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【人と人が出会えば】能力者スレ【そこに物語が生まれる―。】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/17(日) 16:58:04.76 ID:TsTEMHjT0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
•この世界は「多様性のある世界」です。
•完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
•弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
•戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
•基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
•書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
•描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
•他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
•「コテハン」は禁止の方向で!
•基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
•スレチなネタは程々に。
•スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
•基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
•国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
•他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
•時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
•特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
•あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
•全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
•能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
•エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1383137049/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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グレみんと快楽の座 @ 2024/05/17(金) 22:24:15.47 ID:DUS3Z54Xo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715952254/

【習作】安価コンマでワンピース @ 2024/05/16(木) 21:19:27.48 ID:QUcgFIEu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715861966/

テンリュデネ・ゾー @ 2024/05/14(火) 20:47:34.15 ID:aewHWgbao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715687253/

薬師とか錬金術とか、田舎とか @ 2024/05/13(月) 23:03:05.43 ID:nAT+1SmNo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715608984/

【安価】刃牙の世界で美少女が活躍するようです @ 2024/05/12(日) 21:23:05.29 ID:vRdDvVa7o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715516584/

I'll never be complete without you. @ 2024/05/11(土) 21:32:24.15 ID:u/oaqw4e0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715430743/

テオノーマルさんの集い @ 2024/05/11(土) 17:52:36.77 ID:EjZidX+r0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715417556/

(安価&コンマ)苗木「仮面ライダー龍騎?」山田「TVSPですぞ!」(ダンガンロンパ) @ 2024/05/11(土) 16:21:44.19 ID:20Z4yGJVO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715412104/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/18(月) 00:24:30.59 ID:niv7TfaVo
いちおつですぅ
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/18(月) 00:54:31.97 ID:niv7TfaVo
>>993>>997>>999
「――――知るかよ。倒れたくねぇから倒れねぇ。
そういうもんだろうが――――ッ!! 落ちろやァ――――――ッッッッ!!」

【谷山は――駆ける。自己の肉体をすりつぶすような、通常ではあり得ない機動を以て】
【そして、その速度を急に止めれば、恐らく膝が曲がってはいけない方向に曲がってしまう】
【故に、相手が剣を召喚しようがなんだろうが――谷山は、前へと駆けなければならない。そして、それで良い】

【己の右肩に向けて放たれる機械の大剣。それを見れば、肉体と融合したアートマンの右腕が砕け散る未来は予測できる】
【だが――知ったことか。前へ進むと決め、背後には己の作った道を駆ける仲間がいる。ならば、先への道を敷くのは己の役目だ】
【力がなくとも、意地汚くとも。――任せられた役目、道を開くことだけは――達してみせる。それは、正義でもなんでもない。青年の意地だ、男としての挟持だ】

【右肩に大剣の切っ先が食い込んだ。そこがアートマンの部分であれば問題はなかったが――肉にも食い込んだ、骨が引っかかる】
【――激痛が駆け抜ける。だが既に、己の右腕には命令を下した後。ならば――役目は前へと駆けること。逃げてはならない、逃げれば負けだ】
【前へと出した左足を追い抜く形で右足が前へと出る、そして地面を強く、強く踏みしめた。踏みしめる理由は、唯一つ。走り、道を作るためだ】
【脚部の筋肉が生み出す圧力は、地面という媒体を通して反作用を起こし、彼の肉体を前へと進める原動力となる――即ち、加速】
【後ろに退けば仲間が斃れる、敵を倒せない。そして、攻撃を食らったのならば後ろに退いても前に進んでも傷を負うだけ。ならば問題はない】


  【――――――駆け抜けた――――――】


【硝子が砕けるような音を立てて粉砕するワイヤーフレームの右腕。そして――振りぬかれた刃=z
【右腕が分離する直前の手応えは、あまりに空虚で抵抗のないもの。それは当然だ。なにせ何も切っていない≠フだから】
【ただそれでも、右肩の切断面から鮮血を吹き出し崩れ落ちる谷山の肩越しの視界には――膝を着くフリードリヒの姿が見え】
【ちかりちかりと脳髄の警告で点滅する視界、思考を無理矢理に起動させて――声の限りに谷山は叫ぶ】


「――――道は通したぞ――――ッ!! あとは――――任せたッ!!」


【糸の切れた操り人形の様に、全身から嫌な音を響かせて、顔面から地面に倒れ込みながら、谷山はそう叫んだ】
【意地で通した道だ――後に続いてくれると信じてつけた道だ。この道を、二人の剣士が駆けてくれる事を、谷山は祈った】
【通ってくれ、と。そして、谷山が血肉をまき散らし、ノイズを散らして作った道に追従する姿が、一つ。転がる谷山の視界の端に映り込む】
【そしてもう一つ。初めて男が見せた、力のかぎりの加速――斬撃、それに感銘を覚えて。崩れ落ちたまま、二人の勇姿だけでも、見送ろうとした】

(格好わるいが――戦いは本業じゃねェしなあ。
――――せいぜい格好良く編集してニュースにしてやるさ……、だから徹してくれよ……ッ!!)
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/18(月) 00:54:51.39 ID:Gv0xjU2ao
いちおつです!!
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/18(月) 00:55:31.04 ID:Gv0xjU2ao
>>987>>995
【痛みが、人形の身体を、そして魂を、苛み続けている】
【鉄片に、円盤に、切り刻まれた全身が痛む。気を抜けば、すぐにでも倒れ込んでしまいそうだ】
【存在そのものが凶器とでも言うべきか、サイファーの振るうその力、変幻自在の兵装の数々】
【目にしただけで戦意をくじかれかねないそれらの前に、必死に自分を立たせる】

(……ただ見下すだけならともかく、視線はねこまるさんから外してない……技術者の観察眼ってわけか)
(でも、そのままこっちを舐めていてくれれば……)


【GIFTに名を連ねるだけはある。サイファーの実力はギアなどはるかに凌駕している】
【だが、ギアは一人ではない。肩を並べるねこまるがいる。ギア自身とて、まだ折れてはいない】
【だが、最初に受けたダメージが大きすぎた。おそらく次の一撃が、最後になるだろう】


(あの状態から、あんなに飛ぶなんて……いや、見とれてる場合じゃない。これなら、『スピンブレード』がきっと活きる!!)

【ねこまるの、驚異的な連撃。あのサイファーが防戦を余儀なくされている】
【自分の貧弱な攻撃が、ねこまるによってサイファーの間隙を突く一撃へと変わる】
【威嚇が悲鳴に。解き放った『スピンブレード』が、ただの独楽がギフトの精鋭たる彼女に一矢報いた】


ハハ……どうだ、見たか……!! おもちゃだってバカに出来ないだろ……い、っつぅ……

【体勢を崩し、怒りに吼えるサイファーに、挑発的に言葉を投げるが、直後それは苦痛による呻きに代わる】
【全身を切り刻まれたことによる激痛が、今更のように知覚される。一度感じてしまえば、歯止めが利かず】

【この状況から、何が出来るか。眼前のサイファーに、一撃を食らわせるにはどうすれば。ギアの脳裏を、自分の持てる力で打てる手が駆け巡る】


はっ……くぅっ……!!!

【侮れる相手ではない。ここに至っても、油断はできない。どんな隠し玉があるか知れない】
【歯を食いしばりながら、ギアは動いた。ギアの右手が腹へ突き込まれ、引き出されたのは一丁のちゃちな拳銃】

【銃口にボクシンググローブが付けられた拳銃。ねこまるの攻撃に合わせ、この一撃でサイファーを確実に打ち倒すべく】


『パンチング・ガン』――――!!!

【引き金を引く。ワイヤーに繋がれたボクシンググローブが、サイファーの顔面目がけて発射された】
【先ほどとは逆に、少しでも自分に注意を向けさせる。ニ対一であることの利を最大限に生かすため】
【顔面への攻撃ともなれば、どうしても少しは意識が向くはずだ。見た目はおもちゃでも、このグローブ自体、当たれば実際に成人男性による殴打程度の威力がある】

【わずかでもこれでサイファーをかく乱できれば。ねこまるの攻撃がそれで通れば。ギアはあくまでサポートに徹しようとした】
【攻撃の成否にかかわらず、引き金を絞った後、ギアの魂は限界を迎え、その場に膝をつくだろう】
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 01:02:28.04 ID:Z+hM9q8po
>>915

【たまたま、目の前の妖狐が戸締りを忘れていたために起きたつかの間の偶然】
【それもまた一つの良い経験として吸収できた、そう感じる剛太郎は満足そうに笑みを浮かべている】

【また一口、注がれた酒を口に含み、剛太郎は陽気に受け答えをしてくる】


へえ、どこの人が作った酒なのかな……またどこかで飲めればいいけど

今日は結構ついてた、こういう偶然でもないと新しく瑚蝶と友達になれなかったからな
ありがとうね、俺も今後は各地でよい経験を積もうと思っているよ……お酒ごちそうさま

「邪魔したな、またいずれ会う事があれば次はワシらの推す酒でも飲めればいいのう」


【酒を全て飲み終わると、瑚蝶がその場から立ち去ろうとするのに合わせて彼らも立ち上がり】
【その鎖を手にしてまた引きずる形にしながら、剛太郎は彼女に背を向けて】


そうだね、怪我でもしないうちに今日はウチに帰る事にするよ
その人にもよろしく伝えておいてね!―――じゃあまた会おうぜ瑚蝶!

「達者でな……ではついてこい剛の字、帰り道もワシが先導しよう」


【別れの言葉をつげ、彼女が木々の間に消えていくのを見送ったなら、彼も再びずる、ずると音を立て】
【どこかおっとりしたその青年はその場からゆっくりと去っていくのだった―――】

【←To Be Continued...】

/では遅くなりましたがお返事をお返しいたします
/度々のお付き合いありがとうございました!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 01:17:00.63 ID:Garo70rlo
前スレ>>996

【鋼で出来た彼の体が防御を灼けた熱気は攻撃を】
【そして、ボクサーのようなフットワークで繰り出される彼が抜かりなく培った経験が】
【風を斬る如く、重たい体をなんのそのと動かして、ダメージを与えていく】
【そして、大きく振りぬけば少年の体を容易く吹き飛ばし、骸骨は首をゴキリと回した】
【こちらも、息を切らせているのかもしれない。しかし、それは骨から分かることは無いだろう】

【がしゃり、がしゃりと一歩歩く度に金属が鳴る。乗馬ブーツの裏に取り付けられた靴底の金属は】
【カツ、カツとまた別の冷徹な音色を辺りに響かせる】
【ただ死して歩く、物言わぬ兵士の屍が無表情にそこに立っていたのだった】

……………ッ!!

【骸骨は周りの異変に気がついた。両手を見ればキチキチと火花が小さくいくつも散っていたのだった】
【辺りのその風を見回す、轟々と鳴り響いて。少年からすれば幸運だろう、術中には完全に嵌っている】

【骸骨の被っている黒い制帽が飛んだ。風に巻き込まれ、轟々と姿を消す】
【それでやっと骸骨は対処せんと動いた。両手が袖の中で変異する、真っ赤に灼けて金属が変わる】
【両腕を腕から剣の形へと変えたのだ、真っ赤な色が収まるとそれを振り回す】
【せまる瓦礫などを次から次へとやたらめったらに切断しようと動かしているのだ。大きい物は可能だろう】
【だが全てを斬り払うことなど到底不可能だ。嵐が彼を蝕み、小さな礫が当たれば不安定によろめいて】
【視界が悪い中、ただ轟々という風の唸りと骸骨の金属が鳴り響く】

【だが、風は強くなる。人よりも重い骸骨は少しばかり忍んでいたがついに耐えかねて】
【その両手の剣を真っ赤に燃やし床に突き刺して、しゃがんで見を縮め、迫り来る嵐に堪えることにした】
【全身が嵐が襲う…熱を持った体が冷えるのだ。骸骨としてはそれは寿命を縮めることと同意と言ってもいい】
【ガリガリと床に2本の線を残す。風が彼を吹き飛ばそうとするのを抗う証拠だ…しかし、敵わない】

【ごう。と風に吹き飛ばされれば瓦礫に巻き込まれ……そして風は止む】
【止んでみれば骸骨は居ない。瓦礫の山が壁に積もって、傷跡ばかりが部屋に付いているだけだ】

【次の瞬間、その瓦礫の山から一本の剣が姿を現す。山はガラガラと崩れて】
【中からボロボロの軍服を来た、両手が剣の骸骨が這い出てきたのだった】

【一歩、一歩ゆっくりと歩く骸骨。しかし、その度にピシ、ピシと細かい破片が落ちるのだった】
【熱された金属のような体の彼は冷えることでその可動に支障が出る】
【それ故に短期決戦が本意だったが。今回は荒れ狂う風の中、熱を使用して変異させたことが】
【特に、体への負担が大きかったのだ。ボロ布のようになった黒衣の間から彼の心臓…ナイフが刺さっているところに】
【彼を燃やし尽くした赤黒い炎と同じものが心臓のように燃えたぎって居るのが見えることだろう】

【彼は両手を元の手に戻した。また、剣に戻すのには長い時間を要することになるというのに】

……今ダ…見………見セヌ……手立て…ハ………ある………カ…?

【骸骨は問う。先程より声は人間より遠い。変質している】
【少年が見極めるように、彼もまた見極めようとしてるようであった】
【少年と同じように、骸骨もまた見ての通り手負いであった】



//>>1乙ですー!
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/18(月) 01:23:21.32 ID:IcWPqYMko
全隊へ告ぐ、>>1乙だ。繰り返す、>>1乙だ!

>>995>>5

【『INDEPENDENCE DAY』の電磁バリアが、過度なダメージを受けて火花を散らす。しかし、未だその電流が途切れることは、無い。】
【脆弱、と呼べるだろう。だからこそのシールド。だからこその、遠隔操作兵器。だからこその―――レーザー砲。つまるところ、彼女は】
【どこまで現場に慣れていようが、結局は科学者でしかなかったのだ。執念とも呼ぶべき忍びの連打、その圧倒的な技術と】
【絶対に攻撃を当てると言うギアの強い意志、二つに挟まれた彼女は今現在、防戦一方と化していた。しかし、しかしだ。】
【単なる技術屋であって、格闘戦に慣れ親しんだ存在ではないという事実を、最もその肌で理解しているのは、彼女自身でもある筈。】

【で、あれば何故―――何故、この女は戦場へと躍り出るのか。単なる現場主義、そう彼女は言っていたが、これでは余りにお粗末だ。】
【此処で彼女の瞳に宿る意思の変化に気付くことが出来るのならば、惨劇は避けられるだろう。しかし、どうだろうか。】
【現状、攻勢を極めているのはねこまる、ギアボックスの両雄であり、攻め時を間違えれば彼女に屈する事もまた事実。】
【ねこまるの加速、そしてそこから放たれる"蹴り"に対し、彼女は咄嗟にシールドを構える。が、衝撃だけは消しきれなく。】
【ガツン、という音とともに派手な体勢で後方へと吹き飛ばされるのはサイファー本人だ。単なる蹴りにここまでの破壊力があるとは思わず。】
【さらにそこへ飛来するSUPER8、そして後方から迫るギアのパンチング・ガン―――コンビネーションは決まった。】


                               【―――かに、見えたが。】



                        調     子     に     乗     る     な      



【―――おぞましい、この世の全てを恨み、憎み、呪っているかのような、地の底から響く悪魔の如き声で。サイファーが、唸った。】
【瞬間、飛来した円盤が回避される、つまりはねこやまを通り過ぎる直前―――"起爆"するだろう。もちろん、他の円盤も一斉に。】
【同時に、火薬を撒き散らし、悪意の爆弾となりて、役目を終えた円盤たちが次々に爆発、爆発、爆発―――!!】
【パンチング・ガンの先端が飛来しようとしまいと、もはや関係ないといった体。爆風と煙で、一瞬視界が遮られるだろう。】
【之ほどの衝撃、ねこまるとギアにダメージがなくとも、サイファー本人は大きな怪我を負っている筈―――しかし、だ。】


                              ―――"ショート・サーキット"―――

                             第二段階 広域反重力脚部装甲 『E.T.』

                           第二段階 多重爆撃胸部重装甲 『DISTRICT 9』

【ドウ、ドウドウ―――という、強烈な機械の作動音。同時に、煙を打ち破るようにして現れたサイファーは三度、銀光に包まれており。】
【新しく生成した武装は同時に二つ、その様相はもはや、先程までのサイファーとは異なっており―――】
【胴体に装着された超大型のフルアーマーには、ミサイルの砲塔が幾重にも広がり。更に、脚部に装着された巨大な金属のブーツは】
【煙が晴れると同時に起動、怪しい光を発しながらなんと―――その瞬間、サイファーは確かに、宙へと"浮いた"。そう、飛行しているッ!!】

【正確に言えばそれは浮翌遊、であって。もはや全力で叩き潰すことに余念は無く。顔面から流れる血が、口元から毀れた血液が】
【彼女の美しいピンク・ブロンドを染め上げているが―――何より恐ろしいのは、その瞳か。灯す輝きは憎悪に満ちた、それであって。】

 く、ふふ……ッ、ふふ、ふふふふふふ……ッ!! もう、もう、いい……知った事か、実験途中の兵器だろうと関係あるものか……!
 叩き潰してやる、粉砕してやる、粉微塵になって私の視界から消えうせろ、前時代の残したゴミめがッ!!

                              デストロイ・キル・ゼムオールだッ!!

【叫ぶと同時。胴体を完全に覆う形で装着された強化装甲のミサイル・ハッチが開き、見下ろした眼下の通路目掛けミサイルを一斉に、発射!】
【小型の爆薬が多重になって雨のように降り注ぎ、ついで"MIB"のレーザー砲撃までもが、二人を頭上から襲う―――!!】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage !red_res]:2013/11/18(月) 01:30:54.41 ID:xF6FnnPS0
>>997>>999>>3

―――ック!?………馬鹿な、これほどまでの力を行使してまだ理性が…!?
ま、まて………来るなッ!クルナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!

【フリードリヒはめちゃくちゃに魔導銃を乱射してアンジェルの歩みを阻害しようとするが、もはや遅い】
【恐怖を覚え、半狂乱になっているフリードリヒの右腕が―――宙に舞い、握られていた魔導銃は虚空へと投げ出された】
【べちゃり、血と共に落ちてくる右腕………そして鮮血の吹き出す右肩を………フリードリヒは震えながら見る。】

【体当たりを行った後、魔獣は召喚者のフリードリヒが多大なるダメージを受けた事により存在を維持できなくなり消滅する】
【そして右肩から鮮血を吹き出しよろけたフリードリヒの元へと―――音速の壁を越えた………超越的な加速を持った瑛月の突き≠ェ貫く】

………ガッハァァァ―――!
―――それが、貴様の、無能力者の、ヒトの刃だというのか―――馬鹿な………。

【腹部を貫かれ、口から鮮血を吐きながら刃から逃れるように後退するが―――超越的な加速によって放たれた刃はとんでもなく深く突き刺さっている】
【明らかに致死量に近い血を流しながらも、フリードリヒは未だ生きており、ヒューヒューと掠れた荒い息を吐きながらよろめく】
【焦点の合っていない瞳は虚空を眺め、そしてガクガクと膝は震える。】

【一度、倒れている谷山と眼があるが………もはや意識も無くなりかけているフリードリヒには見えていないのかもしれない………だが】

―――マダダッッ!まだ私は倒れては、私の意志は潰えてはいないッッ!!
お前たちを道連れに………無貌の神≠顕現させ―――ッ!

                    ≪そこまでだ、辞めておけフリードリヒ。≫

【フリードリヒが最後に残った力を振り絞り、魔導書を起動。先ほどまでとは比較にならないとてつもない魔翌力を増幅させていくが】
【その途中で―――声がした。そしてフリードリヒが視線を向ければいつの間にか近くに戦っていた4人とは別の、新たな人物が現れていた】

あ………すまない………―――私…は…。

≪謝るな、よくぞここまでこの手練れたちの前で耐えてくれた………おかげで目標も達成した、あとは私に任せて貰おう≫


≪―――さて、お初にお目にかかるな、UT≠フアンジェル・ベルジュロン、そしてSCARLET≠フエース中邑瑛月、Justice≠フ谷山基樹
 私は、GIFT<<塔oーの一人にして鉄の国侵攻の指揮を務めているW/ダブル≠ニいう者だ、見知りおきを願おうか。≫

【現れたのは―――全身を灰色のロングコートと白銀の装甲服で包み、紫のバイザーの灰色のヘルメット型の仮面を付けた人物だ】
【変声機を使っているようなエコーのかかった声でフリードリヒに語りかけるとフリードリヒはその場で倒れる。】
【未だ息はあるようだがもはや戦闘続行は不可能だろう………W/ダブル≠ニ名乗った男はフリードリヒの前に阻むように立つとそう告げる】
【………先ほどの戦いを見ていたのだろうか、全員の名前を知っている。】


 ≪―――さてここで提案をしよう、我々の当初の目的は達成した………これ以上の戦闘は無意味だ―――よって撤退を宣言しよう
       良ければ見逃して貰えないか………?君たちとてこの場でこれ以上血が流れるのは御免だろう?≫

   ≪だが、先ほど言った通り私は鉄の国侵攻の指揮官だ―――つまり、ここで私を斃せば計画はそこで終わる。≫

   ≪フリードリヒの借りもある、君たちが望むのなら一撃£度なら付き合うが………どうするかね?≫


【ダブルの提案はとんでもないモノだ、これから撤退するから見逃せと言う、そして当初の目的は達成した≠ニいう】
【奥の建屋を見れば―――一部突き出していたはずのアイアン・イーグル≠ェ無くなっている………!】

【もしここでごねればソレがどう使われるかも分からない、だがGIFTの鉄の国侵攻の指揮をしているこの男を斃せば】
【その場でGIFTの一団は崩れ落ちるという可能性もある………これはピンチの中で絶好のチャンスでもあるが………果たして】
【今の所、この男は丸腰だ………だが只ならぬ気配≠感じる。一撃≠セけ付き合うという真意は不明だが、一同はどう答える?】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/18(月) 01:48:57.79 ID:w+FWEz8Zo
>>7

【少年の見る景色は、既に破壊と退廃の世界となっていた】
【原型が何だったのかもわからない瓦礫の山があちこちに散らばって、天井も床も吹き荒ぶ斬撃に切り飛ばされて、崩落寸前】
【転がっていた死体などは特に悲惨だ。彼らは死してその名誉を引き裂かれ、一切原型のない小さな破片が部屋中に散乱していた】
【その光景を作り出した張本人は、壁に突き刺した小太刀を引き抜いて立ち上がると、広がる地獄を睥睨して】

…………はは、凄いな。今のを防げるのか…………。

【弱々しい笑みで、それだけ言って。けれど妖気を宿した漆黒の瞳には、僅かだが戦意が残っていた】
【…………熱の喪失。全力で繰り出した竜巻を防ぎきられたのは相当の痛手だったが、しかし無駄ではなかった。その弱点≠ェ、少年の頭に刻まれる】
【体はもうボロボロで、長くは戦えない。しかし――――もう少しだけ、語り合ってみたいという欲求が、沸き上がって】
【戦うことでしか伝わらないものなんて、本当は信じてなどいなかったのに。少年は自身の心境の変化に、くすりと楽しそうに笑った後】
【――――獲物を前にした鼬のような相貌を男へ向け、言い放つ】

あいにく、ぼくに残った手立て≠ヘ多くはないですけど…………最後の一撃ぐらいは、いけますよ。
どのみち、お互い限界みたいですし…………これで、終わりにしましょう。

――――風錐<b!!

【そして、刹那。既に人の身では到達し得ない極限に、体中の妖気を集めて到達し】
【鋭い爪牙に野獣の如き眼光を携え、寸刻の間妖魔と化した少年は、男へ最後の突撃を試みる――――!】
【その右腕を軸として、銀色の風が猛回転を始める。それは今さっき使った竜巻を、極小のスケールに落とし込んで腕に取り付けたものだ】
【そして少年は、男の胸部――――ちょうどナイフの下辺りに擦り当てるような軌道で、竜巻を纏った右腕を勢いよく振り翳すだろう!】
【腕に接続された竜巻は、威力だけなら先程のものと同程度の斬撃能力を誇る。もっとも、規模は比べるまでもなく小さいので回避しやすさは段違いだが】
【しかし代わりに、妖魔と化した少年の動作は、男に接近する速度を取っても腕を振る速度を取っても人外じみて速くなっている。油断は出来ないだろう】

【――――それが当たるにせよ当たらないにせよ、少年に次の手はない】
【この最後の対話≠ノ対し、同じく人外と化した男は、果たしてどう出るのか――――】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/11/18(月) 01:51:44.66 ID:xDcrGarko
/>>1乙です!

>>999>>3>>9

【自らの振るった刃が、瑛月の繰り出した必殺の一撃が、谷山の創りだした道を駆け抜けて】
【その先で真っ赤な鮮花を咲かせるのをアンジェルは見た。そして、それが折れるのも瞳に収め】
【やがて崩れ落ちる肉体を、そっと小さな憎しみの篭った瞳で見下ろして。――意識は、別に引き寄せられる】

―――っっ!鉄の国進行の指揮官……GIFT頭目の一人って所かしらね!
丁重な名乗りは結構だけれど、譲れない……こっちにだって、ぁ……、――?

【W/ダブル=\―圧倒的な異存在に、そしてその言葉の端に浮かぶ単語に、焦燥感を覚える】
【ふと振り向けば、其処に在るべきものがない。生命を賭して守りぬいた――そのつもりになっていた】
【そのはずの弾道兵器が、見当たらない。なら撤退もまた道理、提案もきっと、嘘というわけではないのだろう】

……ふん、そこで『はいそうですか』って引き下がる様な奴、UTのメンバーには居ないわね!
それは勿論私も同じ……!ただの時間稼ぎに付き合わされたなんて、癪に障る――!
――『秋雨』ッ!!私の血を……奴を切り落とす分だけ、呉れてあげる……ッ!

【アンジェルの掌中、妖刀が身震いするような音を立てて、尚一層のこと妖気が強まった】
【ややもして出来上がるのは先にフリードリヒを切り落とした血刀に同じ。むしろ、色は濃さを増している程である】

【一撃――それだけあれば十分だった。そのはずだった。装甲服ごと、真っ二つにすれば良い】
【それですべての混乱が収まるのであれば、死地に行って、生命を既に捨てたような覚悟の今であれば】
【たった一刀、ひとふりに賭けても良いと、アンジェルは思った。――長大な射程の妖刀が、W*レ掛けて振り下ろされる】

【攻撃の特性は、これまた先に同じ。良ければなんてことはない面を狙った、兜割りにも似る安直な一撃である】
【まして手負いの彼女が放つもの。如何に人智を超えた状態でも、隙などはイヤというほど見て取れた】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/18(月) 01:54:50.41 ID:aXcMVZdA0
>>5>>8

【彼女の元へ飛来するSUPER8、後方から迫るパンチング・ガン、そして少年の蹴り―――。】
【全て計画通りに事が運べば、彼女はもう動くはずがない、と勝利を確信するのだろう。】
【左肩を押さえながら、フラつきながら、少年は吹き飛んだ彼女の元へと向かい、とどめを刺しに行く。】

【然し其の瞬間。彼女の此の世の響きとは思えぬ声を轟かせたと思えば、4つのSUPER8が順に爆破し―――。】
【ダメージは無かった。然し態々其れを爆破させた理由、其れが、一切として読み取れない。】

【一帯に蔓延ったのは、爆風と煙。思わずコホコホと咳払いをするが、少年の耳は確実に、異様な機会音を捉えていた。】
【其の方へと眼をやれば、―――飛行するサイファー。現状を理解するのに、数秒のラグを必要とした。】


……………―――――!


【―――其れは正に、無敵に見えた。其れでも少年は、彼女を包む金属の塊に対抗する術を、必死に、必死に考える。】
【取り敢えず今は、彼女の攻撃を回避する事に専念しなくては行けない。降り注ぐ幾つものミサイルの中には、】
【確実に少年の身体を捉えていた物もあった。他のミサイルの軌道を良く読み、ローリングで適切に回避、然し―――。】

【其の際に左肩の傷が痛んだ。正に少年の意識を奪い去ろうとする程の痛みに、少年は思わず膝を屈してしまう。】
【瞬間、少年の身体を貫いたのは、又、レーザーであった。―――今回も又、左肩。穴は2度の貫通に、少し大きくなって。】

【少年は其の侭、倒れ込む。左肩を守る様に蹲って見るが、其れは何の意味も成す事は無く―――。】
【敵を翻弄しつつギアを庇う所か―――自分が先に、こうして悪に折れようとしていた。】
【勿論、未だ其の闘志を失った訳では無い。然しその傷は―――小さな身体には、余りに重すぎた。】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/18(月) 01:55:12.47 ID:epzuJzwj0
>>前1000

【突き出される銃剣に鋩を向け相殺する。動作は軽く刃先を合わせる程度。其れで、銃剣そのものを停止させるには十分だと踏んで】
【だが、それは計算通りだったのだろう】
【何れにとっても、確実に―――――、】

…………ぁ、くうぅ――――――――っ!

【リザードマンが砲撃を放つ。この男の揮う“力”の大きさを実感する。】
【地を揺らす衝撃は膝に伝わり、二撃目が束の間の均衡に割り込んで襲った。不規則な軌道を描く第三射――被弾後の隙に追撃を受ける、】
【刀身の均衡を保ったまま、剣士は身を捩り躱した―――躱す事を試みた。だが叶わず、何れもに深々と血肉を抉り取られて】


【――――――生じる違和感。俯く少女が、頽れずに――――銃剣に掛かる力が薄れていない、】

【―――――“逃れさせない”。銃剣を太刀で抑え込む様に、上から押しつけて封じ込めんと試みている。】
【見抜ければ拘束の力点を逃れ追撃も、距離を再び離すことも出来るだろうか。けれどそれが叶わなければ、邪禍本体は、恐らくは動けずに】
【銃剣を離せば待つものは追撃/冷たい予感が封じようとする。避ける術ならあるのかも知れない、が――――、】

…………―――― い、わね……

【肩口を抉られ、腹部に大きな傷を負い。全身を軋ます傷を受けながらも、何事か柊が呟いた】
【それは面を上げて続けられる。血の気が僅かに薄れた顔で、――――けれどどこか微笑う様に、】

温いのよ―――――――――――
ねぇ――――――本当にこんなもので人を殺して、創り変えられるとでも想ったの?
……あまり、大言壮語が過ぎると――――――

【均衡を解いて斬りつける刃、右の肩口から斬り込まんとする突然の一刀。】
【少しでも届けば刻み込む追撃――――――胸の表面をなぞる様に、臓器に達する寸前の深さを狙いながら、“切断”の刃を垂直の斬り下ろしで放って】

―――――このまま叩き潰してしまうわよ。
逃げられるのなら選んでも良いけど……!

【明らかに温度を変えた兇剣の言動。寧ろ、まるで悪として彼に牙を剥く様――――、】
【冷徹の業と言の葉を以て再び剣士は剣を揮う。致命傷を齎すことだけはなくとも、彼の戦力を奪わんと試みる様に―――――。】
【しかしリザードマンへの警戒は邪禍への集中から薄れ、動けるならば虹色の瞳は好機を見出せる筈――状況は様々な手に委ねられて、】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/11/18(月) 02:00:18.96 ID:EhINQgzYo
>>3 >>9 >>11

【右腕に赤い線が何本も走り、そして裏崩山の勢いに両足が踏ん張れずに前方へと身体が宙を舞う。そのままぐしゃりと地面に瑛月の身体が落ちた】
【捨て身の一撃は全力の一撃、もう既に立ち上がり戦闘を続けられる程の力はない。そんな力があるならば先程の一撃に籠めている】
【刀はフリードリヒの腹に置いたまま、余りの勢いに手を離してしまった。否、そもそも握力も尽き果てていたのだ】

……ッハァッ、ッぐ……―――こ……れで……ッッ!!

【かろうじて意識を保てているが、咄嗟に立つことなど到底出来ない状態で。地を這いながら身体をフリードリヒの方向に向け、突き刺さった彼の刃を確認した】
【―――未だに抗おうとするフリードリヒの姿に血の気が引いたが、彼の言葉を黙殺して新たな声が耳に割って入ってくる】
【誰だ―――という思いよりも先に来るのは「目標も達成した」と言う言葉、そんな筈はない、其処の奥には―――と顔を奥の建屋に向けたのだが……】

―――な、なぁ……っ!! 何故……!? 何故無い……!? 糞、貴様ぁぁあッッ……ッグ、ぐぉおおおッッ……く、そ……!!

【―――無い。無いのだ。守っていた筈のモノが、無い。困惑と虚無感が一気に満身創痍の身体に重く伸し掛かってきた。自分達が戦ってきた意味が、霧散した】
【……遅れて心内に充満する憤怒の炎。今すぐにでもこの謎の男を成敗せんと立ち上がり―――否、足が動かない。睨むことしか出来ないという、この惨状なのだ】

【―――そして直ぐに感じた。「武」を極めんと修行しているからこそ解る、「強者」の匂い。……足が動いても、剣を握り締めていたとしても】
【……敵わない。正義の炎とか、そんな心だけで誤魔化せる相手じゃない。そう思い知った瞬間、アンジェルがW/ダブル≠ノ牙を剥いていた】

――――――……止めろアンジェルッッッ!!! 無駄死には避けるんだッッッッ……!!!

【動かない自分は、叫ぶことしか出来ない。―――今まさに、彼は己の無力に打ちひしがれていた】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/18(月) 02:03:38.83 ID:niv7TfaVo
>>9>>11>>14
【死にかけの状態で、それでも最後の命を振り絞りながら魔術書を捲り力を解き放とうとするフリードリヒ】
【しかし、それを止める影が1人。ダブルとなぞる謎の存在。――――理解した、これ≠ヘ不味いという事が】
【血反吐を吐きながらもむりやりに身体を引きずり起こし――鮮血を垂れ流す右肩を押さえ込みながら、肉体をマニュアル操作≠ナ動かし立ち上がる】
【右腕に意識を向けて次第にアートマンの腕の再構成を開始しているが、完全な状態での再構成にはもう数十秒はかかるだろう】

「――俺は抜けるぜ。今ここであんたを倒すのは理に適ってない。
ダブル、って言ったか。…………まあ、なんだ。偉そうにしてるが――寝首掻かれないように気をつけておきな」

【欠けた身体で、異能の唯一宿る左目を細めながら――相手を睨みつける】
【そして、その敵愾心の大量に宿る視線を向けながらも、谷山は冷静に引くことを選択した】
【この状況で、この一瞬で、相手を屠れるだなんて思い違いはしない。刺し違えてでも――否、一方的に刺されるだけだろう】
【だから引く。無駄な時に無駄な命を捨てる真似も、無駄な手間をかける真似も、谷山は行わない】
【吹き付ける風によってただでさえ失血で下がった体温が更に下げられて、顔色は青ざめているのを通り越して土気色になっていて】
【それでもマニュアル操作によって強制で支配されている肉体は微塵も揺らぐこと無く、目の前の仮面の人間を睨みつけることを可能として】

「――――俺の拳は他の連中の剣とか能力とかみたいになんでもぶっ壊したりできやしねぇ。精々気に入らない奴の顔面はったおす程度にしか使えねぇ。
だがな――俺のペンは万の世論を動かす力だ。――――世間≠舐めんじゃねぇぞ、強者風情。
剣で切れるのは人か精々鉄くらいだが――ペンは時に国を、時代を斬る。……俺の前に姿を晒したのが運の尽きだと思っておけ。
痛烈に、鮮烈に。お前を見逃した後に、お前の居ない場所でお前らに俺は打撃を放つ。だから見逃してやる――血が流れるのは本当に、御免だからな」

【――そして、真っ直ぐに言い放つのは、武力の限界についての話だ】
【暴力によって従えられる物も、実現できるものもそう大したものではないと、谷山は真っ直ぐに相手を睨めつけながら言い放つ】
【谷山の右目は、脳髄は――その間に目の前のダブル――その体格や、本来の声の算出などの作業を行い続けている】
【通常よりもパフォーマンスは落ちているものの、ソフト面でそれを補う。五感の一部をカットし、脳機能の一部を他の作業に回し、タスクを管理する】
【その上で、手に入るだけの情報を集めようと――只管に谷山は、目の前の相手を見つめ倒し、会話を続けることで観察の時間を伸ばそうとしていた】

【そして、己が命を捨てない選択をしたさなかに――アンジェルが一撃に駆けたのを、視認する】
【そう決めてそう動こうとした気持ちは、よく分かる。――だからこそ、止めはしない、そも自分に止めれる道理は、無い】
【ならば、谷山は見る。――死のうとも、生きようとも。結末まで、アンジェルとダブルから視線を外さない。その視界にダブルの力の一端でも掴めればという打算も抱きながら――】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/18(月) 02:07:37.56 ID:Gv0xjU2ao
>>8>>12
【決まった――そのはずだった。サイファーは、戦士より技術者としての存在だった】
【どれほど兵装が、能力が強力でも、本体を叩き続ければ勝機はある】
【そう考えていた。つまることろ、足りなかったのだ――警戒が】

【ねこまるの蹴りを受けて、吹き飛ばされたサイファーの姿を見て、心中叫びかけた快哉は、瞬く間に消え失せた】


――――!!! なんっ……!!!??

【地獄の底から響き渡るがごとき、彼女の声がギアの魂をわしづかみにした】
【このまま攻勢を維持し、一気にケリをつける。戦場において、あまりに安易な考えだった】
【その瞳に宿る意志が、さらなる変貌を遂げた事に気付いた時には、遅かった】


【爆発。人間が生み出した殺傷の術の中でも、とりわけ強力なもののひとつ。周囲にあるものすべてを問答無用で吹き飛ばし、蹂躙する】
【『パンチング・ガン』は、あっけなくそれに飲み込まれて吹き飛んだ。まき散らされる火薬に身を焼かれながら、ギアが後方へ吹き飛ばされる】
【視界の全てが爆炎と煙に埋め尽くされる。鉄の地面の上に倒れた状態からどうにか上半身を起こし、サイファーに視線を投げる】

(あの爆発じゃ、本人もタダじゃすまないはず……と、都合よくいくわけもない、か……)
ハハ……もう、笑うしかない、な……

まるで、人間大の空中機動要塞だ……要塞の中に、もう一つ要塞なんてね……

【その瞳に映る、その姿。それを覆う銀光の美しさに反し、あまりに無骨。あまりに豪快】
【ミサイルの砲塔をいくつも搭載したフルアーマー、サイファーの身体を空中に浮かせるブーツ】
【しかしそれらを持ってすら及ばない、彼女の瞳に灯る憎悪。ピンク・ブロンドを彩る鮮血も相まって】
【そのあまりの凄まじさに、もはや乾いた笑いしか漏れてはこなかった】


……確かに、そんなもの見せられちゃ、粉々にされるって言葉が少しも大げさに聞こえないな……
実験途中の兵器まで見せてくれるなんて、大盤振る舞いだね……

(こうなってしまっては、もう……やるべきことは、一つだ……)

【ギア・ボックスは決断した。直後、降り注ぐミサイルと爆薬の嵐。加えて、レーザーの一斉射撃】
【吹き荒れ、降り注ぎ、すべてを破壊する――――!!! 鋼鉄と爆炎が、この場のすべてを、サイファーの敵を、徹底的に砕きつぶしていく】

【ミサイルが、自分たちに到達する直前。ギアの履いていたスニーカーの靴底が、炸裂した】


『スプリング・シューズ』!!!

【身体をやや斜めに傾けた状態のギアの靴底から、巨大なスプリングが飛び出す】
【本来なら、真上に飛ぶための物。しかし、ギアの念を込められた『スプリング・シューズ』は、その意志を正確に反映し】
【ギアの身体を、その望む場所へと導いた――――】

【すなわち。崩れ落ちそうになっているであろう、ねこまるの頭上へ】
【飛び過ぎてしまうことのないように、その勢いまでも調整されて。ねこまるが、あるいはサイファーが何らかのアクションを起こさない限りは】

【ギアの人形の身体は、ねこまるを庇うように覆うだろう。ねこまるの頭上に自分の身を躍らせることで、彼へのダメージを少しでも防ごうとしたのだ】
【――その成否にかかわらず。ギアは、レーザーとミサイルの同時攻撃を全身に浴びて】

【その人形の身体は、バラバラに砕け散り、広大な通路のそこかしこに転がることとなる――――】
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 02:29:39.06 ID:Garo70rlo
>>10

【瓦礫の中に立つ骸骨は地獄の番人のようであり】
【そして、瓦礫の中の軍人はここが戦場だということを認識させるのだ】
【無機質に、常識の範疇での現実から最も離れているようだった】
【死して戦う。死せど戦う。軍人の心をその身で表す骸骨は死よりも寧ろ】
【固い生命に対する意志が刻まれているようであった】

【黒い骸骨は何も話さなかった。返答の代わりに足を開き、腕を構えて】
【ファイティングポーズを取ると、かかって来いと言っているようだった】

【風の様に、風そのもののように迫り来る少年に対しぶつかり合うのは一瞬の出来事だった】
【だが、先ず彼は避けようとはしなかった。ナイフの刺さる側の腕と足を一歩前に出し、ぎりりと床を踏みこむ】
【そして、懐に入り込む少年に向かって。ぐんと軸足を固く、蹴り足は柔らかく。相手の脇腹を狙って蹴りを放つのであった】
【斜めになった体は斜方になることで、ナイフの有る胸は気持ちばかり遠くなる。そして、胸の中心に食らわせることによって】
【固い胸骨が、急所を守るように体を動かしたのだ。これはボクシングを基礎だった】

【手はあるか。そう聞いた彼が最後に使うのは特殊な力でも何でも無く。抜かりなく鍛えたその格闘の技術と】
【幾多の苦戦と敗残の戦場を駆け抜けた彼の精神が。生きている彼の精神による最後の一撃だった】

【だが、それは単なる蹴りだ。最初のような異常な人外のスピードはなく、手練の人類の範囲でしか無い】
【蹴りの成否に関わらず、攻撃を受けた骸骨はガリガリと床に跡を残しながら数メートル吹き飛ばされていった】
【壁に背をあずけて、座り込む骸骨は動かない。…すると、腕がユックリと動いて胸のナイフを引きぬいた】

【また、燃え上がる骸骨。今度は青白い炎だった。メラメラと彼の命が燃え上がるように】
【しばらくすればまた生身の、元の彼に戻ったことだろう。不思議と初め着ていたコートはそのままで】
【怪我も何一つ内容に見えるが汗を大量に掻き、ごほごほと咳き込んだならば口と鼻から大量に吐血して】
【ナイフを右手に握ったまま、呆然としているのだった】
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage !red_res]:2013/11/18(月) 02:38:52.59 ID:xF6FnnPS0
>>11
  
  ≪―――クク、君ならばそう答えると思っていたよアンジェル君、だがGIFTに頭目など存在しない
 一人一人が信念に基づいて行動しているのみだよ、ここにいるフリードリヒなどは私の計画に賛同してくれたのだ≫

≪私としてもフリードリヒがここまで食い下がるとは思わなかった、彼の信念の力という訳だな
 ―――止めておけ、ただでさえ重症の傷だ………それ以上血を注げば今度こそ………境界≠超えるぞ……。≫

【冷静な様子でアンジェルの問いかけや言葉に返答する―――暴虐の限りを尽くしたGIFTの一員、それも今回のリーダー格とは思えない】
【限界まで血を注ぐアンジェルにしてもどこか気にかけるような、そんな口調で話すが………その瞬間に刃は振り下ろされる。】
【ズドンッ!凄まじい音を立ててダブル≠フ頭上から刃が振り下ろされ、土ぼこりが舞う―――そして。】

      ≪―――強いな。君が歩んできた道のりがどれほど険しかったのか感じるような刃だ………素晴らしい≫

            ≪―――だが、まだその力≠制御しきれていないようにも感じるな。≫

【ダブルは―――健在だ、なんとアンジェルの刃を右手一本で受け止めている………もちろん衝撃により手首からは血が流れ】
【右腕の装甲にもいくつの亀裂が入っているが………それだけだ、よく見ればダブルの右手に灰色の闘気≠ェ纏われている】
【その灰色の闘気≠フ気配は………アンジェルの鬼の力≠ニ同じような………人外の怪物の力≠含んでいるように見える】

>>14
≪………貴殿の達も存分に見せて貰ったよ中邑瑛月=c……だが残念だが今回はこちらの策の勝利のようだな
 安心しろ、いきなり首都の真ん中に打ち込むようなことはしない………来たるべき時に来たるべき場所で、な≫

      ≪―――つぎにもし出会う事があれば、万全の状態で私の前に立ってもらいたいものだな≫

【アンジェルの刃を受け止めたまま―――瑛月へと顔を向けるとそのような事を口にする………恐らく嘘ではないだろう】
【先ほどからの言動を見れば、卑劣な手段を用いて大量破壊などを行うタイプではないようだ―――戦闘においての手段は択ばないが】

【血に染まり転がる瑛月の刀へと視線を落として、彼の目の前に突き刺さるように投げ返しながらそう言葉を送った。】

//続きます


19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage !red_res]:2013/11/18(月) 02:39:16.05 ID:xF6FnnPS0
>>15
≪良い判断だ谷山基樹=c……その判断能力と情報処理能力―――かなりの脅威と言っていいだろう。≫

≪―――だが君の方こそ寝首≠掻かれないように注意するといい、君の扱う武器である世論≠ニいうものにな
 彼らは簡単に扇動され、流され………時にそれは理由のない悪意となって降りかかる事もある、私はそれを知っているよ≫

【今度は谷山へと視線を向けて、そう返答する―――そして賞賛の言葉を送ると共に谷山の言葉に反論する】
【そこには静かながら………どこか世間=c……そして世界≠ヨの巨大な憎悪が垣間見れるようであった】
【この人物の戦う理由に繋がっているのかは分からないが―――。】

【そして谷山の分析だが………このダブルと名乗る人物の全身は謎の灰色の闘気≠ナ覆われておりそれにより全貌が見えない】
【辛うじてだが、身長はそれなりに高いという事と………恐らく男性であるという本当に表面的な情報しか手に入らないだろう】

>>ALL

  ≪―――では約束通り一撃≠セ、私はこれにて失礼するよ………反撃は………彼女の信念に敬意を表して止めておこう≫

    ≪もう一度名乗ろう………私は灰色の魔人=EW/ダブル=c……この鉄くずの地に鉄槌を下しに来た―――。≫

【ダブルはアンジェルの刃から手を放すとそのままフリードリヒを担いで屋上の縁から飛び降りる………!?】
【否、違う―――直ぐに再び姿を現す、黒いガンシップ≠フ甲板部分に乗って浮上していき、そう宣言する―――】

【ガンシップの下部には―――件の兵器、アイアン・イーグル≠ェ括り付けられており、完全に奪取されたという事が明らかになる】

                    ≪では諸君、またいずれ―――。≫

【それだけ言うとガンシップは撤退の合図となる発煙筒を撃ちながら飛び去っていく………いずれ山の向こうに消えて見えなくなるだろう】

おーい!!皆無事か?いや………無事にはみえねーな………それで戦闘は?
さっき黒いガンシップが飛んでくのが見えたが、もしかして追い払うのに成功した………の……。

【そしてガンシップが飛び去った後に、軍部の医療班を連れたスカーレット隊員ディックホワイトが駆けつけ】
【辺りの状態から一同の勝利と勘違いし一度顔を緩めるが………その後にアイアン・イーグル≠ェ消えている事に気が付く】


【こうして―――鉄の国≠ナの戦いの序章は幕を閉じた、要塞のダメージは尋常ではなく、弾道兵器も奪取され】
【鉄の国の国際社会からの批判は避けられない状態となり―――鉄の国激進の勢いも衰え始めるのだった―――戦いは、まだ続く。】

//これにてイベントの〆とさせていただきます、ありがとうございました!
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/11/18(月) 02:44:53.50 ID:SEU3sF9Zo
>>13

「ヒャハッ、――どォだ、"進化"の力を思い知ったかッ」 「――要調整、だァがよ」

【幾ら人間に比べればよっぽど丈夫な悪魔といえども、己を保護する"殻"が受けたダメージを丸々無視出来る訳はなく】
【邪悪な魔翌力を帯びた血が地面に落ちるたび、じわりじわりと力を奪われて行く】
【表面上の態度はほんの僅かしか変わっていない、しかし観察力に長けていれば十分わかる――】

「こォのまま銃剣を押ォしこみ……ッ!」

【人間ならば、太い血管の一本でも裂いてしまえば呆気無く死んでしまう、だから銃剣を押し込もうとした】
【しかし、それは叶わなかった――太刀よりかけられる圧力が、それを邪魔した】
【加工もしていない銃剣自体に思い入れはない、例え破壊されようと後で回収すれば良い――】
【無理矢理押し込む事を諦め、その手を離そうとしていた】

【――だが、相手の太刀筋はそれより速かった、】
【宵闇に光る2本の銀の線、遅れて飛散する真っ赤な液体――間違いない、綺麗に入った】
【悪魔自身は今は"まもり"が無かった――硬い鱗も、反射の黒霧も。】 【耐久力だけが、己を保たせる柱だった】
【呻きながら数歩後ろによろめき、そして顔を上げて――】

「糞がァッ! おォっと、……――生憎、俺様を叩き潰せるモノは"聖"だけだ」
「塩基と酸、熱気と冷気、邪と聖――……そォれぞれを混ァぜれば真ァ逆のベクトルで中ゥ和されちまうからなァァアア」

【――悪魔の内臓は、意外にも色艶が良く綺麗だった、しかし――どこか作られたハリボテの様にも見えた】
【やはり、耐久力は並大抵ではない――本来ならば意識が一つ飛ぶどころでは済まないレベルのダメージを負っているのだ】
【が、明らかに劣勢。】 【――どうするか?】

「温ィのは、テメェーの方だぜェ?」 「さァっき一刀両断にしちまえば俺様は脚で立つことが出ェ来なかっただろォーによォ?」

「――ベテアポーソンッ!」

【左手の銃から弾丸が放たれる、そしてそれは今の相手の顔の目の前で炸裂するだろう】
【そして発生するのは周囲数十cmに散る霧、ただし反射能力を持たぬただの魔翌力の霧である――目眩まし、だろうか】
【故に物理的なダメージは皆無に近い、が――触れれば身体や魂を蝕むような、本能的に受け付けぬ奇妙で不気味な感覚を味わうこととなる】

【そして、リザードマンは唸った――自分の上司の危機に対して】
【担いでいた武具を投げ捨て、本能的に近い形で相手に飛びかかれば、肩や頭などにひたすら噛み付こうとする】
【鋭い牙と強靭な顎のコラボレーション。だが、先程のダメージは重く、見た目より力は大したこと無く――振り解くことも反撃も、どちらも容易い】

「ヒャハハハ――逃げる、なァーんて俺様はしィねェ」 「――――"戦略的撤退"なァらするけどなァァアア!」
「生憎、今ォ日は前に見ィせた"悪魔"形態にする余ォ裕がなかったものでなァァアア、"半分だけ"悪魔だった」
「つゥまり!」 「本気の俺様では無いということだ、ヒャハハハハハァーッ!」 「――……Fuuuuuck!」

【……色々言っているが、つまりは負け惜しみである】
【悪魔の足もとに出るのは魔法陣――グダグダ言っているため、最後に一撃くらい与えられる余裕はありそうだ】
【どうやら、続く先は悪魔の本拠地――下手にその魔法陣に入らないほうがよさそうである、あらゆる保証が出来ないのだ】

【そのうち――悪魔とリザードマン――そして武装の全てが闇となりそれに吸い込まれるだろう】
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/18(月) 02:45:50.52 ID:IcWPqYMko
>>12>>16
 
                      ハァ―――……ッ! ハァ――――――……ッ!
                               
                            う、く―――ぐ、はうぅ……ッ!!

             (クソ、駄目だ……ッ! ナノマシンの制御が機能に追いついて、いない……ッ!!)

    (矢張り試験運用にはまだ早かったか、ダメだ……ナノマシンが、体内から―――……大量に、欠損して……ッ!!)

【砲撃の、雨霰が止み。ミサイルを打ちつくし、レーザーの余りの出力に銃身が焼け付いて。爆発の匂いが周囲を埋め尽くした、その時。】
【バチ、バチ。という、電気が爆ぜる音が木霊する。一寸の間をおいて、『E.T.』と呼ばれたその反重力制御装置は、地面へと落下する。】
【何が、おきたのか。怒りに任せて使用した兵器郡、しかしそこにおいて"兵器"は、"兵器"だ。何故、何故―――サイファーはこんなにも】
【戦場を圧していたにもかかわらず、焦り、そして慢心相違の表情で墜落したのか。その答えはまだ、両名には分からぬやも知れぬ。】
【しかして、彼女の装備していた特殊な火器類、兵器の類は全てが再び、銀の光と共に消失していく―――その様を、もし。もしだ。】
【しっかりと見届けることが出来たのならば、彼女の謎がつかめるかもしれない。なぜならば―――】

【銀の光の、正体。それらは粒子状になった兵器を構成する一つ一つの"超微小機械粒子"であって、更に言えば】
【彼女の肉体、腕や足、切り裂かれた痕から多量に、半ば漏れるようにして今現在、流出しているからだ―――つまりは。】
【あの兵器郡は召還されているのでなく、その場で生成されていて。この微粒子がその正体、それらは彼女の体内から流動している、という事。】
【一斉に兵器を使用すれば、体内生成が追いつかなくなった微粒子が消失し、持久戦は続行不能になる、ということだった。】
【彼女の戦い方は、科学者の理論前としたそれとは大きく趣旨を違えた。肉体を削るような、そんな戦い方をしていたのだ。】

【もちろん、これに気付けるかどうかは注意深く、彼女を観察していた場合にのみ、限る。しかし、彼女はそれでも立ち上がって。】


  ……ふっ、ふふ……愚かな、無能力者などに、、味方し、挙句正義を騙る貴様等など―――……必ず、消し去ってやる……
  能力者も無能力者も、関係あるものか……私はこの世界の"理"を……成り立ちを、否定して……う、っぐ……はぁ…んっ……!

           ―――忍者。そして……っ、玩具屋よッ! 今宵の実験は……ここまでとしよう、か。
   だが見ていろ、私は私の……理想のために剣を振るう……それは貴様たちと同じだと言うことを、教えてやる……!

      ……なにが、能力者だ。こんな、忌み嫌われた力など……授かって、何になると言うんだ……ッ!!
              忌々しいクズ共め、覚えていろ……私は貴様たちを、"覚えた"ぞ……!!


【吐き出されたそれは、まさに呪詛に等しい。何を意味しているのか、この世の理とは何か。そして、何故彼女は―――】
【GIFTに属していながら、最後の最後、能力者を忌む言葉を紡いだのか。もはや、謎が謎を呼ぶサイファーの目的とは。】
【現在はそれを知りえる術は無いだろう、ただ―――たった一つだけいえるのは。彼女は彼女の、譲れぬ何かを持っていると言うことだ。】
【そして真の強者とは、その願いを武器に戦う者である―――サイファー、GIFTの誇る科学者にして戦闘員。彼女は最後に】
【白衣の内側から幾つかの閃光手榴弾、そしてスモーク・グレネードを取り出し、自身の周囲にばら撒いて。】


【―――煙が晴れたとき、もうそこに彼女の姿は無い、筈。幕引きは一瞬のことだった。大打撃を受けつつも、サイファーは撤退。】
【二人は要塞の兵器類を守り抜くことには成功している、勝利は勝利だ。しかし、彼女とはまたどこかで、きっとぶつかることだろう。】
【恐らくは遠くない将来、再び狂気を凶器に変えて、サイファーは世界へと、能力者へと、無能力者へと挑むのだ。】
【それをとめることが出来るのは、ギアやねこまるのような"正義"を胸に抱くものだけである。戦いは、激化の一途をたどる―――。】

/と、そろそろ時間も厳しいのでここいらで撤退させていただきますっ! お付き合い頂きありがとうございました&お疲れ様でしたー!
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/18(月) 03:00:40.04 ID:w+FWEz8Zo
>>17

――――ご、ほっ…………!!

【小振りながらも確かに繰り広げられる斬撃の嵐は、男の胸部に小さくないダメージを与え、そして人外の腕力がその体を大きく吹き飛ばして】
【それと引き替えに、鍛え抜かれた躯と技術から繰り出された蹴撃を、少年は為すすべもなく受けることとなった】
【ボロボロの少年にガードする余裕などなく、例え出来ていたとしても…………研ぎ澄まされた格闘術を防ぐことは、きっと不可能だっただろう】
【派手な吐血と共に、少年は地面に叩きつけられ。ただ人外の丈夫さだけが、その命を繋ぐ最後の綱となっていた】

…………げほっ、げほっ…………。
あぁ…………佳乃の気持ちがちょっとはわかった気がするな。
こんなにボコボコにされたのに、何だか気分がいいや…………。

【口元を拭いながら上体を起こす少年の周囲に、妖気の銀色が濃厚な色彩を描いているだろうか】
【それは攻撃のためではなく、全身に妖気を回すことで妖怪≠フ状態を保ち、治癒力を促進しているようだ】
【…………とは言っても、もはや戦える状態でないのは明白で。この世の闇を詰め合わせたような双眸も、霧の掛かった夜のように朧げに移ろっていた】
【その顔には、不思議と笑みが浮かぶ。自分だけに向けられた呟きをひとつこぼすと、少年は男へ向き直るだろうか】

ふぅ…………ありがとうございました。
GIFT≠フ事は結局、わからなかったけど…………あなたのお陰で、答えは出た気がします。
あぁ、そうだ。ぼくの名前は鳴子一颯といいます。近々仲間になるかも知れないし、そうでないかもしれません。
…………それじゃあ、失礼しますね。どちらにせよ、また会えるといいな…………。

【最初に浮かべていたのと同種の笑みを、鳴子一颯と名乗った少年は、浮かべているだろうか】
【正義≠ネのか悪≠ネのか、全く判然としない表情…………いや、この少年は今まさに、その岐路に立っているのかもしれなくて】
【苛烈な殺し合いを演じた相手に、少年は満足げな笑みを浮かべる。生も死も、正義も悪もなく、ただ子供のような言葉を並べれば】
【――――小さな風が、舞う。最後の力で放たれた斬撃は、しかし天災≠ナ砕け散った床板を破壊するには十分で】
【少年の体は瓦礫と共に作戦室の床から落下し、真下の別の部屋へと落ちていって――――そして、立ちこめる煙の中に消えるだろう】

【鉄の国の動乱など、壊れた価値観の外へ放り捨てて。今宵、少年はGIFT≠ニ出会い、その半身をそちらに浸した】
【己が理想のため、悪≠フ中に身を窶すひとりの男との戦争を経て。果たして少年は、その先に何を見極めたのだろうか――――】

/この辺りでしょうか!
/深夜までお付き合いありがとうございましたー!!
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/11/18(月) 03:07:09.45 ID:xDcrGarko
>>14>>15>>18-19

っ―――!そんな、っ……私の、『秋雨』の一撃が……!?

【ガチガチと、手元で柄が音を立てる。押して、圧して、それでも1mmも刃が進まない】
【受け止められたというだけではなかった。その後も、全く力を込めるも、効果が一切見えて来ない】

【真実を言えば、それは別にアンジェルとダブル≠フ筋力の差だとか、そういうことでは無く】
【振りぬけなかった≠ニいう時点で、アンジェルの身体が限界を迎え、刀を握ることが限界になっただけであって】
【つまり刃を受け止めているダブル当人などは、今の彼女の行動を児戯と捉えることも出来るのである】

【――しかし、その手首を僅かでも傷つけ、装甲にヒビまで入れたのだ。殊勲賞モノの一撃だったのは違いない】
【それでもアンジェルからすれば全身全霊の一刀だった。だからこそ、受ける衝撃も桁外れであり――】

知ったふうな口を……ッ!お前に私の……わたし達の今までの何が分かるっていうのッ!
それに、敵に気遣われる程子供じゃない!自分の限界も、それを超えているのも分かってるわ!
それでも……私の生命は、誰のためにならと勘定して散らすものじゃない……!散るときには、歓んで散ってやる……ッ!

……ッ!!どうして『秋雨』の事までっ…あなた、一体……―――ァ……?

【自分のことを見透かされたような言葉数に、思いがけず全身が強張って力んでしまうが、折が悪い】
【その時ちょうどダブル≠ェ刀から手を離したのである。自然、切っ先は血を捉え、アンジェルはガクリと膝を折ってしまった】

【最後の一撃は、完全に受け止められたのだ。その上で、慰めだとか、叱咤だとか、そういう類の言葉をかけられた】
【恥辱≠セった―――アンジェルは櫻の侍や、彼らの心持ちを知らないが、彼らが持つプライドに似たものを持った人物だ】
【そこで面目を潰されるというのは、最も好くない。自分よりも上≠フ者が、妙に畏まって話すのが、人を侮辱するのと同じであるように】
【全く格上の相手に、敵に。自らの道を諭されるような今の状況は―――兎に角、心底、それは最悪なのだった】

【しかし、悔し涙すら零すアンジェルを敵は待たない。飛び降りるや、ガンシップに乗った彼が目に入る】
【同時に見えるのは守るはずの弾道兵器。一層の悔しさがこみ上げて、地面をしとしとと濡らしてゆく】

【悪態を吐く余裕も、ディックに返す言葉を言う余裕も、どちらもなかった。刀をふと、手放せば】
【彼女の髪の黒や、瞳の朱やらが一挙に抜け落ちて、全身からドッと汗のように血が滲み出し、大地を汚していく】
【――ベチャリと。アンジェルが斃れた時の音はそんなもので、当然のごとく既に意識は失われていた】

【負けたのだ≠ニ―――彼女がそれを理解するのは、もう数日後。病床の上、魘されて起きたその時で】
【世界情勢よりも、仕事をしくじったことよりも、自分一人の敗北を、彼女は苦い思いで噛みしめるより他に無かった―――。】

/お疲れ様でしたー!
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/11/18(月) 03:08:47.19 ID:EhINQgzYo
>>15 >>18-19 >>23

【―――思い知らされた。嘗めてかかっていた訳じゃない。同じメンバーのロウも、GIFTメンバーに敗北したと聞く】
【其れ程のスペックを持つ集団であることも承知していた筈だった。だが―――これ程に迄に脅威であるとは、思っていなかった】
【カノッサ機関を並ぶほどの巨悪、其れがGIFT。―――緋色の盾が、金十字の矛に粉砕されたのだ】

……―――ッッ……!! 

【声すら出なかった。出す余力も尽き果てていたのだ。ただ無言で、己の無力さと悔しさを噛み締めることしか出来ないまま、男は医療班に運ばれるのであった】
【―――やはり、無能力者では敵わないのか。……信じていた己の力すら、疑い始める程の絶望。―――今初めて、心の刃に罅が入ったかに思われた】
【……力が欲しい。もっと多くの人を護れる盾になりたい。こんな惨めな思いはしたくない―――のだが】
【肉体の限界は知っている。コレ以上筋肉を増やしても動きが鈍るだけだ。技術も唯刃流の技は全て会得した。技を作り、実践レベルに昇華させることの難しさは知っている】

【―――能力も無ければ、魔術を操るセンスも無い。体格も大きくなければ、足も早いわけではない。……―――浮かび上がる2文字は「限界」】
【……――もう自分は、強くなれないのだろうか。あのダブルに勝てるような力を、無能力者が得られるのか。―――視界が霞んだのは、涙のせいだったのだろうか】


/お疲れ様でしたー!
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/18(月) 03:13:53.52 ID:niv7TfaVo
>>18>>19>>23>>24
「――ミイラ取りがミイラになっちまうようなら、ジャーナリスト失格だぜ?
俺は煽動もしねぇさ。ただ問うだけだ――てめぇらの行いが、正しいかどうかを、世界にな。
議論は起こるだろう、テメェらが正しいって言う奴も居るだろう、テメェらが間違っているという奴も居るだろう。
――――その結果で、俺に連中の刃が向かうってんなら、甘んじて受け入れるさ。死なない程度にな」

【警告じみた、W/ダブルの発言。だが、その世論の危険性は、とっくのとうに理解していたことだ】
【そして、世界に対する強大な悪意。何か憎しみを抱くことが有ったろう事だけは間違いなさそうだが――大した問題ではないと判断する】
【悲劇など世の中には溢れている。あふれた悲劇の犠牲者であろう事は確かに同情に値するのだろうが、それを抜きにしても目の前のものは谷山の敵だ】
【それで十分。そして――GIFTは谷山が追うニュースの対象として、彼の脳内のタスクの上位に登録されることとなった】

「――――やることが出来た、か。――――悪いな、止められなかった」

【無表情。努めて感情を隠した表情で、やってきたSCARLETTの構成員にそう謝罪をして】
【勝手に治療道具を使い止血だけ済ませると――谷山は、そのまま無言で立ち去っていった】
【思考するのは、彼らにとってどこにあのミサイルを落とすのが一番効果的なのか。そして、ミサイルを落としたとしてどうするのか=z
【目的を達せなかったことも、確実な敗北を喫した事も、確かに悔しく、そして悲しく、怒りを覚える】

【だが、それらよりも優先しなければならないことが有るならば――谷山は、そうするだけだ】

【谷山が武力で敵う相手など、そう多くはない。ならば――それ以外で戦うだけ】
【土気色の顔のまま路地裏に入り込み、谷山はそのまま情報収集を開始するのであった】

/*お疲れ様でしたー!!*/
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/18(月) 03:23:14.84 ID:Gv0xjU2ao
>>21
か……あ、あ……

【バラバラになったギアの上半身が、呻いた】
【下半身と上半身が分断され、服はボロボロになり、あちこちに穴が開いている】
【靴底からバネを飛び出させたままの下半身はピクリとも動かず。上半身は右腕が取れかかっている】

【もはや、痛みすら感じなかった。魂に蓄積した痛みと疲労が、限界を超えていた】
【そのギアの霞む視界に、墜落していくサイファーの姿が捉えられる。焦げる臭い、電気がはじける音】
【その瞬間のサイファーの表情。焦燥と苦痛の表情。なぜ、圧倒的優位であった彼女が、そんな顔をしているのか】


(……武器、が……消えて、いく……。身体、から、光……)
(どういう、こと、だ……)

【ダメージで霞みがかったその目では、サイファーの行使していた力の正体にまでたどり着くことはなかった】
【サイファーが、自らの体内から武器を造りだす、身を削るがごとき戦いを繰り広げていただなんて】
【それほどの覚悟を彼女にさせるだけのものとは何なのか。今のギアには、知る由もなかった】


……能力者、も……? どういう、こと、だ……お前たち、は、能力、者、至上、主義、のはず、じゃ……理、を、否定、する、だって……?

よく、わから、ない、けど……お前、も、自分の、理想、のために、命を、賭けてる……そこ、だけは、認めざる、を得ない、な……
忘れ、てたく、ても、忘れ、られない、さ……僕、だって……僕、らだって、譲れない、ものが、あるん、だ……

【呪詛を紡ぎ出すその唇、その内容に、驚愕しつつも途切れ途切れの言葉を返す】
【わからなかった。GIFTにいながら能力を忌み嫌うその真意も、その目的も、何もかも】
【だが、彼女もまた、譲れない信念のもとに戦う者だということは、直感的に理解した】

【サイファーが、閃光手榴弾とスモーク・グレネードをばらまけば、その撤退を防ぐ術はギアにはなかった】
【サイファーは消えた。謎を残して。要塞の兵器を守り抜いたという、達成感はなかった】
【ただ、胸に引っかかるような思いばかりがあった。彼女もまた止まらぬ者の一人。それを防ぎたいなら】
【また戦いに身を投じなければならない――――】

(でも……僕に、それが、出来るのか……?)

【ギアは、自問せざるを得なかった。蓄積された恐怖が最高潮となって襲ってくる】
【また、彼女とはお互いの信念を持ってぶつかる時がくるだろう。自分は、折れずにいられるのか――?】



カ、ハ……情けないとこ、見られてしまい、ました、ね……でも、何とか、お互い、命は、拾ったみたい、で……うぐ……
とにかく、脱出しない、と……

【ギアがねこまるに声をかける。取れかかっていた右腕をジャケットに伸ばし、そこから携帯端末を取り出した】
【"W-Phone"。正義組織"UT"の証たる、携帯端末。それを使って、助けを呼ぼうとしたその時。ギアの身体が、ふわりと浮きあがった】

な、なんっ……だっ……!!?

[て、て、手に入れた。う、う、器、て、て、手に入れた]


【ギアの背後に、何かがいた。空中に浮かんでいるそれは、人間の生首だった】
【ゴツゴツとした厳つい顔、鼻筋に縦に並んで刺さった三本のボルト、血色の悪い肌】
【頭部には、髪の代わりに鋼鉄製の角が何本も、頭頂部に向かって捻じ曲がるように生えている】
【首には金属製の首輪がはまっており、鈍い光沢を放っている】


う、わ……!!!

[ボ、ボ、ボスも、よ、よ、喜ぶ。ハ、ハ、ハ、ハ、ハ。ハ、ハ、ハ、ハ、ハ!!!]

【飛び散っていた下半身も含め、ギアの身体が生首男と共に、空中へと浮かびながら去って行く。その拍子に、取れかかっていたギアの右腕が、落ちた】
【"W-Phone"を握ったままの、その右腕だけを残して。ギアは、生首に連れ去られていった――――】

/もう一つ、捕捉のレスを投下する予定ですが、いったんここで締めとさせていただきたく!! サイファーの方、ねこまるの方、お疲れ様でした!!!
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/18(月) 03:25:27.28 ID:aXcMVZdA0
>>16>>21


【小さく脆い此の身体は、耐え切れない程の重荷を担いでいた。】

【無敵では無かったという事か。彼女のナノマシンは、やがてボロを見せ始め―――。】
【やがて彼女は二人を叩き潰すのよりも、自身の撤退へと目標を切り替えるのだろう。】
【複数の手榴弾に加え、銀色の光の粒を撒きながら姿を消していくサイファー。】
【蹲るだけ、全く動けない少年は、其の姿を認める事さえ許されなかったが。】
【只、意識は有る。聴覚的な情報から、そうなのではないか、という推測は出来る。】
【逆に言えば、たったそれだけ。自分に背を向ける彼女に、一矢報いる事さえ叶わず。】


『―――影分身の術っ!』


【静寂が場を支配していた丁度其の頃。少年は最後、何かを振り切るかの如く―――叫ぶ。】
【少年の周りをモクモクと濃煙が立ち込め、やがて姿を表すのは、3人の人影。】
【1人は勿論、左肩を射抜かれ動けなくなったねこまるである。尚叫んだのを最後に、意識は途切れていた。】

【となればあともう2人、―――此れも矢張り、ねこまるだった。姿形そっくりな彼らは、分身なのだろう。】
【"科学的に証明出来ないこと"。少年が冒頭に彼女に言い放ったのは、恐らくこの事。然し其の姿は、もう無い。】
【兎に角2人の少年が其処に現れた。彼らは、既に意識の途絶えた少年とは打って変わって、どうやら元気な様で―――?】


≪あー……≫
<………………>

≪えっと、……持って帰れ、ってこと、かな?≫
<……たぶん。>

<………あ、これ………>
≪人形、……ギア・ボックスさん、だっけ。≫
<……たぶん。>

≪じゃ、おれは、こっちやるから、≫
<うん……わかった。>


【目の前の状況に唖然としながらも、冷静に何をすべきかを考える2人のねこまる。】
【やがて、本物のねこまると、ギアの身体は、隠密に、そして確実に要塞から持ち運ばれ―――、】
【ねこまるは病院へ、ギアの身体は、………どうすれば良いのか、分からなかった。】
【二人で相談を重ねた結果、工業の発達した鉄の国の中でも、最も腕の良い修理屋へと持って行った。】
【此れが吉と出るか、或いはそもそも意味のなかった事なのか、二人には分からない。】

【然し其の姿を消す直前。櫻の国出身らしく、神社へ御参りに行ったらしい。】
【勿論、傷が早く治る事を願った物でも在ったが―――其れよりも、ギアの身体を無事を祈っていたのは、】
【どうやら、3人共。性格に少々の違いはあれど、結局分身は本人に似る、という事の様で―――。】


/お疲れ様でした!ありがとうございましたー!
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/18(月) 03:28:45.80 ID:Gv0xjU2ao
>>27
/うおお、すみません!!! ねこまるさんのレスを待ってから、書き込むべきでした……!! 矛盾が生じてしまった……
/>>26のレス、後半を補足レスで書き直しますので!! ご迷惑おかけしてすみませんでした……
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 03:30:04.51 ID:Garo70rlo
>>22

ああ……ゴホッ…ゴホッ…未だに…胸にナイフなど…慣れんな

【苦笑いを浮かべながらそういえば、ナイフの切っ先を首元に当てて】

力を貸してくれ…Kam'raden…

【つぶやけばナイフは白く光って、直ぐに治まった】
【苦痛に歪んだ彼の顔は大分ましになって、少し残った魔翌力を用いて】
【応急処置用の回復を行ったのだ。しかし、全身の骨といい臓器といい負担は計り知れない】
【腰のベルトに据え付けられたダガーの鞘に刃を収めると】
【口と鼻の血を手の甲で拭って】

ああ…そうだな。結局、私も知らないものは…伝えられん…
現実が…正解なんだ…君の答えが…満足のいく答えだと私は信じよう…
……私は…ゴホッ…私は、アイケ・シュタウフェンベルク。…いつでも来給え
若い君には…多少窮屈かもしれんが……それを変えるのは…君だ
……ああ……そうそう…次は…次があるなら……それは、チェスで頼む…ハハッ…

【去っていく少年に対し、変わらない微笑を向ける】
【少年が居なくなったなら、男は壁に爪を立てるようにグラグラと立ち上がると】
【コートのポケットの中から、小型の無線機を取り出して】

……アイケ・シュタウフェンベルクだ。コードは―――
そうか…作戦は終了したか…。わかった、3ブロック先で落ち合おう…いや、救援はいい
私以外は皆死んだ。…しかし、戦果は大きいぞ?…何、戦闘は終わっても闘争はこれからだ…
ああ…。……神に祈りを。…では

【通信が終了すると、無線機を仕舞って。瓦礫の中に紛れていたどちらのものか分からない拳銃を見つけては】
【それを手にとって、作戦室を出ていこうと歩き始める】

――神に祈りを……か…。……私は祖国を…何処に置き去りにしてしまったんだろうか…
遠いな…彼の夢は………

【カツン。革靴を鳴らして歩いていてふと、足元にボロボロになった国旗の破片と思わしきものがあった】
【元は白だったんだろう。煤の黒と血の赤とで汚れている。…何も言わず男は立ち去った】



/コレにて〆とします!お疲れ様でした!遅くまでありがとうございました!
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/18(月) 04:19:18.74 ID:Gv0xjU2ao
/>>26 【また、彼女とはお互いの信念を持ってぶつかる時がくるだろう。自分は、折れずにいられるのか――?】 以降より、訂正です

>>27
【ねこまるの方へと目を向ければ、蹲る彼の姿が。どうにも、出来ないのか】
【彼のおかげで、命を拾ったのだ。そのお礼も、まだ言えていない。しかし、これではもはや動けない】
【と、無念の思いに苛まれるギアの耳に、最後に飛び込んだ叫び】

か、影分身……? あ、あなた、たち、は……?
忍法、ってやつ、ですか……? 今日は、驚き、っぱなし、だ……

う……すみ、ません、本当に助かります……
あの、ねこまる、さんが、起きたら……ギア・ボックスが、おかげで助かった、と言っていた、と……伝え、て……

【眼前の光景に唖然としつつ、ギアが分身らしい彼らに向けて言葉を絞り出す】
【感謝の意を伝えつつ、共闘した彼への伝言も頼んで、そこでギアの意識は途切れ】
【その残骸は、2人のねこまるによって要塞から助け出された。修理屋に預けられる直前に目を覚まし、彼らへともう一度お礼を伝えて】

【彼らの祈りは、通じる。修理屋の協力もあり、ギアの身体は回復していった。得た報酬から、修理屋への礼金も支払った】
【しかし酷使した右腕は、未だ取れかかったままだった。その修理を行っていたある時。作業台の上にいたギアに異変が起きた】


(……セリーナさんに、伝えておかないと、な……連絡が遅くなってしまったけど)
("W-Phone"は、っと――――!!?)

[て、て、手に入れた。う、う、器、て、て、手に入れた]

【ギアの身体が、ふわりと浮きあがったのだ。悲鳴を聞いて駆け付けた修理屋が目にしたのは、空中に浮かぶ人間の生首だった】
【ゴツゴツとした厳つい顔、鼻筋に縦に並んで刺さった三本のボルト、血色の悪い肌】
【頭部には、髪の代わりに鋼鉄製の角が何本も、頭頂部に向かって捻じ曲がるように生えている】
【首には金属製の首輪がはまっており、鈍い光沢を放っている】


う、わ……!!

[ボ、ボ、ボスも、よ、よ、喜ぶ。ハ、ハ、ハ、ハ、ハ!!]

【腰を抜かした修理屋の足元に、生首男が一枚の紙切れを落とす。それと引き換えに、ギアの身体が生首男と共に、修理屋の元を離れていく】
【その拍子に、取れかかっていたギアの右腕が落ちた。"W-Phone"を握ったままの右腕だけを残して。ギアは、生首男に連れ去られていった】



【後日。修理屋から『UNITED TRIGGER』の酒場に、一本の人形の右腕と、緑色の"ワンドをあしらった"W-Phone"、そして、一枚の紙切れが届けられるだろう】
【"W-Phone"の電源を入れれば、そこに表示される文字。ギア・ボックスから、セリーナ・ザ・"キッド"へのメッセージがそこにあった】
【鉄の国での戦いの前に、ギアが書いたものらしい。そこには戦いに赴くにあたり、万一のためにこれを残すという旨と共に、二つの事柄について記されていた】


【一つは、かつてセリーナに依頼した、人探しの一件。大会出場者だった探し人、天鬼ちゆりに会い、話をしたこと。彼女が家に帰ることで、彼女の妹であり、ギアの友人でもある天鬼桔梗が】
【外を出歩けなくなるらしいと聞いたこと。詳細はわからないが、まずは詳しい事情を知ってから、どうするか決めたい】
【だから、依頼の取り下げを頼んだ。帰還が叶ったら、このことについては改めて相談したいと思う。そうあった】

【今一つは、カノッサ機関のNo.29カニバディールについて。こちらはあまり詳しく書かれていなかった】
【ただ、自分が彼の何らかの目的のために狙われているらしい、ということだけ。過去にあったことについては、何も記されてはいなかった】

【文章の最後には、『アヴァロニアと、M.N.U国境要塞≠ナの戦いで得た謝礼金は、UTに振り込んでもらいました。ご確認ください』】
【『無事に帰還して、これをセリーナさんが読まずに済むことを願います』とだけあった】


【修理屋からは、忍者の少年からギアを預かったこと、それが突如現れた浮かぶ生首に連れ去られたこと、生首男が落としていった紙切れがあったことくらいしか聞けないはずだ】
【紙切れに記されていたのは、ただ一文。簡潔なものだった】
【『領収証 生き人形ギア・ボックス一体、確かにいただきました 盗賊団スクラップズ首領 No.29カニバディール』】

【その日を境に、生き人形ギア・ボックスは消息を絶った――――】

/最後の最後に、本当にご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。遅くまでのお付き合い、ありがとうございました!!
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/18(月) 19:22:58.68 ID:xDcrGarko
【――昼の国西部に位置するゼン=カイマは、世界中の様々な宗派が集う、いわば宗教の見本市である】
【砂漠の民が築いた教えの数々を香に乗せて教える通りがあれば、櫻から来た風流と儀礼を重んじるものもあり】
【中でもやはり目立つのは十字の印。建築で言えば西欧建築の高い塔や、ドームや、釘を使わないという木造の社があったりして】

【そして素晴らしいのが、この都市に限っては宗教間の対立が薄いということ】
【各々が思い思いの神を信じ、他教に思想を押し付けない。それが暗黙のルールであり、絶対のルールであった】

【だがつい先日、相互不干渉が全て自主的に破られる――全ての者に取っての仇敵≠ェ現れたのだった】
【名はアリギエ。炎を纏った巨大な獅子であり、都市を取り囲むように出没し、既に30名以上が食い殺されているのである】

【ゼン=カイマはその性質上、他都市とは離れた位置にある。大々的な増援を待つほどの時間は無いのである】


 ――ですのでこの度は、ギルドを介して直接皆様に協力をお願いした次第でして……
 どうか、あの怪物を退治していただきたい……あれは全ての神の敵に他なりません
 放っておけば、また新たな被害者が出るやも―――

             『――司祭様!大変です、奴がっ…アリギエが、また……!』

 ……なんたる……っ!どうか、どうかっ、皆々様……奴をお頼み申し上げまするぞ!
 主よ、天にまします我らの父よ……この者達を祝福し給え、あぁ――――。


【―――そして、数分後。諸君が案内されるのは宗教都市の外郭、新たな御堂の建設予定地である】

【周囲には森が広がっていた。周囲というのはつまり―――半径100mよりも外側、ということなのだが】
【そう説明するのが一番早い≠フだ。なぜなら、何処を見ても、切り倒した木から積まれた資材に至るまで】
【全てが黒く焦げ、或いは今も燃えていて、全くの更地に変わっていたからである】

【そして火の元であろう怪物は教徒を一人踏みつぶし、周囲を取り囲む僧兵らを睥睨して―――】
【ゴウッ!≠ニ強風の如き一息が吐かれると、途端に空気が燃え出したかと錯覚する程の範囲に灼熱の炎が広がった】

【後は――記すのもおぞましい。僧兵はただの一人も、肺を焼かれて声を出す事すら出来ずに絶命したのだった】


【炎獅子アリギエとは、よく言ったもの。体皮は真赤に染まり、風に流れた葉が触れるやいなや、その摩擦で燃え尽きて】
【尾の先、たてがみなどは常に火が灯り、特にたてがみは立派なものだから日輪にも見紛うばかりの偉容を誇る】
【体高は6メートル、全長9メートル――子供の頭ほども在る、ルビーのように強烈な双眸が、駆けつけた勇者達に向けられて】

【―――ガラガラッ!と慌ただしく音を立てて件の彼らに付き従い、戦場に到着するのは幾つかの荷車】
【其処には宗教とは縁の無さそうな重火器だの、槍や弓だの、果てはバリスタや小型の大砲が積んであった】
【この様子なら、何かしら必要なものがあればそれを僧兵たちに伝えさえすれば――】
【およそ時間にして1レスほどかかるが――武器でも何でも、用意できるだろう。費用も考えなくて良さそうだ】

【そんな折、僅かに空気が揺らめいた、陽炎だ。時節など関係が無い、熱烈とした戦いの幕は――はらりと、燃えて落ちたようだった】

/こちらはイベント開始の投下文です。お三方はこちらにレスをお願いします
/それと、今夜はどうぞよろしくお願いします!
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 19:42:15.16 ID:UXdG+QvAo
>>31


【武り狂う豪炎の猛獣。あらゆる者が何の区別もなくその犠牲になって】
【燃え盛る炎、広がる熱気。それらは全て、彼の者の強大さを示す】

【陽炎に揺らぐその中に、一つ歪な声が響いた】

――――――一人だけど、頑張るよ。プシー

【子供特有の高さを孕みながらも、不気味なほどに平坦な声】
【その主はやはり、小さな子供の姿であって】

【ゴスロリと呼ばれるような、白の洋服。首元には細く青いリボンを結んで】
【髪は黒く長いストレートで、瞳は鮮血の様に鮮やかな紅】
【細い脚は真っ白な編み上げブーツに包んだ、そんな子供】
【その右手には漆黒の、身の丈程もあろうかという両刃の大鎌を握り締め】
【背中には一丁の狙撃銃と弾薬を背負って、その者はやって来た】

自分の武器は、自分で用意したから。あ、でも、これに合う弾は一応用意しておいて。
必要になったら言うけど――――時々、雷が落ちるかもしれないからね、気を付けて。

【無感情であるが故、本気で思っているかもわからないような言葉を僧兵達に掛けたなら】
【地面に鎌を突き刺して、狙撃銃を構える】
【狙うは右の前脚。まずは機動力を削ぐのが狙いだ】

【数瞬後、弾丸は放たれる。至って普通の、何の仕掛けもない弾丸】
【けれど銃身からは、異様に黒い煙が立ち上り――――その者の頭のすぐ上で、真っ黒な雲の様に集まっていた】



/クシーです!皆さんお願いします!
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 19:45:11.82 ID:UXdG+QvAo
>>32
/書き忘れてましたが立ち位置としてはアリギエの右前方、ということでオナシャス!
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/18(月) 19:50:21.66 ID:ea4iaHB+o
>>31

【昼の国――――宗教都市ゼン=カイム、外郭部】
【今まさに、一匹の魔獣によって安寧を脅かされるその街を護るため、ここに三人の勇士が名を上げていた】
【天を焦がす業火を纏い、巨象の如き躯幹をもたげ、駿馬の如く地を駆ける…………人の身では触れることすら叶わぬ絶対者の名は、炎獅子アリギエ=z
【百獣の王の名を冠す炎の魔獣を前に、彼らはどのような手を以ってしてそれを討ち果たさんとするのか――――】

――――〜〜〜♪

【そんな、緊迫した空気の中。案内役に導かれてその場に辿り着いた、この場の命運を握る勇士の一人が、なんとも暢気に鼻歌を奏でていた】
【その人影はアリギエ≠ゥら少し離れた位置で止まると、周囲の僧兵たちと、自分と同じくこの場に集った勇士立ちを見回して、すぅ、っ――――と大きく息を吸い込むと】


お集まりのみなさぁーーーーーんっ!!

あたしはミドナ! SCARLET≠フミドナよ! よろしくっ!!


【――――獅子の咆哮もかくやという快濶な大音声が、太陽の下に響き渡るだろうか】

【やや赤色の入った白髪が褐色の肌によく映え、ツリ目気味の瞳と耳元のピアスが放つ黄金の色彩が特徴的な――――ミドナは、そんな女性だった】
【髪型は活発な印象のセミロングで、長い後ろ髪を鬣のようにハネさせたワイルドなアレンジが加えられている】
【へそ出しの真っ赤なチューブトップの上に、白色で丈の短いファー付きコート、下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツという、露出度の高い服装で】
【腰の左右には鉄製の分厚い腰当てがベルトで固定されていて、その腰当ての上部にはリングのようなものが複数はめ込まれている】
【また、コートの袖はベルスリーブになっており、そこから僅かに覗く手にはボクサーのようにバンテージが巻かれていて】
【叫びと同時に元気よく天へ突き上げた左腕、そのコートの左袖の部分に、SCARLET≠フエンブレムが大きく刺繍されているだろうか】

さぁて…………あのデカブツ、どうしたもんかね。
…………おっと、おあつらえ向けのがあるじゃん!

【ミドナはアリギエの発する高熱を風の中に感じながら堂々と仁王立ちで構え、僧兵達が持ってきた武器の類に目を向けると】
【その中にあった小型の大砲≠見てにやりと笑い――――両腕に、朱色の淡光が灯る。相当の重さがあるはずのそれを、その輝く両腕で軽々と抱えて地面へ設置し】
【手早く弾丸を装填して、発射体勢に入る。その準備に多少時間が掛かるも、ミドナは炎の獅子を前に一切焦った様子もなく、鼻歌交じりに準備を終えて】

それじゃあ、とりあえず――――景気付けに一発、ブッ放しますかッ!!

【獰猛に笑みと共に再び放たれた大音声が、戦端を切って開く。ミドナは、大砲の後部に誂えられた縄紐を勢いよく引き抜いて…………そうして撃鉄が、引かれる】
【次の瞬間、太い砲身が猛烈な爆音と白煙を吹き上げ、硝煙の香りを背後に巨大な弾丸が撃ち放たれる――――!!】

【狙いはとてつもなく単純、アリギエの顔面だ。小型といえど大砲というだけあって威力や弾速などは高そうだが、特に捻りもない真正面からの攻撃である】
【アリギエにある程度の知能があるのなら、回避することは難しくないか――――】

【そしてその成否に関わらず、ミドナは荷車から槍と弓矢を両方とも持っていくだろうか。どう考えても両手で扱いきれる組み合わせではないが…………】
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/18(月) 19:55:03.00 ID:ea4iaHB+o
>>34
/書き忘れた……主催者様、ねこもとの方、クシーの方、本日はよろしくお願いしますです!
/あとゼン=カイムじゃなくてゼン=カイマですね……失礼しました
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/18(月) 20:02:22.72 ID:aXcMVZdA0
>>31

【昼の国、―――ゼン=カイマ。】

【宗教。其れは人が心の拠り所とする、唯一無二の存在。】
【然し其の性質上、宗教観という点に於いては他の宗教と相違が生まれてしまう。そして其れはやがて、紛争を招き―――。】

【然し此のゼン=カイマ。各々の信じる思想を押し付け合う事がない、前代未聞とも表現すべき都市である。】
【―――素晴らしい。新たな共存の可能性を見出した此の街を、永遠に守ろうとする人間は、恐らく市民だけではない。】

【此の男も、その内の一人であった。―――此の都の"生命の炎"を、絶対に、絶やす訳に行かない。】
【男は遠く燃ゆる"炎獅子アリギエ"を眺めながら、そっと呟いた。】


……ねこもと、と申す。今日は、宜しく頼む。

………あの獣は……恐らく、かなりの実力を持っている筈だ。
……全力で挑まなければ……生命の保証は、どうやら無いらしい。

―――本気で参ろう。全ての為に。


【無愛想なフード付きの茶色のローブを全身に纏い、足元にはありふれた草履。随分と貧相な身形である。】
【艶やかな黒髪、さっぱりとした印象の髪型である。瞳の色は、紺碧とも言うべき澄んだ青色をしていて。】
【大人びていてスラっと顔ではあるが、 其れでも何処か幼さを持ち合わせているような、そんな印象の顔立ち。】
【180cm程の身長に見合った、ゴツゴツとした身体付きは―――きっとローブの上からでも、見て取れる筈だ。】

【男は其の一歩を踏み出す。二歩、三歩と進むに連れて、其の速度は急速に伸びて行き―――!】



        …―― 壱 ――― ≪ 鳴  気  雷  電 ≫ ―――…



【男は疾速を保ったまま。能力名を零すと、ぼうっと浮かび上がったのは、黄金色の光。】
【夜色に輝く其れは、やがてねこもとの全身を包み込んで―――。】

【此の技は所謂"気"を身に纏う事で、自身の並々ならぬ格闘術の威力を、さらに増幅させるという物。】
【今、若しねこもとの打撃を受けたのなら、通常の威力に加え、電気の走るような感覚を感じる事だろう。】

【然し今回に限り、ねこもとはもう一つの目的を見定めていた。其れは―――"囮"になる事、である。】
【彼の全身は今、気が放つ薄っすらとした光に拠って、其れは丸でオーラの様に輝いていた。】
【理性のない獣なら、光り目立つ物に関心が行くのではないかという推測をしたのである。】
【大型の武器を必要とするのなら―――其の分、時間を稼ぐ必要が有るのだろう。若し仮にそうでなくとも、】
【自分が囮になりさえすれば、残りの二人は獅子に自在に攻撃を加えられる筈だと、ねこもとは今考えていた。】


/ねこもとです!本日はよろしくお願いします!
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/18(月) 20:19:39.39 ID:xDcrGarko
>>32

【彼女に弾薬の準備、それから雷についての話を聞くや、僧兵は準備の為に走っていった】
【途中、言葉のおかしさに気付いて首を傾げた。が、直ぐに弾の予備は用意されるはずだ】

―――なんだ?今、我に何かをしたものが居るな。何処だ、貴様か?
ふッ、虫か何かが止まったのかと思ったが……言葉の通りに『児戯』よなァ……!

【そして狙撃銃による先制攻撃だが、これは効果があった――のか、どうか】
【確かに弾丸はその足を貫いていたのだが、如何せん前足の太さは樹の幹ほどもあり】
【人一人を難なく踏み潰せる事や、尚も立ち続けている事を考えると、どうも効果は薄い様子で】

>>34

【アリギエは大砲の準備を邪魔しなかった。する必要がないと判断したのだろう】
【先の狙撃に対してもそうだったが、どうもその強大さにおごっているような所が見えた】
【そして、会話もできていた――つまりは高い知能を有するということで、砲弾が飛来すれば――】

――― 失 せ ろ ッ ! ! ……たかが大砲程度で、物見遊山の余興か、女?

【ふうっ、と息を吐くやそれが火炎に変化し、砲弾内部の火薬を、未だ到達せぬうちに炸裂させ】
【結果的にアリギエは無傷。爆炎が消え去れば、心臓の弱いものはそれだけで死んでしまいそうな強い憎しみの目線を女性に向けた】

【しかし、この迫撃に意味がなかったかといえば答えはNOだ。炸薬の轟音は、この場の全ての者の耳を打ち】
【巨大な獅子の咆哮にも似て、その背筋を真っ直ぐに立たせた。空気を引き締めるのに一役買ったのだ】

>>36

【最早明らかになってしまったことだが、このアリギエ――恐ろしく知能は高いと見えた】
【だから、ねこもとの気を引く≠ニいう発想は当たらずとも遠からずなのである】

一人か……自殺したいのか、それとも相応の自信があるのか……或いは馬鹿か。
よかろう、試してやるッ!貴様の勇気などというちっぽけな感情がどれほどのものか――ッ!!

【――だが彼の行動は別の理由でアリギエの気を引いた、単身で突っ込んできたからである】
【他の二人は遠距離攻撃、対して彼は身一つで迫るのだから、神獣とても『面白い』のだろう】
【にやりと笑えばナイフよりも大きな牙が見え隠れして、試してやろうとばかりに彼一人を狙って、獄炎のブレスが吹きつけられた】

>>ALL

グルゥゥァ……フン!どいつも此奴も、揃いも揃って小倅小童小僧ばかりよ!
小手先ばかりの技で!そんなものでッ!このアリギエ随一の我を討伐だと……?

冗談を言うにも限度があるぞゴミめらがァ!!己の無力を味わえ、そして――死ねィ!!

【――ねこもとへブレスを放つと、アリギエはその巨体に似合わぬ軽やかな跳躍で男の傍まで跳んでゆき】
【そのまま―挑発なのか―何もせず≠ノまた跳躍。自身の右前方に居た、狙撃銃を持つ少女へと正面から突っ込んで行く】
【これまたただそれだけ≠ナあったが、トラックが突っ込んでくるよりも余程たちが悪かった。引かれては命の保証も危ういからだ】

【更にここで振り返りざま尻尾の先の炎を強め、火炎の鞭を作って、槍と弓を手にしたミドナを打ち据えようとする】
【この折で大砲の1つが周囲の砲弾と共に巻き込まれ、引火――凄まじい爆音と硝煙の香りが周囲に満ちる】

【ただ、其処には隙も多い。移動は速いが、途中、ねこもとに対しては火を吐いただけだったし】
【突進は急げば避けられる上、鞭での打ちすえというのも精密ではない。まだまだ傲慢が透けて見える行動ばかりであったのだ】
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 20:41:37.90 ID:frs53iqzo
>>37

何だ、喋れるんだ
まあ、いいよ――――どうせ今のは、ただの準備だから

【撃ち終えれば、すぐに次の弾薬を込めて】
【その間にも煙はより濃くなって、やがてそれは、小さな雷雲となっていた】

“随一”、ね……他にもこんなの、いるんだ……

本番はまだまだこれから――――“兵器”を嘗めないでよ

【狙撃銃を脇に挟めば横に走り出し、回避を以て対処とする】
【鎌は突き刺したまま置き去りなのだが、そこを気にする様子はなく】
【最後に身を飛ばせば空中で体を捻り―――掠めた左手に火傷を負ったのだが】

早速いくよ――――轟雷弾

【刹那、狙撃銃より落雷の様な轟音が鳴り響く】
【―――音だけではない。引き金を引いた瞬間、クシーの頭上の雲から狙撃銃へ、雷が落ちたのだ】
【これこそが、先程言っていた『雷が落ちる』という事、なのだろう】

【そしてその銃口、放たれるのは―――雷の弾丸ッ!】
【狙いは尚も前脚で。その巨体にどれほど効果があるかはわからないが、当たったならばそこから電撃が流れ込む!】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/18(月) 20:53:45.69 ID:ea4iaHB+o

>>36 >>37 >>38

はっはー、驚いた! 喋れるのかあんた!
だったら話は早い――――余興程度の心意気かどうか、その無駄にデカい頭でよーく見ておくんだね!!

【大砲が防がれるまでは、彼女も承知の上だったのだが。獅子が人語を解すまでの知能を有していたのは予想の範疇を超えていて】
【ひゅう、と楽しげに口笛を吹くと、こちらを睥睨する紅玉の瞳を、黄金の視線で真っ直ぐに突き貫いて、挑発とも取れる台詞を吐くのだろう】
【こうなると一箇所に留まるのは危険と判断し、ミドナは槍と弓、そして矢筒を抱えて、アリギエの真正面へ走り出す、のだが】

へぇ、ずいぶん思い切りのいい事するじゃない、あんた!
それじゃ――――任せる! けど、あんま無茶しないでよね!!

【その途中で全身を輝かすねこもとの姿を見つけて、ミドナはその意図を汲み取る。獅子の威容に屈せず囮役を買って出る根性に、素直に感服した様子で】
【ねこもとへ声を掛けると進路を変更、斜め前へと突き進む。アリギエが彼に気を取られている隙を突き、背後に回ろうという策略だ】
【両手に構えた武器に、力が入る。このまま一気に…………とは行かなかった。跳躍したアリギエの体は、予想に反して狙撃銃の少女へ向き】
【滾る炎の靭尾が、ミドナの体を焼きつくさんと振り翳される――――】


――――――《 阿修羅ノ御手 (マハー・ハスタ・アスラ) 》ッッ!!!


【その攻撃に対し、彼女は三度、咆哮を上げる。同時、両腕に宿っていたのと同じ朱色の光が背中に満ち溢れていって】
【ぬぅ、と。かえって不自然なほど自然な動きで、緩やかに嫋やかに、その細指を揺らしながら。そこから、長い四本の腕≠ェ生えてくるだろうか】
【手首と肩に美麗な宝飾の装身具を巻いた、朱色のエネルギーで構成された人間の腕。本人の腕の上と下に二本づつ、六本の腕は翼のように構えられ】
【下の二本が、勢いよく地面を殴りつける。その反動で彼女の体は加速し、火炎の鞭を潜り抜けるのだろう】

【能力≠ニいうものに深い見識を持つ人物がいれば、それはマインド≠セとかアートマン≠セとか表現できる力なのかもしれないが…………】
【このゼン=カイマの人々であれば、引火した爆炎を背後に朱い輝きを放つ神々しいまで威容を、こう評すのかもしれない――――阿修羅≠ニ】


そこの子、あたしは後ろから行くッ! 気をつけなよ!

【ミドナは狙撃銃の少女へそれだけ言うと、自身の腕で槍を構え、増えた腕のうち上の二本で弓に矢を番えて、アリギエの背後から迫るだろう】
【勢いよく踏み切ると同時、また下の二本で地面を叩いて飛距離を伸ばす。大きく跳躍して宙を翔けた彼女の体は、右の後ろ足へと突っ込んで――――】
【その勢いを乗せ、まずは槍を勢いよく突き立てようとする。次にその成否に関わらず、真後ろへ跳躍して距離を取ると、今度は腹部へ向けて矢を放つ!】

【増えた朱色の四本腕と、同じく朱色の光を纏った彼女の元の腕。そのどちらも、腕力が大幅に強化されている。この一撃も並の威力ではないだろう】
【加えて背面攻撃であることと、ちょうど狙撃銃の少女と挟撃の形になっていることもあり、多少避けづらい攻撃となっているだろうか】
【…………もっとも、人知を超えた巨体を持つアリギエに、この攻撃がどこまで通用するかはわからないのだが――――】

40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/18(月) 21:06:36.91 ID:aXcMVZdA0
>>36>>37>>38>>39


………話す程の知能を有して居たか……此れは失礼した。
……然し、だからと言って帰着する所は変わらない。―――言わなくとも、分かるだろう。
………私達はお前を討つ。至高の叡智を掌中に収めた人々を、此れ以上―――ッ―――!


【男は獄炎のブレスをバックステップで回避。然し焼ける様な熱風が少年の頬を襲い、さらにローブの先端が焦げて居るのが見えた。】
【其の攻撃に悠々と距離を取ったにも関わらず、である。今、ねこもとは炎獅子の持つ火力の凄まじさを身を以て体感して。】

【アリギエが此方へ跳躍したのなら、男は一対一の近接戦に応じると言わんばかりに、其の眼を睨みながら突進、】
【丁度手前で自身の身体を5m程跳ね上げ、回転するベクトルも加え腹を捉えんと蹴りを見せたが―――!】
【アリギエは、元々ねこもとと拳を交えるつもりは無かったという事か。何もせず再び跳躍、男は其の風に煽られ空中で体勢を崩した。】

【然し地面に付く頃には、正常な体勢に戻っていて。ねこもとは次の行動に繋げやすい様、右足を立てる形で着地した。】
【眼に映るのは、アリギエの異常な身体能力である。―――疾い。此の巨体の何処から、あの速度が生まれるのか、理解し得ない程だった。】


………私は今、自分が無力である事を承知している………
……私だけではない。生きとし生ける物、全てが無力なのだ……
………其れを分かっていないお前は―――"弱い"。極めて、"弱い"のだ………


【男は呟く様言葉を零した。アリギエの耳が此の音を捉えたかどうかは、其の聴覚の良さに拠るのだろう。】
【位置関係を言えば、ねこもとは今、炎獅子の背後を取っているという事になるのだろう。だとすれば―――!】



        …―― 弐 ――― ≪ 衝 光 之 閃 ≫ ―――…



【男はアリギエの元へと疾走、再び5m程の跳躍を見せ。振り翳す右手の中に段々と次第に生成されるのは、全長2mの光の槍だった。】
【其の侭、男は徐々に獅子へと近づき、其れを腹部を捉え、投擲。電気と同じ特徴、然し実体を持つ物体から成る其の槍、当たったのなら】
【金属製の其れと変わらず、先ず獅子の身体に食い込み、腹に穴を開ける事だろう。そして其の後、此れはどれ程効くのか分からないが―――、】
【其の穴から同心円状に、痺れが拡がる様な感覚にも襲われるはずだ。耐性が全く無いのなら、思わず蹲る程の其れである。】

【少年は投擲を終えたなら、其の侭軽々と着地。そして、獅子の行方をじっと見つめていた。】

41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/18(月) 21:25:45.92 ID:xDcrGarko
>>38

【クシーが再度放った弾丸は、まっすぐに突っ込んでくる獅子の足を貫いた】
【これもやはり、巨体からすれば針で指されたようなもの。血こそ零れたが――】

グっ――ッハッハッハッハ!何だ今のは!?ちょいとピリッとしたが……
猪口才な真似の1つや2つで、アリが象を斃せるか!否であるぞ、貴様ッ!!
まずはその鬱陶しい長筒を溶かしてやろう。その腕ごと、焼けるが良いわ――!

【――(無反応であるはずはないのだが)――大きく笑った獅子は、口を細めて火炎を吐いた】
【ところがこれが、どうも息ではなく唾液のようで、もし狙撃銃に触れたなら】
【触れた箇所でそのまま、液体燃料のように燃え続けるだろう。火力のほどは言うまでもない】
【しかもよりによって、この一撃は速度も精密さも極まっていた。さながら狙撃の意趣返しのようで】

>>39

【ミドナが発現したマインド――或いはアートマンは、確かに、一部の僧兵の意識を捉えた】
【目の前の怪物よりも、経典か立像でしか知らないはずの阿修羅≠ェ其処に居たからだ】
【あッ――と一声広がれば、幾人かが数珠を手にしてそれを拝み、勇気凛々と薙刀を持ち直す】

生意気な小娘風情が……伊達に着飾った人形で、我が慄くとでも思ったか?
馬鹿が!愚鈍な人間がッ!如何に腕が増えようとも所詮はヒト!適うわけもあるまいが!!

【一方でアリギエはと言えばその能力を唾棄して受け、背後から槍が迫れば】
【その巨木とも見紛う右後ろ脚で、何とも器用に、そして素早く強力に、槍を叩き払い】
【しかし弓による一撃はどうも見誤ったらしい。ただの矢であれば受けても何ともなかったが――】

【鏃を皮膚が燃やすよりも貫く力が強かったと見え、腹部には鈍い音を立てて矢が突き立った】

>>40

悟ったような物の言い方をする奴……貴様も、あの神頼みの阿呆共と同族か?
そうであるならば実に残念だ、実に……ッ!鴻毛ほども期待した我の間違いであったか!
そしてェ!そのような!高々槍に雷電を纏わせた所で、当たらねばどうというこは、ッ――ヌウゥ!!?

【ドズッ=\―と、光の槍は深々、その腹部に、矢と並んで突き刺さった】
【アリギエはそれを避けるつもりであったはず。しかしそう出来なかったのは――右前足】

【そう、先ほどクシーが電撃の銃弾を打ち込んだ効果が、今になって現れた】
【雷撃は神経を麻痺せしめ、廻転による回避を不可能なものととしたのであった】
【見事な連携――僧兵の数人が、遠巻きに勝利を確信した。もっとも、早計だと分かるのも速かったが―――】

>>ALL

【右足に僅かな麻痺を受け、腹部にはチクリと痛む矢と、その感覚を鈍らせる雷槍が突き立っていた】
【こぼれ落ちる血液の量は、人なら死んでいる程。それでも全く怯む様子は見えておらず】
【地に落ちる血液そのものもまた、溶岩のように土を燃やし≠トいた。――ふと、アリギエは小さく唸り】

―――えェい、小煩い人間どもがッ!!我の貴重な血をこうも無駄に流せしめるか……!
殺す!燃やし尽くしてくれる!!貴様らには墓に入れる肉片1つも残してやる価値は、無いッッ!!!

泣いて詫ても許してやらぬ、僧兵どもも同罪―――グッ、オオオオオオオォォォォォォォッッッ――!!!

【咆哮。耳を劈く激音を奏でながら――恐るべきことに、後ろ足で立ち上がる】
【すると咆哮は更に音を増し、常識では考えられなかったが、音波を周囲に刻み℃nめるのである】

【アリギエを取り巻くように、およそ1m刻み。大地がひび割れて、其処から凄まじい勢いで火柱が立つ】
【水で表すなら、大きな公園の噴水に似ていた。その火柱はやがて、遠く森林にすら届き渡り】
【木をへし折り、根を燃やし、枝葉を一瞬で乾燥させて――咆哮が収まると、その火勢も収まるが】

【四足に戻る時がまた凄まじく、僅かな揺れすら感じるのだ。だが、お陰で足を下ろすタイミングは分かるだろう】
【この一点は隙だった――僧兵の一人が大砲を打つ。アリギエがそれを消し飛ばす。意識もまた、幸いにして三人からそれていた】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 22:00:36.12 ID:YEwbH8yho
>>39>>40>>41

気を付ける?わざわざ言われなくたってそんなことくらい、わかってるよ

【ミドナの言葉に返すのは、やはり感情の無い、平坦な声で】
【興味や気持ちはそちらに向かず、目の前の獣にばかり向いていた】

【吐き出された火炎。対してこちらは跳躍後で、すぐには大きい動きを取れない】
【ならばそのまま受けるか?――――当然、否である】

――――戻っておいで。

【小さく呟けば、突き刺してあった筈の鎌が姿を消して】
【そして、鎌があった筈の場所からクシーの手元へと、雷が“落ちた”】
【それは、アリギエの傍を迂回するように駆け抜けて、クシーの手の中で再び鎌となり】
【クシーはそれを火炎へ向けて、手放した】

【手元に戻るまでは、落雷の速度。目にも止まらぬほどだったけれど】
【如何せん、放してから直撃するまでの時間が少なすぎた】
【鎌を燃やす炎が広がり、腕を炙るように焼いていって】
【それに対しクシーは、一歩を飛び退ることで身を離す】

貴重―――そう、貴重だから僕はここに来たんだ。その血肉を、貰いにね

―――それに、僕はどうせお墓になんか入らないだろうから、それはちょっと的外れ、かな

【響く咆哮、走る亀裂、吹き上がる火柱。クシーが動き始めたのは、咆哮の時点であった】
【まず、またしても落雷が起きた。それはどういう訳か、手の中に先のものと同じ鎌を生み出して】
【亀裂が生じれば、クシーは真っ直ぐ上に跳躍。鎌を足元に緩く投げおろして】
【火柱が吹き出せば、その鎌を蹴ってもう一段跳躍を重ねる】

【完全な回避は不可能。脚を炎に焼かれるが、全身飲まれる事は避けられて】
【思い切り高く跳躍したものだから、火柱が収まっても尚、体は空中にあった】

くっ―――――それじゃあもう一発いくよ……!散轟雷弾!

【刹那、今度は足元から銃身へと、鎌だった雷が宿る】
【またしても轟音が鳴って、銃口からは同じ様に雷の弾丸―――】

【しかしそれは、放たれてすぐに、“散った”】

【さながら、散弾銃でも撃ったかの様に。無数の雷の弾が降り注ぐ】
【何処を狙う、などない。ただただ、降り注ぐのだから】
【無論、一発一発の威力は先程よりは小さいが、元の雷の強さが違ったのだろう】
【散っても尚、それぞれが先のものの7割程度の威力を持っていた】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/18(月) 22:05:10.93 ID:ea4iaHB+o
>>40 >>41 >>42

【強く握っていた槍を叩き折られたことで、ミドナの手に痺れが走る。やはり駄目か、と思考を巡らせて】
【矢も刺さったには刺さったが、アリギエのスケールを考えると微々たるものだろう。もっと強い、強烈な一打が必要だ】
【ミドナは先程漁った荷車の中身を思い出し…………がしがしと頭をかき回すと、僧兵達に向けて叫ぶ】

ちょっと、そこの僧兵さんたち! 別にあたしは神様とかじゃないからね!?
それよりもっと強いのを沢山持ってきてよ! 何ていうかこう、ばーん!どーん!って感じのヤツ!!

【少女が最初に放った狙撃銃の戦果を見れば、銃よりもっと強い武器が欲しい。そういう意図での言葉だったのだが…………伝え方はどうにも不器用で】
【その擬音混じりの言葉と、六本腕をブンブン振り回したボディランゲージから察するに、彼女が欲しているのは爆弾≠フ類のようだ】
【ならば、普通の手投げ弾を持ってきても良いし――――例えばグレネードランチャーなどを用意できるなら、それに越したことはないだろう】

【そうして僧兵達に意志を伝えた後、ミドナは一度離れ、武器が到着するまで弓で牽制を続けようとして】
【大地を砕く咆哮――――そして地の底より沸き出ずる、燃え盛る焔の柱!!】

まずッ――――逃げて、早く!!
…………熱っつ!!

【弓を射かける為に、一度引いていたのが幸いとなった。1m刻みの炎柱の隙間に、ちょうど彼女は入り込んでいて】
【だがミドナは、残る二人の共闘者と周囲の僧兵達へ注意を促そうとして、少しばかり前のめりの姿勢になってしまう】
【慌てて手を引っ込めるも、増えた腕の一本が間に合わず、一瞬だけだが炎柱に触れる。ミドナの顔が激痛に歪むのがわかるだろうか】
【この増えた腕自体にも、どうやらダメージがあるようだ。であればこの便利な六本腕、単に的が大きくなるという欠点にも成り得るのだろう】
【ミドナは火傷の幻痛に耐えながら、いまはただ咆哮が収まるのを待って…………】


やってくれるじゃん、デカブツ――――!!

【火柱が飛び越えられる高さまで落ちたその瞬間、猛烈な勢いで疾駆を開始する!】
【四足が地面に落ちたその瞬間、タイミング良く跳躍することで足を取られるのを防ぎ、ミドナはアリギエの股下を駆けて行くだろう】
【僧兵の撃ち放った砲弾が、最初と同じように消し飛ばされる――――その際、一瞬でもアリギエの視界を爆炎と煙が覆うだろうか】
【それがカムフラージュとなるにせよ、そうでないにせよ…………だん、と強く地面を踏みしめる音が、アリギエの顎下から響く筈だ】

――――ブッ飛べッッッ!!!

【右腕を手前に引いて腰を回し、代わりに左腕を発射前の銃弾のように強く、強く引き絞る】
【疾走の勢いを踏み込んだ足のバネに乗せ、縦&向へ変換された力は、一挙に左半身に集約し】
【そして最後に――――アリギエの咆哮に負けじと、その喉奥から激烈で豪快な叫びが放たれれば】
【刹那、ミドナの左側の三本腕が挙って風を切り、重撃のアッパーカットとなってアリギエの顎へ撃ち放たれる――――!!】

【ただの素手と侮るなかれ、朱色の力で強化されて岩をも砕く程の一撃が、三発同時に解放されたのだ】
【いくらアリギエの巨体といえど、顔面の真下を強く打擲されれば相応のダメージとなるだろうか】
【…………だがこの攻撃、高熱のブレスを吐くアリギエの至近距離へ接近しなければならない大きなリスクを孕んでいる】
【この攻撃がどれほどの成果を出すかによって、次の彼女の行動も変わってくるのだが――――】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/18(月) 22:09:22.59 ID:aXcMVZdA0
>>41>>42>>43


………私の攻撃、そんな物当たらぬ筈と、お前は言った。
……見ろ。己の様を。此れでもあの者達を"阿呆"と形容するのか―――?
………分かっている筈だ。お前は全知全能でも、何でもない。
……身体が燃えているだけの―――只の、"獣"だ。其れ以上でも、其れ以下でもない。

………私から言わせてみればお前は―――否、此れ以上は言うまい。
……全力で、私は、お前を討つ。唯其れだけだ―――ッ―――!


【獅子が咆哮を轟かせる。耳の劈く様な其れは、男も思わず耳を塞いでしまう程で―――。】
【既に何度か火柱が上る姿を見ているのだから、帰納的に考えれば回避は容易だった。然し其れでも膝を崩したのは―――、】
【矢張り、其の火力が影響していた。男の全身に纏っている気は、あらゆる衝撃を吸収する働きも在るが、其れだけでは防ぎきれず、】
【丸で蒸されたかの様、熱風と熱風の狭間に立った男は其の唇を噛み締めて耐え抜く。全身に、中度の火傷を負った。】

【何かの燃え滓、近くに生い茂っていた森林の一部なのだろうと思える物が、ローブに付けば、パサパサと其れを払って。】
【男は、ゆっくり、ゆっくりと立ち上がった。異常な強さをアリギエは見せたが、其れでも屈する様子を見せず―――。】



        …―― 参 ――― ≪ 熂 功 之 爆 ≫ ―――…



【男は瞼を閉じた。高速に何か唱えている其の間に、少年の胸の辺りにぼうっと、球状の気の結合体、高速で回転している物が表れて。】
【男は其れを両手で操りながら、練る様に大きく、大きくさせて―――そして其れが直径22cm程、丁度サッカーボール大になったかという頃、】
【其れを両手に分割したかと思えば―――、男は地面に叩きつけた。気は地面にスッと溶け込み、やがて其の姿を消す事だろう。】

【然し数秒後。アリギエの身体、それも其の中心に現れるのは、直径1m程の2本光の柱。勿論、全て"気"で出来ている。】
【喰らったのなら、先程の槍とは比にならない程の傷を負う筈だ。然し今回の攻撃は、先程の其れと比べれば、かなり避けやすい。】
【気が地面に溶け込み、アリギエの身体へと向かう其の間。気の結合体は、地面の中で光りながら進んでいるのだ。】
【それに、其の軌道も至って単純。男とアリギエを結ぶ、最短距離のルートを通って行くのだ。予測も、回避も簡単の筈だった。】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/18(月) 22:37:54.37 ID:xDcrGarko
>>42>>43

【豪炎が周囲を一体を、改めて更地に変えていた。周囲に広がるのはむっとするほどの焦げの臭い】
【だがそれも短い時のこと。この戦闘のテンポは、寧ろ体の小さな人間に利があった】
【アリギエが咆哮を終え、地に足を付いた時――先ずクシーの雷弾が全身を打ち据えた】

【これも遅効性だったが、数が多いぶん直ぐに効いた様子。ぴくりとその動きが止まり――】

【直後、ミドナの駆使する阿修羅が、その拳を物の見事にアリギエの顎へと叩き込んだ】
【感触はどんなものだろう。きっと何百キロもある岩石を持ち上げるような重量を感じるに違いない】
【更にひとつ言えばこの攻撃方法、実に理にかなっている。なにせアリギエは、この巨体だ】
【股下をくぐっての接近――普通ならば考えられないが、今この場所においては実に素晴らしい行動だったと言わざるを得ない】

【僧兵たちがどよめいた。あの怪物が、如何に能力者たちが相手とはいえ――圧倒されている様に見えたのだ】
【クシーも、ミドナも、それぞれダメージは受けていた。それでもやはり、巨体が翻弄されるのを見れば心が躍るといった様子で】

【それを後押ししたのがアリギエが地に伏した≠ニいうことであった。大きな理由は顎への一撃だ】
【ぐらりとその身を地に横たえ、そんな情けない姿を晒すまじとするのだが、そうも行かない】
【これはクシーの戦果。電撃の麻痺が此処ぞという時に効いてきた。そして―――】

>>44

ご、ォ…オ、オォ……ッ゛!!?何……貴様ら、よくもこの我を地に伏せたな……!
許さぬ、許して置かぬ……!侮るなよ人間っ!!我は神獣アリギエが一であるぞ!!
たかだか数十年しか生き猿どもが、我に適うはずもッ!楯突く権利も!ありはせ、ぬ……ゥゥゥウ……!!!

【――ねこもとが放った二本の槍が、動けぬアリギエの腹部を確りと串刺しにしていた】
【これには流石のアリギエも呻く。臓器を損じたか、ごぼりと大きな口からバケツ二杯ほどもある血液を吐き出して】

……だ、黙れッ!象は蟻の行動を気に留めぬ!蟻に噛まれたところで何の意味も無いからだ!
無敵とは無傷であることではないッ!全てを圧倒するものこそが最強であり、そして我なのだ、人間ッッ―!!!

ヌ、グウゥゥゥ……!もはや…最早ッ!!貴様らに効く口は、持ち合わせぬ――!!

【――アリギエの肉体を、ボウッと燃え出した炎が包み込む。すると、肉体に空いた傷という傷を焼き塞ぎ】
【突き立った矢は燃やして、槍は強引に抜き去った。クシーが付けた銃創などは、皮と同化して見えもしない】

【更にそれが済むと、アリギエの肉体が変化した。炎の色は赤から紫に、そして更に温度をあげて白みすらも加え始める】
【同時に酸素の供給量も増えて、周囲が心なしか息苦しくなり、太陽の光よりもアリギエのたてがみの方が眩しさを増した】
【当初にそのたてがみを日輪の如しと称したが――僧兵の誰ともなく、同じことをぽつねんと呟いて】

/続きます!
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/18(月) 22:38:14.77 ID:xDcrGarko
>>ALL

【アリギエが変貌を続ける合間に、僧兵の一人がミドナに向かって走っていった。手には大きな箱があり】
【中身は如何にもという黒い玉の爆弾から、ダイナマイト、手榴弾――恐るべきはTNT爆薬まで揃っていることである】
【流石に世界の宗教が合しているだけは在った。彼は畏れる様に阿修羅へ頭を下げたなら、すぐさま遠くへと駈け出していく】


【―――ジュッ!という音がした。アリギエが、なにか試しの様に火を吹いたのである】
【その先、更地に唯一残った起伏の岩を見ると、溶けるでも燃えるでもなく消えて≠「て――】

【意味するところは1つ――アリギエの炎が、物体が燃えるという過程をすっ飛ばす程の火力になったということだ】
【冗談ではない。喰らえば、消える――非常識的にも程が有る。だがアリギエは、満足気にニヤリと笑って、大きく息を吸い――――】


  ――――― 失 せ ろ ゴ ミ め ら ァ ァ ァ ァ ! ! ! 


【最初に何人もの僧兵を焼き殺した、あの広範囲の火炎のブレスを周囲四方へと駆け巡らせた】
【火力――言うまでもなし。速さ――言うまでもなし。ではどうすれば――言えるのは、火は地を走るのだ、ということくらい】

【それから幾箇所かに固まった僧兵たちは、各々の宗派に伝わる法術だの、魔術だの、そういうものを展開し】
【《この一撃だけは防げる》――というような結界を張っていたから、其処に逃げこむというのも有りかもしれない】
【いずれにしろ戦いは終盤に差し掛かっていた。アリギエのブレスは、最初のそれよりはいくらか範囲が狭まっていて、消耗が目に見えていたからだった】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/18(月) 23:07:21.10 ID:RGDqSJQj0
【人の行き来が少ない、街の中。この時間ともなれば悪人達も活発になるが故に、自警団も見回りしている事だろう】
【今宵、二人組も真面目に取り組んでいる筈――――だったのだが】


「だから、離すであります!速く見回りに行くでありますよ!」

『良いじゃ無いですかぁ〜。寒いんですよぅ』

【軍服を着た少女が、ローブを纏った少女に纏わり付かれている。もとい抱き付かれて動けない状況】
【怒っても叱り付けても離れない事に対して遂に業を煮やしたのか、乱暴に振り払って】
【――――振り払われた方の少女は唇を尖らせ、「ちぇっ」何て言葉を吐くけれど】


「大体にしてでありますね!一緒に行動しろと言われたから仕方なく組んでいるでありますが、あなたは色々な方に抱き付きすぎなのであります!
何でありますか!一々弁解する私の身にもなって欲しいであります!」

『だって、あの女の子は柔らかそうだったしー……あの子は可愛かったしー……あ、後あの人は暖かそうだったから仕方ないんですよぅ』

「理由になってないであります!もう知らないでありますよ!私一人で行ってくるであります!」

【悪びれた様子も無く語る少女に対して怒り心頭といった様子か、フンと言えばそのまま軍服の少女は一人で見回りへと移って】
【――――さて、取り残されたローブの少女であるが。着けているのは自警団のバッヂであろう】
【不真面目さ……と言うよりか、自由奔放過ぎるその性格が軍服の少女とは合わなかったのか】


『むぅ……困りましたねー…………
遊び相手が居なくなってしまいましたよぅ』

【――――同僚を遊び相手としか考えて居なければ、怒られるのも無理は無い】
【フードの下から覗く、二つの明るい緑眼。それは新しい得物を求めている様でもあって】





【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】



48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/18(月) 23:17:22.84 ID:k1xYx1Syo
>>43>>44>>45>>46

【ようやっと地に降り立って視線を向ければ、地に伏したアリギエの姿】
【そんな様子を見た時だって、その表情に喜びなど無い】
【どこまでいっても感情が見えないその姿は、やはり歪であった】

無敵だとか何だとか…………そんなの、どうだっていいんだよ
僕は君を倒しに来た、それだけ。ただ戦うだけ。
だからそんなこと―――僕には関係無いね。

【炎を以て傷を埋めるという、その姿を見れば、僅かに眉が顰められた】
【しかし、それ以上何を語るでもなし。相手が語らぬのなら、自分も語らぬという事、だろうか】

【刹那、岩が“消えた”。無感情であるが故に頭は冷静であり、その意味はすぐにわかって】
【そして次は自分達に来るのだ、という事も、言うまでもなく】

跳ぶのは―――無理だね。走るのも……―――――それならっ!

【先の火柱を脚に受けた今、地を這う炎を跳躍して躱すのは不可能。ましてや結界に駆け込むなど】
【しかし躱さなければ、明らかにまずいことになる――――】


          【だから――――――跳んだ。腕を使って】


【狙撃銃を再び背負って、両手を地面に】
【炎を限界まで引き付ければ、両足を振り上げて――――渾身の力で、地を“蹴った”】

【その小柄な体躯からは想像も出来ない様な筋力により、体は宙を舞う】
【しかしあれほどの火力である。その熱は肌を、肉を焦がして苛んでいく】
【それでも、それでもクシーは火炎を“避けた”のだ】

この分じゃ……今度の、メンテナンスは、時間が掛かりそうだね……

――――さあ、僕もそろそろ、キツいからさ、ここからは……一気にいくよ

【嗚呼――見えるだろうか。アリギエの放った火炎が消し去ったもの――】
【一瞬で蒸発したであろうそれらが黒く、霧の様に、雲の様に、着地したクシーの頭の上に集まっているのが――!】

【ここまでの戦い方を見ればわかるように、この雲こそが、クシーの武器たる雷の源】
【そして今、その雲が大きく、大きく育ち、膨れ上がっているのだ……!】

もう、銃はいいや、そもそも……こういうのは、僕向きじゃ、ない、からね……

【銃を捨て、痛む脚で走り寄る】
【まずは一つ、右手に落雷し、鎌が生まれる】
【それをアリギエへ投げ放てば、左手に雷、鎌が生まれて】
【続けてそれを、投げ放つ。姿勢が安定しないのか狙いは雑で、どこに向かうかは予測できない】
【けれど、命中したならそれは再び雷に姿を戻し、アリギエを苛む事となるのだ……!】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/18(月) 23:24:14.65 ID:aXcMVZdA0
>>45>>46>>48

【全身に中度の火傷を負った男は、先程の投擲の様な動き所か、疾走さえままならない。】
【とすれば、離れた所にいたねこもとが其の結界に逃げ込む事は、物理的に不可能だった。】

【広範囲に渡るの業炎のブレス。既に其の威力は、実験で証明済みだった。熱風でさえ浴びた瞬間、即死であろう。】
【周囲を見回し、状況を確認したなら、ねこもとはスッと瞳を閉じて―――。】



        …―― 肆 ――― ≪ 念 之 極 意 ≫ ―――…



【男は瞬間、身に纏っていた"気"を一度に凝縮し、一つの塊にして見せる。其れを右手に載せ―――。】
【逃げ遅れた近くの僧兵達に向かって叫んだ。"此方に来るように"、と。全員が集まった所を確認すれば、】
【ねこもとは其の塊に手を翳した。小刻みに震えた其れは、やがて自分を中心に、僧兵が包まれる様ドーム状に広がって。】
【間も無くブレスが此方を襲うのだろう、僧兵の一部は、余りの惨劇に死を覚悟した様だが―――。】

【男の全身全霊の"気"は、吹き付ける火炎から、ねこもとを、僧兵を、……全員を守った。】
【然しドーム内は高温に達する。サウナの室温は100度位と言われているが、勿論其れを遥かに越えていて。】
【気温が急上昇する中、僧兵の一部に気絶した者も居た、が―――逆に言えば、其れだけで済んだ。】
【やがて轟炎の脅威は収束を見せ、辺りの気温も平常へと戻る。ドームを開放、吹きつけてくる風はヤケに涼しく感じられた。】

【男も矢張り、地面に膝を屈した。異常な熱さを受けた其のダメージと、そして数名の生命を守れた事への安堵感。両方、だろう。】
【然し前者の勢いは凄まじく、男は膝に加え、両手まで地面に付けてしまった。―――荒い呼吸を抑えようと、必死だった。】
【噴き出る汗が、男の頬を伝って流れる。残った"気"、即ち精神力は、もう僅かしか残っていない。】
【ねこもとは今、アリギエと同様、肉体的にも、精神的にも、誰の眼にも明らかな消耗を見せていた。】

【呼吸も覚束ぬまま、何か行動に出るのは得策ではない。―――此の男が求めているのは、"隙"だった。】
【後、一回の攻撃。其れで、全てを仕留める必要がある。失敗は、自身の死を、そして街の壊滅を意味するのだ。】
【―――負ける訳には行かない。ねこもとの眼は、闘志の炎を確かに燃やし続け、そしてアリギエの行方を、確かに捉えて居り―――。】

50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/18(月) 23:28:36.54 ID:ea4iaHB+o
>>45 >>46 >>48 >>49

【拳から伝わる感触は、確かに放った一撃が肉を撓め骨を揺さぶったことの確信となったが】
【ぎり、とミドナは歯軋りを立てる――――重い=B巨岩を殴りつけたような重厚な手応えが、三本の腕に反動として返ってくる】
【だがその一撃が、アリギエにとって痛打であったのは確かなようだ。少女の雷撃の支援もあり、ぐらりとその体が揺れると、ミドナは慌てて走り出し】
【大地へ倒れ伏す巨躯の下から抜け出すと、一度くるりと振り返る。猛獣と対峙する自身もまた猛獣であるかのよう、その口元には凶悪な笑みが浮かんで】

ふふっ、あんたの嫌いな小煩い人間≠ヌもにブッ飛ばされた気分はどう?
人のことを猿だのなんだのって侮ってるからそういうことになるのよ、でっかい子猫ちゃん♪

【…………高潔なプライドを持つアリギエからすると、その言葉はこの上のない侮辱だっただろう】
【散々見下されたのが気に入らなかったのか、ミドナは必要以上の挑発を浴びせかけて】
【それがアリギエの次の行動のトリガーになったかはさて置いて、悪手であったのだけは間違いようがない】

――――ッ!!? 何よこれ熱っ、熱っつい…………!!

【そんな下らない言葉のためにアリギエの近くに留まっていたミドナは、突如発せられた高熱と灼光をまともに浴びてしまう】
【一瞬、完全に動きが止まる。そして光を防ぐために遅ればせながら振り返れば、ちょうど僧兵から木箱を受け取るのだろう】
【そして直後、背後から感じる高熱が更に高まるのを感じ、強烈な危機感を感じたミドナは全力で走り出すのだが】
【…………元々アリギエとの距離が近かった上、その後退避行動へ移るタイミングも遅れ。そしてこの木箱の重量が、疾走の速度を確実に落とす】
【礼をして去っていった僧兵の後を追いかけるように、ミドナは必死に走る。目指すは、僧兵達が張っている結界だ】
【だが無情にも、アリギエの咆哮は彼女の背中を撃ち貫いて――――爆炎が、全てを焼き尽くして迸る!!】

ぁ、が――――――ああああぁあああぁぁああああッッッッッ!!!!??

【例の下の二本の腕を使った加速法も加えた、必死の逃走の結果…………ミドナの体は、どうにか結界の中へ滑り込むのだが】
【その熱で木箱の中身が起爆するのを恐れ、ミドナは木箱を抱えた両腕を前にしてヘッドスライディングの要領で結界に突っ込んでいた】
【だが、その体勢…………体が横に伸びた体勢が、最後の悪手。ミドナの体自体は炎から守られるものの、加速に使った下の二本の腕が結界に収まりきらず】
【…………その結果は、この鋭い悲鳴が示しているだろう。朱色の二本腕の前腕部、その半ばから先が、跡形もなく焼失していた】

…………っ、っつ…………あぁーーーーーもうッ! いッッッッッッッたいわねぇッ!!!!

【本物の腕ではないとはいえ、感じる痛みは紛れもなく実存のもの。生きたまま腕が溶け出す地獄のような責め苦に、涙すら流して地面を転がった後】
【――――しかし彼女も、並大抵の戦士ではないのだろう。涙を流したまま大きく吼え、痛みを誤魔化して立ち上がる】
【膨大なダメージを負った下の二本腕は、力を失って消えていくが…………まだ彼女の手は、常人の倍も残っているのだから】
【潤んだ黄金の瞳は、ひときわ気高く輝いて見えるだろうか。その視線で、彼女はアリギエを貫くと】
【自分の右手で木箱を持ち上げ、残る三本の手で中身の爆薬を掴み取れば、再びアリギエに吼えた】


この痛みの分…………耳を揃えて返したげるわ。
あんたが舐め腐った、あたしら人間の力≠チてヤツを…………存分に受けてみなさいッ!

【そうしてミドナは、有りっ丈の敵意と闘志をアリギエに向け――――その炎が収まった瞬間、結界を出て疾走――――!】
【その途中、彼女は爆薬を連続で投げつけるのだが…………腕が多い≠ニいう単純ながらも巨大なアドバンテージが、ここで発揮される】
【中に詰まった爆薬は、常人の三倍の速度で投擲され――――それは高熱を放つアリギエの体に触れれば勝手に起爆し、爆熱の雨が降り注ぐだろう!】

これで、トドメ――――ッ!!

【そして、爆薬を全て投げきった後。彼女は最後に残ったTNT爆薬を、よりにもよってその巨大な口内へ目掛け全力で投擲する!!】
【高熱のブレスを吐くその中へ入った爆弾がどうなるかなど、想像するまでもなく――――】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/19(火) 00:05:32.93 ID:MrP/i4G0o
>>48>>49

【――クシーの投擲した雷の鎌が、その刃先が、アリギエの背面を深々と捉えていた】
【当然これもまた、電流が走る。それも今までのようなものではなく――かみなり≠ネのだ】

【悶絶の声が響いていた。巨体が身を捩り、折角熱で塞いだ傷口の幾つかがまた裂けて】
【それに火が付けば、アリギエの様相は凄まじい物。全身を白と朱の炎で包んだ手負いの獅子――】
【形相はそれこそ阿修羅か鬼子母神を思わせて、合理的な判断を下したクシーを睨み】

【続けざま、アリギエを襲うのは暴言――というのはさておき、多量の爆薬であった】
【言うまでもなく、アリギエの皮膚はそれそのものが着火剤。そして爆薬は、いずれも状態が不安定】
【思い切り良く投げつけられた非常識な量のそれらは、今宵一番大きな花火を上げ―――】

――ぉ、お、ををぉ……おのれ…!この、我を…アリギエ随一の、この我を……!
……一体どこまで侮辱すれば気が済むのだ貴様らァァァアアアアアアア!!!!
まだ足りぬか!まだ足りぬかッッ!!燃やしても尽くしても足りぬと云うか!

良かろう、宣え!下等で狡い小猿共が!調子に乗るのも好い加減にしさらせよ、この――グ、ッ……!!

【『――減らず口も此処までだ。』TNT爆薬がその口内に落ちるのを見た何者かが呟いた】
【直後、さらなる爆発。爆炎と陽炎とが交わり合って、一時的にアリギエの姿は見えなくなった】

>>50

【――アリギエのものだろうか。燃え盛る液体が、そこかしこにべちゃり、べちゃりと降り注いでいた】
【動くことの叶わぬねこもとにもそれは同じ。特別大きな血塊が飛来して―――】

『――減らず口も此処までのようだな、化物め。ふン、手間取らせてくれる……。』
『おい!そこの男、無事だろうな?このフレデリック・シャリエール≠ェ来るより早く死人が出たと在っては……』

【――槍によって、打ち払われた。人影。見ればそれは、180cm程もある、恐らくは神官だろう人間である】
【ローブにマント、ここまでは良い。顔立ちはひどく厳しく、目元はギリリと引き絞った弓矢の弦のようであり】
【ウェーブした黒髪はとても艶やかで、何とも男らしい男――そういう人物が、彼を救い】

『……困るのだ。そら、立て。肩を貸してやる。そしてその満身に込めた力、奴に向かって解き放ってやれ』
『まだ生きているというのは察せられるだろうが――実にしぶとく、実におろかな生き物だ』
『そのまま死んだふりでもしておれば良い物を……第三近衛騎士団は前に出よ!能力者どもに道を作れ!』

『騎士団長フレデリックの命は主の命と思えッ!僧兵どもは、早く『龍=xの改式を引っ張ってこいッ!』
『そっちの二人!クシーに、ミドナとか云ったか!貴様らも疾く備えるのだ、奴を討滅するのは正に今であるとよく敏れッ!』

>>ALL

【総勢14名。第三近衛騎士団は、たったそれだけの人員である。それであるがゆえに、練度や人員の選抜は凄まじく厳しい】
【彼らは僧兵を差し置いて戦場に立った。全員が巨大な盾を持ち、長大な槍を持ち、屈強な鎧を身に纏って、横一列に隊列を組んでいた】
【徐々にそれはアリギエを囲み、逃げ道を消し――ガラガラッ!と耳慣れた荷車の音がすれば】

【それは荷車1つを壊しそうな程に巨大な大砲――それも口3つも開けた、特別製の龍≠ニいう巨砲】
【数は5つ。そのうち1つずつがちょうどミドナとクシーのそばに止まって、今まさに照準をアリギエに合わせていた】

【――折角ここまで戦ったのだ。何もただ見ているのではなく、導火線を取ってもしまっても構わない】
【そして援軍の筆頭、フレデリック・シャリエール。彼はねこもとを、やや強引にだが引っ張り立たせると】
【その肩を貸して、もだえ苦しむアリギエの目前へと引きずってゆくだろう。――激しくも、何処か温かい男である】


【『……さあ、準備は整った。恥知らずにも神獣を騙る炎獅子を狩るときはまさに今である!』】
【『近衛騎士団は何があっても下がらぬよう!僧兵どもは何があっても逃げぬよう!そして能力者共は――』】
【『―――何があっても奴を仕留めるよう肝に留めよッ!』とは――かのフレデリックの、叱咤の声。そしてそれが、総攻撃の司令となる―――!!】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/19(火) 00:30:05.13 ID:1kJSlFSBo
>>49>>50>>51

【爆風が、クシーの黒髪を靡かせる】
【顕になったその右耳、鈍く光るのは逆五芒星を刻んだイヤリング】
【それは乃ち、クシーが世界の敵たる機関の者である事を示すのだが―――最早今は関係無い事、だろうか】


――――どいて。僕が、やるよ。
最後……プシー以外に取られるの、嫌だから……

【ふらりと、些か覚束無い足取りながらも確りと龍≠フ下へと歩み寄る】
【幾らか小さくなりはしたものの、未だ雷雲はクシーの頭上を追随していて】
【ゆっくりと、右手を導火線の先へ伸ばせば、手の平に乗せるようにして】

これで、終わり……だね。
蟻の顎ってね……けっこう、強いんだって、知ってた……?
……ううん、君の言う通り、僕達が蟻なら……今、これから、知るんだね

――――――――――じゃあね、バイバイ


【もはや聞きなれたであろうか、今日幾度目かの轟音】
【クシーの右手へと、雷の落ちた音】
【今度は鎌にも、弾丸にもならない。ただの、落雷】
【それでも能力由来のものなのか、自然のものより温度は低く】
【けれど確かに、導火線の端には火が灯された】
【止めとなるであろう一撃を、ただ、目の前のアリギエへと、届ける為に】

【―――――終末へのカウントダウンが、始まった】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/19(火) 00:44:19.45 ID:2HgI89pYo
>>49 >>51 >>52

ふ、ぅ…………あんだけ爆弾食らってまだくたばらないなんて、意外とやるわねあんた。

【爆音と爆炎の雨が止み――――鬱憤を晴らすだけ晴らしてすっきりとした顔で、ミドナは残る四本の腕を腰に当てて胸を張っていた】
【舌が弾け飛んだのだろうか、声らしい声も聞こえず悶えるアリギエの姿に、一抹の哀れみを投げつけると】
【一度目を閉じ…………もう一度開く。そうすればそこには、獲物を見据える獣の瞳が戻っているのだろう】
【ゆらりと、残った二本の腕が持ち上がる。ミドナ自身の両腕もまた、朱色の輝きを宿して構えられて】

…………何よ、今ごろ援軍? こっちはちょうど片が付きそうだったんだけど…………ま、いいか。
それにしても…………。

【その気勢を一時阻んで、フレデリック・シャリエール≠ニ名乗る男の率いた一団が現れたことに気づけば】
【彼に向けて適当な減らず口を叩くと、一度何かが引っかかった様子で14名の騎士を眺めるも、すぐに振り払ってアリギエへ視線を返すだろう】
【ウチの部隊とは、随分雰囲気が違うわね――――などと。ただ何となく、その雰囲気に当てられただけだ】


さぁて――――それじゃあ最後の一撃、行ってみましょうかっ!!

【――――ミドナは最後に大きく吼えると、前傾姿勢を取る。それはどう見ても、疾走の前準備だ】
【目の前に現れた大砲を使えば、それで終わりなのに。しかしどうしても、自らの手でケリを付けたかったらしく】
【にやり、と。不適な笑みを、アリギエへと向けると――――最後の疾走が、開始される!】

【その体躯をアリギエの右前足へ向けて運びながら、四本の腕が躍動するのが見えるだろうか】
【一本一本が腰当てにあったリングに指を掛けて引き抜くと、短刀≠ェ全ての腕に行き渡り】
【人の身では決して到達し得ない、四本腕による四刀流≠フ剣閃――――それが、一斉に爆ぜ飛ぶ!】
【アリギエが抵抗しなければ、その右前足は圧倒的な手数によって滅多切りにされてしまうだろうか】
【そしてその成否に関わらず、続けて左前足、後ろ足…………と、彼女は素早い足運びで移動しながら連続で斬撃を重ねていくだろう】

【足を傷付けることで動きを止め、続く龍≠フ砲撃を確実なものとする。それにはそういう意図もあったが、何よりも】
【どんな気に入らない奴であれ、戦いの場で拳を交えた以上、筋≠ヘ通す。そんな、下らない意地の現れだった】


      ―――――Hasta la vista,baby.(地獄で会いましょ、子猫ちゃん)=I


【そして、最後の最後。そんな言葉と共に、ミドナはアリギエの額のど真ん中へ、渾身の拳を叩きつけると――――】
【彼女はすぐさま斜線上から退避していき、本当の止めの一撃を龍≠フ顎へと託すだろうか】
【今日の闘争の終わりと、この獅子の命の終わりを告げる爆音が、どのような音色で響くのか。彼女はそれを、耳を澄まして聴いていた】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/19(火) 01:01:22.34 ID:lQF36HE10
>>51>>52>>53


……す、すまない……だが、全てを出し切る事を、此の街に、誓おう……
………有難う、フレデリック、……私は………―――――


【肩を借りながらねこもとは、フレデリックに簡単な礼を述べた。今自分がすべき事が何か、確実に理解しているのだろう。】
【然し男は続く言葉を失う。全身全霊を捧げる事を誓ったものの、―――自分に、自信が無かったという事だ。】
【此の男は、まだ幼い。身長も身体つきも、正に一人前の男性其の物だが、……彼が生まれてから、未だ16年しか経っていない。】
【異常な迄の強さを持ち合わせているとは言え、確固たる自信を持つには、余りにも早過ぎるのだ。彼には経験すべき事が、沢山残されている。】

【―――然しアリギエが残した物全て、言うに言われぬ惨状が、少年の眼に映ったのなら―――!】

【『自分は今、何に躊躇っているのだろうか―――?』 きっと、我に帰る筈で。】

【『此処で良い。助かった……』とフレデリックに伝える。腕を解き、ねこもとは数歩、フラフラと足を進め、アリギエの前に立ちはだかった。】
【もう其の眼に、迷いの文字は刻まれていない。自信が無かろうが何だろうが、そんなの関係無いのだ。】
【自分が今出来る事を、自分の持てる全ての力を、微塵も余す事無く出し切る。唯其れだけの、単純な事。そして今の自分には、其れが出来る―――!】




        …―― 畢 ――― ≪ 幻 號 爍 砕 ≫ ―――…



【ねこもとはフラフラとした佇まいのまま、スッと眼を閉じた。瞬間、全身からが溢れ出すのは、矢張り"気"。】
【其の全てが男の前方へ。形状が定まらぬまま其の嵩を増していく―――。然し気の放出が終わった頃、其れは完全な球となって其処に存在していた。】
【全てを出し切ったねこもとは、其の侭。魂が抜けたかの如く気を失い、彼の頭は美しい迄の扇型の軌跡を描き、地面に倒れた。】

【"気"は、生命を宿して居るかの様だった。完全な球の形状をしていた其れは、やがて形を変え―――、】
【皮肉にも、"虎"の形になった。咆哮する姿を見せた其れは、アリギエをギロッと睨み。大きく、前足で一歩を踏みだした。】
【小振りだ。アリギエの姿に比べれば、一回りも、二回りも小さい。―――否、其れでも。】

【姿を変えたねこもとは、自身の思いを、そして全ての思いを乗せ、"炎獅子アリギエ"へと突進するッ―――!!】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/19(火) 01:28:17.66 ID:MrP/i4G0o
>>52

【クシーのただならぬ様相に――そして一部の者は、耳元のイヤリングに】
【僧兵らは怯えたように場所を空けた。巨砲龍=\―風の国で作られた大砲である】
【本来は風を魔力として取り込み打ち出すのだが、流石に改式というだけあって違う様子】

【白色に宝飾品で彩ったこの大砲は、要するに砲塔3つを揃えた欲張りな一門、というわけだ】
【ライフリングはどういう細工が施されているのか、三発を同時に、そして螺旋を描いて飛ぶ構造に仕上げてあり】
【導火線に火が灯ってから発射に至るまではおよそ10秒もかからない――】

―――グォ、ァァッ……!こっ、こんな馬鹿な事があるか……!あってたまるものか……!!
我は…われは誇り高き神獣であるッ…!何ぞヒトの人智がッ!手が及ぶ存在では無いのだぞ――ッ!

>>53

ば、馬鹿がッ!間抜けな猿がッ!貴様なぞ本来は我が眼前に立つも烏滸がましい様な存在が……!
ギ、ぁッ…!!よくも我が足を……御足をよくも、よくもォォォォォォォオオオッ!!!

【――それは最早声ではない、思念である。頭の中に直接叫びを叩きこむのである】
【けれどもそれで止まるならばここまで追い込まれはしないというのが、アリギエには分からないらしかった】
【最後まで哀れな獣よ、とは誰の言葉か。援軍第一のフレデリックはミドナの動きをじいっと見ていた】

【まず右足に刃が入る。巨木のようと表されたそこは最早皮もめくれ上がり、肉もクシーの狙撃でズタズタで】
【刃はこれまた、入る、はいる。恐らくは爆破の衝撃が、そして全身の弛緩が筋肉という壁を消したのだろう】

【ざくり、と刻み込まれたならば、もうたまらなかった。アリギエは1つ吠えるが、情けなくも支えを失い】
【どうっ、と倒れ込めば、その周囲が燃え上がった。出血量はイコール火勢。それがが強ければ、つまりは】
【ミドナの攻勢が如何に素晴らしかったか、というもの――最早逃げることなど、出来るはずもなく】

>>54

『―――私は人の姿勢、その心こそ真の美を形容すると思う。そして、貴様は実に美しい。』
『やれっ。貴様の美学を、薄汚い野良猫風情に教えこんでやれ――ッ!』

【フレデリックは彼の言葉に応じた場所で離れ、自らの槍を構えて次第を待った】
【周囲では既に龍≠ェ準備を済まし、当のアリギエはミドナによって全ての足を切り裂かれ】
【恐らくは、傷を先のように焼いた所でもう立ち歩くことは出来ないはず。圧倒的な優勢だった】

【だが、それでも騎士団長が彼を戦場へ、前線へ引っ張りだしたのには訳がある】
【それは彼個人の美学――!男の――少年の心を、実に美しいと感じたからに他ならない】

止め、っ……まだ分からぬのか、己らっ!我が如何に、いかにとうとくえらばれしそんざいだ、と…オォ、ォォォ――!
――――― グ ッ―― ガ オ オ オ オ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ ッ ! ! !

【――やがて、ねこやまは気を失う。そして全てを込めた虎≠ェ、格上だろう獅子に飛び込めば】
【『豪ッッ―!』と凄まじい音が周囲に響き渡ると同時に、獅子が咆哮し、そしてまた、巨砲が一斉に火を噴くのだった】

/続きます!
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2013/11/19(火) 01:29:56.20 ID:MrP/i4G0o
>>ALL

【合計15発の大砲弾が、圧倒的な質量で以ってアリギエの肉体を圧し潰していく】
【特段、クシーのものは一人タイミングがやや遅れて、最後の最後、トリを飾るように号砲を奏で】
【そして、爆散――強烈な閃光の後に上がるは珍しい蒼の煙。目にも清々しく、勝利と凱歌を象徴する澄んだ空の如くであり】


【――煙が晴れる。もうアリギエは動かなかったが、原型を尚も留めていたのは流石に怪獣と言わざるを得ない】
【気の早い、若い僧兵が『おぉー!』と声を上げて、誰もがそうしないことに気付き、チョットして口に手を当てたが】


       『―――うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

『勝った、勝ったぞ!我らの勝利だ!主よ、感謝します!』
            
  『第三近衛騎士団、万歳ッ!』        『……これも阿修羅様の加護か』

        『冒険者万歳!能力者万歳!救われたっ、すくわれた!』


【そうそうたる気炎が、そこかしこで湧き上がる。場所柄人柄、個人によってつぶやきは違ったが】
【いずれも勝利を喜ぶのは変わらずで、一部のものなどは三人の能力者たちに握手を求めに行く始末】
【それを制しながら声を上げるのは騎士団長フレデリックである。厳しい顔つきも、どこか綻び】


『……炎獅子アリギエは、死んだ。第三近衛騎士団と私であれば、誰に頼ることもなく退治られたが……』

『だが、貴様らの力は本物……認めよう。よく、我らがゼン=カイマを守り通してくれた』
『司祭に代わり礼を言おう。そして報酬だが、前もって提示した額は当然の事……』
『アリギエの死骸、それを自由にする権利も貴君らに与えるよう仰せつかっている』

『……とはいえ戦後だ。まずは街に戻り、その身体をゆっくりと癒やすがいい』
『ゼン=カイマは宗教家であろうがなかろうが、癒やしを求めるものには至って寛容な場所なのだ』
『例え神が、律法が違えども……客人を蔑ろにしろという神は、この世には居らぬから、な―――。』


【ガラガラッ、という音が近づいてくる。今度は荷車ではなく、馬車だった】
【三者三様、今からやりたい事は違うかもしれない。ただ、街へ向かうのは同じはず】
【迎えの馬車は王侯貴族が用いる一等級だ。存分にくつろぎ、存分に癒せ――これもまた騎士団長の言葉である】

【ただ気を失ったねこもとに対しては、フレデリック自らが彼を担ぎ上げ、馬車に乗せることになるだろう】
【その折、ちょっとした神の祝福を祈る言葉を添えて於いたが――まあ、気付く気付かないは別のこと】
【これで討伐は終わったのだから。遠く街の中心部から、祝福の鐘が鳴り響いていた―――!】



  ―――おおアンドレイ殿、此処にいらっしゃいましたか!どうです、次第は!

  あぁ司祭――凄いですねぇ能力者って。まるで伝説の戦士がそのまま生きている様でしたよ
    己の肉体を武器にし、天候の1つを自在に操り、櫻の神だか仏だかを呼び出す戦士たち……
    実に感動的だ。心打たれる……何より、親友フレデリックがこれまた勇ましい事で。

  ほ、ほ。それまた芸術家らしい……しかし、我が教会の壁画の方もよろしく頼みますぞ?
  やはり、神の威光を伝えるには絵画が一番だと思いますでな……!

  大丈夫、任せといてよ。……ただもう、ちょっとだけ―――見て≠ィきたくて。

【―――鐘の音がなる所。教会高所。そこはひどく見晴らしがよく、戦場もまたよく見えて】
【満足気な老人と、一人の男がそこに居て。後者がにこりと笑ったなら、それで全ての幕の終わりだった。】

/というわけで、これにてイベント終了となります!
/皆様、大変お疲れ様でした!またお付き合い頂き、ありがとうございましたー!
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/19(火) 01:57:41.42 ID:NSxZAZ2Co
>>53>>54>>55>>56

【仲間、だなんて言うつもりはないけれど、一時的に、敵を同じくした二人】
【ミドナの刃が動きを止める。ねこもとの気≠ェ砲火と共に襲い掛かる】
【そして一瞬遅れて、自分の放った砲撃が、飛び込んで】

終わった、か―――――やっぱりプシーがいないと、厳しいなぁ……
ああ……帰ったらまた怒られるかな……

【アリギエの最期を見届けると同時、脚の限界も訪れて、その場に座り込んで】
【ほんの一瞬、その顔に笑みが見えたような、そんな気もしたけれど――――】

【握手を求めて来た者に対しては、またしても無表情に】
【それでも、握手に応えているのは断る程の体力も残っていないから、だろうか】

ふふふ…………戦うことが、僕の生きてる意味だからね……ここで力を見せられなきゃ、意味ないから……


…………お兄さん――フレデリック・シャリエール、だったっけ……覚えた≠諱\――――


【馬車がやって来れば、ふらりふらりと歩いて行って】
【フレデリックに向けて告げる言葉は何処か意味深長なもの】

【ふと、鐘の音の方に顔を振り向かせれば、一陣の風が髪を靡かせた】
【何かを見ようとするような、そんな目をしていたけれど、すぐに倒れ込むように馬車に乗り込んで】
【その後はずっと、気を失ったように眠りこけるのだろう……】
【その寝顔だけは、見た目に相応しい、純粋な子供そのものであった――――】



/お疲れ様でしたー!
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/19(火) 02:02:05.02 ID:ZDeMUkj90
>>20

【攻撃の影響を察知出来たのかは分からない。十分な効果が見られないのなら手は停めない。】
【それだけで、だからこそその言葉と状況を処理する事も出来た】

(……本当に、死なないと思っているのね。あの夜も言動は同じ様だったけれど――――)

【―――――恐怖を知らないがゆえの子供じみた傲慢。混沌と闘争を想う悪魔は、その様な無垢の邪悪なのだと今一度確信が生まれる。】
【ならば恐怖を刻めばいい。駆け抜ける様に尖鋭化する理論。箍は無い/聖性を帯びずゆえ滅さず、唯穿つ様に振り切る、】
【硝子玉の闇に罅割れを齎さんがために、この魔物に追撃を――――――、】

【剣呑に加速する意識。だが拡散する魔力の霧が割り込む、】

…………ッ!!

【堪える様に表情が歪めば、不意に耳朶を風切る巨躯の気配が打った。邪禍へと揮う筈だった太刀を翻す手首――――音すら断ち切られた空間の轟音、】

【両肩と胸を諸共に切り裂く様に、飛び掛かる影の方向に向けて弧を描き一閃。撃ち払う様に迎撃を試みれば、必定――邪禍に割く追撃の手は薄れて】
【撤退は恙無く果たされるのだろう。毒のある言葉を並べたてる悪魔を見据えながら、柊は、踏み込むこともなく刃をその手に携えて】

……本当……口だけは……何処までも達者ね。
だけど良いわ―――――今はそうやって生き延びなさい。あなたは、そのプライドが大事みたいだから……。

【――――――“次は確実に撃滅する”、浮かぶ、そう告げる様な冷たい微笑。あちこちの傷口から、滾々と血を溢しながらも紡いでみせた】
【蓄積されたダメージは確実にある。ひとの身で受けた深い傷に体温は失われ、今宵あと何度剣戟を放てるのかすらも定かではなく、】
【けれど何処までも冷徹なその姿は、さながら戦いの具象として――――彼が讃えた闘争の地獄、その恐怖たらんと試みる様だった】


【やがて、混沌の悪魔と選民思想の―――そう歌に聞いた軍勢の脅威が去れば、戦の後特有の虚脱感の導くままに虚空を見上げて】

(……また……誰か、死ぬのか な。いつもの戦いにすら、勝てなかったみたいに……。)

【……こころを、折ることが出来なかったから。それだけの強さを果たせなかったから。】
【ごく短期の平穏への手立てすら適わないなら、今、自分たちの赴かんとしているより大規模の戦いは―――――。】

(……何を、感傷っぽくなっているのかしら。為さなきゃならない役目はあるのに――――――)

【感情を殺す様、寂びた微笑みを小さく浮かべて。ひとりと二体の戦場であった門を去る】
【手早く。効率を重んじて。兵たちのあるであろうまた別の区画へ――――、】
【負傷者の救護、戦いのあとの戦いに速やかに移行する友軍の援護。そんな自らの目的を果たすことが、彼女の軋む身を支える意志だったのだろう】

【敗北も撤退も許されない、この後に時を置かずして来たるべき戦場も――――】

/遅くなってすみません……昨夜は遅くまで本当にお疲れ様でした。 絡みありがとうございましたっ!
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/19(火) 02:14:07.47 ID:2HgI89pYo
>>54 >>55 >>56 >>57

――――悪いね。あんたのそれが御足≠ネら、あたしのコレは御手≠ネんだ。
その高慢ちきな性格、地獄で叩き直してきな――――アリギエ≠チ!

【肉を撫で切る刃を通じ、どこからともなく伝わってきた傲慢と憎悪の声を、ミドナは真っ向から受け止めて】
【如何なる敵を前にしても揺らがないのではないかとも思える、まさに不敵と言うに相応しい凄絶な笑みで、意趣返しにも似た言葉を呟くだろう】
【間もなくして砲火に飲まれゆく炎の獅子の巨躯に、最後に叫んだ言葉が聞こえたのかはわからない】
【そしてそのアリギエ≠ニいう呼称が、彼の名として真なる物なのかもわからなかったが――――そこには乱暴ながら、彼女なりの敬意≠ェ浮かんでいた】


…………ふぅ、ってちょっと! 握手とかはナシナシ! あたしそんな偉い人間じゃないからっ!

【やがて、龍の咆哮じみた砲火は止み…………耳朶を打つ心地よい歓声に身を任せ、短刀も仕舞って一息付こうとするのだが】
【何やらありがたがるように寄ってきた僧兵たちに、ミドナは戸惑い、そして少し照れるような表情を浮かべるだろうか】
【結局断りきれず、自分の腕と残った二本腕を駆使して四倍速で僧兵たちを捌くと――余談だが、阿修羅の二本腕は大人気だった――大きく溜息をつくだろう】

よっ、あんたもお疲れ。それとそっちの子も…………気を失ってるみたいだけど、お疲れさんっ!

【その後ミドナは、馬車に乗り込むクシーの背中に労いの言葉を贈るだろう。そのイヤリングの逆五芒星には、最後まで気づかなかったようだ】
【もちろん、運ばれていくねこもとの方にも同じく言葉をかけて。気絶するまで全力を振り絞った雄姿を称えるように、肩を軽く叩いていくだろうか】
【その後も、共に戦った僧兵達へ同じように声をかけて――――それが終わると、ミドナは一人でアリギエの死骸へ近づいていって】
【四本の腕を、祈るように対にして合わせた後…………使える範囲で素材を剥ぎ取って行くだろう】

ふぅー…………暴れ回ってるライオンちゃんがいるらしいって聞いて、飛び込みで参加してみたけど…………。
ま、あたしも一応獅子(ヘイダル)≠フ端くれとして、面目は保てたかな?

――――さって、それじゃあ祭りだ! 収入も入ったことだし、明日の夜まで食って騒いで飲みまくるぞぉーーー!!

【…………これで、全ての用事は終わった。今日一日の締めくくりとして、ミドナは誰に向けるでもない独り言を呟いた後】
【大きく伸びをしながら、肉食獣のようだった笑みを快闊で楽しげなものに変えて、嬉しそうに吼えるだろうか】
【腕に宿っていた朱色の光が消え、阿修羅の腕も宙に解けていく。そうすればそこに残るのは、ただ陽気な女性の姿のみ】
【今日の出会いと経験をその胸に刻み、ミドナは元気よく馬車に飛び込んで、ゼン=カイマの街へと繰り出していくのだった――――】

【――――余談だが。夜の来ないこの国で明日の夜≠ネんて言葉が通用しないことにミドナが気づいたのは、帰りの船便を逃した後だったという】

/主催者様、クシーの方、ねこもとの方、お疲れさまでしたー!
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チリ) [sage]:2013/11/19(火) 09:55:04.32 ID:Zc6FLILho
>>58

「――ふん、俺様は"今更"死ィなねェーんでな、……たァだ延々と"混沌"として存在する、最高に素ゥん、……グフアッ!」

【撤退の直前、弧を描く一撃は確かにリザードマンに当たっていた――】
【だが、拠点へ帰って行ってしまった今、それがどうなっているのかやあたり具合などは確認が取れず】



「……ちィ、糞が、まァた潰し損ねたかッ……さァっさと治して次の混沌へ向ゥかわねェと…………」

【――それは闇よりも深く瘴気よりも身体を蝕む、そんな混沌の中だった】
【悪魔にとって恐ろしく住み心地が良いだろうそこで、深い傷を負ったその"身体"を、辺りを満たす濃厚な魔翌力で癒してゆく】
【――並の生き物が居られる様な場所ではなく、しかし悪魔にその魂を握られたリザードマンならばむしろ傷を癒す事が出来て】
【最後に受けた傷は心臓に達する寸前だった、上司が撤退していなければはたしてどうなっていたか――】

「おォい、メディアット――あァの街の様ォ子はどォーなっている?」 『無茶はなさ……』 「説教は要らん、さァっさと教えろ!」 『わかりました――』

【――悪魔が求む混沌への道のりは長く、しかしその道はけして通してはならぬ道で】
【しかし、悪魔は恐れること無く進む】 【――"ナニカ"を恐れていては、一体いつになったらそこにたどり着けるというのか?】

/少し後のことを入れつつ……お疲れ様でしたー
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/19(火) 17:10:40.37 ID:4Ngb/hKX0
>>55>>56>>57>>59


【最後の電撃。ねこもとが其れに全身全霊をかけたという証明は、最早必要ではない。】

【気を失った男は、劈くような歓声が辺りに響いた瞬間も、或いは馬車に乗せられ揺れていた間も。目を覚ます事はなく、】
【丸で其の身体は、全身にゴツゴツと付いた筋肉が収縮して、随分と小さくなったかの如く見受けられた程だろう。】
【―――だから、フレデリックが祝福の一言をかけた其の瞬間。ねこもとの表情が少し綻んだ様に見えたのも、"気のせい"である。】

【……燦々と永遠に照りつける太陽の光に目を覚ましたのは、それから2日経ってからの事。】
【正に全身を覆う様に塗られていたのは、皮膚の炎症が治まりつつある事から分かった。……火傷を治す薬なのだろう。】
【其の溢れぬ心遣いに感謝しながら、男は身体をスッと起こす。―――次いで、ヤケに身体が軽い事に気づいた。】
【とすれば、彼らが施してくれたのは、火傷の治療だけではない筈だった。男は改めて、此の街の崇高さに感銘を受ける。】

【―――男は立ち上がった。建物を出て、辺りを見回したのなら、其の侭こっそりと立ち去るのだろう。】

【世話係に任命されたメイドが其の事に気付くのは、其れから10分後の事。ベッドの上に置かれたメモには、】
【其れこそ格調高い文字で、かつ内容は手短に。以下の様に刻まれていたのだと言われている。】


【                               】
【  此の様な形で姿を消す私の無礼を、どうかお許し頂きたい。  】
【  私は旅人である。此れ以上、留まる訳には行かぬのだ。    】
【                               】
【  私の取り分だった筈の物は、街の復興に充てて欲しい。    】
【  金や物よりも貴重な宝を。私は既に、受け取っている故。   】
【                               】
【                               】
【    ―――あらゆる神の、祝福を。       ねこもと  】
【                               】


【報告を受けた国の中枢を担う人物が、ねこもとを捜索するよう指示を出したかどうかは、分からない。】
【然し、其のどちらにせよ。男の姿が見つかる事は、絶対に有り得ないと言えるだろう。】
【彼は矢張り、"旅人"なのだ。無愛想に見える暖かな茶色は、どんな色に囲まれようが、ひっそりと隠れる様佇み。】
【やがて其の侭、残る事無く溶け込んでしまうのだ。勿論此処ゼン=カイマも、其の例外ではない筈で―――?】



/〆遅れて申し訳ないです!有難うございました、ぜひまたお願いしますー!
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/19(火) 18:36:54.31 ID:DWRc3sCHo
【鉄の国 某所】
【所々に残された破壊の跡は、戦闘の傷跡】
【規模や範囲の大きさが障害となって正式な封鎖はされてはいないが、ところどころで調査と復旧が行われている戦場跡は、一般人には不気味な存在に映るらしく、人影はほとんどない】

「……………」
【ぽつりと瓦礫の中に立って、岩と鉄と埃にまみれた景色に視線を延ばす人影がひとつ】
【緋色の鷹が描かれたワッペン――よほど情勢に疎い人物でもなければ、SCARLETの所属を証明するワッペンだと分かる――を、左の腕に取り付けている少女であった】
【黒いロングコートに身を包み、首元には暖かそうなマフラーを巻いている。 それでも寒さからは逃げ切れるものでなく、吐き出す吐息は白く染まる】
【コートの裾から除いているのは、黒に白のラインが入った運動着で、一見すると質感のようにコートには不釣合いなラフな格好】
【だが、よく見るとそのあたりの量販店で販売されているものとは違う、本格的な運動着でらしく、単純に格好だけで判断をするのは難しいかもしれない】

【左の腕に持っているのは、最近発行された某大手出版社の新聞紙】
【既に長い間強く握りつぶされ、新聞紙には深い皺が刻み込まれていた】
【少女の握り締めた新聞紙は、IFTとUT及びSCARLETの間で激しい戦闘があったというニュースを、一面で大きく取り上げている】


//スローペース&凍結が前提になってしまうでしょうが、それでもよければ。
63 : ◆3y8AO4rWTx4i [saga sage]:2013/11/19(火) 19:58:53.23 ID:Y3T3PDY50
>>62

【〜♪ ♪ ♪〜♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪♪♪♪♪〜〜〜♪♪〜〜】

【ふと、少女の耳に心地よく奏でられている優雅な鼻歌と、トポトポ、と何かを注ぐ音が聞こえる】

【気になってあたりを見渡せば、すぐに見つけられるだろう】

【雪のような白髪のツインテールで暗い紫の瞳を持つ女。首にはカノッサ機関員の証、白の逆五芒星のネックレス があり
角度によっては頬には白く”No.139”の刺青があるのがわかるだろう】
【白のチューブトップに白のライダースジャケットを羽織り、白のホットパンツにヒールの高い白のロングブーツを履いている】

【いつからそこにいたのか、寒空の下腰掛けて、水筒から湯気が大量に沸きあがる熱い紅茶を鼻歌交じりにコップに注いでいる】

【その純白とも言える風貌から瞳の色が際立っている女だったが、最も目を引くのは腰掛けている場所だった】

【死体、だった】

【分厚いコンクリートの瓦礫の上に敷かれるように、だらりと力なく乗せられている死体の上に、女は腰掛けていた】
【服装から、それは鉄の国の自警団の者だということが分かる。恐らく先の激戦で命を落とした、”犠牲者”の一人だろうか】

【女は空を見上げて、広がっていく星空を見ながら紅茶に柔らかい息を吹きかけていた】


//まだいらっしゃいますか?
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/19(火) 20:13:56.78 ID:DWRc3sCHo
>>63
//いま確認しました、これからお返事をお書きします。
//大丈夫でしょうか?
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/19(火) 20:20:10.90 ID:b7H/+5Yc0
>>63
//横から申し訳ないです!
//>>1にも書かれていますがコテハンは禁止です、ご理解をお願いします!
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/19(火) 20:31:31.31 ID:DWRc3sCHo
>>63
【どこか近くから聞こえる歌=z
【聴覚を研ぎ澄ませて音の方角を確かめ、身体を翻すと音と向き合う】

「不謹慎な――音色だ。 ……この場所で何があったか、知らない訳ではないだろう?」

【目の前にいる白い女が、しらないはずが無かった】
【女が腰掛けている場所にあるのは、かつては人間であったモノ=z
【少女にとってその人物は――一度も会ったことはない相手ではあるが――一人の仲間であった】

【女の方へ一歩踏み出す。 踏みしめた音は硬く、寒空の荒野にどこまでも響き渡る】
【スニーカーに蹴飛ばされた埃と砂が宙を舞い、すぐに冷たい風に吹き飛ばされて小さな砂煙が少女の周囲に巻き上がった】
【瓦礫の上に腰を下ろす女の元へ、真っ直ぐに伸びる視線は、今にも噛み付きそうな獣のように鋭い】

「カノッサ……ッ!!」

【硬く握り締めた新聞紙が突如発火、燃え尽きた古紙は焦げカスになって砂埃に混じっていく】
【言葉は低く、それでいてよく通る。 言葉に秘められた感情については、説明をするまでもないだろう】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/19(火) 21:20:21.65 ID:Y3T3PDY50
>>65//うわ……申し訳ない。知ってはいたのですが消し忘れていました……以後気おつけます

【歌が止まる】
【ついで女は少女の方を見て、笑みをこぼす】

あぁ、知っているさ。”戦い”……いや”戦争”か?……だろう。私にとっては良いものだ
労せずこうしていい死体が手に入る

【そう言って、死体の顔を撫でる。その様はまるで寄り添うように眠る愛玩動物を愛でる仕草のそれにも似ている】

なぜそう敵意をむき出しにする?別にこの死体を侮辱するつもりは無いぞ、ただ『私』にするだけだ

……あぁ、もしや知り合いか?ならばさきに断りを入れるべきだったな。すまなかった

【そこで話が済んだものらしい、視線をコップに戻して休めていた紅茶を冷ます作業に戻り、息を吹きかける】
【この女にとって死者に対する物は”悪意”こそなくとも”軽い”ものだった。それが、この女の当たり前なのだろう】

【少女の沸きあがる感情をそのまま現したかのような炎によって、生じた燃えカスが女の下へ行く】
【それが視線に入った女は再び少女の方へ視線を向ける】

お前、火を使うのか

【突き刺す視線をまるで気にも留めはしない】
【が、”火”に何か思うものがあるのか、女の目は少し細くなり少女に警戒心をむき出しにする】
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/19(火) 21:21:25.17 ID:Y3T3PDY50
>>67は安価つけ忘れ……>>66宛です
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/19(火) 21:46:29.40 ID:DWRc3sCHo
>>67
「下劣だな……戦争に良いも、糞もあるものか」
【女の笑みに、少女は声を荒げ、少々過剰ともいえる対応で答えた】

「何を考えているかは知らないが……ソイツはお前には渡さない」
【『私にする』という言葉を聞くと、眉間に深い皺を作る】
【女が少女の表情から感情を読み取ることができれば、そこにあるのは疑問の感情】
【あるいは、女の言動が理解できないという、拒絶への意思】

「命を失ったからって――失ったからこそ、好き勝手に扱うことはできない。
 私たちは、あるべき場所にもどる手伝いをする、それ以上のことは許されないんだ」
【鋭い視線のまま、女の方へとさらに一歩近寄る】
【距離にして数メートル。 ――噛み付くならば、一瞬だ】

「知らない、初めて会うやつだが……そいつは、私にとって大切な人だ。
 死者の気持ちなど分かるはずがないが、カノッサの手に渡って幸せだとも思わない」
【女の問いには肯定も否定も、一言も触れない。 ただ、超常発火の燃えカスが現象が夢などではないと証明している】
「去ね、今すぐにだ。 ……此処はお前らが居て良い場所ではない。
 それが、聞けぬというのなら……力ずくにでも帰ってもらう」
【最後にもう一歩、女の下へと近づく。 高く鳴り響く靴の音は、最終警告の警笛】
【互いの距離は1m前後。腕を伸ばせば、すぐにでも届きそうな距離】


//すみません、前述のとおり持越しにはなると思っていましたが……予想よりも早くタイムリミットが
//10事前後で消えることになると思います、すみませんが起きレススレに持ち越させて下さい
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/19(火) 22:22:23.94 ID:rp1QwRVs0
【人通りも無くなった街の中、コツリコツリと靴を鳴らしながら歩く姿が一つ】
【――――乱れなく着こなした軍服に、制帽。片目は眼帯で覆った少女が一人、歩いていて】
【腕に通された腕章は自警団の其れ。時折立ち止まっては、辺りを見回すけれど】


「…………異常なし、でありますね
ふひぃ〜……昨日は散々連れ回されて寝不足だから疲れたでありますよ……
っとと、ちゆ姉に聞かれたら不味いでありますね」

【眠たそうな眼をゴシゴシと擦り、再び歩き始めた】
【時折街灯に照らされる藍色の髪は、その光を鋭く反射させていて】
【……溜息を一つ吐けば、適当なベンチへと腰を下ろすことだろう】


「取り敢えず、今日の勤めは終了でありますね
…………帰ったら蜂蜜を入れた牛乳でも飲んで寝るでありますか」

【堅い表情には似合わない、大きな欠伸】
【続いて大きく背伸びをしたならば、もう一度辺りを見回して】
【立ち上がろうとしたその刹那――――脚が縺れて“ゴチン”なんて音が響き渡るだろうか】
【この街を訪れた者は、唯一の人影…………それも地面と熱烈キスをしている者の姿を見る筈で】








【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/19(火) 22:29:12.21 ID:Y3T3PDY50
>>69
//置きレス移行了解です。では、>>69への返信はそちらの方にします。
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/19(火) 22:35:46.21 ID:cmU+kPj10
【とある街――公園】

【普段であれば子供たちの遊ぶ声などが聞こえている公園】
【だが、今日は聞こえないなぜなら天候が雨だからだ】
【その雨が降っているため人はここにこようとは思わない】
【だがその雨の中傘を差し歩いている人物がいる】

【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い】
【片腕には義腕をつけているが手の部分は黒の手袋をはめておりよく見ないと義椀だとわからないだろう】

はあ、今日も雨ですか
 こう雨が続くと憂鬱な気分になっちまいやすね

【そう言いっているのに男の歩きはどこか調子がよそうだ】
【そして男は自動販売機を見つけると自動販売機に近ずきお金をいれ飲み物を買う】
【選んだ飲み物はホットコーヒーだ、CMでよく宣伝されていたやつでもある】

さてっと、どっかに座るところはっと

【男はそう言い辺りを見回しちょうど座るにいいところを見つけた】
【そこは四角な作りで屋根がついており木の柵もついていた、きちんと入れるところもある】

【そして男はその四角なつくりの場所へ行き傘を閉めて座る、そして買ったホットコーヒーをあけて飲む】
【全部飲み干したのならタバコとライターを取り出し、一服しているだろう】
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/19(火) 22:59:48.95 ID:luxmKPgt0
>>70

【そんな街を訪れる一つの影があった―――。】
【随分と疲れているのかどこか肩が下がっているように見えるその影は少女が倒れている地点へと差し掛かる】

………ハァ、疲れたぜ。
後始末にしてもここまで時間がかかるとなると辛いもんがある、とはいえそうも言えない状況かぁ…。
ウチももうちっと人員が増えてくれれば助かるんだけどなァ………そろそろ過労死しそうだ―――

まぁいいや、どっか適当な飲み屋にでも入って一杯………って、ん?
―――………お、おーい大丈夫か?

【―――その人物は】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【ぶつぶつと愚痴のような事をこぼしていたが、倒れている少女が目に入り………恐る恐る声をかける】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/19(火) 23:18:04.02 ID:rp1QwRVs0
>>73
【反応が直ぐに返って来る事は無く、代わりとしてピクリピクリと動かされる指】
【くぐもった声は痛みによるものであろうか。「うぅ……」なんて呻きは漏らされるけれど、其れが明確な言葉となる事は無い】
【回復するまでに約一分。そう長い時間でもないが――――そんな様を見ていた者からすれば、果たしてどれ程の体感なのか】


「だ、大丈夫…………であります…………
少しドジをしただけで、骨等が折れた訳では――――」

【青年に反して、一切の乱れなく纏った軍服。落ちた制帽を二度三度叩けば、しっかりと被り直して】
【――――所謂隻眼。眼帯で覆われていない藍色の瞳に浮かべるのは涙】
【転んだだけにしても、中々に凄い音が響いていた訳で――――更に気が抜けていたともなれば、痛みも相応であったのだろう】
【ゴシゴシと袖で涙を拭けば、声を掛けてきた存在へと目を向けて】


「みっともない所を見せてしまって申し訳無いであります
治安も悪くなってきているであります。私は大丈夫でありますので早めに帰宅…………を…………?」

【自分は大丈夫だから。そんな事よりも、また大きな事件があったばかりなのだから早く帰る様にと促そうとすれば――――】
【当然、己と同じ所属を示すそのワッペンへと視線が移るのだろう】
【民間人であったならば、まだ良い。醜態を晒したとしても一時的なもの。どうせ数日と経たない間に忘れられる】

【しかし、目の前に居る人物は――――?まさかのまさか。同じSCARLET所属を示す其れを付けているではないか】
【見る見る間に紅潮し始める顔。急に身形を正したならば「お疲れ様であります」の一言の後、見事な敬礼をみせる事だろう】
【少女の自警団の腕章に着けられた其れも又、青年と同じ組織に所属する事を表す物】
【知った仲ならば良いが、まさかの初顔合わせがこんな状況であるが故に。“お堅い”少女も少し崩れて】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/19(火) 23:31:06.49 ID:luxmKPgt0
>>74

お、おう………それならいいんだが………随分と派手に転んだみたいだな………。
それにだ―――君みたいな少女がこんな夜更けに………ん?

【相手が大事ではない事に安堵するように息を吐きつつも心配そうに屈みこんで言葉をかけ】
【少女と似たような事を口にしていたが、腕章へと視線を移して怪訝そうに眼を細めてジッと見つめてから】
【もう一度少女の方を見て、一度唖然と口を開けてから気を取り直す。】

え………まさか同僚だったのか―――、あ、お疲れ………。
あーまぁなんだ………お互い疲れがたまってるみたいだな!うん、HAHAHAHAHA!

【顔を赤くして敬礼する少女を労わるように苦笑いしながらぎこちなく青年も敬礼を返した―――。】
【まさかこんな少女まで自分と同じ組織に属しているとは思わなかったのだろうか、少しぽかんと口を開けて唖然としている】

あー俺はディック・ホワイトってんだ………SCARLET≠ノはスカウトで入った。
えーと、君は?

【なんとなく気まずい間が流れそうになったので青年は自身の名と入った経緯を明かして茶を濁そうとする】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/19(火) 23:48:51.24 ID:rp1QwRVs0
>>75
「う、五月蠅いでありますね…………今の私には馬鹿にしている様な笑い方にしか聞こえないであります」

【その笑い対してはジロリと視線を浴びせて】
【敬礼を解けば軍服が破れていないか等の確認。その後、制帽の角度を正したりすれば、ようやく落ち着いて】
【眼帯とその服装とを除けば、ただの少女。青年の指摘だって強ち間違っては居ない筈】
【――――事件が起きたばかりにも関わらず、この時間に一人で出歩けるとなれば実力者か…………或いは、その年代にありがちな無鉄砲か】
【腰に提げられた軍刀が実に不釣り合いだが、本人はそんな事を微塵も気にした様子を見せず】


「――――ディック殿、でありますね」

【青年の名を反芻する頃には、上っていた血も大分落ち着いてきたのだろう】
【溜まっていた疲れを少しでも取り除くかのような吐息を一つすれば、顔を上げて】


「私はオラークル・スティンガーであります。自警団所属、SCARLET所属であります
…………自警団は兎も角、SCARLETはディック殿と同じ経緯でありますね
中邑瑛月殿に誘って頂いて、今に至であります。――――所で」

【堅苦しい物言いといい、その容姿通りの性格なのであろう】
【同じ様に経緯を告げれば、ぐいっと一歩分距離を詰めて】
【――――念を押す。を体現するかのように人差し指を向ければ、唇を尖らせるのであろう】


「他のSCARLETの方々には今のは内緒でありますよ?
何も無い所で転んだ上に素っ頓狂な声を出してたなんてなったら…………その、色々と居辛いであります」

【…………素っ頓狂な声。言わなければ青年だって知らないままであっただろうに】
【眉間に寄せた皺は否定させないと言わんばかりであったが――――どう出るかは、勿論青年の自由で】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/20(水) 00:04:34.27 ID:W4QjXv+X0
>>76

い、いやいやいやそんな事はないぞ………?
俺はお互い仕事が多くて大変だなって労わりを込めた感じでだなァ………。

【ジロリと見つめられると再び苦笑しながら両手を上げて相手をなだめるような仕草をする】
【年齢はともかくSCARLET隊員という事は実力はかなりのものだろうと推測し、納得するように頷く。】
【………うっかり転ぶようなドジな所は取りあえずおいておく事にして。】

オラ―クルだな、まだ発足されたばかりの組織だが、まぁよろしく頼むぜ
へぇ………てっきり自警団からの選抜かと思ったが君もスカウト、それもあの中邑旦那からか。

そいつは大した腕前みたいだな、まぁ色々と悪かったぜ。

【相手の名前を聞いて口元を弛めて笑みを作りながらそう答える】
【自分と同じスカウト組、それもあのスカーレットのエース、中邑瑛月からとなればもはや疑う余地はない】
【この少女は見かけや様子に反してかなりの実力を持っているのだろうという考えが確信に変わる。】

あー分かった分かったよ………他の奴に会っても言わないって………。
それはそうと君はこの辺りの地域のパトロールを担当しているのか?

【溜息を吐きながら相手の口止めを了承し、コクコクと面倒そうにうなずきながら肩を竦める】
【そしてふと思いついた疑問を口に出す、同じ組織と言えど仕事の幅は多く他の構成員がどんな事をしているのか気になったのだろう】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/20(水) 00:22:38.99 ID:fFczpwpV0
>>77
「…………“クル”でも“ステン”でも良いでありますよ。皆には、その様に呼ばれているであります
兎に角、こちらこそ宜しくお願いしますでありますよ」

【大した腕前、と評価して貰って単純に嬉しかったのだろう】
【その言葉だけで気を良くするのは、やはり歳相応。先程のジロリと睨んだ事は何だったのか問いたくなる位には表情も変わるのだろう】
【しかし、その先の言葉には表情も曇って】


「担当…………とは違うでありますね
どちらかと言えば、私は揉め事が起きた際に駆けつけるでありますから、特に担当区域が無いのであります」

【偽りの言葉でも無いのだろう。趣味とは異なるが、義務でも無い】
【――――要は、ただの使命感。被害者が一人でも少なくなるように、と少女が考えた故の行動】
【勤務時間の終了を待つだけならば、ただ何処かに居れば良いのだが…………そんな意味でも、この少女は真面目なのだろう】


「所で、ディック殿は何故此処を通ったのでありますか?
…………見回り、でありますか?」

【継いで、疑問に思ったのが青年は何をして此処を通ったのか】
【自分は勤務。パトロールを行っている故。ならば、青年は…………?】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/20(水) 00:38:16.40 ID:W4QjXv+X0
>>78

じゃあクル≠チて呼ぶとするかな、俺もディックって呼び捨てでいいからよ
まぁ同僚つってもこうして出会う事は少ないからな、次にいつ会うかはしらんがよろしく

【相手の言葉に一度考えるような仕草をしてから愛称を決めて、それならばと自分の事も呼び捨てにしろと言う】
【どうやらこの青年も見かけのまま、気さくで軽い感じの性格らしい。】
【尤も、彼もスカーレットに属しているのだからそれなりの戦闘力を持ってはいるのだろうが。】

ふ〜ん、じゃあこの辺りはたまたま来たって感じか。
まぁ今はどこもかしくも治安が悪いからどこを見て回っても良いとは思うがな。

俺か?俺はちっと補給物資≠フ関連でな………書類のサインとか検品の指揮とかだ
ほら―――例の要塞の件≠セよ………鉄の国は軍部もてんてこ舞いで復興はこっちに丸投げされてんだよ………。

まぁこっぴどくやられたから仕方がないがな………おかげで寝る暇もないぜ。

【例の要塞の件≠ニいうのは鉄の国の国境要塞をGIFTが襲撃した事件の事を指しているのだろう】
【被害は甚大で、今も国境要塞付近は復興作業と警戒で厳戒態勢になっているという情報も流れてきている事だろう】

【良く見れば青年の眼の下は酷い隈が出来ている―――よほど疲れているのだろうか】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/20(水) 00:53:41.48 ID:fFczpwpV0
>>79
「了解であります、ディック
――――補給物資、でありましたか。…………その任務を与えられているという事は余程信頼されているのでありますから、喜ぶべきでありますよ」

【苦笑を浮かべたならば、労いとも慰めとも撮れる様な言葉を投げかけて】
【…………意味合いからすれば後者が大きいか。しかし、補給物資となれば生命線とも呼べる事】
【あれ程の被害を受けた場所となれば尚の事であろう】
【さて、鉄の国についてもう少し深く踏み入ろうとしたその時――――ぽけっとから響く電子音】
【慌てた様子で取り出したならば、ディスプレイに映し出された文面を見て表情も引き締まり】


「――――どうやら、寝る暇が無いのは同じようであります
ディック、確かにもう一度会うときは何時かは分からないでありますが…………
もし共闘するなら、足を引っ張らない様に精一杯頑張らせて頂くでありますよ」

【最後にクスリと笑みを零したならば、駆け出すのであろう】
【目的は、勿論応援を呼ばれたその場所。――――小さな背中であるけれど、果たしてその身体で一体何人の命を救えるのか】
【…………何れ、分かる事】

/今日は早めの起床なので、申し訳ないですがこの辺りで……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!おやすみなさいませー!
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/20(水) 00:58:08.69 ID:W4QjXv+X0
>>80

どうなんだかねーただ厄介ごとを押し付けられてるだけかもっ………て呼び出しか
お互い忙しくなるな………俺も飲み屋で休憩するつもりだったが同僚の頑張る姿を見るとそうも言ってられんな

んじゃお互い頑張るとすっか!じゃあまたどっかあったら飯でも食おうぜ!

【相手の言葉に親指を立てて笑いかけるとそのまま去りゆく背中を見送っていく】
【やがてディックも目的地へと歩き出す―――平穏を守る彼らにとって休息は、今のところは存在しない。】

//お疲れ様でした!
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/20(水) 20:39:20.92 ID:D6/KdnyKo

【此処に一つ、また風が吹いていた。夜の名を冠した大地が暴風に見舞われたのも、もはや数日前。】
【鋼の名を持つ地と民を、襲った旋風も今はすっかりと静まって。もっとも、風の原因は絶たれていなかったが】
【二つの組織による大掛かりな襲撃を経て、世界は再び戦火の中へと突入していた。そんな荒れ果てた世の、片隅。】
【かつては天空を邪悪の巨塔に覆われ、絶望が人々の心も体も支配していたこの、"風"の名を持つ大地もまた、静かに。】
【静かにではあるが、脈動していた。此処は風の国、首都から少し離れた街にある、小さな事務所―――その名を、UTという。】

【―――UNITED TRIGGER事務所、時刻は夕飯時を過ぎ、丁度気温も下がってきた、夜のこと―――】



 ……舐め腐ってるねえ。アタシを。いや……そうじゃない。UTという存在自体を。
 正義を掲げる人間そのものを。誰かを守ろうとする意思を。
 舐め腐ってるんだよ、"こいつら"は……。


【ゆったりとしたジャズのBGMが流れる中、一人の女性がカウンター席に立ち竦み、一枚の紙切れと、何らかの機械端末を握り締めて】
【それらを潰すほどの勢いで拳を震わせながら―――"何か"が記載されたそのメモ帳のような紙切れを、勢い良く叩きつけてしまった。】
【女は特徴的な格好をしていた。少しクセのあるショート・カットの金髪、肉付きの良いグラマーな身体を白いシャツと、土気色のベストに包み】
【長くしなやかな脚部をブーツ・カットのダメージジーンズで覆い、足の先は年季の入ったウェスタン・ブーツを装着して、なにより目に付くのは】
【かなり昔のものなのだろうか、古びたテンガロン・ハットを頭に被っている事であり―――有体に言えば、西部劇の"ガンマン"のような格好だ。】
【女はブルーとも翡翠とも取れるような神秘的な輝きを灯す瞳に、明らかな怒りと、そして悲しみの色を浮かべていて―――やがて、呟いた。】

 
 ……お願い、ギア君。無事でいて。必ず、必ず助けに行くから。こんなメッセージ、受け取れるわけが無い……っ。
 カノッサ……何をするつもりかわからないけど、絶対に好きにはさせない。アタシの仲間に手を出したことを、絶対に後悔させてやる……。

 ―――法廷や公衆の場でじゃない。地獄で、ね。

【握り締めた紙切れに書かれたメッセージ。"生き人形ギアボックス、確かにいただきました。 盗賊団スクラップズ首領 No.29カニバディール"】
【つまりは、カノッサからの挑戦状でもあった。仲間を奪われ、その事実を名出しで突きつけられる。もはや悪い冗談にもならないこの状況に】
【戦闘で疲れ果てていた身も心も、更なるダメージを叩きつけられたかのようであり―――セリーナはこめかみを抑え、一瞬体勢を崩しそうになった。】
【しかし、自分がいつまでもこうしていていいワケが無い。なんとか悪夢を振り払い、取り溜まっていた書類の束へと目を通し始めた。】

【―――静かな、時間が流れる。揺れるUT、渋い顔のセリーナ。果たしてこのUTを訪れる者がいるのだろうか―――。】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/11/20(水) 20:49:59.90 ID:p3axxxKeo
>>82

【指先がジャズをかき消す、ピンと張り詰めた貴女の緊張の糸を更に引っ張るような音律で】
【きっと、貴女が顔を上げて、こっちを見るだろうって――――――予想していた、から】
【吹雪く夜風の冷たい世界が、奥の階段からその頬を覗かせたなら、多分】

【寒空よりも透明な、少女の横顔が映っているのだろう】


セリーナ、怒ってる……の、ソニアもね……分かるよ、怒るの
でもね、ソニア、知ってるよ、冷静じゃないの、すごく危ないって、知ってるの

ソニアの知ってるセリーナはね、怒ってて、動く人じゃないの
追い詰められてる時こそね、にっこり笑う人、なの――――――


【頬に触れるであろう、冷たな感触、暖房の効いた室内、温もりを強めた頬をひんやりと冷やすぐらいの温度】
【奥の階段から降りてきた少女は、貴女が振り向くよりも速く、後ろからぎゅって貴女を抱きしめようとするのだろう】
【冷たい体温が貴女の頬に当たる位置、降り注ぐソプラノの声が、その主を伝えて】

【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯、それでいて膨らんだ大きな胸】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【銀の十字架のロザリオを首につけて、その先端は膨らんだ胸元に乗って】
【スカートの下から伸びて、ふりふりと揺れるのは猫を模したやや長めの尻尾】
【視線を向けたらきっと出会える、マリンブルーの瞳が、貴女をじぃと見つめていた】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/20(水) 21:09:46.19 ID:iRVyyOZA0
【鉄の国――公園】

【遊んでいる子供の声は今は聞こえず】
【ただただ静寂のまっただかにある夜の公園】
【その公園に一人の男がベンチに背を預けてだらけていた】

【だるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】
【各所には包帯やバンソコがはられていた】

【なぜ男がここにいるのかそれはただの暇つぶしの散歩だった】
【男は要塞の激戦を思い出し、物思いにふけっていた】

 あんときゃあ死ぬかと思ったよ、いや捕まるかと思ったか
 まあ、なんにしろ運がよかった

【そんなことをいいながら男は腕を組む】
【そして腕を組みつつ次に何をするか考える】

 あー、次なにしようか
 いや、任務はいずれくるかなあ
 まあどっちにしろ備えておかないとな

【頭をかきながらそう言って、なにがおこるか次に考えた】
【とにもかくにも、傷などを早く治さなければいけないかと思っい、ため息をついた】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 21:17:00.72 ID:bhPyMQ3xo
【時刻は夜。少し前にカノッサやGIFTの侵攻が有ったというのにこの繁華街は何時も通り、人で賑わっていた】
【一般人にとって見れば、自分に危害が及ばなければ大丈夫と思っているのだろうか。……まぁ、それはともかく】

【こんな世界だから、その人種も様々だ。黒人もいるし、白人も、黄色人種と言われる人々も。勿論亜人種も少数居る】
【そして――――――歩道の隅で大の字になってぶっ倒れている少女も、確かに居るのだった】


「……にゃー……」


【まるでネコのように弱々しい声を上げる少女は、歩道の街灯に丁度照らされる形で倒れていた】
【街往く人々に分かるのは、彼女が茶髪のショートカットであることと、黄色いウィンドブレーカーを着ていること】
【この季節には余りにも場違いな、ホットパンツを履いていること。黒いスパッツを下に穿いているようだが、靴の類は見当たらない】
【ついでに言えば……その少女の頭にはピコピコと動く所謂「猫耳」が有った。ウィンドブレーカーからも、力無く倒れた長い尻尾が】

【こんな感じで少女が倒れているのだが、気味悪がってスルーを決め込む人々が多数だ】
【だが―――辺りには携帯の通信機器を手に持つ人達も居る】
【もしかすればそれは自警団への連絡かもしれないし。その連絡が、「歩道でぶっ倒れている少女」がいる、なんて通話かもしれない】
【或いは……見兼ねた誰かが直接少女へと声をかけるのかもしれない】

【誰が声を掛けるかに依らずとも、声を掛けられた瞬間に其れが引き金となったのか】
【彼女の腹が「グゥ〜……」と、彼女と同じように弱々しい悲鳴を上げるだろう】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/20(水) 21:39:11.37 ID:Uhsmy9SLo
>>85
【繁華街、その明るさは夜を、時間を無視したかのように照り続ける】
【しかし中にはその明るさを拭い去ったかのような暗い者もいるもので】
【いや、この明るさの中だからこそ、だからかもしれない】

………

【男は一人繁華街を歩いていた】
【その男が歩めばそこは自然と広がる、人々は意識せずにごくごく自然に男に道を譲っていた】
【それは男が纏う雰囲気が人を寄せ付けないものだったからか、それとも自然とそのフードを被った外套の男に近寄りたくなかったからか】
【そんな男がふと目につけた、微妙な人の開き】
【喧嘩でも起きたのか、それとも死体なのか、半ば流されるようにふらりと近寄る】

……生き倒れか

【そこにあったのは流血したものでもなければ、死体でもなかった】
【いや、腹から聞こえてきただろう悲鳴は彼女がそれだと確信付ける】

それにしても

【男は小声で呟き、周囲を見渡す】
【自警団へ連絡している人の姿も見える、これは男にとっては歓迎すべきではない】
【早急にこの場を離れるべきなのだろうが、男は見過ごせなかった】

【カツッ、カツッと靴をならしつつ近寄る、周囲に僅かに居た人々はその身にまとう寒気のする雰囲気から気味の悪そうな顔をし、男に道を譲る】

……大丈夫か?

【軽く体をゆすりながら小さく声をかける、耳によく響く聞き心地のよい声である】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/20(水) 21:49:21.50 ID:D6/KdnyKo
>>83

【かかっていたレコードが静かに止まって。無音の中、ペラペラと書類の束を捌く音だけが、静かなUTの事務所内に響く。】
【暫くはその存在を、音が消えた事実すらを、無視するように報告書の山と睨めっこをしていた、のだが。やがて嘆息と共に】
【セリーナは資料をどさり、とやや乱暴気味に、呆れた様にテーブルに置いて。伏せがちだった瞳をようやっと、"其方"へ向けた。】

【対照的、と呼んでも良いだろう。同じ様に怒りを抱えながらも、美しい様を保ったままの"彼女"の横顔が、そこにはあった。】


 ……わかってるよ。ガンマンが冷静さを失うなんて、馬鹿げてる。でもね、頭で分かってたって……心は理屈じゃあ動かないんだ。
 アタシは……責任者として、未熟だよ。こんな"揺さぶり"に、心を躍らされるくらい、無防備でどうしようもない、ダメな女なんだ……。

 笑いたいさ。笑いたいよ。……でも、出てこないんだ。本当に必要なものは、いつだって……欲しい時には、いっつも失ってる……!
 それでもっ! それでも笑えって言うんでしょう!? ねえ、ソニア! ソニアは―――……ソニア、は。なん、で……。


【―――こんな表情、見ることが出来るのは彼女をよほど良く知る人物―――つまりは、過去の彼女を知っている者くらいなものだ。】
【それくらいに今現在のセリーナ・ザ・"キッド"というのは精神的に安定していて、それでいて大人びていて、勇猛果敢であったのだ。】
【だからこそ、こんな子供じみた怒りを、ぶつけるような焦りの矛先を向けることが出来るのは―――本当の意味で、彼女を知っている】
【そう―――ソニアくらいなものだったのかも、しれない。だからこそ、愛しい妹分にむかって投げかけた言葉に、思わず自分で口を塞ぎ】


 ……、っ……ごめん。


【もはや何も、言うことすら出来ず。彼女はただ、激昂していつの間にか立ち上がっていたことに気付いて。】
【再び目を伏せながら、テンガロン・ハットを取り去り、金髪をくしゃくしゃ、と掻きながら椅子に座ってしまう。】
【―――その姿に、何時もの威厳はない。】
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 21:57:06.26 ID:bhPyMQ3xo
>>86
【誰かの声が聞こえる。……果たしてその声は、自分に向けられている物なのだろうか】
【その疑問に肯定を返して自己解決が出来たのは、その声が非常に近くで聞こえて、同時に身体が揺すられていたからか】
【加えて、その声が非常に心地の良い声だったからでも有るだろう】


「……大丈夫じゃないにゃー……」


【ピクリと猫の耳が動くが、そう短く返してまた直ぐに沈黙した少女。その後、またもや腹の虫が音を立てる】
【時より「あうー」やら「うあー」やら小声でつぶやく辺り、まだ死体には成りそうもないが】

【無意識に、いや本能的に少女は要求している】
【何でも良いから食い物を寄越せ、と】


【忙しなく響く靴の音が、小さいながらも彼に聞こえるだろうか】
【其れは彼に、一番来て欲しくない物を連想させるには十分すぎる物だろう。そして、実際その靴音は自警団のものであった】
【誰かが通報したのだろうが、幸いにもまだその足音は小さかった】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/20(水) 22:02:06.13 ID:KrRpBmKuo
【路地裏】

【一人の男女がそこに居た。一人は女で、赤い髪と黄土色の瞳が特徴的だ】
【服装は黒毛皮のロングコート。そのせいもあってか、どことなく高貴な印象すら受ける】

【そしてもう一人は詳しく記述するまでもない――云ってしまえば、チンピラで】
【どうも、彼女にナンパだか、喧嘩だかを吹っかけたらしい。そして、結果は言わずもがな】
【死んでも居ないし、重症でもなかったが、ノックアウトされて足元に這いつくばっており】

メンバーの一人が誘拐……他人事だが、UTの連中も大変だよなァ
居候してる身としちゃ如何ともし難いが、やったのはカニバディールの野郎だそうだし……

……ふぅ。あいつも、また随分と目立つようになってきたな
裏方で確かな仕事ってイメージが強かったが……応援したくもあり、そうも行かずって状況でもあり
脱落者ってのは身の振り方が面倒だな、ホント。兵器ってのは生きやすいもんだぜ―――オラ

【『いつまでも転がってんじゃねェよ』――とヒールのつま先で女性がチンピラを蹴飛ばすと】
【弾かれたように彼は立ち上がり、情けない悲鳴を上げて路地裏の角を曲がり、逃げようとして】

【女性はといえば追うでもなく、のんびりと木箱に腰掛けていた】
【手遊びも無い、タバコもない。空を見るわけでもなく――なんとなしに、休んでいるのだと思われた】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/20(水) 22:02:36.41 ID:Uhsmy9SLo
>>88
腹が減っているのか

【小声で呟く、今は生憎何も持っていない】
【それと同時に聞こえる腹の音は食事をよこせと要求していた】

【まだ死体にはなりそうにないが、周囲を警戒する彼の耳には靴の音が響いていた】

……チッ

【このままほっといて自警団に保護させればいいのかもしれない、だが自警団に全うに保護されるような人間なら何故行き倒れているのか】
【そう思いつつ小声で、若干厳しい声で問う】

すぐに答えろ、このまま自警団に保護されるか、俺の"家"に来るか

【恐らく本当にすぐに答えなければこの男は走り去るだろう】
【もし自警団の保護を望むのならそれでよし、だが保護を望まない場合は】

(連れて行くか)

【最近人を保護することが妙に多い、そう思いつついつでも走ることが出来るようにしておく】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/20(水) 22:03:03.84 ID:KrRpBmKuo
/一番最初の方、【一人の男女が―】は【二人の男と女が―】の間違いです!
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/11/20(水) 22:03:30.94 ID:p3axxxKeo
>>87

【両の手から離れる貴女の感触、小さな掌を何度か握って開いて、その感触を確かめる】
【向けられた言葉は、貴女の偶像――――――大会の優勝者でUTのリーダーである貴女に憧れを抱いてる人物だったら】
【幻滅しても仕方ないぐらいに、ある種人間味に溢れた、言葉なのだろう】

【ブーツが足元を揺らした、小さな体重が世界に溢れたなら、少しだけの漣が落ちる】
【プラチナブロンドの木漏れ日が静かに溶けて、周囲の空気をひんやりとさせたなら】
【貴女の言葉を静かに受け止めて、少女がその小さな口を開いた】


……セリーナは、リーダーなのUNITED TRIGGER≠ナ一番、偉い人、なの
リーダーがね、焦ってたら、他の皆がね、困っちゃうの、他の皆が、危なくなっちゃうの

ソニア知ってるよ、セリーナの焦りは、大切な仲間をね、思ってるからの焦りって
でもね、それで、他の皆を危なくしちゃうの、リーダーがしちゃいけないこと、なの

――――――ここで焦ってるようだったらね、リーダー失格、なの


【貴女の目の前をプラチナブロンドが流れる、零れるソプラノは、辿々しくも流麗な言葉】
【彼女の体温のよう、寒空の下朝靄に溶けてしまいそうなぐらいに冷たく、冷静な言の葉だから】
【指先で触れたその感触すらも、辿れないぐらいに冷えきってしまっているのだろう】

【軍隊という絶対的な上下関係の中に身をおいていた彼女だからこそ、紡げる言葉】
【無能な指揮官の下に着いた部下が可哀想、言葉の形は違えど、意味合いはきっとそこに帰結する】
【正しいかは分からない、分からないからこそ返す言葉は、どこまでも冷たくて】


……だからね、見せちゃダメ、なの……どんな事があっても、セリーナのそういう顔
悪い人一杯、チャンスだって、襲ってきたら……きっと、皆、危なくなっちゃうから……

――――――だからね、だから……ソニアが、受け止めてあげる、の
辛いこととか、大変なこととか、そういうのあったらね、ソニアが付き合ってあげるの
だから、セリーナは、皆の前だったらね、強いセリーナで居て欲しいの


【約束だよ、って付け足す言葉、カウンターの椅子に座った貴女の前に、その小さな身を揺らしたなら】
【足元にそこら辺に転がっていたビールケースを置いて、その上にちょこんと立つのだろう】
【ことん、と音がしたなら、カウンターに置かれるのは、このお店で一番高いお酒=z

【きっと貴女なら知っているだろう、彼女がどれだけお酒が嫌いなのか】
【きっと貴女なら分かるだろう、そんな彼女が、お酒をカウンターの上に置いた意味を】
【硝子細工の奥、カウンターに乗った小さな横顔は貴女と同じくらい、一杯の辛さと悲しさを抱えて】

【それでも不格好だけど、小さな微笑みを浮かべて】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/20(水) 22:11:56.41 ID:XE7vqBnp0
【水の国、公園】

【群れ躍り 遊びに興じていた鳩は塒に帰り、日々の営みも雪の音色に紛れる時間帯。喧騒を逸れて憩うのは、この街本来の住人だけではなくて】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。】

【地図の様な薄紙一枚を手にベンチに身体を預けるのは、そんな形容の出来る人影だった】
【その様子には幾分か疲れが見えたが、休息を兼ねた頭の整理なのだろうか手元の紙に目を遣って。再び思索に耽っていたが】


(………これで七日か。それなりに情報は集まったけど、少しだけ眠くなって来たわね……)
(……これは、拙っ……―――――)

………、…………くぅ。

【うつらうつらして 瞠目して。こくり淡雪の枝垂れおちる様に頷けば、安らかな寝息をたて始める】
【争乱の合間に舞い降りたひとときの休息。穏やかな、祈りの様ににゆっくりと流れて】

【物音でもすれば目を覚ますだろうし、さもなくば近付かれようと気付けないのだろう。  】
【その手に握られた奇妙な絵図も、目を向けたとて或いは何も―――。】


/悪役系・戦闘狂系以外のキャラさんだとありがたいですっ……!
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 22:11:59.36 ID:rVGc0yMGo
>>89

【張り紙だらけの電柱、吸い殻の捨てられたアスファルト、派手なネオン、時代遅れの自由】
【国なんてものもの正義なんてものもハナから存在しないそんな裏通りを抜けたさらにディープな路地裏】
【髪を逆立てたひょろいパンクスからカノッサ機関までいそうな近道にしては余りにも危険な通り道だが】
【未だにそこに屯するやつや通って死ぬ奴が出るのはなんでなんだろうか】

【オイルライターの火をつけ、片手で風を防ぎながら煙草に火をつけつつ歩く男】
【毛先がウェーブがかった黒髪、とんがったような鼻、黒いサングラス、ひょろ長い体躯】
【黒いレザーの4ポケットのコートを着てジーンズをエンジニアブーツにねじ込んでいる】

さっっむ…超寒い……どうなってんだ…?……冬か?…冬か…

【溜め込んだ煙を吐き出す、白いのは煙だけじゃなく寒さもあるか】
【そういってポケットに手を突っ込んで体を丸めて歩いていた】
【そうは言ってもコートのジッパーを閉めること無く、紫のシャツと黒いネクタイが見える】

……冬だなあ……っと!…あっぶな

【タッタッタと足音が聞こえたと思ったら、ドンと曲がり角から現れた男と肩がぶつかって】
【サングラスの男はその走り去っていく男の後ろ姿を振り返って軽く見れば】
【まあ、このあたりじゃあいつものことだろうと、特に気にすることもなくまた歩き出した】
【飲み屋に向かう角を曲がれば、そこには女が1人】

【どことなくこのシーンには不釣り合いなキャスティングだなと思いつつも】
【この辺りに居る路地裏の派手好きの女ってのは触れば怪我するもんだ】
【その通例にならって、一瞬ちらっとサングラスの下の目を女にやるが】

…まあ、赤いドレスじゃないだけマシだな

【聴こえるか聞こえないか、ほんの無意識にそんなことだけを不用意につぶやいて】
【煙草をくわえて、マルボロの煙を振りまきながら男は横を通り過ぎようとした】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 22:18:06.44 ID:bhPyMQ3xo
>>90

「……そうにゃー……」

【頷くこともせず、その体勢のまま肯定する少女。その声は変わらず、弱々しいままだ】
【このまま放っておけば数時間で死んでしまうかもしれないと、そう思わせるほどの其れ。腹の音がなければ、彼もそう思ったかもしれないが】
【相変わらず目は閉じたままで、彼の顔も見ようともしない少女だったが】


「家……? 家、家、行くにゃ……」


【ゆっくりと開く瞼、晒された瞳は山吹色の其れ。普通の人間ならば、まずありえないであろうその色】
【そして目を開けたのは、明らかに男が言う『家』というワードに反応しての事だった】
【厳しい声だったのかもしれない。だけど少女には、確かに助けの手を差し伸べる、そんな声に聞こえたから】

【しかし行くとは言うものの、少女が足やら手を動かす気配はない。空腹で力まで失っているようで】
【彼が引きずるなり何なりしようと、今の少女には抵抗する手段がなく、為す術無く男に連れて行かれるだろう】
【だが彼には幸いか、その少女は軽い。体格的には大人と子供の境目、高校生位だろうと容易に察しがつくだろうが、それにしても少女は軽いのだ】

【足音は、着実に近づいていた】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/20(水) 22:19:27.82 ID:iRVyyOZA0
/>>84を取り消します
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/20(水) 22:20:24.82 ID:iRVyyOZA0
【とある街――公園】

【普段であれば子供たちの遊ぶ声などが聞こえている公園】
【だが、今日は聞こえないなぜなら天候が雨だからだ】
【その雨が降っているため人はここにこようとは思わない】
【だがその雨の中傘を差し歩いている人物がいる】

【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い】
【片腕には義腕をつけているが手の部分は黒の手袋をはめておりよく見ないと義椀だとわからないだろう】

 はあ、今日も雨ですか
 こう雨が続くと憂鬱な気分になっちまいやすね

【そう言いっているのに男の歩きはどこか調子がよそうだ】
【そして男は自動販売機を見つけると自動販売機に近ずきお金をいれ飲み物を買う】
【選んだ飲み物はホットコーヒーだ、CMでよく宣伝されていたやつでもある】

 さてっと、どっかに座るところはっと

【男はそう言い辺りを見回しちょうど座るにいいところを見つけた】
【そこは四角な作りで屋根がついており木の柵もついていた、きちんと入れるところもある】

【そして男はその四角なつくりの場所へ行き傘を閉めて座る、そして買ったホットコーヒーをあけて飲む】
【全部飲み干したのならタバコとライターを取り出し、一服しているだろう】
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/20(水) 22:22:10.66 ID:KrRpBmKuo
>>94

【男が入れ替わりに角から現れて、しかし彼女は何ともしなかった】
【喧嘩やらナンパやらならともかく――通るだけなら、何も因縁を付けはしない】
【『つまり悪かったのは不用意な呟き』にほかならず、あ゛ぁ?≠ニ荒っぽい言葉が上がり】

……おォい、ちょっと待てよテメェ。今のぼやきは何だ、あァ?
通りすがりの野郎に喧嘩売る趣味は無ェが……事と次第によっちゃァ――

【――ぼウっ、と、女性の身体から分離するかのように、黒い鎧が現れる】
【全体的に流線型の人型をしたそれは能力――マインド≠ニいうそれなのだが】

【まあ知らずとも、その意志は伝わるだろう。女性は立たず、黄土色の力強い瞳を向けるだけ】
【一方でその鎧は男と女性の間に入るように移動し、当然、両掌はグッと握られており】
【それこそ距離さえ近ければ、男の襟首に掴みかかりそうな凄みが感じられた】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 22:22:20.49 ID:DO2Ew5RVo
>>93
【―――ゆらゆらと揺れながら、少女の方へ向かってくる影がある】
【一人だ】
【見るからに小柄な影だ】
【揺れながら、揺れながら、しかし静かな足取りで少女の前まで歩いてくる】
【そしてその影は、少女の前で膝を曲げてしゃがみ込むと】

「――――――」

【眠りに落ちているであろう彼女の、その頬を左右に引っ張ろうとした】
【もしそれで目を覚ましたならば、少女はその影の正体を目の当たりにする事だろう―――】

【黒髪のショートが風に靡き、アホ毛がひょこひょこ揺れていた】
【そこに居たのは、奇特な雰囲気を持った少女だ】
【あどけない顔立ちに、幼さを残した身体つき】
【彼女はセーラー服を着て、着こなしていた】
【紺のセーラー服はどこか古めかしいデザインで、しかし少女の印象を害させるものではない】
【腰にはゴツい形状のガンベルトが巻かれ、そこには拳銃の代わりに一振りの剣が差されてあった】
【―――霊剣】
【とある伝承に登場する剣の模造であるそれは、劣化ではあるが、しかし、確たる霊気を帯びている】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/20(水) 22:24:04.67 ID:Uhsmy9SLo
>>95
……
【どれだけ空腹なんだと、言いたくなったが今はそれどころではない】

そうか

【自警団に任せられないのだろう、そう誤解した彼はその猫耳の女を抱え上げる】
【山吹色の目に、動揺することもなく】
【風が軽く吹いた路地の上で、男は担いだ少女を背負う】

……

【ざらりとした外套は居心地は余りよくなく、男の体温も遮断してしまう】
【そしてその状態で男は走り出す】

【傍から見れば人攫いにしか見えないだろう】
【だが男はまるで手馴れているかのように気配を弱くし、そして裏の路地へ】
【迷路のようにうねった道を上へ、下へ、右、左、前、後ろ、縦横無尽に駆け巡る】

【男の動きは遠回りでありながら、確実に一点を目指していた】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/20(水) 22:25:14.20 ID:vXjObojgo
【路地裏】

【いつもと変わらず陰惨な気配漂うこの場所に、佇む巨体の男が一人】
【身長は2メートルを超えているであろう。薄汚れた灰色の作業着の上に、黒いラバー地のエプロンを着用し】
【足には黒いゴム長靴を履いている。角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪】

【黒髪の奥、額には巨大な一つ目が埋まっている。異形、としか形容できないその姿】
【右手の携帯端末を握る親指も黒く細長くなっており、携帯端末を当てている右耳も黒く変色して歪んでいる】

【汚れた壁に寄りかかり、大男は端末の先にいる人物と言葉を交わしていた】


……ああ、そうだ。いつもの場所に放り込んでおけ。油断はするなよスカーベッジ、ギアのやつもずいぶんと修羅場を潜ったらしいからな
そうだ、ブレインデッドには特別ボーナスをくれてやれ

……なるべく早く、行動を起こさねばならん。下手に動きが取れなくなる前にな
ああ、ご苦労だった。ではな

【携帯端末の通話を切り、太い右腕を下ろして端末をしまい込む】
【首を一回転させてコキリと音を鳴らし、路地裏のビルの隙間から覗く空を見上げる】


……そうだ、動きが取れなくならないうちに、だ

【一つ目が細まる。その黒い単眼の瞳に宿る暗い光】
【誰かが踏み込めば、その姿はおそらく目に留まることだろう】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/20(水) 22:36:37.29 ID:D6/KdnyKo
>>92

【ソニアの抱擁を強引に解いていた事すらも、もはや自分では分かっていなかった程。彼女はUTを設立して初めて】
【自分の中にあるエゴのような、どうしようもない行き詰まりの"感情"を、ぶつけていた。ハートやベイゼに見せた様な】
【どこかお説教にも思えるような熱い言葉の数々とは違う、それは人間臭くてちっぽけな、今にも崩れそうな言の葉だった。】

【そんな言葉に晒されて尚、力無く『ごめん』と呟いたセリーナとはずっと対照的に、目の前の少女は冷淡に言葉を発した。】
【冷たくて、尖っていて、反論なんて出来る筈も無い正論の波が、セリーナの胸へと突き刺さっていく。そう、その通りだった。】
【絶対に揺れてはいけない、彼女は言わば帆船の竜骨、舵を切る船長であって。頭が之では、船が正しい方向へと進める筈も、なく。】

【正論、だった。間違いなく彼女は正しい。セリーナは完全に、仲間の一人で自分より年下の少女に、言い負かされていた。】
【いや、それもの筈。セリーナだって最初から分かっているのだ。こんな風に自分が揺らぐことがどれだけ危険で疎まれるかなど。】
【分かっていて、尚―――それでも、揺れ動いてしまったのは。疲れているからか、それとも、彼女も弱さを持っているという、証拠なのか。】


 ―――焦りたくなんて、なかった。拳が震えるのを抑えたい。喉が枯れるまで叫びたいこの衝動を堪えたい。
 でも、でもそれじゃあ、それじゃあどこにこの"感情"をぶつけたら良い!? ぶつけて良い場所なんて、そんなの、そんなの……っ!!

 アタシは―――……今更一人の人間を気取る気なんて、ない。この組織を設立した時から、そんな覚悟は出来てる。でも……っ
 甘かった……こんなに苦しいんだって、こんなに悲しいんだって、こんなに……悔しいんだって、分かってなかったのかも、しれない……。

 だから、アタシは―――……っ!!


【『だから』―――その言葉に続く単語は、出てこないだろう。ソニアがカウンターへと移動し、懸命にテーブルに置いた酒瓶を見て】
【彼女の流れる滝のような悲しい言葉の数々は、途切れた。そしてそこに、ソニアの最後の言葉が、深く深く突き刺さっていく。】
【『受け止めてあげる』 『だから』 『強いセリーナでいて』―――三つの言葉が、彼女の心臓の奥底に、ようやっと、温かい光をもたらせて。】


 (お酒―――……ソニア、なんで―――……それに、貴女……)
 (ソニアの、悲しそうな……表情……どうし……、)

【何故、彼女が悲しそうな顔をするのか。一瞬、それすらも分からなくなっていたのだろう。だが、いつだってそうだ。】
【大切なものは無くなっている様で、目の前に常にしっかりと、存在しているのだ。ソニアはまさに、セリーナにとって】
【ギアやUTの仲間と同じ、大切な物で。そしてセリーナもまた、UTという組織にとって、きっと大切だったのだろう。】
【みんながみんなを大切に思って。そうして繋がった絆こそ、『UNITED』。彼女は今、それを忘れていた自分に気付いた。】
【悲しいのは皆同じ。ギアだって悲しんでいる。ソニアもそう。であれば、今の自分に出来ることは何か。考えた。そして、分かった。】


 ……ソニア、お酒……、ありがとう。

【酒瓶を握り締め。セリーナはまず、他人に見せることの無い、殆ど誰にも見せたことが無い―――泣き顔を、彼女に晒す。】
【赤く腫れたブルーの瞳。其処から零れていく大粒の涙。酒瓶にぶつかり、弾け、熱を持ったそれがカウンターへと流れて。】
【ほんの小さな、嗚咽すら漏らして。彼女は彼女を曝け出すだろう。弱い自分。しかし、弱いままでいられないことを理解した自分を。】

 ごめん……ごめん……、ごめ……ごめん、なさい……。
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 22:40:59.17 ID:bhPyMQ3xo
>>100

「うにゃー……」

【抱え上げられれば、やはり少女は動くこと無く。ヘンテコな声を出しながらも抵抗なく彼へと背負われる】

【空腹によって少女の思考能力は最小限まで抑えられていたのだが】
【背負われた彼が羽織る外套。いくら厚い生地だとしても、其処からの熱の放出が一切無い】
【この時期に露出の大きな恰好をしている少女には、其れがやけに疑問に感じられて】

【しかしそんな事を呈する気力は、空腹の限界である少女には流石に無く、走りだした直後、ウトウトとしてしまうのだろう】
【其れは幾ら彼の体温が感じられなくても、人に背負われている安心感から来るものなのだろうか】

「家にゃー……」

【先ほどの弱々しい声だが、微かに喜びを感じられるその小さな声は、果たして彼の耳に届いたのだろうか】


【その後、少女が倒れていた場所に自警団が到着し、少女の姿が無いために辺りでの聞き込みが為される】
【一番多い証言は「男が少女を攫い、路地裏へと去っていった」ということなのだが、全く少女の姿は見つからない】

【もうその時には既に、彼は「一点」へと到着しているのだから】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 22:47:04.97 ID:rVGc0yMGo
>>98

【煙草をくわえたまま、男は歩みを止めて】
【どうやら俺はこれでもアウトなのかと考えて】
【右手の指で摘むと煙を吐き出しながら、ゆっくりと振り返った】

……赤いドレスの女…知ってるか?…まあ、知らなくてもいい
俺の周りじゃあ…そういう女とはどんなにホットでも映画館には行くなって言うんだ。…ゲン担ぎだよ
…昔、最高にクールな銀行強盗がソイツと映画を見に行ったんだ。…外に出たら
警察が一斉に銃を向けて…バン。それがソイツの最期だっていう話さ

【ゆっくりとしゃがれた声でくだらない話を始めたと思うことだろう】
【余裕の態度も癇に障るのであれば十分この時点でパンチを貰っても仕方ない】

だから、アンタが赤いドレスで…俺と映画館に行っちまったら終わりだなって思ったのさ
最高に最悪な状況が出来上がるからね…

【そう話しつつ、目の前のマインドを見つつ…能力者か…と思ったより状況のマズさを思う】
【単にこの辺りに居るスレた女性たちの1人だと思っていたからだ。それと、まさか口に出ていたとは…】
【しかし、そんな男は中身とは裏腹に、マインドにあえて一歩近づいて】

撃てよ、Gメン。    

…………あ、あと………しょーもないこと言って…ごめんな。…マジでマジで

【そうやってニヒルに笑う。スカした態度がまた腹立たしいことだろう】
【ここまでかっこつけて急に一番すべき謝罪をしていない事を思い出して、無理やり付け加えるように言った】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/20(水) 22:47:28.70 ID:Qe3UgfnYo
>>101

【陰鬱とした路地裏、新たに踏み込んで来たのは、その雰囲気に似合わぬ真っ白な白衣を着た男】
【二の腕まである紫紺の髪は、まるで首筋を隠すかの様に首に沿って流して】
【その顔には、貼り付けたような笑みを浮かべていた】

――――ああ、お話は終わりましたか。
てっきりお邪魔してしまったかと思いましたよ…………No.29。

【眼前の彼には及ばないまでも、体格は悪くない。白衣の下にはきっと、それなりの筋肉があるのだろう】
【そしてこの男、彼に向けた言葉はまるで顔見知り――――きっと彼は、男の事を知らない筈なのだが】

先日はうちの“二人”がお世話になったようで――――何か迷惑をお掛けしなかったでしょうか?

―――おっと、まだ名乗っていませんでしたね。
僕はNo.31、ノーグ=ナシエ。クシーとプシーが言うところの“おじさん”ですね。

実戦データを集める為に、あの子達のイヤリングにカメラが仕込んでありまして、
それであなたの姿も拝見した、というわけでして……

【感情の読めない笑み顔は、どこか不気味でさえあって】
【外見としては20代後半といったところだろうに、どうもそれ以上の何かを感じるような、そんな男だ】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/20(水) 22:49:44.45 ID:Uhsmy9SLo
>>103
……ついたぞ

【背中に背負った少女に声を掛けながら軽く少女をゆする】

【男は一つの家の前に立っていた、とはいってもボロ屋だが】
【そのドアを行儀悪く足で蹴り開ける、中は生活観といったものは一切存在しなかった】
【そしてそのまま奥に進み、そして比較的狭い部屋にたどり着く】

【そこで男はある一角に立ち、床板を強く踏みつける】
【すると床板が跳ね上がり地面が見える】
【その地面の砂を足で払うと周囲とは違う金属の出入り口が現れる】
【男はしゃがみこみ、背の少女を左腕で支えると、その金属の出入り口のコックを緩め、その戸を開ける】
【開いた先にある階段を下っていく男、ある程度進み壁にスイッチを入れれば、そこは寂寥感が漂うものの普通の部屋といったかんじで】
【そこの隅にある粗末なベッドに少女を寝かせると、床板と出入り口を隠すために男はいったん階段を再び上がっていった】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/11/20(水) 22:53:28.31 ID:p3axxxKeo
>>102

【彼女は貴女に説教できるような強い人間なんかじゃないから】
【泣き虫で、甘えん坊で、それでいてどこか頑固な、ありきたりの少女だから】
【だからこそ、憧れていたから――――――貴女という存在に、強く】

【涙の零れた後の雪景色、溶けた後に残るのは更に美しく白い雪原】
【強いだなんて思っていない、だからこそ繋がって、強くなろうって】
【マリンブルーの水面に一杯の蒼を貯めたまま、静かにじぃと視線を向けて】


……良かったの、セリーナの泣く顔、とっても珍しいの
だからね、ソニアだけのね、大切な秘密なの、セリーナの泣き顔、とっても綺麗な泣き顔見れたってこと
誰にも言わないの、それでね、一人で思い出して、くすくす笑うの


【頬が綻んだ、新雪よりも淡いその横顔に表情が満ちたなら、その体温で溶けてしまいそうなほど】
【絡みつくプラチナブロンドの指先、両手をカウンターに預けて、その上にころんと顔を置いて】
【零れる微笑みは、さっきまでの悲しそうな顔と違ったほんとの笑みで】

【ぱっちりと開いたマリンブルーの瞳、長い睫毛が風に濡れて、ふんわりと乱れたら】
【貴女の泣き顔を――――――大好きな貴女の涙を、一つ一つ眺めているのだろう】
【無理に止めようとしなくて、気が済むまで、泣いて欲しかった、から】

【艶やかなブロンドが貴女の涙で濡れるのだろう、陽だまりに映る水しぶきみたいに】
【雨粒の結晶の中、プリズム色に輝く水晶の輝きは、無限の彩りをそこに写して】
【万華鏡よりも移ろいゆく景色を見つけさせてくれる、から】

【小さな掌に透かす貴女の姿、弱々しさを見せるその姿が】
【どうしようもなく愛しくて、尊敬する貴女が、見せるその弱さが――――――】
【彼女の大好きな、もう一人のあの人の、見せる弱さに被って見えた】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/20(水) 22:59:50.79 ID:KrRpBmKuo
>>104

【男の話が半分ほども終わろうというところ――吐息が1つ、聞こえていた】
【無論、女性がため息を吐いた音。髪をがしがしと掻けば『下らねぇー』とぼやいてから】

そんなつまんねェ理由で人様の格好にケチ付けてんじゃねェよ、このタコ助野郎
時と場合によっちゃテメェをぶん殴って燃えるゴミの箱にぶち込んでやるトコだが……

……ま、今はちょいと体裁ってのがある。UT≠ノ免じて許してやるよ
その代わり、今度そのUTの本拠地に良い酒を持ってこい。
受け渡し人はベイゼ・べケンプフェン≠セ……セリーナ・ザ・キッド≠カゃねェぜ、間違えんなよ?

【そんな脅しめいたことを彼に言って、マインドもまた、殴りかかる様子は見せず】
【一応はというように顕現はさせたままだったが、女性はニヤリと笑っており】
【一瞬だけ、男が凄んだ様に思えば――その後もまた、苦笑。微笑みの表情にはなって】

ベギーアデン≠セ。そいつの名前な……一応、意志は有るからな
挑発もほどほどにしとかねェと、俺の気持ちに関係なく殴りかかられるかも知れねェぜ?

ま、レンガの壁みたいな顔になりたくないんなら、素直に謝っとけば……あァ、それで良いんだよ。

【――どうも、一緒に映画館に行ってくれはしなさそうだ。ある意味ではラッキーかもしれないが】
【彼女も一応、粗暴な言葉遣いがなければ見れる顔。単に軽薄な男であれば、アンラッキーかも知れず】

【さてところで――彼は、裏社会に詳しいのだろうか。或いは、機関についての知識は在るだろうか】
【ベイゼ・べケンプフェン≠ニは、一時名を馳せた機関員の名だ。位はNo.3≠ナある】
【最近はとんと名前も聞かないが――まあ、知っていればの話。知らないなら、彼女はただの暇な女に過ぎなかった】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 23:02:03.66 ID:bhPyMQ3xo
>>106

「にゃ……? 家、にゃ……?」

【微かに目を開けつつ彼の呼びかけに応じて前を向けば、古臭い作りだが確かに家のよう】
【だが彼の言う「家」とは此処では無いようで、現れるギミックと隠し階段に「にゃー……」と感嘆なのか何時もの口癖なのか良く分からない声を上げる】
【ベッドに寝かされれば、そのまま転がって仰向けの体勢で止まった。目が更に開かれる】

「……部屋、にゃー……」

【彼が何処に行ったのか、其れよりも少女には、今のこの場所のほうが気になった】
【寂しげな部屋。その瞳を左右に上下に動かすも、紛れも無くこの場所は普通の部屋であるようで】

【……この場所が普通の部屋であるにしろ無いにしろ、その直後少女から出される声はやはり腹の虫】
【ぐぅー……と、先ほど道で倒れていたよりも若干大きくなったその音を少女は隠そうともしない】
【最早隠そうという気もないらしい。その証に、運び込まれてから少女は瞳を動かしただけで全く身体を動かしていなかった】

【彼が帰ってくれば、先ほどと全く同じ体勢の少女の姿が有るだろう。しかし半開きの瞳だけは、しっかりと男を見据えていた】
【……其れは「ご飯ください」と言っているようなもので】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/20(水) 23:05:13.41 ID:7BExA0uQ0
>>99

【夜。疲れ。雪の静けさ。幾つかの要因が導いた夢の世界。急に生じる違和――――暖かさ?】

(―――――…………ッ!?)


【頬になにかの触れる感覚と同時、引かれる寸前の機で少女は目を覚ます。橡色の瞳が黒髪の少女を映し込み、不可解な出来事を見た様に困惑を浮かべて】
【怪訝そうに変わる表情はいつしか状況を理解し、自分の両手が客人の両手首を押さえていることに気が付いた。 】
【……恐らくは覚醒の瞬間に手が動いたのだろう。驚くべき早業であったとも言えたが、当人の思考はどうしたって寝起きのそれで】

……な、何を貴女はやっているの?
えっと……あまり顔を触られるのは好きじゃないし、放してもらえると助かるのだけど……。

【ギリギリギリと音をたてる様な、寸での距離で続けられる拮抗。短髪の少女が諦めぬ限り、自分からは終わらせられない謎の現況。】
【そんな状況でなお続けてゆけるものは―――思考、】

【……何をいきなり頼んでいるのだろう、自分は。そもそも貴女誰だとか、なぜ頬に触れてるだとか訊くべきじゃないのか――――!?】
【少女のそんな内心の葛藤はいざしらず、目に見える変化もまた、短髪の少女の目前で起こるだろう】

【少女が頬に触れる掌に対処するために手を離した、先程の地図の様な薄紙――――冬空にはらりと舞う図が、短髪の少女の目に入る筈だ】

【幾何学的に配置された方形や多角形、直行する幾つもの直線、】
【数箇所に記された真紅の円、そしてそれらを数倍する直径で置かれた黒の二重円、】
【この街の地図の様であり、何らかの所在を示す様であり――――睡眠時からの素早い反応からすれば、彼女もまた只人ならぬものだと推し量れるだろうか】
【ならばその行動方針に影響を与えたであろう地図――――善であれ悪であれ、少なからぬ範囲と深度とで、人々の営みに関わる様で】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/20(水) 23:07:06.49 ID:vXjObojgo
>>105
【上を向いていた顔が、声のした先へ向けられる】
【一つ目が、訝しげにその張り付いたような笑顔を眺めたが】
【自身のナンバーをその口から聞けば、その色もなりを潜めた】

……邪魔などということはありませんよ。同僚の訪れとあらば、むしろ歓迎すべき事態です
しかし、お会いしたのは初めてでは……ああ、なるほど。そういうことですか

【向けられた言葉は静かなもの。そのうちに、先ほどとはまた違った疑念がわいて出るが】
【それもすぐに眼前の男性の言葉に解消される。得心したように深くうなずく。同時によみがえる記憶】
【兵器となった二人。その背後の科学者。その内に身を置く自分ですら未だ測りきれぬ、カノッサの脅威】


とんでもない、あのお二人のおかげでむしろ有意義な時間を過ごせました。それに、いただいた死体は、大いに役に立ちましたよ
改めまして、No.29カニバディールと申します。以後お見知り置きを、ナシエさん

用意周到なお方だ。彼らは観測の役目をも担っていたということですか……

【巨躯を折り曲げて一礼。同時に、汚らわしい脳髄は直接視線を送らずとも彼・ノーグ=ナシエへの値踏みを始めている】
【感情を読み取れないその笑顔、外見はそれほどの異様を感じないだけに、さらに違和感を際立たせている】


……しかし、このようなところでお会いするとは奇遇ですな
何かのご用事があってのことでしょうか?

