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【比べられる事など】能力者スレ【奪われる事などない】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/09(月) 22:00:47.04 ID:Ue5HuCQyo
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
*この世界は「多様性のある世界」です。
*完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
*弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
*戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
*基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
*書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
*描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
*他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
*「コテハン」は禁止の方向で!
*基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
*スレチなネタは程々に。
*スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
*基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
*国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
*他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
*時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
*特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
*あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
*全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。
*勝手に世界を氷河期などにはしないように。
*能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。

【エロ描写について】
確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
なので、全面的な禁止はしていません。
ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1384675084/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/

VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/

今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part12 @ 2024/04/29(月) 20:01:59.10 ID:OQox+0Ag0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714388519/

私が書いた文だ 一度読んでみて @ 2024/04/29(月) 13:03:50.96 ID:zomKow9K0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714363430/

私が書いた文はどう? @ 2024/04/29(月) 12:48:33.59 ID:6mJNXBCE0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714362513/

感情から生まれたものたちとの物語【安価】 @ 2024/04/29(月) 10:45:54.36 ID:0XsgiyN10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714355153/

【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2024春 @ 2024/04/28(日) 16:37:54.07 ID:PHuiugtM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714289873/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/09(月) 22:06:49.66 ID:0mrwX8Vk0
>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/10(火) 01:23:25.02 ID:FjdXnMbUo
>>1乙なのです
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/10(火) 02:37:06.80 ID:hr5ZkB9Co
>>1乙です!
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/10(火) 02:41:24.71 ID:VuMhreKSo
/前スレ>>998

【――ベイゼの言葉を聞いて、月彗は暫し押し黙った。感じ慣れない感情を整理する時間が必要だった】
【相手を馬鹿だと思うよりずっと、先に気が付けなかった事を苦々しく思うのは、何故か?】
【黙りこくる月彗を置いて、植物は回復術を着実に果たしていく。時間を掛ければ、もう少し位は快方に向かえるか】

【更に、あれ程に忠誠を誓い貢献していた彼女が機関を辞めたと聞けば、焦燥の度合いはますます深まっていく】
【違う、らしくない、こんなものはこの女じゃない――そんな焦りと別の何かが込み上げて、月彗は漸く口を開いた】

――……一体……何があった?
そッちがそんな怪我を、一体どこで喰らってきた?

【冗談で返す余裕も無く、聞いた所で現状をどうできるとも分からない問いをただ月彗は投げ掛ける】
【もう一体回復植物を呼べないかとも考えるが、それをしたなら――この取り繕っている体が瓦解してしまう】
【時間を掛ければ元には戻れるが、それまでの間“心臓”ともいうべき弱点(本体)を晒す事になる】
【流石に未だ行動へは移せずにいるが、そこまでを考える程に。月彗の中で彼女の占める位置は広くなっていた】
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/10(火) 02:55:47.30 ID:FY5PensY0
>>1乙!

>>999

ゆ、幽霊騒ぎですか………ちょっと苦手な部類ですねぇ………は、はは

ええ、その事件は遠い鉄の国でも噂になっています………ですが事件自体は件の六罪王≠ェ斃れ
その後他の六罪王の襲撃はあれど蛇王℃ゥ体の計画は頓挫したと聞きましたが…。
意図せずそのようなモノが残ったという事でしょうか?

あ………成程、問題がないのなら安心です………いやぁくわばらくわばら………。

【女性の言葉を受けて安心したように肩の力を緩めて息を吐きだす、どうやら幽霊だとかそういった類は苦手なようだ】
【とはいえ流石は通信を扱う部隊の一員だ、他国での出来事もそれなりに把握しているし、分析も的確であると言えるだろう】
【だが能力はあってもやはり頼りない事には変わりがないが…。】

ハァ………やはりこのご時世はそうした傭兵のような商売も必要な時代なんですかね
朔夜さんですか………はて、どこかで聞いた事のあるような―――まぁそれは置いておいてよろしくお願いしますね。
成程、私と同じで外国からの派遣者ですか。

ハハハ………お恥ずかしながら今回もそういった類≠フ任務でして―――
いえいえ、私は少し特殊≠ネ立場でもありますので………まぁ、大丈夫じゃないですかねぇ…。

【などと呑気な事を口にしている、ただ単に呆けた性格なのか、それともどこかに根拠があるのかは不明だが】
【とはいえ通信局≠フ人間が他国に任務で訪れるとなると―――その案件は大分絞られそうだが。】

あーもしかして似合わない名前だとか思ってます?大体言われるんですよねぇ名前を名乗ると………。
私自身も名前負けしていると思うんですが………一族≠フしきたりのようなモノでこんな名前なんですよ

ええと、行先はどうします?………その方位磁針は―――壊れているんですか?

【ジープの中には最新のナビが供えられている、流石は通信局の人間が乗るジープである】
【だが人里離れたこの場所ではナビも一面の緑色のMAPが広がるだけでこれは迷っても仕方がないと言えるだろう】
【ヴァイパーは朔夜の方位磁針を覗きこみながら運転席に乗り込んでシートベルトに手をかけながら問いかける】

//時間も時間ですし持越しにしましょうか
//このまま本スレか置きレススレかどちらがよろしいでしょうか?
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/10(火) 02:58:48.34 ID:hr5ZkB9Co
>>5

……腕、ふっ飛ばされたつったろ。その時の相手がSCARLETとUTの二人でな
SCARLETの野郎に手榴弾で腕をふっ飛ばされて、でもまあ義手だ
動けないこともなかったから戦いを続けて……最後に、背中からズドン。

タチが悪いのが、獲物が狙撃銃だったって点で……オマケに施設の崩壊に巻き込まれて
生きてるだけでも見っけもんって感じでさ。狙撃手……知ってるか?
ほら、前に大会で目立ってたろ?ソニア≠チつー――油断したんだ、結局。

【――確かに、それなら生きているだけでも奇跡的なのかも知れなかった】
【言葉端から察するに重傷の上の痛手。それも適切な処置を受ける機会も無かったと見え】

【そして生きていたにしてもこの怪我だ。ズタズタの状態でつながった傷を戻すのは難しい】
【故に呼吸は乱せないし、だから戦闘も出来ず、機関にも全く居場所を、存在意義を見出だせず】
【――言いこそしなかったが、今はまさにそのソニアの好意に甘えて生活しているとも伝えられず】

【以前の克己心溢れるベイゼを基準としてみれば、なんと心の弱い事か】
【やまいが気持ちを弱めたのかも知れない。或いは別の理由が――ふと、ベイゼは立ち上がる】
【ふらふらとしていたが、『もう大丈夫だ』なんて、強がりも言って。】
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/10(火) 03:04:01.76 ID:D90uLvIEo
>>1

>>6
//それでは、置きレススレでお願いします
//今日のところはこれにてお疲れさまでしたー。お相手いただき有り難うございますね
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/10(火) 03:07:25.35 ID:3zX6gkuL0
/乙一ですよー

前スレ>>1000

「――――確かにちゆり殿は変人の部類でありますが、かといって何もしない一般の方を襲う程にまで堕ちてはいないであります
加えて貴方達を見れば…………“揉め事”がなんで有るかも大体予想が出来るでありますよ
…………ちゆり殿に危害を加えようとするならば、私は貴方達を此処で倒さなければいけないであります」

【首を捻り、己の肩越しに二人の姿を見ていたが――――事情を察したのだろう。今度は身体ごと向き直って】
【穏やかとはほど遠い言葉。男性の指摘したとおり、それなりに親しい間柄なのであろう】
【此処で逃がしてしまえばどうなる事か…………その先を想像する事は実に容易】

【――――左目を覆っていた眼帯を外せば、其処に有ったのは闇の中爛々と輝く銀の眼】
【経文染みた文字が浮かんでは消えて…………何とも、その瞳だけを見れば薄気味悪い物】
【そして、同時に男達ならば気付けるであろう。コレが少女の使う異能の元であるのだ、と】


「…………バラす、でありますか
では、私は貴方達の拘束した写真でもそのボスと呼ばれる人物に送るとするでありますよ
―――――――途中で喚いた所で、止めないでありますから覚悟をするであります
…………そんな注意力散漫で自分の事も分かっていない様ならあっという間に伸びてしまうであります…………――!!」

【神格を纏う事も無く、瘴気を纏う訳でも無い――――が。明らかに少女の雰囲気が異なり始めた】
【己の頭上を飛び越える男には警戒を向けるが、攻撃を行う事は無く】
【その後に続く男――――アンテナを生やした男へと、視線は注がれた】

【単純故に、その軌道は読みやすい。だが、力の差は歴然としている】
【普段であれば得物を掴み、畳みかけて終わらせるのだが――――今宵は、そう簡単に行えそうも無い】
【選んだのは肉を斬って骨を断つ戦法。インパクト手前を狙い、前腕の内側でその警棒を受け、続けて空いている左手が男の顎を撃ち抜かんと振られる事だろう】

【所謂、カウンター効果を狙った一撃であるが…………受けたと言えども、その一撃は小柄な身体にとっては確かな痛手】
【更に疲労も交じっているとなればダメージも上乗せとなるのだろう。苦悶の表情を浮かべながらも、其れだけで終わる事は無い】
【仇討ちとなれば。理不尽な悪意が向けられて居るとなれば】
【その一撃。決まったならば多少の距離を空けようとするけれど――――】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/10(火) 03:07:28.70 ID:FY5PensY0
>>8
//了解しました!一端お疲れ様でした!
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/10(火) 03:07:43.11 ID:FY5PensY0
>>8
//了解しました!一端お疲れ様でした!
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/10(火) 03:20:45.47 ID:VuMhreKSo
>>7

――……成程。 らしくないドジ踏みよったな、本当に。

【“ソニア”の名に僅かに眉を寄せたが、それ以上考える事を放棄し月彗はベイゼの傍から離れた】
【これ以上の施しを受ける事を、ベイゼは潔く思わないだろう。それ以前に彼女に其処までする理由など無かった筈で、】
【自分はただ治癒植物の効能を確認したかっただけの事――まさかこの身を投げうってまでと考えるなど、在り得ない事だった】

(……何を考えとる? あッちは、一体――……)

【授かった力こそは聖なるものであれど、他者を救ってやろうなどと思う筈はなかったのだ。今までも、これからも】

――……、

【ベイゼが立ち上がったのを見れば、月彗は無言のまま背を向け、その場を離れようと静かに歩を進めていく】
【去り際の横顔は酷く形容しがたい表情であって――声を掛ける事が無ければ、そのまま立ち去るだろう】

/すみませんが、今日はこの辺りで……
/もし続ける形をご希望でしたら、明日の夜に対応可能です
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/10(火) 03:39:38.52 ID:FjdXnMbUo
>>9
ひひっひひひ……お察しの通り、天鬼さんは自警団員としての仕事をなさっただけですなあぁ
何せ、あたくしらは薄汚い盗賊団……それが目の前で人をさらおうとしているとあっちゃねえぇ
天鬼さんは実に優秀でいらっしゃるようで……ひひひ

しかしながら、自分らの頭がそんな目に合わされちゃ、理由がどうあれそのまんまってわけにもいきやせん
貴女の死体を送り付けて差し上げれば、報復としてはちょうどいい塩梅になるでしょう……ひっひっひ
倒さなければならないのはこっちも同じですよおぉ……

【身体ごとこちらに向き直る少女、その言葉、立ち居振る舞いからも解る通り、戦闘態勢に入っている】
【悪漢どもの鉛色の瞳が警戒の色を強める。そこに解き放たれるは銀の眼】
【経文じみた文字が浮き沈みするそれを見て、今度はピアス男のほうが顔を顰める番になった】


(詳細はわからねえが……やっぱ能力者か。あの目を潰せば……そう簡単にいきゃあ、苦労しねえわな)
ひひひっ、そいつは恐ろしいぃ!! 自警団のみなさんもさすがですなあぁ!!
ですが、覚悟しろたあこっちのセリフですぜ!!

【なおも謎を深める少女の異能、神格でも瘴気でもない、何かの気配】
【それを足元に感じながら、ピアス男は無事に地面に着地し、二人から距離を取る】

【一方のアンテナ男、少女の視線を真っ向から相変わらず見開かれたままの眼で受け止めつつ】
【そのまま、警棒が右前腕を叩く。伝わる手応え。しかし、決定的な一撃にはとても足りない】
【そこへ、カウンターの攻撃。放たれた左手が、狙い違わずアンテナ男の顎に命中した】


「がっ……!!!」

【短く悲鳴を上げ、アンテナ男がふらつきながら後退する。顎を一撃されて脳が揺れたか】
【しかし、アンテナの刺さった頭を左右に振ると、革靴を履いた足でしかと地面を踏みつけて止まる】
【距離を取ろうとする少女の行動は成功するだろう。両者の間に、空間が出現する】


何してる、ノーティヒア!! 誰かに気付かれる前に片付けろおぉ!!

「……私は、今バランスを崩している。しかし、この状態の私と普段の私はどう違うだろう?」
「バランスとは、そもそもこのような肉体的な平衡感覚に近い感覚のみを指す言葉ではない」
「ならば、この場合バランスとはどこにその意義を――――」

【またも妙なことを口走り始めるアンテナ男。しかし、その身体は戦闘態勢を解いてはいない】
【右手の警棒を握り直し、直立姿勢で少女に向き直る】


【と、アンテナ男がその場で小さくジャンプした。次の瞬間、アンテナ男が少女の方へと飛び出した】
【そう、直立姿勢のままジャンプし、その姿勢のまま今度は前方の少女の方へと飛んだのだ】
【何が起きたのか。答えは、アンテナ男の背後にあった。そこには、先ほどピアス男が足場にしたものと同じ箱が存在した】


【自分の背後の空間に半透明の箱を出現させることで、自分自身の身体を少女がいる方向へ向けて突き飛ばさせたのだ】
【箱に押された勢いをそのままに、アンテナ男が空中を滑るように少女に接近していく】

【右手の警棒を、まっすぐ前に突き出した状態だ。狙いは、少女の胸部の少し下、鳩尾のあたり。そこへ、突きを見舞うつもりらしい】
【単に突き飛ばされただけ、速度はあまりない。アンテナ男本人は、ただ警棒を前に突き出した状態でいるのみだ】

【先ほど受けたダメージのこともあるのだろう。アンテナ男の頭はわずかにふらついている】
【自分の身体を弾き飛ばす、という能力により変則的な攻撃に惑わされなければ、対処は可能のはずだ】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/10(火) 03:39:52.65 ID:hr5ZkB9Co
>>12

……あぁ、まったくな。言い返す言葉もねェよ、その通りで。

【どことなく銷沈した空気が、息苦しい。振り払うように冷たい冬の風を吸えば】
【ややは落ち着いたと見えて、ふらりとした足取りもようやく治まってきた様子】
【そこから分かるが、月彗の――彼らしくない悩みには、ついぞ気付かず】

【やがて彼が背を向けてしまえばこちらも無言。―――だったが去り際、声を上げ】

……今度、UTに来い。勘違いすんなよ?奴らに手を貸せとか、そういう意味じゃねェ
今回勝ったのは俺……その分、酒でも奢ってもらおうって話だ
今は……あそこに居るから。―――絶対に来いよ、月彗。

【それだけ言えば、やがてベイゼもゆっくりとした足取りで路地裏を後にするだろう】
【返事があればそれを聞いてから――歩く軌跡が、手袋から滴る血液で点々と示されて】
【もしも彼がそれを追ったなら。言葉の通り、旧敵の地へ辿り着く。それだけは真実だった】

/ちょうど切りも良いですし、遅くなりましたがこの辺りに致しましょうか
/それでは、お疲れ様でしたー!
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/10(火) 03:48:24.53 ID:3zX6gkuL0
>>13
/申し訳ないです……そろそろ寝なければいけない時間になってしまったので、本日の夜への持ち越しは可能でしょうか……?
/恐らく、10時から10時半までには来られるかと……!
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/10(火) 03:56:24.95 ID:FjdXnMbUo
>>15
/了解です、こちらもそれくらいの時間には来られると思います
/遅くまでのお付き合い、ありがとうございます。いったん、お疲れ様です
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/10(火) 21:06:03.89 ID:3LkSoxdLo
>>http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1384675084/980
「――お、マジでありがと。……んじゃ、またいつか。
どっちにしろ、敵になるこたぁ無いだろうし――な」

【ワッペンを受け取った司は、一瞬あっけにとられた顔をして、数秒後にははにかみ気味の笑顔を浮かべ】
【ポケットへとそのワッペンをねじ込むと、お猪口に冷酒を注ぎ込み、お猪口から直で一気飲み】
【豪快な飲み方をして、残りの冷酒の瓶はミドナの傍らに置き――、男は立ち上がる】

「すっげー楽しかった。またいつか、な」

【ひらひらと手を振って、男はそのまま自室へと歩いて行く】
【その動作は危なげない歩みながらも、どことなく楽しそうに浮ついて見えたろう】
【今宵の邂逅の後、この男の歩みが何処に向かうかは定かではない】
【ただ、今日という交流が――男に何らかの影響を与えたことだけは、確かだった筈である】
【縁側には2つの盃、一つの酒瓶。そして、空にはまんまるの月が一つ】
【背を撫でる風に少しばかりのくすぐったさを覚えながら、男は口元に笑みを浮かべていたのだった】

/*お疲れ様でしたー!*/
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/10(火) 21:10:58.17 ID:VuMhreKSo
【廃ビルの屋上階】

【人気も無く、壊れかけた手摺にカラスが数羽止まっているようなその場所に、軋む古扉の開く音が響いた】
【カラス達の飛び去っていく羽音を尻目に、手摺近くへ歩み寄るゆっくりとした足音が止まれば、数拍置いてライターの灯る音】
【ふぅ、と大きく付いた息は白い。煙ゆえか、寒さゆえか】

――……また宿無しかよ。馬鹿野郎

【一人ごちた声は低く、無精ひげの残る何処か疲れ切ったような顔は酷く血色が悪い、三十代程の男だった】
【よれたスーツに黒のネクタイ、癖の目立つ黒髪を適当に撫でつけ、灰色の目だけが何処か鋭さを持っている】
【右頬には「牛の生首が載った皿」の刺青があり――目つきからして、どう見ても堅気には見えなかった】
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/10(火) 22:04:21.31 ID:QuHYSrkM0
【路地裏のとある隠れ家の前】

【夜の路地裏、隠れ家がある場所】
【そこはカノッサ機関の人間が出入りする場所だと言われていた】
【そしてその真相を確かめるべく、自警団の何人かの人員が派遣された】
【その派遣された人員は――無残な死体となっていた】
【そしてその死体となった人員を殺した、男が立っていた】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

ああ、おいおい、弱いなこいつら
 まあ、一応調べてみたらまさかものほんの機関員がいたとは信じられねえはな

【男はそのように死体を見おろす】
【その死体たちは切られたり刺されたりして殺されていた】
【そしていまだに血がこの路地を赤色に染めていく】

ま、自分の不運を呪うんだな
 しかしばれたとなるとここも破棄だろうな
 あーあ、探すのがめんどくせえな、他のやつに投げとくか

【男はそのように愚痴をこぼしながら、ため息をつく】
【そして回りを見渡したあとに、しゃがみ】
【なにやら、死体を物色し始めた】

ええと、何かもっていたりとかしてないか
 ――んお、へぇ、タバコかいいもんもってんな

【男は喜色いりまじった声で見つかったことを喜んだ】
【そして懐からライターを取り出してその死体からとったタバコに火をつけた】
【そしてそのままタバコを吸っているであろう】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/10(火) 22:16:14.79 ID:3zX6gkuL0
>>13
【骨は折れていないか――――。痣は出来ているが、幸いにして動かすことに支障は無さそうだ】
【だが、侮れない腕力。先程の会話からして、“足場”なる箱がこの男の異能か……?】
【…………分からない。もしかしたら今通路を見張る男の異能の可能性だってある】
【空けた距離、如何にして有効に活用すべきだろうか。決定打に欠ける身としては、何らかの方法で凌ぎたい所だが――――】

【そんな事を考えて居た時の事。不意に、対峙していた男との距離が更に空いた】
【――――今の距離が更に離れれば、今度は自分のレンジとは異なる。だからこそ、慎重に詰めようとした…………が】


「また可笑しな事を口走り始めたでありますね。でも、直ぐにそんな事を考えなくて済むように――――」

【路地裏という暗闇。警戒は十分にしていた…………筈だった。ただ、距離を空けただけだと考えて居た】
【故、その変則性への対処に間に合わなかったのだろう。咄嗟に構え、受け流そうとするも――――叶わず】
【多少狙いを外させる事に成功はしたが、警棒の先が程良い固さの腹筋へとめり込むその感覚は男の腕に伝わった筈だ】


「ぁ…………ガ…………?!」

【無理に絞り出される空気。痛みと苦しさとで喘げば口の端から僅かに血が流れて】
【…………詰めたのが不味かった。其処に、男自身の体重と突きの力とが加われば、例え渾身の一撃で無かったとしても深手となる】
【奥歯を噛み締めれば、未だに漏れ出そうな呻きを無理矢理食い止めて。代わりに送るのは憤りの籠もった双眸】
【――――元より耀きを放っていた銀の光が、より一層強くなったのはその時だ】


「そう、易々と…………死ねない、で…………あります
ましてや、貴方達の様な人が居るならば…………………私は、虐げられる方達の刃とならなければいけない…………」

【足元。コンクリートに生じる亀裂。重力が増した訳では無い。その逆――――“浮遊”しているのだ】
【少女の異能。超能力と呼ばれる其れの一つにはサイコキネシスが有った】
【無論、男を持ち上げて叩き付ける程の力は無いし、重い物を操れば操るほどに負担が掛かる】

【だが――――出し惜しみを出来る相手では無い。“空間”を凝縮したならば、目前の男へと一気に解き放つのだろう】
【まるで波動。ふらついていた男を弾き飛ばし、強かに転ばせて身体を打たせる目論見は勿論有った】
【然れど、何よりの目的は…………其れで生じる“アスファルト片”によって刻むことであった】
【大きな塊を放つ訳でも無い為に斬撃の如く刻むことは出来ないであろうが――――代わりとして、全身に細かい傷を作る一撃】
【とは言え、範囲はそう広い訳でも無く、距離を取るなり横に移動するなり出来ればその傷もずっと軽く済むであろうか】
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/10(火) 23:19:59.69 ID:FjdXnMbUo
>>20
【顎への一撃は剥き出しの脳を揺らし、足元の危うさは隠し切れていない】
【ただでさえ明後日の方向に向いていたアンテナ男の鉛色の瞳は、今や痙攣しているかのような動きを見せている】
【冷静に戦況を見極める軍服の少女に対し、アンテナ男の方は何を考えているのかすらわからない有様だ】


「可笑しなこととはどういうことだ、いったいどこの基準に則して可笑しいと判断したのか、そもそも可笑しいという言葉には――」

【空中を駆ける間も、その意味不明な言動は止まることなく垂れ流される】
【軍服の少女の投げる言葉も、自分の腕に伝わる手応えも、いっしょくたにアンテナ男自身の思考の内に消えていく】
【鳩尾への狙いは外れたものの、与えたダメージは小さくなかったらしい。揺らめいたいた瞳が、軍服の少女を捉えんとする】


ひひっ!! いいぞ、そのまま決めちまえ!! 畳みかけ――ああぁ?

「死。死か。それはもっとも興味深い命題の一つだ。究極的には、この世界に存在するものの質量は常に等しいらしい」
「死んだところで、その分だけの質量に帰るだけなのだそうだ。ならば、死とはいったいなんだ。単に、違った形なのか、それとも――?」

【ピアス男の野次と、アンテナ男の呟きが同時に途切れた。決して小さくはない苦痛のはず。しかし、折れることのないその瞳】
【そこから放たれる銀の光が、路地裏の闇を、悪漢どもの醜悪を、切り裂き、照らし出す】


浮いた……!!? なんだありゃあぁ。念動力ってやつか!?
コンクリにヒビ入れるほどの……やべえぞおい、退けノーティヒア!!!
「ぬ……しかし、この現象……興味深い、非常に……」

バカ野郎、んなこちお言ってる場合か――おお!!?
「は――――」

【“空間”そのものを凝縮するその異能、解放されたそれはピアス男の驚きとアンテナ男の身体を飲み込んだ】
【身体前面を叩き飛ばされたような衝撃と共に、アンテナ男が後方へ吹き飛ぶ】
【その身体を、飛び散る“アスファルト片”が削り取っていく。細かい傷から吹き出す鮮血が、路地裏を染めていく】

【汚れた地面にその身が叩き付けられた時には、アンテナ男の全身が赤と黒で染まっていた】
【ピアス男が激しく舌打ちし、ベストのポケットに手を突っ込む】


ひひ……疲労の溜まった状態から、ノーティヒアをそこまで追い込むとは……
さすがは、精鋭部隊たる“SCARLET”ですなあぁ……

しかし、このままで終わりにするわけにもいきやせんぜ……

【ピアス男の手に握りこまれていたのは、ガラス片だった。それが、ピアス男の右手と融け合い】
【ピアス男の右腕自体が、ガラス片のブレードとなって顕現した。ゴミと身体を一体化させる、ピアス男の異能】

【ガラス片のブレードの先端を軍服の少女へ向けて、じりじりと彼女へ接近していく】
【アンテナ男の方は、弱弱しく蠢いてはいるが、起き上がる気配は見せない。すぐには動けないだろう】

/遅くなりました、すみません……
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/10(火) 23:22:38.67 ID:FjdXnMbUo
>>21
/すみません、二か所訂正です

/んなこちお言ってる場合か→んなこと言ってる場合か

/ピアス男の手に握りこまれていたのは→ベストから取り出されたピアス男の手に握りこまれていたのは
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/10(火) 23:54:28.43 ID:3zX6gkuL0
>>21
【確かに強力な力――――だが、代償無くして扱える物でも無い。肉体的な疲労が蓄積した今ではその一発が限度なのであろう】
【間も無く訪れる頭痛に頭を抑えるけれど、足を畳むことはせず】
【激しくなった鼓動と同調するかのように、経文の浮き沈みも勢いを増した】


「死ぬとは思いの途切れる事であります。…………無念で死ぬのか、継がせて死ぬのか…………
…………理屈、では無いのであります」

【震える足に、鈍い痛みの残る腹部。身体を動かす度に激痛が生じれば、追撃を行う暇も無い】
【――――アンテナの男へと中々に大きなダメージを与える事が出来たのが幸いか】
【荒い呼吸。今は起き上がる様子を見せないことに安堵の吐息を吐くが…………そう、此処には二人の男が居たのだ】
【投げかけられた言葉には、視線を向ける…………が、どうも焦点が定まって居らず】


「瑛月殿に誘って頂いた手前…………貴方達、悪に…………負けるわけには…………ッ!!」

【正に最後の力を振り絞ったと表すべきか】
【腕をブレードと化し、構えてゆっくりと近寄る男を見据え】
【――――もう一度、能力を放った。まるで見えない壁を突撃させるかの如く、その一撃を放った】

【アスファルトを抉りつつ。積もった塵を巻き上げつつ、其れは迫る事だろう】
【――――或いは壁を削り、巻き込んだ其れ等を細かく砕きながら進むのかも知れない】
【……だが、悲しいかな。きっと、男に当たる前に其の“壁”は消失する筈で】

【代わりに響くのは、少女が倒れる軽い音。荒い呼吸はあっても、戦闘を続けるだけの体力は先程の一撃で全て消耗してしまったのだろう】
【ただの不良やそれに似た存在であれば、どうにでも出来たのかもしれないが…………現実は、そう甘くない。万全の体調であっても結果は分からない勝負であったからこそ、出し惜しみをしなかった異能】
【兎にも角にも、止めを刺すには絶好のチャンス。男達のリーダーが危害を加えられた恨みを晴らす事が出来る瞬間】
【辛うじて意識は保っていても、反抗するだけの力は無い。文字通り煮るなり焼くなり好きに出来る筈――――】

【さて、もしもそのブレードを用いて殺害しようとすれば…………其れより数瞬早く、男の“肩”に目掛けて肌を焼くには十分な熱量を持った“札”が放たれる事だろう。軌道は単純。ただ、男が振るうその一手を止める為だけに投げられた物】
【もしも男が――スカーベッジがリーダーより話を聞いていたならば、其の人物は札を用いていた事も聞かされていただろうか?】
【先程まで、誰も入ってこないようにと見張っていた通路。隠れることも無く堂々と歩み寄るのは、一人の巫女の姿で】
【――――件の巫女、と考えて間違い無いであろう。見据えるのは冷たい漆黒の双眸であって。再度攻撃を加える事こそ無いが…………明らかに、敵意を抱いて居る事は感じ取れるだろうか】

/いえいえ、お気に為さらずっ!
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/11(水) 00:40:26.52 ID:Nq5BqmUyo
>>23
「思い……なる、ほど……その、ような……ぐ……視点は……考えた、ことがなかった、な……ごほ……」
「しかし、まだ疑問は、残る……そも、思いとは何だ……形無き、ものの本質、捉えるのは、容易では……ぬぐ……」

【地面に倒れた状態で、全身を苛む痛みに呻きつつもなお、アンテナ男の声は止まらない】
【同時に、体勢を立て直そうとするその動きも止まってはいない。少しずつ、状態を起き上がらせつつあるようだ】


【頭を抑え込む軍服の少女を見て、ピアス男の鉛色の瞳はギラリと光る】
【彼女の瞳のうちで激しく浮いては沈む経文は、ピアス男の位置からは見えなかったが】
【小刻みに振動する足、乱れる呼吸、明らかなダメージの蓄積】

ひひひ、流石に限界が近いご様子で
瑛月……? 大会で実況なんぞをやっていなさった旦那ですかい。お会いしたことはありやせんが、スカウトなんざもされていたとはねえぇ……
っと、まだそんな力が残っておいででしたか……こいつはちとよろしくないですなあぁ……

【その身に鞭打ってさらに能力を発動させる彼女、なんたる超絶な精神力だろう】
【ピアス男の額に冷や汗が浮かぶ。そこへ、突っ込んでくる見えざる力の壁】
【ピアス塗れの舌を忌々しげに鳴らしつつ、どうにか回避行動を取ろうとして、その動きが止まった】


ひひっ……ひっひっひっひっひ……危ないとこでしたよおぉ……
相手の戦闘能力が最初っから削がれている、ってのは勝利の鉄則、ってあれは誰の言葉でしたっけね……

さあて、貴女の奮闘に敬意を表して、苦しまないように一撃で首を落として差し上げやしょう
後は死体を自警団の詰所の前にでも放り出して……ひひひ、どんな反応をなさるか楽しみですなあぁ……

【あまりに軽い音と共に地面に落ちた少女に、ピアス男がにやつきながら近づいていく】
【なお、警戒は怠ってはいなかったが、すぐそばまで接近してもそのまま、という状況を前に、ついに下衆な笑みを剥き出しにして】
【気高き少女の首筋に向けて、今ガラス片が振り下ろされようと――――】


――――うあっちいいいいいいいいぃぃぃぃ!!!!!??
な、なな、なんだああぁ!!?

【そこへ飛来するは、ただ一枚の札。その札が、ピアス男の肩に火傷を刻み込んだ】
【想定外の一撃に激しく動揺しながら、ピアス男がその場を飛びのき、軍服の少女から離れて】
【まだ呻いているアンテナ男の横で停止する。向けた視線の先、凛とした佇まい】

……これはこれは……ご本人様のご登場ってえわけですかい……

【笑みこそ消えていなかったが、表情筋がひくひくと痙攣するのをピアス男は抑えられなかった】
【自分たちを射抜く絶対零度の黒き双眸は、確かな敵意を叩き付けてくる】
【自分たちのボスから聞いていたその姿、その実力。追撃はないが、それが余計に恐ろしくすら思えた】

(まずいな……俺も一発もらっちまった……この状況で、あの大会ベスト4を相手取るのは……)
いやいやいや、こんなとこまでご苦労様なことで。うちのボスのカニバディールが、お世話になったそうですなあぁ?
お仲間にも、お仕事への熱心さはきちんと受け継がれているようで、何より……

【一転、形勢不利。相手が悪い。加えて、まさに自分たちが口にした通り、戦闘能力を削がれている】
【それを表には出さず、軽口を叩いて相手に声をかけるが、そんなものを意に介するような人間とは思えなかった】


「ぬ……スカーベッジ、そろそろ美鈴が来てもいいころだな」

【と、そこへ突然アンテナ男の声が飛んだ。上体は起き上がっているが、まだ尻もちをついたままだ】
【それを聞いたピアス男が、眉をひくつかせて叫ぶ】

わかってんなら、とっとと立ちやがれバカ野郎が!! 美鈴が来る前に再起不能にされてえのか!!
この巫女さんは、どうもそういうの躊躇うほうには見えねえぜ……

【たらり、とまたも冷や汗がピアス男の顔を伝う。ガラス片のブレードは、今や完全にその巫女の方を向いている】
【異形どもの言葉、まだ援軍が控えているのか。しかし、未だその気配はない。手傷を負った二人の異形がいるばかり】

【アンテナ男がようやく立ち上がり、ガラス片と警棒が巫女へと向けられる。しかし、彼らからの攻撃はない。動けなかった】
【強者を前にしている、そう感じ取っていたからだ。すぐにでも反撃出来る体勢をとりつつ、異形どもはじりじりと後退し始めていた】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 00:45:09.57 ID:vuGmut+fo
【深夜・墓場】

【無数の十字架が整然と立ち並ぶこの霊園に、一人の男が立っていた】
【背は180cmもあろうか。白いローブとマントを羽織っていたが】
【肉体の隆々としているのは布の上からも分かり、長い黒髪が特徴的である】

【そしてもう一つ、槍もまた特徴だ。彼は両手で全長3mもの大槍を持っていた】
【穂先は今、地面に向けられていて―――何かをグサリと、刺し貫き】

……貴様らには知覚はおろか痛覚も、そして人権などという小綺麗な言葉も適さない
じっくりと……清い刃に切り裂かれて逝くがいいグール°、……。
このフレデリック・シャリエール≠ェ、せめてもの慰めを送ってやろう――!

【彼は――フレデリックというらしい男は、アンデッドを相手に戦っているらしい】
【いや、ふと見れば周囲は墓から起居する異形ばかり。最初の静けさがおかしかったのだ】

【既に数は20を超えている。完全にローブの彼は囲まれてしまったように思われる】
【――だが、彼はピクともせずに立っていて。傍から見て、それがどう感じられるかは人次第】
【方策を巡らせているのか、怖気づいたか、或いは―――別な誰かに気付いて、視線を向けるか】

【展開は無限に考えられる。ただそのキーは、アンデッドでもフレデリックでもないのは明白だった】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/11(水) 01:08:36.29 ID:FjUXCD210
>>24
「――――本当はもっと早く来れれば良かったのですが
まあ、良いでしょう。少なからずこの子の首と身体とは繋がっていますから」

【怒りに震える声でも無いし、拒絶する其れとも違う。抑揚の薄い声で紡いだならばそのまま歩み寄って】
【取り出したのは一本の鍼。攻撃に用いるのかと思いきや――――倒れ伏す少女の首に2寸ばかり打ち込んで】
【呼吸と脈とが安定すれば、もう一度二人へと視線を注ぐのだろう】


「カニバディール?…………嗚呼、あの方ですか
外見は妖怪と勘違いしてしまいそうな程に崩れていましたが…………ボスの部下を名乗る貴方達は意外にも真っ当な人の姿なのですね
…………いえ、真っ当と言って良いのかは、また人によりけりでしょうか」

【知った名を聞けば、片眉が僅かに吊り上がり。――――思い出すのに、そう時間は要さなかった】
【ギアを誘拐しようとした張本人であって、あの時に行った戦闘が脳裏で蘇る】
【確かな悪人であった。…………ならば、この者達もまた悪人である事は明白。懐からは次の札を取り出し、脅すかのように突きつけて】


「――――取り逃していた事を残念に思っていた所です。丁度、ギアを誘拐しようとした理由も聞き出したかった
…………妹の友人に手を出し、次には私の部下にも手を出しますか。中々に懲りない方達ですね
さて――――再起不能、とはまた人聞きが悪いですね。尤も、暫くの間は口以外を動かすこともままならない状況にするのは確かですが

十人来ようが二十人来ようが、それだけ尋問の正確性が増えるのみ…………迎えが来るのならば、早く訪れる様に祈っていなさい。神が聞かずとも、悪魔であれば願いを聞くことでしょう
私としても、この子を運ぶために手短に終わらせておきたい所ですから」

【草履が荒れたアスファルトを擦る音。一歩、一歩と詰め寄るのだろう】
【…………大凡、男の持つブレード2つ分の距離。その場から放たれたのは二枚の札】
【五行の“金”を纏った其れは謂わば“杭”となって二人の男の足の甲を打ち付けんと飛翔する事だろう】
【狙った部位は、元より小さな面積。蹴り弾く。又は到達するよりも早く足を退く等の対処を行えば、被弾する事も無いけれど】

【当然、攻撃の後には隙が生じる。其処を狙って攻撃しても良いし――――迎えが到着したならば、追われる事無く逃げる事が出来るチャンスでもあり】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 01:18:34.71 ID:YLysY5hSo
>>25

【アンデッド達の輪の一角、ローブの彼の背中側に当たる数人(人?)の後ろを赤い炎の明かりが駆け抜ける】
【もしも彼らがローブの彼にばかり目を向けて、後ろを走り抜けた“何か”に対処しなかったらどうなるか――?】


【答えは極めてシンプル。首と胴体がお別れする、ただそれだけだ】


【さて、ここはやはり、何が走り抜けたのかを説明する必要があるだろう】

……これじゃ、使えるのは無さそうだね。
ま、いいや。この前のメンテナンスからあんまり動いてなかったし、体慣らしになるからね。

【しゃがんだ姿勢からゆらりと立ち上がるのは“一人の子供”。身長はおよそ130の半ば程か】

【俗にゴスロリと呼ばれるような、白の洋服を身に纏い、首元には細い青のリボン】
【ストレートの長い髪は、黒曜の様な黒。二つ輝くその瞳は、鮮血の様に鮮やかな紅】
【髪の間に見え隠れする右耳には、逆さの五芒星を刻んだイヤリングをして】
【首元には赤い炎が燃えるファーマフラーを巻き、手には己の身の丈程もあろうかという漆黒、両刃の大鎌】

【―――そう、以前ゼン=カイマにて炎獅子討伐に当たった三人の能力者、その一人である】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 01:30:30.66 ID:vuGmut+fo
>>27

【アンデッドはただでさえ鈍い。それが奇襲を――それも普通でない物を受けたなら】
【それこそ答えは明白であった。数体の首が椿の花のように落ちて、のた打ち回り】
【フレデリックは槍の穂先を素早く精確に頭蓋へ突き込み、それでようやく、一部が黙って】

……アリギエの時に居たな、確かクシー≠ニか言ったか。
何をしに来た。貴様ならばこの連中の気配、姿を晒さずとも分かったろう物を――ッ!

【また一体が縦に身体を両断された。所詮元は腐った死体、ということか】
【そして、穂先の血を振り払いながらフレデリックは知己の相手を横目に見遣った】
【挨拶も無い、援助も求めない、言葉も大して交わさない。だが――】

【――そこに含まれた短な言葉。『まずは連中を片付けるぞ』――と言うのは、きっと察せられるはず】


【さて、アンデッド共の首が落ちてここまで数秒、ようやく残りの連中も乱入者に気付いた様子】
【あるものは正面から足を引きずって抱きつこうとし、あるものは噛み付こうとし】
【足下の地面を掘り進んで出て来た一体は足を掴もうとするなどして、兎に角――襲い掛かってくる】

【ただもう一度だけ繰り返すなら――所詮は腐った死体≠ノ過ぎないということ】
【全身は鄙びて乾き、力はあったが肉体は脆く、一般人ならともかく、機関員の敵になるかといえば――?】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 01:54:18.44 ID:5WlZO36zo
>>28

【首を落とされて尚、活動を続けるのはやはり異様】
【――いや、そもそも死した後にこうして動いているような存在なのだから、当然と言えば当然か】

そう、僕はクシー。そういうお兄さんの名前は確か、フレデリック・シャリエール=Aだったね――久しぶり。
何をって……死体の調達、かな。見付けたのはこんなのだったけど。

【平坦で、そして無感情な声で相手の事を確認――名前は先ほど本人が口にしていたのだが】
【アンデッドを優先すべきだという事は最早自明と言える。既に鎌を構えていて】

【襲いかかってくる彼らを十分に引き付けたなら……手にした鎌をぐるり一薙ぎ】
【身体を一周回転させる様にして、電撃を纏った刃で周囲のアンデッドの胴体を薙ぎ払う】

【更にその回転が終わる頃、片手を空ければ掴み取るのはファーマフラー】
【手早く解き足下に振り下ろせば、それは宛ら炎の鞭】
【腐り、乾いたその肉体。火が点けばどうなるか――――――】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/11(水) 02:05:11.59 ID:Nq5BqmUyo
>>26
【仲間が痛めつけられているというのに、その声音には抑揚がほとんど感じられない】
【あるいは、内側では怒りが煮えているのかもしれないが……表に出ない、というのはある意味何よりも恐ろしいことだ】

【続いて、取り出されるのは鍼。思わず身構えるも、その矛先が向くのは敵ではなく身内、もたらすのは傷ではなく癒し】
【軍服の少女を瞬時に安定した状態へと持ち込むその手際、あらゆる面で侮れない、と再認識させられる。ピアス男の冷や汗がさらに勢いを増す】


ひひひ、あれでもボスだって昔はもう少し人間に近い姿だったんですがねえぇ……
あたくしら『スクラップズ』は、そもそも人間そのままの姿してるやつのほうが少ないもんでしてね

ひっひっひ、せっかくのお言葉ですが、あたくしらに真っ当ってえ言葉はまったく似合いせんぜ

【冷たい表情が片眉が少し上がる、という形で崩れる。彼女の方でも、因縁ある相手と認識していたらしい】
【さらに取り出される札、容赦なく突きつけられる。あれからは、何が飛び出すかわからない】
【警戒と怯えの色を含んだピアス男の視線と、興味深げなアンテナ男の視線が、札の上で絡み合う】


……ひひひひ、ギアってえと、こないだブレインデッドが連れて来た人形の旦那のことですなあぁ?
実はですね、おかげさまであれから無事にひっさらうことに成功したんですよおぉ

あの旦那が所属してた『UNITED TRIGGER』を完全に敵に回したのは、少々しんどいとこですが……
あの人形の旦那の能力はね、ボスの計画に必要不可欠なんですよおぉ……っといけねえ、ちょいとしゃべりすぎましたな

【ピアス男が漏らすのは、件の青年・ギアがすでに彼らに拉致されているという事実。さらには、その能力を何らかの計画に悪用するつもりだという】
【その言葉が確かなら、ギアはまだ生きてはいるのだろうが、果たして悪漢どものボスが何を企んでいるのか】
【それに触れる前にピアス男が言葉を打ち切った。鉛色の瞳が、巫女を舐めるように眺める】


ひっひっひ、そりゃあもうあたくしらは何度やられても懲りないからこそ、ここまで生き延びて来たんでさ
おー怖……それってもしかしなくても、死ぬ数歩くらい手前なんじゃねえんですかい?

ひっひっひっひぃっ、言ってくれますなあぁ!! 大会ベスト4ともなると、言うことが違う!!
ボスには二人ほど悪魔の知人がいらっしゃるようですが、はてさてあたくしらがその加護に預かれるかどうか……
あたくしらとしても、なるべく早くここから消えてしまいたいんですが……


【じりじり、と距離がつめられていく。この場には見合わぬだろう草履の音。やがて、射程圏内】
【放たれた札、飛翔するそれらが狙うは下段、足の甲。札が飛んだのを見てピアス男は咄嗟に飛び退く】
【しかし間に合わず、足の側面辺りを“杭”が削る。軍用ブーツと皮膚と肉の破片が散る】

【アンテナ男に至っては、飛んでくる札を目を見開いて見つめていたために、ほとんどまともに足に刺さった】
【赤い血が溢れ出し、一瞬バランスを崩しかけるも、すぐに直立へと戻った。しかし、足を片方封じられた以上、この戦闘ではもはや動けまい】

っづあああ!!! ちっくしょ……
「どうしたことだスカーベッジ、櫻の陰陽道とはかくも不可思議な力を持つのか」
今そんなこと話してる場合か!!! いいから、そいつを引っこ抜け!!

【アンテナ男が、叫び散らすピアス男に場違いな質問をしては跳ね付けられている】
【その言葉には素直に従い、さすがに、その激痛にわずかに顔をしかめつつ、"杭"を引き抜く。鮮血が溢れ出す】

【双方ともに、足にダメージを受けた。機動力を削られてしまっては、ますます不利になる】
【もはやこれまでか、とい思ったその時。少女の声がした】

/続きます
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/11(水) 02:06:13.21 ID:w3+31ROXo
>>17

ん、何よ、もう寝るの?
あたしはまだ飲み足りないんだけど…………ちぇー。

【司がワッペンを受け取ってくれた事に喜ぶのも束の間、豪快に飲み納めを終えた司はミドナに背を向ける】
【あれだけ飲んでまだ飲むというのか、大酒飲みの女は残された冷酒の瓶を掴み取って司に翳すも、その歩みを止めることは叶わない】
【ミドナは不満そうに口を尖らせるも――――司の大きな背中から感じる雰囲気は、馴染みのあるものだった】
【旅先で幾度も経験した、別れ≠フ色合いだ。ミドナはそれを感じ取ると、存外あっさり引き下がって】

そうねー、私も楽しかったわよ!
まぁ、また機会があったら付き合ってよね。あ、あんたが本当にSCARLETに入ったら入団祝いやるのもいいかも。
…………そんじゃーね、司!

【冷酒を嚥下しながら、ミドナは相も変わらぬ軽い言葉を投げかけて。最後は振り向きもせずひらひらと手を振って。それで、終わりだった】
【まるで、また明日にでも会うかのような軽い挨拶――――心から再会を望んでいるからこその、淡泊な幕引きであった】
【ミドナは残された盃もそのままに、一人月見酒に興じる。欠けた月は満ちずとも、心の内は確かに満たされて――――】


「ようやく…………ひとりになったわね?」

あっ…………ま、待ってばーちゃん、もうちょっとだけ――――もうちょっとだけぇ!!

【…………その辺りで、今宵の酒盛りもお開きだ。司が居なくなって気勢を取り戻した女将が、ミドナの襟首をひっつかみ】
【わめく酔っ払いをものともせず、女将は二階まで右手の荷物を引っ張り上げていく。階段が擦れて痛いと呻く女の声もまた、我関せずで】
【そうして自室にぶち込まれたミドナは、子供のようにだだをこねる。そう離れてもいない司の部屋に、その情けない声が聞こえなければいいが】
【最終的にはここに来る度行われる恒例行事を今回もなぞり、ミドナは簀巻きにされて強制封印されるのだった――――】

【――――そんなこんなで。ミドナが翌朝、もとい翌昼起きたときには、きっともう司は居なくなっているのだろう】
【悲しみも、寂しさもない。ただ気の合う酒飲み友達との思い出が、頭痛と一緒に余韻を残しているのを確認すれば、それで満足】
【こうしてSCARLET≠フミドナは、宵越しの語らいを胸に――――とりあえず、女将に昼飯を出してくれるよう懇願しに行くのだった…………】


/二日間、ありがとうございました!
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/11(水) 02:08:14.44 ID:Nq5BqmUyo
>>26
『……何をしているんだい、二人とも。ずいぶん探したぞ?』

【新たに路地裏の闇から出てきたのは、腰ほどまで伸びたストレートの銀髪に、くすんだ鉛色の瞳の少女だった】
【ピアス男の言葉からすると、彼女が援軍なのだろう】

【濃紺のスクールブレザーにグレーのチェック柄プリッツスカート。白いハイソックスに白い運動靴】
【顔立ちも整っており、他の異形どもと比べて人の物に近く見えるかもしれない。しかし】

【彼女を目にしてまず意識が向くのは、その肌であろう。艶を保って瑞々しさを感じさせるその肌は】
【顔面も首も四肢も、露出している肌全てが、真っ青だったのだ。青い肌の少女。それも、どこか不吉な気配を匂わせる、暗い青だ】
【しかも、その肌はあちこちに痛ましい傷が散見される。元が艶のある肌でかつ青色なだけに、その身に刻まれた傷は目立っていた】

やあっと来たか、美鈴!!! 俺もノーティヒアも傷を負った、ひとまずここから逃れて――
『ああ、よくわかっているよスカーベッジ。わかっているんだが……』


【青肌女・美鈴がゆっくりと二人の仲間から視線を切り、眼前の巫女へと向いた】
【その青い頬がわずかに蒸気する。ピアス男・スカーベッジの顔がまたも痙攣した】

『せっかく、櫻の秘術が……まだ未体験の"痛み"があるんだ……ちょっと味わってみてもいいだろう? なあ、いいだろ? いいと言っておくれ』
ダメに決まってんだろが!!! 状況分かって言ってんのか、美鈴ゥ!!!

『うむそうか……だが、すまない私は行く。味わいたいんだ。止められないんだ。この苦痛への情熱は』
やめろっつってんだろおぉ!!! この変態マゾヒスト女があぁ!!!

「ふむ、そもそも痛みとは――――」
てめえはもういいんだよ!!! あークソ、だからこいつら呼ぶのは気が進まなかったんだああぁ!!!

『初めまして、正義を掲げる巫女よ!! この出会いに感謝する!! ぜひ私に、この蓮華院 美鈴に!! 新たな苦痛の味を教えてくれ!!』


【ピアス男の嘆きを後目に、青肌女が駆け出す。その手の指十本が、突如"上下に開いた"】
【その中から飛び出してきた注射器。何も入っていないからの注射器だ。それを、巫女の両肩へとそれぞれ突き立てようとするだろう】

【ピアス男はというと、何とか動揺から立ち直り、アンテナ男を引きずって少しでも離れようとしている】
【すでに逃げ腰ということ。青肌女の攻撃を凌げば、もはやこの場の終わりは見えてくるか】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 02:08:15.10 ID:vuGmut+fo
>>29

【先ず、無思慮に接近を計った二体のアンデッドがその胴を両断されて崩れ落ちた】
【本来ならそのまま足だけ、上半身だけでも動くのだが――恐らく属性に弱いのだろう】
【電撃が流れると僅かに痙攣したきり動かなくなり、土塊のように成り下がって】

【それから火の鞭を叩きこまれた方はもっと悲惨だった。無論、言うまでもなく燃えがったのだ】
【しかし下半身は埋まったままだし、まともにもがくことすら出来ず――敢え無く焼死】

【これもまた死体は肉塊ではなく一片の灰となり、寒風の一吹きでどこかへ飛んで】
【その風を染めるのが赤。フレデリックが振るった槍が、まだ生々しい一体を刻んだ飛沫であり】

……死体を?聖職に就くものとしていささか見逃し難い言葉だ
『機関員だから』という免罪符は、現世の相手に対してのみ使うべきだと思うが……
無口だからとて、あまり死者を侮っては、な―――あぁ、コイツラは別だ。

【――やがて二人の奮戦が功を奏したか、ややもするとアンデッド共はどこともなく姿を消し】
【周囲には死体だった汚れと、新鮮な土の香り。不思議と血液のそれは漂っておらず】

ふむ……以前にも思ったが、やはり貴様、相当に出来るな?
機会があれば手合わせしたいところだが……おっと、そうだった

――まだ死体が欲しいか、否か。それを聞いておかねばならなかったな……。
それによって私の職務も筋が変わる……追う必要≠焉A無いではないが……―――。

【フレデリックは相変わらずの厳しい顔つきでクシーを見遣り、二言三言と云ってから】
【僅かにニヤリと笑って、その意志を問いかける。――今更だが、一介の聖職者にしては奇妙だった】
【機関員に対する態度や反応もそう、槍の冴えも、些か一般人のそれとは思えないもので。】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 02:28:13.94 ID:8f+bfjVbo
>>33

別に、墓を荒らそうってわけじゃないんだけどね。
新鮮じゃなきゃ、“おじさん”の実験には使えないから。
――死体を作って£イ達する、って言った方が良かった?

【一段落付いたところで、ふう、と一息吐いて】
【マフラーを巻き直したなら、口にするのは何やら更なる人物を示唆する言葉】

僕達は……戦う事こそが存在理由だから、ね。
でも、そう言うお兄さんも強いよね?―――それに、僕が機関員だって分かっても、あんまり変わらないし。

――欲しい、かな。“おじさん”の為にも、なるべく魔力なんかにも強いの、集めなきゃいけないから。
……来るならどうぞ。プシーも呼べばすぐに来れるはずだから、僕は問題ないよ?
それに、僕は機関に所属してる。“聖職者として”、見逃していいのかな?

【小さく首を傾げて、見上げるように真っ直ぐ、フレデリックに視線を向ける】
【彼の些か奇妙な点に関しては、どうやら引っかかったようで。】

【――身体の前、両手で鎌を構える姿は正しく……臨戦態勢】
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 02:42:30.54 ID:vuGmut+fo
>>34

―――――――…………、……成程。

【眼が、変わった。今までが単に冷徹な人間の瞳だったとすれば、今は】
【――そう、鷹≠セろうか。猛禽のように鋭く強烈な力を持った視線がクシーを捉え】
【『チャキっ』という武具の音――左手を前に、両手で槍を持ち直し】

このフレデリック・シャリエール……ゼン=カイマの騎士をまとめる者として……
……否ッ!それ以前に一己の神を崇める者として、貴様の愚行を許すわけには行かない

だが奇縁もある……一つだけ先に教えておいてやろう、クシー――。
我が愛槍カテドラル≠ヘ雷を打って鍛えたとも言われる豪槍だ
貴様の鎌も、アリギエの時、そして今もまた然り……雷撃を操っていたな?

ならばその危険は分かったハズ。そして、我が突きの正確無比なのも同様のはず。
……一拍だけくれてやる、逃げ出すならば今だと、ヒントも加えてな―――!

