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【能力者の祭典】能力者スレ【天下一武道会開催】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) :2013/10/06(日) 04:13:33.72 ID:Ap/dFf8no
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

勝手に世界を氷河期などにはしないように。

・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1378889755/
wiki【http://www53.atwiki.jp/nrks/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :以下、新鯖からお送りいたします [sage saga]:2013/10/06(日) 13:42:54.04 ID:iUPrrkvh0
>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2013/10/06(日) 14:56:09.98 ID:/8nWrbND0
>>1乙ッ!
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/10/06(日) 17:47:46.68 ID:2/kvNpZAo
>>前996

「……」

【"誰か居るのだろうか"――意識だけははっきりしているようで】
【ゆっくり、と、顔を上げれば、そちらにそれを向けて】

「……なあに?」

【――最初に放たれた言葉は、酷く幼さを感じるものだった】
【やはりゆっくりと、体を起こして立ち上がる彼――身長は、大体同じくらいだろうか】

「きみも、ぼくを殺しに来たの?」 「それとも、いじめに来たの?」
「――ううん、帰ろうとしてるからちがうのかな?」

「じゃあ、わるいやつかな?」 「――わるいやつは大きらいなんだ、ぼく」

【ずいっ、と、接近すれば男の頭部に自身の顔を近づけて――そういえば、いつ風呂に入ったのだろうか、彼は?】
【……まあ、あまり良いにおいはしない、とだけは言っておこう】 【そして、どことなく"人ならざるにおい"もあるような――そんな気がするだろう】

/ぎりぎりいますん
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/06(日) 18:11:33.70 ID:4Sdbpfwgo
//前スレの>>998は、取り消させていただきます
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 18:13:47.06 ID:LvIuJL2Yo
/>>1乙ッ!

>>前スレ999

【――うっすらと何か聞こえていた。歓声ではなくてもっとこう、何かを分かつ瞬間の音だ】
【銀猫にはそれがなにか判別できなかった。ただ拳を構えて、相手の出方をじっと待っていた】


―――――。


【つまり彼女は――ほとんど気絶しているようなものだった】
【それでも立って、闘う意志を示し続けているのは、それだけ勝利に対する執着が強いからなのだろう】


【やがて治療班がやってきて、彼女を担架に乗せようと身体に触れて、そこでようやく彼女は意識を完全に取り戻す】
【びく、と一瞬反応し殴りかかろうとして――何が起こってるのかわからないといった様子で立ちすくんでいたのだが】
【なかば無理矢理に連れられた医務室で、やっと自分が勝利したことを知らされるのだった】


これじゃどっちが勝ったかわかんないじゃん……


【ほとんどノックアウトされかかっていたのだから、負けも等しい】
【何よりも完封できなかった――もとい、泣かすことができなかったのが悔しくて、不服そうにひとりごちた】

【それでも勝利は勝利。もし次に戦った時は――なんて思ったが】
【極度の疲労でだんだん考えることができなくなっていって――ぐぅ、と眠りにつくのだろう】


/お疲れ様でしたッ!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/06(日) 18:43:03.86 ID:Pm0M2p0do
//前スレ>>996は取り消させていただきます

【街中】

つまんねぇな…

【舌打ち混じりに男は言葉を吐き出す】

【黒いローブを深々とかぶり顔を隠している】
【ローブからこぼれて見える両耳には逆十字架のピアスをつけており、身長は170センチ方向であろう】
【服装から見るに武器等の類は持っていない様に伺える】

クソったれが、あぁ退屈で死にそうだ…

【男はイラつきながら人通りのない街中をコツコツと足音をたてながら当てもなく歩き出す】

どっかに俺を満たしてくれるようなものはねぇもんかね…
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 18:43:33.68 ID:3MR/OJsWo
【水の国 第3回天下一武道会】
【1回戦第4試合 会場】

【巨大なフルーソスタジアムの中に鎮座する、石畳のバトルフィールドの一つ】
【無骨な正方形のフィールドは、強者たちの意地と誇りがぶつかり合う、至高のステージと化す】


【そんな華々しい舞台にはおおよそ似つかわしくないだろう見た目の青年が、扉を開けて姿を現した】
【少し長めの茶髪に、細面の青年だ。白いシャツの上に青いジャケット。深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】

【中肉中背、遠目からは至って普通の人間に見えるだろうか】
【しかし、その肌の質感や無機質な青い瞳、それらは人間のものとはどこか違う、という違和感を漂わせる】
【何より、両手足の関節部分。彼の纏う服の上からその形が浮き上がる。球体関節。人ではありえない形】


【この青年は人形だ。生きた人形。フィールドへと歩を進めていくたびに、カシャカシャとその身体が乾いた音を響かせる】
【人の姿をしながら人ではないその姿に、観客の中にはどよめきも見られるが、本人はそれを気にする様子も見せない】


(……今の自分の力を試す、なんてつもりでエントリーしたはいいけど……)
(とんでもない大盛況……ダメだ、緊張する……)

【その実、余裕がなかっただけではあったが。幾度となく命のやり取りを経験してきた割に、根の臆病さは変わりない】
【が、それでもフィールドに到達し、その上に上がればその表情は引き締まる。ここからは、真剣勝負なのだから】
【人形の顔でありながら、確かに表情が形作られている。鉄火場を経験してきた、戦闘者の表情】


【大きく深呼吸、の動き。人形の身体では呼吸はできない。これは、そのうちに宿る魂を鎮めるためのもの】
【眼前に現れるであろう、強者に相対するため。全力をもって、この試合に臨むために】


……生き人形でおもちゃ屋の、ギア・ボックスです!!
よろしくお願いします!!

【石畳の上に名乗りを響かせて。生き人形、ギア・ボックスは構えをとった】


/クロイノの方、よろしくお願いいたします!!
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/06(日) 18:57:16.93 ID:4Sdbpfwgo
>>7
【退屈を引き下げた男の目の前で、空の上から少女が落ちてくる】
【正確に言えば、建物の二階か三回から飛び降りただけで、空から落ちたというのは真実でないのだが……】

【腕のまくり上げたジャージを身に着けた少女の両脚からは、赤い炎が噴き出している】
【右腕には赤い槍をもっており、冷たい風に揺られて、羽織ったジャージの上着が揺れている】
【男と少女の間にはそれなりの距離があるが、その熱は離れた場所にいるおとこにまで伝わることだろう】

「……逃げられた、か」
【降り立った少女は、言葉から推測をするに何かを見失ってしまった様子である】
【何かを探して、少女は四方をキョロキョロと見渡す】

【そうして、目的の物を見失ってしまったらしく、短く溜息を吐き出した】
【溜息とともに、少女の周りからは炎の光が消えていく】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/06(日) 18:57:24.49 ID:Opq9bvyWo
>>8

【青年の出現と同時に、会場のドアを蹴破り現れる少年】

【それは肌が白く 小柄で 黒いローブに着られているような】
【華奢な人影であった。しかし影は青年のように物怖じせずに堂々と胸を張ってあるく】


【小動物のような外見に反し、心は王様気分のようで、頭の悪そうな雰囲気を醸し出していた】


(ふふ……観客(オーディエンス)が僕の美しさに熱狂してるです…間違いねーですよこれは…!
華麗に勝ってアイドルデビューとかしちゃいますか!? きゃー! )


【なんて下らない妄想をしつつ、青年と相対】
【自らを生き人形と名乗る青年に対し、己もまた闇の人外である少年は嬉々として答えた】


「闇人形で天才執事のクロイノですよっ!
貴様をぶったおしてアイドルになったあかつきには、僕のふぃぎあを造らせてやるです。

……ばかうれ間違いなしですね…わざと負けてもいいですよ? 」


【至極真面目な顔で言葉を吐き】
【闇の異形も構えを取った】

「かかってこいですよーーー!」
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/06(日) 19:00:36.29 ID:JC4U7klao
【第3回水の国天下一武道会、その二回戦会場】

【黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服に身を包んだ女子高生が、そこに居た】
【背丈は平均的だが、白い肌とうっすら紅に染まった頬、枝垂れるように長い睫毛が特徴的なその少女】
【漆で染めたように艶めく黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差していて】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしている】
【お嬢様じみた立ち姿からは、どこか神聖≠ネ空気すら感じられて】
【右手に持っている美麗な装飾の薙刀は、白刃の煌めくような鋭い雰囲気をことさら助長していた】

………………。

【四角いフィールドの中央で、少女――――幸徳井佳乃は、ここで行った戦闘を回想する】
【砂の魔術師との戦い。あと一歩というところまで追いつめられ、ぎりぎりのところでの辛勝だった】
【この調子で、この先の戦いに勝ち残っていけるかは定かではない。的外れな危惧では、決してないのだろう】
【それを…………関係ない、と。一切の迷いなくそう断じられるのが、少女の長所であり短所でもある】
【自分の力を誰よりも、何よりも信じる少女に、心躍る闘いを前にして臆する理由など、何を以てしてもありえなかった】

私が…………幸徳井佳乃よ。
さあ、楽しい闘いを…………しましょう。

【だから彼女は、対戦相手の姿を見つけるなり、ただ己の名だけ告げて。そんな言葉を吐くのだろう】
【薙刀を突きつけ、挑発するような調子。その表情には、小さな笑みが浮かんでいる】
【幸徳井佳乃は、動かない。敢えて、後手に回る。それを侮りと取るか、策と取るかは、相手次第】
【いずれにせよ――――仕掛けてきた、その瞬間に。二回戦のゴングは、鳴り響くのだろう】

/>>1乙&バニセイドの方、よろしくお願いします!
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 19:14:34.61 ID:3MR/OJsWo
>>10
【ローブに包まれた、華奢な体躯。しかし、どこまでも堂々とした佇まい】
【今に至っても臆病さの抜けない自分とは大違いだな、などと思ってしまう】

【観客の熱狂も、彼にかかれば追い風でしかないらしく】
【元気に名乗り返す彼に、人形の顔で微笑みを形作る】


魅力的な提案です、クロイノさん
貴方のフィギュアなら、きっと大人気ですよ。作らせてもらえるなら、腕が鳴ります

……でも、わざと負けるのはご勘弁を

【すっと、ギアの右腕が上がり、胸のあたりにあてられる。すると。その右腕の先がめり込むように胸のなかへ消えた】
【引き出された右手には、ちゃちな拳銃が握られていた。身体の中に道具を収納する、ギアの能力】
【拳銃の先端には、ボクシンググローブが取り付けられている。一見して、ただのおもちゃにしか見えない代物】


では、お言葉に甘えて……いきますッ!!!

【今や、観客の声も意識の外。対戦車、執事クロイノと、自分と、石畳だけがそこにあった】
【ギアの右足が石畳を蹴り、クロイノへ向かって駆けていく。同時に、拳銃を彼へと向け、引き金を引く】

【発射音と共に、先端のグローブがクロイノへと向かっていく。銃口とワイヤーで繋がれた、ボクシンググローブ】
【速度はさほどでもないが、まっすぐにクロイノの胸のあたりへグローブが伸びていく】

【見た目はおもちゃだが、当たれば成人男性の殴打に匹敵する威力を発揮するだろう】
【ギア自身も、接近をやめてはいない。グローブと生き人形、両者が執事へ迫る】
【軌道は、単純。まずは、様子見といったところだろうか】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/06(日) 19:21:15.40 ID:Pm0M2p0do
>>9

あぁ?

【突如空から落下した少女を目にし男は顔をしかめる】
【熱気が伝わり風に煽られ咄嗟に男は頭を抑え顔を見せまいとする】

チッ…

【風が止んだ頃男は舌打ちをもらしズンズンと空から飛来した得体の知れない少女に近づいていく】

おいガキ!お前の能力だかなんだか知らねぇがよ、暑っ苦しい熱気送りやがって詫びの一つもねぇのか?

【キョロキョロと何かを探している少女に後ろから理不尽な言いようで迫っていく】

【男の口調は紛れもなくチンピラのようであった】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2013/10/06(日) 19:25:39.12 ID:S09O9QGRo
>>11

【フィールドを取り囲む観客席、響き渡る歓声】
【その歓声は、2回戦故の盛り上がりか―――】
【一回戦で素晴らしい戦いを見せた、「彼女」の人気か】
【そんな場所に、一人の男が入場する】

【白髪交じりの黒髪で、30代―――青年から中年に移り変わる年齢と言ったところか】
【黒いパンツに白いシャツというシンプルな格好で、上にカーキ色のコートを羽織り】
【両手で持つ長身の小銃の先端にはナイフ―――所謂銃剣が装着されている】
【男は観客席を見渡しながら、呟く】

いやいや、緊張するなこれは

【対峙する幸徳井佳乃の名乗りを聞けば、応じるように自らも口を開き】

バニセイド・ベノシェルフだ。よろしく
君のことは知ってるぜ、幸徳井佳乃君
第一試合は観戦させてもらったからな――――素晴らしい使い手だ
とても学生とは思えん……だが

【そこまで言うと、銃剣の装着された小銃を槍のように構え】
【刃先を佳乃に向ける】

大人の俺が、子供に負ける訳にはいかんのよ

【佳乃の実力の高さは、観戦で十分承知している】
【先ずは距離を置いたまま、出方を伺うようだ】


/よろしくお願いします!
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/06(日) 19:38:00.64 ID:ZtfqclAY0
>>12

「ふふん…わかってるじゃねーですか。おもちゃ屋としての商才は十二分とみましたよ! 
 ま、だからといって負けるわけにはいきませんがね! 」

【少年は男が胸に手を当てた段階で、右足を使い地面を吸収していた】
【クロイノの能力は自身の闇化、引力の発生と接触対象の吸収を駆使して戦う近距離向けの能力だ】

(胸から銃を取り出しましたね…、空間操作系ですか? 
 ふふふ、ならばかっこつけてないでワープでもすればいいのにですよ!
 調子に乗って銃なんかつかうから、てめーは僕に負けるんです! )

【銃弾ならば、容易に吸収できる。相手から接近を試みてくるのであればなおのこと】
【即座にカウンターを決めてやると、構えを深くし、発射を待つ】

(んな!? 銃じゃなかったんですか!? )

【少年の腹部に食い込む。常人には男性の一撃程度に感じるのだろうが、少年は体質故にプロボクサー級の一撃としてダメージを受けた】
【しかし、少年はそのまま、にやりと笑い】

「いってぇ、ですけど…捕まえましたよ…?

【拳をそのまま抱きかかえ、全身から引力を発する】
【少年の体から黒い霧のようなものが溢れ出せば、男は、拳もろとも少年に強く引き寄せられるはずだ】

【もしも、男がその引力により、体制を崩せば、少年はその隙を突き、大振りに拳を放つだろう】
【その拳は、少年の華奢な体躯に反し、以上に重い。下手をすれば、プロボクサーなど眼ではないほどに】

【反面、男が引力に対しうまく対応できたのなら、少年は純粋に男の接近の手助けをすることになってしまう】

/ごめんなさい…つぎ返信おくれるかもです・・・・・

16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/06(日) 19:39:30.11 ID:4Sdbpfwgo
>>13
「……む?」
【耳へと飛び込む怒声、それはどうやら自分へ向けて吐き出されたものらしい】
【語尾が上がって切れる、疑問を孕んだ声を思わず漏らして、声の方へと振り返る】

【男の方へと振り返る途中で、少女が片腕に持っていた槍が姿を消す】
【強い風に当てられた炎が掻き消えるように、少女の左腕には火の粉が星のように輝いた】

「……お騒がせをした。 それは、本当に申し訳ない」
【男の言葉を最後まで聞き入れれば、促されたとおりに謝罪の言葉を述べる】
【それなりに誠意の見える言葉で、罪の意識はある様子】
【しかし、少女に全ての非があるとしても、少々過剰すぎる男の怒り方には、微かに眉を吊り上げて見せた】

【容姿から判断をするに、未だ高校生ぐらいの少女】
【相手が荒っぽいチンピラにも関わらず物おじをせずに、凛とした表情のままで男の次の言葉を待っている】
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/06(日) 19:49:25.36 ID:JC4U7klao
>>14

それは光栄だわ。
私はあなたの事を知らないけれど…………三流の使い手でないことは、期待していいのかしら。

【戦えば戦うほどに、多くの者へ手の内を晒すことになる。大会とは、そういうものだ】
【情報戦という意味では、佳乃は戦う前から負けている。もちろん、そんなことは彼女も承知】
【それでもなお、振るわれる薙刀には一切の曇りはない。出し惜しみなど、以ての外】
【大人相手に、安い挑発をぶつけて。本人は認めないだろうが、バニセイドの下す子供≠ニいう評価は実に的を射ていた】

私がただの子供かどうか――――その剣で確かめてみなさい!

【相手に子供と侮られた、佳乃の選択は――――突撃。ただただ前へ、若さに任せた一直線の進撃】
【それはあながち、直情的な行動というわけでもない。佳乃が行動したのは、バニセイドが小銃を向けた瞬間だ】
【銃使い相手に距離を取ることの愚かさを、彼女は知っている。撃たれる前に――――斬るのだと】
【その一心で、佳乃がバニセイドへの接近に成功したならば】

ふっ…………!

【短く持った薙刀から放たれるのは、鋭い刺突だ。狙いは小銃を持つ手、いわゆる籠手の位置】
【当たればもちろん痛手となるのは間違いないが、それは攻撃後の引き戻し≠意識した小さな動きだ】
【回避も防御も、それほど難しくはない。手の内のわからないバニセイドの、手札を晒させるための一撃】
【勝負はまだ、始まったばかり――――】
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/06(日) 20:04:41.46 ID:Pm0M2p0do
>>16

わかりゃ良いんだよ

【男は少女が謝罪するやいなや歩みを止める】
【しかし男は少女の眉が吊り上がったのを見落としてはいなかった】

中々肝の座ったガキだ、それに免じてその腑に落ちないってツラのことは不問にしてやるよ

【完全なまでに男は上からものを言い少女の事を見つめる】
【男が着目していたのは手に持つ槍ではなく少女がなぜ上から落ちてきたということであった】

そんで、てめえはなんで上から落ちてきやがったんだ?

【以前とした口調で少女に問いかける】

/遅くなりまして申し訳ありません
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 20:09:33.62 ID:3MR/OJsWo
>>15
おもちゃ業界も、新しい物をどんどん作っていかないと生き残れませんからね
大会出場者の人気者のフィギュアの販売権、喉から手が出ます

でも、こっちこそそう簡単にはやられませんよ!!

(足が……!? 地面を……どういう能力だ……?)


【石畳が、足に取り込まれる。自身の能力にも劣らない、異様な光景】
【自身を闇と化する、闇の人外の能力。その一端だけでは、その能力を測ることは出来ず】

【しかし、動きは止めない。相手の能力の未知に怯えすぎてはならない】
【攻撃の手は休めず――対して、少年クロイノは、ギアの武器『パンチング・ガン』に正面から相対し】
【その腹部に、グローブがめり込んだ】


(かわそうともしなかった……? さっきのと併せて考えれば、吸収出来ると思ったのか……?)

――――!!? くっ……!!

【確かな手応え。同時に、脳裏を駆け巡る思考。それらを吹き飛ばす、引き寄せられる感覚】
【クロイノが発する黒い霧に引き寄せられ、ギアの身体は『パンチング・ガン』に繋がるワイヤーもろとも引きずられる】
【体制が崩れる。ギアは、咄嗟にふんばろうとする。ゆえに、迫る拳に対処できず】


がはっ――――!!!!!

【その体躯からは想像できない威力の拳が、ギアの腹部を捉える】
【ギアの身体は神経の通わない人形のものではあるが、感覚はある。人形のうちに宿る人の魂が】
【人形の身体にもたらされる影響を、感覚として認識する】


【ゆえに、その驚異的な威力、それがもたらすダメージもしっかりと受けていた。肉体ではなく、魂が受けるダメージ】
【ギアの身体が石畳に転がる。すぐには立ち上がれない】

【しかし、その左手がわき腹にめり込んでいるのが、クロイノには見えるだろうか】
【すぐには、行動に移さない。反撃を狙っていることをクロイノに伝え、牽制しつつ体制を整えるつもりらしい】

【ギアが立ち上がるには、まだ少し間があるだろう。左手のことを無視すれば、大きな隙と見えるはずだ】


/了解しましたー
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2013/10/06(日) 20:19:28.21 ID:S09O9QGRo
>>17

三流かどうかは、これから戦ってみればわかることだ
期待外れにならないように努力させてもらうとするぜ

【そして、正面からの突撃を敢行する佳乃に対し】
【―――やはり、正面から応じた】
【佳乃の薙刀の刃と、バニセイドの銃剣の刃が交わり】
【特有の金属音を響かせる】
【だが、銃剣は薙刀とは違い――本来は銃のサポートとして装着される剣】
【鍔迫り合いになってしまっては、強度で明らかに劣る】

ほっ!

【刃が交わると同時に、短い掛声と共に、銃身を勢いよく右に逸らし――】
【薙刀の軌道を直線的なものから、やや横にずらす】
【そのまま両手で抱えた銃から左手を放し――】
【近距離にいる佳乃の首を狙い、左手の手刀を垂直に繰り出す】

【――目立たないが、男の手刀は“能力”により硬質化しており】
【もし当たるか、薙刀で受け止めれば鋼鉄で叩かれたかのような感触を覚えるだろう】
【逆に避けることが出来れば、その重さゆえ地に勢いよく突き刺さり、大きな隙となる―――】





21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/06(日) 20:30:31.18 ID:Rbtvt02bo
>>965
【汗を流しながらも不敵な笑みを浮かべる少女、ここまで来れば策は成ったも同然だ、と】
【然れどそんな油断があっては上手く行かないのが世の定め】

音を上げるまで?まさか、そんな悠長なこと言わない――って、は?

【目的通りに舞台端、初めに自分が居た辺りまで追い込むことができた】
【―――最初に舞台に走らせておいた長剣による裂け目。そこを崩し落とす事で彼を場外へと押し出す目論見】
【今一度長剣を差し込み、一気にぶち抜こうとして重心を後ろに向けた瞬間、感じるのは“何か”の気配】
【また後ろから来られたか―――しかし黒剣は確かに手の中にある、ならば何が?などと考える暇もなく】

くっ……限定解放―――“Panzer”!

【まさに命中の瞬間、双の剣から彼女の体へと、光の魔力が伝っていき、鎧の部分が光を纏う】
【本来攻撃用である剣の魔力を転用したものであるため完璧なものではないが、防御力を上げるもの】
【ここでは衝撃を殺すことになるが―――やはり喰らうものは喰らっているわけで】
【衝撃でバランスを崩して場外に落ちかけた身を、長剣の方へ引き寄せる様にして引き戻す】

【しかしそれによって舞台端が裂け、自分の仕掛けで自分が落ちそうになる始末】
【フィールド内側に転がる事で危うく難を逃れるのだが】

くっ……まさか私自身が引っかかりそうになるなんて……
―――って、今後ろから来たのもあんた……?な、何だか訳がわからないわね……

まあいいわ、 本 当 に 、一気に決める方法で行くわよ!

【言うが早いか、背中の鞘に短剣を戻し、鞘ごと外して長剣に交叉させて接続】
【その間にもその足は舞台の中央方向へと進んでいって】
【そうして、一振の十字剣を真上に向けて構えれば、叫ぶように声をあげる】

“Licht Schwert Flamme”!!

【今までとは比べ物にならない程の量の魔力が溢れ出し、長剣を包めばそのまま長大な光剣となる】
【しかし次の瞬間、その長さは元の長剣程のものに圧縮、そして代わりに放つ光はより強くなる】

【その魔力量からしてそれは切り札―――のはずなのだが、くるりと真下に向きを変え】
【そのまま石畳に突き刺せば、圧縮していた魔力を解放】
【しかし解放された魔力に行き場はなく、然れど圧縮されたまま、とはいかず】

さあ、どっちが長く空中にいられるかしら――――ッ!!

【足下から吹き上げる爆風―――溢れた魔力が爆発を起こし、石畳を吹き飛ばす爆圧】
【瓦礫などを飛ばして傷付けるようなものではないのだが、それは二人をも巻き込み】
【そのままであれば上空へとその身を舞い上がらせるだろう】

【僅かに残るばかりの舞台、吹き飛ばされる体。うまく残った足場を選ばなければ着地とともに場外】
【相手を叩き落とすもよし、自らを更に上空へ向かわせるのもよし】
【どちらにせよ着地までの僅かな時間、相手を先に着地させるのが吉か】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/06(日) 20:32:22.40 ID:Ap/dFf8no
>>17 >>20
/勝手ながら実況します! 邪魔なら言ってください!

スウェン:さあ始まりました天下一武道会第2回戦、バニセイド選手vs幸徳井佳乃選手の対戦です! 実況は勿論このスウェンと……
スウェン:解説はSCARLET所属、前大会では第1回優勝者の八攫選手と死闘を繰り広げた中邑瑛月さんです。瑛月さん、よろしくお願いします。
瑛月:今回はSCARLETの職務と実況と言う二足の草鞋を履いている為、大会参加は少し無理な状況でした。……よろしくお願いします。

スウェン:さて1回戦でシーナ選手を破った佳乃選手と今回が初の試合となるバニセイド選手ですが、この闘い瑛月さんはどう見ますか?
瑛月:そうですね……単純に言えば薙刀vs銃となるわけで、武器の相性だけを見ればやはり銃有利でしょう。兎に角佳乃選手は近づきたい筈です
瑛月:前回の試合を見るに、斬撃を飛ばすなどの遠距離の技も持っています。これらを使って上手く接近すれば、一気に有利に持っていけますね

スウェン:見た限りでは光を操っていましたが―――どうなんでしょうか、まだ引き出しは持っているのか幸徳井佳乃ッッ!! そしてバニセイド選手は―――
瑛月:……まだ分かりませんが、銃剣……ですか。佳乃選手は近距離メインで遠距離もそこそここなせるのなら、バニセイド選手はその反対……なんですかね

スウェン:さぁて早速佳乃選手、ゴングと共に距離を詰める―――!! やはり銃の間合いでは戦わせないということか……!?
瑛月:定石通りですね。自分でもまずは接近を狙いますが、あまりにも直線的すぎると読まれる恐れもある―――バニセイド選手もこの行動は読める筈です

スウェン:―――っとぉ!? バニセイド選手撃たずに銃剣の剣の部分で応戦ッ!
瑛月:……接近戦に自信があるのでしょうか?それとも前回の彼女を見て接近戦の方が分があるとの判断……ですかね
瑛月:光の妙な力を使わせないということで、距離を詰める―――のもアリです。彼女の薙刀を捌く技術を持っているのならですが

スウェン:そして唾競り合いから動いたのもバニセイド選手ッ! 横にいなしてからの手刀だッ―――!!
瑛月:……やはり見かけによらず近距離を得意とする選手なのでしょうか? 銃剣のおまけの部分は銃なのでしょうかね……?
スウェン:さぁ佳乃選手相手はまさかの接近戦に応じてきたぞッッ!? 彼女はどうやって躱すか受け止めるか! もしくは手刀をその身に浴びるのかッ!?


    
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/06(日) 20:39:48.89 ID:4Sdbpfwgo
>>18
「……」
【開きかけた口を閉め溢れかけた言葉を飲み込む様子は、観察力の鋭い人物は見逃さないだろう】
【不満を抱えこんだような少女の姿を見れば――何を言いかけたのかは、大体は予想できるだろう】

「……!」
【上から繰り出される物言いに、再び口が開きそうになる……が、少女は飲み込んで】
【強気そうなその少女は、少しだけ男を見据える視線を鋭いものにする】

「……人を追いかけていて、面倒なことに建物の上へと逃げられた。
 そいつを追いかけて私も屋根の上に、ということだ」

【男の質問に答えながら自分の行動を思い出し、静かに唇を噛みしめる】

「こちら側に、怪しい人影は表れなかったか?
 身長は180センチぐらいで、深く帽子を被った黒いパーカーの男だが……」
【そう問いかける少女の言葉に力はなく、逃げられた人物は諦めそうな様子である】

//いえいえ……自分も遅くなりましたー
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/06(日) 20:41:46.68 ID:JC4U7klao
>>20

【正面からの切り込みを、正面から切り返される。その潔いまでのやり取りに、小さく笑い】
【人間がこれだけ近くにいる、という事実が、佳乃の心の奥の古傷を痛ませるが――――戦っている間だけは、それを忘れられた】
【闘いを通じてしか、うまく他人と交われない。そういう人間だからこそ、佳乃はこの瞬間が好きだった】

…………やるじゃない。

【薙刀による刺突が、強度に劣る銃剣にいなされる。その手管に、佳乃は舌を巻く】
【三流だのという台詞が正しくないであろうことは、言った本人も予感していた。だからここまでは、想定内】
【それでこそ、と佳乃は気合いを入れ直し、突いた薙刀を即座に手元へ引き寄せると、その刃を下へと押し下げる】
【相対的に持ち上がった長い柄が、バニセイドの手刀と佳乃の間に滑り込んで――――】
【そこから先は、想定外だ。生身とは到底思えない硬さ≠ェ、佳乃の心中へ冷たいものを走らせて】
【腕に走る痺れが、これがこの男の能力かと思考させる。体ごと反転させることで手刀から逃れれば】

もう…………一撃!

【短く持っていた薙刀を手の中で滑らせて長めに持ち替えながら、その場で一回転】
【リーチも威力も最初の刺突を上回る、遠心力の乗った鋭い斬撃を、バニセイドに見舞おうとするだろう】
【脇腹を切り裂きながら、バニセイドの後方へ斬り抜けるような軌道。薙刀という武器の本領が発揮されつつあって】
【剣筋は素早いが、手刀の防御から一回転するというわかりやすい前兆がある。それを見逃さなけば回避も防御も間に合うはずだ】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/06(日) 20:42:28.18 ID:zQjjQ0Pio
>>967

(ちィ、“速い”……!攪乱した上で尚も気付くか)
(……だがそれは平生、全く儂の純然たる素の速さ)

負けられぬのう、その一点に於いては……!

【爪が柔らかいモノを斬る感触。それが金の物だとわかると、苦い表情が零れ落ち】

【その直後、金の壁と内側を埋める金塊が出現し銀狼の姿が見えなくなる──前】
【ゴールドマンは銀狼の尻尾──オーラ(気)で作られたその数が増えるのを見るだろう】
【本物の尾を含め、既に『五尾』。どうやら時間で増えるらしいが、結局その後、姿が見えなくなり】


【『ズアッ!』という破断の音が響くのが、そのまた直後】
【見れば長尾、その腕に“気”で形作ったのか長大な、最早ガントレットのような爪を持ち】
【正面の黄金壁を切り裂いて、しかしゼェと肩で息をしながら其処に居た】

……いやぁ、危なかったのう。
さしもの儂も逃げ道を禁じられては適わぬわ
お陰様で気のストックを二つばかし使うてしまったわ…ふふッ

さぁて時にゴールドマンよ……お主は、鎧を十重二十重にも繰り出せるのか、や──?

【言葉が切れた、まさにその時。銀狼が全くのノーモーションで切りかかった】
【いや、『銀狼ではない』。その半透明の黄色は、銀狼の姿を模した気の固まりだ】

【そしてそれはただ一撃、強大に変化した爪で深く相手を斬ろうというのである】
【さらに本体もまた、それに続いて切りかかる。その間は僅かにゼロコンマ五秒】

【これならば──金の滝が降ろうが、装甲を張られようが、二段構えなら打ち抜ける】
【だが一挙に能力を使用したせいか、僅かに攻撃にブレが見え】
【仮にゴールドマンがその隙を見破れたなら──勝負はまだわからなかった】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/06(日) 20:45:10.67 ID:ZtfqclAY0
>>19

【振りぬいた拳に確かな手応えを感じた。次いで響く客席からの歓声が、一撃の重さを物語る】

【決まった。そう確信する。 きっと全身の骨を打ち砕いたに違いないと、もう再起不能にしたに違いないと】
【そして、痛む腹部を軽くさすり、男のほうへと視線をやれば】

「き、貴様…さては不死系能力者ですね!? 空間操作に不死身とは、どこまでも侮れないおもちゃやですぅ…」

【何やら意識があるようで、しかもまたまた銃を取り出そうとしていた】
【しかし、クロイノには銃が通用しない! 恐ろしく鋭い痛みではあったが、来ると分かっていれば、あと数発は耐えられなくもない】
【ゆえにクロイノは駆ける、先ほど吸収した個所に、闇を残したまま───しかし闇は引力を発してないようだ──】

「芸がねぇですよー! 喰らえぃ、必殺! 
 ─────くろいのだーーーーーーいぶ! 」

【もしかけたまま男の懐へと接近できたのなら、引力や吸収を発動せず】
【ただただ、膨大な闇の質量をもって全身を丸めるようにしながら、男に飛びつくだろう】

【その一撃は、同サイズの鉄塊を叩きつけるにも等しい、男ならば先ほどの拳でそれを悟れるはずだ】
【そして、その一撃を避けることができたなら、少年は地面にめり込み、大きな隙を生むことになるだろう】

/おくれてすいませんでした!
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) :2013/10/06(日) 20:55:30.28 ID:wIX3vcv6o
【第三回水の国天下一武道会 選手控室――西】
【ロッカーと椅子が置かれた質素な控室に佇む、一つの影があった】
【部屋の中心に座り込んでいるその影のシルエットは、細身な女性のそれで、時折点滅する無機質な蛍光灯に照らされていた】
【光の乱れがあろうと、入り口から観客のざわめきが聞こえようと、スタッフの気配が動こうとも】
【座禅を凛として崩すこと無く――蒼い髪の女≠ヘ、深く深く息を吸い、精神を統一し続けるのみ。何も変わることはない】

「すぅ――――――」

【今一度。深く息を吸っていく。気道を通った空気により肺に酸素が供給。胸郭が拡張され、十二分な酸素が脳へと送られる】
【思考が澄み切っていく中で、湧いて出てくる雑念を追い払う。女はひたすらに己の中の感情を心の奥の奥へと押し込んでいく】
【叫ぶのも力を放つのも、今ではない。これからの衝突に総てを放出しなければならないのだから、今は全力の為の溜めの段階だ】
【女の戦闘は、溜めと溜めから来る分かっていてもどうしようもない<Xタイル。そしてその溜めは戦闘中だけとは限らない】
【そう。女にとっての戦いは、今この瞬間からすでに始まっていた。通常の戦場で万全な状況などあり得るはずはない】
【だがしかし、それでも八方手を尽くして、使える手はなんだって使ってでも勝つのが戦いというならば。当然万全の状況に出来るならばそうするべきだ】
【だから女はこうして瞑想をする。3時間前から只管瞑想という名の溜めを続けている女の中に渦巻く力はかなりの物となっている筈】
【総ては勝利の為、そして――より良い、より楽しく、より凄絶な戦いを望む為。女は、己の相手に恋い焦がれながら――口を開き、肺の空気を送り出す】

「――――――はぁ」

【息を吐く。気力は息を吸う度に、息を吐く度に蓄えられている。先程からずっと、幾度もそれを繰り返してきた】
【周囲から感じられるぴりぴりとした気に機が近い事を察して、蒼い髪の女は瞑っていた瞳をゆっくりと開いていく】
【開いた瞳の色彩もまた――真蒼。透き通ったサファイアのそれでは無く、静かに燃え続ける蒼い炎のそれだった】

「――――さん、――――さん! そろそろ出番ですよー!
試合会場へご案内しますので、こちらへどうぞー!」

「分かった。案内、感謝するぞ」

【係員の呼びかけを受けたことで――ようやく女は現実へと戻ってきて――、蒼髪を翻しながら歩いていく】
【長いような、短いような廊下を、ひたすら歩き続ける。係員が健闘を祈る言葉を女に投げかけ】
【女は無言で、ひらひらと手を振って、薄く口元に笑みを浮かべ――薄暗い廊下から、華やかな舞台へと歩み出した――――】

【夜間の戦闘故、高出力のライトで会場は照らしだされ、観客の熱狂と熱気がライトの熱を更に白熱させている】
【だが、本当の意味で熱くなるのはまだまだこれから。熱戦が待っている事を観客だって理解している】

【照らしだされながら悠然と歩むる女の姿に、観客たちの歓声は激化していく。そして、会場の中心部へと歩みを進め、女は足を止める】
【ライトの元に立つのは一人の女。蒼い瞳と青い髪。上半身はサラシのみで、皮膚にはびっしりと炎を思わせる文様が有り】
【下半身は足の挙動を読ませないためか、黒色の袴を履き、足は裸足。静かな笑みを湛えた女は、相手を見定めるように目を細め】

「――――我流、鬼姫紅刃。花城火燐だ。
ライラ=フェルンストレーム、と言ったか。よろしく頼む。
おおっぴらにこうして力を振るえるんだ、存分に楽しもうじゃあないか、なあ?」

【名乗りを上げ、そして楽しみに来たと宣言した上で、静かな圧を辺りに解き放った】
【立ち姿はあくまで自然。そして今の両手には何も握られず、無手空手。何をしてくるかはまだ分からない】
【ただひとつだけ存在している異変は――。蒼に、次第に紅の色彩が混ざり始めたことだろうか――――】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/06(日) 21:03:49.67 ID:Pm0M2p0do
>>23

【男は少女が不満そうにしていたが気にもとめずにいた】

おーおー怖い怖い

【それどころか睨みつけてきた少女の事を小馬鹿にした態度でいる】

それにしても人探しねぇ…

【少女から理由を聞くやいなや鼻で笑い出す】

知らねぇなぁ…一応言うが庇っているわけじゃあねぇからな。なにせ俺には知っていたとしても庇う義理がねぇからなぁ

【男はお前に教える義理もないと続けようとしたがあえて男は口を閉じて少女の反応を見た】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2013/10/06(日) 21:10:07.25 ID:S09O9QGRo
>>24

【佳乃が小さく笑ったことに気付いたのか、バニセイドもニヤリと】
【少女のそれとは違って可愛げのない、不敵な笑みをこぼす】

【手刀が薙刀の柄で受け止められたのを認識し】
【一歩後ずさり、距離を置き、佳乃を見据えれば】
【再び薙刀による刺突を見舞ってきた】

……!

【――先ほどの攻撃を逸らすことに成功していたのが仇となった】
【同じように銃剣で受け止め、刺突を逸らそうとするが】
【想定以上に、攻撃の威力が先ほどを上回っており】
【薙刀を受け止めた銃は、弾き飛ばされ――バニセイドの腕から離れ】
【地面に落下し、転がった】
【バニセイド本人も、体勢を崩しながら後ろに下がる形となり、少々佳乃と距離が開き】
【落下した銃を挟んで、佳乃とバニセイドが対峙する】

【銃使いが銃を手放した――普通ならかなりの戦力ダウンだが】
【佳乃も気付き始めただろうか。戦闘を開始した時から、バニセイドは一度も銃を撃つどころか、撃とうとする予備動作すらしていない――ということに】


























/>>22実況ありがとうございます!!
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 21:11:39.10 ID:3MR/OJsWo
>>26
【魂が感じる、鈍い痛み。今なお、自身の行動を阻害する苦痛】
【生身であったなら、骨を粉々にされていただろう。人形となったことは、必ずしもマイナスではなかった】

【しかし、魂がダメージを受けるということは、精神を直接削られるに等しく】
【その苦痛は、場合によっては肉体のそれを凌駕する。そう何度も、耐えられるものではないだろう】


ゲホッ……ハハ……不死に、空間操作、なんて……
そんな大それた能力では、ないんですが……

【どうも勘違いされているらしい、クロイノの言葉に対して苦笑交じりに返す】
【まだ、動ける。言葉も発せられる。しかし、あの一撃の威力は脅威】
【何度も食らえるものではない。そう思っていた矢先、今度は彼のほうから接近してきた】


(闇、が残ったまま……? あの闇が、彼の能力の核、か……)

ハハ……手厳しいですね……
でも、芸を見せるのは、これからです!!


【精神の苦痛をごまかすために、叫んで自身を鼓舞する】
【突っ込まれたままだった左手が、引き出された】

【そこに握られているのは、数個の小さなスーパーボールだった】
【直後、懐へと飛び込んでくるクロイノの小さな身体。直前に立ち上がり、後ろへ飛びのこうとする】
【しかし、ダメージが尾を引いた状態では間に合わない。人間大の鉄球に等しい重量が、ギアを襲った】


――――ッッッ!!!!!

【ギアの左足が、クロイノの身体と石畳に挟まれた。人形の足がひしゃげる】
【声にならない悲鳴を上げながら、ギアが動く。左手にスーパーボールを握ったまま】
【地面と自分の左足を下敷きにしているであろうクロイノを、思い切り殴りつけようとする】


【狙いは、クロイノの背中。単純な打撃による攻撃のみならず、殴打が成功すれば】
【左手に握りこんだスーパーボールが弾け、スライムのような粘性の液体となって、クロイノの身体にまとわりつくだろう】

【ギアの武器の一つ、『スライムボール』。本来なら、屋内で用いて、跳ね回りながら相手に襲い掛かるそれを】
【殴打に乗せることで使用。身体に液体がまとわりつけば、動きは少なからず阻害されることになるはずだ】


【とはいえ、液体は何かに擦り付けたり振り払えば、落とすことはできる】
【加えて、ギアが足をつぶされたことは変わりない。機動力の半減は、クロイノの大きな有利となるだろう】

【この状態で攻撃を食らえば、おそらくは避けきれない。誰もがそう思うはず】
【しかし、無機質なギアの人形の瞳は、まだ死んではいなかった】


/お気になさらず!!
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/06(日) 21:16:09.73 ID:TYS+1bQno
>>21

「「ハハハ!!2人の僕で苦労も二倍!!ってね!!
 僕が術師であるという前提は忘れないで欲しかったな!!」」

【崩れた体勢からフィールド内側に転がって立て直す“本物”の狂死郎】
【一方、少女に向かって蹴りを放った後、バック転の動作で距離を取る“偽者”の狂死郎】
【おそらく、先程の爆発と同じく札を用いた影分身のようなものだが、両者の姿に差は全く無い】
【相変わらず不敵な笑みを浮かべ続ける双方の狂死郎、話すことも同一で少々五月蝿い】

「「舞台を破壊して場外に押し出すってのは悪い考えじゃないけど……それ、もう僕が先に思いついちゃったんだよね。
 本当は最初の爆発で実行に移すつもりだったんだけどさ、上手くいかないことはよくある話。しょげることは無い。」」

【何とか場外負けは回避することの出来た少女であったものの、状況が悪化していることに変わりはない】
【狂死郎と狂死郎による挟撃を受ければ流石の少女も対処が難しくなるだろう】
【無論、影分身にも制限時間はあるが、この狭いフィールドであればそれまでに決着をつけることは容易だ】
【――――だからこそ、“切札”を繰り出すのはこの瞬間以外に有り得ない】

「「さて、僕らの猛攻に耐えることが……ッ!!この魔力の量!!しかし2対1ならば……!!」」

(いや、様子がおかしい!!もしや僕が一瞬思いついて即座に切り捨てた“あの作戦”を実行に移すつもりじゃ!!)

【突如、少女から放出される大量の魔力……それを警戒した狂死郎達は距離を取りながら防御を固める】
【しかし次の瞬間、少女は予想外の行動に出る――――フィールドを爆破したのだ!!】

「「マジかッ!!――――本当に恐れ入るよ。」」

【驚愕の表情を浮かべながら空中に投げ出される2人の狂死郎、そして少女】
【だが狂死郎達は直ぐに冷静な表情に戻り、即座に行動を開始する】

「「空中に舞台を移したのは良いが、長く居られるのは僕らのほうだぜ?」」

【始めに行動に移したのは偽者の狂死郎、重心を上手く移動させて少女の方へと近寄り、そのまま掴みかかろうとする】
【もちろん、“足場に使われる”ことをも十分に警戒し、手足の1本であろうとも全力でしがみ付き離そうとはしないはずだ】

【一方の本物の狂死郎の左足からは膨大な量の魔力が漏れ出し、それは紅い光となって周囲を包み込む】
【そして、その光が最高潮になった瞬間】

ロケット噴射!!――――「呪相・炎天」ッ!!

【本物の狂死郎の両足からかなりの勢いで炎が噴出され、その反動でもって彼はさらに上空へと吹っ飛んでいく】
【この場における有効な戦術の両方を同時に行った狂死郎、勝敗が決まる瞬間はすぐそこに迫っている】
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) :2013/10/06(日) 21:18:33.73 ID:HuxhoyXxo
>>27
【かつて―――というより、ちょっと前。とあるこの世界で一番強い者を決める大会に出場した、ある男が居た】
【その男は四大元素にもう一つを加えた5つの魔法を操り、相手を窮地へと陥れたのだが】
【最終的に、結果的に。リングアウトが早かった方。その男が、一回戦で姿を消した】

【それから数ヶ月。男は、正義の徒としての側面を併せ持つその男は。様々な場で、様々な悪と退治し、またそれらを排除してきたのだった】
【端的に言えば、男は強くなった。精神的にも、肉体的にも。そんな男は今、再びこの天下一武道会に、姿を現す――――――!!!】


「―――っていう登場時のアレを! ずっと考えてたのに! 金が要るだぁ!? ふざけんなよチクショウ!」


【男の要望は、そんな感じのカッコイイ映像を流してから華麗に登場したいとの事だったが。生憎叶えられなかったらしく】
【少しだけムスッとした表情を曝け出しながらも、相手と―――彼女と同時に、男はその場所へと。思い出のリングへと足を運ぶのだった】

【魔女が被るような大きなツバの付いた紫色の帽子に、同色で縁に金色の刺繍が為された身体を包むローブ】
【そして手に持つのは、男の身長ほども有るだろうか、細長い杖。……まるでその姿は、お伽噺の魔法使いのよう】
【帽子から見える髪は銀。彼女から見えるであろうその瞳は、男の性格を象徴するかのような、闘志の炎を燃やす青い瞳だった】

「おう! 俺の名前はライラ=フェルンストレーム! 人呼んで""カノッサ機関ハンター""!!
 カリンだな、よろしく頼むぜ。そして……あの水を酒に変える瓢箪を手に入れるための第一歩になってくれよ!」

【木の杖を相手に向け、高らかにそう宣言する男。「カノッサ機関ハンター」の所で僅かに会場内から笑いが漏れているのに男は気づかず】
【一回戦目の相手となる彼女の、そのプレッシャーに挑戦的な笑みを零しつつ、更に口を開く】


「結構刺激的な恰好をしてやがるが……俺は女にだって容赦しないぜ! さて――――――来るなら来い!」


【杖を握る右手。彼女の蒼に紅が混ざるその景色に、杖を掴む力が強くなる。だけども、怖がる様子なんて微塵も見られず】
【どうやら初撃は彼女に譲るようだが―――その右手の手首。5つのブレスレットが填められていることに彼女は気付くかもしれない】
【そしてその中で2つ―――赤と緑のブレスレットが、淡く発光し始めたことに】

/よろしくお願いします!
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/06(日) 21:22:20.66 ID:Ap/dFf8no
>>24>>29

スウェン:佳乃選手、反転して手刀を回避ッッ!! 見事な体捌きの後は一回転からの斬撃―――!!
瑛月:反応が見事です。身体能力は抜群、捌きも中々のモノですしかし……コレは好き嫌いがあるかもしれませんが、「回転」という行動は余り良いとは思えませんね
瑛月:まず目線を切るということ、そして動きが大きく読まれやすい―――メリットを挙げるなら威力の上昇ですので、どちらを取るか……ということでしょうか
瑛月:しかしながら薙刀という武器の性質を良く理解した良い斬撃だと思います……!

スウェン:成程、解説ありがとうございます……!! さぁバニセイド選手は回転の隙を見逃さずに躱せるかっ!?
瑛月:先程と同様に受け止めるつもりだと押される可能性もありますよ……!

スウェン:……うおおおッ!? あーーーっとぉッ!? 銃が弾き出されたーーーッ! 銃が無慈悲にも手から離れ、石畳へと落ちる!
瑛月:これは致命的……これが決着に繋がるまであります―――それも、彼が「ガンマン」ならですが……!!

スウェン:……というと? 銃剣を持っているバニセイド選手はガンマンではないということですか?
瑛月:ではない、とは言い切れませんが……先程から不気味にも、「銃」の機能を使っていないですよね……?
瑛月:彼のメイン距離は遠距離ではなく近距離……そうであるなら、いやその可能性も決して少なくはない……!!

スウェン:……つまり、まだ終わってはいない……そういう訳ですが―――バニセイド選手はまだ戦う術を持っているのかぁーッ!?
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/06(日) 21:26:22.11 ID:4Sdbpfwgo
>>28
「そう、だろうな……」
【男の答えは知らないという、少女にとって嬉しくない物】
【だが、少女に落胆の色は見られない。 言われる前から、どんな答えが返ってくるかは理解していたようだ】
「このように人目のある通りでは……選ばれないだろう」

「別に、お前のことを疑いはしない。 関係の良い質問に付き合せて、すまない」
【最後に、すまない……と、口調こそ荒いが、一応は感謝の意味を含んだ言葉を】
【男の態度にはイラつきを覚えているらしい少女だが、そんな状況であっても感謝の意を述べる瞬間だけは、それ相応に誠意を込めた言葉で言ってみせる】
【ごく自然に見せたその態度からは――挨拶だとか、感謝だとという軽く笑い飛ばされそうな礼儀は、どんな時でも大切にしているらしい、そんな様子がうかがえるだろう】

「……それほどに、私の事が気に入らないか?」
【とげの含んだ調子で、少女は話し出す】
【自分に原因があるとはしても、相手の男性の行動はあまりにも――我慢の限界らしかった】
「それとも、なんだ。 私に絡むほかに、何もすることがないのか」
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/06(日) 21:33:09.27 ID:JC4U7klao
>>33

【バニセイドの背後へと斬り抜けた佳乃は、自らの一閃が成果を挙げたことを手応えとして感じ取り】
【即座に振り返って薙刀を構え直せば、そこに居るのは銃を手放した銃使い。黒曜石に澄んだ双眸が、バニセイドを捉えるだろう】
【一度の発砲もない、あまりに呆気ない展開。それに不信感を覚える気持ちは、確かにあるが】
【敵の得物を挟んでの対峙――――やることは、一つしかなかった】

それで終わりなら…………一気に決めさせてもらうわ!

【得物を回収されるよりも速く、斬り伏せる――――】
【そのシンプルな行動を実行すべく、裂帛の気合いと共に薙刀を構え、佳乃は疾走を開始する】
【バニセイドが銃を回収するまでに、その疾走が間に合うかどうかは相手次第。あるいは、そもそも回収に動くかどうかもわからない】
【しかし、そのどちらにせよ。佳乃の体から、神聖≠ネ光が薙刀にまとわりつくのが見えるだろうか】

白刃龍紋流・漆の太刀――――『七曜』!

【薙刀の刀身を覆う真っ白な輝き。神気≠ニ呼ばれるそれは、その叫びと共にバチリと音を立てて】
【一瞬の後、白銀色をした電撃へと形を変える。邪を払う神の力から作られた聖なる雷≠ェ、空気を裂いて吼え立てる】
【そして佳乃は、その帯電した薙刀を、バニセイドの体の中央へ刺突として叩き込む――――!】

【バチバチと音を立てる刀身に触れれば、常人なら一発で意識を奪われてしまうほどの電流を流し込まれることとなってしまう】
【佳乃の決め≠フ一撃だけあって威力は高いが、反面大振りで放った後の隙は大きい】
【これを回避できれば、すぐに反撃に転じることも出来るだろう】
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/06(日) 21:33:27.03 ID:ZtfqclAY0

>>30

【またも決まった! クロイノはもはや自己陶酔の渦からは抜け出せない】
【この傲慢でおばかな少年が、自分の思い通りにことが進むとあれば、当然油断が生まれる】
【ゆえに、左足を潰したままの隙を突かれ背中に強打を受け、男でいうところの、魂のダメージ…のようなものが意識を削る】

【しかも、今回の一撃はただの痛みだけでなく、動きの妨害さえも兼ね揃えているのだから厄介で】


「わかりましたよ…貴様、かの有名なドラ○もんとおなじ能力ですね!? 」
(やべぇ、です…。不死でも空間操作もないなら、これしかねーですし
 ドラ○もんが相手ならこの勝負、完全に運否天賦ですよ…! )

【少年は暫しの黙考のすえに、まずは動きを止めるスライムを消し去るために、またも全身を闇化する】
【今度は引力をださずに触れた物だけを吸収し、スライムをじわりじわりと呑み込んでいく】
【あわよくば、男の足さえも呑み込んでしまおうと】
【しかし生物やその所有物は例外なく、吸収への耐性をもっている】

【今すぐ足を引き抜けば、男の足は無傷で済むし、粘着性のなにかを吸収しているクロイノは、当然隙だらけだ】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/06(日) 21:34:57.08 ID:JC4U7klao
/アンカミス、>>29宛でした…………
/それと実況ありがとうございます!
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) :2013/10/06(日) 21:36:04.65 ID:wIX3vcv6o
>>32

【女は、相手のその堂々とした名乗りと、圧に押されることのない様子を見て、笑みを濃くしていく】
【ゆったりとした自然体の構えは、その静けさに反して、中には膨大な力が秘められている。その力の解放は近く】
【――女の髪に混ざる紅の割合が次第に増していき、背と腕に纏わりつく炎を思わせる紋がゆらりゆらりと揺らめいた】

「それは僥倖。私も――容赦はしないからな――――――ァアアアァァアァアッッ!!」

【笑みを浮かべたまま、相手の挑発めいた言葉を前に返答を返し――同時に、攻撃へとシフトしていく】
【――もはや髪の色も瞳の色も紋の色も総て紅。この紅が示す意味は、一つ。これが女の本質、煌々と燃え上がり暴れまわる紅蓮の剣姫/剣鬼】
【悠然の構えから生まれた動作は、急激な力の開放。0から100への急転直下。静から動への変化は、あまりに唐突なもの】

【駆動。躰が急激に前傾姿勢へと移っていき、重心が急激に前方向へと移動――その体重移動と同時に、地面を強く蹴る】
【地面がぎしりと軋みを上げ――轟音】【一歩目は押し曲げた両足を全力で伸ばす事で、飛ぶような加速】
【――ただし飛ぶ方向は上ではなく、前】【殆ど獣のように全身の筋肉を活用し、這うような低い体勢で疾駆、紅の風と化す】

「 椛 五 閃 ッ ! ! 」

【全力の加速を[ピーーー]ことはせず――、紅蓮の斬風は両腕に着く両掌の五指に紅の爪を生成する】
【相手の出方を見るかのように、地面を強く蹴り一段増しの加速をすると、直線的加速によってすれ違いざまに右脇腹を掻っ捌こうとする】
【この技は、徒手の剣技=B剣士としての技能を多く学んできた経験を徒手に活かした、彼女独自の技】
【一撃の重さは刀に及ぶことは無いが、その代わりに隙が少なく、そして何よりも――動きの制約が少ない為、相手の出方に柔軟に対応しやすいというメリットを持つ】
【最初の様子見には十分。この速度にどれほど対応するのか、この攻撃にどのように対処するのか。それらがわかれば、それを元に戦いを組み立てていく】

(――さあ、どうする……! 妖術か魔術か、何が来るか――!? 楽しませてくれ……ッ!!」

【もはや喜悦を隠そうともせず、満面の笑みで紅蓮の瞳を相手に向けて――】
【相手が何かを仕込んでいる事を理解した上で、火燐は真っ向から相手とぶつかることを選択した】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/06(日) 21:37:18.80 ID:wIX3vcv6o
/*saeg saga忘れ……*/
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/06(日) 21:53:10.47 ID:Pm0M2p0do
>>34

お、疑わねぇのか?てっきり問答無用で知りもしない事を聞き出されると思っていたんだがなぁ

【男はニヤつきながら少女の事を見る】

まぁてめえも自分で聞く前から答えが分かっているみてぇだったしそれも当たり前っちゃ当たり前だな

【ローブで顔が隠れていて口元しかみえないが以前としてニヤニヤとしながら少女と接する】

まぁ何だ、答えが分かっている質問なんだ、礼なんてイラねぇしもらっても迷惑だ

それになぁ

【男はイラつく少女に向かって答える】

別にてめえが気に入らないわけじゃあねぇし憎いわけでも何でもねぇ
そうだな、言うなれば…
ただの気まぐれだ

【男はニヤつきながら口元をさらに吊り上げ鼻で笑う】

あとまぁ暇っつうのは概ね正解だ。俺にはやる事もやりたい事もお前みたいな大層な大義名分もねぇからなぁ
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/06(日) 21:54:07.17 ID:HuxhoyXxo
>>38
【今や蒼が全て紅となった彼女の姿。赤から連想されるのは、自分がそうであるように言わずもがな「炎」】
【彼女の言葉から溢れ出る激情も、正にピッタリだ。……まぁ―――激情が彼女だけに有るといえば、それは間違いになるのだが】

「うっしゃぁぁっ! 行くぜカリン! 良い戦いを見せてくれよ!

 ……って、うおおおっっ!?」

【と、乗り気になって声を上げてみるものの、次に目の当たりにしたのは彼女の驚くべき速さ】
【あの目。ライラは瞬時に理解する。自分が魔法使いであり、なおかつ何かを準備しているということを理解した上で、彼女は突っ込んできている、と】
【静止状態からの爆発的な加速。格闘家でもないライラがそのスピードについてこれるはずもない】

【―――しかし、驚きはしたものの笑みを崩す様子はない。何故か。理由は2つ】
【1つ目は、初撃ということで見きれないこともないということ。それにしたってギリギリだが……見切れないよりはマシだろう】
【そして2つ目は―――数々の戦いを経験してきた、ライラの絶対的な自信!】


「  W  2    W i n d   C u t t e r ! !   先ずは喰らいな!!」


【体の右側を切り裂こうとする彼女の爪を、左前へと転がることで回避。そして、彼女がその勢いを殺しきらないうちにと素早く彼女に向き直り】
【杖を構えて詠唱すれば、ライラの頭上へと出現するのは薄緑色で薄い、三日月状の物体だ。その正体は、風の刃】
【それらは一直線に、彼女の腹へと襲いかかる。当たれば、見た目によらず鋭い刃は普通の肌ならばいとも簡単に切ってしまうだろう】
【然し、軌道は単純。速度もかなり早いとは言い難いために、気づけば回避は容易であるはずだ。その速度ならば、特に】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2013/10/06(日) 21:59:37.20 ID:/8nWrbND0
>>25

【銀狼の姿が、金の壁を切り裂き現れる】
【瞬間、銀狼に見える気の固まりが急接近、その強大な爪を金のプロテクターで受けきる事は不可能であった】
【彼の起こした最後の手は】

ハアァァァアアッ!!

【金で生み出される分厚い城門、それによってあの爪を受け止める】
【だがその城門が破壊されるであろうという事を彼は理解していた】
【ゴールドマンの考えは、まず城門で気の固まりの動きを停止させてから、気の背後に透けて見えた銀狼を迎え討とうというもの】


【城門は予想通りに切り裂かれ、それをくぐって銀狼はゴールドマンに迫るだろう】
【銀狼の姿を捉えれば、ゴールドマンは厚さ1m、長さ2m程の巨大な柱を抱え、真っ向勝負へと乗り出す】
【銀狼が彼の目の前に迫れば、その柱を縦に振り下ろすだろう】

さあ、来いッ!

【超重量の柱、まともに食らえば大ダメージだが、これは彼の最後の攻撃】
【銀狼がそれを凌げれば、彼女の勝ちは決まる】
【最後に立っているのはどちらか】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2013/10/06(日) 22:01:29.64 ID:S09O9QGRo
>>35

折角の機会だ、これで終わりじゃ寂しいって
もうちょっとおしゃべりしてからでもいいんじゃねえか?

【銃を手放した隙を見逃さない佳乃の疾走】
【落とした銃を拾わせる暇を与えない、瞬時の判断力】

戦士として模範的な判断だ、佳乃君。だが……

【――最初は消滅したように見えるかもしれない】
【バニセイドの体が、佳乃の目の前から姿を消し】
【聖なる雷≠纏った薙刀は、空を裂く】

「銃は弾を撃つものとは限らない」 それに 「能力者の能力が1つとは限らない」

【その声が足元から聴こえれば、気付くだろうか】
【まさに“小型化”したバニセイドが、そこにいることに】

実際の戦いは、例外だらけだ……!

【その身長は、15p程度】
【小人と化したバニセイドは、そのまま佳乃の足、正確には足首とスネの中間あたりを狙って右足で回し蹴りを仕掛ける】
【小型化した蹴りと言えど、脚は手刀の時と同じく硬質化しており、当たれば大ダメージとはいかないが】
【一時的に足の動きを封じられるのは確かだろう】




44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/06(日) 22:08:02.61 ID:Opq9bvyWo
>>30
/ごめんなさい、凍結おねがいひていいですか……?
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 22:08:18.64 ID:3MR/OJsWo
>>36
【左手から伝わる殴打の確かな感触が、幾分左足の苦痛をごまかしてくれる】
【『スライムボール』も、しっかりと効力を発揮したようだ。ギアの左手にも液体は付着するが】
【次の瞬間には、左手の中に引き込まれて消える。念を込めた自作の道具は、ギアの思いのままに動く】


ぐぅ……さすがに、あそこまで万能、ってわけでもないですけどね……

(さすがに、見抜かれるか……こっちは、吸収なのか重力なのか、いまいち掴めていないのに……)

【今までにクロイノが行ったのは、攻撃翌力の底上げや、吸収、引き寄せ】
【それらが、引力に起因するものだとまでは、気付かず。思考が至る前に苦痛が邪魔をする】


【そうしているうちに、クロイノがさらに能力を発動させる。その全身が闇と化し】
【クロイノにまとわりついていたスライムが、闇のうちへと飲み込まれていく。同時に、左足も引きずられる】


く……うぅ……!!

(まずい、このまま引き込まれれば……でも、このダメージじゃ……ダメだ、うまく動かない……)
(それなら……攻撃だ!!)


【吸収されていく足、しかし引き抜こうにも初撃の苦痛の左足の激痛がその行動を阻害する】
【ギアは足を引き抜くのを諦め、反撃に転じた。右腕を胸に突っ込む。引き抜く】

【握られているのは、いわゆるピコピコハンマーであった。柄をしっかりと握り、振り上げる】


ぐぅ、おおぉッッ!!!

【苦悶の声を叫びに変えて、右手に握ったピコピコハンマーをクロイノの頭を狙って振り下ろそうとする】
【ピコピコハンマーの名は、『ノックアウトハンマー』。命中と同時に大きな音を立てて相手をけん制する、近距離武器】
【これもまた見た目に反し、木槌の打撃程度の威力を秘めている】


【至近距離からの鈍器による殴打。しかし、足を潰され、痛みに耐えつつの攻撃に変わりはない】
【クロイノの行動によっては、対処はいくらでも可能だろう。ギアの受けた重い一撃は、それほどの影響を与えていた】
【生き人形の、苦し紛れの攻撃の行方は――?】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/06(日) 22:10:58.39 ID:wIX3vcv6o
>>41
「――好い覚悟ッ!」

【迷う事無く、己の第一刃を避けてのけた相手を見て、火燐は哄笑を響かせる】
【地面を蹴り、その場で宙返りをする事で転身。宙返りの過程でまた膝を限界まで曲げ――再度あの加速への溜めを行う】
【火燐の加速は直線的。しかしながら、その直線的な加速を幾度も細かく繰り返すために、何千回も何万回もこの動作を重ねてきた】
【視界に映る薄緑色の刃。真正面から迫り来るそれを前に、鬼の女は笑みを濃くする。そうだ、これだ――とばかりに】

「翔!」

【己に迫り来る風の刃に対して、火燐が取った行動は――全身全霊での前進。攻撃を前に逃げて、漸進に留まる事など火燐の前進にはあり得ない】
【右手の紅の爪を分解し、一つの矢へと再精製すると同時に、妖力でその矢に火を灯し飛翔させた】
【飛翔する矢と同時に火燐は加速し――風の刃と肉薄していく】【そしてやってくる衝突――、風の切っ先と紅蓮の鏃が接触する】

「散!」

【接触の直前に、左の爪も拡散させるように発射し、風の刃を確実に相殺する動作をとり】
【最初の狙い通りに翔ではなった紅蓮の鏃は刃と衝突。直後、刃という外殻を砕かれた紅の鏃は内部に込められた力を解き放つ】
【爆心地には女。轟音を響かせて周囲を爆風で包み、閃光が周囲を埋め尽くす。唐突なその現象は、火燐の仕込み】

「Y星の剣――流星光底ッ!!」

【閃光によって、または唐突の爆風によって相手が隙を見せれば――いや見せなくとも】
【爆風の内側から迷いなく飛び出してくるのは、体の所々に傷を負った花城火燐。その顔には、獣の笑み】
【手に握られるのは、少し短尺の刀が二振り。――全身運動で前進と同時に、体重移動と速度を活かしてゴリ押しの乱撃が放たれる】

「ウゥゥオォオォォオオォォォオォァ――――――――ッッッ!!!」

【獣の咆哮、獣の笑み、紅蓮の妖気、紅蓮の妖刀】
【戦うためにここに居る、だから戦う以外は今はいらない。――加速する、加速する、加速する】
【前進しながらの斬撃。絶え間なく続くそれは、しかしながら短尺の小太刀故に、一撃一撃は重くない】
【杖で一時的に凌ぐなり、魔法で牽制をすれば距離をとるなり、防ぐことは不可能ではないはずだ】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/06(日) 22:11:04.67 ID:4Sdbpfwgo
>>40
「疑われたいのか、それとも疑われる様な理由があると? ……違うだろう」
【少女は、小さく首を振る。 ――そんなことはしない、と】
「むしろ、私がそんなことをするように見られていたというのが……心外だ」

「お前に言えば、きっと笑われるだろうが……完全に見失った、手掛かりすらない。
 とても悔しいが……私の、実力不足だよ」
【期待をしていなかった点を指摘され、少女は僅かに肩を落とした】

「……突然あらわれたことや町中で火炎を使ったのは悪かった。 それについては、必要なだけ謝る。
 けれど……お前の気まぐれに付き合わされて、無茶な文句に付き合うつもりはない。
 そんなのは……いくらなんでも勝手すぎる」
【ニヤつき笑みを浮かべる男をへと少女の抗議の声はあげる】
【男の胸中を教えられれば、少女の苛々とした感情は、怒りのような物へと変化をしてしまう】
【昂ぶる感情の支柱も『相手の態度』から『気まぐれという適当なモノ』に、付き合わされたということに変化をしたようだ】

「そうは言うが、私も目的は……ちょうど今、失ったところだ。
 相手の手掛かりは、どこにもない様子だしな」
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/06(日) 22:13:27.14 ID:Ap/dFf8no
>>35 >>43

スウェン:佳乃は丸腰状態と思われるバニセイドに間髪入れずに攻撃ぃぃッ!!
瑛月:いや、唯の攻撃じゃない様です……! 出ましたよ、彼女の能力―――
スウェン:おおおッ?! 光が刃に纏われる―――ッ!! そして更に光が電撃へと姿を変えたッッ!!
瑛月:……完全に此処で決めるつもりです。容赦ありませんね……!!

瑛月:そして薙刀のリーチを活かし、最も早く相手へ到達できる「刺突」による攻撃……!!
スウェン:これは直撃すれば一溜りもないでしょうッッ!! 早期決着なるか幸徳井佳乃ッッ!そしてこの状況をどうするバニセイドッッ!?

スウェン:―――〜〜〜〜〜ッッ!? ……き、消えたぁぁッッ!? 急に私達の前から姿を消しましたッッ!!
スウェン:お聞き下さいこのどよめきをっ! 会場のいる全員が困惑の表情を浮かべているでしょうッ!! ……そして本当にどうしたんだぁぁっ!?
瑛月:……居ますよ。居ますけど……なんですかコレは……!? スウェンさん、良く目を凝らして下さい……先程彼が居た足元付近
スウェン:……―――あぁぁぁッ!? 何かいるぞっっ!? これは……縮んだ……と言っていいのでしょうか……私、呆然としております……!

瑛月:……そういう能力なんでしょうか……!? ―――っと、此処からじゃ行動が見えない……!
スウェン:よくわかりませんがまだ試合は終わっていませんッッ!! バニセイド選手は恐るべき力を隠していたのです!!
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/06(日) 22:14:48.52 ID:lGloohijo
>>31

そりゃあ、こんな状況でちんたらと普通に戦う程バカじゃないわよ!
数的不利なら、こんなやり方も十分ありでしょ―――?

【必要、そして可能であるならばこんな思い切った手段でも躊躇わず選ぶ】
【二人に分身した相手、未使用であった“切り札”――状況としてはまさにそういったもの】
【故に、躊躇などなく、爆破した―――のはいいのだが】

【舞い上がる二人――否、三人の影はやがて二つとなって】
【更に吹き飛ぶ“本物”、少女と彼女を掴んだ“偽物”】
【右脚にしがみつかれた彼女は、十字に合わせた双の剣を分解、そして元の様に持ち直し】

―――レディーの脚にしがみつくなんて、とんだ変態ね

【“偽物”を半目で見ながらそう言えば、右に持っていた長剣を自らの下に放る】
【それはちょうど、自由な左足の下方に流れ行き―――】

蹴る為の足場がないなら、作ればいいのよ―――!

【思い切り、剣の柄を蹴り飛ばし、上方へ加速】
【更には素早く鎧を弄ったかと思えば、鎧がパージされ、こちらも落下】
【装甲を減らすことで荷重を減らし、更に足場として蹴りあがる】

届けえぇぇぇ!!

【細かくパーツの分かれる鎧を用いての多重の加速と短剣の加護の力】
【それらが相まって、驚くべき事に少女は“本物”までの距離を詰めていく】
【そして加速を使い切ったところで“本物”の彼目掛けて振り下ろされる短剣――――】









【スカッ】



【そんな擬音が付きそうな、見事な空振りであった】
【極めて当たり前のことだ。そもそも、距離を“詰め”はしたが“追い付いて”などいない】
【肉体的な加速で術式による加速に追い付こうなど無茶な話である】

(うわあ……何かすごくかっこ悪いわこれ……叫んだ分きついわね……)
(…………ってあれ?このまま落ちたら……受身取れないような……)

【空振った瞬間に冷めていく思考。始めに染まるは羞恥】
【次に疑念、そして焦りへと移り変わっていく―――】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 22:16:23.95 ID:3MR/OJsWo
>>44
/っと、すみません気が付きませんでした
/了解しました。また続きが可能な時に、舞台裏にてお声かけいただければ
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/06(日) 22:25:50.50 ID:JC4U7klao
>>43

な――――消え…………ッ!?

【防御ならばそのまま突き抜いた。回避ならば更に追随した。そのどちらをも想定していた佳乃は――――】
【バニセイドの言の通り、例外すぎる例外に度肝を抜かれることとなった】
【一瞬の内に、佳乃はバニセイドの姿を見失う。焦燥に駆られ、キョロキョロと辺りを見回して】
【空を切った薙刀から、雷が消えた頃――――足へ走った硬い鈍痛で、ようやく佳乃はその正体を知るに至った】

…………まったく、おかしな能力ね…………!

【小人と化したバニセイドの姿を前に、整った顔立ちには似合わない露骨な舌打ちと共に悪態を付き】
【これ以上の例外≠ェあっても対応できるよう、佳乃は薙刀を右手で手元に引き寄せて防御に回す】
【それと同時――――空いた左手をスカートの下へ差し入れ、左太腿に巻き付けた小さな円筒型のホルスターへ手を伸ばして】
【そこから引き抜かれるのは、櫻の国で棒手裏剣と呼ばれるものだ。しかも柄の部分に、何か札のようなものが巻かれている】

吹き飛びなさい――――爆<b!

【そうして佳乃がそれを投擲した先は、バニセイドの近くの地面】
【棒手裏剣が無事に地面へ突き刺されば――――その瞬間、巻き付いた火符≠ニいう特殊な札が起爆するだろう】
【巻き起こるのはそう規模の大きくない爆発だが、今の小さなバニセイド相手なら十分に通用すると踏んだのだ】
【咄嗟の攻撃手段としては上等かもしれないが…………しかし、これは一回戦で使った攻撃でもある】
【それ以前に小さくなったバニセイドなら、佳乃がホルスターから棒手裏剣を引き抜く場面も見えるだろう】
【一回戦を観戦して火符≠フ事を知っており、かつそれを放つ前兆を見ていたなら、対処できない攻撃ではない】

【…………そして佳乃は、これらの行動の間、その場から一歩も動いていない】
【まったく予想外の事態への混乱と足への攻撃により、完全に不意を付かれてしまったのだ】
【一時的に佳乃の足を封じる、というバニセイドの意図は、そのままの形で表れている】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/06(日) 22:30:38.99 ID:HuxhoyXxo
>>46

【牽制用だと言っても、その風の刃はライラが何百、何千と練り上げてきた「完成形」の刃である】
【それがただの爪、いや矢に――その矢も、彼女が繰り返し培ってきた努力の結晶であるのだろうが――砕かれる】
【やはり、魔力を2つ組み合わせたM2魔法では力不足だと悟る。彼女は―――強い!】

「―――ッ!! 目眩ましか!!」

【思った時には既に遅い。彼女の速さは前に見た通り、ライラの身体能力では絶対に追いつけないほどの速度を持っている】
【そんな彼女に一瞬でも隙を見せれば、突っ込んでくることは確実……そしてその手には、刃】
【……こんな短時間で、次に相手がしてくることを予測できるのは初めてだったと、後にライラは語る】

「うおおおおおおおおおっ!? ――――――……ッ、くそっ!!」

【判断が遅れたライラに襲いかかるのは斬撃の雨霰。一撃が強く無くとも、それが無限のように襲い掛かってくるのならば話は別だ】
【斬られる。切られて斬られて切られて―――ようやくライラが動く。赤が発光していたブレスレット。それが強く、もう一段階強く発光し】
【確実に彼女よりも多くのダメージを貰いながら、刀の合間を縫って彼女へと左手を向ける】


「 F  2   S u r p r i s e   B o m b ……お返しだっ!!」


【彼女へと向けた左手で所謂指パッチンの体勢を取れば、赤いブレスレットが2段階を伴って減光し】 
【丁度男と彼女の間に出現したのは、赤い球体。―――そんな台詞とともにパチンと小気味良い音が鳴れば、瞬間、その球体が熱と光、そして音をまき散らしながら破裂した】
【熱は彼女を火傷へと至らしめる物ではないだろう。だがその光と音は先ほどの彼女のように、目くらまし、怯ませには十分すぎるもの】
【要は距離を取りたい。「Surprise Bomb」が成功しようとしまいと男は後ろへと下がろうとするが、成否ではその距離に違いが出るだろう】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 22:35:08.89 ID:TYS+1bQno
>>49

【パージされた鎧と共に落下する“偽物”の狂死郎――――それは地面に墜落すると同時に消え失せる】
【それは“時間切れ”などではなく、単に維持不可能なダメージを負ってしまったからに過ぎない】

空中で剣を足場に使うとは驚いた!!
――――でも、着地はどうするのさ?

【目前まで迫り来る少女の姿に目を丸くする狂死郎であったが、短剣は防ぐために構えた白剣にかすりもせず】
【そのまま少女は勢いを失い、終いには“墜落”を開始してしまう】

…………まあ、舞台を吹き飛ばすアイデアは悪くは無かったけどさ、
終わった後のことを考えてなかったのは致命的なミスって奴だね。

【焦りの表情を浮かべる少女――――どうやら、落ちるときの事を考えてはいなかったらしい】
【火炎の噴射によって空中に留まる狂死郎は墜落しようとする少女の姿を半ば呆れたように見つめつつも】
【この高度から墜落すれば生命の危険を伴う――――即座に左腕の袖に仕込んだ札を手に取って】

落下予測地点は完璧に場外――――勝負は諦めるんだね、そこから動くなよ!!


「呪 相 ・ 水 縛」ッ!!


【少女の落下予測地点へと勢いよく投擲し、札は見事に地面へと突き刺さると】
【そこから大量の粘性を持った水か噴出し、落下する少女をやわらかく受け止めようとするだろう】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/06(日) 22:36:48.69 ID:A0iZquP9o
>>42

【ゴールドマンの目論見通り、銀狼の姿をした気の塊は城門を切り裂くに留まり】
【それに続く銀狼本人は今更止まれない。眼前には、敵の振るう巨大な柱】

【――先ほど使った気≠ヘ、両手の爪と気の塊の形三つ】
【残るストックは唯一つ。銀狼はその最後の尻尾を、弾けるように迸らせ】
【やがて全身にソレが巡っていくと、にわかに彼女の持つ色合いは金色を帯びて―――】

……この煥発は、いま儂の出せる全ての力…ッ!
単なる黄金に似て非なる輝き……誘いに乗ろう、行くぞ――!!

【後は一挙に進むだけ。持ちうる限りの力と速度を引き上げて、獣の爪を鋭く尖らせ】
【上から来たる金の柱を、右手で受け止めるような形で切り裂き、進んでゆく】

【その柔らかさは既に織り込み済みだ。決して、切れないことはないだろう】
【故に柱の根本――ゴールドマンの場所までも、きっと届くとそう信じ】
【最終的にはすれ違う形で、ボロボロに成った右手の刃を彼に向かって振るうことになる】

【そうなったなら、既に銀狼の右腕は――いや、肩に至るまで、亀裂のような傷が走る】
【つまり、機能を失うこととなる。速さと力と抵抗と、全ては決して鼎立しないのだから当然だ】


【―――それでも。銀狼はまだ倒れたわけではない。すれ違った彼の方へと向き直り】
【果たして攻撃は成功したのだろうか、と。それだけを確かめんと、膝を突きながら目を向けた】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/06(日) 22:45:20.35 ID:Pm0M2p0do
>>47

別にてめえが誰でもかれでも疑うように見えるわけじゃあねぇよ。俺みたいな得体の知れない男を信じるお人よしが少ないだけでよ

【笑いを小さくこぼして少女に言う】

街中で火炎をつかったことだぁ?そんな事で長々と謝られても迷惑なんだよ
終わった事は終わった事でいちいち掘り返すことじゃねぇだろうが

【当初いちゃもんをつけてきた男だが最初の怒りはなかったかのようにあっけらかんとしている】
【怒りですら男のいうやりたい事ではなかったかのように】

そうだ、俺は自分勝手なんだよ、自分が楽しけりゃそれで上等だ。別段悪いことじゃねぇだろ?

【俺は自分に怒りを見せている少女を見つめ返す】

それによ、てめえは目的がないっつったが別に目標はなくなったわけじゃねぇだろ?違うか?

【自分にイラつき、怒りを露わにしている少女に対し以前として口調を変えずに言い続ける】

目的を見失ったら手掛かりを探しゃいい、手掛かりがねぇなら手掛かりの手掛かりでも探しゃいい、探してすらいねぇ手掛かりをないなんて言うならてめえの大層な目的もただのゴミ屑以下って事だ、違ぇか?

【少女を未だ見下して男はニヤつきながらさらに続ける】

別に気まぐれに生きるってのは悪いことじゃねぇよ、自分に素直ってことなんだよ。
やりてぇことだけやって生きる…何かに縛られるよりよっぽど充実してると思わねぇかい?
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2013/10/06(日) 22:49:53.52 ID:S09O9QGRo
>>51

【さすがに小型化は予想できなかったのだろう】
【実力で勝ち取ったわけではなく、たんなる運でシード枠に選ばれただけだが】
【相手の試合を知りながら、こちらの手の内は相手に知られないという有利な状況、利用できるものは利用する】

ちなみに能力が二つだけとも言ってないぜ、さて……!?

【だが、次に佳乃の取った行動は、「彼女の試合を見ていたからこそ」バニセイドに予想できないものであった】
【札の巻かれた手裏剣、バニセイドの記憶が正しければ――】

おいおい、それ爆発するんじゃねえのかよっ!
こんな近くでおま

【この超近距離で、まさか爆発を伴う攻撃を行ってくるとは予想できず】
【目の前で起きた爆発への対処が間に合わず、爆風で吹き飛ばされる】

ぐっ……

【――佳乃からやや離れた地面に投げ出され、体を打ち付け】
【全身に痛みが走る】
【が、口を開く力は残っているようで】
【徐々に体が大きくなり、元のサイズに戻りながら、立ち上がり姿勢を立て直し】

はあ、はあ……強いな
能力だけが強い子供はこの世界にゃいくらでもいるが……
お前さんのように“心・身”ともに強い子供はそういない
どんな大人になるのか楽しみだ

なあ、佳乃君。“将来の夢”はあるか?
どんな大人になって、その力をどう使いたい?

【単に空気が読めないのか。それとも佳乃の気を逸らす作戦か】
【戦いの最中にも関わらず、一方的に語りかける】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/06(日) 22:49:56.58 ID:wIX3vcv6o
>>52
【火燐の戦闘理論は、単純明快なものだ。速く強く全力で相手が倒れるまで攻撃し続ける=Bどう考えても頭の悪い物】
【だが、この頭の悪い戦法は、花城火燐には合っている物。細かいことを考えれば技が鈍る、たらればで先を考えれば今が死ぬ】
【ならば、その時点。一瞬一瞬で取れる限りの最高の手を。――虚実など知ったことか、磨いた技が有れば小細工は要らない】
【必要なのは怯えないこと。大切なのは退かないこと。しなければならないことは切断すること。だから火燐は怯えず退かず斬りに行く】

「――――ッ!!」

【文字に表せない雄叫びが会場を震わせ、剣閃は加速していく。幾度も幾度も、紅の刃を異なる紅で染め上げんと】
【浅く幾度も斬撃が入り込むが、その総てが深手になる事は無く。決定打に繋げるにはまだ一歩届かない】
【速度は強みだが、火燐は重い一撃を放つ前には溜めを入れる必要が有るという弱点が有る。このまま押し続けても互いに消耗戦となるだけ】
【この状況の膠着は良くない。火燐がそう思ったのと、相手が距離を取ろうとしたのは丁度同じタイミングか】

「……ッハ!」

【斬撃の群れを生成するなか、唐突に眼前に出現したその紅の球体に向けて、女は迷うこと無く紅の一閃を放ちに行く】
【爆風に対して、妖気を纏った斬撃を迷いなく放つことで、僅かにめくらましの減衰には成功】
【しかしながら、目をつぶるのは間に合わず、左目は閃光に焼かれ――数分の間はまともに物を見ることは出来ない状態になる】

(――咄嗟に右目は守ったが……、暫くは左は怪しいな……!)

【距離を取る相手の動作を開いていく右目で観測すると、女は地面を蹴った】
【この不利となった状態でも頑なに前進を繰り返すのは、単純明確な理由である――近づいたほうが不利でないから】
【片目が見えない状態で警戒して距離を取るのと、同じ状態で距離を詰めるのは普通前者のほうが上策に見える】
【しかしながら、相手は魔法使いで此方は剣士。そも間合いが違う上に、近距離で強い己と、遠距離で強い魔術師だ】
【ならば不利を背負っていたとしても、己の得意な土俵に持ち込み続ける事が、最適であるし、己の刃を確実に届かせる策だと判断】

「届けェッ!!」

【両手が風切り音を響かせながら――、両手の小太刀を相手の足元へと投擲】
【牽制の一撃であるが、それに気を取られている隙に、火燐はまた全力の加速で相手の懐に潜り込もうとする】
【怒涛の攻め。しかし、決定打となる秘奥の剣技――重い一撃を放つには、どこかで溜めが必要となる】
【このままでは攻めあぐねる。互いに大火力を、攻め手を欠いたまま――戦いは続いていく】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/06(日) 23:01:55.92 ID:Ap/dFf8no
>>51 >>56

スウェン:佳乃の刺突が空を切り、急に消えた彼の姿を必死に探しております!その彼女の表情にも厳しいものが見えてますね……!
瑛月:気になるのはバニセイド選手の立ち回り……! あのサイズのまま行く場合、威力はあるかどうかが疑問です……!
瑛月:そしてあのサイズ相手に佳乃選手はどうするのかも注目ですね……こんな対決、もう見られませんよ

スウェン:おっとォ!? 佳乃が何かを投擲したがそういう事も出来ますこの選手! だがこのサイズの相手に命中は厳し―――
瑛月:いや、コレは唯の棒手裏剣じゃない―――初戦に見せた小規模爆発です……!!
瑛月:これならサイズは関係ない、いい選択肢です……!薙刀だけではない、様々な攻撃手段を持っている―――其れが彼女の強みの1つです……!!

スウェン:ああっと……!!爆風が周りを包み―――本来のサイズのバニセイドが現れましたッ!!
瑛月:どうやら爆発を食らったようですね……佳乃選手が良い選択肢を選んだことで相手の流れになりかけの所を止めました……!
瑛月:こうなると苦しいのはバニセイド選手です。武器はない、小人化も爆発で対処される―――相当な不利だと思いますが

スウェン:それでもまだ何かやってくれる……そう思わせる不気味な何かを抱いているぞバニセイドッ! さてこの後はどちらが仕掛けるのかァッ?
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/06(日) 23:04:52.43 ID:lGloohijo
>>53

……うるさいわね!な、何とかするわよ!

【“偽物”が消えれば体を捻って体勢を整えようとするも、やはり間に合いそうになく】
【そのまま現れた水へと落ちていき着地、いや、この場合は着水か】

くっ―――何余計な事してんのよ……!これくらい自分で何とでもできたわよ!
……って言うか!あんたがあんなに加速するから……いいえ、あの時作戦通りに舞台から落ちてたら……!

【素早く地上に移り立ち上がれば、口をついて出てくる言葉に感謝のものなどなく】
【寧ろ悪態をつくようなものばかり次々に発せられる有様で】

ああもう!あのマギタイト欲しかったのに……!
第一、私に能力があればあんたなんかに…………はあ……もういいわ、適当なの買えばいい話だし。

【散々喚いて気が済めば、突然大人しくなって入退場口に向かい歩き始める】
【しかしその途中、一度だけ振り返ると】

まあせいぜい頑張りなさい、負けたら笑ってあげるわ

【笑いながらそう言って、その場を後にするのであった】

【Battle1-2 勝者―――玉藻狂死郎】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/06(日) 23:08:11.74 ID:HuxhoyXxo
>>57

(……おいおい、嘘だろ……?)

【相手にダメージを与えるだけの威力はないものの、怯ませるだけならばこの「Surprise Bomb」は有用といえる】
【だが、彼女は防いでみせた。どうやら片目だけ防いだらしいのだが、それでも片目が開いていれば見ることは可能だろう】
【その笑みを崩さないまでも、その頬には汗が伝っていく。これでは、チャージは容易く出来ないだろう】

【そう。この男、彼女と同じように大火力を使うのには溜めが必要なのだ。数秒で貯まれば、こんなに楽な事は無いのに】

「…………ッ! くそっ!!」

【ライラが軽くぼやいている内にも、戦闘は進んでいく。彼女が取る行動は―――またも接近】
【だが、違うのはその手に持った刀を……投擲。気を取られたライラ。更にその刀さえも、満足に避けられない】
【足を浅く切って、目にするのは彼女の全力の加速。……魔法で迎撃するにしても、パワー不足だ。このままでは膠着状態になってしまう】

【ならば……と、彼が翳したのは大きく開いた左手。またもや何か魔法か。―――いや、違う】

【それは囮。本命は―――左手に目線を奪われた隙に放とうと後ろに振りかぶった、長い杖!】


「――――――おらあぁァァァァああァァァァァぁっ!!」


【幸いなのは、彼女が自分から突っ込んできてくれるということか】
【この杖、長い見た目は伊達ではなくあまり軽くはない。それはつまり、全力で相手へと殴り掛かれば相応のダメージは見込めるということ】
【そして後ろへと振りかぶった後、躊躇いもなく右から左へと杖を薙いだライラ。ヒットするにしろしないにしろ、その後には結構な隙が残る】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2013/10/06(日) 23:14:10.47 ID:/8nWrbND0
>>54

グ……ッ…………

【金の柱を切り裂き、ゴールドマンに届いた銀狼の渾身の一撃】
【それは、彼のプロテクターを割り、内側のボディに大きな亀裂を与えた】
【そして彼はその傷を自分で確認すれば、ゆっくりと歩き始めた】
【向かった先、それは石畳のフィールドの外】

【フィールドの外の地面を踏み、すぐそこに居た審判であろう男に】

フィールドの外に出た…………俺の負けだ

【そう伝えれば、そこから銀狼に向かって声を掛けた】

これ以上戦えば、恐らく俺は良くて重体
いや、負けるのは俺だっただろう、降参宣言するのはどうも嫌だからな……これで、お前の勝ちだ

【フィールド外に置いていた帽子とポンチョを拾い、出口へと歩き出す】
【そしてゴールドマンは去り際に】

素晴らしいナイスファイトであった、次の試合も幸運を祈っておこう
縁があるならばまた何時か会おうではないか……!
フハ!フハハハハハ………

【出口からは、独特な高笑いが響いていた】

/お相手、有り難うございましたー!
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/06(日) 23:14:34.19 ID:0rijxUgNo

【―――此処の夜は、どうにも騒がしい。】

【金属と金属が擦れ合う甲高い音や、鉄屑が踏み潰される破砕音が、常に鼓膜を付き纏う。】

【いつでも何かが造られていて、いつでも何かが壊されている。そんな場所だった。】


【GIFT―――能力者による能力者のための、能力者だけの世界を生み出すことを目的とする巨大組織。】
【その下部機関のひとつ、"GIFT Lab"―――『G.I.N』という仮の名を名乗る、研究部の本社が存在するビルの一角。】
【この近辺で夜空に最も近いであろう、高層建築物の最上階、つまりは屋上であるが―――其処に、女はいた。】
【重油や煙で薄汚れた白衣を秋の夜風にたなびかせ、肩先まで伸びた美しいピンク色のロングヘアを月光に輝かせながら】
【彼女―――研究員であり能力者でもある正体不明の"Lab メンバー"である"サイファー"は】
【疲れた表情で片手に持った煙草の灰をぽんぽん、と手摺りに弾かせて宙へと放った。】

―――…いつにも増して、騒がしい夜だな。
ただでさえ此処は兵器工場を内包していて賭博場並にガヤガヤしているというのに
どこぞのアホ共が『天下一』などという間抜けなお遊戯会を開いているお陰で―――…まったく、五月蝿くて敵わんよ。

連日ニュースで取り上げては頭の中にスポンジしか詰まっていないだろう民間人を焚き付けて
『一番はアイツだ』『いやいやアイツだ』等と無意味な言葉を交し合う―――おお、想像するだけで寒気が酷いな。

いっそのこと、手薄になってるだろうUTやらSCARLETやらを今のうちに叩きのめすか。
いや、UTの方は今回あの気に入らん金髪の淫売が出場していなかったな、出ていれば良いものを。
ま―――精精騒ぐが良いさ、次期に……消え入る世界だ。

【―――ふぅ、と長く息を吐き出せば、灰色の煙が優しげな風に流れていく。】
【一人、クシャクシャになった新聞とその中に記された記事―――『武道会遂に開幕!次なる優勝者は誰の手に―――!』に対し】
【ぶつぶつと小言を並べ立てながら、銀縁の眼鏡を一旦取り外し、新鮮な空気を燻らせて夜空を見上げる】
【『まったく、くだらない』と―――もう一度毒づいて、彼女は新聞紙を屋上から投げ捨てた。】

/予約です!
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/06(日) 23:17:53.49 ID:TYS+1bQno
>>59

ハハハ……そいつは失敬だったね。

【“勝敗”が決まった後、狂死郎はジェット噴射を続けながらゆっくりと高度を落とし、着地する】
【そして“偽物”の狂死郎の落下地点、トレードマークのカンカン帽の下へと一目散に駆け出し、すぐさま頭に被せた】
【それから少女に向かって(苦笑を浮かべながら)皮肉交じりの謝罪をする】

マギタイト……?ああ、君が狙っていた賞品はそれか。あれも良い物だけどね。
僕が狙っているのは銀靭鉱、次点で酔いどれ神の瓢箪かな〜って。

【質問されてもいないのに、自分の狙っている賞品をべらべらと話し始めた狂死郎】
【銀靭鉱はともかく、瓢箪を狙うのは少し珍しいだろうか】

――――ああ、君に言われずとも頑張るさ。
出来れば笑われずに済みたいものだけどね……

【やがて去り行く少女に背を向けて、反対側の入退場口へと足を進める】
【新たな決意を胸に、勝者はその場を後にした】

/お疲れ様でした!!そしてありがとうございました!!
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/06(日) 23:18:55.81 ID:wIX3vcv6o
>>60
【加速、加速。有利な距離での戦いに持ち込むために、一歩でも速くたどり着くために】
【一歩目より二歩を速く、二歩より三歩を速く。先へ、先へと――ただ前だけを見て、鬼の女は駆け抜ける】
【相手の反応から、この選択は間違っていなかった事を判断】

「――――ッ!!」

【紅蓮の紋様が両腕に集中していき、拳が蜃気楼を纏い始める】
【完全に肉薄してからの、徹底してのインファイト。杖のリーチはたしかに脅威ではあるが、長物の弱点は懐に入られること】
【また閃光でめくらましをされるかもしれないが、それに対する対処はすでに火燐の頭のなかで決まっていた】

【眼前に突出される左手。しかし、もはや取る行動が決まっている以上、それに対処する事も反応することもない】
【選択する行動は前進。それ以外には存在しない。地面を強く蹴り――それが、ギリギリで功を奏したのだろう】

【衝撃音。頭蓋が軋み、皮膚が裂けて血が飛び散る――脳が揺れる、激痛が神経を駆け抜ける、痛打、痛撃】
【確実に頭蓋に罅が入ったであろう一撃だが、土壇場で加速した事によって、会心のヒットは避けることが出来た】
【意識を刈り取られるギリギリ。視界がちかりちかりと点滅し、思考が朦朧とするが――それでも、決めた行動だけは忘れない】

「は、はは……ッ」

【小柄な躰を活かしての、低空のタックル。足元を刈り取るように火燐は最後の踏み込み】
【地面へと相手を引きずり倒そうとし、それがもし成功すれば、相手の躰に跳びかかり、馬乗りになる事だろう】
【そう。火燐はここで選択肢を変えた。大きな一撃ではなく、確実に一撃を重ねていくスタイル】
【距離を取られるならば押し倒してそのまま殴り続ければ好い。だが、もし拳が振るわれるとしても、片目しか見えぬ状態での打撃は距離感が掴みづらい】
【練度は高いが、十全の実力を発揮できぬ打撃は、一撃一撃のダメージは大したことは無く、唯一の問題点はそれが絶え間なく続くという点だけだろう】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/06(日) 23:19:03.91 ID:4Sdbpfwgo
>>55
「それは……また、何かの皮肉か?」
【男の言葉の真意は掴めない】
【ただ、少女が持つ相手への印象は悪く、何を言われても馬鹿にされているように、文句を言われているように感じられてしまう】

「掘り返すって、それはお前が……。
 いいや、そういことなら……分かった、もういい」
【出会った頃に見せていた怒りなど、初めからなかった……】
【まるで、スイッチでも切り替えたかのようにそんな態度をとる男に、少女はやり難そうな顔をして、短い吐息を漏らす】

「自分が楽しめるならば、どんな勝手をしても良い……それは、認められないだろ」
【少女の表情からは、いつの間にか怒りやイラつきというものは削げ落ちている】
【――許したのではなく、次々と切り替わるような男の態度や言葉に、怒ることすら疲れただけなのだが……】
「うむ……認められない、私は認めない」

「それは、もちろん目標はあるが……突然どうした?」
【男の言葉に、少女は黙って耳を貸す】
【口調は変わらずとも、その内容には今までと違うものが――真実はともかく――含まれていると、少女は感じ取った】

「言っていることは、もっともだ……お前みたいなやつに言われてしまうとはな」
【男の言わんとすることに、少女は素直に頷く。 あまり、嬉しそうではないが】
「もっともだが……お前は口が悪い。 そんな顔でそんな調子では、慰めているのか馬鹿にしているのも判別ができん」
【そっぽを向いて、「お前みたいなのが、人を慰めるわけがないか……」と、小声で呟いた】

「悪いことだとは思わない、素敵な事……なのではないか?
 訪ねれても、それは私には出来ない生き方だ。 だから、答えることは出来ない。
 何にも縛られない。 そんなことが、本当にできるとは思わないよ」
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/06(日) 23:22:22.91 ID:JC4U7klao
>>56

くっ…………!

【この至近距離でのリスクの高い起爆は、確かに普段の佳乃ならば採らない選択だ】
【それを採らせたのは、予期しない出来事に対する混乱だったのだろう。その浅慮の代償は当然、佳乃にも被害をもたらして】
【地面に突き刺しての起爆だったが故、ちょうど回し蹴りを食らった足に更なるダメージが蓄積される】
【しかしどんな経緯であれ、相手にもダメージを与えられたのは事実。まだ――――十分に闘える】

将来の夢…………?
…………まったく大人っていうのは、そればかり聞きたがるのね…………。
まあ、いいわ。

【小人化を終えて元のサイズに戻った大人≠ニ、佳乃は向かい合う】
【会話で敵の気を逸らして、決定的なチャンスを掴み取る。それはまさしく、一回戦で佳乃を勝利に導いた戦法だ】
【だからこそ、薙刀を油断なく構えたまま息を整え、気を研ぎ澄ます。決して油断しないように】
【…………それでも馬鹿正直に言葉を返してしまうのは、幸徳井佳乃という少女だからこその選択なのかもしれなかった】

私の夢なんて、生まれたときから決まっているわ…………。
誰よりも、何よりも強い大人になって――――戦えない人たちを、この手で守る。
…………それだけよ。

【神の力を操る能力を代々受け継ぐ、幸徳井家の跡継ぎとして生まれた佳乃の――――それは当然にして絶対の願い】
【戦える人間が、戦えない者を守る。それこそが力を持つ者の責務だと、佳乃は教わって生きてきた】
【自分が選ばれた¢、の人間だという前提の上に成り立つそれは、周囲から見れば傲慢ともとれる夢だ】
【しかし――――それを絶対と信じて疑わない、決して自分を見失わない自信こそが、幸徳井佳乃を支える何よりの剣だった】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/06(日) 23:39:22.55 ID:A0iZquP9o
>>61

【視線の先――ゴールドマンは身に傷を負い、しかし尚立って、歩いていた】
【『やはり慣れないことなどするものではない』とボヤこうか、そう銀狼が思った時】

お主……、…ふっ、馬鹿を言え。歩ける身で重体などと
それを言えば儂とて同様……いや、更に立場は悪かろうと言うものよ
腕が使えず能力も使い果たした今、正直言って立ち上がるのも辛いほどだ

……だが、そう云うのなら。勝ちを譲ると言うのなら、素直に受け取ろうではないか
もう言い直しても返してやらぬぞ?それに、お主の祈りも頂いてしまったしのう……

【舞台を自ら降りるゴールドマンにそんな声をかけつつ、ぽすん、と力が抜けたように座り込み】
【右腕を左手で庇いながらも、素直に彼の譲り渡したものを受け入れ、受け取り】
【やがて彼が立ち去っても尚銀狼はその場を動かず――もとい動けず】

(ゴールドマン、か……何かと不思議な男ではあったが、なんとも爽やかな風のような奴)
(名に恥じぬ金色の精神の持ち主、とでも言ったところか。まあ、もしそれを言うても)

……ふふっ、また何時か、か。儂の方からは、『是非に』と返しておこうかのう…、……―――。

【そんな事を口にしながら、元の銀色に姿を戻し、ふぅ、と舞台に横たわった】
【トーナメント初戦・第六試合――勝者、辛うじて長尾銀狼―――。】

/ありがとうございました〜!
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/06(日) 23:45:49.07 ID:HuxhoyXxo
>>64

【これも、クリーンヒットとは行かない。彼女の加速はやはり、ライラの理解を遙かに超えている】
【というより、彼女のその性格が見えてくる。多分彼女は、真っ直ぐな気持ちを常に持ち続けているのだろう】
【だからこそ途中で攻撃の針路を変えること無く、まっすぐ、最高の加速を持って相手へと接近することが出来る……そうライラは考えた】

【さて、杖での打撃で最大ダメージを与えられなかった今、ライラはスキだらけの状態になる】
【加速がウリの彼女にそんな攻撃を持ち込むことはあまり得策とはいえないだろうが……兎も角、ライラはそういった事しか出来なかったのだ】
【だから、ベストの選択を出来なかったライラにはその報いが襲い掛かる。魔術師にとっては、致命的とも言えるそれを】


「……!! グゥっ!! 離しやがれッ!!」


【杖の打撃があるにしろ、魔法使いであるライラの本分は遠距離からの魔術である】
【なので、こうも綺麗にマウントを取られてしまった今、ライラに出来る事といえば相手から離れようとジタバタもがく事のみ】
【……しかし、まあ当然というか。練度を伴った彼女のそれと拳はどうしたって避けることは出来ない。一撃、二撃と確実に当てられていく】

【ヤバイ。このままジワジワと体力を削られていけば、負けるのは自分だ―――思うライラの瞳。だが、殴られながらもその闘志は消えていなかった】


「  M  2  ! !  I m p a c t  ! ! ! 」


【唐突に発した言葉。彼女がマウントをとっているために見えないが、ライラのブレスレット、白いそれが2段階発光し、同じように減光した】
【するとどうなるか。彼女とライラのちょうど中間から唐突に白い球体が現れ、瞬時に―――単純なインパクトの波となって破裂する】
【それは彼女には勿論、ライラにも伝わってくる。身体の広範囲を殴られたような感覚。彼女もその波に当たれば、同じような感覚を覚えることになる】
【威力は強烈という程でもないが、ダメージを与えるのには十分。彼女が一瞬でも怯めば……ライラはその隙を突いて馬乗りから逃げ出すだろう】

【まだ終われない。瞳がそう主張する】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2013/10/06(日) 23:46:46.81 ID:S09O9QGRo
>>66

【バニセイドを吹き飛ばした爆発は、やはり近距離にいた佳乃自身にも多少のダメージを与えたようだ】
【だが当然被害はこちらの方が上―――爆風に曝されて負った火傷、地面に打ち付けられた全身が痛む】

聞きたがりもするさ。子供を立派に育て、導くのが大人の役目だからな

【相手にとっては攻撃のチャンスだが、佳乃はバニセイドの問いかけにわざわざ応じた】
【距離を詰めないのは、得体のしれないバニセイドの能力を警戒してのことだろうが――】

はは、人々を守る、か。素晴らしい夢―――美しい目標だ
だが、生まれたときから決まっているなんて、自分で自分の道を狭めてるんじゃねえのか?
夢なんて出会った人や経験した事でころころ変わっていいもんだと俺は思うけどな

【余計なお世話とはまさにこのことだろう】
【人の夢を聞いておきながら、それに疑問を投げかけるような物言い】

おっと、戦いの最中なのについつい説教くさい話にしちまった
すまん、俺の悪い癖だ
ふう……

【呼吸を整え、右手の指先を離れた位置にある銃に向ければ】
【“見えない糸”を手繰り寄せるかのような動きで指を動かす】
【すると、装着されていたナイフが銃身から外れ―――】
【引っ張られるように、空中を移動し――バニセイドの右手に収まった】

良く考えたら、さっきから攻められてばっかりだったな
今度はこっちから行かせてもらうっ!!

【言い終ると同時に駆け出し―――ナイフを構え、駆け出す】
【しかし、ただの突撃ではない】

うおおおぉお!

【少女には出せない野太い声を張り上げながら佳乃の近くまで到達すれば、直前で急停止し突如ナイフを佳乃に投擲する】
【狙いは右肩。直撃すれば右腕は使用不可能になる可能性が高い】
【攻撃が成功しようと失敗しようと、ナイフを手放すことになるが】
【“能力”もあるため―――油断はできないだろう】
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/06(日) 23:48:32.26 ID:Pm0M2p0do
>>65

クックック、ハァーハハハハ…

【少女の言い分に男はついに吹き出したかのように笑う】

認められない、認めないねぇ、あぁそうだろうよ。世間一般からみても、いや世界常識でみても認めらないだろうよ

【笑いを小さくこぼしながら男は言う】

だがよ、俺はは誰かに認められて生きているわけじゃねぇんだよ。共感なんてハナっから求めてねぇし分かってもらいたいとも思わねぇ

【一息つき男は笑いを納める】

顔と口は生まれつきだ、今更どうにかなることじゃねぇしどうにかしようとも思わねぇよ

それによ俺にはてめえは選んで縛らてるように感じるぜ

【男は少女の問い掛けにに答えるよう口を開く】

てめえはてめえで選んでここに居て今もてめえの意思でここに居るんだろ?
やろうと思えば何時だって生きられる、だけど自らの意思で縛られている、俺にはそう見えるぜ

【男はいつものようにニヤつきながら少女を見つめる】
【まるで少女がどのような決断をするか楽しみにしているかのように】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/06(日) 23:51:54.46 ID:Ap/dFf8no
>>66 >>69

スウェン:瑛月さん、ここまでの展開を振り返ってどうでしょうか!?
瑛月:そうですね……状況の有利は佳乃選手ですが、我々に強烈なインパクトを与えたのは間違いなくバニセイド選手でしたね
瑛月:正直予想していた展開とは全く違うモノになりました……ここからどうなるか―――は僕にも分かりません
瑛月:未だにバニセイド選手が何をするかが見えてこないのは、佳乃選手から見ればかなりいやらしいでしょうね……
瑛月:佳乃選手は若いですので、バニセイド選手の撹乱で崩れる可能性もありますし……

スウェン:確かに状況の有利は佳乃選手。光による遠距離、棒手裏剣による爆発、そして薙刀による近距離戦……かなり万能です!
瑛月:―――確かに。恵まれた能力に優れた身体能力……光る才能を感じます。体捌きも中々ですが、まだ近距離の方が攻めやすいと思いますね
瑛月:……ああ、バニセイド選手から見て、です。というか自分は体捌きには五月蝿いので……
瑛月:後ですね、自分が彼女を一番評価している部分は―――瞳ですね。力強く、自信に溢れた瞳です。
瑛月:ですがコレが過信となると一気にだめになる。武術に一番大事なのは謙虚さです。
瑛月:その気持ちを失えばどれだけ力があっても二流止まりだと思いますのでそうはなってほしくない……ですね

スウェン:一方ここまでで我々を驚愕させているバニセイド選手については?
瑛月:バニセイド選手……はなんというか、ひょうひょうとした部分がここからでは感じられるというかですね……
瑛月:先程も言いましたが、強いというよりやりにくいという表現が似合う選手ですね。……自分が一番相手にしたくないタイプです
瑛月:コレ以上は……まだ隠された部分が多くて、何とも。経験では彼の方が格上だと思うので老獪なファイトを見せて欲しいですね
スウェン:なるほど、あと瑛月さ―――っとお!? 膠着していた場が動いて―――……!! ナイフが……銃身から外れて浮いたッッ!?

瑛月:……エスパーなんでしょうか、それともギミック……? と、とにかくコレで武器が手に入りました
スウェン:そのまま駆け出し―――いや、途中で投擲ッッ!! やっとの思いで掴んだ武器をすぐに放つ! これも意表をつく動きだッッ!!
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/07(月) 00:02:08.96 ID:MtT0LXYGo
>>62

【日曜の夜。普通ならば休日出勤していてもこの時ばかりは一時帰宅する、休憩をとる】
【などなど明日からの平日に向かって準備をすることが普通だろう。しかし、ここにはそんな常識はない】
【研究しては失敗し改良し出来上がれば次を移る…研究者というものはこうも走り続けるものなのか】

【そんな不夜城のビルの中。この人物はエレベータを使わずに階段を登りながらそんな事を考えていた】
【私にはそんな考えはない。休日は欲しい。規則的な生活が望ましい。それは研究部ではなく経理部だからだろうか…】

【夜遅くにその男は帰社する。研究部に事前に挙げられていた資金計画書を受け取ったり、資金についての会議の結果を伝えたり】
【奇想天外な発想に青天丼の開発費を計上する研究部に会社として遠回しに釘を差さなくてはならなかった】
【特に突飛な計画の責任者を研究員に尋ねる。屋上に居ると言われる。また、階段を登る。…健康のためだ――――】

【―――ガチャンと屋上のドアは開かれ、まるで対照的な人物が2人屋上にいることとなった】

【その男はブラウンの髪に整髪料を撫で付け、性格を表すようにオールバックでしっかりと固めている】
【青い瞳に角ばった鷲鼻、痩せた白い肌に堀の深い顔立ちはもう一段固く、冷徹な印象を与える】
【おまけにその顔に微笑をもっと薄めた極微笑を常に浮かべているものだから狡猾さとインテリな感じが生じている】
【グレーのビジネススーツを着ていて、その上に茶のトレンチコート。ネクタイは印象の良い爽やかなブルーで】
【その結び目の上に銀色で縁取りした金属製の黒い十字のペンダントのようなものをぶら下げている】
【それと上着の襟には――『G.I.N』というバッジがその身の所属を表していた】

失礼……研究部の方でしょうかな?…いや、こういった質問は流石に思慮が足りなかった…
その、使い込まれた白衣とこのご時世に女性で喫煙なさる方は…我が社には研究部の人間だけでしょうから

【革のカバンを右手に持って、薄ら笑いでカツカツと。革靴を鳴らしながら歩み寄ってくる】

総務部にて資金調達の方担当させていただいております…アイケ・シュタウフェンベルクと申します。
色々ありまして、…担当が変わりまして。…今後、私がこちらの方に何かとご厄介になるかと…。

【冷徹な笑みを浮かべて。頭を下げ挨拶をする】
【右手に持っていた、ホチキスでとめられた書類を差し出す】

この間上の方に上げて頂いた研究資金についての書類です。こちらが…G.I.Nの
そしてこちらが…『GIFT』からの報告書ですので…ご一読を

ああ……そうそう、あと…これも、貴女の『落し物』ではないか…と

【そう言いつつ、カバンの中から取り出された。先ほどのクシャクシャの新聞紙】

…秋風は何時と無く、冬の凍てついた空気と違い不躾なものです
私も”つい”…書類が飛ばされてしまうことも多い季節…

【丁寧に、拾ったハンカチーフを渡すように、にこやかに差し出している】
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/07(月) 00:02:55.10 ID:XF4EPoMio
>>68
>>68
「断るッ! だってお前避けるだろうッ!?」

【マウントを取ったまま、只管に我武者羅に――拳を振り下ろし続ける。何度も何度も、飽きること無く】
【肉を殴る音と、距離をつかみそこねて地面を殴って自分の肉が裂ける音と、骨が軋む音】
【側頭部に打撲。全身には浅いとはいえど風の刃によるダメージ。左目は戻りつつ有るもののまだ視力は十全ではない】
【それでも今できる一番の事をやり続けることが勝利への一番の近道であると火燐は信じて、真っ直ぐに拳を振り下ろし続けていた】

【拳を振り下ろした回数は何度目か。拳は自分と相手の血で赤く染まっている】
【あまりにも泥臭く、あまりにも醜い戦い。だがしかし――そんなものだ。華麗な戦いなど創作の中でしかあり得ない】
【優雅な白鳥が水面下では必死に足を動かしているように。勝利という華々しい結果の裏には、泥臭い物が確かに息づいている】
【だが――観客たちの反応は、華麗ではない、インファイトでの殴り合いという地味な構図であっても盛り上がりを見せていた】

【双方に惜しみない声援が投げかけられる。声援から力を貰ったのか、火燐の拳にひときわ強い力が篭もる】
【雄叫びを上げて拳を振り下ろそうとした瞬間、相手が白い球体を召喚し――爆発】
【衝撃が全身を突き抜け、5m程宙を吹き飛び地面に叩きつけられる火燐】

「ぐ……ッご……っは……!」

【――それでも、既の所で受け身をとれたのは、偏に罅積み重ねてきた鍛錬と獣じみた本能のなせる技】
【咳き込みふらつきながら、花城火燐は立ち上がる。足が震えていたが――足を一端地面に叩きつけて強制的に黙らせる】
【血の滴る前髪越しに見える瞳は、爛々と輝き。口元は横に大きく裂けて犬歯をむき出しにした猛獣のそれ】
【しかしながら、ようやく視界の自由を取り戻した火燐は、猛獣であっても盲獣ではない。そして、今しかないと火燐は理解する】

「――――有るんだろう。君にも、とっておきが。
往くぞ――――来い、恋い焦がれさせる様な熱い一撃を――頼む…………!」

【赤い女は、笑う、笑う。そして、望む。決戦を、血戦を。己の全力を掛けての衝突を】
【相手にとっておきを望む以上、火燐もまた本気のとっておきを持って当るという事】
【目を細めて女は右手を前に翳し――手に火柱を握りしめた】【火柱は収束する】【収束して生まれたのは一振りの大太刀】
【長尺のそれを見れば即座に理解できるはずだ。この刀は――一撃≠フためだけに生まれてきたものだということが】
【あまりにも高密度の力は、恐らく一度の力の開放で崩壊してしまうほど不安定なもの。そしてその長尺は放った後に致命的とも言える隙を産む】
【そんな代物を生み出した女は、両手でその刀を握りしめ――――大上段で構えを取った】

【上半身を蠢く炎の紋様が駆け抜けていき、手を介して刀へと紋が写り込み――刀の表面を這いまわる】
【人馬一体ならぬ人刃一体の様を体現するその有り様は、人や妖怪という種族差は関係なく――単純に鍛錬と実戦を重ね続けなければ至れなかった境地】
【目を細め、大きくスキだらけの構えをとり――その隙と引き換えに、大きな溜めを、必殺への足がかりを手に入れる】

【此処から先は――、真っ向勝負。火燐は真っ向から、自分の一番で相手に挑むつもりだった】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/07(月) 00:12:52.61 ID:6V52KbBqo
>>69

いきなり人の夢を聞いてきて、その上説教までされるとはね…………。
でもまあ…………もし、それ以外に私の夢があるとするなら。

私は、他人と――――。そう、もっと――――、

【年上相手に不機嫌そうな顔を隠そうともしない、生意気な物言い】
【それでもバニセイドの言葉に、何か思うところがあったのだろうか。佳乃はしばし、考えて】
【普段なら絶対に口にすらしない、強くなることなんかよりもずっとささやかな夢を、少しだけ漏らして――――】


ふん…………上等よ。
掛かってきなさい、バニセイド――――!

【相手が大人≠ゥら対戦相手≠ヨと切り替わったその瞬間、佳乃もまた言葉を切り、戦闘体勢に移行する】
【ナイフを引き寄せた新たな能力に対して、何ら思索を巡らす暇もなく、相手は獣のように吼えて突撃してきて】
【佳乃はまたも正面衝突かと薙刀を構えるが…………急停止から投擲への切り替えは、予想できなかった】

――――ッ!!

【ガキン、という甲高い音と、小さな擦過音――――】
【佳乃がかろうじてナイフに薙刀を合わせ、結果軌道の変わったナイフは右肩を掠めて、切り傷を残していく】
【投げられるナイフを見てからでも弾ける、強力な反射神経=Bそれもまた、彼女の武器なのかもしれない】

【ただ、この時の佳乃の様子に注意していたなら、不自然なものを感じるかもしれない】
【ナイフは見事弾いたのに、表情を見ると完全に予想外という顔をしたままという妙なギャップが、そこにはある】
【反射≠ニいう行動に、思考が追いついていないような――――それは、そんな風情で】


白刃龍紋流・壱の太刀――――『一矢』!

【その直後、佳乃も攻勢に転ずるだろう】
【大きく真横に振られた薙刀から放たれるは、横一メートル程の神気≠フ刃――――】
【あちらから突進し、ある程度近づいたこの距離であれば、高速で飛ぶそれはすぐにバニセイドへと届くだろうか】
【狙いは両の太腿、直撃すれば薙刀で切りつけられたのと同程度のダメージを負うだろう】

【――――さて、佳乃の扱う神気≠ノは、斬撃によるダメージに加え、相手によって二種類の追加効果を齎す性質を持ち】
【妖怪や悪魔、ゾンビや吸血鬼などの妖魔に対しては浄化=A人間のような普通の生物には治癒≠フ効果が発動する】
【浄化≠フ場合、斬撃による怪我に加え、激痛を伴う『火傷のような追加ダメージ』がその部位を襲い】
【治癒≠フ場合、斬撃による怪我の程度自体は変わらないが、その怪我による痛みが戦闘終了まで幾分か軽減される】
【またアンドロイド等の無機物であるならば、これらの効果はどちらも発揮されず終わるだろう】
【どちらが発動するか、もしくはどちらも発動しないかは、バニセイドの出自次第といったところか】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/07(月) 00:22:10.09 ID:QVTH+zM9o
>>70
「だが……お前が求めていなくても、評価は勝手に付きまとう。 
 余りにも協調性を欠くようでは……不便もあるだろう?
 それが今時、本気で一人で生きていける訳もないだろう」
【笑いを収めた男へと、真剣な眼差しを差し向ける】
「好き勝手に、自由に……それだけで、本当にやっていけるのか?」

「それでもせめて、顔ぐらい日の下に出せばどうだ? 
 それだけでも印象は大きく変わるだろう。 それとも、人に見られて困るような顔をしているのか?」
【少女の推測に過ぎないことだが――人に顔を見られて困る、つまり賞金首の類――】
【そういうものではないと、勝手に考えているらしい】

「顔はともかく、口は生まれてから学んだものだろう? いつでも学びなおしができるだろ……
 言っても無駄だろうが……そもそもは、お前のことなどどうでも良いのだ。なんで私がこんな事を考えているんだ……」


「やろうと思えば、か――そうなのかもしれない……いや、やればできるのだろう。
 ……だが、私にそれが出来るとは思わない。 事実はどうであれ……その選択は有り得ないことだ」
【意味もなく、気分を落ち着けるために、辺りを歩き回る。 途中、思い出したかのように、ジャージのジッパーを閉じた】

「確かに私は此処にいる。 ……けれど、この選択は誰かの願いや何かの意志に導かれたものだ。
 お前にとっては、それも自分の意志なのだろうが、私にはとっては違うものだ。 選択は、私の意志によるものじゃない」
【男の方へと、少女は身体を曲げる。 女性にしては身長の高い少女】
【170にも近いその身長は男の方がいくらか高いが、ほとんど変わりがないだろう】

「選んで縛られている、か? それはどうだろう、考えたことはない。
 だけれど、そうだな……できるか、どうかは除外をして、可能であれば人は、縛られていない方が良いだろう」
【真っ直ぐに男を見つめ返すその少女の表情に、生き方を変えるという選択は残されていない】

「お前みたいな奴に、永遠と付き合っていられん。 もともと用の無い仲だ、私はもう行く
 言っても無駄だと思うが……もしも次に合った時は、もう少し愛想を良くできるようにしておけ」
【捨て台詞の様なものを残して、少女は男に背を向けて町の奥へと歩き出すのであった……】

//すみません、時間なのでこれで失礼します……
//お疲れ様でした、いろいろとすみませんでした
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/07(月) 00:27:12.49 ID:Mov5ZcMXo
>>72

【確かに、この研究部は何時も慌しく仕事が嵩んでおり、ゆっくり休む暇など到底望むべくも無いような場所であった。】
【それもこれも、休暇よりペンを走らせるのが大好きでたまらない一部の狂った研究者や上層部の意向による物なのだが】
【―――今、ここにいるその"女"もまた、狂った連中の一員である事に違いは無く。】
【ガチャリ、と開いたドアの方へはまるで関心が無いかのように振り向く事すらせず、手摺りに体重を預けて目を閉じた。】
【このまま肉体が風になったらどんな気分だろうか、煙のようにボーッと生きていくのは楽しいのだろうかと瞑想し始めたその時】
【ふと、此方に向かってかけられる"声"。屋上へと上って来たどうやら―――口調から鑑みるに総務部の人間か。】
【こんな時間に何の用だ、と訝しげに男の方を見やり、つまらなそうに言葉に応えた。】

―――…良い観察眼だな、ご明察だ。
そう、このご時世に税金を気にせず日に十本以上煙草を吸えるのは資金が潤沢で
それなりの地位を確立している研究員に違いない、その通りだな。
因みにこれも君ら総務部が資金を回してくれてるお陰で成り立っている"贅沢"だ、感謝しているよ?ミスター…シュタウフェンベルク。

【嫌味たらしく煙草はお前達のお陰で楽しめているぞ、と誇張するよう煙を吐きながら―――また同じように、灰をトントン、と夜空へ放り。】
【男の薄気味悪い顔色を見て、まるで爬虫類か何かのようだな、と素朴な感想を持ちつつも】
【醸し出す雰囲気は只の"資金調達"担当者とは思えないような、不気味さがあることを感じ取り。静かに、じっとその様を見つめ。】

しかし"女性で喫煙"というのは引っかかる物言いじゃないか?別に構わないだろう、男でも女でも、やる事は同じだ。
君はアレだろう?女性が一人で牛丼のチェーン店に入っているのを差別の眼で見るタイプだな、良い性格をしてるじゃないか。
まあでも、仕事をきちんとしてくれているのは感心するな、研究資金についての報告なら後でまとめて目を通しておくよ。
それが資料と―――……おや、なんのつもりかな。

【確かに、彼女は先程新聞を"捨てた"筈だった。いや、というよりも放った、というのが正しいか。其れを何故、彼が持っているのか。】
【落し物、という表現もひっかかり。環境保全家か?ゴミのポイ捨てが気に入らなかったのか、色々勘繰りながら】
【矢張り、只者ではないのだと判断し―――ならば、と次の手に打って出るだろう。】

落し物、ね。ありがとう、実は社説を読み忘れていてね、助かったよ。
毒にもクスリにもならない退屈な読み物だが、マスコミの低脳共が何を考えてるのか意向を漁るのは楽しい。
それで―――GIFT上層部は何か言ってきたかい?資金を減らせだなんて言い出したりしないだろうね。
其処のところ、新任とはいえ君には期待しているよ、シュタウヘンベルク君。

【―――新聞を受け取り、あくまで『落し物』として此方も対応をした。勿論、そんなつもりは毛頭、ない。】
【だから彼女は、嫌がらせも込めてこんな事をするだろう、まだ半分以上残っている煙草を再び、手摺りから放って―――捨てた。】
【指で弾き飛ばし、煙を吐き出す。―――果て、今度はどうなるのか。楽しみだ、といわんばかりに、男の瞳を覗きこんだ。】

77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/07(月) 00:31:04.73 ID:7KEvibyVo
>>73

(その通りだが――――――離してくれねーと、俺も十分に攻撃できねーんだよ!)

【と、殴られながらボヤくライラだが彼女の其の拳が止まる気配はない。どうやら、戦闘不能までボコされるようで】
【それを避けたいのは勿論ボコされているライラ本人である。ショートレンジでの戦闘、しかも相手圧倒的有利で負けるのは勘弁被りたいのも有るが】
【その事以上に、こんな地味な構図で負けるのはライラの癪に障るのだった。たとえどんなに声援があろうとも、だ】

【会場の応援で力を貰ったのは彼女だけではない。「Impact」で隙を突くと同時、素早く立ち上がって彼女に視線を向ける】
【「Impact」でダメージを貰ったか、ぶっ飛びながらも受け身を取れたのは彼女の身体能力のおかげか、それとも執念か】
【どちらにせよ、彼女はまだ立っている。そして、その歯をむき出しにした彼女は、本気へとギアチェンジしたのだろう】


「……勿論。無理にも距離取らなきゃ、仲良く共倒れだったからな。勘弁願いたいぜ。

 恋い焦がれさせるような一撃な――――――じゃあお望み通り、熱く焦がしてやるぜ花城 火燐!!」


【彼女と同じように、血を滴らせながらもライラは笑う。全力で来るならば、こちらも全力で迎え撃つまで】
【前方で生み出された大太刀の煌めきに軽く目を細め、考える。あれから生み出される一撃は、正に必殺のものなのだと】
【必殺。ならばコチラも同じこと。試合を……戦闘を決めるレベルの魔法で相手を焼き尽くす。左手を翳した。今度はフェイクではなく、詠唱の準備として】



「  F  3  S  1  ! ! ! !   B l a z e   D r a g o n   S h o o t e r ! ! ! ! 」



【ライラの周りに、火が逆巻き始める。小さいそれは段々と魔力を持って巨大化していき、ライラを中心として巨大な焔の渦を形成していく】
【そして出来たのは、巨大な火炎で形作られた龍。長い身体でとぐろを巻き、彼女へとその目と、開いた大きな口を向けた】

【ライラが人差し指で彼女を示すと同時、巨大な龍は飛び上がりつつ、彼女の斜め上から、身体を喰らわんと襲いかかる】
【勿論、生き物ではない龍に食われることはないだろう。だが、マトモに喰らえばその灼熱の火炎はその身を焦がし】
【更に龍から生み出される熱風は彼女をふっ飛ばすことだろう。……この試合。リングアウトしても負けとなる。経験則とは、つまりこういう事】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2013/10/07(月) 00:50:05.01 ID:cpY1KJTTo
>>74

【突進からのナイフ投擲は、軌道をずらされ直撃はしなかったものの】
【少しの傷と、予想外の攻撃による動揺を与えることができた】

【近距離での投擲に凄まじい反応速度で対応できたのは、生まれ持った才能か、努力故か―――】
【しかし表情を見るに、思考の前に体が反応したように思えるが】
【脊髄反射――脳を介さずに「体が状況判断し」ナイフを裁いたとすれば、その反射神経はあまりに秀逸――だが】

あの技かっ!

【今度は技名を伴った本人の意思による攻撃】
【1回戦の観戦でも見た、「飛ぶ斬撃」だ】
【厄介な技だが、致命傷になるような驚異的威力は伴っていなかった筈であることを咄嗟に思い出し】
【回避行動をとらず、太腿を犠牲にし――反撃する作戦に出る】

【ナイフを引き寄せたときのように、“見えない糸”を手繰り寄せるように右手を動かし】
【佳乃の後方に飛んでいたナイフは、再びバニセイドに向かって空中移動―――つまり、佳乃を背後から襲うことになるが】

……なっ!!

【「神気≠フ刃」がバニセイドの太腿に命中した瞬間―――佳乃は背後から、「カシャン」と、ナイフが石畳の上に落ちる音を耳にするだろう】
【そして、バニセイドの顔を見れば、片膝を地面につき、痛みとは違う苦悶の表情を浮かべているのが解るはずだ】

【佳乃に言った通り、『例外』の怖さを知るバニセイドならば、初見の技ならば警戒し、受けなかった】
【しかし、バニセイドは、観戦により佳乃の技、『一矢』を見ていた。それが仇となった】
【観戦した試合で『一矢』が命中したのは、「無機質」である砂・土のみ。それ故、特殊な効果のない単なる「飛ぶ斬撃」だと誤認していた】

……使えないっ!?……死んだ仲間達の能力がっ!!

【その呟きが、佳乃に聞こえたかは解らないが、バニセイドの能力は霊的な力に依存していたらしく】
【片膝をついた状態で苦し紛れに手刀を放つ――が、神気≠フ影響か、先ほどのように硬質化はせず】
【普通の、生身の攻撃だ】
【簡単に受けることも避けることもできるし、あたったとしても致命傷になることはまずないだろう――】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/07(月) 01:12:45.83 ID:dDzIjZbno
>>74 >>78

スウェン:佳乃がナイフの投擲を弾く―――!! さぁバニセイド、万事休すかぁぁっ!?
瑛月:……彼女は化物かと思いましたよ、今……!
スウェン:―――というと?
瑛月:今明らかに投げるのを見てからの動きでした―――……確かに意表をつくことには成功してたんですよ……!
瑛月:……それでも彼女は弾いてみせた。つまり反射神経が―――あり得ないくらい優れているということです。人の数値とは思えない程速いんでしょうね……
瑛月:あれは努力だけじゃたどり着けない領域ですよ……才能が無いと出来ない。……本当に彼女は恵まれていますね、羨ましいです

スウェン:瑛月さんにこれ程まで言わせる彼女はまさに天才なのかっ!? そして弾いた彼女はすかさず反撃ッッ!!
瑛月:近づかずとも攻撃できるというのはやはり大きいです。スペックでは彼女の方が上……ではないかと思いますね

スウェン:飛ぶ斬撃に対しバニセイド、またもや謎のテクニックでナイフを動かし背後を襲うが―――!?
スウェン:斬撃がバニセイドにヒットォォオオオ!! そしてナイフが落ちたぁぁぁッ!!

瑛月:……何かバニセイド選手に誤算があったのでしょうか、表情が厳しいですね……!!

/そろそろ眠気が来たのでフェードアウトするかもです……最後まで付き合えるように頑張りますが無理そうですね……
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/07(月) 01:22:16.78 ID:MtT0LXYGo
>>76

【皮肉めいた発言無関心のような相手の態度、寧ろ煙草を吸っている感じから】
【またしても第一印象は良くないようだと男は苦笑いを浮かべた】

それはそれは…私は観察するのが仕事ですから。…勿論、普段見ているのは数字ですがね
煙草はお気になさらず、どうぞお好きな様に。貴女が日に10本吸っても、それが元で入院なさっても
退院後に反省してサラダボウルいっぱいのレタスを食べても…私の仕事には影響しない。
雑費が入院費になったり食事代になったりする程度。多少の数字の変動は受け入れますよ。ミス……

【男は人差し指を額に当て、トントンと何度か叩いて眉間にしわを寄せて】

失礼…名前を伺っても?…私の名前は言いづらいでしょう?…まあお好きな様に
貴方でも君でも数字屋でも狡猾でも皮肉屋でもトカゲでも……

【ハッハッハと嫌味のない笑い声。それこそ最も厭味ったらしい感じもする】
【それほど背は高くないが綺麗に伸びた背筋はその体を大きく見せる】
【目は鋭く、話す時は直線に相手の目の中心を射抜く矢のように視線を飛ばす】

おっと、失礼……ちょっとばかし古い人間なもので。そう…5,60年は…
私の故郷では喫煙の文化は男性の嗜みで…まあ女性もする方は致しますが
…私、個人…喫煙はどうも……いえ、私の愚見、偏見であることは間違いありません
発言はお詫びして取り消すことといたしましょう

ああ、それと。…私個人は野菜中心の食事を心がけております故、牛丼なるもの自体…ネガティブな立場に居ります
ただ女性が何処で食事をしようと何をしようとその自由に性別は勿論関係ないと理解はしています

【大人しく取り消していればいいものを一々笑みを浮かべながら指を指揮棒のように振りつつ皮肉を述べていく】

社説についての私の愚見は控えさせていただくとして…。GIFT上層…というより関係者はまあ…好きにやれと。
ただ…G.I.Nから資金流用し適当な理由の書類をこしらえて世間に公表する仕事を行う私からすれば、…喫煙は控えるべきかと。
しかし、GIFTの発展と科学技術の開発のためであれば…私から述べさせていただくことは…何も。

【男は微笑を崩さない。スーツを着てネクタイをしめているのと同じようにスマイルも標準装備のようだ】
【煙草が目の前でフッと飛んで消えていく。勿論、男は見ていた。にこやかに】

痛み入る歓迎ありがとうございます。…前任が別の部署に移ったのがようやく理解出来ました
なるほどなるほど…だから異世界出身の部外者の私をここに…なるほど
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/07(月) 01:23:51.59 ID:jCxINxXqo
>>75

他人の定めたレッテルなんぞ糞食らえだ

それに俺は物心ついた頃から一人で生きてきたし親や家族なんざいるかどうかも知らねぇからなぁ

【男は家族がいないという一般から見れば悲観的な話をさも当然の話のように吐き捨てた】

それに好き勝手やって生きるだけが自由ってことじゃねぇよ。誰かに教わる自由なんて聞いたことねぇしな
てめえはてめえのやりたいことをやりゃ良いんだよ

【男はあいも変わらずニヤつきながら少女に答える】

別に見られて困る顔はしてねぇが生憎顔を出した方が印象は悪化すると思うぜ
それとも何だ?俺の素顔でも気になるってか?ヒャハハハ…

【男は思わず吹き出して笑ってしまった】

【一度笑い終わり息を整える】

今更学校にでも通って学んでこいってか?無理に決まってんだろ?笑わせるなよ
それに俺はこれでいいんだよ、このままでずっとな


分かってねぇなぁ、出来るできないじゃねぇんだよ。結果なんてどうでもいい、選択を選ぶ事が全てなんだよ

【男は辺りを歩き回る少女を目で追う】

まぁそれもてめえが決めた選択だ、俺には関係ない事だがよ

てめえ以外の誰かに導かれたねぇ…
俺も人の面倒ごとに首突っ込むような男じゃねぇがよ
てめえが後悔してねぇならそれで良いと思うぜ

【少女が体を曲げ目線が合う】
【もっとも少女は男の黒いローブの奥の目線が見えているのかは不明だが】

てめえが生き方を変えないって選択したならそれを貫けばいい…俺には関係ない事だからよ

【少女の表情をみて無責任な言葉を吐き出す】

次に会う時ねぇ…次はどうなってやがるかな
さて…行ったか

【男は少女の後ろ姿が見えなくなったのを確認しローブのフードをとる】

全くよぉ、こんなんでどう愛想良くしろってんだ

【暗い緑髪をしており顔は人相が悪く先ほどのようにニヤニヤ笑っている】

それにしても久々に楽しい夜だったぜ
たまにはこういうのも悪くねぇなぁ

【小さく笑いながらフードをかぶり直し少女と逆方向に歩いていく】

//お疲れ様でした、こちらこそすみませんでした
//ありがとうございました、楽しいロールでした
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/07(月) 01:26:34.00 ID:6V52KbBqo
>>78

…………くっ!

【『一矢』は確かに、一回戦で使った技。威力を見極められ、反撃に出るバニセイドの判断に、佳乃は焦燥を覚え】
【先程ナイフを引き寄せた際と同じ動作をバニセイドが行ったのを見て、佳乃の体に反射≠ェ働く】
【白刃龍紋流・零の太刀――――『零露』。神気≠フ身体能力活性化効果により、反射神経を強化する奥義】
【反応速度の増大という効果は、あらゆる状況に即応する万能性を追求した彼女の流派を如実に表していて】
【そして、瞬転。前兆を見た瞬間に動き出す反応≠フ早さによって、佳乃はナイフに対応しようとするが――――】

(これは…………!?)

【薙刀を振り翳した瞬間、ナイフは地面へと落ちる。慌てて振り返るが、遅い】
【思考が追いつかない程の反射神経は、判断を下す前に体を動かしてしまう。それは動かすべきでないときにも、勝手にだ】
【端的に言えば――――フェイントに弱い。それが、佳乃の抱える大きな弱点】

が…………ッ!

【結果、ナイフの方へ無駄に反応してしまった佳乃は、手刀の直撃を受けることになる】
【――――それがもし、その弱点を意図して突いたのであれば、戦況は一気にバニセイドへ傾いていたはずだ】
【痛みに声を漏らすが、しかし思ったほどではない。その落差に目を見開けば、映るのは能力の宿らぬ素手】
【神気≠フ聖なる力が、バニセイドの中の何らかの邪≠ノ対して浄化≠フ効果を発揮した――――】
【その事にはまだ気づかずとも、佳乃の中の武人≠ニしての本能が、好機を感じ取って】

――――『七曜』ッ!

【叫びと共に振るった薙刀に、またも同じ奥義の力が宿る】
【しかし今度は――――それは雷撃ではない。刀身に集まる神気≠ヘ、歪に固形化して塊になっていく】
【『七曜』は、神気≠ノよって自然現象を模倣する奥義。名前の通り、七種類の属性を持つ】
【先程は雷=Bそして今回使った属性は――――陰陽道で言うところの金=z
【つまるところ、鉄。鉄塊と同じ性質を帯びた神気≠ヘ、刀身を中心に硬度と重量を得て】
【それはもう薙刀ではなく、先端に鉄塊のついた長い棒。この瞬間、佳乃の武器は薙刀からハンマーへと切り替わる――――】

はぁあッ――――!!

【ごぉう、という鈍い風切り音は、その重量から来る強い打撃能力を証明している】
【狙うは胴体。直撃すれば、全身を揺さぶるような強い衝撃を受けることとなるだろう】
【バニセイドが能力を失ったとはまだ気づかないが故に、佳乃は硬化≠ウれてもそれごと抜ける打撃技を選んだのだ】

【…………ただ当然、重量を得た攻撃は薙刀の一閃よりもかなり速度に劣る。回避できる隙は、そこにあるか】
【そして――――バニセイドが冷静なら、佳乃が手刀を貰った際に見せた反射≠フ弱点を見逃すことはないだろう】
【ここを凌げれば、活路は見いだせるか――――】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage saga]:2013/10/07(月) 02:00:10.65 ID:cpY1KJTTo
>>82

【手刀が命中した】
【能力停止によりナイフが落下したため、意図せずして佳乃の驚異の反射神経を利用したフェイントとなったようだ】
【しかし、ただの手刀ではダメージはほとんど期待できず】

【鈍い風切り音と共に、鈍器と化した薙刀が襲い掛かる】
【しかし、重さの所為か速度は速いとはいえず――】

……っ!!

【バックステップで避けようとするが】
【瞬間、傷ついた両太腿が思うように動かず――先刻の斬撃は筋肉を裂いていたようで――】
【腹部に、一撃をもろに受けた】

ぐぁあ……!

【バキバキバキと、骨の軋む音が頭に響き】
【景色がスローモーションのようにゆっくりと動き――】
【バニセイドは、地面に仰向けに倒れ込んだ】
【意識は失っていないが、決着――と言って良いだろう】

ごほっ……ごほっ……
みっともない話だな、君の技をあらかじめ観ていたからと、余計な先入観を持っちまった

【地に手をついて、なんとか立ち上がり、佳乃に向き直る――そこに戦闘の意思は無く】
【踵を返し、ふらふらと歩き出し、口を開く】

……これは敗者の戯言だと思ってくれて構わないが……
君は……心身ともに強いと言ったが、「心」と「身」のバランスが少々ちぐはぐに見える
げほっ……俺に勝った君には今後も勝ち進んでもらいたい、だからそれだけは心の隅で意識してほしい

【場外に向かって歩く。リングアウトによる棄権をするつもりなのだろう】

そうだ……一方的に聞いたままだったよな
俺の将来の夢は……君のような強い子を育てる学校を作ること……だっ

【そこまで言ったところで、再び地面に崩れ落ちる。リングアウト直前で、気絶した】
【30を過ぎた男が“将来の夢”を語る姿は滑稽に映るかもしれないが】
【“学校を作る” ――先程からの子供を諭すような発言もその性格故なのだろう】
【自分の夢を口にしたときの笑顔からは、悔しさよりも清々しさが滲み出ていた――】

【2回戦 第4試合: 幸徳井佳乃 VS バニセイド・ベノシェルフ】
【勝者は――幸徳井佳乃】


/楽しかったです!お疲れ様でした!
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/07(月) 02:20:20.10 ID:MtT0LXYGo
>>80
/【煙草が目の前でフッと飛んで消えていく。勿論、男は見ていた。にこやかに】
/より以下を少々変更+追加いたします。

【風でブラウンのトレンチコートがはためいた。放物線を描く煙草の赤い火の点が】
【夜の暗幕に尾を引くように動いている。男の目にはスローモーションに見えた】
【男はコートの内側、スーツのベルトに左腕を持っていく。そこには吊られた一本の『短剣』があった】
【両刃の短剣、黒い鞘、黒いグリップ、銀の装飾とチェーンで結ばれている。】
【暗くて見えないだろうか。街の夜景を反射させるその銀の刃には『Meine Ehre heist Treue』と彫られていた】

【男はそれを引き抜いて切っ先を空中の煙草に向けた】
【彼にとってはこれらはスローモーションの出来事だが、彼女からは一瞬の出来事だろう。ここまでもこれからも含めて】

―――Sturmtiger

【男は口ずさむ。聴こえるか聴こえないかの程度で】
【そして、風が起きる。構えた切っ先から突風が生まれたかのように】
【煙草は巻かれ、火は消え、バラバラになって。何処かへと四散した】

【その姿を構えたまま見届けると。男は鞘へダガーを戻した】

マナー云々、環境云々、資金が云々は…私もあえて口にするような事ではない。
けれども…『マッチ一本火事の元』…なんて言葉もある…意識せねばなるまい重要な事項だ

はてさて…痛み入る歓迎ありがとうございます。…前任が別の部署に移ったのがようやく理解出来ました
なるほどなるほど…だから異世界出身の部外者の私をここに…なるほど

【にこやかに笑ってはしきりに頷く。何か能力か魔術を使ったような素振りはもう無い】
【ただの皮肉屋の口うるさいトカゲかと思えば何か一つ印象も変わるだろうか。それはどちらの方向か…】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/07(月) 02:33:55.08 ID:6V52KbBqo
>>83

【…………『七曜』は自然現象を模しての攻撃ゆえ、治癒≠竍浄化≠フ効果が発揮されにくいという特徴がある】
【治癒≠ノよる痛覚軽減という余計な効果が付属する対人戦では、佳乃の得意とする神気≠フ攻撃は通用しづらいのだ】
【先程決め≠フ一撃として雷撃の『七曜』を用いたのも、威力減衰なしに直接ダメージを与える為の方策】
【つまり、この奥義――――対人戦では、佳乃にとってまさしく切り札≠ノ等しい】

…………あぁあっ!!

【慣れない重さに耐え抜いて得物を振り抜けば、しかしその遅さゆえ、バニセイドは回避行動をとって】
【――――その切り札≠ェ一度かわされているからこそ。ニ回目の決め≠フ一撃、佳乃は渾身の力を込める】
【その力と願いが通じたか――――右肩の切り傷から血が飛び散る程の衝撃が、しかと佳乃の体を震わせて】
【その確かな手応えと、倒れ伏したバニセイドの姿が、佳乃の心に勝利≠フ二文字を躍らせた】


つっ…………何よ、またお説教?
心と、身体のバランス…………ふん。余計なお世話よ。

【立ち上がってきた相手に一度は警戒するものの、その瞳に戦意がないことを確認すると、佳乃は薙刀を地面に突き刺し】
【衝撃で痛む切り傷を左手で押さえながら、相も変わらずつっけんどんな態度で応じる】
【「心」と「身」のバランス――――口ではそう言いながら、しかし思い当たる節があるのだろう】
【強い能力と絶対的な信念。例えそれを持っていたとしても、佳乃がまだ若いことに変わりはない】
【精神的にも肉体的にも、安定とはほど遠い。バニセイドのそれは、実に正鵠を射た評価だ】

…………この私に匹敵する子供なんて、そう簡単には育つと思わないことね。
まあ――――悪い夢では、ないけれど。

【どこまでも高飛車で、高慢ちきな態度。それでもその瞳は、冬の夜空のように黒く澄んでいる】
【最後に一言、付け足して。リング際へ歩いていく男の背中を、彼が気絶するその瞬間まで、しかと見届ければ】
【そういえば、と。観客の歓声を浴びながら、制服を着た自らの格好を眺めて、おかしな事を考えたりするのだ】

【彼との会話。端から見れば、生意気な生徒と先生のやり取りに見えたのかもしれないな、なんて――――】


/夜遅くまでお疲れさまでした! こちらこそ超楽しかったです!
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/07(月) 13:37:54.24 ID:LrayxNGL0

>>45

【クロイノは男が左胸に手を入れ何かを取り出すさまを横目で確認するも】
【俄然として、攻撃を辞めようとはしない。何故なら先ほどから続く自らの優勢に酔いしれて】
【今更自分が負ける姿など、到底想像もできないのだから】

(むむ…また未来の道具をだしやがりましたね!?
 でもでも、あんなふざけたハンマーなんて僕にはきかねーです。
 
 このまま削って けーおーがち ってやつですよ! )

【クロイノは男の一撃に備え固く目をつむり、覚悟を決める】
【『衝撃』や『痛み』さえも流すことなくすべて吸収してしまう闇の躰を持つ彼は、当然痛みに慣れている】
【単純に我慢強さや打たれ強さが純粋な力となるからだ……】

【しかし……】


「んにゃぁぁああぁああああああぁぁあ!!?」

【しかし、男の一撃に対し少年は過剰な反応をみせた】
【痛みをも凌駕する未知の衝撃。それは、全身を駆け巡る爆音】
【常人には牽制となる程度の『音』が、その衝撃をすべて吸収したクロイノに対し猛威を奮う】


「て、てめぇ、なにをしやがったんですか…?
 今のでは温厚な僕もさすがにキレちまいましたよ……!」

【クロイノは、男の足など差し置いて、後ろへと飛退き男の方向へと手を翳し】
【右腕に闇を纏い、局部的に引力を発する。 吸収により付けられた傷は、クロイノの引力に強く反応する】
【男の足に付けた傷跡を引き寄せ、先ほどと同様の殴打を試みているようだった】

【…しかし、クロイノは先ほどの爆音と、木槌のダメージが色濃く残っており】
【足元がおぼついていない…、カウンターを決め、止めをさすのも、男の機転次第では十分に可能だろう】

/ありがとうございます!
/あと少しで終わりそうですが今夜は22時くらいにはこれそうです!


87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/07(月) 19:36:33.48 ID:0zYDCwSpo
【水の国・第三回天下一武道会】
【既に第一回戦も幾つか終了し、二回戦の選手も出揃い始めていた】
【これはそんな激動の中の一幕。二回戦、第六試合―――】

(……なーんて言うてもやることは一回戦と変わらんのだがのう)
(相も変わらず阿呆ほど騒がしい場内よ、耳が痛うて適わんちや)

【まず入場するのは白銀の毛並みをした獣人、長尾銀狼であった】
【一回戦ではその軽い身のこなしと『妖怪』としての特質、そして気≠操る能力を見せ】
【今もまた、戦法に変わりはないのだろう。衣服は薄く素足でいて、手足首には鉄輪が在った】

それにしても二回戦、か……儂は既に一戦しておるが、相手はシードじゃったな
三雲とか云うたか。戦い方がバレておる分、ゴールドマンよりもやりにくかろうて
無論、だからといって負けるつもりもないわけじゃが……さてさて、そろそろかや?

【人にはない獣の耳をひょこりと動かし、特徴的な2mもの長い尻尾を動かして】
【目に痛いほどの煌やかな白を魅せるように、彼女は身体を解してゆく】

【後は相手を待つだけ。いつ何時開戦のゴングが響こうとも、全く問題は無さそうで】
【気付けばその尻尾が『四尾』に変わる。三本の薄黄色いのは気のストック≠セ】
【時間経過で増加し、一つ一つが強力な一撃に変わるもの。臨戦態勢といって申し分無いだろう】

【―――さて、待つのはもう一人の選手。果たして如何なる戦いがそこに広がるのか】
【場内の期待は、耳を打つ歓声で推し量れる。その音量は、いよいよ最高潮に達しようとしていた】

/長尾銀狼です。三雲さんの方、よろしくお願いします!
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/07(月) 19:58:54.80 ID:XF4EPoMio
>>77
【彼我の負傷はほぼ同等。互いに満身創痍であったし、立っているのは意地と気合と根性の精神論】
【必殺同士の衝突に持ち込む結果となったのは、もはや必殺を放つ以外に好い決着が存在しないから】
【紅蓮の髪の先端から、次第に火燐の髪は炎そのものとなっていき、夜を照らすライトの明かりよりもなお強く会場を照らしだしていた】
【相手の雰囲気から、来るのは必殺と理解。それを止めるなんてつまらない真似はしない】
【火燐にとっての戦いは、楽しむためのもの。勝つのも楽しいが、相手の全力を目の当たりにするのもまた快楽】
【今か今かと相手の必殺の顕現を、子供のように心待ちにして――心を燃しながら、躰を燃しながら――叫ぶ】

「っはははははッ――――! 素敵だッ! ああ、好いッ! 大好きだ! そういうのだ、それが欲しい!
往くぞ、往くぞ! 往くが逝くなよ! まだ終わりたくないからッ!!」

【眼前に現れたのは、紅蓮の龍。天を覆うかのように舞い上がり。その顎は女の命を、躰を魂を捉え吹き飛ばさんと迫る力の具現】
【これが殺し合いであれば、火燐は迷わず前進して、四肢のどれかを犠牲にしながら術者の命を奪おうとした】
【だが、ここではそれは許されない。幾ら火燐が人殺しの人斬りであっても、人の理の通じぬ鬼であったとしても】
【決められた理に首を縦に振ったのならば、それを決して破りはしない程度には、花城火燐は律儀なのだ】

【熱が迫る。己の放つ全力に比肩しうるそれは、間違いなく必殺。惜しむらくは殺意の無いことか】
【それでも、その熱は伝播して、火燐の心に最後の着火を漏らした】【起爆】【溜めは終わり。力の解放が始まる】
【足捌き】【――重心を調整し、目を細めながら龍との衝突で最高の速度、最高の体勢になるように足を置く】
【口が動く。漏れだす言葉は、己の意志を通す宣言、業の名乗り。必要はない、だが名乗ることで心が燃える。ならば必要だ】

  『鬼 姫 紅 刃 ――――』

【体構え】【――刀を一寸強く握りこみ、丹田に力を込め、最後の最後に全力の斬撃への前準備】
【鬼の女は、かつては人の剣姫であって。今は白刃ではなく紅刃を握って立っている】
【大太刀の表面に微細なひび割れが生じていき、周囲の空間に火の粉が散り始める――漏れだすのは、刀剣に圧縮された膨大な妖気】

                                      『―――― 天 魔 覆 滅 ――――』

【心構え】【不要。すでにこの道を歩む時に決めた】
【天魔覆滅。魔王を指すそれを、完全に殲滅する事を示す言葉は、女の一撃が必殺であることの証左となる】
【総ての構えは十二分。ならば、龍が相手でも、魔法が相手でも、何が相手であっても――引く理由など、存在しない】
【――――迫る大顎。返す刃に紅が駆ける――――】

                      『――――  星  火   燎  原  』

【振り下ろされた大太刀に刀身は無い。刃は振り下ろす過程で粉微塵となって粉砕していた】
【辺りに煌めくのは、空間を染め上げるほどの膨大な火の粉の群れ。一つ一つの存在感は龍に明らかに劣る物】
【だがしかし、その数は膨大で。力の総量だけを見れば、炎龍にも遜色ない存在。顎が女を捉える、女は口元を僅かに歪め、笑んだ】




                    『――――完了』



【リングを覆うように展開されていたその火の粉が、総て同時に――炸裂したのだ】
【その炸裂によって生まれたのは、剣技≠フ群れ。火の粉の正体は粉砕した刀剣を元とする妖気の微細刃】
【爆風による気流の加速、そして龍が産んだ熱風の乱舞。それらによって、火の粉の剣は嵐と化す】
【極小刃は気流によって、空間を占領し、侵掠する範囲剣技≠ニ化してリングの中を吹き荒れ――数秒の内に、紅蓮の嵐は止んでいく事だろう】

【――嵐が止んだ後。ライラがどうなったかに関わらずリングの上には、紅蓮の鬼は存在していなかった。居場所は壁の中】
【どうやら殺してはいけない事は覚えていたようだが、リングアウトをしてはならない事を完全に忘れていたようで】
【反動で吹きとんだのと、龍の生み出した熱風によって――要するに自滅の形で、火燐は敗北していた】
【躰には火傷という形で、痛々しく龍の傷跡が残されて、ぶすぶすと肉の焦げる匂いを辺りに振りまいていたが――、気絶する鬼の顔は、幸せそのものの微笑みだった】

【第三回水の国天下一武道会 第一回戦 花城火燐 VS ライラ = フェルンストレーム】
【勝者――――ライラ = フェルンストレーム】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/07(月) 20:13:04.28 ID:QVTH+zM9o
>>87
【獣人に続いて、会場へと入場してくる少女の姿】

【青に白のラインの刻まれた体操着を、少女は身に着けている】
【膝が隠れる程の長さがあるジャージ生地のハーフパンツにノースリーブの黒いスポーツウェア】
【袖を結んで腰に巻きつけられているのは、パンツとセットらしいジャージ生地の上着】
【冷たい風が吹き付ければ、少女の腰に巻きつけられた上着が、ヒラヒラと揺れていた――】

「お前が……長尾銀狼だな」
【獣人から数歩離れた地点まで、少女は歩み寄った】
【少女の声は、やや低めな調子であった】

「私が……三雲だ、三雲 明音」
【それから、目の前の獣人へと何か言おうとする様子であった――】

「……よろしく、頼む」
【――が、少し悩んだ様子を見せ……結局は、簡単な言葉のみを相手に伝えるにとどめる】

【少女が武器の類を持っている様子はない】
【衣服の他に身に着けているのは、両腕を保護している黒いグローブと質の良さそうなスニーカーぐらいである】

【解すように両腕を震わせ、試合開始の時を待っている】
【獣人に向き合う少女は、静かに集中を高めていた……】

//三雲です、お待たせしました。 よろしくお願いします! 
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/07(月) 20:24:50.78 ID:Vgh4GMY3o
>>88

(おいおいおいおい!! アイツ本当に人間かよ!?)

【彼女の髪の異変に気づくのは、ライラの必殺レベルであるM4魔法「Blaze Dragon Shooter」を発動させた直後】
【炎と変異していく彼女の髪で幻視するのは、正に鬼と呼べる其れだった】
【本能的に恐怖を覚える。……それでも、ライラの指は止まらなかった。たとえ彼女が鬼だとしても、この試合、どうしても勝ちたいのだから】
【杖を握る手に一層力を込めて、相手の必殺を、その衝撃を、視る】


「おう! 来やがれ、お前の必殺! 見せてみな!」


【その瞬間。ライラの放った龍が、彼女と接触しようとした瞬間。ライラは大太刀がひび割れるのを確かにこの目で見た】
【刀身の無い刀で、どうしようというのだろう……だが、それは彼女が放つ一撃の、ほんの前座に過ぎなかったのだ】
【……ライラには分かっていた。辺りに舞い散る無数の火の粉。そして彼女のその目から、それすらも意味の有ることなのだと】


【衝撃】



「―――――――――……っ――――――!!!!」


【息もできない。一瞬、ライラには何が起こったのか分からなかった程である。余りにも唐突に、それはやって来たのだから】
【気がつけば、ライラは無数の切り傷を身に受けながら宙を舞っていた。其処までの過程が、総て刹那の出来事だと思えるほどに、それは速かった】
【爆風、自身の魔法による熱風、そして火の粉――多分それが、切り傷の正体だとライラは思った――を甘んじて受けた後、ライラはリングアウトした】

【前回の一回戦と同じような結末。――――――ただ一つ違うのは、先にリングアウトした相手が居るということ】


「……やったぜ」


【天を仰ぎ見ながら、ライラは吹き飛ばされながらも最後まで離さなかった杖をその天に向けて突き上げ、それから気絶した】
【会場内のボルテージがMAXになるのを見ずして意識を手放したライラも、彼女と同じく、幸せそうに眠っているのだった】

/お疲れ様でしたー!
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/07(月) 20:32:04.89 ID:Mov5ZcMXo
>>80

【所内では彼女の存在は有名であった。優れた技術、確かな知識、そして発想力を兼ね備えた優秀な研究員であると同時に】
【人嫌いでコミュニケーションを取り辛い、常に仏頂面で話しかけても嫌味で返される―――そんな噂が絶えない女。】
【確かな名前は―――そう、本名。それすらも不明であった。彼女はアイケの問い掛けに対し、つまらなそうに答えた。】

この慌しい組織の総務部で資金調達をしているともなれば、イヤと言うほど数字を見る機会も多いのだろうな。
だがよく考えてみてくれ、お世辞にも利口とは言えない間抜けの相手をするのと、正直で嘘を付かず常に正確な答えを導く数字、
一日中相手をするとしたらどちらが良い?私なら迷うことなく後者を選ぶね、人間なんて最悪だよ。

はて、煙草が身体に悪影響を及ぼすと言うのは確かだが、それは長生きをしたいと考えている人間にのみ当てはまる理屈だ。
私の場合そういった考えは持たない、であれば短くとも生きている間を謳歌できる様に我侭に振舞う方がよっぽど賢い、だろう?
天才と美人は得てして薄命なのだよ、仮に明日死ぬと言われても緑黄色野菜だけを貪るような生活だけはゴメンだ。

―――しかし、新任とは言え私の名前を知らないとはな。陰口で嫌でも耳に入ってくることになるぞ、これからな。
"サイファー"、とそう名乗っている。本名は伏せている、こっちのほうが気に入っていてね。
よろしく、ミスター・シュタウフェンベルク。良い名前じゃないか、けれども…"トカゲ"?それは見た目から来る渾名かい?

【―――女の名は"サイファー"と言った。英語で"暗号"を示す言葉だ。その響きが示すとおり、彼女の本名は伏せられていて。】
【告げられるのもコードネームのみとなる、勿論彼女が名前を隠すのには理由もあるの、だが。】

しかし、なんだ。シュタウフェンベルク、君も煙は苦手かい。此処最近は喫煙への風当たりが強いな、面白いことだよ。
誰も彼もがみんな、長生きしようと健康に気を使い原子力を嫌って煙を排除し武器を捨てろと喚き散らす。
喜劇に思えて仕方ないね、無駄な生を10年生きようが80年生きようが何の変わりも無いというのに、可笑しな連中だよ。
君もその類かい?―――…いや、君は賢そうだね。何か腹に据えかねている、そんな印象を受けるよ。

まあでも、上層部から『好きにやれ』と言われているのはありがたい話だ。最も、『抑えろ』と言われたところで私は従わないが。
それとも、君はいう事を聞かない問題児の研究員にはお灸をすえたりするのかい?それは楽しみだ、ロープで縛ったりするか?フフ。
前任が別の部署へ移動して、君のような―――そう、優秀に見えるエージェントが送り込まれてきたのはつまり、そういう事だったりしてね。
まあでも、私の前で"異世界"という単語を堂々と使えるその度胸は認めておこうか、ミスター。

君は―――異邦人なのか。というと、元の世界の生まれで此方に来た人種か。
どうだ?此方と向こうの違いは。還ろうと思ったことは無いか?いやね、一度異世界出身者とは話したいと思っていたんだ。
人間嫌いで有名な私が興味をもってやってるんだ、楽しい話を聞かせてくれよ?

【はて、人間も嫌いなら会話も嫌いなこの女性研究員、なんとアイケとは普通に会話が続いている。】
【よほどその皮肉めいた言葉や節々に感じられる鋭利な感覚が気に入ったのだろうか、試すようにじっと見つめて】
【やがて今度は此方から質問を返すだろう、"どんな場所で何をしていたんだ"、と。】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/07(月) 20:32:18.02 ID:0zYDCwSpo
>>89

(ほほう、見た感じでは如何にも運動の好きそうな女子だのう……?)
(武器も無し、それらしい能力の兆候も無し……成程、なるほど)

三雲 明音=c…ふふっ、中々厄介そうな相手とあたってしもうたようだのう

【相手の選手――少女が入場して近付いてくれば、その双眸で上から下まで動かして】
【どんな人物かなんとなく察すれば、後はもう戦いの準備とばかりに構えを取り】
【ニヤリと楽しげな含み笑いを見せ――手足の鉄輪が、しゃらんと時折音を奏で】

……さて。どうやら互いに接近戦が得意であると儂は見た
そして今、お主はこうして距離を詰めた……『そういう意味』と、捉えて良いな?

ふッ、返事は待たぬ。よろしくのう明音、そして……先制は頂くちや…ッ!!

【正々堂々と言葉を返せば、その切れ目が戦端の始め】
【僅か数歩という距離だったのをこちらから踏み込み、右足に体重をかけると】
【小手調べとばかりに、左足で相手の頭部を狙い襲撃を見舞おうとする】

【当たった際のダメージは、まあそこそこ。強いて言えば鉄輪がかなりの痛みを生むやも知れなかったが】
【速い以外に特筆するところもない攻撃だ。回避自体はそう難しいものではないだろう】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/07(月) 20:43:24.95 ID:LlCa5TPE0
【街外れ――川傍の広場、夜霧の中】
【刃みたいな明かりが、街灯の蒼白さが、降り注いでは千々乱れ、散りばめられて】
【夜の中で夜じゃないみたいな不思議と、違う世界に迷い込んだような気持ちと、じっとりした湿度の中】
【――最中で煌く色合いは遠目からでもきっとよく目立つ、自然とも人工とも違った、魔力の気配を放つなら】

…………、

【川と陸地の境目、まるで違う両者を縫い止めるような黒色に塗られた柵、寄りかかった影は霞の中にぼうと浮かんで】
【影の動かなさに嫌気でも差したように煌くのばかりが止まらなかった、桜色と黄緑色、――ふたり分を、ひとりで抱えて】

【――夜空よりも冥い色をした髪、腰ぐらいまでの長さは緩く編まれた三つ編み、重たそうに身体へ沿って】
【黒色と血色のオッドアイは蛇の目を模したような丸さ。右の耳で煌くのは、半分ぎりの宝玉の欠片をあしらったピアス】
【喪服みたいに真っ黒なワンピースはただ傍で見ればレースやステッチで細かに一面飾ったようなもの、】
【赤いリボンできゅうと締めた腰元までを隠すようなケープまでも黒一色なら、黒蛇みたいな黒尽くめにも、きっと見えて】【繊細な柄を刻んだ黒地のタイツとかかとの高いショートブーツ、寄りかかっているなら適当に遊ばせた、警戒のなさ】

うん――もう大丈夫、かな、……

【――柵へ預けた身体、ふらと宙へ伸ばした両手、大事に抱くようにするのが、きらと舞う魔力の源流、花のかたち】
【夜霧の中に散らして散らして辺りを幻想みたいな色へ染め上げる、その中へと鈴の音のような声が抜けて、すこし】
【やがてはらりひらりと散りだす花弁は水面に浮かんで解けては消えていく、待っていたように増していく暗闇は】
【そのうちに月明かりと街灯だけの奇妙な明るさを取り戻すけれど、――それでも、誰か惹き付けてもおかしくないはず】

――……、もう治ったもん。

【(やがて拗ねるように自嘲するように零した声があって。落とした声量でも、少女らしい高さは夜にきっと目立つ)】
【さあと風が通り抜けても晴れない霧の中、――どこかから、金木犀の花の香り。少しだけ漂って、場を飾ってみせた】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/07(月) 21:15:55.63 ID:ypM/qctW0
【とある街のどこか】

【夜の深夜、人々が眠っている時間帯】

 らーらーらららー

【ものすごく音痴な声が聞こえる】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】
【なにやら上機嫌のようだが】

 いやー、今回はよく売れましたよ
 うん、やっぱり最近は物騒すぎますからねえ
 売れるのはありがたいですけど

【どうやら上機嫌なのは売り物が売れたかららしい】
【だがこのような時間帯で音痴な歌を歌うのは感心しないが】

 さて、次はどこへ行きましょうかな

【男はそう言って、広場に行く】
【夜でその姿は目立つだろう】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage saga]:2013/10/07(月) 21:18:08.78 ID:eA6nf7tI0
>>93

【夜の広場―――夜霧の川】

【深夜―――とまでは言わないが、すっかり更けてしまった。そんな時間帯の事。】
【―――霧が出ていた。昼間に賑わせていた談笑をも、包み込んでしまったのだろうか。】
【否、だからこそ目立つのだろう。公園の隅に在った、とあるベンチに、】
【ぽつり、と腰掛けては足元の揺れる影が、一人。】


【何かがプリントされた白いシャツに、暗色の長袖のカーディガンを羽織って。】
【下はブラウンのカーゴパンツ、腰には小さめのポーチを携えていた。】
【夜色に映える紫の髪色は、明かりに照らされる度に光沢を放って、】
【凛とした黒目は、ありふれた色で有りながらも、何処か印象的な風合いが感じられるだろうか。】
【全体的に幼い顔立ち―――年齢で言うなら、16歳、否、もっと若く見えるのかも知れ無い。】


【付近のベンチに腰掛けていた少年。足をブラブラと揺らしながら、】
【月光に照らされ、艶めいた川のせせらぎを傍観して。】
【ふと流れてくるのは、小さな、小さな花びら。其の方向を逆流して目に映るのは―――】

【―――否、微かに響き渡った可憐な声が先だった。少年はゆっくりと、顔を上げて―――】


―――こんばんは。"ふうりゅう"なえんしゅつ、ありがとね。


【声変わりは、何処に行ってしまったのだろうか。少女と同じ位、高い声で発せられた其れは、】
【矢張り、此の夜の広場に目立つのであって。】


/おねがいします!
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/07(月) 21:25:21.50 ID:QVTH+zM9o
>>92

「……っ!」

【先手を奪われ……獣人によって繰り出される、頭部への攻撃】
【――素早さがかなりあるが、集中をすれば今からでも追いつける速さ……】

【腰を低めに落し、すぐに体勢を整えて左の腕で攻撃コースを遮るガードの構え】

「ぐっ……!」

【短く溢れる、苦悶の声】
【細く引き締めるように鍛えられた少女の腕は防御には向いていない】
【頭部への直撃は防いだものの、少女の骨まで銀狼の蹴りの衝撃が伝わる感触が感じられるだろう】
【ガード越しにダメージを与えている手ごたえは、蹴りを繰り出した当人も少女と同じくらいに感じ取っているはずだ】

【蹴りの衝撃に流されないように、少女は必死に足元を踏ん張る】
【そうして……なんとか、攻撃の勢いは受け止めることができた】

【ガードの裏側から獣人に覗く少女の表情は、腕の痛みなど知らないように、小さな笑みを浮かべている】
「そうだ――面倒なことなんかより……私は『こういう』方が得意だ!」
【強気そうな表情から吐き出されるのは、銀狼への回答である】

【開いていた右の腕は、固く握りしめられて拳を作っている――回避ではなく、ガードをしたのはこのために】
【獣人を見据えて、深く吐き出した吐息は……「今度は自分の番だ」と、言いたげであった】

「……はあああぁっ!!」
【気合に満ちた掛け声を、お腹の奥底から絞り出す】
【周囲を震わすような掛け声は、彼女の精神をそのままに表しているもの】

【少女に、獣人のような小手調べをするつもりは無い】
【その証拠として、少女が握りしめた右の拳には、青い炎が輝きを放っていた】
【人の腕に炎を宿すその力の正体は、もちろん少女の能力である】

【もしもその威力を生身で受け止めようものならば、いともたやすくその威力に粉砕されてしまうだろう】
【気迫に満ちた少女の攻撃を避けるにしろ、受けるにしろ、少女と同等以上の覚悟は必要とするだろう】
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/07(月) 21:49:17.04 ID:MtT0LXYGo
>>91

【部署は違えど同じ組織で働く者、雑用をする新人のこちらにも彼女の噂は入ってこないわけがない】
【そうでなくとも一瞬でも関わる人物や事項、全てを一度目を通すぐらいはしておきたい性分なのがこの男だ】
【だが、名前は聴かねばなるまい。本人の口からどんなものでも。名前は単なる個体の識別のためでしか無いものだとしても】

ええ、勿論勿論。…それと同じぐらい、人と無駄な会話や会議を重ねております…利口か間抜けかも判断しかねるぐらい装飾された言葉でね。
ただ……数字をいくら計算しようと出てくる答えはコンピュータで億回やろうと同じでしかありません。答えを決めるのは私ではなく法則ですからね
しかし…人であるならば…性格は星の数ほどあるわけでして、全ての法則が使えるわけではない。そこから一つ一つ、会話のパターンからその人の性格を解析し
アルゴリズム的にその人をシミュレートして。彼らの思考を私が把握する…幾百の言葉でその場を私が操ることが出来る………と、思えば人付き合いも悪く無い…かと。

【右手の人差し指を何気なく振りながら饒舌に話す素振りは正に技巧的】
【人々を操るのは私だと。男はそう言うような意見を持っていることに狡猾さが伺える】

私も長生きをしたいとは申しません。その点に関しては同意いたしましょう。
ただ、煙草を吸ったからといって…何度目かの誕生日に誰かが頭を撃ち抜いてくれるわけでも無いでしょう?
40で咳き込んで死ぬぐらいなら、80で首を括る方がまだマシでは無いでしょうか。
…単に煙草と肉食に興味がないだけですよ。…偶には煙草をセロリに持ち帰るのも刺激になるのでは?

…これは失礼。憶測でものを言うのは私の悪い癖ですが…特に名前を間違えると失礼にも程があるだろうと考えまして…
名前は本人から直接…伺ってからと心がけております故
ミス・サイファー……良いじゃあないですか。美女はミステリアスな方がいい。

【薄く笑いながら。男は常識に乗ってって、握手を求める手を差し出す】
【彼女の性格から言えば、多分それに応じることはないだろう。そうであればまた人差し指を立てて指揮棒のように揺らして自分の額へと持っていくだろう】

私はチェスと食事ぐらいしか趣味が無いものでして。煙草は味覚が減退すると、何処からか聞いたものですから。
ですから…長生きのために、煙草を控えるのではなく、現時点で内在する100%を出せるように備えているだけです
漫然と死を先延ばしにして、長生きに没頭して恐怖を一時的に忘れている輩とは一緒にされては困りますね

抑えろと言う訳は無いでしょう。今は勢いを付けなくてはならない時期でしょうから。それに『学校』の方の教育方針と異なる…
もう一つ、決定的な理由…は皆、他人にはあまり干渉するほど興味はないのでしょう。…個人的な見解ですが。
……ハッハッハ、こんなことを言うから未だに雑用係なんでしょうな、私は。

お灸をすえるのがお望みならばいたしましょうか?なに、ロープも鞭も必要ない。椅子と時間さえあれば幾らでも…
……冗談ですよ。冗談…

【男は目を細めて、愉しそうに笑う。指先を回して宙に円を描いたり、額を叩いたりするのは彼の癖のようで】
【自分が話をしているときや笑っている時はしきりとどちらかをしていた】

/続きます
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/07(月) 21:50:25.71 ID:MtT0LXYGo
>>97の続き

異世界はお嫌いですか?何処の世界も過去をたどれば元は一緒だというのに。ただ、どこかで運命の分岐が行われたに過ぎない。
そうですね…向こうは貴女のお好きな世界でしょう。不確定な魔法などは殆ど歴史から消え去り、人々は機械と兵器で政治と宗教なるメカニズムで行動する。
経済的な差異と個人的な理由で戦争を不断で繰り広げ人類は屍を踏んで進歩する。そんな世界ですな。…まあ余り変わりはありません

【カツカツと靴底を鳴らして歩き、柵の近くでそこから見える景色を眺めた。なんと明るい夜だろう】

…やっていたことは今と大差ないと私は思っております。場所は雪の中の戦場から机へ様変わりしましたが
仕事は何時だって……人類の安寧と平和のため…それを補佐する。それだけです

【男は左手を軽く柵に載せる。不思議なうさんくさい男だが態度は紳士的な面もある一介のサラリーマン】
【しかし、彼の左手の薬指には不似合い髑髏の…スカルが入ったシルバーリングがはめられていた】

これ以上勿体ぶった言い方をすると流石に怒られそうだ…。いやはや、こんな性格なものでしてつい遠回りしてしまいたく…
元の仕事は軍人。士官学校にいる間に戦況が芳しくなくなりまして。テーブルマナーだけ引っさげて最前線に行きました。
上も下も死んでいくお陰で昇進だけは出来ましたが結局は国は降伏。私は吹雪を抜け、何の因果かこの世界へ…と。

【遠い目をしていたが、首を動かして。また優しいのだか冷たいのだか入り混じった独特の笑みを向ける】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/07(月) 21:50:48.14 ID:LlCa5TPE0
>>95

【きっと神様だって数えられないだろう無数の水滴のスクリーン、映して映して映して、元の光など辿れぬほど】
【雲の中に放り出されたように濁る視界、世界全部から降り頻る光の粒子、ほんの微かな金木犀の香り、何もかもが】
【御伽噺や絵本の中の一頁に描かれた世界のように――けれど現実として――起きながら見る夢のように、煌いて】

お前のためにやったんじゃ……ないのよ、

【ぽいと適当に投げたような声はそれだってよく響くソプラノの高さで、そうとお仕舞に引くのが金属質の余韻】
【凡そ人間らしくない性質だといえるだろう、銀色にまぁるい鈴を指先で突いて鳴らしたように、涼やかなのは】

【――振り返った顔の前をぷんとすれ違って行った羽虫が居た。赤から黒へ追いかけた視線が、一度瞬いた、刹那、】
【羽虫へと纏わるように一点湧き上がる黄緑色の混ざり込む桜色、他者の魔力を抱える異常を、けれど平然と晒して】
【しゅんとした音がしたような気がしたけれど、気のせいだったのかも。やがて桜色が消えてしまえば、羽虫など跡形もない】

風流? ――こんなのじめじめするだけじゃない、見通しも悪いし、……ああ、でも、そうね、わたしの場所みたい

【膝よりも短いスカートで背丈にしては高い柵へと寄りかかっていた、――即ちそれなりに危ういのは、ただ、夜霧が隠して】
【(どちらにせよ太もものぎりぎりまでしか見えなかったらしいけれど……まあ、そんなの、どうでもいい余談だろうから)】
【そんな身体を半分だけ返せば霞む水のスクリーンの向こう側に見出す影、すうと瞳を細めながら、笑う意味は、?】

【――白肌と黒髪の狭間、どちらとも違う色で存在する月白色が一度煌いて、まるで自己主張をするかのような、刹那】
【仲良く半分こしたクッキーみたいに半分ぎりの宝玉の欠片。そんなのをしながらに警戒の薄いのは、ひどくいのちしらずにも見える――?】

……――こんな場所で喧嘩売らないほうがいいよ、一瞬で全身火傷みたいになっちゃうんじゃない、?

【……前言撤回。微かに疑問系の余韻を置きながらも言ってみせるのは、ある程度までは「出来る」と想定した後のような口ぶり】
【からかうように笑いながら首を傾げる仕草。敵意のないような相手に投げてみたのは、――まあ、からかってみたのだろうけれど】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/07(月) 22:13:38.56 ID:ypM/qctW0
【とある街のどこか】

【夜の深夜、人々が眠っている時間帯】

 らーらーらららー

【ものすごく音痴な声が聞こえる】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】
【なにやら上機嫌のようだが】

 いやー、今回はよく売れましたよ
 うん、やっぱり最近は物騒すぎますからねえ
 売れるのはありがたいですけど

【どうやら上機嫌なのは売り物が売れたかららしい】
【だがこのような時間帯で音痴な歌を歌うのは感心しないが】

さて、次はどこへ行きましょうかな

【男はそう言って、広場に行く】
【そしてこの場所をうろちょろするであろう】
【夜でその姿は目立つだろし、人が見れば怪しさも倍増だろう】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/07(月) 22:15:31.62 ID:0zYDCwSpo
>>96

ほぉう、避けずに受けるか……ま、確かに儂の攻撃は
お主の守りを撃ち抜けるほどのものではない、それは確かじゃ
アッという間にそれを見ぬいたお主の慧眼と言い……ふ、ふっ!

……ッ、それに見掛けよりも恐ろしい事をしてくるではないか…!

【蹴りを打ち込む、ガードされる――そこから続く反撃を銀狼は見抜いていた】
【理由は同じ接近戦を主とするものだからとしか言い様がなく】

【そして実際に蒼い炎を纏った拳が迫ると、左足を一気に引き戻し】
【背後に足払いをするような形で身を低め、両手を地に付けて、ほぼ伏せの体勢に入り】
【それによって拳を避けた。もっとも尻尾は長さが幸いして、白毛の一部が焼け焦げて】

(むぅ、小柄ながらにとんでもない一撃を繰り出す童女もいたものじゃな……!)
(これは小手調べなどと言っておれぬ……本気で行かせてもらうぞ、三雲っ)

【半ば伏せたその状態から、銀狼は折り曲げた膝をバネの如く伸ばし】
【勢いに任せ、両手による掌底を少女の腹部目掛けて叩きもうとするだろう】

【更に最初の蹴りで学んだか、ガードされても良いように――その拳には気≠ェ込められ】
【もしも攻撃を受けたなら、守りを通して内蔵を揺さぶるような衝撃が走ることになるだろう】
【これに使われた気のストック、尻尾は一本。時間経過で増えたのもあって、数は尚も四本だった】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage saga]:2013/10/07(月) 22:19:23.86 ID:eA6nf7tI0
>>99

―――あ、えっと、その………ごめんなさい。
でも、その……きれいだったから、おれい、言いたいなって……あ、なまいき、だったね……

【美しい音律から紡がれた言葉は、どうも近寄り難い色を見せていて。】
【少年の返事に数秒の沈黙が在ったのは、きっと其のズレに驚きを隠せなかった、という事なのだろう。】


―――でも、おぼろげな月に、きりがかかってて、
川から、花びらがひとつ、ひとつって流れてきてるって言うのは……

それなりに、"ふうりゅう"があると、思うんだけどなー……
……まぁ、その、一人ひとり、感じることって、違うもの、だよねー……!


【―――どうやら、"それなりのコダワリ"が有るらしく。】
【然し矢張り、此の少女に食い下がって見せるのは、勇気が必要だった。】
【然し其れも、やがて言葉と一緒に飛んで行ったのだろう―――締め括りの言葉は、随分と濁っていた。】


―――え、あ、えっと、その、けんか、売るつもりじゃ、無かったんだ……!
その、気にさわったなら、ごめんね、あの、悪気があったわけ、じゃ……


【少年は困惑していた。其れが徐ろに、声色に出ていた事に関しては、言うまでも無い。】
【"ありがとう"の発言が、喧嘩を売る事に繋がったのか、或いは別の事に対してなのか―――】
【良く、分からなかったのである。取り敢えず、何方の意味であっても通じる様な、謝罪を述べて―――】


【―――少女と少年には、川一つ挟んだ隔たりが在った。】
【ベンチの隣にある街灯の光でさえも、ぼうっと朧げに見えるのだから、】
【スクリーンに映しだされた少女の姿でさえも、はっきりと確認する事は出来なかった。然し―――】

【少女が揺れる度に放たれる右耳の輝きだけは、ほんの少しだけ、少女の顔を映し出して。】
【彼女の微かな輪郭を、雅な黒髪を、ふっと笑った時に見える口元を、―――】

【僅かな情報を元に、ゆっくりと中身を組み立てて行くのは―――丸でジグソーパズルの様だった。】
【其れを楽しみながら―――矢張り、足を右、左と交互に揺らしていて。】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/07(月) 22:27:31.82 ID:nGrHgsefo
>>86
【クロイノの上げた悲鳴に、ギアのほうが思わず驚きに身をすくませた】
【『ノックアウトハンマー』の出す音は、あくまで牽制用。このような効果をもたらすとは、予想外だった】

い、いや、これは牽制用の音で……

(想定していた以上の効果……さっきからの能力の発動を見るに、音を吸収してしまった、とか……?)


【彼の迫力にたじろぎつつ、瞳はそらさず。打たれ強さが身上の相手に、怯えては勝ち目はない】
【おそらくは、この一撃で彼の優勢への酔いも、油断と共に消え失せただろう。次は、決着をつけにくるはず】

【その予想は当たり、クロイノの能力が自分の身体を引きずっていく。蓄積したダメージの上に、吸収による傷に発生する引力】
【生き人形はなす術なく、石畳の上を引きずられていく。その先に待つのは、クロイノの拳。あの強烈な殴打――】


――――!!!!!

【石畳を転がりながら、ギアが右手を振り上げた。握られたままの『ノックアウトハンマー』】
【引き寄せられていく今では、相手の身体にたたきつけるのは難しい。ならば、狙うは地面】

【右手が振り下ろされる。手から『ノックアウトハンマー』が離れる。クロイノのふらつく足元のあたりへ、ハンマーが飛ぶ】
【ギアの手に握られていなくとも、ハンマーの打撃面が何かに強く当たりさえすれば、音は発せられる】
【遠距離からの投擲で、再び音による攻撃をクロイノに仕掛けようという算段だ】


うぐっ!!

【この攻撃の成果に関わらず、ギアはクロイノの重い殴打を受けることになるだろう】
【魂が揺さぶられ、ギアの身体が後方に飛ばされる。石畳の上に崩れ落ちる】

ぐ……うあ……

【まだ、意識は飛んではいない。しかし、溜まったダメージが大きすぎた。それでも、弱弱しく動きながら、身体を起こそうと試みる】
【石畳の上に横たわる生き人形。勝敗の決するときは、目前――】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/07(月) 22:39:48.80 ID:LrayxNGL0

>>103

【クロイノが覚束ない足で攻撃を行ったのは半場無意識、高すぎるプライドが生み出した奇跡とでもいうべきか】
【男の躰がクロイノに引き寄せられる一方で、投擲されたハンマーも当然、クロイノに引き寄せられ……】


「────────…………ッ!!!」

【男の躰に闇の拳撃が決まると同時に、大きな音が、少年の躰に、闇の沼へと沈んでいく】
【その波紋はあまりにもおおきく、少年は……】


「ふぃぎあの件…、わすれた、ら、しょうちしねぇです……」

【膝を折り、地面へと落ちる。 その質量に耐えられず、舞い上がった砂埃が晴れると同時に、湧き上がる 『観客』 】

【今、観客たちの興奮は絶頂に達し、その全ての視線は───『勝者』であるギア・ボックスに向けられていた】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/07(月) 22:51:11.00 ID:Mov5ZcMXo
>>97-98

ふむ……確かに、そうだな。君の言葉は装飾されている、残念ながら私は文系の脳味噌を持ち合わせていないので
その是非に関しては量りかねるが―――…なかなか、面白い事を言うね。
つまり、君は応えの決まった一本道よりも、草を掻き分けて新しい道を模索する方が素敵だ、と。
なるほど参考にはなった、君の言う通り人間は基本的に予測不可能、そしてだからこそそれを絡め取るのに愉悦を覚える―――
見込みは間違っていなかったようだ、矢張り君は"良い性格"をしているよ。雑用など任せておくのは少々、勿体無いな。

【珍しく、本当に珍しいことに―――サイファーはアイケの言葉を純粋に受け取り、肯定するだろう。】
【美しく欠けることの無い数式よりも、不完全で予測不能な人間を説き伏せる方がエキサイティングである―――筋は通っていた。】
【そうか、人間と話すのも確かに悪くは無いか、そんな感想を抱きつつ。丁度、今目の前の男に興味を持っている自分に、気がついた。】

―――しかし、喫煙に関しては同意出来かねるな。80になったら首を括る為にロープを天井に縛ることすら困難だろう。
自[ピーーー]ら手が掛かってしまう、そんな事になるくらいならもっと余裕を持って生を全うしたい、それだけのことさ。
第一、私には目的があって、それを達成できたならそれ以上生きていても仕方が無いんだ、そういうものだと自覚している。
そして其れを為すにはあと10年もあれば十分でね、むしろ私なら…
―――時が来たなら、自分で自分の脳味噌を撃ち抜いてやるさ。そんな度胸も無しに、GIFTで研究など続けられんよ。

【―――この女、一体何を言い出すかと思えば。やるべき事をやれば、後はどうなっても良い、と告げるだろう。】
【つまり、目的達成後の人生については考えてもいないし、考える理由も無い、と。彼女はそう、呟く。】
【しかしてその目的とは一体何なのか、そこまでを語ろうとはせず。ただ、これでこの女が非常に刹那的思考を持っていることが判る筈だ。】

……ふん。話のわからんヤツめ。まあ良い、君が嫌煙家だろうと何だろうと、私は私のやりたいようにやるからな。
これを吸ってるときが一番、頭が回る私にとっては…100%を引き出すのに必要なものなんだよ、モクは。
しかしなんだ、椅子に縛り付けて尋問するのが得意なのか?可笑しなヤツだな、見た目からして疲れた格好だが
中身はもっと可笑しいようじゃないか。冗談に聞こえないぞ?君の目とその指…それは"よくない"モノに見えるが、ね。

【クセ、だろうか。それにしてはその冷徹な笑みも、笑えない冗談も、どこか幾化学的な動きの指も、怪しすぎるように思えた。】
【しかしサイファーとて怪しむ事はしても、恐れるまでには至らない。新しい煙草を取り出しながら、相手の言葉を受け流しつつ】
【愛用のライターで火をつけ、アイケの更なる言葉に耳を傾けた。】

―――…ほう、科学信仰の強い世界、か。確かに、悪くない。私にとっては過ごしやすい世界だろうな。
しかし其れにも拘らず戦争や貧困の問題は片付いていないようだね、全く人間はどこまでも未熟だよ。
もっとも、私が仮に君の世界に行った場合、やる気を失うかも知れんな。そこには私の目的が、存在していないんだから。
ただ―――…君は、軍人だったのか。勝ち目の無い戦争に借り出されて気がついたらこの世界とは、気が遠くなる話だな。
だが興味深い、それで君はなんでGIFTに肩入れする。元の世界で君の所属していた軍隊も、宗教法人よろしく
人種差別で浄化戦争でも行っていたのかね。丁度今の我々のように。

…だが答えがどうであれ、気に入ったよ。つまり君は、君だけは、周りが死んでいく中で死ななかった、そういう事なんだろう?
つまり、君はそれなりに腕がなるという事だ。頭もよさそうだ。有能なら私が助手に雇おうか、ミスタ?ッフフフフ。
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/07(月) 22:55:23.63 ID:nGrHgsefo
>>104
【人形の瞳を通して、引き寄せられていく『ノックアウトハンマー』の軌道を、ギアの魂が捉える】
【響き渡る音が、再びクロイノをかき乱すことに成功したらしい】

【しかし、自分もこれ以上は無理――クロイノが立ち上がれば、勝敗は決する】
【そう思ったギアの瞳に映ったのは、地面へと崩折れるクロイノの姿だった】


もちろん、ですよ……
完成したら、まずはクロイノさんにお贈りします、ね……

【痛みに歪む顔を、どうにか笑顔に直しながら、声を絞り出す】
【会場を揺るがす観客の歓声も、どこか遠く。潰れた足をかばいながら、両手を石畳について身体を支えた】


【両者とも動けない。やがて、ステージの上に救護班が駆けつけてくるのだろう】
【大会に相応しい、激闘だった。意識の端でそんなことを思いながら、ギアは今更強くなってきた痛みに震えながら】
【互いの健闘を称える意思を込めた視線だけは、クロイノから外さなかった】


【約束は、違えない。しばらくの後、クロイノのもとには彼のフィギュアが届けられるはずだ】
【小動物さながらの外見と堂々とした佇まいを、執事服に包んだ彼の姿を、ギアが精魂込めて表現した作品】

【彼の許可が得られれば、フィギュアはギアの店先に並ぶことになるだろう。その売れ行きは、今はまだ定かではない――】


/こんなところ、でしょうか……?
/お待たせして申し訳ありませんでした
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/07(月) 23:03:19.27 ID:LrayxNGL0
>>106

【クロイノは声だけを聴くも返事をするほどの余力は残されていなかった】
【まさか大会で新しい自らの弱点が露呈することになるとは…】
【考えれば、溜息がでる。 当然、乗り越えて最強を名乗るだけではあるが】

(僕のあいどる計画の道をふさいだんです
 負けたらあいつの店、ぶっつぶしてやるですよ……)

【そこで少年の意識は途切れて】【後日談】


「ほっほー! なかなかのできばえじゃねーーーーですかぁー!? 」

【これは玩具屋も一攫千金だな、とクロイノは後日胸を張って語っていたという】

/ですね! 遅れたり凍結したりで本当にごめいわくおかけしました!
/色々と勉強になってたのしかったです!ありがとうございました!
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/07(月) 23:16:19.81 ID:LlCa5TPE0
>>102

【ああ、川ひとつが間にあるならばいろいろと話も変わる。距離に比例して当然霞みがかったようになる声や】
【いろいろな光の乱反射する中で水滴のスクリーンに映しだされた影のちぐはぐさ、華奢な細身を誤魔化していくように】
【くすむ世界を終わらせるには足りない夜風がさあと吹けばケープがはらはらと揺れて、さながら化物を映し出したみたい】
【夜霧の向こう側に居るのが本当に人間なのかすらも怪しくなって、――ほんの少しだけ、人間と違う気配が、する気がした】

――風流だなんて言うには霧が濃すぎるもの、何にも見えないじゃない、こんなの、
それに……、……わたしから見れば、別に、……。

【――しいんと冷たい声音は、けれど、絶対零度染みた冷たさを持つでもなく、そもそもそんなに嫌ならば立ち去る性質だ】
【相手が川向こうだったというなら当然一番初めから変わらない姿勢、つんと立つ柵へ身体の総てを預けたような、そのまま】
【そうして居残りながら紡ぐのは霧が濃いというよな愚痴をいくらか孕んで、ただ、結局の理由は最後に足したものであるのだろう】

【自分の色、だった。桜と黄緑の合いの子、御衣黄桜に似た色合いは、もうどうしようもないぐらいに馴染んだ、自分の色合い】
【それに場を飾ってやろうという風の感情が追随しないならば、――それが見栄えするものだなんて、思っていなかったらしいと】
【そう伝えるには十分すぎるぐらいの声音だった、(彼女にしてみれば不調明けの確認でしかなかったとは、余談であって)】

【ふらりと動いた視線が何かを見つけたように瞬いて、そっと起こす身体、きちんと足をつければ微かに鳴く足音】
【かつこつといくつか――立ち去るわけでもないようなのが――続いたところで立ち止まる、それから数度、ぎこちなく紡がれるのは】
【霧さえなければ見えた光景は簡単、柵の途切れ目、階段をひとつひとつ降りて――水面のすぐ傍まで、降りて、そっとしゃがみ込む】

…………気に障ったなら、お前なんてもう殺してるし、もう水に流してるの。

【――だからお前は違うのだと告げるのは安心させようとした風にも見えた、けれど、同時に言葉の選択を間違えたようでもあって】
【それがさも当然だとばかりの声音は表側よりも裏側に生きるモノのそれ、(普通に会話するような声で紡ぐ、異常)】
【そっと水面の傍まで伸ばした掌で桜色が煌いて湧き上がる、そうしてからざらりと零れて水面を揺らすのは、はじめのような】

殺さないよ……、病み上がりだし、そんなつもりないし。

【物騒な言葉を重ねていくばかりでも、そこに一欠けらの敵意も殺意もなく、それなら行為だって言葉を証明するかのよう】
【ひとひらふたひらと水面を染め上げていく、本来御衣黄と呼ばれる品種は花ごと堕ちるものだけれど――花弁で舞うなら、こうなったろうか】
【ひとつひとつがぼんやりと纏う燐光が先ほどよりもずっと強く夜を犯していく、霧を少しずつ少しずつ、彼女の色へと】

【――わざわざ始めの光景を模倣してみること。彼の態度を気にしたものだったとは、結局、言わないままで】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage saga]:2013/10/07(月) 23:50:10.23 ID:eA6nf7tI0
>>108

うーん、そうかなー………あ、見えてるふうけいが、違うのか。
たぶん、そういうことなんだと思うよ、だって………
……うん、ここから見える月は、中々のものだよ……

【なるほどそういう事か、と自身を納得させるかの様。勿論其れを正しいと断定した訳では無いが―――】

【月光を自分の顔に照らさせながら、少年は自分の世界に浸る。】
【其の上ずった声からは、少年の表情でさえ読み取れた事だろう。―――正に、恍惚の其れであたった。】


……許してくれた、のかな。えっと……ありがとう……?

水になが……ああ、上手いこと言うねー!……あ、いや、何でもない、です……


【語尾が上がったのは、其の言葉が本当に適当かどうかに確信が無かったという事。】
【初対面の、而も子ども同士の会話で―――"殺す"なんて言葉、其れも幼稚なトーンには聞こえず、】
【寧ろ本当に"殺せる"程の覇気を持っている様な気がして―――。】

【此の少女は、あまり刺激しない方が良いらしい。貴方を殺さない、という意思表示はされたものの】
【何となく、直ぐ心変わりしそう、直ぐ怒り出しそう、なんて思えてきて―――。】

【流れる川を目の前にして、"水に流してる"という言葉。】
【どうやら少年にとっては、ツボだった様で。クスッと笑ってみせたが、】
【空気を読んだのか、即座に前言を掻き消すが如く"何でもないです"と敬語になるのだった。】


病み上がり……その、だいじょうぶ、かな……
もう、秋だし……えっと、夜、冷えこむから………
あんまり、外とか、いない方が、いいんじゃないかなー……なんて……
あ、よけいな、お世話だよね、………はは、ははは……


【目の前にぼうっと映る少女。姿形が見えない故、表情や仕草を見て取る事が出来ず―――】
【発せられる言葉の"本質"が、良く汲み取れない様子。】
【言葉を一つ一つ選び取る様な、少年の話し方からは、其れが顕著に現れていた。】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/08(火) 00:07:55.89 ID:tQo3Z6t+o
>>105

私の口調の話は…こればかりはなんと申し上げればよいか…。気がつけばこのような体でして…
まだ敬語を外せば…幾分は良くなるが…目線が4,5段ほど高くなると知人からは評されております
…私のような周りくどい絡まった毛糸玉のような愚見。ご理解いただきありがとうございます
いえいえ、私など着飾った言葉しか言えぬ悲劇作家でしかありません。…それを見込まれていたのなら
大変にご期待に添えたかと

【カバンを床において、右手を胸に当て、古風な中世の作法で礼をした】
【にこやかな笑みは崩さず、企業の人というよりも今は中世の軍人のように見えることだろう】

なるほどなるほど…目的ですか…ふむ…いえ、勿論聞こうなどとはこれっぽっちも思ってはおりませんよ
初対面の人間に話すことでも無いでしょうし、踏み入るのももっての外。それに、女性はミステリアスな方がいい
でしょう?ミス・サイファー…

…なるほど、まさしく。80になれば首をくくるのも億劫だ。…プロフェッショナルとして大変素晴らしい心がけかと
儚く、一瞬で散っていく花にこそ人は美しいと感じる。ゆっくりと朽ち果てていく巨木は……という事ですね
なら私も銃口をこめかみに当てるとしましょうか。その時に…世界に銃弾が残っていれば嬉しいです

【こめかみを指先で軽く叩く。そして極微笑。口角だけ釣り上がる】
【男は世界の終わりまで生きているつもりだろうか。いや寧ろ世界を壊して自分も死のうというつもりか】
【はたまた、その時世界にはなんらの武器兵器も残されていないというわけだろうか】

ええ、どうぞ。煙草を吸ってはいけないという道理は今のところ極一部の場所に限られている程度ですから。
ただ…私の前で火をつけるということは一言二言、何かしらの………お話が、あるやもしれませんがね…フッフッフ

いえいえ、無駄な暴力や拘束はかえって反発を生むというもの…貴女ならそろそろわかるでしょうね
想像していただきたい。私が昼夜を問わず延々と質問をしてくる尋問を……ハッハッハ、どうですか?
…疲れているのは少々、ここまで階段を利用してきたからでしょう。…中身が可笑しい?人を愉快にさせるのはいいことですよ?

私の目は生まれつきでしてね、蛇のような目をしていると小さいころ叔母に言われたことは今でも覚えています。
指は…これは失礼。話をする時。言葉の緩急やリズムを取るときにこれがないとどうも……それに注意を引き付けるのにも何かと便利でして
…別に魔法や幻術をかけようなんて思っちゃいませんよ。…もちろんのこと使えません。

【相手がつい彼の言葉に引きこまれていたり、指先の動きに目が行ってしまっていたということであれば】
【彼の思惑道理に半ば術中にハマってしまっていたということだ。勿論能力ではない。よくある小手先のトリックにすぎない】

ええ、軍人です。…戦争は勝つために行うだけでは無いんですよ?例えば『戦時下』という状況が欲しい…等
パワーバランスだけではない。戦争を起こすのは精々ディナーを囲める程度の数の人々…そのようなものですから
ええ、ええ。やりましたねえ。人種差別に民族浄化。街一個を巨大な収容施設にしたほどですよ。
ただそれも、戦争も、たった一人の、たった一つの少年のような…夢…彼が描いた風景を具現化する一つの手段に過ぎません…

ただ、古巣の匂いがする場所が此処だっただけ。そして、私も彼の夢に賛同した1人として
その夢を追い求めたい……私もそんな事も考えるときもあるんですよ?

【人差し指を眉間に当てながら笑う。裏を含んだ微笑というより。もっと純粋な、ちょっぴりハードボイルドな笑みだ】

私は社でもGIFTでも信用ならない新人。貴女は素晴らしい才能を持った研究者。喜んで命令を受けましょう
ただ…意外と現在の仕事も気に入っているものでして。助手は兼任が可なら…ということで
ああ、それと休日はちゃんといただきますよ。私は貴女と違って偶にはテニスをしなければならないんです

【チェスに野菜にスポーツと真っ直ぐなほど健康的で几帳面な男の性格は何処でねじれたんだろう】
【性格だけねじりすぎてそれ以外は全く手をつけなかったんだろうか】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/08(火) 00:46:45.16 ID:gKFT6i7b0
>>109

【月――彼が見上げるその頃、つられるように、真似るように、そっと持ち上がる異色の一対】
【ぼやあとくすむような霧の中からようやく見つけ出した月影はまるで今すぐにでも崩れてしまいそうな朧月】
【新月の暗闇から生え出たばかりの鋭利な鋭さのほつれたのは確かに綺麗であるのだろう、微かに瞳を細めて、】

…………何、が?

【――霧さえなければ見つけられただろう、水面へと伏せた視線の位置、少しだけ困惑したように振れる表情】
【ふたりの間にあったのはどうやら川だけでないらしい、と。ずうっとずれていた認識があるとようやく気付けたような声音、】
【そもそもはじめから怒ってなど居なかった。曖昧に揺れる彼の言葉尻はその表情も上手に見えなければ追いかけることも出来なくて】
【手持ち無沙汰にケープの布地を胸の前でぎゅうと寄せる、どう返すべきなのかを考えるようにしながら――首を、傾げて】

【結局答えは上手く纏まらなかったのだろう、彼が彼の中で出した結論に委ねるように、そっと口を噤んだなら】
【水面をきらきらと飾り立てることは早くも飽いたらしい、最後にひとつちっぽけに桜の花を流して、そのうちに立ち上がる】
【百六十センチの身長。階段をいくらか降りたのもあればはじめとはまるで違った位置に頭がある、かつんと鳴らす足音も】

大丈夫じゃなかったら、まだ寝てる――お父さんに診てもらったの、大丈夫。

【川の向こう側へ投げる声の位置も。元々の高低差には因るけれど、だいぶ下へ降りた立ち位置と低さ、ふと、紡いだのは】
【霧の帳の反対側に少しずつ見せた断片的なすがたを一度にちいさく幼く思わせるようなもの、そんな、ちょっぴりの違和感】

ちょっと疲れただけだし――家のほうが寒いよ、お日様なんて昇らないもの、ずーっと、夜だから、……

【――まあ。とりあえず本人がそうだと言うならば大丈夫なのだろう、声音だって、病気じみて弱気に沈むこともなく】
【彼にとってはどうでもいいようなことを付け足す余談。住居は夜の国であるらしい、が、――ずいぶんと遠い場所なら】
【どうしてこんな場所に居るのかとか。そういった類の疑問が今度は湧いてくるかもしれなくて。ひどく普通に言い放ったけれど】

……なら、帰ろうかな、――――お前も早く帰ったほうがいいんじゃないの、子供が彷徨つく時間じゃない。

【初めて思い至ったように頬へと振れる、そっと視線を伏せた仕草で、そうするのだと言葉通りに決め込んで】
【それと同じ頃合に煌くのは今度は桜色とは違う黄緑色、霧の中に乱反射させて、周囲をぼうと黄緑色で包み込む頃】
【――付け足す言葉があったなら、こちらからもやはり姿の見えなかったらしいことを示しているのだろう、間違えきった思い込み】

【女子が十歳前後。男子が十一歳前後。第二次性徴のおこる頃合で、変声のある頃合で、――声ばっかりで判断したなら、】
【ふらふらと水に浮く花弁みたいに揺れるくせに最後ばっかり大人ぶってみせる、(これで酒の飲める年齢だったりするのだから)】
【「ばいばい」とひとつ言葉を置いてしまえば瞬くよりも先に消え去るすがた、ただ一筋黄緑色の煌くのを置き去りにすれば】
【――はじめからだぁれも居なかったように消えてしまう。黄緑色も、川へ浮かべられた花弁もやがて流れてしまえば、ただ沈黙】

/おつかれさまでしたー
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage saga]:2013/10/08(火) 01:26:18.83 ID:RDeDit5/0
>>111

寒いのには、なれてる、ってことか、
じゃあ、だいじょうぶ、だねー……うん。


【色々と気になる事、聞きたい事は在ったが―――彼女の口調だけでも判断出来る。】
【そっと心の奥にしまっては、ふーっと大きく溜め息を吐き出して。】


ああ、うん、じゃあ、またね。
いや、またね、というか……、まだ―――


【厚い磨りガラス越しの様な会話も、彼女が帰る、と言い出せば其れまで。】
【『出会っても無いんだ、』と言いかけた頃には、彼女の影は無かった。】
【終始、彼女らしい行動だったと言えよう。最早少年は、其れに驚く事は無く―――】


【刹那、ヒューッと吹いた風が、川を横切る様に吹き抜けていく。】
【其れに伴って、霧も道を開けるかの様に両端に圧縮されて。ふわっと広がったのは、】
【先程まで居たのであろう彼女が残していった余韻―――少年は其の音色を、嗅ぎ分ける様に感じ取って。】
【然し其れも永く残る事は無かった。きっと、先程の風に乗って、何処か遠くへ消えていったのだろう。】

【沈黙の中に唯一つ佇むのは、矢張り川のせせらぎだった。ふと其の上流へと目を遣ると―――】
【彼女が最後に残していったのであろう、黄緑色の花弁。流れに抗う事無く、寧ろ心地良さそうに廻りながら】
【進むべき道を進んでいく其れは、何となく、"誰かさん"に似ている気がして。】


【彼女に諭されたのだから、少年も其れに従う。その前に右手で後頭部をポリポリと掻いては】
【腕の力をクッと入れて。飛び上がる様にベンチから離れたなら、其の勢いのまま歩き出すのだ。】
【方向は、街の喧騒とは正反対。その終着点は、彼にしか知り得ない、否、彼自身も知ら無い事であって―――】


/お疲れ様でした、お相手有難うございましたー!
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [saga]:2013/10/08(火) 11:30:08.00 ID:lTnQKz7y0
>>110

―――…気がつけば、そうなっていただって?君は本当に変わっているな。
ま、口調に関しては私も他人に文句を言える訳でもあるまい、誰之かまわずこの口調だからね。
むしろ敬語を使える分君の方がずっと、まともなんじゃ―――いや、やっぱり嫌みたらしいな、君は。

【重厚そうなカバンが夜風に揺られ、彼が一礼をする時、彼女は目を細めて嫌そうな顔をするだろう。】
【畏まっているように見えて、彼からはどこか狡猾な印象を受けたのだ。もちろん、其れは悪い事ではない。】
【彼女のような人間の周りには、むしろ彼のような人物がいる方がふさわしいのだ。どこか、普通ではない男が―――】

ミステリアス、ね。そう言われるのは初めてだよ、大抵は皆『イライラする』とか言って離れていくから。
しかしいずれ"此処"にいる全員が、私の目指すべき所を知る羽目になるのは確かだ。
私が何を為そうとしているのかは、いずれ誰もがその体で味わう事になる。いずれ、な。

……なに、弾がなければ鉄パイプで頭をかち割るだけじゃないか。
君が私より短命だったなら、その時は私が介錯してあげよう、ミスタ。

【―――不気味な物だった。いつか死ぬのは人間であれば当たり前の事、しかし彼はまるで―――】
【この世の争いが尽きるその瞬間まで、つまりは人間がいなくなる最後の時まで死なないかのような物言い。】
【何を考えているのか。其れは分からなかったが、きっと良くない事であるのに違いはなかった。】

―――ほう。君の前で火を起こすと、どうなるのかな。それはそれは興味深い、どんな話か楽しみだよ。
童話かい?それとも怪談かな。どちらでも構わないが、退屈な物は勘弁願いたいな。
ま、ただ―――そうだな、仮に24時間君の話を聞き続ける事があったのなら、まあ―――……。
言いたくはないが、拷問は拷問だな。君、ある意味で才能と呼べるんじゃないかい?"それ"。
しかし奇妙な物だ、君と会話しているとなんだか―――…ああ、つまりそういうことなんだな。
"その指"は、そうやって人を化かす為の物か、なるほど合点がいった…が、私相手に使うよりは
もっと純粋な人間に使った方が効果は高いだろう。GIFTの連中なんてちょうどいいぞ?
みんな能力者主情主義に毒されて頭が麻痺しているからな。―――…っと、失礼。これはオフレコで。

【指の動き、瞳の輝き、口調…そのどれもが、他人を可笑しくする為のトリックであるのだろうか。】
【であれば、彼は存在そのものからしてトリックスターという事になる。非常に、危険だった。】
【仮に敵に回したならば、とサイファーは思考する。面倒な事になるのはごめんだ、と。】

―――…夢、か。夢ね。
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [saga]:2013/10/08(火) 11:30:20.54 ID:lTnQKz7y0
>>110


【その時、彼女の表情は少し、遠くを見るような悲しげなものに変わるだろう。】
【恐らくは、多くの研究員が働くこの『Lab』でも彼女のこんな姿を見た事のあるものはいない筈。】
【視線を伏せるような、それでいて、一瞬夜空へと視界を広げて―――彼女は再び、煙を吐き出した。】

……君も思うかい?無能力者は下劣で、能力者こそが優良種なのだと。
駆逐すべきだと、そう思うかい。GIFTの最終目的の為に尽くそうというのなら、君はこの考えに賛同してるんだろう。
―――…私には、時折判らなくなるんだよ。人と、人でない物の境界というのがね。
能力者だって、死ぬ時は死ぬさ。無残に、哀しく、朽ち果てる。
無能力者がそれを嗤うことだってある。何故だ?仮に彼等が下劣であったなら、何故そんな事が起こったりする?
…"括り方"を間違えているような気がするんだよ。真の意味で"GIFT"<授けられた者>と言うのは…

―――"何かを、変える事が出来るもの"。そうだとは思わないかい。

能力者の中に家畜がいないと、一体誰が断言できるんだ。私には其処が―――…

【判らなくなる、とか。信じられないんだ、とか。つぶやこうとしたのはそんな言葉だろうか。】
【しかし、彼女の言葉は煙に消えていった。少し喋りすぎたか、と押し黙ってしまう。】
【恐らくは、彼の術に嵌ってしまったのだろう。彼女は少し、本心を話し過ぎた。】

……君が私の優秀な助手として働いてくれるというのなら、今の話は忘れてくれ。
とんだ無駄骨だった、やはり人間と長々会話するものではないな。嗚呼、気に入らん…!
かまわんよ、テニスだろうがゴルフだろうがポロだろうが鹿撃ちだろうが好きにしろ、そんな事はどうでもいい。
―――ま、君とは仲良くさせてもらう。とだけ、言っておくよ。

【最後にもう一度、煙をふかしながら。やはり、半分以上残った煙草を、彼女は忌々しげに放り捨てた。】
【そのまま、研究所内へと戻って行こうとするだろう。もちろん、今後は出入りも自由だ。】
【なにせ、アイケは彼女に"認められた"のだから。少し不気味で癖は強いが、頭が回りそうな人物。】
【早めに"此方"へ取り込んでおいたほうが良い、そう判断したのだろう。】

【やがて―――屋上へ吹きつける風は強くなる。ちょうど、彼女が残した煙を吹き払っていくかの様に―――。】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/08(火) 16:35:25.42 ID:TkPpzsAn0
【とある街のどこかの港】

【夜の深夜、人々が眠っている時間帯】

 ふふ、これで売れましたね

【そんな港で一人の男がつぶやく】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】

 まさかあんなにも武器を買っていただけるとは
 やはり、自己防衛のためでしょうかそれとも
 いえ、やめておきましょう、私には関係のない話です

【そして男はここから去ろうとするであろう】
【誰もこなければ、誰かが話しかけなければの話であるが】
【港の海の潮風が吹く】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/08(火) 18:02:08.75 ID:AEtuxK0To
>>101
【カウンターの流れで突き出した拳は――空を突き切るだけだ】
【相手の尻尾の一部を焼き焦がした様子であるが、手ごたえを感じられるほどのものではない】

「流石に……強いな」

【突き出した拳とガードに使った腕を引っ込め、獣人が次の動きをする前に体勢を整える】
【流れるように進行する接近戦は、一瞬の行動が勝ち負けへとつながるのだろう】
【ことを焦れば――銀狼へと繰り出したようなカウンターを、今度は自分が受ける可能性がある】


【今度は掌底――先ほどのような、実験的な攻撃では無い。 本気の一撃】
【突き出すように飛来する一撃は、ステップを踏んで回避するには不利な間合い】
【少女は両腕を交差させ、再びガードで対抗をする。 ――片腕でなく両腕なのは、より重い一撃がくると見越しての事】

「……ぐっ!!?」
【両腕が、掌底を受け止める――その瞬間、獣人の狙い通りに防御を突き抜ける気の力が炸裂する】
【交差した腕を通り抜けて飛来する衝撃に少女はぐもった声を漏らし、苦痛に表情を歪ませた】

【人狼の攻撃は確かに炸裂した。 ……その手ごたえには、淀みのような不完全なものがあるはずだ】

【初撃の時に少女が見せた、炎の能力】
【それはなにも、高熱の業火で相手を焼き尽くすだけの能力では無い】
【――少女の能力は、精神や身体的なエネルギーを持った炎を引き出し、コントロールをする能力である】
【炎そのものよりも、非実体的なエネルギーを活力へと変更することの方が、メインの力といえるかもしれない】
【原理や理屈は大きく違っていても――その力は、気の概念と類似した性質の多い能力】
【少女と向き合い拳を交わす獣人ならば、その能力の存在をなんとなく感じ取ることが出来るだろう】

【ガードをした少女の両腕を包んでいるのは、神秘的な輝きを放つ白い炎】
【見た目からして普通の炎と違うそれは、触れるものの肌を焦がすようなことはない】
【白い炎は熱とは違う、も強い力を放っており、それをガードに加えることで獣人の気を込めた一撃を軽減したのである】

「っ……はああっ!!」
【掌底の返しに、ガードを解いて短い裏拳を放つ】
【与えられた攻撃の衝撃が残っているのかその勢いはイマイチだが、それでもまともに受けるのは危険であろう】
【裏拳とほぼ同時に、少女は後ろの方へとステップを踏んで引き下がる。 一度状況を整えるつもりらしい】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/08(火) 19:27:17.08 ID:KJol2jQYo
>>116

【両掌に込めた力と気、そのどちらもが確かに少女の防御を貫くのを感じた】
【そして気付く。確かに貫いたが――見せ掛けだけで、実体を捉えていないような】

【不意に目に飛び込んでくるのは白い輝き。その炎が、自らの術と近いものだと感付いて】
【直ぐに相手の反撃を警戒しこちらも下がろうとするが、如何せん体勢が悪かった】
【伸びきった状態で出の早い裏拳を避ける事は叶わず、顎と頬の間を強かに打たれ】

っ……くぅ、やるのう……!まさかそこ≠ワで似ておったとは思わなんだ
白い炎は言わばエネルギーの具現化したもの……効くワケじゃ、全く…!

(……正直言って危なかったか。もしも攻撃が続けば回避は厳しかったハズじゃ)
(掌底が当たっていなければ……、…じゃが、伯仲する戦いこそ求めるもの)
(良い相手と出会うたちや!年甲斐にも無く燃えてくるのう――!!)