【顔を上げ、ノーグに向き直る大男・カニバディールの一つ目が、ノーグの笑顔に注がれる】
【先に会ったクシーとプシーの話を聞くに、彼は科学者。表に出てくるタイプの人間とは思っていなかったゆえの疑問だ】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/20(水) 23:09:10.26 ID:Uhsmy9SLo
>>109
……目が覚めたか
【男は階段から降りてくるとこちらを見つめるまなざしに気付いたようだ】
【未だに外套は着ており、フードも被ったままであるが、どことなく寒い雰囲気を持っている】

…まってろ、今すぐ飯を持ってきてやる

【男はそういうと部屋の隅にひっそりと存在する扉を開け、その奥に入る】

【そのすぐ後に徐々に漂ってくるのは魚の煮付けの匂いだろうか?】
【どうやら作り起きしてあったらしい、もっとも、客人の予想はしていないようだが】

……もってきたぞ

【それから数分後、男は出てくる】
【その手に湯気を立てる魚の煮付けの皿、そして粥の入った椀に食器を持って】
【もう外套は着ておらず、黒く、深い紅色の腰まで届きそうな髪と薄暗い青色の三白眼を晒しつつ】
【その顔には薄ら寒い笑みを浮かべている、なにより若干、女性っぽいキレイさを持った顔である】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 23:17:54.73 ID:DO2Ew5RVo
>>110
「―――いやー、こんな所で寝てると、風邪、引くよ?」

【困惑の感情を露にした相手とは対照的に、少女は暢気に笑いながら素直に手を引っ込める】
【その動きはひどくのんびりとしたもので、まるで自分がした行為を悪びれる素振りも無い】

【とはいえ、こちらも内心少し驚愕していたのだが】
【―――意識が覚醒した瞬間のあの動き】
【あれはどう見ても素人の動きでは無い、あるはずが無い】
【なら、この少女は一体―――?】

【そこまで思考を回した所で、少女は、目の前の彼女が地面に落とした薄紙に気がついた】
【横目で見遣る限り、どうやらここ一帯の地図である事が覗える】
【目につくのは、『何か』を指しているらしき符号の数々】
【一体何に関する地図なのか、少女には皆目見当もつかない】

「とりあえずさー……目ぇ、醒めた?」

【そんな事はとりあえず置いといて、少女は目の前の彼女に問いかけるのであった】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 23:22:43.13 ID:rVGc0yMGo
>>108

【男も苦笑いを浮かべつつ危険が過ぎ去った事に安堵する】

いや、ホント、マジで悪かったって………悪い意味じゃないんだよ悪い意味じゃ…
……まあ、俺は不燃物だからそんときはそれで宜しく。…バラせばリサイクルも出来るぜ?

【自分のバラされた時のジョークも言うほどの減らず口のようで】
【しかし、単語と単語の間が間延びしていて会話のテンポがすべからく悪い】

UT……ああ、彼処か…まあ…どうせ…近いうちに行く事にはなってるけど
……右から2つ目の棚、一番下の引き出しのワインの瓶の奥に俺の名前の入った
ヴィンテージの赤ワインが有るから…勝手に飲んでくれよ。…俺、赤はあんま飲まないからさ
それと、カウンタの足元…左から…ええと、これは3つ目。…使ってないアイスペールの裏に
…飲みきってなけりゃあ…アイツのとっておきのバーボンが隠してるはずだから……セリーナ・ザ・キッドのね

【男は脅しを脅しとあまり理解出来ない鈍感なやつなのかポツポツと】
【煙草を吸いながら、思い出したようにそうやって語ってゆく。これで先払いだと言わんばかりで】

オーラィ…どうも御機嫌よう。ミス、ベイゼ…そして……ミス?ミスタ?…ハロゥ、ベギ―
挑発…するつもりは無いんだって…まあ、ちょっと…セキュリティが甘いというか……

【また、スカしたように…これに関しては何処かカッコが付いているから不思議なもんだ】
【しかしすぐにまた、歯切れは悪いが角の立たない口調に戻るとまたしどろもどろで】
【どうも、特定の単語はカッコがつくらしい。変な癖みたいなもんだろう】

【彼も裏社会には全身どっぷりと浸かって入るが、裏の社会も1つではなく】
【彼が属するのは詐欺強盗などマフィア的な社会悪であってカノッサやGIFTなどの思想的な闘争は】
【全くもってニュースで聞く分にしか知らない。というより寧ろ関係ないと割りきってしまっているのであった】

115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/20(水) 23:23:50.09 ID:D6/KdnyKo
>>107

【憧れ、という言葉。セリーナだって、ずっとそれを意識してはいた。彼女にとって自分が、いやUTにとって自分が】
【この世間にとってセリーナ・ザ・"キッド"という名前がどれだけの意味を持つのか。もはや自分はただの人間ではない事を】
【セリーナ自身も強く、常に責任として感じ取っていて。憧れであり続ける事は、とっても難しいのだと。ようやく、その重責を知った。】
【今日まさに、恐らくはメンバーの中で最も涙脆く、甘えん坊で、愛らしい大切な少女の前で、彼女は一番してはいけない事をした。】
【必死に堪えようとしながらも。失ったものと、失っていないもの。その両方に挟まれ、揺れ動き、肩を震わせて。彼女は涙を流し続けた。】

【―――やがて、少しだけ落ち着いたのだろう。彼女の嗚咽は、いつの間にかやんでいて。俯きながら流した涙は、もう乾いていた。】
【瞳に宿った美しい輝きは、まだ普段のそれを完全に取り戻してはいなかったけれど。こうしてまた、彼女は彼女の中にある弱さを知り】
【その弱さを見つめ直す事で、一つ成長した。自分を慕う者の前で、情けない姿を見せて。けれども、それで終わってはいけないのだと】


 ……ソニア、意地悪。


【―――そんな言葉が出てくるくらいには。もう彼女も、回復していたのだろう。涙の後に必ず訪れるのは、矢張り彼女らしい笑顔で。】
【ごしごし、と袖口で目元を拭い、『自分だけの秘密』だと言って喜ぶ彼女の姿を、今度はこちらがじぃ、とみつめてしまうだろう。】
【たっぷりの疑念と、恥ずかしいところを見られたという悔しさを込めて。少し頬を膨らませる様子は―――まるで、何時もとは間逆だ。】
【ソニアを困らせたり、怒らせたり、悩ませたりして。でも今夜だけはそうではなかった。むしろセリーナのほうがどこか、子供じみた対応。

 な、泣き顔が綺麗なワケないし……あーもう、酷いよ。い、いちばん……ダメなとこ、見られちゃったよ……。
 ……でも、どうしてだろうね。不思議だけどさ、なんだか……ごめんね、凄く……スッキリ、しちゃったかも。

 ありがとう―――ありがとう、ソニア。アタシね、貴女がとっても好き。受け止めてくれて……ありがとう。
 だからもう、あんな風にはならない……安心して。ね?


 ……たーだーし!―――思い出すのは禁止ね! 絶対絶対ダメだからね! もうむしろ、今すぐにでも忘れさせてあげるからっ!


【すっかり元気を取り戻したセリーナ。意地を張ってソニアに強がって見せて。もう、あんな風に泣いていた様子はどこにもない。】
【一つの決意。次に泣くときは、ギアが無事に戻ってきたときだ。それまで絶対に、泣かない。挫けない。諦めない。必ず、取り戻す。】
【セリーナは心に誓って。同時に、UTという組織、そして目の前の少女にも約束するだろう。『もう、大丈夫だから』って。】

【ところで―――はて。彼女には忘却の能力はないし。かといって忘却の魔術も使えない。では、忘れさせるとはどういうことか。】
【ここで一つ思い出してほしい。彼女はあくまで酒飲みで。どんなに泣き腫らそうが、セリーナ・ザ・"キッド"はセリーナ・ザ・"キッド"以外の】
【誰かに変わることも無い、という事はつまり―――正気を取り戻した今、彼女は不気味に笑うだろう。悪戯っぽく。子供じみた、何時もの笑顔で。】


 ソニア? ここにとっても高級でアルコール度数の高い素敵な飲み物があります。
 大人は嫌なことがあると、大体此れの力を借りてぜぇ〜んぶ忘れてしまいます。そりゃもう、綺麗さっぱり。さっぱり。ふ。ふふふ……。



                     ―――アタシの誰にも見せない物を見せたんだから。覚悟してね?


                               ソ   ニ   ア  ち  ゃ  ん  ?

【仮に逃げようものなら。どこまでもどこまでも、追いかけていくことだろう。それこそ、悪魔のごとく……。夜は静かに、更けていく。】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 23:26:26.93 ID:bhPyMQ3xo
>>112

「……にゃ?」

【「飯」というワードが出てきても少女は彼を見つめるのみだったのだが、少女の嗅覚が何かをキャッチした】
【……元々嗅覚が優れているネコ。加えて行き倒れていたとあればその煮付けの香りがより一層強烈に感じられて】

【そして彼が煮付けと粥を持ってくれば、グインっ! と素早く上半身を上げる少女】
【火事場の馬鹿力……とは少し違うだろうが、その俊敏さは先ほどまで行き倒れていたのがまるで嘘のようで】
【食事を見るその山吹色を彼が覗きこめば、それはもうキラキラと輝いていることだろう】


……頂きます、にゃ!


【と、そこでやっと彼が外套を脱いでいることに気がついた。少しの間、彼の頭から足先までをじっと見て】
【外套を羽織っていた時には気づかなかった、その真紅と黒を混ぜあわせたような髪色と青い目】
【……どちらかと言えば女性的だと少女は思うのだが、彼が笑みを浮かべていること即ち、頂いても良いと解釈したらしく】

【礼儀正しく両手をぱちんと合わせてお辞儀した後――――――猛烈な勢いで煮付けと粥を食べ始めることだろう】
【しかもただ単に速いだけではない。煮付けに必ずと言って良い程入っている骨を、丁寧に抜いて食べているのだ。瞬く間に魚は骨だけの姿となっていく】
【同時に食べる粥。そのスピードは煮付けよりも少し遅いが、驚異的な速さで体積が減っていく】

【水を得た魚。櫻の国の言葉に、こういう諺が有った】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/20(水) 23:32:56.46 ID:Uhsmy9SLo
>>116
ああ、メシだ……っと

【煮つけと粥を持ってベッドに近づいたところ、突如として、それこそおきあがりこぼしのごとく起き上がった彼女に男は若干驚く】
【そんな気力がどこにあった、と】
【そのきらきらと輝く目に表情を変えず薄ら笑いのままサイドボードに食器と食事を置く】

……

【すこし自身を観察されたことに居心地が悪そうに眼を細める】
【だがそんなこと、彼女の食事のスピードを見ていたらどうでもよくなったらしい】

……喉を詰まらせるなよ

【明らかに男の声でそう言い放つが、果たして聞こえるものか】
【男は傍らのイスにどっかりと腰掛け足を組み激しく食事をこなす彼女を見る】
【アレだけ空腹だったのだから消化にいいものを選んだのだが、そう男は思いつつ、若干減った夕飯について考え始めた】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/20(水) 23:35:07.54 ID:KrRpBmKuo
>>114

分かりゃ良いんだよ、俺だっていつまでもタカろうってガラじゃあねェ
……でもまあ、テメェを捨てるときは粗大ゴミにしとくぜ。生ごみでも可だな、ん?

ふ、む……へぇ?それがマジなら、お前中々見捨てた人間じゃねェな
後で確かめといてやるよ、俺は酒のこだわりは持たないからよォ
……あァそういや、なんて名前だ?違う野郎の酒、飲んじゃマズいだろ?

【俺も教えてやったんだ――なんて付け加えながら尋ねるのは彼の名前】
【女――ベイゼも、男の言葉端がいろいろと惜しいとは思っているのか】
【それとも酒のことで気を良くしたのか、最初よりは打ち砕けた話し方になっていた】

ベギーアデンの性別か?俺も知らねぇよ、いっつも適当にベギーって呼んでる
……にしてもお前、飲んでんのか?それとも普段からすっとぼけた話し方してンのか?

【どーなんだよ、といいながら、ベイゼはベギーアデンに手を差し出させ】
【それを取るとゆっくりと立ち上がる。ヒールということもあって、女性にしては背が高く】
【そしてどうにも、さっきから動くのを嫌っているようだった。――ケガでもしているのか。】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/20(水) 23:37:21.06 ID:aS3Pm4gAo
>>111

―――ああ、それなら良かった。何やら只事ではなさそうな話をされていたものでしたから。
ええ、こちらこそ宜しくお願いしますよ、カニバディール殿。

【右手を左胸に当て、礼を返す様はひどく慇懃でもある】
【それは男の纏う、独特の空気もあるのだろう。目の前の彼とはまた違った、】
【どこか可笑しな、“異質”としか言い様のない男である】

いえいえ、そもそもはあの二人の戦闘の様子を見るのが目的のものですから。
ただ、二人が戦う相手、となると機関の敵となりますから―――そういった情報も集まるのですがね……

【外見こそ極めて普通。しかしその身には狂気を湛えていて、正しく機関の人間】
【そうした意味では、異形の姿を持つカニバディールとは対照的とも言えようか】

用事……と言いますか、まあその……娘、義理の娘なのですが……
実験ばかりしていないで外に出ろと、そう言われましてね……

少し行き詰まっていたところでしたから、それなら少し出掛けようかと思いまして
そうするとあなたの姿をお見掛けしたので、こうして声を掛けた、というわけです。

【白衣のポケットに手を入れれば、どこか遠くを見るような目をして】
【表に出て来た理由を語れば、どうにも拍子抜けなものであった】

【しかし確かに答えたのだから今度はこちらの番とばかりに、視線をそちらに向け、質問を返す】

ところで……何やら行動を起こすとのことでしたが、差し支えなければお聞きしてもよろしいですか?
事に依ってはこちらからも戦力を出せますので、ね…………
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/11/20(水) 23:37:56.16 ID:p3axxxKeo
>>115

【正直言って、彼女の言葉がどれだけセリーナの助けになっただなんてわからないから】
【それでも、良いと思った、貴女の笑顔がそこに在ってくれたなら】
【太陽よりも明るくて、月よりも高貴な貴女の笑顔――――――それに惹かれて、今ここに居るんだから】

【心に飛来したそんな言葉、恥ずかしいから胸の隅っこに隠して】
【えへへって笑う姿は、いつもより少し甘えん坊な色合いを強く出してるのかな、なんて思ったけど】
【今日ぐらいは良いよねって、心の中で問いかけた】


次あんな風になったら、またソニアが慰めるの、その次も、またその次も
それでね、その度にね、セリーナの可愛いところをね、一人で大事に、しまっておくの
セリーナ意地悪いっぱいするから、ソニアも、これぐらい、するの


【ふふ、と悪戯っ子のような微笑みを浮かべる、最初来た時と比べてずいぶん表情豊かになった】
【いつものお人形さんのようなお淑やかな笑みじゃなくて、もっと年の近い女の子のような微笑み】
【それはきっと心を完全に許しているからで、特別な微笑みなんだろう】

【マリンブルーが大きくくりくりと揺れたなら、小首を傾げるだろう、指先がぷくぅと頬をつんつん】
【忘れさせる?セリーナそんな弾*末n揩チてたかな?頭のなかでぐるぐるって考えて】
【視線が捉える貴女の不気味な笑み、ゾクリって背筋に冷たいものが奔ったら】


――――――!!わっわわ……ダメ、なの!ソニアね、まだみせーねんだからね、飲んじゃ、ダメなの!
それにね!えっとね、えっと……お酒のね、わーってした、匂い、とってもやなの!
むぅ、セリーナ嫌い!だいっきらい!!


【慌てる彼女の表情、さっきまでのどこか大人びた様子はどこへやら、あたふたととっても慌てて】
【取り敢えずカウンターから抜けだしたら、ぱたぱたと逃げ出そうとするのだろう】
【ガチ逃げであろう、きっと、小さな身を必死に動かして逃げる逃げる】

【――――――きっと、目の前の困難は幾重にもあって、ギア・ボックスの件もすぐにまた闘争の中で見ないといけない現実】
【だからこそ、今この一瞬だけは、この瞬間だけはずっと――――――】
【幸せなままで過ぎていって欲しかった】


/この辺りでしょうか!お疲れ様でしたー
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 23:49:38.95 ID:bhPyMQ3xo
>>117

【彼が椅子に座っても、少女は気にする様子も見せず、ただ猛烈に箸を進めていく】
【勿論の事、彼が少女に放った注意は聞こえていなかった。しかし、其れは杞憂のようで】
【箸が止まる気配はなく、相も変わらず小骨を取る正確さとスピードを両立したまま少女は最後の一欠片まで食べきってしまった】

【箸が煮付けの皿に置かれ、サイドボードへと食器が置かれた。パチン。先ほどと同じ、手を合わせる音】


「ごちそーさまにゃ!」


【と言うが早いか、バッタリと仰向けに倒れこむ少女。チラリとでも彼が少女の顔を見れば、先ほどとは打って変わった満足そうな表情だ】
【目を閉じて、満足する事に満足した少女はまたもやガバっと上半身を上げ、彼の顔へと首を向けた】

「にゃー……美味しかったにゃ! 煮付けは醤油と砂糖の甘辛い味がしっかりと魚に染みこんでたにゃ。
 お粥も適度な具合にお米が水を吸って食べやすかったにゃ!
 おにーさん、ありがとにゃ!」

【……突然喋り始めたと思えば、やはり先ほど倒れていた姿からは想像もできないだろうその口の回り方】
【一貫してその表情はイキイキと、キラキラとしたもので。言葉だけではなく、顔からでも感謝の気持ちは伝わるだろうか】
【……と、其処まで喋った所で初めて微かに顔を曇らせた】

「……おにーさん、ホントに『おにーさん』で良いにゃ? なんだかおねーさんみたいにゃ……」

【それは、先ほど食事にかき消された疑問。元気になったことで、初めて口に出た質問だった】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/20(水) 23:58:16.33 ID:/56WQv9E0
>>113

それはそうかも知れないけれど……、……、うーん……。
…………ま、まぁお礼を言っておくわ。もう大分寒いし、倒れる訳には行かないのだし―――

……ただし、今後は肩を叩くなり優しく触れるなりにする事。 いい?

【注意するべきか、礼を言うべきか……そう考えているのにもしかしたら――――自分も楽しんでしまっているのか? そう、幾つかの考えが浮かんでは消えた】
【生真面目な部分と誇りの部分と。傾けるこころが結局はありのままに従った結果が、その何処となく穏やかな言い方だっただろうか】

【……“いつもの” らしい表情を取り繕ってはいるものの、頬に触れられるまで無防備であった事実。少なからず羞恥心を煽った様で】

……ふ、お陰さまでね。
あなたは……いつも、あんな事をして―――――?

【悠然とした雰囲気はその反動か。軽く報復する様に言ってのけた後の漸くの気付き、】

(……まさか風に飛ばされた? 見付からないだけなら未だしも、普通の人が巡ってしまうのは……――――)

【……地図の不在=B雰囲気に呑まれかけていた少女の意識が、この段になって働きを取り戻す】
【焦った様子で瞳が悟れば、コートのポケットに目を落として。若干姿勢を変えて、身じろぎして“滑り込んだ”可能性の確認を試みて――――】
【それでも無為を悟ったならば、気落ちした様子で息を小さくひとつ吐くだろうか】
【まるで世界の終わり――――と言えば大袈裟だが、表情の割には判り易くて。或いは、放っておいても害はないだろうけれど】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/20(水) 23:59:11.92 ID:rVGc0yMGo
>>118

おう、幾らでもぶん投げな。…まあ、骨になってもハートは残るけどさ。……だろ?

【男は煙草をつまみながら、スカしたようにまた言っている】
【これまでも十分飛ばしてきたのだからこれになんとも思わなくなったのなら…慣れたということだろう】

それはUTにボトルキープしているからってこと?……あんだけあれば皆やってそうだけど
…セリーナの方は…まあ、アイツはわかりやすい。……そんなもんだよ、慣れれば見りゃ分かる

……俺?俺はヒライ……ああ、そうか…アッチの名前書いちまったっけ…
あーっと……チンザノ=ロッソ。ロッソでサインが入ってる。ま…仕事はチンケなドロボウだよ
酒の名前で名乗るほどアル中ってわけでもないからな?…手配書がでたらこうなってたんだよ…勝手に

…先に言っとくけど…捕まえても意味ないから…。…ま、成金潰してるからオーケーなんだと
よくわかんないけどね…俺はどれも一緒だと思うけど…さ

【こちらも裏社会と賞金稼ぎ界の事は知っているだろうか。不正のあった銀行やマフィアばかり狙う強盗団の存在を】
【しかし、カノッサ機関何かとは全く畑違いの俗世の話だ。賞金額も大したことはない。とはいえ秘密主義の機関よりかは】
【大々的にマスメディアで登場しているが…興味がなければ一緒だ】

ああ…そう。…なら、合ってたんだ…良かったよ
…逆だよ、逆。起きてから今までシゴトで…まあ…ずっと…二日酔いで頭痛くて…テンションも上がんないし…
まあ…これからってトコ…ここらはいい店が多いからね…知ってる?オカマがやってる蕎麦屋……行かないけど

【つまり普段からすっとぼけているのが正解で、酔えばマシになるのか悪化するのかはわからない】
【サングラスの男は生真面目にポケットから携帯灰皿を取り出して、そこに吸い殻を入れた】

…帰る?……バイクあるけど…乗ってく?……いや、口説いちゃいないよ…最初からだけど…
けど、まあ………詫びにタクシーぐらいにはなるけど

【怪我をしてるのかとも訊かず、足の悪いようをほっとけないなどという薄っぺらい正義も見せず】
【ただそうやって背を向けて、先に行こうとしつつ待っているのがまたキザな態度であった】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/20(水) 23:59:30.12 ID:Uhsmy9SLo
>>121
……
【男はただそれを眺め続けていた】
【薄笑いの顔はやはり怖いが】

……よく食べたな

【そういうと食器を片すために立ち上がる】
【そして倒れこんだ少女を見つつサイドボードに手を伸ばし食器と皿を纏めて運ぼうとする】
【そのとき唐突に掛けられた評論、男は表情をピクリとも変えなかった】

……そうか

【そういっただけであり、そのまま食器を奥へと運んでいく、と】
【そのとき掛けられた男か女かという質問に、男はそちらに顔を向けず答える】

ああ、男だ、むしろおっさんの年齢に入っているな

【「もっとも、この体で普通の寿命が適用できるのかは謎だが」、男はそのフレーズは言わずそのまま奥に食器を片付けにいった】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/21(木) 00:06:40.52 ID:gH/go2J00
【路地裏。様々な物事が起こり、殺人だってそう珍しくも無い場所】
【今宵も当然の様に罵声が響いたのだが――――少しばかり、結果は異なっていた】

【対峙するのは大男と少女。乱れなく軍服を纏い、制帽を被った姿は容易に性格を想像させる事か】
【刃物を手にした男が少女の命を奪わんと思いっきり振りかぶる…………が、刃が裂いたのは虚空のみ】
【気付いた頃には背後へと回られていて、反撃をする間も無く意識を刈り取られるのであろう】


「――――今日だけで三人目でありますね。中々に多くて大変であります」

【さて、街灯に照らされた姿は上記の通り。序でに言えば、眼帯と腰に提げられた軍刀とが特徴的か】
【腕章は自警団所属を示す其れであって、“SCARLET”に所属する事を示すバッヂも腕章に着けられている事だろう】
【言わずもがな、少女は“善”に属する存在。通信機を取り出せば自警団へと連絡を入れて、その場に座るけれど】


「疲れた…………でありますね
丁度時間であります。身柄を引き渡したら何処かで休むでありますか…………」

【深い吐息は疲労の度合いを表しているのだろうか】
【――――ぼうっと空を見上げていたけれど、我に返ったならば慌てて立ち上がって】
【さて、路地裏と言えどもそう深い場所でも無い。ともなれば通行人が皆無な訳でも無く、“一般人”に近い者が通ったって可笑しくは無い】
【つい先程の戦闘を見て興味を抱いた者か、或いはまた別な理由を抱く者か――――兎も角として、何者かが訪れたならばそちらへと視線を移す筈で】





【商売の活発なその街ではこの時間にも関わらず、多くの人々が行き来していて】
【――――屈強な男や如何にもといった風の女。昼の顔とは打って変わり、どことなくアウトローな雰囲気】
【……そして、その場だからこそ、少女の存在は浮いていた】


「へぇ…………違法薬に禍々しい武具…………噂に違わず中々面白い物を売っているのね……」

【ローブを纏い、スッポリとフードを被っては居るけれどその背丈や体つきは誤魔化せず】
【キョロキョロと物珍しげに辺りを見ているのだから尚余計に目立つ】
【――――中々に高価そうな弓を肩に掛け、二振りの短剣を腰に提げては居るが】
【……そんな姿をして居ても、やはりこの場では浮いている】


「――――喧嘩、かしら。やけに五月蠅…………っと?!
ちょっと!!危ないでしょ?!」

【突如始まった乱闘騒ぎ。品に関する押し問答が原因である事は明白だが――――少なくとも、巻き込まれ掛けた少女には関係のない話】
【フードが外れたならば青色の髪が露わとなって、同時に朱の双眸も見える事だろうか】
【殴り飛ばされた巨体に押しつぶされそうになれば咄嗟に避けはするけれど】
【――――暴力の波は広がり、彼方こちらで諍いが起き、やがては大乱闘へと発展することか】
【……罵声、呻き、流血。様々な物が行き交う中に、少女が一人。――――良くも悪くも、よく目立つ】


/反応が遅れるかもしれませんがっ!
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 00:12:13.56 ID:f2AaGVhOo
>>123

UTにボトルキープしてる奴は多くても、はいどうぞと差し出すアホはそうそう居ねぇだろ?
だから褒めてやったんだよ。いや、少なくともそのつもり、って程度だが

……チンザノ=ロッソ?どっかで聞いたことが……強盗ォ?
あぁー……ってことは、あのロッソか!へぇ、意外な野郎にあったもんだ
たまには夜中の散歩も悪くねェな、だろ?それと、俺は正義でも悪でも無ェぜ

【『捕まえるなんてつまんねェし』と切れば、彼女はまた深く息をひとつ吐いた】
【両手はポケット。痛そうな顔をしない辺り、そして呼吸の回数を見るに】
【ケガをしているとすれば呼吸器だろうか。悟らせぬよう、普通に振舞っている様子だったが】

……はぁ。お前、面白ェのに勿体無ェ……出涸らし見てぇな奴。
オカマの蕎麦屋も居酒屋も止めとけよ。どうせ飲むならUTにしとけ、付き合うぜ

あァそうだ、丁度良い。申し出に応じて送られてやるよ、行き先はまさにそのUTだ
今、そこの一人に誘われて居候中でな?バイクなんてのも久々だし
……オラどうしたよ、とっとと行こうぜロッソ=\―行き先はUTだ、OK?

【あくまでも憎まれ口は続ける居丈高なベイゼは、実に楽しげに口角を上げると】
【そのまましっかりとした、しかしやや遅い足取りで彼に付いていくだろう】
【そしてバイクがあったなら、言われるより早く後部に跨って――翻ったコートの向こう、白い肌が一瞬見えた】
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/21(木) 00:12:29.66 ID:Lt6DziYzo
>>119
……ええ、話の内容は少し立て込んだことではありましたな
先日、拉致に成功したUNITED TRIGGER≠フメンバーの処遇についてです

【慇懃に礼を返して見せる彼の姿、こうして見れば市井に紛れていてもわからないかもしれない】
【しかし、カニバディールも闇の世界に生息する者。その異質さはその身でひしひしと感じ取っている】


戦闘データと敵対者の情報、双方の収集というわけですか。シンプルだが、効果的な手段です
先日は、ソロモンさんという機関の科学者の方から鳩型の偵察ロボットを譲り受けましたが、彼も情報収集には余念がないようでしたな
科学者の皆様の姿勢は、私も見習いたいものです

【飛び交う言葉は静かで、しかしそれが秘める邪悪・狂気は路地裏の空気を塗り潰すほどに】
【自身とは別種、しかし確かな恐ろしい気配を眼前に、カニバディールもまたそれに感化されたように禍々しさを祖に身から立ち上らせる】


ほほう、娘さんがいらっしゃるのですか。失礼ながら、機関内部では珍しいことに思えますな
……行き詰って居る時の散歩というのは、なかなかに効果的なものですよ。私にも経験があります

(……レギン様も、そう語っておられたな)

【義理とはいえ娘がいる、と聞けば少し驚いた様子を見せる】
【カニバディールが知る限り、機関員で家族持ちの人物に会ったのは初めてだった】
【同時に、そんないかにも一般人のような感性を同時に持ち合わせている様子に、どこか空恐ろしさを覚える】

【それとは別に、想起されるかつての上司。彼と遭遇した時も同じ理由を口にしていた】
【わずかに胸に湧き上がる懐かしさを抑え、続く言葉に表情を引き締めた】


……それはありがたい。ナシエさんのご協力が得られれば、非常に心強い
敵勢力の妨害は、避けられないでしょうからな


……私は、以前昼の国でテロを起こした際、その地下に広がっていた密輸トンネルの一部を抑えたのです
それを利用し、地下からある地方都市に攻撃を仕掛け、少しばかりその地の『姿を歪める』……

正確には、その地の生態系を変形させる。私のごとき異形の産地と化す。当面、考えているのはそんなところです
成功すれば、あるいは実験にも流用できる人体をそこから生み出す、といったことも可能となるやもしれません
もっとも、所詮は養殖ですが

……それに、実行には今しばらく時間が必要となりましょうな


【彼の質問を受けて、その口から語られる計画。『生態系の変化』、『昼の国地方都市への攻撃』】
【『異形を生み出す土壌とする』。断片的ではあるが、それはカニバディールの姿にも劣らぬ、おぞましい何かを秘めたものだった】

【突飛な話にも聞こえるかもしれない。しかし、それを語るカニバディールの声音は、その一つ目は、それが冗談などではないと語っていた】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 00:19:07.81 ID:sh9/TcnYo
>>124
【対して少女は、その薄笑いに不思議そうな顔を浮かべては居るものの、気味悪がっている様子はない】
【「コレがこの人の普通なのかにゃ……」とは思ってはいるが、詮索する気は起きないようで】

ふふーん、にゃ! ネコは猫舌ってよく言われるけど、ニャーはそんな事無いにゃ!
むしろこの季節になってくると暖かい食べ物の方が好きにゃ! ネコは寒がりにゃ!

【何故かドヤ顔で答える少女。よく見れば耳はピコピコ、尾もふりふりと軽く動いていた】
【相変わらず饒舌だが、少女の言葉によく出てくる「ネコは〜」は、やはりというか少女がそういう存在だと彼に知らせるには十分だろう】
【……煮付けより粥のほうが食べ進めるスピードが遅くなっていたのは明らかに猫舌が原因だが、それはともかくとして】


「にゃー……男の人でも、髪を伸ばすのにゃー? ……っていうより、顔が女の人だにゃ!
 ……綺麗な髪にゃー……」

【ほへー、と簡単するように息を漏らして。……自分のショートカットの髪を触ってみる。なんだかゴワゴワした感触】
【うえーと顔を曇らせるが、その時には既に彼は居なかった】

【さて、元気になった少女はいつまでもベッドの上で尻尾を振って彼の帰りを待つわけではない】
【ベッドから無駄に元気良く飛び起きると、部屋の隅から隅まで調べて回るだろう。時々ちょんちょんと家具を触りつつ】

【男が帰ってくれば、少女はベッドに腰掛けながらも足をベッド外に出してプランプランと動かしつつ、彼の方を見るだろう】

「おにーさんの部屋、すっごく綺麗にゃ! ……あ、そういえばおにーさん、なんて名前にゃ?」

【またも口を素早く動かしつつ、言い放ったのは彼の部屋に対する賛辞と簡単な問いかけ】
【なんてこと無いその質問。少女の顔は、彼の個人情報を聞き出して自警団に漏らしたりとか、そんな悪意は一切感じさせないきょとんとした其れだった】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/21(木) 00:29:37.26 ID:t/LZLyz2o
>>128
……
【男の薄笑いは、それさえなければかなり上等な顔だと思わせるもので……】

そうか

【猫猫繰り返すのはやはりこの耳や尻尾が地肌から生えているからなのだろう】
【そう思いつつ適当に返事する】

……別にいいだろう、そんなことは

【食器を運ぶ合間に若干不機嫌そうな声でそう答える】
【髪が長いのは特に深い理由は無い】

【部屋の隅から隅を探してもあるのは小瓶や天秤、ガラス管などといったものしか見つからないだろう】
【家具も衣装棚や机、そしてベッド程度しかない】


【そして男が戻ってくる】
【そのときに掛けられた声】

そうか……名前?

【部屋がきれいだといわれて適当な相槌を返せば、名前を聞かれた】
【そういった悪意がなかろうが、警戒はするものである】

……ガル、適当にそう呼べ

【それは確かに今その男が名乗っている名前でもあった、本当の名前では、ないが】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 00:30:24.14 ID:URTL2m+8o
>>122
「……そんなのつまんねーっての」

【相手の忠告に、しかし少女はそれを一蹴した】
【それも酷く適当かつろくでもない理由で】
【意思を示すアクションとして、頬をむすっと膨らませながら】

「そんなにおかしな事したかなあ――――――?」

【本人には『あんな事』という自覚は無いみたいで】
【あくまで初歩的スキンシップか何かとして認識していないのだろう】

【と、何やら目の前の少女は唐突に戸惑いを露にした】
【まるで無くしたものを探すような仕草】
【その様子をしばらく眺めていた少女は、そこでようやく先程の地図を思い出す】
【確か地面に落ちた筈だが―――あ、あった】

「……探してるのってさー、これの事?」

【そう問いかけの言葉を放ちながら、少女は落ちていた地図を拾って眼前に掲げてみたり】
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 00:34:08.22 ID:cCnirBUQo
>>126

いいんだよ……酒は天下の周りモンだ。奢ったり奢られたりしてるほうが
なんか…得した気分だろ?……まあ奢るときなんて大抵わけわかんなくなっちゃってるし

……へえ…俺も知られたもんだな…そりゃ、追手が増えるわけだ
…賞金額っていくら何だろうな…アングラなヤツが物凄いってきいたけど…
夜ばっかり歩いてるからよくわからないかな……それは

【ポケットに手を突っ込みながら、先を歩く男】
【長い足を大股に、猫背になりながらペースを合わせつつ歩く姿は不思議なシルエットである】

はあ?……何処が出涸らしなんだよ……バリバリだよ?まだバリバリ…ダメかあ…
まあ…最近歳かなあって思うけど…まあー…昔がわからんからなんとも言えないし…
…え?ダメ?オカマの蕎麦屋……そりゃあ紫のネオンがバリバリ効いてるけど天ぷらそば超ウマイよ

オーケィ…。…任せろよ。彼処は飲み屋だけじゃなくアパートもやってんの?…まあ、やりそうだけど

【そう言いつつ、どっかの店先に間借りして置かさせてもらっている一台のバイク】
【ネイキッドのオートバイ。ハンドルは真っ直ぐ、むき出しのエンジンにチェーン】
【取ってつけたようなボブフェンダーとキャンベルマフラーと塗装の剥げまくった感じが良い意味でガラクタだ】
【しかし、ちゃんとタンデムシートはついていて、彼の趣味が見え隠れしている】
【まあそんなことは興味がなければただのバイクで。彼がそれに跨ればキーを指してエンジンが始動する】

……ちゃんと、ついて来いよ?……やっぱ、メット要る?

【乗れと言わんばかりに待っている。アクセルを吹かせば】
【エンジンはいい調子だ。男の調子よりも大分マシな感じだ】

132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 00:44:44.04 ID:f2AaGVhOo
>>131

ロッソっていや、まあ名前に限ればそこそこな大物だと思うぜ?
別に俺が裏社会に詳しいからってことも無い……ハズだ、多分な

まあ、そんなのどうでも良い。お前は歳で出涸らしだし
バリバリなのは中々にセンスの良いバイクのエンジンだけだ
ネオンガンガンのオカマ蕎麦屋何ぞ論外……俺のために強盗やりたくなけりゃ
とっとと飛ばしてUTまでぶっ千切ってくれよなァ、ロッソ―――。

【――まったく、無礼なお姫様だ。最も、この口の効きようは】
【ある種、心を許した相手でないと出来ないもの。そういう意味では悪くないかも知れない】
【まあ、当人であるロッソがどう感じるかは別だが――ベイゼは、バイクを褒めると】

【そのまますらりと後部に跨って、ヘルメットには『要らねぇ』と簡潔に答えた】
【自然、走りだすとなれば――それも言葉に従って飛ばす≠フならば】

【ベイゼはロッソの背にゆるりとしがみついて、速度に負けじとするだろう】
【そこでようやく、女性らしい身体の柔らかさを感じるはず。そう、ようやくだ】
【口は悪いし負けん気は男顔負け。ただ、女性だ――というのを確認できるはずだった】

/道のりの方はすっ飛ばしてもらっても構いませんのでー!
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 00:50:09.29 ID:sh9/TcnYo
>>129
「にゃ? ま、確かにどうでも良いにゃ!」

【彼の不機嫌そうな雰囲気を感じ取れていないのか、少女の声は依然として嬉しそうな声だ】
【にゃはは、なんて笑ってみせる。こうも笑顔を見せるのは、彼が優しい人間だと認識したからであって】

【小瓶、天秤、ガラス管。どれも少女が見た事の有るものばかり。別に新鮮さは感じられないのだが】
【其れを普通の家で、普通の部屋で見たかと問われれば答えはNOだろう。ガラス管などは特に、だ】
【しかし、其れを少女が言及することはなかった。……何故か】
【単純に、彼が悪い人ではないと思ったからである。良い人が持っているものは、良いことに使われる。そう思ったから】


「ガルにゃ? ……ガル、ガル……と、分かったにゃ! 次に会った時『倒れてた所を助けてくれたおにーさん』なんて呼ぶのは面倒臭いからにゃー。

 あ、ニャーは端喰 音去(ハシバミ ネコ)にゃ! 音去って呼んでくれると嬉しいにゃ!」

【彼の名前を聞いて何回かその二文字を反芻すると、次に言い出すのは自分の名前】
【その警戒を知る由もないが、少女……音去は嬉しそう本名を晒す。無論、其れが本名だと分かるのは本人だけだが】
【次に合うことを予見しているのは、やはりこの少女が単細胞の頭だからだろう】


【暫くして、音去はヒョイッと床へ降り立つとガルへと向き直った。表情は変わらず、笑顔のままで】

「じゃ、ニャーはこの辺でお暇するにゃー。ガルも、部屋でゆっくりしたいにゃ?」

【深々とお辞儀して、この部屋を立つと決断したのは体力回復のおかげでもあるが、次に来るのはガルの生活の心配】
【音去も自分が迷惑をかけたというのは理解しているらしく、あまりガルには苦労をかけさせたくはないと、そう思ったのだった】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/21(木) 00:57:49.56 ID:+hw7g9z2o
>>127

……ええ、戦闘データは、特に今は作っているものが作っているものですから、とても重要でして
戦闘において最も効率良く扱える形式の模索であったり――兎に角多いに越したことはありませんから。
取り逃がしたとしても実際の映像があれば次の対策も立てやすい、というものでしょう?

【カニバディールの見せる禍々しさに些か、笑みが深くなったようにも見えて】
【細められた双眸、その奥に潜む狂気はどの程度のものなのであろうか……】

ええ……機関にいた旧友の忘れ形見、とでも言いましょうか。
僕も彼には言ったんですがね……『機関に身を置く者が家族を持とうなど如何なものか』、と。
その結果、彼は結局――――いえ、これは言うまでもないでしょうか。

確かに、少しばかり気分がマシになったような気はしますね……
と言っても、それでうまく進むかどうかは別問題ですが。

【家族を持っているということが特異であるのは、自分でもよく知っていたこと】
【寧ろ自分はそれを咎めた側だとそう言えば、その旧友がどうなったかは言葉を濁して】
【けれど張り付いた笑みが深く、その狂気を滲ませた辺り―――大方の予想は付くだろうか】

――――なるほど。実験用……とまでは行かずとも、面白い“眼”も手に入るかもしれませんね……
いえ、僕は色々な眼球をコレクションしていましてね……最近は人間の物にも飽きてきましたから……

……わかりました、決行の際に声を掛けていただければあの二人を向かわせましょう。
僕が言うのも何ですが、ああ見えて戦力はかなりのものですから。
それに、それまでに新しいモデルが完成していたならそれらの戦闘データの収集も兼ねられますしねえ……

【一般人が口にしたなら突拍子のない事でも、相手も機関のナンバーズ】
【今更疑うこともないだろう、というのが男の考えで。】

―――ところで、件のUNITED TRIGGER≠フメンバーとやらはその件に何か関わりがあるのですか?
どうやらただ、あの組織のメンバーだから、という理由だけで捕らえた訳ではなさそうでしたが……

【ここで気になるのは先程言っていた捕らえた人物の事】
【聞こえていた話からすれば、何やらその人物の事をカニバディールは知っているようであったし】
【個人的な関係、或いは計画への関係があるのだろうと、そう考えての質問である】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/21(木) 01:05:25.85 ID:t/LZLyz2o
>>133
……

【その様子に相変わらず同じ表情だが内心は察しが悪いところも……と過去の誰かに重ねている】

【そも、彼はいい人の部類ではないのだ】
【それを彼女が知ることは無いとはいえ、それはよくないことに使われる】
【だが、ここで言及しないのは、いいことだったのだろう】


ああ、わかった、猫

【もっとも、次会うときなんてあるのか分からないが、そう内心で呟く】
【男はこの音去という名前が猫の耳と尻尾から来た偽名で、猫と名乗っていると判断した】
【だがこれほどまでに特徴と結びついた名前もない】


……そうか、出て行くのか、元気でな

【あいつは一週間ほど療養していたな、そう考えつつ階段を上り金属の扉を開け床板をはずし這い上がる】
【引き止めることはしない、去ろうとすればすぐに去れるだろう】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 01:08:51.38 ID:cCnirBUQo
>>132

……ハッ!成金のクソジジイにしかモテないかと思ってたよ

だから俺は……29ってもうヤバい?……ヤッベーな……どうなってんだ
暇つぶしにレイトショーばっか観てたらボギーが伝染ったのかな……まあしかたない
構わないよ強盗ぐらい……命以外は何でも盗むって言うハイセンスな看板でやってるからさ

一応、俺も敵陣なんだけどな……なあ、ベイゼ―――

【サングラスの男はニヤリと笑うと、アクセルを吹かして。タイヤがアスファルトを擦る】
【勢い良くマフラーの先が溶け出すような加速で夜の街をその先で切り裂いていく】
【バスも自動車もすり抜けて、流石に屋根までは行かないが脇道をゆくさまは手慣れたものだ】
【流石におとなしくしている赤信号で何か聞いても、シゴトで使うからとしか答えないだろう】
【銀行強盗の彼にとっては街を走ることはタクシーの運転手並みに必須事項なのであった】

【体に深夜の秋風と背の優しさ(ヒライ目線)を感じながら彼は思う】
【やっと主導権が取れた…と。別に人より偉くないと気に入らないっていうタイプじゃないが】
【お嬢さんを大人しく出来るのなら、そういうのは悪くはないとそんなことも過ぎったのだ】

【そうこうして、UTの事務所の前に付けば、男はエンジンと同じぐらい軽い高翌揚感もあった】
【バイクってのは偉くなった気がする乗り物だと、誰かが言っていた】

…………今日は平日だから道は空いてたな…まあいいや…ついたよ

【スタンドを立てれば、降りるように催促した】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/21(木) 01:14:37.44 ID:kpuRjHmR0
>>130

(………、……抑えろ、抑えるのよ私――――……こんな状況、どれほどの事でもないでしょう……?)

【ぴき、と何かの鳴る様な空気。長髪の少女の性格は先程の通り――――自由奔放な短髪の少女の、曰く“ろくでもない”理由は刺激には十分だった様で】
【こめかみの辺りが僅かに反応したが、感情表現は封じた様に。続く言葉にだけ返答として、自らの発言を補強する様に主張を始めた】


十分おかしな事だったわよ?
私の知り合いや友達には、あんな風にしてくる人は……いない、訳じゃないんだけど―――――、……はぁ。もういいわ。

【………けれどそれは失速して。】
【あまりの自由に脱力した様な、毒気を抜かれた様な―――何ともいえない日常の空気に染まって、斯様な言葉を紡いで行けば】
【少女はお手上げの様に目を瞑った。隙でもあり、感情表現であり……閑話休題。この後の出来事に関わらず、滞りなく状況は進む筈】


……そう、その地図―――――――……ッ、……もしかしたら、ずっと其処にあったのかしら?
失くしたのじゃなくて良かったわ……。

【状況に意識が追いついて、】

(……あの時に手を離れてたのか。一先ず安心……とは言っても――――)

【回想は一瞬、発言に到るまではそれよりも僅かに長く、】

……返してくれない? 分かってるかも知れないけれど……私には、大事なものなの。
あまり多くの人の目に触れさせるのも拙いから……。

【対価としてなにかを求めるのなら――――情報であれ行動であれ、こちらの少女は応えるのだろう】
【余程の事ならば別だろうが、地図の内容程度ならば語るに支障などない筈】
【仮に機密であったとしても、“そんなモノを落とす方が悪い”―――その程度に押し切ってしまえば恩とやらからも突破は容易で】

【大事だと語るその理由でも、或いは“始め”にはいいのだろうか。何れ、短髪の少女次第ではあって】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 01:17:58.02 ID:sh9/TcnYo
>>135
「ガル、ホントにありがとにゃ! 助かったにゃ!
 ……それじゃ、ガルも元気でにゃ! バイバイにゃー!」

【そうして、音去はガルの部屋から去っていくだろう。笑顔のまま、大声でガルに手をブンブン振って、路地裏へと出て行った】


【出たは良いが、そもそも連れて行かれている時に眠っていたのだから、現在位置はわからない】
【だが音去はその表情を崩さない。良い人と出会ったという思い出は、今の音去の思い出の何事よりも大きかった】
【そもそも音去にとって、現在位置を特定するのに難しい作業は必要ではなかった】

「……にゃー!」

【なんて気の抜けた声を出して、跳躍。その高さは、明らかに常人の其れを超えている】
【そのままビルの壁へと一瞬へばりつくと、そのビル壁が突然変形……隆起し、音去が乗るに丁度良い足場となる。そして、また跳躍】
【其れを繰り返しながら瞬く間にビルの屋上へとたどり着くと、繁華街を目指して屋上から屋上へと、ビル伝いに駆けていくのだった】

【この街で初めて出会った"優しい人"。その名前を音去が忘れることは無いだろう】

/お疲れさまでした!
/新キャラのためか、レス速度が遅くて申し訳ございませんでした……。ロールありがとうございましたー!
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 01:24:08.67 ID:f2AaGVhOo
>>136

【――バイクが一挙に発進すると、ベイゼは呑気に押し黙っていた】
【それは速度が怖いという子供のような理由でもなければ】
【てめーと話すことはねー、なんていうぶっきら棒なものでもない】

【どことなく、運転するその姿に仕事人のような――真摯な物を感じたからだ】
【言ってしまえば感心していた。あのナリで中々やるもんだ、と】

【だからせいぜい、背後から聞こえるのは小さく零れる笑みの声位だったし】
【逆にコート越しでこそ合ったが、冬でなくても嬉しい温かみがあったのも本当のこと】
【やがてUTの事務所前にたどり着けば、ベギーアデンに手伝わせてすらりと降り】

……よし、よォし。ロッソ、お前中々運転が上手いじゃねェか
見直したぜ色男――そうだ、さっきお前が言ってたことだが……

【『35までは安心してろよ』――なんて下らないことを言ったなら】
【その後に尋ねるのは、一緒に飲むかどうか、というようなこと】
【飲むなら付き合うがそうでないのなら、というわけだ。選ぶのは自由だが――】

【――まあ、時間も時間だ。飲むにしても、誰かと混じって大騒ぎとはいくまい】
【となれば二人でしんみりか。悪くもないが――選択権は、ロッソにあって。】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/21(木) 01:28:40.19 ID:t/LZLyz2o
>>138
ああ、それではな……

【そういうと男は自身の隠れ家へと戻っていった】

……そういえば今日の夕飯どうしたものか

【残っているのは野菜だとかそういったもの】
【まあ別にいいかと嘆息しつつ作業に戻る】


【地下室、そこは強力な消臭剤が使われているため誰にも分からないが、作業中だけは濃厚な赤錆の臭いに包まれる】
【今日もまた、人を狂わせるクスリが生み出されていく】

……

【薄ら笑いを貼り付けた男は、それでも笑みを崩さない】

【ガル……、いや、ガルク=ネクタル】
【その名前は広く知られている、元聖職者の殺人鬼として】

【そしてまた、ガルという名も、違法薬物売買の犯罪者として自警団などに、深く、知られていた】

【"優しい人"は、その身に大量の罪の鎖を受けている大罪人だった】

//お疲れ様でした
//こちらも新キャラのため速度が遅く申し訳ありませんでした、お付き合いいただき感謝いたします!
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 01:29:03.35 ID:URTL2m+8o
>>137
えー?そんなに気にする事じゃないってー。

【あはははは、と当人至って暢気なもので】
【相手の雰囲気が少しざわついた事など、ちっとも気づく筈も無く】

そーそー、何でも気にしすぎは駄目だって。
神経の尖らせ過ぎは病気の元だって言うしねー。

【少女の諦めを、どうやらこいつは受け入れと捉えたらしく】
【にへらと締まらない笑みを浮かべたまま、気が抜けた相手を見つめていた】

【案の定、相手はこちらが手にした地図に食いついてきた】
【どうやら彼女の言質からして、これは余程大事なものらしい】
【しかも『人の目に触れさせるのも拙い』ときたものだ】
【いよいよ普通の地図ではないらしい】

そんなに大事なもんなら、もっと保管をきっちりしないとねー。

【少女は手に持った地図を丸めると、それでぽんぽんと自分の肩を叩く】

まー、別にボクが持ってても何の役にも立たなそうだから返してあげるけどさー。
―――その前に、これが一体『何の』地図なのか、正直に教えてよ。

【単なる興味本位、というのは嘘になるか】
【ともあれ、彼女がここまで固執する理由は一体何なのか、それが気になる】
【丸めた地図を望遠鏡のように覗き込み、少女の顔を眺める】
【先程とは毛色の違う―――不敵、とでも形容すべき笑みを浮かべながら】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/21(木) 01:31:38.55 ID:Lt6DziYzo
>>134
……その勤勉さには感服します。貴方のような方が敵でなくてほっとしますよ
あのお二人も相当な実力とお見受けいたしましたが、彼らが試験作を名乗っているほどです
今手掛けておられるものが完成すれば、どれほどのものが見られるか……私としても楽しみですよ

【あの日、クシーとプシーの言葉を受けて、その背後にいる人物、すなわち眼前に立つノーグの貪欲さを感じ取ったものだが】
【実際に会えば、その双眸の秘める闇は、カニバディールの想像などたやすく飛び越える深さ】
【ノーグが多くの死体を集めて何を作っているのかは知らないが、それが自らに牙をむくものではないだろうことに、安堵すら覚えた】


……誠に申し訳ない。無神経なことを申し上げました
機関員である以上、常に起こりうることとはいえ……心中お察しします

それはおっしゃる通りですな。私としては、こうしてナシエさんとお近づきになれて幸運でしたがね
研究が上手く進むことをお祈りしますよ

【彼の語る事情を聞けば、非礼を詫びて見せる。悪逆たる機関員とて、こうした繋がりはあるものなのだ】
【その死を悼むのもまた、同じ立場である者たちくらいのものだろう】
【しかし、やはり見え隠れする狂気。底知れぬ人物は多く見てきたが、ノーグもまたそのひとりとして 記憶されることになりそうだ】


眼球のコレクションですか。いいご趣味をお持ちだ、もし面白い“眼”が出てくるようなことになれば、お伝えしましょう

ありがたい。彼らが戦列に加わってくれれば、計画もよりいっそう確実なものとなりましょう
ナシエさんのデータ収集にも協力できるというなら、望外の喜びです

【恭しく一礼するその姿も、巨体と異形で醜悪そのもの。内に秘めたる邪悪は、あるいはそれ以上か】
【とはいえ、感謝の気持ち自体は真摯に伝えても見せる。カニバディールの目から見ても、クシーとプシーは頼もしい戦力となりうる力を秘めていた】


……お察しの通り。その男……ギア・ボックスとは旧知の間柄でしてね
かつては、友人と言える仲だったのですが、私の本性がばれて喧嘩別れとなってしまいまして……いや失礼、余計な事でした

同時に、私の計画に必要な能力も有しています。これについては、今の計画よりさらに時間がかかるものですがね
いずれ、機関の利とすべく、利用しつくすつもりです

【にたり、と醜悪な笑いが角ばった顔に広がる。捉えたUTメンバーとは旧知、かつその力をもってさらなる計画】
【この分では、あまりいい知り合いではないようだが】
【邪悪な一つ目は、過去よりも未来、おぞましき企みのほうを向いていた】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 01:44:30.85 ID:cCnirBUQo
>>139

………35までこんなことやってのか…やっぱヤベーじゃん…
ドロボウに定年退職は無いけど…禿げたら流石にやってらんないかな

【バイクに乗ったまま、口をへの字に曲げている様子から】
【サングラスの下は訝しげな顔をしているんだろうということがよくわかる】

【そして飲むか、と訊かれれば男は黙って少し沈黙。もとよりおとなしめな奴だが】
【黙ってしまえばバイクに乗った長身のサングラスの男でしかも強盗のボスで有るというならば】
【中々にクールな緊張感がにわかに感じられる。喋ってしまえばあれだが…】

……随分と気に入られたようだな。…まあ、勿論悪い気はしないね
………アイツがいないことを祈ろう……勝手に飲んでアレコレ言われてもかなわん

【キーを抜き取ればエンジンは暫く眠りについて。けど男はこれからだと言わんばかりに降りると】
【スイスイと得意の大股歩きで勝手に事務所の中へと入っていくのだった】
【中に先に入ってはドアを開けたまま抑えているのがなんともいじらしい】

……すっかり酒場気分だな…ほんと正義の組織かって……
あっ…ヤッベー…レコード持ってきてねーじゃん………うわっ…誕生日とかも言ってたな…

【中に入ればシマッタと何かブツブツ言いながら、中をウロウロする男】
【発言の断片から暫く引っ込んでいたダメさが現れている】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 02:00:16.92 ID:f2AaGVhOo
>>143

だから、それまでに嫁でも職でも見つけて丸くなれってんだよアホ
……ほんっと、イマイチ締まらねェなお前。なんかの才能か?

【小馬鹿にしたような態度だが、このちょっとした悪態もまた信頼の裏返し】
【どことなくたよりないが、だからこそ裏がない――ベイゼはそう思ったのだろう】
【まして裏では有名な男だ。そういう意味でも、保証のような感覚で】

【やがてロッソが先に事務所の方に向かってしまえば、後を追って所内へ】
【もとい、店内へ。なにせ普通の酒場としてもやっている店なのだ】
【ロッソのボヤキも分からないではない。が、流石にもう客は見当たらず】

どれどれ……おッ、マジで在るじゃねぇか。ロッソ=c…これもだな
となりゃ今夜はタダ酒か、居候の財布には嬉しい……ん?

おいおい、どうしたよ。また出涸らしみてェになってるが……誕生日?
レコードは分かるが……誰が誕生日なんだよ、まさかセリーナか?
アイツにそんな可愛らしい日があるなんて思いもしなかったが……いや、つーかアイツのことかも知らねーが

……取り敢えず俺は赤だな。お前はアイツの飲み残しのバーボンだ
何、全部飲んじまえばあとはシラを切っちまえばいんだ。残しとくほうが悪い、だろ?

【店内をウロウロとする彼を尻目に、ベイゼは当然のようにカウンター側へ】
【先に言っていたボトルを探し当てると勝手にグラスまで取り出して】
【自分の分と、それから彼の分とを告ぎ――取り敢えず飲もう、とワイングラスを手に取った】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/21(木) 02:19:44.30 ID:AvT899u10
>>141

……く、ぅぅ……―――――……ふっ、私が気にする筈もないのよ。
あなたは、どうあれ風邪とは無縁そうね……元気よね……。

【どこか悔しげな声から変わって、やはり取り澄ます様に余裕を纏って。どこか含みのありながらも羨やむ様に、小さく一つ息を吐いた』
【そして話題はあの地図に移り。『望遠鏡』 越しに視線を合わせれば、覚悟を決めた様に語り出すのだろう】

……“牙無しの悪魔”(ファングレス・ヴァンパイア)事件――――………この名前に聞き覚えはある?
今から十五年くらい前の、この街の出来事よ。
その地図はその事件の本当の終わりか、再動か―――――そのどちらかには関わるものになるんだと思う。


【 “牙無しの悪魔”(ファングレス・ヴァンパイア)。街頭のテレビでも見ていれば、短髪の少女も名を聞いた事位は有るだろうか】

【十数年前の出来事であり、異常犯罪の典型としてしばしば引用される一連の事件、】
【異常であったのは事件の期間・発生頻度・手口――――この程度の特徴的な情報は、割に一般にも知れ渡っているのだろう】

【今になって関わり始めたのは、其れに連なるなにかが見つかったのか。或いは、寝入っていた少女に関わるだけの“なにか”があるのか―――、】
【……どちらであるとしても、重要さは変わりないのだろう。『本当の終わりか再動か』、その言葉に、この少女に嘘はない様だった】

【事件をよく識る様子でなければ、長髪の少女は説明を続けて。訊かれたのならきっと答えながら、】


……1990年代の終わりごろから、この街では行方不明者が急増していた。
初めは現場は路地裏で、消えたのも身寄りのない、路地裏に住む人達だったから……そこまで不審に思う人も少なかったらしいわ。
……けれど何時までも同じじゃない。普通の人にも犠牲が出始めた。

最初の確実な記録として残っているのは、1998年2月10日。
サラ・ジーン・ノルドグレン――――街角に買い出しに出かけた主婦のほんの小さな血痕が、同日に路地裏の入り口で見つかったの。

【端的な語り口で続けてゆく/だからこそ聞き手によっては冷たく聞こえる、】

それからも行方不明事件は続いた。酷い時には10日で4人、分かっているだけでそれだけの人たちが “いなくなった”――――
……普通の人が寄り付かなくても、違法な取り引きは行われてたのね。それだけこの街の闇は深かった。

サラの失踪から3カ月が経って、事件は急な展開を迎えたわ。

……それまでは『行方不明』だった空白の代わりに、首のない死体が見つかる様になった。
ここまでは……あなたは、大丈夫? 私は慣れてるけど……。

【首の無い惨殺死体――――普通の少女には刺激の強すぎる情報であり、その量自体も膨大であり、】
【完全に整理のつく必要はなくとも、一度、一拍置く必要を感じたのだろう。こころを、守るために。……凄惨な物語ならばなおさらに。】
【その事件に自ら関わろうとしている少女は……聞き手たるひとりを案じる様な、どこか不安げな瞳をして】
【ここで話を打ち切るのなら、そんな長髪の少女は、一人、横たわる闇に挑もうとするのだろうけど―――、】


/っとすみません、そろそろ眠気が危うく……。
/よろしければ明日以降(もう今日ですが)、続きをお願いしても大丈夫でしょうか?
/こちらは、21〜22時前後には来られると思うのですが……っ
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 02:24:22.18 ID:cCnirBUQo
>>144

んだよ…俺にペンキ屋でもやれって?……うわ…考えると…面倒だな
コネで入れるトコなんて此処とマフィアしかねーし……クッソ…
……だからオンとオフだよ……締まるときは締まるって…ほらっ!

【いきなり軽く手をたたく。一本締めという意味か。…本人は満足げだ】

【そして彼は弱ったなあとうろつきまわりながらポケットの煙草を取り出して】
【オイルライターで火をつければ、溜息のように煙を吐く】

…ん?ああ…だろ?まあ、そっちの給料は知らないけど……俺はここじゃ
好きに飲めって言われてるからな…ヘッへ、ドロボウ特権だ

【顔にシワを作って笑う姿はかなり得意げで、ただひたすら飲めるということが嬉しいんだろう】
【その特権も本人の前でこの調子で居たら半ばあきらめのように言われたのだが…当人は気づいちゃいない】

だーから俺はバリバ……まあ、もういっか………そうそう、セリーナ
あーっと……なんかの拍子で…11月だから祝ってね!…とか言ってたからまあ…そんなとこで
レコード持ってくるついでにビールの1ダースでもやろうと思ってたんだけど……今日何日だっけ?
こっちもあっちも立て込んでるからさ………誕生日あるだけマシだってんだ

……そうだそうだ。大体俺、プロなんだって話だ…何処にでも隠してみな

【色々と考えていた彼だったが目の前にアルコールがあれば最優先事項】
【彼は注がれたグラスを持って…軽く掲げては乾杯を誘って】

ハッピーバースディ……セ…そういえば…今日かどうかは知らないな…
…まあいいや…誰かしら誕生日だろ…

【そう言って、飲む。飲めればなんでもいいらしいが、理由は付けたいみたいだ】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/21(木) 02:26:34.11 ID:w/5C4AjQo
>>142

いえいえ、僕としても、異形の産地を作るだなんて考える方が敵でなくて良かったと思いますよ……
いや、一時は六罪王だったとはいえ、“彼女”は敵、だったでしょうか。

―――ああ、最終的な目的はどちらかというと個人的なものでしてね……まあ、強大な力なのは確かなのですが……

【同じようにこちらも敵でなくて良かったと言いかけて、思い出すのはかつて世間、そして機関をも騒がせた存在】
【それは、カニバディールにとっては忌まわしい記憶を思い出させるキーワードかもしれない】
【ただ思い付いた事が口をついて出ただけで、悪意などは無いのだが】

謝るような事ではないですから、気にしないでください……それに、彼は回収済み、ですからね…………
いや、あなたになら言っても問題は無いですね――――彼を始末したのは他でもない――――僕なんですよ

素晴らしい眼を、力を持っていたにも拘らず、彼は甘くなりすぎた。
なので眼を回収したのですが……それを巧く扱える者がなかなかいないものでして……
そこでこの実験計画を始動した、という次第なのですがね
―――お互いに上手くいけばこの上ないことです。

【カニバディールの言葉を裏切る様に、告げられる事のあらまし】
【友を手に掛けたなどと、普通の者ならこうも平然と語れはしないだろう】
【しかしそれもやはり、機関では珍しくもないのかもしれない】
【友どころか親を殺めた者だって、機関にはいるのだから】

フフフ……それは有難い事です。
つい先日も、クシーが面白い物を持って帰って来ましてね。何でも“炎獅子”とやらの眼球だそうで。
これがまた、かなり強い炎を宿しているもので……しかも大きいですから、保管するのも大変でして。

【カニバディールを自分の趣味を理解してくれる人物と判断したのか、その口ぶりは軽やかに】
【そしてその身から見て取れる邪悪をも、楽しんでいるかのようであった】

ほう……かつての友を、ですか……
いえ、どうこう言うつもりはありません。先にも言った様に、僕も同じ様な事をしていますからね……

フフフフ……それは楽しみな事ですね……
これは此方も負けてはいられませんね……

【友を己が野望の為に利用する、という点では二人は共通していると言える】
【方向性こそ違えど、やはりどちらも闇に、機関に生きる者ということだろうか】

――――おっと、そろそろクシーの様子を見に行かなくては。
眼球を手に入れる時、その“炎獅子”とやらに手酷くやられたようでしてね……

この辺りで、失礼させていただきましょう。
またいずれ、お会いしましょう、カニバディール殿…………

【グイ、と右の袖を捲れば、そこには二つの“眼”があって】
【その内一つ、黒の眼から闇が漏れ出せば、一つ礼をして歩き始めたその体を包み込み】
【やがてその姿は見えなくなるだろう。まるで、景色に一体化したかのように】
【後に残るのは静寂、であろうか―――――】



/こんなところでしょうか!
/お疲れ様でしたー!
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 02:44:44.32 ID:f2AaGVhOo
>>146

はぁ……なんなら、俺のコネの方で紹介してやろうか?
つってもそっちもマフィアだが……しかもD.R.U.G.S.だ
スペーツィエファミリーって知ってるか?そこの、ビスクってのと知り合いでな

……あー、お前あれか?一回頭ぶっ叩いたら直るかもな、テレビみたいによォ?

【締まるときは締まる――そして一本締め。まあ、定番のネタといえばそうなのだが】
【このベイゼ、呆れるときはとことんまで行く。一瞬ベギーアデンがちらついたのは気のせいでもなく】

……は?テメェ今なんて……クソッ、ロッソテメェ毎日来い!
こちとらやることもなく貯金削って飲む酒ばっかでうまくもなんともネェんだよ!
好きに飲めだとォ……?セリーナめ、次に会ったら同じ権利を……

にしてもアイツ、マジで誕生日なのかよ。今年でいくつだ?
いや別にいくつでもいいんだが……ならそうだな、やっぱりプレゼントを考えねェとな

なあおい、お前は何が良いと思うよ。ビールなんて面白くもねえ、酒も却下だ
あの飲んだくれ、甘酒とウイスキーでも違いなんて分からねぇだろ
どうせならもっとこう……面白みのあるものとか、どうせなら用意してェよなァ……

【『今日は20……21日』と返してから、小さく乾杯。ワインといえば風味を楽しむものだが】
【グイッと行ってしまうベイゼに、果たしてセリーナを馬鹿にする権利が微塵でもあるのかどうか】
【この口調から察するに、贈り物だって面白半分のはず。底意地はさぞ悪いと見え】

あー、ハッピーバースデーサムワン、ってな。乾杯なんて祝えりゃ何でもいいんだ
俺のコートのために皮を剥がれたミンクに乾杯、ワインになったぶどうの農園のじいさまに乾杯――ってな。

……で、どうだよロッソ。折角だから贈り物は特別な方がいいだろ、やっぱり
そしたら今度は食べるのも自由だ……仕事も髪もなくなっても酒と飯はタダだぜ、オイ

【自分で勝手にワインをドバドバと注げば、今更風味をたのしむ様子を見せる】
【まだ酔っているようには見えないが――場酔いだろうか。随分と口調は砕けていた】

/隊長、そろそろ眠気が厳しいので明日以降に持ち越しをお願いしたい所存です!
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 02:49:57.30 ID:cCnirBUQo
>>148
/8時9時ぐらいには居ますので明日でも明後日でも向こうで声かけてくださいませ
/私もこの返信を書いたら失礼させていただきますのでどうぞお先に!
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/21(木) 02:50:48.18 ID:Lt6DziYzo
>>147
……褒め言葉、と受け取っておきましょうか
――――“あの女”は、敵と言って差支えない存在でした。私としては、縁が切れてよかったと考えています

個人的なものであろうと、力に、あるいは混沌に通ずるなら機関員として外れた行為でもありますまい

【ノーグの言葉に、想起される一つ目の誕生秘話。しかし、今となっては過去のことだ】
【忘れられないものではあるが、今や記憶の中だけの存在でもある】
【それに対して、不快感を示すようなこともなかった】


……ナシエさん、クシーさんとプシーさんに会った時にも感じていましたが、貴方はナンバーズに名を連ねるに相応しいお方だ
そういう人間こそ、本来我らがカノッサには必要な人材ですよ
多少驚きはしましたが、それもまた世界の闇たる機関の習い、とも言えるかと


ご友人の眼が活かせる日が来ることを、私としても心待ちにします
ええ、お互いの成功を祈るとしましょう

【わずかばかり一つ目が見開かれたが、すぐに元に戻る】
【彼から感じ取れる狂気の濃度を考えれば、ありえない話ではない】
【カノッサの抱える闇は深い。カニバディールとて、その一部であるのだ】
【その話を聞いておきながら、すぐにその眼の持ちうる力に惹かれる辺りに、それが表れているだろう】


“炎獅子”……幻獣、あるいは神獣といったところですか
そんな存在の眼球とは、私も興味を惹かれますな。炎を宿す巨大な瞳……何とも心躍らされますよ

【カニバディール自身も倒錯した人間であるが故、彼の趣味にも一定の理解は示しつつ】
【抑えきれない好奇の心は、神獣の瞳という未知なる存在へ。それを手にしたノーグが何をするのか、ということにも】
【二つの邪悪が溢れ出し、路地裏を満たしていく――】


ええ、かつての友を、です。奇しくも、似通ったところがあるようですね、ナシエさん……

互いに、成果を見せ合える時を待ち望みます

【自分のために、他人を、ましてや友を踏みにじる】
【まぎれもない邪悪、まぎれもない闇の住人。彼らは、胎動を続ける。目指すべき、野望のために】


それはお気の毒に。一刻も早い回復をお祈りします
彼らにも、また一度お会いしておきたいものですな

ええ、お時間を頂き、感謝いたします。有意義な時間を過ごせました
ぜひ、またお会いしましょう、ナシエさん

【一礼を返せば、腕の眼球が放つ異能に乗ってノーグが消えていく】
【新たに得た邪悪なる知己の姿が完全に消えるまで、カニバディールは見送る視線を外さずにいた】


……さて、私も戻るとしよう。やるべきことは、まだ多い

【一人つぶやくと、重い足音を響かせて。カニバディールもその場を後にする】
【邪悪なる者たちがいなくなれば、やがて路地裏はいつもの静寂のうちに沈むことだろう】


/お付き合い感謝です!! ありがとうございました!!
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 02:52:58.88 ID:f2AaGVhOo
>>149
/了解です!それではお言葉に甘えてお先に……!
/ではでは、一旦お疲れさまでしたー!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 06:08:37.63 ID:cCnirBUQo
>>148

いいよ…マフィアは懲り懲りだ。愛想良くするのも凄むのも得意じゃない…
それにあのへんの子分のサラ金とかも邪魔させて貰ってるから…歓迎会で
鉛球でも腹一杯貰っちゃ敵わん…

…俺が言うのもなんだけど……治ったら治ったで不味いんじゃねーの?
どうすんだよ此処で口説き始めたら……うわ、俺…想像しかけただけで具合悪いわ…

【所々で随分とキザぶったところもあったがそれは天然ものらしくて】
【時々そのまともな時の片鱗を見せつつもヘラヘラと煙草を吸うのだった】

……あ?……ヘッへッへ、だったら銀行の2,3襲ってこい。ノーキルで不正経理の証拠もあげろよ?
やることねえのは俺も一緒だけど…まあ、大人しくシゴトでもしたらどうだ?マダムのワンちゃんでも
探せば小遣いやるって言ってたぜ?まあ、俺は……あんまり来ないって言うのも有るからなんだろうけどね

【度数の高い酒を飲めば大分、会話のテンポもマシになってきた。内容はあれだが】
【普通かちょっと遅いぐらいまで持ってきたので少しはストレスも和らぐことだろう】

らしいよ…今いくつすらも知らんけど……まあ、頑張ってるみたいだしね…こういう言い方は月並みだけど…
何がって……ほら、ビールだったら俺らも飲めるだろう?…まあ、俺もその気があるからなんとも言えないけど…
…面白みねえ……あー……何がいいんだろう………

【グラスを傾けてから、故障したように動かなくなったこの男。思考中はそれ以外ストップしてしまっているようだ】
【しかし出涸らしどころかそのへんのアイディアは枯れ切っているようで】

…………知らねえ!わかんねえよ!…というかそっちが考えろよ…そしたら飲み放題だろ?
俺はBGMとターキーと…あと…三角の…こう…被る…ヤツ………を持ってくっから
…俺はあれだ…髪がなくなりゃバリカン持ってバーバー襲う強盗にチェンジすっからさ

【こちらこそ色んな意味で高いアルコールを速いペースで飲んでいる】
【見た目からは此の男の酔いなんて分かりそうもないけれど…?】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/21(木) 17:45:44.31 ID:vWFnc+xt0
【とある街――公園】

【普段であれば子供たちの遊ぶ声などが聞こえている公園】
【だが、今日は聞こえないなぜなら天候が雨だからだ】
【その雨が降っているため人はここにこようとは思わない】
【だがその雨の中傘を差し歩いている人物がいる】

【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い】
【片腕には義腕をつけているが手の部分は黒の手袋をはめておりよく見ないと義椀だとわからないだろう】

はあ、今日も雨ですか
 こう雨が続くと憂鬱な気分になっちまいやすね

【そう言いっているのに男の歩きはどこか調子がよそうだ】
【そして男は自動販売機を見つけると自動販売機に近ずきお金をいれ飲み物を買う】
【選んだ飲み物はホットコーヒーだ、CMでよく宣伝されていたやつでもある】

さてっと、どっかに座るところはっと

【男はそう言い辺りを見回しちょうど座るにいいところを見つけた】
【そこは四角な作りで屋根がついており木の柵もついていた、きちんと入れるところもある】

【そして男はその四角なつくりの場所へ行き傘を閉めて座る、そして買ったホットコーヒーをあけて飲む】
【全部飲み干したのならタバコとライターを取り出し、一服しているだろう】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 18:50:19.83 ID:f2AaGVhOo
>>152

……あぁ、そりゃ止めた方が身のためってもんだな
死なれても困りゃしねェが、流石に夢見も寝覚めも悪いしよォ

治ったら?治ったってお前、何も心配することはねェだろ
少なくとも俺は口説かれてもどうにもならねェし……まァ、気持ちは悪ィわな
それと銀行は襲わねェよ、そこまでして飲むほどの中毒でもねェし
そういうことするほどの元気も無ェし……あーあ、興醒めだぜ

【またグイッとグラスをあおる。興醒めと言いつつも、流石に一気はクるらしい】
【ほんのりと肌が上気していたが、ベイゼ自身はそれを気にする様子もなく】

仕事ォ……?いや、確かにそりゃ何時かはとも思うが……
……あれだろ。元同僚にそんな姿見られたら恥ずかしいじゃねェかよ
『おやおや機関の元No.3ともあろうお方がわんちゃん探しですかぁ?』――

―――考えるだけで頭痛がするぜ。お前のアイディアの無さにも脱帽だ

【酒のせいか、ほろりと零すのは元の身分。といっても、聞き流しても問題ないが】
【――さてしかし、このベイゼが働く姿というのも中々に想像しがたいもの】
【猫をかぶるのは得意そうだが、基本的に怠け癖が強いように見える】

【そういった点では、ロッソとも同類に近い――かもしれず。グラスにワインを注いで、それを眺め】

はぁ、プレゼントねえ……もらったこともくれてやったことも無ェしなァ……
服……は違うな。アイツはレディって感じじゃねェし、となれば宝石だのも要らない。
酒は俺が飲みたいだけだからやらん。食い物は……お前が用意しちまうし

……武器、か。おいロッソ、お前かお前の知り合いで銃に詳しい奴とか、居ねェ?

【アルコールが効いているんだろうか、先程よりも悪態が減って、案外まじめに悩む様子】
【そして弾きだしたのは武器をやろう、という発想で。まあ確かに弾*末bヘ強力だが――】
【素の状態で使える良銃があっても困りはしないし、要らければ飾れるし、いいんじゃないか、と】

【そんなことを思いついたんだと取り留めもなく語れば、最後に一つの質問を彼にしたのだった】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/11/21(木) 19:35:39.62 ID:URbi2jXj0
【鉄の国=\――湖=z

【鉄の国の東部………未だ自然が多く残っている地域にある大きな湖。】
【観光場所としては有名ではないが、たまに近くを通るキャラバンや旅人の休憩地点となっている場所だ】
【湖の中心部には、遺跡か何かの名残なのか巨大なキューブ≠ェ存在しており、それが目印となっているのも理由だ】
【そんな湖の岸辺で佇んでいる人物が一人―――。】

≪傷は癒えたのか………、そうか………今後は独断での行動や機関≠ネどと関わりを持つのは控えて貰いたいものだな
 ああ―――お前の目的は理解しているが、つけ入る隙を作るわけにもいかないのでな。≫

≪それと………そちらの医療スタッフを総動員してフリードリヒのケアも頼む、かなり手ひどくやられたようでな。≫

     ≪ああ………こちらは順調だ、次の仕込みも恙無く―――ああ、追って連絡する。≫

【湖面に映る月光を眺めながらどこかへと通信をしている人物………それは】
【まず頭部は紫のバイザーのヘルメット型の灰色の仮面に覆われており表情はおろか人相も判別できない状態であり】
【全身は銀色の装甲服とその上に灰色の背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の男】

【灰色の仮面の人物は通信を切ると、一つ呼吸を置くように目の前に存在する巨大なキューブを眺めている。】
【夜間とはいえ比較的街道沿いのこの場所………誰かが通りかかる可能性もある。】

156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/21(木) 19:51:56.03 ID:vWFnc+xt0
/>>153を取り消します
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/21(木) 19:52:28.16 ID:vWFnc+xt0
【とある国のとある場所】

【ここは人があまり寄り付かない場所だ、周辺にはぼろぼろの灰ビルや廃墟とかした家がある】
【人が寄り付かない理由はこれだいたとしてもそれはゴロツキやチンピラなどであろう】
【だが、そんな場所に一人の男が歩いていた】

【黒のショートヘア 】
【服装はパーカにジーンズを穿いている】

【男はゆっくりと静かに足音をかさねつつ歩いていく】
【何かの用事で来たのだろう、その手には缶ビールやお菓子などが入った袋がある】

 ……――ここにくるのも久しぶりだな
 あの時とはまったくもって景色が変わっちゃったけどさ

【男は周辺を見渡し、そのように言葉をつむいだ】
【その言葉には懐かしさやどこか寂しさが感じ取れるようで】

 まったく、あの時どんな選びをしとけばよかったんだろうなあ
 いや、どんな選びをしたところで変わんなかったろうか?

【男はそのように言いながら歩いていく】
【そして、一つの廃墟の家を見つけると男はそこに止まった】

 いやあ、懐かしいよここはさあ
 ……――ああまた会いにきたぞ

【男はそう悲しむような、懐かしいような声音で言った】
【そして、地面に胡坐で座り、袋から何本かの飲み物や菓子を取り出しておく】

 ああ、まあまあうまくいっている
 だけどなんだか寂しいよな、お前らがいなくなってさあ

【男は後半から寂しそうな声音になっていた】
【かつてここにバカやっていた仲間たちがいた、だけど今はここにいない】

【もしここに人が来たのであればここにいる男に気がつくだろう】
【だが、話しかけないときがつきはしないだろう】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 22:19:35.25 ID:URTL2m+8o
>>145
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 22:23:26.58 ID:cCnirBUQo
>>154

……何がどうなったら治ったになるのかはわかんないけど…
まあ…何だ……今日は俺の払いっつーことでさ…飲めよ

【ヴィンテージの価値を知らせるラベルの上にペンで思いっきり】
【自分のサインが入っているのを見て、今の俺も何だかなと思いつつ】
【そのワインボトルを傾けて、注いでやりながら何となくなだめる】

【そうして自分もバーボンをストレートでパカパカと飲んでいるがこちらはまだ外に】
【出るほど酔っているわけでもなく、これに関しては一日の長というわけだろう】

なんだよ…カノッサってのは今どきに犬の一匹も探さないのか?…いいじゃん
そういうのが出来るのってよっぽどのヤツじゃないと出来ないけどね…俺は無理だな
………ん?機関?………はぁー…あー………あ、いや…悪い意味じゃなくて
なんか最近は関わりが多なって…思っただけだから……大したことじゃない

【煙草を吸いながら、カウンタでバーボンを傾ける姿なんて映画のようだ】
【というより銀行強盗なんて身分がが十分映画の設定そのもので…かなりの違和感である】
【何か考えていたようだが、直ぐにそれは捨てたようで。思いついたようにまた、話に戻る】

【因みにこのような男であっても窃盗団を率いているぐらいだからそれなりに…というよりかなりそのへんは神経質で】
【情報収集からメディアへの印象操作など細々した仕事をしつつ賞金稼ぎを巻いたりとわりかし忙しい】
【ただ、そのおかげもあってか基本的にはブラブラと飲んだくれてベンチで寝たりもできているというわけだ】

俺も似たようなもんだからな……なんだろ……パッと思いつくのはさあ……
酒だろ、金だろ?んで火薬?……あーでも案外、服でもやったら喜ぶかもしれないだろ…お年ごろだろ?お年頃…

……武器?……どうだろ……きっとピストルだろ?あの格好だったリボルバーだろうな…
かなり見た目を気にするやつだから…あーっと…西部劇に出てくるのがお好みだろう
……あー…でも、どうだろ。そういうものって本人のクセっつーか…そういう慣れ見たいのが有るだろ?
俺も仕事でピストル使っちゃ居るが…他のもんだとうまくいかないんだ

【男はジャケットの内側から一挺のリボルバー拳銃を取り出す。見たことがない黒に限りなく近い赤色の金属だ】
【しかも全体にエングレービングという白い模様が薄っすらと刻まれていて。どう見ても呪われていそうだ】

俺も……ほら、邪魔だからヤスリで照準削ったんだよ。使い道でどういうのがどうだとかあるからなあ…

【うーんと唸りながら、ぽいっとカウンタに拳銃を投げ出して酒を飲む。呪いが他所まで及びそうな扱い方だ】

そうだ…OK牧場の決斗っていう映画知ってる?…ワイアットアープっつー有名な保安官がさ…すげえ銃身の長い銃を
使ってたんだってさ……マジかどうだか知らないけど……あれだけ好きならアイツも知ってるだろ
……俺、武器はわかんないけど…映画はよく見ているから…西部劇もね
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 22:45:25.34 ID:URTL2m+8o
>>145
昔から言うからねー、「わんぱくでも良い、逞しく育て」って。

【相手の言葉を素直に受け取ったのか、少女はへらへらと笑みを浮かべ】
【息を吐く様子を見つめながら、彼女が語り出すのを待っていた】

………いーや、聞いた事無いけど。

【その単語は、寡聞にして存じないものだった】
【もしかしたら一般常識の類なのかも知れないが、生憎この少女は「一般」とはやや逸脱している】
【知らなくても、まあ、無理はない………のかな?】
【少女がそう応えると、目の前の彼女はその詳細を語り始める】

【そして語られるのは惨劇の実話】
【今からおよそ十数年前にこの街で起こったという、異常な事件の物語】
【語り口は冷たく、写実的で】
【それだけに、当時繰り広げられたのであろう惨事がありありと頭の中に描写されていく】

【しかし】

別にぃ?大丈夫だよ、続き、聞かせて。

【少女はさほど動じる様子も見せずに、語り部に続きを要求する】
【先程までのにやついたような笑みは消えたものの、しかし少女の顔からは未だ「平静」の二文字は消え去っていない】
【それ所かむしろ、今まで以上に「平静」になっているような―――そんな錯覚すら、覚えかねない程に】
【不安げな語り部の瞳とは真っ向異なる、意志と真剣に満ち満ちた瞳をぎらつかせていた】
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/21(木) 22:46:26.04 ID:eimWZ2Mxo
【路地裏――二つの影がそこにあった】

「ふゥむ……"コォネクション"が足ァりねェな」 『十分だ……ですよ、ボス』
「"ネクスト"よォ――宛がねェーから、素ォ材集め兼ァねて路地裏ほォッつき歩いてんだよ」
『ボスが機関にスカウトされてもトップの座以外お断りしてるからじゃあないすっか』 「まァァなァ!」

【一つの影は、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「しィかし、調ォ整やァらなァにやらであァんまり来る時間もねェーなァ」

【もう一つの影は、身体のあちこちに羽毛をもち、手足は鳥のそれの様になっている亜人だった】
【頭部からは1つ、背中からは6つ、尻からは1つ、羽毛で出来た羽や尻尾のようなものがあり】 【爪は鳥の様に鋭い】

『……忘れたらいいんじゃあないでしょーか』 「ヒャハハ、――悪魔の"契"はそォー簡単に"千ィ切れねェ"のは常ォ識だろォ?」
『"チギリ"だけにっす、ですか?』 「洒ァ落じゃアねェーんだよ!」

【――亜人が運んできたモノは、どうやらまだ出来てから日の浅い"死体"のようだ】 【血はまだ残っていて、乾いてもおらず】
【そして、亜人の身体に付着している赤い液体。――"素材"として運ぶ為に殺されてしまったのだろうか】

『とりあえず、律儀ですっね、ボス』 「……律ィ儀なァんじゃあねェ、俺様のプライドの問題だ!」

【その者の目の前に現れる魔法陣――死体やそれに付随するものは全て闇となり、それにへと吸い込まれていった】
【その際、明らかな邪悪が辺りに散れて――魔力に敏感でなくとも、嫌な気をここから感じるだろう】

【その者の身体には幾つもの斬り痕――塞がってはいるものの】 【そこからじわりじわりと漏れだすモノもまた、邪悪で混沌とした魔力――】
【それは、到底"人が持っているモノとは思えぬ"程で、……その上、その者には気にするまでもない程に極微量と思われるのに"濃い"。】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 22:55:04.99 ID:f2AaGVhOo
>>159

【彼に言われるがまま酒を注がれ、その都度杯を空にしていくベイゼ】
【時折恨めしそうに黄土の瞳をロッソへ向けるのだが、どうも据わってきていて】
【迫力がない、というか―――勢いが過ぎたのか、しっかりと酔いが回っているようで】

……ま、機関なんぞそこら中にいるからな。チンピラと同じくらい珍しくねェよ
ナンバーズだってお前、100人以上居るんだぜ?空席もあるが……

つーわけで、なんだ。俺はそいつらと顔合わせるのもなんか気不味いし
犬を探すにしても走れないんでね。だから機関からも足を洗ってるワケだ
それから……はァ?いや無いない、あのセリーナにお年ごろもクソも無ェよ
お前アイツの下着見た事あるか?俺は一度借りたんだが、アレは―――あ?

【酔った勢いに任せて話を続ければ、気付くと怪しい方向に進むのもままあること】
【それを引っ張り戻したのはピストル――リボルバーはどうかという提案だった】

【ベイゼからすれば銃の知識はないし、言われてみればガンマン、西部劇にはリボルバーがつきものだ】
【そういう点でも丁度いいし、ロッソが――ヒライが実物を取り出したのもこれ幸い】
【興味深そうに覗きこみつつ話を聞く。どうも手入れや癖があるようだが、ならば――】

ふーん……じゃあよォ、その銃身の長い奴を探すか作るかして
ついでに手入れやらちょっとした改造やらも出来る道具も添えてセットで、ってのはどうよ?

俺はその映画も知らねェし、銃に関しちゃ全くの門外漢だからうまく言えねぇが……
要するに微調整出来るなら使い勝手は悪くないし、ファンとしても垂涎の品ってわけだろ
最悪、そこらへんの壁に飾らせておけばいいし……どう思う?

【尋ねながら、放り出されたリボルバーをベギーアデンで掴み上げようとし、そのままじっくり眺めようとして】
【一方でベイゼ自身は携帯を取り出した。何か銃に関するツテでもあるのだろうか】
【深夜なのに、という配慮はないらしい。人物柄か酒のせいか分からないが、既にダイヤル一歩手前まで操作していた】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/21(木) 23:32:04.09 ID:Lt6DziYzo
>>161
【路地裏から溢れてくる魔翌力に引き寄せられるかのように、路地裏の奥から歩いてくる人影一つ】
【佇む彼らから互いに見える位置で、その異形は立ち止まった】

……唐突に失礼ですが……邪禍さん、ですか?
私を覚えておられますか? 半魔リリアが主導した、昼の国ヘルクラネウムでの古龍討伐……
あの折りに、あの場にいた機関の者です

【そう声をかけるのは、身長2メートルを超えているであろう、大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着の上に、黒いラバー地のエプロンを着用し、足には黒いゴム長靴を履いている】
【角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪。額に埋まった巨大な一つ目が、二人に注がれる】

【両手の指は黒く細長く、両耳も黒く変色して歪んでいる】
【彼なら、邪禍ならこの男がこんな姿になった原因、その現場に居合わせていたはずだ】


……死体、が今ここにあったようですが……

【一つ目が、消えていった死体のあった場所へと注がれる】
【あるいは、そこから未だにじみ出ているのであろう、邪悪の気配へとその視線は向いているのだろうか】

/まだいらっしゃいますか? 持ち越しの可能性が高いですが、もしよろしければ……
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/21(木) 23:37:31.51 ID:cCnirBUQo
>>162

【男の方もやっとこさ飲むテンポが遅くなったと思えば】
【味が飽きただけで勝手ビールを探して、缶ビールを何本か拝借して】
【微温いままで、冷たいと押し込まれたままの良い香りを放ちながら飲み始める】
【こちらも酔って来たんのだろうか黙っているがやることが大胆になってくる】

わかんねえな………あれは番号が若いと偉いのか?…いや…そこから知らなくてさ…
こないだ百何番と会ったから……飲んで…そんだけだったけど

ならまあ…仕方ない……だったら、事務でも覚えることだな。
ほら、そろそろこの事務所も財布の紐を握る奴も居るだろうから…ザルだろうし
ああ?あー…いい、いいっ!その話は聞きたくもねえ……誰も得しねえだろうよ

【どこからか持ってきた灰皿に彼は煙草の灰を落として、溜息のように煙を吐く】
【拳銃がどうなろうと知ったこっちゃないらしい。まあ、それほど信頼しているというわけか】
【今はビールと煙草に目線が殆ど行っていて、酔いと煙が頭を回っている】

そういうこった…まあ、いわゆる王道だから実弾の撃てるレプリカは幾らでも有るんだろうけど
ちゃんと使えるもんはまあ……プロに頼むのが早いだろうよ。…飾りとしても一級だろ?ここにピッタリだ
額縁もついでに用意してやれよ………俺も電話持つかなあ…

【煙草の箱の中身を漁りながら本数を確かめつつ、もう一本くわえて】
【電話の間は大人しく煙草とビールで間を持たせることだろう】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/21(木) 23:53:41.60 ID:f2AaGVhOo
>>164

ナンバーズは、まあ……数字が若いほど偉いっつーか、強い……?
一応区分みたいなもんは無ェんだが、やっぱ一桁は特別視だよな
逆に百何番ってのは二軍みたいなもんだ。実力は変わらない事も多いんだが……

……しっかしお前、顔広いな。その調子で、もしNo.29の奴……
カニバディールっつー大男なんだが……そいつにあったら、俺の番号教えといてくれよ
ほれ、これ俺の携帯の番号だ。暇な時には飲みに誘ってくれてもいいぜ?

【ニヤリと笑ってそこらの紙切れとペンを取り、さらさらと番号を書いて】
【それを手渡すでもなく、彼のそばに置いてグラスを傾ける。こうなるとつまみも欲しいらしい】

【店の棚を勝手に漁ると、取り出すのはナッツ類。更にザッ、とあけると彼にも進めながら一つ食べ】

事務か……それ良いな。UTとして活動するんじゃなく、雇われって感じか
どうせマトモに動けないならこの天才的な俺の頭脳を活かすしか……ハハッ

……あァしかし、こう見ると銃ってのも面白いな。今までは全く興味もなかったが……
取り敢えず、良さそうって事なら事は急げだ。さっき話したマフィア、古い銃が好きでよォ
なんつったか……モーゼル?ってのが特に好きだとか、リボルバーも持ってるとか言ってたから……

ッつーかお前……電話無いってのはマズいだろ。俺が飲みたいときに連絡が取れねェ
早めに買っちまえよ、高いもんでも無いし、日に一本ビール我慢すりゃ使える額だぜ

【ショボくれた世間話に興じれば、その合間に電話をかけて――やがて聞こえるのは渋い男の声】
【深夜でも応じるのが裏稼業の良いところだ。どうやら快諾したらしく、二分ほどで会話は終わり】
【またグラスにワインを注げば、ようやくボトルが空になる。で、ベイゼはグラスを持って――】

【――グッと無言でそれを突き出すのは、乾杯しようということなのか。酔いも存外に過ぎているようだった】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/21(木) 23:56:11.98 ID:v1uEHEQs0
>>160

【“聞いた事がない”、そう聞けば若干悩む様な、マイペースな知り合いを見る様な顔をして】
【けれど事件の前半部を話し終えた末に見たのは、迸る意志/真剣な瞳/真っ直ぐに向かってくる平常運転の感情――――】

【その反応に面食らった様な―――この少女にしては分かり易い変化で、橡色が不意に円くなった】
【霊装と思わしき剣の主とはいえ、この様な胆力は予想外だったのだろう。けれどつられる様にリラックスした様子でくす と笑むと、】

逞しい――――褒めてるのよ、きっと才能なんだと思う。
……気分が悪くなったら言ってね? 袋の準備は出来てるから。

【冗談でも言う様に彼女にそう告げて。安堵を含む瞳を向けると、長髪の少女は、その物語の続きを語るのだろう】


死体が発見される所までは話をしたわね。
“牙無しの悪魔” (ファングレス・ヴァンパイア) と言う名前も……この時の骸の惨状から来てる。

まるで血を求める吸血鬼が、啜る牙を持たず ただ撒き散らしたみたいに――――
……まるで生身で食い千切った様に、喉笛を潰し裂かれて発見されたのよ。

死体の傷口から採取されたのは、この街の医療施設にもデータの無い組織片。
それは間違いなく人間のものだったと聞いてるけど……皆、そう思えなかったのも自然でしょうね。
山狩りみたいなことまであったらしいわ。

【常軌を逸した様態を示した屍―――――絞り出されたあまりに多い鮮血の深紅、】
【それが獣や魔物でなくヒトの業ならば、どれほど悍ましい所業だろうか。当時の市民が陥った恐慌の程は、想像に難くないだろう】
【その過去を語る少女の表情にあるのは、内容に似つかわしくなくも思えるか細い苦笑であって】


警察や自警団の目をかいくぐって、10ヶ月以上に渡って事件は続いた。
1998年12月1日、リカルド・フィリップス上院議員――――当時路地裏の武器取引を一掃しようと尽力していた、“希望” でもあった正義の人。
その骸が同じ様に発見されて、漸く連続殺人は収まったわ。

それ以来事件はぽつりと急に途絶えたけれど……最近、また奇妙な噂が出回っているの。

『あの時の様に街からヒトが消えている』。
『消えた人々は “悪魔” に魂を奪われ、灰色の骸のまま彷徨っている』――――。

…………これだけなら馬鹿馬鹿しい噂だけれど、情報を専門に扱う人達にまで報告がある。
というより……その人達から路地裏の情報を買い上げて、私はこの地図を作ったのよ。


……紅い標は、事件初期と同じやり方で街の人たちが“いなくなった”と思わしき場所――――
黒い二重円は 「彷徨う灰色」 の目撃談がある区域。

血の匂いに惹かれて現われる怪物=\―――
血を求め過ぎた人間の“力”なら、そんな形で顕れることもあるでしょう?
死体を利用したのならなおさら。

事件が何らかの組織と繋がっているにしても、そこから辿ることも望めるかもしれない……。

【だがかき消す様に端的に、手掛かりと“手段”としての街の噂を口にした】
【ヒトには不可能とすら思える猟奇犯罪。十五年前のその悪夢の続きを、悪夢を終わらせるための糸口として語れば】


…………もしも本当に同じ人間の仕業なら、今の比じゃない規模で事件が拡がる筈。
それだけは、絶対に阻止しなきゃいけない―――――
……失敗する訳には行かないのよ。その先に何があるんだとしても……。

【正義を想う様に阻止を口にして。仕損じれば、遥か拡がるのだと予感して。】
【口調にはそれだけでない強烈な意志―――― 彼女個人の想いが見え隠れした】
【けれどそこに踏み込むか否かは、聞き手たる少女の意思によるのだろう。或いは何れかの標―――紅か、黒か―――へと足を向けようとも、誘おうともそれは自由で】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/22(金) 00:01:00.04 ID:7lRFJBUk0
/っと、ちょっと情報の不足が……! 意味自体は変わりないので、このレスはスルーして頂いても大丈夫ですっ

>>166
それ以来事件はぽつりと急に途絶えたけれど……最近、また奇妙な噂が出回っているの。



それ以来事件はぽつりと急に、理由も分からないまま途絶えたけれど……最近、また奇妙な噂が出回っているの。
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/22(金) 00:03:31.29 ID:W8XmNA5So
>>163

「――しィかし、死ィ体ばァっかり集めても加ァ工に困るな」 『路地裏清掃でもすればいいんじゃあないっすでしょうか』

【そして、その者が求めるのは"次なる素材"――すん、すん、と鼻を鳴らし辺りの"におい"を探る】
【――すると、ふと、どこかで嗅いだことのあるようなにおいがした様な、いや様なではなく実際にしたのだ】
【その方向に焦点を合わせれば、見えるは異型の者。ただし、それが人だった事はその者は覚えていた】

「――あァ、そォーだぜ、俺様こォそ、……超ォ強ェー悪魔"邪禍"だッ!」
「ヒャハハハ、――ちょオいと前の古ォ龍狩りだろォ?」 「勿論覚えてるぜ、――テメェーの"新旧"の顔もなァ」

【"俺様は鱗数枚と血が手に入ったから収支に問題はねェがよ"、と付け足した後――】

「あァ、死ィ体か……ヒャハハ、死ィ体なァら此ォ処だ」 「俺様の能ォ力をもォってすゥれば、収ゥ納は容ォ易ってモノよ!」

【空中に現るは小振りな魔法陣、そこからいずる闇は人の腕を成し、その付け根は魔法陣の中である】
【――やはり、魔法陣や闇から感じるモノは先程と変わらぬ邪悪な魔力。】 【数秒後に、それは再び闇となり魔法陣に吸い込まれ、魔法陣も消える】

「フフフ……ヒャハッ、運が良ォい、丁ォ度探していたとォころだった……≪No.5≫かァらテメェーの話は聞ィいたぞォォオオッ」
「テメェーが"Chaos"の計ェ画を練っているという事をなァーッ!」 「ヒャハハハ」

【どうやら、以前"No.5"との交流があったらしく――そこから、詳細はまったく分からないにせよ"計画の存在"は知っていた】
【――さて、それを知っているだけでこの悪魔が探すとは思えないが……】

/遅くなりましたけれど、わりとぎりぎりいました、よろしくお願いいたします
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/22(金) 00:23:59.25 ID:Md5Og6Sao
>>168
覚えていてもらえて光栄ですよ、邪禍さん……私の古いほうの顔を覚えているものも、少ないものでしてね……
あの時は、状況が状況だったとはいえ、ろくにご挨拶も出来ず、ご無礼をいたしました

古龍相手に、あれほどの立ち回りを見せてくださった貴方のお血からには、感服したものですよ

【普段、機関員以外の部外者には、横柄な態度を取ることの多いこの男だが】
【邪禍を相手には、敬語で接した。そこには、ある意味自分以上に傲岸不遜、とも見える彼を相手にするには】
【このような姿勢でいたほうが都合がいい、という打算的判断と同時に】
【言葉にした通り、その強大な力に混沌に属する側としての敬意を払っている、という意味もあった】


それは重畳。あの戦いで得たものがあったなら、何よりです

……失礼、お連れの方にはご挨拶が遅れましたな
初めまして、カノッサ機関ナンバーズ、No.29カニバディールと申します。お見知り置きを

【邪禍の付け足した収支に、内心その抜け目なさに感心しつつ、返すと】
【大男・カニバディールは、邪禍と共にいた鳥のような姿の亜人に一礼する。一つ目が、一瞬興味を抑えきれないように、亜人の全身を眺めた】


ほほう……便利なものですな。私は、魔術や悪魔の力の類には疎いのですが、こうして間近でみると興味深い……
私のようなものでも、強大な魔力を感じますよ……

【現れた魔法陣を、その中から伸びる闇の腕を、一つ目の視線がなぞっていく】
【そこからひしひしと感じ取れる、邪悪な魔力。一つ目が細まる。それを味わおうとするかのように】


No.5……というと、ジェイ・ヴラド・ヴァルコラキ様ですか。直接の面識はありませんが、彼の名前と活躍は耳にしています
しかし、ヴァルコラキ様が私の話を……?

……ええ、今現在、計画を進行中です。邪禍さんのお眼鏡に叶うかは、わかりませんがね
ですが、私を探しておられた、というのは……?

【彼の口から語られる名前に驚いたような様子を見せる。自分の話がすでに伝わっていたことへの物か、あるいは邪禍の抜け目なさへのものか】
【同時に、湧き出る疑問。自分を探している、という事実への答えは出ていない】

【邪禍とヴァルコラキの間に交わされた話のことは知る由もなく】
【その邪悪な混沌の気配と見知った顔につられて声をかけてはみたものの、カニバディールはまだ邪禍という存在を測りかねていた】

/ありがとうございます、こちらこそよろしくお願いします!
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/22(金) 00:25:23.40 ID:Md5Og6Sao
>>169
/すみません、訂正です……
/貴方のお血からには→貴方のお力には

171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/22(金) 00:27:08.29 ID:hC5s5hJ7o
>>165

じゃあ……ああ…じゃあ3番なら強かったんだ……なるほどね
…広いっつーかそこら辺で飲んだり何だりしているからさあ……
そいつは飲み屋に来るのか?それだったら割りと早いだろうけど…
道を歩いてりゃ、会えるってもんでもないんだろ……オーラィ
……なんだよ、口説かれる気になったか?………わーってるよ、冗談だ

【29番ね…と呟きながら、紙を暫く眺めて内ポケットに入れた】
【最近は何かと余計な持ち物も増えてきたな…などと思いつつも言うこともなく】
【お返しとばかりにもっと飲めとただ煽るだけだ。】

【ツマミが入れば男のベースはさらに上がる。普段も適度と言うものを知らない彼だ】
【今日も酒か意識のどちらが無くなるまで行っちまうことだろう】

真面目な話…悪くはないと思うぜ。セリーナも外で遊ばせたほうが向いてるだろ?
アイツがコンピュータをカタカタやってたら……流石に心配になる
必要な仕事だよ……組織なんてものは分業するのがスタンダードだ…ここはイレギュラだよ
誰が何やってんのかようわからん……

世の中の戦うヤツの大半は銃を握ってんだ。どっかに良さはあるよ…言葉には…し難いけど
……ああ、マフィアはカッコつけだから…それかどうしようもなく野暮かどっちかで
…俺に聴くなよ、俺だって殆どは他所に任せてるから…俺は銃が好きなんじゃなくて映画が好きなんだよ

ここまで必要なかったから…知らないんだけどさ、普通のってもう無いんじゃないの?電話だけのやつ…
…いつも、似たような飲み屋にいるから…まあそこの番号が俺宛だな。ビール我慢せずに使えるから最高だ
どうしようかな……

【銀行を襲う豪快な稼ぎ方の割に使う方は妙にけちくさい。どうも決めかねているようであった】

【バーボンを開けきって、最後の一滴をグラスに注げば、ニッっと笑って グラスを合わせて、クールに鳴らした】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/22(金) 00:39:43.76 ID:VyNnTKpV0
【暗い森の中、響くのは獣達の咆哮――――やがて、断末魔】
【真っ白なガウンを纏って、キャスケットを被った少女が其処には立っていて】
【純白の髪。其れと同じ色の大きな翼が背から生えている事が印象的だろうか】


「野生の世界と言っても、実力を見極められなければただ死ぬだけ。と、弔いの言葉を投げてみる
次に生まれた時は、もっと身長に行動る様にすると良い。と、願ってみる」

【やけに特徴的な話し方。両手にそれぞれ握られているのは、S字型にカーブした刃】
【その鋭き先端から滴る鮮血を見れば、其れが少女の得物であると分かるだろうが――――】
【チラリと見えたガウンの内側。其処にも大小様々な刃が収められており、腰には円盤形の刃が吊り下げられていた】
【表情の変化に乏しい――――と言うよりか、能面の様な顔。言葉だって、起伏が無ければただ無感情に言い放っているだけの様にも思えるが】


「……要らない時間を取られてしまった。と、嘆いてみる
少し、急いで戻らなければ――――……ッ」

【足元に転がる魔物達を一瞥したならば、その場から去ろうとするけれど】
【不意に止まった足。じわりと腹部から漏れ出た血液を見れば、遅れて痛みを感じて】
【命に関わる程でも無い。だけれど、歩いたり飛んだりするのには苦労するくらいには深いのだろう】
【無感動な蒼の瞳は何を思っているのか分からないが……付近の木に背を預けたならば、溜息を吐いて】
【――――この時間。魔物が多く出現すると言われているこんな場所に少女が一人で居るのは、やはり異様な光景か】
【獣の断末魔か――――或いは、少女が放つ“聖”の魔力。そのどちらかを頼りに訪れる者は居るだろうか】






【小鳥の囀りも、虫の鳴く音も消えた森の中】
【――――漂うのは、複数の妖気。どれもが弱々しいのだけれど、その中で一つだけ確かに存在する謂わば異質】


「あほう共が…………我も天狗では無い。力量差を考えろとは言わぬが…………少なくとも、己が退くべき時を定めておけ
全く…………矢鱈命を奪うのは好かないのじゃ。今宵は逃す故、再度同じ事はせぬ様にの」

【下級妖怪達を伏せたのは一人の少女。姿こそ人間の子供であるけれど、放つ気配は確かに妖怪特有の其れ】
【銀色の髪は月の光を鋭く反射させ、森だというのに纏った地味な着物には汚れが無い】
【――――抜かれた刃は業物と知るには十分な耀きを放っていて、それでいて鮮血は刀身に付着する事無く下げられた切っ先から滴っている】
【妖怪達の身体は斬られてはいるけれど、どれも致命傷には至らない。然れど、そのどれもが確実に筋を断つ寸前まで斬り付けていて】


「…………ふむ。行ったかや。あやつ等であれば明日明後日には傷も癒えていよう
しかし…………我が楽しみにしていたあっぷるぱいを食えなくするとは癪に障る輩達であったが……
………………まあ、良かろ。確かに実に不快ではあるが、殺す事では無い
そんな事よりも、代わりの飯を見つけねば―――――」

【ぐぅ――――間抜けな音が、その場に一つ。足元に落ち、土だらけとなったアップルパイを見る瞳は、何処か哀れにも思えるか】
【じっと見る表情は何処か悲しげであって、深い溜め息を吐いたならば近くの切り株へと腰を落とす】
【…………さて、この場に人が訪れたって何ら珍しくは無いであろう】
【妖気も漂い、更には“ぐぅ”の音。――――もし、誰かが訪れたならばふと視線をそちらへ向けるのだけれど】
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/22(金) 00:47:56.83 ID:2kpEIhWRo
>>166
いやー、ボク、退魔師とかやってるからさー。
どうしても、こういう血生臭い事案とかになると、気ぃ張っちゃうんだよねえ。

【笑みを見せた彼女に合わせる様に、少女もくだけた口調で言葉を紡ぐ】
【だがその内容に誇張や偽りは存在しない】
【退魔師―――馬鹿げた、御伽噺に出てくるような職業】
【だが、少女が腰に差した剣から、何らかの霊的要素を感知出来たのであらば】
【その言葉が真実であるという事が分かるだろう】

いいよ、続けて。

【嘔吐の心配は無用】
【そう言外に告げるかの様に、少女は不敵な笑みを浮かべた】

【続き、語られるのは惨劇の詳細】

【“牙無しの悪魔”がもたらしたという屍体の概要を聞くに当たり、少女は冒頭から頭に浮かべていた一つの懸念に思い当たった】
【曰く―――この案件は、妖魔の類が引き起こしたものだという可能性】
【人智を圧する惨劇を起こす殺人鬼がこの世に存在する事は紛れも無い事実だが、しかしその様なケースは稀だ】
【むしろ、少女の頭にある常識の中では、こういう案件はえてして妖魔が真相、なんて事もざらにある】
【ましてやその屍体は―――まるで“吸血鬼”にやられたようだ、というではないか】
【もしそうであれば―――ふと、少女は、自身の左手が鞘に触れている事に気がついた】

【続き、語られるのは惨劇の結末】

【裏社会の規制を目論んだ正義の人間が犠牲となり、終幕―――】
【十ヶ月も続いたというその事件は、そうして幕を閉じたという】
【ここに来て、随分と人の臭いがプンプンしてきた】
【裏社会に消されただけなんじゃねーの?と、少女はありがちな陰謀論を頭に浮かべ】

【だが、事件はそれでは終わらなかったらしく】
【そこでようやく、この地図のご登場だ】

つまりー……この地図は、新“牙無しの悪魔”の探査用って訳だ。

【丸めた地図を二人の間に広げ置くと、少女はその中身を確かめる】
【なるほど、確かに地図のあちこちに二種類の印が打たれている】
【でも何故?―――少女の頭に浮かぶのは疑問】
【何故この、目の前にいる長髪の少女は、この事件を追っているのだろうか】
【問うよりも早く、その応えは返ってきて―――】

………ふーん。

【彼女から感じ取れたのは、正義と意志】
【少女はその言葉を吟味するように咀嚼して、飲み込んだ】

なーんか、ボクの専門外っていうか?門外漢な気がするねー。

【しばらくの沈黙の後、少女が発したのは気の抜けた言葉】
【先程までの眼光はどこへやら、今の彼女が浮かべているのは元の浮ついた笑顔】
【まるで自分には関係のない事だった、と言わんばかりに】
【頭をくしゃくしゃ掻きながら、少女は立ち上がった】

………追うの、それ?一人で。

【地図と相手に目を落としながら、少女は問う】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/22(金) 00:55:43.26 ID:Rkx9KDZio
>>171

まあ、そこそこ自信はあったぜ。その自信が無くなったから辞めたんだがな
怪我さえなけりゃ未だに向こうに居たかもしれないし、正直思い入れはある

……カニバディールか?いや、飲み屋よりも路地裏に居るんじゃねェか
まあでも、会えば分かるよ。『あぁコイツがあの女の言ってた奴だな』ってな具合に。
……口説かれるかどうかは、一度でも試してから言ってみるんだな、ばーか

【悪態が軽口に変わるところを見ると、酔って態度が軟化するタイプらしい】
【煽られるがままにグラスもそのまま酒をまた飲むと、流石に一気とは行かず】

【しかしここまでくれば、どうせなら潰れるまで――朝陽を拝むまで】
【ヒライの様子を見てそう思ったらしく、カウンターに突っ伏すことは無かった】
【どうせ職も無いような身の上だ。明日がどうなろうが問題は無いのだし】

……むぅ。そんなもんかね……、……そう言われるとそれもそうか。
セリーナの野郎、明らかに事務とか細かいことやるって柄でもねーし……
UTへの世間の見方からして、規模よりよっぽど仕事も多いはずだし……

まあ、そうだな……丁度いいし、折角だからやってみるか。
アイツのためにもなるし……、……セリーナの為じゃねェぞ?

銃の良さはまあ、言いたいことは分かるぜ。なんとなくだが通じるもんは在る
マフィアについちゃ、昔大物がこう言ったってのを聞いたことがあってな
交渉の場に銃口を添えてやれば、取引はより安全で確かなものになる=\―良いセリフだ。

……電話か?さあ、在るか無いか知らねェけど、持ってるほうが良いだろ
街で声かけた女に『暇だったらかけてよ』ってのが出来る様になるぜ、っと――乾杯。

【グラスがきれいな音を立てると、ようやくおとなしい飲み方で臓腑に酒を注いでいく】
【既にワインもバーボンも無くなった。在るのはビールと――店の酒なら沢山在る】
【ベイゼがそれを見てにやりと笑ったのは言うまでもない。そして、ゆっくりと――初冬の夜は更けていき―――。】

/この辺りでしょうか……お疲れ様でしたー!
/飲みながらの対談とか内容もさることながら、まずとても楽しかったです!ありがとうございましたー!
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/22(金) 01:02:06.01 ID:W8XmNA5So
>>169

「ヒャハハ、俺様が少し力を出ァせればあァーんなモノよ、古ォ龍だろォーと何だろォーと、俺様には叶わねェ!」

【その口調には、謙遜の意も"仲間"があの場に居たからこそ討てたと言う事も含まれてはおらず】
【"己"が常に一番だという絶対的な概念と、不屈の自尊心、そして傲慢過ぎる態度――それらが支配していた】
【故に、相手が自分を立てれば面白いほど乗ってくる、遠慮なく】 【ある意味扱いやすい――のだろうか】
            
『……お、どーも』 『俺は"ネクスト・ウィング=スタンド"――まッ、ボスの部下の一人ってとこだ、よろしく』
『……あ、……あれは本当便利っすよ、中も快適だし、ボスさえ居ればあの"出入口"は大体作れますっし』

【悪魔に対する態度とは違って、かなりラフなそれで接する亜人――相手の方に少しだけ目線を持って行って】
【それは、キメラのようにちぐはぐではなく……鳥の要素と人の要素が綺麗に混ざり合っていて】
【その挙動からするに――中身は人間の精神。故に、興味の視線は感じられるし、それはなんとなくだが気恥ずかしい】
【その目線が少しだけ向けられた後、そっぽを向いたのはそういうことなのかもしれない】

「ふゥむ、やァはりあァの時はナンバーが無ァかったよォーな気ィがするが――ヒャハハ」

「――あァ、あァの野ァ郎から"レギン"の計画だったモンやァら"物品"を受ゥけ取っていィてなァ」
「そォの"対価"として払ったんだ、"協力"の二文字を、テメェーや"グラトン"宛によォ」

「ヒャハハハ!」 「俺様は混沌の"味方"だ、テメェーの計画がそォーであァるなら!」
「――俺様はおォそらく気ィにいるだろう、安心しな……混沌は俺様"そォのモノ"だ」

【――おそらくは、No.5から計画のことを聞き、そして頼まれたのだろう】 【"協力"を】
【カノッサ機関自体に協力の手を勝手に伸ばしているだけあって、あまり考えずに喋っているようだが――】
【悪魔の眼は、混沌という獲物を捉えんとする鋭さで、しかし子供じみた様な好奇心も混ざっていた】
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/22(金) 01:45:52.52 ID:Md5Og6Sao
>>175
まったく、あの場に邪禍さんがおられたのは幸運でした
こうして、再びお近づきになれる機会を得られたことを、嬉しく思います

【傲慢そのものの態度、屈せぬ自尊心。悪魔の中でも、あるいは珍しいタイプなのかもしれない、と思いつつ】
【しかし、それを裏打ちする確かな実力と悪魔としての能力。性格だけを見れば扱いやすい、とも思えそうだが】
【決して侮れる相手ではない。敬意を払うに越したことはないだろう、と損得勘定で汚れた思考は判断する】


こちらこそよろしくお願いしますよ、ネクスト・ウィングさん
内部まで環境が整備され、いつでも出入口を作り出せるとは……羨ましい限りですな

(部下の一人……古龍の時も、蛇を使役しておられたな。兵力、という面でも、侮れないお方のようだ……)

【ネクスト・ウィングのラフな様子にも、こちらの態度は変わりなく。同時に、部下の一人、という言葉を脳内で転がす】
【古龍討伐で邪禍が見せた蛇たちを思い返し、恐らく数多くの配下を従えているであろうこともまた、邪禍の持つ力の一つなのだろう、と推測する】

【魔法陣の持つ効力に感嘆しつつ、自身の視線への反応を見て、無遠慮に眺めることは止める】
【亜人でありながら、精神は人に近い。あるいはこちらの世界で見つけた部下なのだろうか、などと思いつつ】
【そっぽを向いて見せるネクスト・ウィングから、邪禍へと視線は移る】


はい、あの時は一構成員だったのですが、あれから昇進しましてね

なんと、レギン様の……その対価、と。なるほど、悪魔との取引といったところでしょうか
ウルバヌス博士……グラトン博士にも、ですか。ヴァルコラキ様もまた、抜け目のないお方だ……
グラトン博士、機関の研究者の一人ですが、彼も近く雷の国の『ブレザシティ』で事を起こされるようですよ

ありがたき幸せです。邪禍さんの協力を得られるとなれば、これほど心強いこともありません
とはいえ、あのリリアやレギン様、グラトン博士のそれに比べれば、見劣りするでしょうがね。ご期待に沿えるよう、尽力いたします

(混沌そのもの……か。このお方が言うと、大げさに聞こえない言葉だ……)

【自分を探していた理由を聞けば、得心したようにうなずきを返す。ヴァルコラキとの面識はなかったが、あのレギンと繋がりのあったほどの存在ならば】
【邪禍ほどの相手を向こうに回して、悪魔との交渉・取引をやってのけてもおかしくはない】

【自分や、上司にあたるグラトンへの協力が対価、と聞けば、深く礼をして感謝を示す】
【思いもかけぬ強力な援軍が表れたのだ。ヴァルコラキにも、いずれ直接会って礼をせねばなるまい、と考えつつ】
【もう一人の“対価”である、グラトンの次なる標的を口にする。部外者である邪禍に、情報が伝わっていない可能性を考えてのことだ】


【そして、獲物を狙う獣のような、一方で好奇心に満ちた子供のようなその視線を受けて】
【カニバディールは、口を開いた。そこから溢れ出す、混沌の計画】

……私が考えているのは、今あるものの姿を歪めて混沌を作り出すことです
具体的には、昼の国のある地方都市を中心とした一帯の生態系を歪めること

成功すれば、私のような異形やまだ見ぬ生命が、この世界の理の中から誕生する可能性もあります
私の欲望を満たし、同時に混沌の土壌ともなる土地を作り上げる……当面の計画は、そういったものです

【その単眼が、悪魔の瞳をまっすぐに見つめ返し、その言葉も淀みなく】
【カニバディールの瞳にもまた、確かに混沌の色が宿っていた】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/22(金) 01:53:51.85 ID:HdIjgvla0
>>173

……櫻の? ……不思議な縁もあるものね。
まぁ、私の知る様な人ばかりじゃないでしょうし、こんな話も会ったばかりじゃ急だけど―――――

【退魔師―――――特別な感慨を覚える様にふっと和らぐ双眸。今は、恐らくは踏み込む必要もない話で】
【けれど不審感よりは多少なれども信を増したと、少女の口元はそっと伝えるだろうか】


……単純に裏社会の人間の仕業なら、わざわざ教会の尖塔に早贄にする必要なんてある?
あなたの専門の妖か、私の戦って来た何らかの “力” か――――
…………どちらかは、関わっているんだと思う。

【反応から尤もな――――予測した考えを聞き手たる少女の胸裏に認めて】

【此処で加わる新たな情報。最後の事件だけが特別で―――――或いはそこで“悪魔”の求めた変化が生じ、事件が一時の収束に向かったのか】
【何れ常人には不可能な殺人であった。其れ自体、先程の話からも窺えたのかも知れないが】
【長髪の少女の推測/精神の怪物。その異形の齎した異能の発露、】
【門外漢と言えば、短髪の少女は“そう”なのだろうし―――ならば必ずしも彼女が関わる必要はないと、】


……それが必要なら私は選ぶし、それを後悔もしないでしょうね。

【その答えは、斯様な見地から紡ぐ様だった。退魔師の少女が “関係ない” と定めるならば、自分もまた引き込みはしない――――】
【盾であろうとする様に。剣として触れずにいる様に。躊躇いもなく/薄刃の鋭さで、】

だからこそ……今、ここで貴女に聞かせて欲しい。

あなたが狩る “魔物” は、どんな基準で追われるのかしら。
人に害を為すものだとしても、幾らでも違いはあったと想うけれど――――――

【問われるのは退魔の対象――――人外の者総てか人を害する存在か、或いは特別な基準が彼女にはあるのか、】
【それは短髪の少女の意志を/彼女の正義を問う様でもあった】
【恐らくは明確な意図を以て長髪の少女は戦う。その基準に於いて阻むべきモノならばその善悪も、力の大小すらも越えて対峙せんとするのだろう】

【……無謀とも言え、些かならず直線的で。場合によっては退魔師たる彼女と、いつか刃を交える可能性も――――。】
【……それが生じるとするならば、討滅すべきものと護るべきもの、それぞれが重なった時なのだろう。】
【先程までの話題以上に、長髪の少女の瞳は真剣さを増していた。未だ敵意はなく。だが瞳の内側を覗き込む様に、】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/22(金) 02:30:21.39 ID:2kpEIhWRo
>>177
ボクの、「退魔」の基準ねぇ………。

【こういった質問を、面と向かって改めて問われるのも、随分と久しぶりな気がする】
【一瞬、笑いで曖昧にはぐらかそうかとも思うが、彼女の視線は真剣だ】
【真剣で、しかし敵意はなく、こちらを見抜くような―――】
【するりと、自分の心を覗き込まれたような錯覚を得る】
【こうなった以上、こちらも真剣を以って応えるしかあるまい】

ボクの専門は、意思持たぬか、あるいは、「それ自体」が意思を持った妖魔だけ。
例え、妖魔の力が用いられていようと、それを使うのが人の意思であるなら、それは警察の管轄だよねぇ。
人が人に害を為すというのは、それはもう、退魔師の出る幕じゃないよ。
ボクには人を救う力はあるけど―――人を裁く力は無いからね。

【にやついた笑みを浮かべる事なく】
【不敵な笑顔を見せる訳でもなく】
【この少女にしては珍しい―――いや、本当に珍しい、真剣な眼差しで】
【彼女の真剣と真っ向向かい合うように】
【少女は静かな声色で、問の答えを放った】

そして、今回の案件に関しては、ボクは何らかの人的作用が加わっていると判断した。
まー、するってーと、純粋じゃあない、人の意思が内在したものだってねぇ。
だから、この件に関しては、ボクは門外漢。
専門外の事件ってぇ訳になるのさ。

【無論、真相がどうであるかは明らかではない】
【もしかしたら、犯人は本当に純粋な妖魔であるのかもしれない】
【だが、今現在の時点では、仮定の結論として、少女はそうではないと断じた】
【そう判断した以上、おいそれと首を突っ込む訳にもいかない】
【下手に首謀側を刺激して、変な目に巻き込まれるのは御免だし】


―――ところがさー。


【少女は言葉を続ける】

一人前に正義気取ってる癖して、寒空の下ですやすや眠って凍死まっしぐらな馬鹿が知り合いに居てさぁー。

ボクとしても、そんな馬鹿がほいほい危険な所に行くのを看過出来る訳ねーじゃん?

一度助けたってぇーのにむざむざと死なれたら、こっちも寝覚め悪いしねぇ。

【にやにやと】
【浮かれて、浮ついた笑みを浮かべながら】

だからさぁ、今回はそいつに付き合ってやろうと思うんだけどさぁ―――どう思うよ?

【何故か愉しそうに身体を揺すりながら、少女は問うた】
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/22(金) 02:42:57.12 ID:W8XmNA5So
>>176

『まっ、ボスは放任主義だし実力さえありゃ部下にはわりとまともだからな、人間の方がよっぽど黒い』
「ヒャハッ、――俺様がまァともだったことは一度たりもねェ、逃げられねェ様に真ァ綿で全身締ィめてるだけだ」

【この悪魔にとっては、部下は使い勝手の良い駒の1つにしか過ぎない、そんな認識が言わずとも見えてくる――しかし、】
【真綿で締めている、そう言われても亜人の方はあまり動じておらず、むしろ平常運転と言わんばかりのスルーっぷり】
【……ある意味では、部下との関係がしっかりと出来ているのだろうか】

「ほォう……昇進か、実力が通るのは良ォいことだ」

「ヒャハハ、あァの野ァ郎かァらはなァかなか面白い事が聞けたからなァァアア」
「今後俺様が動く時の参考になァるかもしィれねェくゥれェーにはな……まァ、そォれは良い……」

「……雷の国、か」 「ヒャハハハ、近い内となァりゃア……急いでチューニングアップしィねェーとなァァアア!」
「ヒャハッ、混沌の宴の報せは俺様の好物よ――取引の対価としても認めるくゥれェーにはな……」

【一瞬、亜人の身体に悪寒が走ったかのような、そんな素振りを見せた】
【チューニングアップ――自分が駆り出されるにしても他人がそうなるにしても、手伝いにされる可能性が高い、だから嫌な予感を感じたのだ】
【一方の悪魔の方は、そんなことは露知らず。知っていても気にしないが。……とにかく、"宴"を楽しみにする表情を邪気だらけで浮かべるのだった】


「ヒャハハハ、俺様は人間共が阿ァ鼻叫喚するよォな混沌があァりゃア良い――全力で蒔ァき散らせ!」

「――ほォう、"エス(歪み)"か……なァかなか面白い事を考えるじゃアねェか」
「フフフフ……異ィ型のモノも、新たな生命も、俺様の得意分野であり好物だ……協ォ力もし易いだろう」

【何かしらの意思疎通を図ったかのようには見えなかった、しかし悪魔は亜人に何かを伝えたようで】
【亜人は"俺ぇ?"と言いつつ、悪魔から一歩前に踏み出して――そして悪魔は、"こんな感じによ"と、亜人を親指で指しながら言う】
【あの時の蛇達も、地方の神話からわかる通り元々この世界に居たが既に絶滅していたのだ――生命を弄ぶのは、得意なのだろう】

「混沌の素は、拠点は、――多い方が良ォい……俺様も別荘の近くの"はぐれ街"を丸ごと乗ォっ取り、混沌の拠ォ点にするつもりだからなァァアア」

「――ヒャハハハ、必要なモンがあァったら俺様に言ィいな、気ィ分で適当に探すぜ」
「兵力、武具、魔力、――"モノ"、――俺様の倉庫には量ォも種類も沢山だァァアア」

【……少々アテにならなそうな言い方だが、力だけはあると思われる。】
【邪悪な眼光は、"欲"を受け取れば――その道筋と開拓の道具を、創り出す、かもしれない】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/22(金) 03:21:16.68 ID:Md5Og6Sao
>>179
人間の方が、というのは耳が痛いですな……
いや、しかし私には確固たる関係を築いておられるように見えますよ
それこそ、人間社会のそれよりも良好だと言えるかもしれません

【部下が手駒の一つ、というのは確かなのだろう。しかし、ネクスト・ウィングの口にする通り】
【力さえあれば認められる、というのはむしろ良好な関係ともいえるのではないか】
【何より、一癖も二癖もあるだろう悪魔たちを、相当数従えている、という事実だけでも、邪禍の手腕は伺い知れる】


ええ、認められる、というのは私のようなものでも嬉しいものですよ

興味が尽きないお話ですな……邪禍さんが動かれる時も、楽しみにしていますよ
お許し願えるなら、私もぜひ貴方の混沌の宴に出席したいものです

グラトン博士は、その『ブレザシティ』を壊滅に追いやるつもりの様子です
ふふ、お知らせ出来てよかった。カノッサが誇るグラトン博士は古強者、きっと盛大な宴となることでしょう

(……部下の皆様には、いささか気の毒にも思えるが)

【邪禍から溢れ出す邪気に当てられたかのように、カニバディールも醜悪な笑いを浮かべる】
【同時に、ネクスト・ウィングの素振りも目ざとく感じ取り、柄にもなく同情するような気持になる】
【良好な関係であることも間違いないだろうが、こき使われることもまた事実なのだろうから】


無論の事です、私なりの混沌の姿を御覧に入れますよ

お褒めの言葉、ありがたき幸せ。邪禍さんの嗜好にも合致しているとは、幸運なことです

(…………? 念話の類、か? まったく、芸達者なことだ)

ほう、ネクスト・ウィングさんも邪禍さんのお力で……
古龍での蛇の方々といい――いや、実に素晴らしい

【邪禍の指先を辿って一つ目の視線が、再びネクスト・ウィングへと向けられる】
【生命のあるべき姿を弄ぶ、最大級の禁忌も悪魔にかかればお手にもの、ということか】
【この世界の混沌の深さを肌身で感じ取り、それでいて笑みを浮かべて見せるこの大男もまた異質といえるだろう】


いや、おっしゃる通りです。今の計画には、拠点を手に入れるという目的も含まれています
邪禍さんの別荘ともなれば、きっと混沌に包まれた住み良い街となるでしょうな

それはありがたい。では、一つ。今の計画に必要なものを探しているところだったのです
歪みを生み出すにあたり、その土地のあるべき姿に手を加えて形を変えるのが私の考えですが
土地そのものを汚す……それが出来れば、よりスムーズにそれを実行できるのです

土壌を、大地を、混沌やそれに類する魔力、といったもので汚すことが出来る“モノ”
もし邪禍さんのご気分に合えば、そういったものがいただければと

【気分次第、いかにも彼らしい言葉だ、と内心でそう思いつつ、カニバディールが口にしたのはいわば“侵食”】
【土地の生態系、その形を歪めるのみならず、土壌そのものを侵食できれば、よりスムーズ、かつより深い混沌を生み出し得る】
【邪悪と欲に塗れた単眼が、邪禍の眼光をまっすぐに見つめ返した】

/すみません、そろそろ眠気が怪しくなってきました……
/凍結、置きレス、締め、いずれかでお願いしたく思います……
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/22(金) 04:06:14.95 ID:W8XmNA5So
>>180

「ヒャハハ、……"下ごしらえ"が終ォわり次第、そォこら中ゥに混沌の報をバァラ撒いてやんよ」
「安心しなァ……誰の許しも要ィらねェ、要ィるのは"魂"だけだ」

【この悪魔はカノッサ機関の協力者だが、それ故にコネクションは機関員に比べれば劣る】
【故に、直接伝える手段は少ない、なので全体的な広報の形を取らざるをえないのだろう】

「ほォう……"古強者"に、"壊滅"、か」 「――"素材回収"にも力を入ィれねェとな、ヒャハハ!」

【"死体"だろうと何だろうと、彼にとっては"素材"や"材料"の一つでしか無く】
【得られた単語から想定できる結果は、それらが易く手に入るだろう状況だった】
【面倒な事になりそうだと、亜人はあまり良い顔をしておらず】 【勿論、悪魔はそれとは逆の顔。】
                   ,
「ヒャハハハ、テメェーなりのChaosへの"可ァ能性"、"道"、たァっぷり見ィせてもらうぜ」


「――――ふゥむ、"蝕むモノ" か」

【眼線と眼線が接する、その眼は深い深い闇よりも深い混沌で、そして狂気的な赫色で――】
【悪魔が悩んだのは、"不可能"を考えたからではない、"検討"をしているからだ】
【"その条件には、何が最も適切か"――幾多のモノを持つ悪魔だからこそ出来る、贅沢さ】

「……ヒャハハハ、俺様の魔力をちょいと加工すりゃア、良ォい感じに汚せるだろう!」
「たァだ、他の方法もそォーだが……維ィ持にはそォれなりの"力"が要ィる、今のこォの世ェ界の空ゥ気は混沌を中ゥ和するからな」

「哲学者の卵……レナールの黒霧……――何が良ォいかは適当に組ゥみ合わせりゃア良ォい」

「あァ、今すぐ出せるのは俺様の魔力やァら、人間共にはまァず扱えねェだろう"深淵の門"くれェだからな」
「つゥまりだ、今すぐには出ァせねェ――機ィ関にテェメェー宛に送っといてやる、完成品をなァァアア」

【それに辿り着くための"素材"は殆ど揃っているが、加工した方が良いと悪魔は判断したのだろう】
【元々自身の魔力は混沌でないモノを蝕んでしまう、それをいかにしてばら撒くか――亜人以外の部下も、自分が素材にされないかヒヤヒヤする】

「ヒャハハハ――あァ、対価はさァっきの情報と、No.5の分で十分だ……混沌の宴の報は、御中元程度には効ォ果があるからなァ」

【"他に何かあるなら今の内だ"――と言いながら、足許に魔法陣を生成する悪魔】
【引き止めなければ、その魔法陣でどこかに行ってしまうのだろうか――】

/とりあえずほぼ〆に近い形とさせていただきました、詳細は舞台裏にて
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/22(金) 04:12:31.50 ID:ZbrD+Nfl0
>>178

……そう……そうか、結局はこれも杞憂だったのね。

人を救うための力、か――――……ふふっ。そんな言葉、久し振りに聞いた気がする……。

【意志を持たぬ妖魔―――――そして自らの意志で他人(ひと)を害する妖魔。躊躇なくそれらは戮すのだろうし、戮して苦しむことも無いのだろう】
【自然現象の様に世を苛むそれらならば、最も彼女の危惧していた事態や可能性には繋がらない、】
【彼女にとってもっとも護るべきものが、退魔師の少女に害される路はない――――。】


【不意にそんな安堵を覚えながら、深く胸に去来する感情があった】
【…………人を救うこと。ひとに揮われる理不尽な力だけを、裁くでなく祓うことで人々を護ること。】
【或る意味では自分などよりも余程、人を傷付けない生き方だろう。真剣さが、含まれた偽りのない/けれど未だ見えぬ想いを思わせて】

【それぞれの道があると少女は信じ、そしてひとり、歩もうと志していた】
【なればこそ退魔師の少女の志す “道”――――何かを護るための生き方もまた、別の燈火として映ったのだろう】
【守るべきものはきっと異なる。この夜に抱く想いと同じ様に。ならば彼女の零すものを掬えるよう、この掌が無限に強くあればいい――、】


……それじゃ、お互いの道を歩きましょう?
私は私の戦いを続けて、あなたは貴女の守るべきもの……―――――?

【自分の範疇、彼女の範疇。斯様に区分けられた道を想えば、自然である筈の返答に、穏やかに別れを切り出す様に】

【けれど退魔師の少女により続けられる言葉―――――初めは不思議そうな顔をして聴いていたが、時を置かずして完璧に理解した様に】
【む、と長髪の少女は眉根を寄せた。言葉では馬鹿にされていると気付くし、けれど“それだけ”という訳でもなく】

……八攫 柊(やつか しゅう)。
覚えるかどうかは任せるけれど……“馬鹿”じゃなくてそれが私の名前。

直接に害をこの街から除くか、囚われてしまった人達の解呪か――――そういう形での人助けよ?
私はそう簡単に死なないし、この街で死ねる理由もないもの。

……だから、より多くの人を救える様になるだけ。私には、大事な意味がある事だけど……っ―――――

【す、と差し出される掌は、隠そうとした感情が伝う様に】
【「返事は?」 何処か悠然と透る声、】
【取り澄ました表情で―――“正義” も “馬鹿” も自分とは関係ないとでも言いたげに、容姿にかまけた表情で紡ごうとした】
【……どうにも素直さには欠けて、落ち着いた雰囲気の割に誇り高い。さぞや、感情を伝えるのは苦手なのだろう】

【けれど傍らの少女の存在で訪れる変化を、よりよい道を心から嬉しがる様に――――櫻の少女の双眸は、穏やかな色合いで真っ直ぐに映していた】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/22(金) 04:14:39.45 ID:ZbrD+Nfl0
>>176

/>>182

【けれど傍らの少女の存在で訪れる変化を、よりよい道を心から嬉しがる様に――――櫻の少女の双眸は、穏やかな色合いで真っ直ぐに映していた】


【けれど傍らの少女の存在で訪れる変化を、よりよい道を心から嬉しがる様に――――櫻の少女の双眸は、穏やかな色合いで真っ直ぐに、傍らの少女を映していた】

…でしたっ…
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/22(金) 04:14:54.63 ID:ZbrD+Nfl0
>>178

/>>182

【けれど傍らの少女の存在で訪れる変化を、よりよい道を心から嬉しがる様に――――櫻の少女の双眸は、穏やかな色合いで真っ直ぐに映していた】


【けれど傍らの少女の存在で訪れる変化を、よりよい道を心から嬉しがる様に――――櫻の少女の双眸は、穏やかな色合いで真っ直ぐに、傍らの少女を映していた】

…でしたっ…
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/22(金) 04:51:10.61 ID:2kpEIhWRo
>>182
ちょっ、何で笑うのさ!?

【彼女の反応を見るや否や、少女は戸惑いの表情を浮かべた】
【当人からしてみれば、別に笑われるような事を言ったつもりは無いのだろう】
【折角こっちが本音ぶつけたってぇーのに………、とムスッとしながら文句を垂れている】


【こちらの言葉を理解したのか、眉を顰める長髪の少女】
【短髪の少女はそれを見て、にやにやといやらしい笑みを浮かべた】

そぉー簡単に事が運べば良いけどねぇー………。
ま、ボクはアンタがおっちなない様に付き合うだけだけどさ―――

【そこまで言って、不意に少女の声が止まる】
【理由は眼前、差し出された掌だ】
【そして次いで目を遣るのは、その差出主の、取り澄ました表情】

………ププッ。

【少女の口から、自然と笑いが漏れ出す】
【どこまでも格好つけなければならないのかと、思うだけでにやにやが止まらない】
【どうにもこの相手は、こう、どこか捻くれたというか、素直じゃない所があるのだろう】
【―――ま、捻くれているのはコイツだけじゃないか】

ボクの名前は時雨 伊那(しぐれ いな)だ―――よろしくやろう、柊。

【少女―――伊那は、心の内から湧き出る「喜」の感情を隠さずに、差し出された柊の掌を軽く、しかし力強く握り返す】
【彼女が浮かべる表情は先と変わらず―――だが、どこか清々しさを感じさせる笑顔だった】



/ここいらで一段落って所でしょーか?
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/22(金) 05:37:24.29 ID:tXIkQCrr0

>>185

……怒らない怒らない。馬鹿にした訳じゃないんだし――――まぁ、少しだけ意外だとは思うけど。

【そう言ってまた小さくクスリと、けれど何処か暖かな瞳をして笑う長髪の少女。宥める様な言葉なのに、最後の一言を付け加えたのは性格故か】
【何を思うのかは口にしない。ただ、今では珍しく軽口を向けあいたくなったのは事実だった】
【そっとその感覚を仕舞い込んで――――余裕たっぷりのその言動も、逆に笑われればきっと崩れだして、】

…………ふっ、甘いことを言うのね。
だからこそ、自分で事を運ぶのよ。“事が” 運ぶのに任せはしない――――……。

……な、何が可笑しいの?

【表情、声、彼女へと紡いだ言葉――――何処か笑わせてしまう様な部分があっただろうか? 普段通りの行動に思う疑問。】
【取り澄ました其れこそが理由だったのだが、そこに考えは到らなかった様で】
【それは短髪の少女の推測通り、“いつも”、その様に振舞うであろう裏付けの様でもあって】

それじゃ……よろしく。伊那――――

【互いに名乗りを交わして掌を握り返せば、こみ上げる暖かな感慨のままに。今し方聞いたその名を呟いた】
【或いは闇を砕くために共闘し、或いは “彼女が死なない様に” 付き合うこの街の伴連れとして。彼女らは、この先の領域に足を踏み入れるのだろう】
【それぞれが単独行動に移るとしても、必要な場面では柊も彼女を呼ぶ筈―――― そう確かに感じられる様な、信じられる相手に向ける微笑みだった】

/ですねっ。二日間、遅くまで本当にお疲れ様でした……! ありがとうございましたー!
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/22(金) 16:49:14.10 ID:hC5s5hJ7o
>>174

ま、成り行きだ…流れていく方向に突っ走るしか無いんだからさ
………また路地裏か…最近は寒いから出歩きたく無いんだけどな…
現役の1軍さんと仲良く出来るんなら…まあ、悪か無いね……

……こうやって改まって口説こうと思ったら難しいな…普段なら
”ヘイ、踊らないかいBaby”で後は割りと………たまにの話だって…そんなヤワじゃねえよ
……ま、アンタはしばらくいい…俺からしちゃ良すぎるんだ…見た目だけじゃなくて……

【軽口も苦笑いで軽く受け止めるのは年齢からくる余裕か、彼の器に穴があきっぱなのか】
【勿論、酔っていればこちらもぽろぽろと余計なことを言って…元々も似たようなものだが】
【朝までなんていつものことなんだろう。ビールを飲みつつレコードあればよかったなとボヤいて】
【時計なんてものは見る気もしなかった。今、この空間を区切るものは未明の朝日ぐらいだろう】

……他のやつがまともかどうか知らないが…ベイゼ、アンタは向いてると思うよ?……マトモそうだしさ
UTの終焉が不正経理のスキャンダルっていうオチはマジでヤバイって……俺も盗みに来ねえぐらいだ
……おう、何だってやっちまえ。結局は自分のため何だから…
なんかの拍子で誰かの為になるけど…先ずは自分の為だよ…何になるのかは…知らん

【なるようにしかならん。と気だるそうに言えば、カウンタに肘をついたまま】
【隣の椅子に足を伸ばしてドカッと置けば、隣の隣まで占領することになる】

俺だったら…その銃口に花でも添えてやる。安全でスピーディでもハッピーが足りないからね
………このビール味薄くない?…バドみたいな味するんだけど…

それだったらマズイだろ……コールされて”ハロゥ、マリア。それともジェニー?久しぶり、ジェシカ”
…なーんてなっちまう。向こうのを訊かなきゃ……いや、だから……そこまで軽薄じゃないって…例えだよ例え…
まあー…とにかく…適当に買っとくから…ベイゼ、ちゃんと空けとけよ?俺はかなり暇なんだから…

【それを言えば、また立ち上がってビールが何だかんだと漁り始める】
【まだまだ、彼からすればこれから…というわけかもうぶっ飛んでしまってなんでも良くなっているのか】
【陽気に何か歌でも口ずさみながらビールを胸いっぱいに抱えてる姿を見れば…まあどっちでもよい】
【今は何もかも忘れよう……どうせ朝方に誰かに起こされちまうんだから…】

/最後の最後で寝てしまって…二日間もありがとうございました
/こちらこそ楽しかったです!またよろしくお願いします!
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/22(金) 19:13:23.01 ID:vgig+93S0
【――――正義とは、何ぞや。信念とは何処に存在するものなのか。】

【あの少年との戦いの後、彼はそればかりを考えていた。正義とは一体何なのか、どうしてあの少年は強い信念を持ち得たのか。】
【あの戦いで、確かに自分は何かを感じた。あの少年から何かを感じたはずだ。その正体が未だ見えぬ信念だと言うのなら】
【それならば自分の信念を見つけたい。何のために戦い、生きるのか。それを、明らかにしたい――――】

【―――しかし、今まで信念など持ち得なかった彼に、信念などそう容易く見つかるものではない。】
【一人で考えても、見つからぬ。ならば信念を持った人物と話し、様々な価値観に触れて、何時か自分の信念を見出せれば――――】
【そうして、彼は旅に出た。自分の信念を見つけるための、何時終わるとも知れぬ長い長い旅に……】



【――――風の国・某所】


(……何が正しいのか、何を信ずるべきか。それは未だに分からぬが………)
(取り敢えず私は絵が好きというのは事実のようだ。やはり、何かを描くと様々な物が見えてくる―――フフフ……こんな物を描くなんて物好きだな、私も……)


【彼は、朽ちた廃屋の前に座っていた。膝にはスケッチブック、右手には使い込まれた鉛筆を持ち、じっと廃屋を眺めている】
【頭には黒い帽子を被って、やや汚れが目立つくすんだ黒いコートを羽織っている。座っている彼の横には槍と思しきものの入った鞄。】
【目の前には方々に打ち捨てられた家具の数々、抜けた床、朽ちて倒れた柱に崩れた板葺きの屋根。人の営みがあった筈の建物は、今は自然に還るのを待つのみ。】
【人の営みのあった建造物が、すっかり誰からも見捨てられ、ただ自然に還るのを待つ。その儚い姿がたまらなく彼を惹きつけたようだ。】
【スケッチブックの上には鉛筆画が描かれていた。目の前の廃墟を実に美しく写実的に、しかし儚げに描いている。】


(旅路の途中だが……たまにはこうして趣味に興じるのも悪くない。趣味は時を忘れさせ、心を豊かにしてくれる……)
(……さて、この絵が仕上がればまた歩みを進めねばな。私の信じるべき道を、見つけなければ――――)
(……まさか私が正しさについて考える日が来るとはな………フフフ)


【彼はフッと微笑むと、僅かに書き残してある部分を描き始めた。静寂の中、彼の鉛筆が立てる音のみがサラサラと響く】
【目深に被った黒い帽子の中から覗く、鋭い目。黒尽くめの格好。おまけに鞄の中から覗く凶器。場所が場所だけに不審人物と思われるかもしれないが――――】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/22(金) 21:51:16.08 ID:c1vF6SePo

【月も満月を過ぎ、あと数日で下弦の月ともなろうかという、そんな夜】
【空には雲など欠片もなくて、煌めく星達は鮮やかに、そして月は幻想的に地上を照らす】
【随分寒くはなったけれど、秋の虫の声は未だに響きわたっていて】

【丘の上には一本の大木。今は葉も少なくなったけれど、その存在感は健在で】
【枝葉の隙間、差し込む月光は、一人の女を照らし出していた】


こんな夜は、あの阿呆の事を思い出すのう……
――――いや、あの夜はもっと、丸かったかの


【絢爛な櫨の襲は、胸を強調するように胸元を大きく開いて】
【艶のある金髪は持ち上げて、簪を使って後頭部で纏めて】
【切れ長の金色の瞳は、ぼんやりと夜空を眺めていた】

【木の根本、凭れ掛かるように座り込めば、すぐそばには徳利が並んでいて】
【どれを見てもまだ、清酒が入っていて。しかも温かい】
【そんな用意も見当たらないし、人里からも少し離れたこんな所に熱燗があるなんて、おかしな話なのだが――――】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/22(金) 22:06:23.65 ID:9WVFnAUs0
【鉄の国――M.N.U国境要塞付近】

【あそこには鉄の国自慢の要塞がある】
【だがあの荘厳をほこった要塞も各部がぼろぼろだ】
【無論内部も破壊の後が多く復旧には時間を要すほどに】
【だからだろうか、要塞からは復旧工事の音が連日連夜響いていた】

【そしてその要塞付近に一人の男がいた】
【だるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】

【その男は要塞を見てため息をこぼしまた要塞を見た】

 復旧に忙しそうなもんだ、まあそれも当然か
 だがこんな巨大要塞の復旧予算もどれだけのもんになるかわからんがね

【男はけだるそうに言葉を作って言った】
【だが、この要塞で戦ったことも思い出し一瞬表情をゆがませる】
 
 しっかしまあ、この要塞で自分の相手したやつ
 どうなったんだろうな、まあ助かったのか死んだのかのどちらだろうが
 まあ、どうでもいいか助かったのならまた戦うだろうしな

【男は表情を変えずに、言った】
【そして、サングラスを少しはずして、要塞を見て、サングラスを元に戻した】 
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/22(金) 22:31:04.66 ID:VyNnTKpV0
【森の中にひっそりと存在する教会。ボロボロとなった外装は果たして其処に住まう者が存在するのかと疑わせる程であったが、今宵は中から会話が聞こえて】
【女性二人であろうか。其れと、時折獣の吠える様な其れが聞こえるけれど決して威嚇等でも無く】
【――――扉が開いたならば、姿を現したのは修道服に身を包んだ女性。歳を記すならば、恐らく18辺りであろう】


「はいはーい。じゃあ又今度ね!
ああ、そうそう。お金が無いのは分かるけどさぁ……グロリアもちゃんとご飯は食べなよ?
ボク達神に仕える人達が先に神様の所に行っちゃったら――――そんな拗ねない拗ねない
じゃっ、元気でね」

【金色の髪が眩しく月の光を反射させていて。その表情は人懐っこそうな緩い笑み】
【謙遜深い修道女は考え難いけれど…………纏う其れは、紛れも無く信者と証明するための物】
【扉の向こうの存在へと手を振ったならば静かに閉め、小さな溜息を吐く事だろう】


「問題なし。っと…………いやぁ、何となく分かっては居るんだけどやっぱり緊張するよねぇ
ま、元気そうでよかったし、ボクもそろそろ遅い晩ご飯でも食べに行こうかな――――およ?」

【独り言から読み取れる性格は実に明るくて。フードを被ってこの場から離れようとするが――――】
【近くを通りかかる存在に気付いたのか、ふと立ち止まって】
【向こうから近づいて来るならば立ち止まったまま。動かないようであれば、女性から近づくのだけれど――――】








【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/22(金) 23:06:24.04 ID:HbrL8BoMo
>>191

【からころ、からころ、と。どこか艶やかな下駄の音色が、西洋風の教会の雰囲気を一時、和の色に染めるだろうか】

【音源の方を覗き見れば、教会の敷地の前にある路上に、小さなシルエットを見つけることができる】
【…………暗い朱色の布地に百合の花の刺繍が入った着物の上に、白いマフラーと黒い綿入り半纏を羽織った格好の、十代ぐらいの少女のようだ】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしていて】
【夜に溶けるように靡く黒髪と、少ない装飾ながらも嫋やかな紅の装いが、いかにも優美で雅やかな風情を醸し出しているだろうか】

【端麗な容姿と美麗な和装が合わさったその立ち姿は、見ているだけで神聖さ≠キら感じるほどのものなのだが】
【からころ、からころ、からころ…………。一向に鳴り止まない下駄の音が、少女の只ならぬ様子を伝えるだろうか】
【右へ左へ、交互に転がる樹木の音色。それは彼女が教会に入るでもなく、しかし立ち去るでもなく、うろうろと歩き回っていることを示していて】


…………はぁ…………。

【ふと、下駄の音が止む。彼女は小さく俯いて、吐かれた溜息が白く宙へ溶けていく】
【月の光に照らされて、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が浮かび上がるだろうか】
【そんな綺麗な顔立ちも、いまは憂鬱な色に埋没していて。黒曜石のように煌めく瞳も、その内側に躊躇いと迷いを宿したまま、地面に注がれている】

【…………まるで、教会に入るか否かを延々決めかねているような仕草。そこに何の理由があるのかまでは、流石に推測しきれないが】
【ともあれ、少女は入り口の前から動かず、その俯いた瞳に修道女の女性の姿はまだ映っていない】
【だから、もしも――――両者に何らかの接点≠ェ生まれるとすれば。それはこの少女からではなく、修道服の女性の方からなのだろう】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/22(金) 23:30:05.88 ID:VyNnTKpV0
>>192
【さて、どうしたものか。只の散歩であれば干渉する必要も無し】
【此処等に住まう獣を狩っているならば、邪魔をしない様立ち去るつもり――――であったが】
【目前の少女は其れ等とも異なった動き。吐かれた溜息は悩みを表すのか否かは分からないけれど】
【――――遠く。とは言っても、十数歩分の距離だけれど。「コホン」と咳払いをしたならば近づいて】


「なーに、迷子にでもなったの?嗚呼、それとも何か落とし物でもした?
干し草から一本の針をって言うからねぇ…………それなら大変、ボクが力になってあげようか」

【フードの下に見えるのは屈託の無い笑顔。初対面にも関わらず、まるで友人と話すような口ぶりはこの女性の性格を表しているのだろう】
【迷子なんて言葉、失礼なのかもしれないけれど……その言葉を放った本人は悪びれる様子も見せなくて】
【「あっ」の声と共にポンと手を叩けば、思い出した様に再び口を開くのだろう】


「…………ふふ。因みに、物を盗ろうとしてるなら諦めた方が良いよ?
そのカラコロカラコロ鳴る靴の音を一晩中聞かせて呪う方法があるなら、分からないけどさ
君、櫻の人間だよね?堅いパンや聖書を盗った所で足しになるとも思えないし…………
兎にも角にも、さ。教会に…………どうしたの?櫻の国の君が――――グロリアの。カログリアの友達か何かかな?」

【その纏い物と、綺麗な顔立ちと――――纏う雰囲気と。“櫻の国”出身であると判断できる材料は幾らでも有る】
【責める風でも無い。からかう風でも無い。ただ、疑問であったのだろう】
【…………扉に手を掛ける事も無ければ、異国の者が教会の前をウロウロとしているという事が】
【敵意を抱いた様子を見せず、警戒心を持っている素振りも見せないが…………その微妙な距離が然りと警戒している事を伝えていて】
【緩い笑みを浮かべながらも問うた言葉。返すも返さないも、少女の自由で有るけれど――――】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/22(金) 23:57:45.34 ID:HbrL8BoMo
>>193

【――――しばらく、少女は視線で地面を掘り進み続けて。一度目を閉じた後、決意したように顔を上げるのだが】
【自分の中の憂慮を解消するのに手一杯だった少女からすれば、女性は何の前触れもなしに突如現れたようにすら感じられて】
【少女はかけられた声にびくりと大きく肩を震わせると、露骨にぎょっとした表情で一歩引き下がるだろう】
【少女は、ここまで接近されるまで気づかなかった自分の迂闊さをひとしきり呪い。ゆっくりと修道服の女性に向き直る】

…………迷子でも、失せ物探しでもないわ。
ま、ちょっと…………ここに住んでる子に、用事というか、何というか…………。

【女性の問いに、少女は微妙に目を背けて答えた。むすっとした不機嫌そうな表情だが、同時にどこかばつが悪そうにも見えるだろうか】
【その返事すらも、どこかはっきりとしなくて。説明はしたいけどどう説明すればいいかかわからない、といった風情だ】
【おろおろしている、と言ってしまえば、少しばかり間抜けに聞こえてしまうが。何にせよ、敵意のなさだけは伝わるだろうか】

【まあ、実のところ――――ただ特に用事もなく、友達の家を訪ねてみた、というだけの話なのだが】
【そのように正直に答えるのもなんとなく照れ臭く思えて、少女は気まずそうに口ごもっているのだった】

そういうあなたは…………カログリアのお姉さんか何か?

【女性の言葉の中に旧知の名を聞けば、やっと気持ちも落ち着いて――――】
【普段の堂々とした態度を幾分か取り戻した少女は、ひとつ咳払いをして仕切った後、きちんと胸を張って問い返すだろう】
【鈴を転がすような疑問符の音色と、わずかに首を傾げる仕草。それは単なる不審者にしては、些か以上に可愛らしい仕草であった】

【しかしながら、そんな少女の問いには――――単純な興味も乗っているものの、微妙に距離感が残っているだろうか】
【何せ今の状況を簡潔に表せば、友達の家に遊びに行ったら話したこともない年上の兄姉とはち合わせた、といったところだ】
【…………単純に、気まずい。元々、人と話すのはそれほど得意ではないのだから――――】
【手に持っていた小さな鞄を、少女は手持ち無沙汰そうに抱えて。ただただ、返答を待つのだった】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 00:27:36.18 ID:wKHr+fuZ0
>>194
「――――まーるで幽霊か何かでも見たような驚き様だねぇ…………
まっ、安心してよ。こう見えてもボクだって神様に仕える側。いきなり襲いかかる何て事は無いからさ」

【そんな驚き様が面白かったのだろう。最初こそ笑いを殺していたが、徐々に堪えきれなくなって】
【やがてはゲラゲラと腹を抱えて笑うのだから神に仕える側と聞いて呆れる】
【――――ただ。その先の言葉を聞いたならば「ふぅん」と相槌を打つのみで】

【大して話したわけでも無いけれど、害意を持っていない事だけは確信できる。だから、問い詰める事はつもりは無かったのだが…………】
【年頃故か、其れとも少女の性格か。どちらかは分からないけれど、素直で無い所が垣間見えるからからかいたくなったのであろう】
【にやり、と笑ったならば暫しの思案。どうやって足元を掬うか。どの様にして遊んでみるか。…………浮かぶのは、碌でもない考えだけだが】


「しっかし、カログリアに用事ねぇ…………懺悔する訳でも無さそうだし、その服装を見れば住む所に困っている訳でも無さそうだし…………
じゃあ、“どんな用事”なのかな?
ボクも久しぶりに此処に来て色々話を聞いたけどさぁ…………メイドの友達が出来たとか、巫女の友達が出来ただとかそりゃもう楽しそうに話してたよ
旅商人とかとの約束は聞いてたけど…………櫻の子との約束とか用事とかは、聞いてないなー。ねね――――“何と言うか”の中身、教えてくれないかな?」

【明確には分からない。初めて会ったのだし、こうやって言葉を交わすのだってまだまだ少ないのだから】
【然れど、少女が人と話すことを得意としていない――――その事は、少しのやり取りから知るには十分】
【ましてや、逆に多くの人々と話す機会が多々有り、女性自体もこんな性格。…………人の性格を把握するのは、そこまで難しい事でも無い】
【それが世のため人の為に使われるならば実に喜ばしい事なのだが、実際はこの様にして弄る為に本領が発揮されているのが実に嘆かわしい所】
【――――少女が口ごもる。或いは言葉を返す前に、ズビシッと人差し指を突きつけて】


「ボクはあの子のお姉さんじゃ無いよ?
血縁関係でも、親戚でも無い。教会でのクラスも違う…………けど
ほら、あの子も寂しがり屋だからね。こうやって偶に会いに来てたんだけどさ…………あの子に“用事”があるならボクは邪魔をしないよ?」

【相手が話す事を苦手としていても、構わず言葉を投げるのは美点か、或いはその逆か】
【――――問いへの答えは親戚でも家族でも無く、少女と同じ友人。教会でも異なるとなればお節介以上に何かが含まれて居るのかもしれないが…………それは、今は関係の無い事】

【一歩横にズレたならば、視線で扉を示し、次いで少女に戻した後に「さあどうぞ」と言わんばかりに小首を傾げるのだけれど――――】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 01:01:49.37 ID:oHLiJjZ8o
>>195

【女性を見て跳ねる体は、果てしなく反射%Iな行動だった。無意識下の拒絶反応――――治そうと努力はしていても、未だ実ってはいなくて】
【幽霊だろうが妖怪だろうが、今更見たところで驚いたりはしないのに。ただ人間相手の時だけ、少女はこんな情けない姿を晒す】
【とはいえ、変に気を使われる方が苦になるものだ。その点、女性の反応はありがたいものであって――――】
【…………まあ、限度というものはあるのだが。聖職者とは思えない女性の笑いっぷりに、少女は頬を赤らませ、半目でその様子を睨むのだろう】

何というかは…………何というかよ。
そりゃあ、約束なんてしていないけれど。ただその、なんとなく…………。

【すっかり困った様子で、少女は呟くだろうか。判然としない答えだが、それ以上でもそれ以上でもない、伝えるのは純然たる事実のみ】
【目的なんてない。ただ少しばかり、気分転換に散歩をしていたら…………本当に何となく、ここに足が向いたというだけ】
【…………そして、友人に恵まれないこの少女にとっては、そんな何気ない日常のひとこますらも初体験だったというだけなのだ】
【来たからには一声かけていこうかと思い立ったものの、いざ門をくぐって会いに行こうとしたとき――――】
【久々に会う友達に、どんな言葉をかければいいのか。どんな顔で会えばいいのか。自分がそんな事すら知らないことに、少女は気づいた】
【その結果が、先ほどの不審者じみた行動だ。女性が目撃したのは、少女の不器用さの結晶だったのだろう】

【――――まあ、もちろん。そんな事情があったことなど、女性が知り得ることではない】
【言わなければ伝わらない。このままでは不審者扱いのまま…………巫女の友達≠ニいうフレーズが、頭の中で巡ったなら】
【少女は思い切り目を閉じて、決死の覚悟を決めて、女性に向けて吼えた】

…………ああ、もうっ!
約束も目的もないわ! 単に、その、友達≠フところに遊びに来てみただけよ!
悪い!!?

【そうして少女は――――半ばからかわれていたことにも気づかず、盛大に自爆したのだった】
【よっぽどばつが悪かったのか、語尾に無駄な威嚇を取り付けて、赤らんだ頬は拗ねたように横を向く】
【少女の、高慢な性格が伺えるだろうか。ただ友達を友達と呼ぶのすら、照れ臭くて仕方がない様子で】
【…………なるほど確かに、からかい相手としては、確かに適任といえるかもしれなかった】

…………言われなくても行くわよ、まったく。
どうやらあなたは帰るところみたいだし、私は勝手にさせて貰うわ。

【道を空けた女性の隣を、少女は肩を怒らせて歩いていく。荒げた語調は、結局のところ八つ当たりでしかないのだが】
【親兄弟でもない相手に遠慮していた自分が馬鹿らしくなったのだろう、少女の表情は羞恥と悔しさに強く彩られている】
【女性のことを完全に意識から外すことは出来そうもなかったが…………教会に向けて歩きながら、少女はいまさら、門の前で悩んでいた理由を思い出して】

【…………歩調が鈍る。元よりカログリアにどんな顔で会えばいいのかもわからなかったのに、ここまで調子を崩されて、頭の中はぐちゃぐちゃだ】
【ただならぬ緊張のオーラを纏い、最早やけくそ気味に突撃していく少女の背中――――からかうつもりなら、いくらでもからかえそうではあった】

/すみません、風呂行ってきます〜
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 01:33:20.08 ID:9j+NFJ0no
>>181
邪禍さんの混沌なら、どこにいても噂が耳に入ることでしょう
聞きようによっては、何より高い対価にも思えますが……"魂"を賭けるだけの価値は大いにありますな

【コネクションの弱さという面では、言葉の端々から薄々察してはいたが】
【そうでなくてもこの悪魔の性格なら、世界に響き渡るほど派手な宴を催すだろう、カニバディールはそう考えていた】


我らカノッサの起こす混沌が、邪禍さんのお役にも立つなら、嬉しく思います
(“素材”……死体の限ったことではないのだろうな。このお方にかかれば、すべて自分のための“材料”、か)

【きっと、彼が参戦する戦場では、行方知らずになる存在が、多く出るだろう】
【悪魔の手によって、“素材”となったものにどんな末路が用意されることか。想像も及ばなかった】


【“検討”もために途切れた間も、単眼の視線は悪魔へと注がれ続ける】
【全ては彼の気分しだいだが、その結果によっては、自身の計画に大いに影響することになるのだ】
【やがて、告げられる答えに、大男は破顔した】

……ありがとうございます。そのような理由であれば、時間がかかろうと構いません
これで私の計画もより確実なものとなりましょう。心より、感謝を

("深淵の門"……隠し玉、か? それに哲学者の卵やレナールの黒霧……そんなものまで、素材として収集していたとは)
(あれほどの力に加えて、この行動力……やはり、侮れん)

【感謝の気持ちは本気のもの、表に出す言葉も真摯な響き】
【混沌を持ってそれ以外を蝕む彼の魔力は、計画を強く後押しすることになるだろう】

【しかし、脳髄では邪禍の言葉の端々に浮かぶキーワードを逃さず捕食する】
【眼前に立つ悪魔、彼は混沌を望む強力な助っ人ではあるが、仲間とは言い難い間柄でもある】
【いかな異形とて、カニバディールは人間に過ぎない。悪魔を相手に、油断など出来るはずもない】


それはありがたい……今後も、混沌をもたらす動きがあれば、可能な限りお伝えしますよ

……後は、私やカノッサの者たちがもたらす混沌の宴を堪能していただくだけで十分です
お話出来てよかった。また会える機会を楽しみにしております

【足元に魔法陣を展開する邪禍を見て、カニバディールが別れの言葉を告げる】
【悪魔と亜人、彼らの姿がその場から消失するまで、単眼が逸らされることはないだろう】
【やがて、カニバディールもそこを立ち去る。さらなる混沌をもたらす“素材”たりうる、邪禍の贈り物を脳裏に思い描きながら】

/大変遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした……ありがとうございました!!
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 01:44:27.09 ID:wKHr+fuZ0
>>196
「何となく。何となく…………いやあ、ボクも18年という歳月を生きてるけど。何となくで教会の前をカラコロ鳴らしながら歩き回っている人を見るのは初めてだったなぁ
何となく用事があって…………あれ、不思議だなぁ。用事があってきたのに何となく。やっぱり国にが違うと考え方も全然違うんだねぇ
いやね?ボクは猪突猛進の如く思い立ったら実行するタイプだからさ。君が溜息を吐きながら歩き回ってた意味なんて分からないけど――――」

【少女の言った“何となく”。その言葉を強調するかの如く、5回も用いて。…………なれば、嫌でも耳に着くであろうその言葉】
【最初に少女の放った言葉と今の言葉と引き合いに出したならば、実に厭らしい笑みを浮かべることだろう】
【理由を問うたならば「最初と言ってる事が違うなぁ〜?」なんてその笑みも増した様子で語る筈】

【少女の生い立ち、背景を分からない。…………何故、人と話すことが苦手になってしまったのかも】
【だから、この女性は少女の今を捉えているのだろう。面白い子だな、との認識か。其れとも、又別な認識かは不明だけれど】
【どの様な考えに至れば此処まで言葉が出るのか。そう問い詰めたくなる言葉の嵐も終盤。――――が、しかし。少女の吠えた其れで、掻き消されて】
【ポカン、とした表情。そう重大な理由で無い事は察していた。――――だが、予想外も良い所。まさか、友人に会いに来ただけ、とは】


「――――プ……ッ…………クク…………フ…………アハハハハハハハハ!!!!
いや、悪く、悪く無い、全然、悪く、無い、けどさ…………!」

【失笑からの爆笑。腹を抱えて笑うその姿は、実に腹立たしい事か】
【その言葉と少女の性格と。やっと合点した様な気がする。苦しそうに呼吸をしながらもやっとの事で言葉を紡いだならば、涙を流しながらも首を左右に振って】
【もしも此処が地面で無く床であったならば、きっと今頃転げ回って笑っていた事だろう。少女の事を逆撫でする結果となるのかも知れないし、或いは羞恥を煽るのかも知れない】
【――――だが、其れがこの女性の性格。可愛らしく語尾を荒げた様子だって威嚇と捉えられず、ただの照れ隠し程度の認識となったのが拍車を掛けているのだろう】
【目尻の涙を拭き、立ち直ったのは数分後。未だ余韻を残しながらも少女と向き合う姿は実に不誠実】


「あの子も知り合いは多く居ても友達は少ないからね。きっと喜んでくれると思うよ
ほら、それに此処って辺鄙な場所だからさ――――来てくれる人も少ないし、君みたいな子だったら尚更じゃないかな

しかし、櫻の人が友達の家に訪ねに行く様を初めて見るけど…………怖いなぁ。友達ならもっと気軽に行けば良いのに
まるで今から果たし合いをするみたいだね。…………あ、そう言えばテレビで昔見た事あるよ?
今の君みたいに歩いてさ、『天誅だァー!』って叫びながら入っていくんだよね。おおー…………帰ってご飯食べるつもりだったけど、実際に見れるならもう少しだけ此処から眺めて様かな
あ、邪魔はしないから大丈夫だよ。流石に中には入らないけど…………さっき叫んだ様にしてくれるんだよね、きっと」

【意地悪くも、そんな事を言うのは少女が扉の前に着いてから】
【――――最初の言葉は、嘘では無いのだろう。友人が少ない修道女からすれば、その数少ない友人が訪れてくれるのは実に嬉しい事】
【或いは、何時か言葉を交わした少女もその事か把握出来ていた事か】

【さて、問題は後者。まるで果たし合いだ。の下り】
【少女が己の緊張とを自覚しているならば、どの様に聞こえたのかは分からないけれど。確かに、その声は若干震えていて】
【――――勢いに任せたまま扉を開ければ、きっと何処か驚いた表情をした修道女が映る筈。…………其れとも、女性の言葉に噛み付くか。それは、少女次第であって】

/了解でありますよー!
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 02:33:55.28 ID:oHLiJjZ8o
>>198

【女性の台詞を、少女はすべて背中で受け止める――――というと少し格好いいが、単に振り向いたら襲いかかりそうだったので耐えていただけであって】
【他人にここまで弄ばれた経験は、少女の十五年間の生活の中でも今が初めてである。それはとても新鮮な体験で…………と好意的に捉えるにも、そろそろ限界だ】
【高慢ちきでプライドが高いのがこの少女の性格である。堪忍袋の緒だって、それほど頑丈ではない】

(我慢よ、我慢…………この私が、こんなふざけた奴に心を乱しては…………っ)

【巫女として、退魔師として、戦士としての全霊を賭け、少女は暗示の言葉で自分を何重にも縛る】
【ここで乗ったら敵の思う壺、だがここまで馬鹿にされたままで――――という激しい葛藤の中、我ながら獣みたいだわ、と少しだけ自嘲し】
【今日の夕飯美味しかったなとか、明日も出し物の準備で面倒くさいなとか、そんな他愛のないことを必死に考えて、修道服も形無しの大爆笑をやり過ごす】
【…………がちん、がちんと。雅やかだった下駄の音が、一歩進むごとに鋭い牙を持つ獣の咬合音の如く凶暴なものになっていくのに、自分では気づかずに】

あなた、櫻の人間を何だと思っているのよ…………。
少なくとも私は、そんな時代遅れな人間じゃない、わ…………。

【気軽に会いに行けないから苦労してるんじゃない、と少女は自分の不器用さを心底呪いながら、ついでに脳内で女性に蹴りを入れて】
【女性の口から漏れる櫻の国の印象の極端さにはかえって呆れてしまって、おかげで少しだけ冷静になることが出来た】
【少女は余裕の表情で振り返ると――と言いつつ、既に頭の中からカログリアの事は吹き飛び、女性のことで満杯になっているが――、冷静な突っ込みを入れるだろう】

【――――入れた、のだが。女性の楽しそうな様子と、おかしな期待に彩られた言葉を同時に脳が認識してしまったのが運の尽きで】
【自分の堪忍袋の緒に、まるで爆弾に繋がれた導火線のように火が付いたのを、少女は自覚して…………】
【私はそんな言葉に乗せられて動くほどバカに見えるのか――――とか。そのまま餓死すればいいのに――――とか。あること無いこと、ぐるぐる回って】
【ガンッ!! という下駄の歯をへし折らんばかりの強烈な踏み込みが、教会の扉の目の前に炸裂するだろうか】
【その跡が少女の憤怒の象徴として、永遠にそこに残るかどうかは定かではないが――――】
【燃え滾る感情の炎の中で、少女が選んだ結論は、】


――――カログリアァぁッ!!!
いまからこの女を斬るけど構わないわねッッ!!!

【…………その場のすべてに当たり散らすという、果てしなくはた迷惑な選択肢だった】
【少女は扉を強引に押し開くと猛烈な勢いで吠え立て、そこにいる筈の友人へ、脅迫じみた調子で了解を求めると】
【答えを一切聞かず振り返り、開いた扉を背に女性へ向き直る。少女の纏っていたどこか神聖≠ネ雰囲気が、神の怒りにでも触れたかのように高まって】
【漫画のような青筋を立てる少女――――カログリアではなく目の前の女性に、今すぐにでも天誅と叫んで躍り掛かりそうな雰囲気である】

【久々に会う友人にどう接すればいいかわからない、という可愛らしい悩みは完全に吹き飛んだが、その巻き添えに吹き飛んではいけないものも吹き飛んでしまって】
【今や荒ぶる神の如く白熱したこの少女を止められるのは…………残念ながら、カログリアしかいないのだろう】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/23(土) 02:36:32.40 ID:t67SljwDo
>>197

「俺様が機ィ関に協力しィて"やってる"のは、そォーいう事だ」
「ヒャハハハ、――テェメェーらには混沌を沢山運んで貰わねェとなァァアア」

【――この悪魔が通った跡は、気分次第ではそこにあったモノの殆どが存在を消す】
【ある時は、本当にそこに何かがあったのかがわからない程の更地を生み出したこともあった】
【そうして集められた素材が行く末は、想像に難くなく、――しかしその想像を具体化する事は出来ず】

「俺様の魔ァ力の持ォつ"蝕"の力をよォり引ィき出し、かァつばァら撒く力の強いモノを利ィ用し作る――」
「まァ、早めに作って送りつけてやるぜ」 「ヒャハハハ、大いに"歪ませろ"――混沌の手ァ綱をもォってしてな」

【早めに、という言葉にますます頭が痛くなる亜人】 【なるべくそれを出さないようにはしているものの】
【……悪魔には、どうしても漏れてしまう。"つながり"が強いが故に】

「ヒャハッ、そォれは良い心掛けだ――混沌の宴の報せの入ゥ手は、"No.10"やメディアットだけでは限界があァるからなァァアア」
「――フフフハハ、宴に参加し、或いは催し、……世ェ界を混沌に染ォまる様ォ子をとォくと堪能させて貰うぞ」
「まァた会おうじゃアねェか、No.29――"そォの時"でも、そォーでなくとも、な」

【闇となれば魔法陣の中にへと吸い込まれてゆく二者】 【その行き先は酷く濃い混沌の拠点】
【――やがては魔法陣も消えて、いずれは辺りに散乱していた悪魔の魔力も薄れ中和されてゆく】
【そうして路地裏は、またいつもの通りのジメッとした空気に戻ってゆくのだろう】


「ふゥむ、俺様の嗅ゥ覚は裏の有ゥ無くれェ嗅ァぎ取れる――が、何も問題はねェ、あァの野ァ郎が混沌の味方である限りはな!」

【――その悪魔は身勝手で気まぐれで信頼を置き倦ねる存在だ、しかし、うまく利用すれば力となる事には間違いなく】
【ただ、その力を利用できるか否かは、――人の持つ"可能性"に委ねられるというだけ】

{ええ、こちらのお荷物はカニバディール様宛で御座います――彼に届けて頂けませんか?}

【――幾らかの日が経った時、機関のとある拠点に"一つの荷物"が届けられた】
【送り主は邪禍。届け先はカニバディール。そして、その媒体となったのが、悪魔の部下の一人の"メディアット"――媒体蝙蝠】
【運賃として果実などを請求しつつ、更に機関員を通してカニバディールへと届けさせたようだ】

【荷物の中身は、一つの壷。それ自体はただの入れ物のようだった、魔力を外部に逃さない素材で出来ている】
【その壷の蓋を開ければ、中に入っているのは――説明書と表紙に書かれた紙と、……"キノコ"?】
【10cm程で、黒を基調に紫や赤の模様を持つそれは、見た目も持つ魔力もあの悪魔のモノによく似ていた】

【……説明書にはこう書かれている、かろうじで読めるレベルの文字で】
【"騙されたかと思ったか? 安心しな、運搬用に眠らせているだけだ。"】
【"これは「マーディケリウム[Mardykelium]」。俺様の魔力を主軸に作り出した菌だ。"】
【"今はただの毒キノコにしか見えないだろうが、水分や魔力を与えてやれば、本来の姿を取り戻す。"】

【"その場に留まらせ、混沌の魔力の胞子をばら撒かせれば、辺りは混沌に染まってゆく。"】
【"あるいは、菌糸を伸ばさせ操作させ、攻撃を仕掛けることもできるだろう。"】
【"ただ、キノコは根を張るからな、移動はかなり不得意だ。まったく駄目では無いがよ。"】
【"こいつの手は思っている以上に多いだろう。それを活かせるか否かはテメェーの可能性に聞いてみるんだな。"】

【――もし、このメモに従い水分や魔力を与えれば、キノコはあっという間に元に戻り、部屋の天井まで達してしまうだろう】 /文字数制限に引っかかったのでここでお疲れ様でしたー、詳細は舞台裏にて(二回目)
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 03:10:51.22 ID:wKHr+fuZ0
>>199
【教会の中は以前と変わらず。割れたステンドグラスに、ヒビの生じた壁に――――少女が其れを認識出来る余裕が有るか否かは分からないけれど】
【その主、大きな音が生じたかと思えば友人が青筋立てて怒りを露わとしているのだから目を白黒とさせて】
【――――言葉の意味の認識には、暫くの時間を要した。少女が女性へと吠えてから少し経ってパタパタと小さな足音が背中から聞こえるのだが――――】


『いやいや、穏やかじゃないなぁ…………ボクはね、君の為を思って――――――
睨まない睨まない。ほら、まだ君も若いんだからそんな険しい表情をしていたら損だよ?』

【火に油を注ぐとは正にこの事か。にへら、っと不真面目に笑っていたが…………少女の“神聖”を感じ取ったその刹那の時ばかりは表情も失せたのだろう】
【まるで獣。得物を前にした肉食獣の如く、鋭く光った――――それも一瞬だけの話】
【直ぐに緩く不真面目な笑みが戻ったならば少しの空いた距離を良い事にまた言葉を紡いで】

【状況を理解して居ないのか、それともこの状況をも愉しんでいるのか】
【ウィンクして言い聞かせるのが、また腹立たしい】




【さて――――やっと扉の前に居る少女へと追いついて。止めようとしたその時、思い出される事】
【触れられる事を、拒んだはず。焦りと葛藤と。止めはしたいが、嫌がる事はしたくない】
【なれば――――なれば。出す答えは一つだけ。少女の前へと出たならば、触れる事は無くとも女性へと向かう進路を妨害するかの様に立って】
【それでも進もうとすれば、優しく袖を握って引き留める事であろう】


「佳乃…………落ち着いて下さい。事情は、良く分かりませんが…………
と、兎に角、斬ってしまうのはいけない事です」

【無関係な自分が、思わずビクリと固まってしまうほどの気迫。取り敢えずは落ち着くようにと諭したならば、続いて件の女性へと視線を送って】
【――――少女に送る其れとは異なって、何処か咎める様な物。ハッキリとは分からないが、女性の性格を考えれば成り行きが何と無く分かるのだろう】
【肩を竦めて答えれば後ろ手を振ってその場から去る仕草は…………やはり、修道女らしく無くて】
【その背を睨み続けていたならば、闇夜に消える直前に見えるであろう銀の光。所謂、銃だけれど――――何故、其れを所持しているのか。問う前に女性の姿は消えるはずで】


「久しぶりですね、佳乃。…………あの。あの方が何か言って気に障ったならば、すみません
ゆっくりお話でも…………と言いたい所ですが、もう少し落ち着いてからにしましょうか」

【果たして少女の気を静める事が出来たのかは分からない。久しい友人に会えた喜びと、先程の女性が行った申し訳なさと】
【二つの感情が同時に浮かんだならば、表情は苦笑へと移り変わって】
【――――“お元気でしたか?”。その言葉が紡がれるのは、幾つかの呼吸を置いてから。少女の気を静める時間と、気まずさと】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/23(土) 03:17:10.48 ID:9j+NFJ0no
>>200
無論の事です、我ら機関にとっても混沌は本意とするところ
邪禍さんのご協力いただいたことに恥じぬよう、私も尽力しますよ

【まさに一時の気分次第。強大な力にこの性格、巻き込まれる側にとってはもはや災害とすら言えるかもしれない】
【しかし、外部の存在とはいえ、協力者として見れば非常に頼もしい相手でもある】


お待ちしておりますよ。邪禍さんの"蝕"の力……それを持ってすれば、当初の想定以上のものが出来上がるかと

(……部下の皆様には、済まないことだがな)

【ネクスト・ウィングの発する重い空気の一端を、カニバディールも感じ取る】
【しかし、その思考はそれ以上に、来るべき混沌へと傾いていた】


"No.10"……リーネ・ヴァーゼン・フォルテ様ですか。彼女とも見知った仲とは驚きましたな
宴の発端となるだろうものは、まだまだ尽きてはいません。お楽しみはこれからですな……ふ、ふふ
ええ、いずれまた……

【消えゆく魔法陣の先から、一瞬感じられた混沌の濃度たるや凄まじい】
【己の思うところなどあっさり嗅ぎ付けられていた、という事実にまではたどり着かなかったが】
【邪禍が、彼の有する力が、世界にどんな影響をもたらすか、それはまだ知られざる未来――】


【やがて、機関員の手を伝って届けられた完成品。着払いの料金、果実代を自ら支払って】
【同時に、受け取った機関員から配達人であった"メディアット"の特徴なども聞き出しつつ】
【開け放てばそこにあるのは壺が一つ。これですら、魔翌力漏れ対策を施された品だ。ついでとばかりに保管するだろう】

【蓋を開けてみれば、その単眼に飛び込むはキノコ。一つ目が細まり、太い指でそれを摘み上げて顔の前にかざす】
【一度それを置き、説明書に目をやれば、読むのに少し時間がいりそうな文字列。しかし、それを読み終えた時】
【カニバディールは顔いっぱいに醜悪な笑いを浮かべていた】


マーディケリウム……素晴らしい。これをもってすれば、あの街もレナールに劣らぬ有様となるだろう……
扱いは、慎重にせねばなるまいな……本来の姿が、どのようなものかはまだわかりかねる
まずは、『スクラップズ』全員に連絡を入れねばな

【キノコを慎重に壺に戻し、蓋をすると厳重にそれを保管する。自らの混沌を生み落す時のために】
【キノコをこの場で戻さなかったのは、部屋の天井まで届く巨大キノコに遭遇しなくて済んだことを幸運とすべきか】
【決行のその時になって知る羽目になることを不幸すべきなのか】

【今は知ることもなく、カニバディールは己の淀み切った思考に浸りつつ、似合わぬ澄んだ音色で口笛を吹き鳴らしていた】

/最後にお返ししておきます!! 本当にありがとうございました!!
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 03:42:25.93 ID:oHLiJjZ8o
>>201

【猛烈な咆哮を受けてなお飄々とした態度を崩さない女性に、少女は更なる怒りを募らせ】
【袖口に突っ込んだ手が、謎の符≠数枚握って戻ってくる。怒りが境界を越えたからか、その口からは不気味な笑い声すら漏れ出して】
【指に挟んだ符≠ゥらは、どんな原理なのか雷やら冷気やらが朦々と立ちこめて、状況は今まさに一触即発の局面を迎える――――】
【…………という、ところで。少女の視界の中に、ようやく会えた友人の姿が映り込んだ】

いいえ、これは天誅…………そう、天誅よ!
人をあれだけ馬鹿にして、絶対にタダでは…………!

【その姿を見て、その声を聞いてなお、少女の怒りは止まらない。彼女の堪忍袋は既にごうごうと大火事状態で、世界中の消防団をかき集めても手に負えまい】
【短絡的で感情的なところも大きい少女だ、一度火が付いたが最後、周囲を焼き払うまで止まらない――――】

【――――ちょこん、と小さく握られた袖が、少女の心に大雨を降らさなければ、そうなっていただろう】
【他者に触れること、触れられることを極端に避ける自分のどうしようもない性質。それをちゃんと考えてくれているのだと、そう気づいて】
【今まで――――ずっと、感じたことなかった気分だった。少女は戸惑い、逃げることも出来ずにそれを受け入れる】
【…………一度、大きく息を吐く。じとりと半目で友達≠フ顔の奥を睨みつければ、去っていく女性の姿に心の中で小さく呪詛を送って】
【持っていた符≠しまい込んで壁により掛かると、猛烈な疲れと虚脱感が、少女――――幸徳井佳乃を襲ったのだった】


…………元気よ。改めて、久しぶりねカログリア…………。

【少しだけ気まずそうにするカログリアに、少し前までの自分の姿を重ねて、少しだけ笑う】
【そうして友人へ掛ける声は、高慢でプライドが高くて不器用な幸徳井佳乃にはあり得ない程、落ち着いたものだっただろうか】
【あの女性に対して力を使い果たして、怒りと一緒に緊張も吹き飛んだのだ。その点には感謝…………などという殊勝ことを、佳乃がするわけもなく】
【代わりに、カログリアの忌憚を払拭するように――――普段なら絶対にしないような、優しげな瞳を向けるだろうか】

それにしても、まったく…………あの女、何者なのよ?
あれでも修道女、なのよね…………?

【…………さて、と。落ち着いたところで、特に目的もないのだ。適当に話でもして帰ろうかと、そう思ったのだが】
【その前に、あの女性が何者だったのか――――そのことだけは気になったらしく、カログリアに詳細を問うてみるのだろう】
【あの態度もそうだが、こちらの怒りに対して見せた鋭い眼光…………そして、背中に持っていた銀の銃】
【…………どう見てもただ者ではないというのだけは、わかっているのだが】
【勿論、同じ修道女であるカログリアが答えられない質問である可能性もある。口を噤んだところで、佳乃は咎めたりはしないだろうが――――】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 04:13:17.69 ID:wKHr+fuZ0
>>203
「ええ、久しぶりですね――――元気ならば安心しましたが…………ですが、怪我だけはしない様にして下さいね」

【本人の口から聞けたことで安心したのだろう。ふと漏れる笑みと同時に――――又、苦笑】
【元気である事は先程までの行動で十分理解出来た。ただ…………その元気が有り余って怪我だけはしない様に、なんて言葉】
【ほっと小さく吐かれた吐息は、怒りを引き摺っていないとその視線から感じ取ったか】
【安心――――と言うよりも、友人が未だ負の感情を強く抱いていない事に対する安心】
【…………自分よりも他者を優先する考えは、相変わらずで】


「――――確かに、修道女ではありますが…………その…………」

【掴んでいた袖を離したならば、問いに答えようとする――――するが、先が紡がれない】
【どの様に話せば良いのか、何を言えば良いのか。この少女にしては、珍しく歯切れが悪くて】
【“ではありますが”。その言葉の意味。確かに修道女ではあるが…………己とは、また異なった存在】
【やがて思考が纏まったのか、再び言葉を紡ぐ時には何処か小難しい表情を浮かべて】


「また、私とは異なった存在…………ですね
教会と言え、戦闘が出来ない訳でもありません。悪魔を屠る為の技術や道具も作っています
――――櫻の国の巫女や陰陽師と同じ様な事、でしょうか」

【迂闊に話してはいけない情報もある。普段は隠し事も何もしない修道女からすれば、其れ等を選んで話す事はとても難しい事なのだろう】
【時折眉間に皺を寄せれば唸って、ああでも無いこうでも無いと自問自答する様は滑稽にも思えて】
【――――やがて出した例えが、佳乃と同じ巫女。妖怪相手に特化する様に、同じ修道女であっても人間や魔獣では無く悪魔を相手にする…………と】


「…………そして、悪魔を屠る為の組織に所属している一人が、あの方です
どうにも口が悪いのですが…………怪我等はさせられていませんよね?
――――許して下さい、とは言えませんが…………佳乃、すみませんでした」

【ならば、何故そんな人物がこの教会を訪れていたのか。この少女の友人としてか、其れともまた別な理由が有ったのか。――――問うた所で、微笑を浮かべはするが答えは返ってこないのだろう】
【少女の“神聖”に興味を抱いたのか、其れとも一瞬ばかり敵と見なしたのか。どちらにしたって、一般人ならば出来る筈も無い程に鋭かった視線】

【其処まで話した所で気付いた様に、心配の表情を浮かべて問うのは体調では無く怪我の有無。…………ある意味では、その事を問う程には暴れる存在なのか】
【最初に扉を開けた時の少女の怒り様を見れば、余程の事だったと分かる。だから…………代わりに謝罪して】
【元凶が同じ教会に所属する者だから。そして、相手が友人だから。上辺だけで無く、本心からの言葉。――――修道女の性格を知っていれば、少女も分かるであろうか】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 04:43:18.35 ID:oHLiJjZ8o
>>204

怪我しないで、か…………ふふっ。
あなたと離れていた間に私がしてきた戦いを聞いたら、卒倒しそうね…………。

【自分の身を案じる言葉に、佳乃は何が楽しかったのか、堪えきれずに小さく笑う】
【思えばあれから、様々な場所で血塗れの戦いを超えてきた。カログリアの台詞は優しいもので、しかしこの上なく手遅れであって】
【改めて、本当に久しく会っていなかったのだと痛感する。それを思えば、もう怒っている暇なんてない】
【…………こうして再び会えはしたが、時間は有限なのだから】

なるほど…………教会の退魔師、か。
ああ、確かに性格は最悪だったけれど、別に何もされていないわよ。

例えされていたとしても…………あなたが謝ることじゃない。
私も、それにあの女だって多分、自分のことは自分で片を付けるわよ。

【飄々としてどこか掴み所のない雰囲気に、巫女――――自分と同じ退魔師という肩書きは、不思議と納得のいくものだった】
【…………自分とあの女性が同じものだと思われるのは、その性格を痛いほど知った今、佳乃にとって非常に認めがたいものではあったが】
【そして、自分のことのように謝ってくるカログリアを、佳乃はぴしゃりと跳ねつけるだろうか】
【自分より他人を優先する性格は、カログリアの美点ではあるが…………行き過ぎれば、いつか悪意ある者にその優しさが踏みにじられるのではないかと】
【言い方は少々乱暴だが、要するに――――心配しているようだった】


【――――それだけ言った後、佳乃は無言で教会の中に入っていく】
【少しだけ深呼吸して、まるで決意でも固めたみたいに振り返る。ステンドグラスを背後に、そこにはやや緊張した表情が浮かんでいて】
【まるで台本を必死に読み上げているかのような、芝居がかった調子ではあったが――――確かに、心の込もった言葉を紡ぐ】

…………さて、と。
私がここに来たのは、特に目的もなく歩いていたら偶然辿り着いたというだけなのだけれど。

せっかく――――友達≠フところに来たんだし、少しだけ話に付き合ってもらえる?

【――――その台詞を噛まずに言えたのが、奇しくも先程の女性相手に練習させられたからだと思うのは、とてつもなく悔しいけれど】
【やっぱり少しだけ照れ臭そうに、けれどカログリアの目を見てはっきりと、佳乃は笑いかけることが出来ているだろうか――――?】


【そうして、佳乃は…………何の遠慮もなく椅子に腰掛けると、ぽつぽつと他愛のない話でも語り始めるのだろう】
【それは闘技大会に出場して、ベスト8まで進出した話だとか。近々学校で学園祭があって準備が大変だとか、そういう近況話から始まり】
【転校生の男子にしつこく言い寄られて困っている話だとか――――また胸が大きくなってきて困っている話だとか、そういう愚痴に切り替わっていく】
【もしもカログリアがそれをちゃんと聞いてくれて、逆に自分の話を佳乃にしてくれたのなら、それはとても姦しい会話劇になっただろうか】
【――――普通の女の子同士の、賑やかで何でもない日常。自分がそんな奇跡のような体験をしたのだと実感するのは、次の日に学校に行ってからの話だが】

【いずれにせよ、後になって掛け替えのないものだったと気づくこの時間も、あっという間に過ぎていって】
【最初に会って、別れて。そしてまた会って――――二度目の別れは、じきにやってくる】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 05:28:53.91 ID:wKHr+fuZ0
>>205
「佳乃、それはどの様な意味で――――――
いえ、今は聞かない方が良いでしょうか。こうして無事に佳乃と話して居るのですし…………何よりも、本当に卒倒してしまえば迷惑を掛けてしまいますからね」

【戦いを咎めるつもりは無い。抱く志は人それぞれ。守る為に闘う者だって居るのだから】
【――――争いを一概に悪と決めつけられない事は、よく理解して居るつもりだった】
【無論、無いならば其れに越した事は無い。だが、世から争いを消すなんて不可能な事――――ならば、目の前の友人が無事である事を素直に喜ぶべきであろう】
【戯れに命を奪うような人物で無い事は重々把握しているつもり。そして、素直じゃ無い性格にしても…………寧ろ、人を助けようとする側である事は何となしに理解出来る】
【微笑を浮かべれば些細な冗談を述べて、「後で愉しみにしています」なんて言葉も贈って】


「ですが…………――――ふふ。そうですね
では、特に口出しをしないでおきましょう」

【――――そして、素直じゃ無い性格だと解しているから。その言葉の意味も、察して】
【否定してしまえば、折角の心遣いだって無下にしてしまう事となる。だから、小さく頷いて首肯する事だろう】
【教会内へと入ることを引き留めはしない。久しく会った友人。元より、何か話せれば――――と考えて居たから】
【適当な場所に座るように促そうかと口を開き――――少女が振り返るのが同時で】

【――――先程までとはまた異なった表情。何か思い出したのだろうか…………】
【少女の決心も知らず、浮かべたのは疑問の表情。小首を傾げて、紡がれるで在ろう言葉を待っていたけれど】
【全て聞き終えて――――銀の双眸が、嬉しそうに歪んだ】


「はい――――佳乃。是非、お話に付き合わせて下さい」

【少女の性格からして、その言葉を放つだけでも緊張の表情を浮かべて居た理由が分かる。だから尚の事、嬉しかったのだろう】
【修道女…………それ以前に、一人の少女。人が滅多に訪れる事の無いこの場に居続けるのは、やはり心細いもの】
【笑みに対して、同じく笑みを浮かべて。嫌味でも無い、純粋な笑み。謂わば、友達と笑い合う時と同じ其れ】


【少し空けた距離。然れど隣に座れば少女の語る話には一つ一つ相槌を打って、実に分かり易い喜怒哀楽を示した】
【大会の話では驚いた様を見せるも祝福したり、経験のない学園祭について問うてみたり】
【――――其れより先、愚痴については恨みがましい視線を送ったり子供の様に拗ねたりと、“少女”としてのカログリアを見せて】
【対して修道女の語る近況は、小さな家族が増えた事や、友人が増えた事、成長の兆しが見えない事等々――――驚く様なものでも無いけれど、其れはそれで味が有るか】
【少し時間が経てば奥の方からハムスターの様な小さな魔獣が走り寄って来て、修道女の頭に乗ったかと思えば丸くなり】
【謂わば、これがその家族であると伝えるのだろう】

【――――さて、楽しければ楽しい程に時間が経つのは早いもの。別れの時になったならば、扉の前まで着いていき】


「…………佳乃、今日は本当に有り難う御座いました
友達と話すのも久しぶりでしたから――――とても、楽しい時間を過ごすことが出来ました
佳乃が良ければ、また…………また、“偶然”此処を訪れて下さい
その時には、もっと楽しい話を用意していますから――――ですから、約束、ですよ?」

【銀の瞳に穏やかな色合いを浮かべて。名残惜しい、けれど別れは必ず訪れるものだから】
【また何時か会いましょう。何気ない約束で、友人同士であれば変哲も無い言葉】
【だけれど――――この少女からすれば。修道女からすれば、とても重要な言葉で、約束で】
【指切りに伸ばした手――――思い出したかの様に降ろしたならば、誤魔化すようにクスリと小さく笑うのだろう】

【――――少女が教会を去って、扉が締まるのはその姿が闇に消える頃】
【その背中をしっかりと見送れば、寂れた扉の閉まる音が響いて――――やがては、打って変わって静寂が包み込むのだろう】

/この辺りでしょうか……!
/お相手、有り難う御座いましたですよー!
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 05:51:04.00 ID:oHLiJjZ8o
>>206

【少しばかりの距離は、互いの思いやりの具現でもあって。それに身を委ね、夢中になって話を交わすうち、時間はすぐに過ぎていった】
【そして――――それはちょうど、佳乃が幼馴染の少年の話をしようとした時だっただろうか。鞄の中で、小さく振動するものがあった】
【鞄に手が差し入れられれば、現行機種からかなり型落ちする、古めかしい折り畳み式の携帯電話が取り出される】
【機械はあまり得意ではないらしく、佳乃は拙い手つきでそれを操作して…………短くて形のいい眉が、ふと残念そうに寄せられる】

…………まだ、話し足りないけれど。今日はこれでお開きみたいね。

【いつの間にか、少女が一人で出歩くには危険な時間となっていた。恐らく、家族から心配のメールでも届いたのだろう】
【佳乃はすっと立ち上がり、そこで一度、カログリアの顔と――――その上に乗った家族≠見やって微笑ましげに笑うと、入り口へ歩き出す】
【自分の話を聞いてもらって、そしてカログリアの話を聞いて。それで色々と整理もつけられたのか、表情もどこか晴れやかなものに変わっているだろう】

これ…………あげるわ。
学校で作らされたはいいけれど、どうせ渡す相手もいなかったし…………。

【入り口から一歩踏み出したところで、佳乃はふと振り返る。鞄から長い紙切れを取り出して、カログリアへ手渡すだろうか】
【『レイリスフィード学園』と『学園祭』という単語が特に目を引くそれ――――佳乃が話していた学園祭で使える、無料券のようだ】
【文字通り模擬店などの有料の出し物を無料で利用できる券で、渡したものは十枚綴りになっているため、結構な回数楽しめそうである】
【自分で使ってもいいし、別の人物に譲ってもいい。勿論、使わず保管しておいても構わない。どんな扱いをするにせよ、それはカログリアの自由だ】
【…………ここに来たのは偶然という割に、準備よくこんなものを持っていたのは何故なのか。それを聞いても多分、佳乃は頬を赤らめてはぐらかすだろうけれど】


ええ、また暇になったら適当に顔を出すわ。
それじゃ、カログリア――――次は、お茶でもしましょうか。

【そうして、佳乃は…………差し出されかけた小指に、自分も小指を上げて応えるだろうか】
【か細い二人の少女の指が繋がれることは、まだない。けれど、そこに託した約束はしかと届けられたのだろう】
【そして別れの言葉もまた、なかった。一度はまたねと別れても、こうして本当にまた会えたのだ。もう何も言わずとも、きっと何度でも再会できると信じて】
【後腐れはなく、ただ楽しさだけが残る。大事な友もそうであるといいなと、佳乃は柄にもないことを考えながら、静かに教会の敷地を出ていった――――】

【からころ、からころ…………と、下駄の音がどこか楽しげに踊る】
【それが儚く、宵闇に溶けて消えても――――その音色が、ずっと友の心に刻まれることを願って】
【幸徳井佳乃の姿もまた、穏やかな冬の夜道の先へと消えていくのだった】


/こんな早朝までお付き合い頂き、本当にありがとうございましたー!
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/23(土) 10:14:21.37 ID:NDPHSwny0
【鉄の国――M.N.U国境要塞付近】

【あそこには鉄の国自慢の要塞がある】
【だがあの荘厳をほこった要塞も各部がぼろぼろだ】
【無論内部も破壊の後が多く復旧には時間を要すほどに】
【だからだろうか、要塞からは復旧工事の音が連日連夜響いていた】

【そしてその要塞付近に一人の男がいた】
【だるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】

【その男は要塞を見てため息をこぼしまた要塞を見た】
【この要塞も前とは見る影もないなとも思いつつ】

復旧に忙しそうなもんだ、まあそれも当然か
だがこんな巨大要塞の復旧予算もどれだけのもんになるかわからんがね

【男はけだるそうに言葉を作って言った】
【だが、この要塞で戦ったことも思い出し一瞬表情をゆがませる】
 
しっかしまあ、この要塞で自分の相手したやつ
どうなったんだろうな、まあ助かったのか死んだのかのどちらだろうが
まあ、どうでもいいか助かったのならまた戦うだろうしな

【男は表情を変えずに、言った】
【所詮は敵同士、そんなに心配しても意味もないと】
【そして、サングラスを少しはずして、要塞を見て、サングラスを元に戻した】
【この行為には特別意味がなくただ、やりたかっただけだ】

【もしこの場所に人が来たのなら、この男を見つけることになりであろう】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 14:54:56.60 ID:18bnDg19o
【路地裏】
【昼間でも薄暗く治安の悪いそこは常に悪意に満ち溢れて】

――――――ずつづズ、つズづずずズ

【静かな路地裏に液体を啜る不快な音が微かに響く】
【そこにいるのは二つの人影】
【一つは女性、しかし既に事切れていて力なく地面に横たわっていた】

【もう一方の人物は体格からして恐らく男性と考えられる】
【男は女性に覆いかぶさるようにその場に座り込んで女性の首筋に頭を寄せていた】

―――づズずつ――ズずつつずづ

【不快な音は止むことなく響き続ける】

【男はフード付きの暗緑色の作業着を着込み両手には白手袋】
【深くフードを被っているため男の顔も男が死体の首筋に顔を近づけ何をしているのかも傍からはわからない】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/23(土) 17:41:53.89 ID:Qw4UzSuMo
【如月が真剣を抜き去り、もう半月ほどがすぎた。】
【彼女がもう一度剣士として歩み始めたのは他でもない。某日、とある剣客とあったからである。】
【自分と同じような―――いや、ここまで似ているのも珍しい。その剣士は中邑と言った。彼に感化されてのことだった。】
【刀をとったからと言って、しかし、如月には決定的に不足している物があった。それを補いそして見つけるために今も尚流浪を続けている。】
【先日も、その過程で「夜の国」へと足を進めた。もっとも、これには僅かばかりの不穏な噂が耳に入ったということもある。】
【そこで「機関」の雑兵数人と斬り合い、こうしてまた戻ってきたわけだ。】
【彼女が「水の国」へとようやくたどり着いたのはそう言う所以があった―――――――――。】

【場所は大会会場。】
【広大なフィールドに、如月は立っていた。時折通気口から吹く風が長髪を揺らしている。】
【年齢にして成人を少しすぎたくらいであろうか。その長い髪は後ろで一つ結びにし、黒の中に僅かな青色が混ざっている。】
【まるで雨のように深く暗い色合いの藍色の羽織を袖を通さずに着込み、その下はゆるやかな和装のような格好である。暗い色が多い中で、燃えるような赤色の帯が印象的だ。】
【左腰には二振りの刀―――太刀と脇差しが差し込まれていた。とはいえ体格や背格好は従来の剣士とは違う。】
【彼らほど屈強ではないし、線も細かった。「しなる」ような動きを得意とするからだとでも云えば分かりやすいかもしれない。】


「……ふーむ、腕試しに参加してみようと思ったのだが、運悪く開催していないときている。」


【如月の仕草の中には、どこにも「能力」による依存を見出すことができなかった。勘の鋭いものなら分かるかもしれない。】
【摺るような足捌き、ゆとりのある両腰。どこをどうとっても、異能の気配を感じ取ることができなかった。】
【高いレベルで「隠している」のではない。先天的/後天的に関わらず、体内体外どこにも「元々持ち合わせていない」ようである。】

【会場は閑散としていた。僅かな塵が宙を舞う。熱狂に包まれるであろう観客席も、今現在人影が見えない。】
【飛び入りでもいいから参加しようと―――模擬戦/死合の一つでも行おうと思ったのだが、どうやら当てが外れたようである。】


「どうしたものかね……もう少しぶらぶらするかそれとも…」


【不意に、誰かの気配を感じたようで。】
【切れ長の、まるで月のような琥珀色の瞳をそちらに向け振り返る――――――――――――――――――。】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 20:00:40.98 ID:XvyMvEVj0
【――――――――絶望は、常に天から降り注ぐ】
【古代に謳われた『滅び』は、常に空の彼方から齎されてきた。例を上げようとすれば、それこそ枚挙に暇がないだろう】
【全てを焼き尽くす火の玉。神の怒りたる雷光。星の世界からの侵略者――――それは、人が想った空への憧憬の、裏返しだったのかもしれない】

……先遣隊は、上手くやってくれているはずじゃよ
よしんばダメだとしても、機体を放棄して脱出すれば良い……元が輸送機じゃ、落とされても金以外どうって事はないわい……!

【空へ至る道を手に入れた今でも、そこは人にとっては畏怖の対象である。だが同時に、人の浅ましさが空へと手を掛ける】
【神聖であるはずのそこは今、人間同士の殺し合いに利用される舞台装置と化していた】
【人は空を、自ら絶望に染める事すら厭わなくなった。神の座から人に滅びを齎す者は、神の法悦を味わうのだろうか】

この街に、わしの覇道を見せてやろう……あの街を、死に沈める事でのぉ……!
――――さあ行け! 機関の覇道を切り開くのは、お主たちじゃよ!

【――――もっとも、見上げる側にとってすれば、どちらでも変わらない事なのかもしれない】
【相手が人だろうと神だろうと、自分たちの滅びという結果は同じなのだから。そこに、聖なる憧憬などもうないのだから】

――――皮も肉も溶け、尚も叫びと共にのたうち回るその姿、最後まで見届けてやるわぁぁッッ!!
ヌァハァァァァッハッハッハッハハハハハハハ――――――――ァッ!!

【――――――――――――――――――――鉄の翼が地より飛び立つ。その満身に死毒を漲らせながら――――――――――――――――――――】



【――――雷の国 『ブレザシティ』】
【その郊外は今、雷の国と機関の両軍の衝突する戦場と化していた。自宅で息を潜める住民たちにも、あわただしく通過する国軍や遠くからの戦闘音が確認できる】
【戦場では、正に激戦が繰り広げられていた。国軍の砲弾が機関の兵士を四散させ、機関の生物兵器が国軍兵士の腕を食いちぎり――――】
【『ブレザシティ』内部に残る部隊もまた、前線への指揮と状況確認に追われていた】

「――――……敵はどうやら、改造生物を主体とした攻撃部隊を編成している様です。特に『熊』が厄介だと」
「特定状況でほぼ戦車1台分の戦力となり得る改造生物だと……あの悪魔どもが……!」

【彼らにとっても、目の前の戦況は他人事ではない。もし守りを突破された時には、自分たちが戦わなければならないのだから】
【だが、それでもどこか達眼視していた面があったのかもしれない――――飛び込んできた2つの情報が、国軍にそれを思い知らせた】

「――――大変です! 敵大型航空機が接近! 『ブレザシティ』への直進ルートを進んでいます! 到達は約40分後!」
「!? ……地上戦力はフェイクと言う事か……! 各対空車両や対空陣地に通達! 敵航空機への攻撃準備を――――――――!」
「報告!! 市内各地にて敵の攻撃を確認!! ミサイル陣地や対空車両基地が攻撃を受けています!!」
「ッッ!! しまった……『熊』の戦力に気を取られ過ぎたんだ……地上の敵の攻撃は丸々陽動だ!!」

【機関の策にはまり、分断される戦力。自分たちが迂闊な行動を取っていた事に国軍は気づくも、もう遅かった】
【勝算が100%とは言えないこれからの采配には、『ブレザシティ』の全人命が懸っている】

「…………すぐに能力者各位に連絡! こちらから指示する場所の敵を撃退し、対空装備を可能な限り守れと!」
「了解!」
「…………どうか、頼むぞ…………ッ!」

【――――機関軍に背を向ける形になる以上、前線を後退させる事は出来ず、どこに機関の手勢が潜んでいるか分からない以上、住民を避難させる事も出来なかった】
【残る対抗策はただ1つ――――ここから実力で巻き返し、都市を守り切る事。1つの街の運命は、『ブレザシティ』内に待機していた能力者たちの双肩に懸っていた】

/これよりイベントを開始します。侵攻側の方は投下を開始してください
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 20:01:28.82 ID:XvyMvEVj0
【――――――――『ブレザシティ』中東部 対『セードムシティ』前線司令本部】

【同時多発的に発生した、機関の侵入部隊による『ブレザシティ』内部での戦闘は、ここでも繰り広げられていた】
【機能を麻痺させる事により、機関の攻撃の本命である、空からの薬品散布を成功させる為に】
【『ブレザシティ』の国軍の中枢であるここもまた、戦場と化していた】

――――甘いっ、そこ!!
「……僕と、お前らじゃ、無駄……!」
<ヒャハハーーーァィ!!>

【叩き伏せられていく――――防備に当たっていた雷の国の兵たちが、たった3人の手勢に押しこまれていた】

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女と】

【ブロンド色のさらさらした髪を短く切り揃え、炭団の様に濁った灰色の瞳をした】
【首筋に、逆五芒星の刻印を刻みつけている、身長130cm前後の少年と】

【短いボブカットの赤髪に、奇妙な笑みに近い表情を見せる、ぎらついた紅色の瞳をした】
【右の頬に、逆五芒星の刻印が刻みつけられている、身長160cm前後の少女】

【それぞれに、身の丈に合わせて設えられたと思しき、ハードレザーとソフトレザーを組み合わせた黒いスーツで全身を覆っている】

【――――東洋系の少女の肩と腰、そこからは機械の砲台が展開され、ジャッ――――という中低音と共に、ビームが薙ぎ払われる】
【そのビームは、確実に兵の胴体を貫き、あるいはカメラや機銃を破壊していく】
【一行の中の唯一の少年は、指先から不思議な泡を放ち、兵士たちに吹き付ける。泡を喰らった兵士たちは、その直後に血肉と共に破裂して果てる】
【その身には既に数発の弾丸が撃ち込まれているにも関わらず、大して堪えた様子もなく、尚も歩を進めて】
【赤髪の少女は、壊れた笑みを更に輝かせながら、背中から細い翼の様なものを展開し、空を高速で飛行する】
【そして、その動きに翻弄された兵士たちを、1人、また1人と、手に持っている刃で切り裂いていった】

……さあ、時間はそんなに無いわ! 敵の虚をつけてる内に、さっさと爆破に掛かるわよ!
「……こいつら、油断、しすぎ……」
<ンェ?>
……まぁ、ほどほどにね? 今は作戦の成功が最優先。じゃないと……下手したら、私たちみんな巻き込まれて、死ぬ事になるのよ?
……でもま、少しくらいなら良いか……

【いつの間に確保したのか――――赤髪の少女の左手には、一握の肉塊が握り締められており、それを口へと運んで頬張っている】
【その様に苦笑しながらも、東洋系の少女もまた、兵士の左手首を引きちぎると、その指を食いちぎって咀嚼に掛かる】
【まるで、ジャンクフードでも気軽に食べる様に、彼らは人間の一部をその口に放り込んでいた】

――――ここを爆破しちゃえば、各陣地も余計混乱して、やりやすくなるはず……さあ、行くわよ!
「うん、分かってる、シュバルツガイスト……!」
<アウッ!!>

【鋼鉄の腕で口元をぬぐいながら、一行に発破をかける東洋系の少女。それに従い、残る2人も歩を進め始めた】
【――――まるで無人の野を行くかの如く。彼らの侵攻は、一般兵ではもはや止め様がない様だった】
【1つの都市を死へと還す手はず。それを止めるには、彼らの侵攻を止めなければならないだろう――――】

/こちら主催です。ねこむら、ミドナのお二方、よろしくお願いしますー!
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 20:09:04.16 ID:h6cVIIwXo

──────!

【鈍い音が振動と共に、壁を地面を空気を駆け巡る】

【断続的に、連続的に、継続的に】

【何度も何度も、執拗に呪いの釘を打つ様に、不気味な路地裏に響き続ける】

……!

【青年が、拳を壁に只管打ち続けていた】
【血溜まりと死体の中で、壁と拳の間には人形の様に力の抜けた人間を押さえ付けて】
【最早原型の無くなった人間の顔面を、鬼気迫る表情で殴り続ける拳は、粘つく血で赤く染まる】

【後ろにツンツンした紅髪、隈の深く目付きの悪い三白眼、口元を隠す長い紅いマフラーを双翼が如くたなびかせる】
【ライダースと指貫手袋を着用し、バックルが特徴的なベルトを巻いて、赤い模様の黒いブーツを履いた青年だ】

【ずるり、殴る手を止めると、投げ捨てた死体の向こうの壁にはヒビが入っていて、拳に込められた力が伺える】
【───まだ生きている者はいないか。怪物が人間をそうするように、青年は鋭い眼で辺りを見回した】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/23(土) 20:20:43.15 ID:NDPHSwny0
【『ブレザシティ』西部 第2仮設火器保管庫】

【雷の国国軍の装備が収容されている保管庫、ここには雷の国軍装備がある場所】
【その場所には今、カノッサ機関の少数の部隊がいる、雷の国軍の守備を突破して】
【そして、この部隊の司令官ともいえる男がいた】

【戦闘服を着用し、ゴーグルをつけている】
【袖口にはカノッサ機関の逆五芒星が刻まれている】   

 突破できたかとはいえすぐに援軍が来るか
 ……ふむ、お前たちは軍部隊の足止めを、自分は本命に行く
「はっ!」

【そのように男は指示をとばした、そしてその指示を受けた機関戦闘員たちは散ってゆく】
【そしてその場所には男が一人残った】

 さてと、さっさと仕込みをしてここを爆破するとしよう
 ……依頼を受けた能力者たちに妨害されるかもしれんしな

【男は言って服からあるものを取り出した】
【時限爆弾そのようなものだ、もしこの男を止めなければ爆弾をセットするであろう】
【だが、まだ保管庫にはある程度距離があった】

/バッド・E中身です、シーナのかたよろしくお願いします
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/23(土) 20:26:55.31 ID:Tw7uZxogo
【ブレザシティ東部――ルート245 軍事連絡路】
【平素は幹線道路となるここも、戦時下とあっては軍用の連絡路と化していた】

【とはいえ状況が状況で、戦略的価値も高くはない。故に、国軍の警備も薄く】
【先ほどから此処に響くのは幾つかの音だけ。息遣い、足音、鈍器の音、倒れる音】
【誰かがただでさえ手薄な警備の兵士らを、物陰から次々に襲っていたのである】

【――事は直ぐに片付いた。ふらりと、車も誰も通りはしない道路に現れるのは――少女】
【歳は10代後半。戦闘服の上に汚れた白衣を着込んだ藤色の瞳の人物である】
【こういう場所で、そういうことをするということは――数字もマークも見えないが、機関側なのだろう】

っ……なんとか片が付きました。案外に手薄、そして作戦範囲が広い……。
同時に爆弾の設置も進めて正解でありますね。良い判断だったと自負致します。

……しかし、ここで止まっては。ダグラス殿が与えて下さった機会、生かさねばなりません
聞く所によれば指揮官であるグラトン様は、様々な研究に付いてお詳しいとか。
ともあれば此処で名を上げ戦果を上げ、確実に功績を積み、見留めて頂かなければ……!

【小さく言葉を漏らしながら、彼女はやや離れた位置に止められた一台の白いバンに向かっていた】
【見ればそこには誰がどう見ても爆弾の起爆装置≠セと思われる、T字型の装置が置かれ】
【そこからは導火線が他方へ伸びていて、更に視線で追っていけば、そこには爆弾が設置されている】

【ひとつ、ふたつ――数えていけば20は超える。すさまじい数の爆薬が、そこら一体に設置されていた】
【チカチカと光る様子は息衝くかの如く。もし強い衝撃を与えれば、起爆装置なしでも爆発しそうにも思え】

【――少女はそこを目指して「タッ、タッ、タッ」と駆けていた。その動作、些か隙が見て取れたが】
【手には凶器らしいハンマーが一振り。シンとしたこの道路に、不穏な音があふれ始めていた―――。】

/遅くなって申し訳ありません、こちらケミッシュです。
/ヘケメトの方、本日はどうぞよろしくお願いしますっ!
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 20:32:57.03 ID:bb8WeVYn0
>>212


【雷の国、―――対『セードムシティ』前線司令本部】


【―――雷の国がカノッサの占拠を喫した日から、四ヶ月。然し其の意図する所は分からぬまま、で。】
【三万人もの人命を残したセードムシティの為に指令本部が創設されたのは、其処に隣接する都市、ブレザシティ。】
【今回のカノッサは"ブレザシティ壊滅のための軍事行動"を取るらしい。本部が出来たのなら其れを叩くまで、当然の事だった。】

【侵攻ではない、―――"壊滅"、である。再びカノッサを許せば、今度はセードムシティの其れとは比較にならない程の被害が発生するのだろう。】
【とすれば、万難を排してでも死守しなくてはならない。数多もの兵に加え、正義に燃ゆる能力者達が、一堂に集結した―――!】

【ブレザシティの中核の中核である指令本部は当然、突き刺さる様な緊張感が一帯に張り詰めていた……が。】
【然し突如響いたのは、随分と腑抜けた緊張の無い話し声。其の持ち主はどうやら、たった一人の少年。】
【右手を耳に掛けている事から、或いは話が断片的である事から、其れが電話での物だという事は容易に分かるだろう。】


『……あ?……だから、大丈夫だっつってんだろーが。』

『………いーや、それもねーよ。天才だぜ、俺。』

『……おう、守ってやっから。……もう切るぞ。』


【初めは相手に少々怒りを見せていたが。何かに気づけば、急に焦った様、電話を切って。】
【スマホをポケットの中へと押し込めば、其の侭。少年は一歩一歩、足音を鳴らしながら歩き出して―――。】

【不気味な光に照らされ次第に姿を表わすのは、黒みがかった赤のオーバーコート。次いで、髑髏の様な模様のバックルの付いたベルトに、ブラックパンツ。】
【真っ黒な革製のブーツは心地良い旋律を奏で。両手には黒いグローブ、右手の薬指に光るのは―――どうやら、銀の指輪。】
【其の道に長けているならば。其の放つ独特の周波から、其処には"防御魔法"が込められている事が分かるだろう。】

【然し最も特徴的なのは、彼の髪、艶やかな銀色をしている事。又惹き込まれそうな程紅い色の眼をしているのも、其れなり、であって、】
【身長にすると167cm程度。鼻筋の通った凛々しい顔は、年齢にしては大人びて居るが―――其処に佇むのは、未だ何処かあどけなさを残す16歳の少年だった。】

【仄かに両手が赤色に瞬いた。少年は此の一方的な戦況に一矢報わんと、五芳星を纏った三人の元へ、矢張りフラフラと歩き出した。】


……おめーら。………下らねー相手ばっか、そろそろつまんねー頃だろ。………相手してやんよ、此の天才が。

―――……ほら、やろーぜ。


【異常なカニバリズム等一切として気に留める事無く。少年は寧ろ、口角を微かに引き上げ、ニヤッとした表情を見せた。】
【初撃を加えんと向かう様子も、或いは構えた素振りも、微塵に見せないまま。只"戦闘の意思"を徐ろに表し、三人組に対峙した―――。】


/ねこむらです!
/主催者様、ミドナの方、本日は宜しくお願い致します!
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/23(土) 20:35:06.60 ID:oHLiJjZ8o
>>212

【雷の国――――『ブレザシティ』】
【非道のカノッサへ一撃を加えるべく、その街で雌伏の時を過ごしていた雷の国国軍。それが今や敵に先手を打たれ、一転して鉄火場となっていた】
【機関兵と防衛軍が砲火を交わし、能力者たちはあちこちで刃を交える。そんな修羅場の中――――場所は、『ブレザシティ』中東部の司令本部前へ移り変わる】
【そこで暴虐の限りを尽くす、悪≠掲げた三人の能力者たち。その圧倒的な力の前に、防衛軍だけではもはや防ぎきることは出来ず――――】


              《 阿修羅ノ御手( マハー・ハスタ・アスラ )》ッ!!
  

【――――絶望は、常に天から降り注ぐ。そしてそれを人間に齎すのは、得てして神の怒り≠ナあった】
【歩みを進めようとした三人の上に、ふと陰が浮かぶだろうか。それも、ただの陰ではない――――人間の陰?】
【否。朱色に輝く六本腕≠持つ生物を、人間とは呼べないだろう。ならばそれは、三人へ鉄槌を管さんとする阿修羅≠フ陰であって――――】
【刹那、体を大きく捻って引き絞った膂力と重力の力が合わさり、岩をも砕く威力を得た三つの拳≠ェ、三人の目の前の地面を炸裂させるだろう!】
【大味なジャンプ攻撃だ、拳自体をかわすのは簡単だが、飛び散る瓦礫には対処しなければなるまい】

【そしてそれがどんな成果を齎すかに関わらず、その人陰は巻き上がった土煙の中、ひどくご機嫌そうな様子で声を転がした】

――――どーやら、あたしが一番乗りみたいね。
アサドー、そっちの処理は任せるわ。あたしはここで――――本丸≠守らせてもらうから。

【やがて、土煙が晴れると。そこには、朱色に輝く右手で無線機をしまい込み、三人に不敵な笑みを浮かべる女性の姿があるだろうか】
【それは、やや赤色の入った白髪が褐色の肌によく映える、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の女性であって――――】
【髪型は活発な印象のセミロングで、長い後ろ髪をたてがみのようにハネさせたワイルドなアレンジが加えられている】
【服装もまたワイルドなもので、上はへそ出しの真っ赤なチューブトップと、白色で丈の短いファー付きコート】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツという、露出度が高くて少々目のやり場に困る格好だ】
【腰を囲うように鉄製の腰当てがベルトで固定されていて、その腰当ての上部には何やらリングのようなものが複数はめ込まれている】
【ベルスリーブのコート袖から僅かに覗く手にはバンテージが巻かれており、それも彼女の野性的な印象を強くしているだろうか】

さぁて…………あんたら。随分好き勝手やってくれたじゃない?
こっから先には行かせない――――今度は、こっちが暴れる番よ!!

【ぱん、と。女性が胸の前で拳を鳴らすと、その左袖の部分に大きく刺繍されたSCARLET≠フエンブレムが目を引くだろうか】
【獲物を前にした肉食獣のように舌なめずりをする、女性の背後では――――人とは思えぬ朱色の輝きを放つ、四本の腕が伸びている】
【手首と肩に美麗な宝飾の装身具を巻いた、朱色のエネルギーで構成された腕だ。本人の腕もまた朱色の光を帯びて、人ならざる六本腕≠ェゆらりと構えられるだろう】

【守るべきものを守るために戦い、討ち果てていった戦士たちの死骸を、その背後に背負い】
【悪≠フ紋章をその身に刻んだ者たちに神の怒りを下すべく、戦神のごとき朱色の女性が、その拳を振り翳した】

/こちらはミドナです〜
/主催者様、ねこむらの方、よろしくお願いします!


218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 20:37:41.94 ID:OaeJwvVQo
>>214

【保管庫は男を除き静寂に満ちていた】
【人間の気配はなく、見渡せど影も形も見当たらない】
【危惧していた能力者は、この場所に配備されていないのか】
【もし何事もなかったならば、このまま男は任務を完遂することになるが――】

【気づくであろうか、突如として男から左右30cmほどの位置】
【其処の床が小さく歪み変形する】
【床の構成が分解され、粒子状になって形を組み換え】
【それは成人男性の腕のようになって顕現され、左右から男の足首付近を掴もうとする】


「ククク……私の護る領域に足を踏み入れるとは、運の悪いやつなのだ!」
「貴様に恨みはないが、私の偉大なる野望の糧になるがよい!」


【それと同時に、男から見て正面……約3mほどの位置の地面から】
【ぬぅ……と滑り出るようにして大きな人影が姿を現す】

【身長の頃190cmを超えるであろうか、筋肉質な分厚い体を漆黒の外套で包み】
【鈍く銀色に光るバトルハンマーを右手に持ち】
【肩には漫画のフキダシのボードを付けた大男だ】

【声を発することはできないのか、口元を布で覆っており】
【代わりにボードに張り付いた細かい粒子のようなものが蠢いて文字を形成、台詞として表している】
【どう見ても常人ではない、奇怪な容貌をした人物であった】

【恐らくこの人物が保管庫を護る"能力者"とみて、間違いはないだろう】

【先に生成された"腕"は、奇襲性は高いが動きは然程早くはなく】
【硬度は土を固めた程度……相応の行動であれば破壊することも回避することも難しくはないだろう】
【しかし腕の行動通してしまったならば、その場で足を固定されてしまう可能性がある】

/シーナです。本日はよろしくお願いしますね!
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/23(土) 20:46:02.81 ID:t67SljwDo
>>215

{良いか、今日の相手は俺達じゃあないからな、攻めてきた奴らだからな、良いな、わかってるな!}
「ヘッキャァーッ!」 「戦いだァーッ!!」 『……はぁ…………』
{ほ、ほら、不穏な音が聞こえてきただろ、なっ、じゃあ俺はあっち言って仲間と戦うからよ、お前はここで待機だ} 「やだァー」

【ある所に3人の者がいた】
【1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】
【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

{――ぎゃあああ!}

【そして、もう一人はどうやら雷の国の軍に所属する者の一人の様で――仲間の元へ向かったのだが、時既に遅し】
【彼もまた、他の一般兵の様にしてやられてしまったのだった】


【――それから遅れてやってくる二つの影は、少女の目にも入るだろう】

「――――待てるかァーッ!」 「ヘケケケ、見つけたぞ……」

【少女を捉える、その男の視線は――正義に燃えてはおらず、しかし猛獣が獲物を発見した時のように輝いていた】
【一方女性の方は、辺りに多量の爆薬があることに気が付いて――】

『……ヘケメト、あなたはあの女性の方へ向かってください』 「ヘケケケ、言われなくても行くぜェーッ!!」
『なるべく周りに衝撃を与えずに戦ってくださいね』 「ヘッキャァーッ!」 『……大丈夫なのでしょうか』

【――少女のもとに勢い良く駆けて来る男、起爆装置に向かう方向や少女の身体能力にもよるが】
【その駆ける速度は中々のモノ。もし接近に成功したならば――】

「おりゃアァーッ、逃げんじゃアーねェーぜッ!!」 『――"サーチング・サポート"……あちらはヘケメトに任せましょう』

【駆ける勢いのまま跳躍し、少女の胴体部目掛けて勢い良く拳を振り下ろすッ!】
【横幅の広いその身体の見た目通り、常人よりも高い力を持っているようで、】 【拳の力も、それ相応。】
【――だが、足音はするし、声もそれだけで爆薬が爆発しそうなレベルで大きい。故に動きは読める】

【一方女性の方は、"爆薬の無効化"をすべく――まずは、その数・位置を把握することにしたようで、その為の技を使い始める】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/23(土) 20:46:43.56 ID:t67SljwDo
>>219
/抜けましたが、ヘケメト&アウです、よろしくお願いいたします。
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/23(土) 20:48:58.77 ID:9j+NFJ0no
【『ブレザシティ』北西部 仮設ミサイル陣地】

【広大な陣地は、『ブレザシティ』の守りの要の一つであり、平素から張りつめた空気が漂っているであろう場所だ】
【増して、今ここは戦場である。狂気と死が暴れ狂う悪夢の具現。すでに死臭が充満しつつある】


【『セードムシティ』に向いていた大小12基のミサイルは、本来ならこの地に迫りくる空よりの脅威にも対抗しうる可能性もあったはずが】
【今なお、沈黙を守っていた。すでに、機関の戦力がこの場にも差し向けられていたのだ】

【広い陣地の各所で戦闘の音が鳴り響き、銃声が、怒号が、こだまする】
【機関兵らと国軍がミサイルを巡って繰り広げる激戦の音が、陣地そのものを揺らがせているかのようだ】
【不意を突いたこともあって機関側が優勢であるようだが、国軍もかなり粘っている。12のミサイルは、沈黙はしているものの未だ破壊されてはいない】


『ったく、ずいぶんと粘りやがるな連中も!! おい、突破急げ!!』
「手薄になった部分に集中して人員を回せ!! 敵に体勢を立て直す暇を与えるな!!!」

【ミサイル陣地を攻撃している機関兵たちに指示を飛ばしている男たち。彼らがミサイル陣地攻略の指揮官か】
【それは、一つの身体に二つの頭と四本の腕を持つ、異形の男たちだった。一人分の肉体に二人の人間が同居しているのだ】

【向かって右側の頭は、ほっそりした顔つき。落ちくぼんだ目に白く濁った瞳。長い白髪を後ろで一つに束ねている】
【向かって左側の頭は、がっしりした顔つき。吊り上がった目に爛々と光る黒い瞳。短い黒髪をボサボサに乱している】
【四本の腕は、本来の腕の位置からは青白く細い腕が、脇の下あたりからは、浅黒く筋肉質な腕が伸びている形だ】

【四つの袖口がついた特別あつらえの戦闘服は、中央から向かって右が白、左が黒に色分けされている】
【戦闘服の両胸トには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ、No.50≠ニ刺繍されていた】


『よし!! ここは十分だ、お前らは向こうに回れ!! 連中、グラトンさんの“本命”に勘付いたらしい!!』
「何としてもミサイルをここで釘付けにするのだ!! ウルバヌス博士の邪魔を許すな!!」

【続けざまに飛ばされる指示に従って、機関兵たちが陣地内に散っていく】
【さらに、白い方の頭が無線機に向かい、別の場所にいる機関兵に指示を飛ばす】

「まずは奥のミサイルからだ。準備ができ次第、“本命”から十分離れた上空に飛ばして自爆させる。弾道の再確認をしろ」
『急げよ、そろそろ連中が対抗戦力を連れて……ああ!? 援軍だと!! くそったれ!!!』

【横から口を出しかけた黒い頭が吠える。どうやら、国軍がミサイルの制御システムを乗っ取られないよう、さらに抵抗を強めたらしい】
【苛立ちを含んだ表情で、異形の双子が離れた場所にあるミサイル群へと目を向けた】


『こうなりゃ、この場で直接爆破してやるか!!? 兄貴よお!!』
「お前にしては悪くない案だ。爆薬を用意しよう」

【広大な陣地の地面に降り立ち、異形の双子はそばにあった軍用車両を乗っ取ろうと動く。これでミサイルのところまで向かい、直接爆破するつもりらしい】
【しかし、彼らの暴虐を食い止めるべく、この場に迫りつつある正義の気配には、まだ気づかずにいた】


/遅くなりました、デュアル兄弟です!! 朔夜さんの方、よろしくお願いします!!
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/23(土) 20:56:55.91 ID:NDPHSwny0
>>218

【男は生成された腕を見て、ここにはやはりいたと思う】
【だがやることは変わりはない、ただ任務は果たす、それだけだ】

 ちっ!

【男は生成された腕から素早く後方へと跳躍する】
【そして跳躍から着地をしたのなら素早くMA56という個人防衛火器を取り出す】
【そして男は大男を見る】
【大男は次に何を仕掛けてくるのかを警戒しつつも男は反撃をするつもりだ】
 
 やはり能力者がいたか
 だが、ここは突破させてもらおう!

【いうやいなや男はMA56のトリガーを引き発射する】
【発射された弾丸はばら撒くように発射され、大男に向かう】
【だが男はそのまま走りだしており、命中精度は悪く、早々にはあたりはしないか】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/23(土) 21:01:14.81 ID:Tw7uZxogo
>>219

(一般人……?いえ、それにしては随分と勢いがある、何より、あれは……――!)