【一拍とは一呼吸する間も無い程度。それが終わったらなら、フレデリックは一歩前進】
【ただそうするだけで、そして両手を突き出すだけで、槍は数mも伸びたかのようにクシーに迫り】
【その腹部を貫こうと刃を光らせ、鋭く肉を裂こうとするだろう】

【加えて脅威なのはバチィ!≠ニ散った雷の火花。その脅威は言うまでもなく】
【動作全体にも隙は薄い。強いて言えば例の一拍≠ヘ攻めどころだが――さて、どうか。】

/いい具合のところで申し訳ないっ、明日もあるので凍結お願いできますでしょうか……?
/一応、当方は明日以降18時過ぎなら待機できるかと思うのですが……
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 02:44:57.47 ID:/CTlyLylo
>>35
/了解です!ただ明日は自分、来れるのが21時半過ぎ、下手をすれば22時過ぎとかになるかもしれません
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 02:50:25.70 ID:vuGmut+fo
>>36
/でしたらそのくらいの時間に呼びかけさせて頂きますねっ
/では今日はこの辺りでっ、一旦お疲れ様でしたー!
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 02:51:53.45 ID:/CTlyLylo
>>37
/お疲れ様でした、お休みなさいませー
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/11(水) 02:58:57.91 ID:FjUXCD210
>>30>>32
「――――既に捕らえられている、と?
生きているならば良し。ギアもそう簡単には死なないでしょう…………
なる程、吐かせる情報が増えましたね。ギアの居場所とカニバディールの思惑と…………口が堅いことを自負するならば其れも良いでしょう
けれど、何れ其の顎も砕くのでその前に全て話して貰う事になりますが」

【札が足の肉を抉り、そして冷たい地面に打ち付けたならば。もう、それ以上の術は用いない】
【大会でも見せたその体術で確実に意識を刈り取るつもりなのだろうか。何処かつかみ所の無い構え】
【――――その構えは蹴りを主体として、女の力であっても一撃一撃の威力を侮れない程に昇華させる】
【足に傷を負った男が二人。その脚捌きから逃れられないであろうと考えた故にその構えへと至る結論】


「さあ、命の保証までは出来ませんが。妹の友人に危害を加え、その上で殺害したとなれば――――生きて私に会った事を後悔させる程には、地獄を見せます
私の一族は妖怪と人間とを取り繕う事を使命としていますが…………幸い、貴方達はそのどちらでも無い
ならば、私は命を保証する義理も無い。…………常に死を意識したまま残り少ない生を全うするというのも中々に充実した人生かもしれませんね」

【足の動きを悟らせない袴。その下では独特な足運びが行われ――――首を打って一時意識をブラックアウトさせた後、直ぐさま対の側頭へ踵を打ち付けようとした】
【――――だが、新たな人物の声に、その技も中断されるのだろう】
【余程の勢いがあったのか、ザリリと草履の裏が擦る音。大会を見ていたならば、術式と体術…………その二つを主に用いてくるのだと悟れたか】
【…………そう、体術】


「おや、また悪趣味な方が現れたかと思えば…………更に人間らしく見えますね
かと言って、私には理解しがたい感覚。…………あの男性の言う事を素直に聞けば良かったと後に後悔しても知りませんよ」

【技を中断すれば、意識はその少女へと向けられた。足に傷を負っているとしても――――巫女は追ってこない。少女の時間稼ぎによって、十分に逃走の準備は整えられる筈だ】
【そしてその少女が襲いかかってくる様子を見れば、また別な構えを取るが…………突如飛び出して来た注射器は予想外であったのだろう】
【針が刺されば肉を貫き、やがては堅い部位。詰まる所骨に到達して止まるはずだ】
【毒液が入って居なかったとしても、其れだけで十分な痛み。珍しく巫女の表情が歪み、空洞の注射器の内部へと血が逆流するであろうが】
【――――まだ突き立てているならば、その腕を掴む事だろう。到底女の握力とは思えない力。櫻に通じている者が此処に居たならば、僅かばかりに“鬼”の気配が漂っている事に気付けたのかもしれない】


「…………正義?私はただ我が儘なだけですよ。私の気に掛かる方達が無事であれば、其れで良い
その延長上に他の人々が居るから、ただ守っているだけです
さて、今より望みを叶えましょう。カニバディールも先程の男の方達も…………そして貴方も。ギアを解放し、大人しく去れば初めましてで終えますよ」

【東洋の概念。身体を巡る“気”。少女の其処に乗せるのは“陰”と“陽”とが争った挙げ句に生まれる“邪”】
【身体を巡る其れに注ぎ、外傷的な痛みとは異なった、経絡の流れに沿って内部から針を突き刺すような痛みを与えようとする事だろう】
【以前カニバディールの血液内に溶かした毒水にも似ているが、また痛みのベクトルは異なって居て。まるで其れは痛みの強い“病”】

【然れど其れは掴めたらの話である。更に、肩を貫かれている故に抜け出そうと思えば抜け出せる事だろう】
【――――どちらにせよ、十数秒で終わる術。命を奪うのでは無く、自白の強要や傷付ける事無く拘束する為に用いられる物でもある】
【実質怪我をした訳では無いから走れるし、痛みを気にしなければ反撃も出来る。少女と男達と、どの様に出るか――――】
【巫女は傷が大きいわけで無いにしても両肩を骨に届く程にまで刺されたのは事実。逃走するならば、その怪我での追撃も難しいと判断して追う事も無いが】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/11(水) 03:44:57.93 ID:Nq5BqmUyo
>>39
ひひっ、命については心配なさらずとも、あたくしらもあの人形の旦那に死なれちまったら困る身でしてね
元より、あの人形から魂を昇天させるのは少々骨が折れそうですが

ひ、ひいっひひひ……最近の巫女さんは、拷問も手掛けなさるとは、初めて知りましたよおぉ……
顎が砕かれた時のために、骨接ぎのワイヤーを探しとかないといけませんねえぇ……

【足の痛みに耐えつつ、まだ減らず口を叩いていたピアス男も、足をかばいつつまだ興味深げに視線を投げるのをやめなかったアンテナ男も】
【彼女のつかみどころのないその構えの前に、閉口せざるを得なかった。まぎれもない、達人の佇まい】
【機動力を削り取られた今の自分たちに、対抗できるとは思えない】


……地獄、とまで来ましたかい。まったく、自警団員だとは言ってもらわないと、わからねえくらいの恐ろしさだ
どっちでもない、ってえのは全くその通りですな、ひっひっひ……

挙句、生かしたままとまで……そこまで言ったら、完全に犯罪組織か何かの手口ですぜえぇ……
(あの構え、大会でも見せてた体術……だが、動きが読めねええぇ!! 大会そのままの腕前でやられちゃ、ひとたまりもねえぜ……)

【くすんだ鉛色の瞳が向く先、袴の奥で自分たちに迫る死神の足音が打ち鳴らされる】
【が、その直前、青肌の少女が割り込み、一時的に事なきを得る。草履がかける急ブレーキの音が、先ほどまで迫っていた死の余韻を刻む】


『ふふふ、仲間内ではまだ人間に近いのだがな、多くの場合はこの青肌に奇異な目を向けられる。あの視線も、なかなか乙なものだぞ』
『やらぬ後悔よりやる後悔だよ。眼前に苦痛という快楽があるのなら、飛び込むのが私なのさ』

【得意気にすら見える青肌女の背後で、ピアス男たちは痛む足を引きずり、徐々に戦線から離れつつある】
【青肌女はと言えば、指からダイレクトに伝わる相手の骨に達した手応えに、ますます顔を緩ませる】
【他人に苦痛を与えるのも好むのだろうか、注射器に逆流する赤色に、うっとりとした視線すら向ける】

【ゆえに、掴みかかる彼女から逃れられず。見た目に反した強靭な力に、さすがの蒼肌女も目を丸くした】
【櫻に詳しく通じるものはここにはいなかったため、"鬼"の気配には気が付かなかったが、異形どもにもただならぬ雰囲気は伝わってきた】

『それは失礼したね。私もまた、我が儘でこうしている。結局、人間みな自分を中心に据えているものなのだよ。あるのは程度の違いだけだ』
『私の望みを叶えてくれるか!! とてもうれしいよ、しかし生き人形は返せないんだ、我らがボスの命令なのだから』


【青肌女が、余裕を保って話していられたのは、ここまでだった。掴まれた腕から流れ込むは、東洋の神秘】
【“気”の内から“邪”を生み出す、どれほど高度な術なのだろう。青肌女の経絡を、苦痛が駆け巡った】

『あああぁっはあああああああああああああ……!!!!!! 良い!! うぐうぅぅ、素晴らしいよおおおぐああああああああ!!!!!』

【とても女とは思えないような声で絶叫し、細い身体を捩じらせて身もだえる青肌女】
【身体の内から針を刺す、まさに前代未聞の苦痛であった。十数秒の"病"は、青肌女に快楽と確かなダメージを与えた】

【やがてその身体が巫女から離れれば、痛みを己の内に押し込むように両手で自分の身体を抱きしめつつ、後退る】
【そんな青肌女の後ろから伸びて来たのは、糸に繋がれたボロボロの釣り針だった。それが、青肌女の服の首辺りに引っかかった】


もう十分だろ、美鈴!!! 退くぞ!!!
『うくっ……ああ、わかったよ。仕方あるまい』

……天鬼さん、今回はし損ねましたが、いずれは"御礼"申し上げますのでね
路地裏か戦場か……どこぞの無法地帯でお会いしたら、また続きといきましょうや

【一瞬、巫女のほうへと顔を向けた青肌女が、スカーベッジの手に繋がっているであろう釣り針を伝って、路地裏の闇に消えていく】
【残り二人の姿は、すでに路地裏の闇に紛れつつある。逃げ足は相当に早いらしい】
【お互いに、怪我は浅くはない。追っ手は来ないらしい、と悟れば、そのまま戦闘を避けて異形どもは遁走するだろう】
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/11(水) 04:08:24.53 ID:FjUXCD210
>>40
「返せない?――――ならば、奪うだけの話です
貴女達の我が儘か私の我が儘か、どちらが強いかを比べるだけの事
…………では、カニバディールに伝えて置いて下さい。何れ貴方の場所を突き止め、其の身体を削ぎ落とす、と」

【巫女か、自警団か。どうにもその両者とは思いがたい発言】
【感情の起伏も少なく、語る言葉の調子だってその通りなのだから、ある意味ではまたこの巫女も異質】
【去って行く姿を追うことも無く、自警団へ連絡を入れる事も無い】


「“御礼”は必要有りません。こちらから伺うので…………せめて死に際の晴れ着でも準備しておくと良いでしょう
――――――では、精々闇に食われない様に気を付けて下さい
…………ほら、ステン。帰りますよ」

【このまま追えば三対一。そして、自分はこの傷を抱えたままでは満足に動けまい】
【苦肉の策ではあるが…………この場ではこのまま逃走させる事が何よりも良い結果を生むはずで】
【小さな吐息を吐けば式神を召喚して、倒れている少女を乗せる事だろう。三人が完全に闇の中へと消えた事を確認すれば、表通りへと向けて歩み出し】


「カニバディール…………もうギアを捕らえていましたか
あの男性の話ではUNITEDTRIGGERに所属していた様ですが…………取り敢えず、話を聞いてみるのも良さそうですね
――――中々に情報も手に入りました。何はともあれ、今日は帰りましょうか」

【白の衣を紅く染め始めてるのは、紛れも無い自身の血液】
【最後にもう一度男達の去った闇へと一瞥すれば、それっきり】
【これから先、どの様に行動すべきか。UNITEDTRIGGERにギアの事を訊ね、カニバディールへの対処をどの様にすべきか】
【――――そんな事を考えながら、やがて巫女と式神の姿も闇の中へと溶け込む事だろう】

/この辺りでしょうか……!
/二日間、お疲れ様でありました!お相手有り難う御座いましたですよー!
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/11(水) 04:23:40.86 ID:Nq5BqmUyo
>>41
『とても魅力的なお話だね。ぜひ、力比べをしよう。楽しみにしているよ』
『伝言、確かに承った。一字一句違わず、伝えておこう』

【表の世界に身を置くとは思えない発言も、青肌女は痛みに悦びながら当然のように受け止めるばかり】
【自分たちとはまた異なる姿の"異質"の姿を鉛色の瞳に焼き付けつつ、盗賊どもは消えていく】


ひっひっひ、ではカニバディールともども貴女の訪問を心待ちにしておりやすよおぉ
そちらの方も、死んでも恥ずかしくない格好で来られることですな

ええ、ええ、お互いに再会する時まで無事でいられることを祈りますよ

【三対一とはいえ、二人は軽くはない手負い。巫女の追撃がなかったのは、彼らにとっても僥倖だった】
【式神と共に表通りへ消えていく二人と、鮮血の跡を残して裏通りへ消えていく三人】
【後に残るは、闇と静寂。そればかりだった】



<……そうか。わかった。オールドベビーとオートマーダーを迎えに出す。しばらくそこに潜んでいろ>

【どこかの廃墟の中。携帯端末の先から洩れるのは、ピアス男の声。交わされていた言葉が途切れ、端末の通話が切られる】
【薄汚れた灰色の作業着。黒いラバー地のエプロン。黒いゴム長靴。身長2メートルを超える巨体。額に埋まった巨大な一つ目】
【男の名はカニバディール。異形の盗賊どもの首領】

<……天鬼ちゆり。思った以上に、厄介な因縁となりそうだ……>

【一人呟くと、ゆっくりと立ち上がり、その場を後にする。この場にもまた、同じ闇と静寂が訪れるだろう】

/こちらこそ、お付き合いいただき感謝いたします!!! お疲れ様でしたー!!
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 12:09:58.98 ID:qm23xqf5o
>>35

「――――――、――――」


【与えられた一拍。その僅かな時間に起こったのは、ただ一つ――音】
【クシーの右耳。イヤリングが、何に触れた訳でもないのにキィン、と高い音を響かせた、それだけ】

【そして繰り出される突き。対するクシーは右足を引き、半身の姿勢となって】
【しかし完璧な回避ではない。穂先が確かに、肉付きの薄いその腹を抉っていく】

くっ――――!逃げる、なんてそんな事しないよ。
僕は問題ない、って言ったでしょ?

【火花が散り、飛沫く血は霧の様に舞い上がる】
【しかし問題なのはクシー本人。雷撃に対して、あまり変化が見られない】
【何故?――――アリギエとの戦いの事を思い出せば、何か、掴めるかもしれないが】
【もっと真っ直ぐに雷撃を叩き込む事ができれば、また違う結果が見えるのかも、しれない】

一つ言っておいてあげるよ。僕を倒したいなら――今の内、だってね。
早くしなきゃ……逆にお兄さんが倒される側になっちゃうよ?

【今、姿勢を変えた事によって鎌は振りかぶった様に身体の右側にある】
【そこから踏み出して狙うのは、攻撃後の隙を突く緩い角度の切り上げ。槍のすぐ下を駆け抜ける様にして】
【振りかぶる必要がなかった為、その出足は速い。けれど、方向を斜めに変えた事で若干の遅れも生じている】
【彼ならば、そこを突いての対応も難しくはないはずだが――――】


【――――何かが、近付いて来るような気がした】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/11(水) 14:35:41.65 ID:2dDqYYjjo
【路地裏】

【大通りから然程遠くは無い位置で、何やら揉めているらしい三人(?)の姿がある】
【それは少女二人と鎧を纏ったケンタウロスという組み合わせで、揉めているのは少女達らしい】
【置物の様に押し黙る半身が馬の青年は、どちらの側に付くでもなくただ成り行きを見守っているらしかった】

駄目です……路地裏は危ない場所、聞きました。
ビィーズは通る、しません。 だから、ジュリエットも駄目です。

「えっ……で、でも私、ジュリアスと待ち合わせするの、こういう場所だけど……
 危ない事なんて無かったよ、ロナンもいてくれるし……それに、こっちの方が近いよ?」

【頑なにこの場所の危険性を主張して、奥へと向かう側に仁王立ちしているのは、どこか片言な背の低い少女】
【ボブカットの淡い茶髪に輝きを湛えた大きな紺色の瞳は幼い顔立ちながらも、どこか意志の強さを感じさせる】
【髪に大きな紫のリボンを付け、右手には紫色の宝石を冠した華やかなステッキを握っていて、上衣は黒のベルベット地のコート】
【下衣は紫地に所々星を散りばめたバルーンスカート、黒のタイツに紫色の低いヒールの靴という出で立ちであり】

【一方で、片言の少女に対し困惑するように話していたのは、彼女よりも背が高く少し年上に見える少女だった】
【長めの前髪で右目が隠れているが、隠れていない左は明るいグリーンの色合い】
【ローズブラウンの腰までの髪は緩く巻かれ、黒い小さなハットを斜めに被っている】
【肌の色は白く、大きな瞳は斜め下に向けられがちで人を直視する事が少ない】
【黒いベルベット地に銀糸と薄桃で刺繍を施した膝上丈のディアンドルに、同色の低い踵のシューズ】
【右手にのみ、黒のハードレザー製でチェーンの装飾が付いた、少し強気なデザインの指貫グローブを付けている】

【こっちは危ない、こっちが近い――そんな会話は到着点が見えないまま、延々と続けられていた】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/11(水) 19:25:27.46 ID:d/gd67oe0
【鉄の国―――近代都市部・人工島=z

【ここは首都にほど近い位置に存在する大規模な埋め立て地で、その人工的な大地の上には沢山のビル群が立ち並ぶ】
【経済、技術の急速な発展に伴って鉄の国が作りだしたもので、国内外問わず多数のビジネスマンが行き来している】
【高いビルでは数1000mにも及ぶ大きさで、巨大なドームなどイベント施設も充実している】
【島と島は巨大な橋で繋がれ、そこから立体高速道路にも繋がっているそんな場所の中心市街地】
【頭上を立体高速が走る高架下の道路を歩く人物が一人―――。】

………ったくちょっと見ないうちにどんどん発展するんだもんなぁ………どこだよここ
こんな複雑な作りをされちまったら巡回もロクに出来やしないぜ―――ハァー参った参った………。

まぁ適当にぶつきながら道を覚えるとしますかねぇ………。

【その人物は………。】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【軽薄そうな青年は不慣れな土地なのか、キョロキョロと所在なさげに視線を泳がせながら道を歩いている―――。】
【そのため前方に対する注意が散漫だ………もしかすると誰かとぶつかってしまうかもしれない】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/11(水) 20:56:29.74 ID:3uO7qG6Ro
>>45
/まだいらっしゃいますか?
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/11(水) 21:13:59.85 ID:DvMBimcl0
【路地裏のとある隠れ家の前】

【夜の路地裏、隠れ家がある場所】
【そこはカノッサ機関の人間が出入りする場所だと言われていた】
【そしてその真相を確かめるべく、自警団の何人かの人員が派遣された】
【その派遣された人員は――無残な死体となっていた】
【そしてその死体となった人員を殺した、男が立っていた】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

ああ、おいおい、弱いなこいつら
 まあ、一応調べてみたらまさかものほんの機関員がいたとは信じられねえはな

【男はそのように死体を見おろす】
【その死体たちは切られたり刺されたりして殺されていた】
【そしていまだに血がこの路地を赤色に染めていく】

ま、自分の不運を呪うんだな
 しかしばれたとなるとここも破棄だろうな
 あーあ、探すのがめんどくせえな、他のやつに投げとくか

【男はそのように愚痴をこぼしながら、ため息をつく】
【そして回りを見渡したあとに、しゃがみ】
【なにやら、死体を物色し始めた】

ええと、何かもっていたりとかしてないか
 ――んお、へぇ、タバコかいいもんもってんな

【男は喜色いりまじった声で見つかったことを喜んだ】
【そして懐からライターを取り出してその死体からとったタバコに火をつけた】
【そしてそのままタバコを吸っているであろう】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 21:16:08.83 ID:plTEXIndo
>>43

(……プシー≠ニか言っていたな、大方さっきのおじさん≠ゥ……)
(いや、違うな。呼び方が違う……だがどちらにせよ、そいつを呼んだな……?)

無駄な事――ならば言葉を返してやる、私も問題ない≠ニな
一人だろうが二人だろうが、例え百人だろうが我が槍の前に平服させる――。
それが第三近衛騎士団長たる私のセリフだ、無法者<b――!

【下方より迫り来る鎌の刃に、フレデリックは身を反らせつつ】
【両手に掴んだ槍の柄を、鎌を押さえるように下げて――うっすらとローブが裂け】

【その時、確かに肉も裂いた筈だったが、ちらと見えた腹部は健常な肌色】
【フレデリックはその後、距離を取ろうと背後に飛び退く。鎌と槍ではリーチの差が違いすぎるからだ】
【そして下がりざま、苦し紛れに槍を横薙ぎ――更にクシーの腹部を狙って振るう】

【――さて、此処から先は気付くかどうかも分からない誤差のような話】
【『フレデリックの右腕が膨れていた』のである。だが、ローブの上からのことだし】
【見間違いかもしれない、と捉える可能性もあるし――だからなんだ、とも思えた】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 22:14:48.62 ID:ubluDe9ao
>>48

出来れば僕一人で済ませたいところだけどね……
あんまりプシーにまで手間を掛けさせたくないし。

【振るわれる槍に合わせ、身体を横に跳ばして回避を試みるが】
【如何せん、此方も鎌を振るった直後。しかも、自分の背丈に対しかなりの大きさだ】
【またしても、槍が腹部を裂いていき――血が舞い散る】

無法であることが僕達の法だよ――――何せ、機関は混沌を目標にしてるんだから。

【くるりと身を捻るように回しながら姿勢を戻して】
【右腕に関しては、気付いているのかいないのか、反応を見せるでもなければ視線を向けるわけでもなし】
【ただ――――自分の裂いたローブの隙間を見た時には少し、表情が変わったような気もするが】

【そしてこのタイミング、クシーは攻撃行動を起こさない。間合いを見計らっているのか、それとも……?】
【ただ一つ、他の変化を挙げるとすれば――先程の“血”だ】
【霧の様に散っていたそれが、次第に黒くなり、クシーの頭上に集まりつつある】


【――――“何か”の到着まで、もう少しであろうか】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/11(水) 22:32:51.97 ID:d/gd67oe0
>>46
//申し訳ありません離席していました…まだいらっしゃいますか?
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 22:34:37.13 ID:plTEXIndo
>>49

【些かばかり血に濡れた槍を引き戻し、体勢を整えて一つ、呼吸】
【侮れる相手ではないのがよく分かった――動きもさることながら、能力が恐ろしい】
【雷撃、炎、そして今はまた霧の様な血が何かの形を作っていて】

無法が法とはまた身勝手なことを言ってくれる……
宗教とは戒律だ……それは正義ではないが、無秩序とは相対する物。

……かのUTやSCARLETに与するわけではないが、やはり許せん
もう一人が来るより早く―――――殺す≠ワでだッッ!!!!

【ザッ!とその場で踏み込み。槍を突き出すと、穂先から雷撃が刃を形取り】
【そのまま、当たれば痺れる飛ぶ斬撃≠ニしてクシーへと迫っていく】
【幸いにして速度は目で追える程度。鎌で叩き落とすことも出来るだろう】

【――が、フレデリックの狙いはソレではなく、更に遠距離から繰り出す一撃】

【グッ、と槍を持った右腕を引き絞り――届かぬはずなのに、クシーへと突き出すのである】
【するとどうか。肥大化していた腕は、まるで粘土のように形を変えて一挙に伸び上がり】
【ちょうどバネが開放されるように、凄まじい勢いで先の雷撃の刃ごとクシーを刺し貫こうとするのである】

【これはちょっと、眼では追えない。何より威力の凄まじいのには形容も難しく】
【風を裂く音すら遅れて聞こえ、岩すら刺し貫く鋭さがある――ただ、前動作は見えるハズ】
【雷撃に気を取られなければ回避は可能だ。強烈な分、軌道修正や隙を消す事は出来そうになかった】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/11(水) 22:38:27.01 ID:3uO7qG6Ro
>>45>>50

【発展したビルの群れに、人の手によって作り変えられた大地】
【他の国とはまた違った味を出す土地に一人の少女がいた】

【白銀色のローブの様な物を身に纏い、腰まであるクリーム色の髪の毛が時折揺れる】
【この場所とは不釣合いすぎる服装が少女の存在にスポットライトを当てていた】

え…えぇ…今度の下見って聞いてたんですけどぉ…
どうしましょう…道が分かりませぇん…

【泣きそうな顔で辺りを見回すその姿、それは迷子を体現していて】
【時折漏らす悲痛な声も様々な音に掻き消される】
【完全に八方塞なのに、足掻く少女の姿が悲壮感を更に加速させていた】

帰り道も分かりません……

【帰ろうとしても道が分からない、そんな事態にガクッと項垂れて途方に暮れる】
【その間も勿論歩みを進めている為に何かが出てきても絶対に反応できない】

【現に今も近くにいる男の事などまったく気付いていないようでぶつかってしまう事は明白である】


/こちらも少々離席+凍結を挟むかもしれませんがよろしければお願いします
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/11(水) 22:50:35.36 ID:d/gd67oe0
>>52

あーあ、しょうがないからどっかでナンパでもすっかなぁ〜なんて
いやいや………こんなところ、他の連中に見られたらヤバい………ちゃんとやらねば

とりあえず中央の方へ―――とぉ!?

【欠伸をしながらだるそうに歩みを進めていたところに、迷子の少女の姿が目の前から接近】
【青年はそのまま少女と激突して、後方へと一度のけ反るが………流石に少女の激突では倒れないのか】
【体勢を立て直して怪訝そうに前を見る。】

っとと、すまない大丈夫か………!

                   (―――この子は………)

【怪訝そうな顔をしたまま少女へと謝罪の言葉を向けるが………その容姿を見た瞬間なぜか膠着する】
【少女からすれば見知らぬ男から見つめられている状態だが、青年の胸のワッペンはどこかで見た事があるかもしれない】

//よろしくお願いします!
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/11(水) 22:58:24.92 ID:3uO7qG6Ro
>>53

あ…あわぁっ!!

【自分に走った謎の衝撃により、意識は一気に現実へと引き戻された】
【いつもの様に電柱にでもぶつかったのかもしれない、なんて思ったが声が聞こえる所からすると多分人なのだろう】
【というより逆に人以外だったらそれまた変な災難に繋がるかもしれない】

わ…あ…えっとぉ…ごめんなさいっ!本当にゴメンなさいっ!!
私前見て無かったみたいで…というより見てなくて―――――

――――…あ

【相手の顔も見ずに少女はただただ平謝り】
【いつもは相手が何かを言わない限り謝るのを止めないのだが、今回だけは別】

【相手の胸のワッペン。それを見た瞬間に表情が一瞬だけ強張った】
【今も強張るとまでは行っていないが、『マズい』そんな表情で相手を見つめていて】

55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/11(水) 23:12:47.91 ID:d/gd67oe0
>>54

―――あ、ああ気にするなよ………どうした?
もしかして迷子か?あーその感じは迷子だな、間違いなく………実は俺もなんだよな

目的地はどこなんだい?

【少女の平謝りに固まっていた青年も我に返って、まだ少し動揺したような仕草をしたまま問いかける】
【そして慌てた感じの少女を見てぽりぽりとこめかみを掻きながらどこか気まずそうな表情で強引に結論を付ける】
【懐から携帯端末を取り出してMAP機能を起動しながら横目で問いかける】

………どうかした?あぁ………このワッペンか
そーなんだよ、俺はこう見えてもSCARLETの一員なんだ、名前はディック・ホワイトってんだ

どうぞよろしく………ってそんな怯えた顔するなよ―――何か事情があるみたいだが………
気にするな、任意だから嫌なら何も詮索しないよ………OK?

【名乗りながらそんな事を言う、不自然なまでの物わかりの良さで相手の警戒というか焦りを緩和しようとする】
【とはいえ少女が本当にやましい事があり、このままでは危険なのなら今のうちに逃げる必要があるかもしれない】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 23:13:32.63 ID:NghJCT08o
>>51

【血霧はいつの間にか、黒い黒い雲になっていた】
【これもまた、ゼン=カイマで見せたものと同じであろう】

身勝手……まあ、そうなんだろうね。
だけど、そんな事言われたって僕はどうも思わない。そういう風になってるから。
“おじさん”が従う機関の目標の為に、ただ戦う事。それが僕が在る意味だから―――

【飛来する雷刃へと振り下ろす一撃。難なくそれは叩き落とされて】
【しかし、それでは伸長した腕の一突きには対応できない】

【鎌を振り下ろし、丁度その軌道上にあるのは左腕。肉を穿つ音がして腕を抜けて――しかし胴体には少し逸れて】
【伝わる感触から、分かるだろうか。その細腕には凡そ似合わぬ、異質なまでの筋肉が詰まっている事が】

ぐぅっ――――!予測してないと流石に痛いね……!
ところで、さ…………ずっと両手で鎌、使ってたけど――――片手じゃ使えないとは言ってないよね=H

【刹那、轟音。頭上の黒雲から、左の掌中へと“落雷”】
【しかし感電する事はなく、そこに現れるのは――またしても同様の大鎌】
【そしてもし、フレデリックの右腕がそのままなら、柄の端を握って手首を捻り】
【雷撃を纏った刃を、腕へと突き刺そうとするだろう】


【その行動がどうであれ、フレデリックの後方、少し離れた位置に音もなく降り立つ影が一つ】
【外見、形としてはクシーとほぼ同じ。しかし服は黒、髪は純白で】
【瞳は青天の様な澄んだ水色。イヤリングをするのは左の耳で、手には黒と濃いピンクのフリルパラソル】

【そして猟銃のように構えたパラソルの先端に、小さな魔力の塊が集まって――】
【次第に、大きな魔力の塊を作り上げていく】
【着地、或いはその魔力に気付き、攻撃を仕掛ければその行動は止められるだろうが――果たして】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/11(水) 23:17:34.98 ID:NghJCT08o
>>56
/槍の長さ的に左の鎌は投げる感じで補完お願いします(懇願)
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/11(水) 23:25:39.93 ID:3uO7qG6Ro
>>55

ふぇっ!?も…目的地…ですか?
えっとですね…その、どこって言えば良いのか…

えっと…小粋な星空を眺める為に散歩していただけで…えっとぉ…迷子じゃないです
本当ですからねっ!

【ローブを着込んでいたから助かった物の、ローブの下には『GIFTアカデミー』の制服を着ていた】
【そう、即ちこの少女『GIFT』メンバーの一員である】
【なので、男のワッペンを見て物凄く気まずそうな表情を浮かべて、現に今もしょうもない嘘をついている


あ…えっと。ご丁寧にどうも…
私はシズエです…シズエ・パリシュトです――――

【相手の気遣いのお陰でいつも以上にスラスラと自己紹介を終えれた】
【だけどそれが大きな間違いだった】
【所属こそ明かしてはいないものの、本名を相手に教えてしまったのだ。それも『SCARLET』の隊員に】

仲良くしてくださいぃ…

【相手がもしも過激な人物だったら、それでもって滅茶苦茶強かったら】
【そんな不安が過ぎって、またしても泣きそうになってしまっていた】

59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/11(水) 23:42:09.84 ID:d/gd67oe0
>>58

―――そうなのか、まぁそういう事にしておくとするよ
だが、幼気な少女がそんなフラフラと歩いてたらいろいろ危ないぜ………気を付けるこった

世の中にはいろんな危険≠ェあるんだからな。

【少女の慌てた苦し紛れの言い訳も苦笑しながらしっかりと聞いて、その上で腰に手を当ててそう諭す】
【怪しむ様子など微塵もない………よほどお人よしなのだろうか―――?】

シズエ………良い名前だな、まぁそうあんまり怖がらねーでくれよ
別にとって食おうってんじゃないんだから、さ

―――何か困った事があるなら相談に乗るが………大丈夫か?

【泣きそうになっているシズエをみて慌てながら両手を振ってなだめようとするだろう―――。】
【そして気まずそうに息を吐きながらそんな質問をする】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/11(水) 23:50:47.32 ID:3uO7qG6Ro
>>59

そうですよね…この世の中は本当に危険です。
ゴミゴミとしすぎていますしぃ…何より無法すぎます

だから私はそんな”危険”を正してみたいなって…

【男の言う”危険”と少女の口にする”危険”は天と地程の差がある】
【もちろんそれを口にする少女は今にも崩れそうなほどに弱々しいが】


相談ですかぁ…えーっと…
そうですねぇ…今はすっごい幸せだから…その…えっと…

【相談という相談は無いのか、それとも無闇に口を開けないのか】
【少女は一瞬だけ気まずそうに口篭る】

ディックさんはどうしてこんな場所に?…その。迷子なんですよね?

【あまり自分から話題を変えるという事が無い為、上手く話題をすり替えれているかは分からない】
【一瞬だけニコッと微笑んで、少女は相手の返答を待った】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/11(水) 23:58:09.89 ID:d/gd67oe0
>>60

―――だから俺たちみたいな組織も作られたわけだしなぁ…。
………へぇ、君はどんな方法で世界を正す≠ツもりなんだ?

俺としては荒事は俺たちみたいな組織に任せて少年少女には青春を謳歌してもらいたい、がな

【一瞬、視線を鋭くしながら少女に対して問いかけをする………少女の考える正す方法とは―――と】
【その質問をした後は再び軽薄な調子で肩を竦めて冗談ぽくそんな事を口にした。】

そうか、幸せなのは結構結構………それなら俺も嬉しいぜ。

あー俺はこの地区の巡回中だよ………ほら、カノッサとか………GIFTとか、色々テロとか起こしてるだろ?
だから目ぼしい地域や都市にはこうして定期的に巡回を差し向けているんだよ、俺たちは。

【機密事項という程ではないがあまりぺらぺらと話すべきでない事を青年は隠す気もなく話す】
【かなり抜けているのか………それとも意図的かは不明だが。】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/12(木) 00:13:41.27 ID:ZL3DnoL6o
>>61

どんな方法なんでしょうね…
私は分かりません。―――――神のみぞ知る…そんな感じです。

それに私はちゃんと青春を謳歌していますからぁ

【男の視線が鋭くなるのと同じ様に、少女の表情も一瞬だけよく分からない何かに変貌した】
【もちろんそれを取り繕うようににんまりと笑みを浮かべた】

テロ…ですか。
確かにカノッサ機関はすっごく乱暴で怖いですよねぇ…
何か考えての事…だとしてもそう言うのはやっぱり怖いです…

【『GIFT』の名が挙がって一瞬だけ雰囲気が冷め切る】

【その後は今まで通りビクビクした様子でカノッサ機関の事を批判した】
【それに冷め切った雰囲気もいつの間にか元に戻っていた】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/12(木) 00:21:37.68 ID:jDhuYiAS0
>>62

―――どうやら熱心な信奉者みたいだな………まぁなんだ
その方法がどうあれ自分の正義≠チて奴をしっかりと貫けよ…?

それなら結構………やっぱ大人になると青春時代が恋しくなるんだよ………ハハ

【そのような事を言いながらガックリと肩を落として項垂れる………イマイチつかみどころがない青年だ】
【少女の気配の変化や動揺なども気が付いているのかいないのか―――良くわからない】

まぁな………GIFTだって世間一般からすれば大層な理想を掲げたテロリスト≠セけどな………。
―――テロリストの考えなんて良くわからねーよなぁ?

まっ君は若いんだからあんまりそういう事に首を突っ込んだりはするなよ?

【微笑みながらポンポンとシズエの肩を叩こうとして、それが拒否されたとしてもシズエの脇を通って抜けようとするだろう】
【果たしてシズエの心には青年の言葉はどう映っただろうか?】

………さて、それじゃあ俺は巡回に戻ろうかな、まだ何かあるか?
あるなら聞くが………ないなら気を付けて帰るんだぞ―――オーケー?
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/12(木) 00:35:53.26 ID:ZL3DnoL6o
>>63

貫くも何も、それが私の存在意義…ですからぁ…
私が生きている限りそれは貫かれてるんですよぉ

ふふっ。私は早く大人になりたいですけどね

【男の言う信奉者なんて生易しい物じゃない。この少女は狂信者だ】
【少女の言葉はそれを徹底的に裏付けていた】

本当ですね…テロリストなんて何考えているか分かりませんよね。
もしかしたら隣人がテロリスト…―――――なぁんてことも有りますしぃ…

私は馬鹿で愚鈍で鈍間だからそんな難しい事考えれません
それに…そこまでできた人間じゃありませんから

【飄々とした様子で言葉を紡いではいるものの、拳は強く強く握り締められている】
【それこそうっ血してしまうのではないかというほど】

…わざわざ私みたいな人間に声をかけてくれてありがとうございました。
また…何処かでお会いしましょうねっ。貴方に幸多からんことを

【自分の横を抜けていく男の背に向かってそんな言葉を投げかける】
【男が自分の表情を理解できないからかそれとも自然になのか、少女の顔からは表情という表情が一切消え去っていた】

/お疲れ様でしたっ!
/また機会があれば絡んでくださいなっ。それではお休みなさい
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2013/12/12(木) 00:40:53.16 ID:W6x8Kxh8o
>>56

【鈍く肉を貫く感触を得る、黒い霧を見て、アリギエの際の雷撃を思いだし】
【うっすらと汗をかきながら槍を引き戻し――しかし生憎と遅かった】
【延びきった腕を戻すより早く刃が食い込み、濃密な血液が迸る】

【なんとか刃を引き抜いても、クシーには更なる利点がひとつあり】

【それが今のフレデリックの様相――顔が、薄緑に。まるでスライムのように透けていたのである】
【これで分かっただろう。彼の能力はすなわち、肉体を半液体に出来ること、なのである】
【何故腹の一撃が無傷で、今回が違うのか。それは雷撃の有無だったのである】

ちィ……!どうも貴様とは、相性まで悪いときているようだな!

(それも、どうやらもう一人も来たか……左腕も健在とはいえ――)
(……拙い、か。私らしくもない、まだ負けたわけでもあるまいが)

【体表を電気が走る。振り向けばそこにはもう一人が居て、しかしフレデリックは反撃せず】

【――そのタイミングで、乱入者の更に背後から近付く気配がひとつ】
【振り向けばわかるが武器は持っていない。まだ遠い位置に居て、狙撃も難しくはなかった】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/12(木) 00:47:18.32 ID:jDhuYiAS0
>>64

―――まぁ何かは知らないがあまり無理はするなよ?
正義を貫くのも大事だが、それをするためには身体を大切にしないとな?

まぁ君も大人になれば分かるよ………。

【ガックリと項垂れるような仕草をしながら苦笑して、頭に付けたサングラスを整える―――。】
【少女の狂信に対しては気が付いていないのか、それとも気が付いた上でなのか、諭すような言葉をかけるだけである】
【そして少女が来た方向へと歩き出しながら顔だけをそちらに向ける。】

そうだよ………もしかしたら君もそうだったりするのか………?なんてな
―――テロリストだけじゃないさ、人間てやつは自分を理解できるのは自分だけなのさ

そんな事言うなよ………今話しただけで十分君が優しい人間だって俺は理解したぜ?

【ヒラヒラと右手を振りながらそんな事を言って少しキザっぽいセリフを吐いて見せるのだった】
【ほんの一瞬、少女の強く握られた拳へと視線が泳ぐ。】

いやいや、こっちこそ女の事話せてよかったぜぇー
そうだな………まぁそっちもいろいろと………がんばれ

【それだけ言うとディックは夜の街へと吸い込まれるように消えて行った………。】

//お疲れ様でした!
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 01:33:46.56 ID:6Z+slLcio
>>65

【引き抜かれた鎌は、フレデリックが手放したなら速やかに雷に戻り、黒雲へと帰る】

――そう、僕の能力は『雷雲を呼び寄せる/作り出す』能力。
そしてこの“眼”の力、『雷を武器にする』能力。
お兄さんの能力が僕の思ってる通りなら―――相性は悪いんだろうね。

【自ら語る己の持つ異能。そのどちらも、雷に関わるもので】
【そうなれば、フレデリックとの相性は明白である】
【そして“作り出す”能力の発動のトリガーとなったのが、霧の様に散った血液――】
【更に言えばカテドラル≠フ発した火花にあったとなれば、尚の事だ】

【そしてこの能力、直接触れはしないまでも、すぐ傍に雷が生じるもので】
【となれば、初めの雷撃に対する不気味なまでの無反応の理由も明らか、か】

……プシー、思ったより早かったね。
「丁度一つ、片付いたところだったから。」

「それよりクシー、あんまり無理はしないで。また“おじさん”に怒られちゃう」
わかってる、だから早く済ませ――――プシー、後ろ!

【背後から迫る気配に、“黒”―プシーは振り返り、パラソルをそちらに向ける】
【一方のクシーは右手一本で大鎌を構えなおし、フレデリックが動けば即座に対応できるよう身構えて】

「変な行動はしないでね。じゃなきゃ撃つよ」

【4人目の登場者に向けるは警告の言葉】
【彼、或いは彼女の立場がはっきりしない以上、下手な行動は起こさないという事だろうか】
【感情を見せぬ二人は、共に攻撃を行わずにいた】
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 20:07:59.75 ID:hYfngywXo
>>67

【相性はやはり、最悪。言ってしまえばフレデリックの肉体は半分が水に等しく】
【打撃も斬撃も、内臓や神経に差し障らなければ全く無効なのだが――】

己のカテドラルが、まさか二重に戒めとして作用するとはな……
子供だてらに身体もよく出来ている……見誤っていたようだ、それは認めよう
……だがな。貴様らのおじさま≠ェ大事なら、武器は下げた方がその為だぞ――?

【ようやく肉体を走っていた雷電が大地へと失せ、左手に槍を持ち直し】
【小奇麗なローブの一端を血で染めながらもフレデリックは言葉を切らなかった】
【もう一人の登場人物が誰かを分かっていたからだ。そして、クシーらには警告までした】

【では、果たしてその人物とは。見れば、年の頃は20代後半といった男性である】
【背はフレデリック同様に高いものの線は細く、衣服はシャツとスラックス、そしてマントを一枚羽織り】
【髪はやや長めの金色――見ようによっては何処かの貴公子といったなりだが】

『――撃たないで貰えると助かるんだけどねお嬢さん、とりあえず武器を下ろしなよ
 僕だって味方≠殺したくはない……まだ機関じゃ大した事もしていないしさ』

『あぁ……そうか、僕のこと、知らないのも無理はない。自己紹介といこう、お二人さん
 じゃあまずは僕から。名前はダグラス・マックスウッド――六罪王≠ウ。
 そしてそっちのフレデリック・シャリエールは僕の無二の親友で、要するに君らの味方でもある』

『……で、なんでそんな大怪我になるまで喧嘩したのか知らないけどさ
 僕の目の届くところで潰し合いなんて止めて欲しいんだよ、僕が監督不行届≠ナ怒られる。だろ?』

【――話すわ話す、これが結構な多弁であり、しかも内容はまた突飛なものだった】
【六罪王――有名所で言えばレギン、コーネリアスなどが挙がるが、彼はどうか】

【風体はまだ良い。ただし迫力や威圧感はさっぱりで、しかも今、話す間も両手はホールドアップのままであり】
【それでも――気付けたろうか。『戦いたくない』ではなく『殺したくない』と言ったのである】
【相応の自信はある、というのは事実と見て良い。ただ、どう判断するかは双子次第だった】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2013/12/12(木) 20:23:09.51 ID:qYvnLPxfo
【路地裏】

【10m程先にいる集団は、後方から音も無く忍び寄る線の細い影にまだ気が付かない】
【中心でうずくまっているのは襤褸を纏った男、それを囲んだ若者達が暴力を振るう、そんな図案】

――…………

【細い影が片手を挙げたと同時、】
【下卑た笑い声を上げる彼等の喉元に青い青い蔦が音も無く這い寄って――】

【―― 一早く気が付いた襤褸の男が小さく喉を鳴らしたのと、】
【頸椎の折られる音が複数響いたのが、ほぼ同時だった】

「ぁ、……ひィ、っッ!!」

……早う、去ね

【低い男の声に怖気付いて、唯一殺される事の無かった襤褸の男が片脚を引き擦りながらも逃げていく】
【後に残されたのは、蔦に吊られてあらぬ方向へ首を曲げた、もう下卑た言葉を吐く事も無い若者達】
【そして――白髪に漆黒の彼岸花を差した和装の男。線は細く、白肌が黒地の着物のせいで一層白く見える】

――……誰も彼も、[ピーーー]ば良い

【吊られた人形のような死体達に囲まれた中で、男の恨み辛みを込めた言葉だけが生きた声であった】
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 21:02:28.92 ID:qYvnLPxfo
/>>18>>44でも募集します
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/12(木) 21:02:48.40 ID:5vu45tu/o
>>69

【ごし、ごし、ごし───何かをこする音がする】
【男の背後から聞こえたそれは、普通に考えて呑気過ぎるような音で、今までそんな場所に誰もいなかった。筈なのに】
【背後にいつの間にか存在している、黒いテーブルと椅子、長い四角や薄い四角を組み合わせたようなセットに腰掛けて、それは紙を消しゴムで擦っていた】

───消しゴムです
綺麗な角の立つ消しゴムですが、鉛筆を消すと丸くなってしまう

【彼は男性───に、見える、体系と服装をそのまま見れば】
【背の高いスラリとした体系に、黒いスーツを着て白手袋を履き、モノクロチェック模様のネクタイを巻く】
【皿の様に大きく別々の方向を向いた瞳の両目と、月の様にひん曲がって歯を剥き出しにした口…の飾りを付けた箱を頭に被っているのがどうしようもなく異様であった】

ですが、ちょきん

【鉛筆の字を消して、角が丸くなった消しゴム。それをしげしげと眺めた後、どこからともなく取り出したハサミで消しゴムの頭を切断】
【ごろりと半円の頭が転がって、消しゴムはまた角を取り戻す】

…つまり、このように、間違いを直せば丸くなり、しかし大きな痛みで簡単に角が立ってしまう
私は人も同じだと思います、ですが…

【かちゃん、ハサミと消しゴムをテーブルに置いて、椅子から立ち上がり、そこでようやく彼は男に前を向けた】
【ゆらりと立つその姿は、清潔的で、図形的】

どちらも、そう何度も出来る事ではない…最終的には、とても小さく丸くなり、力強さも消えてしまう
…所で、誰も彼もそうしてしまうのは如何なものか、と私個人は思いますが
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/12(木) 21:05:21.88 ID:5vu45tu/o
/申しわけありません、次レスは遅れます
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/12(木) 21:13:24.85 ID:YTjUrLMm0
【路地裏のとある隠れ家の前】

【夜の路地裏、隠れ家がある場所】
【そこはカノッサ機関の人間が出入りする場所だと言われていた】
【そしてその真相を確かめるべく、自警団の何人かの人員が派遣された】
【その派遣された人員は――無残な死体となっていた】
【そしてその死体となった人員を殺した、男が立っていた】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

ああ、おいおい、弱いなこいつら
 まあ、一応調べてみたらまさかものほんの機関員がいたとは信じられねえはな

【男はそのように死体を見おろす】
【その死体たちは切られたり刺されたりして殺されていた】
【そしていまだに血がこの路地を赤色に染めていく】

ま、自分の不運を呪うんだな
 しかしばれたとなるとここも破棄だろうな
 あーあ、探すのがめんどくせえな、他のやつに投げとくか

【男はそのように愚痴をこぼしながら、ため息をつく】
そして回りを見渡したあとに、しゃがみ】
【なにやら、死体を物色し始めた】

ええと、何かもっていたりとかしてないか
 ――んお、へぇ、タバコかいいもんもってんな

【男は喜色いりまじった声で見つかったことを喜んだ】
【そして懐からライターを取り出してその死体からとったタバコに火をつけた】
【そしてそのままタバコを吸っているであろう】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 21:16:40.30 ID:qYvnLPxfo
>>71

……その有り難いご説法は、結論とどう繋がっとるんやろな
生憎学が無いから分からへんが……止めろ言うとる事は、分かったわ

【誰もいなかった筈だ。その異質な現象にも僅かの反応さえ見せずに、和装の男は相手を一瞥する】
【死体の頸を締め上げている他にも数本の蔦が揺らめいてはいたが、相手に向けられる様子は無い】
【突然現れた相手の奇妙な箱製の顔をただじとりと見据えていた和装の男だったが、やがて興味を失ったように視線を外す】

――そッちは。 それで何か一つ消し去れるとしたら、何を消す?

【不意に投げ掛けた言葉は、相手の例えに用いた消しゴムを指しているらしい】
【殺害を如何なものかと問うた言葉には何も返さなかった。或いは、答えに迷っているのか】
【視線の先では薄汚れたダストボックスが口を開いて、それは蔦に吊られ絶命した者達の表情と何処か似通っている】
【微かに笑う表情はなまじ端正な為に作り物のようで、其処に一切の興味を抱いていないのが見て取れた】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 21:17:16.29 ID:qYvnLPxfo
>>72
/了解です
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/12(木) 21:36:21.37 ID:5vu45tu/o
>>74

おやおや、御理解がお早い
いや、私も人であります故に、そのような行為は見過ごしてはならぬ、と記憶しておりますのでして

【ポン、と両手を叩く。白手袋の薄い布同士が曇った音を鳴らした】
【『記憶しております』、その言葉は不自然な流れではないが、彼の言い方では何か違和感】

───これで、消しされるとしたらですか

【投げ掛けられた質問、例えに出された消しゴムを振り向き、拾いにテーブルに向かう】
【背後を見せた不用意な動き、何かアクションするなら不意を突くチャンスである。その場合は彼の次の動きは見れなくなる】

これ、ですかね

【パッと振り向いて男に見せた一枚のそれ、テーブルに向かって消しゴムで擦っていた紙だ】
【あんなに消しゴムで擦っていたのに、何一つ字が消えてい無い、ビッシリと書かれたその紙は───】

ここ、字を間違えてしまいまして

【履歴書、即ちボールペンで書かれていたからだ】
【証明写真もしっかり箱のまま、名前も生年月日も職歴も書いていないが、自己アピール文だけ途中の間違いで止まっている】

/お待たせしました
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 21:48:38.77 ID:qYvnLPxfo
>>76

【背を向けられても動く事はしなかった。見せられた紙に眉を顰め、些か不機嫌そうに押し黙ると】
【ついと片手を中空に挙げ――細い蔓が空中で鞭のようにしなり、そのまま相手の持つ履歴書目がけ振り下ろされる】
【相手に何かしら傷を与えるような威力ではないにせよ、素早い振り下ろしは当たってしまえば紙を真っ二つに裂くだろう】

……小馬鹿にしよって。 よう偉そうな口利いたな?
真っ当でない奴に真っ当な事言われる筋合いなぞあらへんわ――、愚図が

【不機嫌、ではあるのだろう。その後の動きは相手の対応に依るにせよ、切り裂けたならば「これで良いだろう」と言いたげに哂う筈だ】

/お帰りなさいませ
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 22:01:11.94 ID:HEfJUPu0o
>>68

【六罪王≠ニいうワードは、二人の構えを解くには十分過ぎるものであった】
【クシーは鎌の刃を下ろし、未だ持ったままではあるもののすぐに振るえる状態ではなく】
【プシーの方も魔力の塊が霧散、パラソルの先端を地面に付けた形として】

僕はクシー。カノッサ機関No.31麾下、実験兵器“α-2ndモデル”第6試作体群の試作ナンバー14。
「私はプシー。同じく“α-2ndモデル”第6試作体群の試作ナンバー23」

――まあ、今は二人とも“α-3rdモデル”だけどね。

【けれど、実力を感じ取ったからそうしたという訳ではなく、相手が六罪王を名乗っているから】
【――にも拘わらず、相手が六罪王とわかっても改まった話し方をするわけでもないのだが】
【それからNo.31――恐らくそれが二人の言う“おじさん”】

「こっち側だって言うんなら……戦う必要はない、でしょ?クシー。」
……仕掛けたのは僕の方じゃなかったと思うけど…………。

【フレデリックが味方だ、と聞けばプシーは平坦ながらも諌めるような声をクシーに掛けるが】
【当のクシーは『自分が仕掛けたんじゃない』と視線を逸らすばかり】

【二人からすれば、相手の実力は未知数。】
【外見と実力がいつも釣り合う訳ではないなんて、自分達が一番分かっているつもりだから】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/12(木) 22:03:50.26 ID:5vu45tu/o
>>77

【ハラハラと、紙の欠片達が雪じみて舞い落ちる、折角書いた履歴書がめちゃくちゃだ】
【しかし微動だにせず、箱男は手の中に残った紙の欠片を風に散らせる】

まあまあ、ただの冗談、ですよ
あなたとて、同じ質問をされては素直に答える人ではありますまい

【右手を、ついと挙げる、伸ばした指先の上に現れた黒い物体、鈍く光を放つそれは、立方体の形に浮遊して、それがだんだんと薄く広がって行き───】
【紙一枚かと見まごうばかりに薄くなった黒い板が、急に回転し、丸鋸じみて前に飛び出す、薄く硬い板が鋭い斬れ味を持って、蔦に復讐するが如きとんでいく】

それはそうと、愚図ですと?
ぷんぷん、怒りましたよ私は、一発は一発です

【無表情───顔は見えないが、そんな顔が透けて見えるような抑揚の無い声色で、図形的な怒りのサイン】
【本当に起こっているとは思えないが、どうにか思っているかはわからないが、『受けてたってやろう』といった風に】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 22:17:14.46 ID:hYfngywXo
>>78

【二人が武装を解いたならそれでよしと、ダグラスは息を吐きながら両手を下ろし】
【一方でフレデリックはクシーに一瞥くれてから件の方へと向かっていって】

『成程ね、兵器か……道理でフレデリックが怪我なんてするはずだ
 僕は切った張ったの戦いに関しちゃ彼以上の逸材を知らないつもりだが……
 ……世界は広いね。同様に狭くもある。人間兵器、うちにも一人居てさ――』

ブランデン・ケミッシュ……荒削りだが、私よりは貴様らと相性が良い
今度会ったらご挨拶≠キるよう言っておこうか。何、死ぬような珠でもない

【そんな事をいうフレデリックの口元には微笑。出血はいつしか止まっている様子で】

『……まあ、何はともあれ一件落着だ。そうだろうクシー、それにプシー?
 あぁ、呼び捨てにするのはクセだから気にしないで――さてそれで
 No.31≠ゥ……面識はないけど、帰ったらよろしく伝えてよ。近々、やることがあってね。』

【――のんびりとした、というか、弛緩したというか。ダグラスの雰囲気はそれだった】
【間延びした話し方に小市民的な態度。ただ、最後の一言だけは軽く思えて、実に重く】

【何はともあれ≠ナある――ひとまず、墓場での抗争は落ち着いた、とみて良いだろうか】
【或いは放っておけば、二人はそのまま去るかも知れず。また別に話があるならば】
【それはそれで応じるという様子。裁量はこれまた二人に託された形になるが――?】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 22:22:32.16 ID:qYvnLPxfo
>>79

――…………

【飛来する黒い板は容易く蔦を切り裂ける。ただしその際に“光属性”の力が多少なりとも掛かる筈だ】
【青藍色の燐光を纏い男の意のままに動く蔦は既存のどの種にも当てはまらず、この世の植物では無い】
【注意すべきは蔦よりも和装の男の放つ空気か――男は、相手の言葉で完全に表情を消した】
【周囲の音さえ失せるような空白があってから、漸く薄い唇が言葉を連ね出す】

……あッちは、この世の「人間」全てを一人残らず、綺麗に消し去ってやりたい
一切のしがらみを、人の不条理を―― 怨恨も辛苦も憎悪もその他の何もかも、全部纏めてな

【図形的な怒りのサイン、それに視線を合わせる男には、言葉にしたような強い感情も見えないままで】
【どうでもいい。何だろうと構わない。此方からはそんな意図が、相手に透けて見えるのだろう】

で、……一発は済んだ訳だが。

【斬られた蔓はするすると男の方へ戻って行き、周囲で他の蔓と共に蠢いている】
【攻撃態勢という訳ではないが、突っ込むのは得策ではないだろう。のたうつ青い蔓はそんな構えをしていた】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/12(木) 22:40:07.19 ID:5vu45tu/o
>>81

人間を、ならばあなたも消えてしまうのではないでしょうか?
いえ、人間ではないのかもしれないと、そうでなければそんな事は言いませんか

滑稽だ、お互いに

【その時、最後の言葉の時、初めて感情らしきものが言葉に篭ったように見えた】
【低い声は僅かに上擦ったようで、辛うじての人間アピールのように思えなくもない】

さて、そうですね…過剰防衛はしたくない所
ほーんの少しだけ、お相手願いましょうか

《板割(イタワリ)》

【すぅと挙げた右腕は前に伸ばし、また生み出される薄い板達、先程よりも小さなそれが三つ空中に浮遊する】
【回転する板が、二枚同時に男の両脇を抜けるように飛んで行く、そうして逃げ場を抑えてから、一拍置いて男をしっかりと狙い残りの一枚が飛んで行く】
【その中で、フリーにした左手の中には、ルービックキューブ程度の黒い立方体が生み出されていて───】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/12(木) 22:43:19.41 ID:dY1WfBzv0
【櫻の国。妖怪が出るとの事で有名な山中――――理由が理由故そう多くの者が訪れる事も無い其処】
【今宵も一つの妖気…………謂わば、妖狐の気が漂っているのだけれど】
【人を襲っている訳でも無く、まるで祈祷でもしているかの様に見えるその姿】


「…………えっと…………今日は、この辺りで…………終わりに、しましょう…………」

【見れば、巫女装束を纏った一人の少女が居て。その人物が妖気の元である事に間違いは無いのだが…………妖狐としての特徴的な耳や尻尾といった物は見られず。一見すればただの巫女】
【首に下げた翡翠の首飾り。勾玉を象った其れが放つ神聖と、少女自身の放つ妖気とが両立している事が、感じ取った人物によっては奇妙な事と思えるか】
【――――兎にも角にも、今宵の“勤め”が終わったならば小さな溜息を一つ吐いて立ち上がるけれど】


「これで…………妖怪さん達も、あまり……襲わなくなると……良いのですが……」

【ふと漏らした呟き。妖気を放つ存在でありながら、巫女装束を纏っているという矛盾】
【さて、物音がしたならば不安げな表情を浮かべながらも其方へと向くのだけれど。其れより先は、この場を訪れた者次第で実に様々に変わるはずで――――】






【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 22:49:27.63 ID:zx+lVN7To
>>80

「戦う事しか、私達には無いから。」
その分、戦いに関しては苦労しない様にしてくれてる。

僕達だってまだ死ぬ気は無いけど――まあ、やるならやる、それだけだね。
「クシー、先に言っておくけど無茶しちゃだめだよ。」
……わかってるよ。

【二人は特段、どちらかを見つめるという事もなく】
【その時々の話者の顔を見る、それだけ】

分かった。一応伝えておくけど……“おじさん”も色々忙しそうだからね……
「また私達が出る事になる、かもしれないね。」

「――そろそろ帰ろう、クシー。腕、あんまり放っておかない方がいいでしょ?」
ああ、そうだね。忘れてたよ。

――じゃあ、またいつか。
「お互い生きてる内に、ね――――」

【ダグラスとフレデリックが立ち去るより先に、二人がその場を後にして】
【暫くの間はクシーの首の真っ赤な炎が見えるだろうが――それが見えなくなればそれまで】


【そうして残ったのは二人だけ――――――本当に?】
【もし、先の二人が気付かない程に気配を消した誰かが潜んでいたとしたら?】
【……いや、結局は“もしも”の話だ。気にする必要はないのだろう】

【――――例え影が、駆けて行ったとしても】



/何か変な最後付けましたけどあんまり気にしないでください><
/3日間お疲れ様でしたー!
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 22:50:23.37 ID:qYvnLPxfo
>>82

【二枚の板が逃げ場を抑えた事に対し、和装の男が成せた反応は“回避”ではなかった】
【確実に自分を狙っている残りの一枚を意識した“防御”――男の前方に硬質な蓮の花が開き、楯と化した】
【相手の攻撃の切れ味を鑑みれば、通常の植物如き容易く貫けるはず】
【それが敵わないのは、呼び出された蓮の花もやはり聖属性を纏う別界の植物であるからだ】

……カノッサ機関・元No.2。 そして今は何者でもあらへん
あッちは、月彗(シスイ)。 どうぞよしなに――

【相手が次の手を用意しているらしい事を視認すれば、楯として咲き誇る蓮の花が僅かに揺らめいて】
【直後に花弁が五枚弾け、相手の攻撃の意趣返しの様に鋭い刃となって飛び掛かる――!】
【狙いとしては大味なものであるが、聖属性、そして硬質ゆえの鋭利さは――油断ならない】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/12(木) 23:05:20.47 ID:5vu45tu/o
>>85

【突き立った、またはかわされた黒い板は、そのまま残らずテレビ画面の電源を落としたように消えて行く】
【よく見ればいつの間にかテーブルと椅子も消えている、箱男はすぐさま右腕を引いて左手を立方体諸共差し出した】

mr.キューブ───こちらではそう呼ばれるべきでしたか、以後お見知り置きを

【左手の中に浮遊する立方体が、急に広がって、モノリスじみた巨大で厚い板に変化する】
【二人を分つように現れた黒い壁によって壁の刃を一律に防いだ箱男は、地面に立った板の後ろで一息つく】

さて、と───中々に難しい所です、実を言うとね
近付くべきか、撃ち合うべきか、私としてはやはり、あなたの得意な距離でやりたい所、しかしそれには時間が足りない
なので、残念でございますが、これが最後の反撃でございます

【ちょん、と指先がそれに当たる、それが反撃、それこそが反撃の始まり】
【厚く大きく重い、壁と形容するしかない板が、ぐらりと月彗に向かって倒れた、ただそれだけ】
【だがしかし、岩壁がそのまま倒れて来た…と考えれば、甘くは見れない。余程力に自信がある訳でないならば、回避を推奨する】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 23:06:40.10 ID:hYfngywXo
>>84

【フレデリックはともかくとして、ダグラスはにこやかに笑いながら】
【クシーとプシー、両者がその場から去るのを――手すら振って見送った】
【やがて来るのは静寂。アンデッドも双子も居ない、ただの夜中がそこにあり】

『……ふぅ、一時はどうなることかと思ったよ。待っててって言ったのに』

集中した時のお前を待っていると夜が明けるからな、ダグラス
それに私も一聖職者、それは事実だ……それ相応に働かねば

『神に見捨てられる=\――だろ?そうだね、それだけは防ぎたい
 なにせ僕らは神に認められるために動いてるんだ……そういえば、あの獅子退治。
 あの時に居たらしいね、彼女。先に言ってくれないから、絵を描くの、忘れちゃったよ』

まあそう言うな。今はそれよりも次だろう、グルクススが上手く誘導できていると良いがな
風の国の奥地……湖沼地帯に、あの恐怪鳥≠引きずり込めていれば―――?