【唇を噛みでもしたか血を流し、手でそれを拭いながら体勢を整える】
【僅かに視界が揺れる――相手が本調子なら意識も危ういような、強烈な一撃だった】

【しかし、まさかそれで引くはずもない。ニヤリと笑って視線を細めれば、宛ら真の狼のよう】
【鋭い爪をむき出しにして独特の拳を作り、軽いフットワークで幾度か跳躍を繰り返せば】
【次の一呼吸で急接近。右の人差し・中指を突き出し、抉るように相手の右肩を狙う】

【――更に恐ろしいのは、この状態で左手は完全に構えが保たれたままだということ】
【仮に反撃をしたとして――ただの拳法では通じない。その爪はナイフにも勝る凶器だったから】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/08(火) 20:25:24.45 ID:AEtuxK0To
>>117

「不思議なほどに、良く似ている……。 
 このような状況で出会っていなければ、いくつか訪ねてみたい事もあるのだがな!」
【奇妙な共通点――なんとなく……その存在は少女の戦闘意識を高めるものであった】

「……ちぃ!」
【ここにきて――相手に先手を奪われてしまったことが、悪手であったと痛く思い知らされる】
【ここまでの少女の行動は、全て相手の行動への対応、つまり全てが後手に回っている】
【似たような戦闘タイプ同士では、力で圧倒されてしまうとなかなか遅れを取り戻せない】

【裏拳で牽制をしている間に、距離を開いて戦いを立て直す】
【そんなことを許してくれるような甘い相手ではなく、少女はまた後手側に回ってしまう】

【特殊な獣人の構えを見た瞬間、少女の戦闘の経験が次の攻撃が危険なものだと知らせる】
【だが……ステップを終え、地面を踏みしめた瞬間――相殺しきれなかったダメージが、お腹の奥ぁら圧し掛かり、身体の動きが重くなってしまった】
【瞬間、『避けきれない』と、そう結論が導き出される】

【逃げも防ぎも間に合わないと分かったからには、その選択は選べない】
【静かに覚悟を定めると……少女は、狙われているらしい肩を、自ら差し出すよう、勢いよく突き出した】

「――っ!!」
【獣の鋭い攻撃が、少女の肩を切り裂く】
【凶器によって抉り取られた肩からは、真っ赤な鮮血が勢いよく噴き出して――焼け付くような痛みに、少女は顔を大きく歪ませる】

【……もちろん、何の手も無くダメージを引き受けるつもりはない】
【首や胸などの急所を狙われるよりは、片腕を差し出した方がマシだという判断が狙いの一つ】
【ダメージを受けながらも、そのまま肩を使ったタックルのように相手の方へと飛び込んで、その体制を崩してしまうというのがもう一つの狙いであった】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/08(火) 21:12:23.45 ID:KJol2jQYo
>>118

【少女の経験から弾き出された反撃≠ヘ、判断として最良のものだった】
【銀狼のこの一撃は鋭く速い――だがそれには『軽さ』という脆弱な面もある】
【故に、タックルにも似た受け身は最良。銀狼は思いがけず体勢を崩し】

【―――だけれども、その表情は笑みのままで。怖気が走るほど冷徹な】
【それは、狩人の表情。『獲物が手中に落ちた』時に浮かべる満面の笑み】

確かに……それは正解だのう、明音。儂の体勢を崩すまで、は……
だがその先が足りない。もしもお主が件の炎を纏いでもしていたのならいざ知れず

……忘れてはおるまいな?儂は『長尾』の銀狼ぞ、三雲明音
これほどの距離、お主ほどの体格であれば――く、ふっ。体勢など関係があるものか

【銀狼の尻尾――時間経過で増えた一本も含め、本物と気のものとで今は『五本』】
【何れもが2mほどもあるそれらが、一斉に銀狼の背後から身体を包むように展開し】

【そしてそのまま、少女をも強力な尾の檻で閉じ込めようとするだろう】
【そうなれば二人してごろりと舞台に倒れることになるだろうし、それに】
【銀狼は未だ構えたままだった――そう、左手を、先ほどの右の一撃と同じように、だ】

【――これは少女が尾で銀狼と共に包まれた上での話でしかないのだが】
【そうなれば、左手は手刀と化して少女の腹部を狙うことになる】
【重症となる、が――決して致命傷ではない。大会のルールに於いて、ぎりぎりの位置を狙って。】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/08(火) 21:33:12.77 ID:Dy9zI7XRo
【―――ますます盛り上がりを見せる、水の国での天下一武道会】
【初めから大盛り上がりの第一回戦は殆どの組が既に試合を終え、ボチボチと、第二回戦が開始されつつあった】
【ここからはシード組が登場する。果たして其の者達は運だけの者なのだろうか? ……きっと、それは違うのだろう】

【第二回戦の第八試合。最初に登場したのはシードではなく、一回戦を勝ち上がってきた男であった】
【大きな帽子、ローブ、そして長い杖と、まるで魔法使いのような出で立ちのその男は】

「……ハハ……ライラでーす……」

【――――――観客には乾いた笑いを見せつつも、明らかにやつれているのだった】
【ハードスケジュールな今大会のなか、第一回戦から大怪我をしたこの男、ライラは治癒能力者の手によって治癒されることになったのだが……】

(……あのクソアマ……見かけによらずエグい能力持ちやがって……)

【と、どうやらその治癒能力者に強引に治療されたようで。真相は神のみぞ……もとい、男とその能力者のみぞ知る】


「……対戦相手。……確か、八攫 柊とか言ったか?
 何っ回も聞いたことが有るぜ……凄腕の剣士だってな……」

【何時もの魔法使いスタイルは変わっていないため、やはりまた、魔法を主体にした戦闘スタイルを取るのだろうライラ】
【第一回戦を既に戦っているため、戦闘方法は相手に知られている。相手が同じ剣士であっても、やはりやり辛いだろう】

【だが、前回一回戦負けした屈辱をしつこく持っているのもこの男の性格なのだった】
【いくら相手が超凄腕だと知っていたとしても。それだけで棄権なんて、出来るはずもないし、するはずもない】
【……だいたい、近距離対遠距離だ。自分が勝てる可能性だって十分にある――――――自分を叱咤し、瞳に光が戻った】


「よっしゃあああぁぁぁっ!!! 二回戦目!!! 勝って瓢箪にまた一歩前進だぁぁぁっ!!!」


【杖を天に向けてそう叫ぶと、ライラは相手が登場するその瞬間を、今か今かと待ち構えるのだった】

/ライラです。 八攫の方、よろしくお願いします!
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/08(火) 21:47:32.86 ID:mfkpp/Ljo
【吹く風が優しい色合いに変わる時間、降り続く月光は形を保ったまま】
【見繕ったばかりの宵月の灯火にやがて満ちていけば良いと思うぐらいには】
【水の国の繁華街、町中は少しだけ声のトーンを落としたみたいで】


……うーん、貰ったお金で生活できるってのは確かに良いご身分だけど
それって一方的な浪費に過ぎないのよね……ホントに
あんだけ啖呵きったんだから、正直今のニートな状況って褒められたものじゃないし

――――――そろそろホテル暮らしも考えものかしら


【ソプラノの音律がそっと騒音に紛れたなら、雑音の中で響く協和音のように】
【そのつぶやきにも似た声色は、雑踏を立ち止まらせるのには十分なぐらいに可憐で】
【透き通った言の葉の淡い色合いは歩み続ける人々の注目を集めるのだろう】

【零れ落ちるいくつかの視線、少女の何の気無しの声は歌声よりも鮮やかで】
【当の本人はと言うとそういう注目には慣れているのか、気にすることなくすいすいと歩んでいくのだろう】
【繁華街の先、少し広けた噴水の広場のベンチに腰掛けたならどこからともなく札束≠取り出す】

【そしてそのまま一枚二枚、と残ったお札の数を数えだすのだろう】

【ゴールデンブロンドの華やかな長い髪を蒼の細いリボンでツインテールにして】
【美しいスカイブルーの瞳をした、やや膨らみかけた胸のスリムな少女】
【ピアニストのように細い指先は綺麗に切り揃えられた爪先の淡い桃色を強調する】

【白鍵のように澄んだ肩を露出するような、水色を基調としたゴシック調のキャミソールに】
【かぼちゃパンツに近い白いドロワーズをスカート代わりに纏って】
【白いレースのニーソックスと合わせる形で青いサンダルを履いている】
【両腕の肘より少し上の辺りに黒いレースのアームレットを結んでいた】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/08(火) 21:50:26.93 ID:AEtuxK0To
>>117

【――強い。 自分よりも、ずっと】
【自分の行動を予測し、二手三手先の行動まで見透かされてしまっている】
【どうしようもない力の差のような物が――獣人の冷たい笑みから、知らされしまう】

【必死に戦っているつもりだけれど、自分は弄ばれていただけなのかもしれない】
【肩を犠牲にしながらの一撃も結局は相手に届かず、それどころか逆に相手に有利な状況を作ってしまった】

「……くっ!」

【尻尾によって拘束をされてしまえば、全く動くことが出来ない】
【動きを封じられて、無力な状態にされてしまった少女は、悔しげに銀狼のことを睨みつける】


「……けれど、まだだっ!!」
【手刀がまさに突き刺さろうという瞬間、少女は叫び声を上げる】
【精神の昂ぶりに答えるように、少女の元へと大きな力が集まっていき――】

【終始圧倒し戦闘を支配していた、狩人の側だったのは確かに長尾銀狼の方だ】
【だが……『窮鼠、猫を噛む』という言葉がある】
【狩られる側も、むざむざと死ぬぐらいならば、必死の覚悟をして狩人に噛みつくという、そんな意味合いの言葉だ】

【身体の内に宿る力の封印を解いてしまいかねない、奥の手、『秘術』】
【身体に宿る獣を自らの身体に融合させれば、少女の身体そのものが炎を宿したかのように白い炎を宿す】
【――力を解放した少女は、その力を一気に周囲へと吐き出して、活力の衝撃波で自らを拘束する気の結晶体である尻尾やトドメの一撃を振り払おうとした】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/08(火) 22:11:15.32 ID:KJol2jQYo
>>122

【尻尾が二人を包み込み、少女の動きを封じ込め――手刀が腹部を捉え、抉る】

【――そうなるはずであったのが、予想外の衝撃でむしろダメージを負ったのは銀狼だ】
【活力の衝撃波は気の具現化したモノ、つまり尻尾の全てを、本物を除いて砕き散らした】
【恐らく、元より脆いものなのだろう。そして無論、身軽な銀狼も吹き飛ばされ】

【なんとかバク転を重ねて着地をこなすのは、妖怪かつ獣人という種族だからこそ出来た技】
【それでも右手右膝をガクリと付き、肩で息をしているのは消耗の証拠に他ならず】

やるのう=c…と、そう言うのは最早何度目だか分からぬなあ……?
まことに、出来た小娘が居たものよ。そうくるとは思うとらんかったわ

……だが。だがなあ、明音。儂はまだ倒れておらんぞ、見ての通り。
喰ろうたのは裏拳と衝撃波、その程度で倒れては誰も面白がらぬであろう
無論、儂とて道楽で此処に立っているのではない……まだ終わらぬよ、明音

……、…………さあ来い、三雲=c…!

【銀狼の態度が、あからさまなまでに変化した。手足の鉄輪を外して放り捨て】
【それがからぁんと音を立てるより速く、またも少女へ向かって駆けていく】

【既に、体力的な面での状況はは思わしくない。なればこそ――速さに賭けた、最後の拳闘】
【今までになく疾かった。まっすぐに向かう銀色の狼は、宛ら閃光の如し】
【しかし――明音なら、捉えられる筈。同じような戦法で、同じような能力を持ち】

【それに加えて、もう先手を取られるのは数度目だ。こうなると、後手が有利になってくる】
【銀狼の攻撃は四脚での接近から繰り出される、左手による手刀だ】
【先ほどと同じく狙いは腹部。ただし、当たろうと当たるまいと銀狼は早めに手を引き戻すだろう】
【傷の深さよりも手数で攻める、ということだ。それにどう対応するか――全ては、少女の技量にかかっていた】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/08(火) 22:28:22.51 ID:SKFR78d20
>>120

【熱気に包まれた水の国の会場。一回戦を勝ち上がった猛者が足を踏み入れれば、夜の藍色さえも沸かす様にさらなる熱狂が渦巻いた。】

(……何度味わってもいいものね。この、“こんな日”特有の湧き立つ空気は―――)

【耳朶に触れる観衆の音色、圧倒的な質量を感じさせる空気。既にその場にある“彼”同様に、対抗者が、姿を現わして――――――】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。】

【ライラに遅れること二分弱、闘技場に姿を現わすのは、そんな形容の出来る人影だった】
【悠然とした足取りは水面を打つ様に、この熱気の中でも自分を失わない。表情は揺れず、
【だが、正対する彼は気付くだろうか。取り澄ます黒曜の双眸に、鮮やかな火が宿り躍っていたことに。】


ライラ・フェルンストレーム―――――私の相手は貴方なのよね?
……八攫 柊(やつか しゅう)。覚えるかどうかは任せるけれど、名乗りは大切にしたいから――――

【口を開けば、相手の確認。“フェアに”とでも考えたのか、一回戦の彼の情報を、“激戦を越え、勝利した魔術師”程度にしか得ていない様子で】

【構えるように振り抜く右手。その前腕に顕れるのは、継ぎ目のない漆黒の鎧だ。手の甲にまで張り出した先端部が、丸みを帯びた三角形で彩って】
【―――― 同時、もう一つの変化が訪れる。】

【霊鳥の形をした炎が虚空より生じ、その内より赤熱の如き光が浅い孤を描きながら伸びる。少女が其れを両手に取れば】
【その光が纏う、黄金の火の粉が音無く爆ぜ散って。現われたのは―――何処までも清冽に美しい、白銀の太刀だった】
【冷たく澄んだ刃の輝きは無謬。極限域の鋭利さを持つ刀身には金象嵌が施されている。下ろす鋩は自然体の其れ、】

……目指すは“優勝”、たったそれだけ。


ただ、一人の剣客として。貴方の戦いを踏み越えて、私はこの先の戦いを望む――――――!

【挑発めいた端的な口上。だがその澄んだ橡色の瞳は楽しげで、見下す様子は当然の如くに無かった。】
【要するに――――“思いっきり彼とぶつかり合いたい”、たったそれだけの話なのだろう。】
【素直じゃない言葉/競い合う彼に向ける双眸、数秒の経過/そして疾走―――――開幕の鐘とほぼ同時、剣士は“始め”、そして仕掛けた】


【ライラから見て約3メートル左、真横の座標に柊は到らんとする】

【迅速く、鋭く―――――― 瞬時に終わった加速の帰結。剣士のその挙動の目的は、攻撃に匹敵するイニシアティヴの獲得だ。 】
【高速の機動を目で追うならば、捉えきれねば“捜す”一瞬に隙が生じる。そして、反応から反射速度もある程度は割り出せる――――。】

【彼に対して最良の一手を打つための、警戒と期待が綯い交ぜになった“初撃”の空白。判断材料となる情報の収集、】
【それゆえに“見失わぬ限り”先手は彼に譲られて―――――接近を阻むも速攻を試みるも、ライラ次第であると言えるだろうか】


/いきなり遅れてすみませんっ、では……よろしくお願いしますー!
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/08(火) 22:29:33.94 ID:TkPpzsAn0
>>121
/まだいますか
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/08(火) 22:31:18.28 ID:mfkpp/Ljo
>>125
いますよー
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/08(火) 22:35:38.79 ID:AEtuxK0To
>>123
【拘束から解き放たれ、荒い呼吸をしながらも少女は立ち上がる】
【両腕に装備していたはずのグローブが焦げて、ボロボロになっている】
【あまりにも強すぎた力は制御しきれるものでなく、自らの身体をも焼いてしまったのである】
【それに加えて、少女は額に大粒の汗をいくつも浮かべ、荒い呼吸を繰り返している】
【それらの要素から、先ほどの力の解放が三雲にとっても大きな負担となっていることが推測できるだろう】

「お前は……私よりも、ずっと強い……。
 けれど、負けるわけには……いかない!!」

【銀狼の動きは何度も見せられた、特に手刀を受け止めるのは初めての事ではない――】
【極限状態の身体であっても、瞬発的な力であれば引き出すことは出来る】
【とん……と、深い吐息を吐き出す。 直後に、深く深く呼吸を吸い込む】

【繰り出された左手による攻撃。 脅威的な素早さだが、ついには捉えられるようになってきた】
【短いステップで身体を流しながら、左腕を使い繰り出される手刀を受け流す――】
【真正面から受け止める防御と違って、受け流す動きならばより素早く、反動をつけて反撃に移ることができる】

【……が、三雲にはそこまでが限界であった】
【手刀を受け流した左の腕はすぐには攻撃に移れず、先ほど爪を受け止めた右の腕は痛みが激しく、1ミリも上がらない】
【絶好の反撃の機会を作れたというのに、身体は動かず……そのまま、地面へと膝が折れてしまう】

「はぁ……く、そっ……」
【せめて、右の腕が少しでも動けば――鉛のように重くなってしまった身体に、少女は強く歯噛みをする】
【初めの攻め込まれた分、少女の方が消耗は重かったらしい……】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/08(火) 22:41:57.59 ID:TkPpzsAn0
>>121

【心地よい風が吹いてきた繁華街にて一人の男が歩いている】

 ふうむ、やはりここは騒がしいですね

【男はそうつぶやく】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】

 さて次はどこへ行きましょうか
 武器を欲している人々はいるので

【すると可憐な声が聞こえ男はその方向へと振り向く】
【そこには少女がいた、男はその少女がベンチに座るところまで見て】
【さらに、札束を取り出し数えるところまで見た】

(何でここで数えるのでしょうか、まあ襲おうとしている人はさすがにここにはいませんが)

【そう思いながらも男は少女がいるところへと歩いていき】

 こんなところで札束を数えていると危ないかもしれませんよ

【そう話しかけた】

/いましたね、ではよろしくお願いします
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/08(火) 22:42:34.40 ID:tQo3Z6t+o
>>113

【頭を上げ、わざとらしく男は笑みを浮かべる。彼女の嫌そうな顔を見て】
【何処か彼の自慢気な様子がその笑みには内包されているようで…】
【彼女が変わり者なら彼は曲者。ああそうだな。誰かに曲者とも呼ばれていたなと彼は想い出す】

そうでしょうか?ミステリアスな女性は神話の時代から居るじゃないですか
…まあ…そうでしょう。個性を捨てた方々と貴女が咬み合わないのは至極当然の事
彼らは円滑に物事を行うために言わば自らシステムに組み込まれていった歯車のようなもの…
しかし貴女がそのギアの向きを何時の日か入れ替えるのでしょう?では…その日を楽しみにいたしましょう

いいえ…、今は私は貴女の助手の1人。解雇されていなければ貴女の介錯を請け負いましょう。
…ご安心を。こればかりは回りくどいこともなくスマートに行います故…

【彼のここまでのイメージだと介錯での口上が長すぎたり中途半端なところで何か仕掛けてきたりと】
【非常に悪い想像が浮かびそうだが、一応は元士官。もしかするとそれなりに経験があるのかもしれない】

では、いくつか用意しておくとしましょう。最初は…簡単なおとぎ話からで。朴訥と理化学的な話をしても
つまならいでしょうし、そちらの土俵に上がっては勝ち目もなさそうだ。…それとも怪談話の方がお好きでしたか?

…ええ、ええ。化かすためといえば厳密には違いますけれども…どちらにせよ私の話をよく、聞いていただくために
ちょっとばかしは良い影響がありますから。単純な人間には意外と利かないもので…彼らは話に夢中ですから
引き込まれないように注意深い人間なんかには…まあ、手品なんかの技法ですよ。右手に何かあると注意をそらして…
本当は左手でトランプをすり替えたり…例えですよ?ほとんど癖みたいなものですから…

【男の態度は変わらない。何を話そうと話している時は舞台に上がった役者のように】
【それよりも指揮者のように会話の流れを操るように。流れに身を任すように話す 】
【彼に何も意図がなかったとしても、全ての話に何かがあるような感じがする。非常に厄介というか疲れるというか】
【周りの人間を緊張させ、自分でも何かと不便だなとは思ってはいるがそう変えられるものでもない】

【彼女の移る視線に合わせるように男は自らの目線も動かす】
【同じように動かすことで相手の心情を読み取ろうとしているかもしれない】

なるほどなるほど……そう言った一種のレイシズムは古代から存在していますから。
自国民のパンと見世物のために多数の他国民の奴隷を使役した帝国のような…
一応私もGIFTの一員ですから…教義について個人的な意見は控えさせていただきますが…ですから賛同してはいます。…本当ですよ?
まあ…ただ、ああいったものは敵に対してあまりにも小さい我々の結束力を高める一種のプロパガンダのような…
おっと、これ以上は…

【男は自分の話の後、彼女の話を蛇の目で相手の目を刺しながら微笑とともに静かに聞いていた】

130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/08(火) 22:42:59.99 ID:tQo3Z6t+o
>>113

………”お優しい”…。今、わかったことは…貴女は非常にお優しい。
人種。性別。年齢。そして能力…生まれ持ったもので人間は…いえ、全てのものは測れない。我々は偏に同じだから…
偶々の持って生まれたもので一生を左右されるのは可笑しい…。何をすべきか…持ちうる心で判断すべき…
あえて区別するならばアナキズム的な要素を持ったお話と…私は解釈いたしました。
それを聴いて私が感じたことは…貴女がとても努力をなさっている方である…と私は考えました。

【人差し指を額に当てて、ニヤリと笑いながら心のなかを覗き込もうとする姿に彼女はきっと嫌がるだろう】
【男はここまでの会話でそれぐらいの事は理解したのか、わざと煽っているようにも思える】

では…忘れましょう。忘れるのも人間に備えられた立派な能力です。
…おや、それは残念。…私はとても楽しかったですよ?とても…貴重な刺激的な時間でした……フッフッフ
私には重要な事ですから。休日にテニスをして。牛乳を飲む。…貴女の煙草の一箱と同じくらい…

―――それでは、今後とも。何かとご厄介になるかと

【また、男は胸に手を当てて恭しく礼をする。微笑を浮かべ頭を下げる】
【立ち去っていく後ろで彼は見送る従者のように礼をしていた】


【―――彼女が去ってから男は頭を上げ、夜景の街を見る】
【彼女の投げた煙草は強風に煽られてか屋上の床で煙を小さく上げている】

【男はそれを革靴の底で踏みつぶした。もみ消すように足を動かす】

(表の顔は大企業の経理…そしてGIFTでのポストもこれでやっと獲得することが出来た…)
(もう少し時間がかかると思っていたが…悪くない。いや、かなりいい)
(しかし…ただの一歩。…GIFTの中核を見なくては何も出来やしない……いや、GIFTすら…)
(…彼の夢を叶えるにはもっと遠い…10年でも50年でも足りないかもしれない………総統の夢は…)

【男は両足を揃え、左腕をまっすぐ下に降ろし気をつけをして。笑みを消した】
【そして、右腕を斜め上へと突き出して小さくつぶやいた】

――Sieg Heil....... Heil Hitler.

【ほんの一瞬、数秒の出来ことだった】
【男は軽く咳き込むと極微笑は戻り。踏みつぶした吸い殻を拾い上げる】
【何となくそのままにしておけなかった。それだけだ。その後、男は先に行った彼女を追いかけるように歩き始める】

しかし……助手というものも中々に楽しそうだ…

/という感じで区切りも良いのでここで〆にいたします
/数日間、濃密な緊張感のあるロールありがとうございました!お疲れ様でした!
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/08(火) 22:49:07.85 ID:mfkpp/Ljo
>>128

【視線を傾けた、まるで夜闇に紛れ込んでしまいそうな漆黒の姿】
【鼻で笑ってしまいそう、だってそれはお伽噺の中の登場人物みたいに】
【響いた声のトーンの行く先が彼女を揺らすと理解したなら、言の葉を一葉響かせて】


――――――かもね、ご忠告ありがとう
でもこっちは私の居た世界と違って、そこまでお金に対して執着してないと思うわ
そうでしょう?実際に貴方もきっと、そうなんでしょうから


【耳の中から通って身体に巻き付くような、ねっとりとした甘い猫なで声】
【するりと指先を伝ってこぼれこんできそうなぐらいに、丹念な甘みを溶かしこんで】
【揺らぐ声色、それは骨の髄まで染み込んだ、演技と呼ぶには手慣れ過ぎた話術】


貴方がもしお金に執着してるのなら、そんな言葉無しに奪っちゃうんでしょ
こんな小娘が肩まで鍋に使ってねぎまで背負ってるようなもんだしね
それとも此方の世界の強盗さんは、意外に紳士でも気取ってるのかしら


【此方の世界、と彼女は呟く声の中に響かせるのだろう、それは些か不可思議なトーン】
【純白の中、浮かび上がる紋様のような綾の形は、不思議そうに見えても仕方ない、くらい】
【――――――貴方へと視線を向けるスカイブルーの双眸に映る確かな色合い】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/08(火) 22:54:04.55 ID:KJol2jQYo
>>127

【成長している=\――その事が、手刀を受け流されたことで良く分かった】
【先程は衝撃波で強引に弾いたのを、終ぞ見切られた≠フである】

【それで終わり、というわけではないにしても。それにしても、銀狼は楽しくて仕方がない】
【極限での凌ぎ合い。それも同じ戦法で、似た能力を持つ将来有望なこの少女が】
【全く好敵手≠ニしか見えなくなっていた。既に攻撃一辺倒、防御は捨てていて】
【左手のそれをいなされて、来る反撃には右手の手刀で答えようと考えていた】

【――――だけれども、反撃が右手とぶつかることは無く】
【右手の一撃は、それに応じて止まっていた。少女の頭部へ振り下ろす、その直前で】

く、っ……、……選べ三雲。この手刀を勝負あり≠ニして捉えるか
或いは……その膝が、腕が。上がって応えるまでは『まだ』なのか

……確か、儂の知る限りではこの大会に時間制限は、無い
お主が後者を選ぶのであれば、儂はその心意気に応えよう
全力で闘い、拳を競う者同士として……何時まででも、お主の回復を待とう

【『どうする、三雲よ』――そう訊いて、銀狼は言葉を断った】
【見れば、掲げたままの手刀は小刻みに震えていて、尻尾もただ力なく項垂れていた】

【銀狼も決して余裕があるわけではない。元来、軽さと速さを主とするだけあって】
【その打たれ弱さは言うまでもなかったし、気の塊を一挙に吹き飛ばされたのも大きかった】
【ただ偶然、少女よりも身体が持っただけであって。仕切り直しても、それもまた勝負だと彼女は言った】

【―――場内がにわかに静まり返る。誰も彼もが息を呑んで、物音一つ立てなかった】
【大会のスタッフも、或いは第二ラウンドがあるのなら、と――待機しているのが、視界の隅に見て取れる】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/08(火) 22:56:23.28 ID:Dy9zI7XRo
>>124

【有名人と知ってはいるものの、実際、彼女のその姿をライラが目で捉えたことはなかったようで】
【その姿を確認するやいなや、ライラは彼女のその闘気に、思わず顔を綻ばせた】
【今まで戦ってきた奴が戦闘中に出してきた闘志が戦闘前に、しかもその涼やかな表情から発せられている】

「……あぁ。カノッサ機関ハンターのライラ=フェルンストレームと言えば、まさしく俺の事だ。
 覚えるも何も、以前から話は聞いてたぜ。超強えーんだってな、アンタ」

【彼女が取り出した太刀、そして炎。小耳に挟んだ小さな情報は、どうやら間違いではなかったようだ】
【とは言うものの、それを聞いて対策が浮かんだわけではない。結果的に、初見と同じようなもので】
【奇しくも炎と剣という組み合わせは、第一回戦と同じ。……流石に一回戦目と同じ戦闘方法は、拙いだろう】

「俺も優勝目指してるもんでな……チャンピオンになりたかったら、俺を倒していきな!」

【と、コチラも挑発まがいに啖呵を切るも、その台詞はまるで小物な悪役のようで】
【そうはいっても、彼女と同じく男も本気で優勝を目指していることは、男の蒼い瞳から容易に想像が付くだろう】


【―――――――――開始。と同時、彼女は駆ける】
【……彼女の思惑通り、突然消えたように見えた彼女を追ってライラは目を動かし、視界の内に捉えようとする】
【その反応から、ライラは特段反射速度が早いわけでもないことが彼女には分かるだろうか】

【しかし、その彼女の行動に対して何の魔法を仕掛けるか。それを瞬時に組み立てることが出来るというのがライラの特技であったりする】


「はえーな……だが、行くぜ!!  S  2  !  !   W i n d   A r r o w ! ! ! 」


【杖を持たない左手を彼女に翳し、その手首にはめられた5本のブレスレット、その内緑色に発光していたそれが減光する】
【と同時、ライラの頭上に現れるのは風を固形化した薄緑色の大きめの矢。長さは彼女の身長くらいだろうか】
【ライラがそう叫べば、その矢は一直線に彼女へと飛来していく。その動きは中々に速いが、一本な上に軌道は直線的だ】
【当たれば矢だけに突き刺さりそうなものだが……これは様子見、ライラも同じく、彼女の出方を見ようとしていた】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/08(火) 23:00:14.60 ID:TkPpzsAn0
>>131

 おやおや私はある程度金には執着はありますよ
 金がないと私が扱っている商品も入荷できませんし
 とはいえ、あなたから奪えるかどうかもわかりませんよ
 そうゆう人は油断できないので

【男は少女の疑問に対してそう答える】
【男にとってはお金はそのように必要なものだから】

 ほうほう、こちらの世界ですか
 あなたは異世界人という存在ですか
 
【男はそのように確定した】
【こちらの世界そのように言うのは異世界からきたのだろうと思い】 
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/08(火) 23:13:18.69 ID:AEtuxK0To
>>132

「もちろん……まだ、まだ戦いたい。
 このなまくらな身体があと少しでもう動くのならば、その最後の最後まで……あきらめたくなんて、ない」
【右肩を滴る血が、少しずつ少女の足元を赤く染めていく】
【拳を突き付ける銀狼のことを、いまだ鋭い視線で少女は見返す】


「けれど……もう、この試合が私の敗北だということに疑いはないだろう?
 例え……体力が回復したとしても、今の私でもう……あの炎は、起こすことが出来ない」
【強い意志によってコントロールをする炎の力】
【頭の先に、致命傷となるであろう拳を突き付けられて、維持を張れるほどの強情さもなく】

【見せつけられたな力の差の前に感じるものは――奇妙なほどの、すがすがしい気持ち】
【そんな、腑抜けた気持ちを抱えていては、もう獣人とは今までのように戦うことは望めなかった】
「お前の期待を裏切るようで、心苦しい気持ちも大きいがな……」

「それでも私の事を、拳を競うものと言ってくれるのならば……せめて今日は、お前の拳で沈めてほしい」
【勝負はどちらかが気絶するか、場外に出てしまうまで終わることの無かったはず】
【敗北は理解をしていても、もはや場外まで歩いていく体力もなく――】
【敗北者に情けをかけてくれるのならば、このまま少しの間悔しさを忘れられるように、眠らせて欲しいと懇願する】
「お前の、一撃で――今度は、負けないために」
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/08(火) 23:28:04.32 ID:KJol2jQYo
>>135

【少女の鋭く強いその視線を、銀狼は避けること無く正面から受け止める】
【鬩ぎ合う互いの意志。それを感じ取りながらも、彼女の心情を聞き取れば】
【これまた、闘う者としての鑑とも思える程の潔さを、言の葉から読み取って】

……そう、か。お主がそう云うのなら、儂は素直に、勧められるがままにしよう
一回戦の相手も、一癖も二癖もある男だったが……当たる相手が良いらしい

奴も、お主も。どちらも根性のネジ曲がった妖怪には眩しくて敵わぬよ

のう三雲よ……儂はお主と闘えて、嘘偽り無しに良かったと思うておる
拳法も能力も、もし儂が人であったのならお主が上であった筈だとも、な。
偶然、ほんの小さな差があっただけだと。至高の戦に違いなかったと、感じておる

……礼を言うのは、むしろ非礼に当たるのやも知れぬ。
だが、言うて置くぞ……有難う=Aとな。そして―――

【『さようなら、じゃ』―――言葉の切れ目が、試合の終わりとなるのだろうか】
【銀狼は少女の頭上に掲げた手刀を改めて構え直し、彼女のうなじ目掛けて振り下ろす】
【抵抗なく、狙いも狂わずに当たったのなら。それは、明音の意識を刈り取ることに意味していて――】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/08(火) 23:49:05.38 ID:AEtuxK0To
>>136
【お互いが勝敗を認識した瞬間――三雲は、ガクリと完全に崩れてしまう】
【疲労の色を隠す様子はなく、身体を苦しめる痛みには、辛そうな表情を浮かべて見せた】

「勝ったお前が……どうしたそんな顔をしているんだ。
 しっかりとしてくれ、お前は私よりもずっと強いのだろう……?」


「私の事を気にしてくれているのだろうが……偶然、僅かな差とか、そんな物で、今日の戦いを語らないでくれ。
 いいや、本当に小さな偶然が重なってこの結果になったのかもしれない。けれど、私は全力でやったんだ。
 その、全力の行いを……偶然の一言で片づけられてしまっては、私は嬉しくない」

「お前は勝ったんだ。 ……勝ったということをもっと誇ってほしいし、それから、できることなら次もその次も……お前に勝って欲しいと思う」 

「礼を言いたいのは……――っ」
【言葉が最後まで吐き出されるより先に、意識を手放して冷たい闘技場の床へと崩れ落ちる】
【暗闇に沈む意識のそこで、最後に見たのは心地の良い色の空】
【――気を失って倒れた少女は、どこか満足気な表情であったとか……】

【第三回水の国天下一武道会 第二回戦 長尾銀狼 VS 三雲明音】
【勝者――――長尾銀狼】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/09(水) 00:00:30.42 ID:aT3VPAvx0
>>133

……―――――――、……こ、光栄ね。……それじゃ―――――――遠慮なく勝負に征かせてもらうわよ?

【“……機関ハンター”。】

【慢心よりは困惑を浮かべて。少しだけ反応に困った様に、けれど今一度戦意を瞳に浮かべれば】
【彼の自称にやや疑問気味なのを隠せない声だったが、困惑の色は再び、瞬時に散った】

【……その青と目があった瞬間に。その本気を理解したのだろう。なればこそ踏み出す一歩は抜かりなく―――――、】

(反応速度自体はごく普通―――――常に私を捉えきれる訳でもない。それなら――――……ッ!?)

【“反応されるより早く斬撃を撃ち込める”――――そう確信を得ての疾走を、真正面から風の矢が迎撃した】
【柄を上に鋩を下に、斜めに傾けて鏃の射線を遮断する。刀身に着弾/痺れの様な衝撃が肌を揺らすが――――それで終いか、】

【こうも迅速な魔術の行使は、彼女の記憶でも殆ど経験がない。それゆえの一瞬の驚愕だったが―――――過ぎ去れば火が着いた、】

(……本当に、いい勝負が出来そう。征きましょう、ライラ・フェルンストレーム――――――!)


【矢を受け流し、刀を構えなおしながらさらに前進――――無策での突撃を思わせる其れを、“床面に刀身を打ち下ろす”動きで刷新した】


【軽く触れる程度に刀身を中て、その接触を起点として/接触点を軸として左に跳ぶ。】
【ものさしの一端を回転するピンに留め、回転によりもう一端を一点から一点へと飛び移らせるのに近いだろうか。所謂軸移動だが、減速さえもまるでない。】
【持ち前の高速度の生む膨大な“力”は、方向が変わったところで失われなかった。乃ち、瞬時に柊は疾走の軸を(彼女から見て)左に移しながら疾走を続けて―――、】


【最後の予備動作で摺り足―――――全身を地に撃ち込む様に安定を得つつ中段に大きく太刀を構える、】
【直後“自分の”正面に踏み込んで放つ斬撃は、横一文字に右から左へ。彼女から見た視界を断ち切り、ライラの胴を薙ぎ払う様に神速で吹き抜ける。】

【その移動を捉えきれないならば、印象に残るのは“ライラ目掛け、正面から疾走する”柊の姿だろう。だが軸を映す前の彼女への迎撃は、もはや十全のものに為り得ない。】

【とはいえ、それは狙い通りライラが幻惑されたならばの話だ。彼女の感覚での一瞬とは言え、斬撃までには確実な空白が存在する。】
【その猶予を利用して反撃に転じたならば、形勢は、大きくライラへと傾く筈で―――――】

【譬え斬撃を放たれたとしても、(彼から見て)右へはやや避けやすい。或いは、そういった判断もまた、可能だろうか】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/09(水) 00:02:35.55 ID:QdudICEqo
>>137

【少女の言葉を噛みしめるように聞き入って。彼女の意識が薄れたのなら】
【倒れ込む直前で、両手と尻尾を伸ばして抱きとめる】

【とはいえ――消耗もあって、ずっとそうとも行かず、静かに舞台に寝かせれば】
【自らもまた膝を折って深い息を吐き、何処か苦渋の表情を浮かべていて】

……儂には戦の作法や人の機敏がよう分からぬ。
今日、この時ほどそれを悔やんだことはない……三雲 明音……。
お主ほどの気高い相手と出会えたことを、心の底から嬉しく思う

そして……絶対、と。そう誓ってやることが出来ぬのが、心残りでならないが……
お主に託されたこの拳の道、究めねばならぬと今理解した……!

【――試合終了の声、結審。喜ぶべきことであり、少女もまたそうすることを望んでいた】
【ならば、と。銀狼はふらつきながらも立ち上がって、自らの足で石畳の舞台を後にする】
【拳をギュッと握りしめたその姿、研ぎ澄まされた闘志が透けて見えるかの如くであり】

【まさに、狼=\――『見ておれよ』というつぶやきは、誰に聞こえるはずもなかったが】
【きっとその気持ちは届くはず。試合の顛末は、そういう幕引きと相成った―――。】

/お疲れ様でしたー!
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/09(水) 00:09:27.01 ID:fUHNzk0Bo
>>134

【ふぅん、と彼女は静かに答えるのだろう、じぃと大きな瞳の形を揺らして】
【貴方のタイプは珍しいのね、と言いたげに細い首筋を震わして、小さな表情を彩らせる】
【彼女にとってのこの世界は、少なくともかつて居た世界よりは優しかった】


商品≠ヒ、その大きなアタッシュケースは大事な商売道具ってやつかしら
だとしたら貴方はイレギュラーよ、だってそうでしょ?商売人だったら人一倍お金にはうるさいもの
真っ黒なお兄さんは、常識から外れたアウトローを生きる人って辺りかな


【ベンチにちょこんとおろしたお尻、その両そばに両手を置いたなら】
【ぱたぱたとドロワーズから零れ落ちる細い両足を震わせるのだろう】
【少女らしい幼い仕草を見せたなら、甘えるような口ぶりを残して】


――――――こっちから言わせれば貴方達の方が異世界人だけどね
あまりそういう言い方は好きじゃないの、だってほら、異世界人だなんて人聞きの悪い
貴方も私も、結局は同じ人なんだから、そこに違いは無いと思うの

そうでしょ、楽しいものは楽しくて、綺麗なものは綺麗――――――それでいて
不審なものは、不審と、そうでも言ってあげようかしら


【視線を傾けたなら、クスッと微笑みを崩すのだろう、小悪魔のような艶やかな笑み】
【声のトーンがあがった、今度はもっと蕩けるような鼻にかかった淡やかな声で】
【不審との言葉は貴方を刺すのだろう、黒衣の男は彼女にとっては不思議な存在で】

【――――――とどのつまり、その正体について類推してるのであった】

/ごめんなさい!遅れました!
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 00:21:16.75 ID:qKTaRmZJ0
>>140

 おやおや、これは手厳しい

【少女の言葉、男にとってあまりきうするべきでもない】
【そして男は苦笑をした】

 まあ、たしかにこのケースは商売道具ですよ
 大切な商品の用紙などが入っていますからね

【言う、まあこれ以上の深入りはさせないだろう】

 まあ、私の服装は怪しい、それは自覚しているので
 ああそれと異世界人と言った事はお詫びします

【男はそのように言う】
【そして、謝罪のところは真剣であった】
 
 アウトローですか、まあそのようなところなところなのかもしれませんねえ
 お金にうるさいですか、私も意外とうるさいものですよなんせ商売人ですので
 ですがまあ払われるものが払われるのであればうるさくありませんが 
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/09(水) 00:30:06.09 ID:fUHNzk0Bo
>>141

【苦笑するその様子、余裕そうねだなんて小さく声が漏れそうなくらい】
【大人の余裕というやつであろうか、それはつまり彼女の幼さを実感させるよう】
【刹那に満ちる口内の静かな音律は、ただ揺るがぬ声色にも似て】


それはちょっと期待して損したわ、商品の用紙ってことはカタログみたいなものでしょ
そりゃ服とか化粧品のカタログだったら見てて楽しいけど、きっとそういうものじゃないと思うわ
――――――そういうセールスなら、私のこと、放っておかないでしょうし


【小さな口元に冗談交じりの笑みが零れた、ソプラノが演じるのは大人びた少女の虚像】
【耳元に心地よく流れるのは、愛らしい少女の姿で、どこか色気を感じさせる芳香】
【座ったまま細やかな身体のラインを浮かばして、彼女という存在を強調させる】

【例え自慢であったとしても、それが過言ではないといえるほどに彼女の容姿は恵まれていて】


気にしてない、一々言葉の揚げ足とるような嫌な女じゃないもの
……それと、そういう風に長々言われても何が言いたいか、伝わってこないわ
単なる忠告目的で私に話しかけたのなら……そりゃ、珍しい人だって思うけど

――――――そんな珍しい人がどんな商売してるかだなんて、気にならないことがあるのかしら


【ペース狂うな、だなんて心の底でちょっと思った】
【周りくどい話し方と彼女は形容する、貴方の言の葉は混沌として読みづらい】
【それこそ飄々と空をかける渡り鳥のように、雲間に浮かぶ彼女の掌をすり抜ける】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 00:31:43.99 ID:qKTaRmZJ0
>>142
/すいませんそろそろ眠いので凍結させてもらってもよろしいでしょうか
/明日は7時くらいにこれるかと
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/09(水) 00:38:49.25 ID:fUHNzk0Bo
>>143
/了解です、ただ明日は9時頃ではないと来れないので、そのあたりに呼んで欲しいです
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 00:39:48.90 ID:qKTaRmZJ0
>>143
/はいわかりました
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/09(水) 20:34:30.87 ID:pAy93EEZo
【喫茶店――テラス席】

――……ええ、ではまた。その件は考えておきましょう

【魔術師めいた黒のローブを纏う男の言葉を幕引きの合図に、対面していた老紳士が頷いて席を立つ】
【帽子を軽く持ち上げ会釈する紳士へ目礼を返すと、彼は一人になったテーブルに視線を戻す】
【その上にはとある魔法学校についての書面――新設する呪術学科についての概略文が連ねられていた】

……寄宿舎は無いな……寮監なんてご免だ、殆ど家に帰れないだろうに

【男は腰まであるだろう紅茶色の髪を億劫げに掻き上げて、再び書面に目を通す。文面を紫色の爪がなぞっていく】
【細め気味なオリーブ色の目は左右で瞳孔の開き幅が異なっていた。それだけで一種異質な雰囲気を醸しており】
【また、気付ける者もいるだろうか――掻き上げた髪から覗いた左耳には、清い水の力を放つ宝玉製のピアスがある】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 21:10:52.26 ID:qKTaRmZJ0
>>142
/いま、おられますか?
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 21:18:07.85 ID:cpw+mFuKO
>>147
いますよー
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 21:29:58.88 ID:qKTaRmZJ0
>>142

 カタログあっていますよ私の場合は
 まあ、ほかの商売人たちは違うと思いすが

【男はそう言った】
【普通の声音でしゃべった】

 私の商売ですか
 まあ、少なくとも表ざたになったら問題になるかもしれませんねえ
 ま、あまり表では言えない商売ではありますよ

【その瞬間一瞬ではあるが男の顔に笑みが浮かんだ】
【それはまるで、この商売をしていて楽しそうな笑みであった】
【その笑みは顔をよく見ていないときずかないであろうが】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/09(水) 21:30:21.55 ID:Oor7UewRo
>>146

【大会で次に当たる「ソニア」の研究の為、レンタルビデオ店でDVDを借りた帰り道―――身の覚えのある魔翌力の香りがふと、その男の鼻腔を擽った】
【……自分がペンダントとして首からぶら下げている宝玉とは異なってはいるが、その芳醇な魔翌力は確かに宝玉。しかも身に覚えがあるとすれば―――】
【―――……男は足を止め、辺りを見回す。鼻だけではなく瞳も使って探れば、直ぐにその香りの出処も解って―――そして、その出処に近付けば声を飛ばした】

【……自分は彼の姿を初めて目にしたのだが、彼の事は恐らく「あの娘」から聞いている】

……もしかしてアンタ―――鈴音ちゃんの……お父さん―――とか?

【おそるおそるといった様子で近づいて第一声を発したのは青いソフト帽を被った男だった。白いシャツの上には灰色のジレを着込んでおり、下はジーンズとシンプルな格好】
【―――その格好の中でひときわ存在感を放っているのは首からかけられたペンダントだった。銀の籠に砂色の光る玉を閉じ込めたデザインだが―――その玉、宝玉】
【男の紺碧の視線は、彼の左耳―――つまり宝玉製のピアスに向かっている。このピアスが、正確には此処から放たれる宝玉の香りが男が話しかけた理由だった】

別に怪しい者じゃあない。―――唯、その宝玉の匂いに覚えがあるから……こんなこと言って近づいてみたってだけで
……席、いいかい?

【空いたばかりの席に目を落とし、背もたれに片手が触れる。そして再度瞳は彼の方へと投げかけられ、座っても良いかどうかという了承を得ようとした】

/まだいたら!
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/09(水) 21:36:34.68 ID:/X8k/yQ4o
>>149

【揺るがぬ貴方の声のトーンは、一糸乱れぬ幽世の旋律】
【だからこそどこか気味の悪い、異質な存在にも思えた】
【細い眉を潜めたならそこに浮かぶのは、警戒心の強い色】


それってつまり、特殊な商売をしてるってことね
――――――貴方の言葉を借りるのなら表では言えない商売≠ゥしら
だとしたら貴方の商売人としての感性は鈍い≠チてことね


【口元へと揺れる指先は、接吻を交わす怠惰な口の形にも似て】
【クスリ、零した笑みの残照、響く淡い桃色の吐息の成れの果て】
【甘えるような猫なで声を剪定した後、響くのはきっと、貴方に染み入るように】


そうでしょ?こんな小娘捕まえて何が表では言えない商売よ
そういう話は他所でやって欲しいわ、貴方の言う裏の人種の人にでもね

――――――それとも、こんな小娘が表では言えない職業をしてるとでも思ったのかしら


【脚を組み替える、ドロワーズから覗かせるのは白百合のように可憐な両足】
【歌うような声の色は、貴方へと届かぬ指を伸ばすのではなく、元の心地良いソプラノへと戻って】
【――――――そこから少し歪ませたなら、バラのトゲのよう、美しさの中に敵対心を埋めた】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 21:40:49.17 ID:qKTaRmZJ0
>>151
/すいません、風呂に入るので返信が遅れます
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/09(水) 21:49:26.20 ID:pAy93EEZo
>>150

【――返答の声は無く、視線だけがじとりと持ち上げられ、ほんの一瞬だけ相手に合わせようとする】
【もし視線が合ったならば、僅かな間のみではあるのだが、何かしらの悪寒を感じ取るだろうか】
【それは歪な目に込められた“呪い”によるものだが。元より怪訝げな、或いは睨み据えるような視線でもあった】

……ええ。その通りですが……嗚呼どうぞ、空いていますから

【机上の書面を手元に集め、相手のスペースを確保する。やけに低調であるのは、相手の最初の一声があったからだろう】
【容易に察せられる程度には顔に出ていた。「お前は鈴音の何なのか」――懐疑的な視線は合わせられないだけで先と変わらない】
【(自分の前に別の男がいた。その話は聞いていたし、時折口走る名前も記憶に残っている――どうしても確認したい事があった)】

それと……――お名前を伺っても? 娘から、君の話を聞いた事があるかも知れない

【比較的落ち着いた声でそう尋ねると、改めて相手を確認しようとして僅かに眉を寄せる。何かを見つけたような顔だった】
【異質な力――自身の持つ宝玉とは異なる存在。男もそれを感知したのか、視線は彼のペンダントへと向かっていた】

/よろしくお願いしますー!
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/09(水) 22:22:59.56 ID:Oor7UewRo
>>153

【―――僅かな静寂がとても長く感じる。その静寂の中、自分に突き刺さる視線は一瞬だけだが鋭く―――いや、その中に何か重いモノを感じて】
【……殺気などは込められていないのに、こうゾクリとする感覚が肌を通るのはかなり稀少な体験だった。……ある意味、鈴音の「父」らしいとは思ったが】
【静かな印象の了承を貰えば席に腰を下ろし、左手に持っていた某レンタルビデオ店の袋を机の端に置く】

……いきなりすみませんね、ホント。

【フランクな口調が少しだけ丁寧になったのは、余り良い印象を持たれていないとその視線で確信したからだ】
【―――まぁ、冷静に考えればいきなり「〇〇ちゃんの父親ですね」などと話しかけられて良い印象が得られる筈がないのだが】
【……兎に角彼女の父親だ。怒らせては恐ろしい眼に会うかもしれない―――故に、質問に従わない道理がない】

……マーシャル・T・ロウって言います。 ―――まぁ彼女には……傷つき傷つけたというか。
殺されかけたから抵抗したら……なんか彼女が凄く心を乱して。―――いや、身体は傷つけてないっすよ?
……その後はまぁ、偶々会ってアイス奢った位……かな?

【彼女には殺されかけた。危うく全身を溶かされる所だった。なんとか彼女を傷つけずに自身を護ったが、何故か彼女のトラウマに触れたようで―――】
【と本当ならば詳しく話したいのだが、取り敢えず初めはある程度噛み砕いた説明。……正直彼は道筋立てて話すことを不得意と思っているので、伝わるか自信が無かった】
【―――話し終えた後様子を伺えば、その視線の方向が首元にあることに気が付いた。お互い宝玉を持つ者、お互い敏感なのだろう】

……これはご察しの通り宝玉です。 まぁ……彼女にはコレを奪われそうになって殺されかけたんですけどね、ッハハ……
―――あ、その時はピアスつけて無かったっけ。 その次にあった時に、貴方のそれと同じヤツを彼女がつけてた―――いや、つけてました

【男は慣れない敬語にやや詰まりながらも、記憶を辿って言葉で示す。自分の宝玉を軽く包むように握れば、渇いた笑いを浮かべてみせた】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 22:23:02.04 ID:qKTaRmZJ0
>>151

(ふむ今回はしゃべりすぎてしまいましたか
 まあ、別にいですか)

【男はそのように思う】
【口にはしないが】

 感性が鈍いですか、そうですか

【男は別段きにするようすはない】
【軽くその言葉を受け流す】

 さてさて、どうなんでしょうねえ
 貴方が表で言えないような職業をしているのかどうかは、私もわかりませんし
 ま、貴方がそういう職業をしているのならそれはそれで

【男はそうのように言う】
【少女が裏の職業をしていようと今のところはどうでもいい】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/09(水) 22:33:10.23 ID:/X8k/yQ4o
>>155

【――――――興味なさ気な瞳の下、浮かぶ表情が僅かに霞んだ】
【面白くないと思うのは貴方の反応に対してなのだろうか】
【軽く受け流すその様子は、大人の対応と言えばそうなのであろうが】

【若い彼女にとってはレスポンスがなければ、つまらないと思うのも無理は無いのだろう】


……だとしたら余計に意味不明よ、親切心で声をかけたってことになるでしょ
それが善意なら有難く受け取っておくわ、幸運の壺を売りつけないだけ幾らかマシね
尤も、それ以外はそういう妖しげなセールスと大差ないのだけれども


【ベンチから降りたら、スラリと伸びた細身の体躯を軽やかに揺らして】
【零す視線は鋭い色合いを潜めて、貴方へと静かに視線を傾けるのだろう】
【黒衣の貴方、そのアタッシュケースの中に僅かな興味は未だあれど】

【所詮彼女には関係ないもの、とわり切れるぐらいには】


別にね、貴方がどうのこうの喋ろうと私の知ったことじゃないけど
そういう周りくどい言い方、正直私好きじゃないわ
貴方の本質だなんて分からないし、何が言いたいのかも、さっぱり

――――――それとも何かしら、ハッキリと喋るのは、苦手とでも言う気?


【くるりと背を向けたなら、キャミソールから零れる背筋のラインが浮き上がる】
【柔和なシルクの旋律に抱き込まれる柔肌は、そのままでも夜空に溶けてしまいそうな、ほど】
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/09(水) 22:48:13.54 ID:ouX5ZRC7o
>>138
「……?」

【ライラからしてみれば、何を困った顔をしているのだろう、と言った感じだろうか】
【結構当たり前なことを言ったつもり――自称も含め――のライラにはコチラも疑問が乗るばかりだが、戦闘が始まるのならば、それも別】
【その蒼色に闘志の炎の炎を燃やし、ライラは剣士との二回戦に突入する】


「ッ……! あんな移動の仕方……!」

【有りかよ、とでも言いたげな顔は、間違いなくその挙動に惑わされている表情と声色で】
【剣士と戦ったことは数あれど、刀を使ったその挙動は初めて見るもの。しかも、全く失われない速度にただライラは驚くばかり】
【その為だろう。彼女のその斬撃も、気づいた時には其処に合ったという感じで。胴を切り裂かれ、このままノックアウト―――】


「……!!    F  2  ! !  F l a m e   B a l l  ! ! ! 」


【息を呑む、声にならないような声。必死の思いで避けようとしたライラの動きは、偶然か彼女の剣捌きで唯一避けられる可能性の有る、右側へ】
【避ける事が出来た。そして攻撃できる、といった判断はほぼ同時。ブレスレットの光の動きも、見えないほどに速かった】

【素早く体を翻し、彼女へと手を翳して叫ぶのは炎の魔法。途端、ライラの頭上に一つ浮かぶのは言わば大きな火の玉だ】
【先ほどの槍よりは、放たれるそれの速度は早くないだろう。しかし今度は煌々と照る火の玉。当たれば火傷は免れない】
【さらに、振り向きざまの攻撃となるため彼女の反応速度も問題となってくるだろう。……それでも、ライラよりは早いことには間違いないが】

/遅れました……すいません
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/09(水) 22:49:20.85 ID:qKTaRmZJ0
>>156

 まわりくどいですか
 ふうむ、何を言いたいかはっきりしろと

【男はそのように言う】
【少女のはっきりしろとの言葉ならはっきりしゃべりますかと思い】

 そうですねえ、貴方に話しかけたのは
 親切心と興味ですかねえ
 このようなところで札束を数えるなんてすごいですからある意味

【男はそのように言った】
【少女の興味を引かれたのはうそではない】

 そうですね、名前をうかがっても
 まあただの興味ですよ、名乗りたくないのならまあそれでいいですけど

【もし少女が自分の名前を名乗っても名乗らなくても男は自分の名前を言うだろう――ネームレスと】
【本名としては男の名前は怪しいが】
【そしてネームレスはここから立ち去ろうとする、一言言って】

 では、そろそろこれで

【そしてネームレスがこう言うと少女から立ち去るであろう】

/ここで閉めますね
/お疲れ様でした
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/09(水) 22:55:45.30 ID:OCL//V2m0
>>レグルス

【――――痺れる腕。この女性の持つ技術は五行と体術…………そして、フェイク】
【体術に於いてはただの力自慢ならば、容易に組み伏せる実力は持っている。しかし、其れをレグルスに足して行わなかったのは、其処に技術も付加されているであろうから】
【技術を用いて、反撃する技。相手も嗜んでいたなら――――或いは、防ぐ術を持って居たならばそうそう決める事が出来る技でも無い】
【だから、離れて“出来ない”と装う必要があった。そして、その体術を見せた意味合い。防ぎきれなかったからという事も勿論あるけれど、何れ近接した時に“五行”と“体術”の二択を警戒させる必要があったから】


「殺し合い――――何だか、昔の響きの気がしますね
ええ。私も、感謝しましょう。貴方が相手になってくれて良かったと
…………しかしながら、長くも続けられません。全てを披露させる前に―――――レグルス。白黒を決めさせて頂きます」

【霧。実体が無いという物は、どれ程に厄介な事か。斬れず、殴れず――――いなす事だって出来ない】
【更には何か訳があると解していても、その意味を悟る事なんて出来なくて―――――身体は、ゆっくりと包まれる事だろう】
【焼け付くような痛みは無い。凍えるような寒さも無い。だが、確かに身体に違和感を感じる】
【目に見えるダメージとなる事は無いので、それが更に泥沼へと拍車を掛ける】

【――――重い怠い身体。乱れる呼吸のリズム。避け様とすればする程に、体力も奪われて】
【……術の意味に気付いたのは、少ししてから。下手に動いたら余計に体力を無くし、結果としては蜘蛛の巣に捕らわれたも同然となってしまうだろうから】
【必要なのは、極力身体を動かす必要の無い脱出方法】
【“木”を用いて風で返す。しかし相手も風を用いている故不利。“火”を用いて蒸発させるか。もし気化するならば状況の悪化。ならば、僅かの間だけバケツをひっくり返したかのような“水”を用いてその霧を吸わせ、下へと流す】
【まるで身体に着いた物を流すのと同じ様に、“辺りの空間を洗い流す”】

【もし、目論見通りに行ったのならば、足元には“毒”を含んだ水たまりが出来る事になるだろうか】
【それが成功しようとしまいと、一度の跳躍で霧の範囲外へと逃げる事だろう】
【身体に張り付く巫女装束。一目でも疲労が分かる位の汗】


「…………っふ。破壊的な…………魔術だけでは無い…………という事ですか…………
中々に…………面白いですね。こうも、疲労させる…………術もあるとは」

【最初の様に綺麗な三点着地を行える訳も無く、ズザザと音を立てながらフラリと蹌踉けて】
【下手なダメージよりも、状況は深刻。一歩毎に自分の脚の重量を感じる程には、疲労。それ故に、華麗な動きというものもそう容易く出来なくなりつつあり】
【…………“木”。風を操る五行。作るのは可視化された鎌鼬。狙うのは、両の脚。先程より、上半身を狙わずに下半身への攻撃】
【機動力を削ぐ、という目的も勿論あるのだろうけれど】
【――――成功したならば、あろう事か折角得た距離感にも関わらず、レグルスへと近づくであろう】
【術を主としていた巫女が、自ら近づく。手を伸ばしたならば――――杖を振るったならば、拳を振るったならば届く程の距離に】
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/09(水) 23:04:00.32 ID:pAy93EEZo
>>154

【Tから始まるのだろうその袋の文字を視界に収め、なるべく相手に視線を合わせないままで彼の名乗りとその経緯を聞く】
【「レイジ」ではない事に一先ずの安堵と、そうであったのなら此処で仕留められたのに、と思う表情は結果的に静かな色をしていた】
【書面の端を無意識に弄っていた指を外し、机の上で組み合わせる。左手薬指に浮かぶ指輪の様な“黒蛇の痣”も、鈴音との共通項】

――……やんちゃな子でね、普段は大人しいのだけれど。たまにじゃれると爪が出てしまう
「殺されかけた」の程度は分かりかねますが……もし本当であるなら、父親として謝罪しましょう。
私は、セシル。セシル・シュトラウス―― 見れば分かるだろうけれど、血の繋がった親ではなくてね

【「傷付けた」の下りで恐ろしく冷えた視線もその後を聞けば幾らか落ち着いて、声の低さも幾らか緩和されているようだった】
【彼が殺されかけたと表現した事柄を「じゃれた」の一言で切り捨てる辺りが、娘の潔白を信じて疑わない父親そのものであった】
【――それから宝玉の件を知る事になる。組んでいた手はいつしか顎に添えられて、少し悩むような間があってからセシルは口を開く】

……宝玉、か。魔道具などは扱った経験もあるが、宝玉を持った事は流石に無かった
かのコーネリアスが……彼は確か両目に所持していたのだったか、だから余計に縁遠い物だと思っていたが……
かつては色々戦いもしたが。今となっては、持て余す事になるのかも知れない……もっともこれは“証”であるのだから、構わないのですがね。

【娘の悪事についてなど話したくはないのだろう。さり気なく話題を宝玉へ移すと、左耳のピアスに手を添えた】
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/09(水) 23:08:03.25 ID:/X8k/yQ4o
>>158

【――――――立ち去っていくであろうネームレスの背中】
【そのまま聞き流しても良い、と思っていた、それぐらいの存在と思っていた】
【けれども心の奥底引っかかるのはきっと、貴方に対するつきない興味であるから】


カノン、カノン=ストラトヴァリウス=初音
またどこかで会ったのなら、その時は……少しは貴方の事、知れたら良いのにね


【かける声が夕闇に溶けたなら、後に残るのは宵月にも似た形】
【紡ぐ言の葉の意味すらも、彼女は知らないままで居て】
【――――――溶ける一枚を重ねたままにしていた】


/お疲れ様でしたー!
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2013/10/09(水) 23:22:43.57 ID:moux26X50
>>159

……へっ、良いぜ……こっちも、そうダラダラとは続ける心算もねぇ……
最初に言った通りだ……全力、だぜ……!

【白黒つける、決着はすぐそこにまで迫っている。レグルスは、改めて両手で棍を握り締め直す】
【胸部に入った打撃は気になるが、一撃を振るう程度には問題はないだろう。接近戦は、それこそ最後の切り札として考えた方が良さそうではあるが】
【それよりも問題なのは、脚部の負傷である。機敏な動きを封じられているも同然で、そこには重々気をつけなければならない】
【――――自分のコンディションを、もう一度頭の中で諳んじて】

(……よし、『ポイズンミスト』が効いてやがる……大分魔力を食っちまったが、リターンも十分だ……!)

【本来『ポイズンミスト』は、そこまで遠くの相手に対して見舞う事が出来ない。故に、今回は『ジャイアントブレス』で吹きつけた格好だ】
【魔力2の効果を与える為に、4の魔力を消費した事は、確かに効率が良いとは言い難い。だが、相応のダメージを与えられたのなら話は別だ】
【今この場において、毒で相手を消耗させる事に成功したのは、十分に先へと繋がる布石として機能するだろう】

……水で振り払うかよ……確かに上手い手だ……だが……!

【『ジャイアントブレス』の効果が切れ、また、『ポイズンミスト』を水で以って空気中から洗い流す姿を見て、レグルスは表情を強張らせる】
【毒は、確かに体内に入り込みはしただろうが、その対処は的確だ。そうした適切な立ち回りが出来ると言う事実、それが恐ろしい】
【下手を打っては巻き返される事も、十分に有り得るのだろう。まだ、ちゆりは底を見せている訳ではないのだから、これ以上の術を打ちだしてくる可能性も小さくはない】
【次の一手を模索するレグルス――――だが、瞬発的な閃きが、レグルスの脳を貫いた。そう知覚した時には、既にそれを実行に移して――――】

ッッ! 貰ったぜ!! ――――バルレル(雷)・フェン(飛翔)・ゼル(自身)・ザン(レベル3)……『ローレンツブースター』!!

【跳躍の着地に乱れが見えた。それを見た瞬間に、全てのスピードをそこに集中させて、レグルスは行動に移る。その隙を突く事こそ、最大のチャンスだと見てとったのだ】
【素早くスペルを紡ぎ上げると――――レグルスの身体が帯電し、そのまま一直線にちゆり目掛けて飛びかかる。その勢いはもはや『発射』と表現されるレベルだ】
【――――電気エネルギーを用いた、一直線への瞬間加速。曲がる事もスピードの調整も度外視し、とにかく速度だけを重視した跳躍魔術】
【それを用いて、一気に接近し、棍によって打ち倒してしまおうと考えたのだろう】

……なッ!? っっがあああぁぁぁぁッッ!!

【――――だが、そこに予想外の要素が介在してきた。ちゆりの放つ風の刃。そして自身からの接近】
【『ローレンツブースター』の特性上、知覚しても回避は不可能で、足にはざっくりと切りつけられてしまい】
【更にちゆりからも距離を詰められた事で、インパクトの瞬間がずれてしまい、棍を振るうタイミングを遅らせてしまった】
【結果として、レグルスが放った攻撃は、ただの『体当たり』と大差無いものになってしまう】
【――――それでも、高速飛翔を伴った、体重87kgの巨体による体当たりは、相当の質量攻撃になっているとも言う事が出来るだろう】

【残存魔力 6/17】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/09(水) 23:31:26.24 ID:Oor7UewRo
>>160

じゃれるってレベルじゃないんですけどねぇ……
―――娘さんには何度もしつこく止めろとは釘刺しておきましたが、欲望の為に人を殺しても良いって考え……治ってないっすよ
正直な所、父親の責任が問われます―――いや、アンタがなんとかしないと今度はガチであの娘を捕えないといけないんだよ……

【娘に甘めの態度と途中の冷えた視線がほんの少し癪に障ったのか、やや瞳と声に力が入る。口調も途中で元に戻れば、ダイナミックなアクションで足を組む】
【―――先程の鋭い視線など、もう知らない。自分は完全に被害者だったんだと無言ながらオーラで語るかのように】
【深い紺碧の視線が強く煌き、セシルに問うは「父親」としての責任。彼女は危うく殺人鬼―――いや、もう何人も葬っているのかも知れないが】
【彼の所属―――着ている白シャツの右肩の部分に張り付いた緋色の鷹の紋章、「SCARLET」のメンバーという立場もあり、個人であれ民を脅かす存在は見逃せない】

―――……えー、セシルさん。 血が繋がって無くてもそれより強い絆があるとか、娘さん言ってたんだからさ。
アンタから直々に注意してやってくれよ。 いくら魔翌力が欲しくても、奪う[ピーーー]はタブーだろってな

といか魔翌力が欲しければマギタイトとかじゃダメなのか? ……そういや大会の賞品にでけぇマギタイトあったけどさ

【話題が宝玉に移すセシルだったが、ロウは長い沈黙の後に強引に話を戻した。さながら気分は尋問だった】
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/09(水) 23:31:55.48 ID:Ig2Cxy8W0
>>157


(……ッ……躱されたッ? そして、これは―――――――……っ、)

【初撃の斬撃は空を切る。振り返り様に魔力反応を知覚、半ば理性をも越えて“発生源/頭上”(うえ)からの攻撃に対応、】

【舞う様にゆらりと太刀を頭上に翳す―――――が、大気や刀身越しに伝う熱は防ぎきれない。経路に右腕の鎧甲を挟む事で軽減を図るが、コート越しに肌やその内側を焼いた。】
【至近距離で瞳に映り込む焔―――――焦げつく臭いに表情を歪める。息を止め、意を決した様に柊は再び踏み込んで】

ッ―――――――…………ハァァッ!

【爆炎を切り裂いて閃く斬り上げの一閃。上段から大きな楕円を描いて、輪転、下から胴を斬り裂きにかかった】

【高威力の爆炎を耐え凌ぎながら、それも覚束ない視界の中で放った斬撃だ。精密な一閃には程遠く、縦の軌道を思えば、先程より退避は容易だろう】
【問題はこのタイミングを想定出来るか否か。……それは、“回復”を要すればこそ柊の次手としては常識の埒外だった】

……、―――――――、

【跳躍や徒歩による回避も―――――阻めない程には、火球は効力を発揮した様で】

【攻撃の成否に関わらず、そこで柊は一度足を止める。呼吸を整えようと言うのだろう。回避の方法によっては再び距離を空けることも、彼得意の魔術戦に持ち込む事も可能ではあって】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/10(木) 00:03:14.21 ID:t3OeLokS0
>>162
【――――もし、魔術に長けていたならば。もし、魔術について学んでいたならば、レグルスの持つ魔力についても何らかの打開策を見いだせたのかもしれない】
【然れど、互いに異なる術を持って居る事が現実。互いに技を少しずつ出している事が現実】
【……着地が崩れた事は、勿論計算外である。然れど、その先は概ね計画の通り】
【――――イレギュラーとしては、その体当たり。予定よりも大幅に体力を無くした状態であれば、当然受け流す事は難しい】
【故に、吹き飛ばされる身体。例えインパクトが当たらずとも、体重と身長さから考えたならば、ダメージも大きいであろうか】


「ぐ…………ぅ…………?!」

【自らの跳躍ですら、制御しがたい状況。吹き飛ばされたこの時、受け身を取る事だって難しいであろう】
【ゴロゴロと転がる身体。そのまま進み――――フィールドの端。リングアウト一歩手前で、やっとその慣性も失せる】
【……気絶はしていない。ゆっくりと起こされる身体。ボロボロの身体であっても、尚その瞳に宿られた戦意はしっかりと向かれている事が分かるか】
【状況としては、良くも悪くもある。ダメージにフィールドの端という不利な位置。しかしながら、確かにあの“水”は己が作り出した物】
【そして、言葉を聞くに――――表情を見るに、“洗い流す”事には成功した事。謂わば、毒水へと化した事】
【傷の具合は分からないが、疲労度で比べたならば確実にこちらの方が蓄積している。何よりも、レグルスは力も宛ら体力も持っている事だろう】
【ならば、少しでも早く消費させる必要がある。斬り付ける事が出来た脚。この先、回避が困難となったならば、思惑通りなのだが――――】


「…………態々、流すだけで終わると、思いましたか」

【音を出して呼気を行い、次には深く息を吸う。呼吸を整える為に武術で用いられる息吹】
【――――魔術によって失われた体力を取り戻せる訳では無い。だが、この先では集中力を必要とする。だから、息の乱れを僅かでも消せたならば】
【……取り出された札。しかし、今度はレグルスへと放たれる訳では無い。自分の手に持ち、見せる様に前へと挙げるだけ】
【震える手は、疲労を、そして受けたダメージを隠しきれていなくて】


「…………――――。レグルス。体力を無くすのが、ここまで辛いとは、侮っていました
……けれど、次は“私”の番です」

【今度は、利用する番。“毒”水と化したその水たまりを、自分の札へと戻す】
【――――ただ戻すのでは無く、弾丸の様に用いて。即ち、狙いはレグルスの身体に直接“毒水”を注入すること】
【血液に、細胞に浸透させる事。望むのは、注射で打つかの様な即効性】
【……ある意味では、返し技。数多い岩を降り注がれた事に対し、己は水の粒を多く用いて返すのだ】

【体当たりの進みようによっては背後から襲われる形になるのかもしれない。いずれにせよ――――】
【どの程度まで脚を切りつける事が出来たのか。どれ位まで撃ち着ける事が出来、染み渡らせる事が出来たのか】
【…………双方の具合を見るに、決着は近いのだろうか。騒がしかった会場だって、今はきっとシンとしている】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/10(木) 00:03:27.52 ID:JCgT0lc8o
>>164

「―――……!?」

【「Frame Ball」は、弾数が一発、さらに速度もあまり無いということで奇襲用または牽制用として使っている魔術だ】
【先ほどは奇襲として使ったわけであって、普通ならば、相手は少なからずたじろぐはずであった】
【勿論、それがヒットしたとなれば尚更。 痛覚は、誰しも正直なのだ―――そう、相手が相当の手練でなければ、だが】

【奇襲に奇襲で返される。そんな事があって良い物かと脳内で思考するよりも早く、刃は不精密ながらもライラの腹を捉えた】
【下腹から胸まで、胴を縦断するように斬り上げ、ローブも、服も無視して肌色に赤い線が生じた。直後、流れ出る生暖かい液体】
【彼女と同じように一旦足を止めた。……呼吸を整えるためではない。もっと自体は深刻なのだ】
【紫のローブが一層色濃くなり、思わず胸へと手を当てるライラ。視るまでもなく、手には大量の血液が付着しているのだろう】

(チッ……やっぱ、言われてるだけのことは有るぜ……)

【ライラの耳にも入った事が有るくらいに彼女が知られている理由。強いから。ライラが知る限り、理由はそれである】
【そんな相手と戦えているのは光栄だ。その強さに只々蹂躙され、敗北する未来。ある意味、それも悪くはないかもしれない】

【だが、勿論そのような理由をこじつけて負けるようにはライラは出来ていなかった】


(全力で戦って『勝つ』……相手が、誰であろうともな!!!)


【幸いにも、出血範囲は広いものの傷は浅いようだ。それでも多めの出血には変わりないが、ライラは気に留めない】
【燃える目が、再び彼女に向けられる。笑う。一回戦目と同じ、歯を出した挑戦的な笑みだ】
【瞬間、ライラは彼女に向けて駆け出した。傷を庇う様子もなく、走りながら杖を彼女に向け、紡ぐのはいつもの呪文詠唱】


「  F  1  S  1  !  !  !   F i r e   S t o r m ! ! ! 」


【出現するのは、槍や火の玉のように形を持った物質ではない。それは風。ただし、高温を纏った熱風だ】
【当たっても、皮膚に火傷などは出来ないだろう。だが反射的に目を覆ったり、吸い込んだりしてしまう可能性は有る】
【尤も、熱風には半透明ながら色が付いている。其処まで広範囲に拡散はしていないので、視界の両端に逃げれば避けたも同然だろう】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/10(木) 00:03:42.55 ID:j049KvTBo
>>163

――……私が何かを教えようとして、あの子がそれを本当に聞き入れた事は無い。
いや、表面的な事なら受け入れてくれる。けれどある一線を超えると、頑なに聞き入れようとしない

そういう所が、……私が血の繋がりのない父親だからという事なのでしょうね。
役名だけのただの他人だという事ではないかな、所詮は。少なくとも私はそう思うのだが。

【肩の紋章に今更ながら気が付いた。それなら尚の事、見逃せる話でないという事は理解していたつもりだった】
【金を積んで片を付ける話をしようとしていた。だが「父親の責任」と言う言葉を、彼の詰問を受けた時、その考えは頭から飛んでいた】
【ずっと心中で募っていた思いだった。一度口火を切れば堰を切ったように、そんな部分まで相手には関知できないと分かっていても。】

響かないんだよ。私の声では。前の男でないと駄目なのか、本当の父親でないといけないのか
少なくとも私以外の人間なのだろう……―― 申し訳ないね、これは、君に言っても仕方が無かった。

【SCARLETとして彼の指摘する点は間違いなど無く、セシルもそれは受け入れていた。直々に注意しろ、との言葉にも同意する】
【誓約書等を提示されたなら、それにも素直に応じるだろう。今は明確に身分を証明できる物は無いが、元は教師だったとも話す筈】
【教師であったというのに、自分の娘も躾けられない――そんな皮肉を言ってやったなら、流石に閉口するのだが。】

/こちらが遅れたのもあって申し訳ないですが、明日があるのでこの辺りで……
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/10(木) 00:06:15.23 ID:jx7s2/G0o
>>167
/でしたら自分も明日大会があるので置きレスの方に回させて貰いますねー、お疲れ様でしたー!
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/10(木) 00:10:54.72 ID:j049KvTBo
>>168
/それでお願いします、それではお疲れ様でしたー!
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2013/10/10(木) 00:31:08.13 ID:iAduCBlp0
>>165

ぅあ……ッグ、ぐゥん……!

【ちゆりを弾き飛ばし、レグルスはその場に着地する。自分の身体に掛かった運動エネルギーを、ほとんどちゆりに叩きつける事が出来たから】
【だが、両足のダメージは大きい――――その足で身体を支える体勢で、レグルスの口から苦悶の息が漏れる】
【両足だけが、まるで赤いスラックスでも履いている様に、赤く染まっていた】

(……ここまでやって、なお立ち上がるか……!
……残る魔力も、もう多くはねぇ……さっきの一撃で倒し切れなかったとなりゃあ……次が本当のラストだ……
もうこれ以上、余力はねぇ……これで、一発勝負……!)

【吹き飛ばしたちゆりが、それでもゆっくりと起き上がる姿に、流石に苦い表情を隠しきれなかった】
【先ほどの一撃が決まれば、それで勝ちを取ったと確信していたのだが――――むしろ、余裕がない状況に追い込まれたと言っても過言ではない】
【――――有効打を放てるのは、次の1回限り。その一撃に、どの手札が一番適しているのか。悔しがるのは一時置いておいて、それを模索する】

…………もう、何も言わねぇ…………
確実に、勝ちを拾いに行かせてもらうぜ…………攻防一体、そこに全力だ……!

【ちゆりの言葉は聞こえる。だが、そこにまともな『返答』を返す余裕が、もうレグルスには残っていなかったのだろう】
【ただ、宣言する。堅実な一撃で以って、ちゆりを打倒して見せると】

――――オー(土)・サン(拡散)・ギル(レベル4)……『グラウンドゼロ』……!

【両手に構えた棍を、ガン――――と地面に打ち据えて、レグルスはスペルを詠唱し、体内の魔力を紡ぎ上げる】
【瞬間、レグルスを中心にして、周辺の地面が突如として隆起。土塊の突起が広範囲に突き上げる様に形成された】
【――――狙いをつけるのは確実にはいかない。隙を晒しては逆に狙い撃ちされかねない。故にレグルスは、その手段を選んだのだろう】
【範囲内にさえいれば、確実に効果対象として巻き込む事が出来る。更に言えば、相当の魔力を注ぎ込んだその攻撃は、範囲も相応に広い】
【更に――――自分の周囲の突起は、眼隠しや擬似的な壁としての作用も果たしてくれる。何らかの攻撃が来ても、シャットアウトしてくれるのだ】
【――――余力を全部回した、大地からの攻撃、大地による防御。それがレグルスが最後に選んだ手段だった】

…………ッッッッ……逆用……たぁ…………聞いて、ねぇ……な…………

【だが――――その守りを抜けて、毒の弾丸が一部、レグルスの身体に突き刺さる】
【ちゆりの狙い通り――――体内に打ち込まれたそれは、早くも作用を及ぼして、レグルスの表情が見る間に苦悶に染まっていく】
【思わず、両手に構えていた棍を、身体を支える杖として用いて――――それも10秒も持たずに、その場に四つん這いになってしまう】
【――――群生する土の槍の中心地で。レグルスは意識を保つだけで精一杯の状態に陥っていた】

【後は、ちゆりへの攻撃がどの様な結果をもたらしたのか。それだけが、この勝負を決める全てだろう】

【残存魔力 2/17】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/10(木) 01:08:17.03 ID:t3OeLokS0
>>170
【――――回避する余力は無い。更に言えば、詠唱の間を割る力も残っていない】
【動かないならば…………動けないならば、後は防御に思考を移すのみ。式神を使役する力も無い。五行を用いて次に備えるしか無い】
【幸いにして、レグルスは被弾している様。即ち、持久戦。如何に凌ぐ事が出来るのか。それだけを考える】


「…………勝ちを取るのは、同じです。私にも、貴方同様に此処に立った理由があります」

【その理由。自らがこの場に立った経緯。――――札。もう、攻撃では無い。自分の身を守る為】
【土生金。土から金が生まれる。即ち、金を以てしてその槍を凌ぐ】
【必要なのはその場から動かずに済ませる方法。そして、貫かれず、弾かれずに済む方法】
【克する必要は無い。ただ、その時を守り抜けば良い。其処から至った考えは――――】


「…………レグルス。私は使える物全てを用いて勝ちに行くつもりです
言葉でも、体術でも、五行でも、貴方の技でも。そして……待てば、勝てるなら。待てば、叶うなら――――“金”」

【範囲外と逃れる術は無い。それならば、回避では無く防御を狙うのみ】
【――――“金”によって足元に練られたのは平たい鉱石。下からの攻撃を防ぐ物】
【……衝撃までは防げず、要は打ち上げられる様な形となるのだけれど。それでも、直撃は避けられる】
【弱った身体に臓器を揺らす衝撃は辛いであろう。若しくは、密度によっては所々を掠るのかもしれない】
【けれど、決まりとなる一撃を浴びないためならば、犠牲は厭わない。口の端から漏れた鮮血は、何処かを傷付けたか】
【…………然れど、確かに凌ぎきった。立つ事もままならないけれど、確かに凌ぎきった】
【突起という性質。そして、平たい其れを足場代わりに使ったという事。場面的には、上からレグルスを見下ろす形となるのだろうか】
【無論――――その槍の高さにもよるのだけれど。見えたとしても、追撃の一手は行われないはず】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2013/10/10(木) 01:31:49.14 ID:iAduCBlp0
>>171

【――――もはや、頭上を見上げる余裕すら、残ってはいなかった。あるいは、その言葉すら、耳には届いていなかったのかもしれない】

……ぁ……っぐ…………また、初戦負け……かよ…………

【手を付いて上体を起こしている体勢すら維持できずに。レグルスはベタリと地面に倒れ伏す】
【毒による麻痺が、そんな身体に広がっていく。完全に勝負は決したと言って良いだろう】

……畜生、め…………――――――――

【意識を手放す、その一瞬。レグルスは、恐らく誰の耳にも届かないだろう声量で、ポツリと呪いの言葉を残す】
【実力を十全に発揮していれば、負ける理由などなかったはず――――そう思えるだけの過去を、積み上げて来ているのだ】
【しかし、現実としてレグルスは敗れた。そんな己のふがいなさをこそ、忌々しく思えたのだろう】

「――――情けないな、相棒……前回も今回も、同じ様な結末か…………
武道会きってのビッグマウスと、悪い方に名を残す事にならなきゃ良いけどね?」

【控えていたセコンドの青年が、呆れた調子で呟きながら、フィールドに上がり込み、レグルスを回収する】
【やはり体格の差が大きい為か、青年の表情もかなり苦しげに、レグルスを背負い上げる】

「……土を鉱石に変換させるのは、最初に一度見ていたはず……そこから考えたら、最後のあの一撃は下策だって、分かるはずなのに……
――――大舞台に舞い上がって、下手を打ったね……レグルス……」

【――――状況を見ていた青年には、最後のレグルスの選択が下策に映ってしょうがなかったのだ】
【戦闘の推移をしっかりと追いかけていれば、土を攻撃に用いるのは確実性にかける事は分かっていたはずで】
【それなら、別の魔術を用いた方が、まだ勝機は見えていただろうと――――所詮、第三者の言葉ではあるのだが】

「……しかし……櫻の国の術、か…………確かに、興味深くはある……」

【レグルスの巨体をよろよろと背負いながら、チラリと視線をちゆりに向ける青年】
【――――櫻の国の技術は、自分たちもそう詳しくはない。純粋に興味の対象として、意識が向いたのだろう】
【だが、それは今は重要な問題ではない――――致命傷とはいかないまでも、まずは治療を施さなくてはならないのだ】

「……次回戦以降の活躍を、祈っているよ
……立った理由があるというのなら、容易く負けてはくれるなよ……?」

【フィールドから去り際、青年はちゆりにポツリと言い残す。レグルスが気絶しているため、対戦相手としての礼儀を、代わりに果たしたのだろう】
【ただ――――自分たちを打ち負かした相手の、次以降の戦いでの敗れる姿は見たくないのだろう。やや刺の含んだ激励となっていた】

【――――1回戦 第7試合。勝者:天鬼 ちゆり】

/乙でしたー!
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/10(木) 01:57:33.30 ID:t3OeLokS0
>>172
【レグルスの意識が失せた頃、同じくして巫女の脚も崩れる事だろう】
【――――紙一重。正にその一言がぴったりと合うようにも思える結果。殴られたならばもう返す事は出来なかった。待ちに徹されたなら、きっと攻撃を仕掛けて自分が体力の底をついていた】
【始まる前はピクリとも動かなかった顔には、確かに疲労の色合い】


「…………ええ。勝ちの保証は出来ませんが、“容易く”負けない事は誓いましょう
……この脚で此処に立ち続ける理由がある限りは、その事を誓いましょう」

【何処まで青年の言葉が聞こえていたのかは分からない。もし全て聞こえていたとしても、最早返す力すら残されていなかったのかも知れない】
【――――それでも、最後に言葉を返したのは契りのため。自ら作り出した鉱石の上に仰向けになって応える様はどうも巫女とは思えぬ姿だが】
【青年がレグルスを背負って去る中、きっと大きな歓声等々が送られる筈】
【……それを縫って。或いは制して投げかけたのは、件の巫女】


「――――それと、伝言をお願いします
とても楽しかった。有り難う――――と」

【その声が届いたのかは定かでは無い。何しろ、今は己の声量を認識出来ないのだから】
【身体を打たれ、疲労が溜まり、そして強く弾かれる】
【…………長い吐息。目を瞑れば、後はその場の流れに身を任せるだけ。二人を称賛する群衆の声だって、一つも入りはしない】
【一戦目。激闘にも終止符が打たれたにも関わらず、暫くの間は騒ぎが収まらなかったそうな――――】

/お疲れ様でしたーっ!
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/10(木) 19:54:18.53 ID:YwcXhjh9o
【第3回水の国天下一武道会、二回戦会場】

【実況席から見て左側の入退場口から今、20歳前後の青年がフィールドに向かって歩みを進めた】
【彼は立て襟の白い洋シャツに黒の袷と袴というバンカラスタイルに黒いインバネスコートを羽織り】
【頭には黒のカンカン帽に黒の短髪に黒目と兎に角黒尽くめの格好をした、真に奇妙な人物で】
【どことなく感じ取れる“胡散臭さ”にお似合いの、“妖気”とも呼ばれる異質な空気を放っているが】
【同時にその顔に貼り付けた屈託の無い笑顔や、毅然とした立ち振る舞いからは“神聖さ”すら感じ取れる】
【そんな“陰”と“陽”とが混在した人物――――それこそが彼、玉藻狂死郎の本質なのだ】

ふぅー……

【狂死郎はフィールドに向かって進む短い間に、一回戦の戦闘についての最終分析を行う】
【相手は少女剣士。まだ若いながらも確かな実力を持つ彼女に対し、彼は搦め手を使って上手く凌ぎ】
【最後は半ば相手の自爆とも言える決着ではあったものの、勝利をもぎ取る事が出来たのだ】

一回戦の調子でやっていけたらいいんだけどねぇ……

【とはいえ課題は残っている。当然だが、二回戦以降の相手は此方の試合を観戦、分析を行ってくる】
【だからこそ狂死郎は“切札”の殆どを最後まで封印して戦うつもりであったのだが、一つだけ誤算があった】
【カンカン帽に仕込んだ“切札”――――『二重に歩くモノ』の存在を晒してしまったのだ】
【だが“切札”とは切ってこそ価値がある物、使わぬ切札など無いものと同じ】
【切るのが早いか遅いかの違いでしかない、と彼は自分を納得させるのであった】

おや、君と戦うことになるとは……なんとも奇遇なものだね。
どれくらい余裕を残せたものかな……?

【フィールドの中央に立ち、対戦相手の姿を見付けるなり、狂死郎は笑顔に“屈託”を混ぜ込んで】
【コートの中から陰陽の双剣――――第一回戦でも愛用した得物を取り出し、防御の構えを取ると】
【そのまま円を描く軌道で相手の周囲を回りながら、その様子を伺っている】

【左の白剣、右の黒剣にはそれぞれ“守護”の力が込められており、合わせて持つことで魔術への耐性を獲得する】
【それに加えて若干の身体能力、特に動体視力のさらなる向上を得ることにより、以って魔族への対抗手段としているのだ】
【見た目以上に強固なガード態勢を取る事で、早くから相手の大技を誘う――――狂死郎の狙いはそんなところか】

/それでは剛太郎の方、よろしくお願いしますです!!
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/10(木) 19:58:01.76 ID:ORdmiq9bo
>>174

【狂死郎の視線の先、実況席から見て右側の入退場口より現れるその対戦相手】
【ずる、ずる、と以前会った時の様に棺桶を引きずり、意気揚々と過去に見かけた顔の青年が現れた】
【さらっとした柑橘系の整髪料の匂いが漂う茶の短髪、きりっとした目の中に真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【以前と変わらぬ爽やかで、どこかあどけない笑みを浮かべている、180cmほどの長身の青年―――剛田 剛太郎、以前に会い見えた若者だ】


シードにされちゃったのもだいぶ驚いたけど、もっと驚いたのは、初戦の相手がおまえだって知らされた事だな
久しぶり、狂死郎!―――まさかこの試合場で相対する、そんな形の再会になるとは予想もしてなかったよ

『奇妙な巡り合わせもあったもんじゃの、初戦から手練れの術師が相手とは』


【ただ、前会った時と違うのはその服装が、格闘家のごとき道着を身にまとっている事だ】
【黒いズボンに白い和装の上着、左の胸元には黒い糸で『葉隠』と刺繍されており――そしてなぜかいつものように赤いマフラーを首に巻いている】
【もしかしなくともこの服装は彼の勝負服、という事なのだろう】

【そして今、セコンド席に置かれた棺桶の上には垂れた耳に丸い目、ソフトモヒカンのように中央の頭の毛がこんもり盛り上がった】
【首輪に複数の鍵をぶら下げた茶色い体毛に覆われ小さな子犬、いや…レッドカラーのトイ・プードルが以前と変わらぬ可愛らしい立ち振る舞いで、真っ直ぐ狂死郎を見据えている】
【ひくり、と小さな鼻を動かした子犬―――ムクは続いてその剣を見据えながら】


『ほう、その剣「干将・莫耶」か、己が有する魔物の力、その一端を移して作り上げたと見たが
こんな試合の場でずいぶん懐かしい物を引っ張り出してくる者と出くわすとはのう―――どうする剛の字、あれは誘っておるようじゃが』

大丈夫ムク―――何が来ようと、俺がやることは何一つ変わらないよ


【互いにフィールドの中央、やや離れた立ち位置から互いに向き合い試合の合図を聞く】
【初めに動いたのは狂死郎―――守式の構えと共にこちらの動きを伺っている?否、大技を誘っているのか】
【剛太郎は動じない、日頃と変わらぬ柔らかな笑みを崩さないまま彼は、狂死郎から目を離さず―――】


甘く見てくれるなよ狂死郎、ウカウカしてたら足元掬って断ち切るぜ
葉隠流 剛田 剛太郎―――推して参るッ!

先手貰うぞ、葉隠流 『山茶花』!―――せ い や ぁ ッ!!


【―――名乗ると同時、突如柔和でさわやかな印象を与える剛太郎の雰囲気が大きく変わる】
【その眼差しから急激に温度が消え、その赤い瞳と合わさって血濡れた抜き身の刃のごとき、敵対者を威する目つきへ】
【日頃の彼を見たことがあればなおの事、その者の動揺を誘うほどの豹変―――否、これが戦う時の『彼』なのだろう】

【攻撃に動いたのは剛太郎が先―――下から上へアッパーの軌道を描くように、右足を振るい】
【スナップの聞いた下段蹴りを左の白剣、その腹部分目がけ打ち鳴らそうとするだろう】
【狙い通りぶつかれば―――キィン!と、剣と剣を切り結ぶかのような大きな金属音を鳴らし、右腕に衝撃を与えるだろう】

【もし握力が甘ければ、その衝撃で左手の剣を取り落としてしまいそうな威力であるが】
【剛太郎の思惑としては、まず狂死郎の防御をわずかでも甘くすれば己の技をしかと叩き込める、そういう腹つもりでの初太刀だろう】

/はい、剛太郎よりお返事です
/こちらこそ本日はよろしくおねがいいたします
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/10(木) 20:42:14.51 ID:YwcXhjh9o
>>175
君のその衣装……戦闘用の胴着といったところかな?案外似合ってるじゃない。
中々強そうに見えるけど……拳法家だったんだ?棺桶とは少しアンバランスな気がするけどね。

【フィールド中央にて向き合い、互いの相手が見知った者であることを再確認する青年達】
【以前とは異なる衣装を身に着けた青年の姿に、狂死郎は当初とまた違った印象を受けたようで】
【軽く褒め称えながらも、少々意外、といった表情をその顔に浮かべていた】

そしてムク君、ご名答。僕の扱う陰陽の双剣は確かに「干将・莫耶」のレプリカだ。
けれどもこれは未完成――――ほら、干将の亀裂紋様も莫耶の水波紋様も浮かんではいないだろう?
こいつの完成度を高めるのが僕の大会への意気込みその1!ってところかな?

【それからセコンド席から聞こえてくるムクの声に向き直り、構えた陰陽の双剣を見せ付ける】
【彼の説明のとおり、彼の手にする「干将・莫耶」はまだ不完全の武器なのだ】
【それでも、数多の敵を葬ってきたのは双剣の魔翌力の源となった魔族の力の影響も大きいと言えるだろう】

まあ、無駄話はこれくらいで……それじゃあ始めようか?

玉藻狂死郎――――参る!!

【再び青年へと向き直り――――豹変した彼の様子になぜか笑顔をこぼす狂死郎】
【青年とは違って、彼は戦闘時と日常のテンションにあまり差が無いタイプのようで】
【青年が攻撃に動いた様子を見るなり、表情を変えずにその威力を見極めようとする】

(片手で防御は難しい……かといって回避するには旨味が無い。だったら――――)

【片手で防御できないのならば両手――――幼子でも分かるような単純な理論である】
【とはいえ、双剣の利点の一つは攻撃にも防御にも両方の武器で対応できること】
【それに則って狂死郎は「干将・莫耶」を交差させるようにして防御態勢を取り、下段蹴りをしっかりと受け止める】
【その瞬間響く金属音――――相手の体は鉄か何かで出来ているのか、などといった冗談を頭に浮かべた】

結構な威力で……今度はこちらの番だな!!

【そして狂死郎は反撃の態勢に移る。「干将・莫耶」を交差させるように構えたまま、一歩踏み込んでX字に切り裂こうとする様子だ】
【しかし、本命はむしろ“踏み込み”――――青年の残した軸足である左足を右足で思いっきり踏みつけようとする】
【例え青年が左足を踏みつけられたとしても、「干将・莫耶」による斬撃自体は防御することも不可能ではないか】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/10(木) 21:05:54.18 ID:jx7s2/G0o
【水の国天下一武道会 2回戦】

【シンプルな石畳のフィールド、猛烈な歓声の中心―――そこにゆらりと姿を現すは、青のソフト帽が特徴的な男だった】
【ソフト帽の下から深い紺碧の双眸を覗かせ、男は微笑を浮かべた。表情の奥に何かを隠しているかのような、怪しい笑みを】
【帽子もそうだが、白シャツ、その上に羽織った灰色のジレ―――そして首元の宝玉のペンダント。きっと今日の相手は彼に見覚えがあるだろう】
【……そして彼も彼女に見覚えがある。だから彼は名前を呼んだ】

―――ま・さ・かあの前大会準優勝者サマのソニアと当たるとはねェ……。お互いこんな形で再開するなんて思ってなかったろ
……にしても、俺からしたら勘弁して欲しい相手だぜ。 DVDで見てみたけどさ……射撃技術も能力も流石だなぁオイ、でも一番厄介なのは―――

勝利への貪欲さ、だな……。個人への対策、戦術―――勝利への筋道を確りと作る力。……―――ま、俺もソニアと同じタイプだけどな
―――……で? 今回は俺専用対策ってあったり? ……ちなみに俺はある。ソニアの弱点……「甘さ」は見えてるぜ?

【肩を竦めて溜息をオーバーリアクション気味に吐きながら並べるは、彼女を称える言葉の数々。冗談っぽく言いのけてはいたが紛れも無い本音】
【同じガンマンの部類だからこそ解る彼女の凄さもあり、その技術だけではなく精神的な部分にまで高評価をする彼―――だが】
【……それでも、「甘さ」はある。―――溜めて吐いたその言葉と同時に、男の眼光が鋭く変化し口角は更に上がった】

……ソニアからは俺がどう見える? セリーナと似たようなヤツとかか? ……彼女の劣化版とか考えられてそうだが、さーてどうかねぇ……
―――じゃ、やりますか……可愛い女の子の皮を被った化物さんと。

【両手に具現化するは銃。1回戦で見せた彼の能力―――右手に朱、左手に青の銃を使役するモノ。グリップを確りと握り締めれば】
【ぴん、と軽くソフト帽の唾を指で跳ね上げて両腕を前に軽く出して構えた。―――ゆらりと落ち着いた眼光で構える立ち姿から、老獪な雰囲気が醸し出されていた】

/院長の方お願いしますー!
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/10(木) 21:24:38.35 ID:ORdmiq9bo
>>176

まーね……俺は無手だし、拳法家にしか見えないか
棺桶は本来、ムクの持ち物だから、似合わないのもやむを得ないさ

『不完全か、贋作ゆえの劣化とも思えんが……まああまり高位の者に出張られてもこちらの未熟者には
荷が重いからのう、わずかでも勝機が見える戦いならば、さぞ士気も上がる事じゃろう』


【ムクの皮肉に答える様子もなく、剛太郎は前進を続ける】
【最初の『山茶花』をなんなく防ぐ狂死郎の技量、身体能力を今の一合で感覚的に図る意図もあったが】
【そこそこに渾身の意図を込め放った一撃をなんなく防ぐ辺り、相手にとって不足は一切ない事を感じ取ると】

【放ち終わった右足を後ろに下げようとしながら、相手の次の一手に思考を巡らせる】


おお、なんなく防ぐ、か……

(片手で『山茶花』を防ぐような筋力までは持ち合わせてないか……だが切り替えが早い
『バフ(身体強化)』で筋力の代わりに反応速度を上げてるな、こいつ……わかり切ってたことだけど純粋な身体能力はこちらが上
術師としては……うん、完全に相手が上だな)


【続いて、次の狂死郎の反撃、両の剣が交差したまま前に出て、踏み込みと同時に押し切る動作】
【両の剣を警戒し、剛太郎はその場で構えを変更、守式の構え『梅花』を持って攻撃をいなそうとするが】


(交差のまま押してXに引き切るのが狙いか、じゃあ使うのは『梅花』じゃなくて……)

葉隠流 『雛菊』ッ!


【腕を交差し、狂死郎が切りつけてくる交差の一点に合わせ防御を試みる】
【『雛菊』は威力の大きい一撃に対する防御に特化した守式の構え、交差の一撃ならば『梅花』でいなすよりもうまく防げる】
【これにより、「干将・莫邪」での一撃は最小限まで防げたが】


『いかん!そやつの本命は――――!』


――――…ッ!?


【防御は間に合った物の、その同時に狂死郎がこちらの左足を勢いよく踏みつけている】
【鋭い痛みが足の甲に響くのを感じ取るが、同時に剛太郎の鋭い目元にほんのわずかだけ焦りを見せる】
【剣が囮で、本命はこちら―――その意図を受けた瞬間に察したらしい】
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/10(木) 21:30:42.58 ID:xN1gDvpyo
>>177

【静かな風が吹いた、雪国に綴られる甘美な色合いの風】
【オーロラにも似た細やかな髪の彩り、プラチナブロンドがそっと押しとどめられたなら】
【片手で抑えるその仕草すらも、僅かな乱れを見せずに】

【――――――月光が照らし出す彼女の姿、ゆっくりと彼女もまた姿を表すのだろう】


……当然、なの……お陰でソニアね、徹夜しちゃったの
だからね、負けられないよ、それだけの期待を、かけたんだからね――――――

Это имеет приблизительно дыхание?
(一瞬ぐらいは持ってくれるのかしら)


【浮かび上がる彼女の輪郭、長い長いプラチナブロンドの髪を、新品のテンガロンハットに沈めて】
【ブラウンのベスト、ジーンズにブーツは、どこかの誰かが身につけていた品物にそっくりで】
【白いシャツをまるで下着のよう、胸元で縛るトップスに膨らんだ胸を押しとどめて】

【マリンブルーの瞳は真っ直ぐに貴方を捉えたまま、両手に握るのは、スチェッキンと呼ばれる二挺の拳銃】
【恐らくは作戦の段階から、貴方に対して、狙撃銃を担ぐという戦法を捨てたのだろう】
【掌が紡ぐのは微かな吐息にも似て、彼女の言葉の綾を埋めていく】


RaumKrankheit¢ホマーシャル・T・ロウ用カスタム
Последние марионетки тени
The Last Shadow Puppets

――――――始まりの合図は、いらない、よね――――――


【右のスチェッキンが跳ねた、左足を半歩後方に下げて右半身を向けるように移動】
【すかさず銃弾が空を穿つ、夜空に描かれるはほうき星が如く苛烈な軌跡】
【狙いは正確無比、貴方の左肩を、最短距離で撃ち貫く軌道――――――】

【テンガロンハットが乱れる、左手で抑えたならばブーツがしっとりと地面を叩く】
【マリンブルーの双眸の見る無限の視界と可能性の中で】
【ただ一つ咲き続ける白雪の意思を悟られないように、と】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage saga]:2013/10/10(木) 21:42:10.80 ID:Ide3ZAV+0
【風の国、エルジオ―――夜の広場】


【首都に位置する、国内最大を誇る広場だけあって。夜にも関わらず其の賑いは失う事は無く、】
【会社帰りのサラリーマン達やら、或いはデートに来たカップルやら―――やたら多くの人で溢れ返っていた。】

【其の活気を見越してか、アイスにホットドッグ、ポップコーン……兎に角、多くの露店が並び。】
【前情報無しに訪れた人なら、お祭りが在っているのでは無いか、なんて思わせる程であって―――。】


【然しそんな広場でさえも、秋めいた哀愁を漂わせる物は存在する物。】
【つまり其れは、夕焼けの深い色に染まった紅葉、そして大きな実を付け金色に輝く銀杏達―――。】

【広場を取り囲む様にして並んでいた木々は、―――もう、過ぎ去ってしまったのだろう。】
【必死に、必死にしがみ付いていたのだが。辺りに吹き渡る心地良い風にさえ勝てず、】
【ヒラヒラと人知れず最後の"粋"を見せつけ、―――やがて地面に同化して行く。】


【何方かと言えば、後者に融和していたのが、広場の端のベンチに腰掛ける一人の少年。】

【少し短めの艶やかな黒髪に、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【無地のグレー色のフードが付いたパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツ。】
【少しフレームの太い黒縁のメガネに、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われていた。】

【こんな身形を少年は、其の露店で買ったのであろうフランクフルトを片手に、】
【真っ赤なスマートフォンらしき何か物を操作―――否、厳密に言うなら、操作されていた。】

【何やら難しい顔をしつつも、時折『あっ、』と苦虫を噛み潰した様な表情を見せて。】
【其のぎこちない親指の動きからも―――『機械が苦手なんだろうか、』と云う想像は、其処まで飛躍した物では無い。】

【さて、少年の持つスマートフォンの、其の流線型で工学的なデザインから―――】
【其の存在、特徴を知る者なら、其れは"W-Phone"だと、真っ先に気づく事になるが―――?】


/大会中、日常ロールですが……よろしくお願いします!


181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/10(木) 21:52:01.88 ID:YwcXhjh9o
>>178

人は……いや、人だけじゃない。ほとんどの動物は“より激しく動く物体”に意識を集中させられる性質を持っているんだ。
ほら、よく蜻蛉に向かって指を回すと簡単に捕まえられるってのがあるだろう?あれと同じだよ。
今、君が負っているダメージも受けてしまうのはある程度仕方が無いというわけさ。

【狂死郎にとっては“予想通り”防がれた斬撃――――そして、上手く作用した本命の踏みつけ】
【考えてみればこの男、第一回戦も徹底的に相手の裏をかくような戦術を以って勝利を収めたのだ】
【元来、彼が対峙する相手は妖魔――――身体能力ではとても及ばないが、狂死郎はそれらを屠るもの】
【身体能力の差を“なかったこと”にする手段など、手に余るほど持っていてもおかしくは無い】

足へのダメージはしつこいぞ?まあ尤も――――

【青年の左足をゴリゴリと重力をかけて踏みつけながら、同時に狂死郎は靴の裏に仕込んだ“ある物”】
【お互いの目には見えない透明の札を、青年の左足に貼り付けることに成功していた】
【そして――――】

君はここで終わりだけどね!!


「 呪 相 ・ 衝 波 」ッ!!


【第一回戦と同じ、右足の膝に仕込んでいた札に、緑の光として視覚化された魔力を込め】
【それを一気に衝撃波として炸裂させ、至近距離で直撃させることによって青年を場外まで吹き飛ばそうとする】
【同時に反動で狂死郎は後方へと吹き飛び、命中結果如何によらず双方の距離は離れることになるだろう】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/10(木) 21:57:12.83 ID:jx7s2/G0o
>>179

……奇遇だね。俺も徹夜で大会DVD見てたからよォ、勝ってぐっすり寝たいんだ
―――そういや「UT対SCARLET」……クククッ、俺も絶対に負けられないねェ……!!

【白シャツの右肩部分で存在感を示すのは緋色の鷹の紋章、それ即ちSCARLETの一員の証。そして首元のペンダントも同様にプレッシャーを発しているのだが】
【そのペンダントからは芳醇で怪しげな魔翌力が感じられるだろう。銀の籠に砂色の光る玉を閉じ込めたデザインだが、その玉は宝玉】
【―――1回戦の時も宝玉の力をここぞという時に解き放ち、彼を勝利に導いた。その玉が月光に輝けば、更に怪しさは増す】

―――……ふ〜ん、なっるほっどねェ……。目には目をってことなのか、まさか二挺拳銃で来るとは思ってなかったな
俺の土俵に入って来たってみなしていいのか……ま、確かに面白いっちゃあ面白いが―――

―――そう来るってんなら、余計に負けられないんだよ。 ……見せてやるか、熟練の二挺拳銃を―――!!

【「面白い」と男が歯を見せた。今までの微かな笑みとは違った笑い―――見開いた両眼に宿るは闘気。本職で負けるわけにはいかない。そんな感情が焔となった】
【―――その両眼に映り込む彼女の先制の一発。最短距離故に速いがそれは単純とも取れる。瞳が弾丸を捉え、微かに左腕が動き―――トリガーが引かれる】
【……鳴り響く金属音。弾丸同士が衝突したと言う事実を甲高い音が観客に教えてくれるだろう。―――息を吐く間も与えず、ロウは右銃から轟音を鳴らす】

……ハッ、この試合―――周りから見たら訳わかんねぇかもなァッ!!

【弾丸の先は地面―――つまり、跳弾。石畳の隣接しあう僅かな隙間に弾丸を撃ちこめば、低い弾道で変則的に跳ね―――地を這うような鉛が彼女の右脚を狙う】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2013/10/10(木) 22:02:24.34 ID:DqIFXW+mo
375 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! sage 2013/10/08(火) 21:56:55.13 ID:a4RsdfYJi
優蛾=ウェスカ=ギムレット
いつも名前欄隠しているがたまに出る表示が全員茨城県
旧Wikiでの優蛾の編集IDがtukinogaでギムレットが一時期動かそうとしていた組織が「月蛾」軍
ウェスカもギムレットも腐女子でV系好きで喫煙者
ウェスカが議会潰したのは優蛾時代に自演して議員になろうとしたのをハブ酒にバラされた仕返し

なりきり辞めろ害悪自演クズが
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/10(木) 22:09:47.37 ID:xN1gDvpyo
>>182

【月明かりが陰った、切り裂く鋭敏な黒夜のコントラスト】
【呼吸すらも焼き付きそうな、張り詰めた緊張の中、弾幕だけが言の葉を捲る】
【それは後書きを急ぐ忙しなき欲望にも似た、飽きぬ願望でもあって】

【彼女の小さく細身な影が一葉揺らめく度に、彼女が溶けていくかのよう】
【儚さはやがて雪解けを待つ雪月花にも似て――――――】
【啄むその一瞬の、煌めきだけを確かに響かせるのだろうか】


ソニアもね、そう思うよ……きっとね、見てて楽しいものじゃ、ないと思うの
でもね、ソニアは楽しいよ、だって――――――ロウならね、きっと
手加減せずに、戦える、から――――――


【左手が地面へと傾いたなら、間髪入れずに吠えた、銃弾が石畳に打ち込まれる】
【貴方の跳弾≠ェ地面へと接吻した刹那、彼女もまた同じ位置へ銃弾を打ち込んだのだ】
【石畳を歪ませる、結果として、貴方の跳弾は、的はずれな方向へと飛ばされるだろう】

【軌道を狂わされた銃弾が、彼女の目の前を地面から上へすぅと溶けていく】
【テンガロンハットの爪先を揺らしたなら、その奥の彼女の小さな表情が解ける】
【静かに微笑みを刻む様子は、それこそまるで遊び相手を見つけた無邪気な少女の綾】

【小さな掌でスチェッキンが弾ける、掌で一回転させたなら、その銃口は正眼へと戻る】
【そうしたならばもう彼女に構える≠謔、な時間は必要ないのだろう】
【狙撃銃を捨てた狙撃手には、最早一瞬すらも遅すぎる、よう】


凄いの、跳弾……ソニアはね、そういうの、できない、から……
でもね――――――邪魔することぐらいはできるの、そうでなきゃ銃を持つ意味も、無いの
じゃあ次は、ソニアの狙撃=\―――――見せたげる


【右手が彼女の表情を隠すよう、手首を曲げて銃口を下へと傾けたまま手を目の前に翳す】
【手首を翻し銃口を貴方へと向けたなら、銃弾が一つ夜空へと投げ出される】
【狙いは貴方の右手、銃弾を放ち終えた右の銃を握る手を狙ったのだろうか】

【だがガンマンを前に、同じ手を使うのは単なる座興≠ノ過ぎなくて】
【新雪のように淡やかな頬の下、ほほ笑みにも似た薄化粧が解け出した】


ソニアのね狙撃≠ヘ……止まってる扇を射つものじゃ、ないの
狩人が狙うのは、いつだって、動く相手、とるかとられるかの命がけ、だから
一流の狙撃手は時間だって¢ナち抜けるの――――――


【地面に平行になる形で傾けられた右のスチェッキン、それに重なるように左手のスチェッキンが移動する】
【放たれたもう一発の銃弾、左手のスチェッキンは少し下の軌道で貴方の右手に向かう】
【貴方なら気づけるだろう、超一流のガンマン足る貴方ならば】

【違う軌道僅かな時間の差を明けられて放たれた二つの銃弾が、どんどんと近づいていくことに】
【右手の銃弾は通り道をしながら貴方の右手へと向かい、左手の銃弾は最短距離を突き進む】
【それは貴方の右手に着弾する位置で交錯する、髪の毛一本の狂いも無い位置に同時に二発の銃弾を撃ち込んだ=z

【硝煙がかき消す彼女の輪郭、それは単なる少女の姿を、見せては居なくて】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/10(木) 22:20:29.27 ID:Ju8C2f/h0
>>166


【浅い。が、広い――――“流れ”を掴み直す程度ならば十分だろう。普段より幾分も軽い手応えだが、斬撃の鋭さは衰えずに】
【それが届けど、見えたあの魔術師の貌には圧倒的な笑み。未だ、終わりには遠いという事だった】

(……期待、させてくれる、か。本当に綺麗な目をしてるのね――――)

【再度繰られるライラの魔力。追撃を図る/間に合わない、】


【避ける。避けきれない。半透明の魔力と風を知覚出来たのは、躰を動かすには不十分で、そんな予測と瞬きしか許されない距離だった】
【さりとて目を窄める程度で防ぎきれる筈もなく――――先程の火球の影響が残る瞳に、熱砂の如き刺激が襲って】


【さらに奪われた視界の中、柊は接近を続行する。斬撃は放たない。この状況で中てられるとも思えなかった。ならば状況に変化を加えつつ、一刻も早い回復を図る。】
【そうした意からの行動だった。“これまで通りの遠隔攻撃ならば”、この距離では彼自身をも巻き込むかそもそも用を為さないか――――その様な思惑で図る接近だったが、別の期待もまた同居していた】
【完全に成功したこの状況下でさえ、決定打に為り得ない術式。……ならば、“本命”はまた別にあるのだろう。】

【まさに彼女ら剣士の領分たる、この“終わり”と紙一重の距離に於いて―――――。】


(……貴方が見せてくれる世界があるなら―――――――終わりまで其れに酔わせてほしい。 )
(其れでこそ、この戦いは本当になる……ただの魔術師と剣士じゃない、この夜に戦う私達の“意味”を、世界に叩きつける様に輝いていられる……!)

【―――――何を、魅せてくれるのだろう? 彼だけの輝きはどうこの世界を変えるのだろう。】

【……或いは、この距離に何かを感じているのか。確実に戦力を減じつつも躊躇わない剣士の接近に、間合いは、改めて大きく詰められて】
【確実な好機が彼に訪れる。距離は僅か/妨害はない。如何なる一手をも、彼女は期待し/受けて立たんともう一度破顔して、】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/10(木) 22:26:41.15 ID:ORdmiq9bo
>>181

へっ、流石本職の妖怪退治屋……いかした細工をしてくれる

『―――?』


【軽い、とは言えぬその足へのダメージ、いきなりしてやられた】
【悔しそうなそぶりは見せない、相応の実力を見せてもらった―――やはりこの大会にはかなりの実力者がそろっている】
【それはすなわち……ここで勝ち上がる事こそまぎれもない強者の証明、強さを求めるこの青年が求める物がここにある】

【続けてこちらに振るわれる仕込み札の呪相、緑色の魔翌力を視認した瞬間、剛太郎も動く】


『仕込み札じゃあ!備えろ剛の字!』

―――問題ねえ!葉隠流 『梅花』ッ!


【両手で、中央の空を優しく包むように形作られる型、今度こそ作られる守式の構え】
【魔術関係に関する攻撃にはこの型を持って攻撃を防ぐのが得策、正面より放たれた衝撃波をうまく受け、上へと跳ね上がる】

【空中で一転、二転とうまく身体を捻らせ衝撃を逃がしながら、綺麗にリングの上に着地】
【狂死郎の狙った場外とまではいかない、しかし、綺麗に入ったのが足への一撃のみとはいえ現状、こちらが防戦気味である事を確認】
【場の流れを変えられるか否か、その調子を確かめるべく彼は右手首で口元を拭った後左足で震脚を打つ】


(―――よし、機動力はちょいと削がれちまったがちゃんと踏み込める、攻撃に支障はねえな
思った以上に手数も多い、ここで切り替える事……それがコイツに勝つために必要になる)

いいジャブだな、こいつは負けてられねえや!次は俺もいい所を見せてやるか―――葉隠流 『紅葉』!


【左手を腰の横まで引き、右手を前に出す葉隠流の基本の構え】
【攻防のバランスが優れたその構えを持って再び狂死郎めがけ接近を始める!】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/10(木) 22:46:39.64 ID:jx7s2/G0o
>>184

……―――ま、そう来るよな。……跳弾に対して対策がない訳が無い。
つーかなんだ、手加減せずにだァ? ……そらこっちのセリフってね。―――大会なんだ、愉しませてくれよ「準優勝」の今大会本命サン

【―――跳弾が跳ねる前に封じられたのは初めてだったが精神的動揺は無い。寧ろそうであって当然のようにニヤリと微笑みを浮かべる】
【その笑みは少しの嬉しさから来るものだった。自分に対して対策を練ってくれた事に対する嬉しさ】
【―――少しばかりの感謝を気持ちに込めつつ、ロウは弾丸を左で撃ち抜く。狙いは先程と同じ地面、ロウ自身の3m程手前か】
【それに少し遅れる形で右の銃から弾丸が撃ち抜かれる―――が、この2つの弾丸は「性質」が違う】

素晴らしい工夫だこと―――でもこっちも命がけだっつーの……!!

【最初に撃ち抜かれた左の鉛弾は青く輝いており―――地面に当たった瞬間、氷の壁をその場に生み出す】
【―――これは1回戦で多用し、彼を勝利に導いた優秀な防御手段。彼女もこの存在は知っているだろう】
【本来なら狙撃銃を想定しており、その威力では多量の魔翌力を注がない限り1発も耐えられないと判断したために使わないつもりだったが】

【―――自分と同じ二挺拳銃ならば話は別だ。この距離からの射撃であれば2発は耐えられる】
【盾があれば、少々の小細工は受け止められる。ピシッ、という音が並んで2発響いた。氷の盾に奔った亀裂が、ぎりぎり耐えたということを示す】
【―――つまりコレ以上近づかれたり強力な弾丸が放たれたのなら砕けてしまうが、今は耐えた。そして砕くのは自分の弾―――】

……こっちも一流っすよ、お嬢さん?

【遅れて飛ばした右の弾が、もろくなった氷の盾を捉えて砕く。いくつかの氷の礫が彼女へと襲いかかるが距離が離れている分、当たってもダメージは僅かなモノだろう】
【―――しかし、そのダメージよりも視界を氷の礫が覆うことが狙撃手にとっては厄介か。月の光を氷の煌きが反射しているのも大きい―――】
【その視界への障害はロウにも多少有るが、彼にはそれを苦にしない術がある―――そう、跳弾】

【光が目に入らないようにやや下を向きながら左の銃から弾丸を発射、先程彼女に防がれたがこの状況下なら、と言う事だ】
【―――地面に接触したのなら、軌道は跳ね上がり彼女の左太もも辺りに弾丸が飛来するだろう】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/10(木) 22:49:38.26 ID:YwcXhjh9o
>>186

上手く場外送りを逃れたか……いいねぇ!!そうこなくちゃあ面白くない!!

【青年が見事にリングの上に着地したのを確認し、思わず称賛の言葉を漏らす狂死郎】
【並の相手であればあの一撃で勝負が決まっていたはずであるが、それを悔しがる様子は微塵も見せなかった】
【彼とて自らの強さを顕示しようとする心は持っている――――だからこそ、ここで倒れられては“面白くない”のだ】

(“切札”は……まだ切るべき時じゃないか。ダメージを与えたとはいえ、向こうもそれ相応の警戒をしてくるはず。)

【こちらに向かって突っ込んでくる青年に対応するため】
【狂死郎は左の白剣を盾に、右の黒剣を相手に向かって突き出す基本の構えを取る】
【そして接近する青年に対し、こちらからも素早く接近を開始する】

偶には一つ――――力でゴリ押しをしてみるのも悪くはないか!!


「 呪 相 ・ 紫 電 」ッ!!


【まさに互いの間合いに入る直前、狂死郎は黒剣で左腕の肘の辺りを軽くなぞらせて】
【その瞬間、黒剣はその刀身に紫の雷電を纏い、魔術強化(エンチャント)される】
【紫電を纏った黒剣を以って狂死郎は青年の腹部へと、貫通力を飛躍的に高めた高速の突きを放つ!!】

【紫電を纏う黒剣は、少なくとも生身で防ぐことは不可能な威力を得たと言えるだろう】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/10(木) 22:54:03.22 ID:JCgT0lc8o
>>185

【そう、まるで子供のような淀みの無い目。幼い頃に唐突に浮かんだ夢を、本当に実現しているかのような瞳】
【成り行きで成ったとはいえ、ライラも子供の時、少しは魔法使いになりたいと思っていたのだろうか】
【……言い方を変えればただの馬鹿。普段は死んだ魚のような目の方が多い……が、兎も角今のライラは単純に強い相手と戦うのが嬉しいらしく】
【彼女にも分かるような、そんな笑みをこぼしているのだろう】


「行くぜッ!! 八攫!!」


【駆けながら、彼女も疾駆する中で叫んだその言葉。目をやられていたとしても、その言葉は聞こえるだろう】

【だが、距離はあと僅か。彼女が思うように、ライラのこれまでの遠距離魔法はこのようなショートレンジでは全く意味を成さない】
【よほど切迫した状況下でなければ、自爆などという手段は使わない。大体、ライラはそんな人間ではない】
【ならばどうするか―――ライラは左手を翳し、叫ぶ】


「  W  1  !  !  !   I c e   p i c k l e ! ! ! 」


【青いブレスレットが減光し、直後、『氷漬け』になるのはライラの持っていた木製の杖】
【そして、『杖』の射程圏内に入った所で大きく杖を後ろへと振りかぶり、彼女から見て左から右に、彼女の腹を打ち抜く様に思い切り薙ぐのだった】
【コレは、ライラが一回戦でも使った戦法。剣士などの近距離戦が得意な相手に唯一使える打撃攻撃】
【杖は先端が氷に覆われたことで攻撃力が上昇している。当たれば―――痛かった、では済まないかもしれない】

【だがこの杖。あくまでも普通の男性が木の棒を思い切り振っただけにすぎない】
【だから、反射速度で勝るだろう彼女が避けられても何らおかしいことはない。……杖という意外な一撃が判断を遅らせる、そういうこともありうるだろうが】
【さらに、この杖自体が斬られてしまってもライラは何の文句も言えない。そのまま身体も……ということになるだろうから】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/10(木) 23:01:04.87 ID:xN1gDvpyo
>>187

【小さな掌の上、泳ぐ二つのスチェッキンの軌跡】
【ジャグリングにも似た可憐な手捌きには僅かな隙すら感じさせず】
【巨大な狙撃銃から解放されたが故の手数は、貴方に負けずとも劣らない】

【宵月に溶かされていく眩いプラチナブロンドの髪の解けた色合い】
【ブラウンの服飾にミスマッチの白すぎる雪肌が、霞んだ彩りをそこに浮かべて】
【長い睫毛がぱちくりと、マリンブルーの水面へと届けば良いと思った】


むぅ……擽ったいの、その呼び方……ゃなの
戦う相手の名前はね――――――関係ないと思うの
……誰がね、相手でも、自分の銃を、信じれば良いだけ、だから

そういう風に、ソニアの名前ばっかりね、見てたら……撃ち抜いちゃうん、だから


【両手を解いたなら、すぅとおろして、腰の側でスチェッキンを掌にぎゅっと押し付ける】
【肩幅に開かれた両足、ブーツで踏みしめる石畳は、彼女に闘いの感触を自覚させて】
【瞼を一旦閉じて、開く、その一瞬の中に混ざってしまえば良いだなんて思えるぐらいには】

【つまりは対応するための体勢だ、氷の壁で銃弾を止められた瞬間に彼女は直ぐ様その体勢に移行した】
【それも研究の賜物なのであろう――――――少なくともこの光景は、想定の範囲内だから】
【けれども、その先に関しては、彼女の想像の枠内を、超えて】


――――――っ……まぶしっ……ぃ……!!
あっ……!!ぐぅ……っ――――――


【跳弾の真骨頂であろう、狙撃手にとって視界は無くてはならないほどに大事なものである一方】
【貴方のように跳弾を主軸とするガンマンにとっては、無くても良いものであるから】
【貴方色の銃弾が、彼女の左太ももを蹂躙する色合いを滲ませたなら】

【ジーンズの下からにじみ出た血液の色合い、まるで熱を持ったかのように傷口が痛む】
【唇を噛みしめる白い首筋の剥片、呼吸をする度に細い喉元が喘ぐように言葉をかざして】
【一回上を向いて、視線を下ろす、潜んだ眉の欠片は儚い美しさを携えて】


っ……下向いて射つだなんて、礼儀がなってない、の……
撃つ相手の事を考えるのが、一流の銃使い、だから――――――
捉えたよ、ソニアの――――――目で、しっかり


【言葉の残響をかき消す銃声、彼女の左手の銃身が、頭を下げて吠えた】
【彼女の太ももを撃ち抜いた跳弾の軌道を寸分違わず辿る銃弾≠ワるでなぞっているかのよう】
【跳弾の角度もある、けれども彼女の跳弾≠ヘほぼ同じ軌道をたどって貴方へと襲いかかるだろう】

【跳弾の為に下≠向いた貴方へと跳ね上がる銃弾、顔が近い分恐怖心もある、との考えか】
【或いは彼女の狙いは、それを踏まえた上で、貴方の視線を上げさせる≠アとにあろう】
【貴方がもし顔を上げたなら、彼女の右手の銃口が真っ直ぐに貴方の顔を捉えている筈だ】

【――――――その瞬間に放たれる銃弾は、まさに最短距離、貴方の左肩を撃ち抜かんと銃弾が襲いかかるだろう】
【一発目の跳弾は布石とも言える、彼女の技術ではあくまでも添え物に過ぎない跳弾であろうから】
【回避されたなら空中へと、再び銃弾は駆けていくはずだ】

【交錯するマリンブルーの歪む色合いすらも、褪せた美しさをそこに宿して】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/10(木) 23:22:17.99 ID:t3OeLokS0
【多くの人々で賑わう大会の会場。其処をふらふらと歩くのは、紅白色――――所謂、巫女装束と呼ばれる其れを纏った女性】
【片手に提げた袋にはワールドグルメフェスで買いあさった物が実に多く詰め込まれていて、もう片手に提げる袋には食い終えたゴミが入っている】
【…………どう見たって3人分以上の量があるのだけれど、付き人も居ない事から考えるにこの女性一人で其れ等全てを食べていた様で】


「…………中々の物ですね。お金が無いのであまり多く買えなかった事が心残りですが
まあ、開催中にステンでも連れてきて食べさせて貰いましょう」

【むしゃむしゃと食べつつ、その足取りは特に定まってはいないようであっち行ったりこっちへ行ったりと】
【しかし、女性一人では到底食べきることが出来ないであろうその量を平然とした表情で食べ続けているのだからある意味大した物】
【――――否、その表情を見るに元より感情の起伏が薄いのかもしれないけれど】


「………ふむ。色々と目移りしてしまうのですから困ったものです
自警団持ちとして使えれば良いのですか…………そう簡単にもいかないですからね
…………今回、後は見定めるだけとしましょう」

【さて、女性へと向けられている人々の視線。櫻の国特有の珍しい服装もその理由】
【序でに言えばその手に提げた袋も理由の一つ。だけど、何よりの原因は――――その大会に出場していたから】
【天鬼ちゆり。櫻の国の巫女。……もしかしたら、そんな一筆もあったか。出場者であればトーナメント表からその名を知ったかもしれないし、観戦者であったとしても試合を見ていたかも知れない】
【その他の理由であったって、この大きな大会。どの様な理由であっても可笑しくは無いであろう】





【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】


/余り遅くまで出来ず、もしかしたら凍結か置きレス移動となってしまうかもしれませんがもし宜しければっ!
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/10(木) 23:25:01.41 ID:ORdmiq9bo
>>188

【剣を武器にしている以上、相手も近距離を得意とする戦士】
【間合いは相手のほうが広い物の、決して見切れないレベルの機動とも言えない】
【先ほど体感した視界から外れた所よりまた盲点の一撃を打ってくる事、最も警戒すべきはこれである】

【接近と同時、相手も近づきながら黒剣に雷電のエンチャントを施すのを視認する】


『むう、エンチャント……こめる魔力量もスムーズさも剛の字よりも上、やはり術は上じゃのう、じゃが……』


……うん、大丈夫――――見切った!


【互いの間合いに入ったと同時、剛太郎は何と大きく身を低くさせるのが見えるだろう】
【剛太郎から見て右斜め前の方向へ身体を下段の位置まで深く下げた】
【紫電の一撃を剛太郎はあろうことか目で追い……右斜め前へ移動したことでギリギリ回避、やはり身体性能はこちらが上だ】

【腹部を狙っての一撃だが、身を低くしたことで頬をかすり、バチッ!と左頬に極めて薄い切り傷と軽い電気の弾けを感じた物の】
【剛太郎はひるまず右の貫手を左腰まで下げ、左手でその貫手を添える】
【その姿、今にも侍が腰より刀を抜刀しようとする動きに―――『居合切り』の構えと見紛うその姿勢を作ると同時】


葉隠流 奥義ッ! 『快 刀 乱 麻』ッ ! !


【―――次の瞬間、右の貫手……いや手刀を左腰から下から上へとなぞる軌道で剛太郎が『文字通り』抜刀した】
【高速の動きを持って振るわれるその手刀の抜刀はそのままだと狂死郎の左脇から肩にそって斜め下から上へと切り結ぶだろう】

【加えてこの一撃……『梅花』と違って今度は微量の魔力すら感じさせない……この奥義はまぎれもなく体術】
【だが信じがたい事に、まともにくらえば文字通り鋭い刃物で切り刻まれるかのように……綺麗な刀傷を身体に作る事となるだろう!】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/10(木) 23:27:23.15 ID:Ju8C2f/h0
>>189

【声――――朗らかで、迷いがなくて。思わずつられてしまう様な、童心に帰る様な二人分の疾走を感じた。】
【返す微笑みは紛れもなく彼女のもので。その音色に潤った声は、純粋な歓びに満ち溢れていた。】

――――――――――――受けて立つわ、ライラッ……!

【風切り音。聴こえるが、軌道が視えない。あの風が、想定以上の効力を発揮して、】
【予測より遅れて知覚――――――“数手先まで”可能性を想定/“一手”を必要な手段として決意する、】

……く―――――あ、くうぅっ……!

【咄嗟にスウェー気味に身を翻して衝撃を逃がすが、大部分をその身に直撃として受ける。吐き出された呼気は肺を空けて、舞い散る鮮血より明らかに量が多い。】
【強靭な精神を有する反面、彼女は肉体面では些か脆い。容姿に見合ったものではあったが、受けた衝撃と打撃は甚大で――――】
【反撃は未だ行われない。その余裕がない様であり、後退を避けるためリングに突き立てた刃は、見様によっては身を支える杖の様であった】

【だが、それが抜き放たれる。濃藍のコートの裔の裏側/僅かな金属音を伴って、支えを失う躰はぐらり、傾いで両の足許を踏みしめた】


【漸く取り戻した視界―――――未だ不完全な其れではあったが、確かに映す橡色が、双つの青に正面から合って】 
【鬼気―――――不可視の刃の放たれるが如く、高密度の殺気が叩きつけられる。“だが、それは彼の行動を阻害するほどの効力を持ち得ない”。】
【彼女が認めた、斬撃を受けてなお不敵に笑う程の精神力の持ち主だ。憎悪のない純粋な圧力ならば、越える事も容易なのだろう】

【打撃による追撃を行うも、魔術の行使も彼の自由だろう。“彼女は、そうまで追い詰められている”。そう、紡ぐだけの様な材料だった】
【だが、警戒を傾がねばならないのは彼女の背後にある白銀の太刀――――不気味なまでに存在を秘匿して、水面下の魔物の如く氷の牙を研ぎ上げる。】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/10(木) 23:27:26.45 ID:jx7s2/G0o
>>190

……―――俺ほど自分の銃を信じてる奴もいないと思うぜ? ……特に射撃技術だけは、誰にも負けねぇよ
ソニアにもセリーナにも、他のいろんなガンマンにも絶対に負けるつもりは―――無ェッッッ!!

【ソニアは自分に対策を立て工夫を凝らした銃撃を放ったが、その工夫は此方にもある】
【視界を奪われることは銃使いが非常に嫌がる行為。そして自分にはある程度視界を妨害されても大丈夫な技がある―――故に】
【……氷の礫による妨害と跳弾の合わせ技を選択し放ち、成功した―――に思えたが】

【―――こちらもある程度のリスクを背負っている。目線を相手から一時的に切るというタブーを】

……クソ、もうちょい月がはっきり出てたら……!!

【彼女の声が聞こえた、自分の想定よりも視界の阻害効果は薄かったようだ。氷の破片の動きまでは操れない為にある程度のランダム要素を抱いていた為に仕方がない】
【……のかも知れない。運が良ければ氷の欠片が目に入ったということもあるのだから。下を向くロウの目に、地面へと着弾する弾丸が見えた】
【跳弾を扱う身故か、その時点で自分へと襲いかかる軌道が瞬時に見える。故に直ぐに顔を上げて回避を図った】
【―――が、大きな視界の動きとその動作の隙。弾丸がその間に差し込まれるのは相手がソニアなら当然の事。弾丸が左肩を貫き、鮮血が舞う】

―――っぐぅぅぅぅッ……!! ―――うぉぉおおおッ!!

【そのまま後ろに身体が翔ぶが、その瞬間撃たれた側の左の手を後ろにやり背中に隠し、ロウは空中で「後ろ手」の状態のまま地面に弾丸を放った】
【銃口の角度が完全に隠れたままの「ノールック股抜きショット」。銃撃を受けながらの反撃にはロウの意地が見えて―――】
【―――ロウの身体が地面へと叩きつけられると同時に、銃弾は地面を跳ね返ってソニアの「左肩」に飛ぶ―――】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/10(木) 23:38:45.43 ID:xN1gDvpyo
>>194

【銃弾を放ち終えた右手のスチェッキンを彼女は下げて、腰の側に押し当てる】
【かくんと崩れ落ちそうな左足、ダメージは決して軽くはなくて】
【噛みしめる横顔の苦しげな色合いを、辿られないようにしたかった】


……逆に聞いてあげるの、ロウにとっての、銃はね、何なの
自分のね、技術を表現する道具、ならね――――――それは信じてるとは言わないの
少なくともソニアは、そう思うの


【自然体で立ち尽くす彼女の姿、両肩から力を抜いて、たらんと細い両腕を垂らす】
【必然、銃口はどちらも下を向いて、貴方のノールック≠フ一撃を受ける術はない】
【瞼をそっと閉じて、まるで無抵抗のよう、静かに口を締めて】

【まるで呼吸をするかのよう柔らかなソプラノの泡沫を響かせた】


――――――Broken Glass Syndrome


【先ほどの大会でも使った、彼女の異能、彼女が狙撃手たる最大の所以=z
【彼女を護るように出現した姿見が、貴方の放った銃弾を受け止めるだろう】
【否、受け止めるのではなく、その表面の水面へと、溶かすかのように】

【鏡へと物体を溶かしこむ能力、それが彼女のBroken Glass Syndrome≠ナ】


……表現して欲しいの、ロウ、貴方にとっての銃が、何なのか
そうじゃなきゃ、ソニアは……銃を使ってる人に、負けてなんか、あげない


【放たれた銃弾が溶けた先、貴方の頭上にもう一つの鏡が出現するだろう】
【コンマ数秒の隙間を置いて、鏡の先から貴方の放った銃弾が射出される】
【狙いは彼女が先ほど撃ち抜いた肩とは逆の肩、一気に畳み掛けるという算段か】

【だが鏡による移動を使った狙撃は、彼女の手による狙撃とは比べ物にならないほど狙いが荒い】
【鏡に依る転移、という存在を頭のなかに叩き込んでいたならば回避はそう難しいことではないだろう】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/11(金) 00:05:25.20 ID:wYEy2o9Xo
>>193

「これじゃ、魔法が使える棒使いなんて言われても、おかしくねーかな……!」

【魔法使いにとっての杖とは、魔法を使う媒体である場合が多い。が、ライラの媒体とはまさしく、その手首のブレスレット】
【故に、ライラにとって杖は不要。ただ打撃の道具であるだけの木の棒。ちょっと長い、偶然打撃に使える棍棒のような存在】
【こうでもしなければ勝てない―――力の無さを自嘲しながら、ふと手に持った愛用のそれを見た】

【首を戻せば、彼女も杖を―――おそらく彼女が死ぬ時まで一緒だろうその刀を床へと突き刺して持っていた】
【この大会に出場している者は全員そうだろうが、手にしているものは皆違うけれど、揃って愛用のそれ】

【……彼女のその刃は、この後自分に牙を向くのだろう】

「……ッ!!」

【加えて、彼女から放たれるのは殺気―――彼女を体現するかのように鋭く冷たい、前方から避けられない程の刀が迫ってくるかのよう】
【ライラも、これの前には思わず足を止めて白旗を上げたくなるような感覚に陥る。純粋に、怖い。怖い、のだが】


「――――――……行くぜ八攫ぁっ!! 」


【大きく息を吸って吐けば、その時にはもう先ほどのライラが、不敵に笑むライラが其処に居た】
【もう一回その言葉を吐けば、左手を翳す。全てのブレスレットの光が消え、代わりにライラの頭上へと現れたのは、膨大な魔力の塊】
【先ほどの魔法とは、2倍、3倍、いやそれ以上の魔力が其処に集結する】

【此処でライラは、魔力を使い切るつもりだ。それは、彼女の全力を見たいという気持ちの表れか】

【魔力が姿を変え、現れたのは……白い龍。大きさは3mほど。鋭い眼光のそれは今にも彼女へと飛びかかりそうで】
【単純な魔力の塊であるこの龍。ヒットすれば、波のような衝撃が全身を貫く。リングアウトしても、おかしくないくらいで】


【決着を付けようとばかりに、彼女を指さして。その指図通りに龍は一直線に彼女へと向かっていく】



「  M  4  !  !  !   M a g i c   D r a g o n   S h o o t e r ! ! ! 」 
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/11(金) 00:07:39.96 ID:+Kb69AgWo
>>195

……っふー。―――さっきから説教が好きな様で。
ホントはこういうことは簡単に言うもんじゃないんだが、言わせたいならしゃーねぇな……

―――銃は俺の正義を貫くための「牙」だよ…… 「不殺」を通す為には力が要る―――「不殺」という夢物語を貫くための力。
……それが。―――それが俺の銃……!!

【―――何故其れを今話す、何故まるで俺の師の気取るかのように俺に問う。やや上から送られるような言葉に少し皮肉を送る】
【……軽々しく言うものでは無いが、と前置きをしてからロウは言葉を吐き切り放った弾丸が―――ソニアの鏡に消えた】
【―――多少面食らったような顔をしたが、直ぐに笑みに変わると男はゆっくりと左脚から立ち上がる】

【自分の怪我は左肩、上方への発砲は困難と思われる。 対する彼女は左足、機動力を削いだのだろう】
【―――ロウに機動力は相当無いが、この傷があれば脚力は五分だろうか。右かかとをトントン、と地面に当てて古傷のある右足首の様子をロウは確かめた】
【……ゆっくりと息を吐いて、そして青のソフト帽を投げ捨てた。―――初めての事だ、彼が帽子を投げ捨てるのは。……雰囲気が、変わった】

―――鏡……そういやあったな。―――表現? 可愛いツラしてるからって言う事聞いてくれると思うなよ駄々っ子が。
……ソニア、アンタやっぱり心の何処かで俺を舐めている。 ……自身は気付いてないと思うが、このガンマンの眼にはそう見えるな

―――其れは余裕か? ……自分より強い銃使いはセリーナだけだ、とか心の何処かで思っているんじゃあないか?

【―――見開いた双眸は、マグマの様に熱い一面と恐ろしく冷酷な一面を持つ紺碧だった】
【……弾丸が右肩を射抜かんと迫る。だが狙われた箇所はある程度の予測が付いており、左脚を軸に身体を捻り躱す】

……俺は強くない―――確かあの時、前にあった時そう言ったよな。自分で言うのは良い。でもよ―――他人に言われると……そういうことだ。
―――ソニア、俺は子供だが……アンタも変わんねぇな

【彼女のマリンブルーの瞳を何かを訴えかけるかの如く直視したまま、男は両手を背中側にやり「後ろ手」状態を作り弾丸を放つ】
【―――銃口の見えない中での、1,2と違うタイミングで放たれた弾丸。途中までは似た弾道だが、最初に放たれた弾丸、右銃からの其れは朱く輝いて―――】
【そして地面に当たった瞬間、ぼうっと火柱を一瞬だけ上げる。その火柱に隠された後の跳弾は、火の中から突然姿を出し伸び上がる軌道で彼女の左肩を襲う】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/11(金) 00:08:57.23 ID:xsWCFRqDo
>>192

やっぱり回避されちゃうわけか!!流石だねぇ!!

【相手の身体能力を確認していた以上、可能性が無いわけではなかったのだが】
【実際に力を込めた一撃を回避されたからには、驚愕の言葉を漏らさずにはいられない】
【――やはり、正面切って戦うのは向いていない――などと狂死郎は改めて自覚しただろう】

くッ……!!

(一応、防御のために白剣は構えているが、防ぎきることは不可能か!?ならば……!!)

【回避されたことを確認し、狂死郎は素早く遊ばせていた左の白剣を防御のために備えさせる】
【そして青年の手刀が命中する瞬間、白剣で青年の右手を僅かに弾くことで軌道を少し逸らし】
【同時に後方へと飛び退くことで、傷を少しだけ浅くすると共に青年との距離を離したのだ】

ッ!!……いい腕してるじゃないか……実際にモノを切り裂く手刀なんて初めてみたよ。

【だが回避はしきれない――――狂死郎は左脇腹に刃物で切り裂かれたような傷を負うことになった】
【この傷による流血は、インバネス・コート越しに見て分かるほど多くは無かったが、それでもダメージであることに変わりは無い】

それじゃあ僕もそろそろ本気でいかせてもらうとするかな……?
飛べッ!!(と、言いつつ……)

【態勢を立て直した狂死郎は、その場でフィールドに白剣を突き刺し、未だ紫電を纏ったままの黒剣を振りかぶると】
【渾身の力を込めて青年へと投擲し、その腹部に命中させようとする――――だが、やはり本命はそれではない】
【双剣を手放したことによって自由になった両手を使い、狂死郎は素早く印を切り】


「 呪 相 ・ 緑 縛 」ッ!!


【地面へと右手を着いた瞬間、青年の左足にセットされた時限爆弾――――狂死郎の札から、数本の植物が生まれだし】
【そのまま青年の手足を拘束しようと成長を開始し、蠢き始める!!】

【しかし本命が植物による拘束か?と問われれば、それは違う、違うのだ】
【狂死郎が生み出した植物は特別な性質をもった魔海の植物、“まとも”ではない】
【これらは非常に引火性が高く、ちょっとしたことで火が着き燃える――――紫電による火花ならばそれはもう十分に】

【そして全体に毒が含まれ、燃えて煙になることで空間に充満し、中に居るものを少しずつ蝕んでいく】
【煙を吸い込めば吸い込むほど手足が痺れ、声帯は麻痺し、ついには意識が混濁するようになる――――もちろん、死に至らしめるほどの作用はない】
【それから狂死郎はこの毒を吸い込まないよう、さらに青年から距離を離そうとする。煙幕のおかげで視認することは難しいだろうが】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/11(金) 00:31:17.80 ID:v0TLmycdo
>>197

【彼女にとっての言葉は綾でしかなく、思いを伝える手段にするには不相応なほど】
【それは表記の揺れであって、心の箍ではなくて、だからこそ故に伝わらないもの】
【でもきっと、貴方の言葉の於ける意味合いを、そこに孕んでいるのは確かなのだろう】

【言葉に詰まった、返す言の葉が、雪風に煽られてヒラヒラと飛んで行くかのよう】
【行方も知らず、喩えも届かず、無為と呼ぶにはあまりにも無作為な一瞬で】
【溶けた言葉の消えた波紋すらも、見えない夜に靡いていった】


――――――そうだよ、そうなの、ソニアにだって、プライド、あるの
生まれた時から、今まで、ずっと……ずっと、銃を手に、過ごしてきたから


【氷柱を伝う、水しぶきのよう、口元からポツリ、降り落ちた冷たい言葉】
【それはいつもの、普段のどこか夢見がちな少女の言葉とは思えないぐらいに】
【お伽噺をかなぐり捨てた一つの狙撃手の、言葉にしか見えないほどに】

【舞い上がる火柱、一歩下がり回避しようとするも、その中から飛び出す銃弾への対処が遅れる】
【鮮血が彼女を濡らしたならば、左肩からじわりと血筋が零れ落ちる】
【霞む彼女の表情、それでもマリンブルーの双眸から、力は消えなくて】


ソニアにとって、銃は……自分そのもの、だから
舐めてるのじゃなくて、甘く見てるのでもなくて、負けられないの
……だって負けちゃったら、ソニアが、ソニアじゃなくなる、から――――――


【それは銃使いとしてのプライドであって、銃使いに対するジェラシーなのだろう】
【白雪の頬に紅が混じった、細い眉が鋭い表情を僅かに覗かせたなら、そこに浮かぶのは】
【分厚い雪の下、必死に蹲ったままの咲けない仇花の挽歌にも似て】

【ポツリポツリと紡いでいく、彼女の思いを、ただ受け止めていた】

【両手を彼女は胸の前で重ねる、両手のすチェッキンがぐしゃぐしゃに重なって】
【瞼を一旦閉じてみたならば、その脳裏に浮かぶのは確かな光景の鱗片】
【憧憬と呼ぶには余りにも酷すぎる光景を、そこに重ねて】


だから聞いたの、貴方は、ソニアが負けても悔いがないって、思える相手かなって、思ったから
答えは分かんないの、でもね、一つだけ、分かった気がするの

Это более правое выиграть ――――――!!
(勝った方が正しいんだって――――――!!)

――――――RaumKrankheit=I!


【手元の2丁のスチェッキンがバラバラの部品へとなって、彼女の手元で再構築されていく】
【更に出現した手元の鏡からも、新たな部品が零れ落ちていく】
【それを彼女は一つの姿へと集約させて、一つの絵を描き出すのだろう】

【RaumKrankheit=\―――――気づいたなら、そこには彼女の象徴とも言える狙撃銃があって】
【右手を引き金にかけたならば、左手でその銃身を握って、銃口を地面へと落とす】
【貴方を見つめるマリンブルーには僅かな迷いも存在してなくて】

【ただ乱れた、思いの欠片を必死に集めていた】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/11(金) 00:53:06.93 ID:bSnezRbU0
>>196

【図っていたのは至近距離での迎撃と反撃―――――さらなる追撃を誘発させ、カウンターから両脚を、その上で杖腕を狙うという“彼女の距離”に於ける策。】
【だが圧された勢いは想定を越えていたのだろう。気付けば距離は既に空き、今宵最大級の魔術が行使されるその刹那、】

(……凄い……人ね。私の策を封じてみせただけじゃなく、あんな大技を携えて、この局面で挑みに来るなんて――――――)

【殺気を放った直後とは思えぬほどに、自然体で柊は胸裏に浮かべた。其れを受けたライラの戦意もまた、清々しいまでに自然体であったのだが。】
【想像を越えて彼が純粋で、圧倒的に   であったというだけの事。ならば彼と向かい合う様に、剣士もまた、真っ向勝負へと意識を傾けて】

行くわよライラ・フェルンストレーム―――――――――――――これが私の最高の一撃ッ……!

【戦いってみたい/全霊で征きたい、】
【……何より。こんな真っ向勝負に臨めるのなら、策如き幾千でも惜しみなく投げ捨てられる―――――――!】

【疾駆する濃藍は微笑みを浮かべる。想うのはただ彼の熱に恥じぬ至高の一撃、】

【護るための戦いも、“普段は”敗れれば失われる大切なものも―――――】
【今宵だけはまったくの無縁の話。この彼との激突こそが、今宵の総ての結末だッ!】


焔翅、剣葬―――――――――――――――

【“金翅鳥”が秘めし火の力の開放/剣速による断熱圧縮/放ち得る最大の剣圧により生まれる超越の一閃、】

     ―――――――――――――――――――――迦楼羅ッッ!!

【“かたちあるものを斬る”概念の刃。白銀の根源たる灼熱の究極形が、明に染めて夜を引き裂いた。】


【神代の浄火が如き黄金の焔は、白き龍と真向から鬩ぎ合う。敗北も勝利をも想うことなく、ただ―――――】
【――――――“楽しい”。乾坤一擲の灼熱の刃は、純粋に彼とぶつかり合った、燃え滾る魂の熱そのものだっただろう】


【“凌ぎきれば”、其れで彼は圧倒的な優位を得る。魔力の龍と黄金火の神鳥、その激突の最終局面まで“龍”が持ち堪えたなら、双方の炸裂により生まれる衝撃は、確実に彼女を場外へと運ぶのだろう】
【彼女の至高の一撃に、白き魔力の龍は耐えきれるか――――――消し飛ばされる事も断たれもせず、終わりまでその“かたち”を保てるのか。意地と意地のぶつかり合いが、最後の結末を決めていた】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/11(金) 00:54:45.36 ID:bSnezRbU0
/あああ、クライマックスで置き換え忘れが……orz……!


【想像を越えて彼が純粋で、圧倒的に   であったというだけの事。ならば彼と向かい合う様に、剣士もまた、真っ向勝負へと意識を傾けて】



【想像を越えて彼が純粋で、圧倒的に優位であったというだけの事。ならば彼と向かい合う様に、剣士もまた、真っ向勝負へと意識を傾けて】

…でした。
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/11(金) 00:54:47.44 ID:+Kb69AgWo
>>199

【左肩が灼ける様に痛い。青銃のグリップが甘くなっていることには気づいていたが、力強く握り締めることは既に困難】
【―――兎に角、腕は水平にまでギリギリ届かない程度にしか上がらず銃撃の幅が縮まったことも事実】
【だがそれも大量のアドレナリンがカバー。熱き思いが痛みを忘れさせ―――不利な状況にも光を見出す】

【―――熱気を含んだ風が顕になった茶髪を流す。……その間もロウの瞳が彼女から外れはしない。正しく獅子の眼光だった】

―――俺もそうさ。ずっと銃と共に生きてきた……そして銃と共に正義を示し、時には挫けそして立ち上がった。
……何度も正義を壊されかけた。不殺の矛盾を何度も指摘され、何度も負けて、ガンマンとして致命傷な足の障害を負っても尚、銃を握り締め続けた。
―――この間だってGIFTの連中に負けた。俺の人生負けっぱなしだよ……でも、俺は立ち上がり戦い続ける。―――勝つために……!!
……ソニアより恐らく何度も負けてる。何度も打ちのめされてる。……俺が俺で無くなりかけた。それでも―――俺は戦う。其れしか出来ないから

―――今日は負けねぇ。明日も。明後日も。負け続けてきたからこそ、誰よりも負けたくない。俺はお前よりも勝利を渇望している自信があるッッ!! 
……うぉおおおおおおおおおおッッッ!!!! ―――<<弾丸憑依Icarus=ппI!

【彼女の「再構築」―――その間が隙だと判断すれば自分のできる限り最速で両の銃を撃ち抜く。―――その瞬間、彼の首元のペンダントが淡く輝いて】
【……右の弾丸は跳弾ではない。右脚へと向かう軌道を描いていたが―――突然、急加速し軌道が伸び上がった。その弾丸の先は彼女の右手―――】
【―――そしてもう一つの左銃。左肩が上がらない為に地面を経由しての跳弾以外で彼女の上半身は狙えない】
【その軌道はやや左に撃ち出されたが、跳ね返れば弾丸の軌道はまさに「く」の字。彼女から見て左から角度ある弾丸が彼女の左肩を襲う―――】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [saga]:2013/10/11(金) 01:13:27.13 ID:v0TLmycdo
>>202

【素直な賛美の言葉が溢れ出てきそうなほどに、僅かな隙を縫った見事な攻撃だと言えた】
【だけれども、彼女の表情は揺るがない、少なくともその攻撃に満足してしまうほどに柔な心持ちではなかったから】
【軋む爪先の感触、それでも尚、求め続ける意味合いを探して】


ソニアも……ソニアも、絶対に、負けないん、だから……!!
負けちゃったこの前の闘い、悔しかったの、とっても、とっても
狙撃手が銃で負けて、それで、これ以上ないってぐらい……悔しくて

でもね、だから……あの人ならね、認められるって、思ったの――――――
勝つよ、勝って――――――セリーナに、認めてもらいたいの……っ!!


【溢れ出る感情的な言葉、無味無臭の白雪は仇花なんかじゃなくって】
【叫ぶようなソプラノは、指先で握りつぶした鈴の音みたいに、心をただひたすらに塗りたくる】
【認めてもらいたいって、言える言葉だけが、鮮やかな色合いを浮かべていって】

【彼女の本質を、貴方はついていた、少なくとも彼女はお淑やかな女の子なんかじゃなくて】
【むしろ人一倍――――――人見知りで、我侭なひねくれた女の子なのかもしれない】
【握る両手のRaumKrankheit≠セけが開け放つ指先に、喩えようもなく傾いていて】


それがロウの自信ならね、完膚なきまでに打ち砕くの
例えそれがソニアより上回ってたとしても

RaumKrankheit≠ヘ、逃さない――――――!!


【轟音、風を切り裂き、虚空に無数の金切り音を響かせる、貴方の意思=z
【二筋の奔流は、二つの角度から彼女を食い破らん、と襲いかかるのだろう】
【対する彼女は狙撃銃を構えた状態、最速で放たれた銃弾に対処するには、あまりにも大きい】

【けれども、彼女の両目は、諦めた様相を見せなくて――――――】
【背中に出現する硝子細工の翼、彼女の身体すら覆ってしまいそうな巨大な硝子片】
【大きく羽ばたいたなら、その身を大きく後方へと下がらせるのだろう】

【それでも回避には満たない″カの弾丸と、伸び上がる右の弾丸、それは依然として彼女を狙って】


Не сделайте дурака――――――!!
(バカにしないで――――――!!)


【彼女の右足が地面を踏みしめる、伸びた左足を軸にRaumKrankheit≠フ銃口が爆ぜる】
【後方に下がった事によって彼女へと向かう二筋の弾丸が、ほんの一瞬、刹那の瞬間にその軌道を重ねる=z
【その瞬間を狙い、彼女はその二筋の弾丸を狙撃≠オ、その奥の貴方へと牙を向けんとするだろう】

【引き金を引く、その横顔に――――――迷いはなくって】

【放たれる銃弾、けれどもそれは、大きく下方向へと傾いて】
【崩れ落ちる左足、急激に上昇した重量を支えきれるほど彼女の身体は強くなく、ダメージも大きくて】
【全てを撃ちぬかんとはなたれた銃弾は、何をも殺すことなく、地面へと消えて】

【無防備になった彼女の身を、貴方の二つの牙が貫くのだろう】
【――――――勝敗は最早、明らかで――――――――――――】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/11(金) 01:28:47.93 ID:+9/e7pCmo
>>198


―――無手の武闘家は武器を欲しない……達人の世界では武器の有無は『間合いが広がる』以上の利点はない、なぜか?
一流の空手家や拳法家は皆、『手足を武器化させる』ために鍛え上げている、極限まで鍛え上げれば手足が武器をも凌駕する武器にすらなるんだ

日本は北関東に位置する現代まで残った『無手の剣術』葉隠流、手足を剣へと鍛え上げる事へと特化した流派
俺みたいな若造でも肉を切り裂き、刀と切り結ぶくらいはできるんだが……惜しい、まだ浅かったな?まだまだ攻め手に欠けるかもしれないな


【付かず離れずの間合いを保とうとする狂死郎、術師と『剣士』では近距離戦を挑んで有利なのはこちらなのだ】
【だからこそ彼は先ほどから『紫電』以上の近距離での大技は極力使わず、策を弄し搦め手を混ぜて放ってくる】
【やはり狂死郎に対しては前に出て戦う事こそが最善の手、ならば次に使う技は―――】

【だが同時に放たれる投擲、しかし狙いが手に取るようにわかる、腹部への攻撃―――容易く避ける事が】


『いやマズイッ!あの時の不審な行動はやはり……!
来るぞ剛の字!奴はすでに『お前に罠を仕掛け終えて』いるッ!!』

罠……!これまでの数手で俺に対して罠を仕込む余裕があったとしたらやっぱ……!


【両手で印を切り始めたのを見た瞬間、真っ先に剛太郎が目を向けたのは……『左足』!】
【これまでの行動で自分に対して罠をしかける余裕などがあったとすれば、この戦いで最も長く狂死郎に触れていたのは】
【彼の策に嵌り、地味ながら大きいダメージを文字通り踏みしめるように与えた左足の甲が最も怪しい】

【目を向けた瞬間にはまだ、そこに何かがあるのを感じ取れない、だが印を切り終わり右手を突いた瞬間に左足の罠が発動】
【そこで左足から伸びてくる異様な植物を確認―――見るからにまともではないその植物が伸びてこちらを縛り付けてくる】
【この身はすでに紫電の投擲を避けるために傾いている―――もはや、切り刻むしかない!】


葉隠流 『紫陽花』!


【身体を傾けながら連続で手刀を振るい飛び出してくる植物を切り刻んで拘束を逃れる】
【しかし、それはまんまと狂死郎の思惑に乗る形になる事に気が付いているのか?】
【投擲は避けた、拘束は切り刻んだ、しかし対応できるのはそこまでだ―――通り過ぎる際の紫電がまき散らした火花がかすった】

【最初は小さく燃え始めただけの小さな灯が少しずつ……大きくなりはじめ、煙が起き始めるが】


『剛の字!……やはり』

大丈夫だよムク―――大方、火と煙で発生する遅行性の神経毒って所だろ
昔のサバイバルでお前に見せてもらった事があったよな、これ……だがこれで決まりだ

―――やっぱり、近づいてほしくないみたいだな!葉隠流 『椿』!


【今まさに距離を取ろうとしている狂死郎の姿を見て確信する、この毒の事をもっとよく知っているのは狂死郎だ】
【だからこそ、今まさに近づいてほしくない……近付かない戦いを望む事だろう……だから、やはりここで使うのはこの技だ】
【ランナーのクラウチングスタートに似通った突撃姿勢のごとき構え―――完全に見えなくなるより前に視認した狂死郎の位置目がけて勢いよく跳ねてくる!】

【このまま何もしなければ、彼の突進をモロに受け跳ね飛ばされてしまう事だろう、いやそれ以上に】
【毒を巻く煙と理解した瞬間に、それこそが最大の攻撃と理解し狂死郎に積極的に接近を試みようとするこの男の決断力、並みではない】
【対処しなければ文字通り撥ね飛ばされてしまう、狂死郎はどう打って出るか―――?】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/11(金) 01:40:20.23 ID:+Kb69AgWo
>>203

俺はセリーナに会ったことはねェ。……ねぇケドよ―――ソニアの事を認めてない筈がねェに決まってんだろッッ!!
アイツが本物のガンマンならなァッッッ!! ソニア……アンタは本物の狙撃手≠セよッッ!! 1流も1流も超1流だッッ!!
―――其れでも俺は負けねぇ……!! 理由―――?? 俺には認められたいとかんなもんねぇよ……!!

<<―――負けたくねぇから負けられねぇんだよぉぉおおおおおッッッ!!>>

【―――放つは咆哮。こんなにも気持ちが昂るとは思わなかった。こんなにも負けたくない相手がいるとは思わなかった】
【……普段の闘いとは違う。普段は市民や「不殺」を誓ったあの人、つまり他人の為にトリガーを引いていた】
【―――しかし今回は完全に自分の為だ。プライドの為にトリガーを引く。今までとは性質の異なる熱き焔が胸の内にあった】
【……ふと、実況をしているであろう友人の言葉を思い出した。「俺と同じ武器を使う人が居るが、奴との勝負ほど胸踊る闘いは無かった」と―――成程、こういうことか】


                                       ―――――――――!!


【極限の集中は思考を逆に奪う。ロウは今決めると左銃のトリガーに力を入れるが、左手の感触が無いことに今気がついた】
【―――握力の限界。震える左腕、そして手には何も握られてはいなかった。だが右手がある―――肩に奔る痛みに歯を食い縛りながら銃口を向ければ】

【―――月明かりの下で舞う優雅な蝶を、虎の牙が捉える瞬間。 その瞬間が紺碧の瞳に―――深く、はっきりと刻まれた。ロウは銃口を向けたまま、黙っていた】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/11(金) 01:49:10.62 ID:v0TLmycdo
>>205

【声は返されないRaumKrankheit≠抱いたまま、少女は既に意識を手放して】
【ぱたりと倒れた小さな音だけが、その奥に響き渡るのだろう】
【一瞬の静寂、目で負うのがやっとな弾幕の中の攻防が、幕をおろして】

【――――――そして堰を切ったかのような、雪崩の如き拍手が、あちらこちらから巻き上がる】
【それはロウの勝利を讃えるものもあれば彼女の健闘を労うものもあって】
【しばしの間、とどまること無く響き渡るのだろうか】

【彼女が貴方の、最後の言葉を聞いていたかどうかは】
【敗北して気を失っても尚、その小さな表情の欠片に】
【――――――納得したような微笑みを浮かべてたことからも、伺えるだろう】


/この辺りでしょうか!お疲れ様でしたー!
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/11(金) 02:00:27.26 ID:+Kb69AgWo
>>206

【―――銃口を下ろす。右手からも銃が落ちる。どさりと尻餅をつく。彼女が意識を失った事は理解していたが、其れでも彼は声を飛ばした】
【……アドレナリンが抜けていく。痛みが蘇ってくる。―――急に息が苦しくなる。其れでも男は振り絞る】

―――よぉ……もう……気絶してるだろうけどよォ……折角だから言わせてくれ、俺がコレで決まらなかったら何やってたか……―――

……自殺のフリ≠セよ。―――ソニア、前凄く動転してたし……雰囲気からも感じてたから最高の必殺技だと思うんだが―――
そういう小ずるさ≠ニいうか……ダーティな戦闘ってのも―――戦略を広げる……んだ……ぜ……?

【―――倒れた彼女に飛ばした、ネタばらし。自己満足の言葉だが、どうしても言いたかったらしく、最後に2本指で敬礼を観客席に捧げれば】
【……ガッツポーズの形で、彼は仰向けに倒れこんだ。フィールドの真ん中、倒れる2人】

【―――今日一番の盛り上がりを見せる観客の声が、二人にとって最良の子守唄だったのかも知れなかった―――】

/ありがとうございましたー!
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/11(金) 17:36:05.60 ID:xsWCFRqDo
>>204
モロに喰らったね……そいつの毒は呼吸器官から侵入し、血管へと吸収され、全身を駆け巡るタイプだ。
今は何とも無いけれど、“激しい運動”をすればするほど症状の進行は早くなってゆく。
近距離戦は苦手か?と聞かれればそうでもないんだが……身体能力で勝てないならこうするしかないだろう?

【一旦フィールドへと突き刺した白剣を拾い上げながら、青年との距離を離そうとする狂死郎】
【考えてみれば当たり前か。毒の煙は今では青年の周囲にしか充満してはいないものの、風が吹けば直ぐに流れ込んでくる】
【だが、彼の予想よりも遥かに素早く、青年は此方に目掛けて飛び込んでくる!!】

(こいつ、想像以上に素早い!!左足にダメージを負っているというのに!!)

【回避しきれないと判断した狂死郎は白剣を防御に構え、少しでも直撃のダメージを避けようとする】
【だが、それでも突進の勢いを殺すことは出来ない――――】

グアッ!! (まずいッ!!このままでは場外に弾き飛ばされるッ!!)

【青年の突進を白剣で受け止め、肉体へのダメージは軽減したものの、その勢いに飲まれて大きく跳ね飛ばされる狂死郎】
【空中へと投げ出され、万事休すかと思われたが……!?】

間に合え……!!


「 呪 相 ・ 金 剛 力 」ッ!!


【狂死郎の胸――――仕込まれた札から魔力が赤い光として放出され、それが彼の全身を包み込むと】
【空中で態勢を整え、強化された筋力を以ってフィールドに思い切り白剣を突き刺し、勢いを抑えるブレーキとする!!】
【当然、フィールドには大きな傷跡が残されたが、何とか場外ギリギリのところで踏みとどまることを可能とした】
【それと同時にフィールドには向かい風が吹き荒れて、毒の煙はついにフィールド全体へと流れ込み始める】

ハァ……ハァ……逝ったかと思ったよ――――やはり、一筋縄ではいかないな。

けれども僕がどうにか生き残ったことで状況は若干有利に働いている……
君は僕に接近するために全身の筋肉をフルパワーで働かせただろう?
筋肉を動かすには酸素とそれを運搬するモノ――――すなわち、空気と血液が必要だからさ。

【あわや場外負け寸前にまで追い込まれた、狂死郎の顔からは余裕の表情が消えていた】
【しかしそれでも、“自分が勝者になる”という自信だけは手放しては居ない――――青年は既に“出来上がっている”からだ】
【既に、フィールド全体を覆いつくさんとする毒の煙……当然だが、吸い込んだ量も運動量も青年の方が上回っている】
【先に動けなくなるのは青年であるはず。だから、狂死郎にはこれ以上積極的に攻める理由は無い。しかし――――】

でも、僕は消極的な勝利は好きではない――――勝利したのであれば、“勝利した!!”という確かな実感が欲しい!!
だからこそ、勝利に餓えた僕は――――君が倒れる前に決着を付けさせてもらう!!

「 呪 相 ・ 狐 火 」ッ!!

【狂死郎はあえて、青年を正面から打ち倒すことを選択した】
【彼はまず、左膝に仕込んだ札に魔力を込め、人頭大の大きさの火球を生み出すと】
【それを青年に向かって蹴り出すと同時に、白剣を打ち捨て、無手になりつつ青年に向かって突進する】

【先程の札によって身体能力を一時的に強化させた狂死郎は、今までとは段違いの速度で青年へと迫る】
【一方、青年に向かって蹴り飛ばされた火球はその手前で破裂、周囲を眩い閃光で包み込む】

そして喰らえッ!!


「 呪 相 ・ 爆 導 策 」ッ!!


【少しの間青年から視力を奪い取り、その隙に最大の一撃を放つという考えか】
【狂死郎は青年の懐へと飛び込むと、そのまま腹部に向かって渾身のストレートを叩き込み】
【同時に右腕の袖に仕込まれた札によって爆発を引き起こす!!】

【直撃すれば勝敗すら決まる可能性があるが、自分も大ダメージの大博打】
【普段は決して取らない破れかぶれの作戦を取った狂死郎だが、勝算はあった】
【青年が弱体し、自分が強化されたこの一瞬であれば勝負を決められると踏んだのだ】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2013/10/11(金) 20:59:08.27 ID:wYEy2o9Xo
>>200
【ライラという男は、随分いい加減な男である。酒場で無銭飲食して出禁にされたり、自警団をぶん殴って勾留されたりする男だ】
【ただ、自身の魔法にある程度自信を持っている一人の魔法使い、という側面を併せ持っているのも事実であり】
【また今の魔法技能に満足せず、少しずつだが日々精進している人間であることも真実】

【だからライラには、数多くの敵と戦う中で生まれていたのだろう。『相手の全力を見たい』という戦闘欲が】


「――――――ッ!! く、お……!」


【ついに姿を見せた、彼女の全力。銀の刃から放たれる灼熱の剣撃は、ライラから見ても、試合を決める一撃であることは確かだった】
【ただ、こちらの「Magic Dragon Shooter」も全魔力を込めた必殺の魔法であり。この2つのぶつかり合いは即ち、最早魔力とか神気とかそういう物の比べ合いではなかった】
【……意地。まるで勝敗に関係しないようなものが、今夜は勝者と敗者をはっきりと分け隔てていた】

【ライラは意地っ張りな人間である。だからこそ、数カ月前に彼は『ハンター』となった】
【彼女の事など、ライラはよく知らない。ただ、超強いとだけしか。……それでも、ライラは彼女には通じるものがあると思った】
【……彼女も意地っ張りなんだろうな、と】

【直後、神鳥が白龍と衝突する。高密度の魔力、対するのは形あるものを斬る刃。白龍になった魔力は、姿形を顕現させている】
【負けたくないと、必死の思いで叫ぶ。共に全力の出し合いの中で、もう龍に魔力をブーストすることなんて出来ないのに、ライラは叫んだ】



「う、おおおおおおおぉぉ――――――――――――!!!」



【―――――――――直後、一閃】


【魔力の龍はその体を両断され、ただの魔力の塊となって、まるで何事もなかったかのように虚空へと消え去った】
【神鳥は、衝突による彼女への衝撃を最小限に抑えてくれるだろう。だが、龍の居なくなったライラには、その盾も既に無し】
【あっけない程に彼の身体は空中へと浮かび―――場外へと吹き飛んだ。意識も無く、ゴロゴロと転がったライラは仰向けの姿勢でその動きを止めた】

【この結果はやはり、力、精神、そのどちらもが彼女の方が上だったという事に他ならない】
【だが、何故かライラは気絶しながらも笑っていた。……直後、歓声が爆発する。勝者を褒め称える、彼女へと向けられたその歓声が】


【第三回水の国天下一武道会 第二回戦 ライラ = フェルンストレーム VS 八攫 柊】
【勝者――――八攫 柊】

/お疲れ様でした!!
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2013/10/11(金) 21:25:23.96 ID:FSpHzq7U0
「ははは!どーだカノッサ野郎!」

【月光に照らされた路地裏の一角】
【そこに居るのはドレッドヘアーの男、それを囲む六人のチンピラ、おびえた背広の男】
【興奮に包まれたチンピラの顔】
【それに対し、ドレッドヘアーの男はサングラスの奥の目を一ミリも動かさない】
【先ほどの罵声にも一切反応せず、背広の男を眺めている】
【その鋭い視線に背広の男が短い悲鳴を上げ、体を震わす】

…たくよぉ、金欲しさにチンピラ相手に裏切りたぁな。
カノッサの怖さをしらねぇわけじゃねぇだろうに、気でも狂ったか?

【無視されたチンピラの堪忍袋の切れる音】
【チンピラのリーダー格の男が銃を抜きながら、攻撃を命じようと口を開いた――次の瞬間!】

あと、ヤクザもどき共…能力者相手に突っ立てるままたぁ、なめすぎだろうが。

【地面から生えた巨大な腕が、関節のないような動きで背広を含めた七人の男の胴をつかむ】
【そのまま、地面と同じアスファルトで出来た腕は、男たちを持ち上げ…】

んじゃ、あばよ。

【その一言ともにドレッドヘアーの男は開いた手を握り締める】
【それっと共にアスファルトの腕も握力を増し男たちの胴を握りつぶした】

【死体の口からあふれた血液がアスファルトの腕を伝い地面を濡らした】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/11(金) 21:36:50.44 ID:PlixDKP7o
>>210
「――アンタ、カノッサか?」

【そんな、低く震える声が――路地裏に響き渡る。様々な感情をないまぜにしたそれは、人間臭くも不安定なもの】
【振り返ってみれば、そこには如何にも浮浪者然とした男が立っていたのが目に映るはずだ】
【ちかりちかり】【ちらつく電灯。煌めく月光。照らされるのは、長身太躯。大柄な肉体に、鋭い紅蓮の双眸だ】

「……なんで。あんたはそいつらを……殺した?」

【問いかける。疑問、なぜ殺したか理解できない、単純な疑問形。困惑の感情が向けられる】
【光が差し込む。光が照らし出すのは、174cm、83kg。性別は男性。服装は、ライダースジャケットにダメージジーンズ】
【適当にまとめられた黒髪は後ろで一括りにされて、伸ばしっぱなしの無精髭も相まって、不潔ではないが不精な雰囲気を漂わせる】
【そんな如何にも路地裏の住民然とした外見の男が、縁の無い様な態度で此処に居た】

「……理由が、有るのか?」

【二度目の問。男の右腕はいつの間にか漆黒の鎧装に鎧われている。漆黒から漏れる光は、紅蓮】
【だが。男の左耳からぶら下がるピアスには――カノッサの構成員を示すであろう、カノッサ機関の証の刻まれたピアス】
【この男。カノッサ機関でありながら、こういった行為に困惑を感じる程度には、善良であった】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2013/10/11(金) 21:58:59.51 ID:FSpHzq7U0
>>211

ああ?目撃者か…だったら――!

【振り返るドレッドヘア、続けて放とうとした言葉は左耳のピアスを確認したとたんに止まる
【タンクトップをまとった肉体は目の前の男にも負けないほど筋肉質】
【そんな男のサングラスの奥の瞳に薄く安堵と恐怖が映る】

なんだ、お仲間かよ。
驚かさないでほしいぜ、まったく。

【思わず顔をそらすドレッドヘア】
【悪態と共に地面につばを吐く】

どーもこーも、タダの仕事…いや任務だよ。
こいつが自分の母親の病気治すための治療費稼ぐためだとかで情報を売りやがったのさ。

【ドレッドヘアが親指で後ろを指す】
【そこには鼻や口、など穴という穴から血を噴き出した背広姿の死体】

さて、こいつが持ってる情報端末を探さないとな。

【そういうと男は、死体のほうに振り替える】
【同時に、アスファルトの腕に六家系の亀裂、そのまま分解、消滅】
【死体が地面とぶつかる鈍い音】

今頃こいつの母親も見せしめに殺されてるだろうに…馬鹿な奴だ。

【そしてドレッドヘアは目の前の男の善性をしらずふとそんな事を口に出した】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/11(金) 22:06:53.13 ID:PlixDKP7o
>>212
「……仕事。そうか――その程度で、人が殺せるのか。
俺には、できないな。やっぱり……合わないのかも」

【右腕の外骨格を抉りつつ、ぼそりと呟くように、言葉を漏らす男】
【相手の体格を前にしてなお、怖気づく様子も構える様子も無いのは、同じ組織を背負っているからか】
【それとも、もっと怖い何かを知っているからなのか。少なくとも、態度を変える様子は男にはない】

「……一応。今、回されてる仕事がな。
なんつーか……なんだ。あのー、アレだアレ。
カノッサと競合する小さな組織ぶっつぶして来いーってやつでな。
こうして裏路地回ってたんだけど。アンタも、その口な訳?」

【懐からごそごそと何かを漁るような動作を見せ。取り出すのは小さな金属の水筒だった】
【中にはちゃぷちゃぷと音を立てる琥珀色の液体。――そう、ウヰスキーの入るスキットル】
【目の前の相手に目線を送り、飲むかどうかを問いかける。飲むと語るならば一口含んでから放り、言わぬならそのまま飲み始める】

「…………」

【酒を煽る男の気配がにわかにざわめき。発せられるのは、異様な圧力】
【接近を拒むような、接触を否定するような、圧倒的な拒絶、否定】
【その否定の濃厚な方向に居たのは――――ヤクザ。そう、ドレッドヘアの男の取り逃した存在だ】
【一部の男はそのまま逃げ出したが、数人がドスを腰だめに構えて青年に向けて駆け出した。しかし、青年は動こうとはしていなかった】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2013/10/11(金) 22:25:36.62 ID:FSpHzq7U0
>>213

はぁ!?

【できない――その一言を聞いた瞬間発せられる間の抜けた声】
【勢いよく男を振り返る】
【ドレッドヘアの大きく見開かれた眼には驚愕】

おいおい、あんたその風態で事務会計ってこたぁ…。

【呆れた表情で問いかける】
【カノッサ…その絶対的な悪に従う人間の中にこんな人間がいるとは…】
【そう考えたドレッドヘアは男ののむかどうかを問いかける目線にきずく】

まぁそんなところだ…俺は弱いから大したのは回ってこねぇけどな。
ところでそれ、よかったら一口くれねぇか?

【男の質問に適当に返すと、仕事の後の一杯も悪くないと思い――】

なに!

【ヤクザをたまたま視界の端にとらえ、ヤクザのほうへ向くドレッドヘア】
【伏兵!ドレッドヘアが目の前の人間を始末して終わりと思っていた故の致命的ミス!】

【続く言葉を吐こうとしたドレッドヘア】
【しかし一言も発せない――否!体が動かない】
【原因は青年の、青年に似つかわしくない異様な圧力】

【ヤクザが仕事仲間に襲いかかるのをドレッドヘアはただ眺めてた】
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/11(金) 22:35:45.81 ID:PlixDKP7o
>>214
「いや、なんだ。会計事務じゃあないんだけどさ。……その、荒事苦手っつーかなんだろ。
……いや、事務出来るかっつわれたら絶対に無理なんだけど。力使うのも嫌って言うか……」

【困ったような八の字の眉をしつつ、頬をぽりぽりと掻きながらなんとも言えない発言を零す男】
【煮え切らない態度は、悪の組織たるカノッサ機関の構成員とは思えない程に情けない】
【それでもこの男は、元六罪王であるヘッジホッグに誘われて来た男だった。ただ、その自覚など無いが】

「ああ、好いよ。……なんだ、そのさ。
ずっと、戦うの避けて生きてきて……ヘッジホッグだったか。
そいつに、好きにしろって言われて――好きにしてみようと思ってきたんだけど」

【酒の入った水筒を相手に放りつつ、来たヤクザへと向き直る男】
【ヤクザは、恐怖のあまりに錯乱して、刃を抱えたまま狂乱して襲いかかる】
【数人のヤクザを前に――男は漆黒の外骨格に覆われた右腕を伸ばし、かざす】

「……あー、なんだ。悪い」

【一言気のない様に小さく呟いた直後、右腕の袖をまくり上げ――肘まで一気に外骨格を侵食させる】
【外骨格に細く奔るひび割れが拡張していき、その罅の隙間から紅蓮の火の粉が漏れだしていく】
【瞳が夜闇を照らすように煌々と紅蓮に燃え上がり――、右腕一閃。紅蓮が駆ける】

「――――フルカウルアームズ。クロスファイア」

【ひび割れの十字部分が拡張し、拡張した部分から火焔が解き放たれることで攻撃となす】
【衝撃で男たちは吹き飛び、壁にたたきつけられ――意識を根っこから断ち切られる】
【致命になるギリギリのレベル、限界まで抑えられたのか、死に瀕する直前で彼らのダメージは止められていて】
【右腕を強く抑えながら荒い息を吐く男は、苦笑を浮かべて振り返り――酒の入った水筒を投げてもらおうとするだろう】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2013/10/11(金) 22:55:11.23 ID:FSpHzq7U0
>>215

【目の前に飛んでくる水筒】
【いかに呆けてたとはいえ腐ってもカノッサ】
【反射的に水筒をキャッチする】

その鎧は能力か?それとも武器か?

【あっという間、一瞬、勝負はドレッドヘアがウィスキーを一口頂戴するころには終わっていた】
【圧倒的な戦力差、生かすも[ピーーー]も自由、どう転んでも覆せない格差に冷や汗をかきながら男は問う】

ヘッジホッグ…元六罪王かアンダーナンバーすらねぇ俺にゃぁ想像つかないね。

【ぼやきながら水筒を投げ渡すドレッドヘア】
【その目は荒い息、抑えられた右腕と男の変化を冷たく観察する】

なぁ、もう一つ問いたい。
あんたが殺したくないのも、好きにしろって言われてんのも含めての質問だ。

なぜ、このクソチンピラを殺さない?

【目に真剣な光を湛え質問する】
【しかし奇妙な質問、答えはもう聞かされたようなものなのに】

あんたが去ったと俺がこいつらを生かすと思うか?

その能力か武器かしらねぇが、胴もデメリットがあるようだな。
こいつらが仕返しに来たらどうする?
また殺さずデメリットを受けるのか?
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/11(金) 23:03:00.22 ID:PlixDKP7o
>>216
「能力。――ま、なんだ。聞きたいなら細かく答える。
聞かないなら企業秘密ってことにしておいてくれ。単純に炎使うって感じで考えときゃ間違いない」

【拡張した右腕のひび割れは、火焔を放射した後に、次第に放熱しながらまた閉じていく】
【呼吸する様にゆっくりと開いたり閉じたりを繰り返しながら、数分を掛けてうっすらと綴じ込んでいく装甲】
【その動作を見ていたのならば、単なる鎧と言うよりは、生物的な印象を感じることがあるかも知れない】

「――怖い。殺すと、戻れなくなりそうで。
……それに、殺すってのは最悪の自分勝手だ。その先、その人が出来る全部を奪うってことだ。
俺に、その勇気はないよ。その覚悟が出来たなら――多分俺は、今の俺で居られないしな」

【男は、己の力を知っていて、知っているからこそ己の力を酷く恐れている】
【そして、人を殺すということの意味も知っていて、その雰囲気は人を殺したことが無いわけではない態度】
【その上で、人殺しの偽善者は人を殺したくない、殺すのが怖いなどという事を宣った】

「……仕返しに来たら。仕返す気がなくなるまでボコるだけだ。
デメリットなんて。大したもんじゃない、我慢するなって言われてるけど。
……我慢する癖は、どうにも抜けきらなくて、な」

【それでも。悪に属する煮え切らぬ男は――苦笑を零す】
【人の形を失った右腕を夜空にかざしながら、相手から受け取った水筒のウィスキーを煽って一服】
【左手で煙草――ガラムを取り出して、左手の指先で点火。独特の香りの有る紫煙を吐き出した】
【あまりにも善良で。あまりにも鬱屈した恐怖を抱いた一人の男。カノッサには――似合わないだろうか】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2013/10/11(金) 23:03:27.72 ID:FSpHzq7U0
/>>216すいません訂正を… 胴も→どうも
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2013/10/11(金) 23:25:28.42 ID:FSpHzq7U0
>>217

は…よーするに人さまの人生勝手にどーこーできるだけの力がある。
しかし、その勇気がねぇってところかい。

いや…勇気なんて呼んでいいもんじゃねーな。

【男は溜息を吐きながら言葉を紡ぐ】
【そのさまは、先ほど七名の命を握りつぶした礼鉄館には見えない】
【そう、まるで枯れた老人のような――】

つれーぞぉ。分かっててやってんだろうがな。
[ピーーー]のも自分勝手だが死ぬのも自分勝手だ。
殺そうと思わなくても、生かそうとしても殺しちまうこともある。

どまぁ、なんにせよ俺は自分の勝手にさせてもらうがね。
最低だろうが最悪だろうがかまや[ピーーー]ぇ。
俺に殺されたんだったら、そいつはそこが寿命でそれが運命だってことよ。

【男が煙草をとりだすのを見て自分もズボンのポケットから煙草を取り出す】
【直訳すると黒い悪魔と書かれてることになる黒いパッケージ】
【大男には似つかわしくないココナッツ風味】

俺が初めて殺したのは親だった。
それを見た妹が飛び降り自殺。
まぁ、これも俺が殺したって言えるな。

だが、俺はそのことに何とも思っちゃいねぇ。
そういうことを怖がる脳みその部分がねぇーのかもな。

【言葉に含まれる思惑】
【[ピーーー]のが嫌なのに戦場に居るもの】
【殺しが平気で戦場に居るもの】
【――はたしてどちらが異常なのか?】

どっちもだろうな…

【ふと独り言をつぶやいて、あることにきずく】

なぁ、火貸してくれねぇか?
どっかで落としちまったみたいだ。

【くわえ煙草のまま笑う顔はどこか苦々しげだ】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/11(金) 23:37:03.56 ID:PlixDKP7o
>>219
「……それでも。俺は進んで殺さない。
大切な人が出来たなら別かもしれない。でも俺に護るべき人は居ない。
どうしようもない敵が居れば別かもしれない。でも俺が敵意を持つ人は居ない。
……そういうもの、作らないように生きてきたんだ。
誰にも必要以上の干渉はしたくないんだよ。――ずっと、そうしてきた」

【紫煙で空に向かって輪っかを作りながら、ビルの壁に背を預けて空を見上げる】
【普段自分の話をあまりしない男だが、目の前の相手は不思議と話しやすくて】
【煙草を燻らせながら、ぽつりぽつりとこぼすように自分という物を、語っていた】

「……羨ましい、かもしんない。
そう居られるなら、俺もきっと――人で居られない事も、受け入れられるかもな。
……自由になりたくて。殺して逃げたよ、俺は。
ずっと逃げてるんだ。殺すことからも、関わることからも、欲する事からも。
だから、そういうのが羨ましいし、そういうのが怖い。だから――アンタみたいなのは、羨ましい」

【男は、どっちもどっちの異常性を抱く相手に対して、羨ましいと口にする】
【中庸な男は、しかしながら、病的なまでに中庸に生きてきたために、悪にも寄れず善にも寄れないいびつさを抱えている】
【中庸という異常、平凡という異常、通常という異常。――異常を異常とするこの世界で、一際目立つ、異常だった】
【だからこそ、男は憧れる。普通に人を殺せて、普通にしたいことが出来る人間で有れる事を】

「……ああ、貸しとく」

【そうつぶやき、男は右手の人差指をつい、と伸ばす】
【人間態に戻りつつ有った右手の人差し指が、途端に硬質化。指先にひび割れが走り】
【一瞬赤い線が走れば、煙草の先端に火が灯る。10秒の間を於けば、指先は自然に人間の姿に戻っていた】

「そういや、名乗ってなかったな。俺は天乃司。ノーナンバーの下っ端の下っ端だよ。
普段の仕事は、一応カノッサ以外の地下組織を掃除していく事かな?」

【紫煙を燻らせつつ、ウィスキーを口に含み】
【無精髭に塗れた顔を、少し歪めて笑顔を浮かべ、青年は相手に向かって己の名を示した】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage saga]:2013/10/11(金) 23:57:07.42 ID:ktofOCPU0
/>>180で再募集します!よろしくお願いします!
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(広島県) :2013/10/12(土) 00:06:17.72 ID:LFpKFovs0
>>220

ほう、便利なもんだね。
まぁ、とにかく、あんがとさん。

【紫煙を吐きだしながら月を眺める】
【吐き出された紫煙で月に少し雲がかかったように見える】

うらやましいか…
俺はあんたの力のがうらやましいがね。
デメリットがあろうが強い力はいい。
他人の都合は無視して自分のわがままを押しとおせる。
最悪の自分勝手だろうが、それはきっと最高なくらいに自由だろ?

【悪に生まれ、悪に染まる男】
【そんな悪魔にもままならぬものがある】
【自分より強い奴ら…自分が弱者にしたように、彼らも強者の勝手を押しつけてくる】
【救えぬ因果の定め、抜け出すことはできない輪】
【生き残るには、ただ強く、ひたすら強くなければならない】

名前か…名乗り返すのが礼儀なんだろうが…

【吸い殻を地面に捨てると踏みつぶし、そのまま背広姿の死体に歩み寄る】

あった。これか。

【背広のポケットから取り出した情報端末を自分のポケットにしまうと、そのまま奥のほうに去っていく】

ああ、そういや名前だったか。
悪いが、また会えるともかぎんねぇし、俺なんざ名乗るだけ無駄よ。
また逢うことがあったら、そんとき自己紹介するさ。
死んでたら死体袋にでも書いてねぇか探してくれ。

【そして、思い出したようにそれだけ言うと、月光の届かぬ路地裏の闇に消えていった】

【死にかけのヤクザを放っておいたのは天乃司への「礼」か、はたして――】

/すいませんこれくらいで切らしてもらいます…
/遅レス済みませんでした…あと使い捨ての圧巻キャラ故、名前を考えておらず自己紹介が…
/それでは、乙かれ様でした。久しぶりで楽しかったです。
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/12(土) 00:12:52.44 ID:yKR55KMJo
>>222
「俺の力が羨ましい――か。
そう、だな。そう思う人も、居るんだろう。……あー、なんだ。
なんていうか、ちょっと違う見方ってやつ出来たかも。……ありがとな」

【去っていく男にひらひらと手を振って、残った吸い殻を右手で握りしめ、灰を手から振り落とす】
【そのまま気のない様子で歩き出すが――、背後には立ち上がりドスを構えるヤクザたち】
【ウィスキーの瓶が空になる。――そして、漆黒の夜天には――紅蓮が駆け抜けていった】

/*お疲れ様でしたー! 使い捨てという事でしたが、とっても魅力的で楽しかったです!
というかコジマで絡んだら面白かったかも……! またいつかご縁が有りましたらよろしくお願いします!
絡んでいただきかんしゃです! ありがとうございました、楽しかったですヨー!*/
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2013/10/12(土) 00:54:23.58 ID:N0tRBKsf0
>>209


【全魔力を投じた魔術の発動、後も先も無く揮う最大の剣の一撃。異世界の双子の様に全く異なる属性を帯びて、ふたつの全力が激突する。】



【強大な魔力を体感した/だが圧し折れるには未だ遠かった/軋まんとする肉体をさらに駆り立てる、】

……ッ、ハァアアアアアアアアアアアア――――――――――――ッ!
  

【何もかも投じて火にくべた、総て賭けた全霊の一閃だ。白熱する意識が視界を貫いて、限界の先を求める様にただ、前へ、】

(……ッ、――――――――)

【だが幾許も無きうちにこの均衡さえも弾けると、“終わり”が観えた決着の瞬間―――――】



【白の龍が縦に張り裂けた。灼熱の刃が闇に延びる。生まれるはその至高の輝きを以て余りある、爆発的な“力”の炸裂―――――】
【余力はない/ただ、全身で受け止める。彼我の唯一の“境界”たる劫火が彼女を護り、その大部分を軽減したのだろう】
【ビリビリと全身を貫く衝撃に表情は歪むも、柊は吹き飛ぶその間際で踏み止まった。軋む躰を意識が支え、確かめるべき決着を、瞳は映して】

【 橡色の中心には、“場外”―――――遂に訪れたその決着に、静かに意識を沈める彼の姿があった】


……はぁっ、はぁっ……―――――――……、……。

【漸く、柊は息を整える。片手を胸にでも当てたかったが……腕が、足が想うがままに動いてくれない。】

【凄まじい一瞬の鬩ぎ合いは、それだけの力さえも投じさせていた。 】
【完全燃焼の末の絶対の空白――――もはや思考さえも困難であろう、全力疾走の後のゴールインに、柊は、闘志を横たえて】

(ありが……とう。……わた、しも、負けない……から。あなたと、戦えたんだ、みたい……に――――。)

【微睡みに落ちる様に安息に駆ける意識、一夜で疲弊しきった“全力”の結末。】
【その末に心の奥底に浮かんだのは“敵”でなく、競い合う友に向ける様な想いであり――――この激突の生み出す熱に、子供の様に興じたのだろうと 】
【柊にあるのは、そんな様相。浮かぶ穏やかな表情は、奇しくもライラと似たものだったのだろう】

【刃鉄の様に整えて、けれどその表面の内で余韻は熱を帯びる。】
【その灼熱を引き連れて、“この先”に、彼より受け継ぐ舞台に上がる―――彼と戦えた刹那の夜を、誇る様な健闘の“誓い”だった。】

/お疲れ様でしたっ……!
/いろいろと迷惑をかけっ放しでしたが、本当にありがとうございましたっ……! 改めて、ありがとうございましたー!!
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/12(土) 20:45:15.76 ID:QjAp2ts00
【風の国、エルジオ―――夜の広場】


【首都に位置する、国内最大を誇る広場だけあって。夜にも関わらず其の賑いは失う事は無く、】
【会社帰りのサラリーマン達やら、或いはデートに来たカップルやら―――やたら多くの人で溢れ返っていた。】

【其の活気を見越してか、アイスにホットドッグ、ポップコーン……兎に角、多くの露店が並び。】
【前情報無しに訪れた人なら、お祭りが在っているのでは無いか、なんて思わせる程であって。】


【―――然しそんな広場でさえも、秋めいた哀愁を漂わせる物は存在する物。】
【つまり其れは、夕焼けの深い色に染まった紅葉、そして大きな実を付け金色に輝く銀杏達―――。】

【広場を取り囲む様にして並んでいた木々は、―――もう、過ぎ去ってしまったのだろう。】
【必死に、必死にしがみ付いていたのだが。辺りに吹き渡る心地良い風にさえ勝てず、】
【ヒラヒラと人知れず最後の"粋"を見せつけ、―――やがて地面に同化して行く。】


【何方かと言えば、後者に融和していたのが、広場の端のベンチに腰掛ける一人の少年。】

【少し短めの艶やかな黒髪と、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【無地のグレー色のフードが付いたパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツを履いて。】
【少しフレームの太い黒縁のメガネに、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われていた。】

【こんな身形を少年は、其の露店で買ったのであろうフランクフルトを片手に、】
【真っ赤なスマートフォンらしき何か物を操作―――否、厳密に言うなら、操作されていた。】

【何やら難しい顔をしつつも、時折『あっ、』と苦虫を噛み潰した様な表情を見せて。】
【其のぎこちない親指の動きからも―――『機械が苦手なんだろうか、』と云う想像は、其処まで飛躍した物では無い。】

【さて、少年の持つスマートフォンの、其の流線型で工学的なデザインから―――】
【其の存在、特徴を知る者なら、其れは"W-Phone"だと、真っ先に気づく事になるが―――?】


/よろしくお願いしますー!
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/12(土) 23:02:09.78 ID:U33lR14Q0
【人々のざわめき、歓声――――そんな事に構う様子も気にする様子も見せない女性が、フィールドへと歩み寄っていた】
【天鬼ちゆり。激闘の末に辛うじて一回戦を勝ち抜き、今へと進出した櫻の巫女】
【新調したのか繕い直したのか、纏う巫女装束には破けていた箇所も無くなり、煎餅をバリバリと食べながらの入場】
【――――やはり、何処か浮き世離れしたような気配。元より変化の薄い顔を半分覆うのは、般若の面】
【……と言うのも、今回の対戦相手がマスクを着けた人物だと聞かされて居たから、女性なりの趣返しなのかもしれないが】


「先ずは最初の戦い…………次に、今回の戦いですね
目的を果たすならばまだ先の事。気を緩める訳にも行きません。ならば全力を出すまでですが…………」

【――――因みに、その煎餅は8枚目。入場と共に食べ始めたその速度も驚異的だが、試合前に腹に何かを詰め込むというのも中々に驚き】
【風に揺れる長い黒髪。その煎餅さえ無ければ、それなりには様になったであろうに】
【小さな溜息一つ。やがて手にしていた煎餅も全て食べ終えたならば、包み紙を散り散りに千切ってしまって】
【向けられるであろう歓声に応える事も無く、ただ其処に立つ。袴によって脚は見えないけれど、恐らくは武を嗜んでいる者の構え】
【詰まるところ、女性からすれば既に試合は始まっていると形容しても良いのだろう】


「――――――時に、一つ問いたいのですが。何故、その様な面……と言いますか、被り物を?」

【やがて対戦者が現れ、大方の事が終わったとき。即ち、フィールド上に二人だけになった時に向けられるであろう問い】
【無論、その問いに答えても答えなくても、それは相手の勝手。何も応えずに攻撃を始めようともルール違反でも無く、咎める者だって居ない】
【兎にも角にも、女性は待つのみ。最初の一手は、譲られたも同然だけれど――――】


/マスク・ド・ガロウの方、宜しくお願いしますー!
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/12(土) 23:39:59.25 ID:vdCBLV+yo
【どよめく観客、歓声とはまた違う騒がしさは気のせいではなく、確実に良い流れのものではない】
【───マスク・ド・ガロウ───一体その名前を知っている人間はいるのだろうか、いや、いない】
【彼は別に格闘選手ではない、自警団やUT、SCARLETに身を置く訳でもなく、カノッサ等に付随し悪事を働いた記録もない】
【黒いスーツと革靴に身を包み、ベルトに機械刀を挿した男の姿は確かに戦闘の心得はありそうだが、如何せん地味───ある部分を除けば】
【獣の頭蓋骨が散りばめられた模様のネクタイと、頭を包む、狼を模したルチャ・マスクが彼の異様度を限界まで跳ねあげている】
【おまけに、マスクの上から眼帯で右目を隠しているのだから、もう怪しさゲージ振り切り状態だ】

……勝ったら次は入場曲でも申請するか、勝てたらな

【本名───不明。】
【年齢───不明。】
【身長体重───共に不明。】
【経歴───不明。】
【唯一わかる事、それはマスク・ド・ガロウ≠ニいうリングネームのみ】
【全て不明の謎の覆面戦士、それこそが彼、それだけが彼を表すスペックの全部だ。それ以外は何もない】

【黒い指貫手袋を嵌めながら壇上に登り終えると、ふぅと一息ついた】
【それから、近くのスタッフに合図をしてハンドマイクを受け取ると───ガロウはスイッチを切り替えた】





───ぅぉぉぉお前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!冷めてんぞごらぁぁぁぁぁぁぁ!!!

【先程の呟きからは予想もつかないような熱いシャウト。ハウリングと共に会場に大音量で届いたそれは、観客のどよめきすら吹き飛ばす】
【キーンと甲高い残響を残しながら、右手にもったマイクを口元に、左手は人差し指と親指を伸ばし、天鬼を指差す】

いいかお前ら!!どーせお前ら『変な奴が来た』とか『まーたイロモノ枠か』とか思ってんだろーが!!
よーく見ておけ!!俺がその考えを今からぶっ壊してやる!!このマスク・ド・ガロウがこの大会を猛獣のように駆け抜ける!!
賭け事するなら俺に賭けな!!グッズを作るなら今の内だ!!目にも留まらぬ早さで優勝してやる!!

…だがまあ、勝負は時の運!誰が勝とうと不思議じゃねえ!!俺が本当に見せたいのは勝利じゃねえ!熱い戦いだ!!
天鬼ちゆり!!俺と当たったからには塩っぱい試合はさせねえ!!常に全力でぶつかり合いだ!!
ていうかお前に覆面がどうこう言われたくねぇよ!!それはこっちの台詞だ!!

【喉を全開にした盛大なマイクパフォーマンスが空気を震わせる、徐々に観客が再びざわめきだした】
【しかし最初のようなぬるいどよめきではなく、段々と焚き付けられるような、期待を煽られるざわめき】

お前らはここに何を見に来た!?つまらねぇ勝利か!?わかり切った消化試合か!?
違ぇだろ!!?どっちが倒れてもおかしくない戦い!!最後まで勝者のわからねぇ戦いだ!!
見た目で決め付けんなよお前ら!!今から伝説を見せてやるぜ!!

…ガロウ伝説をな!!

【燻っていた会場は、訳のわからない覆面男の煽りに乗せられ、観客達もなんだか訳がわからない間に盛り上がっていた】
【いつしかどよめきは歓声に変わり、この試合に対する期待とボルテージは激しく燃え上がる】
【戦場のような騒がしさに、ガロウが地面に投げたマイクのハウリングも飲み込まれて、ガロウは天鬼に向き直る】

…待たせたな、そんじゃ始めるか
女やガキだからって加減はしねえぞ?

【そう言って、ガロウは軽く握った両拳を構える───よく簡単に想像し得る、シンプルな両拳を胸の前に構える構えだ】
【…どうやら腰の刀は抜かないらしい】

/よろしくお願いします
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/12(土) 23:58:42.77 ID:KzCqaiPAo
【水の国・大会会場、観客席最前列】

【一人の獣人が其処にいた。名は長尾銀狼──大会の生き残り組の一人である】
【薄手の服装に獣の耳や長い尻尾は相変わらず、彼女はどっかりと腰を据えて試合を眺めていた】

マスク・ド・ガロウ対天鬼ちゆり……注目の一戦だのう
仮面対決、という面白みもあるが、勝った方が最後の八人に選ばれる
言うなれば、或いは儂と戦うことになるやも知れぬ相手が決まる試合というわけじゃが……

……天鬼、のう。桔梗のやつ、テレビなんぞは見ておるのか、や───ッ!!!!

【大会名義で買い漁った大量の食材を脇に置き、今その一つである団子を取った時】
【選手の一人、マスク・ド・ガロウが盛大なマイクパフォーマンスを場内に轟かせた】

【銀狼は、たまらず両手で頭頂部の耳を覆った。尻尾も分かりやすく、ぴぃんと立って】
【一方で折角の団子は騒ぎの拍子で足下に。ゴマ団子が砂団子へ転身である】
【思わず見せるのは苦い顔。残念そうにそれをゴミ箱へ放り投げれば、次に取るのはたい焼きで】

……ふぅ。どんな地味な男かと思えば、ゴールドマン顔負けの剛胆さだのう
儂の楽しみにしていたゴマ団子をダメにされたのは、まあちくと癇に障るが……

……この勝負、どうにも面白くなりそうではないか。ふふっ……!

【そんな事を口にしながら、むしゃり。件の選手
ちゆりの煎餅食い顔負けの早さで】
【彼女はたい焼きを貪って、次は『屋台の華じゃのう』と御満悦そうな焼きそばを取った】


【───ちなみに彼女のそばの席、いずれも特等席なのに空いている】
【というのも、銀狼の尻尾が邪魔で試合が見えないのだ。かといって、隣に座る剛胆なのもそう居らず】
【故に、これらの条件がどうでも良かったりするのなら、一等席は誰でも座れるし】

【或いはそんな奇特な人物に、銀狼もちらりと好奇心の目を向けることとなるだろう】

/こんな時間なので凍結前提ですが、よろしければっ
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 00:07:27.96 ID:qLU2aQoO0
>>227

【――――会場の煽りに対して茶々を入れる事は無い。世間知らずと呼ばれる己でもその行為は御法度である事位は知っているから】
【だから、黙って聞いているだけ…………なのだけれど。何処か口の端が緩んでいる気がする。否、確実に緩んでいる。ハッキリと書くならば吊り上がっている】


「…………驚きましたよ。私も一応は巫女。心の内を隠す術を持って居るつもりでしたが……まさか、始めから貴方にその一つを見透かされるなんて
けれど、一筋縄でいかないことは先の戦いで重々承知しています。故――――手を抜かれない方が、私としても色々とやりやすい」

【パフォーマンスも終わればゆらりと腕を上げた。水月の構え。攻めから防へと転ずる其れ】
【ガロウの其れと似ていて、それでいて異なる構え。呼吸を整えたならば後は自らの四肢に意識を集中させて】
【――――前戦での傷が癒えている事を確かめた】


「伝説を作るのも結構。そして勝利を狙うのも結構
……前者は私には関係のないこと。ですが、後者は同じ考え。故に、そう易々とは譲りません
食べ物なら、しょっぱかろうが苦かろうが、私は好きですけど」

【捌きにも問題は無い。相手の戦法はまだ分からないが――――少なからず、最初から重い一撃を受ける可能性も低いであろうか】
【…………構えを取った所を見れば、其れが開始の合図と受け取ったのだろう】
【立ち会いの如く呼吸が合った時、先に動くのは巫女。懐から取り出されるのは二枚の札】
【――“衝撃”を伝える物と、“引き寄せ”を起こす物】

【双方同時に受けたって、一見すれば大した事も無い様に思えるが――――】
【僅かな時間差で投げられた事。其れが肝。即ち、衝撃で飛ばされた直後に引き寄せられたならば、身体を強く揺すられる事となる】
【首で支えきれなければ脳も揺らし、関節が耐えられないならば靭帯を痛める――――当たったら、の話だけれど】
【札という特性上そう早い速度でもないし、戦いに精通していたならば十分に避けられる程の初手】


「そして、伝える事が二つ。私の面に、意味はあません――――今は
そしてもう一つ。女子供が男に劣っているとも取れる言葉…………後悔させてあげましょう」

【…………序でに書けば、腰の剣で斬り捨てる事も可能で兎にも角にもガロウ次第で避け方は実に様々】
【そのまま反撃に転ずることも可能であろう】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/13(日) 00:26:58.10 ID:kMFJJW3uo
>>228
【ぺたりぺたりと微かな足音――と言っても騒がしい客席では聞こえないかもしれないが】

……この邪魔な尾は燃やしても良いのかえ?
それとも、貴様を余の椅子とすればよいのか、の

【胸元を大きく開いた派手な着物を身に纏い、金の長髪を簪で纏めて】
【同じく金色の切れ長な目で、食事をする彼女をチロリと眺めればその近くの席に腰掛けようとする】
【放つ言葉も振る舞いも尊大な、見た目としては20代後半くらいの女】
【それこそが足音と声の主の正体であった】

……人の子だらけなのは気に食わんが、こういったものは退屈を凌ぐにはちょうどよい
ま、人の子でない者も居るようじゃがのう?

【何処からともなく徳利と猪口を取り出せば、早速一杯酒を呷って】
【それから、かなりわざとらしい“独り言”を口にすることだろう】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 00:34:57.30 ID:pyhxywrGo
>>229
【マスク・ド・ガロウは考えていた───いや、思い浮かべていた】
【この会場の歓声を作ったのは確かに自分、自分であるが、それは果たして本当にプラスであったのかと】
【会場が盛り上がればやり易くはなる、テンションやモチベーションはそれだけ大切なのだから、しかし───ガロウは思った】

(超緊張する……)

【マスク・ド・ガロウは歓声に慣れてはいなかった───こんな大歓声の中で戦うなんて、増してやマイクパフォーマンスなんて経験がなかった】
【正に墓穴を掘ったのかもしれない、それだけガロウの心臓は高鳴っていた】
【───そんな風にぼんやりしていたから】

…ん?うおッ!!?

【不意に視界に入った異物、二枚の札を交差した両腕でガードする】
【札に対してのこれは少々大袈裟かと、思ったのはそれが札だと気付いての事で、しかしそれは束の間の事となる】
【まずは衝撃───槌で殴られたような衝撃が体を揺さぶり、不意に来たそれに体制を崩しそうになる】
【崩しかけた体制を何とか直したがしかし、次の瞬間には逆ベクトルの力が加わり、遂には情けない足取りで、何とか倒れてはいない物の天鬼の目前まで引き寄せられ───】

【───その時、ガロウの眼がキラリと光った】

【倒れそうになりながら近付くその体制、腰を折ってわたわたと四肢をバタつかせるその接近は、既にガロウの天鬼に対するミスディレクションだ】
【ガロウは素早い判断で、引き寄せられた勢いを利用して攻撃に転ずる考えに切り替えていた】

【天鬼の頭より下に下げた頭を、そのまま勢いに乗せて天鬼の胴体にぶつけようとする───が、狙いは頭突きによる打撃ではない】
【頭突きと同時にガロウは両腕を天鬼の両脇を通して入れ、天鬼の体を掴もうとするだろう】
【掴まれてしまえば、ガロウは天鬼の体を持ち上げようとするだろう。押し付けた頭を上げる力と、前方に進む勢いもあいまってとても簡単に持ち上げられる】
【まるで梃子が物を跳ね上げる様に、天鬼の体を後方に放り投げて地面に落下させる───所謂ショルダースルー≠ニ呼ばれる技の変形だ】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/13(日) 00:48:53.99 ID:lcda22d6o
>>230

―――やれるもんならのう、尾でも髪でも燃せば良いわ
おっと、それともあれかや?儂の膝にでも座りたい年頃だったか
じゃが生憎とこの膝は先客が二人ほど居るのでな、お主のような婆は却下じゃ。

【ちら、と視線を向けてみれば、尊大な態度の主は着物姿】
【彼女に対して軽々と言葉を変えせば、見せつけるように焼きそばを口へ】

【――まあ、別に羨ましい光景でもないが、加えて挑発するように尻尾を振り】

ふん、一々言うことが小賢しいお狐のようなやつだのう
儂とて妖狼よ、人の子と同等に扱われては堪らぬわ、この戯けめ

【そんな風に更なる挑発を重ねつつ、海苔の付いた口元を荒々しく拭えば】
【振り向いたまま、ふと視線が向くのは徳利と猪口】
【込められた感情は羨望、だが――意地でもあるのか、それを口にする事はなかった】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 00:54:29.84 ID:qLU2aQoO0
>>231
【さて――――出だしはまず良し。ならば次には完璧なダメージソースとなる一撃】
【頭に対して肘或いは膝を合わせようとするが…………その先までは読めない。急いで回避しようとすればその肘も効果を無くして、更には放り投げられる体となる】
【腕力の違いは明白。力に対して力で対抗出来ない。身体を強かに打つまいと着地と同時に後転をするけれど、それでも身体を打った事実は変わり無い】
【……頭を打たなかった事が幸いか。それでも、立ち上がる際に肩を押さえていた所を見れば、ダメージは通っている】


「っ……。なる程、また私とは異なった体術ですか…………
ガロウの様な力を持つ方が扱えば、尚更その威力を向上させると考えれば…………下手な武器よりも、よっぽど恐ろしいですね」

【後転によって空いた距離。取り敢えずは、僅かながらガロウの手段が理解出来た――――様な気がする】
【初めて見る体術であるけれど、その威力は身を以て体験したのだから。再び取り出すのは札】
【五行で現す所の“金”と“火”。ガロウに対して飛来する札5枚は全て熱せられた金属の様な熱さを持ち、同時に固さも備えている】
【即ち、触れれば焼け、垂直に当たれば肉体を刺す事も出来る】

【最初に右手で三枚と、遅れて左手で二枚。零秒で成せる其れでは無い為、攻撃の後には必然的に少しの時間を要する】
【それは開いた距離を縮める事が出来る時間でも合って、同時に掴みかかれる時でもあるけれど】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/13(日) 01:13:59.86 ID:r7BqpL7Qo
>>232

小童の膝など余の方から願い下げじゃ
……余が婆とな?―――ああ、お主のような小娘からすればそうも見えるのかのう?

【返される言葉にも動じず、不遜な笑みを湛えたまま返してみせる】
【『婆』という言葉を否定しない辺り、見た目に反してかなりの年齢を重ねているのだろうか】

【そして焼きそばにちらりと視線をやれば、ふん、と鼻で笑って】

残念だったのう?余は『狐のよう』、ではなく狐そのものぞ
――ほう、貴様も妖の者であったか。てっきり只の獣人かと思うたわ

【コココ、と喉を鳴らして笑う様は、やはり何処か狐じみていて】
【視線に気付けば、浮かぶのはニヤリ、という表現が似合う意地の悪い笑み】

ん?何じゃ?何か余に言いたいことでもあるのかのう?
ほれ、何かあるなら言うてみよ、余は寛大じゃから考えてやらんこともないぞ?

【ちびり、と一口流し込んでから紡ぐ言葉はやはり厭らしく】
【こちらも見せ付けるように、徳利をゆらゆらと顔の前で揺らしている】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 01:20:48.94 ID:pyhxywrGo
>>233
【ショルダースルーとは本来向かってくる相手に対して使う技───それを能動的にやったのは兎も角、札による衝撃のダメージから間髪いれずのこれだ】
【効いていない、或いは何らかの能力で軽減した?違う、どちらでもない】

───投げ技、パフォーマンス、肉体美…
プロレスの真骨頂ってのはこれじゃねえ、確かに重要だが、真に見るべきはなあ…

【後方に天鬼を投げた後、背中を晒す形になるが、いつまでもそうしている様な馬鹿はいない】
【ガロウは振り向きながら、視界に入った札にやはり防御の体制で待ち構える、回避する足取りは一つたりとも無く、両脚はがっしりと地面を踏みしめて】
【いくら隙があろうと、ガロウはそれを己の肉体に受けた。鎧等の無い生身には、当然の如く防御効果はない】
【精々が急所を守る程度、両腕に突き刺さり、脇腹を引き裂いていく札の、焼けた鉄のような性質がガロウの表情を歪ませた】

【しかしガロウは、防御の腕を振るい刺さった札を落としながら、両脚に力を込めて言葉を続ける】

…受けの美学だ

【次の瞬間ガロウは走り出す、力強く、スピードは早くはないが勢いはある】
【血まみれになりダメージを負っても、それでも勢いは衰えず、天鬼に向かって駆け付ける】

【天鬼は恐らく、先の様な投げ技を見て、警戒しているだろうとガロウは考えた、きっと簡単に掴めないよう対策はしてくるだろうと】
【だが、投げ技だけが持ち技ではない】

【勢いをつけたままガロウは跳んだ───フワリとした、見た目よりも遥かに軽やかに、鋭く、両足を揃えて跳んだ】
【畳んだ両足の裏を前方の天鬼に向ける様に───さっきの投げとは違う、高い位置からの攻撃】
【両脚を揃えた飛び蹴り、すなわちドロップキックだ、容赦無く天鬼の胸を狙って跳んでいく】

【この技の欠点は高い威力の代わりに後隙が非常に大きい事がある。少し軸をずらしたりしゃがんでしまえば簡単に隙を狙えるだろう】
【天鬼は何も、ガロウの戦い方に付き合ってやる必要も義理もないのだから】
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/13(日) 01:38:08.91 ID:lcda22d6o
>>234

婆じゃろう?見た目を繕っても儂の鼻は誤魔化せんぞ
なんせ儂は狼じゃからのう、人を化かす事しか出来ぬお主らとは違うわい
にしても妖かしと気付くことすら出来ぬとは、妖狐も落ちたもんじゃのう?

