人は・・・




明後日に結婚すると言うのに・・・!
158 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:00:25.42 ID:odjJLeyt0
-2011年1月8日-

「わあ〜カワイイww」
そう言ってサトミとケイコが代わる代わる板倉の子供を抱いていた。
板倉「だろ〜wwww・・・石原、ケイコちゃん、ちょっとジックリ見てみ」
サトミ「え?」
板倉「あ、ヤベー・・・ジックリ見ても、マジカワイイわ〜・・・何、この世紀末的な可愛さは・・・」
世紀末まであと80年以上有りますけど。
板倉「福田、そう思わないか?」
いきなり俺に振る。
俺「あ、ああ・・・そ、そーだね・・・うん・・・」
曖昧に答える俺。
板倉「ああん???聞こえねえ!!!もっと七大陸に響き渡る様に言えよ!!!」

うぜえ・・・
159 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:01:23.07 ID:odjJLeyt0
俺達は板倉家に来ていた。
結局、昨晩は朝まで飲んだ。

サトミは早々と寝かせたが、朝方に「森君がトイレで寝てるから起こして」と言うサトミの言葉に俺は目が覚めたのだ。
アイツはどんだけトイレ好きなんだよ。
で、板倉の奥さんであるユミから電話が有り板倉は直立不動で謝った後に、俺達を引き連れて板倉家に行ったのだ。
その途中で森君の婚約者のケイコも合流し、板倉家で昼飯を食べる事になった。
160 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:02:58.22 ID:odjJLeyt0
ユミ「どうでも良いけど、サトミちゃんは今が一番大事なんだから、アンタ、ホントに考えなさいよ」
そう言って板倉の頭をポカスカと叩く。
板倉「すみません、あ、あんまり頭を叩くのはヤメテ・・・」
ケイコ「森君もよ!せっかく私達の結婚式に遠い所からワザワザ来てくれてるのに!」
森君「モーシワケアリヤセン」
二人の親友が尻に敷かれていた。

やっぱり俺の嫁は優しいwwてか、まあ、そもそもコイツらが悪いんだけど。
161 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:04:38.19 ID:odjJLeyt0
サトミ「いよいよ明日ですねーww私も前の日はドキドキしたな〜」
ケイコ「なんか、緊張しますよね〜ww」
ユミ「でもケイコちゃんのドレス楽しみww」

板倉「ドレス・・・スズメ」
サトミ「私、試着で何着も来ましたww」
俺「メダカ」
ケイコ「私もーww」
森君「カンガルー」
ユミ「みんなやる事、同じww・・・私もだもんww」
板倉「ルーマニア」
サトミ「お色直し何回します?」
俺「アルコール」
ケイコ「まあ、一回だけですww」
森君「『ル』攻撃か・・・ルビー」

嫁達が歓談中に暇なので、しり取りを始めた俺達。
162 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:05:40.24 ID:odjJLeyt0
・・・30分後。

ユミ「新居に似合う家具とか選ぶの楽しかったな〜」
板倉「ん〜・・・ず・・・ズラ・・・」
サトミ「クローゼット選びに迷いますよね?」
俺「ラ・・・ランドセル・・・」
ケイコ「そうそうww収納が多い家とか探してww」
森君「また、『ル』???ル・・・ルーズ!!!」
ユミ「新居には住んでるんだっけ?もう」
板倉「また、『ズ』かよ!!!う〜ん・・・ず、ず・・・ずる休み!!!」
163 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:06:31.36 ID:odjJLeyt0
ケイコ「はいww先週からww」
俺「それ、言った!!!俺さっき『ズル』って言ったもん!!!」
サトミ「良いな〜・・・私はお父さんがうるさいから、式が終わるまで別々だったな〜」
板倉「ズルとずる休みは違うもんね〜!!!」
ユミ「私も式まで住んでなかったなー」
俺「お前さっき留守と留守番電話の時、ダメって言ったじゃねーか!!!」
ケイコ「あ、でも、その方が一緒に住んだ時に感動しません?」
板倉「それは留守番で一回切った癖に、その後に電話を付けたからだろうが!!!あの時点で、お前の負けなんだよ!!
!」
164 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:07:25.19 ID:odjJLeyt0
ユミ「どうだったかなー?」
俺「は???違うし!!!あれ、ちゃんと流れで、電話を付けるつもりだったし!!!」
サトミ「もう、忘れちゃいましたよねー?」
板倉「往生際わるっ!!!」
ケイコ「でも、イロイロ勉強になりますww」
俺「んだと!!!コラ!!!!」
板倉「やんのか、コラ!!!!」