【やがて、この二人もその場を去る。影には――フレデリックが気付いた様な、そうでないような】
【結局のところ何もせずに二人は消えたから、気のせいだったのかも知れず】
【また余談だがこの数日後――ギルドにちょっとした討伐の依頼が入るのは、また別の話】

/お疲れ様でした&連日お付き合い頂きありがとうございましたー!
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 23:09:56.70 ID:caZKrapD0
【街中――噴水広場】
【肌を刺すような気温と遠くの喧騒、きらきら煌くライトアップされた噴水の光景】
【ようく太った蜜柑の一房とよく似たかたちの月が水滴に更なる輝きを付け足して、散っていく】
【ざぁと一際大きく高く吹き上げられた水飛沫が元の受け皿の中へと戻っていく最中に、ふわと吐息が立ち上った】

…………、――。

【白かったろう頬は赤く染まり、白くくゆる吐息はくるくる回りながら天へと吸い込まれていく】
【寒そうに身体を縮めながらも見つめる先は様々な色合いに煌く噴水の景色で、さも美しさに魅入られたようなしばし】

――ひゃっ、?

【――そうしていた姿がびくりと一度強張るように跳ね上がる、鈴の音のような声はいっそう高く驚きを灯して】
【ついと視線を下げてみればふくふくとまぁるい猫が足元に擦り寄っていた、何か餌でも強請られていると察したなら】
【そっと膝を折ってその頭を撫でる、ぐにゃあとかわいげのないのがかわいらしい猫の声に少女は困ったように首を傾げて、】

寒いね……、……寒い中出勤ご苦労様だけど、なんにも持ってないの。

【「ごめんね」と声を掛けて空っぽの両手を見せる仕草、きっとそのまま動物が好きなんだと示して、平和な温度】

【それ以外の色を持たない黒色の髪は腰までの長さ。赤色の右と黒色の左と、色の違う瞳はじっと猫を見つめたきり】
【髪に隠れていたけれど気付けるだろうか、右の耳元――片方にだけ付けたピアス。宝玉の欠片をあしらったそれ、煌いて】
【腰の下ほどまでを包み込む黒色のケープと、黒色を基調にしたワンピースと。足を包むタイツまでもが黒で統一された姿】

【黒猫と、黒尽くめの少女と。それだけならば平和なのに、耳元に煌く宝玉の気配だけが、何もかもを異彩に変えていた】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 23:19:04.90 ID:qYvnLPxfo
>>86

【前方を塞ぐように展開した壁が斃れ掛かって来る――それに対しても、月彗は矢張り“回避”を取る事は出来なかった】
【その代わりに、こちらもまた“最後の反撃”に応じるには相応しいと言えるだろうか、地を突き破って現れるのは大樹の幹程の茨】
【それが月彗の前方でうねり、斃れ来る漆黒色の壁の重量全てを支え主を守るように展開した。木が圧迫されて幹が弾ける音がぱちぱちと響く】
【――召喚した本人はふらと体を揺らがせていた。それだけの攻撃を防ぐには、多大な消費があったものと見えて】

……ちィ、本当に食えん奴やな……

【壁の所為で相手の出方は伺えない。最後の反撃とは言ったが、次が来ない確証はない】
【故に茨を召喚したまま、月彗はその場から動かない――或いは、“動けない”のか】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/12(木) 23:32:19.07 ID:5vu45tu/o
>>89

【巨大な幹に倒れかかる壁は、倒壊する人工物の脅威を表すが如く重くのし掛かる】
【が、しかし、ある程度の拮抗の後に急に、本当にいきなり黒い壁が消滅した】

【今まであったのが嘘のように、しかし場にはしっかりと傷跡などの存在の証を残しながら、そこには術者の姿も無い】
【代わりに一つ、箱男がいた場所にプレゼントボックスが置かれていた】

【中を確かめるも確かめないも自由だし、中身をどうするかも月彗の自由意思に任せよう】
【プレゼントボックスの中にあったのは、グチャグチャに色をかき混ぜられた、ルービックキューブであった───】
【───その意図する所は、わからない】

/明日は早いのでこれで…お疲れ様でした
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/12(木) 23:40:25.81 ID:qYvnLPxfo
>>90

【木がそろそろ負荷に耐えきれないか否か、といった所で壁が消失し、視界が開ける】
【深く息を付いて見据えた前方に敵はおらず、其処に残されていたのはプレゼントボックス――】
【蔓を用いて外見を切り裂けば、中の奇妙なルービックキューブが視認できた】

――……

【危険性を感じつつも、あの能力の産物と考えると興味もあって、それを一応の戦利品とし】
【ぱしゃりと掌を叩くと同時、お仕舞の合図のように全ての植物が消え去った】
【それから漸く一歩を踏み出し、男は夜の帳に消えて行く――】

/お疲れ様でした
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 20:32:35.52 ID:23Rlnvz30
【鉄の国東部―――アビス平原=z

【そこは鉄の国の東部に広がる広大な平原地帯………技術発展が成された今でもその美しい場所は誰にも侵されていない】
【高度技術を有する一方で伝統を重んじる精神もある鉄の国においてはこの自然は誇りでもあるのだろう―――。】
【その広大な自然を一目見ようと国内外から多くの旅人が訪れ、そうした旅人の為のキャンプ地なども存在している。】
【軍の駐屯地もあるものの、大きな戦乱も今まで起こらずただ同じ時間を繰り返すのみ………その筈だった。】

【鋼。】
【旅人は馬などで通るこの平原を、鋼鉄の塊が突き進んでいる………その正体は戦車群≠セ】
【掲げられる旗には金十字≠フ紋章―――間違いない、二度にわたりこの国を襲撃してきたGIFT≠フ軍勢だ】

【何故このような襲撃しても利益の少ない場所へと進軍しているのかは不明だが………間違いなく脅威は眼前へと迫っていた。】
【本国へは即座に救援要請が送られ、召集された義勇軍を含めてGIFTの軍勢に対抗すべき連合軍が平原へと集結、平原各地へと展開した】

『おーう、聞こえてるかぁ?毎度おなじみのディック・ホワイトだ―――今までと同じ通り義勇軍は自由に遊撃戦を行ってくれ
 スカーレット各員は個別に連携しつつ指揮を頼む………やられっぱなしは癪だ、ここいらで叩きのめしてやろうぜ』

【義勇軍に配られたインカムからそんな言葉が聞こえてきて………そうこうしている内に義勇軍の部隊も平原中央へと近づく】
【そして―――遂に二つの鋼の軍勢が―――平原の中央部にて、互いに銃口を、砲身を突き付け合って………そして始まる。】


                   【―――平原を紅蓮に染める、鋼鉄の戦いが。】


                       【アビス平原中心部・遺跡跡=z

【そこは平原の中でも一風変わった場所だ、樹木が森のように生い茂っており、さらに太古の遺跡群の残骸が存在している】
【昔この場所には神の器とされる存在がいたらしいが………今となっては伝承にわずかに残る程度で観光地として知られる程度だ】
【そんな石柱や石碑の立ち並ぶ場所の中心部、何かの祭壇であったとされる場所をGIFTの部隊が占拠している―――。】
【そしてGIFTの兵士に指示を出す人物がその祭壇付近に手を触れている。】

―――これが、あの原初の11機/オリジナル・イレブン≠フ中の一体が保管されているという場所か
考古学を齧っていた身としては私も彼に同行したかったが………今は与えられた任を守るしかないな………。

圧倒的な力による平定=\――それはもう間近に迫っている。
私を蔑み、机上の空論と罵ってきた連中の吠え面も見れるという訳だな………ハハハハハ。

         さて―――ここからだ、………ここから新たな革命が行われるのだ。

【その人物は―――。】
【透き通るような金色の髪に、薄い碧の瞳に牛乳瓶の蓋のような丸眼鏡、襟や袖先にファーをあしらい、肩布を垂らした白銀の高級そうな長い外套を着て】
【下は黒いストライプが入った紺のスラックスを履いており、それに複数のベルトが巻かれていて、そのベルトで一冊の古ぼけた、だが美しい装飾のなされた黒光りする書物を括り付けている】
【外套の背には金十字≠フエンブレムの刻まれ、右腕は白銀の技手となっている長身で細身の青年だ】

【青年はそんな独り言を呟きながら乾いた声で笑い、そして狂気を孕んだ瞳で祭壇を見つめる―――何を思うのかは分からない】
【だがどうやらこの青年はGIFTの軍勢のリーダー格の一人のようだ………ならば斃すのみ。】


//これよりイベントを開始します!襲撃側から投下してください!
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/13(金) 20:48:32.08 ID:Z+z6CJB90
【アビス平原北部・高台】

【平原の北部に存在する高台、平原全体を見渡す事が出来る】
【平時にここに来て、平原全体を見られればさぞかし絶景であったであろう】
【だが今はここはGIFTの一部部隊に占領されており、金十字≠フ旗が掲げられていた】
【そしてその場所には何人かの兵士がいた】

「なあ、なんでこんな辺鄙な場所に攻勢を仕掛けようなんて思ったんだ?」
「しらん、いいから俺たちはここを守っていればいいんだ」
「しかし、敵の攻勢も激しいな」
「そのためかこっちはがら空きだ大丈夫なのか?」

【そのようにぶつくさと話し合いをしていた】
【敵がここにいないため少々気が緩んでいるのであろう】

「そういえばリヒトさんはどうしたんだ?」
「ああ、あの人ならちょと奥を見てくるとか何とか言っていたぞ」
「あの人は、まああの人はそういう人だしな」

【兵士たちはリヒトといった】
【多分ここを占領している部隊を指揮している人物だろう】
【だが今は自分の都合でここの奥へと行っているみたいだ】

【さてこの兵士たちは今は気が緩んでいる】
【忍び込んで倒すのならば造作もないであろう】
【だがそれは同時にリヒトといわれた人物が確実にここにくる】

/リヒト・マクダウェル中身ですよろしくお願いします
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/12/13(金) 21:04:53.40 ID:mtlk5n8no
>>92

【鉄の国――――アビス平原中心部・遺跡跡】

【栄華の過去の残骸を養分に、数多くの樹木が天を衝いて生え揃っていた。中央の祭壇を崇めるように、それらは囲い込むように立ち並んでいた】
【かつてここにあったであろう人の賑わいが、そのまま樹となったよう。声も無く立ち竦む木々たちは、ただ鬱蒼としてその場を影に閉ざしている】
【そんな中。中央の祭壇と、そこに居る青年の気配から少しだけ離れた位置に、その影に溶け込む小さな黒がひとつ、転がっていた】

(…………やつが、しゅぼうしゃ≠ゥ?)

【気配の無いその漆黒の存在に気づけたなら、樹の陰から中央を伺うそれが、人間の少女であることにも気づけるだろうか】
【それは、濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型の、小さな女の子だ】
【真っ黒いベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着ており、残り三分の腕には包帯が何重にも巻かれて肌を覆い隠していた】
【その他にも、手には鉄板で補強した革手袋、脚にはニーハイブーツ、僅かに覗く太股にも黒いタイツ。首元には暗い赤色をしたロングマフラー】
【顔以外の部位から執拗なまでに肌の露出を無くしたような、非常に地味色な格好――――それが、少女の矮躯を木陰の中へ見事に溶解させていた】
【そんな服装に、背中で漆黒の鞘に収まる二本の刀の印象が合わされば、見る者に忍者≠ニいう言葉を連想させるかもしれない】

(すでにれんらくは、入れた…………だが)

【この少女の目的は、偵察だ。その途中で偶然この場所に到達し、十分に用心しながら周囲を調査していたところ、目の前の青年の気配を察知した】
【周辺の情報は、既に仲間には連絡済み。だが――――その仲間達はいま、この遺跡跡の外側でGIFTの軍勢を食い止めている】
【相手もそう甘くは無い。こちらに戦力を割いて本陣が押されるようなことは、絶対にあってはならない。であれば、と少女は思考する】
【――――ここで自分が、あのGIFT構成員らしき青年を捕縛できれば、それに越したことは無い。そして相手にまだ察知されていない今こそ、最大のチャンスだった】

(よし…………っ!!)

【現在の少女の位置は、ちょうど青年の真後ろの樹木の陰だ。少女の瞳が淡黄色に光ると、その手に黒い長方形の様なものが出現する】
【最後に一度、少女は呼吸を整えると――――無音のうちに強く地を蹴り、全力の疾駆で青年の背中へ迫っていく!】
【そのまま無事接近することに成功すれば、右手に構えたスタンガンを青年の首筋に叩き込み、一撃で気絶させようとするだろう】

【青年を襲うのは、気配も音も無い忍者≠フ暗殺術だ。並の人間であれば反応することすら出来ない必殺の手管が、そこにはある】
【だが――――いくら忍者といえど、静止中ならともかく、走っている最中まで完全に気配を断つのは難しい】
【加えて、その青年が「並の人間」である確立は、果たしていかほどのものか。青年が本当にGIFTのリーダー格の器なら、対処は可能な筈――――】


/夜凪レラです、よろしくお願い致します!


95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 21:08:25.24 ID:23Rlnvz30
>>93

随分と呑気なものだなGIFTの兵は………練度はかなり低いと見えるぞ。
それでは―――本当の戦場など生き残れない―――あの世で後悔するのだな………!

                ≪烈火双=窿b!!

【疾ッ!風のように何かがGIFT兵の合間をすり抜けるようにして駆け抜け、そしてすれ違いざまに斬撃を放っていくだろう】
【鋭く、そして素早い斬撃―――それを放った人物の手には紅くそまった歪な双剣が握られているのが見える】
【攻撃の成否に関わらず、現れた刺客はある程度の距離を取って体勢を立て直す。】

遅い、遅すぎる………斬華≠ウまを退けた者がいると聞いていたが
一般兵とはいえこれでは拍子抜けだな―――所詮は歪な大義を掲げる狂信者か………。

【―――その人物は】
【軽いクセのかかった栗色の肩まで伸びた髪、焔のような赤い瞳で灰色ののワンピースの上から真っ赤なローブを着て】
【ローブのフードをすっぽりと被り黒い長手袋、赤いロングブーツを履いて、牛乳瓶の裏のような丸眼鏡を付けた小柄な体格をした、陰≠フ気配を纏った人物】

【まさに影からの刺客といった風貌、気配、技を持った少女は―――一般兵へと視線を向けながら吐き捨てるように言い放つ】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/13(金) 21:11:44.67 ID:hQo7AmXRo
>>92>>94
「革命なんざ――行わせると思うかよ、あァ、オイ?
あいも変わらず挑むぜGIFT。お前らは、正しいかもしれない、間違ってない点もあるかも知れない。
だが、それら全部オイておいて――俺の正義の敵≠セ。だから、潰す。――以上」

【金十字のエンブレムを掲げる青年の背後から、声がかけられる。その声の主は、同じ程度の年令の青年だろうか】
【背丈は165cm程、中肉中背ながらも、無駄なく鍛えられた肉害である事が立ち居振る舞いから見て取れる】
【蛍光色の光を漏らす双眸、異形の気配を感じさせる存在。そこに居たのは、1人のジャーナリストであり、能力者だった】
【腰を落とし、構えを取りながら――青年は、GIFTの青年を睨みつける。そして、青年は――よく通る声で、名乗りを上げた】

「ジャーナリスト――――谷山、基樹。
俺の正義を通すため、俺の道の敵を潰すため、俺の取材のため。
――――GIFTの連中に、立ち塞がらせてもらう。――往くぞ」

【視界に収まる仲間の一人。――Ninjaのような気配を持つ1人の少女の体捌きや、気配を読む】
【その中で一つの作戦行動を作り上げた青年は、小声で少女に声を届ける】

「――俺は、喧嘩が得意じゃあない。だから、お前さんの方が喧嘩は得意だろう。
だから、俺はお前の喧嘩を支援する。だから、お前は――隙を見つけたら迷わず潰せ。
俺は奴の隙を作りに行く。――それが、俺にできることで、お前ができることだ。OK?」

【届けた内容は以上。徹底して己が支援に回るから、後は出来た隙や弱点を着くこと】
【即席のコンビネーションにはそれ以上の気体はできようはずが無い。だからこそ、最低限を完璧にこなせるように、谷山は思考する】
【髪の色が蛍光色に染まり、双眸からグリーンの光が漏れだすとともに――左腕にノイズがまとわりつき――放射される】
【ノイズの弾丸の効果は脳髄のデータ処理のパンク=B一瞬。ほんのコンマ数秒の間、相手の行動を阻害するだけの技】
【1人では効果が無いその技だが――今は1人ではない。だから、――無意味では、無いっ】

「――――任せたぞ――――っ!!」

/*谷山です、よろしくお願い致します!*/
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/13(金) 21:15:38.01 ID:yONIObxdo
【アビス平原南部・旅人の集落】

【ここは広大な平原を通過する旅人たちの憩いの場、大自然の中における人の営みの場である】
【ゲル≠ニいう特殊なテント型住居が幾つも点在し、牛や馬が何頭か飼育される牧場も見受けられる】
【平時であれば牧歌的な景色の中に、人々の賑わいを見せる場所であるだろう】


【だが、今は違う。世界の脅威の一つ、巨大組織、GIFT≠フ金十字がこの地に影を落としているのだ】
【GIFTの部隊の接近に際し、人々は避難させられたようで、人の気配はない。置き去りにされた牛や馬、物資が取り残されているばかりだ】
【――いや、動き回る人影が二つ。この状況でこの場にいると言えば、二種類しかいないだろう】
【すなわち、志高き正義の使徒か、邪な心持つ悪の使徒か】


「ボス、こっちの“ゲル”も大量ですぜ!!! 連中、よほど慌てて避難したらしい!!」

よし、そこでめぼしい“ゲル”は最後だな。マサツネ、物資をまとめておけ。私は牧場内に探りを入れる
急げよ、そろそろ鉄の国国軍か義勇軍が来てもいい頃だ

「了解!!!」


【一人は、ボロボロに擦り切れた白い着物を纏った男だった。骨と皮ばかりになるほどに痩せこけ、ほとんど髑髏のようになった顔を欲望に歪めている】
【その顔を半ば覆い隠す黒い長髪だけが女性のように艶やかだ。さらには、着物だというのに足には黒いジャージズボンに白いランニングシューズ】
【極め付けは、その胸部。心臓のあるべき部分に着物の上からめり込むように、小型のエンジンが埋め込まれている】
【アンバランスな姿を持つ、異形の男。しかし、その男の"ボス"はそれに輪をかけた異形だった】


【それは、身長2メートルを越えているであろう、大男だった。薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪。生気のない黒い瞳の両目は、義眼であった】
【大男を異形たらしめているのは、その額だ。義眼の上に、額いっぱいを埋める形で巨大な一つ目が埋まっているのだ】
【ぎょろぎょろと蠢く一つ目が、手下らしきエンジン男と同じく邪悪な欲望の色を宿して集落を見回す】


(GIFT≠フ連中め、こんなところを襲撃して何を企んでいるのやら……探りを入れるつもりで来たが)
(少なくとも、盗賊としての仕事にはうってつけの環境だ……せいぜいお零れに預からせてもらうとしよう)

【二人の異形は、無人の集落を荒らしまわって、避難した人々が残した物資を奪って回っている、いわば火事場泥棒だ】
【今は、一人が奪った物資を一つにまとめ、一人が牧場の方に足を向けている】

【誰かがここにやってくれば、その悪行は真っ先に目に留まることだろう】

/お待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした……
/こちらカニバディール+αです。八攫さんの方、瑛月さんの方、よろしくお願い致します
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/13(金) 21:36:12.02 ID:8g0E4SLW0
【街外れ――開けた草原】
【遠くの街明かり、頭上の星空、たくさんの光に囲まれた場所】
【黒々と艶めく草むらの中、落っこちてしまった星のような光点がひとつ、遠くからでも窺えたはず】

見えるかな……、

【ゆらりゆらりと左右揺れるたったひとつのそれ――角灯――を乾いた草原にそっと置いたなら、佇む影は長く延びて】
【真っ白の息を両手にふわと浴びせつつ見上げてみる満天の星空、よく肥えた月明かりの中では少しだけ疎ら】
【――流星群の日だった。別段大騒ぎされはしないけれど知っているひとならば空を見上げはするだろう、イベントごと】

【星空に溶け込むほどに黒い腰までの髪は真っ直ぐ下ろされて、黒赤のオッドアイは真っ直ぐ空へと向けられる】
【きっちりとボタンを閉じた黒色のピーコートの下、延びる足は黒色のタイツと長いブーツで包み込まれて】
【夜風にざらり顔を覆った髪をそっと耳に掛ければ、――右にだけ付けられた宝玉をあしらったピアスが煌いた】

……――さむ。

【コートのポケットからごそりと暖かな缶を取り出して開ける、かさかさ鳴るばかりの草原へそっと腰を下ろして】
【いつ見えるかも分からない空の気紛れを待つ姿、――月明かりの中なら、きっと遠くからでも窺えた】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 21:41:35.48 ID:23Rlnvz30
>>94

―――どうやら客人が来たようだな………さて。
………その程度の隠密術、無貌神の加護を受けた私が気が付かないとでも思ったかッ!?

【チラリと影へと溶けていた少女へと視線を向けそんな事を呟くが、まだ行動には起こさない―――。】
【行動を起こすのは相手が接近し、首筋にスタンガンを叩きこもうとした瞬間………振り返り、スタンガンを右腕で払い飛ばそうとする】
【右腕は義手な為、スタンガンの攻撃が大ダメージに繋がる事はなかったが、わずかに神経系統を刺激され顔を歪めつつも相対する】

………幼気な少女を傷つけるのは気が引けるが―――敵ならば討つッッ!

             ―――『波動銃・G-Ω=x転送ッッ!!!≪ソニック・ドロウ=窿bッ!

【相手へと相対する瞬間―――左手に機械製の白いハンドガンを転送し、それを相手の右肩へと近距離で向けながら引き金を引く】
【反転の速度を加えて放たれる銃弾、しかもかなり近距離だが………スタンガンによって多少動作が遅れた瞬間が存在する】
【そこをうまく使えば………そしてさらに】

>>96

ッ!また貴様か谷山基樹ィィ………だが丁度いい
この前受けた右腕の借りをたっぷりを貴様の肉体に返させて貰うとしようか………!

貴様の正義=c……ここで潰すッ!

【青年の方へと視線を向けながら憎悪に満ちた視線で睨み付ける………前回の国境要塞での戦いで右腕を落とされた恨みか】
【そして口元を狂気に歪めると谷山へと宣戦布告―――不気味な魔力を周囲の空間に浸透させながら臨戦態勢に入る】
【その敵意に呼応するように青年の腰に付けた魔導書が黒く光を放つ―――。】

相も変わらず小賢しい戦法を取るな貴様は………だがなぁッ!


                     ≪暗黒吸怨=窿bッ!!

【そしてフリードリヒの叫びと共に触れずとも魔導書から魔術が発動し、谷山の周囲に暗黒が発生する………!】
【その暗黒は数瞬後に収束し、球体状へと変化するだろう………もし回避できなければ暗黒空間に閉じ込められる―――】
【さらに暗黒が発生した瞬間には周囲の生命体からエネルギーを奪う力場が発生する。】
【だがこの魔術はこの前の戦いでも使用された………谷山のように情報を扱う能力者なら活路も見出すことが出来るだろう】

【そしてノイズの弾丸はフリードリヒの左腕に突き刺さり、ノイズを叩きこまれた神経は動きが鈍り>>94レラの回避行動、次の一手を手助けするだろう】

>>ALL

まだだッ!魔族の騎士よ!招来せよッッ!!!
そして我が敵を打ち払えッッ!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!

               ―――『黒騎士・ザナギス=xッッ!!

【フリードリヒはそのまま詠唱し、魔導書から放たれた邪悪な魔力が二人のちょうど中間に黒い沼を創りだす】
【そしてその沼から現れるのは………2m程の黒いコートを着て白銀の仮面を付け黒い十字槍を持った黒騎士だ―――。】

………オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォッッ!!

【その黒騎士は、一度身を屈めてから空気が震えんばかりの巨大な雄たけびを挙げ、二人を威嚇する―――!】
【そして同時に周囲に漆黒の電撃が放たれる………範囲はそれ程でもないので回避は可能だろうが、受ければそれなりのダメージを受ける】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/13(金) 21:51:36.71 ID:hQo7AmXRo
>>99
「――潰すなら潰してみろ。潰されるなら――その程度≠セからな……っ!!
んでもって、その程度――避けれなきゃ、とっくのうとうに死んでるわ!!」

【己の周囲に展開した暗黒の空間。その発現を感知する前。青年はすでに地面を蹴っていた】
【相手は魔術主体。そして、儀式主体であり、戦闘は召喚が得意であるのなら直接攻撃は特に得意ではない】
【体質が付いていかなくとも、知識として身につけておくだけで、対処は全く変わってくる】
【地面を転がるように、エネルギーをある程度削られつつも、ギリギリの回避を成功した青年は、苦笑を浮かべ】

「――っ。喧嘩は、本職じゃ……ッ。
ないんだけどなァ――――Hello World!!」

【己の左腕を即座にアートマン化させる事により、異形の身体能力を発揮】
【相手の放った衝撃並、電撃を一歩先に踏み出し受けることでふせぎ――支配する】
【駆け抜ける雷撃――それに対して青年の取った行動は――】

「――――ッ」

【双眸を細めて、伽藍の堂まで己の手でたどり着いた。
ある意味では幹也と多いとはいえど、それは魔性と戦うための存在であることの証左
【谷山は、その中で、己を己として貫く行いを多く行ってきた
ある意味では、君はそれを望んいたのかも知れません……!】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/13(金) 21:52:32.72 ID:hQo7AmXRo
/*すいません……ッ、誤爆ですッ*/
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/13(金) 21:55:50.17 ID:Z+z6CJB90
>>95

【一人の少女が放った斬撃】
【その斬撃は確実に一人の兵士に当たった】
【悲鳴を一つ上げその兵士は絶命したそして隣にいたもう一人の兵士が驚く】
【そしてほかにもいた兵士たちがあわてて少女に銃口を向ける】

「な、どこから!」
「くそ!、例外かよ!」
「どうする!」
「どうするも何もここでリヒトさんの到着まで持ちこたえるしかないだろ!」
 ……いやその必要はない

【兵士たちが少女に向きつつも怯んだ口調でそう言った】
【だが突如としてあらわれたもう一つの男の声に兵士たちはその声の方向に向いた】
【そこにいたのはだるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】
【おそらくこの男がリヒトと呼ばれていた人物であろう】

「リヒトさん!」
 どーやら、敵さんのエースってやつだな
 ……お前ら後退しとけ、こいつは俺が引き受けた
「で、ですが」
 いいから
「わ、わかりました」

【そのようなやり取りをへて兵士たちは後退していく】
【そして男は少女のほうに振り向いた】

 さてと、あんたが相手か
 まあ、なんだ、さっさと終わらせようぜ

【そのように言って男は指先を少女に向けた】
【そしてその指先に光が収束し、そのまま発射された、レーザービームだ】
【目標は少女の左腕の部分だ】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/13(金) 21:57:34.64 ID:DAw9e9GSo
>>97

……良かったな、もう急ぐ必要は無くなった。―――GIFTめ、無能力者から何もかも奪うつもりか……!!

【言葉と発せられると同時に、強烈な覇気が澄み切った空気に広がった。今まで全く感じられなかったであろう存在感を振りまいて、男は濡羽色の眼光を光らせる】
【両の瞳は周りへと送られ、人々の生きる空間を荒らし踏みにじる悪党共を数える。全員が異形の姿であり少し気圧されるが、何とか表情には出さずに済んだ】
【―――そして、ゆらり。正中線が全く振れない、滑るような足取りで歩めば―――その先は「悪党共」のうちの一人、2mという巨体から威圧感を放っている、大男の正面へと】
【この場所に辿り着いて直ぐに耳へと入った先程の言葉。それを聞いて、この男が「ボス」だと認識したのだ。その言葉が無くても、雰囲気で解る―――コイツが最も危険だと】

【―――黒髪と薄藍のインバネス・コートが風に靡く。袴に隠れた脚を開き、半身になった身体がやや沈む。左腰に佩いた刀が抜かれ、月光に銀が煌く】
【……右肩の緋色の鷹は、彼の所属を明らかにする。―――SCARLET。GIFTの侵攻をキッカケに作られた「世界の盾」】
【抜かれた刃の如き感情を瞳に込めて構えたのだが、その男は「む……?」と疑いの声を上げた。……瞳の先には、その大男】

―――……大男。 その奇妙な目……確か、ロウ殿が。
(おかしい……確か大分前に聞いた話……あの時には「GIFT」という組織は全く出てきていない……いや、既に前から動いて―――?)

―――おい、貴様……GIFTの一員か。違うと言っても逃す訳にはいかないが、少し引っかかる所があるのだ。

【インパクトを与える大男の外見は確かに初めて見るものだが―――言葉では聞いていたのだ。「恐ろしい見た目でありながら恐ろしく強いバケモノがいる」と】
【……そのバケモノの特徴に、眼前の大男は当て嵌まっていた。それと同時に更に湧き出る疑問―――この男はGIFTなのかどうか、である】
【―――彼の所属までは、ロウが言っていた覚えが無い。だが話の時期を考えると、GIFTでは少しおかしいのだ。……あの頃、「GIFT」という組織は存在していないのだから】

/よろしくお願いします、中邑です!
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 22:07:48.66 ID:23Rlnvz30
>>102

―――つまらんな、ここで命を無駄に散らしたくない者がいれば消えろ
覚悟のない者が戦場に立つ資格はない………蹂躙されたいというのならば構わないがな

さて―――。

【銃口を向けられても冷静なまま不敵に笑って兵士たちへとそう言い放った―――。】
【そしてクルクルと一度双剣を回してから再び戦闘態勢に入ろうとしたところでリーダー格と思われる青年が現れる】
【不意に放たれるレーザーも右側に飛ぶことによって直撃は避けるが、わずかに掠って血が滴り落ちる】
【だがそんな事は気にも留めずに青年へと肉薄しようと駆ける。】

貴様もどうやらGIFTの部隊長クラスのようだな………兵を退かせたのは賢明な判断だ
―――あぁ、直ぐに終わる。

                        ≪来い=

【青年へと接近しながらただ一言、 ≪来い=竄ニだけ呟く―――すると】
【それと同時に青年のパーカーを引っ張るような力が発生し、少女へと接近させようとするだろう………これは異能か?】
【引っ張る力は男の子が全力で引っ張る程度………思い切り抗えば逃れられるだろうが、どうなろうと少女は右の剣で青年の腹部を切り裂こうとする】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2013/12/13(金) 22:10:16.19 ID:mtlk5n8no
>>96 >>99

ち、ぃっ――――!!

【少女の手から、スタンガンが弾き飛ばされる。それが地面に転げ落ちる音が、無慈悲に攻撃失敗を告げていた】
【背後からの闇討ち――――それが失敗したというのは、忍者≠ノとって敗北にも等しい。真正面から戦うなど、忍者の本分ではないのだ】
【戦端が始まる前に幕を引くのが一流。あえなく仕損じた二流の少女の焦りに関わりなく、戦端は開かれてしまって】
【まして敵がこちらの隠密術を見破れるとなれば、少女にとって非常に苦しい戦いが始まってしまったのは間違いがない――――】


む――――りょうかいした、たにやまとやら!
わたしは、よるなぎレラ≠ニいう! こうげきはまかせろ!

【…………そこで戦場に介入してきた新たな気配を察知し、その言葉を聞き届けると、少女の表情にも幾分か余裕が生まれるだろうか】
【男の名乗りに自身も「夜凪レラ」と名乗り返すと、一度そちらに言葉を掛けてから、再び目の前の男に集中する】
【仲間が気を引いてくれるうちに悟られず背後に到達し、闇討ちにて幕を引く。二人いれば、そういう忍者*{来の戦いも出来るかもしれない】
【――――その精神的な猶予に、最初のスタンガンが挙げた僅かな戦果と、谷山のノイズの弾丸とが作り出した肉体的な猶予が重なって】

【ハンドガンの銃口が向けられたその時、レラの淡黄色の瞳がまた小さく輝く。それを前兆として、少女の両手に異常≠ェ現れていた】
【抜刀動作など一切無かったはずなのに――――両手に、背中に佩いていた筈の二本の刀が逆手で握られているのだ】
【左手に持つのは、シャムシール≠ニ呼ばれる曲刀。右手に持つのは直刀、いわゆる忍者刀=B左右で刀の種類が異なる、奇妙な二刀流――――】

ぬ…………ぅ!!

【レラは右の直刀を地面に突き立てると、それを杖代わりにして強引に右側へ体を逸らす。間一髪、それで銃弾は回避できただろうか】
【次いで、余った左の曲刀を同じく地面に突き刺すことで崩れた体勢を引き戻し…………そして次の瞬間、再び少女の瞳が輝いて】
【異常が現れたのは、右の直刀だ。一瞬前まで逆手≠ナ握られていたそれが、順手≠ノ変わる。何の前触れも無く、刀の上下が反転したのだ】

ちいさいからって――――なめるなっ!!

【青年からすれば、それは刀のリーチが急に伸びたようにも映るか。レラはその言葉に小さく吼えると、青年の脇腹へ向けて勢いよく直刀を突き出す!】
【曲がりの無い刃は、見た目どおり刺突≠ノ特化している。刀を瞬時に持ち替えることによる不意打ちもあって、かなり鋭い一撃といえるだろうか】


…………な、なに!? ぐぁっ――――!!

【だが、その代償に――――攻撃に意識を割いていたレラは、現れた黒騎士に対応しきることが出来なかった】
【咆哮を受けて一瞬怯んでしまい、回避が遅れる。刺突がどういう結果を齎したにせよ、レラは直刀を引き抜いて真後ろへ飛ぶが、完全には避け切れなかった】
【漆黒の雷撃が右腰付近を掠めて激痛が走るや否や、跳躍中だったレラは体勢を崩して地面に倒れ込んでしまうだろうか】
【青年からすれば、それは間違いなく隙であって――――】

106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 22:26:39.53 ID:23Rlnvz30
//>>100
谷山さんのレスは後半部分を削ったところで完結でしょうか?
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/13(金) 22:36:15.52 ID:Z+z6CJB90
>>104

 血の気が多いこったなあ

【リヒトはそのように言ってため息をこぼした】
【血の気が多いやつと戦うのは大変であると思い】
【そして少女が駆けてきて、防御の体制を整える、が】

 !?、うお!
 なんだお前、能力か!

【リヒトは急に思いっきり引っ張られる】
【能力かとそうも思ったが、今は防御するのが先だと判断する】
【ふたたび手に光を収束させて固定化し光の剣を生み出した】
【そしてその剣で少女の剣にぶつからせて、切り裂かれるのを防いだ】
【そのままリヒトは後方へと跳躍して、距離をとった】

 たく、その道のプロと戦うのは怖いね
 もう一回だ受け取っといてくれよ

【リヒトはそう言って駆け出し、少女に再び指先を向けてレーザーを撃つ】
【そのレーザは特に狙ってもいないようどうだだからこそ回避しやすい】
【本命は剣だ、攻撃をかわした後の少女の隙を狙い接近して腹部に向かって剣を振りぬくであろう】 
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/13(金) 22:43:52.30 ID:PtbBYama0
>>97>>103

……一人に二人? GIFT≠ヘ随分と用心深いのね。
でも、これで数の上ではやっと釣り合う――――

【彼らの質疑応答が始まってからか、終わる頃か。透る声が、ひとつ割り込んだ】
【声は―――姿は―――その存在は―――足音を伴って横合いからやって来る、】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。】

【右腕の前腕部を手の甲まで到る漆黒の鎧甲で覆い、白銀の太刀を同じ手に携えて】
【盗賊団と“正義”の剣士の対峙する場に足を踏み入れるのは、そんな形容の出来る人影だった】

【距離にして5メートル半。大男の前方に、繊細な造形をしたその剣士はいる。状況は、緊迫したままさらなる段階へと進んでゆく】

……久し振りね瑛月。……せめて、増援として足は引かない様に振舞うわ。
恰好くらいつけさせて貰うわよ? ……貴方に、その戦意に負けないために。

……そして―――――――

始めましょう、この戦いに何かを求めた盗賊たち――――
……貴方達が何を企むのであれ、私とこの剣は見逃す心算はない。
GIFT≠フ計画に加担した時点で、それは断つべき道に変わった……!

【先ず共闘を申し出る様に瑛月に視線を遣って、微笑めいたその僅かな表情は“悪”を観れば無へと移ろうのだろう。静謐なまでに研ぎ澄まされた、戦意の発露であった】

【異形の軍勢―――――欲望の色は見間違え様もない。只人ならぬ器に隠された悪意は、GIFT$N攻に乗じた略奪者の、大乱をも恐れぬ梟雄の其れを思わせた】
【それに向けた鋩が品々の掻き集められる騒音と夜気を裂くのは、篭められた戦意の凄絶さだろうか。吹き荒ぶ風を身に纏う様、不可視の刃にも等しく虚空を刻んで】

【―――――――瞬間。かき消える様に加速する濃藍が、地を蹴って踏み込んだのだとかたる様に大気を震わせた】
【滑る様な低空の疾走。太刀は横ざまに構えられている。身を屈めた体制からの一歩の伸びは、彼我の距離を詰めるには十分で】
【禍々しい大男を狙い、左の脇腹から右肩へと逆袈裟に、太刀が、胴の前面を斬り裂かんとした。それは、火蓋を切る号砲としての初撃であり、牽制であり】

【―――――― 一瞬の隙が致命的な決壊を生む。本能的に、その脅威を察したがゆえの迅速な行動だった】
【それは恐らく相手も同じ事―――――破壊力に特化した異能の刃は、熟練の “兵” にこそ対処の必要性を“読ませる”、】
【ならば警戒を自らに引き付け、斃せずともイニシアティヴを得る可能性は望める。動的な均衡を以て対峙する濃藍の剣士は、受ける反撃の可能性を覚えたまま、先に進んで】

/遅れてすみません……ッ、八攫 柊となります。よろしくお願いします……!
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 22:51:14.15 ID:23Rlnvz30
>>107

悪いがこの国の命運を背負っている身なのでな………。
―――フッ、先ほどの連中と同じくやはり隙だらけだな―――ッ!

【相手の問いに呆れたような口調で答えながら、相手の光の剣と一瞬鍔迫り合いを起こしてからこちらも後退する】
【そして再び放たれたレーザーを潜り抜けるようにして回避して、相手と接近する相対し剣も横に身体を捻って回避しようとするだろう】
【だが予想以上に相手が速く、わずかに腹部を切り裂かれるが………その状態で強く双剣を握りなおす。】
【そして踏ん張りを効かせて体勢を立て直す―――。】

貴様も戦闘においてはプロフェッショナルであろう………違うのか?
まぁ、どのみちこの場で斃れて貰う事には変わりはないが………なぁッ!!!

                   ≪呪縛の魔眼=竅c……解放ッッ!!

【そしてそのまま相手を睨み付ける―――もし眼を合わせれば、全身を電撃が走ったような強烈な痺れが襲うだろう】
【これは魔眼………かなり特異な異能の部類だ………その成否に関わらず少女は青年へと肉薄し、右腕を切り飛ばそうとするだろう】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/13(金) 23:15:19.03 ID:Z+z6CJB90
>>109

 あ、隙がなんだって

【リヒトは少女が言ったことをわざと聞こえなかったように言った】
【ちょっと挑発してみるらしい、挑発に聞こえるかどうかは少女しだいではあるが】

【そしてリヒトは切り裂いたあとに再び跳躍して距離を開けた】
【そして少女が少しよろけたのを確認しつつ警戒する】
 
 よっと、まあ違わねえな
 あいにくとここで死ぬ気はないんでなっ――っ!

【リヒトは相手の様子も伺いつつそのまま警戒し、少女から目を離さなかった】
【――だがそれがあだとなった】
【少女の眼を合わせてしまったのだそのため魔眼をくらってしまった】

(ぐっ!、まずい!)

【リヒトは強烈な痺れに襲われた】
【だがそれでも必死に気合をいれて強引に体を動かして少女の攻撃を左に体を転がして回避する】
【だが完全に回避できずにわずかに右腕を切り裂かれる、だが今はそのようなことを気にしていられない】
【必死になって指先を少女に向けるそしてその指先に光を集め、一気に閃光にして放つ】 
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/13(金) 23:16:41.04 ID:MJwN35e+o
/>>18>>44で募集します
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 23:26:15.16 ID:23Rlnvz30
>>110

フン、時間の無駄だな貴様との会話は………。

―――チィ、小賢しい真似を………ッ!!

【攻撃を放った後で相手の挑発に対して軽く流すように吐き捨てるが………突如として閃光が視界を覆う】
【瞬間的に眼を覆うが、時すでに遅し―――閃光によって視界を一時的に奪われ、よろけつつもなんとか戦闘態勢は維持する】
【そして眼前の見えない敵を睨み付けると、一度舌打ちする―――。】

それは………こちらも同じだ、死ぬ気などさらさらない………!
だが貴様を斃せるのなら―――この場で命を捧げる覚悟はできている………ッ!

                 ≪ライトニング・ブラスト=窿bッ!!!

【そして周囲に向けて、魔力を爆発させ―――その魔力を電撃に似せて周囲へと範囲攻撃を放つだろうッ!】
【視界が回復するまでの時間稼ぎという事か………単体攻撃が不可能な為、範囲攻撃という手段にでたのだった】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/13(金) 23:26:20.77 ID:yONIObxdo
>>103
……どうやらそのようだな。少々、欲をかいて時間をかけ過ぎたようだ
「ああ!? んだてめえは!!」

【自分たちに向けられた覇気に満ち満ちた声に反応し、異形どもが素早くそちらに向き直る】
【接近されるまで、その存在に気が付かなかった。さらには、その濡羽色の眼光の鋭さ】
【加えて、正中線がいささかもブレないその足運び。すべてが、彼が相当の実力者であることを伝えてくる】
【何より、その凛とした声と堂々とした佇まいを、大男は見知っていた】


……中邑瑛月。唯刃流≠フ使い手である剣士。対特異能力者 超国家緊急対応部隊、通称SCARLET≠フ構成員
水の国天下一武道会においては運営スタッフ兼解説者として活動し、第2回大会では選手として出場もした
私が知り得たのはこんなところだ。直接会えて光栄だよ

そうだ、聞いたところによると、SCARLET<<塔oーの勧誘も行っているらしいな。いや、先日お前に誘われてSCARLET≠ノ加入した、という
軍服を着た眼帯の少女に、私の手下たちが手傷を負わされてね……まったく、噂に違わぬ精鋭揃いだ

【彼の正義の体現とでもいうべきか、気高く銀の光を放つ刀が抜かれ、右肩の緋色の鷹が誇らしげに宵闇に躍る】
【抜き身の刃に匹敵する鋭さの瞳を真っ向から一つ目で見返し、大男の返答は彼の素性の一端】
【水の国天下一武道会は、猛者の集う一大イベントでもあり、情報の宝庫でもある】
【大会が開催されるたび、その参加者について可能な限り調べ上げているこの大男は、彼のことも知っていたようだ】

ロウ……マーシャル・T・ロウか。久しく会っていないな。一度ちょっかいをかけて、返り討ちにされてしまったんだ
彼は元気かね? あの時は、彼の肉を味わい損ねてしまって残念に思っていたんだよ……

【彼の問いにはまだ答えず。先に拾い上げたのは、その口から洩れる男の名】
【驚異的な腕前を誇るガンマン。二丁拳銃を自在に操り、幾多の戦場を駆け抜けた男】
【大男はロウのことも調べていた。賞金稼ぎとしての軌跡、第3回大会での輝かしい戦績】

【言葉の端には、食人鬼としてのおぞましい欲望を滲ませつつ、大男の一つ目は彼を、中邑瑛月を舐めるように眺め回す。値踏みするかのように】


>>108
【そこに、割り込んできたのは澄み切った声音と足音。それを追って横合いに異形どもが目をやれば、飛び込んでくるその姿】
【白銀の太刀、濡れ羽烏の色を伴う黒髪、硬い意志を秘めた瞳。その姿は、あまりに有名であった】
【大男の一つ目が驚きに見開かれ、距離を取って立つ彼女をねめ回す】

(まさか、これほどのビッグネームに遭遇しようとは……さて、どうすべきか)
それは困ったな、出来れば見逃してもらえればありがたかったのだが――!!?

【覚悟を秘めた言葉が放たれ、異形どもの身に叩き付けられる。返す言葉が終わらぬうちに、研ぎ澄まされた彼女の戦意が刃となって駆ける】
【濃藍が視界から失せる。踏み込みに大気が震える。どれほども腕前があれば、こんな動きが可能になるのか】
【瞬間的に詰められる距離、異形どもは反応しきれず。いや、大男の能力がそれを迎え撃った】

【戦いの火蓋を切る最初の一閃が、大男の胴体に逆袈裟の軌道で迫った時、大男の右腕が突如として膨れ上がった】
【巨大な肉塊となったその腕は、大男の左わき腹と太刀との間にすんでのところで割り込む。直後、太刀に斬られて鮮血が噴き出す】
【苦痛の呻きを漏らしつつ、大男の取った行動は距離を取ることだった。地面を蹴り、自分たちが奪った物資を纏めてある地点へと】
【エンジン男も慌ててそれを追う。反撃を捨ててまで取った行動、果たしてその真意は――】


……流れの剣士、八攫 柊。第一回大会の優勝者であり、第2回・第3回にも出場。その戦いぶりは多くの観客を魅了した
さらには、カノッサ機関をはじめとした者たちの起こすあらゆるテロに姿を見せ、数多くの野望を打ち砕いてきた……
その名と剣技は、今やこの世界に轟いている、といっても過言ではないだろうな

こんな辺鄙なところに、正義の二大剣士ともいうべき二人が揃い踏みとは。貴重な光景を見られて嬉しいぞ……

【大男は、彼女のことも知っていた。幾度となくその姿を鉄火場に見せ、目覚ましい活躍を見せた女性】
【打ち立てた戦功は数知れず、大会でもお馴染みとなった彼女の名は知れ渡っている】
【右腕から垂れ流される鮮血を、大男の肉がうごめいて覆い隠し、その流れを押し留めた。肉を操った止血だ】
【ぎらつく一つ目が、彼女を見据える。その内に宿る悪意が、凝縮して膨れ上がっていく】

/続きます
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/13(金) 23:26:36.40 ID:yONIObxdo
>>ALL
さて、中邑瑛月。先ほどの問いに答えよう。我々は、GIFTの者ではない

【そういうと、大男は顎を上げて二人に自らの喉元を晒した。その喉の肉が不気味にうごめいたかと思うと】
【左右に開いた。人間ではありえない動き。それによって晒された、喉の肉の内側。そこに大男の所属が刻まれていた】
【逆五芒星のマークと、その内側にNo.29という文字が。GIFTと同じく世界に名だたる邪悪、カノッサ機関のナンバーズである証】
【それを見せつけた後、喉の肉が閉じて元通りになる。顎を引いて二人に向けなおしたその顔には、醜悪な笑いが浮かんでいた】


カノッサ機関傘下の盗賊団、『スクラップズ』。首領のカニバディールだ。以後お見知りおきを

「メンバーの元間 正常(モトマ マサツネ)……おいてめえら、今バカにしたろ!!! 俺の名前を聞いて、どこがまともで正常(せいじょう)なんだって、鼻で笑ったろお!!!」
「どいつもこいつも、人の事見下しやがって……俺はちゃあんとお見通しなんだよお!! あーあーあー、どうせ俺はイカれた悪党だよ!!」

【異形どもが名乗りを上げる。じっとりと二人を一つ目で見つめる大男と、突然に支離滅裂な怒りと被害妄想をぶちまけ始めるエンジン男】
【怒りに合わせて胸のエンジンが唸りをあげ、貧相だったエンジン男の肉体が徐々に膨れ上がっていく】


【異形どもの手が、荷物に伸びる。先の反撃の機会を捨てた理由がそこにあった。略奪に際し、手放していた異形どもの得物】
【エンジン男が手に取ったのは、一本の太刀だ。奇しくも、二人と同じ性質の得物だが、二人のそれに比べ、あまりに粗末な刃】
【しかし、数多の命を奪ったことは確からしく、その刃は悪意にぎらついていた】

【大男が手に取ったのは、黒と金がベースカラーの大きさ1m半以上にもなるバトルアックスだった】
【柄の部分にはカートリッジが存在し、そこに組み込まれた白く大きなマギタイトが夜の闇を裂いて煌めく】
【大男に劣らぬ禍々しさを放つ巨大な得物が、二人に向けられた】


……さて、長々と無駄話をしてしまったな。失礼した。正義と悪として立った以上、この場でかわすべきは言葉ではないな
マサツネ、お前は男の方をやれ

「わかりやした!!! 二度と俺を見下せないようにしてやりますよ!!!」

【エンジン男の叫びと共に、異形どもが武器を構える。と、胸部のエンジンが一際大きな唸りをあげる。次の瞬間、エンジン男の口から白い蒸気が噴き出した】
【高熱の蒸気が、集落の空間を舐める。二人の異形を白く覆い隠す。牽制と目くらまし。異形どもが蠢く不気味な音がその中から響き渡り――】


【飛び出した。エンジン男が>>103の瑛月の突進する。怒りにぎらつく鉛色の瞳。その切っ先が、彼の右腕を狙っていた】
【単純な突きの動きだ。瑛月ほどの剣士ならば、対処は容易なはず。しかし、問題はその刃が持つ高熱だ】
【刀は赤くなるほどに熱せられ、掠めただけでも火傷は必至。動きも単純ながら、スピードは速い。侮ってかかっては危険だろう】


【大男の巨体は>>108の八攫の元へ。先ほどの意趣返しとばかりに、突撃していく】
【巨体ゆえ、速度は大したことはない。しかし、その重量と体格差は脅威と言えるだろう】
【バトルアックスを身体の前で斜めにして握りしめ、その柄の部分を前面に押し出しての体当たりだ】
【まともに食らえば、バトルアックスの柄で強かに胴体を打たれることになるだろう】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/13(金) 23:39:44.01 ID:23Rlnvz30
>>100
//申し訳ない、軽く解釈してレスします

貴様がどの程度かは知らないが、それがどれほどであろうとも私はそれを潰す
ジワリと痛めつけながら………ゆっくりとだが確実に潰していってやるとしようかぁッ!

【相手がこちらの攻撃を受け切った事を視界に収めながら、多少悔しがるような表情を見せてそう言い放つ】
【こちらのバトルスタイルは大方読まれていることを理解した上で、さらにそれを覆す事を考えながらゆっくりと動いていく】
【そして再び白い波動銃を、今度は谷山に向けて引き金を引く。】

どこまで持つか………試させて貰うとしようかぁッ!