【犬歯が見えるようなにやりという笑みを返すその姿、まるで獰猛な狼そのもので】
【ふらりと尻尾を揺らす姿には余裕すら見えたが――ピタリとそれが止められる】

【同様に、視線もまた揺れる徳利に固定され。そして、ゆっくりと女性に向けられる】
【その表情はふてくされた少女のようで――思えば、食べ物があっても酒がない】
【妖怪は、なんやかんやと酒が好きだ。しかし持っているのは、どうもいけ好かない相手で】

……べ、別に儂はなんとも思っとらんぞ?
ただ、ほれ……婆ともなると飲み過ぎは肝臓に良くなかろうと思ってのう?
じゃから代わりに儂が飲……処理してやっても、いいんじゃがのー、と

【ぷい、と視線をそらしつつ。そんな子供のようなことを言ってもみて】
【その辺り、賢さを讃えられるようことは少し違う。むしろ、犬のような一面がかいま見えた】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 01:42:09.25 ID:qLU2aQoO0
>>235
【戦いとは攻撃し、防ぎ、躱す三つ。少なくとも、ちゆりはその様に考えて居たのだろう】
【――――自らの身体に傷を作らず、如何にダメージを抑えて闘う事。そう、考えて居たのだろう】
【…………避けられるはず。それでも敢えて避けずに放った札を受けるその姿が理解出来なくて】
【美学を解せない。それでも、何か思うところはある。ガロウが、勝敗より大切な事を語っていたような気がするが――――恐らくは、コレか】
【なる程と呟いた言葉は、きっとその心意気を褒め称える群衆の声で掻き消されてしまっていたことだろう】

【想定外の距離からの攻撃。単純な威力は勿論の事、ガロウの体重と勢いとが合わさったならば、必殺の一撃とも成り得る】
【――――避けるか?否。仮に避ける事が出来たのだとしても、巫女は避けない】
【……流石に軸をずらし、後方に飛んで幾分か威力は減少させるも、避けない】
【自らの跳躍にドロップキックが当たれば、派手に吹っ飛んでいく事だろう。宛ら、プロレスの一場面にも見えるか】


「ぐっ…………ぅ…………
ふ……ふふ…………貴方の、目的を果たすなら…………私が避けているだけでも、つまらないですからね」

【胸部への強い衝撃。一時的な呼吸困難。外部からの力で無理に萎まされた肺が戻った頃、血の混じった唾を吐きながら立ち上がって】
【――――札は出さない。正確に言えば、身体強化に用いるだけで、遠距離からの攻撃は行わない】
【其れは、自らのガロウの心意気を買った証拠。そして、技を放ったガロウにも分かるであろう】
【その合間に身体の芯をズラした技術は、紛れも無く女性も何らかの体術を持って居るという事が】

【身体強化をしたとは言え、鍛え抜いた身体の如く力が増すわけでは無い。謂わば、体術で挑むのならば女性は其処に技術を付加させる必要がある】
【袴で隠した脚。前出る瞬間を見せず、そして放たれるトーキック。狙いは肝臓。用いるのは蹴りの威力に、前に出た際の速度】
【――――巫女と言え侮るなかれ。多くの妖怪を相手にしていれば、自然と四肢を扱う技も精通してくる】
【更にはつま先という狭い範囲を使ってレバーへの攻撃ともなれば、如何なるダメージとなるか想像も容易】
【ドロップキック投げとダメージは残っている為、早いと言え受けも掴みも出来る】
【…………面から半分覗く顔は、未だ変わらずだけど。何処か、楽しそうにも思えるか】
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/13(日) 02:15:14.66 ID:AStiSyNlo
>>236

ま、婆と言うても人の子と違うて醜くはならんからの、何とでも言うがよかろ
ココ、妖にしてはしょぼかったものでなあ?妖に似た獣人も居るものかと思っておったのじゃ

――それと、確かに狐は“化かす生き物”ではあるがの、余ほどになればちょっとした仙術なぞも扱えるぞ?
ま、戦うだけなら余の従者でも十分できるがのう

【自らの力を語る言葉――先程から全く妖としての“気”を漏らさぬ様からは真偽も不明】
【しかしその姿はどこまでも自信に満ち溢れたままで】
【何を言われても余裕の態度を崩さないのも、やはり年、乃ち経験故か】

【さて、徳利に引き付けられた彼女の視線に、女は更に笑みを深めて】

あぁん?よく聞こえんのう?婆に話をするならもっとはっきり言うべきではないかの?
ほれ、もういっぺん言うてみよ、の?

【『正直に言わないなら渡さない』と、言葉にはしないながらも】
【ニュアンスとしては凡そそんなところであって】

【猪口に入った酒を、またグイ、と飲み干せば返事を促すように顎をクイクイと動かして見せる】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 02:25:57.95 ID:pyhxywrGo
>>237
【回避も反撃も出来た筈───しかし、天鬼はその攻撃を受けた=z
【地面に落ち、天鬼と同時に立ち上がりガロウはその心意気を呑んだ】
【『言葉』ではなく『心』で理解するそれは、ガロウの口元を綻ばせるには十分過ぎるものであった】

面白ェ……!!

【再び、構える───今度はお前の番だとばかりに、攻撃を待ち構える】
【ダメージは無い訳が無い、受けても受けても、いくらダメージを受けても我慢して立ち向かう、それが美学】
【袴による足運びは、素人には読み辛い、本来そうして細かい足運びを隠す着衣だからだ】
【だが、それをどうにかする方法はある。受けてから対応すればいいのだ】

【ドスッ!と鋭い蹴りがガロウのレバーを穿つ、重々しくしかし刃のように洗練された足先が肉の向こうの内臓にまでダメージを貫通する】
【だが、下がらない。ガロウは一歩も下がらず、退かない】
【ダメージを我慢して=A仰け反りそうな体を無理やり前へと向けて、両手で腹に突き刺さる天鬼の足をがっしりと掴む】

まだまだ……軽い…ぜぇぇッ!!

【天鬼の足を掴んだ瞬間、ガロウは地面から足を離し倒れながら空中で体を天鬼の足の内側方向に捻る】
【これによって何が起こるか、天鬼側からすれば、蹴り足を体の内側に思い切り捻られ、体を巻き込まれる形になる】
【通称ドラゴンスクリュー、蹴った相手の足首を極めながら回転を加えて地面にす、受身の難しい投げ技だ】
【だが、この技は使う人間の顔面がガラ空きになるという欠点もある、技が決まる前にガロウの顔面に一撃を与えるチャンスだ】
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/13(日) 02:37:38.11 ID:lcda22d6o
>>238

(むぅ……確かに気を感じさせぬ辺り、ただの妖狐では無いのじゃろうが)
(いけ好かないのはアレか。お稲荷っぽさがこう、トラウマ的にかのう……)

ふぅん、仙術のう……ま、容姿を誤魔化すのなんぞ儂でもできるが
そこまで言うからにはさぞ凄まじいことが出来るんじゃろうなあ?
戦いの場であるこの競技場で、従者がどうと言うのも気にはなるが…くふっ。

【度重なる挑発、そしてふと興味が向く先は相手の言葉尻】
【そういえばこの銀狼、大会の選手である。故に戦いという単語が気になるのだろう】
【瞬時、剣呑さが消えて静まる空気。妖狼の闘気が漏れたようで――】

【――ただし、そういう真面目さは本能によらないところだけ。如何せん、元が動物なのは否めない】
【目元に皺を寄せて攻撃的に牙を見せれば――しかし、口を開き】

…あぁー婆は耳が遠くて嫌だのう、儂は酒が飲みたいのじゃがのー!
生憎と瓢箪を持ち歩くほどの中毒でも無し、お主のそれをもろうても良いと言うたんじゃがなー!?

……………………………、……さあ言うたぞ、寄越せっ。

【本当に下らなくなるくらいのガキっぷりであった。が、案外素直に右手を伸ばし】
【不貞腐れながらも小さく『…下さい。』と聞こえないほどの声で漏らす様子は】
【あくまでも直情型の狼の妖怪らしく、実年齢を感じさせなかった】

/すみません、ちょっと眠気が怪しいのでそろそろ凍結お願いしたいのですがっ…
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/13(日) 02:40:11.80 ID:AStiSyNlo
>>240
/了解ですー!
/明日はだいたい何時でも大丈夫ですのでー
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/13(日) 02:46:10.11 ID:lcda22d6o
>>241
/ありがとうございます!明日は多分22時前には来られるかと思います
/それでは、今日のところは一旦お疲れ様でしたー!
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 02:47:03.07 ID:qLU2aQoO0
>>239
【掴まれた腕に、関節を決められている足首。下手に逆らえばかえって被害を大きくするのは明白】
【結果としては――――その回転に自ら巻き込まれるのであろう。音こそしないものの、関節が無理に捻られる際の響きはきっと密着して居るであろうガロウの腕を通して伝わる筈】
【――――ギィィ……その響きが伝わっていたのは、刹那。然れどその一瞬有ればダメージを与える事が出来るのが恐ろしい現実】
【脚に受けたダメージは勿論ある。同時、フィールドに叩き付けられたダメージも入る事となった】
【生々しい血痕が、其処に着いて。けれども止まらない。一度や二度でダウンしないで済むように強化した事もある――――が、それ以上に“耐え”があるから】

【関節には関節。倒れたまま極められた脚を動かすのは、神経が繋がっているか確かめる意味合いもある。そして、“自らが”ガロウに近づく為の理由】
【まだ、脚を掴んでいたならば。まだ、近くに居たならば。ちゆりの腕が、ガロウの腕に絡められるのだろう】


「…………美学を語るだけはありますね。まさか、耐えられるとは思っていませんでした
……歯には歯を。掴みには掴みを。…………脚は、腕を」

【もし、その動きが成功していたなら――――腕拉ぎ。そして、緩ませる或いは痛ませた所に差し込むキーロック】
【腕へのダメージは勿論だが、狙うのはその先。キーロックによって関節を圧迫し、循環する血液を遮断する事】
【其れ即ち、腕の感覚を鈍らせるないし失わせる事】
【――――“掴み”に必要な握力を失わせる事は出来ずとも、弱らせる事が出来たならばそれで本望】
【……さて、件のキーロックだが。怪力であったならば、技を掛けられたままであっても持ち上げる事が出来るなんて話もあったりするが】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 03:09:03.49 ID:pyhxywrGo
>>243
【ドラゴンスクリュー、その攻撃自体よりも攻撃後にガロウは重点を置いていた】
【脚を掴んだまま両者が倒れこめば、そのまま関節技に持って行けるからだ】
【当然、ガロウはそれを狙って倒れた天鬼の脚を取ろうとする。が、腕への最初のダメージがそれを遅らせる】

…ぐッ!……ぁぁぁ…ッ!!

【一瞬の隙を狙って極められた左腕、関節が悲鳴を上げ、血流が行き場をなくす】
【関節技は、一見地味だが実際のダメージは下手な投げ技なんかよりも遥かに大きい。一つの箇所に最大限のダメージが継続的に送られる】
【血流を鈍らせる所ではない、軽い力で骨を折る事だって出来る】
【おまけに、一番怖いのは簡単には抜け出せない事───抜け方を知っていても、そう上手くいかせないのが関節技だ】

【こうも綺麗に決まれば、尚更困難。このままガロウの腕は破壊されてしまうのか───】

【否。】

【ガロウには、力がある。簡単な贅力という意味ではなく、異能の力が】
【性質から、いきなり使えないのが欠点だが───今なら、これだけダメージを受けていれば=A最大の力を発揮出来る】

【豪ッ!】

【まるでそれは燃え上がる炎のように、紅いオーラがガロウの身体中から湧き上がる】

……う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

【途端にガロウの体に力が満ち溢れたのが天鬼に分かるだろう、そして今からガロウのやる行動も】
【そう、持ち上げた≠フだ───いくら少女とはいえ、人一人を、寝たまま、片腕で支え、力任せに天鬼の体を持ち上げる】
【そのまま纏わり付いているのは危険極まりない、少なくともガロウが立ち上がる前には離れるべきだ】
【さもなくば、まるで腕に着いた虫を地面に叩き付けるが如く、力任せに地面に落とされるだろう】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 03:43:53.31 ID:qLU2aQoO0
>>244
【此処は弾力のあるマットでは無い。ならば、叩き付けられたダメージも全て受けるか――――答えは、否】
【そのオーラから次の一撃を感じたか、叩き付けられた寸での所で逃れたのだから。…………そうはいっても、まともに受け身の取る事が出来ない体勢】
【腕一本に対し、背中の強打とは手痛い損害であるが――――選んだのは自分。泣き言も言ってはいられまい】
【幾ら強化済みとは言え、同じ所を二度も打てば大した効果も得られまい。痛みからの呻き。着実にダメージは蓄積している】
【…………思考するのは、今の状態でどの様にしてガロウに打ち勝てるか。原理は不明だが、まるで自身の身体強化の上位互換の様にも思えた其れ】
【――必要なのは、それを貫き、且つ耐える事も打ち破る一撃】


「…………妖怪相手にも、ここまで強い攻撃を受けた事は希………ですが…………
本当に、強いのですね…………ガロウは…………」

【距離を取るための後転。その際につま先がガロウの顔に触れるかも知れないが――――其れは攻撃には成り得ない。書くならば、布石】
【時間で癒える傷では無いが、多少は痛みを和らげる事が出来るであろうから】
【――――その時間で出た結論。打撃位置から意識を逸らす事。そして、力だけで無く速度も乗せて打撃を与える事】
【……そこまで導く方法としたら、“コレ”しかない】

【不意に自分の着けていた面を外し、素顔を露わにした】
【だからといって、何かが起きる訳では無い。必要なのは、その先の事――――】


「…………面を付けて顔を隠し、貴方の避けない美学に従ってみて――――そして、関節を極められればそれにも応じました
あまり気乗りはしないのですが、でしたらこれも真似る必要がありそうですね…………
しかし、ガロウ。“その様な素顔”だったのですか」

【顔も何も全て隠していたなら、其れなりの理由があるだろうから。――――用いるのは其処を利用したブラフ。きっとマスクが外れてなんかいないのだろうけれど】
【此処まで熱中させることが出来たなら上々。マスクの事を忘れていたならば尚良し】
【――――意識を自分にでは無く、ガロウ自身に向けさせるため。襲ってくる“我慢”の必要性を、消す為】
【自分の面を外したのも、その布石。そしてもし後転の際に顔に触れる事が出来ていたならば――――それは、ちゆりによる意図的な物】
【戦いの最中、もしくは“その時”にマスクが脱げた破けたと思わせる為の行動】

【――――少しでも。僅かでも気が逸れたなら、巫女は駆け出す】
【狙うのは顔面。当てるのは自分の膝。用いるのは速度と体重、そして強化した身体能力。所謂、シャイニングウィザードに酷似した一撃を、意識が逸らされた瞬間に叩き込もうとの魂胆】
【本場のプロレスでもフィニッシュブローとして使われる事が多い技。其れを、意識外から叩き込もうと】
【――――然れど、初動には時間が掛かる。痛めつけられた脚に、強かに打った背中。どれもが、走るという動作には必要な部位だから】
【故に素早く確認をすれば対応だってし易く、受けも反撃も出来るだろうか】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 04:14:06.05 ID:pyhxywrGo
>>245
【チッ、と鼻先を掠めたつま先、僅かに仰け反ってかわしたつもりが、掠っていた】
【ダメージにはなり得ない、それよりも大きなダメージや疲ればかりがガロウを駆け巡る】
【酷使した左腕はだらりと垂れ下がり、ガニ股にした膝に右手を置いて上体を支え、肩で息をする】

…妖怪……なんざ……なあ………
こちとら……もっと化け物じみた奴らと散々やりあってんだ……!

【経歴不明───だが、妖怪以上のものと戦っていると語るそれは、嘘か本当か定かでは無いが】
【しかし、体に纏うオーラは衰えずに光り輝く、恐らく今のガロウは力を溜めているのだろう。フィニッシュムーブの力を】
【ガロウは考えていた、ここまで戦えれば満足だと。しかしハングリー精神を忘れてはならないのを知っている】
【行ける所まで駆け抜ける、それが自分の為すべき事だと、心に決めていた】

…はっ、わざわざ同じ土俵で戦ってくれるとはな
同じスタイルなら尚更負ける訳には……って、え?マジで?え、ちょ、マジ?
マスク外れて───

【───だが、少々抜けていたらしい】
【天鬼の思惑は大成功、まさかマスクが外れていたのかと、慌てて脇に顔を向けて確認する、あるまじき行動に出た】
【そこまでして顔を隠したいのか───は兎も角、すぐにマスクは無事と気付くももう遅い】
【振り向けば、既に天鬼は技の体制。対する自分は無防備】

───騙しやがったなてめぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!!!?

【顔面に迫る天鬼の膝、体制が体制なら対応も出来ただろうが、ろくな対応が出来る体制ではない】
【考えていたフィニッシュムーブも出来やしないこの状況、しかしガロウは素早く対抗する方法を考えた】
【練りに練った必殺技を出せないのは気に入らないが仕方ない、ガロウの頭───正確には額に、紅いオーラが集中する】

【誰が考えるであろうか、まさか顔面狙いの攻撃に、頭突きで対応しようとはッッ】

【その力は、紅き反逆の力。受けたダメージを力に変える、それがガロウの能力ッッッッ】
【一点に集中させた力を、頭突きに乗せて、一旦仰け反った頭を天鬼の膝に合わせて思い切り───ぶつけるッッッッ】
【今まで受けたダメージ、その全てを纏めて倍返しにする、最後の一撃。意地の反撃ッッッッッ!!!!】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 04:42:13.60 ID:qLU2aQoO0
>>246
「――――規則に反してはいません。更に言えば、騙される方が悪いのですよ」

【膝対額――――結末は容易に想像出来る様な場面だが、其れで終わる筈が無かった】
【蓄積されたダメージを倍返しともなれば、膝をも砕くことが出来るであろう一撃に昇華するだろうか】
【脚に極められた時とは異なり、ハッキリと分かる異音。きっと、膝の皿が砕けた音であろうか】

【両の脚が負傷ともなれば、もう受け身を取る事は難しいであろう。ならば、後は如何にして意識を刈り取るか――――】
【もう、蹴り技は使えない。頭突きで顔面や心臓を狙われた訳で無いにしても、強烈な痛みは意識をも朦朧とさせる】
【――――降りるか?然れど、其れをすれば掲げた目的も果たせずに終わる…………】
【それならば、落とされるまで、この四肢を動かすのみ】


「ふ…………ぅ…………」

【脛骨まで持って行かれたか。さて、分からないが…………少なくとも、片足の膝より下の感覚が無いに等しいのが正直な所】
【代わりにあるのはズキズキとした痛みと、風が触れるだけで走る激痛】
【膝と額が合わさったならば、ガロウの頭が自分の腕よりも下にある状況であろうか】

【――――ならば。ぶつけた額の位置を、フィールドに叩き付けようと】
【自らの体重と落下の速度を使って、その位置をフィールドへと叩き付けようとする】

【フェイスクラッシュ。後頭部を掴んで、思い切り叩き付けるその技】
【合わされた膝の衝撃を、更に大きくする為に。更に深部へと轟かせる為に】
【…………今は、割ることが目的では無い。脳震盪でも――――又は意識を刈り取る其れを引き起こせれば、良いのだから】
【――――――さて、その先はガロウ次第。耐えたならば、或いは外したならば、大きく負傷した脚に狙いを付けられる事だって容易】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 05:02:46.36 ID:pyhxywrGo
>>247
【ブチブチと皮膚の皮が、肉の繊維が切れていく音が頭蓋骨を通して伝わる───いやきっと、それだけではないが】
【ガロウの生み出す力は強大で、ただの頭突きを遥かに強くするが故に、自身の肉体の負荷も当然大きい】
【故に、ここで決めなくては、決められなくてはガロウの負けが決まってしまう】

【───競り勝った、天鬼のシャイニング・ウィザードには勝った…が、しかし】
【天鬼は素早く次の手に出る、ガロウにはそれがない。できないのだ】
【頭突きという攻撃からどのように次の手を出せと言うのか、位置や体制の有利が天鬼に働いた】
【後頭部を掴まれたガロウは、そのまま顔面を地面に叩き付けられ───






───ない。】

…ぐ……ぬぬ…舐めんな…よ………!!

【何が起きている?それは誰もが思った事】
【観客すら、ガロウが競り負けたと思った、しかし次に見た光景に眼を疑った】
【天鬼の体は動かず、ガロウの体も動かず───ガロウは、首と腰の力だけで、ただの力任せに、天鬼の全体重を支えていた】
【言っておくが、頭突きにより紅い力は既に放出した後で、すでにオーラは纏っていない】

【だとしたらこれは、気合と根性が成せる業】

【天鬼に動揺する暇は無い、何故ならば刹那にガロウの反撃がある】
【蛇のように伸びたガロウの右腕が天鬼の首を掴もうとする、掴まれてしまえば、そのまま地面に叩き付けられてしまうだろう】
【単純なのど輪落とし───ただ単純な技であるからこそ、効果は高い】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 05:28:34.21 ID:qLU2aQoO0
>>248
【――――身体が下がる感覚が無い。其れ即ち、目論見が失敗した証左】
【ガロウの頭によって支えられているという体勢故に、避ける術は無い――――が】
【“避け”は無くとも“反撃”がある。巫女としての術を用いての、其れがある】


「逆に尊敬している位ですよ
尚、人一人を支えるだけの力があるとは…………」

【――――頭を叩き付けられないならば、直接其れを行うまで】
【初手で用いた“衝撃”の札。詰まる所――――この距離で、頭に其れを直接張り付けようというのだ】
【…………即ち、インパクトを直接浴びせるというもの。外傷では無く、内部へとダメージを与えるために】
【今回は引き寄せが無い――――その理由。己の体重を力で支えているならば、逆方向に過度な力を加えるとの目論見】
【固定された場所に無理な力を加えて崩してしまおうというものであろうか。額への膝と、初手と――――そして、成功したならば今と。首と頭とに、掛ける負担】


「なっ…………ッ?!」

【――――結果に関わらず、地面へと叩き付けられる事となろうか】
【先にも書いたように、両足の負傷は激しい。ゴロゴロと転がり、身を擦らせ――――止まった先で、暫くの間動かない】
【――――全身への衝撃。無論、立つ事は出来ない。膝立ちがやっとといった所であろうか】
【追撃は、無い】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/13(日) 05:35:13.13 ID:wRd1l/Vto
【ブルブル…と体が震える。】
【これが超人達の戦い…。】
「ここに入っていけないならわたしは…
 …わたしは…あ、入らなくてもいいかも。」
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 05:48:49.02 ID:pyhxywrGo
>>249
【そうだ、これがあった───天鬼には、札を使った攻撃があったのだ。力も使わず、かつ大きな衝撃を生み出す方法が】
【天鬼を地面に叩きつけた瞬間、札が額に貼られた瞬間にガロウは思い出した】

【剥がす間も無く受けた衝撃に、体を思い切り仰け反らせ、後頭部から地面をゴロゴロと転がって行く】
【切れた額から弾けた血飛沫が、赤い筋を引いて綺麗な曲線を描きながら。並大抵の人間ならば既に脳震盪を起こしているはず】

【ガロウはどうだ?転がった先で何とか立ち上がろうとしているが───焦点が合わない、確かに衝撃は頭を揺るがした】
【だとしたら、後は回復の早い方に勝機が向くだろうか、せめて立ち上がる事が出来たら───】

だぁぁぁぁあああああああああああああッッッッ!!!!!

【その時、雄叫びと共に鈍い音がした───ガロウが、頭を落として地面に頭突きをした音だ】
【自棄になったのか?悔しさの余り?何か考えがあるのか?───様々な予測が駆け巡る、ガロウの行動】

【───衝撃で脳が揺れている、ならどうすればすぐ治る?】
【簡単な事、同じ強さの衝撃で相[ピーーー]ればいい】

【そうだ、彼は、ガロウはそれをやった、やってのけた】

【ゆっくりとだが、額から血を落としながらだが、立ち上がるのがその証拠】

───ダッシャオラァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

【立ち上がる=Aただそれだけの為に、全身全霊、今残った全てを使った】
【天鬼が立ち上がれないなら、立ち上がったガロウに軍杯が上がり───…?】




【それにしては、会場の空気が冷えている、というか、凍り付いている】
【ガロウもそれに気付いたようだ、周りを見渡し、最後に視線は足元へ…】



【と、声が上がった】

【───マスク・ド・ガロウ】
【───場外負け】

【───歓声は、ブーイングへと変わった】
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/13(日) 06:06:40.28 ID:wRd1l/Vto
ブーイングあげるな!
上げてなくでもヨロシね!あれはベストバウトよ。
えっと…えっと相撲の寄り道(寄り切り)みたいなものね。
【観衆に向かって叫ぶが一人の声では誰にも届かない。】
【座布団のような帽子にゴミが飛んでくる。】
【引っ込めということか。】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 06:07:48.31 ID:qLU2aQoO0
>>251
【闘志は失われずとも、立ち上がれるはずが無い――――其れは今の状態からして、物理的に不可能なのだ】
【歩く事はおろか、立つ事も出来ない。寄るならば、這いずる他に方法は無い】
【続行不可能も近く…………そんな事では、もう結果は見えている。若しくは、脚を掴まれなかったことが優しさか】
【乱れる呼吸は痛みと疲労。身体を動かすのが苦手な訳では無いのだが――――今回は、相手の方が、数段も上だったから】
【追いつくには酷使せざるおえなかったし、痛みの覚悟も必要であった】


【――――ガロウが、立つ。しっかりとした足取りで】
【札を使うだけの体力は、僅かに残っている。だが、腕を使って使用するという特性上、もう飛ばすことは出来ない】
【……なりゆきに、身を任せるだけ。もう立てないのだから、後は近づくのを待つだけ――――なのだが】
【あれほど五月蠅かった観客の声がもう聞こえないのである。ぼやけた視界で確認しようとして―――――――】


「――――――…………」

【何を言ったのか分からない。少なくとも、不快になる其れでは無い筈だが――――】
【遅れて、面をもう一度呼び寄せて。顔を隠したならばそれっきり】
【――――気絶。救護が来てもそのままで運ばれるのだろう】
【ただ、まぁ…………ガロウの横を過ぎる事が出来たならば、気絶している筈の手が触れて】
【まるで感謝を伝えるかのように優しく一度触れれば、やがては会場の奥へと消える事か】
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/13(日) 06:11:27.33 ID:wRd1l/Vto
>>253
試合。。ため試し合い。。あたしもいつかしてみたい。
【ガロウの背中をみて王琴牟はそう思った。】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 06:17:03.80 ID:pyhxywrGo
>>253
【どっかんどっかん当たる、ゴミとか空き缶とか超頭に当たる】
【棒立ちになったガロウは、言い訳や抵抗はしない】
【むしろその背中には、潔さというか一種の悲哀すら感じられて】

【仕方ないじゃない、落ちちゃったんだもの───】

【仕方、ないじゃない】

…仕方ない訳あるかああああああああああああああああああ!!!!
ちくしょー!顔隠してまで出場したのにこれかよ!?降参よりひでーだろこれ!!
ちょ、投げんな…ゴミ投げんなおらぁ!!

【納得出来る訳がないと猛抗議、しかしルールの壁は絶対、無慈悲な物だ】
【あれだけ煽っておいてこの結末、観客が怒るのも無理もないが、ゴミまで投げなくてもいいだろうとガロウは吠えた】

【ふと触れた天鬼の手が、ガロウの視線を落とさせて】
【「負けんなよ」と静かに呟けば、また観客とのバトルを再開する】

【天鬼が運ばれて行った後で、一旦落ち着きを取り戻した会場で、ガロウはマイクを片手に立っていた】
【すぅと息を吸い込むと、頭を下げる】


───しょっぱい試合ですみません!!!

【ガロウ伝説は、ある意味では伝説となった───】

/お疲れ様でした
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/13(日) 06:23:55.35 ID:wRd1l/Vto
>>255
わ!た!し!は!応援してるから!ッ!な!
ガロウが誰だが知らない!オノボリさんだからッ!
で!も!!
それでも!!
この失望わ!期待の裏返し!!なんだ!!
わたしは!お前のファンになったからなッ!!
ファンがいるんだぞ!覚えておけよ!
【歓声、いや罵声に飲まれても届けたい声をムゥはガロウに投げた。】
いいか!覚えておけよッ!
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/13(日) 18:05:21.66 ID:2C8XjAI3o
>>240

コココ、余が少しばかり本気を出すだけで一帯吹き飛ばすくらいは軽いのう……
ま、それ故に軽々しくお主程度に見せてはやらんがな

場が何処であろうと変わりはせん。余が何処に居ろうと呼び出せるから、の

【力を見せはしないと言うが、言葉の内容は事実であれば洒落にならないもの】
【狐の言葉、信じるか信じないかは彼女次第、ではあるが】

【ただ、ここに来て一瞬、女の態度が変わる】
【彼女の闘気に対し牽制するかのように、己の妖気を見せたのだ】
【半ば神聖さをも混じったような奇妙な、しかしながら強大な妖気】
【そうしてから『ここで荒事をしても仕方あるまい?』と言う頃にはまた元通り、なのだが】

……おうおう、初めから素直に言えばよいものを、余計な意地を張るからじゃ

【小声で呟いた言葉も聞き漏らさず、浮かべるは満足気な笑み】
【それから二度手を打てば、現れるのはデフォルメされた小さな黒い狐】
【それと二本の徳利と猪口が一つ、現れて】

ほうれ、余の厚意に感謝して呑むがよかろ
出てきた序でにクロよ、何か食い物を持って来

【どこまでも尊大に、上から目線】
【片手で徳利を差し出し、空けたもう片方の手、袖で口元を抑えてまた笑う】
【その目は細く弓なりに、しかししっかりと見据える視線は鋭くて】

【そして恐らく、『クロ』と呼ばれたその狐は女の従者なのであろう】
【狐を従える狐―――滑稽と見るか、それとも……】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/13(日) 20:45:13.64 ID:qdDF6T+qo
【大通り】

【天下一武道会の開催に伴い、夜の深まったこの時間でも街は活気に満ちている】
【それは同時に、祭りの空気にあてられた遊び盛りの若者たちが、つい羽目を外して騒ぎたくなる時間帯でもあって】
【…………今、何やら痛そうに頭を押さえ、しょんぼりと補導されていく若者の集団も、そういった若さ故の過ちを犯した者たちだ】
【数名の自警団員と共に、ぞろぞろと歩き去る集団。ふと、その輪からひとり外れて、何食わぬ顔で歩き去っていく男がいて】

やれやれ…………。
大会だからってはしゃぐのはいいが、他人様に迷惑かけんのだけは勘弁しろよな。
あんまり余計な仕事させんじゃねぇよ…………。

【銀色の双眸を地面へ向け、ぶつぶつと益体もない愚痴を吐きながら、だるそうに目を窄める青年】
【筋肉質で背の高い体格に浅黒い肌、短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【見るからに異邦人≠ニいう言葉を連想させるような男だが、その服装もどこか普通ではなく】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線機が据え付けられたベルトで腰穿きして】
【首からはシルバーのドッグタグを下げ、背中に巨大な茶色いケースを袈裟懸けにして携行していた】

あークソ、ひと暴れしたら急に腹減ってきやがった。
早く帰って牛丼でもかっ食いてぇなぁ…………。

【げんなりといった顔で前屈みに歩く姿は何ともだらしないが、そのお陰で左胸に光る自警団のバッジが目立ちにくいのは、却って幸いか】
【男が大きく伸びをすれば、腰のポーチに縫い付けられたSCARLET≠フ紋章も目に入るかもしれなくて】
【二つの正義≠フ組織を叉に掛ける男としては、見ている市民を不安にさせかねないほど自堕落な体だが…………】

【頼りなく歩きながらも、月光色に鋭く輝くその視線は、時折道を歩く人々や路地裏へ抜け目かなく突き刺さっていて】
【夜の街中。どういう意味合いにせよ、自警団のお世話になるような人物がいたならば…………きっとこの男と出会うことになるか】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/13(日) 20:56:21.66 ID:ZXotMq7xo
>>258
【夜の町中。路地裏から不良の怒号が響き渡る。数は十数、中々の人数だ】
【粗野で粗暴で、理性の欠片も感じられないその叫びの中には、様々な感情が入り交じる】
【犯すやら、殺すやら、何やら物騒。兎にも角にも、この街の喧騒はまだ止みそうになく、自警団の仕事もまだ無くなりそうにない】

【もし青年が声を聞きつけ、路地裏に駆けつければ、如何にもな光景がそこには展開されていた】
【個性豊かに、様々バラバラな格好をした男たちが、思い思いのモノを構えて、一人の少女を囲んでいたのだ】
【男たちの中心に居た一人の少女の外見は、一種異様とも言える物。与える印象は白――だろうか】

「――――道に。迷ったか――――――」

【少女を囲む不良たちに興味を払うことはなく、琥珀色の瞳は茫洋と空を睨んでいる】
【身に纏う衣服の色彩は純白。白いシャツに白いパンツに、シミひとつ無い白衣、靴と手袋まで白という徹底ぶり】
【そして、肌の色はあまりにも不健康過ぎる色白さであり、鋭い琥珀色の目を彩るのは黒色の隈というアイライン】
【立てば足元まで有るだろう長い白髪は、赤色のリボンで適当に一つに纏められ、前髪は表情を隠して見えづらくしていた】

「――だれか。助けてくれないだろうか」

【くるり。と確認するように己を囲む不良たちを睨めつけてから。たっぷり一秒】
【ぼそりと小さい声で助けを求める発言をしてから、しばし咳き込み。少女はそのまま沈黙し虚空を見つめ続けるのだった】
【そんななめくさっているような動作を見せたものだから不良は堪らない。怒号は盛大に増していき、今にもこの場は一触即発】
【誰かが一歩を踏み出せば、そのまま男たちは少女に殺到していくことだろう】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/13(日) 21:27:34.16 ID:qdDF6T+qo
>>259

【街外れ、路地裏、スラム――――呼称の差異はあれど、街の陰になるスペースというものは、どんな都市にあってもどうしても消しきれず】
【如何に正義≠ニは言っても、街の裏に潜む闇を一気呵成に打ち払う、なんてことは現実には難しくて】
【悪≠ノだって力はあるし、正義≠セから強いとは限らない。いつでも無条件に正義が勝つ、そんなのは儚い夢物語】
【それ故に――――せめて、表の人々がその闇へ飲まれるのを防ぐことだけは、徹底しなければならない】

【この広い水の国…………自警団も一枚岩ではなく。権威の為に正義を捨て、悪となる者だっていて】
【だが、少なくともこの瞬間。そこに居合わせたこのだらしない男は、正義の為に動いていた】


言ったそばからこれかよ。クソッタレ、今日は厄日だぜ…………。

――――おい、そこのクソ野郎ども! 悪ぃが正義の味方≠フ登場だ!
それにその――――白ずくめの嬢ちゃん。 怪我はねえか?

【わずかな声を聞き逃さず路地裏へ急行した男は、心底うんざりといった様子で一言呟いてから】
【――――獅子の雄叫びのような、大迫力を伴う怒号! それは少女を囲い込む男の耳を貫かんと、路地裏中へ響き渡る】
【自らの胸ぐらを掴み、自警団のバッジを見せつけるようにしながら、男はそのまま一団へ歩み寄っていき】
【ざっと不良たちの数を確認しつつ、その中心にいる少女を見つければ、珍妙な格好に少し眉を顰め】
【少し迷った後、結局見た目そのままの代名詞を使って、少女の安否を確かめようとするだろう】
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/13(日) 21:32:57.68 ID:alfzHsqc0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 繁華街】

……なぁ、一軒ぐらい良いじゃねぇかよ……少しは飲ませろって……
「……やけ酒なんて言って、楽しみを味わいたいだけなんだろう? 少しは反省をしたらどうなんだい?」

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫と】

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年が】

【賑わいを見せる夜の街を、連れ立って歩いている】
【呆れ顔を見せたまま、早足で先導する青年に、苦笑しながら居丈夫が追随している。体格の差を考えれば、中々シュールな光景だ】

……あーあ、ったく……結局今回も1回戦負けだし、散々だぜ……
「……手前が傷の面倒を見てやったから、治療費が持ち出しなんて事にはならずに済んだんじゃないか……
そこの所をポジティブに考えても良いんじゃないかい? それに散々だって言うんなら、それこそ振り返って自分を戒めた方が建設的なんじゃないか?」
……へいへい分かってるって。お前がケツを持ってくれたおかげで、随分助かったってよ!

【小言を口にしながら歩む青年と、それを馬耳東風と受け流す居丈夫。食事や飲酒を楽しんでいる周囲を尻目に、彼らは歩を進め続けた】



【――――所変わって、水の国 下町】

はぁっ……! ……3対1なら私に勝てるとでも思いましたか?
……お前たち選ばれざる者が、その程度集ったところで……私に敵う道理など、ありはしないのです……!

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年が】
【足元に倒れ伏す、浮浪者と思しき3人の青年を見下ろしながら、軽く弾んだ息を整えている】
【どうも3人は、腹部に強力な打撃を喰らったらしく、身体を丸めこむようにしながら、起き上がれないでいる様だった】

……こんな所で手を汚す理由など、ありはしないのですが……まぁ、お前たちを手にかける事を躊躇う理由も、ありませんね……
後悔してもらいますよ……自分の行動を、その命もろとも……!

【倒れている浮浪者の1人を引き摺り上げると、青年はその身体を、そばのガードレールへと背中から弓なりに押しつけていく】
【くたびれて薄汚れたシャツはザリッと切れ、背中の皮膚をガードレールの縁が突き破り――――ダラダラと血が、ガードレールを汚していく】
【苦悶の呻き声を上げながら、浮浪者は青年の両腕を自分の手で捕まえ、何とか外そうと試みるも、掛けられた体重を逸らす事は叶わず、更に背中にガードレールが食い込んでいく】
【倒れた2人も動けないまま、人気の少ない周囲に、細い苦悶の声だけが響いていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 21:37:44.58 ID:xEiQveVh0
【星の国――――ブラックマーケット】

【高度な情報技術により、恐らく世界中で最も近代化に成功した場所の一つ―――】
【其の中枢部に位置する"シティエリア"には、兎に角、超高層ビルが群生していて。】
【其れは、他国と変わらない唯一つの"空"が、見られない程。兎に角発展した国、であった。】

【"街"が凄いのなら、"市民"も凄まじくて―――】
【国中に幾つも存在する繁華街は、例え真夜中だとしても、其の勢いは留まる事を知らない様で、】
【"眠らない都市"―――なんて表現は、此の国の為に在ったのかも知れない、と思える程。】


【―――繁栄を誇る場所が存在するなら、当然其の逆―――所謂、"スラム街"も存在した。】
【今回舞台となるのは、其の街の中心部に位置する、"ブラックマーケット"。】
【薬物、拳銃、火薬類、化学物質―――ありとあらゆる法外な商品が、其処では売られていた。】


…………―――

【―――其処ら中に並べられている違法商品を、ブラブラと歩きながら。何やら物を見定めている少年が、一人。】
【黒みがかった赤色のオーバーコート、ブラックパンツに身を包み。右手の薬指には銀の指輪、】
【更に、艶のある銀色の髪に、眼は惹き込まれそうな程深い紅色……は、特徴的だろうか。】

【特に此処は、"ブラックマーケット"である。店主や客は、フードを被る等して目立たぬ様、工夫している事を考えれば―――】
【何処か浮いている、のだった。其れに加え、未成年であろう年齢も相まって、一層目立つ事になる。】

【―――かなりの時間、少年は其処を歩いているが……探している物は、中々見つから無いらしい。】
【尋常では無く広いこの市場。何処かに、きっと、置いてあると思っている様だが―――?】



【所変わって、風の国、エルジオ―――夜の広場】

【首都に位置する、国内最大を誇る広場だけあって。夜にも関わらず其の賑いは失う事は無く、】
【会社帰りのサラリーマン達やら、或いはデートに来たカップルやら―――やたら多くの人で溢れ返っていた。】

【其の活気を見越してか、アイスにホットドッグ、ポップコーン……兎に角、多くの露店が並び。】
【前情報無しに訪れた人なら、お祭りが在っているのでは無いか、なんて思わせる程。】


【―――然しそんな広場でさえも、秋めいた哀愁を漂わせる物は存在する物。】
【つまり其れは、夕焼けの深い色に染まった紅葉、そして大きな実を付け金色に輝く銀杏達―――。】

【広場を取り囲む様にして並んでいた木々は、―――もう、過ぎ去ってしまったのだろう。】
【必死に、必死にしがみ付いていたのだが。辺りに吹き渡る心地良い風にさえ勝てず、】
【ヒラヒラと人知れず最後の"粋"を見せつけ、―――やがて地面に同化して行く。】


【何方かと言えば、後者の方に融和していたのが、広場の端のベンチに腰掛ける一人の少年。】

【少し短めの艶やかな黒髪と、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【無地のグレー色のフードが付いたパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツを履いて。】
【少しフレームの太い黒縁のメガネに、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われていた。】

【こんな身形を少年は、其の露店で買ったのであろうフランクフルトを片手に、】
【真っ赤なスマートフォンらしき何か物を操作―――否、厳密に言うなら、操作されていた。】

【何やら難しい顔をしつつも、時折『あっ、』と苦虫を噛み潰した様な表情を見せて。】
【其のぎこちない親指の動きからも―――『機械が苦手なんだろうか、』と云う想像は、其処まで飛躍した物では無い。】

【さて、少年の持つスマートフォンの、其の流線型で工学的なデザインから―――】
【其の存在、特徴を知る者なら、其れは"W-Phone"だと、真っ先に気づく事になるが―――?】


/どなたでも!よろしくおねがいしますー!
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/13(日) 21:40:45.30 ID:ZXotMq7xo
>>260
【不良たちは、明らかな弱者に対しては確実な勝利が見える故に、強く振る舞う】
【だが、その対象がSCARLETTなどの自警団であったりした場合は――正逆と化す】

「――――思考試行切断。なるほど、中々に面白い。
このような場に乱入し、私を助けに来るという酔狂を成せるのは――善と定義できる存在だろうか」

【不良たちの胸ぐらを掴む男、蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく不良たち】
【怒号の衝撃を受けてなお、女の茫洋とした雰囲気は崩れることは無かったが――少しだけ、思考が現世に戻ってきた】
【何かを観測していたのであろう瞳は、ついに現実を見定めて。視界の中に自警団の青年を写しこんだ】
【琥珀の瞳を細め、興味深げにその行動を観察して。すべての状況が終わるまで、無言で青年の行動を眺め続けていた】

「エインセル・アンバライト=Eゼラズニイ――――白ずくめの嬢ちゃんという形容は確かに間違っていはいない。
が、しかし。人を形容で呼ぶのはあまり好ましくない、そう呼ばれるのも。
どうやら君に助けられたようだな。感謝する――私は名乗った。君の名を貰いたい、良いか?」

【青年の問いかけに、本来返すべき返答、無事かどうかよりも己の呼び名の訂正を先に選択する】
【白い髪が目に入ったのか、一瞬目を瞬かせる。そして、髪を邪魔そうに退かして、それでも目に入る為ふるふると首を振る】
【瞬きの少ない琥珀色の双眸は、真っ直ぐに相手を居ぬき続け、会話中決してずらされることは無い筈だ】

「ああそうだ。――私の負傷についてだが、特段の問題はない。
そも、平時より私の活動レベルはそう高くない故、これ以上の負傷も誤差程度のものだろう」

【近未来的意匠の車椅子が駆動音を響かせ、障害物などを物ともせず道のじゃまにならないように道の端に寄る】
【その操作の熟練度合いが、少女が本当に肉体にハンデを背負っていることの証明となるだろう】
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/13(日) 22:00:51.15 ID:gIcj874M0
>>261
/まだおられますか
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 22:04:14.43 ID:NYIX/DRuO
>>261

【水の国】

けろ、けろ。

悪い子だね。お前ら、悪い子だろ。

【――『下町』】

【何気ない暴力という日常に、妖しく響くは非日常】
【童女の嗤う声が、血生臭い状況に、不思議と調和して、広がる。】

【それは、背後から。】

こんな町中で、お盛んな事だ。
なぁ、ニンゲンはどうしてこう、喧嘩ごっこが好きなのさ?

けろ。

【故に、姿は見えない。だが、その声の響き、漂う雰囲気は、人間のそれとは異質である。】
【即ち、人ならざる来客。ならば幼い声と気に混ざる酒臭さは、矛盾しない。】

【対応は自由だ。つまらない野次と、切り捨てる事も出来る……】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/13(日) 22:05:49.14 ID:qdDF6T+qo
>>263

あ、待てコラ! 余計な仕事増やすんじゃねえよ!
ったく…………。

【ほんの少し前に出会った不良が、自警団員に対しても絡んでくるような愚か者だっただけに】
【逃げていくのは、恐らく利口な方の不良だったのだろう。逃げる背中へ言葉をぶつけるも、時既に遅し】
【別に何かと戦った訳でもないのに、やけにぐったりとした表情で溜息をつくと、腰元から無線機を取り出して】
【恐らく自警団の仲間たちへの通信だろう、不良たちの逃げていった方向から予想する逃走ルートを伝えるが】
【ここは、表のルールがまかり通らぬ路地裏。捕まえられる可能性が低いことは、男もわかっていた】

あぁ――――俺は、アサド・アル=アーデルってんだが。
見ての通り自警団員で、一応SCARLETにも所属ってことになるな。
まあ、それで善≠ネんて言われるほど大層な人間でもないがね…………。

【さて――――助けた少女を改めて見やれば、ただだらしない格好をしているだけの自分とは別の意味で普通ではなくて】
【路地裏の暗がりに浮かぶ純白の色合いに、少し眩しさを感じて目を窄めれば】
【彼女の琥珀色の双眸と、鏡のような銀色をした男…………アサドの双眸が交錯するのだろう】

エインセル、って呼べばいいのか? 嬢ちゃん。
しっかし格好も変だが、性格も変な奴だな。元がどうだろうが、怪我して誤差ってこたぁねえだろうよ。

それよか、何でこんなところに居るんだ? 連中に連れ込まれたか?
…………それともなんだ、まさか迷子か?

【ずぼら見た目通りの、歯に衣着せない少しばかり失礼な言いぐさで少女の名を呼べば】
【自警団員として、が半分。大人として、がもう半分。そんな意図で、少女が何故路地裏に踏み入ってしまったのかを訪ねるだろう】
【自警団員でさえ、一人で入るのには危険が伴う。身体にハンデを抱えた少女が居ていい場所ではもちろんない】
【…………最後に付け足すのは、冗談混じりの可能性だが】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/13(日) 22:06:39.13 ID:alfzHsqc0
>>264
/ぎりぎりでしたが、いますよー
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/13(日) 22:11:23.36 ID:alfzHsqc0
>>264-265
/……えー、どうしましょう?
/時間柄、複数は厳しいものがありますが……
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/13(日) 22:12:06.67 ID:jgHBZFR7o
>>257

ほぉう、ここら一帯を、のう?また大きく出たものよ

それならば一つ、儂と契りを交わそうではないか『大妖』どの
儂がこの大会で優勝したなら、その力を是非見せて貰いたいちや
なにせ、優勝者は”ここら一帯”の主も同然。それを吹き飛ばせるとあっては、の。

なに、もしも儂が勝てばの話よ。お主に損は無いと思うが…、……?

【イマイチ謀られているような、そんな気がしてならない】
【銀狼の思いはそんなところ。だから存外気軽に、彼女は妖狐に優勝を条件として】
【その力を見せて欲しいという、なんの気もない申し出をしたのであった】

【──しかし流石に、その妖気の一端を感じれば背筋が冷える】
【神聖さまで混じった力。まず間違いなく、名のある存在なのは確かだ】

【銀狼は生き物としての強さはともかく、妖怪としての格は低い】
【故に、ふてくされたような顔はそのままだったが、少しは畏まって差し出されたものを受け取り】

……別に意地など張っておらぬわ、なんのことか分からぬのう

あぁそれで、そのクロとかいう従者が酌をしてくれるのかや?
それとも寂しく手酌で飲めと……、…食べ物か。
儂は兎か鴨の肉が良いちや、よろしく頼むでなー

……ふむ。ところで、名を聞くのを忘れとったな。
儂は長尾銀狼。見てのとおり尾の長い銀の狼ゆえ、人からそう呼ばれてのう。

【それでもなお、お調子者というのは懲りないもので、軽い口を呑気に叩き】
【鋭い視線もなんのその。知ったことではないと受け流しつつ、名を尋ねた】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/13(日) 22:12:13.27 ID:gIcj874M0
>>267−268
/えーと、自分のは無視していただいてかまいませんよ
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/13(日) 22:12:46.82 ID:DjoBO90B0
>>264 >>268
/僕の方が遅かったので、引きます。またの機会に。
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/13(日) 22:19:25.86 ID:ZXotMq7xo
>>266
「アサド・アル=アーデル。SCARLETに所属する自警団員か。記憶させてもらった。
――義を見てせざるは勇なきなり。己のなすべき事を知り、それを実行できる以上、善悪どちらであろうと君は有能だと私は判断する。
兎にも角にも。君によって救われた私はアサド・アル=アーデルに感謝をしている。そう己を卑下するな」

【瞬きをしないまま、琥珀色の瞳はずらされず。交錯したままに、相手の名を幾度か呼ぶ】
【先ほどまでの状況に憔悴した様子も欠片も見せること無く、安堵に笑うこともない、無表情】
【無表情ではあるが、言葉にする事で己の伝えたいことを真っ直ぐに伝える。感情表現が得意ではないカバーだろうか】

「好きに呼べば良い。私は呼称には拘らない、私という個人を示す名前で有れば構わない。
――変。何を基準として変と断ずるか、少々論じたい所だが、ここは相応しい場ではないな。
少なくとも。今の私は怪我をしていない。故に、アサド・アル=アーデルは心配する必要はない。以上だ」

【変と言われた際に、一瞬だけ眉がぴくりと動く。そして、小難しい口調で一瞬まくしたてようとした】
【しかし、場所的にも状況的にもあまりふさわしくはないだろうと判断したのか、咄嗟に口を噤む】
【相手の冗談交じりの可能性に対して。少女が返した返答は――わずかに視線をずらすこと】
【数秒の間を置いた後に。一瞬咳き込んだ後に、深く息を吐き出して、目をまた合わせて口を動かし始める】

「――空腹のようだな。それに肉体労働で大分疲れているようにみえる。
奢ろう。残念ながら私は近辺の店舗には詳しくない故、アサドの行きたい店であればどこでも構わん。
少なくとも。私はここで雑談したいわけではないし――その、なんだ。寒いんでな」

【最後の問いかけに対する返答は、どこかに放り投げられてしまう】
【転じて返された言葉は、相手が空腹であるという事を見抜いている発言と、奢るという誘い】
【最後に躰をかき抱いき、ビル風に震える。顔を見れば、唇が少し青くなってきており、体温が低くなっていることが分かるだろう】
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/13(日) 22:21:37.26 ID:alfzHsqc0
>>270-271
/なんかこんがらがってしまったので、申し訳ありませんが、>>261の投下自体をなかった事にさせてください……
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/13(日) 22:22:28.57 ID:gIcj874M0
>>273
/了解しました
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/13(日) 22:23:30.16 ID:DjoBO90B0
>>273
/了解しました。混雑させてしまい申し訳ありません。
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/13(日) 22:41:42.68 ID:qdDF6T+qo
>>272

あ、あー、そりゃどうも…………。
にしてもあれだ、なんかフルネームで呼ばれるとくすぐってえな…………。

【無表情ながらも、一切逸らされることのない瞳から放たれる素直な賞賛は、アサドの全身に突き刺さり】
【本当にくすぐったいのはそちらなのに、それを少女から自分への呼び方のせいにして、適当にごまかせば】
【髪も肌も黒いアサドが浮かべる小さな笑みは、少女の白さと無表情さをいっそう際だたせたかもしれなかった】

――――やれやれ。まあ、細かいことは機にしねえことにするさ、エインセル嬢ちゃん。

そうだな、ここに居てまたトラブルに巻き込まれちゃあかなわなねえし…………移動するかね。
ああ、あと金はいいぜ。こんな小さな女の子に奢らせたなんてて知れてみろ、部隊内の俺の評価がダダ下がりになっちまうんでな。

【変と言われた瞬間、微妙に少女の様子が変わったことに、アサドは少し安堵する】
【機械のように感情の欠けた対応をされては、元々口がうまい方ではない彼は言葉に詰まってしまうだろうから】
【…………そうして、ここに来て初めて逸らされる琥珀色に、アサドは少し楽しげに少女の名を呼べば】
【彼女が寒そうにしているのを見咎めて、来ていた白いジャケットをその背中へと掛けようとするだろう】

【それから彼は、少女を伴って移動を始めるだろうが――――車椅子の彼女、手助けが必要であれば、そうした筈だ】
【その後、路地を出てしばらく歩けば、そこは連日天下一武道会の熱気に賑わう大通りで】
【アサドが向かっているのは、その中にある寂れた屋台…………】
【一見怪しげだが、のれんには「おでん」という非常にわかりやすい三文字が踊っている】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/13(日) 22:43:18.50 ID:sWL8bcjXo
>>269

ほう……また異な事を考えるものよのう……
ま、それくらい別によかろ。優勝できたら、の
じゃが、準優勝なぞではいかんぞ?お主自身が優勝と言うたのじゃからな?

――しかし、余の力を見ては小娘が腰を抜かしおるかもしれんのう
何せ、人の子に『天狐』等と崇められるほどじゃからのう……

【あっさりと―――快諾】
【余程自身の力に自信があるのか、はたまた化かす策でもあるのか】
【独り言に漏れた『天狐』という言葉も、また同じく、真偽の程は不明であって】

……あぁ?クロは余の従者ぞ、お主に酌をしてやる義理などないわ
第一、こ奴は途中で酒を止めようとしおるから手酌の方がよっぽどマシじゃ
酒程度が毒になるほど余は脆くないというに、まったく生意気なやつよ

【一度引っ込んだ黒狐が再び姿を見せれば、そこにあるのは油揚】
【それを適当な所に置けば、そそくさと主の下へ行く辺り、警戒している様子で】

ココ、残念じゃったの、あまり懐かぬやつ故に、の

――ああ、余は瑚蝶、真名はちと長い故、瑚蝶と名乗っておる
遥か昔に付けられた名じゃから由来は忘れたがの

【銀狼――以前に会った狐の小娘が言っておったのはこの小娘であろうか】
【などと思考するのも刹那の事。考えても面白くない、と切り捨てられる】
【そうして名を名乗るが、真名ではない、と付け足して】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/13(日) 22:43:50.68 ID:DjoBO90B0
>>262

【星の国】

けろ、けろ。

悪い子だね。お前、悪い子だろ。

【ブラックマーケット】

【何気ない、違法市場の日常に、妖しく響くは非日常】
【童女の嗤う声が、異質な空気を孕む空間に、不思議と調和して、広がる。】

【それは、背後から。】

こんな所で、こんな遅くに。
なぁ、ニンゲンはどうしてこう、夜行性ごっこが好きなのさ?

けろ。

【故に、姿は見えない。だが、その声の響き、漂う雰囲気は、人間のそれとは異質である。】
【即ち、人ならざる来客。ならば幼い声と気に混ざる酒臭さは、矛盾しない。】

【対応は自由だ。つまらない野次と、切り捨てる事も出来る……】

/まだいらっしゃいますか?
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/13(日) 22:54:26.70 ID:ZXotMq7xo
>>276
「……女の子と言われれる歳でもないが――配慮に感謝しようアサド・アル=アーデル。
ただ、単純に君の行動に対する報奨であると考えれば、私が奢るのは至って普通の事だろう。
そこまで君が気にすることでもないと思うのだが――。まあ、君が良いと言うのならば、そうしよう。それが一番良い選択だろうから」

【小さな女の子と呼ばれた時に、一瞬眉根がぴくりと動く。少しだけ文句を言いそうになるが、言わず】
【相手の配慮にたいする感謝を述べた上で、助けてもらった礼なのだから遠慮する必要は無いと語る】
【そうしながらも、白いジャケットによって多少は風を遮ることが出来たのか――わずかに表情に生気が戻る】
【車椅子は自動で動いているのか、低い駆動音を響かせながらアサドの後ろ2mを維持したまま危なげなく走り続ける】

「――――おでん」

【連れられてきた店に描かれた三文字を認識して、一瞬首をかしげ】
【その後、何事もなかったかの様に車椅子を駆動させ、屋台のカウンターにエントリー】
【ボタン類や継ぎ目の殆ど見られない車椅子を指先の微細な動きで操作し、座面を上昇させる】
【高さをうまい具合に調節し、背もたれを調節し終えれば、食事をするのに調度良い位置に達し、カウンターから顔がひょこりと飛び出した】

「櫻の国発祥の煮物料理――、鍋料理に分類されるものが多いが、基本的にだし汁に醤油ベースの味付けをしたものに様々な具材を入れたものだな。
冬の風物詩ともされているが、私は食べたことが無い。――興味深い、ここは味噌や辛子も置いてあるのか?
……串に刺さっているものと刺さっていないものが存在するようだが、それらによって味わいが変わるのか。
ふむ。実物が目の前に存在している以上、試行を思考するよりも、五感で検証した方が良いだろう。
――――大根、こんにゃく、はんぺん、しらたき、ちくわ。ひと通り頼む。辛子と味噌、両方あるのならば両方で」

【おでん鍋を目の前にしながら、ずらずらとどこぞの百科事典から持ってきたような言葉を並べ立てる少女】
【表情を氷の様に凍てつかせたままに、ほかほかのおでんを前に、定番の具を次々に注文していく】
【もしまだ青年が座っていないようなら、ぽすぽすと手を叩いて隣に座るように促すだろう】
【割り箸を受け取り、割り箸をわろうとするが悪戦苦闘。手が震えてみしりみしりと小さく軋む音が響いていた】
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 22:57:59.85 ID:pyhxywrGo
【大会会場近辺】
【スタジアムにて行われているのは、何も武闘大会だけではない。今回はワールド・グルメ・フェスなる物も同時開催されている】
【言うなればそれは食の武闘大会、様々な香しい香りが辺りを彩り、鮮やかな屋台から出てくるのは各国を代表する料理達】
【選手や観客の腹を満たし、心を満たす───こちらの祭典もまた、もう一つの主役だ】

…残念ですわね。折角賭けてあげたのに負けちゃうなんて
…彼女は、彼のどこを気に入ったのかしら?ああいう所が?

【独り言を呟きながら屋台並木を歩く小柄な体躯、人の肩まで程度の小さな身長だが、背中に背負った物が身長以上に高さをごまかしている】
【赤いチェック模様のワンピース、袖とフードにファーのついた白いコートを着て、ブーツを履いた150cm半ばの体躯】
【赤紫色をした眼、ボブカットの銀髪、冷めた表情の少女だ】
【ハンドガードの付いた鉈の鞘を背中に交差させて背負い、その柄の影は長い耳の様にも見える】

あ、おじさま、櫻団子を五人前下さる?

…大会ではなく、こっちを定期的に開催すればいいですのに
ああ、これも彼が優勝出来たなら運営に直談判も出来た物を…

【もぐもぐ、むしゃむしゃ。少女はその小さな体に一杯食べ物を抱えて、涼しい顔して食べ歩きながら屋台をハシゴしていた】
【食べても食べても、すぐに大量に買い込む為に荷物は減らない。しかし一体その小さな体の何処に入っているのか、食べるペースは一向に下がる様子は無い】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 23:02:06.76 ID:xEiQveVh0
>>278

―――………あー……?

【カツ、カツ、と立てながら歩いていた足をピタリ、と止めて】
【ただ喉を震わせただけ、声にならない声を出しながら―――フッと後ろを振り返る。】

【確かに、背後から聞こえたのだ。幼い女の子の、何かに嘲笑う声が。】
【にしては―――其の正体が"見えない"。少年が見返る間に、隠れる時間は無かった筈だ。】
【『疲れてんだろーなー、』と結論付けた所で、再び進行方向に身体を戻しては、】
【再び、例の"物"を探す為に、少年はのっそりのっそりと歩き始める。】

【然しながら、品物を見ていく度に目に入る商人の顔が、ヤケに動揺している事に気づいたなら、】
【先程の声は、矢張り自分だけが聞こえた訳では無い、即ち空耳では無い気がして。】

【少年自体の顔がブレる事は無かったが、其の奥で僅かに狼狽している事は、言うまでも無いだろうか。】
【歩調がゆっくりとなったのは、其の声が足音にかき消されぬ様、という目的が在った。】


/まだおります!よろしくです!
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/13(日) 23:13:32.40 ID:DjoBO90B0
>>281

やいこら、無視するな。けろ。

【幻聴では、ない。確かな響きを持った声が鼓膜を打つ。】
【幼い声帯から出されたであろう、酒焼けた声。】

【怪異故に矛盾を孕んだ、声。】

【振り返れば、気付ける。なんのことは無い、そいつは、小さいのだ。】
【そして、四つん這いだ。そう、カエルのように。だから振り返っても、視界に入らない。視界を下に下げれば。】

【黒いレインコート。毒々しい緑髪のおかっぱ頭。】
【フードで隠れた中から覗くのは、林檎か、紅玉のような双眸。そんな童女。】

げこ、目立つ格好で、チビのニンゲンがウロウロと。
慣れてない……カモっぽい匂いがプンプンしているぞ? けろけろ。

【何らかの狙いを疑う程度には、貴方の姿は異質だ。】
【童女の異質とは違う……ともかく、目立っているのだから。】

/よろしくお願いします
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/13(日) 23:13:33.65 ID:gIcj874M0
>>280

【ぶらりぶらりと屋台ぐんを歩いている一人の男がいる】
【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い】
【そしてあるべきはずの片腕がない】
【そんな男が歩いて思う】

(退院したのはいいんですがどうしやしょうか、義腕をつけるのなら信頼できる人間を探さないと)

【男はそのように思いながら歩く】
【まるで周辺の屋台には目もくれずに】
【すると男は食べるペースが速い少女が目に入った】

(ふえー、なんつー、早食いしかもあんなに食べ物を抱えて、なんつーか、すげえな)

【男はそのように思いながら少女を見る】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/13(日) 23:13:52.96 ID:qdDF6T+qo
>>279

こういう寒い日はな、コレが最高にうめえんだよ…………。
ああクソ、勤務中でなけりゃあ熱燗をこうぐびっと…………!

【本当に勤務中ということを気にするのなら、食事の誘いだって断るべきだったのだろうが】
【見た目通りという言葉もそろそろ使い飽きてくる彼は、元より真面目な性格などしていない】

【そうして屋台の、中に入れば…………という表現が適切でないほど狭い、そこは椅子とカウンターしかないような食事処】
【テーブルの奥にいる店主は、いらっしゃい、と一言だけ告げ、後は全く口を開かず】
【注文と勘定ぐらいしかしない無口な親父が経営する、何というか刑事ドラマにでも出てきそうなベタな屋台である】

お? おお、やけに詳しいな嬢ちゃん。
ってかずいぶん乗り気じゃねえか…………いいねえ、そうでねえとな!

【エインセルが自分も詳しく知らないような知識を披露するのを見て、アサドは素直に感嘆し】
【果たしてそれはどういう意地なのか、少女に負けじと自分も一通りの具材を店主に注文すると】
【元々仕込みは終わっていたのだろう、二人の分は芳しい出汁の香りと暖かい湯気と共に、すぐ皿の上へ盛りつけられるだろう】

【そしてアサドはまるで獣のように割り箸を口にくわえると、ばきりという豪快な音を立てながら割る】
【それは割り箸に苦戦する少女に対するお手本のつもりなのかも知れないが、悪い見本なのは言うまでもなく】

いいか嬢ちゃん、どれも甲乙付けがたいが…………俺の舌が告げている、ここで一番うまいのは大根だと。
見ろ、この箸を立てた瞬間に崩れ落ちる儚さ! 焼きたての肉から滴る肉汁のごときダシ!
岩のように不動のまま、三日も漬け込んで凝縮された味だ――――心して食えよ、ほっぺたが落ちるぜ?

【ぎらりと光る野獣のような瞳が見据えるのは、ちゃっかり三つも注文した大根】
【味噌に辛子、そしてそのままの味を楽しむための、抜け目ない三段構え…………と言えば多少は格好が付くか】
【アサドはいきなり、豹変したように食材の良さを語り出す。普通であればドン引きの勢いだ】
【見た目からして桜の国の出身と言うことはないのだろうが、それでもこういう店の良さを知っているあたり、案外グルメなのかも知れない】

【そうして一通り得意げに語った後、彼は並べられた具材を片っ端から胃に放り込んでいって】
【…………その途中、ちらりと少女の顔色をうかがうだろう】
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/13(日) 23:18:20.47 ID:MET76Thdo
>>277

ふふっ、言うたな?これでちくとはやる気も出ようというものよ
なに、別に死ぬほど見たいと言うようなわけでもないんじゃが
折角大会に出るのだから楽しみは多いほうが良いと思うての。

……あー喉が乾いて仕方ないわい、早速頂こうかのー

【最後の一言は棒読みであったこと、それは言うまでもないだろう】
【獣の特性を強く持つ銀狼が、まさか『天狐』という言葉を聞き漏らすはずもない】

【――天狐=Bそれが本当なのなら、とんでもない相手にあたったものだ】
【それを誤魔化すように、手酌で一口。イケる口らしく、猪口は一瞬で空になり】
【少し苦い表情で油揚げを手にとれば、ぱくりとそれも食らってしまい】

狐っちゅーのはどうしてこうも油揚げばかり好むのかのう……
別に嫌いとは言わぬが、飽きぬのかや?

……ほう、瑚蝶。服装も相成って芸妓のような響きちや
おっと、怒るでないぞ?あくまでもそう思っただけだからのう

【髪も毛並みも銀色、肌も白く故にちょっとした酔いで頬を赤らめ】
【からからと笑いながら最後に付け足された言葉に首を軽く縦に振る】
【もしかすると従者である黒狐に更なる警戒を与えるかもしれないが――まさか、気にしている様子も無く】

【―――ふと、周囲で歓声が沸き立った。どうやら、メインの試合が終了したらしい】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 23:25:21.79 ID:pyhxywrGo
>>283

…まあ、それにしてもなんて美味しいのでしょうか
国で本場の物を食べるのと違い、こういった屋台で頂くのもまた趣が違っていいですわ
…あの子も読んであげればよかったかしら

【早食いで大食いな割には味はしっかりと味わっているようだ、うっとりとして舌鼓を打ちつつ、また食べ物を追加する】
【食べ合わせとか全く気にしない、甘いデザートを食べてから串肉を食べて、果物を食べる、とにかくただ貪っているように見えて、しかしどこか上品だ】

…あら?

【ふと、そんな少女の動きが止まる。冷く鋭い視線を向ける先は隻腕の男】
【行動の腕白さとは打って変わって、とても冷たい表情だ。人の世界に在らずといった、何処か浮世離れした顔】

見ていたってあげませんわよ、生憎浮浪者にかける情けはありませんの

【開口一番辛辣な言葉、さっきまで厚い肉が刺さっていた串を持った手をしっしっと振った】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/13(日) 23:25:59.72 ID:ZXotMq7xo
>>284
「知識などこのご時世。調べれば上澄み程度には幾らでも身につくもの。
大切なのは、身で知る事だ。――あらゆるものは、経験が最良の情報収集である故」

【手を震えさせながら、未だ割り箸を割れずにいる少女は、顔色を変えぬままにそう返答】
【横目で琥珀色は、黒い男が割り箸を口で咥えるのを視認して、真似するように割り箸を口で咥える】
【暫く口で咥えて割ろうとするが、如何せん咬合力が足りなかった。10秒ほど苦戦した後に、口から離す】
【そして少女は僅かな間、逡巡した後に、右手で割り箸を持ち、左手の人差し指を割り箸の割れ目に滑らせた】

「……割り箸。いつも苦労する」

【音無く外れ、ついに用をなす割り箸を見て、呆れたように溜息をつく少女】
【目の前にはほかほかのおでん。嘆息によって曇った蒼白の顔色も、多少はまともになるというものだ】
【大根を一口分。小さく箸で切り分けて、口に運んでいく。噛む。少女の弱い顎の力でも容易く崩れるその柔らかさ】
【口の中に広がる旨みは――なるほど旨い。何かに納得するかのように少女は首を縦に振る】

「…………一つの具材では出ない滋味。なるほど、多数の具材を一つの鍋で煮こむ故の味か。
そして、それらがしかし散逸せず一つにまとまるのは、一重にこの出汁の力。
様々な特性を持ちつつ、主張の少ない具材が集まっている故に、出汁で纏められ、統一を失わない。
――極めてロジカル。感銘を覚えたぞ――店主」

【次は大根に辛子をつけて、一口食べる。出汁の香りと共に鼻に抜ける辛さ】
【表情は欠片も変わらない。だが肌の色が上気し――目尻からぽろぽろと涙がこぼれだしてきた】
【――――そう。エインセル・アンバライト=Eゼラズニイは、辛子を付け過ぎた】
【淡い味付けのおでんである故に、辛子の香味はより強く感じられる。そして温度によって香りは立ち――今のように少女の鼻を攻撃していた】

「これもまた、経験」

【1分ほど涙を流し続けて、最後に味噌を付けて大根を食べる】
【味噌の味わい――それと出汁の混合。味が強いが、甘みを良く感じる】
【三者三様。どれも総て違う旨さで、その違う旨さが出汁という媒体で一つに纏められていた】

「……なんだ。悪いが私は食が細くてな。
頼んだ分を全部食べられるか正直分からない。食いさしでも構わなければ、食べてもらえると有難いのだが」

【大根を半分食べただけで、少し休憩に入っている少女。外見通り、食が細いようで】
【すす、と相手のほうに大根の入った器をずらし、少しだけ眉根を寄せて、申し訳なさそうにした】
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/13(日) 23:32:33.13 ID:gIcj874M0
>>286

 あっしって浮浪者見えますか

【男はそのように言う】
【手をしっしっと振られても特に動じない】
【男は手で頭をかきながら】

 しっかしまあ、よくそんなに食べれやすねえ
 どんな胃袋をしてんですかい

【男は少女の食べっぷりを見てそのように言った】
【悪気はない、ただ興味だ】
【怒ったら怒ったで仕方ないか】 
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/13(日) 23:37:07.66 ID:xEiQveVh0
>>282

【酒の匂いに気づけ無かったのは、其れは"少年も"であったから。】
【然し矢張り―――聞こえる。良く分析すれば、何となくハスキーな様にも聞こえて……】

【『幻聴が聞こえる事、何もしてねーんだけど……』なんて思いながら、再び振り返る。】
【矢張り、何もいない。『ちょっとやべーかな……』と言いたげな顔をしながら、】
【身体の方向をを元に戻すが、―――其の途中で、黒い何かが横目に映り込む。】
【其れは一瞬であった。然し其の印象は少年に2度見させる程、絶大な効果を齎した様で―――】


―――………うわ、おまえか。
あー、幻聴じゃねーんだな。…………よかった。


……んだよ、"カモっぽい"のはお互い様、だろ?
まあ俺は、……カモじゃねーけどな。………寧ろお前の方は、どうなんだよ。

……いや、お前も、カモじゃねーな。カモっつーより……―――


【少年は、此の童女の目線に合う様にしゃがみ込んでは、】
【其の様子をジックリと見る。此処はスラム街の中心部、どんな人間が居ても可怪しくない場所だが、】
【此の童女は、―――勿論少年が述べられる感想では無いが―――、極めて怪しい。】

【まず第一に、其の年齢に違和感が在った。所謂、"ストリートチルドレン"なのか―――と。】
【だとすれば、此の童女に注がれるのは、慈悲の眼差し。―――違うのなら、只の怪奇の視線。】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/13(日) 23:46:01.95 ID:pyhxywrGo
>>288

そうねえ、人の食べ物を物欲しげに見るくらいだから浮浪者かと思ったわあ
どちらにせよ、一口足りともあげませんわよ、これは私の物です

【いくら念をいれるのだろう、それくらいに食い意地が張っているのだとは分かる】
【男に会話を返しながらも、歩いて屋台から食べ物を追加している辺り、男は食べ物の二の次三の次としか思われていないのだろう】
【当然といえば当然だ、ただの片腕が無い程度は彼女からしては不思議ではなく、果てし無くどうでもいいのだから】
【例えばそう───いきなり斬りかかるくらいでもしなければ、彼女の興味は向かないのかもしれない】

【逆に言えば、それだけ彼女は異常なのだ】

あら、たったこれだけ。少し小腹を満たす程度ですことよ
…ああ、晩御飯は何にしようかしら。早めにリクエストしないとまた鹿肉になってしまいますわ

【これだけ食べながら、まだ小腹程度だと言って、更に晩御飯の話まで───その途中でも、食べる事はやめない】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/13(日) 23:46:39.79 ID:WIHVCyDro
>>285

死ぬほど見たくはなくとも、見る時に巻き込まれて死ぬかもしれんぞえ?

――ま、せいぜい足掻いて余を楽しませてみせるがよい

【ククク、と先程までとはまた違う笑いは、彼女の様子からかどうなのか】
【掴みどころのない女の様は、正しく狐、“化かす者”に相応しく】

何、常に油揚を喰らうておるわけでもなし、ただ“少しばかり”その頻度が高いだけのことよ
それは狐でなくとも同じようなものであろ?

【『少しばかり』という言葉を強調した辺り、恐らくは少し程度のものではないのだろう】
【しかしそこを除けば、言っていることのだいたいは正論か】

その程度の事で怒る程短気ではないぞ、余は寛大だと言うたであろう?

……さて、剣士気取りの小娘はあっさりと負けてしもうたが、まだ少し見る意味が出来たかの
これクロ、外で何か喰らうて帰るから準備をせい

【いつの間に呑んでいたのか、最初の一本だけでなく、追加の徳利までも空にして】
【試合が終了したと見れば、彼女を睨み付ける黒狐に声を掛けつつ女は立ち上がる】

【その姿からは酒を呑んでいたなどと想像できないほど、頬の朱が増すでもなく】
【足元もしっかり安定して、まるで素面であるかの様】

【それから、ふと振り返って】

試合も終わったようじゃから余は出るが……何か言っておく事はあるかの?
例えばそうじゃな―――優勝したら、というのはやはり無しにしてくれ、だとか
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/13(日) 23:50:48.94 ID:qdDF6T+qo
>>287

ははは、このやり方はちょいと過激だったか?
…………っておいおい、大丈夫か?

【最後まで割り箸に苦戦する少女を、アサドは悪戯っぽい笑いと共に楽しそうに見つめて】
【と、唐突に流れる少女の涙に、最初こそあまりの旨さに感動したかと笑うが】
【その様子が、こちらに来たばかりの頃の昔の自分と重なって。さては辛子を付けすぎたな、と苦笑い】
【この男なりのいささか雑な気遣いと共に、店主から受け取った水を差し出すだろう】

な、最高にうめえだろ。最近見つけた穴場なんだ、あんまり喋らないでくれよ?
…………なんだ、もう休憩か。しゃあねえなあ、俺が処理してやるよ。

【少女の口から漏れる賞賛に、アサドは共感するようにうんうんと頷いて、店主は振り向きもせずただ一言「へい」と告げる】
【さては照れるな、とその背中にからかうような目線を向けていると、ふと少女の視線に気づいて】
【申し訳なさげな言葉と共に差し出される大好物を前に、アサドはまた苦笑いを浮かべて】
【…………「しゃあねえなあ」という言葉を言い終わる前に、皿には何もなくなっているだろう】
【この男、本当に獣のようで。端から見ると、餌付けされる肉食動物のようにも見えたかも知れなかった】

…………そういや、エインセル嬢ちゃんよ。
お前さん、この街に住んでんのか? それとも観光か?

【そうして、どう考えても女性の前でするものでは確実にない、下品なげっぷを一つした後】
【店主へ更に追加で大量の具材を注文しながら、アサドはそう切り出すだろう】
【公務とは何ら関係のない、興味本位の質問だ。どう答えるかはエインセル次第】
【ただ、それは自分がこの水の国の出身者でないからこそ、抱いた興味だったのだろうが】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/13(日) 23:56:01.34 ID:gIcj874M0
>>290

 なんというか、すごいな

【男は少女の食べていく様子を見て、そのように言う】
【ぶっちぎりで驚く、それで小腹を満たす程度とかありえんとも思いつつ】
【そして男も少女にならい屋台にいき食べ物を買う】
【襲うまねなどはしないだろう、人目もあるところで襲うなどと馬鹿でしかない】
 
 そんだけ買って食べてるんならどこかおいしい屋台とか知っているんで
 知っているのなら教えてほしい

【男はそのように言う】
【あれだけ食べてしかも味もしっかり味わっているのならお勧めの屋台とかもあるのかと思ったのだろう】
【教えてもらえなくても、気にはしないだろう】 
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 00:01:34.99 ID:nswdKiI00
>>289

げこ、馴れ馴れしいやつだ。
それに、一人で勝手に安心してるんじゃあない。

【すっくと立ち上がる。小さい。】
【小さいが、視界に入る程度だ。つまり、先程のカエル姿勢が問題なのである。】

【妖しく光る双眸が、ぎょろりと動いて目が合った。】

くわ……そうまじまじと見つめるなよ、ニンゲン。
惚れるぞ? けろけろけろ。

【毒々しい緑の髪、赤くて大きな瞳、そして小さい。】
【またじっくり見ると分かるが、口が大きい。カエルらしさの一因であった。】

【……何にせよ、人ではあるまい。】

で、お前、カモじゃないってぇなら、私はなんだ?
カモノハシか? それとも、カメか?

【当然、童女なりの冗談である。あまり面白い冗談ではないが。】
【が、何か、何故か表情には真剣味がある。演技派なのだ。】

【……微妙な空気を流れる。流れを変えられるのは、貴方だけだ。】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 00:01:37.22 ID:zQpI54Nro
>>292
「問題ない。確かに辛くはあったが、意識すれば我慢できる程度だ」

【相手の心配に対して、少女は問題ないと一言で返す。先ほどから少女は大丈夫としか言っていない】
【水の入ったグラスを受け取ると、両手でグラスを握り、ちびりちびりと水を口に含んでいく】
【数度水を口に含めば、顔色は落ち着き、涙も徐々に泊まっていく】

「……私の周囲にこのような所に誘える人間はそう多くない。
故に、この店の噂が広がることは無い。それに――君への礼としても、この店について私は秘匿しておくこととする。
処理してくれて感謝する。……美味とは思うのだが、どうしても許容量の限界があるからな」

【ちびりちびりと、他の具材も半分ほど食べると、残りの半分を相手に渡していく】
【少女の発言を聞いていれば、この少女が基本的に変わっては居るが、生真面目である事が分かる筈】
【この少女が店について口外しないと言ったならば、それは基本的に先ず間違いなく守られることとなる】

「――定住はしていない。君たちのような善の者に追われる立ち位置故に――な」

【少女は相手の問いかけを前に、僅かに沈黙。そして、ぽつりと定住をしていないことを語る】
【最後のつぶやきは小さく――しかし、髪の毛をばさりと後ろにどかした際に、右耳にピアスが有るのが見えただろうか】
【そのピアスを注意深く見たならば――琥珀の中に、カノッサ機関の紋様が彫り込まれていたことが視認できる】

「……アサド・アル=アーデル。なぜ君は自警団という縁に身をやつした?
君の問には答えた故――私の問にも、答えて欲しいが」

【先ほどまでと何ら変わらぬ態度のまま、琥珀色の瞳を真っ直ぐに向け、少女は問う】
【なぜ、善に属したのか。悪という役を背負う少女の、善に対する疑問だった】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 00:06:42.02 ID:w4iDWLIu0
【第三回戦――――紅白の其れを纏った女性の入場と共に、会場の歓声は大きくなった事だろうか】
【櫻の国の巫女。五行を用いるだけで無く、それなりの体術を扱うことは――――前回の、マスク・ド・ガロウとの戦いで披露された】
【投げられる声の中には己の名を呼ぶものもあったかもしれないが、無反応。感情が無いわけでは無い。ただ…………元より、そんな性格】
【空気が読めないとも言われ、世間を知らないとも言える様な性格】


(同じ櫻の国出身の方と当たるのは…………初めて、ですね)
(話を聞けば、刀を扱いますか…………。ともなれば、腕で防ぐことも難しいでしょう)

【無表情。能面の様な顔だが、その下では様々な考えが巡っていて】
【――――実際に戦いは目の当たりにしていない。けれど、話は少しだけ聞いている】
【何でもとても腕の立つ剣士だとか――――遮蔽物の無いフィールド。其処で如何にして避け、如何にして闘うか考えてみるけれど】
【…………小さな溜息は思考の放棄。実際に見なければ対策のしようも無いとの結論に至ったから】


「櫻の国の剣士…………ですか。そこらの妖怪が束になった時よりも厄介な戦いになりそうですね
いえ…………それとはまた比べものにはなりませんか。何にしても、私は私の目的を果たす為に闘うのみ
幸いにして、此処では死ぬ心配はありません。八攫 柊――――貴女が何を思いこの場に立ったのかは分かりませんが」

【己の名の紹介。気紛れ程度に、白い腕を上げてみる】
【準々決勝――――盛り上げるには、其れで十分。言葉無くとも、其れだけで良い】
【…………そんに歓声の中でも、不思議と女性の声はよく透るのだろう。澄んだ其れが、きっと少女へと投げられていて】
【――切れ長の瞳が、細くなる。改めて少女の容姿を確認するようでもあって、同時に自身の掲げた目的を再確認する様でもあって】


「――――――――――私にも、目的があります。幾ら同郷とは言え、そう易々とは負けてあげられませんよ」

【…………袴に隠された脚が、動いた。同じくして、ゆらりと腕が上げられる】
【後は合図を待つだけであって、少女の動きを待つだけという事もあるけれど】
【表情は無いけれど――――その先の展開を楽しみにするかのように、唇の端が僅かに吊り上げられていた】


/天鬼ちゆりです!柊ちゃんの方、宜しくお願いしますねっ!
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 00:08:29.26 ID:b9kOEf+Yo
>>291

なんのなんの、狼は生きることに関しては他の鳥獣の追随を許さぬからの
天狐≠セろうが空狐≠セろうが、死ぬ気は無いのう

……ふっ、お偉い大妖どのも意地を張るのだな?

【油揚げに関しての反応が、今までと違っていたのが少し可笑しかったらしい】
【くすりと笑って杯を傾けると、こちらも徳利の中身は空】
【流石に追加のそれまで飲み干していた彼女ほどでないにしろ、蟒蛇らしく】

言っておくこと……いいや、なぁんにも思いつかんのう
儂とて遊びで大会に出ておるわけでも無い、最初から負けを意識しては詰まらぬであろう?

……ま、そういうわけじゃ。もしかしたら、なんて可能性ではあるが
この武闘会の行方でも眺めておれよ、お天狐殿。……いや、瑚蝶どの?

【従者であるクロの睨めつけなどなんのそのとこれまた受け流し、言葉を返し】
【あくまでも自信を垣間見せながら、席に座りなおして尻尾を振った】
【それが最初に視界の邪魔をした再現――挑発か。或いは、手を振る代わりなのか】
【誰に分かる筈もないのだが、酒か空気に酔ったかのごとく、実にふらりと揺れていた】

/っと、この辺りでしょうか。お疲れ様でしたー!
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/14(月) 00:12:13.01 ID:yMcaLfGqo
>>293

語彙が少ないのね

【もぐ、と綿飴を齧って、ソーセージマルメターノもついでに齧る。甘さと肉肉しいジューシーさのコラボレーション】
【ただつまらなさそうに冷たいが、きっと無感情とかそうではない】

美味しいだとか、そういうのは嫌いなの
どんな物も食べ物は食べ物よ、命を奪ったその成れの果て、どれもこれも、生命の糧
ただ味がどうだからと言って、栄養がどうだからと言って、命なのは変わりない。私はただ、その全てを味わって血肉の糧としている、そういうのが食≠ネのだと思うわ
だから、私は食べ物に『どれが美味しい』『どれが好き』だの格付けはしないの

貴方がどんな物が好みか別れば、それらしいのは選べるけど

299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/14(月) 00:19:16.44 ID:OFAhdVFJo
>>297

意地とな?はて、何の事やらわからんのう

―――それだけ言っておいて詰まらぬ試合をするでないぞ、銀狼とやらよ
少しばかりは気にかけてやる故、余の退屈凌ぎの役に就ける事、有り難く思うがいいわ

【最後の最後まで、やはり上からの物言いは崩さず】
【来た時のようにぺたりぺたりと人混みの中へと姿を消していって―――】



【その後、外の屋台で色々食べまくっていたとかいないとか】
【しかしそれはまた、別のお話】




/お疲れ様でしたー!
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/14(月) 00:23:20.22 ID:R29xauBo0
>>298

 はあ、なるほど食に関してはあんたなりのこだわりがあるんですか

【男は少女の言葉に素直に感心した】

 好みか、ま、好みとかは別にね
 出された食べ物なら何でも食べますよ

【男はそう言う】
【食べるものに関しては好き嫌いはしない】

 はあ、やっぱ自分で探すのが一番ですかねえ

【男はそのようにつぶやく】

 探すとしますかねえ
 んじゃ、お嬢さんあっしはこれで、じろじろ見て悪かった

【そのように言って男は少女から離れるだろう】
【そして、人ごみにまぎれるだろう】

/ここで〆ますね
/お付き合いありがとうございました
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 00:31:15.39 ID:mQ9c8vV60
>>294

……お前、自分から話しかけといて、馴れ馴れしいはねーだろ……
後な、惚れるわけねーだろ。そもそも、お前、人間かどうかすら、怪しいんじゃねーの?


【彼女の冗談に対し、少年は造作も無く相殺。其れも随分とノリの悪いジョーク。】
【人間という存在を客観視している様な話し方が気になった―――のでは無く、】
【単純に彼女の姿そのものが変わっていた、只其れだけの理由で放たれた冗談。】


……あーどちらかっつーと、後者にちけーな。
少なくとも、鳥類様や哺乳類様には及ばねーな。せいぜい、爬虫類が限界だろ。

って、此処な、そんなくだらねー話、するとこじゃねーんだよ。
……あ、後な、お前みたいなヤツがくるとこでもねーよ。
ほら、わかったら、お家に、帰ろうな。俺はまだ、やることあっから。……じゃ。


【微妙な空気が流れたのなら、少年は其れを変えようと努力する事は無い。】
【寧ろ、その場から即座に立ち去ろうとする。この少年は、そう言う性格なのだ。】

【少年は童女に対して、まるで子供の様に振る舞い、扱い。】
【『じゃ、』と別れの挨拶を適当に済ませた所で、少年は再び歩き出す。】

【―――今迄見て来た此の少女の性格。僅かではあるが、其処から導ける確かな事が、1つだけ有る。】
【其れは、悪魔で少年にとってではあるが、"面倒臭い人物"だと言う事。今迄の経験則から―――】
【このタイプに属する人間の大半は、歩みだした所で、少年を引き留めてくる。】

【其れを踏まえた上での行動―――『どうか、例外で在ってくれ、』と願いながら―――】
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/14(月) 00:31:53.19 ID:poZgqvkIo
>>295

なぁに言ってんだよ、もっと食えるようにならねえと身体が強くならねえぞ?

【場酔いという奴だろう、いつもよりテンションの高くなっているアサドは、体育会系のノリでそんな台詞を吐く】
【けけけ、と尖った犬歯を剥き出しにして、冗談めかして笑う。獣のような獰猛さと、一人の人間としての優しさをそこに同居させて】
【少女がこの店の情報を流布したりしないことは、短い会話を交わしただけのアサドでも確信を持って言える】

【そうして――――少女の口から発せられた言葉の意味を、男はおでんの具材と一緒に咀嚼した】

…………俺の出身は、砂の国でな。

【酔いも一気に冷めて、先ほどと比べて料理が不味くなったと感じるのは、きっと気のせいではないのだろう】
【男もまた、自警団員という正義≠フ組織に身を置く者。ばさりと掻き上げる白髪は、屋台の照明を受けて煌めいて】
【――――だから、右耳の琥珀の中に閉じ込められた悪≠フ印を、見て見ぬ振りは出来なかった】
【何を思ったか、黙々と食事を続けながら、アサドは少女へぽつりぽつりと言葉を返す】

最初に言ったろ、俺は善≠ネんて言われるほど大層な人間じゃないって。
砂の国にゃ、貧富の差が激しい地域が多くてな。そう…………一言でいえば、金の為だよ。
貧しい暮らしをしてる家族を養うため、そして何よりも自分が生き抜くため。その為だけに、俺は正義≠名乗った。
自警団ってのは、実力さえありゃ年齢はそう重要視されねえもんでな。
たまたまケンカの才能だけはあった俺が働くには、一番手頃で一番稼ぎやすかった…………それだけだ。

【貧しい暮らしの中で、ただ自分と家族を生かすためだけに戦いの世界へ身を投じた、とある少年がいた】
【何ともありがちな話で、善≠フ形としては汚い部類だ。しかし、そこにあるのはどうしようもない現実感】
【金の為。ただ手近にあったのが正義≠セっただけで、もしそこにあったのが悪≠セったのなら】
【その生き方は、あっさりと逆転していただろう。彼の正義≠フ出自なんて、そんな軽くて吹き飛びそうなもので】

【――――ただ、と。最後にアサドは付け足し、月光のような銀の瞳を少女へ向ける】

まあ、昔はどうあれ。
今は、この生き方をしてよかったと――――そう思ってるんだがな。
なあ…………エインセル嬢ちゃん。

【それは――――どうしようもなく獰猛で、そして何よりも勇敢な、砂漠に生きる獅子の双眸】
【スタート地点は薄汚れた場所だったとしても、男の心には積み上げてきた正義≠ェ、確かにあって】
【カノッサ機関という悪≠ヨの…………少女の中にある悪≠ヨの、確固たる拒絶の意志】
【それを、少しばかり悲しげな表情と共に。言の葉に乗せ、少女へと返すのだろう】
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/14(月) 00:38:09.70 ID:yMcaLfGqo
>>300

そうですわ、何を食べるか決めるのは自分だから、食べたい物を食べるべき
折角のお祭りですもの、楽しみなさいな

【何でも食べるなら、それこそ自分の食べたいと思ったフィーリングに任せるべき】
【食との出会いは人の出会いより一喜一憂、忘れられぬように、舌にしっかりと染み込ませるべきもの】

あ、おじさま、火炙り焼豚まん六つ下さる?

【彼女もまた、そうしているのだろうか───】

/お疲れ様でした
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 00:43:05.91 ID:zQpI54Nro
>>302
【水をまた一口含む。――先ほどまでの優しかった空間は、もはや何処へと】
【だが、それでいい。この残酷こそが――己の居場所、何よりも馴染み深い場。故に、身を闇に沈める】
【白い衣服を纏うのは、白い外見でありつづけるのは、深い闇に身を貶してなお、己を見失わないためか】
【目を逸らさぬまま、少女は相手の言葉を、相手の語りを。耳朶で受け止め、目を逸らさぬままに聴き続けた】

「――――ふむ。良い語りだ、そして良い理由だ。
この世の総てが――君のように、有れる人間ならば良かったのだろうが、な」

【少女は満足気に――相手に、僅かなほほ笑みを浮かべる】
【手をカウンターに置き、手を外せばそこには確実に食べた分の数倍は有る札】
【車椅子を操作し、少女は店主に会釈をしてから店を後にする。――空を見上げれば、月光】

「善には出来ない正義≠ェ有る。手段を選んで出来ない正義≠ェ有る。
善には善の正義が有り、悪には悪の正義がある。――故に、私はカノッサ機関で。故に私は六罪王だ。
――――君がそうせざるを得なかったように。私はこうせざるを得なかった。それだけのこと」

【相手に背を向けながら、少女は月明かりにゆらりと手を伸ばし――月光を握り締めて】
【少女の周囲の空間には、いつの間にか銀色の霧のような物質が生じ始めており、少女の姿を覆い隠していた】
【霧の奥で人影が動く。声の響きから――相手の方向を向いたことがうかがい知れるだろう】

「アサド・アル=アーデル。――何時かぶつかるだろう、君とは。
再度名乗る、君の敵として。
所属はカノッサ機関、六罪王。二つ名は――――アンバーブラッド=B
エインセル・アンバライト=Eゼラズニイだ。いずれ恐らく君と出会う。その時に、君の正義を力として観測させてもらう」

【名乗りをあげ、少女の姿は濃厚な霧に包まれ――霧の奥から漏れだすのは、琥珀色の光】
【霧が文字通りに霧散した頃には、そこには少女は居らず――残っていたのは、電子回路を思わせる琥珀色のパターン】
【嫌に冷たい空気が――街を駆けて行った】

/*お疲れ様でしたー!とても楽しかったのですよー!*/
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/14(月) 01:09:09.02 ID:poZgqvkIo
>>304

おいおい、この世の総てが俺みたいな奴だったらって? そりゃお前、この大根の味が完成するより前に世界滅ぶぜ。

【つまらない身の上話を語り終え、そして少女の言葉を受け止めれば、やはりつまらない冗談を返し】
【その間も、ひたすら飲み食いを続ける。ただし、それは先程までのように楽しそうなものではなく、ただ淡々と食べているといった風情で】
【獣のような男にとって「食べる」という行為は、心を安定させる為のもっとも安直な手段】
【顔にも態度にも出さないが、心のどこかで…………仲良くなれると思った少女が悪≠ナあったことに、動揺があったのだろう】

……………は。六罪王、よりにもよって六罪王と来たかい。
嬢ちゃん、俺ぁ「やらざるを得ないこと」と「やりたいこと」が一致してるから、そりゃあ気楽なもんだがね。
なあ――――エインセル。その六罪王ってのは――――。

【お前さんが心から思う、「やりたいこと」なのか? ――――と】
【そんな言葉は、正義≠ニ悪≠ニいう世界でもっとも遠い隔たりに断絶された二人の間には、もはや意味もなく】
【発生し始めた銀色の霧の中に、虚しく溶けだしていくのだろう】
【だからこそ、せめてその姿だけは最後まで見届けようと。見えなくなっていく少女の方へ、アサドもまた向き直り】


じゃあ俺も、改めて名乗らせて貰うかね。
…………砂の国自警団小隊長にして、SCARLET麾下特務部隊『ヘイダル』部隊長。
アサド・アル=アーデルってのは、そういう男だ――――覚えとくんだな、小さな六罪王さんよ。

【男は食べ終えたおでんの串を向け、獲物を前にした獅子のごとく酷薄に笑って、そう名乗りを上げた】
【銀の霧の奥に輝く美しい琥珀色の光に、その言葉が届いたかどうかは定かではない。しかし、きっと】
【例え言葉が伝わらずとも、互いが互いを敵≠ニ認識した――――その事実だけは、変わるまい】

【無線機を取り出し、無駄は承知で部下たちに追跡命令を出しながら】
【水の国に現れた砂漠の獅子は、最後の最後まで琥珀の残光を睨みつけていた――――】

/お疲れさまでしたー!!
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/14(月) 01:18:18.29 ID:Umnt5Gcr0
>>296

【巫女の入場に一際大きな歓声が生まれた。確かな実力を持つものの存在は、それだけで人を沸かすという事になるのだろう】
【それだけの相手だと確信する。だからこそ、武者震いこそあれど退くことは、余りにも彼女には遠いものだった】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。】

【三回戦―――湧き立つ準々決勝の舞台に上がるのは、そんね形容の出来る人影だった】
【雲を衝く様な歓声もどこか遠く聴こえる。勝ち上がった両者への否応ない期待、その熱をも感じながら、胸に宿るのはまた別の想い。】

【観えるのは、櫻より来たりて向かい合う彼女らの間に広がる世界――――――】


(……巫女、か。懐かしいけど、神仏はきっと昔から縁遠い――――)


【ひととしての戦い。……それを、続けて来た誇り。穏やかな歓びを“こんな”戦いには覚えて】
【零れる声は彼女には無くて。……けれど、微笑みが湧き上がるものの色合いを知らせた。】

【夜を切り裂いて藍色が翔ける。振り抜く右手に黄金の灯が煌めけば、焔より出でたる灼光が美しく研ぎ澄まされた“かたち”を為して】  
【其れを執る右手に顕れる鎧甲。右腕の前腕部を覆う様に漆黒が纏われて、黒曜の輝きが四つに増えるのだろう】

【艶やかな黒髪、今し方その腕に纏った“記憶石”。燃える様に内なる輝きを宿して、ただひとりの巫女を映す双眸―――――】


久し振りね……とはいっても、貴女とは言葉を交わしたことも無かったか。

こうして会うのはあの山以来、同郷だ、って感じもする――――
……だけど、敗けられないのは私も同じよ。一切の容赦なく全力で戦う。


受け継いだあらゆる強さと力、この場に立つ八攫 柊としての誇りを賭けて―――――
…………勝負。始めましょう天鬼ちゆり――――――“目的”があるのでしょう、お互いに?

【宣戦の声は開戦の鐘。重なり、響いて天高く、きっと彼女らの背負うものの様に透る。】

【直進――――――ただ速力に任せた前方への疾走だ。速度にさえ意識しておけば捕捉は容易、見失わぬ限りは瞬時の照準すらも可能になる。】
【だが3メートル強の間合いでその動作に異変が生じた】
【少女は瞬息で右に一歩を踏み込み、撃ち出す様に躰を閃かせ/射線を躱す様に翻して、】

【少女は瞬く間に座標を変えていた。巫女から見れば斜め前方、正面からやや左にずれたラインで再び駆けて、そのまま、迫るのだろう】
【それまでに“照準”を巫女が済ませていたなら、其れを労無くして一度は躱せる。……尤も、少女の思惑通りならばの話ではあった。】

【二回戦――――ライラ=フェルンストレームとの一戦に於いて、その機動力は存分に発揮された筈だ】
【観たか、聴いたか。単純にその程度の伝聞であっても、再度の捕捉の―――或いは迎撃の一助になるのだろう】

/遅くなりましたっ……それでは、よろしくお願いしますー!
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 01:46:37.15 ID:w4iDWLIu0
>>306
「さて、久しぶり……との言葉には私には解せませんが
それも良し。一切の容赦が無ければ、それが私の望み通りです」

【徒手と刀と。どちらに有利が働くのか、一目瞭然】
【――――ましてや少女の速度である。刀の切れ味も合わさったならば、一つ一つの斬撃が非常に大きな痛手ともなろうか】
【打撃で無く、斬撃。筋肉を断たれれば、その部位を動かすことは出来ない】
【或いは、巫女の視線は少女の疾走を捉えていたのかもしれないが――――それでも、動かない。単純な脚力で逃げようものならば、結果は明白であるから】


「――――嗚呼。もしや、桔梗の事でしょうか。更に言えば、天鬼の事
もし、そうならば…………この場を借りて感謝しましょう。然れど、私がこの場に立つのはその妹の為
…………故」

【なる程。速い――――否、その言葉だけでは形容できない程の速度。流石は第一回の優勝者】
【攻めに対しての受け。しかし其れは、直接刃を防ぐ手立てでは無い】
【翻された袖は、まるで己の身と一緒に裂かせる為のよう。――――結果としては、少女の斬撃は巫女の身を斬る事に成功する】
【深くまで裂かれた訳で無いにしても、流血。純白だった衣も赤く染まり始めた所を見れば、ダメージが視覚化された事によって分かりやすいか】

【――――同時。もし少女の刀が袖を裂いたならば、突風がその身に向かって放たれるであろう】
【正体は袖に仕込んでいた札。攻撃力は零に等しいとしても、驚く若しくは警戒させるだけの効果はあろうか】
【…………狙いは、一先ずは刀の間合いから逃れる事。仕切り直す事を目的として、大きく後ろへと飛んだ】


「私も、全力で行かせて貰いましょう」

【着地と同時に放たれるのは、8枚程度の札であろうか】
【その内の半数は全く見当違いの場所を目指して飛ばされ、残った半分は少女自体を目掛けて放たれる】
【――――さて、札が地面へと着いたならば、刹那の間合いを残してその部分が急に隆起する事だろう】
【当たったならば、所謂打ち上げられる様な物。女性一人分程度の高さはあるその隆起】

【痛みとして現すならば、男に殴られた程度。しかしながら、地面に着いてから発動するという特性故に、避けられない訳では無い】
【――――兎も角として、狙いはその隆起であって】
【……着地には、必然的に時間を要する。体術を用いてその衝撃を移動の力へ変えるとしても、だ】
【少女程の速さがあるならば、その時を狙って一気に詰める事も可能であろうが――――】
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!nasu_res]:2013/10/14(月) 01:54:47.76 ID:sAPrYa4To
>>296>>306

【『ああっ、あの人のバハムートがっ!』】
【『みんなで力を合わせて、ドラゴンをやっつけろ!パズルで戦え!』】
【『貴方のこと…っ、ずっと、好きでした…っ!』】
【『詳しくはモバ○ーで検索!』】

【―――長い長い、コマーシャルが終わり。生中継の様子を表す、"LIVE"の四文字が画面の端に点滅を開始する。】
【映し出された漆黒の中、先ず最初にフィールドを覆う聖炎が点火し、真紅に彩られた会場が姿を現す。】
【観客達のボルテージは今、まさに最高潮へと達しており―――激戦が続く天下一武道会、その三回戦が執り行われようとしていた。】
【沸き立つ歓声、目まぐるしく点滅する照明群、これから始まる衝撃的な一戦を見逃すまいと、カメラが至る所で眼光を光らせる。】
【その様子は全世界へと同時中継されており―――二人の戦士が入場を開始したその時、BGMと共にド派手な効果音が発生するだろう。】

"レディィィ〜ス・エェ〜ンドッ・ジェェェ〜ントルメェェ〜ンッ!!"

"ようこそ天下一武道会第三回戦へッ!!これから始まるのは世紀の一戦、巫女と侍による櫻の国の両雄頂上決戦だ〜ッ!"

"司会・進行・解説・実況その他番宣などなど担当するのはこのアタシッ!"

"UNITED TRIGGER創立者ことセリーナ・ザ・"キッド"で御座いますッ!!"

【キィィィン―――という、素人がマイクを持ったときに特有の強烈なノイズを走らせ】
【大きすぎる声量を他のスタッフに注意され、すこし照れた様子で実況を始めるのは何を隠そう】
【第二回の優勝者にしてUTの創設者であるセリーナ・ザ・"キッド"だった。】
【一体どういう経緯で彼女がこの大会の実況を行っているのかは、目的等含めて未だ謎だが―――。】

"どんなとんでもテクニックが飛び出すのか、そしてどちらがこの激戦を制すのか!"

"第一回の大会優勝でありもはや武道会常連となった櫻の剣士、八攫 柊か!"

"はたまた巫女姿で繰り出す強烈な格闘術と五行の技で他を圧倒する天才少女・天鬼 ちゆりか!!"

"さあ、張った張った!もはや丁半待ったなし――――って、あれ?『賭け事は禁止』―――?あ、あははは!しつれい!"

"なんだかお叱りのカンペが見えたけど気にしない気にしないッ!さあ、究極の一戦が幕を開けるぅぅっ!"

"天下一武道会第三回戦、つまりは準々決勝―――ここに、開始―――って、うぉぉぉっ!?は、速いーーーっ!"

"八攫選手ッ!真っ先に疾走、疾走、駆け抜けたーーーッ!先ずは先手を仕掛けますッ!とんでもない速度ですッ!"

"これがアタシも対峙したとき滅茶苦茶に梃子摺らされたと言うか、今見てもやっぱり達人としか良い用が無い程の―――っと。"

"失礼、もうひとり大事な方を忘れていましたっ!アタシと一緒に実況・解説・雑用その他もろもろを担当する、この方ですっ!"

"何を隠そうUTメンバーの一人で自警団・SCARLETにも身を置く現役の剣士!中邑 瑛月さんッ!!"

【―――まあ、意外でもないだろうが、本職かと思えるほどノリノリで実況し始めた。手元にはアルコール(の入ったコーラ瓶)まで用意して】
【鼻息を荒くしながら大声でマイクに向かって叫ぶ、叫ぶ。盛り上げて煽るのは上手そうだが、はてこれは解説は瑛月に任せる形か。】
【少なくともセリーナは叫んでいる方が其れらしいと言えるだろう、しかしこの勝負―――まさに和の対決。】
【同郷で剣士、そしてライバル関係に当たる瑛月としては思うところも多いだろうか、注目の一戦だ。】

"今日はよろしくお願いします!って、今更敬語もおかしいか。さあさあ瑛月さん、同じ剣士としてこの勝負、どうみますか!"

309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [!nasu_res]:2013/10/14(月) 02:13:59.54 ID:a1AKzc2yo
>>296>>306>>308

ゴホン……よろしくお願いします。今日はスウェンさんがまさかの風邪と言う事でセリーナさんに来てもらいました

【―――思っていたよりも隣のテンションが高い。その事に濡羽色の瞳をぎょっとさせるも、マイクにその動揺を伝えるわけにはいかない】
【ゴホン、とひとつ咳払いをしてから瑛月は彼女と対称に冷静な口調で言葉を並べた。―――だが、内心では熱き思いが滾っている】
【……今戦っている相手はかつて自分と激戦を繰り広げたあの八攫。そして天鬼ちゆりも心躍らせる闘いを繰り広げてきた猛者なのだ】

……どの闘いでも言えますが、やはり八攫選手のスピードにどうついてこれるかが1つのポイントだと思われます。
―――彼女は速い……シルバーキャット選手とトップを争う速さです。この二人もかつて最速対決をしましたが、その時も八攫選手が勝利していますね
ちゆり選手は接近戦もこなせるようですが流石に分は悪い……五行の強力な術による遠距離戦が理想でしょう

―――あぁ、そういえば前大会でもし自分が八攫選手に勝利していればセリーナさんと当たっていましたね……
……っと、やはり速い……!! ―――しかも、軌道をやや途中で変化させている……流石彼女です

これはですね、速い相手だと相手は「ヤマ」を貼りやすい……ここまで速いと相手が開き直って初動だけを見て反撃を狙うパターンも充分取る可能性があるんですね
―――でも途中で軌道を少しでも変化させれば。例えば右に1歩ずらずだけであっち向いてホイのラッキーパンチを食らうリスクを軽減できる―――というわけです

【瑛月が言葉を連ねる中で八攫が繰り出した接近―――ただの接近も、中邑瑛月にはこう見えている】
【急に早口でまくし立てる様になったが、そうしなければ間に合わないほどの情報量があの少しの前進にあった】
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/14(月) 02:41:59.82 ID:gPGy91tu0
>>307


【太刀――――金翅鳥を手に疾走する濃藍。視界に左に紅白を捉え、雷霆の如く白亜の戦場を駆け抜ける。】
【無論迎撃は想定の内。そのために一歩を右に踏み出し、刃圏に捉えたらば横薙ぎに太刀を揮って】
【切り裂いた腕と袖/浅い、その手応えの知覚と同時に吹き込む突風―――――咄嗟に取った守りの態勢で吹き飛ばされたらば、】

…………っ!!

【着地は緩やかなものだっただろう。体勢を整えながら地に足を衝き、滑りながらも視線は外さない。】
【その瞳に映り込む8枚の札―――――4枚は躱すも残る総てが床面に触れて】

【撃ち上がる巌の柱は四本―――――其々の耐久性さえも不明な現状、この数は総て断たんとするには多過ぎた】
【身を撲たれたと同時に体重を勢いに乗せる。少女の身には少なからぬ負担だった筈だが、一つ息を吐いて、再び着地して】


(……流石ね。あの癒しの術も、その逆の攻めも伊達じゃない―――――っ?)

【ずきりと痛む腹を意識でだけ診、動くには仔細無いと思索を終える。……瞬く間に、戦いの流れを傾けられていた。】
【天鬼の家。“妹”の存在。……恐らくは今夜初めての表情は、雰囲気も何も違う姉妹を、漸く“姉妹”と気付いてのものだろう】

【とはいえ―――――このまま無為に討ち果たされる道理はない。簡単に敗れられぬと巫女は言った。】
【乃ち、勇戦を期待している、と―――――】

(……未だ戦いは始まったばかり。初めから全力で戦える――――――……そんな戦いも悪くない!)

【……少女が見た目より少しだけ意地張りで、全霊では負けず嫌いだというだけのこと。】

【表情を戻せば構えを改めて――――――低く取る体勢、】

―――――――……ふっ!

【ヒュン、と太刀が翻る音がした。硬質な金属音を伴う其れは、地を蹴る衝撃音に同調する。】
【ふわり、低空を浮く様な軌道でありながら跳躍は迅速―――――予備動作からはやや読み辛い軌道で、巫女から見て右へと斜めに全身を加速に乗せて】


【床面を切り裂くことで挙動に変化を、その斬り込まれる音で対戦者たる巫女に疑念を。つまりは、彼女の意識の分散を――――】
【それぞれ齎さんとした意図、その終局たる再接近。……罠があろうとも、踏み越えて立つと意を決しながら。】
【叶えば放つのは其の体勢のままでの斬撃だ。着地と同時に上体を廻して、接近の勢いを投じながら低空に弧を描たんとする太刀、】

【其処に到れるのなら軌道は右薙ぎだろう。擦れ違い様に切り裂く様に、巫女の右脚を横合いから狙う。】

【だが―――――飽く迄“叶えば”の話に過ぎない。一瞬の判断を成功に導けば、接近の段階で阻むも容易なのだろう】
【少女が打ち上げられた分の時間的余裕、距離を取る事に成功した巫女の技。少女には不可能である多角的な攻めも、有効であると窺えた筈であって】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!nasu_res]:2013/10/14(月) 03:06:04.80 ID:sAPrYa4To
>>307>>309>>310

"あぁぁぁぁぁぁぁあ〜〜〜ッ!!天鬼選手、先手である一撃を貰ってしまったぁぁぁぁぁ〜〜〜ッ!!"

"可憐な少女の巫女服が鮮血で紅く染まるぅぅぅぅぅぅぅ〜ッ!しかしそれでも尚、表情を変えずに反撃―――っと、これは……!?"

"突風ッ!!嵐が吹き荒れて、迎撃をかねた牽制の初撃を天鬼選手も放ちますッ!此れで先ずは距離を稼ぐ……なるほど、良い手ですッ!"

>>309

"さてはて、開幕はとんでもない機動力を持った八攫選手の先制により行われましたが、ちゆり選手も負けていませんねッ!"
"確かにあの速度とそれを御する彼女の"制動力"、総じて言えば矢張り"スピード"というのは、非常に強い武器です!"
"攻撃にも使用できる他、防御に転じる事も可能な万能な武器である"刀"と、それに加えた回避の力、これは厄介です!"
"天鬼選手が攻撃を加える場合には、刀によるガードと脚力による"回避"の両方を潜り抜けなければいけませんッ!"
"方法としては幾つかありますが、アタシであれば脚を狙って機動力を削いだり、回避の動きを読んだ見越し射撃等が挙げられます。"
"しかし大穴で速度に速度をぶつける、速さ勝負と言うのもありますよ瑛月さんッ!トップスピードをぶつける事で"
"回避速度を超える一撃を無理矢理に繰り出す、いわば強引な勝負を仕掛ける方法も―――っと、なんだぁぁ!?"

>>307>>310
"地面が隆起したぁぁぁぁ〜〜〜ッ!天鬼選手、得意の術で反撃ッ、反撃ッ!八枚の札による一斉攻撃で攻めに転じますッ!"
"この数を裁ききる事は流石の八攫選手も―――叶わないッ!打撃が少女剣士の肉体を襲うううううぅぅッ!!"
"正面切っての攻撃でなく、多面的に攻撃を加える剣士殺しの戦法、さすがという他無いでしょう!!"

"しかし柊選手も負けちゃあいないッ!素早く着地し再びの加速、加速、加速だーーーッ!!"
"接近されれば刃が待ち受ける、しかしこの速度と其れに合わせた"フェイント"、かなり手が凝っているーっ!!さあどうするちゆり選手ーっ!"
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 03:07:02.59 ID:w4iDWLIu0
>>310
【――――元より、己は太刀の扱いに精通していない。ならば、どうして少女の太刀筋を見極める事が出来ようか】
【ただの素人が振り回すそれならば容易く奪い取ることもその腕を折る事も出来よう。然れど今宵の相手は其れ等とは比べものにならない――――そして、実に多くの経験をしてきた者】
【その行動に対して何らかの干渉をする暇は無かった。迫る刃に対して抱くのは、如何に傷を抑えるかという事のみ】
【…………故に、逸らされた機動に対しての反応が遅かった。太刀筋を変えられるとは、予想もしていなかったのだろう】

【右足に覚えるのは痛み。そして、裂かれた袴からは同じく裂かれた肉が見える事だろう】
【流れる血液は緋色を更に赤く染め上げて、それでも膝を着かぬのはその時に追撃がくるであろうと理解して居たから】
【――――ならば、痛みに耐えて動く必要がある。少女の間合いから、離れる必要がある】


「…………やはり、速いですね
話に聞いては居ましたが――――実際に目の当たりにしてみると、それを遙かに超えた速さです」

【前に身体を崩した…………かと思えば、片手を地に着き、バネの要領で一気にその先へと飛んで】
【ヒラリと舞うその装束は、演舞でもしているかの様に思えるだろうか。辺りに散った鮮血の飛沫が、そんな優雅な物でも無いと現実に戻すけれど】
【切れ味の程は、身を以て理解した。骨すらも容易に絶てるであろう其れは、刀自体の性能も勿論の事何より少女の実力合っての事だろう】
【――――刀を封じる事を狙った所で、其れは難しくも思えて。やはり、少女自身を傷付ける事が一番の近道か】


「…………貴女に関する色々な話も、納得出来るというもの
そしてその刀。まるで全ての物を斬ってしまいそうな程に強力――――ですが」

【“木”“金”――――並の物を放ったところで、きっと少女ならば凌げる筈】
【…………考えたのは、液体。形の無い物なれば、どの様な事になるのか】
【取り出された札は二種。馬鹿の一つ覚えのように、先程の“隆起”を起こす札が6枚。其れ等は再び、見当違いの所へ】
【――――少女に向けられた他二枚。其れは“水”】

【無論、ただの水で無い事は直ぐさま理解出来るであろう。まるで刃の様に細く、半月状になっているのだから】
【――――右腕と、左足と。それぞれに向けて放たれる物。狙ったのは、“水”の特性。個体で無い其れならば、斬ってもただ分裂し、細かくなると考えたから】
【……しかし。幾ら水は斬れぬとはいっても、今放たれたのは少なくとも術である】
【斬った分だけ勢いは増し、其れはもし受けたとしてもダメージを軽減できるに等しい事。更には、追尾性能は無い為に避けたならばそれっきり】
【――――“水”を攻撃用いるべき固めるという事は、それなりに精神を費やすのか。術を使っている間は、巫女もそう素早く動けなくて】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 03:10:00.17 ID:w4iDWLIu0
訂正です……orz
増したら可笑しいですね……

【斬った分だけ勢いは増し、其れはもし受けたとしてもダメージを軽減できるに等しい事。更には、追尾性能は無い為に避けたならばそれっきり】

【斬った分だけ勢いは減少し、其れはもし受けたとしてもダメージを軽減できるに等しい事。更には、そして追尾性能は無い為に避けたならばそれっきり】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [!nasu_res]:2013/10/14(月) 03:35:13.86 ID:a1AKzc2yo
>>307>>311

流石に八攫選手の速さには手を焼くようですね。それでも逃げ際の反撃は見事……追撃を躱せたことはかなり大きいです。
―――そして天鬼選手は盤石な立ち回りだと思われます。逃げながら攻める……追う側というのは逃げる時よりもどうしても視野が狭くなるものです。
理想はこの「逃げながら攻める」で躱しながらダメージを蓄積させていくことでしょうが―――
……フィールドの制限と八攫選手のスピードがあれば、それも何処かで限界が来る。……足へのダメージを負わせられない場合に限りますが

>>310>>311

―――まぁ、そう来ますよね。フェイントに近い動作を入れるなどの工夫で何とか無理やり近付くしかありません。
……彼女の動きだと予備動作から読みにくい方向に動くと言うわけですね。彼女の動きは爆発的に速いですがそれを出すには予備動作が必要です……
―――自分は彼女よりは大分遅いですが、予備動作は一切ない。……まぁ、流派の違いが運動メカニズムの違いにそのままなっているという話ですが

……狙いはお互い足が有効でしょう。それを解って八攫選手は足狙いというわけですね。
八攫選手は近距離戦に持って行きやすいように天鬼選手の足を削りたい、天鬼選手は八攫選手に近づかれないようにその脅威の機動力を削りたい。

>>311

……最初を見る限り五分ですね。スピードでは八攫選手ですが攻撃のバリエーションならば天鬼選手でしょうし。
―――天鬼選手の対策は先程言ったように機動力を削ぐのが第一でしょうね。読みの射撃―――でしたらウチ(SCARLET)のロウ選手が得意としています。
セリーナさんと同じガンマンですし、本人も貴方のことを意識しているようですよ? ソニア選手を破ったガンマン同士、何か感じることもあったりはしないですかね?
まぁ八攫選手が最速なら彼は最遅……という位の鈍足なんですが、それでなんとか勝ち上がっているという印象ですね。……しかし、それには経験と事前準備が必須。
―――天鬼選手が八攫選手の動きを分析して、そして動きを読める程の頭脳と感性と経験があって初めて可能になるのが読み―――そしてリスキーです。
……できれば読みはギリギリのここぞという場面で使用するのが望ましいですね。速度に速度も序盤から挑むのは正直愚策だと……。
―――相手の動きを読み実力を測って、少しでも自分に有利条件がつく場面で正面から挑むというのが戦闘では理想です。
―――まぁ自分が強引な勝負を嫌うのでそこは好みかも知れませんが……

>>312>>311

成程……天鬼選手も面白い攻撃を仕掛けましたね。―――水ですか。……八攫選手の速度を利用したと言ってもいいんじゃないでしょうか。
―――解説するとですね、八攫選手は韋駄天の如く速度で突っ込んでいる。速ければ速いほど、その動きを止めること、変化させることは難しい。
……だから相手の攻撃には速度を落とさないままに弾くのが理想ですが、水は斬れない―――斬れるのですが、すり抜ける
―――刀という武器では防御不能の術、それがあの水の攻撃です。ならば「躱す」ですがその動きが速度のせいで困難……天鬼選手、中々の切れ者ですよ

……そして、先ほど挙げた其れが八攫選手の弱点でしょうか。圧倒的速度の裏返しで、大きく動きを変化させることが出来ない。
―――いわば柔軟性をある程度犠牲にして神速を生み出している、ということでしょうか。……本当に、自分とは正反対の剣を振るう女ですよ彼女は。
……自分は彼女のような神速を出すと言う事は出来ないので最初から捨て、流水のような滑らかな動きを目標としています。どちらも一長一短ですね……
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/14(月) 04:28:32.93 ID:gPGy91tu0
>>312

【舞う様に距離を空ける巫女。だが手応えからすれば、先程の一撃は確実に決まった筈だと思考して/前後の動作から確信する、】
【明後日の方向に飛ぶ6枚の札は目でさえも追わずに。座標を置き去りに再度疾走―――其れを迎撃する符の水を、薙ぎ払う様に迎撃する、】

……ふ、っ―――――――

【打ち払う――――ただの水や鋼ならば、唯其れだけで十分だっただろう。受け流しつつ斬るその業は、双つの水刃を諸共に斬り砕いて】

【だが総て凌ぐことは叶わなかった。十全の勢いを得た水の刃。流しきることも出来ずに突き刺さる破片は、腹と、左脚とに多数突き立って/見開かれた瞳、】



―――――……っ……ぁ、くぅぅっ……!

【直後洩れだす苦悶の声。予想外の痛みと傷にガクリと速度が落ち、右脚を頼る様に構えが崩れかける。】
【躰を切り裂くほどの粘りと硬度を得た水ならば、数秒間は持続して可笑しくはなく――――動作を阻害されるその間に決定的な一撃を受けかねない、】

【五行―――万物自然の構成要素を理解し・定義し、“力”と変えるための櫻の体系。そう、今更の様に胸裏で記憶を手繰る。】
【あらゆる現象を生み出す技が、これほどまでに厄介とは――――道理であると理解はしても、自らの身で味わうのはまた別格だった】


【脳裏に浮かぶのは今一度“天鬼”の家のこと。戦う理由と言っていたが……其れは、こちらも譲れぬことだと、胸に懸けて、】

(……今は、語れるべきことじゃない。勝つか、敗けるか―――――)

【―――――総て、その末に馳せる想いで見出せばいい。 】
【今宵の舞台は櫻の宴。夢幻の如く華やかに、色鮮やかに咲く全霊の刹那を征く――――――!】


貴、女も……随分と腕が立つのよね。……自然そのものを相手取って戦うみたい。
…………だけど、この程度じゃ“私”は停まらない――――― 今から剣が“斬る”だけじゃないことを、門外の貴女にも教えてあげる……!

【微笑を言葉に乗せる様に悠然と笑って。少女は再び踏み込まんとする/先程の一手の“再現”の模倣、】

【鋩が床面を浅く撫ぜ、掬う様に前方へと跳ね飛ばす。……常人には先ず気付く事叶わず、只人ならずとも“この状況で”容易には感付かれぬ大きさ、】
【ごく小さな石の鏃――――そう形容するのが適当であろう鋭く、細やかな刃を巫女の直ぐ右隣へと撃ち出して】


【巫女から見た左側――二間の距離を置いた先に廻り込む姿勢を見せた。多数躰中に突き刺さり、纏わりつく水の所為か肢運びは些か鈍いが】

【……一連の所作の狙いは挟撃だった。先程撃ち放った石刃、そして今一度巫女へと迫る少女―――――】
【此度は後者こそが囮だ。接近を嫌って一歩、二歩退けば、石刃の射線へと完全に入り込む事になるだろう】


【巫女の右脚を傷付けた事が其れを誘導する。左脚にしか力が入らぬならば、複雑な動きは困難ならずとも容易でなく―――幾つかに方向を狭めたならば、特定の方向に対しての“最適”も絞られるのだろう】

【それでも其れはひとつの賭けだ。……“揺らせなければ”、実質的に其れは失敗に終わる】
【石刃は“小さく”、破壊力としては相応に軽い。意識に衝撃を与える事は出来ても、致命的な傷を与えるには程遠い。】
【加えて石刃自体を先に視られたらば、対処されるであろう事は火を見るより明らか――――巫女の隙を生みだすための一手は、仕損じれば少女自身に新たな隙を生じて】
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/14(月) 04:32:48.45 ID:gPGy91tu0
/な、直し忘れた部分がっ……orz

【打ち払う――――ただの水や鋼ならば、唯其れだけで十分だっただろう。受け流しつつ斬るその業は、双つの水刃を諸共に斬り砕いて】


【打ち払う――――ただの水や鋼ならば、唯其れだけで十分だっただろう。受け流しつつ砕くその業は、双つの水刃を諸共に飛沫と砕いて】

317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!nasu_res]:2013/10/14(月) 04:40:44.39 ID:sAPrYa4To
>>312-314

"―――逃げながら、攻める。確かにそうですッ!セオリーで行けば其れが最も勝利へと近い戦法でしょうッ!"
"しかし、これは数々の戦士を呑みこんで来た言わば"魔物"の潜む天下一武道会……ッ!!"
"ちゆり選手の攻め手としては最も効率的でも、それは効率的で在るが故に相手からも悟られてしまう危険性が在りますッ!"
"読み合いになれば実際のところ、どこまで通用するかは神のみぞ知る、というところでしょう。で、あるならば―――そうっ!!"

"これだぁぁあぁぁぁぁあっ!ちゆり選手、攻める覚悟は失いませんッ!!再びの斬撃を脚部に受けながら、怯まずに反撃開始ィィィィッ!"
"しかもここで新しい『戦法』を活用しますッ!そう、水の刃による防御不能の拡散斬撃だーーーーっ!!これは厳しいッ!!"
"単純に回避を続けて戦うのではなく、受けるべき攻撃は受け、攻めるときに攻めると言うこの大胆さ、まさに覚悟のなせる技ですッ!!"

"―――ええ、続きに成りますがつまりッ!読み合いに成れば『最善手』というのは実は通用しづらくなるのですッ!"
"特に其れは、達人同士、極限状態の勝負になればなるほど……ッ!それよりも、読まれることの無い新たな攻撃を生み出す事こそがッ!"
"セオリー無視の『最善手』ッ!!対する柊選手は―――矢張り速すぎるのかッ!その速度で回避を生むか、それとも受け止めるのかー!!"
"この剛刃に柊選手、一体どうでるーーーっ!?"

>>314
"しかしこう、技巧というのは面白いですね瑛月選手。頭で考えながら、そのときその時で最大効率の攻撃を編み出すものも在れば"
"最初から有無を言わさない、圧倒的なスキルで相手と勝負を掛ける直線的な意味での研ぎ澄ました"技巧"というものも存在しますっ!"
"まさに『剛良く柔を断ち、柔よく剛を制する』、といった様に―――『技術』にも色々な方面がありますねっ!"

"どちらかというと、瑛月選手の其れは前者の、つまりは"変化"を用いた自在な剣、といった印象ですね!"
"勿論、アタシは一度か二度しか見たことが無いのでハッキリとは言えませんが、確かに柊選手とはまた一味違った刃です!"

"―――ほうほう、あの、ロウさんがアタシを―――?…っと、これはオフレコでいきたいくらいですが、実はアタシ彼の大ファンでして!"
"勿論、意識していないワケはないですっ!過去の資料も何度か拝見しましたし、それに今大会の試合も録画して嘗め回すように見てますよっ"
"同じガンマン、とは言ってもやっぱり瑛月さんと柊選手同様、色々とタイプが異なる部分も多いと感じますね。"

"というのも、アタシはどちらかと言えばその―――えへへ、瑛月さんが嫌ってるタイプの、所謂強引な戦い方が大好きなタイプだからですっ!"
"本来はガンマンに向いてないんじゃないかーなんて、地の国にいた頃は色んなガンマンに言われてきたし"
"実際アタシはカン便りな部分とか、運任せなところも多いからね!正直褒められた闘い方はしてないつもり。"
"純粋な狙撃の腕、精密射撃の腕って意味ではソニアには劣るし、この前の闘いだって『破った』って言い切れる程でも無い。"
"じゃあガンマンとしての頭の使い方、戦闘を上手く進めるだけの器量があるかって言うと、そこはロウさんに劣ると思う。ただ―――"
"誰より速く、銃を抜く事。一度の攻撃で形勢を逆転させる、所謂『制圧力』に関しては、自信があるかなっ!"
"8人くらいに囲まれて銃を突きつけられた事があったけど、6発入りの弾丸で全員倒した事とかあるからね、アタシっ!あっははは!"
"―――っと、長話もここら辺ですッ!!"
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!nasu_res]:2013/10/14(月) 04:40:57.42 ID:sAPrYa4To

>>315

"――――く、くくく、喰らったぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!いや、全てではありませんッ!!"

"内多少なりかは……し、信じられない事に『断ち切った』―――!?"

"柊選手、回避を行わずに真っ向から迎撃、迎撃の筈が―――矢張り受けきれないッ!!それでも、なんとか立って見せるーーーっ!!"

"被弾したのは――-ああ、じゃなくて斬り割かれたのは腹部、左足等多数ッ!!脚部へのダメージ、これは大きいぞーーーっ!!"

"ここにきて柊選手も苦戦ッ、流石のちゆり選手形勢逆転なるかーっ!?"

"しかし柊選手も引きませんッ!ここでなんと―――……んんん!!??"

"アレは―――いや、確かに見えましたッ!石礫が放たれていますッ!!アタシの眼に間違いは無いはずッ!"
"という事は、それに合わせての柊選手、これは―――挟撃だぁぁぁぁあっ!直接叩きにいく自身の刃とッ!!"
"静かに撃ち放った石礫とでッ!!ちゆり選手を挟み撃ちィィィィィィッ!!"
"こうなるとちゆり選手には回避が厳しいッ!!が、しかし決定打とはなりえない、聊か軽めな言わばジャブッ!"
"これを転じてちゆり選手が攻撃に出るか、それとも柊選手の"賭け"が一つの結果を生み出すのか、果たして――――ッ!?"
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 05:00:30.29 ID:w4iDWLIu0
>>315
「人が妖に打ち勝つ術として――――妖が自然を操る悪鬼ならば、それに対抗する術として
長い歳月を掛けて得たのが、自然の概念を有する五行ならば…………柊。貴女の言葉も存外間違いではないのでしょう」

【剣士には、離れた相手を攻撃する術が無いとは言わずとも少ない――――その考えこそが、誤りであった】
【…………視線は少女に向けられて居て、意識も向けられて居るからこそ飛来してくる石片には気付けない】
【その間にも、瞬間瞬間に距離を詰めていることも、分からず。再度こちらへと駆けだした少女に対応すべく構えた所で――――】
【刺さり、打たれる】


「―――――――っ?!」

【意識外からの攻撃。例え弱かったとしても、無防備な身体に受けたならばやはり効果は大きいのだろう】
【想定していなかった痛みと衝撃対して漏らされるのは息を呑む其れと、小さな呻きと】
【少女自体の攻撃を避けたと思ったから、尚更の事。目に入る物は何とか防げたにしても――――最初に裂かれた部位に入る石片は防げない】
【傷を更に抉られること。常に表情が無かったに等しいその顔に、苦痛が浮かんでいて】


「…………レグルス、ガロウ……そして、貴女と…………ふ、ふふ…………
全て、一筋縄ではいかないのが……………また……………
やはり、妖とはまた異なった…………楽しみ、ですね」

【取り除ける物は、取り除いた。それでも小さな破片を除くことは叶わず】
【――――札。今度は少女に放たれるのでは無く、自分の足元へと放つ物。“木”による風を吹き起こす物】
【突風にも近い其れは巫女の身体を浮かせて――――一つの“隆起”の頂きへと、片足を乗せる事だろう】
【必要だったのは、距離。前後などと言った物では無く、高低差。そして――――少女の速さを少しでも打ち消すための、フィールド上の障害物】
【鉱物を生み出すにも時間が掛かるであろう事から、フィールド自体を隆起させて作った即席の物。少女の腕があれば、一つ一つ切り倒すことも可能であろうか】

【…………頂きの面積の事もあり、そして片足を負傷している事もあり。無事な方の脚、その土踏まずでバランスを取っていれば、そのまま懐へと手を入れるのだろう】
【土生金。土より生み出されるは金。小さな粒子は砂鉄。――――其れを熱するは“火”】
【即ち、熱した砂鉄を高い位置から少女へと吹き付ける攻撃。小さな其れに対しての巫女の応え】

【――――吹く風は、謂わば人工物。更にはそう大きな範囲でも無い】
【横に避けるなりすれば回避も可能であるが…………もし、少しでも焼かれたとするならば。砂鉄交えた風の中、本能的に呼吸をしてはいけないと分かるであろう】
【流石に肺を焼く程は無いにしても…………口腔を火傷する可能性だって否めない】
【……高所を取った事。同時に其れは、巫女が逃げる為の範囲を狭めた事ともなるが】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [!nasu_res]:2013/10/14(月) 05:12:35.95 ID:a1AKzc2yo
>>315>>317

……む、足に刺さりました……!! 機動力を削がれた事を考えるとこれで天鬼選手有利……と思われますが八攫選手も何かやってくれるでしょう。
―――と思った矢先の……!!……流石、としか言えません。剣士には無い筈の飛び道具を作り出し、そして直ぐ様接近を狙う。
……お互いに戦闘頭脳が素晴らしい。やはりここまで来るには単純な力だけではなく対応力、頭脳が求められるという訳ですね。
八攫選手の手はまるで2手3手先を読んだ将棋の様な素晴らしいモノ。彼女の怖さは速さよりも「最善手」を直ぐに見つけ行動する戦闘頭脳にあるかも知れませんね。
ああ、最善手と言ってもセリーナさんが言うように読み合いになればガラリと変わる。読み合いのレベルが上がるほど意表を突く行動が決まりやすくなる―――が
意表をつく行動というのは大抵リスクが高かったりするものです。……本当にじゃんけんみたいなモノですよ、ここまでくると


>>317
……まぁそうなりますね。剣といえばライラ選手に破れはしましたが花城選手。彼女も動きは八攫選手に近いですね。
そして自分は彼女たちのようにダイナミックな剣ではなく地味で静かな剣。まあ2人のような素晴らしい動きにはセンスが問われますので、自分にはコレしか無かったという訳です。

―――それは意外ですね。彼にファンなんていたとは……噂によると人気のソニア選手を倒したことで一部ファンを敵に回しているとか。
……ロウ選手とセリーナ選手は一見似ているようで、いや似ているからこそ細部の違いが目立つというか。
セリーナ選手には此処ぞという時の突破力が物凄い印象がありますが、ロウ選手は渋い闘いというか、細かな工夫と戦略でじわじわと場を支配するという感じですね。
―――思考的には八攫選手と似ていますかね? 最善手を確実にやってくるのですが、その最善手もトリッキーというか。まぁその分突破力には劣る印象はありますね。
そして怪我の影響でしょうがガンマンが鈍足というのもかなりの痛手でしょう。それ故のスタイルかもしれませんが……同じSCARLETなので、厳しめに言わせて貰いました。

/すみませんここで……!お二人ともファイトです!そしてセリーナさんありがとうございました!
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 12:52:05.80 ID:nswdKiI00
>>301

まあ、細かい事は気にするな。
けろけろ、それにニンゲンだろうがなかろうが、恋はするぞ。

【とはいっても、この童女に恋い焦がれるのは悪趣味だ。】
【閉じていても分かる大口。唇は鮮やかな色に、唾液で照っている。大きな目も気味が悪い。】

爬虫類? それは違うぞ。
けろ、爬虫類は天敵だ。げこ、私は両生類派だ。

【派、というか、両生類そのものではないか、と。】
【童女の所作はカエルに似る。ただカエル人間、という趣きでは、なさそうだが。】

【そして、予想通り、去ろうとする貴方を追ってくる。】

やいこら、何処へ行く。
去る者追わずとはいえ、これはあんまりだぞ。けろ。しかも子供扱いしやがって。
げここ、ちょっとはまともに構ってくれたらどうなんだ?

【つまり、暇なのだった。】
【あるいは悪酔いしているのかもしれない。とにかく、ろくでもないやつらしい。】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 13:36:19.24 ID:mQ9c8vV60
>>321

あー……―――

【少年は天を仰ぐ。空気は其処まで綺麗でないと言うのに、夜空はヤケに輝いて見えて―――】
【否、今はそんな事、どうでも良かった。望まれない予想が見事に的中した事に、少年は只々失望して。】

【初めの一歩を踏み出す為に上げられた右足は、其の勢いを失い地面へと降ろされ、】
【緋色の眼をゆっくりと瞑ったなら、すーっと息を肺一杯に吸って、ふーっと一気に吐き出して。】
【どうやら、此れから始まるであろう"厄介事"に気合を入れ直した様―――否、精神を落ち着かせたのだろうか。】
【数回の深呼吸も終われば、少年は3度目。身体の軸をそのままに、クルッと180度回転させて―――】


……はいはい、分かってたけどよ、お前、どうせ、暇なんだろ。
……でも俺、"子守"は其処まで得意じゃねーんだよな……

うし、構ってくれっつーなら、それなりの話題を提示しろ。つまんねーなら、俺は逃げるからな。
……その、俺は俺で、暇じゃねーんだよな。―――こんな格好の人間が、こんなトコ彷徨いてんだ、大体察せるだろ?……


【どうやら、まだ付き合う様子。然し少年が突き付けたのは、此の童女にとっては少々の難易度が有ると云う可能性を孕んだ課題。】
【『自分はお前と違って暇じゃないんだ、』とアピールした所で、少年は再び少女の姿形を確認する。】
【彼女を動物に例えろ、なんて問われたなら―――其の回答は、当然"カエル"であって―――。】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 14:49:35.16 ID:nswdKiI00
>>322

あくまでも、私を子供扱いする気か、けろ。
まあいい、付き合えよ。

【紅い双玉が、振り向いた貴方を見上げている。】
【にんまりと笑う。可愛くない。】

【寧ろ、気味が悪いのだ。これだけ気味が悪い笑い方が出来るのは才能である。】

話題? 話題か……けろ。
うまい物の話とか、うまい酒の話だとか……けろろろ。

【あまり思いつかないらしく、何事かぶつぶつ呟く。】
【そして、やはり思いつかなかったらしい。手持ち無沙汰に貴方を見上げる。】

うーむ、けろり。
……そうだ、お前、何でこんなところにいる。何を買いにきたのだ、けろけろ。

【そして、これである。】
【確かに、普通の買い物ならおかしくない話題。しかしここは、闇市。】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 15:15:29.02 ID:mQ9c8vV60
>>323

―――その、ケロケロは止めらんねーのか。いや別に、うぜーわけじゃねーけどよ……
なんつーか、気になるっつーか……兎に角。ふつーに、だな。……そう、ふつーにしとけ。


【何となく、此の少女からは"人外"の風格が感じられた。】
【と言うのも、少年よりも低いであろう年齢にも関わらず、此の童女は何処か大人びた口調と態度を持ち合わせていて。】
【演じている、というのなら其れまででは在るが、其れでも矢張り、"何となく"と云う感触があって―――。】


世間話かよ………俺が探してんのは、"コレ"。―――ちょっとした魔法が、籠められたヤツ。
薬やら銃やら……ゴミは腐るほどあるっつーのに、魔法系の道具はあんまりねーんだよ。
ま、ゼロじゃねーから……此処に、あるかも知れねーなって、思ってんだけどよ……

【『コレ、』と言いながら指し示したのは、右手の薬指に填められた銀製の指輪。】
【魔力を感じる才能があるなら、見て取る事が出来るだろう。この指輪には、それなりの防御魔法が付与されている。】
【どうやら、同じ物を2つ、揃えようとしている様子。然し愚痴を零している事からも分かる通り、其れは中々見つからない様で―――】


―――で、お前は、どうなんだ。
俺より、お前の方が、"何でここにいる"っつー突っ込みが合うんだけどよ……?

【―――と、其の間に。無駄に体格の良い男や、黒いフードを深く被り込んだ女の冷たい目線が、すれ違い様に注がれる。】
【……其れに気づき、"少し長話になりそうだ"と判断したのなら、少年は人の眼に付かない場所へと、少女を誘導する事だろう。】
【別段、深い意味は無い。怪奇の眼で見られる事が、只々恥ずかしい。其れだけの理由だった。】

【少年の誘いに乗ったのなら、場面はスラム街の路地裏の、更に奥まった路地裏へと変わる事になる。】
【人通りが少ないであろうという理由で選ばれた場所は、―――最早治安と言う概念すら存在しないのであって。】
【此の少女を超える存在は、そう居る物では無いとも考えられるが―――矢張り、想像さえ出来無い。】

【少年は成る可く少女に目線を合わせる為に後ろ向き、即ち、其の路地裏を背後に取る形で歩いている。】
【特に変わった行動を取っていないのと言うのなら、―――此の少女だけが、少年の背中の行方を把握出来る事になるだろうか―――?】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 15:34:55.14 ID:rCnHTpsLo
【路地裏】

【常日頃から死体の転がるこの場所も、にわかに寒風の吹く季節】
【日が落ちるのも早くなれば、暗闇を好む者たちにとっては良い時期だ】

……だからこそ、こうして見回りをするのが大事なのよね。
といっても今日のところは妙なごろつきも見当たらないし
幸いなことに死んでる人も居ないし……案外、平和だったりするのかしら?

【そんなボヤキと靴音を鳴らして路地裏を進む人影が、ひとつ】
【桃と朱が混じった不思議な色合いの髪を、ロングツインテールで纏めた若い女性だ】

【彼女はひどく目立つ白い将校服を着込んでいて、頭にはキチンと軍帽もあり】
【胸部を見れば勲章――にも見える、色とりどりのバッヂを付け】
【僅かに冷え始めた空気から身を守るように、同色のマントも身につけていた】

それにしても本当に冷えるようになってきたわね……
これは早めに帰って、暖房の用意でもしたほうが良いかしら、……―――?

【腰には立派な刀が一振り、履いた靴は編み上げのロングブーツ】
【ふと、何かを感じ取ったのか――刀に右手をかけ、靴でギュッと地を踏んで】
【路地裏の奥、暗がりに空色の瞳を凝らして見る】

【――無論、なにもないのかもしれない。ただの気のせい、と言い切ることも出来たが】
【何か背筋に冷水を落とされる様な感覚が、UT≠フ証を身に付けた彼女には感じられて―――。】

/予約なのです、すみませんっ!
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 15:44:23.97 ID:zQpI54Nro
>>325
【――冷たい風に空虚が生まれる。いつからそこに居たのか】
【そこ≠ノは、一つの存在感がいつの間にかに生まれていた。普通の人間の腹部辺りまでの背丈しか無い存在だ】
【ビルとビルの隙間を縫って、ばさりと白い絹糸めいた髪束が踊り狂う。髪束と動揺に躍るのは、白いマフラーだ】

「――――君は、UNITED TRIGGERの構成員か。
意味なき彷徨であったが、今日という日の出会いは、悪くないものかもしれないな」

【ぽつりと。ビルとビルの隙間にしんと沈み込む、静か過ぎるほどに静かなのに、異様に響く声】
【その声の主を端的に表すならば、琥珀と純白。隈で彩られた琥珀色の双眸と、白い肌、白い髪、白い衣服の少女だ】
【ビル風で乱れる風によって顕になる右耳で躍る琥珀色に刻まれていたのは、カノッサ機関を表す紋章】

【あまりにも汚れを失いすぎている外見は、かえって無菌室で純粋培養されたモルモットかのような危うさを印象づけさせる】
【その白に伴って風が運ぶイメージは、紅。何の紅か、それは血。濃厚な血の匂いを、白い少女は纏って佇んでいた】
【立つ事は無く、ひざ掛けをかけた状態で、継ぎ目の少ない近未来的デザインの車椅子にのった、如何にも弱々しい外見の少女】

【だが、女性を見据える琥珀の瞳。そして風に躍るカノッサの紋章が――この少女が光の元に属する者ではない事を如実に示していた】

「――何を気にしている。私は現状必要でない故、君に対する敵意も悪意も抱いていないが」

【瞬きの少ない琥珀の双眸は、見開かれたままに相手の双眸と真っ直ぐにぶつかり合った】
【何かを見定めるような、観察するような無機質な視線。琥珀の向こうに有る感情を見定めるのは困難を極めることだろう】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 15:56:57.55 ID:rCnHTpsLo
>>326

【見透かされている=\――琥珀の瞳が空色と合って、最初に感じたのはそれだ】
【てっきり血まみれの刃物でも持った異常者か何かが奥にいるのだと思っていた】
【少なくとも、将校服の彼女からすればそうだ。何故なら、濃い血臭がしていたから】

【――だが、蓋を開けてみればまた違う脅威。同じ白一色の服装は】
【自分が『正義と潔白』を意識しているのなら、彼女は新雪の様な透明さで】

っ……、そういう貴女は、カノッサ機関の人間ね?
衣服で判断させてもらうけど、一般の構成員には見えない……
ナンバーズかしら?それとも、誰かの特殊部隊にでも入って―――

【あくまでも警戒は解かない。車椅子に乗った純白の少女が、一見無垢に見えていても】
【その異常は既に感じ取っている。右手は鞘に、左手は柄にかかっていて】

【そして遅れながら――UTの女性は、何かを理解したように眉根に皺を寄せる】
【どこか達観したような。貴族がテラスから庶民を見るような、距離感の在るやりとり】
【なんとなしに理解したのは『相手はただの機関員ではない』という程度の事、だけれども】

……貴女が敵意も悪意も抱いてなくても、私は違うわ。
悪いけどカノッサ機関は私達の敵……私個人にとっても、それは変わらないわ

もっとも、最初から斬りかかるほど馬鹿でもないし……勧告するわよ
素直に降伏して頂戴。応じるなら、身柄はUTで引き受けさせて貰うわ
そうしたら、悪いようにはしない……ちょっと話しを聞くだけよ、どうかしら?

【――この交渉、うまくいくわけがないと言うのは将校服の女性が一番良く理解していた】
【何故か。刀から手が放せないからだ。何か本能のようなものが、それを禁じるかのようだった】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 16:08:47.08 ID:zQpI54Nro
>>327
「如何にも。私はカノッサ機関という――君もよく知る悪の組織に籍を置いている。
そして私は特殊部隊の所属でもナンバーズでも一般構成員でもないと示そうか」

【これが、悪意を持って武器を異能を魔術を振りかざす敵ならば良かったのかもしれない】
【これが、単なる欲望の為に悪を振るう純粋な悪党であればよかったのかもしれない】
【だがしかし、相手の目の前に居るこの少女は、そのどれでもない。淡々と己の立ち位置を理解していると語り、その上で敵意を欠片も見せない】
【琥珀色の瞳には未だに感情が写し込まれることはなく、只管にその瞳の色彩に映し込む物は、相手の感情、相手の挙動のみ】

【ナンバーを示す装備を持たないならば、一般構成員であるのが殆どであるカノッサ機関】
【そして、またはナンバーを持たぬことで実力や名声を秘匿される、特殊部隊の所属という立ち位置も確かに存在しては居る】
【だが。そのどちらでもない、そして一般構成員でもないと示すこの女の立ち位置とは、如何に――――?】

「やるべきことを知り、己の責務の達成のための道筋を見誤らない。全く有能に過ぎるな。
――君と会話をするのは吝かではないが、身柄を拘束されるのは望ましくない。
私はただ善とも語らってみたいだけだったのだが――来るというなら来れば良い。見ての通り私の身体は殴れば砕ける脆弱ぶりだ」

【相手の警告を前にしてもなお、少女は己のスタンスというものを一貫として決して崩すことは無い】
【敵意も悪意も欠片も見せず。しかしながら、善意も好意も何一つ示すこと無く。中庸の態度のまま車椅子に鎮座し続ける】
【骨の浮かぶ白魚の手は、冬の気温で痛々しいほどに赤く染まっており、その手を少し揉み込みながら、車椅子の収納部から手袋を取り出し両手に嵌める】
【マフラーを少しきつめに巻き、もう一度収納部に手を入れ、取り出したのは毛糸の帽子。どれも白のそれで肉体を寒気から護る態勢へとシフト】
【顔色が悪いのは純粋に少女の体調が、寒気によって悪化しているからであって、演技でもなんでもない事が伺えるはずだ】
【少なくとも――この少女の与える印象は、その手の腹芸ができるような印象ではない筈だから】

「――確かに私の立ち位置は君の敵。遠慮はいらない。
私は君を倒す積極の理由が存在しない故。引き金は君が引いてくれ。それが私の理由となる」

【防寒装備を整えた少女は、両手を開いて相手を受け入れるような構えをとる。要するに――先手は譲ってやる。そういう事だ】
【なめている訳でも何でも無く、この少女はそうきめたからそうしているだけ】
【掛からなければ戦いは起こらず、掛かっていけば戦いは劇的に発生していくことだろう――】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 16:09:17.13 ID:nswdKiI00
>>324

けろ?

【挑発的に、首を右側に大袈裟に傾げながら。】
【くつくつと笑い、フードをやや深く被り直す。】

……まあいいや、従ってやる。ただし長続きしないぞ。
で、ナンだ、魔道具か? 指輪の。私の専門分野じゃあないね。

まあ売ってるんじゃあないか、なんせ、だだっ広いんだ。

【童女の目が指輪に注がれる。特に興味はなさそうに。】
【そうしてから、再び貴方の顔に視線を戻す。】

私? ……ン? なんだ、移動か?

【舞台が変わって、路地裏。】

私もまあ、買い物だ。けろ。
いろいろ買ったぞ。意味は無いが面白そうなものばかりだ。

【人目が無い以上、口調は平常運行である。】
【そして描写を忘れていたが、彼女は風呂敷包みを持っていた。それが戦利品だろう。】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 16:25:17.65 ID:rCnHTpsLo
>>328

(……なん、なの?この感覚、まるで人と話してる感じがしない)
(よく出来たロボットか、それに近い存在と会話をしているような……)

拘束は望ましくない、ね……あくまでも抵抗はするって事で認識するわよ
それに先手を譲るって言うなら、今更撤回しても遅いとも伝えておくわ
特殊部隊でも、ナンバーズでも構成員でもない誰かさん=c…!

【ギリッ、と奥歯を噛みしめる。相手の異様さ、そしてその存在がなんなのか】
【少なくとも肩書が予想できる――だが、だからといって引き下がるほど気が弱ければUTには入っていない】

【女性はふと胸に付けられた緑のバッヂを手に取ると、直後、その身を同色の光が包み】
【瞬きする程度の時間が経つと、その下肢をバッタの外骨格≠フような鎧が覆っていた】
【刺々しく、暗い煌めきを放つそれ。ギリ、ぎりと膝を曲げつつ、刀を引き放つ】

【構えは下段。自身の右側に下げる形で持つと―――足下の石畳を砕く速度で彼女は飛び出していく】
【そう、まさにバッタそのものだ。常人なら一瞬姿を見失う程の駿足で跳んだ≠フである】

【女性はそうして地面とほぼ平行に相手へと急接近せんとし、十分に近づけたなら】
【下段の刀を、相手の右脛と車椅子を斬るようにして振り抜こうとするだろう】
【車椅子ごと、と云うのは誤謬ではない。それが可能な切れ味が、彼女の刀には在る】

【攻撃の目的は相手の足≠奪うこと。逃がさないという選択肢は、非情だが合理的で】

【そしてそれが成功、或いは失敗しても、どちらにせよ彼女はそのまますれ違う形で奥に向かおうとし】
【また交錯の際には、空色だった瞳に朱が宿っているのが見えるはずだ】
【どこか粗削りな空気を身に纏うUTの彼女だったが―――闘志だけは、誰にもまけずに燃え盛っていた】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 16:38:50.02 ID:zQpI54Nro
>>330
「ああそうか。私としたことが名乗るのを忘れていた――失礼」

【目の前の女性が己のことを名前で呼ばなかったことから、珍しく名乗るのを失念していた事を理解する】
【失礼。とこの場において何よりもそぐわない発言――謝罪をして、眼前に迫り来る外骨格の女性を認識】
【双眸が細まり、その視界の内に認識するその力を、脅威と女は判断した】

「なるほど」

【接近を許す。未だに挙動を見せることない少女は、相手が刀を振りかぶった時点で、ゆるりと持ち上げた手を下ろす】
【その手の動きは、相手の接近に反応したというよりは、肉体が腕を上げ続けるという動作に耐えかねたというほうが適当で】
【相手が刀を振りぬくのと同じタイミングで、少女の座する白銀の四輪駆動の随所に、蛍光色に輝く電子回路の様な紋様が浮かび上がった】
【煌々と輝く琥珀色の瞳は――接近し、刀を振りぬく女性の瞳を茫洋と観察し続けている。モルモットを見るような視線に思えるか】

「――素晴らしい。技の冴え。私には出来ない挙動だ。
肉体の構造上、その様な行動をしたならば、循環器と呼吸器が直ぐ様正常を失うことだろう」

【相手の一閃はたしかに振りぬかれた。だが、手応えは極めて浅い】
【その理由は、車椅子による旋回回避。――音響を漏らさぬ高速軌道によって銀の描く弧月の対象から足を逃したのだ】
【浅くひざ掛けと車椅子を裂き、スカートもまた動揺に引き裂き――琥珀色の血液≠ェ少女のスカートを染める】

「名乗ろう、と想ったが――。もう暫く、見極めてみたくなった。
――――名乗らせてくれ、UT構成員よ。君の異能には、君の実力には可能性≠感じる」

【足の傷跡は何時しかふさがっていて。異様に白く細い脚は、びっしりと浮かんだ電子回路の様な紋様に侵されていた】
【少女の車椅子が変形し――無色だというのに存在を主張する、気体でも液体でも固体でもない物質が漏れだしていく】

「Amberite――――代入演算、SAW BLAST」

【無色が途端に凝り固まる。固体へと個体の意識がその性質を特定し、確定したのだ】
【その物質自体がエネルギーとなってそのばに生まれた3つの丸鋸は回転を始め――射出】
【ブーメランのような弧の軌道を画き――上、左右。3つのルートを通りながら、女性を引き裂こうとする】
【強度は通常の鋼程度。女性の身体能力と技量があれば受けるのも避けるのもさほど難しいわけではない、が】
【わずかでも掠れば形状を変化させ、引っかかった点から相手へ食い込み――、拘束しようとする筈だ】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 16:56:21.49 ID:rCnHTpsLo
>>331

【切り口が浅かったことは、刀から伝わる手応えで直ぐに理解できた】
【少女の背後へ回りつつザリザリと石畳で自身の速度にブレーキをかけ、振り返れば】
【やはり傷は浅い。――いや、何か奇異な紋様が見え、寧ろ傷は塞がれていて】

布は避けている、けれども傷はふさがっている……能力ね?
得体は知れないけど、貴女を見掛けで判断するのは大分間違いらしいわ

……でも、それならそれなりの戦い方があるってものよね
随分客観的に状況を解析してるみたいだけど、その余裕――
一体何時まで持つのかしらね……、―――ッ!!?

【次の瞬間には相手の出番。襲来する三つの丸鋸に意識が向いた】
【対策は―――まずひとつ、接近してきた物を刀で受け流し】
【更に次の一つを刃で両断する。けれども、流石に武器一つでは三つを捌き切れず】

【最後の丸鋸が女性の右上腕を掠め、白い布をちぎり取って朱に染めていく】
【直後、丸鋸は変形――腕を拘束しようとするが、女性は左手でまたバッヂを一つ取って。そして、閃光――】

っ……!さあて、貴女の能力は何かしらね、物体の生成?それとも変形?
どっちにしても、武器を持つ腕を拘束されるのは困るの……悪いけど、止める≠よッ!!

【言葉の切れ目が閃光の終わり。其処には下肢の装甲に加え、両肩から腕にかけて】
【何か茶色い、これまた外骨格――カブトムシのソレの様な鎧が追加装備されていた】
【其の鎧は変形途中の丸鋸を、強固な装甲で覆うことで動きを止め、拘束を逃れようとする魂胆だ】

【実際に効果があるのかは分からないが、急場はこれで凌げた――そう、女性は捉えたのだろう】
【また膝をバネのように引き絞り、刀を構えてまっすぐに突っ込んでいく】


【――が、先ほどと違うのは『すれ違わない』こと。女性は、少女の手前で石畳を踏み砕き】
【装甲の強固さに訴えて強引に止まることで、その正面に無理やり陣取ろうとし】
【更にその状態で刀を振り下ろそうというのである。狙いは左肩、だが――近距離。採れる対策は、さぞ多かろう】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 17:05:54.35 ID:mQ9c8vV60
>>329

【挑発に乗る事は無かった。少年の頭の中で、ある程度の想定は、既にされている。】
【一線の、其の又一線を超える事が起きない限り、少年の神経は切れない様で。】
【―――即ち、フッと鼻であしらうだけ。イニシアティブは、悪魔で保ち続けるという意思を示した。】


……お前に、専門、あんのかよ……泳ぎか、其れ共、虫を舌で捕食か―――どっちだろーな。
俺としては―――捕食の方が、おもしれーかも。………ま、どーでもいいけどよ……


【放たれたのは、少々意地の悪いジョーク。移動しながらであった為に、声の響きは辺りに分散したが、】
【それでも其の大きさはそれなり、だった。特に耳が悪い訳では無いのなら、少女にも聞こえた事だろう。】
【冗談と同時に、少年は思考する。―――目の前の童女は、確かに"専門分野"と言った。】

【ブラックマーケットを利用する機会を含む"専門"と云うのは、つまりはそう言う事。】
【演技にしては、ヤケに様になっている其の雰囲気も相まって―――】
【どうやら、只のカエルさんでは無い。と結論付ければ、少年も徐々に興味が出てきて―――】


……いやいやお前、面白そうなモンって………こんなトコで、何買ってんだよ……
此処から一歩出れば、即逮捕―――っつー物も、中には売ってんだ、
返してこいとは言わねーけど……それなりに、気、つけとけ、な。


【恐らく興味が湧いた物を手当たり次第購入していった、と言う調子なのだろうが―――】
【彼女の姿形を考慮すると、彼女の其れはショッピングと言うより、お使いの様に見えるのだった。】

【膨らみが在って、所々商品の角ばった部分が映った風呂敷を見ながら。】
【丸で"兄"が幼い"妹"に窘めるかの如く―――飛ばされたのは、少年による注意であった。】

【彼女は何を買ったのか、そして何の"専門"なのか―――興味が無いと言えば、嘘になる。】
【其れは、一端は一瞥した風呂敷を、再び見ている少年の目線に表れている様だ。】
【観察力が有るなら、気づく事が出来るだろう。此の少女は、果たして―――?】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 17:17:54.45 ID:zQpI54Nro
>>332
「――君の観測がどこまで本質を掴め取れるか。観測させてもらおう」

【丸のこを切り裂く事捌いていく相手の技の冴え――異様な練度。羨望を抱く、心に浮かぶ、憧憬】
【琥珀の双眸は光を宿し、顔にも次第に電子回路の様な幾何学模様が浮かびつつ有る。この紋様が、能力と呼応しているのかもしれない】
【幾度も幾度も、相手の動作を脳内で反復再生。そうしていくことで、己の今後の行動を選択する上での判断基準を増加させていく】
【車椅子に座ったまま悠然と佇んでいるようにみえるかもしれないが、足の骨は寸とは言え届いていたし、痛みを感じないわけではない】
【ただ、痛みや何やら、その他行動に不要な要素を総て、理性によって統括し、無駄なものを切り捨てている為、表に出ていないように見えるだけだ】

「……さあ。それは君の今見た時点での判断にすぎない。
ただ、今時点で私が君に提示している情報から判断すると、そう断ずるのが適当というところだろうね。
君の能力は――バッジを介して、他の生物の形質を取り込むといった所かな。これもまた、私が観察した中にすぎないがね」

【相手が腕をカブトムシのように変貌させる事で、己の丸鋸が相手の拘束に失敗したことを理解】
【先ほどのバッタの脚部への変化と合わせて考えれば、ある程度は相手の能力というものの予測がつく】
【熟練した体術に、昆虫類という生物の中でも最高クラスの身体能力を持つ生命体の身体能力を兼ね備えるその強力さ】
【極めて厄介であり、それ故に極めて少女の知的好奇心を刺激する。――思考が、高速で回っていく。このめまぐるしく変化する状況に対する最適解を探索するために】

「Amberite、eins,zwei,drei,cier,funf。三態は液体。形状は球。
熱量代入、1000℃。私を支点とし、高速旋回開始」

【女の周囲の未確定≠ノ要素が再度代入される。生まれたのは手のひら大の紅の球】
【陽炎を纏うその物質は、1000℃。だいたい蝋燭の火と同じ程度の温度の為、当たっても服が燃え皮膚が焦げる程度のダメージでしかない】
【だが、それは炎であった場合のこと。女の周囲を旋回する5つの紅の球体の表面には、さざなみが生まれている】
【それが気体かなにか、一瞬の接触しかしないものであれば別だが――液体であれば、その1000℃は日常で接する機会のない異常へと変容する】

【――それが展開したのと、相手が正面に陣取ったのは丁度同時という所】

【少女が今見せている能力もまた、相手のそれと同様に極めて応用性に富む性質を持つようにみえる】
【ただ、相手と違う点は一つ。展開の遅さだ。――相手がバッジをちぎり念ずるだけで肉体を変貌させられるとしよう】
【転じて、こちらは座標を定義し、その座標に形状とサイズを指定。その上で細かい性質を決定していく必要が有る】
【幾ら頭の回転が早かろうと、それだけの作業を脳内で終わらせるのと、バッジをちぎる動作どちらが速いかと言えば――紛れも無く後者と言える】

【それでも展開を間に合わせたのは、偏に少女の状況判断と、行動選択の迅速さか】
【相手が刀を振り下ろすのに対して、此方は周囲に火球を巡らせる。振り下ろせば液体の炎に身を焼かれるか】
【ただし、巡回速度はそれほど速くない。タイミングを上手く掴み――火球の隙間を縫うことができれば、少女に一太刀を入れることは決して不可能ではないはずだ】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 17:29:03.41 ID:zQpI54Nro
/*おっと6時以降レスが遅れる用なら多分ご飯食べていると思われますですよー*/
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 17:37:31.43 ID:rCnHTpsLo
>>334

【相手への拘束接近、能力によって顕現させた鎧の強固さに頼った強引な策】
【それを為す合間、女性は少女ほどでないにしろ思考を巡らせていた】

【先ほどは丸鋸を作りだすようにしてこちらへ送り出し、引っかかったソレは更に変形を重ねた】
【そして今、目の前で展開されていくのは火球――しかし単なる炎にも見えない】
【訝しみ、表面のさざなみに気付いたのは正面に立ったまさに其の時であり】

……ふっ、当たらずとも遠からずね。ソレは能力の一端よ
詳しく知りたいのなら、お仲間のレギンにでも聞いてみたらいいんじゃないかしら

それとこの炎球だけど……私、今更傷が増える事にためらいなんて持たないの。

【火球が巡る――其の一つを膝を深く曲げることによって回避し】
【同じタイミングで、相手に振り下ろすはずであった刀は停止。構え直して】

【そしてここからは反撃だ。膝を曲げる≠ニいう動作が何を意味するか】
【聡明な少女なら直ぐに理解できるはず。刀を下段に構え、一挙に上へと飛び上がるのである】
【刀が描く軌道上には、少女の胴。逆袈裟に、相手を右肩に昇る剣筋で斬ろうとする】

【だがそれは諸刃の刃だ。液状の火球が、そのまま女性を逃すようなことはなく】
【彼女は左腕の装甲を早くも溶かされ、更に奥の服までも燃えてしまって】
【ソレほどの威力、まさか肌が無事なはずもない。腕から肩にかけて、顔もやや火傷を負う】

【更に、攻撃後の彼女は上空に居る。バッタが空に舞い上がって、其処から自由に動けるかといえば――】
【――翅でもあれば別だったが、彼女には、今は無い。つまり、それは狙い目ということに他ならなかった】

/>>335の件も了解です〜
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 17:53:21.48 ID:zQpI54Nro
>>336
「――そこまで看破していたか。ヒントを出したとはいえ、予想以上に君は聡明な様だ。
そして、君は確かに勇敢だ。安心すると良い、それは高熱の液体以上の性質を持ちはしない」

【相手の接近。相手の行動を前に、何が来るか理解した上で、女は行動を未だに起こさない】
【それどころか、じぃと興味深く何をしてくるか観察してくる様な行動すら見せている】
【相手の跳躍。白銀は左腰から右肩へと駆け抜けていく動作。僅かな駆動音、引く速度は登る速度に一歩及ばず】
【相手の切っ先にまとわりつく――琥珀色の血液は、そのまま空へと持ち運ばれ――風に乗って路地にエアロゾルと化して散逸した】

「――――……っは、厄介。極まりない――な」

【引いたとはいえ、胴から肩まで引き裂かれた少女は、たしかに苦痛を感じているようで】
【顔色を蒼白に染め上げたまま、しかしながら口元には、ようやく人間らしい笑みという表情、感情を浮かべていた】
【腹部から散る血液。血液が地面に触れた瞬間に、不着地点から加速度的に電子回路の紋様が駆け抜けていく】
【腹部にAmberiteを集中させ、固体化させていくことで内臓が身体からまろびでる事だけは防ぐと、少女は目を瞑る】

「 Blood   Line   C i r c u i t =@――――――――」

【路地裏に霧散した己の血液。汚染されたビルの壁、空気。それらにびっしりと琥珀色の幾何学模様が浮かび上がる】
【その瞬間、相手ほどの実力者ならば理解できただろう。この瞬間、この路地裏にある総てが――――少女≠ナあるという事を】
【四方八方から、相手は少女に観察される感覚を覚えたかもしれない。ビルの壁が、路面が、街灯が――その総てが、少女なのだ】


                 「―――――――― Z w e i  A r m e ――――――――」


【そして、路地裏そのものが少女と化しているのならば、五体と同じように路地裏を動かすことができるのはこれ道理】
【壁が液体のようにねじり上がり――一対の巨腕をこの場につくり上げる。鉄筋コンクリート製の、巨人の腕だ】
【空に舞い上がっていた相手に対して――その上を取る、鉄の筋肉にコンクリートの皮を持つ必殺の鉄槌】
【――――少女の意志の発露は、直後】
 
                                                   「―――――――― A n g r i f f !」

【――双腕。そのまま大地に虫の力を持つ少女を叩きつけんと、豪腕を振り下ろす】
【あまりにも大ぶり。あまりにも大質量。あまりにも大雑把。だがしかし――それ故に、シンプルに重く強い】
【ここまでロジカルさを見せてきた少女の途端の大技。この一撃に対する対処は、不可能ではないが――――?】
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 18:02:16.09 ID:nswdKiI00
>>333

【にたりと笑うばかりで、鼻で笑われようが、気にしない。】
【物事を知らぬ、単なる阿呆のようにも見える。あるいは悟っているようにも。】

――捕食、かねぇ。けろり。
ふらふら飛んでる蝿を喰って、生きてる身分さ。

【ちろ。ちろ。赤く、長い舌を覗かせる。】
【ともすれば、今にも伸びて、貴方を絡め取るかのように。】

げこ……舐めて貰っちゃあ困る。
舐めるのは私の専売特許……なんてね。とにかく、舐めて貰っちゃあ困るんだ。

【そろそろ、子供扱いに堪忍袋が暖まってきたのか、露骨なぐらい眉を顰める。】
【それが如何にも演技っぽくて、子供っぽいのだが。】

気になるなら見せてやるぞ。
けろけろ、だが、子供扱いするオトナには見せたくないね。……くわっくわっくわっ!

【そんな意地悪も、また、子供っぽくて。】
【それゆえに、童女の秘める妖の気質は、異質なものに感じられた。】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/14(月) 18:03:14.03 ID:xStsp+kGo


【――一人紙で出来た灯籠をぶら下げて歩く姿は、やけに幻想的だ。】
【黒い髪、白いワイシャツ、その裾をこれまた黒いチノパンに入れている。】
【腰には新聞紙に包まれた長い棒と、口には煙燻るパイプ煙草――。】

【そして彼の背にある台車には、手に持つ灯籠と同じ種類のモノがぴっしりと並べられている。】
【台車の側面には、『一つ100』との文字が――】

【――あまり売れているようには思えない。】


売れねェなー…。(灯籠いらんかねー。)


【ぷかぁと煙を吐き出すと同時に発せられた言葉。】
【その内容と、頭の中で 呟かれた言葉はあべこべで、】
【延々と台車を引き、同じ言葉を繰り返す作業に、】
【なるほど無意識に、別サイクルを取り入れたのだと。】

【つまりその程度の売れ行きなのだと、思わず心配になる、ほど――】
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 18:16:13.07 ID:rCnHTpsLo
>>337

【今度は確かに捉えてやった――左半身を襲う熱の痛みに呻きながら、ニヤリと笑う】

【能力はともかくとして、相手は肉体的には強い方ではない】
【ならば足を斬り、胴を斬った。それは、傷を塞がれようと大きな意味を持つはずで】
【だからこその油断だったのかもしれない。或いは、今までの攻撃とは違い】

【あまりに、其のスケールが違い過ぎたのが問題だったのかもしれない】
【上からの明かりが消える。警戒していたのは家宝からの迫撃であったから】

【あまりにも間抜けに――『え?』なんて呟きまで漏らしてから】
【白い将校服の彼女は、人が蚊や蝿をそうするように、巨大な鉄骨の腕に叩き落とされ】
【先ほどまで踏み砕いていた石畳を、今度は全身で打ち砕いて、其の中に埋もれた】



【―――周囲には埃が舞っている。作られてこの方、手入れの無かった路面が砕けたのだ】
【土、砂、塵。気管支に悪い物が群れをなして、しかし早くも寒風に流されていく】
【となれば徐々に視界も開けてきて―――『平然と立つ彼女』もまた視認が出来るはず】


    『――――オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ ッ ッ ―― ッ !!!!』


【雄叫びが上がる。右手に持った刀を反対の左腕に突き立てて引き抜く、異常者の如き行動】
【しかし其の際に宙へと飛び散った多量の血滴が厄介だ。一つ一つが鋭い釘のように変形し】
【さながら雨の如く、車椅子の少女へ向かって飛来するのである】

【とはいえ、防御はそう難しい攻撃ではない。むしろ自傷した腕の出血を見れば】
【豹変した彼女のほうが危険ではないかと思われるほどであったが――尚も、その全貌は暗がりに在って、よく見えない】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 18:31:44.95 ID:mQ9c8vV60
>>338

ふーん………―――


【随分と上手い切り返し―――ともすれば、其れは暗喩にも聞こえて。】
【辺りを飛び回る蝿を食って生きている―――正直言って此の少女は、余り付き合いたく無い人物。】
【勿論此れは、推論の域を脱しない物。只少年の言葉を、復唱しただけに過ぎない可能性だって、十分に在った―――】

【チラチラと垣間見える長い舌は、毒々しい赤色。『本物のカエルなんじゃねーか、』と頭に過っては、】
【再び乾いた息が鼻から漏れて。彼女の話が一旦止まった所で、少年は再び口を開く。】


いや、お前、自分の姿、鏡でもう1度見てみろよ。どう考えても、お前は"お使い"の子供だろ。
その、舐めてるわけじゃねーけどよ……どうも、お前はー…………

じゃ、証明してみるか。お前が、"子供扱い"されるべきじゃねー理由をよ………?


【つまりは、其の風呂敷の中身を見せろ、という事らしい。】
【少しだけ、ほんの少しだけ、気になっていたのだ。然しながら『見せて下さい、』と頼むのは、】
【或いは子供扱いを止めるのは。彼が持つ"プライド"が許さなかったのだ。】
【だからこそ。我ながら、上手い切り抜け方を見つけたのでは無いか、と少年は思う。】

【一通り言葉を放った所で、次に気になるのは、少女が其れに応じるかどうか。】
【『俺はどっちでもいいんだぜ?』なんて言いたげな顔の奥には―――矢張り、"好奇心"が渦巻いていて。】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 19:32:57.01 ID:zQpI54Nro
>>340
【瓦礫の腕は――、叩きこまれた直後に既に自壊を開始していた】
【ビルの壁面は既に原型を止めず、轟音を響かせながらその構造体を崩し、周囲に微細な振動を残していった】
【ここで決まるならば、そこまでのこと。だが――少女の中の懸念は、いまだ相手が立ち上がる未知数を観測していた】
【車椅子の上、全身の負傷に身体をくの字に折りながら、荒い息を吐き、瓦礫の山を見据える双眸】

「っは……ッ、は――――ッ、は……ぁ……ぁ……ッ……ぅ……!」

【平時肉体を動かさない少女が――己の肉体より遥かに強靭で疲れを知らない鉄筋コンクリートの豪腕を駆動させという事る】
【通常ではあり得ないその挙動、脳の処理に対する少女の負担は想像を絶する】
【眼窩は落ち窪み、目元の隈はより色彩を濃くし、顔色は蒼白、全身からはびっしりと冷や汗が吹き出していた】

【朦朧とする意識を理性で矯正し、強制覚醒へと至らせた直後、目の前で瓦礫の山が爆砕する】
【暗がりの奥に居る、有るそれは――一体何なのか、ナニモノカ≠ェそこに或る】
【琥珀の双眸は、細められる。この異常、この異様を前にして、選択するのは恐怖でも逃走でも闘争でもなく――観察】

「――――それが、君の可能性か。UTの構成員よ――――」

【あそこで宙に飛ばれてなかったら。あそこでまた何らかの手段で加速されていたら】
【恐らく、少女は負けていた。そして今、この消耗の状況で相手が立ち――無数の血の驟雨を放ってみせる】
【この状況の危険さ、理解できないほど少女は戦闘を経験していないわけではない】
【取った手段が似通っていたのは恐らく偶然。少女の周囲に琥珀色の霧が生まれ――少女の体表を滑っていく】

「――く……ッ。Amberite――アンバーブラッド=I」

【琥珀の霧によって微細に傷つけられた肢体から吹き出す、これまた微細な琥珀色の血液のエアロゾル】
【Amberiteと結合する事でその特性をより強化しあうそれに、少女は己の異能によって干渉を発動する】
【霧に支配された己の周囲の空間に、唐突に琥珀色――電子回路を思わせる幾何学模様が空中に生成】
【相手の血液の釘とぶつかり合い、回路を釘に纏わり付かせる事で支配率の奪取を試み、奪取が出来なくともその攻撃の妨害を試行する】

「…………奥の手。……その力は危険。
――――君はまだ死ぬべきではない。故に――止めさせてもらおう。
六罪王アンバーブラッド=Bエインセル・アンバライト=Eゼラズニイが」

【少女は、霧と釘の拮抗の奥。全身から琥珀色の液体を染み出させながら、ようやく己の名前を名乗る】
【手を車椅子にすべらせると、車椅子が変形し――酸素マスクを少女の顔に装着、各種輸液類を肉体に接続】
【背部や神経系と直結するように肉体に組み込まれたコネクタのロックを解除し、車椅子から展開されたケーブルと肉体を接続する】


――――《- Going for the One -》


【唐突に少女の肉体がシャットダウン≠キる】
【心臓が鼓動を打つなど、反射的な最低限の動作以外の総てに、脳の機能が裂かれていく】
【深い傷。そして、その状態での生命維持活動の放棄。これが心身に与えるダメージは非常に大きなものとなる】
【意志の消えた琥珀の瞳の観測する先に生まれるNULL=B直径10cmの値の入らぬ虚無の球体が、唐突に少女の目の前に生成されていた】

【霧と釘の拮抗が崩れ始め、少女の頬や腕の皮膚を引き裂き、貫きつつ有るこの状況】

【感情をシャットダウンした少女が浮かべていたのは――微笑みだった】
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 19:33:22.53 ID:zQpI54Nro
>>340
/*遅れました申し訳ございません!晩ご飯は鴨南蛮でした*/
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 19:40:26.39 ID:nswdKiI00
>>341

【疑って掛かれば、総て怪しく見えるものだ。】
【紅い瞳は血色に見える。口の周りは血に照って見える。漂う酒臭は血の香りに思える。】

【目の前の愉快げな童女が、人の命を喰らう、怪異に見える。】
【とはいえ、それは思い込み。】

鏡の中の私はナイスバディの生娘に見えるよ。けろ。
さておき、子供でない証明だと?

【暫し、悩む素振りを見せる。】
【思い立ったのは、10秒ほど悩んだ後である。あるいはもったいぶっただけかもしれぬ。】

そもそもニンゲンの成体(オトナ)とは何だ?
年食ってて背が高くて腕力が強けりゃいいのなら、私ゃあ子供だ。オタマジャクシだ。けろ。

【つまるところ、答えの無い証明である、と。】
【証明は不可能だと、童女は言ったのだ。屁理屈とも言える。】

ああ……中を見せるのは吝かでもないが、つまらんぞ? げこ。

【その上で、貴方の要望には、どうやら答えるらしい。太っ腹なのかもしれない。】
【風呂敷包みを地面に降ろす。】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/14(月) 19:51:32.86 ID:A1hLrQ/v0
550 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 10:14:28.14 ID:72cvYs7A0
谷山の新キャラメイザースみたいだな
これで能力者に良い悪キャラ使いが増えればいいが……

551 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 11:37:58.24 ID:A08qM97bI
だからバレバレの自演はやめろって

552 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 11:41:09.47 ID:30MbOw670
谷山は下手じゃないが自演が目に付いてキモい

553 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 14:54:44.19 ID:t+4kY8Si0
谷山は上手い それで十分だろう

554 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 15:18:07.69 ID:A08qM97bI
技術諸々より飽き性がヤバイ
ついに某所でも中核設定に踏み込んだし、いらん設定増やしてから消えるだろう

555 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 15:41:05.18 ID:wb/1TY6R0
あの放置クセさえなんとかすれば上手いと言ってもいい
だが放置クセがスキル全部ひっくりかえしてクソヤローだ

556 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 16:28:28.17 ID:WMZGDHW30
自分が居た証拠を残すかのごとく設定を作って消えるんだよなー・・・・・
正直反対されてても無理矢理おいてくし使わなくなる設定ばっかでせめて畳んで消えろって感じ

ロールが下手とは思わんけど無理矢理な拾い方目立って俺は好きじゃなかった
なりきりはなんでも拾えばいいってもんじゃないってことを理解すべき
とついでに知識の押し売りは正直迷惑
まあこっちはどこかの放置管理人と違ってめちゃくちゃ目立つわけでないんだが

557 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 16:31:28.22 ID:FTWUOjfY0
主人公ですみたいな空気出してるキャラが本当に受け付けない

558 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 17:40:08.69 ID:A08qM97bI
>>556
あいつは相手の返レスの前に先行して大まかな文を書いているらしいからな
それを合わせるために無理やりな拾い方になるのも当然

559 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 18:16:50.80 ID:r8dJyyKY0
>>558
言いたいことは分かるけどそれはおかしいよな
お前に言うわけじゃないんだがそりゃ自分勝手が過ぎる
というか予想して書くのが悪いとは言わんが予想して書いたのが外れたものを投下するのはやめた方が良いと思った。すれ違い過ぎてるの見てると他人から見ても楽しくねえ

560 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 18:29:20.69 ID:yYJLf5j5i
そこまでちぐはぐか?
キャラがあざといのと飽き性なのは間違いないが、ロール見てもよくわからん

561 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/14(月) 18:43:31.02 ID:HrkoONYo0
そもそもキャラがあざとい時点でゴミ
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/14(月) 19:53:46.03 ID:A1hLrQ/v0
137 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/09/30(月) 23:12:29.32 ID:B/ZuH5N+0
ラギのロールは妙に大袈裟で気持ち悪い

138 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/09/30(月) 23:16:01.92 ID:i+oXPqxt0
ロウさんもラギもお前ら叩くけど
だったら他にめぼしい上手い奴居るのかよ

139 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/09/30(月) 23:17:59.16 ID:HJ6qd7K00
んなもん全員消えただろ

140 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/09/30(月) 23:22:48.04 ID:wF2Obq1Ii
鈴音はキャラさえマシならシェン超えの読ませる文章力と表現力なんだがな
セシル程度の中文に付き合ってやってるのが不思議な位だが赤木よりはマシか

141 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/09/30(月) 23:44:14.03 ID:fclevUqz0
ちらっと古巣を覗いて見たが今のなりきりはあれなのか永遠と自分の動作の説明をせにゃあかんのか

行動描写だけじゃダメなのか?

142 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/09/30(月) 23:55:06.07 ID:kBKmxnr30
心理描写が大事だってさっきから言ってんだろいい加減にしろ

143 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/09/30(月) 23:59:50.58 ID:A5KjmGeW0
基本ロールなんて相手しか読まないのにどうしてゴッテゴテの装飾付けるんだろう
むしろいかに分かりやすく相手に行動と心理描写を伝える方が大事なんじゃないのか
長い上に余計な飾りがぶら下がる文なんて読む側は負担だろ

144 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 00:05:31.65 ID:wWsUAsVA0
そんなあなたに魔法世界

145 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 00:06:42.31 ID:x2iFdtS20
本当にそれがいいなら見たそう言うした系のマグロが大人気だろうな

146 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 00:09:32.56 ID:B3LdBlTb0
>>140
キャラまともでもシェン以上はなくないか
長文なほど上手いとか思ってるように見えてしまう
もしくは自演か

147 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 00:35:04.90 ID:otGp07xW0
シェンはTwitterがなあ

148 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 00:37:24.54 ID:7Rh/Is+10
今のご時世上手いやつより気配りが出来る奴の方が重宝されるけどな
リアルでもなりきりでも

149 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 01:57:50.62 ID:KmkJSMs+0
お前らの言う上手い奴は総じてクドいだけ
一人で小説書いてろって奴を上手い上手いと騒いでる辺り
ここで愚痴ってる奴の中身が伺えるわ

150 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 02:15:30.77 ID:wbucZLU20
読みやすい文章を書いてる奴らの方が結果として面白いロールをしてる
谷山や院長とか検定や深層みたいなのははっきり言って読みづらいし展開がイマイチ
持ち上げてるのが身内ってすぐわかるんだよなあれ
時間かけてもいいけど凝った文章(自己満足)になるならやめるべきだな

ただ長い文章書いてたらいいってもんじゃない
まあかといって何書いてるかわからんほど短文でも困るが
じゃあ誰がうまいって言われても身内認定になるので言わんけどここでの上手いが>>149のクドいだけっていうのは同意
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/14(月) 19:54:40.41 ID:A1hLrQ/v0
151 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 02:18:29.30 ID:z4V1k4bA0
逆に今までの歴史で真にいい文章買いてたのって誰?サージとか?

152 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 02:25:58.24 ID:kGbNZzEL0
ラギと個人は似ているものがある

気持ち悪さと自分語り

153 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 02:30:38.91 ID:wbucZLU20
身内以外お断り傾向とかな

154 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 04:56:54.20 ID:QrFh2wJMi
>>149
ネタだろうとなんだろうと、永遠ととか書いちゃう輩がいるようなところですしレベルはお察し

155 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 07:45:35.13 ID:VQsJhwwe0
【】の代わりに()使ってる奴何なの

156 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 08:22:31.44 ID:Qp2ItO4p0
そういやそいつ相手にはラギが嬉々として【】使えとか言い出さないな

157 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 12:04:32.33 ID:Ud4I+i6Li
シェンや悦那、シャローム位が読みやすい
ハブ酒もいかに短くまとめられるかに重点置いてたしな

158 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 12:46:57.42 ID:LgZ2dzbjO
逆に何であそこ【】強制なんだ?
なんとなく気持ち悪かったから結局一度もあそこには参加しなかったわ

159 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 12:51:14.38 ID:ivrcyYlli
昔からああいう形式でやってて、特にあの形式やめる理由も無いからじゃねえの?

160 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 13:00:13.07 ID:V0X3dteq0
地の文と心理描写やセリフを分かりやすくするために統一してるんじゃないの?
そこまで深い理由があるかは知らないけど

161 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 13:08:39.69 ID:1AcD95FfO
改行や括弧を一切使ってないならまだしも流石に台詞と地の文は分かるわな

162 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 14:03:34.47 ID:AhN0UbyW0
【】使わないだけで叩かれるとかちょっと気持ち悪すぎ、叩いてる奴が

163 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2013/10/01(火) 15:25:46.47 ID:0PgSW78J0
大多数が【】使ってるのにわざわざ別の表現使う方が意味わからないけど
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/14(月) 19:57:07.09 ID:A1hLrQ/v0
どうせ見てるんだろ? シェンとかロウさんとか来いよ
邪気眼、厨二、ファンタジー系なりきりのゴミ溜め
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/net/1380209308/
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349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 20:01:53.62 ID:rCnHTpsLo
>>342

【桃と朱の織り交ざった髪は黒混じりの赤となって、将校服は血で染まり】
【それが全て己の出血であれば既に致死量だが――白い部分を探すほうが難しい】

【マントはボロボロに裂け、髪はツインテールにしていたのが解けている】
【全身が赤、朱、紅―――真っ赤に身を染めた彼女に、マトモな自我は見て取れない】
【それでも尚刀を持っているのは恐らく、その刀こそが異常な事態の元凶という証左】

【――霧と釘が拮抗する。血の釘が形を失わないのは、ソレが能力だからだろう】
【供給源は女性の生命を削って生成する血液、継続性は抜群だ】
【けれども、中々霧を貫けない。焦れたか、魔の雰囲気を濃密に漂わせながら唸りを上げ】


  ―――――ク゛ッ、ォオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッッ――オ゛オ゛オ゛ッ!!!


【本来動いてはいけない状態であるにも関わらず、血を振りまきながら駆けていく】
【マントから、袖から、腕から刀から。周囲四方に散らされる血液は路地裏を朱に染め】

【そして、これらも全てが釘に変化して少女を目指し、霧を貫かんと押し寄せる】
【女性自身もまた、左腕をだらりと垂らし――相手がうなだれたのを好機と見て】
【無数の血釘と共に距離を詰めて、荒々しい斬撃を一つ見舞って、相手を車椅子ごと両断しようとするだろう】

【最早言うまでも無いが――その野生の鬼の如き姿には、数えきれぬほどの隙がある】
【接近も、何の躊躇いもなく正面から。攻撃性は脅威だが、防御は薄氷の如くであった】

/>>343お帰りなさいませっ!自分もこの時間でカレー頂いちゃったんで問題無いですよー!
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 20:10:27.71 ID:zQpI54Nro
>>349
【霧の維持に裂く脳機能すら失われた現状――少女の肉体を護るすべはもはや無い】
【少女の肉体に無数の風穴を開けながら、少女の目の前の『  』に、様々な要素が組み込まれ続ける】
【高温を代入し、直径10cmからこぼれ出させることで血液の釘を蒸発させ、その好きにさらなる要素を代入し続けていく】

【光の失われた眦が、接近する相手を認識する。その時点で、少女の代入は終了していた】
【目の前に女が剣を振りかぶった瞬間に。少女の前の前のNULL≠ェ消失し、その座標を変更する】
【少女の思考回路が整然と決定するその出現座標は――――――】

  ―――― 《-    COMPLEAT    -》 ――――

【――――相手の右腕。その手首辺りだ】
【相手のおもいっきり振りかぶったすきだらけの腕、視界から外れただろう全力の振りかぶり】
【その振り戻しの瞬間に。振り戻す地点に、10cmの球体は生成された。与えられた性質は爆砕=z
【相手の手首付近に爆風を生じさせることで、相手の手から剣を取り落とさせ、無力化するのが目的であった】

「――――ッ…………あ……ッ」

【そして、直後に車椅子はその出力の全開を持ってして、後方へと高速の移動】
【琥珀色に染まりきった衣服と、ズタズタに避けた奥から見える白磁の肌のコントラストは、人間離れしていた】
【ようやく光が戻りつつ有る双眸を細めて――おのれの行動の帰結を、確認せんと】
【最後の一本だけ、ぴんと張った意志の糸で意識を保ち―――穴だらけの車椅子に、背中を預けていた】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 20:15:28.25 ID:mQ9c8vV60
>>344


……大人である事自体に、特に意味はねーな。

ただ周りのヤツが、『お前は大人だ、』っつったら、"大人"。
図体がやたらデカい奴でも、そう思われねーなら、そいつは子供。………ってことだ。

ま、生まれて20年経てば大人になれるっつー、下らねー考え方もあんだけどな。
其れは大人っつーより……いや、なんでもねーわ。


【"大人"とは悪魔で称号であり、其れを得る為には、社会的な承認が必要なのだと少年は説く。】
【不鮮明で不透明な"大人"という概念の定義を、"称号"であると位置付ける事で、証明を可能にする―――】
【つまりは、『自分が大人である事を、俺に納得させろ、』という内容を言いたかった様だ。―――果たして、伝わっただろうか。】


……うし、じゃ、持ち物検査、だなー。どれどれ……―――?


【彼女が背負っていた荷物。其の結び目を一つ一つ、丁寧に解いて―――】
【どちらかと言えば、ノリノリだった。少年の話し方からも、其れはきっと読み取れた事だろう。】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 20:22:55.13 ID:rCnHTpsLo
>>350

【もらった=\――脳裏に浮かぶその言葉。しかし振るった腕には】
【――そう、刀が無い。恐らくは女性の身体を支配し、確実に魔としていた存在が】

【ザンッ!と背後の石畳に突き刺さり、爆砕≠ノよって爆ぜたはずの手首はと言えば】
【本来その先が失われても可笑しくはないというのに、まだ妖刀の名残があるのか】
【さらなる出血こそ在ったけれども、まだ確かに付いていて】


―――カ…ガ、ァアア……!グゥウウウウウウウッ、ッ……!!


【崩れ落ちるのは、膝から。びちゃりと音を立てて、やがてうつ伏せに倒れれば】
【まるで手品のように頭髪の黒赤が、元も桃赤へと色を変えていく】

【―――そして、起き上がることはない。帽子が脱げ落ち、表情が顕になるが】
【まだ子供にも思える女性は明らかに気絶していて、刀は遠くに刺さったままであり】
【つまり、また理から外れた事態は起き得ないという―――ソレが、事の次第だった】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/14(月) 20:26:11.77 ID:a1AKzc2yo

【天下一武道会 準々決勝】

【自分へと飛んでくる歓声が前回とは違った。理由は明白―――前の試合で前大会準優勝のソニアを破ったからであろう】
【民の希望UTであり、実力者であり、そして愛らしい容姿を持つ。そんな彼女を倒した彼には注目が良い意味でも悪い意味でも集まっていたようで】
【―――今、フィールドの中央に凝然として彫塑の如く佇立している彼、マーシャル・T・ロウは少しばかりの冷たく鋭い視線が突き刺さるのを感じていた】
【……おそらくソニアのファン、そして酒場などで彼女に賭けていた客の視線だろう。―――少しだけ気分は、プロレスのヒール役だった】

……別に悪いことしてないのになァ。ま、そーんな客達には「悪い」けど―――俺、勝っちゃうぜ?
正直やりたくねー相手だし……こりゃ大怪我間違いないだろうけどよォ

……―――対策はそれなりにしてきた。試合前に出来る限りの事を尽くしたつもりだ……!

【自分はあるハンデを抱えている。―――ジーンズに隠れた右足首には包帯が何重にもなって巻かれているのは、右アキレス腱断裂の古傷のせい】
【……つまり彼は満足に走れないのだ。その中で勝ち上がって来れたのは、その超絶銃技とゲームメイクをする頭脳、相手への対策―――そして】
【彼が首からぶら下げている、銀の籠に砂色の光る宝玉を閉じ込めたデザインのペンダント。宝玉の力をここぞという時に借りて彼は勝利をもぎ取って来た】
【深い紺碧の瞳は落ち着いており、これまでの2戦とは心持ちが違う。あの2戦は喩えるならば焔、今回は水。情熱よりかは、冷静が勝る心情】

……やることやったからか、妙に落ち着いてやがる
なぁ―――柿奈……だったよな。ハンマーぶん回すおっそろしい女の子の。……俺貧弱だからさ、んなもん直撃したら一発で終了だ
―――ってことで食らう気はナッシング、つまり……俺の手の中で踊ってもらう

【パワーは勿論、いくら相手が重い武器を持っているとは言えスピードでも恐らく劣る。身体能力の遅れは、能力と戦略で埋めるしか無い】
【―――繊細な立ち回りが求められ、プレッシャーも重く伸し掛かる闘い。其れでも心の何処かに闘いを愉しむ純粋な少年のような感情があった】

……っふぅ。―――よし……じゃあ、始めようぜ。
―――ベストバウト賞に輝くような、最高の闘いってヤツをなぁッッ!!
(相手はハンマー……食らったらお陀仏。狙いは大きく分けて3つ……まずは背中。ハンマーを持ち上げるには強い背筋が必須……そこを弱らせればデカイ)
(その次に足……あんな重いモン支えてるんだ、足に当てた時のリターンは大きいと推測できる。最後に手……握力さえ潰せば一番デカイが、狙いは小さめなのがキズ)
(―――1発目を弾かせて2発目で狙う……! 破壊力グンバツだが器用じゃねぇのがハンマー、つまりしっかり1発目で振らせれば行けるか……?)

【右肩にSCARLETの紋章がついた白シャツを正し、その上に着ている灰色のジレの埃をぱんぱん、と払う。トレードマークの青のソフト帽をしっかりと被る】
【ふぅ、と1つ息を吐けば眼光に鋭い煌きを灯し、右手に朱、左手に青の銃を具現化する。頭の中を数多の戦略で埋め尽くせば―――準備完了だ】

(……ま、こんだけ考えても思い通りには行くわけ無いんですがねぇ……!!)

/柿奈の方お願いします!
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/14(月) 20:27:15.05 ID:zQpI54Nro
>>352
「――――通った、か。
名を問うことは出来なかったし、覚えても居ないだろうが。
――君とも恐らくまた出会う。その邂逅、それが君を屠る時だろう。
まだ機ではない。故に――さらばだ」

【穴だらけの身体を、琥珀色の物質で埋めながら、周囲に乳白色の霧を生成していく】
【――霧の向こうから生まれるのは、琥珀色の光】
【光が止む頃には少女の姿は失われていて。名残として残っていたのは、琥珀色の電子回路を思わせる幾何学模様だけ】
【辺りの大惨事の説明をどうつけるかは分からない。だが少なくとも――双方の絶命は、起こらなかった】
【それだけが、この場に残った事実であった】

/*お疲れ様でしたー!楽しかったのですよー!*/
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 20:39:21.79 ID:nswdKiI00
>>351

なるほどな。けろ。

【噛み締めるように、数度頷く。】
【新たな知識を得た、という様相ではない……『興味深い』、そう感じたのか。】

そうなると私は、子供(オタマ)なのかもしれん。
なんせ生まれてこの方、大人っぽいと言われてないぞ。げこ。

つまり、まあ、負けだ。
けろけろ……この私を、子供扱いするがいいぞ。

【奥底の真意は分からないが、童女に証明の手段は無い。】
【つまり少なくとも、この邂逅においては、童女は未成熟な子供に過ぎないということ。】

【『お使い』帰りの風呂敷包みが開かれる。】
【中身は様々だが……】

ほとんど酒とか、食いもんだぞ。けろけろ。
……とはいえ、勿論違法品だらけだがな。食ったことあるか、これ。げこ。

【適当に積み上げて差し出したのは木製の箱。】
【一言、『希少肉』とだけ書かれているのがやけに寒気を誘う。】

【他にも】
【雑多にパック詰めされた、何かの目玉らしきもの】
【あるいは、ラベルに書かれた文字が見えないほど古い酒瓶に】
【如何にも怪しい、極彩色の液体が入った小瓶】

【……挙げるとキリが無い。ブラックマーケットの闇である。】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/14(月) 20:40:55.00 ID:rCnHTpsLo
>>354

【少女の――六罪王の言葉に応える、その一言すらも其処にはない】
【UTに所属する女性、彼女は倒れたままで、光が消えるまでそうだった】


 「―――行ったようですよ、ストム卿。ええ、先ほどお伝えした……」
 「そう、六罪王だそうで。他の方ほどの圧倒的な力、という感じは有りませんでしたが」
 「どちらかと言うと個人よりも集団戦や指揮に向く方、と私は見ます。」

 「……そうですね。その上で、アンジェル・ベルジュロンを最終的に倒す辺りは」
 「可能な限り、接触を避けたいところです。……似ている?冗談は止めて下さい、では。」

……さて、アンジェル・ベルジュロン。貴女には死んでいただいては困ります
例え六罪王相手の名誉の戦死であっても、此処でそうなっては意味が無い
私の主人が望むように……もう暫く、記録を紡いで頂かなければ―――、――。


【―――数日後、病院で目を覚ました女性の脳裏に焼き付いていたのは一つの肩書】
【それを直ぐ様UTの情報網で伝えたのは言うまでもなく。また、彼女個人としてはもうひとつ】
【真っ赤に染まった何かの記憶も脳内にこびり着いていて――苦い思いが、残っていた。】

/お疲れ様でしたー!
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/14(月) 20:50:15.87 ID:9BdpZwGVo
>>353

【ロウ、という男だったか。彼に向かって投げ込まれる異物の一つが、ブーイング混じりの歓声に紛れて。ステージに上がった女の足元にころころと転がってくる】
【へこんだ空き缶だった。拾い上げて場外へ投げると、中身が残っていたのか炭酸飲料がわずかに飛び散る】
【これほどの熱気だ。モラルも何も吹っ飛ぶ輩もいるだろう。会場に踏み込んでこないだけましか。そんな勇気のある連中もいないのか】
【余り騒がしい空間を好まない彼女にも、正直余り喜ばしい環境ではないが。どうやら会場の流れは、彼女の全く関係ない原因で彼女に傾いているらしい】

いやぁ、熱心だねぇ…
よくやるよぉ、そのケガでさ

相当勝ちたいみたいだねぇ。私のことも割と研究?というか観察?してるみたいだし

【赤みを帯びた、ボリュームのあるブロンズの髪。毛先はあちこち丸まっていて、どこか羊のような雰囲気を思わせる】
【背中には一回戦と同じように彼女の背丈ほどある金槌。プラスチックに赤と桃井との塗料をぶちまけたような柄】
【その側面にはやたら曲線じみたアルファベット大文字で”N”と描かれていて】
【試合開始直前だというのに少しも落ち着く様子のない観客席からの圧力にげんなりと、タレ目をさらに垂らしながら】

まぁまぁ、考えてることはわかるよ。

【かつ、と一歩歩き出す。右肩に見える紋章は新設された正義組織のものだったか。まぁ、彼女には関係のない話】
【何もせずとも、しばらく楽して暮らせるお金を目の前にちらつかされて、善も悪も関係あるものか】
【相手が怪我人だからって、怠惰のためには何のその。夢のある惰眠生活をおくる。彼はそのために乗り越える単なる対戦相手だ】

でも、私も、ね……?

拳銃相手にさぁ、好き勝手やらせるわけには。いかないんだ



【緩慢な動きでもたもたとハンマーの頭を持ち上げると、試合開始の合図と同時に】
【ロウへと向けた】

【カチ。と、ハンマーの”N”と描かれた逆側の側面に、”3”の数字】
【ぶわり、と身につけたブレザーとスカートがたなびく】

ねっ!!!

【それと同時に、ハンマーの柄が勢いよく伸び。その頭がロウへと迫った】
【数字が現れたと同時に頭の部分は、全体の3分の2ほどであったおおよそ3分の1ほどまでに縮め】
【その横幅も狭まっている。準々決勝。女はいきなりの先制攻撃を選んだ。理由は単純。先手を取らせていい武器。相手じゃぁないから】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/14(月) 21:20:38.28 ID:a1AKzc2yo
>>357

流石にここまで来たら足の怪我バレてるか……そりゃあ、相当勝ちたいさ。あ、でも別に金が欲しいとか賞品に目当てのモノがあるとかじゃないぜ?
―――単純に、勝利が欲しい。……―――そこに関しては誰よりも渇望しているつもりだ

その結果がまぁ研究だったりするわけで。……あとは出来るだけ痛い思いをしたくないってのに限るな、ハハッ

【―――もう既に彼には周りの罵声混じりの声など響かない。つまり「モード」に入ったということで―――周りの空気が、急に張り詰める】
【そして存在感を出す大きな金槌に、勝利を求める紺碧の瞳が注目する。言葉でもあったように、彼が最も警戒しているのがその得物】
【……取り敢えず、距離を離せば安心―――との思考から、合図とともに男は2,3歩下がり銃を相手へと向けた】

【―――まだ合図の音が完全に消え去る前に、先程の思考が改めさせられることになった】

……―――うぉおっ!? こんなの知らねぇぞオイッッ……―――ッグ、ォォっっ……!!

【間合いの差を瞬時に埋める攻撃。―――完全に不覚を取られた形となり重い一撃が鳩尾に突き刺さる】
【―――そのまま男は後方に吹っ飛び宙を舞うが、その瞬間男は右手を背中に回し、銃口を股下に向けて発砲した】
【……跳弾。彼を最もシンプルに語るならこの言葉だろう。弾丸は股下の石畳の隣接し合う部分の溝に当たり跳ね返る】
【―――そして腕を背中に回して発砲したことによって銃口角度が見えず、弾丸の軌道が読まれにくい工夫となり―――その跳弾が彼女の右足に飛来していた】

……っぐ、っげっほ……!! ―――くっそ、ゲン担ぎに食ったカツ丼リバースしそうだぜ……!!

【―――背中から石畳に落ちたことによる衝撃と、鳩尾にくる痛みにより苦しそうに嗚咽するロウ。……腹筋の奥にまで響く痛みは決して軽いものではなく】
【……なんとか立ち上がった時に彼の背中が丸くなっていることからもその威力を物語ることが出来た。―――これからの動きに影響がなければ良いが】
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 21:25:06.74 ID:mQ9c8vV60
>>355

―――………これ、何の肉なんだよ……箱入りっつ―事は、それなりの、なんだろーけどよ……
うっわ……何年物だよ、これ……―――磨り減って、ラベル見えねーって、相当、だろ……


【謎の肉に、一文字目と最後の文字しか見えないラベルが貼り付けられた酒瓶。】
【その中身は当然、酒の筈なのだが―――最早、其れさえ疑わしい。】

【―――端的に述べるなら、"ドン引き"だった。其の品物に対して、では無く―――】
【此の目の前の少女が、其れを購入したという事実に対して、である。】
【勿論、"お使い"と揶揄したのは、飽くまで冗談だった。だからこそ、一層其れは引き立って―――。】


あー………大体わかった。もういい、適当に片付けとくぞ……―――?


【丁度半球形に成るように、即ち、畳んだ時の風呂敷の形にピッタリと合う様に、】
【少年は散らばった違法物を、パズルの様に並べ、組み立てていって―――】
【相対する四角形の頂点同士を手にとれば、キュッと2回、結び目を作る事だろう。】

【少し後ろに下がっては、其れを取り囲む様に回りながら完成物を見て。】
【―――中々、良い出来。最初に比べると、其の形は随分、理想に近づいた様だ。】
【其の満足も適当に、少年は持ち手を掬い上げる様に取って。ハイ、と手渡す事だろう。】

【今、此の少年は彼女に対して、少なくとも子供扱いをする事は無い。其れ所か寧ろ――。】


………そろそろ、か。じゃ、俺もう行くから……―――あ、まだ何かあんなら、今の内、言っとけよ。
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/14(月) 21:36:53.69 ID:Nc4zcJFfo
【裏通り】

【月に薄く雲がかかり、ボンヤリとした光を天から降りるハシゴのように放っている】
【そんな風な雅な天気予報をワイン片手に語り合っているほど程、この街の夜は優雅な夜ではない】

【水の国の華々しいイベントの影では浮かれっぷりに乗じた何かしらの犯罪もガッチリと抜かりなく行われている】
【どっかの企業の成金社長はマフィアと手を組んで武道会目当ての観光客相手にイカサマ賭博で荒稼ぎしてたもんだから】
【不殺と義賊の旗の下で世を夜な夜な宜しくと賑わせる強盗団にアガリをパクられるわ悪事が新聞の一面に乗っちまうわで】
【そんなこんなで怒り心頭の社長は裏でヒットマンを募集し、表では自警団が一応犯罪ということで社長を捕まえてから強盗団も捜査している】
【そいつは赤い目をして赤いバンダナで顔を隠すらしい。手配名は『Cinzano the "rosso"』】
【強盗に酒の名前をつけるなんざ粋なへべれけ自警団員も居たもんだ】

【閑話休題。場所はそんな賑わう街の通りへと移る…】
【屋台が立ち並び、露天商は笑顔を惜しまない。行き交う人々も普段より見かけない顔が多い】
【休日の最終日だと暦は言うが、大会中の今はライトアップされた街の陽気を誰が消せようか】

【通りを歩いていると、カサリと脚に何かが絡みつくだろう。それは風に飛ばされてきた紙幣】
【どういうわけかはわからないが血がそれにはほんの少しだけ付着している】
【路地の方を見ると、ジメッとしたアスファルトに紙幣が張り付いていて、それが点々と続いている――】

【――追っていくといつの間にか通りで行き交う車の音もだいぶ遠くに聴こえることだろう】
【室外機の音、ダストボックス…そして雑居ビルの壁に取り付けられたさびだらけの非常階段】
【シリアルキラーやチンピラ、はたまた血みどろの戦闘と鉢合わせするんじゃないかと思うような薄暗い道】

【そして…そこを抜けるとそこは裏通り。表のモダンな雰囲気と違って】
【飲み屋と刺青屋と占い屋のような店ぐらいしかやっていない。20年は取り残されているようだ】
【真新しいのは上書きに上書きを重ねられたビルやシャッターの壁の落書きぐらいである】

【そのフェンスの元に捨てられたように仰向けに転がる人物が居た】
【足元に投げ出された黒いボストンバッグ。微妙に空いたファスナーから大量のクシャクシャの紙幣が見える】
【どうやら、お札を溢れさせる裕福なやつはこの男だったらしい】
【細身の黒いスーツ、白いシャツ、黒いネクタイ。こんなところに行き倒れているぐらいだから汚れている】
【目をつぶったまま動かないため、既に念仏唱えた後かと思いきや急にズリズリと上半身を起こし、フェンス背を預け】
【胸ポケットから煙草の箱を取り出して、ライターを取り出して指を突っ込むが……箱を握りつぶして投げ捨てる】
【ぼんやりしたように目を半分、グロッキーに開く。赤い目だ。白眼は朱く、瞳は黒い。――男は口を開く】

―――……なあ、煙草くれよ
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/14(月) 21:44:41.12 ID:ADuZSwhto
>>360

【月明かりが歪んだ、貴方に被さるように影が傾いた】
【瞼の裏側、シルエットが表情を描く、切り取られた栄月の輪郭を零す】
【――――――貴方の前に立つ一つの形が声を響かせるのだろう】


ごあいにく様、私の世界じゃ未成年は煙草吸っちゃいけないの
校則違反は一杯したけど、そっちの違反はしてないのよ
イメージ商売だからね、見せちゃいけない弱みって一杯あるわ

――――――ほら、落し物、返しに来たわよ
それとお礼の一割、もらいに来たわ


【二日酔いの朝、冷たい水で顔を洗った後、びしょ濡れの顔を包み込むタオルの感触】
【耳元に流れ込むソプラノの音律は、どこまでも涼しげで、それでいて甘くしっとりと蕩けるよう】
【流れ込んだなら耳を伝って頭のなかを洗い流すかのように、響き渡るのだろうか】

【ゴールデンブロンドの華やかな長い髪を蒼の細いリボンでツインテールにして】
【美しいスカイブルーの瞳をした、やや膨らみかけた胸のスリムな少女】
【ピアニストのように細い指先は綺麗に切り揃えられた爪先の淡い桃色を強調する】

【白鍵のように澄んだ肩を露出するような、水色を基調としたゴシック調のキャミソールに】
【かぼちゃパンツに近い白いドロワーズをスカート代わりに纏って】
【白いレースのニーソックスと合わせる形で青いサンダルを履いている】
【両腕の肘より少し上の辺りに黒いレースのアームレットを結んでいた】

【声の主はそんな彼女、右手で拾った紙幣を束ねて、はい、とさし出すだろう】
【静かなスカイブルーは見下ろすような色合いで見下す≠ニはまた違う様相】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 21:45:07.86 ID:nswdKiI00
>>359

なんでも、魔海の……ナントカカントカとかいう……よく知らん種族の肉らしい。けろ。

【要するに何の肉か分からないということ。だが、ロクなものではないだろう。】
【酒瓶については特に触れない。単なる古酒、と考えるのが健全だ。】

【他にも探せばイヤなものが沢山湧いて出て来そうだが……】

けろ? なんだ、もういいのか?
くわっくわっ……ヒいたか? こんなもん買ってた事に。

【自覚はあるが、反省する様子も恥じる様子も無い。】
【風呂敷包みが見事に形成されていく様を、その林檎のような瞳で、じっと見つめる。】

器用なんだね。けろ。どーも。

【どしりと重い風呂敷を受け取り、担ぐ。身体の小ささの割りには、パワフルだ。】
【そうして】

おや、行くのか。引き留めて悪かったな。けろ。
ありがとな、ニンゲン。暇つぶしが出来たよ。けろけろ。

――私は雨読川カエロウ。
縁が会ったらまた会おう、器用なニンゲン。

【去ろうとする貴方を、笑顔で見送るのだった。】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/10/14(月) 21:45:46.97 ID:nswdKiI00
>>362追記
/お疲れ様でした。長期間ありがとうございました。
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/14(月) 21:46:09.57 ID:9BdpZwGVo
>>358

……入ったよ。
まず一発だ。

【半ば強引にひねり出した不意打ちは運良く成功した。全くもって文句のない出だし】
【となれば、接近からの追撃――――と行きたいところだが、至極残念なことに女は常時大質量の金づちを担いでいるため】
【すぐさま駆け出して振りかぶったんでは、いい的だ。引き金を引く。たったそれだけの動作で相手はこちらに攻撃を加えられる】
【例え背中を丸めていようと、だ。隙を与えるな。風穴を開けられたくないなら。女はそう言い聞かせて】

【綺麗に抉られた、右足のふくらはぎ辺りから響き渡る痛み。じんわりと血の滲む暖かさに歯を食いしばりながら】
【伸ばされたままのハンマーの柄を握り締める】

(弱ったなぁ。見えない…私じゃ、あれ避けるの無理そうだね)

【予想通り、ただでさえ自身の挙動の速さには自信の無い女は。ましてや跳弾した銃弾など避けるすべもない】
【金槌の頭を盾にしようにも、おそらく軌道を読んでいるうちに、着弾だろう。それなら答えは一つ】
【殺したほうが負ける、というルールが幸いしたのか。相手が狙ったのは軸となる足。動きは鈍ろうが関係ない。まだ動ける】

【足のふんばりが効かなくなる前に、こっちが穴だらけにされる前に―――――相手を殴り潰すのみだ!】

せぇっぇえい………


…やぁぁぁ〜〜〜あぁああああ!

【無茶苦茶な強弱と適当で気の抜ける叫び声。しかし傍から見れば笑いもの。情けないこれ精一杯自身を焚きつける咆哮だ】
【柄が長くなればその分、扱いづらくなる。もうひと振りだけ。できる限り、ダメージを】
【身体を大きく捻ると、地面に頭をつけていたハンマーは徐々に浮き上がり。起き上がったロウへ向け】
【その脇腹目掛けて、遠心力を精一杯味方につけながら。ふるわれる!】

【一度目の回転。今度はハンマー自体を変化させているわけではなく負傷している女自身が振るっているため】
【速さは先ほどに明らかに落ちている。が、もし直撃したなら。今度は彼女の筋力と、ハンマーの質量がそのまま、ロウへと伸し掛るはずだ】
【つまり、余裕のない女は場外に伸ばすなり、衝撃で気絶させるなり。間違いなくもったいぶらず勝負を早めに決めてしまうつもりだった】

【負けにせよ、勝ちにせよ】

はぁっ……

【視界が点滅する、呼吸が荒くなる】
【高速に回転する景色の中で、吹き出る汗を感じながら。女はわずかな苦笑いを浮かべていた】

365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/14(月) 21:53:53.93 ID:9NCNTB6yo
>>339
/ID変わりますが今一度募集させてもらいまする
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 22:21:35.55 ID:mQ9c8vV60
>>363

ういうい、じゃ―――

………ああ、俺はねこむらっつーんだけど……覚えなくていいからな。

【少年は身体の向きを変えないままに、簡単な自己紹介をする。】
【覚えなくていい―――という台詞は、最後に放たれた冗談だろうか。】

【再び持ち上げられた此の右足を、もう止められる事は無いのだろう。】
【だからこそ、其れはシッカリと踏み込まれた一歩、確信を如実に表すかの様な一歩であって―――】
【見送っているであろう彼女に、フラッと右手を上げて返事をしたなら、少年は再び、奥へ奥へと歩み出すのだ。】

【さて、かの少女が見る事が出来るのは、只、少年の後ろ姿。】
【果たして其の影は、少女の目にどう映ったのだろうか――。初めと異なって見えたのだろうか――。】
【其の真偽もきっと、ブラックマーケットに潜む闇の中へ、葬られるのだろう。其れ故、少年は晴れ渡った表情を見せていた。】


/お疲れ様でしたー!またお願いします!
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/14(月) 22:22:36.48 ID:a1AKzc2yo
>>364

―――……ったく、如意棒じゃねーんだから……っ痛ゥッ……!!