ユミ、サトミ「うるさい!!!」
俺ら二人は嫁に一喝され、シュンとなる。

・・・森君は既に飽きて漫画を読んでいたのであった・・・

165 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:09:07.08 ID:odjJLeyt0
-2011年1月9日-

板倉「うー・・・頭いてぇ・・・」
板倉がそう言って椅子にもたれ掛かる。
俺「お前、飲み過ぎなんだよ・・・そして、飲ませ過ぎ・・・ウッ」
俺は何回目かの吐き気を催した。

ユミ「ダメな旦那達だね〜・・・ねえサトミちゃん」
ユミはそう言ってサトミを見た。サトミは少し苦笑いをしながら俺を見ている。
ホテルのロビー明るく、結婚式の客で賑わっていた。
俺と板倉、そして森君の三人は結局朝方まで飲み歩き二日酔いで苦しんでいたのであった。
166 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:10:41.23 ID:odjJLeyt0
俺「森君大丈夫かな・・・?」
板倉「知らね」

そうこうしていると向こう側が騒がしくなる。
サトミ「あ、森君にケイコちゃんww」
サトミの声に俺達が振り向く。
見ると羽織り袴姿の森君と、白無垢姿のケイコが現れる。

俺達「うおー!!!『和』だー!!!!!」
森君「よっ」

俺達を見つけた森君が扇子を持ち上げ挨拶をする。
167 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:11:47.06 ID:odjJLeyt0
俺「めっちゃ、和じゃ無いっすかああああ!!!!!」
板倉「スゲー!!!!何、この着物!!!!武士???武士なの????侍???」

騒ぐ俺達。
森君「日本人の結婚式は・・・着物っしょ」
森君の眼鏡(現在、コンタクトなので掛けていない)がキラリと光る。

サトミ、ユミ「きゃーwwwwなんか、カッコイイwwwwwwケイコちゃんも綺麗wwwwww」

なんかウケとるし!!!
168 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:12:27.13 ID:odjJLeyt0
板倉「ユミー!!!お前がウェディングドレスが着たいっつったじゃん!!!」
ユミ「えー、だってアンタが羽織り袴だったら落語家みたいだし」
俺「三遊亭がいこつwwwwww」
板倉「てめぇは、妄想亭ゲロリンじゃねーかあああ!!!!」

俺と板倉の小競り合い勃発。

まあ、森君達の結婚式は『和』だったよ・・・
169 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:12:59.18 ID:odjJLeyt0
腕が疲れた・・・
ちょい休憩
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/01(日) 01:14:12.30 ID:YUU/zdKg0
おつかれ
見てるよ
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2012/07/01(日) 01:20:16.68 ID:BMXPyg/bo
お疲れ!

ゆっくりでいいんだぞー
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/07/01(日) 01:24:24.45 ID:u5F3E9aIO
福ちゃんww
まとめで一番好きな話のあの福ちゃんww
芸能人にでも会った気分だ
サトミ元気?
続き待ってるよ?
173 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:30:41.02 ID:odjJLeyt0
>>170>>171>>172
あんがとー
サトミは元気だよ〜

CDTVを見てたわww
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2012/07/01(日) 01:31:18.23 ID:ulkatntl0
お疲れー!
初めてリアルタイムで見れて嬉しいww
175 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:31:45.19 ID:odjJLeyt0
続き

洋式と違い『和』の場合は式には親族しか参加出来ない為に披露宴から俺達は参加した。
森君の会社のエロい・・・いや、偉いさんが挨拶をして、ケイコの会社のエロいさんが乾杯の音頭を取り披露宴が始まった。
俺と板倉は早速、森君の元に酒を注ぎに行く。
ケイコ「あんまり飲ませ無いで下さいww今朝もベロベロで帰って来ましたからww」
そうケイコにヤンワリと怒られる。
176 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:33:35.97 ID:odjJLeyt0
うん、昨日はかなり飲んだ。
久しぶりに森君がカラオケでガンダムメドレーを熱唱してたからね。
そして最後に「福田君はターンエーの良さが分かってないんだ!!!」と責められる。
俺はΖまでしか知らんのよ。

宴は盛り上がりを見せて進む。

そして・・・俺と板倉の出番が・・・来た・・・!