               ≪フォビドゥン・ショット=窿bッ!!

【そして今度放たれるのは前回の戦いで脅威であった波動弾―――谷山を対象にして放たれたそれは】
【谷山へと到達した瞬間にはじけ飛び、その周囲の空間へと波動振動を伝え、空間そのものへとダメージを与える】
【―――もちろんその振動の波がとどかない範囲へと回避すれば問題はないが】

>>105

クッ!!ガキが………チョロチョロと小賢しい………!
―――チィッッッ!!貴様こそ舐めるなよこのフリードリヒ・ザラスシュトラをッッ!!

【相手が銃撃を回避した事に対して舌打ちをして、怒りに満ちた表情で睨み付けるが―――】
【その瞬間には相手は異能を発動させていて………突き出された刃を間一髪で回避するが、脇腹を軽く抉られる】
【一瞬苦痛に顔を歪ませて、倒れそうになるが一歩踏み出しなんとか体勢を維持する。】
【そして目の前で黒騎士の電撃を受けて倒れたレラに対して狂気を孕んだ瞳で見下ろす―――】

どうした、もっと足掻いてみせろ………ッ!
でなければ―――このまま死の沼に飲まれる事になるぞッッ!!ハハハハハハッ!

                ≪亡者の狂宴/ヘルハウンド=窿bッ!!

【そのまま魔術を発動、レラが倒れこんだ場所の周囲1m程が漆黒の沼へと変貌しそこから無数の亡者が姿を現す!】
【亡者達はレラへと食らいつこうと一斉に襲い掛かるッ!だが、亡者たちが発生しているのは黒い沼地の中だけであり】
【そこから脱出すれば追撃を逃れる事が出来るだろう―――。】

>>ALL

オオオオオオオオオオオオオオァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ―――!

【黒騎士は、再び咆哮すると―――その肉体から黒いオーラを沸き立たせ………そのKいオーラは次第に何かを象っていく】
【………それは1m程の巨大なクモだ………二人に対して各10匹にも及ぶ黒い巨大クモが放たれる―――ッ!】
【放たれたクモは二人の身体へと食らいつこうとするだろう………レラに至っては亡者と同時に相手をしなければならない】

【だがいくらデカいと言っても所詮はクモだ………攻撃は単調で回避しやすい】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/13(金) 23:47:44.53 ID:K0f0ZzJRo
【路地裏】

【暖炉の火が揺らめく、暖かな室内にいても窓は寒そうな音を立てる】
【それを受け入れられるほど生憎そんな優雅な生活はしていない人が殆どだ】
【大概はフードを被って下を向いて一本でも早い電車で帰りたい。そんなところだ】
【または明日は休日だしまあ温まってからでも…という終電で帰るコースのどちらかだ】

【しかし、この世界の影である路地裏の住人たちもそんな当たり前を知っているとは限らない】
【寒さすらどうでもいいと一蹴するような永久凍土の眼差しや滾る欲望を燃やし続けて居るのだろうから】

【ある入り組んだ路地の奥には、2人の人物が人目を気にするように小声で話し合っていた】
【1人はそこにある雑居ビルの非常階段に腰を掛けて、もう一人はその前に立ち、身振り手振りで話していた】

『…………だから、アイツはそのままそれを利用したんだ…だからはした金でも保釈されたんだ』

……あんな奴でもここいらの自警団で偉くなれるなら……そりゃあ此処も素晴らしい治安だろうさ。

『…だから…ロッソ。もう二度とあんな気分はゴメンだ。色々バレちまったし………』

【ロッソと呼ばれた人物。非常階段に座っていた背の高い男…黒髪で黒いレンズのサングラスをしていて】
【黒いスーツと黒いブーツ。その上にカーキ色のミリタリーパーカーを羽織っている彼はしゃがれた声で】

どうせ不起訴で釈放だ…安心して…ま、田舎で実家でも手伝ってやれよ。

【そう言えばポケットの中からクシャクシャになった赤マルの箱を取り出せば1つくわえた】

『そうする。…ヘマしたら、居られないルールだしな……じゃあ、ロッソ。アンタの正義、応援してるから。』

【それだけ言って、彼は路地裏を走り去っていった。残された男はライターを取り出して】

……何が正義だバカ野郎。……馬鹿正直がドロボウなんざ出来るかよ……あークソッ

【オイルライターを擦るが火が点かない。イライラする。ガス切れか、寒さで手が震えるからか】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/13(金) 23:55:09.22 ID:Z+z6CJB90
>>112

【リヒトは強烈な痺れがなくなってきたことを体で感じ立った】
【だが、いまだに痺れが残っているのかふらついてはいるが】

 あいにくと時間の無駄でも付き合ってもらうぞ
 侵攻指揮官の事情があるらしいからな

【リヒトはそのように言葉を作る】
【だが今は相手のペースでありどうやったらペースを崩せるのかも考える】
【だがその思考する暇もなかった】

 ああくそ、今度は範囲かよ!

【リヒトはそのように悪態つきながらもそれを回避しようと試みる】
【だが痺れの残りにより素早くは動けず、そのまま攻撃をくらってしまった】
【そして少々後方へと吹き飛ばされ、受身を取れずに地面に落下した】
【とはいえ、直撃ではなかったので骨などは無事である】
 
 ぐ、いっつ
 厄介だっての

【リヒトはそのように言って、両腕の指先を少女に向けた】
【そしてその両方の指先からはレーザーが発射された】
【目標は足と腹部、とはいえ両方からの発射は狙いが甘くレーザーも遅くなっている、回避は容易だ】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/13(金) 23:57:12.00 ID:DAw9e9GSo
>>108>>113

【―――「カノッサ」。その名前を聞いた瞬間、瑛月の眉が顰まり一層強い覇気が刀身に満ちた。……カノッサとGIFT―――どちらも紛れも無い巨悪である】
【証拠と言える29の番号、そして人非ざる動き。瑛月のその変化は、警戒が強まったというシグナル。狂気に満ちた外見と能力ながら、口調はどこか落ち着きが見える】
【……それが余計に、不気味であった。瑛月は唾を飲み込み摺り足で一歩踏み出した―――その瞬間】
【知っている香りが肌を突き刺した。研ぎ澄まされた武の香り、印象的な雰囲気―――振り向かずとも、声を聞く前に彼は理解する】
【つまり、援軍の存在―――そして、その味方が「彼が認める数少ない剣士」の一人である人物であることを】

……八攫 柊。―――共闘する事になるのは2回目か……流石に4人相手はきついと思っていた所だ、助かるよ。
―――……GIFTであろうとなかろうと、コイツ等は唯の悪党では無いらしい。……特にあの大男はな。俺達の剣も知られてる可能性もある。

【目を合わせること無く、彼女の声に答える。アイコンタクトの必要すら無いと言うことらしい】
【只管悪党共の動きを観察するように睨みを利かし、上段に構えた刀がゆらりと振れる。異形の姿故に、攻撃も独特―――そのような予測が脳を過り、慎重に間合いを詰める】

―――この集落を、人々が生きる為の場所を護る「盾」。……其れが今の俺に与えられた使命。
貴様等の行為は「生」を食い荒らし踏みにじるモノ……許す訳にはいかない……!!

【彼女の剣は力強い。爆発的な速度から繰り出す其れは、悪党共に衝撃を与えるのだろう。つまり派手であり、目を引く】
【彼の剣は静かである。川を優雅に流れる流水や舞い落ちる櫻の花弁のように。―――彼女に比べると地味ではあるが、確かな「武」が内包されており】
【……―――その剣は彼女と組むことで、派手な其れの裏に潜む恐ろしいモノになる。だが、今の相手は大男一人ではない。どうやら自分の相手は―――吼えるあの手下らしい】
【大男と同じく肉体を変化させる姿に目を見開き身構えれば―――異形が独特なアクションで先手を打った。視界を覆う白。肌と耳で相手を感じなければならない】

―――……ッッッ!! 此処か……〜〜〜〜ッ!?
(……っぐ、確かに掠ったが……この痛みはッッ……!!)

【高速で駆けるような肉体が無い中で、唯刃流の特徴である独特な身体操作術で右に転身し悪意に満ちた突きを躱す。―――軽く脇を掠ったが、その程度は問題ない】
【……そう思い転身と同時に刀を振り下ろした。―――寸毫微塵の隙のない動きから繰り出される袈裟は見事だった―――筈だった。だが、異変は起きた】
【―――振り下ろす時に灼けるような感覚が、身体を侵食していく。無駄のない一種の芸術のような斬撃、その始まりに動きが一瞬止まった。生まれる筈のない隙が其処に生まれた】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/14(土) 00:04:31.15 ID:yxBK54Ls0
>>117

―――成程、貴様は時間稼ぎという事か………ますます無駄足だな
ならば早々に………貴様の希望通りさっさとケリをつけさせて貰うとするぞッ!

………どうした!!遅いぞッッ!!

【相手の言葉からこの青年の目的はこちらの足止めだと検討を付けて瞳を鋭く尖らせる―――。】
【そして相手が放つレーザーを強引にかわしながら接近を試みる、大分勝負を焦ってきているようである】

【そのためレーザーも完全に回避しきれず、右足と腹部を半分ほど貫かれて肉の焼ける音がするが、止まらないッ!】

このまま楽にしてやろう………GIFTの能力者ッッ!!

           『櫻華一刀流・我流弐ノ型《双蓮》=x………断<bッッ!!

【そのまま加速し、まずは相手の前方から腹部を薙ぐ斬撃を右の剣から放ち即座に相手の頭上を飛び越えるように跳躍】
【背後に回って、さらに強烈な一撃を相手の背中から放ち―――胴体を完全に切断しようとするだろうッ!】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/14(土) 00:20:56.57 ID:lj1NkIb6o
>>115

フリード、リヒ――――っ!

【レラとて素人ではない。この程度のダメージでいつまでも寝てはおらず、即座に起きあがるが】
【それでも、倒れ込んだことで行動が遅れたのは否定のしようがない。立ち上がったと同時、周囲の地面が真っ黒に染まる】
【レラは驕りと共に放たれた青年の名を怒りと共に一度復唱すると、その瞳を漆黒の中に光り輝かせるだろうか】

【――――両手の刀が、消える。そしてその直後、その手には長い鎖≠ェ握られていて】
【更に、その両端。鎖と接続する形で、細長い分銅≠ェ何の前兆もなしに取り付けられるだろうか】
【そして最後に、その分銅の先端にあるトンネル状にくり抜かれた突起へ、鎌≠フ刃が接続され――――】
【たった一秒程で出来上がったのは、両端に手鎌と分銅がそれぞれ取り付けられた、忍者の武器としてもポピュラーな鎖鎌≠ナあった】

…………くっ、ッ!!

【レラは鎖鎌の鎖の側をぶんぶんと頭の上で振りかざすと、漆黒の沼から一気に走り出して助走を付け、すぐ近くの樹木へと放り投げる】
【太い枝に鎖が巻き付き、鎌が突き刺さって固定されたことを確認すれば。ぴんと鎖を張らせて、レラは全力でそれに飛びついた】
【そのまま素早く鎖を伝って登っていき、樹木の上へと逃れる。上側への回避は、周囲の亡者はもちろん後に放たれる蜘蛛をも避けられる動きだ】

――――ぐ………。

【…………だが、もちろん。それだけ大きな回避動作の間、既にレラの周囲に沸き立っていた亡者たちが黙っていてくれた筈がなかった】
【高い樹木の上に逃れたレラの体は、致命傷こそ無いものの、亡者の波に揉まれて小さな擦過傷だらけとなっていて】
【怪我の程度はどれも小さいが、数が多すぎる。流れている血の量も、決して少なくはなかった】
【レラはそんな自身の体を確認し、真下で自分を襲おうとしていた10匹もの蜘蛛たちを見下ろすと――――】


――――――!!

【鎖鎌を回収し、あろうことかフリードリヒから背を向けて、レラは並び立つ木々の中へと消えていった】
【ありていに言えば――――逃げたのだ。少女の黒い陰は、木々の織りなす闇の中へと消えていく】
【一緒に戦ってくれる仲間、谷山を置いての逃走。やはりこんな小さな少女では、GIFTという巨悪と戦うには足りなかったのか…………】

【――――フリードリヒが、少女のそんな行為によって油断しなければ。そして、恐らくこの後も続くであろう谷山からの攻撃に手一杯にならなければ】
【本当に僅かだが、少女の消えた木々の中に、小さな気配が。未だ消え得ぬ戦意≠ェ、まだ残っていることを感じ取れるかも知れない】

(…………………くらえっ!!)

【そして――――少し時間が経った後。フリードリヒの右斜め後ろから、真っ黒に塗られた手裏剣が一気に飛翔してくる!】
【投擲された数は三枚。背中のど真ん中、次に左肩、最後に右脚と、時間差で襲ってくるだろうか】
【それらは致命打になり得る程の威力はないものの、深く突き刺されば確実に機動力を殺ぎ落とせる攻撃だ】

【――――逃亡したと見せかけての、汚い奇襲。だがそういう不意打ち≠アそが、忍者の本分と言うものだ】
【気配は殆ど消されているが、手裏剣の飛んできた方向からすれば、レラの現在地はフリードリヒの右後方か】
【だが、周囲は木々で覆われ、忍ぶための闇≠ノは事欠かない――――レラは、地の利というものを掴み始めているようだった】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 00:29:47.93 ID:Zj+HJfZ2o
>>118
【放つ言葉に、返る答えはなく。ただ、眉を顰めて覇気を研ぎ澄ます姿は、一流以上の剣士のそれ】
【カノッサの名を聞いて、気圧されるどころか闘気を漲らせる凛としたその姿は、異形どもの醜悪とのコントラストを描き出す】
【摺り足をもって戦闘態勢を取る彼の姿を視認した直後、八攫の乱入。大男は、瑛月の姿をそれ以上見ること叶わず】

(直接姿を見ない、か……大会でも好敵手と言った様子だった。2回目の共闘とは思えないほどだ)
(慎重さと冷静さも持ち合わせている……二人を一度に相手取っては、危なかっただろうな)

「盾」、か。進んで危険の前に身を躍らせるような真似を、見知らぬ誰かのために。まったく、よくやるものだ

【大男の脳裏を行き交う思考。彼への値踏みは、まだ続いていた。しかし、それも中断される】
【眼前に迫る剣。彼女の動きは、異形どもを牽制するに十分すぎた。もし、一人で彼らを相手にしていたら】
【あるいは、この場に屍を晒すことになっていたかもしれない。手駒を揃えておいたのは正解だった】


「かっこつけやがって、青二才があ!! なあにが「盾」だ!! てめえの使命を引き合いに出して、間接的に俺を貶めようって腹か!!」

【黒髪を振り乱して叫ぶエンジン男、まともに話が通じる人種ではなさそうだ】
【優雅に流れる流水、舞い落ちる櫻の花弁の如き、静寂を秘めた彼の「武」とは正反対の汚れ切った「悪意」】


「思い知ったか、クソ野郎がッ!!! 熱いか!? ええ、おい!! 俺を見下した報いだ!!!」

【エンジン男が吠える。その肉体は、先ほどの貧相なものとは違い、力に満ちたものとなっていた】
【エンジンから発生させた熱による肉体強化。さらには熱の武器への伝道。熱の発生に伴う蒸気の操作】
【この異形の男の有する能力は、これら熱にまつわるものだ。唯刃流の身体操作の前に突きはいなされたが】
【その能力による熱が彼を蝕む。芸術とさえ言えるであろうその斬撃は、それゆえにわずかな狂いにも影響される】


「ッッッラァアアアアアアア!!!!!」

【エンジン男は、見逃さなかった。その隙に向けて、接近したこの距離から瑛月に殴打を食らわせようとしたのだ】
【エンジン男の右手が固められ、瑛月の顔面めがけて突き出されんとする。狙うは右ほお。そのまま、瑛月を殴り飛ばそうとするだろう】


【この一撃に対処できれば、振り下ろされる刃はエンジン男を的確にとらえるはずだ】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/14(土) 00:35:46.12 ID:kTiE4X8B0
>>113‐114、>>118

……その様ね。油断しないで――――……見た目だけじゃないのは、言葉ひとつからでも解るみたいだけど。

【言う彼女にも、聞く彼にも初めから油断の色は無い。それでもなお、この言葉を必要とするほどにも“彼ら”の気配は危険だった】
【怒り狂う男の猛烈な勢いも意識に留めたが、何よりも大男の理性・相反する様な狂気の片鱗が強烈な印象を残して】

(……、……――――――――。)

【述べられた二者の情報。決して甘くみられる物でない筈――――だが眼前の異形の男の“瞳”に浮かぶ喜色は、心底のものと察するしかない揺るぎないもので】
【単なる警戒を越えて意識に滲みそうになる脅威を、闘争者としての理性が押し止めた。戦意を練り直す様に、またひとつ息を吐き】
【……続けられた言葉は、ひとつの衝撃としてその意識を貫いた】

……カニバディール―――――No.29……!?

(盗賊団の主どころか、予想以上の大敵だったか……ッ―――――)

【カニバディール―――“機関”のNo.29。彼女にとって仲間とも呼ぶべき人物から、その名を聞いたことがあった】
【強力な肉体変化の異能を有する旨。大斧の闘法が織り成す業は異能と相俟り、既に人の域にない危険性を有する旨、】
【何れもが一瞬の油断も許されない―――――先程の感覚が過剰で無い存在として、今一度彼への認識を改めさせていた】

【だからこそ、彼らは、彼女らは立ち止まらない―――――】
【――――――……それを、人は正義と呼ぶのだろう。】

……奪う者を、“ひと” 踏み躙る悪意を断つ護りの「剣」。……それが私の選び取ったただひとつの道。
貴方達の道は人を踏みしめ歩く……ならば、一切の容赦を捨てて斬り裂けるッ!

【呼応する様に翔ける声――――薄藍と濃藍の剣士がこの闇を駆け抜ける、】
【そして“脅威”が濃藍へと疾走する。速力に於いては彼女が勝り――――だが面積と圧力が単純な回避への道を封じる、】

――――――…………ッ!

【銃弾の如く音を貫いて、振り切る刃が死の歩む軌道を斬り捨てる。受け流す様に大斧の柄に刀身が触れ、自ら後方に跳んで勢いを殺すも、膨大な質量が衝撃を浸透させて】

【痛めるには到らずとも、手首から胴に到るまで激震が貫いた】
【天秤を傾けるには至らない。だが、肺腑に染み渡る圧迫感は消えずに――――吐息とともに、再び踏み込んで太刀が唸る、】


――――――――――――……はぁぁっ!!

【接近と同時に放たれる無数の斬閃は、けれど一つ一つはひどく浅い。大斧の面積ならば弾くことも、盾の様に構えて凌ぐことも容易だろう】
【真に警戒すべきはその終わりに加えられる本命の刺突―――切断概念の刃を用いてのそれは、やはり、強大な突破力を秘めて】
【――――並みの重合金装甲程度ならば、薄紙同然に斬り裂き貫徹する。“点”での一撃は防御を掻い潜らんと、全身は覆いきれぬ筈の護りの死角を狙った】

【さて、ここまで状況が進んだのなら浅かった斬閃の目的も悟れるだろうか】
【“容易だが、対処を必要とする”連撃だ。】
【装填されたままの弾丸ならば、常に向けられた銃口は常に集中と摩耗を強いる。気付かれなければ、それこそが狙うべき隙となる。】
【その上で待つのは必殺の一撃――――凌がれたならば自らを窮地に追い込みかねない、だからこそ確実を期す大技だった】

【どう状況が転ぼうとも、放てば彼女に鋩を瞬時に引き戻す術はない。先程の突撃の影響もまた、けして無視できる域にはなくて】
【或いはそれこそが、カニバディールには利用すべき脆さとなるだろうか。それを読みきれれば、“本命”さえも完全に撃ち下し得るだろう】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/14(土) 00:48:15.73 ID:Qln+cwDl0
>>119

 焦んなよ、まだまだ付き合ってもらうぞ

【リヒトは少女の焦りを察して不敵にに笑った】
【いまはまだ引く気はない、リヒトは覚悟そのような覚悟を持っていた】
【少しくらい任務を遂行させないとなとそう思い】

 遅くて結構、足止めを成功させればいいんだよ
 お前さん、なかなかのもんだな!

【リヒトは焼かれても止まらない少女にそのような言葉を言った】
【止まらない少女、リヒトはその少女に対してどのような攻撃をしてくるか警戒する】
【そしてその攻撃は来た】

【そのまま加速して腹部に薙ぐ一撃をリヒトは考える】

(この一撃、どうする、あれをやってみるか!、やってみようか!)

【リヒトはそのまま素早く思考しまとめた、そしてそのまま腹部に向かった薙ぎの一撃をあえて受けた】
【そしてそれからは少女との時間の勝負だ、その一撃の剣を手でさらに腹部の深くに行かせて途中でとめる】
【そしてその隙に切りつけている方の少女の腕をつかもうとしつかんだらそのつかんだ腕に向かって光の剣を腕の切断目的で一撃を叩き込む】

【本当に賭けだ、もしこれが失敗した場合はそのまま背後の向かってはなたたれた強烈な一撃を食らうだろう】
【とはいえ失敗しても背後の一撃の切断攻撃をすぐさま強引に体を動かし倒れて回避しようとするであろうが】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/14(土) 01:03:04.43 ID:yxBK54Ls0
>>123

………早く終わらせたいと言ったのは貴様の筈だがな?
貴様もぐだぐだと言う割にはやるものだな………その力をもっと正しい方向へと使えば………。

いや、それを私が………ッ!?がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ―――!

【相手へと返答し、一瞬何かを考えるように動作に遅れが出た………その瞬間が仇となった―――】
【リヒトの目論み通り、少女の右腕は切断され―――鮮血が噴き出し、剣は腕と共に地面へと落下し、突き刺さる】
【少女は耐えがたい苦痛に顔を歪めながらなんとか膝をつく事だけはするわけにはいかないと歯を喰いしばる】
【未だ断面から血が噴き出す右腕のまま、左手の剣をふらつきながらも構える。】

っぐ………ハッ、これが私に対しての罰だという事か………ならば甘んじて受けよう
だが―――刺し違えてもここで貴様を………斃すッ!!


              終わりだ―――ッ!≪双蓮・幻=窿bッ!!!!

【そしてそのまま相手へ向かって決死の攻撃を放つ………超高速でステップしながらの全身を切り刻む斬撃の舞。】
【それは青年から見ればまるで少女が三人に分身したかのように見えるほどに、凄まじく………そして美しかった。】

【だが右腕を切断されたダメージは無視できない―――対応は可能だろう】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 01:18:33.12 ID:Zj+HJfZ2o
>>122
【自身の言葉に柊が警戒を強めれば、ますますその邪悪な喜悦は深まっていく】
【闘気を練り直すように吐かれる吐息、その直後言葉として表出する彼女の衝撃】

……その反応。今更、機関員を相手にしていると知って驚くとも思えないな
私のことを誰かから聞いてでもいたのか?

【研ぎ澄まされた柊の警戒の色を前にして、大男・カニバディールの疑念が深まる】
【幾度となく戦いに身を投じた彼女の驚きは、それだけの違和感を生じさせるものだった】
【まさか、彼女とあの闇に溶ける粛清者の青年が仲間同士とは知る由もなく】


踏みしめる、か。それこそが、歩くということだろう。大なり小なり、誰しもが誰かを踏みにじっているものだ
我々の道を否定して、弱者を護るというなら、お前の方こそ切り裂かれる覚悟をしておくことだ

【柊の声が天翔ければ、カニバディールの声が地を這う。二人の剣士が闇を駆け抜け、濃藍へと肉塊が殺到する】
【速さに関しては、圧倒的に柊に分がある。しかし、同様にその質量・圧力もまたカニバディールが大きく上回る】
【それらがぶつかり合う。銃弾と見紛う速さで振られた刃がバトルアックスを受け流そうとし、彼女自身もその体捌きでこの衝撃を躱そうとする】

【しかし、やはり質量差は大きかったようで。少なからず、その手応えを感じられた大男が笑う】
【が、その表情は次の瞬間には消え失せた】


ぬぅっ――――!!!
(見るのと実際に受けるのとでは、全く違う……何たるスピードだ……!!)

【踏み込みと同時に生み出される剣の閃光が、無数に眼前に展開する】
【バトルアックスを盾に使い、あるいは弾きあるいは受けてその猛攻を凌ごうとする】
【“容易だが、対処を必要とする”連撃。その意図に気が付くのがもう少し早ければ、あるいは"本命"をも叩き潰せただろうか】


ぐがっ――――!!!

【そう、連撃の終わりに放たれた渾身の刺突、彼女の信念そのものともいえる切断概念を秘めた刃】
【装甲すら容易く貫き通すであろうほどのそれが、バトルアックスを掻い潜って大男へと伸びた】

【柊の手に、肉を貫く感触が伝わるだろう。身長差からか、その切っ先が捉えたのは大男のわき腹】
【重要臓器までは何とか避けていたが、決して軽くはない傷をそこに刻まれた。苦鳴と共に、傷口から血が押し出される】


ぐ……があああああああ!!!

【大男の反撃。瞬時には引き戻せないであろう刺突の直後、そこを狙うべく大男が動く】
【わき腹の傷がさらに裂かれようと意に介さず、その巨躯を大きく前傾させたのだ】

【顎が外れるほどに大口を開け、ずらりと並んだ鋭い歯と赤黒く太く、長い舌がそこから覗く】
【見れば、わずかに血液がそこから逆流している。必殺の刺突の影響。小さくないダメージが表れている】

【その状態で、大男が放ったのは噛みつき攻撃。狙うは柊の右肩。剣士の命ともいうべき腕の動きに影響を与えんがため】
【しかし、刺突のダメージにより、その動きは先ほどにもまして遅い。回避、反撃、対処は容易なはず】

【加えて、仮に噛みつきが成功しても、その力はすぐに抜け、柊の腕が牙に囚われ続けることはないだろう】
【わき腹からの出血が、勢いを増したのだ。ここを凌げば、その巨体を的とし得る確かな隙を見出せるはずだ】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/14(土) 01:28:25.72 ID:Qln+cwDl0
>>124

 ハア…ハア…、見たかよてめえ

【リヒトは苦しそうに、だが不敵な笑みを浮かべる】
【自分の目論見が成功しただが、まだ少女は膝を突いてはいない】

 なあ……まだやるってのか
 そうかい…ならやって…やる…

【リヒトにもダメージはある、あのわざとの一撃はリヒトにとってもつらい一撃だった】
【だが、引きはしない膝もつかない、意地だ意地があるのだ】
【だからこそまだ引き下がれはしない】

【そして少女の一撃が来る、だがリヒトはその斬撃がきれいだとそう思えた】
【だがこの攻撃をくらうわけにはいかない、だからこそ体を強引に動かし回避する】
【だが全身を切り刻もうとする斬撃をリヒトは何個かはうけた】
【口から血を吐きながらも、切られたところからも血が出ているが、耐えた】

 ごふっっ!……切られるなあ…
 …だが……この程度でたおれねえよ

【リヒト血を吐きながらも、そのように苦しそうだが言った】
【そしてその後の言葉をいおうとするが】

 …ああそうさ……まだ終わっちゃあ…
『リヒトさん至急後退を!、前線が突破されました!』
 ……そうか…
『敵兵士たちがそちらへと移動中、岸から飛び降りてください!、回収準備はできています!』
 …わかった……そいうわけだここで撤退させてもらうぜ…

【そのように言うや否や、すぐさま最後の力を振りしぼり全力で走った】
【そしてそのまま崖から躊躇なく飛び降りた】
【そしてその飛び降りたあとにローター音が聞こえるだろう】
【姿あらわしたのはヘリであった、だが武装は積んでいない、そしてそのままリヒトを回収したヘリはこの戦場を離脱するだろう】

/強引ですがここで〆ますね
/お疲れ様でした
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/14(土) 01:45:18.57 ID:yxBK54Ls0
//むむ、谷山の方がどうやら何か事情があってか落ちてしまったようです
//レラの方、どうしますか?こちらはこのまま続行でも持越しでもどちらでも構いません!
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/14(土) 01:52:06.95 ID:AbUMcLdco
>>121

【唯刃流の流れるような動き―――その全ては体幹部にある。そして今焼け焦げる痛みが奔るのは脇腹。腹筋部分は体幹、即ち―――】
【……影響は決して小さくないと言う事。万全なら避けられるその拳が、瑛月の頬肉にめり込む。フル駆動した肉体が放つ衝撃が、瑛月の全身に一瞬で駆け巡った】
【―――宙に舞う身体、そして草原に背中から落ちる。もし床がコンクリートなら骨が折れていたかと思うほど高く、そして遠くに跳んだ】

……〜〜〜〜っぐ……!! かはっ……ッ、クソ……!! 嫌な所に……貰ってしま、った……!!

【直ぐ様転がってから立ち上がるのだが、余りの衝撃に身体が一瞬ふらついた。視界のブレも多少見られる。絶大なパワーを持つ敵の一撃を受けたことは、二重の意味で痛かった】
【焼ける痛みが長引くのを噛み締めて感じれば、自然と焦りが湧いて出てくる。確かに長期戦になるほど不利。だが、冷静さを失っては本末転倒】

―――っふゥ……ハァ……ッ……!!

【深い呼吸は丹田を意識しており、乱れた心を落ち着かせ瞳の刃を鋭く研ぐモノ。痛みを集中力で薄めんとし―――そして、身体が前へと滑り出す】
【未だ微動だにしない動きは健在。瞳は「今度は此方の番だ」と言わんばかりの覇気を放つ。相手は力はあっても技術は無い筈。ならば素人に見切られにくい技を仕掛ける】
【……相手は剣を持っている。ならば―――】

……―――疾ッッ!!

【瑛月は苦痛に顔を歪めながらも袈裟を振り下ろす。速度はやや落ちているものの鋭い、のだが―――間合いが遠すぎる】
【相手が2歩程踏み出せば届く所で振り下ろした為、勿論のこと剣が切り裂いたのは虚空でエンジン男ではない。……見た目は明らかなる隙だろう。目の前で振り下ろしを外したのだから】
【―――だが、コレは罠。よく見れば解るのだが……重心がやや後ろに残ったままであり、足幅も狭く腰もやや高い。つまり、二撃目の準備を既に一撃目の時点でしているということ】
【コレに気付かず、「しめた」と思い仕掛けたのならば―――唯刃流の身体操作も相まって素早く切り返された切上が襲い掛かるだろう】
【……その時刃が狙うのは、瑛月に斬りかかろうとして伸ばされた手。―――この技、「影祓」と言う唯刃流の技の一つである】

【もし見抜いて直ぐに反撃しようとしなかったのならば。最悪の場合、一呼吸置いてから反撃を仕掛けられたのなら―――更なるピンチが、瑛月に襲い掛かるだろう】
【―――リスクは高い。だが不利なこの現状、リスクを追わずしてひっくり返すのは難しい。覚悟の詰まったフェイント複合技が、「影祓」なのだ】

/気付かなかったです……すみません……!
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/14(土) 01:52:17.18 ID:lj1NkIb6o
>>127
/こちらはまだ時間がありますので、続行していただければ!
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/14(土) 02:01:55.88 ID:lj1NkIb6o
>>129
/うおおすみません、今気づいたのですが、よく考えたら明日になれば谷山の方が戻ってくる可能性もありますよね
/そういう意味では、やはり一度持ち越しにした方がいいかもしれません…………どうしましょう?
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 02:18:52.29 ID:Zj+HJfZ2o
>>128
【肉の焼ける匂いと、拳に伝わる殴打の感触がエンジン男・マサツネをさらに興奮させる】
【長髪の隙間から覗く鉛色の瞳が悪意に輝き、吹き飛んだ瑛月に向けて叫ぶ】

「なんだ、すぐに立ち上がりやがって!!! 俺の拳で殴られてもちっとも効かねえってアピールか!!」

【自分自身の焦燥感に立ち向かいつつ、呼吸を整え冷静さを保つ瑛月とは正反対に】
【マサツネは己の被害妄想に浸り切り、更なる理不尽な怒りを爆発させていく】
【エンジンがさらに唸りをあげる。もともとは貧弱な身体のマサツネが戦闘を展開するのに、エンジンを作動させるこの怒りは必要不可欠であるのだ】


「なんだあ、その目は!!? まあだやる気か!!! さっきほざいてた使命とやらのためか!!?」
「どこまで俺をバカにするつもりだ!! 俺を貶めて、てめえは正義の剣客気取りか!! その目をやめねえかあああああああ!!!」

【彼の予想通り、エンジン男は剣技という点では素人同然。この男は剣士ではない、刀を得物に使う盗賊だ】
【盗みと殺人の心得はあっても、剣技の心得は薄い。剣士として能力者と戦うことを極限まで高めた唯刃流に、及ぶべくもないのだ】


「ハッ、なんだなんだ、剣士様ともあろう男が、間合いを見誤ったか!!! 人を見下しやがるからこうなるんだ、ざまあみやがれ!!!」

【虚空を切り裂くその刀、閃く銀光を鉛色の瞳で睨みつつ、エンジン男は踏み出した】
【エンジン男の最大の弱点は、戦闘においては常に冷静さを欠いた狂戦士でなければならないことだ】
【極度の被害妄想が生み出す怒り、それが付き動かすエンジンの力なくして、貧弱な身体を戦闘可能な段階に押し上げることは出来ない】

【故に、こうした高度な罠には非常に弱かった。何の考えもなく、ランニングシューズで踏み出して】
【瑛月に凶刃を振り下ろそうとした、まさにその時。「影祓」が一閃。闇を裂いて駆けあがった】


「ぎゃあああああああああああああああああああ!!! いてえ!!! いてえちきしょおおおおおおおおああああああああ!!!!!!」

【銀の軌跡が通り過ぎた後、汚れた鮮血の赤がそれに彩を添えるかの如く散った】
【彼の覚悟を秘めたフェイント複合技、「影祓」は完全に決まった。エンジン男の腕から血が垂れ流される】
【どうにか、刀を取り落すには至らずに済んだが、すぐに追撃を行える傷でもない。痛みに叫びながら、エンジン男が後退る】


「こ、こんのクソ野郎あああああああああ!!!」

【後退しつつ呪詛の言葉を吐き散らしていたエンジン男の口が、突如としてすぼまった】
【膨らんだ頬、溜められる腹圧。次の瞬間、エンジン男の口から一本の細い針が飛び出した】

【含み針、と呼ばれる暗器。刀を使えなくなった時のための隠し玉だったのだろう】
【先ほどと違い、熱は帯びていない。命中しても、対したダメージにはならないだろう】

【相手の追撃をけん制するための、苦し紛れの反撃だ。しかし、狙いは正確】
【「影祓」を放ち終えた瑛月の右太腿を狙って、鉛色の針が飛来する】

/お気になさらず!!
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/14(土) 02:18:56.14 ID:yxBK54Ls0
>>129>>130
すみません、佳境ですのでやはりこのまま進めたいと思います

谷山の方は他の敵と戦っていた、気絶していたなど自己補完をお願い致します

>>120

―――フン、所詮は年端もない子供………絶対的な力の前には抗えなかったか
………だがそれでいい、それこそがこれからの世界で必要な感情なんだ………それさえあれば

もう、争いなど………ッ!?

【レラが樹木の闇へと消えていくのを確認して、消えていく気配から逃走を図ったのだと考え、笑う】
【そして笑いながら両手を広げて勝利を確信し、残った谷山へと攻撃を集中させようとした瞬間―――ッ!】
【完全に慢心したその背中、左肩、右脚へと手裏剣が深々と突き刺さり、鮮血がしたたり落ちる………!】

【フリードリヒは歯を喰いしばりながら手裏剣が飛んできた方向を睨み付け、そして絶叫するッ!】

この………ッ!クソガキガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!
舐めた真似を………!しやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ―――!

              姿を現………せッ!『火薬玉』ッッ!!

【激昂しながら手裏剣の飛んできた方向へと布で包まれた球体を投げつける、その球体はある程度進むと】
【まるで花火のように火花を散らしながらはじけ飛んだッッ!そして一時的であるが周囲は明かりに包まれる―――】
【それによってレラの場所を把握し、未だ健在の10匹の黒い巨大クモをその場所へと飛び掛からせるだろう】


―――これで終わりだ………全てを無貌神の力に飲まれて朽ち果てろ………!

今、ここに旧世界の神が君臨する………!出でよ、≪邪神降誕=竅\――ッ!!!

【そして同時にフリードリヒは天を仰ぎ見て、狂ったような表情を浮かべながら………魔導書から最大限の魔力を解き放つ】
【解き放たれた魔力は………そのまま夜空へと登っていき………そして、フリードリヒたちの頭上の空間が歪み、そこに孔≠ェ開く】

【―――それは、かつて夜の国を襲った………蛇王≠フ引き起こした災厄に酷似していた………だがそれとはまったく別のモノだ】


クック………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!これが力だッ!

世界に平和をもたらす圧倒的なまでの力の顕現なのだよッ!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!


【フリードリヒは狂ったように笑いながら天に空いた孔≠見る………そこから現れるのは………巨大な肉塊。】
【無数の人々の苦悶に満ちた表情が刻まれた、瘴気にまみれた巨大な肉塊が天より落下してくる…!】
【その大きさは数十mはあるだろうか………触れた物を全て腐敗させる魔の肉塊が、辺り一帯を飲み込まんとしていた】

【これを消し去るには………術者であるフリードリヒを斃すほかないが―――果たして異形の肉塊を超えて刃を届ける事が出来るか―?】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/14(土) 02:31:02.49 ID:yxBK54Ls0
>>126

………ハァ………ハァ…く、そ
まだ、だ………まだ終わるわけには………いか………な、い

【攻撃を終えた後、既に致死量を超えつつある出血量でもフラフラと歩き、リヒトに刃を向けようとするが】
【ヘリに乗って離脱をしようとする相手を追う事は叶わず、そのまま地面へと倒れこみ―――相手を無気力に見送る】
【ゴポ………と、無理に体を動かした反動からか口から血の泡を吐きだす。】

斬華様………申し訳ありません―――どうやら私はここまでのようで………す。

                どうか―――ご武運を。

【そして………意識が遠のいていく………国軍が駆けつけた時には既に少女は失血死していた………。】
【―――後日、そこには一つの拙い墓が設けられており、櫻の国の花がひっそりと供えられているのだった―――。】

//お疲れ様でした!ありがとうございました!
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/14(土) 02:41:23.64 ID:AbUMcLdco
>>131

……ああ、そうだ―――重み≠ェまるで無い……全く効いて、……っゴホッ、いないなぁ……ッ!!

【身体はふらつき背は曲がり、肩を上下させながらも瞳は鋭く、放つ言葉は挑発。……効いていない筈がない。滑る動きにもブレが出ており、滑らかさを失いつつある】
【―――やはり重く伸し掛かるのは、灼ける脇腹。痛みでは殴られた一撃が勝るも、腹部はある意味唯刃流の弱点。……厳しい傷が、じんじんと響いていた】
【しかし身体が追い付かぬとも、精神(こころ)で追いつけば良い。前時代的な考えは櫻の武術らしさを感じさせ、現代では馬鹿にされるが―――】
【……今迄何度も精神だけで剣を振るってきた。そうやって瑛月は修羅場をくぐり抜けてきたのだから―――今回も、そうするだけである】

「ざまあみやがれ」……か―――その言葉……そっくり返すッッ……!! 
無能力者を、唯刃流を嘗めるなよ……―――。

【―――そして精神で振るった刀が、悪に一撃を与える。後退を追える程状態が良くない為追撃を諦めるのだが、敵は後退と同時に飛び道具を放っていた】
【……細い針。この針は間に合うどころか、見えなかった。頬に食らった重い一撃が視界を揺らした為か、未だ瑛月に見える世界はぼやけていたのだ】
【―――そのような朧な世界では、細い針の存在に気付くことは至難の業。……不意に右太腿へと襲い掛かる鋭い痛みに、一瞬右膝が落ちた】

……くそッ……小細工は悪党らしく得意―――という訳か……!!

【つまり片足立ちに近い状態。この状態から素早く動くことは難しい、即ちまた隙が見えたことになるが―――】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/14(土) 02:42:15.07 ID:J+Rut7pi0
>>125

……あなたと戦った“正義”の人が、私には一人の仲間だった。
聞き出そうとしてるのなら無駄よ――――……貴方は、ここで撃滅する……!!

【強い言葉――――正義想う様に。戦いを、“その先”を求める様に疾走してゆく、】
【“正義”。粛清者もまたそうだと信じて。恐らくは真相に到らせる事無きその呼称を、彼女は、其々の理想への意志として用いていて】
【だからこそカニバディールの言葉は琴線に触れた。】

【ギリ、と音をたてて澄んだ双眸に浮かぶ怒り―――――他者を踏み躙ることを当然と語る彼の言動は、柊には許し難いもので】

(……それで済むなら、容易いけれど――――――――)

【“身を刻まれる程度”――――その沈黙は言葉よりも雄弁に、そんな概念を紡ぐのだろう】
【失えぬ想い。幾度戦おうとも。……だからこそ、此処で立ち竦むことは許されずに―――――その存在は燃焼する、】

……はぁあっ―――――――――!

【数えきれぬ斬撃を重ねながら、大斧一つで凌ぐ膂力を感じる五感が状況への理解を深める。……この攻勢が、一度の反撃で崩れることも。】

【やはり一撃の重さ・体躯からくる圧迫感が凄まじい。“斬撃”に限ってのみその細腕は熾烈でも、そもそもの膂力に、彼とはかなりの差があった】
【直撃を受ければただ一度でも致命的だと―――――斧の操作と肉体の変化を、何よりも警戒すべき脅威だと意識に置いて】
【遂に突き出した刺突の一撃が、異形の巨躯を捉えた。……だが、その深き穿傷が皮肉にも柊の動きを止めていた。】

【刀身を引き戻すも間に合わない。覆い被さる様に傾ぐ影が、見開く黒曜の双眸に影を落として】

――――――……ッ、く、ぅぅっ、ぁ……ぐぅっ―――――――!

【引き戻しの所作――――その事前段階の体幹の捻りを、体重移動と併せて僅かに狙いを外させて】
【……だが、それは次善の一手だったのか。肩口に深く噛み込まれ、呼吸すらもままならない圧力に一瞬挟み込まれる結果を生んでいた】

【……苦悶の音色はどこか抑えた響き。拘束が解かれれば、蹴り出す様に下半身の動きで廻す左脚が、拘束の終わりに右脛に向かう。】
【それが届けば、彼の躰を足場に放つものは上体への斬撃―――――】
【弧を描いて左足と擦れ違い、(彼女から見て)左から右へと横切り、男の胸を断たんとするだろう】
【肺を狙った斬撃だった。だが、臓器を両断するほどの“深さ”ではない。ここまでの攻防から考えられる相当の耐久力には、致命傷とはならない筈と柊は考えて】
【肉体の構造が未だ分からなかったが、“完全に入れば”ある程度の威力が想定される。だがその前提が崩れた際には、その総てが不十分で―――】

【……このまま剣の間合いを保つことも、戦斧の殺傷圏内を逃れることも叶わないのだろう。 】
【柊は、斬撃の手応えと生み出せた隙の大小から追撃の準備――若しくは一旦退避を狙うのだが、斬撃の入り方次第ではそれすらも困難になる】
【“蹴り”の段階で反撃を察すれば、この距離からの一閃にも対処は可能か。そうなれば、左手での斬撃を凌ぎきり、カニバディールのさらなる反撃は/退避は、より早く成功に到るはずで】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/14(土) 03:00:31.60 ID:lj1NkIb6o
>>132

【手裏剣の着弾を木陰から見届けると同時、レラはあることに気づいて心の中で舌打ちをする羽目になった】

(たにやまの、けはい≠ェない――――ちっ!)

【フリードリヒにやられてしまったのか、それとも何らかの事情で戦線を離脱したのか――――】
【木陰に潜んで息を殺すレラに、それを確かめる術はない。ただ一つわかるのは、これでまたひとりに戻ってしまったという事だけ】
【――――レラとしては、このまま奇襲戦法を続けるのが一番安全だ。だがフリードリヒもそう甘くはない、いつまでもは通じないだろう】
【いつかは真正面に躍り出て、決定的な一撃を下す必要がある。その為には、何としても隙≠伺わなければならなかった】

――――ちぃッ!!

【そして、その瞬間は――――レラが予想していたよりもずっと早く、やってきて】
【フリードリヒが飛ばした火球が弾ければ、レラに光から逃れるすべはない。いくら忍者として優秀でも、影までは消せない】
【心の中でした舌打ちを現実でも打ち放つと、すぐさま行動を開始。再び両手に刀を抜刀し、一気に走り出す】
【一瞬遅れて、十匹の蜘蛛が襲いかかってくるだろうか。まともに相手をして勝てる数ではない】
【レラはとにかく素早く移動して狙いを付けさせないようにし、対応できるものにだけ対応していって…………】

あ、あれは――――あのときと、同じ…………!?
――――ぐあっ!!

【襲ってくる蜘蛛を刀を交差させて受け止めながら、レラは真上に空いた孔≠ニ、堕ちてくる肉塊を認識することとなった】
【蛇王の喚んだ、冥府の穴――――あの死の化身が作り出した地獄の直中に、この少女もまた居たのだ】
【その時は、彼女の所属する部隊の隊長を含む数名の能力者たちの活躍によって、その孔は閉じられたと聞いていた】
【刀を握る手に、嫌な汗が滲む。その動揺を突かれ、蜘蛛の力に負けたレラは大きく弾き飛ばされて木に叩きつけられてしまうだろうか】

(ま……………まけちゃ、だめだ…………たたかわないと――――)

【目の前には、十匹の蜘蛛。そして真上には、孔と肉塊。とても少女一人の手に負える相手ではなかった】
【――――だが。彼女の中の、忍者としてのなけなしの根性が、かろうじて心を繋ぐ】
【戦わないと、抗わないと――――死ぬ。その残酷な現実を直視するだけの心根だけは、例え実力が伴わずとも、しかと叩き込まれていた】
【幸いと言うべきか、この事象には前例≠ェある。彼女の兄貴分があの孔を閉じたときと同じ事を、すればいい】
【すなわち、術者を。フリードリヒを倒す。それが出来なければ――――レラは、本当に死んでしまう】

/了解いたしました&続きます!
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 03:03:36.92 ID:Zj+HJfZ2o
>>134
「てめえ……てめええええええええええ!!! 許さねえ!! 許さねえぞおおおおおおおおお!!!!!」

【その姿を見れば、瑛月に入ったダメ―ジが小さくはないことはわかるはずだ。しかし、エンジン男の意識は挑発への怒りで埋め尽くされている】
【彼の脇腹を焼いた最初の一撃が、思った以上に功を奏していたことにも、気が付くことは出来ない】
【唯刃流の生み出す流麗な動きを土足で踏みにじった己の不敬に思い当たることすらなく、ただ怒りのエンジンを唸らせる】

【精神(こころ)。エンジン男と、薄藍の剣士との最大の差がおそらくそこなのだろう】
【汚れ切ったエンジン男の精神に対し、澄み渡る彼の精神は、エンジン男をはるかに凌駕する「武」を生み出す】


「嘗めるなよ、だとお……!? 舐めてんのはどっちだってんだよ、クソガキャアアアアアア!!!」
「なあにが無能力者だ!! 持たざるものでもここまでやれるんだって見せつけてえってか!!! そうして、俺をさらに見下そうって魂胆か!!!」

【エンジンが唸る、唸る、唸る。耳をつんざく轟音となって、膨大な熱が生み出され、エンジン男の、マサツネの身体をエネルギーで圧迫する】
【先の第二撃によるダメージが尾を引き、ふらつく瑛月の右太腿に、見事含み張りが突き刺さるのを、マサツネの鉛色の瞳が捉えた】
【快哉を叫び、さらなる罵声を浴びせようとした瞬間。マサツネの右腕の傷から、勢いよく血が噴き出した】


「あああ!!? なんだあこりゃああああああ!!! くそったれ、止まらねえええええ!!!!!」

【エンジンの出力が高まりすぎて、傷口を自ら押し広げる結果となったのだ。身体の内側からの圧力に押され、さらに血液が失われていく】
【朧の世界がマサツネにも襲い掛かりつつあった。右手の刀を必死に左手に持ち替え、掲げる】


「くっそおおおおおおおおあああああああああああ!!! あちいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

【その熱された刃を、傷に押し当てた。肉が焦げ、傷が塞がれていく。出血はどうにか停止したようだ】
【しかし、それによって瑛月の隙は完全に見逃されている。今、隙を晒しているのはエンジン男・マサツネのほうだ】
【瑛月のように罠を張る余裕などあるはずもない、明確な隙。しかし、怒りに満ちたマサツネが反撃してくるリスクもあるだろう】

【この状況をどう捉えるかは、瑛月の判断にゆだねられることになる】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/14(土) 03:03:49.62 ID:lj1NkIb6o

――――やる…………やるしかないんだっ…………!!

【あの時の蛇王は、死への渇望≠材料にあの孔を開いていたが――――いまのこの少女に、それはきっと無いのだろう】
【眼前に迫った死への恐怖をバネにして戦い続ける、そんな正義≠ニしての力が、この幼い少女にも確実に根付いていた――――】
【必死に心を保ったレラは、目の前の蜘蛛に向けて突進。攻撃を交わしつつ、その蜘蛛とフリードリヒとが直線上に並ぶ位置へ転がり込むと】
【…………こん、という音が、蜘蛛の横腹に響くだろうか。蜘蛛が避けなければ、その腹には爆弾≠ェ投げつけられていて】

ッッッ――――――――!!!

【直後、その爆弾は起爆――――目論見が成功すれば、蜘蛛は爆風でフリードリヒの方へ吹き飛んでいくだろう】
【そしてそこには、陰≠ェ存在する。吹っ飛ぶ蜘蛛の後を追い、その大きな体躯を傘にして身を隠しながら、レラは疾走していくだろう】
【自身の最大の持ち味である、速さをだけを頼りに――――肉塊が堕ちるより速く、ひたすらに疾く――――ッ!!】

くら、ええええええええええええッ!!!!

【そして、フリードリヒに接近できたのなら。レラは両手に構えた刀を腰だめに構え、その胴体へ全力で刺突を繰り出して】
【…………否。攻撃のその瞬間、レラの瞳が光を発する。今までに何度も見せた、前動作のない武器交換!】
【振り下ろした刀が掻き消え、その手は空に――――今回の異変は、足≠ノ起こっていた】
【突進の勢いをそのままに、レラは跳躍。空中で一回転して勢いを付けると、右足で強烈な踵落としをフリードリヒの肩口へ叩き込むだろうか】
【ただの踵落としではない――――その踵には、先程鎖鎌に使ったのと同じ鎌の刃≠ェ取り付けられている――――!!】

【蜘蛛を使って攻撃のタイミングを掴ませずに接近し、更にその攻撃の直前で武器を交換するという、周到な二重のフェイント】
【振り下ろす刃付きの踵落としは、直撃すればこの戦闘に終止符を打てるだけの威力が確実にある】
【非力な少女が全力で張った最大限の攻勢は、果たしてフリードリヒを止め得るのか――――?】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/14(土) 03:11:58.00 ID:lj1NkIb6o
>>138
/死への「渇望」じゃなくて「欲動」ですた…………肝心なところで間違えたorz
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/14(土) 03:26:03.23 ID:yxBK54Ls0
>>136

―――あの時と?あぁ夜の国で六罪王が起こした事象の事を言っているのかッ!
ハハハハハッ!残念だがこれはあれとは似て非なるモノだ、これは異界の神≠フ住まう空間さッ!

みたまえこの神々しさを………全てを飲み込む巨大さをッ!トリガーとなる精神感応など必要ないッ!
永遠に全ての飲み込み続ける………神の降臨なのだ………ガハッ!?

【両手を広げ、狂気に眼を輝かせながら説明する―――確かに、開いた空間の孔℃ゥ体は似ているが】
【放たれるオーラは全くの別物だ………っと説明していたフリードリヒが突然激しく吐血を始めるッッ!】

【理由は簡単だ、あの六罪王のレギンでさえ強力な器と、1000人もの人々の死への欲動/デストルドー≠ェなければ維持できなかった孔≠セ】
【いくら協力な魔導書のバックアップがあるとはいえ、人が一人で維持できるものなどではない………術者の肉体は瞬時に枯渇する】

―――ッしま!!
おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!

【フリードリヒが苦しんでいる間に爆弾によって吹き飛ばされたクモが飛来し、その陰に隠れたレラが目前に迫る】
【怒りに満ちた表情でフリードリヒは波動銃の引き金を引こうとするが、それよりも先に刺突が胴体へと深々と突き刺さるッ!】
【そしてその一撃によってフリードリヒがよろけた瞬間………肩口へと強烈な、鎌の刃を纏った踵落としが繰り出され】

【フリードリヒはそのまま地面へと叩きつけられ―――血反吐をまき散らす―――。】
【まるで芋虫のように惨めにもがきながら、フリードリヒはレラを睨み付けながら………口を開く。】

なぜだ………なんで邪魔をするんだ………?
私は………世界に平和をもたらそうと―――絶対的な力による統治を齎そうとしたのに―――。

………ク、クク。貴様らの正義とやら………彼≠ノどこまで通用するか、見もの……だ………な。

【それだけ言い放つと、フリードリヒはそのまま動かなくなった………限界まで魔力を絞り出された身体はまるでミイラのようだ】
【頭上を見上げれば出現しかけていた孔≠ニ異形の肉塊≠ヘ跡形もなく消滅していた―――規模も小さかったため余波もないだろう】

【インカムへと耳を傾ければ各地でも勝利の報告が相次いでいる………GIFT≠フ目的は不明だったが】
【こうしてリーダー格の一人を斃す事も叶った………いままで蹂躙の限りを尽くしたGIFTへの反撃の狼煙となるのだろうか………。】

【―――じきに救護班は到着する、次なる戦いへと供えて………今は休むべきだ。】

//これにてこの戦闘を〆とさせて頂きます、お二方ありがとうございました!
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/14(土) 03:28:35.32 ID:AbUMcLdco
>>137

貴様の咆哮には何も感じない―――……!! そこらへんでキャンキャン吠えている犬と全く変わらないなぁ……ッッ!!
―――っぐ……そんな輩に負けてたまるか……!!

【苦痛に満ちた声が漏れているのだが、何故か其れでも何処かに力強さを感じさせる。必死に見開く瞳に灯る炎は、寧ろ輝きを増している】
【―――言うなればこの意志の炎が、肉体が疲弊する今の瑛月で言う「エンジン」なのだろう。この焔が肉体に神秘的な力を与える。能力ではないが、不思議な力を与えるのだ】
【この不屈の意志に乗っかるは女神。相手に振りかかる異変は、此方に流れが来ている証拠―――右膝の震えが止まり、瑛月は強く柄を握り締めた】

……貴様には、この言葉を贈ろう。―――「Cool Head,Hot Heart.」
冷静な頭脳と秘めたる熱き想い。其れが在って初めて修羅場を制することが出来る……ある馬鹿ガンマンの言葉だッッ!!

【体を大きく前傾させながら右足を踏み出し、下から上へと一気に右手の刀を切り上げた。狙いは持ち替えた左手―――此処一番の鋭い剣閃は、最早理論ではなく気合が支えていた】
【……「燕牙」。唯刃流の技でも基本的な斬撃の一つ。躱されたとしても、牙はまだ残っている。直ぐに左を踏み出し、振り切った状態から突きを中段に下ろす】
【その場合は丹田の部分へと鋭い突きが襲い掛かるであろう―――この二段構えが即ち、「冷静な頭脳」。そして―――】

―――うぉぉおおあああああああああッッ!! …………―――燕牙ぁぁぁぁぁああああッッッッ!!