【息が荒く、明らかに肩で息をしている。やはり強烈なハンマーの一撃、彼の身体にはその衝撃が大きく響いて】
【―――鈍い痛みが骨にまで響く感覚が徐々に強くなっていることから、もしかしたら肋骨が何本か折れているかも知れない】
【……つまり、此方も早期決着を望んでいると言う事だった。―――望んでいるからと言って、其れが上手くいくかとは限らないが】

―――……っ!! そのまま振り回すって―――〜〜〜ッッ!! どんな怪力持ってやがんだぁぁぁッッ!?
(氷の盾……いや、簡単に砕かれる……!! 此処で一勝負賭けて見るってか……!!)

【圧倒的なリーチと威力を誇る攻撃。……相手の動きは緩慢だが、此方は其れを越える緩慢なフットワーク。……躱すのは正直難しい】
【―――だが、足は遅くとも手は速い。 つまり銃撃による迎撃を試みたのだ。―――だが、彼の銃撃にハンマーを跳ね返す力は無い】
            【……ならどうするか? 答えはコレだ―――ハンマーを……弾くッッッ!!】

【刹那、首元のペンダントが光り―――宝玉の怪しい魔翌力が急に周りへと流れる。そして両手の銃が唸り―――轟音が歓声をかき消す】

……ダブルでいくぜ……!! ―――弾丸憑依Fat man ッッ!! Icarus ッッ!!
―――名付けて、ダブルファングショットぉぉおおおおッッッ!!

【右銃から放たれた弾丸は上方に、左銃から放たれた弾丸は下方に飛ぶ。右銃の弾丸、軌道は柿奈とは全く別だが―――変化は突然始まって】
【弾丸の軌道が急変、弾丸が一気に降下。この弾丸には祖父の霊が乗り移っており、その効果で弾丸の重さは約100kg。つまり威力は抜群】
【―――左銃の弾丸、一見床へ衝突する跳弾に見えるが、この銃弾の軌道も変化を起こす。今度は逆に急浮上し加速。加速分だけ、威力も上昇】

【―――対称的な軌道の2つの弾丸だが、行き着く狙いは同じだ。……彼女がハンマーを握る部分の出来るだけ手元】
【……バットの根元で硬球を捉えれば手に伝わる衝撃が強い、それと同じように―――弾丸をハンマーの根元に当て、最大限の衝撃を彼女の両手にぶつけるつもりだ】

【……マーシャル・T・ロウが彼女の攻撃を捌く方法。それは彼女の手からハンマーを弾く事。つまり彼女の握力との勝負―――】
【―――弾ければ恐らく彼の勝ち。彼女が握ったまま振りきればハンマーが彼の脇腹にヒットして彼の身体が宙を舞い、彼女の勝ち】
【……彼女がハンマーを振り切らなければ、まだまだ試合は続く。―――さて早くも訪れた正念場、此処で決まるかまだまだ死闘は続くか―――?】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/14(月) 22:24:12.99 ID:Nc4zcJFfo
>>361

【男の朱い目は影を見ていた。影を作るモノには目を向けちゃいない】
【立てた膝を曲げて、ぼんやりした様子でソプラノの影を見ていた】
【混じりけのない声は清流のようだ。頭ではそんな陳腐な例えも思いつくが】
【それが何かしらの神経を介して心まで辿り着いていない感じがした】
【なぜだろうか、もっと汚れたものじゃないとザラツイたものじゃないとダメなんだろうか】

……アンタの世界にも煙草があるんなら、そんなの関係ないことさ
単純に…嫌いなんだろ?好きだったなら今頃、別の理由を話してるだろうさ

【ガシャン。と頭をフェンスに預けるとようやっと目の前の少女に目を合わせる】
【街頭に照らされて、声と同じように青い目をしている。そう思った】
【男の目はその紙幣についた血のように赤い。それだけだ】

欲しけりゃ、幾らでも持って行きなよ。…カネなんてどっかの誰かが気分で刷ってるんだから
畑で育つ煙草の方が大事だよ……あと、持ってったら共犯ってことになるからな………取り敢えず、手ぇ貸して
……自販機あるかな

【左手をフェンスについて、右手を差し出す。紙幣は手で払って、差し伸ばしているどうやら立ち上がりたいようだ】
【どうしてもタバコが吸いたいらしい。自嘲気味に男は笑っている】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/14(月) 22:29:52.38 ID:poZgqvkIo
>>339

きれい…………だ。

【紙越しに薄明かりを発する灯籠、その仄かな輝きに引き寄せられたのだろうか】
【光に群がる蛾、にしては少々可愛らしすぎる小さな人影が、男に近寄っていくだろう】

【淡黄色の瞳をきらきらと輝かせて灯籠の光を見つめる、小さな女の子――――】
【濃紺色のインテークヘアを大きなリボンで縛り、頭の後ろでまとめた短いポニーテールの髪型をしていて】
【袖を七分で絞った丈の短い和服の上に、真っ白な分厚いベストを羽織り、小さな手には指無しの黒手袋】
【脚はロングブーツで膝上まで隠れ、僅かに覗く太腿も黒いタイツに覆われて】
【唯一出ている顔も、暗い赤色をした長いマフラーをで口元まで隠れている。極端に肌の露出の少ない、地味な格好だ】

…………おまえが、つくった、のか?

【そんな風体に、背中で漆黒の鞘に収まる二本の刀剣が加われば――――見る者に忍者≠ニいう言葉を想起させるだろうか】
【とは言っても、小首を傾げてそう訊ねる仕草は、どこからどう見ても可愛らしい少女で】
【奇妙な服装から来る不気味さや迫力などは、一切感じられないだろうが】

【マフラーで顔が半分隠れているせいか、くりっとした月色の双眸はやけに大きく見えて】
【そんな少女にどのような言葉を返すかは、男次第だろう】

/まだいらっしゃれば!
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/14(月) 22:36:03.41 ID:ADuZSwhto
>>368

【彼女にもう少しエスプリがあったなら、その目を血走った目とでも表現したのだろうが】
【そんな言葉も浮かばないぐらい、その朱色の瞳は、深い赤を広げていて】
【見とれる、とまではいかないけども、スカイブルーが絡め取られる理由には十分なぐらいに】


――――――鋭いのね、喫煙者ってもっと暴力的で粗野なイメージあったけど
まあ、年頃の女の子にとって、煙草に良いイメージ持ってる方が少ないし
そういう意味でも鋭い≠チて言ってあげようかしら


【言の葉がひらひらと舞う、その一葉一葉に億千にも近い響きが含まれてるかのよう】
【天性の声質は、揺らぐことなきアイデンティティの一片で、霞むこと無い確信にも似て】
【清涼な旋律が零れる度に、貴方へと届く一握になることを願っていた】

【彼女の双眸が貴方を捉えたなら、静かに瞼を細めるのだろう】
【大きな瞳がじとっとその形を歪めると、やや高圧的な態度が緩んで】
【年頃の少女相応の、柔らかな視線が姿をあらわす】


知ってる?煙草の害って側に居る人の方が多く受けるらしいわ
今どき常識よ、常識、小学生だって、諳んじれるぐらいにね

……貸しても良いけど、借りる相手は選んだ方が良いと思うわ
貴方の側の紙束じゃきっと、足りないぐらいにね――――――

それでも良いなら、どうぞおとりになって


【芝居がかった口調、少し遠回りな言い回しに、自嘲気味にクスリと微笑んだ】
【ツインテールの長い髪の毛が、頬を揺らす度に、可愛らしさと大人らしさが交錯して】
【それに合わせるように声色は、どこか媚びるような桃色の音律を響かせるのだろう】

【抜け目なく差し出した紙幣を胸元に仕舞いこんで、貴方の右手を彼女の右手が握ろうとするだろう】
【陶器のようにひんやりとした感触、肌触りはそれでいてカシミアのように滑らかで】
【月光の下、溶けて消えそうなぐらいに白い柔肌が貴方を包み込もうとするのだろうか】

371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 22:38:43.75 ID:mQ9c8vV60
>>360
/まだ、居らっしゃいますでしょうか? お手合わせ願いたい次第で御座います!
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/14(月) 22:55:59.09 ID:9NCNTB6yo
>>369


……


【――目の前に現れた小柄な少女。】
【その服装は、自身のよく知る物――】
【彼の持つ灯籠と発祥の地を同じくする者。】
【心持ち和らいで。小さく笑みを浮かべた。】


おゥよその通りさ、可愛い忍者さん 。危ないからそんな近づくない。
今ならなんと半額タイムサービス実施中だぜ?
君もこれを買って故郷を思いだし、淡い温もりに癒されようじゃねーか。


【この少女は、自身と同じ櫻の国出身なのだろう―― 】
【そう勝手に推測すれば、商売文句を並び立て。】
【灯籠をぶら下げた手を、彼女の方へと伸ばす。】
【"まずは手に持ってみろ"とでも言うように――。】


【――季節柄、数は少なくなってきた、それでも夜の闇をさ迷う蛾 。】
【その一匹が、淡い光源に導かれて灯籠にとまった。】
【写し出された影は、少女の衣服に 可憐な蝶の紋様を写し出す。】

/いますいますッ!よろしゅうたのんます!
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/14(月) 23:04:06.72 ID:9BdpZwGVo
>>367

(また跳弾…それなら狙いは…!?)

【全くもって見当はずれな方向を向く、二つの銃口。相手の攻撃方法は一度見ている。驚く点はそこじゃぁない】
【なによりこの場で回避も防御も取らず、銃撃に打って出たことだ。それはすなわち女の金槌を全身で受け止めることになるはず】
【相撃ち狙いか。勝利への執念故に、敗北を恐れたのか。この考え自体が銃口の向き以上に見当はずれだったわけだが】

【右足と腕に遠慮なくのしかかるハンマーの質量を支えながら回転しているさなか。ましてや銃弾を追うことなどそも不可能】
【さらなる被弾を覚悟したその時、衝撃が走ったのは。胸でも足でも頭部でもない。手元だ】

んぎぃいい………っ!?

【予想だにしない状況に鈍い悲鳴を上げる】
【握力なら筋力についで自身はある、少なくともこのハンマーを扱う際においてはだ。握ったそれを手放さず、不意をつかれようがそのまま押し切れる】
【その銃弾から伝わる振動が、常軌を明らかに逸していなければ。の話】

【力なく勢いを削がれたハンマーは、よろよろと宙を泳ぐように。波を描いたその軌道は着弾の際大きく弾き上げられもはやロウの脇腹には向かっていない】
【足の被弾箇所。麻痺寸前の両手。もはやハンマーを握っている。というよりは触れているだけ】
【わずかに残った勢いに引っ張られているだけ】

………やられたよ。
いや、あはは、さすがだね。

もうさ、右足、動かないや。

【痛みと疲労からか表情はほんのりと青くなっている。元よりの気質か痛みにはタフじゃない】
【回転こそゆらゆら続けているものの、そのまま足を滑らせて仰向けに倒れしまいそうだった。女は意識をつなぎとめて、ハンマーの柄を振るわけでもなくほんのわずかずらすと】
【ロウの頭上ギリギリまでたどり着いた辺りで、放り出すように、手を離す。それと同時に、がくり、と膝を折って。文字通り倒れふした】
『武器の放棄は、目的は降参の意を顕にするため、ではなく――――――そう、単なる』

【ロウへと上げられた表情は微笑んでいる。半ば自嘲気味の意地の悪い笑みだった】

本当はさ、私。こういうのってさ。醜くて鬱陶しいから嫌いなんだけど。
お金のためだしねぇ………よかったらさ、受け取ってよ。


【ぐん、と、ハンマーが。傾きはじめる】
【その頭は肥大化を始めているのだ。側面に浮かんだ数字は”10”。つまり、彼女のハンマーの頭が、最大質量になる状態】
【弾き上げられた際打ち上げられたハンマーは、重力とほんの少しの軌道修正によって】
【ロウのわずか頭上から―――――――――大気を押しのけながら。彼へと落下する】

【ハンマーの数字は上げることはできても、下げることはできない】
【無論最高質量になった今。柄を縮めたところで再び起き上がって振るうことなど不可能】

『――――――悔し紛れの、”大質量の悪あがき”だ』

374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/14(月) 23:04:45.18 ID:Nc4zcJFfo
>>370

まあ、ね……勘だけで生きてきたもんで。勘と煙草でね…
勘と煙草とアルコールと……分かんねえや、一つじゃないってのは分かった

【また男は自嘲気味にだけど表情は陰りのないようなにこやかな笑み】

…年頃のお嬢さんから悪いイメージのために吸ってるわけじゃないからね
…その辺の視線は鈍いのかもな。

【少女の明るい日の差した奥深い静かな森のなかに何千年と流れる小川のような】
【だけど冬の凍てついた空気のような冷たさを持つ唄う声を対照的に】
【男の声はまだそれなりに若いようだが酒と煙草でしゃがれたようになっていた】
【ある人が聞けばそれは渋い声だと評判は良いんだが…今は期待できなさそうだ】

…俺の周りには煙草を吸うヤツのほうが多くてね。おまけに小学生よりバカが半分、小学生並みが半分…
ポイ捨てと喫煙席は守ってるんだ。そっちも妥協を頂きたい

【男は差し出された手を握る。男も同様に冷たい】
【そちらの理由はわからないが。男は貧血だった。だから倒れていた】

借りれるんなら悪魔にだって借りてやるさ…。そっちこそ、貸す相手を選んだほうがいい
……俺に貸しても世界の果てまで逃げちまうよ

【手をとって、立ち上がる。スーツの汚れも男は気にしない】
【立ち上がると手を離して、足元のカバンを雑に引っ掴んで】

何にせよ、まずは煙草を吸わないと頭が回らないんだ…それより、気分が悪いのが一番、悪い
……取り敢えず、一本分ぐらいは風下にでも行くか…家にでも帰りなよ

【男は赤い目であたりを見回す、薄汚れた自販機があることだろう】
【足元をふらつかせ、一歩一歩。大地震の中を歩くように煙草を買いに行く】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/14(月) 23:06:11.85 ID:Nc4zcJFfo
>>371
/既に別の方とロール中でして…すみません!
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/14(月) 23:07:39.80 ID:mQ9c8vV60
>>375
/ぎゃーお恥ずかしい……気が付きませんでした、失礼致しました!
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/14(月) 23:15:48.38 ID:poZgqvkIo
>>372

こどもあつかい、するな…………。
そう…………わたしは、しのび≠ネのだ…………!

【男から少女に向けられた、忠告と言うには小さすぎるちょっとした注意】
【その言葉尻を、幼く見られたと解釈したか。マフラーの下のほっぺたが、ぷくぅ、と膨らんでいて】
【その後、えへんと言わんばかりに胸を張って、得意げな視線を向けるだろう】
【残念ながら、どの仕草をとっても可愛らしい少女から、彼女のいうしのび≠轤オさは感じられないけれど】

こきょう?
…………すなの国≠ナは、こんなもの、みなかったぞ?

【少女は、きょとんと不思議そうに首を傾げる。灯籠の光に浮かぶ柔らかそうな肌は、よく見れば少し浅黒く】
【とはいえ、純粋な砂の国出身者であるなら、こんな櫻に染まった格好などしている道理もない】
【であれば、櫻の国の縁者がいるのか…………あるいはもっと単純に、砂と櫻の血が両方、体に流れているのかもしれない】

【さて、そんなやり取りの中、男が少女から目を離さなければ――――】
【少女の手に突如、がま口の財布が現れるのが見えるだろうか】
【服の中に手を差し入れた様子もなく、それはただ唐突に出現した≠ニしか言えない現象】
【それはいかなる奇術なのか…………それは置いておいて、少女は灯籠を買う気のようだった】

…………おおぉ…………。
すごい…………すごい…………!

【男が提示する額を、少女はその古風な財布から支払えば、それと引き替えに灯籠を受け取るだろう】
【光と陰の蝶々が、少女の地味色な服の上でひらひらと舞えば、少女はかん高い感嘆の声を上げ】
【灯籠の淡い光も目ではないほど、その月色の瞳はらんらんと輝いて、心の色を素直に映し出すのだろう】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/14(月) 23:19:18.72 ID:ADuZSwhto
>>374

【飄々とした男だ、と彼女は心のなかで貴方をそう形容するのだろう】
【かつて会ったネームレスという名の男もまた、掴みどころを感じさせない男であったが】
【目の前の貴方もそう、どこか余裕を持った、佇まいのようで】


(……この世界の男って、こういうタイプばっかりなのかしら……
あー……前言撤回、うん、確かにそうじゃないタイプもいるけどさ)


【にこやかな笑み、よく見れば整った良い顔たちなのであろう】
【少なくとも嫌悪感は抱かなかった、むしろ少女からしてみれば好印象とも言えよう】
【頭のなかで逡巡するのは、また別の感覚なのだろうが」


まあアンタが煙草にどんなイメージを持とうが勝手だけど
少なくとも私は自分の生命を削ってまで嗜む価値があるとは思えないわ
……あと息臭くなるしさ


【そう言ってふふん、と口角を僅かに歪ませて微笑むのだろう】
【小悪魔めいた微笑み、愛らしさの中に一杯のいじわるを含んだ笑みの形】
【ツインテールの髪の毛先が夜に紛れたならば、その細いラインを削りとって】

【貴方を立ち上がらせたなら、視線を上へと上げるのだろう、スーツの汚れが目についた】
【見れば見るほどに、素の貴方に対して興味が湧いてきた】
【それは少女としての異性を見る目が半分と、年上を見る目が半分ぐらい】


はいはい、周りが吸ってるから自分も吸うっていうのは理由にならないと思うわ
……まあ嫌煙トークはここまで、吸った事が無い以上ね私にはこれ以上は言えないわ


【――――――そこまで言葉を紡いだなら、ぱっと貴方から手を離して】
【一歩二歩と流れるような足取りで自販機に向かって、煙草を買うのだろう】
【最短距離を歩く彼女の腰の動き、それこそまるでモデルのように、何の乱れもなくて】

【自販機の側に立ちながら、はい、と貴方へと煙草の箱を投げるだろう】
【先ほどまで貴方が吸っていたものと同じ銘柄、恐らく先ほどの一瞬で観察していたのだろう】
【くるりと貴方に向き直ったなら、その整った横顔を滲ませた】
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/14(月) 23:32:48.94 ID:9NCNTB6yo
>>377


ふはは、まあ俺も忍術くらいなら使えるがな。


【得意げな様子に思わず笑い声あげながら、】
【と言ってもそれは馬鹿にしているものではなく…、】
【――快活なのだろう、性格が。最後に一息、煙を吐く。】

【――はてさて、彼は忍術くらいなら使えると述べた。】
【その真偽はさておきとして、彼はその予想外の言葉に、思わず目を見開いたのだった。】


砂の国ィ ? まてまてそれは忍コスチュームだろ?
それ即ち忍者、つまり櫻の国だろう??


【事情がある――といちいち思わない。】
【金を受け取りながら突如として沸き上がる疑問を、少女にそのままぶつけた。】
【"どういうことなんだ?"と説明を求めながらも、新たな灯籠を持てば、】
【手にぶら下げて指を鳴らす――淡い光が、また灯る。】

【種も仕掛けもありはしないこれこそが、彼のいう忍術なのだろうか――。】



【――新たな光源が発生した。少女に与えられた陰の紋様は、】
【二つ目の光で上書きされるように消されてしまった――。】
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/14(月) 23:35:47.65 ID:a1AKzc2yo
>>373

【ぶおん、と言う風音が耳へと響く。肌に扇風機で起こしたような風が染み渡る。―――つまり、ハンマーは彼に当たることは無かった】
【賭けには勝ち、空振って隙を見せた内に銃弾を撃ち抜けば実際の勝利も此処でもぎ取れただろうが、直ぐには引き金が引けなかった】
【―――先程の特殊な弾丸、弾丸憑依という技なのだが多く魔翌力を消費するものであり、この技を同時に使うのはこれが始めてだった】
【……そのこともあってか多くの魔翌力、体力消費が身体に響いてか、一瞬身体が止まって引き金が引けなかった。其れほどの疲労がこの技で溜まったという事】

【―――それでも、状況は此方有利。この時既に勝利は目の前であるという感覚もあった。……しかし】

……ッハ―――ハァ、ハァ……腹筋効かねぇから余計に疲れるんだよッッ、っぐ……!!
―――でも、このフィフティフィフティの勝負には勝った……!! もうこの勝負―――っなにィ……!! 

……アンタ、いい性格してるぜホント……〜〜〜〜〜ッッ!!

【―――ゾクリとする笑みから繰り出されたのは、巨人族でも持て余すような大きさのハンマー。……こんなものを直撃してしまえば、命はない】
【……急に全身の毛穴が開き、冷や汗が放出される。―――どう見ても自分へと落下していくのが見えた】
【自分の脚力ではどうか。あの大き過ぎる打撃部から完全回避は出来ない……!! ―――なら、最後の魔翌力を使ってブーストをかけるしか無かった】

(……どちらに逃げる―――……否、逃げは逃げでも覚悟の、攻める回避……!!)
(つまり「入り身」……!!躱すなら、前に出て躱せッッ!!)

【巨大なハンマーが自分へと迫ってくる。ロウは咄嗟に両手を背中にやり(後ろ手状態になり)、その状態で両銃の銃口を合わせ決死の表情で互いのトリガーを同時に引いた】
【それと同時にロウは左脚を大きく前方に踏み出し体勢を大きく前傾させる。―――刹那、小規模な爆発が起こる】
【―――ロウの身体が焼け焦げながらも、爆風により前方に飛ばされる。その勢いで回避しようと言う算段―――少しでも疾く、前へ。ロウは吼えた】

……―――うぉおおおおおおおおおおッッッ!!

【―――喉を震わせて響かせるは、勝利への渇望。 そして直後ハンマーの大きな衝撃音が響く。砂煙が巻き起こる。辺りがざわつく】
【……そして時と共に、砂煙で朧になっていた視界が戻る。―――そこにいたのは、地べたに座り込んだ状態で肩で息をするロウがいた】
【しかし帽子が取れていた。―――潰れていたのは、彼のトレードマークの青のソフト帽。……彼自身は焼け焦げて満身創痍ながらも、此処に生きている】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/14(月) 23:43:19.80 ID:Nc4zcJFfo
>>378

【煙草の自動販売機の前で立ち止まると、男はいつもの銘柄があることを確認する】
【ついでに最近町中で出回っている認証のカードが要らないやつである事を確認した】
【何処でも買えて何処でも同じ味。どんな状況でもそれが男を安心させる道具だった】
【大量に持っているクシャクシャの札の一枚を突っ込むがうまく入っていかない】
【男は二三度帰ってきた後、ポケットに入っていた硬貨で購入した】

【早速一本くわえて火をつける。先が赤く灯って、無駄な煙が肺に取り込まれ外へ出て行く】
【立ち上がってからもう既に気がついているだろう。やたらに背が高い。そして顔つきからかなり痩せているのか】
【そして手足が長いのもあってもう一段と痩せているようにみえた】

明日死ぬなら一緒さ。俺は今日を楽しめれば良いんだよ。…別に煙草吸ったら楽しいわけでもないけどさあ…
……どうせ酒臭いか、煙草臭いのどっちかだし

……まあ、俺はこうだけど…いや、こんなだから。煙草は吸うなって言って歩いてるんだよ
コーラでも飲んでたほうが経済的だし…ポップな気分になれる……はい、じゃあタバコの話はオシマイっ

【煙草を指で挟みながら、男は微笑みを返す。さっきより笑みのグラム数が増している感じだ】

じゃあ…天気の話でもする?…初対面の時は天気と故郷と職業の話で持たせろって誰かが言ってたから…
俺は今日は晴だったか…曇だったかか…全然覚えてないから天気は…パスにしてほしいかな
……あーっと…嬢ちゃんは……ダンサーか…女優?……気取って歩いてるけど…

【少女から投げられた、煙草の箱を握りつぶして、ポケットにねじ込むと】
【印象通り飄々とした感じで、辺りを見上げたりしながらそういった】
【モデルとかそういった職業は男の頭には浮かび上がらなかった。映画好きのため気取った美人は女優という数式があるようで】
【…それと、どうも『気取った』という言葉をデリカシー無く言っていることには気づいていない様子である】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/14(月) 23:43:40.00 ID:D4J4zeZC0
>>319

【石刃が巫女に突き刺さる―――――されど接近はこの脚の状態では危険が勝る、その判断から敢えて命中直後には踏み込まない。】

【生み出せた隙で水の刃は出来る限りを取り除く。……腿を突き通す刃が消えても、癒える訳でないのが苦しいであろうか】
【太刀で払う様な所作だけだったが、今は十分なのだろう。】
【“次の”攻撃こそが現状の脅威―――――――意識は既にこの瞬間に於ける攻防に向く、】


【突如巻き起こった突風が巫女を運べば、高みから吹き下ろす風に、言い知れぬ危機感を少女は憶えて/対処を優先、】

…………く……ッ――――!?

【吹きつける熱砂を貫きながら殆ど片脚で跳躍、想定以上の威力に苦しげに目を細めながらも停まらない。】
【砂鉄は肌を焼きながら、コート越しに肉体を裂いた。消耗の度合いは烈しさを増す。秒刻みで乱れかける呼吸を、封じる事で終わりを躱して】

【やはり大きく鈍った速度で、けれど不規則な踏み込みで攪乱を図りながら駆ける。……方向は、ただ只管に巫女の下へ。】



【逃れる者が風に乗れたらば、辿り着きやすい最外郭に居処を定めることはないのだろう。其処に到る為の行動ならば、多少の被弾を覚悟で接近を図る必要がある。】
【そうして寄らば右脚が床面を踏む/少女は上昇に転じる/ただの跳躍では越えられない、】

【 柱を、右脚だけで踏み込む靴底は捉えて/上体の力で刃はその上を横薙ぎに一閃、】

【叩き斬りながら飛翔する。天(まえ)だけを見据えながら“隆起”の側面を蹴り真上に再跳躍、今度こそその距離を越えんと―――――、】
【人の身で斯く昇るために選ぶのは、斬り込み、断ち切る刃を鎹とした一瞬の活路。僅かでもタイミングにずれが生じれば、上昇など望めず地に叩きつけられる。】

【だがその剣は確かに応えたのだろう。少なくとも“上昇する”二段目を踏み込む所までは、少女は、確実に到達して―――――、】



【―――――――――同じ高みへと、遂には到らんとするのだろう】
【真正面に向かい合うふたりの双眸、“隆起”の頂きを蹴って踏み込む天の道、】
【辿り着けば横薙ぎに太刀を振るい、鋭く返す峰で右脇腹を打ち据えんとする。衝撃のみを重んじるゆえに、芯を外す可能性はやや小さく】
【為されれば齎されるのは双方の落下だ。片脚を負傷した彼女らには危険極まりないが、落下を覚悟で行う側と、不意打ちの一手を受ける側、差異が生まれるならば其処の筈で】

【勝敗とは全く別のところで、この落下の致命ならぬことを少女は願ったが―――――やがて、自らも衝撃に備えて】



【ここまでは“阻まれねば”と前置いた上での話になる。……妨害の手段は、彼女ならばけして少なくはないだろう】

【地上では聳え立つ「隆起」そのものが盾になるとはいえ、術者の掌中に転がり込む様なものだ。逸早く状況を理解されれば、叩き落とすどころか指先を繰る様に潰されかねずに】
【意識の虚を突く、右脚を頼ったその速力に賭ける。少女の側で活かせる強みは、その程度の策の範疇であった】

【だがもしも目論見が叶ったならば、受け身を取りながらも叩きつけられて――――少女は、再び立ち上がらんとするのだろう】
【地についた前腕で、上体を立ち上がらせる。体を庇って追い討ちを受けた左脚を、震わせながらも終わらない。】


【使えるものはこの躰だけ。そして、剣と右腕を守った“記憶石”の腕甲―――――、】


……未だ……終わりではないでしょう……ちゆり……ッ……!
“楽しみ”なら最後まで楽しみましょう、私も……そんな風にあなたとぶつかりたい―――――

…………簡単に、負けられなんてしないんでしょ?

【終わりが近いのかなど分からなかった。だが、高鳴る鼓動が告げていた。】
【もっと、この戦いを続けていたい――――――】
【勝利への最短の路をひた走りつつ、“応えて”くれる彼女に真向からぶつかって行く。其れを、心から楽しんでいる。】

【同じ想いだと告げる様、少女の瞳は楽しげに――――確信めいた想いでふっと、】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/14(月) 23:52:21.75 ID:ADuZSwhto
>>381

【首が疲れるわ、なんて悪態をついて、貴方の身長の高さを揶揄したなら】
【風に乗ってくる貴方の煙草の香りに静かに意識を集中させる】
【言葉ではやいのやいの言いつつも、香り自体は嫌いではないようで】


……ホント、適当な性格してるのね、煙草とか以外に趣味は無いわけ?
それに気取って≠ヘ余計よ、こう歩けるようになるまでそれなりに苦労したんだから
女優……は半分正解かしら、ダンサーはハズレ、女性の職業に関してはまだまだね


【そういう指摘はキチンとして、刺を一つぐいっと刺したなら、ため息一つ】
【割りと距離を明けた状態で、空っぽになった両手を、背中側に回して息をつくのだろう】
【華奢な体躯、それでいてスラリとしたライン、モデルや女優やダンサーや、それらの言葉が似合うプロポーション】

【貴方を見上げるスカイブルーの瞳こそは幼いものの】
【饒舌に語る舌の香りは、大人びた色合いを強めて、甘えるような猫撫で声】
【それもいつしか潜めて、凛とした端正な音を響かせるのだろう】


基本はモデルに女優や、アイドルも少々……尤も、今はニートなんだけどね
で、答えたんだからアンタも教えなさいよ、職業の話で持つように≠オて欲しいわ
まあ大体の想像はつくんだけどね――――――


【そう言ってチラリと周囲を見渡すのだろう、荒廃した路地裏の印象】
【彼女にはどこまでもミスマッチで、目の前のあなたにはどこまでもマッチしていて】
【だからこそ、だ、目の前の貴方はきっと、かたぎの人間ではないのだろう、と】

【――――――語る口ぶりの下、表情はどこか静かなままで】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/14(月) 23:59:21.80 ID:poZgqvkIo
>>379

…………なに…………?

【忍術、というその言葉に、少女はぴくりと眉根を寄せて。大きな瞳を、半分だけ閉じ】
【どう見ても不信がっている、じとりとした視線で男を睨めつけるだろう】
【きらきらと笑っていた口元も、いまはマフラーの下でへ≠フ字に曲がってしまって】

とうさまがさくらの国≠ナ、かあさまがすなの国=c………の、出身だ。
おい、こすちゅーむ≠ネんて、へんな呼びかたをするな! これは、しのびしょうぞく≠セ!

【ぷんすか子供っぽく怒りながら、少女は拙い言葉で自身の出自を告げて】
【櫻の国の人間と砂の国の人間との間に生まれた、いわゆるハーフ。少女の体には、二つの血が流れている】
【砂と櫻とは確かに珍しい取り合わせだが、しかし混血自体はよくある話。疑問はむしろ】
【いったいどうして、正直あまり似合っているとも言えない、自称しのびしょうぞく≠纏っているのかだ】
【少女が単に忍者ごっこをしているだけか、それとも本当にしのび≠ナあるのか、その真偽はいまのところ、男の判断次第】

あっ…………。
…………ふん。おまえのにんじゅつ≠ニやらは、それだけか?

【生まれ落ちた新たな光に、自身の体を泳ぐ陰の蝶々が滅ぼされるさまを見て、少女は小さく声を漏らして】
【その、仇討ちのつもりなのだろうか。明らかに軽んじた調子で、灯籠に光を灯す男の手管に評価を下す】
【マフラーの下の口元は、ふっという嘲笑。やはり可愛らしいが、それだけにどこか憎らしくて】
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/15(火) 00:01:17.91 ID:WDOWtXbMo
>>380

【耳に響く咆哮は、一回戦の対戦相手を想起させる】
【フォンチュンという名であった彼は、しかし柿奈に負け。そして今―――柿奈自身が、彼と同じように地に伏せていた】

【轟音の後。晴れた硝煙の先に、ハンマーに押しつぶされた男の姿はない】
【男は命を身に止めて、全身の衣服と皮膚から焦げた匂いを漂わせながら。ステージの中に】
【少しばかり悔しくなって、柄に手を伸ばしてみるが。もはや手を握る握力すら残っていなかった】
【そこで改めて、この状況を理解する】

く………くく、あは。

あっははははは…!おかっしぃ。どうかしてたなぁ。私

【ごろん、と仰向けに転がり直して】
【ヘタをすれば対戦相手を殺しかねない手段をとっていたことに、いかに自身が追い込まれていたのかを】
【そして、あろうことか勝利に固執してしまったことを。笑い飛ばした】
【賞品は自信に対するいいわけで、確かに彼女は勝利を期待してしまった】
【フォンチュンに勝利したこと。ロウの気迫。戦闘への緊張、熱気。そして歓声にアテられていたのだ。らしくもなく】

ねぇ、ロウさん、だっけ……?
散々殴ろうとしといてさ、勝手だと思うけどさ。

いやぁ、そうだねぇ。
私の分もさ、勝ち上がってよ、ねぇ………?

あっははは。一度、言ってみたかったんだ。
あなたみたいに。バカみたいで頑丈で、強い人に、さ。

【ぐしゃぐしゃに乱れた髪。血の滲んだスカート。よれよれになったブレザー】
【情けない格好。ごろごろ、ごろごろ、どこか楽しそうに。しかし目に涙を浮かべるほど悔しそうに。そのまま転がり続けると】

ふべっ。

【べしゃり―――と、ステージから落下した】

【一瞬の沈黙のあと、どこかとまどい気味の歓声が湧き上がる。場外に落ちればそれは敗北。勝負は決まったのだ。あっさりとあっけなく】
【会場の盛り上がりはともかく、女はいまだ起き上がれない。仰向けのまま、土まみれの間の抜けた怠惰にまみれた少女の表情は】

【至極身勝手なことに――――どこか、満足そうなもの、だったそうだ】


                                【準々決勝】
                          【マーシャル・T・ロウ”勝利”】
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 00:13:34.48 ID:ZdJOyGB40
>>382
【――――土より生み出す金。まるで磁石のような其れ】
【“頂きに突き刺さるかの如く”、生やして。打ち据えられ、同時に吹き飛ばされる身をその棒を掴んで止めようとするけれど…………】
【掴んだ指が、己の血で滑って。…………強かに打つ音。何とか受け身を取れたにしても、元より意識を持って落下した者と不意に落下させられた者とでは、雲泥の差】
【幸いにして、斬られなかったにしても――――少女の実力を以てして打たれれば、大差は無い】

【それ故に起き上がるのには若干の時間を要し、片膝を支えとして立ち上がる事だろう】
【――――けほ、と咳き込んだ際には、少量の血を吐いて。其れでもまだ立つのは、抱いた信念】
【二度三度…………否、それ以上か。落下の衝撃と峰によるダメージとでフラリと揺れるが、やがてはその脚もしっかりと地に着いて】


「無論…………貴女と同じ気持ちを持つ位には…………」

【腹部に、手を当ててみる。触れれば痛みはあるが――――臓腑の損傷は無いか】
【ならば、まだ動ける。ならば、まだやれると自身に言い聞かせて】
【…………体術で攻めようか――――いや、この傷の具合であったならばこちらが不利】
【さて、ともすればこのフィールドを如何に利用するべきか…………更なる傷痛みを覚悟で、挑む他ならない】


「終わりでは、ありませんが…………着実に、終わりも近くなっているのも、また事実
…………柊。その若さで、よくそこまでの技術を身に付けましたね
人間との立ち会いや妖怪相手に闘った事も多いのですが、貴女ほど技巧を持つ人は初めてです」

【――――土生金。他の隆起は、表面に砂鉄を纏って一見すれば鉄の山】
【手にした札は、再び水。然れど今度は攻撃に長けた物では無く、少女を濡らし、鈍くするための…………只の、冷水】
【そして遅れて出す物こそが、攻撃の一手。印を組んだ指に応えるかのように、小さな鉄の粒が集まったならばやがて形成されるはまるで金棒】

【打撃によって、打つ。ただ粒子を固めただけの物故に、当たったとしても打ち抜く事は出来ず、拡散してしまうだろうけれど――――】
【小さな粒子が身体に纏わり付こうとするのだから、それはそれで厄介であろうか】
【しかし、今度は水では無く確かな物体。斬れば、逃れる事だって可能なのだけれど】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/15(火) 00:14:44.44 ID:ufmGcPt1o
>>384


……なァんだ。じゃァ君の父親が忍かなんかでその跡継ぎとかそんなところか? 世界には色々あるんだな。
何を隠そう俺様も櫻の国だからそれなりに忍都合には精通しているつもりだぞ。


【いざ蓋を開けてみれば、案外よくある話で――。】
【事情など、ありきたりな理由を勝手に推測すれば、答えも聞かずに納得したように見せる。】
【――パイプ煙草を口から離しぽわぽわ〜と輪っか状の煙を吐いて。】

【――ちなみに、子供相手にちょっと意地を張ったのか、】
【『忍都合に精通している』というのは全くの嘘だったりする。】


――しっかたねェなそんな見てェなら俺様の忍術を見せてやるよ。どとんの術だどとんの。


【――挑発に乗った訳ではない、が……】
【少女の"煽り"に乗っかったというべきか。心なしか嬉しそうに見える。】
【見てろ見てろと口に加えるパイプを摘まめば、口から離し、】
【詰まった灰を地面にぽろッと落とす。】

【――落ちた灰は、もこりもこりと体積を増やして――】
【みるみる伸びて、棒状の帽子掛けに姿を変えた。】

【――それに灯籠を掛ければ、どや顔を浮かべる。】



【ちなみにこれ、忍術と本人は言うが魔法の分類にカテゴライズされている。】


/すいません、軽く意識が飛びそうです…、
ネオちしたら申し訳ないので、凍結お願いできませんでしょうか
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/10/15(火) 00:20:17.91 ID:tG9mw2Uro
>>387
/了解しました! とりあえず次のレスだけ返しておきますね〜
/私の方は夜7時以降であれば空いておりますので、その時間帯に返レスして頂ければすぐ対応できるかと思います!
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 00:21:41.76 ID:pg8u9GFGo
【大会会場近く】

…武闘大会、か───
私も、あり方を考えてさえいれば腕試しが出来たのかもな

【向こうに見えるはスタジアム、会場とは打って変わって静かな街道には、会場の歓声が響いてくる】
【人気の少ない街道を歩くのは、一人の時代錯誤な人物だ。見た目通りの特異な足音で歩いている】

【その風貌を一言で表すなら、正に女騎士=Bドレス型の鎧に身を包み、青い髪が腰の辺りまで伸びている】
【腰には一振りの長剣、白い肌に輝く蒼眼がキリッとした顔付きで、その胸は平坦である】

…いないな、えーと……こんな時は…電話!電話だ!!

【誰かを探しているようだ。見つからない人物の居場所を確かめる為に取り出したのは携帯電話】
【街中だというのに某青いロボットのように携帯を取り出して、しかめっ面にて慣れない手付きで操作する】

……うーむ、出ないな…操作は合っている…筈だが

【しかし、いくら呼び出しても相手は出てこない、困り果てた騎士は首を傾げていた】




【───少し離れた、別の場所】

【男は、静かな街道を歩いていた】
【静かとはいえ人影は疎らにある、その中を男は歩いて、何かを探していた】

…はあ、どっかゆっくり出来る場所でも探すか
くっそ、もう少しステージが広けりゃなあ…

【黒いビジネススーツ、黒い革靴、爪痕みたいな模様の超絶にダッサいネクタイ】
【疲れた目をした、無精髭面、白髪混じりの黒い髪を後ろに撫で付けた髪型の男だ】
【その右目には眼帯を───『紅い剣を咥えた黒い狼』の紋章が刻まれた黒い眼帯を掛けていて】
【機械的な柄を持つ刀を、これまた機械的な鞘に納め、ベルトの左側に挿している】

【小さく愚痴りながら歩く男は、ふと立ち止まると、ポケットからタバコを取り出した】
【一本のタバコを咥えて、ライターは何処かとポケットを探る。すると───】



『───おにーちゃーん!!でんわがなってるよー!!』

【…突如、街道に響き渡る可愛らしい少女の声。疎らに歩いていた人々の視線は一つに集まるが、そこに少女の姿はない】


【顔を青くした男の姿以外は】


『おにーちゃーん!!でん(ry』

ウオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!

【男は叫び、携帯を投げ付けた───お兄ちゃんコールを繰り返す自分の携帯を】
【見事に何処かへ飛んで行った携帯の行方を見ながら、彼は肩で息をして、冷や汗びっしょりで顔を青ざめていた。視線が痛い】

/上下どちらでも
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/15(火) 00:21:56.58 ID:ufmGcPt1o
>>388
/こちらも、夜7時以降なら大丈夫です。
/それより早く時間があけばその時点で返して全裸待機してますので……!!
/一先ず今日は絡んでくれてどもでした! おやすみなさい…zz
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/15(火) 00:24:52.98 ID:MOPC4bd+o
>>385

【全身が灼けるように痛い。―――いや、本当に灼けているのだ。爆発により衣服はボロボロになって、見た目からも満身創痍が伝わってくる】
【意識は朦朧とし、両手から銃が力無く落ちた。もはや銃を握る力すら朽ち果てた様で、何とか意識だけは精神で保っていた】
【ぼやける景色に包まれる中で、歓声の他に聞こえたのは彼女の笑い声。ロウは軋む筋肉を動かして、身体を声の方向に傾けた】

な……んだよ。マジで……死ぬかと思った―――ぜ。
―――あ? 勘違いすんなよ……バカみたいに頑丈だァ? 違ェよ……俺は頑丈でもねぇし、バカみたいでもねェ……

―――バカなんだ、よォ……ッ!! アンタの想いは受け取った……背負って優勝……してやる……よォッッ!!

【ふらつく身体を何とか精神で支え、詰まる言葉を何とか言い切る。―――ぼやける視界でも、彼女がステージから落ちる姿がはっきりと見えた】
【……そしてそこで始めて、強く望んでいた勝利が掌へと納まる。……熱い感情が、同時に胸に溢れた】
【―――よろよろとした動きで周りを見渡し、その歓声を受け入れると―――もうコレで気絶しても構わないと、ありったけの力を振り絞って絶叫した】

―――……おい……テメー等……勝ったぞ馬鹿野郎ぉおおおおおおおッッッ!!

【腕を突き上げたまま、ロウは仰向けに倒れた。―――マーシャル・T・ロウ、短期決戦を制しベスト4進出】

/ありがとうございました!
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/15(火) 00:30:28.23 ID:xyDMHq2Do
>>383

【俺も疲れるよ。なんて皮肉には皮肉で見下ろすように返して】
【煙草をくわえながら手持ち無沙汰のようでブラブラとその辺りをしている】

あとは酒と負けてばかりのギャンブル。……目盛りもう2つぐらい嫌いになった?…あとはレコードは好きかな
レコード屋ってなんか適当に買うんだけど……聴くのはそうでもないな…持って帰るのが好きなのかな

……そりゃ、悪い。……でも、気取ってるほうがいいんじゃないの?気取ってないヤツはつまんないよ
あー…アンタは嫌いかも知んないけど、俺は好きだよ。…俺もわりかし気取ってるヤツだし
…女性の職業どころか男の方もよく分かんないからな…

【苦笑いをしながら、片手で髪の毛をクシャクシャと掻いた】

モデル……ああ、なるほど……ニート…無職ね……別に悪いとは思わないけど
そこらで歌の一つでも歌えば…アンタなら暮らしていけそうだけど…まあ、無職でも生きていけるんならいいんじゃない?

【一々、突っかかる物言いだが皮肉めいた感じではなくそれでいいならそれでいいと肯定するような】
【そして飄々とした態度と同じようにそんなこともどこ吹く風というような…そんな感じもする】
【けどそれは彼なりの気遣いなのかもしれない。不器用といよりやはりデリカシーに欠ける】

俺?俺かあ……なんだろ今日は強盗かな。…まあ、言い訳は出来ないだろうし…さ
新聞かニュース見た?あれ俺だよ俺。まあ…そんな感じ…えっと…なんて言えばいいんだろう
……あーでも…明日は俺も無職だ。…ここに無職が2人もいるよ

【ハッハッハと愉しそうに笑う。自分のこととなると何かと無口…ではなく口下手に近い】

あー…で。次は何の話で持たせるんだっけか…?好きな食べ物?

【強盗というのはこんなにも自然体な生き物なんだろうか。少女とはなにもかも対極で】
【少女は幼い見た目に大人びた雰囲気。男は老けたみたい目に何処か少年のような感じで】
【廃墟に掛けられた浮世離れた絵画のような少女。ただ現実の俗が産み落としたスーツの男】
【汚れのない青い瞳と砂埃と血とカネにまみれた赤い瞳がなぜだかこんな裏通りで出会っている】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/15(火) 00:40:18.59 ID:qfLwkmcUo
>>392

【むすっと彼女の表情がくすんだ、細い眉を顰めさせて両手を腰に当てる】
【長いまつげが自己主張をしたなら、それを修飾と言いたげに揺らして】
【大きな瞳の輪郭を縁取る、美しい黒色の締めに持ってきた】


……はぁ、アンタと話してたら疲れるわ、もうホント、掴みどころ無くて
そんな風にいい加減な人間が、マトモな職業につけるだなんて思えないけどね
そうでしょう?そうそう、アンタなんか強盗がおにあ――――――ふぇっ!?


【畳み掛けるように言葉を打ち続けた彼女の声が止まった、否、裏返った】
【大人びた声色が途切れたなら、そこに浮かぶのは少女らしい生の肉声】
【それは今まで唄ったどの声よりも彩りに溢れた華やかなソプラノの音律】

【げほっごほっと何度か咳き込んで、思わず貴方に近寄るのだろう】
【大きな瞳をぱっちりと開いて、貴方を覗きこむ彼女】
【――――――気づいたなら、彼女の手が触れそうな距離で、それに気づいてか一歩後ろに下がった】


へっ……え、えっと……確かに!確かにそんなニュースあったけどっ……!!
嘘っ!ホントっ!?強盗ってアンタ……えええ!?
あ、うん……と、なんでそんな事したのよ!!無職とかそういうのじゃなくて!犯罪じゃない!!


【詰め寄る彼女、キャミソールの白布が触れたなら、ドロワーズから零れる脚先につながって】
【響く声は、少し間違えたなら金切り声になりそうなぐらい、抜群の調合具合で、響いて】
【それでいて聴きやすい、神のつくりし音色の賜物】

【――――――それでも、その主は驚きに目をまんまるとさせて】
【余裕な表情はどこへやら、どうしよう、だなんて不安げな表情を見せて】
【腕を組んで口元に手を当てる、その横顔はどこか不安げな一葉】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 00:54:51.77 ID:xZWhv1XMo
>>389
【静けさに包まれたその区画、人影は疎ら。少女の声は、とてもよく響いた】
【その声の先は、ビジネススーツの男性。右目の眼帯、腰の刀。一見して、只者ではなさそうな気配】

【そんな男性が、真っ青になって少女の声を発する携帯電話を投げ出す。何とも、妙な光景である】
【突き刺さる、通行人の視線。今の彼に、進んで近づくものはまずいないはず。だが】
【そんな光景の中心たる彼が、自分の投げた携帯電話の行く先を見たなら。そこに一人の少女の姿を見て取れるだろう】


【おそらく、まだ10代前半といったところか。小柄であどけない少女。しかし、男性なら彼女の異様な気配を感じ取るかもしれない】

【その姿を目にしてみれば、まず服装からして奇妙だ。彼女の身を包むのは、至る所に黒いベルトが取り付けられた白い拘束具だった】
【頭には、拘束具に後から縫い付けられたらしい、不恰好なフードを被っている。フードの脇から除く長い金髪は、縦ロールにされていた】
【さらには、街中だというのに、足には何も履いていなかった。にも関わらず、少女の足は驚くほど白い】
【裸足で外を歩いているというのに、傷どころか、汚れ一つも見当たらないのだ】



【少女は、まだお兄ちゃんコールを発し続けているであろう彼の携帯電話を拾い上げ、男性へと小走りに近づこうとする】

こんにちは、おにーさん!! これ、おにーさんのでしょ? はいどーぞ!!


【男性からしたら、おそらくありがた迷惑な行為だろう。笑顔と、子供らしい大きな声と共に、差し出された携帯電話】
【せっかく、投げ捨てまでしたというのに。付け加えるなら、少女はコールを止めようともしていない。ただ、拾って差し出しそうとするだけだ】


【一見すると、奇妙ではあるが日常の光景、と言えるかもしれない。しかし】
【少女が、彼を見上げれば。少女の顔が、男性の視界に入るはずだ。服装を超える異様がそこにあった】

【少女の両目は黒い糸によって縫い閉じられており、両耳にはヘッドホンのようなものが装着されていた。視覚と聴覚が塞がれているのだ】
【あどけない顔立ちを台無しにするそれらの『拘束具』。しかし、少女はそれが当たり前であるかのように、年相応の子供らしい佇まいだ】
【にっこりと無邪気な笑顔を浮かべて、じっとしているのが耐えられないかのように、せわしなく身体を揺すっている】


【さらに観察すれば、少女の首に巻かれたチョーカーに取り付けられた、カメラのレンズが見えるかもしれない】
【レンズは、少女とは対照的に、どこまでも無機質に男性の姿を捉えていた】


/まだいらっしゃいましたら
/あまり遅くまでは厳しいかもしれませんが……
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 00:57:04.16 ID:IYzNqVrN0
>>389
/まだ大丈夫でしょうかー!?
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 01:00:39.08 ID:pg8u9GFGo
>>394>>395
/被っちゃったけど一応自分は複数でも行けますよー、なんなら別場面同時でも
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 01:02:59.84 ID:xZWhv1XMo
>>395>>396
/同じく、複数としていただいても、こちらは大丈夫です
/別場面か、同じ場面かは、お二方にお任せします
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/15(火) 01:03:04.79 ID:tG9mw2Uro
>>387

…………しのびじじょう? ほんとうか?
ど、どんなのがいるんだ! おしえろ!

【先程までの不機嫌さはどこへやら、忍談義となると少女の態度はまた一転し】
【灯籠を見ていた時と同じ、大人には少しばかり眩しい無垢な瞳を輝かせて、強い口調で迫る】
【パイプ煙草の煙で出来た小さな輪っかごしに、少女の輝く双眸が男を射抜いて】
【もちろん本人は気づいていないが、男の言葉が嘘だったのなら、それは純粋なだけに対応に困る反応だろう】

…………ど、どとん=c………!?
わっ…………!!

【男の言葉にさらなる興味を惹かれ、少女の視線は男の手の内のパイプ煙草へと注がれて】
【落ちる灰が――――地面に積もる。少女の目の前で筍のように成長するそれは、やがて明確に一つの形を成して】
【魔法の灰で出来た帽子掛けに、仄かで儚い光を放つ灯籠の取り合わせは、ここが現実であることを忘れさせる】
【そのただ中で唖然としていた少女は、ふとうつむいて――――】


…………うぅ。
ずるい…………ぞ…………!

【…………自分でやらせておいてそれはないだろう、と】
【大人の至極真っ当な言い分を有無を言わさず封[ピーーー]る理不尽な破壊力が、子供の涙というものにはある】
【満月の夜に、雨が降る。少女の月色の瞳にたまる涙は、そんな幻視を呼び起こす】
【ずるい、という言葉――無論男からすれば、ずるいのは少女の方だろうが――から察するに】
【しのび≠自称する少女には、どうやら忍術というものが使えないらしかった】
【であれば当然、それが本当は忍術ではないことなど、忍術を使えない少女に判別できる訳もなくて】

…………ぐすっ…………。
おまえみたいな、やつにもっ、使える、のにっ…………。

【少女は腰までもある長いマフラーの端をひっ掴むと、それで涙を拭くが、雨は一向に止む気配を見せず】
【その失礼な言いぐさを許さざるを得ないくらい、煌めく涙と赤らんだ顔は、やはり不合理なまでの力を持っていた】
【男は微塵も悪くはないのだが、このままだと――――涙を流す少女とその傍らの男へ向け】
【それこそ光に惹かれた蛾のように、ひそひそと不審がる声が周囲の人々から舞い飛んでくるだろうか…………】

/>>390 おやすみなさいませ〜
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/15(火) 01:04:04.80 ID:xyDMHq2Do
>>393

【男の赤い目はぼやーっとコミカルに驚いている少女を見ていて】
【なんだかそう言う人形劇かなんかの人形でヒモか棒が見えてきそうな感じがして】
【まあ、でもそんなわけないんだよなあ…と1人結論まで至った頃には】
【少女もまあ少しは落ち着いたかなあとか思い、口を開く】

そうなんだよなあ…いや、アルコールが入ってればもう少ししゃべるし…
レコードの話してる時はうるせーってぐらいテンション高いよ………多分だけど
それで好きな食べ物は俺は………

【どうやら、この話はまだ出来なさそうだ。相手のリアクションが大分、大きい】

ああそうそう。ニュース見てないの?…3つぐらい駅行ったら近くにでっかい時計のあるビルあるじゃん?
彼処、社長悪い事してボロ儲けしてたからまあちょっと分けてもらいに…近寄ってもなんもないよ。顔に書いてないし

【男はぶっきらぼうに少女が離れるのを待ってから煙草を吹かす】
【相手が落ち着くのを待ちつつ、どっから話そうかな…と少し思案に暮れて】

ああ、見た?うん、まあ…どうしよ…で…続けるけど…そんでえーと……まずは
取り敢えず声おさえてくれないと…ほら、もう遅いしさ。俺も聞こえるし
あの…あれだから。俺悪いやつじゃないから…いや?悪いけど…なんだろ…選んでるから

【うーんとか言いながら目をつむったりして考えているが口下手で】
【しかし、変にポジティブなせいか。次の話に相手の返事も聴かずに移ってしまって】

で………まあ、結構前からやってんだよね。なんでかは忘れたけど今はやってないと色々あんだよ
麻薬の元締めボスとかキレててさ。たまに牽制しないと、ガチで殺されるし……
今は悪い奴ばっか狙ってるから意外と味方も多いんだよね。だから、やらないと…味方減るんだよ
こっちは殺せないから、仲間も死んだり捕まったりするし………お金も全然稼げないんだよ色々出費がかかるから…
あっ!そういや前にさあUTのネーチャンにサイン求められちゃってさあ…

【いやあ俺も有名人だねなんてニヤけているが話はそこじゃないと突っ込まれそうだ】
【しかし、彼にとって不殺義賊の強盗団の頭だなんて自己紹介はもう数年してるアタリマエのことで】
【当たり前になりすぎているせいであえて色々話そうという感覚が完全に欠落している】
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 01:05:51.80 ID:IYzNqVrN0
>>396-397
/申し訳ない…!其れではお言葉に甘えさせて頂きます……!
/えっと、矢張り、同じ場面の方がやりやすいですよね……?
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 01:09:16.14 ID:pg8u9GFGo
>>400
/余り気にせず、好きな方でいいですよ
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/15(火) 01:17:44.66 ID:qfLwkmcUo
>>399

【恐らく、以前からこの世界に居る者ならば、その存在を耳にした事もあるはずだ】
【この世界に於いても、そのような存在は貴重であり、かなりの知名度を誇っているが故】
【故に、彼女にとっては周知の事実として扱われていたことが仇となった】


っ……いや、ゴメン……私の常識じゃ、ね……強盗に良いイメージなんか、無いから
今朝見たニュースの情報だから、あんまり情報無いのよ
……えっと、義賊、だったっけ、確か、そうそうそんな感じの見出しで

―――――馬鹿じゃないの、アンタ、そんな事して


【うーんと考えこむように、頭を抑えて、思い出したようにポツポツと紡いで】
【そして最後に付けたす言葉は、明確な否定≠フ言葉】
【夜風が二人の間を吹き抜ける、一歩下がって距離をとったなら、両手を胸の前で組んで】

【見上げる視線、表情は静かに、貴方を見据える形になっていて】
【言の葉の色合いがまた変わった、今度はとても冷たい語りかけるような言葉】
【ソプラノの見せる落ち着きは、大人びたなんて言葉では足りないほどに】


義賊だ、なんだって浮かれるのは勝手よ、マスコミの作ってくれた肩書に良い気になろうが好きにすれば
でもね、どう取り繕っても犯罪は犯罪よ、相手が悪人だろうが何だろうが許される事じゃないわ
そうね、確かにアンタは悪人を懲らしめるヒーロー≠ゥもしれないけど

もし子供がソレを見て、強盗という行為に憧れたらどうする気?
相手が悪かったら力づくで物を盗んで良いだなんて言う気?
だとしたら完全にアンタの行為は偽善よ、少なくとも私は、認めないわ

まあこんな小娘一人、認めてもらわなくて構わないけどね


【返す言葉は突き立てるような生身の刃、遠慮を知らない確かな抜身の刀】
【それは無表情に胸へと突き刺すかの如く、彼女にとっての正論を捲し立てる】
【この世界にとっては異質な感情かもしれないけれども、彼女にとっては正常な常識で】

【言葉にどんな反応を示すかは分からない、鼻で笑われても、良いと思った】
【瞳に宿るのはある種の軽蔑、そして同時に、ある種の期待でもあった】
【――――――目の前のあなたへの興味は、未だ潰えず】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 01:22:13.48 ID:IYzNqVrN0
>>396-397

【水の国、大会会場付近大通り―――】


【大会の影響力は、凄まじい物が有る。夜はすっかり更けてしまったと云うのに、依然昼と変わらぬ賑わい、】
【否、寧ろ、其の勢いは増すばかりと言った調子であろうか。兎に角多くの人が、此の通りを行き交っていた。】
【―――其の一部として混ざり込む、一人の少年が、ぽつりと。左手でスマホを弄りながら歩いていた。】

【街灯に反射して艶めく少し短い黒髪に、黒曜石の様に澄んだ黒い目。】
【グレーのパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツ。背中にはショルダーバッグが斜めに背負われていて、】
【少しだけフレームの太い黒縁のメガネに、左頬の絆創膏。少し大きめである事からは、其の傷の深さが窺い知れるだろうか。】

【―――4,5m程、離れていただろうか。近くで、黄色い少女の声が響いた。】
【周囲の人々に釣られて、此の少年も同じ方を見る。……其の先にはどうやら、発信源が。】

【"原因"を男は振り被り、其の勢いのまま投擲―――彼方へ其れは飛んで行った。】
【予想以上に美しい放物線を描いた其の軌跡は、間も無く最高点に達そうとしていて。】
【流石に今から走った所で、間に合うはずも無く。勿体無いと思いながらも、傍観する事しか出来なかった。】

【少年は辺りを見回す。周囲の通行人が其の男に対し、矢張り冷酷な目線を注いでいる事が見て取れる。】
【"可哀想"という寸感が、少年の足を動かした様だ。ゆっくりとした歩調で、少年は男に近づいて―――】


……汗、びっしょりかいとるで……そ、その……災難、やったなあ……

【男に掛けたのは、慰めの言葉。―――最も、其の効果は発揮されないという事は、重々承知していた。】
【其れでも此の男に話しかけたのは―――否、特に深い意味は無いのかも知れ無い。】

【やがて少女が男の携帯を手渡す素振りを見せたなら、ギョッとした顔をする事だろう。】
【『今はまだアカン、』というジェスチャーを施す隙間は―――どうやら、無かった様だ。】


/すみません、お待たせしました!
/どうかよろしくお願いします!
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 01:30:56.97 ID:pg8u9GFGo
>>394>>403

【男は考えていた───自分はあんな着信音を設定してはいない筈だと】
【こんなイタズラをするとしたら…心当たりはいくつかあるが】

【とりあえず、今やるべきは今の状況をどうすればいいか考える事。周囲の視線が痛い、このままではこの辺りを歩けなくなってしまう】
【断じて趣味ではない、違うのだ、違うのに。きっと分かってはもらえない】

【なんか慰めの言葉もかけられてるし。うるせぇよ、うるせぇって、惨めになるから止めろ、やめてくれ、お願いだからやめて下さいお願いします】

……………

【そうだ、あれは他人の物という事にしてしまおう。拾った携帯がいきなり鳴った、そういう事にしてしまおう】
【あれはたまたま拾った携帯で、自分のではない、いきなりあんな着信音が鳴ったから驚いた…と】

…い、いやービビったぜ、いきなり鳴り出すんだからよー
誰のか知らねーが拾い物の携帯に出る訳にもいかねーしなー、いやー参ったまいっ───

【周りの人間に聞かせる為の大きな独り言を遮って、目の前に差し出された携帯と、その声が遮った】
【独り言を中断された男は、視線を差し出された携帯に向けて、引き攣った苦笑いを浮かべる】

あ、ああどうも…でも違うぞ、勘違いだ、その携帯は俺のじゃあ……

【少女の小さな手から携帯を受け取り、着信を切る、ここでようやく男は少女の姿をしっかりと視認した】
【まず感じたのは異常である、何処から突っ込んだべきか、少女の姿は激しく異常で、表情もまた引き締まる】

…お前……───

───どうやってこいつを見付けた?

【目も、耳も塞がれて、一体どうやってこの携帯を探し当てた?いや、それ以上にどうやって歩けた?】
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/15(火) 01:53:16.37 ID:xyDMHq2Do
>>402

ああ、俺もいいイメージなんて無いよ。…バカだよな、当たり前だよそんなの

【男は変わらない。なんと言われても、そんなのわかりきっているからだ】
【最初から、もう最初なんて忘れたけど。いつだって男には後悔しか無かったつもりだ】

浮かれてんのはメディアに下町の労働者。後はカネ欲しさに擦り寄ってくる奴や
義憤に燃えて参加してくる奴……そんなやつばっかり。俺も浮かれちまった方が良かったんだろうな…
こんなかんじだから…自己満足に浮かれてるやつだって思うかも知んないけど…
…そしたらもう少し、煙草の量も減ってたかも……俺はなんと言われようとしみったれた悪党には変わりない
それは忘れたつもりはないよ。……なんなんだろうな、なんでかわかんないこともある

【俺の生きるってことはこういう事なんだよと、男は言う】

……死ぬか、続けるか。どっちかしか無いって言われたらどうする?
死ねたら楽だよ…明日に怯えなくていいんだから。でも……死ぬのは怖いさ
……俺って記憶無くてさ。3年前から全部…アイデンティティが無いんだよね
自分事だからよくわかんないけど……そういうものをコレに求めてんのかもしれないな…
…アンタの言ってることは全部あってるよ。全部。……俺も認めない。当たり前だよ…
誰だって憎しみ合って生きる必要なんて無い…正義も悪も無い。どうせ生きてるだけなんだから…

【男はタバコを吸って、煙をふぅと吐き出してからその吸い殻を】
【ジャケットのポケットから取り出した、携帯灰皿に律儀に収めた】
【その姿は今までと何ら変わりはないが何処かその目は悟りきったような】
【男の飄々とした態度は全てに身を任せて諦めきっているからの所為なんだろうか】

…やめやめっ!俺が小悪党でもいいけど暗いのは抜きしてくれよ。俺以外とネガティヴなんだよ
あーっと……どっ、どうしよう?…あーあ…ケーベツされたから黙ってたほうがいいのかな…

【黙ってるとなると、煙草を吸うしか無い。また取り出しては火をつける】
【その姿はヘビースモーカーを越えたチェイン(鎖つなぎの)スモーカーだ】
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/15(火) 01:53:43.71 ID:UDF2O1A20
>>386

【眦を決して再び少女と向き合う巫女/身体の揺れさえも封じ込める、】


ふふっ……あなたほどいろいろな術や戦い方は持てないけれど。
……たくさん、たくさん戦って来たから。越えなきゃならない脅威があるなら、どんな遣り方でだって戦える――――


【確信に似た想いを抱いていたと言えど、立ち上がる巫女にやはり素直な称賛を憶える。……声は、とても穏やかでいつもの其れであったが。】
【ならば、応える事こそが己だろう――――――少女自身の信念に似た、熱を帯びる想いが腕と肢とを駆り立てていた】

【体重移動と全身の連動、腱の弾性による瞬発力の向上。……普段は威力向上に用いる身体操作技術を、片脚での疾走に投じて少女は駆ける。】
【――――“右脚”。加速を与えているただひとつの媒介。先程からの酷使を思えば、長くは保たない筈だが構わなかった】
【故より深く傷ついた体――――衝くだけの左脚も残る死力を振り絞る右脚も、総て投じねば巫女には届かない。】

【それだけの相手であり其れだけの舞台―――――――疾駆する意識さえもなおもどかしく、求める“今”への想いは募った】

【受ける迎撃は水の札と――――――“隆起”の変化? 予兆であるとは察知すれど、後者の正体までは掴み切れずに】

【先程受けた水の刃への警戒。迎え撃つ事無く一歩の勢いで躱すが、片脚で追撃を迎え撃つ事までは出来ず、其処に金棒の一撃は打ち込まれて】
【咄嗟に刀を構えたが防ぎきれない。“受け”、散る粒が飛礫の様に貼り付いて、食い込む肌にまた血を流させた】

……はぁっ、っ……、……―――――――、

【乱れる呼吸。秒刻みで衰弱してゆく身体。接近は図れども、剣の冴えは保つに遥か高みの意志力を要して――――】


……――――――――――――はぁァッ!

【右脚で体を幾度もの加速に乗せた、右――――左――――右、三度の踏み込みからの流麗の連撃。“右”の踏み込みだけに刃を懸けて、(少女から見て)右から左へと閃く二度の斬撃が重なる。】

【その合間に踏み出す左脚が、鍵の音の様に伝えるだろうか】
【“現在の少女の剣術は、完全に右脚に依存している”。当然ではあるが危険な兆候で、放つは後退を捨てた連撃ゆえに、斬撃に反撃を合わせらるれば、少女には回避は至難になるのだろう】

【二度の斬撃を凌いだ上で、訪れるこの勝機をものに出来るか。打ち砕くべき少女の“支え”を、刃圏を越えて捉えられるか。】
【完全に防御を捨てた一人の少女に、相対する巫女の決断や如何に―――――、】

【この先が、彼女らの結末への踏み石になる。決着の刻は恐らくは、そう遠くないうちに訪れる様、で―――――、】


/ちょ、ちょっと眠気が拙いかもです…さんざんお待たせしてすみませんっ、続きは明日にお願いして宜しいでしょうか…!?
/火曜日は10時前後には来られそう & もしかしたらその前にも、少し時間が出来るかも、って感じなのですが……っ
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 01:54:09.84 ID:xZWhv1XMo
>>403
【すでに差し出してしまった携帯電話。直後、携帯電話の持ち主に声をかける彼に気付いたようだ】
【目も耳も塞がれた顔を、彼に向ける。視覚が失われているはずなのに、その目は確かに少年の左頬の絆創膏を向いているようだ】
【彼がなぜ男性に声をかけ、自分が携帯電話を渡すのを止めようとしたのか、まるでわかっていないらしい】
【きょとんとした様子で、首をかしげる】

え……だって、このおにーさんのだよね? あれ? わたし、間違えちゃった?

【放たれる声も、幼さを多分に含んだ少女そのもの。少しおろおろとした様子】
【そんな子供っぽい仕草も、その目と耳ですれば、不気味なものにしか思えないだろう】


>>404
【とりあえず、携帯電話は男性の手に渡す。大げさに独り言を言う彼に、やはりよく状況を理解していない様子で】
【ゆらゆらと、小さな身体が揺れる。縦ロールの金髪が揺れる】

そうなんだあ。ごめんね、わたし、間違えちゃった……

【男性の言葉に、しゅんとした様子を見せる。他人の言うことに、疑いを持つことを知らないのだろうか】
【しかし、そんな様子も次の男性の言葉を受けて、吹き飛んでいく】


どうやって、って……? 普通に、見て、聞いて、見つけたよ?
そっか、おにーさん、わたしの目と耳が不思議なのね?


>>ALL
あのね、わたしね、ずっと前からこうなんだけど、ボスとみんなが助けてくれたの。暗いとこから、連れ出してくれたのよ

それでねそれでね、スカーベッジのおじさんが、これ、くれたの。すてきなチョーカーでしょ? わたしの身体と、くっつけてくれたの
これのおかげで、見えるし聞こえるのよ。すっごいでしょ!!

【少し胸を張って、得意げに語って見せる。少女が言葉と共に指さしたのは、首に巻かれたチョーカーだった】
【眼前の男性と少年、二人に見せびらかすように。中心に、カメラのレンズが埋まったチョーカーを】
【これが、少女の目と耳の代わりをしているらしい。しかし、身体とくっつけた、とはどういう意味か】


【ふと、少女が耳元のヘッドホンに手をやった。少し首を傾けて、何かに聞き入っているような仕草。時折、頷いても見せる】
【少しの間の後、少女はヘッドホンから手を放して、再び二人に向き直った】
【その目と耳の見えない顔が、再び満面の笑みを形作る】

おにーさん!! ラッシュおにーさん、でいいのよね!?
あのねあのね、ボスがね、お話したいって!! 久しぶりに、会いたいんだって!!

それに、そっちのおにーさんとも!! 大会に出てた人に、興味があるって!! 今から、こっち来るって!!


【どこまでも無邪気に。しかし、どこまでも不穏に。男性と少年に向けられる言葉】
【あどけなく、不気味な少女を通じて、何者かが発する気配。二人なら、感づけるだろうか。今、ここに向かっている存在が】
【間違いなく、ろくなものではない、ということを】
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 01:57:13.79 ID:ZdJOyGB40
>>496
/了解ですよ!それでは続きは明日の方に持ち越ししましょう!
/こちらは今日と同じ位の時間にはこれるかと…………!
/それでは、一度、お疲れ様でありましたっ!
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/15(火) 02:05:33.83 ID:UDF2O1A20
>>408
/ありがとうございます……!
/本当にお付き合い感謝です。それでは、一旦お疲れ様でしたっ……!
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 02:12:33.96 ID:IYzNqVrN0
>>404
>>407

―――あ、ああ……何や、拾いモンかいな……
はー、あんな変な着メロ、使う人、おるんやなー……世の中、広いんやなー……

【確かに、自分で其の着メロを設定したのなら、アレ程動揺する事はまず有り得ない。】
【然しながら、拾い物の携帯を躊躇う事無く投げ捨てると云うのは、其れは其れで不自然であって―――】
【なんて思考を少年は続ける。だが今優先すべきなのは、此の男の面子を取り戻す事。真実を導き出す事では無い―――】

【だとすれば、少年は男の話に同調する事だろう。其れも、此の男が自分で設定した物では無いと、そう祈りながら―――】

【男の雰囲気が少し強張った物になったのは、其れから少し経ってからの話。】
【どうやら其の原因は、携帯を持ってきた少女に在る様で―――勿論、お節介を焼いた事に対して、では無く。】

【『どうやってこいつを見付けた?』と云う不可思議な質問を発端に、少年も少女へと其の眼を移す事になるだろう。】
【―――少女に対して抱いた感想は、男と寸分違わず同質であった。"違和感の塊"とでも形容すべきか。】


い、いや、当っとるで……当っとるんやけど……。

【放たれた携帯拾い上げ、男へ向かう行動もそう、少年の左頬へ、視線を注いだのもそう。】
【どうやら、此の少女は"見えている"。会話が成立している点から、"聞こえている"事も見て取れる。】
【眼と耳を塞がれた状態でさえ、視覚と聴覚が健在している―――頭がこんがらがりそうな程、極めて難解な問いだった。】

【然し其の答えは、少女自身によってすんなり提示される事になる。どうやら、其の耳と眼の役割を担って居るのは、"レンズ"らしい。】
【真っ先に『ほーっ……』と関心したのは、少年の有り余る好奇心故の行動だった。】
【少女がカメラを見せ付けたなら、少年は頭を動かして角度を変えながら。ジックリ観察を続ける事だろう。】


……それ、電話機能もついとるんかいな……なーんか、"はいてく"な時代やなー……

【少年は何か"嫌な予感"を全身で読み取ったのは、こんな下らない感想を述べた辺り。】
【無邪気に振る舞う少女に対しても、少々の警戒心を抱いたのは、無理も無いだろうか。】
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/15(火) 02:12:37.30 ID:qfLwkmcUo
>>405

【出来るのならば、可能であれば、一歩もう一回貴方へと近づいて】
【そのまま思い切り、大きく手を振りかぶって、貴方の左頬に大きなビンタをぶちかまそうと試みる】
【成功したならきっと、貴方が新しく加えた煙草が、どこかへと吹き飛んでいくだろう】


バカ……バカバカバカ!!
カッコつけたいんなら、満足してたいんなら、最期までカッコつけなさいよ!
少なくともアンタを慕ってついてきてくれる人居たんでしょ!だったら、応えなきゃ
煙草切れてるアンタの不甲斐ない顔見たら、その人達もガッカリするに決まってるじゃない!


【確かに彼女は、貴方の行いを認めたわけではない、むしろ言葉通り嫌っているのは確かだ】
【けれども、貴方の行為に憧れ、貴方を師事する人が居る事は、貴方の言葉からも】
【そして、今朝読んだ記事にもハッキリと書かれてあったから】

【弾けるソプラノの旋律、それはまるで、自分に言い聞かせるみたいに】
【ヒーローの見せる素顔、それはマスクの下のあどけない表情】
【だからこそ、彼女はそれがどうしても、受け入れられなかった】

【最後まで声を出しきったなら、何度か呼吸を吐いて、そして少し、落ち着いて】


……ごめん、アンタの記憶の事、全然知らなくて……多分、酷いこと言っちゃったと思う
でもね、生きることの意味を、行動に求めるのは、少し違うと思うの
分かったような口利くけど、そういうのって目的があるから、意味があるものだから

私は16年しか生きてないし、アンタと比べたら軽い人生だと思うけど
……それでも、そういう生き方してたら、危険だって、思うよ
だから、頼ったら良いんじゃない、周りとか、そのサインを求めてくれたUTのリーダーって人にも

――――――それと、ごめんね、手、出しちゃって……


【言葉はどこか落ち着いて、それは等身大の少女の言葉】
【ひらひらと舞ったなら、やがて消えるようなか細い音律には違いなくて】
【それでもどこかハッキリと、響く意味合いをそこに残しているのだろうか】

【最後の言葉を付け足す前に、くるりと背を向けて、両手を後ろに回す】
【当たっていなくても、あたっていても、手を出したのは事実だから】
【静かに視線を伏せる横顔は自責の意味合いを強めていた】
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 02:31:44.42 ID:pg8u9GFGo
>>407>>410

……悪趣味な奴もいるもんだぜ、ウチの上司とどっこいだな…
普通は目治すのが先だろ、いやまず服をだな…

【目と耳についての説明は受けた、受けたが、より謎が増えた気がして、男は顔を顰めた】
【過去については聞くべきではない気がするが、聞きたくもないが、それをなんとかしたボス≠ニかスカーベッジ≠ニかの固有名詞は気になった】

【───それに】

……久しぶり…に?

【何故、名前を知っている?】
【一体ボス≠ニやらは何者なのだ?少なくともスカーベッジ≠ニは聞いたことがない名前だ。自分と会った事のある人物なのだろうが】
【男───ラッシュは警戒した、少女と、少女の背後にある物を、今からここに訪れるであろう物を】
【…逃げるか?いや、確かめよう、確かめなくてはならない、それがなんであるか】

(…おい、お前)

【と、静かに、小さく、少女に勘付かれないよう気を付けながらラッシュは少年に囁いた】

(今から何が起こるかわからねぇ、だがもし何かやべえ事になったら…)

【「お前と周りまでは面倒見れねえぞ」───と、ラッシュは少年に釘を刺す】
【ここは人通りもある、もし何かあれば、これだけの人数を守る事は不可能だ】
【少女の言う事によれば少年は大会参加者らしい、実力者なのは間違いないだろうが果たして───】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/15(火) 02:47:53.55 ID:xyDMHq2Do
>>411

【草木も眠る丑三つ時…深夜に一つ軽快に音が響き渡る…はずだった。本来なら】
【近寄っていたが、しかし身長差もありビンタは中々苦労することだろう】
【ただ、出来ないわけじゃない。男がまるっきし空気がよめないことに問題があった】
【普通に、危ないと思って避けた。ハードな世界に身を置いているためか反応も早かった】
【どうも、こういうことが出来ないところが彼を強盗の道に引っ張りこんだんじゃなかろうか】

いや、でもホントのことだしさ…なんだろ、嘘ついても仕方ないし
煙草切れてる顔はわりかし何処でも見れる……まあ、うん…そうかな…

【彼の強盗団は割とインスタントでその場限りの仲間で構成されており】
【ほとんど全員の名前すら知らない…なんてことは今は黙っておこうと思った】
【そして新聞の記者にも袖の下でこちらの思い通りの記事を書いてもらっている…そんなことも今はオフレコで】
【嘘はつかないが真実も黙っておこう…それぐらいの世渡りは彼も知っている】

ああ、いや…いいんだよ、記憶無くても不自由してないし…酷いことだったかな?
合ってること言われても…そうだなあってぐらいしか思わないから
……だからせめて笑ってよ。…いや、笑いなよ…俺が言う台詞じゃないけどさ
今は何にも言えないけど…何も言い返せないけど……それが一番じゃない?

【男は誤魔化した。俺は1人で死ななきゃならない。そればかりは譲れない】
【そうしないと意味が無いんだと思っているから】

……当たってないから大丈夫大丈夫

【ビンタは避けるは直ぐにケロッとするわ。一々イラっとする瞬間がある男だ】
【今の空気だと彼のテンションはローというよりハイに見えるんだろうか】
【本人は煙草もふっ飛ばされることもなく煙草をふかす】

……でさ。もう夜中だけど…寝なくていいの?…無職だけど家ある?
俺もそろそろ…夜明けまでに行かなくちゃならないんだよ
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/15(火) 02:55:01.79 ID:qfLwkmcUo
>>413

【盛大に空振った右の手、ぷるぷると小さく震える背中が見えるだろう】
【ぱっと顔を上げたなら、そこにはどこか怒ったような表情の彼女があって】
【ああ、もうと言いたげに小さく言葉を濁した】


これで笑えって……もう、まあ良いわ……
そうね、そろそろ夜も遅いし、帰る事にする
って、一々余計な事を……大丈夫、それなりにお金は持ってるからさ

じゃあね、そっちも変な所で死んじゃダメよ


【ため息をつくものの、あまり嫌な感情は受け取らなかったのだろう】
【頬から力を抜いたなら、そこに浮かぶのは微笑みに似た柔らかな表情で】
【ふふ、と表情を綻ばせたなら、その横顔を貴方に覗かせて】

【くるりと背を向けたなら、そうそうと気づいたように立ち止まって】
【振り向き加減に横顔を見せたなら、紡ぐ言葉を付け足して】


そういえば名前、言ってなかったわね
カノン、カノン=ストラトヴァリウス=初音――――――覚えてたら、またどこかで


【貴方の名前を聞いてか聞かずか、その結果はわからないけども】
【カノンと名乗った彼女は、小さく笑みを残したならば】
【――――――やがて夜の中へと歩みを進めていくのだろう】


/この辺りでしょうか!お疲れ様でしたー
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 03:00:06.93 ID:xZWhv1XMo
>>410
【少年の混乱にも構わず、少女の態度は変わらず幼い子供のままだ】
【その異形が、当然のものであると言わんばかりの自然な佇まい】

【困惑しつつも、自分の説明に感心した様子を見せる少年に、少女はますます得意げになる】
【カメラに注がれる観察の視線に、さらに見せびらかすように首を上げて見せる】

ふふーん!! そうでしょ、すごいでしょ!! とっても便利なのよ!!

【少年が警戒を抱いているのにも、まるで気付いていない様子だ。小さな身体で、少女は精いっぱい胸を張る】


>>412
あくしゅみ? そっかなぁ……このお洋服、気に入ってるんだけどなぁ……
みんなも、わたしに似合うって言ってくれるのよ? このお目目も、耳も

【顔をしかめる男性に、少女の言動はまるで変わらない。自身の異常性を理解しているのか、いないのか】
【そんな彼の反応も、次の瞬間には忘れてしまう。少女の興味は、目の前の二人と、ここに向かっている“ボス”に向く】

【ラッシュが、傍らの少年に釘を刺す言葉も、まったく勘付く様子もない】
【ただ、ニコニコと笑顔と共に立っている】

【そして――“それ”が表れた】


>>ALL
【少女の背後から、その大男は近付いてきた。どこから現れたのか。暗闇の中から、湧き出てきたかのように】
【身長は、2メートルを超えているだろう。大柄な肉体をすっぽりと覆い隠すのは、何の装飾もない、地味で黒いコートだ】
【少女と同じく、フードを深く被っており、顔は窺い知れない。太い足が履く黒いゴム長靴が、地面を踏みつけて重苦しい音を立てる】


【大男は、少女の後ろで立ち止まる。少女が振り返り、目のない顔を輝かせて、大男に近寄る】

ボスボス!!! わたしが、見つけたのよ!! えらい? わたし、えらい?

「……ああ、ベティー。お手柄だ、よくやったぞ……」

【大男の口から、不気味な声が漏れる。低く暗く、重い声音。大男が、ゆっくりと顔を上げた。街灯の灯りに、その顔が晒される】


【角ばった顔付き。笑みを浮かべる口元から覗く、鋭い歯。黒い瞳の両目は、生気がない。よく見れば、それが義眼であるとわかるはずだ】
【何より、異常なのはその額だった。フードからはみ出した黒い短髪の隙間から、額いっぱいに広がる一つ目が覗いていた】
【額に埋まった一つ目が、じっとりと二人に視線を送る。ラッシュは、もう気が付いただろうか。この男と、どこで会ったのか】

「……以前とは、面相が変わってしまったが。私がわかるかね? ラッシュ・ワンスドッグ……」
「私は、忘れたことはなかったぞ。あの日レナールで、あの魔都で、お前が自ら引きちぎった肩肉の味と感触……あの、血の匂いが……」
「恋しくて……恋しくて……仕方がなかったんだ……!!!」

【大男の口角が、裂けるほどに吊り上がった。以前にも増して、人間離れした容姿と気配。周囲の通行人にも、その瘴気じみた異様は伝わるかもしれない】
【大男の額からの視線が、ラッシュから離れて少年へと向く。裂けた笑みは変わらぬまま】


「そちらとは、はじめましてだな……大会は見ていたよ。ねこむら、でよかったかね?」
「私は、カニバディールという……具体的には、こういう者だ」

【不意に、大男が首を上げ、喉元を少年とラッシュに見せる。その喉の肉が蠢いた、かと思うと。左右に、開いた】
【人間では不可能な、形状変化。赤黒い喉の内側が、露わになる。その奥に刻まれているもの】
【世界最悪の組織の象徴たる、逆五芒星と。“No.29”という文字が】

「ああラッシュ、お前にはまだ報告していなかったな。見てくれ、あれから出世したんだよ。もう下っ端を名乗らなくて済む……ふ、ふ」
「さて……まあ、そう警戒しないでくれ。本当に、久しぶりに会って話してみたかっただけなんだよ」
「何せ、この面相だろう? 大会参加者と話せる機会など、滅多にないからな……」

【大男が笑う。誰が、その言葉を信じるだろう。自ら、危険人物であることを明確にしたというのに】
【しかし、大男自身も、傍らで無邪気に笑う少女も、自ら仕掛けてくるような様子は見せていない】
【その姿が二人には、どう映ることだろうか――】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 03:05:27.53 ID:xZWhv1XMo
>>415
/すみません、お名前間違えてました……
/ねこむら→ねこやま
/に訂正でお願いします!! 申し訳ありません、大変失礼しました……
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 03:22:36.04 ID:IYzNqVrN0
>>412
>>415

よう分からへんけど、そうせなアカン、やむを得ん理由、あったんちゃうか……?
流石に、何もない状態から、こうはせぇへんやろ……?

【『眼、開いたらレーザービーム出るとか、』なんて冗談が喉元まで出掛かったが、何とか食い止めて。】
【ジョークが思い付く位、なのだ。少年は此の少女を、其処まで悲観していなかった。】
【物心が付き始める年頃であろう。"普通で無い事"は最も気になる物の一つの様にも思えるが―――】
【其れを諸共とせず少女は、只、気丈に、無邪気に振る舞い続ける。寧ろ其処に、少年は感心して見せるのだった。】


なんやなんや、知り合いやったん……ってちゃうんか。
知り合い言うより……一方的に知られてんのやな。これも、情報化社会っちゅーヤツかいな……うわーこわいなー……

【スカーベッジ。隣の男が知らないのなら、少年も当然知る筈が無かった。】
【男の表情が一段と強張った物になった事を横目で把握すれば、それなりにマズい人物である事をほぼ直観的に悟って。】
【男の忠告に対しては、小さく笑って見せた様だ。了解、と云う意思表示なのだろう。】


【―――何処か冗談めいた少年の口調が変わったのは、大男が目に入った、其の刹那であった。】
【目の前の少女を見ても尚、楽観的だった少年の表情にも、やがて陰が見え隠れし出して。】
【其の原因の一つに、純粋な恐怖が在った。―――加えて、カノッサのナンバーズだと言う事も。】

【自分がカノッサとは相対する組織、"UNITED TRIGGER"のメンバーである事を知られるとマズいか―――と、少年は判断したのか、】
【ぶら下がった左手に掴まれていた、其れを示す"W-Phone"を、そっと背中のショルダーバッグに仕舞い込んで。】
【自分は何もしていない、なんて言わんばかりの誤魔化す笑いを見せた様だ。】


あ、どうも……えっと、よろしく、おねがいします……


【此処は大会会場付近の通りである。何か揉め事が起きた際、付近をパトロールしている、】
【正義の組織員の数は、それなりに多い―――とすれば、そこそこの安全は確保される筈だった。】

【カノッサのメンバーと話せる機会である。勿論、危険性を大いに孕んでは居たが―――】
【どうやら、付き合う選択肢を取った様子。少々緊張した表情は、最早観察しなくとも見て取れる筈だ。】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 03:24:05.86 ID:IYzNqVrN0
>>416
/お気になさらず!自分でも間違えそうにな……ゲフンゲフン
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 03:37:04.64 ID:pg8u9GFGo
>>415>>417

【暗闇の中から、そいつが現れる。まるでヘドロのあぶくが立つように、重々しく、生々しく、不快な感覚】
【どろりと溶けた物に空気が変わった気がした、巨大で、どうしようもなく原初的な恐怖感を煽る感覚】

【ぞっ】

【…とした。鳥肌が総毛立って、正しく戦慄とはこういう事を言うのだと体感する、してしまう】
【その声が空気を震わせて、前とは似ても似つかない、だが記憶から直ぐに飛び出してきた、忌々しい姿】
【巨大な人間が大口を開けて肩に噛み付いてくる感覚を、忘れたくても忘れられようか
、あの恐怖を克服出来ようか】

───てめぇ…見ない内に人相が悪くなったじゃねえか
機関じゃそういうのが今流行りか?

【強張った苦笑いを浮かべ、冷や汗を垂らし、ゆっくりと体を動かしいつでも抜刀出来る体制に入る───それくらいに、カニバディールの姿はラッシュを警戒させた】
【冗談なんて言えるのはそれだけ自分を平成に保とうとしている証拠、グロテスクな名刺にラッシュは「はん」と鼻で笑ってみせた】

おーそうかよおめでとさん、ファミレスでドリンクバーでも奢ってやろうか?
…一体何を話すってんだよ?今更『私はこういう仕事をしています』なんて見合い紛いの自己紹介でもするか?

【ただ話をしたいだけ───と聞いても、簡単には飲み込めない。少年より反応がキツイのは、以前の邂逅の影響からだ】
【構えはいつでも取れる体制のまま、しかし自分からは動かない、まだ真意が分からないから、もしかすれば既にこれ自体が罠かもしれないから】

(…気を付けろよ、こいつは見た目以上にやべえから)

【なんて、少年に念を押したりもするくらいに周到に警戒する】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 04:04:17.85 ID:xZWhv1XMo
>>417
うんうん!! こう見えていろいろあったんだよ〜? おにーさんは、よくわかってるね!!

【いかにも、背伸びしたがる少女といった様子で、大げさに頷いて見せる】
【少なくとも、少女本人にはまるで悲観する様子など見えない】
【それを気丈ととるべきか、あるいは――異常、というべきかもしれない】

おにーさん、大会に出てる人はみんなゆうめーじん、なんだよ?
おにーさんの試合、わたしも見てたもん!!

【少年、ねこやまがラッシュの警告に頷いている様子など、気にも留めない】
【ただ、己の興味だけに意識のすべてが向いている。見た目と異常さと子供っぽさ、どこまでもアンバランス】

【ベティー、と呼ばれた少女は、それから少し距離を取った。カニバディールの話を、邪魔しないようにしているつもりらしい】


「ああ、どうも。こちらこそ、よろしく頼むよ」

【笑みを浮かべて、カニバディールがねこやまに挨拶を返す。声音は先ほどよりも比較的穏やかだが】
【額の一つ目は、無遠慮な視線をじろじろとねこやまに送り込んでいた。値踏みでもするかのように】

【一通り眺めまわし、楽観的な表情を崩すねこやまの顔を見てまたも醜悪な笑いを深める】
【ねこやまが素早く隠した"W-Phone"には、どうやら気が付かなかったらしい】

【無論、大会会場付近であることは、カニバディールも承知している。自分から仕掛けることへのリスク】
【損得勘定を優先するこの大男は、緊張した面持ちのねこやまに、今は敵対する様子を見せない】


>>419
【ラッシュの様子を見て、カニバディールの笑みはさらに深くなる】
【カニバディールのとっても、あの日の記憶は脳裏に焼き付いて離れない】
【ラッシュと、もう一人の宿敵、魔法使いの男に、完膚なきまでに叩き伏せられた屈辱の記憶】


「ハハハ、ちょっとしたごたごたに関わって、目を失ってしまってね。自らそれを補った結果がこれだ」
「残念ながら、機関の流行の発信源にはなり損ねたよ」

【笑えない冗談を吐きながら、唇に舌を這わせる。人間離れした長さの舌】
【油断なく戦闘態勢をとるラッシュに、カニバディールの方は無手のままだ】
【喉の肉が閉じ、元に戻る。何事もなかったかのように、人間のそれへと】


>>ALL
「嬉しい申し出だ。一つ目でさえなければ、是非ともお受けしたかった」

「……おいおい、仮にも命のやり取りまでした相手に、冷たいじゃあないか」
「ちょっとした世間話の一つもしたいと思っていたのだがな。そうだ、今回の大会には出ていなかったのか? 姿が見えなかったが」

【ラッシュの反応は、至極当然と言えるだろう。彼ら二人は、間違いなく敵と言える間柄だ】
【見合い紛いの自己紹介や世間話など、するような仲ではない。それは、カニバディールとて自覚している】


「いや失敬。本題に入ろう。犯罪者の身でわざわざこんなところに出向いたのは、それなりにわけがあるんだ。人を探している」
「大会参加者の一人に、旧知の男がいたものでね。会っておきたくて、飛んできたのだよ」

「ところが、表の世界には伝手が薄い。どこにいるのかわからないんだ。そこで、同じ大会参加者のお前たちなら、知っているのではと思ってね」
「ギア・ボックス、という男なのだが。知らないかね? おもちゃ屋を名乗っている、茶髪に細面の男だ。初戦では、生き人形、などと名乗っていたようなのだが」

【話しながら、カニバディールは一つ目でじっと二人を観察していた】
【元より、自分がこんな質問をして、まともに答えてもらえるとは思っていない。二人の反応を観察して、その名の持ち主を知っているかどうか】
【それを見極めようとしているのだ。恐らく、二人とは出会ったことのない男であるはずだが】

【果たして、カニバディールはその名の持ち主に何の用があるのか。旧知の仲、という言葉を鵜呑みにする二人でもないだろう】
【大会参加者に、しかも一人は敵対者に「機関員が人を探している」、という事実を晒してまで、情報を得たい】
【カニバディールが、その情報に重要性を置いていることが、彼らなら読み取れるだろうか】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 04:27:59.31 ID:IYzNqVrN0
>>419
>>420


……はっはー、そうやろ。俺、天才やから……それなりに、分かってまうねん。色んな事を、な。

え、俺、有名人なん……あー……もうちょい、かっこええ技使っとけば良かったなー……うわ、次から、そうしよ。

【と、少女に対しては依然変わら無い口調で話し掛ける。然し其れとは対照的に―――】
【カニバディールに対しては、愛想笑いが精一杯、という所。どうも彼の第一印象が強烈に邪魔をする様で、】
【少女に向けた明るい態度を、此の大男に持ち越す事が出来ないで居た。】


【其れにしても此の2人は、久しぶりの再会なのだ。握手や、或いは抱擁が在ったとしても、何ら可怪しい事は無い。】
【―――然し、どうも"其れっぽい"感覚が感じられ無い。其の原因はどうやら、少年の隣に居る男の方に在る様。】
【大男に対する敵意が剥き出しにされている感触は、当事者で無い少年であっても読み取る事が出来た。】
【命懸けの戦い―――随分と悪縁なのだろう。少なくとも、片方はそう思っている筈だった。】


【『これ以上ヤバい、』とは―――?此の大男の姿、特に逆五芒星の見せつけ方に関しては、】
【少年が想像し得る、"ヤバい"の範疇を既に超えていた。にも拘らず、"更に上が在るのだ"と少年は警告を受ける。】
【―――最早、警戒の仕様が無い。其れ故、少年に出来る事と言えば、其れは此の2人の衝突が過激化しない様祈るぐらい、だろうか。】


ギア・ボックス……なんか、面白い戦い方、するひと、やな。………んー……

【ギア・ボックス―――其の名を何処かで見た事が在る気がしたが、中々思い出せないで居た。】
【其れ故、悩んでいる素振りを見せるのは、演技でも何でもない。但し、此の大男に情報を与えるつもりなどさらさら無く、】
【仮に気づいたとしても、『あっ、』と閃いた表情を見せない様、細心の注意を払って。少年は思考回路を巡らせていくのだった。】

【と同時に、彼の行方についても考えてみる。恐らく此れは、指名手配の様な物なのだろう。】
【旧知の仲という線も、完全に捨て切る事は出来ないが―――其れは随分と、細い、細い糸だった。】
【だとすれば。自分より、寧ろ彼の身が危険に晒されている状況という事になる。】
【マズい。然し少年自身も、彼についての情報が乏しい故、何も取る行動が出来ず―――。】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 04:49:13.93 ID:pg8u9GFGo
>>420
【精一杯に恐怖を隠した皮肉を、軽く笑って返すカニバディールには、憎たらしさを通り越して不気味さすら感じる】
【「チッ」と舌打ちをしたラッシュは、カニバディールの人間離れしたその体のパーツ一つ一つに注意を向けた】

…世間、だあ?
俺とテメェの見ている世間じゃあだいぶズレてると思うがな、一般人からすりゃ同じようなもんだろうが
何分アウトローな身なんでな、表舞台には中々顔を出しづらくなっちまってよ

【大会には一度参加した…が、それっきりだ、思えばカニバディールは大会からラッシュの情報を得ていたのだった】
【そう、彼は別に正義の味方という訳ではない、協力はするが、機関に敵対はするが、実際は彼もテロ組織の一員で、テロの活動員だった事もある】
【そんな人間がどうやって大会に参加できようか、覆面を被るだなんて簡単な話ではないのだ】

…ギア・ボックス───

【始めて聞いた名前───いや、トーナメント表では見たか】
【実際にどんな人物かは知らない、会った事はないのだから。しかし一つ分かるのは、大会という表舞台に出られる以上同じアウトロー側ではないという事】
【そんな人間とカニバディールが旧知の中とは、本当だったとしてもとてもいい関係とは思えない】

【少年にちらりと目配せして、少年も件の人物を知らないと読み取ると、ラッシュはカニバディールに視線を戻す】

知らねぇな、いや、仮に知ってたとしても教えねぇよ、当然だろ?
何で探してるかもわかんねぇのに教えられるわけがねぇだろ?機関員が堅気の人間を探してるんだぜ?
…立場を弁えろよ

【答えは素直に、思った事を率直に、啖呵を切るように強く言い放つ】
【きっとラッシュが言った事はカニバディールも自覚しているのだろう、という事もラッシュは考えていた。だからこそ予想通りの答えを返してやる】
【激昂して襲い掛かるなんて事はないだろうと願いたいが、すなわちこれはブラフでも何でもない単純素直な回答だ】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 05:12:43.59 ID:xZWhv1XMo
>>421
おにーさん、天才なの!? すごい、わたし、初めて見た!!
えー、十分かっこよかったよ? はくりょくあったもの!!

【少女もまた、変わらぬ様子でねこやまに返す。にこやかな笑い】
【しかし、その無邪気さも、傍らに立つ邪気の塊のような大男の存在で、台無しになっている】

【彼の予想のとおり。以前、悪魔の支配する都市で激突し、互いに痛み分けた、敵対者としての間柄】
【悪縁という以外、なんというべきか。カバディールも、敵意を表には出していないだけで】
【ラッシュに対する声音には、警戒と悪意が見え隠れしている】

【ねこやまが、カニバディールの異能の一端に考えを巡らせつつ、祈りすら捧げている、そんな様子も含め】
【自身が発した名への反応を、つぶさに一つ目が焼き付けていく】

「そうだ、その男だよ。……ふむ、どうやらご存じないようだな」

【ねこやまが、本当に大した心当たりがない、ということはカニバディールも読み取った】
【ねこやまの細心の注意も功を奏し、カニバディールはただ、彼が情報源足りえないということを知るにとどまる】

【ねこやまの感じ取った細い糸、カニバディールはそれを手繰ろうと必死になっているのだ】
【それを、表に出すことはないが。やがて、一つ目の視線が彼から離れる】


>>422
【ラッシュの舌打ちに、苦笑をもって返答する。ラッシュの注意が向く先、やはり人の範疇を逸脱したその肉体】

「おっと、これは痛いところを突かれた。何分、まともな人生を歩んでこなかったものでね」
「そうか、それは難儀なことだ……またお前の試合を見てみたかったのに、残念だよ」

【カニバディールは、ラッシュと死闘を演じはしたものの、その込み入った事情までは知らない】
【しかしながら、闇に身を置く者として、表舞台に立てない事態に陥ることは珍しくもない。そのくらいの理解はあった】


【ラッシュの思考がどこまで正鵠を射ているかは、彼には知る由もないだろう】
【しかし、大方は当たっていた。表のおもちゃ屋と、裏の肉屋。彼らの関係が、いいものであろうはずはないのだ】
【変わらず鋭いままのラッシュの視線に、変わらず重苦しいままの一つきりの視線で相対する】

「……そうか。どうやら、本当に知らないらしいな」
「クハハ、聞いてみるだけならタダだろう? 試せることは、試しておく主義なのでね」
「……ああ、立場のことについては耳が痛い。肝の銘じておくよ。目の前に、いい反面教師がいることだしな」

【強い言葉で放たれた言葉が、カニバディールの巨体にたたきつけられる】
【カニバディールはしかし、それに対してやはり気味の悪い笑みを張り付けたまま、皮肉交じりの悪辣な言葉を返すことすらして見せる】
【ラッシュの願い通り、激昂はおろか表情にさざ波も立てないまま】


>>ALL
ボス……!!

「ん……? おっと」

【少女が、反応する。カニバディールがあたりを見回すと、距離の離れたところに複数の人影が見えた】
【この異様な状況に、周りの人間が少しずつ騒ぎ始めたらしい。このままでは、警察や自警団を呼ばれる可能性もある】


「どうやら、頃合いらしいな。いや、付き合わせてしまってすまなかった。今日は、退散させていただくよ」
「ギア・ボックスに会ったら、警告してやるといい。私の名を出せば、すぐにわかるはずだ」

「あまり長く話せなくて残念だがな。また会える機会があることを願っているよ。……お前たちの肉は、是非ともこの舌で味わいたい」

【大男と少女、奇妙な二人組が踵を返す。向かう先は、路地裏。闇の奥】
【最後の最後、吐き気のするような捨て台詞を残して。二人の異形は音もなく去っていく】
【今宵の奇妙な邂逅が、何をもたらすことになるかは――まだ、誰にもわからない】

/申し訳ありません……。眠気がそろそろきついので、勝手ながら、私はここで抜けさせていただきたく……
/遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました!!
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 05:47:21.54 ID:IYzNqVrN0
>>422
>>423


んー、知らへんなー……まあ知っとっても、教えられへんわなー。……だって、カノッサ、やろ?
カノッサって、知ってしまったらなあ。旧知の仲て言われんのも、次のターゲットて言われんのも、おんなじやしなー……。


【"知らない"のは嘘であった。知らないのでは無く、只々、"思い出せない"。】
【然しながら、カニバディールが生み出した、都合の良い流れに、乗らない理由は無い。】
【だとすれば少年は嘘を付き、其の波に乗る。そうする事で現状を打破しようと試みた様だ。】

【少年は、ついでにラッシュの悪態にも乗っかった。一矢報いたいという稚拙な希望は、】
【下らない意地悪という形で変換され、カニバディールに向かって放たれた。其の効果は───最早、描写の必要は無い。】


【やがて4人に注がれる怪奇の目線が集まり出す。自警団らが呼ばれてしまっては、】
【特にカニバディールと傍らの少女にとって不都合なのだろう。2人は早急に路地裏へと歩き出し、闇に溶け込んでいった。】
【残り2人になってしまったのなら、少年は別れの挨拶もソコソコにして、彼ら2人とは逆の方向に向かって歩み出す。】


【───少年の頭の中に電流が走ったのは、其の頃だった。何処かで見た名前、其の"何処か"を思い出した、一瞬。】
【其れは紛れも無く、"UNITED TRIGGER"の掲示板───恐らく最も新しく入った人物。】
【……を、カノッサ、元意、カニバディールは探しているのだ。矢張り、"UNITED TRIGGER"が、其の原因の一つなのだろうか。】

【否、現段階で、原因を突き止めるのは時期尚早である。兎に角、彼に此の情報を与える事が先決───。】
【急いでW-Phoneを取り出して。ぎこちない手つきながらも、其の危険を必死になって知らせる文章を送信した事だろう。】

【其れも終えたなら、ふーっと深呼吸。『ヤケに都合の良いタイミングで思い出したなー、』と思っては、】
【乾いた息と共に、少しだけ口角を上げて。溶け込む先は、街の喧騒が渦巻く光の奥だった───】


/お疲れ様でした!とても楽しかったです!
/ぜひまた、お願いしますー!
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/15(火) 17:23:54.99 ID:/OtCNIzKo
>>398


まず櫻の国には火影がいるんだぜ。
最強の忍だな。もはや忍んでない――


【その無垢な瞳を受けながらも、得意げに出鱈目を述べる。】
【識者ならもうこの時点で嘘だと分かる内容だがいかんせん相手は幼子、】
【嘘だと見抜けるかどうかは怪しいところ。】

【――だが、その真偽を教えることはしない。】
【道の一角に生まれた、灯籠の淡い光に包まれた憩いの空間で、】
【あえて彼は――、まるで自身の夢物語を語るように、嬉しそうに嘘を続けた。】


ウェァーーッハッハッハ! もしかしてお前は忍術が使えないのか?
――じーつーは、ここだけの話この忍術も実は火影に教わったんだぜ!


【――ひそひそ声も、少女の涙も、『お前みたいなやつでも』なんて台詞も、どこ吹く風。】
【傷心の少女の気持ちを察することもなく、嬉しそうな笑い声を上げた。】



【ひとしきり笑った後、尚も微笑みを絶やすことなく、】
【――嘘も方便、なのだろう。"機会があればお前も教わるといいんじゃねーかな"と、】
【灯籠の光を小さく反射させる涙を、人差し指で掬おうとした。】


/返しておきます!
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/15(火) 17:30:53.62 ID:k6ygypbdo
【水の国――ワールド・グルメ・フェス開催中】
【お祭り騒ぎの熱気に満ちた、水の国の通りに一人の少女がいた】

【右の腕には、どこかの屋台で手に入れたらしい焼き鳥をもっている】
【反対側、左の腕は怪我をしているらしく、包帯に包まれているうえに固定もされていた】
【少女の身体を注視してみれば、あちこちに怪我の跡が見て取れるだろう】

【身に着けた衣服は運動着で、上着は袖を通さずに羽織っている。 顔を隠すように、どこかのスポーツチームの帽子を深く被りこんでいた】
【――顔を隠しているのは、この街で行われた大会に参加をしており、多くの人に顔を知られているというのが一つ】
【敗北した姿を、多くの人々に見られてしまったというのがもう一つの理由だ】

「…………」
【憂鬱そうに虚空を見つめて、手に持った焼き鳥もなかなか食が進まない様子である】
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/15(火) 17:37:47.28 ID:pg8u9GFGo
>>423>>424

チッ……

【そんな化け物じみた見た目で、嫌に落ち着いているのが気に入らない。いや、そんな見た目だからこそメンタルが出来ているのか】
【とにかくラッシュは、皮肉のカウンターに舌打ちをして顔を逸らした】

…ケッ、さっさとどっか行っちまえ、出来ればもう二度と会いたくねぇな

【漸く、悍ましい存在が過ぎ去ろうとしている。心の中で安堵しつつも、警戒は未だ解かない】
【何も起きなかったのはいい事だが、まだ安心するには早い。最後の最後に何かを残して行くような、姑息な手に出ないとも限らない】
【何より相手はカノッサ機関だ、警戒はいくらあっても足り無い、油断は微塵も許されない】

【末恐ろしい捨て台詞を吐いて消えて行く人影が離れたのを見送ると】


───…ぶ、はぁぁぁぁぁ〜〜〜……!!

【───今まで詰まっていた空気が全て吐き出されたかのような溜息をついて、両膝に手をついて俯いた】
【緊張の糸が途切れたとは正しくこのような状態だろうか、しばらく息を整えると、背筋を伸ばす】

【ねこやまとの挨拶もそこそこに、ラッシュはまた歩き出した、人目を避けるかのように】
【───ギア・ボックス、その名前の持ち主に会えたら、つたえなくてはならない】

【緊張を消す為にタバコを取り出した、一本咥えてライターを探す】

『おにーちゃーん!!でんわがなってるよー!!』

【───またどこかで、携帯が投げ捨てられた】

/寝落ちしてしまった…申し訳ありません
/お疲れ様でした
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/15(火) 19:01:50.25 ID:k6ygypbdo
>>426
//まだまだ待機してます
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/15(火) 19:57:06.07 ID:tG9mw2Uro
>>425

ほっ…………ほかげ=c………!?
そっ、それは、どんなやつだ! つよいのかっ!?

【揺らぐ灯籠の火に囲われ、幻想の中に満ちるこの空間において、男の判断はきっと正解で】
【男の紡ぐ幻想は幻想のままに、少女の抱く夢は夢のままで、ただ憧れとして放たれる】
【先程までの涙もどこへやら。自分の中のコンプレックスは、まだ見ぬ父の故郷への興味で上塗りされ】
【少しだけ残る涙は、大きな瞳をうっすら覆って――――そこに宿る月色を、いっそう輝かせるのだろう】

うっ、うるさい! よけいなお世話だっ…………!
ならば、わたしもいつかっ、そのほかげ≠ニやらに会って…………にんじゅつ≠、使えるようになってみせる、のだ!

【男が一切悪びれないあけすけな態度でいてくれたおかげか、周囲の喧騒は次第に収まっていく】
【男と少女、そして灯籠の光――――世界から隔絶されたような小さな幻想の中で、少女は頬を膨らませて意地を張り】
【それから、元々少ない口数をこの時ばかりは大いに増産して、男に騙られた夢を語ってみせる】
【それが嘘だと気づく日は、そう遠くはないだろうが…………それは少なくとも、今この時ではなくて】

【――――と、雲一つない夜空の如くきらきら瞬いていた瞳が、一度はっとしたように震えた後、閉じられる】
【灯籠に照らされる顔は、少し赤く。どうやら、熱くなりすぎたことを恥じているみたいで】

ご、ごほん。わたしとしたことが、しのび≠轤オくも、ない…………。
そ、それで…………そのさくらの国≠ニいうのは、どんなばしょなんだ?

【わざとらしい咳払いで仕切り直すと、少女はマフラーを引っ付かんで赤らんだ頬を覆い隠し】
【唯一出ている双眸を上目遣いに、いじましい仕草で男へそんなことを聞くのだろう】
【話題を変えるためにふと思いついただけの質問ではあったが、しかし全く興味がない訳ではない、そんな内容だ】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/15(火) 20:42:08.16 ID:ufmGcPt1o
>>429


そらもう忍者界のトップアスリートだからな!
育成能力も高いと言う噂だからお前でも達人になれる――かも知れねーな!


【夢は夢のまま、幻想の中で育まれたそれは収集がつかないほど広がっていく。】
【それが悪いことだとは思わない。その嘘が、忍術も使えない忍の支えになるのなら。】
【少女に話している間は、こちらも夢物語の役者になれている、気がする。】

【――むしろ、先ほどまでの少女と同じように、彼こそ夢中になっているのかもしれない】
【彼が子供っぽく、熱心に語る夢物語、】
【少女がその子供っぽさに付き合って聞いている、そう感じることもできるかもしれない。】



【――ふと、一つの灯りが消える。】
【魔翌力が切れて、棒状の帽子掛けが崩れて灯籠が落ちたのだ。】
【道端に生まれた幻想の世界は、突如として崩れた。】


――ま、未熟でも忍ならその答えは自分で見つけな。
実際に見て確かめて、どういうところか自分で感じてみなよ。


【――ぽんぽん、と少女の頭に手を乗せながら、】
【打ってかわって不親切に、ぶっきらぼうな答えを返した。】

/ID変わります!
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/15(火) 21:15:16.53 ID:tG9mw2Uro
>>430

たつじん…………。いいことばだ…………!
わたしもいつか、にいさまのようなすごいしのび≠ノっ…………!

【男の童心に帰ったような振る舞いは、かえって少女にその言葉を疑う気を一分も浮かばせない】
【せっかくクールなしのび≠ニして仕切り直したばかりなのに、騙られる夢物語は少女の胸を躍らせてやまず】
【男と一緒に、この小さな夢幻の中で幼い憧憬を煌めかせ続けるのだった】

む…………。まあ、いい。
おまえに、言われるまでもなく…………とうさまのこきょう、いつかこの目で…………。

【男に頭を撫でられると、少女の頬は三度ぷっくりと膨らんで、怒りとも照れともとれる赤みを差す】
【ぽんぽん、とさすられるたび、少女のじとっとした視線がマフラーの中で見え隠れするのは、何だかぬいぐるみのように可愛らしく】
【――――ぷつん、と、そこでひとつの光が消えるのだろう】
【少女が声を上げるまもなく、魔法の灰の造型は崩れ落ちて、灯籠の光が儚さに散ってゆく】

【そうすれば、買ったばかりの少女の灯籠から再び陰色の蝶が溢れ出し、気持ちよさそうに少女の体の上を泳ぎ回るのだろうか】
【それを見てようやく――――少女は自分が淡い光の幻想に囚われていたことに気づき、あっと声を上げた】


…………し、しまった! わたしは、にんむ≠フさいちゅう、だったのだ…………!
す、すこし、まて!

【ぱたぱたといかにも女の子らしい慌て方で、長いマフラーと結んだ髪の尻尾を揺らしながら、少女は何かを探し始め】
【…………その途中、右手に持っていた灯籠が、左手へ瞬間移動する光景が目に入るだろうか】
【財布を取り出すときにも見せた奇術…………忍術が使えないとすれば、それは何かの能力≠ゥ】
【その真偽はともかく、間もなくして空いた右手へ、同じ奇術によって一枚の書類が現れる】
【少女はそれを、左手の灯籠で照らし出しながら読み上げて――――】

わたしはいま、いほうろてん≠ニやらをとりしまる、手伝いしているのだが…………。
ええっと…………えいぎょうきょかしょう≠フていじ…………?
うう…………よく、わからんぞ…………。

【その光で首元のマフラーが照らし出されれば、そこにある自警団のバッジ≠ェ、少女の身分を証明するだろう】
【本人はよくわかっていないようだが、要するに彼女が手伝っていたのは、届け出を出さず違法に営業している露天商の取り締まりで】
【不審な出店があった場合は即時営業許可証の提示を求めるように、という旨の文面が回されていたのだが…………】

【男がもしもそれを持っていない場合、それがこの少女にバレると――――色々とまずいことになると思われる】
【もっとも少女自身は、この店をちっとも不審だなんて思っていないから、その場合でも言い含めるのは簡単だろうけれど】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/15(火) 21:31:30.08 ID:ufmGcPt1o
>>431

【先ほどもそうだが、占有した物の姿を消す――】
【これもある意味忍術ではなかろうかと思った矢先である。】


――……。


【無論(というのもおかしいが)、そんなものは持っていない。】
【純真無垢なこの少女に、そのことをわざわざ素直に言うこともないだろう。】
【表情は変えない、こういうことに慣れている様子だ。】


あッはー忘れちまったわー!
あ、でも大丈夫うちにあるからさー!

――そんなことよりお前は忍なのにこういう取り締まりもやってんのか、偉いな〜。


【――どうやらこの男、息を吐くように嘘をつくようだ。】
【まったく躊躇いがない。それでいて、相手の話題へと転嫁し、】
【話題を許可証から反らしてしまうあたり抜け目ない。】

【"すっげーなー尊敬しちゃうなァー大物になるんだろうなー。"なんて、】
【少女の気をよくして、完全に職務から意識を離そうとして、】


未来の火影のお名前をきかせてもらってもよろしーでしょーかッ!


【最後の決め手。ずびしと敬礼して相手をこれでもかと持ち上げた。】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/10/15(火) 21:55:21.24 ID:xyDMHq2Do
>>414

【男はひょいと避け、下から立ち上ってくる苛立ちみたいなものを上から感じ取り】
【ここは受けといたほうが良かったんだろうか…なんて事を少し思った】

うん…ああ、そうした方が……いや、まあ…ほら一応心配じゃない
通りすがりでもホームレス放っといて帰るとかは……まあ、大丈夫ならいいけど…

【煙草をくわえ、ポケットに手を突っ込んで、伏し目がちに話す】
【お金なら幾らでも今持ってるけど…まあ渡したところで良い結果にはならなそうだ】

【…変なところってのは何処なんだろうな。オレなんかは寧ろベッドで死んでも】
【違和感しかなさそうな感じがするけど…なんてぼんやり考えていたが】

……暫くは死ぬ気もないし、天使も死神も追っ払っとくから大丈夫だよ

【ストレートに出てきた言葉はこんな言い回しで、これが本心なのか気遣いなのかは本人にもわからない】
【見送るでもなく、サヨナラを言うわけでもなく、男はだまって煙草を吹かす】

オーラィ、俺は……まあ、いいか……俺の名前は明日の朝刊でも見てくれ
……それじゃあ、また…

【さよならを言うのは僅かな間死ぬことだ、と誰かが言っていた。死ぬつもりはない男はさよならを言わない】
【黙って、足音が小さくなるまで、夜の街で何事もなかったかのように煙草をふかし】
【また、次の煙草に火をつける頃にもっともっと暗い夜の中へと歩き始めるのである】

/遅くなりましたがお疲れ様でした!
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/15(火) 21:59:11.46 ID:tG9mw2Uro
>>432

…………ま、まあ、な!
じけいだん≠ニすかーれっと≠フいちいんとして世界中をまわり、しのび≠ニしてのけいけんをかさている、のだ…………!

【ここに居たのが一人前の自警団員だったならば、それは任意同行モノの白々しい態度だったかも知れないが】
【天下一武道会の開催もあって人手が足りず、やむなく駆り出されたというだけの純真無垢な少女相手には、間違いなく有効な手だった】
【すっかりおだてれられていい気になってしまった少女は、手の中の書類のことも忘れて得意げに胸を張る】

【その動作で、着込んでいる白いベストの左胸が強調されれば、浮かび上がるのはSCARLET≠フ紋章――――】
【自警団とSCARLETという代表的な正義≠フ組織の両方に所属しているにしては、頼りなさはやっぱり否めないが】
【――――未来の火影、なんて。その夢物語に手が届くかは置いておいて、まだまだ小さなこの少女】
【数多の未来の可能性を秘めているのだけは、きっと確かなのだろう】

ふ…………いいだろう、教えてやる。
わたしは…………よるなぎ、レラ。さばく生まれのれいてつ≠ネしのび≠ネのだ…………!

【男の敬礼は、まさしく最後の一押しとなり。それと同時、右手の書類がどこぞへかき消える】
【そして少女は、ふんわりしたポニーテールとマフラーをぴこぴこ泳がせながらその場で一回転】
【灯籠を持った左手を点に掲げ、どや顔という言葉では足りないほど非常に得意げな顔で、そう名乗る】

【――――夜凪レラ=B砂塵渦巻く熱帯の国で生まれた、まだまだ未熟な忍の名前】
【わざわざ決めポーズまでして言い放ったその名が宙に溶け切れば、少女は月色の瞳で男の顔を真っ直ぐ見据える】
【口は開かぬまま、しかし自称する冷徹≠ウの欠片もない、なんともわかりやすい熱視線でもって】
【少女――――レラの双眸は、灯籠売りの男の名を訊ねていた】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/15(火) 22:04:58.83 ID:k6ygypbdo
//>>426を取り消します
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/15(火) 22:24:58.18 ID:jYx8Nbwd0
【夜の国―――水没した都市=z

【夜の国の西部に存在しているそこはかつては繁栄していた都市の残り香の漂う大きな湖である】
【十数年前に起こった災害によってそこに住んでいた人々ごと都市は水に飲まれ、地図から消滅したのだ】
【湖から突き出す建物の残骸から下の湖面を覗けばそこには水で錆びついた鉄骨や住宅、時計塔などが眼に入るだろう】
【かつては人が支配していたそこを今は魚群が我が物顔で闊歩しているのが見え、その光景はどこか幻想的にも思えるだろう】

【そんな湖の一角―――湖から突き出す鉄塔の残骸に腰かけて、眼下の廃都市を眺めながら通信端末を持っている人物が一人。】

にゃはは、―――どうやら最後の仕込みは順調みたいだね………まぁ別に僕たち≠ノは関係ない事だけどさ
表向きには友好関係ではないとはいえ君には色々と手を回して貰ったからね………僕個人として少しばかりの手伝いはするよ

とはいえ………君の死夜計画≠ニやらは最初から―――いや、それも込み≠チてわけか―――どんな目的かは知らないけど
結果はどうあれこちらとしても興味深い事象を観測できそうだ………愉しみにさせて貰うよ………それじゃあね。

【軽い口調で、だがどこか妖しい雰囲気を纏い通信をしている人物、それは】
【灰色のシニヨンヘアーの髪に紫の薔薇の髪飾りを差し、同じく紫の瞳をして口元から犬歯を覗かせており灰色のシャツを着て】
【全身を、背に金十字≠フエンブレム、右胸に髑髏のエンブレムの入った白いロングコートで包み込んでいる華奢な体系をした少女】

【少女は誰かとの通信を終えると通信端末をコートにしまい、代わりにポケットから棒付きのアメを取り出すとそれを口に咥える】
【そしてブラブラと足を振りながら湖面の奥に沈む都市を眺めながら妖しく微笑みながら「楽しいゲームの始まりだね」と、呟いた】

【さて、傍から見ればただの無邪気な少女の姿にしか見えないが………そもそも普通≠フ少女はこの時間にこんな場所にいるのだろうか?】
【そして少女が放つ不気味な気配―――果たしてそれに引き付けられて現れる者はいるか。】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/15(火) 22:33:54.93 ID:ZdJOyGB40
>>406
【良い――――これが良い。否、これが良い】
【…………幾多もの修羅場を潜った者ならば、数で攻めるよりも大きな一撃で攻めた方が良いであろうか】
【ましてや、相手はこれ程までの腕を持つ者。普通に勝負を仕掛ければ、ルール上殺される事は無くとも意識を刈り取られるであろうから――――】
【只挑むだけならば勝敗は明白。なれば――――肉を切らせて骨を断つ以上の覚悟】


【少女が自身の右足のを酷使している。其れは、素人目でも分かる事。然れど――――分かっていても、同じ様に傷ついた身体ならば止める事は出来ない】
【否、その身が万全であったとしても止める事は出来なかったであろう。それほどまでに、技巧には差があるのだから】
【一度目は避ける。二度目は当たり――――三度目は、斬られる。飛び散る飛沫。其れは少女にも掛かるであろうが、きっと視界を塞ぐことは無い】
【覚悟はしていた。身を裂かれるその覚悟は元より得ていた。得ていた…………が、やはり本当に斬撃を浴びるともなれば、想像を遙かに超えた苦痛】
【足元を濡らす程の出血。何とか立っているといった様子。出血の為か、札を取り出す腕にも力は入らず――――一度、落として】
【跪いて血を吐けば、己の顔に掛かる己自身の血を拭い去るのだろう。最早、巫女とは思えぬ姿。血染めの装束を纏い、口の端からは血を流し――――鬼とも思えるような、その姿】


「…………良い、ですね………………死を、意識せずに、済むというものは……………」

【あの刃は危険だ。あの少女は危険だ。…………どうするべきか、如何にするべきか】
【霞始めた眼。手探りで拾うのは、先程の札。右手は、患部に。左手は札にへと伸ばされていて…………不意に、その札が上へと投げられた】
【――――狙いは、雷】

【表面を砂鉄とした隆起。そして少女に浴びせた砂鉄。最初のと合わせて、隆起の数は幾つ程になるであろうか――――】
【金属から金属へと発生させた雷を浴びせる言うなれば範囲攻撃。その刀が電気を通すのならば、其れを握る腕に火傷をさせようというのだろう】
【そして、少女に浴びせた砂鉄によって、通電性を良くしようと言うのだろう】

【少女の堅い意思に対し、女性も同じく答えた結果――――】
【自分が立った隆起に浴びせるは札から発生した落雷。本当の其れには遠く及ばない事は確かであるけれど…………其処から、それぞれの隆起へと雷は飛び、更なる場所を求めて飛び交うであろう】
【然れど――――札を切れば、その雷も発生する事は無い。更には、隆起さえ斬れば安全地帯も増える事だろう】
【少女ならば、避けられない事も無いであろうか――――】


【札を放った後にガクリと膝を折れば、もう一度血を吐いて】
【――――しかしながら、漆黒の双眸は少女の行く末を見ている事だろう】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/15(火) 22:36:06.40 ID:/JxbDslro
>>436
【――一陣の風が吹く。湖面にさざ波が生まれる。木々がざわめき、寒気を運んでいく】
【その風とともに、運んできたのは――死臭か、血臭か。兎にも角にも、人の気配】
【さきほどまでも風は吹いていただろうに、いつの間にかそれ≠ヘ発生していた】

【それ≠フ気配を探索すれば――発生したそれ≠、金十字の少女は五感を用いて観測することが出来たはずだ】
【それ≠フ――――色彩は、純白。存在は、純粋。瞳は琥珀だった】
【それ≠ヘ暗闇の奥から琥珀色の1つ目を見せながら、鈍く低い低音を響かせて滑るように少女に接近する】
【否。滑るようにではない。それは実際に――――滑走していたのだから】

「――――いい風だ。火照った身体も程よく冷えるというものだ。なあ」

【暗闇の奥から現れた少女の全貌を表すとすれば、白と琥珀。そして包帯と車椅子――といった所だろうか】
【細かく描写するとしたら、髪は立てば足元まで届きうるほどに長く、それをリボンで一つに纏めたもの】
【隈でアイメイクされた双眸の内片方は、びっしりと巻きつけられた包帯によって隠されていた】
【服装は、白いパジャマと肌を隠すように隙間なく巻きつけられた包帯。肩には上着を、膝には厚手のひざ掛け】

【――病的な印象を与えるそんな少女が、淡い笑みを浮かべて、金十字の少女を見据えていた】

「……何やら面白そうな事が有るようだが。差し支えなければ――私にも聞かせてもらえないかね?」

【どう見ても満身創痍。触れれば砕けるそんな少女】
【だが、何処と無くその少女の纏う雰囲気は浮世離れして見えたかもしれない】
【首を軽くかしげて、少女の会話の内容について問いただす少女からは、敵意も害意も殺気も悪意も感じられなかっただろう】

/*えーっと、1時前には落ちるので凍結するの前提なのですがそれでもよろしけれヴァ……ッ!*/
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/15(火) 22:39:42.97 ID:ufmGcPt1o
>>434


ほほお、その若さでスカーレット! 自警団! まさに期待のホープ!


【事実ではあるが、その言葉はある意味表面上のもの。】
【未だ生活費すら稼げていないのに無駄な出費はしたくない。】
【さっさとおいとまするために、思い付く限りの台詞を並び立てたに過ぎない。】

【――少女の得意気な顔は、彼を安心させるだけで、】
【名を名乗れと暗に伝えるその眼差しに、気づいていながら無視をした。】


それでは夜凪レナ殿ッ! お勤めご苦労様です!


【――逃げるように足早にその場を離れようとする。正直不審。】
【台車を引いているし、灯籠が落ちないようにそこまで全力ではないし、】
【簡単に追い付けるスピードだが――……。】


【――彼の名は、灯籠を注意深く眺めれば分かるかもしれない。】
【灯籠の隅には、筆で妙に達筆に"山中 春"と書かれていた。】

440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/15(火) 22:56:12.76 ID:jYx8Nbwd0
>>438

―――。にゃはは、可笑しいなぁ僕が気配≠捉えられないなんて………いつからそこにいたんだい?
てーか、ちょっと夜風に当たるのは良くなさそうな身体じゃないかにゃー?

【現れた相手に対して最初は視線を向ける事はなく夜空を眺めながら口元だけを緩めて笑いながらそう呟く】
【そしてゆっくりと顎を上げたままの状態で視線を来訪者の元へと向ける、その瞳はまるで深淵のごとく暗く、冷たい。】
【「まぁお近づきの印にどう?」とコートからもう一本、アメを取り出すとそれを車椅子の少女へと差し出した】
【アメのパッケージは都市部で人気のメジャーな商品のものだが、中身≠ェ本物とは限らない………警戒して受け取らないという選択もある】

そうだねぇ………まず君≠ェそれに見合うだけの面白さ≠持っているのなら、話してあげてもいいけどね
余命も少なく、現世に絶望して身投げに来た病人なんかだとしたら―――つまらない≠ゥらねぇ………だから教えておくれよ

                   君は何なのか≠ね―――にゃはっ!

【変わらず眼だけは笑っていないがそう良いながら値踏みするように相手の姿をまじまじと見つめながらニタニタと口元を歪める】
【車椅子の少女が常人≠ナはないという事は承知しているだろうが、どういった異常性≠持った人物なのかを知りたがっているようだ】
【深淵を抱く瞳の奥には………少しばかり好奇心が見える。】

//構いませんよーお願いします!
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 23:01:56.82 ID:YXojmT+7o
【水の国天下一武道会――二戦目会場】


【試合開始の定刻はもうまもなくやってくるが、既に彼女の姿を確認することができるだろう】
【デニム生地のホットパンツ、薄い緑のシャツを着て、足には運動靴という服装に】
【嘘か真か、背中に伸びる黒いしっぽと、アーモンド形の大きな黒い瞳】
【そして目を引くくらいにくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えている】
【そんな、精悍な顔立ちの少女――ギア・ボックスと対峙することになるであろう人物だ】


さって、もうそろそろかにゃ……? 確か人形っぽい人なんだよね
まぁ誰が来たってあたいがやることは変わんないんだけどね


【まるで待ちきれないといった様子で準備運動や素振りをする彼女】
【今まで能力らしい能力は見せておらず、獲物らしい獲物も使っていない】
【素手での格闘のみで戦ってきている】

【細身にも関わらず明らかに人ではない身体能力を彼女は有している】
【特にスピードは凄まじく、それを制することができるかどうかが勝負の分かれ目となるだろうか】


……人形って壊れちゃうんじゃないかにゃ?
それって死ぬってことだったらあたい反則で負けちゃうんじゃ……


【すっかり身体も温まり準備運動を終えると、彼女はひとり考え込む】
【壊れたらひっつくのかなとか、きっと、そんなことを。呑気なものである】

【そんなこんなで両者が揃ったなら、すぐにゴングは鳴るのだろう】

/シルバーキャットです。ギアの人、よろしくお願いしますね!
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/15(火) 23:10:15.97 ID:/JxbDslro
>>440
「そうだな。先程から、だと答えさせてもらおうか。
――――傷が熱を持っていてね。どうにも不愉快だったんだ」

【深淵の様な双眸を見返すのは、澄み切った琥珀色。単眸の瞳――その奥にある感情は、見えないだろう】
【風には当たりたいが、夜風はさすがに体に障る。その妥協案としてのひざ掛けと上着であったようだ】
【軽く会釈をしつつ、少女から飴を受け取る。受け取る手も異様に細く、血管が透けて見えるほどに白い様相を見せていた】
【飴を一瞬眺めすがめつして。一瞬だけ目を瞑り、手の中に握りこむ。その間に、その飴の素材や構成を検査する】

「――死ぬ理由は存在しない故。私が死ぬことはまだ無い。そして、死ねない理由が存在する故。私は死ぬ訳にはいかない。
故に、君のそのつまらない≠ニいう懸念に対しては、私は問題ないと返答を返さざるを得ないだろう。
だが私の口頭での証言では証拠が足りないのもまた事実。――これを見れば、少しおもしろいと思うか?」

【相手のニヤニヤした笑みに対して、少女は達観したような無表情を持って淡々と返答を返していく】
【白色の髪の毛を手で軽く払い――右耳を露出させれば、そこには琥珀で作られたピアスが有る】
【そのピアスを見れば、石の中に彫り込まれたカノッサ機関≠フ紋章が目につく筈だ】

「と。要するに私はカノッサ機関だが、残念ながらそこまで面白い怪奇な生物という訳ではない。
君の求める面白さの定義が私にはわからない以上、どの様な形で君に愉快を提供すればいいか私には判断しかねてしまうね。
言語で私を説明するとすれば、所属はカノッサ機関、性別は女性、身長152cm、体重36kg。
名前はエインセル・アンバライト=Eゼラズニイ。――――一応、六罪王などをやっているよ」

【あめ玉に害がなければ、そのまま包装を解き、少女は口に放り込む筈だ】
【飴の甘さを口に感じるか、空虚な風を浴びて髪が躍るのを邪魔そうにするか】
【どちらにしろ、誇るわけでもなく。ただ当然のことであるように己の正体をさらして、少女はただ≠サこに在った】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/15(火) 23:13:29.34 ID:tG9mw2Uro
>>439

…………う、うむ…………?

【そろそろ、おだても過ぎてきたか――――捲くし立てるような台詞に、さすがの少女も困惑を覚えてきた頃合い】
【僅かに芽生えたそれは不審感へと転化され、彼女の職務意識を刺激する。得意げな顔は一転、幼いながらも真剣な表情へ変わり】
【「えいぎょうきょかしょう≠みせろ」と、その小さな口が紡ぎ出す前に走り去ったのは、英断としか言いようがない】

あっ…………ま、まて! この…………!

【しかし――――少女の着るしのびしょうぞく≠ヘ、残念ながらごっこ遊びの代物ではなかったらしい】
【小動物のように可愛らしい少女の、その大きな双眸は――――眼光鋭く男の背を見据えて】
【上半身を折り曲げて地面と平行にし、ついでに左手の灯籠を地面に置いてから、脚に力を込めれば】

【刹那、それこそ本物の小動物の敏捷さを思わせる、地を舐めるが如き疾駆が開始される――――!】
【魔法のような忍術は一切使えずとも、その体裁きは間違いなく忍≠フ体術】
【男が全力を出せていないのなら、少女の俊敏さはすぐさま男と併走することとなるだろうか】
【そしてそれに成功したなら、少女は大きく吼え叫ぶ――――】

――――レナ≠カゃなくてレラ≠セ、このばか!
それから、なまえ! おまえのなまえっ! おしえろっ!
…………すごくきれいなとうろう≠作るやつがいるって、なかまにせんでんしておいてやる!!

【…………そこで男の不審さを正さず、ただ聞きそびれた男の名前を訊ねることを優先するところが、まだまだ半人前の所以】
【風で煽られたマフラーがずり落ち、少女の顔がはっきり認識できるようになれば、その言葉が本心からの誠意であるとわかるだろうか】
【そこに正義≠セの悪≠セのはなく、ただ男の売る灯籠の儚さと美しさに、今宵見惚れた女の子がひとり、いるだけで】

【その言葉に男がどう答えるであれ、少女はやがて失速し、男を追うのをやめるだろう】
【あまり遠くまでは行けない。一応、職務もあるし――――何より、買ったばかりのお気に入りの灯籠を、置き去りにしたままだから】

ふぅ…………おかしなやつ、だったが…………。
…………つぎはもっとたくさんとうろう≠買って、とうさまやかあさまに、おくろうかな…………。

【追跡を終えると、少女はその速度で再び最初の場所へとって返して、灯籠を左手に持ち直す】
【そして彼女は、しばし満足げな顔で、ぼんやりと輝く灯籠の暖かな光を見つめた後】
【――――もし男が名前を名乗っていなかったのであれば、その輝きの根本に描かれた名前を、心に刻んでから――――】
【再会を願う遠回しな台詞と共に、仄かな夢幻の光の中で、故郷の家族を顧みるのだった】

/この辺りでしょうかっ
/二日間、お疲れさまでしたー!
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/15(火) 23:26:26.85 ID:ufmGcPt1o
>>443


【"宣伝はありがたいが許可証もってねーんだから取り締まり受けてしまいだろうが!"……とは言えず、】
【少女に並走されればこのときばかりは表情に余裕が消える。】
【しかしまあ、これ以上誤魔化す必要もないだろう、少女は信頼しきっている様子だ。多分、】


――山中 春だよ。ご贔屓に頼むぜ『レラ』ちゃん。


【――諦めたようにため息をつけば、しっかり名乗り】
【駆け足は止めることなく、少女が立ち止まれば尚離れていくだろう。】

【後日から売り場を変えようと思いつつも、微かに商売繁盛の光明が見え隠れし。】
【――灯籠一つ半額で売ったという業績でこの日の商売を終えるのだった。】

/お疲れさまでした! また絡んでくれると嬉しいっす!

445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/15(火) 23:34:17.00 ID:jYx8Nbwd0
>>442

それはそれは………でもしっかり耐えて療養しないと傷も治らないんじゃないかな?
にゃはは、まぁそんな事はどうでもいいや―――、そのラベルの奥さえ見えてくればねぇ………。

【アメを手渡しながらその病的に白い肌を見つめ、再び口の端を釣り上げて笑いながら小首を傾げる】
【渡されたアメの性質は売られているものと全く同じ………つまり何の変哲もないアメであり、無害だという事だ】
【そして相手が見せてきたピアスの紋章を目にすると、口元の笑みを一瞬邪悪なモノへと変化させ「へぇ」と呟く】

これは失礼したねぇ………まさかカノッサの、それも王≠フ一柱だったなんて―――。
にゃはははは、これは十分に面白いよ………君は狙っての邂逅かもしれないけれど………この事象がもたらす波紋は大きい。

あぁ………ごめんごめん申し遅れたね、僕はGIFTメンバーの一人、白の女帝=\――ヘル・ベアトリックス=c……よろしくね♪

【相手の名乗りに対して一層深淵の瞳の中の好奇心を膨らませ、一度顎に手を当ててぶつぶつと何かを呟いてから相手を見つめて】
【自身の所属、そして名前を名乗り一度、今までに見せた事のないような無邪気な笑みを浮かべる。どうやらエインセルの事を気に入ったようだ】
【ヘルと名乗ったGIFTの少女はコートから新しい棒付きアメを取り出すとそれを口に含みながら喋りだす。】

さっきの話は君の同僚≠ニだよ………ほら知っているでしょ?この国への機関侵攻を指揮している
魔縁の蛇王=c……六罪王・レギン≠ウ………彼とは個人的な付き合いがあってねーたまに情報交換するのさー

どうやらそろそろこの国での戦争も大詰めを迎えそうだよ―――盤上の駒は些か想定より少ない気もするけどねぇ………。
僕ら;IFTとしてはカノッサとは思想的にも相容れないけど………まぁ僕としては面白い℃魔ノは首を突っ込みたいって思ってる。

【「君はどうしてこの国に?」と付け加えながら相手へと先ほどとは打って変わってぺらぺらと事情を喋っていく】
【どうやら自分が面白い≠ニ認めた相手には友好的に接するようで、エインセルもそう判断されたのであろう―――。】

446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/15(火) 23:38:44.39 ID:RRS28aXJo
>>441
【試合開始、定刻のしばらく前。出場選手の一人、生き人形のギア・ボックスは、手元の携帯端末に視線を注いでいた】
【“W-Phone”。正義組織、「UNITED TRIGGER」の証。その画面に表示されている、『情報統合ネットワーク』掲示板】

【人形の無機質な瞳が、いやその奥に宿る人の魂が、慄きに揺れていた】

(……カニバディール……なんて、ことだ……)


【ギリ、と作り物の歯が噛み締められる音がする。動かぬはずの表情が、恐怖の形に歪む】
【しばらく、両手を額に付けて思い悩む様子を見せたが。やがて、顔を上げる】

(今は……目の前のことに、集中だ……!!!)


【水の国天下一武道会 第二回戦第五試合 会場】
【試合開始の定刻、その少し前にその男は――いや、その人形は姿を現した】

【少し長めの茶髪に、細面。白いシャツの上に青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【一見すれば中肉中背の、どこにでもいる青年だ。しかし、その肌の質感といい、青い瞳の無機質さといい】
【どこか、人間離れしたものを感じるかもしれない。何よりも、彼の手足の関節部分】

【服を押し上げる形で浮き出たそれは、人形の球体関節だ。生き人形。人ならざる者】


【ギア・ボックスは、歩みを止めることなくバトルフィールドへと到達する。対戦相手に、人形の視線を注ぐ】
【輝く銀の髪の隙間から覗く猫耳、背中に伸びる黒いしっぽ】
【動きやすそうな服装も相まって、彼女の身体能力の高さをそのまま示しているかのようだ】


(武器らしき物はない……前の対戦の時も、ずっと徒手空拳だった)
(近距離戦タイプ……接近を許せば、下手をすれば一気に勝負を決められかねない……!!)

……初めまして。生き人形のおもちゃ屋、ギア・ボックスといいます
人形の身体とはいえ、強度は結構自信ありますから、ご安心を

身体が壊れても、すぐに死ぬわけじゃありませんしね

【妙なことで考え込む彼女に、自ら補足説明をする。事実、人形の身体を砕かれても、ギアはそう簡単には死なない】
【戦闘準備も整ったらしい相手に、ギアも構えを取り……試合の開始を告げるゴングが鳴る】


(とにかく、接近させたらまずい……!! 先手を取れれば!!)

【間髪入れずに、ギアの右手が腹に突き込まれる。腹の中に手がめり込む、ギアの能力によるもの】
【引き出された手に握られている、プレゼント包装を施された箱を、ギアは彼女と自分との間の空間に投げる】


弾けろ!! 『サプライズ・キューブ』!!

【箱が空中で音を立てて破裂し、中から小さな7つの鉄球が飛び出した】
【狙いたがわず、シルバーキャットの足へと鉄球が向かっていく】

【大会用に威力を抑えてあるが、まともに命中すれば、ダメージは必至だろう】
【まずは、相手の機動力を狙う初手。しかし、彼女のスピードに鉄球が対応できるか――?】


/いきなり遅くなりました……すみません
/ギア・ボックスです。シルバーキャットの方、よろしくい願いします!!
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/15(火) 23:47:36.51 ID:/JxbDslro
>>445
「確固たる目的がない限り。私は通常、偶然に任せて彷徨している。此度の遭遇も偶然だな。
ヘル・ベアトリックス――――なるほど、記憶した。そうだな、君のように二つ名を並べるとしたらアンバーブラッド≠ニ言った所か。
兎にも角にも。君の気に召した様で何より。そして、GIFT。――丁度誰かに接触したいと思っていたんだ。僥倖だな」

【少女の無邪気な瞳に対して、ほほ笑みの一つも向けてやれば良いのだろうが、ほほ笑みが漏れることはない】
【琥珀の瞳を僅かに細め、少女の瞳を真っ直ぐに見据えながら、顔や特徴、そして名前を観測し、脳内に関連付ける】
【目を瞑ることで、その関連付けを再確認し、目を開いて再度その関連付けが間違っていないことを観測した】

「レギン。――私は未だ六つの席に座して間もない故に――面識はないがね。
大分悪辣だと聞いている、恐らく私よりも随分と相応しい人間だろうね、彼は。――まあ、観測しなければそれらはあくまで仮の評価でしか無いが。
そう、だな。彼との交流も兼ねて、私の私兵を裂いても悪く無いかもしれない」

【戦争。そして、盤上の粉が足りないと言う発言から、ふと思いついたように私兵を割くと発言】
【そして、包帯に隠された左目の部分から、琥珀色の光が薄っすらと漏れだして】
【数秒の後には、その光は止み。何かに納得したように首を縦に振っていた】

「……ここに来た理由。単純に散歩だな。
あとは――何処かに遺跡でもないものかと、探索をしていてね。
有名な所でも良いのだが、穴場か何か――知らないか?」

【散歩と言って前触れ無く現れる少女の発言はどこまでが本気なのか。崩れない表情からは判別が付き難い】
【そして、取ってつけたのか、それとも此方が本当の目的か。遺跡を探していると少女は答える】
【なぜ遺跡を探しているのかは示さない。この女、口数が少ないわけではないが、単純に話下手だった】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 00:01:41.56 ID:Yh3YEFT/o
>>446

【想像した通りの――ちなみに彼女、ギアの一回戦を見て予習してない――人形が姿を現した】
【じぃ、っと彼女は物珍しそうに、その関節部分を黒い瞳でまじまじと見つめた】
【背のしっぽがぴょこり、ぴょこりとゆっくり動く。どうせどうやって動いてるんだろとか考えているのだろう】


シルバーキャット――銀猫だよ! 今日はお互い楽しもうにゃ
なるほど、結構頑丈だけどやっぱり死んじゃうんだね。じゃあ――

へこむだけならだいじょうぶでしょ!


【壊れたら結局死んでしまうことに変わりはないようだが――どっちにしろ、手を抜く気はさらさらない】
【ゆらりとファイティングポーズを取った。もう先程までのお気楽な猫ではない】
【全身に闘志が漲り、その眼光は鋭く、相手の挙動を漏れなく捉える狩人のものとなる】

【ゴングがなった。先に動いたのはギアだが、彼女もほぼ同時に駆けだしていた】
【そのスピードはやはり驚異的なもので、瞬きの間にも目の前まで迫ろうかというほど】


――よいしょ!


【鉄球の全てが低空だと判断すると、彼女は高く跳んでそれをかわすだろう】
【近づけさせまいとするギアに対し、こちらは接近しないと何もできない】
【ならば、最短距離で拳の範囲まで疾走するのが吉!】

【彼女は真っ直ぐにギアへと近づいてゆく――が、目の前に着地することはなく】
【ぐるりと縦回転したならば、強烈な踵落としを浴びせようとするだろう】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/16(水) 00:07:22.64 ID:3NlVg7C+0
>>437

【二度の斬撃――――負傷が踏み込みの数から一を引いた刃は、追撃の一閃だけが巫女を捉える。】
【驚嘆に値する防御術だが、追撃が可能であることに変わりはない。最善の戦いと決着を求め、その意識に身を委ねると】


(……同感ね。好きにあなたと戦える夜を、こんな風に楽しめて良かった――――)

【一度落ち、今度こそ巫女の手で舞い上げられる符を、反射的に断たんとする凄烈の刃――――だが誕生する稲光に意識が追いつけば、伴う様に手元を返して】
【防ぐことは叶わない/ならば撃てる手総てを以て其れを凌がんと/加速する主観が一手を見出した、】

【剣にこそ最後の其れを見たのだ。斬り上げる太刀が翻り、命綱の様に真っ直ぐに降り立って】
【電流が其処を伝いだす。床面に刃を衝き立てることで致命的なその一部は流すも、大電流に翻弄される総身に何ら変わりは無くて――――】

―――――く、ぅうぅっ……ぁ、っ……!

【ぐらりと、大きくその体が傾いた。戦いで大きく傷ついた左脚が膝から崩れ、疲弊した右脚がそれに続く。】
【既に意識は朦朧としているのだろう、前に向くだけの力さえも失った様に項垂れて。刀に縋る様な姿勢で弱まった呼吸を不規則に、震えの様に繰り返すばかり】
【だが、喪失は未だ訪れない。……必殺の一撃に訪れる終わりは、少しだけ先延ばしにされる。】

【 灼ききられる意識を離れる様に、強く、強く―――――……鼓動さえも弱まる胸に、こみ上げてくる想いがあった】

あな、たは……この先でまみえる戦いに、何を求めてここに立てたの?
…………っ、……――――


【既に戦いの趨勢は決した。けれどこの舞台に立ち、傷を越えて“戦い抜ける”彼女ならば、目的が、信念が、願う“先”がその胸には宿る筈――――】
【無意識に口にした問いかけに答えようと答えまいと、其れは、巫女の返答であって】
【……終わらせるならば、あと一撃。先程と同じ雷の圧を、少女の体へと流し込めば済む話なのだろう】

【 答えの明度を確かめる様に、戦いを終わりまで見届ける様に。少女は、すぐ傍に佇む巫女に面を上げようと――――、】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/16(水) 00:12:04.78 ID:wFtGGsGDo
>>208

【突撃後、今や煙で姿の見えない剛太郎の方向に目を向けながらムクは思う】


『無茶な事を考える……足にくっついているのが神経毒の植物と知るや
動けるうちに急接近を試みるとは―――左足のダメージがなければただ急接近だけと言わず、もっと勢いよく力をためて
『疾風迅雷』を容赦なく打ち込んでいったかもしれん……前から思ってたが土壇場の決断力だけは名うての戦士にも引けを取らん奴じゃのう

じゃが、わかっておるのか……?そんな無茶をしたのだ、もはやお前はその場から動けまい』


【ムクの言うとおり……毒の煙に包まれ姿の見えぬ剛太郎はその場から動く気配がない】
【その剛太郎を狙って接近し、とどめの一撃を叩き込む事も当然ながら可能である】
【狂死郎の最後の一撃が迫る中、剛太郎は身動きせず冷静に考えていた】


(無茶な行動のツケかな……その通り、足が痺れてもう思う通りに動かす事は出来ねえ
手元は……まあなんとか指が動くって所かな、思った以上に毒の回りが早い、この戦いで俺はもはや
この場から一歩も動く事が出来なくなっちまった

でも問題はない、もう『これ以上動く必要』はないんだ―――次の新奥義で決めちまえばな)


【毒の煙幕に覆われながらも剛太郎らしき人影はその場を動かない、狂死郎が凄まじい速度で接近してもなお】
【8m、5m、3m、狂死郎の突進により間合いがコンマ一秒で詰められていてもなお、避ける素振りを見せない、完全に毒が回ったか】
【そう思わせるには十分なほどの不動、そして間合いがついに1mを切って、『爆導策』の右ストレートを叩き込み始める所でようやく剛太郎の姿がはっきり見えるだろう】

【剛太郎は目を瞑り、息を殺し、腰を低く下ろして動かぬ足を己の固定のみに使い、思いのほかリーチの長い右腕を真っ直ぐ狂死郎の腹部めがけて伸ばしていた】

【最後の急接近を終えた後、すぐに毒が回り激しい動きなど出来なくなると悟るや否や、剛太郎はまず狂死郎の気配を探った】
【目を瞑り息を殺し、己の気を静めただ狂死郎が発する熱や物音、そして扱う魔翌力そのものを感じ取りどこから近付いてくるのかを感じ取った】
【そのため、これ以上毒に侵される事もなく、閃光に眩まされる最後の奥義を放つ姿勢に移れた】

【ほぼ動かぬ足をそのまま自分自身をその場から動かさぬ姿勢で固定を行い、狙いを定め接近を待てば良い】
【そうすれば、『狐火』の加速で勢いを付けてしまった分、そっくりそのままその勢いを己の奥義の威力として狂死郎に叩き込める―――!】


これぞ、葉隠流第八の奥義!


―――――『不 動 明 王』 ォ ォ ォ ッ!!


【正真正銘最後の大逆襲―――このまま真っ直ぐ進めば当てるよりも先に不動のカウンターパンチに阻まれる】
【渾身の加速を込めた分、一切動かずその場に固定された剛太郎の拳に激突したならば、その威力は推して知るべし】

【ともあれ、動けぬ剛太郎にとって使用できる、この正真正銘最後の一手――――最後のぶつかり合いはいかにして決まるか―――?】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 00:18:19.50 ID:8RTAz5uS0
>>447

にゃは、そうだったのかー。でもただ偶然にこんな邂逅を生み出すのもかーなーり恐ろしい≠ッどにゃー
アンバーブラッド=c……僕も覚えておくよ。

おや、GIFTに何か用でもあったのかい?僕で良ければ窓口になってあげてもいいよ、君は面白い事象を起こしそうだし♪
むしろ他の人は頭の固い人が多いから突っぱねられるかもしれないしねー。

【わざとらしく肩を竦めながら犬歯を出して苦笑し―――そのあとに満面の笑みを浮かべながらそう提案する。】
【確かに、この好奇心で動く少女は他のGIFTのメンバーより扱いやすいようにも感じるかもしれない、だが】
【この短絡的な思考が逆に脅威≠ニなる可能背もある………要件を伝えるにしても選択が必要であるだろう。】

まぁねーレギン君は下種な事も好んでやるような根っからの悪人気質だから………まぁ僕も付き合いが長いわけではないけど
それは良いね、レギン君と君の事象が絡まればさらに大きな渦≠生み出すかもしれない―――まぁ外部の僕からすればだけどね

にゃはは、僕としても二人目の王≠ニ遭遇できるなんてこの上なくラッキーだ。

【ニタニタと笑いながら悪意を巡らせ、頭上に瞬く巨大な月を眺めながらそう言い放ちもう一度視線を相手へと移す】
【時に無邪気に、時に妖しく―――この少女の持つ二面性………少し垣間見ただけでもGIFT≠フ一員であるというだけの格≠ヘあるようだ】
【相手の包帯の下から出る光とヘルの持つ深淵の闇を持つ瞳が交差し―――混ざり合う。】

それならこの下なんていいんじゃない………?なんでもこの都市が水没した原因の災害は
偶然発掘してしまった遺物≠ノあるなんて噂も流れているよ………信じるも信じないも君次第だけどね、にゃはは

【そう言いながらヘルは魚群の闊歩する真下に広がる水没都市を指さす―――確かにどこか神秘的で、不気味な魔翌力を感じるが】
【とはいえ水の底だ、簡単に入ることは出来ないだろう。】

//そろそろお時間ですね
//このまま〆ても問題ないですが、もし凍結するのであれば
//明日は午後6時までと午後11時以降ならば対応できると思います、置きレススレでも構いません
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 00:30:00.49 ID:ST0t0ZTzo
>>448
【彼女の、物珍しそうな視線に、思わず少したじろぐ】
【この身体に好奇の視線を浴びせられるのは珍しいことではないが、このように遠慮なしの視線は意外と少ない】
【揺れるしっぽに、ギアもまた好奇の視線を引き寄せられそうになるが、彼女ほどまじまじとは見なかった】


ええ、お互いいい勝負にしましょう
しかし、なかなか過激なことをおっしゃいますね……ハハ……

【無論、真剣勝負であることはわかっている。しかし、彼女の纏う気配の鋭さには、思わず気圧されかけてしまった】
【視覚で見えるのでは、と錯覚しそうになる闘気、射抜かれるような眼光、一流の戦闘者の気配】


【箱を放った時にはすでに、彼女は最初の位置にはいなかった】
【一瞬、目を瞬かせる。なんたる速度。目にも止まらぬ、とはこのことか】

(速過ぎるっ――まずいっ!!)


【驚異的な脚力で空中に身を躍らせるシルバーキャット、その名に恥じぬ身軽さ】
【さらには空中で縦に回転、アクロバティックな動きに目を奪われている余裕はない】

――――ぐっ!!!!!

【反射的に突き出した左腕に、重い踵落としが決まる】
【本体へのダメージは避けたが、左腕に鈍い痛みと激しい衝撃。ゴキリ、と人形の腕が折れる音】

【玩具武器を素早く出し入れする腕はギアにとっては生命線、それを早くも片方潰されてしまった】
【しかし、接近されている今なら、反撃も可能かもしれない】
【ギアは、右手を折れた左腕に突っ込む。引き出す。手に握られているのは、いわゆるピコピコハンマーだ】


(彼女の身体能力の高さなら、音に弱いかもしれない!!)

『ノックアウト・ハンマー』!!

【接近しているであろう彼女へと、がむしゃらにハンマーを振り下ろす】
【『ノックアウト・ハンマー』は、何かを叩くと大きな音を出して相手をけん制する】
【近距離からの音による攻撃を狙った行動だ】

【そのスピードで打撃をかわされたとしても、地面にぶつかるまでハンマーを止めない腹積もりだ】
【何かにぶつかりさえすれば、音は発せられる。半ば賭けの一撃】
【無論、シルバーキャットの動きによっては、ハンマーの動き自体を阻止されてしまう可能性もある】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/16(水) 00:33:54.86 ID:4xbDEJ05o
>>451
「私には私の目的が有る。それを達するのに有用であれば――幾らでも行動するのみだ。
――私も、面白い人間と遭遇することが出来た。この出会いに感謝をしよう」

【無表情ながらも、淡々と言葉を紡いでいく少女。無愛想に見えかねないが、発言自体はまともそのもの】
【悪の頂点の六座に有るとは思えぬほどに、丸くまともで、普通に見える。比較的――という但し書きがつくが】
【六罪王に似合わぬその普通さは。その弱さは。ヴェールなのか、それとも本当にそれが総てなのか。それは判断しかねる事だろう】

「なるほど――――Blood LineCircuit=v

【相手の言葉を聞いた上で――女はおもむろに車椅子を滑らせて水辺へと移動した】
【そして、その直後。少女の座する車椅子にびっしりと電子回路を思わせる幾何学模様が発生する】
【琥珀色の光を漏らすその模様は、車椅子の接地面から周囲の風景を侵食していき――水面へと到達】
【水面どころか、水中にまで紋様がびっしりと浸透していき、少女の前方50mほどを扇状に琥珀色の紋様が冒していた】

「…………っ」

【表情を全く崩すこと無く。しかしわずかに強く意識を発露させた次の瞬間】
【――水面が、開いた】
【モーセがするそれは神の権能に寄るもの。だが、それよりもなお自然、当然の様に水面は切り開かれた】
【水面の割断面からあふれだすのは、水という遮蔽を失った純粋な魔力。その魔力にも幾何学模様は絡み付き】
【少女の肉体へとその魔力は還元されていき、数秒の海開き≠ヘ終了。轟音を立てて水面は静寂を取り戻し、幾何学模様も失われた】

「――良い場だ。前哨戦には、調度良いかもしれないな。
GIFTのメンバーに窓口として伝えて欲しい。近いうちに、私が争乱をこの地に起こすと。
君たちがその戦いに出向く価値を抱いたならば、アンバーブラッド≠ヘそれを歓迎する――――とな」

【少しだけ汗ばみ、上気した額を拭い――伝えるのは、争いの宣言】
【参加しろとは言わず、参加の価値を見出したのならば、参加を歓迎するという強制力のない発言】
【琥珀の王は、未だに真意の読めない瞳をまばたき少なく真っ直ぐに少女に見つめたまま、佇んでいた】

/*では、もう少しお付き合いいただければ幸いです! 明日11時以降了解です!よろしくお願いいたします!*/
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/16(水) 00:48:57.68 ID:sk93GPdA0
>>449
【――――ズルリ、ズルリ。身体を捻れば肉が裂ける。大腿を用いて立ち上がろうとするならば血が溢れる】
【……殴られたのでは無く、斬られたのだ。動かすための筋を、断たれたのだ】
【ギリと響く低い音は、奥歯を噛み締める其れで在ろう。潰えそうな意識と、それに抗う意思との狭間】

【踏みしめる一歩。たった一歩であっても、まるで全身が鉛になったかの様な重さ】
【ぴちゃり、ぴちゃり――――歩く度に漏れる音。出血死する程では無い。しかし、身体を巡る血液が少なくなれば当然意識も断たれる】
【直ぐ側の少女。更に寄るため、己の身を裂く】


「――――償い、とでも言いましょうか…………いえ…………それは只の自己満足…………」

【少女の頭が垂れない様、その側頭に手を添えて】
【償い。この場に出たのは誰の為であったか――――償いならば、その者に対する其れか、或いはまた別な何かか】
【…………傷の痛みに、小さな吐息。語るのも厳しければ、一度言葉を途切って】


「栄光が欲しいわけでも無く…………強者の名を冠したい訳でも無い…………
……………今の思考で言葉するのは、中々難しいですが…………やはり、一つの償いでしょうか……」

【粘度を得た血液。口から溢れたならば、自分の肩口で乱暴に拭き取って】
【もう、札を扱う余力は無い。文字通り全力を出し切ったのだから。それに――――仮に使えたとしても、もう痛みは必要無い】
【少女の側頭に当てていた手を、ゆっくりと後頭部へ運んで――――】


「…………何れ、又機会があれば…………勝っても負けても、お話ししましょう…………どうも、今の状態では話す事も、一苦労です…………
……そして、柊。貴女の話は、色々と聞いていましたよ…………私も一自警団、本当に、沢山の…………
…………そんな貴女と、戦えて…………とても、満足、しています……」

【途切れ途切れの言葉。元より抑揚の少ない声で更にか細くなったとなれば、会場の誰に聞こえる筈も無い。――――少なくとも、目前の少女以外には】
【そして、見せた小さな微笑も、他の者には見える事が無いのだろう】

【狙うは経穴。所謂、ツボと呼ばれる部位。分界頸線に存在するその一つに、人差し指を当てたなら…………当てる事が出来たなら】
【後は必要な深度に達するまで押すだけ。失神――――必要以上の痛みを与える事も無く。否、それ所か目覚めた時には痛みが緩和している作用のある所】
【――――とは言え、動きは非常に緩慢。序でに言えば、力だって無い為に払おうと思えば赤子を相手するかの如く、簡単に払い退ける事が出来る】
【持久戦。出血の激しい自分が負けると分かっているから――――最後の一手。打撃でも無く術でも無く、破壊する其れ等とは真逆の癒やしを以て】
【耐えれば――――或いは、払えば、少女の勝利。この激闘に、幕が下ろされる事となるが――――】
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 00:53:53.44 ID:Yh3YEFT/o
>>452

【踵落としが腕に決まり、ギアから鈍い音が聞こえてきた】
【おそらくかなりの痛手を与えることに成功したのだろう】
【距離を取らぬように目の前に着地し、彼女は態勢を整えた】


取れちゃったら――あたいがくっつけてあげるにゃ
………………縫い物とかできないけど


【腕が折れる音を聞いて、彼女はギアの腕が取れるところを一瞬想像したのだろう】
【その、もしものことが起こった場合、彼女がなんとかしてくれるようだが――】
【ぼそっと呟かれたのは、ギアにとっては悪夢のようなものかもしれない。というか裁縫で直るのだろうか……】

【次の攻撃に移ろうかとした時、ギアが新たなおもちゃを取り出した】
【彼の方も名に違わぬ面白い能力だ。しかしそれを見た瞬間の銀猫の表情は、余裕に満ちた笑みに変わる】


そんなんであたいを倒そうなんて百年は早いにゃ!


【ピコピコハンマー――本来やわらかくて、冗談で人を叩く時に使われるおもちゃ】
【もしそれが巨大だったとしても、その一撃で自分が沈むなどとは到底思えない】
【故に、そんなものは通用しないことを示すために、ハンマーを弾き返そうと拳を合わせるだろう】

【だが――】


んにゃああああああああああああ!!!???


【ふいに鳴った大きな音に、彼女は異常なまでの反応を示した】
【びくぅ!と身体を跳ねさせて、身をちぢこめたのである。この間は少なくとも、大きな隙となるだろう】
【猫は聴覚が人間の4倍も優れているという。彼女がどれほどその特徴を残しているのかは不明なところだが】
【ハンマーは彼女に絶大な効果を与えたのだった】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 01:05:48.88 ID:8RTAz5uS0
>>453

にゃはは、随分と大層な目的があるようだね………まぁ今は詮索はしないでおこうかなー
そう言ってもらえると嬉しいよ―――お互いを愉しませる事の出会いなんてそうはないからねぇ。

【淀みきった深淵の紫の瞳で相手を見つめながらニタニタとにやけながらそう言い放ち、満足げに息を吐く】
【表面上は普通だが、この目の前にいる相手も王≠ナあるだけのナニカ≠持っているのは明確であるのだから】
【いずれそれを見る事が出来るだろうと愉しみでもあったのだろう。】

【そしてアンバーブラッド≠ノよる海開きが開始されると「おー」と気の抜ける声を発しながらパチパチと手を叩く】

にゃはははははッ!これは凄いねぇ!!流石は六罪≠フ一柱を担うだけの力は備わっているという事かい!
そして言伝も賜ったよ………これはまた、面白い事象が観測出来そうだねぇ………蛇≠フ動きと合わさればさらに歪み≠ヘ広がるよッ!

ちなみにこの都市の残骸≠フ元の名はアヴェロニア=\――水没都市アヴェロニア
そして眠るとされていた遺物≠ヘ神波の宝玉=c……水の暴神の力を宿した宝玉らしいにゃー

後の情報はそちらで調達≠キるといいよ―――その方がより事象が面白くなるだろうかなねぇ………にゃはははは
僕も都合さえつけば参戦させて貰うよ………もし難しくても見物ぐらいは来させてもらおうかな―――。

【自身の所有する情報をすべて相手に伝え、さらにそれ以上の情報は自分で仕入れ=Aそして舞台≠整えろという事を伝える】
【今まで接してきて分かるだろうがこのヘルという少女は気分屋であり、この騒乱に出向くかは分からない。】
【だが、これでGIFT側も何かしらのアクションを起こす事は確定的だろう。】

//承知しました、ではいったんお疲れ様でした!
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 01:19:54.68 ID:ST0t0ZTzo
>>455
い、いえ、お気持ちはありがたいですけど……
自分で直せますので……そもそも、裁縫ではちょっと……

【腕の痛みをごまかす意味もあって、ギアは彼女の呟きに返答する】
【仮に腕が取れてしまったとしても、直す方法はないわけではない。この辺りのことは、自分の専門だ】
【しかし、彼女のある意味何より恐ろしい言葉も、左腕を苛む痛みに遮られる】


ぐうっ……

【うめき声を上げつつもどうにか『ノックアウト・ハンマー』の攻撃はやりきった】
【玩具武器の強みの一つ、見た目の威圧感が低いという点が功を奏したらしい】

【ハンマーの打撃面がシルバーキャットの拳とかち合い、会場に響き渡る大音声】
【前回の試合と同じく、それは予想以上の効力を発揮してくれた】
【自分の読みは当たり、猫さながらの身体能力を持つ彼女は、聴覚もまた普通以上のものであったようだ】

【音による攻撃は、やはり有効な手段だと再認識する。そのまま、もう一度追撃をかけようと――】


いつっ……くぅ……

【しかし、その前に右手から力が抜け、『ノックアウト・ハンマー』がフィールドの石畳の上に落ちた】
【ギアの身体には神経こそ通っていないが、その内側に宿る人の魂はしっかりと苦痛を認識する】
【腕をへし折られたダメージは、後から鈍い苦痛をもってギアを襲った】


(せっかくのチャンス、無駄にするわけには……でもダメだ、『ノックアウト・ハンマー』はもう使えない)
(腕一本で、この距離で有効な手立て、といえば……)

……『スピンブレード』!!

【左腕をかばいつつ、右腕をわき腹に突き込む。引き出された手には、二つの小さな独楽が握られていた】
【間髪入れずに、独楽を投擲。地面に接触した二つの独楽は、音もなく石畳の上を滑り】
【ちぢこまっているシルバーキャットの足元へと向かっていく】


【相手の足を切り裂くことを目的とした、下段攻撃の武器】
【独楽の周囲からは薄く丸い刃が飛び出し、独楽は回転する刃物と化している】
【持ち前のスピードを封じている間に、足を傷つけて少しでも機動力を削ろう、という算段らしい】


【二つの独楽、『スピンブレード』を放った後、ギアはまたも左腕の痛みに襲われる】
【本来、『スピンブレード』はそう殺傷力が高くない。しかし、素早くかつ腕一本で出せる武器となると、そもそも範囲が狭まる】
【それを、この状況で即断で選択しなければならない。ギアは、シルバーキャットのスピードを少しでも鈍らせる可能性を選んだ】


【この選択の結果如何に関わらず、今度はギアが隙を晒すこととなるだろう。折れた左腕が揺れる】
【また、『スピンブレード』は、攻撃を加えればすぐに弾かれて動かなくなる】
【果たして、シルバーキャットに苦し紛れの攻撃が通用するか――】
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 01:42:44.76 ID:Yh3YEFT/o
>>457

【痛みはないものの、まさにノックアウトと冠するだけはある】
【驚きで目すら固く閉ざしていた彼女はやがて、そーっと目の前を確認するのだろう】


はーっ、びっくりしたにゃ。ああいうのと水だけはやっぱ苦手だにゃ……
――て、痛ッ


【ハンマーの大音量は結果的に彼女を硬直状態にしていた】
【防御も回避も攻撃もない、完全な無防備で――しかも攻撃が来ることにも気が付かないでいた】
【スピンブレードは狂いなく彼女の足を切り裂く。痛みで身が強張るが、その程度で彼女は膝を折らなかった】


――お返し。思いっきりへこましてあげるから覚悟するにゃッ!


【まだ両者の距離は近いのだろう。どちらにせよ彼女はギアとの距離を縮め、踏み込む】


くっ……


【軸にした方の脚――左足が血しぶきの悲鳴を上げた。彼女の表情が痛みに歪む】
【しかし攻撃を止めるわけにはいかない。拳を振りかぶり、ギアの胴へと右ストレートを叩きこもうとするだろう】
【何のひねりもない、馬鹿正直なほどに真っ直ぐな一撃。見切ることさえできれば対処も容易いか】

【その威力は本来よりやや低くなっているかもしれない】
【踏み込み時の痛みによって力が乗り切らないのだ。おそらく機動力もそれなりに削がれていることだろう】
【それでもまだ十分驚異的ではあるはずだ】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 02:21:17.40 ID:ST0t0ZTzo
>>458
【シルバーキャットの閉ざされていた両目が開く。すなわち、音での攻撃の効果が切れたということ】
【さすがに、立ち直りが早い。ギアは、ともすれば溢れ出しそうな焦燥感を必死で抑え込む】

(『スピンブレード』も通った……!! このまま、一気に……!!?)

く……あれだけで動けなくなってくれるほど、甘くはないか……


【銀色の猫は折れない。そう、この距離を保たれている以上、依然彼女の優勢は変わらない】
【踏み込み。回転。飛び散る鮮血。足への攻撃は、無駄にはならなかったようだ】

【だが、これで止まるシルバーキャットでもなかった。苦痛に耐え抜いて放たれた、渾身の右ストレート】
【迫りくる拳をかわそうと、ギアが身を引きかける。しかし、速度で彼女に勝ることなど、不可能だった】


がはっ――――!!!

【単純かつ純粋なまでの、一直線の攻撃。痛みに苛まれ、判断を誤ったギアに、抗うすべはなく】
【本来よりは威力が削られているとはいえ、十分に強大な力を秘めた拳が】
【生き人形の胴に、叩き込まれた。シルバーキャットには、誇張抜きで拳が人形の身体をへこませた感覚が伝わるはずだ】


【生きた人形が宙を舞い、石畳のバトルフィールド、その端からわずかの距離の地点にたたきつけられる】
【魂が覚える苦痛たるや、相当なものだ。呼吸できない人形の身体なのに、息が止まるような感覚すら覚える】

く……まだ、だ……

【しかし、ギアはまだ動きを止めない。右腕を懸命に動かして、腹に突き込む】
【引き出されたのは、ちゃちな拳銃だ。銃口に取り付けられた、ボクシンググローブ】
【それを威嚇するかのように、シルバーキャットへと向ける。引き金は、まだ引かない】


(二度に渡る大ダメージ……彼女を接近させずに立ち回るのは、もう難しい)
(なら、近付いてきたところにカウンターを入れる……足が傷ついた今なら、少しは可能性があるかもしれない)

【いずれ来るであろうさらなる追撃に対して、取り出した武器『パンチング・ガン』での反撃を試みる】
【このような消極的な手段を取らざるを得ないほど、彼女の二度の打撃によるダメージは深かった】

【加えて、ギアがいる場所はリングの際。下手をすれば、リングアウトにされる可能性もある】
【歯を食いしばって、反撃のチャンスに賭けるギア。シルバーキャットは、どう動くか――】
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 02:43:14.04 ID:Yh3YEFT/o
>>459

【確かな手ごたえが拳から伝わった。宣言通り、ギアの身体をへこませることができたのだろう】
【――なぜか、人間をぶん殴るのとは違う罪悪感のようなものを感じた】
【もしかすると直らないんじゃないかとか、多分そういう不確定要素があるからだろう】

【そして戦況は紛れもなく自分が有利だった】
【距離が開けたことで、助走が必要な必殺技を叩きこむことも可能だっただろうが――この足では無理だろう】

【ギアがおもちゃ銃を構えるのが見えた。防御しようと身構えるが、グローブが飛んでくる気配はない】
【待ち≠フ姿勢か――ならば遠慮なく立ち向かうのみ!】


いくよ!


【銀猫は一気に駆けだすだろう。しかし足を気にしているのか、それとも攻撃がないのをいいことに加減しているのか】
【ともかくそのスピードは最初よりも遅くなっている。逆にカウンターによるダメージはやや入りにくくなるか】
【だけど彼女はそもそも、カウンターが来るなんて考えていないのだろう。要するに出たとこ勝負なのだ】

【彼女の到達地点はギアのすぐ右側になるだろう】
【さすがに構えられた銃にそもまま突っ込むことはないらしい】
【攻撃範囲に来れたならば、歯を食いしばってギアを殴り飛ばそうと試みるが――】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/16(水) 02:49:42.27 ID:alXDOrbs0
>>454

……はぁっ……く、………あ……ぅっ――――――

【途切れ途切れの呼吸、必死で振り絞る薄霞の意識。双眸は歩み寄る巫女を見つめて、聴き逃さねど接近から逃れる術を持たない。】



【少女にも、この水の国の大会に出場した理由があった。其れは終わりまで到らねば辿り着けぬゆえに、膝を折ることもなく歩みを重ねた。】


【……けれど、“目的”への想いだけでは無かったのだろう】

【“楽しいから、続けていたい”。もっともっと二人分の輝きを楽しみたいから、何処までも全力で戦い抜ける。】
【その筈、だったのだが――――――】


………っ……?、……、……―――――――

【巫女の指先の向かう箇所に気付けば、驚いた様に“凪ぎ”に染まる橡色―――けれど、すぐにふっと穏やかな微笑みを浮かべて】
【もう抵抗する事もなく、後頭部を、狙い通りの経穴を圧されただろう】

(……贖罪……か。こんな風にできるこの女(ひと)のことだから、きっと……、自分で背負い込んでいるのでしょうけど―――――)

【 闘志ではなく、ひとの光。……決定的な瞬間に、胸に宿ったのは清々しくもどこか“繋がる”称讃。】

【それで総ての行先は決した。技術の確かさもさることながら、こころが彼女に沈んでゆくとごく自然に感じる。】
【巫女の掌と在り方の齎す、こんなにも優しい結末に――――――少女は、確りと敗北していたのだろう】

…………勝って、ね。あなたが先に進んだ後の話、楽しみに、してる……から―――――

【紡げたのは、たったそれだけの小さな声。……疾うに限界を迎えていた体は、満足げに橡色を漆黒にそっと映して/、】

(……ほんとに……楽しかったな。負けたのに、ずっと、ゆっくり眠れそうなくらいに――――――)

【瞼が落ちる。ゆるやかに思考が遮断される。】

【心地よいその揺れにゆく先を委ねて、少女は。眠る様にその意識を手離すのだろう】
【そこから先は一つだけ。軽い音をトサ、とたてて。大切そうにあの太刀を胸に抱いて、焼け焦げた床面に横たわる】

【結末は成る。止まらざる時が導き出すのは、歓声に迎えられる勝者への途切れざる道――――――、】

【完全に―――――― 一夜の猛攻を凌ぎきったこの勝利を収めて、櫻の巫女は駒を進める。】
【……もしも、勝利者がその光景を再び見るならば。あどけなく戦いの舞台に眠る少女は、とても、穏やかな寝顔で見送ったのだろう】


/長時間、お疲れ様でしたっ……!
/最後までお付き合い頂けて、心ゆくまで行けて楽しかったです。改めて……お疲れ様でしたっ! ありがとうございましたー!
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/16(水) 03:28:38.66 ID:sk93GPdA0
>>461
【――――観客からすれば、何が起こったのかは理解出来ないであろう。然れど、双方が。巫女と少女とが互いに解していたならば、それで十分】
【少女の身体が緩やかに崩れるのを、止める程の力は無いけれど。それでも――――頭を大腿の上に乗せて、堅いそのフィールドに頭を当てる事をさせない事は出来る】
【頭を膝に乗せたまま、夜空を仰ぎ見る女性。きっと、人々の歓声だって耳に入っては居ない】
【…………ふと視線を落としたならば、最初は能面染みていたその表情だって和らいでいて】


「確約は出来ませんが…………力の限りには、と答えましょう
…………それにしても……鬼神の様でありながら、存外に子供の様な寝顔なのですね」

【小さな紡ぎに対して送られたそんな冗談だって最早少女の耳には届かない事だろう】
【……去ることは出来ない。もう、其れだけの力も残っていないのだから】
【ならば、気が途切れるまで。或いは救護班が駆け寄ってくる直ぐその時まで、このままで居ようと】

【――――結果としては、気を失った直後に二人が運び込まれる体となろう】
【激戦というに相応しいこの一戦――――激しく、そして穏やかに幕は閉じられて――――……】

/こちらこそ、有り難う御座いましたっ!
/いえいえ、私の方こそお付き合い頂けまして感謝感激なのですよ!とても楽しくロールさせて頂きまして、改めて感謝なのです!
/お疲れ様でした、有り難う御座いました―!
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 03:29:57.52 ID:ST0t0ZTzo
>>460
【へこんだ腹の痛み、折れた左腕の痛み。じわじわと、しかし確実に魂を、精神を蝕んでいく】
【人ではない身体で再生したことへの、代償の一つ。時として、生身が受ける痛み以上の苦しみにもなりうる】

(これは、後で直すのに骨が折れそうだ……)
(……距離が空いた。あの足なら、助走をつけての攻撃は封じられているはず)

【脳裏を行き交う思考も、シルバーキャットの臆さない姿の前に、雲散霧消していく】


来い!

【短い突撃の掛け声に、こちらもただそれだけを発する】
【速度は、やはり最初よりも遅い。ダメージに蝕まれているのは、あちらも同じだ】

【『パンチング・ガン』を構えたまま、彼女の軌道を必死に見極めようとする】
【こちらの意図など意にも解さぬ直球勝負。実に彼女に似合う戦闘スタイルだ】


(――――今だっ!!!)

【引き金が、引かれた。『パンチング・ガン』の先端に取り付けられていたグローブが、ワイヤーで繋がれた姿を晒しながら飛び出して】
【自身の右側で、拳をふるう彼女へと向かう。まともに当たれば、成人男性の殴打に匹敵しる威力】
【それを、この至近距離。当たれば、かなりのダメージは見込める】

【放たれたグローブと入れ違いに。シルバーキャットの拳が、再びギアを捉えた】


あ――――

【放った攻撃の成否を見ることなく。ギアは再び空中の住人となる】
【先ほどと違うのは、位置。リング端にて殴り飛ばされた】
【生き人形の身体が、弧を描いてリングの外へ外れていく】


【やがて、石畳の上からその姿が消えれば。今宵の勝者が、そこに立っているだろう】
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 03:49:47.19 ID:Yh3YEFT/o
>>463

【カウンターの要領で撃ちだされたグローブ。それはただ殴られるよりもさらに威力があったことだろう】
【攻撃を繰りだす瞬間のこと――当然避けられるはずもなく、彼女の腹に直撃する】


か、はっ……!


【まるで腹を縄で括られていきなり後ろへと引っ張られたみたいに、彼女はくの字に曲がった】
【だけどその前に、確かに拳がギアを捉えたことも感覚的にわかっていた】

【ざり、と音を立てて、やはり彼女は耐えきるのだろう】
【痛みで乱れた呼吸を整えて前方を確認する――相手は、ギアはどうなった?】


――あれ?


【そこにはもう彼はいないのだろう。リング外へと吹っ飛んだ彼を見て、勝利を確信する】
【そして、心底嬉しそうに歯を剥き出しにして笑みを作るのだろう】
【明確な勝利を目の当たりにした喜びを噛みしめるように】
【一回戦は勝ったか負けたかわからないような終わり方だったから、余計に嬉しかった】


にゃは、楽しかったにゃ。おもちゃじゃあたいを止められなかったみたいだね!
でも、ギアさんのおもちゃ――もっと見てみたかったにゃ


【地面に腰を下ろして、リング外のギアにそう声をかける】
【やがて試合終了の鐘が鳴るのだろう。そうすると彼女は自力で立ち上がり、フィールドを後にするはずだ――】
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 04:08:11.91 ID:ST0t0ZTzo
>>464
【『パンチング・ガン』は、すでにギアの手から離れていた】
【見事、最後に意趣返しをすることには成功したのだが。主たる生き人形が、それを知るのは後の話】


(いやあ……負けちゃったなあ……)

【もはや、身体は動かない。魂のダメージ蓄積量は、限界に達していた】
【大の字になって、リング外の地面に横たわるギア。その表情にはしかし、陰りは薄く】
【全力を出し切ったことへの満足感のほうが、強かった】


……こっちこそ……楽しかった、ですよ
道端で、よくおもちゃ売ってます、から……

よかったら、また見に来てください……

【勝利の喜びをかみしめるシルバーキャットに、最後の力で言葉を送り出す】
【試合終了のゴングが響き渡る。勝者を称える歓声と共に去っていく彼女を見送って】

【ギアの意識は途切れ、文字通り糸の切れた人形のように崩れ落ちた】
【やがて医務室で目を覚ますまで、彼はただの人形のままであった】


【水の国天下一武道会 第二回戦第五試合】
【勝者 シルバーキャット】


/遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました!!
/楽しませていただきました!!
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 04:10:21.44 ID:Yh3YEFT/o
>>465
/お疲れ様でしたー!
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/16(水) 20:19:47.21 ID:4xbDEJ05o
>>456
「とって付けたような担ぎ上げは無用だ。――他の六罪王に比して私の個人戦闘力は大分劣っているのは認識している。
だが――此処の戦闘力で優劣が決まるというのならば、六罪王とナンバーズのみでとうに世界は我々の手に落ちている。
個人の戦闘力以上≠見せよう。悪と呼ばれるものに足りぬものを、私が示そう。きっとそれは――おもしろい≠ゥもしれん」

【琥珀の瞳は揺らがない。己の実力を過剰にも過小にも評価すること無く、己が六罪に於いて下位の戦闘力である事を自ずから明かす】
【しかし、だからといってそれが問題というわけではない。強者であるというだけで六罪王となれるのならば、ナンバーズに幾らでも居るのだから】
【ただの強者とそれ以外を分けるもの。それが何かを女は進んで語らない。だが――この先で、その差異について――観測することは可能かもしれない】
【最後に女はわずかに口元に微笑み。口角を僅かに釣り上げる歪なそれは、通常浮かべないだろう珍しい表情。相手の純粋さに絆されたか】

「アヴェロニア。神波の宝玉。――――ふむ、価値を見い出せそうだ。
情報収集は苦手ではない。切欠となる情報、感謝しよう。――礼と言っては何だが」

【断片的な情報を受け取ったまま、少女は軽く会釈をして礼を言う】
【そして、言葉の返礼では足りぬとおもったのか、少女は左手の手首に右手の人差指を滑らせていく】
【包帯の上からなぞられた痕からは、じんわりと琥珀色の血液≠ェ漏れだしていく】
【ぽたりぽたりとこぼれていく、人間とは思えない色彩の血液を右手の平で受け止めていき、一定になった時点で血液は凝固】
【瞬間的に血液が琥珀となって傷口を塞ぐその光景は、少々不気味とも言えたかもしれない。手のひらの上には凡そ20g程度の血液の小さな池が出来て】

「…………」

【血液の池に回路が浮かび、そのまま宙に浮き上がると渦巻き逆巻きながら一つの形を作り上げる】
【完全な球形を形作った――――琥珀の球だった。内部には電子回路の如きパターン≠ェ浮かんでいる】
【それを手のひらの上に乗せて、女は相手に琥珀を差し出した】

「君たちは能力者を作っているのだろう? ――――礼だ、存分に研究すると良い。
飲めば一時的にだが……そうだな、有り体に言えば知覚≠ェ拡張される。
後ろに視界を感じたり、離れた所になにか触れた感覚を覚えたり、な。――安易に使うと正気を失うが、君たちなら有意義に使うだろう?」

【受け取るのならば、それを少女の手に握らせて。受け取らぬのならば、そのままそれを液体に還元する】
【そして、幾度か咳き込むと。煌々と輝く夜天を見上げ、星空に届かぬ手を飛ばし、握りしめるのだった】

/*今晩もよろしくお願いいたします!*/
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/16(水) 20:30:47.72 ID:iHMtm2nao
>>450

(大博打――――なんて、一瞬思ってしまったが……僕にはやはりそういうのは向いてないよねぇ?
 僕が賭けるとするならば、それは“絶対に勝てる賭け事”以外に有り得ないな!!)

【毒煙の中を駆ける狂死郎は不敵に笑いながら、煙の奥に隠れた青年の動きを観察していた】
【青年は先程から動けない――――いや、“動かない”のだ】

【その意味を理解し始めた時、彼の顔からは笑顔が消えた】

(既に手足が動かなくなったのか?――――いや、そんなはずはない。毒のことは僕が一番よく知っているからだ!!
 ひょっとして――――“動かすために動かない”のか!?まずいッ!!このままの勢いではッ!!)

【“毒の回りは足掻けば足掻くほど早くなる”――――そう口にしたのは何を隠そう狂死郎である】
【だとすれば、“動かなければ毒の回りは早くない”、などと逆説的に考えることが出来るだろう】

【ようやく青年がカウンターを狙っていることに気が付いた狂死郎だったが、もう遅い】
【凄まじい速度で青年へと迫る彼に残された時間はあと僅かだった】
【彼に残されたのは、渾身の右ストレートを命中させる寸前に、青年のカウンターを受けて敗北する運命のみ】

しまッ……!?

【慌てて開いた左手で腹部を守ろうとするも、そんなものは青年の拳の前に何の意味も成さない】
【申し訳程度のガードを貫かれ、狂死郎は腹部に渾身のカウンターを受けて崩れ落ちる――――】


――――なんて、思ったかい?君はまだまだだッ!!


【かと思われたその瞬間、狂死郎が防御のため動かした左腕に仕込まれた、札の魔術が開放される】
【青年の右腕が彼の左腕に触れた瞬間、そこから大量の粘着質の液体が噴出して、衝撃を柔らかく受け止めるのだ】
【『狐火』は何もただ目潰しを行った訳ではない、魔力を分散させることで、魔術の発動を青年に悟られることなく遂行するためのものでもあった】

【そして予定通り、狂死郎の『爆導策』はその魔力を開放し――――狂死郎の拳を中心に、大爆発を巻き起こす!!】
【当然、彼も爆発に巻き込まれることになるが、その熱と衝撃は左腕から噴出した液体が既に彼の全身を覆い尽くし、和らげる】
【本来はこのために用意された魔術だが、青年のカウンターで予定が捻じ曲げられたということか】

【とはいえ、無傷で居られるはずもない。狂死郎はその衝撃で、粘液を纏ったまま背後へと大きく吹き飛ばされる】
【同時に、爆風によって煙幕となった毒の煙は晴れ、双方の姿を観客達にも露にすることだろう】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/16(水) 21:03:21.23 ID:WRiJwmSe0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 オフィス街】

「――――子供だと思って、侮ったりして……悪かったね。正にしっかりと働いてもらったよ……」
……特別な力を持ってる存在に、年齢なんて関係ありませんから……
「そうだね……肝に銘じておくよ。じゃあこれが今回の仕事の成功報酬だ……今後も頼むよ、『UNITED TRIGGER』さん」

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【とある倉庫の入り口で、スーツ姿の男から封筒を受け取り、そっと懐に仕舞い込んで、その場から歩き去る】
【――――倉庫には、2台のトラックがけたたましく走り込んで行き、荷物の積み下ろし作業が始まろうとしていた】

……事務所に、収めてこなきゃ……
お給料も貰っちゃってるけど……桜さんに、お土産でも買って行こうかな……?

【人気のまばらなオフィス街を、少女は1人で歩いて行く――――身体から、微かに火薬や硝煙の臭いを漂わせながら】
【何か、荒事を経験した後なのだろう。無表情に近い少女の、どこか虚ろな瞳にも、微かな疲れが感じる事が出来た】



【――――所変わって、水の国 別荘地】

――――対象の掃討、完了しましたわ……今から消火に当たっても、恐らく全焼は避けられないでしょう……
……はい。それでは撤収します……合流地点までは、何もなければ15分ほどで到着するかと……はい、では……

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性が】
【轟々と燃え上がる一軒の建物を、わずかに離れ見ながら、通信端末に向かって言葉を紡いでいる】
【やがてそれも済むと、衣服の中に端末を仕舞い込み、悠然と火事に背を向けて、歩を進める】
【――――そこで何があったのか。恐らく全ては燃え尽きてしまうのだろう。消防と思しき気配が、連なって駆けつけてこようとしていたが、全ては遅かった】

……無駄というものですわ。助かる可能性も、助ける意味も、ないのですから……
……『選ばれざる者』には、無意味こそが相応しいのかもしれませんけどね……

【徐々に近づいてくるサイレンの音に、ため息をつきながら細い声音で独白を零す】
【夜を赤く染め上げる炎は、どこまでも高く天を焼き尽くしていた――――】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 21:20:00.30 ID:FxbLywPk0
>>469

【火災が発生している場所に二人組みの存在が歩いている】

 ふむ、最近物騒だねえ花嵐
『……やぶからぼうにどうしたので』
 ほら、あの建物が燃えているではないか

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【そして左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【そんな男が甲冑をきており、顔に面頬をつけている男――花嵐に話しかける】

『たしかに燃えていますが、それがどうしました』
 あの建物は全焼するだろうね、なんせあの火だ
 もしかしたら、誰かが強引に火災をおこしたのかもしれないね

【そのように男は話ながら】
【歩いていた修道服の女性を見た】

 もしかしたらあのような女性が放火をおこしたのかもしれないね
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/16(水) 21:38:38.23 ID:WRiJwmSe0
>>470

……まぁ、良いでしょう……急ぎましょう……

【気分を変える為だろうか。女性はフッと軽くため息を漏らすと、やや面持ちを明るく作り変えて、そのまま前を見据えて歩を進めていく】
【シャン、シャン――――と、手に持つ杖につけられた、小さな鈴の軽い音が、それに合わせて周囲に響いた】

…………?

【そんな時だった。そばを通りがかった二人組の姿がその目に入ったのは】
【チラリと視線を飛ばし、一瞬視線がそこに止まって――――そのまま再び歩く事に専念する】

(…………機関の人間が「最近物騒だ」なんて……何かの冗談でしょうか?
所詮、あなた方は俗悪なテロ組織に過ぎないでしょうに……)

【――――その一瞬の凝視は、逆五芒星を見つけた事によるものだろう。何食わぬ顔で歩きながらも、女性は心中で毒づいていた】
【世間一般で言っても、関わらない方が得策である相手である。その凶行によって、命を奪われた人間も多い】
【いわゆる『世間一般』の範疇には含まれない女性であっても、それを装っている以上、反応は同じ様なものだった】

…………
(……当てずっぽう、とは言え……それは確かにそうですわね……それを咎めようと言うのであれば、筋違いも良い所でしょうけどね……)

【自分を指してであろう言葉も、女性の耳には届いていた】
【だが、一々その言葉を捉えて何かをする意味などない。確固たる確証を以っての言葉でもないだろうし、それが彼らと関係する事でもないのだ】
【遠目に囁く言葉も、女性にとってはそれだけの事――――それを結局詮無き事として、女性は尚も遠ざかる様に歩を進める】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2013/10/16(水) 21:45:48.30 ID:c/4P94zDo
>>468


――――こいつ!?『不動明王』を……防ぎやがった!?

『虎の子の新奥義さえ届かぬか……あの小僧、一体何枚仕込んでいるんじゃあ……!』


【毒の煙に包まれながら、抜け目なく用意していたこちらの唯一可能であったその新奥義――『不動明王』】
【元よりある七の奥義に加え、新たに習得し、十大奥義として昇華された3つの奥義の一つである】
【動けない剛太郎に残された手段であった『動かない奥義』、だがそれはあっさりと用意周到な粘液の防護が柔らかに受け止めてしまった】


『馬鹿者!その拳の札―――爆発するぞ剛の字!せめて防御せんかァ――――――ッ!!』

(やべぇ、万策尽きた―――これが俺にできる最後の悪あがきだったのに……
忌々しい毒のせいで足がこれ以上動かねえ……この足ではもうロクな技も奥義も狂死郎をノックダウンさせるだけの威力を生むことはできない
いや、そもそも足が動かなければ俺は狂死郎を追う事すらかなわない、このまま爆発で俺もこいつもはね飛ばされちまったらもうおしまいだ)


【絶望の表情が剛田剛太郎の顔に明確に浮かび上がるのが、至近距離ではよく見える】
【思い返すは過去の敗北―――2年以上前の旧水の国スタジアムでの鬼の大女との正面衝突での力負けで動かなくなった自分】
【そして前回の大会、見るからに自分より幼い、ライフルの少女に視界を塞がれ、風の機関銃に弾かれ動かなくなった自分】

【できる全ての手段を行ってもなお届かなかった強者の領域】
【そして今、この時も毒によって全身全霊すら出せないままあっけなく終わると言う、最悪の敗北がそこに待っている】


ダメだ、もう――――

『剛の字ィィィ――――ッ!!迫る敗北を間抜けに口開けて向えるのが貴様の在り方かッ!!
倒れるなら前のめりに倒れるのではなかったのか?―――そんな腑抜け顔での敗北でみじめに吹き飛ぶ気かッ!』


【ムクの一喝で剛太郎は目を見開く―――轟く様な大声に驚いてつい、というのがほとんどであるが】
【足こそ動かぬ物の、手を動かし防御くらいなら出来る状態で守式の構えすら行わない、というのは確かに無様だと気付きもした】
【その行為は、手も足も動かぬほどに全身全霊を振るってなお迎えた敗北にすら失礼だと感じたのだ―――せめて、爆発から身を守るくらいすればいいのに】

【そして爆発の時が来る―――札に込められたその膨大な魔力、予想される威力を考えてもここら一体を勢いよく弾くその爆発が】
【その光の奔流を見ながら剛太郎は】


(あの魔力……相当威力が高そうだ、ここら一帯を根こそぎ吹き飛ばしちまうかもしれねえ、ここら一帯を―――)


【そう思考を巡らせた瞬間、剛太郎の生命の大車輪が彼の並外れた直感をプッシュした】
【防がれた右の拳とは逆の左手、それをほぼ無意識の内に動かし狂死郎の服の襟元めがけて伸ばし、掴もうとしてきたのだ】

【凄まじい熱と衝撃が両者を無慈悲に襲ってくる、そんな中での一手】
【だがもし成功したのならば、両者はまだこの爆発によって距離を離されることはなくなるが――――】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 21:52:23.05 ID:FxbLywPk0
>>471

『はあ、マスター何を根拠にそのようなことを』
 いやあ、だってそうだろう火災がおきたのだぞ、あのように冷静に去ろうとする
 そこらの一般人ならあわてて消防などを呼ぶだろうさ

【男は歩きながらそうとなりにいる花嵐に話しかける】
【そんな男の話を聞いた花嵐はあきれていた】

『それは推論でしかないでしょう』
 たしかにね、所詮推論でしかないだがまあそれなら聞けばいいのではないかね
『何言ってんですかいったい』

【そして男は歩く方向を変えた、その方向は修道服の女性の方向であった】
【あわてて花嵐も方向を変え男についていく】

『マスター!、ストーカーですよそれは!』
 大丈夫だよ、第一ほとんどの人はあの火災で持ちきりだしね

【そう言って女性を追っていく二人組み】
【女性との距離はこのまま歩いていけば追いつく距離であろう】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/16(水) 22:15:00.80 ID:WRiJwmSe0
>>473

…………
(……この傾向、良くはありませんわね……アウトローやアナーキーの匂いを好んでいると言うのは、分からない話ではありませんが……)

【端的に言えば、危険な相手である機関の2人組には、女性も注意を払っていた。そうしたら、案の定背後の会話は、自分を注視している】
【『仕事』への介入は、決して歓迎できる話ではない。同じ反社会的な立場とはいえ、容易に手を取り合える相手でもないのだ】
【背中越しに、女性の表情が微かに強張った。そっと左手で先ほど仕舞い込んだ端末を取り出す】

――――私です。少々手間をかけますが、これから話すポイントに向かってくださいませんか?
……詳しくは話せませんが『保険』と言うものですわ
……私も、出来ればあなたに頼みなどしたくはないのです。望むものとは限りませんが、埋め合わせもさせてもらいますわ……
……じゃあ、よろしくお願いしますわよ?

【歩を進めながら、どこかへと連絡を取る女性。修道服に通信端末という取り合わせは、どこかミスマッチに感じられるものだが】
【手早く話を済ませると、女性はそそくさと端末を再び仕舞い込んだ】

…………――――――――ッ!!

【そうして、どこかとの連絡をとって一息つくと、女性は徐に、手にしていた杖を軽く持ちあげて――――その足を強く地面へと叩きつけた】
【シャン――――と、小さく、鋭くも、力強い音色が弾けると、その瞬間――――女性の足元から、突如として水が噴き出し、ついてくる2人組へとぶちまけられる】
【それはまるで、それこそ消防車の放水の様な、重く勢いのある水流で、ついてくる2人を押し返さんとする様な水の勢いだった】

ッッ!!

【その水を尻目に、女性は唐突に駆けだす。明らかに追跡をしてくる2人から逃れようとしての行動だろう】
【丁度進路上には、1軒の物置小屋が立っていて。そこに女性は逃げ込もうとする】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/16(水) 22:16:48.44 ID:iHMtm2nao
>>472

【吹き荒ぶ魔力の奔流――――それに両者が飲み込まれる直前、掴まれる服の襟元】
【それに気が付いたとしても、狂死郎には何もすることは出来ないだろう】
【結果として両者は、爆風によって絡まるようにしながら地面を転がる結果となる】

“何枚仕込んでいるんだ”ってか?――――土産に答えることにしよう、13枚だよ。
それ以上でもそれ以下でもない……だから正直なところ結構マズかったのさ、さっきの状況は。

【粘液塗れの体でフィールドを転がりながら狂死郎がムクの驚愕に答える】
【実際のところ、基本となる退魔刀を宝具のコピーへと昇華させる際に使用したものと合わせれば半数以上】
【余裕の態度を取っているように見せかけて、内心結構焦っていたのも無理はない】

そして“3ターン”だ……まだ“3ターン”経ってはいない……
君の悪あがきは認めるけどね、今はまだ僕の方が力が強いってことをお忘れなくッ!!

【そう、狂死郎が場外負けを防ぐために使用した強化魔術はまだ効力がギリギリ残っている】
【青年に襟元を掴まれたまま、狂死郎は逆に掴んできた左手を両手で掴むと】


『 呪 相 ・ 氷 天 』ッ!!そして――――ダラッシャアッ!!


【狂死郎の腹部に仕込まれていた、新たなる札が魔力の開放を始める】
【その瞬間、彼を覆っていた粘液は一瞬で氷結し、最早青年は狂死郎を掴むことが出来なくなるだろう】
【そして狂死郎は回転の勢いを利用し、掴んだ左腕を以って青年を後方へと投げ飛ばそうとする!!】

【この方向は完全に場外、成功すれば決着が付くことになるが、果たして――――?】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/16(水) 22:31:15.46 ID:sk93GPdA0
【常日頃喧噪に包まれる街の中――――今宵は、より一層騒がしくて】
【見れば、街の角には数多くの人集り。その人々の視線の先にいるのは、賞金首とされている体格の良い悪漢と―――――――】
【乱れなく軍服を纏い、制帽を被った少女。その片目は眼帯で覆われ、謂わば隻眼】


「…………最後の警告でありますよ
大人しく自首すれば、手荒な事はしないと約束するであります
でも、もし暴れるのだとしたら――――っ?!」

【少女の腕章を見る限り、自警団に追い詰められたといった様子か。周りの人々は、囃し立てるのみ】
【治安も悪い故に中には賭け事を始める者も居る程だけれど、手助けしようとする者は一人も居ない】
【身長差、体格差――――結果は一目瞭然。そう思えたから】

【悪漢は腕を振りかぶり、この自体から逃れる為に勢いよく少女を殴りつけようとするが――――その腕は、音を立てて宙を切った】
【しゃがんでの回避。其処から伸ばされた腕を力一杯引けば、顎を踵で打ち抜いて。即ち、その力を利用したカウンター】
【…………渾身の一撃が自分に返ったとなれば、男が起きれるはずも無い。顎を外し、無念にも気絶】


「全く、最後まで話を聞かないからこうなるのであります
――――さあ、此処に居る皆も散らなければ一人一人逮捕していくでありますよ
嫌ならば早く何処かに行くであります」

【縄で雁字搦めにしつつ、周りに与えるのは警告】
【――――野次馬も散った頃。やっと一息出来るとばかりに空を仰ぐのだけれど】
【……逆に言えば、野次馬が散ったからこそ近寄りやすい。今ならば人の壁も無く、興味を持った者が少女に接するのは簡単な事だけれど――――】







【暗い、森の中――――不自然にも辺り一面には物が焦げる臭いと共に大きな魔力が漂っていて】
【原因を突き止めるべく辺りを探れば、やがて十体ほど獣の骸積まれた場所へと辿り着くことだろう】
【どれも黒い煙を上げており、原因がこれであると推測するのは難しい事では無い。然れど、そのどれもが燃やされたとなれば、異常】


「…………誰?あなたも、五月蠅い人?」

【その骸の上から投げられた、幼い声。見れば、丈に合わないブカブカな学生服を纏った少女が居る事だろう】
【真っ赤な髪に、それと同じ双眸の色。漂う魔力の発生源は、紛れも無くこの少女】
【裸足に血肉がこびり付いた身体と、まるで食後の獣を連想させるかのような姿】
【赤い目を丸くして、興味深そうに上からじっと見下ろすけれど――――未だ、その瞳に敵意は無く】


「……五月蠅いなら、嫌い」

【天真爛漫と言うべきか、次には不機嫌な様子へと変わって。投げた言葉は、騒がしい人物か訊ねるもの】
【其れより先を紡ぐ言葉は無く、小首を傾げて問い掛けに対する応えを待つのみ】
【少なからず、この少女が事を起こしたことは明白】
【素直に言葉を返すもよし、無視して何らかの行動を起こすも良し――――全ては、この現場を見た者次第であって】

477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 22:32:45.45 ID:FxbLywPk0
>>474

ほうほう、どのような原理かなあ、あれは
『マスター、落ち着いてないで対処を』
 はいはい

【その水は二人組みに確実に近づいてきた】
【しかし、二人組みはあわてなかった】
【白衣の男が魔方陣が書かれた紙を二枚取り出す】
【そしてその一枚を地面にあてる、すると地面の鉄が壁の盾となり二人を押し返さんとする水を防ぐ】

 さて、防いだわけだが
『……マスター一応聞いておきますがそのもう一枚の紙は』
 ははは、わかっているだろう

【そして男はもう一枚の紙を地面に当てた】
【すると今度はその地面の鉄が水が押し寄せてきていないところまで伸びた】
【それはまるでアーチのようなものだろう】

 さあ行くぞ
『やれやれ、もうやめましょうよ』

【花嵐の言ったことを無視し、アーチの上を走っていく】
【花嵐もこれにやれやれと思いながら続いていった】
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/16(水) 22:52:08.96 ID:mVzjOSIo0
>>476

【とある街角―――】

【"昨日の敵は今日の友"―――否、今回ばかりは、"昨日の友は今日の敵"であった。】
【昨日まで吹き渡っていた心地よい風は、気温の低下と共に、厳しい寒さを伝える原因となって。】
【丸で其れから身を守り避けるかの様に、一枚、又一枚と服を羽織っては、目的地へと足早に駆けて行くのだった。】


【そんな中、物好きと言わざるを得ない集団。簡単なテーブルに椅子が4脚に、】
【机の上にはトランプが散らばっていて―――行われている"賭け"は、所謂、ポーカー。】
【4人の内、特に目立って居る人間を挙げるとすれば、其れは銀髪の少年という事になるだろうか。】

【緋色の澄んだ眼に、黒みがかった赤色のオーバーコート。下は黒のパンツを履いており、】
【右手の薬指には、飾り気のない銀の指輪、ロングとも言えない長さのブーツ―――所謂、不良、の様な外見。】
【机の脇には、酒であろう緑色のボトルが置いてあるが―――其の顔、身長。どう見ても、"未成年"であって。】

【残りの3人とは極端な年齢差が有る中、ヤケに上手く溶け込んでいる様だ。談笑も交わり合う、中々良い席の様にも見て取れる。】
【―――然し、自警団員にとっては観点が別だ。矢張り一般的に考えて、未成年の飲酒、賭け事は、問題視される事項であろう―――。】

/よろしくお願いします!
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/16(水) 22:53:49.38 ID:WRiJwmSe0
>>477

【――――女性の逃げ込んだ先の物置小屋は、『小屋』とは言いつつも、その規模はそれなりに広いガレージ程度はあるもので】
【大きさや広さを捉えて言うのなら、小屋と言うよりも棟とでも表現するのが相応しい位の物と言えるだろう】

――――カノッサの人間が、一体何用と言うのでしょう?
一応警告はしておきますが、これ以上私の『仕事』の邪魔をする事は、我々に対する敵対と受け取りますわよ……?

【その物置の中で。先に飛び込んだ女性は真っ向から2人を待ち受ける形で、その場に立ち尽くしていた】
【右手に握り締めた杖をしっかりと保持し、薄暗い明りの中で、凛と通る声を発して2人を牽制する】
【だだっ広い様に見えて、ごちゃごちゃと物が散乱しているその中に、女性は逃げ込んだのではなく、誘い込んだのだろう】

まぁ、尚も追いかけてくる様な人間が、素直に引き下がる程度の判断力を持っているとは思えませんわね……
所詮は敵と言う事でしょうか……?

【――――女性が人目をはばかる行いに手を染めている事は、2人も重々承知しているだろう】
【そして、そんな人物は尾行や追跡を嫌うと言う事も、機関の人間であるならば自明の理で】
【女性としてはなんとしても、ここで振り払っておく必要がある。分かっている人間ならば、してはならないはずの事を、2人はしているのだから】
【女性が2人に敵愾心を抱くのは、ある意味当然なのだろう】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/16(水) 23:02:26.90 ID:c/4P94zDo
>>475

【最後にどうしてか、防ぐことすらせずその手を伸ばしてしまった―――後になってもそれがどうしてかわからないが】
【瀕死の所であがいた剛太郎の最後の一手も届かず、その手を掴まれ、勢いよく投げ飛ばされると】

【ドサッ!と勢いよく場外に落ちる音が聞こえた―――最も、唯一動くその手が受け身だけは取る事はできたようだが】


【静まり返りながら勝敗を見届ける観客席から歓声が上がる―――ついに決着がここについた!】


『―――ふむ、届かんかったか……剛太郎、おまえもまだまだじゃのう
少しずつスジはよくなっちょる物の、まだまだあの色猫の小僧や二挺拳銃の小僧の力量までは達しておらんようじゃあ
お前の素質は奴ら以上にあるかもしれん、が、経験が足りてないひよっ子……それがお前の現実じゃあ

……ま、もっと早く終わると思ったが、毒霧で動きを大きく封じられたあそこまで粘ったのは褒めてやる、あの時足掻かんかったら説教じゃったがの』

いや説教もうしてる……やれやれ、使える手段は片っ端から使ったんだけどなあ
一回戦負け……とびきりかっちょわりーな、俺もまだまだか……


【ふー、と大きくため息ついて、リングの外に置きっぱなしの棺桶にずりずりよじ登るとそれに腰掛けて】
【リングの上の狂死郎に目線を向けながら彼は告げる】


こっちに来てくれるか狂死郎……なにせ足が動かなくってさ
……完全に負けたよ、俺もまだまだムクの助けがないと危なっかしいひよっ子って訳だ
今度やる時はこうはいかないよ……こう何度も負けていてはしまらないからね


【ぐ、と弱々しく拳を握りながら狂死郎に向けてくる剛太郎、その顔には普段の彼のおっとりした気質が戻っている】
【やはり悔しさも顔ににじみ出ているが、今はこの戦いの勝者を暖かく迎える事が礼儀であると彼は思ったのだろう】
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 23:07:22.90 ID:FxbLywPk0
>>479

【女が小屋に逃げ込んだ】
【そこまで見て、足を一旦止め】

 罠かな?
『……追いかけた人が罠って言ってどうするんですか』
 まあ、いいか行こうか
『……はあ』

【花嵐がため息をつき、男が先に小屋に入り、花嵐も続く】
【そして小屋に入った女性の質問に対して答える】

 いやあ、別に敵対する気はないよ
 ただ聞きたいことがあってねあの火災あれは君の仕業かい、攻める気なんてないよ、こっちも人のことは言えないしね
 それと、さっきの水はどのようにおこしたかも聞きたいのだよ
 ま、言いたくなければそれでいいが、ね

【男はそのように言う、花嵐はあたりを警戒する】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/16(水) 23:17:32.43 ID:sk93GPdA0
>>478
「全く、疲れる一日だったでありますね…………こんな日には蜂蜜を沢山入れた牛乳でも飲みたい気分になるでありますが…………
まあ……まだ勤めも終わっていないから我慢我慢でありますね。あと少しの辛抱であります」

【自らに言い聞かせる様にしながら男を縄で結び終えて】
【手を出してきたり、ちょかいを掛けてくる輩は居ない。――――伸されては堪らないから】
【故に間を潜り抜けてその中から出る必要だって無く、まるで聖者が海を割った時の様に、人混みを左右へと分けて】
【…………くあ、と大きな欠伸。眼を擦りながら辺りを見渡してみれば、件の遣り取り】
【溜息が少女の心情を良く表しているか、腰に提げた刀をカチャリと鳴らしたならばそちらへと歩み寄って】


「――――こうも目立つ所で行うなんて、よっぽど神経が図太いのでありますか
子供が酒を飲むのも、賭け事を行うのは別に構わないであります。もっと目立たない所なら、見逃しも出来るのでありますが――――
白昼とは言わずともまだ目立つ時間。そんな時に其れ等を行っていたならば、流石に見逃すわけにはいかないのであります」

【…………少女は、自警団としては甘い方か否か。其れは他の者達と比べねば分からぬ事だが――――少なくとも、陰に隠れて行うことを見逃す程度には寛容なのだろう】
【ツカツカと歩み寄る足。ジロリと睨む瞳は17と言うその歳には不相応】
【その面子を見渡し、やがて一転に定まるのはその少年であって】


「人間なのか、それとも他の種族なのか。場合によっては貴方の年齢でも普通にお酒が飲める種族も居るであります
賭け事も同様でありますよ。カジノで使おうがこの様に使おうが貴方達のお金である分には、文句は言わないであります…………先も言ったように、陰であればの話でありますが
さて、此処で切り上げるか記帳されるか好きな方を選ぶと良いでありますよ」

【その厳しそうな外見に合わず、中々に大雑把】
【――――なのか。話を聞く限りに、其れ等は普段の話であるが】
【もう一度其処に集った者達へ問いかければ、小首を傾げて】

/長い時間は厳しいかと思われますが、宜しくお願いしますですよー!
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 23:26:35.76 ID:hLLKAB420
>>467

にゃはは、確かにね…個体としての純粋な戦闘力だけ≠ナはこの世界で君臨することは出来ないよ
僕だって単体≠ナは弱っちいけれど群体≠ネらば軍隊≠ニもやりあえる自身もあるからねぇ―――。
まぁ純粋な戦闘力≠ナも突き詰めればそれだけで覇者となりうる事もあるだろうけどね。

【相手の言葉に同意するようにコクコクと数回頷きながらそう返答して、鋭くとがった犬歯を剥き出しにして笑う】
【本当に笑っていれば年相応の少女なのだが―――やはりその瞳の奥の深淵には凶悪な悪意の濁りが見て取ることが出来る】
【そして群体≠ニいう言葉は、何か彼女の能力を示唆するものなのだろうか。】

にひひ、気にしなくていいよ………あくまで僕が愉しむために提供したまでだからね。

―――へぇ、面白いねぇ!やっぱり王≠ニなりえる存在≠ニなるとその性質も異質なようだねッ!
ありがたく頂戴するにゃー、ちなみにこれってDNAマップを解析すれば複製≠ニか出来るのかな?まぁ特異な性質だろうから
完全にコピーは難しいだろうけどね―――。

【相手が差し出してきた琥珀色の球体を興味津々といった様子でまるで菓子を貰うかのように両手を差し出して受け取る】
【そしてそれを嬉しそうに月光にかざして眺めながら相手へと質問する―――。】

なんか初対面なのにここまでしてもらって悪いにゃー………。
君も知っての通り僕たちは能力≠フ研究を行っている、その副産物として兵器開発≠烽オているんだ
だからもし今必要な武装や兵器があれば言っておくれよ、君への投資って事で調達してみるからさッ!

汎用的な一般の兵器でもいいし、オーダーメイド的なモノでもなんでもかまわないよーにゃははははは。

【ニカニカと笑いながら琥珀の玉を掌で転がして、そして相手へと視線を戻しながらそのような提案をする】
【確かにGIFTは資金源として軍事企業を運営しているという噂もあり、何か頼めばこの少女は提供してくれそうだった】

//お願いします!
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/16(水) 23:32:09.69 ID:WRiJwmSe0
>>481

……呆れた物言いですわね。そんな言葉をその通りに受け取れとでも?