司会者「続きまして、新郎のご友人、お二方による歌を、お聞き下さい!」
そう言われ俺と板倉が前に出た。・・・
177 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:34:47.48 ID:odjJLeyt0
・・・元々は森君の披露宴では俺が出し物、板倉がスピーチ、と言う約束だった。
が、板倉が「お前、スピーチ得意。俺、出し物得意」と言う片言で入れ替えたのだ。
だが、一週間前に板倉が急に「歌を一緒に歌おうぜww」と言って来た。
えらく無難な事をするんだな・・・そう思ったが、まあOKした。

俺「何を歌うんだ?」
板倉「まあまあww誰でも歌える歌だから当日の楽しみでww」
そう言われ俺も余り気にしなかった。
どちらかと言えば自分のスピーチで頭が一杯だったんだ。
178 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:35:45.69 ID:odjJLeyt0
俺達は司会者に促されマイクの前に立つ。そして型通りの挨拶をした後に板倉が言った。

板倉「えー・・・それでは、我が板倉軍団きっての歌唱力を誇る・・・福田が熱唱致します・・・!」
ええええ??????俺????しかも、歌、上手くねーし!!!!
俺はビックリして板倉を見る。板倉は俺を見ない。
てか、お前歌わねーのかよ!!!

板倉「聞いて下さい・・・『永遠に共に』・・・!」
うわー・・・それ今、結婚式で歌っちゃいけない奴じゃん・・・
会場が少しざわついた後にカラオケのイントロが響き始めた。
179 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:36:56.02 ID:odjJLeyt0
板倉は俺より一歩下がり控えた。仕方なく俺はマイクを取りモニターを見つめる。

マジかよー・・・あんまり知らないよ、この歌・・・かと言ってここで辞めるのも興ざめだし・・・
そんな事を思いながらチラリと俺達の席を見るとサトミが「頑張れ」と声に出さずに呟いていた。
よし、頑張るか・・・!

俺「こーころが、今とーてもー♪おだやかーな・・・」
『カーン!!』

カーン???!!!
180 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:38:07.91 ID:odjJLeyt0
後ろからのその音と共に音楽が止まる。
振り返ると板倉が満面の笑みで鐘を持っていた・・・
え・・・?どーゆう事・・・?
会場から起こるクスクスと笑う声。
板倉は凄く嬉しそう。
いや、意味が分かんないんだけど・・・

板倉は俺を押し退ける様に前に出て来てマイクを掴んだ。
板倉「えー・・・ただ今、我が軍団の福田が空気を読めずに離婚ソングを歌おうとした為と・・・そんなに歌唱力も無かった為に止めましたww」
会場から笑い声が漏れる。

えー・・・お前のチョイスだし、お前が歌えっつったじゃん・・・
181 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:39:11.17 ID:odjJLeyt0
板倉はいきなり手を挙げて合図をすると係員の人がキーボードを持って現れた。
板倉はおもむろにそれの前に行き腰掛ける。

板倉「えー、それでは森君とケイコさんの為に歌います・・・GReeeeNで愛唄・・・!」

そう言っていきなりキーボードを弾きはじめ・・・弾き語りで歌い始めた。
会場から歓声が沸く
182 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:40:16.19 ID:odjJLeyt0
板倉はかなり歌が上手い。おまけに声量がある。
皆が板倉の歌に集中し・・・彼は熱唱していた・・・


・・・俺を一人置いて。

俺は板倉が歌っている最中、ずっと所在なげにポツンと立ち尽くしていた。
スポットライトが二つ。
まばゆく輝き熱唱する板倉。
一人暗い顔で放置の俺・・・


板倉・・・なんの嫌がらせだよ・・・マジで・・・
俺は泣きそうになっていた・・・
183 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:41:25.84 ID:odjJLeyt0
板倉「いやー、ちょー気持ち良いんですけどー♪」

そう言って盛大な拍手に包まれ席に戻った板倉が発した。
ユミ「アンタ・・・最低だね・・・」
板倉「ええ??何があ???」
板倉はシレッとした顔で言った。
俺「もう良いよ、ユミちゃん・・・板倉からの嫌がらせは、もう百を数えた辺りから諦めてるから・・・」
板倉「いやー、見事に嵌まってくれて嬉しいよフクちゃん」