【この咆哮こそが、中邑瑛月が正確無比で自由自在な剣閃に秘められた熱き想い―――!!】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 03:36:15.69 ID:Zj+HJfZ2o
>>135
“正義”と刃を交えたことは数知れないが、さて誰のことだ……?
……残念だ。是非とも知っておきたかったのだが。致し方ない、お前を始末してその魂に聞くとするよ

【正義の意志を持って、先へ先へと疾走する彼女の言葉に、相対するはどこまでも暗く澱んだ声音】
【粛清者の名には至ることはなく、ただ柊の意志はさらに加速していく】

【自らの言葉が、彼女の地雷を踏んだのも気に留めはしない。一つ目がその双眸の怒りを捉えるも、動じることはない】


(向こうも、こちらの脅し文句など意に介さず、か。覚悟を固めた相手程、厄介な輩もそうはいない……)

【柊の沈黙の意味するところは、はっきりと伝わる。その身を切り刻んだくらいで、彼女の覚悟は折れはしない】
【かの粛清者すら、その思想を変化させられたほどの信念、燃焼する存在が放つ生命の輝き】

【そこから放たれる無数の斬撃は、カニバディールの巨体を完全にそこに釘付けにする】
【いくつかの斬撃は、それを掻い潜って巨体に細かい傷を刻んでいたが、大男の耐久力はやはり高いらしく、意にも解さない】
【最後に放たれた刺突が大穴をカニバディールに穿つ。それが、功を奏する結果となった】
【生ける伝説と言ってもいいほどの偉大なる剣客、その身を味わった食人鬼は一瞬痛みを忘れて破顔した】

ぐ……ククク……素晴らしい味だ……お前の肉は、最高の美味だぞ……
全て、食らってしまいたい……


【ここに至っても、身体操作をやめることのない柊の見事な動き、それゆえに狙い通りとはいかずとも】
【確かな傷を肩に刻み込むことに成功し、鮮血を滴らせながら吐き気を催すような言葉を垂れ流していく】

【だが、そんなことをほざける余裕も一瞬の事。抑え込んだ苦悶の声に続いて、右脛を踏みつけられる感触】
【敵の身体を踏み台にする、というアクロバティックな動き。それに続いて、空中で弧を描く彼女の雄姿】


がふっ……!!!

【斬撃、一閃――悪党の血の花が咲く。カニバディールの眼に移る、自分の視界の右から迫りくる刃】
【咄嗟に、胸部の肉を膨張させてのガードを図る。肉膨張による高い防御力は、この大男の強みの一つだ】

【しかし、速度は柊の領域である。膨張のスピードを遥かに上回る一撃は、わずかに肺に達することになった】
【巨躯が、崩れかかる。呼吸が荒くなる。体内の肉が蠢いて、傷ついた肺に応急処置を施すも、そのダメージは甚大だ】

【膨らんだ肉を斬る手応えは、普段の感触とは異なる違和感かもしれないが】
【"完全に入った"ことを柊に伝えるには十分だろう。追撃準備も退避も可能なだけの時間が生まれるはずだ】


グゥ……さすがは、八攫 柊、だ……
これほどのものだとはな……
互いに傷は深いらしい……そろそろ決着といくかね……?

【反撃もなく、退避もなく。カニバディールはゆっくりとバトルアックスを振りかぶった】


……このバトルアックスは、お前もよく知っているであろう、レギン様の作品だ……
その秘めたる力、とくと御覧じろ――!!!

【叫びと共に、カートリッジに組み込まれたマギタイトが一際強い光を放つ。その刃に、光が纏わりつく】
【元六罪王が一人、レギンの作り出した逸品。『神滅の轟腕/タイタニック・ノア』 】

【刃全体に、カートリッジに組み込まれた物質の属性を付与することによる、破壊力の増大が可能な代物】
【邪悪な意志を乗せた刃が、横に薙ぎ払われようとする。柊から見て、左から右への軌道】


【大ぶりな一撃は、柊がアクションを起こさない限り、振り抜かれるだろう。柊を狙ってではなく、地面を狙って】
【元より、ダメージを受けてさらに鈍くなった動きで、まともに彼女を狙うつもりはなかった。破壊力を増大したうえで、狙うは地面】
【平原の地面を抉り飛ばし、柊へと散弾銃のように飛ばして面攻撃を仕掛ける腹積もりだ。マギタイトの補助を受けた一撃は、相当な威力で地面を凶器に変えるだろう】

【この一撃を放ち終えた後は、肺へのダメージに耐え兼ね、その巨躯が膝をつくことになる。その成否に関わらず】
【バトルアックスの一閃を放たせる前に潰すか、地面からの面攻撃に耐えうるか、いずれかを成し遂げれば、軍配は柊に上がるはずだ】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 03:59:34.82 ID:Zj+HJfZ2o
>>141
「犬――てめえ……てめえ、俺を犬呼ばわりしやがったか……? 犬だとほざきやがったかあああああああああああああああああ!!!!!」

【苦痛の中にあっても、なお力強さを失わぬ瑛月の声に対し、マサツネの声には身勝手な怒りしかない】
【ここに至って輝きを増してすらいる彼の瞳、彼の「エンジン」に対して、マサツネのエンジンは急速に出力を失いつつあった】

【その不屈の闘志、折れぬ心が能力に勝るとも劣らない力を彼に与え、勝利の女神すらそこに味方する】
【含み針のダメージから立ち直った瑛月が、今、最後の一撃へと動き出す――!!】


「言葉を贈るだああ!? 余裕ぶりやがって、何様のつもりだあ!! その馬鹿ガンマンってなあ、ボスの喉をぶち抜いた野郎のことか!! そんなやつの言葉を使って、俺への当てつけか!!」
「あーあーあー、どうせ俺は冷静さとは程遠いよ!! だが秘めたる熱き思いだとお!!? そんなもんで何が出来るってんだ、この――!!?」

【気高き信念を、熱い思いを秘めた言葉に、変わることなく勢いの衰えた蒸気と共に吐かれる罵詈雑言】
【それが最後まで続くことはなかった。左の持ち替えた刀が、振るわれることはなく。気合の咆哮と共に、剣閃が放たれる――!!!】


「ぎあ……ぐぎゃああああああああああああああああ!!!!! あ……ゲホッ!!!!」

【最初の苦鳴は、驚異的な気合で支えられ、熱い想いと共に放たれた「燕牙」が】
【マサツネの左手を切り上げた際のものだった。片方の傷を塞いだ矢先に、もう片方にも傷をつけられる】
【あるいは異形どもの副首領であったならば、むしろ望むところであったかもしれないが、マサツネにとっては苦痛以外の何物でもない】

【続く苦鳴は、二段構えの周到な攻撃、放たれた第2撃である中断よりの突きによるものだ】
【咄嗟に、後ろに飛び退いたために、丹田へ深く刺さるには至らなかったが。その切っ先は、確かにマサツネの腹にめり込んだ】


【後ろへと数歩。左手と腹部から血を流しつつ、マサツネが後退る。攻撃を終えたであろう瑛月に、鉛色の瞳が向く】
【傷ついた左手を上げ、刀が振り上げられる。まさか、まだ動けるのか――?】

「……げふっ……」

【漏れ出たのは、その一言だけだった。口からわずかに血を吐いたマサツネの左手が、力なく垂れ下がる】
【エンジンが停止し、その身体が急速に萎んで元の貧相な身体に戻っていく】

【痩せこけた体躯が、そのままぐらりと崩れ落ちて。平原の地面に倒れ込むだろう】
【強靭な意志の刃が、邪悪な盗賊を見事打倒したのだ】

【まだ息はあるようだが、完全に戦闘不能。もはや、立ち上がることもままならず、エンジン男・マサツネはそこに横たわることだろう】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/14(土) 04:12:53.03 ID:lj1NkIb6o
>>140

【踵落としが肉を引き裂く感触に、レラは強く顔をしかめながら耐えて――――残る左足でフリードリヒの肩を蹴り、それを引き抜こうとする】
【それによってレラの体は真後ろに宙返りし、地面に着地することとなるだろうか】
【ぐらりと揺らぐフリードリヒを視界に捉えると、レラは素早く頭上を確認する。そこに――――レラの命を脅かすものは、無くなっていた】

…………はぁ、はぁ、はぁ…………っ!

【最後に一度瞳が輝き、足に取り付けられていた鎌の刃が消え失せれば…………全身の力が抜け落ちた】
【目前に迫っていた死≠フ重みが、今更になってレラを襲う。呼吸も整えきれず、レラは地面にへたり込んでしまうだろう】
【そこにあるのは、自分の死≠ヨの恐怖だけではない――――血をまき散らすフリードリヒから発せられる同じ臭いが、レラを苛んでいた】

…………いかいのかみ≠セとか、ちからによるとうち≠セとか、わたしには、よくわからない…………。

けど…………かみさま≠チていうのは、きっと人をすくってくれるもののはずだ。
ちから≠ニいうのは、人をまもるためにあるもののはずだ…………!

【断末魔じみたフリードリヒの声に、幼いレラが返せる言葉は少ない。涙を溜めた少女に、彼の末期に相応しい台詞なんて選び取れるはずもない】
【だから、フリードリヒが聞いたのは――――とても純粋な、子供の言葉。世界に満ちる怨念を知らない、希望に満ちた言葉だったはずだ】
【その綺麗事のような言葉が、彼にとって良いのか悪いのかはわからない。けれどそれが、いまのレラが心に秘める正義≠フ原型であった】
【やがて――――神≠ノ魔力を略奪され、ひとりの少女によってその身を切り裂かれた男は、動かなくなるのだろう】


イスラ…………みんなも、いるのか?
うん…………おわった。てきは、たおした。
…………はやく、きてくれ…………おねがいだ。

【しばらくの間、レラは何も出来ずに地面に座り込み、ただ呆然としていたが――――】
【場に満ちる空虚を引き裂いて、無線機の受信音が鳴り響く。仲間たちの声が、そこからは流れ込んできて】
【――――限界であったのだろう。見事大役を果たしてみせた忍者≠ヘ、しかしぽろぽろと涙を零して弱々しい声を上げた】
【無線機の声が大慌てで少女に声を掛け、後ろの方でばたばたと慌ただしい音がする。救護班は、じき手配されるだろう】

【その声が、少女に涙を流させている間は――――きっと、この少女が闇に落ちることはない】
【いまは、自分と相手、二つの死の重さに押し潰されそうになっていても。淡黄色の瞳が、乾くことが無くても】
【忍者というのは、汚いものだ。だから恐怖に立ち向かうための意地汚い根性もまた、少女は持ち合わせている】
【いつかまたGIFTの手が伸びても、少女は泣きながら立ち向かっていくはずだ。こんなに小さくても――――正義≠ノは違いないのだから】

(……………かあさま、とうさま、にいさま…………。
 いのち≠ニいうのは、こんなにおもたいんだな……………)

【身も心も、全身全霊を使い果たして。夜凪レラは、フリードリヒ・ザラシュトラの血潮の匂いを確かに感じながら】
【まるで神にでも祈るかのように、祭壇の前で膝を突いて、ただ空を見上げているのだった】


/お二人ともお疲れさまでしたー!!
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2013/12/14(土) 04:30:42.75 ID:AbUMcLdco
>>143

何が出来る―――だと? ……今していることが出来るのだ……肉体を精神が凌駕することが出来るのだ―――!! 憎しみに満ちた剣に勝利は訪れない……その事を思い知れッッ!
……そして忘れるな。この中邑瑛月が居る限り……GIFTもカノッサも。―――どんな悪にだって好きにはさせない……ッッ!!

【渾身の「燕牙」、そして二撃目の突きである「燕爪」。―――燕の軌道のごとく跳ね上がった剣閃が悪を切り裂き、そして急降下した突きが追い打ちを掛けた】
【消耗し切った瑛月の肉体は、最早剣を握ることすら危うい状態だった。ふらつきながらも刀を仕舞えば、瑛月は振り向き相手に背を向ける】

【―――だが、エンジン男は立っている。刀が振り上がる。―――振り下ろされれば大惨事だが、瑛月本人はその先を知っていた】

……貴様の精神(こころ)では肉体を支えられん。 ―――もう終わりだ……ッグ……ッ……カハッ……!!

【両膝に手を付かなければ立っても居られない状態であったが、瑛月はそう言い切った。その束の間、ドサリと倒れこむ音が静かに響く】
【―――マサツネが力尽き、戦闘不能に陥ったのだった。瑛月は嗚咽混じりに2,3歩歩めば、力無く崩れ落ちる】
【……終わった瞬間に緊張の糸が切れたのか、魔法が解ける。精神で動かしていた身体が、本当に言う事を効かなくなる。疲弊はそれ程までに募っていた】

―――……くっ……うまく動かないか……―――!! ……連絡を、しなければ―――

【倒れながらも何とか携帯を取り出して、救援と報告を掠れた声で行う。携帯が震えた手から零れ落ちたのなら、彼が「盾」として出来る役割は終わった】
【―――強靭な腕力も能力も無い。ならば磨いた技と……折れない精神。彼の刀「御代櫻」と、折れない精神という2本の刀でこれからも戦い続ける―――】

/これで〆にさせてもらいます! 遅い時間までありがとうございました!
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/14(土) 05:38:58.26 ID:eUfewn8v0
>>142

【破顔。血肉への欲求。返せるのはただ拒絶の言葉。……ほんの僅かに、その終わりに彼女を繋ぐ絆を感じさせて。】

……っ……はぁっ……お断りよ。嬉しくも……ない……ッ――――
……それに。
私を喰べていい人なら決まってる――――……あなたに、満足な食味はあげられそうもないわね。

【……顎に囚われてからの一閃は男の胸に確かに届いた。異様な感触ではあるが、その手に確かに伝わって】
【一撃から生まれたのは好機だが、柊が選んだのは退避だった。……不可解ではある。】
【これだけの手応えが得られたならば、追撃に賭けて隙を狙うのが最良だった筈だ。それを行わなかった事は、それだけ柊の消耗が激しいという事―――】
【……浅い繰り返しばかりの呼吸。けれど、回復の余地はなくて】
【自らを圧するほどの“力”を感じると同時、大斧はさらなる力の漲りとともに構えられて――――終わりへの言葉が紡がれる、】

【決着への誘い。櫻の剣士として、戦士として、今も戦おうとする柊の価値観に合致したのだろう】

……悪く……ないわ。あなたを打倒するのに賭ける命なら、賭けた先で気持ちよく眠れそう――――――

【――――――迷いはない。終わりへと赴く疾走であっても、“己が死なないのなら死は訪れない”。】
【死へと駆ける自らを越えて、“生きる”戦いを少女は望んだ。】
【……“これが、果たすべき道である限り”。砕けず、逃げず、圧し折れもしない――――――!】


【戦斧の拡散する一撃に血が撒き散らされて、肉も骨も全身が千切れそうな悲鳴を上げる。破砕された地盤が圧倒的な重量を以て、黒と白と濃藍とを撃ち据えるだろう】
【けれど、命は途絶えようとしない。明滅する視界のなか、未だ絶対的な悪意で彼女を映す単眼だけを捉え続けて】
【少女は唯一の活路――――――嘗ての平原が覆わんとする前方の虚空へと身を躍らせた】

【叫び。声はない。ただ、その存在が最善の一手となり致命傷を負うことを妨げた。】
【時の停まった様な一瞬。物理的に潰えかける意識にあるのは、“果たす”ための思考と、仲間との/共闘者との/友との誓いが守る、“生きる”意志だけだったのだろう】
【男の単眼を標に体勢を調整して。交差した一瞬にその右脚を、空中よりの回転降下に伴う斬撃で、最後に斬りつけようとした】

【機動力を奪い、撤退を封じる目的があった。だがその瞬間に如何なる結末を迎えようと、“断つ”のでなく“絶つ”事―――彼の殺害は不可能で】
【その結果こそが望みだったのだろうが、肉体を操る異能を有するならば、そこからの反撃は恐らく、そう難しくない】
【斬撃の末に彼女が降り立つのは、カニバディールの僅かに2、3メートル後方―――もはや立ち続けるだけの余力すら定かでない少女の細身は、振り返る事すらも一つの苦難で】

【……消耗は、何を生むのだろうか。あとは、彼が何を望むのか、その先に如何なる出来事があるのか――――頽れようとする躰は、覚悟と事象の繋ぐ結末に身を委ねて】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/14(土) 05:41:20.50 ID:eUfewn8v0
/こんなに遅くなった挙句、脱字までして…orz…すみません、なんだかもう言葉もないです……

>>146
【破顔。血肉への欲求。返せるのはただ拒絶の言葉。……ほんの僅かに、その終わりに彼女を繋ぐ絆を感じさせて。】

【破顔。血肉への欲求。返せるのはただ拒絶の言葉。……ほんの僅かに和らぐ声が、その終わりに彼女を繋ぐ絆を感じさせて。】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 06:08:03.31 ID:Zj+HJfZ2o
>>145
「ぐ、が……俺に、勝てるってか……バカに、しやがって……」
「好きに、させねえだと……何様の、つもり、だ……」

【倒れ伏したまま放つ言葉も力なく。エンジン男が倒れる前に背を向けるその姿は、映画のワンシーンのようだった】
【精神(こころ)で負けた。完膚なきまでの敗北の前に、エンジン男の罵倒も最早続くことはなかった】

【瑛月自身も限界を迎えたようだが、彼は立派に「盾」としての使命を成し遂げたと言えるだろう】
【彼の二本刀の前に、異形の盗賊如きが叶うべくもなかった――】


>>146
ク、ハハ、そうだろうな。私に肉の感想を聞かされた相手は、みんな同じ反応をする……
しかし、すでにそんな相手はいたとは……その相手が羨ましいよ。まったく、私は美食家ではないが、本当に最高の味だ……

【軽口をたたきつつも、カニバディールの消耗も限界に達している。崩れそうな巨体を必死に支えている】
【だが、それは柊も同様らしい。好機を犠牲にしてまで退避を選択したのは、互いに身を削り合った結果なのだろう】

【損耗の激しいまま、されど戦いの場は止まらない。自分の投げかけた終焉への導きの言葉に、彼女が同意を示したならば】
【迷うことなく、切っ先を向けるその姿を単眼で捉え、なおも醜悪に笑う】


言ってくれるな……確かに少々、私の方が分の悪い賭けではあるが……
命のやり取りは、どう転ぶかわからないぞ……?

【生きるために、少女は駆けることを選んだ。それを食らうために、大男は迎え撃つことを選んだ】
【折れぬ信念が紡ぐ道。澱む悪意が生み出す道。両者の魂が、交錯する――!!】


(……攻撃は、通っている。奴の身体は削られている。激痛のはずだ。だというのに――!!!)

【砕けた地盤に襲われながら、なおも折れず、止まらず、途絶えず。柊は駆ける。虚空へ向かって】
【声なき叫びが空間を切り裂き、致命傷を免れた彼女の刃が、彼女の歩んできた軌跡そのものが、そこからもたらされる意志が】
【一閃。交錯の瞬間、肉の化け物に成す術なく。カニバディールの太い右足が、派手に血の噴水をそこへ描き出した】


――――見事

【回転降下、そこからの斬撃。崩れ落ちるより先に、彼女の刃が届いていた】
【ただ一言を漏らした後、機動力をほぼ失った巨体が崩れ落ちた】
【邪悪な命はまだ、繋がっている。しかし、異能を用いた反撃もままならなかった】

【蠢く肉が、全身の傷を覆って止血を試みてはいるものの、それも限界がある】
【苦痛に耐えて振り返れば、そこに彼女の今宵の勝利の証が、倒れ伏す敵の姿があるだろう】

【少女の覚悟が、異形の盗賊の頭を、下して見せたのだ】


【二人の異形が、集落の中心に醜態をさらす。両者とも、もはや動けまい】
【瑛月の呼んだ応援が来れば、彼らも捕縛されるだろう】
【が、そこに響いてくる音があった】

/続きます
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 06:10:34.09 ID:Zj+HJfZ2o
>>ALL
【大型車の走行音。巨大なタイヤが、平原の地面を踏みしだく音がこだました】
【盗賊団『スクラップズ』。彼らの退却の際の常套手段。所有する大型車両による兵員輸送】
【今回も、その手段を用いたらしい。集落に点在する"ゲル"の間を縫って、大型車は倒れ伏す異形どもの近くで停車した】


<ホッホッホッホ、お迎えでちゅよおおおおおおおおお>

「……中邑瑛月に、八攫 柊。その名も高い二大剣士か」
『また、とんでもねえ連中に当たっちまったもんだな……俺ら、こういう時の相手運がないんじゃねえのか?』

【運転席に座っているのは、ピンク色の装甲に身を包んだ巨体。その頭部は小さい赤ん坊のもの】
【その膝上に乗るのは、リルのついたピンクの乳児服を着た、赤子ほどの大きさしかない老人だった
【運転手の赤子頭は、この老人のマインドであるらしい。老人の頭から頭髪の代わりに生えたコード群が揺れる】

【助手席で二人の剣士を見て驚きの声を漏らすのは、一人分の身体に二つの頭と四本の腕を持った、異形の男たちだった】
【ほっそりした顔に白い長髪を後ろで一つに束ねた向かって右の頭と、がっしりした顔に黒い短髪をボサボサに乱した向かって左の頭が】
【交互に言葉を発する。その身を包む中央で黒と白に色分けされたスーツの両胸には、それぞれNo.50≠ニ刺繍されていた】


なんてことだ!! あの偉大な剣士二人に斬られるなんて、羨ましいぞボス!! マサツネ!!
その痛み、私にも分けてくれ!! ああ、この場で斬られてみたいよ……

〔刀による痛みと、そうでない痛みの違いがどこにあるのか。実に興味深い問題だ〕

【続いて、荷台から顔を出した二人。支離滅裂なことを口にしながら、しっかりとそれぞれが銃を握って、剣士二人を威嚇している】
【先に言葉を発したのは、ストレートの長い銀髪に女学生の制服らしいブレザーを身にまとった少女だった】
【その顔・首・四肢、露出している肌はすべて真っ青。青い肌の少女。その異形もさることながら、苦痛を自ら望む精神。彼女もまた、異形】

【続いて、妙なところに興味を抱いて見せるのは、惑星や天体の画像をプリントしたタートルネックのスウェットスーツを着た男だった】
【のっぺりした顔立ちの男の頭蓋は額の上あたりで断ち切られ、剥き出しの脳味噌は透明なカプセルで包まれている】
【そのカプセルと脳味噌を貫いて頭頂部に刺さっているのは、先端の尖ったアンテナだった。見開かれた目は、二人の剣士からそれることなく】

【グロテスクな異形のオンパレード。これが、カニバディール率いる盗賊団、『スクラップズ』だ】


ぐ……来たか……助かったぞ、危ないところだった……
お前たちの勝ちだ、剣士たちよ……我々は退散させていただこう……

最後に捨て台詞だけ置いていかせてもらおう。我々、盗賊団『スクラップズ』は、受けた恩も屈辱も決して忘れない
これから先、お前たちか我々全員のどちらかが死ぬまで、我々はお前たちをいつまでも付け狙う……

お決まりのセリフで締めるとしよう。暗い夜道は後ろに気をつけろ……
我らは、いつも闇の中に潜んでいるぞ……

【惨めな敗走のセリフであることは間違いない。だが、そこに秘められた執念は本物だ】
【すでに報復に燃えている異形どもの瞳は、二人の剣士を睨みつけ続けた。一瞬ながらも、濃密な時間が流れる】

【やがて、全員が一斉に目をそらし、速やかに撤退を開始。助手席から降りた二つ頭がカニバディールを、荷台から降りていたアンテナ男がマサツネを】
【それぞれ助け起こして、速やかに荷台に運んでいく。その際、奪った物資の一部だけ、持てる範囲の物も同時に運んでいたのは、さすがに盗賊というべきか】

【唯一、青肌の女だけが銃を向けたまま剣士らを威嚇し続ける。その目は二人の剣へと向けられ、それがもたらす苦痛を想像して興奮しているのか】
【青い頬を紅潮させて恍惚とした表情を浮かべていたが。やがて、荷台に二人が積まれれば、青肌女もすぐに踵を返した】


【大型車が唸りを上げ、瞬時に方向を転換してその場から走り去っていく】
【後には、おぞましき悪意の残り香。そして、ほぼ無傷で残された集落と物資】

【正義の剣士たちは、見事異形の盗賊どもを撃退した。彼らの意志が、この場を守り通したのだ】


【アビス平原南部・旅人の集落での戦い――勝者 八攫 柊&中邑瑛月】

/以上で締めとさせていただきたく!! 遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました!!!
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/14(土) 06:15:55.95 ID:Zj+HJfZ2o
>>149
/訂正です

/その膝上に乗るのは、リルのついたピンクの乳児服を着た→その膝上に乗るのは、フリルのついたピンクの乳児服を着た


>>147
/どうかお気になさらず!!
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/14(土) 13:03:12.72 ID:2JuijP+Oo
【とある寺院】

【黒木造りの伽藍、其処から望む白砂の庭園には、折からの細い雨が降っており】
【木戸と襖を開き切って、その光景を一望できる廊下の柱に凭れた和装の人影が一つ】

――…………

【それは黒の紋付羽織に袴姿という、櫻式の喪服に身を包んだ線の細い男だった】
【肩口で切り揃えた白髪に漆黒の彼岸花を差し、切れ長な目は深い葡萄色】

【腕を組み、柱に背を預けて遠くを見る男は、思案に暮れているようだった】

……――「UTに来い」?
はッ……阿呆ちゃうんか、あの女

【そう吐き捨てて、溜息を吐く。再び静寂に戻った境内に、静かな雨音だけが流れていた】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 19:24:22.30 ID:T3unKgk30
【噴水公園――噴水のすぐ傍】
【スポットライトのように向けられた街灯の明かりと、膨らんだ月明かりの降り注ぐ中】
【主役めいて照らされるのが、今しがたざあと水を吐いた噴水と、そこから放射状に拡がる水路と、ひとかげひとつ】
【さらさらと水の流れていく音が夜に響いて――ただでさえ寒い中を、余計に寒々しくしている気がした】

――――、

【そんな中にそっと混じりこむ声音、ささやかな水音を伴奏にして鼻歌を紡ぐのが、しゃがみ込んだ影の主】
【細く流れる水路に何か細工か悪戯でもするように手をやって、何かを押しやるようにして、それでやっと立ち上がった】

……ほら、お行き。

【――促されるままに水路をつぅと滑るもの、櫻のほうで笹舟だなんて呼ぶもので】
【壁にぶつかりぶつかり向かうのは、公園の中を走る人工的な川の入り口、取水口まで】
【水路を塞ぐ落ち葉や枯れ枝を避けるのに難儀しながら行くのを、やがて落ちるのを見れば、満足げにひとかげは笑い】

野良猫でも居ればいいのにな……、……。

【薔薇を縫い取った刺繍のヘッドドレスと、真っ黒色の髪は二房の三つ編みに結われて】
【左の眼窩には黒色が、右の眼窩には赤色が、互い違いにはめ込まれて。覗いた右耳には宝玉のピアスをあしらっていた】
【袖の拡がる黒色のブラウスに締めたコルセットと、真紅色のミニスカートと。素足は厚手のタイツに隠されて】
【爪先をまるく隠し込むのが底の厚いストラップシューズ。最後にマントと呼ぶべき長さで身体中を隠しこんだ、少女】

【暇になったのだとひとりごちながら言葉通りを探すように視線が辺りを撫でる、ころりとした靴の音が仕草に追随した】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/14(土) 19:41:01.77 ID:2JuijP+Oo
>>152

――……随分と、冷え込んで来たようだね。
長らく屋敷に籠り切りだったから、まるで気が付かなかったが――

【語り掛ける言葉と共に、少女の傍へと歩み寄る背高の影があった】
【白皙の貌をした若い男――彼女の、血縁も無い“父親”】

【腰程の長さの紅茶色の髪、左右で瞳孔の開き幅が異なるオリーブ色の目】
【神父然とした祭服の上から、厚手の丈の長い外套を羽織っている】

【彼女の流した笹舟へ目をやると、彼は微かに口角を上げて微笑んだ】

手袋を持ってくれば良かった、かな?

【その手には濃褐色のファーが握られていた。マフラーを持たなかった彼女へ、という事だろう】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 19:53:19.43 ID:T3unKgk30
>>153

【――声よりも、姿よりも、真っ先にその存在を知らせてくれたのは気のせいとも思える微かな感覚で】
【誰にも見えない糸で繋がったふたりだからこそ、ここに居ると、そこに居ると、きっと気付けたのだろう、強い確信】

【気付いてしまえばあとは早かった。そっと瞬きしながらふいと振り返る、そうすればそこには間違いない姿があった】

……――お父さん。

【篭りきりだったのはこちらも一緒。日のない国で寒いのは当然のことと分かるはずなのに主張して、閉じこもった怠惰】
【けれどひとつきふたつきも経てば流石に飽きたように外へ出るようになったのが最近のことだった。そんな余談は】
【ふわふわと真っ白い吐息を吐き出す向こう側で笑う蕩けてしまいそうな笑みに飾られて、さもどうでもいいことのように】

ううん、

【ことんとちいさな足音がひとつ、ふたつ、みっつ、彼のすぐ傍までたどり着くまでは、数度ほどが繰り返されて】
【やがてたどり着いたなら。きっと渡してくれるファーを受け取って、けれどいかにも適当に首にかけるだけ】

――、……お父さんと手繋ぐからね、いいの。

【さっさとその手を開けてしまおうとしていたらしいと言葉を聞けば気付けるだろうか、そっと伸ばす手は】
【冬の寒さに中てられて冷え切っていたけれど――繋いでくれるなら、もっともっと嬉しそうに、笑うはずだった】

【――どちらにせよ。「どうしたの?」と窺うように見上げる視線は変わらない】
【ここまで来てくれたことを不思議に思っているように首を傾げて、けれど確かに嬉しそうに】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/14(土) 20:07:13.28 ID:2JuijP+Oo
>>154

【ファーを手渡すも、二の次とばかりに掛けただけであったのに僅かに苦笑して】
【きちんと彼女の首へ巻き直してから――伸ばされた手を取って、絡めるように繋ぐ】

じゃあ、こうして歩こうか。少し話したい事があってね……――

【伺うような視線に気付いたのだろう、さり気なく切り出したのはそんな事だった】
【繋いだ彼の手は同じく冷えてはいたけれど、彼女より幾らかは温かい】

【そのまま、公園の外へ足を向けるだろう。近くの、葉も落ちかけた銀杏の並木道へと】
【勿論、彼女が此処に留まりたいなら、それに合わせるはずで】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 20:22:15.04 ID:rk0k9lDX0

【酒場】
【場末の衆俗的な喧騒の中、カウンターの一番隅、壁に寄り掛かるようにして独りジョッキを呷る女】
【降ろした銀髪で顔の半分を隠し、店内でもニット帽とマフラーを外さない】
【酔いと店内の暖房で上気した頬を晒しながら、コートの前は一番上まできっちりとボタンを留めていた】


しかしこの装備…それなりに値が張るとはいえ、今日はその事実を改めて思い知らされたな…
次の仕事、失敗でもしたら間違いなく特大の赤字だこりゃ


【底の見えたジョッキを端にやり一息。煙草を嗜むでもなくあからさまに物憂げな溜息を一つ付く】
【眉をあげて、顔の前に掲げられたのは白銀に光る己の右手。金属色を帯びた手袋(グローブ)は値の高価よりも一層冷たい気配を帯びていて】


今夜は深入りする前に切り上げるとするかね。 ――――あ、マスター、生追加をお願い


【懐具合の寂しさもあるが、前回の仕事の失敗と言い不安事項はまだある】
【その不安を誤魔化すように締めのビールを注文して、再度目線を己が右手に戻すのだった】
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 20:29:27.55 ID:T3unKgk30
>>155

【ぐると首へ“きちんと”ファーが掛けられる、その間彼女は大人しくされるがままとなっていて】
【擽ったいという風に瞳を細めたのがほぼ唯一の反応といえた。巻かれたばかりの毛先に吐息の粒を実らせて】
【ようやく繋いでもらえた手に指を絡めて先ほどよりもずっとずっと満足げに、わらった】

……? うん、

【すっかりそうすることにも慣れた手は、元はひとつだったんじゃないかと思わせるぐらいに馴染んで、暖かくて】
【その言葉にはやはり不思議そうに瞳を細めながら――確かめるように指先でぎゅうぎゅうと繰り返す仕草、繰り返す】
【やがて歩き出す頃合にはそんな仕草もやめるだろう、三十センチの身長差を楽しむように、身体を寄せて】

どうしたの? おうちじゃ出来ない話、?

【真っ白な頬が寒さに中てられて真っ赤になっていた。いつも家で見せる表情とは違って、あたらしい色彩】
【その話の内容が気になるのだろう、彼の顔を覗きこむようにしながら――教えてと視線ばかりが強請る言葉を紡ぐ】
【尋ねておきながらも家で出来ない話とは。思いつかなかったのだろう、緩やかに首を傾げていて――】

【――彼女は当然のように大人しくついていったから。ふたりで歩くだろう並木道、既に葉のだいぶ減った光景】
【地面で茶色くなりつつあるのを蹴り蹴り進む中、彼がそのことについて話してくれるのを、ただ静かに待っていた】

【(少し前の彼女ならば不安に取り憑かれてしまったかもしれない、とは。もう関係のない余談でしかない)】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 20:50:01.21 ID:T3unKgk30
>>155>>157
/すいません、次遅れます……
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/14(土) 20:57:37.94 ID:2JuijP+Oo
>>157

【家で出来ない話かと問われると、ほんの誤差の範囲で彼の顔が強張ったように見えた】
【それはこういう場を借りなければ言い出せなかった、と裏付けるもので】

――……この間、君から酷い目に合わされたと言う男がいてね。
SCARLETの、ロウという男。心当たりはあるかい?

【出来るだけ傷付けずに伝えたいが、会った事実を伏せて話すのは誠実ではない】
【彼女の前で嘘は付きたくない。かと言って怯える表情も見たくない。そんな葛藤が其処に在った】

確かにあの若者は、余り気に食わない態度と顔をしていたから……実に、ね。
……苛立つ気持ちも、とても良く理解できる。命を奪う程の相手で無いと、判断した理由も

【当の本人がもしその場にいたなら此処で一戦起きていただろうか、とは余談】
【兎に角――普段、彼は余りそういう人を貶める冗談を言う人間ではなかった】
【(この件で相手から強気に出られたことを根に持っている、というのはあるかも知れなかったが)】

 【やり取りの中で鈴音に起こった事が、彼女の過去にあるだろう事をロウから聞き及んでいた】
 【彼は切欠となるその点を、彼女の為に敢えて暈していた――前に別の男がいた事。それは、此方も同じなのだから】
 【宝玉を欲して始まった事であるのも、自尊心に関わらないよう、あえて触れずにいるようで】

【一息つくと、彼女を視線の合わないギリギリの範囲で見つめて目を細め、安堵させるようにして微笑んだ】

前に……リリアが私達の前に立ちはだかった。もう、あんな思いはしたくない
その為には、敵を作らない様に、注意する必要がある

殆どの場合、此方から噛み付かなければ、噛まれる心配は少ない
良い子の鈴音は、……私の言う事、分かってくれるかい?

【他人を害してはいけない。要点をまとめるならば、そんな内容だった】
【「噛みたいならば、私だけに」――きっと気負ってしまうだろう相手の心情を払拭するように、そんな事を悪戯っぽく添えて】
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/14(土) 20:58:31.35 ID:2JuijP+Oo
>>158
/おっと、了解しました。お気になさらず
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/14(土) 21:06:53.15 ID:KFSIgHFk0
>>148-149

……だからこそ。敗北を想う理由もない――――――

(―――――――……砕け散るなら、その先で。“果たす”事だけを想い続ければいい――――――!)

【死を覚悟して選択した“生”への疾走。全霊ゆえに、“終わり”の恐れは鑑みられる事さえもなく意志の灯に消えて】
【宙を舞う躰が刃を振りおろせば弧を描く刃鉄――――羽根の様にそれを生んだ濃藍が降り立てば、】
【掠れた視線で映すのは、崩れ落ちる単眼の巨躯だった。……振り向けば、身じろぎひとつしないその姿に、激戦の終幕を理解する。】

……はぁっ……はぁっ……、っ……――――――  

【極度の緊張状態。戦闘に集中しきった意識は、ようやく僅かばかりの呼吸を取り戻して】

【瑛月が自らの務めを果たす声が、そこから始まる追憶にはあった。“救援”―――恐らくは盗賊団の男たちを捕縛するための増援も含め、この場に間もなく到着する筈だと――――】
【――――そう、ふっと考えた矢先だった。大型車両が特有のエンジン音を響かせ、振動が新たな転調の訪れを紡ぐ】
【“二人”が“六人”に数を増す、】

(―――――ッ!?)

【幾つもの声、声、声、声、声――――――異界に迷い込んだかの如く展開される怒涛の光景に、意識は半ば圧し破られる様に衝撃を生んだ】

【頭痛―――そんな言葉では言い表し様もない、禍々しい現実に侵食されて歪む視界。吐き気すら伴う狂気は夜気を満たして】
【もはや継戦能力の尽き果てた柊には、それは圧倒的な光景だった。残る限りの意志力を振り絞り、踏み出さんとしたが、肉体は、それ以上の酷使には従わずに―――】

(…………ッ)

【臍をかむ瞳はけれど現状を堪えきる、】

……何度でも、道を違える度に相手になるわ。
その噂が聞こえたとき。その悪意が誰かに触れたとき。私は、幾度でもあなたたちの狂気を断つ……――――――

【去り際の言葉にそれだけ応じて、異形の盗賊団を見送った。襤褸の様に刻まれた消え入りそうな姿をして、けれど誇り高くさえある迷い無い瞳で。】

【全員が揃ったスクラッブズを相手取るのは、今の彼女にはまず望めない。それは、彼らには絶好の機会であった筈で】
【……彼らが撤退を選んだのは、救援部隊を警戒したのか。その意味でも、瑛月の存在は、彼女には単純な戦力以上のものがあったのだろう】

【……盗賊団全員が去ってからも、彼らの姿のあった辺りに、柊は、暫く視線を置いたままだった】
【思うのは、今宵と意味を等しくするひとつの闘争。心に這い寄るのは、“機関”に於いても一層異彩を放つ昏き影。】
【――――『スクラッブズ』。彼らの異形とそれすらも上回る異様な悪意は、柊の心に深く刻まれたのだろう】

(……勝てたのは、“今夜だから”か。それでも勝利には違いないけれど――――)
(……今夜は、ゆっくりと眠りましょう。GIFTとも、“機関”とも未だ戦いは続くんだから)

【果たされた正義は尊く、護れたものは“人”の営みゆえに真冬の平原でもどこか暖かく彼女らを包んで―――――】
【けれどそれで終わりにならないことは、誰の目にも明らかだったのだろう。勝利と一夜の安らぎは、この夜を彩る様にそっと、“次”の訪れまでの穏やかな静寂を守った】

/結局この時間に……orz
/遅くまで本当にお疲れ様でした……! ありがとうございましたっ!
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/14(土) 21:07:39.57 ID:1elPd/s3o
>>156

【酒場】

【不意にドアが開く。賑やかな跳ねまわるような喧騒と暖気が外へ溢れ】
【代わりに、冬の静かな荒れまわる寒気と1人の男性客が入ってきた】

【夜だというのに黒いレンズのサングラスの背の高い痩せた男だ】
【古臭いカーキのミリタリーコートを着て、黒いスーツに黒いシャツ、白いネクタイで】
【今日ほど寒い日でもコートもジャケットもボタンを閉めていない。茶のアタッシェケースを持っていた】

……どうも、マスター。……ぬるいギネスを1パイント。それと、ジャズはかえてくれ

【カウンタに着くなり、マスターに対して慣れたように不思議な注文をする】
【若いしゃがれ声の男はカウンタに座って。ポケットから煙草の箱とオイルライターをカウンターの上に置く】

【そうすれば店主は灰皿とビールをグラスで、それと何通かの”封筒”を彼の前に置いた】
【そして、誰も聞いていなかったであろうスウィング・ジャズはオールディーズのリズムアンドブルースに変わる】

【カウンタの男はビールを一口飲んで、手紙の入った封筒を軽く目を通してから】
【煙草を一本取り出して咥えた。ライターを擦るが…中々点かない。】

………チッ。…なあ!ライターか……マッチ無い?

【男は店主に声をかけるが…店主は他の客の相手にしているのか見当たらない】
【バツが悪そうに火のついていない煙草をくわえたまま立ち上がる。誰かに火をもらうつもりか】

【その時タイミングが悪くカウンターの近くを酔っぱらいが通りかかった。軽く肩が接触する】
【その際に封筒が1つカウンタの縁から落ちて、スルリとそちらの足元の方へ落ちていった】
【何の変哲もない縦長の手紙が入っているだろう軽い封筒だ。ただ、宛先は”Dear ROSSO”と書かれていた】

ああ……悪い。…ちょっとその下のヤツ…取ってくれないか?………それと火ぃ持ってない?

【火のついていない煙草の男は近づいてきてサングラスの下の顔をはにかみつつそう言った】
【関わりたくないだろうが、手紙ぐらい取らないと違和感を持たれてしまうだろう】


/まだ居らっしゃるでしょうか?!
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 21:33:20.03 ID:rk0k9lDX0
>>162


【注文を待っていると額の髪がふわりと揺れる】
【奥側に居ても辿り着く寒波に、思い出したように一度身を震わせる】


さむっ…


【マフラーの位置を再度手直し。新たに現れた客が店側と話すのを景色の一つとして傍観していると】
【泡立つ黒ビールがカウンターに置かれたのを目の端で捉える。どちらかと言えばBGMの調子が変わった事の方が思考の的であったが】
【いずれにせよ関心を強く牽引されるような大事ではない。椅子に掛け直して己のジョッキを待ち続けていると】


ん……あぁ、あるよ。


【声を掛けられて、反射的に身を屈め。下から拾い上げたのは何の変哲もない様な紙の其れ。指の間に挟んでくるりと回す】
【懐から差し出したのはオイルライター。露店で買ったブランド品の贋物であるが、嗜好品ではなく専らアクセサリとして持ち歩いていて】
【封筒の上にその火付けを重石に添えて、カウンターに軽く滑らせる】


変わった葉巻だな。 何処の原産だい?


【およそ酒場で扱うような品ではないように思え、横目で其れに注文を付ける】




/おります
/あまり遅くまでは居られませんが、宜しければお願い致します
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 21:37:32.82 ID:T3unKgk30
>>159

【簡単に言ってしまえば浮かれていたのだろう、ふわふわと上機嫌で歩く速度は、いつもよりも】
【ふたりで篭りきりでべたつくのとはちょっと違った味わい、偶然みたいに出会ったあとの特別な感じ】
【――だから。誤差みたいな表情の変化には気付けなくて、自分が何をしたのかも、覚えていない風ですらあった】

――…………、……しってる。

【かつん、石畳を蹴っ飛ばすような足音が躓きかけたように詰まって、一瞬のあとで元通りのように歩き出す】
【会ったのか。だとしたら何を話したのか。その名から連想されていくことは、ひどい目ということは、つまり?】

【――ずっと覗き込むようにしていた視線が逸れた。それは視線がかち合うのを防ぐのとも違う、逃げに近い仕草】
【何を知られたのか考えるような時間がいくらか横たわって。けれど考えて分かるわけもないなら、苦い瞬きひとつ】

でも……わたしのこと撃ったの……、――みたいに……、

【触れないようにしてくれるなら、こちらからだって触れないのは、少しだけずるくて、怖がりで】
【相手にされたことを真っ先に報告するのだって、そう。自分の非を軽くしようとするようで、ずるいばかり】
【苦い苦い珈琲を飲みほすように気まずくて足が鈍る。結局はその後立ち止まってしまうだろう、俯いて】

……、……、――――、ごめん、なさい、……。

【ひどく嬉しげだったのが翳ってしまう、大きな丸い瞳が俯いた先でそっと潤んで、瞬きが多くなる】
【それでも繋いだままの手にぎゅうと力が篭められて――やがて消え入りそうな声で紡ぐのが、謝罪だった】

【いい子だなんて言われたら間違えたって“いいえ”なんて選べなくなる、そもそも彼の言うことを聞かない理由がない】
【彼女にとっての暴力はストレスの発散がメインだった。腐りきった苦しい時間に対しての不平不満の発散が大元なら】
【――そもそも彼が一緒に居てくれるようになってから、必要性はどんどん減っていたのだから。もう要らないのだから】

【ちいさいけれどたしかに頷いた。見えない糸から微かに伝わる感情は落ち着いていて――パニックを起こすことも、ないままに】

/戻りました、
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/14(土) 22:04:47.81 ID:2JuijP+Oo
>>164

【危惧していた程の感情の波が無かった事に、彼は安堵した表情を見せる】
【今までに伝えた数々の言葉は、彼女にきちんと届いていた。心配などしなくても、確りと】

【――泣きじゃくってばかりだったあの子の姿はもう、其処に無い】
【自分の存在理由は確かに在ったのだ。なだめるように、繋ぐ手に柔らかく力を込めて】

……分かってくれたなら、それで良いんだ。悲しむ必要は何処にもない
良い子だね、君は……私の自慢の娘だよ。鈴音――

【娘。その言葉を反芻して、伝えるべき“もう一つの事柄”を強く意識する】
【自信薄だった。真っ当な人の愛し方など、彼女に出会って初めて必要になったのだ】
【それでも――謝罪する勇気を見せた鈴音の前で、自分が怖気付く訳にはいかない】

――……鈴音。もう一つだけ、聞いて欲しい事が在るんだ

【歩いていた足を止める。先程より更に強張る表情を、咳払いで振り払う】
【向かい合うように彼女の前に立つ。拒まれなければ、両の手を彼女の華奢な肩に添えて】

前に……「もう親子なんて止めてしまおう」と、私は君に言ったね
今ここで、本当の意味を――……確りと、君に伝えるよ

【一拍の空白にざあ、と黄金の葉が舞い散る。紅茶色が、風に揺れて踊る】

……――私と、結婚して欲しい
親子を……娘を止めて、私の妻になってくれるかい

【合わせられない真摯な視線が、ただ彼女の返答を伺うようにして、柄にもなく揺らいでいた】

/お帰りなさいませ
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/14(土) 22:06:14.20 ID:1elPd/s3o
>>163

悪いな…………サンキュー

【封筒を受け取って、それを元あった手紙の山にすべらせて】
【男はくわえたままのそれにライターを火をかざして、くるくる葉巻を回しながら】
【ぼふっと煙を吐き出して、ライターの火を消して、元の彼女の元へと同じようにカウンタを滑らせる】

……さあな………社長さんのテーブルにあったんだから…まあ、高級なんだろうさ
…吸うか?……俺はあまり…面倒な煙草は嫌いでさ…。味見の一本ぐらいでいいんだ
煙草はマルボロが一番ってのがわかりゃあそれでいい……そんなもんだからさ

………まー…そうだな、甘いから…南国の出身じゃないか?陽気な味がするって感じ…

【そう言って5本のうち一本抜けた綺麗に収まった箱を同じように滑らせる】
【ジリジリと葉巻の先を焦がしながら、席に戻って手紙を一通開ければ、男はそれを流し読みしていた】
【読めば直ぐに封筒に戻して足元のアタッシェケースを開けてしまう。まるで人目を気にしているかのようだ】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/14(土) 22:20:12.15 ID:Bl3KqrN60
【闇取引が行われ、人身売買も珍しくは無いと囁かれているその廃墟】
【今宵も複数人の男達が集まり、何やらアタッシュケースの交換などを行っていたが――――】
【不意に、耳を劈く様な乾いた音が響き渡る。その数瞬後、一人が胸を押さえて倒れ込んで】
【続けてまた一人、また一人と倒れ伏し、そう時間が掛かる事も無く冷たいコンクリートには血だまりが出来ていることだろう】
【唯一急所を外し、然れど肺を撃ち抜かれて生存した男は焦燥感を露わにして辺りを見回すが…………無慈悲にも、熱を持ったままの銃口がゴリと後頭部に押し当てられ】


「駄目じゃ無いか。何人の悪人を捌いて身体を売った所でボクは見向きもしないしきっと教会も命令を下さないだろうけど
…………君達がその狭い箱に詰めたのが信者なら。そして子供なら、ボク達は君等に裁きを与えなきゃならない」

【目を見開き、その姿を確認するべく振り返ろうとするも――――叶わない。後頭部から侵入した弾丸は額から抜け、その身体も倒れ込むのだろう】
【自身に降り掛かる血を気にする様子も無く。修道服を赤く染める鮮血を拭うことも無く】
【ただ、冷えた金の双眸だけが骸達へと向けられる。まだ僅かに息の残っている其れが居たならば頭を思いっきり蹴り飛ばして首の骨を折り、呻きが漏れているならば弾丸で静め】
【件のアタッシュケースの前に立てば、やっと表情も和らぐのだろう】


「さて…………帰ろうか。君を生き返らせる事は出来ないけど教会に掛け合えば何か出来るかも知れないし――――それに、こんな寒いところでずっと捨てられるのも嫌でしょ?」

【語りかけても当然返事は無い。…………修道女の放った言葉をそのまま取るならば、恐らくは中に収められているのは人間の骸】
【手にとってそのまま帰ろうとするけれど】
【――――先程の発砲音も反響して、思いの外遠くまで聞こえる事だろう。そして血染めの修道服に捨てられたままの骸達】
【もしこの場を訪れる者が居たならば、果たしてどの様に思うか】










【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 22:24:14.32 ID:rk0k9lDX0
>>166


良い心掛けなんじゃないか? 深入りすると限りがないのは、煙草も他の趣味嗜好と変わらないし
あぁ、いや結構。 匂いが付くと見つかった時に怒られるんでね

南国ね…一度は行ってみたいもんだ

【実際には封筒の中身を指して問うたとしても、それを相手が答えるとは期待していない】
【はぐらかされれて当然かと、肩を竦めて、ライターを受け取りポケットへ戻した】
【男が吐き出した煙の行方と、こちらに渡された小さな箱をしげしげと見やり。それから下のアタッシュケースへと目を移る】


闇金に渋々借りに来たみたいな顔してるぜ。 それとも呑む前から二日酔いかい


【吸わないと言った煙草。その箱を指でうろうろと弄ぶ】
【男の方は殆ど顔を向けない。手にしたパッケージの側面に店の灯りを映えさせて】
【皮肉のような、からかいのような言葉を酒気帯びの吐息で横にころがす】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 22:31:55.09 ID:T3unKgk30
>>165

【昔はいろいろなことが怖かった。どんなことだって終わってしまうんだと思えば、呼吸すら覚束なくなった】
【たった今抱き締められる瞬間だけが幸せで、確かで、そんな綱渡りの時期がずっとずっと長かったのに】
【いつからだろう、夜中に泣き叫んで飛び起きることがなくなって。その姿が見えなくても不安がることはなくなって】
【確かに捩くれて歪みながらも、それなのに、普通の子みたいになりつつあった、奇跡みたいなひとかけら】

うん……、……。

【――それでも下がってしまったテンションがまた上がるには少し早い。もう一度頷いて、唸るみたいに声を出して】
【巻いてもらったファーに顔の半分を埋め込んでいた。そんな静かな時間は、ただ、謝ってやり過ごそうというものとも違う】
【それは目の前の彼が一番分かっていてくれるだろう、謝っておけばいいんでしょうなんて、絶対に彼女は、思っていない】
【ずるかったくせに、それは、それだけは、ひどく真っ直ぐで――これからは大丈夫だと、きっと思えるはずだった】

お父さん……?

【聞いて欲しいことがもうひとつあるという。先とは違う、今度の話題に心当たりなんてものはなくて】
【それとも何か続きだろうかと不思議がる、ちらりと窺うように視線を持ち上げてみれば、ちょうどその咳払いと重なって】
【ヘッドドレスで押さえられた前髪の、その向こう側でひっそりと下がる眉があった。少しだけ――不安そうに、揺れて】

……、え

【――その揺れはすぐにもっと大きく揺らぐことになる。不安じゃなくて、確かに驚きに支配されて、変わる表情は】
【どうしたらいいのかを迷いあぐねた結果に曖昧なかたちになってしまったように不確かな色合い、ただ素直なのが手】
【一度驚きに強張ったと思えば慌てる心を反映するようにぴくりと震えて、今度に対してはその心もわたわたと振れていた】

そんな、でも、あの、だって、――、はい……、

【泣きそうに瞬くのとも違う、ぱちぱちと不必要に瞬いては泳ぐ視線は、精一杯になにかを考えている証】
【口を突くのは対して意味のない言葉の羅列ばかりだったけれど、――やがて返事しなければと思い立ったように紛れ込む】
【珍しく不安そうに見える彼とは違って。唇を噛むように笑うのは、今までのどんなものよりも幸せそうに、嬉しそうに】

はい……!

【確かめるように。確かめさせるように。もう一度頷いた声が、冬の中でひどく暖かな温度を持っていた】
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/14(土) 22:46:27.39 ID:1elPd/s3o
>>168

さてな……朝から晩までタバコを吸ってビールを飲んでるんだ
首までつかってんのに空ばっか見てるから気が付かないだけかもしれないさ

【男は今まで吸っていた煙草は灰皿に置いて、ビールを大きくゴクゴクと飲む】

俺はもう南国のバカンスは飽きたところだ…………マスターッ!火ぃくれって!

【そして、今度はクシャクシャのマルボロの箱を取り出して、それをくわえて】
【声をかければ今度は通ったのか、名刺代わりの店のロゴの入ったものではなく】
【お徳用のよく見かける大量に入った馬鹿でかいマッチ箱を彼の前にドンと置いた】
【彼がヘビースモーカーだとバレていることを示すほどの手慣れた扱いだった】

……ふー……。…あわないんだよ…ふかしてるだけじゃあさ。…味はわかっても…落ち着かない
俺らみたいなヘビースモーカーは…ニコチンを求めてんだから…

【しゃがれた声だが何処かとぎれとぎれに話し、角の立たない口調のため声の持つ怖さは半減する】
【男は満足したように次々と手紙を読み進めていく、大きな封筒のものや分厚い包もあった】

……ヤミ金ぐらいだったらそこらじゅうで借りまくってるが返してくれとは言われたことがないね。
まあ……二日酔いには毎朝困らされてるけどね……尖った朝日が憎らしく見えるぐらいには…

【折りたたまれた支払いの詳細が書かれた紙のようなモノをカウンタに投げ出して】
【覗きこめば読めなくはないだろうよくわからない名前のものを大量に買っていて、数百万も支払っているらしい】

それに…手紙にはいつもグッドなニュースが書かれているとは限らないしさ…

【苦笑しつつビールのグラスを手にとって、グイグイと飲み進める】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/14(土) 22:57:38.43 ID:2JuijP+Oo
>>169

【返答が、その表情が、拒絶を表してはいないと理解するまでに一瞬を要し】
【受け入れてくれた。それを実感するのに、また一拍分の間を必要として】
【遅れて身体が動いたのが次のタイミングだった。肩に添えていた手をそのまま背へ回し、】
【30cmの身長差がある小さな体を抱き締めようとする。間にあるもの全てが邪魔だと言わんばかりに強く、強く】

有り難う――……鈴音、心の底から……愛しているよ
世界の誰より、私は君が……鈴音が、大好きだ……!