【杖の先を2人組へと向けながら、女性は白衣の男の言葉に、表情に怒りを覗かせながら鼻白む】
【どうも女性は、男が誤魔化しに走っていると受け取っているのだろう】

要らぬ詮索だと分かっているのなら、何故私の疑惑に白黒つける必要があるのです?
私は「邪魔をするな」と、ハッキリ言いましたわよね?
それに、まさか能力者の存在を見聞きした事がないとでも?
……そんなカノッサの人間がいるなんて、それこそ冗談にもなりませんわよ……そんな事を理由に私をつけてくるなんて、まずあり得ない事ですわ……
カノッサでなくても、武装勢力の人間であるなら、今の時代もはや常識以前の話でしょうに……

【火を放った行為に関する云々は、既に答えが出ている様なものだ――――男の推測は、ほぼそのまま答えとなっている】
【それに、女性は「自分のやっている事を邪魔するな」という警句を口にしている。直接的な答えではないにしろ、これは間接的な肯定と言えるだろう】
【――――だからこそ、そんな事の興味本位のみで、ここまでやってくると言うのは、裏があるに違いないと女性は考えていた】

【もう1つの問いについても、女性は馬鹿馬鹿しいと言った雰囲気の言葉で突き返す】
【――――能力者ならば、それほど珍しい芸当でもない。また、後天的な『技術』としての『魔術』でも、同じ様な事をするのは可能だろう】
【言ってみれば、常人に出来る事ではなくても、さほど珍しくはなく、ありふれたものなのだ。ましてや非日常の世界の住人ならば――――】
【それだけに、そんな事の為に機関の人間がしつこく追いかけてくるのは、合理性に欠ける理由としか、女性には思えなかった】
【――――つまり、それはその行動の、本当の理由ではないと言う事だ】

……結局、私の周りや背後について嗅ぎまわっていると言う事でしょうね……
既に警告は与えましたわよ? ……邪魔をするのなら敵だ、とね……

【行動の理由を誤魔化す必要性。それはほぼ間違いなく、女性にとって不都合な『本当の理由』が存在するからだろう】
【水流と口頭の2度に渡る警告を無視してまで、自分に固執する理由と言えば、もうそれしか考えられなかった】
【――――そして、そんな行動を取る相手と言うのは、まず自分たちと対立すると考えるのが自然だった】
【味方であると言えずに接近してくる相手が、敵でない道理はないからだ】

――――ハッ!!

【再びシャンと杖の先の鈴を鳴らしながら、女性は杖を突き出して構える】
【その杖の先に、ゆるゆると巨大な火球が形成され、膨張していき――――炸裂した】
【直接2人に浴びせられる事こそなかったものの、飛び散った巨大な火花は、あるいは壁に、あるいは天井に、あるいは床に張り付いて】
【――――ほぼ「瞬時」と評しても構わない程の短時間で、火花は火種に、そして火炎に――――行きつく先は火事に――――成長していった】
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/16(水) 23:33:13.14 ID:iHMtm2nao
>>480

ハァ……ハァ……勝ったのかな?
ちょっと頭がクラクラするけど……動くのに支障は無さそうだね。

【青年を場外へと投げ飛ばし、息を荒げながらも安堵の表情を浮かべる狂死郎】
【かなり追い詰められていたのは事実であるが、それでも勝利に変わりはない】
【そう考えて、彼は観客達の声援に答える様に手を振っていく】

【それが一段落着いたところで、狂死郎は場外に落ちた青年の元へと駆けつけると】

大丈夫かい?一応後遺症なんかは残らない配合にしてあるんだけど……
ま、結局自然の物だから上手くいかないこともある。一応僕も耐性を付けておいたはずなんだが、
今ちょっと気分が悪くてね……具体的に言うとちょっと吐きそう。

【棺桶に腰掛ける青年に話しかけ、植物の毒に関する説明を行う】
【それほど重要ではないことと考えたのか、簡潔に済ませると、今度は試合内容の話に移り】

使える手段を片っ端から使ったのは僕も同じさ。だから勝因を簡単に言ってしまえば、
『君よりちょっとだけ狡賢かった』ってことになるのかな?とにかくナイスファイト!!

【そういって自嘲気味に笑うと、青年の手を取り健闘を称える】
【職業上、とでも言うべきか?狂死郎にとって“試合”とは縁が遠いものに他ならない】
【そんな中で参加した今回の大会は彼にとって何もかもが新しく――――有意義なモノと言えるのだろう】

次にやるときは負けない?それはこちらの台詞さ。
次はもっと余裕を持って勝つよ!!それじゃ、また会おう。

第三試合は――――もっと骨が折れそうだね、やれやれだよ。

【そういって狂死郎は踵を返し、入退場口へと歩みを進める】
【青年の視界から消える寸前、少しだけ肩を竦めるが、すぐにしゃんとした立ち姿に戻り、舞台を後にした】

/長い間お疲れ様&ありがとうございました!!
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/16(水) 23:36:36.88 ID:mVzjOSIo0
>>482

あ……―――?

【何ら威圧的な声では無い。寧ろ腑抜けた様な、声になっていない声が、街角を抜けて路地裏へと響く。】
【声に気づいた少年は、身体はテーブルの中心に向けたまま、頭だけ角度を変えて、少女の方を見る。】
【舌が、上の歯茎と接する所まで来た―――が、何とか止めた。舌打ちは流石に、であった様で。】


おーこえー………やっぱ、こっち、きたか。ま、バレるよな、普通。
……でもお前、影だったらいい、っつったよな?

じゃあさー………『どっからが、影なんだよ?』
まさか、見えなければ良いっつー話、じゃねーよな?
それともアレか、それを罪だと認識してねーことが、罪だとか、そんなこと言いてーのか?

……っは、わりーけど、俺。倫理も、哲学も、するつもり、ねーから。よろしく。


【先程の一戦、遊技中かつ横目では在ったが、しっかりと見ていた。彼女は、かなりの実力者であり、】
【腕っ節では、恐らく勝てない。―――否、絶対に勝てない。勿論其の事は、重々承知していた。】

【―――普通の不良であれば。そんな自警団を見たなら、其の瞬間に脇目も振らず逃げるのが一般的だ。】
【……にも拘らず此の少年は、酒とトランプを隠し逃げる所か、少女を嗤って挑発さえして見せた。】
【此の余裕から察せる事がある。―――即ち、"勝てる"という算段があるという事。其れも、二重の意味合いで。】
【一つ目は既に、顕となっただろうか。―――"言いくるめ"での勝利である。】


【一通り話し終えた所で、少年は顔を再びポーカーへと向け、『わりーな、』と三人に一声掛けては、ゲームの再開を促す。】
【プラスチック製の簡素な椅子に座るおっさんも、少女を見ながら、『良いのだろうか、』なんて思いつつ、】
【其れでも矢張り、山札からトランプを二枚、抜き取っては、曇った顔見せて。其の二枚を叩き捨てるのだった。】


/はーい!了解でございます!ひねくれた子ですが、どうか……!
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/16(水) 23:48:49.49 ID:4xbDEJ05o
>>483
「――これは単なる力の残滓、複製をするほど細胞も残っては居ないよ。
それに。ある意味で私の存在は[Going for the One/究極]。後にも先にも私は私だけだから」

【琥珀色は、異様に繊細な雰囲気を漂わせる。確かに、ここから複製を作るだけの情報は得られないだろう】
【それでも、その物質には異能が宿り、それの存在は、研究対象としては十二分に価値のある物の筈】
【少なくとも。この物質は限定的にとはいえど、他者に異能を植え付ける力を持っているのだから】

「そうだな――、私には武器も防具も必要ないんだが。
ああ、そうだ。ハンドヘルド型のコンピュータは作れるか? あの手の物は私の力と相性が良くてな。
できれば各種接続端子と接続規格に対応していて軽量であればなお良いのだが――――」

【少女は相手の提案に対して、暫くの間思案。そして思案の果てに口にしたのは武器でもなんでもない】
【一つのコンピュータを少女は所望した。腕など、身体に装着できるタイプの軽量のコンピュータ】
【多数の接続端子を求めたのは、先ほどの回路による支配などにも関係があるのかもしれない】

「――何時か再度出会う時が有るだろう。その時には茶でも飲もうか」

【少女が珍しく、わかりやすい笑顔を浮かべて、ひらひらと手を振ると周囲を乳白色の霧が包み始める】
【何も無ければ、そのまま少女は琥珀色の光とパターンを残して、消えていくことだろう】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/16(水) 23:53:24.71 ID:FxbLywPk0
>>484

 ありゃあ、誤解させちゃったかねえ
『どうするんですか、これ、全部マスターの責任ですよ』
 さらっと、ひどいことを言うなあ
 だがまあうん、帰るかこれ以上ここにい続けても意味ないし

【そう言って男は何枚かの紙を取り出し魔翌力を入れる】
【すると、水が大量に生成されその火事をある程度弱くしたり消したりするだろう】
【そして新たに紙を何枚か取り出し地面に当てる、すると壁が作られ消えていない火へと突撃し強引に強引に鎮火するだろう】

 さて、ただの研究員は帰るか、
『……はあ…』

【そう言って、そのまま二人組みはこの小屋から去るであろう】

/ここで閉めますね
/お疲れ様でした
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/16(水) 23:54:27.13 ID:sk93GPdA0
>>486
「少なくとも、表通りで無い場所でありますね。酒場の片隅でも何処でも良いのであります
そして――――貴方が積みと考えようと考えまいと、定義が定められていれば其れは罪に該当するのでありますよ」

【躍起になって山札と捨てられたトランプとを回収すれば、それは只のムキになった子供の他ならず】
【ならば言葉を返そうとするも、片眉がピクピクと動いている所を見れば恐らくは内心荒波が立っているのだろうか】
【――――一度深呼吸をして、こちらを見て来た男性に対して威嚇するかの如く一睨み】


「私も同感であります。論じる為に態々此処に立ち寄ったわけでは無いでありますよ
…………こんな詰まらない事で記帳に載ってしまえば、後々大変な事になると思うのでありますよ
長い時間を生きていたなら、分かると思う出ありますが」

【今度は、こちらがその男性を見る番。少年を言い負かす事は難しそう――――だから、ゲームの相手を減らしてしまおうという魂胆なのか】
【明確な言葉は無いけれど。そして、男性が堅実な仕事と遠ければ効果だってないのだけれど。…………もし、所謂一般職ならば】
【記帳に自分の名が載る。果たしてそれはどの様な事になるのかは、容易に想像出来るであろう】

【新たに山札から二枚抜かれたならば、其処へ手を伸ばし、新たに五枚を手中に収める】
【――――興味も無さ気にポイとその全てを表にして投げて。出たのはフルハウス。まるで、狙っていたかの様だけれど…………】


「さ、お開きにするでありますよ。このおチビ――――子は別としても、他のみんなには生活があると思うのであります
散った散ったでありますよ」

【…………得意気な顔。通称ドヤ顔にも思えるのは気のせいであろうか】
【兎も角として、少年が更に高い役を出したならば展開は変わるのだろう。否、そのまま出さなかったとしても、また別な話が紡がれ始める筈で】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/17(木) 00:09:21.06 ID:b5o430+H0
>>487

にゃるほどね………わかったよーなんにせよ良いものを貰ったよ!ありがとありがとアンバー=I
唯一孤高ってわけかい、にひひ………やっぱり君は六罪王¢ォらしめるだけの罪と力を持っているようだね。

【相手の説明を聞きながらコクコクと頷き、聞き終えると納得したように顔を上げてニッコリと笑う】
【いつの間にやら呼び方も省略されたものになっているが、それほどまでに相手を好意的に見ているという事だろう】
【口の端を釣り上げて不敵に笑い、相手の存在の大きさを再確認する。】

にゃるほど………それなら新型の小型PCEnigma≠送らせて貰うよッ!
僕も持っているけど携帯小型端末でありながら処理演算能力は並みのPCを凌駕するにゃー!
もちろん接続規格も搭載しているし通信機としても利用可能、新型の魔導ジェネレータも搭載していて魔翌力の加速、増幅も行えるよ!

君の元へ直ぐに届けるようにするよッ!にゃはは、お互い世界を面白おかしく出来るといいねー!
それじゃあ、またねアンバー<b!

【相手の要求に該当するものを即座に探し当て、それを簡単に説明しながらアンバー≠フ下へと送る算段を携帯端末で行う】
【そしてブンブンと手を振ってアンバーがパターンの中へと消えていくのを見送ってから、自身も転送術式を用いてその場から姿を消すだろう】
【後日、アンバーの元へと依頼した品、Enigma≠ェ送られてくる事だろう。】
【さて、この二人の悪=c……二つの思惑≠ェ再び交差する日は………そう遠くはないのかもしれない。】

//こんなところでしょうか、二日日間お疲れ様でした!
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/17(木) 00:11:21.06 ID:7glxr0apo
>>490
/*お疲れ様でしたーッ!*/
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/17(木) 00:12:01.29 ID:e9TS+G/e0
>>488

……のうのうと、よくもそんな事が言えますわね……いい加減、誤魔化す必要などないでしょう?
それとも見逃してくれとでも……?

【杖を退き、尚も女性は2人を睨みつけていた。誤解だと言う言葉も、白々しい物に聞こえるのだろう】
【――――男の真意は別として、状況的に女性の判断も致し方ない部分があるのだろう。ただでさえ女性自身も『仕事』の最中で、警戒心が強くなっていた】
【その中で、敵と判断し得る材料があれば、警戒は容易に敵意に変じうる】

……っ、魔力……!?

【だが、紙を用いての鎮火は、いささか予想外だったようで、その表情に驚きが走る】
【白衣姿から、てっきり科学者の立場にある人間だろうと考えていたのだ。そんな人物が魔力を行使したと言うのは、驚くには十分な理由だっただろう】

……流石にここは退きますか…………賢明でしょう
……と言うよりも、私としても助かりましたわ……まともに一戦を交えるには、いささか厳しい状況でしたからね……

【小屋から出ていく2人の背中を、女性はただ安堵の表情と共に見送る】
【その背中に追撃でも掛ける事は、決して不可能ではないのだが、去る相手を無駄に引き止める様なな真似をしても仕方がない】
【更に言うなら1対2では、数の上で不利だ。追跡を断念されたのは、女性にとって幸運だった】

「……どうやら、状況は急を脱した様ですね……」
……えぇ。遅かった……と言うつもりは有りませんけどね?
でも、お陰で『保険』も必要なくなりましたわ……下手をしたら、カノッサの人間と戦闘に入りそうでしたけどね
「……なるほど。それは確かに、『保険』の要る状況でしょうね……まぁ、貸し1つと言う事にしておきましょう……
一夜を共にでもしてくれるのなら、すぐに清算しますけどね……」
お断りしますわ。でも、借りは借り……何らかの形で埋め合わせはさせてもらいますわよ……
……でも、女性にだらしないのは、どうかと思いますわよ?

【入れ替わる様にして、1人の青年が女性の下を訪れた】
【通信端末で呼びだしていた『保険』が彼なのだろう。もし戦闘になった時の為の備えとして――――】
【だが、その役目も必要なくなり、2人は揃ってその場を後にする】
【――――多少のトラブルを挟んだ形となったが、結局女性は、自分の『仕事』を完遂したのだった】

/乙でしたー!
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 00:20:51.61 ID:QL1O91Z70
>>489

【所謂、ならず者の集まりである。堅実な其れとはかけ離れた生活を送っているが―――】
【避けられる物は、避けたい。此の三人に、変な意地を張る必要は、何処にも無くて。】
【少女の一貫した態度を見たなら、丸で其の威嚇に平伏すかの如く、後退りする事だろう。】

【『じゃあきみ、またね……』と弱々しい声で少年に別れを告げたなら、いそいそと去っていく。】
【裏切られた、なんて気持ちになった訳では無い。少年は寧ろ、逃げて貰った方が有難い、とさえ考えている様だが―――。】

【男達の姿が見えなくなったのなら、其処に残るのは二人。―――否、此の二人に面白がって、】
【再び野次馬が出来ているかも知れ無いが―――、此の少年は、余り其れを気にしていない様で。】

【意識下に無い対象は、其れのみに留まらず。飲みかけの緑色の瓶を右手で持ち上げては、】
【グイグイと、5、6回喉仏を上下に動かした後、肺に溜まった息を一気に吐き出す。】

【口元を左手で拭いながら、少女が出した役を見る。更に其のドヤ顔を目にしたなら。】
【少年はニヤッと口角を上げて。テーブルに繰り出されたのは―――】


あーあ、まけちゃったかー うわーなんてつよいんだー
おれ、チビだから、ツーペアしかできなかったわー


【ツーペアだった。ハートとスペードのキング、そしてダイヤとクラブの、"キング"。】
【少女に見せるのは、最早ドヤ顔を超えた何かであった。―――フォーカード等、滅多に出る役では無い。】
【煽り出される状況に、更に点火するかの如く発せられる、感情の篭っていない棒読み。】
【此の少女の心情は、果たして―――?】
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/17(木) 00:33:05.25 ID:IQ9IG3Nyo
>>485

【彼の去っていく後ろ姿を見送ると、ふう、と剛太郎はため息をつく】
【この先どうするか、などを思っているのだろうか―――そんな中、ムクが口を挟んでくる】


『しかし、本職の退魔師だけあって申し分ない実力じゃのう
どうするんじゃあ剛の字、あやつUTやSCARLETには所属しておらんようじゃが』

そうだね、"WILD"がSCARLETに接触する前に話だけでもつけておくか?
各組織のサポートサービスだけじゃなく、個人サービスもやらないか?ってこの間相談してたみたいだし
少なくともW-Phoneを渡すくらいはしてもいいと思うよ、あの人今UTの部屋借りてるんだっけ……


【などとしばらく話し込みながら、係員に肩を借りて剛太郎もまたその場から退場していった】
【改めて敗北の味をかみしめる剛太郎―――次の戦いではその無念を晴らすことが出来るだろうか】

【←To Be Continued...】

/はい、少々時間をかけてしまいましたが、お付き合いありがとうございます!
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 00:44:18.95 ID:tvV+H3NG0
>>493
【他の者達も去ったならば満足して、ゲーム相手が居なくなった少年もこのまま帰るであろうと思い込んでいたのだが――――】
【去り際、チラリと少年が示した手札を見たならば一気に眉尻が上がる事だろう】
【その時に見た表情は実に小憎たらしくて――――しかし、人の事を言えないのが現実】
【ぐぬ…………何て小さな唸りも、或いは聞き取れたであろうか】

【パァン!と掌をテーブルに叩き付ける音。ドヤ顔で披露した手札よりも更に良い手を見せられた為、言ってしまえば羞恥心を誤魔化す行動】
【――――ギャラリーが居たならば尚更の事。徐々に赤くなる顔が、隠しきれなかった羞恥心を露わとしている様でもあって】


「と、兎に角であります!こんな所で堂々と賭け事をするのは禁止でありますよ!
ほら、お酒も回収!とっとと此処を離れるであります!」

【プルプルと震える手で握り拳を作ったかと思えば、その場にあったトランプを全て回収して次には少年の飲んでいた酒瓶も引ったくるかの様に奪い】
【有無を言わせぬ様子で腕を掴んだなら――――掴めたなら、自分勝手にその場から連れ出そうとする事だろう】
【ギャラリーが居たならば、睨み付けて。先程の光景に失笑をする者が居たならば、鬼の形相で睨んで――――隻眼には若干の潤みがあった事が分かるかは定かでは無いが】
【以下、連れ出す事に成功したならばの話だが――――】


「…………とんだ恥を搔いたであります
……其処に座って待っていると良いでありますよ」

【着いた先は近くの公園。少年に対してベンチに座って待っていろと言い残せば何処かへと歩いて行って】
【――――戻って来たのは数分後。その手には微糖の珈琲と、ミルクたっぷりのカフェラテ。どちらもあったか〜い】
【……少年に手渡されたのは何故か微糖であり、少女が手中に収めているのは後者であり】


「…………それ、で。何であんな所で賭け事なんてしていたでありますか
面子を見れば貴方とは大分歳が離れていた様にも見えたであります。…………何時も、しているでありますか?」

【当の本人は、その事に何も疑問を持っては居ない様】
【隣に座れば、あちち何て言葉を漏らしながらも珈琲を飲んで…………やがては、問いかける】
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 01:10:31.16 ID:QL1O91Z70
>>495


―――………ッ…………!

【少年の身体が小刻みに震える。息を漏らさずに、声を上げずに。身体を丸め込んで、足をバタつかせて。】
【必死になって、笑いを堪える其の姿は―――最早、苦しんでいるのでは無いか、なんて思える程。】
【其れは随分と長い間続いて……其の笑いが落ち着いたなら、ゆっくりと2,3回の深呼吸。】


【見事なコンボである。】
【少年は呼吸困難に陥り掛けていた。『ちょ、まっ…』と言いながらも、其の力の強さに圧倒された様。】
【―――が、少年の手荷物だったビニール袋は、瞬時に身体を捻らせ、しっかりと拾い上げていた。】
【どうやら随分と地味なタイミングで、運動神経を発揮したらしく。】

【ベンチに座らせられても尚、呼吸が荒い。何かを買いに行った少女の、其の後ろ姿を見ただけで、あの光景が思い出される。】
【―――止まらない。彼女が帰って来る其の直前まで、其れは続いていた事だろう。】
【『お、サンキュー、』と予想外の心遣いに感謝しながら、彼女の問いには答えていく様で。】


今日は"オフ"―――否、此処1ヶ月、働いてねーけどよ、
暇だから、やってんだよ。あーあと、只のお遊びじゃ、つまんねーだろ。
やっぱ、何か賭けねーとな。………今日の分は、チャラになっちまったけどな。

それにな、同じ年齢の奴らとは、話、合わねーんだよ。基本的に。
ああいうおっさん達の方が、酒の話出来る分、上だな。少なくとも。

【と一通り弁明し終えた所で、パカっとプルタブを開け、微糖を身体に流し込む。】
【少女が飲んでいる甘そうなカフェラテを見ては、『分かってんじゃん、』と其の判断を褒め称える。】
【彼女にとっては深い意味が有るのかも知れ無いが、此の少年は甘い物が苦手らしい。】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 01:25:44.18 ID:tvV+H3NG0
>>496
「…………まだ笑っていたでありますか?」

【座る直前、そんな言葉が吐かれただろうか】
【まるで遠慮無く拳骨でも喰らわせそうな程にはじっとりとした視線】
【――――座れば、ふいとそっぽを向くのだけれど……コレではどちらが子供かは分からない】


「……その歳からお酒を飲んでいると直ぐに身体を壊してしまうでありますよ
後、働かないで学校に行くべきであります。学校行かずとも、貴方の事だからどうせまともな職では無いのでありますから…………もっとまともな事を見つけるべきでありますよ」

【外見と性格から、勝手な判断。職について訊ねていないのに、勝手にまともな其れでは無いのだろうと結論づけて】
【少年に反して少女は甘党か、流し込んだラテには美味しそうな笑みを浮かべ】
【――――ふう、と一息。トランプと酒瓶とを少年に返せば、ラテを両手で包んで】


「そして、同じ年齢の友達を作るべきでありますよ。どーせ貴方は人間ありますよね?
なら、尚更の事であります。今すぐ酒と賭け事を断てとは言わないでありますから…………少しずつ、止めるべきでありますよ
…………それとも、理由でもあるのでありますか?」

【お節介焼き。少女の気質であろうか、余計な口出しまでして】
【飲み終えたならば暗闇の奥へとヒョイと投げて――――響くのは、高い音。恐らくは見事ゴミ入れの中へと入ったのだろう】
【小さなガッツポーズを見せるが隣にいることを思い出せば、慌てて下げて】
【咳払いの後、真面目な面持ちへと変わればそんな問いを紡いで】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 01:56:17.14 ID:QL1O91Z70
>>497

いやー、酒はな、飲める内に、グビグビ飲んどかねーとな。
飲みてー時に飲むのが一番なんだよ。俺ん中ではな。

……学校?あー……2年か、3年前ぐらいか、もう卒業してっから。けっこーいいとこ。
こう見えて、天才って奴な。飛び級で、ラクラクの卒業。……ああ、主席じゃねーけど。
……そーいえば、卒業証書、どっか行っちまったな。ま、そんなん、どーでもいいけどな。

うっわ、まともな職ついてね―って、心外だわー。
基本理念は殆どちげーけど、大体お前らと同じ事やってんだよ。
GIFTやら、カノッサやらが来た時に、邪魔する役目。報酬、美味すぎて、一度やったら止めらんねーよな。

【と、徐々に自分の生活を曝け出して行く。饒舌になりつつある。其れなりに、彼女を信用しだした証拠か。】
【―――が、矢張り、突っ込み所の多い話にも聞こえるのかも知れない。】
【『そんな天才が、こんな所で何をやっているのか』、なんて疑問は、其の最たる物だろうか。】


……いや、無理に話し合わせるだけの関係なら、疲れるだけだろ。
たまたま自分の素に合う奴が、同級生にいねーっていう、ただそれだけの事なんじゃねーの。
………あ、後、これ、銀色だけどよ、地毛だから。染めてねーからな。


……酒は、俺の能力にも関係あんだよな。止めんのが出来ねーのは、勘弁してくれ。
で、賭けは俺の生きがいな。賭け止めるくれーなら、死んだ方がマシ…とまでは言わねーけど。
ま、それくらいっつーこと、結局どっちも、止めるつもりはねーんだな。

【人間かどうかを疑われた。珍しい髪色が、其の所以だろうか。】
【少なくとも少年はそう判断したらしい、髪色の事について言及したのは、其れ故であった。】


……ああ、そう、あやまんねーとな。
……その、おちょくったら、ぜってーおもしれータイプって思ってな。……わりーわりー。
あー、アレ………だな、アレやるか。お近づきの印にーって奴。

【ベンチ側に置いたビニール袋の中身を、ガサゴソと漁りながら、少年は謝罪を述べる。】
【少し経ってから取り出されたのは、190ml程入る様な、一般的な大きさの缶。丁度2人が飲んだ物と同じサイズ。】

【コーヒーの豆、そして牛乳の雫が滴る絵がプリントされている事から、】
【其の缶の中身が"コーヒー牛乳"である事は、容易に見て取れる筈だ。】


……ほら、飲み比べ、やってみ。

【少年は其れを、ポイッと強引に投げ渡すと、得意気な顔をする事だろう。】
【コーヒー、或いは牛乳に少しでも詳しいのなら、―――否、其のパッケージの雰囲気から、其の理由が分かるだろうか。】
【何方も、最高級品から作られた逸品中の逸品。其れ一缶は、他の物の10倍以上はする程。当然、金額の事は触れなかったが。】

【缶の下の方には"微糖"と表示されている。食わず嫌いなら、突き返す事も十分に可能だ。】
【然し其れを乗り越えたなら。プルタブを開いた瞬間、其の香りの違いに圧倒される事になる。】
【そしてそっと口に含み、其の味を舌全体で知覚した其の刹那、実感する筈だ。】
【―――要らない、と。牛乳の豊潤な甘み、其れだけで十分だ、と。】

【珈琲を飲んだのなら、其の感想を待ちわびる様子を見せる事になるし、】
【飲まなかったのなら、『甘くねーと飲めねーのか、』なんて少し馬鹿にした表情で缶を取り上げる事になるだろう。】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 02:23:00.63 ID:tvV+H3NG0
>>498
「……私……私達は報酬の為にやっている訳では無いのであります」

【むっとした様に言い返すのは、少女の性――――では無く、その信念】
【報酬よりも大事な物を守る為に自警団という組織に所属したのであろう。だから、むつける様に頬を膨らませて】
【――――考えなんて、人それぞれ。誰が間違っている何て事は、無いのだけれど】


「まあ、確かにそうでありますが…………
むぅ…………そ、それでも賭を止められるなら止めるべきであります!
その内痛い目を見るので――――…………?」

【酒が能力に関する事ならば止められない。しかし後者は趣味ならば、止めるべきだと】
【説得しようと口を開いたその時、視界に新たな物体が映って】

【速度を見れば攻撃の其れでは無い。慌てて両手で抱え込んでラベルを覗いたならば――――少女の時間が一瞬止まる】
【甘い物は大の好物。しかし、辛いのは駄目。何よりも、苦いのはもっと駄目。故に、固まった】
【ギギギ――と寂れたブリキの音が聞こえそうな位にぎこちなく首を捻って少年を見れば、もう一度同じ動作で手中の其れへと映り】
【…………飲まなければからかわれるのは分かりきった事。なら、飲まなければ――――飲まなければ、また腹を抱えて笑われるかもしれない】


「…………」

【生唾を飲み込む音。開ければ――――意外。初めて嗅ぐ上質な香り。これならば飲めると一気に喉の奥へ流し込んで】
【…………其れがいけなかった。常人ならば、美味しいと褒め称えるであろう味。しかし味覚障害とも思える少女には、そのほろ苦さも毒となり】
【ジワリと滲む涙。慌ててラテを飲もうとするも…………もう飲み干した後】
【悶えること数分。苦みが引いたならば半分余ったその珈琲を少年へと返して、立ち上がる事だろう】


「に……苦かったであります…………
兎に角、もう賭け事は駄目でありますよ、天才君
もう少しお話をしていたかったでありますが…………そろそろ戻らなければ怒られてしまうでありますから」

【ゴシゴシと涙を拭くが、拭けども拭けども後から溢れ出して】
【…………後でジュースを買おうと決心したのは、少女のみが知る事。その場から去ろうと足を動かすが――――ふと止めて】


「オラークル・スティンガー。私の名前でありますよ。皆には“クル”や“ステン”と呼ばれているであります
…………天才君。又会うことがあれば、またお話をするでありますよ。それでは
……あ。次会うときまでに賭け事は止めるでありますよ!」

【己の名を名乗り、もう一度踵を返して今度こそその場を去る――――かと思えば】
【本当に最後の一言。クスリと笑ったならば、自警団らしく注意を促して】
【少年が名乗り返したならば、反応せずともその名は覚えている事だろう】
【――――やがて、その自警団員も闇夜へと姿を溶かして】

/お時間も良い感じですので、申し訳ありませんがこの辺りで……!
/お相手して頂き、有り難う御座いましたですよ!お休みなさいませっ!
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 02:46:23.91 ID:QL1O91Z70
>>499


確率論から最適解を導き出す俺が、痛い目をみ……―――!?


【感動の涙が彼女の顔を辿る。苦いなんていったのは―――負け惜しみなのだと。】
【少年はそう捉えた。仄かな苦味の為に、泣いているなんて、想像だにしない。】

【―――にしては、半分、未だ残っている。その点に関しては矛盾を感じていたが、】
【其れも矢張り、残しておいてくれた物なのだろうと、強引に解釈するのだった。】

ああ、名前言ってなかったな、俺はねこむら。皆には……いや、名前、呼ばれることがそもそもねーな。

………ああ、じゃ、またな。次会う時は―――ギャンブルで、生計、立ててるかもな。


【最後に発せられたのは彼なりのジョーク。感謝とも捉える事が出来るだろうか。】
【少年は座ったまま。彼女が去っていくその姿を、しっかりと見届ける事だろう。半笑いは、矢張り起きた。】
【やがて暗闇の中に消えて行くのなら、少年は腕に力を込めて、スッと立ち上がる。】
【再びフラフラと、何処かに向かって歩き出す。其の終着点は、最早彼自身すら知らないのであって―――。】


/有難うございました!楽しかったです、おやすみなさいです!
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/17(木) 18:08:46.65 ID:PkBhpppgo


【黒い髪、白いワイシャツ、その裾をこれまた黒いチノパンに入れている。】
【腰には新聞紙に包まれた長い棒と、口には煙燻るパイプ煙草――。】
【手にぶら下げている灯籠は、辺りを仄かに照らしている。】

【――そして彼が引きずるのは、側面に一つ100円とかかれた台車。】

【それに積まれている、彼の手にもつ物と同じ種類の紙の灯籠は――】


『うあーいなんだこれーッ』『私にも貸して! かーしーてーよぉ!』

うちの商品で遊ぶんじゃねえよ!


【灯籠自体がこの街では物珍しい、のか、】
【二人の子供に囲まれ、――好き勝手に遊ばれていて。】

【しかし相手は子供、手を出す訳にもいかず、口で注意するしかなく。】
【しかしその程度ではこのリトルモンスター達を抑制できず――。】

【"なんとかしてくれ"、そう言いたげに辺りに助けを求めようとするのだった。】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/17(木) 19:06:29.03 ID:KvXxDWJ/o
【水の国・天下一武道会――準々決勝会場】
【そこでは此処数日で最も寒い風が吹き荒び、しかしそれを覆す程の熱響が轟いていた】

【既にこの大会、終盤も近い。ベストエイトが確定し、後は決勝を目指す凌ぎ合い】
【何れもハイレベルな戦いが繰り広げられるのであろう―――その期待、と】
【この試合に関しては、また別の理由もある。選手がほんの少しだげ、似通っているという点だ】

シルバーキャットと、銀狼……シルバーウルフ、かのう。
下らぬ言葉遊びじゃが、ここまで来ると些細な事でも熱くなれるものか

(……それにしてもどのような相手だか、試合の映像を見ておくべきであったのう)
(あの瑚蝶めにああ言ってしまった手前……いや、無論もともとそのつもりはないが……)
(負けるわけには行かぬ。ま、対策は戦いの中で見極めるとするちや―――。)

【先に入場するのは狼。薄手の格好に両手足の鉄輪は相変わらずそのままで】
【髪に隠れて時折動く獣の耳や、背よりも長い銀の毛並みに覆われた尻尾は】
【まさに名は体を表す、というような具合。軽く腕を回し、足を伸ばし、関節を温めて】

【―――後は、敵となる相手の入場を待つばかり。その瞳を入場口へと向ければ―――。】

/長尾銀狼です。シルバーキャットの方、よろしくお願いしますっ!
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/17(木) 19:25:55.14 ID:EPZB5nyvo
>>502

【歓声が聞こえる――対戦相手がフィールドに現れたのだろう。次は自分の番だ】
【ぐるん、と腕を回して気合を入れ直す。第三回戦ともなれば、きっと今までにない強敵が現れるに違いない】
【臨むところだ。それでこそ、自分の実力を確かめられるのだから】

【やがて鉄の扉がゆっくりと開かれ――開ききる前にそいつ≠ヘ駆けだしていた】


にゃはっ


【だんっ、と彼女は地を強く蹴ると跳躍し、高く高く舞い上がるとくるくる回転しながらフィールドの端へ着地するだろう】
【そして身体を伸ばすとともに、拳を天へと突き出して】


あたいがシルバーキャット――銀猫だ!!
あんたが銀狼さんだね! 猫と狼、か。にゃは、……どっちが強いか決めようにゃ!


【会場に響き渡らんばかりの声で名乗りを上げたなら、ファイティングポーズを取るだろう】
【デニム生地のホットパンツ、薄い緑のシャツを着て、足には運動靴という服装に】
【嘘か真か、背中に伸びる黒いしっぽと、アーモンド形の大きな黒い瞳】
【そして目を引くくらいにくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えている】
【表れたのはそんな、精悍な顔立ちの少女だ】

【そして両者が揃うと――始まりの鐘が鳴るだろう】


いくよ!


【それと同時に彼女は駆けだした。銀狼へと一直線、寄り道などせず接近するつもりだ】
【接近できたならば挨拶代わりと言わんばかりに右の拳を放つだろう】
【能力の兆候こそないが、そのパワーは侮れない。狙いはいきなり顔面――だが対処方はいくらでもあるはずで】

/シルバーキャットです!よろしくお願いしますッ
/…早速ですがご飯食べてきます。すみません…
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/17(木) 19:37:54.42 ID:KvXxDWJ/o
>>503

……ほほう、お主が対戦相手のシルバーキャットか。
なんとも可愛らしく活発な娘ではないか、儂の若い頃を見ておるようじゃぞ?

ふふっ、まあそんな冗談はさておき……よかろう、決めようぞ
猫と狼、果たしてどちらが強いのか。中々無い機会だからのう
……名乗り遅れた、察しの通り儂が長尾銀狼じゃ。よろしく、のッ――!!

【相手が駆け出すや否や、それに応じて銀狼の尻尾が四本に増える】
【一本は本物。他の金に光る三本は気のストック=\―つまり能力だ】

【最もそれを誰が説明するでもない。銀狼はまず、相手と同じようにファイティングポーズを取った】
【素足のつま先に体重を預け、両手は親指から中指までの三本を立て】
【端の二本は折って、爪を活かした斬≠フ構えだ。速さと攻撃翌力が売りである】

【そして迫る相手の一撃を、銀狼は左手で軽く受け、身体を右側に抜けるようにして流し】
【逆に近距離を活かして右手の爪で少女の胴を抉るように攻撃しようとする】

【――この一手で、互いの速さやパワーは分かるはず。先ず、銀狼はパワーには優れていない】
【恐らくその点はシルバーキャットの価値だ。が、それを上回る速さがこちらにはある】
【無論、対応できるかは少女次第。出来なければ手痛い一撃を貰う――それだけだ】

/了解です、どうぞお気にせずごゆっくり!
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/17(木) 20:05:05.10 ID:Jfls7sz3o
【水の国――ワールド・グルメ・フェス開催中】
【お祭り騒ぎの熱気に満ちた、水の国の通りに一人の少女がいた】

【右の腕には、どこかの屋台で手に入れたらしい焼き鳥をもっている】
【反対側、左の腕は怪我をしているらしく、包帯に包まれているうえに固定もされていた】
【少女の身体を注視してみれば、あちこちに怪我の跡が見て取れるだろう】

【身に着けた衣服は運動着で、上着は袖を通さずに羽織っている。 顔を隠すように、どこかのスポーツチームの帽子を深く被りこんでいた】
【――顔を隠しているのは、この街で行われた大会に参加をしており、多くの人に顔を知られているというのが一つ】
【敗北した姿を、多くの人々に見られてしまったというのがもう一つの理由だ】

「…………」
【憂鬱そうに虚空を見つめて、手に持った焼き鳥もなかなか食が進まない様子である】
「……今年も、かなり寒くなってきたか」
【祭りの熱気で見逃してしまいがちだが、早朝や夜遅くに吐き出す吐息が、白く染まっていることもある】

【遠くから聞こえる歓声。 会場では新しい試合が始まっているのだろう】
【見れば得るものの多い試合だろうが――不思議と、脚を運ぶ気にはなれなかった】
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/17(木) 20:28:20.38 ID:EPZB5nyvo
>>504

【攻撃が受け流された――さすがは狼】
【自分よりも獣に近い身体だけあって、しっかりと狩る者の眼を携えているということか】
【しかしそれならこちらも負けてはいない】


――やばっ


【突き出した右腕で対処はできない。それなら左を使うまで!】
【銀猫は踏み出した足を軸にぐるんと腰をひねった。そしてハンマーでも振りかぶるかのように】
【左の拳を構え、迫る狼の手を横から殴る形で弾こうと試みるだろう】


……にゃは、やっぱり苦戦しそうだにゃ。でも勝つのはあたいだよっ!


【足の位置を変えて、体勢を素早く立て直す】
【さて、どうするか。技量ならおそらく銀狼が何枚も上手だ。ならば――】

【ふっ、と短く息を吐きだした瞬間、彼女は銀狼の目の前から消えるだろう】
【いや、観客にはそう見えたかもしれない。しかし彼女は銀狼のすぐ横の空間へと跳んでいた】
【銀猫は技術に長けている訳ではない。だが、パワーと、特にスピードなら自信があった】

【そしてその場から跳躍し――銀狼の頭上へと躍り出るはずだ。落下地点は銀狼の傍ならどこでもいい】
【ぐるん、と縦回転を決めれば彼女は、相手の身体の中心部を蹴り抜こうとするだろう】

【紛れもなく、スピードをもってしてかく乱するのが銀猫の狙いだ】
【しかしそんなものは目で追われれば無意味な行為。果たして銀狼は彼女のスピードについてゆくことができるか】
【そして避けきることができたならば、彼女は大きく隙をさらすことになるだろう】


/お待たせしました…ただいまです
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/17(木) 20:43:56.54 ID:KvXxDWJ/o
>>506

【あと一歩でその布を裂き、皮膚に爪が届く――僅かに手前で、攻撃は弾かれた】
【じぃん、と右手が痺れる感覚。楽しむように、構えた手の甲を一舐めして】

ふふっ、あの距離で一撃を退けるとは見事……お主、やるのう
流石に大会……明音といい、小娘ながら強烈なのが残っておるわ!
だが儂とて負けてはおれん!……速さ比べか?良かろう、お相手仕るちや……!!

【姿が消えたかに見える銀猫を、銀狼は確実に目で追っていた】
【速度ならば自信がある。妖怪として、獣人としての感覚もそれを補い―――】

【――故に、身体の中心を捉える蹴りを躱すことも難しくはなかった】
【攻撃を視認するや否や、銀狼は身体を左にずらして蹴りを回避し】
【時間経過で増えた計五本の尻尾を、巨大な鞭か綱のように絡めて束ね】
【攻撃を避けられ隙を晒した銀猫に向かい、大きく振るって叩きつけようとするだろう】

【しかし、隙を見せてから尻尾を叩き込もうとするまでには僅かに隙間時間が発生する】
【よく見れば――銀狼の脇腹は皮膚がむけていて、実は完全に避けたのではなく】
【掠る形で銀猫の蹴りを食らっていたのだと。そして、その影響で攻撃が遅れたのだと分かるはずだ】

【ともかく、この尻尾は長さ2mの綱と等しい重さを持つ。喰らえば単に痛い、では済まないだろう】

/お帰りなさいませー!
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/17(木) 20:56:47.61 ID:e9TS+G/e0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――夜の国 路地裏】

……≪No.3≫が、変わらず消息不明、か……どうしたものかしら……
「……もしかして、死んじゃった、のかな……?」
……音信不通になったタイミングがタイミングだけに、あり得るのが怖いわね……
<……ムグゥ……>

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女と】

【ブロンド色のさらさらした髪を短く切り揃え、炭団の様に濁った灰色の瞳をした】
【首筋に、逆五芒星の刻印を刻みつけている、身長130cm前後の少年と】

【短いボブカットの赤髪に、奇妙な笑みに近い表情を見せる、ぎらついた紅色の瞳をした】
【右の頬に、逆五芒星の刻印が刻みつけられている、身長160cm前後の少女が】

【衆目から隔絶された暗がりの中、バラバラに解体された、1体の人間の死体を取り囲み、その亡骸を思い思いに貪っていた】
【その捕食に集中している赤髪の少女は別として、残った2人の表情はどこか陰鬱な、はかばかしいとは言い難いものだった】

【それぞれに、身の丈に合わせて設えられたと思しき、ハードレザーとソフトレザーを組み合わせた黒いスーツで全身を覆っている】

……状況が、良くないわね……なんだか、最近攻勢を維持できてない様な気がするわ……
「……『GIFT』に、圧されるかも、分からないよ……」
……このままじゃ、ね……あんな連中に後れを取るなんて、考えたくはないけど……
<…………>

【人を喰らうと言う時点で、そんな常識は当てはまらないのかもしれないが――――本来食事とは、楽しみの1つであるはずだ】
【しかし、そこに居る3人の捕食者達には、食事を楽しんでいる様な、明るい雰囲気は存在していなかった】



【――――所変わって、風の国 公園】

……大分良くなった、かな……
「(だな……今度ちゃんと、お礼言わねぇとよ……)」
<(……とりあえず、1つ状況が良くなったとは、言えるんでしょうねぇ……)>

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットが印象的な、身長140cm前後の少女が】
【身体の具合を確かめるように、ちょっとした体操の様な動作で、身体のあちこちを伸縮させ、動かしている】
【それが一通り済むと、左手の拳を開閉させ、それをじっと見つめていた】

……とりあえず、色々と余裕は出来たけど……これから、どうしよう?
「(当座の心配はないとはいえ、本題に入るとなると……なぁ?)」
<(これまで通りのやり方で、果たして良いものかどうか……悩みどころではあるのよねぇ……)>

【――――微かに、黒いオーラの様なものが、その掌から立ち上り、それを握り潰す様に強く左手を握り締める】
【その様までをじっと見つめている少女の表情に、憂いの様な色が掠めていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/17(木) 21:06:54.83 ID:EPZB5nyvo
>>507

【落下する銀猫。高スピードの一撃は、ほとんど当たるものだと確信していた】
【だから――僅かにかすった感覚はあったものの、足が空を切った瞬間に目を見開いた】

【その事実をまだ完全に飲み込めないうちに彼女は着地する】
【重力で大きく沈みこんだ身体、動かす準備が整わないうちに視界の端から何かが迫り――】


がはっ――!


【両肩に掛けてそれは直撃。細身の彼女は衝撃で吹き飛んでゆくだろう】
【幸いリングアウトにはならなかったが、一回、二回と地面に身体を打ち付けて倒れ込んだ】


く、ぅ……っ、まさか……あれを避けるなんて、思わなかったにゃ
こりゃあ……苦戦なんてもんじゃ、済まなさそうだね……!


【拳を地面に立てて、彼女は立ちあがるだろう。肩が、骨が動くと軋んだ】
【銀猫は銀狼の尻尾をいまいましそうに見つめるだろう】
【金色のそれは能力だろうが――こんな風に扱えるとは】

【ゆらりと彼女は構え直す。相当堪えているのかいるのか、すぐに駆けだそうとしなかった】
【代わりに相手の姿をじっと見つめるだろう。どうやら待ち≠フ姿勢を取るようだった】
【これに対して銀狼はどう出るか――それによって彼女の動きも決まってくるだろう】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/17(木) 21:09:31.26 ID:hfead+8Bo
>>505
/まだいらっしゃいますでしょうか!
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/17(木) 21:17:26.63 ID:k5m/L7eP0
【夜の国――ミクタム研究所跡】

【ほぼ瓦礫しかないここに二人組みの存在がいる】
【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【そして左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【見える人物にはみえるであろう】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そして隣には甲冑をきており、顔に面頬をつけている男がいる】

『それでマスターなぜこのような場所に』
 たんなる興味だよ花嵐
 このような場所には何かあるかもしれんしな

【白衣の男は隣にいる男――花嵐に言う】
【その言葉に花嵐はため息をつく】

『またですか、マスター、研究をほっぱりだして』
 仕方ないだろう、新しいアイデアが思いつかないんだし
 ま、気分転換というやつだ

【するとまた花嵐がため息をつく】
【だが男はそのようなことを無視し、瓦礫の中を調べる】

【このような場所に人が来たらこの二人組みの男が目に入るだろう】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/17(木) 21:21:37.00 ID:KvXxDWJ/o
>>509

――説明が遅れたが、この尻尾は儂の能力が具現化したものでな
その能力というのが繰気術=c…尻尾は気の塊と言った所。

だが、それは確かに実体を持つものじゃ。
長さ2メートルの束ねた綱に打たれるが如き一撃、さぞ痛かろうて
……ま、一歩間違えば悶絶しているのは儂だったのも確かだが、のう。

【『さて――』――そう言うと銀狼は両手足の鉄輪を外し、計4つのそれを手にとった】
【直後、尻尾が二本消えて三本に。一方で、鉄輪には金のオーラが纏われて】

【銀狼がそれを振りかぶって投げる――すると、鉄輪は四方に拡散して】
【まるで誘導されるかのごとく、銀猫目掛けて上下左右から襲いかかっていく】
【それこそまさに繰気≠ネのだろう。なにせ鉄だ、飛来した際の威力は恐ろしい物がある】

【しかし、これは同時にチャンスでもあった。何故なら、銀狼を見てみると】
【恐らく鉄輪の操作に気を取られているのだろう、構えを解いて半ば棒立ちなのである】
【流石にただ立っているだけ、ではないにしろ―――急襲されれば、攻撃を避ける余裕が在るようには見えなかった】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/17(木) 21:29:25.69 ID:Jfls7sz3o
>>510
//すみません、いろいろと忙しくなってしまいまして……折角声をかけてもらったのですが、続行は厳しそうです
//また次の機会があれば、よろしくお願いします
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/10/17(木) 21:30:53.75 ID:hfead+8Bo
>>513
/了解しました〜
/こちらこそ、機会があればまた!
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/17(木) 21:31:15.13 ID:e9TS+G/e0
/>>508取り消しでー
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/17(木) 21:49:07.75 ID:EPZB5nyvo
>>512

【なるほど、増えた尻尾の正体は気≠フ塊だったようだ】
【金色の光を纏っていたのだから、何か特別なものだろうということはわかっていたが】
【銀猫は黙ってそれを聞くのだろう。視線は少しも逸らそうとはしない】


――あたいの説明はいるかにゃ?


【喉に異物が入った時のようなかすれた声で彼女は答える】
【――銀狼が動きを見せた。どう出てくるか注意して、彼女は構え直す】

【次に銀狼が繰り出した攻撃に、またも彼女は驚かされることになる】
【何せ相手は自分と同じ接近タイプだと思い込んでいたのだ。遠距離攻撃を仕掛けて来ようとは思いもしなかった】
【こうなれば待ち≠フ姿勢は愚策だ。となれば後はもちろん――突撃あるのみ!】

【銀猫は出せる最大速力をもって、銀狼目掛け駆けだすだろう】
【横にかわそうとはしなかった。鉄輪が弧を描いていたのなら、左右は少なくともかわせるはず】
【問題は上下――彼女はスピードを緩めることなく、下から迫る鉄輪を踏みつぶすように無力化するだろう】


――――――ッ!!!


【だが上から飛来する鉄輪を同時にさばくことができず、正面から思いきり額に受けた】
【左右からの鉄輪が身体のすぐ横を掠めていった気がしたが、痛みでそれどころではない】
【食いしばった歯の間から、声にならない声を上げながら、それでも銀狼へと突撃する】


にゃ、ああああああああああッ!!


【拳の範囲まで来たならば、ありったけの力を込めて銀狼を殴りつけようとするだろう】
【つけた狙いは顔面だったか、胴だったか――痛みと額の血であやふやだったが、銀狼の輪郭だけは、確かに捉えている】
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/17(木) 21:55:43.33 ID:hfead+8Bo
【大通り】

…………! …………!! …………!!!

【ワールド・グルメ・フェス開催中につき、多くの屋台が建ち並ぶこの場所で】
【銀色の双眸を串に刺さった何かしらの肉に注ぎ込み、それに獣のように歯を立ててかじり付く青年がいる】
【筋肉質で背の高い体格に浅黒い肌、短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【見るからに異邦人≠ニいう言葉を連想させるような男だが、その服装もどこか普通ではなく】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして】
【首からはドッグタグを下げ、背中に巨大な茶色いケースを袈裟懸けにして携行していた】

いやァ、ふもっ、しかしッ、むぐっ…………この蛙の丸焼き、多少見た目は悪いが超うめェ…………。
ったく、食わず嫌いで「気持ち悪い」なんて苦情出しやがって、駆り出される俺と睨まれる店主の身にもなれってんだ!

【男が歩きながら喰らっていたのは――――生きていたときそのまんまの形をした、蛙の丸焼きだった】
【世の大半の女性であれば見るだけで怖気立つようなシロモノは、男の胃へ残らず流し込まれていって】
【そうして食事が終わると、男は残った串を手の中で弄びながら、誰に向けるでもない愚痴を吐き始める】
【酔っ払いのような毒を吐きながら歩く男の姿は、そのだらしない服装もあって何とも自堕落な印象だ】

【男の左胸にある自警団のバッジも、今は何となく恥ずかしげに光っている気さえして――――】
【とはいえ彼も、曲がりなりにも自警団員。悪事を働く者や困っている市民がいれば、見逃すことはないだろう】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 22:00:34.05 ID:tvV+H3NG0
【人気の無い山中――――その、更に少し奥】
【ゴツゴツとした岩に囲まれた其処だけれど、もくもくと白い煙が立ち上っていて】
【謂わば、秘湯。普段ならば動物達しか浸かる事の無いであろう場所だが、今宵は珍しく煙に浮かぶ人影があって】
【――――途切れ途切れに見えるのは、女性の体型であろうか】


「…………久しぶりのお休み……ですね……
でも、本当に…………大丈夫なのでしょうか…………他の妖怪さん達が…………本家を襲っていたら…………」

【ゆっくりと、湯に浸かるのは一人の少女。几帳面に畳まれた巫女装束が岩に置かれている事から、その職を察せ様】
【純粋な人間では無い様で、頭部に生えているのは狐の耳。水面から覗くのは、狐の尾】
【――――そして、漂うのは妖狐の気であって】
【ただっ広い温泉に、一人だけ。何とも贅沢な時】


「…………いえ…………皆さんを信頼…………しなきゃいけませんね
それに……妖怪さん達だって……………みんな悪い訳では…………」

【自分を納得させるかのように呟けば、ブクブクと顔半分を沈め】
【――――暫し、沈黙。誰が居る訳でも無いのにハの字に曲げられた眉。そしておどおどとした口調での独り言は、何と無く少女の性格が知れる事か】
【確かに山の奥にはあるけれど…………踏み入ったならば、湯煙の事もあってその場が珍しく映り、興味を惹かせるだろうか】







【路地裏――――数多くの出来事が起きる其処だが、その殆どが表に住む者達にとって好ましくは無い事ばかり】
【今宵も又、大量の血液がアスファルトを汚していくけれど――――】


「弱い犬ほどよく吠えるって、本当ね
なーんにも出来ずに死んでしまうんだもの。私を、殺してくれるんじゃなかったのかしら。変なお話、つまらないわね」

【四肢がもがれたり、身体に風穴が空けられたり。首が変な方向にねじ曲げられたりした幾多もの骸】
【その中心に立つ少女はその鮮血よりも更に紅いドレスを纏っているが――――表情に、喜びは無く】
【頬を膨らませて不満げな感情を覗かせたならば、指をパチリと鳴らす事だろう】
【――――応えるかの様に現れたのは、一冊の本。人間程の大きさであり、表紙を読み取れない程掠れた其れは、年期を感じさせる】


「眷族にしたって、つまらなそうだものね。お話も作れないなら、意味もないもの
…………興醒めと言うのかしら。本当に、つまらないわ」

【適当なページを開いて「其処に在れ」と呟いたならば、数秒の間も無くティーセットが召喚されて】
【其れから始まる、一人だけのお茶会。溢れる瘴気を隠すわけでも無く】
【多量の流血特有の生臭さを気にする訳でも無く、其処で茶を楽しんでいる事だろう】
【此処に訪れる者は――――さて、瘴気に誘われたか、葬られた者達の断末魔に誘われたか】
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/17(木) 22:02:54.61 ID:KvXxDWJ/o
>>516

いいや、要らぬ!したいというならば任せるがのう
なにせコレの操作は疲れるでの、マトモに聞いてはやれぬぞ、ぐッ……!!

【飛来する鉄輪に対して突っ込んでいったのは正解だ――それだけで左右は回避できる】
【下方から迫るものを踏み潰すようにしたのも良い。回避しない分、速く近づける】
【更にいえば、その動作が銀狼にはやや予想外だったらしく】

【操作はしつつも何とか受けの姿勢を作ろうとするも―――間に合わない】
【銀猫の拳は銀狼の鼻っ柱を捉え、ボグっ…!≠ニいう鈍い音を立てる】

【その衝撃に、少女より大柄とはいえ体重の軽い銀狼が耐えられようはずもなく】
【先ほど相手がそうなったように後方へと吹っ飛び、ただ落下の際は尻尾をクッションにし】
【何度かゴロゴロと転がって、リングアウトスレスレで這いつくばるようにして踏みとどまった】

っ、くぅ〜〜………!!なんちゅう一発をかます小童じゃ…!
鼻の骨を折られたのは初めて、ッ……はぁ、だったぞ……!

(くふっ……、…確かに予想外ではあった。だがのう、誰も終わったとは言うておらんぞ――)

【溢れる血を拭い、長った鼻の骨を無理矢理にもとの位置に戻してゆらりと立ち上がる】
【その銀狼の、右手――それが先ほど、鉄輪を操作している時と同じようになっているのに気付けるだろうか?】

【或いは、銀猫の背後から風を切るような音がして――回避された鉄輪が、2つの凶器が】
【尚も操作を失われず、相手を狙って迫っている事に気付けるであろうか?】
【気付けなければ、額の痛みを更に二倍ほど味わうことになる。気付ければ――回避は難しくない】

【ただし、今回は銀狼との距離もあり、銀狼自身も棒立ちという様子ではない】
【ダメージを受けてややふらついてはいるが、構えがあった。さて中盤、どうなるか―――!】
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/10/17(木) 22:23:38.54 ID:hfead+8Bo
/>>517は取り消します
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/17(木) 22:29:44.42 ID:hfead+8Bo
>>518

【もくもくと立ち上る湯気の中、湯浴みに興じる少女の元へ――――湯気ではない、うっすら銀色をした大気が舞い込むだろうか】
【もし少女が、妖気≠フ気配を漂わせるそれに興味を惹かれて、風の吹き込む方向へ目を向けたならば】
【遠くから、およそ自然のものとは思えぬ鋭い風切音と、がりがりという何かを削るような音がするのを感知できるかも知れない】
【それは、だんだん――――だんだん――――大きくなって。何かが、近づいてくるように】

【舞い込む風の銀色は時間と共に少しずつ濃度を増し、感じる妖気≠熨揩ヲていって】
【風に乗り、何かに斬り飛ばされたような雑草のひとひらが、はらはらと舞い始める】
【やがて――――風は収まり。代わりに、がさがさという草の根をかき分ける音が、岩場の間近で響けば】

――――うわぁ、すごいな。
こんなところに温泉があったなん…………て…………?

【――――まさかこんな山奥に、こんな美麗な温泉があろうことなど、誰が予期できよう】
【そしてそこで、ひとりの少女が柔肌を浸からせているなどと、誰が思おうか】

【今宵、人の寄りつかぬ山奥の秘湯へ、人でない者が――――妖気≠色濃く漂わす、一人の少年が迷い込んだ】
【流行りもののシャツの上に青系のカーディガンを合わせ、胸にはシルバーのアクセサリー、下は深緑色のカーゴパンツを履いて】
【髪は染料で染めた茶色で、ワックスを使って前髪を上げている、いかにも今時≠ニいった容貌】
【今は、ただ呆然としている少年だが――――あまりにも間が悪い。少女にぶん殴られても文句は言えない絵面だった】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/17(木) 22:33:19.31 ID:EPZB5nyvo
>>519

【弾けた皮膚から流れ出る血を、彼女は鬱陶しそうに拭った】
【視界が霞み、誰かに絶え間なく頭突きをされているみたいに頭の中がガンガンする】
【だけどまだまだ、倒れる訳にはいかない】


はぁっ、はっ、……ようやく、当たったにゃ……
でも、まだまだ……っ、それだけで、終わらせないよ……!


【銀狼が攻撃を仕掛けて来る気配はない。そればかりか動こうともしない】
【何か引っかかる、不自然だ――まさか】


――同じ手は食わないにゃ!


【鉄輪が風を切る音を聞き取った瞬間、ほとんど反射的に彼女は屈んだ。鉄輪は彼女のすぐ上を通過するだろう】
【下がった頭が十倍くらいの重さに感じられたがそれに耐えて、雑なクラウチングスタートのような姿勢を取ったなら】
【またも彼女は銀狼へと一直線に突撃するはずだ】

【しかし今回は少しスピードを抑えているように感じられるかもしれない】
【また勢いをいなされて、リングアウトさせられるのを避けるためだろう】

【故に銀狼の手前まで接近できたならば、しっかりと踏み込んで】
【確実に狙える胴へと右ストレートを放とうとするはずだ】
【だが攻撃が馬鹿正直すぎる。さっきのような隙のある銀狼ならともかく、今の彼女に通用するか――?】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/17(木) 22:44:02.80 ID:KvXxDWJ/o
>>522

【回避された鉄輪は、そのまま飛空を続けて銀狼の元までたどり着くと】
【銀狼はそれを両手に掴み、改めて接近を図る銀猫に向き直って】

ふっ……!気付いて避けるとは、やはり出来るのう……っ!
しかし賞賛はしても……その厄介な一撃、貰うわけには…――!!

【こちらの胴に攻撃が入る――それだけは避けねばならないと、ふらり】
【身体を揺れるがままに、殆ど倒れるようなモーションで左によけた】
【が、其処からが本領。ギリッ!と歯を食いしばると、研ぎ澄ました狼の闘志がむき出しになり】

【そこから繰り出すのは右膝での蹴り上げ。狙いは突き出された右腕の肘だ】
【更に上からは、自らの右肘ををも振り下ろす――形としては、左膝と右肘で】
【相手の右肘を挟むように叩くことになる。上手く行けば、関節ごと破壊できる危険な一撃だ】

【また現在四本となっている尻尾だが、それが本物の白銀を一つ残してすべて消えた】
【何かの前兆か――今の所変化は見えないが、容易には戦いの終わりは見えて来ず――!】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 22:49:13.03 ID:tvV+H3NG0
>>521
【この星空を独り占めしている様な錯覚にも陥りそうな静けさ】
【普段ならば冷たく感じる風だって、湯で身体が温まっている今は心地よく感じる位で】
【――――其処に入り交じった別な妖気。ピクリと動いた耳はその事を察した証左であろうか】


「あ……あの…………其処に、誰か…………?」

【恐る恐るといった様子。己も妖狐と呼ばれる妖怪であるけれど――――不安げな表情と共に自信なさげな声を発するのは、少女の性格を現しているか】
【ザプン……恐らくは、湯から立ち上がった音。妖気の主を知るべく、ジッと湯煙の中から見ていたけれど】
【――――驚いた様に、急に立った尻尾。濡れても尚逆立つ毛は、その驚き様を伝えるには十分であって】
【……或いは少年も同じく見ていたならば、湯煙に浮かんだシルエットを見る事もあるか。所謂起伏のよく目立った身体】


「そ、その……えと…………っ!」

【慌てように背を向けて座れば、それでも顔だけを其方へと向けて何かを言いたそうにするけれど】
【言葉が上手く表れず、それ故に慌てて更に負に陥るというスパイラル】
【…………とは言え、必死に身体を隠そうとしている所から「見ないで下さい」と言いたい事は直ぐに伝わる筈】

【殴るでも威嚇するでも無いのは少女の気質。其れ故に、今の事態に至るのだけれど】
【真っ赤にした顔に、どうにも固まってしまった身体にと。――――さて、事態をどの様に向かわせるか。少年の選択によって、実に色々な話へと変わるのだろうけれど】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 23:04:42.99 ID:QL1O91Z70
【風の国、郊外―――小高い丘。】

【戦ぐ風は、一面の芝生をより若い色へと傾け、和みつつ有る空気に緊張感を張り巡らせる。】
【随分と秋めいた気候だった。―――夏より少々着込めば、其れこそ過ごし易い、そんな月夜の出来事。】

【小高い丘の天辺に聳え立つのは、高くて大きなモミの木。地元では少々有名の様子。】
【―――太陽が未だ出ている頃は、其れを中心に、黄色い声を上げながら子供達が遊んでいた筈だ。】
【真っ白な花で編み上げられた、2つの花冠が其の証拠。丸で添い寝をするかの様に、木の麓にそっと置かれて居て。】

【小高い丘と言うだけあって。頂上に立ったのなら、辺りが一望できる程は在った。】
【高ければ高い程、風は強く吹き付ける物。―――今、少女の傑作が、盗み出され様としていた。】
【然し其れは、思わぬ展開に依って阻止される事になる。―――加えられたのは、一人の少年の、少々傷の目立つ手。】

【何かがプリントされた白いシャツに、暗色の長袖のカーディガンを羽織って。】
【下はブラウンのカーゴパンツ、肩からストライプの入ったのショルダーバッグが斜めに掛けられていた。】
【夜色に映える紫の髪色は、月明かりに照らされる度に光沢を放って、】
【凛とした黒目は、ありふれた色で有りながらも、何処か印象的な風合いが感じられるだろうか。】
【全体的に幼い顔立ち―――年齢で言うなら、16歳、否、もっと若く見えるのかも知れ無い。】

【少年は近くの長い草を引き千切り、花冠を手にとって。其れを浮かんだ根っこにしっかりと括り付けた。】
【少し其処から離れ、暫く其の"丈夫さ"を確かめたのなら、『コレでよし、』とニンマリ。笑顔を見せた事だろう。】

【―――一仕事終えると、少年は其の側にスッと座る。ショルダーバッグも肩から降ろしたなら、中身をガサゴソと漁って、】
【取り出されたのは、横笛。キョロキョロと辺りを見回し、何かを確認した後、そっと唇を添えて……】

【遮る物は、何も無かった、溶けるように澄んだ、爽やかな音色が辺りに響き渡り、やがて溶けて行く。】
【中々の腕前―――小振りのレストランや其処らで演奏されて居ても、何ら遜色の無い程だった。】
【月夜の下で開かれる、小さな小さな演奏会。其の観客は、果たして―――?】
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/17(木) 23:11:26.97 ID:hfead+8Bo
>>523

【いやに冷たい空気が、少年の肌に突き刺さる。立ち上る湯気の向こうに、女性のシルエット】
【少年もお年頃だが、かといって女子風呂を覗きに行くようなタイプでもない。ただ本当に、偶然起こした失態で】
【それでもしばし目が離せなかったのは、山奥の秘湯なんていう場所で、僅かに見える少女の白い肌が雅やかで幻想的に映ったからか】
【…………この少年が、思考を切り替える≠フにここまで時間を要するのも、珍しい話だ】

あっ…………と。
ごめん、まさか人が居るとは思わなかったんだ。
後ろ向いてるからさ、取りあえず服を着てくれるかな?

【結局少年が正気に戻ったのは、本来人間にあるはずのないシルエットと、自分の妖気≠ノどこか似た空気をそこに確認してからで】
【少年も動揺していないわけではないが、少女の方が慌ててくれたおかげで、それを覆い隠す余裕ぐらいは生まれて】
【少年は努めて冷静にそう言うと――岩場に畳んである巫女服へちらりと一瞥をくれてから――、無防備に背を向けるだろう】

ところで、きみは…………。
妖怪なのかい? それとも人間なのかい?

【本当に少女の為を思うなら、そこで待つのではなくとっとと立ち去るべきだったのだろうが…………】
【獣の尻尾に、人外の気――――そして巫女服。それらの要素が、少年のその場に縫い止める】
【そうして少年は、いったいどういう意図か、背後の少女へとそんな質問を投げかけるだろう】
【偶然とはいえ、最悪のタイミングで闖入してしまった少年だ。答えるかどうかは、少女次第だが】

【ところでこの少年、つい先程までは体中に妖気をまとわりつかせていたのに、何故だかその背中からは、殆ど妖気を感じ取れない】
【人間なのか、妖怪なのか――――それを問いかける当の本人は、果たしてどちらなのか】
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/17(木) 23:12:03.46 ID:EPZB5nyvo
>>523

【銀色の髪が揺れる。拳を突き出したまま彼女は、銀狼の動きを目で追った】
【――が、それはこれから訪れる痛みの予兆以外の何物でもなかった】

【最初の攻撃を弾き返したように回避するのは無理があった】
【狙いは伸びた腕なのだ。すぐに動かすことなんかできない】


―――ああああああああああッ!!


【結果、関節が壊れる音と共に――高い絶叫が響き渡ることになった】
【ぷらん、と破壊された右腕が垂れる。おそらくもう使い物にはならないだろう】
【強い、ここまではっきりした差があるとは思わなかった。それを前にして、黒い瞳が虚ろな色を帯び始める】
【この腕ではまともなパンチひとつ打てないだろう。でも、まだ、まだ――負けてないものがある!】


【 ――闘志だ。折れかけた心を、それが繋ぎ合せた 】

必殺――

【銀色の猫は顔を上げる。眼光が軌跡を描いて、銀狼の顔を捉えた】
【その瞳には、これまでなんかよりももっと強く、強く、闘志が滾っていて】


    ――――銀猫シルバーサイスッ!!!


【その全てを脚へと集中させたなら、銀狼の顔面目掛け高速の一撃が繰りだされるだろう】
【いわゆるハイキックだが速度は段違いで――その軌跡すら、空に残そうかというほど】
【至近距離での高速の一撃。果たして銀狼は対処できるか】
【そして捌ききったのなら、間違いなく銀猫は大きな隙をさらすはずで――】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/17(木) 23:12:54.30 ID:hfead+8Bo
/すみません、アンカミスです…………
/>>526>>524宛でした
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/17(木) 23:26:37.15 ID:KvXxDWJ/o
>>527

【膝と肘の間で、決して心地よいものではない感触がしっかりと感じ取れる】
【だが、まだ相手の瞳からは闘志が消えていない。警戒を解いてはならなかった】
【直ぐに構えを取る。攻めというよりも守りの姿勢―――対策は完璧だ】

【―――けれども、抜かりがあったとしたら先ほど顔に食らった一発だろうか】
【銀狼は、体力面に関してはずば抜けて弱い。仮に腹部に重い一撃を貰ったなら
【それだけで次の一撃を打ち込む様な隙を与えるほどには――そして】

(なっ、まさかこのタイミングで尚も視界が揺れるのか……!)
(マズいッ!この一撃を貰うわけには……くぅぅううううう!!!)

―――――イチかバチかじゃ、儂の気≠……ッ!!

【ぐらりと揺れた、その隙に間断なく強烈なハイキックが叩き込まれる】
【僅かに反らせた頭部は寧ろ失策。襲撃は、銀狼の顎を深く捉え、脳を揺らす】

【本来ならばそのまま倒れこむはず――だが、銀狼はタダでは倒れない】
【先ほど全てのストックを体内に取り込んだ。それを、両掌に浮かび上がらせて】
【直後、入れ替わりに打ち返すのは強烈な衝撃波≠ナある】

【さながら巨大な黄金の津波の様なそれは、もし銀猫に隙があればその身を飲み込むように】
【怒涛のごとく押し寄せていくだろう。だが避ける余裕があったなら、横に飛び退くだけで良い】

【――そしてどちらにせよ、銀狼は揺れる視界のままにステージへと倒れこみ】
【まだ意識は残っているようだったが、四つん這いの状態のまま起き上がることが出来ていない】
【つまり、これ以上ない隙――場合によっては勝利を叩きつける決定的瞬間を見せることになるのだが―――。】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/17(木) 23:29:26.19 ID:tvV+H3NG0
>>526
【返される言葉は無いのだけれど、それでも一度小さく頷いたならばいそいそと天然の湯から上がって】
【布の擦れる音は、少女が今装束を纏っている最中であると伝えるであろう】
【時折その音が止まるのは、少年がちゃんと前を見てくれているかを確認する為に生じる合間でもあって】
【――――不意に生じたのは、暖かな風。恐らくは術でも用いて、身体を乾かしたのか】


「わ……私は、その……妖怪、です…………
妖狐で…………あの…………ご、ごめんなさい…………」

【問い掛けに対しては小さな、本当に小さな声で答えて】
【人集りであったならば、例え隣に居ても聞き取れない程の声量。然れど、風しか音を成さないこの場ならば――――そんな苦労も無く】
【未だ背を向けたままならば、指先でチョンチョンと申し訳なさそうに袖を引いて着替えが終わった事を知らせるはずで】

【さて、振り返ったならば目にするのは、よく手入れのされた尻尾と、未だ濡れたままの髪と。そして、巫女の装束であろうか】
【確かに少女は、己を妖狐と言った。人を誑かしたりとあまり良い印象も無い其れだが、同時に稲荷としても存在する妖狐の種族であると】
【――――その妖狐が、人間の纏うべき巫女装束を纏っているのも、何だか可笑しな話ではあるが】


「えっと…………それで、貴方は…………?
よ、妖怪さんでは無かったら……あの…………ち、近くに別な妖怪さんが居るかもしれなくて…………
ですから…………ですから…………」

【終始、自信なさげな表情。確かに妖気は感じ取った。だけれど、こうやって近づいてみれば――――確かに僅かながらも感じるが、先程まででは無い】
【もし少年が妖怪で無いならば、まだ近くに別な妖怪が居るかも知れないから気を付けるように…………と、言いたかったのだろうけれど】
【見られたかとか、何時から見ていたかとか。無論、少女としては気になる所。しかしそんな問いを紡げないのもまた事実】
【結局は、オウム返しにも似た質問となるが…………その意味合いは、根本から異なっていて】
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/17(木) 23:57:03.38 ID:EPZB5nyvo
>>529

【必殺の一撃が決まる――己の瞬発力を用いた最高の一撃】
【これを喰らって無事で済む者はそうそういないだろう】
【にっ、と足に伝わった感触に、彼女は満足そうな笑みを浮かべる。だけど――】


   【 なんだ? これは―― 】



      【 ――津波? 】


【笑みは、すぐに消え失せた】
【展開される黄金の津波に、彼女はどうすることもできずただ飲み込まれる】
【身体が千切れ飛びそうな痛みだ。自分がどこにいるのかさえもわからなくなるような――】

【……再び彼女の姿が見えた時は丁度、肩から地面に落ちるところだろう】
【地面と一度接触したくらいで止まることはなく、跳ね返された身体が宙を舞った】

【二度目の墜落に差し掛かろうかというところで、銀猫は急に動き始めた】
【まるで何かに動かされるみたいに空中で受け身を取ったのだ。そしてそのままの状態で着地しようとする】
【つま先と、全ての指先が地面を捉え――バキバキと何かが剥がれるような嫌な音が、勢いを止めるまで鳴り響いて】


………………。


【四つ足で立つ彼女は、まさしくぼろぼろの猫のような格好だった】
【やがて何も言葉を発さぬまま、負傷した右腕の方から彼女は崩れ落ちるだろう】
【最後の最後に抵抗を試みたようだが――完全に気絶してしまったらしい】


【 決着の瞬間だった 】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 00:00:58.90 ID:Rh/iLCeTo
>>530

あ、謝らないでよ。悪いのはぼくの方だ。
それにさ、ぼくも半分は妖怪だから――――せめてその半分ぐらいは、気兼ねしないでいいんだよ?

【衣擦れの音が、少年の耳朶を小さく打つ。時々途切れるそれと、一緒に背中に感じる視線に、少年は思わず苦笑いして】
【自らの種族を告げる少女の小さな言葉に、少年は背を向けたまま慌てて返事をする】
【――――敢えて、もののついでぐらいの気楽な調子で、自らが半妖≠ナあることも付け加えて】
【しかし…………ほぼ自業自得とはいえ、気まずい空気だ。いっそ気前よくぶっ飛ばして貰えれば、さぞ気も楽だっただろうに】
【どうやら気弱らしい少女の性格が、少年の罪悪感に鋭い良心の針を突き立てる】
【と――――袖に、小さな引力。恐る恐る視線を向ければ、ぴょこりと動く狐耳】

…………妖狐、妖狐か。稲荷神社なんかで祀られてる妖怪だよね。
うわぁ、妖怪と会ったこともそんなに無いのに、いきなりこんな凄い人と会えるなんて…………。
でも妖怪なのに巫女服を着てるなんて、なんだか面白いね。

【褒め称えるような言葉は、少女の信頼を得るための打算が半分、素直な気持ちがもう半分】
【自身が半妖という存在であるからこそ、自分の半分を構成する妖怪という種族に、少年は強い興味を持っていて】
【付け加える言葉にくすりと笑う表情は、あまり誠実そうには見えない服装に反して、優しいものだった】

ああ、ごめんよ。ぼくは、鳴子一颯って言います。
ぼくはたまに、ここへ妖気を使う練習をしにくるんだけれど…………。
それで今回、たまたま奥地まで入ったら偶然、って次第だよ。
…………あの、本当にごめんね。

【少年は自分の名前を告げると、ここに来た目的と理由を告げて】
【――――ざわ、と。殆ど感じられなかった妖気が、突如少年から溢れ出る】
【左の手の平を少女の前に差し出せば、その上で先程の銀色の風≠ェ舞って】
【少年がその手を近くの木に向けると、風は鋭い風切り音を伴って飛翔し、木の幹に傷を付けるだろう】
【がりがり、という削るような音は、最初に少女が聞いたものと同じのはずだ】
【少女が妖怪に詳しければ…………それが鎌鼬≠ニいう妖怪の性質と一致していることがわかるか】

【そうして、一通り身分の証明を終えれば――――】
【…………やはり少女の怯えるような態度がかなり堪えたようで、頭を下げて本気の謝罪を述べる】
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/18(金) 00:11:53.44 ID:lsiCsV72o
>>531

【頭が酷く痛む。当然のように襲う吐き気と、鼻から来るジンジンという痺れもあった】
【起き上がれない―――数十秒ほどそのまま試合が膠着する程に】
【銀猫の一撃は強力で、銀狼からすれば脳裏には敗北の二文字も走っていた】

【―――だが、数十秒だ。それだけ立つと、銀狼はようやくゆらりと立ち上がり】
【また直ぐに倒れこんだが、のろのろと這うようにして舞台半ばまで進み】

は、っ……、…。銀猫、のう……キツイ一撃を、よくもまあ……。
結局……主の能力、聞きそびれてしもうたが……

……………………審判は、如何なものかや。

【正座の姿勢で――力なく尻尾を倒したまま、銀猫に視線を向け】
【静まり返る戦場の中、銀狼は審判員の判断を仰ぐように視線を次に向けた】

【頭の中で、火の点いた導火線の様な音がする。かちゃん、と両手に握っていた鉄輪を下ろし】
【銀狼は、後は誰かが何かを言うか、するか、起き上がる音を待つだけ】
【シルバーキャットに対して、勝利を決定付けるような一撃を決めに行く余裕は無かった】

【―――だから、その終末は酷く静かで、華らしい華は無かったが】
【まるで武道の試合のような。静謐で凛とした空気が、場内の風に乗って一陣、吹き―――。】
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/18(金) 00:29:18.85 ID:ruUJxtuh0
>>532
「半分が妖怪…………ですか……?それじゃあ、後の…………半分は…………
――――そ、そんなに凄く…………無いです…………私なんて、ぎんぎんや他の妖怪さんに比べたら…………
あ、後…………この服は…………あの…………天鬼家の結界を張っていて…………それで…………」

【――――半分は、人間か。少女の住まう処が住まう処。人間妖怪、そして半妖と住んでいるからこそ、直ぐにその意味も解したのだろう】
【そしてお世辞でも凄いと言われれば、これまた慌てた様に言葉を否定するのだろう。尻尾も九尾の如く生えているわけでは無く、鮮やかな毛並みの其れが一本だけ】
【更に高位になれば逆に無くなっていく何て話もあるが…………少なくとも、今の少女からは並の妖怪よりも少し強い程度の妖気しか感じ取る事が出来ないであろう】

【天鬼家。櫻の国の者であれば、或いは小耳に挟んだこともあるかもしれない。妖怪と人間で争いが起きれば調停を努めようとする一族】
【その他にも小さな事を色々と行っていたりするが――――其れは、余談として】
【其処で結界を張っている。即ち一族であるが故に、この巫女装束を纏っているのだと小さな言葉で伝えて】
【小動物の様にも思える程に気弱であって、話せばすみませんが癖になっている様だけれど】


「…………わ、私は…………天鬼桔梗…………と…………」

【そして、天鬼と言えばいま開かれている大会の出場者でもあって】
【見るからにこの少女の方が幼い。ともなれば、妹と見て間違いは無いであろが――――もしテレビ等で見たならば、姉の方には狐の耳も尻尾も無かった筈】
【自らの名を告げるのだって、時間を要して。少年に対して怯えている…………のも、最初だけか。今はただオロオロと、言葉を返すのみ】


「一颯……さん。練習って…………!?」

【小首を傾げて一連の流れを見ていたが、その風が木の幹を削り始めたならばあからさまに驚いて】
【――――その職故に、大体の妖怪は見当がつく。だから、「鎌鼬……?」と漏らされた声は、少年ならば直ぐに気付くはず】
【因みにこの少女。歳を書くならば十七であるが…………外見は性格の事もあって其れよりも幼く思えるか】


「私……こんな近くで見たの、初めてで…………?
…………へっ……?そそ、そんな…………気にしないで下さい…………入っていた私が……悪いのですから…………
そ、それよりも……一颯さん……お腹、空いていませんか……?」

【頭を下げられたなら、少女も慌てて頭を下げる。なんとも奇妙な絵面となるが……其れはそれで良いのだろう】
【妖気を扱う練習をしていたと聞けば、腹も減っているのでは無いか。そんな単純な思考】
【何かを思い出したかのようにピンと耳を立たせたならば、遠慮がちに、俯きながらも視線は少年へと送って、そんな言葉】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/18(金) 00:30:09.84 ID:UG6uyEz5o
>>533

【明らかにノックアウトだった。銀猫はもう、ぴくりとも動かなかった】
【ざわつき始める場内。銀狼が視線を投げかければ、慌てたように審査員がハンマーを持って】
【カンカンカンカン――と決着の音が響き渡るだろう】


【  水の国天下一武道会、第三回戦
         ―――   シルバーキャット V.S 長尾銀狼
                             勝者  ――――  長尾銀狼  】


【――そう時間を置かずに、医療班はやってくるはずだ】
【銀猫は担架に乗せられて医務室へと運ばれてゆく】
【結局彼女は無能力者なのか――それとも、そうでなかったのか】


【いずれにせよ、この場は狼の勝利で幕を閉じることになるのだろう】
【これ以上のない、大きな歓声と共に――】


/このあたりで〆ますね!
/お疲れ様でしたッ!
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/18(金) 00:48:31.16 ID:lsiCsV72o
>>535

【ゴングの音が頭蓋に響くかのようで、その痛みが同時に勝利の実感であった】
【しかし、銀狼には周囲の歓声や、その実感に応えうるほどの余裕も体力も残っておらず】
【小さく笑うように息を漏らすと、ぐらりと状態を俯かせて――】

(…、……まったく、試合の度にとんでもない相手に当たるのう……)
(三雲といい、コヤツといい……凄まじくキくわい、っ…。)

(それに、シルバーキャット……銀猫の、能力は何だったのか……)
(……いや、今はそんなことはどうでも良いか。どうやら勝ったらしい事だし)

そう……此処は一つ、拳の一つでも突き上げて…やら、ねば……っ。

【―――がくりと、気を失った。その姿勢は偶然か、それとも意図してか】
【この場では敗者となった銀猫へと頭を下げるかのようであった】
【もっとも、その後直ぐに銀狼も医務室に運ばれ、ベッドで丸一日寝こむこととなり】
【並んで眠る猫と狼の姿を見た医療班は、試合が如何に際どいものであったかを語りぐさにした、とか――。】

/お疲れ様でしたー!
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 00:56:47.47 ID:Rh/iLCeTo
>>534

天鬼…………家?
それってあの…………妖怪と人間との仲を取り持ってるっていう一族のこと?

そっか…………何だよ、ちゃんと実在してたんだ…………。
――――ふふっ、ははははっ!

【鼓膜を揺らしたその単語に――――少年、鳴子一颯の双眸は大きく見開かれるだろう】
【少女を映す黒色の瞳の中で一瞬、その黒よりもずっと深淵な漆黒が、揺れたような気がして】
【しばらく少女の顔を見つめ、半ば茫然自失といった調子で、実在を疑っていたなんていう些か失礼な言葉を呟いた後――――】
【…………何が、おかしいのだろうか。それは自分でもわからないままに、楽しそうに笑った】

ああ――――ごめんごめん。何でもないんだ…………えっと、桔梗さん。
そういえば今やってる大会に、天鬼ちゆり≠チて言う人が居なかったっけ?
尻尾も耳も無かったような気がするけど…………きみのご家族かい?

【ひとしきり笑った後、一颯は少女の名前を呼んで、小さな疑問をぶつける】
【わざわざ「さん」を付けたのは、気弱な少女をいきなり呼び捨てにする勇気がなかったからだが】
【実際の年齢で言えば、少女の方がひとつ年上。別に間違った呼び方ではなかった】
【…………とは言っても、縮こまるような少女の態度から、当の一颯は年下と思いこんでいるのだが】

そうそう、鎌鼬。妖狐の桔梗さんに比べたら、だいぶ格は落ちちゃうかも。
…………え、お腹? そういえば、もう一時間ぐらいぶっ続けだったから、ちょっと小腹は空いてるかな…………。

【桔梗の感情に反応してなのか、急にぴんと立つ獣耳を、心の中で可愛いなあなんて思いつつ】
【その言葉でふと自覚し、改めて腹の中身と相談してみれば、なるほど確かに空腹だった】
【…………週に一度程度の頻度で、こういった人気のない山奥には行っては風を扱う練習をしている一颯だが】
【いくら慣れているといえど、真っ暗な山中だ。一時間も夢中で動き回っていれば、確かにいつの間にか移動していても気づかないかも、と】
【山頂まで迷い込んだ理由らしきものを一つ発見しながら、一颯は苦笑いしてお腹をさすった】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/10/18(金) 01:19:34.85 ID:Rh/iLCeTo
>>537
/しまった、別に山頂じゃなかった……
/【山頂まで〜】→【こんな奥地まで〜】に修正します
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/18(金) 01:20:43.00 ID:ruUJxtuh0
>>537
「あ、あの…………私、何か可笑しな事…………わ、私の顔に…………何か、着いていましたか…………?
存在してたって…………えっと…………」

【少年の感情は、少女には分からないから――――キョトン、とした表情を見せ】
【その笑いが起きたのは自分の発言が原因か、それとも自分の顔に何か着いていたのか】
【分からない。だけど、笑ってくれるなら悪い気もしない…………が、やっぱりオロオロとし始めて】
【存在していた等の何だか引っ掛かる言葉。ペタペタと顔を触りながらも、自信なさげな表情には若干の疑問も交えた事だろう】


「大会…………ですか…………?
すみません…………私、あまり詳しくなく――――お、お姉ちゃんが…………?
ちゆりは……私のお姉ちゃんです…………私と全然違くて…………本当に巫女らしいのですけど…………
…………尻尾や耳…………妖怪なのは、一族で私だけです…………お姉ちゃんが、拾ってくれて…………それで…………」

【大会については、全く知らなかったのか。更には姉が其れに出場している事すらも】
【――――だから、驚いた様子を見せた。探していたから尚更驚いた、とは余談であろう】
【少女が一族の中で異端…………と言うよりも、拾い子であったから。即ち、純粋な天鬼の血は一滴も入っていなくて】
【苦々しい過去でも無い。だから、少年の疑問に答えるかのように語られて】


「格なんて…………関係無いです…………みんなで仲よく出来たら…………それが、一番って…………
ちょっとだけ、待ってて下さい…………ね……?」

【小腹が空いているとの回答には、少しばかり嬉しそうな表情を見せて】
【いそいそと服を置いていた場所まで戻り――――再び少年の前に戻って来る時には、胸に弁当箱の様な物を抱いている事だろう】
【御稲荷さんに油揚げ。まるで狐の好みを詰めましたと言わんばかりのお弁当】


「あの…………良かったら、食べませんか…………?
他の妖怪さんも……あげようと思って……沢山、作ったのですけど…………中々、会えなくて…………
そ、それで…………その大会は何処で行われていますか…………?
その…………お姉ちゃんに、お話があるのですが…………何時も、会えなくて…………」

【食べるよりも食べて貰う方が好きな性格。所々隙間が出来ている所を見れば、容易に少女が摘んだのだと分かるか】
【ユラユラと揺れている尻尾はまるで期待が籠もっているかの様。流石は犬科、表情は其れでも耳と尻尾ではまた別な感情を表す】
【――――因みに其れ等、手作りであって。そこらの店の品よりも優に勝る味ではあるか】

【…………適当な岩に座り、食す事を促すのと同時】
【若干の間を空けたなら、その大会の開催地を聞き出そうとして。ピンと張っていた耳が垂れたのは、即ちその感情】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 01:54:10.73 ID:Rh/iLCeTo
>>539

そう、きみのお姉さんだったんだ。確かその人、まだ勝ち進んでいた筈だよ。テレビ越しだったけど、凄い迫力だったなぁ。
実はぼくの幼なじみも大会に出場してるんだけど、あの人には勝てるかどうかは…………。

【少年自身もそれほど大会に興味があるわけではないのだが、メディア越し大会知識を少女に伝えて】
【知人が出ているせいで、それなりには詳しい知識を仕入れているらしい】
【その知人と、ついこの間激戦を切り抜けた巫女が激突する姿をふと思い浮かべれば】
【…………色々と凄まじいことになりそうだな、なんて苦笑いしか浮かばなかった】

…………人間の、それも巫女の一族の中に、妖怪のきみがひとりだけってこと?
それは…………うん、凄いよ。素直に、凄い。
ぼくは、そんな一族が存在することすら――――いや、存在できるってことすらも、信じられなかったのに。
皆で仲良く、か。そんな世界も…………あったんだね。

【少女の身の上の話を聞けば、一颯の表情には驚嘆が張り付いて】
【しばしの間の後――――それは、どこか諦めたような微笑みに取って代わるだろう】
【…………少年の言葉と彼の身の上を照らし合わせれば、迫害≠ニいう二文字は容易に推測できるか】
【誰も傷つけ合うことなく、種族を越えて手を取る。そんな場所が同じ国の中にあったことは、少年にとって皮肉でしかない】
【そんな場所があったにせよ、そこに自分が居なかったという事実は、今からでは絶対に変えられないものだから】
【それがなぜか無性に可笑しくて、自分は笑っていたんだなと。一颯は今、そう自覚した】

ああ、ありがとう。
それじゃあ…………いただきます。

【どことなくしんみりしたような表情のまま、一颯は桔梗から弁当箱を受け取ると】
【一言挨拶を述べて、弁当の中身を平らげ始める。それなりにお腹が空いていたのか、中々にペースが速い】
【狐の好みが、鼬と一致するのかどうかは微妙だが――――少なくとも人間としての部分には、それは絶品といえるものだった】
【思わず「これ、凄くおいしいよ!」…………と言おうとした声は、口に入ったままの御稲荷さんに阻まれるが】
【その笑顔を見れば、言いたいことはすぐ伝わるはずだ】

ああ、大会の場所はね――――。

【少し一息。口の中身が落ち着いたところで、一颯は少女へ大会の行われている詳しい場所を教えるだろう】
【桔梗さんが山から下りて、あの人混みの中を突き進んでいけるのかは不安だけど…………なんて】
【しなくてもいい余計な心配は、もちろん心の中だけに止めておいて】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/18(金) 02:23:50.79 ID:ruUJxtuh0
>>540
「喜んで良いのか…………分かりませんが…………でも、でも…………それなら……少し、嬉しいです…………
一颯さんの幼なじみもですか…………えっと…………怪我をしないように……が、頑張って下さい……!」

【妖怪と人間との調停――――ならば、闘う事もあろう。其れでも頭の中は平和なのか、武力で争う大会だというのに怪我をしないように頑張ってだなんて】
【…………何よりも、其れをとうの本人にでは無くその知人に伝えるのである。ぐっと小さく握り拳を作ってみたって、出場者に届くはずも無いのに】
【――ーと言うよりか、少女が握り拳を作ったところで全く様になっていないのが逆に悲しくも思えるけれど】


「…………はい。他の……皆さんは……ちゃんとした人間で…………
凄い……事……ですか……?
――…………本家では……狛犬も……鬼も……座敷童も……みんな楽しく…………暮らせていますから…………ですから――――」

【自覚が無かった事に対して凄いと言われれば、「そうなのでしょうか……?」と首を傾げて】
【少年の表情の移り変わりに気付いたならば…………鈍い桔梗と言えども、何と無く事情は察せる】
【今深く踏み込む訳にはいかず、掘り返すことも憚られる。だから、具体例を出してみれば――――】
【小さな微笑みと共に「大丈夫です」の一言。果たして何が大丈夫なのかと問われれば、明確には答える事が出来ずにまた自信無さそうに俯いてしまうけれど】
【巫女としてか、少女の性か。寂しそうに微笑んだそんな表情を変えられたならば】


「…………結構、遠い……のですね…………お姉ちゃんに会えたなら、良かったのですが…………沙蔓に頼んでみます…………
その……そろそろ……帰らなくちゃ…………いけなくて…………
あの……一颯さん…………また…………何時か…………会えますか……?
……えっと…………好きな、食べ物とか…………その…………」

【――――然れど、そのお弁当で喜んでくれたならば、きっとその言葉も必要のなかった事。少しでも忘れられたならばと言葉は重ねる事は無く】
【そして美味しそうに食べていると、やはり嬉しくなってくるというもの。パタパタと尻尾を振れば、感情を表して】
【…………少年の心に留めた其れは、外れでは無い。少女がその場を訪れたならば妖気故に目立つ事もあるが、何よりも人混み流されて辿り着く間も無く終わってしまうであろう】
【加えて本家をあまり離れられないとなれば、自分の従者に頼もうと呟いて】

【ふと空を見上げれば、月も傾き始めた頃】
【――――そろそろ帰らねば、叱られるであろうか。なんて考えが浮かんで】
【此処まで食べてくれたならば、感謝の一つをしたいもの】
【少女の性格では、また会うなんて確約は口に出せないから…………何かでこじつけてしまおう、そんな考えで】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 02:54:25.42 ID:Rh/iLCeTo
>>541

はは、ありがとう。本当に優しいなあ、桔梗さんは…………。
本人にも、そう伝えておくよ。

【怪我をしないように、というのは勿論無理な話だし、彼の幼なじみに限らず大会参加者は全員傷だらけだろうが】
【彼女の優しい言葉に、聞いているこちらが笑顔になって、一颯は優しい目でお礼を告げる】
【本人に自覚があるかどうかは置いておいて、きっと彼女には人を癒す才能があるんだろうな、と思惟を巡らせ】

そっか…………きっとそこは、素敵な場所なんだろうな。
ねぇ、あのさ…………こんなこと、会ったばかりのぼくが偉そうに言うことじゃないけど…………。
そういう場所が、ずっと続いてくれたら――――いいなって、ぼくは思うよ。

…………ありがとう、桔梗さん。

【「大丈夫」というその一言が、鳴子一颯という人間にとってどれだけ大きなものだったのか――――】
【誰にも、本人すらも、それを知ることはないまま。ただ一颯は心の中に暖かいものが灯るのだけを感じていた】
【だからだろうか、互いに多くの言葉を交わした仲ではないけれど、そんな身勝手な願望が、勝手に口から飛び出して】
【最後に一言、心の底からの言葉を、天鬼桔梗という少女へ贈るのだろう――――】

ああ…………もうこんな時間か。ぼくも帰らないと…………。
ぼくも天鬼家の話とか、妖怪の話とか、まだまだ色々聞き足りないし、話し足りないんだ。
だからさ…………また会おう、きっと。

…………あ、ちなみに、ぼくは肉じゃがが好きだけど…………期待してていいのかな?

【素直な性格の少年だ。少女が言えない分も、話し足りない口惜しさは――――すべて、次会うときの約束へ乗せて】
【最後に少しいたずらっぽく、少女に聞かれた好みの料理を告げる】
【家庭の味の代表格のようなその料理は、味が好みと言うより、一颯にとって思い出の詰まった一品だった】
【その思い出の中に、この少女との出会いもまた、織り込もうとしているのかもしれなくて――――】
【いずれにせよ、今日の別れの時は近いのだろう】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/18(金) 03:17:12.25 ID:ruUJxtuh0
>>542
「――――ずっと……ずっと、続かせます…………わ、私が言っても良いのか…………分かりませんけど…………
妖怪さんだって…………人間だって…………みんな、仲よく……出来る筈ですから…………
そ、それに……私は、人間よりもずっと…………長生き出来ますから…………絶対……続かせます…………」

【お願いしますね。とは、その幼なじみへの伝言についてであろう】
【――――みんなが傷付ける事無く仲よく過ごせたならば。そんな時はこれから先だって来ないだろうし、過去を振り返ったってある筈も無い】
【……少年に言われたから、無難に返したという訳でも無い。あり得ない話だと分かっていても、それが少女の理想とする事だから】
【――――確かに、表情は未だおどおどとしては居るけれど。其処に自信が無いのかと言われれば応えは否。少しばかりの、力強さ】
【有り難うと言われれば首を横に振って、その礼の必要は無いと言葉無く伝え】


「…………はい。私も……色々…………聞いてみたいですから…………また…………何時か…………
そ、それに……肉じゃがを……食べて貰うって……約束しましたから…………」

【食べて貰う約束は少女による一方的なものとも取れるが――――期待しても良いのかとの問いには、こくりと小さく頷いて】
【弁当箱を受け取ったならば、懐から取り出すのは一枚の札。印切りと共に地面へ放てば、真っ白な毛並みを持った鹿――――所謂式神を召喚するのだろう】
【其れに跨がれば、少年の側まで寄って】


「…………一緒に……帰ることが出来たら……良かったのですが…………早く戻らないと…………怒られちゃうので…………
あ、あの……まだ暗いですから…………帰り、気をつけて下さい…………ね……?
それでは…………えっと…………」

【さようならか、お休みなさいか――――別れの言葉に何を使えば良いのか迷う辺り、生真面目】
【不自然にもちょっとの時間を要して、やがて選んだ言葉は「また今度会いましょう」】
【――――別れの言葉は、「ごめんなさい」では無く「有り難う御座いました」。そして、ふと笑みが浮かんでいて】

【……チリンと式神が一度鈴を鳴らしたならば、背を向ける事だろう】
【蹄の音も無く、ただ小石を転がして草を踏みつける音だけ。金色の尻尾がよく目立っていたけれど――――それだってやがて見えなくなれば、少女も其処から完全に姿を消した事か】

/この辺りでしょうか……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!お休みなさいませ―!
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 03:44:02.22 ID:Rh/iLCeTo
>>543

ああ…………本当に。
そう言ってくれると、心強いよ。

【桔梗の答えに、深く深く頷く一颯の瞳には、寂しさと諦観と嬉しさと――――正と負の感情が絡み合った、複雑な感情が浮かんで】
【あんな偉そうなことを言っておいて、言った本人も完全に気持ちを整理できているわけではないのだった】
【ただ――――もしかしたらあったかもしれない幸せな可能性を、今宵、少女を通して垣間見てしまったからか】
【いつものように安易に気持ちを切り替え≠驍アとの憚られる何かが胸中へ去来したような、一颯にはそんな気がしていた】

うん、大丈夫。帰りは、ちょっと練習の成果を発揮してみるからさ。
じゃあね、桔梗さん。今日はありがとう――――次に会える時を、楽しみにしてるよ!

【生み出された鹿型の式紙は、彼女たちと同じ巫女≠フ幼なじみを持つ少年にとって、見慣れたものだったが】
【式紙を駆り、立ち去っていく背中――――そこでふりふりと揺れる尻尾は、もちろん一颯も今日初めて受け取った印象で】
【軽く手を振りながら桔梗へ最後の別れを告げ、それを瞳に焼き付け終えれば】

はぁ…………。
もっと早く、あの子と出会っていたら、なんて考えるのは、冒涜だよね。
起きたことは、もう変えられない。だから…………いや、今日は止めておこうか。
さ――――ぼくも早く、帰ろう。

【ふと過去に自分に立ち返り、救いを求めてしまう――――今を否定する、浅ましい考え】
【頭にこびり付くそれをどうにか振り払おうとして、しかし仕方ない≠ニいう口癖は、今日ばかりは何となく飲み込む】
【桔梗に貰った言葉が、その暖かみが、心の内に残留しているうちは。心を切り替える≠サの言葉は、どうしても紡げなかった】

【――――ごう、という妖気と共に、銀色の風が巻き起こる。それはやがて渦を巻き、竜巻≠ニ化して】
【猛烈な風切音の後、少年は――――飛行と言うにはあまりに惨めな、竜巻の風圧で吹き飛ばされたというだけの体で、しかし確実に空を飛んでいた】

…………

【遙か天空へ投げ出され、ゆっくりと墜落する身体を空に向けて、最後に少年は何事かを呟き】
【ただ何となしに、月に手を伸ばしてみるのだった――――】

/遅くまでお疲れさまでした!
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/18(金) 19:10:02.66 ID:179gm4TZo
【水の国――ワールド・グルメ・フェス開催中】
【お祭り騒ぎの熱気に満ちた、水の国の通りに一人の少女がいた】

【右の腕には、どこかの屋台で手に入れたらしい焼き鳥をもっている】
【反対側、左の腕は怪我をしているらしく、包帯に包まれているうえに固定もされていた】
【少女の身体を注視してみれば、あちこちに怪我の跡が見て取れるだろう】

【身に着けた衣服は運動着で、上着は袖を通さずに羽織っている。 顔を隠すように、どこかのスポーツチームの帽子を深く被りこんでいた】
【――顔を隠しているのは、この街で行われた大会に参加をしており、多くの人に顔を知られているというのが一つ】
【敗北した姿を、多くの人々に見られてしまったというのがもう一つの理由だ】

「…………」
【憂鬱そうに虚空を見つめて、手に持った焼き鳥もなかなか食が進まない様子である】
「……今年も、かなり寒くなってきたか」
【祭りの熱気で見逃してしまいがちだが、早朝や夜遅くに吐き出す吐息が、白く染まっていることもある】

【遠くから聞こえる歓声。 会場では新しい試合が始まっているのだろう】
【見れば得るものの多い試合だろうが――不思議と、脚を運ぶ気にはなれなかった】


//昨日の使い回しですが……
//今日は時間に余裕があるので、しばらく待機しています
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/18(金) 20:10:07.15 ID:AQXirx2so
【第3回水の国天下一武道会、三回戦会場】

【実況席から見て左側の入退場口から今、20歳前後の青年がフィールドに向かって歩みを進めた】
【彼は立て襟の白い洋シャツに黒の袷と袴というバンカラスタイルに黒いインバネスコートを羽織り】
【頭には黒のカンカン帽に黒の短髪に黒目と兎に角黒尽くめの格好をした、真に奇妙な人物で】
【どことなく感じ取れる“胡散臭さ”にお似合いの、“妖気”とも呼ばれる異質な空気を放っているが】
【同時にその顔に貼り付けた屈託の無い笑顔や、毅然とした立ち振る舞いからは“神聖さ”すら感じ取れる】
【そんな“陰”と“陽”とが混在した人物――――それこそが彼、玉藻狂死郎の本質なのだ】

さて、と……いよいよ此処からが本番、ということかな?

【狂死郎はフィールドに向かって歩きながら、これから先の試合について、改めて考え直していた】
【これまでの試合も決して楽とは言えなかったが、これから先の試合はやはり格が違う】
【何しろ、相手も自分のように勝ち上がってきたもの達なのだ。当然、厳しい戦いとなるだろう】
【しかしそれでも――――狂死郎は自らの勝利を疑うことは無い。戦いの場において“疑念”は致命的な“隙”となる】
【それに、彼には負けられない理由もある。それは――――】

――――君が相手だからさ、後輩君。僕にも色々プライドってものがある。
万が一、後輩に負けるようなことがあったならば、僕はしばらく苦い肝を啜ることになるだろう!!

【狂死郎はフィールドの中央にて対戦相手と相対し――――静かに、その闘志を燃やしていた】
【彼の口にする通り、彼女は退魔師としての後輩に当たる存在であり、“先輩として”負ける訳にはいかないとい考えはごくありふれたものとも言えるだろう】
【しかしながら、彼がこの大会で明確に闘志を燃やしたのはこれが初めてなのだ】
【いつの間にか彼の顔から笑顔が消えていることからも、そのことが窺い知れるだろう】

この玉藻狂死郎、実を言うと――――トーナメント表を見たときから薄々感じてはいたのさ。
“お互いが勝ち進み、第三回戦にて相対する”――――ってね。信じるかどうかは君次第。

【そう言うと狂死郎は、左腕の肘の部分から封魔符とも呼ばれる一枚の札を手に取って】
【指の間に挟んだまま、地面へと向けた瞬間、舞台に大きな魔方陣が出現する】

『汝、天と地の間を駆ける者よ』
『我、玉藻狂死郎が求めし力、今此処に解放せよ』
『雷神よ――――この札に集いて、奴を屠れ!!』

【口上を告げると共に出現した、魔方陣へと手にした札を放ると】
【その瞬間、激しい稲光が魔方陣へと襲来し】

【――――晴れたときには、雷電を身に纏った虎の様な四足獣の姿がそこにはあった】
【帯電して逆立った黄色の毛を持つ四足獣は、何故か生やした狐の尾を振りながら、主人の命令を待つ】

出し惜しみは一切しない――――最初から全力だよ、掛かってくるといい!!

【狂死郎は後ろ手を振って獣に命令を出し、一旦後方へと下がらせると】
【コートの中から陰陽の双剣――――此れまでの試合でも愛用した得物を取り出し、様子を伺っている】

/それでは、よろしくお願いします!!
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 20:41:45.95 ID:pAIV7bjuo
>>546

【第三回水の国天下一武道会、その三回戦会場。黒い退魔士の登場に沸き立つ、その場所へ】
【二度の激戦を潜り抜け、三度その場へと赴く少女の姿を見つければ、会場はさらなる白熱を見せるだろうか】

【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型】
【漆で染めたように艶めく、日に焼けてほんの少し赤紫色を差した黒髪を、ふわりと靡かせて】
【白い肌とうっすら紅に染まった頬、枝垂れるように長い睫毛が特徴の、その少女――――】

…………久しいわね、狂死郎。

【黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服に身を包んだ少女は、鈴を鳴らすような声でそう言って】
【その黒曜石のような瞳と、濃厚に漂う神聖≠ネ空気は――――服装こそ違えど、今日の対戦者にとっては懐かしいものかもしれない】
【淡泊な台詞とは裏腹に、少しばかりの笑顔を浮かべて視線を向ける先は、かつて寂れた廃墟で出会った男】
【自分と同じ退魔の力を持つ者にして、年齢差からして退魔士の先輩≠ノあたる男でもあった】

私は、別に予感なんてしていなかったけれど。
でも…………望んではいたわ。お互いに勝ち上がって、あなたと刃を交えられる――――いま、この瞬間を。

【トーナメント表に玉藻狂死郎≠フ姿を見たとき、確かに彼女は、そう渇望した】
【退魔士としての先輩=B自らの力を余すことなく全てぶつけるには、この上もなくうってつけの相手だ】
【それだけ言うと佳乃は、美麗な装飾の薙刀をしゃらんと鳴らしながら振り回して、右手に構え】
【左手で胸ポケットに手を差し入れると、操≠ニいう漢字と何かしらの紋様が描かれた札を取り出せば】
【中空に貼り付けたそれに、勢いよく薙刀を突き刺して――――】

白刃龍紋流、陸の太刀――――『六花招来』!

【聖なる神の力、神気≠フ奔流が巻き起こる。佳乃の身体から伸びる白銀の力が、刀身を介して操符≠ヨと注がれ】
【その符をコアにするように膨れ上がった神気は、やがて真っ白な毛並みを持つ狼≠フ形を成す】
【式紙=\―――狂死郎の雷纏う猛獣に比べれば、それは非力で小さな力だが】
【主へ懐くようにして一度彼女へすり寄った狼は、佳乃と共にどこまでも透徹な双眸を相手へ向ける】


さあ…………始めましょう、私たちの戦いを。
――――吼え面かかせてあげるわ、先輩<b!

【それは口汚い言葉で、しかしただ純粋なる闘気だけが込められた、少女の発する鬨の声】
【同時、幸徳井佳乃は全身全霊を込めて走り出す。その背後に隠れるように、白銀の狼も追随し】
【ここから始まる闘争を黒い瞳に映し出し、ひたすらに疾駆する彼女が無事、接近に成功したならば】
【先輩≠フ胸に飛び込んでいくのは、後輩≠ゥら贈られる挨拶代わりの強烈な刺突――――!】

【人が作り出す熱気に包まれる、この四角い世界の中。二人の退魔士が鎬を削る、新たな激戦の火蓋が切って落とされた】

/よろしくお願いします!
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/18(金) 21:08:02.08 ID:AQXirx2so
>>547

言うねぇ!!吼え面かくのはどっちかなぁ!!

【少女の挑発めいた声に応えるかのように、狂死郎は迫り来る彼女に向かって自ら走りよる】
【それに追従して、彼の背後からは雷の猛獣が疾風の如き速度で走り出す】
【その双眸に映るのは冷徹さ――――主の命令に従って敵を屠る、忠実なる僕の証】

君も気合を入れてくれよ、“雷獣”――――彼女に勝つには君の力が必要なんだ。

【“雷獣”を追従させながら、少女へと迫る狂死郎――――そして、放たれる薙刀による刺突】
【彼はそれに対して回避行動はとらず、手にした黒白の双剣を交差させると】
【そのまま、挟み込むようにして――――いとも簡単に、その動きを止めてしまった】

偉そうなことを言うが……双剣が得意とするのは攻撃ではなくむしろ防御にある。
一度動きを止めたならば、あとはこうして――――やれッ!!雷獣ッ!!

【そして少女の薙刀を挟み込んだまま、力を込めて押さえ込みに入ると同時】
【狂死郎の体を飛び越えるようにして跳躍した雷獣の爪が、少女の腹部へと迫る!!】
【この攻撃を防ぎきれるかはやはり、少女の連れた白銀の狼に掛かっていると言えるだろう】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 21:37:09.25 ID:pAIV7bjuo
>>548

くっ、やるッ……………!

【疾駆の勢いに踏み込み、腰の回転、そして膂力。全ての力を連動させた突きは、しかし簡単に防がれる】
【こんなところまで、自分と同じとは――――彼が退魔士としての力のみならず、武人≠ニしての力も持ち合わせていたことに、佳乃は瞠目した】
【薙刀の攻め手を封じられれば、開始早々敗北も有り得る。佳乃も全力で薙刀に力を込めるが】
【完全に抑え込まれることはなくとも、逆に押し返すまでもいかず、両者の力は拮抗するのだろう】
【そしてそんな膠着状態を打破すべく、狂死郎の背後より飛びかかる雷獣が、佳乃の腹部へ迫って――――】

『――――――!!』

【…………声は無い。しかし空気へ伝わる聖≠フ力は、確かに獲物を怯ます狼の咆吼を幻聴させて】
【今こそその役目を果たさんと、白銀の狼が佳乃の股座の間を潜り、佳乃と狂死郎との僅かな隙間へ飛び込んで】
【――――その体躯の全ての力を込めた、跳躍。迫る雷獣の腹を真下から突き上げるような体当たりが、見舞われるだろう】
【それは雷獣へダメージを与えることより、佳乃への攻撃を妨害することを優先した攻撃だ】
【もし成功すれば、二匹の獣はその勢いでそれぞれ弾かれ、佳乃と狂死郎から少しばかり離れることとなるだろうか】


…………私の突きを防いだその腕は、見事だわ。
でも――――これは押さえ込めるかしら?

【無論――――その間に何もせず座視しているほど、佳乃も甘くはない】
【挑発的な言葉と同時、佳乃の全身から神気の奔流が溢れ出し、未だ狂死郎の双剣に挟まれたままの刀身が純白に輝き始める】
【まるで先程の狼の後に続くような大音声の咆吼が、紡がれれば――――】

白刃龍紋流、肆の太刀――――――『四散』ッ!!

【その刹那、聖なる光を孕んだ刀身は空気を揺らがす轟音を引き連れ、強烈な爆発を巻き起こす!】
【この神気の爆発は、本物の爆発と違って爆熱≠アそ発生しないが、その巨大な爆轟と衝撃波は間違いなく本物と同質】
【その衝撃波は、薙刀に触れる双剣を弾き飛ばすどころか、至近距離にいる狂死郎の体を丸ごと弾き飛ばすだけの力がある】
【とはいえ、奥義が発動するまでに狂死朗が素早く離脱の判断を下せば、直撃は避けられるだろう】
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 21:47:29.79 ID:pAIV7bjuo
>>549
/微妙な誤字ですが意味が変わりそうなので一応…………
/最後から三行目、「爆轟」ではなく「爆音」でした
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/18(金) 21:57:34.05 ID:FIcOW5BWo
【水の国・天下一武道会―――準決勝】

天鬼ちゆり=c…天鬼なんて苗字、まあそうそう有りゃせんわな。
しかも巫女服を着ているとなれば、やはり探し人まさにそれ……。

【薄手の格好に申し訳程度の羽衣と、両手足に嵌めた無粋な鉄輪のアクセサリー】
【髪は銀。合間からは獣の耳が覗いていて、背後には身の丈よりも長い】
【立派で長い尻尾が見える―――妖狼≠ニいう触れ込みは、最早疑うまでもない】

【そう、其れは選手・長尾銀狼まさにその人であった。珍しく、入場は速かった】
【今は身体を解すのにも飽きて、何処から持ち込んだのか梨に齧りつき】

(……それにしても、準々決勝では退魔師同士が競い合っているとか。)
(天鬼もまた退魔師の流れを汲む家系だったはず。ベストエイトに退魔師が3人か)
(妖怪としては形見が狭いのう……それも、此処で当たるとはまた)

豪胆なゴールドマンに、純然な強さを誇った明音や銀猫……
あやつらとは違う意味合いで、これまた困難な試合になりそうちや。

【いい頃合いか、と芯まで梨を食らってしまえば、ゆらりと彼女は立ち上がり】
【そして、能力を発現。立派な尻尾は気のストック≠ェ三本足されて、四本に】
【拳を合わせればパキパキと関節が鳴り、首を曲げればコキん、と小気味よい音がした】

【既に場内は満員。銀狼もまた期待に応えるかのように、気焔万丈の妖気を纏い】
【宛ら退魔師という善に対するヒールの如く、ニヤリと悪そうな笑みを浮かべ】

さあて、天鬼ちゆり……桔梗の姉とあれば思うところは多々あるが
とりあえず、アヤツがお主を探していたぞ、というのを伝えておこうか。
煎餅を食べるより先に家に顔を出してやればよかろうに。ま、事情は知らぬが……

……それを伝えてしまえば、後は儂とお主を繋ぐのは同郷であろうということと
生来敵対する存在であるということくらい。そして、この場は覇を競う戦いの場よ
となれば……やることは一つ。儂の準備はできておるぞ、人間―――。

【親指から中指までの三指の爪を尖らせて、残りの西は拳として固める】
【速度と、ナイフの様な攻撃性に重きを置いた銀狼独特の接近戦の構え】

【そして素足の、特に爪先立ちのような状態で石畳を捕まえれば】
【フットワークの軽さを示すようにトン、トンと小さく跳ねて待つ】
【何時でも、何でも、どのようにでも来い―――そういう意志が、銀狼の表情に滲んでいた】

/というわけでこちら長尾銀狼です。ちゆりさんの方、よろしくですー!
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 22:21:18.50 ID:AQXirx2so
>>549

『…………!!』

【強靭な爪が獲物の肉を抉る――――まさにその直前、雷獣の攻撃は割って入った白銀の狼によって静止される】
【“不愉快だ”――――そう告げるかのようにうなり声をあげながら雷獣は後方へと弾き飛ばされた】
【しかし接触の瞬間、雷獣は身にまとう雷電の電圧をさらに上昇させ、狼に反撃を見舞おうとするだろう】
【これは純粋なダメージよりもむしろ、麻痺による運動能力の低下を目論んだものだ】
【それから先は互い隙を伺う、睨み合いが続くことになるだろうか】


呪相……ッ!!(一瞬相手が速いか!!下がるしかない!!)

【座視せずにいるのは何も少女ばかりではない。これまでの試合と同じく、狂死郎はこういうときにこそ“仕掛け”を行う】
【しかし、今回ばかりは遅かった――――何分、少女の薙刀を押さえ込むことに意識を集中する必要があったが故】
【魔力の奔流を敏感に感じ取った狂死郎は、素早く押さえ込みを解き、後方へと大きく飛び退く】
【判断が速かったからか、防御体制を取る余裕もあって、衝撃波に大きくよろめいたが何とか踏みとどまった】

ちょっと一杯食わされたね……でも、まだまだこれからさ!!

【少女の攻撃を受けきった狂死郎は、笑みを浮かべながら反撃へと転じる】
【左の白剣を防御に構えつつ、右の黒剣の切っ先を少女へと向けながら走りだし】
【己の間合い近くまで駆け寄ると、右の黒剣を大きく振りかぶって――――】

玉藻流、悪滅参拾七式――――『陽炎』ッ!!

【その瞬間、狼と睨み合いを続けていた雷獣の体が際限なく明るくなっていき、眩い閃光を放つ!!】
【この目くらましと同時に、狂死郎は一気に距離を詰め、少女の腹部を通り抜け様に斬りつけようとする】
【一方で雷獣は白銀の狼へと飛び掛り、雷電を纏った爪をその背に向けて勢いよく振り下ろそうとするだろう】

【狂死郎の双剣は基本となる退魔刀にある魔族を憑依させて生まれた物であるが故に、非常に濃い魔力が込められている】
【魔力を持つ者であれば、斬り付けた傷口から魔族の魔力が体内へと送り込まれ、自らの魔力に少なからず影響を受けることになるだろう】
【普段は聖なる気を放っているが故、とてもそうは思えないが――――これは、立派な“毒”が塗られた武器なのだ】
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/18(金) 22:30:25.82 ID:ruUJxtuh0
>>551
【――――歓声が聞こえようとも無関心。入場を囃されようとも大して応える事も無く】
【草履で地を擦る音を響かせ、ようやく銀狼の前へと立つのだろう】
【やはり、徒手。若かしながらコレまでの戦いで見せてきたのは、五行や術を用いた方法】
【開始を告げる鐘が響くまでの少しの時間。黒い双眸が、細められて】


「――――態々この様な場所で妖怪退治をする事になるとは思いもしませんでしたが…………
…………ええ。その事は理解して居ます。そして、顔を出す事も無いのは、その意味も理解しているからですよ
……まあ、この様な場所では無粋な話。この時が過ぎても尚、何れまた会うときがあれば――――」

【取り出したのは札。妖怪であれば――――長い時を経て妖へと昇華した存在なれば、そう珍しい物でも無いであろう】
【退魔の札。そして、結界を張るための札。其処に気が込められている所を見れば、わざわざ脅す為に出した物でも無いと直ぐに解せるか】
【語らいに対しては可笑しそうにふと口の端を緩めるけれど、袴の下に隠された足運びはそんな穏やかなものでも無く】


「天鬼の家系は元より妖怪を悪とは……敵とは見なしません――――が、其れも良いでしょう。貴女の言う様に妖怪と人とが共存できないという意識を持つ方達も多い
ならば、此処で一つ妖怪退治でも演じましょうか
――――何よりもあの子を知っているとなれば…………知り合いとなれば、悪い妖がつかない様にするのも姉の役目。故にこれまでと同様手は抜きません
…………さて、準備が出来ているのならばもう撤回はさせませんよ、妖
レグルスやガロウ、柊と約束した事もありますし――――私自身の目的もあります。そう易々とはやられる気は毛頭ありませんよ」

【――――開始の鐘。響くと同時に足に力を込めたならば真後ろへと飛んで】
【妖怪の身体能力に勝てない事は、恐らくは承知している事。それでも尚、距離を拓く為のその行動】
【同時、身体を捻ったならば2枚の札を足元に向けて飛ばすのであろう】

【退魔の気を薄い結界で閉じ込め、其れを浴びせる事で弱体化を図るもの。直に投げれば容易に避けられるであろうから、割れて飛び散る事を利用して掛けようという魂胆】
【――――しかしながら、始まったばかり。万全とも言える状態であれば避ける事だってそう難しい事では無い。或いは掌で包むように取ったならば、結界が割れる事も無く回収可能であろう】
【そして何よりも…………着地には隙が生じるというもの。巫女は今まさに、その状況を晒している筈で】

/天鬼ちゆりです!宜しくお願いしますですよー!
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/18(金) 22:37:35.01 ID:tQEuszGb0
【夜の国――ミクタム研究所跡】

【ほぼ瓦礫しかないここに二人組みの存在がいる】
【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【そして左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【見える人物にはみえるであろう】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そして隣には甲冑をきており、顔に面頬をつけている男がいる】

『それでマスターなぜこのような場所に』
たんなる興味だよ花嵐
このような場所には何かあるかもしれんしな

【白衣の男は隣にいる男――花嵐に言う】
【その言葉に花嵐はため息をつく】

『またですか、マスター、研究をほっぱりだして』
仕方ないだろう、新しいアイデアが思いつかないんだし
 ま、気分転換というやつだ

【するとまた花嵐がため息をつく】
【だが男はそのようなことを無視し、瓦礫の中を調べはじめる】

【このような場所に人が来たらこの二人組みの男が目に入るだろう】
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/18(金) 22:46:48.02 ID:179gm4TZo
>>545
//一応、未だ募集中です
//いまからだと、あまり多くの時間はありませんが……
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/18(金) 22:54:37.14 ID:FIcOW5BWo
>>553

ふっ、可愛らしい桔梗とは逆に可愛げのない姉だのう、お主。
そんなままだと、お主の代で天鬼の血も途絶えてしまうかもしれぬぞ?
もうちくと笑顔を足して、温和な空気みたいなモンを持つべきじゃな、うむ。

……しかし、困ったのう。儂としては人と妖は仲良うなれると思うのじゃが
まあその辺りは追々でよいか。今は談笑する場所でもないし、それに―――

―――――退治なんぞされたくは無いのでな、行くぞ。

【キッ、と瞳を細めれば、鐘と同時に距離を取るちゆり目掛けて銀狼は一気に駆けていく】
【まずその道程を邪魔するのは退魔の札。使い方はよく知っていた】
【故に、攻撃のやり口もなんとなしに分かる。銀狼の対策は――尻尾の気を一つ使い】
【それを両手に回して、自らの妖気も込め、走り駆けながら保護するように札を回収するという手段】

【こうすれば、仮に手の内で爆ぜても怖くはない。繰気と妖気を込めれば】
【退魔などは恐るるに足らず、と言った風。上手く拾えたなら、二枚の札は服の合間にねじり込み】

(儂のような獣から妖怪になった者は多い。退魔を生業とするのなら、自ずと出会う回数も多いはず)
(となれば対策もバッチリなのであろう?まさか、距離を置いて時間を稼ぐだけではあるまい)
(天鬼ちゆり……大技をかけるか、それとも近寄った瞬間に反撃か…。手の内は、何かや――?)

……ふん、儂にも約束があるでな!天狐の婆だの、歴戦の猛者だのと大事な約束がな!
勝った分、背負うものが在るのはお互い様ではないのかのう、天鬼――ッ!!

【更に駆ける、駈ける、距離を一挙に詰めていく。人のダッシュなどの比ではない】
【そしてある程度まで近付いたなら、一転して跳躍――身体をぐるりと宙で回し】
【そのまま真っすぐに、ちゆりに向かって突っ込んで、繰り出すのは両足でのドロップキック】
【凄まじい加速と回転のエネルギーに加えて、足首の鉄輪もその威力を増している】

【けれども、所詮は正面からの一撃。戦いの二手三手先を考えた賢明な行動ではない】
【なれば、利が在るのは当然ちゆり。銀狼の性質、果たして何処まで見抜けるか―――!】
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 22:59:15.84 ID:pAIV7bjuo
>>552

【狂死朗が離脱したことで薙刀の制御を取り返すことに成功した佳乃は、改めて薙刀を構えなおしながら、思惟を巡らせる】
【直撃が避けられたのは残念だが、元より武器を取り戻すことを主眼に置いた行動だ。佳乃もそれを承知で、すぐに頭を切り替えて】
【この男相手に、余計な欲を出せば――――待っているのは敗北≠フ二文字。それを、今の一合で佳乃は味わって】

【それから、狼の式紙を見る。反撃の雷を喰らって着地に失敗してしまうが、すぐに起き上がって威嚇の体制をとる】
【奥義『六花』は、神気により生物を模倣する≠ニいうものだ。実際に狼を構成しているのは、単なる神気の塊≠ナある】
【故に、電撃で筋組織を麻痺させるような攻撃は、この佳乃の式紙にはそれほど有効ではないようだ】

――――『六花招来』!

【次に佳乃は、狂死朗が『四散』の衝撃でよろめいた隙を付いて、またも『六花』を発動する】
【後ろ手に中空へ貼り付けた符へ、薙刀を突き刺す。そのまま神気が注ぎ込まれれば――――】
【新たに光の中から生み出されたのは、鋭い爪を持つ大きな鷹≠セ。それは佳乃の懐から一気に空へ羽ばたいて、彼女の頭上辺りで待機し】
【この、一連の動作を佳乃が終えるのと――――狂死郎と雷獣の攻撃が行われるのが、ほぼ同時だった】

ちっ…………!

【すぐに反撃してくることは想定できていたが、先程の奥義の発動のせいで反応が遅れて】
【手で目を覆う間もなく、殆どまともに閃光を喰らった佳乃の視界は、一瞬だけホワイトアウト】
【その直前、黒剣を振るわんとする狂死郎の姿を見咎めれば、ほとんど勘で薙刀を振るえば】

【――――がきん、という音は、間一髪、佳乃の薙刀が黒剣と体の間に滑り込んだ音だった】
【視界のない無茶な状態からでも、この黒剣の攻撃を防げたのは――――ひとえに、第二回戦で見せた反射速度≠フ賜物】
【予兆を見た瞬間に、もう動き出している。その初動≠フ早さが、今回は佳乃を救った】

【しかしながら…………そんな奇跡のような防御を行った代償に、佳乃には反撃に転じる余裕はない】
【盤上の手番はまだ、狂死郎の側にあって――――】


『――――――!!』

【その代わり、と言わんばかりに。佳乃の式紙たちもまた、裏で動いていて】
【大きく飛び退くことで雷獣の爪を回避した狼は、即座に反転】
【機動力を殺ぐつもりか、雷獣の右後ろ脚の辺りへ、同じく爪による攻撃を見舞おうとするだろう】
【そして同時――――佳乃の真上にいた鷹が、雷獣の顔面へ一直線に飛翔】
【その眼球に鋭い鉤爪を突き立てんと、ちょうど狼との挟撃の形で、急降下からの一撃を狙った】

【狼と鷹のどちらにも言えるが…………この二体、いやに素早い=z
【身体的な能力がどうということではなく、こちらの攻撃を入れることより攻撃を避けることを重視しているような】
【今行われた攻撃も、攻撃への執念のようなものが感じられない。攻撃後に離脱するだけの余裕を残した、そんな動きだ】
【その目的が、雷獣の撃破ではなく足止め≠ノあるということが、推測できるだろうか】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/18(金) 23:16:55.73 ID:ruUJxtuh0
>>556
「――――嗚呼。ガロウの時にも同じ技を見ましたよ
私には同じ手は効きませんとまでは言いませんが――――……」

【人の身では妖には勝てない――――今すぐに、妖と成る事も出来ない】
【ましてや相手は狼。その速さとなれば、最早比べものとはならないはず】
【腕力に自信がある訳でも無く、そう素早い訳でも無い。――――しかし、技術がある。人間として継がれてきた、技】

【着地のラグ。ともすれば完全に避けきる事は出来ない。咄嗟の判断で犠牲にするのは左腕であって、逆に言えば身体を捻って左腕のみにダメージを集中させた】
【多々の力が加わった一撃ともなればやはり相応の痛み。幾分かは流したと言え、呻きを漏らさぬ為に歯を食いしばる必要がある】
【――――そして、右手を鼻が過ぎるであろう軌道上に置いた。所謂手刀であって、狙いは銀狼の跳躍した力を以てして、己に鼻の骨を折らせる事…………或いは、鼻から出血させる事】
【兎も角として、鼻からの出血を狙ったことは確か。素早い動きならば…………呼吸をさせる手段を一つ潰して常に血液という水を流させて、より多くの体力を消耗させようというのであろう】
【……身体能力を以てすれば、避けられない一手でも無い。或いは足が着いたと同時に回避行動に移ったならば、どうにだって出来るであろう】


「っ――――。笑うのは、苦手です
…………ええ、確かにそうですね。では、後は意地のぶつかり合いとでも言いましょうか――――」

【結果に関わらず、左腕の具合を確かめながらの移動。幸いにして骨は折れて折らず、指も動かすことが出来る…………が、何時ものように直ぐに印を組むといった事は出来ない】
【――――懐から取り出したのは5枚の札。性質は“水”。固められた其れ等を、腕足腹とまるで弾丸の様に放つのであろう】
【水とは言え、風穴を開けられずとも肉にある程度抉る事が出来るまでに練られた物。しかし軌道は単純であり、注意点と言えばそれぞれがバラバラのタイミングで放たれた事位か】
【…………それだって、その場から大きく避けたならば十分に避けきる事が出来る。その際には、固められた水が只の其れへと戻り、フィールドには少しの水たまりが出来るのだけれど】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/18(金) 23:33:50.23 ID:Rd5vCjLCo
【酒場】

【通りに面した人気の酒場、いつだって賑わって五月蝿くってかなわないが】
【その方がかえって人に話を聞かれなくて済むし、テロリストが居ても気づかれないだろうし】
【そういうがちゃがちゃしている方が落ち着くっていうのもある。店主からBGMまでウエスタンな内装は何かと好きだし】
【何時だってダーツ、ポーカー、ルーレットとギャンブルの相手が何時でも居るってのは悪くない】
【今はどっかで武道大会かなんかがやっているらしいから、それの賭け事でいつもより賑やかな気がする】
【自警団が喧嘩を止めに来て、ついでに飲んで、喧嘩して別のやつに止められるっていうのも見れるのはここだけだろう】

【またどっかで怒鳴り合いだ。理由は知らないが気にする必要もない】

【そんなとっ散らかった店内でテーブル席の横で椅子を並べて男は寝ていた】
【黒いスーツ、真っ赤なシャツ、黒いネクタイそれに加えて黒いサングラスとブーツ】
【ダラっと椅子から伸びた足のあまり具合から背は結構高いらしい】

【どっかで瓶ビールが飛ぶ、そろそろ店主が自警団に電話する頃だろう】

【テーブルに空き瓶空き缶を幾つも並べ、灰皿には吸い殻が山となっている】
【後は煙草の箱とジッポライターと新聞が数紙。テロによる経済の影響。武道会のレポート】
【横行する犯罪が云々、正義の組織が云々、銀行強盗が云々。ゴシップ誌のほうが楽しめそうだ】
【混んでいる店内だが彼のテーブル席は彼しか居ない】

【取っ組み合いが起きる。自警団がそろそろ到着するだろう】

【男はムクリと起き上がってぬるくなったビールを飲み、煙草に火をつけ】
【その取っ組み合いがどっちが勝ちか1人考えていた】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/18(金) 23:37:16.33 ID:AQXirx2so
>>557

(電流による麻痺効果は無し……成る程、アレは魔力がカタチを持って動いているようなモノなのか。
 1000年鯖読みおばさんは尾の1本から無数の軍勢を生み出した、なんて言っていたっけ。)

【狼の様子をちらと観察した狂死郎は、すぐさまその正体を察する】
【それは玉藻一族においても似たような術が存在するから、ということのようで】
【とはいえ今、対処するべきは目の前の少女――――式神は一旦、雷獣に任せる様子】

猪口才なぁ!!

【そして、狂死郎の斬り抜けは少女の高い反射速度によって、寸でのところで防御される】
【しかし、まだ流れは狂死郎にある――――この期を逃すわけにはいくまい】
【そう考えて彼は、素早く地面へと黒剣を突き刺すと、開いた右手で懐から札を取り出し】
【一方で左腕の袖に仕込まれたもう一枚の札を、懐の札と重ねるように手に取ると】


氷天葬花――――『山茶花』ッ!!

【少女に向けて突き出した札から、魔力が溢れ出し――――超低温の逆巻く水流が迸る!!】
【触れた先から氷結するほどにまで冷やされた液体は、直撃させて少女を動きを止めることだけでなく】
【地面ごと氷結させることで、少女の体を少しでも“濡れた状態”にすることを目的として放たれている】


【そして雷獣はと言えば、爪の振り下ろしを回避されると、即座に飛び退き】
【迫り来る攻撃に対して――――なんと丸くなり、防御体制を取り始めた】
【狼と鷹の攻撃により少なからず傷つけられ、なんなく“足止め”されてしまう雷獣であったが】
【防御体制を取りつつも、電力を蓄えその身に纏う妖気を少しずつ高めつつあることに気が付くだろうか?】
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/18(金) 23:37:47.36 ID:FIcOW5BWo
>>558

――ほほう!それは興業としては面白くないことをしてしもうたのう
だが儂は他人の試合はさして確認しておらんでな!
お主とガロウの試合ばかりは思っていったが、気に入らん狐に邪魔されて、のぅ……!

【―――さて、ちゆりは銀狼の身体能力を、まさに此処で思い知ることになる】
【足から伝わるビリビリという感触に満足気な笑みを浮かべるまでは、ちゆりも予測できるだろう】

【だがその直後、表情が凍ったように固まった。理由は――巫女の手の型】
【手刀を繰り出すのだ、ということを見て取った≠フである。そして、それこそが】
【銀狼の持ちうる最高の身体的特徴。動体視力の良さは、今大会随一の自信がある】

【加えて、鼻は先の試合で折られて酷く苦戦した苦い思い出もあったからか】
【食らわざるを得ないならば、と――寧ろ僅かに顔を前に出して、手刀を額で受け止めた】
【皮膚が衝撃でパクリと避けたが、鼻は無事だ。この程度なら脳震盪も起こりえない】
【再度、ニヤリと悪戯に口角をあげたなら、相手の左足を蹴飛ばすようにして後退し】

っ……おっ、っとっと…!流石に多彩な術を使うのう、退魔の巫女め……!
そんなものより表情を作る訓練でもしたらどうじゃ、桔梗もさぞ喜ぶ……っと!

【からからと笑う声。茶化しながらも、銀狼としては額の血に汗が混じっていた】
【飛来する水の弾丸は、交代した勢いをそのままにバク転を繰り返して回避を重ね】
【結果的にステージの数カ所に水たまりが出来たほか、互いの距離も開くこととなる】

【だが銀狼、ここで考えなしに突っ込む事はしなかった。額の血を拭って、舐めとると】
【クラウチングスタートの姿勢を取って、その大きな四本の――今五本になった尻尾をくねらせる】
【あからさまな待ち≠フ姿勢だ。この距離、明らかにちゆりが有利だというのに――何か、策が―――?】
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/18(金) 23:54:11.69 ID:179gm4TZo
//>>545は取り消します
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/19(土) 00:04:39.43 ID:djMWIrt3o
>>560

【狂死郎の攻撃を防御し終えた佳乃は、その手応えから狂死郎の方向を察知すると、すぐさま防御態勢をとる】
【その頃には佳乃の視界も晴れていて、反射≠燒恆Sに使える状態にあった】
【白刃龍紋流・零の太刀、『零露』。反射神経を強化する常時発動型の奥義は、薙刀使いとしての佳乃の実力を大きく補助しているが】
【――――さすがに、弾いて防げない液体≠ヘどうしようもない】

く、っ――――!

【渦巻く水の奔流を前に、佳乃は真横に大きく跳ぶことで直撃を避けると】
【飛び散ってくる大きな飛沫は、その反射速度≠ナ以てして薙刀で次々に斬り払い、少しでも水を被るのを回避しようとする】
【――――とはいえ、相手は水だ。完全に弾くことなど出来よう筈もなく、佳乃の制服は少なからず濡れてしまって】

やられっ放しのままと、思わないことね!
――――壱の太刀、『一矢』ッ!

【直後、佳乃はその場で大きく回転。薙刀のリーチの長さを最大限に生かし、前方広範囲をまるごと薙ぎ払う袈裟の一閃を見舞う】
【もちろん、狂死郎との距離が離れている今、その斬撃が当たるわけがないが――――】
【冷水を斬り払ったことで氷の破片が多数付着した刀身が――――その氷を通して、純白の美麗な光を乱反射させる】

【そうして、刀身に付いた氷を粉々に粉砕しながら放たれるのは、空を裂いて翔ぶ光の刃=I】
【薙刀を振るった軌道に沿って放たれる性質を持つそれは、佳乃が思い切り勢いを付けたおかげで非常に巨大になっていて】
【横に四メートルはあろうかという巨大な光の刃が、狂死郎を袈裟に切り裂く軌道で、高速で飛翔するだろう――――】
【この光の刃≠ェ直撃した場合、薙刀で切り裂かれるのと同等の威力を発揮するだろう】

【また、彼女の扱う神気は、単純な物理的ダメージに加え、相手によって二種類の追加効果を発揮する性質を持ち】
【妖怪や悪魔、ゾンビなどの『種族として邪の属性を持つ者』に対しては浄化=Aそれ以外の『生物』には治癒≠フ効果が発動する】
【浄化≠フ場合、斬撃による怪我に加え、激痛を伴う『火傷のような追加ダメージ』がその部位を襲い】
【治癒≠フ場合、斬撃による怪我の程度自体は変わらないが、その怪我による痛みが戦闘終了まで軽減されることとなる】
【邪≠以て邪≠祓う術式を操る狂死郎だが、その本人自身がただの人間なら、治癒≠ニいうそちらに有利な効果が発動する筈】
【しかし仮に、狂死郎の所有する何らかの邪≠ヨこの攻撃が当たれば、それには浄化≠ェ発動するだろうか】


【――――一方、力を蓄え始めた雷獣に対し、式紙達は少し離れた位置で待機している】
【徹底して足止め、この場面でも決して深追いはしないその態度は、何か機≠待っているようにも思えて】
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/19(土) 00:04:56.05 ID:djMWIrt3o
>>560

【狂死郎の攻撃を防御し終えた佳乃は、その手応えから狂死郎の方向を察知すると、すぐさま防御態勢をとる】
【その頃には佳乃の視界も晴れていて、反射≠燒恆Sに使える状態にあった】
【白刃龍紋流・零の太刀、『零露』。反射神経を強化する常時発動型の奥義は、薙刀使いとしての佳乃の実力を大きく補助しているが】
【――――さすがに、弾いて防げない液体≠ヘどうしようもない】

く、っ――――!

【渦巻く水の奔流を前に、佳乃は真横に大きく跳ぶことで直撃を避けると】
【飛び散ってくる大きな飛沫は、その反射速度≠ナ以てして薙刀で次々に斬り払い、少しでも水を被るのを回避しようとする】
【――――とはいえ、相手は水だ。完全に弾くことなど出来よう筈もなく、佳乃の制服は少なからず濡れてしまって】

やられっ放しのままと、思わないことね!
――――壱の太刀、『一矢』ッ!

【直後、佳乃はその場で大きく回転。薙刀のリーチの長さを最大限に生かし、前方広範囲をまるごと薙ぎ払う袈裟の一閃を見舞う】
【もちろん、狂死郎との距離が離れている今、その斬撃が当たるわけがないが――――】
【冷水を斬り払ったことで氷の破片が多数付着した刀身が――――その氷を通して、純白の美麗な光を乱反射させる】

【そうして、刀身に付いた氷を粉々に粉砕しながら放たれるのは、空を裂いて翔ぶ光の刃=I】
【薙刀を振るった軌道に沿って放たれる性質を持つそれは、佳乃が思い切り勢いを付けたおかげで非常に巨大になっていて】
【横に四メートルはあろうかという巨大な光の刃が、狂死郎を袈裟に切り裂く軌道で、高速で飛翔するだろう――――】
【この光の刃≠ェ直撃した場合、薙刀で切り裂かれるのと同等の威力を発揮するだろう】

【また、彼女の扱う神気は、単純な物理的ダメージに加え、相手によって二種類の追加効果を発揮する性質を持ち】
【妖怪や悪魔、ゾンビなどの『種族として邪の属性を持つ者』に対しては浄化=Aそれ以外の『生物』には治癒≠フ効果が発動する】
【浄化≠フ場合、斬撃による怪我に加え、激痛を伴う『火傷のような追加ダメージ』がその部位を襲い】
【治癒≠フ場合、斬撃による怪我の程度自体は変わらないが、その怪我による痛みが戦闘終了まで軽減されることとなる】
【邪≠以て邪≠祓う術式を操る狂死郎だが、その本人自身がただの人間なら、治癒≠ニいうそちらに有利な効果が発動する筈】
【しかし仮に、狂死郎の所有する何らかの邪≠ヨこの攻撃が当たれば、それには浄化≠ェ発動するだろうか】


【――――一方、力を蓄え始めた雷獣に対し、式紙達は少し離れた位置で待機している】
【徹底して足止め、この場面でも決して深追いはしないその態度は、何か機≠待っているようにも思えて】
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 00:05:14.03 ID:YMHy6CRI0
>>561
「ふむ…………やはり狼、元より侮るつもりはありませんでしたが……警戒に警戒を重ねた所で、無駄では無さそうですね
――――なに、私が笑って喜ぶのならばなんとも簡単な話。しかしながら、銀狼。本当にあの子と知り合いならば、貴女が喜ばせてやった方がまだ見ていて気分が良い」

【トン――――と左足を退いて。拓いた距離を無理に詰める事は無い】
【しかし、確かに相手は近接が主体な筈…………ならば、何故攻めてこないのか】
【…………尻尾が増えているのは分かっている。然れど、何故増えたのか――――増えたことによって何が起きるのかまでは、分からない】
【茶化すその言葉に律儀に応えながらも、再び札を出して】
【――――視線は銀狼から、水たまりへ。横へと薙ぐようにして札の印を切れば、辺りが若干の寒気に包まれるであろう】
【観客達は気付かずとも…………獣から妖怪と化した銀狼ならば、その微細な変化に直ぐにでも気付ける筈】


「獣の真似事……と言うわけでも無さそうですね。私はサトリでは無い故、貴女の策略までは読み取れませんが――――
陰陽や五行は貴女達妖怪に対抗する為に編み出された術。時と場合に応じて対処を作り出す術でもあります
…………良いでしょう。敢えてこのまま仕掛けにいきましょうか
――――陰を高め、陽を奪って陽虚とする。即ち――――――」

【そして、自ら奪うのは熱。同時に与えるのは冷。つまりは、水たまりから氷を作り出そうと言うのか】
【五行に加えて陰陽を用いた技であって――――作り出した荒削りな氷の槍で銀狼を貫こうというのだろう】
【――――待ちならば、其処に踏み込むまで。無論、水たまりの数以上の槍は作られる事が無い。5本の槍が、今一度貫かんと飛翔する事であろう】

【ただの氷故に銀狼の図りによっては其れ等を破壊する事だって可能だろう】
【或いは水の弾丸と同じく一直線であるために、回避を行うのもそう難しくは無いが――――荒削りという形が歪な其れ。もし貫かれたならば、必要以上に傷口を広げる結果ともなろう】
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/10/19(土) 00:18:00.22 ID:djMWIrt3o
>>563
/最後から三行目、我ながらちょっとわかりづらいですね……
/【しかし仮に〜】のところ、以下に差し替えておきます……すみません
/【しかし仮に、狂死郎の持っている道具に悪魔などの邪≠宿したものがあれば、この攻撃に当たると破損しまう恐れもあるため、注意が必要だ】
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/19(土) 00:22:19.58 ID:o30EnZ9yo
>>565

【鋭敏な銀狼の感覚が、にわかに変化するステージの温度を感じ取る】
【術使いは大概、属性か自らのし掛けたギミックを使う――考えるよりも速く】
【ちゆりの更なる攻勢が明らかになったのは、銀狼としては重畳≠ナあり】

【―――小さく北叟笑んだなら、尻尾を2つ肉体に取り込んだ。体毛が僅かに輝いて】

……これまた、お主も桔梗も面倒な関係らしいのう
人間というのはどうしてまた深く物事を考えすぎるのか、毎度理解に苦しむよ
話しを聞いて者を見る度に、儂は自分が妖怪で、獣でよかったと思う。

が……今度会ったら、桔梗のやつにも何かと物を聞かねばならんか
さあてお喋りも好い加減にして―――往こうか。

【―――五本の槍が飛来する中を、銀狼は人とも獣とも付かないフォームで駈け出した】
【やはり、疾い。目の悪いものであれば、白銀の軌跡しか捉えられぬほどだ】

【だが――おかしい≠ニいうことに気付けるか。銀狼は真っ直ぐ突っ込んで】
【その爪で二本の槍を受け流したが、一本を肩に受け、もう一本は腹部に受けたのだ】
【それでも尚止まらない妖狼は最後の一本を自らの牙で喰らうようにして止めて、更に進み――】

【そして、荒削りな氷を弾いたことによって削れた@シ手の爪を振りかぶり】
【相手の胴を左右から一文字に傷付けんと、突撃するようにして攻撃し―――『そして消える』】

【その向こう≠ノはもう一人の銀狼が居て――ここまで来ると、解るだろうか】
【槍を受けた銀狼、手から出血ではなく削れた銀狼は、気で創りだした幻影≠ネのである】
【だから出血もない。だから叫び声もない。だから、攻撃した所で形を維持できなくなり、消えたのだ】

【それこそ銀狼の策である。以前の試合でも見せた技だが、見破れようと対策がなければそれで良い】

【残りの尻尾は三本、本物を除けば二本。そんな銀狼本体が、後に続いて突っ込んでくる】
【そして幻影の消えた位置まで行けば、口に咥えていた荒削りな氷の槍を掴みとり】
【相手の手元を狙って、下方から上へと穂先を跳ね上げるだろう。無論、その身に槍の傷はない】


【―――ただ、この技。幻影が、つまり銀狼が突っ込んでくるとわかった時点で対策を立てたなら】
【本物が接近する頃には、その対策が打てる頃合い。実に絶妙なタイミングで槍が振るわれるのである】
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 00:54:49.54 ID:YMHy6CRI0
>>567
【確かに巫女は、その姿を捉えていた。幾多の物の怪とも闘っていれば、身体は順応せずとも五感は順応して行くのか】
【それ故に、銀狼の姿がはっきりと見えるのだが――――余りにも可笑しい。避ける動作を見せる事も無く、槍に貫かれたのだから】
【其れでも走り続ける事が出来るのは尚更不自然。呻きが上がる事も無く、あるべき飛沫が無かった事も拍車を掛ける】
【……然れど、攻撃となれば避けない訳にもいかない。交差させる様な爪から逃れんと身を退いて――――その数瞬先で、思惑を知った】

【しかし今頃解した所で後の祭り。回避へと体勢を変えていた身体が咄嗟に反応できるはずも無く】
【――――深紅の其れが、辺りに飛び散って。傷口を手酷くする為に施した其れが仇となったか、直ぐに痛みが引く様な傷でも無い】
【右の腕で圧して止血と鎮痛とを試みるが、無駄と分かればただ戯れに掌を赤く染めた他ならず】


「…………流石は妖……。実に、らしい手を…………」

【しかし未だ槍を持つならば下手に退く訳にもいかない。故に右の腕が槍を掴もうとして、同時に左の腕が一枚の札を自分の肩より上から落とす】
【――――その間にも肘を曲げ、傷ついた左掌を広げたならば…………“発動”の時】
【己の力は勿論の事、札によって引き起こした瞬間的な“暴風”の力も用いて鳩尾への肘鉄。女の力とは言え、武術を嗜んだ者が其れを放てば腕力自慢の妖の一撃にも劣らない】

【ましてや、その威力を叩き出すのは単純な腕力では無く、驚異的な速度。今の状態であれば拳で打つことも出来ない――――だから、肘】
【当然リーチは短くなるものの、槍を掴んで離さぬ事で其れもカバーしようというのだろう】
【巫女が体術を使って攻撃を仕掛ける…………そんな、不意を突こうと】

【然れど直ぐに槍を放していたならばその攻撃を緩和出来るであろう。又、数歩退いたならばその範囲から逃れる事も可能か】
【そして――――攻撃と同時に隙が出来る。銀狼へと当たらなければ、その隙も大きなものとなるであろう】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/19(土) 00:58:16.14 ID:lf3zAeXfo
>>563
>>564

飛ぶ斬撃かッ!!(少々不味い事になった……!!)

【術式の発動を終えた狂死郎は、即座に少女の反撃を警戒する】
【そして狂死郎へと放たれたのは光の刃――――これは、予想の範囲内ではある】
【しかし狂死郎が恐れるのは広い攻撃範囲と、付与された退魔の力にある】

【狂死郎は確かに純然たる人間であるが故、その肉体に直接退魔の力を受ける分には問題ない】
【だが彼の魔術の根源となる“封魔符”は別――――無論全てがそうではないが、影響を受けてしまうものも当然存在するのだ】
【もしも“浄化”を受けてしまったならば、少なくともこの試合で魔術を扱うことは不可能となってしまう】
【退魔師であるのに退魔の力に弱いとは滑稽ですらあるが、魔族の類と相対するにはこちらの方が都合がよい分、仕方なくもある】

(直撃だけは……)ぐうッ!!

【とはいえ狂死郎も甘くは無い、出来る限りダメージを軽減しつつ、封魔符を守る手段を即座に考え】
【真正面から光の刃に立ち向かうと、手にした左の白剣で以って光の刃を受け止めようとする】
【第一回戦で見せた“炎弾き”と同じ要領だが、今回ばかりは相手の力が大きすぎる】
【結局、光の刃の軌道を逸らす程度に終わり――――脇腹を切り裂かれ、うめき声を漏らす】
【それでもなんとか、封魔符への直撃だけは避けることが出来たようで】

中々手厳しいな……ギアを上げさせて貰うとしよう!!

【深手ではないとはいえ、ダメージを受けてしまった狂死郎だが、すぐさま態勢を立て直すと】
【再び少女へと向かい距離を詰める――――かと思われたが、一旦黒剣を突き刺した位置まで飛びのいて】
【雷獣に向かって“サイン”を送ると】


思えば小手先ばかりの戦術だった僕だけど……たまには派手なのも悪くは無い、と思うんだよね。
というわけで――――雷獣、放電を開始しろ!!

【その命令に答え、雷獣は攻撃の態勢へと移り――――十分に蓄えた電力を、一気に開放する!!】
【雷獣から迸る雷電は空中と先程の攻撃で濡れた地面を走り、少女の式神達ごと少女を巻き込まんとする】
【現在濡れた状態にある少女にとって、雷電は極めて危険な存在――――必ず、回避しなければならない】
【だが、明確な安全地帯は一つだけ。狂死郎が黒剣を突き刺した、狂死郎の待ち構える僅か数mの範囲だけなのだ】

【“来る方向”さえ分かっていれば、“罠”も容易に仕掛けることが出来る】
【雷電から逃れる安全地帯は同時に、狂死郎が張った“蜘蛛の巣”でもあるのだ】

/ちょっと今日はこの辺で……置きレスでの進行も可能ですが、どうしましょう?
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/10/19(土) 01:05:05.77 ID:djMWIrt3o
>>569
/何か変なエラーが出たと思ったら二重投稿になってたのか……失礼しました
/了解しました、では次のレスを置きレスの方に置いておきますので、また時間がある時にお返しくだされば!
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/19(土) 01:06:12.72 ID:lf3zAeXfo
>>570
/分かりました!ありがとうございます!
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/19(土) 01:11:43.07 ID:o30EnZ9yo
>>568

【幻影が腕を捉え、更に槍が手の内にある。この粗削り、さぞ痛かろう】
【――なんて、銀狼はやや優位に物を考えていた。それが良くなかった】
【加えて言えば退魔師、特に巫女という存在に対する認識が、些か甘かったというべきか】

【槍を掴んで接近戦を仕掛けられる≠ニは考えていなかったのである】
【その点、ちゆりの考えは見事に当たり――銀狼も、これはマズいと手を離すが】

…ぅ、グうッ……!!ごほ、ッ……!

【肘鉄が強かに鳩尾を打つ。――不幸中の幸いは、槍が氷であったこと】
【少しばかり溶けたソレが、ただ数センチだけだが銀狼が離れるのを許していた】

【故に浅い――とはいえそのダメージは、軽さを売りとする銀狼には十分なもの】
【表情が苦悶に歪み、息が詰まる。ズラリと並んだ彼女の牙もさぞよく見えることだろう】

【そして次なる凶器は、その牙だ。銀狼は肘鉄を食らって怯んだ折、後退を考えた】
【けれども、何度も仕切りなおしをするのはダメージで動きの鈍る自分への愚策】
【だから、という前向きな気持が産んだ攻撃は単純単調―――己の顎で、相手の腕を】
【自らに肘鉄を打ち込んだその腕の肉を、強引に喰らい削ぎ落とそうというのである】

【あくまでも、肘鉄で少しの距離が空く際の悪あがき。その狙いは雑であったが】
【もしも牙が肉の――いや、皮膚の一片でも捉えたなら、妖狼は直ぐ様顎を閉じ】
【持っていける分だけの血肉をその口内に収めようとするだろう】

【そして成功、失敗に関わらず、銀狼はちゆりから僅か2mも無い位置で腹部を押さえ、悶え苦しみ】
【尻尾の数を時間経過で四本に増やしながら―――多大なる隙を晒す事となる】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 01:39:26.94 ID:YMHy6CRI0
>>572
【ズン――――と橈骨尺骨を通じて伝わる振動。抜く事は出来なかったにせよ、確かにダメージを与える事が出来た手応え】
【衝撃が加われば傷口から血液が溢れるし、相応の痛みだって生じるであろう。…………であるとしても、止める訳には行かない】
【近接で利を持つのは銀狼。なれば与える事が出来る時にダメージを与えるべきと考えて】
【――――人型である為に、狼本来の……牙、という武器が考えから抜けていたか】
【三頭筋に当たる部分の幾らかが食われるが、同時に腕を退いてその肉を持って行かせるであろう】


「っつ…………!
ふ、ふふ…………どうで、しょう…………天鬼の血肉の、味は……」

【殴られるでも無く斬られるでも無く、食いちぎられたならば果たしてどれ程の痛みか。浮き上がる汗が、軽口を叩いていても身体へのダメージが大きい事を悟らせるが】
【白かった衣も半分は紅く染まり、それでいて更に袖が破けているのだから中々に凄惨な姿】
【ダラダラと出血しながらも患部を掌で押さえては立ち上がり。作られた距離を詰めるでも無く、健全な右の手で摘むは札】
【“金”の性質――――鉱石の性質を持った札。…………其れに、“火”を加えた】
【ドロリと溶けたならば、多大な熱を持って。足の肉を焼き溶かさんと、放たれる】

【その間にも札を貼り付けて止血を試みて――――流血こそ幾らかは治める事が出来たものの、痛みを無くす術を今は持って居ない】
【…………必要なのは時間であるけれど、安静にすれば其れだけ隙を晒してしまう。にも関わらず】
【やはり痛みで今は動く事が厳しくて、しっかりと視線は向けながらもその場で膝立ちをしているのが現状か】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/19(土) 02:06:02.12 ID:o30EnZ9yo
>>573

【―――口内に広がる久方ぶりの血肉の味。不味かろうはずもない】
【元より狼。生肉こそが主食であり豪勢な御馳走なのも、本能が認めていた】
【けれどもパキュっ!=\―という気味の悪い音を鳴らして一噛みし】
【その後、直ぐに肉を吐き出したのは此処が食事に適さぬ場であるからで】

何年ぶりか……儂は、よほど儂自身に手向かう相手以外は食ろうた事は無いのだが
その中でも上等、とは言うておこうか。……細かい感想は、聞きたくなかろ?

【果たしてその言葉は真実か、それとも去勢を張ったハッタリなのかは分からない】
【しかし溶けた金が己の足に振りかかるのを、固まる前に振り払う事は出来た】

【だがそれだけだ。直ぐ様払えず、少なからず皮膚を火傷したのは確かな事実】
【振り払った融金はちゆりに向かって飛ばされたが、それが功を奏すかは分からず】
【またなんとか体勢を立て直しつつも、足の負傷と鳩尾のダメージからか挙動は覚束ない上】
【額からは出血が、口元からはちゆりの肉を食らった際の汚れが付いて、酷く凄惨な面持ちになり】

……だが、流石に巫女のそれは違う。浪人の万倍も力が湧くようでのう……!

【それでも尚ニヤリと笑むのは妖怪故としか言いようが無かった】
【そして、まさか戦意を失うはずもなく――両手足の鉄輪を、器用に手元に集めれば】
【背後に出現していた気のストックである尻尾は本物を残してすべて消え去り】

【――続くは、投擲。距離が近いために、投げるというより撃ちだす、だが】
【この攻撃、準備から放つまでが長いのは解るだろう。だから、回避は難しくない】

【けれども気付けるか――全ての鉄輪は淡く輝いている、つまり気が込められているのだ】
【オマケに4つの内2つには、あろうことか先ほど回収した退魔の札が張ってあって】
【もしも触れれば、元の炸裂≠ェ妖気や気の込められた状態で発動する――凶悪な仕掛けとなっている】

【尚、この攻撃中は意識が操作に無くのだろう。銀狼の姿は、些か立ち姿にしては隙が多かった】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 02:26:53.75 ID:YMHy6CRI0
>>574
「――――其処だけ……聞けたならば十分です。常日頃、喰らわれそうになった事はあっても喰らわれたことは…………何分、幼少の頃の記憶しかないので
しかしまぁ…………上等と言われれば、喰らわれてもそう悪い気もしないというもの」

【可愛くも無い軽口。其処に笑みの一つでもあったならば面白い皮肉とも取れたであろうに、実際にあるのは真顔と苦痛に歪めた顔との中間点】
【返すかの様に振り払われた物に対しては、“静”の一言で只の鉱石と変えて】
【当たる前に足元へ転がせば、つま先で横へと転がし】
【――――力を込めたなら、血が滲み出る。立ち上がるには、もう少しの時間を要するわけで】


「中々に“様”になってきたでは有りませんか――――と、貴女の事を言えないのも事実
これでは妖怪退治では無く、まるで妖怪同士の――――ッ?!」

【その長い時間が助けとなったか、立ち上がったならば一つ避け二つ避け。三つ――――避け、られない】
【最小限の動きで避ける事を目的としていたために、本体を避ける事が出来ても“炸裂”した其れからは逃れる事が出来ず】
【結果としては、更にもう一つで追撃を加えられる形となって。身から登る煙は、焦がされた証左であろうか】
【噛み締めた歯の隙間から漏れるのはくぐもった声。隙を晒されていると言うのに、追撃するだけの力は無い】

【その場で膝を着いて、腕と身体と傷ついた部位に手を当てるが――――何処か、不自然にも思えるか】
【先程までは槍で斬られようと、噛まれようと“隙”があったならば其処を付け狙っていた筈】
【なのに、今は己の傷を気に掛けていて――――まるで、銀狼の“待ち”を模造している陽にも感じる】
【この戦いの中、冷静を失っていなければ…………気付くのは、そう難しくも無いのだけれど】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/19(土) 02:47:57.71 ID:o30EnZ9yo
>>575

【ふぅ――と、一つ深い呼吸をした。鳩尾のダメージを和らげて】
【加えて肉体を落ち着かせるため。そして、時間経過で増えるはずの】
【気のストックは、足であるとか、動きに支障が出る痛みを抑えるために使用した】
【故にもう、尻尾は増えない。鉄輪も消え、動けるとはいえ万全でもなく】

……まことに、のう。儂はともかく、お主のタフさには驚かされる

なんならお主、いっそ妖怪になってしまえばどうじゃ?
最初は何かと大変じゃろうが、百年もすればしがらみは全て消え去るぞ
まあ無論……冗談だが。人の身でその手負い、さぞ苦しかろうな

【肉体の状況は、こういう軽口を立たける程度。まあまあ、悪いとも言えず】
【銀狼は再度両手の三指を立てる独特の構えに直し、ふと眉を潜めて】

(……ふむ、話す余裕が出来て気づいたが、攻めてこなかったな……?)
(手負い故か、それとも……、…。……考えるだけ、儂の性には合っておらぬわな)

【――何かに気付きはした。だが、ソレが何かも、どうすべきかも考えるタイプではない】
【ただそれだけの理由が、さらなる攻撃へと銀狼を駆り立てる】

【動作は、一歩跳び込むように踏み出してからの右手による引っかき――もとい、ナイフのような一撃】
【そしてそう見せかけた上で$g体をぐるりと左に回転させ】
【待ち構えるのは2mもの長い尻尾。遠心力に振られたソレは、今銀狼が持ちうる最大の遠距離武器であり】

【また同時に、手足を使わないことで次への対処を容易くする、守りの一手でもあった】
【避けられなければ、太い綱を叩きつけられる様な衝撃を受けるだろうが――さて中盤過ぎ、どうなるか】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 03:11:12.28 ID:YMHy6CRI0
>>576
【挙げた顔には驚愕の色。そして――――】
【――――あろう事か、身体が裂けた。比喩では無く、真に巫女の身体が尾によって真っ二つに分けられたのだ】
【…………しかし可笑しい。人が裂けるのに“ビリ”なんて音がするであろうか】
【更には、臓物が流れ出る気配も無い。ただ…………ズルリと落ちた上半身は、ただの“紙切れ”へと変わった】
【ヒトガタ。己の身を式神に映し出す一つの技。銀狼が気を用いて行った其れの、真似事。攻撃に耐えられる程の術は込められず、それ故に地に叩き伏せられるのでは無くて――――】


「私は―――――人のままで居ましょう。そのしがらみが有るからこそ、成長が出来るのです
…………銀狼。貴女も戯れに生きて今に至ったわけでも無いのでしょう…………様々な人間を見て来たのでは無いですか」

【尻尾を振りきった頃に、前に駆け出す姿。先程の被弾を避ける事が出来なかったのは、その傷の具合で確認出来よう】
【銀狼へと向けられて放たれた札は最初と同じ様に“退魔”であるが…………どうも、その速度は遅く】
【続けて巫女が駆ける。斬られ食われ左腕での打撃はもう行えない。更には右腕だって、先程の攻撃で素早い打撃を出来る程の力は無い】
【――――故。片足を軸に、グルリと一回転。草履の裏が正確に“札”を蹴り抜いたならば、其れ諸共もう一度“鳩尾”へと打撃を叩き込もうとするのだろう】


「銀狼――――先程、己が獣であって良かったと言いましたね…………
ならば私は、この様に悩める人間に生まれて、良かったと思っていますよ」

【足を用いただけあって、リーチは其れなりに長い。そして、単純な打撃に“炸裂”する退魔ともなれば中々の威力】
【しかし、初動は遅れる。体術に於いて、初動が遅れたならば必然的に相手にも時間を与える事となろうか】
【足の痛みも緩和させたなら――――そう、難しい事では無い】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/19(土) 03:41:10.95 ID:o30EnZ9yo
>>577

……嗚呼、違和感があると思うたらこういうことだったか。
意趣返しとは底意地の悪い巫女ちや、まったく……。

さて、決着≠フ前に答えておこうか、天鬼ちゆり。
儂とて無駄に100年も生きてきたわけではない、それは事実
町人、村人、浪人に芸妓、巫女や陰陽師だの色々な者を様々に見てきたとも

だが……其のものたちの生き様を見ても尚、儂は獣であり、妖怪で居る事が誇りでのう
この気持ばっかりは、絶対に人が理解できる範囲ではなかろうて
成長=c…良い言葉じゃよ。けれどそれは、人でなくとも出来るのでな……!


   『必殺――――

【滔々と語ったならばソレっきり。浮かんだ笑みは優位のそれでも慢心でもない】
【ただ言うならば状況が面白かった――この大会、初めて銀狼は技≠口にする】

【作る体勢は前傾。左足を前に、上半身を前に。対して、右足を真後ろに伸ばし】
【更に長い尻尾をその右足に巻きつけて、補強するような形へ】
【これで完成。銀狼の目には退魔の札も、それを蹴って迫るちゆりの姿も映っていて】


            ――――銀狼シルバーサイスッ!!!』


【――それは、先のシルバーキャット戦で自らが受けた一撃を真似たもの】
【端的に言えば超高速のハイキック。ちゆりの目ですら、蹴撃の軌跡は銀の弧にしか見えはしない】
【無論、軌道そのものを見切ることは出来るが――とてつもない速さなのは、改めて。】

【そしてこの一撃に、銀狼は全てを賭けていた。全体重、全体力を込めた右足に】
【己のバランスを保つために不可欠な尻尾すらも巻きつけた、正真正銘極めの一撃】

【果たして―――その一撃が、巫女を捉えるかは分からない。けれどひとつ言えるのは】
【このカウンターのようなハイキックが当たったなら、退魔の一撃は相対的に狙いから外れるだろうし】
【逆に外れたなら、銀狼が晒すのは全力の隙。狙いを外すことは、先ず有り得ない――そういう事だった】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 04:08:34.17 ID:YMHy6CRI0
>>578
「其れは人とて同じ事。人から鬼や天狗の妖になる事は在れど――――妖が人間へと変化した事は、私の知る限りでは事例の無い事
私も天鬼を名乗り、様々な妖を見て来ました…………だから、貴女が誇るように私も誇りましょう。其れでも人間であって良かった――――と」

【――――巫女の蹴りも、人間からすれば相当に早い部類に分けられるだろうか】
【然れど、銀狼の方がその数倍も速い筈。ならば――――巫女の蹴りが入る前に、銀狼のハイキックが側頭へと当たる事であろう】
【状況を理解するのには、少しの時間を要した。確かに何か見えはした…………が、反応出来るまでには至らない】
【強烈な一撃を頭部へ受けたとなれば、最早立つ事も出来なくなるであろう】

【ならば――――残された最後の一撃。立つ事は疎か、四肢を動かすことだってままならない】
【そんな手で組んだ印は――――溶けた氷。即ち水を、もう一度冷凍するという物】
【最早5本を飛ばす力は無い。二本。たった二本だけの槍を作り、水たまりから放つ】


【背後という死角。しかしながら術者本人が弱っている為に、速度だって最初の其れと比べたら大幅に落ちている】
【更には抉ると言うよりも、叩き付けるに等しい位に鋭さも失せていて】

【避けたならば、或いは耐えたならば、後は巫女に何かをするだけの力は無い。終了を告げる鐘と司会者の音声とが割り込むはず】
【頭部への強い打撃――――そして多くの出血が、もう立つ事も許さない故に】
【――――終わりの時も近い。いずれにせよ、白黒が着けられる瞬間でも在って】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/19(土) 04:24:15.21 ID:o30EnZ9yo
>>579

【己の蹴りが先――銀狼にとっては、ソレが何よりの幸いだった】
【仮にちゆりの退魔の札が叩きこまれていれば、自らが妖怪である以上】
【それは致命的なダメージとなりうるからだ。だからこそ――油断も生まれる】

【――蹴りを相手に打ち込んで、すれ違いざまにたたらを踏んで動きを止めた】
【僅かに数秒であるけれども、動けない。それ程神経を集中させた一撃だった】

【その時が経ち、相手はどうなったかと振り向いた瞬間――氷の一本が肩を掠め】
【次に走る衝撃は腹部からだ。見れば、冷えきった豪槍が腹を強かに打ち込んでいて】
【ちょうどそこは先にちゆりが肘鉄を叩き込んだ位置。二度の強打に、またも息ができなくなり】

ッ……か、はっ…。まさか、最後の最後で尚も術を使うとは、のう……!
流石に、歴史ある櫻で長く名を残すだけはある……これが天鬼≠ゥっ…!!

【自らを掻き抱くようにして倒れ込む――ここで、疲労が大挙して押し寄せる】
【身の痛みを抑えるために利用した気の術も、恒久的に使えるわけではない】
【時が経てばこのように反動が来る。少しずつ、銀狼の意識が薄れ始め】

【――それでも、今度こそとばかりに顔だけをあげて巫女を見る】
【相手が動くのか、否か。或いは審判を見ていたのかもしれないが――】
【槍が飛来してからおよそ10秒足らず。銀狼は、それだけの時間しか意識を繋ぎ止めることは出来ず―――】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 04:52:01.25 ID:YMHy6CRI0
>>580
【動かない――――否、動けない。意識は確かに在れど、身体を動かすことは出来ないのだから】
【つまりは、続行不可。アナウンスが告げる勝者の名は――――長尾銀狼であって】
【わっと湧き上がる歓声。拍手やら指笛やらと、実に賑やかとなって、勝者を讃える声も大きく聞こえるであろう】
【…………其れから少し後の事。やっと四肢が動くようになり、フラリとしながらも銀狼の側へと歩み寄る巫女の姿】


「…………コレでも一応は天鬼を名乗る長女ですからね
……さて、銀狼。聞こえているかは分かりませんが…………どちらにせよ、その足で歩くことは難しいでしょう
…………勝者の花道です。医務まで送っていきますよ」

【確かに敗北はしたが――――全力を出し切った故に悔いは無い。その証として、能面だった顔には“笑み”が浮かんでいる事だろう】
【既に気を失っているかも分からない銀狼へと声を掛けたならば、身体を背負うことか】
【式神に持ってこさせたのは幾らかの治癒の力を込めた札。己と銀狼とに張り付ければ、そのまま歩み出して】
【…………何かを思いついた様に、背に居るであろう妖へと語りかける】


「…………所で、思ったのですが……銀狼ならば、“ぎんぎん”の呼び名はどうでしょう
……嗚呼、嫌であれば、ながしっぽのぎんぎんでも…………まあ、その話はまた今度にしましょうか
そうですね…………次に会うならば、もっと平和な場所で――――」

【血の繋がりが無くとも流石姉妹か。安易な渾名を――恐らく―― 一人呟けば、確認を取るかのように語りかけてみたりするけれど】
【――――返事が無くたって、何処か満足そうにして。やがては背負ったまま会場を後にする事か】


【………………無論、其れ等は銀狼を背負うことが出来たら、の話】
【申し出を断られたならば、きっと救護が来るまでその場で痛みを和らげていたであろう】

【準決勝 勝者:長尾銀狼】

/っと、この辺りでしょうか……!
/お相手、有り難う御座いました!お疲れ様でありましたですよー!
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/19(土) 05:07:05.69 ID:o30EnZ9yo
>>581

【何か、馬鹿に大きな音が聞こえる―――銀狼の記憶で残っているのはその程度】
【ふつりと意識が途切れると、妖狼はうつ伏せに舞台へ身体を投げ出して】

【―――後は、ちゆりや医療班になされるがまま。白銀の毛並みは薄汚れ】
【寝顔、とも言いがたい血みどろの表情も、誠に勝者とは言いがたい】
【なにより、当人がそれに気付いていないのだから――実に、不思議な状況だ】

【さて、銀狼を背負ったとなれば、その意外すぎるほどの軽さに驚くだろうか】
【寧ろ重さを感じさせるのは長すぎて引きずることになるその尻尾位なもの】
【成程、確かに人の形をしてはいるが、体重は大狼のそれと同じままらしい】
【ただ、体温が高かった。これは、血を失いつつあるちゆりには良い事かもしれず】

【また何処かで聞いたような渾名の提案があれば、これも返事は無いけれども】
【ひょこり、と。その獣の耳が動いたのは、偶然にしては随分とタイミングが良かった、とか】


【―――やがて会場を後にする二人。場内の歓声は試合開始時と同じかそれ以上】
【賛辞の声、喜びの声、応援の声――数ある言葉がその背に送られていたのだが】
【その内容は、決して一人に対してではなく。櫻らしい平等で公正な試合そのものに送られる、最高の声援であった――。】

/こちらこそ、こんな時間までお付き合いいただき有難うございましたっ!お疲れ様でしたー!
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/19(土) 12:50:12.51 ID:UXEX5KCr0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 廃ビル屋上】

……遅かった、か……

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年が】
【内外を接続するドアの前に立ちつくし、やりきれない表情で、正面の淀んだ空を見つめていた】
【屋上の縁の部分には、真新しいリュックが1つ目立つ様に置かれていて――――そばには、どこにも通じない足跡が残っている】

……依頼失敗、久しぶりだね……とりあえず前金はもらっているから良いものの……
なんと言って報告したものか……

【そばの壁に寄りかかり、憂鬱なため息を1つ吐き出す青年】
【どんよりと曇った空は、何食わぬ顔をして地上を見下ろしている。まるで青年の心情を映す様に】



【――――所変わって、水の国 パーキングエリア】

――――っふぁー! ……久しぶりの遠出も、悪くはねぇな……!

【灰色のセーターの上から、黒のごつい厚手のベストを装着し、両腰に金属製と思われる黒塗りのトンファーをぶら下げている】
【さらさらした短めの銀髪と、やや不格好なレベルで大きいサングラスが印象的な】
【どこか威嚇的で近寄りがたい雰囲気を宿している、身長180cm前後の青年が】
【そばの自販機で買って来たらしい清涼飲料水の缶を豪快に煽り、清々しい表情で飲み下している】
【青年のそばには、真っ赤なスポーツカーが悠々と止められており、青年は上機嫌でそのボディを撫でる】

天気が良くねぇのはちぃっと残念だが……道が空いてるのはありがたいぜ……!
ここからは、少しのんびり行くとするか……!

【ごく普通の昼下がりと言う事もあってか、特段混雑する事もなく軽快な交通状況であり、人が少ない訳ではないが、そう多くもない状況だった】
【そんな道路状況を、青年は上機嫌そうに見やりつつ、ジュースの缶を傾けていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

/14時まで受け付けますー
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/19(土) 13:51:02.71 ID:uqQ2RAVio
>>583

―――お兄さん、飛び降りるの?
「―――お兄さん、死ぬの?」

【活気など、とうの昔に失せてしまったであろう廃ビル】
【そんな場所には不似合いな、子供の声が二つ】

死ぬんだったらその体ちょうだい?
「飛び降りないでその体ちょうだい?」

飛び降りたら、使えなくなっちゃうから
「飛び降りたら、潰れちゃうから」

【ドアの内側、暗がりに立つのは二つの小さな影】

【レースやフリルにあしらわれた華美な黒の洋服、スカートはいくらか膨らんで】
【そこから覗く脚を隠すように、膝の上まで黒の編み上げブーツが伸びている】
【白く長いストレートの髪に、快晴の空の様に澄んだ水色の瞳で】
【黒のフリルをあしらった、濃いピンクのフリルパラソルを手に持っているのが、その内の一人】

【もう一人は同じ様なスタイルの、真っ白な洋服で】
【脚を包むブーツの純白もまた、光の当たらぬ闇の中にはよく映える】
【長いストレートの髪は黒く、鮮血のような紅い眼を真っ直ぐ彼に向けている】

【その言葉にも様子にも、一切の悪意は見えない】
【寧ろどこか機械的な、無機質さを感じさせるような二人組で―――】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/19(土) 14:09:02.05 ID:UXEX5KCr0
>>584

…………っ、誰だ……!?

【壁にもたれかかり、ぼんやりと何をするでもなく過ごしていた青年の耳に、耳慣れない声が聞こえてくる】
【何が起こったのか。身体を起こして青年は、声のする方へと視線を向ける】

……ッ…………なんだ、これは…………

【紡がれる言葉は、尋常なものではない。幼い子供の声音に思えるが――――その内容は、到底子供の口にする言葉ではない】
【単に奇怪な言葉と言うだけならまだしも、2人揃っての統一された、それでいて意志薄弱なものを感じさせる言葉】
【――――尋常ならざる事態だと考えるのは、無理からぬ事だろう】

……残念だが、飛び降りたのは手前じゃない……
それに……そうそう簡単に身体をあげられるなんて事、ないだろうに…………?

【チラリと、縁に置かれたリュックをもう一度見やりながら、青年は2歩ほど後ろに下がってドアの裏の2人に相対する】
【この場合、害意を警戒するなと言う方が無理な話だ。何らかの目的で、穏やかではない何かを成そうとしているのだろう】
【特にこの時代、見た目や年頃など、ほとんどアテにならないものだ――――経験的に、青年はそれを知っている】

……生きた人間が欲しいなら、他を当たるんだね……手前は、間に合ってる……!

【別に正義感を振り飾るつもりはないが、青年とてそれを黙認する様な心算はない。だが、今はそれを言えるかどうか、微妙な状況だ】
【何らかの力を、この2人が帯びていないとも限らない。その場合、まず心配すべきは自分の身と言う事になる】
【そっと左手の杖に力を込めながら、青年はドアに隠れる2人をじっと見据える】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/19(土) 14:32:50.54 ID:bxmVX+rLo
>>585

なーんだ、死なないんだ
「死なないのかぁ」

『それじゃあ……』

【がっかりした様な言葉とは裏腹に、その口調は平坦極まりなく】
【そして二つの声が重なって、次の瞬間】

『殺してあげよっか』

【―――爆音と共に、ドアが吹き飛ぶ】
【ドアがあった場所のその向こう、未だ暗がりには“黒”の影が一つ】
【手にしたパラソルを鉄砲のように構え、その先端を彼へと向ける】

【一方、明後日の方向に飛んでいくドアの影から飛び出したのは“白”の影】
【こちらは無手のようだが、油断はならない】
【武器を使わずに大規模な殺戮を行える者だって、多くはないにせよ確かにいるのだから】

――生きた人間が欲しいんじゃないよ
「使える死体が欲しいだけ」

「お兄さんの体、丈夫そうだからね」
持って帰れば喜んでもらえると思うんだ

【先程までとは少し違い、今度は一方の言葉をもう一方が継ぐ形】
【しかしどちらにせよ、不気味で、不自然な事に変わりはなく】

【“白”が彼と“黒”との間、少しズレた位置に着地し、彼をしっかりと見据える】
【その姿は発する声相応の、未だ幼さの残る子供の外見ではあるが……】


【―――上空を漂う雲が、次第に黒くなっていく】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/19(土) 14:47:42.23 ID:UXEX5KCr0
>>586

ッ!!
(やはり、そう言う事か……!)

【吹き飛ぶドアには目もくれず、真っすぐにその奥を見つめる。懸念した通り、害意を向けてくる存在だったのだ】
【その心構えが出来ていた事が功を奏し、不意を打たれて面食らうと言う事態は回避できた。青年は杖を構えて、状況の把握に努める】

……1対2か……少し、厳しいな……ッ

【3人の地点を結べば、歪なVの字が描かれる。そんな位置関係に立って、青年は微かに表情を苦くさせた】
【手の内は分からないが、ここから脱出するのはそう簡単には行きそうもない。空を飛ぶ事は青年には難しくはないのだが、追撃の手が追ってくるだろう】
【――――背中を見せるよりも、撃退した方が現実的な対応と、そう言わなければならないだろう】

……別に生きる事に拘泥はしない。だが、まだ死ぬつもりはない……!

【要するに、この子供たちは損傷の少ない死体を欲している。そしてその為に、自分を『そう』してしまおうと考えているのだろう】
【――――生きる事、命に何かを望んでいる訳ではないが、それでも積極的に死を望んでいる訳ではない】
【他人の悪意に身をゆだねる事を、青年は望まなかった】

(……ビルから飛び降りるだけの隙さえ稼げれば……その為にも、攻撃の手は緩めない……!)
――――スーレル(光)・ジャン(放射)・イム(怒り)・ビン(レベル2)……『マジックレーザー』!

【さりとて、積極的に戦闘に向かう心算も薄い。数の不利がある以上、真っ向からの対決は危険な行為としか言えなかった】
【なら、どうするか――――痛手を加えて、追撃を振り切れるだけの状態を作り上げ、その上で離脱する】
【確実とは言い難いが、それが一番の最適解であるはずだ】

【その為に、青年は杖を翳して、口中でスペルを紡ぎ上げ、魔術を行使する】
【杖の先端から、眩い光のビームが放たれる。狙いは真っすぐに“黒”の子供】
【何らかの遠距離攻撃手段を持っているらしい佇まいに、優先して攻撃を向けたのだろう】
【さほどの威力ではないが、直撃すれば痛手となるのは確実な程度の魔力が込められた白い光が、“黒”の子供へと伸びていく】

(……ペアと言う事は、こっちの“白”は近接型か……どう来る……!?)

【残存魔力 23/25】
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/19(土) 15:14:20.48 ID:a3/sntAso
>>587

確かに1対2だけど、僕達は二人で一つ
「私達は二人で一人前」

『だから実質的には1対1だよ』

【結論から言えば、彼の推測は正解であった】
【放たれたビームを迎え撃つように、パラソルの先端部から光の弾―恐らくは魔翌力―が撃ちだされる】
【勿論、ただの弾丸である筈もなく、ビームにぶつかった瞬間に炸裂】
【然程大きくはないながらも爆風が巻き起こり、ガラスの破片等が降るが大きなダメージとはいかなかった様子】

あんまりプシーにばっかり集中しちゃいけないよ?
僕だってちゃんといるんだから

【そんな間にも、“白”に動きが生じていた】
【空に翳した右の掌目掛け、上空の黒雲から雷が奔る】
【直撃―――したはずなのだが、感電はおろか掌が焦げた様子もなく】
【ただ代わりに、その掌中に漆黒の、身の丈程もあろうかという両刃の大鎌が握られていた】

―――行こうか、プシー
「行きましょうか、クシー」

【走って彼との距離を詰めれば、“白”はその鎌を真っ直ぐに振り下ろす】
【雷撃を纏った刃、直接触れれば軽い電撃を受ける事となろう】

【そして一方の“黒”は、尚もその位置を変えず、魔翌力の弾丸を彼の腹部を狙って発射】
【今度のものは、実弾と殆ど同じ性質のもの。違うとすれば抵抗による減速がないことだが】
【この距離では大した違いは無いと考えても問題はないだろう】
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/19(土) 15:42:30.97 ID:UXEX5KCr0
>>588

……一個の存在を、2つに割られた様なものか……!

【先ほどからの、奇妙な同調している言動、そして今のこの物言い。青年は苦みの中に鋭く口走る】
【それでも、数の優位を活かされると辛いものがあるのは間違いない。この『1人』をどう相手取るべきか、考えていかなければならないだろう】

――――忘れるものかッ!

【一方に集中し過ぎてもう一方に付け入られるなど、滑稽も良い所だろう】
【青年も、“白”を忘れていた訳ではなかった。ただ、射撃を見舞われる事を警戒して“黒”を優先しただけの事である】
【光を放ち終えた杖を改めて構え直し、より接近している“白”へと向き直る】

(……電気……! ……魔力をこうも早く消費していくのは不味いけど、今の状況では選択の余地は……ッ!)

【“白”の手に形成される鎌を見据えて、青年は表情を強張らせる。このまま斬撃と砲撃を許してしまえば、後は相手の成すがままになってしまうからだ】
【ともあれ、相手のペースを崩さなければならない。青年は、咄嗟の判断をどこまで正確に組み上げられるか、不安を抱えつつも、反射的な行動に身をゆだねた】

――――スーオー(闇)・エル(集積)・イム(怒り)・ザン(レベル3)……『マイクロブラックホール』!

【ともあれ、アドバンテージを活かして攻めてくる相手と戦うには、自らもアドバンテージを活かさなければならない】
【即ち、身に秘めている魔術による、多彩な状況対応力。それを用いてこそ、この場合の勝機が見えてくると言う事だ】
【すぐさま、次の術式を発動させる青年。すると、“黒”の子供と二者との間に、黒い力場が形成される】
【同時に、吸い込まれるように、周辺の全てへと力場から力が作用される。文字通り、強力な吸引力だ】
【放たれた魔力弾すらも、その力によって減速させられ、更に射線を上方向に捻じ曲げられるだろう。逸らされた魔力弾は、明後日の方向へと飛び去っていく】
【――――力場に吸いこまれたガラス片が、バラバラに解けていくのを見る限り、相当に強力なエネルギーが、周辺に働いているのだろう】

っく……はぁッ!!

【同時に――――迫りくる“白”の刃に、青年は身を捻りつつ、杖の先端を突き立てる様にして繰り出す。さながら、レイピアで敵を刺し貫く様に】
【そうした使用を想定しているのだろう。杖の先端は何らかの材質を以って鋭く尖らされており、刺されれば貫通する事も考えられる】
【だが、何より重要なのは――――魔術師然とした姿ながら、その身の動作が素早くこなれたものと言う事だろうか】
【剣術として成立していると言えるほどの、自然かつ素早い動きで、鎌を避けざまに突きを見舞って見せたのだから】

(……しまった、ちょっとかすっただけでコレか……!)

【だが、振り下ろされた鎌は完全に避け切る事が叶わず、コートの一部を切り裂いて、身体を掠めていた】
【普通の刃物なら、その程度は問題にはならなかったのだろうが、帯びられた電撃が不味かった】
【掠めただけにも関わらず、筋肉が突っ張る様な違和感が身体に走る。それが、一瞬の隙を作ってしまっていた】
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/19(土) 16:24:39.08 ID:YUGsQ4VRo
>>589

「私達は完成品じゃない」
僕達は途中段階の試験作に過ぎない

―――だから、半人前
「だから二人で一人前」

【“試験作”や“完成品”、並べられる不穏な言葉は、彼等の裏に潜む“何か”を暗示する】
【しかし、それ以上は語らない。まだ明かすべき時ではないから】

―――――っ!
思ったより速いね……お兄さん

【回避と共に放たれた突き――動きはわかったが予想外の速さに対応が追い付かず】
【その先端が“白”の細い左上腕に突き刺さり、貫通する】

【しかし、突き刺した杖から伝わる感触に、一つの不自然を覚えるだろう】
【子供の細い腕であるというのに、まるで鍛え上げた大人の腕であるかのように、筋肉が杖をくわえ込んでいるのだ】

「……うまく使えるかな」
「でも、やってみるしかないよね」

【一方、“黒”の構えたパラソルの先に大きな光の塊が生じ、力場へと放たれる】
【それはまるでビームのよう、しかし時間は極めて短い時間】
【そしてその魔力に込めた性質は、初めに防御として用いたものと同じ―――乃ち炸裂】
【力場内部から思い切り炸裂させ、力場を破壊してしまうつもりである】
【強烈な一撃であるが故、未だ制御しきれていない様子で、“黒”は反動で動きを取れないでいる】

―――これじゃ左腕、使えないね
「……使えないなら、落としていいんじゃないかな?」
じゃ、落とそうか

【言葉による短いやり取りを経て、次の瞬間、“白”は突然自らの左腕を肩付近から切り落とした】
【そこには躊躇いもなく、まるで当然の行動であるかのようで】
【――故に次の行動に移るのも早く、横から薙ぐようにして鎌による斬撃が振るわれる】
【言うまでもなく、刃はやはり、雷撃を纏っていて】

【ただ、左腕を落とした事によるバランスの変化から、斬撃を放った後に姿勢が崩れてしまう】
【“黒”も体勢を立て直しきれていない今、この瞬間は好機と言えるか】
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/19(土) 16:49:36.91 ID:UXEX5KCr0
>>590

……その歪さ、やはり誰かの『作品』と言う事なのか……!
……その事実を、肯定できるなら……羨ましい話でもあるね……ッ!

【自己をハッキリと認識し、そしてその事実を肯定していると思しき言葉。それでなくてはこうも滔々と明かす事などないだろう】
【もっとも、あるいはそうした情緒を持ち合わせていない存在とも取る事が出来るのかもしれないが――――】
【ともあれ、その事実は一面ではおぞましく、また一面では羨ましくもあった】
【――――どうしようもない心の陰りを抱えている青年にとって、異常な自らに対して何も思わないと言うのは、一面において憧憬を抱かざるを得なかったのだ】

…………っ、なんだ、この感触……!?

【確かに杖は突き抜けた。その感触そのものは手に馴染んだ、今さら嫌悪感など抱くほどでもないものだった】
【問題なのは、その質感――――外見とは、明らかに異なる手からの感触】
【調整兵器と言う事を考えれば、それほど不自然でもないのだが、それでもその一瞬はどうしても違和感をぬぐい切れない】

……っ、ぐぅッ!!

【その違和感をぬぐい去るためにだろうか。青年は力を込めて“白”に突き刺さった先端を引き抜く】
【それだけではなく、先ほど身体に走った電撃の為に、力が入りづらくなっていた事もあるのかもしれないが――――】

……ぁッ!? 『マイクロブラックホール』が――――!?

【本来、展開された力場は、一定の時間その場に留まり続ける『持続型』の魔術だった】
【しかし、打ち込まれて内側から炸裂された魔力は、その力場を崩壊させ、切り裂いてしまう】
【飛び散った魔力の残滓は、力場の名残と言える闇を散らし、飛び散った闇は床や壁を一部抉り取りながら、縮小し消滅する】
【――――狙いである力場の無力化は、確かに成功したと言えるだろうか】

ッ…………
(我執がほとんどない……流石に試作兵器と言うだけはある訳か……!)

【自分の腕を斬り落とす――――尋常に考えれば、それは異常な行動である事に異論はないだろう】
【青年も、一瞬驚きに目を見張るが、先ほどからの言葉を思い返せば、理由は自然と思い当たる。その驚きも、ほんの一瞬の印象に過ぎなかった】
【それよりも、問題は電撃を伴った攻撃を、尚も“白”が放ってくる事にある。無論、片腕で振り回すものを保持し続けるのは限度がある事は理解できるが――――】

グ――――あァッは……ッ!!

【横薙ぎに振り抜かれた刃は、青年の腹部を真一文字に切り裂いて。コートもろとも斬りつけられた一閃から、ダラダラと血が滴る】
【同時に、身体を駆け抜ける電撃のショック。青年の身体は、カクンとその場に折れ曲がり、前のめりに倒れそうになって】

……とっておきだよ……味わうと良い……ッ
――――レル(風)・サン(拡散)・イム(怒り)・ギル(レベル4)……『ドラゴンストーム』!!

【ガチッと杖を床に突き立てて、それで身体を支えながら、青年は魔術を行使する。とっておきと称した一撃を放つ為に】
【その瞬間――――周囲に滅茶苦茶な風が荒れ狂い、同時に風が生み出す不可視の刃が乱舞する。まるで坩堝の様に】
【まるで、龍の羽ばたきが生み出す強烈な風の様なそれは、屋上全体を支配し、2人の子供の両方を巻き込んで撃ちつけようとする】
【強烈な風で行動力を奪い、そこに幾つもの刃を飛来させ――――更に、風による射撃や伝導の阻害すらも起こさせる】
【『場』そのものに対する攻撃の様なその術は、不利な状況から一度に2人を行動不能に落とさんとする、青年の起死回生の一発だったのだろう】

【残存魔力 16/25】
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/10/19(土) 17:36:16.99 ID:1rm7zWpko
>>591

「羨ましい……?可笑しな人だね、お兄さん」
肯定しようと否定しようと現実は変わらないんだから、どっちでも同じじゃないかな?

【己の不足を、歪みを肯定するという事も、二人にとっては特別な意味はない】
【だから彼の言葉を理解することなど到底不可能で】

――プシー、こっち来れる?
「もう大丈夫、すぐに行く」

【大きな攻撃の予兆を感じ取ったのか、“白”が“黒”を呼ぶ】
【やっと立ち上がった“黒”は、驚異的な身軽さで一気に“白”の元へと駆けていく】

【“白”が鎌を上空へ放り投げれば、鎌は再び雷に姿を変え、雲の中へと“落ちて”いく】
【更に“黒”はパラソルを開き、二人の頭上に差して先端に魔力を溜めていく】

いくよ?
「いこうか」

『―――――豪雷瀑布!!』

【雲に消えた雷はやがて、更なる雷と共に、パラソル目掛けて降り注ぐ】
【しかし雷が触れる直前に、パラソル先端から魔力のビームが放たれて】
【その性質は“貫通”。雷の束を引き裂き突き進み】
【そして裂けた雷撃はパラソルを伝い、壁の様に二人の周りを流れ落ちる】

【雷撃の壁は烈しい風の刃とぶつかり、お互いを消し合っていき】
【やがて雷鳴が収まる頃には風の刃も止んでいることだろう】

くっ……防ぎきれなかった……
「だけど、初めてにしては上出来、多分」

【けれど、完全に防御しきる、というわけにはいかなかったようで、二人共体に傷を作って】
【それでも致命に至るものは一つもないだろう―――と言ってもこの二人に一般的な人間の常識が通じるかはわからないが】

……腕も直してもらわないといけないし、そろそろ帰ろうか
「体は貰えなかったけどデータ収集はできたし、帰ろうか」
「これだけ映像データがあれば機関のデータベースにも役立つかもしれないし」

【言うと、“黒”が落ちていた腕を拾い上げ、二人は近くのビルへと飛び移って遠くへ消えていくだろう】

【しかし、言葉から察するに彼等は機関の者。これで大人しくなることは決してないだろう……】




/こんなもんでしょーか!お疲れ様でしたー
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/19(土) 17:41:25.47 ID:UXEX5KCr0
>>592
/すみません、2時間ほど離席します。締めの文章はその後に落とします
/では、乙でしたー!
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/19(土) 18:57:50.11 ID:4hHrTTMk0
【夜の国――ミクタム研究所跡】

【ほぼ瓦礫しかないここに二人組みの存在がいる】
【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【そして左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【見える人物にはみえるであろう】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そして隣には甲冑をきており、顔に面頬をつけている男がいる】

『それでマスターなぜこのような場所に』
たんなる興味だよ花嵐
このような場所には何かあるかもしれんしな

【白衣の男は隣にいる男――花嵐に言う】
【その言葉に花嵐はため息をつく】

『またですか、マスター、研究をほっぱりだして』
仕方ないだろう、新しいアイデアが思いつかないんだし
ま、気分転換というやつだ

【するとまた花嵐がため息をつく】
【だが男はそのようなことを無視し、瓦礫の中を調べはじめる】

【このような場所に人が来たらこの二人組みの男が目に入るだろう】

/予約ありです
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/19(土) 19:07:53.29 ID:QOiT9rl4o
>>594
「――――その探索。私も協力させてもらって良いか?
邪魔をする積りは毛頭ないが――、少々ここが気になっているものでね」

【唐突。無色の風が吹いた――風の後に現れたのは――一人の女、少女と言って良い幼さのそれ】
【風で長い白髪が踊り、それによってあらわとなった右耳に踊るのは逆六芒星の紋が刻まれた琥珀のピアス】
【瞳の色彩も同じく琥珀色で、目の下には分厚い隈。肉体は極めて細身で、肌の色は蒼白と言って良いほど色白い】
【服装は、白いブラウスに、白いスカート。その上に白衣を羽織っているという白ずくめの格好で、手につけている手袋すら白だった】
【そんな少女は、肉体にハンデを抱えているのか、近未来的フォルムの車椅子に座し、低い駆動音を響かせながら二人の方へと移動していく】

【――白と琥珀の女の存在は、先程まで確かに存在していなかった。ならば、何時此処に来たのか? ――分からない】
【ただ一つだけ言えるのは、この少女からは全くとして、敵意、悪意、殺気の類を発していないということ】
【少なくとも今時点であれば、よっぽどのことが無い限り危険に見舞われることもないだろう】
【そも――互いにカノッサ機関に属するならば、闘う理由などまず存在しないのだから】

「……邪魔だな。先に進むというのならば私がどけよう。
下がっていてくれるかね?」

【瓦礫の山を眺めすがめつして、少女は瓦礫の山の前に移動し、二人に下がるように促す】
【もし二人が下がったならば、地面を回路のような紋様が駆け抜けていき、瓦礫の山に伝播】
【程なくして瓦礫の山は退く#、だ。まるで意志や生命を持っているかのように、回路の浮かんだ瓦礫は崩れ滑りながら道を開いていくのである】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/19(土) 19:24:02.47 ID:4hHrTTMk0
>>595

『マスター』
 うん、どうした花嵐

【瓦礫の中を調べていた男に花嵐が話しかける】
【どうやら先に少女にきずいたようだ】
【そして男が後ろを向き少女の言葉に聞き】

 ふむ、なるほどまあかまいませんよ

【男はあっさりとその要請にうなずく】
【機関の証が見えたためだろう、隣の花嵐も黙っている】

(うーん、しっかしどこかで見たことあるようなないような)

【男はそう思う、なんかなにかで見たことがある容姿だからであろう】
【少女が下がってくれという言葉にあっさりと従い後ろへと下がる】

 でも、どうするのだね、このような瓦礫をどか…す…

【最初の部分は疑問に満ちていたが少女が力を使うと後半から驚いたのか声が出てきていなかった】
【花嵐は無言で隣にいるが】
【そして、どんどん目がキラキラしてきたように見える】

 ちょっと聞いていいかい、今の能力は何かな!、それとも魔術かな!
 どちらでもいいか、とりあえず今のは何をどうしたのかね!!

【若干興奮気味である、隣にいる花嵐はまたかと思い、嘆息する】

 ああそういえば、名前を言っていなかったね
 私の名前はソロモン、隣にいるのは花嵐だアンドロイドである

【男――ソロモンはそのように自分の名前を名乗るであろう】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/19(土) 19:35:35.22 ID:QOiT9rl4o
>>596
【数秒もすれば、奥への道が開かれていき――もはや瓦礫は道を封鎖することは無かった】
【一種異様とも言える光景は、この少女の手によって起こされた現象。あまりにも非常識な光景だ】

「私は語らない。手の内をべらべらと語るのは、そうする事で利点が生じるときに限定されるべきだ。
気になるというのならば、君も学者なのだろう。思索し、検証する事で答えを出すべきだろう。
それに――何時か分かる、かもしれん」

【当たりにびっしりと展開された回路のような模様は、次第に薄まっていき、消えていく】
【興奮した様子を隠しきれない相手を前にして、琥珀色の瞳を僅かにすがめ口を開けば、拒否の返答】
【幾ら同じ組織に属する者だとしても、そう易易と己の持つカードを見せる事はしない】

「エインセル・アンバライト=Eゼラズニイ。見ての通りカノッサ機関に属する六罪王だ。
――有るものは、アンバーブラッド≠ニ私を呼ぶこともあるな。なにはともあれ、よろしく。ソロモン、花嵐」

【ソロモンに自己紹介されると、少女もまた淡々とではあるが、己の名前を名乗っていく】
【その名前は――現在五つの座が埋まっている六罪王の中の一柱を意味する名前――アンバーブラッド=z
【名は体を表すのか、その琥珀色の瞳は無機質に澄みきり、静かな光を湛えていた】

「会話をするのも良いが、先に進もう。廃棄された際の爆風で大半が鉄くずとなっているようではあるが――出物があるやもしれん。
私の確認した資料が確かであれば――、まだ幾らか無事なものが或るはずだからな。地下へ向かおう」

【車椅子を駆動させながら、障害物一つ無い道を悠然と移動していくエインセル】
【ついてこようがこまいが、振り返ること無く女はそのまま先に進んでいくことだろう】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/19(土) 19:36:39.84 ID:UXEX5KCr0
>>592

……そうさ、それが本当さ……
……それだけで終われば、どれだけ心は楽か……!

【現実にコミットするのは、ごく当たり前の事である。どこかで折り合いをつけて、人は生きていかなければならないのだから】
【しかし――――心や感情と言うものは、そう上手く行くものではない。ままならない思いを抱いて、途方に暮れるのもまた、人間なのだ】

――――!?

【そのまま、腹部の傷を抱えて、上空に逃れる2人を見上げる青年】
【雷と風とがぶつかりあい、全てが鎮まる様を、ただ黙って見ている事しか出来なかった】

…………機関の人間だったのか…………どうも、その因縁を避けるのは、容易ならない事らしいね……ッ

【去り際の言葉が耳に突き刺さる。これまで自身とは関わりの無い存在と言えた機関だが、直接交戦をしてデータまで取られた】
【もし目をつけられるような事でもあれば、もはや無関係ではいられなくなってしまうだろう】
【青年にとっては、あまり歓迎できる事態ではなかった。もっともそれは、多くの尋常な人間に言える事かもしれないが】

……ぐっ……!
……あいつに無茶するな、なんて言ってるけど……手前も、人の事は言えないな……!

【立ち去っていく2人を見送りながら、腹部の傷の痛みに呻く青年】
【今すぐ命に関わる傷と言う事も出ないが、軽視出来る様な軽傷という訳でもない。早く処置を済ませるに越した事はなく】
【フラフラと傷を持て余しながら、ビルのドアから室内へと去っていく】
【――――後には、飛び降り自殺をした人物のリュックだけが、残されていた】

/遅くなりましたが、改めて乙でしたー!
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/19(土) 19:47:49.62 ID:4hHrTTMk0
>>597

 ちぇ、知りたかったなあ
『マスター、貴方も研究者なんだから自分でやりなさいよ、録画しておきましたし』
 はあ、まあそうするしかないかあ

【拒否の反応にソロモンは残念そうにする、そして花嵐が言う、いつもの光景である】
【そして少女が自分のことを六罪王と名乗ったとき花嵐は驚愕したように見える】
【だがソロモンはそんなにびっくりはしていない】

 ああそういや、写真で見たことあったなあ、新しい六罪王
『マスター!』
 なんだね花嵐、別段驚くようなことでもあるまい
『いやいやいや、普通に大なり小なり驚くはずでしょう!』
 そういうものかあ
 ま、カノッサに安定するのなら歓迎するものだが

【そう言って、ソロモンは悠然と移動するエインセルについていく】
【そして花嵐も付いてく】

 何が見つかるかなあ
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/19(土) 19:50:08.19 ID:QOiT9rl4o
>>599
/*ごめんなさい、少し遅れますー!*/
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/19(土) 19:52:09.70 ID:4hHrTTMk0
>>600
/了解しました、ごゆっくり
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/19(土) 20:13:36.15 ID:QOiT9rl4o
>>599
「六罪王と言っても、私の戦闘力などは君たちが思うより遥かに低い。
それに、なんだ。まだ六罪王としては新米――大した人材ではないよ、私はな。
そして安定など――望んでいない。革新のみが唯一にたどり着く術と確信している故に。
――カノッサ機関は、今だからこそ、大きく動かなければならないんだ」

【車椅子で移動しながら、淡々と言葉を紡いでいくエインセル。言動から分かる通り、基本的に奢らないタイプだ】
【しかしながら、外見や雰囲気とは違い、予想外に行動派のようであり、ソロモンの安定を求める発言には否を返した】
【前を向いたまま、ゆっくりと言葉を紡いでいく姿からはその意図などは感じづらい】
【だがしかし、その瞳に宿る、正体の知れない意志力の強さだけは――何よりも確かなものであった】

【二人分の靴音と、一人分の駆動音。それが廃墟とかした研究所を移動する】
【そして、地下まで辿り着けば――大きな門が有り、そこだけは破壊を免れているようだった】
【門に近づこうとし――また能力を発動させようとしたエインセルだが、直後衝撃音】

『――侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります。
侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります。
侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります。
侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります。侵入者検知。直ちに排除に移ります』

「厄介だな。ソロモン、花嵐。5分間私を守ってくれ、5分有れば十分だ」

【打ち捨てられてなお、どうやら生き残っていた部分が存在していたようで。ここのセキュリティはまだ盤石であった】
【眼前には、凡そ3m級の警備ロボット。その両腕はガトリングとなっており、逆関節の脚部にはマグネットフィールドの展開機構が装備】
【天井からぶら下がった状態で、エインセルたち3人に狙いを付けて立っていた】

【放たれた銃弾はというと、いつの間にか虚空に琥珀色の防壁が浮かんでおり、それが三人を守っていた】

【ソロモン達が行動を始めたならば防壁を解除し、同じように回路をまた展開し、門や部屋中に張り巡らせていくだろう】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/19(土) 20:47:31.64 ID:4hHrTTMk0
>>602

 うおお、すごいなあ
『マスター!、術を』
 へいへい、んじゃやろうか

【そう言って二人は行動を開始した】
【まず最初にソロモンが何枚かの魔方陣を書かれた紙を取り出し魔翌力をいれる】
【そして、床に当てるするとソロモンとエインセルを守るように壁が展開される】

 さて、これでしばらくは安全かな
 じゃ、そっち頼んだ
『簡単に言ってくれますね』

【そう言いつつも、花嵐は天井にぶら下がっている警備ロボットに突っ込む】
【すると警備ロボは花嵐に向けガトリングを発射する】
【花嵐は回避したり刀で弾いたりしながらどうやって近ずくか思考する】
【そして思考し終わった後大声で】

『マスター!』
 はいはい

【そう言い新たに何枚かの紙を取り出し、魔翌力をいれ先ほど作ったのと違う壁につける】
【すると、壁が一直線に警備ロボットに向かい、直撃する】
【まだこれでも壊れずに動けるだろうが】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 20:52:53.94 ID:tZfaQGVRo
【水の国・喫茶店】

「音楽、っていうものは人の感情に直接鳴り響く――」
「それは時として、人の心を潤して感動を与えたりするものだと……私はそう思うのだけれど」

【金髪に赤紫色の瞳の少女は、ただ静かに語らいだ】
【真っ赤なダージリンの深い香りを堪能しつつ、誰に対して向けるでもなく】

【黒いゴシックドレス――人々の憩いの場である此処では却って目立ってすらいる】
【待ち合わせ――彼女の様子を見る限りでは、そのようだ】

「弱っている時にこそより破壊的で、より重々しい音楽に惹かれる感情は――いったいなんなのかしら」
「これもこっちの世界に来てから刺激ばかり求めるようになってしまったせいかもね」

「――にしても、そろそろ到着する頃だと思うけれど…」


//ごめんなさい、予約ありです…
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/19(土) 20:59:19.56 ID:QOiT9rl4o
>>603
【ガトリングの、乱射連射乱射。性格に狙いをつけて放たれる鉛球の乱舞】
【防壁が軋みを上げているが、エインセルは目を瞑ったまま微動だにしない。恐怖を感じていないのだろう】
【天井をマグネットフィールドで闊歩しながら攻撃を繰り返していたロボット】
【だがしかし――ソロモンの射出した壁に直撃し、そのまま轟音を立てて落下する。鉄くずとなりさがるか】

【瓦礫の山が、突如爆砕。関節部からオイルを吹き出させつつも、ロボットはその腕をソロモンにつきつけた】
【高所での戦闘を想定して作られていたためか、それともマグネットフィールドを用いて衝撃を殺したのか】
【理由はともかく、このロボット、極めて高い耐久力を誇っているようで。まだ壊れきってはいなかった】 【だが】

『――タダチに、排除に――写り……ま』

「――――十分だ。コントロール奪取完了、停止、開門」

【直後、ロボットの全身に回路が浮かび、動作が停止。轟音を立ててロボットは地面へと崩れ落ちる】
【また、巨大な門扉も同じように轟音を立てながらゆっくりと開いていく】
【能力の詳細は分からないが、エインセルの能力の応用性は――極めて高いようだ】

「……往くぞ」

【なんてことのない態度で、女はそのままロボットの脇を通り車椅子を駆動させる】
【たどり着いた先――門の向こうには、いくつかのカノッサ機関が残した兵器類が残っていた】
【そして、奥の奥に残っていたのは、何かの機関部といったような外見の巨大な機械。それを見上げて、少女は】

「……これか。埃を被っては居るが有用では有るな。
ソロモン。私はこれを持っていく、他のものはお前の好きにすると良い」

【手を伸ばして機械に触れ、僅かの検分を済ませた後に、他のものについてはソロモンに譲ると発現するのだった】
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 21:09:50.64 ID:n50fnhleo
>>604
【喫茶店の中にはジャズが流れていて、ピアノの音色がお客たちを魅了している】
【その音に紛れ、邪魔にならないように扉が開く】

【中へと入ってきたのは、青色のパーカーに藍色のズボンを着た青年】
【その腰には赤黒く光る剣を携えていた】

【青年は店の中にいる客を見渡して―――目的の人を見つけると、そちらへと歩いていく】
【やがて、彼女の席に近づくと】

……悪い、待たせたな。**

【手を合わせながら、頭を下げて謝罪のポーズをした】
【ただ、彼女の名前は呼ばれない。その部分だけは、世界が消去したかのように、雑音が響く】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/19(土) 21:14:10.46 ID:4hHrTTMk0
>>605

 ふいー、なんというかすごいなあ
『マスター、ご無事で』
 ま、何とかねえだがあの能力にはますます興味がわくね

【ソロモンは花嵐に心配をよそにエインセルについていく】
【そして花嵐も付いていく】

『マスター、それを使えばよかったのでは』

【エインセルについているときに花嵐はブレスレットを指差しそう言った】

 うーん、まあ確かにでもまあいいじゃないか
 ああいうのが見れたし

【ソロモンはそう言い花嵐の言ったことにそう返した】
【そして奥に着いた】

 ほお、こんなにあるものか

【ソロモンはそう感嘆しながら言う】
【そして少女の言葉を聴き】

 なるほど、貴方はそれがほしいと
 ま、一般の構成員である自分がとやかく言えたものではないですねえ
 まあ、これとこれでいいですか、花嵐
『荷物もちにするのはやめてくれませんかねえ』

【そう言いつつも指示された回収する兵器を花嵐は拾っていく】

 しっかしまあ、何かの機関部のようですねえ
 なにかまたことを起こすので
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 21:20:43.44 ID:tZfaQGVRo
>>606
「いえいえ、気にしないでいいのよ」
「紅茶(ダージリン)を飲みながら音楽(ジャズ)に耳を傾ける――これはこれで至福の一時だったわ」

【そう言葉では言ったものの、すこしばかり表情が緩んでしまうのはどうにもできない】
【平たく言えば、うれしいのかもしれない――胸が高鳴ってドキドキが止まらない】

【いつになっても、この感情にだけは慣れる事はない】

「貴方も、ドリンクでも注文する?」
「ここまで来るのに結構歩いたんじゃないかしら?」

「しっかし、久しく感じるわね……こうやってゆっくり話し合う機会って」
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/19(土) 21:25:58.36 ID:QOiT9rl4o
>>607
【手を機関部に振れさせながら、目を静かに瞑り――意識を一瞬集中させる】
【数秒の間に機関部にはびっしりと回路模様が浮かび上がり、次の瞬間】

「――――目的達成」

【琥珀色の光に包まれて、巨大な機関部は虚空へと消え去っていった】
【コンピュータのコントロールを奪取したかと思えば、今回のように巨大な構造体を瞬間移動させたりする】
【行っていることの一つ一つは他の能力者にもできることではあるが、女のそれは底がわからないそれ】
【六罪王に居るという事は、なんらかの理由がなければそう有れない筈。その理由が、この力なのかもしれない】

「戦争を。君にも参加してもらうことになるかもしれないがね。
水の国。水没都市アヴェロニア。――そこで開幕の狼煙を上げる、覚えておくと良い」

【そう言うと、少女は車椅子を旋回させ、そのまま部屋を去っていこうとする】
【去り際に少女は後ろを僅かに振り返り、口を動かす】

「理念が、誇りが。きっとこの先には試される。覚悟をしておけ、花嵐、ソロモン」

【その言葉を残すと、少女の周囲に琥珀色の霧がまとわりついていき――霧から光が僅かに漏れて】
【次の瞬間には、霧と共に少女の姿も消えていたのだった】

/*明日国家試験ですので、ここらへんでお暇させていただきますー、お疲れ様でしたー!*/
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 21:31:10.27 ID:43ejqDUL0
【水の国、大会会場付近―――路地裏。】

【数有る換気扇から、淀んだ空気が漏れ出して行く。人の熱気や酒、煙草……あらゆる"臭い"を持ち合わせた其れだ。】
【頼れるのは、月の光、そして隙間から差し込む街の明かりだけ。―――随分と、薄暗い。】
【大通りとは、小さなビル1つ、隔てているだけなのだ。其れ故、行き交う人々のガヤガヤとした賑わいは、十分に聞こえて来る。】
【相容れない、視覚と聴覚。此の2者が同時に存在する場所こそが、此の路地裏であって―――。】

【そんな"辺鄙な"場所に、とある一人の少女が佇んでいた。】

【謎のエンブレムがプリントされた黒い軍帽子に、クリスタルの様に澄んだ碧色の背中まで伸びたロングヘアー。】
【ターコイズが嵌め込まれたかの様な蒼い眼、赤縁のメガネを耳にかけて。 】
【着丈の短いブラックジャケットは、真っ白な身体の真ん中、おヘソを強調する。】
【下に履いているのは黒のショートパンツ。黒とピンクのアーガイル柄のニーハイソックスも、 】
【黒の中に映えるアクセントカラー、白いベルトも。全体的に"パンク系"を連想させる服装だった。】

【明暗関係なく見える眼が有るなら、或いは其の影を良く注視したなら。腹を抱えて、声を殺しつつ嗤っている姿が目に映るだろうか。】
【彼女の眼の前には、文字通り"氷漬けのおっさん"が居る。状況から考えて、彼女が犯人であると云う発想するのが普通だ。】

【"氷漬けのおっさん"は魚の様な顔をしながら、忙しなく腹を動かして居た。どうやら、呼吸は出来ているらしく。】
【然し其の姿にも飽きたのなら、彼女はスッと表情を変えるのだ。其の侭、その場を立ち去る事だろう。】
【走って逃げ出した訳では無い。其れ故、声を掛ける猶予は、十二分に有る筈だが―――?】



【所変わって、風の国、エルジオ―――夜の広場】

【首都に位置する、国内最大を誇る広場だけあって。夜にも関わらず其の賑いは失う事は無く、】
【会社帰りのサラリーマン達やら、或いはデートに来たカップルやら―――やたら多くの人で溢れ返っていた。】

【其の活気を見越してか、アイスにホットドッグ、ポップコーン……兎に角、多くの露店が並び。】
【前情報無しに訪れた人なら、お祭りが在っているのでは無いか、なんて思わせる程であって―――。】


【然しそんな広場でさえも、秋めいた哀愁を漂わせる物は存在する物。】
【つまり其れは、夕焼けの深い色に染まった紅葉、そして大きな実を付け金色に輝く銀杏達―――。】

【広場を取り囲む様にして並んでいた木々は、―――もう、過ぎ去ってしまったのだろう。】
【必死に、必死にしがみ付いていたのだが。辺りに吹き渡る心地良い風にさえ勝てず、】
【ヒラヒラと人知れず最後の"粋"を見せつけ、―――やがて地面に同化して行く。】


【何方かと言えば、後者に融和していたのが、広場の端のベンチに腰掛ける一人の少年。】

【少し短めの艶やかな黒髪に、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【無地のグレー色のフードが付いたパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツ。】
【少しフレームの太い黒縁のメガネに、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われていた。】

【こんな身形を少年は、其の露店で買ったのであろうフランクフルトを片手に、】
【真っ赤なスマートフォンらしき何か物を操作―――否、厳密に言うなら、操作されていた。】

【何やら難しい顔をしつつも、時折『あっ、』と苦虫を噛み潰した様な表情を見せて。】
【其のぎこちない親指の動きからも―――『機械音痴なんだろう、』と云う想像は、其処まで飛躍した物では無い。】

【さて、少年の持つスマートフォンの、其の流線型で工学的なデザインから―――】
【其の存在、特徴を知る者なら、其れは"W-Phone"だと、真っ先に気づく事になるが―――?】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 21:31:41.26 ID:n50fnhleo
>>608
ああ。慌てて来たから、お茶の一杯でも欲しくて欲しくて……

【彼女の気持ちに気づいた様子も無く、青年は胸に手を当てて息をつく】
【その行動から、待ち合わせから遅れたことに慌てていたようだ】

【そして、彼女の確認を取ることも無く、青年は隣へと座る】
【その場所が定位置であるかのように、何気なく腰を下ろして】

んーっと……紅茶の種類がズラリと並んでるな。

【青年はメニューを取って、悩ましげに視線をうろつかせていた】
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/19(土) 21:31:59.47 ID:4hHrTTMk0
>>609

【エインセルがさり二人だけが残った】

ふーん、また騒乱か
『どうするので』
 ま、参加するだろう
 ナンバーズへの昇格も狙えるかもしれないしね
 君にもそのときは働いてもらうよ
『御意』

【そう言って地上に歩いていく】
【地上に着き9

 あ、そうだ
 こうしておこう

【そしてまた何枚かの紙を取り出し、地面に当てる】
【すると大量に壁が大量に大きな音とともに入り口などがふさがれるだろう】
【そして二人は去っていく】

/お疲れ様でした
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/19(土) 21:34:56.08 ID:6IG3JppFo

んン〜ふっふっふ〜。いけませんねぇ、いけませんよぉ〜!