るせーよ!!
184 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:42:28.21 ID:odjJLeyt0
披露宴はお色直しを終えて終盤に差し掛かる。
ケイコの友人代表の一言を終えて俺の出番がやって来た。

板倉「噛むなよ」
俺「るせー!!!お前いつか覚えとけよ!!!」
俺はプンスカ怒りながら壇上へ向かう。まあ、お陰で緊張を忘れたが。

俺「えー、ただ今ご紹介に預かりました、先程空気を読まない歌を歌いました福田と申します」
第一声に会場が少し湧いた。
まあ、結果往来。型通りの挨拶を終えて俺はスピーチを始めた。
185 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:43:23.79 ID:odjJLeyt0
俺「私と森君との出会いは・・・中学二年生の一学期の終わりの頃でした・・・」

俺はチラリとサトミを見た。そしてその隣に座り頬杖をついている板倉も見る。
そう。俺達全ての運命を変えた・・・あの中二の夏だ・・・!

俺「文化祭の実行委員長になった私に、教師が二名の男子を指名しろ、そう言いました。その時に私が指名したのは、一人は先程気持ち良く『愛唄』を熱唱致しました、板倉です」
板倉が少し鼻を鳴らす様に笑ったのが分かった。
186 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:44:28.71 ID:odjJLeyt0
俺「そして、もう一名は・・・幸か不幸か、たまたま私と目が合ってしまった・・・」
俺は森君を見た。森君も少し照れる様に笑う。

俺「そちらに座っている・・・森君でした・・・!」

俺は少し顔をマイクから背け咳ばらいをした。
俺「今でこそ、小池徹平に似たイケメンとして会社や大学時代の女子からモテておりますが・・・中二の頃の森君は・・・それはもう、残念なオタクでしたww」
言ってやったww森君も苦笑いを浮かべる。
187 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:45:11.08 ID:odjJLeyt0
俺「私達三人は文化祭が終わっても行動を共にしました。それでは、昔の森君の姿を暴露しますwwコチラですww」

そう言って会場が暗くなり俺の後ろのスクリーンに気持ち悪かった時代の森君が映し出された。
会場から爆笑と恐らく森君の会社の女子社員なんだろうか、「いやぁぁぁ」と言う声が響いた。
仕込み成功。
188 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:46:38.48 ID:odjJLeyt0
俺「彼はよく、私の家で5時間に渡りエバンゲリオンの話を語りました。私が寝そうになると揺り起こして
『綾波とアスカならどっちが良い???』
と言うんですが私からしたら両方やるから寝かせてくれ、と思っていました」

会場が笑い声が起こる。

俺「また、ある時は居酒屋で隣に座っていたサラリーマンが
『ガンダムはファーストしか面白く無いよな』
と言う言葉に何故かヒートアップして
『Ζ、いや、ターンエーを舐めんな!!!』
と叫びサラリーマン達とガンダム議論を繰り広げました。
最後はサラリーマン達も『ターンエーのビデオ観るよ!』と言って熱くなっていたんですが、私からした
ら説得力の無駄遣い、そう思いました」

ケイコがクスクス笑い、森君が苦笑いを浮かべていた。
189 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:50:22.65 ID:odjJLeyt0
俺「まあ、そんなこんなで立派なオタクとして生きていた森君ですが、何故か私達三人は常に一緒でした」
俺はチラリとサトミを見て少し迷う・・・が、意を決した。

俺「あれは・・・大学生の時でした。私と森君は、と有る事が原因で・・・殴り合いの喧嘩をした事が有ったんです」

森君が慌てた様に顔を上げてサトミの方を見る。
君のそう言う優しい所が俺は好きなんだよ、森君。
190 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:51:14.07 ID:odjJLeyt0
俺「元凶は私です・・・あの当時、私は彼女が居るにも関わらず、他の女性に心を惹かれてました・・・
そして、それに浮かれていた時に・・・森君は本気で僕に怒りました。
それはだらし無い私への戒め・・・
そして人の気持ちを踏みにじる、人間としての怒りから、彼は私と殴り合いをしたんです・・・」