【今までに彼女にして来た事。それらの殆どは、およそ真っ当な愛し方とは言えなかった】
【誰かを本当に愛した事など無い彼が、人形のような彼女を相手に始めた、歪な恋人ごっこが】
【何時からか熱を持ち、形を描き、真実になって―― 一年前には思い描く事も無かった結末が、今此処にある】

【左手の薬指に刻んだ証を、重ねた日々を。季節を一周巡らせて、やっと終着点へと誘えた】

 【(普段ならば少なからず往来のある筈での並木道に、ぱったり人通りが途絶えたのは何時だっただろう)】
 【(邪魔をする者のいない、それでいて狭い館とも違う開けた世界が、今はただ二人の為だけに設えられていた)】

必ず君を、世界の誰より幸せにする――……そう、誓うよ

【彼女が受け入れていてくれたならば一頻り抱き締めていた腕を、そっと緩めて小さな顎に片手を添えようとし】
【これも、受け入れてくれるならの話――甘く小さな口付けを、此処での誓いの証とするだろう】

【冷たい風さえも動きを止めるような、短くも甘やかなひと時の時間】
【二人の永遠が、澄み切った秋空の下に決定づけられる。終わりと始まりの間の、夕暮れの中で】

/一先ずこの辺り、でしょうか?
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 23:08:49.04 ID:rk0k9lDX0
>>170


その顔でお水嬢みたいな台詞は似合わないぜ。 相当悩まされているようだがね……
おっと、酒の席なら愚痴と説教は最大のつまみだ、許してくれよ


【男が旅先で一喜一憂する様子を思い浮かべ、口の端に笑いを浮かべる】
【酒とたばこ、小さなグラスと紫煙の香によって彼の人生はどのような色に染まっているのだろうか】
【その苦笑からして、少なくとも刺激の絶えない日々であるのは間違いなさそうだ】


それじゃあミスターロッソのバッドニュースに乾杯――、でいいかな

【封筒にあった宛名のような記しを思い返し、こちらに運ばれてきたジョッキを傾ける】
【喋って乾いた口を湿し、散々観察した煙草入れをぽんと宙へ】
【一回転してきて落ちた其れを左手で受け止める】


それで、どんな熱いラブレターを受け取ったんだい




/すみません、急ですが今夜はもう落ちねばならず……凍結or〆をお願いしたいです
/凍結の場合は解凍は明日の晩頃になるかと思いますが…
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 23:17:34.13 ID:R6tT1WtHo
【路地裏】

【今日も今日とて多分に漏れず、暗いそこには血溜まり一つ】
【しかしてそこには死体無く。赤く奥へと続いていくは、小さな子供の足跡で】


【――――誰が加害者で誰が被害者?】


【そんな疑問に答える者は、果たしているのかいないのか】
【唯唯あるのは褪せたポリバケツ。それから幾つか木箱だけ】


【ヒュルリとそよ風吹いたなら、木箱がガタリと音を立て】

【――あれ?木箱って……そんなに軽いものだったっけ?】

【もしも誰かがそこにいて、そんな疑問を抱いたならば】
【心を決めて木箱の影を、覗くがいいのかそれとも否か――】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/14(土) 23:24:26.60 ID:0A/edggu0
【鉄の国―――アビス平原・遺跡地下区画=z

【―――丁度フリードリヒ、谷山、レラの三人が死闘を繰り広げていた場所の真下に位置する場所】
【平原の外れにあるひっそりとした入り口から入る事の出来る忘却された場所の最奥―――そこには紅い巨人≠ェあった】
【ところどころが錆びついて朽ちているが………未だその威圧感を失わない巨大な古代兵器の残骸は、新たな所有者を待っている】

【そして、遥か昔より人が侵入しなかったその聖域に踏み込む影が二つあった―――】
【一人は年端もない少女………だが彼女もGIFTの一員だ、そしてもう一人は………灰色の仮面を付けた男だ………】
【鉄の国での戦乱の首謀者―――GIFTメンバーの一人、W/ダブル=c……その二人が鎖で繋がれ封印された古代兵器の前へと現れる】

にゃはは………流石は神代の星戦兵器―――これだけの時が経ってもまだ形をしっかりと保っているにゃー
これは―――レギン君が使った始まり≠ニは違ってただ単に圧倒的な破壊≠齎すだけのシロモノだけど、本当に使うのかにゃー?

君もそれなりに思うところがあると思うけど………これを使ったらこの国は数日で焦土になってしまうよ?

≪構わん、もとよりこの国は一度全て白紙≠ノしなければならない………それが宿命であり因果の結果でもある………。
 フリードリヒが稼いでいる時間を無駄には出来ない、これを復元は出来そうか?ベアトリックスよ。≫

にゃはは、誰にモノを言ってるのかにゃー?任せておいてよ、より破壊に特化したモノに変貌させるよ
でも―――コア≠ヘどうするの?適応する人間を見つけないといけないよ。

≪それならば私と生体リンクを施せ………コアにセットしなくてもある程度は稼働できるように調整をしてな………
 資格ならある筈だ―――この身に宿る灰色の焔≠ニ………心に灯された復讐の炎≠ノよってな―――。≫


          ≪さて―――前哨戦は終わりだ、次なるフェイズに入るとしようか。≫

     
      【行われた戦いと勝利の裏で………地底の奥底で―――煉獄の業火が灯されようとしていた。】


//これにてイベントの完全な〆とさせて頂きます、ご参加くださった皆様ありがとうございました!
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/14(土) 23:35:11.80 ID:sIxKDcaIo
>>173
「いんや……まーた何かが起こったみてえだな……ヒッデェー有様だぜ」

【路地裏の角からひょいと姿を現したのは、中年に近いと思われる男】
【彼はボサボサの黒髪にバンダナを巻き、無精髭をたくわえたその姿は一言でいえば立派な「おっさん」であった】
【しかし見るべきはその容姿━━下半身に衣服をスカートのように巻き、屈強な身体をさらけ出して大剣をかざすその姿は、ひとえに「虎」を連想させるかのようである】

【さて。彼の子供のようにギラギラと光る眼は、やはり路地裏の小さな異変を見逃さなかったらしく】

「ん?……木箱がまるで風に飛ばされたみてーに動きやがった……おかしいな?」
「思い立ったが吉日!この木箱のナゾ解明!…っといくか!」

【と言ったと思えば、彼は大剣を振りかざして、躊躇なく木箱に向けて振り下ろした】
【さて……ここに何かが潜んでいるのか、それとも━━?】
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 23:42:28.68 ID:T3unKgk30
>>171

【抱き寄せられた瞬間に微かな声が漏れる。それは驚きとも歓喜とも似通った、不思議なもので】
【宝物を抱き締めるように優しく、確かに、力を篭めて。ぎゅうと抱き締めるのは、彼の仕草ときっとよく似ていた】

【――はじめてのひとに裏切られて、総ての希望を喪った頃があった。しあわせなど総てが幻想なのだと信じた頃が】
【それが彼と出逢ったことで少しずつ変わっていった。しあわせは実在するもので、手の届くもので、すぐ傍にあるのだと】
【今ようやく触れるだけじゃない、しっかりと掴めた。百九十センチのしあわせを、いま、本当に手に入れた】

わたしも……、わたしも、愛してるよ。
世界中の誰より……どんなひとより、お父さん……、……ううん、セシルを。

【神様のために作られたはずのお人形が人間に恋をした。叶うはずのなかった奇跡が、こんなにもしっかり実った】
【神様からの歪んだ祝福のように宝玉の欠片がきらりと煌く、――彼は彼女のしあわせを願わなかったわけではないのだから】

誰よりもしあわせになるの――ふたりで一緒に、だよ。絶対だからね……、?

【自分だけが与えられたかった幼子ではなくなっていた。いつからだろう、同じものを与えたいと思うようになったのは】
【間違いなく彼の言葉や思いは届いていた。それらは彼女の心へ植えつけられて、こうして、綺麗に咲き誇っている】
【瞳を閉じて甘い甘い口付けを受け入れた。色濃く浮かべてみせた笑みは、なぜだかどこか悪戯っぽくて】

……ねえ、お星様。見に行こう? 流星群なんだよ、流れ星にいっぱいお願いするのっ!

――ずーっとずっと一緒に居られますように、って。

【――昨夜も彼女はそういって外へと出ていた。いくつか見られたなんて喜んでいたのは記憶にも新しいことだろう】
【昨日と違ったのは一緒にと誘ったこと。ふたりの関係性が変わったこと。たったの一日のことなのに、こんなにも違う】
【何もかもが違う世界に来てしまったみたいに――今までと違って、そんな変化は、嬉しすぎるぐらいのことだったけれど】

【今までの終わりと、これからの始まりの狭間。夕焼け空みたいな一瞬はゆっくりと過ぎ去りながら】
【絶対に忘れられることのない特別な刹那を一緒に過ごすのだってふたりきりの特権、ふたりだけのためのもの】
【どんなことを決めるより先に一緒に星を見たがったのもどこか彼女らしいと言えるだろう――】
【――ひとまずは、最後とも最初ともとれる時間をいっしょに過ごすのが、きっと今における最善のように思えた】

/おつかれさまでした!
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/14(土) 23:52:04.66 ID:Hx8LLE/Ko
>>175

【振り抜く大剣、砕ける木箱。聞こえる音は――――】

『シャァーーッ!!』

【猫の声】

【木箱の陰であった場所。そこから彼の横を摺り抜ける様に、一匹、三毛猫が走り抜け】
【それからもう一つ、声がして】

おお、むごいで御座るなぁ……当たっていたらあの猫、一堪りもなかったで御座るなぁ……

【ポリバケツの蓋、少しばかり持ち上がってその隙間】
【翠の色した瞳が二つ、恐らくそれは人のもの】

いやはや、やはり路地裏というのは恐ろしいで御座る。
あっちを見てもこっちを見ても、人を殺しそうなやつばかりで御座るな。

【――――中に誰かいます】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/14(土) 23:55:13.71 ID:sIxKDcaIo
>>177
【砕け散った箱の影から飛び出でたは、なんてことはない、一匹の小さな子猫だった】

「おや、猫ちゃんだったか……
驚かせちまったかよ?」
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/14(土) 23:55:31.58 ID:sIxKDcaIo
>>178
/誤送信しました……しばしお待ちください
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/15(日) 00:05:42.46 ID:sXmonG+io
>>177
【砕け散った箱の影から飛び出でたは、なんてことはない、一匹の小さな子猫だった】

「おや、猫ちゃんだったか……驚かせちまったかよ?」

【すると、後ろから声を掛けられた。振り向けばそこには、ポリバケツの中に潜む人間の姿】

「おんや、人か……そこにいるんなら隠れてねーで出て来たらどうだ?」
「それとも、恥ずかしくて人前に顔が出せねーのか、ヒヒ」

【大剣を地に立てかけ、それに腕をかけてよっかかりつつ、ニヤリと嫌味気に笑う】
【その姿はいかにも、人に「豪快で気さくだがいいかげん」という印象を植え付けるようであった】

「人を殺しそうとは失礼だな、なんなら逆に聞くが、オメーはこの血みどろの光景を作り出した人間に心当たりってもんはねーのかよ?」

【と、広がる光景の方向を顎で指しつつそう聞いた。】

181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 00:24:19.29 ID:og7qEOrWo
>>180

【傍から見れば、彼はバケツに話し掛ける変わった人間】
【しかし幸い、見ている人間なんていやしない】

そも、拙者らは影に生きる存在。そう易々と人前に顔を晒すものではないで御座ろう。
……しかし、拙者は些か事情が違う故、晒すので御座るが。

【ガタリ、立ち上がるが――――小さい】

【まず身長。150cmも無いほどで、髪はカナリヤ色の三つ編みハーフアップ】
【次に胸。全く無い。袖無しへそ出しの黒い衣服は、盛り上がる事無くストンと平ら】
【付け足せば尻。肉付き薄く、グラマーには程遠いそこを覆うのは、黒いタイトなミニスカート】

【左腰には短刀を二振、右腰には白いポーチ。手首から肘先までを黒のアームウォーマーで包んで】
【首には真紅のスカーフ、脚には黒のニーハイソックス、そんな少女である】

拙者が潜んでいたのがそっちであったら、そして有り得ん話では御座るが剣に気付かなかったとしたら?
貴殿も目出度く人殺しで御座ろう。そういう“うっかり”も含めての判断で御座るよ。

――あれをやった人物で御座るか。
…………依頼に関わる案件故、話す事は出来んで御座るな。

【知らない≠フでなければ、心当たりがある≠けでもない】
【話さない≠フである。つまり、この少女は犯人を『知っている』】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/15(日) 00:40:04.03 ID:sXmonG+io
>>181
【そう立ち上がった彼女の容姿を一目見て、一言だけ呟いた】

「ガキだな」

【主に胸の辺りを見ている気がするが、
それは置いておこう】

「『うっかりも含め』か……ガキにしちゃなかなかの思考回路してんじゃねーの?」

【と、小馬鹿にしたような感じで言い放つ。】
【この態度は、『所詮子供だ』と舐めているのか、あるいは━━━】

「『依頼に関わる』?フーン、どうやらそいつに関して知ってるようだな……」
「ま、俺はオメーの事情に首を突っ込むほど人間ができてねーわけじゃねえから、そこは放っておいてやるけど、よ」

「その「教えない」行動は、一概にオメー自身の意思とは言えねーよなあ……」
「ただ何かに縛られるだけじゃあ、この先長い人生ってもんを楽しめずに終わっちまうぜ?」

【と、ギラギラと光る、しかしれっきとした「意思」のこもった「子供」のような瞳を彼女に向け、ニヤリと笑った】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 00:41:30.00 ID:2Y9BYhaYo
【路地裏】

【とあるビルの勝手口が開き、人が出て、そしてまたパタリと閉まった】
【その人は身長150cmほどで、ロングスカートタイプのメイド服を来た女性であった】
【体の前で古ぼけたトランクケースを持ち、表情はほとんど無に近い、無愛想な物】

【背後の扉の奥――すりガラス越しに見える向こうは、出る時から既に闇】
【誰かが動く様子もなく、どうやら一人で此処から出て来た様子である】

――――遅くなってしまいましたね、早く帰らなければ。

【が、おかしな点が一つ。それは彼女が履いた、これまた古い編み上げブーツである】
【足跡が赤い≠フだ――そのべっとりとした液体は、きっとペンキではないだろう】
【本人はそれに気付かず、路地裏であるというのに堂々と歩んで――人気の無い大通りへと、進んでいく】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/15(日) 00:43:19.83 ID:5FP/OoOLo
>>172

うるせえ、メランコリックでロマンチストなスレた詩人とでも言ってくれよ
そう言うアンタこそ……詩人の一人なんじゃないかと俺は思うね
……酔いどれ詩人になる前に…って映画しってる?……まあ、そんなことはいいか…

【お気に入りの煙草を吸いながら、ぬるいギネスの香りも吸い込んで男は上機嫌だ】
【初対面にもかかわらずもう既にナメられている感じがするのは彼にはいつものことで】
【それに関して対応するためにやたらと鈍感で気の抜けたビールみたいな性格になった】
【ただ、そのサングラスの下の目は随分と鋭いようで、相手の服装や態度から】
【単なる酔っぱらいではないと思っているらしくアンタだって同じだろう?と隠喩めいた言葉でそう尋ね返す】

なんだよ、バッドニュースに祈るぐらいならどっかの野郎のバースディでも祈ってるほうがマシだね
俺はいつだってそうさ……名前ぐらい言おうぜベイビー…乾杯の前にはよ

【冗談めかしくそう言い捨てて。吸い殻を灰皿に押し付けると】
【つまらなそうに手紙を見ながら会話を続ける】

……ビジネスの話さ。今どき、住所不定で電話もEメールも持っちゃいないから…
たまにこうやって……此処とかに届けてもらうことにしておくんだ。
……まあ、今のところは………アンタに絡まれている方がずっとマシさ

【そうやって話す彼はどう見てもサラリーマンには見えない。サングラスにモッズスタイル】
【大体、酒場に手紙を預けるとはどういったことなんだろうか。酔いが回っていれば気が付かないだろうけれど】
【どうも、身分を隠したがっているようにも見える。つまりは……】



/了解です!明日もお待ちしておりますのでーそれでは
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 00:58:31.25 ID:IXauMEnMo
>>182

――これでも拙者は17で御座る。もう子供扱いされる歳は過ぎてるで御座るよ。

【17歳……とても見えない。小学生高学年でも通りそうな程】
【――いや、胸が無さすぎて却ってバレそうである】

【視線を辿って、手が短刀に伸びかけた気がするが――――こちらも置いておこう】

【ポリバケツから抜け出す動きは、一見緩慢ではあるが、それでいて隙がない】
【そうした動きは、彼女が死地に身を置く存在である証】

ペラペラと話しているようでは、フリーランスの忍の様な、信頼が物を言う仕事は出来んで御座るよ。

それに、同郷の仲間に比べれば拙者は自由なもの。
組織としての活動と違って、自分で受けるかどうかを決められるで御座るしな。

【ここに来て、漸く小さな笑みを見せる】

【姿かたちこそ子供の様だけれど、その語り口はどこか落ち着いた所もあって】
【どうにもアンバランスな、そんな印象すら、与えかねないものであった】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/15(日) 01:14:59.51 ID:sXmonG+io
>>185
「17?ならませたガキだな」
「子持ちの俺からしちゃあ、その辺りは「子供として見られたくない」歳だからな!」

【というよりかはむしろ13歳ぐらいに見えるというのは殺気を感じたので黙っておいた】

「忍ねえ……そんな歳で組織なんか入ったって、ただ疲れるだけだぜ?」
「子供なら子供らしく、自由気ままに、ちっぽけでも夢に向かって進めばいいと思うがな……」

【やはり17歳と言えど、おっさんである彼にとっては同じような「子供」なのだろうか。】
【彼の放った「夢」という言葉は、その歳にして何処か悟ったような少女に対してのものだったのかもしれない】

「「受けるかどうかを決める」……それはあらかじめレールが敷かれてあって、それを進むか否かを選ぶだけだ。」
「『道』ってもんは…自分自身で切り開くものだ」

【と、ニヤリといった感じの笑みを浮かべ】

「果たしてその「道」はオメーの前に開けるか?それは自分自身の心に聞いてみるといいぜ……」
「何せまだまだ長い人生だ……大切に行きろよ、ガキンチョ!」

【と、大剣を握り直して歩き出し、路地裏に姿を消す。】
【豪快な笑い声が深い闇に消え去る時、気付けばその姿は既にその場には残されていなかった】
【鈍く光る月明かりが、血に濡れた路地裏を儚くも美しく照らし出した】

//落ちます
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/15(日) 01:29:31.73 ID:ZjQS7zByo
>>183
【路地裏。そこでは、何が起きても不思議ではない】
【犯罪者、狂人、人ならざる者までもが跳梁跋扈する闇の領域。だが、その中にあっても】
【小柄なメイドが真っ赤な足跡を残しながら歩いている、というのは少々珍しい光景かもしれない】


(……なんだ、ありゃあぁ?)

「…………」

【大通りへと歩んでいく彼女の姿を後ろから盗み見る、二人の男の姿があった】
【一人は、両耳と口元に鉛色のピアスをした男だった。オールバックにした髪と、くすんだ瞳もピアスと同色】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベスト、迷彩柄のズボンに黒い軍用ブーツ】
【訝しげにその後姿を見送っている】


【ピアス男の後ろに控えるのは、筋骨隆々の男だった。黒いタンクトップに青みがかったニッカボッカ、足には黒い安全靴】
【頭には『安全第一』と表記された黄色いヘルメットをかぶり、その顔は溶接作業用のマスクで覆い隠されている】
【何より目を引くのは、男の両腕。一目で義手と分かる無骨な金属の両腕は、両端の尖ったツルハシを一本握っていた】
【思考すら無言を貫く義手男、そのマスクの覗き窓から見える鉛色の瞳には、何の感情も見いだせない】


(ありゃあ、明らかに……あの扉の奥は真っ暗……仕事≠フ後ってか?)
(なら、何か金目のもんでも死体に残ってるかもしれねえなあぁ……)

【大通りへ向かうメイドから決して視線をそらさず、そろそろと足音を殺して二人の男が動く】
【もしすりガラスのついた扉にたどり着けば、ピアス男の方がその奥へと、取り出した懐中電灯の光を向けようとするだろう】

【気配を殺していると言っても、完全ではない。この距離なら、メイドからも二人組の気配が感じ取れる可能性も充分ありうるはずだ】


/あまり長くは無理そうですが、もしよろしければ……
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 01:37:55.37 ID:Ly//2RfZo
>>186

子供がいるのなら尚の事、先の様にいきなり剣を振り下ろす様な真似は控えた方が良いのでは……?

……何、一度抜けた身。今更“里”に戻ろうなどとは思っておらぬよ。
夢≠セなんて立派なものは持ち合わせておらぬが、これが拙者の選んだ道故な。

【子持ちだなんて、何と言う予想外】
【時折見える、彼の子供の様な面が、その様には見せなかったのだ】

……拙者らは、道の上を行く存在では御座らん。
故に、その話は当て嵌らんので御座ろうな……

【立ち去る彼を、視線だけでも見送る、なんて事はなく】
【そのまま彼が去ってしまえば、ポーチの中から取り出すは、何やら携帯端末】


――丹波で御座る。契約期間が終了したので、その連絡を。
本来ならもう少し早く連絡する予定だったで御座るが――少しあり申してな。


――――では、またの御利用をお待ちして御座るよ。

【夜は、まだまだ長い――――――】


/お疲れ様でしたー!
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 01:38:37.19 ID:2Y9BYhaYo
>>187

【メイドは彼らに気付いているのか、居ないのか――そろりそろりと通りへ向かう】
【所作は完璧だ。表情以外は、メイドとして完成されていると見え】
【――そして、彼女はそのまま通りに出る、その手前で足を止めて】

……貴方がたが何方様かは存じ上げませんが、一つだけ。
その扉に近付くのはオススメしませんよ。何故と思うのなら――

―――――是非身を持ってご理解くださいませ。

【ピッ―ピッ―ピッ―=\―扉の奥から微かに聞こえるのは定期的な機械音】
【そしてすりガラスに『近付いてしまい』、そのままライトで奥を照らしたなら――】
【うっすらと見えるのは緑と赤の点滅。徐々に感覚は短くなり、最後は連続で瞬きを繰り返す】

【直後―――凄まじい轟音が耳を劈き、先ずガラスが砕け散って路地裏に爆ぜ】
【次いで扉そのものが、片面だけ真っ黒に焦げ付きながら反対側の壁までふっ飛ばされるだろう】

【つまり爆弾だ。云うまでも無く、吹き飛んだ元――ビルの中には何も無くなって≠「て】
【もしも警告に従わず、欲求に負けて覗きこむのを優先したなら、その結果はどうなることか】
【果たして、メイドは彼らの安否を気遣うことまではしない。僅かに――チラ、と一瞥はするが―――さて。】

/,こちらもそうなので是非!よろしくですー!
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/15(日) 01:55:08.92 ID:ZjQS7zByo
>>189
【その歩く動作、無駄の無い動き、メイドとしての一つの完成系】
【ピアス男は心中で苦い想いを隠し切れずにいた。以前、同じようなメイド相手にケンカを吹っ掛け、手ひどく返り討ちにされた経験があるからだ】
【あの時の相手は、表通りを歩いていた。今回は路地裏、それも血の跡を残しつつ。であれば、警戒してしすぎることはない】

【果たして、彼女が通りに出れば。いつから気が付いていたのか、放たれる言葉は、自分たちを向いていた】


何――――!!?

【ピアス男とて、闇夜を蠢く悪漢として生きてきた存在であった。その言葉の直後、微かな機械音を耳が捉えると同時】
【その全身を駆け巡る戦慄。直感が伝えていた。これは、危険だと】

【すぐさま、ピアス男はその場から飛び退き、義手男の巨体の後ろに隠れながらすりガラスから距離を取った】
【義手男もまた、後退って距離を取りつつ、その無骨な両の義手を掲げ、盾として差し出した】


【直後、爆ぜた。砕け散ったガラスが周辺を襲い、さらには扉自体が反対の壁へと突進していく】
【爆弾の余波と飛び散るガラスを、義手男の両腕が防御した。いくつかの細かいガラスの破片が義手男のガードをすり抜けて】
【その身に傷を負わせるが、義手男は身じろぎもしなかった】

【爆風が収まれば、ビルの中は空だった。蹂躙された後。何も残っていない】


……ご忠告、感謝しますぜ
しかし、これはあんたがおやりになったんですか? 路地裏じゃ何が起きてもおかしくはありやせんが……
それにしたって派手ですなあぁ……

【義手男の影から身を現し、衣服に付いた煤を両手で払いのけながら、ピアス男がこちらを一瞥するメイドへと目をやる】
【その瞳が、警戒と悪意にぎらつく。相も変わらずの無表情であろう彼女へ、邪悪な視線が刺さる】


ここでお会いしたのも何かのご縁、よければ聞かせちゃもらえやせんか
……あんた、何者です? どうしてこんなことをなさったんで?

おっと失礼、聞くならこちらから、ですなあぁ。あたくしは卑しいゴミ漁りのスカーベッジ・トラーシュってもんでさあ
こっちは手下の、オートマーダーって野郎です。日課の路地裏散歩の最中に、こんな場面に出くわしたってなわけでして……

【ペラペラとまくしたてる間も、二人の視線はメイドから逸らされない。鉛色の瞳に宿るは、好奇か、欲望か、悪意か、警戒か、そのすべてか】
【名乗って見せる彼ら自身も、日課が路地裏散歩という時点で、堅気ではないのは明白だが】

【言葉を続ける中で、二人の異形が少しずつ、少しずつ足を動かして、路地裏に展開しようとしていく――】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 02:08:29.20 ID:2Y9BYhaYo
>>190

【メイドの瞳が二人を捉える。生きている――消し炭とならず、忠告を聞いて。】
【となれば彼らは路地裏に在ってその住民らしくもない分別があると理解でき】
【故に、彼女はそのまま立ち去る事をせずにキュッ≠ニ足元を鳴らして向き直り】

……何がどこでどのように起きようとも、それが『何だったのか』を
衆人が理解できなければ……それは『何もなかった』のと同じです。

人身事故で電車が止まろうと、赤の他人、その場に居合わせぬ人からすれば
一人の死も、悲惨な現状も、単なる『遅延』として受け止められるのと似ています
そこで爆発事故があった≠フです―――それだけ、そうは思いませんか?

【女性――とは言ったが、年の頃が見えない。童女のようでもあり】
【かつ、大人らしくもある。成人にしては低い背丈が尚更混迷を極めていて】
【しかし無表情はこうなると恐ろしく、いっそ冷徹と表現するのが良いかもしれない】

【――路地裏に、こういう住人は居ない。かと言って謙った喋り方、これも本物らしく】

エリザベス・カーライル≠ニ申します、お二方様。お好きにお呼びくださいませ
職はフリーのメイド、業務内容は家事育児、場合によっては護衛や夜伽も致します。
加えて言えば私は何処にも属しません。悪にも、善にも――ただ主人の言に従うのみですから

……そういう貴方様は――失礼。スカーベッジ様は、『どなた』なのです?
ただの徘徊者ではない、その程度は分かります。だって、身体の一片も焦がさずご存命ですから。

【スッ、と頭を下げる。その角度、時間、姿勢、全てに文句の付け所もない動作】
【異様だった。機械のように思えるかもしれない。しかし、疑問を吐くのが人の証左】
【僅かに首を傾げた姿は少女にも見える、が――紺の瞳は、相手を射抜くように強烈だった】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/15(日) 02:38:18.26 ID:ZjQS7zByo
>>191
【こちらに向き直る際に鳴った音、靴に踏みにじられた赤≠フ悲鳴だろうか】
【正面から見れば、何とも小柄な女性。しかし、それで油断するようなことはしない】
【男たちは、知っている。この世界で、見た目を当てにすることが、どれほど愚かなことか】

……ひっ、ひっひひひ……いやいや、面白いことをおっしゃる……
確かに、一理ありますなあぁ。出来事を認識する者がいなければ、これも単なる事故で片付くでしょう
しかし、メイドさんが口にする言葉とは、思えませんがねえぇ……


【鉛色の瞳が、言葉と共に彼女を素早く観察する。見た目から年齢を判別するのは困難だった】
【子どもにも見え、大人にも見え。見た目が幼くすらあるが、その無駄のない所作と冷徹なまでの無表情は、どう見ても童のそれではない】

(普通、路地裏にこんな人間がいるはずはねえ……どうにも、臭うよなあ……)
エリザベス・カーライル=c…? なあんか、聞き覚えが……

っと失礼、カーライルさん。ご丁寧にどうもおぉ
最近のメイドさんは、護衛だの夜伽だのまでこなすんですかい……
そちらさんの業界のことは詳しくは存じ上げませんが、あたくしぁてっきり、メイドって人らは家事と育児がメインの仕事だと思ってましたよおぉ……

悪にも善にも属さず、主人の言うがままに……ははあ、メイドさんの鑑ってやつですなあぁ。あたくしから見てもわかりやすよ


……ひっひっひ、どこにでもいるただの小悪党でございますよおぉ。あたくしもこいつもね
泥の街から出てきて、路地裏に彷徨うばかりの流れ者でございます。なあぁ、オートマーダー

「ウィーン……ガシャン。本機ハ、すかーべっじノ、言葉ニ、同調、シマス」

【ここにきて、義手男が初めて言葉を発した。ピアス男の言葉を受けて路地裏に響いたその声は】
【眼前のメイド、エリザベスの表情にも引けを取らないほどに無機質なもので、いっそ機械的とすら言えるものであった】

【と、ピアス男が何かを思い出したような顔をした。義手男からメイドへ、素早く視線を移す】
【その口がゆっくりと開き、外周がピアスで埋まった舌が覗いた】


……あんた、もしかして半魔リリアの討伐隊に加わっていなさった方じゃあねえですか?
思い出しましたよ、ボスが話してくれたんでさ……マモンってえ悪魔の旦那とつるんでた、正体のわからないメイドさんがいたってねえぇ……

先ほどの質問に改めてお答えしますよおぉ。あたくしらは、カノッサ機関員カニバディール率いる盗賊団『スクラップズ』の一員です
あの場にいたなら、あんたもこの機関員の名はご存じなのでは……?

【語られるのは、今なお語り草であろう一人の半魔の名。今は、もうこの世界にいない存在の名】
【そして、その決着に立ち会った一人の異形の名も飛び出す】
【敵対した、という話は聞いていない。むしろ、あの時は共闘者だった。しかし、彼らのボス、盗賊の主は言った】

【あの場において、ただ一人。目的も正体も最後までわからなかった女がいた、と】
【ピアス男と義手男の鉛色の瞳は、自分たちを射抜くメイドの紺の瞳を、たじろぐことなく見つめ返していた】
【反応を観察するかのように。探りを入れようとするかのように】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 02:55:49.42 ID:2Y9BYhaYo
>>192

―――メイドとは、時として瀟洒であり残酷な、そして世で最も忠実な『生き物』です。
世間一般の思うところと実態は違う……よく有ること、でしょう?
……雇って頂けるのでしたら、私は此処で『脱げ』と言われてもそうします。そういうモノですから、ね――。

【まるでそれを職とも思わぬ口ぶりは、短いながらも深い意味を秘めていた】
【さも自分は人ではなくメイドという生き物だとでも言うような、そういう内容だ】
【無論、そんなはずは無いが――全く様子の変わらない表情と語調がそれを強め】

【しかしかの半魔リリア討伐隊、その話が出ると、流石に眉が少しばかり動く】
【意外だったのだろう。そもそも直接最後に居合わせた面々が少ないのだから、尚更で】

稀代の悪党を耳一つ吹き飛ばすだけで赦した、かのカニバディール様ですね
憶えていますよ。とすれば、貴方がたも決して『ただの小悪党』とも思えません

……が、それもまたどうでも良いことですね。
スカーベッジ様もオートマーダー様も、当時の私を知っているとなれば話が早い
メイドはフリーともなれば、悪魔や、好々爺のふりをした魔人に忠することも有るのです。

無論、他にもクライアントは居ります。身内を思うある方から、深窓の令嬢の世話を頼まれたり
或いは貧困でありながらも信仰を曲げない修道女様も……まあ、主とはまた違いますが――居ります。
守秘義務という言葉を盾に、全く素性を教えたがらない方も――間々、居りますし。

ところで―――カニバディール様といえば、最近は祈るまでもなくご健勝の様子。
その後いかがでしょうか。貴方様方も、時折噂に聞きますよ?盛況≠セ、とか――?

【探られたならば、と――その意を悟っているかのように、エリザベスはよく語った】
【が、言えば言うほど、聞けば聞くほど、その正体は薄闇に消えていくかのようで】
【掴み所がないというより、なにか実態すら無いような女だった。その点、スカーベッジらのほうが人間味もある】

【――果たして、その見かけによらずエリザベスが返すのは直球の『さぐり』だった】
【何をしているのか、何が目的か。聞いてどうするでも無いのだろうが――無論、答えるか否かは自由である】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/15(日) 03:27:04.34 ID:ZjQS7zByo
>>193
ひっひっひ、そりゃそうですなあぁ、世間一般の認識なんざ、そう当てになるもんじゃあありませんねえぇ
しっかしなんとまあ……メイドって『生き物』への認識を、こんなところで改めることになろうとは思いやせんでしたよおぉ……

【軽く返してはいたが、ピアス男は彼女のあまりに変わらぬ様子に、少しずつ薄気味悪さすら覚えていた】
【彼女の言葉を返答の中に折り混ぜていることからも、ピアス男は彼女が人である前にくメイドという生き物である、と】
【そう言わんばかりの彼女の言葉を、戯言と笑うことは出来なかった】


【ここにきて、その鉄面皮をほんのわずか崩したことに、なぜか心中で悪くない気分を味わいつつ】
【彼女の語る言葉を脳裏に収め、返すべき言葉を生み出していく】

ひひっ、その耳の一件のことを言うとボスは少しばかり不機嫌になるんで、あたくしらの間じゃあタブーなんですがね
そうです、その通りです、覚えておられたようで何より……

しっかしまあ、業務内容もさることながら、仕える相手も千差万別ですなあ……
悪魔や魔人も、メイドを雇うもんなんですねえぇ……

深窓のご令嬢に聖職者様と、これまた今度は一気に親しみやすくなりましたな
自分で雇っておきながら、素性を教えないなんて方もおられるんですか……よほど知られたくないことでも抱えてらっしゃるんですかね……

それだけのクライアントを、同時に抱えていらっしゃるんで? 相当なご多忙なんでしょうなあぁ……

(……思ったよりかよくしゃべってくれるが……なんだこの女、さっぱり中身が見えてこねえぇ……)
(最初っから人間味が薄いとは思ってたが……そもそも人間なのか、こいつは……)

【ピアス男の抱いた薄気味悪さは、ますます加速していく】
【語る言葉は雲を掴むよう、反芻してみれば彼女自身に関する情報はほとんど出ていない】
【ただ、あまりに有能なメイドである、という点だけが確実らしい。それ以外は、人のみであるかすら定かではない】

【表に出さず、されど確かな戦慄を覚えていたピアス男が、続いて放たれた『さぐり』に我に返る】


これはこれは、我ら卑賤の輩に過ぎねえ盗賊団の噂なんざ、お耳汚しになるばかりでしょうに……

まあ、今のところはぼちぼちと活動させてもらっていますよ。ケチな盗賊らしく、小ぢんまりとねえぇ
ボスの方針でしてね。『現在の自分たちの力の及ぶ範囲でのみ、事を起こせ。不相応な領域に踏み込むな』

自らこれを破って、あの半魔に手を出しちまったばっかりに、ボスはえらい目にあいやしたからねえぇ
それを教訓にして、今はなるべく分相応に、ってのがあたくしらの現状でさ
ちょこちょこと、金になるもんを奪って、役に立ちそうなやつをさらって、ってな具合にねえぇ


――――ただ、その力の及ぶ範囲を少し……ほおおぉんのすこおぉしだけ、広げてみようと画策してる、ってえだけの話ですよおぉ


あんたのクライアントの皆様や、つい先日、鉄の国で事件を起こしたGIFT≠フ皆様、カノッサ機関のお歴々
こういった、大物の方々に比べれば、何とも小さくてつまらない企みを、細々と進行中でございます

【卑屈なほどに謙遜しながら、ピアス男は語る。ストレートな彼女の『さぐり』に対し、やはりおぼろげな言葉でもって】
【しかし、その言葉の途中。力の及ぶ範囲を広げる。それを語る段になってのみ、二人の男の放つ気配は、わずかに変わった】
【邪悪な喜悦と、期待を隠し切れない、そんな様子だった。無機質な姿しか見せていなかった義手男でさえ、そうだった】

【何をたくらんでいるのか、いずれろくなことではないだろうが。彼らもまた、暗闇に生きる住人であることは伝わるだろうか】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 03:50:53.59 ID:2Y9BYhaYo
>>194

悪魔へ仕えたのは、ちょっとした負債が在ったため。
魔人へ仕えたのは、ちょっとした奇縁が在ったため。

……如何に強かろうが、人智を超えていようが、家事まで出来るわけではありません。
貴族が城に人を雇うのは見栄では無く、自分では事を仕切れないから。でしょう?
彼らも同様です。家事も出来、他の仕事も間々こなす。使えるから使っていただいている――

【――それだけです、と。彼女はそう言って一度言葉を切った】
【どう話そうか、そう考えている風だったが、無論それは噫にも出さず】

然程忙しくもありませんよ。以前は寝ていませんでしたが、先日友人に怒られました。
『自分の身を大切にしろ』と――それ以来、悪魔への負債も返しましたし……

それに、私と契約する際には『手の空いた折に働く』という項に同意をもらっています。
2日に一度は何処へも顔をだすようにしていますが、のんきな物で。
そういった点では一時も気を抜けない皆様のほうが、余程忙しいのではないかと思いますが。

【話すのは――やはりメイドとしての一面だけ。エリザベス・カーライルとは何者なのか――】
【これは全く不明瞭だった。唯一、人並みに友人≠ネどと言っていたが】
【そこはやはり『守秘義務』とやらか、特に詳しく語ることもしなかった】

【だが一方で、相手の言葉にはしっかりと耳を傾ける。一言一句聞き漏らすまじ、という風に】
【そしてそれを聞いたなら、今度は黙考。やっと口を開いたのは20秒ほどの沈黙を置いてからである】

――それでしたら、折角ですし、一つご助言申し上げましょう。スカーベッジ様――。

近年……巨大な生物が世を乱しているようです。それは獅子であり、怪鳥であり、龍だとか。
場所は定まらず、何故猛り狂うのかもわからないそうですが……不思議ですね?

それほど大きいのなら相当な歳月を生きているはずが、何故一様に、この時期に乱れるのか?
私はそれが疑念でなりません。……ええ、ですから是非とも、それを追うことをオススメします。
状況を調べるだけで、何かお役に立つかもしれません。立たない可能性も存分に有りますが――

―――……ではご両名様。私、これから戻って寝なければなりません
明日も努めがありますので―――それでは、カニバディール様によろしくお伝え下さいませ。

【『ごきげんよう』――とまでは言わなかったが、エリザベスは簡潔にそれだけ伝えると】
【ふらりと角を曲がって、夜の通りへと出て行った。――その足あとは、もう赤くはない】
【扉から何歩進めば血糊が落ちるか――いやまさか。きっと偶然であろうが、足取りはもう、追うことも出来ず】

【―――それから数日後、裏社会にひっそりと知れ渡ったのはとある一味の行方不明】
【死んだとも、街から逃げたとも言われている、が――その拠点で『事故』が在ったことを嗅ぎつける者は、そうそう居なかった】

/時間も時間ですので、この辺りで!お疲れ様でしたー!
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/15(日) 04:16:22.88 ID:ZjQS7zByo
>>195
負債のために悪魔に仕えたり、魔人と奇縁を持ったり、なんとまあ数奇な人生を送っておられるご様子で……

なあるほど、そいつぁ道理ですなあぁ。全知全能、ってわけでもないんですし、自分の手の及ばない範囲を人に任せるのは自然でしょうねえぇ
しかしながら、そんな相手に仕えることをそれだけと言ってのけるあんたは、やはり相当な腕のメイドさんとお見受けしますぜ

【どう話すか考えているという点までは、ピアス男の思考は至らなかったが】
【気が付けば、彼女の言葉に、雰囲気に飲まれていた。それだけは自覚していた】


寝ずに働いていなさった時期もあったんですかい……そのご友人のお言葉には、あたくしも賛同しますよおぉ
どんな職業だろうが、身体は資本ですぜ。まあ、負債が片付いたのなら何よりですなあぁ

ほほう、そんな項目に同意をもらえるとは、一流のプロの労働は、その形態からして違いますなあぁ
ひひっ、確かにそりゃあ言えるかもしれやせんねえ……あたくしらは、てめえで選んだ道ですし、これで生きてきたわけですから、特に何とも思いませんがねえぇ

【友人≠フ存在には、少しばかり驚きを感じる。この鉄面皮のメイドにも、友人はいるのか】
【しかし、それ以上の情報は得られることもなく。結局、彼女の正体はわからないままだ】
【あるいは、その深淵はこちらが思っている以上に深いのかもしれない。ピアス男は自らが口にしたボスの方針を思い起こし、内心で自分を戒めにかかった】


【自分が放った言葉が、メイドの耳に吸収されていく。目的の根幹まで話したつもりはないが、どうにもいい気分はしなかった】
【約20秒の沈黙は、ピアス男にとっては重苦しさを感じるものであった。義手男は、そもそも感情を読み取れない】

助言……?
巨大生物、ですかい……昼の国に出たって言う獅子の一件は、聞き及んでおりますが……
言われてみりゃあ、おかしな話ですなあぁ。これまで生きながらえてきただろうに、急に暴走するなんざ……

貴重な助言、感謝しますぜ。ボスに掛け合ってみるとしましょう
これはお邪魔をしまして申し訳ありやせん。あたくしらも退散させていただきますよ
確かに、承りました。カニバディールには、きちんと伝えておきますとも

「ウィーン……オ疲レ、様デシタ」

(血が、もうない……? さっきまで、足跡が残るほどだったってのに……)
(……まったく、幽霊にでも出くわしたような気分だぜ……。ちょいとちょっかい出すつもりが……)
(ロボメイドの時と言い、こないだの軍服女の時と言い、こういうクジ運が悪いのかねえぇ……)

【別れのあいさつは、こちらからもなく。ただ、了承の旨を伝える言葉だけを投げかけた】
【通りへと去りゆくメイドの姿、いつの間にか消え失せていた血の跡。違和感を覚えつつも、そこに見出せるものはすでになく】


……帰るぞ、オートマーダー。ボスに報告しなくちゃあなあぁ

「ガッッシャン……了解、シマシタ」

【メイドとは逆の方向、路地裏の奥へ向かって二人の悪漢がその身を向ける】
【と、ピアス男の目に、建物とアスファルトの隙間からはみ出た、枯れかかった野草が留まった】
【それを無造作に拾い上げ、とうに花も枯れ果てたそれを、吹き飛んだビルの前へと落とす】


ご愁傷様ぁ……ひっひっひ

【皮肉な色を宿した笑いをビルに浴びせると、ピアス男は義手男を連れてその場を去った】
【後日、裏社会である一味が消えた、という話をピアス男も耳にしたが】
【さて、やはり真相はわからずじまい。ただ、欲の皮の張った彼らとそのボスは、手下が持ち帰った情報のすべてを、記憶にとどめ置くだろう】

/遅くまでのお付き合い、感謝です!! ありがとうございました!!!
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 15:00:21.32 ID:KtVzTlc40
【街中――道沿いのカフェ】
【誰も居ないオープンテラスと、ひとの多いらしい店内と、当然らしい落差は道からも窺えて】
【ケーキセットがオススメだとか。様々な絵柄のラテアートがオススメだとか。そう、看板に描かれていた】

ふぁ……――、結婚、結婚? ……結婚だって……、うわ――。

【店内に踏み入ればからりと鳴るベルの音、暖かな空気、珈琲のいい香りがきっと誰かを優しく出迎えて】
【そんな店内の――いちばんの隅っこで、なにかずっと浮かれたように呟いているひとかげが、不審だった】

【――真っ黒色の髪は腰ぐらいまでもある長さ、飲食のためか後ろでひとつに結われていて】
【顔を両手で覆うようにする中で唯一見える瞳は黒と赤のオッドアイ。手の向こうで存分に笑む気配だけを窺わせて】
【襟にワンポイントの刺繍が入れられた黒のブラウスと、赤黒を基調にしたジャンパースカート】
【パニエでたくさん膨らませた裾から零れる足は厚手のソックスで隠されて、足先にはショートブーツが】
【座る椅子の背面には厚手のコートが掛けられて、少女が何か悶えるたびにふらふらと、揺れていた】

……いいのかな、わたしで? でも……でも、誰にもあげないし……。

【気恥ずかしいように顔を隠して、縛っているのだから当然無駄に髪の毛をかき上げようとして、手が止まったり】
【右の耳朶にだけ付けた宝玉をあしらったピアスが揺れて――更なる恥ずかしさを誤魔化すためか、指先で弄ぶ】

なんて呼べばいいのかな……お父さんじゃなくて――やっぱり名前、?

【――見てくれだけで分かるぐらいに彼女は浮かれていて。呟く言葉のおかしさには気付いているのか、いないのか】
【何か耐えられないようにぱたぱたと蹴っ飛ばす仕草の足が、――テーブルの足を見事に捉えて、机がぐらりと】
【幸いにも頼んだきり手付かずのケーキ(チョコ)セットは無事だったけれど。悪戯みたいに身投げするフォークの銀色】

【からんと甲高い音で落ちて初めて気付いた少女の初動は、少しだけ遅かった】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/15(日) 18:23:30.71 ID:4GazqGgfo
【小高い丘――近くにははぐれ街が見える】

「――ふゥむ、こォこをこォーすゥると…………」

【そこに居るもの――それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「いィや、こォこはこォーの方が……」

【その目の前に居るのは……?】 【……一体全体何なのだろうか】
【それはもはや得体の知れぬ謎の生命体と化しており、その者に生命を弄ばれてしまった成れの果てだった】

「うゥーむ、こォれはいィまいちだ……」

【その者が掌に魔法陣を生成すれば、何かしらのモノが出てきて――】
【それと元人間に黒い魔翌力を注ぎ、それが晴れる頃にはモノが何かしらの部位に反映され、元人間はますます人間を止めている。そんな図】

「次はこォれで……」

【……冒涜的で、倫理観も道徳観も糞食らえとしか言いようのないこの状況。加害者はこの上ない笑顔で、邪悪そのものだった】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/15(日) 21:32:38.38 ID:5PRXoPwPo
【―――風の国に飛来した人喰巨鳥を至急討伐されたし=\――】

【各ギルド、提携組織、或いは個人へと僅か数時間前に発せられた一文である】
【あまりにも詳細に乏しく、あまりにも不意で、脅威の程も知れないクエスト――】
【本来無視されてもおかしくはない。それでも集うのが、勇者というものなのか】


【今宵、招聘に応じた諸君は飛空艇・シルフの甲板上に居る。空を飛ぶ帆船の上である】
【船員たちが何処か誇らしげに紹介する装備の数々――バリスタ、大砲、そして巨砲龍≠ェ存在し】
【船長はフェルディナンド。壮年の男で、自慢話は『この船で海魔をぶっ倒した』という、愛船家の人物である】

『いいかいアンタら、これから向かう先に待ってるのは情報によりゃテナー≠ネんて名前のデカイ鳥だ
 そいつが何処から来たのかは分からないし、一体どういう存在なのかも正直分かっちゃいねェが……』

『2つ、はっきりしてることがある。奴は人間を食ってやがる、湖沼池の、身分も力も無い連中をだ。
 許しちゃおけねぇ……あの半魔のせいで、まだ草原地帯の奴らは深い傷を負ってるんだ
 それを荒らす鳥一匹、捕ってやれないシルフ≠カゃない!いいか、敵は鳥……テナー≠セぜ!』

『……そんで、2つ目はテナーの特徴だ。デカイ、目立つ、気取ってマフラーなんぞしてやがる事と……
 それからどうにも唄う≠轤オい。古来、船乗りの間で海原の歌ってのは人魚然り、危険なもんだとされてる
 嫌な予感がするぜ……気を付けろよ、あんたら。――もうすぐ目的の湖だ、備えとけよ。』

【――先ず眼に入るのは、霧の中からぬぅ、と現れる巨大な水道橋であった】
【何時の時代、誰が建てたかも分かっていないような旧来のそれは、既に半ばまで朽ち果てていたが】

【周囲にはそれの支柱だろう遺跡群や、何かの建物だったと思われる残骸も多く残っており】
【うまくすればそれらは湖の真ん中における足場にもなるだろうし、或いは武器にもなるかもしれない】
【またこの湖、水温は高い。そのせいか、湖底から一分隆起した地表に至るまでびっしりと苔が繁茂しており】
【それが特徴らしいことの一つといえば一つ。先ず、足を取られるタイプの苔ではないことは記しておく】

【さて――そんな神秘的な空間の中、巨大な水道橋の上にこれまた巨大な影があった】
【それこそまさにテナー≠ナあろう。見紛うはずもない――大きさにも限度がありそうなものだが】

【この一匹は例外過ぎた。頭頂から尾羽根までは30メートル、翼を開けば25メートルは有るだろう】
【翼を動かす音が、重い。その色は灰色であり、しかし一分は朱や青が混ざった不快な色合いを醸し出し】
【また首をぐるりと巻くように、なにか黒いものが遊々と風になびいて居た。確かにマフラーに見えなくもないが――】

【――魔術に長けていれば感じられる、原初の悪意に似た魔力。よろしくない雰囲気は既に周囲を包み込んでいる】


【幸いにして、テナーはこちらに気付いている様子が無い。とすれば当然、全員が取るべき行動は一つである】
【勇者たちよ、剣を取れ――誰が言ったか、湧き上がるような熱烈な闘志が、風の帆船を覆い始めていた―――!】

/こちらイベント開始文となります、参加者の方はレスをお願いします。
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 22:04:11.27 ID:YZ46vMi1o
>>199

【飛空艇・シルフ、甲板上】

【逞しい船員達の中に一つ、小さな影があった】
【それは、身長130cm半ば程の、子供の姿】

―――今回は私が一人。やってやれない事はない、よね……クシー。

【俗に言うゴスロリの洋服は黒く。首元には真っ赤な炎を灯したファーマフラー】
【ストレートの長髪は純白。青天の様な澄んだ水色の瞳に感情は見えない】
【脚は真っ黒な編み上げブーツに包んで、手には黒と濃いピンクのフリルパラソル】

【外見こそ、幼気な子供。然れどその声、表情共に平坦で無感情】
【そんな歪な存在。それがプシー≠ニ呼ばれる存在であった】

別にその鳥が何やってても知った事じゃないけど、私はやる事をやるだけ。
私はプシー…………今だけは、宜しく。一応、私は後衛が専門だから。

【――澄んだ水色が、巨鳥を捉える】
【甲板の縁、テナーに近い側へと立てば、パラソルの先端をそちらに】
【構える姿勢は、まるで猟銃の如く】

【妙な魔力に些か眉を顰めるが、既にパラソルの先端には小さな魔力の塊】
【魔力の弾丸を、パラソルより射出する――それがプシーの戦闘方法】

【やがて全員が準備を終えたなら、最初の弾丸がテナーの左の翼へと】
【抵抗による減速が殆どない事を除けば、性質は一般的な弾丸と同じ】
【これがあの巨鳥に効くのかどうか、未だ不明ではあるが――――】



/プシーで御座います、皆さん宜しくお願いしますねー
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/15(日) 22:04:14.91 ID:p5/s4nZCo
>>199

【仲間と共に船に乗り込み、巨大な怪鳥と対峙するのは】
【長身の若い男・セシルと、片言を使う小柄な少女・ビィーズ】
【そしてセシルの傍には、ボロボロの羽をもった傷だらけの小竜・ボロゴーヴがいる】

――……久し振り、かな。フェルディナンド船長
始めに伝えておくけれど、私達は術はあれど攻撃手段が少ない
場合によっては、この船……シルフの装備を拝借する事になると思う

【喪装として用いられる黒い祭服を纏う、白皙の貌をした若い男】
【腰に届く紅茶色の髪、左右で瞳孔の開き幅が異なるオリーブ色の目】

「凄い……パパさん、やっと人の名前覚えるしました
 ビィーズは驚きます。けれど、テナーと戦いをする事は、しっかりと緊張しています」

【肩までのふわりとした淡い茶髪にニット帽を被り、蜂蜜色の目をした小柄な少女】
【レトロな花柄ワンピースにタイツと踵の低い靴を合わせた、緩い雰囲気の服装】

【一見すればちぐはぐ、とはいえ知己であるらしい二人の共通項として】
【討伐ギルド「Elysion」の名が刻まれたバッジが、所属の証として存在を主張していた】

「戦うをする皆さんに、女神様からの祝福……受け取る、して欲しいです
 要らないも、可能なります――“ダズリングフローラ”」

【淡い桃色の光が仲間の周囲を包む。勿論、これを拒むという選択肢もある事を添えておく】
【微かに舞う花弁は、一度のみだが、攻撃によって受けるダメージを軽減させられるだろう】

さて……先ず優先すべきは敵の攻撃を弱める事、かな
今回のバディの耐久力をまだ把握していないからね――、“ストラウォイド”!

【一方、セシルは戦闘の開幕に合わせ、敵へと黄緑色の燐光を纏った呪術を飛ばす】
【それは「敵の攻撃力を一時的に弱める」と言うもので、命中すれば敵の初弾をある程度弱められるだろう】

 【戦闘状況:両名共に、今の所は船上からの戦闘支援】
 【ダズリングフローラ:一度のみ、味方が受けたダメージを軽減させる】
 【ストラヴォイド:敵攻撃力の一時的な低下】

/セシルとビィーズです、よろしくお願い致します
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/15(日) 22:09:40.32 ID:9g9o/cd3o
ほー、これが飛空挺シルフか

【数多くの兵器が点在する空を飛ぶ帆船、シルフ】
【そこを見る針金のような色と硬質さを持つ髪を持つ大柄な男】
【この男、その背にはチェーンソーを背負っている】
【別に何の変哲もないチェーンソーだ、魔法で強化されているわけでも、強力な金属が使われているわけでもない】
【普通にチェーンソーだ、ガソリンタンクもきっちりと付いている】

っと、あー、なんだっけ、ソテー?