【暗闇に響く、ねちっこくて、喧しくて、嫌な気分を生み出す声が、ビルの谷間に反響して夜の世界にやたらめったら跳ね返る】
【痛々しい呻き声を惨たらしく踏み潰して、狂気の月光に照らされる、禍々しいその姿が】
【複数の機関員達の死屍累々の中に立つ、虫の息の一人を踏み付ける枯木じみた男の姿】

たっま〜にいるんですよね〜、機関員を辞めるとか言って情報を自警団とかに流そうとするおバカさんが!こ〜のおバカさんめ!!
お口チャックで黙っていれば私めも黙っていましたのに!あぁなんと嘆かわしいのですか貴方方は!?

【濃い紫色のカンフー服を着た、長く細い色白の体躯で。黒い髪は真ん中以外剃り落とし残りを後ろに撫で付けて辮髪としている】
【口元にニタニタとした笑みを浮かべ、《No.109》と書かれたバンドで両目を覆った男だ。頭を這い回る百足の刺青と額の逆五芒星の刺青が彼の在り方を表している】

ンだぁかぁら!!貴方方のようなおバカさんの為に私めがいるんですよ!
お分かりですか?お分かりですかぁ〜?

…はいっ!お返事はっ!?

【呻く事しか出来無い機関員を踏み付けながら、狂気的なまでに語り掛ける男は、しかし臨んだ返事を返さない機関員の頭を蹴りつける】
【ボールのように跳ねた頭部を再び踏み付けて、男は大袈裟に溜息をついた】

はぁぁ〜〜っあ!お返事は元気にとお母様に習わなかったのですか?私、同僚がこんな礼儀知らずで残念無念の極まりですよ
さて、と…助けが来るのを祈りますか?おとなしく死にますか?

まあ貴方は死にますよ、当然ですけどねぇ〜!!

【男の声は、奥まった路地裏に大きく響く。それくらいの大声だ】
【果たして、こんな異常に首を突っ込む物好きはいるのだろうか?】
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 21:43:39.78 ID:tZfaQGVRo
>>611
「やっぱり、大事な用事の時くらいゆっくりすればいいのに……変わらないのね」
「はしたないけれど、そういった部分は……その、嫌いじゃないわ」

「とりあえず、私のオススメは――…」

【彼の視線の先にあるメニューへと、そっと指を伸ばす】
【普段だったら、無難にダージリンと答えたかも知れない――けれど、なんだかそれでは物足りなかった】

【喉が渇いているなら飲みやすくて、それに疲れているだろうから甘いものの方がきっと疲れも取れるだろう】
【そう思って彼女は自然と、その項目を白く細いその指で示した】

「んー、マスカットティー……かしら…」

「すこし好き嫌いはでるかも知れないけれど、これが私のオススメ」
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 21:57:05.79 ID:n50fnhleo
>>614
昔から、慌しいのは慣れてるつもりだよ。
……**との待ち合わせならば、尚更の事だ。

【軽く微笑みを浮かべつつも、彼女の意図を読んで青年は頷く】
【そして、流れている音楽の邪魔にならないように、手を上げて店員を呼ぶ】


【注文の後、青年は流れる音楽に耳を傾けながらも、少女へと視線を向ける】

久しぶり、**。お互い健康で何より

【青年から出る言葉は、一部だけがノイズとなって、意味の持たない音となる】
【それはまるで、この世界に存在する事が、“異端”であるかのようで―――】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 22:10:07.52 ID:tZfaQGVRo
>>615
「それはそうなんだけどね…」
「けれど、貴方はもうちょっと自分の体を心配した方がいいわ」

【素直に「あなたが心配」だと言えないのは、余計な心配を掛けたくない複雑な心】
【それでも、彼女は彼の事を信じている――少なくとも、ちょっと無茶したくらいで倒れるヒトではないと】

【だから、彼女は小さく「ムリはしないでね?」――と、そう付け足した】

「貴方こそ、体の方は健康そのものみたいでよかったわ…」
「尤も、お互いそんな簡単に倒れるタイプでないしそこまで不安なわけでもないのだけれど…」

(このノイズ……なんだかイヤな感じね…)

617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 22:25:16.07 ID:n50fnhleo
>>616
そんな心配される程、柔な身体はしてないよ。
***も調べないといけないし、まだまだ旅を続けて、様々な場所を巡りたい。
……ぶっ倒れている暇が無い、と言った方が正しいのかもしれないな。

【快活な笑みを浮かべながらも、青年は彼女にそっと手を伸ばして、頭を撫でようとする】
【心配してくれた彼女に対する、青年なりの感謝の気持ちを込めた行為だったりするのだが】
【それを口に出さないのは、野暮なのか鈍感なのか】

【しかしノイズは、名前や現象等に被さるように響く】
【雑音は、耳に届いても意味が無い。存在しない、存在を認めないと言わんばかりに】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/10/19(土) 22:27:53.30 ID:TOZMVG+0o
【路地裏――】
【表から隠れた場所ということもあり、犯罪や社会からあぶれたもの共の温床となっているこの場所に】
【――ある、一人の人物が居た】

「…………」


【それは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「……こっちのほうが、おいしい」

【しゃがみこんで何かをぼりぼりと貪っている様子の彼――さて、目の前には荒らされたゴミ箱】
【そして、明らかに腐敗した何かを浴びた身体――となれば、何を食べているかは想像がつくだろうか】

【その顔に生気はなく、明らかに"病的"】 【……路地裏の"一般的な危ない人"とは別ベクトルで危なそうな人物だが、はたして】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 22:32:56.64 ID:YMHy6CRI0

【路地裏――――様々な厄介事が起きる其処。今宵もまた、諍いが生じて】
【其処に立つのは一人の男と…………その場にそぐわない様な、一人の少女】
【一切の乱れなく軍服を着こなしている様子は性格を連想させる様でもあって、藍色の髪の上にはキッチリと制帽が被されて居た】
【片目は眼帯で覆われており、所謂隻眼。そのもう片目で男を睨み付ければ―――――少女は、動いて】


「ナイフを取り出したとなれば、少し手荒になるであります
流石に命までは取らないでありますが…………顎の骨程度は覚悟、して欲しいでありますッ!!」

【少女の腕には自警団の腕章。ともなれば、問題を起こした人物を掴まえる場面で在ろうか】
【男も負けじとナイフを振るうのだが――――それよりも数瞬速く、少女の拳が男の顎を右から左に打ち抜いた】
【倒れるものかと踏ん張る所に、今度は下から打ち上げる様に、足を大きく振り上げて】
【――――グシャリ。なんて音。悲鳴と似ても似つかない不気味な呻き声を漏らしながら、男も後ろへと倒れ】


「あちゃ…………少しやり過ぎたでありますか…………?
ま、まあ。少なくとも命に別状は無いから大丈夫でありますね」

【慌てて具合を確かめれば…………何ともまあ、悲惨な状態。顎がだらりと垂れて、ちゃんとした形を成していないのだから】
【それでも命には関わらないと分かれば、乾いた笑いと共に自分に言い聞かせるのだけれど】
【さて、少女が男を伸した場面。この場に訪れるのは同僚か路地裏の住人か――――或いは、騒ぎを聞き付けた物好きか】








【小鳥の囀りも、虫の鳴く音も消えた森の中】
【――――漂うのは、複数の妖気。どれもが弱々しいのだけれど、その中で一つだけ確かに存在する謂わば異質】


「あほう共が…………我も天狗では無い。力量差を考えろとは言わぬが…………少なくとも、己が退くべき時を定めておけ
全く…………矢鱈命を奪うのは好かないのじゃ。今宵は逃す故、再度同じ事はせぬ様にの」

【下級妖怪達を伏せたのは一人の少女。姿こそ人間の子供であるけれど、放つ気配は確かに妖怪特有の其れ】
【銀色の髪は月の光を鋭く反射させ、森だというのに纏った地味な着物には汚れが無い】
【――――抜かれた刃は業物と知るには十分な耀きを放っていて、それでいて鮮血は刀身に付着する事無く下げられた切っ先から滴っている】
【妖怪達の身体は斬られてはいるけれど、どれも致命傷には至らない。然れど、そのどれもが確実に筋を断つ寸前まで斬り付けていて】


「…………ふむ。行ったかや。あやつ等であれば明日明後日には傷も癒えていよう
しかし…………我が楽しみにしていたあっぷるぱいを食えなくするとは癪に障る輩達であったが……
………………まあ、良かろ。確かに実に不快ではあるが、殺す事では無い
そんな事よりも、代わりの飯を見つけねば―――――」

【ぐぅ――――間抜けな音が、その場に一つ。足元に落ち、土だらけとなったアップルパイを見る瞳は、何処か哀れにも思えるか】
【じっと見る表情は何処か悲しげであって、深い溜め息を吐いたならば近くの切り株へと腰を落とす】
【…………さて、この場に人が訪れたって何ら珍しくは無いであろう】
【妖気も漂い、更には“ぐぅ”の音。――――もし、誰かが訪れたならばふと視線をそちらへ向けるのだけれど】

620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 22:37:14.52 ID:tZfaQGVRo
>>617
「それとこれとは話が別……って言っても無駄よね…」
「お互い今が健やかであるのだし、結果的にはよしとしましょう」

「それに、したいこともしなくちゃいけない事も私たちには多すぎるってのは確かなのだから」
「しかしまぁ、ちょっっとだけ無頓着なのも相変わらずね…」

【彼の手が、そっと髪に触れる――心地がいい、なんだか安心する】
【この手だけはなにがあっても私を守ってくれる――彼女にとってはやけに暖かくて大きな手に思えた】

【耳障りな雑音は不快だが、彼は確かにこの場所に存在する】
【触れ合う、と言うのはつまりはそういうことだと彼女は思う】



「これから先、あなたはなにをしたい…?」
「色々な場所を巡るにしても、次の目標や目的が決まらないと、ね。」
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 22:54:05.48 ID:n50fnhleo
>>620
そうだな。今はする事が多い。でも、する事が多いのは楽しいよ。
今は様々なところで、色んなものが溢れてる。関わることは出来なくても、見に行きたい。

【店員が届いたお茶を飲むために、青年は撫でていた手を退かす】
【無頓着、という言葉は聞こえない振りをしていた。お茶を取るまでの目が泳いでいたのが、その証拠である】

【お茶を飲みながら、彼は視線を上に向けて、言葉を選んで―――】

まずは、**国かな。***や****たちに、会いに行かないと。
**、一緒に来てくれるかな?

【ノイズが、邪魔をする。言葉を届かなくする】
【けれど、彼女に伸ばしたもう1つの手は、明確にその意味を示していた】
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/19(土) 23:01:12.61 ID:q2h8yvvEo
>>619

……実力差が大きく離れた相手ならば拳より掌底の方が好ましい
―――何故なら威力は幾らか落ちるが拳を痛めるリスクを回避できるから
そして君程の実力ならばナイフをはたき落として拘束する穏便な手段も可能だったのではないか……と思われる

【冷静な声色と共に姿を現し、心地良い夜風に黒髪を流しながら言葉を連ねるは袴に薄藍のインバネスコートを羽織り、左腰に刀を佩いた男】
【その肩にはSCARLETの紋章、そして腕には彼女と同じ自警団の腕章。同業者の男はゆっくりと歩みを進めるのだが、その光景がまた奇妙で―――】
【……なんというか、全く頭も肩もぶれずに無音で近付くその姿がまるで夜を彷徨う幽霊の様で薄気味悪い】
【武芸者の歩みは静かだと言うが、余りにも静かすぎて不気味な程なのだ。―――其れ程の猛者の匂いを感じさせる、とも言えるかも知れなかったが】

……ああ、済まない。―――最近は実況の仕事で忙しい為だろうか、1つ1つの動きに対してコメントをしてしまう癖が出来つつあってだな……
―――取り敢えずご苦労様。……大会の時期は人も集まる為に荒くれ者も増える。自警団員が確り職務を全うすれば無事に大会を済ませる事が出来るだろう

【そのセリフは同じ自警団員としての言葉であった。現在は自警団員よりもSCARLETの一員としての活動が多いが、其れでも自警団員には変わりない】
【今の時期は特に気を抜いてはならない時期。大会を無事に終えることで自警団の落ちた信頼を取り戻せるかもしれないからだ】

……―――それにしても、速い一撃だった。……君が自警団員ならば、SCARLETに入らないか?
俺は中邑瑛月―――水の国自警団員にして現在はSCARLETとして活動している。そして今だけ大会の実況も一部担当している……
……大会だと、マーシャル・T・ロウという人物がまだ勝ち残っていた。……まぁ自警団、軍、警察から選抜した者達で構成されている為に甘い集団ではないことは保証しよう

【―――濡羽色の双眸は彼女の躍動感溢れる一撃を確りと捉えていた。……疾い、というのが素直な感想】
【優れた戦闘力を持つ人物が自警団の腕章を付けていたのを見て、「なぜ選抜されなかったのか」と思う程で―――】

/いたらお願いしますー!
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/19(土) 23:01:50.92 ID:6IG3JppFo
>>613
/まだ募集中
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 23:09:06.13 ID:tZfaQGVRo
>>621
「見に行きたい、ね…」
「貴方がそう言うのであれば、私はどこまでも添い遂げるわよ…」

「喩えそれが茨の道だとしても、ね…」

【髪に触れていた彼の手が離れてしまうのが、なんだか寂しく思える】
【けれど、ノイジーな彼の言葉――その断片を拾って彼女は解釈した】

「この土地は彼ら≠ニの思い出の土地でもあるのよね…」
「本当なら、もうちょっとだけゆっくりしていきたいところなのだけれど善は急げ――」

「用意ができたならすぐに向かいましょう――?」


【ゆっくりと、もう一本の彼の手を取った――それと同時に、椅子から立ち上がる】
【妖艶に、不敵に冷ややかに――赤紫の瞳――その視線は彼を射抜く】

【その目は「期待してる」と、そう言っているようで】

「私の体も心も、貴方に預けるわ――。」
「行きましょう、どこまでも……この旅が続く限り、ね。」

625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 23:23:36.15 ID:n50fnhleo
>>624
【彼女の目を見て、青年は瞠目する】
【その視線を――その表情を見たのは、いつだったか】

(久しぶりだな、この表情。やっぱり俺は)
【言葉にするのは野暮な気持ちを、改めて心に刻み付けて】

あぁ、行こうか。ゆっくりするのは、旅の途中でも出来るよ。
これからも時間はある。慌てず弛まず、色々な事をしよう。

【青年も席を立つと、静かに店を出て行こうと歩き】
【偶然か、店に流れていた音楽もジャズから切り替わる】

【バイオリンの音とピアノが奏でる、軽快な音楽】
【旅の行く末を祈るかのような演奏だった……】

//そろそろ閉じます。お疲れ様でしたー
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/19(土) 23:26:14.96 ID:YMHy6CRI0
>>622
「確かに掌底ならばストレートに衝撃を与えた上で顎を外す程度に済ませる事が出来るでありますが…………今回は、別であります
傷付けるならばまだしも、明らかな殺意を抱いてきたならば相応の罰を与えた上で拘束するであります
………………幸い、命に別状は無い様でありますし」

【その足運びは、確かに武を身に付けた其れ。然れど櫻の国に存在するものでも無い】
【――――場所も場所。故に明らかな警戒を浮かべた瞳が男性へと向けられるけれど…………】
【腕章の存在に気付いたならば、その色合いも薄くなるのだろう。構えを取るでも無く、軍刀に触れる訳でも無く】
【後ずさりする事も無ければ、敵意を抱いて居ないことは明らか。……近づいた故に、ボソリと呟かれた一言も聞こえるのかも知れないけれど】


「…………全くであります。これで恐らく…………えーっと…………ご、十五人目であります!
元の世界でも前戦に立っていたので、速さにはそれなりに――――……大会、でありますか?確かちゆ姉も参加していたような…………っとと、瑛月殿の名は知っているでありますよ
でも、何故その瑛月殿が此処に…………?」

【然りと自警団の仕事は終えたはず。一連の流れを見ていた自警団が此処を訪れたとなれば…………拘束した者の引き取りか、それとも何かの報告か】
【中邑瑛月。記憶が確かであれば――――と思考を始めた刹那に、紡がれて。同時に勧誘であると知れば、キョトンとした表情を浮かべるので在ろう】
【やがては迷った様な表情へ変わり、悩む其れへ移り、挙げ句の果てには眉間に皺を寄せて考え込んでしまって】
【むぅ、何て呻きをあげながら少しの間悩み続けるのだが――――ふと顔を上げれば、首を左右に振る事であろう】


「…………申し訳無いでありますが、私の一存では決められないでありますよ
ちゆ姉……ちゆり殿が許可をくれれば、考えるでありますが…………やはり、今此処では答えを出せないであります」

【それが、少女の答え。実に興味はあるのだけれど、今この場では答えが出せない】
【――――その姿。“元の世界”との言葉が本当ならば、其処でも軍人を務めて居たのであろうか】
【なれば、先程の体術は所謂軍隊で用いられるもの。そして、其れ故に懐かしい軍隊を思わせるSCARLETに興味はある――――が、やはり答えは自分一人では紡げないと】

/居りますよー!宜しくお願いしますであります!
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/19(土) 23:31:08.57 ID:tZfaQGVRo
>>625
「えぇ、続きはこれから先――長い道の途中で聞くとするわ」
「これから先、どれだけ長い旅になる事かしらね…?」

【彼女が歩むのは、彼の隣――彼と並んで歩ける幸せを噛み締めた】
【一時期は追いかけたり追いかけられたりした時期もあった】


「ヴァイオリンとピアノの音色――私たちの旅立ちを祝うみたいで素敵ね…」



「それじゃ、行きましょう――***…」


//はーい、おつかれですー
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/19(土) 23:56:27.73 ID:q2h8yvvEo
>>626

……確かにそうかも知れない。一度痛い目にあったという恐怖体験が再発防止にも役に立つのも解る。
―――でも顎を攻めたら相手から事情聴取する時に面倒なのでな……

【チラリと横たわる男に視線を送れば痛々しい光景に思わず眉を潜めた。それでもこの男は殺意を持っていたならばこんな酷い目に会っても仕方がないのだろう】
【―――その程度の覚悟が無ければ刃物を握るべきではないから。そもそも実力差に気付いてナイフを握る手を緩めない方が悪いのだと彼は思った】

……ちゆ姉―――というのは天鬼ちゆり選手の事か? ……彼女は3位入賞か―――素晴らしい実力を持った選手だと思う
惜しくも長尾銀狼選手に破れはしたが自由自在に術を操る姿や冷静な判断は正しく3位に入ったのが運ではない証拠。……本当ならば彼女も誘いたいくらいだ
―――そもそもこの大会はSCARLETのスカウトという目的もあるくらいだからな……おっと、コレは公表されてはいなかったんだった……

ああ、話を戻すと何故此処に来たか―――だな。…………「武」の匂いがしたから、かな。 あー、君は天鬼選手の妹なのかな……?

【自分と激戦を繰り広げた八攫選手を破った彼女―――天鬼ちゆり。……その名前に目を見開いて反応すれば、眼前の少女が彼女の妹なのかと尋ねる】
【もし妹ならば天鬼ちゆり選手もスカウトできて美味しい―――と考える矢先に、彼女は首を振った。……少しだけ表情に、残念さが映し出されて】

……ちゆり選手の許可が無いと君は動けないのか? 其れ程の上下関係……だとか。
―――君本人の想いはどうなのだ。もし彼女が君の好きにしろと言ったなら、どうする? 
……自警団員の時よりは明らかに貰える金額は増えるが、その分激務にもなるし危険もある。……民を護りたいと思うのならば、是非薦める。
―――君の実力があれば間違いなくSCARLETは一段と頼もしくなる……と、とにかく彼女の許可を取ってくれ。そして彼女にも入って欲しいと言う事も伝えて欲しい。

……勿論強制はしない。命を失う可能性は間違いなく上昇する。……こんなチンピラとは桁が違う猛者を相手にしなければならないのだから

【許可をくれないと―――という言葉に、一瞬ちゆりと彼女の間には物凄い上下関係があるのかと思った】
【……もしちゆりが許可をくれるのならば良いが、それでも本人に強い意志が無ければ意味が無い。……いやいや入ってもらっては此方が困るということだ】
【―――故に、彼女本人の意志を確かめる。「もしちゆりが好きにしろといった場合」という問いによって―――】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 00:01:51.74 ID:hdshTZND0
/>>610は依然募集中でございます!
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 00:19:05.43 ID:AxG4wmZi0
>>628
「普段はブラックホールの様な胃袋を持って居るちゆ姉から想像出来ないでありますが…………っと、この事は内密にお願いしたいであります
…………ふふ。瑛月殿もその見掛けに関わらず腹黒かったのでありますね。勿論、秘密にしておくでありますよ
―――私は、妹では無いであります。ただの部下……と言うでありますか、助けて貰ったのでただ後に着いているだけであります」

【大会を開いた狙いの一つを聞けば、小さな笑みを零した事だろう】
【堅実そうな姿でありながら、秘密裏にそんな事を行っていたなんて腹黒い人だ――――何処か、失礼にも聞こえるかもしれないけれど】
【口元を隠すようにして笑っては居たが、その感情も収まったならば何処か和らいでいる表情を向けて】


「…………お金だとか、闘うのが楽しいから。で私は自警団に入れて貰った訳では無いのであります
私達の異能は、人を傷付ける為では無く守る為の物だと考えて居るのでありますよ
…………そんな私達で危険になるのならば、一般の方々はその数倍も危険なのであります。故に、多くの人を守れるならば答えは“イエス”……でありますが
ですが、ちゆ姉の許可を貰わなければ動けないのも事実。…………ちゃんと、私の方から伝えさせて貰うでありますよ」

【恩人だからその後を着いていく――――とは、まあ義理堅い性格なのか】
【入りたいかと問われたならば、頷き一つで返すのだろう。しかしながら、その後にもちゃんと言葉は付け加えられて】
【――――怪我をしようと死の危険に晒されようと、それが己よりも弱い者を守る為ならば甘んじて受ける。ただの綺麗事で無いのは、一つだけ露出している藍色の瞳から分かる事】
【……ピン。と指を立てたならば、其れを男性に見せて】


「――――でも、瑛月殿。スカウトをする時は賄賂を渡しておくと成功しやすいと思うのでありますよ
私も一日勤務で疲れているでありますし…………甘い物が食べたいであります」

【微笑を浮かべての提案…………と言うよりか、お強請り】
【断ってしまっても良いし、本人もそう真剣に発した言葉でも無いので其れで機嫌が悪くなるという事も無いのであろう】
【――――さて、全ては男性次第であるけれど】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/20(日) 00:53:25.10 ID:xcxCxoTXo
>>630

―――……いや、俺が決めたことではないからな?
……取り敢えずちゆり選手が大食らいだと言う事はもし会ったら伝えておこう。「君から」聞いたとな

【―――本当は中止だった筈の大会が開かれたのはまさにこの目的があったからだ。……だが勿論自分が決定したわけではない】
【自分が腹黒いと思われるのは心外だったのか、刹那の速さで訂正を求める。そのお返しに多少の脅しをかけて……とは言っても、冗談めいたものだが】

―――……俺に異能は無いが、俺も本来能力と言うものは護る為にあるのだと思うな。……昔は勘違いをしていたが
だが今では専ら傷つける道具となっている。……最近ではGIFTという能力を振るい無能力者を虐げる奴等までいるのだから
―――兎に角言っておきたいのは、我々SCARLETは君のような考えを持っている人に来て欲しい……と言う事だ。

―――もし。……そんな事は無いと思うがちゆり選手が能力の使い方を間違えているのならば。……彼女へのスカウトは無かった話にしてくれ

【彼、中邑瑛月に異能は無い。左腰に佩いた刀と唯刃流と言う技術だけで今まで数々の敵と闘い此処まで生き延びてきた】
【―――寧ろ彼の流派は能力者に無能力者が対向する為に生み出された剣。……元々は能力者を敵とし、いかに両者のスペックの差を剣技で埋めるかが問われていた】
【……だが此処1,2年程で能力者に対する思想が変わった。……能力者全員が、その強き力に溺れる輩ではないことを知った】
【―――語っていない為にそんな過去を眼前に彼女が知る筈もないが、影を秘めた表情は何か特別な感情が有ったことだけを悟らせるか】

フ……フフフ。―――強かな性格はSCARLET向きだと思うな。……分かった。此処の近くに櫻の国風の団子屋があるのだが―――
其処の団子が絶品なのだ。……醤油の香ばしい香りが堪らなく良いからな―――……奢ろうか

―――と、その前に。……一応手錠をコイツにかけておかないと。―――ああ、コイツの引取りは呼んでおこう

【―――少しの間を置いて瑛月の笑い声が漏れ、その提案を受け入れた。瑛月は倒れる男に目を移せばスマートフォンを取り出し短く引き取りの自警団員を呼ぶ】
【……その後振り返り、ついてこいという軽い手招きの後に足を進めるだろう。―――店は案外近かったようで、直ぐに特徴的な櫻風の外見の店が見えてくる】
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 01:22:46.56 ID:AxG4wmZi0
>>631
「ちょ、ちょっと待って欲しいであります!嘘でありますよ!瑛月殿はお腹が真っ白だから告げ口だけは止めて欲しいであります!
また同じ事をされたら…………」

【慌てて訂正をして、更にはうっすらと涙を浮かべて身震いをする程に恐ろしい目に遭わされたのか】
【ブルブルと身体を震わせれば懇願の様にも思える言葉で正して、更には何度も念を押す始末】
【――――兎にも角にも、きっと男性が首を縦に振るまでは鬱陶しい位に続くはずで】


「そう言われると照れるでありますが…………
でも、もしも入れたら期待に添える様に頑張りたいと思うであります

――――ちゆ姉ならばきっと大丈夫でありますよ。目的は違くても、同じ様に守る為にごぎょーを使っているであります
えっと…………ヨーカイ、でありましたか。何だかその様な方達と人間とを守る為に使っていたみたいであります」

【ポリポリと頬を掻きながら感謝を述べたならば、序でに意気込みも語って】
【――――その上で、きっと大丈夫である。と付け加える事だろう】
【巫女。そして妖怪退治とは又異なった役割を持っている――――それ故に、大丈夫なのだと。根拠とも思えぬそれであるが……後ろを着く少女が言う分には、いくらかの説得力があるか】
【表情に、陰が差した事には気付いた。そして語る内容が人々の持つ異能に関する事だという事からも、其れ等に関係しているという事は容易に想像出来る】
【――――しかし、その先は憶測。家族を殺されたか、自らが異能を持つ切っ掛けとなった出来事か。または別な理由か…………まだ、少し話しただけ。だから、憶測だってどんどんと広がって】


【……其れを払うかのようにかぶりを振ったならば、その背を小走りで追う事だろう】
【やがて着いた店。パッと顔を輝かせ、喜びを隠す事も無く店の中へと入ったならば案内された席に着いて】
【メニューがあるならば楽しそうに何度か捲ってみるけれど、結局はその店で一番人気の品を訊ね、其れを注文する事だろう】


「瑛月殿の奢りだというので、遠慮無く頼んでしまいましたでありますが…………
――――それで、瑛月殿。昔はどの様な“勘違い”をしていたのでありますか?」

【茶を啜り、注文した品が来るまでの時間。どうせならば、気になった事も訪ねようとして】
【――――小首を捻れば、男性の抱いて居た“勘違い”を問うのだろう。この少女とは、今夜会ったばかり】
【語らなくたって、道理に適っている事ではあるけれど】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/20(日) 02:00:57.42 ID:xcxCxoTXo
>>632

あ、ああ解った……言わないから言わないから……というかそんなに怖い人物なのか彼女は

【想像を遥かに超える食いつきっぷりで嫌がる彼女に、困惑の表情を浮かべながら首を縦に振った】
【彼女に恩があるらしい眼前の少女。これは思ったより大分逆らえない様だ―――と言う事が、その動揺から見て取れた】

……まぁ、良い答えを期待―――いや、君にじゃなくてちゆり選手に期待だな
―――ちゆり選手の試合を見るからには、強い意志を感じた故に安心できるとは思うが
巫女……だったか? ……巫女という仕事は神聖ということも安心できる材料になる

【歩いて直ぐの団子屋、その暖簾を潜れば店主に軽く会釈をして。彼も彼女と同じ一番人気の品を頼むだろう―――先程説明した、醤油の香ばしい団子である】
【―――だが彼は席に着こうとしない。寧ろ反対で、頼んだのにも関わらず暖簾の外へと出てしまった。―――其れにも、勿論理由があって】

……おーい。 こういう店は外で食べるのが通なんだ。

【彼女が外に出たのなら、野点傘の下で緋毛氈の縁台に腰掛ける瑛月の姿。―――団子屋に来れば必ず彼は外で食べる。時代劇のシーンを真似しているのかは知らないが】
【直ぐに団子とお茶が届いたのなら、甘辛いタレと素朴な味が売りの団子を噛み締める。醤油の香りが鼻腔を擽り、満足そうな顔を浮かべながら茶を啜った】
【―――が、その顔も束の間。……彼女が踏み込んだ質問をすれば、またもや表情が憂いを帯びたものへと変わり】

―――我が流派、一刀正伝唯刃流は「無能力者が能力者を倒す為の剣術」。……代々能力者は悪と見られてきており、その思想が刷り込まれていた。
……―――だがその剣術を持ってしても圧倒的なスペックの差を埋めることは至難の業だった。
祖父は殺されたよ。……修行も何もしていない、唯の少女に。唯感情のままに生まれつき得た能力を振り回す少女に。
……唯刃流を更に優れた剣技へと発展させ、70年間もの時間をずっと剣術に費やしてきた男が。―――……悔しいじゃないか。

―――……我が流派をその瞬間全否定された様だったよ。―――祖父が弱かったから、なんて思わない。俺は祖父の剣技を見てきたからな
……まぁ、そんな理由で能力者が大嫌いだった。……全員が全員、己の力に酔った連中だと思い込んでいた。―――正義よりも打倒能力者に感情が傾いていた。
―――もう否定はさせないぞ、とな。―――それでも櫻の自警団から水の自警団に移って、様々な連中と出会い悪と闘い、能力者への黒い感情は薄まりつつ有るが

【調度良い温度の抹茶を時折喉に流し込んで、ゆっくりと言葉を紡ぐ。―――能力者と無能力者、その圧倒的な力の差。それが能力者への黒い感情を生み出していた】
【―――話し終えれば団子を思い切り噛み切って、彼女へと視線を移した】

……さて、此方が話したのだ。今更だが君の名前と―――そして、少し前の発言で気になったのだが……「元の世界」。
―――その発言について説明してもらおうか。……団子を食い終わるまでで良い

【―――前から少し引っかかっていた。「元の世界」と言う発言―――其れが妄言でなければ、彼女はこの世界の出身では無いということだが―――】
【……そんなことがあるのだろうか? 瑛月にはこの世界以外の世界など、存在しているとは思えなかった】
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 02:43:56.93 ID:AxG4wmZi0
>>633
【運ばれて来た団子。いざ食べようとすれば――――男性は暖簾を潜り、もう一度外へ】
【大きく開けていた口も閉じられて、疑問の表情を浮かべるのも数秒の間だけ。思惑も判明すれば茶と団子をと手にして、後を追うことだろう】
【軽い音を立てて同じ様に座ったならば、実に美味しそうに頬張りつつも耳はしっかりと質問に対する答えへと向けられて居て】


「…………ふふ。なら、もしかしたら私も瑛月殿に斬られていたのかもしれないでありますね
私の異能も、生まれながらにして持って居た訳では無いであります。だから、瑛月殿気持ちも分からないでも無いでありますよ

――――瑛月殿の祖父の事は…………お悔やみを申すであります
でも…………でも。私は他人であって、この言葉が失礼なのは自覚しているでありますが…………瑛月殿が全ての能力者が悪で無いと気付けたのならば、瑛月殿の代から思想を変えていけば良いのでありますよ
瑛月殿がどれ程交流したかは、分からない事でありますが…………その人達が嫌いで無ければ、尚の事であります
能力者を斬るための技術。それ程優れているならば、私怨では無く、やはり人の為に…………でありますよ」

【茶を啜ったならば、返す言葉。気付けたのならば、其れで良いのではないか――――と】
【無論、それは他人の言葉。歴史を持つ家系に対して軽々しく放つのは、失礼だという事は承知しているのだろう】
【だからこそ、申し訳なさそうな表情を浮かべる…………が、それでも伝えたかった事。やはり、全てが全て悪では無い故、思想も変えるべきではないだろうか。なんて言葉】

【やがて自分へと話題が向けられたならば、団子を食べていた手を止めて】


「――――そうでありますね。名はオラークル・スティンガー。皆には“クル”や“ステン”と呼ばれているでありますよ
……そして、此処から先はお伽噺とでも思って聞いて欲しいであります。櫻の国では、こうやっておやつを食べながら話を聞くような店が在ると聞いたので――――その、真似事でありますよ」

【もう一度茶を啜り、喉に付いていた甘タレを完全に流して】
【…………何処から話したものかと、ある程度思考を纏める事であろうか】


「…………常に争って、人々の苦しみが絶えなかった世界であります。戦争略奪何でもあって…………捕虜なんか、存在する筈も無い場所でありますよ
まあ…………簡単に言ってしまえば、唯一の悦楽が殺す事で、それ以外は全て苦痛でしかない様な場所であります
此処の様に、異能などがそう多い訳でも無かったでありますが…………それ故に、どの国でも沢山の人々が亡くなったのであります
――――やがて、異能の研究が進んで、適正さえあれば植え付ける事が出来る様になったであります
自国の人々を守る為で無く、他の国の人々を更に多く効率的に殺す為に。無論、そんな事の為に全ての適正者が諸手を挙げて施される事を望まないでありますから――――――」

【ただ争いだけがある様な世界。嘘か真か、作り話か否か。――――少女にしか分からない事、だけれど】
【少なくとも、全てが全て嘘で無い事は明確。片っぽだけの瞳が月を見上げ、直ぐに伏せられたけど――――思い出したかのように一気に団子を頬張って】


「んぐ…………お団子を食べ終わるまでの約束でありましたからね。もぐ……これ以上は内緒でありますよ
それに女性は多少ミステリアスの方が良いと本に書いてあったであります」

【ハムスターの様に頬を膨らませたならば、もぐもぐと咀嚼しながらもはしたなく喋って】
【――――話が真ならば、彼女もまたその適正者か何かであったのだろうか。或いは多くないとの発言から生粋の能力者の可能性も在るが…………】
【瑛月に話した、生まれながらにした持って居た訳でも無いという言葉。そして不意に言葉を切ったとなれば……あまり、良い思い出でも無いのだろう】


「まっ、お伽噺であります。この後はめでたしめでたしがお決まりなのでありますよ
さて、瑛月殿。ご馳走様であります。私もそろそろ巡回に戻らせて頂くのでありますよ
こうやってノンビリお茶を啜っている間にも、何処かで誰かが危険に晒されているかもしれないでありますからね」

【縁台から勢いよく飛び降りたならば、先程の様子も打って変わって微笑みを浮かべて】
【良く様になっている敬礼を見せたならば、お礼の言葉】
【――――別れの時も、直ぐに訪れる事であろう】
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/20(日) 03:14:54.05 ID:xcxCxoTXo
>>634

【瑛月はしばしの沈黙を生み出し、団子と彼女の言葉を噛み締める。―――ゆっくりと団子が喉を通れば、小さく頷いて】

……うむ。―――そうだな。……能力と言う物が人を護る為にあるのなら、我が剣も同じ。
そして能力もこの剣も私怨に使う事は間違い……な筈だ。新たな剣技だけではなく、思想も変える―――か。

―――ありがとう。ようやく呪縛から完全に解き放たれた気がする。

【浮かべたのは笑顔。スッキリしたような顔つきを彼女に見せれば、残りの団子を豪快に噛み千切りお茶で流し込む】
【―――呪縛とは何を意味するのだろうか。唯刃流という歴史? プライド? 責任感?―――恐らく其れ等が融合して彼を縛っていたのだろう】
【……溶けかけていたその鎖が、ようやく完全に姿を消した様な。―――やっと、剣を振るう理由を1つに絞れる。……護る為―――つまり、正義の為だった】

あまり略すのは好きじゃない、故にスティンガーと呼ぼう。―――……その世界、一歩間違えたこの世界の成れの果てに聞こえる。
―――かつてカノッサ六罪王に君臨していたコーネリアスという狂人の理想が「常に争い合う世界」だったか……
……兎に角、その世界にさせまいと我々が戦うしか無い。―――……其れだけだ。

―――ふむ、もうこんな時間か……団子は、スティンガーも食べ終わった様だな。
それではこの位にしておこう、しつこい男は嫌われると聞いたものでな……―――まぁ、良い返答を期待している

―――……っと。……あとちゆり選手に言っておいてくれ。―――魂を滾らせる良い試合を見せてもらったよ、とな。……それでは、また何処かで。

【彼女の言葉は完全に信じられるものではないが、解るのはその様な世界を作ってはならないと言う事。自警団もSCARLETも、その目的は変わらない】
【―――その為に、彼は彼女をスカウトしているのだ。より強固な「世界の盾」を形成する為に、正義の志を抱く猛者を集めなければならない】
【濡羽色の双眸の中に、静かに燃える正義の焔を一瞬だけ煌かせて。立ち上がり彼女の分のお代も払えば、男は最後の言葉を交わし去っていく】

【―――その立ち去る後姿も、相変わらず奇妙で。……本当に幽霊にしか見えない歩き方だった】

/ありがとうございましたー!
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 03:40:34.12 ID:AxG4wmZi0
>>635
「――――少しでも何かの助けになったならば、幸いでありますよ」

【人助けとは言え、何も腕力や知能が全てでは無い――――と考えて居るから】
【男性の言葉には嬉しそうに頷いて、少しでも気が楽になったのならば…………良かった。の一言を紡ぐのであろう】


「何時、答えを返せるかは分からないでありますが…………きっと、良い返事が出来る様に努力してみるであります
…………あの世界が此処で再現されないためならば、どんな努力でもしてみせるでありますよ」

【伝言については了解したと伝える様に頷き、短く挨拶を交わしたならば同じ様にその場から去るために足を動かして】
【――――何と無く触れたのは、自分の眼帯。ズラしてみたならば、確かにその下にもちゃんと目玉がある】
【在るのだが……瞳の色は銀で、更には難解な文字が浮かび上がっているというもの。なんともまあ……不気味ではあるが】


「…………人を殺める為の力であっても、同じ様に守る事にも使えるはずでありますよね
……きっと、そうでありますよね…………」

【魔力が漂う訳でも無い。霊力を帯びた訳でも無い。それでも、確かに其れが異能を使う鍵である様だが――――】
【ふと寂しげに笑ったならば、もう一度眼帯を着けて。もう見えなくなるであろう男性の背に大きく手を振れば、再び歩き出す】
【…………お団子屋の場所を覚えておき、今度みんなに伝えようと思ったのはまた別な話】

/お疲れ様でありましたー!
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 10:29:41.50 ID:hdshTZND0
【水の国、大会会場付近―――路地裏。】

【数有る換気扇から、淀んだ空気が漏れ出して行く。人の熱気や酒、煙草……あらゆる"臭い"を持ち合わせた其れだ。】
【頼れるのは、月の光、そして隙間から差し込む街の明かりだけ。―――随分と、薄暗い。】
【大通りとは、小さなビル1つ、隔てているだけなのだ。其れ故、行き交う人々のガヤガヤとした賑わいは、十分に聞こえて来る。】
【相容れない、視覚と聴覚。此の2者が同時に存在する場所こそが、此の路地裏であって―――。】

【そんな"辺鄙な"場所に、とある一人の少女が佇んでいた。】

【謎のエンブレムがプリントされた黒い軍帽子に、クリスタルの様に澄んだ碧色の背中まで伸びたロングヘアー。】
【ターコイズが嵌め込まれたかの様な蒼い眼、赤縁のメガネを耳にかけて。 】
【着丈の短いブラックジャケットは、真っ白な身体の真ん中、おヘソを強調する。】
【下に履いているのは黒のショートパンツ。黒とピンクのアーガイル柄のニーハイソックスも、 】
【黒の中に映えるアクセントカラー、白いベルトも。全体的に"パンク系"を連想させる服装だった。】

【明暗関係なく見える眼が有るなら、或いは其の影を良く注視したなら。腹を抱えて、声を殺しつつ嗤っている姿が目に映るだろうか。】
【彼女の眼の前には、文字通り"氷漬けのおっさん"が居る。状況から考えて、彼女が犯人であると云う発想するのが普通だ。】

【"氷漬けのおっさん"は魚の様な顔をしながら、忙しなく腹を動かして居た。どうやら、呼吸は出来ているらしく。】
【然し其の姿にも飽きたのなら、彼女はスッと表情を変えるのだ。其の侭、その場を立ち去る事だろう。】
【走って逃げ出した訳では無い。其れ故、声を掛ける猶予は、十二分に有る筈で―――。】



【所変わって、風の国、エルジオ―――夜の広場】

【首都に位置する、国内最大を誇る広場だけあって。夜にも関わらず其の賑いは失う事は無く、】
【会社帰りのサラリーマン達やら、或いはデートに来たカップルやら―――やたら多くの人で溢れ返っていた。】

【其の活気を見越してか、アイスにホットドッグ、ポップコーン……兎に角、多くの露店が並び。】
【前情報無しに訪れた人なら、お祭りが在っているのでは無いか、なんて思わせる程であって―――。】


【然しそんな広場でさえも、秋めいた哀愁を漂わせる物は存在する物。】
【つまり其れは、夕焼けの深い色に染まった紅葉、そして大きな実を付け金色に輝く銀杏達―――。】

【広場を取り囲む様にして並んでいた木々は、―――もう、過ぎ去ってしまったのだろう。】
【必死に、必死にしがみ付いていたのだが。辺りに吹き渡る心地良い風にさえ勝てず、】
【ヒラヒラと人知れず最後の"粋"を見せつけ、―――やがて地面に同化して行く。】


【何方かと言えば、後者に融和していたのが、広場の端のベンチに腰掛ける一人の少年。】

【少し短めの艶やかな黒髪に、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【無地のグレー色のフードが付いたパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツ。】
【少しフレームの太い黒縁のメガネに、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われていた。】

【こんな身形を少年は、其の露店で買ったのであろうフランクフルトを片手に、】
【真っ赤なスマートフォンらしき何か物を操作―――否、厳密に言うなら、操作されていた。】

【何やら難しい顔をしつつも、時折『あっ、』と苦虫を噛み潰した様な表情を見せて。】
【其のぎこちない親指の動きからも―――『機械音痴なんだろう、』と云う想像は、其処まで飛躍した物では無い。】

【さて、少年の持つスマートフォンの、其の流線型で工学的なデザインから―――】
【其の存在、特徴を知る者なら、其れは"W-Phone"だと、真っ先に気づく事になるが―――?】


/23時まで募集しております(震え声)
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 11:48:22.30 ID:lIqddwhQo
>>637
【水の国】
【光の裏には必ず影がある。 ……と、言う言葉は、誰でもよく聞く言葉だろう】
【数メートル先、走れば一瞬で到達できるような場所にある喜びや楽しさに満ちた賑やかな祭り、その存在がこの物寂しい空間の不気味さを一層引き立てている】
【――路地裏を歩く少女は、一人そんな風に考えていた】

「……そこのお前」

【氷漬けになった人物のもとを立ち去ろうとする少女に、低い女の声が投げかけられることだろう】
【それで少女が足を止めたり、もしくは早足にその場を立ち去ろうとするならば、声の主は少女の後を追いかけるだろう】
【声に反応して、少女が振り返ったならば――暗闇の中に、一人の少女の姿を確認できるだろう】

【青い運動着。 所謂、ジャージを身に着けていた少女。 容姿はまだ幼い】
【あまり面白味のない格好で、特徴的な服装をした少女に比べれば、かなり日常性の中にとどまった格好といえるかもしれない】
【特徴をあげるならば、左の腕が包帯で包まれているということと、女性にしては身長が170センチちかくあり、やや大柄だということがある】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 12:17:51.21 ID:hdshTZND0
>>638

―――………なに?

【未だ漏れ出す喧騒。其の中心を、未だあどけなさを持った一筋の声が貫いた。】
【振り返り眼に入ったのは、比較的大柄の女性。服装も相俟って、普通なら、少々"ビビる"だろうか。】
【然し此の少女は、決して臆する事無く。寧ろ紡がれた言葉は、丸で状況を嘲笑うかの様。随分と、余裕が有るらしい。】

【とは言うものの矢張り、彼女の低い声は、此の少女に対する敵意が、或いは正義に対する情熱を含んでいた。】
【厄介な人物と遭遇してしまった、と言う事になるだろう。つまり、此の少女の位置する立場は彼女と真逆である、という事―――。】


―――ああ、"コレ"の事?面白いでしょ、口パクパクさせちゃって。
なーんか、魚みたいで。ちょっと笑ってたの。でも、ただ、それだけよ。

……先に手を出したのは、私じゃない、"コレ"。
私はそう……正当防衛って奴。だから、"非"は私には無いの。
何なら、調べてみる?コレの指先に、私の服の繊維が、付着してるハズだけど………?


【弁明ついでに、経緯を掻い摘んで説明する。2人に何が起きたのかは、最後の言葉から察する事が出来るだろう。】
【彼女の言い分は最もであり、"コレ"も其の話に異論が有る様な素振りは見せない。】
【どうやら彼女は、被害者らしい―――尤も、今の状況からは想像し得ない事であるが。】
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 12:41:36.47 ID:hdshTZND0
>>638
/申し訳ない!ご飯食べてきますので、次のレス、少々遅れます!
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 12:49:13.65 ID:lIqddwhQo
>>639
【しばらくの間、少女の説明に黙って耳を傾けている】
【基本的には冷静な表情であったが、氷漬けになった男を"面白い"と表現したときには、深く眉を顰める姿も見せた】
【女性の言葉が一通り終わると、少女の方も口を開く】

「……正統防衛」
【女性の話すことや、路地裏という状況を考慮すれば――何が起こっていたのかは大体推測できる】
【ゆっくりと、そして深く頷くどこか重苦しい少女の様子は、自身も似たような体験があってのことだろう】

「だとしても……これはかなりやりすぎだろう。 自分の身を守るために、ここまでする必要はないだろう。
 行き過ぎた防衛は、過剰防衛になる。 先に手を出されたからって、何をしても許されると言うことでは無い」
【一度口を閉じ、腕を組んだまましばらくの間続く言葉を考えている】
【短く吐息を漏らした後、続ける言葉はシンプルな答えだ――】
「確かに、原因は男の方にあるのかもしれないが……攻撃を受けた男の姿を見て笑っているとは、お前にも悪意があったのではないか?」

「とりあえず、この男を治療するべきだ。 意識はあるらしいが……どうなるかわからん。
 そして、お前にそのつもりがあるならば……どうしてこの男がこんなことになったのか、それをお前の方から説明するべきだ」
【その気があるなら、ついてこいということらしい】
【行き先は自警団か、それに近い組織だろう】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 13:25:45.10 ID:hdshTZND0
>>641


―――あ、路地裏に誘ったの、私なのよね。言い忘れてた、けど。
『人の居ないトコでお願い……、』って手、引っ張ったらホイホイついてくんのよ。
で、このザマ。傑作よねー……!あー、また笑えてきた……。

【嘲笑う調子を失う事無く放つ言葉は、彼女の重く硬い雰囲気とは正に、対照的であった。】
【気が動転している、なんて様子でも無く。本当に被害に遭ったのか―――と、疑問に思わざるを得ない程。】


やり過ぎじゃ、無いんじゃない?ほら、凍死って"最も楽な死に方"らしいし。
……あ、でも、それ、20分で溶けるからさ。死なないかも……なーんだ、元気そうじゃん。

もうさ、治療とか。しなくていいから。こんな奴、長い間入院してさ、
そのままリストラーでいいじゃない。アンタも、そう、思ってるんじゃないの?心の、どこかでさ。
他の人はともかく……クズに生きる価値は、無いって事よ。でしょ?


あは、悪意がある―――? 心外ね………
さっきも言ったけどさ、凍死は、楽に死ねるの。私なりに、気遣ってあげた方なんだけどー……?
別に、磔でも、良かったのよ?身体の外側から、一本ずつ、針、刺してってさー……

【少女は右手でチョキの形を作る。其の刹那、男を覆っていた氷がスッと溶け、常温の水に変わった。】
【其れは丸で生き物の様に動き、彼を乗せて浮遊する。―――やがて大柄の少女から見て、左側のビルの壁に彼を押し付けた。】
【何処からとも無く現れた2本の氷の刺が、彼が着ている背広の両袖を貫く。1分さえ掛かること無く完成されたのは、磔だった。】
【高さにして5m位。男は最早、何が起きているのか分からず、怯えた様子さえ見せなかった。意識は、辛うじて有る様に見えるが。】

【少女はニタニタと嗤っている。どうやら、治療させるつもりも、】
【自警団等の組織に着いていくつもりも無い、という意思表示である様だ。】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 13:55:19.03 ID:lIqddwhQo
>>642

「人の悪を誘い出して、その相手が気に入らなければ……こんな目に合わせるというのか?
 そんなのは……おかしい。 ただの、弱い物いじめだ」
【その本質を徐々に露呈していく女性の姿を見て、少女はその瞳に激しい感情を徐々に露わにしていく】
【表れた怒りの視線は――真っ直ぐに、女性の方へと向けられていた】

「そうして、[ピーーー]気……だったと?」 
【氷漬けの男性の方から女性の方へと振り返り、一歩前へと進んだ】
 
「それは――」
【その歩みを止めたのは、女性の『アンタも、そう、思ってるんじゃないの?』という言葉】
【その言葉は少女を一瞬俯かせたが、短く首を振ると、すぐに女性の方へと向き直った】

「もちろん、その男がしようとしたことは許される事ではない。
 けれど……それは誰かがその人も生を否定した良いと言うことではないし、だから[ピーーー]っていうのは、絶対に許されることじゃない」

「……やめろっ!」
【氷漬けの男に危機が迫ると、すぐに少女は表情を変えた】
【一瞬、表情に戸惑いを浮かべて――迷いは一呼吸をする間に掻き消えて、少女は歯を深く噛みしめる】
【決意を定めると、硬い路地の床を蹴り上げながら少女の元へと接近する】
【そうして、抵抗が無ければそのまま少女の胸倉を掴み上げ、少女を捉えようとするだろう――氷漬けの男性の身に危険が迫っていても、いきなり殴り倒す判断などはとれないのが、少女の性格のようだ】
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 14:21:03.86 ID:hdshTZND0
>>643

……お? 正義、やるじゃん。
こんな、ゴミクズをさ。必死になって庇ったりしちゃうんだ。
ほんと、どっから、そんな考え方湧いてくんだろうね。
びっくりっていうかー。どちらかと言えばー、……。

【『弱い物いじめだ。』『殺す気だった。』憤りを隠す事無く放たれた彼女の言葉は、少女に突き刺さる。】
【突き刺さりはしたが、―――少女は難なく其れを抜き出し、鼻で笑って突き返すのだ。】
【彼女の指摘は最もだった。だが、其れが何の意味を成すのか、と云う事。】

【少女は今、此の男性を、"物"として認識している。何と言われた所で、彼女は反省の色を見せはしない。】
【其れ所か、『良くそんな事いえるねー、』なんて。憤慨する少女に嘲笑う姿さえ見せるのだった。】

【彼女が足を踏み込む。十分、何かしらの対応出来る距離が有った。】
【然し何の行動も取る素振りを見せない。此れが意味する所とは、一体―――。】


ちょっとちょっとー。あのさ、私はアンタに何もしてない、んだけど?
え、なに、"コレ"の代わりに一発殴るってこと?こわーい。

あれ、でも、それってさ。無抵抗の少女を、徐ろに殴ったってことになるかもよ?
だってさ、アンタが私を殴った所で、"アレ"がどうにかなるもんでも無いでしょ?
私の性格、大体、分かったんじゃないの?状況、曲げられないでしょ、アンタごときじゃ。

それでも、殴りたければ、殴れば―――?


【彼女の能力は、凡そ分かった事だろう。どうやら水を操る異能、らしい。】
【観察力があれば、操作する際に両手が動いている事が分かる筈だ。】
【今、胸倉を掴まれている彼女の両腕は、ブランとぶら下がっている。本当に、"無抵抗"らしい。】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 14:59:46.57 ID:lIqddwhQo
>>644
「私を正義と呼ぶなら……お前には自分の行いが悪だという認識があるのだろう?
 自ら悪だと認識して行われる悪行は……それだけで、許せないものだ」

【怒りは胸の内に抑えこみ、少女は可能な限り冷静に話そうと心掛けていた】
【一度は怒りに任せて胸倉を掴んだものの、短い溜息とともに頭を落ち着かせ、それから相手が逃げる様子も無いと認識すれば、ゆっくりと腕を離す】
【正義を語る割に感情の揺れ動きが激しく、女性の前でも激しく苦悩している様子で――ある種、おかしな人物に映るかもしれない】

「誰かが正義の対極にある行動をしていて……それを止めない理由はないだろう。
 争いたくないという甘い事を言うつもりではないが……大人しく男を解放しろ。 お前と問答している間にも、男の体力は奪われているん」

「私は、そんな難しく物事を考えるつもりはない……。 
 ただ、ここでこれ以上男の怪我を重いものにすることも、命を失う必要も……どちらも間違っていると思うだけだ」

「それから、無抵抗な相手を殴ることも必ずしも悪いことだとは考えない。 それが、何かを守るためならばだ」

「男を解放しろ……早く」
【ジロリと睨みつけて言う少女は】
【忠告を聞き入れてもらえない時は――その時の覚悟は、出来ている様子だった】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 15:38:42.14 ID:hdshTZND0
>>645


違う。私は、ただ、自分に正直なだけ。それが結果的に、悪になったってこと。
だーってさ。面白そうなオモチャあったら、それで遊ぶでしょ?普通。

あっははは、言いたいコトは、大体分かった。
ホント、何処言ってもさ、こういう人、居るんだよね。何なんだろ。

まあいいや、じゃ、コイツはね―――


【刹那、左手の刺だけが徐々に溶け出す。当然、彼の重心も伴ってずり下がっていき―――、】
【やがて、完全に溶けきってしまうだろう。今、右袖の刺だけが、彼を支えている事になる。】
【『ほら、行けば?』なんて言いたげの表情。5m上空から落下する男を受け止めろ、という事なのだろう。】

【と同時に、彼女の左手から液体が生成される。蠢きながら勢力を増していく其れは、少女の身体を取り囲むように渦巻いて―――。】
【キャハハハ、と笑いながらズレ落ちていく男を見る。腕も足も、精気が見られない其れは、彼の残存する体力を物語っていた。】

【全体重を支えている背広の右袖から、ビリビリと嫌な音が鳴り響く。もう間も無く、であろう。】
【受け止めなければ、彼女の"正義"は果たされ無い。然しながら、少女を取り巻く其れも、気にならない訳は無い筈だ。】
【―――正義に燃える少女。果たして、どちらの選択肢を取るのだろうか。】


なーんかさ。気、変わっちゃった。
ちょっとだけ、ちょっとだけでいいからさ、私のオモチャになってよ。ね?

【付け足す様に放たれた言葉は、"宣戦布告"。】
【男を受け取りに行ったのなら、彼女にとって随分と分の悪いスタートになるだろう。】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/20(日) 16:21:09.63 ID:fmz8p63Oo

【大通り】

…………! …………!! …………!!!

【ワールド・グルメ・ツアー開催中につき、多くの屋台が建ち並ぶこの場所で】
【銀色の双眸を串に刺さった何かしらの肉に注ぎ込み、それに獣のように歯を立ててかじり付く青年がいる】
【筋肉質で背の高い体格に浅黒い肌、短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【見るからに異邦人≠ニいう言葉を連想させるような男だが、その服装もどこか普通ではなく】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして】
【首からはドッグタグを下げ、背中に巨大な茶色いケースを袈裟懸けにして携行していた】

いやァ、ふもっ、しかしッ、むぐっ…………この蛙の丸焼き、多少見た目は悪いが超うめェ…………。
ったく、食わず嫌いで「気持ち悪い」なんて苦情出しやがって、駆り出される俺と睨まれる店主の身にもなれってんだ!

【男が歩きながら喰らっていたのは――――生きていたときそのまんまの形をした、蛙の丸焼きだった】
【世の大半の女性であれば見るだけで怖気立つようなシロモノは、男の胃へ残らず流し込まれていって】
【そうして食事が終わると、男は残った串を手の中で弄びながら、誰に向けるでもない愚痴を吐き始める】
【酔っ払いのような毒を吐きながら歩く男の姿は、そのだらしない服装もあって何とも自堕落な印象だ】

【男の左胸にある自警団のバッジも、今は何となく恥ずかしげに光っている気さえして】
【とはいえ彼も、曲がりなりにも自警団員。悪事を働く者や困っている市民がいれば、見逃すことはないだろう】
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/20(日) 19:31:06.16 ID:FNA2izyXo

んン〜ふっふっふ〜。いけませんねぇ、いけませんよぉ〜!

【暗闇に響く、ねちっこくて、喧しくて、嫌な気分を生み出す声が、ビルの谷間に反響して夜の世界にやたらめったら跳ね返る】
【痛々しい呻き声を惨たらしく踏み潰して、狂気の月光に照らされる、禍々しいその姿が】
【複数の機関員達の死屍累々の中に立つ、虫の息の一人を踏み付ける枯木じみた男の姿】

たっま〜にいるんですよね〜、機関員を辞めるとか言って情報を自警団とかに流そうとするおバカさんが!こ〜のおバカさんめ!!
お口チャックで黙っていれば私めも黙っていましたのに!あぁなんと嘆かわしいのですか貴方方は!?

【濃い紫色のカンフー服を着た、長く細い色白の体躯で。黒い髪は真ん中以外剃り落とし残りを後ろに撫で付けて辮髪としている】
【口元にニタニタとした笑みを浮かべ、《No.109》と書かれたバンドで両目を覆った男だ。頭を這い回る百足の刺青と額の逆五芒星の刺青が彼の在り方を表している】

ンだぁかぁら!!貴方方のようなおバカさんの為に私めがいるんですよ!
お分かりですか?お分かりですかぁ〜?

…はいっ!お返事はっ!?

【呻く事しか出来無い機関員を踏み付けながら、狂気的なまでに語り掛ける男は、しかし臨んだ返事を返さない機関員の頭を蹴りつける】
【ボールのように跳ねた頭部を再び踏み付けて、男は大袈裟に溜息をついた】

はぁぁ〜〜っあ!お返事は元気にとお母様に習わなかったのですか?私、同僚がこんな礼儀知らずで残念無念の極まりですよ
さて、と…助けが来るのを祈りますか?おとなしく死にますか?

まあ貴方は死にますよ、当然ですけどねぇ〜!!

【男の声は、奥まった路地裏に大きく響く。それくらいの大声だ】
【果たして、こんな異常に首を突っ込む物好きはいるのだろうか?】

/使い回しですが
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 20:14:13.48 ID:lIqddwhQo
>>646

「妙な動きを……――っ!!」

【短く舌打ちをすると、身をひるがえして男性のもとへと跳躍する】
【その時、少女の身体から火花のような淡い光や炎の臭いが女性からも感じられるかもしれない】
【男性の方へと迫る少女の飛躍は素早く――なにか、特別な力に支えられているようだった】

【少女から男性までは数メートルある】
【地面に落下する前に、間に合うかどうか。 少なくとも、脚力に自身が無ければ間に合う距離では無い
【能力による強化もあって――辛うじて、少女は男性の落下には間に合う】
【落下する男の間へ、身体を滑り込ませ、自分の身体をクッションのようにして、男の衝撃を代わりに引き受ける】

「っ……人を、玩具になんて……絶対に許される事じゃない」
【女性の攻撃を警戒してか、すぐに男性を自分の背中のほうに流し込む】
【男性の下敷きになった際にどこか痛めたのか、少女の表情には微かに苦悶の様子が見て取れるだろう】
【どこか迷いがあった少女だが、ついに相手の事を『倒さないといけない悪』と見定めたようで、迷いの消えた視線は真っ直ぐに女性の方を見据えている】

【――運動着で身を包み、運動に自身がありそうな少女だが、男性を助けた反動は重い】
【細く絞られた身体は瞬発力などに優れるものの、力を使った行動には向いていない】
【落下まで時間が無かったという理由もあるが、それなりに重さのある男性は腕などで支えられるものでなく、止む追えず衝撃の大きい身体をクッション代わする方法しか選べなかった】
【当然、少女の身体には鈍い衝撃が圧し掛かっている】
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 20:32:56.55 ID:uBYbNiUN0
>>649


さっすがー。って、あれれー?案外、つらそうな顔、してんじゃん。
それじゃ、オモチャに、なんないんじゃ無いの?だいじょうぶかなー……?

―――まあいいや。


【少女を纏う様に渦巻いていた水の一部が、もぎ取られる様に分離する。】
【やがて其の姿は、先程まで彼の両袖に刺さっていた物と全く同じ、2つの刺へと変化し、】
【―――凝固。氷柱となった所で、少女が両腕をスッと振れば、二人へと放たれる。】

【其の速度は、其処まで速い物では無く、落下する彼を救えた彼女なら、回避や、或いは破壊は容易である筈だ。】
【然し其の狙う場所こそが、彼女を苦しめる事になる。即ち―――、】

【1本は、勿論彼女の腹部へと。そしてもう1本は―――男の頭の真ん中を捉えていた。】

【この行動が意味する所は唯一つ、"庇いながら戦え"と言う事。】
【彼女が2本の氷柱を防げたか否かに関わらず、少女はケタケタと笑っているだろう。】
【然し戦いに於いては、其の余裕、油断こそが最も危険であって。】
【彼女が何らかの想定外なアクションを取ったなら、防げる事無く被弾する事になるだろうか。】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 21:10:46.62 ID:lIqddwhQo
>>650

「だから……玩具では無いっ!!」

【少女は真っ直ぐに腕を伸ばし、深く大きく吐息を漏らす】
【そうして、短く気合の声を吐き出すと――迫る二つの氷柱に対応するように、二つの炎の壁が少女と男性の側に現れる】
【空間を燃やす業火は、彼女の戦う意志を具現化したような、赤い色をしている】
【少女の集中から作り出された炎は、現れたその氷柱を熱の力で無力していく……】

「……はあっ!!」

【女性が何か対応をする前に、少女は腕を振り上げる】
【腕の動きに呼応するように、暗い路地に閃光のような炎が現れ、一直線に女性の方へと飛来するだろう】
【炎にはそれなりの速度があるが、集中をして見ていればしっかりと対応できるような速さだ】
【氷のように実体の保てない炎は、時間の経過とともに威力が減退していく。 それでも少女が作り出した炎は、離れた女性の元まで威力を保ったまま飛来していくことだろう】
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/20(日) 21:16:01.35 ID:qtNyifxJo
【酒場】

【通りに面した人気の酒場、いつだって賑わって五月蝿くってかなわないが】
【その方がかえって人に話を聞かれなくて済むし、テロリストが居ても気づかれないだろうし】
【そういうがちゃがちゃしている方が落ち着くっていうのもある。店主からBGMまでウエスタンな内装は何かと好きだし】
【何時だってダーツ、ポーカー、ルーレットとギャンブルの相手が何時でも居るってのは悪くない】
【今はどっかで武道大会かなんかがやっているらしいから、それの賭け事でいつもより賑やかな気がする】
【自警団が喧嘩を止めに来て、ついでに飲んで、喧嘩して別のやつに止められるっていうのも見れるのはここだけだろう】

【またどっかで怒鳴り合いだ。理由は知らないが気にする必要もない】

【そんなとっ散らかった店内のあるテーブル席にこの男は居た】
【黒いスーツ、真っ赤なシャツ、黒いネクタイそれに加えて黒いサングラスとブーツ】
【テーブルに空き瓶空き缶を幾つも並べ、灰皿には吸い殻が山となっている】

【それと一番に目につくのがテーブルの上の真っ赤なギター。丸っこい大きなエレキギターだ。『6120』と刻印がある】
【男はニッパー片手にハンドルみたいなやつをグルグル回している。弦を張り替えているらしい】
【尤も、興味のない人間には何をやっているかなんてわからないだろう】

【混んでいる店内だが彼のテーブル席は彼しか居ない】
【どっかで瓶ビールが飛ぶ、そろそろ店主が自警団に電話する頃だろう】

【サングラスの男は張り替えたばかりのギターを膝の上に乗せて、弦を弾く】
【うるさい店内では聴こえにくいのか耳を近づけて、狂った調律を合わせる】
【固い金属の弦の振動は揺らめいた空気のざわめきにかき消されて誰にも届かない】

【取っ組み合いが起きる。自警団がそろそろ到着するだろう】

【男は飽きたように、ギターをテーブルの隅に立てかけると】
【ぬるくなった缶ビールの残りを飲みほして、新しい煙草に火をつけ】
【その取っ組み合いがどっちが勝ちか1人考えていた】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 21:38:02.55 ID:uBYbNiUN0
>>651


お、やっぱ、能力者、なんだ。だと思ったー。
それなりに、強くないとさ。刃向かわないよね。普通。


【暗い故に其の一直線の軌道は分かり易かった。更に、其の攻撃には前兆が在った。】
【油断していた彼女も、余裕を持ってヒラリ、と回避してみせた、と思ったのだが―――、】

【残った火の粉の一部が、彼女のショートパンツの上に止まり、ジジッと音を立て、消えていった。】
【其の痕に残ったのは、肌色にしては少し白い色―――どうやら、焼け焦げてしまったらしい。】

【嫌な音を聞いたなら、少女は思わず其の方を向く。】
【発狂―――とまでは言わないが、憤慨した表情―――其れもかなりの、であった。】
【初めて見せた、此の少女の"素"とも言えるだろうか。兎に角、少女は怒りを顕わにして―――。】


―――は?ちょっと。あのさ、なに、してくれてんの?
これ、お気に入りなんだけど。え、まじで、弁償してよ。

いや、弁償とか、いいわ。もう、私さ、キレちゃったから。
この手で。この手で。この手でヤッてあげる。………あは、………


【彼女を纏っていた全ての水が、短い4本の短剣へと変化した。】
【2本は先程と同じ場所を捉え、突き進む。そして、もう2本は―――、】
【彼女の手に在った。少女は両手にダガーを逆さにして持ち、一気に踏み込む。】

【先程の氷柱から、炎の壁がどれ位の火力を持つのかは、ハッキリと見ていた。】
【だからこその行動。少女は相手との距離が後3mと言うところで少し体勢を下げ―――、】
【切りつけを試みたのは、右足の太腿辺り。既にある程度疲弊している彼女を、】
【其の根本から無効化しようとする作戦を取った様だ。】

【同時に2本のダガーが飛来し、さらに彼女自身による近接攻撃―――、】
【難易度は、先程に比べ、随分と上がった筈だ。だが其れでも尚、彼女の観察を続けていたのなら―――。】
【彼女は、"近接戦のスペシャリストでは無い"、と言う結論に至るかも知れない。】

【踏み込み方も、走る際の重心の移動の仕方も、或いはナイフの扱い方も―――。】
【どれも、一人前では在る。だが其れは、言い換えるなら、其れ以上でも其れ以下でもない、と言う事。】
【其の事に気づけば、戦略はグッと広がる筈だ。】
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 22:20:32.88 ID:AxG4wmZi0

【多くの人々で賑わう大会の会場。其処をふらふらと歩くのは、紅白色――――所謂、巫女装束と呼ばれる其れを纏った女性】
【片手に提げた袋にはワールドグルメフェスで買いあさった物が実に多く詰め込まれていて、もう片手に提げる袋には食い終えたゴミが入っている】
【…………どう見たって3人分以上の量があるのだけれど、付き人も居ない事から考えるにこの女性一人で其れ等全てを食べていた様で】


「…………中々の物ですね。お金が無いのであまり多く買えなかった事が心残りですが
まあ、開催中にステンでも連れてきて食べさせて貰いましょう」

【むしゃむしゃと食べつつ、その足取りは特に定まってはいないようであっち行ったりこっちへ行ったりと】
【しかし、女性一人では到底食べきることが出来ないであろうその量を平然とした表情で食べ続けているのだからある意味大した物】
【――――否、その表情を見るに元より感情の起伏が薄いのかもしれないけれど】


「…………しかし。果たして開催中に全てを食べる事が出来るか否かも分かりませんが
……その時は適当に冷凍でもしておきましょうか」

【さて、女性へと向けられている人々の視線。櫻の国特有の珍しい服装もその理由】
【序でに言えばその手に提げた袋も理由の一つ。だけど、何よりの原因は――――その大会に出場していたから】
【天鬼ちゆり。櫻の国の巫女。現自警団所属。……もしかしたら、そんな一筆もあったか。出場者であればトーナメント表からその名を知ったかもしれないし、観戦者であったとしたら試合を見ていたかも知れない】
【その他の理由であったって、この大きな大会。どの様な理由であっても可笑しくは無いであろう】









【路地裏――――数多くの出来事が起きる其処だが、その殆どが表に住む者達にとって好ましくは無い事ばかり】
【今宵も又、大量の血液がアスファルトを汚していくけれど――――】


「弱い犬ほどよく吠えるって、本当ね
なーんにも出来ずに死んでしまうんだもの。私を、殺してくれるんじゃなかったのかしら。変なお話、つまらないわね」

【四肢がもがれたり、身体に風穴が空けられたり。首が変な方向にねじ曲げられたりした幾多もの骸】
【その中心に立つ少女はその鮮血よりも更に紅いドレスを纏っているが――――表情に、喜びは無く】
【頬を膨らませて不満げな感情を覗かせたならば、指をパチリと鳴らす事だろう】
【――――応えるかの様に現れたのは、一冊の本。人間程の大きさであり、表紙を読み取れない程掠れた其れは、年期を感じさせる】


「眷族にしたって、つまらなそうだものね。お話も作れないなら、意味もないもの
…………興醒めと言うのかしら。本当に、つまらないわ」

【適当なページを開いて「其処に在れ」と呟いたならば、数秒の間も無くティーセットが召喚されて】
【其れから始まる、一人だけのお茶会。溢れる瘴気を隠すわけでも無く】
【多量の流血特有の生臭さを気にする訳でも無く、其処で茶を楽しんでいる事だろう】
【此処に訪れる者は――――さて、瘴気に誘われたか、葬られた者達の断末魔に誘われたか】
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 22:22:15.39 ID:lIqddwhQo
>>653
「弁償して満足なら、喜んでするよ……。 
 ……けれど、お前が攻撃しているのは、弁償なんかいくらしても絶対に戻ってこないものなんだ。 それくらい分かるだろう!」

【本性を見せ、狂ったようにも見える女性へと叫び返す】
【迷いを振り切った少女は真っ直ぐ、後ろめたさを全くない様子で女性へと向き直る】

「攻撃を……同時にか!?」

【なによりも優先するべきは、男性の命だ】
【炎の壁は男性の頭上を狙うナイフへと向かい、その攻撃を弾く】

「器用なやつ」
【接近する相手に構えを作りながら――自分へと飛来するナイフは、自らの左腕を犠牲にして受ける】
【自らの腕の盾代わりする。 腹部への直撃は避けたが、代わりにナイフが突き刺さった腕からは、赤い血が流れ始めた】
【複数方向からの攻撃に対応できない点をみれば、あまり器用にコントロールできるタイプの能力ではないようだ】

「……っ!」
【痛みに表情を歪めながらも、接近する少女へとすぐに向き直る】
【そうして、集中したまま少女の動きを見定めて……ナイフが腿へと迫る直前、少女は数センチだけ足を後ろに引き下げる】
【その動作は小さく、相手のナイフ攻撃を避けきるようなものではない】
【ナイフの先端が少女の肌へと触れ、すぐに少女の肉を深く引き裂くだろう】
【だが――女性がナイフの扱いに馴れていれば、手ごたえの弱さに気がつくだろう】
【少女の傷からは血が吹き出し、すぐにズボンに黒い染みに広がっていくが、致命傷には、少なくともすぐに命や立ち回りに影響のでるような傷ではない】
【紙一重のところで相手の攻撃を完全に見切る――相手の接近戦の動き方に、不慣れな部分を見つけ出せたからこそできた行動だが】

【腕と足に攻撃を受けながらも、少女の体勢は崩れていない】
【体勢は全体的に低く位置で整えられ、回避動作を最低限にしたために、反撃の体勢も最高の状態で組み立てられる――そのすがたは『肉を切らせて骨を断つ』という戦法だろう】
【――静かに、少女の右の拳が握り締められた】

【日ごろ武術の技術を磨いていた少女にとって、近距離での戦闘は最も得意とする距離】
【相手の接近の絶好の機会と見定め――相手の腹部を目掛けて、勢いの乗った拳を、真っ直ぐに拳を突き出す】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 22:49:27.44 ID:uBYbNiUN0
>>655


【腹部とは行かなかったが、彼女の左腕にダガーが突き刺さる。更に、彼女自身の攻撃も―――、】
【これも又、其の感触が少々弱かったものの……確かに、確かに切った其の反応があった。】
【少女は満足する。自分の攻撃が、それなりに上手く行ったのだ。】

【―――然し。少女の満足、油断は、目の前の彼女による"反撃"という発想を、其の一瞬、完全に忘れさせていた。】

【正に、"直撃"という言葉が最も適する、そんな被弾の仕方だった。】
【少女は5、6m……向かいの壁に打つかるまで、吹き飛ばされ―――、バサッと倒れる事だろう。】
【どうやら、戦闘経験すら余り無い、そんな印象さえ与える一連の動きだった、だろうか。】

弁償……?あのさ、弁償って、"価値が有る"から、弁償っていうんだけど?

【其れでも尚、少女はブレる事無く、其の態度を貫き通すのだった。】
【腹部を抑えながら放たれる其の声は、矢張り絶え絶えとしていて。少なくとも先程迄寄りは、活力を失っていた。】

【少女は再び、左手から水を生成し始める。無生物の筈の水が、意思を持って蠢くかの様な其れは、】
【何度見ても、気味が悪い事だろう。然し、少女は寧ろ、愛らしそうに其れを見つめて―――。】

【座りながら、少女は両手を操って。やがて形成されるのは、巨大な刃物、全長5m程位だろうか。】
【丁度、ククリナイフの様な形状をした其れは、彼女から見て右から左へと振りかざされる事だろう。】
【彼女は先程、左腕を負傷した。其れなら今度は、右腕、であって。其れを考えての操作だった。】

【巨大故に、其の速度は遅く、其の軌道も読みやすい。然し、矢張り巨大故、其の攻撃範囲も広い。】
【当然、少女と男性、2人を捉えられる範囲に在った。どうするのか、と少女は腹部を擦りながら嗤っている。】

【近接戦では、どうやら分が悪すぎる様だ。繰り出したのは、強引にでも、形勢を変えてやる、と言わんばかりの攻撃―――。】
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/20(日) 22:50:26.68 ID:bY9Cm9EO0
>>654

 はあ、どうにもこうにも
 何でここに地獄絵図が展開されているのでしょうか

【お茶会をしている少女のところに一人の男が現れる】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】
 
 はあ、運がないのか
 何でこういうところに遭遇をしなければいけないのでしょうか

【男はそうぼやきながらも、平然としている】
【そして男は少女の方へと向いた】
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/10/20(日) 22:56:19.49 ID:lIqddwhQo
>>656
//本スレの方にも書きましたが、そろそろ休まないといけない時間になってしまいました、すみません……
//置きレスへの移行をお願いしても良いでしょうか?
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 23:06:32.68 ID:uBYbNiUN0
>>658
/はーい!お疲れ様でした!
/移行ですね、了解しましたー!
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 23:08:52.97 ID:AxG4wmZi0
>>657
「何処で何が起きても不思議では無いでしょう?
此処にいきなり隕石が落ちたって可笑しくはないし、急に街が壊れてしまったって不思議では無いの
――――それがお話になるなら、だけれど。偶然も必然も無い、曖昧なお話」

【流し目でチラリと見遣ったならば、紅茶を啜って】
【――――細い指先が一枚のクッキーを摘んだならば、サクと軽い音を立てて食むのだろう】
【暫しの沈黙。手の甲が虚空を払ったなら…………骸達も、溶け出して】


「嫌ならば、回れ右をしてしまっても大丈夫なのよ?
お話だって、人が居なければ紡げないものだもの。嗚呼…………其れと」

【この夜空の中、そして路地裏という暗闇の中。少女の双眸――――つまりは、光る二つの朱色は不気味】
【やがては骸も完全に溶け、路地裏と同化したならば興味は失せ、その双眸を男性へと向ける事だろう】
【空となったカップに新たに注ぎ足したならば、もう一度言葉を紡いで】


「――――――今、何かを手に掛ける気分では無いの
さっき溶かした人間達。余りにも詰まらなかったわ。だから、少しの間は特にする事が無いのだけれど――――
ねえ。不幸な不幸な貴方は、何を求めて此処に訪れたのかしら」

【少女から放たれる瘴気は、殆どの者であれば気付けるだろうか。…………例え魔力を持たず、平和に生きていた市民であったとしても】
【そしてその瘴気を放つ種族となれば、そう数が多い訳でも無い。代表的な物を挙げるならば魔族か】
【――――問題を起こす気は無いとの言葉。嘘か真かは分からないが、今問うのは“何故此処を訪れたか”】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/20(日) 23:25:24.60 ID:bY9Cm9EO0
>>660

【男は少女の瘴気にたいしてもまったくあわてなかった】
【男の商売上さまざまな相手と商売をするのだから】

 私がここに来た理由ですか
 単なる商売ですよ、ま、そしてどうゆうわけか商売終わって帰ろうとしたらここに来てしまったとでも

【嘘はついていない】
【骸達がが解けていくさまを見ても、男はまったくと言っていいほど動じない】
【だが、少量の冷や汗はあるが】

 骸が解けていく、なんともまあ不思議な光景ですねえ

【男はそのように言う】
【あくまで冷静な声で】
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/20(日) 23:36:59.55 ID:AxG4wmZi0
>>661
「死ねば埋められて、無くなってしまうのでしょう?
肉も、骨も…………時間が経てば、その存在だって無くなってしまうのでしょう?」

【至って涼しい表情。或いは、攻撃を仕掛けてくる者だって居るだろうに――――警戒の色は無い】
【カップを傾けて喉に紅茶を流したならば、気紛れにクッキーを食べて、また流す】
【…………この場には似合わない光景。荒れくれ人は勿論の事、カノッサの者が居ても可笑しくは無いこの場では】


「ただ、少しだけ其れを早めただけよ。溶けて無くなる。ただ其れだけ
――――私からすれば珍しくも不思議でも無いの。何百何千と人間達が死んで“無くなる”のを見ていたから
所詮、簡単に消えてしまうお話だったという事だから…………読み返す事も無いわ
詰まらない話は本棚にも置かないし、もう一度捲る事も無いの。幾ら退屈でも、幾ら長い時間を過ごしていても
…………物売りの貴方がどうなのかは、分からないけど」

【然れど、誰も手を掛けようとする者は少ない。こんな小娘の外見をしていても、だ】
【カノッサの者ならば分からないが――――少なくとも、小悪党程度ならば視界に収められる前に逃げてしまうのだろう】
【…………そして、何も解せずに殺しに掛かろうとした者の末路が、先程の光景。誰に覚えていられる訳でも無く、死に際を見て貰えるわけでも無く、ひっそりと死ぬ虚しい最期】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/21(月) 00:02:22.85 ID:1HQwCjcP0
>>662

そうですねえ、存在を覚えている人がいても死んでしまってはね

【男はそのように少女の言葉に同意する】
【少女のことを多少は警戒しているようだ】

 さて、どうなんでしょうね
 あなたが潰したこのチンピラたちはそんな面白く生きてないでしょう
 ですが、幸いとでも言いましょうか?
 この時代には主役が多くいる、正義、悪、思想
 それぞれに物語があると思いますよ。

【男はそのように言う】
【自分もまた見てきているのだ】

 長い生ですか、大変そうですね
 退屈な時間があるということは
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/21(月) 00:16:57.79 ID:SoE2UlRy0
>>663
「そうね――――確かに色々に役者が居るわ。お肉屋さんもキサラギもそう
語り手であって、同じ紡ぎ手であって。だけど、在り来たりのお話だけじゃ詰まらないの
…………ただのお話は、もう聞き飽きたわ。今までに書かれたお話も、もう読み飽きたわ」

【吐かれたのは小さな溜息。どれ程までの時間を生きてきたのか、それは少女にしか分かり得ない事】
【分かる事は、人間が何度も何度も完全に風化するまでの時を過ごした事くらい】
【――――ポットの中身も空となってしまえば、もう一度古びた本を召喚して】


「…………楽しみが無いというのも、ある意味地獄よ?
人間の中にはずっと生きていたいと願う人も居るみたいだけれど、それは苦痛にしかならないわ
最初は何だって新鮮に思えても、どうせ時間が経てば色あせていくの。何度も読んだ本が詰まらなくなっていくのと同じ事よ」

【適当なページを開けば、出していたティーセットも本の中へと戻していくのだろう】
【やがては自分のその中へ入るべく手を掛けて――――もう一度だけ、その眼が男性へと向けられる】


「死んでも死んでも意味が無い事。終わらないお話を無理に続ける事も――――ね」

【小さく笑えば、もう振り向くことは無く】
【本が閉じられたと同時に、瘴気も完全に無くなる事だろう。まるで勘違いと思うほどに、完璧に】
【――――薄らいで行く其れ。やがて消えたならば、少女が居た名残なんて無くて】

/申し訳ないですが、この辺りで失礼させて頂きますね!
/お疲れ様でありましたー!
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/21(月) 00:20:38.73 ID:1HQwCjcP0
>>664

【少女が去り男はその虚空で】

そうですか、ええよい物語を

【男もそう言ってその場を去るだろう】
【そうして残ったのは静かな静寂か】

/お疲れ様でした
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/21(月) 20:53:02.64 ID:7ei25M5Co
【森】
【その一帯は、設置された複数の紙の灯籠から放たれる、零砕の光の粒子が錯綜し、】
【森とは思えない輝きで満たされていた。】


【黒い髪、白いワイシャツ、その裾をこれまた黒いチノパンに入れている。】
【口には煙燻るパイプ煙草。両手には、陳腐な白い木刀が握られている。】


――――〜〜〜――――…。


【――口をついて出る言葉は、おおよそ一般的に使われる語ではなく、】
【所謂呪文と呼ばれるもので、それと同時に木刀が無意味に発光し煙がひずむ。】
【――ぼふん――というくぐもった破裂音の後に、混沌とした闇の球体が現れ、】
【紙の灯籠から放たれる光を吸い込み、輝きを障っていた 。】


667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/21(月) 21:00:22.95 ID:GtMJ9j1To
【大通り】

…………ふぁ。

【通りの屋台で買ったのだろうか、右手に林檎飴を持った小さな女の子が、淡黄色の瞳を退屈そうに窄めて歩いている】
【濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型に】
【真っ白なベストの下に袖を七分で絞った和服を着て、残り三分の腕を包帯でぐるぐる巻きにした服装】
【手には鉄板で補強した革手袋をはめ、脚は膝上までのロングブーツ、僅かに覗く太腿は黒タイツに覆われ】
【暗い赤色をした長いマフラーに埋もれるように、口元が隠れている。顔の上半分以外、全く肌色の見あたらない格好だった】

【そんな風体に、背中で漆黒の鞘に収まる二本の刀剣が加われば、見る者に忍者≠ニいう言葉を想起させるだろうか】
【もっとも、小さく可愛らしい体格に幼さの残る大きな双眸は、紛れもなく少女。不気味さや迫力といったものは一切感じられず】

…………へいわ、だ…………。

【少女はきょろきょろと周囲を頻繁に見渡しながら、大通りをゆっくりと歩いていく】
【特に目的もなさげに見えるが――――マフラーの首元で光る自警団のバッジが、その放蕩にパトロールという意味を付け加えていた】
【見た目には少々分不相応な肩書きだが、ならば少女の異様な格好にも説明が付かないわけでもなく】
【とことこと小動物のように歩く少女の眼光は、時折路地の陰を睨みつけている】
【この瞬間、彼女に出会いがあるとするなら――――それは果たして正義≠ゥ悪≠ゥ】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/21(月) 22:08:07.23 ID:742p3RVp0
【水の国、首都フルーソ/中心街やや外郭部近く】


【路地裏の入り口を訪れる影 ひとつ。蛍火を捜す様に踏み出せば、流れを別ち新たに路を紡ぐ軌道が出来上がる。】



【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。】

【 喧騒から抜け出て紺青の寂夜に繰り出すのは、そんな形容の出来る人影だった】


【通り過ぎる路傍の掲示に、向けた目線はふっと離れる。 】
【 ……大会。準決勝まで駒を進めた幾名かの参加者と、その先に続く幾つかの物語。 】
【目を瞑れば浮かんでくる誰かの輝きも、こころの奥底に焼きつけるには充分な日々はあって―――、】

(……私も前に進まなきゃね。その為にも、この機に先ず終わらせるべきは―――――)


【 余韻を血肉に変えて躍る様、どこか清々しい面持ちで、少女は、流れを路地裏の奥へと導く舵を取る】
【穢れと危機にまみえる事多く、自他の死に関わることさえもままある区域。だと言うのに続いてく足取りは、ひとが、明日を確信する様な前向きさで】
【大会参加者としての彼女を知るか、躊躇いのない様子に何かを見出すか―――目的の有無を悟るかは別として、少しばかりのきっかけはあるのだろう】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/21(月) 22:29:00.81 ID:1HQwCjcP0
>>668

【水の国のそんな場所に二人組みの男が歩く】
【少女の後ろ側からだろう】

 いやー、しかしグルメなんちゃらのところにいってみてよかったなあ
『マスター』
 ああ、うんうんわかってるわかってる
 ばれないか心配したんだろう、花嵐

【そうして、話し紙袋にある食べ物を食べて進むのは】
【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【そして左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【見える人物には見えるだろう】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そんな男と、甲冑をきており、顔に面頬をつけている――花嵐だ】

『自覚を持つべきですよマスター』
 いやあ、もってるもってるよ

【そう言いながら進んでいく】
【そしてその話し声は少女に聞こえるには十分距離かもしれない】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/21(月) 22:37:13.45 ID:SoE2UlRy0
【多くの人々で賑わう大会の会場。其処をふらふらと歩くのは、紅白色――――所謂、巫女装束と呼ばれる其れを纏った女性】
【片手に提げた袋にはワールドグルメフェスで買いあさった物が実に多く詰め込まれていて、もう片手に提げる袋には食い終えたゴミが入っている】
【…………どう見たって3人分以上の量があるのだけれど、付き人も居ない事から考えるにこの女性一人で其れ等全てを食べていた様で】


「…………中々の物ですね。お金が無いのであまり多く買えなかった事が心残りですが
まあ、開催中にステンでも連れてきて食べさせて貰いましょう」

【むしゃむしゃと食べつつ、その足取りは特に定まってはいないようであっち行ったりこっちへ行ったりと】
【しかし、女性一人では到底食べきることが出来ないであろうその量を平然とした表情で食べ続けているのだからある意味大した物】
【――――否、その表情を見るに元より感情の起伏が薄いのかもしれないけれど】


「…………しかし。果たして開催中に全てを食べる事が出来るか否かも分かりませんが
……その時は適当に冷凍でもしておきましょうか」

【さて、女性へと向けられている人々の視線。櫻の国特有の珍しい服装もその理由】
【序でに言えばその手に提げた袋も理由の一つ。だけど、何よりの原因は――――その大会に出場していたから】
【天鬼ちゆり。櫻の国の巫女。現自警団所属。……もしかしたら、そんな一筆もあったか。出場者であればトーナメント表からその名を知ったかもしれないし、観戦者であったとしたら試合を見ていたかも知れない】
【その他の理由であったって、この大きな大会。どの様な理由であっても可笑しくは無いであろう】








【賑やかな街の一角にて】
【人々が楽しそうに談笑していたり、或いは買い物をして居るなんて場面】
【その間をくぐり抜けて、忙しなく動いているのは一人の少女】
【――――纏っている物から判断するに、何処かの学生であろうか】


「はい、と言う訳でUNITEDTRIGGERや自警団に対する感想を皆さんに聞いていきたいと思いまーす!
後はチャチャッと纏めてしまえば、立派なレポートになりますね!これにて課題完了!
……の筈だったのですが、世間は冷たいですねぇ」

【明るい茶色の髪。ハキハキとした口調は、活発な印象を与えることだろう】
【様々な人に感想を聞こうとしても、邪険に扱われるばかり】
【それでもめげずに続けてはみるけれど、どれだけ時間が経っても結果は同じ事】


「まぁー……後一週間もありますし、そう慌てる必要も無いでしょうが
一人くらいは聞いておきたいですよねー……」

【眉間に皺を寄せて、立った今断った人の背に向かって「イーっ」何てすれば、一人溜息】
【この時間に学生が出歩いていることも珍しいだろう。故、そのちょこまかと動く事も合わさって目立つ事か】


671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/21(月) 23:05:37.92 ID:MHTpLZ+G0
>>666
/まだ、居らっしゃいますか?
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/21(月) 23:23:54.21 ID:eOcdsvk10
>>669

【確かな意図を以て少女が足を深奥部目指して進めるなか、通りすがる逆五芒に視線が遇って――――雲を断つ様に険を増す双眸、】

【少女は暫し絶句する。会話の内容に、闇に見合わぬその暢気さに、かの紋章が瞬時にその心身に宿した警戒との落差に。】
【けれど、彼らの宿す属性――――世に仇名す闇としての一つの称号――――その剣呑さはまるで意識から消えずに】
【理解し難いとも感ずれど、彼女には、警句を置くには十二分な理由を其処に見出したのだろう】

…………止まりなさい。
その紋章……嘗て見たものと寸分違わず同じだし、飾りという訳でもないのでしょう?
厳戒態勢のこの街並みに、何故貴方達の様なものが現れることが出来たのか―――――。

……“自覚がどう”なんて話も聞こえたけれど、冗談のつもりなら笑えないわね。
それとも、何か語るべきことがあるのかしら。“言い残す”という言い方をしても、私としては構わないけれど……。

【紡がれたのは制止と疑問の声。通り過ぎようとする彼らに対し、彼らの所在とこの街に足を踏み入れた理由とを問う】

【……同時に。胸に秘めて言葉にせぬ理由こそあれど、警戒を増して胸裏に渦巻く疑問があった】
【―――――何故、此処まで不用心な者達が、“機関”の尖兵として行動を共にしているのか? 】

【……監査役の不在。同様に“可能性に過ぎない”幾つかの選択肢。或いは欠点すら問題にならぬほどの長所が彼ら二人にあるのか、それとも……―――――。】

(……どの道、こう“選ぶ”ことに違いはない。討ち果たすべきものなら躊躇いはなし、そうでないなら真意を問わなきゃならない事になるけど―――――、)

【混乱しかける自らの感覚を、制する様に鋭利な彩りを湛える瞳。浮かぶ思考を刀刃が如き冷たい光に変えて、先程の言葉を補強する様に彼らへと向き直った】

【彼らに釈明があるのならば少女は耳を傾けるのだろう―――――さもなくば出会い頭に襲撃していた、其れを感じ取るには十分な量の敵意が彼らへと注がれて】
【……ただ、今は彼らの反応を待つだけ。相容れぬ色を帯びて現れた双つの影、その秘められた銘を見出すまでは刃を抜くこともまた無く】
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/21(月) 23:33:45.04 ID:7ei25M5Co
>>671
/遅れましたがいますよ!
/凍結になりそうですが…、
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/21(月) 23:36:11.49 ID:MHTpLZ+G0
>>673


【―――一人の少年が、長い草の生い茂る夜の森を、颯爽と駆け抜けて居た。】
【"暗いから"と言うのも、一つの理由にはなるかも知れ無いが―――、其れは、目で追えない程、だった。】
【走りながら少年は、今日の"仕事"についてアレコレと考えていた。然し其れを断ち切ったのは、遠くに光る、"何か"。】

【"山火事"―――一つの悪寒が、少年の全身を巡る。勿論、既に燃え広がっているなら、少年の手には負えないだろう。】
【少年は其れでも。足の速度を徐々に緩め、身体の方向を変え、再び光の下へと疾走を重ねるのだった。】


【―――然し少年の顔は、直ぐに綻ぶ事になる。無数に広がる、淡い灯火―――自然に発生し得る其れとは、丸で違う色合いだった。】
【"星の数程"ある其れは、勿論、少年をも照らして。影はやがて、其の色彩を帯びる事になるだろう。】

【夜色に映える紫の艶やかな髪に、黒曜石の様に真っ黒な眼。】
【殆ど黒に近い紫色の忍者装束で、頭部以外の全身を包み、】
【口元が隠れる様に 真っ赤なロングマフラーが巻かれていた。"ロング"と言うからには其れは随分と長く、】
【全長1.3m程は有る。其の長さ故、時折吹き抜ける風には、其れに順応するかの様に靡く事だろう。】
【身長は160cm程、随分と幼い顔立ちも相俟って―――、其の影は、とてもでは無いが16歳には見えない。そんな少年だった。】


ほわー………

【目の前に広がる幻想的な風景に、只々感動の表情。腑抜けた声が出たのも、当然だろうか。】
【少年は其の辺の木の株に座り込んだ。どうやら、暫く此処で過ごす事を、決めた様で―――、】

/はいー、それではよろしくお願いします!
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/21(月) 23:45:43.71 ID:1HQwCjcP0
>>672

【少女の制止の声白衣の男は足を止め、花嵐は少女の敵意に反応し警戒する】

『マスター』
 やれやれ、まさかこんなところでか

【花嵐は白衣の男に警戒しろと言っている】
【それに対して白衣の男はいまだに冷静だった】

 んー、私が厳重体制の中をどうやって現れたかって?
 ま、色々あるってことだよ企業秘密というやつか

【そんなこと言ってまた紙袋から食べ物を取り出し食べる】
【まるで少女の敵意など気にしてはないように】

 あー、怖い怖い
 いまは争う気はないんだがね

【男はそんな風に言っている】
【それと同時に花嵐は白衣の男をかばうように男の前に出た】

 気を抜きすぎたかな、このような場所にはあまり人がいないと
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/21(月) 23:58:20.04 ID:7ei25M5Co
>>674


【――足音に気付きそちらを見やった。】
【色彩こそ違えど、記憶に新しい忍装束に表情を和らげ、】
【口にくわえたパイプタバコをぷはり口から離して、ぽわぽわと煙を吐き出すのだった。】


最近は可愛い忍者によく出会うね。


【可愛い――長身の彼からすればこの前出会った年端も行かないくのいちも、】
【今この場に現れた160cmほどの少年忍者も、等しき存在なのだろう。】
【――新しい出会いは、彼に朗かな心持をさせた。】


よォ忍者さん、任務帰りかなんかか?


【無数の灯籠は、葉を落とした木の枝にかかっているか、切り株におかれているか、】
【落ち葉のない地面に無造作におかれているか――】
【――そのなかで無骨に存在感を放つ闇の球体は、地に溶けるように消えて。】

【男は気さくに、少年に声をかける。】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/22(火) 00:26:03.17 ID:aAlv5tV40
>>676

―――え、………あ、ああ、………


【―――普通に考えて、此の灯籠達は、"人"が仕込んだ物、であった筈だ。】
【だとすれば、其の辺りに人が居る事も又、当然である筈で―――。】
【然し此の少年は、そんな簡単な事さえ思いつか無かったのか、其れ共其の風景に魅了されてしまったのか。】
【狼狽えて見せるのだった。朗らかな表情を見せた彼とは、丸で真逆の反応であって。】

【背後へあたふたと手をやる様子、どうやら、背中にプリントされている家紋が、気になっているらしい。】
【此の家紋こそが、少年の正体を確定させる、たった一つの証拠なのだった。露骨に、マズい、と言いたげな表情をして。】

【勿論、目の前の人間が、其れも、此の様な幻想的な風景を作り出す男が、何かをすると思っている訳では無い―――。】
【慌てて、所謂、"頭が真っ白になった状態"になった、という、只其れだけの事だった。】

【少しの沈黙が流れ、木々が風に煽られざわめき出した頃。少年はスッと立ち上がって彼に顔を向けたまま―――そっと物陰に隠れた。】
【しゃがみ込んで、胸の前に人差し指をピン、と立てて。『変身っ!』と、其れなりに大きな声で唱える。】
【モクモクと人工的な煙が上がったかと思えば、―――其処には、先程の少年。服装が、随分と違っている、が。】

【何処かの風景がモノクロでプリントされた白いシャツに、暗色の長袖のカーディガン。】
【下はブラウンのカーゴパンツ、肩からは、ストライプの入ったのショルダーバッグが、斜めがけで。】
【全体的に、大人しい目のカジュアルな衣装―――、丸で服だけ、3、400年程、タイムスリップしたかの様に思えるだろうか。】

【少年にとっては、満を持しての登場だった。今度は、狼狽える姿を全く見せる事無く、其の口を開いて―――。】


え、えっと………そ、そうです! あ、その、仕事服のままだと、あれかなって、思って………

そんな事より! そ、その。……すごい、です! うまい言葉が、見つからないけれど……
あの、こんな、"ふうりゅう"なこと、してくれて、とてもうれしいんです、
……その、ありがとう、ございます!


【発せられたのは、此れ又少年の身形に合った、黄色い声。―――16歳なら、声変わりは既に済んでいる筈、なのだが。】
【ゆっくり、ゆっくりと言葉を選びながらでは在るが。何よりも先ず、彼に対する感謝の意を述べるのだった。】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/22(火) 00:29:20.05 ID:01J5bcp70
>>672
/すいません、眠気がやばいので凍結してよろしいでしょうか
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/22(火) 00:50:54.19 ID:gHbSCJ7Zo
>>677


――ウェハハ 素性が知られたらそら困るもんなァ。忍者だしな。
(その分なんであんなナチュラルに俺の空間で和んでいたのか疑問だが――……)


【事情飲み込み、心中察し、柔く微笑みを浮かべた。多少の疑問は残ってしまうが…、】
【わざわざ言及をして、相手の立場を苦しめようなんて気にはならなかった。】
【彼自身、今の心持を、少年に苦笑をさせて曇らせるなんてことはしたくなかったのだ。】


【――口から離したパイプから、詰まった灰を地面に落とす。】
【もこりもこりとそれが体積を増やして、背の高い小テーブルに変貌した。】
【それに肘を乗せて、もう一度パイプ煙草を口へ運ぶ。】


おー、どういたしまして。
故郷を思い出すだろう? …………思い出すよな?


【思わず一つ確認をいれてしまったのは、前回同じことを言って的を外してしまったからだ。】
【忍者の格好=櫻の国という考え方で通して苦い経験をしたのがつい最近の話。】



【――――無数の灯籠は流麗な蝶を運び、】
【光に包まれた空間の外では、鈴虫の鳴き声が往来している。】
【それは、無数の灯籠の中の一つが光を尽きても、変わることはない。】


/申し訳ない…すごく眠いです。
/このまま寝落ちしたら申し訳ないので、凍結させていただけないでしょうか?
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/22(火) 00:53:28.54 ID:aAlv5tV40
>>679
/了解です!お返事は後ほど返しておきますのでー!
/おやすみなさいでございます!
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/22(火) 00:54:08.91 ID:gHbSCJ7Zo
>>680
/おやすみです……zz
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/22(火) 01:08:15.82 ID:ZlBwgEX80
>>675

……つまり……何も答えるつもりはない、と。
見縊られたものね―――――それなりに戦いは重ねて来たつもりだし、余り軽んじられるのも好かないのだけど。

【溜息ひとつ、胸に去来すれば吐息に変えて】
【ひどく冷たい瞳が彼らに向かう――――身と心とを凍てさせる様に突き刺して、その静けさで貫かんばかりに乾いた笑みを浮かべる。 】
【それは敵対者としての宣告であり、少女としてこの夜に感じた虚無感の拒絶でもある。厭き果てた夜を切り捨てた先を拓く様、橡色は、黒曜の刃が如き始原の鋭さをその内に宿して】


(こんな風にしかなれないのなら、これ以上話し続けても埒が明かない―――――)

【その意味するものは“彼ら”の排撃。庇い立てする騎士鎧の男の態度も、“機関”の護衛兵としての其れに過ぎぬなら何も変えていない。】
【……其れが打ち払うべきものである限り。彼女は、敵対者の大小等お構いなしに、自らの意味を果たす事を選ぶ――――、】
【譬え複数でも同じことか。……つまりは、これまでの“今宵”は無意味だったという事だ。】


……そんなにも人と関わりたくないのなら、“機関”の研究室にでも篭もっていたら?
何を研究しているかは知らないけれど、誰も知らないんじゃ意味だって無いもの……。

【目的を探るための容易い挑発。……導き出されるのは強引な打開と、状況に対してのひとつの警告。】
【“これ以上彼らがこのやりとりを続ける心算ならば、確実に少女はその意味を戦火に変える”。】
【のらりくらりと問答を繰り返すより、一度の引金を引く方が遥かに早い――――、】

【機関員としての身分を否定しなかった事、挑発とも取れる言動をこの局面に於いて見せた事。今宵に意味を齎そうとした彼女の言葉を、何を語るでなく躱してみせた事。】
【……それら茫漠の因子からこの会話の無為を悟ったならば、或る意味当然の結論でもあったのだろう。機関との敵対を思えば、猶更か】

【“開戦を望むか、意味を齎すか”。少女の言葉になにか有意の反応を返すのでも、何れか一方ならば叶うのだろうけれど――――。】

/>>678
了解ですー。ただ、このレスに乗る形で展開を広げて頂くか、其方で展開を作って頂くか…
それか、〆の方向で行って頂ければありがたいですっ
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/22(火) 02:09:16.99 ID:aAlv5tV40
>>679

……あは、ははは………

【少年は笑って誤魔化す。どうやら、図星だ、と言いたい様子。】
【"忍者"とは何か、さえ余り知らない人間が居る中、彼の其の言い回しは、随分と知識が有るように思えた。】
【彼の配慮に感謝する一方で―――、疑いでも何でもない、只純粋な疑問が、少年の脳裏を過る。】

【―――パイプの灰がテーブルになる、だなんて現象、普通の人間なら驚く事だろう。】
【然し此の少年、其の光景を見た所で一切の表情を変える事無く、淡々としていた。】
【異常な適応力が有るのか、其れ共只単に、無頓着なのか―――、答えは両方、だった。】


そ、そうですね……とうろうとかちょうちんは、未だに、使ってた、ので……
1つ1つは、とてもなつかしいです……、でも、これほどたくさんのものが、
それも、こんな森の中で、というのは、……おれのふるさとでは、しなかった、ですけど。


【そっと頭を上げ、星空を見ながら彼自身の故郷を辿る。何処かホッとした表情を見せたのは、きっと読み取れた筈だ。】
【矢張り、"懐かしさ"と言うのは人を落ち着かせる。其れで無くとも、灯籠が放つ淡い、淡い光は、とても魅力的であって―――。】


あ、あの、大変だったんじゃ、ないですか?……というより……
その、失礼なこと、かも知れませんが……何で、こんな所で、こんなことを、というか……
……あ、ごめんなさい、感動してるぶんざいで、ですよね……

【辺りに響くのは、鈴虫の歌。辺りをサーッと吹き抜けるそよ風に靡いては、其の光をもゆらゆらと揺らして。】
【1つなら兎も角、取り付けられている全ての灯籠が、同じ様に動くのだ。その光景は当然、筆舌に尽くし難い程―――美しい。】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/22(火) 20:24:24.40 ID:gHbSCJ7Zo
>>683


【少年の言葉に、反応に、そうだろうそうだろうとうなずいて見せた。】
【心中に潜んでいたとっかかりも、自然と外れた。】

【肘をのせていた背の高い小テーブルに、懐から煙草盆を取り出して置いた。】
【煙管を口から離し、灰を灰皿に落としつつ、うっとりとした美味しそうな表情で煙を吐く。】


まあ俺の村では照明器具ほぼ灯籠だったしな――
――そらお前、"忍術 "のトレーニングには暗すぎるだろ? これくらい明るくしてやんないとなァ。


【補足として付け加えれば、彼の村は灯籠の村と呼ばれる小さな村。】

【――さて、彼が口にした忍術、だが、彼の使役する術は魔法に分類される。】
【彼もそれは理解しているが、似たようなものと捉えて忍法と呼んでいる。】
【――しかし、その言葉が少年にどういった印象を与えるかは分からない。】


【――風に揺られて、一つ。また一つ。と灯籠の光が尽きていく。】
【二人を包む光が徐々に弱まり、小さな世界を朧気なものにしていく。】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/22(火) 20:27:36.75 ID:wnmSiHSR0
【夜の国―――平原地帯=z

【夜の国の北部山岳地帯へと繋がる大規模な平原、木々も疎らにしか存在せず見通しも非常に良い場所だ】
【本来は明かりとなるものは月光しかないのだが………今宵は違う、うっすらと明かりを放っているモノが存在している】
【それは飛行船だ、多数の貴族を乗せた豪華客船が平原へと墜落し、そこから火の手が上がり次第に広がっているのである】
【だがこれはただの墜落ではない―――その頭上には大型の飛行魔獣が何体も円を描くように舞っている―――。】
【これは襲撃だ、魔獣の群れによるものか………?否違う、燃え盛る飛行船の近くに何者かが立っているのが見える。】
【その人物は墜落した飛行船をグルリと回りながら歩いている。】

≪全く―――ベアトリックス≠フ頼みとはいえこのような場所まではるばる訪れる余裕は私にはないのだがな………
 だが私≠フ計画はまだ段階としては早い………ならば根回しとしてこのような雑務も引き受けるべきだろうか………フ。≫

た………たす………助けてく………一体、なに………が

≪おや、まだ息のある者がいたか………そのままでは苦しいだろう、どれ手を貸してやるとしようか―――。≫

あ………ありが、―――ひッ!?

【その人物が進む先に飛行船の柱の下敷きになってしまった貴族らしき男がおり、苦しそうに喚きながら助けを求めている】
【男はその貴族の男へと近づくと手を差し伸べると思いきや―――腰から引き抜いた魔導銃を貴族の男の額へと当て、そして………】
【一瞬安堵の表情を見せた貴族の男だったがそれもつかの間、直ぐに絶望に歪んだ表情になりそれと同時に引き金が引かれた】
【ドンッ!という大きな音が一度鳴るのと同時に風に煽られ炎が一段と大きくなり、この襲撃者≠フ姿を映し出す―――。】

【まず頭部は紫のバイザーのヘルメット型の真っ白な仮面に覆われており表情はおろか人相も判別できない状態であり】
【全身は銀色の装甲服とその上に真っ白な背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の男】

【変声期を使っているのかエコーのかかった妙な声色で淡々と相手にとどめを刺すと、ゆっくりと立ち上がり銀色の魔導銃を懐に仕舞う】
【遮蔽物のない平原地帯、これほどの騒動が起きていれば誰かの目に留まるかもしれないが―――。】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/22(火) 22:12:24.73 ID:01J5bcp70
>>682

【少女の挑発、男はその挑発に対しては眉を上げた】

 ふむ、研究室に篭ったところでなにも見出せまい
 第一私はね人とかかわるのは嫌いではないよ
 なんせ、関わった人がどのように生きているか、うむ実に興味深いしな

【男はそのように言う】
【その言葉には感情が篭っている】

 ふむ、別段私の研究の成果が誰にも知らないならそれでいい
 私の研究は私が知りたいからこそ研究をするのだよ
 ま、機関にも役に立つ研究もするがね

【男の言葉にはさらに感情が篭る】
【それは男に笑みすら浮かばせるほどに】

/今日もよろしくお願いします 
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/22(火) 22:32:30.02 ID:Si082CJZ0
【暗い、森の中――――不自然にも辺り一面には物が焦げる臭いと共に大きな魔力が漂っていて】
【原因を突き止めるべく辺りを探れば、やがて十体ほど獣の骸積まれた場所へと辿り着くことだろう】
【どれも黒い煙を上げており、原因がこれであると推測するのは難しい事では無い。然れど、そのどれもが燃やされたとなれば、異常】


「…………誰?あなたも、五月蠅い人?」

【その骸の上から投げられた、幼い声。見れば、丈に合わないブカブカな学生服を纏った少女が居る事だろう】
【真っ赤な髪に、それと同じ双眸の色。漂う魔力の発生源は、紛れも無くこの少女】
【裸足に血肉がこびり付いた身体と、まるで食後の獣を連想させるかのような姿】
【赤い目を丸くして、興味深そうに上からじっと見下ろすけれど――――未だ、その瞳に敵意は無く】


「……五月蠅いなら、嫌い」

【天真爛漫と言うべきか、次には不機嫌な様子へと変わって。投げた言葉は、騒がしい人物か訊ねるもの】
【其れより先を紡ぐ言葉は無く、小首を傾げて問い掛けに対する応えを待つのみ】
【少なからず、この少女が事を起こしたことは明白】
【素直に言葉を返すもよし、無視して何らかの行動を起こすも良し――――全ては、この現場を見た者次第であって】








【人通りも無くなった街の中、コツリコツリと靴を鳴らしながら歩く姿が一つ】
【――――乱れなく着こなした軍服に、制帽。片目は眼帯で覆った少女が一人、歩いていて】
【腕に通された腕章は自警団の其れ。時折立ち止まっては、辺りを見回すけれど】


「…………異常なし、でありますね
ふひぃ〜……昨日は散々連れ回されて寝不足だから疲れたでありますよ……
っとと、ちゆ姉に聞かれたら不味いでありますね」

【眠たそうな眼をゴシゴシと擦り、再び歩き始めた】
【時折街灯に照らされる藍色の髪は、その光を鋭く反射させていて】
【……溜息を一つ吐けば、適当なベンチへと腰を下ろすことだろう】


「取り敢えず、今日の勤めは終了でありますね
…………帰ったら蜂蜜を入れた牛乳でも飲んで寝るでありますか」

【堅い表情には似合わない、大きな欠伸】
【続いて大きく背伸びをしたならば、もう一度辺りを見回して】
【立ち上がろうとしたその刹那――――脚が縺れて“ゴチン”なんて音が響き渡るだろうか】
【この街を訪れた者は、唯一の人影…………それも地面と熱烈キスをしている者の姿を見る筈で】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/22(火) 23:00:56.14 ID:Mco4Jeqv0
>>686

……?……興味深い? 機関の内側での出来事なら、貴方が知るに苦労はしないと思うのだけど――――

【関わった人々/機関内部ならば足跡を追う事も容易だろうが、機関の研究室でそれが叶わぬという事は、外部への関わりを重んじると言う事なのか】

【――――機関内部だけでなく、一般の―――或いは“何かを必要とした”―――人々にも関わっているということだろうか? ならば、其れは如何なる共通点を持つのか―――深海の泥を探る様に浮かび上がる疑問、】

【機関の研究は主に先進技術の獲得を目指し、その成果は外界への干渉に用いられる。それは“力”として存続する組織の常であり、少女の知る多くの実行力であり武力だった】
【内部統治・支援がための秘匿・占有に価値のある研究ならば話は別だろうが、それはそれで候補を絞れる。識れば、或いは斬り込む糸口を得る手掛かりにはなるのだろうと】

【何れ、斯くある好機ならば未だ引き鉄の引かれぬこの状況は僥倖であって】

…………知るだけじゃ現実は変わらないし、動かなければ何も動かせはしない。
自分や他の人やこの世界や“今”に、違いを生むために人は知るのでしょう?
啓蒙するって言い方は嫌いだけど、知らしめるのもひとつ――――研究者としての価値にはなるんじゃないのかしら……。

【単純な興味ではなく必要のゆえに。少女は今一度、研究の発露を求める言葉を向けた】
【男の研究分野――対象――成果――到達点として定める目標、】
【或いは彼が如何なる人々と、如何様に“関わり”、如何様にこの世界の日々を変えんと試みているのか】

【……敵対の関係には変わりはない。けれど、力の造り手たる白衣の男の宿す感情の正体、】
【そしてその発露の手段として選ばれた“研究”――――機関と敵対するがゆえにその支流たる業を識らんとする双眸は、白衣の裾野に踏み込み続けて】

/お願いしますー!
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/22(火) 23:04:08.63 ID:aAlv5tV40
>>684

忍術……?えっと……忍者さん、ですか?……
それなら、お仲間です!うれしーなあ……うん、久しぶりに、忍者さんに会いました!

明るいって、いいですよね……俺の目は、暗くても……、月明かりぐらいあれば、見える……、
……あ、ちょうど、このくらいの暗さなら、普通に、なんですけど……それでもやっぱり、とうろうの光があると、落ち着きますね!

【指差したのは灯籠の光が及ばぬ範囲、鬱蒼と茂る森だった。明るい場所から見ると其処はもう、異次元の様な感じがして―――。】
【本能でさえ行きたくないと言う、そんな所。然し、少年の眼を以ってすれば、其れでも尚、よく見えるのだと言う。】
【―――つまりは暗順応が、極めて優れている、と言う事。暗い場所も"仕事場"に成り得る忍者という職業を考えると、当然だろうか。】

【光が消えて行く。ゆるやかに吹き抜ける風に靡いて、少年の髪は、時折灯籠の光沢を反射させる。】
【身体全身で、ゆっくりと其れを感じて。鬱蒼と、なんて表現をした森も、随分と心地の良い、葉の擦れ合う音を響かせた。】
【断続的に灯籠が其の生命を終えて行くのだったら、少し、ほんの少しだけ。辺りは暗く感じられる程になる事だろう。】


あ、これ、………兵糧丸です、あの……‥
一緒に、食べませんか? 俺が作った物、なので……味には、あまり、自信がない、ですが……

【あ、と気づいた様にポーチを開けて、いそいそと取り出したのは小さな紫色の巾着。】
【中には2つの兵糧丸と呼ばれる食べ物。忍術を駆使する人物なら、其れなりに知っているであろうか。】
【彼お手製、余り自信は無いと言っているが、其の味は大した物だ。其れを食べた事が有るのなら―――きっと、そう思える筈。】

【スッと腕を上げ、彼の方に向ける。手のひらの上には、紙に包まれたテニスボール大の兵糧丸が、チョコンと乗っている事だろう。】
【一緒に食べないか、という誘い。応じるも応じないも、勿論、彼の自由であって―――。】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/22(火) 23:23:52.22 ID:6hf82+Vmo
【水の国 街中】

【世界有数の大都市を有するこの国、同時に今は天下一武道会の舞台でもある】
【街行く人々の話題の中心は、当然ながら今や佳境に差し掛かった大会について】

【今まで行われた数々の壮絶な試合、そして来る決勝戦。優勝の栄光を手にするのは誰か】
【交わされる無数の言葉が、街を満たし続けている。大会の影響力が伺い知れる光景だ】


【そんな中に一つ、簡素な屋台が佇んでいた。店先には、複数のおもちゃが並べられている】
【屋台の店主は、少し長めの茶髪に細面の青年だった。白いシャツの上に青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【一見すると、普通の人間に見えるかもしれない。しかし、その無機質な青い瞳といい、どことなく質感が人のそれと異なる肌といい】
【何より、服の下にあってもその存在を誇示する、両手足の球体関節。それらが、彼が人ではないことを示していた】


さあさあ、観光のお土産にいかがですか!! おもちゃにアクセサリー、フィギュアから
日用品や生活雑貨、いろいろ取り揃えてますよ!!

【呼び込みを行う青年の姿に、覚えのある通行人もいるらしい。彼もまた、大会の出場者の一人であったからだ】
【中には、彼が人と異なる存在、生ける人形であることに好奇心を持ち、無遠慮な視線を送ってくる人々もいたが】

【その青年の姿や、大会出場者という点も相まって、売れゆきはなかなかのようだった】
【中でも、執事服を着た華奢な少年のフィギュアは、密かな人気を誇っている】
【このフィギュアのモデルもまた、大会出場者であることに起因しているのだろうか】


(……やつが街中で仕掛けてくるとは、考えにくい。大会の影響が残っているうちは、実力行使には間違いなく出ない)

【時折、その人形の瞳の中に宿る魂が、油断のない光を帯びてもいるが】
【生き人形は愛想よく商売を続けている。この雑踏の中にあって、誰かがこの屋台に興味を持つこともあるだろうか】



【水の国 廃ビルの一室】

【肉の焼ける臭いが、充満している。割れた窓から、煙が漏れ出ていく】
【路地裏の奥の廃ビル。発展に取り残され、打ち捨てられた都市の郊外。闇に蠢く者たちには、絶好の環境だ】

【ところどころに壊れた椅子や長机が転がる広い部屋。会議室か何かだったのであろうか】
【壁には色とりどりの落書きが書き殴られ、割れた瓶やビニール袋といったゴミも散らばっている】
【その中央に陣取る男が一人。煙と臭いの出どころは、彼であるらしい】


【身長2メートルを超えているであろう、大男だった。角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、足には黒いゴム長靴】

【その耳は黒ずんでひどく形がゆがみ、その両目は生気のない義眼】
【何より、その額には面積いっぱいを埋める巨大な一つ目が存在していた。およそ、人とは思えぬ姿】



……たれの量は、こんなところか

【大男は、放置されていた椅子の一つに腰かけ、長机の上に乗せたカセットコンロで肉を焼いていた】
【一つ目で焼き加減をじっと観察しつつ、箸で肉を縦横無尽に動かし、取り皿にとって慎重にたれをかけ、口に入れる】
【それをじっくり味わった後、カセットコンロの傍らに広げられたノートに、肉の味や焼き加減などを詳細に記録していく】

【少し離れたところには、派手な格好をした若い男女が数人倒れ伏していた。全員、すでに絶命している】
【この場に散らばるゴミや壁の落書きは、彼らのものであったようだ】
【彼らの肉体は、ところどころが欠如していた。この光景を見たものならば、机の上で焼かれている肉の正体も察しが付くだろうか】


(……大会中に彼奴を捕えるのは困難だが、居場所は捕捉しておきたいところだ。さて、どうしたものか……)

【一人、おぞましい思考に浸りながら、大男は肉を焼き続ける】
【その臭いと煙が、あるいは誰かを引き寄せることもあるだろうか】
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/22(火) 23:42:20.09 ID:01J5bcp70
>>688

 おやあ、たしかに調べることなら簡単だ
 だがねえ、果たして調べてその人物を知ったことになるかね
 とはいえ、まだ関わった人物は少ないがね

【男はそう言う、まだ関わった人物は少ない】
【だがそれはそれで今後どのような人物に関われるか楽しみでもある】

 さて、ふむ、知らしめるか
 それはそれで面白いさ、もし私の研究が世界を変えるとするならば面白いことだよ
 知りたいのであれば知らしめよう、まあいつかはわからぬし、私が死んでいるかもしれんがね

【男はそのように言う】
【どこか達観しながらも、面白そうに言う】

 ふむ、ああそれならアンドロイドなどがいいかな、いや聖遺物でも旧遺物でも
 ああそれなら異世界の事を調べるのも面白い

【だんだんと男は一人でそのように言う】
【少女が目前にいるのに、一人でしゃべる】
【花嵐は少女を警戒しながらもその行動にあきれてはいる】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/23(水) 00:01:08.41 ID:0OplCiCao
>>690

……死体、いっぱい
「でも、これじゃ使えないね」

【廃ビルに響いたその声は、あどけなさや幼さを感じさせるようなもの】
【その部屋の入口付近、二つ並んだ影は、130cm程度の小柄な子供のそれで】

【一つは黒い服。フリルやレースを各所にあしらって、首元には細く赤いリボン】
【ストレートの長い白髪に、青天の如く澄んだ水色の瞳は丸く開かれ】
【黒のフリルをあしらった濃いピンクのフリルパラソルで、転がる死体をつついたりして】
【左耳に着けたイヤリングには、小さいながらも逆五芒星の印】

「これ、やったの?」
お兄さんがやったの?

【もう一人は白い服。同じくフリルやレースを散りばめて、首元には青いリボン】
【長くストレートの黒髪に、鮮血の如く鮮やかな紅の瞳で彼―大男の方を見つめる】
【“黒”と同じようなイヤリングを、この“白”は右耳に】

僕達と同じ?
「お兄さんも、私達と同じ?」

【問いかけられる“同じ”という言葉――それが所属を指すのか、それとも他の何かなのか】
【それをどう捉えるかは彼次第。二人はただ、見つめるだけで】
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/23(水) 00:26:43.43 ID:Ts3iHGBno
>>692
【ギョロリ、と一つ目が動いた。首だけが部屋の入り口を向き、その二人の姿を捉える】
【巨体から湧き出る警戒の気配、しかしいきなり何か仕掛けるようなことはなく】

【子供の姿を確認しても、警戒を緩めることはない。こんな場所に踏み込んで平然としていられる子供が、ただの子供であるものか】


……その通りだ。私がやった

【抑揚を抑えた声音で、二人に返答する】
【巨体は、椅子から動かない。焼いていた最後の肉を、口に放り込んで飲み込むと】
【カセットコンロのスイッチを切って、そのまま二人に向き直る】


【一つ目から送られる視線が、二人を舐め回す。それぞれ違う耳に付けられたイヤリングの逆五芒星】
【大男はゆっくりと立ち上がり、首を回してコキリと音を鳴らした】

……同じというのが何を現すかによるでしょうな
まず、こんな成りをしてはいますが、私はただの人間ですよ

ただ、もう一つの点においては、同じと言えるでしょうな


【大男が首を上げ、二人に喉元を晒した。その喉の肉が、左右に開いた。人間だと主張しておきながら、いきなり人間離れした動き】
【露わになった喉奥の肉には、二人のイヤリングに印されているそれと同じ、逆五芒星のマークとその内側に“No.29”という文字が刻まれていた】
【喉奥が蠢き、もとの状態に戻る。視線を二人に戻すと、胸に手を当てて一礼した】


……カノッサ機関ナンバーズ、No.29カニバディール・以後お見知りおきを
そちらのお名前を、伺っても?

【まずは自ら名乗り、二人と同じ所属であることを明かす】
【慇懃な言葉づかいとなったのは、相手の立場が不明であるからだ。見た目は子供でも、自分より遥か上の地位にいる可能性も大いにある】
【一つ目の視線を、二人の間で揺らしながら、大男・カニバディールは彼らの言葉を待った】
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/23(水) 00:26:54.68 ID:HGiSvizL0
>>691

……そうね……どんな生き方をしたのだとしても、その人を知るのは簡単じゃないでしょうね。
“調べる”のでも訊くのでもなく、人としてだけ識れる事がある―――――
……それだけ、貴方には伝えて置きましょうか。

【少女の主張。ひとを研究対象としてのみ扱う事への警句を投げるも、雲を掴む様なやりとりである事実には変わりなくて】

【言葉から外部への干渉の有無は見定められない。或いは其れ自体が装いなのかも知れないが、晦まされた行方は答えを紡がずに】
【必然的に話題は男の続ける其れへと移った。傍らに佇む面頬の内なる表情を恐らくは歪めた、白衣の研究成果と興味の標的に。】

(アンドロイド……聖遺物に旧遺物、それに異世界への探訪と知識の集積? 単純に知識を集めているという事でもないでしょうけれど……――――)

【やはり理解しきるのは容易ではない。そう、考え得るその“繋がり”の整理を試みる様に胸裏に浮かべる】
【モザイク画――――そんな印象を受ける言葉の羅列だった。だが当人すら理解出来ているのか分からぬ全体像が、背景を貫くなにかにはある様には感じて】
【……未だ見えて来ないその全貌が、或いはそれぞれの研究が導く最終成果なのか。そう浮かべた瞬間の橡色の動き、】


……そこの彼は、さしずめその研究の協力者と言った所になるのかしら?
アンドロイドというには少しだけ復古的な恰好だけれど。

知識の集積の果てに見えてくるものがあるのなら、それもまた一つの理想……か――――、

【ふと白衣の男から切られた視線が花嵐―――そう呼ばれた騎士甲冑の人物へと向けられた】
【警戒は消えていない。互いに、敵陣営全体に対するその敵意の必要性は変わらぬから。】
【けれど其れ以上の熱を帯びるなら、男には言葉に鍵など掛けられぬ筈――――、】

【熱狂する白衣に接する少女の言動は、或いは彼の意欲を煽ろうとしていたのかも知れない、】
【けれど先程より一層の警戒を促していた随伴者が、果たして其れを許すのか。或いは無理に流れを/言葉を遮ったとしても、不自然でもなかったとは言えて】

695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/23(水) 00:45:00.14 ID:hlKO6S2X0
>>694

 くははは、おっと私一人で熱中していたようだ
 いやあ、すまないすまない

【男は笑い、思考を現実に戻した】

 ふむそうだね、花嵐は研究の協力者ではないよ
 研究の成果かな
 アンドロイドと言うわけだよ
 いやあ、当たっているよ

【男はそのように少女にばらす】
【別段ばれたところで問題はないともいずればれるならとも思ったのだろう】

 ああそうだそうだ、こんなことも言っておこうか
 最近機関では――
『マスター!』

【男が何か言おうとしたときに花嵐がその言葉をさえぎる】
【これ以上はなされてはまずいと判断したのだろう】

 おや、いずればれることだから話していいのではないかね
『だめですよマスター』

【男はあきらめたのか、その後は口をつぐみ、新たな言葉を作る】

 では、そろそろ行かせてもらおう

【そう言うと男は道を変えて去っていくだろう】
【花嵐もそれに続いていく】
【追っていてもいいが、そこにはもう二人はいない】

/ここで〆ますね
/お付き合いありがとうございました
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/23(水) 00:56:08.83 ID:9W9Ujyh1o
>>693

―――やっぱり
「他の人がやったとも思えないけどね」

【子供特有の声でありながら、そこに感情は感じられない】
【ただただ平坦で、ともすれば無機質さをも感じさせるような、そんな響きで】

【そしてそれは、喉元の肉が開く様を見ても変化することはない】
【ごく当たり前なものを見ているような、そんな風にも見えて】

「じゃあ、同じだね。私達も機関のメンバーだから」

でも、人間って所は……どうなんだろう
僕達も人間“だった”けど……
「言うなら、“半分は人間”ってところじゃないかな?」

【意味深長な言葉を、あくまで淡々と、平然と口にしていく】
【しかしその意味については、訊ねられない限り語る事はない】
【逆に言うなら、訊ねられれば答える、ということだが】

僕はクシー。って言っても呼称だけど
「私はプシー。こっちも呼称だけど」

「私達はナンバーは貰ってないの」
だけど、僕達の上の人はナンバーズ、らしいよ

【彼がナンバーズであるのに対し、二人はノーナンバー】
【しかしそれでも話し方も、態度の一切も変わりはしない】
【後ろにあるナンバーズの存在故―――という訳でもなく、きっと相手が六罪王でも同じなのだろう】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/23(水) 01:19:43.79 ID:Ts3iHGBno
>>696
【どこまでも淡々とした、二人の声音。カニバディールは、まだ額からの視線を外さないまま】
【自身の異形も、開く喉も、まるで日常の風景であるかのように受け流す】
【彼らの無機質さに、己の異形を棚に上げて、不気味さすら感じていた】


お互い、顔も知らない機関員も多い現状、同僚に会えたことを嬉しく思いますよ

ふむ……興味深いお話ですな。どういう意味です?
元は人間で、今は半分だけとは……

【この大男は、利己的で欲深かった。あらゆるものを欲しがる性質だった】
【仲間の前では、普段は抑えているこの欲望が、二人を前にして顔を出した】
【あるいは、彼らのあまりの無機質さ故に、興味を抑えきれなくなった結果なのかもしれない】


呼称、とはいえその名で通っている、という認識させていただきます
上が、ナンバーズ……直属の配下、ということですか……

【彼らがノーナンバーであるとわかっても、彼らの態度が変わらなくても、カニバディールの方も気にする様子もない】
【やがて、一つ目を幾度か瞬かせ、その巨体から少し力を抜いた】


……立場を気にするような性質では、ないらしいな
ならば、私も平素の態度で振る舞わせて頂こう

さて、お前たちは何のようでここに来たのだね? 私は、雑務を終えた後で私事に興じていたのだが……
何かの任務でも与えられていたのか? 先ほどは、この死体では使えない、などと言っていたな


【堅苦しい姿勢を解く。相手がノーナンバーであり、かつどこまでも無機質な様子を崩さないということを確認し】
【自然体で振る舞うことを決めたようだ】

【投げかけられるのは、彼らへの疑問。単に野次馬根性からのものではあったが】
【あるいは、もし彼らが協力を必要とするなら、それに応じるという姿勢を見せるつもりでもあるかもしれない】
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/23(水) 01:50:39.22 ID:EsAr4rcZo
>>697

元々は、普通の人間だったの
「どこにでもいるような、ただの子供だったらしいの」

だけど、今は“おじさん”の実験の“試験作”
「人間を人間たらしめたまま兵器にする実験の、試験作」

……でも僕達は完成品じゃない
「本当の目的はもっと別のところにあるんだって、“おじさん”が言ってたの」

【『人間であると同時に兵器である』】
【要約するなら、先の言葉の意味はそのようなところだろうか】

【ぐしゃり――“白”、クシーの踏み出した足が、一つの死体の頭蓋を踏み抜いた音】
【ただ力によるそれは、見かけに依らずかなりの筋肉がその身の内に秘められている証】
【これもまた、実験の賜物であるようで―――】

「…………血の臭いがしたから、使える死体があるかも、って」

“おじさん”が、いっぱい死体が必要だから、って
今度は死体を使って実験するらしいんだ

「私達の時より難しいらしくて、私達にも集めて来て、って」
「それで、なるべく欠けてない死体を探したり、作ったりしてるの」

【“おじさん”―恐らくは件のナンバーズであろう―が欠損の少ない死体を欲しているという】
【生きた人間の改造に続いて、死体を使って何をしようというのか―――】
【しかし二人はそこまでは知らない様子。ただ死体を集めて、そして“作って”】
【目的の分からない事であっても何も疑う事なく従うその態度は、二人が兵器であるからこそ、だろう】
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/23(水) 02:31:24.95 ID:Ts3iHGBno
>>698
実験の“試験作”……なるほど、その“おじさん”がお前たちのバックのナンバーズか
人間であるまま、兵器にする。なるほど、半分人間、とはそういうことかね

(普通の子供を、ここまでに変えてしまうとは……カノッサの科学者たちには、いつもながら驚嘆を禁じ得ないな……)

【自分たちのことだというのに、まるで他人事であるかのようなこの態度。本来ならば、あどけない子供たちだったろうに】
【カニバディールとて機関に身を置く悪党、彼らに憐れみを感じるほどまともであるはずもなく】
【代わりにその背後の存在、まだ見ぬナンバーズへと思考を向ける】


【その思考が、クシーが頭蓋を踏み抜いたことで中断された】
【あれはもう調理には使えないな、などと心中でつぶやきつつ。子供の体躯に秘められたその力に舌を巻く】

……それほどの力を持ちながら、“試験作”か
お前たちの主は、科学者のご多分に漏れず、貪欲であるらしいな。私に言われたくはないだろうが

死体を求めていたのも、その“おじさん”の指示か
熱心なことだ、次は何を始めようというのやら

(兵器……か)

【何の疑いも持たず、自分たちのおぞましい任務を遂行しているであろうことは、彼らの口調からも伝わってきた】
【兵器とは、そういうものだ。おそらく、“おじさん”にとっては、クシーとプシーも道具にすぎないのだろう】

【同時、“兵器”という言葉から連想する、一人の女性。かつて、路地裏で共闘を誓った、赤い髪の女性】
【しかし、そんな感傷じみた思考も、一瞬のこと。彼女は、いない。その生死がどうであれ、もはやナンバーズからも外されている】
【ないものに思いをはせてみたところで、徒労でしかない。カニバディールはそういう男だ】


……事情は理解した。実は、今ちょうど手下の一人に死体の調達に行かせているところでね
もし状態が気に入れば、持っていくといい

……ちょうどいいタイミングだ、どうやら戻ってきたらしいな

【その言葉に覆いかぶさるように、異様なほど規則正しい足音が聞こえてくる】
【やがて、それが姿を現す。カニバディールには劣るがかなりの体格を持った男だった】

【分厚い肉体を包む、黒いタンクトップと青みがかったニッカボッカ。足には黒い安全靴】
【頭には『安全第一』と表記された、黄色い工事現場用ヘルメットを被り、溶接作業用のマスクを装着して顔を隠している】

【タンクトップから伸びる、大きく武骨な金属製の義手。両腕とも】
【ところどころに錆色も含む二本の義手は、男の体躯と比べても人間離れした太さと長さだった】


【その義手に、三人の若い男が捕えられていた。三人とも、首が正常ではありえない方向に曲がっている】
【鉄塊といっても差支えない男の義手で、へし折られたらしい】


[ウィーン……本機ハ、任務ヲ、完了、シマシタ]
ご苦労、オートマーダー。少々事情が変わってな。その死体、彼らに見せてやってくれないか

[ガッシャン……ガッシャン……]

【溶接作業用マスクの、のぞき窓から見える義手男・オートマーダーの両目は】
【クシーとプシーに比べても劣らぬほどの、冷たい無機質なものだった】

【命令を受けて、オートマーダーが死体を引きずって動き出し、二人の前に置く】
【折られた首以外は、特に損傷が見られない死体。彼らのお気に召すのだろうか】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/23(水) 02:47:11.38 ID:iGfbnnVO0
>>695

………流石に、少しは驚いたわ。機関にもこんな人が生まれてた、なんてね――――

【研究成果―――――花嵐。これまでの行動様式もアンドロイドとしての属性を思えば、何処となく合点の行く様に感じた】

【人間と遜色ない感情表現や高い自律性、外敵に対しての堅実な対応。嘗て刃を交えたアンドロイドの少女――――“光”繰る正義の徒を少女は思い浮かべたが、力の指向性は真逆なのだろう】
【戦力そのものは未知数とはいえ、量産されればソフト・ハード両面に於ける脅威となる事に違いはなく――――、】

【白衣の続ける言葉に耳を澄ます。“計画”/“傾向”―――――或いはそれこそが少女の目論見であったが故に、一層の集中を以て意識は自らを尖鋭化したが】



【あと一歩という場面で割り込む声。花嵐。アンドロイドたる最善を為さんとする機能/意識か、それとも彼のいう『マスター』への忠誠か、】
【何れにせよ主の願望をも越えて果たすその遂行は、一定の成果を生み出したのだろう。常に注いでいた警戒の色は、何処か口惜しげに彼我の距離に横たわる闇を裂いて】

【ふと、見た瞬間には其れが延びていた。意識の空白を突かれたものか、既にまた別の路へと彼らは己が進路を自ら変えて】

――――――ッ……!?

【追うも、何らかの技術によるものか既に彼らの姿はない。……僅かに疲れた意識のなか自然と浮かぶのは、幾度となく立ち向かった逆五芒の脅威たち。】
【―――やはり、“機関”は一筋縄で行く相手ではない。無限とも思える拡がりを持つゆえに、一貫した最善の対応など其処にはなく――――】

(……だからと言って、何をだって諦めていい事なんてない。果たすべきは、ただ絶対の意志(こころ)による不壊の戦い―――――。)

(覚悟は、もう終えてしまったから。……何をも、奪われぬ程強くあるのだと笑えばいい)

【なればこそ、少女はこの闇に足を踏み入れた目的を想う。 ゆえに、其れはこの奥へと躊躇いなく歩みを続かせてゆく。】
【対機関闘争の実践―――――その足掛かりとなる始まりの一歩。新たなる門出となる夜は、予想外の熱を得て加速度を上げて、】

/お疲れ様でしたっ……! 二日間、遅くまでありがとうございましたっ
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/23(水) 03:24:06.71 ID:wtX484/Uo
>>699

「うん、だいたいそんなところかな」

―――だけど、この力はただの薬の効果
力だけなら僕達の前のモデルの方が強かったらしいし。

「力が強いだけじゃ勝てない、だから私達は能力を持ってる」
筋力の強化だけじゃなく能力も持った中で、僕達が一番出来が良かったんだって

だから、僕達は眼も移植して貰ったんだ
「“おじさん”のコレクションから、特別な眼を貰ったの」

【驚異的な筋力だけではなく能力も持ち、更には眼――魔眼まで】
【正しく『貪欲』、この様な方向に向いてもやはり、科学者の探究心というものは凄まじい】
【―――しかし、二人の戦力はかなりの物であろうに未だ“試験作”とは、一体何を求めているのか】
【もしかするとそれは、単純な戦力の話ではない―――かもしれない】

“おじさん”が何をするつもりなのかは、僕達は知らない
「だけど、私達に眼をくれた後、これで次の段階に進める、とか言ってたよ」
だから、眼の移植が何か関係あるんじゃないかな?

【道具―――例えそう扱われていると知っても、この二人は何も思わないのだろう】
【きっと今のように何の感情も見せず、平坦に――もしかしたらそんな事はわかっているのかもしれないが】
【それでこその兵器、否、兵器だからこそこうも無感情なのか】


【そして現れる彼の『手下』。しかし二人が見るのは義手の男ではなく、新たな死体達】
【やがてそれらが置かれれば、何かを確かめるように、プシーがパラソルで死体をつつき始めて】

「……他は問題無さそう」

じゃあこの首だけだね……骨を入れ替えれば使えるかな?

【一通り確かめれば二人で顔を見合わせ話し合い、持ち帰るかを決めているようで】
【やがてそれも終わり、二人は彼等の方へと顔を向けて】

僕達じゃ使えるかわからないから、取り敢えず持って帰ってみるよ
「代わりに今度、処分する“失敗作”をお兄さんにあげるね?」

帰ったらお兄さん達のこと“おじさん”に話しておくから、その内届くと思うよ

【―――どうやら持ち帰る事にしたらしい】
【続けて提案するのは“失敗作”の譲渡。彼は死体に条件を求めているように見えなかったのだろう】

【そうして、クシーが二人、プシーが一人を抱え上げて】

そろそろ帰らなくちゃいけないからもう行くね
「今日はありがとう、お兄さん」

『それじゃあ、さよなら』

【手短に別れの言葉を口にしたなら、黒と白の小さな兵器達は闇の中へと消えていく】

【また、先の提案を拒まなかったなら後日、十数体の死体が彼の下へ届く事になるだろう】




/こんなところでしょうか!
/お疲れ様でしたー
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/23(水) 03:49:04.68 ID:Ts3iHGBno
>>701
薬物か……肉体に改造でも施したのかと思っていたよ
その力以上とは、想像もしたくないな……人間の骨が硬い、という事実を忘れそうになる

……怪力、能力、特別な眼。その小さな身体に、どれほど脅威を詰め込んでいるんだね
正直、お前たちとその“おじさん”が敵でなくてほっとするよ

(眼のコレクション……あの男が、ラッシュ・ワンスドッグが「機関には眼フェチが多いのか」などと漏らしていたが)
(もしそうだとすれば、世界というのは狭いものだな)

【過去に争い、先日再会したある敵の言葉を思い返す。あるいは、奇妙な縁のつながりもあるのだろうか、と】
【だがそれ以上に、二人のくちから 並べ立てられる驚異の数々】
【筋力、能力、魔眼。全てが兵器として彼らを機能させる「力」】

【彼らの主が、果たしてその先に何を求めているのか……カニバディールには知る由もないが】
【それが己の身に不利益として降りかからなければ、必要以上に気にしようとも思わなかった】


次の段階……いずれ、何か事を起こすつもりなのかもしれんな
眼の移植、などという行為が当たり前な辺りがまったく恐ろしいよ。しかし、興味深くもある

【本当に、どこまでも感情を見せない。その年齢を考えれば、ありえないほどに】
【彼らは、きっと心底から兵器なのだろう。人間という感情豊かな生き物を、これほどまでに】
【この世界が孕む脅威には、際限などないのではないか。そんな思いに囚われすらする】


【彼らが自分に興味を向けなくとも、オートマーダーは気にも留めない】
【この男もまた、彼らとは別の形で人間であることを半ば放棄しているのだ】
【覗き窓越しの、くすんだ鉛色の瞳からは、やはり何の感情も読み取れないだろう】

そうかね。使える素材となることを祈ろう
……それはありがたい。せっかくの死体だ、捨てずに私に回してくれるなら、嬉しい限りだよ

ああ、わかった。“おじさん”によろしく伝えておいてくれ

【彼らの提案を、異様に長い舌で唇を舐めながら受け入れる】
【基本的に、この男は悪食だ。失敗作となった死体であろうと、構わず胃袋に放り込むことだろう】


ああ、こちらこそありがとう。今後ともよろしく頼むよ
さようなら。道中、死体が傷つかないよう気をつけてな

【軽々と死体を担ぎ上げる彼らに、もはや驚きもなく】
【やはり淡々とした別れのあいさつに、こちらも簡素に返答する】
【帰り道、彼ら自身の心配をする必要はないだろう。死体がトラブルなく“おじさん”のもとへ届くことを願って】

【闇に溶けていく、二つの兵器を、一つの目玉で見送った】


……さて、今日のところは我々も引き上げるとしよう
オートマーダー、荷物を片付けて持って来い

[ウイーーン……ガシャン。了解、シマシタ]

【やがて、二人の男もその場を後にするだろう。あとに残るのは血と死の臭い。哀れな犠牲者たちの残骸】


【後日、届けられた死体に喜び、それらの調理に、カニバディールは休日一日を使い果たした】

/遅くまでありがとうございました!! お疲れさまでした!!
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/23(水) 20:57:44.02 ID:QFEMg96J0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 公園】

……お前が機関の人間と一戦交えるたぁな……ちょっとばかり意外だぜ
「……こっちから、仕掛けた訳じゃない……仕掛けられて、どうにも逃げ切れなかっただけさ……、っ……」

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫と】

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年が】

【街灯に照らされたベンチに陣取り、思い思いの仕草でくつろいでいる】
【とは言え、青年はどこか辛そうに腹部を庇う様な形で身体を丸める様にして、居丈夫はそれに対して憂う様な表情を向けている】

「……済まないね……手前の方が、面倒を掛ける事になってしまって……」
今さら野暮は言いっこなしってんだよ。こんな状況になって頼られなかったら、そっちの方がおかしいってんだ。少しは肩の力を抜きやがれ……

【居丈夫が立ち上がり、そばの自販機から缶飲料を購入して青年に差し出す。青年は片方を選んで受け取ると、居丈夫は残った方の缶を自分の手に取る】
【どこか神妙な面持ちの青年を見守りながら、居丈夫はフッと苦笑を浮かべて缶の封を切った】



【――――所変わって、風の国 ショッピングモール出入り口】

……うん、これで良いかな?
「(さっき言ってた品物は、これで大体揃ったんじゃねぇか?)」

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女が】
【その手に買い物袋を提げて、ショッピングモールから出てくる】
【袋は少女の体格に対して、そこそこ大きく膨らんでおり、それなりの量の買い物をした事を窺わせる】

<(……随分、助かるわよねぇ……住居を貸してもらえるだけで、生活レベルが見違えるわぁ)>
うん、感謝しないとね……あの2人には……
「(だから、だろ? まぁ、次に会った時にだな……)」

【――――額の発光体が微妙に明滅する中、どこか嬉しそうに少女は自動ドアを潜る】
【雨の名残が路面を黒光りさせて、街の明かりを優しく反射していた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/23(水) 21:29:27.52 ID:QFEMg96J0
/>>703取り消しでー
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/23(水) 21:33:27.77 ID:MKTI4Uo7o
>>689


そうそう忍者。君と同業。
――まあ俺はこんくらい暗くなったらあんま見えなくなるけどな!


【同業の忍者としては、少年と比べあまりに暗順応が不十分である。】
【それに加えて彼の食い扶持は灯籠売りであり――】
【――とにもかくにも彼は息を吐くように嘘をつく、それは冥々の裡にといってもいいかもしれない。】
【自覚しても、わざわざ改めないのが、彼の性分なのだ。誤解を誤解のままで妨げない。】


――おお! じゃあいただこうかな

初めて食うから、どんなのがいい味でどんなのが悪い味かわかんねーから不出来でも気にしなくていいぞ!


【その言葉が、先の発言の信憑性を一気に薄める。】
【そのことに知ってか知らずか、彼は煙管を煙草盆にしまって少年に近づいた。】
【途中、幾分か暗くなった世界をまた照らすために、尽きた灯籠一つに忍術と言う名の魔法で灯りを点しつつ、】
【――光の世界は鬱蒼とした森を再度侵食して、取り戻し――】

【それを受け取ろうと、少年に手を伸ばす。嘘をつくくせに、どこまでも純真無垢な笑顔で。】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/23(水) 21:40:59.44 ID:vwQJ/e2xo
【水の国 街中】

【世界有数の大都市を有するこの国、同時に今は天下一武道会の舞台でもある】
【街行く人々の話題の中心は、当然ながら今や佳境に差し掛かった大会について】

【今まで行われた数々の壮絶な試合、そして来る決勝戦。優勝の栄光を手にするのは誰か】
【交わされる無数の言葉が、街を満たし続けている。大会の影響力が伺い知れる光景だ】


【そんな中に一つ、簡素な屋台が佇んでいた。店先には、複数のおもちゃが並べられている】
【屋台の店主は、少し長めの茶髪に細面の青年だった。白いシャツの上に青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【一見すると、普通の人間に見えるかもしれない。しかし、その無機質な青い瞳といい、どことなく質感が人のそれと異なる肌といい】
【何より、服の下にあってもその存在を誇示する、両手足の球体関節。それらが、彼が人ではないことを示していた】


さあさあ、観光のお土産にいかがですか!! おもちゃにアクセサリー、フィギュアから
日用品や生活雑貨、いろいろ取り揃えてますよ!!

【呼び込みを行う青年の姿に、覚えのある通行人もいるらしい。彼もまた、大会の出場者の一人であったからだ】
【中には、彼が人と異なる存在、生ける人形であることに好奇心を持ち、無遠慮な視線を送ってくる人々もいたが】

【その青年の姿や、大会出場者という点も相まって、売れゆきはなかなかのようだった】
【中でも、執事服を着た華奢な少年のフィギュアは、密かな人気を誇っている】
【このフィギュアのモデルもまた、大会出場者であることに起因しているのだろうか】


(……やつが街中で仕掛けてくるとは、考えにくい。大会の影響が残っているうちは、実力行使には間違いなく出ない)

【時折、その人形の瞳の中に宿る魂が、油断のない光を帯びてもいるが】
【生き人形は愛想よく商売を続けている。この雑踏の中にあって、誰かがこの屋台に興味を持つこともあるだろうか】



【水の国 路地裏】

【その空間を囲う冷たく高い壁が月の光をすら遮り、どこまでも薄暗く不気味】
【表通りから少し奥に足を踏み入れれば、そこは死臭漂う闇の世界だ】
【大会に沸く今現在の水の国においても、路地裏はどこまでも変わらない】


【今日もまた、鮮血が飛び散った。一人の男が、大きな刃物で首をはね飛ばされ、崩れ落ちた】
【人間一人の血肉と骨を一撃のもとに断ち切った凶器は、大きさ1m半以上にもなるバトルアックスだった】
【柄の部分にはカートリッジが取り付けられ、そこに組み込まれた大きなマギタイトが白い光を放って路地裏の闇を切り裂いていた】


【黒と金をベースカラーとしたバトルアックスを握る太い右腕が振るわれ、たった今吸ったばかりの血が壁へと飛ばされる】

【男の首を落としたバトルアックスの持ち主は、身長2メートルを超えているであろう大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、足には黒いゴム長靴】
【角ばった顔つき。口元から覗く鋭い歯。短めに切り揃えられた黒髪の隙間に見える、額一杯を埋める一つ目】
【本来の両目のあるべき場所には、黒い瞳の義眼が嵌め込まれている】


【およそ、人の範疇から逸脱した姿のその大男は、巨体を屈めてたった今自らが命を奪った男の生首に左腕を伸ばし】
【その髪を掴んで自分の口の上へと掲げ、断面から滴り落ちる血を口中へ流し込む】
【ひとしきり血を飲むと、生首を地面に落として口を拭った】

まったく、私から仕掛けるつもりはなかったのだがね。肉が多く手に入る当てが出来たばかりなのだから

……人間の頭蓋をたやすくかち割り、首をはねる。武器としての本来の機能も優秀だ
さすがは、蛇王特性といったところか


【呟く男の額からの視線が、自身が握る得物へと落ちる。未だ鮮血が残っていたが、その刃は欠け一つない】
【わずかに差し込む月光が、死体と鮮血と、その傍らの一つ目の怪物と、巨大な斧とを、路地裏の闇の中に浮かび上がらせていた】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/23(水) 22:15:46.20 ID:T+8E1QFEo
【星の国・ブラックマーケット】

【悪意や卑屈さ、人が普段目にする事の出来ない物が具現化したかのようなその場所】
【お金と力だけが揺ぎ無い力を持つその場所に一人の人物が居た】


【一つの店先で慣れた風に注文をつけていたのは一人の少女】
【ゴシック調の黒いドレスに頭につけたヘッドドレス】
【そして何よりそんな女性がここに居ると言うことが一番異彩を放っていた】

あー…違います違います。そこはもう少し…
そうですそうです、とにかく反動を少なくしてください

【申し訳声色で店主に注文を付け、店主もそれを渋々と受ける】
【まるで服や靴でも作っているかのような口ぶりだが、ここはそんな店ではない】
【一般的な街ではお目にかかれない『武器屋兼武器改造屋』である】

それが終わったら装填もお願いできます?
この前結構な量使っちゃったみたいで

【一仕事終えたと言う顔つきの店主に少女はまたも仕事を持ちかける】
【凄く嫌そうな表情を見せる店主だったが、少女から何かを受け取ると同時に奥へと入っていった】

【店主が不在となった今、この店に訪れる人はいるのだろうか】

708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/23(水) 22:35:31.06 ID:QMMg4RIY0
【火の国、火山近くの荒野】

「この辺りの『地層』·····」

【長身で黒いシャツの上に灰色の胸元を開いたパーカーを着てジーパンを履いている、目深に帽子を被った男】
【彼は、先程から荒野の一部の地面が盛り上がって地層を覗かせている所を興味深げな目で観察している】

「火山灰の堆積した「赤土」······成る程、気候の問題か······」

【地層の赤い土の部分を指でなぞり、メモにペンを走らせている】
【スタイリッシュな格好をしているが、その様子から男は恐らく地質学者であると伺い知ることができる】
【男は走らせていたペンを胸ポケットに入れ、再び地層に目を移し呟く】

「雷」とは大きく異なる地層だな。サンプルを採取していくとするか····このような興味深い地層があるとは、はるばる来て良かったゼ。」

【彼はおもむろに懐からスコップを取り出し、地に跪いて地面を堀りはじめる】
【だが、その光景を第三者がもし見ていたとしたら、第一に受ける印象は『シュール』ということだろう】
【長身で屈強な体つきの、タイムズ·スクエアでも練り歩いていそうな妙にスタイリッシュなナリをした男が、地面に跪いてスコップで地面を掘っている光景を想像してほしい】
【本人はもちろん真剣なのだ。だが少なからずともその光景は、傍観者にとってしかし『奇妙』という印象を与えることであろう】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/23(水) 22:46:17.36 ID:Wc4tYXAA0
>>705

あ、食べたこと、ないんですか………
それなら、なおさら、自信なくなっちゃうなあ………初めてがこれ、っていうのも……うーん……


【少年は迷う。然し彼自身が取ろうと手を伸ばしたのなら、少年は其れを妨げる事は無い筈だ。】
【手のひらに重力が感じられ無くなったのを認めると、少年は自分の分の包みを開けて。一口、少し大きめにカブりつく。】
【雑穀のプチプチとした食感と、もっちりとした歯応え。表面に塗された甘めのきな粉は、味全体を調和する様働き―――、】
【中身に特別嫌う物が無いのなら、普通に美味しい、と評価出来る。其れ位の味である筈だ。】

【彼に懐疑的な目線を注いでいたのなら、其れを食べた事が無いという発言には、違和感を感じるのかも知れない。】
【然し少年はそうでは無かった。今は現代―――あらゆる流派の、あらゆる形態の忍者がいる時代だ。】
【伝統的な料理を作らない忍者、という物が居ても可怪しくない、という結論に至った様、】
【少年は其の事に対して、驚く素振りも不思議に思う素振りも、一切見せ無かった。】


!!………俺の、知らない、忍術………!
今のは、光を、ともす、忍術、ですか……‥? 初めて、見ました……
"さいこうしはん"なのに……まだまだ、一人前にも、なれてないのかなあ………


【彼の忍術―――元意、魔法で灯籠の生命が吹き返る様子を見て、今度は露骨に驚いた様子を見せる事だろう。】
【何しろ彼は、"さいこうしはん"なのだ―――流派の中で、最も高い地位。其の名前からでも、そう推察する事は容易な筈だ。】

【少年は、未だ自分の知らない忍術があった事に、少々落胆した表情を見せる事だろう。】
【其れは、責任感に由来する物でも在った―――自分は、もっと、もっと忍者として、"強く"有るべきだと云う彼の信念。】
【放たれた言葉自体は、其処まで多くなかった。然し言葉一つ一つが、其れを如実に示していて―――。】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/23(水) 23:23:21.32 ID:MKTI4Uo7o
>>709


気にするなって、んじゃいただきまーすっ!


【手にとると、彼は嬉しそうに兵糧丸を口に放り込んだ。】
【くちゅりくちゅり咀嚼し、初めての味を愉しむ。】
【例え不出来でも、彼は持ち前の"嘘"で表情を変えなかったろう。"美味しい"と言う四文字を添えて。】
【――依然、彼は表情を変えなかった。"おかわり"の四文字が添えられれば、その真意は読み取れるだろうか。】



ほりゃほ前、【咀嚼】忍ひゃにはいろんな流派が【咀嚼】あるからな。
ほまえはほまえのみひを【飲み込む】極めればいいんじゃねーかな。
まあ俺の忍術は魔法が基なとこあるし、魔法ができればこのくらい分けねーよ。


【はしたなく、咀嚼しながら励ます。】
【最後の発言の内容は、卒然としていた。忍術と魔法を別に考える人間にとっては、いきなりのネタバラシ。】
【――憤りを感じるかもしれない。"忍者として"の無用な落胆をさせてしまったのだから。】
【少年が自ら、青年の嘘で自己を省察し"強くあるため"の遺志を再確認したという結果を、客観的に自覚すれば、】
【憤りとはまた違う結果が訪れるかもしれない。】

【青年はどちらの結果も、はたまた別の結果も、のらりくらりと享受するだろう。】
【灯籠の灯りのように、純白の笑顔の裡へ。】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/23(水) 23:30:04.94 ID:GFhyrA200
【人の住まなくなった小さな街。謂わば、ゴーストタウン】
【――――宝が眠って居るだとか、住人達の亡霊が出るだとか様々な噂が絶えずに作られては消えて】
【若者達が肝試しや真相究明といった目的で時折訪れるのだが…………不思議な事に、無事に帰った者は少ない】
【其れが更に、その街の噂に拍車を掛けるのだが】


「…………今日は月が綺麗ね。月には兎が居るなんて言うけれど、それが本当なら踊っていそうな位に綺麗ね
――ふふ。この町に飲み込まれた人間達も、幽霊になって見ているのかしら。それとも、魂ごと食べられてしまって見れないのかしら」

【その街の中心部。濃い“瘴気”が漂っており――――街に少しでも足を踏み入れたならば、直ぐに気付けるであろう】
【原因を探るべく進んだならば、やがて一人の少女の姿が見えるはず】
【紅いドレスに、金色の髪。見かけこそ人間の少女であるが、瘴気は紛うこと無くその人物から発生していて】
【――――場にそぐわぬティーセット。言うなれば一人だけのお茶会を楽しんでいた様だけれど】


「どっちでも良いわね。終わってしまったお話なら、もうその先は紡がれないのだから
…………所で、こんな場所に来てしまうとこの街に食べられてしまうかもしれないわよ?
今日は、こんなにも綺麗な夜だから…………お腹だって空いちゃうでしょ?」

【……この街を訪れた新たな気配に気付いたのか、そちらへと視線を向けたならば微笑を浮かべて】
【魔族、とは言え好戦的でも無いらしい。敵意を見せる訳でも無く、語りかけるだけ】
【――――然れど、魔族と言えば人間の敵という印象が強いであろうか】
【ならば、話に応じようとも攻撃を仕掛けようとも――――どちらだって、不自然では無い筈で】








【森の中――――其処に存在する、廃れた教会】
【外装はまるで廃墟と間違える程に荒れており、壁には蔦も這っていて】
【場所も場所故に、訪れる者が滅多に居ないそんな場所。然れど、教会内からはカツカツと足音が響いており】
【疑問に思って扉に手を掛けたならば――幸いか否かは分からないが――ギギと低い音と共に、開く事だろう】


「…………この時間にどうかしましたか?
……助けが必要でしたら、出来る限りお力にならせて頂きますが……」

【――――視界の中に映るであろう、一人の修道女。右手に聖書を携えている事から、恐らくは礼拝か何かの最中であったか】
【訪問者の存在に気付いたならばそちらへと視線を変えて、小首を傾げる事だろう】
【どの様な理由で、此処へ訪れたのか――――と】


「こんな森の中です――――もし、良ければお座り下さい」

【こんな森の中、歩き回るのは疲れたであろう。もし良ければ、適当な所にでも腰を掛ける様にと促して】
【…………座ろうと座らなかろうと、再び問うのは此処を訪れたその理由】
【珍しくてふらりと寄ったのか、宿を求めて訪れたのか――――はたまた、別な理由か】
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/23(水) 23:46:31.53 ID:Wc4tYXAA0
>>710


おかわり、ですか……すみません、無いんです……
俺、少食、なので……その、1個で十分、足りない時に2個、という感じで……


【―――おかわり。想定していない事態だった。少年は申し訳無さそうな表情を浮かべる。】
【然し裏を返せば、其れだけ、美味しかったのだろうと云う事にもなる。満足してもらえたなら何よりと、】
【少年は少しだけ、其れに安堵する事だろう。となれば、少年はポーチを再びガサゴソと漁って。】
【何かを取り出したのなら、『すみません、これで……』と呟きながら、彼に渡す事だろう。】
【其処には、兵糧丸の作り方が事細かに書いてあるレシピ―――、わざわざ、持ち歩いているのだろうか?】


今のは魔法……なのですか、なるほど………
忍術も、魔法も、どっちも出来る、ということですか?
まだ、やったこと、無いので、あまりわかりませんが……俺に、魔法のセンスは、無い気がします……
すごいです、かっこいいです! 使えるように、俺もなりたい……
……いやいや、忍術でさえ、そこまでうまくないのに……まずは、忍術を、じゃないと……


【忍術ではないとすれば、ある程度ホッとした表情を見せる事だろう。】
【然し、光の付け方を此の少年が知らないのは、其れは事実であって。知識不足という大きな括りで見れば、】
【同じ事、だった。少年が浮かない顔をして、少々ネガティブになって居るのは、其の為、なのだろうか。】

【少年は目の前の彼を、尊敬の眼差しで見る事だろう。忍者と魔法、相容れない存在、かどうかは分からないが、】
【どうやら、両者を使いこなせると言う事は、並大抵では無いと思っているらしい。】
【然し其れは逆に、"彼に比べ、自分は……"と自身を卑下するという結果にも繋がっている様だ。】
【終始ブラブラとして居た足が、スッと止まる。顔も俯いてしまえば、此の少年の心持ちが読み取れるだろうか。】
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/24(木) 00:04:59.73 ID:l//kSIA3o
>>712

よっしゃ、金に余裕ができたら作ってみるわ!


【ありがたくレシピをいただく。遠慮という言葉を知らないらしい。】
【いただいた紙切れを懐にし舞い込んだ。】


――いや? 俺の忍術は正式には"魔法"だからな。分身の術とか変わり身の術とか使えねェし。


【絡まっていた紐の一部がほどければ、なしくずしにほどけていくように。 】
【一度ネタバラシをしてしまえば、少年の落胆など杞憂に終わらせるように、】
【彼は微笑みながら裡の真実を語った。】

【――目の前の小柄な男の子の心境は見てとれた。】
【青年は、先ほどからの流れから彼の性質を何の気なしに理解し始めた。】
【励ましか、それともいただいた兵糧丸のお礼にか、手がつけられていない灯籠を差し出した。】

【――気づけば、辺りを照らす灯籠の数は二、三個程度になっていた。】
【それを点せば、少なくとも少年の回りは一層明るくなるはずだ。】

714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 00:22:01.51 ID:xvjtJEg/o
>>707

【人間なんぞプライドと利潤のどちらかが満たされれば良い生き物だと誰かが言った】
【つまりはそれらで上下が否応なしに決まるこの場所は人間の本質として】
【正しいのかもしれない。それに適応しているサングラスの痩せた背の高い男が武器屋のドアを開ける】

ういーっす……この間の分の払い持ってきたんだけど……

【黒いサングラスを夜にもかかわらずかけて、黒いスーツ、紫の柄シャツを着】
【ボタンを2つ3つ開けてそこから首から垂らした聖母を模したシルバーネックレスが見える】
【肩からボストンバッグをさげて、しゃがれた声で挨拶をしつつ入ってきた】

あ……あれ?此処のヤツは?……ああー…なんだろ…。…此処も死んだ?そりゃあ、お悔やみだ
……まあ、それならしゃーないんだけど…次の店主が嬢ちゃんになるなんてねえ…
そういう時代か……

【何か勘違いしているようだが、突っ込む暇も与えずに男は適当な机にカバンを置いて】
【適当な壁によりかかりながら、ポケットからタバコを取り出してそれに火を付けた】
【火薬を扱うような場所だから危ないんじゃないかなんて考えは何処にも存在していない】

まーいいや、取り敢えず。この間のライフル10挺に弾薬に……なんだったっけ。まあ、いい
言われた300万持ってきたから。じゃ、よろしく

【煙草をくわえて煙を吐き出すと、カバンの口を開くと】
【そこには使用済みと思われるクシャクシャの紙幣がぎっしりと詰まっていた】
【男のターンは終わったようで何かしらの反論のタイミングは今かと思われる】
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 00:35:52.41 ID:j/hUjjSTo
>>714

【店のドアが開いたと同時に少女もそこに目をやる】
【特に警戒しているようでは無さそうだが、どこか珍しそうな視線を眼鏡の奥から覗かせた】
【ブラックマーケット内でも人の入りが少ないこの店に自分以外の誰かが居る、それが珍しいのだろう】

……

【ここの店主は今生きている。そう言おうとするや否や男が話し始めた】
【機関銃の様に出される言葉と男の独特な雰囲気】
【それらが作り出した空気感の中で少女は言葉をつい喉の奥に引っ込めてしまった】

ここの店主、死んでませんけど

【タバコの煙を手で扇ぎながら少女はボソリと言った】

今は野暮用で席を外しているだけ
もうすぐで帰ってくるんじゃないですか?

【今がチャンスと言わんばかりに少女は言葉を紡ぐ】
【一本調子で機械的に紡がれていく言葉はドンドンと男へと飛ばされる】

…後タバコやめて下さい。服に臭いが付くじゃないですか

【最後に一言少女はそう言ってクルッと店主が消えたほうへと向き直った】
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/24(木) 00:36:04.60 ID:tOg1wEMu0
>>713


【作ってみる……其の言葉が、聞きたかったのだ。自分の大好きな食べ物を、なるべく皆に知って貰いたい。】
【とても、とても子供らしい願いだった。ポーチの中に態々レシピを入れ込んだのは、其の願いをたった少しでも近づける為。】


そ、そうなんですか……よくかんがえれば、忍術も、魔法も、似たところ、ありますね……

……ということは、魔法使いさん、だったんですね。………うーん、それはそれで、かっこいいなあ………

あのあの、すごい魔法とか、打てたりするんですか?
えっと、たとえば、この森、燃やしてみたりとか……氷のとげ、ふらしてみたりとか……
あ、雷とか!えっと、えーっと………


【何処でそんな知識、仕入れたのだろうか。―――恐らく、良く売れている小説から、なのだろう。】
【俯いたかと思えば、少年はスッと顔を上げて、目を輝かせるのだった。アレはコレは、と質問を重ね続ける事だろう。】
【子供らしいと言えば、其れは間違いでは無い。だからこそ、誰に対しても公平に、そして無邪気に振る舞えるのであって―――。】

【灯籠を差し出されたなら、其れを両手で大事そうに受け取る事だろう。パッと晴れる様な表情をすれば、青年も喜ぶだろうか。】
【其れは、兵糧丸のお返しなのだという事は、少し経ってから気づく。『ありがとうございます!』とお礼が遅くなったのは、其のせいだろう。】

717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/24(木) 00:47:57.08 ID:l//kSIA3o
>>716


忍者だからな。そんな大それた魔法はちょっとな……。


【まだ誤解のままで通している事情を、ここで出した。】
【使うことができるかできないかはおいといて、都合が悪いということにした。】
【彼は自分の便宜で嘘を使い分けるようだ。】
【安全圏から得意気に、少年からのあれやこれやという質問をかわそうとしたのだった。】


――さて、俺もそろそろ明日の生活費を稼がないとな――。
ええと、にんじゃ君。最後に自己紹介しようぜ。俺は山中春。君と同じ櫻の国出身だ。


【遅すぎる自己紹介。成り行きで知り合い友達になってしまったのだから、順序がおかしくなってしまった。】
【それでも構いやしないといった様子で、彼は名乗り、名乗りを求めた。】
【一応職業(灯籠売り)は伏せておいて――。】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 00:59:18.97 ID:xvjtJEg/o
>>715

【店主が生きてるなら店主じゃないわけだ。まあそう言うならそうなんだろう】
【まあ普通に考えてそんなわけがないか…と男は一人納得する】

なるほど……まあ、あれだ。うん。ほら…こういうとこだと…どういうわけだか…さ
急に死んだり生きたり死んだりするからさあ……まあ、それならいいんだよ

【それならいい。店主が生きてて嬉しいというよりか、どっちだっていいって言う風で】

用事は別にこれだけだから……誰だろうと借りさえ返せばそれでいいのさ
誰に返したかっていうのはあんまり気にしちゃあいけない……

【そうかそうかと頷きながら。カバンのファスナーをしめて、そのまま机に置いておく】
【寧ろ店主が生きているせいでちょっと此処で暇になってしまったという感じだ】

【男は煙草を吸って、上を向きながら細く長く煙を吐き出して】

……勿体無いからこの一本は我慢してくれないか?俺みたいなのはこれぐらいしか趣味がないんだから
…この一本も我慢できないんだってんなら、マジで店主になって店内禁煙のシールでも貼っとくといいさ…

【ああ言えばこう言う。皮肉めいた口調で少し笑いながら】
【さっきまで大金の支払先は適当な割に、店長の生き死にも適当な割に煙草に関しては一癖ありそうだ】
【男も少女とはまた別の方向の壁を見ながら、この緊張が起きる空気感を楽しんでいた】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/24(木) 01:12:02.39 ID:tOg1wEMu0
>>717


ふむふむ……忍術に、いろいろあるように、魔法にも、いろいろ、あるんですね……
えっと、べんきょうに、なりました!  ありがとう、ございます!

……あ、ずいぶんと、長い間、話しちゃいましたね……ごめんなさい、
えっと、ねこまるって言います。櫻の国出身で忍者……というのは、お互い、でしたね。

じゃあ、俺も、そろそろ、帰りますね!
また、いつか……! かならず、どこかで、会いましょう!

【と別れを告げたなら、スタスタと物陰に隠れ、再び『変身っ!』と大きな呟きを放って。】
【腰からワイヤーの様な物を取り出したのなら、其れを遠くの大木に向かって投げ付ける。】
【先に付けられた小型のクナイの様な形をした錘が、其の幹をクルクルと回る。シッカリと固定された所で、】
【少年はワイヤーを巻き取る形で飛んで行く事だろう。木の高さ故、大枝の上に乗った少年の影が見て取れるだろうか。】

【森全体を俯瞰する事で、脱する為の最短ルートを導き出すという事。"慣れている"という印象を受けるだろうか。】
【方向を見定めたのなら、少年は其の侭、ピョンと飛び降りる事だろう。地面と接する落ちる音さえ聞こえなければ、】
【此の森に残るのは只々静寂、なのだろう。其の中心にたった二つの灯籠が、鬱蒼と茂る森を仄かに照らしていて―――。】


/ありがとうございましたー!
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 01:12:37.61 ID:j/hUjjSTo
>>718

【店主の帰りを待ちながらも少女は男の言葉を聞いているようで】
【男の言葉の隙を潜っては、少女も言葉を紡ぐ】

私は困りますよ。ここの店主に死なれたら
銃の装填に修理、格安で請け負ってくれるのここしかないんですよ
だから私は困ります。

【自分は店主に死なれたら困ると男の言葉に反論する】
【理由自体は物凄く薄っぺらい物だが、一応は店主の事を思っているのかもしれない】

私は返す前に借りません。
そんなことしてたら返すことに押し潰されちゃいそうになりますので

【借りは作られても良いが作るのは嫌と言うのが少女のモットーらしい】
【単にそう言う貸し借りで関係が拗れるのが嫌なのだろう】

弾の装填も出来ない私に店主?赤子に逆立ちさせるのと同じくらい無理です
…ま。店主にはこの店全面的に禁煙にしてくださいとは言ってみますけど

【相手の皮肉気な言葉を更に皮肉気な言葉で色をつけて返す少女】
【ここは禁煙にならないし男はタバコをやめない、そう理解してうえでの負け惜しみと言った意味合いも少しはあるのだろう】

【そんな何とも言えない感情を内心に秘めながら少女は小さく息を吸った】
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 01:42:46.50 ID:xvjtJEg/o
>>720

ああ、そうかい……じゃあ、店主には長生きしてもらわないとなあ…

【言ったとおり、男はどちらでも構わないのである。つまりは困るというのであれば】
【じゃあ困るんなら仕方がないそれならそれでいい。そんな感じだった】

まあ……そうなんだろうけど……なんだろ、そういうわけにも行かないこともある
……俺はもう拗れちゃってるからもうわかんないけど

【苦笑しながら、煙草を吸う男は借りたか貸したかはもう自分でもわかってないみたいだ】
【今回の件は偶々メモ帳にでも書いていたのか、常に誰かにところかまわず返しに歩いているのか不明である】

じゃあ……弾の装填ができるやつを雇えばいい。赤子が逆立ちできないなら俺がクルッと周りゃあいい話さ
それなら、武器がどうとか、お金がどうとかじゃなくて…………あれ?ということは…そうなると店長は何やるんだろうか
まーいい、うん。もう吸い終わるからさ……ゴメンゴメン、怒らないで

【ポケットから携帯灰皿のようなフタ付きの容器を取り出しては、それに吸い殻を落とすと】
【笑いながらにこやかに謝りつつ、なだめるのは年上の余裕というやつなのか】
【それともポリシーがないから適当にこの場を収めようとしているのかは分からないが…】

で…じゃあお嬢さんはどっかの人間なの?ドンパチするんだろ?ほら今色々と居るじゃあないか
なんちゃら機関とか何かのカルト宗教とか逆の立場の何かとか……

【煙草を吸えば機嫌も良くなる。より機関銃のように喋る。油をさしたようだ】
【ただ、内容にはアレとかソレとかが多い。うろ覚えのものをうろ覚えのまま言っているようで…】
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 01:43:15.53 ID:j/hUjjSTo
>>718
/すみません!眠気が…
/雑談にも書いたとおり明日は殆ど居ますので
/都合が悪かったら〆て下さっても構いませんので
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 01:55:18.38 ID:j/hUjjSTo

>>721

…もしもの時は代わりを探せば良いです
きっと見つかるでしょうね

【店主が聞いていたら心に傷を負うであろう台詞をサラッと口にする】

拗れたらそんな風になっちゃいますよね…
私そう言うのが嫌で拗れないようにしてるんです。
自分の事くらい自分で把握しとかないと…

【男の拗れきった様子を見て、「やっぱりね」と言いたげな視線を送った】

駄目なんです。銃の装填をする人はあの人じゃなきゃ
特に理由は無いんですよ?けど…なんて言えばいいんでしょう
とにかくコレだけはそう言う問題じゃないんです。多分

【言葉には出来ないけど、店主が居る限りここしか使わない】
【きっと自分の知らない内に自分なりの情やら拘りが芽生えているのかもしれない】
【もちろん最後は半ば無理やりに理屈っぽく締め括った】

しませんよ。そんな事
第一人を[ピーーー]理由も生かす理由もありませんし誰かの下に付きたいと思う事もありません。

もしそんな人が居るなら…きっと完璧で私を必要としてくれる人なんでしょうね

【世間を騒がしている組織とは関係ないと少女は言う、武器はあくまで護身用でそれ以外の用途は無いとも】
【ただ最後の一言、それを言った後に何故か少女は複雑そうな表情を一瞬見せるのであった】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/24(木) 07:24:15.98 ID:l//kSIA3o
>>719


【対して対術にすら優れてない彼は少年の忍らしい動きにおーと感嘆の声をあげる。】
【彼は尽きた灯籠たちを一つにかき集めれば、同じようにその場を後にする。】
【残るのは森としての日常と、静寂のみであった――】


/ありがとうございました!
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/24(木) 16:48:36.57 ID:DKzA54ipo

【路地裏――――今日も今日とて湿った空気に包まれるそこに、いま、乾いた音が数度響き渡った】

………………。

【夕暮れ時の影に落ちる細い道の中、ふと雲間から夕日が顔を出す。淡黄色の瞳と小さな背中が、そこに浮かび上がるだろう】
【それは背中に二本の刀剣を帯びた、どこか忍者≠カみた格好の少女だった】

【濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型に】
【真っ白なベストの下に袖を七分で絞った和服を着て、残り三分の腕を包帯でぐるぐる巻きにした服装】
【手には鉄板で補強した革手袋をはめ、脚は膝上までのロングブーツ、僅かに覗く太腿は黒タイツに覆われて】
【暗い赤色をした長いマフラーに埋もれるように、口元もまた隠れている。顔の上半分以外、全く肌色の見あたらない格好だ】

…………ふぅ………。

【まるで暗がりに身を潜める野良猫のよう、見開かれた大きな瞳からは、しばし殺気だった気配が漂っていたが】
【溜息と共にそれが抜き出れば、柔らかそうな肌に宝石のような双眸が嵌った、かわいらしい少女だけがそこに残される】
【吹き込む冷たい秋風で雲が流れ、差し込む橙色が深まると、少女のマフラーの首元で自警団のバッジが光って】
【無線機でどこかに連絡する少女の足下では、気を失った二人の大男が手錠をかけられた状態で転がされていた】

【ここで何があったのかは、それで大体予測も付くだろうが…………日が落ち、深い闇がこの隘路を覆い始めるまで、それほど時間もなくて】
【たった一人でそこに佇むこの少女、宵闇に犇く者たちには格好の得物に、日の光の下で歩く者たちには心配の対象に、あるいは成り得るのかもしれなかった】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/24(木) 17:26:21.26 ID:Fu+1o37Xo
>>725
………

【そんな湿った空気に包まれた路地裏を静かに歩く一人の男】
【190cm以上はあるだろう大柄な体格。目深に帽子を被り、その鍔から覗かせる片目は鋭い眼光を放っている】
【黒シャツの上に胸元を開いた灰色のパーカーを着て、ジーパンを履いているというこの淀んだ路地裏には似合わぬ妙にスタイリッシュな格好だ】
【だがしかし、彼の雰囲気はその路地裏に屯している悪党共を寄せ付けぬ、そんな威圧感があって】

……やれやれだ……
雨が降るとはな。地層が崩れていなければ良いが……

【懐にシャベルを持ち、メモを片手に歩く。その所持品、台詞からおそらく地質学者の類であるという事が窺い知れるだろう】
【さてはて、目的地へと向かいつつある彼の瞳に、一人の無線機を持った少女の姿が映る】
【さて……ここで彼はある考えを巡らせた。】
【それは当たり前の事だが、「何故このような少女が路地裏に?」という事である】
【ただの迷子か?いや、それならばあのような無線機は持っていないはずだ】
【そして一瞬だが見えた。夕日を受けて輝いたバッジ……ただのおもちゃなら問題ない。】
【だが少女が無線機を持ち、それでいてバッジを付けているとなれば……大方の察しはつく】
【相当な実力者か、単なる小間使いか。はたまた普通に迷子なのか?】
【答えはどれでも良かったが、彼はこの少女に迷子の可能性を考えて取り敢えず声を掛ける事にしたのだった】

………オイ。子供がこんな所で何をしている?
こんな一目のつかねー路地裏じゃあ、すぐに目も当てられねー事態になるぜ……

【半ば警戒し、半ば探るように。そしてほんの少しの思いやりのままに、彼女にこう声をかけるのだった】

727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/24(木) 17:28:10.86 ID:Fu+1o37Xo
>>726
/みす
/一目のつかねー→人目のつかねー
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/24(木) 18:02:05.12 ID:DKzA54ipo
>>726

…………ええい、うるさい! いいからはやくこい!
まったく…………。

【しばし無線機の向こう側の相手と話していた少女だったが、突如スピーカーから怒声らしき声が響く】
【口喧嘩にでもなったのだろうか、少女はそれですっかり臍を曲げてしまって、無線機に大音声を浴びせかけると】
【そのまま無理矢理電源を落とし、白いベストの内ポケットへそれを仕舞う。ふっと伏せた目には、抗議の色合い】
【まるで親から怒られて拗ね返ったような表情は、暗い路地裏の中にあって少しどころではなく浮いていた】
【少女は右手でマフラーを引っ張って、ぷぅと膨らんだ頬を隠すと、腕を組んだまま壁にもたれ掛かって】


だれだっ――――おまえ!

【…………直後、即座に起き上がる。左手を背中の刀の柄に沿え、腰を低くした臨戦態勢】
【現れた大柄な男の全身を、少女のくりっとした瞳は隅から隅まで睨めつけると、最後にその鋭い眼光に真っ向から視線を合わせるだろう】
【もっとも男から見れば、獣のように剥き出しの警戒心を露わにする小柄な少女の姿は、どこか小動物じみて見えるかもしれないけれど】
【ともあれ。いくら初対面とはいえこれだけの警戒度。ここが危険な場所であることは、少女も承知しているらしく】

【目の前の男へ、全力で警戒を向ける少女――――その背後で、むくり起き上がる人影がふたつ】

「この…………舐めてんじゃねぇぞぉおおおおおおッ!!」
「ふざけやがってええええええええ!!」

【元々タフだったのか、はたまた先程の少女の大声で目を覚ましていしまったのかはわからないが】
【手錠をかけられたままの大男が二人とも起きあがると、威嚇するように強く地面を踏み締めて飛び出す――――】
【見てくれはゴロツキといった風だが、場慣れしているのだろうか。大男達は状況を見て存外冷静な判断を下し】
【いまさっき現れたばかりの男が、少女の仲間であることを危惧したらしい。ターゲットが、分散して】

くっ…………しつこい、やつらだ!

【ひとりは歯噛みする少女の方へ、もうひとりは男の方へ――――二人のゴロツキがそれぞれ、右足で蹴りを入れようとするだろう】
【ただ、頭が登っているせいか動きは単純で、しかも既に誰かにやられた後みたいに全身は傷だらけだ】
【どんな方法にせよ、制圧するのは難しくない。男の実力が高ければ、自分の方を処理した後で少女の方へ助けに入る余裕すらあるか】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/24(木) 18:12:49.63 ID:DKzA54ipo
>>728
/こっちも誤字った…………頭が登っている× 頭に血が上っている○ です
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/24(木) 18:27:25.84 ID:Fu+1o37Xo
>>728
【声をかければ、いきなり刀に手を掛けて異常なまでの警戒態勢に入った少女】
【しかし彼は、その臨戦態勢の少女を前にして、取り敢えず迷子ではないのだな。そう理解した】
【そして、自分を罵らずにすぐに臨戦態勢に入ったところを見ると相当場数を踏み、危険さを承知していると思われる】

……やれやれ、そう唸るな……
俺はてめーの敵になるつもりはねえぜ……

【だがしかし、警戒態勢の彼女を怖がったり怯えたりする様子は見せない。彼もまた、それなりに肝は座っているのだろう】
【そして、未だ自分は敵ではないと少女を諭そうと説得を始めんとしたその時だった】

ムッ!

【背後から明確な敵意を感じ、警戒を強める。しかし、すでにその時にはゴロツキは背後に迫り、蹴りを放たんとしていた】
【だが彼は、そのゴロツキに振り向くと同時にーーーーその顔に、右ストレートをたたき込んだ】
【もともと傷だらけだったせいか、彼の力が強かったのか……定かではないが、男はたまらずノック・アウトされてしまった】
【続いて、もう一人のゴロツキの方を向く。しかし、その距離はパンチを叩き込むには少々遠く】

……やれやれだ……面倒事は避けたいのだがな……致し方がない

【そう呟けば、彼の手がボンヤリと光り、手周辺の大気がパチパチとスパークする】

実際の能力の方は勘弁してやるか……もっとも、気絶は免れんだろうが。

【そして、手に纏った球型のスパークしている大気を、もう一人のゴロツキに向けて発射した】

プラスチャージ
陽性電荷

【その大気がゴロツキの背中に命中する。すると、その大気に含まれていた電荷は一気に強力な静電気となりゴロツキの心臓を襲った】
【ゴロツキが倒れる。ショックで気絶してはいるが、死にはしないだろう】
【一通り片付き、彼は帽子を再び被り直す】

……やれやれ。
ケガはねえか……?クソガキ

【と、心配しているのかわからないセリフを至って落ち着いた口調で、少女に向けて発するのだった】


731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/24(木) 18:28:39.40 ID:Fu+1o37Xo
>>730
/重ね重ねすいません……未だ自分は敵ではない→自分は敵ではない
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 18:46:30.47 ID:xvjtJEg/o
>>723

もしものときは……そうだな、こういうところは何があるかもわからんし…
……最近は単なる雑貨屋も爆弾で吹っ飛ぶような事もあるわけだ
だったら…今のうちに2,3件はお得意様に納得のも悪く無いかもな

【店主に傷を負わせて、尚且つ売上にも傷を残すような台詞をかぶせる】

……でも俺の周り皆、いい意味で馬鹿ばっかだからさ…忘れんだよそういうのも
忘れたらまーいっか……みたいなね……そんな感じだから、うまく行ってる
大事なのは忘れる程度だけ借りるってことさ。……俺も結構忘れてるから…どうなんだろう

【拗れたまんまでいいと言いつつも、男は苦笑する】
【少し、借りたのと貸したのを考えようとしたが…忘れることにした】

そういうもんならそういうことなんだろうさ……理由なんてあとづけだよ
良いならいい、嫌ならいや。……それでいいんじゃないの?別に

【理由なんていらいない。感情で浮かんだシンプルなソレで十分だ】
【そういう説明できないほうが良いと思う。男はそう言って彼女を肯定する】

あっ、そう?……ほら…多いじゃないか。そういうの。寧ろ若いヤツのほうがそう言うのが多いから…
……まあ、生かすも[ピーーー]も理由なんて無いんだからどうしようもないけど…する気が無いならしないほうがいい
………誰かの下につきたくないってのは同感。俺もそうだから……いや、付けないっていうのもあるんだけどね
なんか面倒だし、息苦しいし……おちおちタバコも吸えない。

【そういう男は持ってきたカバンの紙幣の量と言い分から大量の武器を購入しているらしい】
【つまりは、それらの組織のメンバーか…しかも上の方の立場かも知れないが…】
【全く、そういった組織には他人ごとのような風である…一体どっちなんだろう】
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/24(木) 18:51:55.51 ID:DKzA54ipo
>>730

【目の前の男へ意識を割いていた分、少女がゴロツキの蹴りへ反応する速度は、男よりも遅いが――――】
【しかし少女は、振り返ると同時に上体を地面スレスレまで落とす素早い体裁きで、蹴り足の下を潜り抜けてみせる】
【見た目も小動物なら、動きも小動物か。その俊敏な身のこなしは、首元のバッジが伊達でないという証左となるだろうか】
【さて、小さな体を存分に生かして攻撃をかわした少女は、その場で体を回転させると、ぐっと足に力を込め】

な、なんだっ…………!?

【――――馬蹴りの要領で男の鳩尾に叩き込もうとした蹴り足を、即座に引っ込める】
【ゴロツキの真後ろで輝く電光が、直感的に少女にそうさせた。それは多分、間違ってはいまい】
【一瞬呆気にとられたような顔をする少女だが、ぐらりと自分の方へ倒れ込んでくる男を見ると、慌てて退避し】
【体勢を立て直して状況を見直せば…………既に、事は終わっていた】

む、むむ…………?

【何が起きたのかいまいち理解できない、という顔で少女は小首を傾げるも、とりあえずやるべきことをやることにしたらしい】
【少女は再び地面に横たわった男達の足を掴んで引きずると、近場の壁から地面に伸びていたパイプを挟むように足を揃え】
【追加で二つ手錠を取り出して、男達の片足とパイプとを強引に繋いでしまう。これで彼らが暴れることは、もうあるまい】
【少女もまた、それを確信すれば――――もう一つ残った問題、出会ったばかりの男の方へ、意識を向けるだろうか】


あっ…………ありが、とう……………じゃない! だれがくそがき≠セ!
けっきょく、おまえは何ものだ!?

【助けて貰ったことだけは、理解できたようで。少女は一言律儀にお礼を言うが、すぐに恥ずかしくなってしまって】
【赤らめた頬を誤魔化すように、がぁっと歯を剥き出しにして、男に人差し指を突きつけるだろう】
【甘い、と思うかもしれないが。暴漢撃退に協力して貰ったことで、少女から男に送られる警戒度は大分薄まっているようだった】
【じとりという視線は、訝しむような感情と助けてもらったことへの戸惑いが占める割合が大きく】
【少女は男の全身へ、改めて一度視線を浴びせかければ】

シャベル…………?
…………すなあそびでも、するのか?

【…………どうやらこの少女の頭の中に、地質学者≠セなんていう言葉はインプットされていないらしい】
【子供特有の無邪気さと無礼さで、少女にとっては素直な感想の言葉を、男にとっては些か失礼な言葉を述べるのだろう】
【意図して煽っているわけではないだけ、微妙にたちが悪いけれど…………】
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/24(木) 19:17:23.51 ID:Fu+1o37Xo
>>733
手錠か………
やれやれ、どうやら「ケーサツごっこ」ってわけじゃあねーみてーだな……

【ゴロツキ達を拘束するさまを見て、ふと呟いた】
【そして、こちらに意識を向けた彼女に目を向ける】

何がありがとうだ……自分の獲物なら自分で仕留めな。
いや……「つめが甘い」と言うべきか……

【そして、傷だらけのゴロツキの身体をチラリと見る。傷が新しいことから、恐らくこれは彼女がつけたものだろう】
【だがゴロツキが起き上がってきたのは何故か?……実力はあるが、ツメが甘かったとしか言いようがない。彼はそう判断した】
【確かにこのように天然っぽくて、単純な心理ではある。しかし、彼女には戦闘に関する判断力は一流なのかもしれない。】

「何者」か……?そいつは名前でも答えればいいのか。
おれは「ブロンテー・ブリッツ・ヴォルト」…ヴォルト博士だのと呼ばれている。
そういうテメーこそ何者だ?まさかその刀でチャンバラごっこをするわけじゃあねーだろう……

【と、自らの名前を名乗った後に。彼女の素性について聞き返すのだった】
【その眼は先程のように特別無関心という風では無く。興味こそわかないものの、少女のことが少々気になる存在にはなってきたようだ】
【すると、少女の方からある疑問が投げかけられた。】

このシャベルのことか……
おれは「地質学者」であり「考古学者」だが……やれやれ テメーに理解できるかどうかだな。
それとこれは砂遊びのもんじゃあなく、土を採取するためのものだ……

【そして、懐からもう一つ。砂の入った試験管を取り出す】
【その土は幾つかの色の違う層に別れていて、子供心には少々興味を惹き立てるかもしれない】

地質学者ってのは……土を採取して、それを分析(細かく調べること)して、その地面の様子とかを調べる学者のことだ……
地面は意外と重要な問題だ。例えば農業に使えるか……テーマパークの立地か?それとも工業地にできるか、はたまた井戸が掘れるか……そういうことを調べるのが地質学者の役目ってやつだ。

【取り敢えず彼なりにわかりやすく説明したつもりだが、彼女に果たして理解できるだろうか?】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/24(木) 19:30:05.18 ID:Fu+1o37Xo
/飯落ちます
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/24(木) 19:47:17.05 ID:DKzA54ipo
>>734

ごっこ、じゃない…………りっぱなじけいだんいん≠セ!

【少女は首元のマフラーを引っ掴むと、そこに付いている自警団のバッジを、男に見せびらかすようにして】
【無論、その真贋を確かめる術は無い。信じるか信じないかは自由だが、それらしい証拠はここまでの少女の行動に見いだせたか】
【そうして胸を張るように男を見やった後、少女はちらりと男の反応を伺うが…………張ったばかりの胸に、痛い言葉が突き刺さる】

…………ぐ、ぐぬぬ…………。

【この体躯で大男二人を撃破せしめる実力は、間違いなく驚嘆に値することであったが】
【実力こそ大人顔負けだが、ここまでの言動を見てわかるとおり、精神的にまだまだ幼いのだ。だからすぐ油断するし、すぐ無茶をする】
【――――ツメが甘く、判断も甘い。常日頃、自警団の仲間にも言われているだけに、少女は何も言い返せなくて】
【しばらく恨みがましく男を睨みつけるも、理が通っているのは向こうの方。やがて少女は根負けし、ばつが悪そうに目を背けた】

わたしは…………よるなぎ、レラ。
…………じけいだんしょぞくの、しのび≠ネのだ!

【そんな風だから、いつもなら決めポーズまで付けて喧伝するしのび≠フ肩書きも、少々やけくそ気味に叫ばれるだろう】
【少女の言うしのび≠ニは、櫻の国の忍者のことであろうか。確かに少女の奇妙な格好は、そう見えなくもなく】
【夜凪レラ=\―――と名乗ったその少女は、咎められた気分を少しでも変えようと、男の名乗りに耳を傾けて】


ヴォルト、はかせ=c………?
…………な、なんか、かっこいいな…………!

【先程までの、気まずい態度はどこへやら…………移り変わりの激しい感情は、子供らしくきらきらと輝いていて】
【博士≠ニいう肩書きが気に入ってしまったのだろうか、月光色の瞳が眩しいまでに輝き出す】
【しばらくその瞳は男の目へ真っ直ぐ向けられていたが、男――――ヴォルトが懐から試験管を取り出せば、そちらへターゲットを変更し】
【試験管に穴を空けんばかりの熱視線が、そこにある地面の下の世界へ注ぎ込まれるのだろう】

むむむ…………そうか!
つまりはかせは、たのしい場所をつくるために、地面をしらべているんだな!

【しばらく、ヴォルト――どうでもいいが、レラは彼をはかせ≠ニ呼ぶことにしたらしい――の言葉にうんうん唸っていたレラだが】
【テーマパークという言葉の印象だけが残ってしまったのか、最終的にはそんな結論に至る】
【間違っているのか間違っていないのかは…………微妙なところだが】

/>>735 了解しました〜
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/24(木) 20:19:28.47 ID:Fu+1o37Xo
>>736
自警団か……まあ、テメーがそういうならそーなんだろうな。
ガキは嘘をつかねーからな

【見せびらかされたバッジを見つめつつそう言った。ちなみに最後は小声】

忍……忍か。
忍は櫻の国の暗殺者だと聞いたが……確かに、そう言われれば違和感はない。

【すると、彼女は自分の肩書きーーというよりは人に呼ばれているだけの名だが、それに対してなにやら子供ならではの興味しんしんな眼をした】

フン、かっこいい……か。
地質学者にはなるべくしてなった、それだけの事だ………考古学もやってるがな

【さて。地質学者についての説明を終えると、彼女はなにやら別の方向に理解してしまったようだ。先ほどから眼をキラキラさせっぱなしなことから容易に窺える】

やれやれ……やはりガキの脳みそじゃあちょいと理解しがたかったか……

【そして時計をチラリと見、パーカーの裾をひるがえして少女に背を向ける】

少々長話が過ぎた……
そろそろ研究に戻るとしよう。
じゃあな……"クソガキ"

【そう言って裏路地を抜け、荒野へと繰り出して行く】
【彼が去り際に放った「クソガキ」には、先程までの侮蔑とは違い……どこか親近感というか、暖かみを感じさせるような……そんな意味が込められているようにも感じるものがあった】

/落ちます。ありがとうございました!

738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/24(木) 20:26:50.05 ID:EI7VmTDB0
【夜の国―――繁華街=z

【依然としてカノッサ機関との戦いは続いているが、自警団の活躍により戦況は持ち直しつつある―――。】
【国民達もそれを肌で感じつつあるのか、人々の活気は以前の様子に戻りつつあり…この街の繁華街も例外ではない】
【観光客や行商人など様々な人が行きかい、夜の国特有の民芸品を扱った露店も多く出店されている】
【そんな繁華街の一角、至って普通の雑貨屋の前で店員の女性と話をしている人物が一人。】

いやーこの前もさ、大変だったんだよ………機関のアジトの一つに潜入したんだけどさ―――。
そこで相方がヘマしやがって見つかったんだがこの俺が見事に立ち回って機関員をちぎっては投げ、ちぎっては投げッ!

やっぱり選抜されるほどのエリートでないとこの街を………そして君を守る事は出来ないだろうさ………フフ。
だからさ―――この間話したコンサートの話、考えてくれたかい?なぁに大丈夫さ………この俺が何があっても君を………

【その人物は―――】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【―――そう、傍から見ればこの男はただの軟派な男だが………その胸に張りつけられたワッペンは恐らく多くの人が知っている】
【SCARLET(スカーレット)―――各国の自警団などから召集された精鋭部隊のエンブレムなのである………!】

【つまりはこの軽薄という言葉の権化のような青年もその国防の要を担うために存在する特殊部隊の一員という事なのだろうか………】
【何はともあれ口説かれている雑貨屋の店員の女性は非常に迷惑そうな顔をしている、通りに面したこの場所は人目にも付くだろう】
【さて、この軽薄そうな男に口説かれている女性に救いの手は差し伸べられるのだろうか―――それとも訪れるのはまた別の何かか。】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/24(木) 20:43:10.68 ID:DKzA54ipo
>>737

こーこがく=H
…………よくわからんが、それもかっこいいのか?

【かっこいいか、かっこよくないか。レラの判断基準には、そんな幼稚な側面が常に付きまとっているよう】
【首を傾げる動作からは、忍者らしい空気などまるで感じない。ただただ、可愛らしいだけで】
【暗殺者≠ニしての顔を隠すため、すべて狙ってやっているなら末恐ろしいが…………】
【恐らくは、それが素の反応なのだろう。まだまだ小さな少女に、しのび≠ニいう肩書きは大きすぎるのだった】

…………むっ、いま、子どもあつかいしただろ!
あっ…………こら! だから、わたしはくそがき≠カゃない!
待て、はかせ…………むぅ、いってしまったか…………。

【それは正しく理解したとは言えない解釈だったが、少なくともレラの中では納得のいく答えだったらしい】
【それを否定されたのに加え、しのび≠ニして背伸びする少女は、子供扱いを何より嫌って】
【眉間に皺を寄せ、大きな瞳を半分閉じたジト目でヴォルトを見つめるも、どこまでもクールな彼に効果はないのだろう】

【クソガキ=\―――その最後の言葉の中にあった小さな暖かみに、レラは果たして気づいたのか否か】
【去っていくはかせ≠フ背中へ声を掛けるが、制圧した男達を放置するわけにもいかず。止めることはできなかった】


…………ひまに、なってしまった…………。

【そうすれば、その場には少女がひとり、ぽつりと残される】
【口は悪いが自分を助けてくれた話し相手を失い、寂しくなってしまったのか、少女は小さな体を丸めて地面にうずくまると】
【…………急にがりがりと地面を掘り始めたのは、きっと今晩の出会いのせいなのだった】

【結局彼女は、自警団の仲間がその場に到着するまで穴を掘り続け、後でこっぴどく叱られてしまったらしい】

/お疲れさまでした!
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 21:06:30.91 ID:hQKAKzlio
>>732

お店がぶっ飛ぶ…ま。生きていればそんなことも有りますよ
他を探すのも面倒なので、私はここに来続けます
私がこのお店に居る限り、セキュリティ面はほぼ完璧ですし

【暫くの間は結局はこのお店で良いと結論を出す】
【変わっている少女の事だからいつ来なくなるのかはまったく予想できないが】

そう言う風にズルズル人と関わるのって苦手なんです。
なんていえば良いのかわかんないですけど…
だから自分が困った時は自分で何とかするようにしてます、もし無理なら……―――

【やっぱりそう言う人間関係を持つのは苦手らしく、機械的な様子で少女は自分の考えを述べた】
【「もし無理なら」その後に続く言葉を見つけれずに口篭る姿は宛ら人間そのものだったが】

そうなんでしょうか?私そう言うことあんまり考えないようにしてるんです…
考えれば考えるほどドツボにはまりそうで。

【答えが定まらない事は苦手でモヤモヤしてくる】
【そう言う感覚が苦手なのだと少女は目の前の男に言った】

そう言う人たちって嫌いです。
悪いとか悪くないとかじゃなくて…感情で動く人は嫌なんです
自分が動く事によって生じる事を無視して先に進もうなんて理解できません。
だから私はどこの組織にも居ないんです

【少女は善悪の事は関係無しに人間的な人間が嫌いだった】
【彼女にとっては欲望や野望渦巻く数多の組織に属する事は愚行に近い】
【言葉の裏を返せば『機械的』な組織であれば善悪関係なく所属すると言う風にも取れてしまうが】

/遅れてゴメンなさいっ!


741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2013/10/24(木) 21:44:16.40 ID:9JIrScjNo
>>738
【往来の人が遠巻きに見守る雑貨屋の軒先に、ひょろりと長い脚を向け】
【肩で風切り、つかつかと歩いてくるのは上背のある青年。こちらは、いかにもプレイボーイ然とした男とは対照的に】
【黒い短髪によれたスーツ姿、使い込まれたレザースニーカーと、仕事帰りめいた地味な出で立ち】

……あー、ちょっとそこのお二方。差し支えなければ、よろしいかな?

【軒下で足を止め、おもむろに口を開く彼。思わぬ闖入者に、群集も固唾を呑み】
【「ちょっとやめないか」「その娘が嫌がってるだろう」「リア充爆発すべし、慈悲はない」なんて具合に】
【好き勝手に次に発される言葉と、それに伴う今後の展開とを夢想するも】

お恥ずかしい限りだけれど、道に迷ってしまってね。良ければ案内願えないだろうか?

【――どうやらこの青年、女性店員に助け船を出したわけではないようであった】
【修羅場目当ての野次馬はみな、心の中でため息ひとつ。各々、足早に散ってゆく】
/まだいらっしゃればー
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/24(木) 21:59:37.76 ID:EI7VmTDB0
>>741

ハハハッ!それでさー………―――ん?

【困り顔の女性に気づいていないのかよほど自分の容姿や言葉に自信があるのかマシンガンのように甘い言葉(笑)を口にしていた青年だが】
【突如として声をかけられ、「今いい所なんだ」と言わんばかりに眉を顰めながら声の向いた方へと視線を向ける】
【そして相手が男だと分かるとさらに面倒そうな顔をするが、胸に付けたワッペンの手前、あっちにいけなどとは言えないのであった】
【両手を腰に当ててハァと一度ため息を吐いてからもう一度相手を見る。】

今、わりと取り込み中なんだが………まぁ一応は自警団所属の身だからな………対応してやる………。
―――それで?どこを目指してるんだ?この街はそんなデカくはないはずだが………まぁ言ってみろよ………。

その風貌、この辺りの企業の人間か―――?

【先ほどまでの女性に対する対応とは打って変わって気だるげに相手にといかけながら相手を見て、同時に持っていた携帯端末を開く】
【どうやら端末の中にあるマップを開いて相手の目指す先を特定しようとしているようだ―――。】
【女性店員は銀髪の青年が視線を逸らしているすきに黒髪の青年に軽く会釈してから店の奥へと逃げるように小走りで消えていく】

【銀髪の青年は端末の操作でそれには気が付いていないようだ―――結果的に黒髪の青年は女性店員を救った事になる。】

//まだいますよー!
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 22:04:52.10 ID:xvjtJEg/o
>>740

無い方がいいけれど………言ってしまえば明日世界がぶっ飛ぶ可能性も無いわけだから……
まあ、そこまでそう言うんならそれでいいんだろうから…俺は何も言わないよ

【壁にもたれながらそう話す姿は煙草が吸えないせいか何処か所在なく】
【落ち着きが無いというか……手持ち無沙汰といった感じだ】

俺だって好きであんな奴らと付き合いがあるわけじゃない。…まあどうしてって言われたら
………ズルズルとそうなっていったからよくわかんないんだけど…だから、俺の場合は成り行き
なんだよ。好きか嫌いかじゃなくて成り行き……困ったときに助け合うような仲間じゃないしさ…
まあ…うん…………もし無理なら、助け合えばいいんじゃないの?そんなもんでいいよ。自分勝手でさ…

考えないようにした結果だよ。言葉ってのは内容があってもなくてもコミュニケーションになるんだから
今の奴らは言葉の意味を大事にし過ぎてんだよ。……悪いとは言わないけど。…なんか違うなって。
……いいじゃんこの店が好きって言っとけば。…此処の店主も喜ぶわけだし

【男は腕組をしながら、淡々の喋っていたがそれが終わるとニヤッと笑って】

どうなんだろうね。……感情で動くのもあれだけど…勘定で動くのも面倒だけど。
…結局はアイツらもあーいうイデオロギに行き着くアイツらなりの理屈があったのかもしれないし
……そーいう俺は全部感情で動いてるからね。…バーっと思ったことはなんでも。
…こりゃ、また一人に、嫌われちまった…唯でさえ最近は煙草吸うぐらいで嫌われるんだから、仲良くしなきゃいけないってのにさ

【肩をすくめて、そうやって笑う姿にはドコか皮肉めいたものもまた含まれていて】
【大体、こうやってローテンションで皮肉めいた事を言う奴のドコが感情的なんだということもあり…】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/24(木) 22:10:30.51 ID:aLQI3eJ3o
【街中、とある通り】

【人が多いわけではないが、人がいないわけでもない、そんな場所】
【近くにコンビニがある事もあってか、通る人の殆どはビニールの袋を提げていて】
【その女もご多分に漏れず、袋をカサカサと鳴らしながら歩いていた】

んー……あったあった
冷めない内に……っと

【袋から取り出したのは肉まん。大口を開けてかぶりつく】
【現れる湯気が、まだそれが温かいことを示す】

【首の後ろで結んだ茶色の髪に、少し大きめの茶色い瞳】
【黒いタイツの上にショートパンツを履いて、灰色のパーカーを着て】
【左手には色々詰まっているであろうビニール袋。そして肉まんを持つ右手には指輪か光る】

【そんな、どこにでも居そうな若い女――指輪に刻まれた小さな逆五芒星さえ見なければ】
【そして女は食べながら、歩きながら、もごもごと独り言を言ったりなんかして】

……ほんっと、実験が忙しいのか知らないけど……たまには外出たらいいのに……
でも……コレクションだけでもきついのに、あんなものまで……ちょっとはあたしの事も考えてほしいよねー

【肉まんに齧り付く為、言葉は時折途切れて】
【それでも何事か愚痴を零しながら、女は夜を歩いていく】
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 22:27:30.31 ID:hQKAKzlio
>>743

世界が吹っ飛ぶ…
ま。その時はその時ですよ、きっと何処かの英雄が何とかするんじゃありません?