逃げていない、ぐウっ……!……、…何者です?
名前年齢、性別…。いいえ、何よりも所属をお答えくださると助かるのですが――。

【視覚から入り、聴覚、触覚――全ての神経が、男の襲撃を予感させた】
【それ故にだろう。少女は見かけによらない動きでハンマーを腹部へ持ってきて】
【両手でそれを押さえることにより、拳を受け止めた。とは言え、流石にいくらか後退し】

【その状態から、ハンマーを相手に向け、名前やら、職やらを問いただすのである】
【見るからに国軍ではない。ではUTやSCARLETかといえばそうも思えず】

【一方で爆薬だが――数は24。路肩の車、電灯、路面に直接置かれているものもあれば】
【周囲のカフェや、公的な施設に仕込まれているものもあった。サイズは大小まちまちで】
【仮に起爆すれば、この道路は先ず使い物にならなくなる。そういう配置がされていた】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/23(土) 21:01:56.46 ID:mEivr6tI0
【『ブレザシティ』北部 第4車両基地】

【東西南北それぞれに設置されている車両基地には様々な軍事車両が存在し、装甲車、輸送車、自走砲、などが列をなしている】
【巨大な鋼鉄の塊は否応なしに強力な存在感を発揮し、味方に無償の安心を、敵には問答無用の恐怖を与える】

【今回の機関の目的でもある『対空兵装の破壊』の内である対空戦車も当然存在し、任務遂行のために参じた機関員がいた】

【雪のような白髪のツインテールで暗い紫の瞳を持つ女。首にはカノッサ機関員の証、白の逆五芒星のネックレス】
【頬には白く”No.139”の刺青があった】
【白のチューブトップに白のライダースジャケットを羽織り、白のホットパンツにヒールの高い白のロングブーツを履いている】
【その風貌から瞳の色が際立っている】

【ただ、女の存在感が最も際立たせているのは】

人間はよく”大事なのは外側ではなく中身だ”という言葉を使うが「私はこの言葉に疑問を感じる」[なぜなら人間は己を磨く場合、衣類、髪型、化粧]
<<はては自らの顔面を整形など、まず外側を磨く傾向があるからだ>>

【雪のような白髪のツインテールで暗い紫の瞳を持つ女。首にはカノッサ機関員の証、白の逆五芒星のネックレスを身につけ】
【頬には白く”No.139”の刺青があり】
【白のチューブトップに白のライダースジャケットを羽織り、白のホットパンツにヒールの高い白のロングブーツを履いた】
【女と全く同じ容姿をした人間が、まるで合わせ鏡から抜け出したかのように”4人”も存在しているということだ】

【それぞれがリレーで話しているのにもかかわらず、まるで一人の人間が話しているかのように”間”を感じさせなかった】

そんな人間が生み出したが故というべきか「或いは堅牢な装甲という信頼があるが故か」[この対空戦車というものに限らず]
<<軍事車両というのは中身が脆い。>>機器を破壊してしまえばそれだけで使い物にならなくなる

つまりだ「人間は」[内側より]<<外側を大事にする>>生き物かもしれないということだ

これは「矛盾」[している]<<と私は思うのだが……>>

【4人の女は一列に並び、背後に通達を受けて対空車両を用いようとやってきた雷の国の国軍の兵と思しき者達の死体を山にしていた】

                   「[<<なぁ、お前はこの疑問どう思う?>>]」

【この余りにも奇妙な場にやってきた能力者に対し、壁になるように、そこにいた】
【対空戦車には傷一つ無い。だが、いまだ一両たりとも出撃してはいなかった】

//端喰 音去の方、こちらトラウ・ヴァレンタイン中身です!遅れてすいません、今日はよろしくお願いします
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/23(土) 21:03:15.68 ID:YuK5c5Yg0
【ブレザシティ北部―――仮設レーダー基地、前方通路】

【郊外に位置する哨戒の要。数十分前までは慌しく、ただ為すべきことに殉じたがゆえの沈黙があって】
【静寂があった。けれど爆炎に門前の兵たちは引き裂かれ、嘗ての平穏を取り戻さんとする想いもろともに砕かれ散った。】
【骸がある。骸は音も立てず転がっている。語るべき言葉も潰えた無念も、もはや悉く朽ち果てて】

【地を舐める紅蓮が呑み込んで這えば。戦火に音すらもかき消されながら、軍服姿の肉塊は地上から消えた】
【能力者――――世の理すらも捻じ曲げ越えて、遥か上回る物量をも覆す凄烈な意志。】
【その稀有なる “力” のひとつが、この小要塞の前方に姿を現わしていた】

「やるね 『RL』 の生体兵器は。何度見ても壮観だ―――― 一方的過ぎるのが玉に瑕だけど、ここからでも戦火がよく見える」

【ふわりとした深緋色の長髪、榛色の勝気な双眸、カーマインのマキシ丈の上質なワンピース・ドレス、】 
【豊満な胸元に揺れるのは銀の逆十字―― 中心に“機関”の紋章が刻印された、装飾的なチェーンを特徴とする首飾りだった】

【緋色の影が闇を歩む軽やかな音色は、生き残る僅かな軍人たちには死神の吐息にも等しい。走る緊張は、彼らの骨さえも凍らせて】


「さしあたってこの戦場だ。≪No.6≫の計画もある……。こんな程度じゃ終わらないよねぇ?

 もっと、もっとこの結末(さき)に進もう。壊れて引き裂いてばら撒いて、地獄の夜をこの空を溢れさす血で照らそう。
 
 さあ焼け爛れようかくだらない蠅ども――――――最高の終わりを叫ばせてやるよッ!」

【静かに歓喜し、狂おしく狂する。開け放たれた殺意が “残り” の兵たちを薙ぎ払って】
【哄笑―――獄炎が血に染まる月を照らし、骸を踏み越える足音は僅か十数メートル先に基地の見える距離へと続く 】

【白き人の肌と肉を持つ悪意の魔物は――――真に、この夜に存在を開始した】

【さて、もうひとつ “力” がこの区画にあるだろうか。未だ女は知覚しない。けれど、その力こそが鍵なのだ。】
【鋼鉄の塔を護る最後の砦――――――絶望の未来を塗り替えるため、願う “今” あるならば邪なる暴威を撃滅せよ】


/遅くなってすみません……侵攻側、ダリア・レオンフィールドです。ブラッグスの方、今宵はよろしくお願いします……!
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 21:08:42.93 ID:XvyMvEVj0
>>216

<……グゥッ!!>
……っ、来たようね……どうやら、それなりの相手が……!

【口にくわえていた肉片を投げ捨てて、3人は気配のする方へと向き直る】
【どこかマイペースで、人を食った様な雰囲気――――この場にこうした人間がいると言う事は、可能性は2つ】
【――――憐れみを覚えるレベルの馬鹿か、あるいは相応に自らの腕に自信のある相手。そのどちらかである】

……まぁ、つまらない相手に辟易してたってのは、そうだけどね……?
……お前もそうじゃないって、証明できるのかしら……!?
「……僕が、目玉、食ってやる……!」

【そうして現われた、銀髪の少年。どうやら確認するまでもなく、彼は『後者』の方――――確信的な力と意志とを以って、自分たちの妨害に掛かってきた存在なのだろう】
【どう戦うか。その手の内はほとんど明かされない。軽い風を装いながら、3人はそっと新たなる敵に対して身構える――――】



>>217

……んッ!?
<……ナッ!?>
「!! みんな、避けて、何か来る!!」

【そこへ――――全くの予想外と言って良かった。上からの攻撃】
【咄嗟に3人はそれぞれに飛び退く。が、そこに砕かれた地面のかけらが吹き飛んできて】

……えぇい!!
「……ッッ!!」
<ヒャハァ!!>

【――――東洋系の少女は、鋼鉄と化したその腕で瓦礫を砕く。拳を真っ向から当てられた瓦礫は、その場で粉砕されて】
【少年は、両手を交差させて瓦礫を受ける体勢をつくる。そのままでは、重量差で押し込まれてしまう様なものだが】
【その両腕は、いつの間にか蟹の様な、外骨格状の固い何かに姿を変えていて、多少腕に傷がついたが、瓦礫を受け止めきってその場に踏ん張った】
【そして赤髪の少女は、腰のコントロールボックスを操作。背中の翼を噴射させ、その身ごと一気に後方へと逃れる】
【どうやら、背中の翼は彼女の装備の1つらしい。生身に近いまま空を飛ぶ――――こんな場面でもなければ、人間の夢の1つが形になった、とでも言えるのだろうか?】

……SCARLET=c…やってくれるわね、寄せ集めの分際で……!
……いや、だからこそ……なのかしら? その力……そう言うのを集めてるって事……!

【そうして、飛来してきたそれが新たな敵である事を、3人は見た】
【そこに記されていたのは、紛れもない自分たちの敵――――超国家的な公安組織SCARLET≠フエンブレム】
【黒髪に涼しげな顔立ちの、一行のリーダー格と思しき少女の瞳に怒りの炎が灯った――――】

/続きます
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 21:08:55.24 ID:XvyMvEVj0
>>216>>217

――――ジ・エンブリオン! クロス・ザ・ルビコン!!
あなたたちはそっちの『男』をメインに捉えて!
私はこっちの『女』をメインに立ち回るから!!
<ウゥッ!!>
「……分かった、そっちも、気をつけて…………シュバルツガイスト!!」

【一行のリーダー――――シュバルツガイストが、残る2人――――ジ・エンブリオンとクロス・ザ・ルビコンへと指示を飛ばす】
>>217による初撃で、3人の立ち位置が多少バラけてしまったものの、厳密に分断されているとも言い切れない】
【なら、ここからの立ち回りで挽回すれば良いと、そう判断したのだろう】

「……クロス・ザ・ルビコン……前衛を、お願い……!」

【ジ・エンブリオンは指先を>>216へと向けて、その指先から泡の様なものを、ポコポコと発射する】
【先ほどの光景を見ていれば、それが何なのかはすぐに分かるだろう――――触れれば人体に潜り込み、内側から破裂させる泡である】
【直線的、かつ速度もそれほど速くないのが救いか。もっとも、ジ・エンブリオンにしてもそれは牽制と言った程度の攻撃の様だが】

<――――ォアアアアアァァッッ!!>

【そこへ、クロス・ザ・ルビコンが背中の翼によって飛翔――――斜めの角度で>>216へと接近し、手に持った剣で斬りかかってくる】
【その表情は、正に血に飢えた獣そのもの――――先ほどからの意味を成さないうなりや叫び、そして歯ぐきを剥き出しにしてせせら笑う姿には、まるで正気を感じられない】
【本能的――――そう表現するのに相応しい鋭さを、その剣閃は帯びていた】

――――覚悟する事ね……私は、勝つために存在している……!
どんな事があっても……私は勝つ……ッッ!!

【そして、>>217と相対するシュバルツガイストは、その両手を低く構える】
【――――鋼鉄の義手は、赤く赤く熱を帯びて、その力を解放していく。周囲の空気が、熱気によってゆらゆらと揺らめき始めて】
【そこへ――――既に展開していた肩の砲台から、2発のエネルギー弾が発射された】
【ビュン――――という中低音と共に発射されるその弾丸は、ビームの様な速度はないが、その分威力は上。牽制ではあるが、無視するのはいささか危険だろう】
【そこから、>>217のリアクションを図り、次の取るべきアクションを慎重に図る様に、ぐっと姿勢を低く構えた】

【良く見ると――――シュバルツガイストは腕だけではなく、その足も鋼鉄の義足となっている】
【サイボーグ――――勝つために存在すると言う言葉は、ただのブラフや信条ではなく、本当にその個としての一部を、言い表しているのだろう】

/すみません、風呂に入ってくるので、場合によっては次のレスが遅れるかもしれません
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 21:14:29.14 ID:OaeJwvVQo
>>222

【回避された腕は、空を切った後地面に潜っていく】
【今のところ追撃する様子などは無さそうである】


「――ふん、鉛玉とは芸のない事なのだ!」

【大男……シーナは、腰を屈め左腕で首付近を守るように構えながら】
【ハンマー持つ右腕を大きく振りかぶった】

【銃弾の幾つかがシーナの外套を貫き命中する】
【箇所は脇腹と右胸付近。常人ならば致命傷になる所だが】
【外套の隙間からはパラパラ……と砂のようなものが溢れるばかりで倒れる様子はない】

【この様子から恐らくこの大男は"まともな身体をしていない"】
【と判断することが出来るだろうか。無効化や反射の類ではないようだが……】


「先ずは貴様の手札を晒して貰おうかの?」
「此処に一人でいる以上、鉄砲を撃つだけの雑兵ではあるまい!」


【男が射撃動作に対し、シーナも行動を開始する】
【シーナの足元の床小範囲が崩れ】
【粒子状に分解された床は、前にじわりと伸びるように範囲を伸ばしながら】
【次の瞬間、急激な勢いで"流れ出した"】

【崩した地面に流れを作ることで自身を運ぶ独特の移動法】
【シーナは鈍重そうな見た目にそぐわぬ速度で前進し、バトルハンマーを横薙ぎに振り払おうとするだろう】
【例えるならばホバー移動であろうか。足を一切動かさないままの奇怪な移動で男へと迫っていく】

【移動のために崩した砂はシーナの足元小範囲と15cm程前方まで形成されており】
【通り過ぎれば元の床に戻っていく】
【基本的に密着しない限りは妨害要素として数える心配はないだろう】
【飽くまでも移動に特化した術技であるが、肉薄する場合は足元を崩れ動きづらくなる可能性もある】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/23(土) 21:16:41.44 ID:NDPHSwny0
>>228
/風呂に入ってくるため返信が遅くなります
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 21:18:34.78 ID:OaeJwvVQo
>>229
/了解でーす!
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/23(土) 21:27:42.23 ID:t67SljwDo
>>223

「ヘケケケ、俺の名はヘケメト――性別は"多分"男だろォ〜よ」 「所属ゥ?」 「なァーんだそれ、美味しいのかァ?」
「俺はさっきそっちに行った奴らに"戦い"があるからってあっちで待たされてただけだぜェー、嘘じゃあなくて良かった」
「あいつら、結構身体鍛えてるっぽいけどよォ〜、イマイチ味が足りなねェーし銃口怖ェーし、……さァて、あんたはどうかなァ?」

【この男、いわゆる脳味噌まで筋肉ではないかと言われる人種のようで――問いには、とても素直な返事】
【話からすると、彼はUTでもSCARLETでもなく、それどころか正義陣営のものですらない――】
【それ故に、被害を受けた軍の者が彼を早めに味方にしておけば力になる、あちら側につかれたくはない――そう考えたのだろう】

「ハンマーで防げたところを見るとよォ〜、強さは結構良い感じっぽいぜェーッ!!」

【――おもむろに羽織っていたウィンドブレーカーを脱ぎ捨てれば、青いタンクトップが現れて】
【同時に、その横幅が贅肉によるものではないと――大根なんて比じゃない腕等からも再認識させてくれる】

「もォー一発ッ!」

【脱ぎ捨てる動きから滑らかに、自然過ぎる程に、攻撃の動きへと移行する彼】
【左足を軸に、右脚を思いっきり振り回す】 【その軌道は、彼から見て右から左で、範囲は彼からおよそ180°の扇状】
【やはり、下手に当たりたくはない回し蹴りだ、しかし予備動作や攻撃後の隙はそれなりにある】

『(……一、ニ、三、……多いですね、まずは近場から封じたいところです)』 『(起爆装置――そちらを狙うのも良いですが、まずは……)』
『――"アタック・ディティーリオレイティング・シールド"』 『……長いですね、もう少し省略しましょう、"A・DR・シールド"』

【彼女が思ったことは、その爆薬の多さである――とても一度に封じられる様な量では無い】
【また、爆薬の種類や性質も明確にはわかっておらず、まずは少量の爆薬から試す】
【その爆薬に杖を向ければ――魔力が放出され、その周りに対して"魔力の壁"を展開しようとする】
【成功すれば、もし爆発しても被害は少なくなるだろうし――その上、時間が経てば経つほど、爆薬の性能自体が劣化してゆく効果まである】
【ただ、爆薬に魔力耐性があれば、もしくは物理攻撃を行わないのであれば、劣化は殆ど起こらないだろう】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 21:33:03.92 ID:utoyV0BMo
>>224

「――――――にゃにゃ?」

【彼女ら4人のその問にも、4人の背後に山積みにされた雷の国国軍の死体達にも】
【そもそも、この重厚な雰囲気の漂う車両基地そのものにも全く似合っていないような、きょとんとした声が響いた】
【その声は叫び声と言うわけでもなく、少女のような澄んだ音色。だがその言葉を、彼女らが聞き漏らすことはないだろう】

【何故ならその声が聞こえる前。丁度、彼女らが問いかけている最中。彼女たちの近くに積まれたコンテナの裏……機関員達が警備しているであろう其処から】
【ガリガリ……なんて、硬質な物を擦り合わせる奇妙な音。その直後にコンテナの裏から、大量の機関員達が吹っ飛ばされてくるのだから】


「……それはニャーに向かっての質問かにゃ? にゃー……正直全然分かんないにゃ」

【彼女らの前方に、国軍兵士たちの死体と同じように山積みにされた機関員。そしてコンテナの裏から現れる。その声の発信源。機関員達をふっ飛ばした張本人】

【茶色のショートヘアーにやや釣り上がった山吹色の瞳。体格的には高校生くらいだろうか】
【服装は大きめの黄色いウィンドブレーカーと茶色のホットパンツ。その下には黒いスパッツも穿いているようで】
【だが、普通の高校生とは違う点が二つ。一つは異様に目立つ、頭のピョコピョコと動く猫耳とホットパンツから覗かせる猫のような尻尾】
【二つ目は……猫耳よりも目立つ灰色のゴツゴツした巨大な右手。足元を見れば、その右手が地面のコンクリートと同じ材質だと分かるだろうか】

「何故かと言うと、まずニャーは人間じゃないからにゃ。そして――――――」

【彼女らと同じように、倒れた山積みの機関員達を背にして仁王立ちするその少女。八重歯を覗かせるその表情は、明らかな笑顔で】
【何かの術なのだろうか、突然件の巨大な右手がバラバラと崩れ落ちる。中から現れたのは少女の体格に見合った小さな手】
【その手で今さっき崩れ落ちた右手の破片……もとい、野球ボール大のコンクリートの塊を拾い上げると、大きく振りかぶって】


「まずは強そうなアンタと戦いたいから――――――……にゃッ!!!」


【放たれるコンクリート。それはゆるやかな弧を描き――――――しかし少女が投げたとは思えないほどの異様なスピードで彼女らに迫る】
【数は一発。ターゲットは彼女らから見て中央右の彼女だろう。モーションが大きいために回避は可能だろうが、如何せんその速度はプロの野球選手ほど】
【喩えるならば、地を滑空し獲物を狙う鷹の様。少女はこの攻撃方法を、「ホーク・ストライク」と呼んでいた】

/こちらこそなんか長くなっちゃいましたが、よろしくおねがいします!
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 21:37:23.17 ID:bb8WeVYn0
>>226-227


―――――…………話になんねーな、………


【直線的、かつ速度が大した事ないとなれば、其の泡がどれだけ脅威的であったとしても、少年は鼻で笑うのだろう。】
【必要最小限の動き、右足を後ろに下げるだけで回避する。注視すべきなのは、寧ろ剣士の方だった―――。】


………あー、こっちは、そうでもねーみてーだけど。


【少年は腕の動きから剣先の軌道を予測、軽々と回避して見せたが。少年は、其の眼の色を確かに認めた。】
【極めて本能的。―――理性を介さぬ其の動きは、読み辛いのだと言う事。】

【兎に角少年は反撃を施すのだろう。泡を出した方にも眼を向けながら、先ずは剣を振り下ろしたその手首を狙い、蹴りを放った。】
【其れは極めて正確、素早くも在ったが―――、2人を相手にしている故に、大きな動きは取れない。】
【回避しようと思えば、身体能力さえあればそう難しい事ではないだろう。】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 21:44:08.24 ID:oHLiJjZ8o
>>216 >>226 >>227

(…………さてと。今のでとりあえず、こいつらが普通の人間じゃないってことははっきりしたけど――――)

【六本の拳をボクサーのように構え、女性は瓦礫に対処する三人を観察する】
【鋼鉄の腕に蟹の如き甲殻、機械の翼。技量はともかく、持っている身体スペックに関しては普通の人間より遥かに上なのは間違いない】
【それから次いで、ちらりと背後にも目をやる。そこに立つ銀髪の少年は、言動からして恐らく敵ではないだろうと判断し】
【そうして一通り戦況を確認すると、東方風の少女の言葉に金色の視線を鋭くして、言葉を返すだろうか】

寄せ集めとは随分言ってくれるじゃない。あたしから見ればカノッサの連中だって、単なる寄せ集めに見えるけど。
ま、あたしらが本当に寄せ集め程度の実力かどうかは、これから――――。

…………ッ! そこのキミ、そっちは任すからね!!

【放たれた安い挑発は、途中で断絶する。少女の言葉によって戦況が大きく動き出したからだ】
【女性は銀髪の少年に一声だけ掛けると、改めて少女に向き直る。流石に他人の心配をしながら戦える程度の相手ではない、と直感して】
【――――その判断は、正しかったのだろう。肩の砲台から射出されたエネルギー弾を、少女を中心に円を描くように移動して回避する】
【金色の瞳が、どこか楽しげに見開かれる。近く通った弾丸から僅かに感じた赤熱が、女性の闘争心をも赤熱させて】

覚悟――――はっ、随分堅苦しいお嬢ちゃんね。
勝つためだけに生きるだなんて、なんかつまらなさそうな生き方じゃないの。
さて、あなた…………シュバルツガイストちゃんって呼ばれたっけ? 長いからシュバルツちゃんでいっか。
――――あたしの名はミドナ! 堅物のシュバルツちゃん、そんなに肩肘張らずにあたしと遊んでいきましょう――――よッ!!

【シュバルツガイストと呼ばれた少女が放つ迫真の闘気を真っ向から受け取り、女性は自分も闘気を漲らせながら、その言葉を跳ねつけてみせる】
【サイボーグ化された異様な体を見ても、一切動揺せず。その眼はまるで、年下の少女を叱りつけているような雰囲気で】
【決死の覚悟で戦うシュバルツガイストからすれば、ミドナと名乗ったこの女性の気概と言葉は、場違いなまでに暢気に聞こえるだろうか】

【しかし――――その気迫の違いは、実力の違いとは直結しない。ミドナは少女を挑発しながら地面を蹴って直線軌道に切り替え、一気に接近を試みて】
【走りながら、自身の両腕と上の二本の腕の合計四本の腕が駆動。腰元のリングに指を掛けて引き抜くと、湾曲した短刀≠ェその掌に補充される】
【ミドナがもし接近に成功したなら、その人智を越えた四刀流≠フ短刀を振りかざして――――】
【両腕の二本は胴体を薙ぎ払う軌道で振るわれ、上の二本は肩口の砲門の破壊を狙って上段から強く振り下ろされる!!】
【先程地面を砕いて見せたように、朱色の光を放つミドナの六本腕は尋常でない膂力を持つ。サイボーグの筋力にも十分対応できるだろうか】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/23(土) 21:47:03.03 ID:Tw7uZxogo
>>231

……なるほど。丁寧なお答えには感謝いたします、ミスター・ヘケメト。
しかしその動機は頂けない……私の目標を邪魔しないでは頂けませんか
すべてが終わった後であれば、その折にはお相手を約束しても構いません。

申し遅れました――私の名前はブランデン・ケミッシュ…。
機関にて全力の忠誠を誓うために馳せ参じた者の一人……負けませんよ――ッ!!

【敢えて、ケミッシュという彼女は任務遂行の後には出来ないかと提案を持ちかけた】
【が、それはまさに敢え無く潰える。服を脱いだ時点で、恐らく提案は聞こえていないのだろう】

【やがて流れるように繰り出される回し蹴りを視認するや、ケミッシュも諦めて武器を構えた】
【ブゥん!=\―ハンマーが空を切って、回し蹴りを相殺するように振るわれると】
【何とも奇怪な事に、ハンマーのサイズが人の頭ほどにもなって、しかも重さもそのままに】
【相手の足とかち合って衝撃音を響かせるか、相手を吹き飛ばすことになる――ハズだ】

【――あくまでも常識的な範囲の話。それも、武器の奇天烈さが売りというだけ】
【二度目はないような反撃だ。それと、そのハンマーを振るう彼女も相当な怪力の持ち主と見え】

(……もう一人。あちらは、何を……まさか爆薬に何か細工をしようと……?)
(それはさせませんよ、ミス――。私の任務遂行のためにもね……。)

【横目でケミッシュはアウを捉える。が、今のところは何も出来ず――縋がチリリと火花を散らすだけ】

【さて、魔力の壁に囲まれた爆薬はといえば、特別な仕掛けもなくゆっくりと効力を低めていく】
【どうやら一昔前の原始的な爆薬の様子。安価で高威力という、扱いやすい代物らしかった】
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/23(土) 22:00:58.01 ID:+3pR36ca0
>>225
――――亡骸………か。貴方はこと切れる寸前、何を思い、何を見たのだ……
貴方が死ぬのは、きっと正しい事ではない……命を奪われることが正しいはずはない……
……見極めよう。何が正しいのかを――――


【―――男は、紅い修羅場の中にしゃがんでいた。黒い帽子の下から覗く鋭い双眸は、燃え盛る遺骸を静かに見つめていた。】
【そこに倒れ伏し無念にも散った人々を、唯々見つめていた。怒りに燃えるでもなく、悲しみに暮れるでもなく、静かに……】 

【彼は黒いコートを羽織り、黒いスラックスを穿いている。手には灼熱の地獄に劣らぬ紅い光と熱を放つ一本の槍。】
【近付くと威圧感さえ覚える程の長躯を屈ませて、遺骸に目を向けている――――。】


……私は、何が正しいのか分からぬ。これだけは確信を持てる……恐らく、貴方は死ぬべきではなかった。
そこの貴方も、彼処で転がっている貴方も、命を奪われて然るべき存在ではなかった……。

……こんな場所で死んで、無念だったろう。……せめて、安らかに眠れ――――


【亡骸の目を閉じてやると、男はスッと立ち上がった。不条理に命を奪われ無念にも散りゆく。きっとそれは間違っていることなのだろう。】
【兵達の断末魔の表情を見て確信した。自分でこの戦いが間違っていると信じられるのならば、一刻も早くこの戦いを止めなければ……。】

【無残にも散った骸を見て芽生えた一つの信念を抱え、男は戦地へと赴いた。迫る破壊から、恐怖から、人々を救うために――――】


【―――そして、今。】


【男は静かに歩みを進め、レーダー基地正面に到着した。かつて自分が所属した「悪」と同類の狂気と対峙したのだ。】
【状況を精査するまでもなく、彼女が「魔物」であることは明らか。――――これ以上、進ませるわけには行かぬ。】


――――さて、ここまでにしてもらおうか。生憎、これ以上地獄が広がっちゃ閻魔翌様も困る。
それに、彼らはきっと下らない蠅ではない。一人として死ぬべき存在ではない。
見極めさせてもらおう、私は正しいのかどうかを!――――いさ!


【―――かくして、男は彼女の前に立ちはだかった。これ以上の苦痛に満ちた犠牲を出さぬために。】
【第一撃は灼熱の槍による刺突。恐ろしい程速く一気に間合いを詰め、近づくことが叶えば赤い一閃を繰り出す。】
【動きは直線的だが、攻撃速度が普通の槍による刺突とは段違いに速い。電光石火の先制攻撃、果たして躱せるか……―――】

//こ、こちらも遅くなってすみません……!気づくのが少々遅れてしまいました……!
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/11/23(土) 22:01:15.15 ID:+zASkmm9o
>>221
【悪夢──そう。畢竟、戦場とはそういうものだ】
【鋼線のように張り詰めた空気の中で、戦闘要員は常に決断を強いられ続ける】
【一瞬でも立ち止まれば、口を開けて待つのは死だ。それを知ればこそ、凡その兵士は己の感覚を殺す】
【ただ生きる為、余計なものに惑わされる事なく戦う為に、ありとあらゆる情動を鈍麻させてゆく──故に】


【それ故に兵士達は、忍び寄る影に気付けない】


【始めに、後方から国軍の歩兵部隊を釘付けにしていた機関銃手の支援射撃がぷつりと止んだ】
【次いで、無線機から聞こえる機関員たちの応答に僅かなノイズが混じり込んだ】
【最後に。異形の双子を援護すべく散開した歩兵のうち幾人かが、糸の切れた操り人形宜しくその場にくずおれた】

【その喉首には深い刃傷。物言わぬ肉の塊となった彼らの傍ら、血溜まりの中に突き立つ匕首】

部外者の私が言うのもなんだが、能く持ちこたえてくれたものだな。
雷の国、国軍──噂に違わぬ古兵が揃っているようだ。

……お陰で、ここまで辿り着くのも存外に容易かった。礼を言うよ。では。

【無線機を片手に、ゆらり──幽鬼のごとき足取りでこの戦場に現れたのは、青みがかった黒髪をした、まだ若い長身の女だ】
【藍の紬を着流した上から黒い外套を羽織り、雪駄履きに腰には大小二本差し】
【櫻の浪人風の出で立ちをした彼女が纏うのは、蜃気楼じみて朧気な気配】

【その気配は、悪に裁きを下すべく振り下ろされた正義の剣と言うよりは、寧ろ────】
//こちらこそ大変お待たせいたしました、申し訳ありません。
//朔夜中身です、本日は宜しくお願いいたします!
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/23(土) 22:17:43.22 ID:NDPHSwny0
>>228

 あいにくと芸など兵士には必要ないものでね!

【男は大男の言ったことにこう返した】
【芸とかそのような戯言につきあっていような時間などない】

!?

【そして疾走しながら自分の銃弾が大男に命中したのを見た、だからこそ驚いたのであろう】
【致命傷になるような場所に当たったはずなのになぜ無事なのかと】
【そのように思いだが一瞬顔には出たがにすぐにその驚き顔は元のポーカーフェイスへと戻った】

(なんだあれは、魔術の類かそれとも能力かいやならば試してみるしかあるまい)

【そう思考し男は武器を素早く取り替えた】
【いままでもっていたMA56から自動式拳銃K666に】

【しかし武器を取り替えてから来た、大男の反撃が】
【流れる地面で男に接近してきて、バトルハンマーを横なぎに振ってきた】
【それに対して男は疾走したまま素早く身をかがめて、左に飛び込んだ】
【それを間に合わせそのまま流れる動作で飛び込みから立ち上がり再び走る、保管庫に向けて】

【そしてその走っている最中にK666にマガジンを入れる場所とは違う場所に弾丸を入れて走りながら胴体向けて発射する】
【その弾丸の名はmagic・hunting、魔法や魔術を弱める効果がある】
【だが走っているためか、やはり狙いは甘かった】
【もし大男の体が魔術や魔法の類でそのようなまともな体をしていないのなら命中すればダメージを入れられるだろうが果たして】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 22:18:20.98 ID:XvyMvEVj0
>>233

「……僕だって、この程度のつもりは、ない……」

【あしらう様な態度で一笑に付されてしまったジ・エンブリオンだが、その表情はまだ何も変わりはしない】
【今の一撃はあくまで牽制――――確かに、命中すれば洒落にならない威力をこそ秘めてはいるが、これで終わらせるつもりなど毛頭なかった】
【――――これで、終わってくれる相手であるはずもない。その事は、流石にジ・エンブリオンにも分かっていた】

<ッ、ウッ!?>

【振り下ろした剣は、しかし虚しく空を切り、手応えの無いまま振り下ろされる】
【更にそこに見舞われる蹴り――――手首を蹴り飛ばされて、そこに痛みが跳ねあがる】
【だが、クロス・ザ・ルビコンはその勢いのままにわざと倒れ込む様にしながら、左手を支えにその場でぐるっと回り込む】
【蹴られたダメージを上手く逃がしつつ、そのまま距離を取る様に。流れで言えば見事なリカバリーである】
【しかし普通なら、危険で躊躇する様な行動であるが――――やはり、普通の人間とはその行動の根底が異なっているのだろう】



>>234

……寄せ集めって言うのは、実力に関係無い……お前が玉石混交の『玉』なのか……!!

【売り言葉に買い言葉、と言う訳でもないのだが、シュバルツガイストはその言葉に乗せる様に叫ぶ】
【途中でその言葉も途切れてしまったが、そこに続けるなら――――玉石混交の『玉』なのか、見せてみろ――――とでも言ったところだろうか】
【その挑発は、必ずしも挑発と言う形では通らなかった様である】

……どうせそれもコードネームでしかないし、名前なんてどうでも良いけど……何とでも言え……勝たなければ、全ては嘘だ……!
勝てない人間に、生きる資格など……無いッ!!

【SCARLET≠フ少女――――ミドナの陽気な言葉は、シュバルツガイストに何らかの変化を齎すと言う事も無かった】
【そこに垣間見えるのはただ、シュバルツガイストの強い、頑ななまでの信念】
【『勝つ』『勝ってその先の未来を掴む』――――その事は、もはやシュバルツガイストの全てと言って良い】
【その想いを胸に抱き続けてきたからこそ、シュバルツガイストは戦いぬいてこられた。そして、今ここにいる理由でもある】

ッ!? このっ――――っぐ、ぅ……!!

【しかし、戦場と言うのは言葉のやり取りをする場ではなく、命のやり取りをする為の場なのだ】
【ミドナの腕、その4本から放たれる斬撃に、シュバルツガイストの表情が引き締まる】
【数の違いはそのまま、そのものズバリ『手数の差』として表われる。この攻撃を防ぎきるのは、並みの事ではない。だからと言って諦める訳にもいかない】

【咄嗟に両腕を構え直すと、右腕を上段に、左腕を下段に構えて、それぞれ砲台と胴体を狙う刃を受け止めに掛かった】
【鋼鉄で出来たその腕である。ここで受け止めさえすれば、直接当てられるダメージとは比べ物にならないほどの軽減効果が期待できる】
【だが――――やはり、流石に2方向に意志が殺がれた中での完全防御は不可能だったようで】
【砲台は何とか守りきりながら、腹部を薙ぎ払われる。ボディスーツが切り裂かれ、そこから――――パッと見血液とは信じ難い、透明度の高い肌色の液体が飛び散った】
【――――肉体を循環させる血液も、ただの人間の物とは違うと言う事なのだが、その事に意識を馳せている余裕はない】

/続きます
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 22:18:43.53 ID:XvyMvEVj0
>>233-234

「……僕だって、戦う事ぐらい、出来る!!」

【腕を硬質化させていたジ・エンブリオンは、更にその腕を長く伸長させ、更に歪曲させる】
【その形を例えれば、巨大なクワガタの顎、その片方が人間の腕と置き換わったと言うべきだろうか】
【そんな、長く、固く、曲がりながら伸びた腕を、ジ・エンブリオンは>233へと思いきり振るう。ギザギザした突起や、先端の鋭さも相まって。中々に威力があるだろう】
【なにより、リーチも範囲も大きく、先ほどよりも避けにくかろうという点が、厄介だろうか】

<ヒヒッ……!!>

【更に、いささか距離を取ったクロス・ザ・ルビコンは、左手に機械の筒の様なものを手に取る】
【片手で握れるその筒のボタンを、手元で操作すると――――筒の先端から、黒い繊維状の本体が急激に飛び出して、長い一本の紐状になる】
【それを、クロス・ザ・ルビコンは>>233へと鞭のように振るう――――と言うよりも、その役は実際に鞭なのだろう】
【ジ・エンブリオンは上半身、クロス・ザ・ルビコンはやや低く下半身を狙う様な軌道だ】

……私は、勝つ…………そんな簡単に、お前なんかにやらせはしないッッ!!

【腹部に負った傷をおして、シュバルツガイストは顔を上げてミドナを睨みつける】
【そして――――その場で身体を捻りざま、ミドナへと向けて横蹴りを見舞った】
【やはり、その足も鋼鉄の義足と化している以上、その重みや固さはそのまま、強烈な破壊力へと繋がるのだが】
【更に、そこにはもう1つの隠し武器が仕込まれていた。蹴りの成否に限らず、その足先がミドナへと向いた瞬間、足の裏から散弾が炸裂する】
【――――『ショットガンレッグ』。両足に2発づつ仕込まれている、散弾の発射機構。サイボーグならではの、強力な近接武器である】
【マズルフラッシュが伸びて、散弾の嵐がミドナに襲いかかる。至近距離からのその攻撃は、下手に喰らえばただでは済まないだろう】
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/23(土) 22:19:35.72 ID:t67SljwDo
>>235

「ヘケケケ、俺がそう簡単に引くとでも思うなよォーッ!」

【――やはり、引く気はまったくもってないようで、その猛る闘争心はそう簡単に収まらず】
【だからこそ、敵に回したくない存在だったのだ――色々と面倒なことが起こる事が間違いないために】

「……ッ、くゥッ」

【2つのものが勢い良くかち合う、幾らパワーが有り余っていようと痛覚は意図的に消せないだろう】
【また、その骨肉は幾ら丈夫と言えども鋼鉄で出来ているわけはなく――その反撃は、脚へのダメージにもつながった】
【この男、重量は3桁か。見た目通り重い。……ハンマーと競り合い踏ん張り、頃合いを適当に見計らって吹っ飛びつつバック宙返り】
【そして、両手両足を使っての着地をし、少なくとも吹き飛ばされた場合受けただろう落下ダメージは防いだ】

「痛ェー、……どォーやったかわかんねェーけどよォー、いきなりそれでっかくなってびっくりしたぜェー、見た目よりパワーあんなァー」
「――ヘケケケ、そいつで頭かち割られちゃア、たまったモンじゃアねェーな!」

【近距離を得意とする者にとって、脚へのダメージは手痛いもの。だが、それだけで止まる相手ではなかった】
【そして――男の能力は、"ただの怪力"だけではなかった】

「ゥおらァーッ!!」 「ニードルライナーァァーーッ!!」

【血の滲む脚、――今の体勢を立て直すことも兼ねて、彼は右手で地面を思いっきり叩く――すると】
【その前方から、彼の髪色のように"緑色の棘"が無数に生えてきて、その棘の塊は相手の方に向けて"一直線に"走る】
【棘の一本一本は20~30cmで、走る速度は"常人が走るそれの2〜数倍程度"である】
【狙いは性質上"脚"で、もし当たってしまえば、棘が幾らか刺さってしまうだろうが――そこまで威力が高いものでもなく】
【また、何かしらの攻撃を与えれば、棘は"容易くへし折れて"しまうだろう】

『(……どうやら、"A・DR・シールド"の効果はあるようですね、しかし一つ一つかけている余裕はなさそうです)』
『(このシールドの追加効果は即効性が低いですし……それに、同時に幾つも展開するのは厳しいですね)』 『(と、なれば……)』

【ここが戦場でなければ、一つ一つを地道に展開しては無効化する事も出来ただろう】
【だが、そんな余裕はない――いつ自分に攻撃が来るかも分からないし、何よりヘケメトの事もある】
【相手に警戒しつつ――その杖に、魔力が集中してゆく】 【それは、攻撃のためのものでは無いが"目的の阻害"の為のものだろうことが予想できる】
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/23(土) 22:28:50.37 ID:mEivr6tI0
>>232

お?「死体が増えたか?」[これはラッキーだな]

【クラッカーから飛び出した紙ふぶきのように宙を舞う機関員を視界に捕らえた女、女達はどこか嬉しそうに声を出す】

ふむ、確かに「お前を人間と見るものはそういないだろうな……」

「ほう、なかなか良いスピードだ。その体躯ながら人間を超越していると伺える」

【少女の投擲したコンクリートの狙いにある女はすさまじいスピードで迫るコンクリートを目視しているようだ】

「だが、私も人間ではない」

【スッ右手を上げると手のひらの皮膚が硬化し、コンクリートを受け止める】
【だがその威力は予想外だったのか、受け止めた手はだらりと下がってしまう】

いいだろう、戦おうじゃないか。「そもそも私は相手を待っていたんだ」[ただ、それだけでは面白くない。ゲームをしよう]
<<これから『私』が一人残る>>
その一人と戦っている間「残りの『私』が対空戦車を破壊する」[お前がその『私』を殺せば]<<残りの『私』は退散しよう>>

どうだ、大方お前は雇われの能力者だろう?損はないはずだ

【一人の女が少女の投げたコンクリートを受け取り、構える】
【丁度野球選手のような構えだ】

それじゃあ、よ〜い……                     「[<<始めだっ!!>>]」

【女の一人がコンクリートを全力で投げる。それが開戦の合図か、残りの女達はそれぞれに飛び去り、少女から離れていく】

【コンクリートの軌道は直線。その速度は少女の投げたそれと負けず劣らずだ】
【残った女、少女の相手をする女はそれに続くように駆け出す】

243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/23(土) 22:42:40.06 ID:Tw7uZxogo
>>241

【ビリビリとハンマーを持つ手に衝撃が伝わる。とてつもない力量のぶつかり合いだ】
【武器を利用してもなおこの拮抗――素手でとなると、軍配はヘケメトに上がるだろう】
【ケミッシュもそれは理解できた。だからこそ、ハンマーを握る両手の力をギュッと高め】

(正面からのぶつかり合いでは埒が明かないと見ましたよ、ミスター・ヘケメト。)
(貴方のパワーは確かに脅威、そしてコレ≠烽ワた同様ですが―――!)

ドクターに頂いたミョルニルハンマーは、そう安々と貴方の自由を許しませんよ――ッ!

【こちらに緑色の刺が疾駆するのを確認すると、ケミッシュはハンマーを頭上に持ち上げ】
【自らの手前に迫った瞬間、撃墜――刺を地面ごと叩き潰さんとする】

【そして地面に縋が衝突した瞬間に発生するのは、凄まじい勢いの電流――!】
【地を走って周囲を、ヘケメトへと襲いかかる姿はまるで意志を持っているのではと思えるほどで】
【電流の一筋はアウとは遠からぬ場所の車――その下に設置された爆薬をも吹き飛ばす】

【発生するのは、耳を打つ大衝撃。車は爆発しながら宙に3mばかり吹っ飛んでいた】
【これは小型の威力だ――如何に不安定な状況に置かれているのかが、さぞよく分かるハズ】
【そして同時に、これは警告でもあった。コレ以上任務の邪魔をするのなら――次に吹き飛ぶのは、ということだ】


【――だが、ケミッシュだって全て無傷では済んでいない。一歩も前へ踏み出せなかったのである】
【それこそヘケメトの目論見通り。見れば、戦闘服だからこそ重症ではないものの】
【すぐには動けない程度の傷が縋を逃れた刺によって付けられていて――小さな隙が、其処に見える―――!】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 22:43:04.55 ID:OaeJwvVQo
>>238

「むむ!私に背を向けるなど、甘く見おってからに!」

【振り終わったハンマーを担ぎ直すと】
【脇を通り抜け保管庫へと向かう男へと視線を向け、ボードの文字を変化させた】

【再び飛来する弾丸。シーナはそれに対して】
【ハンマーの柄を添えるようにして当て、軌道を逸らす】
【弾丸は胴体から逸れ、シーナの右脇腹を掠める様にして通り過ぎた】


「ほう、面白い玩具を持っておるではないか!」


【弾丸の効果によりシーナの右脇腹の"魔術"が弱体化される】
【その結果、大男の脇腹が"土塊のようになって"ボトリと床に落ちた】
【先程から床を変化させる術法、そして"土や砂"で構成された魔術の身体】
【ある程度魔術知識に明るいならば、この大男の正体を察することも出来るだろうか】


「ククク……しかし私を無視して行くなど許しはしないのだ!」
「地に足をついておる限り、私の掌の上と知るがいい!」


【シーナはハンマーをその場で地面に叩きつける】
【その瞬間……地面を通して魔翌力が流れ出していき】
【疾走する男は、自身の1.5mほど前方に異常を見る事になるだろう】

【床が変化……隆起し、簡易的な壁を作り出される】
【地術師……土や砂を基礎とし地形の変形や操作に精通した魔術師である】
【状況に左右されやすく、他の属性に比べ修得する者は少ないが】
【こうした限定された環境に於いては驚異的な力を発する類の使い手であった】

【壁はそれなりに厚いが、破壊が不可能な硬度ではない】
【高い火力や、魔術弱体化との組み合わせで突破することも可能だろう】

【しかし、破壊に時間を取られたならば背中からシーナに襲われることになる】
【そうしたことを考えた、妨害を目的とした魔術であった】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/23(土) 22:43:24.17 ID:9j+NFJ0no
>>237
【車両に乗り込もうとしていた異形どもは、硬直した。感じ取ったのだ。この場の空気が、一変したことを】
【生死の境界線たる戦場という空間で、余計なものを排除する、というのは決して間違った選択ではないはずだ】
【しかし、それは場合によっては致命的な隙となる。戦場で隙を見せるということは、すなわち死の側へ境界線を越えることを意味する】


『――――!!!? 機関銃手、どうした!! B地点は!! 応答しろ!!』
「お前たち、いったん止ま――遅かったか。どうやら来たらしいな。向こうの“本命”が」
『チィッ、やってくれるぜ……』

【双子が感じた気配を肯定しるかのように。送り出していた兵たちの通信が次々に途絶】
【さらには、自分たちの周囲に展開していた兵たちまでもが斃れる。いつの間にそこにあったのか、突き立つ匕首の刃が血の色を映し出していた】

【現れたその姿、どこか希薄な、それでいて剣呑とした気配。この場においては、浮いているとも言えそうな櫻の国風の出で立ち】
【異形の双子の四つの瞳が、彼女へと注がれる。その内側に漲る敵意】


「……総員、ミサイルの発射妨害を最優先として行動しろ。攻撃の手は止めるな。以後、指揮権を一時、No.29カニバディールに移行する」
『てめえらもここは退いて、他の支援に向かえ。無線はカニバに繋ぐが、状況判断は現場でやれ』

【現れた女性の放つ気配に気圧されて後退っていた生き残りの機関兵らが、その言葉を受けて弾かれたように退却していく】
【ミサイルに取り囲まれたこの場で、今存在するのは、双子と、女性と、死体だけだ】


『しかし、この場で機関にケンカ売るからには、どんな正義の味方が来るかと思ったが……なんだてめえは? どっからどう見ても、“こっち側”にしか思えねえぞ』
「一切の躊躇いなく、かつ迅速に兵らを始末したその腕前といい……とんだ相手と当たってしまったものだな」

【言葉を紡ぎつつ、双子の四本腕が上がった。四つの手のひらが女性に向けられる】
【と、そこから何かが溢れ出してきた。白い手のひらからは泥が、黒い手のひらからが砂が】
【これが、双子の能力らしい。四つの瞳から殺意が溢れた】


「ナンバーズNo.50、デュアル兄弟。兄のオーギュストだ」
『同じく、弟のギュスターヴだ。てめえの名前も聞かせろよ。どっちかが死ぬんだ、名乗りくらいしても損はねえだろ?』

【こう言った次の瞬間、国軍に礼を告げる女性へ向けて、双子は攻撃を開始した】
【白い手から出ていた泥が打ち出され、空中で融合して一つの泥の玉となった】
【黒い手から出ていた砂が泥に続いて放たれ、二つの砂の刃となった】

【砂の刃の速度は速い。泥の玉を追い越し、それぞれが女性の両足を狙って空中を駆ける】
【しかし、威力は低い。当たったところで浅く切れる程度だ】
【泥の玉の威力は遅い。砂の刃に続く形で、女性の両腕を狙って飛び来るだろう】
【こちらは、まともに食らえば鈍器で殴打されたような打撃を受けることになるだろう】

【速度と威力、それぞれを補い合う波状攻撃が、女性へ迫る。しかし、双方とも軌道は単純だ。見切ることは不可能ではないだろう】

/お気になさらず!!
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/23(土) 22:49:27.05 ID:khp9yS0B0
>>236

(――――――……)

【女は立ちはだかる男の黒衣を見た。その瞳に宿る邪悪に対峙せんと篭もる意志を、燃え滾る熱の如き光を見た。】
【突き出される灼熱の槍―――――片手を構えれば割り込む様に、蒼き冷気が遮りながら吹き抜けて阻まんとして】

【碧く透ける氷の薄壁。黝く煌めく液状の異能体。そして分厚い三層目の氷壁、】

【三層構造の反応障壁――――― 一枚目を容易く突破されれば二層目が炸裂して、男を後方に吹き飛ばさんとするだろう】
【強引に踏み止まることも出来るが、手首への負荷は必然的に大きくなる。それだけの勢いであり、破壊的な鉄槌だった】
【この爆発が軍人たちの命を奪ったのだろうが―――今は、それだけの殺傷力は揮えずに】


「……その紅い槍……成程、そっか。くくッ―――――
 ダン=メイヘム=ブラッグス―――――……思い出したよNo.21。
 壊し壊されを謳われてたアンタがその側なんて、随分と可笑しな話じゃないか。
 
 だけど悲しいよね――――路頭に迷うなら拾えるのに、歩く道を見つけたら潰すしかない……」

【爆発で障壁の三層目は熄えたのだろう、阻むもののない空間を隔てて再び対峙する両者。女は   】
【“死ぬべきではなかった”、“踏み躙られていい命などない”。その言葉は彼女には響かなかったのだろう、鎮魂の想いを踏み躙る様に哂った】


「―――――――仮にそうだとしてだから何だ?
 私はこの “希望” (まち)を墜とすためにおまえを殺し、おまえはこの都市を守るために私を殺す。
 ……それだけだ。それだけで、死体を抱く様な甘い志は無駄なんだよ。

 この世に、ちっぽけな “正しい” 意志の入り込む余地なんて無い。
 救いが欲しいなら祈りなよ―――――死んだ後にでも八つ裂きにして、蠅のたかる傷口から聞いてあげるからさぁッ!」


【蒼く透き通る不定形の “力” が闇に立ち昇れば、奪われた熱が大気を幾本もの氷の錐に変える。映す榛色が悪意に歪んで】
【照準は刹那―――――発動は瞬時――――――放たれた多数の氷錐が大気を引き裂いて唸る、】

【広範囲を埋め尽くす圧倒的物量を以て迫る小剣大の氷錐だが、重ならない軌道は僅かな空隙を生む。現在地のブラッグス本人に届くのは3本が精々で、何れも彼程の兵ならば射線を躱し得るのだろう】
【だが注意すべきは1本の “外れ” の氷錐――――レーダー塔の表面に向く半メートル大の錐は、其れ単体では力不足でも足掛かりには最適で】
【“傷をつける” という事そのものが目的であった。心理的作用を狙ったものか、或いは――――、】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/23(土) 22:52:32.54 ID:HRmze7Ob0
>>234


――――………え、あ、ああ………

………おめーもてきとーに、死なねーよーに、頑張れよ………つーか、…………


【周りを見渡し、"キミ"の指す人物が自分しか無いと察するのに、随分と時間がかかった。返事に遅れたのは、つまりそういう事。】
【多少狼狽えた様子も見せたが、状況が分かれば其れも直ぐに取り戻すのだろう、最後に『……神じゃん、』と、少年も彼女に一声掛けて。】

【少年は、彼女の姿を随時確認していた。其の能力、戦闘法……、味方の情報となれば、ありとあらゆる物を頭に詰め込んでいる。】
【次に何が起こるかという予測が出来ない闘いに於いては、彼女と互いに背を合わす、"真の意味での"共闘の可能性も在るからだ。】
【だからこそ、戦場で得られる全ての情報を、少年は入手して行く。気怠そうな表情を見せて居るが、実際の彼の思考回路は、随分と張り巡らされていた。】

【此れは無意識的に"焦っている"のだとも解釈出来るだろう―――純粋な頭数、2対3という状況に置かれた我々は、圧倒的に不利だ。】
【消耗戦ならば、二人の勝率が徐々に減っていく事は明らか。何か逆転するチャンスが無ければ、厳しい闘いになる―――、と。】


>>239-240


――――………おー……敢えて受けたっつーこと?

………いやいや、お前、剣、使うんだろ。やべーんじゃねーの?……ボディみてーなもんだぜ、今の。
……直ぐヘタる訳じゃねーよな………? 身体、最近動かしてねーんだよ、まじやべー………


【と、見事なリカバリーに感嘆の息を漏らすが、続く言葉は矢張り挑発であった。】
【其れは丸で模擬戦の最中であるかの様な台詞。飽くまで試合の主導権は自分に在ると言わんばかりの、威圧でもあろう。】

【ペチャクチャと口を開いていた其の瞬間、鼻で笑った方、つまりエンブリオンの硬質化していく其の能力を見れば、顔を顰め、】
【ルビコンが手にした無知を見れば、チッ、と舌打ち。其の軌道どちらも、読み易い物では在ったが、2人はヤケに連携が合っていて。】
【上半身か、下半身か……、どちらかを選ぶという状況に置かれた少年は―――仕方なく、硬化した腕の薙払いを選んだ。】

【オーバーコートの右肩に亀裂が走り、やがて其処から鮮血が漏れ出して。唇を噛み締めた其の表情は、如何にも痛みに耐えている様子。】


―――………あー………普通にいてぇ………おめーら、なんつーか………

………雑魚は群れたがるっつー言葉、ガチなんだなー………ってな。


【傷つけられた事への純粋な怒りか、其れ共、作戦の内か―――、恐らく両方なのだろう。少年は下らない捨て台詞を吐いた。】
【其れだけに留まらず、少年は矢張りエンブリオンを狙う。ダッと一歩を踏み込み、其の侭頭部を捉えた蹴りを見せ―――、】
【否、本当に"見せただけ"、つまりフェイントである。少年は、右の手のひらを彼の胸の方へに翳し、能力を発動させようとする事だろう。】

【少年の手の中心から発生するのは、魔力の"爆発"である。エンブリオンを襲うのは、灼熱と、全てを吹き飛ばし得る様な爆風であろう。】
【フェイントに対応しきれないと踏んだ故に、少年はかなり的を絞った。回避は其れ程難しくはないが、その分当たれば尋常ではないダメージを負う筈だ。】

248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/23(土) 22:56:03.74 ID:oHLiJjZ8o
>>239 >>240

玉ぁ? あたしが男に見えるわけ?
ま、そんなことはどうでもいいや――――勝てなきゃ全部嘘だなんて、悲しいこと言うわねぇ。

【腕が多いというのは、単純ながらも巨大なアドバンテージであるのだろう】
【四方向からの同時攻撃、たった二本しかない人間の腕で全てを防ぐのは容易ではない。飛び散った人外の血液にやや眉を顰めながらも、ミドナは笑い】
【…………どうやら力はともかく、頭の方はそれほどよくはないらしい】
【正義≠ニ悪=B背負うものから相容れない二者は、少女にミドナの言葉が通じないよう、彼女の言葉もまたミドナには理解しがたく】

あたしだってたぶん二十年ぐらいしか生きてない筈だけど、それでも負けっぱなしだったわよ。
けど…………屈辱に耐えて、恥辱に甘んじて、地を這って泥を啜って、けれどこうしてしぶとく生きてる!
どうよシュバルツちゃん、それってスゴいことだと思わ――――って、ぐぅッ!!?

【あくまでも楽しそうに――――しかしその言葉尻からは、どん底に落ちた人間の雰囲気が感じられるだろうか】
【どんな生涯を送ってきたかは不明だが、少なくとも人並みの幸せには縁遠い生活だったことは伺える】
【そうして負けて負けて、翻弄されてばかりいた自分が、それでも今こうして胸を張っているここそ誇りであると、ミドナは吼えて――――】

【…………話はそこで中断。戦況は通じ合わない舌戦から血で血を洗う闘争へと瞬時に切り替わる】
【迫る横蹴り、朱色の光を纏うミドナの剛腕が二本も揃えば、いくら鋼鉄の硬さや重みであっても受けることは出来ただろうが】
【足裏の兵装を、その瞳が捉えれば。ミドナは咄嗟にシュバルツガイストへと更に一歩踏み込み、銃口の内側へと逃げ込むだろう】
【致命的な散弾の雨は、それで回避できたのだが。焦ったミドナは横蹴り自体への対応が遅れ、左腕一本のみで辛うじてガードする】
【だが、やはり一本だけでは受けきれない。その表情に、堪えきれない痛みが浮かぶだろうか】

こん、のぉ――――お返しよ!!

【負ったダメージは決して小さくなかったが――――しかし結果的に、自分の力がもっとも生きる至近距離へと踏み込めたのは僥倖だ】
【痛みを誤魔化すように吼え立てたミドナは、上段と下段に生えた朱色の四本腕を全て動員して攻勢に転じる】
【短刀を構えた上段の二本は、今度はシュバルツガイストの両腕の肘の上あたりをそれぞれ切り裂くように振るわれ】
【徒手空拳のままの下段の二本は、まず右の拳を鳩尾に、左の拳はたった今受け止めたシュバルツガイストの膝へと打ち込まれる!】

【またも厄介な四本腕での攻撃だが…………しかし、今回はダメージ直後だったからか隙もある】
【最初に上段左手の斬撃、二番目に上段右手の斬撃、三番目に下段右手の鳩尾、最後に左拳の膝狙い――――と】
【今回の攻撃は、同時ではなく連続≠セ。ひとつひとつ順番に対応すれば、防御は可能であろう】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 22:56:34.87 ID:utoyV0BMo
>>242

「にゃにゃ。同類というか、人間じゃない匂いはしてたにゃ」

【コンクリートを受け止める彼女の掌。何かしらの能力かとは思ったが、同じ姿が4つ、そして自らの嗅覚で別の何かの存在を予見して】
【人間『だった』のか、元々人間ではないのか。粗方そんなモノだろうと適当に当たりを付けると、軽い調子で口に出した】
【彼女らがどんな存在なのか、少女に見当はつかない。だが、今そんなことはどうでも良くて】

「ゲームにゃ? ま、ニャーは良いにゃ。確かにニャーは都合の良い戦闘相手が居ればそれで良いにゃ。

 だから……」

【まるで一人が喋るように、途切れ無く聞こえる彼女らの声。まだ彼女らの真の存在は分からない】

【しかし、彼女らの一人が自分の投げたコンクリート塊を投げ返そうとするならば、最早提示されたゲームさえも、忘れ去られることとなっていて】
【同じようなコンクリートの塊を自らも拾い上げると、彼女と同じように、自分もオーバースローのフォームで】


「――――――楽しい戦いにしようにゃ!!」


【2つのコンクリートは、寸分違わず同じ一点に終着するように投げ出され、丁度彼女と少女との中間点で破砕される】

【同時に始まった本格的な戦闘。残った彼女と同じように、少女もジグザグ走行で駆け出した。その速度も、また常人では成し得ないほどの俊敏さだ】
【そして少女の攻撃が届く範囲―――ショートレンジに入れたのならば、サッカーボールを蹴りに行くように、思い切り右足を振りかぶるだろう】
【ただキックを見舞うだけではない。彼女の足が地面に触れた瞬間、その足は先ほどの右手と同じくコンクリートでコーティングされる】
【ゴツゴツした灰色に変貌した右足。ごっそり抜け落ちた足元のコンクリート。彼女も、少女の能力の見当がつくだろうか】


「せいっ!!! にゃぁっ!!!」


【付くにしろ付かないにしろ、少女はそのまま右足を振り、まずは彼女の左足を狙う。当たれば、まず痛いでは済まされない】
【だがやはりモーションは単純かつ大きく、右足も大きくなったとはいえ一回り程度だ。防御すれば、大方のダメージからは逃れられるだろう】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/23(土) 23:12:21.00 ID:t67SljwDo
>>243

「うゥッ、くゥ……ぐッ」

【棘は、その一振りで容易くへし折れ砕け、そして地面にバラけてゆく】
【――そして、発生した電流によって跡形もなく消えてしまった】 【どうやら、棘の耐久力はあまり高いわけではないようだ】

【その高い速度で襲いかかる電流は、地に"3点"を付けていたヘケメトにも勿論襲い掛かる】
【――運が良かったのは、地面に付いていたのは"脚"だけでは無かったということ】
【"右腕"が地面に付いていたと言う事が、電流を身体に留まらせず被害を抑えていたのだ】

『――ッ、プロテクト・シールド!』

【そして突如起こる爆発音、とっさにその方向に杖を向けて"盾"を展開し】
【爆風による被害を抑えるが――これは、爆薬への対策を遅くする効果にもなった】

『(……大きな爆薬に被害が及ぶ前に、ヘケメトにかたをつけて欲しいですね)』

【しかし、女性の表情は一ミリたりとも変化していなかった――そういえば、最初に会った時からずっとである】
【まるでそれは"機械"のように、感情がないようにも思えるほどで――】

『……ショック・S・ヒール、――ヘケメト……時間稼ぎ、頼みますよ』 『(……二度目の爆破に備えて、せめて近くのものだけでも弱めましょう)』

【感電したヘケメトに向けて発射される魔弾、それを受けたヘケメトは、電流によるダメージはそのままに、しかし痺れの影響が消される】
【焦げ臭さと共に、ヘケメトは次の行動に移る――!】 【……彼は"戦闘狂"だ、付き添いの女性も易々と止められない事を知っているから、何も出来ない】

「ありがとうよ、アウ!」 「――くらえェーッ!」 「ニードォゥ……アァーームゥッ!」

【左脚により踏み切り跳躍、ケミッシュの方にへと跳んでゆけば――その左肩に向けて振り下ろすはチョップ】
【常人に比べれば強く、その上その腕や手には"5cm前後の緑色の棘"が無数に生やされていて、その向きは"引けば刺さる"方】
【そして、チョップの動きは上から下へ"引き寄せる"――】

【もし当たってしまえば、チョップ自体によるダメージ以外にも、棘によって肉などを抉られてしまったり、あるいは刺さったり等するだろう】
【棘の強度は、先程のものと同一で、】 【脚や先程のダメージ、助走等の影響だろう、最初よりも跳躍の速度は遅い】
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 23:28:56.04 ID:XvyMvEVj0
>>247

「…………ッ」
<…………>

【不遜とも傲岸とも、あるいは余裕とも取れるその言葉に、ジ・エンブリオンの表情に苦いものが走る】
【それが挑発であると、分かっているのだろう。それ故に、腹に据えかねる様で】
【だが一方、クロス・ザ・ルビコンには大した変化は見られない。言葉は理解する様だが、『挑発』と言うある種の心理テクニックまでは解しきらないのか】
【何か訳のわからない事を言っている、程度の認識なのだろう。その表情には大した変化は見られず】

「……分かったか、お前、これで……! ――――ッ!?」
<ウゥッ!?>

【コンビネーションが、確かに功を奏して有効打が入る。これで、確かな一撃として状況をリードする足掛かりになる】
【2人ともに、そう思っていたのだろうが――――そこから繰り出される攻撃は、正に予想外のものだった】
【蹴りのフェイントに引っ掛かり、繰り出した腕を元の形に戻して、慌てて引き寄せる。それ以外の動作が間に合わなくなった所に、本丸を叩きこまれて】

「ぐ――――おぇ……!!」

【一瞬の事だった。ジ・エンブリオンの胸部にどでかい風穴が空いている。爆発の力で吹き飛ばされたのだ】
【当然、そんなダメージを負って無事でいられるはずもない。その身体はゆっくりと地面に倒れて――――】

「……お前、お前、お前……!!」

【ブシャッと――――その身体がはじけ飛んで、そこから何かが飛び出した】

【青白い光を放つ半透明の物質で形作られた、宙に浮かぶ巨大な海月の様な姿の中に】
【人間の脳髄と、そこに突き刺さる『青い石』が内包された、ゲル状の生命体】

【ジ・エンブリオンの身体がドロドロに溶解し、そこから生まれた半透明の海月――――ジ・エンブリオンの『正体』とも言うべき姿である】
【人間の形を維持できない程の大きなダメージを、その身に喰らったと言えるのかもしれないが、その戦意はむしろ、より激しさを増しているようで】



>>248

…………!?

【全く見当違いな言葉が返ってくる。その事に、一瞬全く場違いなひっかかりを覚えるが、事態はそれどころではない】

――――無駄ね。お前を叩き落とした連中は、今のお前を見て笑ってるわよ……失ったものに、勝手に溜飲を下げて目を逸らしてるって……!
そんな生き方をしている以上……お前は喰い物以外の何者にもなれない!! それを、教えてやるッ!

【ミドナの語る人生の言葉を、シュバルツガイストは突き放して無為だと断じる】
【負けた者がいると言う事は、そこには逆に勝った者がいると言う事だ。勝敗と言うのは、相対的な概念なのだから】
【負けた自分を肯定しているミドナの態度は、シュバルツガイストから見れば、踏み台になる自分を肯定している様なもの】
【それはもはや、人間ですらないとシュバルツガイストは断じる】

…………ッッ!! うらぁぁぁッッ!!

【至近距離に飛び込む事によって外された散弾。それを悔しがる余裕すらなく、シュバルツガイストにはさらなる連撃が見舞われる】
【この状況でシュバルツガイストにできる事は――――危険そうな攻撃以外には対応せず、甘んじて受け止める事だった】
【両腕に撃ち込まれた刃は、鋼鉄の義手に突き立ち、内部を多少損傷させる。その腕で無理やり腹部への攻撃を捌くと、足を撃ち落とされ、体勢を崩す】
【だが、その目はまだ何も諦めてはいなかった】

/続きます
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/23(土) 23:29:20.35 ID:XvyMvEVj0
>>247-248

…………ッ、あいつら……何を手こずってるのよ……!

【いささか遠目になってしまうが、シュバルツガイストにも、苦戦するジ・エンブリオンとクロス・ザ・ルビコンの姿が見えた】
【頭数ではむしろ多く、実力の差も、向き不向きはあっても、総合的にはそう変わらないはず】
【なのに、こうまで押し込まれているとなると――――事態は、容易ではない】

<……ッ!>

【クロス・ザ・ルビコンが、右手の剣を手先で翻して見せる。それは、特段の意味の無い単なる一動作なのだが、それでも剣に光が反射してそれなりに目立つだろう】
【――――そう、目立つ事そのものが目的だった】

「……ッ、はぁっ!」

【ゲル状になり宙へと浮かぶジ・エンブリオン――――その身体から、体液の飛沫が飛ぶ】
【その飛沫が――――鋭い牙状に変質し、>>247へと5発撃ち込まれる。性質をかなり自由に変えられる細胞――――それがジ・エンブリオンの強みだ】
【先ほどの泡のように、喰らえば体内で爆発する、と言う様な物騒なものではないが、弾速・貫通力に優れるそれは、ほとんどニードルガンだ】

ッッ、このぉぉぉッッ!!

【そして>>248と対峙するシュバルツガイストは、接近戦における最大の一撃を繰り出した】
【即ち――――義手の側面からシャキンと刃を展開。元より赤熱するほど帯びていた高熱と合わせて、そのままミドナへと叩きこもうと繰り出す】
【その一撃、どこで受けても危険だろうが、特に頭部や胸部に喰らうのは、場合によっては致命的な一撃になりかねない程に、危険だ】

――――っ、しっかり、しなさい!!

【そしてその合間、シュバルツガイストは>>247へ向けて、腰の砲台から1条のビームを放つ】
【ジャッ――――と言う中低音と共に、ビームは真っすぐ>>247に向かって放たれる。速度重視の一撃故に、その威力はさほどではないが】
【ジ・エンブリオンの弾丸攻撃と合わせて、さながら十字砲火となって、その援護は襲いかかるだろう】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/23(土) 23:38:13.73 ID:Tw7uZxogo
>>250

やはり耐久力も並ではありませんか……!貴方のような人物は、惜しい!
その心根さえ違っていれば、我々はさぞ良い関係を築けたと推定いたします!

(……ですがあちらの女性はどうも違う。感情を殺している……?)
(いいえ。あそこまで顔の筋繊維が動かないのは寧ろ異質なほど)
(さながらロボットですが……今はよしとしましょう。ただし、貴女の行動は見過ごせない――。)

【ヘケメトの放った追撃のチョップが、その刺が、ケミッシュの左肩から胸にかけてをざくりと抉る】
【回避もない。ハンマーも――なぜだか小さくしていて、しっかりと血が服の奥から滲み出し】

【どうにも解せないその状況を、ヘケメトがおかしいと瞬時に判断できたならばまだ良し≠セ】
【が、そうでなかったなら――『バリバリッ!』という、何かが破れるような音に、素早く気付けなければ】
【或いはそれがヘケメトとアウというコンビを断ち切る、最初の不協和音になるやも知れず――】

 【――ブランデン・ケミッシュは能力者だ。しかし怪力や武器は能力とは関係が無い】
 【とすれば何が能力か――安易に言えば分身≠ニいうものがその答え】
 【ただし、マンガやアニメの術とか、幻影をつくるとか、そういう生易しいものではない】

【分裂≠キるのだ――破れるようなその音は、ケミッシュの背面から】
【『もう一人のケミッシュが這い出る音』に他ならず――そのもう一人もまた、衣服は同じで】
【手にしたハンマーまで同じ所を見ると、完全な複製なのか。ニヤリと笑って、アウの方向へと向かっていく】

【その折、本来のケミッシュ―以下二人目を分身として―は、至近距離に居るヘケメトに両手を伸ばし】
【力では敵わず肩を手ひどくやられたことも分かっているにもかかわらず、その動きを阻害しようとするのである】
【可能ならば鳩尾や、脇腹に膝での打ち上げを叩き込もうとまでするその顔は、僅かに微笑み】

【分身は手にしたハンマーのサイズを僅かに大きめれば、素早くアウ目掛けて突っ走り】
【ある程度まで近づいたなら、ハンマーそのものを彼女へ向かってぶん投げる。――威力は言うまでも無いはずだった】
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/23(土) 23:40:49.57 ID:NDPHSwny0
>>244

 やはり魔術師か!

【男はそう叫ぶように言った】
【自分の推理が当たり、だが自分の果たすべきことはこの大男を倒すことではない】

 くっ!、やはりこのような術を持ってもいるか…!

【男は歯がゆそうに、言った】
【だがこれしきのことでへこたれていてはだめだ】

【そう思い走りながら男はK666に新たな弾丸をリロードする】
【それは男が持つ特殊弾丸steelだ】
【この弾丸は厚い鋼鉄を軽くぶち抜けるが弾速は遅いだがこの壁ではそんなものは関係なく】
【そして弾丸を発射し壁に穴を開けたところでさらに手を売った】

 やはり能力は使うぞ、任意で爆破できたほうがいい

【男はそう言って先ほどの時限爆弾を取り出した】
【そしてその時限爆弾を穴に投げた、その時限爆弾はタイマーをセットしていない】
【だが、その時限爆弾は見事に爆発し、壁にダメージをあたえて破壊した】

【破壊の残骸が降り注ぐ中、再び後ろを向き大男に向けて銃弾を発射する】
【けん制の一撃であり、魔術や魔法のこうかを弱めることはない通常弾丸だそれも牽制するかのように】
【だがそれによって、走るスピードは落ちていた】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/11/23(土) 23:47:13.78 ID:+zASkmm9o
>>245
【敵意に満ちた二対の瞳が睨めつけた先。下手人たる女は、酸鼻極まるこの光景を前にして尚平然としていた】
【無線機を懐にしまい込み、値踏みするように敵兵どもと一対の異形とを睥睨。すらり、小太刀を左の逆手に引き抜いて】
【退却する敵兵を敢えて見逃し、右足で半歩踏み出して半身に構える。指揮権を他に委譲したとは言えど、相手は一騎当千の能力者】
【ここで仕留められるのならば、そうするに越した事は無い──そういう思惑が透けて見える】

今の私は、誰の指揮下にも入っていない。ワンマン・アーミーと言うやつだ。
だから私に行える範囲で最も効果的な選択をした。戦場における能力者の役割は、例えるならば偶像だ。
より長く戦場に留まり、より劇的に、より多くの戦果を挙げて、味方の士気を向上させ、敵の士気を削ぎ落とす。

【波が引くように鮮やかな転進の手際に、感嘆の念半分、冷やかし半分にひゅうと口笛を吹いてみせれば】
【つまるところこれは『演出』なのだと嘯いて、外套の内に空いた右手を差し入れる】
【暗殺者めいた手管。いっそ無機的な程に感情の色を示さない瞳に、シニカルな言動。見れば見る程に、正義の味方らしくない女だ】

水の国、冒険者ギルド……いや。お前ら相手にはこちらの方が通りが良いか。

Justice≠フ末席、識槻 朔夜。正義の味方の、味方だ。

【女が懐から匕首を抜き出すと、何らかの能力の発露であろうか、その刀身は陽炎めいた大気の歪みを纏って投擲され】
【砂の刃の隙間をすり抜けて、泥の球を迎え撃つ。弾着の一瞬、刃の纏う歪みが弾けて──何らかの物理的な衝撃を伴う力場を展開、これを撃墜】
【投擲とほぼ同時に女は斜め右方へと駆け出し、的を絞らせぬよう円を描くような軌道で距離を詰めてゆく】
【彼我の距離が縮まり、小太刀の間合いにデュアル兄弟を納めれば、繰り出されるのは横薙ぎの一閃】
【ボクシングで言う左フックの要領──コンパクトにまとまった動作──で、黒い腕の内一つの手首を掻き切らんと狙う】
【然程体重も乗っていない上に、鍛えているとは言えこちらは人間の女。重さはたかが知れているが、太刀筋は速く、鋭い】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/23(土) 23:56:55.79 ID:OaeJwvVQo
>>254

【壁が破壊され、前方への道は拓ける】
【目的地までの距離はもうすぐそこであろう……が】


「はっ――――愚昧か自信かは知らんがの」
「子供の遊びか何かと勘違いしておるのか貴様は?」


【男が壁を爆破する工程の間に、シーナは先程同様に砂を流し接近する】
【人体の動きを無視した高速移動、ハンマーを楯のように前に構えながら】
【大柄な身体を前傾させ猛牛の如き勢いで疾駆した】


「人と相対する時はなぁ……目と目を合わせろと教わらなかったか!」


【牽制に放たれる弾丸をハンマーの先で弾き】
【そのままの勢いで戦槌を上から叩きつけようとする】
【威力は高いが軌道は単純明快、男の技量を以てすれば命中する一撃ではないだろうが】

【本命は"こちらではない"】
【インパクトのある一撃で相手の気を引きつけようとしながらも】
【男の左右より先程地面に戻した"床の腕"を出現させ、足首を掴もうとする】

【先ずは男の足を止めることを優先したようだ】
【相手の目的を達成させないこともそうであるが】
【シーナ自身プライドの高さもあって、逃げに徹する相手が気に食わないのか】
【正面から相対する状況を作り出そうと動いていた】

【床の腕の力は一般的な成人男性程度】
【強度は先程の壁より低く、破壊すること自体は難しくはない】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/24(日) 00:00:15.81 ID:FEk3JFc+0
>>249

【少女の右足に纏わり付いたコンクリートを見て、女は少女の能力に大方の予想をつける】

ほう、周りのものを装甲にするのか

【繰り出された蹴りを女は狙われている左足で応じる】
【女は自分の足の皮膚を硬化させ、ただ迎え撃つわけではなく、少女の両足の間に入れ、横に蹴ることで少女の蹴りを逸らした】

【少女のバランスを崩す目的もあるようだが、少女の対応次第では自分と身体能力にどれほどの差があるかを見極める手段にもなりうる】
【能力だけが戦闘の優劣を決めるわけではない。まして相手は接近戦では有利に立てる能力だ、身体能力次第では自らの能力をどう生かせるかが鍵だろう】


それなら、接近戦以外で攻めれば、どうする?


【残った右足を大きく後ろに蹴って女は少女との間合いを取ると同時に、自分の指を爪を使って切る】
【傷口からは人間のそれとは違う白い血が溢れる。それが、女からより人間らしさを失わせる】


ほらっ!


【溢れた血液が弾丸ほどになると血液は固まり、一発、指先から発射された
【威力は高くはない。皮膚を軽く傷つける程度のものだ】

【それだけでは終わらず、女はさらに後ろに下がって少女との距離を離す】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/24(日) 00:06:46.07 ID:XjMY1TXK0
>>251-252

………大した事ねーな……

【と呟く様に矢張り吐き捨てる。エンブリオンは、少年の蹴りがフェイントであると最後まで気付かず、】
【どうやら少年の能力を徐ろに受けてしまった様だ。其の証拠は、胸元に大きく空いた風穴、直撃すれば確かに其れ位の威力は在る。】
【だとすれば、エンブリオンは次第に動けなくなるのだろうと少年は判断した。……然し何か吹き出す音を聞けば、異変を感じて―――、】

【其処に在ったのは、死期を迎える筈のエンブリオンでは無く、何とも名状し難い異様な姿。スライム状になった彼を見た少年は、―――、】


………うっわ、きめェ………正体、よーやく明かしたっつーことか。
……お前も、あんなんなのかよ、……こりゃ、カノッサ、碌なトコじゃねーな、。


【只半笑い、『キモい』の一言で片付けるのだった。更に、戦慄するルビコンの方を向き、矢張り辛辣な言葉を振り掛ける。】
【呼応するかの様、ルビコンは剣を手先で翻して見せれば、再び鼻で笑って。―――目論見は成功、少年の注意を、惹けていた様だ。】

【針状となった細胞の飛沫は、少年の背中を捉えた。1本目で其の異常が分かり、体勢を瞬時に変えて見せるが、】
【全ては背後の出来事であった故に、反応が遅れ2本目も被弾。其の後は1つ1つ、類まれな身体能力で回避してみせるが、其れも"何とか"であった。】

【『……くそがッ……』と突き刺さった背中の2本を抜きながら、痛みを誤魔化すかの様零せば、向こうの対峙の様子を確認して。】
【―――確認したのは、偶とも言えるだろう。予想外にも、ビームが放出される砲台の口が、此方に向いて居て。】
【直線なのだろうと、其の予測は簡単だった。軽々とバク転を2回、回避してみせるが―――、】

【その間、先程受けた傷から血が吹き出してくる。尋常では無い痛みを感じれば、両足を地面に付けて。其の侭、体勢を低く取った。】
【だとすれば、相手の何方かに余裕があるなら気づけるのだろう。右肩に背中の傷、此の少年は今、相応に危険な状態にある、と。】

【少年はふらついたままだった。……此れは、防御に徹している様に見えるが、然し実際はそうではない。】
【此方からは近づかないなら、ルビコンか、エンブリオン、何方かが来る筈だ、と―――少年は両手に魔力を籠め、】
【虎視眈々と反撃の機会を伺っているのだ。ほのかに光る両手に気づけば、其れが罠だという事に気づけるだろうか。】

【然し、無防備にも近づいたのなら。カウンター、否、相手が少年に攻撃するよりも前に、少年は再び、能力を発動させるのだ。】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 00:07:49.80 ID:D1eF+Y6Ro
>>251 >>252

(…………痛ッ…………左腕、いっちゃったかなこれは…………)

【蹴りを受けた左腕に、強い痛みを感じる。のたうつ鈍痛は、明らかに骨への異常を告げていて】
【折れてはいないようだが、激しい動きは出来そうもない。ミドナはそう判断すると、左手に持っていた短刀を腰当ての中に納刀する】
【これで今のミドナは、上段の両腕に二本と自分自身の右手に一本の三刀流≠ニ、残る三本は徒手空拳という構えとなっただろうか】

はん――――言いたい奴には言わせておけばいいのよ。
勝ちだの負けだの、そんな小さいものにいつまでもうだうだ拘る方がそれこそ無駄っ!

――――あたしは、自由≠ネんだからッ!!

【勝つために全てを捧げた、そんな少女――――シュバルツガイストの言葉を、ミドナは真っ向から否定する】
【ミドナだって、何も負けっぱなしで生きてきたわけではない。やられた分は倍返しぐらいのことは、当然のようにやってきた】
【だが、時には何をやっても勝てない相手というものもあって。そんな理不尽を前にしたとき、二人の行動はきっとはっきり分かれるのだろう】
【諦めと罵られようが、何者にも捕らわれず、怒りや悔しさすらも置き去りに――――鳥のように、自由に生きたいのだと。ミドナはそう告げた】

【ひたすらに強さを求め、居場所を守り続けるか。はたまた潔く諦め、新たな居場所を探しに行くか】
【今は互いに、正義≠ニ悪を#w負って戦ってはいるが。そんな両者の生き方までもそんな型に当てはめることは、きっと誰にも出来ないのだろう】

――――――はぁあああああっ!!

【鷹のような金色の瞳に、闘志の炎が燃え上がる。迫ってきたシュバルツガイストに対し、ミドナもまた突撃していって】
【叩き込まれる両腕のブレードを、自身の右手の短刀と上段の左腕の短刀を使い、それぞれ真っ向から受け止めるだろう】
【高熱を帯びたそれが、至近距離から掌を焼くが――――それに一切怯むことなく、残る上段の右腕と下段の二本が迸って】

このあたしに近接戦を挑むとは、いい度胸じゃない!
よーしこのまま正々堂々…………………………なぁんて、ねっ!!

【にやりと笑ったミドナは――――まず最初に、上段右腕の短刀を逆手に持ち替え、大きく振りかぶって】
【そして同時――――下段の両腕が、腰当ての内側へと差し入れられる。その手はすぐに何かを掴んで戻ってくるだろうか】
【そこに握られているのは…………真っ黒な拳銃だった。二つの腕に一本ずつ、二丁の拳銃を取り出したミドナは、更に下段の腕を動かして】
【左腕の拳銃は、シュバルツガイストの脇腹に照準を定め――――その右から、がきん、という音】
【…………右腕の拳銃が、あろうことかたったいま砲撃したばかりの腰の砲台≠フ砲身の中に突っ込まれていた】

【そして、刹那――――】
【上段右腕の短刀は肩の砲身を今度こそ破壊するべく振り下ろされ、下段左腕の拳銃が脇腹へ向けて銃弾を射出】
【下段右腕の銃弾は、腰の砲台の砲身へ弾を送り込んで内部から破壊しようとする】
【――――これらの攻撃が、三カ所同時に行われるだろう!!】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/24(日) 00:07:59.89 ID:FDCwS1Bo0
>>246
覚えて頂いて光栄だ……No.12。フフフ……嗤いたければ嗤うがいい。正直自分でも可笑しいぐらいだ……―――私が“こちら側”に付くとは。
ああ、そうだ……私は先の戦いで、道を見つけてしまったのだよ。強い意志を持った少年と出会ってね……
彼の強さに興味が出た。倒しても倒しても這い上がる強さに………触れて<狂れて>しまったのだろうな。

……さて。あの少年は斃しても潰しても立ち上がったが、私はどうなのだろうね……フフフ


【灼熱に閃く一撃は、果たして女に手傷を負わせるには能わなかった。壁―――氷のような障害が、槍を阻んだ。】
【と同時に、逆に吹き飛ぶような衝撃が男を襲う。瞬間その炸裂を体に感じた彼は、自ら後ろに飛び受身をとって衝撃を軽減。】
【恐らく抗うべき衝撃ではなかった。無理に抗おうとすれば出来なくもないが、余計なダメージを負うだけだ。】
【そう判断して、敢て自ら吹き飛ばされる形となった。……恐らくは、あれがこの地に地獄を生み出した根源なのだろう。】

【ゴロリと転がってすかさず起き上がり、服に付いた土をパッパッと払うと、もう一度槍を構えなおす。】


【女は嗤った。まるで死した人々を弔った自分を一蹴するかのように。】
【まるで自分の思いを踏みにじるかのように。――――だが、生まれたての彼の信念は踏みにじられて崩れるほど柔な物ではなかったらしい。】
【――――彼は女の言葉を全て聞き、その上でフッと微笑んだ。】


―――――フフッ……祈って救いが手に入るのならば、私は僧侶になっていたかもな。
だが、私はこうして貴女と対峙している。祈って救われるのではなく……戦って勝ち取るために!
待っていても救われない!立ち止まれば、其処にあるのは死のみ!欲するならば、勝ち取るまで!
さあ、八つ裂きにできるならするがいい……今の私は頑丈だぞ!!


【闇を冷気が支配し、空間をも凍らさんとする。瞬間、虚空に現れる数多の氷錐は全て此方に鼻先を向け―――】
【歪んだ笑みが合図となり、一斉に男を目掛けて襲いかかる。氷錐は雨のように降り注ぎ、此方へと牙を剥く。】
【此方に及んだ氷錐を躱すのは大事無い。しかし、圧倒的物量の前に外れの氷錐にまで気を回すことができず――――】


……―――ッ!!


【長槍で目一杯弾くのが精一杯。槍の熱は鋭利な錐を溶かして丸くする事は出来たが、刺さることはなくても衝撃は免れなかった】
【グッと踏ん張って耐えるも、痺れが取れない。利き手の感覚は万全ではない……しかし、諦めるわけにはいかない。槍を構えなおし、魔翌力を槍に込める。】



――――最適化!



【注がれた魔翌力に呼応するようにその熱を増した槍は、やがて自ら溶けるように柔らかく、細く、そして長くなった。】
【その姿は槍というよりも鞭。柄が考えられないほど撓り、長く、灼熱の赤に染まり、むせ返るような蒸気を出している。】
【其れを振るうと、鞭は風切り音を上げて女の方へ向かっていく。身の丈の倍以上となった其れは、女目掛けて襲いかかる。】
【並みの氷なら一瞬で溶けてしまうほどの熱を持った其れは、当たれば肉を焼き焦がすだろう。しかし、当たらなかったとしても―――】
【そのままその場に立っていたなら、高熱を孕んだ不可視の蒸気が熱風となって襲いかかるだろう。】
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/24(日) 00:08:30.10 ID:ysWkdTy6o
>>253

「ヘケケケ、どォーだこの一発!」

【――彼はまず、攻撃が綺麗に当たったことに喜ぶのだった、相手が無抵抗だったとしても】
【攻撃を当てたことには変わりない、――単純な奴】

「……んゥ?」

【どこからか異質な音がする、いや目の前からしている――能力なのか?】
【――難しいことを考えるのは嫌いだ、とばかりに再び右腕を振ろうとした時】
【……ケミッシュは、既に"二つ"になっていた】

「なんだこいつ、増えたぞ!」 「――はッ、アウ!」

【分身が向かう先を眼などで追ってみれば、アウの方だった――それに気を取られたのがまずかった】
【その隙に元のケミッシュ――本体による妨害をモロに受けてしまう】
【幾ら身体が筋肉の塊とは言え、普通よりはまだ通りづらいとは言え、人間が本来持つ弱点は金的を除きほぼそのままなのだ】
【――膝を受ければ、漏れるのは小さな呻き声】 【だが、このまま抵抗しないわけはなく】

「ッ、この……!」

【――彼はアウへの攻撃を防ぐべく暴れつつ、元のケミッシュに掴みかかろうとし】
【それに成功したならば――ぶん投げにはぶん投げだ、と言わんばかりに分身の方のケミッシュに向けてぶん投げようとするッ!】
【咄嗟の行動ということもあってか、狙いは不正確である】 【また、ぶん投げる事ができなさそうならば、地面に投げて叩きつけようとするだろう】

【もしどうにかしてケミッシュを振り払えたならば、駆けて向かう先はアウ――が、おそらくは間に合わず】

『まずいですね……リフレクト・シールド!』

【一方のアウは、分身が現れこちらに向かってくることもわかっていた、だが】
【わかっている、と対処ができる、はまったくの別物。サポーターにとって、正面での対決は厳しいモノがある】
【――飛来するハンマーに合わせて、杖先から盾を展開するが、タイミングが悪かったのだろう】
【それは割れて、アウの杖――を跳ねて、それを持っていた左肩に命中、鈍い音や出血に伴い、杖を落とす】

『ッ……(こちらに向かわれると厳しいですね)』 『でしたら……!』 『ブロード・エフェクツで……ッ』

【アウは杖を拾い上げ、魔力を天に向けて放出しようとする】
【それは上空で分裂し流星のように降り注ぐ――それぞれが向かう先は、爆薬達】
【もし何かしらに当たったとすれば、先ほどのように、周りに壁を展開し、威力を劣化させる】
【が、こちらは〜10秒ほどで壁が消える。そういえば、最初の壁も無くなっていた】
【――劣化させられる威力は、多くても"現在の"10%にも満たない程度だろうし、途中で壁を破壊すれば更に減らなくなる】

【なお、一連の行為の間に何かしらの妨害を受けた場合、広域A・DR・シールドは行われないだろう】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 00:16:39.50 ID:D1eF+Y6Ro
>>259
/微妙に確定描写みたいになってたので修正しときます、すみません…………
/最後から四行目、【〜に突っ込まれていた】→【〜に突っ込まれようとしていた】でお願いします
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/24(日) 00:17:37.83 ID:dDAjtKOX0
>>256

 おあいにく、こちらは真正面に戦うように教育はされてない

【男は大男の言葉にそのように返した】
【任務の前にはプライドなんぞ安い、任務を果たせればそれでいい】

 まったく、厄介な魔術だなっ!

【一気に近くまで接近された男はそのハンマーの一撃に対して回避を取った】
【そう、大男の思惑通りに】
【ついに男は腕に足首をつかまれた】

 なっ、ちぃぃ!

【男は悔しそうにだがすぐさま対処にかかった】
【拳銃で連続発砲し腕を壊してすぐさまに、立ち上がった】
【保管庫まであともう少しと言うところで大男のトラップにひっかかり】
【一対一で正面から相対することになった】

 ……まったく厄介な男だな

【男は大男ににそう言い、素早くマガジンのリロードをした】
【そして真正面にいる大男に銃を突きつけ】

 さっさと、終わらせよう

【そう言って、発砲した】
【やはりそれは通常弾丸、だが今度は真正面にいるため頭部に向けての発射だった】 
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/24(日) 00:21:55.53 ID:grp851s/o
>>255
【異形たる自分たちの姿を見ても、幾多の命を奪いその返り血を浴びても、それが日常の光景と言わんばかりに】
【それどころか、多勢を相手に値踏みするかのような視線。退かせた兵らを追わず、自分たちに真正面から対峙するという行動】
【全てが、彼女が相当な実力とそれに見合う戦闘者たる精神の持ち主であることを思わせる】

『ハッ、ぼっち軍隊、ってか? 確かに、人付き合いが得意そうには見えねえな』
「その意見には同意するがな。事実、こちらの兵らはこの有様だ」
『しかし、偶像ねえ。血生臭いアイドルもいたもんだな、おい』
「この状況では笑えんぞ、弟よ」

【兵らが姿を消してもなお、女性と兵らの間に仁王立ちして、口笛を吹いて見せる女性に軽口混じりの返答】
【派手に戦果を見せつける偶像を名乗っておきながら、その手法は暗殺者のそれ】
【双子の瞳に、敵意のみならず強い警戒の色が混じる。国軍相手とは違う、ここから先はどちらに転ぶかわからない命のやり取りだ】


「Justice=c…!! 驚いたな、今や伝説と言ってもいい正義組織の一員に会える日が来ようとは」
『こいつはおもしれえ!!! てめえの首を取って帰れば、さっきの失態を取り戻して釣りが来るぜ!!』

【女性の、朔夜の名乗りを受けて、四つの瞳が驚きと戦意に満ちる。Justice=Bその名は彼らも知っていた】
【カノッサ機関は無論のこと、かつて存在した巨大な組織の野望をいくつも打ち砕いてきた、対機関連合と並ぶ正義の二大組織の一角】
【今でこそ、ほとんどその名は聞かなくなっていたが、このような形でその一人と遭遇しようとは。双子にとっても、相手にとって不足はなかった】


『ああ? んだ、あの妙な歪みは? うおっ!! 兄貴の泥玉が……』
「(……どういう能力だ、あれは……大気そのものが歪んだような……)」

「ギュスターヴ、来るぞ!!」
『ちっくしょ、ちょこまかと……ッづああ!!』
「ぐぬ……!! 手を出せ、止血する!!」

【匕首と能力を放つとともに、それに乗せて無駄の感じられない移動】
【間合いが詰められ、あまりに鋭い斬撃が閃光の如く走り抜ける。宙に舞い散る鮮血】

【軽いとはいえ、その鋭さと速さに対応しきれず、ギュスターヴの黒い腕の手首が血を噴出】
【そこにオーギュストの白い手が当てられ、あふれ出る泥が出血を軽減する】


『やりやがったな、このアマ!! またもう片方にも傷つけねえとならねえだろうが!! 神聖な一対を!!』
「まったくだ。我らの一対を軽々しく崩しおって……(近接タイプ……間合いを広げても詰められるばかり……ならば)」

【双子の怒りに奇妙なものが混じる。一対で存在する者に対し、美を感じそれを絶対視する、彼らの異様な価値観】
【自分たちの肉体の一対にも強いこだわりがあるらしい。しかし今は戦闘中。必要以上に気を取られるほど、やわでもなく】


【すかさず、双子の反撃。白い右腕と黒い左腕から、再び泥と砂】
【今度は流体ではなく、泥は固まって棒状の鈍器に、砂は集まって薄い鎌状の刃物に変化する】
【泥の鈍器が、小太刀を握る腕目がけて振り下ろされる。砂の刃物が、同じ腕目がけて下から振り上げられる】

【今度は同時攻撃。それぞれが上下から武器を握る手を狙ってのもの】
【至近距離ゆえ、動きは読みやすいだろう。しかし、また至近距離ゆえ、先ほどとは段違いの速度の攻撃だ】
【これをもって、相手の近接戦闘における要の一つであろう、腕を潰そうという魂胆だ】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/24(日) 00:35:16.37 ID:XHi97mquo
>>263

「ふん、猟犬の類かの?随分躾がなっていないとみえるのだ」
「どうやら貴様の主人には、きつい仕置が必要なようだな!」


【床の腕は銃弾を受け破壊される】
【が、元々その場に縫い止めることが目的ではない】
【逃げる間もない位置まで追いつく事が目当ての足止めであった】
【故に、シーナの動きは即座に始まる。"逃走の隙を与えない"為に】


「ククク……!この距離で弾込めとは随分と悠長なものだの!」
「生憎と私は貴様の動きを茶を飲んで待ってやるほど優しくはないぞ!」


【破壊するまでの行動には間に合わない】
【しかしリロードし、突き付けるまでの間にシーナは容赦なく割り込む】
【鋭い移動で間合いを詰めて、男の顔面に大きな左拳を叩き込もうとするだろう】

【発砲された弾丸は、シーナの側頭部を掠め血や肉片の代わりに砂が散る】
【やはり"砂の身体"に単純な攻撃を通すことは難しい】
【が、拳銃が"通用している"時点で無敵の超人ではなく】
【また、対魔術弾で身体が崩れたところから魔力を中心に構築されたものであることも判るだろう】

【この砂の大男には幾つかの明確な弱点と、"仕組み"が存在する】
【それを見極めることで勝機を掴むことも可能であろうか】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 00:35:40.57 ID:Ewv+3dYxo
>>257

【相手が勝手に自分の能力を想像してくれるのは、少女にとって都合が良かった。思い込みに溺れる人間は、過去何回も見てきたのだから】
【かといって、このような戦闘中、自分も他人の事を言えないのが現実である。その笑みの中、少しだけ瞳孔を細くした】

【……そして、猫という動物は元来身のこなしに優れた動物である。ビルの上階から落としても死なないのはその為と言っても良い】

「にゃっ!?  ……やったにゃッ!」

【つまり、化け猫である少女も当然その身体能力を受け継いでいて。バランスを崩した体躯。横倒しになりかける体を支えたのは、言うまでもなく両腕である】
【側転かハンドスプリングかのように、地面に付いた両手で逆立ち、そのまま一気に腕に込めたパワーを開放。数秒の間に、少女の体は元の体勢に戻っていた】
【どうやらこの少女、身体能力は俊敏さだけが売りというわけではなさそうだ】


「にゃに……ッ!? ……でもコッチも負けてられないにゃ!! 『ドルフィン・ポップ』!!」


【流れ出る白い血には驚かない。彼女もまた、人外であると公言しているのだから。しかし直後の弾丸は、少女の山吹色の瞳を開かせる】
【咄嗟に顔を振って回避するも、ピッ、と刻まれる赤い一文字。……遠距離攻撃。戦闘欲を更に奮い立たせるそれに、少女はニッと口角を上げた】

【繰り出されるのは、先ほどのようなコンクリート片の攻撃だ。だが今度は、先ほどのオーバースローではなく横から投げるサイドスロー】
【それも、手を限界まで地面に近づけて放つ変則的な投げ方だ。彼女からすれば、3本の鋭い欠片が地面から浮き上がりながら迫ってくるように感じるだろうか】
【やはり能力で制御されているのか、コンクリートのナイフは異様な速さを誇る。が、動きは単純だ。動きを見極めれば、回避も可能か】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/24(日) 00:37:42.71 ID:/BS/JUYjo
>>261

【ケミッシュはヘケメトに小さく一撃を入れることに成功したが――それまでだ】
【力では敵わない。これはどうやっても覆せず、元より小柄なこともあって】

【ケミッシュはヘケメトに投げ飛ばされ、そのまま奥の一般車に叩き付けられた】
【ガラスが割れ、頬を裂く。だがその表情は尚も負けなど微塵も認めていないふうで】
【加えて手にはまだハンマーがあった。パチリ――火花もまた、散っていた】

く、っ……かはッ……!やりますね、流石に出来るようであります……!
  ですがこのケミッシュもまた、機関の兵器として……ドクターの完成品として…ッ!
  決して貴方がたに負けるわけには行かない、いや……任務を仕損じるわけには行かない……ッ!!

【ハンマーを投げつけた分身は――動かずに居た。いや、その頬が裂けたのと】
【それから苦しげに声がくぐもるのを見ると、リンクしている=\―つまり動けないのだろう】

【何より彼女には遠隔攻撃の手段がなかった。自然、アウの魔力が周囲に降り注ぐのは止めきれず】
【なんとかハンマーを拾い上げたのは全域に壁が展開した頃で、言ってしまえばもう遅く】
【それでも尚、抗おうというのだろう。二人のケミッシュはほぼ同じ挙動で、巨大化したハンマーを担ぎ上げると――】

……させません。私の忠誠を、お姉さま方への道を、ドクターへの追悼を邪魔させは……!

【一挙に叩縋。地面を、それこそ地震でも起きたのでは思わせるように打ち付けた】
【発生するのはまたもや電流――だが今度は地を這わず、空から降り来る稲妻で】
【あるものは周囲の店舗を撃ち、あるものは車両をぶち壊し――あるものは爆薬に触れていた】

【触れられる、つまり魔力の壁を突破したというわけである。如何程な威力か、想像に難くない】
【幸いにして雷撃は人より他に当たる対象が多いため、ヘケメトもアウも被害を受けることはないだろうが】

【やや威力の減退した、複数の爆薬が炸裂するのには――恐らく、巻き込まれるだろう】
【これはブランデン・ケミッシュも同じだった。周囲には爆音が満ち、爆煙が満ちていて】
【――それでもアウの魔術のお陰か、路面の全てを破壊するには至らない】
【そこかしこに爆発の隙間≠ェ存在し――野生の勘だとか、そういうものがあれば回避も出来得るのである】

【もしもヘケメトが、或いはアウが、爆発の収まったすぐ後に行動できて、周囲を見回したなら】
【それぞれやや離れた形ながら、力を使い果たしたように背を丸めたケミッシュが見つけられるはず】
【動きはのろい。隙は大きく―――仮の仮、可能性は未知の領域だったが、攻撃のチャンスと見受けられた】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/24(日) 00:53:06.07 ID:Nun3iUSD0
>>258

「……お前に、僕は、殺せない……所詮、口だけ、だから……!」

【その強力な『生命力』を最大の武器にするジ・エンブリオンは、当然にして、強力な再生能力も持っている】
【だがそれは、瞬時に傷が治る、と言う様な類ではなく、どこまでズタボロでも再生できる、という類の『強力な再生力』である】
【流石に、すぐに人間の姿を取り戻すのには無理があったが、それでもなおゲル生命体と化したジ・エンブリオンは低く唸る】

「……クロス・ザ・ルビコン……最後まで、お願い……」
<ウゥッ!!>

【これまでのダメージの蓄積が響いて来てか、にわかに動きの鈍り出した銀髪の青年を前にして、ジ・エンブリオンとクロス・ザ・ルビコンが目配せをする】
【そろそろ、決着をつける時が近い――――予感として、そんなものが頭をよぎったのだ】
【共にそろそろ疲弊が目立つ。それを勘案すれば、事態は確かに大きな節目の局面を迎えていると言えるだろう】



>>259

(……、どうやら結構、腕に通った様ね……それなりに参ったらしい……!)

【左手の短刀を手放す仕草を、シュバルツガイストはハッキリと捉える。先ほどの蹴りを押さえた腕は、やはり無傷で、とは済まなかったのだろう】
【もっとも、それを言うならシュバルツガイストも同じ。腹部を切り裂かれた上に、各装備もいくら強固とはいえ、度重なるダメージでそろそろポテンシャルを落とし始めている】
【これが優位に立った証にはならないと、ただそれを『推移』として捉え直し】

――――ほら、そうやって諦める……!
生きる意味と引き換えにして得た自由なんかに価値を見出して、恥ずかしくもないなんて……
そんな腐れた負け惜しみ、二度と口にするなッ! ――――『塵』めッ!!

【強烈に、シュバルツガイストの中に息づいている信条。それに照らして、ミドナの言葉はもはや、聞くに堪えない醜悪な内容に感じられるのだろう】
【シュバルツガイストにとっては、その言葉は単なる『矮小な開き直り』にしか感じられなかったのだろう】
【――――勝つ為にと、自ら望んでその身体を捧げ、人間である事すら自発的に捨てた彼女からすれば】
【己の命を全うする事を中止した、塵芥の如き存在――――傲慢ではあるが、そんな見方でミドナを痛罵して】

ッッ!!
(……やらせるか、それだけは絶対に!!)

【放った両腕の攻撃は、それぞれの短刀に受け止められる。ミドナが相当の使い手である事を、事ここに至っては認めざるを得ない】
【だが、そんな一事に感心している場合ではない。その事を良く分かっているのは、シュバルツガイスト自身の理性だった】

【――――怒りを、100%力へと転換できる。ジ・エンブリオンはシュバルツガイストの事をそう評していた】
【それは、必ず死もいつでも当たると言う訳ではないが、少なくとも今は、パニック寸前の思考がしっかりと制御されていた】
【――――取りだされた銃。そして狙われている胴体と、左肩、左腰の砲台】
【下手に浴びては戦闘不能どころではなく――――いつかの時の様に、砲台が暴発、致命的ダメージを負う事もあり得る】
【その状況に対して、シュバルツガイストが取った行動は――――】

――――――――ガァァァァァァッッ!!

【咆哮と共に、両足の『ショットガンレッグ』をその場で同時に発射する。無論、足元に】
【そして、その反動と共に身体を大きく逸らし、そして自らを吹きとばし、一気に離脱を図ったのだ】

…………ぐ、ぎ…………ッ…………――――いらない…………勝つためなら、こんな身体…………いらない…………ッ!!

【結果的に、腰の砲台は何とか乗り切ったが、肩の砲台は斬り落とされ、そして腹部には銃創を貰ってしまう】
【それでも、シュバルツガイストは腰の砲台を守り切った。ダメージよりも、むしろ武器――――それを優先したのだ】
【勝ちに向かえなくなるのなら、身体を守る意味もない――――その選択には、一種の凄みすらある】

/続きます
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/24(日) 00:54:02.27 ID:Nun3iUSD0
>>258>>259

……っ、クロス・ザ・ルビコン!! 『抑えて』!!
<ウゥッ!!>

【状況は、既に勝負を決する場面が近付いている】
【大きなダメージを負ったシュバルツガイストとジ・エンブリオン、そして消耗しつつある銀髪の少年を鑑みるに、それはそれほど的外れな考えでもないだろう】
【その布石の為に――――シュバルツガイストは、それまで2手に分かれていたクロス・ザ・ルビコンへと合図を飛ばした】

<ゴゥガァァァッッ!!>

【クロス・ザ・ルビコンは、右手の剣を腰にしまい込むと、左手の鞭を右手に持ちかえ、そして懐から大型の拳銃を取り出す】
【そして、鞭をがむしゃらに>>258へ、拳銃を>>259の足元へと2発、それぞれ見舞った】
【傷を負った右腕で鞭を扱う事はともかく、利き腕ではない左で拳銃を扱う為に、狙いがぶれて、銃弾が直接>>259へと放たれる事はなかった】
【――――否、事実はそうではない。この銃弾が着弾すると、その周辺に、べたりとした薬品が飛び散る】
【下手に触れれば様々なものを溶かし去ってしまう、二液反応型の薬品が仕込まれた銃弾。それによる足止めである】
【そう――――この時の、クロス・ザ・ルビコンの2人への攻撃は、完全に『足止め』に特化していた】

っぐ……行くわよ、ジ・エンブリオン!
「……分かった、合わせるよ、シュバルツガイスト……!」

【その隙に、腹部に重傷を負ったシュバルツガイストと、身体の役半分を失ったジ・エンブリオンは、同じ方向へと飛び出し、そして振り返る】
【2人だけが、一団から少し離れた位置にいる構図になる】

……貴様ら、もろとも吹き飛ばしてやる……! 『シールドオーラ』展開、ベクトル指定、チャージ……!
「……お前ら、2人とも、焼き払う……!」

【シュバルツガイストは、一部を切り裂かれた自分のボディスーツを、自ら引き裂いて、前面を露出させる。そこには、いくつかの『箍』が素肌から突き出ていて】
【そこに、斬り落とされた左肩を除く、残り3つの砲台からエネルギーが収束していく。ぶわっと膨張した光が、徐々に濃くなっていく】
【そしてそのそばにはジ・エンブリオンがつき従い、ゆるゆるとその触手を2人に向けて伸ばし、無理やりに失った細胞を増殖させる】
【――――決めの一撃。それを放つ為の準備動作と見て、間違いないだろう】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/24(日) 00:55:15.08 ID:dDAjtKOX0
>>265

 誰かに仕えてはいない、雇われているだけだ
 だが、雇い主に仕置きできるものならしてみればいいさ

【男は大男の言葉にこう答えた】
【だが、雇用主に仕置きできるののははだはだ疑問ではあると男は思う】

 悠長に待ってくれることなど期待はしていない
 期待するほうが間違いでもある

【鋭い移動をして左拳の割り込み攻撃に対して男は】
【素早く身を後ろへとステップして回避する、少し掠ったが】
【だが掠った程度ではダメージにならない】

 やはり、通常のでは効果は薄いか
 ならばこれで!

【そう言って再び男は大男に銃を向ける】
【そしてそのまま再び大男に接近した】
【今度は特殊弾丸 magic・huntingを装填済みである、魔術や魔法を弱める弾丸を発射】
【そして発射される弾丸、やはり狙いは胴体か】
【そして発射されるのを確認したら、そのまま後方へと一気に下がるであろう】
【当たる当たらなかった関係なしに】
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 01:14:35.50 ID:XHi97mquo
>>270

「はっ――何度も何度も同じ事を繰り返しおって!」
「まだ私の術技を子供の遊びとでも思っておるようだな!」


【放たれる弾丸に対して、シーナは魔術を発動させる】
【男とシーナの間の地面が変化し、簡易的な壁が出現し受け止める】
【魔術減衰効果により壁は弱体化し完全に止める事は出来なかったが】
【勢いを殺ぎ、通り抜けた弾丸を槌で叩き落とした】


「この期に及んでまだ下がるか!余程私と戦う気がないと見えるが」
「その余裕をそろそろ崩させていただくかの!」


【逃げの一手を打ち続け、同じ動作を繰り返しま戦おうとしない相手に苛立ちながらも】
【シーナは地面に魔翌力を通し、次の魔術を発動させる】
【位置は男の後方、ステップにより下がった先で発生した】

【床が粒子状に分解され、再構築】
【そこに生み出されたものは、先程よりも一回りほど太い腕であった】

【砂の腕は男の背中を狙い、一直線に拳を叩き込もうとする】
【それと同時にシーナは足元の砂を操作し高速移動】
【前方からバトルハンマーを持って迫り、横薙ぎに振り払おうとするだろう】

【前後の挟み撃ち】
【両方の攻撃自体は単純であるが、どちらかに気を取られれば】
【片方の攻撃を受ける可能性も考えられる】

【対処するには状況を素早く理解し、適切な行動を取る必要があるだろうか】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/24(日) 01:18:48.37 ID:ysWkdTy6o
>>267

「……ふゥ〜、――」

【無理な体勢で投げたせいか、ダメージを負っていた脚が痛む、腕もだ】
【――そんな事を気にする事は無かった、その眼には怒りの意思が宿っていた】

「俺のアウに手ェ出すとはいい度胸じゃアねェーか……」

【理由は言わずもがな、アウだ――彼女が彼をよく知り信頼していると同時に、逆もそうなのである】
【彼は負ったダメージが悪化しようと構わず、分身の方に向けて思いっきり跳躍しようとし――】

『(ダメージの挙動を見ますと……リンクがありそうですが……)』
『(……ヘケメトの耐久が羨ましいですよ、本当……早く止血を……ッ!)』
『爆発……、幾ら威力を弱められたとは言え壁ごと破壊されては……まずいですね……』

【――地が揺れた、空が轟いた】 【飛来するは無数の雷、高いモノが周りに多くて助かったが】
【そう安堵する間もなく、爆音が聞こえてきた――原因は想像するまでもなかった】

「――うぅぅおおおアアアアーーーーッ!!」

【――ヘケメト単騎ならば、爆発を避けていたかもしれない】
【が、手負いのアウには無理があった、爆風が迫り己を焼かんとしていた――
【広域A・DR・Sの直後だったということもあり、反射盾を展開するも――耐久が足りない、持ちそうにもない】

【そこへ飛来するのは雷ではなく、ヘケメトだった――跳躍の矛先を咄嗟に変えたのだ】
【盾が砕ける直前に辿り着けば、アウを抱きかかえるかのようにして庇い、爆風をモロに浴びる】
【何回か地面を転がるとようやく止まり、――】

「アウッ!」 「大丈夫かァッ!」 『……まったく、いつも無茶してばかりですね』

【――爆風で身体は焼け、吹っ飛び落下した事で肉は裂け、しかしそれよりもアウの無事が大事だった】
【軽傷で済んだ彼女からは、ほんの僅かに"呆れ"と"嬉しさ"の情が滲み出していたような、そんな気がした】

『……ヘケメト、彼女達へ一発当てたいのでしょう?』 「……勿論だぜェ」
『彼女達はおそらく繋がっています――両方に当てずとも、大丈夫でしょう』 『さあ、行きますよ――』

【アウの身体が突如変化を見せる、――それは真っ白な光の塊だった】
【光にへと変化したアウは、ヘケメトの背中へ纏われ――そして、翼となる】
【その翼が自力で羽ばたけば、重いヘケメトを持ち上げて空を飛び――そして】


「――――死ねェーッ!!」

【――最初に比べればやや声量の落ちる叫び声とともに、元のケミッシュに向けて斜め上から急降下してくるヘケメト】
【ヘケメト自身は何も行動していない、ただ、翼の動くままに動かされているだけで――実質はアウの攻撃である】
【重力と重量、そして翼による3つの力が合わさったその一撃――威力は想像に難くない】

【成功失敗問わず、ヘケメトは再び上に飛ばされ、そして適当な地面に着地する】 【……脚に力が入らず、おもわず跪いてしまうのだが】
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/24(日) 01:26:17.08 ID:FEk3JFc+0
>>266

なるほどな……


【身のこなしは自分より上かもしれない】
【だが】

パワーならどうかな?

【間合いを取った女が後ろに手を伸ばし、掴み取ったのは国軍兵の死体】
【後ろから前へと溜めの少ない動作だったが、スピードは先のコンクリートとほぼ変わらない】
【瞬発力をパワーによる力任せによって補う。少女とはどちらかといえば対極にいるといえるか】

【しかし、投げた”球”が大きかった。結果的に少女の行動を自ら見逃してしまう形となり、飛来してきたコンクリートのナイフに反応が遅れる】

【一枚、血液の弾丸によってギリギリ打ち落とす。二枚、両手で挟んで受け止める。が、そこまで、三枚目は女の肩を切りつけた】

ふむ。どうやら身体能力はそこそこ互角のようだな……

【肩、指先から溢れる血を固めて出血を抑えた女は、ゆっくりと片手を頭の後ろにもって行き】

ならば武器を使わせてもらおう

【ブチッ!と爪を使ってツインテールの内の一本を切り取った】
【素早く一本の棒に編み上げた髪は硬化し、女の肩ほどまである棒へと変わる】

それじゃあもう一度、接近戦だ!!

【広げた間合いを一気に詰め、少女に急接近する】

そぉおらっ!!

【大降りに、片手で、当たることを優先した薙ぎ払いが少女のわき腹目掛ける】
【硬化したとは言え柔軟さも残っているようで、その髪の棒はまるで竹のようにしなっている。無防備に直撃すれば強力な一撃となるだろう】


274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/24(日) 01:28:24.57 ID:dVFBYSqU0
>>260

(へぇ……“救われた”か。、……――――)

【いっそ清々しく語る男の言葉―――言葉にないその結末を、女は『そう』理解したのだろう】
【想う事はある。けれどこの夜は要らない。己が言葉を貫くは緋の髪の女/何一つとして揺るがないのだと、】

「……別にいいよ。四肢潰して全身失くせばどの道終わりでしょ?
 その子供も同じ事―――――殺せなかったアンタが悪い」

【狂しても、道を違えても。女には何も変わらないのだと謡う様に】
【“力”、ただそれだけでひしゃげる現実だと――――】
【その確信を告げる様に襲い来る力。鞭の如く槍が撓る】


「――――――――――……ッ!!」

【瞬時に展開した六層の凍結障壁―――――悉く容易く貫かれれば、身を捩って回避を試みたが穂先に脇腹を裂かれる、】
【瞬間に沸騰する血液が激痛の奔る傷口を鋸で挽き、一瞬囚われかける意識を刹那に現実に引き戻した】

【肌を灼く熱風も忘却に変える。】
【必要なものは、唯この男と鉄塔とを折り砕く破壊の力――――――――】


「―――――――――――だから、甘いんだって英雄殿」

【常人ならば狂していた。常人ならずとも激痛に悶え動きを止めただろう。だが、くすと笑うそれはけものの闇だった。】
【自分が死ぬ事も念頭に置いて、最悪の激痛を想ったがゆえに “想定よりはそれは軽い”――――――、】


「結局アンタは意味すらなく死に、この街は誰も救えない。
 機関(あたしら)が利用してあげるだけ華がある――――― 諦めなよ、“救いなんて何処にもない”。
 勝ち取る? 切り拓く? 笑わせるな夢物語(ドンキホーテ)。
 “個” としてこの現実を生きる私が、安寧を生きるお前たちに敗れる筈もない……!!」

【救いはない/ゆきつく未来(さき)はない/狂い哂い引き裂き奪うことでしかこのつまらぬ鎖は引き千切れない、】
【絶対の絶望と衝動が悪意の牙を研ぎ澄まし、それゆえに最高の暴虐としての自認を貫く。“誰も、この肌には触れられない”。】
【躍動の獣はそこにあった。その闇の奥に疾走すべき原野を見出し、自らの願い得る最強の魔物として己が存在を行使した。】

「息絶えろ……勝つのは、私だ……ッ!」

【黝く輝く氷の槍――――――――これこそが≪氷空綺藍≫が名を冠する破壊の極致。嵐の如く、多数を/揮う、】
【触れるだけで其れは炸裂し、そして悍ましいまでの密度と速度を以て彼だけを狙う。爆発の規模は……一撃一撃が現用兵器を遥か越えるといえば、その暴威の程も伝わるだろうか】
【だが、それは槍同士の相殺を嫌ってか範囲型だ。此度も見切れば対処する必要があるものは僅か五本――――彼の全身を狙う様に、五芒星の配置でぎゅるりと迫る】

【彼には固体にも等しく敵影を払う熱風がある。見切り、切り裂き、貫き、奔る、冴え渡る槍の業がある。】
【そして何より勝利への意志が、掴み取れた燦然と輝く“ひと”守るための道がある―――――――。】
【絶望に膝を折るならばそれまでだろう。槍は跡形もなく黒衣の男を消し尽くし、余波がレーダー塔さえも揺るがし倒壊の糸口を望む】
【それゆえに女にこの先の光景は未知(わから)なかった。総て相殺されたとて、同じだろう】

【ダリア・レオンフィールドが想定するのは最悪の絶望―――――ブラッグスがこの暴虐をも打ち払い、変わらぬ悠然を以て対峙する光景。】
【だが、その事態に於いても状況を続ける事に躊躇いはなかった。女は、その現実に挑むことを己とするゆえに】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/24(日) 01:29:23.47 ID:FEk3JFc+0
>>273//訂正です

【間合いを取った女が後ろに手を伸ばし、掴み取ったのは国軍兵の死体】
【後ろから前へと即座に投げつける。溜めの少ない動作だったが、スピードは先のコンクリートとほぼ変わらない】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/24(日) 01:29:48.90 ID:XjMY1TXK0
>>268


………其の、核っぽいトコ、壊せば死ぬんじゃねーの?………あ、これ、違ってたら恥ずいな……

……なんだ、こねーのかよ、じゃー……俺から。


【時間が経った為に、少年の呼吸も少しずつ落ち着きを取り戻していた。少年は近くのルビコンへと踏み込んだ―――が、】
【其れに応じるかの様、ルビコンは鞭を振り回した。思わずバックステップで回避、つまりは"足止め"に成功したと言えるだろう。】

【辺りを見回せば、2人が集結した状態。其の台詞から、此れまでとは違う何かを感じ取った。】
【既に準備段階に入っている。"シールドオーラ"の名から、今から其れを防ぎに向かう事は、極めて危険、言い換えるなら無謀であった。】
【だとすれば、其の攻撃を受けずに済む行動を取る必要が有る。隠れる場所を探す事を考えたが、貫通力を考慮すると其れも運の伴う動作で。】

【逃げるのは論外、……結局、自分の身体能力と、"能力"を信じ、其の場のタイミングで、避けるしか無かった。】
【レーザーを食い止める事は諦め、回避する事を頭に入れつつ、少年はルビコンの位置を瞬間確認して。】

【鞭のお返しと言わんばかりに、先程、エンブリオンに放ったのと同じ様な爆発を起こした。】
【然しルビコンに向いているのは、掌だけ。其の間に移動していれば、空を切る事になるという物、随分と無駄の在る動きだった。】

【少年の身体は勿論、シュヴァルツガイストとエンブリオンの方向を向いている状態だ。】
【何時、レーザーが放出されるのか―――、其のタイミングを、ずっと見計らっている様で。】


>>259


―――そこの神様っぽいやつ、"ミドナ"っつってたか、……わりーけどよ、俺、あいつら止めらんねーから。
………自分で妨害か回避するか、………あるいは俺んとこ来るか。………適当に、選んでくれ。……俺選んだ所で、生命の保証は、出来ねーけどよ。
……あ、要らねーなら要らねーっつってくれると、助かるわ。


【少年はミドナに、自分では2人を止め切れない事、そしてレーザーの回避方法として自分を選ぶ選択肢がある事を伝える。】
【然し其の内容は一切として語らない。若し其の辺りに不審に思えたのなら、或いはそもそも不必要なのなら、当然断る事も出来るのだろう。】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/11/24(日) 01:37:10.09 ID:+quc8rOmo
>>264

伝説、か……覚えているのが敵ばかりってのも考えものだな。喜んで良いやら、悪いやら。
……まあ、いい。取れると思うんなら、やってみろ。

【手首を切り裂いたのを確認すると、軽く血振るいして残身。油断なく反撃に備える】
【敵はナンバーズ。用心はし過ぎるに越した事はない。こちらの所属組織を知っているらしい事も気に掛かる】
【そのうえ、頭数で見れば二対一。甘く見ていい相手ではない。余裕の感じられる口振りとは裏腹に、女の思考は慎重だ】

(予想より反応が速い。処置の手際もいい。先程見せた高い指揮能力といい、油断ならない相手だ)
(個人的には、能力者二人相手の方がまだ気が楽だな。……こいつらの連携は、私には崩しようがない)

死んで荼毘に伏されれば右も左も無いだろう。墓石はシンメトリーのを誂えてやる。これなら文句はあるまい。

【砂の鎌と泥の棍棒を用いた変則的な二刀流での、武器を握った腕を挟み打つ二撃を前に、女は内心で舌を巻く】
【湾曲した鎌の刃は単純な防御を掻い潜り、重い棍の一撃は防御する腕に少なからぬ負担を掛ける。単純ながらよく練られた戦術だ】
【しかし、この距離は自分の間合い。おいそれと退く訳にはいかない】

……っ、く!

【まずは小太刀を大きく振り上げて、振り下ろされる棍棒を受けたが、性差もあってかやはり若干押される。負荷に左腕の骨が軋むようだ】
【続く鎌の刃は、先程と同質の歪み──反発する力場の守りを用いて、空の右手で弾き飛ばす】

【砂は速く鋭いが、如何せん軽い。泥は鈍いがそれだけに、重く身体の芯に響くようなパワーがある】
【対手の能力による攻撃の質は、先の一合で大まかにだが見切っている】
【咄嗟にそれを防御に活かせたのは大きいが、今の鍔迫り合いのような態勢は女にとってあまり好ましいものではない】
【この膠着状態を打ち崩さんと繰り出される反撃は、腹部を狙った掌底】
【やや上傾きの角度を付けた、鳩尾から入って横隔膜を突き上げる軌道の一撃だ】
【この態勢からでは体重が乗り切らないため威力は低いが、予備動作が短く、やや読みづらい】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/24(日) 01:40:56.54 ID:dDAjtKOX0
>>271

 普通に距離をとるのは必須だろうに…!

【男はそのように言ったものの大男にとっては言い訳に聞こえるか】
【距離をとろうとして後ろへと跳躍はした】
【だが、後ろからに生成された太い腕の攻撃】
【さらに、前方からの攻撃にも対処をしなければなくなった】

【そして彼は後方からの一撃を横に行くことで避けた】
【が、横なぎの攻撃をかわしきれなかった】
【男が後方の拳に気をとられすぎていたのだ】

 ごわっ!

【男は横なぎの一撃をくらい、そのまま横へと吹っ飛んだ】
【だが、その中でも冷静で落ちるときには受身を取り、幸いにも重症にはいたらなかった】
【骨は折れたが】

(どうやら、どこかの骨が折れたかだがこの程度どうと言うことはないか)

【男はそのように思い立ち上がる】
【だがこのままではらちもあかない】

【ならばと思い立ち上がり、一気に男は大男に向けて加速した】
【そして、いままでもっていた通常弾丸をマガジンから一個取り出して】
【能力を使い爆弾に変えて、そのまま大男に向けて、投げた】

【その爆弾は大男に近くまでいって爆発する、バトルハンマーで防いだとしても男は爆破するであろう】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 01:47:01.23 ID:D1eF+Y6Ro
>>268 >>269

【腰の砲台だけは破壊できずとも、それ以外の部位への攻撃は確かに通った。痛打は与えた筈なのに】
【…………それでもなお、決してあきらめず勝利に向かって動き続ける気概。鬼気迫るその表情に、ミドナは素直に感服するのだろう】
【自由と言っておいて、お前はただ越えられぬ障害を前に膝を屈して逃げているだけなのだと――――浴びせられる痛罵にも、それだけ説得力があった】
【はぁ、とミドナは溜め息を付く。あまりにも相容れず、決して交わらない互いの道を、遠い眼で幻視して】

――――そうね。生きる意味、って言われると弱いんだけど。あたしだって、まだ探してる途中だから。
絶対に妥協せず、絶対に折れずに突き進むあなたの心意気は、素直に立派だと思うわよ。
けど…………あたしの生き方が諦めだっていうんなら、あんたのその生き方は――――。

【 「――――妄執≠チて、そう呼ぶんじゃないの?」 】
【…………小さく呟かれた言葉は、シュバルツガイストの言葉からミドナが感じた、そのままの印象だった】
【ミドナを『塵』だと表するなら――――正反対の生き方をするシュバルツガイストにも、まるで鏡のように、その言葉は返ってくるのではないかと】
【その感情は、間違いなく傲慢。傲慢で高慢で、きっと少女をひどく貶めるものなのだろう】
【だが…………それでもミドナは、そう思わずにはいられなかった。可哀想だな≠ニ――――】


>>267
…………同じく、あたしにもあれは無理っぽい。悪いけど頼らせてもらうわ。
あと、あたしは別に神様じゃないけど…………ま、今はあんたの方策≠ェうまくいくことを神頼み≠オておこうかしら?

【放たれる銃弾――――そして、目の前でジ・エンブリオンとシュバルツガイストがチャージを開始する】
【掛けられた声に振り向けば、そこには焦りの表情が浮かんでいるだろうか】
【ミドナの能力は――――ただ腕が多いと言うだけで、防御能力などは一切ないのだ】
【このまま攻撃を仕掛けてもいいが、銃弾が作り出した溶解の沼もあるし、何よりも――――】
【シュバルツガイストの強烈な意志を見る限り、一発二発殴ったところで強引に発射されてしまうだろう】
【それを瞬時に判断すると、ミドナはひとつウィンクをして、少年の近くに移動するだろうか】

【――――それと、同時】
【ミドナは下段左腕に持っていた拳銃を、負傷した左腕に持ち替える。短刀を振るのは無理だが、引き金を引くだけなら可能という算段か】
【そして空いた手に、下段右腕の拳銃を更に持ち替える。最後に、その空になった下段右腕で腰から新しい短刀を抜刀する】
【この動作を終えれば――――残る二本の左腕に拳銃、三本の右腕に短刀という格好になるだろうか】
【その一連の動作は、恐らく少年が攻撃を防いでくれた後のことを考えたもので――――】
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 01:50:58.53 ID:D1eF+Y6Ro
/安価ミス、>>279>>267ではなく>>276でした
/それと遅くなってしまって申し訳ない…………!
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/24(日) 01:53:28.62 ID:/BS/JUYjo
>>272

【ヘケメトとアウの相乗攻撃――急降下からの蹴り飛ばし、とでもなるのだろうか】
【それはしっかりと、確実にケミッシュを打ち、当人は対応もし切れず、転がって】

【――そのまま動かないのは、気絶したのか。しとりと血だまりが広がるのは】
【恐らく。単なる傷だと思われた。僅かに動くのが見える辺り、死んではいないはず】
【それに次いで分身のケミッシュが溶けるように姿を消した。不思議なのは】
【彼女が持っていた複製品と思しきハンマーや衣服までもが同様に溶けたことだったが】

【ともあれ、しぃんとなった幹線道路上――今、動けるのはヘケメトとアウだけであり】
【二人の勝利は―観客が居ないのが残念だが―鮮やかに決まったのであった】

『―――……やはり、素質はあっても経験が圧倒的に足りていないようだな
 ブランデン・ケミッシュ……、…貴様らか。どうも中々、やると見えるが』

【その声は、観客でも動ける戦士でもない。言うなれば少女の身請け人】
【衣服はひらりとした外套。背には槍を背負っていたが、顔は同じく布で隠していて見て取れず】

【彼は煙の中から現れて、倒れ伏した少女を担ぎ上げ、そしてヘケメトとアウを見やるのである】
【鷹のように力強い瞳だった。あからさまなまでの強者――闘争本能を刺激するやも知れないほどだ】
【けれどこの相手は遣り合うつもりはないらしく、一瞥すると踵を返し】

『早めに此処を退くことだな。状況は分からんが、機関の兵器が使用される可能性が在る
 ……貴様らは勝者だ。つまらぬことで死ぬなど、私の心情が許さん。
 そして……いずれまた会うこともあるだろう。その時は分かる≠ヘず……精々、首を洗って待っていろ――。』

【捨て台詞とも忠告とも取れる言葉を残せば、彼はまた、現れた時と同様に】
【いまだくゆる爆煙の名残の中へと消えていった。――もうこの地に、脅威も爆薬も存在しない】
【言葉が真実ならあまり長居するのも良くないだろう、何より、居ても良いことが無いのだし】

【――少し離れた場所で、転移の魔術反応があったことがアウには分かるかもしれない】
【それは完全なる離別の挨拶。勝敗のケジメをしっかりと付けた男の、消失の証であった】

/遅くなりましたが、この辺りでっ!お疲れ様でしたー!
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 01:56:22.77 ID:Ewv+3dYxo
>>273

「にゃにゃっ……強いにゃ、アンタ……」

【「ドルフィン・ポップ」や先ほどの「ホーク・ストライク」等、攻撃翌力を少しでもカバーできるように、少女の動きは基本的に大振りである】
【だが、此処で化け猫の特性が現れてくる。彼女に分かるだろうか、少女の吐く息の白さが、前より濃くなっている事に】
【スタミナ。少女のウィークポイントは破壊力と俊敏性の非両立の他にも後一つ存在した】

【そして彼女の身体能力がそれに拍車をかける。3枚のナイフの内、2枚を無効化する程に優れた能力と反射神経】
【彼女もショートレンジでの打ち合いを望むというのならば、少女のスタミナはますます削られていくだろう】
【―――だが、彼女にはスタミナよりも追求するものが有る】


「――――――ぐぅっ!!……でも、アンタとの勝負、負けたくないにゃッ!」


【髪で形作られた竹刀のような棒。横薙ぎに振るわれるそれを、少女は完璧に避けることが出来ない】
【スタミナが切れている。しかし、そのメンタルはまだ負ける事を許さない。精神が折れない限り、少女には力が漲ってくる】
【……負けず嫌い。その言葉こそ、少女の原動力となっているのだ】

【激痛に顔を歪めるも、力負けして吹き飛ばされる前に少女は自ら踏ん張るための左足を地上から離した。だが、戦いを諦めたわけでは無かった】
【そのモーションは、先程のようなキック。そして正に吹き飛ばされるその直前、少女の足は先程よりも一回り大きくコンクリートにコーティングされていた】
【そして彼女が竹刀を当てたことで油断しているならば、その彼女の脇腹にも少女のキックが突き刺さるだろう。無論、コンクリートの重量とともに】

【蹴りの成功失敗にかかわらず、少女は踏ん張りきれずに吹っ飛ばされて地面へと転がる。だが、直ぐに起き上がるだろう少女の表情は、まだ挑戦的な笑みを湛えていた】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 01:59:44.62 ID:Ewv+3dYxo
>>275
/あわわ……すみません、訂正を見ていませんでした……。

/それでは>>282も訂正して
【だが、此処で化け猫の特性が現れてくる。彼女に分かるだろうか、少女の吐く息の白さが、前より濃くなっている事に】

【投げつけられた死体を何とか躱すものの、彼女に分かるだろうか、少女の吐く息の白さが、前より濃くなっている事に】

/に訂正します
/お手数をかけます、すみませんでした……
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 02:01:58.72 ID:XHi97mquo
>>278

「む――当たりが浅かったか。次はもう少し上手く当てるのだ」


【上手く受身を取られ、最小限の被害に抑えられた】
【男の高い対処能力と身体能力に、シーナは小さく悪態を付きながら】
【その場で一度ハンマーを振り回し、肩に担ぐようにして構え直した】

【向かってくる男の姿に対し、シーナは迎撃行動を取る】
【動きを凝視しながら、ハンマーを大きく振りかぶり】


「ふん、何のつもりか知らぬが無駄なのだ!」
「苦し紛れの攻撃など――――」


【放られたマガジンをハンマーによりはじき飛ばそうとした瞬間】
【マガジンが爆発。シーナは至近距離でそれを受けることとなった】
【今の時点で能力を察せられていなかったが故の油断】
【"爆弾化"を想定した行動を取れず、直撃を受けることとなった】

【爆発により、バトルハンマーが半ばから折れて吹き飛び】
【大男の外套を始めとした前面の"肉"が大きく抉られた】
【所々が焼け焦げ煙を上げ、逞しい巨体がゆら……と一度大きく揺れた】


「小癪な……真似をしおるのだ!」


【大男は満身創痍の様相でふらつきながらも】
【両腕を大きく広げて男に迫り、ガッシリと強く抱きつこうとするだろう】
【行動の成否を問わず、その瞬間大男の背中から小柄な影が飛び出す】

【純白のローブに身を包み、鼻先かまで深くフードを被り顔を隠した人物】
【身長の頃140cm程度であろうか、見た目だけならば子供のようにも見える】
【肩口からは大男同様に漫画のフキダシのようなボードを生やしており】
【黒い砂状の物質が蠢き文字を形成していた】

【この人物が砂で構築された身体の正体――ゴーレム――を操作していた術師であると察せられるだろうか】
【見た目通りならば、先程とは比べ物にならないほどに脆弱な身体であった】
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/24(日) 02:13:40.80 ID:Nun3iUSD0
>>276

「……お前に、それは、やらせない……いざと、なったら、守り切る……軽々に、やらせは、しない……」

【――――その推測は的を得ていた。ジ・エンブリオンのそこは、急所としての意味合いを兼ねていた】
【どんなものにも中核と言うものは存在する。彼の場合はそこが正に中核としての役を成しているのだろう】
【それでも、ジ・エンブリオンはそこを易々と攻撃させはしないと、ハッキリと言い切った】
【実際には難しい事だろうが、その細胞操作の特性を完全に防御に転化させれば、確かに抜く事は容易ではない】

<ウゥッ…………グ、ウッ……!>

【牽制の役を成して、クロス・ザ・ルビコンは腰のコントロールボックスを操作し、背中の翼を吹かせてその場から飛び去る】
【時間稼ぎを成せば、むしろ自分は邪魔になるのだ。その場から後退した方がいいと踏んで】
【そこに、爆発が放たれる――――偶然動作が噛み合って、直撃は避けられたものの、その足に余波を浴びる事までは避けられなかった】
【思わず、握っていたはずの2つの武装を、その場に取り落としてしまう】



>>279

……この世の全ては、『勝ち取る』ものだ……その事実があるだけで良い……!
それさえあれば……私は消えない、私は絶対に……!

【世界の真理――――その命題に合致する言説は、いくつも存在するだろう。シュバルツガイストは、その1つを取りだして叫ぶ】
【『勝ち』と『負け』――――それは相対的な概念であり、単体ではこの世に概念として存在する事も出来ない、不確かなものである】
【だが、相互にそれが存在している以上、強力にこの世界に作用し続ける、明瞭な真理である事も、事実なのだ】
【命が存在する以上、そこには優劣が発生する。優劣が発生する以上、そこには勝敗が発生する】
【――――人にどう謗られようとも、それを真理だと確信できる限り、シュバルツガイストは己を疑うつもりは、微塵もなかった】



>>276>>279

<ウォッ!>
ジ・エンブリオン、あんたは私のあと……!
「分かった……!」

【上空へと逃れたクロス・ザ・ルビコン。共に構えるシュバルツガイストと、ジ・エンブリオン】
【対する2人は防御を固める為、一箇所へと固まった。後は、もろとも撃ち抜いてしまえば良いだけである】

――――――――消し飛べぇぇぇぇぇッッ!!
「うわあああああぁぁぁぁぁぁッッ!!」

【シュバルツガイスト、そしてジ・エンブリオンの咆哮と共に、それぞれに用意した『最後の一撃』が、2人目掛けて放たれた】
【シュバルツガイストの防御兵装『シールドオーラ』を介して収束された、巨大エネルギービーム『チャージウェーブ』】
【そして、細胞を限界まで発熱させ、それを細胞操作で撃ち出す、ジ・エンブリオンの『細胞熱線』】
【熱と光、2つの強烈なエネルギーが、2人目掛けて発射される。まともに喰らえば、それだけで命が危ないと言える様な、必殺を期した一撃だ】

…………ぐぅっ……!

【だが――――当然と言うべきか、その反動も大きい。特にシュバルツガイストは、腹部に重傷を負っている上に、その両足には既にガタがきている】
【無理な離脱を初めとして、今回も足を酷使し過ぎたのだ。そこにこの一撃である】
【エネルギーの奔流が去ると、シュバルツガイストは思わず膝に手を突いて、敵である2人の結果を見やる】

「……これで……どうだ……?」

【それは、ジ・エンブリオンについても同じ事が言えた。『細胞熱線』は、要は自分の細胞を燃料とした一撃である】
【もはや、触手すら失って、その身体は完全に単純な半円状になってしまっていた】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/24(日) 02:16:38.52 ID:dDAjtKOX0
>>284

(よし、当たったな)

【男は先の大男に当たった攻撃をよく見ていた】
【そして当たったことに内心喜びつつも、油断はしていない】

【そして両腕で男を拘束しようとした大男の行動を男は回避する】
【具体的には横へローリングして、回避した】
【そして大男の中から小柄な影が飛び出すのを見た】

(っ!、なんだ!?)

【男は驚きつつも一瞬迷った、あの影に攻撃するべきか、それともこの大男に攻撃するべきかを】
【だが男は一瞬の迷いをすぐにまとめてその大男――ゴーレムへと攻撃を続行するべきと判断した】

 一気にかたをつけるっ!

【その判断を下し、すぐに動いた】
【まずさらに空っぽのマガジンを2個取り出し、それも爆弾へと変えゴーレムに投げつける】
【さらにすぐさま、特殊弾丸steelを装填ゴーレムに向けて発射した】
【その弾速は遅いものの厚い鋼鉄を軽くぶち抜ける威力を持っていた】

【だが、この男は小柄な影については警戒しつつも少し油断もしていた】
【その油断に漬け込む形で攻撃もできるはずではあるが】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/24(日) 02:22:12.74 ID:ysWkdTy6o
>>281

「うッ、ぐゥおお……まるで焼ける様な痛みが……」 『……ツッコミ待ちですか?』

【火傷の痛みは、ヘケメトの体中に迸る――着地の衝撃は小さくとも、刺激としては十分過ぎた】
【……しかし、それでもまだ"闘争心"が発せられている、彼にとって戦いとは意識を手放すまでなのだ】
【彼らが分身の方のケミッシュの異変に気づくのは、そう遅くはなかった】

『しかし……爆破は防げませんでしたか、報酬金に問題が出そうですね』 「……んゥ?」
『……片方、おそらくあの時増えた方でしょうか……分裂のようで、やはり分身だったのですね』
「…………違いが……うゥーん……まァーでも、良い感じに勝ったぜやったァーッ」

【何はともあれ、彼らは勝利を掴んだことに違いなく――だが、その勝利を喜ぶ前に】

「――ヘケケケ、第二ラウンド開始かァー?」 『……無理は止めてください、治療するのは私なのですよ』

【……新手の者が現れた、その眼に宿るモノは間違いのない強さのオーラ】
【言うまでもない、ヘケメトがその者に戦いを挑もうとすることは――異常な闘争心を持つ故に】

「おりゃアー、そうだ俺は簡単には死なねェー、だから良いから戦わせ、……ろッ」
『……兵器、……そうでした、ヘケメト――長居は無用です、逃げますよ』 「えェー、やだァー」

【例え焼けた身体が痛み、更に体勢が低くなろうとも――意識ある限り、戦いの意思も途切れぬ】
【……だが、相手を止める力は今は無く、立ち去る相手を見送ることしか出来なかった】

「そォーだ、……上のあれでもなんでも良いからよォー、……第二ラウンドをだなァー……、ッ、痛ェ……」
『……安全な所であなたの傷を癒やします、本当は上空の兵器に向かうべきなのでしょうが……』
『私の力だけでは無理ですしね、……あなたの力があって初めて力強く素早い羽ばたきが生まれるのですから』

【ヘケメトの翼となったアウは、そのままどこかへ――おそらくは、依頼を受けた場所にへと飛んでゆくのだろう】
【――もし彼らが"空を飛ぶ機関の兵器"に手を出していたならば、はたして結果はどうなっていたのだろうか】
【もしもの話の結果は誰もわからない、――】

【――ヘケメトの治療が終わる頃には既に、戦いが終わっていた】

/お疲れ様でしたー
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 02:26:05.95 ID:grp851s/o
>>277
「民衆というものは忘れやすいものだ。それに比べれば、命のやり取りをした相手のほうが覚えているのは道理ではないか?」
『言うねえ、Justice=I! それでこそ殺り甲斐があるってもんだぜ!!』

【オーギュストが静かに言葉を返し、ギュスターヴが、手首の痛みをごまかすべく吠える】
【攻撃の成功に油断するなど一かけらも見せず。双子もまた、朔夜への警戒は決して解かない】

【双子がJustice≠知っていたのは、彼らの相棒であるNo.29が熱心に情報収集に努めているため】
【過去の事件の記事や資料から知識を得ていたことが理由であったが】
【同時に、朔夜とも直接または間接、関係があると思しき人物たちと、双子が接触してきたことも事実だ】

【奇妙な縁が絡み合い、正義の古強者と、悪の若輩がここに交錯する】


「(あの太刀筋……剣士としての腕前は、一流以上か)」
「(先ほどの能力と言い、この首を取るのは容易ではないぞ……)」

『……交渉はなかなかうまいじゃねえか。墓石が必要になったら、是非ともそれがいいもんだ』
「だが、この一件の首謀者であるグラトン博士とは協力関係なのでな。そう簡単にやられるわけにもいかん」

【双子もまた、朔夜の無駄のない動き、研ぎ澄まされた剣技、的確な判断力、それらに敵ながら簡単を禁じ得なかった】
【自分たちの浅知恵がどこまで通用するか、わからなくとも挑まねば可能性はゼロだ】
【互いの命に手が届く距離で、異形と剣士が死の舞踏を舞う】


『うおっ!! またこれか!! なんなんだ、この力はよ!!』
「手応えはあったが……浅い、か」

【敵の戦力を正確に見抜く能力も、朔夜の戦闘者としての能力なのだろう】
【的確な対処により、まともに食らわせることは失敗した双子は歯噛みする】

【次の瞬間、繰り出される攻撃は拳。鳩尾、人体の急所を容赦なく狙う掌底】
【異形と言えど、基礎的な構造は人のそれと同じ。短い動作で素早く繰り出された一撃が、兄弟を抉った】


『ごあっ……ああああああああ!!!』
「かはっ……ああああああああ!!!」

【双子の身体が、苦鳴と共に朔夜から引き離される。が、苦鳴の後半は、異様な濁声と水音に変わった】
【掌底を食らった直後、双子の口から砂と泥が前方の朔夜に向かって吐きつけられたのだ】

【攻撃力はほぼないが、量が多い。正面から浴びれば、視界を一瞬塞がれ、最悪足を取られての転倒もありうるだろう】
【所詮は苦し紛れの反撃、突破すれば異形どもの隙をつけるはずだ】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 02:35:12.43 ID:XHi97mquo
>>286

【特殊弾丸を受けたゴーレムは、耐久限界を超えて構成が崩壊】
【その場で一度身体を揺らした後、ズシン……と巨体を床に倒し土塊へと変わった】
【一定以上のダメージ、もしくはコアが破壊されることによって機能を失う】
【このゴーレムの持つ制限の一つであった】


「私としたことが、少し頭に血が上っておったかの?」
「こうなっては仕方がない――ここは一気に仕留めさせて貰うのだ!」 


【小柄な人物……術師シーナは、自身の周囲に3つの小石を放り投げる】
【小石――"ゴーレムコア"を中心として魔術が発動】
【瞬時に周囲の床を巻き込み、それらは偽りの体を構築した】

【現れたのは3体の鎧騎士】
【床と同色の鈍い色をし、全身鎧姿で剣を持った簡易ゴーレム】
【先程の大男よりも数段階性能は劣るが、数が多く制作も容易な人形兵であった】


「あの爆発は何度出来る?幾つ同時に対処できる?」
「ククク……この私、天才魔術師シーナ様の秘術の前に屈するが良いのだ!」


【ボードにそんな不敵なセリフを表示させながら】
【3体の鎧騎士は剣を振りかぶり一斉に襲い掛かった】
【1体目は縦に剣を振り切りかかり、2体目3体目は1体目より数瞬遅れて左右から襲う】
【一体一体は雑兵に等しく、動きも鋭いものではないが】
【一般的な成人男性程度の力は持ち、剣で斬られたならば相応のダメージを受ける可能性もある】

【無論――シーナはあれだけの実力者がこんな児戯で仕留められるとは考えていない】
【シーナの足元の地面が渦巻き、魔翌力が練り上げられていく】
【飽くまでも相手の消耗と、時間稼ぎを狙った攻撃なのだろう】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/24(日) 02:47:40.38 ID:XjMY1TXK0
>>279>>285


【ルビコン が飛んで立ち去るのを見れば、少年は3人に出会った時と同じ、口角をニヤッと引き上げてみせた。】
【―――何かに確信した、という事。然しミドナが此方に来ると分かれば、表情は直ぐ様戻されて。】


……あ、お前、阿修羅じゃーねーのな、……ま、どーでもいいけどよ……
………じゃー……俺に、しっかり、掴まっとけよ、……落ちても知らねーからな……
……あ、背中、2つ、穴空いてっから、……そこんとこよろしく……


【両方の掌を地面に向ける。ミドナが自分の身体に掴まった6本の手応えを確認した所で、シュヴァルツガイストの方へ向き直った。】
【2人が咆哮を上げたのなら、少年は構えて。大砲の口が最大限の光を帯びたタイミングを見計らい、能力を発動、―――二人は、"翔んだ"。】
【比喩でも何でもない。純粋に、翔んだのである。ロケットと同じ原理、下向きに爆風を吹き付ける事で、天空へのベクトルを得たという物。】

【先程、何故少年が笑ったのか。―――"空中は安全"なのだとルビコンが示した故、である。思い付いた一つの手段が、確信に変わった瞬間であった。】

【爆風は、エンブリオンが放った細胞熱線をも吹き飛ばし得ると考えた。其れ故、際立った対策は取らなかったのだが、―――、】
【彼の意思の強さとも言わんばかりに、尚も一部、2人に襲い掛かる物が在った。当たればマズい物なのだろうと少年は横目ながらに判断し、】

【器用に両手を操作し、クルッと二人の軸を180度回転させて見せる。】

【空中、下手に動けば墜落しかねない。今はそんな物に左右されている状況ではないのだ。ならば、―――"身代わり"になるしか無かった。】

【もう少し早ければ喰らわなかったのだろう、エンブリオンの細胞熱線は少年の右足を捉え、降り注いだ。】
【超高温の其れは、黒色の革ブーツをも溶かし、やがて少年の足を襲う。ジュッと嫌な音が響けば、ミドナにも何が起きているかは分かるだろうか。】

【レーザーの放出が終わったのを見計らった所で、少年は再び地面へと着地、其れ程綺麗な物では無かったが、一命を取り留めた。】
【少なくとも此の少年に関しては、正に其の表現が適切である。―――今まで負った傷に加え、右足はもう動かせないに等しい状況だ。】

【着地後、少年は其の侭膝を付き、何度か咳払いをしながらも、荒ぶる呼吸を止めようと必死になる。】
【"もう闘えそうにない"と、少年の姿を見たのなら、そんな印象をミドナは抱くだろうか。】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/24(日) 02:48:45.12 ID:dDAjtKOX0
>>289

【ゴーレムを倒したもののまだあの小柄な術師は生きている】
【だが、これで保管庫の道は切り開かれている、どちらに行くかふたたび迷った】
【そして、やはり一気に思考をまとめたあと素早く術師の方へと向き】
【そのときに特殊弾丸 magic・hunting残り二発を装填する】

 屈するきはない
 ここで貴様を倒しそうそうにけりをつける

【男はそう言い術師に向かって再び加速した】
【だがその加速しているさなかにゴーレム兵が2〜3体現れるが】

 かまってなどいられん、貴様が本体だろうに!

【男はそう言って術師になおも向かう】
【だがその過程で、ゴーレムから切りつけられる】
【首尾よくかわすものの腕や顔などに切りつけられる、血が出てきただがそれでも男は止まらない】
【深くはなかったが、そこまで浅くはない】
【だがそれでも男は術師に向かって走る、そして人形兵たちを突破して】

【そして空っぽのマガジン一個を取り出し爆弾にかえて術師に投げつける】
【そしてダメ押しとばかりに特殊弾丸 magic・huntingの二発を発射した】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/24(日) 02:56:12.04 ID:FDCwS1Bo0
>>274
【道を違えはしたが、自分とて嘗て“機関”にいた身。かの少年との出会いがなければ今頃自分も彼女の横に立っていたかもしれない。】
【しかし、現に自分は変わった。其れが良い事なのか悪い事なのかは分からぬが、ともかく変わったのだ。】
【ならば、其処には意味があるかもしれない。自分が変わった意味を、知りたい。其処に意味がないなんて、言わせない―――!】

【ある種の願いにも似た意志を込めて放った一撃は、障壁の尽くを衝き、空を切り裂き、彼女を抉った。】
【男はその手に確かな手応えを得た。ダメージを負わせる確信を得た。現に、槍は手傷を負わせるには十分だった……―――】



【―――しかし、倒れぬ。それどころか、笑っている……】



【……この熱が、痛みが、耐えうる物ではないという事は使い手である本人も重々分かっているはずだった。それでも、倒れぬ―――!】
【思わず男も嗤いがこみ上げる。あの一撃を受けて笑いながら立つなど、「狂気じみている」と。】

【「狂気」は獣となり、また牙を剥く。暴れ、狂い、喚き、嗤い、暴威となってこの躰を襲う。】
【男の持つ紅の槍とはまるで正反対の凍てつく氷槍は、各々が暴風雨の如くこの身を貫かんと向かって来る。】
【槍が地に付けば爆風となって襲い掛かり、かといって全て地に付くまでに対処しようとすれば捌ききれず確実にその身を貫く。】

【――――全てを見切ることは出来なかった。爆風は男を蹂躙し、躱しきれなかった槍の一本は男の左腕を貫いていた……―――】
【意識を持って行かれそうな程の衝撃と文字通り身を切った様な激痛が、男を襲った。爆風は周囲の地面をも巻き上げた。】



【――――しかし】



【爆煙が晴れれば、そこには男が左半身を己の血で真っ赤に染め、最早使い物にならないであろう左腕をぶら下げ、右手に槍を持ったまま――――仁王立ちしていた。】
【先ほどと変わらぬ、いや、それ以上の眼光をその双眸に湛えて前を睨みつけて、倒れ伏すことなく両の足で地を踏みしめていた。】

【男が確実に甚大なダメージを負ったのは、その体を見れば分かる。鮮血は滴り落ち、左腕は最早その身にぶら下がっているだけの様相。】

【それでも立つ。倒れない。倒れるわけにはいかない。女が獣となり絶望の牙を剥くのならば、自分は信念を槍に変えて貫く――――そう決めた】
【自己中心的で勝手な思い込みによって脅かされる命を、絶望から救う為にも。初めて持ち得た信念を貫くためにも。】
【……倒れるわけにはいかない!己が獣を止めなければ、獣はその牙を用いて次々と命を奪う。だから………負けるわけにはいかないのだ!】
【勝つ!勝つしかないのだ!!――――頭から痛みや畏れは消え、勝利への執念のみが男を支配する。】



「勝つ……私が――――勝つ!!」



【―――瞬間、男は慟哭した。それを合図にしたかのように槍は暁の如く輝きを増し、呼応して男の躰も薄く赤い光に包まれた。】
【槍の穂先に近い地面までもが余りの高熱で赤い光を放つ。穂先に留まらず槍全体が赤々と光り、灼熱に身を包んでいる。】


「―――ピサール!!魔人王よ、一刻でいい!!私に力を貸せ!!」


【やがて男の躰を包んだ赤い光が収まった。―――――――男の髪は紅く染まり、全身から人間のものとは思えない体温を発していた。】
【紅く光った瞳をもう一度女の方へ向けると、ニィッと嗤い―――右手だけで長槍を持つと、一歩踏み出した。】
【……踏み出した瞬間。常人どころか獣でも有り得ないほどのスピードで地を蹴りつけて近付くと、女の正面に立とうとする。】
【それが叶えば、繰り出すのは紅き一閃。最初の一撃と同じようで、速さも強さも天と地の差の一撃。】
【近づくだけで身を焼くような高熱に、掠っただけでも吹き飛ぶほどの刺突を猛烈な勢いで三度四度と繰り出す。】

【圧倒的な速さではあるが、直線的な動きであることに変わりはない。もし「これさえも彼女の想定内」ならば、動きを予測できるだろうが―――】
【そして、回避が叶ったなら。―――男は元通り。それどころか、体力を消耗しきった状態に陥ることだろう。】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 03:03:59.64 ID:XHi97mquo
>>291

「貴様は優秀な猟犬だったが、手札を見せすぎたのだ!」
「貴様の能力や道具は厄介ではあるが……質量で押し切られたならばどうかの!」


【簡易ゴーレムを突破し、攻撃を開始しようとする男に対し】
【シーナは完成させた魔術を以て相対する】

【術師を中心として周囲の地形が一気に崩れ砂化し】
【生み出された膨大な砂が一斉に前方に向けて流れ出ていった】
【例えるならば砂の"津波"】
【圧倒的な質量を以て前方の相手を押し潰そうとする】

【力が広く分散しているため、殺傷力は然程高くないが】
【直撃した場合強い衝撃と共に壁や周囲の機材に叩きつけられる可能性がある】


「ぐ、ぬッ――こいつだけは本当に面倒な道具なのだ……!」


【何事もなかった場合、爆発や銃弾を押し流そうとするものの】
【魔翌力減衰の効果を持つ特殊弾丸だけは完全に受けきることは出来ない】
【行動が魔翌力に依存している以上天敵とも言える銃弾だ】
【砂をかき分けながら弾丸は進み、その内一つがシーナの右肩に命中した】

【多少勢いは抑えられているものの】
【華奢な身体で受け止めるには強力すぎる一撃であり】
【銃弾はシーナの肩の肉を抉り、その身体を後方に吹き飛ばした】

【シーナは大きなダメージを受け、多大な隙を晒している】
【次に追い討ちを放つことは難しい状態だ】
【もし男がシーナの術を耐え切ったならば――その間隙を付き保管庫に侵入することも可能であろうか】
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 03:12:42.16 ID:D1eF+Y6Ro
>>290

ちょ――――っ!!?

【ミドナはなんとなく、何かもの凄い防壁のようなものを展開するのだとばかり思っていて】
【指示されるまま――武器を持ったままの五本腕は使えなかったが――唯一空けておいた上腕左腕で少年に捕まるのだろう】
【――――爆音、そして噴射、浮遊感。それらの感覚が、唐突にミドナの体を襲う】
【強引だが、しかし利に適った回避方法が採られたことに、少しだけ遅れて気づくも――――】
【少年の右足が焼ける音に、思わず目を見開いて下を見るが…………他人の心配をしている場合では、無かった】

――――っぐ、ぅうううううううッッ!!!?

【腕が四本も増えるということは――――逆に言えば、的が四つも増えるということでもある】
【例えばそう、下に延びる二本腕は、当然下からの攻撃に当たりやすく――――下段右腕の三割程が、短刀ごと強烈なエネルギーに飲み込まれてしまう】
【――――獣の咆哮のように痛烈な悲鳴は、エネルギーの腕にも痛覚≠ェ存在することを示していて】
【過度の損傷を負った上段の左腕は力を失って、すうっと呆気なく消えていく。これで残る腕は、あと五本】
【その後、ミドナは少年と一緒に着地するが…………膝を突き、息も絶え絶えの状態だった】
【本人には損傷はないが、しかし本当に腕を吹き飛ばされるのと同質の激痛が、確実に彼女の精神を疲弊させたのだ】
【果たしてどれ程の苦痛であったのか、その両眼には涙すら浮かんでいて――――】


>>285

ああ…………『勝ち取る』、か。あんたは本当に、強いのね。
その生き方は、確かに正しいのかもしれなけど――――何故かしら。
やっぱりちっとも…………楽しそうじゃないわ。

【…………ふらりと立ち上がった瞳には、涙に濡れた闘志が滾っているのだろう】
【妥協を知らず、ただただ強く己を鍛え、どこまでもどこまでも戦い続けて勝ち続けて――――】
【続いてきた闘争。これからも永遠に続く闘争。弱い者が搾取され強い者が恵みを得る、生物としてはきっと正しい生き方で】
【…………それを思って、ミドナの胸に去来するのは、どうしようもない虚しさだった】
【戦って戦って、それで何になると言うのか。その先に何があるというのか――――それに終わりはあるのか】
【未来永劫闘い続けるのではないかとすら思える、少女。その意志を曲げることは、きっと出来なくて】

【そんな彼女を前に、ミドナが絶対にやらなければならないことが一つだけあるのは、確かだった】
【――――その生き様とは決して交わらぬ道を往く者として。全身全霊を以て、それを否定すること】
【たったそれだけのことしか…………負けを受け入れ、拳を解いて。代わりにこうして他人と繋ぐ御手≠得た弱い女には、出来ることなどないのだから】


は――――――――あああああぁぁぁああああああああぁぁああああッッッ!!!


【もはや掛ける言葉はない。掛けたくても見つからない。刃を通じ、拒絶を叩きつけることしか出来ない】
【神の如き腕を携え、泥臭い咆哮を上げての吶喊。少年と繋いだ左腕に、いまは新しい短刀を携えて…………接近に、成功したのなら】
【二丁拳銃≠ニ三刀流≠ニいう、自身の能力を最大限に生かしたコンビネーションから、猛烈なラッシュが繰り出される――――!!】

【斬撃はシュバルツガイストに、銃撃はジ・エンブリオンに集中。ただ目の前の敵を倒すための、ただ勝つ≠スめだけの戦法】
【折り重なる攻撃は、一撃一撃は大したことはないにせよ、手数は雨のように積み重なって、防御や回避を困難にするだろうか】
【しかし――――その全てが、急所を外れている。金色の瞳は、つまらなそうに、悲しそうに、歪んでいて】
【痛みに滴った涙は…………まるで手に返ってくる手応えに、堪えきれないかのようだった】

【――――いずれにせよ、ミドナはある程度攻撃を繰り返した後、バックステップで距離を取るだろう】
【その時二人が、彼女の意図通り行動不能になっているかは、わからないが】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/24(日) 03:22:55.11 ID:dDAjtKOX0
>>293

 やはりか!

【男は自分の予測が正しかったと、再びそう思った】
【だが術はもう発動されており、圧倒的な質量の津波が迫ってきていた】
【男は直撃を受けない部分へとそこを目算し、その部分へと行った】

【だが直撃の部分ではないとはいえ津波である男はそのまま押し流されどこかにぶつかった】

 ぐわはっ!

【男はそのように苦悶の声を上げた、流されて肌がむけ骨がまた何本か折れていることにも気がつくが耐える】
【そして押し流された場所を確認するとそこは目指していた保管庫であった】

 どうやら……自分は運がいいらしいな…

【そう言って、その保管庫へと扉の鍵を拳銃で撃って壊し中に進入する】
【そして中に進入してその中から爆発しそうなものを選び、爆破物として変えた後に再び外に出てくる】

 ああ、これで任務は完了した

【男は外見はぼろぼろではあるが、その程度で倒れるような鍛え方はしていない】
【そしてそのまま保管庫からおりる、すると】
【保管庫が派手な爆発をおこした】

 ああ、任務は、ぐっ…、達成した

【少々苦しそうな声を上げつつもそのまま男は術師のほうを見て】

 貴様…には…手間取らせ…ぐっ…られたがな

【男はそのよう途中で苦しそうな息を混じらせつつも言って術師を一瞥しそのまま撤退していく】
【そのぼろぼろな体に似合わないスピードで】

/遅くなりましたがこの辺で閉めますね
/お疲れ様でした
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 03:24:07.62 ID:D1eF+Y6Ro
>>294
/ぬああああ誤字発見…………
/【過度の損傷を受けた「上段の左腕」〜】→【過度の損傷を受けた「下段の右腕」〜】でした、すみません
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/24(日) 03:32:23.30 ID:Nun3iUSD0
>>290>>294

「……っ、飛んだ……!?」
――――――――ッッ!

【その回避法は、全くの想定外だったのだろう。そんな手段が使えるなら、それまでに何度も使う機会はあったはず】
【ここまで出し惜しみして、戦力を消耗させるとは――――実際、銀髪の少年は満身創痍状態になっている――――おおよそ、理解の範囲外だった】
【そんな無茶をしてでも、回避し切るのだと言う強い意志が、そこにはあったのかもしれないが】

――――くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!

【銀髪の少年の、献身的な防備が実を結んで、ミドナのダメージは大きくない。実際にはそこに強烈な痛みが残っているのだが、傍目にはそれが分からない】
【自分たちの余力のほとんどをつぎ込んで叩きこんだ一撃でも、倒し切れなかった。その事実に、シュバルツガイストは叫ぶ】
【――――また、勝てないのかと】

うあああああぁぁぁぁッッ!! …………あ、がぁフっ……っぐぅぅぅぅッッ……!
「くっ……これ以上は…………」

【シュバルツガイストの両足にはガタがきている。ジ・エンブリオンの細胞は既に危険レベルまですり減らされている】
【そこから、ミドナの仕掛けてくる攻撃の嵐に対応し切れる余裕は、もはや残っていなかった】
【滅茶苦茶なウォークライを叫びながら、何とか攻撃を捌き、反撃の気を窺おうとするシュバルツガイストだが、それも長くは続かず、やがて身体を切り裂かれていく】
【文字通り宙に浮いた海月と化しているジ・エンブリオンも同様。フラフラと何とか銃弾を回避するが、掠めた一撃一撃が、少しづつその細胞を抉っていく】

……ぐっ…………貴様も……貴様も、失ってみれば……良い……大切なものを、容赦なく…………!
そうすれば、気付く…………最後には、これがやっぱり、正しいんだって…………

【全身から、人工血液を流血させながら、息も絶え絶えと言った様子で、シュバルツガイストはそれだけを残す】
【その真意は問い返せる状態に無い。もはや、立っているだけで限界に近い。その目は、もう半分据わってしまっている】

<――――ウァァァァァゥッ!!>
……まだ…………まだ、私は…………
<ウゥッ、ウゥッ!!>

【そんな一行を見かねてか――――上空に逃れていたクロス・ザ・ルビコンが降下してきて、シュバルツガイストを抱えあげる】
【このままここを退いては、作戦失敗となる。何とか固持しようとするシュバルツガイストに、クロス・ザ・ルビコンは思いきり首を横に振って】
【そのまま、無理やりシュバルツガイストの身体を抱えあげた】

「……まただ、また……勝ちきれなかった…………」

【ジ・エンブリオンも、クロス・ザ・ルビコンの頭にべちゃりと着地し、そのまま3人そろってブラスターで飛び去っていく】
【3人分の重量では、個人用の飛行具では流石に高度は出ないが、フラフラと飛び去っていくのには十分だった】

【――――『ブレザシティ』の前線司令本部を狙った3人の機関の刺客は、2人の能力者によって撃退された】
【マクロ的に見れば、単なる局所的な一勝敗に過ぎないかもしれないが――――この勝利が守ったものは、決して小さくはないだろう】

/ここでこの戦いは〆とします。遅くまでありがとうございましたー!
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 03:39:16.84 ID:XHi97mquo
>>295

「むぅ……最近どうにも私はツキに見放されている気がするのだ」


【シーナは砂で患部を塞ぎ、簡易的な治療を施すと】
【爆発する保管庫と、去っていく男の姿を目に留めながら溜息を一つ吐き】
【ゆっくりと小さな身体を起こした】


「困ったのぅ……これでは報酬も貰えんではないか」
「うぅむ、私の偉大なる野望がまたもや遠ざかったのだ〜……」

「これは明日はやけ食いでもして気を紛らわせるしかないかの?」

【上手くいかない自身の人生プランに嘆きながらも】
【周囲に残っていた簡易ゴーレムを解体し、コアを回収すると】
【不機嫌そうに小石をコロコロと蹴りながら】
【地術師シーナ・ゲルギルはトコトコと帰路についていくのだった】

【バッド・E VS シーナ】
【勝者バッド・E】

/遅くまでお疲れ様でした〜!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/11/24(日) 03:53:01.23 ID:+quc8rOmo
>>288
【「成程、道理だ」──口の端を自嘲めいた笑みに歪めて吐き捨て、鋭く目を細めれば】
【この対手を下すべく、女は沈思黙考を重ねる。彼らは危険だ。早期に摘んでおくべき芽だと、戦場で培った経験が告げていた】
【一対の頭脳と二対の腕によって間断なく編み出される高度な連携を、如何にして打ち破るべきか】

ならば冥土で弁解するがいいさ。どのみち奴も遠からず行くだろう場所だ。
速やかに終わらせてやるから、精々その時まで奴の座る安楽椅子でも磨いておけ。

…………何!?

【先の掌底の着眼点は悪くなかった。異形といえど身体構造は人のそれ】
【ごく軽いものとは言えど肺に対するダメージは、二人を纏めて沈黙させるには十分過ぎる】
【しかし、繰り出された泥と砂の濁流──正直な所、これは予想の範囲外の反撃だった】
【咄嗟に身体を庇って突き出した左手の小太刀が、泥に呑まれて押し流される】
【女はどうにか転倒せずに踏み止まったものの、同時に襲い来る砂嵐に視界を奪われ、大きく怯んだ】

『邂逅』────っ!

【そんな状況下においてさえも、反撃を繰り出さんとする意志の強さは流石と言うべきか。遮二無二太刀の鞘を払うと】
【只ならぬ妖気を放つその刀身に、今までに見せた物と同質の歪みを纏わせ──いや、寧ろ刀自身が彼女の異能を喰っているとみるべきだろうが、閑話休題】
【圧縮され、強い指向性を付与された長大な力場の刃でもって、砂嵐と泥の濁流を切り払った】
//度々遅れて申し訳ないです……お時間の方は大丈夫でしょうか。
//もし明日に差し支えるようでしたら、この辺りで持ち越しにしますか……?
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/24(日) 03:53:54.01 ID:FEk3JFc+0
>>282 >>283


【薙いだ棒の直撃は女に笑みを浮かばせる】
【そのまま、近くの車両か壁にでも振り切ってやろうかと思ったその瞬間】

――――――――――っっっ!!!   カ……ハァッ!!

【重い一撃が、わき腹を直撃した】
【コンクリートの重量、蹴りの威力、それを倍増する少女の負けん気が、鋭く、重く突き刺さった】

クッ…………は、ハハッ!良い、一撃だ。硬化も間に合わなかったぞ……見事な気力だ

【女は膝を折って地面に着き、少女を見返す】

だが、決定打には……程遠いっ!!

【棒を突いて無理から立ち上がる。まだダメージは抜けきってはいない、膝のゆれがそれを物語る】

【だが、あと少し、あと少しで―――――――】


//申し訳ない……
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/24(日) 03:56:02.13 ID:grp851s/o
>>299
/お気遣い感謝します。そろそろ眠気が限界に近かったので、ありがたいです……
/いったん、持ち越しでお願いできるでしょうか……?
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/11/24(日) 04:02:23.89 ID:+quc8rOmo
>>301
//いえ、こちらこそ面目ないです……かしこまりました、それではお休みなさい。
//明日は帰宅次第雑談にて待機してますので、ご都合の宜しい時間帯にでもお返事頂ければ
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/24(日) 04:03:40.62 ID:XjMY1TXK0
>>294>>297


………わりーな、小声でも言えねーんだよ、簡単に方向変えられるだろーし、……
……まー空撃ちぬかれてあの世行きよりは、よっぽどマシだろ……?


【チャージウェーブの方向。恐らく、身体を動かす事で容易に変えられる事が出来たのだろう。】

【小声でも言えないというのは、相手に読唇術が在った場合も想定しているという事。情報を微塵も漏らす訳には行かない手段なのだ。】
【今からどんな回避方法を取るのか言えなかったのは、つまりはそういう事。―――敵を欺くにはまず味方から、である。】

【立ち上がった所で、加勢出来る訳でも、何でもない。少年はミドナの猛攻を只、見る事しか出来なかった。】
【やがて3人がブラスターに乗り飛び去って行く。無理に追撃を施さなかったのは、尚も冷静な判断力が在るという事か。】

【安堵の溜息、体全身が安全を察知したなら、思い出したかの様に右肩と背中の傷の痛み、そして右足の火傷が少年を襲う。】
【思わず膝を付いた体勢から、背中に両手を当てながら横になった。その手からは、仄かな黄色の光が発せられて。】


………じゃー俺、ここで寝るわ……もう動けそうにねーし。
……色々助かったぜ、……ありがとな、……阿修羅。


【止血程度に傷を癒やせば、少年は意識を手放す。右足が使えなければ、自力で脱出する事は不可能だったという事。】
【然し総司令部の真ん中で寝ているのだ、救出される時は、そう遠くない事の筈であって。】


/お疲れ様でした! 主催者様、ミドナの方、遅くまで有難うございました―!
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/24(日) 04:05:58.21 ID:grp851s/o
>>302
/ありがとうございます、今日はいったん失礼いたします
/明日の帰宅時間がちょっとはっきりしませんが、少なくとも22時以降にはなってしまうかと
/可能となり次第、雑談に書き込みますのでよろしくお願いします
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 04:24:21.61 ID:Ewv+3dYxo
>>300

「うにゃ……まだまだ、にゃッ!!!」

【タダでさえ軽い少女の体に、竹刀のような髪の棒による強烈な一撃】
【確かにそれは少女の体を吹き飛ばした物だが、まだ少女は立ち上がる。前述の通り、少女の心はまだ闘志の炎を燃やしていた】
【自分に言い聞かせるように叫ぶその声は、先ほど、機関員を大量に倒したあの時とは明らかに違う声色であった】

「アンタのも良い一撃だったにゃ……もしかしたら骨、折れてるかもにゃ……。

 ―――だけど!! ニャーの心はまだ折れないにゃ!」

【打たれた脇腹はウィンドブレーカーに覆われて見えないが、まず打撲の内出血は確実であろう】
【さらに重要な器官の損傷、ひいては本当に骨折もあり得る。しかし、強い相手ほど燃え上がるのが戦闘狂の本能】

【決定打には程遠い。ならば決定打を与えてやれば良い。失敗しようがなんだろうが、当てるまで】
【幸い彼女のダメージも大きいらしい。こちらも胴付近のダメージが大きいが、腕を振る分には問題ないように見えた】


「行くにゃぁっ!! 本気のパワー、受けれるもんなら受けてみろにゃ!!!」


【彼女に近づこうとするそのスピードも、明らかに衰えている。しかし、射程範囲まで近づくことが出来れば此方の有利だと少女は断定した】
【どうせ近づかなければ勝ちはない。そして本当に彼女が接近を許せば、少女は体勢を低くしながらも右拳を振りかぶることだろう】

【ただのパンチではない事は、今まで攻撃を受けてきた彼女になら分かるはずだ。実際、少女の拳の軌道は、掬い上げるようなモノ、所謂アッパー】
【だが、その軌道の途中で地に着いた手にはコンクリートのコーティングが一瞬で為される。先程よりも大きなそれは、直径70cmほどの巨大な拳となって】
【多大な隙を晒し、持ち前の機動力を犠牲にし、今までにないほどの破壊力を持って、彼女の腹へと繰り出される】




「―――――――――『森 林 王 ノ 昇 拳 / コ ン グ ・ ラ イ ジ ン グ 』 ッ ! ! ! ! ! 」


/すいません……眠気が限界なので、自分は一旦此処で失礼します
/レスは今日中には返すので、よろしくお願い致します……
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/24(日) 04:34:54.44 ID:FEk3JFc+0
>>305
//お気になさらず
/自分も限界だったのでむしろありがたいです
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/24(日) 04:36:21.20 ID:FDCwS1Bo0
//こちらブラッグス中身ですが、ちょっと寝ます……すみません……
//昼には返せると思いますので……度々の超遅レス申し訳ありません
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 04:44:05.25 ID:D1eF+Y6Ro
>>297

………………失ったわよ。失ってたのよ。何もかも、最初から…………。
だけど、あたしは…………。

【銃口からくゆる硝煙の香り。人工血液に濡れた短刀。それらを携える、血のような色に輝く五本の腕】
【突き刺さる呪詛の言葉には、返答のつもりなのか、それとも単なる独り言なのか、小さな言葉が呟かれる】
【そうして、撤退していく三人の背中を、何も言わずに見送ると――――ミドナはゆっくりと、震える腕を動かして、武器をしまった】
【かちゃ、と――――そんな短い金属音が、闘いの終わりを告げる】

…………シュバルツ…………。

【脳裏に過ぎるのは、シュバルツガイストの言葉。そして、最後まで決して曲がらず貫かれた不屈の生き様】
【決して何にも、もう二度と囚われることなく、自由≠ノ生きるのだと心に決めていた】
【それだけが、全てを無くした自分の唯一の道標。だからあの少女と同じように、ミドナもまた、この生き方だけはきっと曲げられないのだろう】
【…………けれど、だからこそ。互いの道は決して相容れず、交わることなくぶつかり合って】
【この六本の神の腕は、何のためにあるのだろう。今日少女と繰り広げたように、勝ち取って、敗者を作る為なのだろうか?】
【もし、そうなのだとしたら――――それはやっぱり、全然楽しくないな、と。ミドナはそう、心から思うのだった】

【もう、腕が吹き飛んだ痛みは残っていない。だけど何故だろう、大粒の涙は瞳の中に留まったまま】
【憐れみなのか悲しみなのか虚しさなのか、その全てなのか。そんな滅茶苦茶な感情を胸に…………消沈したように、四本の腕と朱色の光が消える】
【そうしてしばらく、遠くを見上げた後――――ミドナはその涙を無理矢理拭い、踵を返すのだろう】


>>303

さっきは助かったわ、ありがとう…………改めて名乗っておくけど、あたしはミドナ。また会うことがあったらよろしくね。
…………誰が阿修羅よ誰が。まったく、今日は朝まで自棄酒コースだわ…………。

【銀髪の少年にひとつお礼を告げ、またウィンクをひとつ。その目は多少、赤らんだ目ではいるが】
【…………タイミングが良いのか悪いのか。そこでちょうど気を失った様子が、まるで自分の魅力にやられたみたいで、可笑しかった】

【こみ上げてくる笑いの中――――ふと、ミドナは気づく】
【阿修羅≠ニいう戦神の名は、きっとあの少女にこそ相応しく、自分には荷が重い。けれどだからこそ、掴めたものもあったのだと】
【――――今日の戦いで、その御手≠繋いだ唯一の少年。それだけはきっと、誇っていい筈だ】
【そうして元気を取り戻したミドナは、無線で仲間に連絡を入れ、救援を要請すると】
【いつも通り自由気ままに、何にも縛られず。帰って飲む酒の味でも想像しながら、鼻歌交じりに地面へ寝転がったのだった】


【――――雷の国・ブレザシティに降りかかった危機は、少なくともこの場所に於いては、取り除かれた】
【その中心で、ひたすら強く在ろうとする少女の生き様が、ひたすら自由に在ろうとする女性の心に齎した何か≠フ正体は、きっと誰も知らないままに――――】


/主催者様、ねこむらの方、お疲れさまでしたー!!
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/24(日) 04:57:42.94 ID:0iFafhfy0
>>307
/了解です…こちらこそ遅レス本当に申し訳ないです…orz…それならば数分程度仮眠を取ってから書き上げて返せるかとっ
/遅くまで本当にお疲れ様でした。今夜は本当にありがとうございましたっ……!
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/24(日) 09:15:03.28 ID:JBWCHUqv0
>>292

(……結局は並み一通りの結末で終わったね。所詮……人の夢なんてこんなもの―――――……っ!?)

【自らの誇る大いなる暴威――――吹き荒れる蒼き嵐が過ぎ去った跡に、ありえぬ筈の黒衣を見た】
【……纏う黒衣は襤褸の様に荒れ果てて。けれどその姿は御伽噺の英雄の様に誇り高く。確実に、その男はそこにいるのだ。】
【人体など容易く撃ち砕く爆発を受けた筈の肉体が、何故こうもこの状況で立ち上がれる――――――!?】

【強き者の傷つかぬ強さでなく、幾度となく傷ついてなお立ち上がる “人” の力。その強さに目を奪われた一瞬に、極限の力を男は解き放った。紅き閃光と化す槍が身に迫り、】

「く――――――ぁああぅぐっ!?」

【苦悶の声。溶け墜ちる傍から凍てつく氷の槍と障壁―――――幾度か致命打を妨げようとも、練度と熱量の桁が違う。やがては、障壁を灼熱の穂先に突破されて】
【殆ど直撃に近い形で左脇腹を貫かれ、柄までもが通り抜けて背筋を震わせた。】

「は、ぁ、くぅっ……!」

【魔人王ピサール―――――恐らくは槍と男との呼応により発現した力。狩る側から狩られる側に堕ちる女は、仰け反る顔を魔人王の瞳と合わせて】 
【必死で身を捩り、くの字に折る様にして自らを前方に割り込ます。肘でも落とされれば無為に終わり、ならずとも幾らでも阻む手はあるのだろう】

【氷の顎門(ヒルト)、炸薬の牙(ダガー)。二種の発動体を並行起動する事で維持した短剣を、肉迫した槍の間合いの内側で、どうにか見えた右の脇腹に衝き出さんとしていた】
【億が一突き刺せたのならその内側で、阻まれたなら遮蔽物の表面で。それは、比べればごく小規模な圧を以て爆発するのだろう】
【だが所詮は付け焼刃の剣歯牙―――恐らくは体術に於いてはブラッグスに大きく分がある。不意を突けねばそれまでだろうし、何れにせよ猛烈な連撃を/余力を防げずに吹き飛ばされて】

「……、ぁ……―――――」

【倒れ込み、震える前腕部で身を起こす。それだけの所作がひどく重い。】

【こふ、と血が口から零れた。地に片手をついて残る片手で傷口を押さえ、衰弱した表情で黒衣の男を見た。】
【痛みにはもう慣れきっている。けれど全身があらゆる力を失ったのか、もう躰が動きそうにない。】
【焦燥し薄れゆく意識―――模索する筋道は何れもが遠い、】

/続きます
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/24(日) 09:16:16.66 ID:FDCwS1Bo0
>>309
//おはようございます!一応念のためですが、お返事は>>292に落としていますので!
//分かっているのなら申し訳ありません……今日は一日暇ですので、いつでもどうぞ!
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/24(日) 09:17:29.98 ID:JBWCHUqv0
>>292

【最大火力形態の行使―――否。恐らくはもはや躰が保たず、総て戮す前に限界を迎える。】
【氷空綺藍(アズライトヘイル)通常行使―――否。ブラッグスの揮う熱風に相殺され、それどころか先程同様の窮地に陥る公算が高い。】
【……此処までの相手の消耗と同様に、こちらも凄まじい手傷を負っているのだ。僅かでも躰が動くならば、彼は彼女にとっての死神だった】

【絶望か。終焉か。“力”――――絶望が紡ぐ黒き魔物が、ここに来て己を裏切るのか? 】
【……それこそが、己の現実だった筈だ。そう闇のなか紡ぐけものの心は、相反する思いに表層で震えて、踏み止まる、】


「……凄い、よね……信念? 正義? ……そんなもののために戦って、傷だらけになって護ろうとしてさ。
 でも、お前たちに、可能性は残さない―――――……」

【必死に言い聞かせる様に悪意を続ける。……その悪夢と、絶望を越える意志に縋る様に。】
【致命傷だろうか? 分からない。興味はあったが、それ以上に数メートルの径を以て廻る真球が、ピキピキと音を立てて罅割れる精神を支えた。】

【…………最後の悪意が顕現していた。   】
【捻れ狂う真球の中心部が、卵割を起こす様に縊れて直径を絞って。やがて圧縮が数センチ大で限界に達すれば、最大の火力を以て炸裂するのだろう】
【……現状真球の直径は数十センチ。縮小に伴い高度を落とし、人の腰程度の高さに留まっていた】

【槍を以て任意の角度で球のバランスを崩壊させれば、爆風をまだ安全な方面へと誘導出来る。ある程度からは運になるが、試す価値はあるか】
【或いは何らかの方法で真球を遮蔽する―――或いはさらに深奥に位置する能力者本体の意志を叩く。それが、より確実に人々を守り得る術だった】

【恐らくはこれが最後の発動。ダリア自身をも巻き込む最大の破壊は、それを以てレーダー塔の倒壊を狙う】
【だがどこまでも悪意を越えるからこそ、絶望に抗う意志は輝くのだろう。】
【正真正銘、最後の山場――――妄執とすら呼べる狂気の果てを、限界を越えて打ち破らねばならない】

【既に彼の正義は証明された。……あとは、無上の勝利を以て彩るだけ―――――】
【“力” を理とする心のケモノに、真の意味で勝利を収めるための銃弾があった。彼は、彼のその内なる強さを何と定義するだろうか】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/24(日) 11:35:29.80 ID:FEk3JFc+0
>>305

来い。受けてたとうじゃないか

【腹部を硬化し、加えてもう片方のツインテールを切り取って腹部に巻いて硬化させる】
【少女の攻撃力に対して防御としてはいささか不安が残るが元よりただの保険、本命はカウンターによる一撃である】

セィッ!!

【狙ったのは一撃を与えたわき腹だった。ここに追加でダメージを与えれば逆転できるだろうという目論見だった】
【互いにダメージは大きい、残り一撃しか余力もない。拮抗しているように見えるが女には保険として作った腹部の防御がある】
【失敗を想定した上での最後の一撃、僅かばかりだが突撃ともいえる少女と比べれば優位はこちらだ】

【決定的なのはその一撃、方や大振りな、方や鋭い一閃】

【隙だらけな少女への女の一撃が容易に決まる未来が見える】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――っ!?

【いや、見えてしまった。というべきだ】
【互いに全力で放つ一撃で後がない者の一撃は、まさに全ての力が込められている】
【だが、女は優位に立つことを考え、失敗を想定してしまった】

【それが間違いだった】

【直前の攻撃は少女の不十分な体制から放たれた一撃、防御でさえ行わなかったがゆえのダメージだった】
【その一撃と、今放たれている一撃を無意識に同じものと考えてしまった】

【だからか、女の放った一撃は少女のまとった巨大な拳に阻まれた。しなった棒は狙いを大きく逸れあらぬ方へ行き】
【勢いを殺すことも出来ず、むしろ自分のスピードも合わさって少女の一撃をより高めた】
【腹部の硬化と硬化した髪の防御はほとんど意味を成さず、巨大な一撃は完全に決まった】


ガッ――――――――アアアアアアア!!


【それで終わらない。女は反射されるかのように真後ろに大きく吹っ飛び、停車している装甲車にぶつかる】
【背後を、特に後頭部を強打した女は】

【装甲車から剥がれるように地面に倒れ、起き上がることはなかった】


                                 「[<<……あ>>]」


【同時に、軍事車両の破壊行動を行っていた3人の女はぴたりと動きを止め、即座に倒れた女のほうへと駆け出した】
【到着次第、女は動かなくなった女を見て、少女の方を見る】


「見事だ。ゲームはお前の勝ちだな」[だが、少しばかり時間をかけすぎたな]<<こちらの目的もほぼ達している>>


【少女と女が戦っている間、この第4車両基地で破壊された対空戦車はかなりの数を占めていた】


「車両基地もここだけに限らないが」[この車両基地の使える対空戦車はせいぜい1、2台だろうな]<<ま、他の奴らが失敗しているかもしれないし>>
「もしかしたら、勝利するのはお前たちの方かもな」[……まぁ、私としてはそうあってほしい。]<<皮膚や肉を溶かすなど、きれいな死体が
残らないじゃないか>>

「とりあえず私は約束どおり退散しよう」[お前も、一応逃げたほうがいいんじゃないかな?]<<では、さらばだ>>


【女達は国軍兵、機関員とわず五体満足で綺麗な死体を二人づつ、計六人抱え車両基地から撤退した】
【勝負に勝った少女と、試合にほぼ勝った女。少女はどちらを見て自分の勝敗を決めるだろうか―――――――】

//分けるのもなんなので、一つにまとめてここで〆としておきます。ありがとうございました
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/24(日) 11:50:22.55 ID:+VhAuXKe0
/再開前ですしちょっとした部分の修正を…orz!

>>312

【必死に言い聞かせる様に悪意を続ける。……その悪夢と、絶望を越える意志に縋る様に。】
【致命傷だろうか? 分からない。興味はあったが、それ以上に数メートルの径を以て廻る真球が、ピキピキと音を立てて罅割れる精神を支えた。】

【…………最後の悪意が顕現していた。   】
【捻れ狂う真球の中心部が、卵割を起こす様に縊れて直径を絞って。やがて圧縮が数センチ大で限界に達すれば、最大の火力を以て炸裂するのだろう】
【……現状真球の直径は数十センチ。縮小に伴い高度を落とし、人の腰程度の高さに留まっていた】



【必死に言い聞かせる様に悪意を続ける。……その悪夢と、絶望を越え得る意志に縋る様に。】
【致命傷だろうか? 分からない。興味はあったが、それ以上に数メートルの径を以て廻る真球が、ピキピキと音を立てて罅割れる精神を支えた。】

【…………最後の悪意が顕現していた。   】
【捻れ狂う真球の中心部が、卵割を起こす様に縊れて直径を絞って。やがて圧縮が数センチ大で限界に達すれば、今宵最大の火力を以て炸裂するのだろう】
【……現状真球の直径は数十センチ。縮小に伴い高度を落とし、人の腰程度の高さに留まっていた】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/24(日) 13:12:16.60 ID:FDCwS1Bo0
>>310-312
【阿修羅の如く、烈火の攻撃を繰り返す。三度、四度――――ようやく見つけた正しさを力に変え、体が覚えた突きの動作をひたすら繰り出す。】
【何人にも、何物にも止めさせはしない。止められてなるものか。それがいかなる障壁であったとしても、いかなる暴威であったとしても―――】

【氷の障壁をも溶融させ、一閃―――――魔人の槍は、とうとう“獣”を貫いた。傷を、痛みを追ってなお哂っていた女の顔を、今度こそ歪ませたのだろうか……】
【しかし、彼女とてただ為されるがままで終わるような者ではない。男の連撃を受けてなお抵抗をするのは分かりきっていたことで】
【果たして、彼女の手には凍てつく刃が握られていた。そして、其れを死力を以て突き出した――――】


「――――ッ………ぁ――――!!」


【――――刹那の交錯だった。魔人王の力を借りた最後の一撃が彼女を吹き飛ばすと同時に、彼女の刃もまた男の躰を貫き、炸裂した】



【体から魔人王の力が失せていくのが感じられた。王に食い尽くされた体力は底を尽き、左腕はもう使い物にならず、右脇腹で炸裂した刃は男の臓物を圧し潰していた。】
【気力だけは今尚燃え盛り目は前を向いているが、如何せん体が言うことを聞かない。遂に男も片膝を付き、槍を杖代わりにして何とか姿勢を保つのが精一杯となった。】
【体は疾うに限界を越え、倒れるまい・負けるまいとする意思だけが彼の意志を繋ぎ止めている。一瞬でも気を許せば意識が闇に飲み込まれる、紙一重の状態だ……】

【しかし、それでも果てるわけにはいかぬ。今尚力で押し通さんとする悪意がそこにあるのならば、斃れるわけにはいかぬ―――――!!】



【―――――立った。殆ど気を失ったような状態で、鉛の如く鈍重に感じる体を支配し、体の限界を超えて、男は立ち上がった。。】
【……そういえば、あの少年もそうだった。幾ら体を傷つけ、壊し、限界に至らしめても、あの少年は強い意志の力で立ち上がっていた。】
【今の自分もそうなのだろうか。この躰を衝き動かす最後の力も、意志の力なのだろうか――――それならば、己もあの少年の強さに近づいたのだろうか。】

【――――今は考えている場合ではない。紡がれる悪意から、不条理に降り懸かる暴威から、護るべきものを護る為に戦わねば。】

【目の前に顕現したのは、球体。其れは、自らの体を縮ませるようにして小さくなっていく。どんどん小さくなり、やがて――――炸裂。】
【―――炸裂した瞬間。電光石火の如くそこに現れたのは、男の相棒たる槍の姿だった。もはや紅蓮の光は失った槍は虚空を切り裂き――――球を突いた。】
【この体では走っても炸裂に間に合わぬ。かといって遮蔽物を作ることも出来ない。ならば―――――男は、死力を振り絞って無我夢中で相棒を投げたのだ。】
【熱を失った槍も、球のバランスを突き崩すには十分だった。しかし、それは同時に爆風を「投げた男の方へと誘導する」ことも意味し……】



―――――――――



【男は槍を投げると同時に倒れこむ。と同時に、誘導された爆風が男の躰を蹂躙し吹き飛ばした。もはや抗う術はなく、男は虚空の彼方へと浮いた。】
【そして男は地面へと打ち付けられ、血反吐を吐きながら倒れ伏した。炸裂の瞬間左肩に激痛を感じ、見ればそこに在ったはずの左腕は吹き飛ばされていた。】

【―――しかし、男は護り抜いた。男の方向へと誘導された爆風はレーダー塔を、人を、悪意を以て自壊せんとした獣さえも薙ぎ払うことはなかったのだ―――】
【倒れ伏したまま男はただ笑い、声を上げた。もう爆風に巻き込まれた腕は何処にあるかも分からない。ボロ雑巾の如く這いつくばって、隻腕の男はただ笑った。】


言ったろう!今の私は頑丈だ、と!――――これが、私の答えだ!
どうだ、貴女が哂った正しさとやらも……思いの外強い物だろう――――!!


【塔も、人々も、相対した女をも守り抜き、男だけが襤褸のように打ちのめされながら、それでも彼は笑っていた。―――これが、彼の出した答えだ】
【もうこの男がこの場から動く事はないだろう。限界を超えて酷使した体はもう微塵も動かない。】
【今なら赤子でも彼を殺せる。心臓を貫かんとすれば、喉を掻き切らんとすれば、男はそれを抵抗する術はない。】

【彼女が未だ尚動くのならば。未だ悪意を持つのならば。―――それは、即ち男の最期を意味することになるだろう。しかし、後悔はない。】
【もう彼女とて自分一人を害する力が残っていても、塔を破壊し人を薙ぎ払う力は残っていまい。これ以上犠牲が出ないのならば、それで良い――――】
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/11/24(日) 16:56:02.81 ID:ysWkdTy6o
【路地裏】

……、る、……、、……こ、、…………

…………や、……、も……や、な、、、…………

【まるで幽霊のようにふらふらと路地裏を彷徨っているのは――】
【サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

【その眼に生気はなく、しかし無理矢理"殺気"を出そうとしていた】

【また、右手には折りたたみ式のコンパクトなナイフを持っていて――】
【そのナイフの刃は黒曜石の様に黒く、しかしそれとは別の――未知の素材の様な、得体の知れない"ナニカ"でできているようだ】
【趣味の悪い装飾や模様な持ち手等――刃以外の素材も同様に特殊な素材で出来ているらしい】

…………、わ、、……い、だ、……で、……、、す、ば、……つ、、………………

【……ここに来るまで、どこかで何かあったのだろう、殴られた痕や斬られた痕が幾つも付いていて、出血も見られる】
【しかし、身なりや頭髪等を見る限りでは――浮浪者、ともまた違うらしく】
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/24(日) 17:05:23.82 ID:rOT6dGuB0
>>315

【自らを貫く槍と対峙する男を貫く短剣、双方が炸裂し肉体を転げさせ、片手を傷に当てた女が戦場を見据え、見上げる。】   

「……、………、……―――――――」

【押し殺す様に繰る呼吸は、殺意を練り呪詛の短剣を織る錬金の詞なのか。立ち上がる男の姿を映し込む榛色の瞳は、穏やかなまでに凪いでいた】
【既定事項ならば視点は揺れない。固化するまでに凝縮された敵対の念が、その静寂を生む湖底の漣だった】
【それゆえに地上を薙ぎ払わんと荒れ狂う破壊の業も、滞りなく段階を進めて――――。】

【繊細なバランスの上に成り立つ流体は、圧倒的な脅威として塔に迫った。確実な破壊と可能な限りの国軍兵殺戮を期し、高まる、】
【襲い来る紅き槍を、その最中(さなか)に悪意は映した。既に確定した軌道として意識が片付ける。】

【爆発を早める。それで終いだ。威力そのものは相応に落ちるが……この程度で、≪氷空綺藍≫は揺るがない。】
【“そう、女は錯覚していた”。】


(―――――なッ……!?)

【転瞬、赫き閃光が軌道を変える。銃弾が猛禽の飛翔を識らぬ様に、投擲の技法は未知の其れ――――男にとっては当然の過程で未来が書き換わる、】
【塔の機能を確実に劣化させ、侵攻を容易にする筈の爆風。地上へと方向が切り換わっていた】
【それを、男はその身で受けて肉盾としたのだ。もしも軽減出来ていなければ、あの爆発の程は身を以て体感した威力で五体を貫く筈――――】

【……否、自らの身を滅ぼそうと構わなかったのか。狂している。……そう、闇を生きる女は彼女にとって当然の思考を浮かべる。】
【それが、この男の “正しさ” なのか。だが、彼の言葉は狙ってこの彼女の忌むべき状況を創り上げた事を伝えていて―――――】

「……おまえも、私をそんなもので縛るのか。
 正しくて、誰も曲げられずに―――――求めても、逃げ出すことすらも出来ないのに」

【ぽつり、か細い言葉が零れた。自らを襲わなかった爆風。……だが、爆風以上に男の決断がその  を敗北させた。】

【憎悪――悪意が命を梳り、穿たれた巌から獣を削り出す様に。激情の焔が女を立ち上がらせ、開いた傷口から鮮血を噴き溢す。】 
【絶望。悪意。…………そして、そんなけものとして己が存在を全うして来た誇り。】
【敵である筈の彼に身を救われることは、女には最大の侮辱だった。己は数えきれぬ命を焼き尽くし、彼らの尊厳を踏み躙ったというのに―――そんなことが、何よりも重苦しい檻だった。】 
【仕損じる、貫けない、自らの道が、歪む、圧し退けられる―――――――】

【レーダー塔の破壊に失敗/悪は挫かれる/自らの殺意を凌ぎきった男は勝利を得る、】

「……死、――――――――」

【絶叫し暴走する想いとともに解き放つ筈の黝き錐は、何故か沈黙を保ったまま。その発動に到らなかった】
【精神か、肉体か。能力の行使に必要な重大な要因が、今の彼女には欠けていたのだろう】

【何れ緋の髪の女は殺そうとしたのだ。だが、悪意は彼女に応えずに】

「―…………っ……!」

【撤退――――出来たのはそれだけ。異能の発動を留めた違和を、振り払う様にその場を逃れるのだろう】

【自らの持ち得ない歪みない強さ。それを “正しい” と認めきる事は無く、だが確かにこの結末があって――――】
【その苦悶に表情を歪ます女は自分自身にすら理解出来ぬ想いを抱えたまま、自らの属する陣営へと帰投する。】

【何を想うのかは未だ分からずに――――鋼の鎖に肌を這われる様に、消えないものは確かにあって】
【ただ、自らの意味を果たしきったあの男の勝利の笑顔だけが、開かれた瞳の奥に映り込む様だった】

/大変遅くなってすみません……二日間本当にお疲れ様でした。ありがとうございましたっ!
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/24(日) 17:13:38.82 ID:rOT6dGuB0
/だ、脱字が…本当、不調みたいです…申し訳ないっorz

【ぽつり、か細い言葉が零れた。自らを襲わなかった爆風。……だが、爆風以上に男の決断がその  を敗北させた。】

【ぽつり、か細い言葉が零れた。自らを襲わなかった爆風。……だが、爆風以上に男の決断がその女を敗北させた。】
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 17:56:40.49 ID:EdlTwiqHo
>>313

「――――――……にゃー……」

【その拳での打ち上げを行った後。たっぷり彼女ら3人が動かなくなった彼女に駆け寄るまでの間、少女は動くことが出来なかった】
【今の拳でも、最初のコンクリート片でも、相手を打ちのめす武器が大きくなればなるほど少女のエネルギーは喰われていく】
【それにスタミナ切れ。結果、数秒間動けなくなる程に少女は疲弊していた】

【だが彼女らに問いかけられれば、息を上げながらも笑みは崩さず】

「にゃー。ニャーとしてはたいくう……何とかが壊されようが別にどうだって良いにゃ。

 けど! 次は本気で戦うにゃ! 全員でかかってくるにゃ!」

【しかし、少女としても不満な問題があった。対空戦車を破壊しに行った彼女ら3人が、戦闘に参加しなかった事】
【確かに1人には勝つことが出来た。だが、3人にはまだまだ余裕がある様で悠々と退散していく】
【死体を数体持っていく理由は自分には分からなかったが、それでもその後姿は負けず嫌いの心を動かしたようで】

「私の名前は端喰 音去! バイバイにゃー!」

【次にまた会えば、今度こそ本気と本気のぶつかり合いが出来る。そう確信しているからこそ】
【少女は小さくなる彼女ら3人の影に向かって大声で自分の名を叫ぶことが出来た。―――そして、完全に彼女たちが見えなくなった後】


「にゃー……そういえば逃げろって言われたにゃー? とりあえず逃げるにゃー!」

【その後、少女は一旦安全な所まで逃げるものの、雷の国国軍の作戦の成否にかかわらずしっかりとお金を貰って行くことだろう】
【勝負は勝って、ゲームにはほぼ負けた。だけど、落ち込むという言葉をこの少女は知らない】
【化け猫の旅人は、強き者を求めつつ今日も何処かを歩く――――――】

/お疲れさまでした! 
/返信が遅れて申し訳ありませんでした……。 ロールありがとうございました!
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/24(日) 19:20:42.11 ID:FDCwS1Bo0
>>317
【男はピクリとも動かない。頭が腕を、足を、動かそうと命令を出しても配線の切れたロボットのように動く気配すら見せない。】
【骨折数十箇所・内臓破裂・左腕切断。文字通り身を呈してまで得た代価は――――塔と、兵と、目の前にいる彼女。】

【自分でも信じられなかった。まさか、かつて気の赴くままに破壊に興じていた自分が、破壊から/悪意から誰かを護るとは―――】
【倒れ動かぬまま、腹の底から笑みが零れる。何ともまあ奇妙な話だ、と……。しかし、確実に自分は変わったらしい】
【かつての自分なら、今の自分の行動を狂っていると感じたであろう。身を呈して護るものなどなかったのだから。】
【しかし、今の自分は違う。心の中に小さな信念を宿し、かつて破壊に使った力は今は何かを護る為の矛となった。】




 【―――あの少年との戦いの後、彼は少年の言っていた“正しさ”とやらを見定めるために旅に出た。】
 【かつて何も考えず破壊衝動と欲望の赴くままに力を奮っていた彼は、自分も参加した戦いの跡が残る地へと赴いた。】
 【そこで見たものは、断末魔の表情で果てた亡骸の姿であり、理不尽な戦禍に苦しめられる人々の姿だった。】
 【考えることを覚えた男は“其れ”が正しいのか熟慮した。いや、熟慮するまでもなかったのかもしれない。】
 【目の前の現実が正しいのかどうかは、バカにでも分かることだった。――――「これは、間違っている。」】


 【――――それが、ちっぽけな正義を見つけた瞬間だった。】


 【ならば、間違いを正すために自分は何が出来る?男はまた熟慮した。自分に出来ることは何なのか、考えた。】
 【……自分は破壊を齎す力を持っている。それを使って出来ることは無いのだろうか、この力には使い道はないのだろうか―――】
 【そして、男は導き出した。己の力は人々にはどうすることも出来ない悪意に対抗しうる矛になりうる、と……】

【何が正しいのか、何が正しくないのか。自分には何ができるのか―――見極めた挙句の答えが、“悪意によって不条理に奪われる命を己の力で救う”だった。】
【呆れるほど単純なその信念は、今や彼の支柱に、芯になっている。バカにでも分かるような「正しさ」を心に秘めている。】


【――――そして、今。彼の正しさはここに貫かれた。己の力は矛となり盾となって彼女の悪意を打ち払った。】





【僅かばかりに動く頭を何とか彼女の方へ向け、その姿を捉える。―――丁度、彼女は憎悪に顔を歪ませて立ち上がる所だった。】
【ああ、これで終わりか。まあ悪くはない。最後の最後に、漸く見つけた正しさを貫けたのだから―――】

……縛る、か。正しさとは鎖ではなく、柱だよ………まあ、いずれ貴女にも分かるさ。
では、さらばだNo.12。またあの世ででも会おうか。



―――――ん?………フフフ……まだ、生きられるか――――。

【男は、数秒の後に己の体を氷の刃が貫くのを覚悟していた。だが、何時まで経っても刃が刺さることはなく――――】
【代わりに見えたのは、彼女の後ろ姿だった。迷うかの如き足取りでこの場から逃げる彼女の姿に、男は何かを感じた。】
【其れが何なのか判明するのを待たずに、男の意識はついに事切れて目を閉じる。】


【――――かくして、生まれたての正義を貫いた戦いは幕を閉じた。】


//こちらこそ、遅いレスに付き合って頂き感謝恐縮の極みです……!お疲れさまでしたー!
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 22:29:22.75 ID:D1eF+Y6Ro
【路地裏】

…………ふぃ〜、まったく…………。
何考えてるのよ、こんなか弱い乙女にいきなり襲いかかってくるなんて! 男の風上にも置けないわね!
だいたいあんたたちねぇ…………。

【――――月光すらも恐れて入らぬような、暗い暗いその場所で。ひとりの女性を取り囲むように、三人の男が正座していた】
【女性は路上に置いておいた酒瓶を拾い上げると、ぐびぐびと一気に喉へ流し込み、赤らんだ顔を男たちに向けて】
【大分酩酊した様子で、それぞれ青あざやたんこぶを作った三人にお説教を始めるだろうか】
【すっかり戦意を喪失して、子供のようにちょこんと座る三人。状況から見て、彼らをそんな状態にまで追い込んだのはこの女性しかおらず】
【ひっく、というしゃっくり混じりの言葉から察すれば…………男たちはこの女性に乱暴しようとして、逆に返り討ちにされたというところか】

…………ってこら! どこ見てんのよスケベ!
そりゃあたしだって見せるためにこんな格好してるけどさぁ、こんな時ぐらいはちゃんと弁えなさい!

【その女性の風体だが…………恐らく二十代くらいだろうか、褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪が特徴的で】
【ツリ目気味の金色の瞳は、怒りとアルコールの色に染まっているだろうか】
【髪型は活発な印象のセミロングで、長い後ろ髪をたてがみのようにハネさせたワイルドなアレンジが加えられている】
【服装もまたワイルドなもので、上はへそ出しの真っ赤なチューブトップと、白色で丈の短いファー付きコート】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツ。確かに、例え説教途中でもつい覗き見してしまいそうな程度に露出度は高い】
【ベルスリーブのコート袖から僅かに覗く手にはバンテージが巻かれているが、男たちを殴りでもしたのだろう、今は少し赤く染まっている】

もう、だいたい何よ! あたしがそんな尻軽女に見えたっての!?
だぁ〜腹立つ、酒が足りないわ酒が! ちょっとあんたら、この後暇なんでしょどうせ! 奢りなさいよ!!

【がぁーと猛獣のように喚き立てる女性は、どれだけ酒に呑まれているのか、はたまたこれが素であるのか――――】
【よりにもよってたった今乱暴されかけた相手に、平気な顔で酒を要求し始める】
【女性の奔放な振る舞いに暴漢たちもすっかり毒気を抜かれたらしく、今ではどうしていいかわからずにおろおろと戸惑うばかりで】
【もしこのままなら、女性は困り果てる男たちを強引に連れ立って、夜の街へ繰り出していくのだろう】

【――――まあそれも、そこへ新たな第三者が現れなければ、の話だが…………】
【これだけ大きな騒ぎだ、路地裏の住人だけでなく大通りからも、この様子は観察できるだかもしれない】
【それにしても…………この様子を見た誰かが居たとすれば、それは果たしてどちらを被害者だと思うのだろうか】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 22:47:22.75 ID:raTymCo+o
>>321
―――愉しそうだねぇ。

【不意に、路地裏に声が響く】
【中性的で、どこか幼さの残る少女の声だ】
【音源は上方】
【もし女性が見上げたならば、路地裏横のビル屋上に一つの人影を確認出来るだろう】

【黒髪のショートが風に靡き、アホ毛がひょこひょこ揺れている】
【奇特な雰囲気を持った少女だ】
【あどけない顔立ちに、幼さを残した身体つき】
【彼女はセーラー服を着て、着こなしていた】
【紺のセーラー服はどこか古めかしいデザインで、しかし少女の印象を害させるものではない】
【腰にはゴツい形状のガンベルトが巻かれ、そこには拳銃の代わりに一振りの剣が差されてあった】
【―――霊剣】
【とある伝承に登場する剣の模造であるそれは、劣化ではあるが、しかし、確たる霊気を帯びている】

お酒の力って凄いねぇ………それとも素面からこうなのかな?

【にやにやと、一人愉しげな笑みを見せる少女】
【その目線は直下の女性を確かに見つめていて、しかし口調は一人心地】
【そんな態度を取っている少女を、今の女性はどの様に捉えるだろうか】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/24(日) 22:51:28.04 ID:3dQOdTeP0
【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】







【その街のシンボルでもある時計台の下】
【やたらと香ばしい匂いを漂わせる袋を手にした女が、一人佇んでいて】
【纏っている物は所謂巫女装束。手にしているのは――――揚げたてのポテトチップスか】


「さて、今日も特に問題無く一日が過ぎていきますね
――――いえ、時間が過ぎれば過ぎるほどコレの風味も落ちてしまうので困ったものです」

【恐らくは自警団の一人。そして恐らくは見回り中――――の筈なのだが】
【真面目な装いをしながらもその手はひっきりなしにポテチを掴めば口の中に放り込んで】
【……機関等の事もあり、緊迫した状況の中でここまで奔放な者もあまり居ないのでは無いだろうか】
【果たして仕事一徹な者が見たら何と思うのだろう】


「――――後はこのまま何事も無く勤務時間が過ぎていけば良いのですが」

【パリっとまた一枚囓る音】
【近くを通り過ぎる者達の中には白い視線を送る者も居るが、そんなのは何処吹く風で】
【――――人々から送られる視線。そしてその匂いの事もあって近くを通りかかった者の興味を自然と惹くだろう】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 22:52:00.85 ID:BJHfK+fBo
【路地裏】

【路地裏ってのは細い道が続いている、地元の人の抜け穴であったり】
【隠れた名店に続く宝の道であったりすることもある…というかそれがほとんどだが】
【だいたいこの辺りだと何かに出る前にチンピラやらサイコ野郎やら国際指名手配犯やらが出てきちまう】
【しかし、虎穴に入らずんば虎児を得ず…ともいうわけでその危険を顧みず行く先べき理由もあるか…?】

―――ああ、じゃあ……またなんかありゃあ来るよ

【路地裏、街灯代わりの裸電球がヂリヂリと鳴っている中、ボロボロの雑居ビルから錆びた非常階段を】
【一人の男がカンカンとブーツの底で鳴らしながら降りてきた。そのフロアは看板は無いがオープンとだけ書いてあった】
【こんな場所で知る人ぞ知るというやつだ。美味しいケーキのお店じゃないことは確かだ】

【なぜなら此処はカノッサ機関の襲撃が起きてから住人たちは退去していまい】
【今じゃアンダーグラウンドな人々が勝手に居着いているブロックだからだ】
【尤も、飲み屋とモーテルとブラックマーケットがそろっている今、そこらの田舎よりは良いのかもしれないが…】

【手を翳しながら、オイルライタで男は煙草に火をつける。煙が散って、ライタをポケットにしまう】
【毛先がウェーブがかった黒髪の背の高い男。サングラスが煙草を火を反射している】
【黒いスーツに黒ネクタイ。カーキのミリタリーコートで寒そうにポケットに手を入れながら、大股で歩いていた】
【その割にコートのジッパーもジャケットのボタンも閉めていないのはどういう訳か】

ったく……路地裏だけじゃわからないって…

【クシャクシャと髪をかいて、煙草の煙とため息を吐き出せば路地を進んでいく―――】

325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 23:08:41.61 ID:D1eF+Y6Ro
>>322

…………んむ?

【今まさに、哀れな男たちが酔っ払いに連れ出されようとしていた時。隣のビルの屋上からの声が、女性の気を引いて】
【これ幸いと、男たちは真上の女性に軽いお礼の言葉を叫ぶと、一目散に逃げていくのだろう】
【あっ、と女性が男たちを見るが、時既に遅し。体のいい愚痴相手を見失った女性は、「がーっ!」と悔しそうに吼えた】
【それからもう一度、真上を見る。今度はただの確認ではなく、明らかに恨みがましそうな視線が送られるだろうか】

もー、何よ! 良いところだったのに!
お嬢ちゃん何者!? あたしに何か用!? あ、あとお酒持ってない!? 

【女性は腕をぶんぶん振って、ひとしきり不満を爆発させた後――――】
【かなり矢継ぎ早な調子で、少女の誰何を問うのだろう。……最後の質問はまあ、果てしなく余計だったが】
【叫びながら、女性は少女の体躯を上から下まで眺めて。幼い風体にセーラー服から、酒の飲める年齢ではなさそうだな、と心底残念そうに】 
【そんな間の抜けたやり取りの、最中にあって――――女性の金色の瞳が、ちらりと腰の霊剣≠捉えるだろうか】
【ただの酔っ払いのようでいて、きっちりこの路地裏という場所を弁え、警戒すべき場所はしっかりと警戒しているようだった】

悪いけど、この性格は元々っ!
…………ていうか、そんなトコにいないで降りてきてよ! ぱんつ見えるわよー!

【少女の言ったとおり、その表情には楽しそうに笑顔を浮かべて、溌剌な答えを返せば】
【何をするにせよ、まずは対面して話をしたいと思ったのだろう。大手を振って、少女をこちらに呼び寄せようとするだろうか】
【…………最後の一言が余計なのは、先程と同じだが。実際に見えたわけではない、何とも下らないハッタリであった】
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 23:19:02.01 ID:oD4egdUTo
【街中 噴水広場】
【既に人気の絶えて久しいこの場所で、一人の男が絵を描いていた】

【髪は金色、ふわりと流し、服はスラックスにシャツと実に薄着】
【上に厚手のジャケットを羽織ってはいたが邪魔らしく、肩から落ちかけていて】

『――次のニュースは、ゼン=カイマの炎獅子襲撃事件についてです。』
『死者行方不明者あわせて40名を越えた未曾有の生物災害でしたが――』
『なんと三人の能力者によって街が守られたとか。××さん、如何でしょう?』

『んー、まあね、やっぱりこういうのは公開したらどうかね。名誉なことだし、それに―――』

【側のラジオから漏れ出すのはそんなこと。新聞もあって、見出しも同じ内容だった】
【ちょっとした怪獣討伐の話題だ――キャンバスに描かれているものもまた同じ】

【実に繊細で写実的な、巨大な獅子の絵。足下の人と比べると象よりも大きな事がわかる】
【どうやら既に絵は完成間近と見える。後は背景と、獅子の手前に空白がいくつか】
【それを埋めるのに苦心している、という様子らしい。手にした筆は乾き始めているほどだ】

【仮に誰かが通りかかれば見かけるのはそんな様子】
【微笑を浮かべる若い絵描きは、そんな誰かにも、きっと興味の瞳を向けるだろう】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/24(日) 23:25:39.65 ID:raTymCo+o
>>325            アンタ
持ってる訳無いじゃん、アル中じゃあるまいし。
大体まだボク未成年だからね―――。

【恨めしそう、憎らしそう、悔しそう】
【そんな目線を真正面から浴び続けてもなお、少女の顔にはにやついた笑顔が浮かんだままで】
【屋上の縁にしゃがみ込んで、真下の女性の見下していた】
【彼女の視線が何を捉えているのか、気づいているような素振りは見せない】
【いや、例え気づいていたとして、この少女がそれを表に出すかどうかは分からないが】

別に同性にパンツ見られてもねぇ………。

【対して、こちらはさほど気にしてもいない様子】
【見た目に反して、案外ドライな反応を見せる少女だ】
【はぁー。と溜息を一つ吐いて立ち上がると】

………そーだねぇ、じゃー降りるとしますか。

【直球でそう言い放ち、少女は身体を前に倒した】

【落下する】
【何らかの受身を取る訳でもなく、異能の力を発揮する訳でもなく】
【空気抵抗の圧を受けながら、少女の身体は落下する】

【だが、少女の顔に恐怖や怯えは見当たらず】
【そこに浮かぶのは、人を食ったような不敵な笑顔】
【そして言う】

―――あ、ちゃーんと受け止めてね?

【ウインクつきで】
【少女はそう言い放ち】
【路地裏で良い笑顔を見せている女性の真上へ】
【落下していった】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/24(日) 23:38:50.06 ID:uzeA1ox9o
>>326

【人気の無いその広場に、革靴の足音はよく響いて】
【カツン、カツン――と規則正しく。やがてペンライトの光が見えてくるだろうか】

ヘイヘイ、そこのお兄さん、こんな所で何して…………って何だ絵描きか。
こんな時間にあんたみたいなのが居るなんて、珍しい事もあるねえ……

【黒の軍服と制帽を緩く着崩して、胸元には何処かの自警団のバッジ】
【少し長めの金髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげの二房だけは長く垂らして】
【香水でも使用しているのか、爽やかで、それでいて上品な甘さも兼ね備えた香りを身に纏っている】
【自警団員……なのだろうが、どうにもチャラい男である】

何か描くものなんかあるか―――――って、ここにある物を描いてるんじゃないのか。
でっかい化け物……ああ、このニュースのやつ?

しかし、なかなか巧いんじゃないの?いや、そんなに詳しいわけじゃないけどさ。

【キャンバスの絵に目を向ければ、そんな事を言って】
【どうやら、『さっさと帰れ』だなんて言う事はなさそうだ】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/24(日) 23:51:08.73 ID:D1eF+Y6Ro
>>327

そりゃそうか…………。はぁ、コイツも無くなっちゃったし、どうしよ。
世知辛いわねぇ…………。

【少女は酒など持っていないし、そして未成年である。どちらの推測も当たってしまって、女性は溜め息を付くだろうか】
【右手に持った酒瓶をくるくると回すが、そこにもう水音はない。さっき飲んだのでちょうど最後であったようだ】
【世知辛い、などと表してはいるが、実際は自業自得も良いところ。「アンタ」という言葉の裏に隠れた意図にも気づかず、女性は名残惜しそうに空を見て――――】

ん? え?
――――はぁあっ!!? ちょ、ちょっと!!!

【…………自殺方法としても非常にポピュラーな、高所からの落下。それを何とも軽い調子で行う少女の姿が、そこにあった】
【発せられた女性の声は、呆然、驚愕、焦燥と。綺麗に三段階に分かれているだろう】
【最初の声で、わけがわからないという顔を。次の声で、何か能力≠ナもあるんだろうかと考えて】
【トドメめに、少女のウィンクを受け…………女性は大いに慌てふためくと、酒瓶を地面に放り捨てて空に手を翳す】
【そして、咆哮がひとつ――――】


ま――――――《 阿修羅ノ御手( マハー・ハスタ・アスラ )》ッ!!


【高所から落ちるその体躯は、いくら少女のものとはいえ重力加速を経て、直に受け止めるのは互いに危険と判断】
【その言葉をキーとして、女性の能力≠ェ発動する。翳した両手が、燃えるような朱色の光を放ち】
【――――その直後、女性の背中から新たに四本の腕≠ェ生成され、同じく空に伸ばされるだろうか】
【女性の両手が纏っているのと同じ朱色のエネルギーで構成されたそれらは、合わせて六本腕≠フクッションとなり】
【ぼすん、と――――六ヶ所に落下の衝撃を分散し、見事少女の体を受け止めてみせるだろうか】

【それが成功したのを確認すると、女性は深く安堵の溜め息を付く。少女を支える六本腕は、さながら阿修羅≠フような様相にも見える】
【そうして、女性の金色の瞳に何かの火が灯った。戦神の如き輝く腕が、容赦なくごうと振るわれて…………】 

――――脅かすんじゃいわよこのバカ娘!!
このこのこのこの…………!!

【……………自身の両腕だけで少女の体を支え、残る四本腕が人差し指を構えて突撃】
【驚かされた復讐とばかりに、少女の脇腹をひたすら突っついてくすぐりにかかるだろう】
【微笑ましいと言えば微笑ましいが、四本腕と言うことは常人の二倍の手数があるということであって】
【もし少女がくすぐりに弱ければ、これは相当なピンチであるかもしれない…………】
【まあ、女性も心の底から怒っているわけではなく。振り解くのも簡単であるのだが】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/24(日) 23:55:01.29 ID:YU9bzoTlo
>>328

こんな時間だから僕しか居ないのさ。昼間はうるさすぎていけないし
かと言って家にこもっていても、こう……人とのちょっとした繋がりは欲しい。だろう?
だから、こうやって夜中……静かで、でも人の息遣いを感じる場所で絵を描くのさ

……仕事中?もし暇なら少し付き合ってくれないかな
これでも絵だけじゃなく色々と凝っててさ、他人の目線ってのが知りたくて

【ふ、と振り向けば、どうやら自警団らしい彼が目に入って、ライトの光に目を細め】
【相手がどんな人物か―信頼に足るかはまた別に―測るように見遣る】

【そういう画家、もとい美術家らしい彼は、所々乾いた絵の具を付けた汚れ姿】
【周囲にはバッグやら、ラジオやら、随分と沢山の道具が置かれていて】
【一見すれば金持ちの道楽かなにか。だが、褒められると『頷く』程度には上手く】

コイツが出た時、ちょうどそのゼン=カイマに居てさ。でも、戦った三人は見えなかったんだ
だから空白のところは彼らのために取ってある……完成は、しなさそうだけどね

……君は?自警団なのはわかるけど、どうせ話すなら名前とか、愛称とか。

【もう彼の中では話に付き合わせることになっているらしい――そばの折りたたみ椅子を彼にすすめると】
【そのまま聞くのは彼の呼び方。微笑みに害意は微塵も見えなかった】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/24(日) 23:57:53.00 ID:PXu1ZV/M0
【水の国・町外れ】

【中世の雰囲気を保ったその通りには、小料理屋や商店が並んでいるわけだが】
【その中に、一軒。これは流石にあんまりだ、というぐらい飛び切り古さびた店構えがあった】

【件の店に窓ガラスなどなく、堅い鎧戸がそのまま戸締まりと陳列棚を兼ねている】
【その上にはランタンが一つ飾られ、ぼんやりとした光が、字が彫られた金属板をいくつも照らしていた】
【看板に曰く――「名前・図像・何でも描けます。焼き彫り工房・あけぼし」】

はぁ、こっちの仕事は閑古鳥の野鳥園だな。
できることなら、一足早い仕事納めと行きたいところだが……。

【だが、客足は芳しくないらしい。嘆くのは店主――櫻の住人らしい、烏の濡れ羽色の長髪を結んだ、鋭いくれないの瞳の少女だ】
【セーラー服の上に火花から身を守る用のエプロンをかけた、彼女は】
【ため息と共に、ボロ屋の内側に吊るされた、もうひとつの¥ャさな看板に目をやる】

さてさて、店じまい前、こんな夜更けにお客さんが来るものだろうか。

【――「怪異・荒事・何でも請けます。あけぼし綜合事務所」と、そこにはあって】

【少女は、その存在がまことしやかに囁かれる裏の世界の何でも屋の顔を、一瞬覗かせながら】
【この静けさを誰か破ってくれないものかと、今一度、鎧戸の外に視線を向けた】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/25(月) 00:04:43.31 ID:BmlZo1Wvo
>>299
【朔夜の自嘲を含んだ笑みと声音に、双子は黙って口角を釣り上げて見せた】
【自分たちが口にした通り、今では名を聞くことが少なくなってしまったJustice≠フ名】
【その事に対して、彼女が思うところがないはずもない、と双子は考えていた】

【それとは別に、双子の思考もまた朔夜と似た動きを辿っていた】
【この剣客をこの場で斃さねばならない。間違いなく、機関の、自分たちの脅威となり得る存在だ】


「その口ぶり、グラトン博士を知っているのか? あの方も機関では古い、Justice≠ニ因縁があってもおかしくはないな」
『まったく、口の減らねえ女だ!! てめえこそ、向こうで昔の仲間が来るのを待ってやがれ!!!』

【吐き返した言葉の少し後、掌底に抉られた双子は今度は泥と砂を、自分たちの能力を吐き返す】
【朔夜の不意を突くことには成功したが、鳩尾へのダメージは深刻なものだ】
【肺腑への強烈な一撃、兄弟揃って悶絶する。しかし、四つの瞳は逸らされることなく攻撃の行方を追っていた】


「ぐ、く……流体を、斬るだと……」
『が、が……むちゃくちゃしやがるぜ……』

【朔夜の抜き放った『邂逅』の輝く刃が、さらに刀が喰らう異能による歪みが】
【汚らわしい濁流を雲散霧消させる。双子の表情の歪みが、苦痛から驚愕のそれへと上塗りされた】


「……さて、そろそろ決着といこうではないか、剣士……」
『……剣客が愛刀を抜いたんだ。なら正面からの一騎打ち、ケリは一瞬で突くと相場は決まってるよなあ……』

【ついにその刀身を戦場の空気に晒した朔夜の『邂逅』を見て、双子が痛みを無視して立ち上がる】
【伸ばされた四本の腕から、泥が垂れ落ち、砂が噴き上がる。いずれもまだ何の形もとらないまま】

【二つの口から放たれるのは、今宵の決着の時。最大限の戦意と悪意が異形どもから垂れ流される】
【朔夜の怜悧で鋭い気配と、それらがぶつかり合い、今宵の終焉の時へと突き進んでいく――】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/25(月) 00:19:59.07 ID:mKsDzJ9to
>>329
【―――さて、不敵にウインクを決めてみたものの、少女に何かしらの策があるという事もなく】
【頼みの綱は真下の女性、ただ一人という事実を落下しながら再認識】
【………いやぁ、もしあの人に対応手段無かったらどうしようかなぁ】
【なんて他人事のように思いながら】
【落下し、そして】


―――おぅっ。


【一瞬の間を置いて、少女の身体は僅かに反発で跳ね、ゆっくりと六本の腕に包まれた】
【生身の腕とは違う、エネルギーで構成された『腕』の形をした何か】
【自身の身体を包み込むそれらを、少女は女性の能力と把握した】
【《 阿修羅ノ御手( マハー・ハスタ・アスラ )》―――それがこの能力の名なのだろう】

【と、そこまで思考を巡らせた所で、少女は突如違和感を覚える】
【違和感の先は自身の脇腹】
【そこにあるのは、女性が構成した四本の腕、その人差し指】
【疑問を抱くのも一瞬】

――――――あひゃっ!?

【何とも言い難いむず痒さが少女を襲う】
【びくん!と身体に震動する】
【それに耐えようと心を保たせようとするも】

あひひはややはははやはふぁはやはひやはっははあっははあ――――――――!?

【漏れ出る声はもはや言語の体を成しておらず】
【少女は顔を真っ赤に湯気あがらせながら、ぱんぱんと力無く腕を叩いて『降参』の意思を示した】
【そこにはもう先程までの余裕は微塵も見当たらず、息も絶え絶えに悶えているただの少女がいるだけだった】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/25(月) 00:21:33.71 ID:BrTjkuOBo
>>330

っと、眩しかったか?悪い。
確かにな、引きこもってばっかりじゃあ体にも良くないし、何より女の子との出会いも無いからな!
……いや、冗談だぞ?別にそういう目的で自警団やってる訳じゃないからな?

仕事……って言っても本当は休みの筈だったんだけどな……ちょっとした賭けで負けて手伝わされてたんだよ……
……いいぜ、だいたい見回りは終わってるしな。

【ペンライトをポケットに仕舞えば、悪戯っぽく笑って見せて】
【どうやら仕事£ではない様子。服装が崩れているのもそれ故か】

【何気なく周囲に置かれた道具を見回せば、すぐにまた視線は彼へと戻って】

――――三人、か。そういやそんな話だったな。
三人でそんな化け物の相手するなんてやっぱり能力者って……いや、俺も能力者だけど、恐ろしいもんだ。

もし何処かで見つけたら教えようか?仕事柄、そういうのは割と得意だからさ。

【付き合う事を快諾したなら、何の遠慮もなく椅子に腰掛ける】
【そして彼の微笑には笑みを返す――といっても口端に浮かべたものなのだが】

俺か?俺はディハート・グリムジャック。ディハートでいいぜ
んで、俺はあんたを何て呼べばいい?
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/25(月) 00:34:31.60 ID:RiSVeXEJo
>>334

女の子ならよく出会ってるよ、声もかけるし裸だって見る
無論……裸婦画のモデルとしてね。いわゆるナンパなんてのはやらないよ
恋愛をモチーフにした絵や詩歌は世間に溢れすぎてて、僕の肌に合わないし

【自警団の彼が話し相手となることを快諾すれば『ありがとう』と声をかけ】
【彼の状況を類推しつつ、筆を水の張った入れ物にちゃぽん、と漬け】

ホントにね。僕も遠目に見ただけだけど、獅子は10m近い大きさだったんだ
それを2mにも満たない、それこそ向こうからすれば蟻のような人間が斃す……
まるで神話の戦いを見ているようだった。録画すべきだったね

見かけたら。…そうだね、是非。これ、僕の連絡先だから
もしその三人を見つけたらさ、本人か、君か……どっちからでも、連絡して欲しいかな

……ま、そういうわけで宜しくディハード。……僕かい?
僕はね、アンドレイ・ニキシビリチャチ。しがない芸術家で、好きなモデルは月。
ディハードは好きなモノとかあるかい?見てて飽きないもの……雲とか、海とか?

【アンドレイ・ニキシビリチャチ=\―その名を知っているかは人によるのだが】
【何処かの大教会の壁画を描いたとか、美術界の若きホープだとか、そういう評を受けている人間である】
【といっても、閉じた世界だ。名前は聞いたことがあるかも――普通の人ならば、まあそんな所だろうか】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/25(月) 00:42:59.05 ID:9z41Uf/Co
>>333

ほらほらほら、人をおちょくった罰よ!
ふふふ、あんた意外といい声で鳴くじゃない…………!

【朱色の光を纏う両腕で拘束し、残る四本腕が唸る。戦闘に於いても有効な戦法は、いまは少女の腹筋を内側から破壊することだけに費やされ】
【少女の口から、これまでの印象とは裏腹の可愛らしい声が漏れたのを聞けば。女性は怪しげに笑って、容赦なく四本腕のスピードを上げるのだった】
【…………しばらくして。素直な降参の意思と真っ赤に茹だった顔を見て満足したのか、女性は少女を地面に下ろしてやるだろう】

ふっ…………オトナの女を舐めるからそうなるのよ、お嬢ちゃん♪

【地に足を着けた少女がどんな反応をするかなど気にもせず、女性は胸を張って得意げな言葉を掛けると、当て擦りのようにウィンクを返して】
【心底楽しそうにけらけらと笑うと、両掌を合わせて空へ、気持ちよさそうに伸びをひとつ…………いや、残る四本腕もその動作をしたから、三つか】
【その動作が終わるのと同時、四本の腕と両腕を覆う朱色の光はすぅっと溶け消え、女性のシルエットは普通の人間のものに戻るのだろう】
【いい感じに酔いも飛んだようで、明るい光を宿した金色の瞳は、少女の瞳をしっかりと見据えている】

さぁて、お楽しみも終わったことだし、改めて自己紹介ね。
あたしはミドナ――――SCARLET≠フミドナよ。そっちは?

【女性はにこりと笑いながら、自身をミドナと名乗って、同時に左腕を胸の前で掲げてみせるだろう】
【手の甲をそちらに向ければ、コートの袖口の部分に緋色の鷹≠フ紋章が大きく刺繍されているのが分かるだろうか】
【どうやらこの女性――――ミドナは、こんなナリでも正義≠フ側に身を置く者らしかった】
【…………まあ、ついさっきまで完全に質の悪い酔っ払いだった女だ。紋章自体は間違いなく本物なのだが、それでも信じるか信じないかは少女次第】
【同様に、少女の名を問い返すミドナの意図にも、応えるかどうかは自由なのだろう】
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/25(月) 00:59:57.76 ID:3S5qe9aRo
>>335

裸婦画かぁ……そいつはうらや…………いや、何でもない、何でもないからな!
というか別に俺だって恋愛どうこうで声掛けてるんじゃねーぞ?
ほら、あれだあれ、何だっけ――――そう、情報網。情報網を広げる為だ。情報ってのは大事だからな、うん。

恋愛なんかは無しだったらさ、どういうのを中心にやってるんだ?
さっきも言ったけど、俺はそういうのあんまり詳しくないもんだからさ。

【そこはかとなく漂うこの適当さ。やっぱり自警団らしくない】
【この分では情報がどうだとかいう話も疑わしいものである】

10mの獅子ねえ……考えたくもねえな、こりゃ。
しっかし、そんなに凄かったんなら俺も見てみたかったな……
それこそ誰か録画してたやついないのかねえ……

OK、アンドレイだな。じゃあ一応、こっちは俺の連絡先。
好きなもの、か…………ちょっと被っちまうけど、星空は嫌いじゃないかな。
後はそう―――――人の心、とか。あれは飽きないな。

【どうやらこのディハートは、自分で言うように芸術に詳しくはないようで】
【アンドレイの名を聞いても今一つピンと来るところはなかった様子】
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/25(月) 01:09:15.83 ID:mKsDzJ9to
>>336
―――人間には、どうしても耐えられないもんってのがあるから。
………つーか何がオトナだアル中が。

【地面に降り立ち、未だに熱引かない頬を両手で押さえながら】
【何とかといった様子で平静を取り戻すと、少女は小さく呟いた】
【………とは言っても、この状況で言った所で負け犬の遠吠えにしか聞こえないだろうが】
【ばつが悪そうにコンクリの地面を踏み叩く少女】
【そこでようやく、女性の視線が己の眼を見据えている事に気がつく】

へぇ、酔っ払いが「正義」を名乗る世の中なんだねぇ、今って。

【女性―――ミドナが掲げている紋章に目を遣る】
【そこに描かれているのは緋色の鷹】
【それが、彼女の言う「SCARLET」とやらの紋章なのだろう】
【幸か不幸か、少女はその組織の存在を認知しておらず、それ故にミドナの言う事も半信半疑といった様子】

………ボクの名前は時雨 伊那(しぐれ いな)、しがないフリーの退魔師だ。

【今度はこちらが名乗る番】
【とは言っても、少女―――伊那には特に掲げるような肩書きも何も無いのだが】
【名乗ったのは己の名前と定職と呼んで良いのか怪しいレベルの職業のみ】
【それだけしかないのだから仕方ない】

っていうかさー、正義の味方ともあろう人が、そう簡単に力振りかざしたダメっしょ?

【横の壁に凭れ掛り、腕を組みながら少女は言う】
【その元は先程の男三人衆に対するミドナの対応に違いない】
【まるで諭す様な口調で言う少女の口端は、にんまりと歪められていた】
【―――どうでも良いが、随分と回復の早い奴である】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/25(月) 01:20:28.82 ID:RiSVeXEJo
>>337

僕の作品かい?そうだねえ、神話の一場面を書いたり、彫ったりもするし
日常の風景……例えば町並みを、少し手を加えて描いてみたりかな
ちょっとしたスケッチや、時々劇の台本を書くこともある。

ただ、さっき言ったように恋愛物は好きじゃないし……音楽は苦手なんだ
他のものなら大概は得意だね。だから、美術館にあるもの≠ェ中心かな

【――また何とも、広大な範囲がお得意の様子。ただ、嘘や見栄を張る様子は微塵も見えなかった】
【確かに、絵は上手い。けれどもそれをディハードが鑑定する手段は無いし――】

【そもそもこのアンドレイというのも、自分の腕を誇るところはあっても】
【その作品を誇ったり、他者に押し付けたりするような所はなかったから、『へぇ』で終わるのがいつものこと】
【ナンパの件ではくすくすと笑っていたし、存外に普通の青年らしいところもあって】

ああ、しかも炎を操るんだ。後半なんかさ、追い詰められて物体を消滅させる温度の火を吐いて。
それすらも倒しちゃう人間って……僕、神話も良く見聞きするわけだけど……
そういうのに登場する勇者に似てるな、と思うんだ。ほら、魔王を倒した勇者は、魔王以上に強い――っていう、あれ。

『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている』――そんなお偉いさんの言葉もある。

……さてさて。星空は悪くないね、星たちは動かないけど、流れ星や澄んだ深い群青の宇宙は綺麗だ
月並みな表現だけど『吸い込まれそうになる』のも分かる……絵にしづらいのが辛い所さ
それにしても……人の心≠チて、なんだい?言ってる意味はともかく、見えはしないとおもうけど――。

【最後に訪ねかけるのは人の心は飽きない、という一節。無論、なんとなくは分かっているのだろう】
【だが、なんとなく結びつかない。その辺り、人よりも物に生命を賭すがゆえの、美術家らしい質問だった】
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/25(月) 01:37:49.06 ID:9z41Uf/Co
>>338

なぁによ、どこからどう見てもオトナのオンナでしょ、あたしは?