【そして周囲を見ていたせいで肝心の話を聞いていなかった】
【聞いていたことは聞いていたのだ、だが聞き流しているという形だったが】
【そう思いつつ、見当違いの名前を小声で呟く】
【とにかく覚えているのは人を食うこと、目立つということ、そして唄うということ】

(あー、これは耳をいつでも蛇に変形できるようにしておかなきゃいけねぇかもなぁ)

【そう、"能力"のことを考えつつ、もうすぐたどり着くという言葉に身構える】
【なぜ蛇なのか、それは蛇の可聴域が0Hz、耳が聞こえないからだ】
【正確には非常に低周波音は聞こえるのだが、人間の可聴域にある音はほぼといっていいほど聞こえはしない】

にしても、ジメジメするなぁ

【うざったさそうに言う、湖の水温が高ければそれ相応に湿度も高い】
【その事に顔をゆがめつつも見えてきた鳥の影に顔をゆがめる】

なんだありゃ

【チェーンソーでたたっきるにはでかすぎねぇか、そう誰にも聞こえないように呟く】
【能力を使わないに越したことはねぇ、男はこうも呟く】

ま、とりあえず……

【そういうと男は、マルバス=アムリタはバリスタの前に陣取る】
【機械の如く正確に、テナーの首元を狙い済まし、その引き金を引いた】

//当方マルバス、よろしくお願いします
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/15(日) 22:10:00.42 ID:9g9o/cd3o
//>>202>>199宛でございます
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/15(日) 22:15:38.91 ID:NCp77vk50
>>199
「力無き人々の為の剣となってこい…………なんてねぇ
格好いいことを言っておきながら、実際はただ教会の威厳を示したいだけの癖に
まあ良いさ。暴れられるならボクは其れで満足な訳だし」


【甲板で気持ち良さげに風を浴び、目を細くしているのは一人の修道女であった】
【「みんなよろしくねー」何て緩んだ笑みを見せながら適当に挨拶して回れば、適当な口笛を吹きながらその場所を陣取ったのだ】
【とてもこの場には似付かわしくないその身形。然れど、呟かれる言葉から知らずに此処へ訪れた訳で無い事が分かろう】
【詳細に記されていない内容。にも関わらず涼しげな表情を浮かべ、集まった面々や船員達を眺めているのだから、この場に居る事が出来る程度の実力は秘めているのか】
【腰に覗く銀の双銃がこの女性の得物か。巨大な生命を相手にするには心許ない様にも思えるが…………其れを補うだけの能力があるのか、或いは元よりこの船の装備に頼るつもりだったのか】


「ノアの箱船では怪鳥を乗せた何て記述は無かったし…………なら、ボク等で“処理”しておかないとね
神に作られず、勝手に生まれた命は外道。歌だとか何だとか、色々気にはなるけど…………
悩んでいたって仕方ない、か。SEARCH&DESTROY。ボクは仕事を行うだけさ」

【フードを外せば、露わになる金色の髪】
【やがて目的地の直ぐ近くまで来たと告げられれば、身を乗り出して敵の姿を見ようとするけれど――――】
【漏れたのは、口笛。その巨大さは伝えられていたけれど、この様に実際目の当たりにすれば全く以て迫力がある】
【この船だって、相応に大きいのだろう。だが、相手は一つの生命。にも関わらず、これ程までの巨体となれば…………唇の端が、楽しそうに吊り上がって】

【同時、マフラーと錯覚してしまう様な魔力を感ずれば、僅かに顰める表情へと変わった】
【こんな形でも教会に仕える存在。相反する様な魔力に、不快感を覚えたのだろう】
【――――――思わぬ所に厄介者が居たものだ、と】
【射程内に入っても、テナーが気付いた様子を見せなければ位置を変えることだろう】


「先ずは景気よくご挨拶しないと、ね
今晩は。今夜アナタを打倒させて頂く皆です――――ってさ!!」

【――――大砲。狙うは、テナーの頭部。果たして巨大な身体に対してどれ程の効果があるのかは不明だが…………少なからず、己の銃で撃ち抜くよりも効果的だと判断したのだろう】
【しかしながら、当然発射には時間が掛かるであろう。その最中に気付かれて不意を突けない可能性だって大いにあって】
【小手調べでありながら、大きな一撃。――――果たして、どうなるか】

/グリース中身であります。宜しくお願いしますですよー
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/12/15(日) 22:23:49.45 ID:3cmYHqVho
>>199
【きびきびと行き交う船員に混じり、銃座に着いて双眼鏡で標的を見据えるものがあった】
【よれた黒いスーツの上下に、同色のソフトハットとレザースニーカー。上から下まで黒ずくめの、若い男だ】
【手足は長く上背はひょろりと高く、一見して針金のような細身は吹けば飛びそうに頼りない】
【口許にへらりと浮かべた薄笑いといい、どうもこのような場には似つかわしくない人種のようにも思えるが】
【船員の交わす噂話によれば、彼はそれなりに腕の立つ何でも屋で、傭兵紛いの荒事にも心得があるとの事であった】

……頸部の周囲を取り巻くマフラー、「唄」、不吉、そしてこの魔力。
如何にも剣呑だ、というのは言わずもがなだが、考えられる具体的な可能性は……音響兵器? 或いは、魔術?
どちらにせよ、俺がどうこうできるものではないね。ならば────

(システム起動。FCSをアクティブに)

【彼は魔術に関しては全くの門外漢だが、巨鳥が纏う禍々しい魔力を無意識に感じ取ってか、眉を顰める】
【双眼鏡越しに眇められた目はやがて完全に閉ざされ、男は何かの儀式めいて沈黙し、天を仰いだ】
【「仕事」の前の精神統一。身体の隅々まで酸素を染み渡らせるよう深く長く一呼吸して、目を見開くと】
【男は>>204の砲撃にやや遅れて、静かに弩の銃爪を絞った。巨鳥が攻撃を回避すべく飛び立つ瞬間を狙った、予測射撃だ】
//カイ中身です。本日は宜しくお願いします
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/15(日) 22:38:49.76 ID:5PRXoPwPo
>>200

【プシーの放った魔力の弾丸がテナーを捉える――パスッ≠ニいう音がその証左】
【あまりに、小さい。凄まじい広さを誇る湖に陣取る巨鳥テナーは、とてつもなく大きいのである】
【それこそ、人が虫とぶつかるような衝撃だったに違いない。僅かにばさり、羽根を動かすと――】

【――その首がゴキリと折れるように傾いて、プシーをじいっと、気色の悪い瞳で見つめていた】
【文様が有る。白と黒で交互に丸を書いたような眼。何か、とても不吉な――ぐにょリとした、グロテスクな感すらある眼であった】

>>201

『おう旦那!アンタがレヴィアタンの目ン玉ぶった切ったの、今でもちゃんと覚えてるぜ
 今回はまた違った野郎だが……風の国の平和を犯す点じゃ一緒だ、やっちまってくれよなッ!』

【船長の一号令の元、船員はよく動く。セシルが装備を拝借すると言えば、指示されたとおりに動くだろう】
【何れの装備も、いつでも使用可能――なんら問題はなく、現状、魔術による強化と弱化も最善手と言える】
【故、彼らに対してはテナーは無警戒。魔術はきいているのかいないのか、ぼんやりとした様子が見て取れて】

>>202

【――マルバスの攻撃が、テナーの行動における起点となった、と言っても先ず差し支えないだろう】
【彼が打ったバリスタは、間違いなくその首元に食い込んだ。如何に巨鳥とはいえ、グエっ―!≠ニ悲鳴すら上げ】

【直後、真っ赤な血を雨のように湖面へぶち撒けながら、テナーは轟音を立てて飛翔した】
【羽根を開くと尚、大きい。船は全く、テナーの影に隠れてしまうほどであり】
【そんな中、『ロックオンする』ように、プシーを見ていた瞳が彼を射抜く。汚濁した、意志の薄い瞳であって――】

>>204>>205

【この怪鳥のスケールや名前に騙されず、敏感にマフラー≠理解したのはこの二人が最初だろう】
【さもあらん、実を言えば最も奇異なのはソレなのだが――果たしてそこまで思えるかはまた別の話】

【テナーにしても、彼女彼らの攻撃のほうが余程重大なことのように感じられたらしい】
【先ず、巨鳥は飛来する大砲の弾を『嘴で捕らえて喰らい』――直後にカイの一撃が襲来する】
【必然、テナーはこれを受けた。が、先ほどマルバスの一撃を首に受けて健在なように――些かタフにも程があり】

/続きます
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/15(日) 22:39:02.74 ID:5PRXoPwPo
>>ALL

【セシルら(>>201)の魔術が数名の同行者へと使用されんとする中――テナーは既に空にあった】
【プシーの一撃に目を覚まされ、マルバスに眠気を飛ばされて、グリースとカイに怒気を覚えたのである】
【ふとその胸部が風船のごとく膨らみだす。既に、その巨体はシルフへと近付いてきていて―――】


ォ――ォ――ォ――。―キョ―ォォオ オ゛オ゛ ―オ゛オオ゛オ―オオオ゛―――ッ!!


【――最初、インコが囀るように始まったのは、まさにテナーの名が誇る唄らい≠ナあった】
【凄まじい凶声だった。いや、美しくも有る。破壊的な美を、その声は形容していたのである】

【耳を打ち、肌をビリリと重低音の如く撫ぜる音響は、やがて音以上の効果を産み始め】
【心根の弱いものは酩酊に似た心地よさを覚え、足元すらフラつき、全身の筋肉が弛緩する】
【――弱くなければ何も無い。ただそれでも、不快感を強める何かが声には含まれているようで】

【何か自然すらも打ちひしがれるように、周囲の苔がざわついた。下方、湖を見れば波すら打っている様子が図り知れる】
【――その奥、湖底で『うぞうぞ』と何かが黒く動いたが、気付くものは居るだろうか。――居なければ、別にどうも成らないが】


【さて、話はテナーに戻る。この鳥の特徴はサイズやマフラーにもあったが、その羽毛にも大事な点がある】
【それは羽毛そのものの厚みと重さである。バリスタが致命の一撃と成らないのも、これに要因があるようで】

【不意にその羽毛が総毛立つと、先ほど目で見遣った面々――セシルらを除いた全員へと】
【バサリと抜け落ちた無数の羽根が、根本を先にして、誘導性能すら持って飛襲する】
【その攻撃はさながら矢の雨にも似る。まとも受ければ、立ち往生すら無いとも言えない攻撃なのである】

【だが、ある魔術を受けていれば、この一度に限ってだが自己防衛も難しくはないし――】
【あるいは船から飛び降りるのも一手。下は湖だったし、温度も低くないから、死ぬことはない】

【またさらに選択肢を広げると――テナーは羽根による襲撃の直後、シルフの側を滑空してすれ違う】
【その折、全長30メートルもあり、掴みがいの有る羽毛に包まれた肉体へ飛びつくこともまた可能性の一つであろう】
【もっとも、そうなると足場が敵そのものになる。攻撃は出来ても、死との距離が近付くのは必定で―――!】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 23:01:45.64 ID:5B98NGLgo
>>201>>202>>204>>205>>206>>207

【桃色の花弁が周囲に現れるのを、敢えて拒む理由もなく】
【ただチラリと、二人に一瞥をくれるだけ。すぐに視線は前へと向かう】

――やっぱり普通のじゃ、効かないか……
ならもう少し、工夫を加えなきゃね。

【想定内といえば想定内だが、最初の一撃は効果が見えず】
【そして飛び上がったテナーが何をするかと思えば……話にあった唄】

嗚呼…………うるさい。

【強いだとか弱いだとか、それ以前の話】
【精神に障る攻撃は、このプシーには恐らく殆ど効き目が無いと見ていい】
【――ただ、少しばかり目つきがキツくなったような、そんな気もするが】

【ふと、視界に何かが映り込む。それは湖底で蠢く“ナニカ”であって】
【今は巨鳥が重要と見て視線は外れるが、それは心の中に留め置く事とする】

ここまで飛ぶなら上に居たって同じ、かな。
それなら――――――!

【パラソルを胸に抱え込めば、羽毛の雨へと飛び込むように、甲板から飛び降りる】
【当然、命中は避けられないけれど幸いこちらには防御魔術があり】
【幾らか切ったような傷を作った程度でくぐり抜け――――遺跡の残骸、その一つに着地】

今度はこれなら――――――どうかな?

【立ち上がり、振り向くと同時に放つはまたもや魔力弾】
【今度のそれは、着弾と同時に発動する“炸裂”の性質を持って】
【命中したならその瞬間に弾丸が破裂。人間相手ならダメージに加え衝撃をも与える代物だ】
【しかし、狙いは確かではない。何処に当たるか、そもそも当たるかどうかすら定かではない】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/15(日) 23:11:19.67 ID:9g9o/cd3o
>>201>>204>>205>>206-207>>208
おうおう!ソテーの血抜きはちゃんとしねぇとな!

【マルバス、鈍感ではない男はその薄弱とした意思を感じ取る】
【まるで誰かに操られているかのようだ、そうとも思える】

【だからといって、この怪鳥を、許せるものかと聞かれたら否定しか出来ないのだが】
【飛翔していくテナーを傍目に背中からチェーンソーを取り出しエンジンをかける】
【エンジンのかかる激しい回転音、そして臭い排気ガスに機械油の匂い、決していいものではない】

【その時、響く唄】

くそっ!

【すると男の耳が徐々に変形し、最終的には何もなくなった、蛇の耳に変化したのだ】
【ごくごく一部の低周波の音以外を一切受け付けない、耳】
【そのときにビィーズの魔術を拒絶したりはしない、魔術に関する知識が疎いというのもあるし、そもそもいま使うものが悪いものではない、そう思ったからだ】
【そして、降り注ぐ――羽の矢】

【無音の世界で、まるで時間がゆっくりになったかのように、男の決していいとはいえないような知能が最大限の速度で回転する】
【こと戦闘センスには優れたこの男だ、まずこの船に残れば危険だということもわかる、更に言えばこの果てもない量の羽の雨を避けることすら不能】
【翼を出現させればガードも出来なくもない、だが変形するのに掛かる時間は約5秒、今からじゃ間に合わない】
【打ち込んだバリスタ、帆船、怪鳥、魔術、チェーンソー、無音、雨のごとき翼、ソテー、交わる一瞬】

【男は何かを思いついたかのように帆船と自身の放ったバリスタの矢を結ぶロープを右手に巻きつける】
【その際に手首から黒いコードのようなものが生え、しっかりとロープと自身を固定する】
【そして男は左手で、そのバリスタの矢と帆船を繋ぐロープを一思いに断ち切る】

【結果テナーと帆船を繋ぐロープの内一本は途切れる】
【そして、テナーの首から生える弩弓の矢、そこから垂れるロープにマルバスは右手でがっちりとつかまっている】
【遠心力やチェーンソーの重みで肩が外れそうだが、そこを歯を食いしばって、ロープを伝って上へと、怪鳥へと向かっていく】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/12/15(日) 23:16:21.47 ID:3cmYHqVho
>>207>>プシー・セシル&ビィーズ

【飛翔する巨鳥を油断なく睨み据えつつ、男は射撃と同時に銃座を飛び退き、反撃に備える】
【そもそもからして、生物としてのスケールが違う相手だ。出会い頭の一撃で仕留められるとは思っていない】

────っ、ぐ!?

【耳を劈く巨鳥の囀り。周囲に響き渡る、心臓を鷲掴みにするようなおぞましい美を孕んだ調べに】
【以前、夜の国で開かれたあの門≠ゥらの呼び声──死への欲動>氛氓ノ似たものを感じて、漠然とした不安を覚えつつも】
【男は自らの為すべき事を為すことを、決して止めようとはしなかった】

(Tyrant=A戦闘態勢に推移。解凍──65、78、92──完了!)

【反撃の予兆を感じ取り、ミサイルアラートにも似た焦燥にかられつつ全速力で向かうのは、>>204──グリースの所】
【相手は獣。本能に任せて襲い来る。ゆえに反撃が来るとしたらそれは教会の異端狩り≠゚いた彼女か、プシー、マルバス】
【そして、自分に限られるだろう。そう大まかな予測を立てた上で、敢えて彼女をカバーする理由は特にない】
【強いて言うならば、只の損得勘定だ。ワイヤーを打ち込み、用を成さなくなった弩はさておき、砲台を潰されるのは拙い】


……下がって、ここは俺が!


【男はグリースと砲台の前にたちはだかり、迫る羽根の嵐に向かって右手を構えた】
【瞬間、袖を突き破って右腕全体が肥大化。悪魔や竜のそれを思わせる黒く艶やかな積層装甲を纏った巨腕となって、羽根を防ぐ】
【弾着の刹那、予想外に衝撃が軽い事に──つまり、>>201の援護に──気付いた男は、そちらに向けて軽く左手を掲げ、礼の代わりとした】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/15(日) 23:19:21.15 ID:p5/s4nZCo
>>206 >>207

――……桁が、違うな

【集中砲火ともいうべき攻撃を喰らっても、悠々と飛翔する怪鳥を二人は見上げる】
【まだターゲットの範疇に入っていないらしい事は、彼等にとってこの上なく有利と言えた】

「パパさん、格好付けるも良いですけど……デバフ間違えるしました
 あの羽はとても強靭、思います。見れば分かります。だから、防御低下が先です
 きっと色ボケで状態異常です……ビィーズがレストアで解除する、します」

……“唄う”という話は聞いていたのだろう?
何も強烈な範囲攻撃が飛んでくるとは言っていない。君の方こそ使う術を間違えていると思うが
この場合は、幻術系に対する継続的な防御を優先するべきで――……!

【テナーが動きを見せ、警戒の為にいがみ合う声は途切れる】
【このギルド「Elysion」は、メンバー間の仲が然程良くは無い事がギルド界隈で知られていた】
【実力者ばかりを集めようとした弊害だとも揶揄されるが、今回の依頼中に支障をきたす事は無いだろう】

【兎も角――範囲内にある彼らにも、テナーの“唄”が襲い掛かる】

っッ――術を切り替えた方が、良いか……“ルアクウォイド”!

「くう、……皆さん、頑張る、して下さいっ……“シンシアー”!」

【羽毛による攻撃が此方へ来なかったことが幸いして、“唄”にのみダズリングフローラで対応する】
【更なる術を発動する余裕を確保出来た。まずはセシルが、今度は敵防御低下の呪術を掛けようとし】
【続いてビィーズが、味方へと薄桃色の守護術を飛ばす。気付け効果があるが、咄嗟の物なので若干弱い】

「あと、皆さん……何か、下が嫌な感じ、思います!」

【湖底での変異に対し、感覚の鋭い少女は逸早くそれを気取るも、術の行使で一杯であり詳細までは掴めない】
【ただ、出来るだけ大きな声で味方へと注意喚起をして――舟と擦れ違う怪鳥の起こす風に、必死に耐えていた】

 【戦闘状況:二人共に船上、“唄”をダズリングフローラ効果発動により防御】

 【(対味方)ダズリングフローラ:一度のみ、味方が受けたダメージを軽減させる(使用後は効果消滅)】
 【(対味方)シンシアー:味方全体に対する軽度の気付け効果】

 【(対テナー)ストラウォイド:解除(ルアクウォイドとの重複不可)】
 【(対テナー)ルアクウォイド:敵の防御力を一時的に低下させる】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/15(日) 23:19:32.00 ID:1pznm9L/0
>>184


無学なものでね。生憎と詩にも映画にも批評にも縁がないよ
こうして潤滑油(オイル)を湿している間は、舌も良く廻ってくれるんだが…あぁ、これもどうでもいい事かな


【敬意も礼儀も要らぬような席、あるのは現実との曖昧な境界だけ】
【其処から逸脱しようと杯を重ねたあげく、似た者同士で並んでまた乾杯を挙げるのはある種の皮肉に思えて】
【どうでもいい、と言う言葉にほんの少しばかり可笑しみを覚えてしまう】


誕生日を清々しく祝福できるだけ幸せなものさ…知らぬ誰かに優しくするのも、或いは悪くあるまい

ビジネスか、――仕事が軌道に乗るまでは、呑みも控える心算だったが……
其方(そちら)みたいな相手がいるなら、偶には足を運ぶとするかね


【乾杯の後はピッチを上げて二口三口、ジョッキを傾けて】
【その都度脳を揺らす酔いに合わせ、男の言葉へ適当な反応を落としていく。明日には殆ど忘れていそうな、ふわふわした会話】

【ふと腕時計を見て、鈍った頭にそれなりの時の経過を改めて知らされる】
【切りが良いとは言えないが、どの道初めから締めの一杯の予定。ジョッキの下に紙幣を2枚挟み、ブーツの縁を鳴らして席を立った】
【拍子に酔いが足に来て少しよろけたが、帰り道には然したる影響を及ぼさないだろう】


名前が聞きたきゃバッドボーイ、次も一杯付き合ってくれよ
――――否(いや)、次があるなら、か


【男と違い、此処が取り立てて馴染みの場所というわけではない】
【独りと独りの線と線が偶々点で交わった。ただそれだけの事】
【ぽん、と肩を叩く代わり男の横へ、借りていた煙草の箱を置き去りにして。】
【夜も更けて益々活気を帯びる店を、背筋を正したすっきりした眼差しで足を遠ざからせていった――――】



/遅くなりましてすみません…
/勝手ながら今日はあまり居られなさそうなので、これにて〆させてもらえると有り難いです
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/15(日) 23:22:17.22 ID:NCp77vk50
>>206>>207
「うぇっ?!嘴で弾を止めるなんてやっぱり規格外だなぁ――――っと」

【こちらに迫る巨体を視認すると、どうするべきか悩み…………先ずは、仕掛けてくるその寸前まで見極めようとする事だろう】
【怪鳥に近づくには便利なシルフであるが、同時に棺桶とも成りかねない両刃の剣】
【地上に降りるべきか?…………いや、決断にはまだ早い。首元に集う魔力も気はなるが――――悠長に観察もしていられない】
【バリスタが刺さり、揺れる船。安定しない足元であるが、得物に向けるその視線だけは逸らさずに居た】

【…………体格同様に大きな“唄”には顔を顰めさせる以上の効力があったのだろう】
【その空気の振動が、少しずつ身体を蝕む。歌声に魅了こそされないものの、確かなダメージとなるのである】
【故、湖の気配には気付かない。今はただ、この声量に耐えきる事だけを考えて居たから】


「ハッ――――“唄”なんて形容される割には、賛美の一つもありゃしない……!
こんなんなら教会の子供達に唄わせた方が全然マシだね―――――――ッ」

【どうにか、足を折ること無く耐えきった…………が。続いての攻撃はどうか】
【与えられた時間は一瞬。留まるか、飛び乗るか、飛び降りるか。掛けて貰った魔術によって一つ程度の被弾ならばまだ何とかなるであろうが…………】
【些か、数が多い。近寄ればそれだけ有効な攻撃も出来、魔力の正体も掴みやすいだろうが――――相手が健全な状態なれば、その巨体に留まり続ける自信も無い】
【…………一つが、腕を貫かんとした。幸いにして、魔術のお陰で軽く肉を持って行かれる程度で済むのだが。時間だ。その事に変わりは無い】


「――――らしく無いなぁ。弱らせて、また近づく事があればその時に乗れば良いさ
何より今回の仕事はボク一人じゃ無い…………ってな訳で!!」

【羽が矢の如く降り注ぐ中、隙間を潜りつつ、時には飛び避けつつ船の端へと移動した】
【握るのは、ダイナマイト。其れを甲板に突き立つ羽に装着させ、銃を取り出したならば――――弾丸に乗せて、テナーの身体に突き立て様とするだろう】
【バリスタや砲弾であっても、致命までは持って行けない。ただの弾丸なれば、きっとそうダメージも無い事だろう。だが――――怪鳥自身の羽を矢として、そして其処に爆発物を括り付けていたならば…………?】
【とは言え、回避行動の最中に行った事である。狙いは当然精密では無く、警戒を始めた今ならば避ける事も払う事も可能であるし――――未だ羽がテナーの管理下ならば利用する事も出来るのだろうか】

【結果を見る余裕も無く、甲板から飛び降りれば――――湖の中へと着水する事だろう】
【蠢く其れ等には気付かず、取り敢えずは遺跡へと泳ぎ、体勢を整えようとするが】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/15(日) 23:34:23.48 ID:p5/s4nZCo
/>>211を一部訂正します
/【湖底での変異に対し、感覚の鋭い少女は逸早くそれを「気取る」も〜 → 「察知する」
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/15(日) 23:50:12.12 ID:5PRXoPwPo
>>208>>209>>213

【どちらとも船から身を躍らせて羽根を回避――直撃は避けたと見ていいだろう】
【一方は下へ、一方は上へ。まずは下から見ていくとするべきか】

【――プシーが足を置いた遺跡は、古い。有り体に言えばとてつもなく脆いのである】
【下手に蹴っ飛ばせば崩れるほどで――そこに来るのは、塊となった水の一段】
【津波、ではない。明確に水が意志を持って攻め寄るような波濤である】

【そして、その寄せる水の中には湖底のゴミだのを巻き上げもしたらしく】
【無数の人骨が――テナーが居ると分かるより先に食われた犠牲者が――】
【荒波に混じって、切っ先鋭く、プシーをもみ潰さんと、水流と化して迫ってくる】
【テナーは古い文献に凶水鳥≠ニも言うとか。おそらくは彼の者の能力なのだろう】


【そしてこの湖という攻撃のフィールドは、グリースにもまた牙を向く】
【といっても、敵は水流ではなかった。―――あろうことか蟲≠ネのだった】

【湖底、うごめく姿――プシーが先に見たのはこれだった。細長く、先端に口を持ち】
【似ていると言えばヤツメウナギだが、外骨格や細かな足が、生理的な嫌悪をソソる】
【それが一匹、二匹――湖底には何千匹と住んでいるのだろう。グリースの身に牙を立てんとするのである】

【もし喰らわれれば、皮膚から下、肉に至るまで刺さる牙。更には血や『魔力』すらも吸う獰猛性は】
【恐らく、この環境が生み出した自然の怪異――だが同時に、それを上から見るマルバスからは―――】


【―――そう、マルバスからは、徐々に近くに見えるマフラー≠ニ、湖に見える蟲どもと】
【サイズは違うながらも、実によく似た何かを感じるだろう。そもそも、マフラーなんかじゃないと分かるハズ】

【縄を類っていけば、情報よりはしとどに血がこぼれてくる。ふと、彼を襲うのはかのマフラーもどき≠セった】
【それでも、布の端だか、尾っぽだか、さも風に吹かれて偶然ぶつかりましたというような挙動で何度もはたき落とそうとしてくるのである】
【だが、意を決してロープを掴んだ彼ならば落ちるまい。近付くに連れ、自然、攻撃の手もなくなっていく。好機であった】

>>210>>211

【カイのとっさの判断による防御や、セシル・ビィーズらの魔術は、幸いにして意味を成している】
【既にほか三名は思い思いの手段でシルフからは離れつつあったが――ここに残るのは正解とも失敗とも言いがたい】

【シルフは、揺れ始めた。遊々飛翔するテナーに牽引される様な形で、一挙に速度を上げるのである】
【それも方向まで、一度にだった。ガタァン!≠ニいう音が響くと、甲板は30°ほども右に傾き】
【重さにつられ、大砲が一門落ちていった。更にはまた、テナーは唄わんとして胸をふくらませ―――】

【――しかしなにも、悪い事ばかりではない。船は自動的にテナーの背後に回ることになるのである】
【背後を取るのは絶対的な優勢だ。何よりその長い尾羽には、船首から飛び移れそうなほどでもあったし】
【まだ大砲が――龍≠ェ残っている。決して船に残ったのは悪手ではない、と言い切れるだろう】

/続きます
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/15(日) 23:50:44.10 ID:4GazqGgfo
>>198
/持ち越し前提になりそうですが、再投下
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/15(日) 23:50:45.17 ID:5PRXoPwPo
>>ALL

【さて、ここまではテナーの攻勢一方を記してきた。どうにも、この怪鳥は見た目だけではないらしい】
【唄も脅威、水を操ると思われる能力も脅威、そこに在る無残な骨共も脅威、蟲などは言うまでもない有り様だ】
【しかし傷も多い。バリスタを既に二発喰らい、弾丸も受け――今また、2つの火花がぼんやりとした湖面に咲き誇る】

【一つは、プシーが放った炸裂の魔法弾。左羽の間際で爆ぜたのが、よくよく、誰の目にも見えるはず】
【2つ目は、それによって起動した――外れかけのダイナマイト。グリースが放ったものである】
【どうにも外れそうだったのが、プシーのそれのお陰で無事に功を奏して、巨大な一翼に甚大なダメージを与えたのである】

【直後、急降下――流石に湖に落ちこそしなかったが、テナーはシルフを牽いて湖面スレスレを滑空し】
【通ったあとに真っ赤な血の道を作り上げ、遺跡をぶち壊し、波を荒立てながら進んでいく】

【その折、プシーやグリースの側を通るだろう。マルバスに関しては、下手にロープを掴み続けていると】
【そのまま、湖面に身体を打つかもしれない。そうでなければ――身体に移っていれば尚悪いかも知れなかった】

【――諸君はハリガネムシというのを知っているだろうか。主にカマキリなどに寄生する虫の一種なのだが――】
【その特性として、水を受けると体外に出るというのが在る。知っていたなら、不意に合点が行くかもしれない】
【湖面にテナーが近付いた途端、その全身、羽毛の隙間から、身の毛もよだつほどの黒い筋が噴き出したのである】

【よく見やれ――それこそ湖底に潜み、今グリースの身を汚さんとする蟲どもに他ならず】
【巨大な黒のマフラーは――もうお気づきか。喉元に牙を埋めた、特大サイズの寄生虫≠轤オかった】
【真っ黒な、人にも劣るが意志を持った、原初の魔力が周囲を包んだ。一般の人間なら、きっと吐き気を催すハズ】
【更には、テナーは胸を更に膨らませる。唄の前兆だ――今度は如何にして避けるか、如何にして斃すか――戦局は既に中盤へ差し掛かりつつあった】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/16(月) 00:19:30.93 ID:/Jtt3rbYo
>>212

……誰だって初めは他人さ。…知り合いだから祝うもんじゃないんだよ
おっと……俺もたまにはモテることもあるんだな

【新しいたばこをクシャクシャの箱から取り出しながら、ニヤリと笑った】
【パッとマッチを擦って、煙草に火をつければ、くだらない明細書にも火を移して】
【メラメラとゆっくり燃えるその姿には興味が無いように、灰皿の中に捨てた】

好きにしろよ、ラッキーガール。……それはお前が決めることだろ?
世の中っつ―のは運命と意志で出来てるんだよ…そんなもんさ…

【手を降るわけでもなく、去っていく相手に使い古したような詩的な言葉をつぶやいて】
【元々と同じような、一人の影へと戻っていく。BGMはハスキーボイス響かせて、誰の耳に届くのだろうか】



/簡単ではありますが、こちらで〆ということで!
/いえいえ、お付き合いいただいてありがとうございました&お疲れ様でした!
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/16(月) 00:23:27.91 ID:qSrv6bn0o
>>215

【テナーに牽引され大きく揺れる船上で、集中して術を扱う事が次第に困難になっていく】
【一先ず出来得るだけの味方支援と敵の妨害は成せた――ならば、次の段階へ行動するのみ】

私達は、大砲を――“龍”の発動準備へ回ろう。今なら背後を取れる
ただ……現状、敵に接近しようとしている仲間もいる
撃つには細心の注意を。ただし、この船が持つ間に撃たなければね……ッ

「はい、分かるしました……――ッ、わ、!」

【同じく支援として船に残っているビィーズへとセシルが言葉を掛け、“龍”の起動準備に入ろうとするが】
【場面は丁度テナーが一翼に大打撃を受け、遺跡を薙ぎ倒しながら進んでいく所】

【そして――水に触れた羽から、身の毛もよだつような光景が広がる】
【背後に間合っているが故に特等席で望めるそれは、気丈な言葉が多くとも年相応の少女には――】

「う、ぁ、……っ、嫌ぁーーっッ!!」

……、!?

【ビィーズが叫び声をあげて、両手で顔を覆い、甲板上でしゃがみ込んでしまう】
【眼前の光景が凶悪すぎたか。だが少女が使い物にならなければ、“唄”を防ぐ手段が無い】

【想定外の事態だったが、セシルは一先ず彼女を自分の後方に位置させ、ボロゴーヴを傍に呼んだ】
【“龍”を撃つまで甲板上に残っていたいが、最悪の場合は発動を諦めてこれに乗り離脱するよりない】

【嫌な汗が伝うが――絶対に、此処で死ぬ訳にはいかない理由がある】
【左耳で宝玉製のピアスが一際強く輝き、淡く清らかな水の力が、少しづつ防壁を用意し始める】

【そして――永久を誓った証の刻まれた手を、彼は強く握り締めた】

 【戦闘状況:二人共に船上、セシルが“龍”の発射準備、ビィーズが錯乱により戦闘困難】

 【(対味方)ダズリングフローラ:一度のみ、味方が受けたダメージを軽減させる(使用後は効果消滅)】
 【(対味方)シンシアー:味方全体に対する軽度の気付け効果】

 【(対テナー)ストラウォイド:解除(ルアクウォイドとの重複不可)】
 【(対テナー)ルアクウォイド:敵の防御力を一時的に低下させる】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 00:28:35.01 ID:yGVFnKUXo
>>215>>217

【足元で崩れる遺跡にふと目を遣れば、視界に映るのは水の塊】
【それに応じてパラソルの先に灯すのは、またも“炸裂”の魔力弾】

【魔力由来のこの弾丸は、火薬と違い水に濡れてもその効果を発揮できる】
【そしてそれを水の塊へと撃ち込めば――やはり、弾け飛んで】

……あんまり攻められ慣れてないかららどうも変な感じだね。

【本来の攻撃力こそ無い。しかし砕いたところで骨の破片】
【その鋭さに変わりはなくて、掠めたものが頬を切り、腕や脚に刺さる物もある】
【それでも、致命傷たり得る傷はないし、水中に叩き込まれる事もない】

【――そんな中で目にしたのは、黒い“ナニカ”の正体】
【それから、降下してきたテナーを見れば、何となく、事情が掴めてきた】

鳥も大きければそっちも、ってことかな……
虫は、あんまり得意じゃないけど。

【近付く巨大な影、無数の黒い筋が走って】
【一方のプシーはテナーが起こす風圧を、開いたパラソルで受けて空を散歩中】
【と言うほど長く暢気なものでもなくて、すぐに着地するのは先のものより一つ二つ離れた足場】

先に始末するべきは――――“こっち”、かな?
この数を潰すなら……“アレ”でいこうか。

【目にも止まらぬ早業で、閉じたパラソルのその先端】
【幾つもの魔力弾が集まって、一つの大きな塊を作り上げていくその最中】
【そしてその塊、少しではあるけれど周囲を包んでいる魔力も取り込んで……】

【――と、今はまだここまで。魔力塊は未だ放たれないし、他の攻撃があるわけでもない】
【しかしその様子は、大きな攻撃の為の準備、といったもので――――無防備】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/16(月) 00:33:00.97 ID:2CpAv9aSo
>>215>>217
ぐ、う……

【左手にぶら下げたチェーンソーの重さと、自身の重みに苦悶の声をあげながらもロープをはなすことはしない】
【右手首、右肘、右膝から伸びるコードはロープをしっかりと絡め、上へと進んでいき】
【左手首、左肘から伸びるコードはチェーンソーを腕に固定する】
【音は聞こえない、無音ゆえの挙動の判断が難しいという弊害はあれど、唄を歌う相手にはこれを解除するわけにはいかない】
【そして、ふと見た下、荒波と、蠢く虫】

おぇ……

【気持ち悪いといわんばかりにえづく】
【さっきから血を浴びているにもかかわらず、下を向いたときの蠢く蟲に吐き気を催した】
【血の匂いはもとより血を浴びることも慣れては……いないが、そこまで精神的にきつくはなかった】
【そして再び上に視線を向けたとき、見えたのは眼前にアップされた"ナニカ"】

げへぶっ!目が!目がいてぇ!

【マフラーもどきの布だか尻尾だか、ともかくこの男の目に直撃した、痛そうに悶えるが、その間でもコードはロープを登り続ける】
【だが、目に直撃したせいで分かった、これもあの蟲と同類なのだろう】
【目が再び使えるようになるまでしばらく、かなり痛かったのか充血した目で上を睨む】
【幸い、攻撃の手は弱まりつつあった、回転するチェーンソーを左腕に固定しつつ、右腕のコードで登っていく】
【そんな時、目の端に移る閃光】

ぎゃああああああ!!!目が!目がああああ!

【爆発音、揺れる体から発せられる負けず劣らずの叫び声】
【幸いというべきか否か、この男の耳は今機械のものとはいえ、蛇の耳だ、だから爆発音は聞いていないのだが閃光に目を焼かれ衝撃波に体が揺さぶられる】
【マフラーもどきに近づきすぎていたせいか、もろに爆発の影響を受けたようだ】
【可聴域がかなり低く、更に目も潰され、揺れる体、そんな状態で周囲の様子を見ることなど叶わない】
【ようやく目が物を写すようになり、体の揺れも収まった頃、ふと気付けば眼前に迫る湖面】

マジかよ!

【まず水につかれば両耳が壊れる、とまではいかないがひどい機能障害をもたらすだろう】
【修理すればなんとかなるが、今修理することは出来ない】
【更に言えば左腕に固定してあるチェーンソーは水に浸かった途端ショートを起こしてお釈迦だ】

くそが!あんまり外見が換わる様なのを使いたくねぇのによ!

【その言葉はかつて外見から差別された故の言葉……ではなく、服が破けると買いなおすのが面倒という魂の叫びだった】
【だから男は、"能力"を使用した、その途端、膨張する男の肩甲骨付近】
【そしてぎりぎり湖面が近づいたころ、男の背に一対の翼が生える】
【それは鋼鉄だった、だというのに、それは飛んでいた】
【男はその瞬間水面に平行になるように飛行を開始した、右腕にロープを掴んだままのため、未だに至近距離ではある】
【全てぎりぎりの行動、事実足の爪先が一瞬湖面を掠めた】

【荒く息をつきながら、怪鳥のほうを見る】

……ぐぉえ…

【喉にせりのぼってきたさっき食べたばかりの食事、の、一部、胃酸と共に未消化なそれを湖面に吐く】
【幸いというべきか否か、あくまではいたのは僅か、残りは気合で持ちこたえた】
【口の中に僅かに残った胃酸を飲み込み、喉の焼ける感覚に眉をしかめる】
【後味最悪、更に喉奥が臭いため吐き気は断続する】

【男が見た大量の蟲、蟲、蟲】
【遠目で見たときすら吐き気がしたというのに至近距離でうじゃうじゃ湧き出るさまを再び見ると男はもう一度吐いた】
【だが、吐いたせいで男は非常に不機嫌になった、空腹が襲ってきた】

くそが!これでも喰らいやがれ!

【男はやけっぱちに言葉と口の中に残った吐瀉物を吐き捨てるとロープと翼を使い一気にテナーへと近づく】
【左腕に固定したチェーンソー、その回転する刃を、マフラーもどき――巨大な蟲に突き立てようとする!】
【唄の前兆も、無音のこの男にはさほど効果をもたらしはしない】

//続きます
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/16(月) 00:33:09.29 ID:2CpAv9aSo
>>ALL
全員首のマフラーを狙いやがれええええええええ!

【そして、大声で叫ぶ言葉】
【それは寄生虫という概念を知っていたからなどというものではない】
【ただ単にこの目の前の気持ち悪い蟲をとっとと排除したい一心だ】
【当人が耳が聞こえないため大声で叫んだ言葉は絶叫に近く、それを叫んだ後マルバスは咳き込んだ】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/16(月) 00:34:11.36 ID:akO8l6In0
>>215>>217
「――――っぷは!!ったく、ただの鳥だと思えば思ったよりも手間の掛かる…………
蟻の一噛をちまちま続けてただけじゃ話にならないね。…………いや、一つだけあったか
船長さんが自慢してたあの大きな砲…………龍、だったかな。船に残ってる誰かが起動してくれれば、もしかしたら――――」

【水とは言え、高い場所から落ちればやはり痛みも有る。目立つ外傷こそ無いものの、強かに打った身体は痛み】
【――――水中を搔く足には、また別な鋭い痛みが走った。気付かぬ内に被弾していたか。…………否、足に食らいつくその蟲を見れば不快感を露わとする事だろう】
【何も、虫が気持ち悪いから何て乙女な事では無い。魔力を啜られている事に気付いたからこそ、顔を顰めたのだ】
【其処にまで目を落としたならば、その通りの数。弾丸を一発一発放った所でキリが無いのは明白】
【然れど、この状況をどうにかせねば体力が尽き、同時に魔力が尽きる事も又明白】


「さっきの子や守ってくれたおにーさんは大丈夫かな…………
――――今は悠長に他人の事を考えて居る暇は無いか。先ずはこの気色悪い虫達をどうにかして―――――ッ!」

【足に食らいつく虫を剥がし、握りつぶせばその身体に流し込むのは自分の魔力】
【どうせ吸われるならば――――食われるならば、“デコイ”として利用するのみ】
【その肉体に流した魔力はおいそれと簡単に尽きる事無く、役割を果たすには十分】
【名より、この女の魔力――――“聖”は、生物によっては一定以上摂取した際に毒として働く事もあろう】
【尤も、新鮮な血液を求めるならばデコイとしての役割を果たさずに終わるのかも知れない。そうすれば絶体絶命。先ずは此処から逃げる事に専念せねばなるまい】


「…………ッ!!女の子が水浴びしているんだから、もう少し落ち着いて欲しいもんだね……!!」

【だが――――この一瞬ばかりは、逃す訳にいかなかった】
【“唄”を逃す訳にはいかなかった。水中であれば、溺れさせる可能性も勿論考慮したからであるが】
【側を通りかかった際に風圧で生じた波を被れば呼吸が乱れるも、その手にはしっかりと銀の銃が握られていた】
【船員達の事を考えた結果である。この場に集った自分たちは大丈夫であったが…………もし、船員にそうで無い者が居たとしたら】
【デコイが機能しているならば、冷静に。機能しないならば、その足を虫達に喰らわせて狙いを定める】

【狙う先は――――口蓋垂。声を出す度に震盪する其処で、傷を作って唄を紡がせなくしようとする目論見だろう】
【口を開けたならば其処に目掛けて数発の弾丸を飛ばす筈だ】
【――――ただの弾丸であれば、そう効果もなかろう。だが、少なからず“加護”を受けた弾丸は…………教会に背く敵を排除すべく祈りを込められた弾丸は】


「まるで悪魔の姿に似ている――――ね
契約に契約。ボクが作られたのはそんな存在を消す為だから…………かえって、撃ちやすい!!」

【被弾した部位より、“浄化”が浸透し始める。アンデットであればその一発で朽ち始め、吸血鬼や人狼であれば壊死する故に銀の弾丸よりも質が悪い】
【…………だが、其れ等は所謂闇の住人。当たった際に浄化が浸透する事に変わりはないが、果たしてそれがこの怪鳥に効果をもたらすのかは分からない】
【何より、弾丸のサイズは変わりない。その分を補うための“加護”であり――――“唄”を潰し、“龍”による攻撃を当てさせる隙を作る一撃でもあるが…………果たして、どうなるか】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/16(月) 00:37:14.40 ID:/Jtt3rbYo
【路地裏】

【暖炉の火が揺らめく、暖かな室内にいても窓は寒そうな音を立てる】
【それを受け入れられるほど生憎そんな優雅な生活はしていない人が殆どだ】
【大概はフードを被って下を向いて一本でも早い電車で帰りたい。そんなところだ】
【または明日は休日だしまあ温まってからでも…という終電で帰るコースのどちらかだ】

【しかし、この世界の影である路地裏の住人たちもそんな当たり前を知っているとは限らない】
【寒さすらどうでもいいと一蹴するような永久凍土の眼差しや滾る欲望を燃やし続けて居るのだろうから】

【ある入り組んだ路地の奥には、2人の人物が人目を気にするように小声で話し合っていた】
【1人はそこにある雑居ビルの非常階段に腰を掛けて、もう一人はその前に立ち、身振り手振りで話していた】

『…………だから、アイツはそのままそれを利用したんだ…だからはした金でも保釈されたんだ』

……あんな奴でもここいらの自警団で偉くなれるなら……そりゃあ此処も素晴らしい治安だろうさ。

『…だから…ロッソ。もう二度とあんな気分はゴメンだ。色々バレちまったし………』

【ロッソと呼ばれた人物。非常階段に座っていた背の高い男…黒髪で黒いレンズのサングラスをしていて】
【黒いスーツと黒いブーツ。その上にカーキ色のミリタリーパーカーを羽織っている彼はしゃがれた声で】

どうせ不起訴で釈放だ…安心して…ま、田舎で実家でも手伝ってやれよ。

【そう言えばポケットの中からクシャクシャになった赤マルの箱を取り出せば1つくわえた】

『そうする。…ヘマしたら、居られないルールだしな……じゃあ、ロッソ。アンタの正義、応援してるから。』

【それだけ言って、彼は路地裏を走り去っていった。残された男はライターを取り出して】

……何が正義だバカ野郎。……馬鹿正直がドロボウなんざ出来るかよ……あークソッ

【オイルライターを擦るが火が点かない。イライラする。ガス切れか、寒さで手が震えるからだろうかそれとも…】



/中古未使用品になりますがよろしければ…
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/12/16(月) 01:15:08.61 ID:mKhmxexUo
>>215>>217>>味方all

その成りだけに──チキンレースだ、ってか。いいよ、乗ってやろうじゃないか鳥頭!

【テナーに夜空を引き回され、大きく右に傾く甲板。踏ん張りを利かせてその場に留まった男は】
【落ちて行く大砲には目もくれず、甲板中央を目掛けて遮二無二走る。たかだか砲弾の一発や二発で止められるような相手ではない】
【この一帯の空に於いて、食物連鎖の頂点に立つかの巨鳥を墜とすには、同じく新世界に於ける食物連鎖の頂点に立つ者】
【幻想種たる龍≠その名に冠した魔導砲の一撃/息吹を、その翼にくれてやる必要がある──】

……大丈夫だから落ち着いて、深呼吸を! 俺が君達に「あれ」を近付けさせない!
ビィーズ、って言ったかな──そこの君は、あの「唄」をどうにかする事だけを考えて!

合わせて撃ち込む。右と左だ。羽をもいで湖に叩き込めば、少なくともあの鳥は片付けられる。オーケー?

【セシル達に倣って左手に弾頭をひっ掴み、もう一門ある砲身に駆け寄って薬室に叩き込むと】
【右翼に狙いを定め、彼らの準備が完了するのを待った。その傍ら、大声で彼らに語りかけ、連携を図る】
【現状の彼に、あの「唄」をどうにかする手段は存在しない】
【寄生虫を身体中から噴出させ、禍々しい魔力を隠しもしないあの巨鳥】
【奴の死に物狂いの精神干渉から身を守るには、今甲板で蹲っている少女に復帰してもらう他ないのだ】

(ジェネレータ出力、オーバードライブに。人工筋肉の全リミッターを解除する)
(EXーS≠ヘ射撃シークエンスを開始。いざとなったら、多少無理矢理にでも……!)

【夥しい数の羽が突き刺さった黒い右腕から響き始めるのは、甲高い駆動音──それは、龍≠ェ不発に終わる可能性に備えた溜め≠セった】
//遅れて申し訳ない!
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/16(月) 01:29:08.61 ID:us8ZtKm5o
>>219>>223

【大きな魔力の塊を、それこそ周囲の原初すら取り込み作るプシー】
【その姿を、まさか貪欲な蟲どもが見逃そうはずもない】

【『あの魔力はなんだ』『似た魔力だ』『人の形をしているぞ』『じゃあ――』】
【そんな遣り取りが聞こえそうなほどにあっという間、蟲たちは湖面から勢い良くとび出すと】
【そのままプシーの何処とも無く食らい付こうとし、魔力と血液を吸い取ろうとするだろう】

【数は膨大――だが、どことなく動きがぎこちないのはグリースの所為であった】

【無数と言って差し支えない蟲共は、魔力に対して恐ろしく敏感である】
【食い物として、空気として。そういう存在として、彼らには魔力が存在し】
【仲間の一匹でも、自身と対極に位置する聖≠フ魔力で死んだなら――】

【それは水を電気が伝わるより早く、周囲一体の蟲にも影響を及ぼしていたのである】
【故に、振り払えばもげるような脆弱さを、湖面の二人に対して蟲共はさらしていて――】

>>219>>221>>225

【ビィーズやマルバスが寸時でも気持ちを悪くするのは当然のことと言えるだろう】
【誰しも、得意不得意以前の物がある。全く無理の無い反応、と言うのは云えていて】

【だからこそ、その中での行動が際立って目立ち、また効力を発揮する】
【セシルが駆けた龍≠フ準備。船員は総出でそれを手伝い、もうすぐにも、狙いをつければ発射可能に仕立て上げ】
【カイの駆けたモノもまた同様にして、強烈なアギトは、今か今かと大きな口を開き――】

【――周囲の群雄たちもまたこの龍≠ノ期待を添えていたのは言うまでもない】
【あとはタイミング――それも直ぐに来ると悟って、冷静に。そう居られれば、希望は見え――!】


『――オ、グゴ、ッ…!!?キィィィィィィィィィィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛!!!!』


【その一端がマルバスによって開かれる。首元のマフラー=\―寄生虫に大打撃を与えたからだ】
【最初、カイとグリースはこの寄生虫の魔力を感じ取っていたのである。何より要の、この生き物を、だ】

【すると、俄にテナーは滑空から上昇し、元いた水道橋の上にまで飛び上がって降り立てば】
【有名な『双頭の鷲』のように、灰の羽毛から無数の黒い蠢きが這い出た翼を開いて、胸を張る】
【最後の雄叫び――唄らい≠ゥ。自由を取り戻したシルフは、当然、テナーの前面へと舵を取って―――】

/続きます!
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/16(月) 01:29:17.74 ID:us8ZtKm5o
>>ALL

【はて、忘れられたようなことが一つ。それはグリースが放ったはずの弾丸であった】
【口を開くテナー、その奥を見遣れば――確かに穴一つ。しっかりと、撃ちぬかれた様子が在る】

【だがそれを物ともしないというのはどういうことか。答えは簡単だ、テナー自体は悪ではない≠ゥらである】
【この湖に住む寄生虫達。それが寄り添って、ようやく周囲の空気を暗澹たるものにおとしめられる】
【では、果たして寄生虫は自身たちと同様の要素を持つものに寄生するか。否だ、得がなければ寄生はしない】

【とすれば――テナーは一体。そう思わせる間に敵も動き、テナーはついぞ二度目の凶声を放ち―――】


キ゛――キ゛、っ――キョォォォォ゛ォ ォ゛ォ゛ォ―――― ... オォ゛――ン――。


【どことなく、哀愁すら漂う力なき一声。しかしその効力たるや、先の精神汚染よりも余程強烈】
【音の届く範囲――例えば耳。例えば肌。例えば扉を隔てようとも、聞こえたのなら――】
【その音の波が届く場所を、縦横無尽に引き裂く°カ唄がまさに此度の一吠えであった】

【肌が裂け、肉が裂け、あるいはその奥まで――近くにいれば居るほど、効力は激しいものとなっていく】
【だが同時にこの一撃は、多大なる隙を作り出す。グリースの一発は無駄ではなかったのである】
【徐々に浸透する神聖、それに悶える巨大な鳥――否、寄生虫が蠢きのたうち、そこに在り】

【いざ、撃つならば今こそは――!喉元か、頭部か、それとも。考える必要は、全くない】
【何故か――?叫んだ≠ゥらである。群雄の一人が、空で大きく喉も裂けよと教えてくれたからである】
【既にセシルとカイが狙いを定める龍≠焉Aそれを載せたシルフも正面へ辿り着き】

【一方でプシーから見れば、やや遠く事あれ、動かぬ鳥はやはり絶好の的に違いなく】
【これはきっとグリースにも同じだし、最も近い位置に居るマルバスには何を言うまでも無い】
【禍津声を、息の根を止めるのはまさに今。風が吹いて、唄らいの残響が静寂に溶け―――。】
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/16(月) 01:46:15.41 ID:qSrv6bn0o
>>225 >>226 >>227

此方が左。了解――……

「深、呼吸……っ、はぁ、ッ――」

【セシルが“龍”の発射準備に専念する間、ビィーズはカイから掛けられた言葉を一心に咀嚼した】
【顔を抑えていた両手を恐る恐る外して、ぎゅっと閉じていた目が少しづつ開かれ】
【蹲っていた体が震えながらも、ボロゴーヴの助けを借りてゆっくりと立ち上がっていく】

(ここで……負ける、するは、いけません――!!)

【一方で、左翼を撃つ準備が整うと、同じく右翼を狙うカイへとセシルは片手を挙げて合図を送る】
【その際に自身の後方を指し示した。見れば、呼吸を落ちつけられたビィーズが、術の用意をし出していて】

「届いて……! “シャインエフェクト”っ!!」

カウントダウンしよう……準備はいいね
3、2、1―― 貫け!!

【声を信じ、再び立ち上がったビィーズは新たな術――“シンシアー”よりも強い浄化と、防御の術を発動し】
【セシルはカイとタイミングを合わせ、左翼を狙いテナーの正面から強大な一撃を叩き込む――!!】

 【戦闘状況:二人共に船上、セシルが“龍”をテナー左翼へ向け発射、ビィーズが“シャインエフェクト”発動】

 【(対味方)ダズリングフローラ:一度のみ、味方が受けたダメージを軽減させる(使用後は効果消滅)】
 【(対味方)シャインエフェクト:邪悪な作用を祓い、短時間の間より強固に味方を保護する(シンシアーの上位術)】

 【(対テナー)ルアクウォイド:敵の防御力を一時的に低下させる】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/16(月) 02:14:21.94 ID:2CpAv9aSo
>>226-227
はっ!この気持ち悪いマフラーが!

【悪態を一つ、チェーンソーをつき立てたまま】
【調子に乗った――それは致命的な隙になった】

気持ち悪い蟲ごときがにんげっ……あぐぅうう!

【急上昇、テナーの急上昇は男にとって完全に想定外であった、思慮が足りないとも言う】
【チェーンソーを手放すわけにもいかず、さりとてロープを離すにはコードが絡み付いているため時間が圧倒的に足りなかった】
【結果、テナーの急上昇に合わせるようにマルバスも急上昇させられる】
【あまりにも早い移動は、人間の目のままであるマルバスにとっては激しく気持ち悪いことであった】
【もっとも、さっき吐き出せるものを全て吐き出したため吐くことは無いが、それが幸福か否かは誰も知り得ない】

はぁ、はぁ、くそが……!

【ようやく止まる急上昇、慣性に従い一度ぐんと上昇した後ロープに引かれて止まる】
【再び口を開くテナー、男は慢心していた、自分は耳が今は聞こえないのだと】
【左手のチェーンソーを構えて突撃、そして響く"唄"】

あ、ア゛?

【その瞬間、爆発するチェーンソーのガソリンタンク、唄の刃は深く、深くチェーンソー破壊しつくした】
【ロープも絶たれ、一瞬重力に従い落ちかけるが翼を動かすことで留まる】
【だが、それも一瞬、"ダズリングフローラ"の効力は一度のみ、そして暴虐的な唄の刃が切り裂く】
【コード、腕、足、手、顔、目、首、どれもこれも深い一撃でしかない】
【幸い、全てが致命傷と化す前に再び魔術……"シャインエフェクト"によって保護されるが、無事な部位はどこにもない】
【いや、この瞬間にショック死しても、失血死してもおかしくは無い、だが、まだ男には猶予が残されていた】
【だが、もう男は飛べなかった、翼を動かす気力が失せたのと、翼を動かしてもバランスがとれずに落ちる】
【絶たれたコードの先から僅かに火花を散らしつつ、男は血をばら撒きながら湖に落ちていく】

……しょうがないか

【男がふと呟いた、それは諦めか?確かにある種の諦めだった】
【今着ている服を全て捨てる覚悟だった、もっともあちこち切り裂かれた服はもう使いようがないとも言えるが】

[37セクターから572セクターを開放、及び192374セルから582172セルまでをζタイプに活性化]
[演算領域を172ZB確保、エネルギー生成機構活性化]
[物質変換効率を最大化、レジストリを消去、デフラグ開始、完了]
[中央制御機構確認……欠損、代理プログラム起動]
[パスコードを入力]

  パーフェクトビースドール・ルプス
……完全なる獣の形[狼]

【その瞬間、男の体が変形する】
【人間の体ではなく、機械の体へ】
【人間の形ではなく、獣、狼の形へ】
【巨大な鋼鉄の狼へと、変化していく】

U、GAAAAAAAAAAAA!!!!