あの日の俺を思い出す。
馬鹿だな俺は。
191 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:52:15.96 ID:odjJLeyt0
俺「ひょっとして、私達の関係にヒビが入るかも知れない・・・そこまで関わらなくても良いんじゃないか・・・?
普通の人はそう考えると思いますし、実際に彼もそう思ったのかも知れません・・・
ですが、彼はそれを越えて私に殴り掛かって来ました。
それは道を踏み外している私の為に・・・です・・・!」

会場はいつしか静まっていた。

俺「そうして私達は、普通の友人関係から・・・いつしか変化が起きました。


そう・・・私達は『親友』となっていったんです」
192 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:53:16.24 ID:odjJLeyt0
俺の言葉にスクリーンに写る写真が変わった。

俺と板倉、そして森君、三人が海で撮った写真だった・・・

俺「森君はいつも私達に誠実でした。そして凄く優しい奴なんですよ・・・ケイコさん」
そう言って俺はケイコを呼ぶ。
俺「勿論、アナタもそんな森君だからこそ惹かれたんでしょう・・・ですが、私から再度お伝えします・・・森君はアナタに常に誠実で、そしてアナタ、これから増え行く家族を必ず守ってくれるでしょう・・・!」

俺の言葉に何故か森君が泣き出した。
193 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:54:19.55 ID:odjJLeyt0
俺「森君・・・あの、暑い夏の日・・・俺は君を指名しなかったらと思うと、とても怖い・・・ww」
涙目の森君が俺を見た。

俺「あの日、君と目が合って本当に良かった・・・!
どうか・・・どうか幸せになって下さい・・・!」

森君は俺に何度も頷いた。
俺「簡単では有りますが、これで私のお祝いの言葉を終わります・・・本日は誠におめでとうございます!!」

俺が一礼をすると歓声と共に拍手が鳴り響いた。
194 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:55:00.51 ID:odjJLeyt0
座席に戻る際に板倉が慌てた様にサトミに何かを言っているのが分かった。

・・・恐らくは先程の二股のクダリの言い訳を俺の代わりにしてくれているんだろう・・・
森君にしても、コイツにしても・・・本当に良い奴だよww

森君の結婚式はその後二次会を迎え、それも大盛り上がりで終わったのだった・・・

195 :福田 ◆RzEettbBGE :2012/07/01(日) 01:56:05.48 ID:odjJLeyt0
以上っすぅ・・・

多分、まだ続きますけど、今日はこれまで!

じゃ、解散!!
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage]:2012/07/01(日) 01:56:50.10 ID:7bMc30Buo
乙!
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2012/07/01(日) 01:57:38.19 ID:BMXPyg/bo
相変わらずトークが上手いね福田は・・・

おつ!
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2012/07/01(日) 02:00:22.78 ID:ulkatntl0
なんかほっこりしたww
乙!
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東海) :2012/07/01(日) 02:04:05.53 ID:nZlv2x9AO
おつ! 数分のタッチで遭遇できず 残念だ。また楽しみ待ってるよ。福田さん
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2012/07/01(日) 02:04:06.91 ID:0op7Oqb70
いやぁ今日はついてる!
リアルタイムで福ちゃんに会えたしww続き楽しみじゃ!
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/01(日) 02:48:59.72 ID:BXYAaTpKo
乙!スピーチの下りで泣いてしまったww
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/01(日) 03:47:38.45 ID:Vtw+0FIDO
乙(^^ゞ

続き楽しみに待ってるよ(=゜ω゜)ノ
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2012/07/01(日) 03:51:08.64 ID:whUkc0sKo
( ゚∀゚)o彡゜福ちゃん!福ちゃん!
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/01(日) 05:33:29.65 ID:2Nt7xp1IO
乙!

福田、板倉の式の時も思ったが、スピーチ上手杉w
俺も友人代表スピーチやったことあるが、こんなに感動的なスピーチにはできなかったな・・・
3人の友情の深さが伝わるわ〜
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中国・四国) [sage]:2012/07/01(日) 10:13:50.65 ID:HM0LGfnAO
( ゚∀゚)o彡゜福ちゃん!福ちゃん!
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/01(日) 16:32:40.39 ID:bhIbQzbQ0
もう俺と結婚してくれ!!wwww
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/01(日) 18:42:55.25 ID:cSdkTteDO
めちゃくちゃいい話じゃねーかwwwwww


ちょっとウルウル来ちゃったよ(*´∀`*)
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/01(日) 22:17:58.32 ID:tYMGe2YDO
あああリアル福田見逃した!!
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/02(月) 01:04:54.70 ID:/osX0hVt0
次回の投下はいつぐらいだろう?
待ち遠しいw
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/07/02(月) 09:08:54.34 ID:WdeeL8pIO
wktk
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(四国) [sage]:2012/07/02(月) 13:59:43.90 ID:2Y24bphAO
福ちゃんに質問


本の印税って入ってくるの?
212 : :2012/07/02(月) 21:25:07.25 ID:2A2usJ9Oo
( ゚∀゚)o彡゜福ちゃん!福ちゃん!