【腰に手を当て、ミドナは少女をじとりと睨む。中腰になれば、その季節外れも甚だしい格好が強調されるだろうか】
【引き絞られたウェストに、目を見張るほど大きいわけではないが確かに存在感のある胸。筋肉と脂肪が適度に合わさった太股】
【成る程確かに、オトナを自称出来る程度の色気はある。……吐息の酒臭さと粗雑な言動に目を瞑れば、話であるが】

そりゃあ正義の味方だって、疲れたら酒ぐらい飲むわよ。
…………時雨 伊那か。じゃあ伊那でいいわよね。うん、決定!
名前からすると櫻の国の子よね…………行ったことはあるけど、退魔師ってのはよく知らないわね。どんな仕事なの?

【少女のイヤミじみた言葉を歯牙にもかけず、元来の陽気さでさらりと流すと、女性は少女の名を反芻して】
【少女――――伊那が拒否する可能性など微塵も考えていないように、というか拒否しようが無理矢理呼びそうな勢いで、彼女の呼び名を決めてしまう】
【その一方、退魔師≠ニいう言葉には馴染みがない様子で、純粋な疑問をぶつけてみるだろうか】

いやいや、こーんなか弱い乙女を力づくで、しかも三人掛かりで犯そうとするような連中には、あのぐらいお灸を据えてやるのがちょうどいいと思うわよ?
大体能力だって使ってないし、本当に本気だったらコイツを使ってるしね。

【次いで、「か弱い」の部分を無駄に強調して、ミドナは男たちに拳骨を入れた経緯を説明する】
【彼女が軽く腰を叩けば、鈍い金属音が響く。ローライズのデニムの周囲を覆うように、鉄製の腰当てがベルトで固定されていて】
【その腰当ての上部には、リングのようなものが複数はめ込まれている。ミドナがそこに指を掛けて半分引き出すと、それが短刀であるのがわかるか】
【能力も武器も使わずに三人の男を撃退したというのであれば、それは確かに正義≠名乗るに相応しい実力なのだろうが…………】
【こんな派手な格好で、しかも酔っ払った状態で路地裏に入り込んだ女性。犯罪を誘発してしまった非は、たぶん彼女にもある】
【正義≠掲げる者として、ミドナがアウトローの部類であるのは間違いなさそうだ】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/25(月) 01:59:18.60 ID:nz14MZxQo
>>339

へえ……そりゃまた、えらく手広くやってるんだな……
しかしその日常の風景、ってのは気になるな。
どこにでもある風景≠芸術作品≠ノするんだからな……どんな風に手を加えてるのか、素人には想像できねえ。

……なるほど、美術館―――俺が普段目にしない様なやつだな、OK。

【彼の言葉を疑う様子もなく、あっさりと受け入れて】
【しかしその一方で、膝の上に頬杖をついたままアンドレイを頭から足元まで眺めたりして】
【その様は“疑い”というよりも“感心”とした方が適当であろう】

炎を操る獅子の化け物か……それこそ神話の世界から飛び出して来たんじゃねえのか?
――ああ、確かに。でも勇者ってのは魔王と違って――――人間だからな。


いや、そりゃあ心なんて目じゃ見えやしねえ。でもほら、人間観察≠セとか言うだろ?
あれだってただ人間を眺めてるだけじゃない。その人間がどういう事を考えて動いてるか……だとかを見てる≠けだ。
そういう意味で心を見る≠チてわけ。

その相手の事、わかったつもりでいても、何を考えてるか、なんてなかなか読めないからな。

【――――――要するに人間観察≠フ話である】
【どうにも気取った言い方をする嫌いがあるらしく、それ故の表現だったのだろう】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/25(月) 02:05:20.68 ID:mKsDzJ9to
>>340
………オトナっていうより熟れたって言った方が良いんじゃないの?

【ジトッとした目でそう言い放ったものの、しかし伊那の視線はどこか浮ついている】
【ミドナの身体を頭から爪先まで―――とまでは言わないものの、あんな所やこんな所に目を遣り】
【顔を顰めたり、頬を紅潮させたり、唸り声をあげたりと、バラエティに富んだ反応を見せた後】
【結論として、けっと悪態を吐きながら視線を顔ごと逸らすのであった】
【というか、今更ながら気づいたが、随分と酒臭い………】

まぁ、何でも良いけどさぁ………退魔師について?

【流石の伊那もやや気圧された様子で】
【しかし疑問の言葉はきちんと受け止め、やや首を傾げながら、回答を始める】

退魔師ってのは、まぁ簡単に言うと、妖怪とかデーモンとか?そういうのをひっくるめた妖魔の類を祓う職業。
教会じゃエクソシストなんていう職業もあるみたいだけど、それの櫻の国バージョンって所かな。
人間相手に正義$Uるうのがアンタ達だとしたら、妖魔相手に人間の正義≠振るうのがボク達、退魔師の仕事って感じ。

【無論、人に害を為す妖魔しか祓わないのが原則だけどねぇ】
【最後にそう付け加え、伊那は説明を終了する】
【まるで何にでも力を振るう訳では無いと―――嫌みったらしく、言外に訴えるように】

………か弱い乙女≠ヘ男三人を素手で撃退したり挙句酒飲んで説教したりしないって。

【そう言う伊那の表情は呆れ顔】
【そんな刃物まで潜ませておいて、どの口が何がか弱いだ】

まぁ、あの人達は相応の罰を受けたってぇ事で―――ミドナはこれからどうすんの?

【呼び捨てである】
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/25(月) 02:34:20.14 ID:9z41Uf/Co
>>342

だ、誰が熟れた年増ですってぇ!? どこからどう見てもピチピチでしょ!!
ほらほら、この辺とかどうよ…………!

【誰もそこまでは言っていないのだが…………乙女という自称は絶対に間違っているといえど、まだ自分を若者だと思っているミドナは憤慨し】
【やたら艶めかしいポーズをしたり、体の部位を見せびらかしたりと、異性相手なら完全にアウトというようなアプローチで伊那に迫るだろうか】
【その甲斐あってか否か、彼女のどこか熱い視線をくすぐったそうに全身に浴びれば、目を背けた伊那に優越感に満ちた視線を送って】

はぁー、なるほど…………大体分かったわ。
それにしても、妖怪、かぁ…………ついこないだでっかいライオンをぶっ飛ばしたことはあったけど、あれとはまた違うのよね。
櫻の国に行ったのも一回や二回じゃないけど、まだ見たこと無いわね。人間を害さないヤツがいるなら、いっぺん話してみたいもんだわ…………。

【彼女の言うでっかいライオンというのは、最近テレビ等でも少しばかり話題になっている炎獅子≠フことなのだが、それはさておき】
【そういった魔獣、神獣の類とも違う、見たこともない新たな種族。その姿は果たしてどんなものかと、ミドナは想像の翼を羽ばたかせる】
【なぜそう何度も櫻の国に行く用事があったのかは不明だが、妖怪≠ニいう神秘の存在、そんな彼女にとっても未だ知り得ぬ領域であった】

んー、そうねぇ…………折角だし飲み直そうかしら!
あ、何なら伊那も来る? お酒は無理でも、軽い食事ぐらいならOKでしょ?

【――――ミドナ、と。そう呼び捨てにされたことに、彼女はきっと凄く嬉しそうに笑うのだろう】
【それから、自らも少女を呼び捨てにして。快闊に声を上げれば、求めるのはやはり酒。相当の酒豪であるようだ】
【それから…………黄金の瞳を半目に、悪戯っぽい表情でちらりと伊那を覗き見て、ミドナは彼女を食事に誘った】
【もし伊那がそれを了承したなら、表通りの居酒屋にでも一緒に入って、ミドナと共にちょっとした夜食に興じることになるだろうか】
【そしてもちろん、伊那の都合によってその誘いは断っても構わない】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/25(月) 02:53:05.95 ID:mKsDzJ9to
>>343
そんなに珍しいもんでも無いよ?
存外、近くにいる事も多いからねぇ………気づかない人も多いけどさ。

【珍獣や霊獣とは違う】
【どこにでもいて、どこにもいない―――そんな感覚を思わせる存在】
【一種の「怪異」とも呼べる、日常に潜む非日常】
【それが妖怪=\――まぁ、今考えたばかりの定義なのだが】

そうだねぇ、じゃあついでにボクも一杯貰おうかな―――勿論ミドナの奢りで。

【酒は無理というミドナの言葉をあっさり無視して】
【伊那は自分も酒を飲む気満々で、彼女の誘いに笑顔で応じた】
【その笑みは、ミドナが見せた笑顔に釣られるように、しかし自身も愉しげで】
【ミドナより早く、表通りへと一歩を踏み出し】

ほーら、突っ立ってないでさっさと行こうよ。
それとも、今更未成年は酒飲むなーなんてそんなお堅い事―――言わないよねぇ?

【振り返り、にんまりとした笑顔で、伊那は問いかけた】



/こんな所で〆でしょーか
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/25(月) 03:20:18.46 ID:9z41Uf/Co
>>344

…………気づかないだけで側にいるって? 何それ、なんかブキミじゃない?
あたしも着替えとか覗かれちゃってるワケ?

【そこに在って、そこに無い――――そのような繊細な表現を解すだけの国語能力を、残念ながらミドナは有していなかったようで】
【返ってくるのは、なんともふざけた答えであるだろうか。そう頭も良くない女だ、やはりその目で直に見るまで、妖怪を正しく認識することはなさそうで】

…………ふふふ、悪い子ねぇ。あたしじゃなかったら補導されてるわよ?

【――――てっきり、そのあたりは真面目な子なのかと思っていたが。誘いに対する伊那の答えに、ミドナは悪どい笑みを浮かべて】
【正義≠ニしては、きっと落第点…………けれど他人と手≠繋ぎ、絆を掴んでいくことだけは、得意な女であるのだった】
【一歩先に歩き出した伊那へ小走りで追いつくと――――彼女が拒まなければその手を握って、楽しそうに居酒屋へ誘導していくだろう】

よっしゃあ――――今日は飲み明かすわよ、伊那っ!

【意気揚々と辿り付いた居酒屋は、予定を変更して表通りからは少し離れた場所となって】
【そこはセーラー服での飲酒を、まあ一度くらい見逃してくれる程度には、融通の効く店であるだろうか】
【彼女が一言店主を呼びつければ、何も言わずとも二人分の酒が出てきて。ミドナはグラスを持つと、伊那にもそれを促す】
【…………乾杯!と大きく上げた声に、伊那が乗っかってくれるかは、彼女次第であるのだろう】


【その後は、まあ酒の席でのお話で。最近あった近況やら愚痴やらを、ミドナは滔々と並べ立てていく】
【先程言っていたでっかいライオン≠ニ戦った武勇伝だったり、SCARLET≠フ同僚が口うるさいという話であったりと、内容は様々だ】
【殆どは笑いながら話されるのだが…………最近自分と全く正反対の考え方の子と手酷く喧嘩した、という話だけは泣きながらするだろうか】
【もしも伊那の方も何かを話してくれたのなら、それに対してもやたらオーバーな反応をして場を賑わすのだろう】
【…………笑うにせよ泣くにせよ、ミドナは自分の感情を押し殺すということを知らず。ひたすら自由に雄弁に、話し続けて――――】

…………それでさぁ、伊那ぁ…………きいへるのぉ?

【――――もはや、軽い夜食どころ話ではなく。いつの間にか、朝日が昇っているだろうか】
【合算でどれだけ飲んだのか、ミドナは酒類の空き瓶が作り出す森の中へ、幸せそうな顔で頭を突っ込んでいる】
【彼女は一晩中飲みに飲んで、話に話して。非常に満足そうな顔はしているが、精魂尽き果てたような状態だ】
【だから彼女の虚ろな視界に…………既に伊那が映っていなくても、気づくのはもう少し後】
【伊那がミドナと一緒に朝まで飲んでいたとしても、途中で密かに抜け出したとしても、そこは彼女の自由で良いのだろう】

【――――何れにしても、別れの言葉がミドナから発せられることはない】
【今宵出会った若すぎる飲み友達と、いまは別れたとしても。きっとまた会えるのだと、彼女は疑うことなく信じているのだから――――】


/そうですね、この辺りで!
/夜遅くまでお疲れさまでしたー!!
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/25(月) 03:28:06.78 ID:mKsDzJ9to
>>345
/お疲れ様です、ありがとうございましたっ!
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/11/25(月) 03:38:56.18 ID:d7Cq5QgEo
>>332
【刀を鞘より抜き放ち、濁流を薙ぎ払ったその瞬間に、芒(ぼう)、と女の両の瞳が蒼い色をした灯を点す】
【双子の問いに応じる言葉はない。ただ、これより先は刃で語らわんとばかりに、手にした得物を正眼に構えた】
【深く、長く、息を吸い込む。合わせて刀身から吹き上がる歪みが徐々に小さくなってゆく】

(徒に『反発』の作用を用いて攻めるばかりでは、有効打にはなり難い。
 であれば『遮断』、認識の阻害による撹乱と歩法の併用──いや、無駄だ)
(敵は目の前。身を隠す遮蔽物は無い。気配を殺して踏み込むだけで
 あっさりこちらを見失ってくれる雑魚なら、そもそもこうも苦戦はしない)
(根本から拒絶する。私の持てる力と技の全てを尽くして、奴らを──)

【不慣れな兵士ならこれを能力の消耗によって生まれた隙と見て射掛ける所だが、双子の異形ならばそんな愚は犯すまい】
【朔夜が如何にして濁流を断ち切ったのかを、恐らく彼らは正しく理解している筈であろう】
【今までは無軌道に拡散、炸裂するばかりだった歪み──あの力場──を、朔夜は刀によって制御し、刀身の延長線上に集束】
【強い指向性を付与する事によって、出力はそのまま、威力のみを劇的に向上させ、形無き流体を吹き飛ばしたのだ】

【嵐の前の静けさ。極限域にまで集約されゆく力が、ある致命的な一点を越えて荒れ狂い始めるまでの、短い静謐】
【例えるならば、今の朔夜と彼女の佩刀は、そういう状態のうちに在る。いつ事が始まっても不思議ではない】

(そうだ。斬る。切り抜ける)

無論。私がこれを抜くという事は、そういう事だ。
これを鍛えた刀匠の言葉を借りて、敢えてお前らの覚悟を問おう。

【暫しの時を経て、臨界。ごうごうと噴き上げる砂と泥に呼応するように、吹き抜ける一陣の風】
【研ぎ澄まされた殺害意志を以て統御される強大な異能力──今や刀と完全に一つになった拒絶の力場は、ただそこに在るだけで空間を震わせる程のものだった】
【周囲に響く風の唸りと、硝子が軋るような幽かなノイズは、宛ら世界が上げる断末魔の悲鳴じみている】


────『貴様らは、斬れる刀か?』


【月明かりを反射して青光りする刀を中段に据えた態勢のまま、重心のみを大きく前傾させて、朔夜は駆けた】
【余分な力みのない滑らかな挙動は、流れる水を彷彿とさせる。歩むと言うより、重力に従って落ちてゆくような自然さだ】
【ゆえに初動が掴みづらく、後の先が取りにくい。敢えて欠点を挙げるとすれば、実際の速度は然程でもないという事だろう】
【打ち合いを拒否して先手を取り、間合いの外から射掛ければ、一方的に攻撃できる】

【しかし問題は、朔夜の刀の間合いは、見た目よりもずっと長大だという事だ】
【どう控え目に見ても双子から二、三メートルは離れた地点で刀を振りかぶる彼女。無論のことブラフではない】
【振り下ろされるその瞬間だけ、刀身の先に再びあの陽炎が──極小面積に集約された力場が──展開され】
【届かない刀身に代わって、刃の役割を果たすのだ。今や見慣れたであろう能力による一撃、特に問題なく視認できる筈だが、その威力は先程の比ではない】
【標的を捉えると同時に接触面で極小規模の炸裂を無数に繰り返す衝撃の刃は、チェーンソーや掘削機のように防御ごと敵を破断する性質を持つ】

【また、打ち込みそれ自体の冴えにも目を瞠るものがあった。速く鋭く円弧を描く、正確な太刀筋。ここまではこれまでの通りだが】
【今度の一閃は、巧みな重心移動によって踏み込む勢いを余す事なく乗せたもの。これまでに無い『重さ』がある】
//申し訳ありません、始めたばかりだっていうのに完全にダウンしてました……
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/25(月) 05:00:42.01 ID:BmlZo1Wvo
>>347
【彼女が正眼の構えを取れば、双子の表情も静かに消え失せた】
【虚空に消えた問いも振り払い、その瞳の蒼い光に二重の悪意を秘めた視線が返される】


「(……流体の泥と砂を斬り払ったあの歪み……正確な正体まではわからないが、何らかの力場≠ニ解釈すべきだろう)」
「(刀にそれが纏わりついた……刀で力場をコントロールし、さらに威力を底上げして狙った場所へ)」
「(あれほどの剣技に加えてこの能力、敵を殺すためだけの力、と言っても過言ではあるまい……)」

【兄・オーギュストが朔夜が濁流を打ち破った様からその力の在り方を推測していく】
【弟・ギュスターヴも兄ほどに考えは回らないが、彼女の構えを見て隙などと捉えるほどに楽観的ではない】
【異形どももまた、この時の狭間で沈黙を守り、来るべきその一瞬へと備える】

【四本腕から発せられる泥と砂が、より高密度に圧縮されていく】
【朔夜と同じく、自分たちの能力を凝縮し、最後の一撃を極限まで高めようとしている】


「我らは、Justice≠ノその覚悟を抜かせるにまで至ったわけか。光栄だな」
『決着の前に敵に覚悟を問う、ってか。らしいねえ』

【ミサイル陣地内を吹き抜ける風が、対峙する正義と悪を撫でていく】
【ピリピリと空間そのものが震え、絶叫を上げている。さらに、それに混じるノイズ】
【それらすべてが、ただ眼前の敵を斬る、それだけのために】

【双子の泥と砂も、それに応えるべく固まっていく。四本の腕から空中に伸びた四本の泥と砂の塊が】
【空中で融合し、一つの形に練り上げられていく。朔夜のそれが凝縮された鋭い殺意の具現であるなら】
【双子のそれは、地の底から湧き上がり飲み込まんとするおぞましい悪意の具現となる】


「『ああ、斬れるとも』」

【双子の声が二重に響き、泥と砂が練り合わせられて、先端が尖った一本の槍のような姿をそこに現した】
【しかし、先手は朔夜。無駄を削ぎ落とした流れるような動きは、あまりに自然すぎてそのが眩みかける】

【明らかに攻撃範囲から外れているであろう距離で朔夜が刀を振りかぶったのを見て、双子はすでに自分たちが『邂逅』の間合いにいることを悟る】
【彼女の足がもっと速ければ勝ち目はなかったかもしれない。泥砂の槍の先端が、朔夜へと向けられる】


【泥砂の槍が、放たれる。朔夜の腹部目がけ、練り込まれた質量の棒状に固まった泥と砂が向かっていく】
【泥の打撃と砂の斬撃、双方を兼ね備えかつ短時間とはいえ練り込んだ力。まともに食らえば、骨に異常を来すほどの強烈な打撃と、体中を細かく刻む斬撃と、槍の刺突を同時に食らうだろう】
【その直後。放った槍の成果はみることなく、殺意が吹き荒れた】

「『―――――!!!!!』」

【もはや、声も出はしなかった。あまりにも的確で踏み込みすら取り込んだ重すぎる一閃】
【集約された力場が解放され、陽炎が揺らめき、叩き付けられるあまりに強力な一撃】

【双子は、真正面から朔夜と打ち合い、斬られた。咄嗟の防御も実ることなく】
【チェーンソーと削岩機を同時に食らったかのように双子の胴体が破壊され、鮮やかに血の花が咲いた】

【声も出ないまま、双子がその場に崩れ落ちんとする。だが、まだ息はあるようだ。白と黒の瞳は、まだ死んでいなかった】


/すみません、こちらもだいぶ意識とびかかってました……
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/25(月) 09:25:49.86 ID:RiSVeXEJo
>>341

いやぁ、芸術なんて人次第さ。風景を写真で撮るか、絵で描くか……
完全に模写出来るのは前者だけど、味があって評価されるのは後者なわけで。
それこそ、意味の分からないグチャグチャしたものでも高い評価を受ける時はあるしね

【僕はやらないけど――そう言うアンドレイの格好は、実に簡素極まりない】
【衣服は先に述べた通りだし、他に装飾品もなければ、体の線は細く】
【手などはすらりと長いから、如何にも文化系らしく、優男という印象が強いだろうか】

場所によっては実際、神獣として扱われるところもあるとか。でも化け物だよね、あれは
それを倒した能力者も……人間として扱われるなら良いけど。
彼らが能力者≠ナ括られないことを祈るよ、最近はほら、物騒だからさ

……あぁ、成程ね…。刺々しいとか温和とか、まあなんとなくイメージはできるけど
それを見る≠チて表現するのは思いつかなかったな……成程、なるほど……。

じゃあ……この怪物と戦った彼らの心は、どんな風に見えると思う、ディハート?

【彼の話を聞いて腕を組みながら何度か頷く姿からして、どうも新しい発見だったらしい】
【そして、ならば――と更に問いを重ねて。さながら小さな子供が物を知りたがるようだった】

/昨夜は断りもなく寝落ちしてしまって申し訳ないです……
/舞台裏にも書きましたが、恐らく戻れるのは23時以降になると思います
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/25(月) 18:32:01.54 ID:H+IJy2Klo
【如月が真剣を抜き去り、もう半月ほどがすぎた。】
【彼女がもう一度剣士として歩み始めたのは他でもない。某日、とある剣客とあったからである。】
【自分と同じような―――いや、ここまで似ているのも珍しい。その剣士は中邑と言った。彼に感化されてのことだった。】
【刀をとったからと言って、しかし、如月には決定的に不足している物があった。それを補いそして見つけるために今も尚流浪を続けている。】
【先日も、その過程で「夜の国」へと足を進めた。もっとも、これには僅かばかりの不穏な噂が耳に入ったということもある。】
【そこで「機関」の雑兵数人と斬り合い、こうしてまた戻ってきたわけだ。】
【彼女が「水の国」へとようやくたどり着いたのはそう言う所以があった―――――――――。】

【場所は大会会場。】
【広大なフィールドに、如月は立っていた。時折通気口から吹く風が長髪を揺らしている。】
【年齢にして成人を少しすぎたくらいであろうか。その長い髪は後ろで一つ結びにし、黒の中に僅かな青色が混ざっている。】
【まるで雨のように深く暗い色合いの藍色の羽織を袖を通さずに着込み、その下はゆるやかな和装のような格好である。暗い色が多い中で、燃えるような赤色の帯が印象的だ。】
【左腰には二振りの刀―――太刀と脇差しが差し込まれていた。とはいえ体格や背格好は従来の剣士とは違う。】
【彼らほど屈強ではないし、線も細かった。「しなる」ような動きを得意とするからだとでも云えば分かりやすいかもしれない。】


「……ふーむ、腕試しに参加してみようと思ったのだが、運悪く開催していないときている。」


【如月の仕草の中には、どこにも「能力」による依存を見出すことができなかった。勘の鋭いものなら分かるかもしれない。】
【摺るような足捌き、ゆとりのある両腰。どこをどうとっても、異能の気配を感じ取ることができなかった。】
【高いレベルで「隠している」のではない。先天的/後天的に関わらず、体内体外どこにも「元々持ち合わせていない」ようである。】

【会場は閑散としていた。僅かな塵が宙を舞う。熱狂に包まれるであろう観客席も、今現在人影が見えない。】
【飛び入りでもいいから参加しようと―――模擬戦/死合の一つでも行おうと思ったのだが、どうやら当てが外れたようである。】


「どうしたものかね……もう少しぶらぶらするかそれとも…」


【不意に、誰かの気配を感じたようで。】
【切れ長の、まるで月のような琥珀色の瞳をそちらに向け振り返る――――――――――――――――――。】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/25(月) 20:25:23.12 ID:SriXGd5r0
【風の国、―――総合病院の屋上。】


【―――此処は、風の国最大の敷地面積を誇る病院。"最大の"と謳っているだけあって、ほぼ全ての診療科が網羅されており、】
【更に政府の支援を受けているが故に、病院内の施設、医療機器、或いは人材といった、ありとあらゆる全てが最先端を誇っているのだと言う。】、
【……となると、国民からの信頼も厚かった。"此の病院へと駆け込みさえすれば、どんな病気でも忽ち良くなる"―――、なんて評判もある程で。】

【そんな総合病院の屋上の隅の、隅っこ。暗闇の中、亡霊の様な何かが、ぼうっと浮かんだ。】
【寒空の下、車椅子に座った、たった一つの人影である。勿論注視すれば、其れが歴とした人間である事は、見て取れる筈だ。】

【―――其れでも尚、未だ違和感が拭い切れないのなら、其れはきっと其の車椅子の事なのだろう。】
【此の病院は全てが最先端を行くのだ。"電動"では無い物なんて、寧ろ其れに腰掛けている人を探す方が大変の筈。】
【にしては―――随分と古びた、それも"手動"の車椅子なのだ。……だとすれば、其の影の周りだけ、】
【丸で数十年前にタイムスリップした様な、そんな風に見えても、つまりは違和感を覚えても可怪しくはない、という事。】

【キ、キキ……と軋む音を鳴らしながら、車椅子を器用に動かす一つの影。ふと照明に照らされれば、其の正体は次第に明らかになるだろうか。】

【少し短めの、艶やかな黒髪。丸で黒曜石の様な、黒く澄んでいて透き通った双眸。】
【入院患者だと言わんばかりの、所謂"入院服"、少し青色の入った物を身に纏い、其の上にベージュのカーディガンを羽織って。】
【右腕は包帯でぐるぐる巻き、右肩も不自然なシルエットをしていれば、同じ様な処置が施されて居るのだろうと推測出来る。】
【両足には物々しいギプスが填められて居て。―――身体的な状況を言えば、其れは満身創痍の名に相応しいのだろう。】
【座高と足の長さから、身長は凡そ165cm程、ヤケに引き締まった身体つきからは、"只者ではない"、なんて印象を抱かせるだろうか。】
【年齢にして、16歳程だろうと言う見積もりは、極めて正しい、と言った具合の―――、其処に座っているのは、一人の少年である。】

【―――柵の外側、100万ドルの値段が付きそうな夜景をぼーっと眺めながら、右手には未だ湯気が立ち上る紅茶の入ったペットボトル。】
【左手には、ヤケに可愛らしいネコの型が取られた、チョコのクッキー。其の袋は、膝元にちょこん、と置かれていて。】
【……やがて辺りに鳴り響くのは、何とも言えない心地よい音。少年は『……流石や俺、』と其の齧った跡を見ながら一言呟けば、】
【2,3度の咀嚼。そーっとペットボトルを傾け、其れも飲み込んだのなら、少年は再び街の景色へと顔を向けるのだろう。】

【―――移り行く数多の光はいさ知らず、どうやら此処だけは、随分とゆったりとした時が流れている様だ。】
【周りとは切り離された様な、異次元空間。其処に迷い込むのは、一体、どんな人物なのだろうか―――?】


352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/25(月) 21:12:40.94 ID:RC8DHJZWo
【路地裏】

【路地裏ってのは細い道が続いている、地元の人の抜け穴であったり】
【隠れた名店に続く宝の道であったりすることもある…というかそれがほとんどだが】
【だいたいこの辺りだと何かに出る前にチンピラやらサイコ野郎やら国際指名手配犯やらが出てきちまう】
【しかし、虎穴に入らずんば虎児を得ず…ともいうわけでその危険を顧みず行く先べき理由もあるのか】

―――ああ、じゃあ……またなんかありゃあ来るよ

【路地裏、街灯代わりの裸電球がヂリヂリと鳴っている中、ボロボロの雑居ビルから錆びた非常階段を】
【一人の男がカンカンとブーツの底で鳴らしながら降りてきた。そのフロアは看板は無いがオープンとだけ書いてあった】
【こんな場所で知る人ぞ知るというやつだ。だが、ここらじゃ珍しいことじゃない】

【なぜなら此処はカノッサ機関の襲撃が起きてから住人たちは退去していまって】
【今じゃアンダーグラウンドな人々が勝手に居着いているブロックだからだ】
【尤も、飲み屋と安宿とブラックマーケットがそろっている今、そこらの田舎よりは良いのかもしれないが】
【日夜、チンピラやマフィア、自警団その他諸々がその支配を狙ってのいざこざが起きている】

【手を翳しながら、オイルライタで男は煙草に火をつける。煙が散って、ライタをポケットにしまう】
【毛先がウェーブがかった黒髪の背の高い男。サングラスが煙草を火を反射している】
【黒いスーツに黒ネクタイ。カーキのミリタリーコートで寒そうにポケットに手を入れながら、大股で歩いていた】
【その割にコートのジッパーもジャケットのボタンも閉めていないのはどういう訳か】

ったく……路地裏だけじゃわからないって…

【クシャクシャと髪をかいて、煙草の煙とため息を吐き出せば路地を進んでいく】
【冷たい風がごうと吹いて路地を抜ける。雨の降り出しそうな風だった】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/25(月) 21:48:44.39 ID:ezX+ichwo
>>349

うん、写真も技術だったり感性だったりは必要だろうけど、絵の方がそういうのはっきり出そうだしな。
それぞれに良さがあっても、やっぱり写真の方が身近な分、“芸術”って感じが薄いんだよなー。

グチャグチャした……ああ、何か見た事あるな。あれこそ素人にゃわかんねえもんだと思うわ
――――というか本気でああいうのを、一つの作品として評価してる人間ってのはどれくらいいるのかね?
有名な作家の作品だから〜だとか、そんなんじゃなくて。

【いくらか皮肉めいた言い方をすれば、口端にニヤリと笑みを浮かべて】
【どことなくニヒルな雰囲気を演出してみようとしたりもするのだろう】

【装飾品といえば、こんな男だからピアスでもしているかと思えば―――ピアス穴どころかイヤリングすら無い】
【更に言えば指輪やネックレスなんかもしておらず、色々と“一致しない”男であって】

というより、神獣ってのも化け物の一種、って感じかもな。化け物の中での区分、みたいな?
能力者――――GIFT……だったか。この前またやってくれたらしいが、俺は大嫌いだね……ああいう考え方は。
ちょっと力が強いからって、何でもしていいと思ってんのか……


―――ん?そうだな……実際に会って話してみないとどうにも言えないけど……

んー……無難というか普通だけどやっぱり、化け物に人が殺されるのを見てられないような、正義感だとか……
いや、宗教都市に出たらしいし、信仰心から来るようなのもあるか……?
ああでも、こういう時って一人くらいいるんだよな、『自分の力を試す為に来た』とか言うやつ。

【暫くの間、顎に手を当てて考え込みながら、ブツブツ言っていたかと思えば】
【結局、最後は『ダメだ、わかんねえ』だなんて、笑いながら言うのだろう】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/25(月) 22:50:56.71 ID:h1DT14CO0
【小鳥の囀りも、虫の鳴く音も消えた森の中】
【――――漂うのは、複数の妖気。どれもが弱々しいのだけれど、その中で一つだけ確かに存在する謂わば異質】


「あほう共が…………我も天狗では無い。力量差を考えろとは言わぬが…………少なくとも、己が退くべき時を定めておけ
全く…………矢鱈命を奪うのは好かないのじゃ。今宵は逃す故、再度同じ事はせぬ様にの」

【下級妖怪達を伏せたのは一人の少女。姿こそ人間の子供であるけれど、放つ気配は確かに妖怪特有の其れ】
【銀色の髪は月の光を鋭く反射させ、森だというのに纏った地味な着物には汚れが無い】
【――――抜かれた刃は業物と知るには十分な耀きを放っていて、それでいて鮮血は刀身に付着する事無く下げられた切っ先から滴っている】
【妖怪達の身体は斬られてはいるけれど、どれも致命傷には至らない。然れど、そのどれもが確実に筋を断つ寸前まで斬り付けていて】


「…………ふむ。行ったかや。あやつ等であれば明日明後日には傷も癒えていよう
しかし…………我が楽しみにしていたあっぷるぱいを食えなくするとは癪に障る輩達であったが……
………………まあ、良かろ。確かに実に不快ではあるが、殺す事では無い
そんな事よりも、代わりの飯を見つけねば―――――」

【ぐぅ――――間抜けな音が、その場に一つ。足元に落ち、土だらけとなったアップルパイを見る瞳は、何処か哀れにも思えるか】
【じっと見る表情は何処か悲しげであって、深い溜め息を吐いたならば近くの切り株へと腰を落とす】
【…………さて、この場に人が訪れたって何ら珍しくは無いであろう】
【妖気も漂い、更には“ぐぅ”の音。――――もし、誰かが訪れたならばふと視線をそちらへ向けるのだけれど】







【商店街。未だワイワイと賑わっていて、珍しい露天も幾つかある事だろう】
【所々では値切り交渉や妖しげな賄賂の受け渡し。柄の悪い者達が脅迫染みた事をしていたりと中々にアウトローな雰囲気で】
【――――その一角。櫻の国の商品を扱う店で、その場の雰囲気に全くそぐわない女が一人、陳列された其れ等をしゃがみ込んで見つめて居た】


「へぇ〜……何だか面白そうな物が沢山あるんですねぇ〜……あれぇ?でも、店主さん〜……私、河童を何回か見たことがあるんですけど〜
こんな足じゃ無かったと思いますよ〜?」

【地味な色合いの着物を纏った女性。帯で締められれば豊満な胸が強調され、其のスタイルを浮きだたせていた事か】
【柔和な笑みに、殆ど閉じられて居ると表しても過言では無い瞼。特徴的な話し方は眠気を誘うようでもあるけれど、丁度対面している店主は冷や汗を流しっぱなしでそれ所では無い様だ】
【河童の足のミイラ。と名付けられ、粉末にして溶かして飲めば水中でも呼吸が出来る。と効能が記された紙が貼り付けられた其れ】


「あら、最近の河童は違うんですかぁ〜?可笑しいですねぇ〜……私、つい数週間前に見たのですが〜……」

【店主の言い訳に対し、追い打ちを掛けたならば薄い笑みを張り付けて】
【それ以上の追求は可哀想だと判断したのか、詐欺紛いの品を元の位置に戻したならば立ち上がるのだろう】
【――――「んん」なんて声を漏らしながら背伸びをしたその時、掴みかかってくるのはその店の店主】
【自警団に通報されると早とちりでもしたのか、そのまま黙らせようとするけれど――――次の瞬間には、その身体が地面へと叩き付けられていて】


「駄目ですよ?そう気安く女性の身体に触れちゃ…………ましてや忍道に携わる者は其れ自体が暗殺兵器なのですから
…………ふふ。それでは商売繁盛を願っていますね〜」

【咄嗟に使用されたのは柔術。その力を利用して、店主の身体を強かに打たせたのだろう】
【いきなりの音と呻き声にと人々の視線を一同に集めても、緩い笑みを崩す事は無く】
【女性が歩み出せば人々が左右に分けられる様は、まるでモーセの十戒】


「さて〜……沙蔓様に怒られる前に見つけ出して〜……お礼に桔梗様のホッペタでもぷにぷにさせて貰いましょうか〜」

【人が遠くから見つめるが故に、女性の存在は良く目立つ。然れど、先程の出来事を見れば声を掛けようとする者なんて居なくて】
【――――実際は、声を掛けた所で投げ飛ばされる、なんて事は無いのだけれど。さて、女性と関わりを持とうとする奇特な者は居るのだろうか…………】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/26(火) 00:16:46.65 ID:2nQBNBgXo
>>353

そうそう、写真は所詮写真でさ……君結構話せるタイプだね、ディハート
芸術を無駄に難しく考えてない分、こっちも話しやすくて良いってものさ

それと、あれね。あの『原初の感情を表している』とか舐めたこと言ってる作品も
群がる批評家も、全員金しか見てないよ。だってあんなの、芸術でも何でも無い
君がキャンバスを真っ赤に染めて、そこに色とりどり絵の具をぶち撒けて
『名匠の作です』と言えば、きっと見えっ張りな馬鹿が100万でも5000万でも出すだろうさ

【アンドレイもまた芸術家――の筈だったが、此処に関してはディハートと同じ意見らしい】
【彼がニヤリと笑うのを見ると、こちらもニヤリ。此処ぞとばかりに皮肉って】

GIFT……それにカノッサ機関かな。最近、どっちも元気で嫌になるよね
そりゃ僕としては非日常が多ければ被写体は増えるけどさ

……やっぱり、あの横暴はどうもね。だから、日常を守る君らの事は応援してるんだ
SCARLET、UNITED TRIGGER、そしてなにより自警団……期待させて貰うよ?

【それからアンドレイは筆ではなくペンを取り、キャンバスの空白に幾つかの線を走らせる】
【修行者、神を信じる者、そして義憤に燃える者。なんとなく読み取れるのはそんな所で】

ふんふん……あとはあくまで仕事と割りきってきている奴、ってくらいかな
或いはお遊び感覚で、神獣だか化け物だかの牙とか欲しがっちゃう奴。

……ま、こればっかりは分からないか。僕もお手上げだよ
兎に角、それらしいやつを見つけたら宜しく……お礼はするよ?
勿論女の子を紹介しろ、っていうこと以外ならね―――。

【クスリと笑ってペンをバッグへ放る。匙ではないが、十分にお手上げという様子で】
【なんとなく打ち解けた空気の中、徐ろに彼は件のバッグから大きな布を取り出して】
【今まで向かっていたキャンバスにバサリとかけた。どうも構想が浮かばないから、また次――ということらしかった】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/26(火) 00:25:25.64 ID:9JMUgwOq0
>>331


【水の国・町外れ】


【……窓もない店から淡く漏れ出す光は、どうも古錆びた様子をより一層、際立たせて居るように見えた。】
【正直言って、此の通りは美しく整備されている訳でも、何でもない。それなのに目立つ、"あんまりな店"。】

【まあ、敢えて其れを良い意味で言い換えるのなら、独特の雰囲気放っているという事にもなるのだろう。】
【実際に、其れを"魅力的だ"なんて表現する人も居る、が。滅多に居ないというのが実情、此の店の閑古鳥はきっと其のせいで。】

【然し、ギィー……、と、最早こんな時間には開かない筈の扉が動いて。やがて店内へと入ってくるのは、……一つの少女の影。】

【謎のエンブレムがプリントされた黒い軍帽子に、クリスタルの様に澄んだ碧色の背中まで伸びたロングヘアー。】
【ターコイズが嵌め込まれたかの様な蒼い眼、赤縁のメガネをそっと耳にかけて。 】
【冬に近いというのに着丈の短いブラックジャケットは、真っ白な身体の真ん中、おヘソを強調する。】
【下に履いているのは黒のショートパンツ。黒とピンクのアーガイル柄のニーハイソックスも、 】
【黒の中に映えるアクセントカラー、白いベルトも。―――全体的に、"パンク系"を連想させる服装だ。】
【ちなみに、此の少女の右足の太腿には"逆五芳星"、カノッサを意味するシンボルが刻まれているが、勿論外からは見えない様にしてある。】

【―――どうアングルを変えてみた所で、矢張り、此の店には馴染まない身形である。】
【少女は然しそんな事は一切お構いなしと言わんばかりに、ドカドカと店内へと歩を進め―――、】


―――あー……まだ、やってる……? 頼みたいこと、あるんだけど……


【と店員を見るやいなや、"順番が逆だった"事に気付き、取り敢えずまだ営業時間であるかを尋ねる。】
【セーラー服にエプロン。どうやら此の少女が、店を切り盛りする人物なのだろうと、そう納得するのは其れから数秒後の事。】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/26(火) 00:51:28.73 ID:2h4ws9AT0
>>356

【退屈な、でも穏やかな時間が、扉の軋みに掻き消されていく】
【それを受けて、鎧戸側の――つまり「焼き彫り工房」側の窓口にいた店の主は、ゆっくりと振り向いた】

【いきなりこっちから入ってくるとは、と言いたげな苦笑を浮かべながら】
【紅い瞳が、客人の風体を確かめていく。なるほど、跳ね返り娘と言ったところか】
【やけに慎ましやかな眼鏡のちぐはぐさが、何となく愛おしい。】

……うん。丁度、きみでラストオーダーになる所だけどね。

【店の主――黒髪の少女の口調は、どこか年寄りくさいような、女の子らしくないようなそれ。】
【「とりあえず、そこの椅子をどうぞ」と、一声かけると】
【部屋の奥の方に向かい(とは言え、ちゃんとお互いが見える位置だ)マグカップを弄り始める】
【温かい飲み物でも用意しようということなのだろう】

戸締まりはしてくれたかい? じゃあとりあえず、用件を聞こうかな。

【コーヒードリッパーに粉を注ぎ、お湯で蒸らしながら、彼女はそう横目で尋ねた。】
【静かに燃え上がる、自信ありげな瞳。だが今日は、ただならぬ雰囲気に身構えているようでもあった】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/26(火) 00:57:34.42 ID:gfpYzPBdo
>>355

そうか?――――いや、でも当の芸術家先生がそう言ってんだからそういうもんなのかね

……やっぱりそんなもんだよなぁー
作家の名前無しで評価されるのか疑わしく思ってたんだよ。
―――それなら一発やってみ…………いや、やらねえぞ?俺だって自警団だからな?

【グ、と伸びをすれば、頭の後ろで手を組むようにして、脱力】
【また少し笑えば、視線は空へと向かって】

ああ、全くだ。防衛に当たって戦って、しかも終わった後も色々と仕事が入ってくる。
それが自分の担当地域だったりしたらもう悲惨だぜ?ちょっと前も寝る暇ないくらい忙しかったもんでな……

ヘッ……じゃあご期待に応えられるよう頑張りますよ、っと
――――しかしUT、か……SCARLETも出てきたし、ただの自警団員は影が薄くなって来ちまったな……

【アンドレイがペンを取れば、そこで視線はまた下りてくる】
【僅かに目を細めて、何を書いいるのかを眺める様にして】

ああ、金目当てだったりで来るやつもいるんだよな……
金が手に入っても死んだら仕方ないってのに……それだけ自信あるってわけか。

――――女の子なら自分で好みの子を探すさ。それに、紹介を頼むなら女友達もいるしな。
しかし、何かしら情報が欲しいところだよな……誰か一人分でもいいんだが……

……そのゼン=カイマ?だかに知り合いとかいないのか?

【得意な方だとは言っても、情報が無さすぎては見付けるのは至難の業】
【そこで、『その時ゼン=カイマにいた』というアンドレイの言葉を思い出した、という訳で】
【情報を得られそうなルートはないか訊ねてみた、というところであろう】
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/26(火) 01:09:23.57 ID:9JMUgwOq0
>>357


【『あ、どうも……』と挨拶も適当に椅子を引き、ゆっくりと腰掛ける。】
【―――戸締まり。したような、否、してないような。………こういう場合は、大抵していない。】
【然し此の少女、其の返事もしないままに、自分の話を切り出すのだった。】
【自己中心的、自分の意見さえ伝わればそれでいい、なんて言いたげの行動。此の少女の性格は、まあそんな所だ。】


……えっとー、―――………あー、作った方が早い、かな………
………ちょっと、待ってて。すぐ、出来るから。


【左手を胸辺りにまで上げると、其の掌の真ん中から生成されるのは、コップ一杯程度の、透明な水。】
【何やら両手で操る素振りを見せると、其れが空中にぽわん、と浮き、やがて"ダビデ像"の形になって。其の侭、瞬時に氷結した。】
【……氷像、其れも極めて精巧に作られている其れは、最早値段が付いても可怪しくない出来である。】
【少女は其れを手に取ると、『はい、』と徐ろに手渡して―――、】


……あ、そっか、こういうの、専門じゃないかも、知れないけど……
此れを、紙に落として欲しいの、つまりは、デッサンってことね。

まあ、クオリティーは出来る限り、って所でいいから。適当に、頑張って。


【黒髪の少女が年寄り臭く女の子らしくない口調を紡ぐのなら、青髪の少女は明らかに礼を失した話し方で応対するのだ。】
【2人は客と主人の関係である事を考慮しても、―――少々、度が過ぎていると思ったとしても、其れは何ら不思議な事ではない。】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/26(火) 01:11:23.33 ID:2nQBNBgXo
>>358

自警団員は影が薄いって?冗談、どれだけ他に組織があってもそれはないさ
お得意の美術で言えば……世界ではじめての絵ってのは原始人の壁画だ

いうなれば君らはそれ。で、果たして壁画が廃れて全員がデジタルの絵を
重用するかといえばそうじゃない。なにより、世界中の子供達が
初めて絵を描くのは床か砂の上だ。誰しも最初からUTやSCARLETで活躍するわけじゃないのさ

【元があってこその枝葉――そう言って、アンドレイは存外に優しく彼を励ました】
【波長が合うのだろうか。美術に関してもそうだし、歯車が合うような、そんな具合】
【それからゼン=カイマに知り合いは居ないのかという質問には首を縦に振り】

そこのさ、教会自前の騎士団をまとめてるのが昔なじみなんだ
彼も三人の能力者をじっくり見たわけじゃないらしいけど……あぁ、そういえば

『阿修羅像を操る女が居た』っていうのが、ちょっとした噂になってたね。
阿修羅、知ってる?神様の一人らしいんだけど、あそこ宗教都市っていうくらいだし
きっと見間違いでもないと思うんだ。結構目立つ特徴だし、手がかりにどうだい?

【操る、というワード――マインドかアートマンの類だろうが、その発想に行き着くか否か】
【行き着いたとしても、確かに有力とはいえ――普段見れるものでもないのは確かであって】
【有力な手がかりかといえばそうでもない。何とも雲を使うような話の末である】

【もっともアンドレイとしては然程気にかけては居ないらしい。キャンバスを包めば、台も畳み】
【大きなバッグにラジオだの、新聞だの、その画材だのをしまい込み始めていた】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/26(火) 01:40:13.55 ID:2h4ws9AT0
>>359

……ああ、ごめん。お客さんに気を使わせようとしたのは、私が悪かったね。

【粉が均等に湿ったあたりで、店主は湯を渦を描くようになみなみと注ぐ】
【それから小さな冷蔵庫に磁石でくっついたタイマーで3分を刻み、やっぱりな、という顔で扉に鍵をかけに行った】
【陳列の鎧戸も、ばたんと閉じられ、事務所は二人だけの空間になる。】

【気怠げに受け答えする少女に対して、彼女が声を荒げることはない】
【例えるなら、子を静かに見守る親――或いは、気長な先生のようでもあった】
【ナチュラルに気取った語り口とあわせて。ともすれば、くすぐったくなるような態度かもしれない】

【そんな店主は、改めて少女と向かい合う席に腰掛け、作業用の手袋をつけてから氷像を受け取るだろう】
【透き通った裸体は、放っておけばいずれは融けてしまうに違いない、儚い王者の似姿――】
【くるりと巻いた髪や、隆起した筋肉の表現は、立体造形の粋を尽くしたもの。】

はて。人相書きなら常からやらないことも無いのだけど、素描か……。
しかも時間制限つきとは、なかなか職人泣かせのオーダーだ。

……まあ、こんな夜分に来てくれたんだからね。仕事の手前、引き受けるよ。
いくら払うかは出来を見てから決めればいいさ。さて、何分で仕上げれば間に合うかい、さまよえる水使いさん?

【こいつを二次元に落としこむとなると、結構な業前が必要になるわけだが。】
【やる、と決めた店主は、既にあれこれと道具を用意し、像のポジションを机の上で動かし始めていた】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/26(火) 01:46:07.50 ID:1XdQjR+po
>>360

そうは言っても、やっぱりあっちはこう……バァーン!って感じで印象強いじゃん?
UTなんて、あそこのリーダーが風の国で暴れてたすげーのとやり合ったとか聞いたし……
SCARLETだって、できて間もないのに色んな所であのシンボル見掛けるし。

――――でも、そう言ってもらえるとありがてえよ。
ただ、自警団にも腐ってる奴がいたりするもんでな……時々遣る瀬無くなるんだよ。
こう見えても俺、仕事はきっちりするタイプだからな!

【最初は、帽子を深く被り、溜め息を吐いて暗い空気を醸し出していたけれど】
【最終的にはまた、その表情は笑みに戻っていた】
【すっかり打ち解けた、友人に向けるような、そんな笑みで】

阿修羅、か……確か“三面六臂”だとか言ったっけ?腕が6本、顔が3つだか何だかいうやつ。
そりゃそんなのがいたらまず間違い無さそうだな―――でも、多分それ能力だから……見付けるなら戦場で、か?
……まさかそんなのが街中をウロついてるとも思えないしな。

ま、周りのやつにも声掛けておくわ。
でも『阿修羅像と女を見掛けたら言ってくれ』なんて言ったら、また女の尻追っ掛け回してると思われそうだ……

【何やら手帳を取り出して、真面目な顔をしてメモを取る】
【一応、阿修羅については多少の知識はある様子。しかしメモを取り終えれば】
【最後は冗談めかして、肩を竦めて笑ってみせるのだろう】

ん――――何だ、今日はもう帰るのか?

【ここに来て漸く、片付けを始めているアンドレイに気付いたようで】
【そう言ったなら立ち上がり、大きくまた一つ、伸びをして】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/26(火) 02:04:57.91 ID:9JMUgwOq0
>>361


――――…………。


【声を荒らげる事もなく、ただ自分が悪かったと扉を締めに行く其の背中を見たのなら、何となく、少女の胸には背徳感が生まれて。】
【然し其れも直ぐに消え去るのだろう。其の証拠に、ダラーッと頬杖をついて見せた。彼女が戻ってきても、其れを止める事は無く。】

【彼女の言う其の通り、氷はやがて水と成る物で、気怠そうな此の少女が渡した其れも又、例外ではない。】
【然し。少女は"時間制限"という言葉を聞けば、其れを遮るかの様、口を開いて、】


―――あー………別に。こんなの、10秒もあれば出来るから。
あと、今日は暇なの。時間は、いくらでもあげるから………―――


【此れも又、確かに"其の通り"であった。美しき氷像、創造されるのに10秒……下手すれば、其れよりも早く出来ていた。】
【この位の小さな氷像に関しては、幾らでも作ることが出来るのだろう。だとすれば、時間の制約等は存在しない、という事か。】
【―――早さよりも質を重視しろと、暗に言わんとしている事は、言及するに及ばないだろうか。】

【時間がかかり、何体もの氷像が必要なのなら、辺りがビショビショになる事は間違いない筈だ。】
【其の事に気づいた少女は、―――………口を開こうとはしなかった。まあ気づくだろうという予測もあったが、】
【其れよりも、必要以上に声帯を震わせたくないという事がある様で。―――ヤケに一貫した少女の態度が、其処にあった。】

【やがて辺りに広がるのは、焙煎されたコーヒーの香り。そっと包み込まれたのなら、何となく時間がゆっくりと流れる様に感じられて。】
【その雰囲気に、付いた頬杖の角度がさらに急になり、怠惰とも表現すべき姿勢がより顕となっていた。】

364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/26(火) 02:06:45.39 ID:2nQBNBgXo
>>362

人間は誰でも派手なものに目を引かれるものさ。花火しかり、ご飯然り
でも打ち上げ花火はずっと見ていると首が痛いし、豪華なご飯は
いつまでも食べていると飽きが来る。だから結局、何時迄もは話題に上らない

でも、線香花火や質素な食事は違うよね、だってそれがベースなんだから
君たちは存在していることに意義がある。中々、認められないのも事実だけどさ

……まあ、時には火薬の湿ったのや、毒が混じったのも在るけどね
そんなの派手な方だってきっと一緒さ。頑張ってよ、ディハート―――。

【クスっ、と笑みを向ければ、それはもう友人――それ以上に親密な間柄の証】
【アンドレイという奇特な男の懐にも理由は合ったが、優しきディハートにもそれに見合った度量があり】
【だからこそ築かれた、即席ながら深い絆。アンドレイは心底、今の状態が心地よいようで】

三面六臂=c…それ、かな……櫻の方の文化にはあまり詳しくないんだ
ただ、とんでもなく目立つっていうのは知ってる。戦場で見れば一発のはずさ
無論君も同じ舞台に立つわけだけど……まあ、大丈夫だろうし

……ん、あぁ。獅子の絵は三人が見つかるまで完成しないしね
これ以上居ても、月の絵を描き始めるだけだから。もう嫌ってほど描いたんだ、月の絵は。

でもどうしてだか、あの薄黄色くって丸いのが、どうしようもなく好きでねえ……
子供の時から暇さえあれば、アングルも変わらないってのに絵を描き続けてる
今始めると、夢中で朝になっちゃうから。だから、今日は帰って素直に寝るよ。

……そういうわけだからさ、ディハート。君も身体には気を付けて……
時々、なんでもなくても連絡してよ。こうやって話すの、結構好きだから。

【さ、さっ、と道具をまとめてみれば、バッグはまた結構な大きさなのだと分かる】
【人一人分は入りそうなものだが――それを器用に背負って、向き直り】
【腰掛けていた椅子もまた折り畳めば、バッグに引っ掛けて。どうやら、別れの時は直ぐそこの様子で――。】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/26(火) 02:28:09.24 ID:bZqCkkAio
>>364

んー…………そんなもん、かねえ……
どうも当事者の側からだと実感が湧かねえもんだ。

派手な方だって一緒、ね――――何だか嫌な事言ってくれるねえ…………

【細めた目でアンドレイを見遣れば、またもニヤリと笑って】
【今度は皮肉めいたものというより、茶化すような感じのものではあるのだが】

そうだったな――――絵の完成の為にもさっさと見つけ出さないといけねえな、こりゃ

月、か……いっつもそこにあるのに、何か知らねえが神秘的にも見えるんだよな……
そんな不思議なもんだけどさ、あれが好き、って気持ちも分からなくないぜ

……ああ、アンドレイこそ、絵に熱中し過ぎてぶっ倒れたりすんなよ?
また―――今度は飯か酒でも、な。気を付けて帰れよー

【言うだけ言って歩き出せば、後ろ手に手を振って】
【少しすれば、その姿はもう、夜の闇に溶け込むように、すっかり消えているのだろう――――】



/お疲れ様でしたー!
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/26(火) 02:33:55.06 ID:2h4ws9AT0
>>363

ははあ。こいつの素描に夜を一つ使わせるつもりで、だからこんな遅くに私のところに来たのかい?
生憎だけど、夜食はロールケーキぐらいしか用意していないよ。

まあ、それならきみにも溶けた水を片付けるぐらいのことはしてもらおうかな。
出すことができるなら、消すこともできるかもしれないし……そうでなくても、何をするべきか考える頭はあるだろう?
――別に、言葉にしなくとも良いからさ。

【ウインクを飛ばし、朗々と言葉を紡ぎながら、彼女は更に卓上に色々なものを置いて行った】
【像を置くための窪んだ皿に、濃淡さまざまの鉛筆。流石に、描画用の木炭や固着液は置いていないらしい】
【そして、抽出されたコーヒーのカップがふたつ。それぞれ店主と少女の側にひとつずつ。シュガースティックとミルクもある】

いくら時間があるとはいえ、眠いと手わざも衰えるからね。
『星』が見えるうちに終わらせてみようか。

【店主自身は、ブラックのままの煮えるようなコーヒーをぐい、と喉に落として】
【丁度よい位置に置かれた氷像の輪郭を、紙の上に大まかにスケッチし始めた】

【そうしている間も、店主は像の向こう側の少女を見据えながら】

ところで依頼主さん。君の名前はなんて言うんだい?
いずれ融けるとはいえ、こんな一等品目を作れるんだ。例えば、オリジナルの作品を発表していても良いと思うんだが……

【――彼女が退屈して眠ってしまわないようにと、そんな問いかけを続けていくことだ
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/26(火) 02:50:33.93 ID:2nQBNBgXo
>>365

うん。完成の暁には、美術館の連中より先に君に報告させてもらうからさ
なんなら、君が活躍しさえすれば……それを描いても、まあ、いいだろうし。
それじゃあまたね。ぶっ倒れてなければ、何のお誘いでも待ってるからさ――

【ディハートにそんな返事を返して、アンドレイは帰路へとついた】
【夜道を歩き、家に戻る。ちょっとした屋敷だが、他に誰かが居る様子も無く】

【やがて彼は自身のアトリエ兼寝室で荷物を下ろすと、未完のキャンバスを壁に立てかけ】
【色々と洗いやらが必要な道具を片付けて、ようやく部屋の明かりを点けた】
【開け放たれた窓からテラスへ。寒風と薄雲の彼方に、ぼんやりと月が覗いていて】

……遠いなぁ、まだまだ。エインセルや他の大先輩方には追いつけそうもないや
あんな絵の一枚や二枚、一晩で仕上げられない何のは僕の名折れだ、全く。

今度≠ヘ……やっぱり撮っておこう。それに……あぁ、僕が依頼を出せば良いんだね
そうしたら身元の特定なんて容易だし、話を聞くのも丁度いいし……
……そうすれば、自分が戦わずとも詳細が分かる。人から離れた生き物の詳細が。

今に見てなよ、神獣だかなんだか知らないが……全員引っ張りだしてやる
僕の思惑のために、僕の額縁に引き入れ、僕の為に引きずり下ろしてやるからさ――

【――このダグラス・マックスウッドが=\―月夜は未だ、眠るところを知らぬと見えた。】

/お疲れ様でしたっ!二日間、ありがとうございましたー!
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/26(火) 03:03:36.57 ID:9JMUgwOq0
>>366


べっつに……ただ通りがかっただけ……
古臭い看板下げて、余りに可哀想だったから入っただけ……
優しいでしょ、私……慈愛深き少女……ってこと……

あー……消せないけど……消えるよ。少したったら、全部。跡形も無く、ね。
分子自体が消えるからさ、……ホントに、跡形も無く、なの。
だから、私は、こうやって、ぼーっとしてるだけ。
絵が出来てくの見るのも、意外と、楽しいんだよね……


【二人の間には今、絶妙な距離感が構築されつつある。】
【少女が少々饒舌になりつつ在るのは、恐らく其の証拠であって。】
【全ては彼女の、母親の様な眼差しのお陰であると言えるのだろう。】

【マグカップを差し出されたなら、頬杖を解いて、無言で其れを両手で受け取り。そして一旦机の上に置いた。】
【シュガースティックとミルクを開け、両方全て注いだなら、少しマグカップを揺らして全体に行き渡らせて。】
【立ち上る湯気の香りを味わった所で、一口。世界観が存分に現れた空間で飲むコーヒーは、少しだけ美味しかった。】


いぬかわ……こんな名前、覚えた所で何のメリットもない、けどね。

……そもそも他人に見せた所でどうすんの、ただ褒められるだけなら間に合ってるし、
別にお金には困ってないし、………一部のバカに批判されんのは、………ふふ………

……いや、何でもない……とにかく、一等品なのはそうなんだけど、発表しようとか、少しも思わない、かな……


【途中で思い出し笑いと思しき何か、其れは少女が初めて見せた"悪の顔"だろうか。】
【其の表情がどの様に映ったのかは、彼女次第、と言った所だろう。】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/26(火) 14:07:43.73 ID:nMv+1rHbo
【路地裏】

【表通りからは大きく外れて入り組んだそこは昼間でも薄暗く人通りは少ない】


――――――ずつづズ、つズづ―ずずズ

【閑散とした路地裏に液体を啜る不快な音が途切れ途切れに響く】

【人影が、二つそこにはあった】
【一つは女性――しかし既に事切れているようで力なく地面に倒れ込んでいて】

【もう一方は体格からして恐らく男性だろうか、死体の傍らに座り込んでいる】
【男性と思われる人物はフードの付いた暗緑色の作業着を着込み目深にフードを被って両手には白手袋をはめている】

【死体の首筋に顔を寄せ不快な音を響かせる、そして時折首筋から顔を離し息をつく――といった行為を男は繰り返す】


―――づズずつ――ズずつつずづ

【男が顔を寄せている間、耳障りな音は止むことなく響き続ける】

【路地裏の薄暗さとフードのため男の顔も男が死体の首筋に顔を近づけ何をしているのかも遠目からはわかりづらいだろう】
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/26(火) 20:34:46.60 ID:0mhyq4tro


【冬も間近になって、そろそろ外に出るのが億劫になり始める季節。】
【世間一般がクリスマスや年末、年始に向けて慌しく動き出し、街の彩りも相応に明るく、美しい物に変わって行く頃。】
【今年一年を振り返れば、大規模な"戦"に"魔の塔"の降臨など、災いの二文字が良く似合う様な辛く、厳しい日々が浮かぶ。】
【しかしそんな中でも希望を失わなかったこの地に住む人々は、鬱憤を晴らすよう華麗な飾り付けで、街々をライト・アップさせていた。】

【―――此処は静かなる大地。その名を『風の国』と言った。今宵もまた、国名に恥じぬ、冷たくも優しい夜風が吹いている。】

【その一角、暖かなランプの光を窓から漏らす一件の"酒場"の前に、誇り高さすら感じる"鳴き声"を轟かせ、一頭の白馬が舞い降りた。】
【白馬の背に跨った一人の"女性"は、寒そうにぶる、と身体を震わせて。"よっこいせ"等と呟きながら馬の背を降り、店の前に降り立つ。】
【"ふう―――"と吐く息も白く、宙に溶けていく。白馬の頭に一度だけキスをして、"ありがとね"と言うと、女性は懐から機械を取り出した。】


 さて、パトロールも終了っと! 今夜は静かで良かったね、チンピラを一人自警団に引き渡すだけで済んで良かったよ。
 最近は路地裏の治安もだいぶ、良くなってきてるみたいだし―――少しは、アタシ達の活動も効果を発揮してる、のかな。
 なんて、まだまだ自惚れるには早いよね〜、それにしてもベイゼが……なんで、ロッソさんの事しってるのやら。
 お酒を飲む権利、引き換えに経理・事務を担当―――ね、確かに悪い話じゃあ、ない。一度お話しておくべき、かな!
 それにしても、アンジェルの気になる話、って何かなあ。それにベイゼが……え、アタシの部屋に何の用だろう。
 ま、まさか酒が飲めない腹いせに何か罠でも仕掛けたんじゃ―――……怖いなあ、とじまりしとこ。

 っと、いつまでも外にいるとなんだか怪しいね。おし、それじゃ書類と武器の点検、片付けますかっ!


【女性は変わった格好をしていた。少しクセのあるショート・カットの金髪、火薬で薄汚れた白いシャツに、グラマーな肉体を包みこみ】
【その上から着た土気色のベストは何とも、時代錯誤で。長くしなやかな脚部はブーツ・カットのダメージ加工ジーンズで覆っており】
【更にその先には、年季の入ったウェスタン・ブーツを装着し、また特徴的な古びた"テンガロン・ハット"を頭に被っている様は、まさに】
【一昔前の西部劇に出てくるような―――"ガンマン"を髣髴とさせる、言わばアウトローのイメージが強い、目を引く服装だった。】
【ハットの奥には、ブルーとも翡翠とも取れるような神秘的な輝きの瞳を宿して。女はその名を、セリーナ・ザ・"キッド"と言った。】
【ベストから取り出した小型の機械―――携帯型端末に良く似たそれで、"何か"を確認するとブツブツと呟いて。】
【やがて読み終えたのか、一つ決心をすると店内へと入っていった。カラン、コロンというベルの音が響く。】


【風の国、酒場に良く似たとある"事務所"。この店の名は"UNITED TRIGGER"、そして彼女はその店主兼、設立者であった。】
【はて、何か大事なことを忘れているような気もしたが―――彼女は店内へと入れば、自分のデスクに向かうだろう。】

371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/26(火) 20:58:49.55 ID:/9ym/1Nqo
【路地裏】

【雲に隠れた月が、そこからしばし一切の光を奪っていった。闇の中を蠢く亡者が大手を振って歩くには、ちょうどいい按配であった】
【――――音は、しない。乾いた停滞の世界。しかしいま、そこを誰か≠ェ歩いていることに、気づける者はいるのだろうか】


……………………。

【もし、そんな者がいるとしたなら。その者の炯眼が暗闇の中に捉えるのは、きっと小さな女子の姿なのであろう】
【やや浅黒い肌を闇の中に溶かし、大きな淡黄色の瞳を野生動物のように注意深く窄めて。気配も音も一切を消す歩法の妙技が、そこにはある】

【それでもよく目を凝らせば、真っ黒な厚手のベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着て、残り三分の腕に包帯を巻いた風体も見えてくるかもしれない】
【手には鉄板で補強した革手袋、脚はロングブーツで膝上まで隠れ、僅かに覗く太腿も黒いタイツに覆われていて】
【唯一出ている顔も、暗い赤色をした長いマフラーで口元まで隠れている。極端に肌の露出の少ないそれは、明らかに夜闇に紛れるための服装であった】
【そんな格好に、背中で漆黒の鞘に収まる二本の刀剣が加われば、それは見る者に忍者≠ニいう言葉を想起させるだろうか――――】


…………にげた、か。

【周囲に気配が消えたことを、注意深く確認して…………ぽつりという呟きと共に、そこにいた影≠ヘ単なる少女の様相を取り戻すのだろう】
【濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛って、ふんわりと肩まで流した可愛らしいポニーテールが、頭を垂れた拍子にひょこりと揺れる】
【漏れた言葉からして、どうやら誰かを追っていたが逃げられてしまった、といういきさつであるらしい。俯く少女の顔は、小さな落胆に染まっていた】
【その少女は、物憂げと表現するには少しばかり幼い調子で溜息をつくと、踵を返して表通りへと引き返していく】

【いまでこそ嘘のようだが、只ならぬ雰囲気を纏っていた先程の少女は、確かに周囲に気配が無いことを確かめていた】
【だから――――もし彼女に出会うものがいるとすれば、それは目の前の表通りの光の中か、それとも背後の路地の闇の中から現れる、新手である筈であって】
【しかし、少女の考え得ぬ可能性として。暗闇に溶ける少女の姿を見破り、彼女の察知能力を掻い潜って、ずっとその姿を見つめていた者がいたかも知れない】

【どうであるにせよ…………これから会う相手がどうやって、何の為に、何の目的で自身に接触したのかなど、未来も読めぬ小さな少女に知る由など無いのだろう】

372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/26(火) 21:08:43.02 ID:1RG1gve80
>>370
【――――正義とは、何ぞや。信念とは何処に存在するものなのか。】

【あの少年との戦いの後、彼はそればかりを考えていた。正義とは一体何なのか、どうしてあの少年は強い信念を持ち得たのか。】

【そして、後にかつての同僚との戦いで小さな信念も見つけた。抵抗する手立てを持たぬ人々が理不尽な痛みを負うことへの違和感を感じた。】
【あの戦いで、確かに自分は何かを感じた。初めて人々を護った戦いで何かを感じたはずだ。―――その正体が未だはっきりと見えぬ信念だと言うのなら】
【それならば自分の信念を明らかにしたい。自分の中に眠る小さな信念の正体。それを、明らかにしたい――――】

【―――しかし、今まで信念など持ち得なかった彼に、信念などそう容易く見つかるものではない。】
【一人で考えても、見つからぬ。ならば信念を持った人物と話し、様々な価値観に触れて、何時か自分の信念を見出せれば――――】

【そして彼は今、とある店の前にいる。――――確固たる正義を持つであろう一人の女性が、確実にいる店だ。】



【店主たる彼女が店に入った暫く後――――】


(……それにしても、馬か……何とも物珍しい。後でスケッチでもしようか……)


【彼は頭には黒い帽子を被って、やや汚れが目立つくすんだ黒いコートを羽織っている。長身な上に全身黒で揃えているせいか、不審者に見えなくもない。】
【目深に被った帽子の下から覗く目は鋭く、本人にその気はなくとも睨んでいるかのような印象を受ける。……そんな人物。】
【コートの左袖は在るべき左腕が通っておらず、袖が揺れるように風に任せて靡いている。時折顔をしかめる辺り、コートに隠れた体も傷だらけらしい。】


(――――まだ傷が疼くか。冬はこうも怪我人には酷な季節だとは……)
(……ここに来れば、私の成すべき事の正体も掴めるのだろうか。)


【此処の事は機関に身を置いていた頃から知っていた。―――当然だ。事あるごとに対決を繰り返し、幾度も機関の奸計を打ち砕いたのだから。】
【確信はない。しかし、何か掴めるかも知れない。――――かつて欲の赴くままに壊し続けていた男は、今ドアをノックした―――】


――――こんばんは。


【一言、口を開く。……これから正義の話をしようなんて言ったら、驚かれるのだろうか――――】


……話をしに来ました。―――貴女の正義について。
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/26(火) 21:09:17.40 ID:JgO8Y0l7o
>>370

【事務所の扉のベルが鳴る音と共に、表側の酒場に本当に飲みに来ている陽気な客たち】
【今や常連客同然に現れる彼らは、「おう、セリーナ!景気はどうだ?」などと、まるで家族の様にセリーナを向えてくれるだろう】
【そんな中、客同様、本当にいつの頃か当たり前のようにそこにいるカウンターで客たちに酒を出している"バーテン"も顔を向けた】


――――あ、帰って来たか
やあセリーナ君お帰り、11月も終わりに差し掛かって冷えると言うのに元気で何よりだね


【透明なグラスを拭きながら向えるこの男、まっさらな白衣の下には白地に青色で微細なストライプ柄が縫われた小洒落たブラウスを着ており】
【下には黒の――微細な皺すらほとんど目立たないスラックスを履いている、紳士服の上着を白衣に変えたような服装だ】
【だからこそ、彼が胸に締めている『髑髏柄のネクタイ』が異様に目立つ】

【頭の上には白と黒のチェック柄のシルクハットをかぶっており、帽子からは黒の短髪がはみ出ている】
【そしてその顔には、『何十年か前に話題になった人気のホラー映画』の登場人物を彷彿とさせる、細かい穴だらけの仮面を嵌めている】

【―――いつごろからか、突然彼女の前に現れてしばらく居候させてくれと頼んできたその『協力者』の男】
【彼は家賃代わりに働かせていただくと宣言してからという物、己のその技術を提供するだけに飽き足らず】
【時には事務所の表、酒場のカウンターでバーテンを務めているようなのだ―――白衣に仮面とハットを付けたまま】

【しかし客たちはなぜか受けたらしく、今では皆、そんな奇妙な風貌の人物の出す酒を平然と飲んでいるようだ……】


それと、書類はさっき私が半分整理しておいたから目だけ通しておいてくれるかね

もうすぐ私も上がりだ、後でいろいろと手伝おうか……ああ、それとだ
前に私が頼んでおいたおすすめの酒がさっき届いたから後で飲もうぜ


【仕事の報告の合間、悪戯っぽく私事に誘ってくる―――セリーナが仕事で外出し不在の間はこの男が留守を預かっているが】
【仕事が早いようで実は結構遊んだり大好きな人間でもあるらしい……】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/26(火) 21:10:06.52 ID:JgO8Y0l7o
/しまった、私は引きますぜ!
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/26(火) 21:15:50.48 ID:2sOQSof7o
>>374
/むむ、残念です………!
是非またの機会に、お願いします!

>>373
/と、申し訳ありません!
少しお返事遅れますがお待ち頂ければ幸いです、ごめんなさい!
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/26(火) 21:18:18.38 ID:1RG1gve80
>>375
//全然大丈夫です!こちらもデフォで遅れてしまうような中身ですので……  何時でもどうぞです!
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/11/26(火) 21:39:37.84 ID:PBj0niiKo
【――此処は、とあるはぐれ街が良く見える小高い丘である】
【最近何かと多分野で活躍し始めたその街を見下ろすのは三つの影】

【1つは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【1つは眼がレンズで出来た二足歩行で執事の服装をしているコウモリである】
【そしてもう1つは――どうやら、ただの人間のようだが……】

『実験台を連れて参りました、邪禍様』 「どォれ、こォの配分はどォー出ェるか……」

【――否、ただの人間という言葉は撤回しよう】
【邪禍と呼ばれたその者が、片手を触れると――いきなり、虹色の魔翌力を辺りに散らし始めて】
【それにともなって、身体がみるみるうちに変化していく】 【――それが止まった時、そこには】

{グフフヘヘヘ} 「……ふゥむ、駄ァ目なパターンかァ?」
{駄目なんかじゃアないっすよ邪禍様ァ、オレはこの進化を望んだんだ……[ピーーー]で[ピーーー]な[ピーーー]で……グフフ、早速[ピーーー]……}


【……煩悩まみれな赤黒いスライムが居た、そのコアは先程放出された魔翌力と同一の色である】

「…………一応、こォの配分は希ィ望があァる程ェ度通る、と」 『データの追加が完了いたしました』

【さて、人里からははぐれ街を除きだいぶ遠いこの場所だが、】
【何か良からぬモノを感じ取った者や、あるいは同じ様な道を望む者が、迷い込むのだろうか】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/26(火) 22:21:43.71 ID:0mhyq4tro
>>372

【店内は静か、という訳でもなかった。ガヤガヤしていたり、騒々しいような雰囲気でもないのだが、矢張り酒場は酒場。】
【もはやセリーナとは顔見知り、というより常連になった客も数人程おり。更に言えば、今夜は彼女の昔からの仲間等も】
【賞金稼ぎとして情報を集めるついでに一杯引っ掛けに来ている程。それなりの賑わいを見せていて、明るいと言えるだろう。】

【そんなすでに"出来上がって"しまった酔っ払いたちもセリーナと一言、二言会話するとぼちぼちと帰路について。】
【店内は数人の客がいるだけになり、ジャズのBGMがゆったりとした時間を演出する中、窓の奥に見えるのは新たなる来客の影、か。】
【こんな時間に来客―――といっても、酒場であれば当たり前の時間である。がしかし、来訪者の目的はどうやら飲酒ではないらしく。】

【ドアは何の抵抗もなく、ノックの後に直ぐに開く。中からは少し不思議そうな表情をした"ガンマン"の彼女が、ひょっこりと顔をのぞかせて。】
【その際に、二度のベルの音がカラン、と響いた。暖炉が付いているのだろうか、暖かな空気と外の寒気とがぶつかって、宙で溶けていく。】
【しかし今聞こえたのは"正義"―――という、思い響きを持つ言葉だったと、セリーナは記憶している。しかし考えるのは後だ、まずは―――】


 え、っと―――そう、だね。こんばんわ、素敵なおにーさん! 正義の話ってなると、やっぱり立ち話じゃ済まないと思うんだ。
 どうだい、そんなに難しそうな顔をしてないで、カウンターの席へ座って座って! こういうのは、一杯引っ掛けながらが一番、でしょう?
 ささ、外は寒いし、きっとこの話は長くなると思うよ。なんとなく、おにーさんの目はそういう目をしてるから、ね


【戸惑いが無い、といえば嘘になるが。しかし、セリーナは彼を暖かく出迎えることだろう。中へどうぞ、と手で招いて、にこりと笑顔を見せる。】
【神秘的なブルーの瞳が、彼の姿を見つめながら、どういう人物なのだろうかと、少し緊張気味に観察する。恐らくは、気質ではない筈。】
【なんとなくだが、ただの"客"では無いことだけは見抜いていて。もちろん、彼が一体どういう人物なのかは、まだ彼女にはわからないが。】

【それでも、何かを感じ取ったのだろう、恐らくは彼の背負っている物か、背負ってきた物か、これから背負おうとしている物か、何かを。】
【最も、そういう難しい話にしてもまずは一休み、入れてからだ。折角の来客である、飲み物の一杯も出さずに議論、というのも可笑しい。】
【セリーナはカウンターの椅子を引いて彼が座りやすい様にし、そして自身はグラスを取り出し、"何か飲むかい?"と、気さくに尋ねた。】


 アタシの耳が可笑しくなってなければ、確かさっきは―――"アタシの正義"について、聞きたいって言ってたよね。
 それはぜんぜん構わないんだけど、一体全体何がどうしてアタシに興味を持ってくれたのか、まずは其処を聞きたいなって。
 質問に質問を返すようで申し訳ないけど、ほら―――正義について語る、って言っても、アタシは講義が出切る程できた人間じゃあ、ないからね。
 
 っと、そういえば自己紹介もしてなかったけど、その様子じゃアタシの事を知らない訳もないしね。
 アタシのことはセリーナでもキッドでも、好きに呼んでくれていいよ! アタシはおにーさんの事、なんて呼べばいいかな。
 本名が嫌だったら、匿名希望でも構わないよ? それにうちは、秘密は守る主義で有名でね。うふふっ!
 
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/26(火) 22:25:58.66 ID:2h4ws9AT0
>>368

うん、確かにきみは優しいし、律儀だね……。
そういう事ならば、こうやって皿を置くだけで十分。拙い出来でよければ、楽しんで。

【店主はそう言って淡い笑みを浮かべながら、小像に向かい合って】
【左右の腕の長さや、背骨が弓なりになった緊張感のある態勢、おおまかな肉付きをなどペン先で捉えていく】
【乳首や臍、膝といった目安になる場所を整え、顎のラインを少しずつ丸め、と言った具合に】

いぬかわ君か。
どことなく、私のふるさとの……要するに、櫻のことばの響きみたいだね。
私は暁星 蛍(あけぼし ほたる)だ。よろしくお願いするよ。

【柔らかく自己紹介を返す店主――蛍は、顔を覗かせた黒さ≠ノ気付いたのかもしれない】
【けれど彼女はそれをあえて混ぜっ返すこともなく、ただじっと、静かな光を孕んだ紅の瞳でいぬかわを見ていた】

なるほどね。――確かに、評論家とか観衆とかいうのはいつの時代も手厳しい。
モラルがあるならそれでいいけど、奇抜な説を唱えたもの勝ちって風も無くはない。嫌なものだ。

ならば、せめて私はきみの真心を写し取れるようになりたいな。
オリジナルじゃあなくたって、作品はきみの鏡だ。……能力を使って作ったならなおさらだよね。

【「今日だって、そうやって出来たものの形を残したいから、ここに来たんじゃないのかな――」】
【冷めた手をマグカップに帯びた熱で温めて、蛍はふわりと言葉を零した】
【いずれは溶け、毀れ、失われていく――命の模型みたいな氷像を惜しむように、熱くて切ない声だった】
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/26(火) 22:34:51.14 ID:rDw4jxUC0
【歩く死人が数多く存在する――――そう囁かれ、忌み嫌われた墓地】
【風化の始まった墓石や、その中央には既に放棄された管理人の小屋があって】
【突如響くのは乾いた発砲音。数回響いたかと思えば――――耳を劈く様な断末魔。結局は、其れすらも乾いたその音で止められてしまうのだけれど】


「ふぅん――――眷族を作る割には、随分と小物だったね
逃げる事も闘う事も出来ない。ただ一方的に殺されるだけ。…………嗚呼、奇しくも君が今まで人間にやってた事が降り掛かったみたいだね」

【未だ硝煙の立つ拳銃を握り、踏みつけたこの墓地の主に向かって銃口を向けているのは一人の修道女】
【露わとなっている金色の髪は月の光を鋭く反射させていて、同じ光に照らされる顔は悪寒を感じる程に冷えていた】
【僅かに口角を吊り上げたならば、引き金に力を込めて――――再び、発砲音】


「その程度の呪詛がボクに効くと思ったのかな?
――――君達みたいなのを殺す為に作られたんだから、もっと頑張ってくれなきゃ…………ねぇ?
たかだか一つの小さな墓地を占領して良い気になってたのが仇だったね。それじゃ、安らかに眠っていた人達を無理矢理起こした報い、受けて貰おうかな」

【辺りを見回せば頭を撃ち抜かれた死体やら、銃身の折れたカービンやら。一見すればどちらが悪かも分からない――――有り体に言ってしまえば虐殺現場】
【ゴリ、と銃口を側頭部へと押し当てたならば、二度三度と引き金を引いて。…………その先は、言わずもがな。火薬の香りと生臭い香りとが、辺りを包んだ】
【さて、この地は依頼書も出され、報酬も提示されている場所である。なれば、自発的に訪れた者も居るであろうし、その発砲音を聞き付けて来た者も居るのかも知れない】
【――――何にしたって、瞬時にそちらへと金の双眸を向けたならば。僅かに遅れて、銃口を向けるのだろう。射撃はしない。だが、警戒の表れと取るには十分な事か】






【路地裏。様々な物事が起こり、殺人だってそう珍しくも無い場所】
【今宵も当然の様に罵声が響いたのだが――――少しばかり、結果は異なっていた】

【対峙するのは大男と少女。乱れなく軍服を纏い、制帽を被った姿は容易に性格を想像させる事か】
【刃物を手にした男が少女の命を奪わんと思いっきり振りかぶる…………が、刃が裂いたのは虚空のみ】
【気付いた頃には背後へと回られていて、反撃をする間も無く意識を刈り取られるのであろう】


「――――今日だけで三人目でありますね。中々に多くて大変であります」

【さて、街灯に照らされた姿は上記の通り。序でに言えば、眼帯と腰に提げられた軍刀とが特徴的か】
【腕章は自警団所属を示す其れであって、“SCARLET”に所属する事を示すバッヂも腕章に着けられている事だろう】
【言わずもがな、少女は“善”に属する存在。通信機を取り出せば自警団へと連絡を入れて、その場に座るけれど】


「疲れた…………でありますね
丁度時間であります。身柄を引き渡したら何処かで休むでありますか…………」

【深い吐息は疲労の度合いを表しているのだろうか】
【――――ぼうっと空を見上げていたけれど、我に返ったならば慌てて立ち上がって】
【さて、路地裏と言えどもそう深い場所でも無い。ともなれば通行人が皆無な訳でも無く、“一般人”に近い者が通ったって可笑しくは無い】
【つい先程の戦闘を見て興味を抱いた者か、或いはまた別な理由を抱く者か――――兎も角として、何者かが訪れたならばそちらへと視線を移す筈で】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/11/26(火) 22:36:06.70 ID:MCXodAgg0
【鉄の国―――地方山岳都市=z

【鉄の国の北東部、つい先日GIFTによる大規模な襲撃のあった国境要塞に比較的近い位置にする山岳地帯】
【その山の谷間に存在する都市がここだ、地方という事もあってか急激な国の発展には少しついていけていない印象もあるが】
【高台から見える街の明かりは、人々の活気を感じさせている―――。】
【そんな地方都市にある高台の一つに立って街並みを眺めている人物が一人………。】

―――ふぁぁぁぁ………最近睡眠時間が削られまくって辛いぜ………あー肩が凝る。
一体いつまで警戒態勢が続くのかねぇ………そろそろバーにでも行ってパーッとやりたいもんだが。

エリートの辛い所だな………あー眠ッ…!

【ぶつくさと文句を垂れながら街とその周囲を監視している人物。】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【高台に転がっていた何か巨大な魔獣の頭部の骨に座って欠伸をしながらぼんやりとした瞳で眺めている。】
【近くには魔翌力を帯びて淡く光っている花や、魔獣の鳴き声が響く………果たしてこのような場所に訪れる者はいるのだろうか】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/26(火) 22:56:39.81 ID:ZoUJZ5990
【路地裏を抜けた広い場所】

【路地裏を抜けた場所、そこには広い空間が広がっていた】
【その広い空間にはベンチがおいてあるがそのベンチは古いものだ】
【だがその古いベンチに座っている男がいた】

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

【その男はのびをしてのんびりとしているこのような夜だというのに】

 ああ、『ドーラ』の修理どうしようかあれ時間がかかるんだよなあ
 いやあ、でもなあいっそのこと新武装作ろうかなあ

【男はそのようにいいなが膝にほおずえをつきながら考える】
【だが考えがまとまらなかったのかため息をはきほおずえをやめてベンチに背を預けた】

【そしてそのとき何かが折れる音とがした】
【「ん?」と男が疑問を作り】

【そのままベンチの背ごと地面に落ちた】

 っ〜〜〜!

【男がその場で頭をぶつけたのかあたりで転げまわる】
【そして転げまわるのを止め頭を抱えながら静止した】

【もしこの場所を見つけ人が入ってきたのなら、ここで頭を痛そうに抱えている男を見ることになるだろう】b
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/26(火) 22:58:44.10 ID:9JMUgwOq0
>>379


―――さぁ。私、親、どこいったか分かんないからさ、っていうか、小さいころの記憶、あんま無くて。
……たまたま金持ちに拾われてね、着たい服着て、美味しいものだけ食べて、趣味に没頭出来てるんだけど。
………櫻の国の出身、かも、知れないね。……消去法的に、……うん。


【出身についての話題が出ると、少女が次に作るのは、哀しみを持った表情。ダレた背筋が、少しだけ元に戻って。】
【―――両親の居ない悲しみ、此ればかりは、どうしようも無いという事か。何事にも関心の無さそうな少女も、其の例外では無い様で。】
【彼女は今、金持ちの養子として暮らしているらしい。―――こんな時間まで彷徨いている所を見れば、】
【此の少女の普段の素行も顕わになり、そしてどんな"お姫様な"生活を送っているのか―――、そんな事、想像に難くない筈だ。】


珍しい事言っとけば、何とかなるでしょ、みたいな、さ。バカじゃないの、ってね。

――― へー……良く、分かってんじゃん。

そう、私が作ったものは、全部、消えるの。さっきも言ったけど、跡形もなく、ね。
消えるからいいんだ、とか、言う人も、結構いたんだけど、さ。
まー、分からない事はないんだけど、私はそれだけじゃ、満足しないんだよね。

だから、さ。………あれ、クォリティー求めないって、言ったけど。結構、上手いじゃん。


【予想だにしなかった返事なのだろう。此の少女は今、目の前の絵師を"褒めた"。】
【少女は、自分の能力が極めて精密に操れる事に対して、一種の誇りを感じている。】
【然しながら、其の永遠のテーマ。如何にして、其の芸術作品を、留めるか―――。】

【"普通の水なら"、冷凍庫で保存すれば良いなんて簡単な話なのだろうが、此の少女の其れはそういう訳には行かない。】
【何を、どうやったとしても、消えてしまうのだ。30分という、余りにも短すぎる寿命。悲しみを覚えたのだから、こうして頼みに来た。】

【―――目の前の彼女は極めて優秀である。……少し気分を良くした少女は加えてもう一つ、"褒めて"見せて。】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/11/26(火) 23:08:47.97 ID:/9ym/1Nqo
/一応、>>371はまだ募集中であります
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/26(火) 23:23:34.36 ID:1RG1gve80
>>378
【コツコツとノックをすればドアが開き、仄かに暖かな空気と共に中からひょっこりと顔を出すひとりの女性。……そう、彼女こそ此処に来た目的だ。】
【店内にもまだポツポツと客は残っているようだ。成る程、こんな時間にも未だ客がいるとはこの店も多くの人から親しまれているのだろう。】
【―――自分も入って良いのだろうかと逡巡する。何分こういった類の店は入ったことがなく、年甲斐もなく少しばかりためらっているらしい。】
【まあ、その心配は無用だと分かるのにそう時間は掛からないのだが。】


私も入って宜しいのですか?……そうですね、きっとこの話は長くなる―――
―――では、失礼します。


【勧められるがままに長身を屈めるようにして店に入る。洒落たバックミュージックは彼女の趣味なのだろうか、店の雰囲気作りの大きな一助となっているようだ。】
【暖かなゆっくりとした時間が流れる空間。道理で酒好きの人々も此処に居つくわけだ、何とも心地の良い場所だ―――店の雰囲気が緊張を解してくれる。】
【心なしか表情が穏やかになった彼は、勧められたカウンター席に腰を掛ける。……酒、か。そういえばゆっくり酒を飲んだことなど一度もなかった……】


……そうですね……ではウィスキーのホットを1:3で。外は寒い、体を中から温めることにしましょう……
―――そう、私は貴女の正しさを知るべく訪ねました。


【そういえば、遠い昔に一度飲んだウィスキーが大層美味かった覚えがある。……良い機会だ、久しぶりに飲んでみるか。】
【通り一遍の注文を終えて、本題に入る。……と同時に、僅かに表情が鋭くなる。まるで講義を真摯に聴講する学生のような、そんな印象。】
【今晩は他でもない、この事について聞きに来たのだ。何か、自分の目指すべきものの道しるべが見つかるかも知れぬ……そう信じて。】
【今まで背負う者のなかった者が初めて背負うものを見つけた―――その背負っているものが何なのかを知るために。】

【といっても突然押し掛けて正義について語れなんて言われたら不思議に思うだろう。……事実、彼女も若干戸惑っていた気もしなくもない。】
【正直に訳を話すのが自分にとっても彼女にとっても最善の選択だろう。―――それが、かつて自分が彼女の敵であったことを打ち明けることだとしても。】


……私は、ある少年と戦いました。その少年は私が何度倒しても、幾度傷を負っても立ち上がりました。
私は不思議でした。なぜあの少年はあんなにも強いのかと。だから、私はその少年にその強さの源を聞いたのです。
すると、少年は答えました。―――それは、“自分の信じている正しさへの自信だ”と。
今まで欲の赴くままに戦ってきた私には、その少年がひどく輝いているように見えました。……恐らくその正しさが羨ましくなったのでしょう。

……しかし、私は確固たる正しさなど持っていない。でも、正しさとやらを知りたい……誰に訊けば良いのか。
―――貴女の名前はすぐに頭に浮かびました。己の信じる正しさを以て、幾度も私達の奸計を打ち砕いたのですから……

……ここまでの話を聞けば、私の正体もお分かりでしょう。私はかつて貴女方の敵だった、カノッサ機関の人間だったのです……


【自分の正体がわかれば、追い出されるかもしれない。……いや、場合によっては身柄を拘束されるかもしれない。】
【それでも、言わない訳には行かなかった。口から紡がれる言葉は、何のためらいもなく流れていった。】


……私の名前はダン・ブラッグス……この名前はあまり言いたくなかったのですが、今日はきっと、嘘を付いてはいけない話になると思います。
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/26(火) 23:38:14.81 ID:2h4ws9AT0
>>383

あははっ。本業じゃあ無いはずなんだけど、つい興が乗ってきてしまってさ。
なんであれ、仕事の中身をゆるがせにしたくはないからね。

【こうやって言葉を交わしている間にも、紙面の上の黒い線のあつまりは、どんどん蒼い氷のお手本に近づいて】
【丹念に、しかし機敏に。少女の心の内を探るように、ペン先は踊る】
【それを操る蛍は、今度は少しばかり楽しげな笑い声を上げた】

【息をする度に、目を向け直す度に、少しずつ形を失っていく氷像】
【寂しさと愛おしさが入り乱れた眼でその影を追うように、蛍は素描を仕上げていく】

【まだ像は一つ目だが、絵はだいぶ完成に近づいて来ていた】
【速描(クロッキー)として見れば、これでも十分――といった具合だろう】

そうやって、定められている運命に叛くこと。私は大好きだよ。
逆らい続けて、どこに至るかはまた違った問題だけど……こういう気持ちは、いつだって失われちゃいけないんだ。

――私は、いつだって本気でそう思ってる……ずっと、ずっと前から。
であるからこそ、きみみたいな人間の考えることは、ちゃんと守ってあげられたら良いなと感じるのさ。
不自由ではないことが、自由であることだとは限らないしね。

【そこで一度言葉と仕事を区切って、蛍は「どうする、もうちょっと細かくする?」と尋ねるはずだ】
【思えば、彼女はさっきからコーヒーを飲む時以外は殆ど手を動かしっぱなしだったのだ】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/26(火) 23:40:44.75 ID:2nQBNBgXo
>>381

―――やあどうも、こんな場所でたった一人で警備かなにか?
最近物騒だものねえ。SCARLETっていうと、対能力者の切り札みたいなイメージだけど……

【にっこりとした笑い顔を添えて、そう声をかける人物が一人、彼の背後から近づいてきた】
【服はシャツとスラックス。その上に袖を通さず、分厚いコートを羽織っていて】
【腰元には何やら袋が一つ。他に武器もなければワッペンも紋章もない、若い男だ】

【髪は金色でふわりとしていて細身――良いところの貴公子か、そんな所に見えるが】
【いかんせん場所が場所だ。不審者に思われても不思議は無い、兎に角そんな彼だった】

/まだ居ますかー?
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/11/26(火) 23:51:07.83 ID:MCXodAgg0
>>387

………ん?まぁな、この辺りはまだ警戒区域なんでこうして都市周辺を見回ってるんだ
とはいえこう山岳の谷間に作られるといちいち山を登ったり下りたりで大変なんだよなァ―――。

だから部隊規模で動く自警団には都市の内部を守らせて、SCARLETは個人単位のフットワークの軽さを活かしてって感じだ

【現れた青年へと顔だけを向けて肩を竦めながら都市の街並みを指さしながら説明する。】
【素性のわからない一般人にこんな事を話していいのかは不明だがその辺りは見かけどおり随分と軽いようだ】
【そしてSCARLETの青年は一度息を吐くと、青年の方へと体を向ける。】

―――ところでアンタは?
見る感じ登山家には見えねェなぁ………何はともあれこの辺りは魔獣もそれなりにいるから危険だぞ?

【相手の姿を見ながら適当に推測をしながらそんな忠告を相手に送るのだった―――。】
【確かに耳を澄ませば魔獣の遠吠えのようなものも聞こえてくる。】

//おります!
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 00:00:16.64 ID:twosFmNRo
【酒場】

【カノッサの襲撃で捨てられた街。今はアンダーグラウンドな奴らが集まって前以上の活気を生み出している】
【幾ら無法地帯といえどまともな店を探すのは難しい。特にここらじゃ夜にやってるの店でマシな所は此処しか無いから】
【酒場でも有り、喫茶店でも有り、軽いカジノでもあって広い店内に人が幾つもグループを形成していた】
【店内にかかるBGMはオールディーズのロックンロールで内装と雰囲気にピッタリな曲選が続く】
【ネオンやビールの看板がかかる店内のカウンタの隅で、レコードプレーヤで曲を次から次へとかける男が居た】

【カウンタにビールの瓶と灰皿とを置いて、スツールの横棒に足をかけて大量のレコードを周りに置いて座っている。】
【背の高い痩せた体格で、黒いサングラス、黒いスーツ姿でジャケットは隣の席に置いている。黒地に紫の柄シャツの袖をまくっている】
【右腕には包帯が巻かれており首からは聖母を模したネックレスをぶら下げている。ここまでガラが悪いと彼はパブの主みたいに溶け込んでいる】

これ人にやるのは勿体無えなあ……今も似たようなもんなんだけど……

【廻るレコードを見ながら男は唸る。煙草の箱を手にとって、火をつけてカウンタに肘をつく】

しかし……幾らでもいるっつった癖に…チンピラも見つかんねえ………うわっ!

【ビールに手を伸ばした時、山積みのレコードがガサガサと崩れてしまい男は立ち上がって】
【ひとり、その崩れた山を酒場の片隅で片付けながら次の曲を探していた】
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/27(水) 00:03:07.73 ID:tQUkHFDoo
>>388

なるほど……意外に自警団と同じようなこともやるんだね、君らも。
いやさ、まさに先日自警団の人と会って、君らのこと目立つ方とか
華形とか、そういうような感じで言ってたから少し意外で……ふぅ

……ホントにね。僕なんて一度此処に来るだけでも、もう息が上がっちゃって。

【寒い空気の中、白い吐息を零しながら、男は彼の指差す先を見る】
【山間の都市。珍しくもないが、大変な土地であることは間違いなく】

あぁ、僕?そりゃ登山家じゃないさ、僕は美術家だよ
絵を書いたり詩歌を詠んだり、時には劇を書いたり彫刻を彫ったり

ま、手広くやってる。名前はアンドレイ・ニキシビリチャチ――よろしくね。
それで、そういう君は?名前のついでにもう一つ聞いておきたいんだけど
この辺りで一番幻想的な物ってなんだった?花とか、その骨とかもいいけど、他に……?

【アンドレイ――その名は、現代の美術や芸術について詳しければ知られたもの】
【けれど世間一般に言えば無名だ。要するに、若き芸術家が此処に居るというだけ】
【そして寒そうにしながらも尋ねるのは名ともう一つ、独特な事――答えに決まりは無いような類だった】

/YATTA!よろしくなのですー!
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/27(水) 00:04:32.02 ID:2IZVdSkY0
>>386


―――せっかく、ここまで来たんだから、さ、書き込めるとこまで、やっちゃってよ。
……あと、ロールケーキ。


【少女は既に其の形を失いつつ在る像を、ボーっと眺めて。腕の良さを見込んだのか、限界まで書き込めと言い出す。】
【とは言え、流石に休憩を挟む事位は容認するのだろう。―――丸で扱いは執事の様、お菓子を要求する形での其れでは在ったが。】

【その間、右手の指を何やら動かせば、其れは急速に溶けていき、やがて水蒸気、全く見えなくなって。】
【少女は最初の頃と同じ様、左手から水を生成、ダビデ像の型を取った後に氷結、先程のと寸分違わず……】
【否、実を言えば、ほんの少しだけ違うのだが。まあ素人から見れば、同一の物と認識するであろう像を作り上げた。】
【腕の良い少女なら、気付くのかもしれない。だとすれば、今までの行為は、"製造"ではなく、"創造"である、という事になるのだろう。】


……そうなの? まぁ、私はさ、別に。生きたいように生きた結果、たまたま、普通とは逆の方向、進んでるっていうだけでさ、
そう、……いや、やっぱ、皆と同じは、嫌だし……あー、結局は、そういうことに、なるのかも、ね。当たってる、かも。

ふーん。変な子を馬鹿にする大人もいれば、こうやって……、………って、あれ、ほたる、いくつなの?
私は、16だけどさ、………さっきから話してるけど、アンタ、おばさん、いや、……おじさん臭くない? 
だって、守ってあげたいとか、普通、言えないでしょ。まぁ、別に、キモいって言ってるわけじゃ、無いんだけどさ。


【制服を身に纏っているのなら、年齢は其処まで変わらないはず、下手すれば下の可能性だってある。にも拘らず、"守ってあげたい"とは。】
【セーラー服には似つかわしくない、余りに落ち着いた台詞の一言一言に、流石の此の少女も違和感を覚え始めたのだろう。】
【然し、少女の最後の台詞。普段ならこんな事、言わない性格なのだ。―――勿論、二人は出会ったばかりなのだから、そんな事、分かりようがないのだけれど。】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/11/27(水) 00:20:58.75 ID:Ph7U0qs10
>>390

派生したとはいえ母体的には変わらないからなァ…。
へぇ………まぁ確かに自警団に所属している連中はわが物顔で指揮をとったりする俺らは
そう言った感じに見えたりもするのかもなぁ―――でも、人数が少ない分巡回や書類関係もとんでもないんだぜ?

ハハ、そいつはご苦労さん………隣座るか?

【溜息と共に肩を竦める、眼の下を良く見ればうっすらと隈が見える………寝る暇もないほどに忙しいのだろうか】
【そして息の上がる青年を見ると苦笑しながら腰かけていた古びた骨に青年が座れるだけのスペースを開ける。】
【少々罰当たりだが、この骨は朽ちてから相当の年月が経つのかもはや土壌と一体化しているようなものである】

はー芸術家か、って事はこの辺にも何か作品の関係でってワケか。

アンドレイ・ニキシビリチャチ=c……名前だけならどっかの雑誌で見たかもしれねーな
あぁ俺はディック・ホワイト≠チてんだ、宜しくなアンドレイ。

幻想的なモノ………?それならもう少し待てば………っと丁度だな、見てみな―――。

【そう言いながらディックは都市のさらに奥の方へと指さす―――その先には。】
【何か淡く紫に光る大きなものが現れる………これは、魔光タワー≠セ】
【飛行船などが都市の近くを飛行する際に注意を呼びかけるモノで、一定間隔で点灯しているのだろう。】
【十数分もすれば再び消えてしまうだろうが、軽く靄のかかる山々の間で光るソレは確かに幻想的と言える。】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/11/27(水) 00:26:19.33 ID:H68TX8rdo
>>348
【衝撃の刃が防御ごと双子の胴体を切り裂いたのとほぼ同時に、泥砂の槍もまた朔夜の胴体を捉える】
【見た目に反して莫大な質量を秘めた、破城槌を思わせる一撃。その内に練り込まれた激烈なる意志を、戦闘者としての勘が察知した】
【例えるならば、地獄の釜底で煮詰まった悪意と妄執の澱。遍く世の何もかもを塗り潰し混沌に染め上げんとする、常軌を逸した負の決意】

【能力とは、即ち心の有り様であるからして──】
【敵を斬り裂く事に全神経を注いだ今の自分が、急拵えの拒絶防壁を張り巡らした所で、まずこの槍には敵うまい】
【十重二十重に斥力の盾を展開しようが、紙のように食い破って、その穂先は必ずこちらを捉えるだろう】
【予感などという不確かなものではない。朔夜にはそういう確信があった】

(まだだ。まだ、死ねない。まだ私はここにいる。Justiceは抗い続けているのだと、世に示す為に戦っている──)
(ならば、どうする? 防御の上から受けても、只では済まないのは自明の理。切り払おうにも間に合わない)
(────やはり、)

【死が、傍らで手招くのを感じる。全神経がこれ以上無い窮地に研ぎ澄まされ、主観時間が泥のように鈍化する】
【脳髄を走馬灯めいて駆け抜ける雑多な思考の数々を、彼女は振り払った】
【答えは元より一つ。業だ。今はただこの身体に染み付く、鍛練と戦によって培われた業前を以て打ち破るのみ】
【この危地を。双子(デュアル)という名の悪夢の顕現を────!!】


っ……が、あぁぁああああああ────ッ!


【段着の直前、停滞した世界の中で、朔夜は吼えた】
【刀を振り抜く勢いで強く胴体を捻り、辛うじて槍の軌道上から急所を──正中線を外す】
【刹那、左の脇腹で血飛沫が爆ぜた。腹の肉を目の粗い鑢に掛けられるような苦痛が一瞬だけ訪れて、強い灼熱感に変わる】
【少なくとも腹筋は完全に抜かれた。槍は腹膜にまで達し、ともすれば臓器さえも抉り切ったやも知れない】
【穂先にでも掠めたか、肋が一本砕けている。肺に突き刺さってはいないようだが、それも所詮は今の所の話だ】

【朔夜は瞬時に傷の程度を把握し、能力による処置が必要と判断】
【『邂逅』に喰らわせていた能力の一部を無理矢理に割いて、刀から放した右手を傷口に触れさせる】
【力場で傷を圧迫止血し、溢れかかったはらわたを再び胴体の内に。傷を外界から遮断し、可能な限り感染のリスクを防ぐ】

(止め、を……殺……して、終わら、せ────)

【大量の失血に白く霞む視界。力の抜けてゆく身体に鞭打って、その場に倒れる寸での所で踏みとどまる】
【地面に片膝を着きながら、それでも視線は眼前の双子から逸らさない。瞳の内の蒼い灯は、今や燃え盛る劫火の様相を呈している】
【深く長い呼吸を保ち、朔夜は体力回復に務めた。少しでも早く動いたものがこの戦いを制するのだと、知るが故に】
//只今帰りました。昨晩は申し訳ないです……。
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/27(水) 00:41:28.27 ID:wiEP8cxr0
>>391

はは、そう言えば、あるって言ってたね……ご注文承りました。

【蛍は立ち上がって、そそくさと夜食を用意し始める】
【饗されるのは、二杯目の温かいコーヒーと、近場で売っている、芯に苺の入ったロールケーキ】
【こぢんまりとした部屋の中に、香ばしい芳香と、甘いにおいが広がった】

ん、像も新しくしたんだ。
……ちょっと違ってる気もするけど、きみの気持ちひとつなら、仕方ないね。

【左手で水を喚び出し、右手で形取る、そのシークエンス】
【わずかだけ、この空気を写しとって姿を変えたダビデ像に微笑みかけながら】

16歳……ということは同い年じゃないか。奇遇だ。
まあさ、このくらいの歳になると、世の中にひとつやふたつは思うことがあると思わない?

それでも一つだけ言っておくとするなら。
私はね、こうして生まれてくる前のことをちょっとだけ覚えてるんだ。だから、どこかおかしいのかもしれないよ。

……信じてくれようがくれまいが、証明の手段がないから、一緒なんだけどね。

【つまるところ、前世の記憶がある。彼女は、そう言っているようで】
【本当かウソかは誰にもわからないけど、それでも、やはり。見た目から些か逸脱した、落ち着いた話しぶりが続いていた】
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/27(水) 00:43:18.59 ID:tQUkHFDoo
>>392

へぇ……確かに考えてみれば、そういう苦労もあるわけだ
となるとお互い、実態を知らずに良いところだけ見ていたわけでもある、と。

……どっちも大変なのは変わりないけどさ。あぁ僕、君らのこと、応援してるんだよ
物騒な世の中で、前線で命を張って僕らを守ってくれてるわけじゃないか
その心も行動も素晴らしいな、ってね。お話出来て光栄ってところさ

【そう言って、ふと話し相手の隈が目に入ると、ねぎらうように微笑みを向け】
【言葉に甘えてなんて添えながら、一息に骨の上へと腰を下ろす】
【どっしりとした、骨とも思えない様な座り心地。早速質問の返事が来ると、そちらを見て――】

……ああ、っ……。素敵、だねぇ……それに、面白い……。

ふ、ッ…あ、ははっ……いや、さ。ちょっと予想外だったよ
こんなに人知れない場所で、それも光る草花とか、規格外のサイズの骨に座ってだよ?
まさか、一番幻想的なものが人工的なタワーとは……いや、いや。ありがとうディック

ふふっ……僕も絵描きだったりする以上、ああいうのは描きとめておきたいんだけど
生憎と高所に画材を持って来るほど力持ちじゃなくてさ……残せないのが残念な、最高の眺めだね、これは。

【――僅かに呆けたようにタワーを見た後、小さく笑い。そして、ディックへと振り向いて】
【楽しそうというか、心躍るというか、そんな言葉が似合いの様子で言葉を返す】
【確かにそうだ――自然よりも幻想的な人工物。何処か皮肉だが、美しさは否定出来ない――それが可笑しかったのだろう、か。】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/27(水) 00:58:40.12 ID:Ph7U0qs10
>>395

まぁ一長一短てとこだな。
お互いがお互いの機能の穴を埋めるような役割が出来ればいいんだろうが
今のところの一般認識だとただの上位組織って印象みたいだなァ。

そいつはどうも………そういった言葉のおかげで今日も身を粉にして働けますよってね。

【アンドレイの言葉にクックと喉を鳴らして笑いかけながら冗談ぽくキザな言動で返答する。】
【見かけは軽そうだがスカーレットに属しているだけあって中身はそれなりに思慮深く、正義感も強いようだ】

まぁ、視覚的にはともかくとして………元からあった美しい場所の上から人工的に足したモノだ。
本当の美しさ≠ニやらに当てはまるかは分からないが………まぁ気に入って貰えたなら紹介して良かったぜ

自然の中にある人工物………そうした異質≠ノ人間てのは惹かれちまうもんなのかねェ………。
とはいえ度を過ぎた異質≠ヘ畏怖の対象にもなりえる………が、な。

ん?じゃあアンタはなんでこんな場所まで登ってきたんだ?てっきり写生でもすんのかと思ったんだが

【どこか含みを持たせるような言葉を言いながら幻想的に光るタワーを眺めていたが】
【アンドレイの言葉に視線を再びアンドレイへと向ける、写生目的でないのならどうしてこんな場所に、と】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/27(水) 01:05:42.58 ID:2IZVdSkY0
>>394


―――あー、……やっぱ、アンタ、凄いじゃん。
分かんないぐらい、結構、丁寧に、作ったんだけどね。
……まぁ、その時の気分で、変わっちゃうのかも。


【―――無愛想なダビデ像が、少しだけ微笑んで、其処に佇んでいた……なんて事は無い、が。】
【其れでも"そう見える"のは、きっとそういう事。此の場に対する、彼女に対する、少しばかりの親近感。】

【イチゴのロールケーキが差し出される。二杯目のコーヒーも、同時に手渡された。】
【一杯目は砂糖とミルクをドバドバと入れていた少女、然し今度はブラックの侭、飲んでみせた。】
【……矢張り、苦すぎたらしく、急いでイチゴだけをフォークで差し、口に含む。】

【無駄な行為だったかと言えば、そうではない。少女は、仕事を頼んでいる傍ら、うつらうつらと眠たそうにしていたのだ。】
【流石に、こんな所で寝る訳には行かない、―――其れに加えて、"もう一つの理由"も在ったけれど。】
【兎に角、口に残る苦味を引き換えに、少女は睡魔を打ち負かした様だ。目の開き具合が、全く違う。】


そう、そうなんだけど……それでもそのセリフはさ………

―――――………。

あ、それ、面白い。面白いじゃん、良いよ、そういうの。
……ずるい。私と、ほたるじゃ、世界の見え方、全然違うじゃん。


【仮に嘘だと決めつけた所で、彼女の異常とも言うべき落ち着き様を、全てを達観したかの様な雰囲気を、どう説明出来ようか。】
【だからこそ、少女は"面白い"、つまりは信じたのである。となれば続く言葉は、少女が其れを羨んでいる事を示す物。】
【"世界の見え方が違う"から羨ましい。変わった少女らしい、独特な表現である。然し2週目の彼女なら、多からず其の意味が分かるのだろうか。】
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/27(水) 01:06:07.15 ID:asOlCl2qo
>>385

【最初に受ける印象は―――"少しだけ、シャイだな"というものだった。いや、言い換えれば真面目、だろうか。】
【ともかく男性から受けるイメージと言うのはそう、悪いものではなくて。難しい言葉は飛び交ったものの、歓迎のムードに変わりは無い。】
【少し戸惑うようにして店内へと入ってきた彼を、セリーナは暖かく出迎え、ゆっくりとその後ろでドアを閉める。冷気はそこで、遮断された。】

 
 ……! お客さん、良い趣味をしてますね〜! ああいえ、実はアタシ"も"ウィスキーが大好きなんですよ!
 寒い日はなによりもこれで身体を温めるのがいっちばん、安心するんですよね〜……って、今夜呑むのはおにーさんだけど、さ。ふふっ。
 オーライ、直ぐに用意するから上着を椅子にかけて待っててよ! まあその―――"正しさ"ってのについては、ゆっくりと話してこうじゃん。


【さて、そんな雰囲気の中。最初に出てきた彼の一言には、少し驚かされて。ウィスキーのホットだなんて、なんて良い趣味をしているのか。】
【セリーナ自身も愛飲しているウィスキー、直ぐに準備に取り掛かって。ほどなくして、彼の目の前にホットのウィスキーが出てくるだろう。】
【綺麗な瞳を真ん丸にして、彼もまた酒を好んでいるのだろうか、それは分からないがその選択には嬉しそうにして居る事だろう。】

【ただ、その後に彼が見せる視線というのは、嬉しそうなセリーナの横顔に比べてなんだかとても、険しくて鋭いような印象を受けるもので。】
【本題に入ったであろう事を窺わせるのは容易く、自然と其れに合わせてセリーナの表情も、引き締まっていった。そうして、明かされる事実は】
【彼女の心の奥底に、染み渡るように浸透していく―――……"少年"との邂逅、"強さ"に対する疑問、そして―――カノッサという組織への、疑念】

【つまり、彼は―――……そう、紛う事無く、少し前まで彼女等"UT"の宿敵たる存在だったのだ。セリーナの瞳に、悲しみの色が、宿った。】


 そう―――そう、だったんだ。


【決して、彼女の言葉は強いものではない。かといって、折れそうな意思の表れでも、なく。静かに、腰に備えた"ガン・ベルト"へと手が伸びれば―――】


 ダン・ブラッグス。ううん、ダン。これが―――……アタシの、答えだ。


【"ドン"という、何かが机に置かれた音。それは、彼女の戦場での相棒たる魔銃・"弾"末魔が―――机に、無防備に置かれた音だった。】
【つまり、今の彼女はガン・ベルトごと武装を"放棄"しており―――……そう、彼を撃つ事はない、という事実を意味していた。】


 まず、最初に―――本当の事を言ってくれて、ありがとう。貴方が恐れずに真実を打ち明けてくれたことを、アタシは誇りに思う。
 普通、どんなに悩んでいたって……"元"敵の所に、身分を明かして突撃することなんて、なかなかできっこない事だよ。
 だから、アタシは"ダン"が、とっても勇敢で―――……それに、真っ直ぐな人なんだ、って直感したよ。アタシは信じる。
 
 貴方は決して、"悪人"ではないって、ね。だから、絶対に撃たないし―――今夜此処の店で、銃を抜くことは無い。
 安心してよ。銃は目の前に置いておこう。これで、貴方もアタシを"信じられる"でしょう? それじゃ、話を続けようか。
 アタシが思うに、その"少年"―――きっと、アタシも知っている人物なんじゃないかな、って。どうだろう?

399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/27(水) 01:06:21.93 ID:asOlCl2qo
>>385


 まあ、彼の正体はおいておいても、アタシにはなんで彼が"折れなかった"のか、分かるよ。それはね。
 どこにも"本当に正しいこと"なんて―――この世界には、転がっていない事を、理解しているからだよ。

 矛盾しているようだけれど、彼は今この世界に、誰もが肯定できる普遍的な"正義"が存在しないことを、知ってるんだ。
 だからカノッサやGIFTみたいな、極端な思想を持った人間や能力者が暴れる事が一つの"正義"として成り立ってる。哀しい事に、ね。
 けど、そこで止まっている訳にもいかないっていう、冷たい現実をきっと、理解しているんじゃないかな。

 正しいことは何処にも無い。自分の全てを肯定してくれる世界は存在しない。じゃあ、貴方なら一体、何を信じる?
 最後に残された選択肢はね、自分で、自分を信じること。そして、その"覚悟"を世界に、見せ付けることだったんだと思うな。
 強さは先ず、決意から生まれる"意思"の力。彼は世界に肯定されることを望んだんじゃない。

 自分を信じる力。肯定されることの少ない世界を前提に、"それでも"と思い続ける、叛逆の"覚悟"。
 彼を彼たらしめているのは、正しさの通らない世界に、正しさを貫くための、"覚悟"なんじゃないかなーって。

 だから正義って言うのは―――……答えの存在しない、迷路の様なものだけど。敢えて答えを出すとするなら。


 アタシはきっと、"自分に嘘をつかない事"―――此れが一番なのかな、って。そう、思うな。
 そしてアタシにとっての、嘘をつかない事って言うのは―――……弱いモノイジメが大好きな連中を、許したくない、許せないっていう
 すっごく単純で、悪く言えばお節介な―――そんな気持ちだ。それこそが、このUTを設立した、最初の決意だったよ。


 簡単、でしょう? 結論を急ぐ必要なんてどこにもなくて、何が正しいかは、ゆっくりと皆が導いていけば良いんだ。
 だから、結論を急いで世界をどうこうしてやろうっていう"貴方の元上司さん"達の考え方には、賛同できない。
 暗い世の中の"影"を見つめて、それでも諦めないと思える人の覚悟を、アタシは護りたいんだ。

 きっとちっぽけなモノなんだと思う、多くの人からしたら奇麗事にも思えるモノ、それでもアタシは―――……
 ちっぽけで、今にも壊れてしまいそうだからこそ。護らなきゃいけないって、そう感じたんだ。
 世の中はきっとよくなる。こんな言葉、世迷い事にしか聞こえないって、そういう人もいるけど……信じてる人が、いるのなら。

 それを踏みにじろうとする奴を、アタシは許さない。だから、負けられない。きっと、その"少年"も……そんな風に、感じていたんじゃないかな。

 ねえ、ダンさん。貴方は何故、カノッサを抜けたの。それはきっと、貴方もどこかで―――自分にうそをつけないって、思ったからじゃない、かな?

【つむがれた言葉は、彼女の本音と、世界を取り巻く現状の冷たい実情。そして、それでも尚、諦めない人々の勇気と、覚悟の物語。】
【そう、覚悟だ。決して諦めないと言う、そんなちっぽけな気持ちのみが、彼女達にとっての信じるべき"全て"であり、そして同時に】
【信じたいと思えるだけの価値を持った、確かな真実であった。だから、ダンにも告げることだろう。迷えば、弱くなるぞ、と。】
【しかしてまた、迷うことが悪ともせずに。ただ、彼女は怒鳴ることも叫ぶことも無く、呟くように―――貴方は、どうしたいのか、と。】

【そう―――尋ねるだろう。核心を突くように。】 
 
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/27(水) 01:14:18.74 ID:tQUkHFDoo
>>396

そうそう、一般人の僕から見てもそんなイメージが強いかな。
UTは民間の、SCARLETは公の、それぞれ強力な対能力者犯罪組織で
自警団はもっと手広く、犯罪そのものを取り締まってる……そんな感じ?

あー、その笑い方ったら。一応本気だよ?応援だけはしてるのさ

【冗談めかした言葉を返されれば、呑気な様子で反論する。どうも、本気ではないらしい】
【が、それ故に人柄が見えにくい。明るく気さくな芸術家の男――なのか】

【それから異質に付いて軽く語り、ふと向けられるのは当然の質問】
【持ち物といえば腰の袋くらい。それだって最低限の持ち物だろう】
【能力で描く、とでも言えば別だが――それらしい様子もなく。ふと口を開けば――】

――神サマの言葉を聞きにね。いや冗談じゃなくてさ、比喩だけど、そうじゃないんだ
つまり……僕は時々、何を描くとも決めないでキャンバスに向かう時がある。

で、何を描くかを決める時……ふと、僕の中で神サマ≠ェささやくのさ
『あの時見たxxは綺麗だった』とかってね。つまり、僕は今こうして風景を眺めて
それを頭の引き出しにしまう。で、後々神サマ≠ノ引き出しを開けてもらうワケ。

不思議と写真を撮るよりもしっかり、頭のなかに風景ってのは残ってるもんでさ
君も無いかい、そういう経験は?……あぁ、神じゃなく天使と悪魔の人とかも居るらしいけど。
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/27(水) 01:31:41.63 ID:pbQlpKkCo
>>393
【双子は死んではいない。しかし、無事であるはずもない】
【一つの胴体に深々と刻まれた傷の深さ。激烈な痛み】
【鋭く、冷たく、気高い朔夜の覚悟を秘めた一閃。さらには、能力による衝撃】

【とめどなく溢れ出る鮮血は、常人と同じ赤色だった。それが、戦闘服の上に傷をくっきりと浮かび上がらせている】
【衝撃の力によって抉られ、穿たれ、胸や腹の肉と、欠けた鎖骨や砕けた肋骨の破片が】
【血の流れと共に溢れ出ていく。爆ぜた肉が流れの隙間から顔を覗かせる】


「――ぐ、ふっ……」
『――か、はっ……』

【双子の口から洩れたのは、その一言と、泥砂混じりの吐血。それだけだった】
【あるいは、臓器にも傷は達したか。逆流した血液を、それに押し流される泥砂を、口から鼻から垂れ流しながら】
【朔夜よりも先に動くこうとするも叶うことなく。異形の肉体が、地面へと落ちていった】


「(我らの……全身全霊の悪意を、妄念を、槍に込めて叩き込んだ……)」
「(それでも、なお……届かなかった、か……)」

【この一撃で、彼女の命を奪うつもりで、双子は槍を放った。朔夜の覚悟は、それを上回った】
【Justice、未だ死なず。正義の意志はここにあり。そう叫ばんばかりに振るわれた『邂逅』のもたらした力】
【文字通り、泥と砂の中を這いずり回り、悪意の内に自らを沈めてきた彼らの技もまた、決して容易なものではなかったはずだ】

【しかし、それを正面から打ち破った。数多の戦場で、血の滲む鍛錬で、練り上げられたその決意は、悪意の槍を己の命から逸らし】
【さらには、何よりも鋭い刃と化して、悪夢を打ち払ったのだ】


「……っ……つ……」
『あ……あ、あ……』

【意味を成さない音を発しながら、双子が地面の上で弱弱しく身体を動かす】
【うつ伏せの状態で、傷が地面と擦れ地獄の激痛が走るが、このままでは確実に自分たちは死ぬ】
【見よ、あれほどの傷を受けながら、朔夜は未だ折れていない。能力を用いて的確に処置を施している】
【顔を出したはらわたが押し込まれ、代わりとばかりに無理矢理身を起こそうとした兄弟が、さらに大量に吐血した】

「『(ここまで、か……)』」

【今なお、踏み止まって見せる朔夜の姿。こちらからも視線は外さないが、彼女の蒼がますます劫火の如く燃え盛っているのに対し】
【泥砂のように濁り切った双子の瞳は、急速にその色を失いつつあった。体力回復が終われば、自分たちが止めを受けて終わるだろう】
【同時同一にそう思考して。双子はなお、目だけは逸らさなかった。自分たちを地獄に叩き落とすであろう相手の姿を、最期まで見届けんとしているかのように】

/続きます
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/27(水) 01:35:23.38 ID:Ph7U0qs10
>>400

まぁそんな所だな
後さっきも言ったみたいにはUTやSCARLETは少数組織だからフットワークが軽いってのも強みかな。

ハッ―――まぁいいや、俺もアンタの活躍を応援してるぜ?

【相手の言葉にやはり軽い調子で、口元を軽く緩めながら返答する。】
【活躍―――というのは恐らく芸術活動の事だろうが、先ほどの話から芸術には疎そうなこの青年に応援されてもあんまり嬉しくないだろう】

【そしてアンドレイのここに来た理由について、真っ直ぐな視線を向けながらしっかりと聞く。】

成程な………まぁアンタの引出し≠ノ収納できるような光景があって良かったよ。
それがいつか開かれるのか開かれないのかは別にしてなァ。

―――ようはフラッシュバックみたいなもんだろ?俺も………たまに見るぜ、昔見た光景をな………。
確かに、そのたびに神サマ≠フお告げかは知らないが、消えかけていた焔≠チてやつが燃え上がったりするなァ。

まぁなんだ………お互い大変だと思うが色々と―――上手くやっていこうぜ?

【少し遠くを見るような瞳でそんな事を呟いてから、ポンポンとアンドレイの肩を何度か叩いて再び軽薄な調子に戻る】
【そして立ち上がると、ゴキゴキと腰を捻りながら柔軟をしてからもう一度アンドレイを見る。】

さて、そろそろ定時報告の時間だ―――俺は街に戻るが何なら一緒に戻るか?
まだ残るってなら止めはしないが、気を付けろよ?この辺りはまだまだ物騒なんだからなァ。
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/27(水) 01:41:21.73 ID:pbQlpKkCo
>>393
【ミサイル陣地の奥から、大型車の走行音。姿を現したのは、兵員輸送車両と思われる、軍用トラックだった】
【双子の少し後ろで、トラックが停車する。姿を荒らしたのは、双子にも劣らぬ異形の姿。一様にすくんだ鉛色の瞳をしていた】


【運転席に座っているのは、ピンク色の装甲に身を包んだ巨体。しかし、その頭部は小さい赤ん坊の頭だった】
【その膝に座っているのは、フリルのついたピンクの乳児服を着た、赤子ほどしかない老人だった。運転手は、この老人のマインドらしい】
【しわだらけの顔を醜悪に歪ませ、頭から髪の代わりに何本も生えた太いコードをうねらせている】


【助手席に座っているのは、骨と皮ばかりに痩せ細った長髪の男だった。擦り切れた白い着物もあって、死人にしか見えない】
【黒く長いその髪だけが女性のように艶やか。助手席から降り立つと、着物に合わない黒いジャージズボンと白いランニングシューズ】
【そして、腰に下げた刀と着物の上から心臓の位置にめり込む、小型のエンジンが露わとなる】


【荷台から恐る恐る顔を出したのは、紫の髪をボブカットにした儚げな女性だった】
【女物の礼服に身を包み、おどおどした態度で血の気の失せた顔を辺りに巡らせる】
【やがて降り立ったその下半身は、蜘蛛の足のような八本の太く長い鉄製義足だった。彼女が歩くたびに軋み、耳障りな音を立てる】

【異形どもは、皆身体のどこかしらに傷を負っていた。この場での戦闘に加わっていたらしい】


デュアルの兄貴!! それに兵隊どもまで……!! ちくしょう、てめえの仕業か女ぁ!! 
バカにしてんのか!! 俺らなんざ一人で十分だとそう言いてえのか!!

《マ、マサさん、今はそれどころじゃないわよお……デュアルさんたちを連れて早く逃げなきゃ……ううっ、国軍に追いつかれちゃうよお……》

[ホッホッホッホ、お出迎えでちゅよおおおおおおおおおお。ボスの命令でお迎えに来まちたよおおおおおおおおおお]

【いきなり被害妄想を垂れ流すエンジン男、さめざめと泣き始める蜘蛛脚女、赤ちゃん言葉で笑う小さな老人】
【言動からして、異形の双子の手下たちであることがわかるだろうか】


「か、は……識、槻……!!」
『げ、ふっ……朔、夜……!!』

【あらん限りの気力を振り絞って、双子が口にしたのは自分たちを見事打ち破った敵の、その名だった】
【それを合図にしたかのように、トラックから複数名が降り立ち、迅速に動き始める】

【蜘蛛足女とエンジン男が双子を助け起こし、トラックの荷台へと運ぶ。その間、機関兵2名が荷台から降り立ち、朔夜に銃を向けて威嚇していた】
【双子を載せると、機関兵らと蜘蛛足女は荷台へ、エンジン男は助手席に戻る。くすんだ鉛色の瞳は、決して朔夜から逸らさないまま】
【と、トラックから無線によるものと思われる通信が響いた】

<識槻 朔夜。その名は覚えたぞ。さすがは音に聞こえたJustice≠セ……この戦場を、一人でひっくり返すとはな>
<無線越しに失礼。私の名はカニバディール。ナンバーズNo.29。カノッサ傘下の盗賊団『スクラップズ』の首領だ>

<目覚ましいご活躍のおかげで、国軍はすっかり勢いを取り戻した。我らの敗北だ。この場は、撤退する>
<しかし、うちの副首領をずいぶんな目にあわせてくれた……我らはしつこい性分でね。いずれ、この借りは返させてもらう>

<何か言いたいことはあるなら今のうちだ。我らの逃げ足は速いからな>


【無線から洩れるのは、重苦しい男の声だった。朔夜の業前への、いくばくかの敬意と、それを上回る敵意と怒りを滲ませた声だった】
【やがて、朔夜の後ろからも車両の走行音が聞こえてくるだろう。勢いを取り戻した国軍が、朔夜に救援をよこしたらしい】

【それを受けて、トラックがエンジンを吹かせる。それを駆る異形どもの眼に油断はない】
【朔夜が、この状態から追撃してきてもおかしくないとわかっているのだ】
【朔夜がどう動くにせよ、トラックは国軍が来る前に、一目散に逃げ去っていくことだろう】
【その頃には、国軍から機関が続々と撤退を始めたという報が、朔夜にも届くだろうか――】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/27(水) 01:48:00.97 ID:wiEP8cxr0
>>397

ううん、それは違うよ。
だって何度生まれ変わっても、自分ではない誰かと同じ世界は見えないだろう?

【その返事は、半分はいぬかわの言葉を受け入れ、半分は突き放すものだった。】
【いつ、いかなる時代に生まれようと、人は人。ひとりはひとり】
【同じにはならないし、なれない――そんな根本原理が、この世界には流れているのだ、と】

でもね、自分ではない誰かが何を見ているかを知ることはできる。
かつての「わたし」も、そうやって「みんな」と同じ夢を見ようとしたんだ。
……結果だけ見れば、自分の責任で残念なことになってしまったが、さ。

【深紅の瞳が、遠い遠い彼方の時間を見通していた。東の果ての島国が、まだ櫻の国という名では無かったころ】
【自由を愛する不順の民の信仰と信頼をあつめて朝廷と戦った、あのころを】

【不意に、彼女の手から――『星』のような、『蛍火』のような、輝く珠が浮かび上がる】
【ほのかに熱を帯びたそれは、いぬかわに見つめられるのなら、意味ありげにくるりと巡って。】

それでも、何度でも言えるよ。私は「誰か」のことを知りたい。私を知ってもらいたい。
もしも「誰か」が夜の闇に怯えているなら、私は『明星』になりたい――道しるべを示すために、精一杯光りたい、って。
全てを焼き尽くす残酷な太陽にもまずろわず、頭ごなしに薄闇をかき消す無愛想な月にも首を振らず。
深い幽暗を彷徨っている人のために、私は燃え上がりたい……って。

……これが16歳になった「私」の気持ちだよ。
こんな単純なことを、誰かに対して口に出して言えるようになるまでに、凄い遠回りをしてしまったんだ。
喋らなきゃ、示さなきゃ、何もわからないのにね。、

【――そこまで一気に話しこんで、彼女はいちどコーヒーに口をつけて、そのままペンを執り始めるだろう】
【ちなみにロールケーキは置かれていない。流石にボロボロ零れるからだ】

ごめんね。しゃべりすぎた。だけれど、誤解はしてほしくなかったから。
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/27(水) 01:50:07.11 ID:tQUkHFDoo
>>402

いつか……まあ多分、死ぬ前には全ての引き出しが開かれるさ
それで完成したら、感謝の気持として作品は君にあげるとしよう
実はさっき言った自警団……ディハートってヤツ何だけど

【彼とも同じ話をしてね――と続けると、やや不思議そうな】
【そして可笑しそうな顔をしてディックの話を聞くアンドレイ。もとも、その謎はすぐに解け】

君も面白いことを言うねぇ、消えかけていた焔≠ゥ……
こういうセンスの話はお互いに完全な理解が出来ないってのが痛いところだね

ディハート……彼とも同じように、美術について少し話したんだ
で、彼もまた面白い意見を持ってた。正義の人ってのはみんなそうなのかも知れないね
自分に信念を持っているから、人間としても面白みがある……真実は神のみぞ知る、だ。

……あぁいや、僕はもうしばらくここに居るよ。魔光タワーも素敵だけど
やっぱり自然のものもいいし、此処は空気が澄んでいるから星も綺麗だ
気を付けてねディック。警備もそうだけど、きっとまた何か、悪いことが起きるだろうしさ―――。

【にこりと笑って提案を断れば、やがて去るだろう彼の背に、アンドレイは手を振って】
【そして彼が見えなくなるまで見送れば――後は満天、夜を彩る星々へと視線を移した】

/っとこの辺りでしょうか。ちょっと短いですが、お疲れ様でしたー!
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/27(水) 02:00:10.40 ID:Ph7U0qs10
>>405

そいつはありがたいがその前に俺が死なないか心配だな………。
ディハートか、中々に面白いやつみたいだから今度会ったら勧誘でもするかな。

【頭にかけていたサングラスの位置を整えながらそんな事をぽつぽつと口にする―――。】
【一般人であるアンドレイとは違ってディックは戦場を渡り歩くため常に死と隣り合わせなのだろう。】
【とはいえこのちゃらんぽらんな男が死ぬ姿もあまり想像できないが。】

まぁそういう意味深≠ネ所もミソじゃねぇか?
アンタもアンタで自分の信念に、自分の正義に従って生きてるんだろ、アンドレイ。


―――そうか、んじゃあまたどっかで会ったら今度はバーで酒でも飲もうぜ〜

【そんな軽口をたたきながらヒラヒラと右手を振りながら街の方へと降りていく】
【―――最後に、「あぁ、まだ起きるさ」と本当に小さく呟いてから、夜の闇へと姿を消していった。】

//お疲れ様でした!
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/27(水) 02:05:58.75 ID:2IZVdSkY0
>>404
/すみませんー……言葉が全く出て来なくなったので、
/再び凍結お願いしてもよろしいでしょうか?
/今日と同じぐらいの時間であれば再開出来ますので……
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/27(水) 02:13:27.50 ID:wiEP8cxr0
>>407
/了解です、また明日よろしくお願いします!
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/27(水) 02:14:44.14 ID:2IZVdSkY0
>>408
/申し訳ないー…時間の隙間見つけてお返しはしておきますねー!
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/27(水) 02:31:47.36 ID:viuzOfjx0
>>399
【……心の底で、彼は何処かに拠り所を求めていた。自分を肯定出来る何かを探していた。しかし、突きつけられたのは酷とも言える冷たい現実……】
【―――絶対の正義など、何処を探してもある訳が無いのだ。考えてみれば当然だ。正しいかどうかなど、自分の判断によるものなのだから。】
【自分を肯定するのは己の覚悟。自分が正しいと言い切れる勇気。己の信念に対する自信。――――それだけ、たったのそれだけなのだ。】
【自分の知らない「正義」について訊きに来た結果、突きつけられたのは一つ。……全ての答えは、他でもない己の中にあるということ。】

【……覚悟か。自分は何をした?自分はあの後何を思った?……答えは、きっとその中にある。隠れているけど確かに在る、自分の心をもう一度探れ―――!】


私自身の信じる道……か。

……カノッサを抜けた後、私は旅に出ました。本当に自分が信じるべき事を、探しに行きました。私の中に隠れている何かを見出すために……
暫くして、かつて“機関”が破壊した街に行き着きました。そこで見たものは断末魔の表情で果てた人、今なお戦禍に苦しむ人、理由のない暴力に苛まれる人……
愕然としました。……私は、こんなものも見えていなかったのかと。こんな理不尽なことが起こっているのも知らなかったのかと。
今まで欲のままに動いていて見えなかったものが、正しいかどうか考えて物を見ることを始めた途端に次々見えてしまったのです。
同時に違和感が湧き上がりました。なぜ彼らは苦しまなければならないのか、これは間違っているのではないか。

……「罪のない人々が苦しむのはどう考えてもおかしい。正さねばならない。」……稚拙ですが、これが私が初めて見つけた信念です。

正しいのかは分からない。でも、これが初めて見つけた信念です!


【気がつけば、彼の目は据わっていた。つい最近朧げながら見出した信念を、今こうしてもう一度探り直すうちに明確なものとして見出しつつあったのだ。】
【これが自分の信じるべきものならば。これが己の正義ならば。―――――進む覚悟は出来ている。】


私は……戦火から、理不尽な暴力から人々を守る盾になる。降りかかる脅威に対抗できぬ人々の代わりに敵を衝く矛になる。
これが――――わたしの答えです。


【もう迷いはない。靄のかかっていた信念は今やはっきりと此処に在り、進むべき道は己の前に明確に存在している。】
【あとは、進む自信を持つだけだ。足を踏み出す勇気を持ち、一歩一歩進んでいけばいい―――】
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/11/27(水) 05:36:53.50 ID:H68TX8rdo
>>401>>403
【朔夜はふらつく足で立ち上がる。今までと比べれば至極緩慢な動作だったが】
【それでも、確かに彼女は止めの一撃を放つだけの余力を取り戻していた】

(処置を止めれば言わずもがな、下手に動けば肋骨が肺に突き刺さる──右手と足は、実質自由には使えない)
(だが、それでいい。左手と得物が無事ならば充分だろう。もう何歩か歩けば、間合いに入る)

(────首を刎ねて、終いだ)

【しかし。一歩、また一歩。遅々とした──処刑台を登る執行人の足取りで】
【対手へと刀を降り下ろすべく距離を詰めんとした、その時であった】
【甲高いスキール音を響かせて、軍用トラックが双子の傍らに乗り付けたのは】
【そこから現れた人員はみな、双子に負けず劣らずの異形。戦闘要員である事は間違いないと、朔夜は確信する】
【以前の職業柄、彼女はそういった匂いには鼻が利いた。間違いなく、彼らは『こちら側』の人間だ──】

(対物火器なら兎も角、アサルトライフル二挺程度ならば訳もない。防御に徹すれば、今の私でもたやすく凌げる)
(だが、問題はあいつらだ。マインド能力者が一人にサイボーグ崩れが二人、能力の詳細は全くの不明)
(……完調ならば防戦を演じる程度は可能だろう。能力を見切れたなら、隙を見て何人か撤退に追い込むぐらいはしてみせる)
(もしも隣に、あの二人がいれば──愚考か。私も焼きが回ったかな)

……どうやら、命拾いしたようだな。悪運が強いようで何よりだ。

【反射的にかつてのJustice≠フ影を追っていた自分への自嘲交じりに、どす黒い血の混じった唾を地面に吐き捨て】
【トラックの荷台に運び込まれる双子を目に、飽くまでも傲岸不遜に、口の端を曲げて朔夜は笑う】
【嘗められたら終わりだ。そして、勝者は笑うものだ。単純明快な裏社会の掟を、息をするように彼女は実践してみせる】

【だが、実際のところ理解はしていた。あの異形らが自分に向かってこないのは、双子という足枷があるからだ、と】
【もしも朔夜が『間に合って』いたならば、今度は弔い合戦とばかりに、駆け付けた敵の援軍との戦闘を強いられていたかも知れない】
【いや。そもそも戦闘になるかも定かでない。嬲り殺しの憂き目にあう可能性が濃厚だ】
【果たして、命拾いしたのはどちらだったか。柄にもなく弱気な思考を放棄して、無線越しの声に向き合う】

……そちらこそ。精強さで鳴らした雷の国軍相手に、私が来るまで随分と好き放題やらかしてくれたようだな。
堂に入った前線指揮だった。相も変わらず、機関の人材の豊富さには驚かされるばかりだ。羨ましいとは思わんが。

ともあれだ。カノッサ機関ナンバーズ、No.29、カニバディール。
No.50、オーギュスト・デュアル、ギュスターヴ・デュアル。
及びその麾下、盗賊団スクラップズ=B確かに覚えた。
では私も改めて名乗ろう──Justice=A識槻 朔夜。正義の味方の味方、同類殺しの『人でなし』だ。

この程度は貸した内にも入らない、踏み倒してくれて構わんよ。
とでも言ってやりたいところだが、生憎と売られた喧嘩は買う主義でね。

高価いぞ、私の首は。死ぬ気で来い。

【刺すような敵意と怒りの声に対し、命知らずなことに、舌端鋭く挑発めいた言葉を返せば】
【朔夜はやおら左手の得物を掲げ、戦意も露にその切っ先を去りゆく異形らへと据える】
//もうちょっと続きます
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/11/27(水) 05:38:17.37 ID:H68TX8rdo
>>401>>403>>411
【暫くそうしていると、懐で沈黙を保っていた無線機から、国軍兵士たちの声が聞こえ始めた】

カイ。目測で直線距離一キロ弱。あのトラック、狙い撃てるか。

「余裕で射程圏内さ。けど、これ一発で燃料切れだよ。言ってる意味、判るよね?」
手詰まりか。
「そういう事。陽動とは言え、機関謹製の生物兵器が相手じゃあね。こっちも病み上がりだったしさ」

任務が防衛である以上、仕留めきれる確証がない限り、最後の一発は迎撃用にとって置きたい。
無線越しに話し掛けてきたあの男が、まだ近くにいないとも限らないから。と。
「彼、傘下の盗賊団って言ったろう? ああいう手合いは結束が固いってのが相場だ。首領自ら殿軍を務めてる可能性も無くはない」

……道理だな。

【その中に聞き知った声──此度の戦いに際して雇ったフリーランスの能力者の声を認め、剣呑な問いを投げ掛ける彼女だったが】
【返答は否定(ネガティブ)。どうやらこちらも相当にてこずらされたらしく、余力は殆ど無いようだった】
【一頻り話し終えると、今度はやれ鴨撃ちは楽しかったかだのやれ雇用主横暴だの何だの、やんややんやと皮肉と冗談の飛ばし合いが始まるが】

【その最中も朔夜の瞳は、あの異形らが乗るトラックが去っていった方向を、瞬き一つせず見据えていた】
【虹彩の色は、蒼。新たなる脅威に対する、殺意と、拒絶の色だった】
//遅くなってしまいましたが、これにてこちらのレスを〆とします。重ね重ね、申し訳ありません
//長期間お付き合いいただきありがとうございました。お疲れさまでした!
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/27(水) 13:19:19.81 ID:UgMS+HaQ0
【とある公園】

【少々年代が古い公園、さび付いている遊具などがある】
【その公園にはベンチがおいてあるがそのベンチは古いものだ】
【だがその古いベンチに座っている男がいた】

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

【その男はのびをしてのんびりとしているこのような夜だというのに】

ああ、『ドーラ』の修理どうしようかあれ時間がかかるんだよなあ
 いやあ、でもなあいっそのこと新武装作ろうかなあ

【男はそのようにいいなが膝にほおずえをつきながら考える】
【だが考えがまとまらなかったのかため息をはきほおずえをやめてベンチに背を預けた】

【そしてそのとき何かが折れる音とがした】
【「ん?」と男が疑問を作り】

【そのままベンチが倒れて男はベンチと一緒に地面に落ちた】

 っ〜〜〜!

【男がその場で頭をぶつけたのかあたりで転げまわる】
【そして転げまわるのを止め頭を抱えながら静止した】

【もしこの場所を見つけ人が入ってきたのなら、ここで頭を痛そうに抱えている男を見ることになるだろう】
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/27(水) 15:43:48.69 ID:nnVq9QQK0
>>410

【そう、世界に答えは存在しない。しかし、正義の形を追い求め、平和が何かを問い続け、希望を見出す覚悟を持つ事、その探求その物が】
【本当の意味でこの残酷な世界を生き抜く為に必要な、人間としての"戦い"―――真に"生を全うする"事なのではないかと、彼女は思う。】
【難しい事であるし、険しい道だろう。しかし、人は考え続けなければいけない。平和の意味と価値を。生存の尊さを。希望とは何かを。】

【その現実と向き合う覚悟こそ―――UTが目指す物。その為に、まずは自分たちが動いて見せようという、革命への"第一歩"。】
【たとえ一人では不可能に思えても、繋がり、集う事でこれを可能とする決意の集団。UTとは、そんな人間達の集まりだった。】
【勿論、メンバーの全員がそうである必要は無い。正義には数多の形があって、UTはそれを許容し集合体としているのだから。】

【だが此処に集う者はきっとダンと同じだ。残酷な景色をじっと見つめて、そこにある"何か"を見つけた、勇敢な者たちだ。】
【長い長い旅の果てに、彼がようやっと見つけた彼自身の信じるべき"正義"―――どんな剣であろうと、どんな弾丸だろうと】
【決して打ち砕く事の出来ぬ、其れは鋼の"意思"。世界を取り巻く状況に対する疑念、怒り、悲しみ―――そして変革の勇気】

【セリーナは静かに、ゆっくりと頷くだろう。ハットを取り去り、彼の瞳をじっと、見つめて。】
【暫しの逡巡、幾ばくかの沈黙、後に彼女は、言葉を紡いだ。】


 ダンさん、旅ってさ。すーっごく、良いものだよね。
 アタシもね、賞金稼ぎをしながら色んな所を廻ったんだ。馬と一緒に、銃だけ握って、当てもない道をずーっと、真直ぐ。
 賞金首を追いながら、この世界の綺麗な所も汚い所も、たっくさん見てきた。

 ダンさんの旅は、きっと普通の旅とは違う物だったと思う。
 悲しい景色とか、自分がしてきた事とか、逆に自分が出来なかった事とか……
 多分だけど、"後悔"の旅だったんじゃないかなって、そう思うんだ。けれどね、忘れないで欲しい。

 辛い事ばっかりじゃあ、ない。どんなに悲惨な目にあっても、どんなに暗い夜を迎えても。
 今、この世界に、人間は確かに"生きてる"。貴方と同じように、後悔したり、自分を見つめ直したりしながら。
 アタシも貴方も、それに気付いてしまった。そして、"そう覚悟したのなら"―――もう、戻れないよ。


 覚悟は良いね、ダンさん。正しいかどうか、それは貴方が"自分で"―――証明してみせれば良い。
 

 ―――アタシや、アタシの仲間たちと一緒に、ね?
 どうだい、ダンさん。丁度今、貴方みたいに熱くて、強い意志と覚悟を持った"士"を募集してる組織があるんだけど――― 
 不思議な事に其処はね? "元いた場所"がどこだろうと、経歴や年齢・能力の有無を問わずに誰でも参加できる様な"集団"なんだ。


【肯定の言葉。いや、もはや賞賛と言っても良いだろう。彼の意識はこの世において間違いなく、尊い。】
【尊敬の念を込めて、感謝の意を込めて。セリーナが差し出すのは―――"UNITED TRIGGER"のロゴが書かれた、一枚の紙】
【そして、同時に左手を。是非とも、その手を握り返してほしいと、そう願いながら―――後は、彼に選択をゆだねた。】


/大変申し訳ないです……orz
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/27(水) 18:48:33.52 ID:CUN5U71Oo

【路地裏】

【雲に隠れた月が、そこからしばし一切の光を奪っていった。闇の中を蠢く亡者が大手を振って歩くには、ちょうどいい按配であった】
【――――音は、しない。乾いた停滞の世界。しかしいま、そこを誰か≠ェ歩いていることに、気づける者はいるのだろうか】


……………………。

【もし、そんな者がいるとしたなら。その者の炯眼が暗闇の中に捉えるのは、きっと小さな女子の姿なのであろう】
【やや浅黒い肌を闇の中に溶かし、大きな淡黄色の瞳を野生動物のように注意深く窄めて。気配も音も一切を消す歩法の妙技が、そこにはある】

【それでもよく目を凝らせば、真っ黒な厚手のベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着て、残り三分の腕に包帯を巻いた風体も見えてくるかもしれない】
【手には鉄板で補強した革手袋、脚はロングブーツで膝上まで隠れ、僅かに覗く太腿も黒いタイツに覆われていて】
【唯一出ている顔も、暗い赤色をした長いマフラーで口元まで隠れている。極端に肌の露出の少ないそれは、明らかに夜闇に紛れるための服装であった】
【そんな格好に、背中で漆黒の鞘に収まる二本の刀剣が加われば、それは見る者に忍者≠ニいう言葉を想起させるだろうか――――】


…………にげた、か。

【周囲に気配が消えたことを、注意深く確認して…………ぽつりという呟きと共に、そこにいた影≠ヘ単なる少女の様相を取り戻すのだろう】
【濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛って、ふんわりと肩まで流した可愛らしいポニーテールが、頭を垂れた拍子にひょこりと揺れる】
【漏れた言葉からして、どうやら誰かを追っていたが逃げられてしまった、といういきさつであるらしい。俯く少女の顔は、小さな落胆に染まっていた】
【その少女は、物憂げと表現するには少しばかり幼い調子で溜息をつくと、踵を返して表通りへと引き返していく】

【いまでこそ嘘のようだが、只ならぬ雰囲気を纏っていた先程の少女は、確かに周囲に気配が無いことを確かめていた】
【だから――――もし彼女に出会うものがいるとすれば、それは目の前の表通りの光の中か、それとも背後の路地の闇の中から現れる、新手である筈であって】
【しかし、少女の考え得ぬ可能性として。暗闇に溶ける少女の姿を見破り、彼女の察知能力を掻い潜って、ずっとその姿を見つめていた者がいたかも知れない】

【どうであるにせよ…………これから会う相手がどうやって、何の為に、何の目的で自身に接触したのかなど、未来も読めぬ小さな少女に知る由など無いのだろう】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 18:56:55.76 ID:13t5NWkSo
>>415
んー………。

【月明かりの失せた路地裏に、不似合いな程のんきな声が響く】
【声の音源は表通りに通じる道筋からで】
【もしその方向に目を遣ったならば、そこに一つの人影がある事が認識できるだろう】

【黒髪のショートが風に靡き、アホ毛がひょこひょこ揺れている】
【奇特な雰囲気を持った少女だ】
【あどけない顔立ちに、幼さを残した身体つき】
【彼女はセーラー服を着て、着こなしていた】
【紺のセーラー服はどこか古めかしいデザインで、しかし少女の印象を害させるものではない】
【腰にはゴツい形状のガンベルトが巻かれ、そこには拳銃の代わりに一振りの剣が差されてあった】
【―――霊剣】
【とある伝承に登場する剣の模造であるそれは、劣化ではあるが、しかし、確たる霊気を帯びている】

【少女はその奥に潜む人物に気を払う様子も見せず、路地裏を進んでくる】
【片手を顎に当て、何かを訝しむような素振り】
【しばし無言を貫いていたが、やがて】

―――あれ?これ迷った?

【間の抜けた台詞と共に、きょろきょろと辺りを見回した】
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/27(水) 19:19:01.21 ID:UgMS+HaQ0
【とある公園】

【少々年代が古い公園、さび付いている遊具などがある】
【その公園にはベンチがおいてあるがそのベンチは古いものだ】
【だがその古いベンチに座っている男がいた】

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

【その男はのびをしてのんびりとしているこのような夜だというのに】

ああ、『ドーラ』の修理どうしようかあれ時間がかかるんだよなあ
 いやあ、でもなあいっそのこと新武装作ろうかなあ

【男はそのようにいいなが膝にほおずえをつきながら考える】
【だが考えがまとまらなかったのかため息をはきほおずえをやめてベンチに背を預けた】

【そしてそのとき何かが折れる音とがした】
【「ん?」と男が疑問を作り】

【そのままベンチが倒れて男はベンチと一緒に地面に落ちた】

 っ〜〜〜!

【男がその場で頭をぶつけたのかあたりで転げまわる】
【そして転げまわるのを止め頭を抱えながら静止した】

【もしこの場所を見つけ人が入ってきたのなら、ここで頭を痛そうに抱えている男を見ることになるだろう】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/27(水) 19:39:48.72 ID:CUN5U71Oo
>>416

【かつ、という小さな足音。表通りへ向かっていた小さな歩幅が、一瞬にして停止し、同時にその体から気配≠ェ掻き消えるだろう】
【少女――――いや、一瞬にして忍≠フ顔に戻ったその淡黄色の瞳が、一瞬で真後ろへ向けられるだろうか】
【表通りの側から現れた、黒髪にセーラー服の少女。それだけであれば、この少女の行動は警戒に留められていたのだろうが…………】

(なんだ、このかんかく≠ヘ…………!?)

【いま、少女の肌を――――ガンベルトの中の剣が発する力≠ェぴりぴりと突き刺していた】
【元より忍として、人よりも鋭い感覚を持っているこの少女。そこにある霊気≠ニいう力もまた、その鋭敏な第六感は逃さず捉える】
【恐らく、ここでお互いにとって最も不運だったのは…………この少女が、その霊気を浴びたのが初めてであったことだろう】
【少女は、その力が聖なるものなのか邪なるものなのかを判別できない。加えて、今の今まで敵を追っていたばかりで、気が立っていたこともあり】

【――――肌から感じられる何らかの干渉を、敵意だとか殺気だとか、そういうものだと勘違いしてしまっても、おかしくはない状態だった】


ッ…………!!

【一度そう思い込んでしまえば、少女は躊躇わず決断を下した。やられる前にやる≠ニいう、残酷な決断を】
【もし少女が、気配を消して再び闇色に染まった忍≠見失っていたなら。それは闇の中にぽっかりと二つの穴が開いたようにも見えるかもしれない】
【光に反射する猫の目のように、少女の瞳が突如月色の輝きを発したのだ。その体が動くのに合わせ、それは空間に二条の線を引いて――――】

【――――次の瞬間、一枚の手裏剣が、空を切って少女の右の太腿へと迫っていく!】
【手裏剣は軽い材質で作られていることもあってそれ程大きな威力は無いが、当たれば右太腿に浅く突き刺さって少女の機動力を落としてしまうだろう】
【そして、厄介なことに…………この手裏剣にはツヤ消しの黒い塗料が塗られていて、飛翔するそれは闇夜に溶けて非常に判別しづらい】
【視覚だけで捉えるには難易度の高い攻撃――――しかし、刃が風を切る音までは消えていない。聴覚を研ぎ澄ませば、防御や回避もし易くなるだろう】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/27(水) 19:46:46.13 ID:viuzOfjx0
>>414
【あの戦いの後の旅は、自分に多くの現実を見た……その多くは悲愴で、凄惨で、冷酷なものだった。直視出来ないような残酷なものだった。】
【しかし、彼は目を背けることなく見続けた。全てを受け入れ・反芻し、網膜に・脳に刻んでいった。そうすることで何か見えてくる気がしたから……】
【それは彼にとっても辛いものだった。現実が見える度に後悔が募り、自分を責め立てた。変えられぬ過去に対するどうしようもない後悔に悶えた。】

【身をもって過去が変えられないと知った彼は、次に変えられる“今”に向き合った。後で振り返れば「正しかった」と胸を張って言えるような“今”を作ることにした。】
【何をすれば正しいと言えるのか……それは、たった今見つけた。戦火から、理不尽な暴力から人々を守る盾になる。降りかかる脅威に対抗できぬ人々の代わりに敵を衝く矛になる。】
【旅先で見たような苦しむ人々を、一人でも多く出さないようにする。―――それが戦い、旅をして、ようやく自分が見つけた答えだ。】

【もう後悔はしない。迷いもしない。己の信じる道を突き進めば、きっとその先に本当に正しいと言える自分が見えるに違いない。】
【あの少年との戦いに見た本当の強さの正体が、羨ましい程の輝きの正体が、必ず見える――――そう、確信した。】


【そして――――漸く進む道を見つけた彼には、“仲間”が待っていた。UT――――己の正しさを貫く志士の集う組織だ。】
【其処の戦士の強さは、身を以て知っていた。機関の計画は、幾度となくその戦士たちの強き意志に挫かれていたのだから。】
【かつて信じる道を知らなかった彼は、その強さが不思議で仕方なかった。……しかし、今は強さの源が分かる気がする。】

【そして、自分も彼女らのように強くなれるのなら、誰かの為に戦えるのなら――――共に、道を進みたい。】


もし叶うなら、私も共に進みたい。一人では護れない人々も、きっと皆さんがいれば護れるはずです。
私も戦えるなら……変える力になれるなら……そうなりたい。


――――宜しくお願いしますね、セリーナさん。


【彼女の言葉に、グッと頷いて答える。もう声にも表情にも迷いはなく、代わりに強い意志の力を感じさせる。】
【かくして、かつてカノッサに身を置いた男は己の道を克明に見出し、己の正しさの下に此処に集った――――】


【――――が、左手を差し出されると、少し困ったような表情を見せた。】
【覚悟は出来ている。差し出された左手は出来ることなら握り返したい。しかし――――】

……申し訳ない、出来ることなら右手をお願いします。この通り、左手はどこかに飛んでいってしまってね……ハハハ

【苦笑いしながら、何も通っていないコートの左袖をヒラヒラと揺らしてみせる。―――肩から先が無くなっているようだ。】
【勿論彼女に悪意があるわけではないことは分かっている。……彼は、簡潔に訳を話した。】

【此処を訪れる数日前、不確かながら抱いた正しさを胸に初めて人を護る為に戦った。雷の国・ブレザシティ侵攻の時のことだ―――】
【理不尽な暴威をおかしいと感じた彼は、戦いの末爆風から兵と塔を護った。しかし、引き換えに腕を一本吹き飛ばしてしまった……とのこと。】
【初めて人を護る為に戦い、そこで感じた物。―――それを知りたくて此処に来たのだが、大正解だったらしい。】

【――――ともかく。改めて右手を差し出されたなら、彼は力強く握り返すだろう。今度こそ迷わないように、しっかりと――――】

//いえいえ、お気になさらず!もともとは此方が遅いのが悪いですし……
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 20:15:02.14 ID:13t5NWkSo
>>418
しっかし何処だここ………?

【少女は周囲を見回すが、見覚えのない空間に戸惑うばかり】
【そういう土地というのは、えてして不安を煽るものである】
【………さっさと宿に戻りたいなぁ】
【そんな事を思いながら、しかめっ面で路地裏を歩いていく】

【その時だった】

――――――?

【ふと、少女は前方に目を遣る】
【小さな細い月が二つ、宙に浮かんでいた】
【疑問に思うより早く、その細月は線を作り―――】

――――――つっ!?

【始めに違和感を覚え、次に痛覚を感じ、最後に分かったのは己が危機に迫っているという事だった】
【少女が目線を落とすのは己の右脚】
【薄暗い空間に、真っ赤な鮮血が花開いていた】
【太腿の部分に、黒く塗られた手裏剣が突き刺さっていたのだ】
【つぅ、と血がゆっくりと垂れていき、コンクリの地面を赤く染めていく】

【少女はその場にしゃがみ込み、警戒を張ると】
【左手を鞘に当てながら、逆の手で刺さった手裏剣を抜き取る】
【痛みが走るが、それ程深くは刺さっていなかったらしく、それはすぐに抜き取れた】
【血に濡れた手裏剣を地面に投げ捨てると、少女は柄に手を当て、剣を一気に抜き放つ】

【――――――ジジジ――――――】

【少女が抜き放った霊剣が、異質な圧を放ちだす】
【異質で、異彩で、それでいて人に馴染むような、そんな圧】
【所謂霊気≠ニ呼ばれるそれは、ゆったりとした揺らぎを持ちながら、その場に顕現していた】

………何の仕業?一体ボクに何の用さ?

【しゃがみ込み、剣を構えながら、少女は前方の月瞳≠ノ問を放つ】
【妖≠フ気配を感じないという事は、妖魔の類ではないらしい】
【―――ならば一体、何の為に攻撃を仕掛けてきた?】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/11/27(水) 20:21:28.76 ID:F6MJpS8fo
【――此処は、とあるはぐれ街が良く見える小高い丘である】
【最近何かと多分野で活躍し始めたその街を見下ろすのは三つの影】

【1つは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【1つは眼がレンズで出来た二足歩行で執事の服装をしているコウモリである】
【そしてもう1つは――どうやら、ただの人間のようだが……】

『実験台を連れて参りました、邪禍様』 「どォれ、こォの配分はどォー出ェるか……」

【――否、ただの人間という言葉は撤回しよう】
【邪禍と呼ばれたその者が、片手を触れると――いきなり、虹色の魔翌翌翌力を辺りに散らし始めて】
【それにともなって、身体がみるみるうちに変化していく】 【――それが止まった時、そこには】

{グフフヘヘヘ} 「……ふゥむ、駄ァ目なパターンかァ?」
{駄目なんかじゃアないっすよ邪禍様ァ、オレはこの進化を望んだんだ……[ピーーー]で[ピーーー]な[ピーーー]で……グフフ、早速[ピーーー]……}


【……煩悩まみれな赤黒いスライムが居た、そのコアは先程放出された魔翌翌翌力と同一の色である】

「…………一応、こォの配分は希ィ望があァる程ェ度通る、と」 『データの追加が完了いたしました』

【さて、人里からははぐれ街を除きだいぶ遠いこの場所だが、】
【何か良からぬモノを感じ取った者や、あるいは同じ様な道を望む者が、迷い込むのだろうか】

/10〜11時の間に落ちます
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/27(水) 20:51:43.25 ID:CUN5U71Oo
>>420

【手裏剣の着弾と同時に月の光は消え、「だん、だん」という小さな音が連続するだろうか】
【一度目は地面の近く、二度目は少し上方からの音。路地の壁に設置された室外機を足場代わりに跳躍し、パイプを掴んで壁に張り付いたのだ】
【といっても、闇に溶ける矮躯は非常に視認し辛く、気配も完璧に断たれてしまっている。先程の手裏剣と同じく、視覚に頼って見つけるのは難しい】
【あるいは、少女の探知能力が常人以上に鋭ければ――――消された少女の気配も、掴めるかも知れないが】

きさまこそ、何ものだ。さっきのやつの仲間――――っ!
まただ、このふゆかい≠ネかんじ…………!

【少女の言葉に返ってくるのは、幼い語調の子供の声。狭い路地に反響して声の出所はやや撹乱されているが、少女から見て斜め上の位置からだ】
【その声は問われた誰何を逆に問い返し、その直後――――より強く肌を焼き始めた未知の感覚が、闇に呑まれた幼い表情を歪めて】
【霊気という力に触れたことも無い少女は、タイミングの悪さも大いに相まって、その感覚を害意であると相変わらず思い違えたまま】
【より圧を増す力を反撃≠ニ取ってしまったのだろうか。少女は脚に強い力を込めて…………音も無く、敵≠ニ誤認した黒髪の少女へ跳躍する】


――――はぁっ!!

【しゃらん、という刃が走る音が聞き取れるだろうか。暗闇の中を、鋭い剣の反射光がほんの僅かに切り裂く】
【その矮躯が黒髪の少女へ近づけば、流石にそちらにも視認できるはずだ。空中で体を捻って回転し、勢いを付けて襲い掛かってくる矮躯が――――】
【それは両手に曲刀≠ニ直刀≠それぞれ構えた奇妙な二刀流を引っ提げ、回転で勢いを乗せた鋭い峰打ち≠右肩目掛けて繰り出す!】
【刀剣の本分である斬撃ほどの威力は無いにせよ、大振りな打撃が直撃した場合、一時的にせよ肩を動かせなくする程度のダメージはある】
【とはいえ、気配や声などによって闇に紛れたこの攻撃の主の姿を少しでも捉えていたのであれば、防御することは難しくないだろう】

【…………さて。先程発せられた言動から、声の主が何か誤解をしていることに、少女もそろそろ気づくかもしれない】
【それを説明してやれば、きっとこの戦闘もすぐに終了するのだろうが――――】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 21:25:13.47 ID:13t5NWkSo
>>422
仲間って誰の―――!?

【問に問が返ってきて、更に問を返すだけ】
【これでは堂々巡りになる一方だ】
【少女は柄を握る力を強くしながら、冷静に気を張り巡らす】
【声が響いてきたのは、おおよそ自身の斜め上】
【あの一瞬でこうまで移動したのだとしたら、見事な俊敏さだ】

………こーいうのは苦手だけど、このままじゃあ気が収まらないよ、ねぇ!

【少女はあくまで退魔師であり、人間と対する事は滅多にない】
【故に対人戦でのノウハウを持ち合わせておらず、(おそらく)戦い慣れているのであろう相手に対してハンデがある】
【それに、少女自身の信条としても、あまり人と刃を交える事を望まない】
【だが―――先に攻撃を受けた以上、このまま引き下がるのは癪に障る】

――――――そこっ!

【刃の音が聞こえ、次に見えたのは鋭い反射光】
【錯覚とも思える僅かな感覚だが、しかし少女は逃さない】
【相手が姿を見せる以前より、どこから湧いてくるかは把握した】
【ならば、例え相手が攻撃を仕掛けてきたとしても、その対応は容易であり―――】

【迫ってくるのは勢いのある峰打ち=z
【鋭い攻撃だ】
【しかしそれは予見済み】
【当人が直接攻撃を仕掛けてきている以上、レプリカに過ぎない霊剣の異能で払う事は難しい】
【ならば直接叩き込むまでだ】
【少女はしゃがみ込んだまま、剣を振り放つ】
【峰打ち≠ノ対して、直接刃を交えようというのだ】

【ガギィ!と刃同士が噛み合い、力が拮抗する】

【だが、ここで押される訳にはいかない】
【見れば相手の体格は小さく、筋力で圧倒的な差があるという訳ではない】
【それに相手は宙に浮いている、という事は、踏ん張りが効かないという事】
【対してこちらは地に足つけたままで、更にはしゃがみ込んだまま】

―――お、らっ………!

【少女は握る手に力を込め、そのまま相手を振り払おうとした】
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 22:09:48.65 ID:twosFmNRo
【喫茶店】

【幾つもの商社や銀行の高層ビルが犇めく世界でも有数の都市】
【その中でも経済の中心、ダウンタウンにある古いビル…その1階には】
【周りのモダンに対抗するかのように残り続けているカフェテリアスタイルの喫茶店があった】
【その取り残された雰囲気が逆に回りのビジネスマンたちを引き付けているのだろうか】

……っと…いつもすまないね

【会計を済ませ、牛乳のグラスとサンドイッチが乗ったトレイを持って歩く人物が居た】
【ブラウンのトレンチコートに同じ色の中折れ帽を被った青い目の鷲鼻の男だ。窓際の席につく】
【堀の深い顔に細めた目。極々微笑のような表情を浮かべて愛想の良さそうな雰囲気を醸す】
【スーツは高級な生地の濃いグレーで印象の良い色のネクタイを絞めている。】
【ネクタイの結び目の上には黒い金属で出来た十字の勲章のようなものを付けていた】

……研究部のフレックスタイムも…少しは何とかしたらどうなんだろう
少なくとも…約束した時間ぐらいは守ってもらいたいものだ…

【ボヤきながらグラスに口をつけ、革の鞄からマチの付いた書類袋を取り出して】
【その中身に目を通しながらサンドイッチを片手で食べていく】

…ふう、こんな計画書でも通るのか………どこから資金を得ているんだろうね…いやはや

【背広の襟にGINと書かれたピンを止めている。本社がすぐ近くのためそこの社員だとだれでも分かるだろう】
【同時に…GIFTの人間だということは誰が分かるのだろうか、同じ人間かそれとも…】
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/27(水) 22:18:13.61 ID:CUN5U71Oo
>>423

(…………?)

【翳された霊剣が、峰打ちから黒髪の少女の身を守る。振り切った分の反動が、剣の主の掌へ鈍い衝撃を伝えて】
【その瞬間、肌を刺す感覚がひときわ強く感じられて…………少しばかりの違和感に、その表情が疑問に染まるのだが】
【腕に掛かる抵抗が、思考を中断させる――――自分が害意と感じている力が、目の前の人間ではなく剣の方から出ていることに、気づくには至らない】

【戦闘は継続される。一時空中に留まった少女の体に、振り払われる力へ拮抗する術はなかった。その体は力に従い、後ろへと引き離されるだろう】
【――――いや、引き離されるというよりは、吹き飛んだと言った方が正しいか。振り払われる瞬間に腕に力を込め、より距離を稼いだのだ】
【再び路地の影にその身を溶かした少女だが、大きく飛んだ分着地音も大きくなったようで、大まかな位置を黒髪の少女へ伝えるだろうか】

(…………ちんぴら≠ノしては、みょうにできるやつだ…………!)

【黒髪の少女と出会うより少し前、この少女が相手にしていた連中であれば――――今の一撃で、確実に行動不能に出来た筈】
【心中に走る驚愕が、少女の警戒度を引き上げる。闇の先にいる敵≠、猫のように大きな瞳で鋭く睨み付けて】
【その後、少女は少し後退して、しゃがみ込むのだが…………この動作、少女が今まで以上に音と気配を消すことに徹したため、判別はかなり難しくなっている】

【――――そして、しばし静寂が訪れる。気配も音も無いその間≠ヘ、敵が撤退したのではないかと誤認してしまう程に、静かであって…………】


…………!!

【もしも黒髪の少女が、その間≠ノ騙されて背中を向けたりしたのであれば、非常に危険だろう】
【気配も音もなく、ただ一瞬だけ微かに、闇の奥で二つの月が瞬く。それは確かに、影の中に身を潜めた忍者≠ェそちらを狙っていることを示していて】

【そして、次の瞬間――――黒塗りの体で暗闇に身を溶かす針≠ェ二本、それぞれ黒髪の少女の左脚と右腕へ飛翔していく!】
【針とは言っても、針治療に使われるような軽くて細いものだ。多少刺さったところで、先程の手裏剣以上に軽微なダメージしかない】
【…………だが代わりに、針にはべっとりと麻痺毒≠ェ塗られている。この攻撃、針は針でも毒針≠ニいうわけだ】
【毒とは言っても[ピーーー]ためのものではないため、効果は針が刺さった部位周辺の筋肉をしばらく動かしづらくする程度に留まっているが、危険には変わりない】

【厄介なことに、手裏剣と違って細いフォルムのこの武器、飛んでいる最中も殆ど音がしない。耳で捉えるのは非常に難しいが】
【しかし塗られた毒は、液体である以上光に反射する――――飛翔途中、僅かにきらりと光るそれが、針の攻撃を見切る大きな手がかりとなるだろう】
【それを見逃したとしても、発射の瞬間にはあの瞳の光≠烽る。今までと違って、今回は視覚≠頼りにした対象が有効というわけだ】


/遅れちゃってごめんなさい……!
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/27(水) 22:19:40.56 ID:2IZVdSkY0
>>404


【自分は一人だけ。だから、生まれ変わっても、見えている世界は一つだけ。】
【極めてシンプル、分かり易い論理だった。そういう考え方もあるのね、と少女は納得して見せるのだろう。】


―――――………ふーん。


【過去の記憶がある、と言われたのだ。彼女が話す抽象的な、比喩的な部分は全て、恐らく其の事を示しているんだろうと、】
【少女は何となく理解する、が。彼女と自分は根本的に価値観が異なる事を悟れば、それ以降の事は分かりようがない。】
【―――常日頃思っていたこと。いぬかわは質問を最後まで渋っていた、が。腹を括ったのだろう、慎重な面持ちで口を開いて。】


あのさ、言いたいことは、大体、わかったんだけど。―――何でそこまで、他の人にいろいろ出来んの? 
有名になりたいなら、もっと効率いい方法、あるじゃん。それにさ、他人って、自分には、関係無いし。
全く。正義の人とかさ、よくあんなこと、できるなーってね。

……ああそう、バカにしてる様に聞こえるかも知れないけど、私はそんなつもりじゃないの。
純粋な、疑問だから、怒らないで、出来たら教えて欲しいなー、ってね。


【メリットとデメリットだけで生きる彼女にとって、其の行為自体、理解不能だったのである。】
【自分には関係のない他人の"明星"に何故なろうと思うのか。或いは、何故其の方法でないといけないのか。】

【自分とは相反する価値観。だからこそ聞いておきたい、なんて少女は思ったのだろう。】
【彼女が話す言葉に、少女が食いついて見せたのは、きっと此れが初めての事。】


/お返ししておきます!本日もよろしくお願いします!
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/27(水) 22:28:06.31 ID:g0LmH+ejo
>>424
「――だー糞……! だーかーらーしっかりやらないと殺れないつったのにー! ……ッス」

【喫茶店。男性が窓際の席に付けば、その座した席の後ろでそんな声を漏らしながらかちゃかちゃとタイプ音を響かせる女の存在を認識できただろう】
【そこに居たのは、プラチナブロンドの髪をボブカットにし、前髪はアシメ気味にした童顔の女だ。雰囲気からすると20歳前後とみられるだろうか】
【服装は黒とピンクのオーバーサイズ気味のマウンテンパーカーに、下はホットパンツ、黒タイツ。足はエナメル系のスニーカーというカジュアル系のファッション】
【女が叩いているのはミニノートのキーボードであり、もし男がそのPCを視認し、起動しているアプリなどを見たならばGINの――それも、GIFTに対して卸しているものだと分かるかもしれない】
【右耳には十字の紋章を象ったピアスが一つ。ピアスを揺らしながら、女はキーをタイプし、ぶつぶつと苛ついた様子で言葉を漏らしていた】

「――あー糞、マジで糞……! ……ッス。
もう、なんなんスか、これ。もー……っ、ていっ――――っふ……ぅ?」

【苛つきつつも、珈琲を啜り、ちびりちびりとポテトを摘んで操作を続ける女】
【女が暫くタイプを続けた後に、ぐったりしたように背もたれに背を預けた数分後の事だ】
【ビル街でにわかに騒ぎが起き、数区画離れたビルの方面へと、救急車やパトカーが走っていったのは】

「……うし。これで領収書は切れるッスね。
すいませーんっ、エッグベネディクトとパンケーキとココアお願いしますッスよー」

【おしぼりで額をふき、首筋を拭き、ふへぇとため息を付いてからテーブルに突っ伏し一息】
【ぐいっと身体を起こすと、女は満面の笑みで追加注文をするのであった】
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/27(水) 22:36:32.34 ID:Fv3Go4qe0
【街灯等の人工的な光も無く、月明かりのみが照らし出す草原】
【かち合う音が続き、ドン――――と音が響き渡ったかと思えば後に訪れるのは静寂】
【…………月の光に照らし出されたシルエットは一つだけ。否、正確には二つであるが……その場に立つのは、一人だけ】
【櫻の国の纏い物。甚平と呼ばれる其れを着た女性。身長は大体150と小柄であるけれど】


「桔梗様は結界を張る仕事もあるし、身体も強くないから仕方ないけど…………全く、沙蔓様も人使いが荒いんだから…………
アタシよりもあの人が行った方が何倍も効率が良いと思うんだけどな。大体にして代々続く忍の末裔と侍女とじゃどっちの方が人捜しに向いているか歴然としているじゃない……」

【握った刃から滴る鮮血を一度振り払い、チン。と軽い音を鳴らして刀を鞘に収めたならば、深い溜息】
【――――恐らく、事情は独り言の通りなのだろう。人捜しを頼まれたが、どう考えてもその頼んだ本人の方が優れているのだから釈然としない】
【地面に落ちた笠を拾って被り直せば、つい先程自分が殺生した存在へと視線を下し】

【3メートルほどの人型の怪物。知性は無く、ただ暴れるのみだが巨体故に其れが厄介】
【腕の一振りで人間は勿論の事、熊だって簡単に殺す事が出来る怪力。…………そんな怪物を、一人で仕留めたのだ】
【となれば、一般人とは考えがたい。異能持ちか、或いは武術に優れた者か―――――】


「大体、アタシは櫻の国から出た事もあまり無いのに…………妖怪の相手は嫌と言う程してきたけど、魔物とか人間の相手はあまり経験が無いのよね
兎に角自分の足で歩かない事には始まらない、か。こんなデカブツの相手を何回もしてたら疲れるし、取り敢えず町を――――――」

【草履で草を擦る音を響かせながら町へ向かおうとしたその刹那。甚平の内側から淡い光が漏れて】
【不機嫌な表情で取り出すのは水晶玉。何やら女性とはまた別な人物が浮かんでいるが――――認識は難しいだろう】
【何処か安堵した様な表情を浮かべるのも束の間。大きく息を吸って――――】


「こんの、馬鹿!!アンタがいきなり呼び出すせいでアタシは訳の分かんない変な生き物と闘うハメになったのよ!!
息臭いし汚いしで大変――――無事でよかったねー。じゃなくて謝罪の一つ位しなさいよ!ったく…………じゃあ、アンタの方も頑張って探しなさいよ」

【傍から見れば、何か光ったと思えば急に罵声を浴びせかけるのである。嘸かし奇妙な光景に見えるであろう】
【更に悪い事に、上記の通りこの場には月光以外の光源が無い。ともなれば――――先程の光、中々に目立ったことだろう】







【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】

429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 23:01:27.25 ID:twosFmNRo
>>427

【男は背後のワチャワチャとした声には暫くは反応せず】
【サンドイッチを食べながら研究部の企画書に目を通していた】

…ま、私のような凡人にはわかりっこ無いがな…まるで企業スパイだ

【牛乳で流しこみながら、ガラスに映る背後の彼女をその微笑の眼光で見】
【また、目線を書類に戻すと、整えて袋に仕舞って、ヒモをグルグルと巻き直した】

【椅子を引いて、立ち上がれば。綺麗に磨かれた革靴の踵を返す】
【カツ、カツと歩き彼女の斜め後ろに立てば、目の前に書類袋を差し出して】

失礼…これを君の上司に渡してくれないか?……領収書のついでに…ね

【目が合えばニコリと笑いかける。ただその目は蛇のように狡猾でギラついている】

…心配しないでくれ。…私も似たようなものだ……今は出向中の身だが

【ネクタイの上にある黒い十字。GIFTの金十字とはどこか違うが…形は似ている】
【歳相応かそれ以上の何処かの国の士官のような雰囲気を持つ男はその通りの口調だった】

いや…それにしても…君もご苦労なことだ。こんなところまで仕事かね?
私は紙とペンばかりでね………何か”栄誉ある”仕事かい?
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 23:12:27.04 ID:13t5NWkSo
>>425
………また見えなくなった?

【振り払った後、少女はその場で立ち上がる】
【先程まで感じていた感覚も消え失せていて、その場に残るのは暗闇と静寂のみ】
【消えた―――と、そう思えるまでに気配は見えなくて】
【しかし少女は剣を構えたままだった】

(………このまま逃げるってぇタマでも無さそうだからねぇ)

【少女が思うのは、決め付けとも言える直感】
【しかし彼女はそれを信じて疑わなかった】
【柄を握る力を強くしながら、相手が消えた暗闇をしかと見据えて】

【しばらくの静寂の後、闇夜の中に先程の細月≠ェ浮かび、微かにきらめく二本の針を見た】

―――祓え、クサナギ!

【それを認識したと同時、少女は叫びの声をあげて剣を振るった】
【あの瞳が見えたという事は、何らかの攻撃が仕掛けられたという事】
【そして細月≠ェこちらに近づいてきていないというのだから、つまりは遠距離からの攻撃だ】
【ならば―――霊剣の異能を発揮する事が出来る】

【――――――ジ、ジジジ、ジ――――――】

【霊剣が放つ霊気が一点に収束していく】
【それは異能が放たれる前振り】
【毒針≠ェ迫り来る中で、しかし少女は動じずに剣を振り下ろしたままで】

【――――――ジッ!】

【一瞬後、収束していた霊気が一気に爆発した】
【その爆発は障壁の如く少女の前方を覆うようにして展開される】
【直後、二本の毒針≠ェ少女の脇を抜けていく】
【霊気の障壁に衝突し、流れるようにして逸らされたのだ】

………いい加減にさあ、止めてよねぇ。

【針が地面に落ちたのを確認すると、少女は前方にいるのであろう相手に語りかける】
【剣を構えたまま、しかし敵意や殺気は微塵も見せずに】

別にボク、アンタに害を為そうとかしてないじゃん。
それなのに何で攻撃仕掛けてくるのかなぁ………嫌がらせ?

【はぁ、と呆れるように溜息】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/27(水) 23:12:45.90 ID:g0LmH+ejo
>>429
「――ん、はぁ……どうもッス。
んじゃ、ついでにおにーさんの分も領収書に付けとくッスよ。どうせ私の金じゃねーッスし」

【こちらへと歩いてきて、目を合わせて笑いかけた瞳を見た瞬間、エメラルドグリーンの双眸は異様に冷たい光を宿す】
【即座にヘラリとしたぱっと見の人当たりのよい薄っぺらい笑顔を浮かべて、ふかぶかと頭を下げながら書類袋を受け取った】
【隣の鞄に書類袋を仕舞い込み、端末もシャットダウンして一緒に仕舞いこんでから、ごますりモードへと完全に移行した】
【目元を細め、口元は常に口角を上げ、声は不快にならない程度の猫なで声で、全身から無害そうなオーラを吐き出してみせる】
【卑屈なものが多い戦闘兵の中でも、ここまで徹底して自分を下に置いた振る舞いをする者はそう多くは居ないだろうか】

「一応私、戦闘兵のまとめ役ッスから――。連中を殺さずに殺すのが私の仕事っすよ。
……栄誉。なんて私には過ぎたるものッスけどね。金と評価が貰えるなら、相応に頑張るだけッス。
……あ、当然もうお上の命令には逆らいませんッスよ!? そりゃあもう能力者サマに比べたらゴミクズのような無能力者の私ッスからね!
でもゴミクズなりに頑張ってこれでも皆様の為に成果出しては居るんスよ? あ、当然もう私らが100頑張った所で能力者サマの1には足元にも及ばないんスけど!」

【揉み手に平身低頭。発言の隅から隅まで、相手がGIFTの所属とわかった瞬間に相手を上げて自己を下げる発言でいろどり尽くす】
【それは特に、相手の士官のような雰囲気などからも、唯の研究員か何かではないというふうに認識したからこそ】
【逆に相手が無能力者だったり、自分と大差ない立ち位置だったことがわかれば、即座に手のひらを返して煙草を咥え始めることだろう】
【基本的にこの女のこのような態度は単なる処世術であり、心の底からそれらの言葉を吐いているわけではない】
【ただ、病的なまでの劣等感と自己嫌悪が、さらさらとそのような発言を口頭で自動生成することを許していた】

「おー、来たッス! あ、何か食べなくても良いッスか?
どうせ奢りッスから、好きなもの頼んじゃったほうが良いッスよ?」

【頼んだエッグベネディクトとパンケーキとココアを前に、打算的ではない心からの笑顔を浮かべる女】
【慣れていないぎこちないマナーの良さでエッグベネディクトを食べつつ、飲み込んでから何か頼まないかと問いかける】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/27(水) 23:18:23.51 ID:wiEP8cxr0
>>426

……まず私は、損得勘定というのは後からついてくるものだと考えているからね。
先々から自分の利益のために手を打って立ちまわる事を、必要ないとは言わないけれど。

【もっともな質問。それに対して、蛍は足を組み、くすりと口元を緩めながら答えた】
【利益と不利益の考え方を知らないわけではない。ただ、それを第一義にしたくはないのだ、と。】

その上できみの質問に答えるなら、……そうだね。
「誰かが哀しいさだめに負けるのを見たくない」というのが、私なりの我儘の形なんだ。
何かが出来る局面で何もしなければ、誇れる自分を失くしてしまうから。
私は、私であるために、誰かのために力を尽くす――自分本位であることと他者本位であることは、別に矛盾することじゃないよ。

【明滅する光が、二人の顔を照らし、その影を浮かび上がらせていく】
【蛍は、いぬかわに自分の在り方を押し付けることも、逆にいぬかわに自分を合わせることもせず】
【己かくあるべし、という考えを、率直に語りかけていた】
【――これだけの本音を吐き出すということは、蛍もまたいぬかわとの関係に尋常ではないものを感じている証左だった】

……ふふ。他人と自分は関係ない、というわりには食いついて来たよね。
まぁ、こういう考え方もあるというだけの話さ。

【それでも彼女は、あえて涼しげにそう言って、デッサンの紙に今一度手をつけ始めるだろう】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/27(水) 23:40:37.56 ID:2IZVdSkY0
>>432


―――そう、………


【マグカップを両手に取り、唇を縁につけると、続く言葉と共にコーヒーを飲み込んだ。】
【とても、苦い。然し今度は、口直しのロールケーキを食べる事などはせず、寧ろどこか目線は上の空、】
【色んな事を、頭の中でぐるぐると渦を巻いて廻して居るような、そんな風にも見えた事だろう。】

【少女が口を開いたのは、それから数分後のこと。―――彼女なりの答えが、出たようで。】


自分本位に生きた結果、他人本位でもあった、って。
自分の為に何かしながら、それは他の人の為にもなったって、言ってるんでしょ。

すごいじゃん。言い方悪いけど、運が良かった、っていうか。

私はさ、ほたると違って、もう、自分本位に生きたら、凄いこと、なっちゃうんだよね。
あんまり、詳しくは、言わないけどさ。―――それでも、止められないというか、止めるつもりがないというか。

………あーもう、結局、皆、自分本位、ってことにしとこ。そしたら私も、気分いいしね。


【此の少女にとって、彼女の思想の全ては"運が良かった"の一言で帰着するのだろう。】
【人間は全て、自分本位であり、其れが他人本位と重なったのは、飽く迄も"偶然"―――そういう意識。】
【恐らく、彼女の真の意味する所とは、丸で異なった解釈だろう。然し真に我儘な少女には、此れが限界だった。】


そうね。何だかんだで、私も、変わってるのかも。…………


【再び少女は、マグカップに口を付ける。今度は呟くように、ほたるには聞こえないように、】
【『………ほたるのお陰でね、』と言葉を紡げば、残ったコーヒーを全て、飲み干すのだろう。】

【―――ブラックコーヒー独特の苦味と酸味にも、徐々に慣れてきた様な、そんな気がして。】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 23:40:39.12 ID:twosFmNRo
>>431

いや……私はいい。…そちらではなく、会社の方で落とす
ははっ…今日も残業させられたからね…せめてもの抵抗さ

【男はそう言って、またニコリと笑いかける。作り笑いならこちらの方が上手い】
【幾ら口で笑みを作っても、タイミングは遅れてしまう。慣れていても目まで笑わせるのは難しい】
【彼はそのへんの処世術として自らを自ら笑わせることで自然な笑みを数ミリグラムでも付加することで】
【中々スムーズな笑いをつくる術を身につけていた…ここは年齢の差というものだろうか】
【つまり、相手方の心に同志との出会いを喜ぶ感情があるかどうか気づくのはそう難しくない】

それはそれは素晴らしい…君の働きを神は慈愛の笑みと共に見ているだろう…
だが……。即物的なのは良く無い。…我々は栄誉と運命付けられた意志で行動しているのだ

【テーブルを挟んで向かいの椅子を引き、語りつつソレに座る】
【足を組んで(コートと背広で見えないが)ベルトに吊った鞘から銀の刃のダガーナイフを取り出した】
【刃に何か魔術的な模様や文字が入った丁寧に研がれた美術品のようなナイフだ】

君の心は見えている…神はこの神聖なる輝きをもって見通すのだ…
我らは同じ眼差しを持っているはずだ……君は何を見るのかね?金か?上官の機嫌か?

【肘をついてナイフを眺めながら、淡々と述べていく男。照明が刃に反射する】
【不幸なことに周りの客からはそのナイフが見えない絶好のポイントに彼は居たのだ】

―――なんて……冗談だよ。…似てたかな?ACADEMIAの先生方に…くっく……お会いしたことはないのだが
…まあ、そう卑下するな。やたら『誇り高い』彼らにはこう返されてしまうのではないかと心配だったものでね…
私は能力はあれど余所者だ。…まあ…どうやら君と似たようなものだろう

【息を殺しつつ笑いながら、立ち上がってナイフを鞘に戻すと】
【自分の席からカバンと牛乳のグラスを持って戻ってきた。まだ居座るつもりか】

まあ、何なら私に奢らせてくれ。…GINの経理課。アイケ・シュタウフェンベルクだ…宜しく
そちらでの立ち位置は余り決まっていないのだが…この間の要塞では司令部攻略側の指揮官だった

【そう言って手を差し出す男。変わらぬ笑みが先ほどと意味は同じか】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/27(水) 23:42:46.20 ID:CUN5U71Oo
>>430

(なんだ…………っ!?)

【暗闇の中で、少女は敵の体に毒針が突き刺さり、その動きを制する光景を幻視していたのだが】
【避けるでも、受けるでも、弾くでもない。予想の範疇を越えた第三の対処法が、少女の瞳を大きく見開かせた】
【これが敵≠フ能力かと身構え、少女はその力の正体を確かめようと、毒針を逸らした何か≠フ爆発を一秒たりとも逃さず観察して――――】

【…………その力の出所が、黒髪の少女ではなく剣からであることを、ここに来てようやく察するのだった】


…………い、いや。だってさっきのやつらが…………。

【その違和感について考えを巡らせるまでもなく、返ってきた敵愾心のない迷惑そうな語調は、少女に自らの勘違いを悟らせるには十分だった】
【鞘を強く握る手が動揺で微かに震え、頬にもつぅと汗が垂れる。暗闇の中で歪む表情は、明らかにやってしまったという顔】
【隠れていた気配が復活し、慌てたような言い訳が漏れる。そこに居るのは既に忍≠ナはなく、建物の陰でしゃがみ込む可愛らしい少女に過ぎず】
【その少女は、しばしの間おろおろと言い訳を並べ、鞘を掴んでいた手を当て所なくさまよわせた後…………】

…………す、すまん…………。
てっきり、ちんぴら≠ヌものなかまだとばかり…………。

【暗い闇の中から、淡黄色の瞳に涙を溜めて、ばつの悪そうに頭を垂れた少女がそちらへ歩み寄っていくだろうか】
【ちらちらと上目遣いで相手の顔色を窺いながら、少女は申し訳なさそうに謝罪を述べて】
【最初に手裏剣を投げて付けてしまった傷を見やると、先程から幾度も使っていた月色の光が瞳に宿る】
【…………そして、一瞬。何の予備動作もなく、手品のように唐突に。少女の両手の中へ、包帯などの治療用具が出現するだろう】
【黒髪の少女が抵抗しなければ、少女は激しい自己嫌悪の言葉をぶつぶつと呟きながら、自分が負わせた怪我に応急措置を施す筈だ】

【その間にも、時折相手の顔を見上げては謝罪の言葉を並べ続ける態度を見る限り、猛省はしているようだが…………】
【どう考えても、非はこちらにある。許すか許さないかはそちら次第であって】
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/27(水) 23:58:10.89 ID:13t5NWkSo
>>435
………チンピラぁ?

【一体何のことだ、とでも言いたげな声色】
【疑問を浮かべる少女の眼に写ったのは、暗闇から姿を現す一人の少女】
【比較的小柄な少女から見ても、彼女は矮躯だと言えた】
【先程の俊敏な動きは、その体格を活かして行われたのだろう】
【………しかし】

こんなガキがあの攻撃を、ねぇ………。

【少女は信じられないような口調で呟く】
【相手からは先程までの敵意は覗えないし、あの表情が偽のものだとは少女には到底思えない】
【もしこれが造られたものだとしたら、相手は優れた演者と言える】
【どこからともなく治療用具を取り出した相手を見て、その場でしゃがみ込む】
【そして右太腿の治療を始めた相手を、少女は不思議そうに眺めていた】
【この少女が先程の細月≠セと、未だに信じられない様子】

………世の中、信じられない事ばっかだ。

【ぶつぶつと何やら呟いている相手を見遣りながら、少女は溜息を吐いた】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/28(木) 00:00:43.58 ID:ptkMSTL9o
>>434
「――どうにも私は頭の出来が良くないみたいッスから。
適性からなにまで全部ドベでお情けで先生方には卒業させてもらったッスから、出来が悪いのは勘弁してくれないッスかねー、っははー。
……当然、私は能力者サマの為の道具ッスよ。私なんか幾らでも補充が効くのにこうして生かして戴いているのは重々承知ッスから。
だから気分を害したなら済まなかった、ッスよ」

【ナイフを取り出して、丁度場所取りよく女にしか見えない立ち位置に有る男を、只者ではないと判断する】
【その上で――女は、笑顔を直後に深刻そうに申し訳なさそうな表情に変えつつ、また謙って言い訳を並べ立てる】
【それらの態度のどれもが、薄ら寒い程に薄っぺらい上辺だけのもの。そして、その薄っぺらい上辺の奥に見える女の素もまた薄っぺらい】
【だが、女の瞳には欠片も恐怖の類の感情が無いことから、肝だけは座っていることが窺い知れるかもしれない】

「よく怒られて、ぼっこぼっこされてたんスよねー。だーかーら、絶対私の頭の悪いのは先生方のおかげッスね!
もう成長期にぽっかぽっか棒とかで撃たれてりゃそりゃもう頭も空っぽになるってもんで! あ、いや元々からッスけどね!!
――悪いッスけど、これ秘密でお願いするッス。唯でさえやることやってるからクズ扱いで済んでるッスけど、あんまり評判悪くなると流石にクズからゴミにランクチェンジするんで」

【ナイフをしまい込む動作にも、特段の反応を見せることはない】
【――まるで、最初からそのナイフが己を害することはないことを知っていたかのような、通常あり得ない反応】
【しかし、女は間違いなく無能力者だ。少なくともGIFTに所属する者特有の歪みを、この女も感じさせている筈だ】

「GIFT戦闘兵部隊――『最低最悪最弱』の『不死身』の『使い捨て部隊』ってウリのコジマ隊。隊長のコジマッスよ。
要塞戦だったら私ら下働きしてたッスねー。基本的に私らって本当に何でもやらされるッスから。
ちょいちょいした仕事だったら私らに任せてくれりゃちゃっちゃとやっちゃうッスよめっちゃやるッス!
って訳で、よろしくッス、アイケサン!」

【へらり、と薄っぺらい笑顔を浮かべる――もうここまで露骨だとわざとやっているかと思わせるほどの薄い笑みで】
【そして女は己の所属と、己の名前を相手の名前と所属に対して提示し、交換】
【女は下っ端である戦闘兵ではあるが、時折GIFTでは名前が聞こえてくる存在では有る】
【曰く、死にかけることはあっても死ぬことは無い。曰く、任務達成率は低いが参加者の生存率は異様に高い】
【ACADEMIAの中でも特に劣等なものが集められる隊が、一定以上の成果を出していることが、能力者達の不興を時折買い話題に上がることがあるのだ】
【女もそれらの成果から生まれる悪評≠ヘ当然知っている様だが――それを有ろうことか売りにしている。ある意味、強かだった】

【薄っぺらい笑顔を浮かべたままに、女は男の手を軽く握って、上下に振る】
【触れれば女の手は――異様に固く、そしてひやりとした温度を感じさせたことだろう】

/*明日も速いので凍結お願いできますでしょうか!?*/
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/28(木) 00:18:58.17 ID:zzdu4rCD0
>>433

(……いぬかわ君、きみは……何を望むんだろうね)

【ちらりと覗いた歪み。自分の目的の為ならば悪を為すことも辞さない心】
【もし、お互いの気持を戦場でぶつけあうことになった時、蛍はいぬかわとどう向かい合うのだろうか】
【――それはまだ、誰も知らないお話。いつか、解き明かされるかもしれない、次のお話。】


【いちどデッサンの方に話を戻すと、蛍はオーダー通り、丁寧かつ執拗に像の姿を写し取っていた。】
【消えてはまた作られる氷の微妙な表情の違いを噛み砕きながら、少しずつ肉付けを重ね】
【やがて――時計が二時を回ったころに、それは完成するはずだ】

うん、出来た。
……流石に、最初の像の印象はちょっと薄くなってしまってるけど、どうかな。

【蛍は、飛び散った鉛筆の粉を拭き取りながら、出来上がった絵をいぬかわに手渡そうとするだろう】

【言ってみればこの絵は、いぬかわが像に投影した『気分』を、可能な限り蛍の筆致で切り取ったもの】
【いつもは眺めることのない自分の心を、彼女はどう見るのだろうかと】
【拙い(と、蛍は主張する)なりに、仕事を終えたあとの蛍はそのことを気にして、相手の様子を伺っている】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/28(木) 00:20:34.02 ID:iXuDSLTfo
>>436

そうだ…………ろじ≠ノいっぱん人をつれこんで、ぼうこうしているやつらがいてな。
ふたりはとらえたが、さいごのひとりをここで見うしなってしまって…………。
…………ほ、ほんとうにすまん…………。

【一切心当たりの無さそうな言葉に、少女はやはりかと深く俯いて、改めて謝罪を述べる】
【この距離まで近づけば、首元のマフラーに留められた自警団のバッジも見ることが出来るだろう】
【暴行犯のグループを追っている最中にこの路地へ至り、敵を逃して気が立っているところにちょうど…………という経緯のようだ】
【涙をいっぱいに溜めて謝る表情からは、自警団員らしき風格も忍者≠フ面影も全く感じられはしないが】
【あの厄介な隠密技術と俊敏な戦闘能力が、決して幻でなかったのだけは確かであった】

【…………そんな問答をしているうち、治療も終わる。包帯の巻かれた傷跡は止血も済み、痛みも多少は軽減されているだろうか】
【少女はごしごしと涙を拭き、そちらに向き直って一度頭を下げると、改めて向き直って】

…………しんじられないと言えば、そのけん≠ヘけっきょくなんなんだ?
さいしょからずっと、みょうなちから≠かんじるんだが…………。

【その瞳は、ふと黒髪の少女が持つ霊剣に向けられる。その口からは純粋な疑問が漏れるだろうか】
【クサナギ≠ニ呼ばれたそれから発せられる力は、今でも少女の肌にじりじりと圧力を感じさせている】
【元はと言えば、それが霊気≠ニいう純粋な力だと知らなかったせいで生まれた誤解だ。その疑問も当然と言えば当然か】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/28(木) 00:39:12.69 ID:ARrToXNwo
>>437

いや…いいんだ。こちらこそすまないね…試すような真似をして

【確かに男の行動は相手の出方を試す。そのものだった】
【相手が一体どう動くか、何を見るか、何を言うか…一挙一動を観察するために】
【技と揺さぶりをかけた。わざとらしい行動、相手にもソレはわかるだろう】
【こちらも、相手が相当な人間だとわかった。必要な物だけを兼ね備えている、と判断した】

教鞭を執る…という言葉のとおりだ。教師は生徒を殴るのが仕事さ…時代遅れかな?
まあ…そういうもんだ…良いか悪いかは別だけれどね。でも…君は、知恵は兼ね備えていると思うがね
生きてく上で必要なもの…。余計な知識ばかり与えるからね、学校なんてものは…
……もちろんだとも。…まあ私が報告する先なんて持ち合わせてないからね。安心してくれ

【確かに、普通の人間としては不自然だ。まるで古参の兵士のような雰囲気だ】
【だからこそ、彼は賞賛する。能力者である前に軍人である彼はそちらのほうが重要だと考えるから】

ああ、宜しく。……不死身とはなかなか良い名前じゃないか。珍しいことに…私もだ
幾分か意味合いは違うんだとは思うのだがね…それに、昔の話だ
しかし…君の噂はかねがね。…”彼ら”を通しての噂だ。…評価されていないのは実に惜しい。
頼めば勲章の1つはもらえるんじゃないだろうか…。…君はそんなものは興味無さそうだね…
……さて、何を頼もうかな…今のところは…チェスの相手ぐらいかな?

【こちらも微笑を浮かべつつ握手を交わして、こちらは大きく固く、だが暖かいことだろう】
【目の前の己を卑下する彼女を見て彼は能力者としてではなく、軍人として悲しかった】
【本来ならば、彼女のような人物こそ評価されるべきだと思っているからなんだろうか】
【そんなことを表情に全く見せることもなく、グラスの牛乳を静かに飲むのだった】

【能力者を”彼ら”と呼んだりするところもありやはりどうやら他の能力者とは何処か思想が違うのか】
【同じような作り笑いだが彼からは計り知れないほどの思惑や思想が渦巻いていそうな感じがする】
【どちらにせよイレギュラな存在であることは確からしい。…分類するなら何かに使えそうな方に入りそうだ】


/もちろん、構いませんよ!
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 00:42:44.69 ID:6jv6J+ER0
>>438


【彼女の思う所とは裏腹に、此の少女は只、鉛筆が描く其の線一つ一つを、ボーっと眺めていて。】
【相手を気遣う心。其れは今日初めて芽吹いた物だと言っても過言ではないのだから、敢えて其れを評価するなら上出来、なのかもしれない。】


――――………良いんじゃない。買うよ、…………


【出来上がって行く様をずっと見ていたのだから、少女は今更どうこう言うつもりは無かった。】
【少女がショートパンツのポケットを漁って。取り出したのは所謂、小切手。勿論、本物である。】
【近くにあった黒のボールペンを勝手に手に取り、初めに1、その後0を6つ並べれば、100万の金額。】

【お金持ちの養子―――此の少女は確か、その様な事をチラッと言っていた気もする、が。少々やり過ぎなのかも知れない。】
【然し此れも又、いぬかわなりの気遣いだった。そもそも此の店の外観、余りにも貧相で、其れは経済状況をも表しているのだろう、と。】

【其れに、もう一つ。―――金で気持ちを表現しようとしている所は未だ、彼女らしさが滲み出ているのだが―――、】
【彼女に出会えた事、其の物に対する感謝の気持ちである。………以上2点の合計、其れが100万という値を付けた。】


………これでいい? アレだったら、もう1個、0足せるけど。


【一、十、百、……と数えなければならない程の桁数。慎重に数え確認を済ませると、小切手を差し出した。】
【彼女が恐らく其れを見ている間、少女は絵を持って帰る為のアタッシュケースを、矢張り氷で創造する。】
【其れも作り終えたのなら、椅子から立ち上がるのだろう。―――もう帰るのだという、意思表示だった。】

442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/28(木) 00:44:51.29 ID:8lFRgIT5o
>>439
………いや、別に良いけどさぁ。

【少し間の抜けた声色で、少女は許しの回答を出した】
【そんな顔をされては、こちらも強く責める事は出来ない】
【意識的か無意識的かは分からないが、自分の長所を理解しているなぁと少女は感心した】
【そうこうしている内に治療も終わったらしく、少女は少しもたつきながらもその場で立ち上がる】
【まだ痛みは残っているが、それでも支障をきたすレベルではない】
【止血も済んでいる様子だし、しばらくすれば完治するだろう】

………ん?クサナギの事?

【相手が不思議そうな目線を向けている事に気づき、少女は己が持つ剣を前に掲げた】
【先程までの爆発的な霊気は消えているものの、それでもある程度の圧は残っている】

これはまぁ、霊剣≠チつって、霊気≠帯びた剣。
霊気≠チてぇのは、何て説明したら良いのかな………有り体に言えば、霊的な力?
妙な力っていうのは、霊気≠ェ放つ霊圧≠セろうねぇ。

【うーん、と難しそうに説明を重ねていく少女】
【何を隠そう、少女自身、霊気≠ノ対する厳密な定義など知らないからだ】
【ならばどのように知覚しているか?―――考えるな、感じろ=z
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/28(木) 00:50:13.34 ID:sVy9EZPWo
>>428


――――桔梗。確かあの狐の小娘の名がそうであったか。

【一瞬、草原に強い妖気が現れたかと思えば――すぐに消えて】
【するとどこから現れたのか、女性の後方から一つの声】

【どこか人を見下したような、そんな女の声。そこにいるのも同じような女であって】

とすれば、あやつとは知己かえ?小娘よ。
何、余も以前会ってな。そうだの、あやつの言葉を借りるなら―――“友達”かの。

【長い金髪に、切れ長の金の瞳。絢爛な襲の色目は竜胆】
【大きく開いた胸元はその胸を強調するようで、胸の下で腕を組んでいるから尚更に。】
【口元に薄く浮かぶ笑みは、馬鹿にされているような印象すら受ける――かもしれない】

しかし――何やら喚いておったようだが、従者の身であるならば雑務くらい仕方あるまい?
余とて日頃の雑務は全て狐共に任せておるしの。

【ただ、その態度以前に先ほどの妖気。更に女性が“様”とまで言う相手の事を知っていると言う】
【――――この女、何者だというのだろうか】
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/28(木) 01:03:57.36 ID:Vn4ql4C7o
【町外れ――しばし歩いた先、草原にある丘の上】
【そこには2つ、岩があった。1mほどの、腰掛けるのにちょうどいいものだ】

【その一つに陣取るのは、銀色の髪をした薄着の女である】
【ただ、髪の間からは狼のような耳が見えていて、何より、2m近い尻尾などもあり】
【どうも獣人だか、或いはとにかく人ではないか――少し違って≠「て】

―――っかー!いやぁ、まことにこの瓢箪で出来る酒は美味いのう!
櫻の清水で造るモノにも負けず劣らず、いや実に良い物を貰ったものよなあ

ふう、っと……さて、此処は一つ……また練習でもしてみるかや。

【僅かに吹く風に乗るのは、美味な清酒の香りと風雅な龍笛の音色であった】
【奇しくも今夜は弱い月光が差す晴れ空。銀色の髪も毛並みも、それを浴びて妖しく輝き】
【もしも誰かが近くを通れば、横笛を口に当てた彼女が見えるハズ。興味を引くのに、足らないものも無いだろうか】

/予約でございますー!
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/28(木) 01:08:41.90 ID:zzdu4rCD0
>>441

わ、わぁお。

【小切手の額面を見て――蛍は、思わず柄にもない子供っぽい声をあげた】
【それから咳払いを一つして、取り消すなら今のうちだよ、と言いたげな、優しい表情を作った】

まったくね、きみは私を買い被っていると……いや、余計なことは言うまい。
気持ちは、出来る限り伝えたいものね。ならゼロむっつで行こうか。
……ありがとう、いぬかわ君。

【差し出された小切手を一礼と共に受け取り、懐深くに大事にしまい込む】
【正直もやもやする気持ちが無いわけでもないが、卑下しすぎるのも失礼にあたるものだ。】
【不器用で愛おしくなるような気遣いを、彼女は手を広げて受け容れた。】

ン、もう帰るのかい?
どうせ貸し切り状態だから、朝まであそこのソファで寝てもいいんだよ。

【立ち上がるいぬかわを見ると、蛍は指で部屋の隅にある黒いソファを指して見せるだろう】
【この部屋の調度としては値が張りそうなもので、人間が横になれそうな所は、床を除けばあそこしかない。】

でも、急ぎだと言うのなら気をつけて。電気が通った時代といえども夜は夜だからね。
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/28(木) 01:14:25.53 ID:iXuDSLTfo
>>442

…………あ、ありがとう。
むぅ、これはおわび≠しないとな…………。

【赦しの言葉に、少女はほっとしたように頷いて、淡い笑顔を返すだろう】
【この、無駄に可愛らしい仕草――――確かに脅威である。このまま順当に忍者として育てば、将来はハニートラップの類も使いこなしそうで】
【…………まあそれも、意識的にやっているのならの話。幸というべきか不幸というべきか、この辺りの挙措は完全に素のものだ】
【それで調子を取り戻したのか、少女は顎元に手を当ててひとつ唸ると、何か考えを巡らせ始め】

クサナギ、それにれいき≠ゥ。
そういえばむかし、とうさまが言っていたような、言っていなかったような…………。
…………おもいだせんが、とにかくわかった。おぼえておかなくてはな。

【掲げたられた剣に、少女の目は釘付けになる。発せられる力も、一度悪いものでないとわかればもう不愉快には感じない】
【少女はふと何かを思い出したようにうんうんと思惟を巡らせるが、結局記憶の海から何かを釣り上げることは叶わず】
【こればかりは、感覚的に理解するしかない。それも承知したようで、二度と誤解が起きぬよう、この感覚を体に染み着けていくだろう】
【その瞳は全開にした感覚とリンクされ、穴が空きそうなほど剣を見つめて。暫くして顔を上げ直すと、黒髪の少女を真っ直ぐに見上げる】

【――――ぼう、と。そこであの細月≠フ光が再び灯れば、持っていた治療用具の残りが一瞬で掻き消えるだろう】
【少女は矢庭に、空いた手を使って着ていた真っ黒なベストを脱ぐと、裏返して着直すだろうか】
【それで少しは、怪しげな黒尽くめの格好も改善された筈だ。その服はどうやらリバーシブルのようで、裏返した生地は真っ白に染まっていた】
【…………いや。少し訂正するなら、胸元に現れた緋色の鷹≠フマークを見る限り、今までの黒い方が裏側でこの白い方が表側なのだろう】


さて…………あらためて名のらせてもらう。わたしはしのび≠フ、よるなぎレラだ! 
こんかいはほんとうにめいわくをかけたな!おわび≠させてくれ!

【襟も正して完全に復調した少女は、自信一杯に胸を張って自分の名を名乗ると、元気よく詫びの言葉を発する】
【夜凪レラ≠ニいうのが、この少女の名前のようだ。名前の語感と忍≠ニいう言葉を聞く限り、櫻の国の縁者であろう】
【少女は、二人の居る道の先――――表通りの方をびしりと指差すと、言葉を続ける】

おおどおりに出て、何かしょくじをおごってやろう! なんでもいいぞ!
こういうときはそういうふうにするものだと、どうりょう≠ノ教わったからな!

【…………お詫びという割に、何か妙に偉そうな口調だが、これも多分素の性格で】
【黒髪の少女は最初に「迷った」と言っていた。食事はともかく、少女に付いて行けば取り敢えず表の大通りまでは出られるだろう】
【胸元のマークに、食事に連れ出されるこの展開。それに黒髪の少女がデジャヴを感じるかどうかはさておき…………】
【その誘いに乗るかどうかは自由だ。少なくとも酒を飲もうなどと言い出さないだけ、とりあえず健全な誘いなのは間違いないが】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 01:15:45.57 ID:E26QMPiF0
>>443
【カチリと鳴らすは鍔の音。抱くのは敵意では無く警戒】
【その妖気を感じ取ったのだろうか、ふん。と自嘲気味に笑ったならば、鋭い視線を向けて】


「さあて。桔梗様からは玩具屋の友達やら鎌鼬の友人やら。狼の其れに狐の其れ。色々話は聞かせて貰っているわよ
だけど、アナタがその“友達”か私には分からないし…………大体、妖怪は人を騙す生き物だものね
はいはいそーでしたか、とは頷けないわよ」

【主の名を告げられたならばピクリと表情に変化が訪れるけれど】
【――――相手は妖怪。コレまでの経験により、直ぐにでも感じ取れる事。しかし其処に敵意を感じ取れないのもまた事実】
【ふん。と鼻を鳴らして姿勢を変えれば、“構え”を解いたと解せようか】
【人間からすれば肌寒いを越える時期であるにも関わらず甚平に笠というその身形は、この女もまた異端であると知れる材料であろう】
【…………無論、女性の様に大きな妖力がある訳でも無ければ身体的特徴が有る訳でも無し。謂わば見た目こそ只の人間だけれど】


「うっさいわね…………確かにそうだけど、ブツブツ小言でも漏らしてなきゃやってられないのよ
大体にして私は一週間の休みを貰っていたし、その間存分に稽古しようと思ってたのに…………
いえ。そんな事より――――何で、アンタが桔梗様の事を知ってるのよ。確かにコロッと騙されそうな…………っと、違う違う
あんまり人と話したがらないあの人が友達なんて呼ぶ人、少ないわよ。まっ、普通の人と比べればの話だけど
――――“狐共”って言ってたけど、桔梗様の遠い親戚か何か?」

【疑いは晴れず、未だジロリと視線を向けていて】
【今の所危害は加えられないと悟れば敵意こそ向けないものの、トゲトゲしい性格が変わる事は無くて】
【――――ありのままに言ってもこの女が信じるか否かは分からない。けれど、捻くれた性格で有るが故にどんな答えでも真っ直ぐに飲み込んだりはしないのだろう】
【そんな性格を利用してからかう事だって出来るし、反感を覚えさせる事だって出来る。…………だから戦闘になる、との可能性は少ないだろうけれど】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 01:31:13.06 ID:6jv6J+ER0
>>445


………凄い声。まぁ、私はさ、1と0、書くだけの作業だから。大したこと、してないんだよね。

……ごめん、私、帰るね、ちょっと、やる事、あるんだ。


【少々高級そうなソファを一瞥すると、然しせっかくだが、と少女は断った。】
【"そんな所で寝られるか"という憤りの意味では無いというのは、其の言葉の紡ぎ方から分かる事だろう。】


……じゃあ、また、来るから。ロールケーキと、コーヒー、ごちそうさま、でした。


【と別れの挨拶を適当に済ませると、少女は来た時と同じ扉をギィーっと開けて。やがて寒空の闇の中へと溶け込む事だろう。】
【―――外の世界は、無情だ。吹き付ける風は、店の中で暖められた身体を、これでもかという程奪い去っていく。】

【然し、然しだ。二杯目に飲んだブラックコーヒーの暖かみと、全身に纏った其の香りだけは、どうやら。】
【そんな夜風では吹き飛ばせない程、既に此の少女に染み込んでしまった様にも見えて―――?】


/というわけでこの辺で〆ということでお願いいたします!
/お疲れ様でした、とても楽しかったですよー!

449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 01:33:51.56 ID:JxhtRqvBo
>>444

【冬の入り口――遮るもののない草原には、澄みきった風が流れているのだろう】
【頭上には月が光を受けてまばゆく光っていた。きっと、誰が散歩してもいい夜だと感じるはず】
【その影も、ふらりとそこに現れるのだろう。月の色と――もっと言えば、先客と同じ色の毛並みを持つ影が】

【デニム生地のホットパンツ、薄い緑のシャツを着て、足には運動靴という服装に】
【嘘か真か、背中に伸びる黒いしっぽと、アーモンド形の大きな黒い瞳】
【そして目を引くくらいにくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えている】
【そんな――精悍な顔立ちの少女だ】

【やがて彼女は風に混じる上品な香りと音色を感じると、ぴくりと耳を反応させてその方向へと足を運ぶのだろう】
【風を受けて孤高に輝く銀色を眼に入れたならば、跳ねるように丘を上ってゆく】


にゃは、妙なところで会うもんだにゃ
なんというか……銀狼さんがそうやってお酒飲んでたり笛吹いてたりすると絵になるにゃ


【最後に軽くジャンプすると、空いている隣の岩へと着地して腰を下ろすのだろう】
【その姿には見覚えがあるはずだ。彼女は――シルバーキャットは、恥ずかしげもなくそんな感想を口にして】
【にっと笑って見せるだろうか】

/よろしくお願いしますー!
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/28(木) 01:34:46.22 ID:8lFRgIT5o
>>446
そんなに気になるものかなぁ………?

【相手の目線が剣から外れたのを見て、少女は霊剣を鞘に納める】
【あの瞳―――何処か奇妙な、細い月のような光を放つ瞳】
【先程の攻撃の時もそうだったが、これはこの少女の能力か何かなのだろうか】
【黒尽くめの少女が持っていた治療用具が跡形も無く消え失せたのを見て、少女は一人考えを張っていた】
【とはいえ今はもう済んだ事だ、あまり詮索するのも良くないだろう】

はぁー、今までのは隠密用≠チて訳………。

【相手が黒のベストを裏返し、白の生地が表に出てきたのを見て、少女は感心した様子で呟く】
【成程、それでしのび≠ニいう訳か】

ボクの名前は時雨 伊那(しぐれ いな)だ、よろしく。

【詫びの言葉に対して、少女は笑みを以って答えとする】
【名前から察するに、どうやら少女の故郷である櫻の国と何らかの関係があるらしい】
【それで手裏剣やらしのび≠竄轣A聞き覚えのあるものが出てきたのか】

食事、ねぇ………。

【そーいやどこかでこんな展開あったなぁ、と少女はいつかの出来事を思い出しながら】
【あの酔いどれと同じ紋章を掲げる少女がダブって見え、無意識の内に笑いが漏れる】
【全く、滅多な偶然もあるものだ】

………そうだねぇ、じゃあ行こうか。

【少女は笑って応え、ぎこちない歩き方で大通りへと向かった】



/こんな所で〆でよろしいでしょーか……?
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/28(木) 01:48:55.49 ID:Vn4ql4C7o
>>449

【響く龍笛の音色は、それその物こそ実に雅で、耳に心地よいもの】
【だが、恐らく全くの得意というわけでもないのだろう。上手、とまでは言い切れない】
【―――それでも月の肴には上出来か。少女が隣に腰掛けたなら、笛を下ろし】

うん?……おう、久しいのう銀猫。大会の時以来ではないか
そう褒められると照れてしまうが、そういうお主も月の明かりに良く映える。

いやさて、その節は実に良い勝負をさせてもらったから、の。
お主との戦いから着想を得た技を使わせてもらい、幾度窮地を抜けたことか知れぬ
……遅くなったが、礼を先に言わせてくれ。なんぞ、贈り物も無いが。

【ふとそちらに身体を向けて、先ず言うのはそんな事。あぐらを掻いていたが、頭すら下げ】
【そして急だが放り渡すのは酒の入った瓢箪。大会の賞品に他ならない】

【渡したのは恐らく、折角だから飲め――と、そういう程度のことだろう】
【相手の歳は分からないが、中身の酒は極上だ。悪酔いなどするはずもなく】
【また酒味が分からぬにしても、飲み物としても良い。『まあ一つ』なんて、煽りもして】

儂は元より櫻の出だからのう……笛や酒は、この血に流れる遺伝子からして好きなのよ。
……そういえば、お主は何処の生まれかや?知り合いの狐だのは、みな櫻出身なのだが――。

【龍笛――横笛を手に持ち、肩を叩き。如何にも世間話という風に、声をかける】
【周囲は寒い。けれど酒を飲めば身体は暖まり、月を見上げれば寒暖も気にかからなくなる――良宵だった】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/28(木) 01:51:10.34 ID:MinEQHBZo
>>447

狼―――そういえばあの銀狼めも桔梗がどうだとか言っていたような気もするが……
しかし、騙すから信じられぬ、と?あやつも妖――しかも狐ではないかえ?
……ま、あの分では化かす様な性格とも思えんが。

―――おうおう、妙な事は考えん方が身の為よ。別に、死にたいというなら相手してやってもよいのだがの?

【構えを解いたのを見れば、ニヤリと笑ってそう言って】
【わざとらしく首を傾げている辺り、やはり馬鹿にしているとしか思えない】
【ただ、細めた目は笑っているように見えて、女性を値踏みするようにしっかりと見据えていた】

コココ……黙ってこなせぬ様ではまだまだよのう……うちのは皆、余の指示には黙って従うぞ?
―――まあ、あやつらが何か言っておったらすぐに分かる、というのもあろうが。

阿呆、別に騙してなどおらぬわ。ただ話をしただけぞ。
“人と”話をしたがらないのであろ?余はあやつと同じく――余の方が幾らも永いが――妖狐だからの。

……さあな。余は妖となって長い。どれが血縁の狐かなど、今更わかりはせん。

【―――何となく、従者の狐達がブラックな仕事をしている気がするかもしれないが気にしてはいけない】

【からかいに出るかと思えば、質問には意外と真面目に答えて】
【更に親戚かどうか知らない、というのも全くの事実である】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/28(木) 01:54:49.59 ID:zzdu4rCD0
>>448

そうか。じゃあ、今日のところはこれで。
とても有意義な時間だったよ。よろしければ、またご贔屓に。

【小さく会釈して、蛍は初冬の街へと消えていくいぬかわの背中を見送った】
【退屈しのぎ――と言うには、会話も仕事量も余りにも濃密。どっとこみ上げた疲れが、彼女をソファに押し倒す】
【だけれどその疲労感は、決して不快なものではない】

……こういう仕事も、たまにはいいものだね。

【染みが浮いた屋根の上に、数多の星を見透かしながら――】
【蛍は今日の出会いを反芻し、ふわりと、ひとつ微笑むのだった】

/お疲れ様でした!三日間ありがとうございます!
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 02:16:51.90 ID:E26QMPiF0
>>452
「――――どっちかと言うより桔梗様は騙すよりも騙される側よ。もっと小さい頃は野良妖怪にフラフラ着いていくんだからそこら辺の子供より手間が掛かったわよ
……それに、全ての妖怪をそう見ている訳じゃ無いわ。馬鹿正直な奴だって居るけど…………まあ、アナタみたいなのは警戒しておかないとね」

【次の行動を悟らせないような構え。――――有り体に言ってしまえば、構えでありながら構えで無いという矛盾】
【様々な体勢から一手を打ち付けるその動きは、妖術等々は兎も角として純粋な“体術”として見れば相応に高い物であろう】
【元は櫻の国の“人間”では無く“妖怪”を想定して作られた流派故に、当然と言えば当然なのかもしれないけれど】

【最後の言葉に対しては逆上したりせず、然れど聞き流すともまた異なっていた】


「私は忍でも妖怪でも無いから別に良いの。人間、少しは毒を吐かないとやってられないわよ…………
アナタが野狐か天狐か分からないけど…………いえ、言い方とさっきの妖気から捉えれば後者かしら
少なくとも、実体を持って居るから空狐では無さそうね――――撤回。そういえば好んで実体を持つ空狐も居たか」

【ただ、ある程度の実力を持って居るからこそ、闘わずとも敵わないであろう事は何と無く察せたのだろう】
【冷静に相手を見定めようとしたが、ある程度まで踏み込んだならば思考を放棄して】
【笠を少し上げたならば、明るい蒼色の瞳が露わとなろう。ジッと見つめていたが、笠を元の位置に戻したならば刀を杖変わりに身体を休めて】


「阿保とは失礼ね。何の話をしたのかは気になるけど――まあ…………攻撃をしてくる訳でも無いし、信じるわよ
――――で、名前は。ずっとアナタって呼ぶのも何かアレだし。桔梗様の事を知っているなら、一応私も名前を覚えておかないとね」

【普通にしていれば中々に良いであろう容姿も、血に濡れて、月光に照らされつつ刀にもたれ掛かるという様を見せれば台無しになるであろう】
【信じる。と言葉を紡げば暫しの沈黙。続けられるのは、女性の名を問う其れ】
【名を問うときには先に自分から――――なんて礼儀は持って居ない様で】
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 02:36:33.70 ID:JxhtRqvBo
>>451

【音色の違いには――銀猫は気付いているのか、いないのか】
【何にも考えて無さそうな衣服に、片足を立てて無邪気に笑う姿は……音楽に通じているようには、見えない】
【それでもきっと、月夜の音として心地よく感じていたはずだ】


にゃ、あたいも楽しかったにゃ
そういえば銀狼さんは優勝したんだよね! おめでとにゃ!

今は多分勝てないけど、あたいがもっと強くなったらまた戦ってほしいにゃ
……あたいだってリベンジしたいからね


【楽しかったのは純粋な感想。戦うことはこの少女にとって、何よりの楽しみだから】
【しかし頭まで下げて礼を言われるとは思っていなかったらしく、喜べばいいのか誇ればいいのか、】
【結局言葉を返さず、照れたように頭をぽりぽりと掻くのだろう】

【投げられた瓢箪をキャッチすると、不思議そうな顔をするのだろう】
【意図がわからなかったわけではない――賞品に興味がなかったからよく知らないだけだったりする】
【きゅぽんとキャップを外して香りを吸い込めば、遠慮なく一口含みその味を堪能し】


生まれ、かにゃ? よく覚えてないにゃ。でも、国を渡ることはあんまりなかったにゃ
その櫻の国≠チてとこにはたくさん亜人とか獣人とかがいるのかにゃ?


【自分が生まれた場所すらもよく覚えていないらしい。この猫にとっては些細なこと、なのだろうか】
【なかった≠ニいう言い回しも妙だが、とにかく色々な場所へ行った経験は乏しいようで】
【故に櫻の国のイメージにあぐねているのだろう】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/28(木) 02:49:16.88 ID:uPd1ncPxo
>>454

元来化かす側である狐が化かされてどうするというのかのう……

……ほう、余は警戒せねばならんような妖であると。人の子にも友好的な余がそんな事を言われるとはなぁ……
―――――余の前では警戒したところで同じ、だがの。

【対するこの女、全くと言っていいほど構えていない】
【武装の類も無ければ武術の構えもなし。妖怪なのだから当然かもしれないが】
【けれど、斬り掛かられても咄嗟に動けないのではないか、というほどであって】

――――ほう……流石にその辺りは知識があるか。
推察通り、余は妖狐の中でも天狐と呼ばれる身よ。空狐となるほどまで歳食ってはおらん。
天狐の大妖、瑚蝶……まあ、天狐とはあまり自称せんがな。

【あくまで人が天狐と呼ぶ、として、それから瑚蝶と名乗って】
【但し、それは真名ではない、とも付け加える】
【そしてその表情は相変わらずの薄笑い。何とも掴み所が無いような】
【組んでいた腕を解いたかと思えば、今度は片手を腰に当てて】

話の内容は……他愛のない事よ。わざわざお主に話す事もなかろ。
―――当たり前ぞ。小童相手にいきなり襲い掛かる余ではないわ。
……して、お主にも名乗ってもらおうか。余の名を聞いておいて自分は名乗れぬとは言わせんぞ?

【名乗りを返すように要求するその目は、どこか鋭くて】
【有無を言わせぬような威圧、とでもいうような空気を漂わせている】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/28(木) 03:05:39.68 ID:Vn4ql4C7o
>>455

優勝か……うむ!それこそ、最後の一撃も先に言ったように
お主の、ほれ――『シルバーサイス』を元にしとってな。
故に単なる強さでは勝ち得なかった称号よ。ありがたく受け取ったが、な

……ふふっ、勿論。技本来の持ち主に、一体儂のモノがどれほど通用するのか
それも知りたいのもあるし……何より断る理由も無い。待っておるぞ、銀猫や

【くすりと笑って頷くのは、紛れも無く後日の試合を快諾したということ】
【銀狼としても、死線を覚えるほどに武を競った相手。個人的な技という思い入れもある】
【――とはいえ今は風流な一夜。戦いそのものは、微塵も脳裏には浮かんでこず】

ふぅ、む……となると、普通に水だの、風だのといった国の出なのか……うん?

あぁ、櫻の国には妖怪というのが居ってな。獣が神通力を持つことがあるのよ
そうするとただの狐や狸が人の姿をして……ただし大概の場合、耳や尻尾は隠さない。
そういうわけで、獣人とさほど変わらぬ姿の者が存外に多いのがあの国よ

かくいう儂も狼の妖怪でな、元は野山を駆けていたが歳をとってこの通り。
中には生まれながらにして獣人姿の妖怪も居るとかいうが、まあ詳しくは分からぬ

お主はなんだろうのう……そういう種族、とかかのう?

【ふと思ってみれば獣人というのも多種多様。今言った妖怪はともかくとして】
【銀狼の知識のうちには、他にどんな種族や存在が居るのか、生憎と入っていないらしく】
【他人のことながらコクリと首をかしげながら、ぼうっと彼女に視線を向けて】

/すみませんが眠気がキツイので本日はこの辺りで凍結をお願いしたく思います
/明日は21時以降なら居ると思いますので……
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 03:10:56.53 ID:E26QMPiF0
>>456

「友好的……ね。まあ、言葉の通り捉えておくわよ
実際どうであれ、私は桔梗様や天鬼一族を守るのが役目。直ぐに信用する、何て事は出来ないけど」

【侍女に違わず、然れど侍女以上に働かされる。この女性も又、中々に黒い職場か――――否かは、分からないけれど】
【ゴソゴソと懐を漁ったならばスルメを取り出して、端を食いちぎれば戻すのだろう】
【味を染み出させつつ女性の名を聞いたならば、嚥下して】


「妖怪を斬るには先ず妖怪を知って居なきゃいけないから、ある程度は書物から学んだわよ
流石に天鬼の一族程は知らないけど…………まあ、対峙する“可能性”がある存在は、粗方頭に叩き込んだつもり
妖狐も鬼も天狗も。さっきも言った様に、ある程度は――――だけど」

【瞳を見せないまま、口元だけをニヤリと歪ませれば刀を腰に提げるのだろう】
【――――もう一度スルメを噛み千切れば、さて何と言った物かと思考を纏めて】


「まあ、そうね――――人の話を第三者が聞き出す何て無粋な真似はしないわよ
…………空絶 霞(そらだち かすみ)。無幻操想流――――一族代々の流派を託された末裔。形無くして形を成す、アナタ達……瑚蝶、だったわね。妖怪に対峙する事を目的とした流派の一派
天狐も空狐も、善狐がなる何て話を聞いていたけど……人に呼ばれる位なら、そう悪事を働いている訳でも無さそうね。なら、改めて信じるわ
――――で、時に。瑚蝶は何故此処に居た……いえ、現れたのかしら?」

【肩を竦めたならば自身の名を語り、続けて身に付けた武術の其れを短く語るのだろう】
【僅かな間を置き、続けて挟むのは此処に立った理由。無論、自身の発した光が原因の可能性で有ると微塵も浮かばず――――】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 03:12:51.52 ID:JxhtRqvBo
>>457
/了解ですー!
/ではその時間にお返ししますねー
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/28(木) 03:18:08.97 ID:Vn4ql4C7o
>>459
/お手数ですがよろしくです。では、一旦お疲れ様でした―!
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/28(木) 03:38:34.22 ID:x2/q/4z2o
>>458

ふん――――いくら知っておっても、斬れぬものは斬れぬがな。
圧倒的な力を前にすれば知識も技術も役には立たぬし、それぞれ個体によって動き方も違うからの。
……しかし、天狐などそう対峙する事もないのではないか?

【―――天狐、というと千年を生きた狐がなるというもの。その力は強いが、それ故に数も多くはないだろう】
【この瑚蝶も、天狐と呼ばれる存在ではあるが出会った経験はない―――夜の国に居を構えているからかもしれないが】

霞、の……一先ず少しの間は覚えておるであろう―――その流派に聞き覚えは全くないが。
といっても、そもそもそういったものに興味が無いのだがな。

善狐……今はそう、かのう?若い頃は色々とやったが――――飽きたからの。

何故、と。まあ―――単純に言えば、暇潰しよ。
こう長く生きておると退屈で仕方なくてな。何かないかと色々見ておったら何やら此処が騒がしかったのでな、直接出てきたのよ。
ほれ、そこで倒れておるそれであったり、何やら水晶玉であったり。

【僅かばかり、空を見上げたかと思えば、語る理由はただの暇潰し】
【……まあ、この妖狐らしいといえば、らしいのかもしれないが】
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 04:09:02.62 ID:E26QMPiF0
>>461
「――――水であっても斬ってみせるし、雲であれば散らせてみせる。命が有るなら、尚の事
形が有るならば其れ等を絶つ事よりは幾分かは簡単でしょう。…………圧倒的な力、ね
小指よりも小さな虫が一刺しで人間の命を奪って、海に漂うだけの海月が触れただけで遙かに強いはずの人間を殺す世界――――知恵も技も持たないそんな生物が殺せるなら、私達人間が斬れない道理も無いんじゃないかしら
天狐、は無いけど…………ずっと昔、皆と一緒に空狐とは――――――いえ、今は関係の無い話。実際は、悪鬼だったし
まっ、備えあれば憂い無し、よ。大蛇だって天魔だって、何時か降りてくるのかもしれないし」

【水晶を取り出したならば、再びその中には女とは又別な人物が写っていて】
【身振り手振りで何かを示したかと思えば、掻き消えてしまうのだろう】


「まー、良いんじゃ無いかしら。知られていなければ一応手の内は隠せるし…………アナタ達妖怪はそれぞれが強い妖術を持ってたりするんだから興味がなくても、頷けるわよ
――――さて、折角の暇潰しの所悪いんだけど。ちょっと面白い情報が手に入ったらそっちに向かってみるわ
アナタはまだまだ生きていられるのでしょうけど――――アタシ達人間は短い時間しか許されないんだから、先を急がせて貰うわよ
瑚蝶、また桔梗様に会う事があれば宜しく頼むわね」

【水晶を戻したならば、笠の位置を調節して】
【――――去り際にそんな事を残したならば、背を向けて歩き出すのだろう】
【響くのは草履が草を踏む音だけ。最初の頃の騒々しさも無ければ正に旅人の風ぼうとでも例えられようか】

/っと、時間も時間ですのでこの辺りで……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!お休みなさいませー!
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/11/28(木) 04:13:39.71 ID:iXuDSLTfo
>>450

ふふふ、そういうことだ…………!
やみにまぎれててき≠うつのが、しのび≠フりゅうぎだからな!