【眼鏡をクイっと上げながら、ソワソワとしている男を見る】
【始めてみる一種の禁断症状を少女は何を言うわけではなくまじまじと観察していた】

成り行き…ですか。今の私にはきっと理解できない境地ですね
何をするわけでもなく成り行きで人間関係を続けていくなんて…
それだったら私は独りで良い…ですね。
それか本当に助けてくれる人を生きているうちに見つけ出します

【まるで自分には理解できない男の言葉に少女は少し頭を混乱させた】
【もちろん表情には出してないが、成り行きと言う言葉が少女の脳内をかき回していた】

意味の無い言葉は吐きたくないんです
別に私この店が好きでも嫌いでもないです。さっきの貴方の言葉で言えば正に成り行きでここに来ているだけです
それに人がどう思うかなんて考えるだけで疲れますし

【成り行きの使い方があっているか分からないが、要はこの店には何の思い入れも無い】
【来ている理由は単に最初に目が付いただけだから。きっとそう言う理由】

感情で動いたら損得の計算が狂ってしまうじゃないですか…
テロを起こしたからって手に入るものは無いに等しいし…リスクを背負うだけです。

感情で動いている…そうは思えませんが。

だけど貴方の事は好きでも嫌いでもありませんよ、今のところは嫌悪に近い感情はタバコの煙にしか入ってませんので

【嫌われちゃったと卑屈っぽく言う男の言葉に少女は思った事をそのまま返す】
【マシンの様に言葉を紡ぐだけではあるが、一言一言にはキチンと少女なりの思いを込めているらしい】



746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/24(木) 22:29:42.25 ID:vD4kzmvJ0
【商売の活発なその街ではこの時間にも関わらず、多くの人々が行き来していて】
【――――屈強な男や如何にもといった風の女。昼の顔とは打って変わり、どことなくアウトローな雰囲気】
【……そして、その場だからこそ、少女の存在は浮いていた】


「へぇ…………違法薬に禍々しい武具…………噂に違わず中々面白い物を売っているのね……」

【ローブを纏い、スッポリとフードを被っては居るけれどその背丈や体つきは誤魔化せず】
【キョロキョロと物珍しげに辺りを見ているのだから尚余計に目立つ】
【――――中々に高価そうな弓を肩に掛け、二振りの短剣を腰に提げては居るが】
【……そんな姿をして居ても、やはりこの場では浮いている】


「――――喧嘩、かしら。やけに五月蠅…………っと?!
ちょっと!!危ないでしょ?!」

【突如始まった乱闘騒ぎ。品に関する押し問答が原因である事は明白だが――――少なくとも、巻き込まれ掛けた少女には関係のない話】
【フードが外れたならば青色の髪が露わとなって、同時に朱の双眸も見える事だろうか】
【殴り飛ばされた巨体に押しつぶされそうになれば咄嗟に避けはするけれど】
【――――暴力の波は広がり、彼方こちらで諍いが起き、やがては大乱闘へと発展することか】
【……罵声、呻き、流血。様々な物が行き交う中に、少女が一人。――――良くも悪くも、よく目立つ】







【櫻の国の森の奥地――――夜だと言うのに不思議と優しい光に包まれる其所。漂うのは一つの気配】
【妖気。即ち、妖狐の其れであって。例え妖気を感じ取る事が出来ないとしても、若干の違和感を覚えるであろうか】
【見れば、巫女装束を纏った一人の少女が居るはず。その身には、特徴的な耳や尾といったものは生えていないのだが…………確かに、妖気】


「…………あの……沙蔓…………?
えっと…………何処に、行ってしまったのでしょう…………」

【キョロキョロと辺りを見回しては、困った様な表情を浮かべて】
【――――迷子、という訳でも無さそう。ならば、呟いた言葉から察するに探し人であろうか】
【八の字に曲げた眉は、実によく少女の感情を表していて。落ち着き無く見渡す其れは、性格を現していようか】


「あの…………先に、戻っていますよ…………?
…………その……後、少しだけ、此処で待っていますので…………」

【そんな言葉を吐き終えれば、身近な切り株へと腰を落ち着けて】
【――――長い溜息。元より気弱な性格。幾ら明るく照らしているといえ、やはり森という場所に独りぼっちは中々に心細いのか】
【何か物音がする度にビクリと身体を跳ねさせて、そちらを確かめているのだけれど――――】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/24(木) 23:01:59.10 ID:EI7VmTDB0
テス
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2013/10/24(木) 23:09:29.04 ID:9JIrScjNo
>>742
【新進気鋭、天下の特殊部隊員(しかもどう見てもお取り込み中)相手に臆面もなく道案内を頼むあたり】
【意外と肝が据わっているのだろうか。……ひょっとするとこの男、只者ではないのかもしれない】

非番だろうにお気遣い痛み入るよ。申し遅れたけど、僕はこういう者でね。
早い話が単身赴任中のしがない一サラリーマンさ。以後、お見知り置きを。

【まあ、端から見ればどう考えても単なる無神経なサラリーマンであるのだが――さておき】
【男は胸ポケットの中にあるステンレス製の薄いケースから、手慣れた所作で】
【『オラクル・インダストリアル クリス・エバンズ』と記された名刺を一枚抜き取り、そちらに差し出す】

【オラクル社。星の国に本社を置く、国内ではそれなりに名の通った中堅どころの企業らしい】
【パワードスーツや戦闘用サイバーウェアの開発などの軍需産業を筆頭に、あれこれと広く手掛けているようである】

仕事絡みの話さ。実はこの後、取引相手とちょっとした会食があってね。
事前にこの辺りのマップデータを頭に入れてくれば良かったんだが、赴任先は勝手が違うもので。

えーっと、何といったかな。ちょっと待ってくれ。今ログを漁ってるから――――

【女性店員が困っていたことを知ってか知らでか、軽く彼女へと手を振り、人懐こい笑みを浮かべて見送りつつ】
【顎に手を宛て、小首を傾げた態勢で微動だにせず、どこか遠くを見るような目付きをする】
【どことなく奇妙な言動から察するに、お国柄、生身ではない――体内に何らかの電子機器を埋め込んでいる――のだろうか】
/痛恨の見逃し……! よろしくおねがいします
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 23:14:09.91 ID:xvjtJEg/o
>>745

俺は滅亡を5分遅らせる係だからな。英雄に任せるとするか…

そんなもんさ。生きようと思って生きてるわけじゃないんだし…
明日が来るように……続いていくもんだよ。
まあ、結局……独りなのには変わりないから…それでもいいと思うけどね

【否定も肯定もしない、持論を言ったと思えば相手の意見に流される】
【気を使って相手の言葉を尊重しているのか、これが彼の成り行きというものなのか】
【どちらかを選ぶという事を放棄しているのか…】

意味が無いなら、挨拶もしないの?……いや、これは冗談だけど
いいじゃん。別に偶には褒めてやったらさ…喜べばサービスしてくれるかもよ?
やっぱ笑顔って必要だと思うんだよね。…俺は。……気が向いたらじゃあ試してみてよ

【忙しなく手を動かしたり、足を動かしたり、頬をかいてみたりと動きが多い】
【どうやらそろそろ煙草が吸いたくてしかたがないようだ】

もともと壊れたソロバンだからね…。それも弾いてないし、常にご破算。
感情を押し込めるほうが俺は我慢ならなくてさ…そういうことじゃない?
俺は適当なのが好みで、ソッチはキチッとしてるのが好み。そんぐらいの違いしか無いよ

いやっ、でもなんだろ…あんまり怒ったりしないから出番がないって感じかな…
怒り慣れてないと…まあーいっかってなんてお終いな感じだから…
そう?……いやあ良かった

【嬉しそうに笑うが、遂に男はポケットから煙草を取り出す】
【箱から一本取り出そうとしたが、残りはゼロ。ため息を付いて】

ああ…クソ。……俺は今は感情じゃなくて、ニコチンに操られているっていうほうが正しいね。
……煙草を買いに行くから。店主が来たらそこのカバンを渡しといて……
そうだな……ノッポでサングラスの『ロッソ』が来たって言ってくれれば通じるから…

【じゃあ、宜しく と相手の言葉も聴かぬまま。押し付けるように足早に】
【ドアを開けて、何処かまで煙草を買いに行ってしまったようだ】
【こんな場所だから煙草を買うまで苦戦しそうだし、男のことだから一杯ぐらい飲んでくるかもしれない】
【そこまで付き合う義理もあるまい。ただ、この店がある限り、また会うこともあるかもしれない…】

/すみません!返信遅くなりましたがこの辺で〆にさせていただきます
/2日にわたって長くお付き合いいただいてありがとうございました!またよろしくお願いします
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/24(木) 23:27:05.81 ID:+8PgmaC00
>>744
まだいらっしゃいますか?
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/24(木) 23:29:44.46 ID:0wKWzeYIo
>>750
/いますよー
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/24(木) 23:33:00.60 ID:hQKAKzlio
>>749

ちゃんと世界の終わりに向けて具えてらっしゃるんですね。
五分も遅れさせるなんて…勇者にでも就職すればどうですか?

【相変わらず適当な事を言う男に対して少女は皮肉っぽい言葉を返す】

生きようと思って生きていないのに生きている…
神様はきっと無駄が大好きなんですね、それか余程の馬鹿か

【生きるという事の理不尽さに対する不満をどこにいるかでもない存在にぶつけてみる】
【こればかりは男に言っても仕方ない。きっとそう思ったのだろう】

笑顔…ですか
こう見えて昔は良く笑ってたんですよ?…信じられないと思いますけど。

【今でこそ氷の仮面のような顔をしているが昔はもう少しマシだった】
【多分相手は冗談として受け止めるだろうが、それはそれで構わない】
【だってこれから先笑うつもりは殆ど無いのだから】

感情を表に出せる…それって良い事なんじゃないですか。
すくなくとも機械みたいな私よりかはマシです
いいえ、絶対にそっちのほうが正しいですよ…きっと

【自分で自分を機械みたいだと嘲笑して、フッと息を漏らす】
【まるで笑っているかのようにも見えるが、表情は一切動く事はなかった】

『ロッソ』さんね、分かった伝えておきます。
最後に一つだけ忠告。タバコの吸いすぎは良くありませんよ?
そのうちニコチンに操られるどころか殺されちゃう…なんて事も有りますから

【去り行く男の背中を身ながらそんな言葉を投げかけてみる】
【一瞬だけ笑みを浮かべたが、すぐに服の袖を当ててしっかりと隠してしまう】

【店内に一人きりとなった少女は店主が戻ってくるまでどんな表情を浮かべているのか】

【それはきっと自分にしか分からないのだろう】

/お疲れ様でした!楽しかったです!
/いえいえこちらこそ申し訳ない、もしよければ次もお願いします
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 00:12:12.27 ID:avvJUm3P0
>>744

【とある通り】
【辺りはすっかり暗くなり、街灯の明かりさえも眩しく見えるほどだ】
【そんな中に二つの人影】
【片方はまだ12才程度の少女、灰色の長髪を黒いリボンで軽く結んでおり、白いコートでその身体を覆っている】
【そしてもう片方は大人びた印象を持った金髪ロングストレートの女性、頭に青のカチューシャを付けている】
【服装は黒のロングドレス、その上から濃灰色のモッズコートを羽織っている】

【先程の独り言を聞いていたのだろうか、肉まんを頬張った女性の指輪に視線を向けたなら】

あ、もしかして同僚の方?今お暇かしら?

【なんて話しかける、彼女はコートの下に隠れているペンダントに、白いコートの少女は右の掌に】
【それぞれ機関の証が刻まれている】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/25(金) 00:28:03.53 ID:tZ4YJwswo
>>753

だいたい、どうしてあんな物コレクションしようと思うかなー…………ん?何?あたし?

【不意に掛けられる言葉に、肉まんをくわえたままの間抜けな顔を向ければ視界に映るは二人の影】
【そして“同僚”という言葉の意味を確かめるように探るような視線を女は向けて】

まあ暇っちゃ暇だけど……

『同僚』って言われる心当たりはあるけど――――――
そっちが何者なのか、はっきり示してもらわなきゃ何とも言えない、かなー

【二人の持つ証は女からは見えていないよう、返す言葉は疑心を孕んだもので】
【袋の持ち手に腕を通し、ポケットに入れた左手、その甲には切り傷のような一本の線】
【そしてパーカーのポケットの中から聞こえるのは、軽い金属片が擦れ合うような音】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 01:21:56.76 ID:avvJUm3P0
>>754

【女の返す言葉に少しだけムッとした様子】
【隣の少女が手を女に向け差し出せば、女性もペンダントをコートから伸ばして見せて】

もう、そんなこと聞かなくても大体分かるでしょう……?
ま、疑うというのはそれだけ注意深いってことなんでしょうけど
一応機関に所属しているわ、知り合いでは88番が居るわね、この子はそいつからの預かり物
「……よろしく、お願いします…………」

【少女の方は礼儀正しい、声は少しばかり小さいが】
【一方、金髪の女性はあまり礼儀を知っているようには見えない】

「……ここでは少し話しづらいです、誰が聞いているかも分かりませんから……」
「もしよろしければすぐそこに信用出来るお店があります……そこでお話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」

【白いコートの少女は女に一つ提案をした、ついて行くなら路地裏にある、使われていないライブハウスを改装した店へと案内するだろう】
【勿論、ついて行くかは女次第であるが】

/開始早々悪いのですが、
/凍結をお願いできないでしょうか?
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/25(金) 01:25:18.49 ID:YSzFn51Fo
>>755
/了解ですー
/では一先ずお疲れ様でしたー!
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 01:32:50.20 ID:avvJUm3P0
>>756
/どうもありがとうございます、
/お疲れさまでしたー
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/25(金) 02:50:03.53 ID:lHor/UQ1o
>>755

【相手が不快に感じたことなど全く知らぬと言うように、女は一気に肉まんを食べ終えて】
【それから二人の持つ逆五芒星を確認すれば、警戒を解いたようにポケットから手を抜き出した】

ん、確かに同僚みたいだねー
注意力が足りない、っていっつも注意されてるからさ、ちょっとは気を付けようかなーって

No.88かー……どんな人か知らないけど、後であの人に聞いてみよっと
あたしはNo.31の何て言うか……義理の子供?みたいな感じ?
ま、よろしくねー

【機関員だとは言うがこの女、話し方や態度はどこからしからぬものがある】
【気の抜けたような、子供のような、そんな明るさを含んでいる様にも感じられて】
【それ故に、『注意力が足りない』というのも納得できるだろうし、女性の態度に関して気にする様子もない】
【そもそも、難しい事・面倒な事はなるべく考えない、それがこの女なのだが―――】

ん、何か“ワル”な話?それならあの人の方がいいだろうけど……出て来ないだろうからなあ……
…………よし!じゃああたしが聞こうじゃないの!早速そのお店行こー!

【―――――本当にこの女でいいのだろうか】

【悩んでいたのもほんの一瞬、すぐに提案を受け入れて歩き出そうとする】
【かなり軽い調子で話す様は、信用に難いかもしれない。しかしこの女に話せばきっと、件のナンバーズにも通じる筈で――】
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 15:28:35.98 ID:vz0gRq/h0
【大会の行われている水の国。グルメフェスも同時開催されているとなれば、当然多くの人々が訪れて】
【――――そして、人々が多く集まれば、必然的に揉め事も多発する事であろう】
【おやつ時のこの時間。今日の其れは、何時もより激しい様であって】


【中心人物は二人の男。飛び交う罵声に野次馬達の煽る声】
【そんな野次馬達を掻き分けて現れたのは…………何ともその場には合わない体格の少女】
【乱れなく軍服を纏い、制帽を被る姿は容易に性格を想像させようか】
【細腕に通された自警団の腕章。片目を眼帯で覆った、所謂隻眼で双方の男へと鋭い視線を送り】


「…………全く、どうしてこう何時も何時も揉め事が絶えないでありますか
お二人に一つ忠告をするでありますよ。これ以上続ける様であれば―――――」

【少女が言葉を続けようとした、その刹那。部外者を殴り飛ばそうと思いっきり振りかぶられた男の腕】
【対して、少女はスルリと避ければ手首を掴み、合気を用いて硬い地面へと叩き付けた】
【残されたもう一人の男も又、自分に危害が及ぶと考えたのだろう。腹部を蹴り飛ばそうとするも――――横に避けられ、その足を可動域以上に持ち上げられれば、派手に後ろに転び】
【慌てて立ち上がろうとしたその時、衝撃を逃がさぬよう地面に頭を着けられたまま、顎に掌底を入れられて】


「毎回話を最後まで聞いて貰えないでありますね……
さて、もう終わりでありますよ!戦いを見たいなら会場に行くと良いであります!あちらで対戦している方々を見る方が、遙かに楽しいでありますよ!」

【溜息一つ。藍色の髪を靡かせて振り向き、言い放つ先は無論群衆達にであって】
【――――余計な事を言って痛い目を合わされては割に合わないと感じたのか、それとも大男二人が伸された所を見たためか、やがては散り散りとなり】
【……その場には、伸びた男二人と少女とだけが残るのだけれど】


「ふぃ〜…………これで何人目でありましたか…………ちゆ姉にも許可を貰えたので瑛月殿に伝えようとしたらこの騒ぎであります…………
おやつでも買って気分転換でもするでありますか…………」

【腰に提げた軍刀を使わず、その場を収める。ともすれば、徒手の実力はそれなりに有るのか】
【――――いずれにせよ、確かに騒ぎはあった。それも、遠くまで罵声が聞こえる程の其れが】
【…………ならば、少女以外の自警団員が駆けつけていたって、何ら不思議な話では無い筈で】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/25(金) 15:49:46.73 ID:avvJUm3P0
>>758

……うーん、なんていうか私もあの人の内面はよく知らないのよね
あ、でも確か前にルルーメンの防衛に参加してたはず……
最近は研究の為に滅多に外出しないけど、両足が義足っていう目立つ姿だから、もしすれ違えばすぐに分かるかもよ?

……へぇー、No.31の……あんまり知らないけど、ナンバーを貰えるって事はその人もきっとすごい人なんでしょうね
「……では、行きましょう」

【店の入り口は階段で一つ地下に降りたところにある、黒い扉で看板らしきものは付いていない】
【その扉を開けば、カウンターと席のみの殺風景な店内が目に映るだろう】
【奥のボックス席へと誘導し、話を始める】

……さてと、それじゃあ"ワル"な話を……ベル、あれ出してくれる?
「はい、これですね……」

【ベルと呼ばれた少女はコートのポケットから一つ、固く閉じた小ビンを取り出す】
【ビンの中には青い液体が入っている】

これはNo.88が作った薬なんだけど、人間の筋力を数十倍に高める効果があるわ
代わりに副作用もあるけど……

【そう言い終えるとまたベルがコートから何かを取り出す、どうやら薬の研究資料らしいが】

/続きます
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/25(金) 16:03:18.10 ID:AZ+uIdL0o
>>759

【水の国。いまは祭りの気配に賑わうこの場所、元々テロやら何やらの標的になりやすい場所でもあって】
【とはいっても、まだ太陽も落ちきらないこの時間に乱闘が起きるなど、市民たちにとってはもの珍しい出来事だったのだろうか】
【乱闘騒ぎとなれば、善良な市民たちも野次馬に変貌する。普通の日常を享受しているからこそ、彼らは刺激を求めるのかもしれない】
【闘技大会がここまでの賑わいを見せるのも、そのせいか。しかし所詮、それは安全圏から遠巻きに見ているからこその娯楽だ】
【他ならぬ渦中の少女に怒鳴りつけられれば、巻き込まれるのを恐れる彼らは散っていく。どこか卑怯な、しかし人としてはありふれた行動】

【…………その散っていく群集の中、ぱちぱちと疎らな拍手を送りながら少女を眺める男が一人、その場に残っていた】


――――おーおー、すげぇな姉ちゃん。鮮やかなお手並みだったぜ!

【がははと犬歯を剥き出しにして笑う、その男。楽しげに歪んだ銀色の双眸は、肉食動物のような印象を与えるだろうか】
【筋肉質で背の高い体格に浅黒い肌、短い黒髪。少し睫毛の長いタレ目気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【見るからに異邦人≠ニいう言葉を連想させるような外見の男だが、その服装もどこか普通ではなく】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして】
【首からはドッグタグを下げ、背中に巨大な茶色いケースを袈裟懸けにして携行していた】
【そして、そんな服装のだらしのない印象に、止めを刺すように…………白昼堂々、右手には酒瓶が握られている】

…………あん? なんだ兄ちゃんら、もう帰るのか?
気ィつけろよー、あともう騒ぎ起こすんじゃねえぞ!

【少女に賞賛を送る男の隣には、なんともガラの悪そうな若者たちが数名、同じく酒瓶を手に立っていたのだが】
【見た目はどうあれ、彼らはごく普通の一般人だったらしい。豪快に笑う男と違って、少女の強さを目の当たりにして怖気づいた様子だった】
【彼らは顔を青くしてへらへらと愛想笑いを貼り付けると、男の下から離れていく。飲み仲間を失った男は、残念そうにそれを見送って】
【――――その場に立っているのは、これで男と少女だけ】

よぉ姉ちゃん。いいもの見せてもらった礼に、菓子なら俺が奢ってやろうか?

【酒が回っているのだろう、少々顔の赤いその男は、ナンパにしても怪しすぎる文言を少女にぶつけて】
【ジャケットの左胸のところで、無精な主を恥じるようにに光る自警団のバッジが、唯一男の身分を証明しているだろうか】
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 16:27:02.81 ID:vz0gRq/h0
>>761
【制帽の位置を直し、軍服に着いた砂を叩き落とし。男達も当分動けそうに無いから、今の内にお目当ての店へ――――そんな事を思った時】
【拍手なんて物が聞こえれば、その足も止められるのだろう。考える事数秒。やがては振り向けば、髪と同じ藍色の隻眼が向けられる筈で】


「騒ぎを起こすな、は私の台詞でありますよ。この時間から顔が紅くなるまでお酒を飲むなんて言語道断であります
…………大体にして何でありますか。この季節の中、そんな格好をしていたら誰でも風邪を引くでありますよ」

【称賛に対しても笑みを見せる訳で無く、逆に険しい表情を覗かせながらズイと詰め寄って】
【指摘するのは酒瓶やら服装やら――――真面目に聞いていたならば、それ以外にも多々】
【粗探しをしている訳でも無いであろうが、それでも指摘するのはこの少女の性。例え年上であっても恐れる事無く言う様は流石自警団か】
【…………一通り指摘も終われば、ふぅと息を吐いて。160に満たない身長故に、まるで大人と子供との絵面】


「全く…………お酒を飲むにしても、もっと遅い時間になってから飲むべきであります
どんな職ならこの時間から――――」

【言葉が、途切れた。詰め寄るまでは分からなかったが、改めて容姿を見てみれば――――さて、胸に光る件のバッジ】
【キョトンとした表情を見せた後に、失礼な事に何度か目を擦り、改めて確認して】
【男性の顔とバッジとを行き来する、一つだけの視線。…………脳が理解に追いついた所で、更に詰め寄るのであろう】


「お、お仲間でありましたか…………では無く!!
自警団ならば自警団らしく、振る舞うべきであります!どうしたらこの時間からお酒を飲もうなんて発想になるでありますか!!
さっきの様な物事が起きる可能性だって、テロを起こされる可能性だってあるのでありますよ!
だから、尚更――――お、お菓子、奢ってくれるのでありますか?そ、それなら…………じゃなくて…………えっと…………そう、尚更お酒を飲むのは駄目であります!!」

【犬の様にギャンギャンと吠える小娘。自警団として然るべき姿で在れだの其れは飲むべき時に飲めだの、お説教が更に延長されて】
【然れど、菓子との言葉には敏感に反応を示した】
【分かりやすい程にパッと表情を明るくするが…………今、何に対して怒っているのかを思い出せば、咳払いと共に慌てて話題を戻すけれど】
【もう、遅い。否、その言葉が無かったとしても、菓子を奢るとの言葉を聞けばそわそわと落ち着きが無くなったのだから分かり易すぎる反応か】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 16:39:32.15 ID:avvJUm3P0
>>760続き

【資料といってもメモ帳並の大きさしかない、だが最初のページにはしっかりと目次が載っている】
【その資料から一つページを開き相手の女へと見せた】

『薬の副作用について』
『この薬は使用者の身体能力を飛躍的に増加させるが、投与された人間は理性を失い敵味方の区別もつかなくなる程凶暴化する』
『現段階ではこれを止める術はなく、薬の完全な姿を見れる日は未だ先の事になるだろう』
『しかし、脳の代わりにコンピューターを移植し使用者を完全にコントロールするという方法を発見した』
『これならば高い戦闘能力を維持したまま、命令にも忠実な兵士を生み出せる、この薬で強化した兵士ならば能力者ともある程度戦えるであろうと予測されている』

……って事で、この薬……というよりこれで作った兵士を買って貰えたら有り難いな、と思ってるんだけど
ああ、これはNo.88に頼まれた事なの、普通の見張りよりは役に立つと思うのだけど……どうかしら?

【いわゆる商談だ、必要なら強化兵士の詳細なデータも教える筈だ】
【これを生み出した機関の88番は恐らく研究員のような人物なのだろう】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/25(金) 16:42:34.37 ID:avvJUm3P0
>>760
/修正があります……
/ルルーメンでなくカンバラです……ヤベェ
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/25(金) 16:57:17.74 ID:AZ+uIdL0o
>>762

ははは、別に寒かねえよ! 鍛えてるし、それに今は体もあったまってるしな!

【男はもう一度剛毅に笑うと、わざわざジャケットを脱いでみせ、タンクトップ一枚の姿になるだろうか】
【だぼだぼのズボンにポーチやら何やらが乱雑に取り付けられたベルト、それに筋肉質な長躯が合わさって、土方の人間のようにも見える立ち姿】
【脱いだジャケットを左手でばさばさと振る仕草は、体格に似合わぬ陽気さで。馬鹿は風邪を引かない、なんていうが――――】
【馬鹿かどうかはさておいて、確かにそう簡単に風邪を引きそうには見えない、タフな印象の男ではあった】

そうそう、俺も一応自警団員なんでな。怪しいもんじゃねえよ。
…………おいおい、出会い頭にさっそくお説教かい。怖ぇ怖ぇ、可愛い顔が台無しだぜ?
ほら、奢ってやるから行こうぜ。

【男はジャケットを肩掛けにすると、少女に自分の職業を告げるのだが、この情けない風体では逆効果なのであろう】
【耳の穴に人差し指を突っ込んで適当に説教を回避すると、ついでに外見を褒めて諌めにかかる】
【と、左手の親指を立てて男が示す先は、ワールド・グルメ・フェスの開催に伴って連日屋台の立ち並ぶ通り】
【一度少女の顔色を伺うと、男はそちらに向けて歩き出すだろうか】

いーじゃねえか酒の一、二本ぐらい…………。俺の方もここんとこ、その「さっきの様なこと」の処理ばっかりでな。
朝からパトロール始めて、今日だけで三件…………酒でも飲まねぇとやってられねえんだよ、実際。

【歩きながら、男は自分の体を指す。よく見れば、顔や腕には殴られたような小さな痣がいくつか残っていて】
【男の方も男の方で、どうやら荒事に巻き込まれてきた後らしかった】
【だるそうな目でそれだけ言うと、男は少女の目の前でぐいっと酒を呷る。豪快に喉を鳴らす動作は、生真面目な少女には気に障るかもしれなくて】

【そんなことを話しているうち、少女が男と歩くのを拒んでいなければ、そろそろ屋台の前に着いているだろうか】
【男は酒の影響で気分が揚がっている。よほど高価なものでもない限り、少女が要求するものは買ってやろうとするだろう】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 17:20:55.83 ID:vz0gRq/h0
>>765
「ほ、褒めても駄目なものは駄目であります!
大体、そんな格好をしていて誰が自警団と分かるでありますか!
先ず身だしなみもさることながら自警団としての心構えを――――ま、待つであります!まだ話は終わっていないでありますよ!」

【容姿を褒められれば顔を紅くして、其れでも意味が無いと言い張るが】
【何処吹く風で屋台のならぶ場所へと向かってしまえば、慌てた様にしてその背中を追うのだろう】
【体格差、と言うのは存外に大きな物で――――年齢の事も有り、自警団という事も有り。知らない者が見たならば、まるで先輩の背中をちょこまかと追う新米自警団員】
【…………まあ、実際はそんな微笑ましい光景から遠いのだけれど】


「よ!く!な!い!であります!
お酒を飲まなくたって出来るであります!殴られたりしたのは、それは気の毒でありますが――――って、話を聞くであります!」

【注意した矢先に酒を呷る姿はやはり少女としては好ましくなく】
【ぶっ、と膨れっ面を見せつけたなら――――突如、その場で一度跳ねる事だろう。背伸びをした所で、奪えそうに無いから】
【ジャンプしたかと思えば、手を伸ばす先は男性の握る酒瓶。叶うならば其れを奪い取ってしまおうとするけれど】


「全く……どうしてこうお酒を飲みたがるでありますか…………そうやってお酒に逃げるのは情けない大人だけがやって良い事であります
お酒を飲んだって根本的には解決しないでありますよ」

【奪えたならば、満足げな表情で。奪えなければ、更に膨れっ面を悪化させれば、子供染みた表情で言い放って】
【何か奢ってやるとなれば、その表情も変わるのだけど――――】

【十七と言う年齢。生真面目な性格も頷けそうな風貌と表情だが…………屋台の建ち並ぶ其処に着いたならば、ただ祭りを楽しそうに眺める子供程度にしか映らないか】
【説教の建前、冷静を装うも浮き足だった歩みは隠せず】
【――――その内に指し示すのは綿飴屋。特別高いわけでも無く、寧ろ安い類。遠慮をしている訳でも無く、ただ少女が好きだから指し示したのだけれど】
【ぐいと袖を引っ張ったならば、その屋台の前まで連れて行き。速く買うように急かす、なんて事もあるだろうか】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/25(金) 17:30:58.75 ID:x2ZLhF7no
>>760>>763

【殺風景な店内を、少しばかり見回しながらボックス席へと歩いていく女】
【席に着いたならガサリ、と適当な所に袋を置いて】

ふーん……薬、かぁ……
まああの人が好きそうな感じだけど……って何何?

【小瓶の中の液体を眺めながら、何か思案するように。】
【資料がこちらへ向けられると、一度黙ってそれを読んでいく】
【しかしその顔には、次第に苦笑いが浮かび始めて―――】

………………あ、ああ…………あの人と同じ様な事考える人も、いるもんなんだね……
うん、最近色々実験しててさ……その内容がね……

筋力とかを薬で強化した上で脳ミソちょっと弄ってさ、機械埋め込んじゃうの
最初は生存本能?を消す為に理性とか全部ぶっ飛ばしてたんだけど、知性を持たないのは使いにくい、とかなってさー?
発揮できる筋力を控えめにする代わりに知性を残した子達をね、最近作ったんだよねー……

【ひどく気まずそうに、何処か斜め上の方を見ながら後頭部をポリポリと掻きながらそう言って】
【どうやらこちらのナンバーズもまた、科学者の様で――】

【それから、思い出したように『あ、でも―――』だなんて言葉を続ける】

薬の開発とかは専門外だから、あんまり効果の高いのは使ってないと思うんだよねー
それに、α-1stモデル―――ああ、理性飛ばしたタイプのやつね、あれもある程度の数は用意するって言ってたし――――

ちょっと連絡取って確認してみるね?

【そう言うと、女は席を立ってスタスタと歩いていく】
【その手にはショートパンツのポケットから取り出した通信端末を持って】

【それから暫くすれば、『ごめんごめん』なんて言いながら席に戻って来ることとなるか】

取り敢えずどんな感じかを実際に確かめたいから、3、4体くらいなら買うってさー
それと、できるならその薬の方も少し欲しい、って言ってたけど?

【兵士は幾らか買うが、可能なら薬も売ってほしい―――】
【いや、どちらかと言えば薬の方にその興味はあるのだろう】
【その事は、先の話を聞いた上であれば想像するのは難しくはないだろうか―――】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/25(金) 17:58:19.37 ID:AZ+uIdL0o
>>766

くっ、ははははっ! おいおい、こんぐらいで顔赤くしてるようじゃ悪い男に捕まるぜ?

【自分とは違う理由で赤らむ少女の頬を瞳に捉えれば、なお機嫌よさそうに笑って、男は小さく少女をからかう】
【少女の可愛らしい仕草は、一メートルと九十センチもある男の背丈から見下ろすと、なお子供じみて見えてしまって】
【鋭い犬歯を剥き出しにした大笑いが終われば、ポーチから財布を取り出すのだが――――】

【…………ジャケットを脱いだおかげで、そのポーチの側面に縫い付けられた緋色の鷹≠フ紋章を覆い隠すものは、もう何もない】
【国を又にかけて活動するSCARLET≠フ一員として、今のところ男が少女に見せた印象は、なんとも頼りないものかもしれないが…………】


――――おっと、そうは行くか!
俺だってな、別に逃げてる訳じゃあねぇよ。姉ちゃんと同じ、気分転換だよ気分転換。ただそれが酒か菓子かってだけの違いだろ?
それにさ、酒ってのも意外といいもんだぜ? 一人で飲んでると愉快な奴らが寄ってきたりするからな!

【飛びついてくる少女の手を、右手をひょいと上げるだけでかわす。身長差を存分に利用した、少女にとってはどうにも卑怯くさい回避法】
【膨れる少女を楽しそうに見やる銀の双眸は、少年のような輝きに満ちている。勤務中に酒を飲む不真面目ささえなければ、話していて楽しい相手なのだけれど】
【男は守りきった酒瓶をもう一度呷ると、ぷはぁと美味しそうに唸って。それから、その瓶を少女の手が届く高さまで下げる】
【いまなら楽に奪い取れるが…………横から透かして見れば一目瞭然、既に中身は空だ。いささか意地の悪いいたずらであった】


よーし、ちょっと待ってろよ!

【さて、少女に連れられて綿飴屋の屋台まで来た男は、張り切ったようにそう言うと、財布を片手に店主の下へ走り】
【数度会話を交わした後、綿飴をなぜか三つも買って帰ってくるだろう。たった数秒の会話で何を話したのか、その背後では店主が男に笑いかけていて】
【男は「ほれ、食った食った」と少女に綿飴を差し出した後――――食べ盛りの子供のような仕草で、さっそく両手に持った綿飴のひとつに齧り付く】
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 18:19:08.09 ID:vz0gRq/h0
>>768
「…………五月蠅いであります
…………お酒は、酔っ払って人に絡むから嫌いであります。先程の方達だって、貴方と同じ様に沢山お酒を飲んでた臭いがしたでありますよ
だから、お酒とお菓子は全然違うであります」

【虚しく空を搔いた指。余りにも分かり易い程のむつけ様は、きっとその指摘の事も有ったのだろう】
【けれど、何よりも大きいのはやはり奪えなかった事に対して。それも、補うことの出来ない身長差】
【ただ――――酒瓶が下げられれば、隻眼が光る。今だとばかりに奪い取れば…………ジロっと睨み付ける事だろう】
【チャンスだとばかりに思っていた事が男性の策略だと理解すれば、ぐぬぬ何て言葉も漏れていたはずで】

【――――何か文句を言ってやろうとしたその時、SCARLETの印を見るのだろう】
【少女の目が丸くなったのは、この時。然れど、今は何も言わず綿飴が渡されるのを待って】


「…………お礼は言わないであります」

【まだ酒瓶の事を根に持っているのか…………否、実際に右手に持ったままであるけれど】
【感謝の言葉を述べることも無く綿飴を受け取ったならば、矛盾点に気付く事だろう】
【此処に居るのは二人。しかしながら、男性の持つ其れは3つ。…………男性の性格であれば誰とでも仲よくなれそうなものだが、だからといってこの短時間で店主とあそこまで仲よくなれるだろうか】
【…………はぐはぐと綿を食みつつも、巡らされる思考。ジッと見る視線に綿飴二つ分に対する羨望が含まれて居ないと言えば嘘になるが】


「よっぽど食いしん坊なのでありますね。2つも食べるなんて
…………所で、SCARLETは私も瑛月殿に所謂スカウトされたばかりであります
……まさか、貴方の様な意地悪な人が居るとも思わなかったでありますよ」

【酒の注意、最初は正義感からだったのかもしれないが…………この言葉を聞くに、酒瓶を奪えなかった所から私怨へと切り替わったらしい】
【ジットリと湿度でも含んでいそうな視線を浴びせ、それで尚毒舌も吐いて】
【やっと今まで奪った空の酒瓶をにぎっていた事に気付けば、其処からゴミ箱へと放る事だろう】
【…………割れる音も無く見事に入れば、何処か嬉しそうに一人笑むけれど】
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/25(金) 18:50:54.97 ID:AZ+uIdL0o
>>769

まーそうだな、酔っ払いの相手は面倒だが…………。
さっき、俺の周りに若いのが数人いたろ? この酒瓶、あいつらから貰ったんだよ。
いやー、街中で暴れてたんで一発拳骨入れて黙らせたんだが、話してみたらこれが意外と気のいい奴らでなぁ。
酒はいいぜ? 一緒に飲めば、互いの腹ん中を丸々曝け出せる…………ま、もうちょっと大人になれば姉ちゃんにもわかるさ!

【むくれる少女の態度に、どこか励ますように告げる内容。その顔には、少しは大人らしいものが浮かんでいただろうか】
【その話を統合すれば、この男――――要するに、補導した若者たちと酒を酌み交わし、仲を深めてきたらしい】
【先ほど、一瞬で店主と仲良くなってきた手腕といい。相手が誰であろうが分け隔てない態度は、暴漢が相手でも変わらないよう】
【殴り合った相手とすら友誼の縁を繋いでしまう男の気質は、確かに不真面目ではあるのだが】
【ただ殴って黙らせて、それで終わりではない。それもまた、ひとつの正義≠フ形であるかもしれなくて――――】

悪い悪い、意地悪しすぎたか。
そんな目で見るなって…………ほれ、これやるからさ!

【そう言っている間にも綿飴に齧り付き、男は一分もせず完食してしまう。少女の言うとおり、獣のように食い意地の張った男だ】
【そして男は、もうひとつの綿飴に噛り付こうとするのだが――――肌をじりじり焼く抗議の視線に根負けしたように、苦笑いを浮かべ】
【食べ終わった綿飴の割り箸を口に咥え、残ったもうひとつの綿飴を少女に差し出すだろうか】
【それを少女が喜ぶのかどうかはさておいて、一応お詫びの品のつもりらしい】

ああ、SCARLETか。俺も最近、上司にスカウトされちまってなぁ。
全国飛び回らなきゃならんから、故郷の家族と会いにくいのは面倒だが…………割といいもんだぜ?
いろんな国の、いろんな事情が生で伝わってくる。俺ぁ砂の国の出身だが、この水の国でもいろいろ学ばせてもらったよ。

【少女の手から飛んでいく空き瓶がゴミ箱へ飛んでいくのを見れば、おぉー、だなんてありふれた声を上げるだろうか】
【自警団員としてはならともかく、SCARLETの人員としてはそう古参というわけでもない男だが、それでも学ぶ物は多いと告げて】
【一瞬、故郷の砂の国に居る家族を思い返して空を見る瞳には、純粋な優しさだけが浮かんでいるだろうか】

771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 19:20:49.71 ID:vz0gRq/h0
>>770
「だったら、ずっと分からなくたって良いであります
…………そんな事だけで分かり合えるなら、争いだって無くなる筈であります」

【何処か擦れた態度は、ただ酒の事に対してとは又異なる…………具体的には、自身の事に関係しているかの様にも思えるけれど】
【其の内を吐く事も無く、目を伏せたまま言い放ってしまえばぷいとそっぽを向いて】
【年頃、素直に認めたくないという所もあるのだろう】
【心の何処かでは理解して居るのだけど、やはり、認めたくない。素直になりきれない故に】
【貰った綿飴を丁度食べ終えた頃、視界の隅っこに映った新たなフワフワの其れに気を取られて】


「どんな目で見てたか分からないであります。何か負い目を感じていたなら、其れが原因でありますね
でも…………まあ、くれるというのならば有り難く貰うでありますよ」

【くすりと小さく笑んだならば、手を伸ばして受け取って。単純な少女、それだけの事でいきなり気分が良くなるらしい】
【先程の伏せていた瞳も何処へやら、ご機嫌な表情で頬張る事だろう】
【話を聞きながらも黙々と食べていた頃、ポケットから響くアラーム音。取り出した機器のディスプレイには何やら文字が浮かんでいて】


「…………話を聞く限り、SCARLETも悪くは無さそうでありますね
遅れたでありますが、私の名前はオラークル・スティンガーであります
――――そんな目が出来る位であります。悪い人では無いと信じるでありますよ
私もSCARLETに入った時は、宜しくお願いするであります。それでは、また何時かでありますよ」

【チラリと見えたならば、援護を求める文章であった事が直ぐに分かるか】
【――――一瞬の間に浮かべた色合いを見逃す事も無く、それでいてからかう様にして言ったならば、新たな綿飴も全て食べ終えて】
【遅れた名乗り。“ステン”でも“クル”でも好きな様に呼んで良いと付け加えたならばくるりと踵を返し】
【小さなお礼を一つ述べたならば、記されていた場所を目指して駆け出すのであろう】
【お礼の代わりか…………横を通り過ぎる際に、幾つかの飴玉を手渡すけれど。――――さて、其れをどうするかは、男性次第であったそう】

/そろそろ晩ご飯の準備に移ります故、失礼させて頂きます……!
/お相手、有り難う御座いましたですよー!
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/10/25(金) 19:48:57.67 ID:AZ+uIdL0o
>>771

ふぅむ…………。ま、それで争いがなくなるとは言わんさ。
ただ男って奴ぁ、意外と単純ってだけの話だよ。はははっ、そんな顔すんなって!

【その頑ななまでの態度に、少女の否定的な態度の裏に潜む、不機嫌や意地以外の何かを感じ取れば】
【適当に話を切って、また豪快に笑い出す。暗い気分もまとめて笑い飛ばしてしまいそうな、男なりの気の使い方だった】
【差し出した綿飴、侘びの品にしては行き当たりばったりなそれを、少女が受け取ってくれるのを見ると、また楽しそうに笑って】

おぉう、言ってくれるぜ…………まあ、女に睨まれながらする食事は味がしねぇからな!
おう食え食え、俺もこの辺の屋台のブツはだいた食い尽くしたが、こいつぁなかなか上等だぜ?

【微笑みながらの少女の反撃に、男は一度ばつが悪そうな顔をするが、下らない冗談でお茶を濁して難を逃れれば】
【その発言の通り、食事には一家言あるのだろうか。機嫌良さげな少女の顔色を、うんうんと頷きながら眺めているだろう】

【…………と、鳴り出すアラーム。取り出された機器を覗き込めば、自身も見慣れた内容の文面がそこにあって】


あぁ、多少忙しくはなるが、若いうちに経験を積むのも悪かねぇと思うぜ。
俺はアサド・アル=アーデル…………さっきも言ったが、砂の国自警団の出身だ。
…………おいおい、こんなでも小隊長だ、それなりに責任感はあるつもりだぜ?

じゃーな、えーと…………ステン嬢ちゃん=I

【少女の名乗りに自身も名乗り返すと、少し得意げに自らの階級も告げて。なら普段の行動がマシに見えるというわけでも、ないのだけれど】
【すれ違いざまに差し出された飴玉を受け取れば、即座にひとつの封を開けて口に頬張ると、もう片方の手をその背中へ軽く振って】
【…………最後に呼称が姉ちゃん≠ゥら嬢ちゃん≠ノ変わったのは、男がここまでの少女の言動を見て、そちらの方が適切だと感じたのもあったが】
【何より、可愛らしく感情を露にする少女に送った、それは最後の意地悪だったのだろう――――】

【やがて、男の持つ無線機にも、少女の持っていた機器に届いたのと同じような内容の報告が届き】
【ばさりとジャケットを翻して袖を通せば、少女の真面目さを思い出して少しは気合を入れ直し――――次の仕事場へと、向かっていくのだった】

/お疲れ様でした〜!
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 20:02:22.11 ID:+k4e7DSH0
【風の国、郊外―――小高い丘。】


【戦ぐ風は、一面の芝生をより若い色へと傾け、和みつつ有る空気に緊張感を張り巡らせる。】
【随分と秋めいた気候だった。―――夏より少々着込めば、其れこそ過ごし易い、そんな月夜の出来事。】

【小高い丘の天辺に聳え立つのは、高くて大きなモミの木。象徴的な存在故、地元では少なからず有名の様子。】
【―――太陽が未だ出ている頃は、其れを中心に、黄色い声を上げながら子供達が遊んでいた筈だ。】
【真っ白な花で編み上げられた、2つの花冠が其の証拠。丸で添い寝をするかの様に、木の麓にそっと置かれて居て。】

【小高い丘と言うだけあって。頂上に立ったのなら、辺りが一望できる程は在った。】
【高ければ高い程、その分風は強く吹き付ける物。―――今、少女の傑作が、盗み出され様としていた。】

【然し其れは、思わぬ展開に依って阻止される事になる。―――加えられたのは、一人の少年の、少々"傷の目立つ"手。】

【何かがプリントされた白いシャツに、暗色の長袖のカーディガンを羽織って。】
【下はブラウンのカーゴパンツ、肩からストライプの入ったのショルダーバッグが斜めに掛けられていた。】
【夜色に映える紫の髪色は、月明かりに照らされる度に光沢を放って、】
【凛とした黒目は、ありふれた色で有りながらも、何処か印象的な風合いが感じられるだろうか。】
【全体的に幼い顔立ち―――年齢で言うなら、16歳、否、もっと若く見えるのかも知れ無い。】

【少年は近くの長い草を引き千切り、花冠を手にとって。其れを浮かんだ根っこにしっかりと括り付けた。】
【少し其処から離れ、暫く其の"丈夫さ"を確かめたのなら、『コレでよし、』とニンマリ。笑顔を見せた事だろう。】

【―――一仕事終えると、少年は其の側にスッと座る。ショルダーバッグも肩から降ろしたなら、中身をガサゴソと漁って、】
【取り出されたのは、横笛。キョロキョロと辺りを見回し、何かを確認した後、そっと唇を添えて……】

【遮る物は、何も無かった、溶けるように澄んだ、爽やかな異国情緒漂う音色が辺りに響き渡り、やがて溶けて行く。】
【中々の腕前―――小振りのレストランや其処らで演奏されて居ても、何ら遜色の無い程、だった。】
【月夜の下で開かれる、小さな小さな演奏会。其の観客は、果たして―――?】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 20:03:16.62 ID:+k4e7DSH0
【所変わって、風の国、エルジオ―――夜の広場】


【首都に位置する、国内最大を誇る広場だけあって。夜にも関わらず其の賑いは失う事は無く、】
【会社帰りのサラリーマン達やら、或いはデートに来たカップルやら―――やたら多くの人で溢れ返っていた。】

【其の活気を見越してか、アイスにホットドッグ、ポップコーン……兎に角、多くの露店が並び。】
【前情報無しに訪れた人なら、お祭りが在っているのでは無いか、なんて思わせる程であって―――。】


【然しそんな広場でさえも、秋めいた哀愁を漂わせる物は存在する物。】
【つまり其れは、夕焼けの深い色に染まった紅葉、そして大きな実を付け金色に輝く銀杏達―――。】

【広場を取り囲む様にして並んでいた木々は、―――もう、過ぎ去ってしまったのだろう。】
【必死に、必死にしがみ付いていたのだが。辺りに吹き渡る心地良い風にさえ勝てず、】
【ヒラヒラと人知れず最後の"粋"を見せつけ、―――やがて地面に同化して行く。】


【どちらかかと言えば、後者の方に融和していたのが、広場の端のベンチに腰掛ける一人の少年。】

【少し短めの艶やかな黒髪に、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【無地のグレー色のフードが付いたパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツ。】
【少しフレームの太い黒縁のメガネに、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われていた。】

【こんな身形をした少年は、其の露店で買ったのであろうフランクフルトを片手に、】
【真っ赤なスマートフォンらしき何か物を操作―――否、厳密に言うなら、操作されていた。】

【何やら難しい顔をしつつも、時折『あっ、』と苦虫を噛み潰した様な表情を見せて。】
【其のぎこちない親指の動きからも―――『機械が苦手なんだろうか、』と云う想像は、其処まで飛躍した物では無い。】

【さて、少年の持つスマートフォンの、其の流線型で工学的なデザインから―――】
【其の存在、特徴を知る者なら、其れは"W-Phone"だと、真っ先に気づく事になるが―――?】

//>>773とこっち、どちらでもどうぞです!
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 21:13:10.76 ID:6xrdRTx00
>>748

まっ気にすんなよ………一応は世のため人の為に働いてる身だからな。
困ってる人間をあしらったなんて上に知れたら減給じゃすまないだろうし………バチも当たりそうだ。

【一度大きくため息を吐いてから苦笑し、少し恥ずかしそうな顔をしながら人差し指でこめかみを掻く】
【相手から名刺を受取り一通り書かれた文章を眺めると一瞬ピクリと瞼を反応させるが、それを悟られないように頭に付けたサングラスをかける】
【そして相手へと近づいてまるで気の置けない友人相手のように勢いよく肩を組もうとしながら相手の耳元へ顔を近づける。】

おいおーい、軍事企業の仲介人がこの国でなんの取引だ………?まさかヤバいヤマじゃあないだろうなー?
こういう国の治安が荒れてる時に乗じてマフィアだか、テロ組織だか、それこそ機関のような連中の闇取引が後をたたないんでな

まさか胸のワッペン≠ノ気づいてないわけではないだろうが―――、一応聞かせて貰うとしようか?
それに………お前、ただの人間≠カゃあないなー?まさか戦闘用サイボーグとか言わねェよな………?

【そしてヒソヒソと相手のみに聞こえるように問いただすように、だが口調は先ほどと同じ軽薄な調子で言葉を紡ぐ】
【まさかこれから闇取引をしようとしている人間がわざわざ自警団員に話しかけて来るとは思えないが、念のためという事だろう】
【やはりこの国の緊張はまだ解けていない………この銀髪の青年もやはり特殊部隊の一員という事だろう―――。】
【最後の言葉は冗談交じりなようにじっとりとした視線をサングラス越しに向けながら問いかける。】

//一応返しておきます!
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 22:17:41.30 ID:V8LkjWtx0
【とある国――路地裏】

 今日も今日とて商売相手を探すのに一苦労

【路地裏でそんな声が聞こえる】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】
【そんな男が一人歩いている】

 やれやれ、ここのところバタバタしていますからねえ
 カノッサが動き出したとかで
 ま、私としてはありがたいんですけど
 武器も売れますしねえ

【そう言いながら男は歩く】
【この路地裏に人が来たのならこの男が目に入るだろう】
【もしくは路地裏を見ていればこの男が路地裏を歩いていていくのが目に入るであろう】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 22:33:29.35 ID:vz0gRq/h0
【多くの人々で賑わう大会の会場。其処をふらふらと歩くのは、紅白色――――所謂、巫女装束と呼ばれる其れを纏った女性】
【片手に提げた袋にはワールドグルメフェスで買いあさった物が実に多く詰め込まれていて、もう片手に提げる袋には食い終えたゴミが入っている】
【…………どう見たって3人分以上の量があるのだけれど、付き人も居ない事から考えるにこの女性一人で其れ等全てを食べていた様で】


「…………中々の物ですね。お金が無いのであまり多く買えなかった事が心残りですが
まあ、開催中にステンでも連れてきて食べさせて貰いましょう」

【むしゃむしゃと食べつつ、その足取りは特に定まってはいないようであっち行ったりこっちへ行ったりと】
【しかし、女性一人では到底食べきることが出来ないであろうその量を平然とした表情で食べ続けているのだからある意味大した物】
【――――否、その表情を見るに元より感情の起伏が薄いのかもしれないけれど】


「…………しかし。果たして開催中に全てを食べる事が出来るか否かも分かりませんが
……その時は適当に冷凍でもしておきましょうか」

【さて、女性へと向けられている人々の視線。櫻の国特有の珍しい服装もその理由】
【序でに言えばその手に提げた袋も理由の一つ。だけど、何よりの原因は――――その大会に出場していたから】
【天鬼ちゆり。櫻の国の巫女。現自警団所属。……もしかしたら、そんな一筆もあったか。出場者であればトーナメント表からその名を知ったかもしれないし、観戦者であったとしたら試合を見ていたかも知れない】
【その他の理由であったって、この大きな大会。どの様な理由であっても可笑しくは無いであろう】







【人の住まなくなった小さな街。謂わば、ゴーストタウン】
【――――宝が眠って居るだとか、住人達の亡霊が出るだとか様々な噂が絶えずに作られては消えて】
【若者達が肝試しや真相究明といった目的で時折訪れるのだが…………不思議な事に、無事に帰った者は少ない】
【其れが更に、その街の噂に拍車を掛けるのだが】


「…………今日は月が綺麗ね。月には兎が居るなんて言うけれど、それが本当なら踊っていそうな位に綺麗ね
――ふふ。この町に飲み込まれた人間達も、幽霊になって見ているのかしら。それとも、魂ごと食べられてしまって見れないのかしら」

【その街の中心部。濃い“瘴気”が漂っており――――街に少しでも足を踏み入れたならば、直ぐに気付けるであろう】
【原因を探るべく進んだならば、やがて一人の少女の姿が見えるはず】
【紅いドレスに、金色の髪。見かけこそ人間の少女であるが、瘴気は紛うこと無くその人物から発生していて】
【――――場にそぐわぬティーセット。言うなれば一人だけのお茶会を楽しんでいた様だけれど】


「どっちでも良いわね。終わってしまったお話なら、もうその先は紡がれないのだから
…………所で、こんな場所に来てしまうとこの街に食べられてしまうかもしれないわよ?
今日は、こんなにも綺麗な夜だから…………お腹だって空いちゃうでしょ?」

【……この街を訪れた新たな気配に気付いたのか、そちらへと視線を向けたならば微笑を浮かべて】
【魔族、とは言え好戦的でも無いらしい。敵意を見せる訳でも無く、語りかけるだけ】
【――――然れど、魔族と言えば人間の敵という印象が強いであろうか】
【ならば、話に応じようとも攻撃を仕掛けようとも――――どちらだって、不自然では無い筈で】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 22:37:46.13 ID:avvJUm3P0
>>767

へー、やっぱりそういうの研究してるのってあの人だけじゃないんだ……
こっちは脳をまるごとくり貫いて神経を機械と繋げてるって感じかな、でも一番気持ち悪いのは薬を大量投与した実験体だったな……
筋肉が何倍にも膨れて肉体のあちこちが損傷を起こして捻れたボロ雑巾みたいになって……
うぇ……結局薬を過剰に投与されて作られたのはそいつ一体だったけど、今は倉庫で保管してるんだっけかな?
「……それ以外の兵士は皆、人間の形を保っていますし命令には絶対です……ご心配には及びません」

【やがて端末で確認をし終えた女が席に戻り、買うと言ってくれると】

おお!ありがとう!……で、薬の方も欲しい訳ね?
全然構わないわ、じゃあ……今は2〜3リットルって所かしら?使い切ったらまた連絡してくれれば良いし

【ロングドレスの女性はとても喜んでいるが、何故かコートの少女は嬉しくなさそうだ】
【少し唇をぐっと閉じれば、それを見た女性は脅している様な声で】

……? ベル、何でそんな嫌そうな顔しているわけ……?
「……い……いえ、何でも……ありません……」
そ、なら良いわ、じゃあよろしくお願いしますね♪

/続きます
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/25(金) 22:47:40.22 ID:CLSt9TSW0
>>777

【様々な理由で女性――――天鬼 ちゆりは注目され、その存在を認知されていたのだろう】
【直接・間接を問わず、この場ではちゆりを知っている人間が多くいた。だが、それでもこの人物の関わり方は、特殊だったのだろう】

……やれやれ、楽しむどころじゃなくなっちまったな……
もうちょい、この祭りに乗じて酒の一杯でも煽りたかったってもんだけどよぉ……

【どこか疲れた表情で、早足に往来を突っ切っていく、1つの大きな影があった】

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫】

【――――1回戦第7試合において、正にちゆりと相対した対戦相手、レグルス=バーナルドその人であった】

……しょうがねぇ。買って帰って、ことを済ませたらちびちびやるか……
それくらい、あいつも渋い顔はしねぇだろ……さて、とするとどうするか……――――っぁ……?

【どこか余裕のなさげな表情で、何かについて思慕しながらといった風のまま、早足で人波を避けて歩いて行く】
【その人の間が切れた瞬間に、視線がつい――――と、ちゆりの方を向いた】
【呆気に取られた様子で、レグルスは立ち止まる。189cmのその体躯は、雑踏の中にあってもそれなりに目立つだろう】
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/25(金) 22:56:42.95 ID:/8Y6kOfMo
>>775
【にこにこと昼行灯めいて薄らとぼけた笑みを浮かべながらも、青年の視線は束の間目まぐるしく動き回る】
【名刺を目にした男の反応を、探っているのだ。精神科医やカウンセラー、或いは尋問に長けた自警団員のごときやり口だった】
【肩は組ませるがまま相手に任せ、害意が無い事を示すようそちらに体重を預けて】

──えーっと、どう……だったかな。確か、店名は白い馬がどうとか言ってたね。
酒飲みのジョークが名前の由来なんだってさ。
『大将!この看板、塗り間違ってるぜ。白い馬だってのに黒いじゃねえか……さておき、エールを一杯』ってな感じの……。

店先まで案内してくれるって? そうかい、悪いね。じゃあ行こうか。

【ごく自然な調子で──ただし、若干声が大きい。意図的に周囲に聞こえるようにしているのか──応じると】
【細めた瞼の奥の瞳で、ぐるり、それとなく周囲を見回してから、おもむろに何処かへと歩き出す】
【男とは肩を組んだまま、できるだけ人気の少ない裏通りへ】

信じて貰えるかは判らないが──その逆さ。昨今の新世界全体の治安悪化と、機関という明確な外敵の存在。
『どこの国が』とは言わないが、軍拡に乗り出す大義名分としてはうってつけだと思わないか?
それとお察しの通り、僕は生身(ウェット)じゃない。身体に幾つかウェアを入れてる。

……そう心配しないでくれ。戦闘用のものもあるにはあるけど、飽くまで自衛の為の装備だ。
  この状態から怪しまれずに君を殺害できるような手段──例えば、致死量の神経毒を仕込んだ内蔵式ニードル・ガンなんかは所持してない。

【足早に歩きつつこちらも声を潜めて、曰く。兵器を売り込むのは機関やそれに準ずるテロ組織ではなく、むしろその対抗勢力】
【国軍や自警団などだとの事である。なるほど確かに、軍の制式採用を勝ち取れば、そこには莫大な利益が生まれる】
【危ない橋を渡るのが馬鹿らしくなる程の、クリーンな利益がだ】

【下手な隠し事は為にならないと知ってか否か、青年は饒舌で、なおかつ相手の職務に協力的だった】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 23:04:27.08 ID:vz0gRq/h0
>>779
【食べて飲んで、また食べて。細い体格にして、よくもまあ其処まで入ると突っ込みを入れられても仕方ない程の食べっぷり】
【自警団の腕章をしつつ、この場を巡っているとなれば――――見回りか、それに近い何かであろう】
【また新たな物を食べようかと袋に手を伸ばした所で、ふと視線が留まるのは件の人物】
【中華まんを取り出し、咥えたならば其方へと歩み寄って】


「おや――――レグルスではないですか。貴方も遅い晩ご飯を買う所ですか?」

【モグモグと食みつつも語れば、丁度目の前で立ち止まるのだろう】
【試合開始前の時と同じ様にその顔に感情は浮かんではいないけれど、だからこその表情で大量の食物を抱えているとなれば不自然にも思えて】
【“も”と付ける辺り、この女性は晩飯と称して此処まで買い込んだ様だけれど…………それにしたって、多すぎる】
【さて、ふと顔を上げて見ればその表情に気付いたか、小首を傾げ】


「それとも…………何か用事があって、通っただけでしょうか
何処か焦っている様にも見えますが」

【鋭い指摘か否かは分からないが、少なくとも女性にはその様に見えた――――と】
【問い詰める訳でも無く、ただ述べただけ。一つ食べ終えればもう一度首を傾げ】
【「それとも、また別な理由で?」と付け加えられるのだけれど】
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/25(金) 23:14:46.35 ID:I0FSs9rwo
【街中】

【人行き交う大通り。車の往来も激しく、四方の信号はチカチカと入れ替わる】
【風は冷たく、月も今日は厚い雲に覆われて見えていない。明日は天気が悪いらしい】
【人々は足早に、商店も既に店じまいをしてシャッターを下ろしてしまっているところもある】
【オレンジの街灯。白い蛍光灯の窓の明かり。2つは入り混じる。風で街路樹は揺れる】

【下りたシャッターに凭れて、幾何学模様にブロックで出来た地面に座り込んで、男はそれを見ていた】
【正確には見ているように他者からは見えるということ。彼は黒いレンズのサングラスをしている】
【浮浪者という身なりではない。、黒いスーツに紫の柄シャツを着、首から聖母を模したシルバーネックレスを提げ】
【頭をシャッターにうちながら三角座りの様に膝を曲げ、腕を膝に置いて】
【誰も声なんて掛けない。今日は冷えるし、面倒だから。誰も彼らを冷酷だと責めることは出来ないだろう】

…………何処だ此処……何時だ…?……あー…頭いてえ…

【シャッターに爪を立てて、ヨロケながら立ち上がる。大きい音を立ててながら体をシャッターに打ちつけながら】
【やつれた長身はフラフラと歩き出す。道行く人に人々にぶつかりながら。人々に避けられながら】
【無機質に空気のように地面がうねる。そんな気分。誰かに、何かにぶつかってもどうしようもない】
【もしぶつかってしまったのなら。そのまま、崩れ落ちるように道路際に倒れてしまう】

ああ……すまん…悪い悪い…

【謝りつつ、歩道脇のガードレールを掴みながら、不安定に揺れつつ立ち上がり】
【ぶつかった相手は既に行ってしまったんだと思っているのか、目をくれることもなくガードレールに座って】
【本人はやっと視界が治ってきた事を感謝しつつ、まずは一服と胸ポケット煙草を漁る】

……今日はあるじゃないか…煙草……今日は良い日だな…

【紙箱の中から安い紙巻きを一本くわえて、使い古された金属製のオイルライターを取り出して】
【ぶつぶつ呟きながら、火をつけると煙を吸い込んで、ニコチンを取り込んでやっと思考をニュートラルに戻す】
【深く吸い込んだ煙を吐き出して、下を向いていた頭をあげると、遠くに感じていた世界が戻ってきたようだ】
【戻ってきても服が汚れているとかそんなことしか思いつかない。何処なんだ此処は。まあいいか】

………なんか用?

【心配してか絡んでか、どういったわけかは分からないが彼に話しかけたなら返答はコレだ】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 23:18:04.31 ID:6xrdRTx00
>>780

白い………あーあそこか、はいはい分かった分かった―――確かにあそこは商談にはうってつけだよなぁ?
俺もこの国に送り込まれてまだ日は浅いがあそこは有名だから知っているぜ兄弟………だっはっはっはっは。

【相手の言葉に一瞬間を開けたが直ぐに意図を汲んで軽薄な調子は崩さないようにしたまま会話を合わせていく】
【兄弟≠ニいう呼称は些かやり過ぎだがまるでそのまま二人で飲みに行かんとばかりの軽快さで銀髪の青年も歩調を合わせる】
【そして裏通りに入った瞬間、肩に回していた手を解くとサングラスを上にあげてから視線を送る。】
【口元には不敵な笑みを浮かべ、鋭い眼光を相手に向けるが―――。】

成程ね………確かにその理屈は道理にかなっている―――俺の故郷でもきっと今頃行われているだろう事柄だな。
それに―――どうやらそんな上手く嘘をつくタイプにもみえねぇからな………信じてやんよ………ええと、クリスだったか

はっやっぱりか、どっか違う°C配を感じたが………弄ってやがったか。
成程ね………自社の製品のアピールもかねて改造してんのか?ご苦労なこったなぁ………。

【以外にもあっさりと銀髪の青年は相手の言葉を信じた、口元の笑みもどこか和らいだようにも感じるだろう】
【そして相手が肉体に改造を施していると答えるとわざとらしく顔を顰めながら相手の身体を上から下まで眺めていく。】

名乗り遅れたな………俺はディック・ホワイト=\――ご存知の通り特殊部隊・SCARLET(スカーレット)のメンバーだ
疑って悪かったな、まぁこんなご時世だ、勘弁してくれよな。

【相手への警戒を解いたのかは分からないが相も変わらず軽薄な調子で自身の名を名乗りながらにやりと笑う。】
【先ほどまでの対応を見るにSCARLET(スカーレット)隊員というのは本当だろう―――。】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/25(金) 23:22:42.59 ID:CLSt9TSW0
>>781

…………っ?
(……自警団の腕章? ……あいつ、自警団の人間だったのかよ…………まぁ、その事は今は良いか……)

【思わぬ遭遇に呆然としつつも、レグルスの視線はそれを認めて微かに細まっていた】
【自警団――――公安に依らない防衛のための集合組織。普段は全く関わりの無い存在としか思っていなかったが】
【――――ともあれ、そうした思考は今は雑念でしかないと、頭の中を切り替えた】

お、おぅ……まぁ、そんなとこだな……こんな所で会うとは思ってなかったけどよ……

【声を掛けられ、どこかぎこちなくも応答するレグルス】
【全く予期せずに会ったと言う、その驚きがまだ抜けきっていないのだろう。あるいは、刃を交えた相手と言う事で、態度に戸惑っているのかもしれない】
【そうこうしている内に、ちゆりの抱えている食物の多さに気付いた様で、いささか表情が訝しげに曇る】

……そんなに平らげるのか?
それとも、誰かの分を一緒に……?

【それは、1人で食べるには多すぎると見えたのだろう。レグルスはそんな問いを投げかけてみる】
【自分ならば――――がっつり食べると考えれば、まぁ1人分と言っても良いくらいの量なのだろうが】
【しかし、身長160cmほどで、さほど体格が良い訳でもないちゆりが、となると――――1人分にしては多すぎる】
【その奇妙さが気になったとしても、それは無理からぬ事なのだろう】

…………まぁ、それほど大したことじゃ無ぇんだが、焦ってるってのは少しあるかもな……
……俺の試合の時、セコンドでついてた『相棒』がいるんだが……会ったか?
あいつが、仕事中に機関の人間と一戦交えたらしくてよ……腹、搔っ捌かれちまったんだよ

【ちゆりの問いは、正にレグルスの抱えている事情の一端を言い当てたものだったのだろう。渋面で首をかしげつつも、レグルスはその事を口にする】
【試合の終了間際、倒れ伏したレグルスを抱えあげた、黒の衣装に身を包んだ中性的な風貌の青年。レグルスと同じデザインの衣服を着た、まぁ美青年と言えない事もない青年】
【――――彼が、機関の人間と交戦の末、負傷した事をレグルスは明かした】

……まぁ、俺らにだって『そう言う技術』はあるし、1週間もすれば全く全快のレベルまで持ってける見通しではあるんだけどよ……
それでも、日常の事とか、色々差し障りが出てくるだろ? ……今は、買い物に出てきたとこなんだ
……本当だったら、試合観戦にかこつけて、酒の一杯でもひっかけたいところなんだけどな
アイツをほっとく訳にもいかないから、晩飯を買いがてら、酒も買って帰って、宿で飲もうと思ってよ……

【――――魔術を修めている彼らが故に、恐らく機関の人間を撃退する事には成功したのだろう。だが無傷とはいかなかったようで】
【あの時は、レグルスは彼に介抱されていたが、今は逆にレグルスが彼を介抱している状態にあるらしい】
【今は、動けない『相棒』の代わりに、買いだしに出てきた所なのだとレグルスは説明した】

……そういや、そんな訳で試合は全然見れてねぇんだけどよ……ベスト4まで勝ち残ったらしいじゃねぇか……
まぁなんだ……おめでとうよ……!

【そんな中にあって、ちゆりの戦績の事は耳に入っていたのだろう。レグルスは空気を振り払う様にして、ちゆりに「おめでとう」と口にする】
【初戦で敗退したとはいえ、その相手が好成績を残したとなれば、無駄な敗退とも言わず、レグルスも嬉しく感じる】
【その事を素直に、ちゆりに対して表したのだろう】
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 23:27:09.03 ID:avvJUm3P0
>>778続き

【女性はそう言い終えるとNo.88の連絡先が書かれた名刺をテーブルに置き、席を立つ】
【そして女に向け感謝の言葉を述べて】

見た限り帰宅途中だったみたいでごめんなさいね、でも買って貰えるのはとても嬉しいわ
じゃあ、また連絡があれば……
「……どうも、ありがとうございました……」

【また黒い扉を開き、女よりも先に店を出るだろう】
【数日後、No.31の元には四つの棺と点滴袋に入った青い薬のセットが送られてくるはずだ】

/二日間ありがとうございました、
/お疲れさまでしたー!
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/25(金) 23:38:05.44 ID:D1DjOuKho
>>778>>785

へ、へえぇ…………そ、それはあんまり想像したくないかなぁ………
毎日毎日目玉だらけの家に居てもそういうの、慣れないからさ……

あ、ああ、うん、別に暴走したとしても抑えられる子がいるから大丈夫だけどさ……

【話を聞きながら、女は引き攣った笑みを浮かべる】
【どうやらそういった話は得意でないようで――女の家は正に“そういった”もののようだが】

ああうん、それくらいでいける……んじゃないかなぁ?あたしは知らないけどさ

【少女と女性の間の、微妙な空気。それを何となく感じ取りはした】
【しかし、それも彼女達の間のこと。自分には関係のない話だと、考えないことにして】

ん、いいのいいの、どうせ暇だったしさー
代金はまあ、あっちに任せておけばいいかな?
じゃ、二人ともまたねー!

【二人の姿を見送ってから、女も袋を手に店を後にする。ただ、その帰り道―――】

――――あ、アイス買ってたの忘れてた………………!




/お疲れ様でしたー!
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 23:50:37.60 ID:vz0gRq/h0
>>784
【大会と言えども確かに傷付けあった仲。それであってもこうして平然と接している姿は、美点とも言えるだろうか】
【元より、そう気にしない大雑把な性格だから…………という事もあるけれど】


「いえ、私一人分ですよ。お金をあまり持っていなかったので、沢山は買い込めませんでしたが…………足りない分は夜食で補う事にします
それよりも――――――」

【モグモグと食べながらも、総菜パンを一つ取り出せばレグルスに差し出して。「良ければお一つどうぞ」なんて言葉が紡がれるのだろう】
【袋の中身は既に半分以上消えている。本当に一人で食べたのだとしたら、大したものであろう】
【――――口の周りを拭けば、見上げる様にして視線を合わせ、一度頷いた】


「ええ。貴方の言う“相棒”には会いましたよ。序でに、一つ約束もしていました
…………まあ、今はその事は良しとしまして、貴方達には治癒の魔術がある事は重々承知しています
ですが…………多少数を増やした所で、恐らくは害にはならないでしょう。お世話になった…………と言うわけではありませんが、少なくとも一言二言は交わした仲です
他人、よりも少しは親しいでしょうから――――」


【懐に手を入れ、取り出したのは一枚の札。治癒の効果がある其れ】
【流石に一晩で裂かれた腹が治るという訳では無いけれど…………それでも、魔術と併合したならば普通の其れよりも治癒の速度は上がるだろうか】
【戦巫女に近いとは言え、元は巫女。治癒の力もそれなりに優れている故に、考えた手段。そして青年ならば…………詳しい説明をせずとも、用途は直ぐに分かるであろう】
【…………受け取るも受け取らないも、勿論自由。受け取らなければもう一度懐にしまい、無くなったならば空となった手は新たにサンドイッチを取り出して】


「しかし…………存外、レグルスも優しい性格なのですね
仲間を気にするのは当然と言えば当然ですが、それでも其処まで世話を焼く方を見るのは久しぶりです

有り難う御座います………………ですが、残ったのは貴方との仲間との約束もありましたからね。無様には負けるな――――と
…………とは言え、本当の殺し合いであったならば葬られていた場面も多々。まだまだ精進しなければ…………と自覚させられる大会でもありましたが」

【女性からすれば、“優しい”とはからかいの言葉であったのだろう。動かぬ表情からは、読み取り辛いけれど】
【しかし、戦績を祝福されたならばキョトンとした表情を浮かべ】
【やがて僅かに微笑めば礼を述べることだろう。続けるのは件の約束。尤も、レグルス自身は気を失っていた故に分からないであろうが…………】
【それでも、おめでとうと言って貰えたならば約束を果たせた事にはなろうか。少しだけ、表情にも感情が籠もれば女性もまた嬉しさを秘めている事が分かるけれど】
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/25(金) 23:53:46.96 ID:+k4e7DSH0
>>782

【街】


【寒空の下。通行人に同化する様、とある少年が歩く。時折キョロキョロと辺りを見回す其の姿は、】
【パトロール、というよりは寧ろ、随分と子供っぽい行動であるという印象を受けるだろうか。】

【街灯に反射して艶めく少し短い黒髪に、黒曜石の様に澄んだ黒い目。】
【グレーのパーカーに、焦げ茶色のバギーパンツ。背中にはショルダーバッグが斜めに背負われていて、】
【少しだけフレームの太い黒縁のメガネに、左頬の絆創膏。―――其処まで、目立った格好ではない。】

【乾燥した冷たい嫌われ者が、辺りに吹き渡る。道行く人の服をパタつかせたなら、彼らは怪訝そうな表情をする事だろう。】
【然し其れは、"良いにおい"をも運んでいく。辿った其の終着点は、―――矢張り少年に在った。彼の右手には、ふっくらとした肉まん。】

【一口、ガブっと行った所で、少年の口の動きが止まる。目に写ったのは、一人の男。】
【酒に溺れたのか、其れ共、体調が悪いのか―――どちらにせよ、千鳥足という表現が最も適するだろう。色んな意味で、少々危険な様にも感じられた。】
【然し躊躇う事無く、少年は急いでモグモグと咀嚼し、ゴックンと飲み込む。そして其の侭、走り寄り、声を掛けるのだ。】

なんか用、やないで……にーちゃん、今、記憶喪失、ちゃうん。
無意識の内に言うたんかも知れへん……けど、確かに、口はそう動いとったで。
それに足も、フラフラ、なんやろ。今日寒いしな、このままじゃ、アカンの、ちゃうか。
アレやったら、保護っちゅうか……まあ、泊まれるとこ、あるんやけど……?

【耳慣れないであろう特徴的な口調は、其の方へ顔を向けるのに十分なキッカケになる筈だ。】
【少年は一旦、という形では有るが宿泊場の提供を申し出る。然し其れは、自分の身分を提示しないまま、であって―――?】


/まだいらっしゃれば!
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/26(土) 00:10:32.29 ID:sC4hXIv50
>>787

……ほぉ……これが1人分、ねぇ……
……あ、あぁ……すまねぇな……
(……しかも、これで足りねぇって…………体型、維持できんのかね……?)

【思いもしなかった回答に、レグルスは戸惑う様子を見せながらも、差し出された総菜パンを受け取る】
【レグルスでさえも多いと感じた量を「足りない」と口にするちゆりに、言いようのない不思議さを感じてしまうのだが】
【――――ついでに疑問に思った事については、決して口に出す愚を犯すことなく、胸の内へと仕舞い込む】

……あぁ、そうか……俺がくたばってた時に、なんか話してたんだな?
じゃあ……遠慮なく頂戴するぜ。あいつも、悪い気は起こさねぇはずだ……それに、俺らにだって魔力には限りがある。そういう助けは、素直にありがてぇからよ……

【会釈と手礼で感謝を伝えながら、レグルスは差し出された札を受け取る】
【治癒の魔術を用いて治療を施す事は、それほど難しい事でもなかったが、それでも消費する魔力はその限りではない】
【そう言う意味では、こうした品で手助けを貰える事は、レグルスにとっても有りがたい事だった】
【――――なにより、やせ我慢をしては、ちゆりの面目と言うものもある。受け取った方が角が立つ事もないだろうと、そんな判断もあった】

……まぁ、な……昔から、腐れ縁に近いと言えばそうなんだが……それでも、やっぱり『相棒』だからよ
『かけがえのない』って奴か? ……あいつは、特別と言えば、特別なんだ

【そのからかいの意図は、やはりレグルスには読み取り切れなかった様で、真面目腐った態度でそんな事を口にする】
【昔からの絆であり、また特別な意味を持つ仲である、と言う。だからこそ、それを意識しての『相棒』という語で語っているのだろう】
【『友達』ではなく、『仲間』でもなく――――特別だからこその『相棒』。そんな思いが、その言葉には籠っているのだろう】

……あいつ、んな事言いやがったのか……って、確かに、俺もそんな事を言いたかったかもしれねぇな……へへっ……
ま、それを言うなら俺だってそうよ……あいつに叱られたぜ、「手の打ち方が悪かった」ってな……
――――まぁ、賞金はともかく、得る物はあったってもんだぜ……!

【『相棒』である青年が口にした約束を聞いて、レグルスも苦笑する。その言葉は、少なからずレグルスの意志を代弁していたのだろう】
【ついでに言えば、ちゆりの口にした感想は、レグルスとしても痛感させられた事だったらしい。毒霧を逆用され、最後の一撃を凌がれた事を、青年から叱責でもされたのだろう】
【しかし最後には、そんな事全てを豪快に笑い飛ばしてしまう。あの一戦、レグルスも確かに『楽しめた』のだから】

……まぁ、アレだ。せっかくだから、なんか食ってくか?
食い足り無ぇんだろ、奢るぜ……俺からのささやかなお祝いって事でよ。これもなんかの縁だ……!

【ふと、ちゆりの食事の様子を見て、レグルスはそう声をかける】
【元々、買い物に出てきたという事で、金銭に余裕はあるのだろう。ちゆりの好成績を祝して、食事を奢ろうと提案する】
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/26(土) 00:32:51.69 ID:P4aVShpTo
>>788

【ふう…と煙を吐き出すと、辺りに副流煙が漂って、直ぐに散った】
【今の世間だとこれだけで十分迷惑な存在であるが、男は気にしない】
【目の前の少年をサングラス越しに口を半開きに開けたまま数秒見つめ続けて】

……ああ、そうだよ。3年前から記憶喪失なんだけど…まあ、そんなことは大したことじゃないし
………記憶なんて朝まで飲むか朝から飲むかしてれば簡単に飛んでっちまうシロモノなんだから……
それに忘れっちまうってことは……大事なもんでもないんだよ。忘れたほうがいいこともあるし
そうじゃなかったら皆……酒を飲んだり薬でラリったりしないと思うんだよね…

【そう言って、また煙草を吸い込んで煙を吐き出す】
【足元がふらついている割に、よく喋る。ところどころ処理落ちのような会話の間が生まれるが】
【それはローテンションでしゃがれた声で喋る彼の元々の会話のスタイルである】

心配はありがたく受け取っとくよ……若いのに自警団?そりゃあご苦労…けど…まあ俺はいいや
どうせ後は帰るだけだし、どっかで寝てもまあ死なないだろうし…まえ、無理やり入れられたあの拘置所みたいな
ところだけはもう行きたかないね。……ベッドって名前の打ちっぱなしのコンクリートはいい加減やめてくれってボスに言っといてくれ

【よっぽど碌でもないところに運ばれてったらしい。煙草の灰を落としながら】
【口元をニヤけさせ、皮肉交じりに言っている】

それとも、無理やり引っ張ってかねえと小遣いがもらえない感じ?
……だったら、飲み屋の前で待ってな。そろそろ俺みたいな奴が出る頃だからさ…
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/26(土) 00:37:37.35 ID:APtX4WpM0
>>789
「…………そう多く話していた訳でもありませんが…………世間話程度には
ええ。貴方にとっての相棒であるならば、一日でも早く全快した方が好ましいでしょうから、遠慮無く持って行って下さい」

【手渡した札。そして空となった袋。女性の腕よりも少し大きい程度の式神――――小さな白龍を召喚すればゴミの袋を持たせて、捨てさせに向かわせるのだろう】
【……しかしながら、ゴミで膨れあがった袋は改めて見ると凄い物である。それを一人で食したと言うのだから、尚更の事】
【かといって本人は満腹で苦しい表情をしているのかと問われれば、そうでも無いのだけれど】


「なる程――――私には、その様なパートナーと呼ぶべき存在が居ませんからハッキリとは分かりませんが…………
それでも、レグルスの言葉を聞く限りには良い存在の様ですね」

【友人と呼べる存在や仲間と呼べる存在は居ても、パートナーと称せる存在は居ない。その職故に――――という事もあるけれど】
【…………だからこそ、青年の言葉は理解出来る様で、それでいて難しいのだろう】
【掛け替えのない存在。家族であれば居るけれど、それ以外の存在では居ないから。だから、分かる様で分からない】


「お互い様――――ですね
…………しかし、良いのですか?」

【互いに何かを得る事が出来たこの大会。ならば、其れで十分――――言葉の仲にはその意を含んで】
【そして、奢ると言われたならば当の本人が考え込むのであろう】
【…………何を食うか、では無く。本当に食っても良いのか、との思案】
【確かに奢って貰えるのは嬉しい――――が。果たして本当に良いのだろうか、と】


「確かに食べたり無いですが、かといってそう空腹でもありません
…………ですが、貴方が良いと言うのでしたら、お言葉に甘えて何か食べさせて頂きます」

【戻って来た白龍の頭を撫でてやり、継いで黒い双眸がレグルスへと向けられる事か】
【――――その先の判断は青年次第。気を変えて断ったところで、不機嫌に成る筈も無く】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/26(土) 01:01:32.14 ID:hYaEJ7P8o
>>783
【裏通りに入ると足を止め、ほう、と大きなため息をこぼす青年】
【相手の態度が僅かなり軟化したのを見て取ったのか、表情には判りやすく安堵の色が浮かんでいる】

……ありがとう。信じて貰えたようで何よりだ。

いいや、違うよ。肉体の一部を機械に置換したからこそ、僕は今、ここでこうしているんだ。
製品のPRを兼ねているのは紛れもない事実だけれど、どちらが先かと言うならば紛れもなく、改造手術の方だ。

【渋い顔をしてこちらをねめつける男に、何でもないさといった調子で肩を竦めて口の端を上げるが】
【幾ら科学技術の進んだ星の国とは言え、サイボーグなどそう多くいるものでもないだろう】
【リスクも少なからずある筈だ。にも関わらず、自分の身体を弄くり回しておいて、どうしてこうも平然としていられるのか】

ちょっとした紛争に巻き込まれてね──右腕と内臓を幾つか駄目にした。
うちの社の現CEOには並々ならない恩がある。
それに多少なりと報いられる手段があるなら、見世物だろうと何だろうと構いやしないさ。

【──答えは単純。そうするより他に道が無かったからだと、彼は言外に語っていた】
【微笑みは絶やさないまま。しかし凪いだ湖面のように澄んだ瞳に、ほんの一瞬だけ、陰が射す】
【それを取り繕うように「気に病まないでくれ。この身体は僕の誇りでもあるんだ」と二の句を接ぎ】

まあそんな訳で。俄かに辛気臭い話になったが、改めましてクリス・エバンズだ。
世に言うところの、いわゆる『死の商人』をやっている。そちらとは何かと縁があるかも知れない。
そう畏まらないでくれ。あらぬ疑いを掛けられるのには慣れているし、未来の取引相手としては、慎重なのはむしろ好ましい。

まあ、本当に悪かったと思っているんなら、うちの社の製品共々以後宜しくお引き立て頂ければ幸いだ。

……ああ。それと一つ、良いかな。お近づきの印に、ささやかな助言をさせて欲しいんだが。

【こちらも応じて居住まいを正すと、手袋を外し──信用の顕れだろう──全く無警戒に、生身の左手を差し出して】
【悪戯っぽくウインク一つ、抜け目のないセールストークを繰り出しながら、名乗り返した】
【】
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/10/26(土) 01:02:30.73 ID:sC4hXIv50
>>791

確かにな……世話する俺の方も中々大変だし、早く治ってもらう事に越した事はねぇ……

【受け取った札を懐にしまいこみながら、レグルスは答えた】
【世話し、世話され、と言う事は、流石にあまり良い気もしないのだろう。相棒とはいえ、気を揉む事もある】
【そう言う意味では、回復して自活してもらう事が、レグルスにとってもありがたい事の様だ】

(……ゴミ捨てる為に魔獣を使役するなんて、良いのかよ……てか、本当にどれだけ喰らったんだ……!?)

【白龍の召喚、そしてゴミ袋に目をやって、レグルスの表情が微かに綻ぶ】
【ある種微笑ましい光景なのだが、それでもやはり残されたゴミの量が尋常ではない。思わず、ほんのわずかな瞬間、その事に思いを馳せてしまった】

そうだな……『馬が合う』って言えば、そうなるのか?
全く違うようでいて、どっかで通じるものがあって……他にあんな奴には会えないだろうぜ……そう言う意味でも、得難い人だよ、あいつは……

【その関係を、もっとも強調したい絆の形として『相棒』と称したが、レグルスにとっての青年は、それだけでもないのだろう】
【やはり友人でもあって、当然仲間でもあって――――それを超えた何かを表現する為の『相棒』と言う表現】
【理屈でなく相性の合う、噛み合ったパートナー。他にはそんな存在はいないだろうと思わせる、唯一無二の存在なのだろう】

あぁ、お陰で修行にも少し気合いが入るってもんだ……!
最初の気持ちって奴を、久々に思いだせたからな……!

【強くなる事――――思えば、どんな状況にあっても、それがレグルスを動かす原動力だった】
【負けた事は、それを思い出させてくれたのだろう。豪放で、どこか大雑把な性格のレグルスに、克己心を思い起こさせたあの戦いは】
【そうした思いを久々に思い出させてくれた、貴重な機会だったと言えるだろう】

あぁ、気にするなって事よ!
こういう祝い事は、早い方が良い……それに、幸い今は懐具合も悪くはないからよ!

【――――前回の大会の時。レグルスは同じ様に善戦した仲間を祝おうと思っていたのだが、中々機会が訪れず、祝うにしても微妙な事になってしまった事がある】
【それを思えば、今すぐにちゆりに御馳走をしてやれるチャンスがあるなら、活かさない手はないと考えたのだろう】

(……まぁ、今から『追加で』って事なら、さほど行かずに満足もしてもらえそうだし……別にケチらなくても大丈夫だろ……?)

【ついでに言えば、既にちゆりがある程度以上に食事をたしなんだ後であると言う事も、レグルスは勘案していたのだろう】
【既に大量の食事を済ませているのなら、如何に食欲旺盛であっても、破滅的な量を食べられる事もないだろう――――と】
【せせこましくつけ込む、と言う訳ではないのだが、やはりそこは懐具合とも相談する事があって、食べ足りないのなら丁度良いと判断したのだ】
【そうして色々と考えながら、レグルスはちゆりを連れて、夜の街へと連れ立って行く――――】

【自分の用事を終えて宿へと戻ったのは、その後の事。レグルスは、結局ちゆりの気の済むまで食事を奢ったのだろう】
【帰った時、レグルスがどんな様子だったか――――それは、ちゆりの『そこからの食事量』と『掛かった食費』次第と言えそうだ】
【とりあえず、『相棒』の青年に、また呆れられた事だけは――――同時に、札に対してありがたさを向けられた事だけは、間違いない様だ】

/そろそろ眠気が限界なので……乙でしたー!
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/26(土) 01:10:01.43 ID:W9Cl3iZo0
>>790


【―――煙に慣れていないのか、其れ共、別に原因が有るのか。少年は副流煙を目の当たりにした其の瞬間、ゲホゲホと咳き込む。】
【其れは数回に及び、ついには背中を丸めてしまう。肺に入り込んだ異物を、一つ残らず出す必要が有るらしい。】
【ふーっと数回の深呼吸を重ね、落ち着いた所で少年は顔を上げる。―――眼が、真っ赤になっていた。】

お、おう……せ、せやな……

【思いの外、随分と論理的な回答が返って来た。どうやら、酔っ払いとは訳が違うらしい。】
【何度も咽返ったからであろう、少年の声は震えていた。やっとの思いで出した声、といった感触だ。】

【再び男が煙を吐き出すのなら、少年は口を閉じ、呼吸を数秒間止めるのだ。】
【白い煙が辺りの空気と交じり溶け、見えなくなった其のタイミングですーっと息を吸う。】
【少し息が漏れかかったものの、咳払いしなかった所を見ると、辛うじて成功した、らしい。】


ああ……えっと、何も、言うてなかったな、
自警団やなくて……UNITED TRIGGERっちゅう組織やで、聞いたこと位は、あるんちゃうかなー……
もちろん、ホテルとはちゃうけど。それなりに、きれーなとこやで。俺も、住ましてもろうとるし。

そうは言うても、やっぱり何か心配やなあ。
帰れるんやったらええけど、そうやってもたれかからなアカンのやろ。
そこらへんで寝る位なら、来る方がええと思うけどなー……
まあ、強制でけへんし、来んのなら、来んでええんやけど…


【正体を明かしていない事に気付かされたのなら、少年は自分の身分を告げる事だろう。】
【ガサゴソとショルダーバッグから取り出したのは"W-Phone"。証明書代わりに提示した様だが、】
【其の存在を知らないのであれば、全くと言っていい程意味を成さない。】
【強いて言うなら、其の流線型の工学的なデザインが、一般的なスマートフォンと異なる事が分かる、という位か。】


せやなー……いや、ちゃうねん。
にーちゃんさっき、ココがどこか分からんー呟いてたやろ、だから声、かけてん。
にーちゃんがただの酔っ払いなら、声なんかかけへんで。いちいち言うとったら、キリ、無いしな。

うち、給料どうなっとんのか分からへんけど。
たぶん、歩合制ちゃうと思うで。

【彼に皮肉は―――通じなかった様だ。】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/26(土) 01:20:36.57 ID:tYO2CVbS0
>>792

―――成程な、まぁさっきも言ったが今のご時世どこも戦乱だからな………。
しかし最近の技術は発達しているもんだな………内蔵の代替が出来るなんてよー。

【小さくため息を吐いた後に肩を竦めながらそう言って、クリスの姿をもう一度視界に収める―――。】
【なんら健常者と変わらないその姿………星の国は特に技術が進んでいるが、まさかこれほどとは………と感心しているようである】
【顎に手を当て、一度考えるような仕草をした後相手の自己紹介にもう一度視線を戻す。】
【そして一歩、歩み寄りながら飄々とした表情で手を差し出す。】

あぁ………まぁこういうことは上≠ェ取引きする事だろうから俺がどうこうは言えねーけどな
あんたの売った武器が俺≠攻撃しない事を祈ってるぜ―――まぁたぶん大丈夫だろうけどよ………ハハハ。

それじゃあ俺はそろそろ報告の時間だから行くぜ………ちなみにそこの通りに出れば案内板がある
それを使えば目的地にたどり着けるだろうよ―――んじゃあな………ってまだ何か要件があるのか―――?

【冗談交じりの言葉を送りながら相手と握手し、これからクリスが探すであろう店を見つける手がかりを示すように裏路地の先を指さす】
【大通りに出れば案内板があり、それを見れば店の位置が分かるだろう………それだけ教えるとディックは踵を返して逆方向に歩き出す】
【一応≠ヘ自警団なのだ、見回りなどの仕事もあるのだろう―――と、クリスからかけられた言葉に顔だけクリスに向けると問いかける…。】
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/26(土) 01:22:43.13 ID:APtX4WpM0
>>793
【そんな青年の気持ちを知る由も無い青年と、式神】
【小さな頭を撫でてやっていれば管狐が現れたりと――――其れなりに巫女らしい絵面とはなるのだが】
【強いて言うならば、青年の様な相棒こそ居ないが…………妖怪退治で共に闘うこの式神達こそが、巫女にとっての“相棒”と称せるであろう】


「…………私が言う事では無いかもしれませんが
その様な方を持ったならば、これから先も大切にしてあげて下さい
――――確かに、私には理解が難しい事ではありますが…………」

【釈迦に説法。今更青年には必要の無い言葉かもしれないが――――それでも、伝えておきたくて】
【巫女としてか、ただのお節介か。どちらにせよ、吐くのは素直な気持ち】
【それも、青年が再度奢ると言えば、巫女らしかった一面も消えて。後は連れられ、適当な店へと入る事だろう】

【今まで食べていた筈。それなのに――――金額は優に三万を越えていた。或いは少々お高い店であったならば、その倍額はいっただろうか】
【積み上がる皿。膨れあがる金額。満足したと言った頃には…………きっと、伝票には目が眩む様な金額が記されていた筈だ】
【その食事の最中にも、また色々な会話がされていたかもしれないが――――それはまた、別なお話】

/はい、有り難う御座いました―!
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/26(土) 01:43:02.53 ID:P4aVShpTo
>>794

【そんなもんだよと、言いながらまたタバコをふかす】

先に言っとくけどさ…俺はフェミニストなところがあるから女性には断ってから吸うし…
ノンスモーキンのところじゃあ吸わないけど……ここは違うしさ
野郎相手にはやめてくれって言われない限り吸うよ?…嫌なら嫌って言いなよ
……もう全員煙草吸えばいいのに…最近は面倒だな……
……と言っても記憶喪失だから最近しか知らないんだけどさ

【辺りには煙が立ちこめる。彼からすればこの世の生物が皆吸ってしまえば】
【誰も文句言わないだろうにと、そういう風に思うタイプの人間だ】

ああ……セリーナのところか。…別に知り合いだし、行ったこともあるよ
勝手に酒飲んでも大して怒られないからそこは悪くないんだけど、BGMがイマイチなところが好きじゃないんだよね
ああそうだ…レコード持ってくって言ってたっけ…レコードプレーヤ探しとかねえとな……

……だからいいって、アイツに小言言われてもアレだし。…朝に起こされそうだし
朝までやってる飲み屋か喫茶店で適当に寝るから…俺はそっちのほうが良いんだよ、俺は

【眠そうに欠伸をひとつすると、髪の毛を掻き。ぼんやりとその見せられた携帯電話を見たが…】

……なんだっけそれ。そーいうやつ……携帯電話の凄いやつとかでしょ?
……………俺、機械弱いから分かんないんだよね…何それ、光るの?

記憶喪失なのはあってんだけど、それはそれで…今俺がブラブラしてんのはただの酔っ払い
酔っぱらいってのは酔っ払ってるから天地もわかんねえもんなんだよ

【どうやら、現状は単なる酔っ払いである。しこたま飲んでハシゴしてどっかでぶっ倒れたら酔っ払いである】

UTって歩合っつてなかったっけ?まあよくわからんけど頑張れよ。食えんぞ?あの組織…赤字っぽいからな
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/26(土) 02:20:49.78 ID:W9Cl3iZo0
>>797

……いやいや、俺が、息止めれば、ええだけの話やから。
よう知らへんけど、煙草、吸っとかんと、イライラしてくるんやろ、
……うん、俺が、ちょっと、我慢すればええねん。

……まあ、こんな事言われて、吸いにくいかも知れへんけど……
あ、俺、煙草の匂いは、好きなんや。そう、この銘柄、案外、好きなやつ……何て名前やったっけ……

【さっきのは不意打ちを喰らっただけ。彼が煙を吐きだした其の瞬間、息を止めれば良いだけなのだから、】
【それなら自分が我慢しようと言い出すのだ。勿論、"イライラしてくる"と云うのは、彼の偏見である。】

【煙草の煙を吸うと、過剰な反応を示す癖に、匂いは好きなのだと言う。】
【此れは男に気を使ったという訳では無い。空をそっと見上げては過去を思い浮かべ、何かを懐かしむ顔をしたのだ。】
【表情の変化は露骨に顕れている。少年を注意深く観察していなくとも、ハッキリと理解できた筈だ。】


ああ、なんや、知り合いかいな……さすがの人脈やなあ、ま、それなら話ははや……く無いんか。
BGM……俺は好きやで、音楽はそこまで詳しく無いんやけど。
何かこう、統一感あって、ええなーって思うわ。あの服装、含めてやな。

ああ、これな、"すまーとふぉん"言うらしいで。俺も、苦手なんやけど……
ああでも、暇あったらイジるようにしてんねん。最近は、これくらい扱えなアカンらしいし。
今は、結構イケるようになってきたんや、写真とか、出せるで、………ほら。

え゙……セリーナさん、言うてなかったでそんなこと……
まあよう考えたら、あんな設備構えといて、黒字なわけ無いわなあ……
……パトロールもそれなりにしといて、金稼ぎ、せなアカンな……

【セリーナと知り合いだという事が分かったのなら、目の前に相対しているのは一市民では無くなるのだ。】
【其れ故、少年は少々饒舌になる。同じく機械音痴なのであろう男に、"UNITED TRIGGER"の本拠地の画像を見せた時は、】
【自慢気な顔をした事あろう。勿論、其の後に聞かされる言葉に、驚愕の表情を見せる事になるが―――。】

あそこ、飯も部屋も風呂も付いとるから、金いらへんねん。
入ってから、給料明細みたいなん、全く見てへんわ。………いや、アカンな、それ。

……んまあ、大丈夫そうやな。じゃあ、俺は、金稼ぎ、行ってくるわ、
あ、なんか、セリーナさんに、伝えることあったら、言っとくで。

【少年は彼に別れを告げようとするが、其のタイミングで思い出した様に、セリーナへの伝言が有るかを尋ねる。】
【小言を言われる程の友人なのなら、其れなりに言いたい事も有るのだろうという、少年なりの気遣いだった。】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/26(土) 02:55:15.24 ID:P4aVShpTo
>>798
我慢すんなよ。エゴイスティックに生きるほうが正しいんだから
……俺の場合はイライラするっつーか死にたくなっちゃう感じ……?まあそんな感じ
まあ、止めないなら俺は別に吸うから……頑張ってくれ
……赤マルだよ赤マル。何処でも売ってるし何処でもこの味なんだ
アイデンティティがしっかりしているエライ奴だよ…全く

【煙を吐き出して、指先で煙草を叩いて灰を落とす】
【彼は記憶喪失で失ったモノを煙草に求めているのかもしれない】
【だったらこんなに非常しなほどに吸う必要もないとは思うが…まあ中毒なんだろう】

レコードだとな、暖かいんだよ……音がさ。音が途切れないから……ノイズがある方が
自然なんだよ……まあ、いいや。…暫くしたら俺が取っ替えるから。…許可も取ってるし

へえ……使わないからいいや、興味ねえし。・・無くても何とかなってるし。
あれだろ?電話なったら出なきゃいけないじゃん?…出たくない時はどうすりゃいいんだろうね
・・なんかそういうの考えたらめんどくさいなーって…・オーディオミキサーの方がわかりやすい

【段々と男の性格がわかってきた。やりたい事はやる。それ以外は全くやらない】
【興味のあることは異常に食いつくが、それ以外はてんで興味はないらしい】
【しかもそれをワザワザ声に出して宣言するところも極端さに磨きかかっているようだが】
【まあいいやで意外と片付ける辺り、絶対のポリシーみたいなものは無さそうである…】

だから何か逃げたペットでも探して、飼い主から駄賃でも貰えって言ってたし
多分……パトロールじゃお金にならないと思うけど…チンピラふん縛って自警団に引き渡すぐらいしないと
……多分、ザルな気がして俺は怖いよ。…経理とか

【何となくだが、彼処は変にアナログなところがある気がしてならない】
【彼はそういうところは割りとデジタルに考えているため…それを考えるとゾッとしたが】

……えーと……ビールは冷やさず温めで宜しく!

【まあいいやと思考を切り替える。俺は彼処の帳簿よりアルコールの貯蔵量が知りたい】
【そんな話をしてたらまた飲みたくなってきた。彼は立ち上がって煙草をくわえて歩き出した】
【……しばらくした後、明け方に自警団によって打ちっぱなしのベッドで目覚めることと鳴るだろう…】


/睡魔がやって来ましたのでこんなところで〆にさせていただきます
/遅くまでありがとうございました!
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/26(土) 03:01:36.89 ID:tYO2CVbS0
//クリスの方申し訳ありませんまたまた眠気が限界+回線が不安定なので
//もう終盤の終盤ですが落ちます…明日は直ぐにレス出来ると思いますので〆の方向でお願いします!
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/26(土) 03:15:11.34 ID:W9Cl3iZo0
>>799


まあ、もうすぐ冬やしなー……一応、言うとくわ。
じゃあ、気をつけて、帰ってな。ああ、なんかあったら、いつでもかけつけるで。

【歩き出す彼を、少しだけ眺めた後、反対方向を向いて歩き出す。どうやら、家に帰る様子。】
【服はそのままフカフカのベットに飛び込んではその体勢のまま。ふーっと息を吐いて、少年は瞼を閉じるのだろう。】
【就寝時間自体は遅くなったが、其の快適さは其れを十分覆す程であって。―――極めて、安眠だった。】
【丁度その頃、其れだけは嫌だと言っていた彼が、硬い、硬いベッドで眠っているという事は、知る由も無く。】
【少年はどうやら、暫くの間、微睡みの世界の中へと入って行く様だ。】


/お疲れ様でした!是非またお願いしますー!
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/26(土) 12:56:20.02 ID:Y1hKW6lt0
【とある国――路地裏】

今日も今日とて商売相手を探すのに一苦労

【路地裏でそんな声が聞こえる】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】
【そんな男が一人歩いている】

やれやれ、ここのところバタバタしていますからねえ
 カノッサが動き出したとかで
 ま、私としてはありがたいんですけど
 武器も売れますしねえ

【そう言いながら男は歩く】
【この路地裏に人が来たのならこの男が目に入るだろう】
【もしくは路地裏を見ていればこの男が路地裏を歩いていていくのが目に入るであろう】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/26(土) 14:02:12.20 ID:hYaEJ7P8o
>>795

それを飯の種にしてる僕たちが言うのも何だけど……参ったもんだよ、ほんと。

そもそもサイボーグ技術自体、元々は医療を目的として発展してきたものだからね。
ただ──便利なように見えても、何かと不便なところもあるものでさ。
ほら、例えば生身と違ってメンテナンスも大変だし。
幾ら技術が発達しても、やっぱり人間は神様にはなれない、って事だね。

【テロリストが大手を振って罷り通るような今の状況は、幾ら武器商人といえども好ましく無いらしく】
【全面的に同意だとばかりに、嘆息する男へと緩く頷いてみせる。それから、サイボーグ技術について軽く補足しつつ】
【鷹揚に差し出された手を握りしめて、握手を交わした】

ふふ。何なら、個人的にうちの製品をご贔屓にしてくれたって良いんだよ。
確約はできないが──君が製品を買ってくれれば、その分だけそうなる確率は下がるわけだしね? 理論上は。

……いや、セールスの話さ。私見だが、君は女性にとって魅力的な商品だと思う。
TPOを弁えて口数を減らせば、もう少し上手くいく筈だよ。モットーは『沈黙は金』だ。
下手にトークで売り込むよりも、素材の良さを活かした戦略を立てるべきだろう。では、また何れ縁があれば。

【男の指差す先にちらりと視線を遣ってから、目礼するとまた口を開いて】
【つらつらと調子よく捲し立てつつ、こちらも同じく踵を返して歩き出す】
【振り返らないまま、「幸運を」と後ろ手にサムズアップを投げかけて──】
//寝落ちすみません、それではお疲れさまでした
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/26(土) 18:09:39.93 ID:9e+vlzOm0
>>803

まぁ仕方ないんじゃねぇのか………国同士の利権争いならまだしもテロ組織による戦争なんだからな
とはいえ一国と戦争できるレベルまで組織が拡大したやがる事も問題だが―――まぁ俺たちが出来る事なんざちっぽけさ

成程な………だが一昔前ではとても考えられない事なのは確かだなァ………便利な世の中だぜ
まぁその技術進歩は戦争≠ノよって齎されたモノであるのも確かだがな、ったく難儀な世の中になったもんだぜ

【肩を竦めてため息を吐きながらそう呟いて一度、夜空へと視線を泳がせ何か感慨にふける様な仕草をする―――】
【この男、軽薄そうに見えて意外と物事を深く考えているのかもしれない………あくまでそう見えると言うだけであるが…。】

確かになァ………まぁ良かったら本部にカタログでも置いてってくれや………暇が出来たら眼を通すぐらいはするからよー。

ハハッ!ったくお世話好きな奴だなァ………まぁ俺はこのマシンガントークに自信と誇りがあるワケだが
まぁアンタのいう事も少しは頭に入れてこれからナンパするとするよ―――じゃあな、夜道に気をつけて帰れよな。

【相手から投げかけられた言葉に軽い調子で答えると、こちらもヒラヒラと片手を振ってその場から立ち去っていく】
【二人が去った裏路地には―――静けさだけが残った。】
【余談だが、ディックはこの後、御社のカタログからとある商品を購入したのだが………それはまた別の機会にとっておこう。】

//お疲れ様でした!ありがとうございました!
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/26(土) 19:51:03.64 ID:vGT6Jgc4o
【天下一武道会 準決勝】

     【―――突如、会場を包む暗闇。視界を覆う黒の中で静寂が際立ち、熱気が包む会場内に不穏な空気が奔る】
       【段々とざわつきが強くなったかと思えば、急激に照らされた光は入場口にのみ当てられ―――】

                   <<―――♪、―――♪、―――〜〜〜〜♪>>
                 「M・T・R!! M・T・R!! M・T・R!! M・T・R!!」

【……鳴り響くテーマ。全身を駆け巡る血が沸騰する様な熱き魂の音。どうやら昔に流行った格闘技団体のテーマらしかった】
【そこに遅れて重なるコール。マーシャル・T・ロウと一呼吸で言うのは大変らしく、頭文字を取ってMTRと言う事なのだろう】
【勘違いをして欲しくないのは彼は決して人気選手ではないということ。寧ろ準決勝まで勝ち上がった4人の中では一番人気が無いのかも知れない】
【―――動かずに戦う為躍動感に欠け、トリッキーに思わせて緻密で堅実、故に派手さに欠ける地味な戦術。観客からすれば不親切な人物であっただろう】
【更に前大会準優勝で容姿も優れたソニア選手を破り、彼女のファンを敵に回したことも大きい。……じゃあ何故声援が飛んでいるのか?】

                 「M・T・R!! M・T・R!! M・T・R!! M・T・R!!」

【……冷静ながら所々で見える熱き勝利の執念が人気を得た―――と言う訳ではない。彼は唯一SCARLETからの参戦者。……つまり関係者からの声援なのだ】
【声援に黄色い声は少なく、野太い「M・T・R」が会場の一部スペースからのみ響く。その応援集団の格好は警察、軍、自警団―――後は酒場の飲んだくれ】
【非番の連中と知り合いの酒場の面子が自主的に集まり生まれた声援。一般客に受けるものでは無かったが、ロウの気迫は確かに「一部に」届いていた】
【―――だが、未だ本人の姿が見えず。あらぬ姿に飛ばされる声援は手応えが無い様に見えるのだろうが―――新たな煙のエフェクトにより彼等の声が更に増して】

【赤青の2色の煙が強烈な光に照らされた入場口を包み隠す。人影が煙の中に浮かび、そしてゆっくりとその姿を現したのは―――!!】

……どんなサプライズだよ。……ったく、プレッシャーかけやがってテメェ等……―――最高だぜ、バカヤローが

【……マーシャル・T・ロウ、此処に見参。骨にまで伝わる野太い声援に紺碧の瞳を丸くすれば、トレードマークの青のソフト帽を深く被って表情を隠す】
【嬉しかったのだが、どうやらその表情を彼等に見せたくない様で。左手で右肩のSCARLETのマークをぽんぽん、と叩いて男はフィールド中央へと歩む】
【MTRコールは鳴り止まない。寧ろ彼が現れた瞬間にボリュームの摘みが1/4回ったかの様にまで思える。彼が歩みを止めれば、音楽も声援もピタリと止まった】

                             ―――……。

【白シャツを正し灰のジレのボタンを留め直せば、右へ身体を反転させ帽子を取り深々とお辞儀。その方向には野太い応援団の姿】
【左を向いてお辞儀。後ろを向いて、そして正面の観客にも頭を深々と下げる。ゆっくりと頭を上げた時、情熱と冷静を灯した焔が瞳に浮かび上がっていた】
【歓声が会場を覆い尽くすも石畳のフィールドだけは静かで。その静寂の中に滲み出る闘気が漂い形成されるは戦場の空気。照明が元に戻り、全体が照らされる】

―――マーシャル・T・ロウっつーモンだ。見ての通り女の子より男にモテるタイプでねェ……。曲は無理やりかけさせて貰ったんだが……まさかこうなるとはな。
ま、こんなことされちまったからには奴等を裏切るような試合は出来ねェってことよ……勝たせて貰うぜ、玉藻狂死郎ッ!!
(確か札を使ってモンスターを召喚したり衝撃波出したりしてくるんだったな……モンスターだけは勘弁願いたいぜ)
(なんとか召喚札だけはぶち抜いて無効化―――なんて事がこの試合で出来れば五分いける……とは思うが、簡単に決まる程甘くはねェだろうしよぉ……)

【―――両手に銃を具現化する。右手に朱、左手に蒼。ペンダントの宝玉が光り、熟練のオーラが広がる。つまり―――】
【……準備は万端と言う事……!! ―――さぁ、決勝戦進出を懸けた一戦が今、始まる……!!】

/それでは狂死郎の方お願いします!
/因みにテーマはこんな感じです→http://www.youtube.com/watch?v=mTmoGlWKj7A
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/26(土) 20:12:56.18 ID:Y1hKW6lt0
【とある国――路地裏】

今日も今日とて商売相手を探すのに一苦労

【路地裏でそんな声が聞こえる】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】
【そんな真っ黒姿の男が一人歩いている】

やれやれ、ここのところバタバタしていますからねえ
 カノッサが動き出したとかで
 ま、私としてはありがたいんですけど
 武器も売れますしねえ

【そう言いながら男は歩く】
【この路地裏に人が来たのならこの男が目に入るだろう】
【もしくは路地裏を見ていればこの男が路地裏を歩いていていくのが目に入るであろう】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/26(土) 20:39:55.53 ID:gBj4QszZo
>>805

【マーシャル・T・ロウの奇妙な入場曲が鳴り止んだ後、彼とは反対側の入場口に突如スポット・ライトが当てられて】
【観客達が期待と不安が入り混じった様子で見つめる中――――】

♪(バン!バン!バンバンバン!)♪
♪戦う姿美しい〜自慢の戦術で飛ばせ〜♪
♪い〜まだ!み〜せろ!きょ〜しろう〜♪
♪狂死郎!(オイ!)狂死郎!(オイ!)男を魅せろ〜(オイオイ!)♪
♪かっとばせ〜!狂死郎!♪

♪以下繰り返し♪

【――――鳴り響くのは所謂チャンス・テーマ。野球において得点のチャンスに流される選手固有のテーマソングである】
【即興で考えたような歌詞と、どこかから借りてきたかのようなチープな曲と、それから時々聞こえてくる罵声】
【これらに包まれながら入場する狂死郎は、人気の無さで言えばロウにも勝るとも劣らないだろう】
【「塩ファイター」「クロバネゴキブリ」「ノーリスペクト」「詐欺師」「金返せ」……などなど、彼が裏で呼ばれているあだ名は枚挙に遑がない】
【「変な格好の奴がなんか無理矢理勝ってしまった」などと言ったイメージから、彼の評判はすこぶる悪く】
【ファンなど付きようも無いがため、この曲もまた、ファンが歌っているわけではない】
【ならば誰が歌っているのか?――――答えは簡単、金を払って歌わせているに過ぎない】

ヒュー……万来の拍手をどうも有難う。
そして始めまして。僕が君の対戦相手の玉藻狂死郎さ。
嫌われ者同士どうぞよろしく、みたいな感じでどうだろう?

因みにさっきの曲は作詞・作曲全て僕が担当している。

【観客に向かって皮肉めいた礼を送りながら、狂死郎はトレードマークのカンカン帽を深く被り直し】
【インバネス・コートについた埃を丁寧に払ってから、ロウに向かって頭を下げつつ軽く自己紹介をした】

さて、ここまでくれば互いに相手を研究しているのは当たり前……お互いに、気を抜くことは出来ないね。
ま、御託はこの辺にして……いこうか!!

(彼は確か炎と氷の二丁拳銃の使い手で、おまけに宝玉の力を用いた弾丸を使う……言うまでも無く強敵だね。)
(機動力は殆ど無いが、跳弾による攻撃には注意が必要――――これ以上は仕掛けて見なければ分からないか。)

【――――コートの中から脇差を取り出し、抜き放つ。何故これまで愛用してきた双剣を使用しないのかは不明だが、これも戦術の一つか】
【ロウの準備が整うまでの僅かな間、分析を行った狂死郎だったが、実際に拳を交えてみなければわからない、と】
【右腕のコートの袖から1枚の札を取り出しては左手に持ち、右手には脇差を構えたまま、ロウとの距離を詰めるためにスタートを切った】

(まずは小手調べ――――避けられるか!?)

【ロウとの距離を詰めようとする狂死郎は、駆け寄りながら左手の札を、ロウの手前の地面へと向けて投擲する】
【地面へと命中するにしろ、銃弾に打ち抜かれるにしろ、その瞬間に爆発を起こし――――大量の砂煙を巻き上げて、お互いの姿を隠すことになるだろう】
【しかし狂死郎はそのまま直進し、砂煙を抜けて姿を現すと同時に、姿が隠れる前にロウが居た位置に向けて勢いよく足払いを繰り出す!!】
【ロウの機動力が低いことを知っているが故の煙幕戦法、当たれば大きなチャンスだが、逆に隙をさらすことにもつながってくる】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/26(土) 20:50:14.04 ID:gBj4QszZo
>>805
>>807
/おっと、失礼!こちらこそよろしくお願いします!
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/26(土) 21:24:25.24 ID:vGT6Jgc4o
>>807

【会場を包み込む奇妙な空気に、ロウは思わず苦笑いを零さずにはいられなかった】
【2,3回戦とどちらかと言うとヒールのポジションにいた彼だが、今回は違う。……―――とにかく男が胸に刻むは、「ペースを乱されないように」という意識】
【……眼前の男は明らかに猛者。嫌われようとも、ひょうひょうとしていようとも―――自分と同じく激戦を制してきたことは確か】

【そしてここまで来ればお互いの手の内は殆どバレている。つまり正真正銘の地力勝負と言う事】
【ロウはコホン、と苦笑いを咳で吹き飛ばし紺碧の眼光を鋭く灯す。集中すれば、もう周りの観客が罵声を浴びせようと気にもならない】

―――……じゃ、この試合でお互い名誉挽回と行こうじゃないの
俺等を悪く思ってる奴等の掌、全員ひっくり返してやろうぜ……さぁ来いやぁぁぁッッ!!
(オラオラ攻めに行くのはこの場合は愚策……対応し、封じ切って勝つ―――!!)

【―――両銃のグリップを握る力が強く増し、闘気が一気に周りへと広がる。ロウは膝をやや曲げ、狂死郎の先制に「対応」しようと試みる】
【迫る狂死郎、ロウの得意距離にはさせないと言う事だろうか―――だがロウも、その前進を良しとはしない。緩慢ながらも後ろに2,3歩下がり―――】
【細心の注意を払っている「札」の投擲を見ればすかさず右銃で発砲、撃ち抜くも―――】

……っとぉっ!? ―――目隠しか……!? 
(撹乱されるな、自分も使う手段だ……! 近付きたい故の行動、つまり―――)

【視界が砂煙に染まる。―――ガンマンは眼が命、視界を奪われるのは厄介だが相手の視界も良好ではないだろう】
【お互い見えない相手の動きを予想しての行動、ロウは瞬時に相手のこの行動の意味を考えて判断、すかさず左銃で発砲したが銃弾は彼の足元、地面へと突き刺さる】
【―――毎試合彼が見せてきた、氷の柱を地面から生やし盾とする技。それを自らの正面に作り上げ、見えない相手に対して盾を置いた】

【回りこみをされていればこの盾の意味はなくなるが、見えない視界の中で回りこむという行動にはリスクが伴う―――という判断の下の行動】
【氷柱はあまり硬くはないが、鋭い蹴りなら2発、斬撃なら1発は耐えられるだろう。相手の攻撃の切れ味が良ければ簡単に割れはするのだが】
【ロウは遅いが精一杯のスピードで下がりながら、砂煙が晴れるのを待つ。そして足払いが氷柱によってガードされた光景が見えれば右銃で反撃をする】

【放たれた弾丸は大分右に反れていたが、石畳に刻まれた数々の名試合による傷跡にぶちあたり、跳ね返れば「く」の字の軌道で狂死郎の右脚を襲った】
【―――その軌道は変則的だが言い換えれば遠回り。最短でロウに詰め寄れば回避と同時に接近できるという美味しいモノとなる】
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/26(土) 21:53:39.84 ID:gBj4QszZo
>>809

やはりそう甘くはないか……!!

【ロウの体勢を崩す目的で放たれた足払いはしかし、銃弾の命中した地面から出現した氷の柱によって阻まれる】
【氷柱による防御――――これまで何度か使用する様子を見てきた技であるが、それでも実際に相対すればその手際の良さに舌を巻かざるを得ない】
【それでもまだ予想の範囲内、狂死郎は瞬時に反撃へと意識を切り替えることが出来た】

(狙いが右に反れている――――やはり、跳弾か!?ならば……!!)

【最初から警戒していた跳弾の使用を予測した狂死郎は、素早く体勢を立て直し、ロウへと向かって全速力で突進する】
【右足を狙った跳弾は、僅かに狙いが反れて掠めていく――――ダメージはあったが、反応する程の痛みは伴わない】

悪いが、僕は“名誉挽回”なんて高尚なものには興味がないね……!!
僕は勝ちに行く!!それこそ“名誉返上”だね、勝つまでは!!

食らえッ!!『呪相・雷徹肘』ッ!!

【ロウとの距離を詰めた狂死郎は一瞬、右手で左の肘に触れ――――瞬間、左腕が雷電を帯びると】
【脇差を手にした右腕を引きつつ、雷電を帯びた左腕でロウの腹部に向かって肘打ちを繰り出す!!】
【雷電によって威力を増し、麻痺という追加効果も得た肘打ちは単純にして強力な攻撃だが】
【一度しか放つことが出来ないのが難点――――回避されれば、次は無い】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/26(土) 22:20:32.28 ID:vGT6Jgc4o
>>810

……その根性、観客には好かれねぇだろうが俺は嫌いじゃねぇぜッッ!!
でも俺にも有るんだよ……勝利への渇望ってモンがよぉぉッッ!!

(ノータイムで攻めてくるか……!! 普通なら一旦退く所だがコイツは違う……!!)
(―――勝利への欲が、剥き出しになってやがるぜ……!)

【高速ながら不規則な軌道で襲い掛かる跳弾は脅威に思えるが、弱点も確かにある。跳弾の効果が最も発揮される場面は相手の足が止まっている時】
【相手が動いていれば当てることは困難。そして通常の弾丸に比べて軌道が遠回りであり、更に先程の様な軌道ならば相手の前進を抑止する効果を持たない】
【―――ロウはこのウィークポイントを熟練による読みとゲームメイク能力でカバーしていたのだが、彼の勝利への欲がロウの読みを超越した】

―――……っぐぉおおおッッ……!! ッゴホッ、っっがハァぁっ……!!
なんつー……威力なんだ……よぉっ―――!!

【眼では動きが見えていても、身体は追いつかない。後退による回避は今の右脚の状態では不可能であり、トリガーが引かれる前にロウの腹部に奔るは衝撃】
【痺れるような痛み―――否、実際に痺れているのだ。後方にロウの身体が舞い、石畳に叩きつけられる。リングアウトからはギリギリ逃れられたことが唯一の救い】
【……直ぐに立ち上がろうとするが、全身をを駆け巡る電光の様な痛みが筋肉を鈍らせる。即ち、今の状態も隙―――】
【ロウはトリガーにかかった指が動くことを確認すれば、なんとかコンマ1秒でも早く立ち上がろうと左膝を立てるだろう】

……腹筋鍛えといて、良かったぜ……ッごほっ……!! ―――っぐ、まだこんなモンで終わる男じゃないさ……!!
(正直やべぇぞ、こりゃ……今直ぐにでもうずくまりてぇ……元々そんな動くタイプじゃねぇが、満足に動けやしねぇか……?)

【ふらつきながらも視線は狂死郎を離れない。―――痛みで険しい表情からも、彼に負けない勝利への熱い想いが伝わる程】
【紺碧の眼光からは絶えず抜身の刀の様な鋭い視線が飛ばされて、そしてその奥の闘志の焔も未だ爛爛としている】
【腹に大きな一撃を食らい、片膝立ちで背中が丸まったその姿勢には少なからず隙があるが―――狂死郎は一気に攻めこむか、それとも……】
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/26(土) 22:49:24.42 ID:APtX4WpM0
【人の住まなくなった小さな街。謂わば、ゴーストタウン】
【――――宝が眠って居るだとか、住人達の亡霊が出るだとか様々な噂が絶えずに作られては消えて】
【若者達が肝試しや真相究明といった目的で時折訪れるのだが…………不思議な事に、無事に帰った者は少ない】
【其れが更に、その街の噂に拍車を掛けるのだが】


「…………今日は月が綺麗ね。月には兎が居るなんて言うけれど、それが本当なら踊っていそうな位に綺麗ね
――ふふ。この町に飲み込まれた人間達も、幽霊になって見ているのかしら。それとも、魂ごと食べられてしまって見れないのかしら」

【その街の中心部。濃い“瘴気”が漂っており――――街に少しでも足を踏み入れたならば、直ぐに気付けるであろう】
【原因を探るべく進んだならば、やがて一人の少女の姿が見えるはず】
【紅いドレスに、金色の髪。見かけこそ人間の少女であるが、瘴気は紛うこと無くその人物から発生していて】
【――――場にそぐわぬティーセット。言うなれば一人だけのお茶会を楽しんでいた様だけれど】


「どっちでも良いわね。終わってしまったお話なら、もうその先は紡がれないのだから
…………所で、こんな場所に来てしまうとこの街に食べられてしまうかもしれないわよ?
今日は、こんなにも綺麗な夜だから…………お腹だって空いちゃうでしょ?」

【……この街を訪れた新たな気配に気付いたのか、そちらへと視線を向けたならば微笑を浮かべて】
【魔族、とは言え好戦的でも無いらしい。敵意を見せる訳でも無く、語りかけるだけ】
【――――然れど、魔族と言えば人間の敵という印象が強いであろうか】
【ならば、話に応じようとも攻撃を仕掛けようとも――――どちらだって、不自然では無い筈で】








【商売の活発なその街ではこの時間にも関わらず、多くの人々が行き来していて】
【――――屈強な男や如何にもといった風の女。昼の顔とは打って変わり、どことなくアウトローな雰囲気】
【……そして、その場だからこそ、少女の存在は浮いていた】


「へぇ…………違法薬に禍々しい武具…………噂に違わず中々面白い物を売っているのね……」

【ローブを纏い、スッポリとフードを被っては居るけれどその背丈や体つきは誤魔化せず】
【キョロキョロと物珍しげに辺りを見ているのだから尚余計に目立つ】
【――――中々に高価そうな弓を肩に掛け、二振りの短剣を腰に提げては居るが】
【……そんな姿をして居ても、やはりこの場では浮いている】


「――――喧嘩、かしら。やけに五月蠅…………っと?!
ちょっと!!危ないでしょ?!」

【突如始まった乱闘騒ぎ。品に関する押し問答が原因である事は明白だが――――少なくとも、巻き込まれ掛けた少女には関係のない話】
【フードが外れたならば青色の髪が露わとなって、同時に朱の双眸も見える事だろうか】
【殴り飛ばされた巨体に押しつぶされそうになれば咄嗟に避けはするけれど】
【――――暴力の波は広がり、彼方こちらで諍いが起き、やがては大乱闘へと発展することか】
【……罵声、呻き、流血。様々な物が行き交う中に、少女が一人。――――良くも悪くも、よく目立つ】
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/26(土) 22:54:53.12 ID:gBj4QszZo
>>811

“飢え”というものは人間が文明社会を得ることによって失われてしまった大切なものの一つだと僕は思うんだよね……
熊が何故強いか!?という質問に対する答えは単純、“飢えているから”に他ならない!!
――――ま、逆に言えば飢えていない熊はでかくなっただけの猫みたいなものとも言えるけどね。

【ロウの腹部に肘打ちがクリーン・ヒットした感触を噛み締める狂死郎だったが、成功にばかり執着していては勝ちは拾えない】
【即座に構えを元に戻すと、吹き飛ばされ立ち上がろうとするロウへと更なる追撃をかけようとするが――――】

(あの目……!!僕と同じ、勝利を渇望する者の証か……!!)
(この状況で近寄るのは不味い!!奴に“押し付ける”符術は今、使える態勢が整っていない!!)

【――――ロウの瞳に映った闘志の。これを警戒した狂死郎は追撃を諦め、一度距離を取る戦術に移る】
【思えば、ロウが立つのはフィールドの縁。確かにチャンスではあるものの、それが一転してピンチになる確率も高いのだ】

【ロウが立ち上がろうとする隙に、連続してバックステップを行い距離を稼いでいく】
【そうする間に、狂死郎は左腕の袖に仕込まれた札を左手に取り、符術の発動へと備えていく】

ここらで一つ……『呪相――――

【そして、フィールドの中央へと到達した瞬間、狂死郎の札が蒼い光を放ち始める】
【術の発動――――見るからにその予兆であるが、この行動は明確に隙となる】
【ロウに与えられたチャンスは二つに一つ、札を撃ち抜くか、それとも……?】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/26(土) 22:57:25.96 ID:gBj4QszZo
>>813
/おっと、脱字発見……
/『――――ロウの瞳に映った闘志の。』、正しくは『――――ロウの瞳に映った闘志の炎。』です……
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/26(土) 23:20:13.87 ID:vGT6Jgc4o
>>813

……ッ……!?
(攻めこまない……? 何かに警戒した……―――いや、理由は恐らく違う……!!)
(―――何かを仕掛ける為の準備と見るッッ! つまり此処で俺が動くしか無いが―――)

【未だ全身に残る痺れ。彼の予想とは異なり退いた狂死郎に多少の疑いを感じつつも、直ぐにその回答を見出す。それが正解かどうかは関係ない、兎に角答えを出して動くことが重要】
【―――だが、頭で描いた正答通りに身体が動くかが怪しいのだ。痺れた全身、重い肘の一撃が響く腹部。緊張の糸が途切れれば、痛みが倍増して倒れてしまいそうな程】
【……それでもやるしかない。身体が動かなければ精神(ココロ)で動かすまで。できる限り腹筋に力を入れて、ロウは咆哮する。動け俺の腕、と想いを籠めて】

―――……うぉおおおおおおおッッッ!! 

【右銃から弾丸が放たれる。弾道は低く、直ぐに地面へと衝突しそうである。―――だが見た目で分かる通り、この角度では跳弾しても札を撃ち抜けない】
【つまり、痺れた腕が上がり切らないまま弾丸が飛ばされたと言う事。精神だけで痺れた肉体を動かすことには無理があったのだ―――が】
【……銃弾が放たれたその瞬間に、キラリと煌めく首元の其れが狂死郎には見えただろうか。……そう、宝玉だ―――】

……―――結局コレに頼るしか無いんだよ、俺は……!!

【銃弾が地面に衝突するギリギリで弾道が急上昇する。ソニア戦、柿奈戦で使用した伸び上がり加速する弾丸―――!!】
【―――そしてその弾丸の軌道の先にあるのは青い光を放つ狂死郎の札。……狂死郎の反応が遅れれば、札を貫くことになるだろう】

で、ようやくこっちも動いたぜ……!!

【遅れて響く銃声は左銃から。ようやく痺れが薄まり腕も上がれば、放たれた弾丸は今度は石畳の僅かな傷に衝突し、滑るような低弾道で彼の右脛を狙う】
【右の銃で浮き上がる特殊な軌道を見せておいて、次は超低弾道の軌道。―――大きな軌道の差により、躱しにくくするという彼なりの工夫だった】
【―――……此方もようやく反撃といったが、銃弾を放った後に見える痛みに歪む表情が不安要素。銃の反動が、彼の腹筋に追い打ちをかけていた為だ】
【立ち上がったはいいものの、それ程あの肘の一撃が重かったことが解る程背中が丸まっていた】
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/26(土) 23:55:22.09 ID:gBj4QszZo
>>815

どうやら手が上がらないみたいだね……!!
(距離を離す意味はあった、か……?)

【未だダメージが重く、腕を満足に動けそうにないロウの様子を見て、狂死郎は一瞬、油断する】
【だが、強者との戦いにとってそれは命取りとなる――――】

――――加速する弾丸だって!?しまったッ!!

【狂死郎は失念していたのだ、宝玉の力を。跳弾さえ来なければロウは札を狙えない……】
【そんな油断が狂死郎の反応を遅らせ、銃弾に札を貫かれるのを許してしまおうとしていた】
【だが――――】

――――水壁』ッ!!

【銃弾が札を貫こうとする直前、狂死郎は符術を強行発動する】
【本来ならば威力は落ち、おまけに札を貫かれることによって中断させられてしまうはずだったが】
【この札から粘性を持った液体が噴出して銃弾を包み込んで無力化し、狂死郎の目の前に透明の粘液の壁を出現させる】
【発動しようとした符術の選択が幸い、“防御”のための符術であったがために難を逃れたといったところか】

札を先に狙ったのは少々欲張り過ぎたね……!!

【ついで狂死郎の右脛を狙う弾丸も、狂死郎の目の前に出現した粘液の壁に阻まれてしまう】
【この粘性の壁、狂死郎一人が隠れるのにギリギリの大きさだが、見てのとおり銃弾への耐性は非常に高い】
【それでもあくまで壁は壁、回り込むなり跳弾を使うことで無意味とすることが出来るだろう】
【とはいえ、狂死郎に術を使うだけの時間を与えるには十分――――】

それでは、君の厄介な跳弾――――無力化させて貰うよ!!

【そう言って狂死郎が左膝に触れた瞬間、仕込まれていた札が緑光を放ち始め――――】
【輝いた左足で地面を踏み抜けば、そこから鬱蒼とした雑草がフィールド上に繁殖を開始する】
【猛烈な勢いで繁殖する雑草は瞬く間に舞台を覆いつくし――――フィールドの縁を除いて覆い尽くされてしまった】
【これで第一の目的である、跳弾封じを行った狂死郎だが、これで終わりではない】
【壁に隠れながら、更なる符術の発動を狙い行く……!!】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/27(日) 00:23:36.60 ID:0C/3EjjMo
>>816

ハーッ……ッハぁっ……っは……ッゲホッ……!!
(クソ……これでも届かないのか……!!)

【宝玉の力は強大故に大量の魔翌力と体力が浪費され、内蔵に響く重い痛みが彼の息遣いを荒くする】
【伸び上がる弾丸は一度しか使えない。―――ロウ自身がこの試合を想定するに当たって一番有効と思っていたこの弾丸ですら、狂死郎の札を封じることが出来ない】
【ベスト4に残った事が運でもなく、完全に実力であった。……今大会でのマーシャル・T・ロウ最大の苦戦が、その証明になる】

【しかしロウ自身もベスト4。跳弾に色々な工夫を凝らして勝ち星をもぎ取ってきた―――今回も考えて、工夫して、必死に一撃を当てるだけ】
【―――だが。その工夫さえもさせまいと言う狂死郎の「対策」が、フィールド全体を覆うこととなる】
【……足元に広がる、緑。石畳の無機質な灰色が、完全に植物によって覆われて―――この状態では、跳弾は不可能】

―――まじかよ……。まさかフィールド全体を変えるなんて大胆な方法を……―――取ったはいいんだが、忘れてねぇか?

【―――だと言うのが狂死郎の考えだろう。だが見落としている点が彼にある。彼も最初に思っていた筈だ「相手は炎と氷の二丁拳銃使い」だと】
【……今大会では氷の盾が役に立っていた為に影が薄かったのだろうかは知らないが―――彼には炎の技もある……!!】

―――こっちの方さ……!!

【赤い右の銃から弾丸が唸りを上げる。朱く輝いた弾丸が地面へと当たる。其処から沸き上がるは―――火柱】
【左銃からは氷結弾、右銃からは灼熱弾を発射できるというのが彼の能力。炎は3秒程で消えるが充分。……周りの緑に焔を移らせる事が目的なのだから】
【―――そしてもし周りの緑が消えて石畳が姿を現したのならば、左銃からの跳弾が石畳の隣接しあう部分の僅かな隙間にヒットし、跳ね返る】
【壁を回りこむ形で弾丸が彼の右膝裏を狙うのだが―――この一通りの行動がどこまで上手くいくのだろうか。そして狂死郎の術を止められるのだろうか―――】
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/27(日) 01:10:00.13 ID:8KltCGuqo
>>817

アレで僕を直接攻撃していればよかったんだけどね……それは結果論か。
とにかく僕もそれほど余裕があるわけじゃないから、巻きで行かせて貰うよ!!

【ここまで何度か派手な符術を使ってきた狂死郎だが、当然ノーリスクという訳ではない】
【最初の爆撃はともかく、ロウに一撃を加えた雷電も、大量の雑草を生やすこともかなりの魔力を消費する術なのだ】
【今はまだ呼吸を荒げていない狂死郎だが、次の術は大きく魔力を消費する故、決め切れなければピンチが待っている】

炎……!!あくまで跳弾を狙ってくるか!!
悪くはないが、石畳を露にするだけで済むと思うかい……?

【ロウの放った赤の弾丸が火柱を上げ、周囲の緑に瞬く間に延焼してゆく】
【跳弾を放つための石畳が姿を現したが、同時に狂死郎に術を準備させるだけの僅かな時間を与えた】

(雑草で埋め尽くしたのは少々早計だったか……延焼を承知で使ってくることは予想外だ。)
(そして雑草で覆われた今、こちらは素早く動くことが出来ない……作戦にミスはあったか?)
(だが、仕方が無い。このまま――――ダメージ覚悟で仕留めに行く!!最大火力で!!)

【迫りくる左銃からの跳弾――――正確に位置がつかめぬ以上、回避が困難と判断した狂死郎は即座に反撃の符術を準備する】
【脇差を放り、コートの中に隠された2枚の札を両手に取ると、それを重ね合わせて1枚の札として】
【右手に挟んで魔力を込め始めた狂死郎の右膝裏に突き刺さるは跳弾――――】

ぐあッ……!!ガッ……!!

――――食らえ!!
『呪相・花鳥風月』ッ!!

【弾丸の直撃を食らった狂死郎はもんどりうって地面へと突っ伏し、苦悶の声を漏らす】
【だが、地面へと這い蹲る状況でも術の発動は止めない――――右手に携えた札が、赤い光を放ち始めると】
【倒れこんだ体勢のまま、術を発動し――――狂死郎の札から炎を纏った隼が出現する!!】
【狂死郎の札から生まれた隼は、地面をすべるかのように超低空飛行を行い、その軌道にそった雑草を次々と炎上させていく】
【そしてロウに向かって突撃し、ロウを炎の渦で包み込もうとするだろう】

【だが、耐え切られてしまえば地面に突っ伏した状況、魔力の消費によって疲労した狂死郎の体が残されることになる】
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/27(日) 01:42:42.66 ID:0C/3EjjMo
>>818

ごほっ……って事は少しは余裕があるってことだろ―――
こちとら最初から余裕なんか無いんだよ……!!

【ロウの残り魔翌力も少ない。宝玉を使った銃撃もあと1回が関の山、其れを使えば氷結弾や灼熱弾の発射すら怪しくなるだろう】
【―――其れよりも問題は体力。常に跳弾のルートを把握しなければならないロウの戦闘スタイルは集中力と体力の消耗が激しい】
【……どちらかに限界が来れば、もう狂死郎と渡り合うことは出来ないだろう。その前になんとかしたい所だが―――】

【―――狂死郎が時間をかけて用意した術が今からロウに襲い掛かる。まずはそれを捌かなかればいけない】
【ようやくロウの跳弾が彼の肉を抉った。つまり此処を凌げば勝利への道筋は見えてくる―――正念場、ということだ】

―――ッ、来るか……!! 
(どうする―――この足で回避できるのか……!! 俺の弾丸で相殺出来るのか……!? そもそもどんな技だ―――)

【―――放たれた其れは、不死鳥の如く燃え盛りながら突進する炎の隼。……草を燃やしながら襲い掛かる其れの迫力は物凄く】
【……直撃すれば試合が終わることも直ぐにロウは理解できた。―――そして今の自分では躱せないことも、直ぐに理解できた】
【―――つまり、迎撃しかない。今自分に出来る事を全て実行し、この鳥の勢いを、否―――玉藻狂死郎の勢いを止めるしか無かった】

【ロウを此処までのし上げた頭脳と経験が、必死に今出来る事を探し求める。―――そして直ぐに両腕が隼に向けられ、覚悟の銃声が会場を包んだ】


―――この2発に全てを……!! 止まれ……止まれッッッ……!! ――――――止めてやらぁぁぁあああああああッッッ!!


【左からの一発は地面へと突き刺さり、巨大な氷柱を生み出す。―――少しでも炎を弱めようとする算段。多少弱まったが、直ぐに蒸発して消える】
【―――そしてもう一発。残り魔翌力を注ぎ込めば、首元の宝玉が光り輝き芳醇な宝玉の魔翌力を拡散させて。そして其れを凝縮した一撃が右の銃口から唸る―――!!】


                              << ―――弾丸憑依Slaaaaaaaaaaaap=I! >>


【放たれた弾丸、その側面から飛び出す巨大で半透明な片腕。ヘケメト戦等で活躍した奥の手の1つ―――だが、サイズがあの時よりも一回りも二回りも大きい】
   【その巨大な片腕が掌が、ぶぅんと上から下へと振り下ろされた。高速で振り下ろされる手により空気の膜が生み出され、炎から身を護るというモノ】
        【―――この2発がマーシャル・T・ロウが今出来る事。コレが彼の全力。咆哮に込められるは渇望、勝利への執念ッッ―――!!】

                                      【――――――――――――】

          【炎に包まれる男が、宙を舞う。そしてリング外へと吸い込まれるように落ち、彼の背中が乱暴に叩きつけられた】
      【―――訪れる静寂。そしてその後、わぁっと歓声が爆発的に起こるのだろう。勝者は決まった。勝ったのは――――――玉藻狂死郎】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/10/27(日) 02:18:25.85 ID:8KltCGuqo
>>819

げほっ……!!これが……本当に僕の最後の一撃……!!
耐え切られたのならば……!!勝……気はない!!

【狂死郎が右膝裏に受けたダメージもさることながら、その衝撃で地面に激突した時のダメージも馬鹿には出来ない】
【それに加えて渾身の術による膨大な魔力消費――――嘘偽りなく、狂死郎に次の手は無かった】
【本当に、紙一重の状態で繋がっていた勝利への道。だからこそ――――】



――――勝ったのか……?今一……実感が沸かない……
僕の体が……完全に“負け”の状態だからかな……?

【狂死郎は、己の渾身の術でロウを場外へと叩き出したのを目撃したというのに、その実感が沸かなかった】
【それも仕方が無い。狂死郎が今、意識を保っていられるのは単に“勝利への渇望”による物でしかないのだ】

いや、これだけは言える……もしも君の足が満足に動かせたのであれば、僕は到底君には勝てなかっただろう。
そしてもしも、僕と君が第一回戦で出会っていたのなら……お互いに、能力を知りえなかったのであれば、
僕が君に勝てたのか――――どうも、怪しくて仕方が無い。結局のところ僕は、運で勝利したに過ぎないのかもね。

【マーシャル・T・ロウが強者であった――――その事実に嘘偽りはなく、狂死郎がどう取り繕うとも変わることは無い】
【それでも狂死郎は、ロウの敗北という現実を“運”という要素で否定したくなったのだ】

ハァ……ハァ……どうにも意識が持ちそうにも無い……ね。
最後に一つだけ――――ナイス・ファイト……!!

【失われていく意識の中、最後に狂死郎は己と死闘を繰り広げた好敵手の健闘を称え】
【フィールドの上に突っ伏したまま、眠るように目を閉じた】

/お疲れ様&有難うございました!!
/なんか勝ってしまった……
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/27(日) 02:40:30.70 ID:0C/3EjjMo
>>820

【狂死郎の声が響くことは無い。何故なら全身が焼かれたと同時に、強烈な痛みが彼の意識にシャットダウンをかけたから】
【―――始まりとは全く違った、お互いの健闘を称えるような拍手と声援も。ロウの耳に届くことはないのだろう】
【其れでも、気絶しても尚。―――リング外で仰向けになったロウの両手を見れば明らかなのだが、確りと両銃のグリップが握られていて】
【……つまり、最後の最後まで必死に抗った証拠で。―――浮かべる顔は、まさに悔しさがそのまま表情に現れたようで】

【―――今にも起き上がって、「まだ負けちゃいねぇ」なんて妄言を吐いて立ち向かってきそうな気がする程だった】


【――――――】


【試合から5時間後、ロウは眼を覚ます。見上げる視界に映し出されるは無機質な白の天井で】
【一体何があったのかすら解らないまま沈黙すること5秒―――全てを理解する。勿論、敗北の二文字】

…………―――負けちまった、ってか?

【力無く、震えた声が病室に流れる。―――無音故にそのようなか細い音もはっきりと響き渡って。そして隣にいた人物が、小さく頷きながら言葉を漏らす】
【……同じSCARLETの緋色の鷹を肩に付けた男。今大会は実況を務めているらしい、袴にインバネスの人物だった】

「……―――ああ。観客は皆立って拍手を送っていた……確か、すたんでぃんぐおべー、おべー……まぁ、そういうことだ」

―――……そうか。 ―――よかったよ……

【良かったよと口では言うが、その表情が、声が本心を全て物語っていた。この負けがきっと、彼の勝利への渇望をより強くするのだろう】
【……つまり、マーシャル・T・ロウはもっと強くなる―――そう思わせる何かが、あの試合から見えた。ロウは涙ぐんだ情けない表情を、近くに置いてあったソフト帽で隠した】

/お疲れ様でした、そしてありがとうございました!!
/決勝戦にベストバウトが見られるように期待してます(プレッシャー)
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 18:26:59.22 ID:HQeev5e0o
【路地裏】
【そこは人々が様々な人間模様を見せる、この世の地獄であり、この世の一つの真理を見せる場所】
【平時から殺人と戦闘と裏取引で彩られているその場は、今日も相も変わらず同じ有り様】
【数分前からだったろうか。歓楽街から少し離れ、少々危ない店舗が増えてくる地域のその裏側で争う声が聞こえたのは】
【そして、数度の銃声が響いた後に、程なくしてその喧騒は止んでいく。そして、当然誰も気にはしない。これが日常である証左だ】

【ちかりちかりと煌めく電灯。不健康な蛍光灯の元に立つのは、一人の女のシルエット】

「――ほい。終わりだから、さっさと掃除しに来る。おーけー?」

【少し高い、あまり頭のよくなさそうな声が響き、その直後に女のシルエットは動く】
【動作に合わせてずりずりと何かを引きずる音が続き、その後にはゴミ箱を開く音と何かを放り込む音が有った】
【ばたん】【鉄蓋を閉じれば、その上に腰を下ろして口に咥える細長い形。シガーだ】
【薄汚れたジッポで火を灯し、紫煙を吐き出す女の元に月明かりが差し込んだ】

「あー……転職してーッス……」

【そんなダレた発言をする殺人者の姿は、案外普通そのもの】
【蛍光ピンクを差し色にしたマウンテンパーカーに、ホットパンツと黒タイツ】
【足元は中々丈夫そうなエンジニアブーツ。そんな動きやすそうな格好をした女の瞳の色は、エメラルドグリーン】
【髪型はアシメ気味のボブカットで、色彩はプラチナブロンド。少しばかり乱れた髪を、女は手櫛で適当に直し】

「だるー」

【血塗れの路地裏を見回しながら、もう一度紫煙を吐き出して空を見上げて】
【怠そうな表情と雰囲気を引っさげて、女はとぼとぼと路地裏を後にしていこうとするだろう】

/*申し訳ございませんが予約です。よろしくです!*/
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/27(日) 18:39:18.42 ID:9gRnq6Uso
>>822
【路地裏】
【そこは様々な抗争と思想、思惑が交差する殺伐とした場所】
【そんな路地裏に、ある一人の男が歩いている】

……やれやれ。近道がこんな路地裏とはな……

【身長190cmを超える大柄な体格。目深に被った帽子の鍔から除く瞳は鋭い眼光を放つ】
【黒いシャツの上に灰色のパーカー、ジーパンを着用しているという妙にスタイリッシュな格好で】
【しかし、そんな格好の割には周りのゴロツキ共は喧嘩を売らない。彼自身、なにやら近寄り難い威圧感のようなものを放っているのだ】
【さて……路地裏の十字路に差し掛かった時点で、彼は驚くべき光景を目にする】
【血濡れの路地裏……壁と地面は鮮血に彩られ、光を反射し美しくも儚く輝き、その残虐さを物語っている】
【その路地裏の奥。唯一の生存者である女性がまさに、路地裏を後にしようとしていた】

【ここで彼はこう考える。この惨事は誰が引き起こしたものか?】
【複数人の争いという考えもあるだろう。だがしかし。この場の唯一の生存者である女性……この女性がこの惨事を引き起こした確率が高い】
【自滅であれば、死体がないのはおかしい。ならばこの女が殺した確率は十分である。】
【彼女のせいであろうとそうでなかろうと、彼は彼女にこう声を掛けずにはいられなかった】

……おい。そこの女………
止まれ
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 18:49:16.86 ID:HQeev5e0o
>>823
【男は見ただろう。男が路地裏に姿を表した直前に、既に女は男の接近に感付き、振り向いていたのが】
【エメラルドグリーンの双眸は細められ、血みどろの路地への闖入者をまじまじと観察している】

「嫌ッスね――――」

(分かる、やばいやばい、無理無理無理、なにアレ? でけーんだけど?
ってかさっさと逃げりゃ良かった――! なんで一服した私!? しかもめっちゃ睨んでるし! 睨んでるし――!)

【一言言い残すと、女は即座に後ろを向き――迷うこと無く、全力でかけ出した】
【思考は完全に逃げ一色、敗色に染め上げられた思考回路は、敵前逃亡を選択した】
【女の速力は、極めて練度の高いもの。脚力などは人間の域を超えてはいないが、重心の安定が極めて優れている】
【最大効率で地面を蹴り、その反動を得ることで最高のパフォーマンスで走ることができる】
【人間という殻に覆われた限界を破れない凡人として、凡人にできる最高の実力を目指すようなその動きは、中々見られないものだろう】

「――――よっ」

【腰に手を伸ばし、斜め上に両手を振りぬき、銀色を走らせて】
【直後、女の進路の頭上から、室外機や配管類が落下していく。そして、それの隙間を縫いながら、女の逃亡は加速していく】
【もし女を追うのならば、その手の大量の妨害が相手を襲うことは想像に難くない】

【それでも追いすがり、女の尻を追いかけたのならば、路地の奥の奥。すこしばかり開けた場所へと出ることとなるだろう】
【浅く息を吸って吐き。当たりの無人ビルをちらちらと確認しながら、女は振り返るはずだ】
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/27(日) 19:01:49.78 ID:9gRnq6Uso
>>824
!おい、きさま……
【突然猛スピードで逃げられ、やはり彼女がクロだと認識する】
【彼の外見が怖いというのも勿論だが、やはりいきなり逃げ出されては彼女が犯人だと思わざるを得なかった】
【後を追って行くが、彼女の走りはかなり鍛え上げられたものらしく、沢山の障害物を残して走り去っていく】
【一方彼はというと、確かに屈強な肉体はしているが、職業柄あまり走ったりする機会は少ない】
【そのため、彼女の走りには負け、障害物もあってかかなりの距離を引き延ばされてしまう】
【いずれ走りを止めるが、それは決して諦めたわけではなく】

………やれやれ……こんな利用法は初めてだが仕方がねーな……
プラスチャージ
陽性電荷

【彼の手から、電気のようなものがスパークしている大気が複数個放たれる】
【それらは、彼女の残して行った障害物に次々と張り付いていき】

そしてもう一度……
プラスチャージレペリング
陽性電荷反発

【先程と同じ数のスパークする大気を発射。すると………】
【障害物にそれらが触れた瞬間、ものすごい勢いで障害物が行き止まりの壁へと吹っ飛んで行った】

フゥ……電荷を利用した反発は成功したようだな………
さて……後を追うとするか

【そして再び走り始め彼女の足跡を追い、路地裏の最奥の少々開けた場所へと出たのである】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 19:11:54.47 ID:HQeev5e0o
>>825
「――単刀直入に聞くッス。ここで私が土下座すりゃ見逃してくれないッスか?
脱げっつーなら脱ぐッスし、なんだってするんで、ホント殺すのと通報だけは勘弁なんスけど」

【己に結局ついてきた相手を視認して、本当に嫌そうな顔をしつつ、凄まじい勢いで卑屈な発言を垂れ流し始めた】
【どうやらこの女、自分が生き延びる為なら、自分の身体だろうがなんだろうが差し出すつもり満々の模様】
【そして、喋りながらもじりじりと後ろにさりげなく後ずさっていたり、冷や汗が止まっていないのも分かるだろう】

(――――到達までの時間的に、ガタイはでかいが案外足は速くない。
だけど、私の妨害を難なく超えてくる程度には何らかの実力を持ち合わせている。
んでもって――、どう見ても面倒なタイプ。嫌だー、面倒だー!)

【目を細めて、相手の体格や、ここまでの行動などから相手の情報を予測していく女】
【本気で色仕掛けだろうが毒殺だろうが爆殺だろうがなんだってしてやろうかと思考し、どれが最適か考える】
【どちらにしろ、己が犯人だとは殆どバレているだろうし、見逃してくれそうにもないのだから、どうしようもない】

「――――」

【周囲の地形は確認済み。直ぐ近くには廃ビルが4つ。それぞれの窓同士は面しており、屋上は接続している】
【電気は通っているようで、中からは人の気配が感じられる。ときおりぱちぱちという音がする事から焚き火でもしているのだろうか】
【右手をさり気なく腰元に持って行きつつ、卑屈な引きつった笑みを女は浮かべ続けていた】
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/27(日) 19:22:36.58 ID:9gRnq6Uso
>>826
………イカれてるのか?この状況で……

【そんな生き延びるためなら何でもするって感じの態度に思わず呆れた感じの目線を送る】

ひとつ聞いてもいいか?
あの惨劇を起こしたのはきさまか?
そうだとするならば何故殺した?
見逃すか見逃さないかは、その返答によって決める

【なおも冷静な目付きのまま質問する。怖い外見ではあるが、案外理知的らしい】
【だが、彼の右手ーーーー用意は周到のようだ。ちゃんと、先程障害物を突破してきたスパークしている大気をスタンバイさせている】
【何故殺したのか、その返答によって攻撃するか否かを決めようと判断したらしい】
【故意か過失か、はたまた誰かの命令か……】

(………ビルが四つ。明かりがついているところをみると人がいるようだな)
(迂闊に巨大な攻撃はできんな……)

【さて。男の質問に女はどう答えるのだろうか】
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/27(日) 19:23:17.08 ID:9gRnq6Uso
/飯落ちます
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 19:26:16.94 ID:HQeev5e0o
>>827


「――あ、あの……ッ。私はッスね――、その。えーっと。
弟ッ! そうッ、弟を人質に取られているんス! 親父の借金のカタに取られちまったもんで……。
それでもコツコツ酒場で働きながら金返してたんスけど……、その……あの……、もう金利で首まわんなくなっちまってッスね……」

【右手を構えて、此方に向かって警戒の様子を見せながらも、それでも事情を聞こうとする相手】
【それを見た瞬間】
【】
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 19:36:16.18 ID:HQeev5e0o
>>827
(――カモれる。うっし、ワンチャン金もカモれる! こいつ――良い奴≠セ!)

「――あ、あの……ッ。私はッスね――、その。えーっと。
弟ッ! そうッ、弟を人質に取られているんス! 親父の借金のカタに取られちまったもんで……。
それでもコツコツ酒場で働きながら金返してたんスけど……、その……あの……、もう金利で首まわんなくなっちまってッスね……」

【右手を構えて、此方に向かって警戒の様子を見せながらも、それでも事情を聞こうとする相手】
【それを見た瞬間、女の思考は凄まじい勢いで回転を始め、如何にして整合性の有る言葉を吐き出そうとするかにシフトした】
【眉根を寄せ、目元に涙を滲ませ、震える声で、弟が借金のカタに取られた話をする。当然ながら一から十まで全部ウソだ】
【しかしながら、その発言ぶりや、その態度などは迫真そのものであり、女の本性をしらなければ騙されても可笑しくない】

「奴らに身柄取られて……最初は、アレッス。娼館でウリとかヤラされてて、いろんな奴に股開きまくったッスよ。
半分は返せた筈なんスけどね。でも、その――なんスか。そこのマスターが殆ど9割くらい懐入れてたみたいなんス。
んで、半分は返せたはずが殆ど返せてなくて、んでもって今こうして鉄砲玉やらされて、なんとかやってる感じなんスよ。
――後生ッス……! ホント、私はどーしても良い……あ、命と通報以外だけど! どうしても良いんで!
弟と事情に免じて見逃して欲しいッス! この通り! 許してくれるなら本気でなんでもするッスから! 靴も舐めるッスよ!!」

【迫真の演技は佳境に迫っていく。もう、語っている本人が本気で泣き始めるくらいには真に迫った感動の大長編】
【路地裏においてはよくありふれており、本人の出身や育ちを考慮すると、それらを見てきても可笑しくない環境】
【だからこそ口から紡ぐことができる、まるで本当の話のような一から百までの嘘八百。その点トッポって凄い、最後までチョコたっぷりだ】
【最後の最後、ダメ押しとばかりに女は身体を倒していき――――頭を地面に擦り付けるほどの全力で、土下座をかましていた】

「な、なんでその――、本当見逃して下さい……!
私捕まったら弟殺されるんス! 弟助けたら必ず警察に行きますから、今だけ、今回だけで良いんで!」

【顔を煤や泥だらけにし、涙と鼻水でぐしゃぐしゃにした顔で、女は地面に四つん這いになったまま顔を上げる】
【自分が生き残るためだけに、ここまでやってみせるある意味のプロ精神】
【その女の全力の演技は――相手を騙し切ることが、できるだろうか?】

/*こいつを戦闘ロールに出したのが間違いだったので、戦闘しなくても良いです。ごめんなさい!*/
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/27(日) 19:49:14.55 ID:9gRnq6Uso
>>830
ほう……「弟」か……

【そして、彼女の言葉に耳を傾ける。密かに録音機のスイッチをオンにして……】
【そして、その感動の大長編とやらを聞く。それはあまりにも完成されていて、良くできた話だった】
【ありふれていて、筋も通っている。そのあまりの演技力に、分析力・思考回路がよく整っている彼でさえも騙されてしまい】

なるほど。事情はよーくわかった……
名乗っておこう、わたしはブロンテー・ブリッツ・ヴォルト。地質学者、考古学者をしている……
わたしには、わたしの研究を後押ししてくれている財団がいる……彼らの資金で、その弟とやらはどうにかなるはずだ。

【話はトントン拍子に進んでいく。彼ことヴォルト博士は、地質学・考古学の権威であり、その手の人間には割と有名なのである(最も、その分野の者以外にはまるっきり知られていないが)】
【彼女の渾身の演技が実を結んだのであろうか。彼女の思惑通り、資金を援助してくれるらしい】
【さて。これに対する彼女の返答は……】
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 19:51:48.33 ID:HQeev5e0o
>>831
(――ぐぐっ、こいつ……! 私のない借金を肩代わりしてくれる上に、多分支払ってそのまま警察まで送り届けるつもりだ……)
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 20:00:15.58 ID:HQeev5e0o
>>831
【男のその発言や態度から、人の顔色を伺うことに特化してきた女は、本気で信じていると確証を得る】
【しかしながら、随分と厄介なことになったと女は思考を巡らせ、そのままおもいっきり額を地面に擦りつけた】

「あ、ありがとうございます……!」

(――ぐぐっ、こいつ……! 私のない借金を肩代わりしてくれる上に、多分支払ってそのまま警察まで送り届けるつもりだ……。
いや、コジマ……! 逆に考えるんだ、ワンちゃん金を貰えてついでに更生でき――更生できねーし――!
金は欲しいけど警察はダメ……! 余罪ありすぎ……! いや、逆に考えるんだ……! 警察くらいならGIFTの下っ端の中じゃちょっと偉い私である以上、普通にヨユー!
金もらったついでに、パトカー載せてもらって目の届かない所行ってから、皆殺しにしてトンズラすりゃ良いんだ! さっすが天才か私!)

【深々と礼をして、服を汚しながら頭を下げ続け、表情が見えない事を良いことに冷や汗をだらだら流し顔を引き攣らせていた】
【どうにかしてなんとかしなければならないと心の底から考えて考えた結果――、金を貰ってついでに警察に捕まってしまおうと結論】
【警察官の大半が無能力者である以上、同じ無能力者でもGIFTの戦闘兵、一部隊の隊長の練度を持つコジマにとってはさしたる問題ではない】

「で、でも……。あの、それ研究の為の金ッスよね……!?
本当に良いんスか!? あの、割と膨らんで1000万位になっちまってるんスけど……!
あの、キツいんなら、本気で見逃してくれるだけで良いんで!!」

【役者コジマ。ここで、ぱっと飛びつくのではなく、遠慮してみせるという行動を選択】
【小市民のふり――否、実際にGIFTの労働環境は劣悪、ブラック無能力者のコジマは、全力でそんな大金を貰えないと示す】
【ここで金を払わず見逃すならそれでよし。金を払って警察を呼ぶならそれでもよし。――策士コジマ、鉄壁の布陣を此処に敷いた】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/27(日) 20:09:04.32 ID:9gRnq6Uso
>>833
1000万……まあ良い。
取り敢えず連絡をしてみるとしよう……

【彼女が心の中でそんな葛藤を繰り返しているとも知らず、電話連絡を始めるヴォルト博士】
【ブツブツと話し込めば、コンタクトは取れたらしい。電話を切って、彼女の方を向いた】

良いだろう。1000万……支払ってくれるようだ。
では、その「酒場」とやらに案内してもらおう。現金はそこで手渡す。
あとは好きにするといい……

【彼は警察を呼ぶでも、見逃すでもない。彼女の話を完全に信じ、あってない「現物」を選択した】
【相手を完全に信じ込ませてしまった上での誤算といえるだろうか……】

何処にある?乗り物がないところをみると、恐らくこのすぐ近くだろう……
案内してくれ。酒場の主人と掛け合って再度コンタクトを取る。財団のヘリが迎えに来てくれるはずだ……

【さあ。彼女はこれに対し、どのような反応をとるのであろうか】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 20:29:56.62 ID:HQeev5e0o
>>834
「わ、分かったッス……! あの……その……ッ、ありがとうございますッス!!
えっと……じゃあ、ちょっと酒場の方に金の都合ついたって連絡入れておくんでちょっと待って下さいッスよ!」

(――っくくく……! 甘い……ッ! 私の詰めの甘さも、それで何回やばくなったかもしらねーで信じこみやがってよぉ……!
これで……この手のミスは3回め……! 部下の連中も私のミスの尻拭いなんて慣れたもん……!)

【女は思考と覚悟を決め、相手が即座にかねを用意することくらいは既に予想していたため、驚きもしない】
【酒場に連絡するといって、女は服の中を探り一つの携帯を引き出す】
【薄汚れた携帯――、スラム街の女が持っているに相応しい程度の旧式。電話帳の中身もそれっぽくカモフラージュされたそれ】
【それを取り出し、番号を入力する女。慌てた様子で電話をかけ始める。電話のかけ先は――己の副官だった】

「あ。あのー……ッ、その。ヘマしちゃって=Aでも金の都合≠ツいたんス! 嘘じゃない≠チすよ!
1000万耳を揃えて支払ってくれるみたいなんで! ええ! あのはいッス! 見られたッスけど殺したくない≠ス!
なんとかしてハカセさんも見逃してやって≠ュれないっすか……!? え、はい、はい……! 
え……!? はい、はいッ! 3番の酒場≠綺麗≠ノしておく……、分かりましたッス! ボス<bスね!?
その、今日の仕事≠ヘちゃんとやったんで! はいッ、あと10分くらいで行くんで!」

【電話をかけながら、ぺこりぺこりと頭を下げ続けながら、大声で会話を続ける女。演技派である】
【最初のヘマをしちゃったで、副官はある程度事情を察しており、会話の中に混ざったセンテンスから指示を送っていく】
【全力で演技を済ませると、電話を切って携帯を閉じ――服の中に仕舞い込み。ごしごしと目元をこすって、鼻水も拭い去った】
【涙で赤くなった腫れぼったい目には、心の底からの感謝の感情が表向きには見て取れる。実際感謝していた、ワンちゃん1000万もらえれば酒飲み放題なのだから】

「じゃ、じゃあ行くッスよ――」

【ぺこりと頭を下げて、そろそろと歩き出し、男を酒場まで連れて行こうとするだろう】
【女のあるく先は、更なる路地裏の深みの部分。――そして、小さな薄汚れた酒場、静かなそこの戸を開く】
【――扉を開けば、そこに居たのは180cm後半の強面の大男。瞳のギラツキから、堅気でないことは良く分かるだろう】
【カウンターで酒をちびりと飲み――、じとりと二人をねめつける。この男は女の部下である。顔から仇名がボスと呼ばれている】

「お前が――金を、なあ?」(殺しちゃだめなんで?)
「えーっと。このハカセさんが払ってくれるそうで……」(ばっかおめー。足つくだろ。金だけ貰ってトンズラだボケ)

【二人は他愛無い話をしているふりをしつつ、アイコンタクトやちょっとしたジェスチャーで意思疎通をしていた】
【極秘の符丁の為分からない筈だ。さて、どこでボロがでるか、それとも騙しきれるか……!?】
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/10/27(日) 20:37:22.42 ID:9gRnq6Uso
>>835
/すいません、落ちなければならなくなったので凍結でお願いします
/明日の夕方五時からなら空いているので、避難所で一声掛けてくださればすぐ行きます
/乙でしたー!
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/10/27(日) 20:38:09.15 ID:HQeev5e0o
>>836
/*ウィウィ、了解でございます――! 当初の予定と全く違う方向性になってしまいまして申し訳ございません! 乙でしたー!*/
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/27(日) 21:09:02.04 ID:Pa+1JHgio
【郊外――――寂れた酒場】

【表向きは普通の酒場の体裁をとるその場所――――しかし裏では、複数の違法団体の会合に使われているらしい】
【あるルートからその情報がもたらされた、これは翌日の話。酒場の天井裏に、黒尽くめの衣装
を纏った人間が一人、潜んでいた】

(…………。)

【階下で行われる薬物売買のやり取りを手元の端末で記録し、必要量が集まったのを確認すると、人影は一切の気配を消したままその場を離れ】
【音もなく二階の角部屋へ降り立つと、窓の下に見張りを確認。予め用意しておいたロープを伝って、屋根の上に登る】
【ロープを回収すると、人影は冷たい夜風を体に受けながら助走をつけ、一気に隣の建物へと飛び移っていった】
【まるで猫のような、しなやか動き――――それを二度三度と繰り返し、酒場から十分遠ざかったところで、地面にふわりと着地】
【そこに置かれていたビニール袋からいくつかの服を取り出して着直すと、それはすっと立ち上がって】


…………ぷはぁ。

【どこか間の抜けた、緊張から解き放たれたような声は…………まだ幼い少女のものだった】

【濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型に】
【真っ白なベストの下に袖を七分で絞った和服を着て、残り三分の腕を包帯でぐるぐる巻きにした服装】
【手には鉄板で補強した革手袋をはめ、脚は膝上までのロングブーツ、僅かに覗く太腿は黒タイツに覆われて】
【暗い赤色をした長いマフラーに埋もれるように、口元もまた隠れている。顔の上半分以外、全く肌色の見あたらない格好だ】
【そんな服装に、背中に帯びた二本の刀剣が加われば、見る者に忍者≠ニいう言葉を連想させるだろうか】

おい、おわったぞ…………。
…………わかった、よてい通りごうりゅうする。

【無線機を取り出してどこかへ連絡する少女。その首元では、自警団のバッジが光っている】
【潜入操作だなんて、自警団のやり口にしては何とも異端で時代錯誤な方法だが…………今宵、少女はひとつの悪事≠フ証拠を掴んだのだった】
【少女は無線機をしまい、マフラーで口元を隠すと、つかつかと路地の出口へ歩き出していく】

【だが、任務終わりで少々気が抜けているのか――――その姿は、暗い路地からは少しばかり浮いて見えて】
【追っ手か、あるいは別の何かか。それらに補足されるようなことも、いまならあり得るかもしれない】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/27(日) 21:29:21.89 ID:ftiW++Ijo
>>838

【入り組んだ路地裏の通り道は迷路のようで、右に左に枝分かれする狭い隙間の見通しは悪く、特定の人間を補足する事は難しい】
【───無論、それは飽く迄同じ地面にいたら、の話である───例えば、分かりやすく空いた隙間はある地点から見れば見通しが非常にいい】

【上空】

【風を斬る音が、少女の上から近付いてくる、ある程度の質量と重さを持った、形ある物が】
【上を見れば一直線に落ちて来るそれが見えるだろう───人型だが、異形なシルエット】
【少女の目の前に落ちた、着地したそれは、片脚で地面を踏んだが、踏まれた地面が大きく凹み、アスファルトが脚との設置点より沈み込み砕けた】

【その人型は、まるで人間とは思えない、全身が白と黒の縦縞模様をしていた】
【頭に生えたモヒカン髪は、背中にまで一直線に生え揃い、馬の蹄鉄が手脚に嵌められている、シマウマと人の合いの子のような───】

…チィ…!外しちまった……!

【人型とは別に、物陰に潜んでいた人間が、忌々しげな悪態と共に、闇より這い出る】
【少女を挟む様に、人型との対面の物陰から出て来た男は、まだ人間らしい姿をしていた】

【白黒ストライプ模様のスーツ、高そうな黒い革靴、黒いバンドを巻いた白い中折ハット】
【シマウマ柄のネクタイを巻き、葉巻を咥えた、お話の中に出て来るマフィアそのものといった出で立ちで】
【若そうな顔付きだが、目深に被った帽子で目から上は見えず、白と黒が混じった髪をポニーテールに纏めた男だ】

…お嬢さん、オレぁ余りかわい子ちゃんに痛い目見せたくねぇんだよ
見た事聞いた事撮った事、全部差し出して忘れな、そーすりゃ見逃してやる

【少女を逃がさないつもりか、挟み込んだ男性側とは対象的に、人型の方は黙って道の真ん中に立ったまま動かない】
【恐らくこれは男のマインド能力───だろう。そして男は明らかに、『追手』だ】
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/27(日) 21:45:33.55 ID:HnW7jbXi0
【とある国――路地裏】

今日も今日とて商売相手を探すのに一苦労

【路地裏でそんな声が聞こえる】
【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【20代後半に見える】
【アタッシェケースを持ち歩いている】
【そんな真っ黒姿の男が一人歩いている】

やれやれ、ここのところバタバタしていますからねえ
カノッサが動き出したとかで
ま、私としてはありがたいんですけど
武器も売れますしねえ

【そう言いながら男は歩く】
【この路地裏に人が来たのならこの男が目に入るだろう】
【もしくは路地裏を見ていればこの男が路地裏を歩いていていくのが目に入るであろう】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/27(日) 22:08:44.01 ID:Pa+1JHgio
>>839

【そこにあったのは、油断だったのだろう。この程度の任務なら、何度かこなしたこともあり】
【何より、もう目の前に街の光があった。あと数十歩も歩けば、光の元へと出ていけた】
【だから…………いつの間にか迫っていた追っ手の姿に、闇から這い出んとする彼女の道は阻まれる】

…………む…………っ!?
しまうま…………?

【自身の眼前に落下してきた異形の姿を捉えると、少女は即座に真後ろに飛び、距離をとる】
【…………その直後、背後から声を感知。挟み撃ち――――自身が苦境に立たされたことを、直感して】
【背中に帯びた二本の刀剣を、少女は同時に引き抜くだろう。体を半身に、順手に持ったそれを両側の『敵』へ向けた構え】

【その立ち姿は――――奇妙なことに、左右で持っている刀剣の種類が違うのがわかるだろうか】
【右手に持つのは直刀、いわゆる忍者刀=B曲がりのない刀身は、刺突に適す】
【そして左手に持つのは、シャムシール≠ニ呼ばれる曲刀。歪曲した刀身は、斬撃に適す】
【どちらも少女の小さな体格を考慮してか、やや短めの拵えだ】

【左右で性質の違うその奇妙な二刀流を携え、少女は意識を異形の方へ残したまま、慎重に声の方へ視線を投げるだろう】


…………なめるな、悪とう=B
このていどで…………わたしはあきらめない。

【拙く、幼い言葉で紡がれるのは、明確な拒絶と敵対。矮躯の少女は、この窮地を脱すると豪語する】
【どういう経緯や方法で見つかったにせよ、潜入操作員としては気づかれた時点で負けなのだ】
【少女はいまこの瞬間、一度敗北した。だからこそ、絶対に次があってはならない。それがこの少女の、意地】
【淡黄色の瞳の中に、戦いの意志が宿る。こうなってはもう、話して止めることはできまい―――】

【…………ゆらりと構えた刃に、いまのところ動きはない。挟み込まれてしまった以上、迂闊に動かずそちらの出方を伺う気のようだ】


/気づくの遅れてすみません、よろしくお願いします!
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/27(日) 22:08:56.77 ID:/RhA5KL2o
【水の国に向かって伸びた、一本のあぜ道がある。】
【一昔前は往来が盛んで旅人や行商人がよくその道を利用した。ところが交通機関が発達した現在、】
【度重なるテロ行為も相まって、その道はほとんど使われていない。多かった人通りも、その9割以上が減少していた。】
【左右には田圃が広がっている。さらにその奥には夜の闇がうごめき、景色を覆い尽くしていた。】

【夜は深かった。】
【じっと見ていると、引き込まれそうな錯覚に陥ってしまう。そこにいる自分がすうっと吸い込まれてしまいそうな、奇妙な感覚だった。】
【満月の青白い光のみが、わずかにその名残を緩和している。】

「……いい月だ。」

【女は呟いた。甲高い女性特有の、その反面まだあどけなさを残した声が響く。】
【気の早い秋の虫が鳴く中、よく耳を澄ませば足音も聞こえた。】
【成人しているが、見ようによってはそれよりも若く見える。声の主は、月色の髪を後ろで縛った若い女性である。】
【袖を通さずに、藍色の羽織を着付けていた。時折風にその裾が揺れる。羽織の下は、黒を基調とした動きを阻害しない、緩やかな服装であった。唯一、帯だけが赤い。】

「が…あんまり月見ばかりしている余裕も無い。今日中に水の国についておきたいところだが…」

「ふむ、どっちだったかな…」

【女は来た道とこれから行く道を交互に見た。】
【看板が出ているわけでも、地図が置かれているわけでもない。少し前までは茶屋や案内も無い事は無かったが、今では全て撤去されている。】

【目立つ物が何も無いそこで、女の姿はいつもより際立っていた。】
【腰に差した刀と小太刀…大小がぶつかり、小さな金属音を奏でる――――――――――――――――――――。】
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/27(日) 22:28:05.64 ID:qS8YtSYl0
【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【――――寒空の下、月光の差し込む中庭。何処か幻想的にも映る其処には、車椅子が一つ】


「…………最近は寒くなってきたのです。雪が降らないにしても、風邪を引くだけの寒さはあるのです
………………雪、ですか」

【座るのは、一人の少女。汚れを知らない様な真っ白な髪に、特徴的な角が額から生えていて】
【入院服を纏っている所を見れば、この病院の患者である事が分かるであろう】
【普段は五月蠅いとの評判を持つ少女であるが、今宵ばかりは夜空を見上げるだけで喧しさは無く】
【――――その場面だけを切り取れば、其れなりの絵面ともなりそうだけれど】


「……考えて居ても仕方ないのです。そんな事よりも、喉が渇いたのです」

【――――詩人めいた言葉が出される訳でも無く。小さく頭を振ったならば思考を外へと追い出して、何の変哲も無い言葉】
【辺りを見回すが、自販機は院内にしか無くて…………小さな溜息を吐けば、背もたれにその小さな背中を預ける事だろう】
【月の光も明るい晩。白の少女が一人だけ居るとなれば、よく目立つであろうか】










【小鳥の囀りも、虫の鳴く音も消えた森の中】
【――――漂うのは、複数の妖気。どれもが弱々しいのだけれど、その中で一つだけ確かに存在する謂わば異質】


「あほう共が…………我も天狗では無い。力量差を考えろとは言わぬが…………少なくとも、己が退くべき時を定めておけ
全く…………矢鱈命を奪うのは好かないのじゃ。今宵は逃す故、再度同じ事はせぬ様にの」

【下級妖怪達を伏せたのは一人の少女。姿こそ人間の子供であるけれど、放つ気配は確かに妖怪特有の其れ】
【銀色の髪は月の光を鋭く反射させ、森だというのに纏った地味な着物には汚れが無い】
【――――抜かれた刃は業物と知るには十分な耀きを放っていて、それでいて鮮血は刀身に付着する事無く下げられた切っ先から滴っている】
【妖怪達の身体は斬られてはいるけれど、どれも致命傷には至らない。然れど、そのどれもが確実に筋を断つ寸前まで斬り付けていて】


「…………ふむ。行ったかや。あやつ等であれば明日明後日には傷も癒えていよう
しかし…………我が楽しみにしていたあっぷるぱいを食えなくするとは癪に障る輩達であったが……
………………まあ、良かろ。確かに実に不快ではあるが、殺す事では無い
そんな事よりも、代わりの飯を見つけねば―――――」

【ぐぅ――――間抜けな音が、その場に一つ。足元に落ち、土だらけとなったアップルパイを見る瞳は、何処か哀れにも思えるか】
【じっと見る表情は何処か悲しげであって、深い溜め息を吐いたならば近くの切り株へと腰を落とす】
【…………さて、この場に人が訪れたって何ら珍しくは無いであろう】
【妖気も漂い、更には“ぐぅ”の音。――――もし、誰かが訪れたならばふと視線をそちらへ向けるのだけれど】
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/27(日) 22:31:50.73 ID:ftiW++Ijo
>>841

【「はあ」と溜息を吐くと、葉巻の紫煙と灰が落ちた】
【ギラリと影から光る眼は、少女を睨みつけると、マインドが金属音を鳴らして動き出す】

───『ゼブラ・ヘッド』ッ!そのガキを叩き潰せッ!

【男のハッキリと響く指示により、動き出したマインドは少女へと駆け出した】
【蹄鉄の形をしたナックルダスターを嵌めた右腕を振りかぶり、叩き落すようなテレフォンパンチを少女へと繰り出す】
【動きの大きさで油断は出来ない、見た目以上にその力は強く、重い───マインドである以上何らかの能力が働いているのか】

あーあ!これだから取引や話し合いの出来ねーガキは嫌いなんだよ!
折角逃がしてやろうとしてんのによォ〜!!損得勘定が出来ねーってのは不幸だなぁオイ!!

【マインドに攻撃をさせていながら、男自身は攻撃に出ない、否、攻撃せず少女の動きを観察する】
【攻撃ばかりにかまけて逃がしてしまうのはあり得てはならない事、感情に任せて叫んでいるように見えて強かだ】
【…雰囲気の豹変ぶりの方が気になるが】
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/27(日) 22:52:43.40 ID:Pa+1JHgio
>>844

(これが、まいんど=c………きいたことが、あるぞ)

【拳を振り翳す異形の姿に、少女はかつて聞いたその能力種の話を思い出し】
【小柄な少女から見れば遙か頭上にも等しい位置から叩き落とされる、破壊。その迫力に、直感が警鐘を鳴らす】
【猛烈な力をたぎらせる右腕を前に、少女は足へと全力を叩き込んで、地面を蹴って】
【――――もし男のマインドに意志があるなら、それはすばしっこい小動物のようにも思えただろうか】
【刀を構えた両手を後ろに、上半身を限界まで落とした、地を這うが如き疾駆――――!】

――――――やぁっ!!

【マインドの武器が力なら、この少女の武器はこの速度=Bマインドから見て右側へと駆け抜け、すり抜けるようにしてパンチを回避すると】
【そのすれ違いざま、その左脇腹に左の曲刀を合わせるだろう。もし当たれば、人間で言うと浅めの切り傷程度のダメージとなるだろうか】
【マインドが受けた傷は、そのまま操る人間へと現れる。かつて見聞いた知識を確かめる意味も含めた一撃だ】
【攻撃の成否を問わず、少女はそのまま暫く駆け抜け、マインドから少し距離を取ったところで向き直るだろう】
【そのまま路地から飛び出すという手もあるが――――そこで市民に被害が及ばないとも限らない。まだ少女は、男達と戦うつもりのようだ】


…………わたしはしのび≠セ! こどもあつかいするなっ!

【次いで、放たれる言葉は…………なんとも子供らしい至極単純で幼稚な怒りだった】
【実力はともかく、確かに男の住んでいる闇≠フ世界の方法で交渉できる相手には見えない】
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/27(日) 22:54:56.31 ID:Pa+1JHgio
>>845
/おっとと、左脇腹じゃなくて右脇腹でした
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/27(日) 23:19:02.41 ID:ftiW++Ijo
>>845

【マインドの拳が空を斬り裂き、地面を打ち砕く。これが少女の身であったならと考えると───まるで笑えない】
【切り裂かれたマインドの左脇腹から血は出ない、しかし男はそれと同じ場所から血を流していた】

…『しのび』?……しのび、ああ、『忍』か

【男は、少女の言うそれを、聞いた事があった…ような、無かったような気がした】
【確か櫻の国のアサシンという事は聞いたような気がする】
【───この、子供が?】

だからどうしたってんだよォ?あぁん?
ガキなのには変わりねェだろうが!?こっちゃあ一度ムショ入ってる筋金入りなんだよ!!

【忍だから、どうした。というより全く答えになっていない答えに対して、男は憤慨した】
【こんな子供に邪魔をされ、おまけに攻撃を躱されたという事実もその要因の一つであろう】
【男のマインドが少女に振り向くと、マインドは地面を踏み抜き砕く、砕けたコンクリートが強い衝撃によって飛び散り、少女に向かって飛んで行く】
【飛ばしたコンクリートに紛れながらマインドが接近し、右肩を前にした強烈なタックルを放つ───が、しかし妙だ】
【見た目だけなら非常に強烈そうなタックルだが、威力はそこまで高くはない。最初のパンチよりも威力が低く感じられるだろう】
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/27(日) 23:46:27.16 ID:Pa+1JHgio
>>847

むぅう…………ガキガキいうなっ! このばか!!

【露骨に子供扱いされたことに、自分が追われているということも忘れて少女はさらなる怒りを募らせる】
【先程の唐突なしのび$骭セもそうだが、何というか…………噛み合っているようで噛み合っていない会話だ】
【年齢も、性別も、何より住む世界も違う。筋金入りのワルと背伸びしたいお年頃の子供では、確かに伝わるものも伝わるまい】

【ただ、皮肉なことに…………結果的に両者の取った行動は同じだった】
【男がそうであるように、少女もまた男の言葉に憤慨し、更なる攻撃を加えようと一歩前へ――――】

…………ちっ!!

【――――出たところで、マインドが踏み砕いたコンクリートが、少女へと飛来する】
【少女は両手に構えた刀で、自分の体に当たるコースのものだけを的確に打ち落としていく、が】
【そちらに構けるあまり、次いでやってくるタックルを回避する時間は残されておらず、小さな舌打ちが宙に放たれれば】
【直後――――衝突。体を斜めに反らし、刀を交差させて防御するも、殺しきれない勢いは少女の体を斜め後ろへと大きく弾き飛ばす】

(っ…………でも、おもったよりはっ!)

【派手に弾け飛ぶ少女の体だが、それはインパクトの瞬間に自分から後ろに飛び、少しでも威力を殺そうとしたことも一因だ】
【その最中、先程自分が避けたパンチと比べてタックルの威力が劣ることを、腕に伝わる衝撃から感じ取れば】
【まるで猫のような動作。少女が空中で体を一回転させて壁面に着地すると、その瞳が暗闇の中で淡く光るのがわかるだろうか】

くらえっ!

【その光が消える、刹那――――右手に持っていた直刀が、何の前触れもなく消失≠キる】
【果たしてそれはどんな手品か、その手の内に握られているのは、刀ではなく三枚の手裏剣に成り代わっていた】
【少女は重力に従って真下に落下しながら、器用に体を二回転させて勢いをつけ――――】
【一回転目で手裏剣二枚をマインドへ、二回転目で残りの一枚を男の方へ向けて投げつける!】

【マインドへ放った二枚は、顔面と右の太股。男へ放ったものは右肩。それぞれへめがけ、三枚の手裏剣は鋭く回転しながら飛翔する】
【またこの手裏剣、抜かりないことに真っ黒に塗られていて、暗闇の中では少々見づらいかもしれない】
【とは言っても不可視というわけではないし、風を切る音は消せない。よく少女の動きを観察していれば回避は可能だろう】

【なお、この動作を終えた後、少女は壁際の地面へ着地する。その瞬間が、隙となりうるか】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/28(月) 00:28:56.63 ID:dEoOmIuVo
>>848

チィ…!ちょこまかしやがって…!

(やはり『横方向』じゃあ威力が出ないか…なんとしても『縦』に一発入れなければ…)

【タックルの威力は余りにも低い、それは少女の手腕もあるのだが、このマインドの特徴でもあった】
【男としては、少女にそれを気付かれる前に仕留めたい、その為にはまず少女のスピードを殺す他なかった】

【一旦マインドの体制を立て直しながら、壁面に着地した少女の動きを観察する】
【すると、少女の右手から輝いていた金属光沢がすぅと消え失せた】

(なんだ?武器を捨てたのか…?───いやッ!あれはッ!?)

【暗闇の中、眼を凝らさなくては普通でも見えにくいそれを、男が視認出来たのは少女が投擲の構えを取ってから】

ッ!ゼブラ・ヘッド───ぐふッ!?

【素早くマインドに指示を出し、手裏剣を防御させようとする───しかし間に合わない】
【マインドに突き刺さるのはまだしも、本体に突き刺さるのは何としても避けたかった、防御方法を持たない男は、狙われると弱いのだ】

【手裏剣が突き刺さった左肩を抑えながら、男は少女を睨みつける、男が狙うとすれば、少女が着地したこの隙だ】
【手裏剣を振るい落としながらマインドが両手を組み合わせて振り上げる、頭より高く振り上げた両の拳を、地面に叩きつけた】
【砕かれたコンクリートは、異様なまでに急角度に、上に吹き飛んでいく、高く高く上がったコンクリートの破片は、重力に従い落ちる】
【───だが、その勢いは余りにも強い。重力加速が加わったにしても強過ぎる】

俺のマインド『ゼブラ・ヘッド』の能力は『縦への力を強くする』ッ!
例えそれが吹き飛ばしたコンクリートだろうとマインドが触れた物なら落ちる力は強くなるッ!
尖ったコンクリートで串刺しになりなッ!

【少女へと降り注ぐコンクリートの雨は、尖った先端を下に向けて物凄い勢いで降り注ぐ、その勢いは非常に強く小さな破片でも馬鹿にならない威力を持っているだろう】
【わざわざ説明したマインドの能力の通り、落ちる力がマインドによって強くなっているのだ、ただコンクリートが降っているのとは話が違う】
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/28(月) 01:12:08.52 ID:JqTl6wJPo
>>849

やったっ…………!

【投げ放った手裏剣が見事当たったことに、少女は子供っぽい歓声を上げる】
【その瞬間が――――ただでさえ着地直後で動きの鈍ったその瞬間が、隙でなくて何であるというのか】
【…………爆発音にも似た衝撃と、地面を伝わる強い振動が、油断した少女の意識を強制的に引き戻した】

なっ、なに…………!
たて≠フちから…………そんなおかしなのうりょく≠ェ!?

【先程見せた手品じみた行いはさて置いても、攻撃手段としては刀剣や投擲といった真っ当なものしか持っていない少女だ】
【まして、マインドを見るのも今日が初めて。『縦』の力を増幅する――――そんな奇怪な能力があるだなんて、思いもしなかった】
【高く高く舞い上がるコンクリート片が、尖った面を下にして空中でぴたりと止まる】
【その後に訪れる大破壊…………少女の幼い頭でも、本能的にその危険性を察知できるほどの驚異】
【男の一喝と同時、破壊の雨が――――降り注ぐ】

ちぃっ…………!

【普通の少女なら、怖じ気づいて一歩も動けなかっただろうが】
【曲がりなりにもしのび≠自称するだけあって、少女の体は安全圏を求めて動き出す】
【上空のコンクリート片のうち、一際大きなものを目視して落下位置を予測すると、疾走――――】
【大型の破片の落ちる場所に近寄らないようにしつつ、上を見上げて中型の破片を回避していく】
【その背中…………よく見れば、先程消失した直刀が鞘に収まっている。ここまで納刀動作らしきものは一切無かったが】
【と、少女の瞳に先程と同じ淡い光が灯る。それと同時、その鞘の中にあった直刀がまたも消失≠オ】

く、うぅ…………あっ!!

【がぎん、という鈍い音。避けきれなかった中型の破片を、少女が両手≠フ剣で無理矢理弾き飛ばした音だ】
【そう、両手――――その右手の中に、今さっき背中の鞘から消え失せた直刀が出現している】
【納刀動作も抜刀動作も一切ない、瞬間移動じみたそれ。テレポート≠ニいう、数ある能力の中でも特にポピュラーなそれを連想させるだろうか】
【そうして少女は、細かい動きを駆使した回避と両の刀での防御を繰り返して――――】

【――――やがて、傷だらけの少女が一人、そこには立っている】
【大型の破片は回避したし、中型の破片もどうにか凌いだ。だが小型の破片だけは、殆どノータッチのまま】
【致命的な一打は避けたが、額からは一筋の血が流れ、肩や背中にも血が滲んでいる。貰ったダメージは少なくない】


…………こ、のぉぉおおおっ!!

【それでも――――まだ闘志は、失われていなかった】
【コンクリートの雨が止む、その一瞬前。少女は降ってくる最後のコンクリート群に紛れるように、マインドへと突進し】
【接近に成功すれば、両手に持った刀を同時に突き入れるだろう】
【狙いは腹、右の直刀と左の曲刀が、その腹部へと猛進していって――――いや、否!】

【少女の双眸が、ここで再び月光色の光を発する。次の瞬間、両手の刀が両方とも消失≠キるだろう】
【――――手袋の手の甲部分、鉄板で補強されたその場所に、トンネル状に穴が空いた突起が四つ並んでいる】
【その内部へと、四枚の鉄がそれぞれ出現≠キる。その動作が両手分同時に行われれば、現れるのは――――】

はぁあああっ――――――!!!

【――――両の刀がマインドの腹部へ迫ったその瞬間、一秒にも満たない速度で、少女の武器が刀から鉤爪≠ヨと切り替わる!】
【それに合わせ、少女は跳躍――――攻撃の種類もまた、刺突から引っかくような斬撃へと変更され】
【下から上へ勢いよく、マインドの胴体を両手の爪が引き裂いていくような攻撃となるだろう】
【今度は全身のバネを乗せ、肉薄した状態で放った攻撃だ。直撃した場合、深手となるのは間違いない】

【また、この攻撃が終わった直後、少女はマインドを足蹴にして真後ろに飛び、距離を取ろうとするだろう】
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/28(月) 01:46:35.93 ID:dEoOmIuVo
>>850
【仕留め損なった───男はその事が気になっていた】
【荒れだけの量の、ランダムに降り注ぐ破壊と雨を以ってして仕留めるに至らず、対応されたとなっては───相手への対応を改める他に無い】
【子供だからと言って馬鹿には出来ないと、今ようやく男は少女の強さを改めて見た】

(まただ…刀を抜かずして構える、あいつも何らかの能力持ち───)
(武器を瞬時に切り替えられるのは厄介だ…やはり動きを封じるしかない)

【冷静になって少女を分析するのは、油断のならない敵と認めた証だ、少女の能力と思しき動作の対策を考える】
【武器をテレポートさせると見たが、だとしたら射程範囲はどこまでか?自分の真上に刀をテレポートさせたりしないのは、それが出来ないからか?】
【もしかすると、両手内にしかテレポートさせられないのか───男は考えた、ならば気を付けるべきは両手だけだ、と】

【コンクリートを抜けて突進してくる少女の両手には刀、構えからして突きだろうか】
【男は、一つ作戦を思いつきすぐに実行に移した、マインド能力でしか出来ない作戦だ】
【男も同じく、前へと駆け出す───その場で動かないマインドを、少女と挟み撃ちでもするかのように、声を上げずに駆けた】

【少女の攻撃の狙いが刺突だろうと斬撃だろうと関係無く、マインドへのダメージを無効にしながら攻撃する方法がある】
【マインドが動作中ならまだしも、何もしていない状況ならばそれも容易。マインド特有の『本体が別にいる』という性質を利用した作戦】
【それは───】

ゼブラ・ヘッド!『戻って来い』!!

【少女が刀を鉤爪に切り替えた瞬間、マインドの姿が掻き消える───男が能力を解除したのだ】
【同時に、マインドの影から迫っていた男は体制を低くし、駆け寄る少女にスライディングキックを放つ】
【少女の攻撃対象の消失とアドバンテージを得る為のカウンター…両方を同時に行った】
【この攻撃により転倒してしまうのは非常に不味い展開である、縦に力を増す男の能力ならば、その力を発揮出来る一番の攻撃方法は───】
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/28(月) 02:12:42.78 ID:JqTl6wJPo
>>851

【刀が鉤爪へ、瞬時に入れ替わる。普通の人間相手なら、それは間違いなく驚異だったろう】
【全身に仕込んだ暗器≠テレポートで瞬時に取り寄せ、攻撃の瞬間にリーチを切り替える事で反応できない不意の一撃を叩き込む】
【――――抜刀・納刀動作の一切を省略した、高速の暗器術=Bそれが、この少女の本領】

(かわされ…………たっ!?)

【…………ただ少女にとって誤算だったのは、その有効性が保証されるのはあくまで人間相手の場合ということ】
【マインドを今日初めて見る、というのは、少女にとっては予想以上に不利な条件であったらしい】
【攻撃を当てようとした瞬間、相手の方が消失≠キる。そんなことは予期出来ず、鉤爪の一撃は今更止められない】
【結果――――振り上げた渾身の一撃は虚しく空を切り、ほぼ同時に足下へ痛みと衝撃が走る】
【男の蹴りが直撃し、少女の体は走り込んだ勢いもあってぐらりと前傾に倒れていって――――】

…………まだ、だっ!

【――――不意を打つつもりが、不意を打たれるなんて。それこそ、しのび≠フ名折れだ】
【そんなつまらない意地が、少女の瞳に月光色を輝かせる。両手を地面へ向けて構えれば】
【先程消失した…………否、鞘へと転送≠オたばかりの刀を、手元へと再び取り寄せる】
【逆手の状態で掌に戻った刀は杖代わりに地面へ突き刺さり、間一髪、少女の転倒を防ぐだろう】
【更に少女は、刀を持った手を支柱にして体を浮かす。この瞬間、また瞳が光り輝いて】

ふっ…………!

【振り上げた足に転送されるのは、農耕用の鎌から柄を取り払って刃だけにし、根本に小さな取っ手を付けたような暗器≠セ】
【しかも今度の出現先は、手ではなく右足の裏――――『体のごく近く』であれば、両手以外の場所にも転送は可能なのだ】
【恐らくブーツの底部分に、手袋のものと同じような接続用の突起が付いているのだろう。そこに、取っ手の部分が接続されて】
【そちらから見れば、少女の右の靴底から一瞬にして大振りな鎌の刃が生えたように見えるだろうか】

【少女はその鋭い鎌を生やした右足を、男に向けて蹴り抜くだろう。狙いは男の左太股――――】
【それは打撃ではなく、もはや刺突だ。直撃した場合、刀剣で刺されたのと同程度のダメージを負うだろうか】
【しかしその代償に、現在の少女は刀を支柱に体を浮かせた不安定な体勢だ。ここを凌げば、逆にチャンスにも持ち込めるか】
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/28(月) 02:43:53.30 ID:dEoOmIuVo
>>852

(獲った───!!)

【少女への攻撃が成功した瞬間、男は勝ちを確信した。転倒させられればこちらの物だ】
【あとは立ち上がられる前に攻撃を───】

【否、次の瞬間男は我が眼を疑った。転倒せずに空中で静止する少女、ギラリと輝く湾曲した刃】
【まさか、腕の力だけで体を支えて反撃体制を───不味い、早く立ち上がらなくては】

…くそ……ォォォオオオッ!!

【狙いは太腿、ここに刃を突きたてられてしまえば、動作もままならなくなってしまう】
【無様にスーツを汚しながら転がって、何とか刃を躱すが、それは突き立つのを何とか回避したに過ぎず】
【皮膚を裂いた刃傷から血を流しながらも、男は叫んだ】

ゼブラ・ヘッドッ!!

【再び現れた男のマインド、しかし現れた場所は男のそばではなく、少女の側に、少女のすぐ真上にマインドが出現し、落下してくる】
【射程範囲内ならある程度あらゆる場所に発現出来るのがマインドだ、そのままマインドは、純粋な『縦』のベクトルを持ちながら少女へと落下し───】

. サイッコォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
<PHYCOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!>

【両脚を素早く交互に踏み荒らす、踏み付けの連打を繰り出した。縦への力を強化した踏み付けの連打は強烈極まりない】
【だが、範囲自体は広くなく、また地面に転がったままの本体は隙だらけだ】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/28(月) 03:26:18.99 ID:JqTl6wJPo
>>853

(…………よしっ!)

【右足の一閃――――回避されながらも、ダメージは与えられたことを確認し】
【今度は、先程のように油断したりはしない。心の中だけで一度賞賛の声を上げると、その瞳を光らせて】
【刀と右足の鎌を元ある場所へと転送≠オ直すと同時に着地、一気に勝負を決めるべく、新たな暗器≠呼び寄せる】
【次の瞬間その手に握られているのは、三メートル程の長さの鎖に細長い分銅を取り付けた、分銅鎖≠ニ呼ばれるものだ】
【それをびゅんびゅんと振り回し、男の体を拘束してやろうと迫った、のだが――――】

ま…………ずいっ!!

【男が、マインドの名を叫ぶ。それによって窮地を感じ取った少女は、取り出した鎖を回避に回す】
【分銅の最後部に、これまでと同様の接続用の突起が取り付けられている。少女の瞳は、そこを睨んでもう一度光り】
【そこへ、先程使った鎌≠ェ横向きの状態で接続されれば…………出来上がるのは、忍者の武器としても有名な鎖鎌≠セ】

【少女はそれを、斜め上へ向けて放擲。狙いは二メートルほど上、路地の壁に走るパイプ類のひとつ】
【そこに鎌が突き刺されば、鎖がぴんと張る。少女はそれを確認すると、全身全霊の力を込めて跳躍。鎖の上の方へと飛びついて】
【結果、少女の矮躯は慣性に従い、ターザンのような状態で地面スレスレの位置を移動していき――――】
【真上から迫るマインドの足から、紙一重のタイミングで抜け出ることに成功する】

ぐ…………ぁああっ!?

【しかし、咆吼を上げるマインドの連続踏みつけで、先程まき散らされたコンクリート片がまた巻き上がって】
【それが背中を次々と叩き、受けた傷跡に激痛を走らせる。少女の顔も、耐え難い苦悶に歪む】
【だが――――確かに、危機は脱した。少女は安全圏に達すると鎖を手放して手裏剣を転送=A男へと投げつけようとして】

【…………その大味な回避方法が、悪い方向に働いたのだろう】
【ぽろり、と――――破れた服の背中の部分から、証拠≠納めた端末が、無慈悲にも滑り落ちていった】


あ――――ああぁああぁっ!!?

【そうしてマインドの雄叫びの中へ、ばきゃんという小さな音が混じる。安否など、確かめるまでもないだろう】
【一部のデータは、録画時にリアルタイムで本部へ送られている。しかし残りの半分以上は、まだあの中にあったのに――――】

…………う、うぅぅぅ…………。

【地面に降り立った少女は、もはや手裏剣を投げる気力もなく。その目にいっぱいの涙を貯めて、恨みがましく唸る】
【リスクを背負って情報を集め、相応の痛手を負いながらそれを守ってきたのに、結局証拠≠フ大半は失われ――――任務、失敗である】
【少女の感情的な部分が、目の前の相手に復讐をと怒鳴る。しかし理性的な部分は、これ以上ここに残って戦う理由がないと告げる】
【しばらく、うんうんと唸った後――――少女が採ったのは、後者の意見だった】

おまえっ…………おまえっ!
――――おぼえてろよっ!!!

【少女の涙が、瞳から発せられる淡い光を受けて輝く。それと同時、少女の右手に棒状の何かが一本現れて】
【それは通信の使えない場所で仲間に居所を伝えるための、色付きの発煙筒。自警団の支給品だ】
【その上いま手に持っているそれは、少女の手でいわゆる煙玉≠ニして改造され、通常の数倍近い煙を吹き上げるシロモノ】
【歯でキャップを開けて着火面を擦り合わせると、少女は八つ当たり気味にそれを地面へ叩きつけるだろう】
【直後、真っ黄色をした大量の煙が路地を埋め尽くしていって――――】

【「おぼえてろよぉーーーー!!」という捨て台詞がその中に一度、響き渡れば】
【やがて煙が晴れた頃、そこに少女の姿はない。ただ、地面に少女の任務失敗の証が残されるのみ――――】
【目撃者を消す、という意味では失敗だが…………証拠≠フ破壊という意味では、男の目的は達成されたと言えるか】

【そうして今宵、この街の闇に二度の敗北を期した小さな忍者は――――大泣きしながら、夜の街を駆けていくのだった】

/そろそろ眠気も限界なのでこれにて…………!
/遅くまでお付き合いありがとうございましたー!
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/10/28(月) 04:07:31.11 ID:dEoOmIuVo
>>854

クソッタレ!こいつもかッ!!

【完全に不意を突いた筈のラッシュ攻撃を躱された───これ以上のチャンスは恐らく無いと考えていいだろう、相手も警戒する筈だ】
【コンクリートを削岩機のように激しく砕きながら地面を踏み抜くマインドは止まらない、例え何かを踏み砕いたとしても】
【男はそれに気が付かなかった、実質的な作戦遂行に気付かなかったのだ】

チィ…!この、待ちやがれッ!

【少女が焚いた発煙筒の煙に噎せながら、少女が逃げ出していくのを気取り、必死に叫ぶも意味は無い】
【煙が晴れた後、少女がいないのを確認すると、苛立った様子で地面を踏んだ】
【マインドを消すと、携帯を取り出して電話を掛ける───失態の報告は癪だが、後で大事になるよりいい】

…はい、俺です、逃げられやした……はい
…了解、一旦戻りやす

【自らの勝利に気付かない男は、不機嫌な報告を終えると、紫煙を吐いて歩き出す】
【向かう先は、闇の中───】

/お疲れ様でした
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 18:35:39.21 ID:mIELqHuv0
【夜の国―――古びた坑道=z

【そこは以前に鉱物資源の採集が盛んだった頃に大きな鉱山があった場所―――だが今では人の姿はない】
【資源が取りつくされたのか、はたまた違う理由か………なんにせよ今ではうち捨てられた廃墟でしかない場所だ】
【鉄骨がアーチのように組まれている坑道のあちこちには捨てられた工具や金属の破片などのガラクタが散らばっている】
【よほど大きな重機も使っていたのか開けた空洞状の広場も存在し、わずかに岩の隙間から見える月から月光が差し込んでいる】
【そんな坑道の一角、筒状の大きな瓦礫の上に立っている人物が一人、いた。】

フフ―――どうやら彼等≠燗ョき出したようですねぇ………
まぁ私としましてはこちらの邪魔さえしなければ何をしようと勝手にしてもらって結構なのですが………。

まさか………オリジナル≠所有しているのでしょうか―――クク、これはまた一つ面白い事が起きそうですね。
それはそうとして………、私の方はさっさと仕上げをしなければなりませんねぇ………。

【月夜に哂う、その人物は―――。】
【シャギーのかかった肩ほどまで伸びている金色の髪、眼は切れ長の糸目で縁のハーフフレームの眼鏡でそれを覆っているが】
【その奥には細長い瞳孔を持つ金色の蛇の瞳≠ェ潜んでいる、服装は細いダークグレーのスーツをきており高級そうな革靴を履いている】
【生気を感じない右腕にはまるで何かの回路のような赤黒い光の線が幾つも走っており時折それが脈動している】
【背は180m程でスラリと高く顔には柔和な笑みが浮かんでいるがどこか歪な雰囲気≠纏っている青年】

【手元に小型の端末を持って、何かの情報に眼を通しながら―――口元を三日月のように歪めて笑っている。】
【同時に、この坑道内部には、この青年とは別の何か歪な気配≠ェ充満しており、一種の異界のような気配を放っている。】
【この雰囲気につられて現れるのは………。】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/28(月) 18:45:40.24 ID:GvtTLuUDo
【水の国に向かって伸びた、一本のあぜ道がある。】
【一昔前は往来が盛んで旅人や行商人がよくその道を利用した。ところが交通機関が発達した現在、】
【度重なるテロ行為も相まって、その道はほとんど使われていない。多かった人通りも、その9割以上が減少していた。】
【左右には田圃が広がっている。さらにその奥には夜の闇がうごめき、景色を覆い尽くしていた。】

【夜は深かった。】
【じっと見ていると、引き込まれそうな錯覚に陥ってしまう。そこにいる自分がすうっと吸い込まれてしまいそうな、奇妙な感覚だった。】
【満月の青白い光のみが、わずかにその名残を緩和している。】

「……いい月だ。」

【女は呟いた。甲高い女性特有の、その反面まだあどけなさを残した声が響く。】
【気の早い秋の虫が鳴く中、よく耳を澄ませば足音も聞こえた。】
【成人しているが、見ようによってはそれよりも若く見える。声の主は、月色の髪を後ろで縛った若い女性である。】
【袖を通さずに、藍色の羽織を着付けていた。時折風にその裾が揺れる。羽織の下は、黒を基調とした動きを阻害しない、緩やかな服装であった。唯一、帯だけが赤い。】

「が…あんまり月見ばかりしている余裕も無い。今日中に水の国についておきたいところだが…」

「ふむ、どっちだったかな…」

【女は来た道とこれから行く道を交互に見た。】
【看板が出ているわけでも、地図が置かれているわけでもない。少し前までは茶屋や案内も無い事は無かったが、今では全て撤去されている。】

【目立つ物が何も無いそこで、女の姿はいつもより際立っていた。】
【腰に差した刀と小太刀…大小がぶつかり、小さな金属音を奏でる――――――――――――――――――――。】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/28(月) 19:37:02.60 ID:PTb4kk1ho
>>856
/まだいらっしゃいますでしょうかー?
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 19:52:17.85 ID:mIELqHuv0
//>>858
遅ればせながらいます
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/28(月) 19:57:04.67 ID:iFwk8nQno
>>856

【坑道に満ちるその気配、つられて現れた者達もまた、ある種“歪”であった―――】

「……こんな所で、何してるの?」
何だか変な所だけど、何してるの?

【子供特有の未だ高い、幼い声。しかしそこに、感情はなく】
【ただ平坦に、無機質なその声の主は坑道入口側、外の明るさを背に立っていた】

もしかしてお兄さん―――機関の人?
何となく、だけど……そんな感じ、したから……

【フリルやレースをあしらった、所謂“ゴスロリ”のドレスに、編み上げブーツ】
【そのどちらもが真っ白。けれど、真っ直ぐに長く伸ばした髪は黒曜のように黒く】
【右耳には逆五芒星を刻んだ小さなイヤリングをぶら下げ、鮮血のような紅い瞳を彼に向ける“白”の影】

「違ってたら、ごめんね。あんまり会った事ある人、いないから」

【“白”のものとよく似通ったドレスにブーツだが、こちらはともに真っ黒で】
【同じくロングのストレートヘアは、こちらは透き通るように真っ白い】
【イヤリングもまた、同じ物を左耳に着け、青天のように透き通った水色の瞳で坑道内を見回して】
【黒いフリルをあしらった濃いピンクのフリルパラソルを手にした、“黒”の影】

【その色彩こそ正反対のものではあるが、その顔貌は瓜二つ、まるで双子】
【そんな小さな二つの、子供の影が、そこにあった】
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/28(月) 19:58:04.53 ID:iFwk8nQno
/ID変わりましたが>>860>>858ですー
/よろしくお願いします!
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/28(月) 20:10:37.71 ID:hyasiRK5o
>>857
/まだおりますか?
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/28(月) 20:10:43.76 ID:/SKTM2tUo
>>857
/まだおりますか?
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/28(月) 20:11:35.76 ID:/SKTM2tUo
>>863>>862
/ID変わりましたが同一です
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 20:15:38.22 ID:mIELqHuv0
>>860

―――フフ、ちょっとした下ごしらえですよ………こうして各地に亀裂≠発生させ
それを次第に大きくしていく………それが狙いという訳です、まぁあまりお気になさらず

【現れた二人組に対して驚いた様子はなく、金色に輝く蛇のような視線だけを二人へと流しながら口を開く。】
【亀裂=c……とはこの空間の歪みの事を差しているのだろうか………特にこの青年の周囲はそれが濃く感じるだろう。】
【そして問いかけに対して、にっこりと笑みを作りながら丁寧にお辞儀して答える。】

如何にも―――。
私、カノッサ機関が六罪王が一柱………レギン≠ニ申します、以後お見知りおきを………。

どうやら、貴方がたも同じく機関の人間のようですが………もしかしてこの歪みを感知してきたのですか?
成程、これは中々に良い広がりをしているようだ―――フフ。

【問いかけに対し丁重に答える………やはり機関の一員、そしてその中の幹部、六罪王=c……。】
【少女達も夜の国≠ナ大規模な計画を進め、自警団などと幾度なく争いこの地に戦乱を巻き起こしている男の事は耳にした事があるかもしれない】
【それがこの男―――魔縁の蛇王≠フ異名を持つ、レギン≠セ。】
【となればこの場の歪んだ雰囲気もその計画の為のナニカであることが考えられるだろう――――。】
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/10/28(月) 20:20:13.75 ID:GvtTLuUDo
>>862>>863
//いますが、最初のみ少し遅れそうです…申し訳ございません…
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 20:25:28.29 ID:Dzq99BTK0
【路地裏】

 ふむ、血生臭くなってしまったな
『………』

【この路地裏に二人組みの男がいる】
【一人は金髪を少々伸ばし】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そして隣には和風甲冑をきており、顔に面頬をつけている男がいる】
【そしてその周囲にはおびえている女子と複数の男と女が血を流して倒れている、おそらく死んでいるであろう】

 ふうむ、無事かねお嬢さん、いやこれを無事とはいえんか
『………』
 相変わらず無口だな花嵐

【そうとなりの男――花嵐に話しかける】
【だが花嵐は無言で刀を鞘を戻す】

 さて、君はどうするこのまま走り去ってもいいのだよ

【そう白衣の男は怯えきっている女性に言った】

【血生臭い匂いを放つ路地裏】
【もしここに人が来るのならばこの二人の男にどのような反応を見せるのか
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/28(月) 20:30:37.98 ID:/SKTM2tUo
>>866


【闇で包まれた景色の中に、ぽう、と朧気な光が生まれる。】
【小さく見えたその光は、徐々に範囲を広げて、伴って照らし出される外貌を明らかにする。】

【――紙でできた灯籠を体の前で吊るしながら、その灯りを頼りに前方へと進む男。】
【黒い髪、白いワイシャツ、その裾をこれまた黒いチノパンに入れている。】
【腰には新聞紙に包まれた長い棒と、口には煙燻る煙管。】
【彼の背後から、空になった台車のがらがらという音が煩わしく聞こえて。】

【――女性の進行方向から対向して進んでくる。】


イベントがあると売れ行きもぱないな。ありがてえありがてえ。


【"くっく"と喉を鳴らすように笑いを声をあげる。】
【最近大規模なイベントがあった地域はひとつしかなく、彼がどこから来たのかは特定しやすい。】

/OKっす!よろしくたのむっす!
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/28(月) 20:50:03.95 ID:OuG72tO7o
         【第3回水の国天下一武道会―――決勝戦=z


【既に割れんばかりの歓声が、水の国随一のキャパシティを誇るスタジアムを埋め尽くしていた】
【彼らが、或いは彼女らが求めるのは戦い。『正々堂々の果たし合いで誰が最も強いのか』――】
【ただその一点を決めるための、ただ一度限りの、今まで最も過酷で激しくなるだろう一試合】

【人々は、それを求めていた。手には酒、つまみ、軽食に紙切れ――トトカルチョでもしているのか】
【ただ、そんなことは当の選手にはどうでもいい。長尾銀狼に限って言えば、寧ろ迷惑の域を越え】

……ううむ、困った。よもやここまで騒々しいとはのう
思えば生まれてこの方、これほどの人数を前にしたことも無し、だからのう

【緊張するちや。=\―そんなセリフをほうっ、と溜息と共に吐き出すその姿は、獣人】
【胸元までの髪と、合間から覗く狼の耳。薄手の格好に、ハーレムパンツの腰辺りからは長いながい2mの尻尾】
【全てが銀色であり、所持品は手足に付けた鉄の輪だけ。名前と姿がぴたりと一致する人物だ】

【今はそこに加えて、流石に冷え込みの激しくなってきた夜に備えてか羽衣を纏い】
【言葉とは裏腹にどこか楽しげな笑みを浮かべる口元を見れば、肉を引き裂く牙が覗く】

(……、……さて。相手は確か退魔師だか、まあその類だったかや)
(ちゆりに似たタイプ……いや、確か男。だとすれば、頑強さも悩みどころか)

何より儂は妖怪だしのう、封印なぞされたら堪ったものではない
本来はそう思うなら対策でも立てるべきなのじゃろうが、生憎とそういうタチでも無し。
やるだけやって……後は場の流れに如何に合わせられるか、だの――

―――――――さあて、そろそろお出ましか。玉藻狂死郎≠ニやらは……?

【場内に特定の声援――例えば一部の試合や、準決勝におけるマーシャル・T・ロウのようなソレは無い】
【それもそうだろう。なにせ銀狼は妖怪であり、つまりのところ観客の99%とは種族が違い】
【さらに言えば名が売れているわけでも無く、近隣に住んで活動をしているわけでもない】
【何故大会に参加し、何を望むのかも明確ではない。これで応援しろ、感情を燃やせという方が難しいものだ】

【――そういう点では、完全にアウェー。もっとも、それが影響しないのがこの大会の良い所】
【腕っ節が立てば良い。ソレならば石畳から転げ落ちず、目の前の相手に集中すればそれで良い】

【パシッ!≠ニ銀狼が拳を掌に叩きつける。身を震わせるような、精神を研ぎ澄ますかのような一音】
【背後でくねりと動く特徴的な尻尾は余裕が生まれたように動きを滑らかにし、空気が徐々に静まって】
【それで準備は完了だ。今までの試合通りに能力を発動し、尻尾が四尾に増えた】

【一本、銀色は本物の尻尾。現れた三本は黄金、これは繰気術≠フ為のストックであるとされ】
【両手の親指、人差し指、中指の爪を尖らせて拳のように構えれば、それは彼女流の格闘の型である】
【とん、トン、とんっ――軽くステップを踏むように身体を浮かせれば、もう何もやることは無かった】

【待つのは対戦相手の入場と、開戦のゴング。雑事は頭に入れないよう、瞳は真っ直ぐに入場口を捉えていた―――。】

/というわけで長尾銀狼です。玉藻くんの方、よろしくお願いしますっ!
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/28(月) 20:51:38.30 ID:S3Ve0cqDo
>>865

へー……下拵え、かあ…………
「亀裂を、大きく……難しい事はあんまりわからないけど、何かあるんだね」

【彼の言葉を反芻するようにしながら、二人は坑道の中、彼の居る方へ】
【ゆっくりと距離が詰まっていけば、声だけでなく表情までも、感情の無いものであるのが見えるか】

【そしてこちらもぎこちないながらお辞儀を返せば、聞こえてくるのは彼の役職】
【―――少し、驚きのようなものが二人に見えるかもしれない】

『六罪王……』

機関の偉い人……だったよね
「“おじさん”が言ってた……ナンバーズよりも上の人がいる、って……」

僕はクシーで、こっちはプシー
「宜しく、レギンさん」

【多少は、二人も彼の事を、六罪王の事を知っていたようで】
【だが、相手があの六罪王であると知ってもなお、その態度も、話し方も変わりはせず】

「うん、お遣いが終わって帰ろうとしてたんだけど」
此処から何だか、変な感じがしたから見に来たんだ。

―――最近この辺で色々やってるらしいけど、これも関係あるのかな?