福ちゃんいま何歳なったの?
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(四国) [sage]:2012/07/07(土) 23:42:29.66 ID:Tk6gfqwAO
まだー
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/08(日) 23:06:24.03 ID:xc/CtqW60
まだー
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/07/09(月) 13:27:00.91 ID:9mwIPeBUo
まだー
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/09(月) 19:59:01.13 ID:568iWCODO
福ちゃんもう書かんのかえ?(´ω`)
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/07/11(水) 11:25:08.61 ID:dSMSas3So
まだー
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/11(水) 14:17:36.71 ID:mZlw+7cuo
フクちゃん来てたのか・・・懐かしいなぁww

相変わらずストレスなく読める安定した物語で楽しかった
また続きを期待しております!
219 :以下、vipにかわりましてパー速民がお送りします :2012/07/12(木) 21:40:38.84 ID:QjPyfMoIO
フクちゃーん
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/13(金) 15:50:03.16 ID:WFlLmCI10
待ってる
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/07/14(土) 00:49:48.15 ID:DdWyS2sUo
( ゚∀゚)o彡゜福ちゃん!福ちゃん!
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2012/07/15(日) 01:51:20.53 ID:rFQZHkFL0

福田が来てるwww

最近までリア充だったのに、
ネト充になったのはこのスレを見たからだったなww

そのおかげで俺も運命とか気にするようになったし
感謝してるんだけどねーw

感謝しきれねーわ
ありがとう福田w

この書き込みから半年ROMるわww
高校2年生よりw
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/07/15(日) 06:03:48.39 ID:WkNg/JaGo
>>222
二年はROMれks
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/07/15(日) 21:31:51.45 ID:MRldRZ+Wo
>>222
二度と出ていけ
225 :sage :2012/07/28(土) 01:21:01.82 ID:bq9ugJqk0
ほんとにいい友達をもったなぁ
幸運の塊だ
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2012/08/07(火) 12:48:18.17 ID:7WeROL5u0
待ってるぜ
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2012/08/08(水) 01:10:26.75 ID:miphrxv80
フクちゃんまだかなー
消しゴムくれた(ryのニコ動の主が
真、完結編の動画あげてるけどあれって何なの?

釣りじゃないよね
スレも見つからなかったし、答えて
2周年を迎えた結婚記念日を終えたフクちゃん

228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/08/17(金) 01:27:25.63 ID:inBTRjCwo
板倉の別れ話に同席したっつー件聞きたいな

229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) :2012/09/02(日) 21:11:56.78 ID:aSmg8Ti+0
まだかなー
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/09/02(日) 21:14:06.96 ID:UvhksC8B0
まだかなー
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [  ]:2012/09/02(日) 21:20:19.49 ID:htJrGWppo
学研のー
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2012/09/04(火) 23:29:27.65 ID:N3PGoH+H0
はよ!
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2012/09/05(水) 14:10:00.09 ID:xLEB5keE0
自分はいつまでも待ってます!!
234 :!ninja :2012/09/09(日) 00:26:38.00 ID:+aeYPT6Zo
追いついた
また会えてよかったよ福ちゃん
これも「運命」ってことでいいよねwwww

Ca福田続きはよ!