【少女の口から漏れ出す感心したような言葉に、レラは鼻高々といった様子で胸を張って】
【闇に紛れると言う割に、その様子はよく目立つ。実際にそれをやった事実を知らなければ、ただ格好付けの言葉として取られていたかもしれない】
【長いマフラーと首元までのポニーテールをぴょこりと揺らし、少女を見上げて得意げに笑う】

「しぐれ いな」…………もしかして、さくら≠フくにの出身か?
それはいい、いろいろとはなしを聞かせてくれ…………!

【名乗り返されたその名前…………語感から櫻の国の者であると察すれば、何か驚きと嬉しさの入り交じった顔をした後】
【食事、と聞いて一度切られる言葉に、だめかと少し残念そうな顔をするも。続く了承の言葉に、一層の安堵と歓喜が向けられるだろうか】
【ふと笑った少女――――伊那が、自分を通して誰を見ていたのかはわからないが、笑顔を向けられれば更なる笑顔を返して】
【歩き出す伊那の姿にすぐ追いつくと、怪我の具合を気遣いながら誘導して、二人で暗い路地裏を抜け出すのだろう】

【――――その後、レラは伊那を誘導して、大通りに面した小さな屋台へ連れ出すだろうか】
【年配のサラリーマンが入るような寂れた屋台だが、どうも常連であるらしく、レラの顔を見ると店主は何も言わず準備を始めて】
【メニューには酒もあるが、もちろんそんなものは注文されない。代わりに、冬場に相応しい暖かな食事が二人に振る舞われるだろう】
【レラはそれをおいしそうに頬張り、聞いてもいないのに伊那へお勧めを教えたりしながら、他愛もない話を聞かせるだろうか】
【それは、実は自分は櫻の国と砂の国のハーフで、父方の故郷である櫻の国には行ったことがなくて凄く興味がある、といった話だったり】
【先程少し話題に出た同僚≠ェ、酔っ払うと自分をベットに引きずり込んで抱き枕代わりにしようとするとか、そんな話だったりする】
【…………後者に関しては、所々の特徴が伊那の知り合いに一致するかもしれないが、それはさておいて】

【自分の話だけでなく、もし伊那の方から何かを話してくれれば、レラはそれを興味深そうに静聴するだろう】
【むしろ、子供らしく好奇心に任せた様々な質問をして、伊那を困らすような場面さえあったかもしれない】
【それはアルコールに溺れて朝まで互いの腹の中身を晒し合うような付き合い方とは違った、ささやかな語り合いではあったが…………】
【レラにとっては間違いなく充実した時間であったし、伊那にとってもそうであって欲しいと、心の底から願っていた】


――――またな、いな! こまったことがあったら、いつでも言え!

【そんなちょっとした歓談の席も…………伊那の都合も慮って、それほど長引かずにお開きとなるだろう】
【店から出て、もしも伊那が怪我の事で歩き辛そうにしていたなら、伊那がいいという場所まで責任を持って送っていくはずだ】
【そして、別れの時。伊那を見上げるレラは残念そうに、しかしどこか晴れやかな顔で、別れの言葉を口にする】
【誤解で始まり刃を合わせ、しかし最後には解り合う。そんな出会いに感謝しつつ、大きく手を振って伊那の背中を見送るだろうか】

【――――困ったことがあったら言え、という台詞は、今日やらかした失態への償いでもあり】
【同時に友達≠ニ認めた相手へ向けた無償の親切であり、そして何より再会を願う言葉であるのだろう】
【やがて、伊那の姿がレラの視界から完全に消失すれば。レラはふと天を仰いだ後、踵を返して】

【反省と後悔と楽しさと寂しさを、ぜんぶ纏めて闇夜の中へと持ち込んで…………その光で暗闇を彩りながら、帰り道を歩いていくのだった】

/ありがとうございましたー!
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 05:44:40.60 ID:NBTeRHWSo
>>411>>412
【銃口を朔夜に向けている間中、機関兵らは相手が手負いの女性であるにも関わらず、表情を固くしたままだった】
【異形どももまた同様に、くすんだ鉛色の瞳は、各々が言葉を垂れ流している間も警戒の色を浮かべたまま】
【彼らもまた、感じ取っていた。今なお、闘志折れぬ朔夜が、どれほど優秀な戦闘者であるか】


「『…………』」

【自嘲を交えつつも、どこまでも傲岸不遜に。それほどの傷を負っていて、なお笑う】
【勝者のしての姿を、決して損なわない朔夜の堂々たる立ち姿と言葉を、弱り切った四つの瞳に映し】
【苦痛の中に、さらに苦々しい色を表情に交えながら、双子は荷台へと消えた】
【返答がなかったのは、苦痛ゆえか、完膚なきまでの敗北ゆえか】

【そう、状況はどうあれ、朔夜の勝利は揺るぎないものであった。確かに、双子は一命をとりとめたが】
【彼女自身が最初に述べた通り。彼女は偶像としての役割も、戦闘者としての役割も、見事に果たし切ったのだ】
【何より、彼女自身もまだ生きている。満身創痍になりつつも、折れぬ意志と共に生きている】
【無線機越しの声が、彼女への賞賛の色を含んでいるのも、こうした事実あってのことだ】


<これはもったいない言葉を賜ったな。戦場の古参であろう人間に、そう言ってもらえるとは>
<同類殺し、か……こちら側だと感じた、デュアルたちの感覚は間違っていなかったわけだ。我々同類≠フ目からみても恐ろしい限りだよ……>

<それは重畳。相手がJustice≠ニもなれば、命を賭して喧嘩を吹っ掛ける価値がある>
<いずれ、直接対面できる時を楽しみにしている。では、失礼>

【ここに至ってなお、挑発の色さえ滲ませる朔夜の言葉に、あくまで静かな語調で無線機の先の男は返す】
【だが、やはり隠し切れない敵意の気配。トラックに向けられる切っ先の鋭さに真っ向から睨み返すように】
【実際に切っ先を向けられた異形どもも、また同様。悪意にぎらつく瞳をそこから逸らすことなく】


【やがて、国軍の気配をいよいよ間近に感じれば、トラックは走り去っていく】
【後方からの追撃にも十分に警戒はしていたが、飛んでくるのは朔夜の視線のみ】
【ミサイル陣地を後にする瞬間まで、蒼い殺意と拒絶は異形どもの背中に刺さったままだった】


【しばし後、トラックの荷台。寝かされた双子の異形の身体には応急処置が施され、出血は止まっていた】
【ぐったりとした身体は、呼吸と脈動に波打ってはいたが、その動きはわずかなものだ】

《うっうう……ボ、ボス……デュアルさんたちは、何とか大丈夫ですぅ……》

<ご苦労、ネグティー。どうやら、追撃の心配はなさそうだ。国軍も、もはや追いつけまい>
<スカーベッジらを、拠点に待機させている。到着次第、すぐにデュアルたちを引き渡せ。そのあとは、お前たちも手当てを受けろ>

【無線へと返答したその大男は通信を切ると、顔を上げて離れた距離にいるその女性を見る】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、黒いゴム長靴の大男だ】
【角ばった顔付きに短めに切り揃えられた黒髪。歪んで黒ずんだ両耳と両の親指。そして、額に巨大な一つ目】

【手下たちと同じく異形の大男は、物陰に隠れた小型車両に乗っていた。機関兵数名も共に搭乗している】
【中には、両腕が無骨な義手となっている、溶接作業用マスクを被った異様な男の姿も見て取れる。スクラップズの一人を、温存した状態で待機させていたらしい】
【朔夜や国軍が追撃の素振りを見せれば、すぐにそこへ割って入るつもりだったのだろう】


<……面白い、が忌々しい……!! 収穫以上に、受けた痛手が大きすぎる……!!>
<ん……? 総員の撤退完了、か。了解だ。我らも引き上げよう。オートマーダー、車を出せ>

〔ガシャン……了解、シマシタ〕

【義手男が、黄色い工事現場用ヘルメットを被った頭をうなずかせ、アクセルを踏みつける】
【一つ目の視線がやがて新たな怨敵たる朔夜から切られると、この場の最後の機関員らが姿を消していく】

【この場の脅威は、全て消え失せた。やがて、国軍の歓喜の声が響き渡るだろう】
【正義の味方に味方する者、孤高の剣士は見事、おぞましき異形どもを撃退したのだ】

【『ブレザシティ』北西部 仮設ミサイル陣地の戦い  勝者――識槻 朔夜】

/こちらこそすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。こちらもこれにて締めとさせていただきます。長期に渡るお付き合い、ありがとうございました!!
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/28(木) 08:08:27.40 ID:8NXFhGI50
「市内の戦闘は、大部分が収束しました!!」
「対空兵装の稼働率はどうなってる!?」
「約52%!! ミサイル陣地以外の装備の被害が甚大です!!」
「撃て! とにかく撃て!! 絶対に市内に踏み入らせるな!!」

【――――能力者同士の戦闘は終結し、守りきられた兵装による敵航空機への攻撃が始まる】
【おおよそ半分の武器が使用不可能になった中、それでも彼らは諦めない】
【自分たちが諦める事は――――この都市の住民全てとの心中と言う結果になると、分かっているからである】

「……………………ッッ!!」

【誰もが息をつめて空を見上げる。今や、その姿は『ブレザシティ』から肉眼で確認できる程に迫っていた】
【そしてそこへと、残った砲弾やミサイルなどが無秩序に、あらん限りの力で放たれていく】

「――――ッッ、やった!!」

【そして、人々は確かに見た――――伸びていく光芒に包まれて、機関の航空機が大きく爆発し、炎に包まれる姿を】
【四散し、残骸と化した機体は、そのまま大小幾つもの破片に分かれて、墜落を始める】
【行きつく先は――――丁度、陽動部隊と防衛部隊がぶつかり合っていた、都市郊外の戦場である】

「……!! 見ろ、あれを!!」
「こ、これは……!!」

【その姿を見届ける者全てが『それ』を見た。機関の企み、その全容がそこには晒されていた】
【国軍は、既に8割方撤退を完了させていた。だが、攻め入っていた機関の軍には、引き上げる場所など存在しない】
【そこへ――――空から勢いよく、赤い雨が降り注いでいく。あるいは、小さな氷の塊が】
【そして――――それに降られた者たちが、その場で勢いよく溶けていく――――皮膚がただれ、肉が緩み、身体が結合を失う】
【それは、人間と言わず、改造生物と言わず。その場にいる全ての生き物に起こった現象だった】
【巻き込まれた機関の軍、生物、そして逃げ遅れた雷の国国軍が、苦痛の絶叫を上げる。そこは正に、阿鼻叫喚の地獄と化した】
【そこに追い打ちの如く、機体の残骸が落ちていく――――もはやそこに、命ある存在は残ってはいなかった】
【そうして全てを終えると、赤い雨は赤い霧となって、風に乗って恩知らずにも吹き去っていく】
【どうやら、常温では気体となるガスの様なものを、凍らせて固体化し上空からばらまく予定だったらしい】

「…………これが、機関の企んだ事か…………」

【顔面蒼白になりながら、誰かがポツリと呟いた。そこに勝利の喜びはない。ただ、眼前で起こった出来事に対するショックが】
【そして、その悪意の標的が本来、自分たちだったと言う事実に対する恐怖だけが、その場を支配していた】

【――――人間は、神の領域に足を踏み込もうとしている。人の行いは、膨張するようにその活動範囲を広げていく】
【しかし。人間も案外捨てたものではないのかもしれない。彼らの背を押し、肩にのしかかる何か】
【それが彼らに此度の試練を課し、そして彼らは自らの力で勝利を勝ち取った】
【そこに存在するのは、高められた力ではない。生を渇望する欲望でもない――――高潔な意志なのだ】
【その勝利は、人間が未だ『人間』である事の、証明だったのかもしれない】

/これにて今回のイベントは終了します
/参加して下さった皆様、ありがとうございましたー!
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/28(木) 13:09:16.98 ID:tysdLqDJ0
【とある公園】

【少々年代が古い公園、さび付いている遊具などがある】
【その公園にはベンチがおいてあるがそのベンチは古いものだ】
【だがその古いベンチに座っている男がいた】

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

【その男はのびをしてのんびりとしているこのように夜がふけた場所で】

 ああ、『ドーラ』の修理どうしようかあれ時間がかかるんだよなあ
 いやあ、でもなあいっそのこと新武装作ろうかなあ

【男はそのよう悩ましげにいいながらが膝にほおずえをつきながら考える】
【だが考えがまとまらなかったのかため息をはきほおずえをやめてベンチに背を預けた】

【そしてそのとき何かが折れる音とがした】
【「ん?」と男が疑問を作り】

【そのままベンチが倒れて男はベンチと一緒に地面に落ちた】

 っ〜〜〜!

【男がその場で頭をぶつけたのかあたりで転げまわる】
【そして転げまわるのを止め頭を抱えながら静止した】

【もしこの場所を見つけ人が入ってきたのなら、ここで頭を痛そうに抱えている男を見ることになるだろう】
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/28(木) 15:59:48.16 ID:N5vj+02J0
>>419

【幾つもの後悔。幾つもの挫折。しかし、セリーナもダンも、確かに生きていた。そして生きているという事は、戦えるという事。】
【悲壮な現実、暗黒の時代。けれども、希望は必ず其処に在る。人の中に宿った、小さな小さな篝火を、共に護る事を誓うのなら。】
【剣を取れ。真に正しき者を護る為。無垢なる笑顔を未来に繋ぐ為。悪しきを撃ち滅ぼし、絶望の世界に光を見出す、その日まで。】

【失われた矛が、折れた槍が、再び輝く時が来た。さあ、"ダン・ブラッグス"よ―――貴殿の勇気と、覚悟を、見せつけてやろう。】
【果てない鼓舞。"繋がれた引き金"に、歴戦を乗り越えた一人の戦士が加わった。一度は潰えた矛、しかし確実に、彼は兵であって】
【元・カノッサという経歴すらも、きっと大きな"戦力"たる筈。引き金と槍、二つの武具が交わる時、産まれる力は確実に、強く。】

    【―――ようこそ、UNITED TRIGGERへ。今日、此処から始まるのだ―――貴殿の新たな戦い、新たな人生が。】

                【―――と、感動的に締まる筈、だったのだが。】
   
 
 あ―――っと、ご、ごめんなさいっ! あのね、別に嫌味でそうしたわけじゃなくって―――……あわわわ、ほんとに……、、
 ちょっと、新しいメンバーに浮かれててうっかりしてたっていうか、ああもうごめんなさい! 
 

【―――先程までの、ある種威厳すらも感じさせる様だったあの勢いは、どこへやら。顔を真っ赤に火照らせ、慌てて腕を引っ込め】
【つい、うっかりしていたのだろう。いや、それで許される無礼ではないが、彼の熱意とはそれ程彼女の脳内に刺激を与えていた。】
【申し訳なさそうに彼の話を聞けば"雷の国"―――なるほど、これで納得がいった。あの戦争紛いの侵略に、彼は抗っていたのか。】


 ……うう、、普段なら絶対に侵さないようなミスを……気分を害したら、本当にごめんね。
 でも、そっか……"あの雷の国"での争いに、ダンさんは参戦してたんだね。アタシは別の場所で忙しくて
 その場には居られなかったから……なんていうか、申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。

 けど―――……やっぱり、ダンさんは凄いよ。普通なら身体を犠牲にしてまで、何かを護ろうなんて、中々思えないもん。
 その勇気、しかと見届けさせてもらったよ! それに安心して、これからは―――貴方が何かを失う事は無い。
 アタシやUTの仲間は、無為の人々も、貴方の事も、どちらも護るから、さ!

 うん、よろしくね。それじゃ、改めて―――頑張ろう、ダンさん。
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/28(木) 16:00:06.67 ID:N5vj+02J0
>>419



【今度こそ、差し出した右手。それと同時に。今夜一番の笑顔を見せて。やがてセリーナは手を離すと、カウンターから離れて】
【どこへ行くかと思いきや、店の裏側へと繋がる通路の方へ、ダンを案内する事だろう。丁度、他の客からは見えないように。】
【はて、何が起こるのか。裏口へと繋がる暗い廊下には灯りすらともっていないのだが―――瞬間、足音から響くのは低い轟音】

【まるで建物自体が唸っているかのように、薄暗い通路が脈動すれば―――ダンは確かに感じる筈、それは唐突な浮遊感だった】
【しかし建物が浮く訳も、通路が浮く訳もない。であればこの浮遊感はそう、"落ちている"のだ。通路自体が、落下している。】
【エレベーターのように通路が地下へと向かって"降りて"行く通路、頭上を見上げれば、裏口があった場所には擬似的な廊下。】

【部外者からはエレベーターとして機能している事すらも理解できない構造になっており、つまり―――秘密基地、であった。】
【数十メートル程下っただろうか、エレベーターが停止すればダンの視界に飛び込んでくるのは基地しか形容出来ない施設群だ】
【メイン・センターの役割を果たすコンピューターやモニターの並んだ中央部、資料室や訓練場、武器・弾薬庫の数々―――。】

【正義を掲げる戦士達が、滞りなく活動をするにあたって必要な物は一通り、揃っていると見た間違いない。更に言えば】
【当基地は現在、一人の天才科学者の手によって大幅な改修・改造工事を施されており―――正に要塞とでも呼ぼうか。】
【監視カメラや敵対者への罠装置、AI搭載の機械類がそこかしこに存在し。おまけに、ルンバが基地内を掃除していた。】

 
 ―――ま、こんなものを用意したせいでお金は凄い勢いで飛んで行くんだけど、ね♪
 その分、ダンさんにもしっかり働いてもらうから、"覚悟"しておいてね、っふふふ!
 さて、施設の案内は後でゆっくり見てもらうとして、取り急ぎ必要なのはお部屋、かな。
 ダンさん、住む所とかはあるかな? もしないようなら、ウチは住みこみOKだから部屋は好きに使ってくれていいよ!
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/28(木) 17:15:41.24 ID:tysdLqDJ0
【鉄の国――路地裏】

【人などがあまり寄り付かず人気がない場所】
【柄の悪い人間などがここにうろついていたりするのだろう】

【だが今この場所には二人の男がいた】
【一人の男は黒いTシャツでジャケットなどを着ておいる】
【もう一人は黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】

「本当にこれで武器を売るんだな」
 ええ、この条件で貴方も合意したのです
 約束は守りますよ、商人ですし
「……わかったではこれで」
 では、また後日にお会いしましょう

【一人の男がスーツの男から離れていく】
【そして男が離れたのを確認してからスーツの男は一息つく】

 ふむ、まさかこれだけの武器を注文をされるとは
 まあさっさと用意しませんとねえ

【男はそのように楽しそうに言った】
【儲かったからかそれともほかにも理由があるのかはわからない】

【さて、このスーツの男と話していた男はそのまま路地裏から出て行くだろう】
【そして同時にその男が去っていった路地裏を見ればスーツの男が見えるであろう】
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/28(木) 17:46:56.85 ID:SBUTL3Nc0
>>467-468

……フフフッ……
―――ッハッハッハ!!すみません、貴女も人間臭い可愛いところもあるんだなーなんて……

……いえいえ、気にはしていませんよ。きっと“これ”も、初めての戦いの勲章のようなものです……
自分のの行動には後悔していません。兵と街を護りきった結果ですから………まあ、自分がこうもボロボロになっちゃあ元も子もないですけど。
……私にはもう槍も、槍を掴む手もない。でも――――

                ―――――代わりに、仲間が出来た。それで十分です。


【先刻までの理想を掲げ現実を見据える女性は、見れば自分のミスに気付き慌てて赤面していた。先程とのギャップ満載の可愛らしい姿に、思わず男は笑いが込み上げる。】
【――――ああ、この人も人間なんだなぁと。高遠な理想を掲げてはいても、ミスもするし人間臭い一面もある。……そんな彼女に親しみを感じたりて笑みがこぼれる彼もまた、人間臭いのだろう。】
【さて、仕切り直し。改めて差し出された右手に今度こそ確りと手を添える。―――――強く、固く、己の心を確かめるように。】


【固く握手を交わすと、セリーナはおもむろににカウンターを発った。……といっても、外に繋がるドアへ向かう訳ではないようだ。ならば一体何処に行くというのか……】
【心の中で首を捻っていると、自分も付いて来るようにと店の裏側へ案内される。一体何処へ向かっているのか、これから何が起こるのかさっぱり解せず、顔には戸惑いの表情。】
【しかも案内された通路は足元も覚束無い程に暗く、疑問は深まるばかり。彼に出来ることは、歩く彼女の後ろを訳も分からぬまま付いて行くだけ。】
【何か隠しているのだろうか、それとも実は自分は騙されていてこれから閉じ込められるのか―――いやいや、彼女に限ってそんな筈はないか。】
【様々な憶測を(無駄に)巡らせていると――――今度は、唸るような轟音。次にフワッとした感覚と若干の揺れ。ますます訳が分からない。】
【それもその筈、今はまだ此処の正体を知らない彼には全ての状況が飲み込めないのだ。……それだけ、此処のカモフラージュが完璧だったとも言えるが。】

【やがてもう一度の衝撃と共に、廊下(?)は停止する。――――そこには、信じられない光景が広がっていた。】


――――――――――!!?


【およそ個人の所有量とは思えない程の武器・兵器、恐らく酒場には全く必要ない筈の制御機器、そして使い込まれた訓練所。】
【洒落た酒場は何処へやら、其処は物々しい程の軍事物資の揃った秘密基地。……あと、ルンバ。】
【まさに腰を抜かすとはこの事だろう。彼は驚きの余りに声にならない声を上げ、開いた口が塞がらなかった……】
【仕方ないだろう、まさか洒落た酒場の下にこんな場所があるなんて夢想だにしなかったのだから……まあ、予想できる人はいまい。】
【……後ろを振り返ると、施設の主は笑いながら酷使宣言をしていた。……怖くて施設費の額を訊けない。】

………そっちの覚悟は遠慮させて貰ってよろしいでしょうか……ほら、私障害者ですし…………ダメですか。
でも住居はありがたいです。何分アテもなく旅をしていたもので拠り所は無くて……

――――いやいや、それにしてもまさか、こんな所があるなんて……

【改めて、基地内を見渡す。………これ絶対、個人の財産の限界超えてますよね……】


【さて、驚きも収まってきたところでもう一度セリーナの顔を見る。……成る程、綺麗な目をしている。この人ならきっと何時か志を成すだろう。】
【己もその一助となれば―――――そして、己自身の志も成せれば……その日が何時になるのかは分からないが、見出した道を進み続けよう。】
【もう一度、右手を差し出す。やがてその手が握られれば、あてがわれた部屋に落ち着くだろう。】


             【――――かくして、激動の一日は幕を閉じた。新しい仲間、新しい志を齎して―――――】

//これで〆ということで、本当に長期間お付き合い頂き有難うございました!
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/28(木) 17:52:05.55 ID:B1ATgQWZo
>>462

こっちは世の理から外れた存在ぞ?理に囚われた人の子と同じ様に語るでないわ、この阿呆が。

――――ああ、そうか。ではまた別のものを探すとするかの。
コココ……任せておけ―――ま、今度は化かすかも、しれんがの…………

【ニィ、と口を三日月に歪めれば、立ち去る姿を見送って】
【やがてその姿が見えなくなれば、新たに現れるのは二つの影】

【一つは黒い長髪を高く結った細身の男】
【黒の着流しの腰元には、一振の刀が見えて】

クロ、お主はどう思う?人の子が余を討てると思うか?

「……人の子ごとき、瑚蝶様がお相手するまでもなくこの黒葛花が打ち倒しましょう」
「ですので、瑚蝶様が討たれることなど有り得ぬ話でございます」

【もう一人は、白い長髪の女。こちらは白の着流しに紫の帯を締めていて】
【胸は全くといっていいほどなく、真っ平】

―――お主はどうだえ?

『私もクロ殿と同じく御座います。クロ殿が武であれば、私は術を以て瑚蝶様に仇なす者を打ち払いましょう』

ココココ……全く、うちの従者達は頼もしいのう……
――――よし、帰って飲むかの、行くぞ。

【満足そうに目を細めたかと思えば、また一度、強い妖気がにじみ出て】
【空間が歪んだかと思えばもう、三人の姿は消えてなくなっていた――――】



/最後に遅くなりました!
/有難うございましたー!
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/28(木) 18:29:37.59 ID:qzEHLTino
【路地裏】

【黒の呉服を纏った巨躯の男がいる。】
【左の腰には空になった鞘と、帯刀された脇差しを携えている。】
【片手には抜き身となり、暗闇に紫電を放つ日本刀。】

           ・・    ・・
手応えがねえな…。まァ鍛練としては中々だった。

      ・・・・・・
【足元には、全く同じ箇所に切り傷を付けた"ゴロツキ"と呼ばれる男達。】
【似たような格好で各々痛みに悶えているようだが、命に別状はなさそうだ。】
【――男は彼らの元にかがんで、声をかける。】

         ・・・・
授業料だ。お前らの希望通り、財布を置いといてやるよ。


【紙幣がニ切れ程度入ったお財布を彼らのそばへ置いといてやる。】
【その後、ちゃりきと音をたてて刃を隠せば、彼らから離れるように歩きだすのだった。】
【ほんのちょっとの血腥さを体にまと回せて、文明の世界へと。】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/28(木) 18:49:13.25 ID:ptkMSTL9o
>>440
「ほかは間違いなくカスなのは認めるっスけどね。
でも、生きるってことだけは誰にも負けないっス。そこ譲ったら、私本気でカス以下になっちまうんで」

【死ねば天国に行ける、死ねば来世では能力者になれる。そう思考する戦闘兵が、GIFTには多い】
【能力者のために死ねる無能力者を増やすための教育であり、それに適応しない者は幾ら有能でもGIFTにとっては要らない人材だ】
【そうした、臆病者£Bが集っているのが、コジマ達の隊。死にたがりの無能力者の中で死にたくない奴らが集められ、死地に送られる隊だ】

「――チェス。っすか、学ないんでルールとか全くわかんないッスけどね。
ただ、やるって言うんならやるッスよ。でも宣言しとくっスけど、私とやっても面白く無いッスよ?
ゲームやっても何でも、決着つかないままずるずる続いて人飽きさせちゃうもんで、他の慣れた部下に任せたほうが良いんスけどねー」

【ココアをすすりつつ、なんとも言えない表情で遊び相手には向かないと苦手であることをアピール】
【接待だろうとなんだろうと、粘り強く戦ってしまうコジマの戦い方は、相手を飽きさせてしまうつまらない≠烽フだ】
【堅実どころか臆病極まりなく、そして輝くことも何もなく、勝ちを狙うことも何もなく、負けない$いをする】
【だからこそ、何をやっても劇的でもなんでもなく、身根をすり潰すようなゲームをコジマはやってしまう】
【故に、もし男にチェスをやろうと言われても、のらりくらりと躱しつつ、できるだけ部下に任せようとすることだろう】

「――何を考えてるかしらないッスけどね。
私は唯の下っ端で、唯の小市民で、唯の無能力者ッス。
明日のおまんま食えて、日頃の晩酌が偶にビールになりゃ嬉しくて、部下共にパワハラしてストレス解消する程度の、ッス。
だから、もしアイケサンが私を利用しようとしても、何の役にも立たないってことだけは、覚えておいて欲しいッス」

【エメラルドグリーンの双眸を、僅かに理性的な感情を滲ませつつ、相手の双眸と耕作させる】
【卑下する言動は、上を目指さずこのままを望むがゆえの言動だ。詰まることろどこまでいこうとこの女は――――】
【――――臆病、だ。そして、それを知った上で、それを解消せずそのまま生き抜こうとするだけの強かさも持ちうる】
【少なくとも、相手の考えている思想や計画などには、そう簡単に乗るような人材では案外ないだろう】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/28(木) 19:05:14.40 ID:EGQdjgH00
>>472

―――フフ、随分と律儀なんだね。

【不意に、そんな言葉が背後から聞こえてくるだろう―――。】
【その声の主は路地裏の奥………その闇の中から男性へとゆっくりと近づいてくる………。】
【何時からそこにいたかは分からない、突如として現れた気配―――その来訪者は倒れたごろつき達の前で立ち止まる。】

こんな路地裏という無法地帯でわざわざそんな律儀な行いをする必要があるのかい?
―――あぁ気にしないでおくれよ、単なる好奇心で問いかけたまでだから、さ………フフ。

それにしても強いんだね、得物と言い、その律義さといい………櫻の国≠フ武士って奴かな?

【現れたのは路地裏に似つかわしくない人物だった。】
【鮮血を浴びたような肩ほどで切りそろえられた2本のアホ毛が伸びる真紅の髪、何故か前髪以外の部分の毛先が金色のメッシュになっている】
【上半身はワインレッドのスーツを着ており、下には黒いシャツ、首元には赤のクロスタイがあり下半身は同じくワインレッドのスラックス】
【高級そうな革靴を履いており身長は160後半程度の、12,3歳程の右目を前髪で覆った金色の瞳を持つ中性的な少年】

【男性へとそんな問いかけをしながら微笑む………どことなく不気味だ。】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/28(木) 19:23:23.64 ID:8+szh0OBo
>>474

         ・・・・・・
? ――無法だろうが筋は通すだろ?


【聞こえてきた"問い"に思わず呆気とした。相手を肩越しに見てまさしく"なにいってんだ"と、】
【そして、己の中で、当然のことを、当然のように答えるのだった。】
【これは信念とも言い難い…朝歯を磨くのと同等のものである、と考えられる。】
【そして彼はゆっくりとそちらを向く。】


櫻の国の武士ほど立派なもんじゃないけどな……
・・・・・・・
斬った斬られた――が大好きな流浪人だよ。

――お前もそういうの、すきだろう?


【少年の不気味さ、彼にとっては好物だった。】
【何しろ見るからにまだ幼い少年が、無法の場と認識してこの場に立っているのだ。】
【この手の者とは、彼の言う"斬った斬られた"に進展することがある。】
【故に普段なら無視する出会いも、路地裏では歓迎するのだった。】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/28(木) 19:23:59.41 ID:8+szh0OBo
ID変わりましたが>>475>>472は同一です!
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/28(木) 19:33:44.90 ID:8+szh0OBo
>>474
/とっ、すいません……、急に都合が悪くなってしまいました…。
/置きレスか凍結か、もしあれなら切って頂いても構いません…、、。
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/28(木) 19:36:46.85 ID:EGQdjgH00
>>475

これは失礼………路地裏では筋≠通さない人間が多いからねぇ
そんな中で筋≠通す君が少しばかり異質に見えて声をかけた次第なのさ。

【相手の返答に苦笑しながら肩を竦めてそう謝罪の意を述べる―――。】
【男性にとっては当然≠ナある行為が路地裏では物珍しいモノに移ったようなのである。】

成程………流浪人か。
いやいや………僕はあまり痛いのとかは好きじゃあないからねぇ―――。

ともあれ面白い事は好きだね、君の事も面白そうだったから声をかけたのさ

―――あぁ、自己紹介がまだだったね、僕はカノッサ機関ナンバーズNo.09ジェスタ―・M.M≠チて言うんだ
どうぞお見知りおきを………フフ。

【男性の問いに対して苦笑しながらそんな事を冗談めかして答える。】
【そして名乗る所属と名………その所属、カノッサ機関というのはあまりにも有名すぎる名である】
【果たしてこの所属を聞いた男性はどのような反応をするのだろうか………そんな事に期待するように少年は微笑む】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/28(木) 19:37:45.12 ID:EGQdjgH00
>>477
//おおーそうですか!それでは置きレスの方にでも返信を頂ければ!
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/11/28(木) 19:40:54.49 ID:8+szh0OBo
>>479
/すいません、…それでは置きレスでお願いします!
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/28(木) 19:47:01.34 ID:EGQdjgH00
>>480
//了解しました!
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 20:58:04.69 ID:JxhtRqvBo
>>457

【もう一口酒を煽り、喉を鳴らして飲めば、一言合図をして瓢箪を返すのだろう】
【酒など飲んだこともなかったが――マタタビをもらった時のような懐かしい感覚に心地よさそうな顔をして】
【しっぽも心なしかふにゃりと曲がっていた】


にひ、楽しみにしててよ! 当面の目標は銀狼さんだからにゃ!
すぐに強くなって追いぬいて見せるにゃ!


【当面の、ということは彼女はさらなる高みを目指しているということなのだろう】
【それには以前大会にて戦った八攫やフリッツのことも含まれているのかもしれない】


ジンツウリキ……? それで妖怪になっちゃうのかにゃ?
てことは銀狼さんも、元はフツーの狼だったんだね
何か櫻の国ってすごいところだにゃ。不思議パワーで強くなれそうだね

んー、種族とかわかんにゃいからずっと亜人ってことにしてたけど……
あたいも妖怪、ってことになるのかもにゃ。一回死んで生まれ変わったんだし

そういや、銀狼さんはその姿になった時のこと、覚えてるのかにゃ?
あたいとはこう、変わり方が違うみたいだし、気になるにゃ


【果たしてちゃんと理解したのか疑問だが、とりあえず「櫻の国は妖怪がいっぱいいるところ」とでも認識したらしい】
【種族についても知識が乏しいようで――さらりと言った事実を鑑みれば、幽霊になるのか、妖怪になるのか、何なのか】

【そんなことを考える内に銀狼の事が気になったのだろう】
【語彙が乏しくわかり辛いが、変わり方とは獣の姿になるまでの過程のことか】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/28(木) 21:20:01.77 ID:fCfEk7BDo
>>482

【返された瓢箪を受け取れば、こちらもまた一口。ぷはぁ、と息を吐き】
【こちらは酒に強いらしい。顔色を変えるでもなく腰のあたりに括ってしまい】

ク、クッ……待っておるよ銀猫。これは儂もうかうかしておれんようだのう
なにせ、子の育つのは早いもの……笛より拳の鍛錬が必要と見た。

……うん?まあ、神通力というか、不思議な何か……いやな、儂にもよく分からんのよ
ただそうだのう。櫻の国は妖怪やらなんやら、強かったり変だったり、何かと居る。
一度行ってみたら、お主も一回り大きく≠ネれるかも知れぬなあ

【銀猫が何かと適当に認識してしまったように、銀狼の知識もその程度】
【元より深く考えるタチでもない。腕を組んで頭を傾げたが、最後は雑念を放り捨て】
【ニヤリと笑って放浪を進めれば、また興味は次の質問に移り】

んー、儂は元は狼、というのは言うたのう?で、群れの中でも結構な年寄りでな
だが不思議なことに身体は衰えず、寧ろ冴え渡る一方だった。

ある日、その力の赴くままに一人山野を駆けている、と……
……竹やぶを飛び抜けたら、人の姿をしておった。そういうわけで、よく分からん
だが死んだりはしておらんし昔の事も覚えておるから……同じ感じでは、無さそうだのう。

【覚えているがまま、自らが妖怪になった時のことを彼女に話す】
【ただきっと、これも一例。妖怪全員がそうなのでもないだろうし、何とも言えない――と、最後に付け加えた】
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 21:59:33.76 ID:6jv6J+ER0
【風の国、―――総合病院の屋上。】


【―――此処は、風の国最大の敷地面積を誇る病院。"最大の"と謳っているだけあって、ほぼ全ての診療科が網羅されており、】
【更に政府の支援を受けているが故に、病院内の施設、医療機器、或いは人材といった、ありとあらゆる全てが最先端を誇っているのだと言う。】、
【……となると、国民からの信頼も厚かった。"此の病院へと駆け込みさえすれば、どんな病気でも忽ち良くなる"―――、なんて評判もある程で。】

【そんな総合病院の屋上の隅の、隅っこ。暗闇の中、亡霊の様な何かが、ぼうっと浮かんだ。】
【寒空の下、車椅子に座った、たった一つの人影である。勿論注視すれば、其れが歴とした人間である事は、見て取れる筈だ。】

【―――其れでも尚、未だ違和感が拭い切れないのなら、其れはきっと其の車椅子の事なのだろう。】
【此の病院は全てが最先端を行くのだ。"電動"では無い物なんて、寧ろ其れに腰掛けている人を探す方が大変の筈。】
【にしては―――随分と古びた、それも"手動"の車椅子なのだ。……だとすれば、其の影の周りだけ、】
【丸で数十年前にタイムスリップした様な、そんな風に見えても、つまりは違和感を覚えても可怪しくはない、という事。】

【キ、キキ……と軋む音を鳴らしながら、車椅子を器用に動かす一つの影。ふと照明に照らされれば、其の正体は次第に明らかになるだろうか。】

【少し短めの、艶やかな黒髪。丸で黒曜石の様な、黒く澄んでいて透き通った双眸。】
【入院患者だと言わんばかりの、所謂"入院服"、少し青色の入った物を身に纏い、其の上にベージュのカーディガンを羽織って。】
【右腕は包帯でぐるぐる巻き、右肩も不自然なシルエットをしていれば、同じ様な処置が施されて居るのだろうと推測出来る。】
【両足には物々しいギプスが填められて居て。―――身体的な状況を言えば、其れは満身創痍の名に相応しいのだろう。】
【座高と足の長さから、身長は凡そ165cm程、ヤケに引き締まった身体つきからは、"只者ではない"、なんて印象を抱かせるだろうか。】
【年齢にして、16歳程だろうと言う見積もりは、極めて正しい、と言った具合の―――、其処に座っているのは、一人の少年である。】

【―――柵の外側、100万ドルの値段が付きそうな夜景をぼーっと眺めながら、右手には未だ湯気が立ち上る紅茶の入ったペットボトル。】
【左手には、ヤケに可愛らしいネコの型が取られた、チョコのクッキー。其の袋は、膝元にちょこん、と置かれていて。】
【……やがて辺りに鳴り響くのは、何とも言えない心地よい音。少年は『……流石や俺、』と其の齧った跡を見ながら一言呟けば、】
【2,3度の咀嚼。そーっとペットボトルを傾け、其れも飲み込んだのなら、少年は再び街の景色へと顔を向けるのだろう。】

【―――移り行く数多の光はいさ知らず、どうやら此処だけは、随分とゆったりとした時が流れている様だ。】
【周りとは切り離された異次元の様な空間。其処に迷い込むのは、一体、どんな人物なのだろうか―――?】

485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 22:12:35.19 ID:JxhtRqvBo
>>483

それは強くなれるって意味かにゃ?
うーん、おもしろそうだし一回行ってみることにするにゃ
あたい以外の猫の獣人にも会ってみたいしね。いるかどうかわかんにゃいけど

【酔いが回ってきたのか、少しだけ閉じた目で彼女は考え込むのだろう】
【おそらく銀狼と彼女がイメージする櫻の国には結構な違いがあるのだろうけど】
【その辺りは言ってみれば自ずとわかるはずで】


あたいとは逆だね。あたいは弱って死んじゃって、気付いたらこんなになってたんだにゃ
初めは慣れなかったけど、今はこっちの方が楽しいにゃ。こうやって喋れるし

……もしかしたら、銀狼さんも一回その時に死んじゃったんじゃないかにゃ?
ホントは寿命だったけど、気付かないまま走ってて――みたいな感じで


【「いや、ないかにゃ」なんて続ければ、立てた膝に顎を置いてだれた体勢になった】
【どうやら彼女は、本来死ぬべき時に溜まっていた不思議なパワーで転生したのでは、と言いたいらしい】
【単に自分がそうだったから、というこじつけに過ぎないのだが】


でも、やっぱりあたいも妖怪っぽい気がするにゃ。まあ今更気にしないけどにゃ


【深く考えるような性格ではないのは、彼女も同じ】
【それに種族に違いがあったところで、自分には関係がないと思っているのだろう】

/めっちゃ遅れました…ごめんなさいです
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/28(木) 22:31:58.39 ID:fCfEk7BDo
>>485

猫も……聞く限りではだがよく溶解になるというし、居ると思う。
だが果たして向こうに行って強くなれるかはお主次第よ、それに櫻には
退魔師≠ニいう……それこそ妖怪相手を得意とする連中も居るでな

ほれ、大会にも何人か居ったであろう?お主が妖怪かははっきりせぬが
勘違いされて攻撃される事もあるし……行くのであれば気を付けて、の。

【その後に続くのは銀猫自身の、今に至るまでの出来事】
【やはり逆だ。果たして彼女の言うとおり、自分もまた死んだのかといえば自信は無く】
【最終的には肩をすくめて見せて『お手上げ』とし、凝った肩をコキリとほぐして】

うむ、人間と違ってもうちくと気楽に生きられるのは変わらんしの
妖怪だろうがそうでなかろうが、誰も困るまいて。儂とてそう、気にせぬが良し。

……さてと。夜も更けて、外も寒い頃。実はの、儂、人間の家族と仲が良いのよ
今宵はそっちに邪魔しようかと思うが、何ならお主も一緒に来たらどうかや?
儂の家ではないから飯も床も極上とは行かぬが、きっと快く迎え入れてくれるだろうて。

【ひゅう、と吹いた冬の風にひくりと毛を立たせつつ、ふと投げかけるのはそんな提案】
【悪い話ではない、が――各々、人とも違う。どんな選択をしようとそれが自由、というのは分かりきったことだった】

/いえいえ、どうぞお気になさらずっ!
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 22:40:26.22 ID:E26QMPiF0
【商店街。未だワイワイと賑わっていて、珍しい露天も幾つかある事だろう】
【所々では値切り交渉や妖しげな賄賂の受け渡し。柄の悪い者達が脅迫染みた事をしていたりと中々にアウトローな雰囲気で】
【――――その一角。櫻の国の商品を扱う店で、その場の雰囲気に全くそぐわない女が一人、陳列された其れ等をしゃがみ込んで見つめて居た】


「へぇ〜……何だか面白そうな物が沢山あるんですねぇ〜……あれぇ?でも、店主さん〜……私、河童を何回か見たことがあるんですけど〜
こんな足じゃ無かったと思いますよ〜?」

【地味な色合いの着物を纏った女性。帯で締められれば豊満な胸が強調され、其のスタイルを浮きだたせていた事か】
【柔和な笑みに、殆ど閉じられて居ると表しても過言では無い瞼。特徴的な話し方は眠気を誘うようでもあるけれど、丁度対面している店主は冷や汗を流しっぱなしでそれ所では無い様だ】
【河童の足のミイラ。と名付けられ、粉末にして溶かして飲めば水中でも呼吸が出来る。と効能が記された紙が貼り付けられた其れ】


「あら、最近の河童は違うんですかぁ〜?可笑しいですねぇ〜……私、つい数週間前に見たのですが〜……」

【店主の言い訳に対し、追い打ちを掛けたならば薄い笑みを張り付けて】
【それ以上の追求は可哀想だと判断したのか、詐欺紛いの品を元の位置に戻したならば立ち上がるのだろう】
【――――「んん」なんて声を漏らしながら背伸びをしたその時、掴みかかってくるのはその店の店主】
【自警団に通報されると早とちりでもしたのか、そのまま黙らせようとするけれど――――次の瞬間には、その身体が地面へと叩き付けられていて】


「駄目ですよ?そう気安く女性の身体に触れちゃ…………ましてや忍道に携わる者は其れ自体が暗殺兵器なのですから
…………ふふ。それでは商売繁盛を願っていますね〜」

【咄嗟に使用されたのは柔術。その力を利用して、店主の身体を強かに打たせたのだろう】
【いきなりの音と呻き声にと人々の視線を一同に集めても、緩い笑みを崩す事は無く】
【女性が歩み出せば人々が左右に分けられる様は、まるでモーセの十戒】


「さて〜……沙蔓様に怒られる前に見つけ出して〜……お礼に桔梗様のホッペタでもぷにぷにさせて貰いましょうか〜」

【人が遠くから見つめるが故に、女性の存在は良く目立つ。然れど、先程の出来事を見れば声を掛けようとする者なんて居なくて】
【――――実際は、声を掛けた所で投げ飛ばされる、なんて事は無いのだけれど。さて、女性と関わりを持とうとする奇特な者は居るのだろうか…………】







【路地裏。様々な物事が起こり、殺人だってそう珍しくも無い場所】
【今宵も当然の様に罵声が響いたのだが――――少しばかり、結果は異なっていた】

【対峙するのは大男と少女。乱れなく軍服を纏い、制帽を被った姿は容易に性格を想像させる事か】
【刃物を手にした男が少女の命を奪わんと思いっきり振りかぶる…………が、刃が裂いたのは虚空のみ】
【気付いた頃には背後へと回られていて、反撃をする間も無く意識を刈り取られるのであろう】


「――――今日だけで三人目でありますね。中々に多くて大変であります」

【さて、街灯に照らされた姿は上記の通り。序でに言えば、眼帯と腰に提げられた軍刀とが特徴的か】
【腕章は自警団所属を示す其れであって、“SCARLET”に所属する事を示すバッヂも腕章に着けられている事だろう】
【言わずもがな、少女は“善”に属する存在。通信機を取り出せば自警団へと連絡を入れて、その場に座るけれど】


「疲れた…………でありますね
丁度時間であります。身柄を引き渡したら何処かで休むでありますか…………」

【深い吐息は疲労の度合いを表しているのだろうか】
【――――ぼうっと空を見上げていたけれど、我に返ったならば慌てて立ち上がって】
【さて、路地裏と言えどもそう深い場所でも無い。ともなれば通行人が皆無な訳でも無く、“一般人”に近い者が通ったって可笑しくは無い】
【つい先程の戦闘を見て興味を抱いた者か、或いはまた別な理由を抱く者か――――兎も角として、何者かが訪れたならばそちらへと視線を移す筈で】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/28(木) 22:41:09.75 ID:ARrToXNwo
>>473

なら、いいじゃないか。余り、多くのものを持っても仕方ない…

【男は足を組みながら、椅子の背もたれに体を預けつつ窓の外を見ていた】
【実際には景色でもなく、反射する店内でも無いのだが…それが何であるのかは知る由もない】

いいんだ。…私はチェスをしている間の空気が好きなんだ
何かを考えている時、そう言う時にまた何かが生まれてくるものだと…私は思う
…まあ、いいんだ。乗り気じゃあ無さそうだね…。…それとも、テニスのほうが得意かね?

【盤面の戦場で擬似的な生と死の状態を作ることによって、本能が呼び覚まされると彼は考える】
【そういう状態で考え事にふけることが彼なりの思考法であった。仮想であれ、戦争と人類は密接に関連している】
【囲碁なんかと違ってチェスは直ぐに終わってしまう。長く続くのであれば彼にとって悪いものではなかった】

…いや、何も考えちゃいないさ。……我らは同志。…そうだろう?それでいいじゃないか
興亡も全て、鐘の音と同じように……。じゃあ、話を変えてみよう。喩え話だ。もし…明日、君の夕食をステーキに
するために…私には何が出来ると思う?一体…何をさせるかね?

【他の能力者と違って信仰には批判的な態度のアイケだったが、何処かまたバイブルの一節のような文言を言い】
【そして、禅問答のような哲学的な質問を投げかける。コジマの方を見ること無く。微笑しつつ窓の外を眺めながら…】

489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/28(木) 22:52:23.53 ID:sVy9EZPWo
>>484

【看護師や医師などを除けば、病院にいる人間というのは“健康”とは言えないものが殆どであろう】
【いたとしたって見舞い客であるから、こんな時間の病院の屋上にいるなんて事はそうそうないだろう】

【―――しかし今、そこにいる男は間違いなく、健康体であった】

【黒の軍服と制帽を、緩く着崩して。その胸元には何処かの自警団のバッジ】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めにして、もみあげの二房は長く垂らしたまま】

【爽やかながらも上品な甘さを持った香りはきっと、香水なのだろうけれど】
【今はそれを上書きするようにコーヒーの香りが漂っていて―――――】
【その出処は男の手の中、紙コップ。こちらも湯気が上っている】


――――何が流石なのか知らないけど、もうちょっと……ちゃんと噛んだ方がいいんじゃねーの?

【コーヒーを啜りつつ、背後から少年に掛けるのはそんな言葉】
【ハッキリ言って、余計なお世話である】



/まだいらっしゃるでしょーか!
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 23:05:29.39 ID:JxhtRqvBo
>>486

そういえばそんな人が何人かいたんだったかにゃ
わかったにゃ、気をつけて行くにゃ

【退魔師とは直接戦えたわけではないが、そのような人が大会にいることは知っていた】
【試合をあまり観なかったおかげで知識としては非常に乏しいが――会ったら遭ったで楽しいかな、なんて思いつつ】


にゃ、行っていいのかにゃ? じゃあ遠慮なくお邪魔するにゃ!
最近お魚ばっかりしか食べてなかったから楽しみだにゃ


【ついて行くか行かないか、問われればもちろんついてゆくはずで】
【野性児である彼女は、銀狼が人間と仲良くしているのが少し意外だった】
【決して悪い意味ではなく――そういう生き方をしていることが意外だったのだ】
【狼から来る孤高のイメージは今宵、幾分か改められていたに違いない】

【そうと決まれば話は早い。銀猫は岩から跳び下りて、早く行こうと銀狼を急かすのだろう】
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/28(木) 23:14:13.03 ID:ptkMSTL9o
>>488
「運動は基本的にそこそこッスけどね。足だけは速いんでなんでもある程度出来るッスよ。
まあ、なんていえば良いッスかね――、基本的に訓練と任務以外って寝てるか飲んでるかなもんで、弛みまくりッスよ。
……それでも良いって言うなら、やっても良いッスけどね」

【コジマは特に優れた力を、生存本能意外に持ち合わせている訳ではない。だからこそ、取り柄が無いとコジマは思う】
【だから基本的に、何が得意かと聞かれた時に、得意だなんてことをこの女は答えることは出来ないのだ】
【相手のように深く考え事に耽ることも多くはない、考え続けていると頭がパンクしそうになるからだ】
【甘みに逃げるようにココアを啜り、大きくパンケーキを切り分けると大口を開けてパンケーキを口に放り込み、咀嚼】
【染み込んだシロップの味わいが口に広がれば、その手の頭のなかのことは割とどうでも良くなってきた】

「……考えさせるの、好きッスねー。生き死に以外考えるの苦手なんスけど。
そうっすねえ……、肉食うには金が要るし……、んー、仕事をやる、位ッスかね?
私プライドとか無いんで、ただ金くれるつったらもう遠慮なく貰っちゃうんスけど、常識的に考えて唯金くれたり飯おごってくれることそう無いッスし。
だったら、報酬と引き換えに仕事を与えりゃ、私の明日の晩飯はステーキになるんじゃないッスかね。
ま、良いステーキ食えるだけの報酬くれるんだったら何時でも仕事回してくれていいっスよ」

【んー、と首を傾げつつ、日常生活ではそう役にたたない頭を動かして思考を動かして、ぽつりぽつりと言葉をこぼしていく】
【哲学的な質問を投げられたのに対して、コジマが返した言葉はあくまでも実存的な返答で】
【最後には揉み手をしつつ、仕事をねだっておくのも忘れなかった】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/28(木) 23:18:48.59 ID:6jv6J+ER0
>>489


――――………………ん、


【背後から男性の声。自分に話しかけられたのだと気づけば、頭だけ其の方へと向けて。】
【明かりに映ったのは、何故に此の病院に立ち寄ったのかという疑問が徐ろに現れる程、健康な身体の持ち主。】
【爽やかな香水の香りに、長い金髪。軍服と制帽とは言え、その物々しさは一切として感じられず、寧ろ砕けた印象で。】


ああ、これな。今日、作ったんやけど……噛まんでも、口に入れた瞬間、ふわーって、溶けてまうように、してみたんよ。
思い通りに、いったからな、俺、流石やなーって、な。そんな、甘くないし、これ、旨いで。


【と食べかけのクッキーを口に放り込むと、左手で膝元のクッキーの袋を手に取って。】
【男に向かって差し出す様に腕を伸ばせば、試してみろという事なのだろう。】

【チョコのほろ苦い中に、ナッツの独特の香ばしさ。相俟って、クッキーは体温で蕩けていき―――。】

【不思議に思い、若し其のクッキーを受け取って口に含んだのなら、少年の其の表現は的確だと判断するに至る筈。】
【クッキーに特別うるさいのなら兎も角、其の出来はお店で売られていても何ら可怪しくない程、であって。】


自警団のひと、なんやな。―――………お疲れ様、やで。


【何か含みのある語調で、"お疲れ様"と一声掛けると、少年は頭の方向を再び夜景へと戻した。】
【コーヒーを啜って、飲み込んで。吐き出された息は、随分と重みの有る色を見せていただろうか。】


/おりますおります!よろしくお願いしますー!
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/11/28(木) 23:26:22.02 ID:fCfEk7BDo
>>490

魚ばかりとは良くないのう、どうせならばやはり肉を食わねば、肉を!
おう、っと……そう急かすでないわ。儂とて飯は楽しみなのに変わりはないぞ

……ちなみに、これから行くのは神谷という母娘の家でな
母である皐月は優しい上に料理も上手く、何より博学才穎と来ておる!
娘の衣織もこれまた愛いやつでのう、寝間着なぞ作ってくれたのよ。

まあ、つまりじゃ。良い者達ゆえ、存分に邪魔すれば良いわけでな、うむ。

【やれやれと銀猫の催促に応じて岩から跳び、何時しか龍笛は背に紐で括ってあって】
【草原に足を下ろせば着いて来いと一言告げて――きっと、後は速いのだろう】

【なにせどちらも速度を売りに大会へ出場した者同士。周囲一帯、障害物も無いのだし】
【それでも道すがら櫻のこととか、狼についてとか、銀狼はまた色々としゃべり】
【それに応ずるのだろう銀猫の言葉にも耳を傾けて――とするうち、目的地へ】

【ちょっと街を歩いて辿り着くのが、件の家族が住む場所か。ガチャリと扉を開ければ、光が漏れて――。】

/っと、この辺りでしょうか。二日間、ありがとうございましたー!
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/11/28(木) 23:28:17.84 ID:JxhtRqvBo
>>493
/返すと中途半端になりそうなのでこのあたりで
/お疲れ様でしたー!
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/28(木) 23:43:38.58 ID:tJbvpjxZo
>>492


怪我人がお菓子作り?大層な包帯してる割に、随分と元気なんだな。

――――ん?くれるのか?じゃあ貰っとくかな……っと。

【からかうように笑うその姿は、どうも自警団員らしくない】
【着崩した服装も相俟って――――“チャラい”というか、どうも軽そうな印象、だろうか】

【それから空いた手を伸ばせば、袋から一つ、クッキーを取り出して】
【ほんの少しの間その外見を眺めたなら、そのまま口に放り込む。】
【咀嚼し飲み込む間の表情は、どういう感想を抱いているのか想像できないような、何を考えているのか不明なもので】

【コーヒーを一口、漸く口を開いたかと思えば―――――】


……へえ、美味いじゃん。
でも一つ残念なのは――――――――これを作ったのが女の子じゃない、ってところだな。

【軽く、肩を竦めて。冗談めかして笑ってみせるのだろう】
【実際、普段からそんなに高い物を食べているような男でもなくて】
【舌が肥えているわけでもないから、申し分ない味だったのだろうけれど】

自警団……まあ所属はそうだけど、今日は仕事じゃないんだけどな。
ダチの見舞いに来て、ついでに女の子の連絡先をゲットした、ってわけよ。
ただまあ、その娘――――彼氏いるらしいけど、な…………

【見舞いがメインの目的―――かのような言い方であったが、実際は女の子>見舞い、である】
【そして言い終えると視線を横に逸らして、非常に遠い目で夜景を眺める事だろう】
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/29(金) 00:12:39.25 ID:Nej36vYoo
>>491

そうかそうか…なるほど。なら、そちらにしよう
…こんどから私のような面倒な人間に出会ったら、適当にスポーツが得意とでも言う方がいい
そうでないと…話が長くなる。まあ……そう思っただけさ

【グラスの牛乳を飲み干して男はそんなことを言った】
【テニスだのチェスだの、そしてわざわざこんなところで牛乳を飲んでいることから】
【随分と健康志向の人間だと推測することが出来る】

楽しいじゃないか。何かを考えることは…必要にないものだけれど、そういうものの方が
私は好きだ。……答えがなければ幾らでも考えることができるしね。
…よし、君の事はよくわかったよ。…何かはわからないけれど…それはこれから考えることにしよう

【人差し指で軽くテーブルを1つ叩いて。男は立ち上がる】
【上着の内ポケットに手をやって長財布を取り出すと、一枚の高額の紙幣と、名刺を取り出して】

くだらない質問に付き合ってもらったお礼だ。少ないが夕食の足しにしてくれ
それと…何かあれば、連絡を。…何分…そっちの情報には疎くてね………では

【彼が一体、何をしようと企んでいるのかはわからない。が、仕事を回してくれるには】
【何かしら火種になるものを与えないと彼も動くに動けないというわけか。口数の多い男だが】
【ソレ以上に彼の微笑は何かを言っているような笑みだった】
【そんな笑みを浮かべ、少し頭を下げるとカバンを掴んで。コートを翻し去っていくことだろう…】


/2日間もお時間取らせて頂いてすみません!この辺で〆にすることにします
/お付き合いいただきありがとうございました!
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/29(金) 00:16:20.53 ID:KLrqSMt+0
>>495


……なんかな、入院患者言うても、ちょいちょい動かなアカン言う感じで、
月1回、皆でなんかする様になっとるんよ。れくりえーしょん、みたいな。
今日は、料理でな、―――まあ、大層な包帯言うのは、ほんまで、結構強引に、俺、参加さしてもろうたけど、な。


【此の少年は、見た目がチャラいからといって、端から性格までそうなのだと当てはめる事は無い。然し、】
【彼の話し方から、或いは自分をからかって見せた事から、矢張り彼は、彼の中身まで"そう"なのだろうと確信して。】
【身形と性格が、殆ど一致するタイプ。其の外見だけで為人が分かるのだから、良く言えば、分かり易くて良い。】


ほんまか。おおき………ああ、………すまん、女の子には、なれへんわ………
あ、せやけど、まあ、ぴちぴちの、看護師さんと、一緒に、これ、作ったからな、
あながち、野郎だけの、クッキーとちゃうで。……まあ、そんなん、どうでもええか。


【―――後付け、である。彼が残念そうな顔をしたから、其れを励まそうとハッタリを掛けたのではなく、】
【本当に其の通り、此のクッキーは、レクリエーションの一環として、看護師と共に作られた物なのだ。】
【"強引に参加させてもらった"という先程のセリフは、少年の身体状況を表している。普通なら、参加出来ない程、なのだ。】
【だとすれば、このクッキーは、看護師の"割合"の方が高い物の筈。―――まあ、どうでも良い話だろうか。】


―――そんなん、関係ないやん。まあ、奪うのは、アカンけど、
女の子に、選択肢、増やしたる、言うのは、悪いこと、ちゃうと思うで。
ほんまに、好きなんやったら、―――………別に、相手は、簡単に、断れるんやし。


【そもそも、彼と此の少年との恋愛観は、全くと言って良い程違うのだろう。】
【ヤケに情熱的な発言。彼が聞いたのなら、やはりからかって見せるのだろうか―――?】



498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/29(金) 00:46:48.44 ID:sHidZ9bro
>>497

ふーん……病院ってそんな事もしてんのか……
でも、そんだけ包帯巻いてると、右手は火傷の心配無さそうじゃねえか。

――――いや、別になれとは言ってねえ……
“ぴちぴち”、ね……ここの看護師で若い娘だったら……だいたいあの辺りか……

【顎に片手を当てて何事か考え―――恐らくは誰が一緒に作ったのか、というところだろうが】
【その表情は真剣なものに見えるかもしれないが――――実際、けっこう真剣である】
【しかし、結論的にはどうでもいい話。どうせナンパなのだから】

―――――――え?
あ、ああ……うん、真面目とか……言われないか?

【口元へ運ばれようとしていた紙コップが止まる。顔には苦笑が浮かんで】
【予想外に真剣な答えが返ってきたから、少し返事に困った様子】
【結局、『別に友達でいいし、向こうもそのつもりだろうから』と後から付け加えるのだろう】

しかし、それだけの怪我となると―――機関とかGIFTの騒ぎにでも巻き込まれたか?
最近また、どっちも活発になってやがるからな……迷惑な話だぜ。

【ふと、思い出した様に問うのは少年の怪我の理由】
【これ程まで包帯やギプスをしているのだから、日常での怪我ではないだろう、というのが男の推測であって】
【故に、持ち出すのは機関やGIFTといった組織の名前】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/29(金) 01:19:33.09 ID:KLrqSMt+0
>>498


お、知っとる人、なん? もう、ここきて何日もたったし、えらい仲良うなったで。
最初は、大人しい人、なんかな、とか、思っとったんやけど。意外と、ハキハキしとって、ええ人やで。
ほんま、色々、世話、なっとるし、退院した後は、お礼、せなあかんな………


【真剣な面持ちで思考を重ねる男に、少年は多からず彼女のヒントを与えるのだろう。】
【恐らく此処まで特徴を述べられたなら、もし知っている人であればピン、と来るのだろうが、】
【其れでも矢張り、此れはどうでも良い話。少年が話し終えた瞬間、此んな話題は何処か遠くへと飛んで行って。】


………まじめ、まじめ………あんまり、言われへんわ、まあ、無いことも、無いけど。
俺、まじめに、見えたん? 何か、そんな事、言うたかいな………


【先程のやたら情熱的な発言。少年は其処まで認識していなかったという事は、今のセリフで明らかになった事だろう。】
【とすれば最早、何処で自分の真面目さを見抜かれたのか、という事さえ理解していない。】
【其れ程、先程の恋愛に対する考え方は、当然の事だと思っているとも言えるのだろう。】

【『友達のつもりなら、彼氏とかもっと関係ないやん、』と口を開こうとしたが、然し此れ以上は不毛だと考えて。】


―――ああ……これ、か。
カノッサの方に、巻き込まれた言うより、……突っ込んだ、やな。
ナンバーズのひとと、戦って、……まあ、闘いには、負けたんやけど、俺は勝った思うとる、言う感じ、
……その結果が、これ、……まあ別に、身体が痛いだけなんやったら、いくらでも、耐えられるし、な。

それよりも、その、勝ったことの方が、大事、やと思っとる、
まあその、俺の身体ぐらいやったら、いくらでも、犠牲にしたるで、言う感じ。

せやな……カノッサは、このまえ、雷の国で、やし、GIFTも、鉄の国で、やし。
もうほんま、俺、何人おっても、キリ無いわ。―――それでも、やる、決めとるけど、な。


【少年は自分の身体を、一つ一つ、丁寧に眺めていく。―――本当に、酷い有様だった。】
【然し少年は、"勝利"―――への代償として身体が損傷する事くらい、何でもないのだという。】
【最後の言葉。悪への組織に不退転の決意で抗おうとする、正義の猛火は、今も絶える事無く燃え盛っている様で。】


500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/29(金) 02:00:25.69 ID:sbyDlVR4o
>>499

ああ…………いや、いいんだ、別に。
純粋な坊やには大人な話過ぎた、ってだけだからさ……

【あまりこの話はすべきではない、何だか自分の心が痛いから―――そう判断して】
【変に説明しようとしても、自分のヨゴレを実感するだけで悲しくなるだけだ、と】
【だからこめかみを指先で押さえながら、そう言って】

負けたけど勝った、ね……また哲学的というか何というか……ま、わからない事もないけどな……

しかし、大した自己犠牲精神だな。自警団員より自警団らしいんじゃねーか?
――俺は仕事中は真面目だけど、そうでもないやつだっているからな……

この前の夜の国の遺跡での戦いで、俺も腹とかザックリやられてな……
それでも後処理とか色々仕事は入って来るしで、ほんと、何人いても足りないって感じたぜ。

【何となく言っている意味が違うような気もするが、そこはご愛嬌】
【凡そ二週間ほど前の、機関による夜の国での事件。そこで男も手酷くやられたと言うが―――】

……ま、俺だってそれでもやるけどな。
そういう性格だし、そういう仕事だし。
―――特にGIFTだ、あいつらの考え方はどうも気に入らねえからな。

【僅かに、紙コップがひしゃげて。握る手に力が込められていた】
【その眼は、先程までと打って変わって真面目なものであった】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/29(金) 02:08:14.55 ID:KLrqSMt+0
>>500
/すみません!明日もありますので凍結お願い出来ますでしょうか!
/私の都合が、22時〜22時半頃、という事になるのですが……。
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/29(金) 02:20:39.37 ID:sbyDlVR4o
>>501
/気付くの遅くなりました!
/了解です!ではその時間までに待機しておきますのでー
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/11/29(金) 02:22:31.79 ID:KLrqSMt+0
>>502
/ありがとうございます!
/隙があれば返信くらいはできるかもしれません…です、
/それでは明日もお願いします!
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 20:34:31.58 ID:vwRp+FLY0
【鉄の国―――貿易街アヴェレイ=z

【ここは鉄の国北部に存在する広大な穀倉地帯の中心に位置する、各種交易が盛んな地方街である】
【国の横断鉄道の中継駅もあり、毎週開かれる大市はかなりの賑わいとなる場所だ―――。】
【さらに昨日襲撃されたM.N.U国境要塞≠ゥらもほど近く、補給物資運搬のためのキャラバンの一時停泊としても使用されている】
【元々交易が盛んな場所なので様々な物資もあり、補給場所としてはうってつけの場所と言えるだろう。】

【………だが、そんな場所さえもGIFT≠ヘ容赦のない焔で焼き尽くすつもりであった。】

【キャラバンが停泊して二日目………物資の補給も完了し、要塞への到達ルートの再確認が行われていた矢先、それは起こった。】
【轟音と共に訪れるのはGIFTの漆黒のガンシップ、そして地上にも複数の部隊が展開され、街は包囲されようとしていた………。】
【前回に引き続き二度目の襲撃―――敵の補給源を断つというもっともらしい戦術による攻撃だ】
【この補給キャラバンの情報もデコイを用いて隠ぺいしていたが………情報は掴まれていた、やはりGIFTの魔の手はあらゆる場所に潜んでいる】

『―――チィ、やはりきやがったか………GIFT=c……!
 こちらスカーレットのディック・ホワイトだッッ!敵が現れたッ!総員戦闘配備だ!想定通りの陣形を組んで応戦しろ!』

【だがさすがの自警団、鉄の国軍もこれを想定していないワケはない、司令塔であるディックの通信と共に瞬く間に戦陣を展開する】
【そして市民の避難誘導が開始されると共に互いの銃口が互いへと向けられる―――そして】


                        【 轟 ッ ッ !】

【互いの銃口、砲身から弾丸、砲弾が発射され………ついに戦端は開かれたのだった―――。】



//それではイベントを開始します!
//襲撃側の方は指定のフィールドへ投下して下さい!
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 20:37:29.46 ID:pss3cj88o
【アヴェレイ中心部・バザール】
【平時は様々な商人達が店を開き、観光客や旅人で賑わっているその大市は今――大規模な混乱に見舞われていた】
【GIFTの紋章を背負った戦闘兵達が大市の物を略奪し、トラックに次々と積み込んでいくのである。そして積み込まれるのは物だけではない】
【子供達を狙って彼らはコンテナに子どもたちを放り込み、そのまま順次トラックを送り出していく。そして、向かってくるそれ以外は――】

【銃声が、炎の逆巻く音が響く中。トラックの上に陣取る一つの影は、ざくりとよく分からない果物を頬張った】
【酸っぱいのか甘いのかよく分からないよく分からない味の果物は、お世辞にも美味しいとは思えない】
【うぇ、と嫌そうな声を漏らしつつその果物を投げ捨てて吐き捨てる。べちゃりと吐き捨てられた果物が付着したのは、肉塊】
【焼け焦げ、赤黒い池に沈むそれは、かつては人間だったのだろう。だが、死んでいる。だからすでにそれは女にとっては物だった】

「――鴨撃ちにも程があるってくらいの入れ食いッスねー?」

【女の名は、コジマと言う。GIFTに所属する中でも特に底辺である、戦闘兵の1人】
【しかしながらその最底辺の中では多少マシな、戦闘兵のまとめ役。その程度の立ち位置、GIFTにはありふれた存在】
【そんな女は、目の前に映る業火と鮮血の惨劇を前に。特に何も思うことはない=B普段からやっている仕事の一つでしかないからだ】
【悪いことは悪いことだろう。だが、仕事だからやるのだ。生きるために、日々の糧を得るために、やるのだ、殺るのだ】

「……警戒しとけよてめェら。どうせ誰か来る。
――命令はいつも通り。死にたくなきゃ死にそうになったら直ぐ逃げろ。
私がヤバイって言うまでは大抵平気だから、そこんところは安心しとけ。
って訳で、さっさと仕事に戻りな――、よさ気なもん見つけたらこっそり横領も見ないふりすっからー。
あ、でも私にあとで見せろよな。欲しいって私が言ったら私によこせ、おっけー? んじゃ、いつも通りに仕込みもよろー」

【そんな、適当そうな指令を彼らに下しつつ、傍らの副官が適当に温めた缶コーヒーのプルタブを開き、黒い液体を啜る】
【空からはちらほらと雪が降るが、燃え盛る火の手によってそれらは溶かされ地上には辿り着かない】
【この惨劇を止めるに足る物は、今宵この場に現れるだろうか。コジマのエメラルドグリーンの双眸は、僅かに不安を宿していた】

/*コジマです本日はよろしくお願いします!*/
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 20:49:37.33 ID:vwRp+FLY0
>>505

―――大層な理想を掲げてる割にはやってることはチンピラだな
所詮はいかれた思想の下に集められた狂信者ってワケか、まぁどうだっていいけどな。

【ザ―――逃げ惑う人々の波を逆走するようにトラックの元へと近づいてくる影が一つある。】
【陰鬱そうにそんな事をぶつぶつと呟きながら一歩、また一歩とトラックへと近づいていく………その右手には何か巨大な………】
【それは、ブレードライフルだ―――ワインレッドの染まった身の丈ほどの大きさがある大型のブレードライフル―――】
【それを引きずるようにして女性のいるトラックへと接近していく人物。】

………オイそこの、ここいらを攻めてる部隊の指揮官はお前か?
答えは聞いてない―――そうだとしたら都合がいいだけだ………まぁ吹っ飛べよ。

                  唸れ―――≪Rebellion=

【その人物の姿が焔によって映し出される―――】
【黒いワークキャップを深めに被り、そこから男性としては長めの茶髪を出しており赤みがかった鋭い茶色の瞳が見える】
【全身は高級感のあるファーのついた細身のモッズコートで覆っており下は紅色のスラックスを履いている】
【背にはワインレッドの大型ブレードライフルを背負った180cm程の長身細身の20歳程の青年だ】

【青年は引きずっていたブレードライフルを両手で構えると、女性のいるトラックへ向けて狙いもつけずに発射するッ!】
【狙いをつけないで発射しているため精度は低いが、弾丸自体の速度と数はそれなりのモノだ―――】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/29(金) 20:50:36.64 ID:Qxw++jYG0
【貿易街アヴェレイ――アヴェレイ東部・風車前】

【風車の周囲に空けた空間】
【普段であれば和やかに平和な時間が流れるのだろうが】
【だが今はその場所でも大量の銃撃音や爆発音が聞こえ、悲鳴や怒号があふれる】
【そしてそこに一人の男が現れる】

【だるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】

【そして近くの戦闘員を見つけて今の侵攻状況を問う】

 おい!、ここの侵攻状況はどうだ
「はっ!、ただいま順調に侵攻できていますがいずれ敵の実力者が合われるかと思われます!」
 よし、わかった、このまま状況を続行、敵の実力者がきたらすぐ俺の知らせろ
「はっ!」

【そのように言って戦闘員はふたたび戦闘場所に戻っていく】
【そしてさらに男より先に3名のGIFT戦闘員たちが風車へと突撃していく】

【そしてこの男は敵の実力者がいつでも来ていいように】

/リヒト中身ですよろしくお願いします
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 20:58:18.33 ID:vwRp+FLY0
>>507

                         遅いッッ!

                      【 斬 ッ ッ ! ! 】
【リヒトの指示を受けて散っていった戦闘員の一角が斬撃の音と共に吹き飛ばされていく―――。】
【そしてしばしの静寂………その静寂を打ち破って、青年の前方に一人の人物がゆらりと現れた。】

ふむ………たまたま道すがら同行していたが正解だったようだな………。
どのような大義を掲げようと―――民を虐げる者を見過ごすわけにはいかないな………。

あぁ申し遅れたな、私は斬華≠ニいう流浪の剣士だ………よろしく頼むぞGIFTの戦士

【現れたのは―――】
【黒曜石のように黒く、艶のある長い漆黒の髪をポニーテールにしており澄みきった碧の瞳を持つ中性的な顔立ち】
【黒のスーツに白いシャツ、藍色のネクタイ、黒い手袋に黒の革靴、そして漆黒のロングコート型の軍服を着ており】
【身長は170の後半あたりだろうか、右眼に桜の花弁≠フ紋章が入った眼帯をしている長身の女性だ。】

【女性は柳のようにふらりと青年の前に現れると自らの名を名乗る。】
【だが、剣士と名乗る割には刀も差しておらず丸腰のように見えるが―――果たして。】
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 20:58:36.92 ID:pss3cj88o
>>506
【近づく気配。それを認識した瞬間、コジマは一気に珈琲を飲み干し、視線を前方に向ける】
【ぱちん。指先を一つ鳴らせば、その直後に周囲のトラック群は一斉に走り出し、逃げ出し始めた】
【ここが引き際。そう理解しているのだろう。彼らはそう強くないが――、弱い者の戦い方を良く知っている】

「――やっかい、ッスねえ」

【襲いかかる弾丸の連射、乱射。それを見て女は足を軽く曲げて――後ろに飛ぶ】
【銃弾の数発は身体を掠めるものの、それ以外は殆ど当ることはない】
【そして、女の傍らにいた副官は脇腹に被弾していたが、必死に走り他のトラックに乗り込むとアクセルを踏み込んで走り去っていく】
【トラックの逆側に引っ込んだ女。丁度、二人の間にはトラックが存在し、目眩ましとなっていた】

(……問答無用でブチ殺しに来るタイプか……、厄介だな。
確実に私より強い。……だったら大切なのはいつも通り――負けない℃魔セし。
……よっし、OK。いつも通りに決めるだけ、問題ない――)

「――――弱者の戦い方、見せてやるっス」

【兵士たちが置いていった突撃銃を抱えると、左手のワイヤーをトラックの突起に引っ掛け、一気に飛翔】
【唐突に空中に現れた女は、突撃銃を腰だめに抱えたまま、地上の男に向けて機銃掃射をしてみせる】
【練度は高いものの、距離も態勢も不安そのもの。脅威ではあっても、致命傷を受けるような弾丸は殆ど存在していないだろう】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/29(金) 21:09:44.85 ID:Qxw++jYG0
>>508

 おいおい、アンタどうやったんだ今の

【男は吹き飛ばされた戦闘員たちの事を見てそう戸惑うようにに言った】
【今の技、どのようにやったのか、そのような疑問も持ちつつ】

 剣士?、それなら剣やら刀やら持ってるもんじゃねえか?
 ――まあいい、来た以上やらねえとな

【男は剣や刀を差していない斬華に疑問を持つ】
【だがここに来た以上敵なのだなら、倒すべき目標である】
【そう思い男は手のひらをパーにする】

【するとその手のひらに光が集まって一つの丸い球体となり】
【男はまるで野球の投手のような動きを作り――思いっきり投げた】
【目標は斬華の胴体である、早いではあるが全力投球ではないため回避は容易に可能である】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/29(金) 21:11:27.57 ID:Qxw++jYG0
>>508
/風呂に入ってくるので返信が遅れます
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 21:13:56.58 ID:vwRp+FLY0
>>509

………凌がれたか、存外やるものなんだな。
せっかくだから名乗ってやるぜ、俺は番怒氷山=c……奇遇だな、俺も負け犬≠セ

【相手がこちらの攻撃を難なく回避した事を確認すると無表情のまま賞賛の言葉を口にする】
【そしてお返しとばかりに相手が放ってきた機銃の銃撃をバザールのテントの一つに飛び込むようにして回避する】
【しかし完全には避けきれず、右足と脇腹を弾丸が掠めてわずかながら血痕が地面へと残っている―――。】
【だがそんな事ではこの青年も止まる事はない。】

弱者って割には意外と良い動きするモノじゃねぇか………。
ていうかそもそもGIFTは全てを統治する絶対的な強者≠フ集まりじゃなかったのか………?

まぁ………それもどうでもいいんだがな、―――爆ぜろ『Brave Brun=x

【バザールのテントから出てくる青年の髪は―――まるで焔のように紅く発光しており、火の粉のようなものが舞っている】
【周囲の炎が燃え移った………という訳ではなく、異能の力によるモノである事は一目瞭然だろう。】

【そして再び青年は女性へと銃撃を加える………今度はなぜか周囲の樽やテントを巻き込むようにして弾丸をばら撒いている】
【その弾丸が何かに触れた瞬間―――それは爆ぜる=c……異能の力によって爆¢ョ性の力を得た弾丸は起爆剤のように無数の爆発を引き起こすッ!】

【先ほどよりさらに広範囲の殲滅攻撃だが………爆発一つ一つの威力と範囲はそれ程ではない】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 21:22:47.81 ID:pss3cj88o
>>512
「――それは能力者サマ≠セけッスよ。
……私は――無能力者。だから、能力者サマに使い潰される――支配される弱者<bスから」

【着地と同時に撃ち尽くし――、女は転がるようにして青年の銃弾を回避していく】
【それらの動作は、不自然極まりないものだ。異能者特有の、異常な現象は何も起こしていないというのに】
【最初から何を喰らえば致命傷を負うか理解している≠ゥのように、危ない銃弾だけを回避するのだ】
【爆風で皮膚は爆ぜ、熱で焦げても――死に瀕するダメージを食らうことはない。致命傷だけを、綺麗に避けていた】

「――――ち、ぃ」

【爆風から逃げるように、またトラックの裏へと逃げこむ女。そして――直後】
【男の存在するバザールの区画。男が起こした爆発に混ざりこむような轟音が響く】
【近くの飲食店においてあった圧力鍋が、唐突に炸裂。他の様々な場所に置いてあったトラップ類も一斉に起動】
【――青年の周囲の区画総てを包み込むような爆風が、駆け抜ける】
【青年の爆風によってその内の半数以上は正常に作動しなかったが、爆風は脅威。そして――女はといえば】

「――――轢き殺す……っ!」

【防弾ガラスと防弾装甲で覆われたトラックに乗り込み――その爆風の群れに向けてアクセルを踏み込んだ】
【容赦はない。能力等使えないのだから――能力以外はなんだって使う=Bそれが、コジマという女の戦い方だ】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 21:27:44.95 ID:vwRp+FLY0
>>510

何………少しばかり拝借≠オたモノを使ったまでだよ………。
生憎と我が一族に伝わる刀は折れてしまってね―――今はそれに代わるモノを探しているのさ。

【ゆらりと佇みながら肩を竦めてそんな事を口にしながら笑う………つかみどころのない人物だ】
【そして、青年が投げつけた光の球体が体に激突する瞬間、女性は何か端末≠フようなものを取り出した―――】
【同時に着弾し、辺りに土ぼこりが舞うが………果たして女性は―――?】

ふむ―――私はこういった類のモノは苦手なのだが………流石は鉄の国≠ェ作り上げた物だ。
流石はパワードスーツ零国≠ニいった所か………私の剣気≠使ってようやく動かせるというのは些か危険だが

まぁ、この場を収めるには良い物だろう………ではいくぞ、GIFTの戦士。

                  《櫻華一刀流=\――壱ノ型瞬菊=t

【―――女性は健在だった。】
【端末によって転送されたのか、その身には漆黒の機械装甲が身に着けられており、それにより光の球体を防いだのだろう】
【そして右手には非常に大きな刀が握られており、その巨大な刀の刀身が月光を受けて輝いている。】

【そして女性はバイザー越しに微笑みながらそう呟くと、トンっと軽い調子で大地を蹴る。】
【たったそれだけの動作で―――女性は青年の目の前へと肉薄した………そして下段に構えられる巨大な刀………そして】
【美しく=c鋭く=c速く=c……下段が前からの斬撃が青年の右腰から左肩にかけて切裂こうと斬撃が放たれるッ!】
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 21:40:59.55 ID:vwRp+FLY0
>>513

成程、奴らの奴隷ってワケかおめーは。
通りで―――さっきから見てて思ったがやられ慣れてる≠だな

―――チィ、トラップかッ!?

【相手に対して感じていたモノを言うと同時に周囲で炸裂する爆薬、圧力鍋―――青年は舌打ちと共に飛び退くが】
【爆炎に飲まれ―――顔の一部や腕にやけどを負いながらも爆風から飛び出してきて、そのまま体勢を立て直すが………】
【目の前にはトラックが迫っている………周囲を炎に囲まれたここでは逃げ場もない………だが】
【青年はあろうことかトラックへとブレードライフルの銃口を向けたのだった。】

その何でもアリなハチャメチャっっぷりは嫌いじゃないが………ちいと面倒だな。
―――その狭い運転席の中でオブジェにでもなっててもらおうか

                 ―――吹雪け『Cocytus=x

【そして青年の髪が今度は水色に発光しだして、辺りには冷気がうっすらと放たれていく―――】
【再び銃口から放たれる弾丸―――だが今度もたらす効果は氷結≠セ、それを使ってトラックの横滑りさせようとするだろう】
【そのまま動かず運転席も含めて凍りつかせる弾丸をトラック全体に放つが、それにより回避が遅れ、ブレードライフルを盾にしながらも】
【トラックに吹き飛ばされ、屋台の一つへと打ち付けられ………口から鮮血がこぼれる】
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 21:49:09.94 ID:pss3cj88o
>>515
「――うっしゃ死ねッス!!」

【男がライフルを構えた瞬間、だ。――女は運転席のドアを蹴り飛ばす】
【ぎりぎりまで引きつけ、凍結していくトラックの制御など考えぬままにアクセルを只管踏み抜いて――】
【衝突の瞬間に――女はトラックから飛び降り――地面に叩きつけられるようにして降りていた】

「――――っ……痛……!」

【受け身を取るも、強かに身体を打ち付け、表情を歪めながら立ち上がる、女】
【腰のベルトから自動拳銃を取り出すと引鉄に指をかけ――屋台の方へと拳銃を向ける】
【所々が霜に覆われ――、左半身は思いっきり擦り傷だらけで見るも無残な格好そのもの】
【だがそれでも――死んでいない=Bならば問題無いとばかりに、女はそこに立っていた、立ち続けていた】

「便利、ッスねえ。羨ましいッスよ、正直。
……だから容赦しないッス。劣ってる私が容赦なんかしたら、死ぬだけなんスから」

【引鉄を引き、マガジンに装填されている30発を屋台の方へと叩きこむ】
【拳銃弾である為、当たってもそうそう致命傷になることはないだろうし、瓦礫に打ち込まれる弾丸は、どちらかと言うと相手をそこに磔にする為の意図が強い】
【――この女の戦い方は、能力以外≠セ。能力は使わないが、それ以外の点を使い尽くす為に、能力者並に多彩な力を発揮する】
【だが、練度は並より高い程度。身体能力も速度とバランスは目を見張るが、それらも人の域を出るわけではない】
【あくまでも人間並の無能力者≠ナしかない。それが、この女の弱点だろう】
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/29(金) 21:55:10.15 ID:Qxw++jYG0
>>514

 おいいいい!、なんでそんなもんがお前のてにぃ!
 え、借用?、どうやって借用されたんだよ!

【男はそのように驚いた、あんなもんが現れるとは思ってもいなかった】
【しかしこの驚きよう、もしかしたら男は零国について何か知っているのかもしれない】
【そして、斬華の斬撃に男は素早く体を右へと強引に移動させる】

【そしてさらに指先を斬華のほうに素早く向けた】
【その指先には光が一気に収束していき】

 おらよ――これでもくらっとけ

【その指先から発射されたのは――レーザービームであった】
【そしてそのビームが向かう先は肩だ】
【距離は近く、このビームを回避するのはいささか困難であろうが果たして】

【ビームを男はそのまま後方に跳躍し距離をとるであろう】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 22:01:54.74 ID:vwRp+FLY0
>>516

―――ッグ!
………お前のその生命力は既に能力者≠ンたいなもんじゃないのか?

だが俺もそれなりに修羅場をくぐってきたつもりだから………なッ!

             『Brave Brun=x ―――ヒートライザー<bッ!!

【放たれた弾丸で右肩と左手首を撃ちぬかれるが、この青年も随分と打たれ強いのか、減らず口を叩きながら相手を睨み付ける】
【そして―――先ほど放った爆発≠フオーラを全身から放ち、強引に周囲の瓦礫ごと磔にされていた身体を立ち上がらせる】
【押し寄せる熱波と共に青年は震える手でブレードライフルを構える。】

弱い故に強い………か、大したモンだな。
俺もお前みたいに地面に這いつくばってでも、死に物狂いで戦ってれば何も失わずに………いや、今更かぁッ!

【自嘲するようにそんな事を口にしながら一度悲しげな瞳をするが、即座に戦闘態勢性を立て直し】
【構えたブレードライフルで相手を右から横なぎに吹き飛ばそうと肉薄しながらブレードライフルを振るうだろう】
【ブレードライフル自体のリーチもかなりあるが、それに加えて遠心力を利用した振りはかなり速い………だがそれだけ振りも大きいのである】
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 22:09:33.19 ID:vwRp+FLY0
>>517

何、君たちの攻撃で国がこんな状態だからな………武装を申請したら要塞の奥から出してくれたよ
もしかして、この武装は君に何か縁があったかな―――ならばこれも宿命か。

―――早いな。

【相手が斬撃を回避すると思ってはいなかったのか、少し驚いたような声色でそう呟くと即座に体勢を立て直す】
【だが素早く放たれるレーザーを回避するにはかなわず、肩の装甲へと激突し大きく損傷する。】
【しかし肩の装甲が砕けた程度ではこのパワードスーツも、女性も止まりはしない、再び機械の刀を構える】

攻撃の速度、威力もかなりのモノだ………流石はGIFTのメンバーといった所か。
ならば………こちらも少し速めていこうか。

                 《櫻華一刀流=\――壱ノ型瞬菊=E返》

【そして再び同じ構えから斬撃を繰り出す―――そして成否に関わらず青年を通り過ぎるように背後に回るだろう、そして】
【そこから凄まじい神速の切り替えしと共に相手の背後から斬撃を繰り出すッ!】
【まるで前方と後方の両方から斬撃を放たれたような錯覚すら覚えるような凄まじいキレの技だ―――。】
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 22:19:27.83 ID:pss3cj88o
>>518
「――死ぬのだけは死んでも御免……っ!!
死にたくないんスよ――何をしてでも、何をされてでも……っ!!」

【圧倒的なまでの、死への忌避感。死への恐怖。それは殺し続けてきた女だからこそ抱くもの】
【覚悟ができていないわけではない。覚悟ができているからこそ、恐ろしく、そして避けたいものであるのが、死】
【死を見つめ、死を思い続けた女は――死に対する嗅覚≠いつからか身につけていた】
【熱波、衝撃、瓦礫の群れ。――それらが女を打ち据える。頭を潰すだろう瓦礫に、弾切れの自動拳銃を放り投げる】
【衝突する金属と、コンクリート。それらは衝突することで互いに軌道を変えて――結局女の耳たぶを引き裂くのみで終わる】
【ここでもまた女は傷ついても死ななかった=B異様なまでのしぶとさ、生存力、生存欲。命にしがみつくその無様さが、最弱の一番の最強だった】

「――ち……ぃ。持ってる奴が、何を言うッスかよ――!
くっそ、そんなもんまともに貰ったら死ぬッス、嫌ッス、やめろッス……!!」

【ベルトに差し込んでいる無数のダガーナイフから二振り取り出すと、女はそれらを駆使して攻撃を捌く】
【右腕の骨が軋みひびが入るも――上手く受け流す事で脇を通りぬけ、女は駆け抜けていく】
【トラックを背後に取りつつ、両手のダガーを全力で投擲し、相手への牽制とする、コジマ】
【狙いは足下と胴体。後ろに引くか、その場で捌くかは相手次第と言えるだろう】

「……それでも、それでも私を終わらせるっていうなら――。
……やるッス。やってやるッスよ。明日のおまんまの為に、明日の安酒の為に――死ねッス」

【ベルトの後ろ側から取り出したのは――二丁の手斧】
【手元で回し――腰を落として構えを取る。これがコジマの真正面からの場合の戦闘スタイル】
【力はそう強いわけではない。それでも斧を振れば人の首を落とす事くらいはできる】
【そして、スタミナだけは高く、臆病さだけは人一倍。だからこそ――ここからの粘りが、コジマという女の真骨頂だ】
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/29(金) 22:31:20.07 ID:Qxw++jYG0
>>519

そんなんでいいのか、いや国大事だからいいのか

【男はあきれの声をだしつつも、妙に納得した】
【大事にはそのような武装すらも出せるか、それともデータとりか】
【だがいまは余計な思考に浸っている暇はない】

 っ…!、アンタのほうがもっと早いんじゃないのか!

【男は斬華が一気に背後に回るのを知覚した】
【そして神速に来る刀を男は急速に体を回らせさらに背をまげ、ぎりぎりで回避する】
【だが、回避したが相手は紙一重の速さだったためか、背中に浅く切りつけられた】

 っ!、アンタみたいな人間にパワードスーツを着られたらたまらねえな
 だが、この程度では、やられねえ!

【男はその程度ではやられぬといい、指先からまたビームを発射する】
【さらに光を手に集めて、剣を作り出した】
【その剣の切っ先を斬華に向けてこう問うた】

 その刀は聖遺物になってる噂があるんだが実際のところどうよ
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 22:35:06.09 ID:vwRp+FLY0
>>520

まるで洗脳でもされてるみたいだな。
だがその恐怖≠ェお前の強さの源ってワケか、益々厄介じゃねーか。

持ってる≠ゥらといって恵まれてる=c……なんてわけねーだろうがッッッ!

【コジマの言葉に初めて感情を大きく出して、声を荒げながらコジマを睨み付ける―――。】
【そして相手の投擲するナイフを下がって回避するような事はせずその場で身の丈もあるブレードライフルを振り回して捌く】
【だが冷静さを失った事もあってか、一つを捌ききれず腹部にナイフが突き刺さり、苦悶の表情を浮かべながらそれを引き抜く】
【一度、血のべっとりとついたナイフの刃を見つめるが、直ぐに視線はコジマへと向かう。】

お前はその為に生きるか………だが統治≠セとか反逆≠セとか………そんな事よりはよっぽど人間らしい
だから俺も―――人間らしくそれを砕いてやるよ………!

              行くぞッッ!!!―――≪LAST・Rebellion= ッッ!!!

【荒い息を整えながら相手へと再び駈け出して―――先ほどと同じ爆¢ョ性の籠った弾丸を掃射しながら接近する】
【今度は時限性に設定したのか弾丸はコジマに到達する前に空中で炸裂し小規模の爆発をまるで花火のように幾つも発生させる】
【そして青年はその爆発の群に紛れながらコジマへと肉薄を測っていき………そしてブレードライフルを振りかぶる】

【―――放たれるのはライフルの重さをものともしない高速の斬りつけ―――それもX字状の二連撃だ】
【今までとは違う勢いをもった攻撃………だが、どこか隙がある=c……まるでどこかに雑念が混じったように】
【それは、コジマにとっては大きなチャンスとも言えるし大きなピンチともいえる。】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/29(金) 22:46:16.81 ID:KLrqSMt+0
>>500


せやねん、俺の勝つ言うのは、ただ殴ってダウン取るだけ、ちゃうねん、
相手に、今やっとること、間違っとるんやって、気づいてもらうこと、それが、俺が思っとる、勝ちでな、
……まあ、そんなんやから、滅多に、勝つこと、無いっちゅうか……そもそも、こんな体に、なってもうたんやけど。


【自嘲的に笑って見せる。其れだけの余裕が、彼と話している間に出できた、という事でも有るのだろう。】
【此の少年の考える"勝利"―――此処まで解説が加われば、先程の話は矛盾ではないという事が見て取れる筈だ。】
【単なる殴り合いでは負けたが、其の先、相手を更正させるという点に於いては勝ったのだと、少年は言う。】


ああ、俺のも、夜の国の、そん時。かっこええ槍、持っとるカノッサの……確か、21番の人と、戦ったんや。
流石に、強かったで……俺、一回死んだんのと同じやからな、………よかった、ほんま、よかったわ……


【―――此処まで来れば、少年の話す"よかった"の持つ意味が、一般的な其れとは異なるのに、気付く事になるのだろう。】
【自分の生命が助かって"よかった"に加えて、"彼"が変わってくれて"よかった"。……寧ろ、後者の方が強い意味を持っていて。】

【……男の言葉を借りるなら、大した自己犠牲精神、である。少年は今、何気ない表情で物を語っているが、】
【其の内容は、自分が生きるか死ぬか、という凄まじい瀬戸際を示すもので。―――最早、其の事に違和感を持つ程、だろうか。】

【―――瞬間、紙コップが力強い音を立てて潰れる。小刻みに震えるその手は、少年の網膜に焼き付いて。】
【此の男も、少年と同じ。世に蔓延る悪を正そうと、自分を犠牲にしてまで戦う、正義の使者とも言うべき存在。】
【一気に親近感を感じたのだろう、車椅子をキキ…と軋ませながら、男の方へと方向を変えて。】


―――せや、自己紹介、まだ、やったな、
俺はねこやま、"UNITED TRIGGER"の、新入り、やで。
今はこんなん……全治3ヶ月、言われてもうたけどな、1ヶ月で治したるわ、
すぐ、戦場復帰、するし……その、なんかで、会った時は、よろしゅう。


【男に向かって差し出したのは、―――今まで16年の間に、ありとあらゆる物を掴み、そして其の多くを手放してきた手である。】
【年齢相応のきめの細かい肌では有るが、ヤケに手の皮が厚く、ゴツゴツとした印象の其れは、きっと。彼の並大抵では無い人生を示していて―――?】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 22:46:38.97 ID:vwRp+FLY0
>>521

まぁ………持て余していたというのが実際だろうな。
     フ、―――なぁにまだまだ………私はイケるぞ=H

その意気やよし………全霊でかかってこい………こちらもある程度リミットがあるのでな

【高速の切り返しを放った後も、直ぐに体勢を立て直し女性はレーザーを身体を逸らすようにして回避する】
【だが流石のレーザーの速さだ、ジュウウという音と共に装甲の右脇腹が融解している】
【そして、レーザーのせいではないが、装甲自体が赤くなっている………強力とはいえ試作のまま放置されていたモノだ】
【過度な武装を加えたこのパワードスーツは冷却が追い付かず、装備者を苦しめている………。】

―――確かに、強度、切れ味、完成度………それ自体は聖遺物に匹敵するポテンシャルを持っているが
聖遺物とは………誰かに愛用され、長い間使い続けられたモノにだけ宿る力

この刀が聖遺物として真価を発揮するかはこれから次第だろうな………。

そろそろ倒れてもらうぞッ!!《櫻華一刀流=\――参の型雪桃=t―――ッ!

【相手の問いに応えながらも、パワードスーツの負荷によって息を荒くしていき………】
【長期戦は危険と考えたのか………相手の頭上へと一気に飛び上がり―――そして刃を月光へと当てる。】

【刃に反射した月光は相手の視界を奪うように放たれ―――その数瞬後に凄まじい勢いで相手の右肩めがけて刃が振り下ろされる】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 22:51:11.94 ID:pss3cj88o
>>522
【視界を埋め尽くす爆風の群れ――それらが、コジマの中の恐怖を引き出していく】
【だが、これによって死ぬ事は無い。そうコジマは理解しているため――この先にあるものを真に恐れた】
【背中に来る、ぞわりとした感覚。これが、恐怖。そして――死の気配。だが、死の気配には、揺らぎがあった】

「――知るかッスよ。知ったこっちゃないからさっさと死ねッス――怖いんスよ――!!」

【――完全な殺害の意図を感じさせる攻撃であれば、必殺技であれば】
【コジマは間違いなく、致命傷を避けて回避することが出来る。大ダメージを食らっても、死ぬことはないのだ】
【だが、今この時点で――目の前の斬撃は、どちらとも言えない=Bという問題が、有った】
【頭のなかで経験を引き出していく。そして、実戦で鍛えられた染み付いた挙動が――駆動する】

「……っし……ぃ!!」

【2つ響く金属音。一閃は防ぐ。跳ね上げた斧で鼻の頭を引き裂かれるだけ――致命傷には届かない】
【次の二閃――それが、明暗を分ける。コジマは半歩後ろに下がり――斧で流す構えを取る】
【が――、その流しで対応できない重み――揺らぎが生み出したコジマの読み違いが、発生する】
【深々と切っ先が身体に食い込み――切っ先は、腹部を引き裂き、鮮血を飛び散らせた】

「…………ぐ……っ」

【ぎりぎり内臓をぶちまけずに済はしたが――かなりのダメージ。だが】
【相手は見るだろう――目の前で女が飛び上がるのを。手袋に搭載した、ワイヤー機構による、飛翔】
【背後のトラックを活用しての、全力での離脱。空中に舞い上がった直後――女が背後にしていたトラックが、最後の役割を果たす】

「――――ここまでが……、仕込みッスよ――! 卑怯!? ずるい!? 糞野郎!?
はっ、上等……っ! 勝ちゃ何やっても良いんスからねェ――――っ!!」

【吐血しつつ、空中でコジマはワイヤーを伸ばし――近くの電柱に巻きつけると、巻取り】
【同時に、コジマのトラックが中に満載していた火薬≠ノ火を灯し――巨大な爆弾と化して爆風を生み出した】
【トラックで突撃したのも、トラックを背後に陣取って戦ったのも。否――最初にこのトラックの上に居た時点から】
【女は――ここまで使い潰すことを想定しておいた=Bこんなこともあろうかと――臆病故に、コジマは準備を、怠らない】

「……っ……キツい……!」

【服の袖を引き裂き腹部に巻きつけて簡易的に止血を済ませ】
【着地したコジマは、ふらつきながら己の先ほどまで居た場所に――斧を構えて視線を向けるのであった】
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/29(金) 23:03:38.55 ID:Qxw++jYG0
>>524

 そうかい、まだなってねえのかい

【男はそれを聞きしゃべりながらも次の技にも警戒していた】
【この女性は相当なてだれだ、ならば次はどのような技でくるか】
【ここは気を抜けずにいる、抜いたら最後倒されると男は思う】

 その、パワードスーツ赤くなってんじゃあねえか
 そろそろ限界が近いんじゃないか

【男は赤くなっているパワードスーツにきずきそのように言った】
【常人では一分もたえられずに死ぬ装備だあの女性がこれだけ耐えられるのはすごいと思い】

 あいにく、まだ倒れるわけにはねえのさ!

【男は叫び動きを作る】
【女性が一気に飛び上がったのを見てだが刃に反射された月光を見てしまい視界を奪われた】
【だが強引に素早く後方へと下がる、だが視界が奪われているためか女性が落ちてく場所をつかめはしなかった】
【しかしそのままやはり強引に体を動かし落ちたであろう場所に行き当たるのを幸いとした一撃を当てようとする】
【視界は回復してきたもののまだあやふやな状態であり、回避はやはり容易にできる】
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 23:16:05.27 ID:vwRp+FLY0
>>525

な―――ッ!?
(そうか………俺はまた結局、そうなのか―――ハハッ!情けねェ………。)

(留めって時に………相手が―――妹≠ニ重なっちまうなんてなぁ………。)

【全霊の一撃を振り切って完全に懐が空いた―――そして退避するコジマと目の前で爆ぜるトラック―――。】
【この後に及んで、ここまで失って尚、非常になりきれない自分の甘さ、愚かさを呪うように苦笑して、そのまま爆炎に飲み込まれる】

【ドンッッ!!っと重たい音が鳴り響いた後、青年は氷の方の異能を発動して爆炎を軽減したか、未だ原型を留めたまま地面に転がっていた】
【だがその身体は至るところが火傷となっており、煙があがっている―――意識は、辛うじてあるのかうっすらと瞳を開けている】

【完全に戦闘不能だ………この戦いはコジマの勝利と言えるだろう―――そして】


    ≪良くやったコジマ………こちらの戦闘もほぼ完了した、
     スカーレット隊員の乗っていたトレーラは逃がしたが中央はもはや動くモノ≠ヘ存在しない≫


【いつしかそれはそこにいた】
【まず頭部は紫のバイザーのヘルメット型の灰色の仮面に覆われており表情はおろか人相も判別できない状態であり】
【全身は銀色の装甲服とその上に灰色の背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の男】

【鉄の国の騒乱の元凶………GIFTメンバーの一人、W/ダブル≠ェそこにいつしか立っていた―――。】
【ダブルの背後を見れば幾つもの黒煙が上がっており、それがどのような惨劇が行われたのかを現していた―――。】

   ≪住民はほぼ全て無事だが………これ以上は深追いする意味もない、主目標は破壊した………撤退するぞ≫


          ≪―――その男、まだ息があるな………それで最後だ、始末しろ。≫


【仮面の奥の瞳で青年を一瞥すると、そう冷徹に………コジマへと指令を下す―――灰色の魔人の絶対の言葉を】
【最後の一振りを、コジマへと―――】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 23:23:18.39 ID:pss3cj88o
>>527
「――甘い。甘いッスよ。
だから死ぬッス、だから負けるッス。――私は、弱いが甘くないし誰も舐めない。
そこが――あんたと私の――能力以外の、差ッス」

【電柱に背を預け――死に体の男に対して、そう女は言葉を投げかけて】
【深く息を吸って吐き、当初の任務は達成したとばかりに歩き出そうとした、その直後】

「――ハ、お偉方が戦闘兵の中でも特にドベ、不死身の使い捨て――コジマ隊に用が有るとは――予想外スね」

【腹部からじわりと滲む鮮血。その感覚に、体温が下がっていく実感が追いすがっていく】
【そして、さらにそこに現れたGIFTメンバーであるダブルがやってきて――、己に始末をしろと言ってみせる】
【言われた以上――やるしかない。己は戦闘兵、無能力者。だから、能力者サマ≠フ命令には、従わなければならない】
【それよりもなによりも。此処で殺さなければ、きっと報酬は来ない。だから、明日の飯の為に、コジマは斧を振りかぶった】

「じゃあな――ッス」

【特に感慨は無い。いつも通り、頭を肉厚の手斧でかち割る作業だ】
【――2kgの手斧は、そのまま分厚い刃を、男の頭に向けて加速させていった】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/29(金) 23:25:09.71 ID:ppyQQ7vV0
【森の中――――其処に存在する、廃れた教会】
【外装はまるで廃墟と間違える程に荒れており、壁には蔦も這っていて】
【場所も場所故に、訪れる者が滅多に居ないそんな場所。然れど、教会内からはカツカツと足音が響いており】
【疑問に思って扉に手を掛けたならば――幸いか否かは分からないが――ギギと低い音と共に、開く事だろう】


「…………この時間にどうかしましたか?
……助けが必要でしたら、出来る限りお力にならせて頂きますが……」

【――――視界の中に映るであろう、一人の修道女。右手に聖書を携えている事から、恐らくは礼拝か何かの最中であったか】
【訪問者の存在に気付いたならばそちらへと視線を変えて、小首を傾げる事だろう】
【どの様な理由で、此処へ訪れたのか――――と】


「こんな森の中です――――もし、良ければお座り下さい」

【こんな森の中、歩き回るのは疲れたであろう。もし良ければ、適当な所にでも腰を掛ける様にと促して】
【…………座ろうと座らなかろうと、再び問うのは此処を訪れたその理由】
【珍しくてふらりと寄ったのか、宿を求めて訪れたのか――――はたまた、別な理由か】





【歩く死人が数多く存在する――――そう囁かれ、忌み嫌われた墓地】
【風化の始まった墓石や、その中央には既に放棄された管理人の小屋があって】
【突如響くのは乾いた発砲音。数回響いたかと思えば――――耳を劈く様な断末魔。結局は、其れすらも乾いたその音で止められてしまうのだけれど】


「ふぅん――――眷族を作る割には、随分と小物だったね
逃げる事も闘う事も出来ない。ただ一方的に殺されるだけ。…………嗚呼、奇しくも君が今まで人間にやってた事が降り掛かったみたいだね」

【未だ硝煙の立つ拳銃を握り、踏みつけたこの墓地の主に向かって銃口を向けているのは一人の修道女】
【露わとなっている金色の髪は月の光を鋭く反射させていて、同じ光に照らされる顔は悪寒を感じる程に冷えていた】
【僅かに口角を吊り上げたならば、引き金に力を込めて――――再び、発砲音】


「その程度の呪詛がボクに効くと思ったのかな?
――――君達みたいなのを殺す為に作られたんだから、もっと頑張ってくれなきゃ…………ねぇ?
たかだか一つの小さな墓地を占領して良い気になってたのが仇だったね。それじゃ、安らかに眠っていた人達を無理矢理起こした報い、受けて貰おうかな」

【辺りを見回せば頭を撃ち抜かれた死体やら、銃身の折れたカービンやら。一見すればどちらが悪かも分からない――――有り体に言ってしまえば虐殺現場】
【ゴリ、と銃口を側頭部へと押し当てたならば、二度三度と引き金を引いて。…………その先は、言わずもがな。火薬の香りと生臭い香りとが、辺りを包んだ】
【さて、この地は依頼書も出され、報酬も提示されている場所である。なれば、自発的に訪れた者も居るであろうし、その発砲音を聞き付けて来た者も居るのかも知れない】
【――――何にしたって、瞬時にそちらへと金の双眸を向けたならば。僅かに遅れて、銃口を向けるのだろう。射撃はしない。だが、警戒の表れと取るには十分な事か】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 23:26:34.35 ID:vwRp+FLY0
>>526

ああ………私≠ェそれを成すかは分からないがな。
―――フ、確かに使うにしてももう少し慣らしが必要なようだな………。

【渾身の一撃を回避され、小さく舌打ちをしながら体勢を立て直す………やはりオーバーヒートによりキレが落ちている】
【相手の言葉を肯定するようにそういいながら相手の攻撃をバックステップで回避するが】
【既に臨界に達している装甲が捉えられ、腹部の装甲を貫いて血を流しながら後退を余儀なくされる。】
【荒い息を吐きながら、女性は相手を見据える。】

………口惜しいが、やはり実践を退いていた私ではこの場を切り抜けることは出来んか
ならば少しでも他の部隊や市民の支援に向かう方が有益か………。

済まないがこの決着はいずれまでとっておかせてもらうぞ―――その時までに
この鎧もモノにしてみせるさ………君が求めている聖遺物≠ヨの段階としてな………


【そう言うと装備していた装甲をパージ―――その際に発生する蒸気を煙幕として相手へと吹きかける】
【そして即座に装備を転送すると………そのまま走り去っていく………気配は次第に遠くなっていくのが分かるだろう。】

【此度は決着がつかなかったが、零国≠ニいう脅威がGIFTへと突き付けられたのもまた………事実である】
【=\―しばらくすれば作戦終了を告げる発煙筒が打ち上げられる………此度の戦端はこうして終わった。】

//少し強引ですがこんな感じで…
//参加ありがとうございました!お疲れ様でした!
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/29(金) 23:27:40.21 ID:BgxVzm6co
>>523

なるほどねえ……
――――でも、そういう風にやるなら尚更、変な甘さは命取りだ。

根っからの悪人だったり、どっかズレちまってるようなやつだって平気でウロウロしてる世の中だからな。
自分のやってる事が絶対正しい、って……死ぬまでそれを貫き通すようなやつもいるし、さ。

……って、わざわざ言わなくてもわかってるか。

【――――以前戦ったGIFTの男、ユピテル。彼もまた、自分達の正当性を信じたまま、散っていった】
【殺す気でかからなければ、自分が殺されるような相手だっている】
【自警団として働いているから、テロの制圧にも携わり、そうした人間も見てきたから】

No.21、か……いや、どんなやつか知らないけどな
機関にもまだ、そういう余地のあるやつ、いるんだな……

ねこやま、ね――珍しい名前。
そうか、UTの……道理でわざわざ突っ込んでいくなんて真似するわけだ。
―――俺はディハート・グリムジャック。
所属としては夜の国の自警団だけど……色々向かわされてるから、その内どっかで会うかもな。

【差し出された手を握り返すのは、やけに綺麗な手で】
【その辺りも、手入れをしているのだろう。肌から爪から―――とにかく、男性っぽさはありながらも整っていて】

そういえば、さ。少し前に、ゼン=カイマで化け物が出たってニュース、知ってるか?
それを討伐した3人の能力者、とやらを探すの頼まれてるんだけど……何か知らねえか?

―――いや、入院してたんだからあんまり知らないか。
ただ、一人、『阿修羅を操る女』がいた、って聞いたんだけど心当たりないか?

【思い出したように、訊くのはそんな事。先日会った若き芸術家に頼まれた話で】
【僅かながらも自分が持っていた情報を出してみれば、どうだ?とばかりに軽く首を傾げるのだろう】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/29(金) 23:37:31.08 ID:Qxw++jYG0
>>530

 ああ、く…はあ、終わったか

【男はそのように安堵の声をだす】
【零国、あのような物が出されて、使われる】

 厄介だなあ……あれは聖遺物なられるともっとな

【男はそのように言いながら息は絶え絶えである】
【だが、そのように言っている矢先に体力がつきかけたのか肩膝を突く】

 ああくそ……なんとか耐えたがな
 だが……問題はないか
 ……もしあいつが零国に認められるのなら…いや、止めておくか

【そのようにぶつぶつとつぶやいているとGIFT戦闘員がこちらにかけてくるのを見て】
【作戦は終わりかとそう思い彼らと合流、そのまま作戦終了の発煙筒が打ち上げられる男は退却中に見ていた】
【今度はあの零国を物にした女と戦うことになるかもしれないという予感も持ちつつ】

/はいお疲れ様でした
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/11/29(金) 23:40:53.62 ID:vwRp+FLY0
>>528

      ≪フ、そう自分を卑下するな………貴様のような虐げられた者≠アそ私の戦いには重要なのだ≫

     ≪私の個人的な興味もあったがな、この元Justiceの男に―――だが随分と期待外れだったようだ≫


  【先ほどまで冷徹な命令をしていたとは打って変わってコジマを評価するような言動と共にその横へと並び立つ】
【ゴシュッ!―――鈍い音と共に青年、番怒氷山≠フ頭部から果汁のように血が流れ出る―――その鮮血がダブルの軍靴にかかると同時に】
【ダブルは踵を返し、興味が失せたように歩き出す―――。】

      (悪いな………兄貴、織守さん………アリサ―――俺は最後まで半端モノだった………ぜ)

    
  ≪良くやった………貴様とその一味には特級の褒美を取らせよう―――そして今後もその活躍に期待させてもらおう≫

           ≪次の仕込みは東≠セ………兵たちを集めてポイントDに集結させろ≫


【それだけ言うと自身はどこかへと歩き去って闇にまぎれて消えていく………不気味なまでに、あらゆる感情を隠した男だ】
【だがこれで戦いは終わった、コジマの部隊にはかなりの報酬がかけられるだろう―――此度の戦いは圧倒的なまでの破壊で終結した】

【GIFTの進撃は続く………此度流れた血はまだ始まりの贄でしかないのだ―――この先に待つのは………真の災厄か。】

//これでイベントを占めます!
//お二方ありがとうございました!
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/11/29(金) 23:47:01.56 ID:pss3cj88o
>>533
「――はぁ……いつも通りッスけど――。
いつも通り――後味は良くないッスねえ――ま、しゃーないんスけど」

【歩き去っていくダブルを見送ってから――コジマは嘆息して、足元の死体を見下ろして】
【ナイフを一本、墓標のように地面に突き刺すと――その後は一瞥もせずに歩き去っていった】
【ダブルは確かに不気味だ。だが――知ったことではない】
【大切なのは、逆らってはいけない事。それだけ守っていれば、彼が何者だろうと、どうでも良い】

「てめーら。片付けたからさっさと戻って来い。
ポイントDな、おう。往くぞ――」

【近くに停めておいたピックアップトラックに乗り込みエンジンキーを回して】
【コジマはエンジン音を響かせながら、次のポイントへと走って行くのであった】

/*お疲れ様でした、色々と申し訳ないですっ!*/
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/29(金) 23:55:02.48 ID:KLrqSMt+0
>>531


―――――……………


【少年は顔を俯かせ、哀しみを持った表情を取った。―――確かに、死ぬまで自身の正当性を貫く悪人は、多い。】
【其れは身を以て経験しており、勿論事実だと認めざるを得ない事だった。……然し、此の少年は、其れでもと、】
【彼らに甘さを持って接してしまう。"分かって"いながらも、何処か其れを"信じきる"事が出来ない、】
【そんな板挟みの中に、今、少年は立たされていて。哀しい表情をしたと言うのは、つまりそういう事。】


………せやねん、中には、そういう人も、おるから、………せやから………


【然し又、少年が話す様に、悪を離れた人物も、実際に多からず居るのだ。】
【0では無いその可能性に、必死になって賭け続ける少年。……"甘さ"を捨てる事は、到底出来ない事の様で―――。】


……ああ、アリギエ、やったっけ、ほんま、ええ街やのに、大変やったらしいな……

俺は、寝とったけど、"もとくん"が、戦っとった、みたい、その阿修羅の話は、聞いてないんやけど。
せやな、あと、2人、こどもと、女の人、言うとったから、多分、その人やと思うわ。
連絡先とか、交換せえへんタイプやし、その、女の人には、会えへんと思うけど、
"もとくん"なら、会えると思うで、………どこおるかは、分からんけどな、にーちゃん、旅人、やし。

―――あ、せや、電話、してみよか?


【"もとくん"―――少年は自分の兄だと言ったが、確かに其の能力者の3人の内の、一人という事らしい。】
【彼が何処に居るのかは分からないが、一応、電話をする事は出来る様だ。】
【入院服のポケット、左手でガサゴソと"W-Phone"を取り出しつつ、少年は今、掛けるかどうかの返事を待っている。】

536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/30(土) 00:27:00.57 ID:AW5qp27Ro
>>535

……人を改心させようとして、自分が死んじまったら何の意味もねえ。
その先に、改心させられるやつに出会えるかもしれないのに、それが出来なくなるんだ。

――――ま、あくまでそういう事には気を付けろよ、って話だ。わかってても出来ない事はあるしな。

【片手で帽子を弄りながら、そう言って】
【少しだけ残っていたコーヒーを飲んでしまったら、紙コップをゴミ箱へ】
【少年の表情を見て、何となくバツが悪くなった様。やはり、根はまともな人間なのだろう】

―――何だ、知り合いだったのか……俺もなかなか運がいいもんだ。
もう一人は子供、か……化け物相手に子供がねえ…………
って言っても、そう不思議でもないんだよな……こんな世の中だし。

――あ、じゃあ頼むわ。後ついでにそいつの連絡先も教えてくれるか?
その……頼まれた相手に報告するにも、連絡先がわからねえと、あれだし。


【“子供”というワードに一瞬、考え込む素振りを見せたが、この世界ではそこまで不思議な話でもなくて】
【それから、少年の申し出への答えはYes。もしかすると、もう少し情報が得られるかもしれないし】
【それに、事情を説明しておく必要もあると、そう判断してのこと】
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 00:44:45.04 ID:iiQFr+A0o
【路地裏】

【路地裏ってのは細い道が続いている、地元の人の抜け穴であったり】
【隠れた名店に続く宝の道であったりすることもある…というかそれがほとんどだが】
【だいたいこの辺りだと何かに出る前にチンピラやらサイコ野郎やら国際指名手配犯やらが出てきちまう】
【しかし、虎穴に入らずんば虎児を得ず…ともいうわけでその危険を顧みず行く先べき理由もあるのか】

―――ああ、じゃあ……またなんかありゃあ来るよ

【路地裏、街灯代わりの裸電球がヂリヂリと鳴っている中、ボロボロの雑居ビルから錆びた非常階段を】
【一人の男がカンカンとブーツの底で鳴らしながら降りてきた。そのフロアは看板は無いがオープンとだけ書いてあった】
【こんな場所で知る人ぞ知るというやつだ。だが、今の世の中じゃ珍しいことじゃない】

【毎日毎日、新しい戦闘や新しい組織らが生まれては消えていく。それなのにスリも減らない】
【めまぐるしく変わる世界でアンダーグラウンドは日に日に大きくなっている】

【毛先がウェーブがかった黒髪の背の高い男。サングラスに電球の灯りが反射する】
【黒いスーツに黒ネクタイ。カーキのミリタリーコートで寒そうにポケットに手を入れながら、大股で歩いていた】
【その割にコートのジッパーもジャケットのボタンも閉めていないのはどういう訳か】

ったく……路地裏だけじゃわからないって…

【クシャクシャと髪をかいて、煙草をポケットから取り出しつつ路地を進んでいく】
【オイルライターの火を手で風を防ぎながらくわえた煙草に火を付けた】
【冷たい風がごうと吹いて路地を抜ける。アスファルトの水溜りには氷が張っていて】

……っと!………あっぶね

【男は煙草に気を取られていて、足を氷に取られてバランスを崩す】
【転びはしなかったが…ライターがアスファルトに落ちてカシャカシャと滑っていって…】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 00:55:25.43 ID:xKfpkZmQ0
>>536


せやなー……、子ども言うても、強さは一人前やろ、能力、有るんやったら。
俺も、……まあ、今でも子どもやけど、……もっと、小さい頃から、戦っとったしな。

……それが、あってええ事なんかどうかは、俺には、分からんけど、な……うん。

じゃ、掛けるでー……あー……連絡先、か……
さっきも、言うたけどな、あんまり、社交的ちゃう、言うか……まあそんな感じ、なんよ。

あ、でもな、ものすっごい、強くて、ものすっごい、カッコええにーちゃん、なんやで……!
同い年、なんやけど、それほんまなん! 言ってまうくらいの、な……! 俺も、あんなんに、なりたいわ……!

……ああ、話、それたな、……せやから、こう、バラすのは、どうなんやろ、っちゅう……
まあ、とりあえず、掛けるで、了承も、そのタイミングで、取ってみるわ。


【少年は初めて少し大きな声を出してみせた。"憧れの兄"―――少年曰く、彼はありとあらゆる部分で、格好良いらしい。】
【まあ、此の少年自体、少々変わっている部分があるのだ。一般的な感覚とはズレている故の、感想なのかも知れない。】

【少年は画面を指先で押して。耳に携帯を当てるのだろう。】
【『あ、もしもし、もとくん?』から始まり、他愛の無い、普通な兄弟の世間話の後、『ほな、待っとるでー』の締め。】
【ピ、とボタンを押し、"W-Phone"を再び胸元に入れながら、少年は口を開く。―――少々、興奮しているのが見て取れるだろうか。】


あのな、あのな! 今、こっちに、来とるらしいで! 俺の、見舞い、やって!
もうすぐ、着くみたい、やから、下、迎えに行くで!


【旅人の兄、何処に居るのかと思えば、すぐ近くを歩いており、更に言えば此方に向かっている最中なのだと言う。】
【少年は迎えに行くらしい。彼の返事に関わらず、車椅子を器用に操り進み、そして屋上と院内を結ぶ扉を開ける。】
【『はよはよ!』と男を急かし、自分は其の侭、奥へ奥へと進む。エレベーターのボタンを押した所で、少年は止まった様だ。】

539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/30(土) 01:00:21.38 ID:EKK6czpE0
>>537

「おっと?おっとっと?おっとととっと?」

【彼が落としたライターを、バランスが崩れた声を出しながらキャッチした少女が居た】
【煙草みたく棒だけ口から出したキャンディを揺らして言葉を紡いだ少女は、あの言葉を擬人化したような姿だった】

【太ももの半分ほどまでのライダーズコートは銀色のファスナーが輝き】
【ほとんどない胸元に差し掛かるまでジッパーを下していた】
【左足の靴ひもが抜けているミリタリーブーツは、どうも拾ったものという感じがした】
【月のように薄らと黄みを帯びたポニーテールは夜風に揺れていた】


【肩にかけているものは、最近では繁華街ですら見なくなったもの】
【新聞を両面広げたほどの四角形に、少女の胸元までの高さの棒が付いた、金属光沢がつく物体】
【四角形の表面には「激安!適当!安っぽいホテル!レストラン付き!」とゴシック体で印字されていた】
【―――おそらく、これは看板で】


「もぅ…こんな夜遅くに一人で歩いてるとなんかそういう宇宙人的な変人にやられますよ?お姉さんだったらなおさらですよ?」

【おそらく彼女は彼の顔を見ていないのだろう。ライターを落としたのが女性だと思い込んでいて】
【ゆっくりと、地面から顔をあげると、目の前にはサングラスをかけた男性が――】


「あっ?あのそのっ?アレっすアレです!勘違い…?っていうねっ!ねっ?サーセンってやつです。すみませんっ!」


【―――彼女は、看板娘――――】
【―――そして、テンションが、おかしい】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 01:16:13.37 ID:iiQFr+A0o
>>539

………。

【男は黙っている。ワチャワチャとした目の前の彼女が】
【一区切りついておとなしくなるのを待っているようだ】
【185以上はありそうな身長。サングラス。煙を吐き出す立ち振舞】
【無言で立っているだけで、オーラが出ていて…優しそうには全く見えない】

……………。

【見下ろすように男は見てくる。煙草を指に挟んでもう片方の手で自分の髪をかきあげて】

……安っぽいホテルって…モーテルじゃないの?…それか…ビジホ

【しゃがれた若い男の声。痩せた体躯のためまだ女性である確率もワンチャンあったが】
【コレを聞けばそれは潰える。しかし、思いの外優しそうにゆっくりと話すためまだマシという感じか】
【しかし、第一声でそこをつく時点でこちらの方ももしかすればアレな人の方かもしれない】
【大体、夜中にサングラスの時点でプンプン香っては居る。テンションが低い方のアレなあれだ】

あー…うん。…まあ…どっちでもいいんだけど…宇宙人でも

【煙草の挟んでいない片方の手を前に差し出せば】

……あー、ライター、悪いんだけど返して
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/30(土) 01:16:29.13 ID:s9Rv8yCpo
>>538

……ああ。それに、こういうのは小さい子供の方がえげつなかったりするもんだ。


ふーん……同い年の“兄ちゃん”、ね……
―――ま、連絡先があれなら、何か考えるさ。

【連絡先を得られなかったらどうするか、なんてその時になって考えれば良い】
【取り敢えず今はその素性を知る事を優先として。兎に角少年が電話するのを黙って待つ事として適当な所に凭れ掛かる】

【目を閉じて少しすると、少年は電話を切った様子。片目を開けてそちらを見遣って】

――――へえ、こりゃまた運がいいな、俺。
…………って、そんなに急いだって、掛かる時間はそこまで変わらねえって……どうせエレベーターなんだし……

【急ぐ少年に対し、こちらはそこまで急いだ様子は見せず】
【それでも、歩幅が大きくて。普通に歩いていてもそれなりの速さ】
【故に、少年の所にはすぐに追い付くのであった】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/30(土) 01:31:37.15 ID:EKK6czpE0
>>540


「そ〜こ〜は、風情?ってやつですよ。ふ・ぜ・い!
 モーテルとかいうと、木製の手抜き感満杯のビーバーが作ったみたいなの思っちゃうじゃないっですか?ねっ?

 それにビジホなんて言うとカプセルホテルっすよ?カプセルに入って喜ぶのは怪獣くらいっすよ?」

【看板の柄の部分を地面に立てて、勢いよく右手でホテルと書かれた部分を強調しだす】
【なんというか、寒いうえに勢いしかないテンションである。簡単な話。うざいだろう】
【話すことに夢中になっているためか、少しずつ姿勢が前傾へと変化していっている】


「あ、どーぞどーぞです! なんなら家の新品のライターありやすけど使います?
 こだわりの方のためのマッチや葉巻も完備っすよ?」

【丁重に冷えている華奢な左手で彼にライターを差し出した】
【彼がライターを受け取ったとすると、そのままコートのポケットからそれなりの葉巻を取り出すだろう】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 01:37:38.06 ID:Vk+vWhm+0
>>529

【青褪めた月が照らす墓地に、立ち込める血煙をかき分けて一つの影が潜り込んだ。】
【足音を殺して現れたその者だが、どうやらあなたは目ざとくもその姿を捉えたようだった。】

【瞬間、交錯する視線。用心深くにらみをきかす鋼の銃口】
【対する影はふてぶてしく胸で腕を組みながら、不服げに首をかしげてみせた。】

……やや。容赦無いとは聞いていたけれど、それはちょっと想像以上だな。
この光を頼りに、よぅく顔を見てくれ。ちゃんと血が通ってるだろ?

【影――その正体は、墨を流したような黒髪と、空の彼方で赫く明星の光を宿したような紅い眼の少女だった。】
【近付いてもないのに何故分かるというと、彼女の身体を覆うようにいきなり橙色の光が生じたからだ。】
【その光のいろどりは温和で、もしかすると強く清浄な印象を与えるかもしれない。】
【また、もし屍人に逝き残りがいたなら、怯えるような素振りを見せただろうか。】

きみも依頼を聞いて? でも大丈夫、私は商売敵にはなりえないよ。
多分だけど、きみとは『違う仕事』を承けているから――ね。安心して、そいつを逝かせてやるといい。

【頭を振って、髪に巻きつけたリボンと、それを装う星の髪飾りをしゃらりと揺らしながら】
【意味ありげな言葉を告げると、「墓荒らしに情けはいらない」と一言添えて、ことの元凶に止めを刺すように促すだろう。】
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 01:48:17.17 ID:iiQFr+A0o
>>542

あー……そうかな…俺はモーテルの方が好きだけどなあ…ほら、ネオンが切れかかってる感じがするでしょ?
4,30年前の匂いがするし……まぁ…確かに…カプセルは好きじゃない…怪獣ってカプセルに入るの?……飛ぶ奴も?

【そんなことを言いながらホテルの文字より、レストランという方に気が行っている】
【これは朝食がバイキングのやつなのかな…とかコーヒーだけあれば十分だけどな…とか】
【その前に朝からビールが飲めれば最高なんだけどな…とかそんな程度だが】
【お互いの噛み合っているのか合わないのか、突っ込むこともないまま会話は進行していく】

あ…いや、これでいいんだ。……火力がね、他のは弱いんだよ。…ボッって点かなきゃ…好きじゃないから
それに俺…葉巻吸わないからさ………。…赤マルしか。…たまにラッキーストライクだけど

【受け取れば、ポケットにライターはしまって。煙草をくわえればチリチリと先が赤く灯る】
【暫く男は黙っていて、彼女も喋らなければ沈黙が、喋れば一方的な会話が進行する】

………んで、さ。……なんでこんなとこにいるの?…誰も来ないと思うよ
髪の毛をピンクにして逆立ててるようなのはホテルに泊まんないだろうし……

【相手がしゃべり続けていようと無かろうと男は自分のタイミングで自分の質問をぶつけてくる】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 01:52:16.93 ID:xKfpkZmQ0
>>541


【二人並んで、エレベーターが到着するのを待つ。風の国最大の総合病院、十数階建て故に、】
【1、2、3、……と脇の表示板の動きに速さは有るものの、相応に時間がかかって。】
【やがて、扉が開く。少年はいそいそと車輪に、手をかけた、その時。―――表情が、ぱっと明るくなって。】

【エレベーターの中にあったのは、――― 一人の、男の影だった。】

【フードが付いた茶色の無愛想なローブを全身に纏い、足元にはありふれた草履。随分と貧相な身形だった。】
【艶やかな黒髪、さっぱりとした印象の髪型で。瞳の色は、紺碧とも言うべき澄んだ青色をしていて。】
【大人びていてスラっと顔ではあるが、 其れでも何処か幼さを持ち合わせているような、そんな印象の顔立ち。】
【180cm程の身長に見合った、ゴツゴツとした身体付きは―――きっと其のローブの上からでも、見て取れる筈。】

【男も『!』の表情、目の前の少年が弟である事に気づいた様だった。エレベーターから降りると、弟の髪をくしゃくしゃとなでて。】
【『頑張ったな……』の労いの重い言葉。見ているだけでも痛々しく思える程の怪我。そう言葉を掛けざるを得なかったのだろう。】
【然し少年は会えて嬉しかったのか、只管、満面の笑み。子供らしい純粋な其れを、一切隠す事無く表に出していて。】
【仲睦まじい兄弟の再開は、こんな所。少年はやがて、『……ああ、えっと、ディハートさんやで!』と隣の男を紹介する。】


………変な所を見せてしまったな、すまない。
私は、"ねこもと"、という者だ。……弟が世話になった、感謝している……


【ねこもとは男の方へと身体を向け、深々とお辞儀をする。自警団のマークを認めた上での行動である。】
【『あ、せや、連絡先!』と少年が隣から声を挟めば、ねこもとも本題を思い出したのだろう、口を開いて。】


……私を探している、と聞いたのだが……


【随分と手短に、話題を切り出した。"一体何故、自分が……"と疑問に思っている表情は、徐ろに表れていて。】


546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 01:57:12.22 ID:i4BYR/700
>>543
【――――張り詰めた空気。確認するかの様に双眸が細くされるのだが、危険が無いと判断すれば銃口を下げて】
【発砲音の代わりに聞こえるのは、軽い金属音。目を凝らせば、弾倉を排出した事が直ぐに分かるだろう】
【修道服の内側から新たな弾倉を取り出せば再びスライドして、装填。にぃ、と笑ったならば、血に汚れた顔を改めて向けた】


「嗚呼――――そうみたいだね。てっきり変な正義感に目覚めた人が襲いかかってくるのかと思ったから、安心したよ
肉が腐っている訳でも無い。目が転がり落ちてる訳でも無い。まぁ……君みたいに可愛らしい子が両手を挙げて“あ゛ー”何て言ってたら中々面白そうだけどさ」

【最早、この場の主は瀕死所では無いのだろう。呻き、もがき。人ならばもう既に死んでいる筈なのに、この時ばかりは死から遠い身体故に苦痛を長引かせる】
【仕事は終わったも同然。僅かに足に力を込めたならば――――メキリ、メキリ、ゴキリ。次に足を上げた頃には、胸骨が心の臓を潰し、背と合わさっている姿と変わっている事だろう】
【最後に“銀の弾丸”を撃ち込んだならば、吐息を漏らして】


「ボクは依頼とは関係無いかな。“教会”の仕事で来ただけ。まっ…………それもアッサリと終わって、これからどうしようかなと考えてた所に君が来てくれた訳
――――ねえ。其れで、聞きたいんだけどさ。まるで君は出されていた依頼とは違う物を受けてきた様な言い方をしていたけど…………さっきの“光”に関係するのかな?
もう、仕事も終わっちゃって暇だからさ、良かったら聞かせてくれない?」

【血に濡れたその姿は、修道女とは想像しがたいけれど。人懐っこい笑みを浮かべたならば、少女へと近寄る事だろう】
【無論、この女も敵意は抱いて居ない。寧ろ、少女と先程の光にと、興味を抱いて居る事がハッキリと分かるか】
【拳銃を修道服の内側へと仕舞い、折れたカービンを拾って。少女の前に立ち止まったならば、宛ら適当な世間話を誘うかのように小首を傾げて】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/11/30(土) 02:00:50.01 ID:EKK6czpEo
>>544


切れかかったネオンなら、当ホテルにもございますよ?

買え替える金の無いネオンに、若干止められてる電流が流れて、クリスマスみたいなモワモワした感じになりますよ?

【よく言えばモノはいいようだが、結局金が無いらしい】
【それでも彼の視線に気づいて、食べ物だけはしっかりしていますよ!と謎の自信を張った】


そりゃぁ幾らホテルの経営が悪いからって、その変に落ちてるモノ拾いにとか
綺麗目な死体から物品あさりにとか来てないっすよ?名に行ってんすか?もぅーい・け・ずぅ〜

【素晴らしく歯切れが突然悪くなり、若干目線をそらそうとする】
【確実に彼女が口から出たことが事実であろう】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/30(土) 02:09:43.55 ID:rtqw0AoBo
>>545

――――ああ、気にすんなって。別に何もしてないし。
ねこもと、ね……これまたよく似た名前で―――それともあれか?ねこ、ってのがファミリーネームだったり?

【――――――事実、特に何もしていない。】
【軽く自己紹介を返せば、ふと、関係ない話題に移りそうになり―――すぐに気付いて、早速本題に】

ああそうだ、少し前に、アンドレイっていう芸術家に会ってな。
そいつが、この前の炎獅子だかなんだかの絵を書いてたんだけど、戦ってた3人がよく見えなかったから探してる、って言ってさ。
そこで、俺がその3人を探すのを引き受けたってわけ。

んで、他の2人の特徴とか、あとあんたの連絡先とかを知りたい、ってわけよ。
どうせなら、3人全員見付けてから報告した方がいいしさ。

【と、事のあらましを手短に説明。】
【簡単ではあるが、理由と目的はきちんと説明して。何か疑問や質問があれば、それにも分かる範囲ならちゃんと答えるのだろう】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 02:30:30.71 ID:iiQFr+A0o
>>547

あっ……そう……そうか……なら…いいじゃないか
年中クリスマスなら相当ハッピーだね

【しっかりしてるのか…と男は少し残念そうに言った】
【どうやら、しっかりしたものは好きじゃなかったのか…イメージとズレているのが嫌なんだろう】
【チープならとことんチープであって欲しかったのだ。ちゃんとしたのが欲しければちゃんとしたとこに行く】

あー……落ちてるもの食べたら…具合悪くなるよ?
…まあ……良いとも悪いとも言わないけどさ…呪われてんじゃないの?死体から漁って…

【嫌味という感じはない。純粋にふと思いついた質問だ】
【盗りたいなら盗ればいい。彼の信条としてはそんな感じだった】

まあでも……今日は冷えるし…アンタが漁られそうだしさ

【コートの内ポケットに腕を入れてもぞもぞしている。引き抜けばクシャクシャの紙幣が何枚か】
【握ったそれを男は広げて確認する。4枚掴んだが、…一瞬悩んで一枚ポケットに戻す】

……ほら、これで帰りなよ……明日からもっとちゃんとしたトコに行きなよ

【テンションは大分低いが羽振りは大分気前のいいみたいだ、チップ気分で渡そうとしてくる】
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 02:33:55.42 ID:Vk+vWhm+0
>>546

嫌だなぁ、ハロウィンはもう一ヶ月前だよ、ボケたかい修道女さん。しかも私はまだ死んですらいない。
まあ、これが生きている人間にも感染するのだとしたら、ぞっとしない話だけど……ね。

【キツい冗談に冗談で応じる一方で、彼女は真剣な眼差しで散らばった肉片や墓石にこびりつく血の滴を視た。】
【地獄絵図に刮目したまま、小さく手を合わせたが、この有り様では誰が誰かもわからず】
【この墓所そのものが忘れ去られていることもあって、さだめて再葬は無理だと思われた。】

ん、私の仕事? なに、単純な話だよ。
きみ達が散らかした現場の、ちょっとした後処理ってやつ。
……折角だし、見ていっていくといいさ。

【血塗れのままの少女が近づいてくれば、彼女は労うようにポン、と肩を叩いて】
【質問に横目で答えつつ、すれ違うように墓所の中心へと向かっていく。】

ところで、『あれ』は正確には何だったんだい?
傍から見ている限りじゃ、吸血鬼や屍食みの類だったけど……来た頃には、もう死んでるようなものだったからね。
後学のため、一応聞いておきたいな。

【そんなことを尋ねている間にも、彼女は災禍の跡地に辿り着き――腰に佩いた一本の櫻式刀を抜くだろう。】
【すると、握った手から橙色の光が刀身に注ぎ込まれ、段々と輝きを強めていく様子が見られた。】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 02:42:25.66 ID:xKfpkZmQ0
>>548


……そうかも知れない、然しその辺りはまだ、良く分かっていない、のだ。


【"ねこやま"と"ねこもと"。二人は互いに兄弟だと確信しているが、其の根拠の一つとして"ねこ"の二文字があった。】
【確かに其の可能性も有ると言った表情は、何かを隠した様には見せず。どうやら、本当に良く分かっていないらしい。】


……そういう事、だったか。

………すまない、獅子と戦うのに、精一杯で、な、細かな特徴までは、見ていないのだ、思いつく限り、であるが……

……阿修羅の様、手が6本、増やせる女はミドナ、確か身形に"SCARLET"の刺繍が施されて居たはずだ。
褐色の肌に白髪、……明るい性格であったと記憶している。素晴らしい能力者だ。

然しもう一人、小さな子どもだったのだが……此方は、分からない。
黒髪に白色の服を纏い、大鎌を振り回し……"プシー"と呟いていたのだが…‥
……此れでは、何の情報にもならない、な。……本当に、すまない。


【途切れ途切れに言葉を紡いでいく其の様は、正に微かな記憶を辿っているという事なのだろう。】

【油断すれば死をも招きかねない戦場、得体の知れない炎獅子と戦っていたのだ、】
【余り見ていないというのは、尤もな事、然し其の上でねこもとは、思いつく限りの事を言葉にするのだった。】

【……やがてローブの中からメモ紙とヤケに古風なペンを取り出すと、流れる様スラスラと、言葉を刻んで。】
【やたら達筆な文字は、自分の名前と、電話番号。必要最小限の連絡先である。】
【『こんな紙で申し訳ないが……』とねこもとは男に其れを差し出し、『何かあれば何時でも……、』と付け加えた。】


552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/11/30(土) 02:42:54.82 ID:EKK6czpEo
>>549

ハッピーですよ!そりゃぁ変なクスリでも入ったかのように!ハッピーハッピーですよ!……こないだ食べちゃったっぽいですけど?ですけど?

【しっかりしてますよ!米がないお粥に白身だけの目玉焼き!自家製その辺の向日葵のコーヒーが毎回ちゃんとつくんですよ!と】
【見事にしっかりしていないメニューを自信ありげに話すだろう】

大丈夫ですよん?だって、あたいがしっかり食べて成仏させてあげますからね?昇天させてあげますからね!

【しっかり食べて成仏させる。】
【この路地裏において漁る死体は、どう考えても人型だろう】
【それを食べてしまうとは、つまり…】


【彼が差し出した札束。それに対して明らかに不機嫌そうに】

チップは受け取らないって主義なんすよ?や?よ?
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 02:57:31.70 ID:i4BYR/700
>>550
「ハハハ――――確かにもう一月も過ぎちゃったねぇ…………いや、時間が流れるのが早いってのは本当だね
気付けばもうクリスマスも近いし…………その直ぐ後には、年明けだ
ん?ああ……此処で死ななきゃ移りはしないから大丈夫。魂を抜き取られて遊ばれる心配も無いさ」

【対して、修道女の方はもう仕事は終わったと言わんばかりにカービンの整備を始めて】
【撃ち殺したのも、この場を血に染めたのも己。然れどその過程で作り出された亡骸には見向きもしない】
【感情の欠落とでも表すべきか、何処か人間らしくない振る舞い。果たして此処は本当に悪事が行われていたのか――――そんな疑問すら持つほどの光景】


「なる程ねぇ…………後処理班って事か。いや、助かるよ本当に。ボクは元々コイツ等の始末をするだけが仕事だし、始末した後の更に始末はもう範囲外だからする気が起きないしね
かと言って冬だからと放置しててもその内臭ってくるしで困り物でさぁ――――ふふ。なら、お言葉に甘えて見物させて貰おうかな?」

【未だ声の届く範囲。埋葬された者の名前すら読み取れない程に風化した墓石へと腰を掛ければ楽しそうに笑って】
【関係の無い事。最早、この場に転がる骸達と自分とは関わりを持たない。だから、少女の言葉にはクスリと笑って返すのだろう】
【ただ――――“助かる”の言葉は偽りでも無く。その後余計な手配をせずに済むのならば、この修道女としても非常に喜ばしい事なのだろう】


「――――悪魔。文字通り、デビル。なーんて言っても、人間みたいに悪魔だってピンキリだからその中では相当力が弱い方みたいだったけどね
このお墓の人達の身体にまた別な魂を入れて眷族代わりに使ってたみたいだけど、結果はこの通り。思考も出来ないで歩いて噛み付く事しか出来ないんだから、簡単だったよ
だから…………此処で死なない限りは、大丈夫。――――で。その力を使って“後始末”をしてくれるのかな?」

【少女の問いに答えたならば、短く補足を加えて】
【耀きが増していく様を認めたならば、目を丸くする事だろう。まるで好奇心を煽られた子供の如く爛々と目を輝かせる姿は歳不相応だけれど】
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 03:07:20.99 ID:iiQFr+A0o
>>552

あー……まあ………ハッピーならいいんじゃないの?
食べて大丈夫なら大丈夫だよ……大丈夫じゃないなら一瞬でハッピーじゃなくなるから…

【あーなるほど…そう…と静かに変わらぬ調子で言うが内心はガッカリで】
【しっかりしてないのはよくわかったけれどしっかりの方向性が間違っていれば】
【しっかりじゃない方向性も彼の好みとはズレていて……これじゃチープじゃなくて】
【どう見ても貧乏、どこもかしこも貧乏…そんな感じだ…】

……よし。こっから先、人もぺろっと食べちゃう話にいくならやめよう
…はいっ!やめっ!

【触らぬ神になんとやらだ。疑惑の時点で終わらせれば彼としても楽だった】
【自警団でもなんでもないから何をやっていようと関係ないのだがここでこうやって話している以上】
【何かしらのコメントを考えなくちゃならないと言うわけで。彼は先回りして道を封鎖したつもりだ】

……じゃあ、お小遣い……何ならいいの?

【こっちも出した以上引っ込めるのは癪だ。見えない圧力をかける】
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/30(土) 03:13:12.18 ID:fIHogUp8o
>>551

ふーん……まだ分かってない、か……
ま、そういう所は俺も同じだけどな……俺も、自分の素性とか、よくわかってない……
――――――って、これは関係ない話だったな、忘れてくれ。

【少しだけ自分の事を話しかけたが、それまで。】
【この男にも何やらあるようだが――――それは別の話なのである】

【それから、ねこもとが話し始めるや、ポケットから手帳を取り出して情報をメモし始めて】

SCARLETのミドナ――――阿修羅、ってことはアンドレイの昔なじみが言ってたってのはそれだな……
しかし、SCARLET所属、ってのが分かればかなり探しやすくなりそうだ。

子供の方は……黒髪に白の服、大鎌に“プシー”、ね……
――いや、外見が分かっただけでも十分、有難いぜ。何せ情報が全く無かったからな……

しかし、戦いながらでこれだけ覚えてたんなら、大したもんじゃねーか。

【一通りメモし終えたら、そう言って笑って】
【男の言う通り、こうして当事者の一人に会って残る二人の情報も得られたのだから、かなりの進展】
【これだけ情報が増えれば、探す範囲も大きく絞れるのだから。】

お、サンキュー。それじゃ、お言葉に甘えて何かあったら連絡させてもらうぜ。

【差し出された紙を受け取ったなら、そう言って】
【それを懐にしまえば、大きく伸びを一つ】

……さぁて、と―――兄弟の対面をいつまでも邪魔する、ってのも野暮だし、そろそろ行こうかね……
―――今日は有難うな、またその内会おうぜ。

【そう言ってエレベーターに乗り込む寸前、『あ、忘れてた』と呟いたかと思えば】
【男の懐から、一枚のカード――トランプのスペアカードが飛び出して、二人の元へ】
【そこには何やら電話番号と思しき数字の羅列。エレベーターの方からは『それ、俺の番号だから』なんて声がして】
【最後の最後でまた、キザな演出をして、男は去っていくのであった――――】



/こんなところでしょうか!二日間お疲れ様でしたー!
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 03:35:22.32 ID:Vk+vWhm+0
>>553

――――――ッッ!!

【光芒が最大限まで強まると、彼女は短い喚声とともに、剣先を土中深く突き入れた。】
【刹那、閃光が弾け、浄化のエネルギーが輪状に地表を駆ける。力の奔流が墓地の闇を侵していく。】

【広がる光の波に晒された悪魔の骸や投げ出された人の屍は、この世から拭われるように】
【或いは、塵が吹き寄せる風に押し流されるように――徐々に消滅してゆくだろう】
【残るのはせいぜい、汚染を受けていない骨片と、思い思いの死に装束ぐらいのものだ。】

【当然だが、この『光』は生きている身体には殆ど影響を及ぼしていない。】
【強いていうならば、あなたの頬に張り付いたどす黒い血が、煙のように消え失せているかもしれない。】


……悪魔、か。荒ぶる精霊の類は、櫻生まれの私もよく知っているよ。だいぶ性質の違うものだけれど。

見るに、きみは戦いの跡に残るものには随分と無関心のようだが――。
ちょっとでも心に余裕があるならば、祈ってあげて欲しいな。操られた屍たちと、弄ばれた魂たちのために。
そういう作法は、私よりきみのほうがずっと心得ているだろうしね。

【一通り現象が収まったところで、彼女は土中から剣を抜き、そちらへ向き直るだろう。】
【何かを思い出すような、慈しみの笑みを浮かべ】
【少女に祈りを請い願う姿には、今もまだ、どこか浮世離れした空気が纏い付いていた。】
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 03:53:52.74 ID:i4BYR/700
>>556
【へぇ――――なんて感嘆の声を漏らして、一連の流れを見守って】
【辺りへと視線を巡らせれば…………成る程。“後始末”とはこの事か】
【必要以上に傷付ける訳で無く、同時に浄化させれば残るのは記された其れ等のみ】


「ボクが作られた理由は祈りを捧げる訳でも無く、慈しみを与える訳でも無いからね
だから、君の其れは実行できない。もう既に元の魂はずっと前に消えているだろうから――――だから、ボクはしない」

【澄ました表情で返したのは、否定の言葉。トン、と湿った土に足を着けたならば、事を終えた少女へと歩み寄って】
【数歩分の距離を空けて立ち止まれば、もう一度辺りを見回すことだろう】
【アレほどの光景が、今や静まりかえった元の――――有るべき姿の墓場へと変わっている】
【「ほへぇ〜……」なんて間抜けな呟きを漏らし、改めて向き直れば】


「掃除屋は憎まれ役。討伐者は憎まれ役。――――――ボクが祈りの言葉を知っていても。ボクが其れを言っても、ただ表面だけの言葉だよ
確かに、作法ならボクの方が理解して居るかも知れない、けど。…………そんな顔を出来る君の方が、持つべき心の在り方を理解してるんじゃ無いかな
なら、張りぼての言葉より、君の様な人に祈って貰った方がきっと報われるだろうからさ。――――大丈夫。国が違くても気に掛けて貰えれば嬉しいのは誰でも一緒
だから……ね?」

【修道女として祈るには、余りにも汚れすぎている。――――否、祈りの為に作られた存在では無いので、其れが出来ない】
【なれば。慈しみの感情を抱ける少女にこそ祈って貰った方が、死者も大いに喜ぶだろうなんて言葉を向けて】
【世辞でも建前でも無く、其れが本心。自分のただ表面だけの作法より、少女が本心から述べる言葉の方がきっと良い筈だ――――なんて】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 11:30:47.05 ID:cNbOa5VRo
>>478



ほおほお…、


【少年がたとい口ではそう言おうとも、所謂好き者という性質ならば、】
【その上にある斬った斬られたを享受した上で、この場に立っているということは明確である――】
【などという勝手な判断を頭に並べれば――、それでもあくまで好きではないという彼にどう因縁つけようかと――】

【――少年が名乗った。それもまた、所属と共に。】
【糸口を見つけた。】


――カノッサ機関? ほお、カノッサ機関か。巷で有名な悪の組織、そいつぁ――、
・・・・ ・・・・
正義の剣! 平和の刃! この櫛灘自斎様は 見逃せねえなァ!?


【正義も弱者も興味はないが、この時ばかりは話が違う。】
【せっかく見つけた面白そうな相手、更に機関員とあっては是非とも見逃せない。】
【啖呵を切る彼の表情は実に嬉しげで――自身の腰元に手をかけるのだった。】


559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 11:31:29.47 ID:cNbOa5VRo
/うぉっ! ミスりました! 置きレスに同じの乗っけてきます……(汗)
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !nasu_res]:2013/11/30(土) 12:46:35.24 ID:Dxq/3dgTo
【水の国首都・フルーソの郊外――――】
【都市部から少し離れた、小高い丘の上。巨大な建造物の郡れが、ガラス張りの外壁を太陽の色に染めていた】
【近代的な外観からどこか無機質な印象も受けるその場所の名は、『レイリスフィード学園』。近隣では有名な中高一貫校である】
【一定以上の学力は要求されるものの、何らかの能力を持つ子供であれば優先的に受け入れてくれる校風が特徴の学校だった】

【――――ただし】
【この学園が有名になった本当の所以は、水の国きっての無能力者派で知られる『レイリスフィード大学』附属の学校である、ということで】
【略して『レイリス大』とも呼ばれるそこでは、能力に一切頼らない科学技術等の研究が盛んであり】
【最近になって、能力者から能力を消し去る研究さえ行われているという噂もある――――】

【そして、その傘下にあるこの学園もまた、然り】
【入学した子供たちは能力使用を徹底的に制限され、一般人として慎ましく生きるための教養や倫理観を教え込まれる】
【中学から入学してその教育を受けた子供たちは、自分の能力のことなど忘れ、ただの良識ある一般人≠ニして生きていくのだ】
【能力のせいで不幸になった子供や不幸にされた親が、最後に行き着く場所――――それが、この学園の全貌であった】


【さて…………】
【普段は閉ざされている学園の門扉は、いまは大きく開け放たれていた。その敷地に一歩踏み込めば、賑やかな喧騒が全身を包み込むだろうか】
【どこの学校にもある、一年一度の大イベント――――学園祭=Bそれを示すポップな文字が、校門の上のアーチに描かれている】

【広いグラウンドには、食べ物から手作りのアクセサリー、果ては季節外れも甚だしい金魚すくいまで、多種多様な屋台が立ち並んでいて】
【目前にある四階建ての校舎を見上げれば、教室の窓の奥で生徒たちが各々の出し物に勤しんでいる姿が見える】
【もう少し眼を凝らせば、喫茶店やお化け屋敷などの定番のものに加え、ファッションショーやら自作ゲームの展示会やらの奇抜なものもやっているだろう】
【ついでに周囲を見渡すと、学年と名前の書かれた名札を付けた生徒の一部には、私服のままで出店を楽しんでいる者も多いことに気づくだろうか】

【どうやらこの学園の校則は、かなり緩いらしい。能力関係で強い規制を掛けている分、その他の部分を解放して不満を出にくくしているのであろう】
【はしゃぎたい年頃の生徒たちが作り上げた、歓楽の混沌…………この様子では、もはやどんな珍妙な出し物や屋台が出ていても、何らおかしくはあるまい】

【近隣住民も多く訪れ、今まさに隆盛を極めるこの学園祭。明日の夜までという短い開催期間ではあるが】
【普段苛烈な戦場に身を置く能力者達にとっても、ここは癒しの場となり得るかもしれない】



「…………さて、と。そろそろ次の仕事≠フ時間かな」

【――――その喧噪の、ただ中で。生徒会役員を示す腕章を付けたひとりの学生が、何事かを呟いていた】
【前髪をあげた茶髪に、黒い瞳の少年だ。いかにも今時の高校生という感じだが、その雰囲気はいっそ不気味なまでに落ち着いている】
【彼は生徒会としての仕事に一段落付けると――――何かとても楽しそうに、玄関へと歩み出して行った】
【それは、たったそれだけの。今日この場にやってきた参加者達には何ら関わりのない、小さな小さな幕間劇――――】


/今日のイベント用の舞台説明レスです、これには返レス不要であります
/イベントへ参加しない方も、この学園祭を舞台にしたロールを自由に行ってもらって構いません!
/また文中にあるとおり、この舞台は明日中まで有効です
/詳しいことはイベントスレの方に書いてありますので、そちらに一度目を通して下されば!
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 15:26:22.39 ID:Vk+vWhm+0
>>557

【刀を鞘に戻した彼女は、また腕を組んだポーズを作って話を聞いていた】
【そこで適当な理由をつけて断られるのならば、「無理強いはしないよ」とでも言って話を切ったのかも知れないが――】

むぅ、きみは詮索好きな奴を前にして、随分と気になることを言ってくれるじゃないか……。

【ちらちらと情報の断片を零すような喋り方に、彼女はだいぶ参っているようだ。】
【作られた、だの、元の魂、だの、考えるまでもなく不穏なワード】
【だから彼女は、頬を膨らせてすねたような顔をして、相手の出方を待つ。とは言え、話すことを無理強いはしないだろう】
【気持ちは、言葉にしなければわからない。それは痛いほど知っているが、だからこそ全てを明かしてしまうこともない】

――まぁ何にせよだ。きみが何者であろうと、きみの祈りが私の祈りを卑しめることは無いよ?
むしろ、実際に手を下した者の言葉こそが本当に価値ある供物となるはずさ。
……もちろん、これ以上は言わないが。

【最後に依頼人に見せるため、一言断ってから現場の写真を撮って(光源は自身の能力だ)】
【一仕事終えた少女は、改めて霊前で小さく十字を切り、祭詞らしきものを唱え始めるだろう】

(よくよく考えると、この宗教の立場からするとかつての私も悪魔や精霊の類だな……)
(しかも祭詞は奉られる側だったし、文字は無かったし、はたして本当にこれで良かったやら)
(……いや。考えまい。こういうことは、その場を視た者がやるべきことだから、ね)

【それは、今はこの地上のどこにも無いことば。彼女だけが知っている、いにしえの辺境の人々のことばだった。】
【何を言っているかは毫もわからないが、きっと、その意味は――】
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/11/30(土) 15:27:31.97 ID:yhb4xzAK0
>>555

……私の旅の目的の一つ、でも在るのだが、……其れも、関係ない話だろう。
ディハート、貴方の素性も、早く分かると良い、な……そうだな、私も、何か在れば、連絡しよう。


【まさか自分と似た境遇の人物が、目の前に居るとは―――と。彼の話す其の内容は、他人事には思えなかった。】
【ねこもとはディハートの名を心に刻む。悠久とも思える旅である、其の間に何か関係する事が在っても可怪しくは無い、と考えたらしい。】


そう、だろうか……否、……未だ、何か手掛かりは在った筈。……然し私は其れを見す見す逃した……
……炎獅子と相対する際に、余裕の無かった、私の力不足だ、………本当に、すまない……


【目線を落とし、少々唇を噛み締めて居る其の姿は、心底悔やんでいる様に見えただろうか。】
【本当に、"力不足"だと思っているという事。……現状の強さに微塵も満足しない彼の性格が少し、垣間見えた筈だ。】
【彼がエレベーターに入った時、ねこもとは『其れでは……』と、ねこやまは『お疲れさーん』と。互いに別れを告げる事だろう。】

【不意にトランプが飛んできたのなら、二人は寸分違わず全く同じフォームで受け取って。】
【其の通り、『キザやなー……』とねこやまは笑いながら、数列とトランプの絵柄を眺めていた。】

【彼が乗ったエレベーターが下層へと差し掛かった頃、空気は一変、随分と和やかな物へと変わって。】
【『痛くは無いか?』とか『手と足は大丈夫なのか?』だとか、少々過保護気味に、ねこもとは慌ててねこやまに寄り沿う。】
【―――彼の面前では、性格を取り繕っていた部分も在るのだろう。然し2人きりになって、漸く"素"が出るのだった。】

【ねこやまは兄の変わらない"格好良さ"を再確認する、が。―――涙腺が緩くなったのは、きっと其の安堵感からなのだろう。】
【『子どもや無いねんで!』と一見突き放す様な一言。……然し今ばかりは、本来とは随分違った意味で使われていて。】

【だが、其れも束の間の一時である。彼が去って10分程経った後、ねこもとも此の病院を去るのだろう。】
【少年は『絶対、また来るんやでー!』と笑顔を浮かべて手を振った。『やっぱ、カッコええわ……』と呟いたのは、誰にも聞こえなかった筈。】

【―――此等は全て、たった一晩の出来事。然しながら此の少年、兄と会うまでとは、或いはディハートの熱意を聞くまでとは、】
【随分と変わっていた。自分の病室へと戻る其の姿は、―――正に快方へと突き進む兆しを魅せつけるかの様、存分に放っていて。】


/返信遅れまして申し訳ありません!
/2日間お疲れ様でした、是非又、よろしくお願いします!
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !nasu_res]:2013/11/30(土) 18:46:03.50 ID:Dxq/3dgTo
【――――時刻は夕方。レイリスフィード学園、高等部校舎前】

【楽しげな熱気に包まれる学園祭の会場へ、それを楽しむ以外の目的で訪れた者達がいた】
【無能力者派を事実上標榜するレイリスフィード大学…………それと真っ向から相対する理念を持つ組織が、いまこの世界には存在している】
【GIFT=B能力者至上主義を謳い、無能力者の人権を軽んじるテロ組織――――】

【…………この学園に入学してくるのは何も、自分の能力を疎んじる子供だけではなくて】
【過去に能力関連の問題を起こして行き場がなくなってしまった子供が、仕方なしに入学してくることだってあるのだ】
【そういったケースの中には、頑なに能力使用を禁じる厳しい校則に反感を覚えて、いわゆる不良≠ニなる者も多い】
【そして今回、そんな不良グループのひとつが、最近かのGIFT≠ニ接触を持ったらしいとの情報が入った】
【いまここに集った五人の精鋭の目的は――――その真偽を確かめるための、極秘での潜入調査だ】

…………よし、きたなっ!
わたしがきょう、おまえたちをしき≠キる、よるなぎレラだ!

【その少数精鋭のひとりに、小さな少女が混じっているだろうか】

【小動物のようにちんまりとした体躯にやや浅黒い肌、淡黄色の大きな双眸を持つ、「夜凪レラ」と名乗る少女だ】
【濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型】
【薄紫色のセーターに膝丈のスカート、その上に暖かそうなジャケットを羽織り、暗い赤色をした長いマフラーを巻いて】
【足は黒いタイツに覆われ、長めのブーツを履いていて、手には毛糸の手袋という服装…………】
【左手でびしりとSCARLET≠フエンブレムを提示していなければ、単に遊びに来ただけの子供と思われても仕方なかっただろう】

ではこれより、さくせんがいよう≠せつめいする!

【見た目と肩書きの強烈なギャップに、周囲の者がどんな目を向けるのかはさて置いて。少女はえへんと胸を張って、声を張り上げるだろう】
【拙い言葉ながら、自警団側から事前に四人へ通達されている筈の作戦内容が、確認のため繰り返される】

/続きます
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/30(土) 18:46:22.25 ID:Dxq/3dgTo
【――――第一目標は、目の前の高等部校舎と渡り廊下で繋がっている《旧校舎》】
【取り壊し間近となって近づくものもおらず、不良たちの格好のたまり場となってしまっている場所だ】
【そして、GIFTと接触したらしき件の不良グループ達も、そこをアジトとして使っているらしい】

【――――そして、第二目標。これはこの学園の生徒のひとりから、直接学園長へもたらされた情報であるが】
【グラウンドの奥にある《部室棟》。改築で取り残された二階建ての校舎の一階部分を部室として転用しており、二階は立ち入り禁止になっている】
【何でも最近、そこで幽霊騒ぎが勃発したらしかった。情報提供者は退魔師≠ニしての力を持っており、専門家として一度確かめに行ったらしいのだが――――】
【そこに幽霊やそれに類似する妖魔の気配はなく、代わりに何か機械音じみた不審な物音≠聞いたという】
【果たしてそれが、今回の件と関連しているのかどうかは不明だが…………ここは万全を期して調べるべきであると、自警団並びに学園側は判断したらしい】

では、ここではん≠二つにわけるぞ!
まずは…………マルバス=アムリタ≠ニオラークル・スティンガー≠フふたり!
おまえたちは、わたしとともに《きゅう校しゃ》へとむかうぞ! がくえんからはけんされたあんないやく≠、げんちでまたせてある!
そしてみくもあかね≠ニあけぼしほたる≠ヘ、あそこに見える《ぶしつとう》へいけ! そちらにも、べつのあんないやく≠ェたいきしているはずだ!

よし――――では、しゅっぱつだ! おのおの、けんとう≠いのる!!

【レラは手元の資料を見ながら手早く人員を分けると、『マルバス=アムリタ』と『オラークル・スティンガー』には自分の後に付いて《旧校舎》へ来るように】
【そして『三雲明音』と『暁星蛍』には、現在地から右手奥に見える《部室棟》へ向かうよう、幼い語調で指示する】
【そうして、すべての準備が整えば――――レラは天に指を突きつけて任務開始を宣言すると、眼前の高等部校舎へ入っていくだろう】
【《部室棟》へ向かう二人も、そこまでの道筋はグラウンドを横断して一本道となっているので迷うことは無い筈だ】

【――――何はともあれ、ここからが本番。果たしてこの学園に、本当にGIFT≠フ影はあるのか、その真偽を確かめるための潜入操作が、ここに開始される――――】


/以上が今日のイベントの導入部です。すぐそれぞれのルートの冒頭部を投下しますので、このレスには返信せずにしばしお待ちください
/それでは皆様、今日はよろしくお願いします!
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [!蒼_res sage saga]:2013/11/30(土) 18:50:46.49 ID:Dxq/3dgTo
【二人がレラの後に付いて、活気で賑わう高等部の校舎の中を歩いていったなら…………やがて、二階の廊下の突き当たりに誘われるだろう】
【周囲は人気が多いのに、そこだけは何故か閑散としていて。それもその筈、ここは現在一般参加者立ち入り禁止の区画だった】
【その理由は単純――――一般人が目の前にある渡り廊下を渡って、老朽化が進んだ危険地帯となっている《旧校舎》へ迷い込まないようにするための措置である】


「――――あなた達が、自警団の人ですね。ぼくは鳴子一颯、学園から案内役を依頼された者です」

【その渡り廊下の前で、生徒会役員を示す腕章を付けた少年が待っているだろうか。その少年は自らを案内役≠ニ名乗り、ぺこりと礼儀正しく頭を下げる】
【鳴子一颯≠ニ名乗った彼の外見は、整髪料で前髪を上げた髪型に適度に着崩された制服というもので、いかにも今時の高校生≠ニいった感じなのだが】
【目の前にちょこんと佇むレラを優しげに見据える瞳には、いやに落ち着いた雰囲気がある。単なる高校生にしてはやけに泰然とした少年だった】

む…………そうか。おまえががくえんちょうの言っていた、なるこいっさ≠ゥ。
なんだか、たよりなさそうなやつだな…………。

「キミがレラだね。聞いたよ、SCARLET¥椛ョの凄腕潜入捜査員なんだって?
 確かにキミと比べたら微力だとは思うけど、精一杯手伝わせてもらうからさ。キミの一流の手管から、いろいろ学ばせてもらうよ」

【一颯はまず、事前に貸し出されていた無線機を見せ付ける。それは決して市販では手に入らない自警団の支給品であり、彼が案内役≠ネのだと示していて】
【そして、にっこり、と。柔和を絵に描いたような笑顔と共に殺し文句を撃ち放てば、持ち上げられて瞬く間に調子付いたレラが嬉しそうに何度も頷くだろうか】
【その後一颯は、ちゃっかり後ろの二人にも、「お二人とも、よろしくお願いしますね」などと礼儀正しい挨拶をするだろう】
【…………何だかずいぶん、世渡りがうまそうな少年であった】

「それじゃあ行きましょうか、皆さん。古くなってるので、足下気をつけてくださいね」

【そうして、一颯の落ち着いた声が、渡り廊下の先の《旧校舎》へと向けられれば――――】
【廊下の入り口に立てられた「立ち入り禁止」の札を無視し、レラと一颯は手早く進んでいく。後に続く二人も、いまさら気にする必要はあるまい】


…………こちら、レラだ。いま、あんないにん≠フ「なるこいっさ」と合流したぞ!
これから《きゅうこうしゃ》へせんにゅうするが…………よしの、そちらはどうだ?

【渡り廊下を歩く途中、レラは無線機を取り出すと、《部室棟》へ行った二人へ連絡を入れる】
【無線機からは女子生徒の声が漏れ聞こえる。よしの≠ニいう名の彼女が、向こうの案内人なのだろう】
【一颯の時とは違い、声の調子がやや親しげだ。実はその案内役の少女が《部室棟》の情報を提供した本人であって、その縁で既に顔を合わせていたのだが】
【レラはこちらの様子を手早く伝えると、今度はあちらの様子を問う。返ってきた答えにやや心配げに一言二言掛けたあと、無線機の回線を落とし】

【――――それを最後に、一切口を開かなくなるだろう。もう目の前に、廃墟同然の《旧校舎》が迫っていた】
【いままでの和やかな雰囲気を丸ごと吹き飛ばすような不気味さが…………そこには漂っているだろうか】

/続きます
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [!蒼_res sage saga]:2013/11/30(土) 18:52:00.02 ID:Dxq/3dgTo
【そうして渡り廊下を渡り切れば、現在地は《旧校舎》二階の廊下中央部――――】
【ほぼ廃墟と化してはいるものの、ちゃんと窓はある。日の光はちゃんと入っているが…………それに照らされるのは、無惨に老いさらばえた壁面で】
【廊下の左右の端には、それぞれ一階へ続く下り階段と三階へ続く上り階段がある。その階段に至るまでの左右の廊下には、教室の扉がいくつも見えている】
【そんな構造が、一階と三階にもあって…………存外、この旧校舎は広いらしい。さすがにすべてを探索する時間はなさそうだ】

「ここはいくつかの不良グループに利用されてるけど、今回探してるのは例のGIFT≠ノ関わったっていう連中なんだよね?
 あいつらのたまり場は…………ちょうど、この二階だったと思う」

…………よし、ここからはてわけしてさがすぞ。
おまえたちにもむせん≠わたしておくから、なにか見つけたらほうこくしろ。
それから、いっさ…………おまえは、わたしといっしょにこい。

「わかったよ。それじゃあ皆さん、何か質問があったらレラの方へ連絡して下さいね。お気をつけて!」

【一颯の口添えもあり、レラは一度振り返って背後の二人へ視線を向け、それぞれに無線機を一つずつ手渡すと】
【一颯を伴って廊下を右折し、一番奥の教室へ入っていくのだが…………不思議なことに、これだけ老朽化した建物にも関わらず、少女からは足音が一切しない】
【マフラーで口元を覆い隠し、鋭い瞳で暗闇を射抜くその雰囲気は、どこか忍者≠カみたものに変わっているだろうか】
【ここに来てようやく、SCARLET≠フ本領発揮というわけだ。そして彼女の変貌は、同時にこの極秘調査の始まりを意味していた――――】

【…………さて、しばらくは自由行動だ。このニ階の範囲内であれば、どこを探索しても良いだろう】
【主な探索場所を挙げるとすれば、まずは廊下を右折した先、レラと一颯が探索しに行った一番奥の教室の隣にある《2年2組》】
【その手前の《2年3組と2年4組》の教室は、窓を覗き込んでみると、何故か二部屋が繋がった構造になっている】
【それに、今いる場所の真正面にある《正面玄関》。この旧校舎は一階部分が土台より下にある設計のため、二階に玄関があるらしい】
【さらに、廊下を左折した先の左沿いにある扉。《自習室》というプレートが掲げられたそこも、調査に値するか】
【そして最後に、《職員室》。同じく廊下を左折した先、一番奥の突き当たりにあるここも、十分怪しいところだろう】

【なお、渡された無線機についてだが、これで話した内容は全ての無線機へ伝わるようになっている。一人の発した情報が、即座に全員へ共有される仕組みだ】
【手がかりを発見し次第、これを使って進捗状況を全員へ伝えるのがベストだが、その辺りの判断は各個人に委ねられている】
【また、もしもレラや一颯に聞きたいことがあれば、この無線で質問してもいい。ただし質問の内容とその答えは、もう一人にも伝わることになるが…………】

/こちらが《旧校舎探索》ルートになります
/マルバスの方、オラークルの方はこちらへどうぞー!
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/11/30(土) 19:01:54.71 ID:Dxq/3dgTo

…………三雲明音に、暁星蛍ね。学園長とレラから話は聞いているわ。
私は案内役の、幸徳井佳乃…………よろしく。

【明音と蛍の二人が部室棟の前へ到着すると、その名を呼ぶ少女が一人、そこに立っているだろう】
【背丈は平均的だが、白い肌とうっすら紅に染まった頬、枝垂れるように長い睫毛が特徴的な風貌に】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、すべてが一直線に揃えられた髪型】
【その漆で染めたように艶めく黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差しているだろうか】
【彼女は黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学園の学生服に身を包んでいて、この学校の一年生だとわかる】
【その右手には無線機があり、大きくエンブレムの描かれたそれは間違いなく自警団の支給品。彼女を本物の案内役≠ネのだと示すものであって】

【もしかすると、その顔に見覚えのある者もいるかもしれない】
【まかり間違っても愛想がいいとは言えないその少女は、この間の天下一武道会でベスト8まで進出した――――幸徳井佳乃≠ニいう少女】
【その冷たい言葉からは、到底案内役として相応しい愛想があるとは思えず。しかし纏う雰囲気の鋭さは、少なくとも戦闘能力の高さを感じさせるだろうか】

さ…………とっとと行きましょう。

【ちょうど、周囲にほぼ人影は無い。少しだけ居た生徒達も、彼女がそちらに視線を合わせただけで、恐れ慄いたように慌てて逃げていく】
【思えばこの少女…………能力を禁忌とするこの学校に籍を置きながら、わざわざ学校の制服を着て大会に出場し、自身の能力を全力で振るって戦っていたのだ】
【――――となれば、恐らく。今回不良グループの調査に駆り出された彼女本人もまた、この学園では間違いなく不良≠ニ呼ばれる立場にあるのだろう】
【そう考えると、無愛想な彼女が案内役に選ばれた理由も納得がいくだろうか。厄介事は厄介者に、と――――きっとそういうことなのだろう】


【閑話休題――――三人の目の前の《部室棟》。年老いて痛んだ外壁は落ち始めた太陽に照らし出され、そこに積み重なった年季を感じさせて】
【普段の活気の反動もあって、いまは一切人気の感じられなくなったその場所は、どことなく不気味な雰囲気だ】
【ただひんやりとした静寂だけが、真正面の入り口から魔物の吐息の如く吐き出されているようだった】

【ついて来なさい、と一言だけ告げると、佳乃は迷いなく玄関口へ歩み入る。下駄箱が撤去された広いホールの先まで土足で進めば、そこで小さく振り返って】
【気遣いなのかどうかは不明だが…………もしその雰囲気を怖がる者がいれば、彼女が先陣を切ったことで少しは解消されるかもしれない】

…………じゃあ、さっそく調べてみましょうか。
ちなみに、この前入った時に教室はすべて調べたけれど、特に不審な点は無かったわね。
私は一応、もう一度調べてみるけれど…………あなた達は好きにしなさい。

【棟内は、玄関ホールを直進すると左右へ廊下が延びていて、左に二つ、右に三つの教室が並んでいる構成だ】
【佳乃はその廊下を右折し、並び立つ教室内を調べていく。前に調べた、という言葉からするに、彼女こそがこの《部室棟》の情報を齎した張本人なのかもしれない】
【――――とりあえず、右側は彼女に任せて左側を調べてしまった方がいいだろう】
【となれば残る調査対象は、まず《野球部とサッカー部》の部室。ここは一度佳乃が調べているし、二つの部屋をまとめて見て回る程度で構わないだろう】
【次に、この《廊下自体》。それから、廊下の突き当たりにある《男子・女子トイレ》。最後に、くすんだ白色の防火戸で固く閉ざされた《二階への階段》】
【この四箇所が、主たるところだろうか。もちろん、他に気になる場所があればそこを調べてみるのもいい】

/こちらが《部室棟探索》ルートとなります
/明音の方、蛍の方はこちらへレスをお願いします!
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/30(土) 19:19:09.91 ID:fjjYOAkyo
【如月が真剣を抜き去り、もう半月ほどがすぎた。】
【彼女がもう一度剣士として歩み始めたのは他でもない。某日、とある剣客とあったからである。】
【自分と同じような―――いや、ここまで似ているのも珍しい。その剣士は中邑と言った。彼に感化されてのことだった。】
【刀をとったからと言って、しかし、如月には決定的に不足している物があった。それを補いそして見つけるために今も尚流浪を続けている。】
【先日も、その過程で「夜の国」へと足を進めた。もっとも、これには僅かばかりの不穏な噂が耳に入ったということもある。】
【そこで「機関」の雑兵数人と斬り合い、こうしてまた戻ってきたわけだ。】
【彼女が「水の国」へとようやくたどり着いたのはそう言う所以があった―――――――――。】

【場所は大会会場。】
【広大なフィールドに、如月は立っていた。時折通気口から吹く風が長髪を揺らしている。】
【年齢にして成人を少しすぎたくらいであろうか。その長い髪は後ろで一つ結びにし、黒の中に僅かな青色が混ざっている。】
【まるで雨のように深く暗い色合いの藍色の羽織を袖を通さずに着込み、その下はゆるやかな和装のような格好である。暗い色が多い中で、燃えるような赤色の帯が印象的だ。】
【左腰には二振りの刀―――太刀と脇差しが差し込まれていた。とはいえ体格や背格好は従来の剣士とは違う。】
【彼らほど屈強ではないし、線も細かった。「しなる」ような動きを得意とするからだとでも云えば分かりやすいかもしれない。】


「……ふーむ、腕試しに参加してみようと思ったのだが、運悪く開催していないときている。」


【如月の仕草の中には、どこにも「能力」による依存を見出すことができなかった。勘の鋭いものなら分かるかもしれない。】
【摺るような足捌き、ゆとりのある両腰。どこをどうとっても、異能の気配を感じ取ることができなかった。】
【高いレベルで「隠している」のではない。先天的/後天的に関わらず、体内体外どこにも「元々持ち合わせていない」ようである。】

【会場は閑散としていた。僅かな塵が宙を舞う。熱狂に包まれるであろう観客席も、今現在人影が見えない。】
【飛び入りでもいいから参加しようと―――模擬戦/死合の一つでも行おうと思ったのだが、どうやら当てが外れたようである。】


「どうしたものかね……もう少しぶらぶらするかそれとも…」


【不意に、誰かの気配を感じたようで。】
【切れ長の、まるで月のような琥珀色の瞳をそちらに向け振り返る――――――――――――――――――。】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/30(土) 19:28:57.55 ID:2R8rLPTWo
>>567

「ああ……よろしく」
【幸徳の言葉に短い挨拶で応え、流れで側にいた蛍と呼ばれた女性にも挨拶を投げかける】
【短く単調な挨拶を終えると、初めて訪れる学校≠フ景色に、細い眼を向けた】

【案内役らしい人物は――同じ大会に参加していた三雲には、もちろん見覚えのある人物】
【とはいっても、姿名前を知っている程度で、知り合いなわけでもなかった――】
【愛想の悪い案内役とはかかわる必要性が感じらず、言葉に促されるまま後についていく】

「こんな場所に侵入する破目になるとはな……」
【学校――若い人々が明るい未来のため、仲間とともに知識を学ぶところ――ではないだろうか?】
【正義に組織の人物として、仕事で訪れることになるとは、思ってもなく、複雑な心境が眉間の皺に表れる】

【今日の三雲は、幸徳と同じく学園の制服で身を包んでいた】
【年齢も所謂高校生程度の年齢で違和感なく、潜入に便利だろうということで組織のから支給されたもの】
【着心地は悪そうで、足元には動きやすいスニーカーをはいていた】

「分かった……あくまでも穏便に潜入、か?」
【互いに散策することに了解しながらも、疑問を一つ投げかける】
【身の安全を確認する一言――言葉の影には、もしもの時は騒ぎになっても構わないだろ? と、いった意味合いが含まれていた】

【右側に向かった幸徳の後を見送ると、三雲は身近な野球・サッカー部の部室を散策しようとする】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 19:31:34.42 ID:i4BYR/700
>>565>>566
「SCARLETとして派遣されたオラークル・スティンガーであります
レラ殿……とは初めての顔合わせでありますね。アムリタ殿も、今日は宜しくお願いするであります」

【乱れなく着こなした軍服に、制帽。左目を覆うのは眼帯であって、一目で性格が分かりそうな少女。SCARLETとして依頼を受け、この場に至った】
【――――とは言え、園長の憂い事と学園の背景とを考慮した故か、“自警団”の腕章とSCARLET所属を示すバッヂも無く】
【十七という年齢。学園という舞台で有れば、そう浮いた存在でも無いのだろう】

【苦笑しながらも少女の言葉に頷き、やがては頭に叩き込んでいた今回の依頼内容と照らし合わせれば制帽を被り直し、気持ちを引き締める事だろう】
【“旧校舎”。今回自分たちに課された作戦エリア。忍の少女の後に続きながら学園の全体像を頭の中で見返し、今回の流れを再確認していれば“案内人”の元へと辿り着くのだろう】
【容赦の無い少女の言葉には再び苦笑を漏らしてみるも、右手はしっかりと軍刀の鞘に携えられていて】


「自警団、現SCARLET所属。オラークル・スティンガーであります
一颯殿。そして、レラ殿、アムリタ殿。今日は改めて宜しくお願いするでありますよ
――――っと。先ずは手分けして、でありますね。さて…………同じ組織に所属する者として、アッサリと抜かれる訳にも行かないでありますね」

【手渡された無線を取り出しやすい位置にしまったならば、了解の意として一度頷くのだろう】
【話によれば、相手はこの学校の生徒。万が一揉め事になったとしても、能力の発動はあまり好ましく無いか――――】
【しかし、万が一自分たちと同じ様にGIFTがこの旧校舎に居れば、そう悠長な事も言っては居られまい。出来る限り隠密に、そして一般の生徒や教員に悟られずに行う必要がある故】
【藍色の隻眼が鋭く細められたならば、一度辺りを見回すのだろう】
【こうして見れば、どれもがどれも妖しく思えてしまうが――――先ず考えたのは、曲がり角。左折したその先に在る“職員室”】

【不良達の溜まり場ともなれば、其れなりに寛ぐ場所を求めるだろうか――――なんて考えから其処に目を付けた様で、最小限の足音を響かせながら向かって】
【其処に至るまでにも、文字通り隅から隅へと視線を巡らせる事だろう】
【無線の音を小さくして、何時でも情報を入れられる様にしつつ職員室の扉の前へと立ったならば】
【――――音を立てずに扉を開け、中を覗き込むであろう。危険が無いと知れば、そのまま侵入して】
【先ず見るのは、職員室内の現状。そして、キャビネット等の物が置かれているか否か】

「さて――――こうして見ると全部が全部怪しく思えてくるでありますね
約束もありますし生徒や一般の方々に被害が及ばないよう、気をつけなければいけないでありますが…………
こちらオラークル・スティンガーであります。現在“職員室”を探索中であります
何か発見すれば三人に連絡を入れるでありますよ。――――あ、後。一颯殿。この校舎について疑問を抱いた時には訪ねるので、答えて貰えたら幸いで在ります」

【GIFTとどの様な接触を果たしたのか、接触の目的は何なのか――――迂闊に動くのは不味い】
【旧校舎を探索する他三人に“職員室に侵入した”との旨を伝えれば、後はこの場の痕跡等を探すのだろう】
【さて――――様々な所に視線を注ぐが、藍色の瞳が留めるべき物は見つかるのだろうか】


/オラークル・スティンガーです!よろしくお願いしますですよ!
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/30(土) 19:31:41.70 ID:xQ/C2MSEo
>>565
(うーん、これがイマドキの学校って奴なのか)

【先導に従いどこかへ向かう道すがら、周囲を見渡しつつ男――マルバス=アムリタは思う】
【自身の前を歩くポニーテールの少女との邂逅を思い浮かべる】


【そのときはその小さな肢体に軽く驚いたものだがこの捜査に参加する者として相応の力を持ってはいるのだろう】
【それを思い浮かべたとき、男は小さくニィ、と笑った、それは男の平凡ともいえる容姿を格段に上のものにしていた】
【強者が側にいる、程度の差はあれどそれに興奮するのは自然の理だろう、少なくともこの男には】
【そして更に、班分けの時点でこの少女と同じ班だと分かったとき、密かに歓喜した】
【深く考えれば他の班にも相応の人物は配置されるのだろうが、それにこの男は気付かない】


……って

【過去の回想から引き戻された男、ぼんやりとしながら進んでいたためどうやら窓の外から伸びる小枝に額がぶつかったようだ】
【弱弱しいものとはいえ、その僅かな衝撃は男を現実に引き戻すのに不足は無かった】

【軽く頭を振り短い針金のように硬質で鋼色の髪を揺らし、金色に近い鮮やかな黄色の目をまっすぐと前に向ける】

(古臭い建物っていうのはあまり好きじゃないんだがなぁ)

【旧校舎って響きは簡単に床が抜けそうだからな、男はそう周囲に目を配りつつ思う】
【周囲に目を配りつつも、しっかりと窓、通路などを把握はしているようだ】
【そして廊下の突き当りに到着すると、そこに待っていたのはどうやら生徒会らしき少年】
【先導して歩いていた少女を簡単に持ち上げる仕草、そして簡単に乗せられる少女、若干不安になる男】
【こういうタイプは苦手なんだ、マルバスは内心苦虫を噛み潰す】

あー、どーもご丁寧に、オレはマルバス、以後よろしく

【しっかりと礼儀正しく礼と挨拶をしてくる少年に向かって男は軽々しい――見ようによっては軽薄な対応を返す】
【だがその顔に浮かべている笑みは人の毒気を簡単に抜いてしまいそうな色があった】

えっと、なるこいっさ……だな

【若干たどたどしく名前を反復する、発音が苦手といったように見える】

ああ、わーってるよ

【先に進もうとする少年少女の後を、後頭部で腕を組みながらついていく】

【途中少女が一度無線で連絡を取っていたようだが、男はこれといって関心が無かったため聞いていなかった】

【そして侵入する旧校舎、男は『簡単に壊れそうだな』と思いつつも最悪の事態の避難経路、旧校舎の構造をできる限り把握していく】
【一階層を把握すれば後は同じようは構造だろう、まさか全ての階が違うような奇特な構造ではないだろう】

ん、ああ

【構造を把握している間に話は進んでいたようだ、差し出された無線機にようやく少年少女のほうに関心が戻る】
【そして廊下を右折していく少女の足音が聞こえないことに気付くと、再び小さく笑った】

さーて、どうしたものか

【このまま虱潰しに探索したいものだが、気力が持たない、時間もないだろう】
【いくら恩返しとはいえ、気力をなくした状態で雑な仕事はしたくは無いのだ】

ま、とりま

【一番の脱出口になるであろう、そしてもっとも広いであろう《正面玄関》に足を進めた】

//今回はよろしくお願いしますね
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/30(土) 19:36:28.51 ID:xQ/C2MSEo
>>570
ん?お、ああ、よろしくな

【気を抜いていたところに掛けられた声、それに素で返答する】
【だが顔に浮かべているのは毒気を抜くような笑み、よほどのことがない限り不快にはならないだろう】

【男は体格は若干ごつく、針金のような髪に金色に近い黄色の目を持っていた】
【気持ちを引き締める少女とは別に、男は気が緩々である】

んじゃ、オレは玄関の方見とくか

【男は早速去っていった少女を横目に暢気そうな呟きを残し玄関の方へと向かった】

//接触ロールです、返答は不要です
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 19:41:23.49 ID:3znSFkCjo
>>568

【風は強くないのに、にも関わらず、紅い布端が軍旗めいてはためき、照明に影を作る】
【ボロボロに擦り切れたその布は、紅いマフラーとして首に巻かれていて、当然それを巻く人間はいる───如月が眼を向けた先に、立っていた】

【後ろにツンツンした紅髪、隈の深く目付きの悪い三白眼、口元を隠す長い紅いマフラーを双翼が如くたなびかせる】
【ライダースと指貫手袋を着用し、バックルが特徴的なベルトを巻いて、赤い模様の黒いブーツを履いた青年───であった】
【逆光による影の中光る二つの紅い瞳、真っ直ぐ突き刺さるのは如月に向かってだ】

【彼が立つのは観客席の端も端、会場にいる如月との距離は遠い】
【しかし、彼が腰を静かに降ろし膝を曲げ───刹那、地面が沈み込みそうな勢いで跳ね上がる。夜の闇に紅い軌跡を描きながら、彼は飛び上がった】
【長い対空時間、高い高度をしかし物ともせずに着地。如月との距離はぐっと近付き、まさに対戦者が肉薄するような距離】

……

…単刀直入に聞く……

…ここに誰か、こなかったか?

【口数は少なく、低く唸るような声が喋り慣れていないのだと主張する。そんな声で語りかけながら、衝撃吸収による屈みから立ち上がりながら、再び紅い眼が如月に向けられる】
【彼の両手は赤く染まっていた───返り血だとか、そんなレベルでは無く、一体何をどんな力で殴ればそうなるのか、熟れたトマトが潰れたみたいになった、両拳だった】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 19:44:10.95 ID:Vk+vWhm+0
>>567 >>569

名前が分かっているなら話は早い。きょうは『あけぼし綜合事務所』の、暁星 蛍だ。
やれることは、「ひかり」の操作だって理解してくれれば良いよ。

オーケー、佳乃くん・明音くん。それじゃあ、定石通り手分けして行くとしようか。
立入禁止区画に入るときは、流石に戦力を分散させたくないから、情報交換も兼ねてその時はここに集まるとするかい?

【先走る二人に対して手短にコンセンサスを取ろうとするのは、暁星 蛍】
【今日は普段着としている標準服のセーラーを、ゴネて学校側に用意させた制服ブレザーに着替えて】
【ちょっとした変装のつもりか、三つ編み髪に伊達眼鏡の、女学生めいた装い】
【いつものように帯刀はしていないものの、提げたバッグの中には中にはシースナイフが数本隠してある。】

……しかし、あの子。先走って心配になるなぁ。

【番犬のようにひと睨みで生徒を退散させ、迷いなく教室の再調査に向かった佳乃のことを想って、一つ呟くと】
【彼女は現時点で誰も向かっていない、《男子・女子トイレ》へと進もうとするだろう】
【その過程で、《廊下自体》の様子にもある程度眼を向けるはずだ】
【例えば、目を凝らさないと分からない不自然なシミや、閉鎖空間の有無、人の気配など――】
【場合によっては、『光を生み出す』能力を懐中電灯のように使いつつ、調べあげていく】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/11/30(土) 19:47:21.84 ID:Gebz8sD6o
【ここはレイリスフィード学園――今、学園祭が開催されている所である】
【そこの、露天が並ぶとある一角に、―― 一風変わった店が出されていた】
【なんというか、いかにも厨二病と言わんばかりの見た目であり……店名は"ダークホース"……らしい】

『……邪禍様、一体これは何の肉なので御座いましょうか』
「ヒャハハ、……"可ァ能性"を捨てさせる教育か、混沌を阻ォ害しィている」
『左様でございます』 『話は変わりますが邪禍様、今提供してらっしゃるこの肉は一体何の肉なので御座いましょうか』

【その店の主――それは黒い外套と黒い馬のかぶりものを身に着けた、珍妙な姿の者だった】
【身長は約2m、筋肉質な細身で、かぶりものからはみ出ている髪はボサボサとしていて長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「だァが、"今ォ日は"見ィ逃してやァろう……俺様の鼻が事ィ件の香りを嗅ァぎつけているからな……たァまには傍ォ観者となァろうじゃアないか」
『邪禍様の嗅覚は第六感も犬も裸足で逃げ出すレベルで御座いますからね、話は変わりますが……』
「しィつこい、何でも良ォいだろう……ヒャハハ」 『……』 「あァ、少なくとも"人肉じゃアねェ"から安心しな……」

【その隣でサポートをしているのは、眼がレンズで出来ていて、執事のような姿をした二足歩行のコウモリである】
【店の主があんな姿な為、学生たちにはただのよく出来たコスプレと認識されているようだが――】

『……では、それとは別に……無断出店の形式となっておりますが、これは大丈夫なので御座いましょうか』
「大丈夫だ……バァレたらネェタばらしをして帰るのみ」 「得ェ体の知ィれない生物の肉を喰っていたという衝ォ撃は学生共を阿ァ鼻叫喚させるのには十ゥ分だろォ?」

【どうやらこの店、焼いた肉を串焼きにして販売しているようだ、値段は一本100で量もそこそこと中々リーズナブル】
【味は既存の肉とは違っていて、しかし鳥肉の様な食感で美味しく、更に味付けもしっかりしている】
【……万が一この会話を聞いていた場合、食欲が酷く減退するというレベルではないかもしれないが】

学生「ネタで買ってみたけど、あそこの串焼き意外と美味しいぜー」 学生「マジか、俺も買ってくる」 「――ヒャハハ、毎度ありィ」

【……既に被害者は出ているようだ】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 19:47:30.49 ID:Dxq/3dgTo

>>570

『そうですね…………老朽化してるし昔から不良たちが入り浸ってましたから、ここは学校の手もあまり入っていないんです。本当に気をつけて下さいね。
 質問の件も了解しました、オラークルさん。ぼくに答えられる範囲なら、何でもお答えしますよ』

【レラから無線を借りたのだろう、一颯はオラークルへ身を案じる言葉を掛けた後、柔らかい調子で頼もしい言葉を口にする】
【そこで一旦、通信は切れるが――――そんな一颯の答えなど、もう気にしていられないかもしれない】
【オラークルが扉を開けたその先は、教員の仕事部屋ということで他の教室よりやや広い。しかし、そこに本来ある筈のキャビネットやデスク等は一切ない】
【唯一、壁には資料用らしき本棚が敷き詰められているが、そこあった筈の資料もまた何一つ置かれていない。しかしかといって、もぬけの殻ではなく――――】
【――――部屋の中央に、地面に固定された大きな椅子が、一つだけ置かれているだろう】

【いや…………椅子、なのだろうか。座った者を拘束する為の手枷と足枷が取り付けられたそれを、果たして椅子と呼称していいのだろうか…………?】
【椅子とその周辺には、古い血痕≠ェ滲んでいる。まるで、それは拷問器具のようで――――】
【オラークルはいきなり、当たり≠引いたのかもしれない】


>>571

【マルバスが向かった《正面玄関》は、大きなホール状となっているだろうか】
【入り口の前には大きな立て看板が置いてあるが、そこには恐らく立ち入り禁止≠ニ書かれているのだろう】
【外にある大きな階段を下った場所に、何かイベント中らしいステージが見える。脱出口としては申し分ない広さだが、誰にも見つからずに出るのは難しそうだ】
【…………しかし幸い、距離と角度があるおかげで、ここにいるだけなら彼らからこちらが見えることはないだろう。調査に専念して良さそうだ】

【玄関口の前には、降りかかった年月に埋もれた大量の下駄箱が所狭しと放置されている。多少手間はかかるが、中を調べてみてもいいだろう】
【また、下駄箱と下駄箱の間はやや狭く…………まるでその間に無理矢理物でも通したみたいに、擦ったような傷が大量に刻まれた下駄箱もある】


>>ALL

【と、各々の調査も半ばと言ったところで、無線機が振動するだろうか。レラからの通信だ】

『こちら、レラだ。《2ねん1くみ》のきょうしつは、とりあえずしらべおわったが…………』

『へやの中には、なにもなかった。なにかもの≠ェおかれていたけいせきは、あったが』
『それと、こすったようなあと≠ェいくつか…………』
『…………そこにあったなにか≠、ふりょうたちがもちだしたのかもしれん。それも、ごくさいきん≠ノ――――』

『ともあれ、わたしたちはもうすこし、この《2ねん1くみ》をしらべてみる。おまえたちも、なにか見つけしだいれんらくしろ!』

【低いトーンでそれだけ伝えた後、特に質問などがなければ、通信はそのまま途切れるだろう】
【…………何かを擦ったような跡。その特徴は、マルバスの向かった正面玄関の痕跡と一致するだろうか】
【レラの言うとおり、不良たちが最近になってここに置かれていたものを運び出したのだとすれば――――それの意味するところは】

【まだ調査の時間は残っている。二人はいまいる場所をより詳しく調べてもいいし、他の場所へ探索に行ってもいい――――】
【…………そう言えば、レラと一颯はずっと一緒にいるようだが。何か、意図でもあるのだろうか】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/30(土) 19:55:59.20 ID:fjjYOAkyo
>>573

「おーお……これまたむちゃくちゃな…」

【如月がその人影を見た直後のことである。大響くのは大きな音。観客席の端の方であろうか。】
【中央やや右にいる自分から見ると、その距離は明確で輪郭がぼやけている。おそらく先ほどの気配は彼、あるいは彼女の物なのだろう。】
【その姿を良く見ようと目を細めたときだ。ぶれる人影。しかし、気配でどういうわけか分かり…。
【大跳躍を目で追いながら、如月は暢気な感嘆を上げていた。中空でマフラーが残像となり、赤色の道を作っている。】
【近づかれれば、ようやく分かる。おそらく自分と同じぐらいであろうか。「青年」と形容できそうな男性であった。下から突き上げるような視線が此方を睨んでいる。】


「ん…? いや、どうだったかな。ボクがきたときは誰も……」


【相手の姿を観察しながら彼女は答えた。ところが、そんなときだ。】
【視線が青年の手に伸びたときである。真っ赤に染まったそれを見て、如月はあっけにとられたように言葉を切った。】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/30(土) 19:58:49.52 ID:Dxq/3dgTo
>>569

そうね、基本的には隠密行動で行けと言われたわ。
けれど…………緊急時の対応は任せる、とも言っていたわね。

【一応、極秘任務という形式だ。外に居る生徒たちに気づかれてはならないが――――いざ何か≠ェ起きた時は、容赦しなくていい】
【別れ際に佳乃が残した言葉は、明音にそういう意図を告げるだろう。…………余談だが、学園制服を着た明音に、佳乃は少し驚いていたようだった】

【さて、明音が見に行った二つの部室の中は、どの学校にもあるごく普通の教室と変わらない】
【ミーティング用として使用することがあるのだろう、教室の中央にはいくつかの机や椅子が並べられ、黒板には何かを書いて消した跡もある】

【サッカー部の部室の机の上には、日誌の様なものが置いてある。表紙には男子生徒の名前が書かれ、「マネージャー」という肩書きが付記されていた】
【中にはトレーニングメニューや試合内容などが記されている。たまに他の部員が悪戯で書き込んでいるようだが、特に不審な点はない】
【…………しかし、その悪戯書きの内容をよく見ると。「部室は妙に寝心地が悪い」「変な音がして眠れない」などという言葉が、ちらほら書かれている】

【一方、野球部の部室の中には、残念ながら手がかりになりそうなものはないのだが…………】
【そこは物置としても使われているようで、各種野球用具やトレーニング器具などが、部屋の端の方に一式並べて置かれている】
【不安であれば、ダンベルや金属バットなどの武器になりそうなものを調達していってもいいだろう】


>>574

『あけぼし綜合事務所』? 聞いたことは無いけれど…………あなたの能力も含めて、相応の実力があることを期待するわ。

【佳乃は蛍たちと別れる寸前、そんなぶっきらぼうな台詞を吐いて、歩いてゆくのだろう】
【蛍の言うとおり、突っ走りがちの性格だ。その上愛想も無い――――協調性という面では、フォローしてやるのがいいかもしれない】

【そして、蛍が検分する廊下の床の様子だが…………】
【グラウンドの砂やら器物を引きずったような跡やらが多いようだが、それはここを運動部が使っているからだろう。見た目上、おかしな点はない】
【しかし…………小さく、本当に小さくだが。何か機械の駆動音のような異音≠ェ、どこかから響いているのに気づくか】
【佳乃も聞いたという、機械音じみた不審な音=\―――だが音があまりに弱すぎて、聴覚強化などの特別な能力でもない限り音源の特定は難しい】
【もし蛍にそういった手立てがあれば、その音の出所が下≠ニ上≠フ両方向から微弱に発せられているのだとわかるかもしれない】

【――――次に、その先のトイレの中だが】
【まず男子トイレの中には、多少使用された形跡が残っている。だがそれは、ここが少なくとも野球部≠ニサッカー部≠ノ利用されている以上、不自然ではないだろう】
【そしてそれは、女子トイレを調べても同じだ。着目すべき点は――――やはり使用された形跡がある、というぐらいで】

/続きます
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/11/30(土) 19:59:05.46 ID:Dxq/3dgTo
>>ALL

…………全員、一度戻ってきて貰えるかしら。今回は二階の調査を優先したいの。

【そうして、大方それぞれの調査が進んだ頃だろうか。残る三つの教室を手早く検分し終えた佳乃が戻ってきて】
【無人の廊下でなければ届いたかわからない程度の音量で、蛍の意図通り、その場の全員に召集を掛けるだろうか】
【やや性急のようにも思えるが…………今回は、閉ざされたままの上階の調査が急務ということなのだろう】

こちらは成果無し、ね。やっぱり、部室には異常ないみたい。
…………それで、そっちは…………あら?

【全員が集まったことを確認すれば、佳乃は小さく溜息を付く。やや落胆した様子で、廊下の右側は異常なし、と報告し】
【そして今度は、残る二人の報告を聞こうとしたとき――――制服の内ポケットに入れてあった無線機が、振動する】
【予めレラから預かっていたものだ。佳乃がそれを取り出すと…………廊下中にかしましい声が響きわたるだろうか】

『…………こちら、レラだ。いま、あんないにん≠フ「なるこいっさ」と合流したぞ!
これから《きゅうこうしゃ》へせんにゅうするが…………よしの、そちらはどうだ?』

ああ、無事に一颯と…………いえ、案内人と会えたのね。
まだ一階の調査の途中よ。こっちもまだまだってところね…………。

『うぅむ、そうか…………わかった、だがゆだん≠キるなよ!
 そちらにも、わたしとおなじすかーれっと≠フものがいるとはいえ…………のこりはしろうと≠セ、くれぐれもむりはするな!
 ――――それでは、わたしたちはにんむ≠ノもどる! 気をつけろよっ!』

【…………ぶつん、と。そこで唐突に通信は途切れ、廊下は再び静寂に包まれるだろう】
【佳乃がうっかり呼び捨てにした後慌てて訂正した「鳴子一颯」という人物が、どうやらあちらの案内役らしい】
【果たしてその男子生徒と佳乃がどういう仲なのかは、さておくとして…………】
【レラからの余計な忠告に、佳乃はしばし眉間に皺を寄せて納得のいかなさそうな顔をしていたが。ごほん、と咳払いを一つ】

…………改めて。そっちは何か、収穫はあったかしら?

【そうして強引に仕切り直すと、佳乃は今度こそ二人へ発見したものの報告を求めるだろう。彼女に質問があれば、ついでにここで聞いてもいいか】
【また、もしも発見したものについて推測≠ナきることなどがあれば、情報交換も兼ねて一緒に言ってしまうのがいいだろう】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/30(土) 20:00:57.37 ID:fjjYOAkyo
>>573
//すみません! いきなりですが少しご飯落ちします。。。
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/11/30(土) 20:08:02.59 ID:3znSFkCjo
>>577

………ちぃ…

【───彼は、ある人物を追っていた。とは言っても重要人物ではないし、特に知り合いでもない】
【いつものように、悪を潰して回っていた時に、一人が不意をついて逃げ出してしまった。大分痛めつけていたのに、窮地に追い込まれた人間は凄いものである】
【その逃げた悪人の生き残りが、ここに入って行ったから、だから探しに来た。自分がこの健全な戦闘の場に相応しいかどうかとか、そんなことは気にも留めず】

【舌打ち、眼を逸らすようにして辺りを見やる、観客席に隠れているならば、見付け出すのは骨が折れる】
【だが、逃がしてなる物か、悪は滅してしまわなければならないから、どこにいようと関係ない】

…見つけ出して、必ず[ピーーー]

【彼は振り向き、踵を返そうとしながら呟いた、静かな空間に響くそれは、ここにいるかもしれない標的への死刑宣告だ】
【しかし、事情の知らない如月からすればどうだろうか。両手から血肉を滴らせる人間の、のっぴきならない殺気を放つ人間の、その言葉は───】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/30(土) 20:14:46.90 ID:xQ/C2MSEo
>>576
ふーん

【しっかりと起立している看板の文字をしっかりと流し読みすると外の風景に眼を細める】
【これなら外からは見えそうにないな、そう思い玄関の探索を再開する】

あー、なんだこの

【すごくめんどくさそうだ、男はそう呟くと下駄箱の中身をさっと見ていく】
【それと同時に下駄箱にすれたようなあとがあることに気付く】
【不自然すぎるだろう、男はそう思った、考えることは苦手ではある、故に怪しいかの判断は他人に任せようと無線機に手を伸ばしたところ】

んあ?そうか

【そういって報告を受け取る】
【半ば聞き流しては居たが、通信が切れる前にはっと思いついたかのように言い放つ】

そういや、玄関の下駄箱に無理やりなにかを押し通したような跡があったな
オレはそれが新しいもんか古いもんかはよく分からんが、その"もの"の跡ってーのはでかかったのか?
小物程度ならつかねぇ傷なんだがな、まあ気になるなら実際にその"もの"の跡を見たお前たちが見てくれよ

【そうやって伝えた後に妙に下卑た声で】

ああそうだ、男と女、二人だけが部屋にいるって状況だ、変な気を起こすんじゃねぇよ?

【そう言い放った後、すぐに無線機を切る】
【下駄箱に何もなければその後は《自習室》へと向かうだろう】
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/30(土) 20:22:12.60 ID:2R8rLPTWo
>>578
【部屋内を簡単に見渡しても、特に珍しいものはない】
【何気なくサッカーボールをぽんぽんと蹴りあげていると――部活の活動履歴らしいものを見つけた】

「……ふむ?」
【他に捜索する場所もないので、日誌もページを開き、丁寧に調べてみる】
【結局、手がかりらしきものは全く見つけられなかったが――妙な記録が少し】
【部室に違和感を感じるというもので、普段は全く気にすることもないだろうが、状況が状況だけに、妙にひっかかる】

「こんなに汚い部屋だと、それは寝苦しいだろうが……」
【そういうこととも違う気がして――短く首をかしげると、この情報は頭の片隅に置いておくことにする】

【そのうちに幸徳の声が響き、三雲は部室を後にする】


「怪しいモノは全くだ……」
【腕組みをしながら、促されるままに報告を話し出す。特に話すことのない三雲の口調は重い】
「ただ……何かが妙だという記録が日誌の中に残されていた」
【付け加えるように報告をしながらも、自分自身の言葉に首を傾げた】
「とはいえ、これだけで情報と呼べるものではないし……つまるところ、何もなかったな」
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 20:24:43.29 ID:i4BYR/700
>>576
【――――溜まり場、と呼称するだけではどうにも似付かわしくない道具。どんな事に用いられたのか、想像は容易い其の椅子】
【一颯の答えを頭の中で反芻して――――不良が二階を溜まり場としている事を知っている事からその内の何人かと通じているのかと邪推するけれど】
【…………万が一何かを隠していたとしても、その内にボロが出るのか。否、元より隠し事すらも無いのかもしれない】
【先程のレラの扱い方を見れば世渡りには長けている様で…………其処まで考えて、思考を打ち切った】
【先ずは目先の物。乾いた血痕や“其れ”に使われたであろう痕跡を見ればただの趣味が悪い展示物では無さそうだ】

【無線を取り出し、口元に近づけたならば短く息を吸って】


「職員室…………何やら拘束する為に使われる様な椅子を発見したであります
辺りの血を見れば、レラ殿の言う其れよりも古く見えるでありますが…………ただ拘束するだけに終わらず、“何か”を行っていた様でありますね」

【殴りつけたのか、斬り付けたのか。何を目的としてこんな所で行ったのか】
【――――其れはまだ分からぬ事。しかし、見つけた物が極めて楽観視出来る状況で無い事を伝えているのだろう】
【職員室での発見をそれぞれに伝え、血痕が新しい訳でも無い事を考えればその場を離れてまた別な教室などから推理を考えようとするけれど】


「一颯殿――――件の者達が普段何を行っていたかは小耳に挟んだりしていないでありますか
他校との喧嘩でも、クスリの売買でも。…………或いは、生徒との仲の事でも良いであります
“GIFT”以外に何か、関わりを知っている事は無いでありますか?」

【不良が用いるにしてはあまりにも物騒すぎる。喧嘩、リンチならばまだしも――――この様な拘束具を使うともなれば】
【果たしてその血痕が何時の物かは分からないが、然りと使用された形跡があるならばもしかしたらGIFTと関わりを持つ以前の可能性もあるのか】
【その椅子から何か情報を得ようと近づきつつ、或いは血痕に触れて湿りが残っているかなどを調べつつ】
【一颯に問うたのだが――――其処で、学園の在り方をふと思い出した】
【能力を持つ者達を良識ある一般人≠ヨと教育する。一颯の事はただの案内人として以外不明であって――――当然、能力の有無も分からずに居た。だから――――――】


「一颯殿は能力を…………いえ、万が一の話でありますが、争い事が起きた時に抗う術を持って居るのでありますか?
――――レラ殿は確かに頼りになる存在であります。ただ、もしも狙われたときに逃げる事は出来るでありますか」

【レラと一緒に行動しているのは、戦闘力の無い彼を守る為だと考えて居たが】
【――――この様に無線が通じるならば、旧校舎まで案内した後に安全な場所から指示をしたりアドバイスを与える事も可能ではないかと考えて】
【ならば、何故此処に居るのだろうか…………。彼が居なければいけない事情があるのか、それとも案内人として契約した際に、自分たちの知らない契約も行ったのか】
【横から少女も口を挟めるように、その声は少し大きくて。“職員室”を――――延いては“椅子”とその周りを調べながら返答を待つことだろう】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/30(土) 20:31:19.40 ID:fjjYOAkyo
>>581

 ―――――ほぉ…

【察するに、どうやらこの青年誰かを探しているらしい。そう言えば、先ほどこの場に足を踏み入れた時―――青年よりも早くだ。】
【如月が最初に闘技場に入ったときのことだ。もう一人の気配を感じたような……気がしないことも無かった。いや、】
【きっとしている。もう一人、いる、あるいはいたのだろう。「とある理由」から人の気配や意には敏感である如月は、そのもう一人の存在を感覚で分かっていた。青年が探す「誰か」を。】


「面白い、殺害するのか。その様子を見るに、嘘冗談でもないらしい。」


【壁に寄り掛かり、如月は去る青年の背中にそう声を掛けた。「[ピーーー]」という彼の一言が、明らかに如月の中の何かを変えた。】
【例えば胸中に正義お刃を宿した人間なら――――あるいは青年のそれほど強烈ではないにせよ、殺害という行為を咎めるだろう。】
【悪意と言うそれを持ち合わせていたのなら、と平然としている。】
【狂人であるならば、その一言に興奮する筈だ――――ところが如月の反応は、どれでもなかった。義も悪でもなければ、狂人でも戦闘狂でもない、】
【――――ただ飄々と、青年の殺気を感じ取っているだけである。】


「―――なぜ、」


【如月は続けた。】


「なぜ殺そうとするんだい。その拳は返り血だろう。充分追いつめてるんじゃないか。それでもまだやるのかい? 殺したいほど憎いか、それとも怒りか…」


//お待たせしましたー!
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 20:37:14.70 ID:Vk+vWhm+0
>>578 >>579

【佳乃が招集をかけて少しすると、蛍は足音をほとんど立てずに戻って来て】
【全員が揃っていることを確認すると、眼鏡をくい、と指で抑えつつ口を開くだろう】
【その時はニッコリと笑い、「文字通りの素人考えだが」と前置きして――】

おかしい点は、いくつかあった。
まず、ここの女子トイレ……今も「それなりの頻度で」使われてるね。
サッカー部と野球部にそうとう下世話な野郎がいるって可能性を排除すれば、おかしな話だ。
だってこの高校、流石にスポーツ系の部活は男女別だろう。

それと例の駆動音……。
隠す場所がない以上、あるとしたらこの階じゃないと思うんだけど、正確な音源がどこかは分からなかった。
例えば、2Fにあろうが、地下にあろうが、この大きさじゃちょっと分からないってことだね。
秘密の出入口とか、いかにもありそうな雰囲気なんだが。

【――――と、そこまで一息に言い終えると、一拍置いてから】

……そういえば、明音くんの行った日誌の置いてある部屋っていうのはどの部屋だい?
もし床下に何かが隠されている可能性が濃厚なら、見つける手段が一応はあるよ。

【そう言って、彼女は鞄から一本のナイフを取り出し――それに、灼熱の光を纏わせるだろう】
【押し当てれば、鉄板をも溶断しうる刃。これなら硬い床を強引に開くことも出来ようが】

元に戻すのが難しいから、明音くんに何もないなら、確実に何かあるだろう上を探すのが先決だろうけどね。
何より、女子トイレを見る限りおかしな人の出入りがある。素早い中心手段もないし、あまり離れたくはない。
――佳乃くん、きみはどう思うかな?

【あまりスマートではない手段といえるナイフの光をひとまず消散させると、彼女は佳乃の返事を待つだろう】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 20:38:31.46 ID:Vk+vWhm+0
/何より、女子トイレを見る限りおかしな人の出入りがある。素早い中心手段もないし、あまり離れたくはない。

/何より、女子トイレを見る限りおかしな人の出入りがある。素早い通信手段もないし、敵と出くわす可能性がある以上、あまり離れたくはない。
に脳内変換しておいて下さい……
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 20:39:22.99 ID:Dxq/3dgTo
>>582

【下駄箱の中を全部調べても、何も置かれてはいない。置かれてはいないのだが――――その過程で、下駄箱の配置がおかしいことに気づくだろうか】
【置かれた下駄箱はすべて等間隔に並んでいるのに、一箇所だけ。玄関の真正面の二つの下駄箱だけが、横へとズラされているようだった】
【そしてその二つの下駄箱こそ、先程見つけた擦り傷≠ェ一番大量に残されている部分であって】

『おかしなあと≠セと? …………たしかに、ここにあるなにか≠フこんせきから見るに、もち出されたのはそうとう大きいもののようだが』
『…………まさか…………』

【通信を受けたレラはしばし考え込み、マルバスに何か≠フ大きさが跡と合致することを伝える】
【それを合わせて考えれば――――《2年1組》から持ち出した何か≠、ここから外へ強引に運び出した、という推理が成り立つだろうか】
【その何か≠ェもし残っていたなら、調査の重要な証拠に成り得たはず。それが、何故こうもタイミング良く運び出されたのか…………】

『へんな気? …………ああ』

【レラは最後に付け加えられた言葉に、一瞬きょとんとした声を出すのだが…………何故か、意味深な沈黙を伴う返事をする】
【意味がわかっているのか、わかっていないのか。その返事がどう言う意図のものなのかは、不明であるが】

【さて、次にマルバスが向かった自習室の中は、二つの教室を繋げた広いつくりになっている】
【しかし…………そこはもはや、自習室という名に相応しい場所ではなかった。どちらかと言えば、保健室に近い印象だろう】
【そこにあったはずの勉強机は全て撤去され、代わりにベットや椅子などが複数設置されているのだ】
【周囲の状態と比較してどう見ても新しいそれは、間違いなく後から運び込まれたもの。不良たちは、ここを寝床にでもしていたのだろうか】
【また、壁には大きな棚もあるが…………こちらには、何も入っていない】
【しかし戸を開けてみたなら、棚の上に溜まっている埃が不自然に欠落≠オているのがわかるだろうか】
【それは、ごく最近までそこに何か≠ェ置かれていたという証左だ――――】


>>584

『い、椅子? なんでそんなものが!?
 強いて言うなら、こういう不良=c………能力使用の束縛を良く思ってない人たちと普通の生徒の間には、互いに相手を見下しあうような風潮がありました。
 けど…………まさか、そこまでの恨みなんて…………?』

【ここで何かが起きているのは、一颯も確信していたようだが。そこに置いてあったものに関しては、完全に予想外だったようだ】
【それを使って、何が行われていたのか。想像するだけで恐ろしい気分になりながら、一颯はオラークルの問いに答えていくだろう】
【クスリだとかの怪しい取引は、一颯の耳には届いていないらしい。生徒間の確執はあったようだが――――そんな拷問まがいの行為をするまでとは、信じがたい様子で】

『…………ええ、それは問題ないです。いま隣でレラが胸を張ってますしね。
 こんな案内役≠ノ狩り出される程度には、ぼくも不良≠ノ近い側なんですよ。それなりに、戦いには慣れてます』

【椅子の周辺の血痕は、殆どが古いもののようだ。比較的新しそうなものも、せいぜい何週間前という程度に見える】
【逆に言えば…………それだけ最近まで、ここで非道な行為が行われていたということでもあるが】
【一颯の頼もしい言葉を聴きながら椅子の外周を調べて行ったなら――――途中に転がっていた小さな肉片≠見て悲鳴を上げないよう、注意が必要かもしれない】
【少年の言ったとおり危ない取引の類が今までなかったのならば、これを行ったのはGIFT≠ニいうことになる。彼らは一体、どこまでの組織なのか――――?】

/続きます
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 20:40:38.56 ID:Dxq/3dgTo
>>ALL

【一通り、全体の調査が進んだ頃だろうか――――またも、無線機が振動するだろう】
【ニ度目となるレラからの全体通信。何かを発見したのだろうが、しかし今度は何か様子が違った】

『こちら、レラだ! 《2ねん1くみ》で、かくしべや≠はっけんした!』
『ぜんいんいちど、ここにあつまってくれ…………なにがおきるかわからん、ちょうさ≠フまえに人手がほしい』

【――――隠し部屋。わざわざ隠蔽工作を施してあった場所だ、そこに大きな手がかりがあるのはきっと間違いないだろう】
【そんなものを発見できたのもそうだし、そこで油断せず冷静に人員を集めようとする判断もだが…………】
【見た目には不相応すぎた潜入操作のスペシャリスト≠ニいう肩書きも、どうやら虚仮威しではないらしい】
【とにかく、彼女の言うとおり《2年1組》へ集まった方がいいだろう。ここで何か大きなものを掴めれば、調査も一気に――――】



『――――ッ!? ちっ、おまえたち、は――――っ!!?』
『……ぐ………………しま…………! ……、…………、……………………』

『…………………………』


【――――無線機の奥から、レラの舌打ちが聞こえたかと思うと】
【複数の破壊音が連続で響き渡り、無線から聞こえる僅かなレラの声が、雑音に飲まれていって】
【…………そして、完全に消える。いくら呼びかけても、帰ってくるのは無機質なノイズ音のみとなるだろうか】
【いま、この瞬間――――《2年1組》でレラの身を害する何かが起きたのは、おそらく間違いなかった】

【…………もしもこの通信を聞いて《2年1組》へと向かったのなら、《2年1組》の扉が乱暴に押し開かれるのが見えるだろうか】
【そこから、ガラの悪い男子生徒がひとり出て行く。おそらく件の不良だろうか、彼は廊下の突き当たりまで走ると階段を駆け上り、三階へ逃げ去っていくだろう】
【また、半開きになったドアの奥では――――苦しそうな表情で倒れ込む、一颯の姿が確認できる】
【階段を上がって彼らを追跡するか、《2年1組》の中に入って何が起きたのかを調査するか。レラが居ない今、各個人の判断で動くしかない】
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/11/30(土) 20:49:06.49 ID:Dxq/3dgTo
>>583 >>586

おかしな音に、変な記述…………。
…………やっぱり私が前に聞いた音、幻聴じゃないみたいね。
それに、日誌にそのことが書かれていたってことは…………音は、大分前から鳴っていた、ということかしら。

【佳乃は音≠ノ関する明音と蛍の報告を集め、自分なりに情報を統合してみる】
【あの妙な音は決して聞き間違いではなかった。そして、音は佳乃が調べに入る以前から鳴っている…………】
【…………音の要因が何なのかは不明だが、どうにも不気味だ。誰かがずっと音を鳴らしているかのような、不気味な状況を想像してしまう】

――――女子トイレか。確かにここを使っている部活は全員男子部だし、女子マネージャーの話も聞かないわ。
やっぱり――――ここにあの音≠フ原因を作っている誰かが居る、ということなのかも。

地下…………いや、ここはやっぱり二階を調査しましょう。
何が起きるかわからない地下より、外から構造をある程度把握できている二階を調べてしまったほうが安全だわ。

【そしてその推測は、蛍の報告を聞いて確信に変わる。居ないはずの女子生徒、それが幽霊でない実在の存在なら、間違いなくクロだ】
【佳乃はしばし考えた後、蛍が取り出したナイフを制する。こうなった以上、どこから襲われるかもわかったものではないのだと】
【仮に地下があるとすれば、そこは地の利が相手にある場所。今回は強襲ではなく調査だ、いまは確実性の高いほうから調べたい】


>>ALL

二階に上がるには、そこの階段か外の非常階段かなのだけれど…………。
非常階段はやめておきましょう。錆びているし狭いから、何かに襲われたときに危険だわ。

【二人に目配せすると、佳乃はすたすたと廊下を歩き出す。素っ気なく移動手段を説明しながら、廊下の奥の階段を目指していくだろう】
【その途中でポケットから取り出したのは、調査にあたって学園側から預かった、階段を封鎖している南京錠の鍵だ】
【佳乃は扉の前に立ち、その鍵を使って南京錠を開けると――――扉を開く前に、一度仲間たちの顔をひとりひとり見て、意思を確認する】
【それが終わり次第、佳乃は階段の扉を慎重に扉を開けていくだろう。ぎぎぎ、という錆び付いた音が、廊下中に響き渡って――――】

【そして現れるのは、何のことはない。多少汚れてはいるが、踊り場で一度折り返して上の階へと続いている形状の、どこの学校にもあるような平凡な階段だ】
【長年使われていなかった防火戸を開けたことで、大量の埃が宙を舞――――――わ、ない】

――――――…………!!

【…………多少。何年も開かれていなかった筈のそこには、本当に多少しか、汚れがなかった】
【階段の横に据え付けられた手すりには、うっすらと埃が積もっていて。その何カ所かに、不自然に埃が無い部分がある】
【その、埃の欠落した跡。まるで…………誰かが握った$ユのような、それにも見えて】

【そして、何よりもおかしいのは――――】
【階段、壁、天井。あらゆる所に、どう考えても自然には付かない傷跡≠ェ、大量に残されている――――!】


…………気をつけて、進みましょう。

【この上に何か≠ェあるのは、もはや間違いない――――視線を鋭くしながら、佳乃は階段を登っていくだろう】

【――――この時点で、どうやって二階へ行くか。二人には二つの選択肢がある】
【すなわち、佳乃と一緒に階段で二階を目指すか、あえて彼女の忠告を聞かずに外の非常階段から回ってみるか、ということだ】
【このまま佳乃と階段を進むのであれば、上るついでにそこら中にある傷跡や、今開けたばかりの防火戸を調べてみてもいいかもしれない】

【逆に非常階段から行くのであれば、非常階段を上がった先にある二階廊下≠ヨ続く扉の鍵が佳乃から投げ渡されるだろう】
【非常階段は、正面玄関を左折して壁沿いに進み、もう一度左折した場所。ちょうど校舎の側面部に据え付けられている。距離も近いので迷うことは無いはずだ】
【もしそこへ到達したのなら、長い年月の間にすっかり風化して不気味な外観をした螺旋階段が目に入るか。入り口は縄で封鎖されているが、乗り越えるのは簡単である】

591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/11/30(土) 20:54:49.28 ID:diP9gsDx0
【水の国首都・フルーソの郊外――レイリスフィード大学近くの路地裏】

【今日、レイリスフィード大学では学園祭が行われていた】
【皆それぞれ思い思いに楽しんではいるが、舞台はこの近くの路地裏である】
【学園祭とはいえ、ガラの悪いやからはどこにでもいるもので】
【そしてだ大学近くの路地裏ではその柄の悪いやからがとある人物にむらがっていた】

【その不運にも絡まれた男は何もないような顔をしていた】
【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】

「おい兄ちゃん、金もってるならよこせや、怪我したくねえだろ?」

【まさしくチンピラの物言いだが数はそれなりにいる】
【だがこの男、その言葉にもの物怖じせず逆に鼻笑いをする始末だ】

「てめえ!笑ったか!」
 ああ、笑ったぜ、それが何か問題が
「て、てめえ!」

【そのように挑発めいたことを男は言い放つ】
【もろん、ここで引くようなことは彼ら不良のプライドが許さない】

「ええい、てめえ!、なめたんなら覚悟できてるよなあ!」
 ごちゃごちゃうるせえな、とっとこいよ
「いいやがったな!、ぼこぼこにされてもほえずらかくんじゃねえぞ!」

【そのように叫び不良たちは男に向かって殴りかかるだろう】
【それに対し男は――不敵な笑みを見せて不良たちに反撃を加えていくであろう】

【不良の叫び声はものすごく大きく、もしかしたら学園祭に来ている一部の人々に聞こえるかもしれない】
【そしてその叫び声を聞いてその路地裏に行ったのなら不良たちをぼこぼこにして立っている男がまず見えるであろう】
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/30(土) 20:59:27.86 ID:2R8rLPTWo
>>586
「結構、行動力のあるやつなんだな……お前」
【光を纏うナイフを確認して、呟くように蛍へと声をかける】
「その能力、戦闘になっても……頼りにしているぞ、暁星」
【いざというとき、連携できるように――二階に移動するまでの短い時間に声をかけておく】

>>590
「音、な……何か目的がある音なのか、それとも別の目的の副次的なものなのか?」
【瞳を閉じて、耳をすませる。 確かに何か――説明しにくいが、妙な感じがある】
「先に二階だな? 了解した」
【異論なしといった様子で深く頷き、幸徳の後に続く】


「鍵がかかっているのに……これは?」
【部屋の中を覗き込むと、いくらか妙な点が見つけられる】
【深く考え込む前に、警戒を促す幸徳の声で異常≠ネことが起きていると理解する】
「別の侵入経路があるのか、それとも鍵を自由に扱える立場に協力者がいるとか?
 ……なんにせよ、奥に何かが居ると考えたほうがよさそうだな」
【胸ポケットから黒いグローブを取り出し、今のうちに両の腕に装備する】
【準備体操をするかのように、数度指の閉開を繰り返した】

「私は幸徳についてくぞ、まとまって行動したほうが良さそうだしな」
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 21:01:58.18 ID:3znSFkCjo
>>585

──────

【もうここに用はない、如月が悪でないのならば、相手する必要もなく、残る必要はない】
【従って彼が立ち去るのは必然であった───が、しかし、その声が彼の足取りを引き止める】
【踏み出す直前にピタリと止まった足、まだ宙にあるそれを、少し引き寄せて地面に起き、彼は振り向かず】

悪だからだ

正義を語るのならば、悪は徹底的に潰して然るべき…闇に身を浸した者に待つのは地獄しか無い…
ならば悪を滅する為に殺す事は当然の事、自らが行った事の報いを受けずにのうのうと生き永らえるなど、神が赦そうと俺は赦さん

───何故なら、俺は

【「正義だからだ」───そう続けた彼の声には、冗談なんて一欠片足りとも無い。自らを正義だと語り、それを理由に、或いは意味にして、殺す事を当然だと語った】
【ずっと向けている背中が、俄かに顔色を変えるのはその後。上昇気流なんてないのに、マフラーが悪魔の翼が如く上へ上へと昇りはためく】

…悪を庇うか、正義に否を唱えるか、ならば貴様も悪だ

【その殺気は、明らかに如月に向けられたもの。振り向き加減に向けた紅い眼は、ギラギラと鮮やかな輝きに如月を突き刺している】
【悪を庇う、正義に否を唱える。その両方とも如月はしていないのに、まるで狂人が幻聴を聴いているかのようだ】
【一触即発、如月の返答次第では、彼は───】

/お帰りなさいませ
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 21:17:33.85 ID:Vk+vWhm+0
>>590 >>592

やはりな。あからさま過ぎて、逆に怪しい所ではあるけれど……。
危険が迫っているからには、きみ達を置いて「一度外に出て」「別のルートを行く」リスクは大きすぎる。
殲滅を目的としているのでもないのに、功を焦ってやられては、元も子もない――。

それに明音くんの指摘も尤もだ。
このあたりの埃が無いということは、わざわざ正規ルートを使って移動していて……鍵を握られている可能性が高い、ということ。
慎重に動くのに、越したことは無いね……。

【静謐の中に狂気の鼓動を感じさせるこの空間にあって、蛍は平静を保っていた】
【だが、油断もない。抜け目ない視線がまず探すのは、手すりの埃が取れてしまっている部分】
【その空白のかたちを見て、可能であれば手の大きさや種類から、敵の最低人数や大まかな体格を推察しようとするだろう】

【それから、背中側の防火扉の様子や、各所に――人の手は到底届かないような所を含め――刻まれた傷を調べていく】
【大きさや形から、どんな形の物体が破壊に用いられたのかを考えていくのだ。】
【もちろん、先に進む佳乃の代わりに、戸締まりも忘れず】

……どこに立っていても、攻撃の可能性はある。佳乃くん、守れよ、その冷静さを。

【そして、例の異音――あれがここに上がってから変化していないかに、耳をそばだてながら歩いて行く】
【一種の探偵めいた稼業をやっているだけあって、そのあたりの手際は滑らかだった。】
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 21:26:56.83 ID:i4BYR/700
>>589>>590
「私にもさっぱりであります。ただ――――GIFTの背景とその不良達の考えとを比べれば…………
…………いや、邪推でありますね。取り敢えず、その事の報告だけをしておくでありますよ」

【返答をしながらも椅子やその近辺を探り――――肉の欠片を見つけたならば悲鳴こそ上げない物の息を呑むのだろう】
【ただの暴力にしては度が過ぎている。流血だけでは済まず、肉体の破壊まで行っていたならば…………もう、油断は出来ないのだろう】
【拾い上げず、その状態で観察して、血痕とを見比べたりとするが】


「それならば良かったであります。相手はどうもただの“暴力”だけでは済みそうに無いでありますから
血痕のみならず、人の肉まで作り出すような―――――隠し部屋、でありますか?
了解であります。直ぐにそちらに――――…………レラ殿?」

【隠し部屋という大きな進展。さて、そちらへ向かうことを伝えようとしたその刹那】
【無線の奥から聞こえてくる状況を理解すれば、文字通り職員室から飛び出す事だろう】
【――――直ぐに辿り着いた“2年1組”の教室。何事かと中を覗き込もうとすれば、同時に不良が走り去る姿を目撃して】
【追うべきか、追わないべきか。今の内に探るべきか、探らないべきか】
【――――少なくともこの場で“無事”なのは自分と、アムリタの二人だけ。ならば、二手に分かれた方が賢明か】

【アムリタが不良を追うならば少女は一颯の元へと駆けつけ、逆に此処に残るならば不良の後を追う為、少女は走り出すのだけれど】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/30(土) 21:28:06.93 ID:xQ/C2MSEo
>>588
あ?そういやその跡のある場所だけ妙に下駄箱と下駄箱の間隔がなげぇな

【明らかにずらしたのだろう事を伝えておく】
【そしてそれが一致することを知るや否やこう伝える】

んじゃ、そっちの捜査の方は任せるわ、俺は自習室ん方行くから

【そういって自習室のほうに向かうのだが、あの奇妙な沈黙の意図が妙に読めない】


んあ?ここが自習室か?

【自習って言うより休憩だな、そう誰に言うまでもなく発言する】
【そしてベッドの下になにかないか調べて居たが、大きな棚にふと目が向かう】
【休憩室として使っているのならこの棚だって使われているはずだ、なのに何故所々埃が積もっている?】
【そう考えれば埃の積もっていない部分に何故ものがないのか気になった、だからそこを調べようとした、が】


またか……

【若干うんざりしたような声を上げて無線機を取る】

あー?隠し部屋?