【やはりこの“歪な気配”が気になっているらしく、ここに来たのもそれが原因で】
【そして、それが一体何に繋がるのか、それを問い掛ける言葉を投げ掛ける】
【小さく首を傾げるその様だけは、見た目に相応な子供らしいもので】
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/28(月) 21:02:25.46 ID:IZW64svzo
【酒場】

【通りに面した人気の酒場、いつだって賑わって五月蝿くってかなわないが】
【その方がかえって人に話を聞かれなくて済むし、テロリストが居ても気づかれないだろうし】
【そういうがちゃがちゃしている方が落ち着くっていうのもある。店主からBGMまでウエスタンな内装は何かと好きだし】
【何時だってダーツ、ポーカー、ルーレットとギャンブルの相手が何時でも居るってのは悪くない】
【今はどっかで武道大会かなんかがやっているらしいから、それの賭け事でいつもより賑やかな気がする】
【自警団が喧嘩を止めに来て、ついでに飲んで、喧嘩して別のやつに止められるっていうのも見れるのはここだけだろう】

【今日はその盛り上がりは最高潮。なぜならこれから武道会の決勝戦】
【バカでかいスクリーンにテレビ中継を映し、スピーカーは響く】
【負けないぐらいの男たちの声が熱気とアルコールで飽和した室内を埋め尽くした】

【そんなとっ散らかった店内のあるテーブル席にこの男は居た】
【黒いスーツ、真っ赤なシャツ、黒いネクタイそれに加えて黒いサングラスとブーツ】
【テーブルに空き瓶空き缶を幾つも並べ、灰皿には吸い殻が山となっている】

【それと一番に目につくのがテーブルの上の真っ赤なエレキギター。『6120』と刻印がある】
【男はニッパー片手にハンドルみたいなやつをグルグル回している。弦を張り替えているらしい】
【尤も、興味のない人間には何をやっているかなんてわからないだろう】

【混んでいる店内だが彼のテーブル席は彼しか居ない】

【サングラスの男は張り替えたばかりのギターを膝の上に乗せて、弦を弾く】
【うるさい店内では聴こえにくいのか耳を近づけて、狂った調律を合わせる】
【固い金属の弦の振動は揺らめいた空気のざわめきにかき消されて誰にも届かない】

【そして男は飽きたように、ギターをテーブルの隅に立てかけると】
【ぬるくなった缶ビールの残りを飲みほして、新しい煙草に火をつけ】
【沸き立つ客とともに煙草を燻らせながらぼんやりとその試合を見ていた】
         
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/28(月) 21:05:31.83 ID:GvtTLuUDo
>>868

「お……」

【自分の来た道に目を向け、そちらに歩き出そうとした時であった。】
【何気無く振り返ると、遠くの方でぼんやりと光る明かり。徐々に近づいてきている…だろうか。】
【明らかに月のそれではない。女は歩き去ろうとしていた足を止めた。】

【よく見ると、いや、よく聞くと、光だけではない。】
【足音と違う車輪の音も、女の鼓膜を揺らした。】

「おおい、ちょっと聞きたいことが……」

【男の姿が見えると、女は手を振って大声を出した。どうせ周りには自分しかいないのだ。近所をはばかることもない。】
【そして彼がその存在に気づくと、近づいて行く彼女の姿が見えるだろう。月の光に髪が青白く照らされ、提灯の光に鎖骨が橙に輝いている。】
【女は近づきながら、何気無く相手を観察した。黒髪にシャツ、服装はまあ特に気にも止めることはない。】
【煙管もさる事ながら、腰の棒状の物体。そしてなにより……】

「…キミ、もしかして行商人かい?」

【台車、正確にはそこに「あった」であろうなにか。】
【女は質問しかけていた言葉を切って、相手の引く台車の棚に目を向けていた。】

//お待たせしましたー!よろしくお願いします!
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 21:08:59.42 ID:mIELqHuv0
>>870

まぁ、どこでも良いという訳ではないんですよ
ある程度の力場として効果を果たしてくれる場所でないと意味がないのです―――。
つまりここは、何らかのパワースポットであることには変わりありません………恐らくルナトリウム辺りでしょうが

【坑道の壁を適当に指さしながらジェスチャーを交えて説明する。】
【確かに良く壁に眼をこらせば夜の国の鉱物資源であるルナトリウムがわずかに岩壁から顔を出しているのが分かる。】
【この歪んだ気配もこの精神に悪影響を及ぼすとされているルナトリウムが原因の所も少なからずあるのだろう。】

クシーさんにプシーさんですね、どうぞよろしくお願い致します。
………見たところナンバーズではないようですが………貴方がたが一般構成員の方でしょうか?

それと―――おじさん≠ニは?

【レギンは二人へと再び蛇のような視線を送ると、その身体に番号のついた装飾品等がない事からそう推測する。】
【ナンバーズの多くは自身の持つNO.を表す装飾品などを身に付ける者が多い、そういった理由からだろう。】
【そして二人の会話の中に出てきたおじさん≠ニいう人物に興味が湧いたのか、その人物について問いかける。】

お遣いですか………それは機関内の作戦行動でしょうか?
基本的に我ら六罪王といえどナンバーズや構成員の行動は縛ることが出来ませんし、把握も出来ない。
ですが一応この国への侵攻の指揮に携わる身………よろしければお教えください。

何………目的は至って単純、この国を混沌¢ォらしめるための準備ですよ………これもその一端です。

【柔和な笑みを浮かべながら、本来ならば自分より階級の低い相手に対して低い物腰で、丁寧な口調で返答する。】
【混沌=c……つまりはカノッサ機関の最終目的、具体的には不明だがこの坑道の異変もその為のものであるのだろう】
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/28(月) 21:13:44.51 ID:2lf97ZYmo
>>869
【銀狼とは反対の入場口――――彼女より遅れて入場するその影の正体は、黒ずくめの姿の青年】
【特徴的な黒のカンカン帽とインバネス・コートの下から袴を覗かせるという奇抜なスタイル】
【“怪しさ”が服を着て歩いているかのような醸し出す独特の雰囲気はまさしく彼のアイデンティティ】

退魔士家業の休暇がてら参加して、運良く残った決勝戦の相手がまさか妖怪だなんてね……
こういうの何て言うのかな?“人生万事塞翁が馬”?――――違うか。
とにかく、決勝戦が“櫻でやれバトル”になるだなんてさ、やらせ疑われてもしょうがないかもしれないな。

【少しばかり皮肉を込めた呟きをしながら、狂死郎は胸を張りつつ決戦の舞台へと足を踏み入れる】
【いつも浮かべていた、人をいらつかせるような笑顔は最早封印され、今彼が張り付けているのは真剣な面】

――――とはいえ、ここまで来た以上簡単に負ける訳にはいかない。これまでの相手に失礼と言うものだ。
この玉藻狂死郎、文字通り死力を尽くして君と戦うことを約束しよう。

【いつに無く真剣な面持ちで決勝戦へと望む狂死郎は既に、勝つ為の秘策を持ち込んでいる】
【だが、それを実行するためには彼が言うとおり、本当に死力を尽くす必要があるのだ】

長期戦は身体能力に差のある此方に不利となるからね……ロケット・スタートを切る!!

【相手の能力は既にこれまでの戦いで割れている――――その高い身体能力と、妖気による強化だ】
【特に妖気による強化は時間が経てば経つほど強くなり、狂死郎を不利にしていくことになるだろう】
【かと言って、ただ単純に強力な術を乱発するだけでは彼女を捕らえることなど到底不可能】
【――――ならば致し方ない、と狂死郎は諸刃の剣である“禁じ手”の使用を決断した】

【まずはコートの中から1枚の札を両手に取ると、それぞれを地面に押し付けることで魔方陣を出現させる】
【魔方陣から召喚されたのは――――誰のモノとも知れぬ透明の頭蓋骨】
【狂死郎はおぞましい“邪気”を放出し続ける頭蓋骨を手に取ると、真言を述べ始める】

オン・シラバッタ・ニリ・ウン・ソワカ――――『呪層界・魔印怨霊』ッ!!

【真言を唱え終わった瞬間、透明の頭蓋骨はまるで溶けるかのように消え去って】

ウオォォォォォォォォ〜〜〜ラァッ!!

【突如、狂死郎の体が大きくえびぞったかと思うと――――その周囲に無数の“邪気”が溢れ出る】
【苦悶の表情を浮かべる狂死郎に“邪気”は纏わり付き、次から次へと取り込まれていく】
【その度に彼の魔翌力は増大を繰り返し、遂には魔族にも匹敵するほどの力を蓄えたかと思うと】
【咆哮と共に、吸収し切れなかった“邪気”が周囲へと拡散する!!】
【――――この“邪気”は妖怪たる銀狼には影響を与えないが、観客はまた別】
【すでに瘴気にあてられ、崩れ落ちる観客の姿が幾人も見受けられるだろう】
【この余波で狂死郎のトレードマークたるカンカン帽も吹き飛び、ふわりと舞い落ちる】

/続きます
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/28(月) 21:14:26.75 ID:2lf97ZYmo
>>869

この力……3回の攻防で持つか否か。その内に大勢を決める!!
『呪相・金剛力』ッ!!

【その身に膨大な量の“邪気”を纏った狂死郎――――当然だが、これが長く続くはずも無い】
【彼の言うとおり3回の攻防が終わるほどの時間が経てば、即座に“邪気”は失われ】
【強大な力の“反動”によって狂死郎は著しいダメージをその身に負うことになるだろう】
【このダメージが効果時間内に銀狼へと与えたダメージと等価になるかどうかはまだわからない】
【それでも――――払った代償に見合うだけの“力”は手に入れたと言ってもいいのだろうか】
【狂死郎が胸に仕込んだ札に触れると、彼の体はさらに紅いオーラに包まれる】

喰らえェェェッ!!

【そして、狂死郎は体勢を低くして力を蓄えてから――――目にもとまらぬ速さで銀狼へと向かい突撃する!!】
【人間の限界を遥かに超えるであろう速度での突撃はしかし、未だ“人間”たる狂死郎の肉体に大きな負担をかけることになる】
【だからこそ、狂死郎は銀狼を一撃で仕留めるつもりで破壊力の大きな技を多用する算段か】
【最初に繰り出されるのは、二重の強化魔術によって得た脅威の身体能力から放たれる、低い姿勢からのタックル!!】
【だがタックルはあくまで次の技への“繋ぎ”に過ぎない技、狂死郎は流れるように次の技へと移ろうとする】
【命中したのであればそのまま掴み掛かり、回避されたのであれば背面へと回り込もうとするだろう】

【武器を使わずに近接格闘術で応戦する狂死郎だが、それを選んだ理由は推測することが出来る】
【まず、“消費する魔翌力を出来る限り減らすため”――――そして、“両手が自由に使えるため”】
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/10/28(月) 21:26:46.87 ID:/SKTM2tUo
>>872


むむ。


【前方からこちらに向けてアプローチしてくる女性。】
【掲げた灯籠を小さく揺らしながら立ち止まった。】
【口に加えた煙管をつまめば、うっとりとした表情で旨そうに、ぷかぷかと煙を吐く。】
【――女性の気分を悪くしてしまうかもしれない。】


聞きたいこと?
――ああ、しがない灯籠売りだよ。しかしそんなことを聞くためにわざわざ呼び止めたのか?


【恐らくは、最初の言葉と後の質問を混同したらしく、】
【そんなことを尋ねてくるなんて何が目的かと思案を巡らしながら、】
【彼は律儀に答えると共にその疑問をなげかけた。】


【――この一帯全域に降りかかる月光よりもいくらか明るい朧気な世界。】
【田園から聞こえる虫の音と、女性の刀から鳴る音を交えて、女性の世界を侵略し。】
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/28(月) 21:29:42.98 ID:JfvizSuao
>>869 >>874

スウェン:さぁやって来ました遂に決勝戦ッッ!! 数々の名試合、激戦を勝ち上がってきた2名がフィールドに現れましたッッ!!
スウェン:試合開始時には罵声を浴びながらも準々決勝では最後に大きな拍手を貰いました、札を使った戦術は変幻自在、玉藻狂死郎ッッ!!
スウェン:拳で戦うという男らしい戦術ですが女性、というか人に非ずッッ!!圧倒的な運動能力でトリッキーにフィールドを駆け巡る、長尾銀狼ォォッッ!!
スウェン:実況は私スウェンと、今回も解説は……

瑛月:……中邑瑛月です。銀狼選手のスピードについていけるような実況を心がけますのでよろしくお願いします
スウェン:さぁこの2名……狂死郎選手は中邑さんの同僚であるロウ選手を破りましたが、どのような印象を抱いていますでしょうか?
瑛月:ひょうひょうとしながらも、勝利を誰よりも強く渇望している……という所でしょうか。符術による攻撃はバリエーション豊富ですし、防御手段もある
瑛月:戦術もかなり考えられていたと思いますし、決勝に来るに相応しい選手だと思います。目立った弱点は余り無いように思えるのも長所ですね……

スウェン:成程、やはり決勝戦に来たことは偶然ではないと言うことでしょうッッ! そしてもう一人の決勝進出者、銀狼選手については……?
瑛月:……シンプルです。―――疾い。この言葉で充分でしょう。しかも疾いと単調になりやすいのですが、動きが読みにくい……
瑛月:速すぎて対応できない相手だと、予想を立てて戦うしか無いのですが……それも通じない。かなりの猛者だと言う事は解るでしょう。
瑛月:特にシルバーキャット選手との一戦。……シルバーキャット選手は毎回出ているので結構印象深い選手なのですが、彼女も疾い
瑛月:今大会スピードナンバーワンは、銀狼選手と銀猫選手、そして銀猫選手と前に戦った八攫選手に個人的に注目していた花城選手……この4人かなと。
瑛月:それでも全ての試合を見たわけではありませんので、断定は出来ませんが……―――と、ゴングが鳴らされましたが……!?

スウェン:……ッッ!? 狂死郎選手が最初に仕掛けるかァァッ!? 怪しい雰囲気が彼を包んだのはいきなり全力フルパワーだと言う事なのかぁぁっ!?
瑛月:―――その判断は決して間違ってはいないでしょう……! 長期戦であれば狂死郎選手が不利です、つまり短期決戦ならば勝ち目は十分にある……
瑛月:それにしても、凄い力だ……此処にまで濃厚な魔翌力がピリピリと伝わってくる……!! だが、それを保つのも難しい筈です……!!
スウェン:―――というのは、序盤を凌げば銀狼選手の勝ちということでしょうか!?
瑛月:……勝ちまでは断言出来ませんが、恐らく狂死郎選手本人は序盤で決めなければという心情でしょうね……―――ッッ、疾い……!!
瑛月:銀狼選手の速度に並ぶ―――下手すれば、超えているまで……!!
スウェン:……つまりいきなりの山場という訳なのかぁぁぁッッ!? 相手は覚悟しているぞ銀狼選手ッッ!! この決死の突撃にどう行動するのか!!

/拙い実況ですが……
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 21:36:03.89 ID:Dzq99BTK0
/>>867はまだ募集中
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/28(月) 21:41:13.67 ID:OuG72tO7o
>>874-875

【狂死郎の術による妖気――否、邪気が周囲の空気をアッという間に掌握していく】
【銀狼からすればなんてことはない。だが、肌に触れた邪気で膂力は知れた】
【その頭脳で弾き出した感想はとんでもない化物≠ナある。そうそう出会える力≠ナはなく】

……妖怪と退魔師、という触れ込みなのであれば凄まじい詐欺ちや
儂も妖怪として長いわけではないがのう、玉藻。今のお主、まるで大妖の如くじゃぞ?

(もっともあの様子、人の身で長々と使い続けられる術ではないはず……)
(三回≠ニ言うたか。回数を告げるということは、それ程自信があるということであり――)
(かつ、儂に取っての好機でもある…。……先ずは回避に専念せねばなるまいて)

【つぅ、と銀狼の頬を汗が伝う。確かに妖怪である銀狼の身体能力は、狂死郎のそれよりも上だろう】
【だが銀狼はスタミナがあっても耐久力はない。場所によってはパンチ一つが命取りなのだ】

【それを思えば、正面から突っ込む彼のタックルは絶対に避けねばならず――】
【そして銀狼には、幸いにしてそれが可能だった。それも恐ろしく、容易い手段があった】
【行ったのは跳躍。両膝を曲げ、下肢の筋力とバネを活かして前方へと跳んだだけ】

―――悪いが見えておるぞ、玉藻っ!確かにお主の覚悟を肌で感じ見て悟った、だが!
儂とて此処に至るまで呑気に構えておったわけでも無ければ、能力に頼りきった覚えも無いッ!

……大体、今のお主の一撃を貰うわけにはいかんのでな
お主にはお主の戦法があるように、この儂にもそれなりのやり方が在る……!
先ずは三回=c…最初のそれはコレでオシャカ、だのう!

【――だがその距離と高さは流石に獣の妖怪だ。高さ3m、距離にして5m――それを、一跳び】
【流石に言葉を発する余裕もあった。狂死郎がタックルで突っ込むのと、上空ですれ違う形だ】

【そして気付けるか――銀狼の尻尾が、気のストックが二本¥チえていることに】
【恐らく、一本はこうして回避するために肉体のスペックを引き上げる目的で使ったに違いない】
【証拠となるかは分からないが、銀狼の周囲が陽炎のように煌めいているのがそれらしい】

【では、もう一本は――?身体能力の向上と、それからもう一つはなにか――結果としては、それは分からず】

【銀狼は着地するや狂死郎に向かって振り返り、再度試合当初で見せた構えを取る】
【ただ今回は少し違った。細かな差だが、左手の小指、その爪が羽衣に引っかかっていた】
【偶然か、それとも――。位置が入れ替わったこの状況、狂死郎がどう見るかで如何様にも変化する】
【それほどに銀狼は動かない、守りの姿勢。最も時間稼ぎというよりは、臆病なほどの警戒の体勢だったが。】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/28(月) 21:49:21.07 ID:YiKDU0kXo
>>873

ルナトリウム……ほんとだ、ここ、ルナトリウムが埋まってるんだ……
「精神に影響を与える……らしいけど、私達にはあんまり効かないんだろうね……」

【ぐるりと壁を見回して、“白”は今気付いたという様に】
【“黒”は―――先ほど内部を見回していたからか、そういった様子は見られない】
【だが、何気なく呟いた『自分達には効き目が薄い』という言葉――それは何を意味するのであろうか】

「うん、私達はナンバーは持ってないの」
でも、“おじさん”はナンバーズだよ、No.31……だったかな?

「“おじさん”はね、私達を“作った”の」
正確に言うなら―――“今の”僕達を作った、ってところかな

【彼の推測通り、二人はナンバーズではない。しかし、二人の言う“おじさん”】
【その人はナンバーズであると、そう伝える。しかし、続ける言葉はまた、含みを持ったもの】
【どうも二人は、意味深長な言い回しをする事が多いようで】

作戦……ではないかな、“おじさん”の実験のお手伝いだよ
「欠けてない死体が必要なの。それを取りに来たんだけど、抵抗するもんだから思わず吹き飛ばしちゃったの」

そんなに大袈裟な事はしてないからあんまり影響は無いと思うけど……
「この辺りではしない方がいい?そうだったら今度から場所、変えるね」


―――“混沌”、かぁ……
「“おじさん”もそんな事、言ってた。“混沌”で世界を包むんだー、って」

【“死体を手に入れるお遣い”――お遣いと言うには余りにも物騒なその内容】
【しかしそれを平然と言っている辺り、日頃からそんなことをしているのであろう事が窺えて】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 22:00:25.33 ID:mIELqHuv0
>>880

ほう、先ほどから思っていましたが貴方がたは随分と特殊≠ネようですね………。
一体どのような異能や体質を持っているのですか?よろしければ教えて頂けないでしょうか?

どうやらNO.31%aによって創りだされたらいいですが………ホムンクルス≠ゥ何かでしょうか?

【ルナトリウムが効かない、そして創りだされた≠ニいう言葉に興味を示したのか、質問を重ねる】
【このレギンという男は研究者としても機関においてある程度の立場を持っており、一つの部門を預かっている】
【その研究者としての興味を引いたという事だろう―――。】

ほう、実験ですか………いやいや結構ですよ、むしろ好都合です、存分にやってください。
もしこの国で何か実験や作戦をする場合は私に言って下されば可能な限りの援助もするとお伝えください。

そう、全てが混ざり合った混沌≠アそ狂乱の境地、最高の宴の場となるのです………貴方がたもそれに一役かって頂ければ幸いです
どうぞ………これからもよろしくお願いいたします―――。

【苦笑しながらレギンはそう答える………レギンにとってはこの国で騒動を起こすのはむしろ好都合であるようで】
【それに伴い様々な協力までするというのだ―――。】
【そして、混沌≠ニいう言葉に黄金の瞳をさらに邪悪に光らせながら………もう一度、丁寧にお辞儀をする―――。】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/28(月) 22:15:21.77 ID:dRRDF8oW0
【水の国、首都フルーソ/市街地】

【観光都市として名高い美の都。道行く人々は街角の武道会掲示に目を留め、華やいだ風がフィナーレの足音をさらって】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。 】

【さまざまに熱を渦巻かす街中をゆくのは、そんな形容の出来る人影だった。熱狂する宴の雰囲気に酔いきる事はなく、けれど大人びて楽しげに視線を巡らせば】


【映るのは、この穏やかな非日常を楽しむ“日常”たちの行き交う光景。    】
【母親に手を引かれる小さな子供。其々の目的地へと或いは急ぎ、或いはゆるりと足を向ける人々。胸に徽章を煌めかす警邏の面々も、日々の営みに溶け込む様で】

(……自警団員が、ここから見えるだけで4人も居るのか。これならあれくらいの子にも安心ね……ん? 、っ――――)


【ふと向けて無垢に躍る橡色の先――――橙と翠に彩られたお伽噺のカボチャが、白いオバケの飾りとともにチョコレート色の屋根を飾って。 】
【不意に仮面を失って零れる幼さが、ふわふわとしたマスコットに心惹かれる様に脚を止めて―――、】
【けれどその場所はめくるめく人の流れ。急に滞らす少女は誰かとぶつかる事も/其れ以外の“事故”だってあるのだろう】
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/28(月) 22:15:52.09 ID:2lf97ZYmo
>>879

回避されたかッ!?

【狂死郎が全速力を込めて放ったタックルは確かに、銀狼の跳躍によって難なく回避されてしまった】
【しかし、それはある意味予想通り――――回避されたパターンに合わせた追撃法は既に用意してある】
【狂死郎は一時的に強化された反射神経で銀狼の跳躍の兆候を見ると、即座にブレーキを掛けて振り返り】
【“右肘”に仕込まれた封魔符に軽く左手で触れると、その瞬間狂死郎の右腕が激しい雷電を帯びる!!】

だが、このツー・プラトンで決めさせてもらう!!

【“ツー・プラトン”――――即ち、二人組みでかける技。だが、フィールドの上には狂死郎と銀狼以外誰も居ないはず】
【――――いや、居た。銀狼が跳躍を行った方向、すなわちカンカン帽が脱げ落ちた場所に、“もう一人の狂死郎”の姿がある!!】
【第一回戦でも見せた“二重に歩く人”の術、そのカードを驚くべき速さで切ったということになる】
【狂死郎の“短期決戦”にかける思いの強さが表れたとも取れるが、逆に“長期戦”へと移ればさらに不利になることも自明の理】
【ただ、付け加えるとすれば“もう一人の狂死郎”もまた、その右腕に激しい雷電を帯びていることを見ることが出来るだろう】

玉藻流・悪滅参拾参式『双雷墜』――――またの名を、『陰陽クロス・ボンバー』ッ!!

【二人の狂死郎は、着地際の銀狼へと向かってお互いに突進する】
【その速度は先程と同じ――――いや、更に速い。まるで磁石と磁石が引き寄せられるかのように、二人の狂死郎は銀狼目掛けて急加速していく!!】
【この正体はまさしく磁力。激しい雷電によって電磁力が生まれ、それによって二人の狂死郎の腕同士が強烈に引き合っている】
【そして、銀狼を挟み込んだ狂死郎達は雷電を帯びた右腕を以って、両サイドからラリアットを仕掛ける!!】
【狙いは銀狼の胸部だが、本来は首を挟み込んで切断する“ギロチン”の如き破壊力を持つ最大級の大技】
【今、狂死郎が扱える技の中で最大の威力を持つこの技によって、勝負を決める算段だった】
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/28(月) 22:27:11.67 ID:JfvizSuao
>>879 >>883

スウェン:銀狼選手、跳躍で回避……―――って、なんだあの高さはぁぁぁぁッッ!? 跳んでいるのではなく、飛んでいるかの様だその姿ッ!
瑛月:……あり得ない身体能力です。間違いなく自分には……いや、人にあの芸当は出来ないと思うのですが……
瑛月:……む。―――ああ、流石に「尻尾の力」を使った様ですね。……あの力が彼女の疾い動きをサポートし、神速に変幻自在を加えている……!!
スウェン:そうなんですッッ!! 彼女もやはり能力を使うッッ!! そして其れがあの尻尾なのです!! 使った証拠として尻尾が1本消えて……
瑛月:―――いや、2本ですね……!? 何の力を使ったのでしょうか、まだ自分には見えません……!!

スウェン:狂死郎選手は放ったタックルが躱されたが直ぐに振り返るッッ!!
瑛月:……相当な筋力強化をしてますね。通常あれだけの速さのタックルを出しておいてブレーキを踏んで咄嗟に振り返るなんて出来ません
瑛月:―――しかもあの動きは、単純な筋力によって成っている。走法や筋肉、重心の使い方等を最大限活用すればスムーズに振り返ることは可能ですが―――
瑛月:そのような動きの場合、幾ら身体能力を強化したとしてもあの速度を実現することは不可能でして―――……え、何が一体……!?

スウェン:え、瑛月さんどうされました!? これ生放送ですよ……!?
瑛月:―――1対2になってるんですよ。……眼を擦っても、1対2……。
スウェン:……ほ、本当ですッッ!! 何故か狂死郎選手が二人いるぅうううううッッ!! 双子……そんな筈はありませんッッ!! あれも「狂死郎マジック」の1つなのでしょうか!?
瑛月:そして帯電―――!! ロウ戦の時に使用した強烈な一撃でしょう……! ロウ選手はあの一撃でかなりの体力を持って行かれていましたが……!!

スウェン:銀狼選手の着地を狙って2人の狂死郎選手が襲い掛かる―――ッッ!!
瑛月:跳躍というのはこういうリスクがあるんです……空中では何も出来ないという。なので其処を狙うのは常套手段ですが……!!
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/28(月) 22:39:53.31 ID:om0teOdH0
>>871


【酒場】


【"世界で一番強いヤツは誰か"―――。】

【此の全く単純な問いに、全世界が一体と成る瞬間―――其れが今日。即ち、此れから始まる試合だった。】
【スタジアムから溢れ出す歓声は、随分と色の違う通り迄をも埋め尽くして行く。―――風がヤケに暖かいのは、何故だろうか。】

【其処の一角。ふと、古びた蝶番の木製のドアが開かれる。伴って、酒場の淀んだ空気と、外の其れなりに新鮮な空気が一つになって混じり合う。】
【ギギーッと金属の擦れ合う音は、長く続いた。やがて中へと足を踏み入れたのは、一人の影。酒場に来るにしては、随分と、小さな物だった。】

【少し短めの艶やかな黒髪に、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【無地のグレー色のフードが付いたパーカー。襟元から流れる白い紐は、少年が歩く度にブラブラと揺れ動く。】
【下に履いているのは、裾が少し広がった焦げ茶色のバギーパンツ。注視すれば、其れが迷彩柄である事に気づけるだろうか。】
【白を基調として、所々に青色と赤色のストライプが入った、スニーカー。シンプルながらも、中々お洒落な靴である。】
【耳には少しフレームの太い黒縁のメガネをかけ、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われて。】
【パーカーの袖から覗く腕に、シッカリと筋肉が付いている事を除外すれば、至って当り障りのない、普通の身形、普通の少年である筈だ。】
【顔と、166cm程の身長から算出するに、彼の年齢は16歳程―――少なくとも、"未成年"である事は確実だった。】

【ウェスタン調で統一された店内をキョロキョロと見回せば、其の混雑具合に息を漏らして。然し数秒後、空席を見つける事となる。】
【―――カウンター席。其の辺りだけ、ポッカリと穴が開いた様だった。ふと、"此の男に何かあるのか"、なんて懐疑的な視線を送ったりもする。】
【然しそんな所は見受けられない。只管、何やらギターを調律している様だった。ちなみに、此の少年に其の知識は一切ない。】


……悪い、隣、座るで、………あ、マスター、あれや、ウーロンハイで。


【『中々、ええ椅子やなー、』と少し其の周りを回って鑑賞したなら、ゆっくりと腰を下ろす。】
【ふーっと吐き出される長い溜息からは、彼の疲労感が見て取れるだろうか。充血した眼をゴシゴシと擦った所で、】
【少年は男の目線に同調するかの様、似合わない大きさのスクリーンへと眼を移した。―――試合が、既に始まっている。】

【―――遅刻、だった。『み、見逃したー……』と背凭れに身をやりつつ、右手を額に当て、再び溜息を漏らす。】
【店主の慣れた手つきで拵えられたウーロンハイが手渡されたなら、少年はグビグビと、半分まで一気に飲んで。】
【木製のテーブルにグラスを、少し強めに押し付けた。然し矢張りドン、と響く音は、歓声に掻き消されて行って―――。】


/お願いします!
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/28(月) 22:39:56.27 ID:JSKhJO7Po
>>881

僕達はね、半分人間で、半分兵器なんだ
「人間を人間たらしめたまま兵器にする―――そんな“おじさん”の実験の、試験作が私達」

「最初にね、薬で筋力を高めて、理性と人格を消してから機械で操作するのを作ったの」
だけど、人格が無いと実戦での対応とか、攻め方なんかに良くないな、って
でも、兵器として戦う為にはその辺りを弄らないと、使い勝手が悪いでしょ?

「……だからね、脳を弄って、感情を、取ったの」
その次のモデル、能力を持たせたモデルを作る時にその方法を採用したんだ……
完全に取り除いた訳じゃないんだけどね、それがけっこううまくいったんだ


「そして―――その中でも出来が良かったのが、私達なんだって」

【淡々と語られる二人の身の上】
【感情が、心が殆ど無い―――だから、ルナトリウムの精神への作用も、殆ど効き目が無いだろう、と】

【そして、“兵器”を作っているというNo.31。その目的が何なのかは、判然としない】
【そして、死体を集めて何をしようと言うのだろうか―――――――】

うん、何するのかは僕達も知らないんだけどね
「ありがとう、ちゃんと“おじさん”に伝えておくね」

「混沌…………宴…………」
……わかった、僕達もお手伝いする
“おじさん”に言えば、前のモデルはいっぱいあるから使えると思うし、ね

『こちらこそ、よろしく』

【前のモデル―――能力は持たないが、薬により尋常ならざる筋力を持つ兵器達】
【それらも使いこちらからも協力すると約束して、二人はお辞儀を返した】

【邪悪に光る瞳に、二つの小さな兵器は何を思うのだろうか―――】
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/28(月) 22:45:04.06 ID:OuG72tO7o
>>883

仕込み札か……!確かにちゆりなどとは全く方向性の違うやつよ
しかもこの速度は、不味い――避けきれぬか……ッ!

【銀狼の瞳がちらと背後に向けられる。ただそれだけで次の攻勢は理解できた】
【挟み撃ち――それもマズいことに、銀狼はその可能性に気付けていなかった】
【尚更悪いのは狂死郎の速度と、それを攻撃に転換する発想、技法――】

【不味い≠ネんてただ一言だが、まさにソレが今の銀狼を支配するに相応しい単語】

【だが。で、あるならば、と。護身に関する事柄を頭でまとめるのは銀狼の得意とする所】
【伊達に自然界で生きてきたわけではない。即座に残った一本の気のストックを変換し】
【作り出すのは、両手に籠手。拳とも一体化したソレは武装と言ってもいいだろう】

【五指に当たる部分は鋭いナイフのようになり、肘先辺りまで黄金の鎧が見て取れる】
【それでもって着地をしたならば銀狼がするのは唯一つ。両腕を交差させて息を吸い――】


―――っっせぇぇぇぇぇぇえええええええええええいッッ!!!


【両のギロチンが迫るに併せてタンッ!と地を踏みしめ、両腕を二人の狂死郎に打ち出した】
【言うなれば二方向への掌底か。ただしこの一撃に攻≠フ概念は、全く無い】

【ソレでも尚脅威なのは、狂死郎自身に理由が在る。一つは、その速度にほかならない】
【磁力に惹かれるが如きその速度、ともなれば先のようにブレーキをかけるのは難しかろう】
【其処に合わせた点が一つ。高速で動く物体に、全く静止した物質がぶち当たるとどうなるか、という話】

【それから2つ目はリーチの問題。ラリアットと、腕を突き出す掌底――リーチは後者に在る】
【となれば先に触れるのは銀狼で、捉えるのは相手の腕か胴だろうが、後手でありながら先手を取れる≠フである】
【加えて云うなら、雷撃は完全に籠手が遮っていて、無駄だった、というのも付け加えるべきか】

【要するに、銀狼が取った策は相手の速度を活かして堪えるだけ。そして、其処からが銀狼の本命だ】

【突き出すのは肘。相手の攻撃を受け止め、本物の狂死郎へと、腕を曲げつつ】
【そのまま身を落として深く踏み込み、肘鉄を鳩尾に叩き込もうと言うのである】
【それは先の天鬼ちゆり戦で自らが受けた一撃。息を止め、気を扱うものには致命的な打撃となるだろう】

【―――まあ、全ては決まればの話。受け止められれば、肘鉄を叩き込めれば、というIFの話】
【何処かでしくじれば―、――銀狼のダメージは、受け止められたにしても甚大なのだ】
【華奢な彼女が強烈な一撃を左右両方から受け止めて、まさか無傷なはずもない。これは道理というもの】

【そう、肘≠セった。この受け止めるという行為、著しく銀狼の両肘関節を痛めつけるのである】
【だから仮に肘鉄が決まっても、響くのは歓喜や雄叫びではなく苦痛の悲鳴に近いソレ】

【最終的にどうなるかは、狂死郎の対策次第。銀狼は無事な足を活かし、横っ飛びに距離を取ろうと試みる、が――?】
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/28(月) 22:50:34.08 ID:mIELqHuv0
>>886

人間を人間たらしめたまま兵器にする―――=c……クク、それは中々に………。
成程、そうした結果、精神≠ニいうものも希薄になりルナトリウムの精神汚染も効果がない…と。

貴女達のおじさん≠ニいうのも………フフ、私が言うのもなんですが………とんでもない=B

【大きく歪んだ口元を隠すように右手で顔を覆うが、漏れていく邪悪なオーラは隠す事が出来ぬまま実体化していく】
【じわじわと炎のように沸き立つ黒いオーラは、二人の存在というモノへの関心で狂喜するように踊っているように見える。】
【暫くして、落ち着いたのかレギンは一度眼鏡のズレを整えると一度咳払いをする。】

クク………期待していますよ―――御三方=B

それでは、私は次の準備に取り掛かりますのでこれにて失礼させて頂きます………何か御用があればご連絡下さい。
では………失礼。

【この場にいないおじさん≠ニ呼ばれる人物に対しても語りかけるようにそう呟くと、瓦礫の上から飛び降り】
【最後にもう一度二人に一礼をすると、端末の転送機能を使ってそのまま姿を消した………残るのは夜の静寂のみである。】
【深い夜に………じわじわと混沌が浸食を始めていた。】

//それではこの辺りで………お疲れ様でした!
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/28(月) 23:02:33.42 ID:WKkMbviho
>>888

「そう―――あくまでも私の予想であって、試してみないとわからないけどね?」

――レギンさんがそう言ってたって知ったらきっと喜ぶと思うよ
「そういう事言われると、けっこう嬉しそうにしてるから」

【黒く、邪悪なオーラ。普通の人間ならば、畏れや、恐怖を感じるであろうその光景】
【それでもやはり、この二人はまじまじと眺め、平然と】

……うん、わかった。頑張ってね

『じゃあ、さよなら』

【淡々と別れの挨拶をして、彼の姿が消えるのを見送ると、二人もまた、外へ歩き出す】
【小さな影はやがて、常夜の闇へと消えていく―――――】




/お疲れ様でしたー!
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/28(月) 23:15:56.10 ID:HQzYy1m90
/>>882は、一応未だ待機中ですー
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/28(月) 23:20:14.69 ID:IZW64svzo
>>885

【男は椅子の背もたれに片腕を回し、もうひとつの椅子に足の乗せながら】
【ダルそうに背もたれに寄りかかりながら斜めに体を傾けつつ】
【口を半開きにさせながら(普通だとだらしない印象を受けるが黒いスーツにサングラス】
【にその他エトセトラを含めると一段と怖く見せるパーツにしかならない)煙草を指ではさみつつ】
【ジイっと黙って、人の頭が時々かぶさって見えなくなるそのスクリーンを見ているようだった】

……ああ……その辺、邪魔なら退かしていいから

【後からやってきた少年が席についても煙草をふかす動作ぐらいしかしない】
【返事もしゃがれたぶっきらぼうな声で、目線ひとつくれずにたそがれている】

【余程、格闘技が好きなのか、それとも試合に知り合いでも出ていのだろうか】
【丁度いい、試合の進展について聴いてみるのもいいだろう……そのとき】

……よくわかんねぇな

【灰皿に煙草を押し付けると体を傾けて、足元にあったウイスキーの瓶の手に取ると】
【それの口を開けて、ストレートで瓶のまま一口大きくあおって】
【それを膝の上に抱えたまま、最初のポーズに戻っておとなしくなる】
【そうして、口の端から漏れるように男は話し始める。少年に言っているのか何に話しかけているのかは】
【わからないが、暇なら相手にするのもいいだろう。どうせ酔っ払いだ。適当でいいんだから気楽だろう】

実況のヤツ……誰だか知らんけど随分元気だな……シゴトだからしゃあないのかな

【場はワァっと沸き立つ。狂死郎という選手は分身が出来るらしい】

あー言うのはいいね。盛り上がるから…ああいうイリュージョンは日常にも必要だからね……
うん。電気とかも…派手だし……光るし……
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/28(月) 23:25:12.80 ID:2lf97ZYmo
>>887

「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

【渾身の力と速度で放たれたクロス・ボンバーは、すんでのところで銀狼の肘鉄によって阻まれる】
【もちろん、狂死郎も対策を怠っていた訳ではない。第二回戦で危うく逆転負けを喫しかけた奥義と原理は変わらぬ】
【特にこの“短期決戦”において最も恐れるべきは相手のカウンター、ダメージを受けると共に時間を稼がれてしまう】
【だからこそ、狂死郎達は始めから腹部に仕込んでいた封魔符に空いた左手で触れ、即席の“防御結界”を発生させた】
【それでも、完全にダメージを軽減する訳にはいかない――――銀狼に与える反動のダメージは増大するが、狂死郎にも深刻なダメージが帰ってくる】

「「流石……!!だが、まだ品切れじゃない!!次こそ完璧に極める!!」

【だが、狂死郎は確かにダメージを受けたはずだというのに――――うめき声一つ漏らさず、それどころか怯みもしないで次の行動に移ろうとする】
【その理由は身体能力の急激な増大によるもの。“それもある”。しかし本当の理由は――――狂死郎は既に、“痛みを感じていない”のだ】
【人の身で邪気を纏うことは苦痛を伴う行為。故に狂死郎はその身に邪気を纏った瞬間から全ての“痛み”を魔術でカットしている状況にある】
【とはいえダメージが無効になった訳ではない。この“痛み”は強化が切れた瞬間、狂死郎に重くのしかかってくることになる】

「「電磁力……!!」」

【横っ飛びに飛んだ銀狼に対し、狂死郎達は未だ雷電を帯びた右腕を重ね合わせることで、電磁力の作用を“反転”させる】
【すぐにも吹き飛んでいきそうな程強力な“反発力”を力で強引に押さえ込みながら、本物の狂死郎は分身の狂死郎を担ぎ上げる】
【その際、本物は分身の体に1枚の封魔符を貼り付け――――分身の狂死郎もまた、1枚の封魔符を手に取った】

これぞ悪滅伍拾漆式・『光陰矢』――――またの名を、『陰陽レールキャノン』ッ!!

【そして、本物の狂死郎は担ぎ上げた分身の狂死郎を銀狼へと勢いよく投げ付け、反発によって急加速する】
【まさしく“レールガン”の原理で加速し突進する分身の狂死郎は“鉄砲玉”】

【いや、違う。注意すべきは分身の狂死郎が身に着けた2枚の封魔符――――すなわち、“爆発”を引き起こしてきた札】
【分身の狂死郎は言わば“人間魚雷”、猛スピードで銀狼へ突撃し、2枚分の封魔符の爆発によって派手な花火を打ち上げるのだ】
【クロス・ボンバーに耐えられた場合の隠し技、それこそがレールキャノンの正体】
【だが、この攻撃の成否を問わず、狂死郎は直後にこれまでの無理の“反動”を受けることとなる】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/28(月) 23:41:59.40 ID:JfvizSuao
>>887 >>892

スウェン:銀狼選手、受け止めにかかり掌底―――ッッ!!
瑛月:……正反対の方向へ同時に打撃を放つ、などというのは全く威力が出ない為に使えない技です。―――攻撃技としては、ですね。
瑛月:あれは掌底というより唯受け止めに行った、というのが正しいと思います……! 相手の速度を利用しつつ、耐えるということでしょう……!!

スウェン:いや、動きが変化したでしょうかっ!! 腕を折って肘を突き出し―――本物の狂死郎へ肘撃を放ちますッッ!!
瑛月:……この選択、どうでしょうか。―――覚悟の肘、とでも呼びましょう
スウェン:―――ど、どういう意味のその言葉でしょうか?
瑛月:伸ばした手で受けても、肘が曲がる分威力は軽減できる。僅かですが掌の柔かい部分も威力を軽減します。それが肘―――衝撃は100%、其処に集中する
瑛月:……自分なら肘が砕けますね。幾ら掌底で威力を軽減したとしても―――そもそも、あの掌底も両腕に甚大な損害を齎します。
瑛月:あのタックルに肘を合わせるということは、それ相応の覚悟を持って放ったということ……それでも彼女は攻めることを選んだ。
スウェン:……お互いの感情も、この瞬間に衝突している―――……そういうことですね

瑛月:狂死郎選手の執念、銀狼選手の覚悟。……―――お互い良い眼光をしています。武人の瞳です……!!
スウェン:肘が止める―――のだがこれは狂死郎選手ダメージを受けていないのかぁぁっ!? いや、結界による補助があります……!!
瑛月:……いや、受けていない訳が無い。結界による軽減はありますし見事ですが、完全に防ぐことなど不可能です。……恐らく最初の術の影響でしょう
瑛月:身体強化の際に痛覚を切り離している―――とか。あくまで予測ですが、何かしらのギミックがあることには間違いないです
瑛月:―――……狂死郎選手にとって1秒も惜しいこの状態。痛がっている暇も無く次の攻撃に行く……!! 銀狼選手はかなり辛いですが、凌げば大きい

スウェン:銀狼選手は横っ飛びで距離を取る―――が……!!
瑛月:狂死郎選手の決死の一撃……!!光の矢の如し速さで彼の分身が追う……か―――!!
瑛月:……―――見るからにもうすぐ時間切れでしょう。つまりこの攻撃が狂死郎選手の最後の一撃という事もあり得る……!!
瑛月:―――スウェン殿、私は言いましたよね……短期決戦を狂死郎選手は望んでいる、と。
スウェン:……は、はい。
瑛月:―――此処が最後のぶつかり合い。……そういう事になる可能性が高いと言う事です……!!

スウェン:……!! これが最後の意地となるのか狂死郎ッッ!! 攻め続けたこの戦略は吉と出るか凶と出るかぁぁっ!? 勝利への渇望が本当の勝利を呼ぶか―――!?
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/28(月) 23:50:28.67 ID:om0teOdH0
>>891


……ああ、いや、大丈夫やで………あの、座る場所、あれば十分やから。


【何となく、彼の周りに人が集まらないのにも納得する。然し、当然の事では在るが、自分に対し敵意が有る訳では無い事も察するのだった。】
【だとすれば、席を移動する理由は無い。―――寧ろ、彼の様なタイプの人間と話す経験は、貴重でさえ在る。】

【ふと彼が傾けているボトルに眼をやれば、ラベルに大きな文字で商品名、其の下に、少し小さめに酒の種類が書かれていた。】
【思わず、ぎょっとする。酒に強いとは言え、限度が有るのでは無いか―――否、其れ共、何か別に理由が有るのか。】


にーちゃんそれ、ウィスキーやで……直飲みで、ようグデングデンにならへんなー……
俺は、おこちゃま、やから……こんなんでしか、長く飲めへんのや……酒強いって、ほんま、うらやましいわー……


【『よくわからない、』と云う彼の言葉に促され、少年は再びスクリーンへと眼を移す。其処には、決勝ならではの戦いが繰り広げられていて―――。】
【―――速い。人間が織り成せる速度ではない。丸で、プラスとマイナスが引かれ合う際に生じる、電磁力をも加勢しているかの様な―――。】
【否、然し肝心なのは、其れを如何にして抑えるか、である。彼女は一切のブレを見せる事無く、続く行動、双方に腕を突き出して見せた。】


うーん……さすが決勝やなー……普通の人が見とっても、何が起こっとるんか、全く分からん様な試合するなー……
いやー、やっぱり、男の方も、妖怪の狐の方も、二手先三手先、読んどる動き、しとるな。
まあ確かに、腕っ節の実力がどっこいどっこいやったら、後は頭のキレと、運で、勝負、決まるもんなー。


【少年は其の様子を食い入る様に見つめている。彼らは持てる能力、資質を総合し、其の中で最適解を導き出し続けている。】
【其れも、瞬時に、或いは、無意識的に、である。だからこそ、―――"強い"と称される存在だ。自分もそうなる為には、何をすれば良いのか。】
【丸で反芻するかの様に、少年は言葉を並べて行く。果たして、彼の求める解説になったのだろうか―――?】


せ、せやな……まあ、実況言うたら、試合の話もそうやけど……盛り上げんのも、仕事の一つやからな………
その場で見とる人と、同じくらいの、臨場感みたいなモンを感じさせんのって、中々難しい事やと思うで………

皆が見る大会やしなー……ある程度、見た目もええ感じなんが、理想やろーな……
俺のは、全くそんなんやないし……まあ、生まれ持ったもんやから、どーしようもないんやけど。


【少し残念そうな口調で言葉を紡いだ所で、其れを掻き消すかの様、再びウーロンハイの入ったグラスを一口煽った。】
【今度は、テーブルにゆっくりと置く。そして又、スクリーンの方へと身体を向け、瞬きをする事無い程意識を集中させて、二人の動きを観察するのだった。】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/28(月) 23:55:27.41 ID:OuG72tO7o
>>892

バケモノか、こやつっ……!!

【肘が軋む――これは確かな打撃の感覚。自分であればもんどり打って倒れる一撃】
【で、あるはずなのに倒れない。それどころか呻き声の一つも聞こえてこない】
【まるで重機を相手にハンマーを振るうような、徒労にも近しい感覚が神経を伝い】

【なんとか横に逃れることは出来たが、そこで休む暇は全く存在しなかった】
【見れば二人の狂死郎は、その身すらも武器として――オマケにそれは札付き≠ナ】

【さてそこで――銀狼が取った行動は、回避ではない。浮いた羽衣を引き戻す≠ニいう動作】
【不意に羽衣が黄金の輝きに満ちていく。忘れてはいないか、あの消えた一本≠――?】

確かに恐ろしい男よ、玉藻狂死郎……策が尽く強烈、流石は最後の相手……!
あの大妖の名を冠する者の一人であるに足る十全な応対は厄介極まりなし!

だがのう玉藻、儂とて下級であろうが妖怪としての誇りが在る
術の一つでその矜持を叩き壊されては……全く以て、ヒトに向ける顔がない
それに品切れで無いのは儂もまた同じ…!唯一無二の撃で応えさせてもらおうか―――

【左腕はだらりと垂れ、ガントレットが消えた。対照的に、羽衣を掴む右手のガントレットは肥大化した】
【どうやら気の流れを片寄らせたらしい。そして、ついに展開するのは羽衣の盾】

【気を纏い、やがてガントレットのそれも吸った薄布は、銀狼の前方でぐるりと円を形取り】
【出来上がるのは黄金の鑑――ところがその実態は鑑などでは断じて無く】
【人間魚雷と化した分身がぶつかれば、まるでトランポリンの台の様にぐにゃりとひしゃげ】
【その先端は銀狼の目を鼻の先まで伸びる――が、ダメ。尚も布は破れずにあり】

【後続の封魔符が爆発を起こしたことによって、ようやく気と布で練った防壁は崩れ去る】
【更には爆風が銀狼を押し飛ばし、退場ではないにしてもステージ上にその身を転がした】


【―――だが銀狼の手は尽きていなかった。気のストックは、時間経過で増加するのだ】
【先ほど使い切ったソレは、今、一本。最後のストックを消費して、銀狼が作るのは気球=z

【浮くソレではなく、手の先で拳大の黄金となる球だ。数少ない遠距離攻撃の一手である】
【銀狼は倒れながらも気球の狙いを狂死郎に定め、間髪入れずに収束、発射――】
【速度は自動車並。何かに触れたのなら、その効果は意趣返しとばかりに爆発≠セ】

【ただし、炎は発生しない。気の固まりが瞬時に膨張したことによる衝撃波、と言い換えてもいいだろう】

【銀狼はその一撃を放ったなら――いや、放っても尚、横に倒れたままだ】
【何せ両肘を痛めていて、爆風でふっとばされた後。起き上がるのもままならないのだろう】
【――露出した腹部や肩に白銀の毛並みが見えた。元の姿、狼という獣に戻る用意と見えるが―――。】
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/10/28(月) 23:55:34.82 ID:9psGle2h0
>>882
/……まだいらっしゃいますか?
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/28(月) 23:58:42.68 ID:HQzYy1m90
>>896
/ここにー!
/今からだとあまり長くは出来ないかもですが、その時は持ち越し or 置きレスへ or そこで〆、って感じでお願いしますー!
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 00:05:10.79 ID:Mh+9mV+ho
>>894

ん……ああ、別に……俺は、酒瓶持って生まれたからね
……酔うために飲むんだから、潰れるまで飲むといつの間にか強くなるんだよ
まあ、でもそこまで行く前に死んじゃうのも多いから…向いてないならやめとけ

【口元をニンマリと笑わせながら、そう言うのはどうやらジョークのようで】
【またスクリーンに向き直り、ぼんやり見始めて、ぼやくように話す】

……あの……えっと名前なんだっけ……あの、イリュージョンの方は面白いね
手数が多い。…手数が多いってのは派手でいい…けど、それが保険になるんだよ
安全策や保険や手段を多く持つと……例えば、迷うんだ。…即応性が失われる
柔軟性でカヴァーできるけどね…けど、一瞬の時に選択肢が多いとラグが出る

【そのイリュージョン…もとい、狂死郎受け止めるのは長尾銀狼という選手】

………あれは何だろう…犬かな…狐…?……ああ、狼か……
あれ?…どうなんだろう……人じゃないと関節も柔いのかな……
肘を痛めると…ストレートも打ちづらくなるしな……うーん。あの衝撃だと…
そうだな…下半身にも…膝もグッと力がかかる気がするんだ…どうなんだろう
ああいう時は…片方を倒して、抜け穴を作るのがいい気がするな……スピードがある分
こう……網が狭まる前に動く方がいい…かな?

【またウィスキーを飲む。ところどころだまりつつ、随分とまじめに考察をしているのか】

……おー…また、これは派手だな………どうなってんだろ。イリュージョンだねイリュージョン
でもあれはぶつけるんじゃ無さそうだ…本物の物体が生み出されるとは思わないんだよな…
それだと……どういう仕組かしらないけど……能力だったらそれだと使いすぎな気がするんだ
人間ってのはエネルギィ塊なんだから…あれはダミィだった気もする。もともとこれが狙いなんじゃないのかな
アレ自体にカラクリか……イリュージョンの本体がなんかするほうがありえる気がする
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 00:06:18.71 ID:7YUoyETf0
>>897
/あの、またフリーズになると心配なので置きレスに移ってもらってもよろしいでしょうか……?
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/29(火) 00:13:16.50 ID:HwYoGlBz0
>>899
/了解です……!
/それじゃ、置きレスの方への投下をお願いしますっ。
/やれる所まででも、1、2レス交換したら今夜はお休みに(→以降完全に置きレス?)、っていうのでも、此方はすごくありがたいので……!
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/29(火) 00:28:18.39 ID:R0JTSd/Jo
>>895

いやいや、僕はれっきとした人間だよ。現にこうして――――ガハッ!!グオォォアアア!!

【銀狼に追撃の爆破攻撃を喰らわせた狂死郎。だが、既に限界の時間は過ぎていた】
【銀狼に反論しようとした途中、狂死郎は突然腹を押さえ――――あまつさえ吐血を行ってしまう】
【この世のモノとは思えぬほど恐ろしい方向と共に、狂死郎から“邪気”が急速に失われていく】
【同時に、失っていた狂死郎の痛覚も復活し、“反動”と“打撃”のダブルパンチによりのた打ち回る】
【歩こうにも、よろめくしか出来ないようなこの状況で、銀狼の反撃に対応しようなど無理がある】

ガッ!!

【狂死郎は銀狼の放った気球をまともに受け――――その衝撃によって吹き飛び、ステージ上を力無く転がる】
【かろうじてリングアウトだけは避けられたが、狂死郎のダメージは深刻。もう立ち上がることさえ出来ないかと思われたが……?】

グウゥゥゥ……!!

(全身の骨が軋む……ああ、打撃を貰った肋骨は砕けてしまったようだね。――――おかしいな。)
(尋常じゃなく痛いはずなのに、もう痛覚遮断は解けているはずなのに。何も痛みを感じることは無い。)
(いや、正確には……脳が“痛みの許容量”を超えてしまって、痛みが表に出てこないだけなのか。)

【うめき声をあげながら、ふらふらと立ち上がる狂死郎。その体はまさしく満身創痍、いつ倒れたとしてもおかしくはない】
【この体を突き動かすのはまさしく“勝利への執念”。いや、もっと単純に“気合と根性”だろうか】
【狂死郎は銀狼に向けて、まだ“死んで”いないことを告げるかのように、コートの中から2枚の封魔符を取り出した】

あと……2回だけ……!!あと、2回だけ僕にチャンスを与えてほしい!!
僕は必ず、最後まで戦い抜く!!

【その瞳にいまだ消えぬ“闘志の炎”を宿しながら、狂死郎は満身創痍の体を押して符術の準備を開始する】
【取り出した2枚の封魔符を重ね合わせ、新たなる符術を生み出す“複合符術”を行うつもりだ】

まずは……1撃!!『呪相・氷結平原』ッ!!

【青緑の光を放ち始めた封魔符を地面へと押し付けた瞬間、その場に魔方陣が出現したかと思うと】
【それは巨大化・分裂してフィールドへと散り、広範囲に渡って複数の魔方陣が設置される】
【そして狂死郎が唱えた口上――――それに合わせ、魔方陣から氷結して刃のような鋭さを得た植物が伸びてくる!!】
【銀狼が倒れこんだ位置にも魔方陣は出現し、鋭利な氷結した葉が切り裂こうと迫ってくるが】
【狂死郎の本当の狙いは、次の最後の一撃の為に銀狼が動ける範囲を狭めることにある】
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/29(火) 00:38:49.91 ID:6V3J4mkfo
>>895 >>901

瑛月:……化物ですね、二人共。怒涛の攻撃を繰り出した狂死郎選手も、そして―――それを受け止め切った銀狼選手も
スウェン:―――と、止めた〜〜〜〜〜〜ッッ!! 瑛月選手が言っていた、もう一本の消えた尻尾!! この土壇場で機能したぁぁぁぁああッッ!!
スウェン:柔軟な盾が狂死郎の執念の一撃を防ぎきる―――が、刹那爆発ッッ!! 銀狼選手は多少吹っ飛んだが確かにあの攻撃は防ぎました!!

瑛月:……―――つまり、どういうことか解りますか?
スウェン:―――……はい。 狂死郎選手の猛攻が此処で止まるだろう……と! そう言いたいんですね瑛月さん!!
瑛月:その通りです……!!銀狼選手が可能ならば此処で一気に仕掛けるべきですが―――

スウェン:……―――仕掛けたぁぁぁッッ!! 遠距離攻撃も出来ますこの選手ッッこの一撃が狂死郎選手に当たれば―――っと、ああ〜〜〜〜ッ!?
瑛月:銀狼選手が、動けないか……!? そうならば、狂死郎選手の戦略が勝った、ということですが……!!

スウェン:狂死郎選手に襲い掛かる気球ッッ!! この追撃が最後の一手か、此処で試合終了なのか―――……え……? なんと、なんとぉおおおおッ〜〜〜……!!
スウェン:―――立ち上がりました……立ち上がりました狂死郎ぉぉッ!! まだ終わってはいないと! まだ瞳は死んでいないと!!
スウェン:勝利への執念が、満身創痍の体を動かしているのでしょう!!精神が肉体を超越する瞬間を、今我々は眼にしております!!
瑛月:完全に予想外です……!此処で電池切れだと思いましたが……これ程までとは……!!

スウェン:身体はまだ動くぞ狂死郎ッッ!! 札を投げれば凍った緑が襲い掛かるぅぅっ!! 狂死郎の「意地」に銀狼選手は対応出来るのか―――っ!!
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/29(火) 00:43:34.03 ID:K7jIxHY30
>>898


あれ、狼なんか………その辺、よう分からへんわ……
ああ、よう考えたら銀"狼"やったな……俺アホやな。いや、今に始まったことちゃうけど……


【狐では無く狼―――最もな指摘だった。名前に、其の答えが在るのだから。】
【カッと赤くなり、全身から嫌な汗が滲み出てくる。照れを隠す様に、後頭部を少し掻いて苦笑いを見せた。】


イリュージョン……狼の方も、大概やで。……あの尻尾見て、こんなん想像でけへんやろ普通。
何かに使う度に、一本減っとるんかなーっちゅう事くらいしか分からん。色んなモンになりすぎやわ。
あ、最初だけ、何か二本減っとったけどな。んー、……エンジンかけるときは、二倍いるんかな。

抜け穴かー……せやな、俺もそうするわ。狙うとしたら、絶対、本体の方。
まあ、ホンマは、ジャンプでもしてかわすのが理想なんやけど……あの速さは、さすがに対応でけへんな。

派手な方は、ほんま派手やなー……分身飛ばして、ボカン、か。
あんなん防げー言うても無理やわなあ。打ち返そうとしても、まあ蹴った瞬間爆発するやろーし……
爆発はある程度喰らうもんとして、次の反撃、考えた方が早そうやなー。まあ俺やったら、そうする。

………と思ったら、やっぱりそうやな。やろうと思えば、あの爆発、もっと防げたやろーけど……
やっぱり、反撃しよった。さすがに、あの変な奴が何かまでは分からへんけど……


【矢張り、全ての場面に於いて、自分だったらどうするか、と其の事ばかりを考えている。】
【放たれた言葉も其の通り。客観的な試合の解説は―――かなり、苦手としている様だ。】


ダミーの可能性もあるなあ、でもあんな攻撃されてもーたら、俺やったら、目の前のモン防ぐぐらいしかでけへん気がするわ……
自分が持っとる能力で、動き方、ずいぶん変わるもんやなー……難しいなー………
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 00:58:39.90 ID:gbG2WR74o
>>901

【―――左肘:複雑骨折、右肘:捻挫。全身には強い疲労感有り】

【銀狼が倒れている間に考えついた、そして感じ取った負傷はその程度】
【文字にすれば狂死郎よりもよほど良い。まだまだ動くことは出来た】
【尚も寝転がるのは体力の温存と、そして回復――時間経過のストックも、また一本だけ伸びて】

【銀と金の二尾を伴った銀狼の、やがて迫る更なる一手への対応は速かった】
【答えは獣化=\―元来の姿である狼へと、その姿を変えたのである】

【体高は1mと数十センチもあろうか。大狼、それも全身を銀と朱に染めた神獣のような一匹】
【それが忽然と現れるのは手品のごとく。そして迫る氷の枝葉には『手足の鉄輪』を使用する】
【凍った植物には、恐らく直接触れれば手足の皮膚を裂くような切れ味が在るのだろう】
【其処にワンクッション、鉄の輪を置く。凍った植物の上に鉄輪を置き、ソレを踏み、一挙に宙へ駆け上がる】

【鉄輪は直ぐに地上へ落ちるが、跳んだ銀狼からすれば最早無用の長物となるわけである】
【そんな調子で全四肢分、計4つの鉄輪を外し、迫る仕様に重ね、落ちる直前、一瞬を見極め】
【一歩、二歩、三歩――そして四歩。人であればともかく、獣ともなると俊敏で】

【そうして跳ねて、飛んで、高々と進む先は上空から、そして当然――狂死郎のもと】
【道中、傷も負った。狼は四肢で移動するが、銀狼は前足に当たる部分の関節を痛めているのだ】
【グラついた折、迫る植物を交わしきれない事もあった。既に毛並みは銀よりも朱が多数を占めていて】

……二回≠ニ言うたのう、玉藻…、……なれば次が最後と云うこと、であろう?
ならば儂もそれに答えねばなるまいて。狼は速さが命でのう
肘を潰された件、実に厄介。自慢の牙も四脚も役に立たぬわ文字のとおりに足を引きずるわで、の

――――――終わらせようではないか、これで……ッ!

【銀狼は上空でそう言った。聞こえているか否かは関係無い、既に姿見は狼ではなく獣人の姿】
【ボロボロだった。滴る血液は宛ら降り始めた雨のごとく、ぽつりぽつりと地上を濡らしていく】

【そんな中で、彼女が取った行動は上空からの攻撃。奇襲ですら無いそれは、一見して無謀極まりない】
【上空では身動きが取れないというのは実況の彼らが言うとおり。だのに、彼女はむしろそれに挑み】

【やがて取る体勢は丸≠セ。身体を丸め、ゆるゆるとその身は縦方向に回転を始め】
【長い尻尾が描く軌道は徐々に速まり、そして狂死郎の元へと速度を増しながら落ちてゆく】
【いつしか二尾は一尾になっていた。銀と金が交じり合った不思議な輝きが、そのまま尻尾の軌跡になっていた】
【上空からの垂直落下―――良い的≠ネのは違いなかった。けれども、果たして――そのまま『そう見て』も良いものか―――】

【―――――試合は、早々ながらも終盤の様相。煌めきの中、銀狼は直ぐそこの未来を掴もうと爪を尖らせ、落ちてゆく―――!!】
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 01:03:41.29 ID:Mh+9mV+ho
【先ずは狂死郎の爆発。会場はまた熱を上げる】

ハハッ……やっぱり派手だなあ…ああ言うのはイイな
こういう大会だと…やっぱり、空気も大事なんだよな。アウェイか、ホームか…
観客なんてクールでホットな方に味方するんだからさ……だからエンタテイメントは重要だね
ただ…あれはどういう仕組なんだろう…能力かな…

【吐血して、苦しむ姿がスクリーンに映し出され。客達はまた揺れる】

ああ…やっぱり……限界かな。…キツイだろうなあ、体力の消費が激しそうだもの
……普通ならもう気を失うぐらいだと思うな…痛みをシャットアウトさせるために本能がそうするんだ
けど…うん……肋骨かな、折れてそれで気管とか内蔵を傷つける…

【今度は、吹き飛ばされたものの、何かを飛ばし、爆破させる銀狼】

うん……無駄がないね。手数が少ない分、それを如何にグッドなタイミングで使えるか
それに思考を集中させることが出来る。その方がいいと思うんだ、こういう場では…
相手の手も大体はこれまでの試合でわかるわけで、場所も予定されているところなんだから
手を見せた状態で見られていないものは……その頭ん中。…それだけがシークレットなんだから

【そして、立ち上がる狂死郎。闘志を見せ、魔法陣から召喚する】

……ああ言うのはどっから出るんだろう……力は必要ないんだろうか…負荷は少ないみたいだね
それでもアレだけの力を出せるとなると……いいな。…俺もあれ欲しい

【ウイスキーをついには飲み干して。瓶を床に転がすと、今度は煙草に火をつけた】
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 01:04:29.13 ID:Mh+9mV+ho
/>>905>>903さん宛です。失礼しました
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/29(火) 01:23:40.88 ID:R0JTSd/Jo
>>904

ゲホッ……それが本当の君の姿なのか……!?いや、今はそんなことはどうでもいい……
今、こうしている間にも僕は力尽きてもおかしくない。だからこそ……!!
次の一撃を、全力で決めさせてもらう!!

【本来の姿へと戻った銀狼に驚きを隠せない様子の狂死郎であったが、そんな暇は無い】
【彼の言うとおり、肉体は既に限界を突破し、一瞬でも気を抜いてしまえば意識を失ってもおかしくは無いのだ】
【――――そんな状況で、狂死郎は文字通り最後の攻撃を準備する】

――――正直なところ、玉藻狂死郎はこの戦いを楽しんでいる。そして、楽しくて仕方ないこの戦いだが……
もうすぐ終わってしまうという事実に、落涙すら禁じえないとも思っている。だからこそ……
だからこそ、僕は短いこの戦いで悔いを残さぬよう――――最後の一撃を、全力で送り届ける!!

【狂死郎が最後の一撃の為に取り出したのはやはり2枚の封魔符――――それを重ね合わせて】
【1枚の封魔符となったそれに込めるは渾身の魔翌力。これに答えるように札は赤い光を放ち始め】
【一際強い光を放ったかと思えば、現れたのは燃え盛る炎を纏った巨大な隼】
【準決勝にて勝利を導いたこの術は、クロス・ボンバーと並ぶ最大の“術”】

『呪相・花鳥風月』ッ!!

【狂死郎の叫びと共に、炎の隼は落ちてくる銀狼に向かって一直線に突進する!!】
【威力は折り紙つきであるものの、もしも耐えられたのならばその時は】
【狂死郎にはもう体力も魔翌力も残ってはいない。敗北が確定するだろう】
【現に今、狂死郎は力を使い果たし倒れこもうとしている】
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/29(火) 01:30:43.42 ID:6V3J4mkfo
>>904

スウェン:―――銀狼にも意地がある、覚悟があるッッ!! 真の姿か、猛々しい狼へと変わったぁぁぁぁッッ!!
瑛月:正真正銘、最後のぶつかり合いとなりそうですね……!!
スウェン:襲い掛かる植物を巧みに躱す動きはまさに獣―――ですが完全回避とは行きませんッッ、どちらも既に満身創痍なのです!!
瑛月:……銀狼選手の速さが半ば死んでいる。……其処を見れば狂死郎選手有利、そして与えたダメージも狂死郎選手が優るように見えますがそうでもありません。
瑛月:―――どちらが疲弊しているか、というと圧倒的に狂死郎選手です。……思惑通りには行きませんでした。、もう短期決戦とは言えませんよね、この試合……
瑛月:此処から先は、神の領域です。…テニスの競技中、ネットギリギリに引っ掛かって弾かれたボールは……その後ネットのどちら側に落ちるか。其れが誰にもわからないように……!!

スウェン:―――そのギリギリネットに引っ掛かって弾かれたボールのようにッッ……! 銀狼選手は上空へと跳びました……!!
スウェン:既に姿は人へと戻っております……!! ですが、空中は先程瑛月さんの言葉通り、身動きが取れず隙だらけです―――!!
瑛月:今の場面なら隙は度外視して良いです……!! お互い満身創痍……唯、できる限り大きな一撃を互いにぶつけるだけ……!!
瑛月:躱そう、などという気持ちは互いに微塵も無い筈です……!! 押し切って勝つ……―――それだけでしょうッッ!!

スウェン:さぁ銀狼選手が流星の如く落下していくッッ―――!! その星の着陸先は勝利なのか、敗北なのかぁぁぁぁぁああああッッ!?
瑛月:狂死郎選手の技は―――……準決勝でロウ殿を倒した炎の隼……!! お互いの必殺技が衝突し合う状況になりましたね……!!
瑛月:彼が全力で止めにかかっても、その勢いは止まりませんでした―――フィニッシャーとしての威力は十分過ぎる程です……!!

スウェン:皆様この光景を網膜に焼き付けておきましょうッッ!! 正真正銘、この水の国天下一武道会最後の「意地と意地のぶつかり合い」ですッッッ!!
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 01:30:50.17 ID:7YUoyETf0
>>900
/落として参りましたが、眠気がやばいので今日は一旦……
/明日か、もしくは完全に置きレスでもかまいません
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/10/29(火) 01:39:59.50 ID:rbHutSL20
>>909
/了解ですっ、こちらも返してから寝ます……!
/明日は……多分21時くらいには来られると思うのですが、遅くなりそうなら雑談で連絡しますね。
/置きレスでも大丈夫なので、方式は其方にお任せしますっ。では、今夜はお疲れ様でしたー!
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/29(火) 01:43:44.01 ID:K7jIxHY30
>>905


あーやっぱり、あれ、全部魔翌力やったんやなー。実況が言うとるわ。
なんか計画性が無いっちゅうより……元々、そういう戦い方するもりやったんやろな。
あの土壇場で、ぶっ放す方選んだんやったら、……絶対相手しとうないタイプやわ。何考えとんのか分からん相手は、絶対きつい。
………いやーそれにしても、よーやるなー、イリュージョンの方。まだ動くんかいな。


【白熱した実況者の声が聞こえる。最早、何が起きているのかが良く分かっていないのであろう聴衆達も、】
【彼らの解説により何とか理解しているという所。其れ故、スクリーンを固唾を呑んで見る観客は、随分と静かだった。】


はー、まだ、策あるんかー……考えられへんな。しかも、凍った葉っぱか、結構きれーやし。
俺、魔翌力のこと、よう分からんけど、あんな範囲で魔法陣組んだら、凄い使うんちゃうん。
あんな死にそうな中でも使える言う事は、元から溜めとったとか、そんな感じなんやろーな、うん。
俺も、使えるんやったら欲しいわ。あ、俺は、あの帽子が分身のやつ。組手の相手……とか、やってくれそうやしな。

……あ、変身しよった。……おー………カッコエエやん。カッコエエけど………
―――もう、そろそろ終わりやな。本物の狼になったから言うても、ダメージはそのままみたいやし。

このまま飛んでって男に殴りこみに行く感じ………うん、せやな。………いやでも、足輪使うのは、よう思いついたなあ。
相手は魔翌力、もう使い切っとるはずやから、瞬時に何か撃てる訳ちゃうやろー……? とすれば、迎撃は、でけへんはず……
後は、男の仕込んどった奴が、何かにかかっとるな……あーもう、結局はじゃんけん見たいやないか。
腕っ節も、頭のキレも同じなんやったら、後はもう運やで。それぐらいしか、決まりようが無いもんな。……当たり前か。


【此れ程までに、彼ら二人の実力と実力が完全に拮抗し合う、"良い試合"を見た事は在るだろうか―――?】
【少年は、双方に於いて、互いに比べ何かに秀でている物が無いのなら、後は運の世界なのだと語る。】

……おお、これは………

【彼が放った最後の技というのは、炎の隼。其れは勿論、狼を捉え突進する。普通に考えたなら、有利なのはイリュージョンの方であろう。】
【だからこそ、だからこそ、である。少年の、数々の予想を裏切った彼女が、一筋縄で―――。】
【つまり、彼女を迎撃さえすれば良いというだけの話で、終わる気がしないのだ。―――きっと、"何か"ある。】
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/29(火) 01:56:13.95 ID:K7jIxHY30
>>905
/申し訳ない……ここに来て睡魔が……です……。
/恐らく次のレスで〆だと思いますので、お返しは後ほどさせて頂きたく……!
/本当に、すみません……!
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 01:57:28.55 ID:gbG2WR74o
>>907

ふっ、それでこそよ……!こうして人の場に身を出してはいても儂とて妖怪!
今までに退魔師とぶつかったことが決して無いということはなし!

まさか今日、そして今この場所において、一生の難敵に会おうとは思わなんだ
……だがのう玉藻。この長尾銀狼にも意地が在る!
ここまで上り詰めたからには、儂の前に倒れていった者の為にも―……負けられんちやッ!


   『必殺――――

              ――――銀狼フルムーンサイスッ!!!』


【――回転する銀狼の姿が、尻尾の軌跡が、輝きが。回転を増していく】
【嗚呼、その形は満月≠ゥ。金とも銀とも付かない丸の輝き、空に光るあの天体】

【それが落ちる――否、対峙する。天球を喰らう炎の隼と、意地を比べて突っ込んでいく】
【衝突に時間はかからなかった。銀狼の姿は巨大な紅の中に消え――】
【―――無い!エネルギーとエネルギーのぶつかり合いが、俄に空宙での鬩ぎ合いの時を作る】

【鋸刃の如き落月と、猛々しく燃え盛る隼の勇。ぶつかり合い、火花を散らし】
【そして――そして、銀狼が炎に包まれる。包まれながら落ちて行く=z

【巨大な熱量は、決して砕かれる、或いは切り裂かれることもなく。形を変えて銀狼を攻め続けるのだ】
【だが銀狼も止まれない。身を焼かれ、真っ赤な月と化したままで―――地上へ。狂死郎の下へ!】
【振り下ろされるのはかの長大なる尻尾。気の同体したそれは、最早大太刀の一振りにも似る一撃】

【地上に落ちる。尻尾が振るわれ、狂死郎の身を撫でるようにずらりと斬り、尻尾を真っ赤に染め上げる】
【銀狼の望んだヴィジョン≠ヘそれ。実際は――どうなるのかまでは、彼女には確認しきれない】

【何故なら銀狼はその両足で見事に着地を果たして立ち上がるものの、全身を焼かれたのは変わらぬ事実】
【回った視界を治して狂死郎に向き直るよりも早く、ただ数秒で両足の力が抜けてゆき】
【『ぱたん』――と。あまりにも軽い音を立てて倒れこむからである】

【――火は、術のそれだから倒れた後に消えるのだろう。だが、銀狼の体力が持つかと言えばそうではなく】
【起き上がる気配は、無い。尻尾も耳も、ピクリとも動く気配を見せてはくれず】
【不審がって審判が慌てて判定に走れば――その時が決着。その瞬間に、銀狼の意識途絶≠ェ認められるのだ】

【だから、勝負が決まるのはそこ。全ての焦点は、狂死郎が攻撃を受けたか――或いはまだ立っているかに、束ねられ――。】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 02:00:38.84 ID:Mh+9mV+ho
>>911

っと……ほら、やっぱり狼だ。狼ってのは犬と違って…なんだろう
寂しそうだよね。一匹狼ってよく聴くけど。…でも、本当にファミリーを大事にする動物だから
……でも、妖怪ってのはそうなのかわかんないけど。…猫又とかに聴いてみないと…
………賭けだね。…跳んだのは賭けなんだろう。でもそういう直感って大事でさ…
結局、感じたままに行動するのが英知なんだ……

【煙草を吹かして、ニンマリと笑って男は叫ぶ】

―――Leap before you look!! ”見る前に跳べッ!!”

【男の声に呼応するように客達を揺さぶって燃え上がる】
【最後の一手を見ずに飛び込んだ銀狼を見て男はそう思った】
【派手なのもいいが、ストレイトなのもイイ。英知を尖らせろと】

【男はまた、体を傾けてテーブルの足元から缶ビールを取り出して】

お……丁度いいぐらいにヌルくなってるな…やっぱコレぐらいじゃないと香りがね…

【そんなことを言いながら、口を開ける。さっきのウイスキーはもうどっかに行ったんだろうか】
【店内の客達の熱気は今が最高潮。熱狂でほとんどの客達は立ち上がって詰め寄らんと言う風だ】
【もう、一触即発。というより、もう店の端では見えないだの足を踏んだだのと小競り合いも起き始めた】
【その中もビール片手にくつろいだまま、見えないけど実況でその試合を追っていく】

そうか…実況があんなにテンションが高いのはこういうときに良く聞こえるからなのかな
そしたら……良く、考えてるなあ……プロは違うねプロは…

………火の鳥か…いいな…乗ったらどこでも行ける……でも熱いかな
技の名前言うの…やっぱイリュージョンはエンターテイナーだね。アレ良いな……
空中のものなんて突き飛ばせば簡単に動く…けれど……回転がかかっている
回転がすると安定するからね…空気を引っ掻くから…ああでも、火が付いているなら
十分、それだけで痛手だ…相手は毛だし……あーあ、わかんねえなこりゃ

【フーっと煙草の煙を吹き出して、椅子をギシリと揺らす】



915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 02:02:44.48 ID:Mh+9mV+ho
>>912
/了解しました!私はもう1レスで〆になると思いますので
/上のと2つで1つという事でよろしくお願いします
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/29(火) 02:13:30.80 ID:R0JTSd/Jo
>>913

――――ま、ここまでやられたなら……文句の一つも出てこないなぁ。

【迫りくる銀狼の尾――――それを見やった狂死郎は、静かにそんなことを呟くと】
【既に満身創痍のこの体。避けることも、防ぐことも出来ずに一太刀を浴びる】
【銀狼が倒れこむよりも少しだけ早く、狂死郎の体はフィールドの上に崩れ落ちた】

【第3回水の国天下一武道会・決勝戦。勝者は――――長尾銀狼】


【薄れゆく意識の中で、狂死郎は優勝者に向かって最後の言葉を呟いた】

おめでとう。そして――――次は負けない。以上だよ。

【――――そう言ったきり、狂死郎は意識を完全に手放して】
【慌てて駆けつけた医療班の担架に運ばれ、医務室へと連れて行かれることになる】

【初出場の身ながら、健闘を見せた狂死郎。彼に残されたのは準優勝者としての栄冠と副賞】
【それに――――僅かばかりの、満足感であった】

/お疲れ様でした。短いながらも骨太のロール、楽しかったです!!
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 02:19:59.54 ID:gbG2WR74o
>>916
/銀狼も気絶してしまってますし、これ以上は蛇足になりかねないので、これにてっ!
/素敵な締めをありがとうございます!お疲れ様でしたー!!
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/10/29(火) 02:27:17.35 ID:6V3J4mkfo
>>913 >>916

スウェン:響く轟音、揺れる会場―――!! ……最早壮絶すぎるが故に声援はありませんッッ!! 静かですッッ、静かですが熱気が物凄い……!!
スウェン:全観客が固唾を呑んで躍動する二人の猛者を見つめているのです!! 煩く喋っているのは私くらいでしょうッッ!!
スウェン:意地と意地のぶつかり合いです……!!最強の称号を懸けた闘いに相応しいことは誰も疑いようの無い事実……!!
スウェン:張り詰めた空気が漂って―――……おおおおおおぉぉおおおお!!!! 銀狼が立っているッッ!! 立って―――あ、あ、あぁぁぁああああ〜〜〜〜〜ッッ!!

瑛月:―――倒れ、ましたね……!! ロウ殿の時と同じように全身が焼かれています……!! 狂死郎選手の攻撃が直撃した証拠です―――
瑛月:そして……もし狂死郎選手が立ち上がったのであれば。彼女の意識が途切れるまでに、その魂の焔を保てていたならば……!!

スウェン:優勝は狂死郎選手となるでしょうが……逆に狂死郎選手が攻撃を受けた時点で倒れていたならば―――!!
瑛月:銀狼選手が、優勝……!! ―――我々は待つことしか出来ません。狂死郎選手の姿を、そして意識の有無を……!!

スウェン:――――――ッッ……!!
瑛月:――――――倒れて……います。……レフェリーの判断は……―――銀狼選手ッッ、銀狼選手ですッッ!!

スウェン:……〜〜〜〜〜ッツ!! 優勝は―――長尾銀狼選手だぁぁぁあああああッッッッッ!!
スウェン:最後の最後で今大会史上最大の衝突ッッ!! それを制したのは彼女、長尾銀狼選手ッッ!!
瑛月:……おめでとうございます、と今直ぐにでも声をかけてあげたいですが両方共既に気絶ですからね……
瑛月:狂死郎選手も勝利への執着心が見えたガッツ溢れるファイトでした……今までの彼とは全く違う印象でした……ひょうひょうとした部分が今回は無かったですから
瑛月:それ程決勝戦に向かうに当たって特別な感情があったのでしょう……その違いが銀狼選手を苦しめた―――という部分もあると思いますね
瑛月:銀狼選手は最後までスピード感溢れる豪快なファイトで素晴らしかったです……なんというか、絵になります。二人共見事な試合でした
スウェン:……と言う訳で第3回結果を振り返って行きましょう! 3位が天鬼ちゆり選手、マーシャル・T・ロウ選手。2位が玉藻狂死郎選手―――
スウェン:そして栄光の1位は長尾銀狼選手となりました。この4名には賞品or賞金を得る権利が貰えます! 時間が押しているので最後に一言!!
スウェン:―――参加者の皆様、素晴らしい試合をありがとうッッ!! そしてお疲れ様でしたぁぁぁ―――ッッ!! 実況は私スウェン、解説は中邑瑛月さんでしたぁぁっ!!
瑛月:ありがとうございました……!!

/お二人共お疲れ様でした! こんな実況でしたが実況する側も楽しませて貰いましたー!
/長尾銀狼の方優勝、そして狂死郎の方準優勝おめでとうございます!
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 02:58:01.95 ID:Mh+9mV+ho
>>911

【結果がついた。――バッ!っと白い紙が舞い上がる】
【この酒場にはもうスクリーンを見ている人物なんて居なかった】
【薄情な話だが……それはこの大会をギャンブルにした店主が悪い】
【ワアっと喜ぶもの、泣く者、一触即発がついに爆発する者……】
【試合に釘付けで盛り上がっている方がまだ、十分におとなしかったといえる】

わかんねえなあ……やっぱ、難しいよなあ………戦いってのは
難しいもんだよ……

【でも、男は思った。英知ってのは悪くないもんだなと】
【あと、技の名前。考えようかな……とも魔法の一つも出したいな…とも】

………賭けも外れたし。…帰るか

【ポケットから紙切れを取り出して、チラッと見るだけで】
【灰皿にくわえていた煙草と一緒に押し込んで、煤けさせて消去する】
【脚をおろして、髪の毛を掻きながら店を出て行った―――】

/簡単ですがこれで〆にさせていただきます。遅くまでお付き合いいただいてありがとうございました!
/そして大会の銀狼の方、狂死郎の方、そして実況の方もお疲れ様でした!
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 16:59:23.42 ID:ADBITLRV0
【路地裏】

ふむ、血生臭くなってしまったな
『………』

【この路地裏に二人組みの男がいる】
【一人は金髪を少々伸ばし】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そして隣には和風甲冑をきており、顔に面頬をつけている男がいる】
【そしてその周囲にはおびえている少女と複数の男と女が血を流して倒れている、おそらく死んでいるであろう】

ふうむ、無事かねお嬢さん、いやこれを無事とはいえんか
『………』
相変わらず無口だな花嵐

【そうとなりの男――花嵐に話しかける】
【だが花嵐は無言で刀を鞘を戻す】

さて、君はどうするこのまま走り去ってもいいのだよ

【そう白衣の男は怯えきっている少女に言った】

【血生臭い匂いを放つ路地裏】
【もしここに人が来るのならばこの二人の男にどのような反応を見せるのか
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 17:30:38.98 ID:zrhHN5F3o
>>920

【カツン、と靴音が響く。曲がり角から聞こえたそちらを見れば、居るのは女性】
【黒いミンクのロングコートを着こみ、手には上等なカシミアの手袋をはめ】
【足は安定性の高いブーツと見える。髪は赤く――瞳は力強い黄土色で】

おっと、これはこれは……、……テメェら、暗殺の任務でも貰ったのか?
それとも柄にもなく暴力を振るわれそうになった少女を助けでもしたか……。

……いや、まあいいか。とりあえずそのガキ、こっちに寄越せよ
要らねェんなら、俺の知り合いに丁度いい引き取り手が居てな

【―――この女の態度、表情は落ち着いたものだった。慣れたもの、と言い換えてもいい】
【両手をポケットに入れたまま二人組に向き直れば、同じ様子で提案をする】

【完璧だ=\―あまりにも対応が慣れすぎていて、或いは不審に思うかもしれないが】
【もし彼らのうちどちらかでも元No.3≠知っていて、その顔に覚えが在るのなら】
【生死不明のうちに離脱扱いとなっていた女――ベイゼ・べケンプフェン≠セと、分かるのだが――?】
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 17:45:49.63 ID:ADBITLRV0
>>921

【二人組みは声をかけられた方へと向く】
【そして花嵐は真っ先に警戒の態勢をとった】

 さてさて、まあいろいろと

【男は女性に対しそのように言った】
【冷静な声音だ】

 ふむ、それで引き取り手とは元NO.3ベイゼ・ベケンプフェンさん
 そしてなぜ貴方のような人物が戻ってこないので?

【男は女の正体にきずいていた、いや案外顔を見て思い出したのか】
【ともかく男は女――ベイゼに聞いた】

 まあ、こちらとしてもあの少女を引き渡すわけには、ね
(さてさてどのような反応をするのやら)

【男はベイゼの提案を拒絶した】
【そして内心どのような反応をするのか楽しみにしている】
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 17:59:32.11 ID:zrhHN5F3o
>>922

戻ってこないのに理由が欲しいなら、何か対価を貰わないとなァ?
それこそ、そのガキを渡すんなら話してやっても良いぜ

……ま、一つ言えるのは裏切ったわけじゃあないって事くらいさ

【提案を拒絶されたことを気にも留めず、ベイゼは語りを続けていく】
【次手は交渉――そして、花嵐という彼が警戒を強めれば】
【それに抗する手段は在ると示すばかりに、彼女はマインド≠発現させた】

【黒い流線型の鎧を纏ったヒトガタ――その名はべギーアデン】
【ベイゼ・べケンプフェンのメインウェポンと言っていい。が、こちらから仕掛けることはせず】

で、どうする?逃げてもいいと言っていた相手を今になって引き止めるのか
それともわざわざ俺と事を構えて痛い目見るか……選んでいいぜ、お二人さんよ
俺はどっちでもいいさ。どっちにしろ引く気は無い、ってのは伝えておくけどよォ――。

【ベイゼはポケットから手を出す事もなく、マインド・べギーアデンを操作して】
【ふらりと、黒鎧の手を震える少女へ伸ばすとするだろう】
【ただ、邪魔することは容易だ。実行すれば、イコール交渉も拒否、ということになるのだが。】
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 18:07:57.70 ID:ADBITLRV0
>>923

 おやおや、まったく興味深い
 裏切ってはいないかなら、そのお話を聞いてみるの面白い

【男はそのように言う】
【そして黒鎧の手を邪魔しようとはしないだろう】

『………』
 ふむ、花嵐警戒をしなくていい
 私は彼女の話を聞いてみたいからね

【そう言われ花嵐は警戒を緩くするであろう】
【あくまで緩くではあるが】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 18:18:47.31 ID:zrhHN5F3o
>>924

【伸ばした手が阻まれないのを悟ると、べギーアデンは一気に近づき】
【少女を担ぎ上げるようにして回収し、ベイゼの下へと戻っていく】
【そしてそのまま下ろすこともなく両手を塞いだまま、マインドは顕現し続けて】

……少し意外だったな、聞き分けの良い奴もいたもんだ
だがまあ、約束だからな……教えてやるよ、俺は戻らないんじゃない

戻れない≠だよ。ミクタム研究所で、呼吸器――肺をやられてな
今じゃ走ることすら覚束ねぇ身体だ。そんな状態でNo.3として戻ったところで
俺に出来るのは精々が事前の仕込みやら事務程度……地位が無くても出来る事だ

俺はな、そんな生活まっぴらゴメンだ。戦って死ぬならともかく
まるで地位に飼いならされるような生き方はしたくない。それに、足手まといにもなりたくは無い。

……さて、なにか質問が無いなら俺はこのガキを連れて帰るぜ?
言うこと言ったんだ、まさかオマケの質問なんぞする気は無ェよなァ……?

【―――ややぶっきらぼうに語るのは、そんな理由。そういえば、だが】
【以前のベイゼ・べケンプフェンは酷く身軽な格好をしていたはずだ】
【コートなどという重い服装は着ないと噂されていた。が、今はそれが全く違う】
【或いは傷を庇うための衣装であるとすれば―――話の内容にも、嘘はないように思えるが――。】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 18:18:57.02 ID:z9lo6dGs0
(ここ、どこかナ、近道かと思ったのニ……というか地図、上下はあってるのカナ……)

【地図を片手に少女が歩く。薄暗い路地裏を右に行って……また左に戻って……足取りからも分かるほどに、彼女は道に迷っている】
【燕の模様のある緑の服・黒い短髪・いかにも気の優しそうなタレ目の出で立ちの少女は、どう見てもこの場にそぐわない】

【というのも、彼女の歩く道はいわゆる路地裏。―――およそこの場にそぐわない少女は、たむろするならず者に睨まれていたりしているのだが】
【それでも彼女は地図を穴のあくほど見つめている。周りのことなどつゆ知らず、きっと声を掛けられても気づかない】

【やがて彼女は、眉間にしわを寄せながら地図を見て、それからキョロキョロと辺りを見回して。――小首を傾げてまた困ったように地図を見る。】

(……ウーン、やっぱりここがドコだか分からないヨ……)

【完全に迷ったようだ。地図を見ながら歩いたはずなのに……頼りない足取りで、歩みを進めて―――】

【――そして、次の瞬間】

「―――オイ、テメェどこから来やがったァ!?」

【路地裏の一角に足を踏み入れた瞬間、大きくドスの利いた声が響き渡る。一声聞いただけで分かる、絡んじゃいけないタイプの人の声――】
【その声の主は、すぐに少女の目の前に現れる。スキンヘッド、黒いジャケット、脅しつけるような目つき―――いかにもといった風体の男だ】
【やがてその男の下っ端と思しきチンピラが、ぞろぞろと出てきて―――少女を囲む】

「ここがどこだか分かってんのか、アァ!? 俺らの縄張りに無断で入ろうたぁ、いい度胸やないかオイ!」

『お、よく見るとなかなか可愛いじゃん♪』
[ヘヘヘ、じっとしてりゃ痛い目には遭わねーからよォ!]

……
(この人たち、アレだよネ……いわゆる「ナラズモノ」だよネ……)

【10人ほどの男に囲まれて、どこにも逃げ場がない。ジリジリとにじり寄る男共は、下卑た考えで頭が一杯らしくニヤニヤと厭らしい表情だ……】

【―――さて。いかに路地裏とはいえ、多くの男に囲まれる少女は、嫌でも目立つ。表の道でも気を配っていれば窮地の少女が見えなくもないのだが――】
【果たしてこの少女に救いの手は差し伸べられるのだろうか―――】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 18:20:07.96 ID:ADBITLRV0
>>925
/飯で返信遅れます
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 18:25:50.97 ID:zrhHN5F3o
>>927
/了解です〜
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 18:33:33.91 ID:o4rYqy0T0
>>926

【ッタンと、路地裏の奥の方から足音が聞こえ、いつの間にかそこには人の気配が存在していた―――。】
【その気配は薄暗い路地の闇から少女を取り囲む男達の元へと近づいて………。】

ようようお兄さん方………そんな幼気な少女に10がかりで詰め寄るなんざちょっとばかし………いやかなり
ダサいぜ=\――ご希望なら俺が女の子へのナンパの仕方って奴を親切丁寧教えてやろうか―――つってな。

まぁなんだ………つまりは。

【姿を現した人物、それは―――】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】
【二へラと軽薄そうな笑みを浮かべながらキザっぽくポーズを決めながら男達を指さす―――。】

残念な目にあいたくなければ今すぐどっかに消えるこったな………モテないダメ男の諸君………?
まぁこのワッペンが目に入らないってんならそれでもいいけどな。

【と、胸のワッペンを強調する―――このマークは………少し前に設立された自警団の精鋭部隊………スカーレットのモノだ】
【という事はこの青年もその部隊の一員なのか、そしてそのワッペンはごろつき達に対していかほどに効果があるのだろうか………。】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 18:44:57.08 ID:ADBITLRV0
>>925

なるほど、それは大変ですね

【男はそのように言う】
【あざ笑うわけでもなく嘲笑するでもなく、ただただ面白そうに】

 まあ、それだけ聞ければええ満足ですとも
 このことは機関には言わないでおきましょう
 貴方がその体でどのように生きるのか実に興味深い

【顔に笑みを浮かべる男】
【ベイゼに興味を抱いているようだ】

 ああ、申し送れました私はソロモン、研究者とでも
 そして隣にいるのは私が作ったアンドロイドの花嵐ですよ

【男――ソロモンはあっさりと自分の名前を暴露した】
【さらに花嵐の正体すら言ってしまった】
【花嵐はまたかという顔になっているだろう】

 では、私はこれで

【そう言ってソロモンはこの路地裏から去っていくだろう】
【そして花嵐はソロモンについていって去ってゆく】

/短いですがここで〆ますね
/お疲れ様でした
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/10/29(火) 18:58:49.34 ID:zrhHN5F3o
>>930

満足頂けたならそれで結構だ。話は終わりだろ、とっとと失せなソロモン
そっちのお人形さんも連れてな……ま、感謝はしといてやるよ

【相手が特に突っ掛かるでもなく、そのまま引き下がる様子にやや意表を突かれたが】
【それはそれで僥倖だ。戦いを避けられるなら、本心ではその方が良い】
【加えて言えば、機関には言わないでおくというのは――少なからず、心やすらぐ言葉であり】

……行ったか。研究者のソロモンに、アンドロイドの花嵐、ねェ……。
話は通じる奴らだったが……取り敢えず、このガキをUTに連れて行くのが先か――。

【去りゆく二人の姿を見届けてから、ベイゼはそんな事を一つ零し】
【手の内に少女を抱えた自らのマインドを引き連れて、来た道を引き返していった】

/お疲れ様でしたー!
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 19:08:41.75 ID:z9lo6dGs0
>>929
【男共とこの少女以外誰もいないはずの路地裏、その奥でぽつりと別の足音が響き渡る。それを合図にしたように一斉に男共が足音のした方向に目をやる】
【男共には予期せぬ来客だったのだろう、怪訝な顔をして暗がりを睨み付ける。なおも足音はこちら側へと近づいてきて――やがて、颯爽とその姿を現した】

【「一体誰だ」「誰か此奴を知ってるのか」……口々に見知らぬ眼前の人物について喋るが、もちろん誰も彼のことは知らない】
【誰も知らないとなれば、この眼前の男も彼らにとっては自分たちのテリトリーを犯した敵。とはいえ男なので普段なら適当に凄んで追っぱらってしまうのだが―――】

「―――アァン?」

【開口一番、彼が男共に向かって放った言葉――「ダサいぜ」と、まあこれでもかという程ド直球の言葉が男共の逆鱗に触れたらしい】
【見た目通りこの男共は揃いも揃って単細胞。馬鹿にされたら全員キレる訳で―――成程、十数人いる男が皆彼を睨み付けている】
【これ以上彼らに言葉を掛けたら男共は一斉に飛びかかっていくだろうというところで、またまた男共に対する禁句が突き刺さる】

「誰がダメ男だオラァ!テメェ、殺されてぇのか!?」
『SCARLET――上等じゃねぇか、まずはテメェから潰してやらぁ!!』

【最後の一言「ダメ男」が決め手となったらしい。自分たちがダメ男であることを自覚してかせずか、その一言で男共の怒りが堰を切った。】
【その上彼らにとっては鬱陶しいことこの上ない自警団の証まで誇示されては、最早退く理由がないと言わんばかりに10人がかりで襲い掛かる】
【聞くに堪えない罵詈雑言と共に、まず先陣を切ったやたら図体のデカい3人が右、左、正面と殴りかかろうとする】
【その後ろ、3人についていく形でもう3人がバットやら鉄パイプやらを持って控えている。恐らく先陣が躱されても波状攻撃を仕掛けるらしい】
【残り4人は少女を捕捉するように囲んでいる。――――さあ、この無謀な男共の顛末は一体どうなるのか―――】
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 19:24:18.46 ID:o4rYqy0T0
>>932

あ………アレ?―――あんまり効果ない………てか逆効果じゃねーか………!
うおっとッ!!ちょまてってッ!この狭い路地で数の暴力は止めろッ!うおッ―――!

【決めポーズと共にドヤ顔で宣言した肩書に男達はひるんで逃げ出す、そういったイメージだったが。】
【どうやら逆効果、激昂した男達が襲いかかる―――それに対して逆にSCARLETの青年が驚いたように身をたじろがせる】
【そして男達から放たれる攻撃を紙一重で身体を振って躱しながらそんなような文句を言うが、路地裏にルールはないのである】
【意外と情けなかったこの青年だが、三人の攻撃を躱している所を見るとやはり腕っぷしはそれなりにあるようである。】

あぶねーだろうがッッよッ!!俺は諜報専門なんだ、このサル野郎どもが……!
『武器袖/ウェポン・ポケット』―――ッ!これでも喰らって………寝てろッッ!!

【躱しながら青年は右手の手首を捻る様な動作をする………するとまるでマジックのように何時しかその右手には2m程の金棒が握られている】
【その巨大な金棒を一瞬ふらつきながらも目の前の三人の男に向けて右から左に振り抜く、かなり強引だが全員まとめて吹き飛ばし、壁に叩きつけるつもりだ】
【だが金棒を振った後は大きな隙が生まれ、波状攻撃の絶好の機会に見えるが………先ほどのトリックの真相も分からない………果たして】
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/29(火) 19:25:55.20 ID:uEeCjKT0o
【水の国――フルーソ】


【首都の繁華街は夜だというのにまだまだ静けさからは程遠く、人に溢れている】
【空を見上げれば真っ黒だけれど、きっとそこから見れば光の絨毯が広がっているのだろう】

【いつもより賑わいを見せる原因はハロウィンが近い所為だ。辺りを見渡せば、嫌でもそれに気付かされるはずで】
【オレンジ色に光るかぼちゃ、小さな魔女の飾り、けたけた笑顔のお化けなどなど――】
【挙句、気が早いことに仮装している人すらちらほらと見える】

【その中を、ひとりの少女が楽しそうに歩いていた】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している――そんな、温厚そうな顔つきの少女だ】

【肩には大きめのショルダーバッグを下げ、装飾の数々に目を通しながら歩く彼女】
【時折気に入った置物があれば目を奪われたかのように見つめて】
【またある時は指を顎に添え、何かを思案しているようで――】

【そんな様子だからきっと、前方不注意に違いない】
【誰かとぶつかっても文句は言えないだろう】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 19:58:10.48 ID:z9lo6dGs0
>>933
「先に喧嘩吹っかけてきたくせに寝言言ってんじゃねーぞこの野郎!」
『俺らの事コケにしたからにはそれなりの覚悟は出来てるんだろうなぁ!?』

【少し拍子抜けするような彼の言葉に、男共はある意味ごもっともな罵倒を返す。―――正直、あのドヤ顔の後なのだから「上等だ、掛かってこい!」とか言われると思っていたらしい】
【――とはいえ、まあ彼とて伊達にSCARLETの名を背負っているわけでもないらしい。力自慢の男共の攻撃を寸での所で躱し切った辺りは流石と言った所か。】
【しかし、躱したところで男共の数は減っていない。今度こそはと3人がかりで殴り掛かるが――――】

「―――――ウォッ!?」

【一瞬、青年の手が翻ったかと思えば―――そこに握られていたのは巨大な金棒。】
【「まさか、アイツさっきまで得物なんて持ってなかったのに!」  殴り掛かる寸前に慌てた次の瞬間。隙だらけの大きな体が三つ、一斉に吹き飛ばされる】


【男共は呆気にとられた。自警団の精鋭とはいえ、あの馬鹿でかい3人をいとも簡単に軽く捻られてしまうとは―――】
【しかし、戦いを吹っかけてしまった以上退くに退けない。ダサいと言われて襲い掛かって、数人やられて尻尾を巻いて逃げていては余計にダサい。】

【ぶっちゃけ勝ち目があるとはあまり思わないが、それでも今は青年に隙がある。残りの男共も倒れた仲間を飛び越えて男に襲いかかろうとする―――が。】

―――よくも……可憐な少女を酷い目に合わせたネ!!落とし前、しっかり付けてもらうんダカラ!!

【まだあどけないが、しかし確実に怒気を孕んだ少女の声が背後から響き渡り――次の瞬間、男の身の丈ほどもある鉄扇がまるで鳥のように舞い飛んできた】
【まるで意志を持った燕のように飛び回る鉄扇は、勢いに任せて3人の男共の足に体当たり。ガツン、ガツンと鈍い音が響き、男共は脛を抱えてうずくまる。】
【無理もない、数kgもの鉄の塊が弁慶の泣き所に直撃すれば、いかに偉丈夫といえど悶絶すること必至だろう……何を言っているのか分からないような悲鳴が響き渡る】

【声のした方向を見れば、囲んでいた4人の隙をついて逃げた少女が攻撃した事が分かるだろう。4人の男を振り切って全力で走ったせいか、少女は肩で息をしている。】
【間もなく男共を襲った鉄扇は少女の手元に舞い戻る。―――さあ、反撃はここからだ。】


【残るは4人がかりで少女を取り囲んでいたにもかかわらず隙を突かれて逃げられた情けない男共。4人は逃げた少女に向かって走りだし、青年には目もくれない。―――すなわち隙だらけ。】
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/29(火) 20:03:25.79 ID:MGDHo+ULo
>>934

【同日同時――――水の国、フルーソ】

【ハロウィンを間近に控え、既に多大な賑わいを見せる繁華街だが、そこは夜ともなると少々の危険も付きまとう場所だ】
【大通りからふと道を外れて路地に迷い込んでしまうと、人々の歓声に華やぐ雰囲気は一変し】
【そこにはいかがわしい店が軒を連ねていたり、危険な夜遊びに興じるガラの悪い男たちが屯していたりもする】
【輝く光の絨毯だって、ちゃんと手入れしてやらないと埃が溜まったり、よくない虫が沸いてしまったりしてしまうものだ】
【そんなわけで、市民が安易に危険な場所へ踏み込まないよう、自警団が往来をパトロールする光景もちらほら見られるだろうか】

【さて…………たったいま、往来を楽しそうに歩いていく少女も、その一人のはずなのだけれど】

…………ふふふ…………♪

【やや浅黒い肌によく映える、月光のような淡黄色の瞳を持つ少女が、ご機嫌な歩調で歩いていく】
【濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型に】
【真っ白な分厚いベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着て、残り三分の腕は包帯でぐるぐる巻きにした服装】
【手には鉄板で補強した革手袋、脚はロングブーツで膝上まで隠れ、僅かに覗く太腿も黒いタイツに覆われていて】
【唯一出ている顔も、暗い赤色をした長いマフラーで口元まで隠れている。極端に肌の露出の少ない、地味な格好だ】
【そんな風体に、背中で漆黒の鞘に収まる二本の刀剣が加われば、見る者に忍者≠ニいう言葉を想起させる…………】

【…………ことは、今夜ばかりは逆立ちしたってありえなさそうだ】
【ただでさえ、ちんまりとした体にくりっとした大きな瞳のせいで、これだけ奇怪な格好をしていても迫力を一切感じないのに】
【マフラーには露天で買ったらしき大量のバッジが取り付けられていて、その中にある自警団のバッジの威光もいまや形無し】
【次いで片腕で胸に抱き寄せるのは、ハロウィンの象徴とも言えるジャック・オ・ランタン≠フ大きなぬいぐるみ】
【トドメに、もう片腕に持つ大きな紙袋の中には大量の菓子が詰め込まれた、どこからどう見ても子供丸出しの格好だった】

よくわからんが…………きょうは、いい日だ!
…………うわっ!?

【満面の笑みで、いまにもスキップし出しそうな勢いで歩く少女】
【しかし――――そんな気の緩みに加え、抱えた巨大なぬいぐるみのせいで、前方不注意にも程があって】
【そうして少女は、同じように前方不注意だった彼女と、正面衝突してしまうのだろう】
【ああぁ! と少女が声を上げるより先に、滑り落ちた紙袋からお菓子の類が地面に散らばってゆく…………】
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 20:19:14.68 ID:o4rYqy0T0
>>935

どーだ見たかってのッッ!………しっかし重いもんを取り出すんじゃなかった………
明日筋肉痛だな―――ってまだきやがるかッッ!しゃーない………買ったばっかのアレ≠………

【振られた金棒は相手を薙ぎ払うとまるで元からなかったかのように青年の手元から消滅している………。】
【だが、フルスイングしたような格好の青年、そしてその苦い顔を見ればアレは実体であった事が分かる―――。】
【そしてさらに追加で飛び掛ってくる三人に対して再び手首を捻る様な動作をし、今度出てくるのは白いナニカのグリップ≠フようなモノだ】
【それを構えようとした矢先………少女が三人を薙ぎ払い、その様子に呆気にとられるが直ぐに気を取り直す。】

って嬢ちゃんやるじゃねーか、こりゃあ助けはいらなかったかァ………?
まぁなんにせよ流石に数が多くて面倒だったからな………助かったぜッ!―――んで後は、

俺に任せな―――ホワイトウィンド=c……ッ!

【一気に三人の男を薙ぎ払った少女に称賛の声をかけながら、迫りくる残りの四人を方を向いて、グリップを強く握る………すると】
【グリップから現れるのは白いエネルギーの刃、俗にいうエネルギーサーベルという奴だろうか。】
【その白い刃を路地裏の地面へと突き刺す………その瞬間、まるで地を這う蛇のように刃のエネルギーが壁を伝い、さらに4つに枝分かれする】
【そして、迫りくる男達の両サイドの壁、そして地面から4つの刃が取り囲むように、道を遮るように再び実体化し飛び出すッ!】

安心しろ―――、切れ味は最小値≠ノしといたぜ………とはいえ死ぬほど痛いけどなー。

【言葉の通り白いエネルギーの刃は実際の刀や剣と比べて無いと言ってもいいレベル、だが強度は本物とも遜色がない】
【つまり峰撃ちのようなものだが………成人男性を悶絶、気絶させるには充分なレベルだろう。】
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/29(火) 20:30:49.39 ID:uEeCjKT0o
>>936

【――変わらず、考えに耽りながら歩く少女】
【何に悩んでいるのかはわからないが、表情を見れば決して苦悩と呼べるものではなく、むしろその逆で】
【さらには目的地があるのか、はっと思い出したかのようにきょろりと辺りを見回そうとした――その時】


(わ、――!?)


【とん、と軽い衝撃を受けて彼女は我に返り、すぐさま前方を見遣る】
【紙袋が落ちた音を聞き取ったならば、謝るよりも先に大慌てで中身を拾おうとするだろう】
【手に持てるだけかき集めれば、その都度紙袋へと戻してゆく】

【やがてそれが終わったなら、申し訳なさそうに頭を下げるはずだ】
【謝罪の言葉はまだない――しばらくして顔を上げると、バッグからスケッチブックを取り出して何かを書き連ねてゆく】


『ごめんなさい。不注意でぶつかってしまいました……。お怪我はありませんか?』


【機械に負けないくらいのスピードで書ききったなら、それを見せるのだろう】
【筆談――声を出せない者が用いる意思伝達手段。彼女がすぐに謝罪しなかったのもこれで合点がいくか】
【ともかく、また頭を下げて謝罪――スケッチブックに隠れようかというくらい、今の彼女は小さく見えるかもしれなかった】
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 20:48:44.05 ID:z9lo6dGs0
>>937
どうだ、思い知ったカ!―――って、まだ追ってくるノ!?

『に、逃げてんじゃねぇぞこのクソアマァ!!』
「め、目に物見せてやらァ!!!」

【男4人で少女を囲んでおいて逃げられては、情けないの一言に尽きる。捕まえないと面目も糞もないわけで、男共は少女を追っかける。】
【―――が、この男共はどこまでも甘かった。少女を捕まえようとするのに夢中になったばかりに、青年のことが完全に頭から抜け落ちていたのだ】
【一心不乱にひた走る男4人、そこに飛び出た白光を放つ刀身。脇目も振らずに駆けていた男共は当然その刃に対応することはできず―――】

『な、何だ!?ウワッ!!』「グアアアアアアアアアアア!!」

【呆気にとられたような情けない断末魔の声を上げ、もんどりうって転倒する4人。急に飛び出た刃に驚いたのか、痛みに耐えかねたのか、白目を剥いている―――】
【これにて、一件落着と言った所か。傍観していた残り数人の下っ端は怯えて逃げ出し、場に残っているのは失神した10人の男のみ】
【もうしばらくは彼らが起き上がることはないだろう。万が一起き上がってもまた青年に襲いかかるような愚は犯すまい……】


【さて、ようやく落ち着けるようになっただろう。少女は颯爽と救いの手を差し伸べた青年のもとへと向かう。もちろん、篤く礼をするためだ。】


―――本っ当にありがとうございましタ!その、道に迷って彷徨ってたら、急に言いがかりをつけられましテ……
あんなに沢山の人に囲まれたらもうどうしようもなくっテ、ホント貴方が来なかったら今頃どうなってたカ……
ア、申し遅れましタ、ワタシ黄春燕と申しまス!改めてお礼を言わせていただきまス!


【小さな体をぺこりと曲げてお礼。この土地で生まれたわけではないらしく言葉の節々に若干のぎこちなさを感じる話し方だが、それでも感謝の念は十分に伝わるだろう。】
【そして顔をあげると、今度は興味深そうに紅の紋章に目をやる。鳥の形と共に何やら彼女の知らない文字で何か書かれているそれは、きっと彼の立場を表す何かなのだろう】

えっと、あなたハ?良かったらお名前を教えてくださイ!あと、その……えっと、その赤い印は何でしょウ?
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/29(火) 20:55:56.65 ID:MGDHo+ULo
>>938

あぁぁ…………おかしが…………。

【少女は誰かにぶつかったという事実に気づく前に、散らばったお菓子の方を心配しているようだった】
【しかし幸い、散らばったのはすべてきちっとした包装で覆われたものばかり。だめになったものは、どうやらなさそうで】
【しゃがみこんでお菓子をかき集めていると…………ふと、同じ動作でお菓子をかき集める白くて小さな手を視界に捉えて】
【それでようやく――――少女は、自分がこの少女と正面衝突したという事実に気づいた】
【その集めたお菓子を抱える少女を一瞬睨むが、その小さな体はお菓子泥棒のものではなくて】

…………す、すまん…………だいじょうぶ、か?

【その人が袋にお菓子を戻して頭を下げたのを見れば、少女の心中にかかった疑いのもやは即座に払われる】
【むしろ安易に疑ってかかった自分が申し訳なく思えて、こちらもしおらしく謝罪を述べるのだが】
【…………しばしの、沈黙。ごそごそと鞄から何かを取り出す動作に、小さく首を傾げて待って…………】

【そこへ見たこともないようなスピードで書かれていく文字に、少女は思わず「おぉ」と息を呑むだろう】
【じぃー、と。その少しばかりの驚きを飲み込んだ後、スケッチブックの文字とそれを書いた主を、交互に見やれば】

…………わたしは、よるなぎレラ、という。
ほら、おれいにこれをやる。そんなかおをするな!

【夜凪レラ≠ニいきなり名乗った彼女は、紙袋に手を突っ込むと、いまさっき集めたばかりのお菓子をひとつかみほど少女に送るだろう】
【ペロペロキャンディからビスケット、チョコレート…………どれもこれも、美味しそうな品であるのだが】

【果たしてこの少女――――レラには、スケッチブックに隠れるその姿が、どのぐらい小さく見えたのだろうか…………】
【いきなり丁寧に名乗って、優しくお菓子を贈る。考えるまでもなく、完全にそちらを子供扱いした態度だった】
【一丁前に大人ぶって、ふんすとふんぞり返るレラの体格は百五十センチにも満たず、言動もどこか幼いもので】
【間違いなく、実年齢ではそちらの方が上だ。多分、ここは怒ってもいいところなのだけれど】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 21:05:57.71 ID:o4rYqy0T0
>>939

―――まぁ、一時はどうなる事かと思ったが………これにて一件落着だなー。

【暴漢が全員気絶したことを確認しながら白い刃を放ったグリップ型の端末を掌で回しながらそう気だるげに呟く】
【少女の援護があったとはいえ、なんだかんだで飄々とこの人数を圧倒してのけたこの青年少女へと視線を移すと一度前髪を払い】
【頭部に付けたサングラスの位置を整えながら自慢げな顔で笑う。】

フフン、黄春燕≠ソゃんか、良い名前だね………俺かい?
俺は自警団の精鋭部隊スカーレット≠フ一員―――ディック・ホワイト≠チてもんだ、よろしく。

礼には及ばないさ、君のような可憐な少女に迫りくる魔の手を払うのが俺たちの役目んだからなァ………。

【そんな風にドヤ顔で、さらにキザっぽく自己紹介をする………しかし暴漢相手にビビったといい、精鋭を自称する辺り】
【結構残念な人物のようだが………まぁ一応それなりに戦闘力は高いのは先ほどの戦闘で分かるだろうし正義感はあるようだ】
【ただ―――それと同じだけ鬱陶しい=B】

ところで黄春燕≠ソゃんはどうしてこんな路地裏に?一体どこを目指してたらこんなところに来るんだ?
それに………さっきの技は凄かったなー、何か武術とかやってたりするわけ?

【とりあえず路地裏の出口へと案内しながら、黄春燕と名乗る少女に対してジェスチャーをしながら問いかけていく】
【軽薄な雰囲気も相まってどこかナンパしているようにも見えなくない………。】
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/29(火) 21:31:06.66 ID:uEeCjKT0o
>>940

【そう言えばこの前も不注意で河川敷に転がり落ちたばかりで、相変わらずドジだなと心の中で自嘲する】
【だめになってしまったお菓子がないだけが不幸中の幸いだったか】

【ふと告げられた短い自己紹介を聞くと、彼女はおずおずと顔を上げることだろう】
【差し出されたお菓子に対しては受け取れないと首を振る――けれども、それも申し訳なく思ったのか】
【ためらいながらもその中からひとつ、受け取ろうとして――】

【そこで始めて相手の姿をちゃんと見たのだろう。淡い青色の瞳が、大きく見開かれた】
【そしてお菓子を受け取ることも忘れて、お菓子ごとレラの手を握るだろう】
【なぜかひどく感動したようで、目をキラキラさせながらレラに視線を注ぐのだった】
【……少々気味悪がられてもしかたないほどに】


『す、すみません。私はホプス・ブライトです。ブライトとお呼びくださいっ。

 すごくかわいい衣装ですね! 櫻の国の方のものでしょうか。
 普段からよくここに来ますし、もちろんハロウィンの時も寄りますが、その衣装は初めて見ました!
 とってもよく似合ってますね。』


【我に返ると、妙に鼻息を荒げながらスケッチブックに文字を書いてゆくだろう】
【線を引くのと変わらぬ速さで書ききり、レラへと示す】

【時期が悪かったか、今はハロウィンの直前】
【明らかにこの少女――ブライトは、レラの衣装がハロウィンの仮装だと勘違いをしていた】
【しかもいたく気に入った様子で――子供らしい態度も全く気にしていないようだ】
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 21:41:19.10 ID:z9lo6dGs0
>>941
【命の恩人に丁重にお礼する春燕。何たってにっちもさっちも行かなくなった時に駆けつけてくれたのだ、いくら礼をしてもし足りないぐらいだ】
【足りないぐらいなのだが……なんたかちょっぴり鼻につく喋り方をする人物のようだ。まあ、命の恩人補正で彼女の中では「ちょっぴり」で済んでいるのだが。】
【名前を聞くと、自慢げに自己紹介してくれた。……自分で自分の舞台を「精鋭」とのたまうあたり自信家なのだろう、表情からも自信が伺える】

はァ……じゃあディックさんと呼ばせて頂きまス!えっと、ありがとうございましタ!
その、「すかーれっと」っていうのがディックさんのお仕事なんですネ!なんだかカッコイイでス……

【彼の名前はディック・ホワイトというらしい。なんでも自警団の精鋭部隊に所属しているのだとか。道理で強かった訳だ……】
【きっと人助けをいっぱいする正義の味方なんだろうなぁと、春燕の中での彼のイメージがどんどんいい方向へと振り切っていく】
【彼の態度に鬱陶しそうな素振りを見せることはなく、むしろ彼に向けられた純真な少女の目はかっこいいヒーローへの憧れを含んだものだった】

【さて、そのヒーローさんは自分に対して問いを投げかけてきた。――どうしてこんな所へ来たのか、と。まあ、当然の質問だろう】
【彼女はわざと迷い込んだのかと思うほど奥まった路地裏に踏み入れていた。いや、春燕自身はこんなところに来るなんて全く意図していなかったのだが……】

えーっとですネ……その、美味しいお料理が食べられるレストランがあると聞いてきたんですけド、地図を見て歩いていたはずなのにこんな所に来ちゃって…………お腹空いたなァ……
あ、さっきのは「飛燕扇」と言いましテ、ワタシの相棒なんデス!えーっと、説明するのは難しいんですけド……こう、グーッと気を込めたら燕みたいに飛んでいくんデス!
他にも、これで扇いだら突風が起こったり、妙に頑丈だったり……ワタシにもよく分からないけど不思議な扇デス!

【案内されるがままに付いていく春燕。助けてくれた彼のことを信用しきって警戒心なんて欠片もない。】
【春燕本人は恋愛もなにも知らない少女。ナンパなんてされたこともないし、手を引かれたら素直について行ってしまうだろう。さて、この先どうなってしまうのか……】
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/29(火) 21:56:59.34 ID:K7jIxHY30
>>914
>>919

逆や逆……Look before………いや、コレに関してはあっとるか………
ボーっとしとる間に決着つくし……、そんな時間あるんやったら、殴った方がええもんなー……

はー……これが決勝なんかー……なんかもう、ぐうの音も出えへんわ……

【―――試合は終了、やがてスクリーンは大会中継からCMへと切り替わる。白熱していた聴衆達も、其々の結果を迎える事となり、】
【目の前の大型スクリーンには見向きもしなくなった。唯一、其れを見ている人間が居るとすれば、其れは此の少年だ。】
【―――否、見ていると言うより、目線を動かさなかったという表現が正しいだろうか。所謂、放心状態である。】

【隣の男が立ち上がる。反射的に右手を軽く上げ、ノンバーバルの別れの挨拶を告げたなら、其の侭。少しだけ、背中が丸くなっただろうか。】

【……虚ろな目に生が宿ったのは、激昂する一人の酒飲みが、椅子を投げ飛ばす姿を目にした瞬間。】
【漸く、自分の持ち分を思い出す。スッと立ち上がれば、既に過激化していた其の中に、突っ込んで行く事だろう。】
【そっと一番大柄な男の肩に自分の手を載せる。―――喧嘩を止めるのは、其れだけで十分であって。】

【―――今日は、飲む気で居た。豪勢に酒を煽る為に、少し前から金を貯め、其れなりの分を用意した、のだったが。】
【何故か満腹中枢は、既に満たされていた。グラスに残った、一杯目のウーロンハイさえ、飲む事が億劫になる程に。】
【『すまんマスター、これ残すわ、あ、不味かった訳ちゃうからな、』と適当な小銭を支払った所で、少年は其の侭、店を出るのだろう。】

【扉を開けると、無意識の内に身体がブルっと震える。―――風が、随分と冷たかった。】
【少年はフードを深々と被る。ポケットに両手を突っ込んだなら、ゆっくりと歩き出すのだ。】
【満月が輝く寒空の下。其の姿からは、何処かフラフラとした足取りが垣間見えて―――。】


/最後の最後でばたんきゅーしてしまい、大変申し訳無かったです!
/ありがとうございました!又お願いしますー!
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 21:57:47.47 ID:o4rYqy0T0
>>943

そうだぜッ!ちなみにこの緋色の鷹≠フ紋章もスカーレットの証ってわけさ
え………そ、そうかい照れるなぁ………はっはっはっは―――。

【軽薄そうにヘラヘラと笑いながら自分が付けているワッペンを親指で叩きながらそう説明する】
【さらに何かを語ろうとしたが、少女のあまりにも純粋過ぎる瞳に面を喰らったように苦笑いしながら頭をかく】
【どうやらこの三枚目な性格のせいか純粋に人に褒められた事は少ないようで少し恥ずかしそうにしている。】

へぇーそんな特別な扇を扱えるなんざ君も相当特別な存在のようだな―――まぁそれでも危険な事は危険だ
これからは軽い気持ちで路地裏に入ったりしないようにしろよ?ついでに道に迷ったら人に聞くんだぞー。

あーそれと、レストラン街はこの大通りを真っ直ぐ行った先にある………一本道だから迷わないだろ、
まあ、なんだ………気を付けていきな―――俺は詰所にでも顔を出してさっきの暴漢グループを拘束する手続きでもしてくるよ

【あまりにも純朴な少女を食事やデートに誘う事はさすがに気が引けたのか、ぶっきらぼうに道を教える。やはり残念な男だ】
【どうやら路地裏の出口の先にある大通りを真っ直ぐ進めばレストラン街があるらしい、目当てのレストランを恐らくそこだろう】
【そして最後にあの暴漢達の処遇を決めるための手続きに行くそうだ、やはりなんだかんだいって自警団の職務をこなしている】

そんじゃな春燕ちゃん………もう少し大きくなったらデートでもしてくれよなー。

【そして少女の目的地とは逆の方向へと歩みだし、ヒラヒラと手を振りながら人ごみの中へと消えていくだろう。】
【街の喧騒に飲まれ、三枚目な青年は職務に戻っていった。】

//ちょっと用事が出来てしまったのでこの辺りで…お疲れ様でした!
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/29(火) 22:05:05.73 ID:MGDHo+ULo
>>942

【手渡したお菓子が少女の手に渡ったのを見れば、レラはうんうんと満足げに頷いて】
【いささか大仰気味に振った首は、貫禄を出そうとして見事に失敗して、人形のようなかわいらしさだけを伝えるだろうか】
【…………唐突に、ぬぉ、というおかしな声。いきなりお菓子ごと手を握られ、レラは驚いて半ば飛び上がる】
【大きなリボンとポニーテールが、一瞬、猫の尻尾みたいにばさりと揺らぐ。淡い黄色の驚きに、淡い青色の輝きがぶつかって】
【「な、なんだっ!」と今更ながらに上げかけた声は、その驚きの分出遅れて、あえなく少女の素早いペン捌きに先んじられる】

ほ、ホプス・ブライト、か。わかった…………よろしくな、ブライト。
…………お、おう、そうか。にあって、いるか。
かっ…………かわいい、か…………。

【レラは、名乗り返された少女の名前――――ホプス・ブライトという名を、一度口の中で反芻し】
【次いで放たれる誉め言葉に、完全に気勢を殺がれてしまう。そのせいで、纏った忍装束≠ェ仮装扱いされていることにも気づかず】
【何せこんな背格好だ、かわいい、と評されるのも珍しいことではないのだが…………】
【この至近距離で、しかもじっと見つめられながら言われると、さすがに照れが先行するようで】
【さっと顔を赤らめたレラは、未だにぬいぐるみを抱えたままの右手でマフラーを掴んでたくし上げ、顔を隠してしまう】

【…………そしてそのあたりで、流石にブライトが自分を見る目がおかしいことに感づいて】


むぅ………。
ブライト…………おかしをくれたおとなたちと、おなじ目をしているぞ…………?

…………あぁっ! ち、ちがう! これはかそう≠ナはない!!
れっきとしたしのびしょうぞく≠ネのだ…………っ!!

【はっと気づいたレラは慌てたように頭を振って、スケッチブックの上の文字を否定し始めた】
【…………レラが紙袋の中に大量のお菓子を持っていた理由も、ついでに解消されただろうか】
【水の国の一般人の間での忍者≠フ認知度なんて、元々そう高くはない】
【その上、パトロール中にも関わらずハロウィングッズを大量に身につけたこの格好…………】
【だから周りの大人たちがブライトと同じ誤解を抱いても、まったく仕方がないことであって】

ぐぬぬ…………わたしはしのび≠セぞ…………ほんとうだぞ…………。

【かわいいと言われたのとは違う理由で顔を赤くし始めたレラは、こちらを覗くブライトの瞳へ熱い思念を送るだろう】
【右腕にぬいぐるみ、マフラーにはハロウィングッズ、足元にはお菓子入り紙袋…………逆の証拠になら事欠かないのだが】
【自分を本物の忍者だと名乗る少女の言葉を信じるか信じないかは、ブライト次第であった】
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/10/29(火) 22:32:16.96 ID:z9lo6dGs0
>>945
【苦笑いするディックを不思議そうに覗き込む。春燕の中ではこんなカッコイイ人なんだから称賛を浴びることもあるだろう、なんて思っていたり】
【もちろん、普段彼が三枚目で素直に褒められにくいなんて、春燕には知る由もないわけである……】
【だから、彼が恥ずかしそうにしてるのがちょっぴり春燕には不思議なのだ。「かっこいいんだから堂々としてればいいのに、どうしてだろう?」なんて思っているのだ】

はい、危険なところには入らないようにしまス!えへへ、心配してくれるんですネー……やっぱりかっこいいデス!
道は大通りをまっすぐ、ですネ!今度こそ間違わないように頑張りまス!

【さて、すっかり春燕の中でヒーローになってしまったディックだが、なんと親切に道まで教えてくれた。ますます彼女の中の株は上がる一方である……】
【「頑張りまス!」と笑顔で答える彼女は心なしか嬉しそうだった。これはようやく辿り着けるからなのか、それともヒーローが自分のことを心配してくれて嬉しかったからなのか―――】
【大通りを真っ直ぐ行くだけなのに何を頑張るのだと突っ込みが入りそうだが、元気に答える彼女の姿を見る限り、もう迷う心配もないだろう。……たぶん。道真っ直ぐだし。】

【そろそろヒーローともお別れの時間らしい。デイックは手をひらりと振ると、颯爽と去っていくのであった―――】


デートですネー!!いつか二人で遊びに行きましょウ!!

【彼の言葉を真に受けて、去りゆく背中に大きな声で声を掛ける春燕。どこまでも素直に、文字通りに彼の言葉を受け取ってしまったらしい】
【そして彼の背中が見えなくなると少女は目的のレストランへと歩き出す。】


【―――レストランで大好物のロールキャベツを食べながら、密かに春燕のヒーローがいるSCARLETに憧れを抱いたのは、また別のお話―――】

//はい、お疲れ様でした!お付き合いいただきありがとうございました!
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/29(火) 22:36:42.35 ID:KcNkO/Eo0
【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【――――寒空の下、月光の差し込む中庭。何処か幻想的にも映る其処には、車椅子が一つ】


「…………最近は寒くなってきたのです。雪が降らないにしても、風邪を引くだけの寒さはあるのです
………………雪、ですか」

【座るのは、一人の少女。汚れを知らない様な真っ白な髪に、特徴的な角が額から生えていて】
【入院服を纏っている所を見れば、この病院の患者である事が分かるであろう】
【普段は五月蠅いとの評判を持つ少女であるが、今宵ばかりは夜空を見上げるだけで喧しさは無く】
【――――その場面だけを切り取れば、其れなりの絵面ともなりそうだけれど】


「……考えて居ても仕方ないのです。そんな事よりも、喉が渇いたのです」

【――――詩人めいた言葉が出される訳でも無く。小さく頭を振ったならば思考を外へと追い出して、何の変哲も無い言葉】
【辺りを見回すが、自販機は院内にしか無くて…………小さな溜息を吐けば、背もたれにその小さな背中を預ける事だろう】
【月の光も明るい晩。白の少女が一人だけ居るとなれば、よく目立つであろうか】







【街の中――――普段は喧噪で賑わう其処だけれど、今日ばかりは静かで】
【その街の中央に立つのは、一人の巫女。瞑想の如く目を瞑り、風に黒髪を靡かせている姿は幻想的に見えるかも知れないか】
【不意に手を横に伸ばしたならば、その腕に止まるのは一羽の鳩。真っ白で、僅かな耀きを放っていて】


「ご苦労様でした
――そうですか。異常はありませんでしたか。でしたら、何よりです
ゆっくり休んで下さい」

【空いた片手が鳩を撫でたならば、其れは瞬時に一枚の符へと変わるのだろう】
【所謂、式神。櫻の国ならば、それなりにメジャーな術であろうか】
【そのまま袂の中に手を入れれば、一枚の煎餅を手にとって】


「……可笑しいですね。何も無いという筈は無いのですが
まあ、良いでしょう。面倒事は嫌いですし
そんな事よりも、この空腹を満たすことが先です」

【ゆるりと小首を傾げるけれど、結局は自分に言い聞かせ、納得するのだろう】
【パリパリと食べながら、お腹が空いた何て言うが――――手に提げている袋には、大量の中華まんの飽き袋があったりするのは、余談だろうか】

949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 22:41:32.95 ID:kpaqDjXAo
>>774

【煩いほどに賑やかな夜の街】
【騒音にも匹敵する人々の雑踏の中を色んな人たちが歩いている】

【どこにでも居そうな普通な人や少し見た目が奇抜な人】
【明らかに危険な雰囲気を漂わせている近寄りがたい人】
【とにかくそんな人々の中から少年に近づく人物が一人居た】

W-Phone。珍しい人がここに居るんですね

【雑踏を掻き分けて少年の前に現れる一人の少女】
【ゴシック調のドレスを身に纏い頭には黒いリボンのヘッドドレスを付けている】
【掛けている黒縁の眼鏡の奥からは冷たい光を宿した目が少年を見つめていた】

でも扱い方が良く分かってないみたいですね…

【操るべき機械に操られている少年にボソッとそんな事を言う】

私でよければ使い方ぐらい教えてあげますよ?
…内容はある程度熟知しているはずですから

【普段はあまり人にかかわる事のない少女が珍しく人に声を掛ける】
【それは少年の機械捌きがあまりにも不恰好だから助けたくなったのか、それともW-Phoneに興味があるのか】

【ともかく突然現れた謎の少女は少年の前でそんな事を口にして佇んでいた】

/よろしくです!
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/29(火) 23:04:33.47 ID:K7jIxHY30
>>949

【明らかに自分の方に向いた声に気づけば、画面から一旦目を離し、辺りをキョロキョロと見回してみて―――、】
【隣には、誰も座っていない。自分の目の前を通り交う人々にも、其れに該当しそうな人物は居なかった。】
【だとすれば、話しかけられたのは自分に他ならない。―――自分が機械音痴だと言う事を、認めたく無かった故の行動だった。】


ああ……えーっと……せやねん、こういうの、苦手なんやけど……
ただ、その……すまん、悪気があって言うわけじゃないんやけどな、
見知らぬ人っちゅうか………その、あんまり知らへん人に、コレ……見せられへんと思うんよ。
だってな、俺の組織の情報、入っとるし……うまく、伝えられへんけど、大体、わかるやろ?


【彼女の姿を一通り見て、不審な点が見つから無いのなら、警戒心を抱く事は無い。飽く迄も、一般人という認識。】
【其れでも、彼女の申し出を断ったのは―――、其れ程、W-Phoneが重要な物であると認識しているのだろう。】
【彼女に失礼に当たらない様注意を払いながら、其の理由を簡単に述べる。明確では無いが、彼の通り、大体の意味は察せる筈だ。】【どうしても此れに興味がある、と言うのなら……身分を明らかにする事が先決だろう。彼の信頼を得る為なら、"何でも良い"。】


/コチラこそよろしくです!
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/29(火) 23:13:02.76 ID:uEeCjKT0o
>>946

【レラが驚くのも無理はないだろう。というか誰だってそんな目で迫られれば鬱陶しがるに違いない】
【逆を言えば、人の目を釘付けにするほどレラの忍装束が似合っていたということだろう】

【おそらく普段着として着用しているであろう忍装束、ならばきっちりと着こなしているはずで】
【櫻の国独特の大人っぽい雰囲気をそのまま小さな身体に纏わせた、そのギャップの評価は――】
【レラが繰り返した感想にうんうんと大きく頷く彼女の様を見れば、一目瞭然だろう】

【さらに気恥かしそうな仕草を見て、にへらと頬を緩ませたのは言うまでもない】


【ややあって、ブライトの勘違いにレラが気付く】
【きっと同じようにして、そしてお菓子をもらったのだろう】
【否定の言葉に、彼女はきょとんとした表情を作るもすぐにそれに気付いて】
【すぐにまたスケッチブックへと向かおうとしたのだが、何やら様子がおかしいと思ったようで――】

【じ、っと淡黄の瞳を覗くのだろう。そして一度頷くと、ペンを握り直して】


『わかりました、信じます。気を悪くさせてしまったならごめんなさい。
 ということはレラさんは水の国観光中、ってことでしょうか。』


【さらさらと文字を書く彼女の顔は先程までとは大きく違い、落ち着いたものとなる】
【どうやらしのび≠ナあることを信じたようだった】

【けれどそれなら、レラはこんな時間にひとりで散策していることになる】
【自警団の数がいつもより多いとはいえ――ちなみに彼女、レラが自警団員とは気付いていない――】
【少々危ないな、とレラが文章に目を通しているであろう間に思考】
【心中で考えを巡らせ、読み終わったであろうタイミングを見計らいスケッチブックを裏返し、新たに文字を加えてゆくはずだ】


『じゃあきっと、その服もいつも着ているもの、ですよね?
 私、実はハロウィンの衣装を買いに来たんです。もしよければ一緒に回りませんか?
 もちろんついて来てくださるだけで十分ですのでっ。』


【くるりと翻せば、そんな提案が書かれていることだろう】
【もちろん選択はレラの自由だ】

/遅すぎですね…ごめんなさい、考え込んでました…orz
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 23:14:56.16 ID:kpaqDjXAo
>>950

見知らぬ人…確かにそうですね。というよりそうとしか言いようがありませんね

【W-Phoneに心躍らせて話しかけてみたは良い物のそれ以外のことを考えていなかった】
【自分が同じ状況に置かれていても多分この少年と同じ反応を取る】
【もしかしたらそれよりか酷い対応を取っているのかもしれない】

マリフィネス、17歳の能力者
現段階では組織には属していませんし属する気もありません

【素性が分からないというならば教えればいいだけの話】
【まるで機械の様に自分の紹介を素早く終える】
【それは最低限必要なところだけを詰め込んだ無機質な自己紹介だった】

以上ですが。何か他に聞きたい事は?

【最低限は詰め込んだが、それでもまだ相手は何か聞きたい事があるのかもしれない】
【それだったら聞いてくれればいいと言わんばかりの視線を少年に向けた】

953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/29(火) 23:33:43.19 ID:K7jIxHY30
>>952


うん……せやねん、だから、その……

【徐ろに困った表情を見せ、茶を濁す事だろう。見せてあげたい、否、純粋に、操作方法を教わりたいと言うのもある。】
【"見せるな"と、誰かに言われた訳でも無い。然しそうは言っても、矢張りマズいのでは無いか―――と。】
【相反する二つの状況に困惑する。兎に角、彼女の機嫌を損ねまい、と少年は何をすべきかと思考を重ねて行く。】


えっと、………まりふぃねすさん、か。………ああ、俺も名乗らなアカンな、俺は、ねこやまって言うんや。
組織、これ見たら分かるかも知れへんけど、"UNITED TRIGGER"ってところ、入っとるで。

……うん、まりふぃねすさん、せやなー……何で、俺なんかに、話しかけてくれたんかなーって。
コレみて、なんやったら、UNITED TRGGERに、入りたいってコトなんかいなって、納得するけどな、
そうじゃないんやったら……イマイチ、説明つかへんねん。だから、その辺、聞かして欲しいんやわ。


【無機質で単調な彼女の自己紹介。話し方の差異に敏感な少年は、矢張り怒らせてしまったのでは無いかと危惧する。】
【然し無条件に渡す訳にも行かず―――、ヤケに口調が柔らかいのは、せめて其れだけでも、という事。】

【彼女に対して他に聞きたい事。其れは、彼に話しかけた理由、言い換えるなら"動機"、であった。】
【純粋に答えるのも、或いは別の答えを"作る"のも。其れは至極当然、彼女の自由である筈であって―――。】
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/29(火) 23:43:34.08 ID:MGDHo+ULo
>>951

【淡い青色の瞳に注がれる月光色に、疑惑の色が混じる。眉間に皺を寄せて見る先は】
【もちろん、緩んだブライトの口元。ちょこんと首を傾げて疑問符を浮かべるさまもまた、無自覚に愛くるしい】
【果たして言うしのび≠ニは、こんな少女にも勤まる程度のものなのか。そうではないとしたら――――】
【…………閑話休題。新たに描かれるペンの軌跡から誤解が消え去ったことを確認したレラは、ぱあっと目を輝かせ】

…………むぅぅ!!
かんこうちゅうではないっ、ぱとろーる≠ソゅうだっ!!

【同時に生まれたまた別の誤解に、ぷくぅと頬を膨らませて、猫の威嚇じみた高い声で吼えるのだった】
【レラはがっしとマフラーを引っ掴むと、キャラ物のバッジの中に埋もれ果てていた自警団のバッジをようやく人目に晒し】
【次いで大きく胸を張り、羽織っている真っ白なベストの胸元――――そこに据え付けられた緋色の鷹≠フ紋章を強調するだろう】
【自警団員であることと、SCARLET≠ニいう世界を股に掛けて活動する組織の一員であることを、レラは同時に証明してみせた】
【…………のだが。そこで、えへん、と得意げに咳込まなければ、多少は貫禄もあったのだけれど】


か、買いもの、か…………はっ、いかんいかん!
いったろう…………わたしは、ぱとろーる≠ソゅうなのだ。

【さて、ブライトの提案を受けたレラだが――――一瞬、非常にわかりやすく「面白そう」という顔をした後】
【自分が任務中であることを思い出し、大きく首を振ってそれを否定した後、ごほんと咳払い】
【目を閉じ、ぴしゃりと言いつけるような口調で、その提案をはねのけようとして…………】
【…………ちらり、ちらりと。時折、名残惜しそうに薄目でブライトの顔色を伺う。そして、その動作を暫く続けた後】

……………だから、おまえのようなよわそうなしょうじょ≠ヘ放っておけん。
しかたないから…………ほ、ほんとうにしかたなくだぞ! つき合ってやる!

【ぬいぐるみを顔の前まで持ってきて抱きしめ、少しばつの悪げな表情を隠しながら、そんなことを言うだろう】
【天下一武道会も終わった今、自警団もそこまでフル稼働はしていない。実はこのパトロール自体、殆どレラが自主的にやっていたものだ】
【それが今更少しぐらい任務を離れたところで、さしたる影響もないのだが…………】
【煩悩に負けた罪悪感と、ブライトと遊べるという期待が折り混ざった、何とも言えない表情がそこに浮かんでいて】

わかったら、ほら…………さっさといくぞ!

【そんな気分を払拭すべく――――それから微量の照れ隠しも含めて】
【レラはブライトの手へ自分の手を重ね、そんな不躾な言葉と共にその手を引っ張るのだった】
【…………何はともあれ、交渉成立。ブライトの行きたい場所へ、レラは一緒に付いていく筈だ】

/いえいえ、大丈夫ですよ〜
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/29(火) 23:45:55.99 ID:kpaqDjXAo
>>953

ええ。その組織は知っています…
直接”読み込んだ”わけではないですが、色々な人が関わっているみたいですね

貴方の名前も…―――

【「ねこやま」今まで自分が生きていた中でそんな名前を聞いた事があるか】
【否。読み込んだ事があるか、それを即座に考えるが出てきた答えはNO】

【知っていたのはあくまで断片的に手に入れていた組織の事だけ】

そう…即ち貴方に話しかけた動機を言えば良いのですね?

【少女が少年に話しかけた動機、それは一体何だったのか】
【少年の関西弁に興味があった?それともW-Phone?それとも親切?】
【答えは全て違う、自分でも良く分からないが意味がまったく見つからない】

―――何ででしょうか…

【声を掛けた動機。それは「気まぐれ」と言うのが正しいかもしれないが、少女の脳内にその言葉が浮かばなかった】
【答えにならない答えを出して口篭る、今まで機械的だった少女の語尾が一気に人間味を帯びていた】
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/30(水) 00:04:53.63 ID:WKtRscxn0
>>955


読み込んだ……ああ、能力の話かいな。何か、面白そうヤツやなー。
よう分からんけど、情報を操る能力なんかな?俺も、そんなんが良かったわー。
俺のなんか、手と足がかたーくなるだけやで。まあ、殴る時には便利やけどな。
って、こういうのも、もう分かっとるんかいな。………よう考えたら、恐ろしい技やなあ。いや、勝手な想像やけど。


【と、此処まで言葉を並べた所で少し笑って見せる。其れも落ち着けば、少し話し過ぎたか、と察し一旦口を瞑った。】
【然し、繰り返す様であるが、目の前の少女は、警戒の対象となるべき人物では無かった。】
【其れ故、『ちょっとくらいええか、』と持ち前のポジティブシンキングを再び発揮させて―――。】


ああー……あれか、何となく、言うやつやろ。俺も、ようあるねん。
いや、俺の場合は、99%が何となく、やな。頭よりも身体が、先に動いてまうんやな。
まりふぃねすさんも、そんな感じ、なんかな?


【―――理由が、自分で取った行動の、其の理由が分からないのだと言う。】
【自己紹介と共に発せられた感情の籠っていない彼女の声は、矢張り少年に印象に深く残っていた。】
【この子は、こういう子。どちらかと言えば、自分と真逆、即ち理性的、論理的に生きる子なのだと理解していた。】
【だからこそ、其れは意外な回答だった。然し矢張り、人間味が在る人物の方が話しやすいのは、自明の理であって。】
【会話を重ねる毎に、其の人間らしさを引き出せていけたら―――なんて、此の少年は思って居るようだ。】
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 00:20:07.88 ID:3/O/bnCPo
>>956

残念。まだ読み込んでませんよ
それに力を使うにも準備が必要です、私だって万能じゃありませんから
と言うより出会い頭で能力を使うなんて…馬鹿じゃないですか

【笑っている少年を差し置いて少女は言葉を並べていく】
【もちろん話し終えても少女が少年の様に笑って見せる事はなかった】
【ただ話し終えたという事を伝える為なのか、爪先をこつんと地面にぶつけ音を鳴らした】

…そんなこと無かったんですけどね。何ででしょう?
体が勝手に動く…理解できないです
でも貴方に話しかけた理由も見つからない

【少年の優しい問いかけに一瞬だけ脳内がショートしかける】
【自分がどうして少年に話しかけたのか、どうして会話を続けているのか】

【無数の疑問が脳内で飛び交う中で少女の口から飛び出た言葉は意表を突くもので】

…何となくですね。

【理性的な人間が一番嫌いな途中放棄に近い形で答えを出した】
【自分自身が理論的理性的だとは思った事はないが、こんな風に投げ出す事は珍しい】
【だけどそれが一番スッとする方法で納得のいく答えだったのだろう】

【不思議とスカッとした気持ちになりながら、「なんとなく」なんて言葉を口にしていた】
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/30(水) 00:21:26.91 ID:jZVnrk9Ro
>>954

【パトロール……と聞くとやはり自警団を連想してしまう】
【彼女の中の忍びはもっとこう――月を背にビルの上から市民を見守っている、孤高の存在だった】
【ともかく、そんなだからやっぱり仮装してるだけかな、という考えに戻ろうとした時――】


(……!?)


【スケッチブック越しに見た二つのシンボルに彼女は目を丸くすることだろう】
【遊びで持ちだしたり身につけたりできるものではないそれを目の当たりにすれば、信じるしか道はなかった】
【だけど、やっぱり心は見た目相応らしい。レラはとてもわかりやすい反応を、もとい葛藤を見せていて】
【その可愛らしい姿に強張った表情もすぐに緩み――笑顔で頷くのだろう】

【手を引かれれば、空いた手でスケッチブックを落とさぬよう握りながら、時折指で道を指し示してゆく】
【目の前の小さな存在が頼もしく映る。それはきっと所属だけでなく、おそらく力の面でも】
【彼女が守られる立場にあると自覚したからなのかもしれなかった】



【しばらく歩くと彼女が目的としていた場所に到着するだろう】
【何の変哲もない服屋だが、店の前に「ハロウィン衣装、レンタル開始!」ののぼりが立っていた】
【自動ドアをくぐればすぐ正面に特別スペースが出来ていて、そこだけハロウィン色に染まっている】

【ブライトはうきうきとそっちへ歩を進めてゆこうとするだろう】
【定番の魔女、お化けの衣装に、本来の趣旨から外れたようなかわいらしいキャラクターの衣装まである】
【彼女はひとつずつ衣装を見ながら横目でレラの様子を確認しようとするだろうか】

【こういった場所に慣れていれば、あれが可愛いとか似合いそうだとか、そんな会話で楽しめる】
【けれど逆に困惑していたのなら――それはそれで、楽しい買い物になりそうだった】


【彼女はレラの年齢と彼女が自警団員であることから、密かに後者の確率が高いと予想していた】
【故に自分の衣装を選ぶ風を装って、レラに似合いそうなものに目星をつけてゆくのだった】
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/30(水) 00:45:44.96 ID:WKtRscxn0
>>957


ああ、ああ……ハズレか。
確かに、そう言われたら、そうかも知れへん……
あ、でもあれやで、勝手に情報読み取ってな、
『あんた昨日、肉まん食うたやろー!』言うて驚かすのも、おもし……いや、何でもないです


【ハッと気づけば、『あ、』と一瞬硬直した表情を見せ、其の後彼女の方を向き直した事だろう。】
【一旦口を開いてしまえば、何かを"やらかす"まで止まらない様で―――。】

【"空気を読み"、少し縮こまって見せては、すっかり冷めてしまったフランクフルトを一口齧る。】
【『んまい、普通に旨いわコレ、』と思わず独り言が出かけたが、何とか口を噤んで。もぐもぐと咀嚼を始める。】


何や、やっぱりそうなんか。俺の、こう滲み出る魅力に、惹かれたわけちゃうんやな。まあ、ええけど。
………自分の行動に、いちいち意味とか追求しとったら、堪ったもんやないし、そんくらいで、ええと思うで。うん。
まあ、それ聞いたのは、俺、何やけどな。………何言うとんねん俺、普通にアホやん。


【少年の習慣的な行動を一度は否定しつつも、"何となく"という点では寸分違わず同じだった様。】
【恐らく、少年を否定した理由の一つとしては、矢張り彼女は理性的な子であるから、という事が挙げられるだろう。】
【だからこそ、少年は此の様に返すのだった。何かに吹っ切れた様に言葉を紡ぐ彼女に対して、其れでいいのだ、と―――。】
【再び笑ってみせるのは、自嘲的な部分も含むが、其れ以上にもっと重要な意味が在って―――、】

【ある程度、少年と少女の間で、比較的有効で友好な意思疎通が行われた。未だ、W-Phoneに興味関心が有るというのなら、】
【そろそろ頃合い、なのかも知れない。少なくとも此の場の空気は、そんな雰囲気を醸し出していた。】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/30(水) 00:52:10.15 ID:rz9E17w0o
>>958

ふっ、ふく屋、だと………!?

【目的地を知らない方が手を引き、知っている方が引かれる…………そんな奇妙な光景が、しばし続いた後】
【たどり着いたその店に――――レラは何故か、たいそう衝撃を受けた様子だった】
【入り口には、見たこともないようなファンタジックな衣装がずらり。それ以外の場所にだって、センスのいい服が陳列されているのだろうか】
【レラはひととおり、きょろきょろと店の中を見渡して…………その瞳に、隠しきれない煌めきが宿った】

…………ふつうの、ふく屋だ…………。
な、何ねんぶりだ、こんなばしょに入るのは…………?

【どういう事情か、少女はこういった服屋に殆ど入ったことがないらしい。当然、慣れてなどいるはずもなく】
【少女の表情に浮かんでいるのは、大きな困惑と緊張と、それらと同じぐらい大きな期待】
【…………なにやら多少度を超えてはいるが、ブライトの予測は見事的中したようだった】

それで、どっ…………どれを買うんだ…………?

【それこそ敵地に潜入したしのび≠フごとく、無駄に足音を消したりしながら、挙動不審な動きでレラはブライトへ振り返って】
【謎の緊迫感に支配されたレラに、実は自分がターゲットになっていることに気づく余裕などない】
【このおかしな態度の原因が、何故なのかは不明だが――――少なくとも、一つ言えるのは】
【レラはこういった場所へ、ともだち≠ニ遊びに来たことなど一度もない。その経験不足が、間違いなく表れていた】

【さて…………肝心の服の方だが】
【先程の言葉通り、こんな風に服を見たり買ったりすること事態、この少女にとっては非常にまれなことで】
【そのせいもあって、レラはブライトがどんな服を選ぶのか、明らかに興味津々という風だ】
【この状況でもし、ブライトからレラへ「着てみて」という打診が合った場合…………】
【よっぽど際物の衣装でもない限り、レラは間違いなく袖を通すだろう――――ブライトにとっては、今がチャンスか】
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 00:57:53.44 ID:3/O/bnCPo
>>959

貴方が昨日肉まんを食べたかどうかは別として、まったく持って興味がないです
と言うより初対面の人にどうしてそんな面倒な事を?
貴方が望むのであればそれくらい読み込んでみますけど…
…どこがおもしろいんです?

【少年の言葉の後の少女の顔、それは今までよりも冷め切った永久凍土のような表情だったと言う】
【そしてその口から飛び出るのは冷静且つ心を抉るような言葉ばかり】
【決して悪気があるわけではない、ただ純粋に何が面白いのかと問うて見たかったのだろう】
【それが傷口に塩を塗るとは露知らずに】


自分自身が分からないから追求するんです

【フッと真面目な表情でそんな言葉を呟いてみせる】

自分の短所に気付けるのは良い事だと昔読んだ本に書いてありましたよ。
それにバカは死んでも治らないらしいですが。アホは治るかもしれませんね

【そんな一瞬の表情の変化の後に飛んで言った言葉は、これまた辛辣なもの】
【他人が聞いたら半分以上悪意が篭っているように思えるこの言葉の数々】
【無論本人に悪気は無い、傷つけている自覚はあっても悪気自体は一切無い】

で。貴方はそれを使いこなせるんですか?

【一通り好き放題言った後に少女が話題に出すのはW-Phoneの事】
【と言うより今回のメインテーマと言っても過言ではないだろう】

/すいません!睡魔ggggg
/明日は17時から21過ぎの間以外は居ると思いますので凍結お願いします!
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/30(水) 01:02:56.56 ID:WKtRscxn0
>>961
//了解です!21時までに返信しておきますね〜
//おやすみなさいでございます!
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/30(水) 01:40:00.66 ID:jZVnrk9Ro
>>960

【さて、レラの反応は予想通りのものだったが――】
【ますます彼女が変わった存在であることを認めざるを得なかった】
【まるで誰にも連れてきてもらったことが無いようだ。つまりその空白を別の時間が埋めたということか】
【それが忍者になるための、あるいは二つの組織へ所属するための鍛錬だということは容易に想像できる】

【……どうでもいいことではないけれど、この場では隅に置いていてもいいことだ】
【ブライトは考えるのを止めて、楽しい買い物の時間に集中するのだろう】


(まずは……これかな)


【ハンガーから持ってきたのはのはかぼちゃの魔女のドレスだ。黒とオレンジを基調としており、フリルが施されている】
【シックな色調の衣装だが、とんがり帽と所々についたかぼちゃがついていてどこか子供っぽい雰囲気もある】
【無理に勧めようとはせず、よければ着てみないかと言うように首を傾げてみせるのだろう】



【――その他にも童話の少女が着てそうな白いドレスであったり】
【コウモリの羽とマント、挙句着ぐるみを着せようとしたり……レラが断らない限りは結構好き放題されるだろう】
【レラが着替え中に、外でブライトが魔女の衣装を纏って驚かせようとする、なんてこともあるかもしれない】

【その度に彼女はかわいいと言ったり、笑ったりしてみせるのだろう】
【ごくごくありふれた交流かもしれないが――レラにはどう感じるだろうか】


/このくだり、やりにくいかもですね…
/よければ思いっきりはしょっちゃってください!
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/30(水) 02:21:17.13 ID:rz9E17w0o
>>963

きっ…………着ろ、と…………いうのか!?
い、いや、でも…………うぅ…………。

【硬直した目でブライトを見つめていたレラだが――――首を傾げるブライトから、着てみるか、という意志を感じ取ると】
【混乱の極みと言った様子で数度目を泳がせ、手をわたわた振った後、俯きながらその衣装を受け取るだろう】
【恥ずかしいのか、そのままレラは試着室へ特攻していって…………カーテンが閉じた直後】
【カーテン越しに、一対の淡黄色の光が二度三度と点滅する。そのたび、がちゃがちゃがちゃという煩雑な金属音が鳴り響いて】
【そこで一体、何が行われているのか…………それを推測させる時間もなく、内側からカーテンが開かれる】

お、おぉぉ…………まじょ=c………まじょ≠セっ!

【試着室に入って、まだ十数秒程しか経っていないのに――――どんな奇術か、それは驚異的な早着替えの業だった】
【そこには、忍装束を着たしのび≠ゥら一転、髪を解いてとんがり帽子を被った、愛らしいまじょ≠フ姿があるだろうか】
【やや子供っぽくはあるが暗色系のシックなデザインは、レラの濃鼠色の髪や少し浅黒い肌によく合っていて】

【そんな暗めの全体像の中でひときわ目立つ、大きな月光色の瞳――――それは、しのび≠ナもまじょ≠ナもなく】
【ひとりの少女としての、満天の輝きを発しているのだった】


【そうして――――その後も】
【一気にテンションがマックスに達したレラは、ブライトの衣装選びに付き合うというお題目もすっかり忘れて】
【彼女から提示される衣装を、着ぐるみだろうが何だろうが片っ端から着て回ったのだった】
【相変わらず、試着室の中からは着替えのたびに謎の光が点滅して、原理不明の早着替えが行われたりしたが…………】
【ブライトの悪戯を受ければ無邪気に笑い、逆にこちらがおかしな衣装を着てみせて笑わせようとする】
【そんな風に――――しのび≠ニして生きるレラにとって、久しく忘れていた女の子≠ニしてのかしましい時間が、過ぎていけば】


あっ…………。
…………むうぅ…………。

【――――そんな楽しい時間もいつまでもは続かない、というのは、どこの世界でも同じ真理】
【レラがもはや服ではなくシーツの塊といった様相のお化けの衣装に身を包み、ブライトを脅かそうと試着室から飛び出したところで…………】
【畳んで置いた忍装束の束の中から、バイブレーションが響き渡って。途端に、レラの顔が渋くなる】
【発信源の端末を取り出したレラは、電話口に何度か喋りかけた後、消沈した様子で通話を切ると】
【溜息を付きながら試着室に入り直し、また例の光が点滅すれば、恐るべき速さで忍装束を着直したレラが出てくるだろうか】

うぅ…………。もっと、あそびたかったのだが…………。
…………そろそろ帰らないと、まずい…………。

【どうやら――――別れの時が、やってきてしまったようだ】
【よほど、ブライトと過ごした今日の一時が楽しかったのだろうか。その瞳は、少々涙ぐんでさえ居て】
【そんな彼女にどんな言葉を掛けるかは、ブライトの自由なのだけれど…………】
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/30(水) 02:57:12.24 ID:jZVnrk9Ro
>>964

【謎の早着替えには店員もブライトも目を瞠ったが】
【特に異変が起こったわけでもなければ皆気にも留めなくなるのだろう】
【それよりも店の中だというのにはしゃぎ倒す二人の方が店員にとっては迷惑だったろうか】
【普段はおとなしいブライトも、この一時ばかりは目をつむっていてほしいと願うのだった】

【どれくらい時間が経ったのか――連絡が入った瞬間にレラの表情が曇ったのは、例え顔が見えなくたってわかった】
【あからさまに残念そうに試着室へと戻る彼女に、ブライトも同じような顔を向けるのだろう】
【けれど彼女が出てきた時には笑顔で迎えるはずだ。二人とも沈んでいたら、余計に別れは悲しくなるから】

【レラの言葉を受けるとスケッチブックのページを捲り、文字を連ねてゆく】


『そうですか……ちょっと遊びすぎちゃったみだいですね。それじゃあ、出ましょうか。』


【文面をレラに示すと出した衣装をきちんと戻し、ちゃっかり選んでいた自分の衣装と何か≠レジへと持ってゆく】
【少しすると彼女は紙袋を下げて戻ってくるだろう。そして別れ際、また何かを伝えようとペンを握るはずだ】


『送らなくても、ここで大丈夫、ですよね。
 そう言えばレラさんが着替えてる途中にこんなものを買ってみたんです。
 よければレラさんにプレゼントしますねっ。』


【レラが着替えている途中、一度だけブライトがいなくなることがあったはずだ】
【数秒もせずに戻ってきたが、きっとその時に持ってきていたのだろう。そして紙袋からその品を取り出してレラへと差し出す】
【手に乗っているのは花柄の、シュシュと呼ばれるドーナツ型の髪留めだ】

【レラが気に入ればそのまま渡して、スケッチブックを仕舞う。おそらくもう言葉はいらないだろうから】
【後は彼女が去るのを見送ろうとするのだろう】
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/10/30(水) 03:24:56.04 ID:rz9E17w0o
>>965

【少女の瞳は、やはりまだ潤んだまま。涙の膜ごしに見るブライトの姿は、自分と違って気丈で】
【当然、そこには年齢の差も、経験の差もあるのだろう。レラにはその強さが、とても羨ましかった】
【今まさに――――ブライトからシュシュを受け取っている最中も、必死で涙を堪える自分が、情けなくてたまらない】
【…………相手がどんな人物であれ分け隔てなく接し、その人のために涙を流す純真な心は、間違いなく少女の美点なのだけれど】
【そんなことにも気づかない、夜凪レラという少さな女の子は、ブライトの声なき言葉に涙を拭って】

こっ…………これ、やる!

【ブライトからすれば、それは不意打ちだったかもしれない。涙で赤らんだ目が、月光色に淡く輝くと】
【両手にはめていた革手袋と、マフラーに付いていたバッジが三つ、跡形もなく掻き消える】
【レラは手袋の下に隠していた小さな手を、シュシュを手渡したブライトの手へ、握手するように重ねようとするだろう】

【…………その手には、今消えた筈のバッジがあって。これは少女からともだち≠ノ贈る、ささやかなお返しだ】
【不気味なパンプキン・ヘッドに、コミカルに描かれたお化け、魔女の象徴たるとんがり帽子】
【どれもこれも幼稚な代物ではあったが…………まるで目の前の少女のように、やんちゃで可愛らしいものだっただろうか】


グスッ…………じゃ、じゃあ、な!
ブライト――――ぜったい、またあそぼうなっ!!

【瞳の中に涙をいっぱい貯めたまま無理矢理顔を上げれば、レラは大きく大きく、手を振って】
【最後に再会を願う言葉を叫び終えれば、悔いを残さないよう、もう振り向かないままに走り出し――――】

【…………しばらく走って息を整えたとき、レラは本当にひとりになっていたけれど】
【ぎゅうっと思い切りぬいぐるみを抱き締めて、今日得た思い出と温もりに、一度体を浸せば】
【右手にぬいぐるみを、左手に少しだけ軽くなったお菓子の袋を持って、腫れた目を擦りながら帰路に就くのだった】

【掛け替えのない出会いを胸に――――しのび≠フ少女は、澄んだ秋の空を見上げて、音も立てずにゆっくりと歩いてゆく】


/夜遅くまでお疲れさまでしたー!
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/10/30(水) 03:45:03.32 ID:jZVnrk9Ro
>>966

【流す涙は――それだけ過ごした時間が楽しかったということ】
【決して悪いものじゃあないけれど、ブライトはちょっぽり困ったように笑顔を浮かべて】
【そして慰めるように髪を撫でたり、そっと涙を拭ったりするだろう】


(あ、……)


【ふいに手渡された小さなお礼を彼女は一度眺めてから、ぎゅっと握って】
【そしてコートに仕舞う前に、自身の口元を指差して注意を引こうとする】
【次に取る唇の動きは――紙とペンがなくったって、ひょっとすると目を閉じてたって、わかる一言】


【――「ありがとう」と、そうゆっくりと伝えられるだろう】


【きっとバッジはハロウィンのいい思い出として、大切に保管されるのだろう】
【別れの言葉に、約束を交わすように何度も頷くと、後はその小さな背中が見えなくなってゆくのを見つめて】


(……いい子、でしたね)


【寂しさからかしばらく空を見上げた後、やがて彼女も帰路に就くのだろう――】

/お疲れ様でしたー!!
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/10/30(水) 20:50:18.42 ID:WKtRscxn0
>>961


え、あ……いや、その………
見ず知らずの人から、昨日の夕飯バシッて当てられたらビックリするやん……
やから、面白いんちゃうかなって……はは、ははは………


【氷の洞穴の様な寒い此の場に居るだけでさえ、変な汗が体中から噴き出してくると言うのに、】
【降り注いだのは、極めて辛辣な言葉。加えて、何故面白いのか、という理由迄もが問われて―――。】
【自分で放ったジョークを自分で解説する事程、虚しく恥ずかしい物は無い。然し其れを強いられた状況に立たされたのなら、】
【少年は何とかして説明せざるを得ないのだろう。―――随分と引き攣った顔、そして引き攣った笑いと共に。】

【―――秋。其れも晩秋に近づこうとしているそんな中、頬を一筋の汗が辿り、やがて地面へと滴り落ちて行った。】


何がバカで何がアホなんか、良う分からへんけど……
……アホも、治らへんよ。アホは、アホで居った方が、楽なんや。そう………楽なんよ。
せやから、治せる薬あるでーとか言われても、多分……飲まへんと思うわ、今ん所は……


【相手に悪意が無いのは、其の単調な話し方から理解できた。だからこそ、少年の心に強く響いて―――。】
【若し"アホ"という言葉が、相手を笑わせようとフルスイング、そして其の結果空振り……という事を意味するのなら。】
【"アホ"に生まれた少年は、此のままでも良い、なんて言い出すのだ。其れは彼女に対する対抗心と言うよりは、純粋な持論。】
【顔を右手の人差し指でポリポリと掻きながら、呟く様に言葉を並べる。自信無さげな表情は、彼女の価値観と自分の其れが対立関係にあった為か―――。】


え、ああ……コレか、血の滲むような努力の甲斐あって……結構、使えるようになったんやで。
……せやな、例えばカメラで取った写真、出したりとか……やったるわ、ちょっと待ってや。


【と、飽く迄も"アホ"を辞める事のない少年は、其の目線を画面へと戻し、取った写真を表示させる事を試みる。】
【何度も、練習した。かなりの自身が有る。だからこそ、其の表情は、余裕に満ちたドヤ顔、であって。】

【―――然し、"期待"は、場を裏切らない。三分、四分と経つにつれ、雲行きが怪しくなって行く。】

【『えちょ、な、何で消えんねん……』という独り言は、其の状況を如実に示していて。】
【震える指先。見た事も無い画面が出たなら、頭は真っ白。消す方法さえ分からなければ、パニック症状であった。】

【やがて、『も、もうダメや……』と史上最強の敵に白旗を揚げる事だろう。】
【身体が開放されたのなら、少年は立ち上がって軽いストレッチ。少し硬くなった全身を、柔軟にほぐして行く。】

【―――目の前の少女は情報を操る能力を持っているらしい。彼女自身否定しないのだから、きっとそうなのだろう。】
【とすれば、直接W-Phoneを触らずとも、其の内容を覗ける筈なのだ。今更ながら、少年はそう発想する。】
【加えて、無機質ながらも悪意の読み取れない其の話し方。―――どうやら、信用に足る人物なのではないか?】


……そろそろ使いこなせる頃や、思ったけど。……やっぱりな、アホには、難しいみたいやわ。
いや、そうは言うてもやで。そんな、ちょっと触っただけで全部わかるー、とか。……さすがに、無理なんちゃうん?


【と、立ち上がったついでに少年は真っ赤なW-Phoneを差し出す。瞬時にシステムを理解する事は不可能だ、と言いはしたが―――】
【矢張り、此の少女なら其れが出来そうな気がして。語尾を揺らしながら、少年は彼女の動向を伺うのだった。】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/30(水) 21:16:45.27 ID:NIDBpdqAo
【一面に緑広がる草原、その中を――――木が歩いていた】
【そういう表現の仕方だとかいう訳ではなく、文字通り、木が歩いているのだ】
【根を足のように踏み出し、前へ前へと歩いて行く姿はまるで、人間の動きを見ているようで】

【そんな木の無数に広がる枝。その内の一本、太く伸びた枝の上に腰掛ける黒い影が一つ】

【黒のゴシックドレスに黒のサイハイブーツ、長い黒髪は頭の両横で二つに纏めて】
【指先から肘までを純白の手袋に包んで首元に小さな銀十字をぶら下げた、そんな女であった】

――――――――ふう

【読んでいた本―植物学者の著書か―に栞を挟んで、溜め息を一つ】
【幹の隙間に取り付けた燭台の炎が、女の緋色の瞳を照らし出して】

【街路樹よりも少し低い程度の高さとはいえ、草原を歩く木など居合わせる者がいたなら目を引くだろうが―――】
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/30(水) 21:45:43.88 ID:WKtRscxn0
/次スレでございます〜
/http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1383137049/
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 22:17:17.79 ID:3/O/bnCPo
>>968

ふーん…そう言う捉え方もあるんですね。
私だったら無視か自警団の人を呼ぶと思います
だって怖いじゃないですか、急にそんな変なことが起きたら

【ビックリする=おもしろいなんて考えをする人も居るんだなと、少女はしみじみと思った】
【少年の説明が分かりやすかったおかげなのか、とりあえずフォロー程度に「面白いですね」なんて呟いてみせる】
【そんなフォローを入れたりする点が有る分、まだどこか人間味の名残があるのだろう】


アホな方が楽?アホとは無知の事ですよ?
それが楽?…私にはちょっと分からないですね。
でも貴方がそれでいいならいいんじゃ有りませんか?貴方は貴方だと思いますから

【自分がアホになるのは嫌だが、相手がそれでいいならいいだろうと言う】
【自分は自分であり目の前の彼ではない、彼が決めるなら自分にそれを覆す事も咎める事も出来ない】
【というよりそこまで干渉する事事態無い】
【だから少女は自分の考えている事をそのままの言葉で伝えた】



カメラで写真を撮ることくらい誰でも出来ますよ…
と言うよりそこまで重症だなんて、ある意味記念物ですね

【機械音痴もここまで来れば一種の芸術に近いなとしみじみと思う】
【そしてそれを嬉々とした表情で口にする少年。少女は心のそこから珍しい物をみた気持ちになれた】

…―――

【相手が機械を操作する音だけが流れていく時の中で木霊する】
【だけどその音が進展する事は無く、時折少年の悲痛な声が聞こえる】
【「嗚呼。もう無理だな」なんて思いつつも冷めた視線を相手に向ける】
【だけども自分から関わる事はせずに、母のような視線で少年に送っていた】



…出来ますよ。多分

【少年の問いに答えると同時に少女の頭上に膜に包まれた円盤が現れた】
【音も無く高速で回転するそれは少女の足元に魔法陣を展開し、その魔法陣も緩やかに回転し大きくなっていく】

色々だだ漏れになるかと思われますが…大丈夫ですか?

【差し出されたW-Phoneを受け取る前に一応相手に確認を取る】
【自分でもそこまで能力が通用すると思っているが一応念のためだ】
【きっと目の前の機械には色々詰まりこんでいるはずだから】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 22:21:48.77 ID:VmFKvCb8o
【路地裏】

【ある雑居ビルの3階。ブラインドが下りたある一室では灯りが付いている】
【尤も、通りには街頭もあるし、人通りも他のビルの明かりもあるから珍しいものじゃない】
【そこではテーブルを囲んでスーツの男たちが幾つもの紙やファイルを広げていた】
【某銀行の入出金の一覧。某企業のプール金の口座記録。武器密輸業者の取引記録】

【1人だけサングラスを掛け、黒いスーツに白いシャツ、細身の黒ネクタイの一番長身の男は】
【書類を机に投げ出して、つまらなそうに溜息をつく】

……ここも駄目だ。……最近は警備も厳しくなってきた。…ここらでピザ屋にでも転職するか?

【ニヤリと笑う男はポケットから取り出した煙草に火をつける】

兎に角、人も金も足りないのは今までと変わらんわけだ。…暫くは小さい仕事をこなして、メディアは抑えめに行こう
……ま、カノッサだとかGIFTに頑張ってもらおうぜ

【煙草の煙を吐き出して、男は椅子から立ち上がると】

じゃあな、ドロボウ共……副業でも今のうちに探しとけ

【そう挨拶して、ドアを開け、階段を降りる】
【正面から出ずに、路地裏に面した非常口から外へと出た】

【じめりとした、路地裏も秋風が吹く】
【何が起きるかもわからないその路地裏を男は飄々と】
【煙草を指にはさみ、煙の尾を引かせながら奥へ奥へと歩いていく】

973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/30(水) 22:27:15.34 ID:uytnYrFf0

【電灯のみが照らし出す公園――――そのベンチ】
【普通の者が纏う其れとは異なって、紅白色はさぞ目立つ事だろうか。遠目でも分かる、その巫女の存在】
【大会をチラリと見た者ならば分かるであろうし、或いは直接交えた者も居るのかも知れない】
【天鬼ちゆり。櫻の国の巫女。現、自警団所属なんて肩書きも載っていた事だろう】


「死者と話せる――――ですか。降霊等ではそのまま身体を奪われる可能性もありますし、何より時間が制限されているとなれば好都合
万が一にも何か起きたとしても…………その一時間を耐えれば良いだけなのですから」

【何時も余り変化の見られない表情。今日は更に能面の如しであって、手にした札を眺めていた】
【――――大会の賞品である其れ。じっと見つめればやがては大腿の上へと置いて、短く息を吐くのだろう】
【傍らに置かれた弁当箱5つが場違いにも思える。とは余談であって】


「コレを使うか否かはあの子次第
まあ……使わないならば其れはそれで良し。後は流れでどうにかなる事でしょう」

【新たに懐から取り出すのは何か古めかしい文字が連ねられた紙】
【札と紙とを一つの便箋に纏めれば封をして、両手で保持はているのだけれど】
【さて――――時間も時間。遊ぶ子供は疎か散歩する者すらも居ない。ともなれば、必然的によく目立つであろうか】







【人の住まなくなった小さな街。謂わば、ゴーストタウン】
【――――宝が眠って居るだとか、住人達の亡霊が出るだとか様々な噂が絶えずに作られては消えて】
【若者達が肝試しや真相究明といった目的で時折訪れるのだが…………不思議な事に、無事に帰った者は少ない】
【其れが更に、その街の噂に拍車を掛けるのだが】


「…………今日は月が綺麗ね。月には兎が居るなんて言うけれど、それが本当なら踊っていそうな位に綺麗ね
――ふふ。この町に飲み込まれた人間達も、幽霊になって見ているのかしら。それとも、魂ごと食べられてしまって見れないのかしら」

【その街の中心部。濃い“瘴気”が漂っており――――街に少しでも足を踏み入れたならば、直ぐに気付けるであろう】
【原因を探るべく進んだならば、やがて一人の少女の姿が見えるはず】
【紅いドレスに、金色の髪。見かけこそ人間の少女であるが、瘴気は紛うこと無くその人物から発生していて】
【――――場にそぐわぬティーセット。言うなれば一人だけのお茶会を楽しんでいた様だけれど】


「どっちでも良いわね。終わってしまったお話なら、もうその先は紡がれないのだから
…………所で、こんな場所に来てしまうとこの街に食べられてしまうかもしれないわよ?
今日は、こんなにも綺麗な夜だから…………お腹だって空いちゃうでしょ?」

【……この街を訪れた新たな気配に気付いたのか、そちらへと視線を向けたならば微笑を浮かべて】
【魔族、とは言え好戦的でも無いらしい。敵意を見せる訳でも無く、語りかけるだけ】
【――――然れど、魔族と言えば人間の敵という印象が強いであろうか】
【ならば、話に応じようとも攻撃を仕掛けようとも――――どちらだって、不自然では無い筈で】
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/30(水) 22:39:53.76 ID:WKtRscxn0
>>971


え、あ……


【彼女にとって、アホとは無知という意味らしい。だとすれば、少年が放った言葉の意味も大幅に変わってくる。】
【―――然し、今更否定した所で何になるのか。しどろもどろになりながらも、必死に否定する事はなく、】
【只肩を落として、しょぼくれた表情を見せる事だろう。―――アホで良い、なんて言った自分を後悔しながら。】


………おお、これが、能力の奴やなー……なんか、どっかで見たこと有るな、こんなん。
…………せやなー…………

―――………何もせえへんなら、ええよ。

【正直な話、彼はW-Phoneの中にどんな情報が組み込まれているのかを知らない。其れを扱えないのだから、至極当然の事で。】
【然し此れを作った人間と言うのは、相当凄い人なのだという事位は少年にでも理解出来る。】
【其れ故、重要な情報は、極めて厳重に保管されているに違いないという、単純な憶測が在った。其れに―――。】

【もう、手渡してしまったのだ。―――此れから取り戻すのは興醒めである、という意味ではなく、】
【其の行動自体に、彼女に対する信頼という物を寄せていた、と言う事。】
【然し其れを直接言い渡すのは、其れは其れで恥ずかしかったらしく。沈黙が在ったのは、その辺りを悩んでいた故、だった。】
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 22:49:59.28 ID:3/O/bnCPo
>>974

ええ。ヴィジュアル的には珍しくありませんよね。
個人的にはもっと退廃的なほうが良かったのですけど

【どこかで見た事があるといわれるのも致し方ない、それは少女も自覚している】
【と言うより本人もこのデザインは気に入ってないらしい】

わかりました。じゃあ心置きなく覗かせていただきます

【少年の了承を得ると同時にW-Phoneを手に取る】
【一瞬W-Phoneが謎の光に包まれるが、それは本当に一瞬の事】

基本操作。機能情報。機体種…少しだけですが受信フォルダに履歴などは理解できました

貴方が信頼できるかどうかは別として重要な情報は覗いてませんよ
…と言うより読み取り不可能です

【数秒にしてW-Phoneの事を読み取った彼女は能力を介して伝わった事をそのまま少年に言った】
【見てはいけないものを見てしまったのかもしれないが、本当に見てはいけないものは見えなかったようで】
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 23:11:22.15 ID:oPunHon3o
>>973

【奇妙な空気に包まれたゴーストタウン、その曰くありげな噂の事を知る由もないかのように】
【その街の大通りをずる、ずる、ととびきりの大荷物を引きずりながら現れる者がいる】


あーあ、絶対勝てると思ったんだけどなあ……何が足りなかったんだろ

『先達の小僧どもから吸収したモノをまるで生かしきれとらんかったのう、まあ後数年功夫を積んでおれば
今に猛毒の霧の中でも平然としていられるようになるわい、安心しとれ』


【現れたのは柑橘系の整髪料の匂いが漂うさらっとした茶の短髪にきりっとした目に真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素な短袖シャツを白い柄シャツの上から羽織り、ひざ下まで伸びた黒よりの灰と黒のストライプのハーフパンツに赤のスニーカーの青年だ】
【肩にはリュックサック風のバックを持ち、首には赤いマフラーを巻いている】

【その青年は全長2mほどの上から見ると細長い六角形のような形をした重厚な箱―――人一人が入れそうな高級感の溢れる箱を引いていた】
【形はさながら棺、と言う他ないその上に居座るレッドカラーのトイプードルが上を向きながらその青年と応答し合っている】

【そこまで人間捨ててもなー、などとぼやきながら歩いていると棺桶を引きずる青年がその中央のティータイムを楽しんでいる少女の姿に気が付き】


―――?
えっと、どうもこんばんはー……お茶の途中だったかな
最近夜中冷えるようになったね、月は綺麗だけど……風邪ひいたりしない?

『こんな辺鄙な土地で一人でいるような明らかに不自然な小娘によくそんなに
友好的に話が出来るのう、……で、お前さんはここの主か何かか?』


【犬の方はじーっと、鼻を動かしたまま―――おそらくはその正体に気が付いている、その犬はいぶかしげに訪ねてくる】
【一方の青年の方は、気付いているか否かわからないが、彼女に対して特に警戒は見せていない】
【ここで怪しんだりしないのは大物なのか、それとも普通に天然か】

/まだいらっしゃいますか?
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/30(水) 23:12:41.23 ID:WKtRscxn0
>>975


おおー……ほんまもんや、ほんまもん……


【W-Phoneが光る。一瞬の出来事とは言え、少年は其れを見逃す事は無かった。】
【然し、基本操作、機能情報、機体種……彼女が何を言っているのか、本当に分からない。】
【少年の頭の中に無い単語が並べられる度に、少年の顔は再び曇って行って。】

【だから、なのかどうかは分からないが。彼の興味の対象は、彼女が何を読み取れたのか、と言うより寧ろ―――、】


おおー本物やんこれー! ラジコン、ちゃうんやなー……!
……あ、あのな……さ、触ってもええ?……ほら、ちょっとだけ、スリスリするだけやから……!


【どうやら、円盤に在った様だ。】
【目の前の少女が丸で母の様な暖かい目線を送ったというのなら、】
【此の少年は其の円盤に、子供らしい光の入った眼差しを注ぐ事だろう。】
【其の際に見せたのは、子供らしい、至って純粋無垢な笑顔だった。】

【勿論此の少年は、元々、其れがラジコン、つまり"偽物"なのでは無いかと疑っている訳では無かった。】
【―――が、其の実力を目の当たりにすれば、矢張り"本物"なのだという確証に至るのであって。】
【彼女がW-Phoneの情報を読み取ったという事はとうの昔に忘れて。ワクワクした表情の中、彼女に許可を求めた。】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 23:21:39.98 ID:3/O/bnCPo
>>977

その他の情報についても知りえていますが。長々しくなるので省略させて頂きます
ご質問があればお答えできるとは思いますが

【最後の最後、仕事は終わったといわんばかりに少年にそう伝える】
【だけど肝心の少年はその事よりも"何か”に興味を引かれているらしい】
【それは機械的な少女にも何となく理解できた】


…ちょっと待っててください

【触ってもいいかと聞かれて、少女は頭上の円盤に手を伸ばす】
【それと同時に円盤は回転しながら降下を始めて少女の手元へと納まった】

壊さないで下さいね。壊れることは無いと思いますけど

【W-Phoneのお返しと言わんばかりに、少女も円盤を手渡した】
【円盤はまだ回転を続けており能力が発動されているのは一目瞭然】

気が済むまでスリスリしてください。肌触りは保障しませんけど

【最後に指をパチンと鳴らして円盤のバリアを解除する】
【裸になった円盤の感触、それはきっと不思議なのもなのだろう】
【まあ少女自体も触ろうなんて思った事ないらしく、感触などは理解していないのだが】
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/30(水) 23:34:49.62 ID:uytnYrFf0
>>976
【明らかに浮いた存在。死に絶えたこの街であったとしても――――尚、異質な存在】
【漂う瘴気の元であって、この街から人を遠ざける原因でもあって】
【――――声を掛けられたならカップを置き、クツリと小さく笑う事だろうか】


「そうね……風邪でもひければ楽しいのでしょうけれど、私は風邪をひけないの
酷い話よね。とーっても詰まらないお話」

【細い指がクッキーを摘んだならば、サクと軽い音を立てながら頬張って】
【…………その最中に犬の言葉が耳を通ったならば、紅茶を流して喉を潤す事だろう】
【新たなクッキーを摘んだならば、其れを放る前に口を開き】


「――――いいえ。お月様、綺麗でしょう?
だから、お散歩していただけよ。此処には面白い話があると言うから来てみたんだけれど…………期待はずれで退屈していた所なの
……それ、で。不自然だなんて言うけれど…………ふふ。貴方達の方がよっぽど不自然よ?
死体でも入れて歩いているのか分からないけど、とっても面白い格好ね。そんな物を引き摺って、どうして此処に来たのかしら?」

【支配者でも無く、定期的に訪れる者でも無い。ただ、気紛れに此処に居るだけ】
【――――その言葉に偽りが無い事は、表情から察せよう。指先で弄んでいたクッキーを頬張ったならば、暫しの間軽い音が響いて】
【後に問うたのは、一人と一匹に対して。濃い瘴気が漂うことは自覚している。ならば――――何故、此処を訪れたのかとの言葉】

/遅れましたが居りますよ―!
/長い時間は無理かと思われますが、お願いしますねー!
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/30(水) 23:51:47.87 ID:WKtRscxn0
>>978


い、いや……機械音痴言うても、流石に其処までちゃうで……
……たぶん、壊さへんと思うわ……


【途中で自信が無くなったのは、矢張り自分の"機械音痴さ"を再認識する出来事が在ったからだ。】
【少年は一先ずW-Phoneを受け取って、パーカーに付いている右ポケットに其れを押し込むと、】
【落とさぬ様、きちんと両手で円盤を受け取る事だろう。其の侭少年はベンチに座って、】


おおお……せや、これ、アレやろ、UFOってヤツやろ……
こ、こんな感じなんか……なんか………うん、何とも言えん感じやな……
こんな感触、初めてや……せっかくやし、もうちょっとスリスリしとこ……


【膝に其の円盤を置いて。そっと、そーっと触ってみる。―――文字通り、何とも言い難い感触。】
【何かに例えようと、頭をフル回転させるが……矢張り、適切な比喩が見つから無い。】
【とすれば、今度は触る事に専念するのだろう。珍しい物を触れる、滅多に無い機会である。】

【其の姿は丸で、小さなペットを撫でるかの様で。未だ人通りの多い公園で、膝上に円盤を乗せる少年。】
【端から見れば、随分とシュールな光景だった筈だ。】


……あ、えっと……質問か……
質問言うより、さっき読み取った言う取ったやつ、……基本的な操作、教えて欲しいんや………

もちろん、もろうた時に一通り、習ったんやけど……何か、上手く行かへん時あんねん。
ほら、さっきの、写真出す奴も。結構練習したはずなんやけどな。たまーにでけへん、何か、変な画面出てくる時あってな……

あ、アレやで、何か、難しい言葉は禁止やで……赤ちゃんに教える感じで、頼むわ……


【あ、と思い出した様に、少年は少女の方へ顔を向けて。】
【学習はしている。耳慣れない言葉は、"赤ちゃん"にも理解できる様、出来るだけ分かり易く、という注文を添えて、】
【そもそもの基本的な操作―――其の方法を問いかけた。ちなみに、変な画面と言うのは、】
【スマホの"設定"画面である。つまりは、操作中に、無意識の内に触れてしまい、表示されている、と言う事。】

【尚、指先は依然として、円盤を辿っていた。―――何と表現すれば良いのか、その辺りを考えている様で。】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/30(水) 23:56:49.18 ID:oPunHon3o
>>979

【言っている言葉の意味がよくわかっていないのか、青年は首を傾げたまま、頬を人差し指でかいている】
【全く動じる様子もなくクッキーを摘む少女の姿をじっくりと眺めながら】


丈夫だったらいいんじゃないかな?やっぱ元気が一番!
―――それと、これは別に棺桶じゃないよ、そういう形の魔術礼装だって

『うむ、特に死体は安置しちょらんぞ、ワシの作品はあくまで生者が使うための者じゃからのう』


【ただの人間と喋る犬、瘴気の濃いこの空間ではむしろ平然と歩いている彼らの方が奇妙な存在なのかもしれない】
【引きずるのは彼らの魔術の品、この犬に喋らせている人物が誇る発明品の類であるらしい、だからといってどうして棺桶型なのかはわからない】
【たんにこの犬の趣味―――という可能性が今の所一番ありうる仮説だ……】


『ワシらはちょっと近道するためにこの道を通りすがっただけじゃあ、道案内はいらんぞ
これしきの瘴気でワシの鼻は狂いはせんよ、目的地までの地理はバッチリ把握しちょるからのう』

うん、だから……決して怪しい人ではないから気にしないで
けどまあ……俺も結構月見は嫌いじゃないんだよな、今年の9月の十五夜はお団子用意忘れちゃったけど
またゼンの望遠鏡借りて月の表面でも観察してみようかな


【無事に帰れる可能性が低いとされているはずではあるが、そんな道を彼らは特に問題なく通りすがれるらしい】
【こう言った場所の歩き方に心得があるのだろうか、少なくとも子犬の方はなかなか鋭い感知能力を持っている様に見受けられる物のまるで動じていない】
【しっかりと目的地に到着する手段を持ち合わせているのだろう】

【もう一人のおっとりした青年は極めてのん気な物だ、おー、とか言いながら空に浮かんだ月をそのままじーっと眺めていたりする】
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/31(木) 00:10:09.88 ID:esj7nMJvo
>>980

UFO…と言うよりは能力伝達物質ですね
…いえ。能力伝達媒体と言ったほうがいいのでしょうか

【UFOと称されて初めて少女はこの物体が何なのかについて考える】
【正直念じれば勝手に出てくる物なので、往来そこまで気にはしていなかった】
【だけどUFOなのかと言われれば何とも言い難い】
【それゆえに難しい表情を浮かべながら少年の横に腰を下ろした】

…UFO的な何かですね。

【結論が出なかったので取りあえず考える事を放棄】
【少年の言うとおりUFO(仮)と呼ぶ事にした】

分かりました。簡単に説明しますとですね――――

で。この下の丸いのが電源ボタン。今開かれているのは設定画面
このカメラみたいなマークの下にあるのは今まで撮った画像の閲覧画面
あとは―――

【難しい言葉で言うなと言われたために、比較的難しくない言葉で伝える】
【それに少年が円盤をもっているお陰である程度、少年の知識力も把握できてきている】
【伝わってくる少年の知識量を元に少女は物凄く分かりやすく説明を続けた】


これで一通りはお仕舞いですね。

【一通り使いこなすに必要な操作はある程度伝えた】
【カメラの使い方や画像の加工方法、インターネットの繋ぎ方にメールの送受信方法】
【更には電話帳への繋ぎ方や追加方法まで、ありとあらゆる基礎を簡単すぎる言葉で説明し終えた】

983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 00:12:06.35 ID:q8WYG4T50
>>981
「道案内も楽しそうだけれど…………私ももう少ししたら用事があるの
――――ふふ、それにバッチリなら元々問題は無かったわね」

【くあ、と欠伸をすれば月を見上げて、其れで目を細くした】
【金の髪、その姿。紛う事なき人間の幼子に見えるけれど、漂う其れは完全に異なった存在である事を告げていて】
【丸い月。電気が通らなくなったこの街を照らすには十分すぎる程の光量。その明るさを、楽しむ様でもあり】
【それでも――――なんて言葉を続けたならば、紅茶を一啜りして】


「此処で平気なら、確かに街を抜けるには十分ね。私も何かあるのかなと思って来てみたのだけれど、特に面白そうな物がある訳でも無いもの
不思議なお話よね。それでも、不吉な街だーって人間達は騒ぐんだから
……後、お月様にあげちゃう位なら、自分で食べちゃいたいと思わない?お団子」

【害を及ぼす気は無いのであろう。現に瘴気は失われずとも、攻撃を放つ其れでは無い】
【それ故に魔術を使う事も無ければ、椅子から立ち上がる事も無い。――――だからと言って暢気クッキーを囓り茶を啜る姿は何処か滑稽だけれど】

【この街を一通り見てみたとの言葉。続いて、特に“何も無かった”との結果】
【――――魔族が来て“原因”が失せたのか、元よりそんな物が存在していなかったのかは分からない。……否、分かっていたとしてもこの少女だけか】
【月見の日に、月に見せびらかせて団子を食う何てなんとも罰当たりな発言とも思えるが…………それはそれで、その種族らしいか】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/31(木) 00:26:43.98 ID:kK/NhB6Zo
>>983

【旅とはいくつものすれ違いで出来ているなんて言葉は誰が言った話だったか】
【今日偶然出会い意気投合できている奇妙な少女に青年の方はほとんど警戒を見せていない】
【たまたまあった人々と談笑するのもまた旅の醍醐味、なんて考えている始末である】


本当に何もないんだここ……しっかし本当に静かだよなこの辺、ムクが言うからには
もうずっと前からゴーストタウンだって話だけど、もしかしなくとも誰かに攫われちまったんじゃないか?

『普通に考えれば、この場所をかつて住んでいた者たちが捨ててしまっただけに過ぎないと思うがのう』


【犬の方も彼女からは特に敵意を感じない事を悟り、攻撃的な姿勢はひとまず引っ込めている】
【それでもまあ、己の相棒たる青年と負けず劣らずマイペースな女子、とちょっとだけ失礼なことは考えていたが】
【お団子の話はこの青年も思う事があるらしく、こくり、と頷いて彼女の言葉に賛同する】


そうだね、俺も実は花よりお団子派だったりするんだ
お月見の直前までその日が満月だって知らなくてお団子用意するの忘れてパニくってたんだよね

そういえば名乗っていなかった、俺は剛田 剛太郎!よろしくね、こっちはムクだよ

『……うむ、適当に覚えておけい、魔物の小娘』


【ぶっきらぼうにそうとだけ答えるムクと呼ばれた犬、彼はもともと気難しい性格の人物なのだろう】
【決して愛想の良い人柄をしていない、そんな彼を連れる剛太郎のおっとりした気質と重ねてみると】
【まさに凸凹コンビという呼称がふさわしそうな者たちだ、決して悪い人間でもない】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 00:29:05.96 ID:DWuUGlq/0
>>982


なるほどなー……何もしてへんのに……! っちゅうやつは、やっぱり俺が何かしとるんやな。
ちょっと、分かった気、するわ。………おおきに、な。


【分かり易い説明だった。少年は徐々に、其の仕組みを根本から理解し始める。】
【『ほー…』やら『へー…』やら安っぽい息を漏らしながらも、説明が終わる頃には基本的な動作は出来る様になっていて。】

【―――能力で、説明に必要な基本的なシステムのプログラムは、余す事無く十分に読み取れたのだろう。】
【そして此の少年の、機械、特にW-Phoneに対する知識量も、膝の上の円盤に拠って察知する事が出来た筈だ。】

【然し。其の両者を総合しつつ、其の誰の眼にも明らかだという事を、少年にでも理解できる様、分かり易く伝えると言うのは、】
【其れは別の―――、つまり"頭の良さ"が必要な筈だ。機械さえ上手く扱えないが、其の事に少年は気づいて居て。】
【直接褒める事は、照れ臭くて出来なかったが―――、感謝の意を述べると共に、素直に感服するのだった。】

【もしかすると、其の事自体も読み取られているのか、なんて思うと、少年は少しだけ、顔を赤く染めて。】


……あ、せっかく、やから。……教えてもろーたお礼に、何か、おごったるで。


【公園は丸で縁日の様に、露店が並んでいた。"せっかく"と言うのは、そういう事。】
【事細かに教わったまま帰すのは忍びないと思ったのだろう。少年は其のお礼をする、と申し出るのだった。】
【断るのも受け入れるのも、勿論、彼女の自由だ。若し受け入れたのなら、祭りに有る様な一般的な露店の中から、】
【彼女の好きな物を選んで、少年に買ってもらう事になるのだろう。無論、此の少年の性格を考えても、気兼ねする必要は無いのだが―――?】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 00:42:22.54 ID:q8WYG4T50
>>984
/っと、申し訳ないです!
/ちょっと呼び出し入ったので、凍結或いは此処で適当に別れたとの方向で補完して頂ければ幸いであります……!
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/31(木) 00:43:14.95 ID:esj7nMJvo
>>985

そうですね。基本このような機械が誤作動を起こすなんて事マズ考えられません
という事は貴方が変なところを押したのか、それとも故障か…

もし故障なのであれば、私か組織の人にでも言って下さい

【能力のお陰で嫌と言うほどに情報が雪崩れ込んでくる】
【決して不快ではないが、相手の表面的な情報が次々と知識として追加されていく】
【流石にデリケートな心理的な部分は見えないように、自分でブロックを掛けている】

こういう時は…貴方なら素直になるべきだと思いますよ

【相手が照れているという事を能力ではなく、自身で察知する】
【その後に続いた言葉は今までの少年の事を総合して、一番少年に似合った動作を促す物】
【きっと照れている事には気付いていないのだろう】

奢れる財政状況じゃないですよね…
そういうのは財布の中がギッシリになった時にでもしてくださいな

【少年の照れ隠しを冷たく突っぱねたかのように思えたが、その後の言葉がそれを否定する】


W-Phoneの電話帳。新しく『マリフィネス』のページ追加しておきました
テストも兼ねて連絡してみて下さい。後…こちらも登録しておきたいので

貴方の進歩を知れることが、今の状況下で最善な”お礼”です

【無機質な言葉――ではなく。ちょっとだけ恥ずかしそうなその言葉】
【そんな言葉を無表情で少年へと伝えた】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/31(木) 00:44:22.17 ID:kK/NhB6Zo
>>986
/おっと、では今日はこんな所で凍結で大丈夫ですよ
/おやすみなさい
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 01:04:08.67 ID:DWuUGlq/0
>>987


……え゙………はは、ははは………


【矢張り、見透かされていた。能力に拠る物では無いという事は分からなかったが、】
【少年にとって、考えている事が筒抜けだという事には変わりない。其れ故、】
【少年は詰まった様な声を出すと共に、後頭部を掻きながら、再び笑った顔を見せた。】

【其の照れを隠すかの様に膝に置いていた円盤を少女に押し込むと、返事を聞かないまま。】
【『よっしゃ!』と威勢の良い言葉と共に、勢い良くベンチから立ち上がった。】
【……が、振り返って少年の耳に飛び込んできたのは、何とも言えない答え。少年は、再び肩を落として―――。】


そ、そんなん、気にせんでええのに……俺、もう、おごったる、覚悟決めたんやけど……
まあ、そっちの方がええなら、そうするわ……何か、わるいな……

【少女の語調が変化しつつある事に少年は気づく。勿論、少年のお財布事情は冷えてさえ居たが、】
【其れよりも何となく、"気遣い"が感じられた。とすれば、少年も強引に奢る事をする筈も無くて。】

【立ったままに右のポケットを探っては、W-Phoneを取り出した。矢張りぎこちない両手の操作であるが、】
【彼女に的確な解説を受けた今回は、順調の様。簡素な効果音も、比較的リズミカルに響いた。】

【2分程経てば、『出来たで!』の明るい声。普通の人にとっては何気ない事なのだが、此の少年にとっては達成感が得られる物らしく、】
【随分と、満足そうな顔をする。―――が、今迄の機械音痴さ、を考えると矢張り本当に出来ているのかが不安な様で、】
【彼女の方をチラチラと見て、のチェックを待ち望んでいる。―――勿論、少年による連絡は、キチンと出来ていた。】
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/31(木) 01:14:11.53 ID:esj7nMJvo
>>989

あれ?もっと楽しそうに笑ってくれないんですか?
こういうのって面白い…んじゃありませんでしたっけ?

【少年の諸々をわざわざ口に出してみたのは何も気遣いのつもりだけではない】
【先ほどの「夕飯当てたらおもしろいやん」的な発言に則った束の間のユーモア】
【即ち物凄く遠まわしな少女なりのジョークとも言えよう】

別に…貴方のお財布をもっと寒くさせる気は毛頭ありません
それでしたら繋がりが出来た方が私は嬉しいと思いますよ
ええ…多分嬉しいです

【食べてなくなる物より食べれなくて滅多になくならない繋がりの方が嬉しいと少女は言う】
【それが自分にとって嬉しい事なのかそうでない事なのかはわからない】
【だけど不思議と心の中に光が差したようなそんな気分だった】


『ピロリロリンッ』

【暫くして少女のポケットから機械的な音が鳴り響く】
【少女はその音を聞いてポケットから黒い携帯を取り出した】


おめでとうございます。合格です

【少女の持っている携帯の画面に表示される数字の列】
【それをみて少女は一瞬だけ口元をほころばせたように見えた】
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 01:38:08.94 ID:DWuUGlq/0
>>990


え、あ、ああ……いや、コレは、その……
見透かされたんのと、それは、ちょっとちゃうかな、っちゅうか……


【ユーモアなんて感じる間は一瞬たりとも無く、少年は只管、其の返事に焦るのだった。】
【再び始まる、自分のジョークの解説。『もう勘弁してや……、』という悲痛の叫びは、彼女には届かなかった様で。】


なんか、俺、そういうの言えへんわ。いや、バカにしとるとか、そんなんやなくて……

照れくさいやん、なんかもう筒抜けみたいやから、思ったことそのまま言うけどな、
頭ええなーって、ちょっと尊敬しとったんよ。アホな俺でも、分かるように、ちゃんと教えるって、
結構むずいはずなんやけどな、いともたやすく、言う感じがな、もう、すごすぎやわー……ってなっとったんや。

……せやけど、俺も、嬉しいわ。友達、っちゅう奴やろ、これ。
………俺、そういう人、あんま居らんから。………その、………これから、よろしゅう頼みます。


【観念したのだろう、少年は其の時に思っていた事をそのまま、少女に話す。】
【矢張り照れ臭そうにしているのだが、其れは先程の彼女と同じだろう。】

【照れ臭いついでに、少年も彼女を知る事が出来て、出会う事が出来て良かったのだと言う。】
【友達があまり居ないと言い放った時だけは、少し暗い顔を見せたが。其れ以外は終始笑顔であって。】
【語尾を震わせながらも、此れから友人である事に、『よろしくお願いします、』とキチンと伝えるのだった。】


ほらきた! やっぱ俺、天才やったわー……!


【彼女の着信音がなれば、表情をパッと明るくさせて。自身の大幅な"成長"に喜ぶ事だろう。】
【ふと彼女に眼をやると、矢張り嬉しそうにしている。友人としての此の少女への信頼が強まったのは、最早言うまでも無く―――。】
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/31(木) 01:53:48.82 ID:esj7nMJvo
>>991

そうですか…じゃあ次は夕飯食べた物を…
多分胃の内容物で把握できるのかもしれませんが―――

それは少し気が引けますね

【少女のユーモアには何故かグロテスクさが付きまとっていた】
【勿論それを理解しているでもない少女は、どうしたら面白いのかそれを考えているのだろう】


尊敬?私のことを?
…不思議ですね、私は良い人でも完璧な人でもないのに
頭の良い人だったらどこにでもいますよ?
それに貴方に教えれたのは能力のお陰。私と言う人間が凄いわけではない…

【尊敬しているという言葉や凄いなんて言葉が少女の心の隙間に浸透する】
【心が渇いていると言うわけではなかったが、何故か少年の言葉は心を潤わせた】
【あまり感じた事の無い感触に君の悪ささえ覚えたが、何故かそれが嫌だとは思わない】
【少女の今まで生きてきた中でも5本の指に入る程の不思議さだった】

…世間一般的には友達と言うんでしょうね。私もそれ以外の呼び名を知りませんが…
こちらこそよろしくお願いします


【笑顔の少年を変わる事のない表情で見つめながらペコリと頭を下げてみる】
【きっとこんな状況ではこうするのが正しいはずだと思ったから】


…表現の誇張ですね。天才ではなく凡才Cと言ったところです

【一般的な操作をおぼえ喜んでいる少年に”正しい表現”と言う名の言葉のヤリを投げつける】
【だけどその後にもう一度優しい声で「おめでとうございます」と呟くのであった】


/二日続けてゴメンなさい!睡魔が限界です!
/凍結でも〆でも其方のお好きにしてください
/本当に申し訳ないです
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 02:11:32.42 ID:DWuUGlq/0
>>992
/コレ以上長くするのもアレなので、〆の文書きますね!
/というわけで、おやすみなさいです!ありがとうございましたー!
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 02:39:10.45 ID:DWuUGlq/0
>>992


……なーんか、卑屈やなー。自慢ちゃうけど、俺、誰にでも褒めるようなタイプやないからな、
もうちょっとこう……威張ってええと思うで。……まあ、アホから頭いい言われても、ピンと来んやろうけど。

……いやいや、大袈裟言うなよー……さすがに、俺天才ちゃうのは、分かっとるでー……
そこまでふまえた上での、……ジョーク、やから……うん、凡才Cなら、十分やわ。


【と、少年は何気なくW-Phoneの画面を見る。上部に表示されていたのは時計だ。随分と、遅い時間を指していた。】
【げっ、と言いたげな表情をした所で、W-Phoneをポケットに押し込み、少年は申し訳なさそうに口を開く。】


……すまん、悪いんやけど、もうそろそろ、行かなアカンねん、
ちょっと、仕事、あってな……結構、急ぐ、から、………えっと、ほな、また。


【"結構急ぐ"と言うのは本当らしく、別れの挨拶も適当に、彼は速めに其の一歩を踏み出す事だろう。】
【―――然し此れは、"別れ"では無い。だからこそ、少年は彼女に振り返る事無く、進むべき道を真っ直ぐ歩んでいって。】
【やがて、流れる人の往来の中に溶け込む事だろう。足早である故、直ぐに姿は消えて行った筈だ。】


【―――時が流れ、其の目的地に、もうすぐ着くかという頃。歩きながらに気づいた様、再びW-Phoneを取り出して。】
【初めに比べれば随分と慣れた手つきでメールの画面を表示、宛名を"マリフィネス"に設定して―――。】


【 きょうは たのしかったで なんか きゅうに わかれてもうて すまん 】
【 こんど あったとき ちゃんと うめあわせ するから       】
【 たのしみに しといてな それじゃあ また        ねこやま 】


【と、本文。平仮名だらけの文章故、機械音痴さは未だ残っている様には感じられるものの、】
【メールをスムーズに送信出来た事自体、出会う前と比較すれば、かなりの進歩と呼べるのでは無いだろうか―――?】

【ピッと、送信ボタンを押した所で、ポケットに押し込む。向かう先はいさ知らず、少年の足取りは、随分と軽やかな物だった。】
【冷たく吹き付ける風を諸共とせず"仕事"へと向かう一つ影は、満月の光に照らされて。少し大きく浮かび上がった筈だ―――。】


/コレにて〆と言う事でお願いします!
/二日間有難うございました〜楽しかったです〜!
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/10/31(木) 03:25:18.41 ID:q8WYG4T50
>>984
「ええ。人も動物も、なーんにも無いわよ
――――こんなに沢山家があるのに誰も居ない、何て不思議な話よね。住む場所は沢山在るのに、住む人が一人も居ないんだもの」

【数多くの建物は在れど、其処に住むべき人間は一人も居ない。何時の頃からか、それは分からないけれど――――】
【朽ちること無く、住まう人間が現れる事を心待ちにして居るであろう其れ等。皮肉な事に、噂によって此処に住まう者はもう現れないのだろうけれど】
【建てた人間達が住まない。それは何とも滑稽な話】


「アリス。その前にも後にも、何も付かないわ。その三文字が私の名前
――――剛太郎にムク、ね。もう少しお話をしていたかったけれど」

【一匹と一人とに視線を向け、名を反芻したならばもう一度視線は夜空へと】
【虚空に伸ばされた手。その指先が一つの陣を描いたならば、表れるのは古めかしい一冊の本】
【――――擦れてしまい、最早タイトルすら読み取れなくなった其れの適当なページを開いたならば、不可思議な詠唱】
【……その場にあったティーセットも消えればトン、と立ち上がって】


「もう、“時間”ね。そろそろ行かないとみんなを待たせてしまうから
――――剛太郎、それとムク」

【確かに、其れは本。本なのだけれど――――少女が伸ばした腕は、中へと吸い込まれていた】
【物理的には有り得ない事。然れど、魔道具の一種と考えれば納得も出来るか】
【完全に中へと入る前、名を呼んだならば立ち止まり】


「貴方達が長生きすれば、また会う事もあるでしょうから――――何時かまた、お話をしましょう?
その時は、今日みたいな明るい月が見えていれば良いわね」

【微笑み一つ浮かべれば、そんな言葉】
【パタリと本が閉じたならばそれっきり。瘴気だって途端に途絶えてしまい、少女の居た名残は一片も無かったそうな――――】

/只今帰宅しましたー……
/ちょっと今日来られるか微妙な所になってしまったので、勝手ながら〆の方で返させて頂きますね……!
/お疲れ様でした、お相手有り難う御座いました―!
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/10/31(木) 22:11:01.71 ID:z9ejZqE8o
【一面に緑広がる草原、その中を――――木が歩いていた】
【そういう表現の仕方だとかいう訳ではなく、文字通り、木が歩いているのだ】
【根を足のように踏み出し、前へ前へと歩いて行く姿はまるで、人間の動きを見ているようで】

【そんな木の無数に広がる枝、その内の一本、太く伸びた枝の上に腰掛ける黒い影が一つ】

【黒のゴシックドレスに黒のサイハイブーツ、長い黒髪は頭の両横で二つに纏めて】
【指先から肘までを純白の手袋に包んで首元に小さな銀十字をぶら下げた、そんな女であった】

――――――――ふう

【読んでいた本―植物学者の著書か―に栞を挟んで、溜め息を一つ】
【幹の隙間に取り付けた燭台の炎が、女の緋色の瞳を照らし出して】

【街路樹よりも少し低い程度の高さとはいえ、草原を歩く木など居合わせる者がいたなら目を引くだろうが―――】



/使い回しですが……
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/31(木) 22:40:00.66 ID:NNfvUN0jo
>>996

【地響きが鼓膜を揺らす、樹木の奏でる足音は軍靴の騒音にも似て】
【ざわつく音色の味気が如く、月夜に浮かび上がるのだろうか】
【黒夜に踊る緑が乱れる様子は幻想的な光景のよう】

【――――――だからこそ招かれざる、虚ろな魂を呼び寄せる】

【轟音が一つ、地鳴りの上に滑走したなら】
【炸裂する爆薬の後に、銃弾が一発、女の頭上、直ぐ上を掠めようとする】
【動かなければ、その艶やかな黒髪の直ぐ上、太い幹に一発の銃痕が刻まれるだろう】


全ては巡りあいだ、俺が此処に現れたのも、貴様が此処に居たことも
せめてその本が、貴様の遺言の参考になる事を願おう

――――――貴様に恐怖を、見せてやろう


【白銀のセミロングの髪を靡かせて、長い前髪から鋭く青い眼を覗かせる】
【やや長身でスラリと伸びたボディラインを濃い青のストライプのシャツで包む】
【燕尾服調の高級そうな黒のスーツとネクタイ、細く長い指先はシャツと同じ色の手袋】

【男性らしからぬ女性的な端正な顔たちは、まるで仮面を貼りつけたかのように無表情で】
【陰鬱な雰囲気を纏う、儚い印象を与えそうな青年が前方から姿を表す】
【肩の高さで伸ばした右手の先には大型の自動拳銃が握られている】

998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2013/10/31(木) 22:41:58.38 ID:H3OWhNUGo

【繁華街】

【すっかり夜も更けたこの時間帯。しかし、街灯の下を歩く人々の影は減る気配がない】
【ハロウィンという一年一度のお祭り騒ぎが、彼らの心の中に熱気と好奇心の火を灯し続けているのだ】
【大通りには魔女やら吸血鬼やらが練り歩き、派手な電飾で飾り立てた夜店が悪魔の誘いのように人々を呼び込んでいる】
【楽しげな喧噪で満ちる世界。だがその少し外側には、彼らとは別の理由でこの夜の魔力に惹かれてきたものだっていて】

…………♪

【にせものの化け物と彼らの纏う光に逐われ――――闇を纏って歩くほんものの化け物は、肩身も狭く路地裏を歩いていく】
【細い道を駆け抜ける、銀色の風。ざらつく妖気≠ノ塗られたそれは、枷から解放されたように自由に飛び回る】
【その風を辿っていけば、そこにはひとりの少年が、鼻歌交じりに歩いていることだろう】

【それは一見、黒いブレザーに赤いネクタイという学生服を着て、左手に学生鞄を持った男子高校生だった】
【前髪を上げた茶髪と適度に着崩された制服は、いかにも今時の高校生といった感じだ】
【ただ、平均身長よりやや下の背丈やどこか幼い顔つきのせいか、威圧的な空気は殆ど感じられない】
【時間を鑑みて推測すれば、それは羽目を外して遊んできた帰りの高校生といったところなのだが】
【そんなありふれた光景に煙る銀色の妖気≠ェ、ざわりと陽炎めいて彼の実像を揺らがせている】

【魔力を帯びる今宵の夜長。人か化け物か、その境界に立つ少年と、もしも出会う者があるとすれば】
【それが人か、化け物かはさておいて――――きっと、今夜の風に魅せられた者であるのだろうか】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/10/31(木) 23:07:04.09 ID:v0q/5F3Ho
>>997

【草原に響いた銃声にも女は動かなかったが、“別の物”が反応として生じた】

【幹から突如として伸び出たそれは、鮮やかな緑の蔦】
【幾本かずつが絡まり合って伸びていき、女の頭部を守るように小さな壁を編み上げて】
【削られ、弾丸を食い込ませながらもその壁は勢いを食らい、防ぐだろう】
【ギリギリで食い止めたというべきか―――必要最低限で済ませたというべきか】

……折角の読書の時間を邪魔するだなんて、無粋な方ですのね
この本は遺言の役には立たないでしょうが―――私の授かった能力の参考にはなりますわ

【緋色の瞳が彼の姿を捉えれば、奇妙な事に木は縮んでいき】
【やがて女が地に立つ頃には、残った物は本と炎の消えた燭台だけ】

そう、全てが巡り合いと言うのなら、貴方が私と“この場所で”出会ったというのは―――貴方の不運、ですわね

【す、と女が前に腕を伸ばしていけば、二人の間、太く大きな茨が現れる】
【それは足元に広がる草を踏み倒すことなく、ただ、そこに“現れる”】
【そうして現れた茨は、その周囲を半周程、ぐるりと薙ぎ払って】

【長さとしても大したものではないし、何より単純な軌道を描いた攻撃】
【直撃すれば重い衝撃を与えるだろうが、避けるのは極めて容易であろう】

【―――炎が消えた今、二人を照らすのは月明かりだけ、けれど今はきっと、それで十分で】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/10/31(木) 23:16:29.48 ID:NNfvUN0jo
>>999

【月明かりに溶ける彼の背中、さざめく草原の揺れが彼の軌道を伝える】
【靴の底で地面を叩き跳躍、なぎ払う茨を縦に飛び越える形で回避したなら】
【双方の距離を埋めつつ、そのスラリとした体躯を、再び影に顕現した】


……なるほど、言うだけの事はある
だが決してこれは俺にとっての不運ではない
貴様がどのような能力であろうと、否――――――相手がどのような能力であろうと

能力を持つ者全てが俺の敵であり、俺の殲滅対象となる
場所がどこであろうと、俺が能力者と相対した時、そこは墓場≠セ

俺か、貴様のな


【左足を後方へと下げたなら、直ぐ様地面を蹴って前方へとその身を投げ出す】
【燕尾服の長い尾が夜に滲んで、彼の蒼き姿を一葉の風へと変化させる】
【さざめく草原の色合いを深い蒼へと染めていくのだろう】

【数歩で互いの距離を駆け抜け、貴女の前方へと接近しようと為す】
【低い姿勢での疾走は僅かな乱れもなく、その口元に表情もなく】
【ただ淡々と料理の行程が如く進められる】


カノッサ機関¨o.4
Fear, Seven for Four

――――――俺の名前を手向けに、死んでゆけ


【フィア、と名乗った青年は右手の銃を突きつけようと為すだろう】
【銃口に乱れはなく、下から上へと翳すように無骨な黒を投げかける】
【低い体勢のまま、懐へ潜り込み、そのまま顎から頭を撃ち抜く軌道だ】

【接近を許したなら、そのまま直ぐに銃弾の発射までこぎつけるだろう】
【だからこそ、迎撃のチャンスは接近にこそある――――――】
【接近を止められたなら攻撃せず、彼もまた迎撃へと転化せねばならないのだから】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
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1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
モバP「スマホを買った」 @ 2013/10/31(木) 23:01:05.77 ID:UsyfAU2cO
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さやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」【後編】変身形態の物語 @ 2013/10/31(木) 22:57:52.80 ID:1AXtC1Ug0
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P「みんなの川柳力を試そう」 @ 2013/10/31(木) 22:50:57.75 ID:3VCdxx250
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【安価】モノクマ「うぷぷぷ、少年ジャンプは面白いなぁ」 @ 2013/10/31(木) 22:32:22.30 ID:SPSbWnRw0
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金剛「ヘーイ提督〜♪」提督「何?」 @ 2013/10/31(木) 22:29:15.27 ID:kvkSPiiG0
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P「馬鹿なこと言うんじゃない」 @ 2013/10/31(木) 22:09:25.83 ID:ROPhZHEgo
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【艦これ】秋雲「なーに、提督?」 @ 2013/10/31(木) 22:05:50.26 ID:6HEYlEz10
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