235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2012/10/09(火) 00:02:57.25 ID:PYFI//HZ0
保守っ
まだかなー
236 :以下、vipにかわりましてパー速民がお送りします :2012/10/17(水) 21:34:55.43 ID:bBKNn1BIO
待ちますよー
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/10/19(金) 21:19:59.19 ID:LRDJgZt4o
おぉ、今気づいた

赤井の件は福田は間違ってないと思うんだが・・・
238 :パー速民 :2012/10/25(木) 21:17:29.93 ID:i6WqBXOR0
時間がない、早くパー速民
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2012/10/27(土) 22:05:20.36 ID:WwmTGoBd0
もう何ヶ月だ?
240 :以下、vipにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/10/29(月) 22:44:53.74 ID:n82OMxRIO
マダー
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) :2012/11/09(金) 15:06:20.41 ID:3df6l5970
あれから4ヵ月‥‥それでも俺は待つよ
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) :2012/11/25(日) 23:28:12.91 ID:ZilTg3QO0
今は忙しい時期なのかな?

でもここにいる人はずっと待ってるぞ??

243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2012/12/11(火) 17:10:29.99 ID:M4bKpdy00
12月入った。そろそろクリスマスってことは、何かありそうな気がするんだが
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2012/12/13(木) 00:37:22.50 ID:hwzPqwZk0
クリスマスか・・・・たのしみだな
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2012/12/16(日) 16:40:08.24 ID:PJFlSIQI0
楽しみにしてるぞ!!
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2012/12/17(月) 20:27:13.83 ID:BQuE93vNo
なにもないけどね
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/01/07(月) 22:58:17.17 ID:zwGtIITPo
(´・ω・`)
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/01/08(火) 00:40:29.20 ID:h6554pcoo
なんとも懐かしいスレが
249 :!ninja :2013/01/27(日) 20:41:55.05 ID:nhP8gdxC0
まとめで見たフクちゃんはここにいたのかっ!
末永くな!
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長野県) [sage]:2013/02/15(金) 22:34:18.87 ID:mfDB2RY+0
フクちゃん来ないのかな
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2013/02/28(木) 11:14:35.38 ID:6EnK06h00
小説買った
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/03/17(日) 07:59:17.93 ID:GWp15jykO
まだー?
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長野県) [sage]:2013/03/18(月) 01:49:30.87 ID:7c/QRyiE0
3月ですな 
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2013/03/31(日) 22:02:40.72 ID:tMLFCMSp0
福ちゃん待っとるよー
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/04/11(木) 22:31:11.21 ID:iQCv6+pf0
もう、来ないのかな?
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2013/05/13(月) 00:12:31.05 ID:zKmaI3I00
福ちゃん(^o^)/
なつかしす!
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/05/15(水) 15:35:03.67 ID:+kdABgEv0
福ちゃんまだかなー(´・ω・`)
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/06/05(水) 09:52:52.19 ID:w3zm7Tj6O
(´・Д・)」マダ?
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/06(木) 19:02:39.55 ID:SobM3Tyt0
まだかな…
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/06/27(木) 23:07:33.22 ID:O6qyrI7+0
お〜い
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/08/06(火) 02:19:40.30 ID:O5jiIL4I0
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/08/06(火) 20:36:30.25 ID:KOdx6Bta0
まだかなー
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/08/07(水) 01:00:09.87 ID:ggNyHt1Wo
今頃気づいた俺参上
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) :2013/08/10(土) 02:44:20.20 ID:JoxutQ2W0
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) :2013/08/10(土) 02:50:41.55 ID:JoxutQ2Wo
福田もう来ないのかな...
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/08/10(土) 02:51:20.47 ID:FwVE9UIZ0
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) :2013/08/11(日) 13:26:00.24 ID:e9xa5anmo
保守
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) :2013/08/25(日) 12:59:13.80 ID:WbFFuZK2o
保守
269 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/11(水) 14:23:58.14 ID:yqE5XCKa0
どうしたんだろう?
みんな待ってるよ
270 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/11(水) 20:05:54.64 ID:uj9FWuPW0
フクちゃんきてほしいなあ(´・ω・`)
271 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/15(日) 23:40:19.33 ID:Vf4w4uU/0
フクちゃんきてほしいなあ(´・ω・`)
272 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 18:29:59.95 ID:pUNHl0XBo
>>195
気づけば一年もほったらかしじゃないか

便りがないのはいい便りって言うけど気になる・・・
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage ]:2013/10/12(土) 16:10:08.97 ID:+MjePQRIo
まってますぞ