【こちらが知らないなら明らかに…GIFTとかいう組織の部屋だろう】
【調べる前に爆破できればなんと楽か、そういう物騒な思いが心の片隅を占めるが】

おし、それじゃあそっち向かうぜ

【そういって自習室から出、少年少女の方向に足を進めていたところ】

んぁ?おーいレラさんよー
なるこさんとやらも無事なら返事しろーい

【そういいつつ駆け出す、すると駆け出す人影が駆け出すのが見える】

チッ

【自分は二人になれるわけではない】
【だがどちらかを置き去りにするのも難しいだろう】
【仕方がない、そう思い無線を取り出す】

【その無線の通信が終わった後、男は上へと向かった】


>>595
あー、聞こえるかオラークルさんとやら

【あの襲撃の通信の後、無線機が震えたかと思うとすぐさまそれから響く男の声】

端的に言う、オレは上に向かった奴を追いかける
その後どうするかはお前さんの勝手にしな

【そういうとすぐに通信は切れる】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/11/30(土) 21:28:11.23 ID:Dxq/3dgTo
>>592

鍵を使える人と言ったら、学園側の先生ということになるけれど…………。
でも、相手があのGIFT≠セとすれば、鍵を複製するくらいのことは平気でやりそうじゃないかしら。

【明音の推測に対し、佳乃は個人的な推論でそれを否定してみせる。その可能性もあるが、別の手も考えられると】
【いや――――それは否定というより。生徒以上に無能力者派≠ナある教師陣までGIFTの洗脳を受けている、という最悪の状況を想像したくなかっただけかもしれなくて】

【階段の方は蛍が調べ始めている。明音が別の場所を調査するのなら、対象は必然的に防火戸となるだろうか】

【防火戸の裏側にも、階段にあるような傷跡が見て取れるが…………こちらはどちらかと言えば、何かが暴れたような跡にも見えて】
【扉の下の方には、何かシミのようなものが広がっていた。外観からして、そこにはざらざらした粉が付着しているようだ】
【それは――――かなり時間が経って、完全に固まってしまっているが。何者かの血痕≠ナあることに、気づくだろうか】
【その血痕の中心には、小さな凹みがある。果たして、ここで何が起きたのか――――?】

>>594

…………ふん、余計なお世話よ。

【あくまで冷静に、と自分を諌める蛍に、佳乃は相変わらず素っ気無い返事を返すが――――纏う雰囲気が、更に引き締まるのがわかるだろうか】
【冷静に努めているつもりでも、まだまだ若いこの少女。自分に大きな自信も持っているが、無意識的に持っている過信≠ヘ他人に指摘してもらうのが一番だ】

【さて――――階段のそこかしこにある傷跡は、何かで引っかいたような浅いものが多いだろうか】
【それらには獣の類が暴れたような凶暴な雰囲気はなく、どちらかと言えば偶然物をぶつけてしまって傷がついたような、そんな風情だ】
【それが昔からあった傷なのか、それとも最近付けられた傷なのかは、判断の難しいところだが…………】
【少なくとも、手摺りにある埃の欠落≠ノついては、最近のものと見て間違いなさそうだ。そして、欠落の大きさから判別するに――――】
【…………女性のものと、男性のものが混在している。正確な人数は不明だが、少なくとも二人以上であろう】

【そして例の音≠ノ関しては、殆ど変化が無い。しかしこの後、蛍が階段を上がりきったのなら――――音源が近づいていることにも気づけるか】


>>ALL

…………招=B

【階段の踊り場まで到達したところで、佳乃は胸ポケットから取り出した符≠左手に持ち、右手で小さく印を切って】
【一言そう言った瞬間、符を持つ左手周辺の空間が歪み――――そこから、六尺ほどの美麗な薙刀が取り出されるだろう】
【ここから先、鬼が出るか蛇が出るか。取り出した得物を油断なく構えたまま、階段を登り切ると、壁の影から二階の廊下を覗き込み】

人の気配は、無いわね…………。

【後ろの二人にも聞こえる音量でそう言うと、構えを解いて廊下に出る。鋭く尖った黒色の瞳は、改めて二階廊下全体を見据えた】
【この二階の構成も、一階と対して変わらない。横には計四つの教室が立ち並び、廊下の奥には男女のトイレがあって、突き当りには非常階段へ続く扉】
【しかし一階と違うのは、今上がってきた階段のすぐ隣に屋上へ続く梯子があることか】

一階より手がかりが多く残っていそうだし、ここは詳しく調べたほうがいいわ…………。
…………私は手前の二つの教室を調べる。残りをお願い。

【各教室のプレートは、近い方から順に『第二理科室』『第二音楽室』『家庭科室』『講演室』と、昔のままで残っている】
【佳乃は手短にそう告げると、まずは一番手前の『第二理科室』へと入っていく。そこが終われば、『第二音楽室』も調べるはずだ】

【残る調査対象は、《家庭科室》に《講演室》、《廊下奥のトイレ》、《非常階段とその入り口》、そして《梯子を上った屋上階》、といったところか】
【そして《講演室》からは、微弱ではあるが、例の音≠ェ漏れ出しているようにも聞こえる――――】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/30(土) 21:28:25.10 ID:fjjYOAkyo
>>593

「悪……?」


【如月は小首を傾げながら相手の言葉を呟いた。腕を組み、その時腰の刀が壁にぶつかり小さな音を立てる。】
【足を止めた青年から紡がれた言葉は単純―――如月は半分ほど予想していた。だからこそ彼を引き止めたし、自分も彼に興味を持ったのである。】

【―――――実に、】

【如月は流浪を始めてから、能力者無能力者、はたまた人外無生物問わず多くの人間と会っている。中には数回言葉を交わしただけの場合もあったが、】
【皆彼女の記憶の中にあった。彼らは多くは二種類に分類できる。すなわち悪人か―――】


 ――――――正義だからだ


【青年の言葉が響いた。如月は思い出す。何人かも…最近で会ったばかりの仲邑という剣客も、同じような目をしていた。】
【いや――――「同じ」ではない。青年のそれは、紅のこちらに刺さるような眼孔には、彼とはまた別の意思を感じる。冷徹なまでに突き詰められた義の志が。】


「はっはっは、ボクも悪人か。なるほど、会ったばかりだが…キミの「正義」がどんな物なのか少し分かったような気がするよ。」


【如月は一つ思いついたことがあった。自分には無い物を、彼は持っている。】
【自分が現在心から欲している、渇望していると言っても良い。旅を続けているが決して見つけられぬ物、そして見つけた瞬間におそらく今の自分が「変わる」であろう、】
【それほどの―――――――】

【如月はゆっくりと組んでいた腕をほどいた。壁に寄り掛かったままだ。片足の靴で数度床をこつこつと叩く。】
【通風口からの風の音が嫌に大きく聞こえた。】
【如月はゆっくりと羽織りを捲る。裏には…内ポケットよりわずかに高い位置だ。】
【そこに刺繍されたとある紋様が、徐々に浮き彫りになるだろう。】


「……「カノッサ機関」って組織を知っているかい、青年くん。」


【電光に照らされる。そこには「2」とあった。紋様の中央。複雑な幾何学模様の、ちょうど全ての線の真上にその数字が記されている。】
【銀色のそれはもう楠んでしまっており、読みとりにくかった。同時に、男は気付けるだろうか。】
【紋様は古い。「現在の機関の」それではなく旧時代のそれだ。今の面影を残している物の、似ても似つかない。】

【――――――如月は相手の反応を待った。】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 21:31:42.93 ID:Vk+vWhm+0
>>592

【明音に声をかけられたとき、蛍は振り向きながら小さくウインクして】

ああ。私を信じてくれるきみを、私も信じるよ。
お互いの行動で隙が出来たと思ったら、遠慮なくフォローしあおうか。

……彼女も、私より優秀だけど、出てきた時の様子を見るに突っ走りが心配だしね。

【二人にしか聞こえない声で、そう囁いたことだろう】

/こちらへの安価はなしでも大丈夫ですー
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 21:38:32.83 ID:Dxq/3dgTo
>>595

【マルバスが不良たちを追っていったことで、オラークルは一颯たちのいる《2年1組》へと踏み入っていくのだろう】

「…………っぐ…………ま、待ち伏せに遭ったんだ…………そこの隠し部屋の中から、いきなり不良連中が…………。
 そ、それより早くレラを…………奴らに隠し部屋へ押し込められて、中で爆発が…………!」

【地面に転がる一颯の証言によれば、相手は周到にもこちらが隠し部屋≠発見することまで見越して、不意打ちの策を用意していたらしかった】
【部屋の中は――――見た目こそ普通の教室だが、何か火薬のような臭いが漂っているだろうか】
【一颯は脇腹を押さえ、息も絶え絶えにオラークルへそう伝えると、教室に入ってすぐ右手にある黒板の真下を指し示すだろう】
【レラ達がどかしたのだろうか、そこに本来あるべき教壇は横にズラされていて、その下の空間にぽっかりと穴が空いている】
【構造的には、真下は一階の教室のはず。しかしそこには、コンクリート製の階段の先に暗い空間があって――――その奥から、白い煙が漏れ出していた】

【煙に阻まれて全容は把握できないが、そこがレラが閉じ込められたという隠し部屋だろう。そしてこの煙と臭いからして、そこで爆発物が使われたらしい】
【…………この閉所に叩き込まれ、逃げ場のない状態で爆薬を使われたとなれば、レラは…………】


【だがこの時、もしオラークルが一颯の言葉に導かれて、隠し部屋の入り口の前に立ったのなら。本当に心配すべきなのは自分の身の方だ】
【ぱりん、という小さな音が、オラークルの背後で響く。オラークルの後ろに偶然転がっていた小さな硝子の破片を、誰かが踏んだ音。誰かが、背後に立った足音】
【それに気づくことが出来たのなら――――あるいは、既に一颯へ不信感を持っていたのなら】

【――――オラークルをレラと同じように隠し部屋へ叩き込まんと放たれた一颯の強烈な蹴りを、回避できるだろうか】



>>596

【マルバスが階段に差し掛かると、逃げた不良の背中がちらりと見えるだろうか。彼は踊り場で折り返して、そのまま三階へ向かっていく】
【不良の足は、どうやらそう速くはないようだ。マルバスが全力で駆け上がれば、ちょうど三階へ上がりきったあたりで追いつけるだろう】

【だが、追いついたところで――――次の一撃≠回避できなければ意味はない】


「お――――らぁああぁあっ!!」

【マルバスが三階へ上がりきったのなら、その瞬間。真横から、二人の不良が飛び出してくるだろう】
【彼らは凶悪な見た目の釘打ちバットを振り翳し、その頭蓋と背中めがけて同時に振り下ろす――――!】
【見た目にはわからないだろうが、この不良たちは身体強化≠フ能力を持っている。この一撃、想像以上に重いものとなるだろう】
【…………そして、それだけではない。廊下ではいま階段を上がった男子生徒を含めた合計三人の不良たちが、それぞれ凶器を手にマルバスを取り囲んでいる】

【罠≠ニいう文字が――――マルバスの頭に浮かぶだろうか。囮で誘い込んで包囲・殲滅する、単なる不良が考えたとは思えない手の込んだ作戦だ】
【しかしこの攻撃、威力はともかく正確性はそれ程でもない。比較的大振りで、素早い判断を下せば回避の隙は十分にある。反撃のチャンスも、掴めるか】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/30(土) 21:41:29.85 ID:nMnXuAd40
【風の国 繁華街】

……気分が悪いから他を当たれと言ったのが、分からなかったのか!?
所詮、お前程度では何も出来ないくせにっ!

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年が】
【その瞳を怒らせながら、チンピラじみた服装の酔った男と対峙している】
【悪態をつきながら殴りかかってくる男の拳を、滑る様に避けながら青年は杖で男を殴りつける】
【空を切って伸びきった男の腕に、弧を描いて見事に叩きつけられた杖の痛みが跳ね付けられて、男はその場に倒れ込んでしまう】

……雑魚相手に散々巻き上げてきたんだろうけど、自分も雑魚の範疇に入ってるって、分からない様だな……!
お前如きにくれてやる金なんて、持ち合わせてはいない……!

【騒ぎを聞きつけてか、周囲にはポツポツと野次馬が遠巻きに事態を見守っている】
【どうやら、男は青年から金を巻き上げる腹積もりだったようだが、酔ってる事が災いしてか、何から何まで上手くいかなかったらしい】
【そもそもが、只者ではない事を風貌から匂わせている青年に殴りかかった所からして、男の程が知れると言うものだが】

――――スーレル(光)・ナコ(阻害)・ジー(安定)・ザン(レベル3)……『クロスホールド』……!
虫の居所が悪いって言う事は言ったぞ……ただで帰すつもりはない、それなり以上に痛い目を見てもらう……!

【倒れ伏した男に杖の先端を向けて、青年は何事かを口中で唱える。それがきっかけとなってか、その場に魔術が発動された】
【男の身体が持ちあがると、その身体に光が収束して十字状の光のフィールドが形成され、男の体は空中に固定されてしまう】
【さながら、光の十字架に磔にされた様なもので、男は身動きが取れなくなってしまったらしく、微かな呻き声を上げる】
【それを見据えつつ近寄っていく青年の瞳はじとりと据わっている。遠巻きに眺める野次馬たちも事態の急変を察してか、緊張した沈黙が場を支配しようとしていた】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/30(土) 21:49:42.16 ID:2R8rLPTWo
>>597
「鍵を複製か? そう考えたほうが自然だろうか……」
【強気に否定する言葉に反論を失い、素直に頷くにとどめた】

【立場上もしくは仕事上、血を見ることには慣れている】
【時間が経過しているとはいえ、目の前にある赤いカビのような汚れの正体を見極めるのは容易いことだ】

「傷痕、それに血の跡=c…」
【様々な推測が脳裏を渦巻く――どれが答えでも、心地の悪いものばかりだ】

「GIFT≠゚……」
【がりり……と、奥歯を噛みしめる】
「まさか学校を、学生を標的にするとは……くそっ……」
【防火戸から目を離し、二階へ続く階段に足をかける】
【その歩みは――無意識のうちに、焦ったように早いものに】

「罠とかは……大丈夫か?」
【先を急ぎながらも警戒は怠らず、警戒を強めながら二階にのぼる】
【閉鎖された空間とはいえ、学校の敷地内。 それほど危険なものはないだろうと考えてしまう】

「任された、そっちも気をつけろよ」
【幸徳の言葉に手を上げて答え、早足に廊下を歩きだす】
【焦りがあるのか、微弱な音の変化には気が付いていない様子で、まずは身近な場所にあった《家庭科室》に手をかけた】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 21:50:31.31 ID:3znSFkCjo
>>598

【僅かに、彼は苛立った───今までの異常なそれとは違う、もっと俗物っぽい感情】

【『どんな物かわかった』───?知ったふりをするな───】

【誰もがそうだ、自分の正義なんてわかる筈もない、誰も彼も真の正義を理解出来る頭の無い愚図ばかりだ】
【ましてや、こんな人間に正義がわかってたまるか、正義とは】

──────……

【空気が凍り付く、熱い炎を閉じ込めた氷の心が、冷気を放って】
【外の空気よりも冷たいそれが、時を止めたように静寂となる】

【如月の言葉と、紋様と、二つの要因は彼の心を侵して、近付いて、まるで導火線のように危なさを持って】

【氷の心に、ヒビが入る】



ッッッ!!!

【その瞬間には、彼の姿はその場に無くて、しかし如月にはさっきよりも遥かに近付いていた】
【振り向き、踏み込み、振りかぶる───諸々の動作が僅か一瞬にして終わり、既に彼は如月への攻撃を開始していた】
【右拳での顔面を狙ったストレートパンチ、単なる拳での一撃だが、攻撃自体はまるで早い訳でもないが、エネルギーを纏っている訳でもないが】
【しかし、爆発した殺気と狂気のままに、自身のリスクからすら眼を離したその一撃は、相応に重い】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 21:58:00.50 ID:Vk+vWhm+0
>>597 >>602

(引っ掻き傷……天井に、しかしそれほど深くはない。短絡的に考えれば、広範囲を巻き込む能力か)
(或いは、つめを備えた魔物の類? 鎌鼬でも住んでいるのかな、ここには……。)

【考えるに、あまりにも乱脈に傷を付けられていることがひっかかる。それに、明音が見つけた血の跡。】
【身内の制裁や、或いは同士討ちが行われていた可能性。能力が暴走するタイプなら、それは不思議でもない】
【とはいえ――これだけで判断を下すには、まだ情報が足りないと思われた。】

……あー、そいつは羨ましいなあ。

【虚空から得物を取り出す技を持つ彼女に対して、ごちる蛍は数本のナイフしか持ってきていない】
【尤も「あの能力」がある以上、火力面で刀に大きく劣る訳ではないのだが――】

【何はともあれ、蛍も状況の変化を察して、手に提げたバッグを腰に移し】
【胸の前でゆるく腕を構え、改めて探索に意識を向けるだろう。】

なら、私は講演室か……了解したよ。

【トイレという手もあるが、仮に奇襲を受けた場合、あそこは極端な閉所で封鎖も容易い】
【他の空間であれば、窓ガラスを砕けば強引に脱出できる可能性もあるが――】
【と、考えて。彼女は、講演室へ向かうことに決めた】

(ここまで近付いても、小さいものだね……音。)

【入る前に、まずは扉の外から物音に聞き耳を立てて】
【扉を開ける段になっても、それが完全に閉まりきらないようにしながら、彼女は慎重に足を踏み入れていくだろう】
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/30(土) 21:59:42.80 ID:xQ/C2MSEo
>>600
よっと

【軽々と階段を二段飛ばしで駆け上っていく】
【その口には笑みが浮かんでいる、そう、獰猛な笑みが】

【全力ではないものの、その背を見失わない程度の速さで駆け上る】
【そして三階に駆け上った途端、真横から飛び出す不良二人】

あー、待ち伏せって奴か?

【その瞬間、男は両手を顔の高さに上げる、しかしその顔に浮かんでいるのは降参の笑みではなく】

いいねぇ、卑怯だと関係ねぇからなぁ

【大振り、正確性、いずれも低い攻撃、しかも武器に頼った攻撃ならこれがいい】
【男が瞬時に上げた手、その手首からそれぞれ一本ずつのコードが体から素早く伸びる】
【それは男の意思に従い二本の釘バットに絡みつく、その拘束は硬く、また男の体に命中させない】

よっと、な

【そういうと男は一気に腕を前に振り下ろす】
【それに伴って動いた手首、そこから伸びるコードは釘バットを他の不良の方に投げつけようとする】
【だが投げる力は拘束力に比べれば弱く、もし握る力が強ければ釘バットを投げられずに済むだろう、だが足元不注意ならば一緒に投げ飛ばされるだろう】
【また投げるときに拘束が緩むため、その隙をつけば釘バットを自由にしてその手に戻すことも可能だろう】
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 22:09:42.53 ID:i4BYR/700
>>600
【――――事情は、何と無く飲み込めた。そして、此処で“事”が起きたとなれば警戒も十二分に行っていた】
【同僚は、仲間は果たして何をされたのか。穴から立ち上る煙を見れば――――匂いを嗅げば、察せる事】
【防ぐことも回避も出来ない閉所ともなれば、そのダメージは果たしてどの様なものになるのか。至る答えはそう難しくも無い】
【だが、果たしてそう易々と彼女がやられるであろうか?確かに見た目こそ幼い少女だが、先の立ち振る舞いを見ればその実力も確かな筈――――】

【ガラスの踏み砕かれた音が、少女を現実へと戻した。素早く横転すれば、取り敢えずは“隠し部屋”へと叩き込まれる事は避ける事が出来て】
【――――転がる制帽。乱れた髪。全てを只したならば冷たい色を浮かべた藍色の隻眼が、一颯へと向けられる事だろう】


「随分と派手に動ける怪我人も居るのでありますね。大したものであります。先ずはその身体をゆっくりと休めて――――――――」

【軍刀には手を掛けない。まだ決まったわけでは無く――――何より、殺傷は出来ない】
【しかし、半身の構えは“仲間”に対して向ける姿勢で無い事は確かであって】
【チラリと隠し部屋へ視線を向けたのは、未だ晴れぬ煙の奥を覗こうとするからであって――――】


「―――――とでも言うと思うでありますか?
一颯殿、まだ質問は続くでありますよ。…………貴方が直接レナ殿を叩き込んだのでありますか?
この匂い、良く嗅ぎ慣れた其れであります。此処までするその不良達が、貴方を此処まで動かせる状況で放っておく事こそ可笑しいでありますよ
――――もう一度、問うであります。貴方がレナ殿を?そして…………本当に、不良達については何も知らないでありますか?」

【軍人めいたその口調。問い…………否、尋問】
【自分を蹴り入れ様とした事は偶然で済ませられない出来事。何より、怪我人とは思えないその力加減】
【――――何故、ここまで動けるのか。そして、攻撃できるのか。答えは自ずと限られるであろう】
【未だ攻撃を仕掛けないが、避ける/防ぐ体勢はもう整えてある。つまる所、たった今一颯を“敵”として認識した証左でもあって】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/11/30(土) 22:10:48.29 ID:Dxq/3dgTo
>>602

ええ…………罠の可能性も十分考えられる。
…………気をつけなさいよ。

【佳乃は明音の呟きに、警戒を促す言葉を返す…………気恥ずかしかったのか、心配の台詞は目を見ずに発せられたが】
【この広い廊下には一見何もなさそうだが、これから調べる室内――――閉所というのは、罠を仕掛けるのに絶好の場所だ。注意しなければなるまい】

【明音が向かった『家庭科室』の中には、その名前の通り、コンロ付きの机が複数設置されているだろうか】
【だが、めぼしい調理器具はそれだけで、部屋の端にある棚の中には何も置かれていない】
【棚にも机にも、埃が積もっているのだが…………部屋の一番右奥にある机だけが、何故か妙に綺麗な状態だ】
【その周辺の床をよく見ると、何か粉末≠こぼしたような跡が残されているだろうか】
【更に、その机の更に右奥。この部屋の四隅のひとつに当たる部分には、何か埃や塵とは違うゴミが溜まっているようだが…………】

【…………と、ここまでの家庭科室の様子をその目にする為には、ひとつクリアしなければならない関門があって】
【もし家庭科室のドアを開けたなら、その瞬間、かちりという何かの作動音が響くだろうか】
【真上の天板がぱかりと開き、中から丸い何かが降ってくる。それが手榴弾≠セと理解できなかったとしても、危険だと直感することは出来るはず――――】
【何せこれは、今さっき佳乃と危惧していた通りの展開だ――――刹那、それは空気を叩くような爆音と共に炸裂、周囲へ鋭い破片を撒き散らす!】
【それほど強い火薬は使っていないようで、周囲に着火したりする恐れはなさそうだが、対処しなければ明音が危険なのは間違いない】

>>604

言うまでもないと思うけど…………あなたも油断しないでね。

【佳乃は蛍にもまた、明音と同じ警戒を促す言葉を掛け、調査に向かっていく…………これも明音と同じく、目を見ずに。この少女、相当の捻くれ者だ】

【さて、『講演室』の中だが。その名の通り講演などを行うため、二つ分の教室を繋げた大きなホールになっているようだった】
【そしてこの部屋には――――特に異質な物体が、残されているだろう】

【無機質な機械製の台座が部屋の壁に沿って五つ設置されており、その上で黒い人形≠フようなものが、背中にケーブルが突き刺さった状態で立ち竦んでいた】
【ひどく、不気味な人形だ。百八十センチはある細長い体躯に、胸・腰・前腕・下腿の四箇所が金属製の装甲で覆われ、背中にはバックパックのようなものが付いている】
【そして顔の中央で、巨大な眼≠ェ瞼を閉じている。いや、それが眼という確証は無いが、半円状に盛り上がった形状にその上を覆う黒いパーツは、否応にもそれを連想させた】

【――――それが、五体。人形の背中のバックパックに繋がったケーブルは、床に空いた直径十センチほどの穴へと繋がっている】
【周辺の床を良く見ると、床と同色の蓋を被せられて隠されているが、そこら中に同じ寸法の穴が空いているのがわかるだろうか…………】
【そして、例の音=Bちょうどこの床下…………つまり、この穴の先から鳴り響いている。音は小さいが、これまでと比べれば大きいと言える音量だ】

【その他に不審な点といえば、何かを引きずったような跡≠ェ、部屋の床の各所からドアへ向かって刻まれていることか】
【そのドアの付近には、階段にあったのと同種の傷痕≠ェいくつか残っている】


>>ALL

【…………それぞれが調査している最中、もし廊下を覗き込むことがあったなら】
【『第二理科室』の調査を終えた佳乃が、続いて『第二音楽室』へ向かう光景を目にするだろうか】
【まだもう少し、調査する時間は残っていそうだ。二人はいまいる場所をより詳しく探ってもいいし、別の場所に移動して調査してみてもいいだろう】

608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/30(土) 22:13:12.46 ID:T4rZpUPp0
>>601

【それぞれの目的が為に日々の営みを続ける人々。その前提が平穏であれ其れ以外であれ、数歩の距離で起こる騒乱には目を引かれるのだろう】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。 】

【群衆のなかふと足を留め、響く怒声のもとたる一角に瞳の向くのは、そんな形容の出来る人影だった】

【その目前で急転を迎える事態―――選んだのは静観。諫めるでも、知己として接する訳ですらなく】
【“今は、未だ”。青年が酔った男を罰することを止める心算はない様子で、一歩後退る人々から少しだけ際立つ態度があるだけだった】

【けれど、その息づかいは平穏のそれに遠い。事態の進み様次第で割って入る算段でもあるのか、全身が瞬発の溜めの様に撓められていて】
【或いは不躾ともいえるその視線に、当事者の何れかが気付くのが先だろうか? どの道、少女の側には“この先”を待つ以外無いのだが―――。】
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/30(土) 22:21:03.51 ID:fjjYOAkyo
>>603

「なーんてことを――――」

【その瞬間、如月はパッと手を離した。ヒラリと羽織が落ちるだろう。】

「――――言ってみる。」


「冗談だ。二三言葉を交わしたぐらいでわかるもんか。それに、」


【ぎしりと相手の堪忍袋の尾が音を立てた気がした。今ここに観客がいたのなら、きっとその喧噪は静まり返っていたに違いない。】
【今男から迸る闘気は、並の物ならそれだけですくみ上がらせるほどであった。】

【こと、青年と如月の戦闘。始めからそこには有利不不利が存在している。これはなにも特別な物ではなく、】
【見た瞬間に、二人が対峙した瞬間に分かることだ。武術や格闘のセンスの無い素人でも一目瞭然。】
【身長160cm少々、身に持つ筋力は多くなく―――――そして、女性。】
【絶対的な「力差」「対格差」というものが、青年にとって剣として、如月にとって枷としてそこに存在している。】

【青年の姿が突如としてその場から消滅した。と同時に、次の瞬間にはもう目の前まで間合いをつめられていた。】
【この間、如月は動くことが出来ずにいる。虚をつかれたため、その場から逃げることが出来なかったのだ。】
【肉体的体力的なハンデ、そして相手に先手を取られた状況―――――――――――「詰み」である。試合なら勝負ありの声がかかる瞬間、】

【その瞬間――――――――――如月はひょいと片手を差し出した。】


「―――――――――――――――理解(わか)られたくもないんだろう。」


【ドゴン!!!!】
【轟音が響く。もしも青年がそのまま手を止めなかったのならば、彼の拳は壁を大きく砕くことになるだろう。あまり硬質な物ではないらしく、拳へのダメージは皆無である筈だ。】


「はは、こりゃ末恐ろしい。なるほどこの威力で殴られたらひとたまりも無い。」


【如月は顎を上げて自身の真上に空いた大きな穴を見つめていた。ぽろぽろと崩れた壁の破片が頭に降り掛かる。】
【見えただろうか。】
【手の甲が、青年の肘にぶつかった瞬間―――――僅かに跳ね上げられ、巧みにその軌道をずらされたことに。】
【一瞬の接触で、ほんの少しの力を加えることで上方へ―――――。】


「さて……」

「少々聞きたいことがあるんだがね青年くん。あ、その前に名前を聞いておこうか。ちなみにボクは如月。「元」カノッサ機関、今は流浪だ。」
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 22:29:11.04 ID:Dxq/3dgTo
>>606

「へぇ…………ありますあります煩いだけの、見掛け倒しかと思ってたけど。キミ、結構鋭いんだねぇ――――」

【自分の蹴りを回避したオラークルに、一颯は驚いたような声を出す…………が、その顔には驚きの表情は浮かんでいない。想定内とでも言いたげだ】
【そう言いながら、一颯はバックステップで後退して距離を取るだろう。脇腹には血が滲むどころか服も破れておらず、怪我など最初からしていなかったようだ】
【彼が心底楽しそうな視線をオラークルへと向けると同時、周囲の空気の流れが不規則に変動し始めるのがわかるだろうか――――】

「でも――――これはどうかな!?」

【そして次の瞬間、金属音じみた鋭い風切り音を立て、銀色の風≠ェ室内に吹き荒れる――――!】
【放たれた攻撃より、むしろ場所が厄介だ。この狭い室内、風という境界の曖昧な攻撃を回避するには少しばかり狭すぎる】
【かといって隠し部屋に逃げ込む、のも得策ではあるまい。まだ爆発物が仕掛けられている可能性もある】
【教室内に明確な安全地帯がない――――能力の特性をよく利用した、敵ながら巧妙な攻撃だと言えるだろう】

【…………もう少し、その攻撃の威力が強ければ。それは確かに効果的な攻撃といえたのだが】
【この風の銀色の部分に触れると、切り傷を負ってしまう。しかしそれは、皮膚の表層を浅く切り裂く程度の小さなもので】
【全身を切り刻まれればそれなりのダメージになるだろうが、オラークルが何らかの対処をして威力を軽減すれば、対して行動には影響しないレベルだ】
【範囲が広く完全に回避するには難易度が高いが、しかし防御であれば簡単だろう。それは殺す気がないのか、それとも…………?】

「それじゃあボクは行かせてもらうよ。ばいば〜い、マヌケなお嬢さん♪」

【そして、この攻撃の正否に関わらず。一颯はその笑顔の中に嘲りと侮りを貼り付け、軽く手を振ってオラークルへ侮辱の言葉を贈ると】
【彼女の言葉には結局まともな返答を寄越さないまま、素早く部屋を出て左折していく】
【その後の足音からして、すぐ近くにある階段を上がって三階へと駆けて行ったのだろう。ちょうどマルバスが向かった方向だ】
【…………近くに隠れていたのだろうか。何やら青い顔をした、坊主頭にサングラスを掛けた不良がひとり、慌ててその後を付いていくが…………】


…………げほっ…………。
すまない、やつをかんし≠オていたはずが、ぎゃくにしてやられるとは…………ふかく≠セ。
わたしは、しばらく、うごけそうにない…………やつをおえ、オラークル…………!

【――――と。隠し部屋の中から、ふらりと小さな人影が姿を現す】
【新手…………ではない。あちこちに血が滲んで焼け焦げてはいるが、その服装と幼い顔立ちは、紛れもなくレラのものだ】
【爆発に巻き込まれはしたものの、何らかの方法で凌いでみせたらしい。とはいえとても戦える状態ではなく、無線機も破壊されてしまったようだ】
【レラがずっと一颯と共に居たのは、心のどこかに彼への不信感を残していたからのようだったが…………あちらが一枚上手だったということだろう】

【床に座り込み、レラは悔しそうに顔を歪めると――――残る任務を、オラークル、そして上にいるマルバスへと託そうとするだろう】
【彼女を裏切り、こんな状態にした張本人の鳴子一颯はいま、階段を登りきってすぐの場所にいる――――】


/続きます、レス順が上下しているのは意図してのことですのでお気になさらず!
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 22:31:18.48 ID:Dxq/3dgTo
>>605

「な、なんだコイツ――――!?」
「う――――うわああああああああッ!!?」

【完全に不意を突いた…………そう確信していた不良たちは、マルバスの反撃の一手に逆に不意を突かれ、それに対応できず】
【釘バットを巻き取る怪しげなコードに二人は大層肝を冷やし、精神が揺さぶられたことでせっかくの身体強化≠煢けて――――】
【それでも意地でバットだけは放さなかったのが、逆に悪い方向に働く。コードの力に負け、二人は残る不良の元へ大きく投げ飛ばされるだろう】
【…………だが】

「ぐ、っ…………おい、しっかりしろ!!」
「クソッタレ、俺達を舐めんじゃねえぞ…………!!」

【残る三人の不良の連携が、また鮮やかだった。ひとりは何かスライム≠フようなものを召還し、投げ飛ばされてきた仲間を受け止め】
【二人はマルバスへ両手を翳したかと思うと、突如岩の壁≠ニ半透明のバリア≠ェ出現し、廊下一杯にバリケードを作って彼らとマルバスとを分断するだろう】
【この学校の生徒は、ひとり残らず能力者だ――――それ自体は、驚くべき事でもないのだが】
【クッションを作り出す能力者に、防壁を作り出す能力者。彼らにとって都合のいい能力者がこの場に三人…………果たして、偶然なのか】

「へ、へへ…………やっぱりあの人の言うとおりにしてりゃ、俺らは…………!」
「ぼさっとすんな! 行くぞ!」

【彼らはバリケードで時間を稼ぐと、決して下手に反撃しようとはせず。仲間の肩を支えたまま素早く階段を登り、屋上≠ヨと駆け込んでいくだろう】
【先程の罠≠熨Rり、この人員配置も然り。そして、この彼我の力の差をよく弁えた引き際…………ただの不良のやり口にしては、余りにも鮮やか過ぎる】
【この襲撃を企てたのは、果たして本当に彼らだったのか――――?】



【…………そして。五人の不良が屋上へ飛び込み、彼らの能力による壁≠煬力を失って霧散した直後】
【二階から、一颯がひとりの不良を連れて駆け上がってくるのが見えるだろうか】

「こっちはひとり捕まえました! 後は今の奴らを追いましょう!」

【少年は不良の腕を強く掴んだまま、そんな事を言う。当の不良の方は何やら青い顔で俯いているが、体や服装に全く傷は見当たらない】
【一颯は視線で○○を促し、その不良を連れたまま屋上行きの階段へ足を踏み入れようとするのだが――――】

【――――鳴子一颯が裏切ったという事実を、マルバスはまだ知らない。その言葉が姑息な言い訳であることに、気づけるかはわからない】
【一颯の言動と彼が連れている不良には、確かに不審な点がある。そこを見逃さなければ、ここで「裏切り者」を食い止められるかも知れないが…………】
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/30(土) 22:31:59.78 ID:nMnXuAd40
>>608

お前が……お前みたいなやつがのうのうとのさばって…………あぁっ!!
はぁっ……ふっ、ふざけるな……ふざけるな……!!

【周囲の人目や状況の事など、恐らく今の青年――――アルクの頭には無いのだろう】
【何らかの感情の激昂が渦巻いているらしく、威圧する様に重いものだった怒りの色が、激しく燃え盛る様なそれへと趣を変えていく】

……何も分からないお前に、もう光を得る為の目なんて要らないだろう……!
――――スーオー(闇)・ナコ(阻害)・イム(怒り)・ギル(レベル4)……『アイブレイク』!!

【先ほど、光の十字架に男を捉えた時の様に、アルクは口中で術式の詠唱を完成させ、杖を振るう】
【何が起こったのか――――目に見える現象として、特段変わった何かは起こらない。ただ、唐突に磔にされた男の、苦痛に満ちた絶叫が響き渡る】
【やたらと自由になる頭をブンブンと振るい、その目をきつく瞑りながら、ただただ叫び声を上げる】

……その手も足も、四足潰してやるッ!!
スーレル(光)・ジャン(放射)・イム(怒り)・ルー(レベル1)……『マジックレーザー』!!

【徐々に、その詠唱はもはや『詠唱』の域に留まらず、力の限り叫ぶような物へと変貌していく。その事に、アルク自身は気づいているのか――――】
【魔力によって形成されたビームが、男の両腕、そして両方の太ももを小さく穿ち、そして焼く】
【拘束された男の身体は、ピクリとも自由にならない。ただ出来る事は、全身に走る苦痛に叫び声を上げる事だけ。アルクの詠唱に迫る程の声量で】

……あいつがあんな目にあって、なんでお前みたいなのが平穏無事に生きてるんだ……おかしいだろう…………?
お前にも、味あわせてやるよ……さあ、まずは焼く所から始めるか……!?

【段階を踏んで、凄惨さを増して行く状況に、ついに野次馬たちも耐えきれなくなってか、それぞれの形で行動を起こす】
【目を逸らして足早に去っていくもの。それに留まらずに逃走するもの。アルクを止めようとして、しかしどうしてよいか分からずにまごつくもの――――】
【さらなる詠唱を続けようとするアルクと、止めどなく叫び続ける男を残して、場の人気は急速に散っていく――――】
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/30(土) 22:36:02.06 ID:2R8rLPTWo
>>607
【行動を開始した瞬間、自らの身に迫る大きな危険】

「……っ!!」

【学び舎という場所に、危険な罠は存在しないようにと、願った】
【願いはしたが――だからこそ、罠への警戒は非常に強いものであった】
【罠への危惧が功をなし、突然の襲撃にも身体は素早く反応する】
【殺意に直面するのはなれたようなもので、三雲は投下されたものが手榴弾だと瞬時に理解するほどに冷静であった】

【焦って闇雲に身体を動かすようなことはせず、その場にどっしりと構える】
【深く吐き出される呼吸とともに、三雲の身体から紅い炎が吐き出して、爆弾を包み込む】
【活力の練り上げ、力の圧縮――爆発物が落下するまでの数秒間に、全てをやり通した】

【三雲が瞬時に作り上げたのは、何重かに重なった炎の衝撃】
【作成の難易度はともかく、やや力任せで消耗が重い。 とはいえ、今日はじめて扱った能力だと考えれば、ちょうど良い準備運動になっただろう】
【爆発を避ければ、三雲の作り上げた炎は小さな虫が飛び立つように無数の火花が飛んでいく】
【力の解放で浮かんだ額の汗をぬぐうと、落ち着いて家庭課室の中を散策しだした】

「敵は……本気のようだな。 ある種、生徒に大きな被害が出る前でよかったのかもな……」
【最も、少なからず被害は出ているのだろう。 たとえば、不良グループの何人かだとか……】

【一通り部屋内を観察しただけでは、核心に近づくような情報は見つからない】
【三雲は、怪しげな右奥の机についてさらに詳しく散策する】
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 22:39:07.96 ID:Vk+vWhm+0
>>607

なっ、こいつは……。

【講演室に入ってすぐに、ただならぬ景色が蛍の瞳を射た】
【――眠るように台座の上に鎮座した、胡乱極まりない風体の人形が、そこには並んでいた】

【機械と肉体がねじくれて融合したが如き造形に、蛍は何とも言い難い嫌な感じを覚えて、唇を真一文字に結び】
【本能的に、そいつの『眼』の直線上に立たないようにしながらも、一番手近なものに接近を試みるだろう】

(ケーブルの長さからして、動きまわって殴りかかってくるようなものには思えないけど……)
(最悪のパターンのひとつは、あの人形の材料が実は……って奴だね)

【人形に動く様子が無いのなら、まずその材質や、武装の有無を確かめるだろう】
【臍の緒じみたコードで何かに繋がれているこれらだが、現時点ではどちらが『電源』かわからない】
【また、この部屋にも傷跡は残っているようだが、これと関係はあるのだろうか?】

【それから蛍は、ケーブルが繋がっている床の穴に気づく】
【数カ所のカバーを取り外すと、彼女はその暗い深淵を安全に覗きこむため、手元に小さな光球を作り】
【そのまたたきを頼りに、息を殺して床下でうごめくものの実態を捉えることを試みる】

(爆発音!? まだ修羅の巷ってほどマズイわけではなさそうだけど……心配だな)

【壁を貫いて聞こえてきた、火薬が弾け爆圧が迸る音を遠くに聞きながらも】
【今は心を殺して、これから起こるに飽くまでも集中するのだ】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 22:53:12.85 ID:3znSFkCjo
>>609

【青年の身長は170cm程度───平均的な身長、そして体重】
【更に筋肉質でも何でもない、そう、とにかく何もかも平均的で上も下もない、そんな体型なのだ】
【そんな体で、まさか壁を殴り壊せるだなんて、誰が思うか】
【能力も何もない、唯の拳、それも素手で】

………!

【しかし、それは如月の顔面を叩き潰すなんて事は出来なかった。僅か一瞬触れられた事は彼にも理解出来たが】
【しかし逸らすという行為を感じさせない程に自然に逸らされた拳は壁に減り込んでいて、それを視認してからようやく何が起きたか理解した】

【自己紹介だと?この後に及んで何を言っている?】
【理解が出来ない、何を聞こうと言うのだ、名前を知ってどうすると言うのだ】
【どうせここで死ぬのに、殺されるのに───】

───ヘリオス……

【───「悪を滅する正義」】

【冥土の土産に教えてやる、カノッサに身を落としていた人間に、光へと登る間も無く地獄へ叩き落す】
【ぐ、と僅かに足を踏み出し、体重を移動させて、壁に減り込んだ拳を握り締める】
【そして、振り下ろす。粘土に突き刺したナイフをそのまま下ろすような物で、壁をガリガリと砕きながら、その拳は鉄球めいて一気に落ちる】
【こんな乱暴なやり方、例え武器を使用したとしても武器は痛むだろう、それが何も防具のない拳なら、痛む所の話ではない】

【しかし、容赦や躊躇い無く、正義を執行する為には犠牲は当然だ。例え自分であろうと───】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/11/30(土) 22:57:36.72 ID:rmCYopMUo
【レイリスフィード学園、高等部校舎1F】
【学園祭で多くの人が行き来する中、疲れた顔で植え込みの縁に座り込む16、7の少女がいた】

はぁ…………何かイベントがあるって言うから来てみたら……失敗だったかしら……人多すぎよ……
――――でも、いつもの格好にしなかったのは正解だったわね。

【プリントTシャツに丈の短い黒のダウン、デニムのショートパンツを穿いて】
【足は黒のタイツで包み、ムートンブーツを履いている】
【腰まである長い銀髪の上には、キャスケット帽が乗っていて】
【普段は鋭いのであろう蒼の瞳は、今はどこか疲れた様子】

【更に、右腰には一振の短剣。そこからは僅かながらも魔力が滲んでいて】

この人混みであの格好じゃろくに動けなかったわね…………
……って言うか、何で私が狐を連れてウロウロしなきゃいけないのよ

『――仕方ないでしょう、あなたの傍にいるように言われたのですから。』

あー……わかったからちょっと黙ってて……狐のぬいぐるみが喋ってるとかかなり目立つから……

【更に付け加えるなら、キャスケットの上にはデフォルメした白い狐のぬいぐるみのような、何か】
【よく見れば動いているのだが、そこまで気にして見ている人はいないようで】

【―――ところでこの少女、水の国で行われた大会で見た事がある者もいるかもしれない】
【服装は今とは全く違うけれど、長い銀髪や鋭い蒼の瞳、そして腰の短剣――――】
【良い結果を残したわけではないが、試合中にかなり目立つ事をやったものだから】
【印象には残っているかもしれないが――――やはり格好が違いすぎているわけで。】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/11/30(土) 22:59:29.69 ID:xQ/C2MSEo
>>611
んー、多人数って言うのはなかなかに数の暴力的に強いものだな

【そういうや否やコードを巻き取る】
【その直後に出現する壁、廊下を防ぐそれは普通に壊していれば間に合わないだろう】
【不良にしてはこの手口はおかしい、だが】

【だがこのままというわけにも行かない】
【マルバスは無線機を取り出そうとする、が、妙につながりにくい】
【下の方で何かあったからか、それは分からないが、下のほうも大変なようだ】

しょうがねぇ、か?

【男はそう呟くと窓を開けて身を乗り出す】
【それと同時にその服の背中を裂いて現れる、一対の翼、いや、それは翼というには硬質で、冷たい】
【そして窓から飛び降りようとした、そのときだった】

ぁああ?

【唐突に声を掛けられ振り返る】
【そこにはあの少年と不良】

……あ?捕まえた?

【それのどこが、不機嫌そうにマルバスは言い放つ】

本性表しやがったか、な、な……なるこ?

【名前が一瞬つまり、結局しまらない】
【男がそう思い至ったのには理由がある】
【まず一つ、自身が苦手なタイプだからだ、苦手だからこそ、相手の特性は分かっていた、相手の強みはその口だ、平然と、嘘をつける口】
【二つ目、さっき爆発に巻き込まれていたとき、少なくとも苦しげに倒れていたはずだ、教室の前を一瞬通っただけだから人違いかもしれないが】
【だからさっきからさほど時間も経ってない今、しっかりと立って、無傷な、拘束すらしていない不良を引きずってくる、それはおかしい、かもしれない】
【三つ目、さっきの集団だった攻撃、さらに時間稼ぎといわんばかりの行動、そう、彼等は行動する上で他の頭脳が必要だった】
【しかもこうも狙って起こせる、つまりその"頭脳"はこちら側にいるということだ、その中でこの学校にいるのは、鳴子だけだ】
【四つ目、野生の勘】
【五つ目、鎌かけである】
【こう考えてみればなかなかにアバウトな理由である、しかも一瞬でそう思い至ったのは野生の勘のおかげであるほうが非常に高い】

【屋上へ向かう道を防ぐように、背中に生えた機械の翼を広げたまま、男は鳴子を見下ろす、見下すといったほうがいいかもしれない】

あー、しまんねぇな、深く考えるのは苦手なんだよ

【チラッと屋上の方をみたあと、そういえばオラ…オラなんとかはなんで来ていないのだろうか、そう思い至った】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/11/30(土) 23:00:37.67 ID:Dxq/3dgTo
>>613

【明音の機転と能力により、ひとまず手榴弾の危機は去った。続くトラップも…………どうやら無いようだ】
【これでようやく、《家庭科室》の様子を調べるのに集中できるだろうか】

【部屋の右奥、机の周辺。床に散らばっている粉末をよく調べてみると、それが小麦粉≠セとわかるだろうか】
【それの状態を見る限り、どうやら比較的最近に床へ零されたものらしい。意図的なものかどうかは、不明だが】
【しかし仮に、これが偶然落としてしまっただけのものであれば。そんな失敗をやらかす状況なんて、限られている】

【また、床の四隅にあるゴミをよく見ると、微量ながらスナック菓子の滓≠ェ落ちている。これも最近落とされたもののようだ】
【この時床をよく見ていれば、気づくだろうか。机を囲むようにして、状態の新しい小さな傷がいくつか付いている】
【例えば――――椅子を引きずったりすると、こういう形の傷が付くかもしれない】

【そう、この家庭科室…………一言で言えば、生活感≠ェあるのだ。まるで最近まで、誰かがここに住んでいたかのような】
【部屋の中に血痕などが見当たらないのを見ると、誰も立ち入っていなかったようだ。トラップを仕掛けたのは、恐らくここに居た誰か≠ゥ】

>>614

【明音に向けられた爆発は、無事に凌がれた。だから今蛍が心配すべきは――――自分の身の方だ】
【蛍が、床にある蓋を開けて中を検分しようとした瞬間。その奥できらりと何かが光るだろう】
【次の瞬間…………その中から三〇センチほどの鋭い棘≠ェ突き出し、蛍に襲いかかる!】
【もし蛍が深く中を覗き込んだりしていた場合、目を貫かれる恐れすらある。回避しなければ危険だ】
【この床の穴、どうやら侵入者を排除するための、巧妙なフェイクだったようで】

【その代わりに、室内にある引きずったような跡≠フ出所を辿ったなら。その先には周囲の床と色が違う区画≠ェある】
【長年使い続けた棚などを動かしてみると、その下の床が新しい状態のまま残っていることがあるが…………まさしくそれと同じ様子だ】
【そこにあった何かを、最近移動させたということか――――?】


>>ALL

【そうして、しばらくした後――――佳乃が調べているはずの『第二音楽室』から、明音の時と同じようなくぐもった爆発音が響き渡る】
【その音が止んだ後、うんざりと言った顔で佳乃が廊下へ出てきて、再び全員に召集を掛けるだろう】

ダメね…………二部屋とも、何も置いていなかった。
ただ、床に変な跡のようなものが残っていたのと、しゃらくさいトラップが仕掛けられていたわ。
やっぱり、ここを誰かが使っていたのは間違いない…………それも、調べられると困ることをやっていた、ということでしょう
…………それじゃ、次はそっちの報告、お願い。

【制服のスカートが少々裂けてしまっているが、トラップ自体はうまく回避したらしい。特に怪我はなさそうだ】
【佳乃が調べた二部屋にも、《講演室》と同じく引きずったような跡はあったが、特に収穫はなかったらしい】
【それだけ報告した後、佳乃はまた全員に報告を求めるだろう】
【ここまで、かなりの数の手がかりが発見されている。情報の整理も兼ねて、ここで何が行われていたのか推論≠ェあれば述べてみてもいいだろうか】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/11/30(土) 23:04:58.70 ID:i4BYR/700
>>610
「―――――――ッ
…………巫山戯た輩でありますね。――――――…………“Killing Fields”」

【風が障害となり、その背を直ぐに追う事も出来ず。舌打ちを一つすれば先ずは見逃すのだろう】
【眼帯を外し――――露わになるのは、銀の色。経文の如く浮き出る文字の羅列は不気味で、白昼であろうと耀きを放つその色】
【正しく、隻眼から双眸へと昇華したのだが…………隠されていた瞳は、見ていて気持ちの良い其れでも無く】

【実体があるならばまだしも風と言うのが実に厄介な物であって、防ぐ手立てもそう多くは無い】
【“左目”を片手で覆いつつ、床を見つめたならば――――奇妙な事に、亀裂が生じ始め。やがては一枚の壁と成すであろう】
【所謂サイコキネシス。床を剥ぎ、少しでも身体を斬り付けるその力を弱める為の物。チリチリと肌が削れ、場所によっては肉に到達するけれど】
【結果としては全てを防ぐことが出来ずとも、足は無事で済んだ事だろう】
【――――追える身体ならば、まだ十分任務を遂行出来る。当面の目標は二つ。レラの安否を確かめる事と、逃亡した一颯の追跡】
【所が――――…………】


「レラ殿、無事でありましたか…………
お言葉に甘えて追わせて頂くでありますよ。でも、その前に――――」

【傷を負っては居るものの、命に別状が無い様子を見ればほっと安堵の吐息を漏らすのだろう】
【心配事が一つ消えた。残るは一颯の逃亡を阻止する事だが…………直ぐに追うわけでも無く、取り出したのは無線機】
【音量を調節して、聞き手にもよく届く程に調節すれば、息を整えて】


「――――こちらオラークル・スティンガー。鳴子一颯が逃亡…………
正確には、鳴子一颯が件の不良の一味と判明。レラ殿を負傷させ、無線機を破壊した故代わりに私が伝えるであります
これより追跡を開始。そちらも発見次第“拘束”する事を願うであります
…………では、私も追ってくるであります。まだ、何があるか分からないでありますから…………コレはレラ殿が持って居るでありますよ」

【幸いにも一颯が向かった先は、仲間が居る筈だ。ならば追うよりも先に情報を伝え…………続いて、他の場所を探索しているグループにも伝える必要があると判断したか】
【短く話したならばレラの手元へと無線を置き、銀の瞳が一際強く光を放ったかと思えば一気に駆け出すのだろう】
【身体能力の強化。獣人や其れに等しい者達まで引き上げる事は出来ないが、人間基準で考えれば相当に早く】
【目指すは、逃亡した一颯。今は無線も無い故に罠があれば分からず突っ込む事になるが――――廊下を走り、階段を上り】
【全てが順調ならば、その姿を見ることが出来るだろうか――――?】
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/11/30(土) 23:13:15.19 ID:BNYUIR7n0
>>612

(…………ッ……!?)

【“目を潰す”―――――そうとしか聞こえない青年の罰に、傍らの少女は目を見開く。一瞬後に耳を劈く絶叫が、その刺激を現実に変えた】
【下され続ける痛みと破壊、悍ましい音色が幾重にも重なり意識を引き裂いた。青年の続ける言葉は意識に急速な緊張を生んで】

【轟音―――――― 一定の質量と過大なる速力の生む大気の絶叫、】

【風が吹き込む様に割り込む“なにか”の足音だと、耳で肌で青年は識るだろうか】
【その小さな影は彼の前方に踏み込むと、何処からか取り出した太刀、その白銀の刃を構えて彼に向ける。至近距離で、けれどその行動に伴う筈の敵意は空気になく―――――、】

……もう、十分でしょう。彼には抵抗する力もないし、そうするだけの気力だってない……
これ以上はただの拷問になる――――……アルク、お願いだから此処は引いて。
どうしても……これだけ他人(ひと)を痛めつけても収まらないなら、せめてその理由を教えて……。

【恐怖でなく、逃避でなく―――――他者の激痛を汲み上げた鈍く重い痛みの彩り、】
【そんな色合いを宿す橡色は、嘗て青年の見たものと同じだろうか。それは、破壊的な“力”の流れを滞らすには十分だろうか。】

【けれど反射的に刃を打ち払ったとて、彼女は反撃もしないし彼を傷付けない。そう感ぜられる程の絶対的な“静”が、ひやり首元に添えられるその刃には湛えられていて】
【恐らくは少なからず戦闘慣れしたアルクには、この“状況”が有力な刺激だと彼女は踏んでいたのだろう。或いは常の冷静さを取り戻させ、或いは激情から彼を引き戻すために。】

【だが、凄惨な過去を越えて生きる―――それゆえに絶望という静寂をよしとする筈の――彼を、何がここまで昂ぶらせるというのだろう―――――?】
【明らかに普段とは違う様子を見せる青年に、対峙する少女はそんな疑問と苦しみ、怯えにも似た予感に意識を横たえる。それが、言葉少なに希う “なぜ” を紡いだのだろう】
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/11/30(土) 23:25:03.44 ID:2R8rLPTWo
>>618
「大丈夫……そうだな、少なくとも身体の方は」
【合流した少女への気遣いの言葉は途中でとめるが、ふとのぞかせた瞳は少女の状態に不安げである】
【変わらぬ調子で話す少女をみれば、不安も徐々に消えていく】

「罠が仕掛けられていたことから分かることで、重ねて確認をするまでもないが……
 家庭課室には、菓子の食べカスが残っていた。 誰かが、ここで何かを企んでいたのは間違いないだろう」
【誰か≠ニ何か′定的なパーツが、大きく欠けている】

「誰か――誰かは、爆弾を手に入れられる状態にある人物だ。
 普通の学生とは考えられない……GIFT≠ニ接触していた人物か、もしくはGIFTそのものだろう」
【報告に、少しずつ私見を混ぜる】
【相手に伝えるというよりは、呟くような言葉】
【それは、どちらかといえば自分自身の中で情報を整理する意味が大きい】
「そんなことは分かっている……これじゃあ、何も進んでいない」

「じゃあこいつは一体、何をしていたんだ? ――人に見られたら困ること……
 けれど、不良だといっても……兵器を使うことに抵抗がないのか、ただの学生が?
 それも、GIFTの洗脳教育……ということか……」
【推論はどれも答えから遠異様に感じられ、決定的な情報が欠けている思い知らされる】
【それでも、何とか情報をつなげ合せようとして――結局は、あきらめることになる】

「そういえば……家庭課室に小麦粉が落ちていた。菓子は分かるが……小麦粉? 
 ここで料理でもしようと考えるか……普通、そんなことはしないだろう?」
【怪しいとは思いながらも、いまいち頭を扱うのは苦手らしく、ヒントに結びつける段階には至らない】
【助け船をもとめるように、幸徳井の方へと短く視線を向けた】
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 23:27:41.77 ID:Dxq/3dgTo
>>619 >>617

だめだ、わたしのもっていたおやき≠ェはかいされたいま、もうここでむせんは使えない…………!
気をつけろ、やつはそうとうなさくし≠セ…………わたしもおうきゅうそち≠すませしだい、すぐにおう!

【オラークルが無線に乗せた内容は、しかし誰にも届くことはない】
【レラの持っていた親機は、地理的に離れた《旧校舎》と《部室棟》を繋ぐ単純なパワーと、子機間の中継機としての役割を持っていたのだ】
【一颯が無線を破壊したのも、恐らくそれが目的だろう。通信を完全に分断し、情報の錯綜をもたらすための卑劣な策略だ】
【これにより、これ以降――――二人の持っている無線は全く意味を成さない。直接顔を合わせて連携していくしかないだろう】


「ひ、ひっ…………!!?」
「ちっ…………てっきりバカばかりだと思ってたけど、少しは頭が回るみたいだね?」

【一方、マルバスと遭遇した裏切り者≠ヘ――――】
【マルバスの勘によって企みを看破され、一颯が引き連れている不良が、思い切り怯えた様子でマルバスを見るだろう】
【その反応のせいで、もう弁解は不可能と判断したか。もはや侮蔑の感情を隠そうともせず、一颯は下卑た笑みを浮かべれば】
【最初の柔和な印象など、もはや欠片もない。なまじ顔立ちが整っているせいで、その台詞は余計神経を逆撫でするだろうか】

【――――ともあれ。マルバスが立ち塞がったことで足止めは成功し、ちょうど下から上がってきたオラークルも合流するだろう】
【これで、挟撃の形だ。上下から挟まれて、一颯と不良にもう逃げ場はない】

「おっと…………やるねぇ。けど所詮寄せ集めのキミらじゃ、このボクには届かないよ?」
「う、うわぁっ!!?」

【その筈、であったが…………一颯はあろうことか、仲間である筈の不良を踏み台として使った】
【まず隣の手すりを足場にして跳躍、次に不良の肩へ乗っかって高度を稼ぎ――――三階の廊下をショートカットして、屋上行きの階段までたどり着く】
【驚異的な身体能力に、何よりも常人離れした判断能力。それによって窮地を脱した一颯は、狂気じみた笑みを浮かべて二人を見下すのだろう】

【…………ただし、そうして屋上側の階段へ上ったのは一颯だけ。三階側の階段には、足場にされた不良がひとり取り残されて】

「ま、待ってくれ、オレも…………っ!!」

【このままでは捕まる、と思ったのだろう。錯乱した不良が冷や汗を飛ばしながら叫ぶと、周囲の風が歪み――――銀色の風≠ェ吹き荒れる】
【風の銀色の部分に触れれば切り傷を負ってしまうものの、それには行動に全く支障のない程度の小さな威力しかない】
【それを目くらましにして、不良は必死の形相で階段を駆け上がり、一颯へと追いつこうとするのだが】
【…………妨害を受けるまでもなく。「うわぁ!」という素っ頓狂な叫びを上げ、彼は階段に足を引っかけて転んでしまうだろう】
【それで集中が途切れたか、風は止んで――――パラパラと、銀色≠した細かい破片のようなものが、周囲に撒き散らされるだろうか】

「はぁ…………やれやれ、冷めちゃった。これが仕方ない≠チてヤツなのかな。
 その役立たずはキミらにあげるよ。ま、下っ端も下っ端だから大した情報も持ってないけど」

【そして鳴子一颯は、そんな部下の失態を冷ややかな目で見つめると――――がしがしと頭を掻き、失望の表情を浮かべた】
【上げていた前髪がはらりと垂れ下がれば…………茶色に近い色合いの、橙色の髪が振り乱されて】
【怯えた様子で弱弱しい声を上げるその不良へと…………濁った青色の双眸から、汚物でも見るような視線が放たれる】

/続きます
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/11/30(土) 23:27:51.71 ID:Vk+vWhm+0
>>618

【中を覗き込むために用意していた光源は、危機の察知にも役立った】
【その光を切っ先で跳ね返して閃く棘を蛍は素早く察知し、さっと身を反らしたのだ。】

……やれやれ、これが全箇所に埋まってると思うと、設置の苦労が偲ばれるよ。

【棘が引っ込んだのを見て蓋を閉め直したあと、この部屋の状況を再確認するだろう】
【異音はまだ続いているのか。バレやすい機械音を、トラップのためだけに立てていたとは考えにくい】
【さらに言えば、人形の背中に刺さっているコードや、色が違う区画の周辺の穴も含めてフェイクなのか】
【そして、床の擦り跡のこと――すべてを一通り調べ直したなら、彼女は招集に応じて】


>>ALL

みんな無傷みたいで何よりだ。
発見については、こちらも似たような感じだね。あっちは床の穴から棘が機械的に迫り出してくるっていう、手の込んだ罠だったよ。
置いてある不気味な人形自体はフェイクなんじゃないかって気がするけど。
わざわざアレだけのものを用意したってことは、時間的猶予があったってことだ。……案外、根深いのかもね。

【蛍が推測するのは、GIFTがこの学園と関係を持ってからの期間だ】
【能力者を矯正する機関であるということは、逆に言えば大なり小なり世界に不満を覚えている者のデパートでもある、ということで】
【その性質が、かなり以前から目をつけられていたのではないか、と。】
【――薄々察することができるだろうが、部外者である彼女は、学園側をちっとも信用はしていない。】

ああ、床の傷跡はあそこにもあったよ。辿った先には、滅多に動かさないものを運んだような跡もね。
講演室――そんなところに置く必要があるものって、何なんだろうか……。

【彼女はそこで、一度話を区切って、周囲の反応を待つだろう】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/11/30(土) 23:28:48.95 ID:fjjYOAkyo
>>615

【彼女が口を開こうと息を吸った瞬間、しかし吐き出される言葉は無かった。】
【相手の様子から分かる。間髪入れずに追撃が来る筈だ。如月はそう予測した。手を抜いて再び殴り込んでくるか、あるいは蹴りか――――】
【先ほどの大跳躍、そして接近。それらを考えると、身体能力は青年に軍配が上がる。如月に勝ち目も無かった。】
【それに、相手がまだ能力を隠しているとも限らない。そうなるとさらに戦力差は開く――――。だが、彼女は降参するそぶりも見せない。】


「…ははぁ、そう来るか。なら――――」


【青年が壁に食い込んだ拳に力を入れたその刹那、正確には前に重心を移動させて足を一歩差し出した時、】
【その「間」を如月の琥珀色の双眸は見逃さなかった。】


「――――ほいさっ!」


【右足で繰り出すのは、超低空の足払いだ。通常のそれとは異なる。普通なら少ないながらも「ダメージ」が与えられるのだが、】
【相手の足に真横から打ち出した如月の蹴りに威力は無い。直撃しても身体的損傷は負わないだろう。】
【しかし――――真髄は別にあった。狙いは此方だ。】
【「青年がかけた体重」が足を伝わり、爪先から地面に伝わる一瞬前に、その行き場を「無くす」――――すなわち、】
【青年が何の対策も講じなかったら「空気を踏んだ」かのような感覚に教われる筈だ。力を蓄えるための土台が作られるのなら、それより前に壊す。】
【攻撃の前に最初から足を払うのではない。攻撃の瞬間に打ち込む―――――すると、】
【「土台」が崩れるのみならず…本来そのために使われる筈だった力が行き場を失い――――】


「…――――ほらほら、そう力むと転ぶぞ。」

「っと、聞きたいことは他でもない。キミにとって正義とは―――っ!」


【だが、誤算も存在した。拳が僅かに如月の左肩に当たる。】
【たんと横にズレた。非力で打たれ弱い彼女にとって、普通なら耐えられそうな場合でも、ダメージを負うことは多い。】


「…あいたた、キミにとって正義とはなんだい。」
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/11/30(土) 23:30:55.68 ID:Dxq/3dgTo
「て、てめぇ…………ふざけんなよ! オレだって――――!!」


「ねー、フェルマン君…………大体ボクはさ、キミのその能力から気に入らなかったんだよねぇ。
 自分の風を操る能力が弱いから、風に金属片≠混ぜ込んで威力を上げてるんだったっけ?


 ――――ンなクソみてぇな小細工ごときで、オマエのカス能力と真の能力≠チてヤツとの差が埋まるとでも思ったかぁ?
 オマエがどんだけ無い頭回そうが、ゴキブリみてぇに無様に足掻こうが、所詮生まれつきのザコは何をしようがザコのままなんだよ。
 あー、興醒めだ…………もういいよ、オマエ。オマエみたいな無能が一時でもこのオレの下に付けたこと、せいぜいブタ箱で自慢でもしてろ。

 それじゃあねぇ――――ゴミムシ君とマヌケな正義の味方諸君♪」


「ひっ、い、イヤだ! 待ってくれ、待ってくれよぉ!!」

【嫌悪、侮蔑、嘲笑…………他人を貶めるためだけの黒々しい感情が、温厚だった筈の鳴子一颯の口から滲み出して――――】
【一颯は彼の絶望の表情を受け止めると満足げに狂笑し、その下衆な表情を今度はその場の二人へ向けると、屋上の扉の中へと消えていった】
【そうして、その場に残されるのは――――二人の能力者と、見捨てられたひとりの不良のみ】


…………こいつは、わたしにまかせろ。
おまえたちは、やつをおってくれ…………!

【その直後、下の階段からレラが上がってくるだろう――――その体は依然ボロボロだが、応急処置で歩ける程度には回復したようだ】
【上がってくる途中で一部始終を聞いていたようで、その表情には怒りと悔しさが色濃く浮かんでいて】
【レラは仲間たちの無事を確認すると、へたり込んだ不良を一瞥し…………瞳に涙を滲ませて、強く拳を握り込む】
【本当は自分も行って雪辱を晴らしたい。だがこの怪我では、かえって足を引っ張ってしまう。その無力感に、少女は打ち震えていた】

【そう――――いま鳴子一颯を追えるのは、この場の二人の能力者しかいない】
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/11/30(土) 23:34:09.76 ID:nMnXuAd40
>>620

お前も、焼かれる痛みを知れば良いんだ……そうすれば分かるだろう、今の幸せの意味を、その不確かさを……!
バル(火)・エル(集積)――――――――ッッ!?

【止めどない激情が、自ら更なる怒りを燃え上がらせる。それは更なる術式に形を変えて放出されようとしていたのだが】
【スペルの詠唱が途中で止まる。『それ』にアルクが気づいて、反射的に身を引きながら振り返った為に、中断されたのだ】

ぐぅっ――――ッ!?

【振り返って咄嗟に確認できたのは、向けられる刃。左手に携えた杖を思わず降り上げる】
【ガキィッ――――ギギギ――――と、太刀と杖とがぶつかり合い、摩擦を起こし、火花を散らす】
【喉元へと宛がわれた刃の内に、杖を挟みこんで致命的な事態を回避する――――やはり、基本的に頭脳派の多い魔術師にあって、その動きは見事なものだった】

……!? ぅ、ぁ…………八攫……柊……!?

【事ここに至って初めて、アルクはその存在を――――八攫が側にいた事を知る】
【向けられた刃の意味を、その言葉を、アルクは驚きと共に迎えて――――気がつけば、その驚きは坩堝の様な怒りを押し流していた】
【――――八攫の読み通りだった。止める為に刃を向けたその『横やり』で、アルクは多少なりとも冷静さを取り戻したようだった】

…………っ
……この男の失明は、永続するものじゃない…………1週間ほど、見えないだけだ……
……確かに、これ以上は無駄だ……っ、……っ

【光に磔にされた男を振り返りながら、アルクは埋まった怒りを吐き出す様にして、そう口にする】
【――――男の目が光を失った事は事実だが、一応の加減は成されていたらしい。その失明は時間と共に回復すると告げて】
【それでも、怒りを内に抱えていた所へ、男がちょっかいを掛けてきた事は、まだ腹に据えかねているのだろう。息遣いがまだ、乱暴だった】

……何でも無い、なんて言える状態じゃ……ないよね…………
手前のせいなんだけど、ここで立ち話って言うのも収まりが悪い……場所を変えさせてくれないか……?

【アルクとしては、あまり話したくはない事なのかもしれないが、事態が相当の異常である事は、その態度から悟られてしまっているのだろう】
【そう覚悟して、アルクは八攫に場所変えを提案する。場を改めれば、自分の荒れた理由を話すと言う事なのだろう】
【まだ話が通じる程度に落ち着きを取り戻してきたのは、進展と言って良いのかもしれない】
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/11/30(土) 23:55:34.81 ID:Dxq/3dgTo
>>621 >>623

食べカスに、小麦粉ですって…………?
…………普通なら、こんな場所で料理をしたりお菓子を食べたりなんて暢気なこと、しないわよね。

【明音のもたらした情報に、佳乃は眉根を顰めるだろう。この緊迫した場にそぐわぬ、生活感溢れるキーワード】
【ここで何か非合法なことが行われていたとして、そんな痕跡が残るようなこと、GIFT≠フ人間がするとは思えない】
【そこに、蛍の言う時間的猶予≠ニいう言葉を混ぜ込んで、佳乃はしばし考え込んで…………】

…………ここに立ち入ったのがGIFT≠セと仮定して。
こんな幼稚な真似をするような連中が、あのGIFTの構成員とは思えないわね。

つまり――――家庭科室を使っていたのは、まだGIFT≠ノ入り立てで学生気分の抜けてない不良連中、ということじゃないかしら?

【――――それは、ここまで出た情報をまとめただけの、単なる推測ではあるが】
【それが仮に本当だとすれば、「不良がGIFT≠ニ接触したか否か」を確かめるための今回の調査が、今まさに達成されたという事になる】

【…………悪い方向で、だが。GIFT≠ェかなり前からこの学園に潜っていたとすれば、接触したのは不良だけに留まらないかもしれない】
【そして、その不良が長い間GIFTの思想に触れて感化され、殺人兵器まで平気で使うようになったとすれば…………】
【この学園は、非常に危険な状態ある――――と、そう言わざるを得ないだろう】


どうやら…………予想以上に状況は悪いらしいわね。
…………とりあえず、講演室にあるっていう人形をもう少し調べてみましょうか。
いままで出た中では、それが一番確実な証拠になりそうだし…………。

【佳乃は長い睫毛の下に瞳を覆い隠し、胸中に渦巻く不安と焦燥を押し殺した後――――】
【いまもっとも怪しい人形≠ニ痕跡≠ェある講演室を、もう一度全員で調査してみることを提案するだろう】
【ここにいたのが不良連中だとして、では何が行われていたというのか。それを考えながら、佳乃はすたすたと歩き出して――――】

       【――――――――ジリリリリリリリリリリリリ!!!!!】


な…………何ッ!?

【周囲が静かなせいもあってか、一昔前の黒電話のようなベル音は、とても大きく聞こえるだろうか】
【佳乃は薙刀を構え直し、敵襲かと身構えるが…………自分のポケットの中で振動するモノに気づけば、少し顔を赤らめて】
【周りの者に顔を見られないよう俯いて、しかしちょっと申し訳なさそうに、佳乃はポケットから携帯電話を取り出す】
【マナーモードにしておけと彼女を叱っても、誰も咎める者はいないだろう…………】
【とはいえ例え怒られたところで、実は機械音痴でやり方がわかりませんとは口が裂けても言えない佳乃は、ただ無言で拗ねるだけだろうが】

【開いた携帯のモニタには、「鳴子一颯」という文字が着信を告げている。先程の通信でレラが話していた、《旧校舎》側の案内人の名前だ】
【少してこずった後、佳乃は見事通話ボタンを押して電話に出る。この静かな場所なら、この会話もきっと周囲の者へ漏れ聞こえるだろうか】

何よ、こんな時に…………そっちで何かあったの?
っていうか、無線で連絡しなさいよ。お陰でこっちはいらない恥を…………。

『…………佳乃、よく聞いて。手短に話すから』

一颯…………? 何よ?


『――――ぼくはさっきまで、二階の渡り廊下の前で自警団の人達を待ってたんだ。そしていま起きたら…………手足を縛られて、トイレの中にいた』


        『それから――――――――制服の上着が持っていかれてる。学園長から預かった、自警団の無線機ごと』


/続きます
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/11/30(土) 23:58:10.17 ID:Dxq/3dgTo

【佳乃の黒い双眸が――――その言葉の意味を察して、思い切り見開かれる】
【二人もその会話を聞いていたなら、佳乃の通話相手の男子生徒が言いたいことは、十二分に伝わるだろうか】

【今電話してきたのが本物の鳴子一颯≠セという事は、彼の幼馴染であるこの幸徳井佳乃という少女が、確実に保証できる】
【制服を、名札や無線機ごと持っていかれた。ならば、先程の通信でレラが合流したと言っていた「鳴子一颯」とは、一体――――?】

ちょっと…………! 応答しなさい! レラッ!!

【即座に懐から無線機を取り出した佳乃は、回線を繋ぐや否や、焦燥を露わにした声でがなり立てるが】
【冷静な彼女が取り乱し、無線機めがけて何度叫んでも、そこから帰ってくるのは無味無臭の雑音のみ。完全に、通信途絶の状態だった】
【ぎり、と。佳乃は大きく歯軋りをすると、電話口の一颯へとすぐに《旧校舎》へ向かうよう指示しようとして】

【――――冷たい機械音。そしてその後に続く強烈な発砲音が、その声を阻んだ】


が…………、っ!!?

【佳乃の体が、突然真後ろへ吹っ飛んでいく。持っていた携帯が衝撃で手を放れ、階段を転がり落ちていく音が、やけに大きく響き渡って】
【少女の矮躯は、受け身もとれず地面に倒れ込むだろう。先ほどの発砲音を聞き逃していなければ――――彼女が撃たれた≠フだと理解できるだろうか】
【講演室の扉から、銀色の腕がこちらに向けられている。小さく煙をくゆらせる銃口に、目を向けると――――】



 《カタ、カタ、カタ、》
           《カタ、カタ、カタ、》
                        《カタ、カタ、カタ、》
      《カタ、カタ、カタ》       
                    《カタ、カタ、カタ、》


【――――眼、眼、眼、眼、眼】
【顔面の殆どを覆い尽くす単眼、巨大なアイカメラをいまは見開いて。講演室にいたあの人形≠ェ、そこからゆらりと姿を現すだろう】
【絡繰り人形のように、《カタ、カタ、》と独特の動きをするその五体。その不気味なシルエットに、無骨な武装≠ェ埋もれていた】
【後ろの二体は、右腕の装甲に機銃を付けて。前の三体は、同じく右腕の装甲から刃渡り四〇センチほどのブレードを生やしていた】
【それらはぎょろりと輝く単眼を、鳥類のようにあちこち忙しなく向けた後――――ぐるりと、一斉にそちらを見て】


       《カタ、カタ――――カタ》
              《――――カタ、カタ》
            《カタ、カタ、カタ、カタ――――》


【――――次の瞬間、ブレードを付けた三体が突如腕を振り上げ、同時に疾走してくるだろう!】
【その三体は明音を無視して、全員蛍へと襲い掛かっていく。二体は彼女の首と胴にそれぞれ刺突を仕掛け、最後の一体がその間に後ろへ回り込もうとするだろう】
【そして同時、後ろの二体が機銃を構え――――明音と、そして未だ地面に倒れ伏している佳乃へトドメを刺そうと、一斉に速射を開始する!】

【ブレードの威力は普通の刀剣と変わらず、速射の方も集弾性が悪い上に一発一発は拳銃レベルの威力だ。どちらも数だけは厄介だが、対処できない程ではない】
【また、もし反撃に出る場合、人形の胸・腰・前腕・下腿の四箇所が金属製の装甲で覆われているのに留意すべきだろう。他の部位を攻撃するのが効果的だ】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/01(日) 00:08:56.30 ID:prj7OP4No
>>624

【ドゴォン!!と、物凄い重低音が響く】
【結果的に言えば、端的に言えば、簡単に言えば、それは面白おかしくもあり、馬鹿らしくもあった】
【人が転んでそのまま顔面強打だなんて、見て見ればお笑いだ、拳が壁を砕いた後は真っ直ぐに地面にまで到達しながら、砕いた拳は腕となり、うつ伏せに倒れた彼の体まで繋がって】
【普通に見れば、笑えてしまうような格好で倒れた彼は、しかしそれを許さないくらいに殺気に溢れている】

───正義とは何だ、だと?

【倒れたまま、うつ伏せになったまま、まるで人形のように硬直したまま、質問を言い返す】
【言葉を発した後に、暫し沈黙の間、ゆっくりと立ち上がりながら、立ち上がると上体がゆらりと揺らぐ】
【顔からパラパラと落ちる破片と、一層に赤くなった拳───赤いのは返り血のみならず元から自分の血でもあったらしい───が不気味に主張し、まるでそれの異常さは次のセリフに収束される】

俺が、正義だ

【回答───なのだろうか?回答の定義を成しているとはとても思えない返答は、恐ろしいまでに本気だ】

【そして、攻撃の手は止まない】
【凄まじい勢いで如月へと一気に接近し距離をつめ、体制を低くして右半身を後ろへと捻った、ショルダータックルじみた体制から、そのまま突進するかと見せかけて目前で接近は止まる】
【砂埃を巻き上げながら止まった一瞬から、引いた右拳を捻り突き上げるようにして、アッパー気味の拳を繰り出した】
【空気が唸り、紅い眼が引いた残光が揺らぐ、狙いは水月、顎を打ち砕くよりも狙いやすい胴体で、威力の見込める部分を狙う】
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/01(日) 00:18:09.42 ID:g8NEFRRS0
>>626

【揮う刃は首元で留まる。予定よりも僅かに早く、けれど望み得る最良の成果を以て―――――、】
【自分を確認する彼の声が聴こえれば、柊は太刀を手元に返すだろう。彼の意識を引き付ける様に続く言葉、】

……ある人に会いに来てた、その途中であなたを見かけたわ。
普段とは随分様子が違ったけれど―――

【「……これ以上、言う必要もないわよね」。自分の言葉の拙さを詫びる様に小さく紡ぐと、苦笑めいた表情で言葉を切った】
【そして彼による術式―――アイブレイク≠フ説明を受ければ、小さく安堵の吐息を夜に溶かす。やはり、男の傷は気にかかったのだろう】
【だがそれが過ぎ去れば想うのは、そもそもの発端となった筈の出来事だった。尋常でない事は聞かずとも識れる、】

【……その先は、この場所で話せる様なものでないのだろう。怒りに震えるアルクの様子からも、彼女が割り込むまでの行動からもそれは窺えて】
【青年の与えた痛苦は十二分で、一週間が過ぎようと恐らくは消えない。肉の傷みが消えても、心からは。】
【それならば生じ得るふたつの激情に対し、この場で彼女が試みるべきは――――。】
【実行に移されるその挙動、】

(……、―――――――、)

【……暴漢に転じることの多々ある“彼ら”、それを封じるものは“力”だと。あっさりと路面に吸い込まれる刀身は、振り下ろす勢いのままに酔漢の首筋と肌をなぞって】
【恐怖――――怒りでなく、敵意でなくそれらを封じるための楔。特段必要とも思われなかったが、念押しの様に、肉を切り裂くことなく斬風が重みをかけた】
【それが終われば太刀を引き戻し、黄金の焔のうちへと還すのだろう。男を見て僅かに曇った表情はあったが、一瞬程度でそれも消して】

……ええ、それじゃ早く場所を変えましょう?
落ち着ける場所がいいわよね――――……出来れば人目に触れなくて、静かに過ごしていられる様な。

【多少でも青年の怒りを鎮める。酔漢の八つ当たりじみた暴力を予防する。ふたつの目的を果たそうとした、その攻撃的な行動を終えたなら】
【何処へでも彼の導くがままに、柊は歩みを重ねるのだろう。肩が触れるか触れないか。その程度の距離を保ちながら、静穏を取り戻そうとするアルクの歩調を想う様に、そっと、】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/12/01(日) 00:24:53.09 ID:Ahs5bcDho
>>627
「もしも、お前の推測通りだとすれば……もはや私達の手に負えることではないぞ。
 ……こんかい集めた情報を証拠に即刻学園を封鎖して……それから、本格的に自警団を投入するだとか、そういう対処が必要だろう」
【突然鳴り響く機械音――もっとも、三雲は音の正体が幸徳井の胸元だとすぐに気付いて、溜息を吐きだしてみせる】

「……どうした?」
【が、切迫していく幸徳井の姿に、すぐに表情を険しくする】


「……幸徳井!?」
【微かな気の緩み――瞬間、仲間の姿が消える】

【一瞬の深い呼吸とともに、緊張が極限まで張りつめ、三雲の腕の中には紅の槍が炎とともに化身する】
【ブレードの射線上に立ち、幸徳井の姿を庇うように背後に置くとやや身を低めに構えて攻撃にそなえる――】

「無事か、おい……っ――!!」
【背後に視線を送り状態を確認しようと首を半ばまで捻るが――迫りくる殺意に、行動は遮られる】
【短く舌を鳴らすと、五感を研ぎ澄まして迫りくるブレードに刃を構えた】

【刀剣には威力があるが、精度もまばらで弾道は目で追える程度】
【その数だけがネックとなるが――三雲は奥歯を噛みしめて、自身と幸徳井に迫る刀剣を打ち落とし始める】

「……はあっ!!」

【気合いの掛声とともに、三雲の精神の強さを具現化した炎が現れる】
【それは単なるプラズマではなく、生き物が動く活力そのもの】
【肉体のバネ、身体を働かせる体力へと変換され――大量の刀剣を、ギリギリのところではじき落としてく】


「……ッ」
【しかしながら、間髪なく訪れるブレードの嵐の中ではジリ貧状態に誘い込まれる】
【わずかに反応に遅れたブレードの一本が三雲の腿を切り裂き、ぱっくりと裂けたストッキングからは、黒い血が滲みだす】

「っ……やぁ!!」
【痛み≠ニいう感情の昂ぶりにによって、強烈な炎の障壁を一瞬形成】
【ごく僅かできた猶予に身体を素早く動かすと、足もとに落ちていたブレードの一本を拾い上げ、
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/01(日) 00:31:26.08 ID:lQfSqAhIo
>>622>>625
あ、本当にそうだったのか

【と、間の抜けた返事、さっきの様子はどこに言った、そういわんばかりの声】

【そして一連の様子を見て】

んー、なんつぅか、捨て駒って奴か?

【一瞬取り残された不良に憐憫めいた視線を向ける】
【だがすぐに屋上の方に目を向ける】

っと、おわねぇとな

【難しいことはよく分からん、だが今はそうするべきだとわかる】
【しかし走って追いかけたところでどうせまた何か待ち伏せされているかしているだろう】
【二度も同じ手は通用しないと思いたいが、こっちもなんとかしたいものである、相手の意表をつく方法】
【そうして、思いついた、もっとも相手も想定のうちだろう、が】


>>619 オラークル さん

ちょっとすまねぇな嬢ちゃん、抱えさせてもらっていいか

【男はオラークルに、そう声をかける】
【背中には硬質で冷たい鋼で出来た翼、いや、機械の翼】
【先ほどまではなかったそれを未だに出している、その意味を把握できるかどうか】

【もし抱えてもいいといわれたのなら男はオラークルを抱え、そして窓から飛び降りるだろう】
【当然、そのすぐ後に翼を広げ飛行し、屋上へ向かうのだが】
【もし拒絶されても、男は一人で空を飛んで屋上へ向かうだろう】
【幸いここは旧校舎だ、わざわざこちらを見ている生徒が大量にいるとは考えにくい】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/01(日) 00:40:59.61 ID:aM0omckU0
>>630

……なるほど。間が良かったのか、それとも悪かったのか……
…………ッ

【たまたま用事があって、その道すがら通りがかった――――その為に、この様な現場に行きあたってしまったのは、容易ではない出来事だろう】
【それを幸運と表現すべきか不幸と表現すべきか。アルクはそんな事を口にして、尚も自分の冷静さを取り戻そうとするが】
【その刹那、何かが意識の端を掠めたのか、表情に苦いものが走った】

…………光を失ったこの1週間の間、こいつは自分の愚かさを噛みしめるんだ……深く、深くな……

【その成否は不明だが、もしかしたらアルクは、その気になれば男を完全に失明させる事も出来たのかもしれない】
【この『1週間』という時間は、正にアルクが男に化したペナルティタイムだったのだろう】
【まだ後ろ髪引かれる思いがある様だったが、それを振り切る様に強引に背を向ける】

【――――八攫の『念押し』と前後して、男を拘束していた光の十字架は霧散し、男は解放される】
【目の見えない恐怖と、両手足を貫かれる激痛、そして今しがた送り込まれた『楔』に、男は震える事しか出来ない】
【その場に身を投げ出して、ただ身体を震わせる男。そのうち、おせっかいな野次馬の1人が、そんな男を介抱して立ち去っていく】
【恐らく、適切な治療も受けられるだろう。アルク自身はその事をどうでもいいと思うのだろうが――――とりあえず、命に関わる事態にはならなかった様だ】

……手前の宿泊している宿がある……その部屋へと戻ろう…………

【人目につかずに、静かな場所。アルクの心当たりはそこしかなかった】
【確かに、邪魔なども入らないだろう個室。そこに戻る事をアルクは提案する。そして八攫を伴って、アルクは足早に歩を進めていった】



【――――アルクの案内した宿は、ごくありふれたビジネスホテルだった】
【恐らく、仕事か何かの都合で風の国に来て、一時的に拠点として宿泊しているのだろう】
【ほとんど動かされていない室内の諸々のアイテムに、わずかに乱れたベッドのシーツ。ホテルと言う事を差し引いても、生活感の無い部屋だった】
【かろうじて、アルクの持ちこんだわずかな荷物だけが、そこに人の息吹とも言える色を添えていた】

――――『相棒』が、死にかけているんだ…………今の手前に出来る事は、何もない…………

【ベッドに深々と腰掛け、視点を床に落としながら、唐突にアルクはポツリと口にする】
【――――かつて「自分をかろうじて『絶望』の中に止めて、『虚無』へと墜ちる事を止めてくれた」と語る人物の危篤。アルクの言葉は、前触れもなく核心に迫る】

…………水の国、『アヴェロニア』での騒動を覚えているかい…………?
そこに、あいつは出ていって……負けたらしい。逃げ延びてきたあいつは…………もう、既に死にかけていた…………それ以上は分からない……!

【神波の宝玉≠核とした、機関と対抗勢力の騒動。そこで『相棒』は致命的な傷を負って帰ってきたと言う】
【口ぶりからして、アルク自身はその場にいた訳ではなく、それ以上の事は分からないのだろう】
【――――ただ、『相棒』へのアルクの想いを、かつて口にしていたそれを思い出すなら――――アルクがこうも荒れ、動揺するのも理解はされるだろうか?】
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 00:41:00.00 ID:SPMKQWQF0
>>622>>625>>632

【――――無線が届かない。即ち他の者達と連絡が取れないとなれば、頼れるのは自分の足】
【幸いにして走っても痛まない故にそのまま疾走を続け…………やがて見えた目的の人物を前に、息を切らせて立ち止まる】
【逃げ道を封じた筈だったが…………まさかの逃避行動には為す術も無く】
【そして、一颯にとっての“仲間”であった筈の人物…………その不良に対しての言葉が、己への其れでは無いのに少女の神経を刺激して】
【グッと握った拳。震えるのは怒りの表れか】


「何処までも人を馬鹿にした輩でありますね…………!
その顔、二度三度殴る程度では収まらないでありますよ……!!
驕り高ぶったその鼻をへし折る位しなければ、収まりようも無いでありますッ!!
――――寄せ集めの私達で出来ないか否か、確かめさせてやるでありますッ!!」

【二度目の舌打ち。しかし、見捨てられた不良を放っておく訳にも行かない――――そう思った時】
【背後から聞こえた声に振り向き。…………言葉を聞き取ったならば、小さく頷いて返す事だろう】
【勢い良く階段を駆け上り、扉に手を掛けるのも億劫だと言わんばかりに屋上の扉を蹴り開け様かと思ったその刹那――――】

【アムリタのその言葉。最初こそ意図が掴めなかったものの――――】
【なる程、よく見てみればその意味合いも理解出来る。了承の意を伝えれば抱えられ、その翼によって屋上へと到達する事だろう】
【さて―――― 一颯も何も考えずに此処へと至ったわけでは無いであろう】
【ならば、警戒を怠る事は出来ない…………が。先程とは異なり、今は二人。教室で対峙した時とは異なり、一颯を敵視する者が屋上に二人立つ事となる】
【少女の軍刀は抜き身の状態。刃こそ向けてはいないが――――】
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/01(日) 00:43:44.91 ID:mLrAJBhs0
>>627-628

【目まぐるしく変わる状況の中で、蛍の注意は一瞬、すべて電話口に注がれた】
【その僅かな隙を突いて、廊下の向こうから空を割るような轟音が響き――】

なっ、佳乃くん……あッ!

……あの人形だ! いつの間にあんな外付けの武器をッ、私が見た時には無かったっていうのに!

【1:5の戦闘を避けて、のちのち人形に対処しよう。そんな考えが、過ちだったか】
【冷酷な弾丸が佳乃を打ち据えるのを、蛍が止めることはできなかった。】
【自身への怒りに、彼女は我を忘れかけたが――】

(駄目だ、ここで道を踏み外しては。でなければ、何のために敗北の記憶とともに生まれてきた?)
(私は「かみ」としての信頼に応えられなかったのだ、せめて、人としては……!!)

佳乃くん。愚かな私を後で一発でも二発でも殴ってくれ。
……それができるように、この鉄火場は私達で切り開く!

【――彼女は決意と共にぎりりと歯を噛んで、現れた敵に冷徹な視線を突き刺すだろう】


≪ 夕星御霊(ゆうづつのみたま) ≫ …………


【能力の発動を澄んだ声で宣言すると、蛍の一歩前で小さな光の炸裂が起こった】
【それは後衛の二人には蛍自身に塞がれて見えないが、五体の人形にとっては多少なりとも見えるはずで】
【もし連中の索敵が視覚に依存しているなら、カメラを焼き付かせる光は脅威に違いなかった。】

【同時に、切り込んできた三体に対して応じる蛍のナイフが、光に包まれる】
【この部分には刃こそないが、生半可な強度の物体は溶断しうる威力――今風に言えば、ビームサーベルとしての効用があった。】
【彼女は――ああ、なんということだろう。まだ間合いではないというのに、それを腰だめに突き出す――】


     ―――――― 再演・布都御魂 =I!


【――――その瞬間、霊力を開放】
【光の刃を延長し続け、廊下の端近くまでを貫き通そうと≠キるだろう】

【恐らく、例の機体の動力は、装甲に覆われた胸部、或いは背中のバックパックに有る】
【であるならば、金属製の装甲を灼熱で融かし、光の刃で全機貫き徹す。それこそが彼女のねらいだった】
【彼女に接近しようとしていた機体は、そもそも接近する前に、この洗礼を受けることになるはずだ】

【もしこの攻撃で、相手の動きがある程度止まるようなら】
【重ねて安全を確認したあと、彼女は佳乃の元へと向かうだろう】
【相手が能力者を主力とする以上、量産が可能なロボットは時間稼ぎ――なんてことも、十分に考えられるからだ】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/12/01(日) 00:50:22.94 ID:rTQ+l2WGo
>>629

【倒れた相手を如月は無表情で見下ろしていた。琥珀色の瞳は様々な感情を讃えて深い色合いに染まり、】
【No.2を宿した羽織は裾に壁の破片が付いていた。青年が倒れた余波で、その破片が落ちる。】


「そうだ。キミがそこまで固執する正義とか云うもの……そりゃ一体なんなんだ。なにがそこまでキミを突き動かす。」


【今ので青年が堪忍するとは思えない。なにより如月も、無傷でないにせよほとんど負傷していないのだ。】
【相手もおそらく同様だろう。拳を切っていても殆ど行動に支障はないように見える。】
【青年が立ち上がった…それをやはり彼女はなんの感慨も持たず―――そのように見える様子で見つめてた。】


「……は…君自身が正義か。つまりこういうことか? 自分が認めぬ人間は全て悪。改心もなにも許さぬと―――」


【相手の接近。二回目だ。今度は先の速度を見ていたこともあり、如月は比較的余裕を持って対処することが出来た。】
【「反応」できたのだ。すっと体勢を整えると、右半身になって相手を睨んだ。下から突き上げるような琥珀色の目が、尾を引く紅と真っ向から相対している。】
【右拳がピッタリと正中線に付けられているのが分かるだろう。両足がそろわない陽子氏にゆとりを持たせていた。】
【―――互いの距離が肉薄した時、彼女ははっきりと言った。相手の足音に消されかけているも、それははっきりと響くだろう。】









「――――――――――くだらない。」








【タックルを受け止める―――――否。】
【フェイント。目に入る砂埃がそれを知らせた。となると次に飛んでくるのは、その隙を縫うような攻撃。】
【下から猛然と拳が迫り来るのを、如月は感じていた。フェイントでずらされたため先ほどの足払いは使えない。今度は自分の胴身体という大きな範囲が的になっているため、反らしても意味が無かった。】
【戦闘の「才」とでもいうべきものも、青年は持ち会わせているらしい。おそらくそちらでも上をいかれるか――――】

【しかし、】
【たった一つ、如月は絶対の自信を持っているものがあった。向こうが正義を信念とし武器とするなら、それと鍔迫り合うこちらの武器は―――】


「……―――っ」


【――――――返し技=B】

【アッパーを放つ相手の肘に自分の右掌を置き、重心を下へ。】
【置いた掌を跳ね上げつつ、右足で相手の右足の踵を掬おうとする―――――さらに左踵を相手の左足のすぐ後ろに置き、後退を阻もうとする。】
【アッパーの勢いのまま―――さらに「加速」して青年は一回転してしまうだろう。中空で回転しさらにその速度を増し、】
【如月はそこでグッと屈んだ。肘の高さに会った右手も同時に下がり、続いて青年が回転したことで額が同じ高さに来る。】
【―――――充分に加速させたまま、額をちょんと押そうとする筈だ。前方向の力がその一押しで全て「真下」に向けられ―――――】
【すなわち――――後頭部から地面に叩き付けられてしまうかもしれない。】
【下からの攻撃をそのままに、自分の力を「上乗せ」して超加速させ、回転をそのままに頭から地面にたたき落とす業、残月=B】
【青年の頭の軌跡と如月の右手は、一瞬のみ弧を描いた。次の瞬間には双方真下にあるそれは、一瞬雲間より現れた月が再び隠れるのと似ていた。】

【とはいえ、如月の思い通りにはるとは限らない。熟練の動きであったが青年の身体能力ならば、ひょっとすると何らかの対応を挟めるかもしれない。】
【どうなろうとも、青年に云うだろう。耳元ではっきりと聞こえるように――――】


「――――――――――――――キミは悪人だ。」
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/01(日) 00:54:21.12 ID:aM0omckU0
>>630>>633
/すみません、そろそろ限界です……
/明日以降へ持ちこしさせてもらってもよろしいですか? 明後日以降は置きレス以降になるかと思いますが……
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/12/01(日) 00:56:15.43 ID:gQpQ3uxSo
>>632 >>634

【マルバスの読み≠ヘ、正しい。先程一颯の裏切りを看破したときに続き、彼の勘は見事に一颯の策略を回避してみせた】
【二人が一颯と対峙するとき、マルバスはまだ空中に、オラークルは彼に連れられて屋上の地面へ降り立った形となるのだろうか――――】
【何にせよ、目の前の入り口ではなく空中を経由して屋上へ飛び込んだ二人が、最初にその視界に捉えるものは――――鳴子一颯、ただひとりの姿と】


                           《カタ、カタ、カタ、》
        《カタ、カタ、カタ》       
                《カタ、カタ、カタ、》

【――――出来の悪い絡繰り人形のように不気味に揺れる、三体の人形≠フ姿だろうか】
【身長百八十センチはある、真っ黒で細長い体躯。顔面を埋め尽くす巨大なアイカメラが、彼らを単眼のバケモノのように演出して】
【胸・腰・前腕・下腿の四箇所が金属製の装甲で覆われ、背中にはバックパックのようなものを装備している】
【そしてその人形達は――――マルバスの読み通り、待ち伏せだ。ひとつしかない屋上への入り口へと、腕に付いた機銃≠フ銃口を向けていた】


「へー、空からか。やるじゃんオマエら。ま、二度同じ手が通じるとも思ってねぇけどよぉ。

 だーがなぁ――――それも想定済みなんだよマヌケェッ!! ひひ、ひゃははははははははははははははは!!!!」


【屋上の奥から発せられる、鳴子一颯の耳障りな笑い声。その、真上に】
【人形のものよりも更に大口径の機銃が、三門も浮遊≠オている。その銃口の照準もまた、二人を貫いていて】
【それは本来、戦闘機にでも搭載されているようなシロモノだが…………一颯の髪と制服が、不自然な風で靡いているのに気づくだろうか】
【もしもマルバスが一颯の付近を飛んだのなら、途中で見えない壁≠ノぶつかることとなる筈だ。そこに、機銃を拵えた何か≠ェ存在している】
【…………それは、一体何であるのか。しかし残念ながら、ゆっくり考える時間など残されてはいない】


「なあなあ、もしかして最終決戦とか思ったぁ? 悪徳非道のGIFT″\成員、鳴子一颯クンと決着だって?

 ――――ぶぁっっっかじゃねェのおおおおぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉ!!!??

 ひゃは、ひゃはは、ひゃあァははははははははははははははははははははははははははははははははァーーーーーーーーッッ!!!!」


【どこまでも下卑で、どこまでも下衆で、どこまでも下劣――――狂ったような嘲笑の中に、青色の侮蔑を濁らせて】
【振り上げた一颯の手。それがいま、振り下ろされる。それが、どういう意図での行動であるのか】
【…………がしゃがしゃ、という冷たい機械音が、それを無慈悲に宣告する。人形の機銃と浮かぶ機銃、そのどちらもが、いままさに射撃体制に入って】
【一颯の言うとおり、想定済みだったのかもしれない。六門の銃口は、淀みのない動作で空中のマルバスとオラークルへと向けられる】

【マルバスに向けられた照準は、空の大型機銃が二門と人形の機銃が一門…………オラークルへは、空中の大型機銃が一門と人形の機銃が二門】
【それぞれが、眼前の敵を排するべく鎌首をもたげれば――――】


                「――――――――掃射ァアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!」


【一颯の叫び声を遙かに越える速度を伴い、嵐と見紛う鉛の驟雨が撃ち放たれる――――――――ッ!!!】

【人形の機銃はともかく、真上に浮かぶ大口径の機銃は、コンクリートの壁程度なら破壊してしまう威力を持つ。むやみに射線上に出るのは危険だ】
【一颯が想定済みと言った真の意図は、この銃弾の雨だろう。これだけの兵力があれば、どこからこようが一方的に蜂の巣に出来るというわけか】
【とはいえ…………マルバスが一颯の待ち伏せを回避したお陰で、六門の銃口はもう一度照準を合わせ直す必要があった。対処の時間は、ギリギリ残されている】
【飛べるマルバスなら、即座に校舎の影へ隠れればいい。屋上へ降りたオラークルも、すぐ真後ろの屋上の入り口へ潜りこめば身を隠すことは出来るだろう】
【…………ただし入り口付近の壁は、防壁として使用するには少々耐久性不足だ。そこに隠れる場合、破壊されて飛び散るコンクリート片にも気をつける必要があるだろう】

【また、もし屋上の入り口に潜り込んだ場合…………機銃の破壊音に紛れて、下から階段を上ってくる音を聞き取れるだろうか】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/01(日) 01:06:27.70 ID:g8NEFRRS0
>>637
/っと、了解です……! もうすぐレスは返せそうなので、今夜は先にお休みになって頂ければ…!
/明日はこちらは21、22時前後には来られると思います。それでは、一旦お疲れ様でしたー!
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/01(日) 01:09:11.50 ID:aM0omckU0
>>639
/申し訳ありません、それでは明日もよろしくお願いします
/では、お先に失礼しますー
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/01(日) 01:12:33.32 ID:lQfSqAhIo
>>634
おう、しっかりつかまっていろよ!

【そういって窓から降り立つ】
【僅かな落下、そこで翼を広げ一気に上昇する】
【外見は翼だが、機能的にはそれは翼というより、飛行機の羽といったほうがいいのかもしれない】
【それは速いスピードで舞い上がり、そして屋上までたどり着くと一度屋上付近の空を一回転してから降りやすいようにスピードを落とし降り立った】

おい、あいつの周り、なんかあるぞ

【それは不可視の壁のことを示しているのだろうか、すぐにそれだけを告げると彼は再び飛び上がった】

>>638
お前普通にしゃべろよ

【聞きにくい、何よりなに喋ってるかよくわかんねぇ】
【そう愚痴をこぼしつつ一気に翼を広げ、旋回する】
【猛禽類には及ばないものの、それにかなり近いスピードで飛び回る】

あー、マシンガン?まったく、弾薬が尽きるってわけでもなさそうだしなぁ

【あの壁があの少年の能力だとすれば、人形は誰の能力だ】
【操り人形だというのなら誰か、操れる人間が近くにいるはずだ】
【もっとも、あの人形の方が少年の能力だとしても壁の能力を使うものがいるはずだ】
【幸い、上空を飛び早く移動できる翼を生やしている男には、少なくとも考える時間があった】
【だから周囲にさっと目を配る、なにかがいるはずだ】

【もっとも、いなかったらいなかったでなんとか手立てはあるのだが】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/01(日) 01:20:41.87 ID:prj7OP4No
>>636

【───彼は、青年は、ヘリオスは、戦闘において複雑な技は使わない】
【投げ技なんて、ただ掴んでぶん投げるだけでいい】
【返し技なんて、受けてからそれ以上の力で殴ればいい】
【飛び道具なんて、適当に石を投げるか近付けばいい】
【技といえる技なんてない、ただやり方を少し変えるだけで、遥かに原初的に、野生的に、暴力を暴力として振るうだけの、果たして正義とは到底言えるのか疑問な程の戦闘スタイルが彼のやり方であった】

【しかしそれは、だからこそ洗練されている。力にだけパラメーターを振って相性や耐性を気にせず通常攻撃だけで殴り勝つという、単純かつ簡単なルーチン】
【相手が何をしてこようと、結果的にダメージレースで打ち勝つのを狙う、ただそれだけが勝ち筋で、それはどんな物にすらねじ込む事が可能だ】

──────

【視界がぐるりと逆転し、跳んでもいないのに体が宙に浮いた、何が起きたかは何と無く分かるが、何をされたかは全く分からなかった】
【能力───?いや違う、もっと複雑な───】

【地面が揺らいで、空気が振動する、如月の攻撃───いや、返しは見事なまでに思惑通りに決まった】
【…これから起こる事は別として、確かに決まったのだ、綺麗に青年は後頭部から地面に叩きつけられた】

───37人目

【叩きつけられたまま、額に置かれた如月の右手に眼は隠れたまま、仰向けの体制の彼は、口を開く】

自分が善悪の区別を、線引きを出来る神紛いの人間と勘違いした屑が、俺を正義でないと罵った
そういうのは貴様で37人目だ

【───自分を正義だと信じて来た人間が、自分の行動を否定された時、一体どんな反応をするだろうか】
【彼はただ、一蹴に付す───というよりも、聞く耳すらもたない】

他人が俺を語るな、虫酸が走るッッッ

【刹那、彼を包む殺気が更に鋭く尖り、針の筵のようになって】
【如月の右手がまだ額にあるならそれを無理矢理振り払って、ないならそのまま、倒立する様に跳ね起きながら、振り上げた脚で如月を蹴り飛ばし、それから立ち上がろうとする】
【如月が自分の技にどれくらい自信を持っていたかはわからないが、技をあれ程綺麗に決められて、しかし尚瞬時に立ち上がり、反撃する事が出来る彼のフィジカルは半端ではない】

【素手───無能力───技術の未熟さ───戦闘に於いて彼が劣る物、持っていない物は、実は多い】
【だが、それを無視しても構わないくらいに、無くてもいいくらいに、補って余るくらいに体そのものと精神が常軌を逸している】
【それがヘリオスという青年───ただ自らの正義のみに生きる、異常者であった】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/12/01(日) 01:22:31.34 ID:Ahs5bcDho
>>627
「もしも、お前の推測通りだとすれば……もはや私達の手に負えることではないぞ。
 ……こんかい集めた情報を証拠に即刻学園を封鎖して……それから、本格的に自警団を投入するだとか、そういう対処が必要だろう」
【突然鳴り響く機械音――もっとも、三雲は音の正体が幸徳井の胸元だとすぐに気付いて、溜息を吐きだしてみせる】

「……どうした?」
【が、切迫していく幸徳井の姿に、すぐに表情を険しくする】


「……幸徳井!?」
【微かな気の緩み――瞬間、仲間の姿が消える】

【一瞬の深い呼吸とともに、緊張が極限まで張りつめ、三雲の腕の中には紅の槍が炎とともに化身する】
【銃の射線上に立ち、幸徳井の姿を庇うように背後に置くとやや身を低めに構えて攻撃にそなえる――】

「無事か、おい……っ――!!」
【背後に視線を送り状態を確認しようと首を半ばまで捻るが――迫りくる殺意に、行動は遮られる】
【短く舌を鳴らすと、五感を研ぎ澄まして迫りくる銃撃に刃を構えた】

【銃は素早く威力もあるが、精度もまばらで能力の強化があればかろうじて食らいつける程度】
【その数だけがネックとなるが――三雲は奥歯を噛みしめて、自身と幸徳井に迫る銃弾を打ち落とし始める】

「……はあっ!!」

【気合いの掛声とともに、三雲の精神の強さを具現化した炎が現れる】
【それは単なるプラズマではなく、生き物が動く活力そのもの】
【肉体のバネ、身体を働かせる体力へと変換され――大量の刀剣を、ギリギリのところではじき落としてく】


「……ッ」
【しかしながら、間髪なく訪れるブレードの嵐の中ではジリ貧状態に誘い込まれる】
【わずかに反応に遅れた銃弾の一つが三雲の腿を切り裂き、ぱっくりと裂けたストッキングからは、黒い血が滲みだす】

「っ……やぁ!!」
【痛み≠ニいう感情の昂ぶりにによって、強烈な炎の障壁を一瞬形成】
【ごく僅かできた猶予に身体を素早く動かすと槍で壁を砕き、破片の一つをを拾い上げ、活力の炎を纏わせ、人形の一体を狙って投擲する】
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/12/01(日) 01:23:13.57 ID:Ahs5bcDho
//修正版です、すみません
//進行をとめて本当にすみませんでした!
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 01:38:32.50 ID:SPMKQWQF0
>>638
「喧しい輩でありますね…………鼻をへし折る前に先ず顎を叩き割る必要が有るでありますか
――――しかし、アレだけの数では近寄るのも厄介であります。先ずは何とか隙を――…………っ!!」

【―――――たった一つや二つであれば、どうにでも出来よう。“眼”を用いれば内部構造を破壊して発砲を抑える事も出来たかも知れないが】
【コレだけ数が多ければ、話は別になる。少なからず能力を用いれば負担が掛かり…………何よりも銃弾の速さには対応出来ない】
【近づくまでには発砲されて蜂の巣とされる事だろう。ならば、どうしたものか】
【…………考えて居る暇は無い。向けられた機銃を捌ききるのは難しいのだから】
【視線を辺りに巡らせたならば、唯一隠れ蓑として利用できそうな物が件の入口であると判断して】

【其処からの行動は早い。教室から追いかけた時の様に“眼”の力を足に回したならば、その僅かな時間の間に潜り込んで】
【元より心許ない壁が、銃弾によって更に削られていく。コンクリートの破片が露出して居る顔を傷付け、手を刻むけれど】
【今出れば死ぬ事は明白。果たして嵐の様な連射がどれ程までに持つのかは分からなかったが、今は被弾を避ける必要があった】


「――――一颯本人が、GIFTの構成員でありましたか
止んだら直ぐにでもぶん殴りたい所ではありますが…………アムリタ殿の言っていた“何か”が気になるでありますね
――――……音?」

【体勢を低くして、少しでも被弾の可能性を減らして】
【機銃を持ち上げるその原理は果たして何か?自分と似たような能力か――――しかし、教室で対峙した時は間違い無く風を用いて来た】
【ならば、何だ。協力者か。其れとも複数の能力を秘めているのか…………兎も角、コレを凌ぎきらなければ動く事もままならない】
【そして…………身を低くしていた故に、轟音に交じる足音を聞き取ったのだろう】
【敵の増援か、味方の増援か。――――いずれにせよ、答えは自ずと訪れる筈で】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/12/01(日) 01:39:30.73 ID:rTQ+l2WGo
>>642

「いいや、違うな。」

【首筋にひやりとした感触を覚えるかもしれない。】
【如月は体術家ではなく剣士である。いつの間にか抜き去られていた脇差しの切っ先が、青年の頸動脈に突きつけられていた。】


「一人目≠セ―――。」

「 な に が 正 義 で な に が 悪 か な ん て 、 ボ ク に は 分 か ら な い 」


【後数センチ脇差しを動かせば、喉をかき切ることが出来る。1秒にも満たないだろう。】
【しかし、如月はそれを躊躇っていた。どうしても、その後一歩が踏み出せずにいるのだ。1秒にも満たないそこに、今の彼女では決してたどり着くことは出来ない。】


「君の云う「線引きすら」ボクには出来ないのさ。そういう勘違いができるなら一度してみたいもんだ……。屑にすらなりきれない…それすら………!!」

「――――――――どうして……!!」


【その「差」は明確だった。青年の異常なまでの武器――――その正義の心が、そしてそこから放たれる覇気が、】
【数センチを無限まで引き延ばしていた。刃を拒んでいたのだ。】
【そこからの結果は火を見るよりも明らかだった。「差」はやがて埋められぬ「溝」となる。残月で青年が折れなかった時点で、如月の負けは殆ど決まっていた。】
【蹴りがガッチリと脇腹に食い込む感触が伝わるだろう。ぽきぽきと小枝が折れるような音とともに、如月は吹っ飛ばされた。】


「ぐっ…! ――――――どうしてそこまで……!!」


【声には悲哀の色が見て取れた。「相手への」悲しみではない。「自分への」それだ。代わりに青年には、羨望の視線が込められていた。羨望と、嫉妬。】
【「理由」】
【「理由」が欲しい。青年の正義のような、明確でそして決して折れない「理由」が――――――――。】

【如月には無い物を、そして生まれてからずっと探し求めている物を青年は持っていた。】
【青年にそれがある限り、そして如月にそれが無い限り―――決着は最初から見えていた。】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/12/01(日) 01:46:19.09 ID:gQpQ3uxSo
>>ALL

…………あいにく、あなたなんかを殴るまでもないわ! それより、あいつらを!

【――――がば、と。撃たれた筈の佳乃は、蛍に軽口を叩きながら即座に起き上がってみせる。その体のどこにも、赤色は滲んでいない】
【流石というべきなのか。先の大会の中で幾度も見せた高速反射≠ェ、ギリギリのところで薙刀の柄を銃弾に合わせていた】
【佳乃は、気付けでもするみたいに一度頭を大きく振る。倒れた際に頭を打ったせいで一瞬意識が飛び、すぐに起き上がれなかったらしい】
【薙刀を構えて、佳乃も不気味な人形を睨み付ける。本人の言うとおり、人形への対処に集中して大丈夫だろう】


>>635 >>643

    《カタ、カタ、カ――――タ…………》 
                     《…………カタカ、カ、カタタ――――ガ》

【ブレード付きの人形三体は、蛍の放った灼光の刃に対し――――回避動作を一切取れずにそのまま突進し、不気味なほどあっさりとやられてしまうだろうか】
【胸部から背部までを丸ごと貫き通された人形は、地面に這い蹲って動かなくなる。しばらくすると、そこからもうもうと臭気が立ち込めてきて】
【見れば、破壊跡の断面が溶け出している。臭いからして熱によるものではない…………どうやら内部に、何か特殊な薬剤を仕込んであったようだ】
【それは攻撃のためではなく、機密保持のためのもの。内部機関の重要な部分は跡形無く溶解し、使われた技術を覆い隠してしまうだろう】

【一方機銃持ちの人形は、明音が投擲した破片を左腕の装甲で受け止める。しかし、そこに篭った炎熱は予想外だったようで】
【破片を受けた衝撃とそこから伝わった高熱で、駆動部に不調をきたしたのだろう。その左腕はだらんと垂れ下がって、一切動かなくなる】
【とはいえ、右腕の機銃は健在だ。怪我をした明音目掛けて、人形は容赦なく射撃を開始しようとするのだが――――】
【…………アイカメラが、傷口を見やる。人形の動作は、それだけだった】
【撃たなかったのだ――――目の前に敵が居るのに、何故か人形は撃たなかった。まるでそれは、躊躇っているかのように】

【機銃持ちもブレード持ちも、兵器にしてはあまりに迂闊で貧弱なこの挙措。一言で表せば、どこか素人臭さ≠感じるだろうか】


【――――だが。だからといって、状況は一刻の猶予も無い】


                   《カタ、カタ、カタ、》
    《カタ、カタ、カタ、》 
                             《カタ、カタ、カタ、》


【ちょうど、三人の背後…………腕にブレードを付けた人形が新たに三体、下の階段から上がってくるではないか】
【階段の下を覗き込めば、踊り場の床板が内側から強引に破壊され、大穴が開いており――――その下のスペースから、既に四体目の人形が這い出ようとしていた】
【一体一体の練度は低いようだが、しかし何体用意されているのか。このままでは最悪、数で押されて圧殺されかねなず】
【だからといって、そちらにばかり目を向けていられるほど敵も甘くはない…………機銃持ちの二体が腕をこちらに向け、一行を牽制しようと弾丸を乱射し始め――――】

白刃龍紋流・参の太刀――――『三衣』ッ!!

――――ここは私がやるわ! 行って!

【直後、真っ白なオーラの様なものを纏った佳乃が、二人を守るように射線上へ立った。そのオーラのお陰か、銃弾は佳乃を貫かず弾き飛ばされる】
【佳乃はその力と薙刀で銃弾を退けながら、二人へ声を掛ける。その言葉が彼女らへ要請する意図は勿論、あの穴≠破壊して敵の増援を断つことだ】
【素早く階段を突破し、必殺の攻撃を穴の周辺に浴びせて塞ぐ――――理想は、そんな短期決戦だろう。長期戦になればなるほど、こちらには不利となる】

【そして…………二人が階段へ向かうかどうかに関係なく。いま現れた人形のうち一体は佳乃の方へ向かい、残る二体が同時に二人へ攻撃を仕掛けてくるだろうか】
【一体は手負いの明音へ向けて一気に疾走していき、胴体を狙って直接斬撃を繰り出す】
【そしてもう一体は、敢えてブレードを捨てて蛍へ飛び掛り、地面に押し倒して取り押さえようとする。例え破壊されても、死骸の重量で拘束しようという目論見か】
【しかしどれも、攻撃は大振りで回避も防御もしやすい。ここに集った精鋭達の実力であれば、突破は決して難しくない――――!】

/次で〆としたいと思います!
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/12/01(日) 02:02:36.50 ID:gQpQ3uxSo
>>641

「チッ、ちょろちょろ虫みてーに逃げ回りやがって――――ハエはハエらしくとっとと落ちやがれッ!! 」

【砲門の旋回能力はどうやら低いようで、空中を素早く飛び回るマルバスには中々銃弾が当てられない様子だ】
【いや、砲門がどうと言うよりは――――単に、人形や大型機銃の射撃能力が低い、ようにも思えるかもしれない】

【――――そして。今のところ、周囲に一颯以外の怪しい人影や装置などは見当たらないだろう】
【あの人形に関しては、いま《部室棟》に向かった二人を襲っているのと同質の人形だが――――それを見ていないマルバスには、わからなくても仕方がない】
【とはいえ、そのメカニックな見た目から推測することは出来るだろう。少なくとも人形は、能力ではなく自身の動力で動いているようだ】
【だが、不可視の壁と浮かぶ機銃、そして一颯の背後に巻き起こる風の謎は、依然残されたまま――――】

>>645

「あーあー、どいつもこいつも往生際が悪ィなおい! そこは正義の味方らしくさぁ、『後続に希望を託して死にましたー』みたいなオチでいいんじゃねーの?
 まーいいや、どうせその辺の壁も限界だ――――安心しな、あります女! すぐにハラワタぶちまけて、お仲間さんに送りつけてやっからよぉ!!」

【屋上の壁に隠れたオラークルへ向けられるのは、ふざけきった態度と言葉。その表情は愉悦に塗れ、強者の余裕を浮かべている】
【言葉は侮蔑に満ちているが、しかし――――現状は彼の言うとおりだ。屋上の入り口は鉛の雨に晒されて一瞬で朽ち果て、既に限界寸前】
【圧倒的なまでの物量差。このままではジリ貧で押し切られてしまう――――】


>>ALL

【…………そんな場面で。オラークルのいる階下、階段の下からの音が大きくなってくるだろうか。銃弾に紛れて迫ってくるのは、二人分の足音だ】

ぶじか、ふたりとも!?
わたしだって、たたかえないまでも、しえん≠ヘできる…………! ほら、いくぞ!!

「うぅ…………こーなりゃヤケだクソッタレぇ!!」

【そうして階段を上がってきたのは、右手に細長い筒のようなものを持ったレラと―――― 一颯にフェルマンと呼ばれていた、半泣きの不良】
【二人は肉体的な要因と精神的な要因で、歩調こそ頼りなかったが。それでも砕けたコンクリートの雨に耐え、身を伏せてギリギリまで入り口へ近づくと】
【レラは持っていた筒――――発煙筒の蓋を開け、着火面を擦り合わせて火を灯すと、真っ黄色をした大量の煙を噴出するそれを屋上へ放り投げる】

【そして、涙と鼻水まみれの咆哮――――】


「く、くたばれこの野郎ぉおおおおおおおお!!!!」


「な――――クソ!! 死に損ないのチビに腑抜けのゴミクズが、揃いも揃ってこのオレに――――――ッ!!!」


【――――金属片を多分に含んだ銀色の風≠ノ乗せられ、黄色い煙が屋上中に満ち溢れていく!】
【直後――――小さな爆音。煙の狭間から垣間見れば、金属片が銃口に入り込んで焼け付きを起こしたのだろう、浮遊する機銃がすべて煙を噴き上げていた】

【そして、まるでこの反撃に戸惑ったかのように、三体の人形の機銃の掃射が一瞬止まる――――飛び込むなら、この瞬間しかない!】
【人形の掃射はすぐに開始されるものの、煙に巻かれた照準は決して正確ではなく。また、人形の機銃にはコンクリートを粉砕するほどの威力もない】
【それは一度きりだが――――鳴子一颯の卑劣な策略を打ち破る、決定的なチャンス――――!!】


/次で〆としたいと思います!
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/01(日) 02:10:43.74 ID:prj7OP4No
>>646

【結果論だが───例え、如月が突き付けた脇差を躊躇い無く突き刺そうとしたとして、きっと彼は怯まなかっただろう】
【寧ろ、例え喉を掻き切られたとしても、まだ戦闘を続行したかもしれない。致命傷を受けても尚】

【立ち上がる、ゆらゆらと僅かに揺らいでいるのは脳へのダメージの表れかもしれないが、しかし視線は揺るがない】
【彼は、如月の言葉の意味がよく分からなかった、元来誰かに物事を解いたり説教したりはしない、だからこそ力によるねじ伏せしか出来ないのだが】
【従って、『正義と悪がわからない』とか、『どうして』だとか言われても、何も言うべき事は無い】

───悪・即・惨

【今や彼からした如月は、カノッサの一員なのだ。赦すべくなく殺すべき悪、悠長に話したり逃がしたりする気は毛頭ない】
【例え誤解を解いたとして、彼の正義を一度として否定したならば、最早悪以外の何者とも見られない】
【生き延びたいのならば、逃げるか覆すか、二つに一つ】

【戦うただ一つの理由、何よりも強い理由に支配された青年は、三度如月に向かって接近を仕掛ける】
【構えた右拳は、さっきよりも大きく捻り、さっきよりも強く握り、接近の勢いもスピードも桁違いに早い】

【相手の悲哀、感じ取る必要無し、ただ敵とする物を打ち滅ぼすが彼の生き方】
【接近すれば、打ち出す拳は強烈な捻りを加えて、飛び散る血飛沫の螺旋が後に続くコークスクリューを如月に繰り出すだろう】
【その威力、今迄の非ではなく、まるで竜巻をそのまま叩きつける様で───分かりやすい直線的な暴力なのは、まるで変わっていないが】
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/12/01(日) 02:17:58.07 ID:Ahs5bcDho
>>647
「…………」
【背後から聞こえる無事だという声に、安堵の吐息が漏れる】
【敵と対峙している最中だが――肩の緊張が一気に解けた】

【三雲の脚の傷はそれなりに深い】
【噴き出した血液は止まる様子がなく、腿を滴り落ちてついにはスニーカーを黒く染め始めている】
「この人形、なんだ?」
【見られている感触に不愉快さを、動き出す様子がないことに訝しさを感じながらも、次の攻撃に備えて真っ直ぐに槍を構えたまま】

「ああ……分かった」
【一呼吸――幸徳井の意図を悟って、首を階段の方へと向ける】


【視線は階段奥から迫る敵に向けたまま迫る敵を気配で感じ取り、銅への攻撃を受け止める】

「邪魔……だ!!」
【ブレードを横へと受け流すと――目の前にあるのは、隙だらけの鉄塊】
【突き出した腕で相手との間合いを確認すれば――鋼鉄の装甲の合間を狙って、灼熱の蹴りを突き出す】
【槍の攻撃よりも得意と感じる店の多い格闘技術。 炎を帯びたその一撃は、見た目以上の威力がある】

【人形を蹴とばした勢いを活用し、そのまま階段の方へと身を翻す】
【数秒瞳を閉じれば――最大級の火炎が、三雲の身体に化身する】
【三雲の身に纏われた炎は、獣――獣人を思わせるように、腕に爪に似たものを背中には尻尾に近い形状を形作っている】

「悪いな、学校は壊してしまうが……非常事態だ!」
【両腕で槍を構えると、上段に担ぐ】
【集中し、短く吐息を吐きだすと――紅の槍が纏うのは、自分の吐息を焼き焦がすほどの業火】

「……せあぁああぁぁっ!!」
【開いた穴を目掛けて、真っ直ぐに槍を投擲する】
【速度は遅く、普通であれば直撃させにくい攻撃だが、今の状況ならば楽に狙いを定められる】
【一撃を繰り出した直後、三雲の身体からは急速に活力が衰える】
【攻撃の消耗は激しい分、一撃の威力には誇れるものがある――】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/12/01(日) 02:24:26.28 ID:rTQ+l2WGo
>>649

【いや――――。】


「はは…そうだったな…」


【相手を「見くびって」いた。】
【脇差しを納刀。その上位の刀をゆっくりと引き抜いた。】
【直後、天空に暗雲が立ちこめたかのような錯覚に陥るかもしれない。おそらく青年には殆ど効かないだろうが、】
【如月の刀は漆黒のルナトリウムでできている。精神を揺さぶる放射線が発せられていた。】


「実力で示せよと――――なあ。」


【数歩下がった。接近に反応することはできない。あまりにも格が違いすぎる。】
【しかし、その後の動作には、彼女はきっちりと反応していた。彼女が行ったのは「回転」。】
【拳が直撃する瞬間に時計回りに回転。相手の攻撃をいなし、】
【直後、相手の攻撃翌力をそのまま「乗せた」刃が回り込んでくる。漆黒の「峰」が青年の頸椎に当たらんと迫る筈だ。】

【これが如月の最後の攻撃であった。刃ではなく峰を向けているのは理由が無いからである。】
【直撃すれば青年が気絶してしまい、彼女は去るだろうが、直撃しなければそのまま刀を回しさらに回転し刃で後方の壁を斬るだろう。】
【破片が二人の間に降り注ぎ、これ以上の戦闘は困難になる筈である。どちらにせよ、】

【―――――――――「戦闘」は青年の勝ちであった。如月にとって、これほどまでもの「理由」を見せつけられては敗北は必死である。】


【だがそれでも――――――】

【それでも―――敗北してもまだ彼女は終わらない。】

【まだ――――――――――――】




   ――――――――――――――――――――――――――――――― To be kontinue


/お疲れさまでしたー!
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/01(日) 02:26:26.50 ID:mLrAJBhs0
>>647 >>650

くッ! なんたるやりかたか……。

【不自然に――否、自然な反応≠ノよって動きが鈍った人形を見て、彼女はそう吐き捨てた】
【正確に、というわけではないが、あの挙動の意味に思い当たる所があるのか】
【その瞳は人形に向けられていつつも、どこか遠くにいる者を射抜くような、そんな色がある――】

……だが、哀れみも甘さも、いつかのきのうに通り過ぎた道だッ

【それでも、蛍の戦いぶりは全く淀みなかった】
【彼女は飛びかかろうとする人形の頭部に牽制の光弾を打ち込み、生じた刹那の隙を利用して、背後に周り】
【短い光刃を纏わせたナイフの一刺しで、バックパックを貫こうとするだろう】
【赫く衣を纏った刃は、焦熱と穿孔の二段構えでもって、速やかに終わり≠運び――】


大穴は任せたよ、明音。こっちは既に出ている奴らの隙を掴む!

【消耗した明音と防御陣を組む佳乃を見やってから、佳乃を襲おうとしていた三機目にも背後からの刺殺を試みる】
【全ては、誰かが合図をかければすぐにでも全員が走り出せる――そのような状況を作るためだ】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/01(日) 02:31:40.04 ID:lQfSqAhIo
>>648
……ハエかぁ、いってくれるなぁ

【そう呟きつつ飛び回る】
【怪しい人影は無いのなら、その後再び一点に滞空する】

しょうがねぇ

【そういうと彼の姿が変質する】
【その目は"猫"のような闇を見通す目(レンズ)に、鼻は"犬"のように全てをかぎ分ける鼻(科学センサ)に】
【手……前足は太く強靭な"狼"の腕(アーム)に変形する】
【その姿は機械の翼を生やし、機械の腕を持ち、目はカメラのレンズのように、鼻は黒いセンサがついている謎の物質とも言える】
【神々しさなんて欠片もないといえる】

そ…って、あれ?

【突入しようとしたそのとき、下で喧騒、黄色い煙幕】
【だが機関銃の掃射は止まる】

お、ラッキー

【軽い調子で呟き一気に高空へと舞い上がり、そして、一気に落下する】
【翼で体を覆い、落ちる、墜ちる、堕ちる】

【機械化した部分の重量、そして高空からの落下】
【それは多大な位置エネルギーを運動エネルギーへと変換する結果となり】

オレは殴り合いがすきなんだけどなぁ

【一つ愚痴をこぼし、そのまま巨大な機関銃の一つへ落下し両前足で破壊したあと、残りの二つにも片方の前足ずつ致命的なダメージを与えようとする】
【それが成功してもしなくてもその後翼を大きく広げ人形達を吹き飛ばそうとするだろう】
【それが失敗に終わっても終わらなくとも、男は肘から、手首からコードを伸ばし鳴子を縛りつけようとするだろう】
【当然、舌が噛み切れないように口に一本かませる形で】
【少なくとも、レンズとセンサのおかげでそれをすることは、可能である】
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 02:44:30.50 ID:SPMKQWQF0
>>653
【最早壁としての役目も成さない。一か八か、賭に出るその瞬間――――!】
【上ってくる足音は――……………九死に一生とは正にこの事か。レラのみならず、先程の不良……フェルマンと呼ばれる生徒】
【驚くには十分。そして、その先の展開へ繋げるのも――――これまた、十分】

【厄介であった機銃が止んだ。未だ人形が不安要素であったが…………先程と比べれば天国の様なもの】
【まるで解き放たれた狼の様な獰猛な笑みを浮かべ、足の筋肉を唸らせた】
【異世界人。元の世界では殺戮を行う為だけの兵士。見えるのは、その断片。思い出すのはその光景】
【自分を殺そうとしていた筈の硝煙の匂いが、何処か香しくも思えて――――少女は再び駆け出した】

【人形を見ない。機銃を見ない。ただ一人、不気味な銀と藍色は一颯を見据えるのみ】
【支援へと訪れた“二人”には視線こそ向けないものの、親指を立てて見せ―――――強く吠えた】
【空気を振るわせるその咆哮は、その“音”だけでも攻撃と錯覚できそうな程】


    「―――――――ッッッッッッっざけんなっっンの糞ガキがぁぁぁぁぁァァァァァ!!!!!」

【死線を潜り抜けてきた己の四肢。敵を葬ってきた力。軍人としての誇りと仲間を傷付けられた怒りと。散々侮辱された感情と、仲間をあっさりと斬り捨てる薄情さと】
【狙いを定める事を許さない速度。目まぐるしく変わる経文の文字に、銀の光】
【走ればコンクリートや“銀の風”によって作られた傷口から血が流れ、力を込めれば腕から流血するも気にならない。気にしている暇は無い】
【狙いは意識を刈り取る顎では無い。行動を封じる鳩尾でも無い。――――鼻。痛みを与え、同時に者によっては死の恐怖すらも与える其処の部位】
【容易に気絶はさせず、且つ実際に死に至る可能性も少ない】


【己の赤一色に染まった小さな拳。しかし、頼りない外見とは比較にならない破壊力】
【加速と、能力と、体術と、感情と。この一度だけのチャンスに、全てを乗せた一撃】
【刃は用いないにしても、其れに等しい――――或いは大きく上回る一撃となるだろうか】
【兎にも角にも、正しく殴り飛ばすでは無く“打ち抜く”様な渾身の一撃】
【外れてしまえばどうしようも無い、が。狩る対象を睨むその視線は、一点の曇りも無く】
【――――反撃を許すか否か。どの結果に転ぼうとも、もう終わりも近いか】
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/12/01(日) 02:45:25.94 ID:gQpQ3uxSo
>>650 >>652

        《カタガ、ガ――――》
《…………カタ、タ、カタ》

【明音の灼熱纏う蹴撃に弾かれ、蛍の的確に急所を突く一撃に貫かれ。もはや二人を止めるには足りず、二体の人形はやはりあっさりと破壊されるだろう】
【状況打開の突破口は、これで開かれ――――刹那】


  《ガガガ、ガ、カタ――――――》


【明音の業炎の槍が穴≠穿ち、今まさに這い出ようとしていた人形ごと、踊り場そのものを豪快に捲り上げる――――ッ!!】

【その威力は穴の内側で凝縮され、その中から機械音の断末魔が複数発せられる。一瞬の後、薬剤が部品を溶かす死臭≠ェ漂ってくるだろう】
【破壊された踊り場の下には、コンクリート製の部屋がぽっかりと用意されていて。その中には、膝を折り曲げた状態の人形が十数体も詰め込まれていたのだが】
【燃え盛る明音の力は穴を塞ぐどころか、内側にいたその増援をも見事に一掃してみせた。これであとは、残党を殲滅するのみ――――】


白刃龍紋流・弐の太刀――――『二極』ッ!!

【…………いや。その役目は、蛍と佳乃が終わらせてくれたようだ】
【佳乃の背後に迫っていた人形は、佳乃しか見えていなかったが故に蛍の一撃に対応できず、背中を貫かれて沈黙し】
【そのお陰で背後への注意をすべて前方へ回した佳乃は、薙刀の刀身に純白の光を纏わせ――――豪快な横薙の一閃が、空間に線を引く】
【それが終われば…………蛍に刺殺された人形が一体、佳乃の一撃でまとめて両断された機銃持ちの人形が二体。その場には、それだけが残される】

…………。

【佳乃は――――蛍と、そして明音へと向けて、小さく笑みを浮かべるだろうか。言葉は無くとも、それが何より二人の健闘を称えていた】
【…………こうして。三人の精鋭たちの活躍によって、謎の人形はすべて活動を停止した。当面の危機は、去ったのだ】

/続きます
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2013/12/01(日) 02:46:45.01 ID:gQpQ3uxSo
>>ALL

【重要部品を破壊された人形から引き出せる情報は限られているだろうが、穴の下を調べれば、何かが出てくるかもしれない】
【…………しかし、穴は飛び散った大量の瓦礫に塞がれてしまっていて、今更撤去して中を調べるには少々時間が掛かりそうだ】
【ふと窓の外を見ると、今の音を聞きつけてか、何人かの生徒や一般人がひそひそと話しているのも見えるだろうか】

………………どうやら、潮時のようね。
一度、外へ出ましょう。校門まで行けば、自警団のトレーラーが待機しているらしいから。

【佳乃は、それを見て一度悔しそうに溜息を付いた後――――撤退を進言するだろう】
【変に一般人の興味を惹いたりして目撃されるのはまずいし、先程明音が言っていた通り、問題はもはやこの場の三人のみで解決できるレベルではなかった】
【今回の調査で、確かに足がかりは得たのだ。これ以上のことを調べるには、もっと人手や機材が必要になるだろう】

【佳乃は二人に視線を向け、一階へ降りるよう誘導する。拉げた踊り場は通行不能だが、三人の身体能力ならショートカットは簡単だろうか】
【そうして全員が降りたのを確認すれば、南京錠を使って防火戸を施錠し直し、罠だらけの二階を完全に封鎖する】


………これで、ひとまず調査は終わり、ね…………。
正面玄関から出るのは不味いから…………窓から出て行くのをお勧めするわ。

【疑問もまた、多く残ったが…………しかし少なくとも、学園生徒がGIFTへ接触したことを示す手がかりは得られた。佳乃の言うとおり、調査はこれで終了だ】
【佳乃は窓のひとつを開き、そこから外へ脱出すると、人目を避けてグラウンドまで出る。そこで学園祭の雑踏に紛れれば、もう懸念事項はなくなるだろう】

【――――何はともあれ。明音と蛍の最後の任務は、校門の外にある自警団のトレーラーへ行って今回の報告をすることだ】
【それが終われば、その場で報酬が渡されるだろう。今回の件については固く口止めされるだろうが、それ以降の行動は自由となっている】
【そのまま帰ってもいいし、何食わぬ顔で学園祭を楽しんでいってもいい】
【ちなみに、後者の場合…………はっきりしない結末に鬱憤の貯まっている今の佳乃なら、誘われたら付いていくかもしれなくて】

【なお、自警団のトレーラーに到着してしばらく待っていると、ちょうどレラが傷だらけの体を引きずって帰ってくるのを見かけるだろうか】
【望むのであれば、《旧校舎》で何があったのか、大まかな話を聞くことが出来るだろう】


【――――何か大きな陰謀≠ェ、この学園内に手を伸ばしている。その真実の一端を、今日、二人の精鋭は確かに掴んだのだった】
【目標は、しかと果たされたのだ。だが、その胸に残るのは心地よい達成感ではなく、重たく圧し掛かる謎≠ナあるのかもしれない…………】


/これにて《部室棟》ルートは終了となります!
/明音の方、蛍の方、お付き合いいただきありがとうございましたー!
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/01(日) 02:50:49.28 ID:prj7OP4No
>>651

【精神に対して影響する力を、耐える者はいる。そういう者は大抵強い精神力や理性をもってそれをシャットアウトする】
【彼の場合は逆だ、既に精神がめちゃくちゃに壊れきって、ゲージがこれ以上下がらないから、精神は揺るがない】

【そして───如月の戦い方は、奇しくも彼とは相性がとてもよかった】
【攻撃を防御したり、攻撃で返したりするのなら、きっとそれはそれは辛い戦いになったかもしれない。防御の上から只管攻撃を繰り返してくるような奴だから】
【だが、攻撃がわかりやすいという弱点を多いに突ける返しや受け流し主体ならば───一度に与えるダメージは少なかろうと、攻撃を受ける事は殆ど無くなるに違いない】
【例え、力を込めた必殺の一撃であっても、当たらなければどうと言う事は無い、鈍い音がして、人が倒れる音が続き───】

【───床に寝そべる青年一人、静かになった会場に、しかし姿を表した奴がいる】
【ずっと見ていた、ずっと隠れていたそいつは、自分を追っていた、自分の仲間を惨殺した存在が倒れているのを見てすぐに思った】
【「これはチャンスだ」と───取り出されたのは一丁の拳銃】
【引鉄がガチャリと鳴るのと、紅い輝きが再び輝くのは同時であった】

【次の日、会場内で一人の男の変死体が発見される】
【右手に銃を握ったその死体は、頭が地面に減り込み原型が無くなる程に、強い力で何かに殴られていたとされている───】

/お疲れ様でした
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/01(日) 02:53:34.13 ID:vfIJ4GsJ0
>>633

(……っ、……―――――)

【……彼は、何を感じているのだろう? 歪む表情に彼との記憶を辿るが、明確な答えはやはり出せずに】

【視界の片隅で起こる変化―――磔からの男の解放と彼らの試みの成功、運ばれてゆく男に覚えた静かな想いは口にしないのだろう】
【紡げる何れを言っても彼を刺激するか、さもなくば偽りになると識っていたから。沈黙が、この状況で彼女には最良だったとも言える】

【青年の言葉が行き先を伝えると、意識を切り替える様にひとつ息を吐き、こくりと頷いて歩き出した】

【彼ほどではないが緊張下に意識が置かれている様子―――先程の行動にも、その一端はあっただろうか】
【やがてアルクの宿泊するビジネスホテルに到れば、柊もまた足音をその内側で終えた。腰掛ける彼に向かい合う様にその正面に立ち、紡がれゆく言葉を聞き届けて】


相棒……? 貴方と一緒に居た、同じ師の下で学んだって言う――――


【嘗て聞いたアルクの身の上、そのなかで彼を「ひとに留めた」という仲間の存在。初めて彼と逢った夜に、少女も帰り際に目にしていた筈だ】
【……もっとも大切な絆を失い、その上で得た掛替えのない存在を失いかけて。その恐怖に今も脅かされながら、どうにか自分を保って言葉を紡いでいる――――、】
【沈痛な昏は幾度となく覚え刻まれた痛みへの共感か。友や仲間への想いは、彼女にも身に沁みて感ぜられたのだろう】

【重苦しい静寂が続いて―――暫しの黙考の末に静かに口を開けば、少女らしく透る、けれど何処か包み込む様な声が言葉を為して】

……幾らあなたが自分を痛めつけた所で、貴方の大切な人の傷が癒える訳じゃない。
その前提で……これから話す事を聞いて欲しいの。

【彼の価値観を彼女は聞いていて。自分が何かを望むことを、ひどく恐れている様に彼女は感じた】
【失う怖れ――封じるための抑圧/絶望―――その禁忌を破ることが現実に於ける喪失とは無関係でも、自らを苛む感情は理性に時に勝利を収める】
【或いは柊自身がしばしばその様な思考に陥るからこそ、彼がそんな思いを、そして繋がる無力感を感じることを、封じたいと感じたのだろう】


アヴェロニアでの争乱――――新たな六罪王が現れたあの夜の事は、私にも無関係な話じゃなかった……。
その戦いには私も居たし、幾つかの状況を越えれば仲間を助けることだって出来た。
……だから……貴方の仲間が傷ついたことは、確実に私のせいでもあるわ。

……憎んでくれても構わないって、いつかの夜に言ったわよね。
安請け合いした心算は無い、あの言葉を取り消す事だって同じ―――――

力を揮いたいなら私は応えるし、その力を別のことに向けたっていい。
私にはどうしたらいいか分からないけど、受け止めることや尋ねることなら出来る――――

……諦めるの? それともその人に生きて、あるがままに笑って欲しい?
望むままに使える相手ならいるわ――――……あとは、あなたの意志が伴えばいいだけのこと。
…………私は、“見捨てられる”のはよくても“見捨てる”のが苦手だから。

【先ず自分がその戦場に―――直接の場面にではないが居合わせ、彼の仲間の救助に向かえなかった事】
【彼らの平穏を請け負う様な、失われた時には憎んでもいいと語った言葉―――結局彼は受け取らなかったのだが、思い出させる様に繋げてゆく】
【柊を“力”として、アルクが仲間を救うための、彼の感情をぶつけられる/何処までも利用できる相手として認識する様に。端的に、事実だけを並べた口調であって】

【……そして、救うのは彼の意志だと。彼女の知識も力も、その存在を以てアルクの悪夢に抗う、と 】
【或いは彼が真の絶望に沈まぬ様に――――何時か掛替えない絆が戻るまで、心が砕け散らずにいられる様に。残酷な強さで寄り添う様に、柊は、アルクを傍で見つめて】

【薄氷の強さで紡がれる言葉は、どれも彼女には現実だったのだろう。それ以外、自分が彼に出来ることを知らない様な―――櫻の生を生きる彼女はそこにいて】
【……負傷の状態を尋ねることがなかったのは、“分からない” と語るアルクに、これ以上話させるのが酷だと思ったのか。】
【或いは其れに関係なく解決する術に、心当たりがあるのかも知れないが――、】
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/12/01(日) 03:10:19.19 ID:gQpQ3uxSo
>>653 >>654

【黄色い煙の中。まさか一度打ちのめした相手に報復を受けるとは思っていなかったのだろう、一颯は屈辱に腸を煮え返らせ】
【そんな中でも、ここまで卑劣で巧妙な作戦をいくつも仕掛けてきた男だ。冷静に判断を下し、回避行動をとっていた】
【機械の獣と化したマルバスの豪腕が、浮かぶ機銃を半ばから折り曲げる。大きく広がった翼は衝撃を伴って、人形達を屋上から滑落させた】
【――――しかし、一颯はまたも手駒を囮とする形で。それらを破壊された代償にマルバスのコードを見切る時間を稼ぎ、拘束だけは回避するだろうか】

「はっ――――バカどもが、まだ手はある! これで終わったと――――」

【耳をざらつかせる嘲弄の声…………その時一颯は、それを遮って走る銀の瞳を見た】
【血濡れの体に、地の底から響くような咆哮――――仲間を捨て、人道を捨てた外道の鼻っ面に、オラークルの拳が迸るッ!!!】



「――――ごっ、っぐがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!?」



【悲鳴、と。それはそう呼んでいいだろう。一颯の体は煙の向こうへと吹き飛んでいき、屋上の欄干に叩きつけられて漸く止まる】
【そして、煙が晴れれば――――浮遊する機銃、そして三体の人形。すべての手駒を破壊され、鳴子一颯が倒れ込む。決定的な、敗北――――】

【…………いや。それで、終わりとはならなかった】

【クリーンヒットを受けた筈の一颯の体が、ふらりと持ち上がるだろうか。顔面を血染めにして、濁った青色の目は呪詛めいて二人を睨む】
【この少年は――――あれだけ大言壮語を吐くだけあって、ここで終わるような人間ではない。ここで終わるような、か細い悪≠ナはない】
【あまりの屈辱に、その額には血管が切れんばかりの青筋が浮かび上がっているだろうか。燃えるような憎悪と憤怒を、千切れた表情に浮かべれば――――】
【あらゆる感情が、臨界点を超えた瞬間。一颯は、狂った笑いを天に轟かせた】


「…………ひひ、ひゃはははははははははははははははははははははははは!!!!!
 夜凪レラ!! フェルマン・ジョーンズ!! マルバス=アムリタ!! オラークル・スティンガァッ!!
 このオレに逆らったバカの名前――――確かに覚えた!! 覚えてやったぞォ!! ひゃァははははははははははははははッ!!!

 ――――――ブチ殺すッ!! 必ずッ!! 生まれてきたことを後悔するほど惨たらしくッッッ!!!!」


【そんな、怨念じみた咆哮と同時。煙を噴き上げる機銃の周囲に、何か電子的な紋様が浮かび上がるだろうか】
【それはまるで、空間を覆い尽くすように広がっていて――――やがて、大きな鉄の塊が姿を現すだろう】
【――――光学迷彩=B不可視の壁も、空飛ぶ機銃も、種を明かせば何のことはない。そこに、大型機銃を積んだ飛行艇≠ェ隠れていたと言うだけだ】
【そこから垂れ下がってきた梯子に一颯が掴まると、静止飛行していた飛行艇は即座に離陸を開始し、猛烈な風が吹き荒れるだろう】


「いつまでもあのハンパ坊主の名前で呼ばれんのも癪だ――――――最後に教えてやる。

 オレはGIFT≠フ、『マリオン・リヴァーズ』――――――覚えとけ、テメェらザコ共を跪かせる絶対的な支配者≠フ名だ!!

 ひひ、叩き潰してやる…………全身バラバラに引き裂いて、泣きながら命乞いをさせてやるぜぇッ!!!
 忘れるなよ、オレ達はいつでもテメェらを見ている=c………せいぜい脅えながら過ごすんだなァ!!!

 ひ、ひゃは――――――ひゃァーーーーーーーははははははははははははははははははははははははははははッッッッ!!!!!!!」


【逆巻く憎悪と執念が天空を無惨に凌辱し、やがて燃え盛るような狂笑を最後に】
【鳴子一颯≠ニいう無辜の少年に扮して能力者達を陥れた、マリオン・リヴァーズと名乗るGIFT″\成員は――――飛行艇の中へと消えていく】
【そして彼が収容された瞬間、光学迷彩がもう一度飛行艇を覆い尽くして、あっという間に空の色へ溶けて見えなくなってしまうだろう】
【その場に残るエンジンの駆動音も、殆ど一瞬の内に聞こえなくなっていって…………敵が撤退していったことを、全員に悟らせるだろうか】

【…………こうして。GIFT≠巡る水面下の激闘は、ひとまず幕を下ろした――――】

/続きます
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2013/12/01(日) 03:12:36.20 ID:gQpQ3uxSo
>>ALL

…………よのなかには、あんなげどう≠烽「るのだな…………。

ごほん。ともあれ…………GIFT≠アうせい員のすがたは、しっかりとかくにんした。
ここにごくひちょうさ≠フかんりょうを、せんげんする!

【見えない飛行艇の代わりに橙色の太陽を睨みつけながら、レラはどこか寂しげに、ぽつりと呟いて】
【咳払いで無理矢理に仕切り直して労いの言葉を贈ると、かろうじて階段だけが残った屋上の入り口へ全員を促すだろう】
【《旧校舎》内にはまだ手がかりも残っていそうだが、しかし既に成果は十分に得た。これ以上の詳しい調査は自警団に任せて、一旦引くべきであろう】

みな、ごくろうだった。ひとに見られるまえにそとにでるぞ。
ほら…………おまえもいっしょにこい! さいごのさいごできょうりょく≠オてくれたと、わたしがしょうげんしてやる!

「へ、へい…………」

【…………坊主頭に血を滲ませたフェルマン・ジョーンズという不良も、手錠も掛けていないのに意外と素直に従って】
【流石にあんなことがあった後だからか、それともレラの見てくれがとても自警団員には見えなくて戸惑ったからか…………たぶん両方だろう】

【――――さて。レラ達の向かう先は、校門の外にある自警団のトレーラーだ。そこでフェルマンの身柄引き渡しと報告が終われば、本当に任務終了となる】
【それが終われば、その場で報酬が渡されるだろう。今回の件については固く口止めされるだろうが、それ以降の行動は自由となっている】
【そのまま帰ってもいいし、何食わぬ顔で学園祭を楽しんでいってもいい…………と言っても、怪我もしているし無理は禁物だろうが】
【なお自警団のトレーラーに行くと、既に《部室棟》組の報告が上がっていることだろうか】
【本当はいけないのだが…………レラに直接言えば、その内容を読ませてくれるだろう。《部室棟》で何があったのか、大体の話を知ることが出来る筈だ】




(…………むぅ…………)

【――――本当の案内役である鳴子一颯に化け、自分たちを始末しようと企んだGIFT≠フ構成員、マリオン・リヴァーズ】
【トレーラーで治療を受けながら、彼の言動、そして《旧校舎》の状態を思い返し、レラは考える――――】
【最後に彼が残した台詞。全員の名前を、こちらは名乗ってもいないのに羅列して、覚えていろと叫んだあの台詞】
【そして《旧校舎》にあった、最近何かを運び出したような跡。不良たちが偶然にも最近引越しして、タイミング良く証拠≠ェ持ち去られたとでも言うのか】

(…………ないつうしゃ≠ェいるのかも、しれん)

【答えはもちろん、否だ。そのすべては――――今回の極秘任務≠予め知っていたことが前提の動きだった】
【容疑者は、事前に極秘任務のことを知り得た者。つまりは水の国自警団か、この学園の学園長か、はたまた今回の任務を共にした能力者達の誰かだ】


【そして…………ふとレラは気付く。周囲は全員、水の国自警団員。そして自分は、SCARLET≠ゥら派遣されてきた砂の国自警団員】
【誰が本当の内通者にせよ、それが問題になったとき…………余所者の自分が真っ先に疑われる可能性は、高いのではないかと】

【――――いや、そもそも。最初から不審ではあったのだ】
【水の国にだって潜入工作を行える人員が居ないわけではない筈。なのに何故、わざわざSCARLET≠通して砂の国からレラが呼ばれたのか…………?】
【幼い頭が違和感を追い、思考、思考、思考――――そして、胸元の緋色の鷹≠ェ手を貸したかのように、唐突な天恵が落ちる】


【――――胸中に浮かぶ疑問が綺麗に氷解し、レラは怖気を禁じえなかった。水の国自警団、能力者、学園側、その中のある一つが内通者だと仮定すると――――】


…………む、むぅぅぅ…………!!

【その、悪夢の様な結論も…………しかしまだ仮定の話だ。証拠どころか確信もなく、口に出す価値など到底なくて】
【今日の任務は無事とは言えないまでも終わり、十全とは言えないまでも成果を上げた。ただそれだけが、厳然たる事実として残っていて】
【そして、その締めのシーンは――――疑心暗鬼に陥って頬を膨らませたレラが、治療を進める女性隊員達の顔を睨みつけて困らせる一幕が飾るのだった】


/これにて《旧校舎》ルートも終了となります!
/マルバスの方、ステンちゃんの方、本日はお付き合いありがとうございましたー!!
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/01(日) 03:15:54.39 ID:mLrAJBhs0
>>655-656

ありがとう、明音くん、佳乃くん。
お陰で、今日は安心して仕事ができた……よければ、また『暁星 蛍』を使ってほしい。

【幸いにして大きな怪我もなく、三人は無事にトレーラーに戻ることが出来た】
【だが蛍は同行二名にさしあたっての別れの言葉を告げても、何処かへ消えることをしない】
【乗りかかって船を途中で降りないという『主義』が、彼女にそうさせるのだ】

……いや、報酬は後で振込にしてくれ。前金を二度受け取れるほど、私は図太くないんだ。

【などと、報告のついでに自警団の職員に対しても告げて――】
【やがてレラが帰ってきたなら事情を伺いつつ、能力に織り込まれた浄化の力で応急処置を施し】
【これからの事件の展開について、思いを巡らせるのだろう】

(学園祭、か。祭りは好きだが、今は遊ぶ気分にもなれないな)
(異能を否むはよしとしても、異能のために起きた事件までも握りつぶす、か)
(やはり――何かが狂っている。夜の闇に蓋をしては、輝く星までも見えなくなるというのに……)

【伊達眼鏡を膝に置けば、剥き出しの『あか』――明星の如き光を宿した瞳が、遥か果て雑踏を睥睨するのだった。】

/お二方、ありがとうございました! 美しい起承転結の有るイベントで大変楽しめました!
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/01(日) 03:51:19.26 ID:lQfSqAhIo
>>659
だから……

【男は決着がつくと知るや否や自身の体を生身に戻し始める】
【能力をここではあまり使っていたくない、怖がられるのは本意ではないのだ】
【そして、声をはっきりと、飛ばす】

しっかり聞こえやすいように喋れって言ってんだろうがこの櫻の国の地方の踊りに使うような名前のやつー!!!

【ついには鳴子という名前もマリオンという名前も呼ばなくなった、忘れただけだろう】

……っと、これで終わりか……

【促されるままに屋上から旧校舎内へと戻る】
【その頭の中は能力の使用で急速に減ったおなかの具合】
【この男、こんな時に考えているのは空腹と食事のことだけである】
【幸い機械化していた男は怪我と呼べるような怪我もなく、僅かな怪我と破れた服の背中と腕部分以外なんともなかった】
【服は替えがあったため着替えればなんともない状態であった】
【そして男は報酬を受け取るとそのまま文化祭の学園に溶け込んでいった】

【男は何にも属さない、ただ恩のためだけに動く】
【自身が正義だろうと、悪だろうと、恩のためにならば、なんにだって身を染めるのだろう】
【だからこの騒動が後に何を引き起こすかは考えない】
【なんと言ったって今その頭の中は大食い大会のことでいっぱいなのだから……】

よし、食うぞ!

【男は軽やかな足取りで大食い大会の会場へと向かっていった】
【だが事前に申し込みをしていなかったため出ることはできなかった】

//本日はありがとうございました!
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 04:02:24.93 ID:SPMKQWQF0
>>659
【幾度味わっただろうか。橈骨尺骨から上腕骨に伝わり、肩へと抜ける衝撃はどうにも狂おしい程に“心地よい”】
【偽ろうとも作り出すよりも壊す事の方が性に合う。生かす事よりも殺す事の方が優れている。…………だから、“心地よい”】
【殴れば相応に拳にも痛みが生じるはずだが、其れすらも快楽として。留めるのは理性。コキリと指を鳴らしたならば拳に付着した血を舌先が掠め取って】

【――――チッ、と舌を打ち鳴らせばもう追撃は不可能だと悟るのだろう】
【と言うのも、迷彩で隠されていた飛行艇が姿を現したから。敵の基地へ訪れる事は愚策】


「その口を閉じてさっさと消えろよ――――クソ野郎
もう一度“そっちの”ツラを見せた時は其れこそ生まれた事を後悔させてやるよ
――――好い加減に目障り、耳障りだ。支配者?強がってないでさっさと布団に潜り込んで悔し泣きでもしてろ」

【鳴子一颯を名乗るマリオン・リヴァーズが消えていく様を最後まで睨み付けていた事だろう】
【隙あらば喉に噛み付き、その肉を喰らわんとする獰猛な肉食獣。ぎらつく双眸は決して穏やかな色合いでは無い】
【――――姿も飛行艇も消えてしまえば、溜息を一つ吐き。ポケットから眼帯を取り出せば着け直して】


「全く……本当に困った輩でありましたね。取り敢えず任務完了の宣言を頂いたのでこれで一段落でありますか…………
あ、必要であれば私も証言するでありすよっ!危ない所で駆けつけて貰ったのでありますから、それ位はお礼をするであります」

【何はともあれ、任務は終了。死者が出た訳でも無く、まずまずと言える成果だろうか】
【――――血に染まった腕のまま苦笑を浮かべる姿は何処か不気味にも見えるかもしれないが、ご愛敬】
【男が最後に“覚えた”と言ったのと同じく、少女も又男の事を“覚えた”のだろう】

【階段を下り生徒や一般人の目に触れないようにして――――報酬を貰えば、ついでに報告書を覗かせて貰うよう頼むのだろう】
【大体の事を理解すれば、身形を整え血を洗い流し、貰ったばかりの報酬を握って文化祭へ】
【――――遊ぶためでは無く、自警団の先輩にお土産として持って行く物だと称するが…………どう見ても其れは一人で食べきれる量では無く】

【満足げな表情で帰路へ着きながらも頭を巡るのは先程の任務のこと】
【本当の少年は無事だろうかとか、狙いは何だったのかとか――――“先輩”に相談しようかと思うが、口止めされた事を思い出せば其れも叶わない】
【――――精一杯考えてみるが、又何時かレラに会った時に問う方が効率も良い。その結論に至った少女は、やがて寮へと着き】
【レラが隊員を睨んで困らせている事やアムリタが大食いに参加出来なかった事など知る由も無く――――“眼”の能力の代償として、死んだ様に眠る事だろう】
【起きた時には“お土産”全てが一人の巫女に食べ尽くされていた――――なんて話は余談か】
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2013/12/01(日) 14:16:45.89 ID:Ahs5bcDho
>>655-656
「悪いな、私の力不足だった……こんな形でしか、決着をつけられないとは」
【自分の行動を思い返して、深く歯噛みをする】
【今日の結果、自分の行動内容には全く納得がいっていない様子であった】

「色々と……助けられてしまったな」
【ふと、二人へと微笑んでみせる。ともに戦った者たちへの、賞賛を含めて】

【傷は浅くないが、三雲の活力の力のおかげもあって、数日中に完全に回復するようだった】
【だが、怪我の跡を引きずったまま祭りで遊ぼうとも思えず、トレーラーからどこか遠いもののようにその景色を眺める】

「悪い、私は休むぞ……見ての通り、燃費の悪い能力でな」
【途中まで報告に耳を傾けていたが、徐々に――難しい話は、自分とは関係のないように思えて】

【トレーラーの中で応急処置を受けると、空間の隅に腰をおろして、短く欠伸を漏らす】
【両膝を抱くように腕をおくと、かくりと首がたれて――三雲は休息の闇へと落ちて行く】
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/01(日) 16:24:03.84 ID:aM0omckU0
>>658

……あぁ、そうさ……一生ものになるって、そう言える様な……そんな絆を感じる事の出来た、2人と居ない男だよ……ッ!

【最初の邂逅の際、去り際の姿を見られていたと言う事は多少の驚きではあったが、今の心情にあっては荒波の中に水滴を落とされる様なものだった】
【訥々と――――その中に、それこそ絶望の呻きと言える様な口ごもりが混ざりながら、アルクは答える】
【その絆の形は、簡単に表現できるものではないのかもしれない。具体的に『仲間』や『友人』と表現する事無く、ただ『絆』とだけ答えて】

……………………ッ?

【八攫の口にする前置きの言葉に、アルクは軽く顔を上げて向かいながら、耳を傾ける】
【――――言わずもがな事ではある。そんな事、アルクはこれまでの生涯で、嫌という程に分かってきた事だった】
【だが、その前提は、それ自体が核心ではない。その先に、八攫の語りたい本当の言葉がある】
【それにこそ、自分は耳を傾けなければならない――――アルクは、ただそこへと意識を集中させる】

――――ッッ!! っく…………か…………っ!?

【衝動と言うのは、時に理性を跳ねのける。それはもはや、先ほどの騒動を経ている2人にとり、今さら言うまでもないだろう】
【アルクの胸中で、正にその衝動が跳ねあがり、食ってかからんとばかりに目に力を込めて、身体さえも跳ねあげようとする】
【だが――――同時に、理性もまた、そこに常に抑圧を強いる。どちらかと言うと思考型のアルクの理性は、こんな衝動の中にあっても、力を失ってはいなかった】

【――――八攫の言葉が胸に刺さる。その刺激に、アルクは叫び出したい衝動が胸の奥からこみ上げてくる】
【――――知りもしない事に、どうして責任を感じる必要があるのか。そんなのはただの自意識過剰ではないか?】
【――――憎んだ所で何が変わるのか。それこそ先ほど君自身が言った事ではないのか?】
【明瞭に言語化されたものではないが、おおよそそんな激情がアルクの中からこみ上げて来ていた。そしてそれは、もう少しの所で言葉として吐き出されていただろう】
【それがならなかったのは――――そこに、透徹された1つの理があると言う事に、理性が辿りついたからだ】

【――――――――それは、八攫 柊という個人だから――――――――である】
【彼女の人間性・存在そのものが、この場合の答えに成り得るのだ。その結論にアルクは辿りつき、己の激情を抑え込む事に成功する】

…………っ、く…………!
アヴェロニアにいたと言うのは驚きだけど…………君の問いは、問いとしての体を成していない…………ッ
……『諦める』と言うのは『手段の不在』の問題だ……『生きて欲しい』と言うのは『手前の感情』の問題だ……その問いの二者択一は、同一の軸線上には無いんだよ……!
――――『両方』さ…………両方なんだよ…………! 医療の力でも、手前の魔術でも……ッ
……どうしても、諦めたくないと思う……でも、結局はいつか、失う時が来る……ッ…………受け入れなければ……受け入れられなければ……ッ!

【八攫の向ける問いに対して、一見奇妙とも言える回答を返すアルク。だが、その心は既に『ある部分で』冷静になり切った理性によって、補足されていた】
【思う事は、命を諦めたくないと言う事。それは、アルクの信条に反するものでもあるのだが――――アルク自身、割り切れない『例外』だと、以前に口にしている】
【しかし分かっている事は、諦めようと諦めまいと、結果は同じだろうと厳然とした予測が立てられている事。恐らく、その『相棒』の『現状』は、既にアルクも把握しているのだろう】
【把握した上で――――アルクは『諦めるしかない』と結論を出したのだろう。その理性の答えが感情と相克しあい、先ほどの八つ当たりに近い行動の引き金になっていたと考えれば】
【今のアルクの心情を、そう大きく外す事もなく、理解できるだろう】

【理性と信条は、アルクに『諦めろ』と諭す。感情は、アルクに『諦めるな』と促す。その板挟みは――――人間の精神における、過酷な極致だ】

/今のうちに返しておきますー
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/01(日) 17:30:52.92 ID:Ja610Sk0o
【ここはレイリスフィード学園――今、学園祭が開催されている所である】
【そこの、露天が並ぶとある一角に、―― 一風変わった店が出されていた】
【なんというか、いかにも厨二病と言わんばかりの見た目であり……店名は"ダークホース"……らしい、手書き文字が汚すぎるのだ】

「ヒャハハ、……"可ァ能性"を捨てさせる教育か、混沌を阻ォ害しィている」
「いィざと言う時に、自ィ分を護る存在は自ィ分の"力"だけだと言うのになァ――どォんなにくゥだらない力だァろォーとなァ……」

【その店の主――それは黒い外套と黒い馬のかぶりものを身に着けた、珍妙な姿の者だった】
【身長は約2m、筋肉質な細身で、かぶりものからはみ出ている髪はボサボサとしていて長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「――――ふゥむ、大ォ事は終ォわったよォーだが、まァだまだにおうぜェ……ヒャハッ」
『邪禍様の嗅覚は第六感も犬も裸足で逃げ出すレベルで御座いますからね、話は変わりますが、結局これは何の……』
「しィつこい、何でも良ォいだろう……ヒャハハ」 『……』 「少なくとも"人肉じゃアねェ"から安心しろって言ィってんだろォォオオ」

【その隣でサポートをしているのは、眼がレンズで出来ていて、執事のような姿をした二足歩行のコウモリである】
【店の主があんな姿な為、学生たちにはただのよく出来たコスプレと認識されているようだが――】

『……二日目となれば、そろそろ無断出店が発覚するかと思います、撤退用意は大丈夫で御座いましょうか』
「安心しな……捨ゥて台ェ詞も行ォ動もバッチリだ、――心を抑えつける紐にヒィビを入ィれてやァろうじゃアないか……」 『流石邪禍様』

【どうやらこの店、焼いた肉を串焼きにして販売しているようだ、値段は一本100〜で、メニューは肉と皮など。量もそこそこと中々リーズナブル】
【味は既存のものとは違っていて、しかし無難に美味しく、更に味付けも複数ありしっかりしていて――焼く匂いが辺りに漂えば、ある意味テロとなる】
【……万が一この会話を聞いていた場合、食欲が酷く減退するというレベルではないかもしれないが】

学生「えー、マジー、冗談はよしてよ、あんな変態馬面の店ホントに美味しいのー?」
学生「ホントだってー、キモいし厨二病だしよくわかんないけどーおいしいんだよー」         「……ヒャハハ、毎度ありィ」

【……クチコミの力もあって、被害者は結構出ているようだ】 【ともかく、この場にはあまり相応しくない思想の持ち主のようだが……】

/20時頃までおいておきます
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/12/01(日) 19:04:43.97 ID:gQpQ3uxSo
【レイリスフィード学園・体育館裏】

はぁ、はぁ…………冗談じゃないわ!
あいつ…………終わったら覚えておきなさいよ…………!

【息を切らしたひとりの女性が、体育館の壁に体を預けて、何やら物騒な呪詛の言葉を吐き出していた】
【白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的な、美しい女性だ】
【漆で染めたように艶めく黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差していて】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしている】

【背丈や顔立ち、それにやや荒っぽい挙措からすると、女性と言うにはまだ若い、少女と言うべき人物かも知れないが――――】
【まるで社交界にでも出席する婦人が着ているような、胸元の開いた妖艶なドレスをその身に纏っているせいで、その印象も数段大人びて見えた】

【少女は体育館の影からちらりと顔を出し、周囲を確認する。見知った顔の女子生徒が数名うろついているのを見ると、うんざりしたようにもう一度隠れる】
【一体何をやらかしたのか、彼女は追われているらしい。と言っても身体能力に優れるこの少女、普段ならあの程度の追っ手、強引に撒いてしまえる筈だったが】

走りづらいったらないわね、全く…………!

【ちっ、というその下品な舌打ちが、ドレスの品位を落とさなければ良いのだが――――】
【慣れないハイヒールのせいでスピードは幾分か落ちてしまうし、やたら丈の長い漆黒のドレスは、走るとなれば一々スカートを持ち上げなければならない】
【しかもややサイズが大き目なせいで、走っているとスカートのスリットから脚が丸ごと出てしまうし、肩紐がズレて胸元が剥がれたりしたら最悪だ】
【ついでに言えば、追っ手とはいっても相手は一般生徒である。本物の敵≠ニ相対した時のように、真正面から襲撃して暴力で打ち倒すわけにも行かなかった】

【そんなこんなで――――女らしさの代償に戦闘能力を奪われた少女。命の危機ではないにせよ、何かの窮地に陥ったことは間違いなさそうだった】
【少女は頃合を見て体育館裏から抜け出し、人目を避けて走り出そうとする。追っ手に気を取られるあまり、他人への注意は散漫になっていて――――】

【彼女の様子を見かねた誰かが話しかけてくるか、あるいはこのまま走って誰かにぶつかるか】
【過程はどうあれ、ただでさえ学園祭の賑わいで人が多いところに、これだけ目を引く格好をした少女である】
【彼女が他の誰かと関わり合いになる可能性は…………高い、と言えるかもしれない】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/12/01(日) 19:05:24.12 ID:4mzz15MCo
>>470

【笑われた。笑われてしまった。が、セリーナは其れでようやっと安心できて。傷つけたらどうしようかと、不安げに思っていた心も何処へ。】
【自分の思う以上に、この"ダン"という人物は、深く優しい心根を持っている。其れは恐らく、勇気と繋がる重要な、とても重要な気持ちだ。】
【失ってしまった、腕。しかし、今に至り得た仲間。セリーナはつられた様に笑い、"可愛い"なんて言われればまた、少しだけ顔を紅く染めて。】


 も、もう! ダンさんも笑ってないで! ほら、その―――て、手当てとか必要なら、直ぐ言ってくださいね、もう……、、
 そりゃあ、アタシだって少しくらいは―――……、いや……最後に可愛いって言われたの、いつだったっけなあ。ま、それは良いとして!

 そそ! ダンさんにはアタシ達がいる。それに、能力なんてなくったって戦うことは出来る!
 無能力者でもすーっごく強い人とか、アタシは知ってるからね。結局最後は"ココ"だよ、ね!


【そう言って、自身の心臓をトントン、と指で突っつき。大事なのはハートだ、と告げる様は先程同様、溌剌とした声。】
【硬く交わした右手。伝わる熱。響く思い。やがてこの邂逅は、UTという組織にとって大きな変化を齎すだろう。】
【セリーナはそう信じているし、ダンはその力を持っている。どんな人間でも、過去を背負い戦う資格があると、そう伝える為】
【彼が大きな一歩を踏み出そうとしているのを、この組織に所属する人間はきっと受け入れてくれるはずだ。】

【―――そしてこれは後日、の話ではあるが。彼にあてがわれた部屋の机に、一つの注文書の様なものが置かれているのに気付くだろうか。】
【羊皮紙に記載されているのは何らかの"アイテム"―――どうやら、説明を読む限り"W-Phone"という名の機械端末であるらしく。】
【金色のコイン、赤色のソード、緑色のワンド、そして青色のカップがそれぞれ柄として描かれた四種類ある機械端末は、連絡機能は勿論】
【情報共有の為のネットワークや"哲学者の卵"による汚染度を調べる探査能力、GPSや録音等アプリケーションを多数備えており】
【これからダンがUTのメンバーとして活動していく上でその行動をサポートしてくれる事だろう。好きな柄にチェックを入れておけば】
【後々セリーナがW-Phoneを用意しておいてくれる、という事らしい。いわば、UTメンバーの証とも呼ぶべき必需品だ。】
【そして、羊皮紙には同時にこう書かれていて―――"好きな柄を選んでおいてね! ちなみにアタシは、コインを選んだよ!"】

【―――"UTに入ってくれてありがとう。"と。】

/遅くなりましたが、此方もこれにて〆とさせていただきます。
本当にご迷惑おかけしました、申し訳ないです…。
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/01(日) 19:55:01.88 ID:YolKEPIm0
>>667

【今日も今日とてレイフィールド学園は学園祭で盛り上がっていた】
【そして、そんな場所には多くの人が集まるわけで】
【いま、ここで歩いている男もこの学園祭に来た一人だ】

【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い】
【片腕には義腕をつけているが手の部分は黒の手袋をはめておりよく見ないと義椀だとわからないだろう】

 ふむ、学園祭はやっぱり盛り上がるもんだ
 青春の思い出にはうってつけだろうなあ

【男は自分の昔のことを思い出しながら言った】
【懐かしいことを思い出ししみじみと感傷に浸る】
【と、そこに何かがあわただしい走る音が聞こえてきた】

 ん〜、なんだこの走る音は?

【男はそのような疑問を持ち周囲を見渡すと】
【自分の正面から走ってくるドレス姿の女性を見た】

 え、おいおいこっちに来てんのか!
 ちょ、おま!

【そのように慌てて女性に注意を言おうとするが】
【ときすでに遅く、男は走ってきた女性にぶつかり、バランス崩して地面にぶつかった】

【そして地面にぶつかったとき頭をうったのか頭を痛そうに抱える】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/01(日) 20:10:39.74 ID:gQpQ3uxSo
>>669

よし、これで…………っ!
ちょっと、退きなさいよ――――――――きゃあっ!?

【体育館裏を抜け出し、少女は走る。追っ手の目からもどんどん離れ、これでどうにか撒けたかと振り返って】
【――――後方を見たということは、前方を見損ねたということだ。前から突然響く男の声に慌てて反応するも、もはや間に合うタイミングではない】
【少女は敢えなく男と衝突し、地面に倒れた男と同様、少女もまた尻餅をついて倒れるのだろう】

…………痛っつ…………。
き、気を付けなさいよ…………。

【豪奢なドレスが動きを阻害し、受け身も取り損ねた少女。幸いその体にもドレスにも傷は無いようだが、痛みは強かったようだ】
【少女は打ち付けた臀部を押さえて立ち上がると、ぶつかった男に対して八つ当たりじみた言葉を掛ける】
【…………とはいえ、前方不注意だった自分にも非はあるのだと自覚はしてはいるようだ。乱れた身なりを整えながら、少しばつが悪そうにして】

…………大丈夫?

【ぼそりとそう呟いて、少女は男へ声を掛けるだろうか。決して目は合わさないが、心配はしている様子だ】
【決して手を差し伸べたりはしないものの、男が無事起き上がるまでその場で待っているだろう】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/01(日) 20:11:41.35 ID:xwtMrlAzo
【レイリスフィード学園、高等部校舎1F】
【学園祭で多くの人が行き来する中、疲れた顔で植え込みの縁に座り込む16、7の少女がいた】

はぁ…………何かイベントがあるって言うから来てみたら……失敗だったかしら……人多すぎよ……
――――でも、いつもの格好にしなかったのは正解だったわね。

【プリントTシャツに短めの黒のダウン、デニムのショートパンツを穿いて】
【足は黒のタイツで包み、ムートンブーツを履いている】
【腰まである長い銀髪の上には、キャスケット帽が乗っていて】
【普段は鋭いのであろう蒼の瞳は、今はどこか疲れた様子】

【更に、右腰には一振の短剣。そこからは僅かながらも魔力が滲んでいて】

この人混みであの格好じゃろくに動けなかったわね…………
……って言うか、何で私が狐を連れてウロウロしなきゃいけないのよ

『――仕方ないでしょう、あなたの傍にいるように言われたのですから。』

あー……わかったからちょっと黙ってて……ぬいぐるみで通すつもりなのに喋ってると目立つから……

【更に付け加えるなら、キャスケットの上にはデフォルメした白い狐のぬいぐるみのような、何か】
【よく見れば動いているのだが、それよりも今し方発した声の方が問題であろうか】

【―――ところでこの少女、水の国で行われた大会で見た事がある者もいるかもしれない】
【服装は今とは全く違うけれど、長い銀髪や鋭い蒼の瞳、そして腰の短剣――――】
【良い結果を残したわけではないが、試合中にかなり目立つ事をやったものだから】
【印象には残っているかもしれないが――――やはり格好が違いすぎているわけで。】
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/01(日) 20:37:10.62 ID:zvdbp4vO0
>>671

ヘーイそこのお嬢さん、浮かない顔でどうしたんだい―――?
折角の祭りが台無しだぜ………?確かに今の世の中嫌な事ばっかりだが、だからこそ楽しもうぜ!

【唐突に、少女へと声がかけられる―――。】
【声色だけでいかにも軽薄そうな印象を持つその声の主は、いつの間にか少女の眼の前に立っていた】

ん………というよりどこかで見た事があるような………まさか芸能人ッ!?
何はともあれ俺とお茶でもどうだいッ!?

【その軽薄そうな声の主は―――。】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【姿まで軽薄そうな男………もしかしなくてもこれはナンパである。】
【しかし―――男の胸元にある緋色の鷹≠フワッペンは………まさか近年設立された新たな正義を掲げる組織の………】
【何はともあれ青年は少女の顔をまじまじと覗き込む、どうやら大会の中継を見ていたのか顔を知っているようだ。】
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/01(日) 20:40:19.14 ID:YolKEPIm0
>>670

【頭を痛そうに抱えていた男は頭を痛そうになでつつ立つ】
【なにかほこりとかついちまったか

 あ、ああなんとかな
 そっちこそぶつけたところ大丈夫か?

【男にはその呟きが聞こえたのか立ち上がったそのように言うだろう】
【ぶつけたところを心配する言葉も忘れずに】
【八つ当たりじみた言葉も聞こえていたが男は特に気にしなかった】
【男の癇に障ることもなかったのであろう】
【そして男は服をたたいて服についた砂やほこりを叩き落す】
【そのような動作をしながらすこしばつが悪そうにしている女性にこう聞くであろう】

 それで、なんでそんな色っぽい格好であんなに慌てて走ってたんで?
 何かから逃げてきたんで?
 
【なぜ走ってきたかそれが男にとって疑問であった】
【そしてさっきの慌てぶりから察するに何かから逃げてきたのかとも疑問を持った】
【答えがなかったとしても男はあんまり気にせず、あっそ″で済ませてしまうであろう】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/01(日) 20:50:38.60 ID:YolKEPIm0
>>673
/ミスったあぁ【なにかほこりとかついちまったか】は【何かほこりがついてしまったかと思う】です
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/01(日) 21:00:10.53 ID:qaBxGdolo
>>672

――――――――?

【“あ”とも“ん”ともつかない、何とも文字にしようがない、謎の声を出しながら少女は俯いていた視線を上げた】
【元々目付きが鋭いうえに、見上げるような形になっているものだから、半ば睨み付けるかのようであって】

どこかで見たって…………ああ、あれじゃないの?
水の国の、ほら、大会あったでしょ?あれに出てたから。

【彼の姿を視界に捉えれば、少女はうんざりしたような表情を浮かべる】
【しかしそれも一瞬、胸元のワッペンを見たなら細い眉がピクリと動いて】

SCARLETのメンバーがこんなところでナンパ?そんなに平和だったかしら。
――――まあいいわ、いつまでも此処に居たって仕方ないし、ちょっとくらい付き合ってあげるわ。

【呆れたような半目で、薄い笑いを浮かべて。からかうような、そんな言葉を彼に一つ】
【それでも、思い切り上から目線ながらも誘いには乗る様子】
【徐ろに立ち上がったなら尻の辺りを二、三度手で払い、『どこに行くの?』と一言】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/01(日) 21:01:26.64 ID:giWQPigpo
【公園】

【その男は座っていた。公園で座ると言えばベンチだろうが、彼は地べたに腰を下ろしている。……しかも、木の目の前で】
【ただ座っているのとは違うようで、袴に薄藍のインバネスの格好、左腰に佩く緋色の鞘に包まれた刀、柄に添えられた右手を見れば】
【……その胡座に近い座りが『座構え』、居合の構えであることが解る人もいるだろう。だが、良く彼の姿を見て欲しい―――『彼は木の目の前で座っている』】

【―――このままの位置なら、刀を抜こうと右手を伸び切れば柄が木に当たるのだ。そして見た目には、『公園の木』を斬ろうとしている様にも見える】
【……公共の、公園の木を斬っていいのだろうか?】

―――抜かずに抜く……すると消える……―――ッフッッ!!

【抜かずに抜く=\――矛盾している様に聞こえる意味不明な言葉も、彼にとっては大きな意味を示していた】
【微かな風に黒髪が揺れる。ひたと閉じられた両眼がカッと見開けば、小さく鋭く息を吐く音と共に腰を僅かに上げ足を入れ替え、刃の銀色が姿を現した】
【―――其の抜刀は鋭く、そして奇妙であった】

……―――上手く「抜けた」 
やはり大会を見ると昂るものがある。実況ばかりではいかないな……!!

【ボソリと呟く男、確かに刀は抜けて鋭い刃を露わにしていた。しかしながら刀身は、右腕が伸びきり柄が当たった位置から全く動いていなかったのだ】
【……木も、一切切れていない。まるでいつの間にか、『鞘が透明になって消えてしまったかのような』錯覚。だが確かに鞘は抜かれていた。確かに左腰にあるのだから】

【そしてその抜刀は、恐ろしい程静かで―――疾かった。……抜かずに、抜く。その言葉の意味が刹那の抜刀に隠されていて―――】

―――――――――――――――

【公園】

―――ヒィ、フゥ、ハァ……〜〜〜〜ッ、しんどぉ〜〜〜っ……!!
このメニューマジキチ過ぎねぇか……!? やっとこさ治った足に10kgのアンクル付きで10kmってよぉ……またぶっ壊す気だろあの野郎……!!

【ゾンビのようにふらつきながらベンチまで足を進め、崩れ落ちるように腰を掛けると男は疲弊した声を漏らす】
【ジャージ姿は早朝や深夜によく見るランナーの姿と同じだが、何故か彼はそのスポーティスタイルに青のソフト帽を合わせている。明らかなミスマッチだった】
【首に掛けたタオルで汗にまみれた顔をワシャワシャと拭けば、再度大きな溜息を吐いて前のめりになる。ジャージの右胸には緋色の鷹のワッペンが付いていた】

……奇跡的に治ったからと言って、機動力が戻ってきた訳じゃねぇ。直ぐにでも足の筋肉取り戻して、付いちまった変な癖矯正して―――
SCARLETのメンバーとして相応しい活躍を残さねぇと……!! とは言ってもよォ、ちょっとコレはまだ速いんじゃねーかとは思うんだけどねぇ……

【大会が終わって半年も経たない今であれば、この男の事を覚えている人間も少しは居るだろう。いつもとは姿は違うが、トレードマークの帽子だけで彼と判断するには十分だ】
【―――第3回水の国天下一武道会3位、マーシャル・T・ロウ。大会唯一のSCARLET所属であり、地味ながらも正確な銃撃と練りこまれた戦略で好成績を収めた人物】

……あー、でもイチから戦術練り直しだな……動けるようになればもっと安全に立ち回れるし―――
―――コイツの、「幽幻の宝玉」の力ももっと有効に使える筈だ……!

【全身にへばりつく汗が引くのを待ちながら、ロウはジャージのポケットに締まっていたアクセサリーを取り出す】
【銀の籠に砂色の光る玉を閉じ込めたデザインであり、中の玉は月光に照らされて鈍く煌く。不思議な輝きを放つ玉であるが―――宝玉と言えば、納得できるだろう】
【……外気に晒した瞬間、怪しげな魔翌力を空中にバラ撒くその玉。男は何度もその強大な力に助けられてきたが。其の玉は同時に危険を呼び寄せることもあった】
【―――宝玉の魔翌力は強大、故に欲する人間も多い。……力を欲する人間には2種類が居る。その力を用いて護る人間と、壊す人間の2種類が―――】

/どちらも公園ロールですがお好きな方に……
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:08:14.38 ID:gQpQ3uxSo
>>673

こっちは平気よ。
そもそもこんな格好さえしてなかったら…………。

【こちらを心配する男の声に、少女は素っ気ない返事をする。その途中に少しだけそちらを見て、男の方にも怪我がないことを確認すれば】
【少女は地面に視線を向け、愚痴るような言葉を吐くだろうか。男に向けたものではない、ただ現状へ向けた恨み言だ】
【だが、視線を地面に向けたせいで――――自分の格好が目に入る。少女ははっとして、男の表情を窺った】

…………。

【こんな格好を人に見られてしまったことに、少女は今更気づいた様子だった】
【黒い双眸は少しばかり気恥ずかしそうで、その照れ隠しだろうか、やはり八つ当たり気味に男の顔を睨みつけている】
【…………冷静に見れば、ドレス姿は少女の顔立ちや長髪によく似合っていて、恥ずかしがるようなものでもないのだが】
【着慣れない西洋のドレスを身に纏った自分が他人からどう映るのかを全く想像できず、それでも堂々と開き直るには少女は若すぎた】

好きでこんな格好してるわけじゃないわ…………無理矢理着せられたのよ。
…………な、何でもいいでしょう、別に。

【男の「色っぽい」という誉め言葉に、少女は何とも複雑な顔をする。照れたように目を逸らしたから、悪く受け取ったわけではなさそうだが】
【少女が目線をやった先。今は遙か遠くだが、数名の女子生徒がうろうろと何かを探しているようだ】
【その探し物が、この少女であることは恐らく間違いない。では、何故追われているのか…………?】
【疑問に対する答えが、少女の口から語られることはない。ただ、少し恥ずかしそうに口ごもるだけだった】

そういうあなたこそ、ひとりなの? 彼女とか、家族とかは?
こんな学生ばっかりのところに男ひとりでやってくるなんて、奇特な人ね…………。

【少女は逆に、男に質問を返した。見た目からして自分よりひとまわりは年上だろうと推測して、ある意味では余計なお世話かもしれない】
【しかし確かに、盛況を見せるこの学園祭≠フ場に集まる一般人と言えば、家族連れやカップルが多いのも事実だろうか】
【少女は男の顔を見て、少し物珍しそうにする。教員以外でこれだけ年の離れた男性と話す機会も。そうはないのだ】

【…………しかし、今。男がひとりであるように、この少女もまたひとりである】
【男に行く当てがないのであれば、目の前の少女を誘って校内を回ってみるのも手であるかもしれない】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/01(日) 21:09:26.85 ID:YolKEPIm0
>>677
/風呂はいるので返信遅れます
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/12/01(日) 21:10:32.36 ID:gQpQ3uxS0
>>678
/了解しましたー!
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/01(日) 21:20:43.42 ID:zvdbp4vO0
>>675

と、取り込み中だったかな………?アハハ………。
水の国の………?あの大会に出ていたのか―――どおりで見た覚えがあると思った…。

という事は君は武芸者ってワケかい?

【睨みつけられるように見上げられ、一瞬ビビったように身を逸らすが………相手の大会と言う言葉に反応する】
【あの大会はSCARLETメンバーの募集も兼ねて開催されたモノだ、実際それより先にメンバーに入っていたディックも観戦していた】
【そして大会に出るとなるとそれなりに腕に自信があるという事だ、ディックは短剣へと視線を落とす。】

SCARLETメンバーもたまにはハメを外したい時があるのさ………まぁ任務ついでだけど
じゃあ話ついでにその辺の軽食喫茶でもどうだい―――?

ああ、申し遅れたな、俺はディック・ホワイトだ、よろしく!

【少し先にあるフードコート的な屋外ラウンジを指さしながら簡単に自己紹介をしながら歩き出す】
【しかし本当にSCARLETであるのか疑いたくなる程に言動も風貌もチャラチャラだ―――ともあれ何かの任務も兼ねていると言うのだが】
【果たして―――】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:36:11.36 ID:bH1S+ioDo
>>676
/*まだいらっしゃいますかー!?*/
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/01(日) 21:37:06.61 ID:giWQPigpo
>>681
/いますよー!
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:37:35.85 ID:U9tMGsNw0
>>676

【公園】


【此の少年も又、座っていた。勿論、男の様に地べたに腰を下ろしている訳ではなく、ベンチに、だ。】
【足を組みながら、ブラックコーヒーの缶を時折傾けて。ボーっと宙に視線をやる其の様子は、月を鑑賞している様だった。】
【丁度薄い雲が、濃い霧の様に働いて。季節が異なる故適切な表現ではないが、其処に唯一輝いていたのは、美しい朧月。】

【彼が着ているのは少し黒ずみが出て来た真っ赤なオーバーコート。年季が入ってきたとも表現出来る其れは、継ぎ接ぎも丁寧、接近しないと分からない程。】
【大事にしているのだろうという想像は、比較的安易な物だろう。下はシューカットのブラックパンツ。腰の髑髏の様な模様のバックルが、少々映えて。】
【両手に填められているのは黒色の革のグローブ、右手の薬指からはネオンサインに反射したのか、銀色の輝きが見てとれるだろうか。】
【随分と珍しい銀色の髪に、惹き込まれそうな程深い真紅の瞳。年の割りには全体的に整った顔立ちの、16歳の少年であった。】

【―――少年は只ならぬ気配の様な何かを感じた。月の光で凡そトローッとしかけた少年の眼に、瞬間光が入る。】
【夜の公園は一見すると、随分と人影の無い空間の様に思えた。―――だからこその、"違和感"。】
【座って辺りを見回すだけでは、其れを拭い切れなかった。少年は立ち上がり、缶をゴミ箱にシュート、其の後捜索を始める。】


――――……………


【周りの茂みに、すっぽり隠れた状態で鎮座する男の影。自分の身形も相応に不相応で有るが、彼も又、であった。】
【然し少年の感じた"只ならぬ気配"は、彼の抜刀によって立証される事となる。剣術に於いてかなりの腕前である事は、】
【勿論素人でも分かる。其の動きを眼で捉えられたのなら、尚更。―――武者震いは、止まる事を知らなかった。】


――――………おい、……………


/よろしくお願いしますー!
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:37:40.44 ID:bH1S+ioDo
>>682
/*うぃうぃ、今から書きますので少々お待ちください*/
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:38:11.77 ID:bH1S+ioDo
/*と思ったら人が来られたので自分無かったことにしてくださってOKです!*/
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:38:15.39 ID:U9tMGsNw0
/土下座しますスミマセン……>>683取り消しで
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:39:24.84 ID:bH1S+ioDo
>>686
/*いえいえ、時間かけて絡み文書かれたのですし、そっち優先でいいですよ。ご迷惑おかけしました。*/
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 21:43:17.05 ID:U9tMGsNw0
>>687
/何という……すみません……
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/01(日) 21:44:53.75 ID:fXQPJqiUo
>>680

武芸者……まあ、そんなところかしらね。
普段はもうちょっとちゃんとした格好して、もう一振の剣も持ってるけど。

【短剣に向けられた視線を感じながら、そう言って】
【“もう一振の剣”――――つまり、実際に戦う時は双剣の形で用いるということ】
【大会の参加選手で双剣を使っていた者となると、そう人数は多くないが――】

ナンパしながらできる任務、ね……随分と緩い任務なのね?
――ええ、そこで構わないわ。どの店もそんなに変わらないでしょうし。

私はゼリシュ。ゼリシュ・フェーブスよ……まあ、よろしく。

【どうやらこのゼリシュという少女、何かと棘のある言葉が多そうである】
【歩きながらこちらも簡単な自己紹介―――この名前を聞いて彼女がやった派手な行動に思い当たるであろうか】
【初戦にて、ステージを吹き飛ばすなんて無茶をやったのだが―――――】

【一方、からかう様な事は言ってもディックがSCARLETのメンバーだという事は疑ってはいない様子】
【わざわざSCARLETのメンバーを騙るほど肝の座った悪人もいないだろう、という考えである】
【―――さて、そんな話をしている間に、目的の店に着いたようで】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/01(日) 22:02:00.05 ID:Ja610Sk0o
>>666
/とりあえず再募集
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/01(日) 22:03:50.99 ID:BGBy4TOuo
【路地裏】

【街路樹が綺麗にイルミネーションされた大通りは人通りが賑やかで】
【人の流れが出来て、手を離せば逸れてしまいそうな程だった】
【しかし、その人の波にぶつかっては怪訝な顔をされながらも割っては走る人物が居た】

…っちょっと!…くそっ!避けろ!バカ野郎!

【人混みから頭ひとつ出た背の高い男。黒髪でとんがった鼻。そして夜だというのに黒サングラス】
【黒い細身のスーツに白いシャツ、黒いネクタイ。カーキのモッズコート】
【左手にアタッシェケースをもって、人混みを割って男が走っていた】

――『退けッ!クソッ!待ちやがれってんだ!』

【背後から同じように人混みを逆走しながら追ってくる数人の人物】
【ソイツらは一様にガラの悪い服装で、酔っぱらいを跳ね除けながら前を追う】
【苛立った1人が、ピストルを右手に握って真上に撃った。悲鳴が響き渡る】

クソッ!……街中でぶっ放す奴があるかよ

【サングラスの男は騒然とする人混みを抜けて、交差点に飛び込む】
【信号は赤のままだ。クラクションもおまけに鳴り響く。】
【追っては交差点に飛び込むこと無く、拳銃を構えてバンバンバンバン撃ち始めた】

【悲鳴、クラクション、銃声。深夜に狂騒が途端に始まった】

【サングラスの男は車にぶつかりそうになりながらも渡り切ると、逃げ惑う市民に混ざって】
【誰もいない、真っ暗な路地裏に飛び込んだ。追手はやってこない】
【看板に銃痕をつけたぐらいで、怪我人はないようだが…直ぐに自警団でも駆けつけるだろう】

――『チッ…餌だけ取られちまうハンターが居るかってんだ』

【追手らは自警団が来る前に何処かへ逃走して行った】
【一方、路地裏に逃げ込んだ男はビルを背に辺りを見回しながら】
【ポケットの煙草を取り出して、ライターで火を付けた。ビルのダクトから白く湯気が上がる】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/01(日) 22:08:15.05 ID:giWQPigpo
>>683

【微かな風切り音が過ぎ去り静寂を確かめると、男は朧月に煌くその刃を鞘に収めた。先程の光景は「居合」の動作なのだが、鞘から刀を抜いたというよりはその逆】
【つまり鞘を抜いたと言った方がこの光景を伝えるには正確な言葉だった。彼が柄から右手を離すと同時に、少年が感じた「只ならぬ気配」も顔を隠す】
【―――そしてようやく、少年の零した声に対して振り返って濡羽色の双眸を向けたのである。同時にコートの右肩に張り付いた緋色の鷹の紋章も見えるだろうか】

―――……怪しい者ではない、唯の修行だよ。 ……通報などは、止してくれ―――というよりも。
君はこんな時間に何をしている。最近は物騒な世の中なんだ、速く帰路に着いたらどうだ……?

【振り返りながら零すは弁明。こんな時間に一人で刃物を振り回しているという行為に対して、どうやらこの男は少々の後ろめたさは持っているらしい】
【―――が、少年の見た感じはガラの悪そうな姿を目にすれば、逆に今度は問い詰める。右肩の紋章から分かる通り、彼はSCARLET。市民の安全を護る仕事に就いているようで】

……―――ああ、見ていたのならやっぱり怪しむだろうな。態々大木にギリギリ密着するかの位置で窮屈そうに抜刀しているのだから……
……まぁ、オリジナルの修行とでもいうヤツだ。―――何も工夫を凝らすことなく徒に刀を振り回すよりもよっぽど効果があるし長続きもする。

【少年が此方に向けた瞳に感じたのは、「唯の興味本位だけで声を掛けたのでは無いのかもな」というモノ。何か今の一振りに、他のモノを感じたのではないかという予想】
【―――兎に角怪しまれることだけは避けようと、、奇妙な行動の理由を告げてみたのだった】

/>>687さん今回はすみません、またこんど絡む機会がありましたら……
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/01(日) 22:13:26.24 ID:zvdbp4vO0
>>689

へぇ………何処かの武道団体とかにも所属してるのか?
旅の剣士―――って風にも見えなくはないけどさ………どうだいSCARLETとか。

【相手の言葉を元にバトルスタイルを想像しながらそんな事を口にする。】
【どこかで聞いたかもしれないがSCARLETは常に人員が不足している状態だ………だから大会などでも大きくPRした】
【その証明のように青年も直ぐに少女に対して勧誘の言葉を口にする、大会に出る程ならば腕も達者だろうと考えて。】

………むしろナンパしながらが一番有効かもな………昨日の話だがどうやらここにネズミ≠ェ紛れているらしい
だから………こうして非番アピールしながら色々と探っているわけよ―――まぁ俺にとっては一石にちょ………いやなんでもない

ゼリシュ・フェーブス―――あ、あー………あの試合の選手か………。
随分と派手にやったから印象に残ってるよ―――修復費用はともかく会場はかなり沸いたぜ、アレ

【何やら邪な考えがはみ出ているが確かにそう言われれば理にかなっているような任務のスタイルである―――】
【しかしこの様な学園祭に不穏な影とは………、機密事項なのかそれ以降は詳細を語らない。】

【席に着くと、ディックはアイスコーヒーを注文する、そして「俺の驕りだ好きなの頼めッ!」っとニカッと笑った】
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/01(日) 22:23:38.70 ID:YolKEPIm0
>>677

 そうか、平気か、なら結構

【男は少女の平気という言葉にたいし少々安堵した】
【怪我の度合いによるが怪我をしていたら、保健室に運ばなくなるからだ】
【そしてはっとした少女ににやにやとした表情を作り】

 おいおい、あっしに八つ当たりすんなよ
 もしかして恥ずかしいとか

【にやにやとしながらからかうようにそう言った】
【ういういしい反応をする少女を確実に面白がっている】
【男の目からうつる少女はきれいだとそう思った】

 よく似合ってるじゃないか、そんなに恥ずかしがらずとも
 きれいだと思うよあっしは

【思ったことをそのまま口のするが男はあまり後悔はしていなかった】
【まあ、口走ったものは仕方ないという開き直りでもあるが】
【そして少女の目線がやった先に男も目線をやった】
【するとわずかではあるが男にも何かを探す女子生徒が見えた】
【それで男はふーん″と言って少女がやった目線の先を指差して】

 もしかしてあの女子生徒に追われていたとかか?
 そんな格好をしているのは察するにあの女子生徒たちにドレスを着てといわれて断れずに

【男は自分の推論を少女に話した】
【外れているにしろ、別にかまわないが】

 あー、彼女はいねえな、ま、あっしと付き合ったところでいいことはねえな
 家族はもお墓のなかだよ。
 つまり一人だな。

【男は少女の問いにあまり気にせずぺらぺらとしゃべる】
【家族のくだりのところでもあまり感情をかえずにしゃべった】
【そしてそのまま少々考える素振りをして少女に対して言葉を作った】

 つうか、お前さんもあっしのことを言えずに一人だろ
 ……そうだ、あっしと一緒に校内まわらねえか?
 お前さんも一人だし、なんかにおわれてんだろ?
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/01(日) 22:31:36.65 ID:p1kuD2Dj0
【街中、大通り。冬の訪れを感じさせる寒空の下、夜でありながら人気の多い場所で】
【しかし、妙に雰囲気の違う通行人が一人いた。建物の壁に寄りかかりながら足を動かす姿は、かなり他人の目を惹くだろう】
【本人にとってはそんなことどうでもいいらしく、少量の冷や汗を流し尚も歩き続けていた】


……ぐっ、げほっごほっ、……痛ってぇ……っ!

【丈の長い灰色のピーコートを身に纏い、首元にはチェック柄のマフラー】
【紺色のスラックス、足の外側に「S.U.」と黒で書かれた暗い茶色系統のブーツ】
【癖毛の混じったミディアム程度の黒髪で、比較的痩せ型で猫背気味、大きいクマのある三白眼の若い男】

(どこまで行っても……どこまで歩いても、見知った建物がない……!
 道を間違えたのか?……いや、それにしても奇妙だ。そもそも町並みが日本らしくない、まるで外国に迷い込んだような……)

【少し辺りを見るものの……目に映るのは、祖国の人間とはかけ離れた容姿。もし言葉が通じなかったらを考えては、道を聞くことも出来なかった】
【異世界に迷い込んだことに気付いていない様子。そう、男は正しく「異世界人」という部類の人間だった】
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 22:34:58.14 ID:U9tMGsNw0
>>692

……いや俺、その辺のゴミ共なら……っつーか、帰る家ねーし、………いや、何でもない。
あー……アレか、やっぱこの髪か。色、付けてる訳じゃねーんだよ……証明は出来ねーけど……


【SCARLETに所属している事を示す緋色の鷹の紋章を認めれば、不審者ではないと確信するに至る。】
【となれば今度は逆の立場。少年が、怪しい存在なのであって。……言葉は少々しどろもどろになった。】
【『帰る家が無い』―――思わず口走った此の言葉。直ぐ様掻き消そうと『何でもない』と言ってみせたが、】
【其れは明らかに、無駄な行動。若し本当に掻き消せたのなら、其れは元々彼が少年の話に耳を傾けていなかったと言う事になるだろう。】


いや、……怪しいから通報うんぬん……っつーより、何だろーな。……気がついたら、って奴?
抜刀の手捌き、全部見えちまったからよー……剣術は素人だけどな、……すげー……ってな。


【手持ち無沙汰になった少年は、右手で銀色の髪をわしゃわしゃと掻く。朧月に反射して、刀身同様煌めいて見えただろうか。】
【言葉が詰まる其の様子、"凄い"と只稚拙な感想しか述べられなかった事実は、自分の感じ取った物を上手く言い表せなかったという事を表していて。】

697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 22:35:21.74 ID:SPMKQWQF0
【レイリスフィード学園――――其処で行われている文化祭にて】
【文化祭という大舞台。生徒達の活気で溢れかえっている事だろうか】
【一般開放という事もあり、実に様々な人々を見る事が出来ようが――――中でも、この場で目を惹く人物が一人】


「――――折角佳乃からチケットを頂いたので訪れてみましたが…………
とても広い場所ですね……全てを見ようとすれば日が暮れるでは済みそうにありません…………」

【修道服を纏い、銀の髪を持つ少女。この場に於いても修道服というのは、中々に目立つ事か】
【時折好奇の視線を向けられても本人は気にした様子も無く――――否、鈍いが故に気付いた様子も無く】
【友人から貰った、元は十枚綴りのチケット。今は九枚となっていて…………恐らくは、手に握る紅茶に一枚使用されたか】
【物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回していたけれど、やがて足に疲労が蓄積したならば適当な場所へと座って】


「折角ですし、佳乃に改めてお礼でも言いたい所ですが――――これだけ人が居れば忙しいでしょうから、また後日にお礼をしましょうか…………
それにしても…………本当に様々な出し物があるのですね。…………とは言いましても、一人で回るというのも――――」

【何と無く人の流れを気にしてみれば、殆どの者達が友人や家族と訪れて居るのだろうか】
【この女性も学生服や私服の中で一人だけ修道服という姿は良くも悪くも浮いた存在】
【――――声を掛けられたならば、キョトンとした表情で其方を向くのだろうけれど…………】






【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/01(日) 22:47:39.54 ID:XzdXeorto
>>693

察しの通り、私はどこにも所属してない、旅人みたいなものよ。

―――でも残念、私はそういう所属とかに縛られるのは好きじゃないの。
気ままに、好きな時に好きな所に行って好きな事ができる、今の自由な生き方がいいのよ。
……それに、ドレスにそのワッペンは合わないでしょ、どう考えても。

【人員不足も知ったこっちゃないとばかりに、あっさりと勧誘を断って】
【その理由もまた、自由に生きたいから、というもので―――そういう性格なのである】
【――――最後の方は少し冗談めかしたものであったが。】

ああ……あれ、そんなに印象的だったのね…………
あれだけやって負けたもんだから、あのあと狐に色々……―――何でもないわ、今のは気にしないで。

【ところでキャスケットの上にいるぬいぐるみのような何かだが、彼が話し掛けてからは全く動いていない】
【声を出すこともなく、ひたすらじっとしていたのだが――店で席に着いた時に少し動いて】

……別に奢ってもらわなくても好きなの頼むわよ。別にお金に困ってなんかないし。

―――で、不届きな軟派男は置いておくとして、ネズミ≠ヒ……また機関だかGIFT辺りが何かしでかそうとしてるってところかしら?

【金に困っていないという言葉が示す通り、少女の身に着けている衣服はどれも、上等なものである】
【それから、彼の言葉から機関かGIFT関係と推測―――実際、当たっているのだがそれに関して話すかは彼次第だ】

【――――――また少し、キャスケットの上でモゾモゾと動いた】
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/01(日) 22:54:29.85 ID:gQpQ3uxSo
>>694

う、うるさいわね…………。
……………………ふん。

【自分の心境をぴたりと言い当てられ、少女は居たたまれなくなって目を逸らす】
【続く誉め言葉にも、ただ不機嫌そうに鼻を鳴らすだけの淡泊な反応を返すだろうか】
【…………微妙に赤く染まった頬は、隠しきれるものでもないが】

まあ、そんなところね…………着替えがすり替えられてて、ほとんど無理矢理着せられたんだけれど。

【男の推測した内容は、八割方正解だ。少女はさらに不機嫌そうになって、恨みがましい目線を背後に送る】
【実際のところは、着替え途中に着ていた制服とドレスがすり替えられてしまって着ざるを得なかったのだが…………】
【前々から頼み込まれていて、困っていたのも事実だ。最終的に向こうが強硬手段に出るまでは予測しきれなかったようで】
【すり替えられた時点で直接抗議せず、わざわざこうして一度袖を通してから抗議に出るあたり、少女の面倒見のいい性格が推測できるかもしれない】

あ――――そう。
…………え、私と一緒に…………?

【存外、あっさりと――――家族の不在を告げる、男の台詞】
【少女は一瞬しまったという顔をするも、感情を揺らがせない男の意図を汲んで、詳しく触れることはないだろう】
【そして、次いで掛けられた男からの誘いに、少女はやや驚いた顔をしてそちらを見るだろうか】
【少女がいまひとりでいるのは、何もこんな格好をしているからというだけではない。元々、他人とそう関わり合いのあるタイプではないのだ】
【それに加えて、流石にいま会ったばかりの見知らぬ男からの誘いということもあり、少女はしばし迷ったようだが…………】


…………別にいいわよ。ひとりでいるより誰かといる方が、カモフラージュになるかもしれないし。

【ここまでの男の言動を鑑みて、少女は「信頼できる」という判断を下したようだ】
【追っ手から隠れるための偽装工作という面もふまえて、相変わらず愛想のない言葉ではあるものの、男の誘いに乗るだろう】
【となれば、どこへ行くかだが…………グラウンドに出れば食事の出店などもあるし、すぐ隣の体育館や校舎の方へ行けば多様な出し物もやっている】
【取り敢えず、エスコートは男に任せるつもりのようだ。余程おかしな場所でもない限り、少女は黙って後を付いていくだろう】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/01(日) 22:54:52.76 ID:XzdXeorto
>>698
/注文はミルクティーです。書き忘れてました……
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/01(日) 22:55:25.82 ID:Po6VTGJeo
>>695

【明らかに周囲の人間と様子の違う青年を怪訝そうな眼差しで遠巻きに見つめる人々】
【壁に寄りかかる少年に誰か声をかけないか。なんて好奇心と怖いもの見たさが犇めき合う雑踏は人間というものを簡単に表しているようにも見える】
【そんな人々を掻き分けて一人の人物が声をかけた】

あ…あのぅ。その…大丈夫ですか?お怪我とか…してません?

【白銀色のローブの様な服に腰辺りまで伸びたクリーム色の髪の毛】
【頭には飾り気の無い質素で地味なカチューシャ】
【ちょっと突いただけで壊れそうな雰囲気を醸し出しているひ弱そうな少女が青年に声をかけた】

よかったら…その。病院とか行きますか?
なんだか辛そうですし、それにすっごく…困ってそうだし…

【男が「異世界人」なんて事は今のところ毛ほども思っていない】
【少女の脳内には単に何か物凄い変な人か、物凄い怪我人という二通りのパターンしか頭には浮かんでいない】

【そのためか何処かオドオドとした雰囲気が言葉の節々に滲み出ていた】

702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/01(日) 22:56:43.01 ID:zvdbp4vO0
>>698

―――そうかい、それは残念………だがその気持ちも分からなくはない
………てかこのワッペンは別に着用義務はないぞ………?ただ色々と便利なのさ、身分としてな

まぁ良いじゃねェか、勝負は時の運てな………狐?

【きっぱりと断られてもディックは肩を竦めて苦笑するだけであまりショックを受けた様子はない】
【少女からはどこか自立したような………そんな印象を受けていたためか最初から応じるとは思わなかったのだろう】

【少女の言葉に怪訝そうに一度眉を顰めるが、そのまま持ってこられたコーヒーを口へと運ぶ。】

いやいや………こういう場は男が奢るモノなのさ―――。
その様子だと大分国や自警団からの依頼をこなしているみたいだな………良く戦闘にも?

―――ああ、まだネズミの身元が割れてないから分からないが、どうやらGIFT関係の奴がもぐり込んでるらしい
GIFT………全くやりたい放題やりやがるぜ。

【苦虫をかみつぶしたような険しい顔と共にそんな事を口にする………どうやら自警団も相当手を焼いているらしい】
【―――ふと、青年の視線はキャスケットの上の人形へ………。】

ところでさっきからもぞもぞしてるそれはなんだ―――?
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/01(日) 23:03:23.67 ID:giWQPigpo
>>696

……―――見えるのか。剣を嗜んでいないにも関わらず見える……ということは、君の目も相当なモノだとは思う。
……細かいことを言うのならば、手捌きじゃあない。「体」捌きで抜刀を行ったのだ。そっちの方が速くスムーズに抜けるし、無影の効果も受けられる。
―――ああ、「無影」というのは一種の視覚効果で……。「人の脳は一部分だけの動きには敏感に反応するが全体の動きには悠長」というモノを利用して速く見せることさ

【―――と、ここまでペラペラと喋る彼だが、はっと何かに気付くと溜息を吐いて言葉を小さく零す。その後、口を噤んでやや俯く彼が見せた表情は何処か憂いを帯びていた】
【その発言から分かる通り、男は無能力者である。―――そして無能力者と能力者の間にある圧倒的スペック差という壁に、頭を抱えていた】

……ハァ、悪い癖だ。技の事になるとつい口が回ってしまう……が、所詮強力な能力者には届かない刃。
どれだけ極めようと、唯の刃……魔法も能力も持たず、鉄の固まりを振り回すだけ―――それでは勝てない。……勝てないんだ。カノッサにも、GIFTにも……。
―――……まぁ―――兎に角、別にすごくもなんともなく、俺はまだまだと言う事さ。

【―――悲観的な発言の後、長く残る無言の時間。その沈黙を破り、男は自分から勝手に始めておいて話を何故か強引に終わらせると、顔を上げて瞳を向け】

―――ところで君……。帰る家が無いと言ったよな。―――もし、もし本当に無いのであれば、暫しの間自警団本部の中に君を置いておくことも出来るが。
……流石に今の時期、暖房器具が無いとキツイだろう? 短時間でも狭い家くらいなら与えることが出来る……かもしれんぞ?

【帰る家が本当に無いのであれば問題だ。―――かつて大会が開催される前、水の国は景観維持の為にホームレスを無くさんとして彼らに住まいを与えた】
【……―――帰る家が無いと言う事がホームレスであるというコトであるならば、そのような対応は出来るかも知れない……との判断を男はとった】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/01(日) 23:19:37.60 ID:p1kuD2Dj0
>>701

……っ!?

【声を掛けられた瞬間、少しびくりと体を動かす男。声を掛けられるとは思っていなかったのだろう】
【その内容は自分を心配してくれていると思わしき念が感じられ、振り返る男は少しだけ安心した面持ちだったのだがあ】

【しかし、男が言葉を用意すると共に、男の顔は少し険しくなる】
【結局事態が収束しそうにないのに、変わりはなさそうだ、と思ったのだろうか】
【ついでに男は右手を自分の肩にやり、そっと撫でる。恐らくはその部分が怪我の大部分だろう】


……大丈夫かどうかと聞かれれば、答えはノーだな……っ
病院に行く程、怪我は大したことないと思うんだが……道に迷ってしまったらしく……?

(……言葉が、通じる?相も変わらず、服装からして日本人っぽくはないが……。
 一応聞いてみるか、駄目で元々だ……!)

【そういえば、少女の声が伝わっている。男はそんな当たり前のことに気付き、分かりやすく目を見開いた】
【途切れ途切れではあったが正確に少女へと現状を伝え、質問へと話題を変える】

……す、まん。あんた、俺の言葉が分かるのか?
分かるなら、ここがどこなのか教えてくれ……っ!……日本に、こんな場所があったのか?

【男から発せられたのは「日本」なんていう異世界のワード。もしかしたらここで、少女は察することが出来るかもしれない】
【男自身もまさか、異世界に来たなんて思っていないらしい】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/01(日) 23:22:02.33 ID:+Uczx2cX0
>>665

【激情――――紡がれる思いの丈が届けば、染み透る様に伝うのだろう。……彼女の様な人間に対して、きっと彼は、理性と自己犠牲の抑圧ゆえの憤りを感じる。】
【罰を受けるならと、彼の雷霆の訪れを待った。待って、覚悟を決めて……やがてそれが起こらない事を識れば、強張っていた肢体を浅く解して】
【力なく柊は口を開いた。悔いて、せめて僅かばかりの納得を齎そうと試みる様に。】

……必要な手を打つためなら、よ。
何もかも吐き出して空っぽになれたら、少しでも考えは進められるでしょう?
それなら私がなにかを負う事なんてずっと“軽い”――――……そう、思ったのが迂闊だった……。

(………余計な荷物を、また負わせただけじゃない………)

【荒れ狂った末の虚脱が生む最善の思考―――罅割れは埋まらずとも嵐が去れば、最適な思考を導ける筈だと】  

【そこには彼を激情から救いたい想いがあったのかも知れない。けれど、彼の “理” の強固さを先程まで彼女は失念していた】
【最善を尽くしても救えない、と、アルクが判断したのなら―――既存の体系ではそれは確かな事実。彼女に解ける怒りでも、なかったのだろう】
【彼の理性を、柊はこの状況なればこそ信頼のおけるものと感じて】

【……“けれど、その絶望は『救えないから』”。】
【血を流すこころを識っていて……捨て置いて、逃げ出すことが出来るのか? ……彼女には、到底無理な道筋だった】
【…………思い出せたのは、不安に震える彼。七夕の夜に結べた絆は、彼には無二でなくとも彼女には、総てが―――――。】


……また、前提を崩すなって言うのかも知れないけれど……。

完全な致命傷を負った人さえ瞬く間に救った存在を、奇跡みたいなその実在を私は知っている。
……今も、その人は生きているのよね。延命が今のままでも少しは有効で、普通の外傷が原因なら―――特定の“力”での快復は十分に望めると思う。

………そのための力が実在(あ)るとして。
もしももう一度それを見つけるまでの時間稼ぎが望めるなら、あなたは……それまで “今” を引き延ばしたいと思う?
そう訊いているのよ、アルク……この先でどんな道を選ぶとしても、“いつか”じゃない現実だけを生きて、私達は今も戦わなきゃならない。

辛くても……終わりは未だあなたたちに訪れていない……ッ―――――

【彼の絶望は絶望ではない。救う手立てはこの世界にある。……確かな実在としてその現実を語る。】

【信じるか否かは別として、ひどく真摯な瞳ではあって】
【即死すらあり得る傷を癒す力、そして “終わり” を先送りにし得るまた別の力。】
【前者は不確実なものだが、後者は今、この瞬間に彼女の手にあるのだと―――――或いは彼の協力があれば為せる手当てだと紡ぐ様で】


…………“受け容れる必要なんてない”、未だ訪れていない現実に縛られる必要は心(あなた)にはない!
だから今だけはただのアルクとして……一夜だけ、私に協力して欲しい。
私とは信じる生き方が違ったとしても、諦めたくない想いだけは同じでしょう……!

【彼が、信念と絆との狭間で揺れるなら。その過去が鎖をその想いに為すなら。】
【決断を――――柊は、自らのものとして彼へと紡ぐ。】

【……想いは同じだと識れたから。彼が今も必死で抗っているその現実が、彼女にも抗うべきものであったから。】
【“歩ける者が此処にいる”、彼の代わりに歩むのでなく、信念とは離れた未来(おもい)を代行する人間がいる―――――、】
【……彼の負う責任などないのだと、先程紡いだ言葉は蘇るだろうか。彼女が、彼に求める側なのだ。】

【もしも彼が彼女を受け入れるなら、“絆” の眠るであろう場所に導く様に柊は願うだろうか。】
【それとて仮定の上での出来事で、彼が断わるなら関わることすら叶わなかったが―――――、】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/01(日) 23:29:21.94 ID:qaBxGdolo
>>702

ふーん……前に会った人も着けてたから、てっきり必要なんだと思ってたわ……
確か、あの人も大会に出てたわね……あの、ガンマンの。

【言う様に、以前に一度、SCARLETのメンバーに会った事がある】
【GIFTによる襲撃に対した時に共闘した、名は―――マーシャル・T・ロウ】
【彼もまた、大会出場者。大会を見ていたディックならわかるだろうか】

まあ、確かに時々そういうのも受けてるけど……それ以前に私の場合は家が結構、ね……
でも、最近はあんまり出てないわ。修行とかで忙しいから。

そう……GIFTね……
一旦は大人しくなったと思ったのに、また派手にやってるわね……
私自身が無能力者、っていうのもあるんでしょうけど、やっぱりああいうのが暴れてるのは気に入らないわ。

【まだ熱い紅茶を、グイと一口喉に流し込む。話していて喉が渇いたこともあるが、GIFTに対するやり場のない気持も流すように】
【――そして、キャスケットの上の物について問われると、額に手をやって溜め息一つ】

……さっきから動いてるとは思ってたけど、やっぱり気付かれたわね…………

さっきも言いかけたけど、知り合いに狐の化け物がいるのよ……妖怪らしいんだけどその中でも化け物クラスらしくて。
こいつはその従者みたいなやつ。こいつも狐の妖怪で、今日は何か知らないけど、私に付く様に言い付けられたとかでね。

『バレたならもういいでしょう、水をください。私も喉が渇きました』
『―――ああ、私の事は気にせずに、ただのぬいぐるみだと思って。』

【こんなぬいぐるみ擬きが妖怪だなどと、そんな事を言うゼリシュの顔は、嘘をついているようではない】
【更に当の狐は、この期に及んで自分をぬいぐるみと思えだなんて言ってくる始末である】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/01(日) 23:31:33.31 ID:U9tMGsNw0
>>703

………色々、考えてるっつー事は、分かる、……全身で抜刀か、………やっぱすげーじゃん。

俺はその……能力、持ってんだけどよ、お前の剣術は、もう能力者の領域だと思うぜ。
抜刀しか見てねーけど、どんな動きすんのか、大体分かるから、な。

それに俺は、限界はあるもんだって、ぜってー決め付けねー様にしてる、
……つまんねーだろ、それじゃ。……まあ、理由は、それだけじゃねーけど。

―――………何で俺が、お前励ましてんだよ………


【紡いだ言葉は、お世辞でも何でもない。思った事を、ありのままに表現した物。】
【まあ結果的に其れは、悲壮感を漂わせる彼の発言に対する励ましの言葉となった、が。】
【―――ふと其の事に気付いた少年は、照れ臭そうに少し笑ってみせた。彼の眼に其れは止まっただろうか。】


あー……俺、適当に、カノッサやらGIFTやらの襲撃で金稼いで、そこら辺の宿、泊っての繰り返し……
学校出てから、ずっとこんな感じ。……家はねーけど、寝床はあんだよな。
能力使えば、最悪寒くはねーし………別に、要らねーわ。………まあ、ありがと、な。


【度重なるカノッサやGIFTの襲撃を防ぐ事で得られる報酬で、少年は生計を立てている様だ。】
【1回行けば、何百万もの大金が入る―――其れで暫く暮らせるのだから、助けを借りるまでも無いと言う。】
【最後に聞こえるか聞こえないかで呟いた言葉は、彼の心配に対する感謝の気持ち。此れも照れ臭そうに、笑って見せていた。】

708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/01(日) 23:36:46.04 ID:Po6VTGJeo
>>704

_____?

【相手は身体をビクつかせて険しい表情を向ける】
【その険しい表情の真意を読み取れずに、彼女は頭に疑問符を浮かべた】


や…やっぱり怪我してるじゃないですかっ
そう言うのは早めに行っておいたほうが良いんですよ?化膿とかしたら大変ですよぉ…

【相手は大丈夫だといっているが、彼女にはその言葉が耳に入らないようで】
【とりあえず怪我をしていたら治療しなければいけないといった一種の概念のような物が彼女を締め付けていた】


へぇっ?!こ…言葉くらい分かりますよぉ!
わ…私そんな馬鹿な人に見えるんですか…

【「言葉が分かるのか」と言われて心にちょっとした衝撃を受ける】
【無論すこしムキになって「分かります」と男に返したのだが】


「日本」?…そんな国ありましたっけ…?
…というよりここ日本なんて場所じゃありませんよ?そんなお店も地区も聞いたことありませんし…

もしかして…酔っ払ってますか?

【まったく知らない地名を言ってみたり少し変な事を質問してくる男は酔っ払っているのかもしれないという線が浮上してくる】
【能力や魔術と言ったものが蔓延っているにも関わらず、彼女の頭の中には「異世界」なんて単語が浮かんでくる事は一切無いらしく】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/01(日) 23:38:06.78 ID:YolKEPIm0
>>699

【少女の恥ずかしげの反応にけらけらと男は笑った】
【面白いとそういうことなのであろう……男に悪気はないが少女はどのような反応をするか】

 着替えをすりかえられてそれで着ると
 それを着てから文句を言うお前さんもなかなか面倒見もいいようで

【男は少女がそのように言いながらも着ているあたりに面倒見のいい性格を察した】
【なかなかいいやつだと思い、ちらりと少女が恨みがましい目線で見た女子生徒たちを見た】
【いい友人をもっているじゃねえかと思う、そして少女を見てふっ″と笑った、少女に見えるいちだ】

 あー、あんま気にすんな、家族は普通に病死だっての
 家族大事にしなよ

【男は少女がしまったという顔をするのを見て、補足をした】
【そして最後の一言を言った一瞬の瞬間男の顔は少し寂しそうな顔になるであろう】

 そうか、あっしの提案受けてくれんのか、なら決まりだな
 そうだな名前をなのっておこう、あっしの名前は高野正和。よろしく頼むお嬢ちゃん

【そう言って男は自分の名前を名乗るであろう】
【カモフラージュと聞くと少し苦笑するかもしれないがあまり気にすることはないだろう

【そして男はグラウンドに向かい、飲み物を売っているお店に到着する】

 んじゃあ、何飲みたい?、ああ金はあっしが奢るよ、誘ったのはあっしだしね 
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/01(日) 23:41:27.69 ID:zvdbp4vO0
>>706

ああ、マーシャル・T・ロウさんか、あの人は結構前から色んなテロで活躍したベテランだからな
今は少し脚が悪いみたいだが………まだまだ衰え知らずって感じじゃねーか?

【ガンマンというキーワードのみですぐさまディックは少女が誰を差しているのかを当てる】
【ディックと同じスカウトでSCARLETへと入った人物だ、しかし経歴はディックよりもずっと長いベテランの戦士】
【SCARLETは新進気鋭の組織ではあるが、そうしたベテラン構成員も支えている。】

あーそうなのか、確かに結構品があるよな………仕草とかさ
へぇ―――やっぱり大会での負けを反省してって感じか?大したもんだな。

………あぁ、特に鉄の国≠フ被害は尋常じゃねぇんだよな。
これで水の国にも本格的な進出をされたら………正直手が回るか心配ではあるな………

そうだよな―――奴らは無能力者であれば問答無用で攻撃対象にしやがるから―――。

【パキン、っとディックが握っていた紙コップがひしゃげる………相当怒りが籠っているのか、その表情も険しい】
【―――だがこのような場でずっと険しい表情をしているのも考え物だ………ディックは再び視線を人形へと向ける。】

―――はぁ、狐の妖怪ねぇ………妖狐って奴か?
なんかこう、すげぇ大魔術とか出来たりするのか………?

【そんな事を身を乗り出しながら怪訝そうな表情でぬいぐるみへと質問する―――。】
【水と頼んだミルクティーはほどなくすれば到着するはずだ、尤も学生の出すモノなのでそれ程の質ではないが】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/01(日) 23:51:40.60 ID:aM0omckU0
>>705

…………っ、それ……君に負わせる立場の方も……君に負い目を感じる事になるって、分かって言ってるのかい……?
……自分の弱さを吐き出して、君に押しつけて……それで、平然としていられるような……そんな横柄な精神の持ち主ばかりじゃ、ないんだ……

【確かに、怒りのままに吐き出してしまった方が楽になるのかもしれない】
【食物の嘔吐と言うのも、元来は体内に入った『毒』を体外に一刻も早く排出する為のシステムだ。感情についても、それは同じ事が言える】
【だが――――冷静さを取り戻したならば、感情に任せた言葉をぶつけたという事実が、後から再び心を苛む事もあり得るのだ】
【ましてや、憎からず思っている知人と言うことであれば――――少なくとも、アルクはそれを無視できるタイプではなかった】

…………ッ!?
……確かに……手前の手に負えないって言うだけで、手段が万策尽きたと言う訳ではない……そうじゃ、ないけど……!

【八攫の語る言葉には、確かにアルクも頷かざるを得ない。既に時間はそう残されていない。だからこそアルクはその命に絶望していたのだが】

――――…………そうだ……君の言うとおりだ…………現実に目を背ければ、その時がこの世界での居場所を失う時なんだ……!

【その言葉は、何よりアルクの心を打った――――今も、戦わなければならない】
【生きる事は、正に戦う事なのだ。アルク自身が、かつて言っていた事にも、その精神は繋がる】
【そうでなければ、アルク自身がすぐにでもその命を自ら捨てていただろう、と――――生きると言う事は、そうではないのだ】

…………ただの一度、それだけだよ……!
手前は、君を信じる…………憎んでも良いって言う、あの言葉を保険にさせてもらうから…………!
……絶望じゃ済まない結果になったら、もう憎む気すら起きないかもしれないけど、ね…………ッ

【――――既に、そこに『何故』と問い返す選択肢は、アルクには無かった】
【何故、会った事もない人間の為に、こうも尽力する事が出来るのか――――それは、八攫の信念ゆえだ】
【何故、そこに自分の願いを委託する気になったのか――――それは、自分の感情ゆえだ】
【何故、自分の信念と矛盾する願いを通したいと思っているのか――――それは、なにより失いたくないものだからだ】
【失敗の可能性を考えないではない。希望と絶望のバランスは根底から釣り合わないと言う、アルクの言葉を考えれば――――その時は、決定的な破滅が待っているかもしれない】
【だが――――感情の声を優先させる事が出来る、合理的な『可能性』を、八攫は提示しているのだ】
【――――賭けない理由が、無かった】

……早い方が良いなら……………………悪いけど、ついて来てくれないか…………?

【覚悟を決めた様に、アルクは腰掛けていたベッドから立ち上がる。今にも崩れ落ちそうな己を食いしばりながら】
【部屋の窓を開けると、八攫に向き直るアルク。八攫から願うまでもなく、アルクは案内したいと、申し出た】

/すみません、1レスだけになってしまいましたが、やはり限界の様です……
/中断および置きレスへの移行、よろしいでしょうか……?
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/01(日) 23:56:43.59 ID:giWQPigpo
>>707

―――……俺に聞かれても困るんだが。 正直な所、まだまだ俺は能力者との差を埋められているとは思わない。
能力はおろかセンスや恵まれた体格も強靭な腕力や脚力も無いんだ……全てを「武」で埋めるには、まだ。……まだ足りない。
一歩ずつその差を縮めている実感はある……のだが、その一歩は余りにも悠長で、時間が足りなすぎる。―――とは言っても、焦っても無駄だろう……?

―――結局落ち込んだり折れそうになりながらも、剣を振るうしか俺には無いんだよ。……解っていても苦しくはなるが。

【苦笑を受かべながら言葉を返せば、一度仕舞った其の白銀の刃をまた外気に晒した。ヒュン、と軽い風切り音が遅れ―――鞘がまた「消えた」のだ】
【……少年が武者震いをしたらしい、その奇妙な抜刀。体捌きで繰り出された抜刀は、やはり刀の部分は殆ど動かず。その代わり体幹が反時計周りに僅かに動き、鞘が刃から離れていた】
【―――暫しの沈黙の後、刀が再度鞘に収まる。……先程よりも近くで、そして軽くだがメカニズムを話した後で見せた其の抜刀。―――少年が感じたモノに変化はあったのだろうか】

―――オイ……やってることはSCARLETと同じじゃないか……。能力者と聞いて少し驚いたが―――そういうこと、か。
あー、済まないが……少し能力を見せて貰えはしないだろうか。―――勝手ながら、少し確かめておきたい。

【濡羽色の瞳をやや細めて疑惑の視線を飛ばしたが、どうも嘘をついているようには見えない。―――本当に彼が能力を使ってGIFTやカノッサと戦っているのなら】
【―――それは彼が零したようにSCARLETと同じことをやっていると言って構わないだろう。……勘が冴えていれば解るかもしれないが、男は青年を測ろうとしたのだ】
【SCARLETに誘う人材か否か―――を】
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/01(日) 23:58:26.49 ID:DL7rZO+l0
>>711
/凄い遅レスですみません、そうして頂けると動き易いです……!
/返レスは出来るだけ早く置きレスの方に返して、続きが出来る様にしておきますね。それでは、二日間本当にお待たせしました&お疲れ様でした……!
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 00:02:01.89 ID:KUaVL6Ch0
>>708

……何だ、ズイブンと優しいんだなあんたは。まあ、優しくないなら声も掛けないか……。
気が向いたら行くつもりだから……安心しろ。

(まずは状況が分かってから……だがな)

【ほんの少し零れる苦笑い。彼女の親切心が身に染みたのだろう】
【だがしかし、ちゃんと治療する胸を伝えると、また無表情へと戻った。これが彼のデフォルトらしい】

えっ、いや……そういうつもりでは、なかったんだが……何か、すまん。
大丈夫だ、そう見えたわけじゃないんだ……!

(……迷惑をかけてしまったな、こんな親身にしてくれるってのに。
 やはり俺は駄目な人間だな……駄目人間だ駄目人間)

【そんな反応がくるとは予想してなかったらしい。やろうと思えば出来ただろうが】
【だからこそ少し無神経なことを言ったのに反省した様子。ややネガティブな人間な様で】

【そんな自虐もつかの間。次の少女の言葉に、男は驚きを隠せないでいた】


(日本が……分からない、だって?)

……ちょっと待て、それは本気で言ってるのか?
かなりメジャーな国だと思ってたんだが、どういうことだ……?

後……残念ながらシラフだし、そもそもまだ未成年だ、一応。

【男にとっては「あなたこそ酔っ払ってませんか」とでも言いたい状況である。まさか自分の故郷が伝わらないとは】
【顎に手を当て、少しだけ考えをめぐらせた結果。男は少女に質問を続けることにした。今度は少し方向性を変えたもの】


……「イギリス」と、「アメリカ」と、「中国」。
この言葉にも、ピンと来ないか?心当たりがあれば言ってくれ。

【そろそろ口調も途切れず、頭も冷静になってきたところ。男は思いつく限りの「国」を挙げる】
【これでもし分からないなどと言われたならば、流石に男は察するだろう……自分が今「未知の世界」にいることに】
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/02(月) 00:02:50.19 ID:3farzV4B0
>>713
/はい、ありがとうございますー
/それでは、また明日以降、よろしくお願いしますー!
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/02(月) 00:08:23.25 ID:xoZyJuRJo
>>709

わ、私は別に…………。

【力で無理矢理従わせるのであれば、この少女は真っ向から反抗する。それだけの力も持っている】
【けれど…………力など関係なく、ただ信頼だけを元手に真摯な姿勢で頼まれると、どうにも断りきれない。難儀な性格であった】
【男の笑いに、少女はじろりとその顔を睨みつけるだろう。元来愛想のない双眸が、拗ねたような上目遣いでそちらを見やるだろうか】

――――………………、ええ。

【そんな不機嫌で、しかしどこか可愛げのあった表情も――――男が寂しげな表情で言った言葉を解したなら、すっと消え失せて】
【何か、思うところでもあったのかもしれない。少女は目を伏せ、しばし思考を回顧させて…………小さく、素っ気のない返事をするだろう】
【過去を憂うような表情は、端麗な容姿と美麗なドレスによく映える動作ではあったが。複雑な表情の真意は、きっとその美しさの中には無い】

高野、正和…………わかったわ。私は幸徳井佳乃、この学園の高校一年生よ。

【少女は、男――――高野の名乗りに、礼儀正しく自分の名前を返すだろう】
【高校一年生という自称が本当なら、歳はまだ十五か十六ということになる。いまの外見からすると、もう二、三歳は大人びて見えるけれど】
【この幸徳井佳乃という名前、もしかしたら聞いたことがあるかもしれない。先の天下一武道会の参加者の名だった】

【――――それはともかく。少女、幸徳井佳乃は男の後について、グラウンドまで歩いていくだろう】
【当然ながら、この場にそぐわないドレス姿は周囲の目を引いたが…………先程の高野の反応で少しは慣れたのか、過度に恥ずかしがったりはせず】
【存外堂々とした態度と、隣に高野が立っていることで、周囲は何かの出し物だと勘違いしてくれたようだ。大きな騒ぎにはならなかった】

私は…………紅茶でいいわ。
ところで、あなたも櫻の国の出身なの?

【やがて出店まで付くと、少女は高野の陰に隠れる形で立つ。店をやっているのは同じ学生であるため、流石にあまり見られたくはないらしい】
【奢ってくれるという高野の言葉には少しだけ申し訳なさそうな顔をするも、だからといって逃げ出してきたせいで財布は持っていなくて】
【結局、佳乃はぶっきらぼうに紅茶を要求すると、手慰みに質問をひとつぶつけるだろうか】
【「高野正和」という語感に、自分と名前と同じ国柄を感じたようだが…………大した意味もない質問だ、答えるかどうかは自由である】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 00:17:30.73 ID:xP6m50M2o
>>714

はい!人には優しくがモットーですから!
気が向いたら…じゃなくて。向かなくても行って下さい。
気がついたら死んでたなんてよく聞く話ですから…用心第一ですよっ

【この世界では針で刺されたような傷が致命傷になることもある】
【それを危惧してなのか少女は念を押すようにもう一度だけ、病院に行く事を喚起した】

ふぇ?じゃあ私の勘違いですか?!…ゴメンなさいっ!
ま…またこういう風に勘違いしちゃって…いっつもこうなんです…

早とちりで無鉄砲で……。はぁ…恥ずかしい

【恥ずかしさと申し訳なさが篭った言葉をアタアタと捲し立てて小さく溜息をつく】
【どうやらこの少女もネガティブな人間らしく】


メジャーな…国?
それって夜の国とか水の国とかですよね?

それに日本なんて国…聞いたことも見た事もありません…

【相手が本気だと分かった今、少女は「日本」と言う国の事を脳内から探し出そうとする】
【だが今まで一度も生きてきた中で聞いたことの無い言葉は、脳内のどこからも出てくることは無く】

分かんないです…。
雷の国とか氷の国とかだったら分かるんですけど…

【この噛み合わなさは流石におかしいと思ったのか、少女の顔にも不安そうな表情が浮かぶ】
【それと同時に何か未知な部分、そんなところに触れているようなそんな気もごく僅かにだが感じられた】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/02(月) 00:25:33.38 ID:Kv/n26Leo
>>710

今日はこんな格好だけど、普段ならもっとこう、一目でそういうの、わかるんじゃないかしら――
―――基本的にドレス系の服装が多いから。大会の時も、鎧タイプのやつ着てたし。

……んー、大会での、って言うより……その少し前の戦いで、かしら。
私が使ってるの、普通の剣ではないんだけど――どうにもそれだけじゃ限界あるな、って思って。

【普段はドレスだ――というのは先ほどの、ワッペンの話でも少し言っていただろうか】
【何にせよ、ドレスや鎧ドレスを日常的に着ているような、そんな人間らしい】

【特殊な武装を使っても尚埋まらぬ、能力による差。それを少しでも何とかする為の修行だと、そう言って】

鉄の国は……確か、この前ミサイルを奪われたんだったかしら?
一体どう使おうって言うのかしらね……打ち込むにしても、何処を狙うつもりなのか……

―――今までに狙われたのは水、風、鉄の3つ、だったわね。
しかもそれぞれの国で、首謀者が違うのよね?最初のやつは死んだって聞いたし、風の国の時は私が戦った相手だし。
ほんっと、一人一人が妙に強い能力なのよね……あいつら。だから余計に質が悪いわ。

【頼んでいた品が到着すれば、ぬいぐるみ改め小さな白い狐はノソノソと水の所へ行って】
【本当に、水を飲んでいる。どうやら確かに生き物であるようで】

『魔術、は出来ませんが……妖術の類ならば、私の専門ではあります』
『ですが、それにしてもこのような所で意味も無く使うつもりはありません』

――とまあ、こんな感じ。融通が利かないタイプよ。

【狐の方は、素っ気ない口調。少女が言うには『基本的に懐かない』らしくて】
【勧誘を断った時とは逆に、今度は少女が苦笑いを浮かべる番であった】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/02(月) 00:31:44.65 ID:87xCN8bn0
>>716

 ま、なんにせよ仲がいいことは良いことさ、友達も大切にな

【じろりとにらまれた男はそれにきずいてはいるが気にせず笑う】
【なかなか面白い譲ちゃんだと思いながら】
【そんな拗ねた上目遣いにもきずき笑みを浮かべながらの笑いのをやめた】

 ……ふーん、そっちにもなかなか深い事情がありそうだな

【男は少女の複雑な表情を見てから言った、だが深入りするつもりはない】
【深入りしたところで自分はあまり役に立たないであろうとそう思っている】

 おう、しばらくよろしくな佳乃

【男は少女の名乗りにそう返した、そしてどこかで聞いた名だと、思い出す】
【とはいえ、思い出せなかったのか頭を少しだけかいた】

 じゃ、あっしはコーヒーでも 
 ま、気にすんなよ、今回ぐらい甘えとけよ

【そしてグラウンドの出展で少女が紅茶を頼み自分の出身地を聞いてきた】
【その前に申し訳なさそうな顔もみるが気にするなとそのような表情をして言った】

 そうさな、あっしの出身はそれであってるよ
 ま、今じゃあ櫻の国に帰ることもすくねえなあ

【男は少女の質問に大してそう答えた】
【自分の故郷にはあまり帰ってないなと少し寂しいとも思うが顔には出さず】
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/02(月) 00:35:19.60 ID:SFbD/knS0
>>718

へー今度ピッカピカのドレス姿も見せて貰いたいもんだな!
あー鎧とドレスが混ざったような奴か、あれは動きやすさ的にはどうなんだ?

成程な………やっぱある程度まで上り詰めると壁にぶちあたるモンなのかねぇ………

【そんな事を言いながらガタンとだらしなく背もたれへと体全体を預けて項垂れる―――。】
【ディックにもどこか思うところがあるのか、少しの間上を眺めてぼーっとしている】

ああ………その辺りも声明も何も出てないから全て不明なんだよ。
さてな―――まぁ空き地にぶちこんでも仕方ないだろうから何かしら人の多い場所≠ノなるだろうなァ。

そうだな………カノッサと違い明確な幹部がいる訳でもなく………一人倒してもまた一人って感じだ
どうにか一網打尽に出来ないもんかねェ………やれやれだぜ。

【肩を竦めながらそんな事をぽつりと呟きながらコップに残ったコーヒーの残りを飲み干す】
【「ふぅん」っと、狐の言葉に頬杖をつきながら適当に受け流すようにその姿を眺めている。】

まぁ要は君のサポートの役割でついてるんだろ?
ほら、魔法少女とかに付き従ってる感じの奴………そんな感じだろ?

【なんとも適当な言い回しだが、言いたいことはなんとなく分かるだろう………。】
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 00:37:48.15 ID:P+FfwqEb0
>>712

そーか。……そーだよな、そんだけつえーんだし、……俺がどうこう言えるもんじゃねーよな。
まあその、進むべき道があるっつーだけで、……いいと思うぜ。……俺は、その道、決めんだけに、結構苦労したから、な。

その……天才の俺が、言ってんだぜ。……分野は、全くちげーけどな。


【―――そう言えば、何か凄い物を見て武者震いする事なんて、何年振りだろうと少年は想起してみる。】
【徐々に思い出されるのは、其の道を極められた武術や魔法の数々。―――どれも、国レベルでトップクラスの物だ。】
【其の中での彼の抜刀、最も地味である其れは、恐らく此の少年にとって衝撃とも言うべき物だったのだろう。】

【解説が加わった状態での、彼の抜刀。先程よりも近くで見る事が出来たのもあって、徐々に違和感の正体が顕在化してくる。】
【『あー……』と声を漏らした其の様子は、どうやら解決、納得したらしい。】


え、ああ、……能力ぶっ放したら、公園、壊れちまうけど、いいのか。
言葉で説明するなら、掌に魔力貯めこんで、風と火に変換して、一気に放出する能力。
まあ普段は、爆発として使ってっけど、……―――ああ、そーいや、この前は、空、飛んだな。掌から、ロケットの要領で。

貯めれば貯めるほど、威力上がってってー……爆風だけなら、その木、折れる位は出来るんじゃねーか。
まあ、爆発っつーからには、風だけじゃねーからな、火力の方に変換すれば、暖も取れるぜ。……意外と、便利だな、俺の。

後、此れは能力じゃねーけどな、格闘技も、一応、出来るぜ。文武両道って奴、だな。

……っつーか……何で?


【能力を見せる事を断りはしなかったが、……此処で披露するには、些か問題のある能力だった。】
【風と火を自在に操り、爆発を生み出す能力。然し其処には、案外柔軟性が有るようで、様々な用途が有る事を少年は話す。】
【ついでに、格闘技も、と付け加える。彼程の実力者なら、少年の身体は引き締まった物であるという事が、服の上からでも見て取れるだろうか。】




722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 00:44:14.73 ID:KUaVL6Ch0
>>717

【「ああ、分かった」とだけ、少女の念押しに返すことにした。兎にも角にも、事態を収束させてからだろうが】

いや、俺も悪かった……初対面の人間に言うことではなかったな。
すまないな、次からは勘違いしないような分かりやすい言葉を選ぶ……。

……何かにてるな、俺とあんた。

【反省の念を伝えてから、聞こえるか聞こえないかの声で男は呟いた。ぼやいてから、お互いバツの悪い話だろうことに気付く】
【少ししてから「すまん、忘れてくれ」とだけ付け加えるだろう】

……むしろ、今度は俺が「どこかですかそれ」と問いたいな……。
聞いたことがないぞ、夜の国とやらも、水の国とやらも……!

【夜の国、水の国、雷の国に氷の――妙に法則のある名前だと思った。同時に少し、ファンタジーだ、とも】
【男は、もしこの状況が、ファンタジーみたいなものならばと考えた。もはやそれ以外に、考えられることはない】
【更には、男がその国の名を聞いたことがないように、少女もこちらの言う国を知らないとなれば、そういった類の話が一番分かりやすい】


……嘘だろ?もしかしたら俺は、全く知らない別の場所にでも来てしまったのか?
な、失礼を承知で一応聞くがあんた、正気なんだよな……?

【無論、男もそんなことは信じれるはずがない。信じたくないからこそ非礼を断ってまで、少女に最後の確認をとる】
【なんにせよそれ以上聞けば……男は現実に向き合わなければならなくなるのだが】

【付け足すように、深刻な状況から逃げるように、今度は男から話題を振るだろう……ただの自己紹介だが】

……名前を、聞いてなかったな。あんた、名前は?
俺は伐宮 惺(ウツノミヤ セイ)……まあ何とでも呼んでくれ。
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/02(月) 00:57:25.47 ID:xoZyJuRJo
>>719

友達なんかじゃないわよ…………この学校じゃあ私、不良≠チてことになってるもの。

【高野から紅茶を受け取ったなら、佳乃は相変わらず高野の後ろに隠れて生徒たちの目をやり過ごしつつ、ちびちびと飲み始めるだろう】
【それでも、これだけ目を引くものを完全に隠しきることは出来ない。周囲にいる幾人かの生徒は、このドレスの美女の正体に気づくのだが】
【…………その殆どが、「見てはいけないものを見てしまった」という顔で、目を逸らして去っていくだろうか】
【そうしなかった者も、佳乃をぎょっとした目で見ては、周りの友達と小声で何事か話し始めて】
【この少女、どうやらなかなかの有名人のようだった。それも、悪い方向での…………】

…………まったく。
まぁ、だからこそ…………まさかあの子たちがこんな強引な手を使ってくるなんて、思いもしなかったけれどね…………。

【そんな奇異の視線の先を、佳乃は手慣れた様子でひと睨みする。たったそれだけで、目があった生徒たちは逃げ出していくだろう】
【その様子からして、この扱いも大分前からのもののようだ。佳乃は呆れた表情のまま、紅茶を喉に流し込んで】
【…………そう、こんな扱いだったからこそ。今回のような事は、彼女にとっても初めてのことで】
【それがいい変化であるのか悪い変化であるのかまでは――――ずっと孤独だった少女には、判断できない】

ふぅん…………。
しばらく帰っていないって、あなた何をしてる人なの?

【同郷であると告げる高野の言葉に、佳乃は興味なさげな返事を寄越す。しかし内心では、少しだけ驚いていた】
【出身国が同じだけならともかく、故郷から遠ざかって久しいところまで同じとは思わず】
【それを努めて表情に出さないようにしながら、佳乃はまた問い返すだろうか。この質問にどう答えるかも、また自由であるが】
【中々故郷に帰れない程忙しい仕事でもしているのか…………それとも、また自分と同じく、単に故郷に帰っていないというだけなのか】
【それが少しばかり気になったというだけの、くだらない質問であった】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/02(月) 00:59:33.11 ID:kG5mnB+Ko
>>720

また会う事があれば、その時はドレスなんじゃないかしら?
あれは……まあ、こういう格好に比べると流石に動きにくいけど、なるべく機動力を殺さないようにしてあるから、割と動けるわ。

……まだ剣の腕は上げられると思うんだけど、やっぱり能力があれば、って思う事もあるのよね…………

【両手で頬杖を突けば、こちらも視線はずっと、上の方へ】
【暫くぼーっとしていたと思えば、ふと視線を戻し、紅茶を口に運んで】

まあ……そりゃそうなるでしょうね……何とかして事前に止められたらいいんだけど。

あいつらの根っこがどこにあるか、よね……
その根源を叩けば、何とかできるのかもしれないけど……そう上手くはいかないわよね……

【人差し指の先をこめかみに当てて、少しの間、考え込むように。】
【しかしまあ、そんな事をしたって何か思い付く筈もなく】

サポート、って言うよりも――「お守り、だの」――!

【突如、勢い良く顔面からテーブルに突っ込む少女】
【その前のめりになった背中の上には、どこから現れたか一人の女】

【胸を強調するように胸元を開いた絢爛な着物を着た、金髪の女】
【切れ長の目は金色で、長い髪は適当に纏めて簪を刺してある】

『瑚蝶様、わざわざお出でになられるとは何か御座いましたでしょうか?』

「何かも何も、お主らがなかなか来んから呼びに来たのよ。そろそろ時間であろ?」

……い、いいから早く私の上から退きなさいよ…………!
――こ、こいつがさっき言った狐の化け物よ……で、悪いけどもう行かなきゃいけないみたいだわ……

「余を化け物呼ばわりするでないわ、この阿呆が。」
「――――しかし小僧、うちの小娘共が世話になったな。一応礼だけは言うておこう」

「では、行くぞ――――――」

【女は少女の上から降りたかと思えば、少女と狐を掴んで】
【それから、グニャリと女の周りの空間が歪む。それが収まるのと一緒に、彼女達の姿も消えていくのだが―――】
【ただ、それまでの間に少し時間はあるから、別れ際に何か言う事は可能であろう……】




/こんなところでしょうか!長い時間お疲れ様でした!
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 01:04:56.95 ID:xP6m50M2o
>>722

えへへ…確かに似てるかもしれませんね。
でも、その…貴方は私よりかは卑屈じゃないと…思います

【似ているといわれたのが少し照れくさいのか、何とも言えない笑みを浮かべて小さく笑った】
【苦笑いにしては笑いすぎているし、照れ笑いにしては表情が硬い。そんな不恰好な笑みだった】

へぇっ?!いやいやいや…えーと……
本当に…本当に知らないんですか?
鉄の国とか昼の国とか…幼児でも知ってますよ?

やっぱり怪我が原因で記憶喪失に?!
…それとも危険な能力者に記憶を吸い取られてしまったりとかぁ…

【相手はシラフで本気。だとしたら一番濃厚なのは記憶喪失という線】
【きっと路地裏やそこいらで変な人に変な能力を使われて変な状態に追いやられてしまったのか】
【だとしてもここまでピンポイントに記憶を喪失するのも珍しすぎる】
【パラレルワールド。なんて考えも浮かんできたがそんな珍しい事想定するはずも無く】


別の場所…。でも確かにこの世界だったらありえる話です…
し…正気ですよぅ!というより今のこの状況だったら貴方の方が正気じゃないと思われちゃいます…

【自分は一切ウソを付いていないという感情を率直に相手にぶつけた】

伐宮さん…ですか。
なんだか櫻の国の人みたいなお名前ですね

わ…私は。シズエ・パリシュトです…私も好きなように呼んでください

【相手の名前を覚えるように小さく復唱して、自分の名前を男へと告げた】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/02(月) 01:07:09.73 ID:AqAwmDsfo
>>721

―――む、もうやっていることは理解できたのか……そうならば、流石天才―――といったところか。
この技、名を「空鞘」と言うが……攻める技ではなく、先に銃を突き付けられたりした時に使うというあまり使い所の多くない技さ。
―――後は、威嚇にも使える位かな。……ある程度の実力を持つ敵ならば、コレだけで退いてくれることも少なくない。……戦闘を避けられるのならば、かなり便利かも知れないか。

【納得の声を零した彼に濡羽色の視線を投げかければ、更に技の詳細を付け加える。……解説をしてしまう癖は、大会の時に見に染みてしまった】
【―――そして自分が持つ最も大きな財産がこの「武」、やはり其れに興味を持って貰えることは彼も嬉しく思っていた。技を説明する彼が、一番活き活きとしているのは瞳から解る】
【ある意味この「武」が無能力者の彼が持つ「能力」。となれば正真正銘の「能力」である少年のモノは―――と気になる男だったが】

……それ程、なのか。 ならば止してくれ、流石にそれは困る。 ―――というか、理由も大したコトではなく要は確認だからな。
えー、そう言えばまだ話していなかった。ならば今から言わせて貰おうか……―――俺は中邑瑛月。水の国自警団員であり現在はSCARLETのメンバーをしている。
―――恐らく、唯一の無能力者。……自己紹介をした、ということはどういうことか予想は付いているか?

……つまり、君をSCARLETにスカウトしたいということだ。

【―――少年の発言により、結局撤回され、そして直ぐに飛ばされたのはスカウトの声だった。まだ彼の動きも能力も見ていないが、中邑の熟練された瞳にはもう実力は映し出されていた】
【能力があれば十分に一線級の活躍も出来る。其れに強靭な身体が加わるのなら尚更。何より、元々SCARLETがやっていることをしていたのだ】
【折角なら自警団や警察、軍のサポートを受け、そしてSCARLETという組織で活動を行った方が良い。待遇も1人で戦っていた時よりも大分厚くなるだろう】

―――見る目には自信があるんだ。……君は強い。君の為にもなるし、SCARLETの為にもなる―――そう、思うのだがどうだろうか……?

【コートの内ポケットから取り出したのは、緋色の鷹のワッペン。つまり、SCARLETの紋章でありコレを付けているということはメンバーの証拠】
【―――其れを掌に置いて、彼に差し出す。……受け取るのなら、入るという意思表示になるのだろうが……】
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/02(月) 01:13:46.68 ID:SFbD/knS0
>>724

へぇ、そいつは期待させて貰おうかな。
そんなもんか、まぁなんだかんだ言って自分の一番気に入ってるのがいいよな

―――能力があっても越えられないものは超えられないぜ?

【ぽつり、っと頬杖をしたままそんな事を呟く………視線はどこでもなくただ虚空を見て】
【軽薄な態度を取ったかと思えば、ふとこんな表情もする変な青年である。】

まぁそれは俺たちが緋色の鷹≠ノかけて突き止めて見せるぜ。
もしもの時は協力を頼むかもしれないからよろしくな!

根っこ≠ゥ………確かに奴らの資金源はなんなのか、それは気になるところではある
これも―――調査を続けるほかはないな。

【ディックも眉間に皺を寄せて考え込むような仕草をしながらカラコロと空になったコップを転がす】
【確かにあれほどの巨大な組織ならどこかに資金源がある筈だが………それはまだ不明である。】

―――おっと、迎えがって………これまたいろいろと凄いねーちゃんだな………。
俺もそろそろ任務に戻るとすっかな。

まぁなんだ………またどっかで会ったら飯でも食おうぜ―――それが戦場だったらよろしく

【そんな事を言いながらディックはヒラヒラと手を振って見送り、人ごみの中へと姿を消していった。】

//お疲れ様でした!
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/02(月) 01:18:28.21 ID:87xCN8bn0
>>723

【佳乃の人にらみで逃げさって行く生徒たちを見ながら佳乃ことも見て】
【ふむ″とそう言って、ことばをつなぐ】

 不良か、まあ、変わるか変わらないかはお前さんしだいだろうな

【高野はそう言いつつコーヒーを飲みながら歩いていく】
【不良は自分のいた学校で見たなと、そのようなことを思い出しつつ】
【これも青春の一つかなとそう思い苦笑を作った】

 強引な手段を使ってきたか、少しは変わってきたのかもな
 ま、ゆっくりと楽しめばいいと思うよ青春を

【高野は笑いながらもそのように言った】
【悪い方向であろうといずれ正の方向へと変わっていくかもしれない】

 何をしているかか、あんまりな言いたくねえな
 でもまあ普通に 帰れる時間は確保できるだけどな
 
 そうさな、あんまり戻りたいと思わないんだよな
 なんでか、さ、わかんないけどもなんか、な
 
【高野はなにやら目を一瞬つむってこのように言った】
【どこか寂しげな表情でもあった、そして感傷にも浸っていた】
【その表情に佳乃はどう反応するか】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 01:31:12.32 ID:KUaVL6Ch0
>>725

【ふと、なにかのスイッチでも押したのか。先ほどより暗く雰囲気が変わる】

……それは、違うさ。俺はあんたよりずっと汚いし、暗いし。それに男だし。

【妙に自分を卑下した言い草で、彼女の言葉に訂正をする。更にはあろうことか自分の性別まで卑下する対象とした】
【男だということに何か思うことでもあるのか、少しわざとらしくはにかんで】

なるほど……そっちだとそういう知識なんだな。全く持って真逆、か。
……というか、誰が記憶喪失だ。残念ながら頭は打ってない、少し高いところから落ちて体を痛めただけだ。俺は正気だ。
それと、能力者?……っていうのも知らん。そんなものがいるのかこの世界は……ホント、ファンタジーだな……。

【聞けば聞くほど自分の世界とは違う。少女の話を耳に入れる度に、世界観の差に驚かされる】
【能力者なんて言葉にはなんともロマンを感じるものだが、もしかしたらそれに狙われるかもしれない伐宮は複雑な心境であった】

【「そうか」と、嘘はいっていないと主張する少女を信じる。というより伐宮という男は信じる他なかったのだ】

出来ることなら正気じゃない方が良かったがな……そうか、違う世界か……。
というか戻ることは出来るのか、これはかなり、やばい状況なんじゃ……!

【頭を少し抱え、焦る素振り。ようやく自分の立場を理解してきた。最悪、元に戻るすべはないのだ】
【その時、耳に入ってきた新しいワードは……「櫻の国」】

(櫻の国……、俺のような名前のやつがそこに……?そこに行けば何か、分かるかもしれんが……)

……そういう風な名前を聞くと、ホントに違う場所なんだなと思うよ。俺のような名は珍しいのか。
じゃあ……パリシュトさん、そう呼ばせてもらう。構わないな?

【さん付けされたらさん付けし返すのが彼の流儀なのだろうか、妙に畏まった呼び名で了承を得ようとするだろう】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 01:40:24.94 ID:P+FfwqEb0
>>726

いや、やっぱ俺も、まだまだだわ。解説ねーと、なんつーか、……頭ん中、スッキリしねー状態、だったんだよな。
まあ、そん時でも、大体、分かってたんだろーけどよ、……言葉に出来ねー以上、分かってねーのと、同じだし、な。

殴らず蹴らず、威嚇で戦闘回避、……それでバカ共の頭冷せんなら……持ってこい、だな。
あー……俺は、そーいうのねーからな。ボコボコにするか、敵吹き飛ばすか、どっちか。‥…ちょっと、考えねーとな……。


【褒められた所で思い上がらない……意外にも此の少年は、ストイックな面を持ち合わせていたらしい。】
【……そもそも、彼の身体付きから、どんな努力を積み重ねて来ているかは見て取れた筈だ。】
【彼に比べれば稚拙な物、だが―――どうやら、何だかんだで頑張り屋さん、という奴。彼にも少年の性格が、分かってきただろうか。】


おー……俺も、遂に、誘い、来たか。……ちょっと、おせーくらい、だけどな。

―――………わりー。……俺な、………あんま、やっちゃいけねー事、やってんだよ。
犯罪、じゃねーけど、……なんつーか、社会的に、って奴?

入りてーとこ、なんだけどよ……未成年のSCARLETのメンバーが、そこら辺のおっさんと酒飲んでたらやべーだろ。
………あ、言っちまった。………まあ、そーいう事だ。俺が入っちまうと、組織全体の品位、落ちんじゃねーか、ってな。

あ、一応、言っとくけどな、……酒回ってる間、魔力の循環、良くなんだよ。……まあ、酒が好きっつー方が大きいんだけどな。


【彼の少年に対して抱いた第一印象は、"柄が悪い"であったらしい。……2回裏返って、実はその通りであった。】
【―――飲酒である。明らかに未成年、詳細を述べるなら、酒を飲むのにはまだ4年程必要な年齢。】

【そんな子供が、SCARLETのワッペンを付けて街を歩くのは、……組織全体の品位を落としかねない事だと言う。】
【然しかといって飲酒を止める気も無いらしい。―――否、そもそも、治安を維持する組織を目の前に、そんな意思が通用するか、疑わしい所であるが。】

【兎に角、確かに入りたいという希望は有る、が……飲酒とSCARLETを天秤に掛けると、矢張り飲酒が勝ってしまうという事。】
【全体的な事、SCARLETのメンツを考えると、折角だが‥…、と断わざるを得ないらしい。―――少年は其のワッペンを、自分から受け取ることは無かった。】

731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/02(月) 01:48:25.69 ID:xoZyJuRJo
>>728

別に、変わろうとも思っていないわ。周りに迎合するなんて、私の主義に反するし。
けどまあ…………向こうが変わったって言うのなら、こっちもそれなりの対応はするけれど。

【不良と呼ばれてはいるものの、佳乃自身はそれを悪いとは思っていないらしく】
【自分に絶対の自信を持って、他者に意見を譲らない。この少女、ずいぶん高飛車でプライドの高い性根を持っているようだった】
【かといって、このドレスに袖を通した件からもわかるように、相手から受け取った善意はちゃんと善意で返す礼儀は備えているようで】
【一見して取っ付きにくいが、実際に話してみると悪い奴ではない…………この少女は多分、そういう人間であるのだろう】

青春、ねぇ…………大人はいつもそんな事を言うけれど、そんなに貴重なものかしら?

【少女は、まだまだ若い。少なくとも、青春というものの価値に無自覚でいる程度には】
【だから周りが変わる時間も、自分が変わる時間も、これから沢山残されている筈。今日の出会いだって、あるいはその糧となり得るのだろう】
【前を歩く高野の背中を、佳乃は見る。だが…………若い少女には男が背負うものなど感じ取れず、ただ大きい≠ニ思う事しかできないのだった】


…………帰りたくないなら、帰らなくてもいいと思うわよ。
それだけいまの居場所が充実している、ってことなんでしょう?
まあ…………これに関しては、私に言えた義理じゃないけどね…………。

【――――その眺めていた背中から、佳乃は寒色の色合いを感じ取って】
【回り込んで覗き見た横顔には、回顧するように閉じられた目と寂寞に佇む表情が浮かんでいるのだろう】
【佳乃はその顔から、何を思ったのか。持っていた紅茶を一気に飲み干し、決して高野と目は合わさずに呟いて】
【故郷、という言葉の響きは、佳乃の心に痛みばかりをもたらす。だから、高野の寂しげな表情に対して佳乃が思うのは…………】
【奇妙な共感と、少しばかりの罪悪感。それだけなのだった】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/02(月) 01:50:58.43 ID:4KX5TP7Do
/>>666の状況をいつまでもおいておく訳には行かないので(追い出されるべき)、続きということで投下
/ぶっちゃけただの自己満ですし、色々うざったい感じですので、今後への影響力は全く要りません(ただの突風が通り過ぎた感じで)
/一応、絡み不要にはしませんが、あまり入る余地が無いと思います


【――そろそろ学園祭も終わり頃か、そんな時だった】 【いい加減運営委員会も気づくものである、不正な出店をしていた者は】

委員長「そこの店ー、学生でも無く、それなのに許可も取らず店を構えないでくださーい」

【メガホンによる警告、しかし2日もふてぶてしく出していた輩がこれ如きで怯むはずもなく、馬面マスクを外して――】

「ヒャハハ、気ィ付くのが遅ェぜアァァホンダラァッ!」 「まァよい、記ィ念にこォの肉が出ェ来た過ァ程をプゥレゼントしてやァろう……」

【どこからとも無く出されたチラシの様なもの、そこに書かれていたのは――】
【どんな生物をどのように屠殺し販売していたかという一連の流れを無修正写真と共にプリントアウトしたらしいもの】
【御丁寧に何枚も刷ってあるそれをバラ撒いて……まだこれが鳥等だったらマシだった、しかし現実は違う】

「こォーんな愛嬌あァる奴だァが、肉は意ィ外と旨ェもォのよ!」

【やはり一体どこから出したのだろうか、その謎の生命体は――醜い唸り声を上げていて】
【姿は、まるで半円に脚をつけたかのようなフォルムの化け物である】
【正面には蛇のような人のような顔、蛇のような牙、頭部と胴体部の区別は非常にわかりにくく、象のような短い足を4つ持っていて】
【大きな翼を持ち羽毛を生やし鱗の皮膚を持ち、そして、下顎が脚のように発達しており、地面にその底面をつけていた】

【……これを丁寧にバラし、美味しく調理した――コチニール色素の例もあるように、"知らぬが仏"、とはよく言う】
【実際に食べてしまった学生等は、唖然とした後叫んでいるようだ】

「"エルズペンタレグス"……人肉+蛇肉と言ィったところか――ヒャハハ」
「あァ、俺様がテメェーらに言ィいたかったのはこォーんな得ェ体の知ィれねェ食ゥい物じゃアねェ」

「――テメェーらの中には他ィ人の持ォたねェ力を持ォった奴が居ィるのによォ、わァざわざ封ゥ印しちまうなんて勿体無えぜ」
「世ェの中は力こそ全てだ、――戦う力、作る力、世ォを渡る力、力を活ィかす力! ――力とは、何かを動かす"可ァ能性"」
「周りの事なァーんか考えるな……己を護る者は己自身以外他ならねェんだからよ、他ァ人なんざいィざという時宛にならん」
「道を踏み外すのを恐れて安全な所に留まるくゥれェーなァらッ!」 「――先に進めってんだ、臆病者共め」

「何か手ェで触ったら所構わずモォッサモッサ毛ェが生ァえて人様に迷惑ばァーっかりって困ってた奴は
 何十年も制ェ御訓練して今やカァツラ会社の超エェリートだ、能ォ力っつゥーのは使い方次第ってもんよ、ヒャハハハァァァーー……――」

【……等と意味不明な供述をしながら一瞬で店を畳み回収し、化け物を抱きかかえながら学園の外へと猛ダッシュで逃げていった】
【コウモリは羽ばたきそれを追う――何だあいつと言わんばかりに学生たちはそれを見ているしか出来なかった】

学生「え、あれってコスプレじゃあ……えっ」 学生「……食っちまった…………あのキモい奴…………」 学生「てかあの顔って指名手配されてたような……」
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 01:52:18.24 ID:xP6m50M2o
>>729

そ…そんなに自分の事卑下しないで下さいよぉ…
それに伐宮さんが汚いんだったら、私は産業廃棄物です…いいえそれ以下です

【必死に相手を慰めているが、言葉の節々からは少女自身の卑屈さが多々漏れ出ている】
【寧ろ聞く人が聞いたらもっと卑下してしまう事に少女は気付いていない】

多分そう言うことになっちゃいますね…。

能力者っていうのは凄い優れた人間様達のことなんですよぉ
例えば人を癒したり物を浮かせたり…
粗野で乱暴で冷酷で無慈悲な一般人さんとは格が違いますね

【如何に能力者が素晴らしいものかを延々と語り、その裏でさりげなく一般人を批判する】
【遠まわしな言い方なので悪気の有無は確認できないが、もし確信犯だと結構タチが悪い】


んー…パラレルワールド…っていう事になっちゃうんですかねぇ。
だけどそんな珍しい現象ってこの世界でも有りえない事ですよ?

それに元の世界に戻るにしても何らかの特殊な力が必要なはずですし…

【元の世界に戻る方法。それはこの世界でも難しすぎる代物だった】
【何らかの能力があれば別だが、次元超越者なんて聞いたことも無いのが実情である】

確かに風土によって名前の傾向は変わりますけど、珍しい名前なんてごく一部です
現に櫻の国では伐宮さんみたいな名前の人が沢山ですし…

【国や地域によって名前は色々変わるが、それ程大した違いは殆ど見当たらない】
【勿論例外も存在してはいるが、その例外自体に遭遇する事も結構多い為に珍しいと思う事も滅多にない】

さん付けで呼ばれるなんて恐縮です…
どうぞ、そう言う風に呼んでください

【丁寧に呼ばれるのに慣れていないらしく、アタフタしながら首を縦に振った】

/すいません。凍結よろしいですか?
/明日は14時から21時以外の時間は家にいますので…
/申し訳ないです
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 01:58:39.41 ID:2YDSCXDD0
【――――路地裏。暴力殺人強盗は勿論の事奇々怪々実に様々な出来事が生じる其処】
【言ってしまえば“表”では味わえないような体験を出来る場所であって、自警団等の組織が巡回をしていても常に惨劇の生じる場所】
【今宵もまた、悲鳴が響き渡って。…………一つ二つ。耳が良い者ならば幾重にも交じった其れを聞き分けられるだろうか】
【恐らくは6人。否…………途中でぷっつりと途絶えた其れも含めれば7人か?】


「残念ね、残念。私を殺すのでしょう?私の目を抉るのでしょう?
私の腹を割き、引き摺り出してくれる筈だったのでしょう?
――――ねえ、お馬鹿さん達。貴方達の眼に映るのはなぁに
千切れた指に離れた四肢に――――嗚呼、とっても綺麗な赤色ね」

【漂うのは濃い“瘴気”。悪魔やら魔道に堕ちた者が纏う物】
【さて、多少離れた場所であっても容易に感じ取れる其れを辿ってきたならば…………若い男女達がバラされた場面を見る事になるか】
【四肢は飛び、臓物は飛散し、中には原型すら留めない者も居る。――――そんな中、元より紅いドレスを更に紅く染め上げて立つ少女が一人】
【瘴気を漂わせる元凶であり、この状況を生み出した元凶でもあり。…………謂わば人間の敵。誘惑し堕落させ、時には自らの手で殺戮を行う悪魔】
【外見こそ耀きを放つ金色の髪を持った一人の少女であるが、隠しきれない悪意とが滲み出ていて】


「――――――さあ、終えましょう。役者の居ないお話を何時までも続けている訳にはいかないもの
私(わたくし)アリスの紡ぐ今宵のお話も――――もう、お終い」

【細い指先が虚空を撫で上げた。それから数瞬後、事は起きる】
【若者達の骸が持ち上がったかと思えばやがて一つに圧縮し始め…………数秒後には、何とも言い表しがたい色合いの肉の塊が落ちているだけ】
【未だ不気味にプルプルと震え続けたかと思えば、最終的にはビー玉サイズにまで圧縮されて】


「美味しい林檎、食べればもっと素敵な世界へ行けたのかも知れないのに…………残念ね
――――こんばんは。あなたは、どう思うかしら?
蛇の囁きに身を任せれば楽になる…………何て、思った事は無い?」

【よく見れば、少女の――悪魔の――指先から滴る鮮血。自傷である事に間違いは無い】
【この場に踏み入った者の存在を鋭く感知したか、視線をそちらへと向けて微笑みかけるけれど】
【――――飛散した遺物の中には“自警団”を示す腕章やらバッヂやらとが存在していて。ならば、示すのは一つ。“悪”が“正義”を蹂躙したという事】
【話を聞かず、答えず。斬りかかるのも…………また、道理】







【路地裏。表の光が差し込む事だってそうそう無いその場所】
【暴力は勿論の事、強盗やら殺人やら実に様々な悪事が行われる場所だけれど――――】
【不意に、その場に響くのはまるで肉塊を叩き付けた様な音】
【見れば、路地裏という場所にそぐわぬ一人の少女が立っていて】


「――――威勢だけは良いのに実力が伴っていないなんて、ありがちなパターンね
あなたも其処まで馬鹿じゃ無ければ、もう少しは長生き出来たんじゃ無いの
……どうせ、もう聞こえてないでしょうけど」

【辺りに飛び散っている手指。その肉塊が元々は人間であった事を伝えていて】
【――――ぐちゃり。まるで憂さ晴らしでもするかの如く、肉塊を踏みつけたならば、元よりキツイ視線が更に鋭くなり】


「この場で放置する事は無いから安心しなさいよ
もう少ししたら、回収に来るでしょうから其処でミミズにでも喰われていれば良いんじゃ無いかしら
偽善しか出来なかったあなたでも、少しは役に立てれて本望でしょ?」

【もう一度踏みつけたならば、コンクリートに靴底の血糊を擦りつけるのだろう】
【さて、先程の音は存外遠くまで響いた筈で――――その音に惹きつけられて訪れる者は居るのだろうか】

/予約であります!
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 02:01:41.72 ID:KUaVL6Ch0
>>733
/了解しました
/返レスはこの後しておきますので、また明日!
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/02(月) 02:02:20.52 ID:AqAwmDsfo
>>730

―――……〜〜〜〜ッッ、ああもうッ、変な所で律儀で細かいんだなッッ……!!

【わしゃわしゃと黒髪を掻き毟れば、瑛月はそのまま乱暴に言葉を言い切った。瑛月は自警団員であって警察ではない。そう吹っ切れるかのように】

―――……んなもん知るかッッ、別に暴れて傷害事件でも起こさない限り何杯でも飲んで構わんッッッ!!
変に世間の目を意識するなどみみっちいッッ、世界の盾になるのなら細かいことは気にせずどっしり構えていればいいんだッッ!!
文句を言われるようなら「マーシャル・T・ロウさんに飲まされました」とか言っておけばいいんだから……!

【深夜の時間帯を無視するように荒げた声。……つまり「酒など気にするなガンガン飲め」ということで。責任を問われても、ロウという人物に押し付ければ良いという訳で】
【―――兎に角、「飲酒」という理由で彼を離すのは惜しすぎた。飲酒運転とか乱暴しなければ大丈夫という考えは自警団員にしては不謹慎だが、そんなことは今問題ではなかった】
【……少しでも国民を護る盾を強固に出来るのならば、彼にそのワッペンを付けて貰いたい。その一心だった】

そんなに気になるならワッペンを見えない所に貼るとか……そもそも強制で付けなければならないという訳でも無いのだから……!

【少し失礼かもしれないが、断るのならもう少しまともな……というか、重い理由で断って欲しいと瑛月は思っていた】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage ]:2013/12/02(月) 02:09:07.93 ID:87xCN8bn0
>>731

 ふ、そうかい、なんぎな性格だな

【高野は静かに笑う、佳乃の態度も性根も変わらずともいずれは――】
【高野はそう思いながら、コーヒーを一気に飲み干した】

 ああ、貴重なもんだぞ大人になったらあのころはなあ″、と浸れるくらいな
 まあ、大人になってみればわかるかもしれんがな

【高野の笑いはさっきの静かなものとは変わり、大きい声ではないが】
【小さい声でもなく笑った、そして空を見上げて、ため息をはいて】

 空ってのは高いもんだな
 ガキのころよく空を見上げたもんだなあ。

【高野は自然とこのような言葉を言った】
【思っておこうとした言葉が口に出てちょっとはずがしがる】
【だが、あんまり後悔はないようで】

 そうかなあ、帰りたくはないとそうはおもっちゃあいない
 だけどな、今の居場所が充実してもいないんだよな
 あっしは退屈ってのが嫌いなのさ、だからこそあそこを離れたのかもしれないな
 でもさ、戻りてえとたまには思っちまうけどいつの間にか忘れてんだよなあその思いがさ

【高野は自分の心にあるものを次々としゃべっている】
【驚いているのは高野自信だ、だがこうしてしゃべることは悪い気はしないとそう思う】
【その思いが自然と顔に出てきた、佳乃にも見えるであろう】

 はあ、そうさな次帰ったときは、故郷にでも帰って……墓掃除でもするかねえ

【男はそのように言って、どこか安堵の表情になっていた】

 はは、なんかありがとう、お前さんと話してたらいっぱいでてきちまったは
 ……そろそろいい時間でもあるしあっしは帰ることにするわ

【そう言って男はふらりと校門に向かって歩き出す】
【その手を佳乃が見えなくなるまであげつづけて】

/少々強引ですがここで〆ますね
/お疲れさまでした
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/02(月) 02:26:16.93 ID:3IotgrzGo
>>734

【所は路地裏=\―ザリッ、と地を踏みしめる音が一つ、そこに在った】
【衣服は白の将校服。幾重にも重ねられたそれは、寒さと共に深手の傷を防ぐ意味も持ち】
【更に外は同色の外套。足は軍用のブーツを履いたそれは、一人の若い女性であった】

【――チャキ、ッ。不意に現れ、その手に握られるのは一本の刀である】
【漂うのは妖気。周囲に揺蕩うそれとも似ていたが、悪鬼とか、そういう類のものであって】

経験者の立場から言わせてもらえば、どんな甘言も所詮は毒……。
どれほど良いように思えることであっても、自らが選んだ事以外、所詮は虚構……。

……あなたが、この周囲で自警団を何度も襲っている悪魔≠ヒ?
答えは要らないわ。どちらにせよ、あなたは私の目の前で彼らを惨殺し
あまつさえその死体すらも残さず……何より、それを為して尚も笑っている……ッ!

【斬<b!――鞘から抜き放たれた刀が空気を裂いて、血を求めるように音を鳴らした】
【手にした彼女は、怒気に身を震わせる。朱のロングツインテールが、酷く不似合いだ】

許せないのは……ッ!何よりも人の命を軽んじるその態度……!!
強さは振りかざすためにあるんじゃない……UT≠ェそれを教えてあげるわ
アンジェル・ベルジュロンの名誉にかけて……お姉様の一刀に賭けて……!

【彼女――将校服を身にまとい、妖刀を手にした女性、アンジェルはそう、短に宣戦を布告した】
【相手は話しても聞かぬと分かっているのだろう。左手を前に、半身になり】

【刀を持った右手をギリリと頭上で絞る姿は、さながら弓道の構えのようにも思えたが】
【勘が良ければ分かるだろう。数秒後、一挙に飛びかかるや、勢いはそのままに】
【刀の真芯で頭蓋を砕かんとする、いわば強烈な面≠フ構えであることが――だ】

【――そしてアンジェルは、僅かな間を置いてから実際にそう、行動に移すのだ】
【相手がどんな存在かも測らず、武装も能力も知れないのに、刀一本、真正面から飛びかかる】
【当たれば必殺だが――果たしてそうでなければどうか。高速の一撃だったが、太刀筋は真直すぎるきらいがあった】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 02:27:09.24 ID:P+FfwqEb0
>>730

……マジ?……え、SCARLETって、そんな?
いや、そんな融通が効くトコだったのか………俺のイメージと、全然ちげーんだな…‥
……何だよ、俺なりに、気、使ってやった、っつーのに、……バカみてーじゃん。

……酒飲み放題、なら、……入らねー理由が、ねーわ。……じゃ、よろしく。

あ、あと、声、でけーぞ。すげー内容、叫んでんだし、……通報されても、知らねーからな。


【―――SCARLETのイメージが、徐々に良い意味で崩れて行く。……彼の、キャラの崩壊具合は、別として。】
【兎に角、飲酒が許されるなら、少年の言う通り。入らない理由は何処にも見つからなかった。】
【少年は―――緋色の鷹の紋章、"SCARLET"に所属している事を示すワッペンを受け取る。】


………あ、ロウっつー人は、……知らねーけど、そーいう……


【ワッペンを何処に付けようかと体全身を見回す。良い場所が決まらず、取り敢えず一旦サイドポケットの中に入れ込むのだった。】
【……彼のたった一言で、マーシャル・T・ロウの名を持つ人物のイメージが、一気に固まっていく。】
【どの様な人物像だと少年が考えているか、という事に関しては、―――想像に難くないだろう。】

740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 02:48:07.34 ID:P+FfwqEb0
>>730
/すみませぬ、眠りかけてますので凍結お願いしてよろしいでしょうか…?
/明日は20時頃からおりますので……!
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/02(月) 02:51:44.87 ID:AqAwmDsfo
>>739

……強引に効かせたまでだ。―――兎に角、宜しく頼……む……いや、不味いなエキサイトし過ぎた、こほん。
まぁ君のやることは余り変わらない……今までやってきたことに仲間と武器と保険と寝床と情報が加わっただけだ。

【SCARLETは拡大しつつあるが、其れでもまだまだ少ない。SCARLETの初期メンバーとして、自分はこの組織を強大な盾に仕上げなくてはという強い責任感がある】
【少しでも多くの戦力を取り入れるために、彼も必死なのだ。だから声も荒らげたりする。実力と後は民を護るという意志さえあれば十分であり、モラルは2の次】
【―――左手で口を覆い小さく咳き込む瑛月だが、後ろに回した右手はぎゅっと握りしめられていた。―――小さな小さな、ガッツポーズだった】

じゃあ俺はこの場から―――逃げる……! ああ、最寄りの自警団に寄って其れを見せれば色々手続きをして貰えるだろう。
ロウ殿は……―――まぁ、阿呆だが現場では頼れる人物ではある……と思う。大会に出ていたからDVDでも借りてみたらどうだろう?
―――ということで、君も逃げた方がいいぞ……!! では……!!

【目的が達成されれば、漸く自分の事。―――つまり通報される恐れを考え、全力で逃走するのだ。とはいってもこの男、余り足は速くない、速くないのだが―――】
【……その走りは、洗練されていた。なんというか走っているというよりか、「滑っている」ような。下が袴で足元が隠れているせいもあるが、全く正中線の振れない其れはまるで――】
【―――丑三つ刻を彷徨う幽霊と見間違うほどの、振れない動き。こんな所にも武が凝縮され、そして―――その幽霊は、夜の闇にふっと溶けこむように公園から去った】

/お疲れ様でした! SCARLET入団ありがとうございます!
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 02:55:23.90 ID:P+FfwqEb0
>>741
/おおっと、それでは返事は後ほど改めさせて頂きます……!
/コチラこそありがとうございました!
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/02(月) 02:55:54.62 ID:xoZyJuRJo
>>737

大人になったら、か…………。
そんなクサい台詞を吐けるのも、大人の特権なのかしら?

【自分が将来、どんな大人になるのか。そんなことは、想像したこともなくて】
【後になって振り返ったとき、自分はいまの生活をどう思うのだろうか。それを少しだけ考えるが、答えの在処は杳として掴めない】
【佳乃は高野の台詞をからかうように茶化すと、ふと空を見上げてみるのだろう】
【高くて、広い。そこにあるのはそれだけの空間だ。蒼色のがらんどうを見上げて、子供の頃の高野は何を見い出したのか】
【そして、今まさに子供の時代を過ごす佳乃には…………少なくともこの瞬間においては、ただの青空としか映らないのだろう】

……………………。

【高野の独白を、佳乃は黙って聞いている。黙って聞くしか、方策がない】
【今の居場所が充実している訳でもなく、強く故郷に帰りたいと思うでもない。そんな男の思いを感じて】
【それを自分に重ねればこそ、何も言葉を返せない。故郷を捨ててこの場にいる自分には、それに言葉を返す資格なんてない――――】
【どうしてもそう思えてならず、佳乃は空に向けていた視線を地べたへ落とす。長い睫毛と流れるような黒髪が、その表情を隠すのだろう】
【…………暫くして顔を上げて、男の表情が安堵したような色合いになっていたのなら。佳乃もまた少しだけ、それに救われたような気になった】

ええ…………こっちこそ、紅茶の礼は言っておくわ。
それじゃあね、短い時間だったけど、それなりに身のある話だったわよ。

――――ありがとう、高野。

【やがて――――高野が校門に向けて歩き出せば、佳乃もまた小さくお礼を言うと、その背中を見送るのだろう】
【上げられた掌を、最後の最後までその視界に捉え切ると。男の名を呼んで紡がれる素直な言葉は、きっと聞こえはしない筈だ】
【偶然の出会いながら、故郷を同じくして共に郷愁に浸った相手。高野正和という大人のことを、佳乃は彼の言葉と共に心に刻んだのだった――――】


「…………ふふふ。用事は終わったみたいね、幸徳井さん」
「そろそろ観念してこっちへ来なさい! もう時間もないんだから!」

…………………………あ………………。

【なんて――――綺麗な終わり方をすれば、世話はない】
【高野との会話に集中するあまり、女子生徒に追われていたことも、自分がドレス姿であることすらも、佳乃はすっかり忘れていたのだから】
【やばい、と思ってももう遅い。佳乃が高野との会話を終えるのを待ち伏せしていたようで、周囲は完全に包囲されている】
【十名近い女子生徒が、どんどん輪を縮めて迫ってくる。暴力による解決が不可能である以上、もはや為す術はない…………】
【絶望。青い顔をした佳乃の瞳は、女子生徒のひとりが持っている地獄(ミスコン)″sきのチラシを捉えて――――】


【…………その後少女がどうなったのかは、彼女の名誉のために伏せておく】
【ひとつだけ、付け加えるなら。高野が言った通り――――幸徳井佳乃は、望まぬながらも青春というものを楽しむ羽目になったらしい】


/お疲れさまでしたー!
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 02:57:46.74 ID:KUaVL6Ch0
>>733

……あんただって、そういいながら自虐してるじゃないか。ああ、もうっ……こんなこと言いたいわけじゃない。
気を使わせて悪かった……癖なんだ、自虐癖って言うのかな。

【これ以上お互いに卑下を続けていたらキリがないと悟ったのか、流れを切って】
【クマのある鋭い目を細めて、苦笑いを薄く浮かべた後で、重い空気を作ったことに対する詫びを送る】

……優れた、ねぇ。さぞ立派な方々なんだろうな……超能力だとか言う感じか、俺にはきっと関係ないんだろうが。
俺の居たところには、そんな特別な奴らは居なかったし……。

(……何だ、意外と毒を吐くんだな。もしかして、笑うところなのか……?)

【念のため、愛想笑いで誤魔化すことにした。少女の真意が分かる程、器用な男ではなく】
【その反面、能力者というものに対する認識も強く刻まれた。過去に生きた土地と比べると、やはり憧れのようなものも感じる】

……そう。何か分かればよかったが……仕方がない、か。

(戻ることはやはり難しいだろうな……今はもう、そこはいいか。
 違う世界だというなら今までの常識も通用しない……というか、金とか住む場所はどうなんだ……?
 仕事を探す、というのも楽ではないだろうし……くそ……!)

【元に戻れないのはともかく……男はこの世界で生きるための必需品を何一つ持っていなかった】
【お金然り、住居然り……どちらかというと、男にはこちらのほうがひどく大変な事態に思えた】

(……賭ける価値はある、か。もしかしたら俺のような奴も、いるかもしれない。
 少なくとも和名という点で見たら、櫻の国とやらはあっちの世界と関係していてもおかしくない……)

……色々と、情報をありがとう。
情報ついでに一つ聞きたいが……櫻の国とやらは、どうやったら行けるんだ?
まさか……島国とかじゃ、ないよな。

【藁にでも縋る様な思いで、その「櫻の国」に何か情報がないかと考える。最早思考というよりは祈りに近い】
【その前に場所や交通手段を知っておきたかったのだが、よく考えれば男にはお金がないので海を越えられると軽くつむことになる】
【もしかしたらこの男は、絶望と呼んでもいい状況に陥っているのかもしれない】

/では、改めてまた明日よろしくお願いします
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 03:01:14.48 ID:2YDSCXDD0
>>738
「不思議な物よね。――――好んで毒に溺れる人間も居る
経験したのなら貴女も分かるでしょう?甘美なものほど手放せなくなるし、ずっと溺れていたくなる…………もう、考えないで済むのだもの

ふふ……ご名答。でも、襲われているのは私の方よ?
ただ“遊んでいた”だけなのに、襲ってくるから――――長引いてしまうだけ。そう、今の貴女と同じ
目の前で殺してみれば、貴女に対して何かした訳でも無いのに同じ様に皆が皆刃を向けてくるの。憤って、吠えて――――まだ遊び続けられるのねと、私を笑わせてくれる」

【――――女性の纏う其れに気付いたのだろう。先程の自警団達が一斉に襲いかかったって、到底女性に及ぶまい】
【不気味に光る朱の双眸。女性の存在を確かめようとするが、測りきれない】
【ただ――――不敵にも、浮かぶのは笑みであった。刃を向けられているのに、得物を構えない。否、悪魔は固有の得物自体持って居ないのだろう】
【“女の子らしく”笑んだならば、避ける仕草だって見せないのだ。防ぐ動作も、反撃する動作も――――其処に立つだけ】


「素敵な仲間意識ね。仇討ちのお話も嫌いじゃ無いわよ?
だ け ど。強さは願い事を叶える力。仇討ちをしたいなら貴女は――――アンジェルは私に強さを振りかざして、殺さなきゃいけない筈よ
…………強い者が残る世界、何が悪いというの?貴女はその手で弱者を殺めた事が無いのかしら
怯える顔に離れようと逃げ惑う背中に――――最後はみんな同じ顔で。命を奪うっていうのは中々に快楽よね」

【であれば…………当然、その刀は少女の顔へと沈み込み、丁度中心線に沿って斬り付ける形となるであろう】
【感じるであろう手応えは幻影の類で無い事を知らせる。生臭い匂いも同じ】
【それにも関わらず、だ。多量の血を流しながらも、悪魔は楽しそうに話し続ける】
【脳が断たれたならば、生物としては即死である筈。頭を砕かれたならば、話す事も叶わない筈】
【――――刀を埋めたまま、悪魔は言葉を紡いで…………そして、右腕をアンジェルへと向けた】


「…………凄いのね。たった一撃で此処まで“減らされた”のはとても久しぶりよ
――――――でも、殺せない。もっと沢山刻んでくれないかしら。とっても楽しそうな第二幕
ねえ、アンジェル。誰も見ている人は居ないけれど、今夜は私と心ゆくまで踊ってくれないかしら
ねえ、アンジェル。私の身体は人間の血で汚れて居るけれど、今度は私自身の血で染めてくれないかしら」

【放たれるのは瘴気を練った“波動”。まともに浴びれば身体に“疲労”をも蓄積する事となろうか】
【狙いとしては、狭い路地裏の壁に女性を叩き付ける事。そう、悪魔自体の腕力はそう強くないために、魔術等を用いての攻撃となるか】

【顔を深く刻まれたというのに、未だ立ち続けているけれど――――幾分か“瘴気”が減っている事に気付けるだろうか】
【人間とは掛け離れた生命力。然れど、不死身では無い。減った分だけの其れが、伝えるはずだ】



/いきなりで本当に申し訳ないのですが、そろそろでなければいけない様です……!
/今日は夜の10時から10時半あたりに来れると思うので、その付近にお返ししたいと思います……!
/始まったばかりなのに、申し訳ないです……
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/02(月) 03:12:07.53 ID:3IotgrzGo
>>745
/了解ですー!時間に関してはこちらがお待たせしすぎたせいなのでお気になさらず…!
/時間の方もOKですので、それまでに機を見てレスをお返ししておきますっ!
/ですのでとりあえず、今日はこの辺りでということで如何でしょう?
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 11:25:40.62 ID:xP6m50M2o
>>744

そう…ですね。こういうのはきっぱり忘れるのが一番って誰かが言ってましたし
えへへ、なんだか恥ずかしいですね

【自分も相手と同じくキリがないと悟ったらしく、照れくさそうに笑みを浮かべた】
【先ほどの重苦しい空気はどこに行ってしまったのやら、辺りには朗らかな空気が流れていた】

はい。この世界では能力者様って言う優れた人々がいるんです
優しくて壮大で寛大…中には乱暴な人も居ますけど…

それでも何の力も持たない人達よりは遥かにマシです

【能力者が如何に立派で尊い存在かを力説する】
【この説明の方法では一般人が物凄く悪人に聞こえ誤解されてしまうかも知れないが、少女はそんな事気にしていない】
【というより、少女的には今まで学んだ事を正直に話しているだけなのだから悪意なんて殆ど感じさせないだろう】

それならば『GIFT』を尋ねてみては如何でしょう?
素敵な能力者様がきっと良いようにしてくれるはずですし…

それに貴方が一般人でも、次元を超越した存在である事を証明できれば厚遇されますよぉっ!

【自分は相手の力になれないかも知れないと思った少女は『GIFT』と言う組織の名前を口にした】
【組織の説明はこれまた少女視点で語られる為、信憑性は限りなく薄いのだが】

櫻の国は確かに島国ですよぉ。『カタナ』とか変な凶器があったりする不思議な所です
ここからだったら港を経由するのが一番早いと思いますけど……

お金って…持ってませんよねぇ?

【交通手段は色々あるが、やはりそこら辺も現実的な手段しか存在していないらしい】
【勿論海を渡れる能力や空を飛べる能力があれば話は別なのだが。】
【そして何より目の前の相手がそんな便利な能力持ちであるとは一切考えていない少女は、苦しそうに所持金の事を尋ねるのだった】

/遅れてすみません!
/今日もよろしくお願いします!

748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !nasu_res]:2013/12/02(月) 12:44:54.30 ID:xoZyJuRJo

【暗い暗い道の中を、書類の束を抱えたひとりの女子生徒が、息を切らして走っていく】
【彼女に率いられるような形で、同じく何かしらの荷物を持った複数人の生徒達が付いてきているが――――その誰もが、不安そうな顔をしていた】
【先頭を走る彼女もまた、後ろに見られないよう気を遣ってはいるが、その口元は噛みしめるようにきつく結ばれている】

「や、やっちゃった――――僕たち、ついに…………」
「やめてっ…………思い出させないでよぉ…………!」
「でもさ…………あ、あ、あんなに、ち、血がっ、飛び散って――――」

【口々に呟かれる、情緒不安定な言葉。彼らの顔は青く、走ったせいではない嫌な汗を全身に滲ませている】
【暗い暗い、どこまでも暗い道。その暗さに飲まれるように、走り続ける彼らの歩調も一様に鈍っていく】
【もう引き返せない。走り続けなければ、後ろから破滅≠ェやってくる。頭ではそれがわかっていて、けれど】
【――――走り続けた先にある別の破滅≠、希望と信じて突き進むには。彼らはあまりにも、幼すぎた】

【背負ってしまった罪の重さに耐えかねて、彼らの足は止まっていく。世界の寒さに耐え切れず、少しでも暖かな場所へと逃避しようとする】
【だが――――】

「――――しっかりしなさい! 忘れたの? もう後戻りは出来ない、進むしかないのよ!!」

「う、うぅ…………!」

【陣頭に立って闇を切り裂いていた女子生徒が、彼らに逃避を許さなかった。その語調は重く、容易に反論し得ないだけの説得力があった】
【残る生徒達はその言葉に、否応にも現実を直視させられる。進んでも希望があるとは限らず、しかし進まなければ終わると言うことだけはわかっていた】
【彼女に守られるばかりの四人は、捨ててきたものの代わりとばかりに持っていた資料を強く抱きしめると、何も言わずにまた走り出す】

【それを見て先頭の少女も笑い、引き続いて彼らを率いていく。しばらく走れば、暗い道の先に僅かだが光が差している。あれが、出口――――】
【その光に真っ先に照らされることとなった少女の顔は――――きっとこの場の誰よりも、不安と焦燥に染まった蒼白な形相をしているのだろう】


                  「誰にも…………誰にも、あの人の邪魔はさせない…………。
 
                       やっと見つけたんだ、私の力の意味…………」


【自分を守るための暗示のような言葉が、その口から零れ落ちる。ただそれだけを杖にして、少女は折れかけた心を抱えて進み続ける】
【空を仰いだ少女の視線の先に、光の中から伸びる手があった。それが例え悪魔の手であっても、彼女にはそれを掴むしか選択肢はない】
【だったら――――何も考えるな。何も感じるな。何も行動するな。行き先が同じなら、憂うことに意味はない。思考することなど、放棄すればいい】
【――――強く手を引かれて、光の中へ。虚ろな目が見るいつも通りの夕闇の世界は、彼女が思考を止めていなければ、ひどく綺麗に見えたろうに】

【視界の端の校門で、アーチに掲げられた文字が下ろされようとしていた。楽しく苦しい祭りの日を、降りてくる夜の帳がギロチンのように断ち切った】
【表側に、歓楽と愉悦と微笑を。裏側に、陰謀と絶望と狂笑を。それぞれで彩った学園祭≠フ二日間は、ここに終わりを告げたのだった】


【…………そして、後日。学園内において、いくつかのトラブルが発覚することとなる】
【部室棟と旧校舎でボヤ騒ぎがあったことや、到底この世の物とも思えない謎の生物の肉を利用した不法出店が行われていたことなども、問題にはなったが】
【――――数名の不良が突如退学届けを突きつけ、家族ごとその後の行方を眩ませたこと】
【そして、最近転校してきたひとりの一年生が――――書類に不備があったとのことで突如転校を取り消され、学園から追放されてしまったこと】

【この二つの事件が、内外へ特に大きな波紋を生んだが…………詳細が学園側から語られることは、ついぞなかった】


/以上で、今回の学園祭<Cベントは完全に終了となります!
/土曜の探索に参加してくださった皆様、そしてこの舞台を利用してくださった皆様、本当にありがとうございましたー!!
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 13:48:52.04 ID:KUaVL6Ch0
>>747

【空気が変わり、内心ほっとする。と同時に、自分の自虐癖に強い反省と後悔】
【何回このような展開にすれば気が済むのかと、自分を殴りたくなる卑屈な感情はまだ男の中にあって】

……そう。あんたみたいな人が言うんなら、きっとそうなんだろうな。
俺はそういう考えはあまり……肌に合わないが。

(……この発想とか考えは、一体どこから来るんだ。なんていうか……こういう考えは嫌いだ。
 この子だけなのか、それともこの世界の常識なのか……一般人から見れば、たまったもんじゃないな)

【少女の話から思い浮かんだのは……差別だとか、そういった言葉】
【元の世界でそれがなかったわけではないのだろうが、いざ目の前で聞くと、何かと考えさせるものがあった】
【親切にしてくれる少女に悪いと思ったのか、男は意見が違うことを少し濁して言葉にした】

『GIFT』……能力者の集まりか何かか?
良いようにしてくれるのなら別にいいんだが……良いんだが。

しかし……証明と言ってもな。これといった証拠なんて持っていないのが現状だ……。

【先ほどの少女の話を聞いた上で、それが信じられるかといえば正直「微妙」で】
【「異世界人です」と突き付ける証拠もないのが事実であった。男はやはり、乗り気で無さそうだ】

……つまり船ぐらいしか移動手段がない訳か。参ったな……。

(……刀、カタナ?もしかして細長い刃のついた武器の、あれ?
 もしその刀なら俺の居た世界でも見たことがある、やはり行ってみる価値はありそうだ……!
 とはいえ……本当に島国か。刀といい島国であることといい、共通点は多そうだが……)

……そうなんだよな、元の世界の金で払っていいならあるが。まあ、無理だろうが。
その国に行って情報を集めるのは、当分後になるか……。

【少し残念そうに、口角を吊り上げて笑う。一応想定はしていたのだろう】
【どちらかと言えば交通費より、生活費の方が深刻な問題なのだろうが、今はあまり考えないようにした】

/こちらこそ遅れてすいません、よろしくお願いします!
/とはいえ、もう時間無さそうですが……
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 17:23:36.61 ID:xP6m50M2o
>>749

わ…私のいう事に信憑性なんて…
でも…この世界ではこういう考え方の人も沢山います…
色んな人と関わっていく上で…こういう考え方も有るんだなって思ってくれればぁ…

【少々自分を出しすぎた事を恥じながら、最後はちょっとした忠告まがいの事を口にする】
【相手が「肌に合わない」と口にしたので、最後のほうは物凄く尻すぼみだったが】

えーっとぉ…そう言う認識で問題ないです
凄く優れていて優しい人がたくさん居る素敵な所なんですよ

もしかしたら伐宮さん自身が次元超越系の能力者っていう可能性もありますし…
とにかく『GIFT』に行ってみて損はないと思いますよぉ

【男がもしかしたら無意識に能力を使ってしまった可能性だってある】
【もしこの世界に飛んできた原因がそれだとすれば、それは自分が異世界人だと言う大きな証明にもなってくれる】
【少女はそんなことを考えているのか、『GIFT』の事を強く進めた】

船…が一番安いですね
他にも手段はありますけど…一番安全なのは船ですね…

【魔物に乗ってみたり、空を飛ぶ人を呼んでみたり、とにかく色々な方法が存在している】
【だけど一番安心で安全なのはやはりお金と時間を犠牲にする事なのだろう】

無理だと思いますぅ…向こうのお金がどんなものか事態分かりませんし

【異世界人はつくづく大変だと心の中で小さく溜息をついた】

その…私はあんまりお勧めできませんけど…自警団とか尋ねてみたらどうでしょう?
勿論お勧めは『GIFT』なんですけど…その……えーっとぉ…

とにかく色々助けてくれる組織はありますし…

【困っている男を見てついつい『GIFT』以外の所をお勧めしてしまう】
【最後は歯切れ悪く話を有耶無耶にして誤魔化そうとしたが、表情は「やってしまった」と言った色に染め上げられていた】

/空いた時間に返信です
/次は22時前になってしまいますが…申し訳ない
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/02(月) 18:42:48.74 ID:ZzlzesaN0
【鉄の国―――地方都市・郊外の洋館】

【ここは鉄の国の東端に存在する発展に取り残されて寂れた地方都市―――その外れ】
【そこには人が済まなくなって十数年といった朽ちた洋館が存在していた………内部の石柱にはヒビが入り】
【崩れ落ちた壁が床に散乱し………埃臭い中で傾いたシャンデリアが揺れている………そんな中で】
【コッコッコっと―――中央に位置する大きな階段を下る人影が一つ。】

この国は変わりませんね………高度成長し近代技術を取り入れる一方で………
こうした旧時代の遺物≠捨てきれずに、隅に追いやる事で目から背けようという意志が見えます。

―――この国の行く末を決めるのは………果たして金十字≠ゥ………この国の民か―――見届けさせて貰いましょう

【ぽつりぽつりと独り言を呟きながら階段を下る人物―――。】
【全身を淡く輝いている漆黒のロングドレスを身にまとい、その上から同じく漆黒の鎧で包み込んでおり】
【白銀の腰まで伸びる髪は艶やかな質感を感じさせ、感情を感じさせない鮮血のような朱い瞳が鋭く輝いて】
【頭部には漆黒に輝くサークレットが装着され、腹部の装甲には逆五芒星≠フエンブレムが刻まれた180cmはありそうな長身の女性】
【女性は手すりに指を這わせながら………朽ちた天井を見上げて言葉を切った―――。】

【この洋館は近隣の街の住民からは幽霊屋敷と呼ばれ、肝試しに使われる事もあるとか………】
【さらにはマフィアやテロ組織のアジトなんて噂まである―――もしかすればそうした噂を聞きつけて誰かが訪れるかもしれない】
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 19:25:36.00 ID:KUaVL6Ch0
>>750

……ああ、そういうことなら。

【急に納得したように、少女の忠告らしき言葉に軽い了承の意を見せる】
【そして、そういった思想ばかりでもないらしいことに、男は少し安心した】

成る程、ね……確かに、俺自身の力が原因でここに来てしまったというのも考えられる、か。
能力者が複数人居るのなら、能力について詳しい人もいるだろうしな……。行って見るのも、アリか。

【少女の話は、男を説得するには十分だったらしく、納得した様子で『GIFT』に行くことを検討した】
【ともかく能力というものは、この世界で生きるのには重要なワードなのだと男は認識する】

……もし、この世界に来たのが俺の能力なら、何とかして使えないものか。
絶対に船に乗るより便利だろうに……まあ、無理なんだろうけど。

【お金のことに関して「ですよね」と、予想の容易い反応。船に乗っていくのはあきらめたらしく】

……自警団?……こっちでいう、警察みたいなものか。状況説明したら協力してくれるかね……。
じゃあ、『GIFT』と自警団……まずはそのどっちかに行ってみることにするよ。

(……この子は、『GIFT』側の人間なんだろうか?側っていうのもおかしい気がするが……)

にしても……ホンット、人のために動いてくれるやつは多いらしいな。あっちと違って。
そう思えば、この世界に飛ばされたのも決して悪くはないんだろうね……多分。
パリシュトさん、あんたにはホント感謝してるよ。あんたが声掛けてくれなかったらきっと、延々と歩き続けてただろうし……。

【増えた選択肢、それを提示する少女の態度にいささか違和感を感じ、なんとなくそう推測してみた】
【なんにせよ、男にとっては行くアテが増えたということで、少女の立場を深く考えることもないのだが……今のところは】
【何に対してのフォローか、男は自分でも分からなかったが、感謝の言葉ぐらいは贈ることとした】

/いえいえ、お待ちしますよ
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 20:17:17.96 ID:P+FfwqEb0
>>741

……やるじゃねーか。もっとお堅い組織だと、思ってたぜ。イメージ、変わったわ、マジで。
あーそう、お前の第一印象も、……いや、人間味が有るっつーのは、良い事だと思う。


【ガッツポーズを構える姿を見たのなら、少年は彼の印象をガラリと変える事だろう。……最早其れは、180度回転したと言っても過言ではない程で。】
【剣術の達人。一般に厳格な心証を受ける古風な見かけとは裏腹に、彼の正体というのは実は、人間味溢れる優しい青年だった。】
【SCARLETも彼も。双方はやがて好印象へと転じて。―――確かに、まさかこんな事が起きるとは、と、予想外が連続する出会いであった。】


お、おう……そーだな、DVD……つーか、SCARLET、全員知っとかねーとな。メンバー表も貰うか。
アホで頼れる……あー、何となく、分かる気がする。……期待しとくわ、割りと。

―――ああ、そーだ、俺、ねこむらっつーんだ、……ふつーに忘れてたわ、……その、色々あり過ぎて、な。


【ロウという男のイメージは、更に強固な物となって。然し大会に出場したというのだから、相当の実力者である事には違いない。】
【そして彼の去り際、丁度、自分に背を向けた頃である。―――付け加えるかの様、少年は遅すぎた自己紹介をして。】
【時間が無かったのだ。名前を述べるだけの、最早必要最小限を満たすかどうかさえ怪しい、極めて簡潔な物になった、が。】


……何だアレ。ふつーに走れねーの………あー………
動き全部、剣術に特化してんだな、……いや、でもアレはなんつーか……


【彼の走り方を眺める。矢張り、抜刀と見た時と同じ性質の違和感が、再び少年を悩ませる事になるだろう。】
【然し、3度めは更に早かった。―――身体のブレが一切として無く、更に袴で足元が隠れて居るのだ、矢張り幽霊に見えてしまった、が。】
【やがて彼の忠告通り、少年も又、此の場を去るのだろう。……行く"アテ"のある其の足取り、幾らか軽く見えた様な気がした。】

【そろそろ、朧月が沈み出すかという頃。―――迎える光は何時もと何か違う明るい色、少年の心を十二分に満たしていて。】


/お返事遅れまして大変申し訳ないです!
/お疲れ様でした!とても楽しかったです!
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/02(月) 21:47:08.59 ID:3IotgrzGo
>>745

……悪魔≠チていうのは、世迷い言が好きなのね?
確かに……私は能力もない、ただの人間を切り捨てたこともある
だけどそれこそ唆されて。自分の意志で、殺人に快楽を見出したことは無いわ

何よりね……私に、今更そんな口先一つの小狡いやり方が効くと思わない事よ
舐めないで頂戴。これでも伊達に六罪王とやりあってないの―――ッ!!

【――或いは、これがほんの半年も前のアンジェルであったなら】
【その表情は少女の言葉に応じて苦く歪み、剣先も鈍っていたことだろう】

【だが、しかし――今は違った。空色の瞳はしっかりと相手を見据えたまま】
【表情も鋭い鷲か鷹か、猛禽の王者の如く澄んで純粋な強さを湛えていて】
【それでもやはり、相手が避けもせず、刃が齎した様相には驚きを禁じ得なかったのだろう】

【直後に返される疲労の波動≠、とっさに両手を交差して受けたが】
【まさかそのまま弾き返せるほどの力をアンジェルが持っているはずもなく】
【壁に叩き付けられれば、臓腑の底から呼気を絞り出されるように、悶て咳き込む】

【――だが、俯いた顔を上げた折。既に彼女は真っ当な眼光をしていなかった】
【朱いのだ。髪ばかりではなくその眼もまた朱色に染まって、妖気は刀だけでなくその肉体からも放たれ始め】

お望み通り……切り刻んでほしいと云うならそうしてあげる……ッ!
秋雨≠烽サれを望んでいるもの。汚れていようと、貴女の血をね――!!

【夜露のように刀身が濡れ、それをアンジェルは、刃が空を向くようにして構えた】
【先ほどの振り下ろしと体勢は似ている。ただし距離はより遠く、なにより刀の持ち方が違っていて】

【――次の瞬間。繰り出される一撃は、敢えて形容するならば刺突≠ナあった】
【ただし、人の打ち出すそれとはまるで違う。数mの距離は一瞬で詰まり、切れ味も常識を超えて】
【仮にこれを真直うけたならば、少女の胴は片耳と共にドサリと地に落ちてもおかしくはない程である】

【刃の軌跡は、半円。刀が地を捉えてようやく止まるという、常識はずれな一幕】
【最も――相手も相手だ。アンジェルは勢いに任せて、少女の向こう側にまで駆け抜けるが】
【攻撃の成否を確かめる余裕は無かったし、攻撃後に至っては、背中を見せるという隙もあり】

【攻撃も威勢も凄まじい物があったが――どうにも、かの妖刀の力を使いこなせていないようだった】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 22:17:58.70 ID:xP6m50M2o
>>752

考えの違いで人が簡単に死にますから。この世界は

【少女はこの世界しか知らない為、争いが常に起きているのが普通だと感じている】
【それに参加する事も誰かを殺める事も、全部この世界の日常の中に組み込まれているのだ】
【だからこそ男に対して、少女は少し棘のある言葉を言ったのだ】

能力の暴発なんて多々あることですしぃ…
それに無能力者が実は能力者だったなんてこともあります…

【自分の能力を制御できてこそ、能力者と呼べる存在として認識できる】
【少女にとってはそれが出来ない能力者は限りなく危険因子に近い一般人であり、忌むべき者でもある】
【そんな風になってほしくないからこそ、少女は男に能力の調査を促したのだ】

そうですねぇ。空間超越が出来ればこの世界でも稀有な存在ですね
空間・時間に干渉するのは私たちでも殆ど見た事無いですしぃ…

【そんな能力が使いこなせるならそれは最早神の領域】
【男にそんな可能性があるために、少女は一瞬だけ目を煌かせた】

まあそんな感じです。神様の命に背く危険因子の集まりですけど…
困ってるんだったら表面上は助けてくれるんじゃないですか?

【この言葉で自分が『GIFT』側の人間だと悟られてしまうなんてまったく考えていない】
【むしろ『GIFT』の素晴らしさを伝えれたと勘違いしている所があるだろう】

誰も声をかけなかったから…その。心配になって…
この世界の一般人は忌むべき対象ですからね。仕方ないんですけどぉ…

【気にしないで下さいと言葉を紡いで見るが、その後に出てくるのはとんでもない言葉】
【一般人は悪だと言わんばかりのその言葉を、何の疑問もなしに口にするその姿】
【やはり少女はどこか変な所を持っているのだろう】

/遅れてゴメンなさい!
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 22:42:20.54 ID:2YDSCXDD0
>>754
「六罪王?嗚呼――――カノッサに居たわね。とっても、とっても強い人達なのでしょう?
会ったことは無いし、話した事もないけれど…………ふふ。色々なお話は耳に挟んでいるわ
私は誰の味方もしないし、言ってしまえば貴女達人間が憎むべき敵。旧約聖書の時から、ずっと争っていたものね

――――ふぅん。アダムもイヴも、貴女みたいな魂を持って居れば良かったのに
甘い果実に狂わされて子孫とされる貴女達はこんな寒い世界に堕とされるのだから堪ったものでは無いわね
私に刃を突き立てなさいな人間さん。キサラギも貴女も…………私を殺すに値する人間。果てしない物語の終わりに、小さなインクの点を付けてくれないかしら」

【左右で眼の位置がずれたその顔が楽しそうに歪んだ。正義を名乗るに相応しい高貴な魂の持ち主。一手が実に強力な事も合わさって】
【――――この悪魔がどれ程の時を過ごしたのかは定かでは無い。数百数千――――或いは、もっと時を経ているのか】
【存在と表すよりも、“現象”として例えた方が相応しいほどには、時の流れに乗っていたのだろう。その存在が、女性は自分を殺すに相応しい人間と見て笑い――――】

【断面図からは、血肉は当然の事無数の“眼”も見えよう。ギョロギョロと忙しなく動き、やがては一つに。壁に叩き付けられたアンジェルへと向けられる】
【追撃は無い。歩み寄る事も無い。ただその場に立って、小首を傾げて見せるだけ】
【“侮蔑”の為に行ったのでは無い。続けられるか否かを問うだけ。…………返事は無くとも、朱色に染まったその瞳を答えと受け取ったのだろう】


「ええ――――楽しみにして居るわ。原型を留めない程に刻まれ、殺される事を
それにしても面白いのね?まるで、貴女も私と同類みたい。悪魔みたいに面白い物を纏っているのだもの
――――そっちを探るのも、楽しそう」

【刃が身体を抜けた――――かと思えば。飛んだのは片腕。切り離された細い腕が宙で回転し、切断面から血を振りまきながら冷たいコンクリートに叩き付けられる】
【もし…………もしアンジェルに悪魔の姿を見る余裕があったならば、その姿の変化に気付けるか】
【捻れた角に、漆黒の鱗を纏う尻尾。まるで邪龍を連想させるその姿】

【確かにダメージは通った筈。…………だが、同時に瘴気が“濃く”なりつつあった】
【様々な修羅場を潜り抜けた彼女ならば、きっと大丈夫。素早い動きに支障が出る程でも無かろう。ただ――――体勢も何も無い小さな生き物たちは、その場で“腐り”始めて】
【自分の腕を気にするまでも無い。己の腕を断ち、駆け抜けた少女の背を追いかけるかのように軽やかに歩いて】


「折角楽しく踊っているのだもの。“貴女”なんて興醒めしてしまうわ。アリス、それが私の名前
――――ねえアンジェル。貴女ってとっても不思議ね。他の人間達は命乞いをするし、無意味に逃げ惑っていたの
でも、貴女は違う。どんどん変わっていくのだもの。まるで鬼、まるで悪魔。…………人間、かしら?」

【残るのは右手だけ。駆け抜けたその背に掌を押し当てる事が出来たならば――――零距離からの展開。其れが叶わぬならば、離れた位置からの一撃】
【形状はランス。尤も、“疲労”の其れの塊。先程よりも質の悪い事に…………今度は“実体”があった】
【吹き飛ばすのでは無く、撃ち込む一撃。その身体に当たったならば“疲労”の魔力が身体の中に“溶け込む”】
【――――その体力を奪って動きを鈍くし、その上でダメージを与える魂胆か】


/すみません、所用で次ちょっとだけ反応遅れるかもしれません……!
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 22:50:44.13 ID:KUaVL6Ch0
>>755

【「死ぬ」――平然と口にされた言葉に、眉をひそめた】
【元に戻る、櫻の国に、『GIFT』や自警団に赴く前に殺されるかもしれない。そんな世界に踏み込んだのだと気づく】

【スケールの違い。いつ死んでもおかしくないだろう日常生活の差異に、思わず唾を飲み込んで】

(……俺が能力を持っていてもおかしくはない、ということか。
 元の世界ではそんな人間はいなかったように見えたが、条件か何かあるんだろうか。
 能力を得る……『覚醒する』ような条件……くそ、分からないことだらけだな)

……だろうな、そんな仰々しいもの人の手で使うには余りある。
今まで一般人だった人間が使えるようなシロモノにはとても思えん……。

【少なくとも自分はそんな大それた者ではない。出来なかったことが突然出来るようになることなど信じたくはなかった】
【なんにせよ可能性があるなら縋りたいのが現状ではあるが】

……そうか。まあ状況が状況だし、あまり無茶な要求は出来んだろうな。
何か身を置く場所さえあれば、まだいいのかもしれんが……行くだけ行けばいいだろう。

(……『GIFT』ってのはなんだ、宗教染みた団体なのか?ならこの言い草も頷けるが)

【男が受けた印象は、そんなものだった。素晴らしいかどうかはともかく、ある程度の人間に信用されてはいる団体だと】

そう……ま、まあ、何であれ、助けてくれたことに変わりはないからな。
色々と状況が良くなったら、この恩は必ずいつか……。

【一般人=悪の理論を聞くたびに少し、ばつが悪くなるが、なお感謝とそれとは別の話】
【「いつか」がいつになるのかは分からないが……そのような約束をした】

/こちらこそすいません……30分かかっとるorz
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 23:02:04.70 ID:xP6m50M2o
>>757

人の手で使えるから、今この世界が回っているんですよぉ
それに人間だからこそ『出来る』。神様の崇高な僕へと昇華できるんです

私だって昔は無能力者…でしたからぁ

【ここで明かされるのは、少女が昔『無能力者』であったという事】
【そうとなれば少女は如何にして能力を手にしたのか、如何にして覚醒したのか】
【一般人から進化する方法を少女は知っているという事になる】

あそこはユートピアですぅ…だからなーんでも許してくれるんです
神様は寛大なんです…貴方の事もきっと受け入れてくれます
いいえ…異世界から着たなんてきっと歓迎されちゃいますよぉ

【うっとりとして自分のいる場所の事を語り始める少女】
【自分が心酔していると言うのを完全に言動で表してしまっている事にはまったく気がついていない】

恩なんて良いんです…そんなの大丈夫ですっ…
私は見返りを求めて人を助けるなんて…そんな浅ましい一般人みたいな事しません…

ただ…一つお願いできるんだったら、私のことを絶対に忘れないでくださぃ…
それだけで立派な恩返し…ですから


【恩返しなんて必要無い、きっぱりとした口調でそう口にした】
【だけどその後に紡がれる少女のお願い。】

【それは自分がいつ消えてしまうか分からない、そんな不安を大きく抱えたものであった】

/気になさらないで下さい
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/02(月) 23:09:12.54 ID:3IotgrzGo
>>756

【心なしか身体がうまく動かない。肉体ではなく腕を飛ばすに留まったのも】
【また刃を突き立て背を向けて、そのまま直ぐに振り返ることが出来ず息を吐くのも】
【あるいは先ほど食らった疲労≠フせいか――チラ、と振り返って、確信する】

【『こいつ-アリス-は紛れもない悪魔だ』、と。無数の瞳に見入られて、ギリッ、と奥歯を噛み締め】
【すぐさま刀を持つ手を逆さに変えて、接近する相手を振り向きざまに切り裂こうと思ったが――】

【――場所は胸部。刃はアリスの頬を薄く斬るかもしれないが、そこで止まった】
【タイミングの問題だったのだ。振り向きざまの斬りかかりより、アリスの一撃が早かっただけのこと】
【強烈な衝撃と脱力感がアンジェルを襲い、数歩下がって蹈鞴を踏み、片膝を付いて、刀は杖として地に突き刺し】

(く、ッ……!頭を割られて腕を落とされ、それでもその余裕……いけ好かないッ!)
(なまじ攻撃を避けないのも、明らかに舐められている証拠……それなら―――)

っ……私は人間よ。それ以外の何かに見えるなら、貴女のお目々は飾り物ね
数だけ多くて節穴なのじゃあ、ガラス球でもはめておいたほうが綺麗で良いわ……!
いいえ、それでも……腹の底が腐ってるんじゃ、何をしたって綺麗≠ネんて言葉、勿体無い――!

【体勢は変わらない。だが不意に、彼女の身を覆う真っ白な外套が生き物のように赤く染まり】
【繊維の一本一本が血管の如く、表面は表皮の失せた人の真皮の如く、蠢いて】

【直後、地面へとその血管≠ェ伸びて血が染み出せば、それはぐにゃりと個体のように固まって】
【計六筋――触手か注射針のようになって、アリスの全身、余すところなく突き刺そうと迫るのである】
【直撃すれば肉体を貫くのは当然であったが――さらなる思惑がアンジェルにはあった】

【それというのも吸収≠ナ。突き立った端から、相手の血液やら、魔力やら】
【エネルギーに変換できる一切合切を、強欲に全て吸い取ろうとするのである】
【避けないならば一服の毒を。まして距離は至近――未だ立ち上がることも出来ず、リーチは相手に利があったが】

【もしもこの一撃がわずかにでも決まれば、起死回生の機が見える。朱い瞳は、アリスを食い入るように睨んでいた】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/02(月) 23:31:11.03 ID:KUaVL6Ch0
>>758

【「そんなものかね」と、能力者のいない世界で育った彼は、返す言葉を見つけられず、それだけ呟いた】

……つまり、無能力者が能力者になる。その手段があるというのか。
もしくは、自然と能力が覚醒する事例がある……そういうことだな?明確な方法というものは、あるのか?

【少女の独白に少し、眉をひそめ、興味を惹かれたかのような反応をとる】
【同時に、彼女が過去無能力者だったこと、そして彼女の先ほどからの口ぶり】
【彼女の「能力者主義」は、その過去の経験から来ているのだろうか。男はそう思えてならなかった】

……ズイブンと陶酔しているようだな。俺にはまだ、雰囲気が分からないから何とも言えんが……。
せっかくだし……歓迎されてくることにするかね。

【皮肉屋な、ひねくれた言い方で、ふざけた調子の言葉を紡ぎ、少女の語りに応える】
【「ユートピア」「神様」などなど……その手のワードを聞いて、「宗教らしい団体」というイメージは固定されたのだが】

【「しかし」と、見返りはいらないらしい少女に言葉を告げようとしたが】
【少女が一つだけ紡いだ、不安げな願い。それを聞き、男は言葉を用意するため一度押し黙った】


……何言ってる、当たり前だ。この世界に来て初めて出会った人、その上こうも優しくしてくれたんだ。
パリシュトさん、あんたのことは絶対に忘れないよ、忘れてたまるか。


【結局、あまりちゃんと決められたような台詞は言えなかったのだが。それでもなお、自分の思いを――忘れないという約束を契った】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/02(月) 23:44:35.98 ID:xP6m50M2o
>>760

ありますよ。私は現にそのお陰で一般人を辞めれましたからぁ
能力者っていっても先天的なものと後天的なものがあるんです…

先天的なものは生まれつき、後天的なものは何らかの覚醒を促す…
私は『GIFT』でその力を得ました。
他にもいろいろあるみたいですけどぉ…明言できるのはこの方法だけですね

【能力者になりたいのなら『GIFT』に行けと助言を与える】
【自分はそこで能力者になれた、だからこそ安心してお勧めできる】

大丈夫です…絶対に絶対に絶対に好きになってくれますよぉ
伐宮さんも絶対に気に入ってくれますから…

【ここまで来れば陶酔なんて生易しい物で表現は難しくなってくる】
【一種の思考改造。洗脳に近い怪しい類の物を疑うざるを得ないだろう】

約束ですよ?
一生…何があっても絶対に忘れないで下さい

誰かの記憶に残れる…それは自分が存在している証明…ですからぁ

【今にも崩れそうな儚い笑み。だけどその表情には嬉々とした物が深く込められていて―――――】
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/02(月) 23:58:23.00 ID:2YDSCXDD0
>>759
【頬を掠る一閃。チリリとした痛みが、喜びとして捉えられる。失われる血液が快楽と感じる】
【――――未だ失われぬアンジェルの戦意がこの上ない楽しみに思える】
【だから、悪魔は嗤う。己の命を絶つ為に刃を振りかざす人間を見て歓喜する】

【闘争本能が働きかけた訳でも無い。ただ、自分の話を紡げる事が嬉しいのだ】
【今までもさっきも、殆どが一方的な殺戮。この身に太刀を入れる者など本当に少なかった。刻んだとしても、ただ其れだけ】
【“減らす”事が出来ない者達が殆ど。――――そう、女性の様な意思を、魂を持つ者なんて殆ど居なかったのだから】


「――――飾りでも良いわ。お話を読めれば“目”としては十分。人間を見比べる事にはあんまり使わない物
……でもね、アンジェル。今の貴女はまるで悪魔みたい。人の皮を被った悪魔

――――ただ突いた貫いただけでは意味が無いわよ?こうやって頭を斬られ、腕も切られ、血を流して…………でも、こうして貴女の前に立っているの。…………?」

【“血管”は見事に身体を貫いた事だろう。ただの物理的な攻撃だとでも思ったか、再び避ける事も無くて】
【違和感に気付いたのは、その直後。――――力が抜けていく?】
【失われた先を手繰ってみればなる程、曲者。ただ、其れだけでは終わらない。根本から奪うには、実に効率的な手段で有ろう】
【――――不意に、その血管の一つを残った手で握った。あろう事か、其処からも魔力を流すので有る】

【――――直に吸収している少女で有れば分かるであろうか。直接“疲労”を送り込んでいるのだと】
【そしてその瘴気…………“何か”が可笑しい。無論、アンジェルが吸収してエネルギーと化した所で副作用がある訳では無い】
【ただ――有り体に言ってしまえば、生理的な嫌悪を覚える様な物。人によっては受け入れがたい物】
【…………“善”が拒絶する“悪”の塊。元凶】


「それに比べて…………貴方の目は綺麗ね?
UTと言ったかしら――――面白そうな所。お話を紡ぐには、十分な所かしらね
…………殺してしまわないで、野放しにしていた方が楽しそうね。貴女の気配だって気になるし――――だから、尚更
――――アンジェル。私は“美味しい”かしら?」

【身体から生命力魔力その他を吸われながらも、歩み寄る】
【体中を“血管”に貫かれながらも、歩み寄る】
【もしもまだ片膝を着いていたならば――――――その胸部に目掛けて、強い蹴りが放たれる事だろう】
【とは言え、吸収して体力の回復が出来ていたならば十分に避けられる程度。しかし、もし送り込んだであろう“疲労”が上回っていたならば――――?】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/03(火) 00:09:56.35 ID:ifQnSXJt0
>>761

【少女曰く、『GIFT』にはその方法がある。男は少しいぶかしげな表情をするだろう】
【宗教団体のようだと思っていた矢先、そんなうまい話をされては、疑いたくもなるが】

……先天的と後天的か。その辺りは理解できるんだがな……。
というか、能力者になる方法ってのはそんなにあるものなのか……元の世界に能力者がいないのが不思議だよ。

…そうか、そうか。好きになれればいいが。

(……この人は悪くない、んだよなぁ。よく分からないけど、その団体も、この人のことも)

【男は深く自分に言い聞かせる……胡散臭いのはその組織であって、眼前の少女ではないと】
【だからといって、その怪しい聞こえの団体に】
【むしろ逆に、男はその団体に興味を持った。一体、どのようなことをしている場なのか】

……ああ、約束しよう。あんたのことはずっと、忘れないと。

【恩人を忘れない、そんなことで喜んでくれるなら、男はとても嬉しかっただろう】
【顔から察することは出来ないが……男は、内心ではとてもニヤついていただろうと自覚していた】


……ズイブンと長く、話してしまったな。俺は……寝床でも探すこととするよ。
情報をありがとう。時間をもらってしまって、悪かったね……また、いつか会おうか。

【気付けばかなり長い間話し込んでしまった……これ以上迷惑をかけるのは悪いと思ったのか】
【少し申し訳無さそうに礼を言うと、また少し壁に手を突きながら踵を歩いていた方向へと戻す】
【呼び止められることがなければ、伐宮という男はそのまま歩き去るだろう】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/03(火) 00:23:18.55 ID:XeBvze0bo
>>763

んー…伐宮さんの居た世界とこの世界はつくりがまったく違うんじゃないですかぁ?
ほら、水と炎の成分がまったく別なのと同じで、世界も全部別々なんですよ

だからこの世界では能力が存在して、あっち側には何にも無いんです
…少し無理があると思いますけど…そのこんな感じだと思いますぅ

【最後辺りは自分が何を言っているのか、自分自身で頓珍漢になってくる】
【なのでそれを悟られないように、上手い事話を纏めたようにして、無理やりに終わらせた】


それなら良かったです。
私がいつ消え去ったとしても、覚えてくれている人は一人増えたんですから…
生きている私がまた一人増えた…すっごくうれしい事です

【自分が死んだとしても、誰かの中で生き続けている】
【少女にとってはそれが何よりも嬉しい事で、きっと幸せな事なのだろう】


…寝床。野宿絶対にぜーったいにダメですよ!
物取りならまだしも命取りに襲われる可能性だってありますからっ

安全そうな宿屋を見つけてそこに泊まってくださいねっ
請求先は私にしてくれて全然大丈夫ですからぁっ!

【去り行く男の背中に向かって大きな声でそういった】
【勿論馬鹿高いホテルなんかに泊まられたら、後々困る事になってしまう】
【だけど男が安全ならそれでもいいかな、なんて思いながら少女も帰路へと付いた】

/二日間にわたる絡みありがとうございました
/凍結も快く受けていただいて感謝です

/それではまた機会があれば!お疲れ様です
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/03(火) 00:30:16.80 ID:ifQnSXJt0

>>764

【「分かったよ」とだけ紡いで、右手だけを軽くぷらぷらと振った。そのまま、男は歩き去るのだろう】
【なんて言いながら結局、人に迷惑なんて掛けたくないから、野宿で頑張るのだろうが】

【曲がり角、方向を変えた壁と共に、男は姿を消した】

/ありがとうございました!お疲れ様でした
/至らない部分多々あったでしょうが、次からは気をつけます
/また機会があれば、よろしくお願いします!
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/03(火) 00:34:42.82 ID:gtq46Sjvo
>>762

【ごポリ=\―アリスを貫き、そこから全てを吸い付くさんとするアンジェルの】
【その眼窩奥深く、脳裏とも言える場所で、暗い何かが音を立てる】

【アンジェルという、善が固執しきって出来たような存在の奥に悪が流し込まれたのである】
【思わず、血を吐いた。赤黒い血液が裾を汚し、全身を力と虚脱が交互に襲い】
【何かのバランスが完全に壊れたような状態のまま、アンジェルは刀を握りしめる】

【――が、遅かった。先ほどランスが穿った胸部に、さらなる衝撃が走り】
【然程重くもない身体が奥の方へと転がって―――終わったかのようだった】
【僅かには動く。だが起き上がれないのは、強烈な善悪のエネルギーが肉体をめぐるからか】


   ――――えぇ、反吐が出るほど美味しいわね。お一つ如何?


【唐突に返される言葉はアリスのすぐそば、先程までアンジェルが居た場所から】
【立っているのは、アンジェルであってそうでなかった。全身が朱に染まった何か≠セった】
【恐らくは血液の塊。どこから湧いたかもわからないようなそれが、女性の姿を形取り】

【そして斃れた本人の代わりとでも言うように刀を握りしめて、不意にアリスへ左手を伸ばせば】
【その肩なり服なり、傷口なりに引っ掛けようとして。そして、右手の刀を腹部に深々と突き立てようとするだろう】

【成功すれば、そこから行われるのは異種返し。アリスへと、精神のエネルギーを――】
【いわば善≠フ塊を、先ほどとは逆の要領で送り返そうとするのである】
【アリスが悪の存在ならば、対極のエネルギーはさぞ堪えるはず。苦肉の策でもあったのだ】

【その証左に、アンジェル・ベルジュロンはなんとか顔を上げてはいたが、隙は露呈したままだったし】
【攻撃の成否にかかわらず血液の姿見は血管ごとばしゃりと形を失って、刀はからからと地に落ち】
【持ち主の方へと、意志を持つように転がっていこうとするのである。――果たしてこれが効くのか、どうか。】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/03(火) 01:12:45.49 ID:9ehxdEy30
>>766
【――――突き立った刃に、其処から流れるエネルギー。珍しくも、浮かんだ表情は“苦悶”であった】
【不意を突かれた故に、反応する事が出来なかったのだろう。心なしか、まるで焦げるかの様な匂いも漂って】
【彼女という“存在”では無く彼女と呼ばれる“現象”。実体のある其れよりも、概念的な物――――吸収やエネルギーといった物の方がダメージは大きくて】
【…………流され続ける事数秒。何を思ったか、血迷ったか】

【細い指先を自分の腹部へと突き立てて――――その刃の埋まる部位事“抉り捨てた”】
【ビチャリと汚らしい水音。毒を流される大本を断とうとも、循環に乗った其れを消す事は出来ない】
【一歩歩ければ関節が悲鳴を上げるし、二歩歩けばよろめく。死の概念は有れど死から遠い身体。囁く者。陥れる者】
【捨てられた部位にも当然の如く無数の目玉が動き、忙しなく瞬いているけれど。やがてはそのどれもが目を閉じて、紅い涙を流し始める】


「…………っ。悪いけど、私が好きな物は紅茶とクッキー。それと、人間の作るお話だけよ
アンジェル・ベルジュロン。UTに聞き覚えがあるかと思ったら…………其処に転がしていた自警団みたく“正義”を掲げる組織だったわね」

【その刀の後を追うかの様に、遅い歩み。目の前で立ち止まれば視線を下へと下げて】
【手には魔力を溜め、一振りの刃と化すけれど――――途中で止めれば、その塊も四散させるのだろう】
【朱の双眸に落とされる又色合いの異なった朱の瞳】


「光があれば必ず陰が出来る。どうせ全ての悪を無くす事なんて出来ないのに――――何時だって貴女達人間は一生懸命ね
そんな一生懸命さが好きよ?人間なら怪物だって悪魔だって、神様だって倒せて、其れは人間にしか出来ない事だもの
ただ…………救うには、余りにも手が小さすぎるの。そして、世界は広すぎる」

【もし刀を握ろうとすれば、その手の甲に悪魔の踵が落とされる事か。其れでも斬りかかろうとすれば――――力が込められ、皮膚を破かんばかりに左右に捻られる】
【無論踏めたならばの話であって、更にはアンジェルに刀を握る力も無ければ踵で踏むという追撃も無くて】


「ふふ――――貴女も眩しい位に“正義”なのね
甘い甘い果実…………林檎を囓った貴女の姿も面白そう
何時か暇があれば貴女の所属している所に誰かお邪魔でもさせて貰おうかしら
――――風の噂では、そのリーダーも“悪魔”を倒したのでしょう?だから、“楽しそう”」

【残る片手が虚空を撫でたならば、現れたのは一冊の本。成人男性一人分の大きさであって、其処に記されていたであろうタイトルも最早掠れてしまって読み取る事が出来ない】
【背を向けたならば――――その本に手を掛けるのだろう】
【攻撃するわけでは無い。この悪魔が居るべき所に帰るだけ】
【――――無防備な背を晒している故、大きな隙。アンジェルにもう一度構え、叩き切る力が残っているか否か。然れど…………言葉を投げても立ち止まって振り返る事だろう】
【その余力も無いならば一瞥して、己の血と女性の血が彩った路地裏をもう一度眺めれば去る事になるけれど――――】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/03(火) 01:34:11.38 ID:gtq46Sjvo
>>767

【アンジェルは当然と云うべきか、転がり届いた刀を右手に掴みとっていた】
【吐き気やだるさを訴える身体に鞭打ってでも――そんな攻撃の意志も満ちていて】
【故に、掌が強烈に踏みつけられたのはこれまた至極当然。うめき声がかすかに漏れた】

グ、ぁ……なにを、偉そうに…!その人間に追い詰められた悪魔さん=c…?
軽口を叩いてたって、お話を読む目も開けていられないクセに……ッ!

……誰が、悪の全てを無くすなんて言ったのかしらね…?
傍観者気取りで、世界単位でしかモノが見れないなんて悲しい事よ
私は世界を救うなんて考えてない……もっと単純な生き物だもの、人間は…!

【――無論、反撃ができる立場にはない。相手が相手なら、首を差し出した姿勢である】
【それでも尚こうして啖呵を切るのは、如何にも短絡的な子供らしさ、か――】
【或いは異常なまでの剛胆か。どちらかが、アンジェルに備わっていることの証であり】

【しかし、やはりというか、人には限界がある。やがて、更に反論を練っている風だったが】
【様々な消耗が重なったせいか、意識が途切れて。衣服も白に戻り、妖気も悉く消え失せ】
【アリスがそれに満足するなりして本の方へと向かえば、邪魔をするものはない】

『……どうしたのかね。早く戻らねば、その分、君にとっては辛い時間だと思うが?
 まさか、枯れかけの老木にまで用は無いだろう?私もそうだ。君に興味はあるが――あぁ、失礼。』

『――――ストム・エアだ。少々わけあって、そこの少女の生涯を記録してね。』

【路地裏の片隅、すっくと立ち尽くす老人も、邪魔にはならないはずであった】
【褐色の肌にプラチナブロンドの髪、鷹のように鋭い瞳と、何より腰には魔剣があり】
【衣服は燕尾服と戦闘服を掛けあわせような、白と黒を基調にしたものである】

【――彼は言葉をかけはしたが、それだけだった。いつから居たのかは、分からない】
【ただ、アリスを前にしても引かない程度の力は有るらしい。それは、武器一本でよく理解出来るはずであった】
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/03(火) 02:04:11.61 ID:9ehxdEy30
>>768
「ふふ――――“其れ”が正しいの。悪魔に泣いて媚びて、それでも生きながらえようとしていたならば貴女を殺していたわ
もし聞こえていたならば、又何時か会いましょう。悪魔は殺されるべき存在、そう定めたのは貴女達人間なのだから
――――貴女がどれ程まで生きるかは分からないけれど。私が何時まで生きるかは分からないけれど。単純な寿命で有れば私はまだまだ尽きそうに無いのだから
退屈な時間、何時でも紛らわせに来て頂戴」

【甲を踏みつけて、その手を押さえて。しかし、其れだけ。首を刎ねもしなければその身を抉る事もしない】
【いや、或いはIFの世界では…………もしもの世界ならば、有り得たのかもしれない。だけれど、この世界では意識を途切らせたアンジェルへと視線を落とすだけ】
【――――適当なページを捲り、空白を開いたその刹那。投げ掛けられた声にその手もふと止まり】


「お友達とのお別れよ?終焉なのだから少し位余韻に浸らせてくれても良いじゃ無い。…………それに、“生きている”方が辛い時間。もうなーんにもする事が無くて、人間の書いた本も殆ど読み終えてしまったんだもの
――――枯れかけという割には面白い物を持って居るのね。私と遊んでくれるというなら…………そうね、“イカレタ帽子屋”でも呼んで来るから少し待っていて欲しいのだけれど」

【視線はその老人へと向けられるのだろう。瘴気も大分収まり、角も尾も無い。片腕が無く、腹が抉れ、顔の中心線がずれた少女が其処に居るだけ】
【冗談とも本気とも取れる言葉を投げたならば――――ごぽり、と沸くような水音】
【傷口からボトリボトリと肉が排出されたかと思えば腕が“生えて”腹も塞がる。戦闘に一区切りつき、自らの肉体を弄る暇が出来たからこそ、其れを行って】


「興味を持って頂けたなら嬉しいわ。長い長い時間、人に興味は持っても持たれる事は少なかったのだから
…………あら、面白い。色々と“不思議”な子だとは思っていたけれど、まさか貴方の様な人が記し残しているなんて
それ、で。――――ストムは何故態々アンジェルの生涯を記録しているのかしら
どうせ帰っても暇な身。ちょっと位、話に付き合ってもいいでしょう?」

【両の手で側頭を押さえたならば、顔の位置を合わせるのだろう。ゴキリ、ゴキリと首を鳴らせば一度本を閉じて】
【ジッと眺めながら語られる言葉。――――勿論、ストムには拒否する権利だってある筈で】
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/03(火) 02:27:51.61 ID:gtq46Sjvo
>>769

『お友達、かね……その言葉、当人が聞いたらさぞ嫌がることだろう。
 まあ、分からないでもない。君のような手合いは、少ないものの居る≠ゥらな。』

『……さて、それで。聞きたいかね?年寄りの話だ、長くなるが……
 愚問かな。どうも君は厭世家……とも違うが世界に飽きてしまっているようだし
 それならば話そうか―――事の始まりは異世界、現代に近い、ドイツという国――。』

【彼女が肉体の形を整え始めたなら、僅かに笑んで目を伏せる】
【女性のお召し替えを見るのは失礼だとでも云うのか――冗談めいた紳士である】
【そして語り始めるのは当然のように異世界のこと。けれど、つくり話というふうもなく】

『ある研究者が居た。薬一つで人間をどこまで特別に出来るか……彼は私の友人でね。
 色々とあって、その時に居た国は崩壊しかけていたので、私は彼とこちらに来た
 それで、彼は機関下請けの下請け――のような場所で、更に研究を進め、やがて不慮の事故で死んだ。』

『結局、彼が生涯でまともに世に送り出した特別≠ヘ四人。三人は尚も存命だ、そして――
 ――アンジェル・ベルジュロンは、まさにその一人。機関に忠誠を誓う兵器のアーキタイプ。』

『しかしながら、彼女は不安定だった。ある事件から機関を否定し、記憶を無くし、能力者として世界を放浪した。
 結果が今であり、そして未来だ。……普通の人間が、考えも無しに生命すらかなぐり捨てて正義に尽くすかね?
 答えは否だよアリス。彼女がそこまでするのは、ひとえに洗脳≠ニいう結果の裏返しに過ぎない。』

『……私は、その友人――ヴィルヘルム・フォン・グライツというのだが――彼と約束をしてね
 彼の研究がどうなるのか≠記録しているというワケだ。ご理解いただけたかな
 最も記録に関しては彼女らに限らず私の趣味でね。君の言った悪魔≠ノついても、記録はある。』

【『―――さて。』と一息吐くと言葉が切れた。両手は暇そうに背後で組んで、彼女を見遣り】
【さあどうでるか、とでも言うように楽しげに小さく笑っていた。――荒唐無稽なのに、嘘という感じは全く無かった】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/03(火) 03:02:28.84 ID:9ehxdEy30
>>770
「失礼ね。こう見えても人間の“お友達”は多いのよ?
お肉屋さんにキサラギに―――――――嗚呼、他のは指を折るだけで面倒ね。どうせその殆どはもう骨も残っていないでしょうから
…………兎に綴られた日記でも読み返せば楽なのかもしれないけれど

ええ、ご名答。何度も見れば人間の歴史は同じ事の繰り返しで、干渉する事も飽きたわ
だから、ストム――――私の知らないお話であれば、何でも楽しく耳を通るの」

【人間の子供の様に頬を膨らませれば指を折って“お友達”を数えるが――――気に入れば全てが友達。気付けば大半が自らの手で葬られている】
【「嗚呼――――」声を漏らせば一人一人思い出してみようとするけれど、果たして何人手を掛けたのかも覚えていない】
【気付けば殺している。そんな友人関係。一方通行の其れ】

【やがて語られる話には楽しそうに耳を傾けて】
【――――悪魔と言えども、少なくともこの悪魔は異世界へ飛ぶわけでは無い。だから、純粋に楽しく聞いていたのだろう】
【腕の調子を確かめたり、時折ミシリと骨の軋む音を響かせながらも余計に口を挟まない筈だ】


「ふぅん…………なら、残る一人は死んでいるのかしら?
それにしても皮肉な話ね。私の――悪魔の“血”を拒絶するアンジェルがあのカノッサの兵器なんて。自分の目指している其れとは全くの正反対
ふふ…………はははは――――――面白い結果。忠誠を誓うために作られた兵器がその機関に楯突く存在になっているのだもの」

【さも楽しそうにクスクス嗤ったならば、その言葉の意味をもう一度繰り返してみて】
【――――四人。その内三人がまだ存命だとストムは言う。ならばもう一人は単純に考えて死んだのか、それとも――?】
【いや、其れと残る二人。アンジェルの様な“記録”が残っているならば其れはそれで面白い話。少し考える素振りを見せれば、やがては口を開き】


「ねえ、ストム――――退屈なのよね。一秒一秒が。何をする事も無く、人間への干渉も殆ど飽きたの
何処かの救世主を唆して石をパンに変えさせたり、高い所から飛び降りさせても良いのかも知れないけれど――――生憎、そんな存在は居ないでしょう?
人間の歴史を見ているのも飽きて、時折こうやって出てきては遊ぶだけ
ねえ、ストム――――“彼女らに限らず”と言ったわよね?その悪魔の事も、他の事も。久しぶりに楽しめそうなお話ね。読ませてくれないかしら
残る二人に悪魔の記録に…………それと、他のお話。ふふ。勿論、“契約”は出来ないけど。そうね、出来る範囲の事のお手伝いの見返りとして――――なんてどうかしら
嫌なら、それでいいわ。無理に襲って読ませて貰おうとは思わないし、何処かから観察指定のも面白そうだから」

【嘘として認識せず、真の話として聞いたのだろう。――――いや、仮に嘘だったとしても、悠久を生きる中の一時的な退屈しのぎだと思えば良い】
【小首を傾げながら出した提案は悪魔の持ちかける“契約”などでは無く、人間同士が行う“約束”事】
【“お手伝い”なんて言うけれど――――悪魔なれば眷族も従わせている事だろう。その事も考えれば、色々と応用も効くかも知れないけれど…………それより先は、老人の判断次第】
【きっぱりと断ったところで、逆上する事もあるまい】
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/03(火) 03:24:27.58 ID:gtq46Sjvo
>>771

『独特な友人が多いようで大変結構、しかし大事にしなければ勿体無い。
 その肉屋にキサラギという人物に……是非良くしてやるといい
 でないと更に暇をするのは君だ。理から外れた長生きの困った所、だろう?』

『……ふむ。もう一人というのが、実は私の方でも全く補足できていないのだ
 一番最初の成功作――アーライン・アオスガングというのだが、それは行方不明でね。
 私とヴィルヘルムが知り合った時は既に居なかったし、恐らく元の世界で死んでいるはずだ。』

【目を伏せたのは二度目か。今度は目のやり場に困ったわけではなく】
【単純にアリスの所作が面白かっただけ。くすりという小さな笑いが漏れていた】
【それでも返された質問には分かる範囲で答えていくのを見ると、ストムもまたお話は好きと見え】

『そのアンジェルが、実のところ最も愉快でね。まあ、それは近日中にわかることだ
 それというのはつまり、君に私の記録を見ても良いと云うことなのだが。

 一応、全ての事項……個人の戦いや、秘事でなければ出来事も。
 可能な範囲で、この世界の物事を文書や映像で記録してあるから、君にもそれを教えよう
 今後も量は増える。優秀なメイドと、先ごろは忍びなども雇ったのでね?
 
 とはいえ一つ許して貰いたいのは、この情報の全てはいずれ世界に公開すると言う事。
 温故知新とも云う。人々が望むのであれば、情報は公開して然るべきだ
 自然、君はその瞬間に情報を独占≠ナきなくなるが……それさえ構わないと云うなら、幾らでも見給え。』

【アリスがその情報に、記録に興味を持ったなら、ストムは平然と首を縦に振った】
【アンジェルに、否――ヴィルヘルムに纏わる彼女たち≠フ情報に、かの悪魔――半魔のこと】

【その他、世界中の主だった戦場での戦いだの、目立った出来事の記録だの、事項は様々】
【文書から映像まで保存の手段も様々だが――というような事だったが、それでも良ければ、ということだった】
【尚もYESならば、後ほど閲覧の手段を送ろう、と。ストムはそう、至って簡素に返事をしたのだった】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/03(火) 03:48:20.71 ID:9ehxdEy30
>>772
「ご尤もね。ただ、キサラギは其処で眠っているアンジェルと同じ様に私を“減らした”一人。そうそう死なないわ
お肉屋さんは…………ふふ。面白いお茶会友達、かしら

死んでいる筈、ね。――――貴方のお仕事に深入りはしないわ。横から余計な口出しをして仕事の邪魔をされてはストムも困るでしょう?」

【何か引っかかりを覚えはしたが、其れを言葉とする事は無い】
【仕事の邪魔をしたくないとは勿論建前であって、実際は浮かんだその考えが果たしてどれ程まで信憑性を持てるのかが疑問で在ったから】
【――――何と無く、自分なりに考えてみる。ただそれだけの事】


「あら、焦らすのが好きなのね。まぁ――――お話を続きを待ち焦がれる事も嫌いじゃ無いわ。まるで純粋な子供の気分を味わえるみたいで
…………別に良いわよ。独占したいわけじゃないもの。長い時間、退屈を紛らわせる事が出来れば其れで十分
情報の公開をするか否かは貴方が決める事だし――――私は、其れを楽しめれば良いの」

【にぃ、と表情を歪ませたならば“是”と返すのだろう】
【独占欲が強い訳でも無く、自分だけの情報が欲しい訳でも無く――――悠久に思える時間に、僅かな楽しみが欲しかった】
【返事を聞けばさも上機嫌といった様子で召喚した本に手を掛けて…………思い出した様に複雑な模様の描かれた“栞”を手渡すのだろう】


「私の居る場所は異世界とは違うけど――――でも、ハッキリとこの世界と言えるのかも怪しいところ。まあ、魔界みたいなものかしら
その手段を送るならこの栞を通じてにしてくれないかしら。大抵の物なら送れるし――――声も届けられるわ
…………其れじゃあ、ストム。そろそろ向こうでお茶会が始まってしまうから私は行くけれど」

【真っ白のページに沈める腕。肘辺りまでで留めれば小首を傾げ「何か聞きたい事や言い残した事は?」との旨でも告げるのだろう】
【隠し事がある訳でも無い。大抵の事は応えるだろうし、無ければ笑みを浮かべ、小さく手を振れば本の中へと消えていくのだろうが――――】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/03(火) 04:03:52.83 ID:gtq46Sjvo
>>773

『なに、仕事と云う程でもない。友に頼まれたからこそ続けてはいるが
 先に言ったように私個人としても物事の記録と蒐集は趣味のようなものでね。
 言ってしまえばライフ・ワークだよ。老いぼれは妙なことに拘るものだ

 ……まあ、そういうわけだ。良いと云うのなら、これもまた先に述べた通りのこと。
 君は自由に私の趣味を覗けるし、それを元に何をしたって許される

 終わりのない生、その飽くる所はよく分かっているつもりだ……
 アリス――好きなように楽しみたまえ。それから、今度は私の茶会にも来てくれると嬉しいのだが。』

【初めて会った――それも数分前に、最も奇怪な形で。だというのに】
【ストム・エアは既に、アリストは十分すぎる信頼を築けた、と考えた】
【人ならざる者同士。とはいえ馬の合う相手――ならばと、茶会の誘いなど、冗談交じりに告げて】

【見送ろうかとややあって、差し出された栞を受け取れば説明をしっかりと耳に入れ】
【大事そうに胸中のポケットに仕舞いこむと、今度こそ見送りに、と言って】

『レディを何時迄も引き止めることほど紳士として恥ずべきことはない、アリス。
 私も時間だけはある身だ、話があれば折角の贈り物、使わせてもらうとして――』

【今日の所はお別れか――ストムが最後に彼女へ言ったのはそんなようなことだった】
【やがて彼女は本のページに溶けて消え、きっと本そのもの消えるのだろう】
【となれば残されるのはストムとアンジェル。老貴族はふと携帯を取り出すと、自らの侍従に連絡を入れるのだった――。】

/っとこの辺りでしょうか。こんな時間までお付き合い頂き感謝です!
/それでは、お疲れ様でしたー!
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/03(火) 04:20:47.99 ID:9ehxdEy30
>>774
「そう。楽しそうな趣味ね。その友達も適材を見つけたといった所かしら
――――気が向いたら何らかの形で干渉でもするわ。とは言っても、気が向くのが数日後か、数年後か…………数百年後か分からないけれど
其れも又、気が向いたら是非向かわせて貰うわ。ねぇ、その時には美味しいクッキーと紅茶を頼むわね?

ふふ。素敵なおじ様で良かったわ。それじゃあストム、また会いましょう
次に会うのは何回日が沈んで月が昇った頃か分からないけれど――――――」

【茶会の誘いを受け取れば拒否する訳でも無く、是非の二文字で返して】
【小さく笑い、“バイバイ”と言葉無く手を振ればその姿も消え】
【瘴気も完全に途絶えれば元より悪魔の存在なんて無かった様】
【残された肉と辺りを染める血とが、確かに居たのだと思わせはするが―――――】







『お帰り、アリス。…………何だか随分機嫌良さそうだけど?』

「ええ――――あのユニコーンの子供と神様に仕えてる女の子の……悪魔の様子を見れなかったのは残念だけど
…………でも、面白い子と知り合いになったわ。それと、長い時間楽しめそうな物もね
色々な情報、“お話”ですって。ふふ、私の知らないお話だらけで、知り合いになった子のお話もあるみたいよ?」

『それは良かった、けど…………全く、勝手に居なくなられたら僕達が困るんだからせめて一言残してよね……』

「覚えていれば、ね。それと、コゲ。貴女にして貰いたい事があるのだけれど―――――」

【トンガリ帽子に漆黒のローブ。典型的な魔女の姿をした少女と、悪魔の少女と】
【二人で並んで歩く姿は其れなりに絵になったのかもしれないが――――血の生臭さと乾いた朱で汚れたドレスが何とも奇妙な構図とする】
【何処かの本の狭間。何かが狂ったお茶会が今宵も又開かれ――――日を浴びる事も無く、ひっそりと夜が明けていくのだろう】

/こちらこそ、感謝感謝であります……!
/お疲れ様でありましたっ!
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/03(火) 19:21:10.42 ID:12LAEqcqo
【路地裏――場所の異なる二つのその場所で、別々の事が動いていた】
【――どちらも似たような状況だ、しかし……そこから繋がる"事"は全く別物だろう】

――――――――――――――――――――――――――――――

「――ヒャハハハ、あァの金の貯ァまりっぷりィ!」 「ブゥラックボックス化と言ィうのは素ゥ晴らしい……」 んーッ!
「ヤーツァタウンで正式販売しィても行ィけそうだァァアアーーッ!」     んんーッ!!

【まず、此処には二つの影があった】

【1つ、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「さァーて、――デェータを取ォりつつ、素ォ材も集めねェとな」 や、やめろッ! 手を離せッ!!

【もう1つ――それは、その者に首を掴まれ壁に押し付けられている男だった】
【もがき苦しみながら必死に抵抗するも、その者の手を中々振り払えずにいるようだ】

――――――――――――――――――――――――――――――

「…………わるい人、ころ、す、……ころさないと……」

【同じように二つの影がそこにはあった】

【1つは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、しかし目は死んでいて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

ヘヘヘ、そォーんなちゃっちィナイフで脅すなって

【もう1つは、いかにも不良と言わんばかりの男だ――しかも、既に返り血を浴びている】
【男はヘラヘラ笑いながら両手を上げる不良に向けて、黒曜石の様で未知の素材の様なそんな折りたたみ式ナイフを突きつけているが――】
【それはプルプルと震えていて、今にも不良が奪い取って逆に刺されそうな、もしくは容易く反撃されそうな、――そんな状況】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/03(火) 20:20:39.53 ID:ml55UFfo0
>>776

―――おっと、そこのお二人さんストップして貰おうか?

【………ふいに不良と不良にナイフを向ける男の両方に向けるようにそんな声がかけられる】
【気が付けばいつの間にか路地裏の、不良がいる側に方の奥から人が歩いてくるのが音と気配で分かるだろう】
【その人影は不良の少し後ろで止まる】

………理由は知らないが、喧嘩はよくねぇぜ?
それも男同士でなんてつまらないったらねーぜ―――どうだあんたらこれから一緒にナンパでもよ

そっちの方が絶対楽しいと思うがな………、まぁある程度事情聴取≠ウせて貰ってからだがなぁ。

【その人物は―――。】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【ニタリと不敵に笑いながら二人を、特にナイフを向けている男の方へと視線を向ける。】
【この青年も路地裏の住人だろうか………?否、胸のワッペンのマークはどこかで見覚えがあるかもしれない―――。】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/03(火) 20:53:24.64 ID:12LAEqcqo
>>777

喧嘩じゃねーしぃー こいつが勝手に突っかかってきたんだっつーの

【不良の方は、特に危険を感じているわけでもなくヘラヘラと笑っているだけで】
【ナイフを突きつける男は、後一押しで喉元をかっ切れそうなのだが――】

「……だれ、なの」 「ジャマしないで」

【――後一押し、で止まっているのだ】 【一つ押せない事を、不良は見抜いてしまっている】
【死んだ目が、ギロリと青年の方を捉える】 【その目つきは、まるで不審なモノを見るかのよう】

「ジャマするなら、おにーちゃんもわるい人、だからね」
「ナンパとかよくわかんないし、楽しいことなんてボクにはあわないから……きょうみない」

【……明らかな違和感を覚えるだろう、この男に対しては】
【見た目は明らかに二十代だ、しかしこの口調はどう考えてもそれには不相応である】
【そう、まるで子供のようで――あまりにも、幼すぎるのだ】 【ある意味では、只者ではない】

おっと、長引きそうだし俺っち用事あるんで帰るぜ、――まだまだ"依頼"が残っててな
「……あっ」 「…………」

【――不良は、男が自分から眼を離している間に彼をすり抜け、青年とは反対の方向へ逃げていこうとする】
【右手ではグッドマークのジェスチャー、左手には隠し持っていた血塗れのナイフ。こちらもこちらで問題大有りである】
【……ただ、ここで逃すと……その後彼を姿を見るものは誰もいなくなるそうだ】
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/03(火) 21:04:49.47 ID:ml55UFfo0
>>778

あー?そうなのか………?
俺か?俺はSCARLET所属のディック・ホワイトってんだ、悪いがこっちも仕事なんでな

【不良の言葉に一度男の方へと視線を向け、そして放たれた男の言葉に対しての返答と共に名乗る。】
【―――SCARLET、つい最近設立された新たな治安維持組織の名前だが、それなりに有名とはいえ二人が知らない可能性もある】
【男の言動の違和感には、一度眉をピクリと動かすだけで特に気には留めていないようだ】

悪いけど俺は正義の味方なんだよ!この場合お前が悪人って事になるぞ
つれねーなぁ………楽しい事がない人生なんてなんの意味があるんだよ、まぁナンパは置いとくにしても


―――てめーもちょっと待て、依頼≠チてのはなんだ?言ったよな事情聴取≠チてよぉ
とりあえず近くの自警団の詰所まで二人とも来て貰おうか?

【虚ろな瞳の男の方へとぶっきらぼうに返答しながら、それに乗じて逃げようとする不良へと向き直り】
【そのまま勢いよく後ろから襟をつかんでこちらに引き戻そうとするだろう―――】
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/03(火) 21:20:39.31 ID:12LAEqcqo
>>779

……げっ、SCARLET……! あァ、確かによく見れば……ってヤバイ

【言われるまで気づかなかったらしい間抜けな不良、一方男の方は全然知らない様子だ】

「……いいもん、ボクはわるい子だから」 「それにボクは、わるい人ころそうとしただけ、ころさないといけないから」
「楽しいことなんてわるい人がいたらみんなこわされる、だからころさないといけない」

「…………やだ、――行きたくない」 「そういっておいて、どうせボクをオリの中にでも入れるんでしょ」

【――そう言って、青年の喉元にナイフを先端を向ける男】 【時折軽く前に突き出し、喉をかっ切ろうというアピール】
【不審感と、不信感――両方を持った眼が青年を捉えていて、人間に対する信頼がかなり薄いようだ】

ちょっ、ちょっと! 俺っちはただの通りすがりでこれは偶然拾ったの! やーめーろー、生活費がー

【偶然にしては悪意しか持っていなかったそのナイフ――おおよそ、魚を捌く様なものでもなく】
【そもそも先程の言動で墓穴を掘っているのだ……引き戻されれば、ナイフをぶんぶんと振り回し抵抗する不良】
【油断していなければ当たらないだろう動きだが、ナイフ自体の切れ味は良好なため注意が必要だ】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/03(火) 21:29:37.98 ID:bZX8Efvfo
【酒場】

【一口に酒場といっても今じゃおしゃれな半地下のバーもチェーンの居酒屋も】
【ネオンが光るパブもイカしたババアが居るスナックも含まれてしまう】
【だが、ここはイメージ通り。スパゲッティ・ウェスタン風の大きな酒場だ】

【店先に馬が繋がれていることはないが、木製のスイングドアで入れば板張りのホール】
【丸テーブルが幾つも群島の様に置かれ、椅子がそれらを囲んでいる。奥の壁は端から端までカウンター】
【酒瓶の並べられた棚も壁一面にあり、ウエスタンが好きそうな風貌の店主がパイプをくわえてグラスを拭く】
【オルガン奏者も居て、軽快な音楽を奏で、映画のポスターや鹿の剥製や牛の骨が飾られている】
【もちろん、西部劇には欠かせない。ゴロツキ達も―――――】

――――『てめえがイカサマしたんだろうが!!ああ?!』

【ばりんとバーボンの瓶が床で割れる。テーブルが蹴飛ばされて周りの客達も振り返った】
【髭面の男が立ち上がって、椅子に座っているサングラスの男の胸ぐらをつかんでいた】
【他にも2人の若い男がニヤつきながら立ち上がってサングラスの男を囲む】

してねえよ。…証拠でもあんのか

【背もたれに押し付けられつつ、しゃがれた声で言う男。サングラスは西部劇には不釣り合いかもしれない】
【高そうな黒いシングルのレザージャケットに黒シャツ、ジーンズの出で立ちで、聖母を模したアクセサリを首から下げている】

『なっ!……殆どテメエが勝つなんてオカシイだろうが!!』

それはテメーらが、グルになって、カモを何回か勝たせて…乗せてから
高レートで全部スッちまう為に、そのカードに細工してるのが……俺にバレたのいけねえんだろ?

【テーブルにはトランプカードが散らばっている。ポーカーか何かの配置だ】

『がっ!……クソッ!!ナメた口利きやがって!!ぶっ殺すぞ!!!』

【一触即発。大騒ぎはそこだけで店中、静まり返っている】
【髭面の男が顔を真赤にして怒鳴り散らす。そして拳を振りかぶった】

782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/03(火) 21:36:58.81 ID:ml55UFfo0
>>780

あぁ?何がヤバいって―――?

悪い人だからってな無闇に傷つけるのは駄目なんだよ、
それに………だったらお前も死ななきゃならないじゃねーか。

あーあーオリなんかに入れないからちょっとそこでおとなしくしてろ、分かったか?

【両方の相手をイライラとした様子でしながら、男の方へは右手で制すようにしてその場に留めようとする】
【男にナイフを突きつけられても、動じた様子はなく………駄々っ子の相手をするようにため息を吐きながら肩を竦める】
【そうこうしている内に今度は不良の方のナイフが迫るッ!】

っとぉ!あぶねーじゃねぇかこんのガキ………ちょっと大人しくしやがれッ!
依頼ってのはなんだ?ちゃんと状況を説明しないと………自警団につれて行くまで少しばかり………。

―――痛い目′ゥてもらうぞ?

【迫るナイフを右に身体を傾ける事によって回避する………男の方へも対応していたため頬を浅く切られるが、その程度では怯まない】
【そのままナイフを持っている方の腕をつかんで、一本背負いで路地裏の地面へと叩きつけ、動きを止めようとするだろう】
【成否に関わらず、ディックと名乗る青年はギラリとした、本当の敵意を込めて不良を睨み付ける―――この男、本気である】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/03(火) 21:57:28.64 ID:12LAEqcqo
>>782

「とにかくやらなかったら、あとでほかの人がいたい目あうかもしれないのに、きずつけるなって……?」
「おにーちゃんは、目のまえにおなかすいたライオンいたらこうげきするでしょ、――わるい人もかわらない」
「……あと、ボクはどうなってもだいじょうぶ、でもしんだらまもれなくなるからダメなの、みんなをまもらないといけないから」

【死んだ目が据わっている、というのは少々変な表現かも知れないが――実際にそう見えなくもないのだ】
【人間に対する信用がなければ、悪人に持つ感情は恐ろしいまでの"憎悪"である、それこそ一朝一夕で染み付くようなものではないほどに】
【しかしながら、"人間を庇い護りたい"というちょっとした矛盾もあり――】

やーめー……ごふっ!

【どうやらこの不良、粋がってはいるもののまだまだ素人のようだ、綺麗に一本背負いが決まり】
【鈍い音と共に、固い地面にへと叩きつけられ――痛みに悶えている】

ふげっ、……俺っち、ただのお金目当てなのにぃ……適当な殺人一件あたり良い値のおいしい依頼があったんだよ、……銀ジャガーマスク被った奴から
だからそれだけなの! 俺っちちょービンボーなんだから許して! カノジョもいるしさ、ねっ、ねっ

【……どうやら、依頼とは銀色のジャガーの被り物をした者"から"無差別殺人"をしてこい、という無茶苦茶なものだったらしい】
【依頼者も非依頼者も、どちらもモラルのモの字の欠片すらない、悪人には違いないが――】

「……!」

【――男は、叩きつけられた不良に反応してそれに跳びかかり、ナイフをその心臓に突き立てようとする行為をとる】
【止めるのは簡単であり、止めなくとも無意識の内に心臓ではない場所を刺す、つまりは殺せないだろうが――】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/03(火) 22:05:26.59 ID:EBfJP21Fo
【繁華街】

【すでに冬と化した繁華街。ちらほらと露店では暖かいモノが出てきたこの頃】
【一角に一人、浮いた口調で歩く少女がいたのだった】

いやぁ、寒いって感じの感じの感じ?
コート一枚しか着てないから、色々と冷えますよ?冷えます。冷えますって

【手持ち無沙汰の左手を小指から順に折り曲げながら】
【煙草みたく棒だけ口から出したキャンディを揺らして言葉を紡いだ少女は、あの言葉を擬人化したような姿だった】



【太ももの半分ほどまでのライダーズコートは銀色のファスナーが輝き】
【ほとんどない胸元に差し掛かるまでジッパーを下していた】
【そのコートを隠すように、前後に二枚、手持ちのソレと同じ文字が印刷された看板を下げていた】
【左足の靴ひもが抜けているミリタリーブーツは、どうも拾ったものという感じが漂い】
【月のように薄らと黄みを帯びたポニーテールは夜風に揺れていた】

元気はあれど金は無しの無しの無し。喰えるモンも無しの無しの無し。

【肩にかけているものは、最近では繁華街ですら見なくなったもの】
【新聞を両面広げたほどの四角形に、少女の胸元までの高さの棒が付いた、金属光沢がつく物体】
【四角形の表面には「激安!適当!安っぽいホテル!レストラン付き!」とゴシック体で印字されていた】
【―――おそらく、これは看板で】


いやいやぁ、詰みの詰みの詰みって感じの感じの感じ?

【彼女は────思いたくないが、看板娘】
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/03(火) 22:11:18.96 ID:ml55UFfo0
>>783

それはまた別の話だ、まぁ多少手荒な真似をするのは構わないが命は奪うな
上手く言葉には出来ないが、それをしちまったらお前もこいつらみたいな下種と同類になっちまう

―――それにお前は良くても、お前を大切にしている誰かが悲しむぞ?

【不良を地面に押さえつけながら、男の言葉へと返答する―――その瞳は真剣そのものだ】
【果たして男の記憶の中には、自分の事を気遣い、大切に思ってくれている人は浮かび上がるのか、それは分からない】
【だが、この男の根っこの部分は人を助けたい想いだと感じ取ったようにディックはそういった】

―――銀ジャガーマスク被った奴だぁ?………またカノッサかなんかの奴の仕業か?
………とにかくだ、悪いけどお前を連行させて貰う―――カノジョがいるなら尚の事こんな事辞めるんだな

―――ッ!?

【不良に対して諭すような言葉を送った次の瞬間、男が不良へととびかかり、ディックは反射的に素手でそのナイフを掴んだ】
【ぽたぽたと血痕が不良の服へと落ちる中―――ディックは男へと視線を向け】
【掴んだナイフを心臓の位置まで動かして、ちょうどその真上………少し動かせば刺さる位置まで移動させて、こう言った】

―――やれよ、本当に出来る♀o悟があるならな………!
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/03(火) 22:36:36.32 ID:12LAEqcqo
>>785

「……"もう"いないから、いい、……の」

【ぽつりとそう呟く彼、本当にいないのかは彼にはわからなかったが――】
【歯切れがどうも悪いのは、そう古くもない記憶にだって手を伸ばしてきた者が居たからだろう】

し、知らねーよ! 相手なんもいってねーし! やたら単語の頭にイントネーション付けてた変なやつだったよ!
やめろー、カノジョに良い物プレゼントいっぱいしたいのにー

【反省する気は全くなし。カノジョに搾り取られるために、人に手をかける事を選んだこの不良には。】
【相手の所属までは聞いてないらしく、カノッサ機関の者かは不確かだが……そちら側なのは間違いない】

「……!」 「とめ、ない……で?」

【ナイフを素手で掴まれるのは予想外だったのだろう、少しの間動きがフリーズして】
【――そして、目的を思い出せば無理矢理引き抜こうとするも、移動させられた位置は……】

「……うん、やる、やらないといけないの、やらなきゃまもる力も手に入らない、"てんしさま"から」 ちょっ、おちつけおちつけ

【まるで自己暗示の様にぶつぶつと言いながら、幾らかの間を置いた後再びナイフを心臓に突き刺そうとし――!】
【……寸での所で、左肩の方にへと刃はずれる、勿論これで与えた傷は相当放置しなければ死にはしないだろう】

「……どうして、……ボクには出来ない、どーるいとかわかんないけど、ホントはやりたくない、でも…………」 痛え、こいつ本当に刺しやがった……!

【――青年の血液が付着していたはずのナイフだが、その手を離した時には既に元の姿だった】
【そう言えば、ナイフだけ返り血すら浴びていない――と言うより、付いても即座に吸収されているらしい】
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/03(火) 22:55:30.37 ID:ml55UFfo0
>>786

―――ハ、自分の中の思いに嘘ついたら苦しいだろ?

………イントネーション?まぁ容姿も口調も特徴的なら探しやすいだろうが………まぁとりあえずは置いておこう
あのなー………そんな血にまみれた金をプレゼントしてお前の彼女は喜ぶのかねぇ?

【二人に対して呆れたような口調でそのような事を言いながら肩を竦めてため息を吐きだす―――。】
【ダラダラと手から血が流れているにも関わらず、対して気にも留めていない】

【―――そして、男がナイフを突き刺そうとする瞬間をじっと見つめる】

てんしさま=c……?何の宗教かは知らないが随分と暴力的な天使サマだなオイオイ。


―――な、やっぱり無理≠カゃねーか、それがお前の本音だよ。
悪いけど、そっから先はお前自身が考えろ………俺はコイツを連れてかなきゃならないんでな

【そう言うとディックは不良を強引に立たせ、羽交い絞めにしようとしながらそのまま路地裏の出口へと歩き出す】
【男の方は捕まえようとしない、恐らく彼が悪人≠ニは見えなかったのであろう。】
【呼び止めなければ、または不良がディックを振り切るほどの力を見せなければそのまま二人は表通りに消えるだろう。】
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/03(火) 22:57:38.50 ID:9ehxdEy30
【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】







【小鳥の囀りも、虫の鳴く音も消えた森の中】
【――――漂うのは、複数の妖気。どれもが弱々しいのだけれど、その中で一つだけ確かに存在する謂わば異質】


「あほう共が…………我も天狗では無い。力量差を考えろとは言わぬが…………少なくとも、己が退くべき時を定めておけ
全く…………矢鱈命を奪うのは好かないのじゃ。今宵は逃す故、再度同じ事はせぬ様にの」

【下級妖怪達を伏せたのは一人の少女。姿こそ人間の子供であるけれど、放つ気配は確かに妖怪特有の其れ】
【銀色の髪は月の光を鋭く反射させ、森だというのに纏った地味な着物には汚れが無い】
【――――抜かれた刃は業物と知るには十分な耀きを放っていて、それでいて鮮血は刀身に付着する事無く下げられた切っ先から滴っている】
【妖怪達の身体は斬られてはいるけれど、どれも致命傷には至らない。然れど、そのどれもが確実に筋を断つ寸前まで斬り付けていて】


「…………ふむ。行ったかや。あやつ等であれば明日明後日には傷も癒えていよう
しかし…………我が楽しみにしていたあっぷるぱいを食えなくするとは癪に障る輩達であったが……
………………まあ、良かろ。確かに実に不快ではあるが、殺す事では無い
そんな事よりも、代わりの飯を見つけねば―――――」

【ぐぅ――――間抜けな音が、その場に一つ。足元に落ち、土だらけとなったアップルパイを見る瞳は、何処か哀れにも思えるか】
【じっと見る表情は何処か悲しげであって、深い溜め息を吐いたならば近くの切り株へと腰を落とす】
【…………さて、この場に人が訪れたって何ら珍しくは無いであろう】
【妖気も漂い、更には“ぐぅ”の音。――――もし、誰かが訪れたならばふと視線をそちらへ向けるのだけれど】
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/03(火) 23:17:53.19 ID:12LAEqcqo
>>787

変なマスク被ってて上下ジャージで黒尽くめ、しかもロングマフラーとか嫌でも目立つわ!
うるせー! 俺っちのカノジョはお金あれば大丈夫だ! どーせ知りやしねぇんだしよ……

【依頼主の容姿は結構細かく覚えていたらしく、ただコンタクトを取れる場所はわからないか――】
【様々な言い訳を述べつつも、まだ抵抗を辞めない不良――とは言え、刺された為、力は落ちたが】
【一応、既に出来高が計上できる状態と思われるため、油断はあまり出来ないだろう】

「……」

【まだ、手が震える――人を殺したくない、しかし殺さなければならない、――】
【多数の人間が間違っていると言い切れる、"てんしさま"の言葉、しかし彼にとっては多数の人間よりもずっと信頼してしまう存在で――】

「……ウソじゃあないからくるしくない、それにてんしさまはホント、しゅーきょーとかじゃあないの」
「まっしろでとってもきれいで……ボクに"力"と"すべきこと"くれた、たすけてくれたから……わるくないの」

【おそらく、相手の言い方があまりよい方向性ではないと――単語の一部がわからずとも、感じ取ったのだろう】
【彼が会った"てんしさま"が、本当の天使なのかはわからない、しかし天使にしては暴力的というのは事実である】
【――しかし、彼がポケットから取り出し見せつける"純白で聖な羽根"は作り物ではなく、少なくとも存在はあるらしい】

やーめーろー、離せ! つい出来心が出来ただけなんだ!  「……ころす、いやだ、でもする、しないと、…………」

【……抵抗しつつも、依頼されただけの素人が叶うはずもなく、不良は青年と共に路地裏から出されてしまうだろう――そして、相応の処罰を受けるのだろうか】
【よく見なければわからないレベルで微動し、血を吸収する折りたたみ式ナイフを握ったまま、男は思考をぐるぐると回し続けるのだった】

/お疲れ様でしたー
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/03(火) 23:30:07.97 ID:ml55UFfo0
>>789

分かった分かった………後は詰所でゆっくり聞くからよ
―――そーいう意味じゃない、まぁガキにはまだ分からないだろうが………戻れるうち≠ノ戻っとけ

………その天使さまがなんだか知らないが、自分の頭で考えた方が………後悔はないと思うぞ。
なんか困ったことがあればスカーレットのディック・ホワイトを訪ねろよな。

【それだけ言うと、ディックは少年を掴んだまま表の通りへと今度こそ消えて行った―――】
【不良少年はというと、ディックの計らいである程度の減刑はされたが、数週間は拘置所に叩きこまれるそうだ】

//お疲れ様でした!
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/04(水) 15:28:59.98 ID:JsV7bENmo
【繁華街】

【すでに冬と化した繁華街。ちらほらと露店では暖かいモノが出てきたこの頃】
【一角に一人、浮いた口調で歩く少女がいたのだった】

いやぁ、寒いって感じの感じの感じ?
コート一枚しか着てないから、色々と冷えますよ?冷えます。冷えますって

【手持ち無沙汰の左手を小指から順に折り曲げながら】
【煙草みたく棒だけ口から出したキャンディを揺らして言葉を紡いだ少女は、あの言葉を擬人化したような姿だった】



【太ももの半分ほどまでのライダーズコートは銀色のファスナーが輝き】
【ほとんどない胸元に差し掛かるまでジッパーを下していた】
【そのコートを隠すように、前後に二枚、手持ちのソレと同じ文字が印刷された看板を下げていた】
【左足の靴ひもが抜けているミリタリーブーツは、どうも拾ったものという感じが漂い】
【月のように薄らと黄みを帯びたポニーテールは風に揺れていた】

元気はあれど金は無しの無しの無し。喰えるモンも無しの無しの無し。

【肩にかけているものは、最近では繁華街ですら見なくなったもの】
【新聞を両面広げたほどの四角形に、少女の胸元までの高さの棒が付いた、金属光沢がつく物体】
【四角形の表面には「激安!適当!安っぽいホテル!レストラン付き!」とゴシック体で印字されていた】
【―――おそらく、これは看板で】


いやいやぁ、詰みの詰みの詰みって感じの感じの感じ?

【彼女は────思いたくないが、看板娘】

/使いまわしですが…
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/04(水) 21:16:24.90 ID:JsV7bENmo
>>791
/ダメもと再募集
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/04(水) 21:46:19.01 ID:tn0c+0Cco
【酒場】

【一口に酒場といっても今じゃおしゃれな半地下のバーもチェーンの居酒屋も】
【ネオンが光るパブもイカしたババアが居るスナックも含まれてしまう】
【だが、ここはイメージ通り。スパゲッティ・ウェスタン風の大きな酒場だ】

【店先に馬が繋がれていることはないが、木製のスイングドアで入れば板張りのホール】
【丸テーブルが幾つも群島の様に置かれ、椅子がそれらを囲んでいる。奥の壁は端から端までカウンター】
【酒瓶の並べられた棚も壁一面にあり、ウエスタンが好きそうな風貌の店主がパイプをくわえてグラスを拭く】
【オルガン奏者も居て、軽快な音楽を奏で、映画のポスターや鹿の剥製や牛の骨が飾られている】
【もちろん、西部劇には欠かせない。ゴロツキ達も―――――】

――――『てめえがイカサマしたんだろうが!!ああ?!』

【ばりんとバーボンの瓶が床で割れる。テーブルが蹴飛ばされて周りの客達も振り返った】
【髭面の男が立ち上がって、椅子に座っているサングラスの男の胸ぐらをつかんでいた】
【他にも2人の若い男がニヤつきながら立ち上がってサングラスの男を囲む】

してねえよ。…証拠でもあんのか

【背もたれに押し付けられつつ、しゃがれた声で言う男。サングラスは西部劇には不釣り合いかもしれない】
【高そうな黒いシングルのレザージャケットに黒シャツ、ジーンズの出で立ちで、聖母を模したアクセサリを首から下げている】

『なっ!……殆どテメエが勝つなんてオカシイだろうが!!』

それはテメーらが、グルになって、カモを何回か勝たせて…乗せてから
高レートで全部スッちまう為に、そのカードに細工してるのが俺にバレたからだよ

【テーブルにはトランプカードが散らばっている。ポーカーか何かの配置だ】

『がっ!……クソッ!!ナメた口利きやがって!!ぶっ殺すぞ!!!』

【一触即発。大騒ぎはそこだけで店中、静まり返っている】
【髭面の男が顔を真赤にして怒鳴り散らす。そして右手の拳を振りかぶった――――】
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/04(水) 22:13:37.78 ID:NQXW1vVL0
>>791

【繁華街】

【すっかり寒さも厳しくなった。温かい物を出す露店の主も、手を擦り合わせて暖を取り、来ない客を待ち続けている。】
【勿論、道行く人々の足も僅かに早くなって。―――此の少年も、その内の一人。どうやら上手く、流れの一部と同化していて。】

【少し短く揃えられた黒髪に、透き通った黒い目。耳には黒縁の眼鏡をかけて、ワインレッドのマフラーで首筋を埋めて。】
【6つの木製のトグルが目立つネイビー色のダッフルコート、インナーには白と黒のボーダー柄のシャツ。】
【落ち着いたベージュ色のチノパンに、白を基調として所々に青色と赤色のストライプが入ったスニーカー。】
【肩からは真っ黒のベルト。大きな白いアルファベットがプリントされた水色のショルダーバッグが斜めに掛けられている。】
【全体的に落ち着いた服装の筈だ。又、166cm程の身長と顔付きから"16歳"位であろう推測出来るが、其れは極めて正しい。】

【コートの両側に付けられたポケットに手を突っ込んで、身体を少し屈めて。少年は余り前を見ずに、トボトボと歩いている。】
【―――それにしても、だ。道を往来する劈く様な他の目線とは大きく異なって、彼に限っては、随分と優しい顔をしていた。】
【もし獲物を狙っているなら、―――誰かをカモにしようとしているなら。どうやら今、彼女の元には、天の恵みが舞い降りてきたらしく。】


/まだよろしければ!
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/04(水) 22:33:24.55 ID:JsV7bENmo
>>794
/すみませんっ。今気づきました。まだいらっしゃいますか?
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/04(水) 22:35:25.49 ID:NQXW1vVL0
>>795
/おりますおります!ロールしませう!
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/04(水) 22:54:38.71 ID:JsV7bENmo
>>794
【寒い。と連呼しながらキョロキョロと話しかけられそうな人間を探していると】
【目前を歩むその少年は、見るからにオーラという、オーラ。幼子を見るような優しい目が動いていた】
【対する少女。当然サンドイッチマンとしての性か、その目を見逃さないはずもなく】

【垂れ下げた看板を前後にゆっさゆっさと揺らしながら】

そこの服とかイロイロあったかそうなお兄ちゃん!ちゃん!ちゃん!

【身長的に少し彼女が小さいのだろう。飴を加えた顔を、上目遣いで駆け寄った】
【指先から離したバネのごとく、前後に勢いよく揺れている彼女は、避けたくなるかもしれない】



にゃぁーんか、今日の宿でお困りではない?お困りではない?お困りではない?

【うぇへっ。うぇへっ。とあまり普通はしない笑い声をこぼしながら】
【彼に曲がった客寄せの言葉を投げた】


/遅くなってすみません。
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/04(水) 23:14:49.39 ID:NQXW1vVL0
>>797

【繁華街に響く少女の声に、通りすがる者の目線が移る事は無かった。只々、前を向いていて。】
【然し話しかけられた当の本人は、そう言う訳には行かないだろう、マフラーで隠れた顔の部分が、顕わとなった。】
【木枯らしが吹き付ければ、特に其処だけ寒く感じられる。―――痛い迄有るかと言われれば、其れ程ではないが。】

【先ず目に止まったのは、彼女の持つ看板である。客観的に色々と奇妙な点が有るが、少年は特に気にする事はなく。】
【然し流石に、彼女の其の振る舞いには、違和感を感じる事だろう。―――今、注がれている視線は、其れなりに、のはずだ。】


―――宿、………宿は、いらんけど、……レストラン、………肉、食えるんやったら、行っても、ええで……


【随分と、小声だった。寒さで震え、上手く声が出せないというのも有るのだろうが、其れとは違う何かが其処に存在していた。】
【然し其れは、重要な事ではなく。―――"肉"を出すお店ではないと、という条件は付けたものの、彼は今、承諾したのだ。】
【彼女視点なら、呼び込みに成功した。此れはヤケに揺れ動く其の振る舞いを考慮すれば、奇跡以外の、何物でもないだろう。】


……どこ? ……せや、レストラン、俺が作んのより、美味かったら、……宿も、泊まったるわ。


/いえいえ!よろしくお願いします!
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/04(水) 23:17:42.28 ID:DcnTgega0
【とある街中、大通り。やや人気のない夜の道を、切れかかった複数の街灯と建物の明かりが照らしていた】
【この時間でもまだ活動中の人間はいるようだが、その中でもやけに活動的な男が一人歩いている】


……くそっ、参ったな。完全に迷ってしまった……。ここは一体どこだ?
全く、なぜこんなに、この世界の道は分かりづらいんだ……!
あっちの世界にいた時はこんなこと、一度もなかったぞ……確か。

【丈の長い灰色のピーコートを身に纏い、首元にはチェック柄のマフラー】
【紺色のスラックス、足の外側に「S.U.」と黒で書かれた暗い茶色系統のブーツ】
【癖毛の混じったミディアム程度の黒髪で、比較的痩せ型で猫背気味、大きいクマのある三白眼の若い男】

【辺りを見ては小首をかしげ、やや深いため息をつく。後に、行き場のない怒りを愚痴として零す】
【男は、自分がただ方向音痴なだけである、ということには気付いていないようだが】
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/04(水) 23:32:22.04 ID:JsV7bENmo
>>798

【水の流れの様にせわしなく人々が行き来する街において、彼女の看板は唯の標識でしかなく】
【立ち止まって話し始めた彼女たちは、人々からして見れば境石のように、唯のインテリアでしか無かった】
【大勢の中にいるようで、彼女たちだけの空間が形成されていた。話し声が通るのも、そのためかもしれない】


【肉が食いたい。精進料理専門店とか、ベジタリアンの店でもない限り容易に叶えられる願望は】
【彼女の耳に入った途端──少し動揺しているのだろうか。口の動きが素早くなり】


……あ、あ、ありやす。ありやす。ありやす。けども?けどもども……

【少し考え込むように、頭を下げると】
【何かを吹っ切ったように、突然勢いよく詰め寄るように】


アレっすか?狐とか妖怪とかタヌキとか人魚とかっ

なんかもう喰った事がないような肉でもイイヨ!……って感じの感じの感じですか?
なんならクスリ入れちゃいます?ます?ます?


【おそらく、彼女が上手く客が引けないのは前後の揺れだけが原因ではない】
【そのホテル────どう考えても、異質】
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/05(木) 00:04:52.70 ID:Z7zr9zuF0
>>800

――――………俺、結構、何でも、食うてきとるんよ。……タヌキは、実際、食うたことあるし、な。
……ああ、クスリは、アカンで。……肉も、衛生面には、ちゃんと、気、使っとかんと、やで。


【どうやら此の少年、色んな意味で、彼女と同程度か、寧ろ其れ以上、変わった人間らしい。】
【普通なら、どう考えても『すみません、結構です……』なホテル。然し何故か、食い下がって見せるのだ。】

【―――肉を出すという、最早条件とも言えない其れに、狼狽した様子を見せる彼女。】
【どんなホテルなのか、興味が出たのもあった。―――そもそも、料理にクスリを入れる、とは?】


大体やな、肉、出さんホテルとか、見たことないで。ここ、ベジタリアンの国ちゃうやろ。

普通の、普通のモンでええんよ、豚とか牛とか、な。別に、カッパでもタツノオトシゴでもええけど。
それに、料理の仕方も、なになにのなんとか添えでやら、そんなん言うとるちゃう。
こんなん、条件でも何でもないやん、………客引きやろ、ちゃんとせな、人、来てくれへんで。

俺、腹、減っとるんよ。――――………ホンマは、連れてく気、ないん?


【タツノオトシゴに可食部が有るかどうかは別として、少年は無いに等しい条件を更に引き下げた。】
【衛生面に配慮の有る肉なら、本当に、何でも良いとまで言い出す。誰が此処までして、彼女に付いていこうとするのだろうか。】

【―――まあ、流石の彼女も、此れ位は承諾出来るだろうという算段であったのだ、が。………少年の運命は、果たして。】
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/05(木) 01:36:29.35 ID:Z7zr9zuF0
>>800
/すみません! 一旦凍結お願いしてよろしいでしょうか?
/えっと、明日は18時頃からおりますので! というわけで失礼します〜!
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/05(木) 04:35:24.85 ID:gmgqEh4co
>>802
/すみません。本当に申し訳ないです
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/05(木) 18:20:39.81 ID:gmgqEh4c0
>>801

…肉はまぁ?25%くらいの確率で、ドーンってトイレ行っすけど、大丈夫っす?うっすっす?
ウチの冷蔵庫は自慢の氷で冷やすタイプっすよ?あんちーっくっす。あんちーっくあんちーっく!

クスリはなんか変なビルを探してたらあったんスけどね?中々好評モンっすよ?
なんでもエンジェルが目の前に現れたとか?ブレインがパラダイスにウェントしたとか?とかとか?
もちろん拙者も使ってますからぁん?効果はあれっす?あれっす?おすみつきっす!


【もはや食中毒を防止するという考えがないのだろう】
【モダンブームでも到来したのか、旧タイプの冷蔵庫は、想像以上に腐敗を進ませているようだ】
【しかも客引きの彼女が言うには、料理に混ざったクスリは、そういうヤクであるらしく】
【おまけに彼女もジャンキーというのだから、きゃぴきゃぴ嬉しそうに話しても引くというものだ】
【これはそもそも営業できるホテルなのであろうか。少なくとも保健所的な物の許可はないだろう】


いやいやいや…豚とか買う余裕ないっすよ?あんな高級食材……ウチみたいな2流がつかえんですよ?ですよ?ですよ?
まぁ今日の肉は朝仕入れたんで、しっかり食べれますよ?ますよ?ますよ?


ン――。現状を伝えとかないと?向こうで銃とか撃たれたら後処理がめんどくさい?めんどくさい?くさい?


【相変わらずモルモット並みに小刻みに揺れながら言葉を発している彼女】
【――おそらく、決して客を冷かしているわけではないだろう】
【おそらく、これがこの店のリアル――】


/昨日は本当に申し訳ありません…
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/05(木) 18:48:15.47 ID:Z7zr9zuF0
>>804

………すまん俺、ほかんとこ行くわ………ホンマに、今日は、肉、食わなアカンねん……


【彼女もクスリを飲んでいる。―――残念ながら、少年が驚くことは無い。寧ろ見せたのは、……納得の表情。】
【衛生面に配慮されていれば何の肉でも良い。こんな当たり前の条件でさえ、飲めないというのなら。】
【最早、一体どんなホテル何だろうと思う其の好奇心さえ、失ってしまった。行った所で後悔するのは、目に見えていて。】
【少年は彼女に軽い一礼、マフラーを巻き直し、其の侭。すれ違う形で立ち去ろうとする、が―――。】

【彼女の続く言葉、"銃"という単語を耳にすれば、丸で氷漬けになったかの様、足をピタリ、と止めて。】
【クルリとターン、少年は彼女の方へと、再び顔を向けた。然しその表情は、何やら真剣な物へと変わっており―――、】


……今、銃、言うた?………その、何か、困っとるんやったら、―――。
………やっぱ、行くわ。……その話、もっと、聞かして、もらえる、やろか?


【肉料理を食べる為から、好奇心を満たす為から、今度は彼女が抱える問題を解決する為、へと。】
【目的を何度もすり替えながらも、少年は結局、其の店に行く事を決めるのだった。】
【然し又、条件付き。どうやら、彼女の話す"現状"について話しながら、そのホテルへ案内しろと言う事らしい。】


/どんまいですよー!
/本日もよろしくお願いします!
/それと中身がご飯なので次の返信遅れるかもしれませんです!スミマセン!
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) :2013/12/05(木) 19:12:09.82 ID:gmgqEh4co
>>805

えーっ?ホントっすか?こないんすか?後悔しやすよ?海渡らない方の後悔しゃすよ?しゃーすよ?

せっかく「新作」の肉が入ったんすのに…もぅ……もぅもぅ!

【少し足で地面を拗ねたようにこすりつけ、焦ったさを全面にアピールする】
【目線をしたに向けた彼女の頭は、ふわりふわりと、夜風に揺れながら薄黄色の髪が動き回っていた】
【普通ならばこれで縁が無かった事。客寄せの性というべき別れがあるはずなのだが】
【今回が違ったのは彼。おそらく何か犯罪目いた事が嫌いなのだろう。反応を見せた】


【対する彼女。真剣な眼差しなどとは程遠く、非常にへらへらした笑みを浮かべていた】
【背負っているのに飽きたのだろう、看板の枝を地面に立てて、指でくるくると回転させて見せながら】
【真剣な彼を嘲笑するかのごとく、雰囲気に似つかぬ軽快な声色で】


ふぇぇぇ……?別に困ったりとか困ったりとかしてないっすよ?すよすよ?

まぁホテル内で撃ちやがったのはアレっすけど?今は四分の二くらい冷蔵庫の中っすからね?安心安心安心っす!


【「撃ちやがった。」つまり、誰かホテル内で発砲したということらしい】
【当然だが、銃を使えるあたり、人間。もしくはそれに近いモノと考えてもいいだろう】
【しかに後に続いた言葉は、4分の2ほど冷蔵庫の中に入っている。という不可思議なモノ】
【先の彼女の説明を聞けば、その冷蔵庫が「食用の」冷蔵庫である事は間違いないだろう】
【しかも「新作」の肉であり「今朝仕入れた」肉】
【────勘に頼るかもしれないが、片手で枝毛を気だるそうにいじっている彼女の】
【────現状が、推理できるかもしれない】

/すいません…よろしくです。
/了解です
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/12/05(木) 19:47:27.52 ID:Z7zr9zuF0
>>806

【真剣に対して嘲笑の如き彼女の振る舞いは、既に予測済みだった。―――彼女は今、"作用"の影響を受けているのだから。】
【発砲事件があって、困っていないと言うのは可怪しな話。まあ此れも、クスリに拠る物だと解釈すれば、筋が通るのだが。】


―――……もうな、困っとる、困っとらん、関係無いんよ………
……ホテル、着いたら、その、撃ったとこ、と……あと、料理する前の、肉……
……興味あるんや、よかったら、見せてもらえる、やろか……?
………せやな、場合によったら、………―――


【此の少年。犯罪めいた事が"嫌い"と言うのは確かに其の通りなのだが、それ以前に、"取り締まる"役割をも担っているのだ。】
【『場合によっては、』と含みを残した言葉を最後に放ったのは、そういう事。銃撃事件なのだから、同行しない訳には行かなかった。】

【寒空の下、彼女と並んでホテルへと歩く暫くの間。少年は、自分から何か会話を切り出す事はなく、ただ沈黙を守っていた。】
【動いていたのは口では無く、――頭の中。とは言っても、随分と単純明解な話だったのだが。】
【最悪の想定、其の覚悟は出来ていた。後処理が済んだ現場は兎も角として、冷蔵庫の中身。其処に、真実が眠っている筈で―――。】


……あと、どれくらい、歩くん?……


【突如口を開いたかと思えば、後何分程度歩かなければならないのかと、少年は問いかける。】
【不平不満があった訳でも、怒り狂っている訳でも何でもない。其れは純粋な質問だった。】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/05(木) 20:00:16.88 ID:gmgqEh4c0
わかりやっせお兄ちゃん…アレっすよね?場合によっ
ご就職希望っすか?履歴書はハブしてきました?してねぇっすか?っすか?
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/05(木) 20:01:04.66 ID:ar9SKdPEo
>>808
/誤送信…
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 20:07:39.30 ID:kJpOxw0So
【どこかの国 公園】


「……私の野望を達成するにはまだ何かが足りぬのだ」
「手早く名声を得られる方法がどこかに転がっておらぬものかの?」


【夜の公園。街灯の淡い光に照らされたベンチに座る小さな人影があった】
【身長は140cm程度であろうか、縁に金糸の装飾が施された白いローブに身を包み】
【鼻下まで深くフードを被り顔を隠している】
【肩口にはどうやって固定しているのか、漫画のフキダシを思わせる形状のボードが刺さっており】
【声を発さずボード上で黒い粒子を変化させて文字を形成し、言葉を表していた】


「龍狩り……魔王退治……魔境の開拓……」
「どれもどうにも現実的ではないのだ」
「むぅ……やはり正義の味方のように、"かのっさ"だのの悪党を退治して回るしかないのかの?」


【脇には何かが詰まった袋のようなものと、何冊かの本が積まれており】
【「英雄伝説〜龍の章〜」などといったタイトルの本を小さな手に持って目を通しつつ】
【足を所在無さげにパタパタと動かす仕草をしながら何事かを悩んでる様子である】

【夜の公園は人気が少なく、静かな状態である】
【もし何かがあった場合この人物はそちらに興味を示すだろうか】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/05(木) 20:07:48.58 ID:EY9178j30
【鉄の国―――首都近郊=z

【鉄の国の首都にほど近い場所にある、比較的に発展した都市………その街中に巨大な影が落ちた。】
【上を見上げればその原因となったモノが分かる―――巨大な飛行空母だ、銀色のソレは100mはありそうな大きさだ】
【それに追従するように小さな飛行船も何機か周囲を飛んでいる、どれも鉄の国の国旗が刻まれており、軍部のモノだと分かる】
【GIFTの襲撃を受けてさらなる軍備増強を図っているのだろうか、そんな船隊を見上げている人物が一人。】

―――目には目をというわけか………これでは争いは拡大する一方になってしまうだろうな。
だが………GIFTの兵器が強力なのも事実―――首都近郊を丸裸で放置するよりかは良いのかもしれないが………。

しかしこれでは民の不安を煽るようにも思えるが………国民の戦意向上とやらもはかっているのか?

【その人物は………】
【黒曜石のように黒く、艶のある長い漆黒の髪をポニーテールにしており澄みきった碧の瞳を持つ中性的な顔立ち】
【黒のスーツに白いシャツ、藍色のネクタイ、黒い手袋に黒の革靴、そして漆黒のロングコート型の軍服を着ており】
【身長は170の後半あたりだろうか、右眼に桜の花弁≠フ紋章が入った眼帯をしている長身の女性だ。】

【女性は大通りで立ち止まり、そんな事をぽつりと呟いてから再び歩き出そうとするが………良く前を見ていないため誰かとぶつかる恐れもある】
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/05(木) 20:16:42.89 ID:gmgqEh4c0
>>807


わかりやっせお兄ちゃん…アレっすよね?場合によっては…?

【先導をしながら、にっと相変わらず不敵な笑みを浮かべながら】
【なめ終わった飴の棒を、ポケットに突っ込みながら振り返った】

ご就職希望っすか?履歴書はハブしてきました?してねぇっすか?っすか?
っとするとアレっすよ?
 ……バイトからの出世コースですにゃ?にゃ?目指せバイトリーダーですにゃ!にゃにゃにゃ!!


【肩を上下に揺らしながらノリで返してみる彼女。彼の思惑は感づいているのだろうか】
【この奇怪な少女の語尾がころころ変わるのは、クスリの影響――ではなく、単純な性格かもしれない】


このへんだぜぇ?だぜぇ?だぜぇ?

【バスガイド如く、看板を持って移動する彼女らは、繁華街から明らかに寂れた路地裏へと移動する】

【切れかかったネオンが掲げられた壁に、薄汚れたドブネズミが徘徊する地面を歩み】
【彼女が止まった先は、灰色の壊れかかった3階建ての鉄骨コンクリートの建物】
【「ホテル ダイヤモンド」と書かれてただろうネオンは、「テ」と「ダ」が青くうっすらと輝いているだけであとは光がつかず】
【ガラス製の入り口は、なぜか施錠されており、そこから見えるはずの店内は。真っ暗になっており、1m先の赤絨毯しか確認できなかった】
【確認できることは、兎角中が老朽化しており、埃が舞っていること】
【ボロボロの赤じゅうたんには、うっすらと、濃い赤が混ざっていることぐらいだった】

ん…ってことで、ちょっと待っててくだせぇな?な?な?

【コートから錆びついた金色のカギを取り出して、鍵穴に突き立てながらつぶやいた】
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 20:23:54.90 ID:DgqwgIJzo
>>810
―――んぐ。

【静寂な空間に、不似合いな声が響く】
【低く、それでいて若さを失っていない男の声だ】
【耳を澄ませれば、何かを咀嚼しているのが分かるだろう】
【そしてもし声のする方へ目を遣ったならば、そこに一人の男がいる事を認識出来る筈だ】

【それは、ただの人間とは異なる、一際異彩を放つ青年だった】
【筋肉の引き締まった精悍な顔立ちに、周囲を威圧するような目つきを持つ蒼の三白眼が、彼の雰囲気に一層凄みを増す】
【がっちりとした厚みのある体格は、2m近い背丈とも相まって、どうにも近寄りがたいオーラを形成していた】
【“天に昇る黄金の龍”がプリントされた長シャツに黒のカラージーンズ】
【それらの上から灰色の着脱式パーカーを羽織り、フードで頭部を覆っている】
【フードの隙間から漏れ出している山吹色のベリーショートは、獅子の鬣の如き鋭さを誇っていた】

【そんな出で立ちの彼が左手に持っているのは大手ファストフード店の紙袋】
【逆の手には既に半ば程食べられた様子のハンバーガーが握られている】
【どうやら、先程の音はこれを食していた音らしい】

………しっかし、最近のハンバーガーってえらく高ぇな。
何でこんな粗末な食いもんに値段ふっかけられなきゃなんねぇんだ?

【昨今の外食事情に文句を垂れながらもハンバーガーを食べている青年】
【彼は―――どうやら自分の他に誰か居るなどと思ってもいないらしい】
【ゆったりとした足取りで歩きつつ、人影のあるベンチの方へと向かっていくだろう】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 20:41:20.65 ID:kJpOxw0So
>>813

「都合よくこう、手頃に倒せる魔王でも現れないもの……む?」


【小柄な人物は近づいてくる存在に気づき、本から顔を上げる】
【夜の街は危険が多い。能力を使った殺人などが後を絶たないご時世である】
【ただの通行人であれ自分に害をなす類の人物かどうか、ある程度気を配る必要があった】


「……ふむ、ただの通行人かの?」
「私は忙しい、そんなものに構っておる暇もないのだ。研究の続きを……」


【男の姿を数秒確認した後、視線を本に戻そうとするが】
【ふと、ある一点で目が止まり凝視する】
【それは……青年が口にしている"ハンバーガー"であった】
【本を膝の上にパタンと載せて、ふらふらさせていた足の動きを止め】
【鰹節を前にした猫のようにじっと……"それ"に熱い視線を送った後】


「……ほれっ!」


【袖から小さな石のようなものを取り出すと、青年の前へとコロコロと転がした】
【足を引っ掛けても転ぶようなものではなく、簡単に蹴飛ばしてしまえる程度の小石である】
【恐らく進行妨害の類ではなく】
【声を出せない代わりに何らかの手段で青年の気を引こうとした行動だろう】
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/05(木) 20:47:45.12 ID:Z7zr9zuF0
>>812

せやねんせやねん……アレやアレ、ええとこやったら、働いてみよかなーってな、


【勿論、嘘以外の何物でもない。一体誰がそんな場所で働こうとするのか。】
【然し、こんな事を言うだけで、店の内部が覗けるのなら。随分と、楽な話であって。】
【彼女が飴の棒をポケットに突っ込んだ其の瞬間、今まで以上に怪訝な顔を見せる。唇が僅かに動いたのは、気付いただろうか。】

【やがて見えてくるのは、其の立地も相俟って、正に"如何にも"な外観。勿論悪い意味で、である。】
【扉の施錠と店内が真っ暗である事には、流石に違和感を覚える。―――彼女はたった一人で、店を切り盛りしているのだろうか?】


……鍵かけとるし、電気、付いてへんし……なんや、一人でやっとるん? 
客引きしとる間に、人来ることもあるやん、……いや、何でもないわ。

ああ、せや、俺が入ったら……二人、って事になるんやろか?……


【建物相応に錆びついた鍵で、ガラスの扉を開けようとする彼女。】
【勿論、少年は待っている間、ぼーっと其の様子を眺めていたのでは無い。】
【……足りない身長を少しの背伸びで補って。どうやら、店内を覗き込んでいるらしかった。】
【薄暗い街灯に反射し浮かび上がるのは、整備の行き届いていない店内に―――"見慣れた"赤色。】

【決して見逃す事はない。更に言えば、其の血痕の黒ずみ加減から、どの位の時間が経ったのかさえ読み取れる事だろう。】
【アレは飽くまで、客引きのためのインパクトのある発言、単なる作り話、―――そう信じたかったのだが。やがて、確信へと変わって。】


……まあ、その、新作、やったっけ?……
………そんなに言うんやったら、俺、見てみたいし……
……厨房の中とか、入って、ええ? ほら、バイトやったら、何でも知っとかなアカンやろ……?


【扉が開いた際。少年が第一にするのは、ホテルの空気を、吸い込む事。即ち、臭い、である。】
【視覚で得られる情報、そして嗅覚で得られる情報―――兎に角その場で手に入る全ての事実を、少年は頭に詰め込もうとするのだ。】
【―――彼女の処分についても、其れ相応に決めなくてはならないだろう。……そんな顔、一切として見せようとはしないのだが。】

816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 20:52:33.46 ID:DgqwgIJzo
>>814
………あン?

【ながら歩きをしていた青年の前を、どこからともなく現れた小石が横切った】
【見れば、それはただの石ころ】
【それほど大きくもなく、蹴れば簡単に転がっていくであろう石ころに見えた】
【しかしそこで思うのは一つの疑問】
【“これ”はいったいどこから転がってきた?】
【彼はその問いを確かめるように、小石が転がってきた方向へと目線を遣った】

………こんな時間に、ガキ?

【そこにいたのは一つの人影】
【大柄な彼でなくとも小柄に見えるそれは、装飾の施された白いローブで身体を覆っており】
【肩の部分には何やら奇妙な形状のボード(?)が刺さっている】
【青年は怪訝そうな表情を浮かべ、そちらへ足を向けながら】

いいコはさっさとネンネする時間じゃあねぇのか?

【ハンバーガー片手に、そう告げるのであった】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/05(木) 20:52:35.48 ID:ldg9XAeUo
>>815
/次返すのが9:.30以降になりそうです。すいません。
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/05(木) 21:01:01.85 ID:Z7zr9zuF0
>>817
/はーい!お待ちしておりますです!
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 21:05:54.07 ID:kJpOxw0So
>>816

「む、私は子供ではないのだ!」
「私のような絶世の美女を見て子供扱いなど、随分と"でりかしい"のない男だの!」


【見た目ではちんまい子供にしか見えず、顔も隠しているのに】
【自身を美女などと言い、ツンと顔を逸らし反抗的に文字を変化させた】
【子供扱いされたくない年頃なのであろうか】


「まあ、私は大人の"れでぃ"だからの。寛大な心で今の無礼は許してやるのだ」
「それよりも、御主に聞きたいことがあるのだが、よいか?」


【返事を聞く前に、小柄な人物――言葉通りならば"少女"であろうか――は】
【ベンチから軽い仕草で飛び降りて、トコトコと青年のもとに近づくと】


「……御主の口にしておるそれは、何なのだ?」
「その、あれだ……"さんどうぃっち"とかいう食い物かの?」


【青年の手に持つハンバーガーを指差しながらそう尋ねた】
【どうやら少女はそれに興味を示していたらしい】
【ハンバーガーを知らないあたり、随分と世間知らずなようではあるが……】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/05(木) 21:27:29.16 ID:gmgqEh4co
>>818
/昨日今日と申し訳ないのですが、ちょっと今日返せそうにありません。
/明日なら今日と同じ時間に返せると思うので、凍結して欲しいのですが…よろしいでしょうか。
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 21:30:16.18 ID:DgqwgIJzo
>>819
ハッ、絶世の美女はこんなにこまくねぇっての。
もっとこう、ボンキュボンッっての?バインバインだっつーの。

【鼻で笑う】
【フードのせいで顔が良く分からなかったが、相手はどうやら女―――いや、少女らしい】
【ますますこんな時間に何してんだって話だ】

へいへい、言ってろお嬢さん。
―――つーか、何だそれ?フキダシか?

【呆れ顔を見せていた青年は、ここでようやく“それ”に触れた】
【先程からこの少女は声を発する事無く、代わりに肩のボード(?)に台詞を出していた】
【まるで漫画のキャラクターみたいに】
【不思議なもんだ、と気の抜けた感想は声には出さない】

あ?―――ああ、ハンバーガーの事か?

【指差されたものに目を遣り、数瞬間を経て青年は得心】
【手に持った食いかけのハンバーガーを前に掲げ、首を傾げてみせる】
【ハンバーガーを知らないというのは、珍しい奴も居たもんだ】
【青年はそう思いつつ、ふとある事を思いついた】

まあサンドウィッチと同じでパンに具挟んだもんだけどな―――と、そうだ。

【手に持っていた残りのハンバーガーを一口で平らげると、青年は左手に持っていた紙袋の中をまさぐる】
【そしてそこから取り出したのは、黄色い包み紙に包装された一つの塊】

―――ほれ、食うか?

【青年はそう問いかけつつ、それ―――“チーズバーガー”を、少女の手元に投げ渡した】
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/05(木) 21:43:35.10 ID:Z7zr9zuF0
>>820
/了解です!……ただ、明日はちょっと帰りが遅く、10時半頃……という事になるかと思います、
/申し訳ないです!
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 21:52:16.19 ID:kJpOxw0So
>>821

「む、これか?これはな、私の代弁者なのだ」
「少しばかり事情があってな、私は来たるべきまで素性を隠さねばならん」

「ククク……いい女にはな、"みすてりあす"な事情があるものなのだ」


【何やら要領を得ない返事であるが、どうやら訳あって素性を隠しているらしい】
【フードをすっぽりと被って顔を隠しているのも】
【そういった事情によるものと察しがつくだろうか】


「ほう……それは"はんばあがあ"というのか!」
「よいぞ、この私に貢ぐ権利をやるのだ!存分に感謝するがよいぞ……と、とと!」


【相当甘やかされて育ったのか、非常に偉そうな性格である】
【少女は投げ渡されたチーズバーガーを危なっかしい動きで受け止めると】
【両手で行儀よく持って、ペリペリと包装を剥がし始めた】


「ふむ……脂っこくて安っぽいが悪くはない味なのだ」
「幾つも食うと胸焼けがしそうだが、たまに食べたくなるような気もするのう」


【小さな口でモフモフとハンバーガーを口に運びながら感想を表示させる】
【絶賛するでもないが、感触としては悪くはなさそうであった】
【立ちながら食べるのが行儀悪いと思ったのか、途中で少女は踵を返し】
【元いたベンチへとポスンと座る】


「ほれ、御主もこっちに来るがよい。この"はんばあがあ"について詳しく教えるのだ!」
「私は将来、美食界でも名を轟かせる予定なのでな」
「この未知の食に対しても、私は貪欲に知識を求めておるのだ!」


【少女は青年に手招きをする】
【ベンチには"英雄"だの"伝説"だのといったタイトルの本が散らばっており】
【退かさないことには隣に座る、などといった行為は難しそうであるが】
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/05(木) 22:03:10.51 ID:cdpbGSFa0
【某国の街中、少し広い通り。ある程度の通行人がいる道には、寂れた街灯が数本ほど立っていた】
【消えかかった街灯が照らす、その中の一本に寄りかかり、生気を失ったかのような顔をした変人が一人】


……くそぉ、腹が減った。何か食うものはないのか、というかここはどこなんだ……!

(この世界に来て何日経ったんだか……公園の水くらいしか口に入れてない気がするが……。
 確かに金も家もない状況で生きるくらいなら死んだほうがマシだろうが……餓死だけは絶対に勘弁だ……!)

【丈の長い灰色のピーコートを身に纏い、首元にはチェック柄のマフラー】
【紺色のスラックス、足の外側に「S.U.」と黒で書かれた暗い茶色系統のブーツ】
【癖毛の混じったミディアム程度の黒髪で、比較的痩せ型で猫背気味、大きいクマのある三白眼の若い男】

うぅぅぅ……っ!

【苛々した心内を隠すことなく、右手で頭をがしがしと掻いて、子供のような低い唸り声を上げた】
【通行人がほとんどのその現場では、その様子はどうにも目立つことだろう】
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 22:11:35.90 ID:DgqwgIJzo
>>823
訳分かんねぇ………。

【はぁ、と青年は溜息を一つ吐いて頭を振る】
【とは言え、こちらがそんな事をとやかく言える資格は無い】
【何せ、青年自身もフードを被って頭部を覆っているのだから】
【こっちの場合、別にバレても気にしない事情なのだが―――煩い連中も大勢いるからなあ】

ちゃんと噛んで食えよ………ったく。

【まあ紙袋の中にはまだ何個か残りがある】
【今少女に一つや二つ渡した所で、すぐに無くなるという事は無いだろう】
【冷めたハンバーガーというのはあまり美味くはないが、そこら辺は我慢するか】

【手招きをされたものの、少女の横には様々なタイトルの本が散らばっている状態だ】
【少しは自分で片付けろっての………、などと愚痴を漏らしながらそれらの本を律儀に集めていく青年】
【すると、ある本の表紙が目に入ってきた】

はあ?ハンバーガーについて、とかんなもん知るかっての。
大体、これは美食とは正反対の食いもんだしな―――

【青年が注目したのは、英雄が龍を退治している様子が描かれた本の表紙】
【それを見つめる彼の瞳に―――ほんの一瞬だけだが―――鋭い稲妻が迸った】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 22:28:24.57 ID:kJpOxw0So
>>825

「む、存外に使えぬ男だの」
「まあよい、"はんばあがあ"については私が個人的に調べるとするのだ」
「自ら足を運ぶこともまた、見識を広める道であろうしな!」


【期待ハズレの答えだったのか、少し頬を膨らませて不服そうな仕草を見せた】
【態度といい動作といい、全体的に幼さの目立つ少女である】


「――ほう、何だ?御主もこういった物語が好きなのかの」
「ククク……可愛らしいところもあるではないか、読みたかったならば貸してやってもよいのだぞ?」

「私の英雄伝説の為に集めた資料だが、どれももう読み終えてしまったのでな」
「やはり創作は創作、大して参考にもならなかったのだ」


【青年のした一瞬の注視を、少女は見逃さなかったようである】
【口元を「仕方ないのぅ〜」とでも言いたげに吊り上げながらそう語りかけた】
【具体的にどの本に気を取られたかまでは、把握していないようであったが】
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 22:41:44.33 ID:DgqwgIJzo
>>826
【少女の声を聞き、青年ははっとした様子で顔を上げる】
【まるで立ち眩みを起こしたように顔を手で押さえ、しばらくそのままで立ち呆けていたが】

………いや、何でもねぇ。ただの気の迷いだ。

【気分をようやく鎮める事が出来たのか、さっさと本を退かすと空いたスペースにどかりと座り込んだ】
【男の図体は随分と大きく、少女の倍近いスペースを必要としている】
【だが当の本人はそんな事に気を向ける様子も見せずに、集めた本を少女に手渡しながら】

………しかし、何だ?“私の英雄伝説”?
お前、英雄にでもなりてぇのか?

【先程、少女が漏らした言葉のワンフレーズを耳聡く覚えていたのか】
【青年は横に座る少女に目を遣り、ふと思った疑問を投げかけた】
【英雄―――この少女からは微塵も感じられない雰囲気の存在だ】
【組み合わせがアンバランス過ぎる】
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 22:54:17.33 ID:kJpOxw0So
>>827

「……ふむ、御主がそう言うならば詳しくは詮索しないのだ」
「私もそうだが、人に語りづらい事は誰しも持っておるからの」


【そう文字を表示させると、少女はそれ以上本について触れることはなく】
【渡された本を脇に重ねてから】


「うむ、そうなのだ!私は世界の誰もが知る英雄に"ならねばならん"!」
「名声が得られるならば他の道もあるものかと考えたのだが」

「私の野望を達成するにはやはり"英雄になる"ことが正しく思えてな」
「今もこうして英雄になるべく日夜研究を重ねておるのだ!」
「どうだ、私は偉いだろう!褒めてもよいぞ!」


【重ねられた数々の"英雄の伝説"をポンポンと叩き強調しながら】
【小さな少女はそんな"幼稚な思想"を楽しそうな雰囲気で語る】

【英雄になる――幼少の頃ならば、多くの者が夢見ることであろうが……】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/05(木) 22:55:43.72 ID:S6yHF52P0

【櫻の国。妖怪が出るとの事で有名な山中――――理由が理由故そう多くの者が訪れる事も無い其処】
【今宵も一つの妖気…………謂わば、妖狐の気が漂っているのだけれど】
【人を襲っている訳でも無く、まるで祈祷でもしているかの様に見えるその姿】


「…………えっと…………今日は、この辺りで…………終わりに、しましょう…………」

【見れば、巫女装束を纏った一人の少女が居て。その人物が妖気の元である事に間違いは無いのだが…………妖狐としての特徴的な耳や尻尾といった物は見られず。一見すればただの巫女】
【首に下げた翡翠の首飾り。勾玉を象った其れが放つ神聖と、少女自身の放つ妖気とが両立している事が、感じ取った人物によっては奇妙な事と思えるか】
【――――兎にも角にも、今宵の“勤め”が終わったならば小さな溜息を一つ吐いて立ち上がるけれど】


「これで…………妖怪さん達も、あまり……襲わなくなると……良いのですが……」

【ふと漏らした呟き。妖気を放つ存在でありながら、巫女装束を纏っているという矛盾】
【さて、物音がしたならば不安げな表情を浮かべながらも其方へと向くのだけれど。其れより先は、この場を訪れた者次第で実に様々に変わるはずで――――】








【路地裏。様々な物事が起こり、殺人だってそう珍しくも無い場所】
【今宵も当然の様に罵声が響いたのだが――――少しばかり、結果は異なっていた】

【対峙するのは大男と少女。乱れなく軍服を纏い、制帽を被った姿は容易に性格を想像させる事か】
【刃物を手にした男が少女の命を奪わんと思いっきり振りかぶる…………が、刃が裂いたのは虚空のみ】
【気付いた頃には背後へと回られていて、反撃をする間も無く意識を刈り取られるのであろう】


「――――今日だけで三人目でありますね。中々に多くて大変であります」

【さて、街灯に照らされた姿は上記の通り。序でに言えば、眼帯と腰に提げられた軍刀とが特徴的か】
【腕章は自警団所属を示す其れであって、“SCARLET”に所属する事を示すバッヂも腕章に着けられている事だろう】
【言わずもがな、少女は“善”に属する存在。通信機を取り出せば自警団へと連絡を入れて、その場に座るけれど】


「疲れた…………でありますね
丁度時間であります。身柄を引き渡したら何処かで休むでありますか…………」

【深い吐息は疲労の度合いを表しているのだろうか】
【――――ぼうっと空を見上げていたけれど、我に返ったならば慌てて立ち上がって】
【さて、路地裏と言えどもそう深い場所でも無い。ともなれば通行人が皆無な訳でも無く、“一般人”に近い者が通ったって可笑しくは無い】
【つい先程の戦闘を見て興味を抱いた者か、或いはまた別な理由を抱く者か――――兎も角として、何者かが訪れたならばそちらへと視線を移す筈で】
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 23:11:39.67 ID:DgqwgIJzo
>>828
………ならねば、ねぇ。

【まるでそれが自分の“責務”であると言わんばかりの口調だ、と青年は思う】
【幼稚―――確かに彼女が語るそれは幼稚なもの】
【筋道も無く、具体性も無く、論理性も無い】
【そこにあるのはただ純真な“想い”だけ】
【それを青年は、笑い飛ばす事は出来なかった】
【何故なら―――彼もまた、同じ夢を抱いていたから】

―――俺にもな、夢があんだよ。
“いつかビッグになる”ってぇ、具体性も何も無い、荒唐無稽な夢がな。

【彼の場合、それは過去の怨嗟と怨念から沸き立つもの】
【いつか“ビッグな存在”になって、他の連中を見返してやる―――そんなチャチな理由だ】
【では少女は―――今、横にいる少女は何だ】
【彼女は一体、どのような理由で“英雄”を目指すのだろうか】

だからまぁ―――俺とお前と同じ“仲間”って事だな、うん。

【青年はそんな事を思いながら、少女の頭をフードの上からポンポンと軽く叩こうとした】
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 23:27:42.90 ID:kJpOxw0So
>>830

「ほう、御主も同類か!これも爺様の言う"奇縁"というものかの」
「ククク……道は険しいが、存分に精進するがよいぞ!」


【あくまでも上から目線な物言いであるが】
【少女からは多少の好感を得たようであった】

【お互いに"なぜ英雄になるか"は語らない】
【少女はその理由を語ることはなく】
【また、先ほどの反応を見た少女は今はそれを問うことはない】
【もし語り合うことがあるならば今宵ではなく……もっと別の機会になるであろう】


「む!私を子供扱いするな馬鹿者め!!」
「本当に"れでぃ"の扱いが欠片もわかっておらん男だの!」


【頭を叩かれると、少女は不服そうに口をへの字に曲げて】
【その手をペシっと振り払った】
【"英雄になる"ことを目指しているためか元々の性格ゆえか】
【やはり子供のような扱いを受けると反発するようである】


「さて……語っておったらもうこんな時間か」
「僅かばかりだが感謝するぞ、良い息抜きになったのだ」


【少女はベンチから立ち上がると、そんな言葉をボードに記し】
【振り返って正面からフード越しに青年の顔を見て】


「私はいずれ世界に名を響かせる、天才魔術師シーナ・ゲルギル!」
「同じく英雄の座を目指す者よ、感謝するがよい!御主の名も私の頭に刻んでおいてやるのだ!」


【口元を上げて不敵な笑みを浮かべながら】
【足を開き左手を自身の腰に当てて、右手でビシッと青年を指差し】
【少女――シーナは格好つけた、微妙に分かりづらい言い方で青年の名を聞いた】
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 23:39:59.53 ID:DgqwgIJzo
>>831
ガキはガキらしく素直に褒められとけっての………。

【払われた手をこれ見よがしにフラフラ振りながらも、青年の顔はどこか楽しそう】
【そういう反応こそが“子供っぽい”何よりの証だという事に、彼女はいつになったら気づくのだろうか】
【気づいても無視とか出来ないタイプだろうしなあ………、という呟きを心の内に留めつつ】

【立ち上がり、こちらを振り向いた少女と視線を合わせる】
【フードで隠され、その瞳を見る事は叶わない】
【だが―――こちらを見据える視線だけは、はっきりと認識出来た】

俺の名前はブリクスト、いずれ“ビッグ”になる男の名前だ。
―――しっかり刻み込んでおけよ?天才魔術師さん。

【彼女の不敵な笑みに合わせるように、青年も口元を歪ませる】
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/05(木) 23:56:31.43 ID:kJpOxw0So
>>832

「心配せずとも、私は稀代の天才だからの!」
「一度覚えたことは早々忘れはしないぞブリクストよ!」


【ふんす、と一度偉そうに鼻息を漏らし】
【右手も自身の腰に当てて全く起伏が窺えない胸を張ってそう語る】
【何をとっても幼さの見える少女であるが、自信だけは一丁前である】


「では、私はこれで帰らせてもらうのだ」
「あまり遅くなって、爺様を心配させるのも嫌だからの」


【そう告げるとシーナは、ブリクストに背を向けて指を一つパチン――と鳴らす】
【すると、最初ブリクストの近くへ投げた石が淡く光り反応】
【石を核として周囲の地形を粒子状に分解し、再構築】
【数秒と経たぬうちに、其処には2m近い漆黒のコートを纏った大男が出現していた】

【大男は、生気の感じない顔でブリクストの顔を眺めた後】
【重ねられていた本と、何かが詰まった袋を担ぎ上げ】
【その背中に肩車するようにしてシーナがピョンと飛び乗った】


「ではの!次会うときは、もう少し女の扱いというものを覚えておくがよいのだ!」


【完全に余計のお世話な別れの言葉をいい残すと】
【ずん……ずん……と黒いコートを風に揺らしながら】
【大男はシーナを載せて夜の街へと消えていく】

【形は違えど"英雄"を目指す二人の邂逅が、今後の物語に影響があるのか】
【それは未だ誰も知る由もない事だろう】

/お疲れ様でした〜!
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/06(金) 00:16:31.44 ID:CuwSOqk+o
>>833
―――流石は天才、器用なもんだな。

【魔術か何かなのだろうか、瞬く間に作り上げられていく人造の人間を見て】
【青年―――ブリクストはベンチに座り込んだまま、感嘆の声をあげた】
【成程、確かに天才だ英雄だを口にするだけはある】
【自信相応の実力はあるという事か】

ああ、お前はもう少しオトナの振る舞いってもんを覚えてくるんだな。

【へっ、と顔に浮かべるのは僅かに口元を歪ませた笑みのそれ】
【大男の肩に乗り、こちらに別れの言葉を描くシーナを見て】
【ブリクストは手をヒラヒラと振りながら、去り行く彼女達を見送るのだった】



【シーナ達が去ったのを見届けると、ブリクストはいそいそと残りのハンバーガーの消化に取り掛かった】
【傍に置いた紙袋からハンバーガーを取り出し、包み紙を解いてそれを口にする】
【むごむごと口を動かしながら消化していく彼だったが、ふと動作を停止させる】
【ハンバーガーを片手に、もう片方の手を頭部を覆っているフードへと持っていき】
【それを掴むと、一息、フードを脱いだ】

【獅子の鬣を思わせる山吹色のベリーショートが夜風に揺らぐ】
【そして―――その頭頂部には、揺らぎを見せない、確固たる二角の龍角が顕現していた】

―――これ、見せたらどんな反応したんだろぉな。

【ハンバーガーを食べながら、“龍人”の男は静かに呟いた】



/お疲れ様でしたー!ありがとうございました!
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/06(金) 19:28:43.18 ID:inqagorN0
【夜の帳が降りた街、昼夜問わず常に賑やかな繁華街には多くの人が行き交う】
【煌々と輝くネオンサイン・看板や途切れることのない人波は、さながら不夜街といったところか。】
【その一角、とある有名な洋菓子店の前。美味しそうな菓子の数々が並ぶショーウィンドウの前で、目を輝かせる少女がいた―――】

ほえー……これ美味しそうや……おかーさん、これ買って!このお菓子、すごく美味しそう!

「だーめ、さっき一杯食べたでしょう?食べ過ぎるとお腹壊しますよー……」

うぅ……この出会いはもう一生無いかもしれないのに……

【目を輝かす少女の後ろ―――母親は優しい桜色のカーディガンに白いロングスカート、鳶色の長髪を揺らしながら優しい笑顔をたたえつつも、ねだる子を諭している】
【一方の娘は可愛らしい黄色のパーカーに子供用のジーンズ、母とはちがった美しい黒の長髪を持つ。母に似た顔は、今は不満そうに膨れている】
【一見優しそうな笑顔を見せつつ、ねだる子供を諭す母親。駄々をこねつつ渋々母親についていく子。まあ、どこにでもあるような微笑ましい親子の光景だ……】

むぅ……お菓子くれなきゃイタズラするぞー!イタズラしちゃうぞー!!

「ハロウィンはもうとっくに終わったでしょ!まったく……仕方ない、1個だけですよ」

―――――!!本当!?やったー!!

【先程までの仏頂面も何処へやら、娘は目を輝かせて洋菓子店の方へとピョンピョンと跳ねるように駆け出す。ろくに前も見ずに……】

【さて、これだけ賑やかな繁華街だ。前も見ずに子供が走れば、誰かにぶつかってしまうのは時間の問題か―――】
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/06(金) 22:19:54.00 ID:IRhpqkNk0
【某所、活気ある通りから入ることのできる暗い路地裏】
【ゴミ箱は倒れ、中身が散乱しているのが隅で垣間見えるような、無法地帯にてその人間はいた】


……人としては最悪なんだろうがな、生きるためには仕方がないことだった。
こいつにはもう必要ないものだし、誰にも迷惑はかけていないし……俺はきっと間違ってない……!
第一俺が殺したんじゃないんだ……殺した奴が咎められるべき、なんだ……。

【丈の長い灰色のピーコートを身に纏い、首元にはチェック柄のマフラー】
【紺色のスラックス、足の外側に「S.U.」と黒で書かれた暗い茶色系統のブーツ】
【癖毛の混じったミディアム程度の黒髪で、比較的痩せ型で猫背気味、大きいクマのある三白眼の若い男】

……この世界の紙幣ってのは、こんななのか……ひぃふぅみぃ……。
これで空腹からしばらくはおさらばだろうが……一体何を食べようか……!

【一通りのスリルを体感したかのような冷や汗に塗れ、男はさぞ嬉しそうに笑う】

【紙幣を一枚ずつ数えていく男の近くには、一人の死体が転がっていた。若い成人男性のもの】
【死体の脇腹にはナイフ等の刃物で刺されたような血の汚れが、質素な服に広がっていた】
【台詞と返り血の気配のない服から察するに犯人はこの男ではないようだが……勘違い、というものは十分にありえるだろう】
【死体から金を抜き取ったことも事実、見つかれば相応の焦りを見せるに違いない】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/06(金) 22:20:09.71 ID:QNmSVgtWo
【路地裏】

【街路樹の葉が落ちて、変わりにイルミネーションになった頃】
【街の店どころか街の通りまで赤と緑に飾られ始めるようになって久しい】
【しかし、この世界じゃそれ表の、特に表面の話で一度路地に入って、奥へ進めば】
【申し訳程度の灯りの薄暗いアンダーグラウンドが現れる。この辺りの治安なんてそんなもんだ】
【コンクリートのひび割れ、ダクトから漏れる蒸気。錆びた非常階段にグレーのパーカーを着た男が座っていた】

【遠くからもう一人歩いてくる。クシャクシャの髪、黒いレンズの古い型のサングラス】
【カーキのミリタリーパーカーに黒スーツ、黒シャツ、白ネクタイの痩せた背の高い男だ】

こんなところでどうした?”イタチ”でも逃したか?

【しゃがれた声でパーカーの男に尋ねる】

『ま、そういう結末は”コレから決める”ところだ』

【男はそう言って立ち上がった】
【サングラスの男は何も言わずに右手に握っていた安っぽいリュックサックを階段の上に置き】
【チャックを開けると中には分厚い封筒が幾つか入っていた。彼は1つ手にとって】

ナマで500。ピンじゃねえからバンゴーはバラで俺も知らん。
『ま、なんだっていい。ま…十分だよ……ヘッ…ま、任せろよ』
わかってんだろうな?やることやってねえと……殺すからな
『ま、不殺の義賊さんにやれんのかね?ウェッヘッヘ…ま、自警団様を信用しろってこったよ』

【先に居たパーカーの男はカネを受け取ってリュックを背負い何処かへと去っていった】
【サングラスの男は彼の居た階段に座って、ポケットから煙草を取り出して火を付けた】
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/06(金) 22:25:56.18 ID:1TUbe4x1o
>>835
/まだいらっしゃいますでしょうか?
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/06(金) 22:26:01.71 ID:inqagorN0
>>835
//ま、まだ募集中です……!
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/06(金) 22:27:18.19 ID:inqagorN0
>>838
//おっと、被ってしまいました……!ここにおりますよー!
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/06(金) 22:45:26.56 ID:1TUbe4x1o
>>835

【学生にサラリーマン、家族連れにカップル…………この時間帯の繁華街は、多様な人間に溢れ返っている】
【だがその「多様な人間」の中には、酔っ払いだとか強引な客引きだとか、少々ガラの悪い人種が混じっているのも事実だ】
【仲間同士の楽しい時間にあてられて、つい他人に迷惑をかけてしまう。この賑わい様は、かえってそういった者達が台頭する温床にもなりやすく】
【だからこそこの場には、そういった人間を取り締まるための人間もまた、存在していた】

…………おい、たるんでいるぞ! ぱとろーる≠ヘ、もっとしんけんにやれ!

「いーだろー、ちゃんと見るとこは見てるって…………あー、やっぱあそこの店の焼き鳥は最高だぜ…………」

【通りの中央を、奇妙な二人組が闊歩している。ひとりは幼い語調で話す小さな少女、もうひとりは上背のある肌の黒い大男だ】
【男を叱りつける少女は、濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型で】
【真っ白なベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着用し、残り三分の腕には包帯が何重にも巻かれて肌を覆い隠している】
【その他にも、手には鉄板で補強した革手袋、脚にはニーハイブーツ、僅かに覗く太股には黒いタイツ】
【とどめに、暗い赤色をしたロングマフラーが首と口元を埋もれさせていた。顔以外の部位に一切露出のない、地味な格好だ】

【一方、どこかの店の焼き鳥を幸せそうに頬張る男の方は、ボサボサの短い黒髪と少し睫毛の長いタレ気味の双眸、鼻が高く彫りの深い顔立ちをしており】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織って、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きしている】
【首からは銀色のドッグタグを下げ、背中には巨大な茶色いケースを袈裟懸けにして携行しているだろうか】
【一見、全く共通点のない二人だが…………少女は首元のマフラーに、男は左胸のポケットに、それぞれ砂の国自警団を示すバッジを付けていた】

まったく…………む!? あ、あれは、まえにおしえてもらったすいーつ≠フみせじゃないか!
むぅぅ…………しごとちゅうでさえなければ…………。

「…………あー、焼き鳥食ったばっかりだからなんか甘い物でもつまみたくなっちまったなー。
 悪ぃ、俺そこで何か買ってくるわ。幸い財布の中身も潤ってるし、ちっとばかし買いすぎちまうかもしれねぇけど」

…………む、むだづかいはいかんぞ! わたしもいっしょに行って、かんししてやる!

【少女はひとしきり男に可愛らしい怒気を放った後、前方にある洋菓子店を発見し、目を輝かせる】
【きっとこの二人、付き合いも長いのだろう。男は遠慮する少女を手慣れた様子で誘導し、先に洋菓子店へと歩き出せば】
【少女は慌てたように、しかしとても嬉しそうに大きな背中に付いていって、最後は元気よく追い越して走っていく】
【歳の離れた同僚同士、仕事の合間のちょっとした休憩といったところか。家族連れとはまた趣も異なるが、それも確かに微笑ましい光景ではあって――――】


むぉ…………!? す、すまん、だいじょうぶか!?

「おいおい、はしゃぐのはわかるが気をつけろよな。
 …………悪ぃな嬢ちゃん、怪我ないか?」

【走り出した少女が、途中で男を急かそうとして振り返った、その一瞬。前方の注意が不確かになったその時、少女の背中に軽い衝撃が走った】
【慌てて振り返れば、そこには自分と同じ目的で走ってきたらしき別の娘の姿があって。淡黄色の大きな瞳の中に、驚きと申し訳なさが広がる】
【少女が詫びを入れるのと同時に、後ろから男も駆け寄ってきて、娘に心配の声を掛けるだろうか。もし転倒していれば、手も差し伸べるはずだ】

【その娘が少女の背中にぶつかった際、そこには年相応の柔らかさも暖かみもなく、何か鉄にでもぶつかったような衝撃を感じるかもしれない】
【少しばかり過保護にも思える二人の対応は、それのせいで怪我をしていないかどうかの確認でもあって】
【…………何はともあれ。冬の長い夜の一幕に、全く違う二人組の道行きが、ちょっとした交錯を起こしたようだった】


/ヒャッハーいいタイミングだ! よろしくお願いします!
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/06(金) 22:47:57.88 ID:RfyIi77Uo
>>837

【わざとらしい程の足音が、一定のリズムで路地裏に響く】
【電飾の飾りとは無縁のそこに現れるような者はまた、そういった物とは無縁な存在なのだろう】

……眼……魔力…………足りない……あと一つ、何かが…………
それさえわかれば……そこさえ修正できればきっと…………

【ぶつぶつと独り言を言いながら、歩いてくるのは一人の男。外見的には20代……であろうか】

【二の腕辺りまであろうかという紫紺の髪を、首に沿って這わせるようにして】
【それなりに体格はいいのだろうが、その体は前をきっちりと閉めた白衣に包まれている】
【そしてその顔、笑みのように細めた目は今、何事か思案するように地面を見ていたが――――】

【座り込み煙草を吸う彼の方に、視線が向いた】
【刹那、眉がピクリと動いた――――そんな気がする、程度のものだが】

……なるほど、サングラス……そういう手もありましたか…………

【片手を顎に、少しだけ立ち止まったら、また歩き出そうとして】
【彼からすれば、とても気持ちのいいものではないだろうし――この行動自体、不自然なものと感じるかもしれず】
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/06(金) 22:51:46.86 ID:aWFl5V6Lo
【公園】

―――ヒィ、フゥ、ハァ……〜〜〜〜ッ、しんどぉ〜〜〜っ……!!
このメニューマジキチ過ぎねぇか……!? やっとこさ治った足に10kgのアンクル付きで10kmってよぉ……またぶっ壊す気だろあの野郎……!!

【ゾンビのようにふらつきながらベンチまで足を進め、崩れ落ちるように腰を掛けると男は疲弊した声を漏らす】
【ジャージ姿は早朝や深夜によく見るランナーの姿と同じだが、何故か彼はそのスポーティスタイルに青のソフト帽を合わせている。明らかなミスマッチだった】
【首に掛けたタオルで汗にまみれた顔をワシャワシャと拭けば、再度大きな溜息を吐いて前のめりになる。ジャージの右胸には緋色の鷹のワッペンが付いていた】

……女神の雫で奇跡的に治ったからと言って、機動力が戻ってきた訳じゃねぇ。直ぐにでも足の筋肉取り戻して、付いちまった変な癖矯正して―――
SCARLETのメンバーとして相応しい活躍を残さねぇと……!! とは言ってもよォ、ちょっとコレはまだ速いんじゃねーかとは思うんだけどねぇ……

【大会が終わって半年も経たない今であれば、この男の事を覚えている人間も少しは居るだろう。いつもとは姿は違うが、トレードマークの帽子だけで彼と判断するには十分だ】
【―――第3回水の国天下一武道会3位、マーシャル・T・ロウ。大会唯一のSCARLET所属であり、地味ながらも正確な銃撃と練りこまれた戦略で好成績を収めた人物】

……あー、でもイチから戦術練り直しだな……動けるようになればもっと安全に立ち回れるし―――
―――コイツの、「幽幻の宝玉」の力ももっと有効に使える筈だ……!

【全身にへばりつく汗が引くのを待ちながら、ロウはジャージのポケットに締まっていたアクセサリーを取り出す】
【銀の籠に砂色の光る玉を閉じ込めたデザインであり、中の玉は月光に照らされて鈍く煌く。不思議な輝きを放つ玉であるが―――宝玉と言えば、納得できるだろう】
【……外気に晒した瞬間、怪しげな魔翌力を空中にバラ撒くその玉。男は何度もその強大な力に助けられてきたが。其の玉は同時に危険を呼び寄せることもあった】
【―――宝玉の魔翌力は強大、故に欲する人間も多い。……力を欲する人間には2種類が居る。その力を「護るコト」に使う人間と、「壊すコト」に使う人間の2種類が―――】
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/06(金) 23:19:37.76 ID:73hs2f9Fo
>>843

【そんな男の耳に、ブロロロロ!と地鳴りにでも聞き間違えてしまいそうなけたましい轟音が響いてくるだろう】
【音源は自動二輪車のエンジンだった、そしてそのバイクは今マーシャル・T・ロウの方向へ颯爽と向ってくる―――!】


―――そこの君、頭を低くしておきたまえ!顔にタイヤ跡がついてしまうかもしれないよ!


【などと、冗談を飛ばしながらその男の機体はエンジン音を轟かせたまま公園の正門から勢いよく跳び上がり、ロウの頭上を飛び越えて行った!】

【着地地点に目をやれば白いボディに≪Typhon-Ω≫とログが刻印された大型自動二輪車に乗った、大柄な体格の男性がこちらを見ている事に気が付くだろう】

【その男はまっさらな白衣の下には白地に青色で微細なストライプ柄が縫われた小洒落たブラウスを着ており】
【下には黒の――微細な皺すらほとんど目立たないスラックスを履いている、紳士服の上着を白衣に変えたような服装だ】
【だからこそ、彼が胸に締めている『髑髏柄のネクタイ』が異様に目立つ】

【頭の上には銀色の妙に分厚そうなヘルメットをかぶっており、隙間からは黒の前髪がはみ出ている】
【そしてその顔には、『何十年か前に話題になった人気のホラー映画』の登場人物を彷彿とさせる、細かい穴だらけの仮面を嵌めていた】


おっと、お邪魔してしまい大変失礼した……この公園にほったらかしの携帯冷蔵庫を回収する用事でここに……おや?
もしかしなくとも君はマーシャル・T・ロウ君ではないかね?トレーニング中か?精が出るね


【その奇怪な格好をした謎の男性は、妙に友好的な態度で手を振ってこんばんわ、などとあいさつを返してくる】
【はて、ロウには間違いなくこのような奇妙な知り合いは確かいなかったはずだが……何者だろうか】
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/06(金) 23:22:31.68 ID:QNmSVgtWo
>>842

【サングラスの男はマルボロに火をつけて。その煙を吐き出す】
【いつもより美味くない。イヤな日だからだろうか…暫く座り込んでいた】
【カネもなくなり、仲間は捕まって。それよりも何倍もあんな奴が自警団の上の方だってのが特に気に入らない】
【ろくでもないことばかりしているとそういう奴ばかり集まるってのは本当のようだ】

【さすれば、科学者のような男がやって来た。普通のやつでは無いことは確かだ】
【大体、普通の人間はこんなところに来ない。何か良からぬ思惑があるような奴しか】
【それをわかっている彼は一々話しかけるようなこともしない。用事は済んでいるし問題はない…が】

……アイディアなら他所で探しなよ。…ここじゃ『クソッタレ』しか落ちてないからな

【酒と煙草で焼けたクールな若い声で男は気だるそうに目も合わせずに言った】
【多少のサービスのつもりだった。良いことのない日は良いことでもして切り替えていきたい】

【それだけ言えば、彼もまた暖かいところでビールでも飲もうと立ち上がって】
【白衣の彼とは逆の道へ歩いて行こうとして………】

/すみません!気がつくのに遅れました
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/06(金) 23:26:57.62 ID:ZP/RQpu40
【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】







【小鳥の囀りも、虫の鳴く音も消えた森の中】
【――――漂うのは、複数の妖気。どれもが弱々しいのだけれど、その中で一つだけ確かに存在する謂わば異質】


「あほう共が…………我も天狗では無い。力量差を考えろとは言わぬが…………少なくとも、己が退くべき時を定めておけ
全く…………矢鱈命を奪うのは好かないのじゃ。今宵は逃す故、再度同じ事はせぬ様にの」

【下級妖怪達を伏せたのは一人の少女。姿こそ人間の子供であるけれど、放つ気配は確かに妖怪特有の其れ】
【銀色の髪は月の光を鋭く反射させ、森だというのに纏った地味な着物には汚れが無い】
【――――抜かれた刃は業物と知るには十分な耀きを放っていて、それでいて鮮血は刀身に付着する事無く下げられた切っ先から滴っている】
【妖怪達の身体は斬られてはいるけれど、どれも致命傷には至らない。然れど、そのどれもが確実に筋を断つ寸前まで斬り付けていて】


「…………ふむ。行ったかや。あやつ等であれば明日明後日には傷も癒えていよう
しかし…………我が楽しみにしていたあっぷるぱいを食えなくするとは癪に障る輩達であったが……
………………まあ、良かろ。確かに実に不快ではあるが、殺す事では無い
そんな事よりも、代わりの飯を見つけねば―――――」

【ぐぅ――――間抜けな音が、その場に一つ。足元に落ち、土だらけとなったアップルパイを見る瞳は、何処か哀れにも思えるか】
【じっと見る表情は何処か悲しげであって、深い溜め息を吐いたならば近くの切り株へと腰を落とす】
【…………さて、この場に人が訪れたって何ら珍しくは無いであろう】
【妖気も漂い、更には“ぐぅ”の音。――――もし、誰かが訪れたならばふと視線をそちらへ向けるのだけれど】
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/06(金) 23:40:26.06 ID:inqagorN0
>>841
【少女は母親に可愛らしい笑顔を見せて、踊るように駆け出した。澄んだ瞳をキラキラ輝かせて、見るからに幸せそうに。】
【―――目の前のお菓子が宝石のように輝いて見える。巷でも評判のスイーツを食べられるとあって、少女は有頂天だった。】
【つい最近雑誌で見かけて以来、憧れの的だったのだ。写真だけでも美味しそうなそのスイーツ、甘い物大好きな少女が憧れないワケはなく】
【事あるごとに食べたい食べたいと母親にねだっていたのだ。ようやく今念願叶ったといった所か……とにかくとても嬉しそう。】
【……往々にしてはしゃぐ子供というのは周りが見えていないもので、この元気な少女もまた、例に漏れず―――】


「――――あ!ちょっと衣織、前!!」


【母親が前に現れた人影にいち早く気付いて警告するも、間に合わず。前方不注意、というより全方向不注意だった少女は誰かを避けることは出来ず―――】
【――――「ドンッ」と小さな衝撃と共に衝突、そして軽い悲鳴と転倒。転んだ娘とぶつかった少女が心配で、慌てた表情で母親が二人のもとへと駆け寄る。】
【……幸い大したことはないようで、少女は服についた汚れを払いながらすぐに立ち上がった。】


いてててて……ご、ごめんなさい!前、見てなくて……私は大丈夫です……

「本当に申し訳ありません、うちの娘が……そちらこそお怪我はありませんか?結構な勢いでぶつかってしまったみたいで……」


【ペコリと二人に頭を下げる親子。同じような体格の少女がぶつかったのだから、怪我があったらいけない……娘が怪我をしていないと分かった今、母親の心配はぶつかった少女に向いていた。】
【この女性も一人の少女の親。当然同じような年頃の少女のことはよく知っているわけで、こういう時の怪我の対処方法だって心得ている。何かあったら責任をもって応急処置なりするつもりだった。】
【―――が、その後に娘が意外な一言を発する。】


……おかーさん、その子かたかった。何というか、壁にぶつかったみたいな……

「……?何を言ってるんですか、壁ってあなたがぶつかったのはこの女の子でしょう?」

……気のせいかな……まあええか。


【娘が言うには、ぶつかった少女はなんだか「硬かった」とのこと。……でも、パッと見どう見ても普通の少女。そんなはずはないかと娘は首をひねる。】
【一体この少女は何なんだろう。自己紹介すらしていない今、彼女について分かることなんか、自警団の関係者であるということぐらいか。】
【――――でも、ひとつだけこの少女について分かることがある。それは……――――】


――――えへへ……きみもここのお菓子が食べたくて来たん?もしそうやったら、私とおんなじや!

「その、えーっと……お詫びと言っちゃなんですが、お菓子食べていって下さい!お代は私が払いますから!」


【……二人が同意すれば、親子は洋菓子店へと入っていくことだろう。ドアを開ければ、中から漂う甘〜い香り……甘党にはたまらない空間が広がっている。】
【ケースに並んだ菓子の数々は、どれもこれも美味しそうにキラキラと輝いている。……娘は待ちきれないとばかりに齧り付くように菓子を見入っている。】


「どうぞお好きなものをお選びください!……私も一緒に頂いちゃおうかしら……良かったらお兄さんもどうぞ!
 ……あ、申し遅れました。私は神谷皐月と申します!娘がどうもご迷惑をおかけしました……」
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/06(金) 23:41:41.72 ID:UyXyjphCo
【深夜――都市部からやや離れた開発地区の、その一角】

【周囲には様々な資材が積まれ、奥には倉庫の骨組みと思しき建屋が見える】
【此処は工事現場――昼の活気は無く、しんと静まり返った隅に、一人】

【衣服は戦闘服。その上に白衣を着た特異な衣装で、髪はスカイブルー、瞳は藤色】
【一品しかない真新しい街灯に照らされて目立っていたが――注意すべきはその周囲】
【数名の男性が倒れていたのである。いずれも額や側頭部を押さえて倒れており】
【どうやら戦闘服の彼女が手にしたハンマーでヤラれたらしいことが一目でわかる】

やはり難しい。UNITED TRIGGER≠フメンバーが来るかと思いましたが
……まあ良いでしょう、こうして続けていれば、いずれは本物が来るハズ。
彼らが看過するならそれはそれ……自警団の数をジリジリと減らすのみであります――。

【――さて、実は昼間、こんな立て札が街角に立てられていた】
【UTメンバー来たれり。場所は郊外の工事現場、時刻は夜間にて夜明けまで待つ=z

【つまり果たし状だった。しかしこれを怪しんだ自警団が調査に来た所――やられた、と】
【そういうことらしかったが、その事情を知らなくとも奇怪な状況だ】
【中々、散歩道とは行かないまでも――誰であろうが此処を通れば、件の藤色の瞳は、逃す事無く見留めるハズで。】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/06(金) 23:47:34.57 ID:RPgnIrxEo
>>845

【“普通のやつではない”―――まさにその通り】

【笑みのような表情が張り付いた顔は、抱く感情を覆い隠して】
【細めた目の奥、怪しく光るその瞳は、特に左目は、深く暗い色を湛える】

……おや、アイディアならたった今、いいものを見付けましたよ?
―――ちょうど、貴方のおかげで、ね。

【ニヤリと口元の笑みを深くしたなら、自分が来た方へいこうとする彼の方へ、体を向けて】
【一瞬、そのまま見送ろうかとも思ったけれど―――一つ、思い出したように口を開く】

ああ、そっちは止めておいた方がいいですよ―――“変なモノ”、落ちてますから……

【そちらから緩く風が流れてきたなら、気が付くだろうか……風に乗ってきたそれは―――血の臭い】
【もし、それでも歩いて行ったのならすぐに“ソレ”は視界に飛び込んでくるだろう】
【――――ついさっきまで活動をしていたであろう、片目の無い、真新しい死体が】
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/06(金) 23:48:30.42 ID:aWFl5V6Lo
>>844

―――うぉッ、なんだよ全くよォ……暴走族か? んな時代遅れなコトやってるヤツがまだいるって言うのかよ……

【突然静かな夜を破る轟音が鳴り響き、彼の疲れ果てた身体をびくりと驚かせて。深夜の騒音は余計に響き強い不快感を与え、自然と顰めっ面に表情が染まる】
【……が、異変に直ぐ気付いた。通常ならばこの轟音は直ぐに消えるはずなのだが―――寧ろ、大きくなっている。つまり、此方に近づいてくるということ】
【おかしいな、とベンチの背にもたれた身体を上げるも束の間、猛牛の如く此方へと突っ込む自動二輪車の姿―――!!】

―――……おいおいおいおいィィィィッ!? うぉおおおおおッ!? ……て、テメェどんだけ非常識なコトすりゃ気が済むんだこの野郎ッッ!?
一応こちとらSCARLETなんだ、深夜の迷惑行為をコレ以上するならそれ相応の対応を取らせてもらいますけどォッ!?

【―――反射的にロウは身体を後ろに反らしたのだが、そのせいかベンチごと後ろに倒れてしまい―――ロウは上下反転した視界の中で、その自動二輪車の運転手を睨みつけた】
【……怪しい。睨みつけてみたが逸らしたくなるほどの怪しさだ。何が怪しいのか、というと勿論その仮面。……確かにネクタイが此方で言うソフト帽並に浮いていることもあったのだが】
【―――明らかにその運転手の姿は、町中を歩けば飴玉に集まる蟻のように自警団連中が職務質問をふっかけられても可笑しくないモノだとロウは感じざるを得なかった】

―――こんばんはじゃねーよ……うるせェ、危ねェ、見た目も怖え……俺よりも市民の皆さんのお邪魔になってんじゃねーのかオイ。
とにかくそこら辺を改善してもらわねーとさ……って、名前知ってると来ましたか。……―――俺は知らん。知らんぞオマエみたいなヤツ。知ってるなら忘れるわけ無いわ!

【疲れを感じさせる重い動きで立ち上がり砂を払い、そして倒れたベンチを戻してから―――すびしぃ!という効果音が似合うほど勢い良く彼を指差して「こんな奴知らん」と告げた】
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/07(土) 00:06:05.10 ID:xCPb0wIwo
>>850

【す、とその男が今まさに頭にかぶっているヘルメットを外すと、無造作な黒の短髪が顕になる】
【ホラー映画の登場人物のような仮面をかぶった男は、その不気味な顔面とは裏腹に極めて気さくな態度を崩さないまま話を続ける】


ハッハッハ、すまないね
用事がてら新車のテストランでもしてみようかと思っていたらなんかノリノリになってしまったのだよ……怪我がなくてなによりだ
足を怪我していたと聞いていたが、出場したと言う大会の景品で直したのかな?


【とりあえずあのアクロバティックな機動を見せつけたことに対してはまるで悪びれた様子はない】
【なんとも怪しいその男は、そのバイクから降り、奥の茂みから打ち捨てられたままになっていた機械の箱を持ち上げる】
【そして座席の後ろに一度乗せると、友好的な態度を崩さず歩み寄ってくる】


そうか、そういえばSCARLETなんだっけな、大会の選手紹介に乗ってたが
ひとまずは初めましてマーシャル君、私は"WILD"、ロマンをこよなく愛する冒険家で、科学者とか酒場のバーテンとかもやっている者だ
怖がらなくてもいい、一応は君と同じ正義側の陣営に腰を下ろしている人間なのだからな

―――ハハハ!一度かの組織の主要メンバーとはぜひ紳士的に話をしてみたかったのだよ、会えて何よりだ


【―――なんとまあ、その怪しい男は事もあろうにロウと同じ"正義の味方"を自称してきた】
【そして地味に初対面である事も認めるその大柄な男は、胸に手を当てて、うやうやしく頭を下げて挨拶を返してきてくれた】

【この時点ではただのうさんくさい変人だが、ひとつだけ、彼は以前どこかで聞いたことのあるワードを口にした、それに気が付くだろうか……?】
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 00:12:05.40 ID:kaxCirszo
>>849

【サングラスの男は煙草をくわえながら白衣の男の話は聞く耳持たず】
【まあ、絡まれても面倒だ。シカトしてさっさっと行こうと歩き出していた】

あーそうかい…ならマージンは5%でいいぜ

【そんなジョークだけ残して立ち去ろうとしたが…数歩歩いて道の奥を見れば】
【そこには人らしき影が倒れている…いや、死体となった今では落ちていると言うべきか】
【暗い夜にも関わらず、サングラスの男はそれに気がついたようで】

【ゴツゴツと彼は履いたブーツの固いソールを鳴らしながらその死体に歩み寄ると】
【流れ出る血などその雰囲気から新しいものだと確認ができた】
【男は、黙って振り返れば、白衣の男の方を向いて。くわえていた煙草を指に挟むと】

……変なものにしちまったのは……アンタ…だろ?
…流れ者のマーダーには見えないね。…どこの所属だ?

【至って冷静に、慣れたように男はそう言って】

…まあ、俺はポリ公でも自警団でも何でもない。あー…まあ、いい。名前でも星座でも言えよ。
……だが、俺はコイツのようにやられるようなタマじゃない。お互い怪我をするような事はやめようぜ

【そう言えば、煙草をくわえなおした。彼はコートもスーツの上着もボタンを閉めていない】
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/07(土) 00:32:51.95 ID:dO88ZfGYo
>>847

か、かべ…………むぅ…………。

「そういう意味じゃねえよ…………。ああ、こっちは大丈夫だから気にしないでくれ。
 嬢ちゃんの方こそ本当に平気か? 痛かったろ?」

【壁≠ニいう言葉に何を連想したのか、少女は自分の胸部を見下ろして口元を尖らせる】
【男の方は呆れた様子でそれを諫めると、その少女の背中を軽く小突き――――こんこん、という金属音のようなものが、その背中から響くだろうか】
【どうやら背中、正確には羽織っているベストの背面の部分に、何か鉄板のようなものが仕込んであるらしかった】
【戦闘に対する備えであるのは、恐らく間違いないだろう。こんな可愛らしい背格好でも、首元のバッジは伊達ではないようだ】

おまえ…………衣織、といったか。さきほどはすまなかったな、わたしは夜凪レラという。
…………そうか、おまえもここのすいーつ≠ェめあてか! いっしょだな!

「いやいや、不注意だったのはこっちも同じだから気にしないでくれよ。
 俺はアサド・アル=アーデル。こいつ共々自警団員なもんでな、流石に市民から金を取るわけにゃあいかねえさ。
 しかしまぁ…………こいつも喜んでるみたいだし、せっかくだから一緒に入らせて貰ってもいいか?」

【レラ、と名乗った少女は、衣織と名乗った娘に改めて謝罪すると、掛けられた言葉に目を輝かせるだろうか】
【その傍ら、男は自分の名と職を明かして、母親へ冗談めいた言葉を返す。決して丁寧とは言えない言葉遣いだが、確かに暖かみは込められている】
【支払い云々は辞退しても、しかし一緒にお菓子を食べるという提案自体は二人とも吝かではないようであって】
【男と少女は一度母親と娘の顔をそれぞれ伺った後、その後を付いて洋菓子店へ入っていくだろうか――――】

【…………その中へ一歩踏み入れば、そこは世の女性にとって楽園のような場所なのであろう】
【アサドの方は物珍しそうに店内を見回すだけだったが、レラの瞳は空の星々のようにきらきらと瞬いて、いっさい陰るところがない】
【レラは衣織に負けない勢いで様々な洋菓子が並べられたショーケースに突っ込んでいくと、その甘い輝きを端から端まで見回して】

衣織、きいたところによると、ここのいちごのタルト≠ヘめちゃくちゃおいしいらしいぞ…………!
だ、だがっ、このまんごーぷりん≠ニやらもじつに…………ぐぬぬ…………!

「おいレラ、ちょっと落ち着けよ…………。さぁて、俺もなんか選ぶかなー」

【レラはまったく決めきれない様子で、しばらくの間激しく目移りしていてたが…………最終的には、苺のタルトを選んだようだった】
【男の方はその勢いに気圧されながらもショーケースをひと眺めすると、あっさりチョコレートケーキに決定する。あまり甘すぎないもの、という選択のようだ】
【二人は先んじて支払いを済ませると、神谷親子に目を向けて――――店の奥にあるカフェのようなスペースに歩いていくだろうか】

いおり、先にせきをとっておくから、おまえもはやくこい!

「やれやれ…………衣織嬢ちゃん、それに皐月さんか。良ければこいつに付き合ってやってくれよ」

【神谷親子がどんなものを買うかはさておいて、レラは購入した洋菓子を乗せたトレイを持ったまま、二人に元気よく笑いかける】
【アサドの方も呆れた様子で、しかし楽しそうに二人に声を掛け…………やがて、窓際の席に座るだろうか】
【アサドとレラのトレイの上では、コーヒーと紅茶がそれぞれ湯気をくゆらせている。このちょっとしたお茶の誘い、乗るか否かは親子の都合次第か】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/07(土) 00:33:51.97 ID:vYWlJ7APo
>>851

そういうのは峠とかでやれよ……住宅街でブンブンされちゃ流石に近所迷惑極まりねぇからさ……。
大会見てたから俺のコトを知ってる……っつーことか? ま、アンタの言う通り。……足の怪我は半ば諦めてたんだが、女神の滴だっけ? それで奇跡的にな。
―――そんでもまだまだ脚は100%回復って訳にはいかねえ。庇った歩き方が染み付いてやがるし、そもそも筋力が大分衰えてらぁ。だから……こういうことしてんだけどさ。

【改めて奇妙な姿を凝視してみるが、やはり面識は無い……となれば大会を見たのだろう―――との予想。別に隠す必要もないので、脚についての起こったことを彼に話す】
【そして、彼がジャージ姿で疲弊していた理由も一緒に付け加えて。ロウはその場で屈むと、両足首に巻いてあったパワーアンクルを取り外し、どさりと乱暴に投げ捨てた】
【「こういうこと」とは怪我をしていた脚を完璧に元の状態に戻すための訓練である。―――と、そう語りかけるような行為がパワーアンクルを取り外すというモノだった】

【―――脚が軽くなった状態で男の話を聞くロウだったが、その名前を聞くと急に紺碧の双眸が見開き、身体がぴくりと動く。……知っていたのだ、その「WILD」という名を】
【……とは言っても、ロウ自身が言うように彼との面識は無い。だが其の名前は確かに聞いた―――ジャンクちゃんといったか、機械のメイドに】
【―――はっきりと覚えている、そのWILDの名。理由は治ったばかりの右足首にあった。……もしかすれば、右足首はこの眼前の男によって直されていたのかも知れなかったのだから】

……WILD。そう言ったよな……?正義側の人間―――なら、間違いねぇ。ジャンクちゃん……だったか? あいつから聞いた名前だ。
ったく、タイミングが悪いやら良いのやら。……ジャンクちゃんからはこう聞いたよ。「もしかしたら俺の右足を機械にして機能させられるかも知れない」……的な?
―――とにかく、出来るようになったらそっちから呼ぶから……って言われたんだが、その呼出しがある前に治っちまったよ!

確か……気のせいなら言ってくれればいいしだいぶ前のような気もするが、正義組織も作るとかなんたら言ってなかったか? それもアレだ、俺SCARLETだし。

【「足の怪我は半ば諦めていた」と先程語ったが、その「半ば」。僅かな希望が実はこの話、つまりWILDだったのだ。最近まで心の何処かで縋っていたその名前を、忘れるはずもなかった】
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 00:39:08.50 ID:sFpRCD0vo
>>852

【クツクツと、静かな笑い声が路地裏に響く。その出処は、三日月に歪めた男の口元】
【感情の読みにくい表情であっても、滲み出すその狂気だけは、はっきりとしたもので】

別に、殺す気はなかったんですがね……眼をくれれば、それで良かったというのに。
片目だけなら無くとも生きていけると言っても、どうにも譲っていただけないようだったもので、ね…………

【そう言ってポケットから取り出すのは、“何か”が入った細い筒】
【中身の殆どは液体。しかしその中に一つ、球状の物体】
【男の話と死体の状況から察するに……それは眼球であろう】

僕はノーグ=ナシエ。カノッサ機関のNo.31を預かる身で、趣味は“眼”のコレクション。
研究がなかなか上手くいかないもので、気晴らしに散歩に出たらいい眼を見つけたもので、つい……

―――ああ、死体なら今はストックがあるので結構。それに、貴方からはアイディアを頂きましたからね。
ただ――――貴方の眼、も気になりますが…………

【ひどくあっさりと、所属も名前も明らかに。一つ余計な情報もあったが。】
【しかし、『死体のストック』という、意味深長なワード】
【科学者然とした外見や“研究”とやらに関係ある話、だろうか】

【そして視線が向くのは、サングラスの向こうにある彼の瞳】
【男の左の目の奥で、深淵の瞳が輝いた――――】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/07(土) 01:07:17.78 ID:xCPb0wIwo
>>854

ハハ……返す言葉もない、という奴だな
しかし、あまり感心しないリハビリだな……せっかく治った足がまた壊れかねない
無理なく調子を取り戻す方法などいくらでもあるだろうに……

ふむ、これは私も君のリハビリを手伝った方が良さそうな気がしてきたぞ……


【す、と腰を下ろして"WILD"はロウの足の調子を診てくれているようだ】
【仮面で表情が見えないはずなのだが、どういう訳かその仮面の下の彼の表情がやれやれ、と少し呆れた物に変わっているのが感じ取れる】
【そして、ジャンクちゃんの紹介を受けたという話を聞いて、妙に興味深そうな様子で話を聞く】


ああ、そんな事も言われていたような気がする……すまなかったな、色々忙しくって
ただまあある意味良かったではないか、私に任せていた場合君の足は一晩でジェットブースター的な物がくっついて
陸海空跳ね回り、膝のあたりから荷電粒子砲的な物を発射する珍妙なマシーンガンマンと化していたかもしれんからな


【機械いじりの心得はあっても、医療の心得はないからなー、とのん気そうにそんな事をのたまってくる】
【もし彼に任せていた場合は、過去の自分とは大きくかけ離れた魔改造ゴテゴテの遠未来系重装甲ガンマンに成り果てていた可能性が高かったようだ……】

【また"WILD"も、ロウにとって自然な形での足が戻ってきたのならそれが一番だとも考えているようで】
【その足が自然に動くようにリハビリに付き合う方がいいな、と考えて、懐から小さなカタログを取り出してパラパラとめくり始めている】


しかし大したものだ……君の活躍は時折耳にする、誰よりも我先にと現場に出て大立ち回りをしているようではないか
そしてSCARLETが立ち上がり、世間を騒がす悪の集団は今サンドイッチ状態に……とまでうまくいくとは私も予想していなかったよ

まあ足の一件の対応が遅れたお詫びもかねて、いろいろと話したい事もあったのだ
先ほども言ったろう、SCARLETの人間と渡りをつけて起きたかったんだってね……まあこのベンチに座って話でもしないか
決して悪い話でもないんだ、もしかしたらいろいろと面白い物を手に入れられるかもしれないよ


【よっこいしょ、と見かけどおりの筋力まかせに、軽々と倒れたベンチを持ち上げると、元の状態に戻してしまう】
【もしかして医療用の筋肉マッサージギブスのような機械でも紹介してくれるのだろうか……そうだとすれば、結構困り気味な今の状況の助けにはなりそうだ】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 01:14:18.24 ID:kaxCirszo
>>855

【煙草をくわえたままサングラスの男は動かない】
【先から昇る煙草の煙だけがモクモクと彼の時間が動いているのを伝える】
【相手がどんな話をしようと相槌も打たずにただ、黙って聞いていた】

ああ、そう……なるほど。……カノッサね。ようやっとカノッサらしい奴にあったよ
今まで何人か…そう、何人かはあったりしたが…あんたらの幹部…六罪王だかにもな
…ただ、見かけもやることも全てマッドでサイコな野郎が初めてだ…褒めてるんだぜ?
29バンならちょいと用事はあったが…まあ、いい……それはそれだ…

【目線も合わせず、下を向いたり指で煙草を挟んで灰を落としたり】
【聞く側の姿勢としては最悪だが、カノッサだろうと死体を見ようと平常を崩さない】
【彼の姿勢はやはり何かするには一筋縄ではいかない相手だとわかるだろう】

オーラィ、俺を黙らせるには方法は2つ。煙草をやるか、殺すかだが…
後者だったら、アンタも…まあ、いい……死体もアンタの研究も興味はないさ
…アンタの口からビジネスやなんかのグッドなニュースが聞けそうにもないから

……俺は俺だ。誰かにやるものは、何一つ無い

【サングラスで完全に隠れているが、彼の目は特殊だ】
【白眼は血のように汚れなく赤く。黒い瞳が月のように輝くように有る】
【バレれば、絶対に欲しがるだろう。そのことに早くから気がついていた彼は】
【何事も無くこの場を逃げ切りたいと考えていた】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 01:36:24.11 ID:GfOHgIAT0
>>853
【衣織はそういう意味で言ったわけじゃない。壁というのは断じてそういう意味ではない。……たぶん。】

【ともかく、一行は洋菓子店へと足を踏み入れる。中に広がる甘い空間は、女性の憧れの的なだけあって中々の女性客の数だ。】
【目を輝かせているのは衣織に限った事ではないらしい。そのレラという少女も、保護者の皐月でさえもそわそわしている。】
【……皐月だって甘いもの好きの女性。平静を装ってはいるが、本当は目移りして仕方がないのだ――――】

【一方の衣織は、もうショーケースに夢中になっている。あれがいいか、これもいいか、いやいやそれも……決めきれない。】
【すっかりレラとも意気投合して、二人して次々とケースの中のお菓子を見ていく。……先ほどであったばかりなのに傍から見れば、何とも微笑ましい友達のようだ。】

そ、そうか!私はな、モンブランがすごく美味しそうに見えるんや!あ!でも、このカステラも美味しそう……
あ、見てみてレラちゃん!このチョコレートすっごくキレイ!ほえー……このゼリー、宝石みたいや……あかん、決めきれへん!

【楽しそうにキョロキョロとショーケースを見渡す。どれもこれも美味しそうで、出来ることなら全部食べてしまいたいぐらいだ……】
【この中から一つ選ぶという作業が、楽しいけどとても困難なことに思えてくる。どれにしようかな……】

【………衣織ののすぐ横、ケーキが沢山並んでいる場所では、同じようにショーウィンドウを眺める母親の姿があった。】
【――――目移りしているのは、衣織だけではなかったらしい。皐月のショーウィンドウを見る目が少女時代に戻っている……】


「……こ、これは……ミルフィーユにするか―――いやいや、ザッハトルテも……えーっと……バウムクーヘン………ああもう!
 い、衣織!どれがいい!?どれにする!?」

……自分のことなんやからおかーさんが決めーや……

【二人して迷う親子を尻目に、先方はもう決めてしまったようだ。それぞれ支払いを終えて、カフェへと足を運んでいった。】
【勿論この親子も一緒にお茶にするつもりだ。せっかく出会ったんだ、何もなしは無粋というものだろう。大勢で食べたほうがお菓子は美味しいし。】


ま、待っててやー!……うーん……これにするか……いやいや、こっちもええなぁ……


【さて、二人共仲良く迷いに迷って漸く選び終えたようだ。衣織はなんとも見た目が可愛らしいりんごのタルト、皐月はモンブランをチョイス。】
【衣織はオレンジジュースを、皐月はカプチーノを乗っけてふたりの待つ席へと歩く。……二人共なんとも嬉しそうな表情をしているのは、さすが親子似た者同士ということか。】


「お待たせしましたー!さて、レラさん、アサドさん!頂きましょうか!」

よっしゃ、食べるよー!えへへへへ……待ちに待ったお菓子やでー……

【親子は椅子腰掛けると、二人にぺこりと会釈すると待ちきれないとばかりお菓子を食べ始める。……一口食べると、目に見えて二人の表情が幸せそうになっていた。】
【有名洋菓子店の名に偽りなし。――――頬が落ちるとはこの事か。上品な甘さが口いっぱいに広がる、至福のひと時――――】

あ、なあなあ!レラちゃんのタルト、一口でええからちょうだい!このりんごのタルトも美味しいで、良かったらちょっと食べてみ!