保守
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/26(土) 17:39:31.64 ID:r4MQjDAU0
フクちゃんまだかなぁ
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/26(土) 17:40:09.23 ID:r4MQjDAU0
フクちゃんまだかなぁ
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage ]:2013/10/26(土) 18:45:46.75 ID:tsrGoGsRo
フクちゃんまだだねぇ
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) :2013/11/06(水) 00:24:35.38 ID:7a5mOmkTo
来て欲しいな
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) :2013/11/21(木) 22:53:11.12 ID:VzQzsXtUo
保守
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 10:39:23.93 ID:qWMOqhSDO

 ( ゚ノ◇゚)フクダー
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/23(月) 22:07:09.42 ID:JD2UOdSx0
てい
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) :2013/12/27(金) 03:49:34.10 ID:43/Hm1sgo
ふくだー
282 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 02:08:01.22 ID:RAbZF3wC0
福田あけおめ
福田とサトミと、新しい子供にとって
幸せな1年でありますように
暇だったら近況聞かせてくれー
283 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 09:27:23.69 ID:QzrpMnVQo
板倉ぇ…
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 23:48:50.98 ID:Bem+r65+0
福田、サトミあめおめ!
いつまでも続く幸せを願っています!
285 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/04(土) 18:48:39.86 ID:JaqaQEaDO
福田、コーイ

ルールルルルル…

age
286 :!ninja :2014/01/04(土) 19:14:48.05 ID:H3vlevBb0
ほぢゅ
287 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/06(月) 10:36:05.25 ID:ldfcKdJn0
どのくらいで落ちるんかな?
288 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/20(月) 03:13:22.17 ID:Igtt8O5ao
お久しぶりっす
289 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/20(月) 13:36:43.64 ID:ltX9dGxBO
っす
290 :はげ :2014/01/22(水) 00:01:13.30 ID:BOg/RQmA0
福田ああああ
まだか
291 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/23(木) 22:13:39.97 ID:qwefJn0S0
まだかのぅ…
292 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/24(金) 00:09:22.14 ID:lR84h/ju0
福田も忙しいのかな。。。

また続きかいてくれよ!
いつでも待ってる!!!
293 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 19:14:53.12 ID:EuPxElLJ0
かえってこーい
294 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 19:18:50.62 ID:k8aIEVrg0
福田の子供今何歳だろ?
3,4歳ぐらいかな〜?
295 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 20:12:58.48 ID:Mf5JeZZ00
そういやこのスレを本にしたいとかほざいてたやつどうなったかな?
296 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/28(火) 17:49:35.54 ID:N2mu267M0
待ってるぞ
297 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 23:37:34.17 ID:Q0brgopl0
いつでも待ってます!!
298 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 16:38:59.13 ID:EDsIPYLwo
お恥ずかしながらまとめブログで見てもしかしたら、と思いパー速で検索をかけたらここがヒットしました
どうかお幸せに。いい続きを待っています
299 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/16(日) 23:22:28.47 ID:4n9p9Vzj0
明日も頑張るのだ
300 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/03(月) 17:51:44.28 ID:dwkaEV7yo
復活したことだしはよ
301 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/13(木) 16:59:36.72 ID:G3S5bwGlo
保守
302 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/23(日) 17:11:34.26 ID:vGnR/R4t0
あれから2年間、まだ待ってるぞ
303 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/24(月) 03:45:30.63 ID:y3eFzSvR0
俺らはずっと待ってるからな
304 :以下、2013年に変わりまして2014年がお送りします [sage]:2014/04/03(木) 09:55:54.81 ID:VGlCMtxG0
ずっと待ってる
305 :以下、2013年に変わりまして2014年がお送りします [sage]:2014/04/03(木) 09:56:34.98 ID:VGlCMtxG0
ずっと待ってる
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2014/04/22(火) 19:12:18.04 ID:tBpSkFY60
保守
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/05/05(月) 22:21:39.05 ID:xepMvnGv0
また話聞きたい
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/05/24(土) 14:12:04.80 ID:ZNX/U3k90
俺は待ってる
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/28(水) 08:36:20.39 ID:F6+s7dJDO
お前ら暇人か?
俺もだwwww

福田が来れないなら森君、見てたら福田の近況教えろください

310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/30(金) 18:29:30.29 ID:FPmdpMZMO
待ち続ける。保守
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/31(土) 23:28:52.34 ID:iOAd6aWC0
もうこないのかなー…
まあ、何かある度報告なんてしてらんないし、忙しいから仕方ないよね…
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2014/06/09(月) 13:01:16.72 ID:SxBHB5OBO
あげます
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