【衣織に至っては、レラのタルトも一口欲しがる始末。かたや自警団員かたや学者の娘と立場が全く異なる二人も、今に限ってはただの少女。】
【一口ずつのとりかえっこも出来れば、衣織の表情は一層綻ぶ。平和な平和な時間が流れていく……】

「……いいもんですね、こうやってこの子達が笑顔でいられるのは……母として子供の笑顔が一番です!
 アサドさんは自警団でいらっしゃるんですよね?……どうか、子供たちの笑顔を守ってやって下さいな。ずっと物騒な事件が続いていますから……
 私は娘一人を守るので精一杯ですのに、自警団の皆さんは本当に多くの人々を守られてますもの……尊敬します。」

【先ほどの少女のような表情も何処へやら、皐月はすっかり子を見守る母親の顔になって語る。自警団……その働きはよく知っている。】
【護る規模は違えども、同じ護る者として敬意を示す。幸せな時間を享受できるのは影で戦う人が居るからであるという事を、皐月は忘れていない。】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/07(土) 01:41:03.16 ID:vYWlJ7APo
>>856

確かにクソキツイしいきなりコレはハードだと思うけどさ、一刻も早く万全の状態に戻したいって気持ちもあるんだよ。時間がありゃそりゃあゆっくり鍛えるさ。
……片足10kgのアンクルつけてのランニング。脚に筋肉を付けながら、今まで庇って変に癖が付いちまった走りを直ぐにでも矯正するにはこんなもん……じゃねーの?
あまりそういうトレーニングの云々には詳しくないからわかんねぇけど、楽して直ぐに治そうなんて甘い話は無い……とは思うんだが、実際どんなもんよ?
―――機械の力で効率良く鍛える!って訳にはいかないのか? いかねぇよな……

【自分には時間が無い。今まで何度も「脚が治っていれば」と思うことがあった。逃げる敵を捕まえる為の脚、相手の攻撃を躱すための脚。その脚が本来の半分も機能しなかった】
【そのせいで逃した敵も、守れなかった人も数知れない。現場に駆けつけた瞬間、目の前で散る命。脚が治っていれば、間に合ったかもしれないのに―――と怪我を恨む日々】
【……だから、少しでも速く治したい。万全の状態を作り、全力で現場にまで駆ける脚を取り戻したい。……弱音を吐きながらも続ける男の理由が、其れだった】

それはそれで……いや、やっぱ無理かな……ボディバランス悪くなるのもあるが、やっぱりこちとらまともにいきたいっつーか……。
―――やっぱり先に治って良かったぜ……ってことだな。……ん、何だ其れ。―――カタログ?……なんかいいもんあんのか?

【彼に改造された自分のイメージを脳内で膨らませてみるが―――自分が目指していたものとは大幅に反れてしまうようで。格好良く銃撃で立ち回るイメージが、どうも浮かばない】
【自分が空を飛び回り、ビームのようなものを発車する光景……なんとなく、どこか滑稽な感じがしてしまった。―――やっぱり、自分は運が良かったかもしれないと思った】

……いや、全然。―――GIFTの連中に殺されてもおかしくなかった位にボロ負けしちまったよ。……GIFTメンバー、つまり能力者……あいつらのスペックはずば抜けて高い
巨悪と言えばカノッサだが……GIFTももう並んでるって言ってもおかしくねェ。確かにSCARLETは拡大しつつあるが、それでも鉄の国の事件もしてやられた。
―――まだまだ、俺等は巨悪に圧されてんだよ。 ……だから余計に、一刻も早く―――って気持ちが募る。

……アンタ、正義側の陣営に腰下ろしてるって言ったよな? じゃあ今だけは俺がSCARLETの代表として、話聞かせてもらおうじゃねぇの。
―――その面白いモノってのも、興味あるしな

【確かにWILDの言う通り、彼は全国を飛び回り「世界の盾」となっている。しかしながら、本当に護れているか―――と言えば、本人は首を横に振るのだろう】
【……先月の鉄の国の事件では巨大ミサイルを奪取され、風の国の都市リマニアでのGIFTとの戦闘では、リリーと言うGIFTメンバーに蹴散らされた】
【―――大会で結果を残しても職務ではこの有り様であると、ロウは自分を戒めていた】

【ロウは戻されたベンチに腰を下ろし、ふぅと息を吐く。―――未だ謎が多い「WILD」。気にならない訳がなかった】
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 01:45:56.54 ID:Yx3DhrXSo
>>857

ほう……“らしい”、と…………僕のような、義理とはいえ子持ちのナンバーズだなんて、全く“らしくない”と思うのですがねえ……
――しかし、一般人……には見えませんが其方側の方からそう見える、ということは事実、褒められたも同然ですね。

29……ああ、カニバディール殿に、ですか。
貴方の様な人が用事とは……しかし、カニバディール殿も何やら準備で忙しいようですからね。

【彼がどのような態度で話を聞いていようと、別段気にする事もなく】
【そもそも、外部の人間に対しそういう事を気にするような者が、機関にどれ程いるのか、という話である】

【そしてどうやら、彼が用事があるという、No.29とこの男、面識があるようで】

フ…………別に黙らせたいなどとは思っていませんよ。
人を一人殺した程度の事、他人に知られて困るようではナンバーズは務まらないでしょう?

それと生憎、煙草は吸わないものでして。
アイディアを忘れない内に実験を開始したいですし、“今日は”殺すのは止めておきますよ。
―――まあ、代わりを呼び出してもいいのですが……やはり来るまでに時間がかかってしまいますから。

ああ、何でしたらカニバディール殿への用事とやら、預かりましょうか?
うちの誰かが、ばったり会うかもしれませんが……

【どうにも、サングラス越しでは判断がつかない。それに今夜は実験の事もあるから……眼は一旦、諦めて】
【だから殺すのも無し、そして煙草は持っていない。言った通り、別に黙らせたい訳ではないのだけれど】
【―――そして最終的に、持ち出したのはNo.29の件。外部の人間である彼より、機関員である男の方が接触する可能性は高いかもしれない】
【けれど、簡単に他人には話せないような内容かもしれないし、そもそもこの男には任せられない、という事も十二分に考えられるわけで】
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 02:13:23.30 ID:kaxCirszo
>>860

親父がカノッサじゃダメなわけもないだろうさ……ま、反抗期でUTに入らないことを祈るぜ
…どちらでも無いが、どちらでも有る。ふらふらした真ん中の俺は流されやすい一般人そのものさ

…ああ、そんな名前だったな…。…俺も何かと暇でね。ついでに友達が多いもんだから
カノッサの『番号付き』にも用事があるのさ…ああ、忙しいのか?…だから見つからないのか

【自分の髪のワシャワシャ掻きながら、何かを考えている様子】
【ポケットに手を突っ込んだまま、所在なさげに周りをキョロキョロ見たりとせわしない】

さあね、そちらさんの事はあまり詳しくないもんで。ただまあ、偉いんなら
どっしり構えてるほうがいいから……いいんじゃないの?…じゃあ、それであってる
…最近は吸わない奴ばかりだ…まあ、いい…”今日も”になる日が来ることを祈ってる
それに、そこまでしてやり合う価値も無いと思うぜ…俺が言うのもアレだけどさ…

いや、まあ…大したことじゃない。クライアントも急いでるってわけでもなさそうだ
…それに、美人に頼まれちゃ他所には頼めないね。ご褒美のキスがもらえなくなっちまう

【肩をすくめて、ニヤリと笑いながら冗談交じりに言う。状況が状況でもこの対応。やはり大物か大馬鹿か】
【本来ならば同じ所属で知り合い同士の相手に1件を任せても良かったが何分、内容が元No3に関することだ】
【中立の彼に頼んだということはどちらの陣営にも知られたくない事だということもある】

…ああ、だったら。その29番が居そうなところが訊きたいね
路地裏ってだけしか手がかりがなくてね…チンピラの相手ばかりで骨が折れるよ
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/07(土) 02:16:14.92 ID:xCPb0wIwo
>>859

健全に直すにはどうあっても多少は時間を食ってしまうだろうな、だが世の中には「急がば回れ」という言葉もある
一件遠回りに見える道こそが実は一番の近道だったなんて事はよくある事だ、そういう意味では私の場合はスピードはややゆるやかだが
かなり効率的で無理なくつまづかずに鍛える手段を用意してやれるつもりでいるさ


【速度は今よりもマシになる程度、だがバランスよく無理して肉離れなどの二次災害を起こして逆に遅れる、などのアクシデントが起きない手段】
【彼が用意出来る物はそういう物らしい、しかし本当の意味で早くしっかりとした状態に直すには、これが一番なのだそうだ】

【続いてGIFTとの一戦で防戦を強いられ、弱音が零れているロウに対し、"WILD"は彼を諭すように】


カノッサ機関、D.R.U.G.S.ときて今度はGIFT、か……なくならないなあ、過激な行動を起こす輩は
まあだから私が頼られてしまう訳だが、それに君もあきらめるつもりはないのだろう、今はそれでいいんだよ


【そして腰を下ろしながらロウが「世界の盾」の代表を名乗った瞬間】
【心なしか"WILD"が悪戯っぽく、不敵な笑みを零したように感じる―――そして腕を組みながら次のように言うだろう】


―――SCARLETの代表、その名乗りを待っていたぞマーシャル君
ではまずは以前君がジャンクちゃんから聞いていた正義組織うんぬんの顛末だが、結論から言うと
UNITED TRIGGERにSCARLETと相次いで設立された今、ぶっちゃけ『悪と戦うための戦士たちの組織』として設立する必要ないな、と判断した

だから戦うため、ではなく『個人単位から組織単位まで味方たちを支援する』事に
特化した組織にしようかと考えた……ここまではいいか?ではこれを見てもらおう、戦いの中で君はこんな物を持っている者たちに出会わなかったかな?


【そう言いながら彼が一度立ち上がり、白いバイクのタンデムを開き、中から小さな銀のスーツケースを取り出すと】
【彼はロウの目と鼻の先で重厚な見た目のスーツケースを開いて見せた―――その中に入っていたのは】

【背面に赤い剣、黄の硬貨、青い杯、緑の杖の柄が刻印された、携帯端末だ……まさか、これは?】
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/07(土) 02:30:37.10 ID:dO88ZfGYo
>>858

わかる、わかるぞ…………くっ、ほんとうにしごとちゅうでさえなければ、ぜんぶたべつくしたものを!

「あんまり食うと太るぞ…………」

【迷いに迷う衣織の姿を見るや、レラはぶんぶんと首を縦に振って共感の意を示す】
【何とも口惜しそうな台詞は、しかしぼそりと呟かれた無慈悲で残酷な真実に遮られる。レラは何も言えなくなって言葉を噤み】
【…………アサドは、こちらを睨むレラの視線に耐えきれずに目を逸らす。女性の集まるこの場において、確かにデリカシーのある発言ではなかった】
【その視線の先で、ふと童心にかえってはしゃぐ皐月の姿を見つけると、アサドはおかしそうに笑うだろうか】
【スイーツは専門外だが、食に対してのこだわりという意味なら少しは気持ちも理解できる。特に何を言うでもないが、アサドもまたその姿に少し共感して】
【そんな二人も、親子が席に着いたのを確認すると、フォークを手に取ってお菓子を崩し始めるだろう】

…………うまい…………うまいぞ…………!
こっちのいちごのもうまいが、衣織のりんごのやつもうまい…………!
………………。

「…………わーったわーった、一口やるからそんな目で見んな!
 しかし、ちと甘いのは仕方ないが…………本当にうまいな。店の名前、覚えとくか」

【口の中で踊る程良い舌触りに、味蕾を心地よく刺激する自然な甘み。レラはもちろん男であるアサドも、十二分に感服出来る味わいだ】
【レラは一口ごとに唸りながら半分ほどタルトを食べると、衣織のお願いに飛びついてタルトを一口ずつ交換し、何度も何度も幸せそうに唸って】
【ついでにアサドのケーキにも手を出すと、飽きもせずまた唸る。頬を赤らめた幸せそうな顔は、到底自警団の戦闘員には見えない可愛らしさだ】
【アサドも適度な甘みにすっかり惚れ込んだようで、がつがつとケーキを頬張り…………最終的には素手で鷲掴みにして、一口で全部食べ終えてしまう】
【場所にそぐわない下品な食べ方ではあるが、その顔もまた幸せそうで。作っている方も、これだけ美味しく食べてもらえれば本望のはずだ】

「ああ、もちろんだ。俺もそうだが、こいつも頑張ってるんだぜ?
 別に多くを守る必要なんかねぇさ…………隣のヤツしか守れなくても、それを世界中の人間が実践できりゃあ世界は平和になるだろうしな。
 それが出来ないヤツに手を貸して、それを脅かすヤツをぶっ飛ばすのが俺たちの仕事ってわけだ。
 最近は確かにでけぇ事件も多くて、俺らも世界中飛び回ってるが…………家族ってのは本当にいいもんだ。
 弟や母ちゃんの顔を見れば、疲れもどっかへぶっ飛んでくれる。もちろん、市民にそういう事を言ってもらうのもな」

ふごぅ…………わたしはしのび≠セからな! これまでもいろんなばしょで、いろんな人間をまもってきたのだ!
じつはちょうどこのあいだも、にんむ≠たっせいしたところでな。ばしょはれいりすふぃ――――ぬぐぅ!?

【皐月からの言葉に、アサドはコーヒーを流し込んで口の中身を胃に流し込むと、ぽんとレラの頭に手を乗せ、軽く撫でるだろうか】
【その際にジャケットがめくれ上がり、腰のポーチに据え付けられた緋色の鷹≠フエンブレムが見えるかもしれない】
【世界中を飛び回り、多くの悪意と戦ってきた男だが――――行動原理は、皐月と対して変わらない】
【家族に元気を貰いながら、自分の家族を自分の力だけで守り切れない人間に手を貸す。規模がどれだけ大きくなろうと、そこだけは変わらない】

【一方レラも、頭を撫でられてくすぐったそうにする仕草からは想像も付かないが…………この歳で色々な場所を巡ってきたらしい】
【えへんと大きく胸を張り、しのび≠ニレラは自称する。忍者≠フことだろうか、櫻の国の言葉だ】
【すっかり調子づいた様子で、レラは最近の武勇伝を聞かせようとして――――アサドに口を塞がれて、その言葉は途切れる】
【レラはジト目でアサドに抗議しようとするが、そこではっと何かに気付くと、ばつが悪そうな目をするだろうか】
【…………恐らく、機密事項か何かだったのだろう。アサドは「気にしないでくれ」と誤魔化して笑うばかりだが】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 02:37:15.31 ID:GfOHgIAT0
>>863
//すみません、ちょっと眠気が襲ってきまして……一旦凍結させて貰ってもよろしいでしょうか?
//此方は明日・明後日はずっとフリーですが、再開時間はどうしましょう?お好きな時間を指定して頂ければ!
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/07(土) 02:41:21.35 ID:vYWlJ7APo
>>862

……貰えるモンは貰う主義でね。用意してくれんなら、是非その手段でやらせてもらう。
―――其れが一番、正義側への貢献に繋がるんだろ? なら、やるしかねぇわ……!

こうやって話してる間にも、悪はどっかで動いているし増えている……俺が盾として機能できるうちは、逃げることなく奴等と火花散らしていたいのさ……
右足首がイカれて実質ガンマンとしての寿命は終わったかと思ったけどよ、その状態でもそこそこ戦えるレベルにまで行けたんだ。
俺はアレだ、弱音はずっと吐き続けるし文句も垂れてばっかだけど最後までやり切るタイプの人間……ってね。

【良い方法を紹介してくれるらしく、彼も頷いて受け入れるのではあるが―――内心、少しばかりの不安があった】
【……なんというか、やはりその怪しさ漂う見た目では100%信頼は出来ない。もしかしたら変な魔改造を……と一瞬よぎるが、其れでも彼は正義側、それも重要な人間】
【―――兎に角、信頼するしか無い。ジャンクちゃんの存在も考えれば、信頼して良い人物だとも思える。いや、正義側が信頼せずに悪に勝てる訳がない―――との考えに行き着いた】

【……少しでも罪なき人々が蹂躙されるようなコトを減らしたい。悪から人を護りたい。常にその想いが中心となり彼の行動を決定させる。―――悪に勝つには、信頼が必要だ】
【―――そして、WILDは何かを取り出す。赤い剣、硬貨、杯、杖……その並びを見て、ハッと脳にジャンクちゃんの言葉が蘇る】

W-Phone……だったか? 思い出したぜ、確か俺はソード≠希望してたっけな……
なるほど、コイツで支援……ってことかィ? っても、俺あまり機械は得意じゃねーんだけど……どんな機能があるんだ?

【W-Phone……UTの連中が持ってるとか持ってないとか、そんな話を聞いたことがあった。ロウはその実物をまじまじと見つめながら、WILDに機能を尋ねた】
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/12/07(土) 02:48:13.31 ID:dO88ZfGY0
>>864
/了解です!
/こちらもちょうど明日は朝から丸々空いておりますので、朝でも昼でも返レスを頂き次第再開できますよー!
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 02:51:07.58 ID:GfOHgIAT0
>>866
//ありがとうございます!恐らく遅くて3時・4時ぐらいになるかもしれませんが……ではまた明日(今日?)宜しくお願いします!
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 02:54:14.13 ID:nQ8tgSfao
>>861

フフフ……心配するまでもなく、既に機関に所属していますよ。
それに、もう反抗期も過ぎた歳ですからね……

【両手を腰の後ろで組めば、ユラユラと上半身を小さく、前後に揺らして】
【相も変わらず不気味な笑みを、その顔に張り付けたまま】

偉い……と言っても“基本的には”他より地位が上、というだけですけれどね。
それに何より、どっしり構えるのは六罪王に名を連ねる方々の方が様になる。

“今日も”、とするには―――貴方がこちらに来るしか、ないでしょうねぇ……
それと、その“価値”についてはこちらが決める事ですよ――――そのサングラスの下の眼を見た時に、ね。

【未だその、眼への興味は消え去りはしない。それだけの執着心を、この男は“眼球”という物に対し抱いているのだ】

……なるほど、貴方自身の用ではなく、頼まれての事……そしてその主は女性である、と…………

しかし、居そうなところ、と言われましても……
僕がお会いしたのも路地裏―――ああ、クシーとプシーは確か何処かの廃ビルで会ったと言っていましたか……
後は……戦場、辺りでしょうか。

【細めた目を更に細め、またも片手を顎にやって、少し考えるように】
【そして出た情報は――――路地裏、という情報と大して変わりない情報ばかりであった】
【しかし、彼の判断は正解だったと言えるかもしれない。下手をすれば、彼女が身を寄せている場所が襲撃を受ける可能性もあるのだから】

…………思いがけず長話になってしまいましたね。
僕はそろそろ帰る事としましょうか、実験もありますし。
―――まあ、精々頑張って探してください。こちらもまた会う事があれば、探している人がいた、という事は伝えておきますよ。

【それだけ言い残したら、男は踵を返して再び歩き出す】
【白衣の背中はやがて、遠く消えていく事だろう――――】


/こんなところでしょうか!お疲れ様でしたー
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/12/07(土) 03:48:48.23 ID:D6UuOZuzo
>>865

【ロウのその戦いにかける己が気持ちをしかと受け止める"WILD"は、仮面を嵌めたままの顔をじっとこちらに向けてくる】
【その仮面の奥から、なにか力強い眼差しが覗き込み、彼の勇気をたたえるような―――なにか、温かな力を感じ取る事ができる】
【しばらくして零れるのは柔らかな苦笑、やれやれ、と一言だけ呟くと】


――――どういう因果かな、私の人生はなにかとこういう真っ直ぐなガンマンを支える事が多いのは……嫌いに離れないがね

そうだ、現在は主にUNITED TRIGGERが所有している代物だがね、これが私の看板ともいえるアイテム、W-Phoneだ
我が最高傑作、『情報統合ネットワーク』……その中に内包されている情報を全て閲覧できる携帯端末なのだよ

またこれを持つ者同士の通信も可能だし、他にもカレンダーや現在時刻を表す時計機能、及びアラームやストップウォッチ
今日や今後のお天気を予報し表示する機能、体に打ち込まれた哲学者の卵をサーチしたり相手の魔術や能力の性質を識別するアナライズ機能とかもある


【かのjusticeや対機関連合の時代から重宝されていた『情報統合ネットワーク』を閲覧するための端末】
【その機能向上版がこのW-Phoneなのだと言う、彼としてもこれは本当に自信作なのだろう、かなり得意げな様子である】


―――で、このW-Phoneなんだがね、君が我が『財団W』の実働組織、≪W-Secret Service≫にSCARLETの代表として同盟を組む
もしくはウチの製品のユーザー登録をしてくれたら、SCARLETメンバー全員のためにこれを用意しようと思っている
組織の人間が誰か一人でもユーザーとなれば、その組織に対して支援の対象となるしくみだ、UTの場合はセリーナ君がそうだな

そして、『ユーザー登録』をした一人以上の人間にはさらに特典がついてくるのだよ―――それが、これだ!


【最後、ちょっとセールスっぽくなったが、ようするに彼がやろうとしている事はUTの時と同じことだ】
【支援組織として、前線で悪の組織と戦う正義組織のために技術的な支援を行うため、互いの結びつきを強くしようとする試みなのだろう】
【そして、組織の中で何人でもなっていいようだが、彼の製品の『会員(ユーザー)登録』をすると、さらに何か特典があるらしい】

【それが彼の持つカタログの中にも記されていた……中には銃や剣、槍や防具、銃弾に爆弾、食料に動物を模した小型ロボット】
【そして果てはバイクや自動車、及びその燃料などまでいろいろと記載されている……なかなかに豪華だ】


組織の代表としてユーザー登録を行った者には、その人物の『専用機』―――君のバイクとか自動車を1台プレゼントする他
病院施設の使用料金は免除、そして、それに乗っている品物を注文すると我々が仕入れてお届けするし、それら全てワンコインで購入可能になるのだよ、驚いたか?
―――で、君の場合は……筋肉のリハビリが必要なんだよな、ならばこの……『パルスサポート』などはいかがかな


【……聞き逃してはいけない事を聞かされたと思うだろう、今、この男は何と言った?】
【ユーザーのための移動用車両を一台プレゼントとは……あまりにも気前が良いなと言う他ない】
【その上彼らのための物資を格安で用意してくれると言う、なぜ彼はここまでしてくれるのだろうか―――?】

【そして彼がカタログに指を伸ばして指し示すのは一つのアイテム―――肌色の長い湿布のようなもので足に巻いて使用する品らしい】
【これが彼の足をリハビリするためのアイテム―――『パルスサポート』なのだろうか?】

/すいません!だいぶ時間も遅くなってまいりましたので、続きは後日にしていただいても大丈夫でしょうか?
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/07(土) 03:50:04.43 ID:vYWlJ7APo
>>869
/そうですね、置きレスの方に移動して後日……ですね。こんな遅くまで付き合ってもらってありがとうございました!
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2013/12/07(土) 03:52:40.24 ID:D6UuOZuzo
>>870
/はい、ではまた後日に!
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 14:57:39.47 ID:GfOHgIAT0
>>863

ほえ〜……このいちごのやつ、すっごく甘くて美味しいわぁ…………
数ある中からこれを選ぶとは、レラちゃんも中々の目利きやなぁ……

【念願叶ってとりかえっこ出来て、いちごタルトを一口口に運ぶ。――――そしてまた、幸せそうにむふふと笑ってみせる。】
【口いっぱいに広がる優しい甘さ。見た目にも美しい彩色。……成る程、この店が人気である理由もよく分かる。甘党には堪らない菓子だ……】
【みんなで食べると何がいいかって、こうやって一口ずつの味見も出来るのが大きい。色んな味を楽しめるのは、子供にとって本当に嬉しかったり】
【……が、とりかえっこしたいのはどうも衣織だけではなかったらしく……】

―――――おかーさん?

「……い、衣織……一口でいいからそのりんごのタルト頂戴!お願い!」

……えー……

【大人気なく我が子に一口せびる母親。衣織が渋々一片切り分けて寄越すと、皐月は子供っぽい笑顔を見せて美味しそうに食べる。】
【こんな風にまあ、皐月は甘いものに目がないらしい。いつもは優しい母親だが甘いものを前にすると子供に戻ってしまうのは、衣織もよく知っている。】
【味見も終わったところで、また二人は自分の分を食べ始める。母親の躾の賜物か、衣織は年にそぐわず行儀良く切り分けては食べている。】
【皐月だって先程からいちいち子供っぽい一面も見せてはいるが、食べ方が下品になったりすることはない。流石に彼女も成人だ、礼儀作法は忘れていないらしい……】

【やがて美味しい菓子を食べ終えると、皐月はカプチーノに一口つける。一人の母親の顔に戻った皐月は、幸せそうにジュースを飲む我が子を優しく見つめる。】
【こうやって娘が幸せでいてくれるのが母の一番の望みだ。地位も名誉もいらない、一番傍にいるこの子が笑って過ごせていればそれでいい……】
【家族の笑顔が一番の望みであり宝である。それは、戦いに明け暮れる彼らも変わらないらしい――――】

「……うふふ……ええ、そうですね。家族というのは一番自分のことを分かってくれますもの……
 私はこの娘が笑顔でいてくれるだけで、とても幸せです。そう、嫌なことも全部忘れるぐらいに……ね。
 ―――貴方達は本当の強さを知っています。本当の強さというのは、膂力ではなく誰かを守れる力だと思うんです。
 それを持っている貴方達はきっと、この先も屈しない。……そう私は確信しています。
 私に出来ることは、この娘を守ることと貴方達を応援することぐらいですが……頑張ってください。」

【母は彼らの強さの事をよく知っている。誰かを護る者の強さをよく知っている。……自分もまた、命より大切な娘を護る者であるが故に。】
【戦う目的は金でも力の誇示でも権力でもない。傍に居る大切な人の笑顔、それを守るのがただ一つの目的だ。】
【それは小さくてささやかなものに見えるかもしれない。でも、実は一番大切なものなのだ。―――その事を分かっている彼らは、間違いなく強い。】

【暫く優しく微笑んでいた皐月だが、レラの一言を耳にして、俄かに表情が険しくなる。……何か嫌な予感がした、そんな表情だ。】


「――――レイリス、ですって?まさか……――――」

……?おかーさん、どうしたん?――――あ、せや!なあなあレラちゃん!レイリスといえば私のおかーさん、レイリス大のせんせーなんやで!
なんかなー、生き物の研究してるんやって!えへへ、凄いやろ?


【何か考え込むような表情をする母を尻目に、衣織は母親の自慢をする。彼女の話によると皐月はレイリス大の教授らしい。】
【機密事項のため皐月は詳細は全く知らないが、噂で傘下の学園で大きな事件が起こっていた事は知っていた。学内では倫理に反するような実験が行われているとの噂もある。】
【どれもこれも噂の域を出ないので、確証はなかった。信じたくもなかった。――――しかし、もしこれらが事実だとすれば……】
【皐月がレイリス大の関係者と分かったら、二人はどういった反応を示すのだろうか――――】


//お待たせしましたー!お好きな時間にお返しいただければ!
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/07(土) 16:48:00.65 ID:JD+9fVIQo
【街中】

「ヒャハハハ、もォーっともっとだ、暴れまくれェェエエーーーッ!!!」

【街中で叫ぶもの――それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【……さて、今、街は大混乱に陥っている】 【その理由は、見れば一発だ】

「カルケイティア!」 「スペラトール!」 「イドルシンブ共!」
「――さァー、Chaosの素ゥ晴らしさをガァンガン伝えろ、ヤーツァタウンにすゥる事の正しさを教えてやれ」

【そう、街中で魔物たちが暴れているのである――】
【まず一匹、――身長5mはあろうかという巨鳥だ、羽毛・羽根等――あらゆる部位は虹色に輝き、眼は虹色に渦巻いている】
【次に一匹、――体長8m弱程の大きめな蛇だ、頭部から尻尾の方にかけて虹色である】
【そして、そこらにわさわさ居るのが――体長77cm程の虹色で美しい蜘蛛である】

【数々の魔物が暴れ、街を荒らしてゆく】 【――それらに指示をするモノのその顔は、とても楽しく嬉しそうだった】


――――――――――――――――――――――――

【河原】

「……ころす、……ころせない、……こう、こうすれば…………」 「……」

【そこでしゃがんでいるのは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「……これは、しんでる、……だからだいじょうぶなのに」

【目の前には、どこからか流れ着いただろうマネキンがあり、――】
【未知の素材で出来ているだろう、漆黒の折りたたみ式ナイフを手に持った男は、マネキンをそれで刺しまくっている】
【ただ、どうも――急所に刺そうとすると、どうしても無意識にずらしてしまうようである】

「どうして、ボクはいうこときけないの……?」
「……これが、ボクのホンネだっていうの?」 「…………いやだ……つよくなりたいのに……」

【――己の甘さが嫌で嫌で、しかしどうしてもそれを振り切れず、男は苦悩していた】


/どちらかお好きな方をどうぞ(ちなみに上の奴は中盤ごろまで乱入可ということで……)
/とりあえず19時頃まで置いてみるテスト
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 17:34:46.47 ID:B1K/HhRI0
>>815


んにゃ…そうさねぇ今のところはアタクシだけなんですがぁ…
なんとなんと?もう少しすると、増える?かもしれないなぁなんてなんてなんて…

【また変わる。気分のおかげか、はたまた何か別の”力”が働いているのか】
【一定のペースで一人称が変更する彼女は、けだるそうにガラスの扉を押して開いたのだった】
【扉の開閉がある種のスイッチになっているのだろう。頭上にある、蜘蛛の巣が張ったシャンデリア―――電力不足か蝋燭型電球の全ては灯っていないが――が点灯した】
【しかしそれでも、赤絨毯が通っている廊下部分しかまだ灯っておらず、不気味ともいえる薄暗さがあった】


社長がワタシだけだから、就職はしやすいと思いますよ? 現在応募が無いですが
仮に就職したとしますと、しばらくはあちらの受付業務が主となります。

【入り口から5mほど行ったところで、ふと歩みを辞め、右へと視線を移した】
【そこはどうやら受付らしく。受付と書かれたプレートが四角形のカウンターの上に埃をかぶっておかれていた】
【カウンター側の壁は薄暗く見づらいが――弾痕と、うっすらとこびり付いた朱が見えるだろう。しかも、かなり古くからあったかのようである】

【彼が勘が鋭いならば――この時点で幾つかの事柄に気づくだろう】
【一つ、あの密集した裏通りにひっそりとただずむビルにしては、非常に奥行きがあるのだ】
【何か幻覚の類でも見ているかのように――延々とこの赤絨毯が続くようなのである】

【一つ、先程まで彼女が肩に背負っていた金属光沢をもつ看板が、なぜか消失している】
【体の前後につけられている垂れ下げられた看板はいまだ消えていないにもかかわらず――どこかに置いたのか?はたして――】

【一つ、埃ぐさいこのホテルには、先から同じでうっすらと血の気配がするのである】
【それも壁の所々に赤い染みとしてや、花を軽くつく程度の香りとして――実に多岐にわたる】
【演出としては実に悪趣味で――おそらく、その線はないだろう】



――引き返しやすぅ?わぁかぁだんなぁん? 今なら間に合うのかもねぇん?

【中ほど行った後、彼の顔を覗き込むように、あのバカにしたような抑揚で話しかけた】
【彼を嘲笑うような笑みを浮かべるその顔――瞳の輝きが見事に違っていた】
【”基地外”とも形容されるような――とても少女が浮かべるソレではない】

/昨日おとといとすみません…
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/12/07(土) 19:12:06.31 ID:dO88ZfGYo
>>872

うむ、このみせのひょうばん≠ヘ、まえから聞いていたからな! こう見えてかおがひろいのだ、わたしは!

【タルトを口にして綻ぶ衣織の顔に、レラは瞳を大きく見開いて嬉しそうにそれを眺めると、鼻高々と言った様子で笑う】
【しのび≠自称し、世界中の悪と戦う者であっても、プライベートではまだまだ歳相応の少女であるようだった】
【幾度戦いに赴いても、その心を戦火の色に染めず、何事もなく日常に回帰する。それは簡単なようで、とても難しいことであって】
【この少女にそれが出来ているのは、ひとえに――――レラの笑顔を横で眺めている、周囲の大人達の努力の結果なのかもしれない】

「ま、自警団も一枚岩じゃない。中には家族のためとかじゃなく、純粋に正義の為だったり悪を倒すためだけに戦う奴だっているけどな。
 俺が自警団に入ったのは、元々貧乏な家族を食わせていくためだ。そこそこ高給で、実力があればガキでも雇ってくれる所ってことで、ちょうどよかったんだよ。
 その考えは今も変わってねえ。だからまぁ、真面目に悪と戦うために自警団入りした奴から見ると、志が足りんっつって白い目で見られることもあるが………。
 ―――後悔はしてないし、間違ってるとも思わない。自分の手の届く範囲も守れない奴に、他の奴なんか救えねぇさ。
 その点、俺達に頼り切りにならず、自分の手で大事なもんを守る気概がある―――あんたは、俺達に引けを取らないぐらい強いと思うぜ。母は強し、ってな」

うむ、わたしがじけいだん≠ノ入ったのも、にいさまやとうさまのような、りっぱなしのび≠ノなるためだ!
いつか大きくなって、わたしもまもられるがわから、まもるがわになりたいのだ!

【自分達を賞賛する皐月に対し、アサドは少しだけ過去を語りながら、逆に皐月を――――母というものの強さを、賞賛し返すだろうか】
【アサドは家族を養うためだけに、自警団に入った。正義も悪も無い、ただ家族を守るために。現実的に金≠ニいう力がどうしても必要だったのだ】
【言葉の端からは、言いも言われぬ苦労が滲んでいるが、その心根は決して苦難に根ざしてはいない。今も昔も、家族のためという軸は変わっていないようだった】
【レラもまた、兄と父の背中を追って自警団入りしたようで――――そこに、悪を強く憎む理由はない。とても即物的で、しかし純粋な憧れがあるだけ】
【高尚な志のためではなく、身近なもののために戦う。そういう意味ではこの二人、自警団内でも比較的庶民派と言えるかもしれない】

生きもの≠フけんきゅう? それなら、わたしも少しはわかるぞ!
すなの国の「アナグラサソリ」に、みずの国の「タテジマガエル」、ひの国の「ナガヅメトカゲ」………そのあたりは、つかいなれているからな!
それにしょくぶつで言えば、そうだな……。

【レラは衣織と皐月の顔を交互に見やると、したり顔で持っている生物の知識を披露し始めるだろうか】
【例として挙げられた三種、何故かどれも毒を持つ生物の名前であって。次いで口に出される植物の名もまた、毒持ちか食用の野草の名前だ………】
【――――その不穏な名詞の羅列を、衣織が聞いているうちに。アサドは皐月の反応を見て一瞬眉間にしわを寄せると、しばし考えた後】
【皐月にしか聞こえない音量で、ともすればレラよりも不穏な台詞を囁くだろうか】


「………そうか、皐月さんはレイリス大の関係者だったか。だったら、あんたを信頼して少しだけ言っておく。
 最近本格的に、GIFT≠フ連中があそこを狙って動き出したようだ。今のところ学園≠セけで、大学≠フ方には飛び火していないようだが。
 ―――気をつけるんだ。外部だけじゃなく、内部≠ノも。被害者が、加害者にならないとは限らない」

【それは、箴言だった。同じように家族≠守る者から、子を守る母へと贈られたもの。善意から紡がれた悪意≠フ示唆】
【過激な能力者選民思想を掲げるテロ組織に、動きがある。だがアサドが真に言いたいのは、外からの襲撃ではなく、内部からの迎撃反応に対する注意だった】
【GIFT≠ヘ過激なテロ組織だが、それと正反対の思想を持つレイリス大側もまた、それへの警戒のあまり過激な思想に走りかけている………可能性が、ある】
【外からの襲撃であれば、自分達が干渉して対応することが出来る――――だが内からの過剰反応は、それに背を向ける自分達ではどうしても干渉しづらい】

【自警団の力が届かないような異変≠ノ巻き込まれたとき、注意しているのといないのでは雲泥の差だ。この言葉には、そういう意図があって――――】
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/07(土) 19:16:57.70 ID:wUYLxIvc0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 公園】

…………――――

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【ベンチに座り、無表情のままに右手で情報端末と思しきものを操作しながら、左手でビスケットを頬張っている】
【情報端末には、よく見ると『杖』の刻印が刻まれており、どちらかと言うとその動きに集中しているらしく】
【左手で口元に運ぶビスケットは、ゆっくりと咀嚼され、ペースが進んでいない様だった】

……新しい六罪王……奪われた宝玉……――――必ず、いつか激戦になる…………
その時には……全力で戦えるのかな…………死ぬかもしれないくらいに…………
…………セリーナさんは、どうするつもりかな…………

【ぼうっと端末の画面の発光を顔に浴びながら、少女は虚ろな表情でポツリと口にする】
【なんら感傷の伴わない、ともすれば人の声とは信じられないほどの、無味乾燥な音としての小さな響きだった】



【――――所変わって、櫻の国 草原】

…………ッ
「……あまり、無茶は、しないで……」
<…………>

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女と】

【ブロンド色のさらさらした髪を短く切り揃え、炭団の様に濁った灰色の瞳をした】
【首筋に、逆五芒星の刻印を刻みつけている、身長130cm前後の少年と】

【短いボブカットの赤髪に、奇妙な笑みに近い表情を見せる、ぎらついた紅色の瞳をした】
【右の頬に、逆五芒星の刻印が刻みつけられている、身長160cm前後の少女が】

【それぞれに違った雰囲気を纏いながら、静かな草原に佇んでいる】
【東洋系の少女は、その顔に苛立ちと悔しさの様なものを覗かせながら、微かに目元を震わせていて】
【ブロンドの髪の少年は、そんな少女に気まずそうに寄り添いながら、そっと言葉を掛け】
【赤髪の少女は、そんな2人の事を沈痛な面持ちでじっと見つめていた】

「……思いつめ、過ぎても、ダメだよ…………それじゃ、何も、良くならない……」
……分かってるわ。分かってるわよ…………でも、こればっかりは…………上手く、飲み込めないのよ…………
<…………>

【心配する様子を見せながら、慎重に言葉を選ぶ少年に、感情を抑えつけながら返事を返す東洋系の少女】
【3人が共通して纏う、ある種の危険な雰囲気さえなければ、それはただ哀しくも暖かい光景だったのかもしれない】
【食いしばられた東洋系の少女の口元には、彼女の抱えている悔しさが表われていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

/21:30まで受け付けます。最初は遅くなるかもしれませんが……
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 19:54:25.42 ID:kaxCirszo
>>868

ああ…そうかい。ま、なら…親子水入らずよろしくやってくれ

【男は煙草の煙をわざとらしく大きく吐き出して】
【寒そうにポケットに手を突っ込めば、男は吐き捨てるように言う】

あんたらの動向か知ったこっちゃないし、アンタのやることだってどうだっていい…
だが、俺の価値は俺が決める。…覚えとけこの野郎

【サングラスに隠れてみえないその目、真っ赤なその目は純粋なほどに真っ直ぐで】
【それで目の前の男に対して冷徹に貫くほどに睨んでいた】

そうかい……少しはその秘密主義も崩してもらいたいものだ
ベイビー、探すこっちの身にもなって欲しいって話だ…
まあ…戦場にいくぐらいなら路地裏で暫くよろしくやるさ

【相手が白衣を翻して、また靴音を鳴らして立ち去っていくなら】
【ほとんど同時、彼もまた反対側の道へと歩き出した…】


/遅くなってすみません!お疲れ様でした!
/又の機会あればよろしくお願いします!
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 20:43:41.86 ID:GfOHgIAT0
>>875
何それ!何なん?えーっと、なんとかトカゲとかいうやつ……
わたしが知ってるのはアマガエルとかふつーのやつばっかりなんやけど……レラちゃん物知りやなぁ
……あ!それは知ってるで!食べられるやつやろ!――――

【勿論衣織は挙げられているそれが何なのか1割も分かっていない。でも、何やら色々熱心に語るレラを感心するように見つめている。】
【様々な生き物に触れる機会が多い学者の娘とはいえ、毒を持つ動植物には触れさせてもらっていない。危険な生物は子供に近づけないという皐月の方針だ。】
【時たま出てくる食用植物についてはよく知っているので、その話になればここぞとばかりに自分の知識も披露する。……野草について語り合う少女達とはなかなか珍しい光景な気がする。】

【一方で普段なら娘の会話に割って入るほどの皐月が、今は二人の会話に目もくれずに険しい表情となっている。……自警団が介入するほどの事件、薄々思い当たる節があった。】
【研究者仲間から聞かされていたある噂―――――自分が教鞭を執ることになった大学の、黒い噂。そして大学の一部の“能力”に対する姿勢。】
【そして、最後につい最近起こったと噂されている学園内の事件。これらすべてが事実ならば……もしかしたら、自分の想定しているよりも強大な黒い影が動いているかもしれない。】
【その疑念は自警団の、アサドの言葉によって確信めいたものへと変わった――――】

「……GIFT……話に聞いたことはあります。過激な能力者至上主義の組織……最近大規模なテロも起こしたらしいですね。
 そうですか、学園の方にGIFTが……――――学園は能力に否定的です。そこに能力者至上主義が入り込めば、アレルギー反応が起こる可能性は大きい。
 ――――最悪、大学側が学内の能力者弾圧に傾くことも想定できる。」

【学園内でGIFTとの内通者がいたという事実、それは単にひとつの脅威を示すものではなかった。よく働く学者としての頭が今回ばかりは嫌になる。】
【想定すればするほど予測できる自体は悪い方向へと向かっていく。……大学自体がGIFTと変わらないような過激な組織と成り果てる可能性もある。】
【ただでさえ無能力者がトップを占め、指導方針も無能力派の学校だ。そこにGIFTが介入したことが明らかになれば、過剰反応は目に見えている――】
【能力者選民思想に反発するかのように、能力を悪と決めつけ弾圧する……そんな最悪のシナリオも考えられる。】
【加えて自分は、そして愛娘は、能力者だ。――――事態は、想像をはるかに上回り深刻なのかもしれない。】


「……ご忠告、ありがとうございます。娘も、私自身も……私がきっと最後まで護ります。―――絶対に。
 きっと近い将来大きな動きがあるでしょう。そこに警戒出来るか出来ないかは大きな差です。」
 
【恐らくこの先自分に、娘に、なにか大きな出来事が起こるだろう。小さな変化に気づけたか否かで、大きく生死を分ける可能性がある。】
【故にアサドの忠告は彼女にとって大きな物だった。我が身を取り巻く様々な状況をもう一度精査する必要性を喚起してくれたのは、この先大きな結果となるだろう。】

//続きます!
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 20:44:10.40 ID:GfOHgIAT0
>>875

【――――気難しい顔をしていると、横から愛する娘の声が聞こえてきた――――】

……?おかーさん、どうしたん?思いつめた顔して……

「……お母さんはずっと衣織の味方だよってお話。衣織がずっと笑っていられるようにお母さん頑張るよって。」

―――よく分からんけど……えへへ、わたしもずーっとおかーさんの傍にいるよ!

「―――――ありがとう、衣織。」

【暫くして話し込む皐月を不思議そうに見つめていた衣織が声をかけると、皐月は優しく微笑みかける。何があってもこの娘だけは不幸にしない。そんな皐月の決意を衣織が感じるのは、まだ先の話か……】


【さて、美味しいお菓子と近い将来への重い話を終えた所で、そろそろお開きの時間だ。皐月は衣織の分のトレイを自分のと一緒に返却口に持っていく。】
【衣織はというと、話し込んですっかり親しみを持ったレラとまだ話している――――】


なーなーレラちゃん!その、えーっと……プレゼントや!これあげる!
最近寒いやろ?外に出かけるときええかなーなんて……えへへ、良かったら貰ったって!


【そう言ってポケットから取り出したのは、紺色の毛糸で織られた手作り感満載の手袋。衣織の手のサイズに合わせて作っているが、年も背格好も大して変わらないレラならサイズも問題ないだろう。】
【寒い季節に暖かいプレゼント、喜んでくれたら衣織は嬉しい。最も忍とかいてしのびなのだから、寒さにも敢て耐え忍んでいるのかもしれないが……】

【小さな手袋が無事レラの元へと渡せたなら、もう一度ニコッと笑って見せて……母の元へと駆け寄って手を繋ぐ。】
【皐月はアサドの方へと向き直り、もう一度礼を言う。この先、彼の忠告がきっと役に立つだろう―――】


「今日は本当にありがとうございました。―――アサドさん、レラちゃん。貴方達もみんなを、そして自分を、守ってくださいね。絶対ですよ!」

じゃあレラちゃん、また会おうなー!

【そして二人は手を引き合って帰路へと就く。そこには“まだ”、平和な家族の空気が流れていた――――】

//遅れてすみません、これで〆ということでお付き合い頂き有難うございました!
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 21:06:23.35 ID:JCr5sQXh0


【強盗に於いて最も優先される必須事項とはなにか】


――――……、



【問われれば、自分は間違いなく速さと答えるだろう】



――――3分。
初めてにしては、まぁ、上出来じゃあないかな

【人々の息遣い以外、物音一つ立たなくなった店内】
【屋台で買った贋作の金時計から目を離し、サングラス越しにそう嘯く】
【近付いた受付係が震える手で指しだしたアタッシュケースを受け取り。漸く懐に忍ばせたオートマ拳銃片手に、踵を返して銀行から往来へ一歩】
【途端に冬の寒波が身に降り掛かり、手袋を嵌めた手で、思わずコートの襟元を掻き合わせる】


ふぅっ、寒――――。 やっぱり今の季節に遣る作業じゃあなかったかもね
さて、後はタクシー拾って適当に終わらせるか…


【他所行きではない本来のナマの声】
【白い息を吐いて頭を掻くついでに銀色のカツラを外す。現れた短い黒髪を軽く梳き、外した其れを近くのダストボックスへ投函】
【これで自分は、めでたく詳細不明の銀行強盗から仕事帰りの一般市民――性別女――に戻った事になる】
【とはいえ、色眼鏡(サングラス)だけは掛けたままにしておく。念には念をというわけ】
【折しも、ではなく狙った時刻だが、周りは丁度帰宅ラッシュ。混雑する通りを避け、駅前へ向かおうと通り脇の裏路地へと足を進めた】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/07(土) 21:48:14.77 ID:Do4WTsI6o
>>880
/まだ募集してますか?
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 21:49:13.14 ID:8KapZ2lm0
>>874

……よう分からんけど……人、増えるんならええことやな、
案外"広い"みたいやし……掃除も、かなり、せなアカンみたいやし……


【こんなホテルにも働こうと思う人間が居るのか、世界は広いものだ、なんて引き攣った笑いを見せる。】

【全てが点灯しないシャンデリア。ぼうっと、へばり付いた蜘蛛の巣が浮かび上がって。】
【血の匂いには、極めて敏感だった。一応の赤絨毯から、うっすらと感じ取れば、『マジかー…』と落胆の表情。】
【少年は其の時、彼女の背後を取っている位置関係だった。声にも出さなければ、気付かれなかっただろうか。】


ああ、社長さんやったか、これは、覚えとかなアカンな、………
―――受付か、了解やで。……今のままやったら、暇すぎる、けど、な。


【手と足をブラブラと振って。ぎゅーっと背伸び、其の侭、右左に身体を曲げている其の様子は、】
【まあ、其処まで不審な動きではない筈だ。―――然し。一体何故、今、"準備体操"をするのか?】
【これから、何か身体を動かす必要が出て来たという事。加えて、洞察力があれば、其の理由まで読み取れるだろうか。】

【少年の此のホテルに対して抱いた第一印象。其れは、"広さ"、意外にもそれなり、であると、何となく感じたと言う物。】
【然しよく店内を眺めてみると、其れは徐々に、"一つの違和感"へと変貌を遂げる。赤絨毯が、延々と続くように見えたのだ。】
【結局の所、薄暗い故の錯覚か何かか、と思う事にしたのだが。―――少年の勘は、随分と優れた物だったと考えて良いだろう。】

【もう一つ、弾痕のカウンターに目をやって、その後彼女を見た其の瞬間、再び。今度は彼女について、違和感を感じる事となる。】
【何となく、何かが足りないような、そうでないような。然し此れも、金属光沢をもつ看板が消失したのだと気付くには至らず、】
【確証の無いまま。結局は、迷宮入り、という形で、思考を止めてしまった。】


間に合うって、何のことかいな?
……俺はもう、"決めた"し、引き返したりは、せえへんで。


【眼の色が、彼女の様子が少々変わっているのは、クスリのせいか、其れ共何か別の力が働いているのか―――。】
【少年の頭の中に、難問が、次から次へと、積み重なっていく。……既にパンクしそうな程、だったのだが。】
【然し其れでも少年は、凛とした眼差しを以って、嘲る彼女に応じる。―――確固たる意志が、其処に光っただろうか。】


/すみません気付くの遅れました、大変申し訳無いです……!
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 21:57:38.28 ID:JCr5sQXh0
>>881
/おりますよー、あまり遅くまでは出来ませんが…
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/07(土) 22:16:37.83 ID:Do4WTsI6o
>>880

♪〜〜♪〜〜〜

【鼻歌が、低い声色から成って聞こえてくる。路地裏の闇の奥から不気味に響く】
【彼女がそのまま進むと、ぬぅと闇を掻き分け表れる鼻歌の主は、冷たいコンクリートに背中を預けて、手には皿を持ち、ふるふると震える白い立方体を見つめていた】

…お豆腐です

【彼女が来たのを察したのか、しかしながらもとより来るのを知っていたかのように、不意に語り出すそのナニカ】
【手荷物皿に乗っかった物が何か、一言呟くと、顔であろう物を彼女に向ける】

【彼は男性───に、見える、体系と服装をそのまま見れば】
【背の高いスラリとした体系に、黒いスーツを着て白手袋を履き、色取り取りの四角が散りばめられた模様のネクタイを巻く】
【皿の様に大きく別々の方向を向いた瞳の両目と、月の様にひん曲がって歯を剥き出しにした口…の飾りを付けた箱を頭に被っているのが、どうしようもなく異様であった】

見てください、こんなに柔らかいのにこんなにしっかりと角が立っている。辺と頂点がきっちりとした角度だ
そして、多少勿体無く、豆腐屋のおじさんには申し訳ないのですが、この角に頭をぶつけるべきお方がどうやらいるようだ

…もう、おわかりですね?

【うっとりと、真っ白で柔らかい立方体について語りながら、壁から背中を剥がし一歩二歩、彼女に向かい合うと、静かに語る声色は不気味に反響する】
【ピタリ、向かい合うと豆腐が静かに揺れるのと反面、彼は動かなくなり、最後に発した言葉はつまり───警告であった】
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 22:31:55.88 ID:JCr5sQXh0
>>884


…あちゃ、ビギナーズラックも此処までってか


【影が現れると同時、神経は針のように集中し。そうして、暗闇から抜け出した異様を前に、二つの意味で落胆を漏らす】
【皿の上の供物と、それを捧げ持つ者の顔らしき部分を見比べて、珍妙さと自嘲の入り混じる笑いを作り】
【ぽいと、大事に抱えていた筈のケースを、路地の隅に投げ捨てて。改めて退治した相手へ睨みを利かす】


食べ物は粗末にしちゃいけないと昔、婆ちゃんに教わったものでね。 悪いがそんな不遜な輩がいるなんて俄かには信じられないな


【コートの下から取り出したのは文明が練り出した死の凶器】
【黒塗りの拳銃と弾倉、左右の手に一つずつ提げて。】

悪いが、急がないとダンスパーティに遅刻しちまう。可及的速やかに其処を退いてくれると助かるんだが

【革靴の踵を打ち鳴らし、2、3歩距離を取るは警戒の心構え】
【口調とは裏腹に、敵愾心を内心に秘めて意味のない確認を差し伸べてみる】
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 22:32:26.59 ID:B1K/HhRI0
>>882


うっすうっす……あーあっ…にゃやんだんだけどね、見せるかッ……

【半笑い、少しの迷いか、なんなのか、語尾が震えた声を出しながら】
【一角、調理場と書かれた黒い扉の前で立ち止まる】
【その扉だけ、先程までの埃まみれの物とは明らかに違う様子で――今朝とってつけたかのような新しさがあった】
【如何にもというような怪しさを出しながら、その扉は開かれたのだった】

―――これが今朝の仕入れ先のヤツ?

【室内。扉の前とは見違える程明るい調理場は】
【レストランでイメージするような調理場通り、シンクとコンロ。肉切り包丁などが整理整頓されている10mの正方形のような場所だった】
【3列ほど、ステンレス製の調理場が並んでおり、その列ごとの間隔は人が一人はいるほど】
【手前と奥はそれぞれ、空き空間が設けられており、左右の移動はその空間か、シンクを飛び越えることでしかできなかった】
【彼女たちの頭のところには、各種鍋がきれいに整頓され、掲げられていた】

【そこの奥に倒れているのは「4分の2」ほど――両腕と両足を断ち切られ、縄で巻かれ、目隠しをされた】
【50代後半とも思われる、裕福な体型をした男性の”肉”であった】
【その横には、九年代の木製の冷蔵庫が――血で染まりつつ――置かれていた】


――で、どうする?私とやっちゃう?やっちゃう?
その前に事情聴取でもすんのかなぁ…? 

【怪しく笑う彼女の瞳は、先程まで彼女が背負っていた白銀と同じ色をしていた】
【前後に下げていた看板を地面に下すと――返り血で染まったコートがあらわになり】
【口を三日月のように嫌悪感を抱きそうな格好にして放つ言葉たちも】
【すなわちこのあからさますぎる険悪なホテルと、この一人の男を処理したのが】
【間違いなくこの看板娘であると言っているかのようであった――】

/遅れてすみません…
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 22:33:19.60 ID:kaxCirszo
【酒場】

【一口に酒場といっても今じゃおしゃれな半地下のバーもチェーンの居酒屋も】
【ネオンが光るパブもイカしたババアが居るスナックも含まれてしまう】
【だが、ここはイメージ通り。スパゲッティ・ウェスタン風の大きな酒場だ】

【店先に馬が繋がれていることはないが、木製のスイングドアで入れば板張りのホール】
【丸テーブルが幾つも群島の様に置かれ、椅子がそれらを囲んでいる。奥の壁は端から端までカウンター】
【酒瓶の並べられた棚も壁一面にあり、ウエスタンが好きそうな風貌の店主がパイプをくわえてグラスを拭く】
【オルガン奏者も居て、軽快な音楽を奏で、映画のポスターや鹿の剥製や牛の骨が飾られている】
【もちろん、西部劇には欠かせない。ゴロツキ達も―――――】

――――『てめえがイカサマしたんだろうが!!ああ?!』

【ばりんとバーボンの瓶が床で割れる。テーブルが蹴飛ばされて周りの客達も振り返った】
【髭面の男が立ち上がって、椅子に座っているサングラスの男の胸ぐらをつかんでいた】
【他にも2人の若い男がニヤつきながら立ち上がってサングラスの男を囲む】

してねえよ。…証拠でもあんのか

【背もたれに押し付けられつつ、しゃがれた声で言う男。サングラスは西部劇には不釣り合いかもしれない】
【身長は190弱。しかし体格は見るからに細い。黒髪で毛先がサングラスのレンズよりも長くボサボサと伸びていた】
【黒い4つポケットのレザーコートに黒シャツ、ジーンズの出で立ちで、聖母を模したアクセサリを首から下げている】

『なっ!……殆どテメエが勝つなんてオカシイだろうが!!』

それはテメーらが、グルになって、カモを何回か勝たせて…乗せてから
高レートで全部スッちまう為に、そのカードに細工してるのが俺にバレたからだよ

【テーブルにはトランプカードが散らばっている。ポーカーか何かの配置だ】

『がっ!……クソッ!!ナメた口利きやがって!!ぶっ殺すぞ!!!』

【一触即発。大騒ぎはそこだけで店中、静まり返っている】
【髭面の男が顔を真赤にして怒鳴り散らす。そして右手の拳を振りかぶった――――】


/リサイクルですがよろしければ…
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/07(土) 22:54:24.64 ID:Do4WTsI6o
>>885

【プスッ≠ニ音がした、それからズゾゾゾゾ≠ニいう気味悪い音】
【何処からか取り出したストローを豆腐に刺し、そのまま吸い取る(どうやって?)と、ハンカチで口の周りを綺麗に拭く】

そうですね、やはり豆腐はお醤油とネギで頂くに限る
うん、いいお手前でありました

【醤油もネギも無いのに、しかもストローなのに何を───と、彼の目の前にいきなりそれは現れた】
【プレゼントボックスのような綺麗にラッピングされた箱、宙に浮いたそれの蓋を開いて中に皿とストローをブチ込むと、プレゼントボックスは不意に消える】

ダンスパーティ…はて、私は招待された覚えはありませんが
パーティに私が招待されない訳が無い、うん、うん…

【ぐいん、と首を傾げて言うと、考える素振りで何度か頷きながら、右手をすぅと挙げた】
【人差し指と親指を立てた、鉄砲の形を頭の横へ、不意にそれを彼女へと向けると───】
【ズパン!#゙女のすぐ横を、何かが物凄い勢いで通過して行った】

…おや、なかなか難しいですね、銃なんてよく撃てる物だ

【飄々として言う、彼の人差し指には、既に新たな『弾』が争点されている】
【指先にある、小さな小さな立方体。鈍く光を放つ黒い立方体が、指先程の小ささでありながら、争点された弾丸としてそこにあった】
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 23:02:57.48 ID:8KapZ2lm0
>>886

なんやの……ああ、アレか、………―――

【彼女が立ち止まれば、少年もほぼ同時に、歩みを止めて。調理場の文字から、これから彼女が何を見せるのかを悟る事だろう。】
【明らかに目新しい扉に、見違える程明るい調理場。道具も随分と整頓されて居るのだから、最近使った形跡なのだと判断して。】
【―――然しまあ、少年にとって此れは、飽くまで"答え合わせ"の領域。右手で頭を掻きながら、少年は彼女の背中を追う。】


―――――…………


【顕となったのは、既に息絶えた、……其れも、無残な姿と為って冷蔵庫に押し込められた、一人の男性。】
【彼女が看板を落とす事で、殺害を示唆するのであろうコートの返り血も見える。―――"確定"、だった。】
【確固たる意志を光らせていた少年の眼は、彼女を睨み。唇を噛み締める其の姿は、男性の不幸を一心に悼み、弔っていた。】


―――事情聴取言うか、まず、現行犯逮捕、や。
……手錠、あんねん。……大人しゅう、捕まらんと、罪、増えるで。

………ああ、一応、言うとくけどな、……俺、結構、強いんよ。こんな見た目、やけど。
……余計な事せん方が、身のため言うか、……まあ、そんな感じや。


【―――少年の語調に、動揺は、一切として無かった。それは寧ろ、"見慣れている"なんて印象さえ抱かせる程。】
【バッグをガサゴソと漁ったかと思えば、取り出すのは金属製の手錠。勿論子供騙しのオモチャではなく、ホンモノである。】
【かちゃ、と音を立てて、片方のリングが開く。もし抵抗がないのなら、そのまま、彼女の、先ずは右手に、其れが掛けられるだろう。】

890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/07(土) 23:05:52.02 ID:RuJW76DPo
【――水の国、の国境付近の街道】
【人のよく通る街道の脇に、"ソレ"はあった】
【"ソレ"は水の国からどこかへ向かう途中なのか街道を水の国から離れる方向へと進んでいた】

【街道の脇を走る"ソレ"は巨大な車というべきだろうか?】
【壁面は下の方はコンクリートを固めたような形になっており、それ以外は塗装した家の壁といった感じである】
【大きさは一軒家より多少大きいほどだろうか、輸送車というには実用性がなさ過ぎる】
【屋根は傾いており、しっかりと雨水を流すことのできる配置となっている】
【また、壁には窓らしきものも付いており、まさしく動く家といった感じであった】
【そしてトラックのように前面に運転席も付いており、そこにこの動く家の運転手が乗っていることは想像に難くない】

【その動く家は街道を進んで行き、国境付近で街道の脇に止まる】
【傍から見れば何もない街道の脇に家が出現した形になる】
【もっとも、ただ単なる旅宿と誤解する可能性も無きにしも非ずだが、この家が動くとは今の静寂では到底思えない】
【ガタンとドアの開くような音がし、そしてバンと閉じられるような音がした】
【周囲には明るく、それはこの家の壁面に設置されたライトのおかげだといえる】

【そしてその明かりの中に一つの人影が出現する】

あ゛ー、今日はここまで進んだか

【明るいライトに照らされるその姿は若干がっちりとした体格の少し背が高い男の人】
【針金色の短い髪に金に近い黄色の髪】
【灰色の作業衣を着ている男は、つい先ほど運転席から降りてきた男】

それにしてもこのままじゃいつたどり着くかわかんねぇなぁ

【そういって男は首をかく、先ほど走ると形容したが、この動く家の速度はそんなに速くない】
【普通に歩いたほうが速い気もするほどの速度であった】

ま、いっか

【そういうと男はその動く家に側面にある玄関から入る】
【そして再び出て来るとその小脇には薪を一束抱えている】
【そのまま男は家の前に薪を組むと軽くオイルを掛けて火をともす】
【燃える薪の脇にブロック塀を一つずつ設置し、その上に鉄板をおく】
【そこにサラダ油を引くと、先ほど家から持ってきたのであろう肉を取り出し、焼き始める】
【滴る油がこげるいい臭いと、肉の音が街道に響き渡る】

【もし今街道を通るものがいれば、街道に昨日までは存在しなかった明るい光を放つ建物らしき物の前で何かを焼いている男の姿が見えるだろう】
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/07(土) 23:06:39.20 ID:xuL6QPdH0
【とある街――通り】

【通り、普通の朝や昼間などでは人々が行きかう場所】
【だが今は夜であり人気など微塵も感じさせずにいた】
【そのような人気がない場所に二人組みの人物が歩いてきた】

【一人は金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そしてもう一人は甲冑をきており、顔に面頬をつけている】

 さてさて、どうしたものかね
『故障で直せないことですか』
 その通りだよいやいや困ったものだね

【白衣の男はそのように困っているような風に行って歩き】
【甲冑の男はその白衣の男の悩みを聞いてもそんなには気にしてはいないようだ】

『あれほど言ったでしょう、整備は欠かさずにしてくださいと』
 仕方なかろう、君の修理やらなんやらでかかりっきりだったんだから

【とがめるような口調で白衣の男に甲冑の男は言った】
【だが白衣の男はその言葉に対してそのように返した】

【さて、いまは夜とはいえこのように歩いている二人組みは誰も歩いていないぶん目立つであろう】
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/07(土) 23:12:51.02 ID:JCr5sQXh0
>>888


……ッ、

【脇を勢いを持った何かが駆け抜けていく】
【それが弾だと理解したのは、相手の手の形とその指先を凝視しての時点だった】
【直前に出てきた箱に気をとられていたというのもある。異様と言い、理解不能な点が多すぎて思わず唸る】


此方(こっち)の猿真似か? 即興で人を片付けようだなんて、横着が過ぎるぜ…っと! 


【殺すつもりで撃ったとしたなら、相手の銃の腕前は脅威に足らずと見た。が】
【取り敢えずは自分から見て右の壁際に寄る。とはいえ取り立てて道幅もない路地裏、この程度では何の防御にもならない】
【盾に使えそうなケースはついさっき自らの手で捨ててしまった】


さて、縁もゆかりもない其方(そっち)には不憫だが、ちょっくらサンズリバーをひと泳ぎ願おうかね
なに、運が良ければ向こう岸から帰って来れるさ


【腕前と言えば、自分とて眉間を狙われながら敵を銃撃出来るほどの腕前とは断言し難い】
【これ以上箱の絡繰りが跳び出す前に、間髪入れず曲げた足を前に踏み出して突進】
【敵の斜め左から放った鉛弾は、相手の胸部の真ん中を狙って1発、躊躇なく放たれた】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/07(土) 23:15:55.71 ID:dO88ZfGYo
>>878 >>879

「機密ってのもあるが、こっちもまだ不確定情報が多くてな。これ以上のことは何とも言えねえが…………。
 ――――あれだけの言葉で、それだけ推測できりゃ重畳。あんたならいざという時、絶対にその娘を守れるはずだぜ。
 もちろん、俺らも動く。俺の家族も、あんたの家族も、それにこの事件に関わる奴らの家族も――――この手で、掬い上げてみせるさ」

【流石に大学教授に相応しい洞察力だ、とアサドは舌を巻く。あれだけの言葉で、こちらの意図を的確に汲み取ってくれる】
【それだけ状況を視る能力があって、かつ事前に注意することが出来たのなら。いつか異変≠ェ起きた時、いち早く対処することが出来るはずだ】
【家族=Bそれはアサドにとって、血の繋がった家族であり、深い友誼で結ばれた家族であり、皐月と衣織のように志を同じくする家族のことでもある】
【――――銀色の双眸が、不敵な笑顔を浮かべる。黒くて大きな掌が、家族を必ず守り切るという誓いを、強く強く握り締めて】
【母と娘のかけがえのない会話を眺めながら、その掌は再びレラの頭に乗せられる。レラは子供扱いされたようで口を尖らせながら、猫のようにそれを受け入れた】

【そんな、大人同士の会話をよそに。レラは衣織とすっかり打ち解けた様子で、フォークを振り回しながら自分の知識を熱弁していたのだが…………】
【アサドがそのフォークを取り上げ、皐月と同じように二人分のトレイを片付けに行ったのを見て、そろそろお開きだと察したようだった】
【レラはしばし寂しそうに瞳を伏せるも――――衣織のポケットから取り出されたものを見ると、ぱぁっとその表情も明るくなる】

おお、衣織のてづくりか! かわいいな………サイズもぴったりだぞ!
よし、わたしも何か…………。

【レラは紺色の手袋を受け取ると、早速嵌めていた皮手袋を脱ぎ捨てて、手袋を着用する。材質のせいだけではない温かみが、掌からしかと伝わって】
【代わりに何か渡そうかと、レラは全身をまさぐるのだが…………その表情は、だんだん慌てたものに変わっていって】
【淡黄色の瞳に少しだけ涙が滲んだ頃、その瞳が唐突に淡い光を発する。それと同時、掌に手裏剣やら針やらが次々に現れて、机の上にバラ撒かれるだろうか】
【恐らくテレポート系の能力だろう。その後も、瞳が光ると同時に様々な武器――――いや、暗殺に特化した暗器≠フ類が次々に現れては机に山積する】

【だが…………それだけの暗器を持っているのに、友達≠ノあげられるプレゼントは何一つないことに気づくと、レラは瞳に涙をいっぱい溜めて――――】

/続きます!
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/07(土) 23:16:31.98 ID:dO88ZfGYo
【…………それが溢れ出すより先に、アサドがレラの背後に立った。彼は衣織に見えないように、レラの掌に何かを握らせる】
【するとレラは急に嬉しそうになって、一度アサドを振り返った後、衣織にお返しの品を差し出すだろうか】

おかえし、だ! たいせつにしろ!

「そういうわけだ…………手作り手袋に比べたら格は落ちちまうけど、まぁ受け取ってやってくれよ、嬢ちゃん」

【衣織に差し出されたのは、小さな携帯ストラップだ。可愛らしいキャラクターがケーキを頬張る絵が描かれている】
【実はそのキャラクター、他ならぬこの店のマスコットなのだが…………アサドがたった今レジで買ってきたばかりのものであるとは、もちろん二人とも言わない】
【例えそれが気付かれたとしても、衣織ならば。今日出来たばかりのレラの新しい友達≠ネら、きっと黙って受け取ってくれると信じているから――――】


「あぁ、絶対だ! あんたらも達者でなー!!」

こっちもぜったい≠セぞ! またいっしょに、おかしをたべようなっ!

【そうして二人は、店の前で帰っていく親子を見送るだろう。アサドもレラも大声を張り上げ、元気よく手を振って】
【それはまるで、兄と妹のよう。血は繋がっていなくとも、兄貴分と妹分。そういう形で、ここにも確かに家族≠ェ在った】
【…………やがて二人は、衣織と皐月とは違う日常へ帰る。アサドの背中のケースが重たそうな金属音を立て、レラが一歩踏み出せば仕込んだ暗器が僅かに鳴る】
【果てない闘争の道へ、舞い戻る――――けれど、いま、レラがアサドの手を掴んだ。その手には、暖かそうな毛糸の手袋をして】
【アサドはその手を優しく握り返し、お互い軽口を叩きながら帰路に就く。歳の離れた兄妹のように、楽しそうに】

【その前途にあるものは、決して闘いだけではない。暖かな家族≠フ絆を、アサドとレラが忘れない限り】
【そう、それさえあれば――――いまは別の道を行くあの親子とだって、きっとまた再会できるはずなのだから】


/二日間、ありがとうございましたー!
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 23:33:43.19 ID:B1K/HhRI0
>>889


【強いという言葉に、ニヤッと不敵な笑みを一層強める彼女】
【このホテルの内装を作り出したのが彼女である以上、こうなることを望んでいたとも思えない事は無い】
【自分を捕まえる可能性がある人間を探していた――いや、それとは異なる】
【その笑みにはそういった感情が混在しているようには思えない―――気色悪いほどのバカにしたような感情だけだった】


それは心配してくれるのかなぁ…?だったら嬉しいって感じの感じの感じ?

【手錠から避けるように、体を右に半分回転させながら、左手でをコートのポケットに突っ込んだ】
【先程まで舐めていた飴のスティックを素早く取り出すと、勢いよく地面に叩きつけようとする】
【一種の小型発煙筒であろう。彼が特にそのスティックを持たなければ、地面へと着地し――勢いよく煙幕をまき散らすだろう】


【発煙筒がうまく効けば、厨房の奥へと走って逃げていくだろう】
【その際、扉から勢いよく、銀色の金属光沢をもつ看板が――飛び出してくるだろう】
【ただしそれは見かけの金属で、銀色のゴムではあるが】
【まるで彼女が操っているかのように、空気を切って進んでくるが、何せ音と気配がすごい】
【発煙でやられていなければ、避けることは容易であろう】
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/07(土) 23:44:51.83 ID:Do4WTsI6o
>>892

【ふむふむ、と頷きながら、自分の指鉄砲を眺める箱男であったが、彼女が動き出すと同時に再び指鉄砲を発射】
【斜め下に撃たれたそれは大きくそれて、黒い立方体は地面に角から減り込む】

【間髪入れずに撃たれた弾丸、しかし彼女が銃口を向けると同時に、箱男は左手を開いて前に出す】
【カンッ!≠ニ鋼鉄を撃った音が響いた。その瞬間から、箱男と彼女を隔てるのは黒い板】
【その板に刺さった弾丸がポロリと落ちると、凹みのついた板が電源を落としたテレビ画面じみてその場から消え去る、後ろにいたのは左手を差し出した箱男】

実を言うと泳ぎは得意なんですよ、頭が浮くので潜水は苦手なのですが
…やはり同じ土俵とは見くびりすぎていましたか

【左手を引き、代わりに強調する右手、その手の中に黒い立方体が幾つか生まれ、四角を幾つか組み合わせた片手剣が形作られる】
【長方体の柄と、板の鍔、そして更に薄い板の刃で出来た、異形の剣】
【斬れ味を確かめる様に左手人差し指で刃を撫でると、「いてて」と声を漏らし慌ててから、何事も無かったように彼女に向き直る】

さて、それでは───

───《板割(イタワリ)》

【すぅと構えた片手剣を、その場から振り下ろすと、剣自体は空を斬る】
【しかし、剣が斬った空間から生まれた黒い薄い板が、鋭さを持って回転しながら彼女へと飛んで行く】
【その板の剃刀の様な斬れ味は驚異、しかしかわせない早さでも無ければ、その薄さはサイドへ回避のしやすい物でもある】
【だが、気を付けるべきもまたその薄さ、正面から見た紙一枚の厚さがよく分からない様に、真正面からは非常に視認が難しい】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/07(土) 23:54:28.37 ID:GfOHgIAT0
>>879
//やっぱりなんか気になるので最後の行だけ訂正させていただきます……!

【そして二人は手を引き合って帰路へと就く。この先に待ち受ける波乱の中でも、きっとこの親子の絆だけは変わることはないだろう――――】
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 00:03:41.51 ID:AGlB+yN00
>>895

【明らかに犯人である相手に、現行犯逮捕、と言って手錠をかけようとし、実際に大人しく捕まった人物なんて、そうそう居ないのだ。】
【経験上、抵抗されるのは、良く有る事。……だから、こそ、"何かが起きる"事への予測は、極めて容易だったのだ。】
【―――然し勿論、スティックから煙が放たれるという事が分かっていた訳ではなく。2度のバックステップは、彼女を取り逃がす原因となった】


―――これ、宣戦布告、言う事やな。
……本気で、行くで、……俺、腹、減っとるんよ。


【―――遠くから聞こえて来るのは、空気の切れる音。金属が織り成す其れとは違っている事に気がついたが、看板なのだから、と少年。】
【目を瞑る。先ずは其の軌道を、読むことが先決だったのだろう。―――とは言え、其れは僅か1秒間の出来事、直ぐに行動を移す。】

【少年は調理台に手を添えると、其の侭身体を半回転。其の間、看板を避けられかつ、ベクトルを失う事の無い動きを、瞬時に思考し。】
【道具が引っ掛けられている金属製の棒を、片手でぎゅっと掴んだかと思えば、体勢を低く取り、少年はそのまま台を2つ、一気にショートカット。】
【看板の放つ音と気配は、最早其の軌道が見えなくとも、あっさりと避けてしまえる程だった……とは言え、普通の人間には為せない動きだったか。】

【結局の所、少し出遅れはした物の、機転の効いた、異常とも言える早さで彼女に迫る少年。】
【後は直線の道を走るだけという頃。走りながら、もう一つ取り出したのは、"ベレッタM92FS"、有名なハンドガンである。】
【慣れた手付き、片手でセイフティを外すと、其れをダッフルコートのポケットの中に突っ込む。―――選択肢は、多い方がいい。】

【厨房の奥へと走る彼女―――少年の彼女には、直線距離にして、6、7mと言った所の隔たりが存在していた。】
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/08(日) 00:16:53.06 ID:ne6hR/6p0
>>896

苦手の理由は火を見るより明らか、ってね
今すぐその剣でオツムの風通しを良くする事を勧めるよ


【一瞬で現れた板に阻まれる弾丸】
【無手であるにもかかわらず対応力は自分より上、ならば攻撃手段は如何ほどかと思案しようとした直後】


……うおッッ!?


【暗い色眼鏡越し、弱まった視界の中では間近に近づくまでその飛来物は察知は叶わずに】
【咄嗟に顔の前で腕を十字に、銃把で受けるも間に合わず。転がるようにして飛び退いた後のは】
【カランッ――と、寸前まで居た位置に、真っ二つに割れたサングラスが地に落ちて破片を散らす】


痛て……くそ、折角の視力1.5だってのに。 目に入ったら失明ものだぜ


【辛うじて開頭手術は免れたものの、俯いた額からはぽたりぽたりと血が流れ】
【銃持つ手で視線を隠しつつ、コートのポケットから取り出したのは銀に光る仮面(フェイスマスク)】
【額から鼻先までを覆う舞踏会向きの其れでで再び顔を隠して、再度離れた場所から対峙する】


跳び出す箱にフライングディスク、手品師(マジシャン)も吃驚の業前とは恐れ入る
今からでも遅くはない、表通りで児童相手の商売に転向すればいいのに。 さぞかし日銭稼ぎになるだろう


【向こうは手から発する箱や剣。対する自分も銃を持つのは己の手】
【今しがたのよう防御手段を阻止するには、こちらの狙いを悟られては意味がない】
【ならばと、己が着るコートの懐に腕ごと銃を差し込んで】

【服の生地で銃口の向く先を覆い隠しての連続ショット】
【構えが付けにくい体勢から放たれた2発の弾丸。それだけに狙いは完全ではなく】
【肩と腿当たりの高さ目掛け、厚いコートに丸い焦げ跡を残して飛び出した】
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 00:30:51.32 ID:WGZPTfWB0
>>898


【看板はブーメランのように旋回し、再び少年の――腰へと直進していった】
【先程と同じスピードなので、逃げることも可能であるが、拳銃であれば3発ほど打ち込めば、黙り込むだろう】
【彼女はなんらあわてるそぶりもなく、血まみれの冷蔵庫を勢いよく開いたのだった】

――あ、ひとつお願い!武器使うんだったら、逮捕とかしないで?


                      遠慮なく殺しちゃって―――お・ね・が・い?


【余裕ともいえるその発言をした後、彼女ほどの大きさの業務用冷蔵庫から黒色の液体が勢いよく流れだした】
【彼女はその全てを顔から下で受け止め――残りは、冷蔵庫を中心に半径4mほどの大きさまで広がった】
【その液体は粘着質のようで、どろっとしており彼の居る場所までは時間を置かなければ届かない様である】
【さて、その流れ出た液体。彼女の前、左右5m先に、取り囲むように、人間の頭のように、”液体”が起き上りだしたのだった】
【起き上りだした液体はおそらく、15秒ほど経過すれば完全な人型となるだろう。身長は170cmほどである。これも看板と同じく、弾丸を埋め込めば起き上ることは無い】


【顔から下がラバースーツのように光沢を持った彼女は、彼がその場所からなんらかのアクションをしない限り、シンクの上の肉切包丁を掴もうとするだろう】
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/08(日) 00:52:13.00 ID:LvkpoS0qo
>>899

おやおや、これでは角に頭をぶつける所か頭を斬ってしまいますね、いや失敬失敬
いやしかし、あなたはそこまでして顔を何故隠したいのか…
顔を隠す人間は信用を無くしますよ?

【ガラスの様に割れた薄い板、欠片も無く消え去ったそれは、突き立った壁に確かにあった存在を残すのみ】
【剣の峰を撫でながら、サングラスから仮面に付け替えた彼女に語りながら、悠々と踏み出す一歩】

いや、はっはっは!それは私も思ったのですがね!
お子様達にはどうやら派手さが足り無いようでして!いやあ最近のお子様は目が肥えていらっしゃる!

【左手を額に、空を仰いで大笑い、空気を読まない陽気さは余裕かのようにみえるが、この見た目でまともにやる気ならそれはそれで怖い物である】
【一頻り笑うと、右手の中で剣をくるくると回してから構え、左手には新たな立方体───一般的なルービックキューブ程の物を召喚する】

さあさあ参りましょうか、とはいえそれには近付かなくてはなりません
私に射撃は向かないので、搦手を使わせて頂きましょうか

【近接が銃に対抗する方法と言えば、銃口から射撃方向を読む事であるが、それを隠されてはそうもいかない】
【体全体を覆う盾を使いたいが、それをするには近付く手段に回す容量が無くなってしまう】
【悩ましい二択だが、箱男は攻撃を選ぶ。僅かなマズルファイアが見えた瞬間から非常に大きく右に回避する賭けに出る】
【結果、銃弾を体に受ける事は無く───しかし、左肩の肉を抉った銃弾が、彼にも赤い血が流れているのを証明する】

《箱壊(ハコワレ)》

【そのまま、下から放り投げた立方体が、ふわりと空中を滑って彼女の近くへと転がって行く】
【刹那、立方体に真っ直ぐな青い光の線が縦横に走り、それは破裂、小さな立方体を手榴弾の如く周囲にばら撒いた】
【それは言うなれば小石の雨のような、決して致死量にはならないダメージだが、しかし生物に隙を作らせるには十分だ】

【箱男は、小さな立方体の嵐の中を、剣で顔を守りながらしかし怯まずに彼女へと接近する】
【《箱壊》は自分も巻き込まれる諸刃の剣ではあるが、それでも覚悟出来る分術者には効果は薄い───かもしれないが、自分も痛いのは確か】
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 01:05:57.19 ID:AGlB+yN00
>>900

却下や、却下。

俺な、何やったっけ……ハム……なんたら法典みたいなやつ、気に入っとってな。
まあその、何かしてもうた人は、その何か言うのを、自分にもされなアカンのやでーみたいな、
……要は、あのおっちゃんと、同じ目に、会ってもらう、言う事。

―――楽に[ピーーー]る、思ったら、アカンで。


【余裕が見て取れる彼女。少年も屈すること無く、次から次へと言葉を並べて行く。】

【然し先程、少年が拳銃をわざわざポケットに仕舞った理由―――つまり、今もトリガーを引こうとしない理由。】
【その方向から考えると、今の言葉が全てハッタリである事に気付けるだろうか。】
【此の少年は、彼女を殺そうだなんて、況してや苦しみを与えながら、なんて微塵も思っては居ない。寧ろ―――、】


………変なの、出て来たなー……何やアレ。
まあ、……複数戦も、それなりに、やったし、あの子自体は、そこまで強そうに、見えへんし……


【コメカミを擦りながら、少年はボソボソと独り言。彼女と同じ位、余裕に満ち溢れた言葉だっただろうか。】
【少年は得体のしれない黒い液体に、銃口を向けるする仕草も、包丁を掴もうとする彼女に妨害しようと動く事も、一切として見せなかった。】
【然し勿論、ボーッとしていたのではない。―――退路の確認、だった。自分の、ではなく、"彼女の"、である。】

【もし其の厨房の奥に有るのなら、其れが例えば隠し扉で少年が気づけ無いものでない限り、】
【まずは其処を封鎖する様な動き、其処を陣取る動きを取るだろう。―――逃す事だけは、絶対に許さないという意思である。】

【―――少年は振り向き様、背後から迫り来る看板を、再び其の姿を認める事無く殴りつける。】
【回避する事に造作はないが、看板を止めない理由もなかったのだという事。……初めはともかく、方向を変えたのはどういう仕組みなのだろうか。】

【……加えて、此れは其の看板に特別な事が起きない限り、であるが。少年は身体の軸を一瞬にして回転、】
【真っ二つにすべく、丁度其の中心を捉え、蹴りを放つ事だろう。―――彼女にとっての問題は恐らく、其の際の、"音"か。】

【其れは、金属の衝撃で響く様な、異様な物だった。何気ない其のスニーカーに仕掛けがあるのか、或いは―――?】
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/08(日) 01:27:40.71 ID:ne6hR/6p0
>>901


信用ね…生憎とその手の便利な品々は母親の胎の中に忘れてきたものでさ
それに、そういう前衛的な格好をした人間が言っていい台詞だと思うかい? “信用(ソレ)”


【どうやら作戦は半分成功のよう】
【狙いを曖昧にした弾丸でもって、ようやく一矢報いられたようだったが。それを喜ぶ暇もなく】
【続いて飛び出したビックリ箱が、服越しであろうと加減なく、大小の擦過傷を無数に刻んでいく】
【両腕で防御の薄い頭部を隠すも、全身隈なく手痛い洗礼を受けて。薄目を開ければ、その中を相手が悠々と歩み寄るのが見えた】


今日に限って、これか。 もっと装備があればな……


【銀行を襲うと決めて決行した日に待ち伏せ――そうと明言された訳ではないが――を喰らうとは誰が想定しようか】
【用意周到が売りとはいえ、今回は軽快な隠密的奇襲が売りだっただけに、改めて装備の薄さが酷く身に沁みる】
【角ばった礫の小雨の中、臍を噛んで歯軋りを一頻り】


――まぁ、文句言っても仕方ない。 一旦引っ込んで、改めて出直させてもらうとするか


【急がねば警察の包囲網も強まっている頃合だろう】
【流儀に反するがここは一つ、通りの来るまでも捕まえて無様な逃走劇を繰り広げるよりほかない】
【残弾を全て――――といっても大半は立方体の雨に阻まれるであろうけれど、残り6発を全て相手目掛けて撃ち尽くし】
【空の弾倉を捨て、新たなマガジンをセット。金の詰まったケースを拾いたい衝動を堪え、くるり踵を返す】


今日のところはこれくらいで勘弁しておいてやるぜ
精々サンズリバーで首を洗って待っててくれよ、名も知らぬお方


【叶わぬと知り逃げると決めれば、後はわき目もふらぬ一目散。元来た道を足音高く、全力で駆けていく】
【大通りへ出てしまえば、相手もまさか周りを巻き込んでの大合戦まではしまいとの勝手な期待を抱きつつ】
【荒くなりつつある呼吸の中、捨て台詞だけを切れ切れに残して、暗みを増した路地裏から姿を遠のかせていった――――】



/すみませんがそろそろ落ちねばなりませんので…
/明日も少し不安定故、今回はこれにて〆とさせてもらえると有り難いです
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 01:30:14.49 ID:WGZPTfWB0
>>902


ふぅーんだ…中々だねぇ…体を硬化させるのか、金属への変化か…
アタシのソレはゴム製だから…んな音は出ないはず…墓穴っちゃった?

【彼女の余裕は、いかんせん並大抵の感情からくるものではない様である】
【それもそのはず、今日の今日まで何の噂話を流さずあのホテルを経営しているのである】
【彼が先程まで探偵を行い。全問正解したように。この少女の観察眼も鋭いかもしれない】
【さしずめ、彼が何かしらの能力で行っていると仮説を立てた】


「おもてなし」って知ってる?何かにある筈の裏がないってことかもしれない?
裏がなかったらどうなるんだろうね?ネぇ?

【部屋の角まで走っていき、壁にもたれかかるように相変わらず軽い口を動かす彼女】
【彼女が言葉を発しているのと同時に、彼女にコーティングされた液体が・人型になったゴム質が】
【色を白色に変化していること。そして、うっすらとバチバチと何か火花のようなものが通る音が聞こえだすだろう】
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/08(日) 02:00:23.77 ID:LvkpoS0qo
>>903

【黒い立方体の雨の中に撃ち出される銃弾、物量の差は余りにも大きい】
【いくら威力が違うとはいえ、黒い立方体に銃弾が当たれば大きくそれる、箱男を捕らえた銃弾は僅か二つ】
【それを並べて斬り落とした箱男は、しかしその瞬間に顕になった頭部に立方体がぶつかり仰け反った】

…あいたたた、格好付きませんねえ

しかしこれで───おや?お帰りですか?

【立方体の雨が止んだ後、ようやく此方のターンかと思えば、女は踵を返して走り出す】
【それを追う事はしない───と言う事は正義の徒では無いのか?───箱男は、四角の剣を虚空に消し去って】

さてさて、それではおかわりを…

【再び現れたプレゼントボックスから取り出した豆腐にまたストローを刺して、いただきます】
【恐怖を煽る、血肉を啜るような音が路地裏に響いた】

/お疲れ様でした
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 02:01:19.42 ID:AGlB+yN00
>>904

別に。墓穴掘ったわけちゃうで。……いつかバレるのが、今になった、っちゅうだけの話。
……クスリやっとる割には、よう分かったな。せやで、俺の蹴り、1回でも喰らったら、まあこんな感じなる言う事やな。

まあ確かに、俺は、病み上がり、しかも今、お前飯食わしてくれへんせいで、メチャクチャ腹減っとるし、……ハンデはあるけどな、

―――それでも、勝ち目無い言うのは、すぐ、分かると思うわ。


【否定はしなかった。つまりは、彼女の建てた仮説は、概ね正しいのだと少年は言う。】
【然し"概ね"、というのはつまり、完全な答えでない事を意味していて。体の硬化ではなく、手足の、に限定されるのである。】
【まあ今の考え方のままでも、行動に差支えが出る物ではないだろう、……勿論、気づけば、大きく戦況は変わる事になるが。】

【黒色だった液体を白色へと変わり、更にゴム質がバチバチと音を立て始めた。其れは、一体何を意味しているのか?】
【彼女の動きを随時認めながら、少年がバッグから取り出すのはペットボトル。―――飲みかけのお茶である。】
【少年は右手の親指でキャップをひねると、其れを彼女と、人型になったゴム質に満遍なく振りかかる様に投げつける事を試みる。】

【まあ、意味のない行動かもしれない。然し其のお茶に何らかの状態変化が起これば、少年は其の様子全てを記憶する事だろう。】


んなもん知らんわ。……どーでもええ。
ずーっと言うとるけどな、俺、今日は肉、食わなアカンの。
裏があるないとか変な事言わんと、……肉のおもてなし、してもらいたいわ、ほんま。

907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/08(日) 02:05:52.19 ID:ne6hR/6p0
>>905
/お疲れ様でした、絡み有り難うございました
/またの機会があればよろしくお願いしますっ
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 02:20:25.19 ID:WGZPTfWB0
>>906


――うん。キミが…ねっ?

【唯一の出入り口への道に少年が居るため、実質密室において隅っこで動かないというのは】
【彼女の自信の表れが、ここぞとばかりに溢れ出ているからであろう】
【たとえば、彼女の仕草。明らかに戦闘中とは思えないほど、リラックスした表情で深呼吸をしている】



表がないの間違えかも…?ゴムは電気を通さないよね? 
――でも、通してみたら、裏がなくならない?


【お茶をかけられたゴム質は、黄色い小さな閃光をバチバチと立てながら、地面へと滴り落ちた】
【ゴムが電気を通さないという事実。これの裏――つまり、真逆の性能にしたものは】
【ゴムは電気を作り出すという、まさに概念すらぶち壊すほどの「おもてなし」】
【そして、ゆっくりとその人型は、意思を持つかのごとく、足を動かし始めたのだった】


そこにあるじゃない?結構うまく焼けてるからかぶりつけば?
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 02:54:02.57 ID:AGlB+yN00
>>908

――――………あー……案外、そうかも知れんわ。


【火花の様にバチバチと音を立てていた其の正体は、どうやら電気の様だった。】
【物憂げに言う其の表情は、一気に自信を失った様に見えただろうか。まあ実際、その通りなのだ。】
【―――少年の能力、熱や冷気には強いものの、電気には極めて弱い。……つまり、随分と、分が悪かった。】


なんや、やっぱり電気なんや、それ。
ゴムが電気通っとるっちゅうのは、何かもう、変な話やな。
……あのシャンデリアも、その能力で明るくしてやったらええのに。


【そう言いながら徐ろに取り出すのは、先程コートのポケットに突っ込んだハンドガン。其れを、彼女の方へと銃口を構えて。】
【其の侭ブレる事無く後退り、辺りをキョロキョロと見回す其の様子は、どうやら、彼女と同じく、包丁……】
【あわよくば、もう少しリーチの長い物を探しているらしかった。―――電気に弱い自分は、彼女に迂闊に近づけない。】


……すまん、俺、案外、味にも、うるさいんよ。


【然し、中々良い武器が見つからず。依然、銃口は彼女に向いているが―――、今までに比べれば、最も隙が出来た瞬間、だろうか。】


/すみません、頭が働かなくなってきまして……
/ちょっとそろそろお休みさせて頂きたいのですが……
/こちらは明日は一日中おりますので、都合の良いお時間を教えていただければと!
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/08(日) 02:58:33.21 ID:8JErIH58o
>>909
/了解です。明日は14:00〜くらいには居るとは思うんですが、イマイチ返信できるかわからないので
/20時ごろから本格的にお願いします…
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 03:01:35.26 ID:AGlB+yN00
>>910
/分かりました、了解です!
/一旦お疲れ様でした、明日もよろしくお願いします!
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/08(日) 03:05:42.52 ID:8JErIH58o
>>911
/お疲れ様でしたぁ。
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/08(日) 16:27:02.70 ID:LvkpoS0qo
【雪降る黄昏時、公園の広場にて】

♪〜〜♪〜〜〜

【低い声が口ずさむのはクラシックの穏やかな調べ、歌詞の無いリズムを、気まぐれなパートにシフトしながら奏でていく】
【白い雫がふわりと落ちる中にある、それらは特に目立っていて、それの傍らで落ち着きながらもせわしない彼は更に目立つ】

【彼は男性───に、見える、体系と服装をそのまま見れば】
【背の高いスラリとした体系に、黒いスーツを着て白手袋を履き、色取り取りの四角が散りばめられた模様のネクタイを巻く】
【皿の様に大きく別々の方向を向いた瞳の両目と、月の様にひん曲がって歯を剥き出しにした口…の飾りを付けた箱を頭に被っているのがどうしようもなく異様であった】

…これで良しと

【カチャン、と小さな音を立てて、黒いテーブルに置かれた食器。綺麗な並びにうっとりとした声を出す】
【公園にはこんな物は無かった───鈍く光を放つ黒いテーブルと椅子。どれも長かったり薄かったりする四角で構成された、カクカクとした物だ】
【その上に乗った食器群、ティーセットはまだ普通な物であったが、それを扱う者は何より異様な様相だ】

遅めのティータイムです…今回は雪見で風流に

【独り言を呟きながら、携帯コンロで湯を沸かす箱男、用意された椅子もカップも一人分である】
【幾つかの茶葉と、ミルクも用意して、片手には白いナプキンと、もう片手には銀色のトレイ】

…さて、と……誰か来ますかねえ

【───どうやら、自分ではない他人の為の茶会準備のようだ】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 17:27:13.59 ID:WGZPTfWB0
>>909

【腐ってもホテルの厨房だけはあるらしく、麺棒、お玉、肉刺し用の串などが置かれている】
【少年が手を伸ばせる範囲にも、いくつかの武器となりえるものが置かれているが――何を取るのだろうか】
【それとも、持たないのか――全ては少年の判断にかかっていた】

そうですよ?第一このホテルは、ココしか電気を通せないほどの電気料金…
あんなにクソみたいに暗い廊下なんて、お化け屋敷とかの類じゃない?

【包丁も金属製である――すなわち、先程彼女がかぶった液体を通して】
【肉切り包丁の先が、青白い光を放出し、一種の別兵器と化していた】
【そして少年はさらに気を付けるポイントがあった。それは、彼女を中心として円状に液体が広がっていることである】
【この液体がゴムであるということは、先からわかっている。つまり、この液体の上を歩けば、ある程度感電することは免れないだろう】


ふぅん…じゃぁ、キミ″は、格別の調理法で食べてあげる?

【少年が先程お茶をかけたゴム人形が、少年へと駆け出したのだった】
【そのまま少年に近づくことができれば、腹目がけて一撃、パンチを食らわすだろう】
【無論、その右腕にも電力を帯びている状態である。当たれば食らう――が】

【人型のゴム人形の弱点はおおよそ人間と同じである。つまり、頭部もしくは心臓部を狙撃すれば黙り込むだろう】

/返しときます。よろしくお願いします。
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/08(日) 20:05:49.41 ID:gRYlHYbN0
>>914

【彼女のゴムと、其処を流れる電気の関係、少年は疑問に思っていた。何故、電流が発生するのかという事。】
【少年は武器になりそうな物を探しながら、その理由を2通り考える。】
【……彼女を纏っている其のゴムは、特別な、つまり極めて高い抵抗を持たないものという可能性が一つ。】
【そしてもう一つ、彼女の放つ電圧は、ゴムさえ通す程高い物である、という場合。勿論後者なら、かなり危険だった。】

【……前者、流れる電気が其処まで大したものではない事を祈りながら、少年が手にしたのは、ピンクのゴム手袋。】
【シンクにぶら下がっていて、……片方しか無かったが、其れをシッカリと左手にはめて。】

【次に探すべきなのは武器。なるべくリーチが長く、かつ殺傷力に秀でているもの。】
【殺傷力という観点から言えば、包丁、特に中華包丁が其れに当たるのだろうが、如何せん刀身が短すぎる。電気を喰らえば、本末転倒であって。】
【麺棒も悪くはないが、木製の其れは殺傷力に欠ける。……まあ、調理場である、理想的な武器がある方が可怪しな話、なのだが……。】

【結局少年が目を付けたのは、先程、調理台を飛び越す為に用いた2mと少しの金属製の棒、だった。】
【固定されては居たが、2、3回力を入れて引っ張れば、ガゴンと、大きな音を立てながら其れは外れて。】
【―――結果、右手は変わらずハンドガン、そして左手には電気が伝わらない様ゴム手袋が装着された状態で、2m程の金属の棒、という事になった。】

【銃弾は無尽蔵にある訳ではなく、寧ろ其の逆、……僅か6発しか無い。たった1発すら惜しまれる、そんな状況である。】
【然し、少年は其の一発を早くも使ってしまう事になる。……トリガーを引けば中の火薬が轟音を生み、銃弾はゴム人形のコメカミ、丁度真ん中を捉えていた。】
【人形は其の侭、丸で生を失ったかの様に倒れるのだろうか。然し少年は、危機を脱せたにも関わらず、少々悔しそうな表情を見せる。】
【武器を調達するのに気を取られてしまい、ゴム人形に対する反応が、少々遅れてしまったという事。……本来ならば、避ける事が最善の方法で。】


―――……あ、せや、お前が死ぬ前に、一つ、聞いとかなアカンこと、あるんや、
………あの人、あんな状態にしといて、何で殺したん? 普通せえへんやろ、あんなこと……


【少女に問いかけるのは、彼を殺した動機だった。―――確かに、猟奇的な殺人だったと言わざるを得ない物である。】
【―――然し此の場に及んでそんな話を聞く理由。……詰まりは、矢張り、"場合によっては"、という事であった。】
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/08(日) 20:39:04.52 ID:WGZPTfWBo
>>915
/すみません。かなり遅れます。
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/08(日) 21:26:02.81 ID:6ssW3CUjo
【火の国――――温泉街クレーネ】

【街中から少しだけ離れて、この近隣には文字通り山ほどある小山のひとつ。冬場には一層温かそうに見える湯気が、もうもうと立ちこめている】
【地熱によって温められた地下水が、脈打つようにどくどくと溢れ出ていた。鼻をつくような硫黄の香りも、それと一緒に沸き上がって】
【それもまた、この一帯では珍しくない光景だ。ここが温泉街≠ニ呼ばれる所以は、まさしくそこにある】

はぁ…………やっぱここの温泉は最高だわ…………。
ばーちゃん、熱燗もっと持ってきちゃって!

【そして温泉という場所は、どの国でも得てして女性人気が高いものだ。この街の興亡は女性が握っているといっても過言ではない】
【だから、大手の温泉宿が鎬を削る街の中央部からもずいぶん遠ざかった、山奥にひっそりと佇む寂れた温泉宿であっても、やはり利用客は女性が多い】
【――――いま、眼下に街の光を臨めるその宿の縁側で、褐色肌にやや赤みがかった白髪を持つ女性が、ツリ目気味の金色の瞳を中空に泳がせていた】
【髪型は活発な印象のセミロングで、少しばかりハネっ気の強い後ろ髪が獣のたてがみのように首元を覆っていて】
【だらしなくはだけた浴衣姿に首に掛けたタオル、それによく見るとやけに艶めいている褐色肌から察すれば、恐らく風呂上がりだろうか】
【女性の顔はすっかり上気した様子で、傍らには陶器製のとっくりが数本転がっている。となれば当然、その手には猪口が乗せられていて】

っぷはぁあ〜…………最っ高。
あれ、これもう空じゃない…………ばーちゃん、もう一本もう一本!

【ここは、年老いた女将が晩年の趣味として営業しているような場所だ。木製二階建ての家屋は宿というには小さく、温泉付きの民家と言った方が正しい】
【櫻の国の様式を取り入れた異国情緒な雰囲気だけが取り柄の、本当に小さな宿だ。経営は儲け度外視で、サービスの品質も高いとは言えないが…………】
【街の喧騒から離れてまったりと羽を伸ばし、時折マイペースな老女将の昔話に付き合っていると、すべての時間がゆっくり流れるように感じられる】
【この火の国でも知る人ぞ知る、隠れた名所――――櫻の国風に言えば、秘湯、というわけである】

…………えぇー? いいじゃない、もうちょっと飲んでもさぁ。久々に来たんだし…………ね?

【さて…………そんな場所であるから、普段は大して人も来ないのだが。かといって、知名度が全くゼロという訳でもなく】
【この宿と、そして酒飲みを女将に諫められて縁側で足をばたつかせる幼稚な女性の姿は、付近の山道からも確認できる位置にある】
【時の流れと隔てて久しく、緑の内に秘めた場所。見ていれば神秘的で、踏み入れば庶民的な、そんな場所である】
【空を穿つ月は欠ける。月見酒には物足りなくとも、代わりに誰かが――――いや、何かがふらりと現れても、おかしくはない夜長であった】
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/08(日) 21:37:03.57 ID:WGZPTfWB0
>>915

【相変わらずの増悪を含みきった表情を浮かべつつ】
【指を一度、かんと鳴らし、倒れたゴム人形を透かさず液体に戻し】
【少年に向かって、包丁を持っていない銃を、子供の遊びのように、銃のような形を作って向けた】
【気を付けるのは、その手が黒く染まっているということであるのか】


――うっせぇな。アレか?イチイチ同意を貰えないと動けないのか?


【刹那、少年に近い位置のゴム人形が一体。列を飛び越えて襲いかかった】
【攻撃は先程と同じで単調な攻撃であるので避けるのは容易いだろう】
【そして、それと5秒ほど差を置いて、隅の彼女から】


――食べたかったからだけだろ?

【指の先から、サブマシンガンのごとく素早さで、ゴム弾が連射される】
【直接殺傷することは無いが、頭を狙って打ってくる】
【まともにくらったら、普通の銃並みの威力になるだろう】

/すみません
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/08(日) 21:50:20.85 ID:l5VpnKV9o
>>917
【温泉街に響き渡る、エンジン音。1352cc水冷並列4気筒エンジンの排気音が夜を震わす】
【そして、その爆音は次第に縁側の近くへと接近し、音量が増していき――程なく軽いブレーキ音と共に停止した】
【駆動音の主にまたがるのは、一人の男。革パン革ジャン。そしてバイクの後ろに積み込んだ大量の荷物】
【如何にも旅人然とした格好の男は、そのままバイクから降りて軽く屈伸。フルフェイスのヘルメットを外して頭をぶるりと振って声をはりあげた】

「――な、なんとか人気のある所に着いた……!」

【大分憔悴した様子。月に照らされる男の体躯は、中々立派なものであった】
【昨今言われる細マッチョという言葉とは対極に有るようなプロレスラー体型。背丈も180以上有る】
【長めの黒髪はオールバックにして後ろで括っており、顔立ちは案外愛嬌が有る為、肉体とはアンバランスな印象を与えるだろうか】
【きょろきょろと辺りを見回して、縁側の方の女将を視線に捉えると、男はとことこと案外小動物的な動きと親しげな笑みを浮かべて女将に話しかけた】

「いっや、マジ山ずっと超えて泊まろうと思ったんだけどどこも入れなかったんだけども。
そこらじゅう回ってるうちに此処着いたンだけどさ……えーっと、空いてますかねー? 空いてるんなら止めてもらえたらなーって思うんですけどー?」

【大分長くバイクを乗り回していたのか、汗ばんだ様子の男は荷物からタオルを取り出して額の汗を拭き】
【ジャケットの前を開けてインナーのヒートテックのシャツをばさばさと動かして外気を皮膚に取り込み冷却していく】
【そして、視界にある呑んだくれの女の存在も認めると、にへらと気さく気味な笑みを浮かべつつ、馴れ馴れしく話しかけるのだった】

「あーっと、悪いな。どーもくつろぎ中だったぽいのに爆音やら汗臭いやらで。
さらに悪いんだけどめっちゃ喉乾いてるから、もし良かったらそのお銚子一本くれないかなーってさ?」

【男はなんとも言えない適当な語り口でそれでも軽く謝りつつ、酒のほうに一瞬目を奪われ】
【手を軽く合わせつつ、一本徳利を貰えないかと効いてみるのだった】

/*まだいますかー? あとちょっと遅れる上に明日に持ち越しになるかもなんですが、よろしいでしょうか?*/
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/08(日) 22:18:03.93 ID:6ssW3CUjo
>>919

だからぁ、体とか全然大丈夫だって。あたしまだ若いんだからさ!
え、何? 聞こえないんだけど…………って何よこの音?

【酒を巡って、しばし女将と問答を繰り広げていた女性だったが――――老婆のか細い声が聞き取れなくなったことに気付くと、縁側の先へ目を向けて】
【…………小さいながらも風光明媚な温泉宿に、イカしたバイクがご到着。そのあまりのアンバランスさに、女性の目は一瞬点になる】
【そして、爆音と共に登場したライダーの第一印象もまた、アンバランスであって…………】
【肉体は厳ついが、それ程威圧感のない顔立ちと気さくな言葉を受けた女性は、一周回って平常心を取り戻す】

…………びっくりしたぁ。
悪いけど、こっちは全部空にしちゃったとこでね。ほら、中に入って水でも貰ったら?

「はいはい、お客さんね。玄関と駐車場はこっちだよ〜」

【女性は手元の猪口ととっくりをひっくり返して笑うと、親指で男から見て右側を指す。その方向へ、同じく平常心を取り戻した女将の姿も消えていって】
【彼女の指さした方向には、なんとも庶民的な引き戸がある。その更に奥には砂利敷きの狭い駐車場があるだろうか】
【どちらもすぐ近くだから、迷うこともないだろう。引き戸から中に入れば、女将がコップに水を入れて待っている】
【チェックインというにはあまりに簡素な手続きを済ませれば、すぐに居間に通されて、また酒飲みの女性とも再会することになるだろう】

ようこそ、こんな場末の宿へ。ま、ゆっくりしていきなよ〜。

【相当の常連客なのだろうか、女性は自分の家でもないのに男へ歯を見せて笑いかける】
【酔っているからなのか、それとも素なのか…………女性ははだけた浴衣を直そうともせず、若干目のやり場に困るかもしれないが】
【居間は比較的広く、ありがたいことに炬燵も設置されている。そこに入ってもいいし、半開きの障子戸の先――――女性のいる縁側に出てもいいだろう】


/わたしは一向にかまわんッッ というわけでよろしくお願いします!
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/08(日) 22:19:58.74 ID:gRYlHYbN0
>>918

お前が殺した理由に、それなりのもんがあるんやったら、言う話や。
……無いんやな、……ほんまに、無いんやな?


【急変する彼女の言葉遣いに、少々狼狽えた様子を見せるが、然し其れも直ぐに立ち直って。】
【少年は何度も確認を取る。本当に、情状酌量の余地は無いのかと。……彼女の様子を見れば、其れも無さそうなのだが。】
【―――未だに、迷いがあった。然しゴム人形の攻撃、先程と同じ突っ込んでくるだけの単調な物だったのなら、】
【丸で闘牛士の様、ヒラリと右足を後ろに、身体の方向を変えるだけの必要最小限の動きで回避する事だろう。】

【先程の銃弾により、人形にも人間と同じ部分に弱点がある事が分かった。少年はゴム人形を心臓の辺りに金属の棒を突き刺し―――、】
【出来る事なら、そのまま持ち上げて。彼女に向かって投げ付けようとしたが、―――少年の手の動きが止まった。】
【ゴム弾が此方に迫って来ていたのだ。……だとすれば。少年は人形降ろし、盾の様にしてゴム弾を防ぐ事だろう。】
【本物の銃の場合は、コメカミに撃った際に貫通しない事が分かっていた。きっと此の弾丸でも防げるはずだ、という戦法である。】

【銃弾よりも早く、貫通力のある物なら少年は直撃を免れないのだが、果たして。】


………あー、人の肉、食いたい、言うやつ、か………悪趣味やとか、そんな事は言わんけどな、
……生きとる人間を殺す言うのは、ダメなんや、……それだけは、絶対、あかん、………
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/08(日) 22:33:40.14 ID:l5VpnKV9o
>>920
「おー、こんな時間だからイケるか正直心配だったけどダメ元で突撃してみるもんだなァ。
あざーっす、んじゃちょっと相方動かしてくるんで!!」

【本当にホッとした様子で、男は女将と女に軽く会釈しつつ、小走りでバイクの元へと戻っていき】
【えっちらおっちらと巨大なリッターのスーパースポーツを駐車場へと退かして、山盛りの荷物を背負い込むと玄関へと歩いて行った】
【しばらくして女将と談笑する声や荷物を運び込む音などが続き、数十分が過ぎた後】
【浴衣と半纏を来て居間の方へとやって来る風呂あがりの男が居るのだった。どうやら軽くひとっ風呂浴びてきたようだ】
【手元にはお銚子とお猪口が2つ。お銚子は普通にもらってきたようだがお猪口は一つ余計にこっそり貰ってきたようで】

「場末って、いや割りといいだろここ。なんつーか、何、アレだあれ、実家感? 的な何かっぽいアレだな、おう。
実家とか別にねーけどなんかめっちゃ落ち着くわ、此処。あ、隣失礼ー、ついでに一献どーぞってね」

【ひょこひょこと妙にコミカルな動作で縁側までやって来ると、軽くまた会釈をしてどっかと女の隣に腰を下ろす男】
【良い感じのぬる燗の日本酒をお猪口に注ぎ、女に一献勧めることにした】
【どうやら先程止められていたやり取りについて認識していたようだが――ここで当然の様に酒を勧める辺り、この男悪い子≠ナある】
【基本的にダメとか言われようとやりたいことはやっちゃうタイプである為、飲みたいなら飲ませてやれば良いと思ったようで】
【それに一人酒をするよりかは、一緒に酒を酌み交わす相手が居れば少し楽しいのも確か。要するに、話相手を摘みにするつもりで、此処に座り込んでいた】

「いんやー、にしてもまさかこんなとこにいい宿有るとは思わなかったわ。
普段とかもうカビの生えたベッドで寝かせられる糞みてーなモーテルとか道とか洞窟とか森とかで止まってるからさ。
久々に布団の上で寝れるって考えるとマジで感謝感激雨あられ、ってもんよ。……あ、この燗酒取り敢えず大徳利だから4合有るけど。
足りないなら俺用に買ってきたのもあけちゃるぜー? 1人で飲むのもつまんねぇからな」

【ゆるくトークを繰り広げつつ、自分のお猪口にもなみなみと燗酒を注ぎ】
【ちょっとした乾き物をつまみつつ、一口香り高い、燗映えする酒を含み香りを楽しみ――嚥下する】
【あまり世界でも例を見ない醸造酒を温めて飲む≠ニいう飲み方は、不思議と東の血を汲む男の肌には合っていた】
【後ろでにごそごそと一升瓶――そこそこ良い大吟醸――を取り出し、己の傍らに置いておく】
【あまり大吟醸は冷やしすぎても美味しくないが、この外気においておくならば、調度良い塩梅で温度は保たれることだろう】

/*ありがとうございます!!*/
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/08(日) 22:36:26.01 ID:IGOhXpovo
【酒場】

【某国の、ある街の某裏通りを抜けた3つ目の店】
【治安がいいとはいえないこの辺り、唯一の落ち着ける酒場】
【とはいえ路地裏の奥の奥にあり、レンガの雑居ビルの1階で外観も看板が曲がったまま】
【内装も狭く、汚くはないが未だにブラウン管が置いてあるような古い店だった。カウンタがあって】
【窓際のボックス席が数個。丸テーブルの席が数個。古びた雑誌が数冊。店主は1人。椅子に座ってテレビを見ている】

【24時間年中無休が売りだが、テレビドラマの時間は店主は何もしない。元々無口だがさらに動かなくなるのだ】
【だから常連客は金を払って自分で好きなものを持っていく。中には勝手に料理をつくる奴も居るようだ】
【誰かが言う。ここは地元のやつと何か裏の有るしか来ないだろう、と。テロリストが来ても何も問題ないんだろうな、と】
【ついたあだ名が『Everyone's Home』。店先のネオンが切れてから誰も本当の名前は知らない】

【カランカランとドアベルが鳴る。カーキのコートの誰かが入ってきた】
【黒い三つボタンのスーツに白いシャツ、黒いネクタイ、ブーツ姿のモッズスタイルの男】
【黒いレンズのサングラスをしていて、背が高く鼻がとんがりぎみで黒い髪がボサボサで伸びている】

ハロー、ミスターサイレンス。今日は映画のリバイバル?…見たこと無いからオチが言えないね

【カウンタのスツールにコートを脱いで投げると男は持ってきた紙袋を持ってさもありなんとカウンタの内側へ】
【換気扇を回し、ポケットの煙草を取り出してくわえればコンロの火で着ける。棚からビールと調味料を出して】
【店主の前に紙幣を置いてまた厨房に戻る。店主はテレビから目を離さず、紙幣をレジスタへ】

【オーブンを温めつつ、買ってきたトマトを細かくカット。にんにくをすり潰してオリーブオイルと混ぜる】
【ボウルの中で混ぜ、塩コショウとバジルを足せばそれを切ったバゲットの上へ】
【オーブンの中に突っ込んで軽く焼けば、ブルスケッタの完成というわけだ】

相変わらず暇だね…まあいいけど、やけたら食べる?…トマト嫌い?そりゃあ失礼…余っちまったけどさ

【店内に入れば美味しそうな匂いと、ビールを飲む背の高いグラサンと店主というマッチが見れるだろう…】
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/08(日) 22:45:49.70 ID:WGZPTfWBo
>>921

──ねぇよ。んなもんで仮にパクられた時に酌量されたらムカつくぜぇ?

【弾丸は彼の思惑通り、ゴム人形が全て受け止めた──が】
【ゴム人形が液体から生まれたように、死んだ人形は、再び液体へと溶け出したのだった】
【それは金属製の棒を伝い、ゴム手袋、そして彼の身体まで伸びて固まるだろう】
【現在はまだヌルヌルしているだけである。なんらかの処置を施せば、手から離れなれるとは思が】


行けないことなの?どうして?

なんで人間だけは殺しちゃ行けないの?エゴだよねぇ?まったくさ、…


【間髪いれずもう一度弾幕を彼に向かって放つ】
【溶けかけてはいるものの、ある程度は人形が守ってくれるだろう】
【しかし被弾したら──衝撃と電気が流れるのは間違いない】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/08(日) 23:08:19.31 ID:umdgbj4I0
【路地裏。様々な物事が起こり、殺人だってそう珍しくも無い場所】
【今宵も当然の様に罵声が響いたのだが――――少しばかり、結果は異なっていた】

【対峙するのは大男と少女。乱れなく軍服を纏い、制帽を被った姿は容易に性格を想像させる事か】
【刃物を手にした男が少女の命を奪わんと思いっきり振りかぶる…………が、刃が裂いたのは虚空のみ】
【気付いた頃には背後へと回られていて、反撃をする間も無く意識を刈り取られるのであろう】


「――――今日だけで三人目でありますね。中々に多くて大変であります」

【さて、街灯に照らされた姿は上記の通り。序でに言えば、眼帯と腰に提げられた軍刀とが特徴的か】
【腕章は自警団所属を示す其れであって、“SCARLET”に所属する事を示すバッヂも腕章に着けられている事だろう】
【言わずもがな、少女は“善”に属する存在。通信機を取り出せば自警団へと連絡を入れて、その場に座るけれど】


「疲れた…………でありますね
丁度時間であります。身柄を引き渡したら何処かで休むでありますか…………」

【深い吐息は疲労の度合いを表しているのだろうか】
【――――ぼうっと空を見上げていたけれど、我に返ったならば慌てて立ち上がって】
【さて、路地裏と言えどもそう深い場所でも無い。ともなれば通行人が皆無な訳でも無く、“一般人”に近い者が通ったって可笑しくは無い】
【つい先程の戦闘を見て興味を抱いた者か、或いはまた別な理由を抱く者か――――兎も角として、何者かが訪れたならばそちらへと視線を移す筈で】







【森の中――――其処に存在する、廃れた教会】
【外装はまるで廃墟と間違える程に荒れており、壁には蔦も這っていて】
【場所も場所故に、訪れる者が滅多に居ないそんな場所。然れど、教会内からはカツカツと足音が響いており】
【疑問に思って扉に手を掛けたならば――幸いか否かは分からないが――ギギと低い音と共に、開く事だろう】


「…………この時間にどうかしましたか?
……助けが必要でしたら、出来る限りお力にならせて頂きますが……」

【――――視界の中に映るであろう、一人の修道女。右手に聖書を携えている事から、恐らくは礼拝か何かの最中であったか】
【訪問者の存在に気付いたならばそちらへと視線を変えて、小首を傾げる事だろう】
【どの様な理由で、此処へ訪れたのか――――と】


「こんな森の中です――――もし、良ければお座り下さい」

【こんな森の中、歩き回るのは疲れたであろう。もし良ければ、適当な所にでも腰を掛ける様にと促して】
【…………座ろうと座らなかろうと、再び問うのは此処を訪れたその理由】
【珍しくてふらりと寄ったのか、宿を求めて訪れたのか――――はたまた、別な理由か】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/08(日) 23:08:47.38 ID:6ssW3CUjo
>>922

何よ、えらく時間掛かったと思ったらもうお風呂入ってきたの?
――――おっ、わかってるじゃない♪

【玄関から入ってここに来るだけなのに遅いなぁ、などと思いながら、縁側でまた足をぶらつかせていた女性であったが】
【浴衣姿で戻ってきた男の姿を見つければ、少し驚いた様子。待ち時間はたった数十分ほど、後で入り直すにしても、女性からすれば烏の行水もいいところだ】
【まあ、それも女性には些事に過ぎず――――その手に持っている物を見ると、女性もまた悪い子≠フ笑みを浮かべて場所を空ける】

実家がない? …………奇遇ね、あたしもよ。
なんとなーく寂しくなると、ついこういうとこに来ちゃうのよねぇ…………。

【ひとりだけならともかく、悪ガキ二人が相手では分が悪いと悟ったか。女将は諦めて引き下がり、やれやれと吐かれた溜息も女性はさらりと聞き流す】
【そして同じように、さらりと吐かれた男の言葉に――――女性は、軽い調子で同意してみせるのだろう】
【遠慮なく猪口を受け取ると、欠けた月を眺めながらそれを流し込む。その赤い横顔は相変わらず笑っているが、どこか感傷的でもあって】

わかるわかる、お金がない時は場所も手段も選んでられないのよねー、実際。
あたしは女だし、裏路地の安宿に泊まるか、いっそ野宿するかでいっつも迷うのよ。まー、安全度で言ったらどっちも大して変わらないんだけど。
…………ふふっ、それにしてもなかなか話が合いそうじゃない、あんた。良いわ、今夜はとことんまで付き合うわよ!

【男の語り口に乗っかって、女性は楽しそうに苦労話を広げる。それもまた、どこぞの旅路の話であって】
【お互いの境遇の符合は、中々に多い――――偶然にしては上出来であろう。酒の席で、話が合うに越したことはない】
【女性は男の顔を悪役面で眺めると、機嫌も良さそうに猪口を天に突き上げてみせる。そのせいで酒が飛び散ったりは、しなかった】
【とっくの昔に出来上がっているようで、中身は既に胃の中だ。ここまでどのぐらい飲んだのか、とりあえず前後不覚にはまだ遠いようだが】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/08(日) 23:19:35.67 ID:gRYlHYbN0
>>924

わかった、……そんなら、……本気、出す、からな。

【ゴムが溶け出し、棒を伝って此方に来るのが目に入る。……少年は、ゴム手袋に付着する前に、人形ごと彼女に向かって投げつける事だろう。】
【棒を振って、なるべくゴムを落とそうと試みた。まあ多少、棒に其れがこびり付くことに関しては許容したものの、】
【然し、彼女はゴムを操れる能力を持つ可能性が極めて高く、下手な行動、つまり身体に其れを付着させる事は論外だったという事。】

【……見せたのは、彼女に対する、哀れみを持った表情。……人間を殺してはいけない理由が、本当に分からないのか、と言いたげだった。】

【彼女の指先から先程と同じ様、サブマシンガンのごとく素早さで、ゴム弾が連射されるのを見たなら、】
【少年は寧ろ前進、身体を2度回転させて回避する事だろう。―――然し全てを避けきれる事は出来ず、背中の右側に被弾した。】
【見積もったのと同じか、或いは其れ以上の電流に少年は歯を軋ませる。……洗練された動きに少しの歪が生まれたのは、其の瞬間だった。】

【然し少年は、彼女へと向かうベクトルを其の侭に突き進み―――彼女との距離が5メートル程となった所で跳躍をする。】
【空中でも又、1回転。身体の向きの調整を行った所で、少年は先ず、彼女の右足に銃口を傾け、トリガーを引く事だろう。】
【……更に。棒を硬く握り、振りかざして―――彼女から見えて左から右へと、居合を入れる。狙ったのは、丁度彼女の腰の辺りだった。】

【空中での2回攻撃。右と左と、狙いが分散している所が、避けにくさに拍車を掛けているとも言える、が、】
【然し、そもそも彼女は今、ゴムで全身を覆っていて。―――当たったとしても、どれだけ効くのかに関しては、未知数だった。】
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/08(日) 23:29:35.47 ID:l5VpnKV9o
>>926
「んー、成る程。俺ァもうずっと前だかんなぁ、懐かしかったり寂しかったりはしねーんだけど。
ま、なんだ。折角イイトコ居るのにしみじみするのもつまんねーって事で、パーッといこうじゃねーの、パーッとな」

【そう言うと、男はお猪口の中身をくいと傾けて一気に嚥下。外気で冷えた身体も直ぐに熱を取り戻す】
【どうも男の性格的にはしんみりとした空気を引きずるのはあまり得意ではない様子】
【まあ、見ての通り男の軽さ極まりない言動などから、あまり重たかったり明るくないことは話したがらないのだ】
【その為割と強引に方向転換を図りつつ、お猪口にお銚子の中身を注いでいった】

「お、話し聞く限りねーちゃんも旅人って所かね? いんや、俺も実際もうわかりきってるだろうが旅人でよォ。
俺みてーなガタイだきゃいい輩なら良いんだろうが、ねーちゃんみてーな綺麗な奴なら危ないだろうしなあ。
ま、腕に覚えがありゃ別に野宿してもいいんだろうが――、世の中物騒だしなあ。俺も最近は野宿ビビるよ、カノッサとかGIFTとか居るし。
あ、ちなみに俺は別にねーちゃんがそんな悩ましく着崩れてようとまだ℃閭Fだす積り無いからそこは安心しときなー」

【へらへら笑いつつも、旅人特有の悩みについて割りと真剣に朝まで生テレビしつつ、お猪口の中身を空にして】
【さらりと世にはびこる悪の組織の名前が出てきて、それを単なる野宿の懸念とする辺り、この男の性格が伺える】
【実際問題つい最近までは男もまた、その組織に属する悪の能力者の1人であったのだが――、知ったこっちゃないといったふうで】
【さり気なく胸元に目線を向けつつ、堂々と着崩れについて指摘。別に下心も何もないまま、適当にあけすけに口に出して】

「うーっし、んじゃ朝までがっつり飲みますかねぇー!
ってか基本的にねーちゃんテンションたけーなー、俺なんか脱力系だかんよ。そこんとこ正直憧れるぜ?
あとオレ、天乃 司ね。ねーちゃんは?」

【女の盃に燗酒を注ぎつつ、自分の盃にも酒を注ぎ】
【相手が名前を口にすれば、静かに男は盃を相手の盃と交わし、軽く高い音を響かせるだろう】
【基本、男の口調や言動は軽妙ながらもダウナー系。淡々としつつ、適当におもしろいかどうかよく分からない話をするスタイルだった】
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) :2013/12/08(日) 23:33:55.63 ID:WGZPTfWBo
>>927

そっ。あなたが勝つなら間違えなく殺してね?

【投げられ、放物線を描くようにして迫るゴム人形に、包丁を左手に持ち替え、右手を前に突き出した】
【その右手から能力が発動したのか、ぐにゅぐにゅと人形は液体と変化し、また形を創り出した】
【そしてそれが、彼女の目の前の床に落ちる僅か数秒ののちに硬化していた】
【ちょうど溶けていたためか、頭の部分だけ少し出た四角形のゴムの塊へと人形は変化した】

【ゴム弾が大きく普通の弾丸と異なるのは、身体に対しめり込んでしまう点である】
【肩の中心から多少逸れていればかする程度ではあるが、中心部だとめり込み──電気と常に闘う事になるだろう】

【右足へ撃った銃弾は、奇しくも先程彼をゴム弾から守った人形──の変化したものに】
【お返しと言わんばかりに防御された】
【そしてもう一発、棒による攻撃だが──彼女は】


────え?本気?

【衝撃に強いゴムの性質より、切れる包丁などを使わなかった事が裏目に出たのだろう】
【何のダメージも無いかのごとく、お返しと言わんばかりに包丁を左肩から右斜め下へ振り下ろした】
【帯電している包丁の攻撃──まともに喰らえば危険──】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/08(日) 23:58:50.67 ID:gRYlHYbN0
>>929

【ゴムに依る反作用―――少年の身体が跳ね返される程であれば、今の攻撃は無意味であった事を理解して。】
【然し、其れでも収穫はあった。彼女は今、態々人形を使って銃弾を"防いだ"のだ。防ぐ必要があったという事は、つまり。】
【最後の切り札は、矢張り此のハンドガンにあるらしい。残り4発、丁寧に使っていく必要があった。】


………せやで、今のが、俺の、本気、………全然、やったみたい、やけどな。


【包丁の切りつけに関しては、バックステップで難なく回避する事だろう。】
【そして其の侭、少年は一歩を踏み込む。先程の様に跳躍、身体を捻じり、丸でホイールの様に全身を回転させて。】
【速度を得た左手は、そして棒のリーチを活かし、振り下ろした後の包丁を彼女の手から落とそうと振り抜く。】

【……一旦済んだと思った電撃が走ったのは、振りぬいた直後の事。予想外の痺れに、少年は乾いた息を吐いた。】
【着地は兎も角、其処には隙が出来た。……其れは、少年とって生命さえ落としかねない、危険な瞬間だと言えるだろう。】
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 00:02:05.76 ID:jtSdws5To
>>923
【コートの彼から数分後。丁度ブルスケッタが焼きあがる頃に、またドアベルが小気味良い音を響かせた】
【地元の民と何か裏のある者しか入らないであろうこの酒場にしては、入ってきた青年は少々異質であった】

〜♪ 良い香りだね、マスター?

【何が異質か、特段怪しい所は見つからない。……だが、それこそがまさに異質】
【昨日誂えたのかと思うほどに埃一つ着いていない白いスーツに少しくせのある白髪。金属フレームのメガネの奥には、黒い瞳】
【……まるで常連客のように店内奥へと入っていくにしては、整いすぎていた】

【その所為か、本当の常連客はチラリチラリと懐疑の目を向け始める】
【だがそれに注意の気を向けすらもしないのは、青年がただ鈍感だからというわけではなさそうだ】

【店主が無反応なのには特段何かするわけでもなく。引き寄せられるかのようにそのコートの彼の隣へと近づいていくと】
【まるで席が其処しか開いていなかったかの様に、彼の隣へとストンと収まった】

コレは君の注文かい?
いい香りだね、僕も頼もうかな。……って、マスターは聞いてないみたいだけど。

【常連客でないのが、彼には分かるはずだ。先ほどブルスケッタを自分で作った彼ならば】
【だが彼にはもうひとつ分かっていることが有るだろう。その青年が、やたら異質な事が】

/よろしくお願いします!
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/09(月) 00:12:02.69 ID:/VfkGIKzo
>>928

あたしだってもう随分昔の話よ?
女の子はねぇ、ガサツな男と違って繊細なの!

【女性は冗談めかして、鈴でも鳴らすように空の盃を振る。女の「子」を名乗るのが許される年齢なのかどうかは微妙なところだが】
【景気付けるような軽い文言に、女性も湿っぽい空気を快活な笑顔で吹き飛ばしてみせるだろう】
【いまは、盃の中身が空だからいい。けれどこれから注ぐ酒に、しんみりした味が染み着くのは女性も御免だった】

ま、こう見えてあたしは強いからね。襲われたのも十や二十じゃないけど、脳味噌と下半身が直結してるような奴らなら処理も単純なもんよ。
けどそう、組織≠ニして襲ってくる連中が一番やっかいなのよね………カノッサに、GIFTか。
GIFTの連中とは直接顔を合わせたことは無いけど、カノッサの奴らは…………確かにおっかない連中だったわ。
目的のためなら命も捨てる、みたいな、覚悟決まっちゃってるのがうじゃうじゃ居るっていうかさ。
まぁ、GIFTの方も――――こないだあたしの可愛い妹分をイジめてくれたから、その借りはいつか必ず返すけど。

…………よっ、と!

【技量の方は定かではないが、確かにはだけた浴衣から覗く褐色肌には、女性的な肉付きと野生獣のような筋肉が同居しているように見える】
【しかしいくら腕っ節が強くとも、多対一となれば分も悪い。数が多い方が強いという理不尽な真理は、男も女も見境がない】
【山賊からマフィアまで、規模はピンキリだが…………いずれにしても、個人で組織に太刀打ちするには、どうしても頭脳≠ニいうものが必要だ】
【この女性には、残念ながらそれはない。無い頭をすべて逃亡に回すことで、どうにか大きな組織に目を付けられるのを避けて旅してきたのだ】
【…………それでもカノッサ機関の者とやりあってしまうのだから、この女性が関わらなくていい問題に首を突っ込むタイプなのは間違いなくて】
【女性は最後に、何か個人的な恨みのようなものを空の盃の中に吐き出すと、盃を置いて一度席を立った】


あたしはミドナよ。天乃司か、んじゃ司で良いわよね?
ま、あんたも見た感じ嫌いなタイプじゃないけど…………一度言ってみたかったのよね、この台詞。

【女性はすぐに戻ってきて――――浴衣の上に、ファー付きの白いコートを羽織っているだろうか】
【男に言われて少しは隠すことにしたのかと思いきや、コートは袖を通しただけで前は開けっ放しで、露出度は大して変わっていなかった】
【しかしかといって、単に夜風が冷え込んできて、上着が欲しかっただけというわけでもなく】
【女性は再び男の隣に座り、左手を挙げて名乗る。その左手、ベルスリーブの袖口で、緋色の鷹≠フ紋章が女性の身分をわかりやすく示していた】

――――あたしに触ると、火傷するわよ♪

【女性――――ミドナは新しく注がれた燗酒を男の盃と合わせると、ぐいと一口流し込む】
【妖艶と言うよりはお茶目という印象のウィンクを飛ばして。男――――司の言うとおり、テンションの高い冗談を叩いてみせるのだった】
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/09(月) 00:14:09.84 ID:nd8IXwAso
>>930

【先の看板しかり、人形しかり、ゴムの性質を帯びたモノは弾丸と切断に弱い様である】
【切断となれば包丁、もしくは少年の能力による硬化が有効だが、硬化した場合の副作用が問題である】
【弾丸、四発とも、彼女の人間らしい弱点さえ狙撃できれば、充分な段数かもしれない】


────うん。全然。

【包丁は先まで帯電していた。つまり、彼女のゴムの性質を帯びていたのだ】
【対衝撃翌用のゴムである。当然ビクともせず相変わらず包丁は手中にあった】
【すかさず右手。少年の肺周辺へと二発、弾丸を発砲した】
【反射さえ聴けば避けることは出来うる筈だが──果たして】
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 00:32:43.37 ID:TQ+0imTBo
>>931

【厨房(と言っても狭いキッチンに器具があるだけ)でガサガサとパンを焼く男】
【目の前の調理とビールと煙草に意識を取られていて新たな客には気がつかない】
【といっても此処は基本的に誰が来ようと気にしないのが彼の性格上の行動だ】

【バゲットと缶ビールと灰皿をカウンタに置けば煙草を吸いつつ、スツールに座って】
【店主は座ったまま、新たな来客には一瞥くれただけで、またなにか言うわけでもするわけでもない】

……っつー事はアンタ、常連じゃないだろ?…マスターが見たってことは新規の客ってことだ
普段に比べたら、ケタ違いの大サービスだから、良かったな。受け入れられたって事さ

【マスターが動かなければ、誰も何も言わない。懐疑の目の常連たちも今となればその不思議な彼も】
【背景の1つでしか無い。店主のアダ名はミスターサイレント。彼が平穏の定義だから】

【サングラスの男は煙草を灰皿に置いてビールを飲んだ。パンをかじりつつ入ってきた男に気さくに話す】
【二十代後半か三十代。クールにしゃがれた声で長い足を組んで座っていた】

ここは酒なら結構あるが…食い物はツマミかフィッシュアンドチップスだけだ。それも食えるのがラッキーな味で…
……ビールもそこのオヤジの前にカネを置いて、自分で取るって事…飯は買ってくるか作るんだ…自分でな
まあ、食いなよ。オヤジ食わねえって言うから余っちまった

【どうやら店主も喋らないわけじゃないらしい。見たところ棚にグラスや酒瓶や冷蔵庫がある】
【だが、値段は見当たらない。常連は勝手に持って行って、レジの横にお金をおいている】

……値段を覚えるまでに時間がかかるけど気にするな。多かったら釣りが出るし…
少なかったら……咳払いするから。…どんぶり勘定が嫌ならここは合わないだろうけど

【パンをかじりながらそうやって説明する彼。自分で作ったということはかなりの常連で料理も出来るっていう事が分かるが】
【異質な雰囲気に気がついているかどうかは分からない。ただパンを薦めてくるだけだ】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/09(月) 00:42:02.42 ID:5twH7IVX0
>>933


【……彼女が右手を自分に向けたのなら、少年は回避しようと、其れは矢張り反射的なバク転を見せるが―――、】
【先程、電流に屈し隙が出来ていたのだ。避けられる高さを飛んでは居たが、対応に遅れ、……二発目を脇腹に被弾。】
【此れには思わず、身体のフラつきを見せ、着地に失敗、少年は其の侭、転がり倒れ込む事だろう。】
【―――本当に、相性の悪い闘い。此の一言に尽きるのだが、……其れでも此の少年は闘志を燃やし続け。】


ほんまに、ビクともせえへんな、……案外、ええ動きやと、思うんやけど……


【ゆっくりと立ち上がる。然し2発目を被弾した以上、少年を襲う電流は今までより強くなって居た。】
【今までの様なテクニカルな動きは、もう出来ないと判断し―――銃口を彼女のコメカミに捉えながら、後退りする。】
【その間、何もなければ、少年は棒はその場に捨て、近くの包丁を手に取ろうとするだろう。……成功したなら、調理台の上に登る。】

【先ずは拳銃で一発、彼女の腰を狙い発砲―――其後、調理台から跳躍、丁度身体が最高点となった所で、包丁を思い切り、矢張り腰目掛けて投擲する。】
【何方も狙う部分は同じだった。当たれば相応の威力、……更に、時間差攻撃、彼女は如何にして避けるか―――?】

【一方少年は、調理台からの跳躍も、回転で受け身を取るという、少々隙のある形で着地していて。】
【息も切れかけていれば、かなりの疲弊状態にある事が読み取れるだろうか。……まあ実際、其の通りであって。】
【―――然し、彼女は未だ余裕を示す言葉を並べて居る様だ。とすれば、圧倒的に不利、そう言わざるを得ない戦況だと言えるのだった。】
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 01:01:13.75 ID:jtSdws5To
>>934

ハハ、それは良かった。入ってきただけで帰らされるのはゴメンだからね。
そういう君は常連客か。マスターの動きで分かるなんて、相当通ってたりするのかい?

【自分が何か場違いの行動をしてしまったことが少々照れくさいのか、青年は少し頬を掻いて】
【しかし青年は、いつもの表情だと言わんばかりのその微笑みを崩さないまま、彼のこの店への入れ込み具合を悟った】

【彼が20代後半ならば、青年は20代前半といった所か。年齢は下、だがその口調といえばまるで彼が同年齢のよう】
【彼よりも少し高い声はよく通るが、既に背景の一部になっているのならば、それも関係のないことだった】

へぇ……随分特殊なシステムなんだね。
理由はやっぱりマスターが面倒く……あぁいや、映画が面白いからかな。

【せっかく受け入れられたのに、またそれを白紙に戻すような真似は青年も憚ったのか】
【ちらりとテレビの画面を見ながら、適当に今とってつけたような事を理由とした】
【ありがとう、と短く返して小さく齧り付くと満足したような笑みを浮かべて、美味しいね、と呟きのような小さい声】

なに、自他ともに認めるガサツな僕には丁度良いくらいだよ。
さて僕の欲しいお酒はあるかな……っと。
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 01:01:52.90 ID:jtSdws5To
>>936
/途中送信です……
/もう少しお待ちを……
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 01:05:43.67 ID:jtSdws5To
>>934

ハハ、それは良かった。入ってきただけで帰らされるのはゴメンだからね。
そういう君は常連客か。マスターの動きで分かるなんて、相当通ってたりするのかい?

【自分が何か場違いの行動をしてしまったことが少々照れくさいのか、青年は少し頬を掻いて】
【しかし青年は、いつもの表情だと言わんばかりのその微笑みを崩さないまま、彼のこの店への入れ込み具合を悟った】

【彼が20代後半ならば、青年は20代前半といった所か。年齢は下、だがその口調といえばまるで彼が同年齢のよう】
【彼よりも少し高い声はよく通るが、既に背景の一部になっているのならば、それも関係のないことだった】

へぇ……随分特殊なシステムなんだね。
理由はやっぱりマスターが面倒く……あぁいや、映画が面白いからかな。

【せっかく受け入れられたのに、またそれを白紙に戻すような真似は青年も憚ったのか】
【ちらりとテレビの画面を見ながら、適当に今とってつけたような事を理由とした】
【ありがとう、と短く返して小さく齧り付くと満足したような笑みを浮かべて、美味しいね、と呟きのような小さい声】

なに、自他ともに認めるガサツな僕には丁度良いくらいだよ。
さて、僕の欲しいお酒はあるかな……っと。

【レジの横に置かれたお金を見て、バゲットを置いて見よう見まねでレジの横に金を……ポケットから出した結構な高額紙幣を置けば】
【棚から取り出したのは、少し小さめの瓶。近くに置かれれば、それが櫻の国の酒だと分かるだろうか】
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/09(月) 01:17:54.32 ID:nd8IXwAso
>>935

【ゴムをここまで利用した女が居ただろうか】
【少年からの射撃、包丁の全てを、右手の人形だったモノを浮翌遊させ、防いだ】
【人形だったものは既にキャパシティを超えて居たのだろう──液体へと戻り】
【再び周辺の液体が、人型へとゆっくりと起き上がり始めた】

────これで、終わりかな?

【包丁を持った手と、持たざる手を、それぞれ少年に向けると】
【包丁を持った方から、レールガンの容量でスピーディに弾丸が、遅れて右側から別タイプの弾丸が五発づつ発車された】
【右側から弾丸は、少年の目の前で破裂し、ゴムの液体となり彼にくっつくだろう】
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 01:27:51.24 ID:TQ+0imTBo
>>938

まあ……食いたいもんが絶対に食える店ってのはなかなか無いだろ?しょっぱかったり薄かったり…
ここはその心配がない。なんせ、自分で作るんだから……悪くないね

【ニヤリと笑いビールを飲む。後の理由としてはいつでもやっているとかそういうのもあるが】
【揉め事を起こさなければ誰も何も言わないってのが彼の素性からは一番良かったからだ】
【言ってしまえば彼は国際指名手配犯、賞金首。顔でバレることは殆どないが…その筋に詳しいものなら】
【赤い両目の銀行強盗というものを知っているかもしれない】

面倒なんだろ。知らないけど…この辺はろくでもないから此処がまともに見えちまう
だから客がそれなりに途切れないから……まあ、いいさ。過剰なサービスされるより俺はいいね
あんなビジネスライクな条件反射のスマイルなんて好きじゃないから

【パンを食いながら、何気なしに店主の見ているテレビを見る。興味はないし途中からなので内容も分からないが
【なんとなくクライマックスでいいところだってのはわかった】

それより…アンタ、地元のやつじゃないよな?それだったらもっと…身なりが埃っぽいからな
……あー…そうだな。この辺りのチンピラの元締めってわけでもなさそうだ…
カネはありそうだが…ビジネスマンが来るようなところじゃない

【ビールを相当に速いペースで飲みつつそう話す男。店主は置かれた紙幣を手早くレジに押し込んで】
【調度良いお釣りを手早く返して、何も言わない。何を取ったか分かっているようで不思議でならない】
【ただ、お釣りを数えれば他の店で飲むよりも少し高い用で…納得しかねる】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/09(月) 01:41:38.90 ID:5twH7IVX0
>>939

…………………――――


【最早、無駄口を叩く余裕すら無く。……然しながら自分の意思は、彼女を睨みつける事で確実に伝えていた。】
【彼女の"終わり"……止めと言い放った言葉は、嘘ではなかった。異なる2種のタイプ、5発ずつの計10発の弾丸が少年に降り注ぐ。】

【其れでも最初の5発は、矢張り身体を回転させる事で避けて見せた。―――其の動きは最早、弾丸の動きを"予測している"様にも見えたか。】
【……然し其れも、何とかギリギリ、という話。残りの5発に関しては全て、被弾を許す事となり……身体中、ゴムだらけとなった。】

【とは言え、そんな事気にしないと言いたげな表情。少年は大きく一歩、彼女の元への疾走は、目で追うのが精一杯の速度。】
【手前で小刻みにジャンプ、一切軸はブレること無く、宙で身体を3回転させ―――、彼女の首を捉え、渾身の蹴りを放った。】

【―――そう、"蹴り"である。……勿論、別段、電気に対応する策を取った訳でも何でも無い。】
【つまり、この行動が指す意味、其れは、文字通り、生か死かの賭けに出たと言う事。】

【狙った部位は首、喰らえば気絶は免れないだろう、が。若し、耐え切ったのなら、其の時点で、彼女の勝利は確定するのだろう。】
【疲弊しきった少年の全身には今、液体状のゴムが付着している。―――正に、煮るなり焼くなり、好きに出来る筈だ。】

942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/09(月) 01:50:01.52 ID:nd8IXwAso
>>941

【まだ余力が残って居たのかと、少し嬉しげな彼女】
【相変わらず余裕は消えない──なぜなら、もう一体作っていたからである】
【時が来るのを待っていた人型は、瞬間勢いよく少女の目前へと現れた】
【──彼は1人気絶させる事は出来た。ただし、それは、あの少女ではなく】


じゃ、そういう事で……お疲れ様でしたぁぁぁぁぁぁ!!!

【──ゴムを一体気絶させた後、少年が浴びたゴムが、青白い光を出し始めるだろう】
【無論、それは電気エネルギーであり】
【この液体をとにかく早く取らなければ────終わりかもしれない】
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 01:51:01.17 ID:jtSdws5To
>>940

……成る程、良いお店だね。……それに、静かってのもまた良い雰囲気だ。
ま、騒ぐほど誰も他人を知らないだけなのかもしれないけど。

【彼の笑みに青年もクスリと笑いかけて、またパンを一口齧る】

【何か含むような話し方は、まるで彼を知っているかのよう。いや、青年は彼を知っていた】
【何故ならば青年も同じような立ち位置だったから。違うのは知名度ぐらいか】
【所属組織の知名度なら、負けていないのだけど……青年は心の中で発したそんな言葉を、直ぐ様消し去った】

マトモだよ、確実に。此処が襲撃されないのが不思議なくらいさ。
……そのビジネスライクな笑顔も生きる為の手段だと割り切るほうが、楽だとは思うけどね。

―――そうだね。君が言ったそのどれもが外れさ。
言うなれば研究者だよ。対して世の中に貢献してない、自己満足の研究だけどね。

【お釣りの枚数を分かっているのかいないのか、渡されたお釣りを見ずしてポケットへと突っ込み】
【ふとテレビを見ると何かの映画のクライマックス。感動すべきトコなのかな? なんて小さく呟くと、またパンを一齧り】

【さて、秘密にするようなことはなく案外あっさりと自分の職業を明かした青年。嘘……のような雰囲気はないが、そもそも此処に来る人間である】
【そして青年は、君は? なんて尋ねるのだった。 ニコリと、あくまで興味本位というオーラを醸しつつ】

/もう寝てしまいそうで返せそうにないので凍結お願いします!
/今夜は9時位から居ると思いますので、その時はまた改めてよろしくお願いいたします!
/それでは一旦乙でした!
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/09(月) 02:08:13.05 ID:5twH7IVX0
>>942

【液体を拭い取ると言っても、粘度の有る物である故に其れは厳しい。】
【……彼女を、戦闘不能にする、つまり能力を発動させない事、選択肢は此れしか無かったのだ。】


――――…………


【もう起き上がる事さえ出来ず。最後に一言、口を引き声を発そうとしても、声帯が上手く震えず、只々乾いた息だけが漏れて。】
【然し其れでも、と彼女に放ったのは、少年のハンドガンに入っている残りの3発。……全て、一気にトリガーを引いた。】

【……既に、青白い光が浮かび始め、少年の全身に電気が走りつつあった。彼女の腹部を目掛け、3発撃ったつもりだったが、】
【どうしても手のブレだけは止める事が出来ず。当たったのかどうか、当たったとしても其れは何処だったのか、という事に関しては、】
【………彼女"のみ"が知る事となるだろう。――――少年の意識は、もう既に絶えていた。】
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/09(月) 02:20:03.91 ID:nmhVntAco
>>944

【二発。彼の放した弾丸は少女の腹部へとめり込んだ】
【ただし──めり込んだだけ。ゴムと化した肉体は素体が人間であったため、比較的耐久度が強いらしい】
【それでもダメージはあったらしく、腹部を抑えながらふらふらと少女は立ち上がった】

ふぅーん…最後に私のお腹をやるなんて執念?怨念?観念?──ふふっ、まぁいっか


【出会った時のあざ笑う笑い声を出しながら】
【とどめを指すかの様に、肉切り包丁で少年の首元を横薙ぎしようとするだろう】
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 02:37:16.08 ID:TQ+0imTBo
>>943

そうだろ?…騒ぐような奴は此処には来ない。テレビが聞こえるぐらいまでってのが
基準みたいだ。…問題を起こせばオヤジがライフルを向けるだの刀で斬りかかるだの
……まあ、噂だけど…そういう話もマジに聞こえるからうまく寄り付かないのさ

【パンを食べながら、そうやって話す。確かに常連は皆、若くはないし】
【店主も客も何かしら腕に自信のある人たち…に見えなくもない】

多少も襲撃ぐらいでやられないよ。この店はさ…まあいい
…俺は嘘で笑うぐらいなら死ぬ方がマシだと思うね。絶対に…

……此処に来るってことはじゃあ、噂を聞いて?盗人でも詐欺師でもテロリストでも
カノッサでも…誰が来ようとパクられない酒場があるって…まあ、悪者御用達なんじゃなくて
単に誰もかれも放っといてるだけなんだけどさ…

【立ち上がってポケットを漁って、小銭を店主の前に置けばそのままビールを追加して】
【また新しい缶を開けて、一口飲めば席に戻って】

それとも俺か?…この間、機関の科学者に目をつけられたようで…大したことじゃないけど
追手でももう来たのかと……違うならごめんな

俺は……あー…なんでもやるよ。大した芸も無いからまともな職に付けないもんでね
まあ、この世界色々、飯を食う分には困らないんでね……金次第さ、悪いことは内容次第…

【なんでもさ、人殺し以外はね。とだけ言えば煙草をくわえてカウンタに頬杖をつきつつテレビを見ている】
【あながち嘘ではない。強盗だけじゃ食うわけにも行かず、殆ど人のつてで何でも屋まがいだ】

/もちろん了解です!向こうで声をかけていただければ!それではお疲れ様でした!
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/09(月) 02:39:01.50 ID:5twH7IVX0
>>945

【……少年の意識は既に途絶えており、全ては彼女の意の侭、横薙ぎをしようとしたなら、其れも成功する事だろう。】
【心臓は未だ、動いているが―――首を通る血管に損傷を加えたのなら、出血多量は免れず、】
【だとすれば其れも止まるのは、時間の問題。より早く止めようと何か手を加えようとしても、又思い通りに行く筈で。】

【シン、と静かになった厨房、耳を澄ましてみても、何も聞こえる物は無ければ、……その他異変だと感じられる物は、何も無い。】
【全ては彼女が支配していた。……其れこそ此の少年を、あのふくよかな男性の様にしてみせる事も、十分可能だった。】
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山梨県) [sage]:2013/12/09(月) 02:43:46.91 ID:nd8IXwAso
>>947

【横薙ぎ一撃。壁と床、彼女のコートに朱が混じり】
【微笑みを浮かべながら、再度電力を帯させ、ローストさせた少年の頭を】
【嬉しそうに鼻歌を歌いながら撫で回し】
【誰にも見られまいと彼女はホテルの鍵を閉めに厨房を後にした】

【少年の行方は、誰も知らない】

/5日間お疲れ様でした。ありがとうございました。
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/09(月) 02:44:41.62 ID:5twH7IVX0
>>948
/お疲れ様でした!ありがとうございましたー!
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 19:12:51.34 ID:Ue5HuCQyo
【月下の湖畔】

【すっかりと冷え切った空気を肺腑に落とし込む。見上げた夜の天蓋は澄み切っていて、星が一際良く見えた】
【踏み締める枯草の感触が知らぬ間に過ぎた季節を物語っていた。芯へと染入る冷たささえも何処か心地良い】
【頭部を覆っていた黒衣を脱げば、途端に冷気が肌を刺す――今宵の月は、欠けた上弦だ】

――……

【其処にいたのは三十代と思しき背高な白皙の男。腰程まで伸ばした紅茶色の髪、左右で瞳孔の開き幅が大きく異なるオリーブ色の目】
【呪術師風の長衣の袖から覗く手は長めの爪が紫に染められ、左手薬指に指輪の様に巻き付いた黒蛇の痣が浮かんでいる】
【その手で軽く払った髪の隙間から、左耳に付けた“宝玉”製のピアスが覗く。右の手には古めかしい儀式用の刀剣を握っていた】

【湖の手前に佇んだまま、男は時折白い息を吐くのみで動かずにいる。背後は鬱蒼と茂る森で、風が梢を揺らす以外は酷く静寂であった】
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 20:06:36.10 ID:0c1AsQCOo
>>950

【静寂、それはとても脆いものだから。時に、ひどくあっさりと壊れてしまうものだ】

【彼の後方、少し離れた位置に何かが落ちたような、金属音の混じった、そんな音が響くだろう】
【振り返ったのならばその目に飛び込むのは、座り込んだ一人の少女】

いったぁ…………何でいっつもこんな雑な、っていうかここ何処よ……

――――あら、まさかこんな所で人に会うなんて。

【赤を基調としたドレスに西洋甲冑を合わせたような、所謂鎧ドレスに身を包み】
【長い銀髪はポニーテールにして、背中には十字架の様に組み合わされた長短一振ずつの剣】

【ほんのり赤くなった鼻を手で摩る姿から察するに、先ほどの音は“何処か”から少女の落ちた音】
【彼の姿を視界に捉えれば、少女の鋭い蒼の瞳が、少しばかり丸くなった】



/まだいらっしゃいますかー?
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 20:25:58.48 ID:Ue5HuCQyo
>>951

【音への反応は酷くゆったりとしたもので、訪問者たる彼女に対して別段の警戒を抱いてはいないようだった】
【歪な目による視線を相手の蒼い目に合わせない程度に滑らせて、突然の落下物(?)を無遠慮にじとりと観察する】
【そして――暫く後に微かに鼻で笑った。何が面白かったのかは不明だが、とかく嫌な奴であるのは間違いないだろう】

……――今晩は。 久々に下手糞な転移術が見れて嬉しいよ

【早くもその性格を確証付ける言葉をのたまうと、男は静かな足取りで少女へと近付いていく】
【その最中で、相手に合わせないように不自然に下げた視線を隠す為、フードを深く被り直した】
【もし接近を許したならば――意外にも、伸ばされるのは男の白い左手だった。】

【武器を持つ右腕は敵意の無さを証明するためか背側へと回している。袖から覗く腕には、酸で焼かれたような痕が点々と残されていた】

/こちらにおります。少々間があるので不安定になりますがご容赦下さい
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/09(月) 20:48:42.38 ID:kt0j3eiko
>>932
「GIFTは無いけどなァ、カノッサは割りとディープに関わってたなぁ。
……ま、あんまり積極的には関わりたか無いね。面倒で面倒で。
ただ――アレだ、喧嘩を売られたなら買うっきゃ無い――って位かね。喧嘩とか好きじゃねぇんだよね俺。
面倒事ってのは立ち向かうためじゃなくて避ける為にあるってのが持論だからさ」

【浴衣の胸元や、袖口から伸びる太い腕は、バランスよく鍛えられていることが良く分かる肉体】
【そんな肉体を抱えた上で、男は争い事が好きではないと、しみじみと語り――酒を一口含み、嚥下した】
【此方は相手とは正反対。争い事には積極的に首を突っ込みたがらず、平和を好むという気の抜けた性格だった】
【また――女の発言などから、少しだけ男の雰囲気が硬質化した。特に、カノッサについての話が出た時点で、だ】

「おーおー、好きに呼んでくれ。俺もミドナって呼ぶからさ」

【お銚子の残りを注ぎ嚥下し。軽く振ればもう中には残っていないことが音でわかり】
【己の傍らの酒瓶に一瞬目線をずらし――戻ってきた女のコート、袖口の紋章を見て――目を僅かに見開き】
【バツの悪そうな表情を浮かべつつ、無言で女の杯に酒を注ぎ】

「――おおっと、マジか。いや、なんだ……SCARLETにゃ、一回世話んなったよ。
明音って子なんだがな。……ぶっちゃけて言えば、俺ァ元カノッサだったからよ、一回お縄に着いたわけだ。
ま、何。アレだ、もうそっちとは手ェ切ってるから、物騒だけはマジで勘弁で頼める? 火傷とか炎とか割りと勘弁だからよ」

【隠し事があまり得意ではないのだから、もう先にゲロっておこうとばかりに元カノッサである事をあけすけに語ってしまう男】
【手元の酒瓶の首を掴むと、指先で軽くなぞり――瓶の首を綺麗に溶断。冷酒を己の盃に注ぎ込み】
【わずかに緊張した様子を見せつつ、ずずと酒を啜るのであった】
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 20:55:05.13 ID:Bh5cRONso
>>952

【鼻で笑われたのを感じれば、鋭い目が余計に鋭くなり、彼を睨み付ける】
【どうやらこの少女、なかなかに勝気なようである】

……別に自分で転移してきた訳じゃないわよ。
ただその……知り合いが、ね。私の時はいっつも適当な飛ばし方するのよ。

――ところで、あんたはこんな所で何を?

【これは強がりなどではなく、全くの事実。しかしそれをどう受け取るかは、彼次第】

【何の障害もなく彼が近付いてきて。そして腕が差し出されたのを見れば、先ほどよりもう少し、丸くなる目】
【先の言葉から、この行動は意外なものに写ったのだろう】
【刹那の逡巡の後、こちらも左手を伸ばし、彼の手を掴んでそのまま立ち上がろうとするのだろう】


/いきなり遅くなりましたァー!
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 21:08:50.32 ID:Ue5HuCQyo
>>954

……ああ、少し理解出来るかも知れない。
飛ばす側は大体の目途を付けるので手一杯になるから……尤も、私の術の場合だがね。
弟には良く文句を付けられるよ、せめて地上に下ろせと――……、私かい? 秘密。

【掴まれた腕を軽く引いて相手を立ち上がらせる。ただし質問はスルー対象だったらしくあっさりと躱した】
【口振り、そして姿から見るに男は術士なのだろう。右手に持つ刀剣も、武具に詳しければ切りつける能力もない儀式用の物と分かる筈だ】

そうだ……近頃何か、この世界で大きな動きは?
暫く屋敷に籠っていたのでね。 外の状況をまだ把握し切れていない

【質問を躱しておいて、相手に質問を投げ掛ける――どうも真っ当な会話は望めないのかも知れない】
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/12/09(月) 21:30:30.25 ID:/VfkGIKzo
>>953

なんだ、あんたも?
あたしもカノッサの連中とは出来れば関わりたくなかったけど――――SCARLETに入る前、ちょっとした事件に偶然関わったのよね。
…………明言はしないけど、酒の味がしなくなるぐらいにはエグいことやってたわ。
それを見ちゃってから、どうにも…………気に入らなくってさ。向き合わきゃいけないような、そんな気がしちゃってるわけよ。
だったらいっそ、コレ≠背負ってみるのも悪くないかなぁ、ってさ…………そう思ってたんだけど、難しいわねぇ。

あたしは喧嘩も好きだけど、後腐れが残るのは嫌いなのよ。お互い気の済むまで殴り合ったら、あとは酒でも飲んで仲直りってさ。
カノッサの連中にそれが通用しないことぐらい――――わかってたつもりなんだけど。結構ショックだったわ、あれは。

【自分とは逆に平和的な言葉を語る司へ、ミドナは左手の紋章を得るまでの話を、ぽつぽつと語るだろうか】
【最初に偶然面倒事≠ノ首を突っ込んで以来、カノッサ機関とは少なからず因縁があるようだ。酒の匂いのする語り口も、少しだけ重くなって】
【そして最後に話すのは、ごく最近の話だ。殴り合っても最後は解り合うのがミドナの主義だが――――それが通じない相手と出会った、そんな話】
【悪≠ノ殉じる覚悟が決まっている者には、そんな幼稚な理論は届かない。少しも解り合えず拒絶されてみて、それをようやく自覚した】

【…………そこまで話して、また場が湿っぽくなっていることに気づくと、ミドナは豪快に猪口の中身を煽って誤魔化すように笑うだろうか】
【その笑顔も…………司が元カノッサという話を聞くと、また消えてしまうのだが】

えっと、マジ? ホント、おかしな縁もあったもんね…………。
うーん…………ま、もう縁切ったっていうなら気にしないわよ。それに関してはあたしにどうこう言えた義理じゃないしね。
あたしも大声じゃ言えないけど、昔は盗みとか色々やってたし――――元々正義の味方≠チてガラじゃないのよ、あたしって。

【ミドナは何か思うところありそうに、司の顔をまじまじと見て唸るが――――自分の中のカノッサの印象と、目の前の男の印象は合致しない】
【それだけ確認すると、あっさりと笑顔に戻るだろうか。最後の一口で猪口を空にすると、楽しそうにそちらへ猪口を差し出して、追加の酒を求めるだろう】
【後腐れが残るのは嫌い、と言ったばかりだったが、その通りのようだ。あまり昔の事を気にするタイプでもないらしい。溶断された酒瓶についても――――あえて言及はせず】
【最後にフォローとして付け加えた自虐は、SCARLET隊員としてはかなり問題がありそうだが…………それに関しても特に悪いとは思っていない風である】
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 21:30:35.59 ID:jtSdws5To
>>946
【彼の話には、パンを食べながら何となく話している分逆にリアルさがあって】
【そして無言の店主、力がありそうな常連客……。どれを取っても、自分以上に異様さが引き立っている】
【この店の異様さ、青年は其処でようやく気がついた】

……面白い店だ。

【何度も発してきた呟き声だったが、こればかりは少し、トーンが違っていた】


まさか。此処に来たのは全くの偶然だよ。ふらっと立ち寄ったのさ。
こんな所に酒場が有るなんて思いもしなかったからね。ちょっと、興味本位かな。

【彼のつけた見立てに軽く笑みを浮かべながら、無い無いと否定し。食べかけのパンの一欠を口へ入れると】
【よほど気に入ったのかまたすぐに酒を飲んで、グラスの中身を空にするだろう】

それこそ違うさ。僕だったら……そうだね、こんな所で仲睦まじくお酒なんか飲み交わしてないで、さっさと戦っちゃうかな?
それにしても厄介な事に巻き込まれたみたいだね。機関には気をつけた方が良いよ。彼らは目的の為なら手段を厭わないからね。

【一介の科学者が「戦う」なんてワードを出す事を、この世界だからと聞き流すのも疑念を抱くのも彼の勝手】
【どっちみち前者ならば青年は次の話題……彼の職業に対し「儲かるかい?」なんて聞くだろうし】
【後者で尚且つ彼が疑問を呈するならば、酒をもう一杯飲みながらも青年は確りとそれを聞いているだろう】

/少し送れてしまいました、申し訳ございません。今日もよろしくお願いします!
/今さら言うのも何ですが、こんな単調な受け答えしか出来ないキャラなんで、何時切ってくださっても大丈夫なので!
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 21:32:49.20 ID:1izk0xEqo
>>955

たぶんだけど、あいつの術はまた違うタイプだと思うわ。あいつ妖怪だし。
……絶対ちゃんと地上に飛ばせるはずなのよ。それなのに本当にいっつもいっつも…………

――ああそう、秘密なら別にいいわ。初対面の相手の事、いちいち掘り下げて聞く趣味は無いし。

【立ち上がれば、ドレスの尻の部分を幾度か手で払って。質問はスルーされたけれど、“取り敢えず聞いてみた”程度だったのだろう】
【だから、そこに食いつくことはなく、チラリと視線はその刀剣へ】
【色々な理由があって、そういった儀式道具の類にもほんの少しばかり詳しいものだから、一応その剣の事もわかった様子】

近頃、ねぇ……だいたいいつ頃からか、って話だけど……最近ならGIFTとかSCARLET辺りかしら?
後は……そうね、確かこの前、夜の国で六罪王のレギン、とかいうやつがやられたとか何とか。

ああ、それからもう一つ、水の国の何とかって大会。あれの第三回が少し前にあったわね。

【“近頃”というのがどれくらいの範囲を指すかは分からないが、取り敢えず思い当たった事を話していく】
【――ちなみに、少女の背負っている二振の剣は、どちらも普通に物を切れる剣である】
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/09(月) 21:39:04.70 ID:Hp/R7bpDo
【路地裏】

【殺人、強盗、その他諸々の悪事全般――なんでも起こるこの場所だが】
【流石に師走とあっては静かなようで、今宵の舞台に限っては、特に争いもなく】
【ただバタン≠ニ扉が閉まる音が周囲に響き、階段を降りる音が聞こえるだけ】
【さしずめマフィアか何かの事務所だろう場所から出てくる当たり、怪しいのが一人――】

【もし誰かがそれを確かめようと思えば、居るのは毛皮のコートを来た赤髪の女性で】
【ミンクの手袋、そしてロシア帽まで被った彼女は今、ゆっくりと手すりを伝って降りていて】

さて……アイツには礼も渡したし、他にやることも無し、か。
となれば帰って飲むか、どっかに寄るか……しかし、冷えるな―――。

【カン、カン――と音を鳴らしながら、やがて彼女は階段を降りきり、路面へ】
【こういった場所は慣れているといった風に左右を見遣ってから、また歩き出す】

【ところが彼女、ただ慣れているだけではなく――どうやら能力者らしい】
【その証拠にその頭上数mの位置に人型が浮いていたのだ。流線型の黒い鎧姿である】
【ソレは彼女の代わりに周囲を警戒しているようで――誰かが通れば、すぐさま行って、相手を確かめようとするだろう】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/09(月) 21:40:34.62 ID:kt0j3eiko
>>956
【酒をちびりと減らしつつ、ほとんど素面の様子のまま、あたりめを齧り始める】
【夜空は丸い満月が照らしだしており、この寒空の下佇む男は、その中でも寒そうな様子を見せることはなかった】

「なんつーか……、悪いことしようつって入ったんじゃなくてな。自分探しの一貫って言うか、ま、そんな感じでさ。
肌にあわねーから抜けてきちまった、悪いことはどうにも目覚めが良くないしな。
――やっぱり、良いことも悪いことも向いてねぇよ、俺はな。その点、仲良くなれそうじゃん?」

【良いことも悪いことも似合わない、向いていない。だからカノッサを抜けたとのこと、だが】
【基本的には善良な部類であるようで、やはりカノッサに所属するタイプの人間には、あまり見えなかったかもしれない】
【女の差し出したお猪口へと冷酒を注ぎ込み、己の物にも同じように酒を注ぎ、お猪口を傾けて】

「……いやなぁ、SCARLET、入らないかーって言われたりしたんだけどさ。
元カノッサだし? 放浪癖あるし? バイク盗んだ事あるし?
って訳で、ちょいとどうするか考えながら適当に旅してみてるんだけどよ。
実際SCARLETって、どんな感じよ? いや、ミドナ見てる限り普通に俺でも行けそうな気ぃしてきたけどさ」

【SCARLETに対して、多少の興味を示しつつ、いつも通りにのんびりと会話を続けていく男】
【此方もまた、相手とは違うベクトルでは有るが、自分のペースというものを崩さない】
【ふと盃に視線を落とせば水面に映る月が見えて。わずかに口元を笑みの形にして、酒を空にした】
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 21:53:24.41 ID:Ue5HuCQyo
>>958

――……レギンが?

【相手の言葉に、先程までの表情が僅かに崩れ、驚いたようにして男は暫し押し黙る】
【目の前にいる人間が武器を背に負っている事に関しては、手を差し伸べた時から思考の外にあるらしかった】
【少しの後に「有り難う」と存外に律儀に述べると、男は徐に数歩湖の方へと戻っていく。思考を整理するような間だった】

【(内心では妙な既視感を覚えていた。相手の言う「やられた」は本当に「終幕」なのか、?)】

……まあ、私達にさえ関わらなければね。GIFTとやらも、カノッサも
ところで、君が何者かは……聞かない方が良いかい?

【何か納得したような言葉の後、再び相手の方を振り返って男は悪戯げに笑って見せた】
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 22:01:19.67 ID:Ue5HuCQyo
/次スレです
/http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1386594046/
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/12/09(月) 22:05:56.84 ID:/VfkGIKzo
>>960

自分探しか…………耳が痛いわねー。あたしもSCARLETに入るまでは、まさしくその為に世界中回ってたし。
その途中、あたしは偶然SCARLETに出会って、あんたは偶然カノッサに出会った――――と。
結局似たもの同士みたいねぇ、あたしたち。

【あたりめを齧り始めた司を見ると、ミドナは羨ましそうにその手元を見るだろうか。口には出さないが、「あたしにもよこせ」と眼光が告げている】
【肌を刺す風が、ミドナの体を通り抜ける。しかし彼女も司と同じように、特に体を震わせたりも浴衣をちゃんと着直したりもしなかった】
【風が、コートの裾を煽ると――――それはすぐに、生温い空気に変わる。彼女の着込んだコートから、何か妙な熱が発せられているのがわかるかもしれない】
【…………だが、二人の間に漂う空気の暖かさは、決してそのせいではない筈だった】

そーねぇ――――旅のついでの人助けが、人助けのために旅になった感じ?
あたしはスカウトされただけのクチだし、SCARLETに登録してるからって基本的には自警団とか警察とかみたいな仕事はないわ。
何か事件があった時にその辺から情報が流れてきて、要請されるなり自主的に行くなりして手伝いをする感じかしらね。

経費で世界中に飛んでけるし成功すれば報酬もらえるし、結構楽しいわよ?
まぁ…………内容はやっぱり戦いとかが多いから、ある程度は腕に自信がないと困るかも。

【注いで貰った冷酒を嬉しそうに煽ると、ミドナは無い頭を回してSCARLETの業務を説明するだろうか】
【説明としてはかなり適当だが…………その様子が逆に、SCARLETという組織の自由度をよく伝えるかもしれない】
【腕に自信さえあれば、こんな酒飲みの適当な女ひとりでもそれなりにやっていける。元々の放蕩癖も、依頼を受けて世界中を飛び回る点ではそう変わらない】
【司にとってどうかはともかく――――少なくともミドナにとっては、中々に適職であるようだった】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 22:13:51.14 ID:TQ+0imTBo
>>957

【サングラスの彼はパンをそうそうに食べ終えて、手をはたいて粉を落とす】
【咀嚼しながら常連らしく寛ぐ姿は正にこの雰囲気の住人というわけだ】
【単なる常連客も彼を受け入れるという事はつまりは異質なのだ】
【異質が当たり前の空間。それがここ。だから誰もが受け入れられるのである】

だろ?…まあ、いつまでたっても三ツ星はつかないだろうけどね

【とうの彼は一切、相手のトーンの変化を気にしないでビールを飲んでいた】

ふらっと立ち寄るようなところかね……まあ、前にそんな奴も居たから…そういうもんか
どこをうろつこうが俺が口出すことでもないから……合うの?その酒とこのパンじゃ…

【彼は基本的にビールやウイスキーに合うメニューが好きだ。彼の飲む櫻の国の酒は】
【そういったオリーブオイルに合わないんじゃないかと思う。相手の素性よりこちらの方が気になるのだ】

……ったく…直ぐ戦うやつばっかりで困っちまうよ。多少ビールでも飲んでお互いの了見を話してからでも
遅かあ無いと思うがね…。何でもかんでも急なんだよ急。世の中ってのはゆっくり進んでると俺は思うが…
……まあ、そうなんだ。最近は機関がらみの用事が多くてね…望んじゃいないが、そういう月廻りらしい…

…それじゃあ…流浪の科学者ってわけじゃ無いだろ?ああいうのはスポンサーが居て何とかなるもんだろうし…
……いや、あれこれ詮索するつもりじゃない……単なる、酒のツマミだよ…

【煙草をくわえながらそう話す。儲かるか聞かれれば「全く。」と笑い飛ばしながら話すだろう】


/よろしくおねがいしますね!ではまあ明日も平日なんで深くならない頃で終わるようしましょう!
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 22:17:25.92 ID:PAHrqg1Ho
>>961

別に私がその場にいた訳じゃないから、詳しい事は知らないけどね。そいつの顔だって知らないし。
気になるんだったら、実際に居合わせた人間か――それこそSCARLETの人間にでも聞いてみたらいいんじゃない?

【片手を腰にやって、吐息を一つ。二つの蒼が見ているのは、彼の姿か湖か】
【告げられた感謝の言葉には、少し得意気な笑いを以て返事とする】

【――彼の疑問に答えられる者は、ここにはいない。きっと、居たとしたってこの世にほんの数人だけで】

まあ、言ってしまえばそうだけど……
でもGIFTも最近活発だし、機関も新しい六罪王が出てきたりで、そうもいかないかもしれないわよ?

――別に、隠す事もないし良いわよ。
私はゼリシュ・フェーブス。所属は特にないわ。
……で?私はあんたの事を聞いても良いのかしら?

【こちらが質問を返すのは、彼に答えた上でのこと】
【いくらか口の端を吊り上げて、こちらも笑みを返して見せた】
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/09(月) 22:21:46.88 ID:KRGw9F0Zo
【夜の国、廃墟群】

【山沿いに広がるこの地は、かつては希少金属を多量に含む鉱床によって栄えた街だった】
【その日暮らしの坑夫、開拓事業に奔走する実業家。誰も彼もがこの地に集い、一攫千金の夢を見た】
【しかし、諸行無常は世の常だ。変わらぬものは何一つなく、形あるものは何れ壊れるのが必定】
【やがて鉱床は枯れ果て、街は死んだ。開拓の爪痕を残した山は、さながら夢の墓標】
【活気と光に溢れていたこの地は誰からも見捨てられ、もはや省みるものもない──筈だったが、今夜は違った】

ごく微量だが、建造物に魔素汚染の痕跡が見られる。比較的新しい……ここ数週間の内のものだ。
かの六罪王がルルーメンで行った儀式の影響で霊脈が歪められたために、このような事が起こったのだと推測する。
門は閉じたとは言え、厄介な置き土産を残してくれたものだ。

【無人の往来、通る車もない車道の真ん中を我が物顔で闊歩するのは黒い人影】
【中性的な面立ちをした若い女だ。白皙に墨色の目、肩の高さで雑に切り揃えられた青みのある黒髪】
【紬を着流した上からゆったりとした外套を羽織り、口許に宛がった通信機と何やら話し込んでいる】

【ところで。話は変わるが実はこの街、最近にわかに人々の話題に上るようになったのである】
【それというのも、廃墟を溜まり場にするならず者どもが這う這うの体で帰って来たのが始まりだ】
【不思議に思ったある人が聞けば、何でも『見た』、との事らしい】
【ならず者どもが見た化け物だか幽霊だかが何であるのかは、今となっては定かでないが】
【しかし、ここからが問題だ。肝試し気分でこの地を訪れたものの中に、行方不明者が出た】
【枯れ尾花だろうが何だろうが、実害があった以上は調べない訳にも行くまい】

【という訳で冒険者ギルドから依頼を受けて、派遣されたうちの一人が、この女だと言うわけだ】
【さて、この先女が行き遭うのは同業者か、肝試しに来た命知らずか、はたまた──?】
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/09(月) 22:21:49.40 ID:kt0j3eiko
>>963
「だなぁ。どうにも、旅してるとこういう出会いがたまにあるが――。
まさかここまで似たもの同士とは思わなかったぜ? 正直な。
うお、あったかっ。……んじゃ俺も、ちょいと一芸――と」

【あたりめを齧りつつも、女の眼光を受けて、男はごそごそとあたりめの袋をあさって】
【面倒なのか適当に一掴み分ほど取り出して、思いついたように一瞬掴んだまま停止する】
【数秒後、女のほうの皿に置いたあたりめは、いい感じに炙られて美味しく食べれるようになっていた】
【なんとも言えない脱力感。この空気は、中々に居心地の良い空間では有った】

「ふぅん……、なる、ほどねー。
基本的に命令とかそういうのされるの苦手でよ、やりたいことしかしないってクズ野郎だし?
……ただ、それでも何とかなりそうだし――そうだなぁ、ちょいと挑戦してみるかねえ。
カノッサ入る前に一回自警団の依頼でカノッサと喧嘩したこと有るんだけどさ、割りと実入り良かったし。
……腕っ節は、アレだ、アレ。要するに勝てる相手としか戦わなきゃ無敗の王者だし?」

【冷酒を静かに啜りつつ、男は女の話に耳を傾けて、こくこくと納得した様子で首を縦に振った】
【その上で、それならやっていけなくもないだろう、と思ったようで。割と前向きに検討することにしたようだ】
【腕っ節や何かについては、自信が有る様子をそれほど見せはしないが、自警団の依頼を受ける程度の実力はある用で】
【この組織ならば自分のほしいもの≠ェ見つかるかもしれない。そう思えた】
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 22:37:23.95 ID:Ue5HuCQyo
>>965

――……新しい六罪王?
流石に欠員補充なのだろうかね、リリアにコーネリアスにレギンもとなれば……

【弟はその情報を得ているのだろうか。不意に過った思考は心配とは少し異なっていた】
【相手の蒼い目に合わせる事の出来ないオリーブの目は、其処に強力な呪詛を抱いていると気付けるだろうか】
【覗き込むような事さえしなければ実害はないが、余り注視し続けると何かしらの不快な作用を及ぼす筈だ】

……セシル・シュトラウス。 今はフリーの呪術士さ
転移術の上手な妖怪によろしく。 ではね、ゼリシュ

【「今は」と暗に含みを持たせた回答を置いて、男――セシルはその場を去ろうと踵を返す】
【帰り道は把握しているようだ。何もなければ、ここで別れる事になるだろう】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/09(月) 22:40:15.38 ID:2kCO5yHw0
【街の中――――普段は喧噪で賑わう其処だけれど、今日ばかりは静かで】
【その街の中央に立つのは、一人の巫女。瞑想の如く目を瞑り、風に黒髪を靡かせている姿は幻想的に見えるかも知れないか】
【不意に手を横に伸ばしたならば、その腕に止まるのは一羽の鳩。真っ白で、僅かな耀きを放っていて】


「ご苦労様でした
――そうですか。異常はありませんでしたか。でしたら、何よりです
ゆっくり休んで下さい」

【空いた片手が鳩を撫でたならば、其れは瞬時に一枚の符へと変わるのだろう】
【所謂、式神。櫻の国ならば、それなりにメジャーな術であろうか】
【そのまま袂の中に手を入れれば、一枚の煎餅を手にとって】


「……可笑しいですね。何も無いという筈は無いのですが
まあ、良いでしょう。面倒事は嫌いですし
そんな事よりも、この空腹を満たすことが先です」

【ゆるりと小首を傾げるけれど、結局は自分に言い聞かせ、納得するのだろう】
【パリパリと食べながら、お腹が空いた何て言うが――――手に提げている袋には、大量の中華まんの飽き袋があったりするのは、余談だろうか】







【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 22:43:14.46 ID:jtSdws5To
>>964

【彼が気にしないならば、それもまた一興。というか、もとより青年はどちらでも良かったりする】
【何か追及されれば、青年は愛想よく答えるのだろう。無論、隠しておきたいことは隠したままにして】
【それよりも今は酒を飲む時間だ、とばかりに、青年は瓶の半分以上を既に飲み干していた】

櫻の国の住民でも、和酒でパンを食べ、洋酒で白米を食べる人だっているだろうさ。
僕はそういった"物好き"の1人なんだ。科学者に向いてると思わないかい?

【常識的に見れば彼の意見が尤もなのだが、平然と青年はそう言ってのける】
【しかしその言葉を注意して解釈せずとも、言外に「合わない」と言っているのが分かるだろう】
【酒瓶を彼の方へと移動させ、「飲んでみるかい?」なんて意地悪そうに笑いながら言うのは、彼の性格がよく伺えるだろうか】

個人個人で時間の流れは様々さ。彼らにとって見れば、時間はとてつもなく早いんだろうね。
ま、此処のお客さんやマスターみたいな人ばかりじゃない。機関絡みの仕事だらけの中でこうして酒を飲んでられるんだから、良いじゃないか。

【……ま、僕は彼らと同じように、時間の流れは早く感じるけどね―――なんて言いながらグラスを傾ければ、瓶の中は持ってあと3杯か】
【早く時間を感じるとは言ったものの、ゆっくりとした時間の流れに身を任せたいと思うのも、青年の本心だった】

まぁね。今どき金が無いと何もやれないからね。僕も少なからず、とある組織でお金貰って研究してるんだ。
……あ、そうそう。僕には部下が居るんだけどね、その部下が可愛くなくてね……。

【研究者が居る企業なら世の中に星の数ほどあれど、こんな身なりで研究者を名乗る青年が在籍している組織なら、ある程度絞れるだろう】
【酒のツマミになんて言われたもんだから広げたのは部下の話題。その苦笑いからは、本当に苦労している様子が彼にも分かるだろうか】
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/09(月) 22:52:14.76 ID:/VfkGIKzo
>>967

へぇー、よくわかんないけどいい技持ってるわね!
んぅ…………美味しい! 酒が進むわ〜!!

【ミドナは獲物を前にした猛禽類のような目であたりめを掴む手を睨んで、それが皿の上に置かれれば】
【先程、酒瓶を溶断したのと同じ力だろうか。あの時は少し物騒な印象に映ったが、こうなってみるとミドナも目を輝かせるばかりで】
【炙られたあたりめを豪快に噛み千切って咀嚼すると、冷酒を一口流し込んで、染み入る味に足をばたつかせた】
【この自由奔放な振る舞いは元々だが、それでも男の前でこれだけ緩んだ姿を見せるのは、それだけ司に心を開いた証左だ】

お、やっちゃう? あたしと同僚になっちゃう?
いいわねー、あたしも周りがガチガチの奴ばっかでさ、そろそろ肩身も狭かったのよ。同類が増えてくれるならありがたいわ〜!
…………ただひとつ忠告しとくけど、元カノッサ云々はうまいこと誤魔化さなきゃダメよ?
あたしも入るときに色々前科がバレて面倒なことになったし…………。

ま、そのでっかい体が虚仮威しじゃなければへーきよ、へーき。
あたしだってこれまででっかいライオンとかサイボーグ軍団とかと戦ったけど、こうして生き残れてるしね。
そうそう、いざとなったら逃げればいいのよ逃げれば――――勝ち続ける必要なんて、ないんだからさ。

【前向きな司の返事に、ミドナは大層嬉しそうにして酒を流し込む。口をつく軽薄な冗談も、少しは可愛げがあるだろうか】
【…………それから急に真面目な顔になって、ミドナは遠い目で司に忠告する。仮にも正義の組織に入る以上、前科は無いに越したことはないということか】
【そんな謎の説得力が籠もった文言はさておき、ミドナはまた冗談めいた台詞を吐きながら、司の背中をバンバン叩こうとして】
【語られる経験談もやたらコミカルな調子だが、そこには幾度となく降りかかった窮地の味が少しだけ滲んでいる】
【勝つ必要はない、生き残ればいい。悪く言えば無責任、良く言えば自由な言葉だが、それがミドナの持つ数少ない真理だった】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 22:52:15.81 ID:BHrck9Pio
>>968

さあ、ね。私は機関の中の事なんて知らないし、その辺はわからないわ。

【軽く肩を竦めれば、そう言って】
【視線が彼の目の中へと向かう。刹那、何とも言えぬ“良からぬ何か”を感じて目を逸らすのだが】

そう、セシル、ね。ちょっと気になった事はあったけど……掘り下げないことにするわ。
また何処かで会ったら、その時は色々掘り下げるかもしれないけど。

――ええ、さよなら。私が言わなくてもあいつは見てると思うけど……

【軽く笑って、立ち去る彼を見送って】

【そしてここからは、湖畔に一人になって少し後のこと。】

……どう帰ればいいか分からないんだから、さっさと迎えに来なさいよね、瑚蝶。

「余に物を頼むならもう少し口の聞き方を弁えよ、といつも言うておろうが」
「……まあ良い、行くぞ」

【―――その後、少女がもう一度顔面から着地することになったのは言うまでもない】



/お疲れ様でしたー!
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/09(月) 22:57:43.68 ID:woYD2BLC0
【路地裏のとある隠れ家の前】

【夜の路地裏、隠れ家がある場所】
【そこはカノッサ機関の人間が出入りする場所だと言われていた】
【そしてその真相を確かめるべく、自警団の何人かの人員が派遣された】
【その派遣された人員は――無残な死体となっていた】
【そしてその死体となった人員を殺した、男が立っていた】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

 ああ、おいおい、弱いなこいつら
 まあ、一応調べてみたらまさかものほんの機関員がいたとは信じられねえはな

【男はそのように死体を見おろす】
【その死体たちは切られたり刺されたりして殺されていた】
【そしていまだに血がこの路地を赤色に染めていく】

 ま、自分の不運を呪うんだな
 しかしばれたとなるとここも破棄だろうな
 あーあ、探すのがめんどくせえな、他のやつに投げとくか

【男はそのように愚痴をこぼしながら、ため息をつく】
【そして回りを見渡したあとに、しゃがみ】
【なにやら、死体を物色し始めた】

 ええと、何かもっていたりとかしてないか
 ――んお、へぇ、タバコかいいもんもってんな

【男は喜色いりまじった声で見つかったことを喜んだ】
【そして懐からライターを取り出してその死体からとったタバコに火をつけた】
【そしてそのままタバコを吸っているであろう】
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/09(月) 23:06:07.39 ID:kt0j3eiko
>>971
【ミドナの真面目な忠告。それに対して、うっ、と一瞬司は何とも言えない表情を浮かべて苦笑を漏らす】
【既に前科がバレるバレない以前の問題で、SCARLETのお縄に付いているのが、司だったからだ】
【資料やデータベースをあさってみれば、確りと天乃司の名前が経歴や証言と共に乗っかっているだろう】

「――んーっと、もう一回捕まってるから経歴バレバレっつーか、そんな感じ?
一応俺自主的に自首的な感じで捕まった上に、明音チャンの目の前でカノッサに喧嘩売ったりしてたんだけどさ。
明音チャンは口利きしてくれる――的なことァ言ってたから、ま、なるようになるとするしかねーだろ、しゃーねーし?」

【ただ、捜査や証言が協力的であったり、前科がバイクの窃盗と幾つかの戦いの参加程度だった為、仮釈放中の司】
【もうなるようにしかならないんだから、と諦めたのかなんなのか、開き直った様子でどっしりと構えていた】
【指先につまむあたりめを温めて、おちょこの中の冷酒を同じく熱燗にして啜り――ほぅ、と酒精を含む息を吐く】

「死ぬのはそんなに怖くないんだけどな。
死ぬよりも――今のまんま、何も無いまま終わるのが一番怖い。勝つとか負けるとか死ぬとか生きるとかよりさ。
だからちょっとそういうのビビって血迷ってカノッサ入ったりしちまったんだが――ま、気の迷いだわな、本気で。
……心配してくれてサンキュ。伊達にデカい訳じゃねぇさ、そうそう死なねーよ」

【生き残る。命に対しての執着を、この男はそれほど持ち合わせていなかった】
【ただ、何も残さないまま、何も得られないままに人生を終わらせることは、怖かった】
【逆に言えば、それを得られたならば――この男は死んでも良い。そう思っているという事でもあり、僅かの歪さがその言動からは滲みでた】
【それでも、己の心配をしてくれたことは嬉しかったのか、はにかみ気味に笑いつつ礼を言って】
【いつの間にか半分以上無くなっていた瓶の中身を見て、目を丸くして】

「人の事言えねぇけど、あんたも大分強いなあ。
ま、もし同僚になれたらまた酒とか付き合ってくれや。
慣れなかったとしても――どっかの酒場で会えたら、とかな?」

【ちゃぷり、と酒瓶の中身を揺らしつつ、楽しい酒をまた飲もうと口にする】
【この男が、再度人と会うような事を口にする辺り、大分司もミドナを気に入っているようで】
【要するに、なんだかんだで似たもの同士だったのだろう】
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/09(月) 23:10:27.74 ID:ORAXvRvk0
>>966

あのーそこの方………少しお聞きしたい事があるのですがぁ………。

【ふと、人っ子一人いない廃墟群の中から女性に対して声が掛けられる―――。】
【どこか気の抜けた、情けない声色の声の主は、女性のすぐ背後に気配が感じられるだろう。】
【振り向けば………恐怖からか寒さからか、カタカタと震えた人物が立っている………。】

最寄りの街はどの辺りでしょうか?首都へ向かう途中で濃い霧に阻まれて迷ってしまって………。
通信機の調子もおかしいのです………貴女はこの辺りの住民ですか?いや………廃墟群に住民はいませんよね…。

(じ、じゃあ幽霊って事ですか………!?しまった………!)

【その人物は―――。】
【朱い長髪を一つに結んで垂らし、切れ長の黒い細目をしてメタルブラックのフレームの眼鏡を付けており】
【ワインレッドのシャツの上に黒いネクタイ、その上にフード付の黒いロングコートを着て】
【薄い紫のスラックスに赤い軍靴を履いた身長180p後半の、どこかおどおどした雰囲気を纏った細身の青年である】

【青年の脇には、軍用のジープがエンジンをかけたまま止まっており、青年は恐怖の混じった瞳で女性を見つめている―――】
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/09(月) 23:12:32.21 ID:TQ+0imTBo
>>970

【気にしない。もしかしたら気がついていないということもあるだろう】
【だが、相手からすればどちらも同じことだ。今、大事なことはそのとおり酒を飲むことである】

へえ……まあ、物好きは何処だって居るさ。ここなんて塊みたいなものだろ?
…だったら全員サイエンティストだ。…次来た時はボトルがアンプルになってるかもな

【そう言いつつ、彼はもうビールは何本かハイペースで飲み進めている】
【そちらに比べてアルコールが薄いと言ってもその量はかなり酒豪という事がわかる】
【勧められた酒瓶は、「いや、いいと」軽くつっぱねる。今はコッチのほうが良いと言って】

さあね……持ってる時計は皆同じだろうよ。太陽だって同じくグルグル回ってら…
俺は……どうだろうな。……俺は止まったままな気がするね。いつまでも今日が終われば、今日が来る…
いや…今日が終わらないって感じかな

【浴びるほどビールを飲むのは少しでも進めたいからか、戻したいからか。それはわからない】
【ただ、そうやって飲むのも、そういう仕事をするのも全て彼の中のこの感覚のせいなんだろうか】

部下なんて可愛かねえよ。ようわからんが…歳が離れりゃ価値観が違うんだ。上だろうと下だろうと…
……どうにかこうにかその合間を埋めるのにあくせくするのが上のシゴトだと思うな……面倒だけど

【話の内容からは仕事も家も根無し草の彼がこんなことを話すのはかなり違和感があるだろう】
【しかし、背もたれによりかかりつつ飲み屋の雑談にしては真面目に考えてくれているようである】
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 23:25:13.04 ID:Ue5HuCQyo
>>959

【前方から、恐らくこのような場所には不似合であろう高下駄の音が響き、暗がりの中に和装の人影が浮かぶ】
【線は細く、性別の判断は付けがたい――それは距離が縮まり、互いの顔が確認出来た時点でもさして変わらなかった】

【その人影は、金糸と朱色の紋様が入った艶やかな黒の和服を纏っており】
【漆黒の彼岸花を差した白髪は肩口で切り揃えられ、薄く化粧の入った顔、切れ長な目は葡萄色をしている】
【作り者めいて均整の取れた顔は笑む事も無かったが、相手を睥睨する事も無かった】

――……お久しゅう

【この場所の空気の様に冷えた表情が、誤差の範囲でほんの僅かに笑んだ】

/まだいらっしゃいますかー
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/09(月) 23:34:50.35 ID:Hp/R7bpDo
>>977

【グぅん――と、黒鎧は其処に何者かが現れるや、風雲の如く近付いていった】
【だがそれだけで、他に何も無い。いや寧ろ、声が響くと鎧はすぅ、と姿を消して】
【代わりに彼を見遣るのは遠くから、黄土の双眸。俄な驚きに揺れているようだったが】

……よう、久しぶりじゃねェか元No.2≠フ月彗クンよォ
てっきりそこらで野垂れ死んでるかと思ったぜ……いやソレより――

【『よくわかったな』――と続けると、女性は距離を開け続けることもないか、と歩み寄る】

【言葉の意味はそのままだ。以前にあった時と今とでは、格好がまるで違っていた】
【以前は安っぽい、それに露出も多い格好だったが、今はひと目で分かる高級な一揃え】
【首から足まですっぽりと覆う毛皮と、それに手袋と帽子と――さながら似合わぬ貴婦人と云うところか】

【しかし中身は変わらずのままらしい。ニヤリ、と笑っているのは直ぐに分かるだろう】

/居ましたー!よろしくです〜
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 23:49:47.04 ID:Ue5HuCQyo
>>978

そのマインド……前に、他人の部屋の戸を不躾に叩きよったやろ。
それで印象に残っとっただけの事……随分清楚気取っとったから気付かんとこやったわ、ベイゼ。

【言葉だけ捉えるなら酷く神経質な男だろう。半年以上も前の、相手の腕を直した時の件を言っているのだ】
【機関本部・No.2の自室の中にあった“開かずの間”――あれを、ベイゼのマインドが悪戯にノックした件。】
【懐古混じりの軽口、と言ったところか。歩み寄られても警戒の色は見せず、その場に佇んでいる】
【髪に差した彼岸花が揺れた。青藍色の燐光を僅かに零し、それは次第に色濃くなっていくようにも見えて――】

さて、久々に会うた事やし……少し遊んだろか?

【月彗の直下の地面から歪な音が響き、地が微かに揺らぐ。恐らく接近しすぎるより先に気付ける筈だ】
【寒冷の土地、冷えた地面はさぞかし固かろう――それを意に介さず蠢くものが、地中に在った】

/よろしくお願いします。
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/09(月) 23:53:39.15 ID:/VfkGIKzo
>>974

あらら、もうとっ捕まった後だったか。それはしょーがないわねぇ。
ま、犯罪組織の一員が改心して正義の側に…………なんて珍しくもない話だし、大丈夫でしょたぶん。

【少々ばつの悪そうな司の言葉を面白そうに聞き遂げると、ミドナはやはり何とも無責任で奔放な言葉を投げる】
【とはいっても、一応その件に関しては先輩である。そうやってなるようになった事例が今まさに目の前にいるわけで】
【それを鑑みれば、少しは気も楽になるかもしれない。元々自由度の高い組織だ、これ以上印象を悪くしなければ寛大な処置も望めるはず】

何もないまま死ぬ、か…………。それは確かに、ちょっと怖いかも。
けどさぁ、意外と自分の気付いてないところで、いろいろ残ってるもんなんじゃない?
例えばほら、あたしは今ここであんたが死んだとしても、今日の酒の味は絶対忘れないだろうし…………ってちょっとクサいかな、これは。
あはは、うまく言えないけど…………熱っつ!?

【ミドナもまた、根無し草同然に世界中を回ってきた――――その何か≠探すために】
【SCARLETもまた、そのための手段に過ぎない。その何かは、ミドナにだって未だに見つけられていなかった】
【ただ、司とミドナに違いがあるとすれば――――それを手に入れた後のことを、考えていないことか】
【元々頭がいい方ではない。手にしたことすら無いものを手にした後のことなど、想像も付かない。その時のことは、その時考える。そういう女だ】
【無知は罪だと言うが、浅慮はどうなのだろう。変に悲観的にならないだけ、馬鹿であるのも悪くないのかもしれない】
【司と同じように冷酒を熱燗に変えようとして失敗している暢気な彼女を見ていると、あるいはそんな風にも思えるかもしれないが――――】

…………あ、そうだ、思い出した! 確か燃やしちゃった時用に予備が………。
ちょーっと待ってね…………ばーちゃん、ペンちょうだいペン!

【コートの左手部分が、ボゥと急に炎を発した。それで猪口を炙ろうとしたのだが、さすがに無理があったらしく】
【その熱さから何をどう連想したのか、ミドナは物騒な言葉を呟くと、一端手元の猪口を置いて席を立つだろうか】
【階段をすごい勢いで駆け上がる音が響き、そしてまたすごい勢いで駆け下りてくる。それから、居間の方でやかましい声が炸裂し】
【忙しない様子がしばらく続いた後、ミドナは左手に何かを持って戻ってくるだろうか】

――――はいこれ。たぶん入団の時に役立つだろうし、まー記念だと思って持ってってよ♪

【そうして司に手渡そうとするのは、緋色の鷹≠フ紋章が描かれたワッペンだ。裏側に、ミドナの字でサインが書かれている】
【SCARLETには、スカウト制度がある。今すぐに入団するにせよそうでないにせよ、これを最寄りの自警団に持って行けば入団手続きが可能だろうか】
【こんな適当な女だが、腐っても鯛とも言う――――現職のSCARLET隊員の口利きとあらば、多少は優遇される、かもしれない】

【それだけ言い終わると、ミドナはまた猪口を持って、温め損ねた冷酒を流し込む。だがその舌触りは、少しだけ温かいもので――――】


/うおお、遅れちゃってごめんなさい!
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/10(火) 00:04:13.15 ID:hr5ZkB9Co
>>979

……あぁ。お前もよくまあそんな昔のことを覚えてるよなァ
ちょっとした悪戯半分だった気もするが――清楚?なに、そんなんじゃ無ェさ
金が余ってたから、折角なんで仕立てて貰ったんだ。

それとな……お前に貰った腕だが、また吹っ飛んじまった
全部じゃ無かったが、今は大半を別のやつので補ってる――どうでもいいか?

【側寄ってみれば嫌でも目につく青藍色の燐光――ベイゼからすれば懐かしく】
【逆に言えば、話の内容を意識しているでもなく。ふと左手の手袋を取ってみれば】
【その肌は櫻の色に染まっていて、しかし二の腕当たりには以前のモノも残っているらしく】
【月彗にその気があれば、そちらに意識を向けて感じ取ることも容易であろう】

【――カツ、っ。服装に加えて似合わないヒールが、歩みの途中で止まった】

へェ……棒きれみてェな成りなのは変わらねェくせに、随分と熱いじゃねェか
別にいいぜ、付き合ってやるよ。旧交を温めようじゃねーか、月彗――。

【手袋を元に戻し、そのまま鳴らすのは耳のピアス。以前は黒だけだったが、今白も見えていて】
【リン、となるや現れたのは左右で黒白に色を違えたマインド・ベギーアデン】
【左側が黒――闇の属性を持ち、右側が白。これは光というより、熱の属性を持っているらしい】

【――ベイゼは先手を取らない。代わりに少しだけ後ろに下がって、両手はコートのポケットに入れていた】
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/10(火) 00:17:16.14 ID:D90uLvIEo
>>975
//すみません、所用にて離席しておりました……!
//今からだと持ち越しになっちゃいそうですが、まだいらっしゃいますか?
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/10(火) 00:22:56.45 ID:FpXwO+YNo
>>976
……あはは、確かに言えてるよ、それ。
ま、向き不向きの話だよ。煽ったら毒薬なんて、死んでも勘弁願いたいね。

【その意地の悪い表情から、要らないと言われることは想定済みだったのか、機嫌を悪くする様子もない】
【毒薬を煽れば簡便願う前に死んでしまうと思うのだが、まぁそれはともかく】

時計のネジを巻くのも大切だと僕は思うよ。
いつまでもルーチンワークなんて、つまらないとは思わないかい?
……ま、こんな身分だから言えるのかもしれないけどさ。……あぁ、別に悪意とかは無いよ?

【彼が止まった時計の針を進めたい、或いは戻したいという願望があるのか、それは青年には分からない】
【純粋に、彼には止まった針を再び動かしてもらいたいと……新しく動き出してほしいと思った、それだけの理由】
【グラスに注がれた酒を飲み干せば、もう瓶の中に液体は入っていなかった】

……んー、そんなもんかな。じゃ、僕も色々、研究以外にも努力しなくちゃいけないのかな――――――おっと。
もしもし? おー、わかったよ。すぐに出る。それじゃー。

【少しは部下に対する態度を変えてみようかな―――なんて思った所で、既にマナーモードにしてあった携帯端末が振動した】
【取り出して適当に――少なくとも、彼にはそう見えると思われる――返事をして切ると、くるりと身体を反転させながら立ち上がる】

その部下がお呼びみたいだから、僕はこの辺で失礼するよ。君との話、とても楽しかった。
あー……僕は『ノウン』とでも覚えておいてくれれば幸いかな。……それじゃ。

――――――それと、素敵な時間をありがとう。ミスターサイレント。

【彼が青年の名乗りに合わせて自らの名を言っても、言わずとも。青年はそのまま、マスターのアダ名を最後に口に出して出口へと歩いて行く】
【自分で考えたそのあだ名が常連客のそれと一致していることには、まず気づかないであろう】


『……何をしていた』
……ちょっと、世間話をね? ま、君にも良いトレーニングには成っただろう? 冴。
『……チッ』


【彼がその後店外へと出れば、流石に冬の寒さが身に沁みることだろう。だが、その後何処へ歩こうとも、奇妙な死体を1体は見つけるであろう】
【彼が見つけるのは、腹が斬った軌跡が氷に覆われた死体か、はたまた、首を氷で壁に固定され、胸を一突きされている死体か】
【なんにせよ、もう白髪の青年の姿は何処にもない。在るのはただ、凛とした寒気だけ】

/少し遅れてしまいました、申し訳ございません……
/ちょい強引っぽいですが、ここらで〆させていただきます!
/ロールありがとうございます! お疲れ様でした!
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/10(火) 00:23:35.32 ID:FY5PensY0
>>982
//まだいますよー、どうしますか?まだ始まりなので無かったことにしても構いません!
//もし続けるのなら今から開始でも置きレスすれでも持越しでもなんでもかまいませんよ!
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/10(火) 00:24:05.81 ID:VuMhreKSo
>>981

ハっ、人がくれてやった物を粗末にしよって――……、?

【櫻の色――微かに過る姿があった。まさか、関係性などあるとは思い難い少女の姿】
【だがその思考も、相手のヒールの足音が途切れて止まる。「勝った後にでも聞けば良い」、】


 ≪虚無への供物≫


【轟音と共に、月彗の前方より地面を裂いて突き出したのは、大樹の幹程もある太さの茨】
【一本ではあったが巨大な重量と蛇のように蛇行する動き、狭い路地裏がネックと言ったところか】

【それはおよそ地上界の植物ではない。青藍色の燐光を纏い、属性でいえば“光”】
【ただし――特殊な召喚物ではあるようだが、“植物”であるのは間違い無い】

(あのマインドは属性持ち、しかも相性は最悪……冬季で動きが鈍っとるんはまあ、ハンデとしとくか、!)

【茨はそれなりの速度で蛇行しつつ進み、棘を兼ね添えた重い打撃を、まずはマインドへ加えようとする――!】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/10(火) 00:36:50.97 ID:hr5ZkB9Co
>>985

【茨がマインドへ迫ると、ベイゼはそのまま正面からベギーアデンを当たらせた】

【即ち、左の拳を強烈な茨へと叩き込み返すのである。以前なら鎧も弾けたが――】
【――その左腕は、僅かにヒビが入って闇が零れ出すに留まっている】
【明らかなパワーアップだ。何より棘も鎧の硬さゆえ、表面を削ったが、それだけで】

【しかしそのままでは押し切られると踏んだか、触れているはずの左拳より】
【ベギーは相手の属性と相反する闇≠送り込み、内部破壊を狙おうとして】

(思えばアイツの戦い方をよくは知らない、が……あれだけならまだ良い)
(今のベギーなら、防御に一手加えればよしだ。問題はこっちに来た時だが……)
(……考えないようにしとくか。如何にベギーでも気を抜ける相手じゃねェのは確かなんだ――。)

ハッ!エレベーターで登るやいなや手榴弾を食らったんだぜ、察してくれよなァ
俺だって腕は大事にしてたんだ。一本無いと飯を喰うのも覚束ねェ――そォら、お返しだッ!!

【続けざまにもう一手=\―ベギーアデンは右の拳をも茨に叩き込み、跳ね上げようとするだろう】
【ソレこそ茨の大きさが大きさなのでダメージは薄いかもしれないが、熱の属性を持つその拳は】
【もし打ち込まれ、そのまま放置すれば溶融の危険もある。――速度に能力、パワー、何れも強化されている様子である】
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/10(火) 00:53:17.41 ID:VuMhreKSo
>>986

【ベギーの左拳からの“闇”は、聖なる種に属する植物には効果覿面と言えた】
【燐光を纏っていたそれは無様にも腐敗していき、其処に右の拳の打ち込みが入れば】
【熱で溶融、闇で腐食――そんな状態の茨が、まさしく月彗の方へと“返される”形になった】

そんなら、ついでにもう一本取れても同じやろ? また人形の手でもくっつけたるわ、なぁッ!

【茨が月彗の方へと倒れこむ寸前、溶融・腐食した部分以外の幹が召喚の反対――還元を受けて消え去っていく】
【汚染されたが為に呼び戻せなかった部分が月彗へ降り掛かったが、それとほぼ同時に彼の周囲から無数の花弁が巻き上がった】
【掌ほどの鋭利かつ硬質な花弁が茨の残骸を切り裂いていくが、矢張り闇属性は覿面であるのか相殺される物も多く】
【最終的に、主を守りながら生き残った二、三十枚程がそのままベイゼを狙い飛来していく――!!】

【一方で、召喚物へのダメージが月彗に還元されている様子は無い。だが、召喚という行為自体での摩耗は伺えた】
【そして植物を呼ぶ際、月彗は回避行動を見せなかった――それも、合わせて付記しておく】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/10(火) 00:53:56.31 ID:3zX6gkuL0
【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】







【路地裏。様々な物事が起こり、殺人だってそう珍しくも無い場所】
【今宵も当然の様に罵声が響いたのだが――――少しばかり、結果は異なっていた】

【対峙するのは大男と少女。乱れなく軍服を纏い、制帽を被った姿は容易に性格を想像させる事か】
【刃物を手にした男が少女の命を奪わんと思いっきり振りかぶる…………が、刃が裂いたのは虚空のみ】
【気付いた頃には背後へと回られていて、反撃をする間も無く意識を刈り取られるのであろう】


「――――今日だけで三人目でありますね。中々に多くて大変であります」

【さて、街灯に照らされた姿は上記の通り。序でに言えば、眼帯と腰に提げられた軍刀とが特徴的か】
【腕章は自警団所属を示す其れであって、“SCARLET”に所属する事を示すバッヂも腕章に着けられている事だろう】
【言わずもがな、少女は“善”に属する存在。通信機を取り出せば自警団へと連絡を入れて、その場に座るけれど】


「疲れた…………でありますね
丁度時間であります。身柄を引き渡したら何処かで休むでありますか…………」

【深い吐息は疲労の度合いを表しているのだろうか】
【――――ぼうっと空を見上げていたけれど、我に返ったならば慌てて立ち上がって】
【さて、路地裏と言えどもそう深い場所でも無い。ともなれば通行人が皆無な訳でも無く、“一般人”に近い者が通ったって可笑しくは無い】
【つい先程の戦闘を見て興味を抱いた者か、或いはまた別な理由を抱く者か――――兎も角として、何者かが訪れたならばそちらへと視線を移す筈で】
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/10(火) 00:57:26.35 ID:D90uLvIEo
>>975>>984
【きびきびと歩みを進めつつ、通信機との会話を続けていた女だったが】
【暫くしておもむろに立ち止まると、周囲を眇めて見回した──薄く立ち込めていた靄が、先程より深まっている】

汚染が確認できたのは、何れも目撃情報があった地点。いよいよキナ臭くなってきたな?

……感あり。定時報告を終了する。そちらは引き続き待機。
『こちらとの通信が途絶し次第』、然るべき手段でギルドに連絡を……チッ。

【間をおかず通信機から聴こえる音にもノイズが混じり始め、相手の返事を待たずして沈黙】
【穏やかではない状況だ。「予想より、速い──」一人ごちて、腰の刀に手を掛ける】

……こんな曰くつきの場所、きょうび浮浪者でも住まないだろう。

ここを抜けて街道沿いに西に真っ直ぐ、十何キロかのところだ。
徒歩なら兎も角、その車ならそうは掛からない。

【その時だった。背後から掛けられた声に勢いよく振り向けば、建物から何者かが姿を現す】
【警戒も露に刀の鯉口を切るが、よくよく見れば無害そうな青年だ。愛想も何もない仏頂面のまま、震える彼を一瞥すると】
【やや間の抜けた問いに対し、調子が崩れたと言わんばかりに溜め息を一つ。肩を竦めてこれに応じた】

【「尤も『この場合』──距離は然したる問題ではないんだろうが」】
【ぽつりと意味深な呟きを溢して、女は通信機を懐にしまいこむ】
//それでは、よろしくお願いします
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/10(火) 01:09:42.17 ID:hr5ZkB9Co
>>987

【茨を完全に駆逐し得た――それを理解するやーべギーは遂に積極的な攻勢へ】
【硬質な花弁の刃はその鎧表面を撫でるように削り、既に黒と白は不完全な色合いになっていたが】
【それでも内部に届かねばダメージとは成り得ない。故に、べギーは更に突っ込んでいき】

【消える間際の茨に能力を発動、引力≠ノよって一挙に接近を計れば】
【そのまま月彗の胴へと、熱烈な右の拳を叩き込もうとするだろう】
【当たれば強力無比な一撃だ。豪快過ぎはしたが――果たして、どうか】

――グゥ、ッ…!ゲホッ…っ、へへ……やってくれるぜ……!
生憎と右は利き腕でよォ……やっぱり、自前のが良いわなァ……!

【一方で、ベイゼは――先ず複数枚の花弁を『避けも交わしもせず』に居て】
【当然ベギーアデンは遠い場所。両腕で顔を庇ったが、モロに攻撃を喰らい】

【――その直後、膝を折って咳き込むと、手袋に広がるのは真っ赤な染み】
【およそ手袋ごときでは収まらない量の吐血であった。全身の傷からの出血もあったが――異常だ】
【見ていたのなら、彼女の胸部を数枚の花弁が襲ってから倒れたのだと分かるだろう】

【が――果たしてそこまで細心しているかどうか。そも、だから何だという話でもあるし】
【ベイゼはうっすらと汗を掻き、膝を折ったまま、口に手を当てたままではあったが】
【ベギーアデンもそのままのところを見ると継戦意志はあるようだった】
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/10(火) 01:18:52.10 ID:FY5PensY0
>>989

―――汚染?や、やっぱりこの辺りは何か異変が起きてるんですか?
何か誘導されるみたいにこの廃墟群まで来ちゃいましたけど、動かない方がよかったかな………。

ええと、どちらと連絡を?

【女性の緊迫感のある通信を聞いていたのか、さらに顔を青ざめさせながらキョロキョロと周囲を見渡す】
【そして、ふと女性が誰と通信していたのか気になり、気まずい空気を和ますためのように当たり障りのない質問をする】
【女性の刀にビビったのか両手を上げて苦笑している。】

そ、そーですよねぇ………もしかして夜の国の自警団の方ですか?

は、はぁご丁寧にどうも―――とはいえこの靄では歩いて行くのも無理がありそうですね…
車なら尚更危険が伴いそうです………ですがもしあれでしたら貴女も一緒に乗っていきますか?

あぁ申し遅れました、私は鉄の国軍・通信局≠フヴァイパー特務少尉です
夜の国の政府関係者の方ととある件でお会いする為に参ったのですが………いきなりこんなトラブルに見舞われてしまって

【そう言いながらガックリと肩を落とすヴァイパーと名乗る青年。】
【鉄の国と言えば軍事力に秀でた国として有名だが、この青年はどうにも軍人らしさというモノが見えない。】
【青年は女性がどのような人物なのか確認を取りつつ自身の乗ってきた軍用のジープを指さす。】
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/10(火) 01:21:55.70 ID:FjdXnMbUo
>>988
【一瞬。相手の命を奪うことなく、意識のみを失わせる。両者の間に実力差がなければ、起き得ないことだ】
【さらに、彼女の言葉を考えればすでに三人の犯罪者を相手取り、つまりは連戦の末のこと】
【腕章とバッヂは、自警団員そして精鋭部隊“SCARLET”の一員であることを示す】
【ならばこの実力も当然か、いやこれ程の実力あればこそそのバッヂをつけることを許されたというべきか】

【このバッヂを見てなお、自ら近づいてくる悪漢がいるとすれば、よほどの愚か者か異常者か】
【あるいは、何らかの目的を持ってのことか】


ひっひっひっひ……なら、あたくしらが四人目と五人目、ってとこですかねえぇ?

【声は、路地裏の奥の方からだった。下卑た気配を匂わせる声音】
【闇の奥から現れたのは、くすんだ鉛色の髪をオールバックにした、彫りの深い顔立ちの男だった】
【髪と同じく鉛色の瞳、両耳と口元のピアス、それらは路地裏に差し込むわずかな光を反射する】

【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベスト、迷彩柄のズボンに黒い軍用ブーツのその男は】
【外側も内側も一糸乱れぬ様子の少女とは対照的といっていい、汚らしい気配を放っていた】


いやいや、突然失礼。あたくしぁ、スカーベッジ・トラーシュってしがないゴミ漁りでございます
ちょいと、自警団の方にお伺いしたいことがありましてね……

おいノーティヒア、てめえもご挨拶しろ


【ピアス男が少女に話しかけつつ、後ろに控えていたもう一人に声をかける】
【それを受けてゆっくりと光の下に姿を現したのは、ピアス男を凌ぐ異形の姿をした男だった】

【身を包むは、黒いタートルネックのスウェットスーツに黒い革靴。それらの衣服には、あちこちに天体や惑星の画像がプリントされていた】
【路地裏の闇の中で、男の胴体だけが切り取られた宇宙空間の入り口であるかのように錯覚するだろうか】
【電極でも仕込まれているのか、それらプリントされた惑星は、淡く怪しげな光を放っている】

【だが、何より異常なのはその頭部。のっぺりした顔立ちに大きく見開かれた目、どこを見ているかわからないくすんだ鉛色の瞳もさることながら】
【そのさらに上。額の上あたりで頭蓋が断ち切られ、透明なカプセルに包まれた脳味噌が丸見えになっている】
【さらには、頭頂部に突き立てられた長いアンテナ。先端の尖った鉛色のアンテナが、カプセルと脳味噌を貫いて天へ向かって伸びているのだ】

【露出した脳味噌のど真ん中にアンテナを突き立てた男。明らかに普通の人間ではない、とこの男の見た目だけでも察せられるだろう】


「……君は疲れているようだ。しかし、疲れているとはどういうことなのだろう。たとえば、肉体的なものなのか精神的なものなのか」
「仮に精神的なものだとしたら、その疲れはいったいどう考えればいいのか。肉体的なものと違って、目には見えないというのに」
「まずは君の疲れの定義から始めなければ……むぐっ」

【突然、わけのわからないことを呟きだしたアンテナ男の頬を、ピアス男が右手で乱暴に掴んだ】
【その状態のまま、ピアス男が顔だけを彼女へと向ける】


いやいや失敬、この男はいつもこんな調子でしてね
さて、改めまして……自警団員に天鬼ちゆりって方がおられると思うんですが……ご存じありやせんかねえぇ?

【アンテナ男の頬をぎりぎりと締め付けつつ、ピアス男が笑顔を向ける】
【しかし、下卑た気配は隠し通せていない。さらにその言葉の内容。軍服の少女に、疲れた体に鞭打って警戒させるには十分か】
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/10(火) 01:22:39.99 ID:xNkHTfbuo
>>983

なら、次からはオリーブオイルの匂いじゃなくて
ヒ素の匂いでもバラ撒いとくさ…気をつけなよ?ミスター

【ニヤつく男はその態度から全くのジョークだとわかる】
【だが、彼が居なければこの雰囲気は余所者を追い出すためにそういうことを】
【しそうな感じが漂っているので…ここに飛び込んできた相手はすごい度胸だとわかる】

さあね……バネが絡まっちまってるからさ……ルーチンでもいいじゃないか
嫌いならそれが好きな奴に任せりゃいい。頭使うより体使う奴も居るんだからさ…

【この話の中に彼自身は存在しているのだろうか。止まっているのも進んでいるのも】
【また歩き始めるのも誰か別の人間の話で彼はそれを傍観しているだけのような…そんな話しぶりだ】
【昔の…遠くのおとぎ話でも話すような…彼の中身を探れば探るほど何もない感じだろう】

そうさ…仲良くやれよ。…喧嘩するより、ツイスト刻んでるほうがいい気分だ

【肘をカウンタについて、新しい煙草に火をつければ電話の間は黙っていて】

おう……じゃあな。俺は……ヒライ。そういうことだミスタ…

【軽く手を振って送り出すが、振り返ることもなく。去って行くならそれでいい】
【ドアベルが鳴ったら店は静かになって。彼は煙を吐いて】

……KNOWN…か……何を知っているんだろうな。いや…何処までだろうな……なあ、オヤジ

【ビールの缶を軽く持ってそれを煽れば、そうつぶやいた。次はコロナでも飲もうか】
【店主は何も言わない。テレビを消せば、自室に帰っていく。店は開いている。彼はステレオをつけて、静けさを埋めた】
【朝、彼が起きるまでその死体には気がつかない。実際には自警団がその事件の聞き込みに来て起こされるまで…】



/ということで私のシメはこの辺ということで!お疲れ様でしたー!またよろしくお願いします!

994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/10(火) 01:32:39.44 ID:VuMhreKSo
>>990

……ッ、!?

【本体を守りに行くとばかり思っていたベギーの特攻に、月彗は動揺を隠さなかった】
【更にもう一つ誤算があるとすれば――ベギーの防御力、そして“引力”】
【咄嗟に自身の前方に蓮の花を開かせて、防御壁と成そうと試みるが、回避を選べなかったのは大きなミスであり】

――ッっ、ぐゥ……!!

【結果として、ベギーの一撃は蓮ごと月彗へと直撃した。花は一瞬で散り、月彗は弾き飛ばされ瓦礫に強かに背を打ち付ける】
【ベイゼと対照的に青い血液を吐いて、瓦礫にうずもれたまま動けずにいた。召喚している植物は無く、いわば手駒の無い状態】
【対する相手はマインドが健在――ならば、勝者は決まったも同然だ。忌々しげに舌打ちをした月彗の態度が、何よりそれを物語っていた】


――……おい、まだ生きとるか? 死にそうなら踏ん張っときや、試したい術が……
ッっ……しっかし、とんだ馬鹿力やな、あの白黒甲羅……

【だが本体へのダメージを見るならば、相手の状態の方が重篤であるのだろう。月彗は形容しがたい表情で、僅かに憔悴を見せた】
【最後の攻撃を、防御はともかく回避しなかったのが気になった。まさか相手に限って、戦闘で手加減したとは思えない】

【月彗は小規模ながらも浮翌遊する蓮を召喚し、それに乗ってベイゼの方へと近付いていこうとする】
【それをベギーが遮るなら話は別だが――何かの考えから、ベイゼの状態を変えようと目論んでいるらしかった】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/10(火) 01:46:43.02 ID:hr5ZkB9Co
>>994

【――確かにベギーアデンは健在だった。マインドばかりは恐ろしく強いのである】
【尚も宙に浮遊し、拳を作っている。だが――月彗への追撃はない】

【理由は相手を殺すところまでやるつもりがなかったからでもあるし】
【何より、ベイゼ自身が重傷で追撃の指示や判断が下せなかったのもあり】
【月彗が後に動き出せば僅かに動きを追うものの、道を塞ぐことはなく】

ッ……勝手に人を死にぞこない扱いすんなよ、テメェは……!
俺はまだやれるぜ…!ベギーもまだ、鎧は壊れちゃいねェ――グ、ッ…ゴホッ…!

【――胸部、特に肺がズタボロと言って差し支えない状態の大怪我――】
【誰に言ったわけでもないが、ベイゼの吐血の理由はまさにそれである】

【ヒールを履いているから走れないのではない。走れないから、ごまかすためにそれを履き】
【傷を隠すためにロングコートを着て、『上品で優雅な女性』を装うことで激しい動きもせず――】
【それ程に怪我の程度は酷い。表面上は全く綺麗に治っていたし、日常生活も行えていたが】

【いざ少し強い衝撃を受けると、これで。ゼエゼエと息をしつつ、口元を拭うも】
【月彗が何をしても、それに抗するほどの余裕は無かったし――その証左に、ベギーアデンも背後で消えていた】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/10(火) 01:54:17.46 ID:3zX6gkuL0
>>992
【事が終わり、気を抜いていた―――――――――だから、その不穏な気配に気付くのにも時間を要したのだろう】
【感じ取れるのは、路地裏に生息する闇よりも更に数倍深い闇】
【鋭い視線で射貫き、牽制をしようにも…………その異質な姿に、隻眼が見開かれた】
【握った小さな拳は、油断できない相手であると悟ったから。先に仕掛けるか――――否、其れは得策では無い】
【先程までの男達とは比較にならないであろう。なれば…………先ずは、様子を伺うのみ】


「其れは自白と取って良いのでありますか?
まさかこの腕章が視界に入らないで近寄って来た訳でも無いでありますよね
…………私には、貴方達の様な冗談を言い合う友人が居た覚えも無いであります」

【丁寧な言葉とも思えるが、少女の耳にはどの様に通っていたのか――――】
【顔を顰め、軽口を返して。頭の中で立ち振る舞いを練っていた最中、新たな人物の出現には驚愕を隠せなかった事だろう】

【人間。そう呼んで良いのか疑問に思う容姿。確かに姿形こそ人の其れで在るが、果たして露出した脳や其れを貫くアンテナを持つ者を人間と呼んで良いのか】
【嫌な汗が一筋流れ、知らぬ間に身体を強ばらせる事だろう。こんな暗い場所――――だからこそ、その容姿が嫌でも不気味に映る】
【後に現れた人物の言葉には何も返せぬまま口を閉じて、然れど敵意の有り有りと籠もった視線を向ける事だろう】
【――――――不自然な動きをすれば直ぐに行動に移す。言葉無くしても、十分に伝わる其れ】


「…………ふん。だらしない格好の貴方にはお似合いの友人でありますよ
自警団をからかう為だけに呼び止めたならば私はもう失礼するでありま――――――」

【万全の状態であっても、果たして二人相手に勝てるか怪しい。疲労の蓄積した今ならば、尚更の事】
【応援を呼ぼうにもこの状況では不可能に近いであろう。だから、弾き出した答えは一時の撤退であって】
【背を向ければ表通りへと進もうとする――――が。よく知った名が、その足を止めた】


「ちゆ姉に…………ちゆり殿に、何か用事でも有るのでありますか?
確かに、知っているであります。…………でも、其れがどうしたのでありますか
…………何故、貴方達のような者が知っているでありますか」

【振り返り、笑みに対しては全く対象な表情を向けて居た事だろう】
【――――該当の人物からは、男達の話を聞いた覚えは無い。だが、確かにこの男達はちゆりの存在を知っている】
【…………何故。そんな思いが、つい足を止めさせたのだろう。投げかけた言葉は、実に刺々しくて】
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/10(火) 02:04:44.40 ID:VuMhreKSo
>>995

【マインドに遮られる事無くベイゼの近くへ降り立って、漸く月彗はその異変に気が付いた】
【戦う前からの物であったとは全く気が付かなかった。仕掛けておきながら、彼は妙な感覚に襲われていた】

――……喚くな、死に損ない。 何で先に言わんかった?

【軽視されていたのか。そうも思ったが腑に落ちず、低めた声は苛立ちとは少し異なっていた】
【一番似つかわしい表現は“焦燥”――その原因が何であるのか、月彗自身が未だ気付けずにいる】

【ベイゼに抗う余力が無いと見れば、月彗は傍まで近寄り、その場で小さな植物を呼び寄せた】
【白い花の中央に小さな仏が位置する神聖な植物は、聖属性の回復強化能力を持った光を淡く放ち始める】
【相手の生命力を高める、という効果であるだけに、回復の程は相手の身体の強さに依る部分が大きいが――果たして】
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2013/12/10(火) 02:19:04.39 ID:hr5ZkB9Co
>>997

【淡い光がベイゼを照らし、僅かずつだかその状態を快方へ向かわせる】
【まさかそれを振り払うほどのわからず屋でもない。俯いたまま、しばらくすると】
【ようやく息を落ち着けるほどには安定したらしく、独白のように小さく声を漏らし】

言えるわけ、無ェだろ……『怪我してるから嫌です』なんて、俺が……?
……冗談じゃない。俺にだってプライド位はある。……ましてや、テメェになんか。

【言えるわけがない――軽口を叩きながらも語らえる、昔なじみの相手だからこそ】
【子供のようなプライドが変に意地を張り、安々誘いに乗った、とまではこれも言えず】

……機関、辞めたんだ。走れねェ、下手に攻撃も受けられねェ、そんな状態で――
兵器≠チてお題目の奴がNo.3に居座ってたんじゃ……示しが付かねぇだろ?
ハッ……笑えよ、俺も『元』なんだ。それもお前より、よっぽどタチが悪い、な――。

【自嘲じみた笑いも聞こえたが、妙にしおらしいのがいやに現実的な響きを含み】
【血で汚れた手袋を、左手をその胸部にやったのは、つまりそこが傷創だということだろう】
【機関に忠誠を誓った彼女が、ソコを辞する程の怪我――余程のものというのは、容易に察せられた】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/10(火) 02:21:43.29 ID:D90uLvIEo
>>991
……ちょっとした幽霊騒ぎがあってな。

最近、ルルーメンで事件があったのは知っているな。あの魔縁の蛇王≠ノよる、機関の大規模な侵攻作戦だ。
その最中、奴はある魔術儀式を行った。大まかに言うと、これはその余波のような物だ、と私は見ている。

おい、落ち着け。汚染と言っても、ごく軽微なものだ。
陰性の魔翌力だとか瘴気だとか、兎角そういうものに晒された痕跡があるってだけで、人体に害はない。

【事の次第を簡単に説明すると、おろおろと落ち着かない青年の様子を横目にまた溜め息を一つ】
【呆れ返るのを隠しもせずに爪先で地面を叩きながら、問題はない、と断言する。根拠はないが、妙に説得力のある言い回しだ】
【分かったな、と念押しして、とりあえずは両手を下げるよう促すと】

協力者だ。フリーランスの異能力者で、何でも屋なんて阿漕な商売をやっている男だよ。
私も他人の事は言えないが、それはそれとして。朔夜。水の国の冒険者ギルド、bluebird≠フ登録冒険者だ。
此処にはまあ、ちょっとした応援のようなものでな。宜しく、特務少尉殿。

鉄の国と言えば、機関の侵攻に託つけて更なる軍拡を進めていると聞くが……何やら剣呑な匂いがするが。
……軽々しくそんな事言って大丈夫か? 機密漏洩で消されでもしたら事だぞ。

【いささか強烈な冗談を交えつつ、問いに応じて軽く自己紹介。礼の代わりに、ひらり、鷹揚に片手を上げて】
【「有り難う」と言うが早いか、ジープに歩み寄ると勝手にドアに手をかけた】
【何の制止も受けないのであれば、女はそのままドアを開けてするりと助手席に滑り込み】
【もしナビのような物が据え付けてあれば、真っ先にそれを確認しにかかる】
【ベルトを締めて──次に懐から取り出すのは、アンティークめいて古ぼけた方位磁針だ】
【見れば分かるだろうが、常ならば北を指す筈の赤い針は、何故だかその切っ先を定めず、絶えず回転し続けているのだった】

(鉄の国の軍部か、その歳で士官……それも一兵卒からの叩き上げとは、成りに似合わず能力はあるようだな)
(しかし、ヴァイパー────蛇=H ……馬鹿な、餓鬼の言葉遊びじゃあるまいに。考えすぎだ)
//遅れて申し訳ない……!
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/10(火) 02:35:15.19 ID:FjdXnMbUo
>>996
【異形の男たちのほうも、すぐに仕掛けてくる様子もない。今の戦闘を見ていたのだ、彼女が実力者であることはわかる】
【自分たちの姿に対する反応には、とうに慣れきっているのか意に介さず】
【まずは、言葉をもって相対する】


ひひっひひひ……見た目からしてこれですからねえぇ、堅気じゃないことを隠したってしかたありやせん
もちろん、その腕章が見えたからこそ、声をかけさせてもらったんですよ。まさか、名高い“SCARLET”のメンバー様に、冗談でこんなこた致しません

【彼女が顔を顰めれば、ピアス男の顔は対照的に緩む。より邪悪に、より汚らわしく】
【アンテナ男の姿に驚きを見せれば、さらに笑みは深まる。アンテナ男の方は、呆けたように口を開けたまま、視線だけを彼女へ向けている】
【二人の男に叩き付けられる敵意、それに呼応するように膨らみゆく二人の悪意の気配もまた、伝わるだろうか】


ひっひっひ、こいつは手厳しい!! 身だしなみに関していえば、あたくしぁど素人以前の状態なもんでしてねえぇ
おっと、これは……どうやら知っているどころか親しい間柄のご様子で……

【相手が疲労していることは、彼らにも伝わっていた。にも関わらず、その足は止まった】
【加えて、思わず漏れたのであろう、その呼称。眼前の少女が、自分たちのボスに手傷を負わせた相手の仲間だと、ピアス男は確信を得た】


ひひっ……ひひひひっ……あの大会で、ベスト4に名を連ねた自警団の巫女さん、っていやあ有名人ですぜ?
いや、あたくしらがお名前を存じているのは、また別口なんですがね……

……あたくしらのボスがね、その天鬼さんともめて手傷を負わされてるんでさ
そりゃあもう、見てるこっちが痛々しくなるほどの重傷をね
いずれ、我々で"御礼"をさせていただきたい、とこう思っていた次第でして……おいノーティヒア

【とげとげしい語調に対して、ピアス男の方も黒い気配をさらに膨張させていく】
【重傷となったのは、彼らのボス自身が件の巫女の攻撃から逃れるべく、自ら腕を噛みちぎったせいなのだが】
【そんなことに意識がいくほど、彼らはまともではない。ただただ、理不尽な悪意を向けるのみ】


【アンテナ男の頬を掴んでいた右手が離れる。相変わらず呆けたような顔のままだったアンテナ男が、ピアス男の呼びかけに視線を向ける】
【同時に、ズボンのポケットに右手を突っ込み、何かを取り出す。小さな棒のようなもの】
【アンテナ男が右手を振るうと、それがカシカシカシ、と小さな音を立てて伸び、金属製の警棒となった。これがアンテナ男の武器らしい】


なんせ久々に会ったんだ。ボスのとこへ行く前に、腕がなまってねえか見せてもらおうか
この女、てめえ一人でばらせ。俺は邪魔が入らねえように見張っとく

「ああしかしスカーベッジ、私のアンテナがない」
……てめえの頭に突き刺さってるそれはなんだ
「あ、本当だ。頭に刺さってた。ああしかしスカーベッジ、私の警棒がない」
……てめえが右手で持ってるそれはなんだ
「あ、本当だ。自分で持ってた」
……いいからとっとと"足場"を出せや


【出来の悪い漫才のようなやり取りの後、ピアス男がしびれを切らしたように言うと】
【呆けていたアンテナ男の視線が、とうとうはっきりと眼前の少女に固定された】

【アンテナ男が右手の警棒で空中を指す。少女の少し上の位置。と、そこに半透明の"箱"が二つ、風が吹き抜けるような音と共に出現した】
【何もない空間に、半透明の物体を作り出す。アンテナ男の能力】

……よし、やれ
「ああ、そうしよう。そうせねば。ボスが待っている」

【二人の悪漢が、同時に動いた。ピアス男が地面を蹴り、眼前の箱の一つに飛び乗ろうとする】
【成功すれば、ピアス男はそのままもう一つの箱に飛び移り、軍服の少女の頭上を越えて、その背後へと飛び降りようとするだろう】
【言葉の通り、路地裏の入り口を固めて邪魔が入らないようにするつもりらしい。少女に危害を加えるつもりはないようだ】


【直後、アンテナ男が走り出す。右手の警棒を振りかぶり、単純きわまる動きで軍服の少女の右肩を狙って殴りかかろうとするだろう】
【空中の箱は、見た目通りに脆い。もし彼女が箱に攻撃を加えれば、粉々に砕け散って消えるはずだ】
【二人の悪漢、彼女がどちらに対抗してくるか――】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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〜 イグノラント・ワールド 〜 「無知の世界」      @ 2013/12/10(火) 02:01:51.02 ID:HtzJ63p90
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まどか「私の願いは、ウルージさんをこの世界に召喚すること」 @ 2013/12/10(火) 01:55:56.23 ID://w0A8RM0
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P「真が……真が……!!」 @ 2013/12/10(火) 01:25:55.17 ID:fiRzLAUO0
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【モバマス】モバP「アイドルプロデュース!」【安価&コンマ】 @ 2013/12/10(火) 00:33:44.69 ID:iyDW7wPBo
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泰葉「光輝く星の海で」 @ 2013/12/10(火) 00:30:46.16 ID:BHw603mR0
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妹友「お姉さんをください!」 @ 2013/12/10(火) 00:26:30.43 ID:KQTmsuej0
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響「耳が……でっかくなっちゃったぞ!」 @ 2013/12/10(火) 00:15:09.84 ID:2BqYPpV/o
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