【雄たけびを上げる[狼]、それには何の意味もない】
【そして次の瞬間、水道橋にその鋭く凶悪な爪を食い込ませる】
【その食い込ませた爪は、湖面ぎりぎりで[狼]を浸水させることを抑える】
【更に、片方の爪を抜き、更に上へと突き立て、もう反対も抜いて突き立て、上に登っていく】
【その速度は、速い】
【そして、水道橋を上り詰めた[狼]は、そのままの勢いで寄生虫にそのチェーンソーよりも数倍凶悪で、深い爪を突き立てるだろう】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 02:17:53.44 ID:Upg4B57lo
>>226>>227

【無防備なプシーの身体、鈍っていようと蟲達が食らい付くのは容易くて】
【しかしプシーとて、黙って吸われている筈もない】

一人――――なんて言ったけど、訂正しなきゃね……

【何も、パラソルだけが武器ではない。もう一つ、武器ならあるのだ】
【己が半身たる片割れが、手酷くやられながらも神獣を討伐し、その時貰った揃いの品】
【――そう、首元に巻いた、ファーマフラー。消えぬと言われる火を宿す、炎獅子の鬣】
【片手にパラソルを握ったまま、解いたそれを体表に沿ってぐるり】
【その火は所有者たるプシーには害を為さないけれど――蟲に対しては言わずもがな】

――このマフラーがあるから、クシーと一緒にいるようなものだったね。

……さあ、派手にいこうか。“大事なマフラー”をこんな事に使わせた事―――後悔してよね

【一旦、マフラーを肩に掛けたなら、パラソルを両手で持ち直し】
【最早その目が見るは、テナーではなく蟲のみで――――】

【唄が発せられるその瞬間――魔力塊は、放たれた】

―――――《Meteor-Shower Bullet》

【MeteorShower¢ヲち、流星雨】
【『束の間の流星群』という名の通り、射出直後に魔力塊は無数の魔力弾に分解】
【そして、それが見えているのはほんの“束の間”、音にも勝るのではないかと思えるような速度を得て】

【大部分はテナーの方――否、織り込んだ原初の魔力に対する追尾性が発動し、巨大な蟲へと駆け抜ける――――ッ!】
【それらの軌道はやがて収束、その威力を一点に叩き込まんとして】

【一方で、テナーに向かわなかった物はどうなったか。】
【簡単な事、追尾対象とした魔力なら、すぐ近くにも存在する。それだけの話】
【――つまり、湖の中。全てを斃すだけの数はないけれど】

っ…………!ぅあっ……!

【そして、狂唄はプシーの許へも届く】
【少し距離があるとはいえ、元の威力が段違い。肌が、肉が裂けて】
【膝を付き、体が崩れ落ちる。それでもパラソルを支えにして、上体が倒れることだけは何とか避ける】
【その行方を、その目に映す為に】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/16(月) 02:20:20.85 ID:akO8l6In0
>>226>>227
【その一撃は怪鳥の喉を貫いた。確かに浄化がその身に広がっているのは、放った本人が分かる事だ】
【だが、アンデッドや悪魔に見られる効果が無い。即ち、寄生虫は兎も角としてテナー事態が悪では無い事を伝えている】
【獣だって暴れて人を殺すし、必ずしも悪のみが命を奪うわけで無い事は知っている。しっているのだが――――何かが引っ掛かる】
【これ程の怪鳥が、何故今更討伐対象としてクエストに出されたのか。もっと前に討伐されても良い筈で、噂を聞いていても良い気がする】
【ただの自然の気紛れか。作為的な何かか。――――らしく無い。与えられた仕事をこなしていれば良いのだ。詮索は、自分らしくない】


「ハハ――――…………こっちの水はあーまいぞってね
さて、君達の質は分かった。魔力を食べれても、聖は食べる事が出来ない様だね
なら、簡単だ。ただの虫だったならまだしも…………あの鳥に比べればそこまで苦労しそうにも無い」

【例えテナーが何で有れ、命じられたならば屠るだけだ。自分の感情が入る余地は無い】
【体表に纏った“聖”は文字通り虫殺しの役目を果たすだろうか。牙を立てればその身体に直接流し込まれ、死に至らせるのである】
【――――尤も。虫達が既に知っていれば、近寄る個体も少ないのだろうか】

【そして何より、体表に纏ったのは水中に潜るため。水という壁を用いて、その音を遮断しようというのだろう】
【――――虫の特性は掴んだ。多少深く潜ったところで、死に至る程噛まれるという事も無さそうだ】
【それでも尚肌を僅かに裂く“響き”に出血をさせられるが、構う暇は無い。此処で顔を出せば、更にダメージを負うのは分かりきっているのだから】
【頃合いを見れば、丁度“シルフ”が正面へ着いた頃だ。実際目の当たりにしていないが、船長が豪語していた程だし――――何よりも、其れの破壊力が尋常で無い事は素人目でも分かる】
【だから、悟った。終わりも近いのだろうと】


「ボクにはね…………君の唄だって言葉だって理解出来やしない。何かを伝えたいのか、ただ怒っているだけなのかも分からない。此処に集った仲間達だってそうじゃないかな
ただ…………特等席を陣取った虫達に聞かせるには勿体ない事位は分かるつもりさ
死ななければ、其れで良い。もし死ぬのであれば――――せめて、安らかにお逝きよ」

【何で有れ、今が絶好のチャンス。確かに距離はあるが、射程内だ】
【弾丸の効果は、つい先程確認した。直接触れているならばまだしも、今はこの距離だ。決まり手を放つには欠ける】
【――――握る掌には魔力の塊が生じ、やがて槍へと昇華する。長槍へと移ろえば…………さて、人間何人貫けるかと疑問に思うほどの其れが出来上がった】
【重さは無い。だからこそ投げられるのだが、武器特有の威力増減も無い。…………だが、今は其れで良い】
【決まり手は“龍”に託す。自分は、その補佐をすれば良いのだ。幸いにして、あの虫達が“悪”である事が分かったから――――テナー本体では無く、その障害である虫達に狙いを定めたのだ】

【先も書いた通り、槍としての効果は期待出来まい。だが、突き刺されば其処を始点として聖が広がるのである】
【体表に集う虫達を、白き炎で焼かんと勢いを増すのである。…………狙いは言わずもがな、首。正確にはのど元】
【命令を下されたならば何も考えない。屠れと言われれば屠る。――――だが、この時確かに私情が生じていた】
【何もせずとも、後は仲間が決めてくれる事は分かっていた。ただ、何と無くその虫を纏わせたまま死ぬのが哀れに思ったのだ】

【らしく無い――――らしく無い。自嘲めいた笑みを浮かべれば、後は結末を見届けるのみ】
【槍が、どの様な効果をもたらすのか。何よりも、仲間達が決めるその瞬間を金色の双眸で見つめるのみ】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2013/12/16(月) 02:36:52.79 ID:mKhmxexUo
>>226>>227>>228

……良い娘だ。心配は要らないよ。お兄さん、約束は守るからね。

【ビィーズがなけなしの気力を振り絞り、立ち上がるのを背中越しに感じる。並び立つセシルが、視界の端で合図を送る】
【後方を指差されても、敢えて振り向く事はない。見ずとも解る。彼らは信頼に値する戦友だ】
【眼下ではプシーとグリースが蟲どもを薙ぎ払わんとし、見据える先──巨鳥の上では、マルバスが道を指し示す】
【船員達のサポートにより、龍≠フ準備は万端だ。あとはもう、準備を待つのみ】

(彼らの心意気に応えなければ、嘘だ。……オーバークロック。FCSに加えてオートバランサ、ニューロブースタを並列起動)
(──ターゲット、完全に捉えた。予測命中率、97.958%……)

了解(コピー)! 3、2、1────ぶち、抜けええぇぇえええッ!

【瞳の中に浮かび上がる、同心円状のターゲット・サイト。持てる機能の全てを駆使して、正確無比に狙いを定め】
【セシルと全く同時に、右翼へと龍≠フ一撃を撃ち込んだ。夜空に響く発射音──龍≠フ咆哮が、テナーの不吉な呻き声の残響を掻き消してゆく】
【「唄」の調べが肌を裂き肉を穿つが、今の青年には味方の加護がある。こんなものは掠り傷の内だ】

(予備演算領域に、補助AIαをインストール──完了。アドミニストレータ・モードに移行)
(システムΩ/オーバーロード、起動。EXーS、ファイア)

【──そして、弾着を見ることなく立て続けの第二射】
【甲板に片膝を着いて、巨鳥へと真っ直ぐに右手を差し伸べれば、大盾めいて一際分厚い前腕部の装甲が縦に裂け】
【その内に隠された砲身を、夜気に曝した。処刑剣の名を持つ光学兵器──灼熱するかの顎門(あぎと)こそは、青年の切り札】
【純粋なエネルギーの奔流によってあらゆる敵を撃ち貫く、戦術級の砲撃兵器に他ならない】

【砲から放たれる莫大な熱量を秘めた流星のごとき閃光は、船と巨鳥とを繋ぐワイヤーを断ち切り、あわよくば標的に更なる打撃を与えんと夜空を駆けた】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 21:38:09.98 ID:Jd4aaPkso

【空に浮かぶ月は丸く、明日にも満月という様なそんな夜】
【空には雲など欠片もなくて、煌めく星達は鮮やかに、そして月は幻想的に地上を照らす】
【随分寒くはなったけれど、虫の声はどこからか聞こえてきて】

【丘の上には一本の大木。今は葉も少なくなったが、その存在感は尚も健在】
【枝葉の隙間、差し込む月光は、一人の女を照らし出していた】


こんな夜は、あの阿呆の事を思い出すのう……
――――――いや、あの夜はもっと、丸かったかの


【絢爛な雪下の襲は、胸を強調するように胸元を大きく開き】
【艶のある金髪は持ち上げて、簪を使って後頭部で纏めて】
【切れ長の金色の瞳は、ぼんやりと夜空を眺めていた】

【木の根本に凭れ掛かるように座り込んだその身体、すぐそばには徳利が並んでいて】
【どれを見ても清酒が入っている。しかも温かく――要するに熱燗 】
【こんな所で晩酌でもするつもりだろうか……?】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/16(月) 22:15:36.38 ID:DpzyG8Iko
>>233
【かさ、かさ。草を踏みしめながら、一つの存在が丘の上へと近づいていく】
【人、だろうか。それにしては、どこか希薄で、そしてどこか異質な存在感。しかし、敵意の類は放出されず】
【女の居る地点に近づいていくその一つは、月明かりに照らされてその存在を顕とする】

「――たまにはこういうとこで写真取るのも悪くないかねー」

【顕とされた存在が首から下げていたのは、中々良い一眼レフ、だろうか】
【右目を隠すように白髪を垂らし、所々に蛍光グリーンのメッシュが入った頭部は、よく目立つ】
【服装は、赤いレザージャケットと黒いデニム、普通のブーツと同じ様なデザインの安全靴】
【服装や髪型などの雰囲気、そして鍛えられた体躯に反してその身長は大分低く、そこが残念な所で、近づき難さを和らげる点でもあった】
【前髪越しにファインダーを覗き、月とその下の大木を捉えてシャッターを切る。そして、ズームをかけた所で女の姿をファインダーに捉えて】

「おっと、うっかり入れちまったか。
悪いな、お楽しみの所。ちょーっと失礼させてもらっていいか?」

【斜面を危なげなく登りながら、何処と無く皮肉げというか素直でなさそうな笑顔を浮かべて】
【手元の一眼レフを示しつつ、自分が怪しい人間ではないことをアピールする】
【と言っても、どう見てもどこそこでリーマンやっていますという人間には見えない為、信用に値する人間には見えないかもしれないが】

/*凍結するかもですが、宜しいでしょうか?*/
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 22:18:01.80 ID:OOKmiebG0
>>233

【夜だと言うのに影が出来るぐらいに、まぁるいお月様は煌々と明るくて】
【そんな中で聞く虫の音は普段よりも賑やかなもののように思える錯覚】
【明るさに飛び飛びになった星空を背中に敷いて、さくりと踏み込む足音があった】

……こんばんは、

【――そうして声を掛けるまでの工程は隠されることなく、全てが総て月明かりの下に晒されて】
【だから。少女の訪れたことを知るのは何ら難しいことでもない、子供でも分かる問題集の答えみたいに】

ひさしぶり……――瑚蝶。

【変わらずに子供みたいな笑顔をふわと投げて首を傾げてみせる、どうにも既知らしいと知らせたなら】
【声を掛けるだけには近しいといえる距離まで寄ろうとして――、「なにしてるの?」と、紡がれる声がある】
【背中側で手を組むようにして。そっと覗き込むようにして。声を掛ける少女は、】

【腰まで流した真っ黒色の髪は途中をマフラーに押さえられて、ふっくりと膨らんだかたち】
【空のお月様みたいに丸い瞳が黒色と赤色と、左右違ったもので――右耳だけのピアスが宝玉をあしらったもの】
【ぎっちりとボタンを留めたコートにタイツにブーツに。ひたすら寒いと主張するような冬の恰好、冬毛を貯えるように】
【それでも。いつかに公園で杯を交わした記憶は残っているだろうか、或いは、鈴音と名乗ったことも】

お酒? ……お父さんと飲むの練習したんだよ、前は酔っ払っちゃったけど……もう大丈夫。

【ふわふわと湯気を上げるそれらが酒であると認識すれば、マフラーに顔を埋めながらくすりくすりと笑ってみせる】
【いつか真っ赤になってしまった日を恥じているように――その実、何にも気にしていない心で、そっと首をかしげるなら】
【傍に座ってもいいかと言葉の外で尋ねていた。頷いてでもやれば、嬉しそうに彼女の傍へ座り込むだろう】

/まだいらっしゃいましたらー
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 22:19:14.12 ID:OOKmiebG0
>>233>>235
/ふえぇリロード忘れたよう……引きます
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 22:36:05.46 ID:Qxmd+K5No
>>234

――――人の子、か。
此処ならそう現れんかと思うたのだが……まあ良い。

【猪口を片手に、現れた彼を一瞥】
【服装もそうだが、話し方なんかは妙に古臭くて】

騒ぎさえしなければ余は気にせん、余は寛大だからな。

――しかし、昔は「魂を吸われる」などと騒いでおったのに、今や写真を写して歩くか。
やはり何かと、変わるものよなぁ……

【更には態度。非常に尊大、上から目線】
【その語り口はまた、実際に見てきたかの様なものでもあって――】
【只の人間とも思えず。しかし外見は普通の人間】
【この女、何者なのやら…………】

【何はともあれ、警戒はしていない様子】
【本人の言う様に、騒ぎさえしなければ穏便に過ごせるだろう】


/了解ですー、それでは宜しくお願いします!


>>235-236
/oh....また次の機会に、という事で……!
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/16(月) 22:48:26.72 ID:DpzyG8Iko
>>237
「ま、俺の場合はこれとペンで飯食ってるからな。
魂吸われようがなんだろうが、これがなきゃ生きてけないのよ」

【女の尊大な口調を受けても、青年は鷹揚な態度を見せる。さらりと会話を続けつつ、幾度かシャッターを切る】
【ファインダーを覗く青年の表情は、何処と無く雰囲気の重さに似合わず、楽しげな少年のようにも感じられたのかもしれない】
【月にピントを合わせて、レンズの露光時間を調整し――シャッターを切る。そして、丘から麓への風景を幾度か撮って】

「――んし。ま、こんなもんかね。
ちなみにこれは趣味だから飯とは関係なしな」

【満足気な表情を浮かべて、カメラをケースに仕舞いこむ青年】
【一段落した青年は持ってきていたバックパックから水筒を取り出して、なんとも言えない臭いのお茶を注ぎ、飲み始める】
【湯気を立てるそれは臭いは兎も角身体を温めるにはちょうど良さそうな代物で、拭いた風に青年は身体を震わせ】

「それ、そんなに開いて寒くないのか?
……俺なんて風通さない革着てても寒いってのによ」

【お茶をずぞぞ、と啜りつつ、青年は女の胸元を指さして。疑問をふと問いかけてみる】
【人ではない事は何となく予測できていたが、流石に寒くないのかと思ったのだ】
【謎の薬茶をすする青年の顔色はあまり良い訳ではない。あまり身体は強くないのかもしれない】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 23:07:38.53 ID:XdbmpDsOo
>>238

ほう、というと記者か何かかえ?
――しかし趣味と言うても、そんなもので退屈を凌げるとは思えんのだがのう……

【写真を撮る彼の様子を、ぼうっと眺めてまた一口】
【注がれる液体の匂いに幾度か鼻をひくつかせれば、少し眉を顰めて】
【嗅覚はそれなりに鋭敏。それは女の正体に関わるものか】

酒は…………お主は飲まん方が良いか、の。

――何、この程度どうという事はない。
多少の遮断など、余にかかれば造作もない事だからの。

【酒を飲むか聞こうとしたが――健康体ではなさそうなので、止めておくとして】
【質問に対して口にするのは“遮断”という単語】
【一体“何を”、“どうやって”遮断しているのやら】
【詳細は不明ながらも、女の力の一端なのであろう事は想像に難くないか】
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/16(月) 23:18:30.13 ID:DpzyG8Iko
>>239
「一応、な。これでも学生の時分から結構色々やってたかんな。食ってくだけの金は入る訳だ。
残しておくのって結構大切だぜ? ねーちゃんと違って俺なんかの命は儚いからよ。
そう何度も来れない分、こうやって手元に残して何時でも思い出せるようにすんのさ」

【茶を啜りつつ、命の儚さについてあっけらかんと語る青年。その瞳には、特段暗い色も感じられない】
【死生観について、ある程度青年は自分の中での結論を持っている。だからこそ、その死生観に従った行動を取るのみだ】
【いつか死んで、死が近い有限を有意義に楽しむ効率的な手段として、こうして手元に風景を残しておく】
【生で見るのにはかなわないかもしれない。だがそれでも、そこに言ったという記憶を思い出させる媒体としては、十分なものだから】
【さらりと青年は女が異質なモノである事を認識していることをカミング・アウトしているが、それ以上追求することはない】
【種族や性別や色々な違いは、青年にとってはさほど気にすることではないのだろう】

「飲める、けどなあ。今日はあんまり調子よくないから止めとく。
ほぁ――いいなあ。俺は遮断とか便利なことできやしねぇからよ。
精々、寒さの感覚ぶっ飛ばしてやせ我慢するくらい、かね」

【そう言うと、男は己の左手をひらひらと振り、軽く己のこめかみを小突き――一瞬だけ蛍光色に輝くノイズを散らしてみせる】
【その瞬間。男の左腕からは、人ではない――否、生物ですら無い存在感が僅かに発露したことだろう】
【数秒後には、青ざめた表情や、寒さに震える様子も幾分良くなり、文字通り寒さも辛さも感じていない@l子を見せる】
【足元が一瞬ふらつき、手元の茶の水面が揺れ――水面の月が崩れるのを見て】

「悪ぃ、俺も座らせてもらうわ。
割と歩いたかんな――無理はいけねぇよ、いやこれ本気でな」

【茶を啜りながら、軽く理を入れつつ己も樹の下に座り込む】
【茶をもう一度注ぎ――女に向けて差し出し、飲むか?と冗談交じりに問いかけてみたりして】
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/16(月) 23:26:14.31 ID:x41prntYo
【闇に覆われた空の下、広大な荒野の木の下で、豪快ないびきをかいて眠っている男が一人】
【彼はボサボサの黒髪に赤いバンダナを巻いていて、ヒゲが生えているその容姿はまさに「おっさん」と言って差し支えない】
【もうだいぶ寒いだろうのに上裸という格好。下には黒いズボンを履き、腰に獣の毛皮のようなものを巻いていた】
【彼の身体には無数の傷跡と大きな刺青があり、側に立て掛けられた巨大な大剣も含めて、何処か「凄味」のようなものを感じさせられる】

…………zzzzZZZzz

グオー………ガァーーーッ………グゴーー……

【盛大に響くそのいびきは猛獣の鳴き声のようにも聞こえ、よりいっそう近寄り難さが増している】
【果たして……この状況下において彼の眠りに干渉する人物はいるのだろうか?】
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/16(月) 23:45:19.71 ID:q4AcyKbWo
>>240

【彼の言葉に、コココ、と喉を鳴らすような特徴的な笑いを返し、女は口を開く】

己の儚さを自覚しておるか。それは良い。
人の子にはどうも、儚さを抱きながらも死に急ぐ様な輩が多いし、の。
ああいうのはどうにも理解し難い。

―――残す、か。そういった気持ちも、色々と出来る事が増えるにつれて失せていったのう……
昔の余なら、少しくらいは共感できたのやもしれんな。

【どこまでも達観した様な、そんな言葉ばかりが並んでいく】
【人の命が儚い、というのは、女にとっては最早当たり前のようなことなのだろうか】
【彼の語る内容には、些か満足気に口端を持ち上げもして】
【しかし、己の異質さに気付いているという旨の言葉には触れず】
【本人は別段、隠すつもりもないのであろう】

感覚を飛ばす、のう……痩せ我慢は良くなかろ?
先も言うたが、死に急ぐのはどうかと思うぞ――かと言って、わざわざ干渉するわけでもないが。

【ちらり、散る蛍光色に目を遣って。グイと一杯、喉に流す】
【そうして空になった猪口を一旦置けば、柏手を一つ、高らかに】
【寒さ――は感じなくなっているから気付かないかもしれないが、異変が一つ】
【虫の声が――――消えた。】

今日は何やら、人の子に気を遣ってやりたい気分になってな。
結界を展開した故、寒くはないと思うが――――無理はいけない、そうであろう?

【風景こそ、先程までと何ら変わりない】
【しかし、冷え込みや虫の声は何処かに消えてしまったように、無くなっていて】
【ニヤリと口を歪めれば、『んなもん飲まん』とキッパリ一言】
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/16(月) 23:59:32.13 ID:DpzyG8Iko
>>242
「――分かっててもやらなきゃならない時もあるさ。
退っ引きならない時、譲れない時によ。儚い命も全部ベットして――全部擲って人生に挑む。
有りだと思うぜ、俺は。それが自棄とかそういうもんじゃなけりゃ、それも一つの選択肢だからな。
……万能なんてつまんねぇだろ。弱くてちっこくて儚くて――それも悪いコトばっかじゃないなってさ。
出来るのも出来ないのも、どっちも良いことばっかじゃないし悪いことばっかじゃないよなあ」

【儚さを有意義に生きる事を青年は肯定しつつ、その上でその儚さを擲つ振る舞いをも肯定してみせる】
【要するに、それらの行動のすべてが納得の末、覚悟の末であれば良い。そう思っている】
【そうでなければ、己のここまでの道程の総てが無意味に帰してしまう、単なる無茶に終わってしまう事を知っていた】
【恐らく青年よりもはるかに長くを生きているだろう女に比べれば大分青く、浅く、人間味の有る思想だろう】
【それでも青年は、その思想に対して己の納得を得ているからこそ。それらの思想を堂々と先達に語る事ができていた】

【月を見上げ薬湯を啜り、僅かに口元を弓の形に歪めて笑みを作って】

「やせ我慢も日常になりゃ、なあ。
――ただまあ、丈夫な身体じゃない。風邪引くとヤバイからな、ありがとさん」

【なんとも言えない苦笑を浮かべつつ、周囲の気温の変化を感覚ではなく情報≠ニして認識し】
【もう一度己のこめかみをノイズの混ざる左拳で小突けば、感覚の操作は解除されて】
【漸くひとごこちついたとばかりに木に背中を預けて――深く息を吸って、吐いた】
【ずっと存在していた張り詰めたような雰囲気が、大分ほぐれていたことが感じられたかもしれない】

「ん、飲まなくて正解。これくっそ不味いかんな」

【飲み慣れてるから俺は平気だけどなー、と薬湯を一気飲み】
【バックパックから他のもの――大量の甘いもの――を取り出して、その中のチョコバーの包装を解き】
【ざくり、とシリアル入りのチョコバーを噛みちぎり、咀嚼し始めた。案外、甘党のようで】

「酒に甘いものは――、アレだな。
まだウイスキーとかそういうのなら合うだろうがなあ」

【おすそ分けしようと思ったが、女の飲み物と確実に合わないことを理解して、引っ込めて】
【いつの間にかそのチョコバーは男の居の中に消えていくのだった】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/17(火) 00:25:57.82 ID:s2JAidzPo
>>243

その、己の命を賭けてまで、というのがどうにもな。
だからこそ、人の子らの様を見るのが退屈凌ぎになる、というものだがの。

真に万能ともなれば、その退屈は計り知れぬものなのであろうな……
余には出来ぬこともある、故に、余の退屈もまだマシなものなのであろう。
――――それでも、流石に千年以上も生きておると暇で仕方ないがの。

【細めた瞳は月を写して。その心中には何があるのだろうか】

【“退屈”―――この女、だいたいの行動はそれで説明できてしまうほどである】
【本人の言を信じるならば、千歳を越える永きを生きてきたという事なのだが――】
【そこまで生きるとそうも退屈になるものなのだろうか】

【それからまた、新しい徳利から酒を注いで一口】

――何、ただの気紛れよ。

……甘いものも食わん事はないが―――今宵はあまり物を食う気にはならん。
昔、一度だけ食らった“嫌な物”の事を思い出しかねんからの。

【大量の甘味を見てそう言えば、フッ――と、小さく自嘲気味な笑みが零れて】
【再び前を向いた金色の瞳はただ、どこか遠くの景色を映していた】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/17(火) 00:36:33.69 ID:rD14UBeKo
>>244
「まだ20の俺にゃ、ちょいと想像もつかない長さだな、そんだけ生きてれば大抵のことやり尽くしてるだろ。
……アレか。全クリして隠しダンジョンまで攻略し終えたゲームをずっとプレイしてる、って感じかね。
どっちにしろ、想像もつかねぇ。……人生短くて、逆に良いのかもなあ。人間ってのはさ。少なくとも飽きる事は無いし」

【長生きも良いことばかりではない。己の想像もつかぬ長きを生きる女の人生を、考えた】
【少なくとも、流石に1000年もあれば己の夢を叶えることは出来るのかもしれない】
【己の夢――世界平和は、100生きれば長い人生で叶えるにはあまりにも大きすぎる夢だから】
【だからその長さを羨ましく思う気持ちも無くはないが。――それでも、その生き方は、望みたくないと思った】

「胃悪くしそうだけどなあ――。ま、丈夫そうだから大丈夫、か。
……うっし。エネルギーも補給したし、俺はそろそろ帰るわ。
……谷山基樹。職業はジャーナリスト兼、善人じゃないが正義。
またどっかで会おう、今度は調子よけりゃ酒でも付き合うよ」

【傍らのバックパックを背負い直して、己のこめかみをノイズ混じりの左拳で軽く小突いた】
【疲れやその他のバッドコンディションの総てを無視して、なんてことのない顔で歩き出して】
【くるりと振り向いて己の名前を名乗り、かるく手を振ると、女の名が名乗られればそれを脳内に記録して】
【名乗られなければそのまま歩き出し――丘の麓へと歩き去っていくのだった】

/*お疲れ様でしたー!*/
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/17(火) 00:52:13.26 ID:XNQ3Ij54o
>>245

その喩えはよう分からんが……ま、世界征服などといった事でなければ大概はやった、かの?
とはいえ、幾ら長く生きておっても、突然ぽっくり死んでしまうかもしれんのだがな。

【人とはやはり、争い合うもので。女も、幾度となく大小様々見てきた】
【世界平和。それを成し遂げる事が可能かと問われれば、女はきっと、“否”だと断言するのだろう】
【けれど、そんな彼の夢など知らない訳で。故に、何も言いはしないのだけれど】

多少食わずとも何という事はない。妖は世の理から外れた存在であるし、の。

――余は瑚蝶。死に時を得損ねた狐ぞ。
お主が生きている内に会うかは知らんが、精々生き延びるのだな。

【名乗りを返せば、漸く明らかにするその正体】
【千年を生きる狐の妖怪――――天狐、と呼ばれる存在で】
【妖狐の中でも特に強い力を持つと言われる、そんな妖】

【結局狐は座ったまま、彼の背中を見送って】
【それから後も暫くは、そこで酒を飲んでいたそうな】


/お疲れ様でしたー!
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/17(火) 22:58:19.53 ID:YBIZOuKMo
【路地裏】

【暖炉の火が揺らめく、暖かな室内にいても窓は寒そうな音を立てる】
【それを受け入れられるほど生憎そんな優雅な生活はしていない人が殆どだ】
【大概はフードを被って下を向いて一本でも早い電車で帰りたい。そんなところ】
【薄雲でおぼろげな月は明るい輪郭を放つ。だが、黒い雲は徐々に街の空を覆っていく】

【しかし、この世界の影である路地裏の住人たちは一体、そんな空模様を知っているのだろうか】
【寒さすらどうでもいいと一蹴するような永久凍土の眼差しや滾る欲望を燃やし続けて居るのだろうか】
【それとも明日の天気や月の満ち欠けを自らの運命と重ねあわせているのだろうか………】

【ある入り組んだ路地の奥には、2人の人物が人目を気にするように小声で話し合っていた】
【1人はそこにある雑居ビルの非常階段に腰を掛けて、もう一人はその前に立ち、身振り手振りで話していた】

『…………だから、アイツはそのままそれを利用したんだ…だからはした金でも保釈されたんだ』

……あんな奴でもここいらの自警団で偉くなれるなら……そりゃあ此処も素晴らしい治安だろうさ。

『…だから…ロッソ。もう二度とあんな気分はゴメンだ。色々バレちまったし………』

【ロッソと呼ばれた人物。非常階段に座っていた背の高い男…黒髪で黒いレンズのサングラスをしていて】
【黒いスーツと黒いブーツ。その上にカーキ色のミリタリーパーカーを羽織っている彼はしゃがれた声で】

どうせ不起訴で釈放だ…安心して…ま、田舎で実家でも手伝ってやれよ。

【そう言えばポケットの中からクシャクシャになった赤マルの箱を取り出せば1つくわえた】

『そうする。…ヘマしたら、居られないルールだしな……じゃあ、ロッソ。アンタの正義、応援してるから。』

【それだけ言って、彼は路地裏を走り去っていった。残された男はライターを取り出して】

……何が正義だバカ野郎。……馬鹿正直がドロボウなんざするな……あークソッ!

【オイルライターを擦るが火が点かない。イライラする。ガス切れか、寒さで手が震えるからだろうかそれとも】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/17(火) 23:17:31.36 ID:SCwkRMrB0
>>247

【細い道が満月の明かりで満たされる、誰かが走り去った影が消えてから少しあとのこと】
【かつん、と微かな足音が鳴いて――すうと延びてくる長い影は、つまり、誰かが訪れたと示していた】

あ……、……放火魔さん。

【――ぽつりと呟く声がした、りんと夜に響く声は鈴の音とよく似た響きを持って、少女らしい高さを抱く】
【見知った姿であることに安堵染みた笑いを零してみせる、彼を示すだろうワードを思えば誰かの特定も容易い】
【かつてに否定された職業(?)ではあるけれど――わざとらしく声に出してみた、性格が少しだけ窺えた】

【真っ黒色の髪は高い位置で結われた三つ編み、露出した右の耳元には月白色に煌く宝玉の欠片のピアス】
【黒色と赤色のオッドアイは満月みたいにまぁるく煌いて、そっと月影の欠けるように笑って見せる】
【赤いケープは腰まで届く長いもの、真紅と生成りを基調にしたワンピースは装飾や飾りの多いもので】
【パニエに膨らむ裾と、タイツに隠した素足と、まぁるい爪先のストラップシューズと。高い底が地面を打って】
【「こんばんは」と投げる声――服装こそ違えど見知った少女であると、思いだせるだろうか?】

……放火魔なのに火がつかないの? 持ってないから貸せないけど……水なら……。

【――火がつけられないひとに水を貸してどうなるか。無意味であるとは分かっているのだろう、ついと逸れる視線】
【胸元のリボンを指先が寂しそうに手繰り寄せて、視線の向こう側でライターを探すように黙り込むけれど】

こんばんは、いいお月様ね。

【当然視線の先に落ちているわけもない。諦めたように彼へと視線を戻したなら、にっこりと笑みがひとつ】
【もう一度挨拶を投げてみせるのだろう、スカートの裾をちょっとだけ摘んでから、ひらりと落とした】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/17(火) 23:38:29.31 ID:uR58V2Zw0
【鉄の国=\――地下道建設現場】

【今尚発展の手を止めない鉄の国………何れは全国土を工業地帯化するとまで言われている―――。】
【特に首都近郊の開発は昼夜を問わず行われており、常にどこかで重機の音が鳴り響いてるのである………ここはその一つ】
【資源運搬や、貨物を運ぶために建設されている地下道だ、無数の重機が行きかい未だ骨組み状態の鉄骨がトンネル状に形成されている】
【ガリガリと掘削機の音が鳴り響く巨大な地下道内の一角、辺り一帯を見渡す事の出来る高台に立っている人物が一人。】
【その人物は工事用の機械に持たれながら工事の様子を見ている。】

―――やれやれ、油臭いたらないぜ………まぁこれが血と鉄で作られる国の道なんだろうがな
とはいえ、ここを襲撃されたら一網打尽とか思わないのかねぇ………これだから頭まで鉄で出来たお偉いさん方は困る

まぁ愚痴っても仕方ない………精々見物させてもらうとするかな。

【その人物とは―――】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【青年は眠そうな目を瞬きしながら工事の様子を見物している………ここは比較的外からも近い場所であり】
【関係者でなくても忍び込んだり迷い込んだりしてしまいどうであるが―――】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/17(火) 23:49:16.15 ID:YBIZOuKMo
>>248

【オイルライターを擦りながら、耳を足音に傾ける】
【さっきの馬鹿野郎が戻ってきた訳じゃないみたいだ。もっと硬くて、軽い】

……まだ放火では捕まる予定はないね…今も…変わってないね……なんにも

【男はライターのカチンと蓋を閉じて、金網製の非常階段の段差の上に放り投げた】
【やたらに長細い足を伸ばして投げ出して、元からの青白い肌は非情に不健康そうで】
【ここで発作で死にかけていたと言われていても信じてしまいそうな…それぐらい気の抜けた感じで座っている】
【だけれど放火までないにしろ、此処の住人であるから、非情に鋭い雰囲気はサングラスからも漂っていた】

さあね。……鳥だってうまく飛べない日だってあるだろう?…そういう事じゃないかな
全てが綺麗に燃え上がっちまえば…いくらか皆幸せかな……………ん…だから…放火魔じゃないけど

【火のついていない煙草を左手の指先で回しながら、彼はしゃがれた声と気の抜けた口調で】
【何時の日かと同じようにのらりくらりと会話をする。少し厚着になったぐらいは変わっているか】

ああ………今年の満月は今日で最後だって…まあ、なんだっていいけどさ
…なくなるわけじゃないんだから…………いつ以来だっけ?…寒くはなかったかな…

【サングラスの彼の顔はそちらを向いている。挨拶もそこそこによくわからない話を始めるが】
【途中でそれも切って、暫く沈黙。…急に右手でピースサインを突き出してニィッっと嫌味なく笑って】

……もちろん、最高な夜さ。なあ、鈴音…?
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/18(水) 00:01:03.21 ID:1yuBoEl5o
>>249
「やべえな……道に迷ったか?」

【金属音が鳴り響く、今もなおめきめきと発展を続けている工業地帯】
【その一角、だだっ広い地下道をふらりふらりと彷徨う人影があった】

「せっかく武器(コイツ)の強化に遠路はるばる来たってのによ……迷ってちゃあしょうがねーよな……」
「早いとこ出口を探さなけりゃあな」

【ボサボサの髪に赤色のバンダナ。顎に生えたヒゲはいかにも彼が「おっさん」だということを物語っており】
【上裸で筋骨隆々の身体をこれでもかと曝け出し、紺色のズボンを履いているワイルドな姿はいかにも作業員の一人であるかのように想像させられる。が……】
【彼の背負った刃渡り1mほどの大剣を見れば、作業員でないことは目に見えて明らかと言えるだろう】

【さて。彼は先程からひょんなことから地下道に迷い込んでしまったようで。出口を探しているのか、重機や鉄骨の上を歩き回っている】
【ふらふらと歩いているようで、実は走り回る重機や鉄骨をたやすくかわしつつ歩いている。見事な身体能力と言えよう】
【が。それは第三者の目から見ればどうにも危なっかしい光景で】
【作業員達の怒声が飛び交う中、それをものともせず男はあっちこっちと飛び回る。まるで子供だ】
【辺り一体を見渡せるならば、気づくだろうか。先程から危なっかしい行動をしている彼の姿に】
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/18(水) 00:11:43.09 ID:F+Tma/ON0
>>251

まぁいいかぁ………ちょっとぐらい寝ててもバレねーだろ………。
こんなとこで寝るのもあれだが………ん?

【欠伸をしながら大きく体を反って、そのまま機械の上に寝そべろうとするが―――。】
【そこで重機の上を飛び回る青年の姿に気が付いて、怪訝そうな眼で眺めた後、「げっ」っと一言漏らす】
【そして男性に向かってブンブンと手を振って大声で呼びかける。】

っておおーいッ!そこで何やってんだオッサン!あぶねーぞ!てかどっから入ってきた!
こっちだ、とりあえずこっちにこーい!!オ ッ サ ー ン ッ !

やっぱり何か起こる運命なんだな………ハァ。

【声を張り上げて自分の立っている場所へと誘導するように手を振ってからガックリと肩を落とす】
【そのまま岩場を移動していけば青年の立っている地点まで到着する事ができるだろう、いう事を聞けばの話だが。】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 00:13:02.46 ID:Z/002tl30
>>250

【やがて立ち止まるのは、会話するに困らない程度の距離で、触れ合うにはずっと遠い距離】
【寒そうに身体を縮めて息を白くするなら――どこかお人形さんみたいな存在に、いきものの暖かさが窺えた】

そう? じゃあ通報しないでおいてあげる……、あなたが捕まってもお得じゃないもの、わたし。

【瞳を伏せて微かに笑う。さも自分が上位であると自慢するようでも、実際は何の弱みを握っているわけでもないと】
【自分でだって分かっていればこんな表情になるだろうか。悪戯する子供みたいに、きらきらした瞳を瞬かせて】

……鳥が飛べないのは死活問題なんじゃないの? ライターの火がつかないのとは別問題だと思う、な……。
そう言うことを言うのは放火魔のお仕事だって本に書いてあったわ、やっぱり通報しようかしら――ねぇ?

【ふらと足を動かしたかと思えば壁際に置かれているごみ箱へとそっと寄る、その蓋を指先でつうとなぞって】
【確認したのは汚れ具合か。指を擦り合わせて錆の残骸をはらりはらり地面に落とせば、少しだけ恐々と腰掛ける】
【数秒の間はバランスを確かめるような音ががたがたと鳴くけれど。やがて落ち着いたなら、その上で膝を抱え込んだ】

【――通報するとか、しないとか、そんなことをちらつかせながら居座る。どうしようもないぐらいに、うそつきのしぐさ】

ほんとう? そっか、最後なんだ……じゃあ見納めておこうかな。
……この前ね、流星群だったの。お月様が明るすぎてあんまり見えなかったな――

【ごみ箱の上に腰掛けるのはどうしようもないぐらいにこんな場所に慣れた色合いで、そもそもこんな場所に居るのだから】
【住む世界を大雑把に分類してしまうなら、彼の側に入るのだろう――それでも、これから、離れる予定】

――でも満月は好きよ、何か落としてもすぐに見つけられるから。

【正解の名前で呼ばれたなら細められる瞳、それが当たりの言葉だって態度で示して、ついと虚空へ手を伸ばす】
【伸ばした左手を追うように右手も伸ばせば、指を絡ませるようにして――大した意味のない手遊びだけれど】
【左手の薬指に刻まれる痣を視界に入れたなら、一度上機嫌そうな笑みを浮かべる。「そうね」と返した声にも、表れていた】
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/18(水) 00:19:28.48 ID:GN0pWiMB0

【路地裏――――カノッサからただの小悪党まで、数多くの“悪”が潜む其処】
【今宵も又、一つの悪がその場に生じて】

【漂うのは瘴気。その元凶の元へ近づけば近づく程に、身体に怠さや息苦しさを覚える者も居るかも知れない】
【やがて辿り着くのは一人の少女であろう。紅いドレスを纏い、よく目立つ耀きを放った金の髪を持つ其れ…………即ち、悪魔】
【足元に転がるまた別な少女は時折僅かな痙攣を繰り返している事から、まだ息が有る事を伝える】

【――――しかし、アスファルトに転がるその少女をよくよく見てみれば、外傷は一切見当たらず】
【更には口から垂れたと思われる血の跡は、自身の其れでは無いと分かるであろうか】
【何処か楽しげな表情を覗かせる悪魔の人差し指から滴り落ちる鮮血。悪魔が相手に血を飲ませる行為に含まれた意味。――――眷族を作り出す以外他ならず】


「願いを叶えられて良かったわね。これで貴女もずっとなりたかった私達悪魔の仲間入りよ?
――――ふふ。勿論、純粋な悪魔になれる訳じゃ無いけれど
たった数滴。でも、その数滴飲んでしまえばもう十分
一滴飲めば蜜の味。三滴飲めば死に至る――――…………私だって、貴女に毎回毎回血を分け与えてあげなきゃいけないのは面倒だもの」

【未だ滴り続ける鮮血を舌先で舐め取れば、足元に転がる少女へと視線を下して】
【やがて痙攣が治まった事を確認すれば、満足そうに小さな笑みを漏らすのだろう】
【起き上がる気配は無く、瞼も閉じられたままであるが…………しかし、“人間”から離れた存在へと変化した事は確かである】


「――――少なくても、貴女の身体が寿命を迎えるまではもう飲む必要も無くなった事でしょう
良かったわね。人間から変わる事が出来て。良かったわね。人間に嫌われる存在になる事が出来て

――――…………ねえ、あなたはどう思うかしら?」

【不意に振り返れば、この場へと訪れた存在に視線を移す事だろう】
【同じ“悪”ならば何か反応しても良いし――――“善”であるならば有無を言わさず斬りかかるのも良い】
【或いはそのどちらにも属さない所謂一般人が訪れた可能性もあって…………兎にも角にも、この場を訪れた者の行動次第で物語も大きく変わる事か】








【闇取引が行われ、人身売買も珍しくは無いと囁かれているその廃墟】
【今宵も複数人の男達が集まり、何やらアタッシュケースの交換などを行っていたが――――】
【不意に、耳を劈く様な乾いた音が響き渡る。その数瞬後、一人が胸を押さえて倒れ込んで】
【続けてまた一人、また一人と倒れ伏し、そう時間が掛かる事も無く冷たいコンクリートには血だまりが出来ていることだろう】
【唯一急所を外し、然れど肺を撃ち抜かれて生存した男は焦燥感を露わにして辺りを見回すが…………無慈悲にも、熱を持ったままの銃口がゴリと後頭部に押し当てられ】


「駄目じゃ無いか。何人の悪人を捌いて身体を売った所でボクは見向きもしないしきっと教会も命令を下さないだろうけど
…………君達がその狭い箱に詰めたのが信者なら。そして子供なら、ボク達は君等に裁きを与えなきゃならない」

【目を見開き、その姿を確認するべく振り返ろうとするも――――叶わない。後頭部から侵入した弾丸は額から抜け、その身体も倒れ込むのだろう】
【自身に降り掛かる血を気にする様子も無く。修道服を赤く染める鮮血を拭うことも無く】
【ただ、冷えた金の双眸だけが骸達へと向けられる。まだ僅かに息の残っている其れが居たならば頭を思いっきり蹴り飛ばして首の骨を折り、呻きが漏れているならば弾丸で静め】
【件のアタッシュケースの前に立てば、やっと表情も和らぐのだろう】


「さて…………帰ろうか。君を生き返らせる事は出来ないけど教会に掛け合えば何か出来るかも知れないし――――それに、こんな寒いところでずっと捨てられるのも嫌でしょ?」

【語りかけても当然返事は無い。…………修道女の放った言葉をそのまま取るならば、恐らくは中に収められているのは人間の骸】
【手にとってそのまま帰ろうとするけれど】
【――――先程の発砲音も反響して、思いの外遠くまで聞こえる事だろう。そして血染めの修道服に捨てられたままの骸達】
【もしこの場を訪れる者が居たならば、果たしてどの様に思うか】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/18(水) 00:33:16.12 ID:1yuBoEl5o
>>252
「んぁ?」

【横方向から聞こえる切羽詰まった感じの大声に、流石の彼も気が付いたのか振り向く】
【慌てている感じの青年とはうってかわって、間抜けたように振り向くさまは、まるで危機感というものがない】

「どうしたー若造?こっちに来い、だと?」
「なんだ?そっちに行きゃあ出口を教えてくれんのか?」

【彼自身はもちろん出口が最優先なのだが…第三者にとっては自分の身の安全よりも出口の方が大事なのか?と見えてしまうような光景だ】


「ま……出口が自分でわからねぇ以上は他人に聞くしかねぇな……」
「わかった ……今から向かうぜ!」

【と、青年の叫びに応じて、重機を蹴って青年のいる高台に向かう……と思いきや】
【彼が向かったのは、今まさにクレーンで吊り上げられようとしている鉄骨の一つだった。】
【飛び上がって鉄骨に着地し、クレーンで運ばれる先は……ちょうど青年のいる高台の近く!】
【そして鉄骨から高台に飛び移る。まるでスタントマンだ】

「よし、着いた……っと。」

【この一連の行動は、他人から見ればかなり無茶苦茶な行動と言える】
【このように後先を考えない様も、つくづく子供のようなおっさんと思わされるようだった】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/18(水) 00:40:56.33 ID:F+Tma/ON0
>>255

んあじゃねーよ、全く呑気なオッサンだぜ………。
あ、ああ出口をちゃんと教えてやるからこっちに来いって!ゆっくりな!

【相手の呑気な返答にガックリと肩を落としてから一度大きなため息を吐きだした―――。】
【そして相手がこちらに飛び移る意思を表していると分かると慌てて手で制しながら落ち着くように伝える】

【そしてスタントマンのようにこちらに飛び移ってくる男性を見て一度身体を逸らして驚いてから、気を取り直す。】

―――ハァ、全く心臓に悪いぜ………当の本人は全くビビッてないけどな。
アンタ何者だ?どっからこの地下道に潜り込んだんだよ?そんなデカい剣を背負ってよー。

俺は一応自警団の関係者なんだが、キチンと説明してくれよ?
あぁ、名乗り遅れたが俺はディック・ホワイトって名前だ、まぁよろしくな―――。

【胸をなでおろしながら男性の背負う大剣の方へと視線を向けて、率直な疑問をぶつける。】
【青年の胸にあるワッペン………これはそれなりに有名なある新設組織のモノだが、男性は心当たりがあるだろうか】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/18(水) 00:50:39.07 ID:jDFqBofTo
>>253

【ポケットの中のくしゃくしゃの煙草の紙箱を取り出せば】
【吸いそこねたその一本を戻そうか…戻すまいかと思案中のため】
【彼の行動は煙草を握りしめたまま暫く一時停止になっていた】

…俺が捕まれば得する奴も多いけれどね。……チョコレートぐらいはもらえるかもよ?

【それを言えば、踏ん切りがついたように煙草を戻して箱はポケットの中へ】
【転がっているライターを何気なしに掴んで、今度はそれを手の中でくるくるともてあそぶ】

飛べない鳥だってそれなりに幸せだろうし…飛ばない日だってあるんじゃないの?ライターこそ
アイツは火をつけるために居るんだから……問題だよ、そっちのほうが……

………そんな本があるんだったら予習がてら呼んでみたいね…まあ、でも……まあ…いいか
燃やしたいから燃やすなんて正直者でいいじゃないか。そこは褒めてあげなきゃ…嘘つきのドロボウよりマシだよ

【蓋を起こして、石を擦るが火花も出ないで金属製のボディは死んでしまったように冷たい】
【おいおい、温めるのが仕事だろうよと男は文句を心のなかで言い捨てる】

……さあてね。……月にでも聞けばいいじゃないか…太陽と同じことしか言わないけどね

【通報だとか逮捕だとか気にするわけでもなく軽く笑いながらそうやって彼は言うだけだ】
【ライターもポケットに仕舞って、路地裏の月も見えない空を見上げた】

………俺は嫌いだね。…要らないものまで見つけちまうから……月のせいじゃないけどさ
……明るすぎるんだよな……少しかけてるぐらいが丁度いいんだ…

【換気扇の音を聞きながら、そこにあるはずの月を考える。曇っていても、そこにあるんだろうから】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/18(水) 01:00:58.80 ID:GBy0n6cXo
(初めて来ました。とりあえずどうすればいいんですか?)
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 01:05:52.55 ID:Z/002tl30
>>257

チョコ? チョコはいいかな……甘すぎて喉が痛くなるの。好きだけど……。
……お酒の入ってる奴のほうが美味しいから好き。あれでも酔うのかしら、――そんなことないけど。

【チョコレート。ひとつぶかいちまいか、それにも因るような気がするけれど――】
【生憎というべきか、幸いというべきか。彼女にとっては手放しで好きと言える代物ではないようで】
【子供みたいな顔をして酒には強い性質であるらしかった。チョコ如きで酔うものなのかと首を傾げて】

……――ああ、存在理由がなくなっちゃったの? じゃ、ゴミね……可哀想に。

【ぎゅうと膝を抱き寄せる、タイツ越しに薄らと透ける膝に顎を乗せて、ふわと微かに視線を伏せれば】
【手元で弄ばれているライターを眺めて――本当に少しだけ、その表情に悲哀を混ぜ込む数秒があるだろう】
【「治せないの」と呟いてみせた声は昼間だったら聞こえないほどに小さくても、暗がりの今なら、きっと聞こえた】

細い三日月も好き。糸みたいにうんと細い奴――、蜜柑の房みたいなかたちの奴も好き。
おうちに帰ればいつだって夜だもん、月と星ぐらいしか見るものがないの……流れ星も粘れば見放題!

夜の国に住んでるの、お父さんと一緒に……――、でもね、もうすぐお父さんじゃなくなるのよ。

【言葉を纏めてしまえばつまり、月が好きだとそんな風になる。明るい太陽は――きっと違う世界のひとに似合うから】
【膝に頭の重さを預けながらふわと目蓋が下ろされて。その裏側で思い出すのは、金糸のような髪をした幼子の顔】
【やがて血のように真っ赤な瞳だけを薄ら開き、つらと唇に乗せていく言葉たちは、ひどく緩やかに紡がれていく】
【はじめて会ったときのような警戒などが薄れていたから。はじめてよりもずっと、素の性格を覗かせて――】

結婚するから――お父さんと。

【そっと膝が伸ばされる、虚空を蹴り上げるようにして、やがて地面まで降ろされて】
【両手をごみ箱へ置いて、少しだけ身体を前傾させながら。くすり笑って言うことが、異質さのカタマリ】
【父親。結婚。その単語はどちらも普通のものなのに、――組み合わせてしまうと、こんなにもおかしいものなのか】

【――しあわせそうに笑っていた。そんな異質さに気付いていないように、ほんとうに、うれしそうに】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/18(水) 01:06:08.68 ID:F+Tma/ON0
>>258
//ようこそいらっしゃいました!まずはhttp://jbbs.shitaraba.net/internet/14029/へどうぞ!
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/18(水) 01:06:46.15 ID:1yuBoEl5o
>>256
「あんなのにビビっちゃあ男が廃るってもんだぜ?」

【肩を落とす青年とは裏腹に、豪快な笑い声を上げる男。肝が座っているのか、単に頭脳がマヌケなのか……】

「何処からなんて言われてもよ、出口がわからねーのにわかるわけねーだろ、普通よ……」
「ディック・ホワイトか……名乗られちゃあ名乗るしかねーな……俺は「ジェック・T・マクスウェル」様だ」

【自分の名前に「様」を付けるところが、やはり呑気な感じを加速させている】
【そして青年の「自警団」という言葉で、彼の目が青年の付けているバッヂへと移った】

「お?緋色の鷹……自警団か?まだまだ若造なのに良くやるぜ……」
「……んじゃあ逆に聞くがよ、「緋色の鷹」の団員サマがなーんでこんなところで寝転んでい・る・の・か・なぁ?……なんてな!」

【嫌味ったらしく言ってのける。良くも悪くも豪快なおっさんだ】

「ま、聞かれて答えないってことはねーぜ…武器の強化に来たんだがよ、腕のいい鍛冶屋を探してんだよ」
「で、そうこうしてるうちに迷っちまったってわけだ……情けねーなぁ」

【自分の持っている両刃の大剣を抜き、刀身を眺める】
【黒く、禍々しい感じの風貌だが……よく見ると刃の数ヶ所が欠け、所々にサビが見られる。そうとう痛んでいるのだろう】
【しかし、痛んでいるということはその分幾多の修羅場を乗り越えて来たということ】
【遠くからではよく見えなかっただろうが、彼の身体にある無数の傷跡からも、彼が単なる呑気なおっさんでは無いことがわかるだろう】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/18(水) 01:08:39.40 ID:GBy0n6cXo
(実験室に行けばいいんですか?)
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/18(水) 01:11:26.55 ID:F+Tma/ON0
>>262
//とりあえず舞台裏で挨拶してみて下さい〜
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/18(水) 01:19:16.87 ID:F+Tma/ON0
>>261

………ハァ、なんだか疲れるぜ。
ジェック・T・マクスウェル≠ゥ………まぁよろしくなオッサン。

まぁな、最近は若造でも前線に出なきゃいけない世の中なんでな―――。
っち、そういうところはしっかり見てやがるのな………そうだよ、ちょっと一休みな

―――他の奴には言うなよ?

【シェックの言葉に苦虫を潰したように顔を顰めてからコソコソとそのように耳打ちする】
【豪快な男性も中々にアレだが、この青年も自警団とはいえないちゃらんぽらんさである―――。】
【そしてジェックの言葉に再び視線は大剣へと………。】

へぇ武器の強化ねぇ………相当使い込んでるみたいだがアンタ傭兵か何かか?
―――まぁ出口はここを登れば直ぐだ、そんで街へいくなら出た先の街道を真っ直ぐ―――OK?

【顎に手を当てながら興味深そうに大剣の刀身を眺めてから問いかける。】
【そして自身の背にある坂を指さしながら、出口の案内をするだろう―――。】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/12/18(水) 01:36:37.75 ID:1yuBoEl5o
>>264
「まあ心配すんな、旅の恥は掻き捨てって言うだろ?二、三日滞在したらすぐ他の国に行くからよ」

【弱いところを突かれたように苦々しい顔をする青年を見て、大声で笑う】

「いや、傭兵なんかじゃねぇよ。俺はあるスポーツのチャンピオンをやっててな、ま、あんまし話題にゃあ上らねースポーツだがよ」
「んで、自分を強化するために魔物と戦ってるうちに斬れ味が落ちて来たんでな……ここに修理に来たって訳だ。」

「……お、こんな側にあったのか?」
「ありがとよ、いろいろと世話になったぜ、若造!」

【そして彼はおもむろに立ち上がり、大剣を担いで出口へと向かう】
【その背中には迷いがなく、常に新しい道を歩んでいる……まさに「子供のような」感じだった】
【彼が立ち去ればそこには、先程までの賑やかさが少々失われ、何時もの重機の雑音が響き渡ることだろう】
【今日も今日とて、何だかんだ平和は保たれているのだった】

/落ちます
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/18(水) 01:41:47.83 ID:jDFqBofTo
>>259

あー……そう。…まあ、美味しいやつでは無いんじゃないかな…多分だけどさ
ああ……あれなんてったっけ…酔うんじゃないの?度数が高けりゃ…

【彼を狙う人間なんてギャングとか成金とかそんなのばかりでそんな奴らが】
【まともな褒美をよこすとは到底思えない。おまけに品もないんだからどうしようもない】

そうじゃないさ……皆ゴミなんだから…ゴミなんてないよ。………何もかもね
……明日になれば、きっと治ってるさ……そうじゃなけりゃ……修理するかな…暇だしさ

【もう一度取り出して、小気味良い金属の音を鳴らしながら蓋を開けて、擦ってみても火は点かない】
【だけれど、その突き抜けるような冷たくも細くて純粋な金属の高音は彼にとってそれだけ十分な気もする】

………夜の国か…毎日暗いんだっけ…まー……俺だと今と変わんないな…けど、たまには
なんだよーってぐらいの朝日も好きだから……なんだろ…………いいところだね。いつだって星があるのは…

【いいなあ……と夜の国の落ちてくるような星空をイメージして何となくそうやってつぶやいた】
【のらりくらりと締りのない彼の口調はどうでもいいではなく、どれも良いという感じなんだろう】

………あーっと……まあ……そうだな……ちょっと待って…………………歳いくつだっけ?

【何となく打ち解けてきたなあとぼんやりと思っていたら、どうも彼の中では少し処理に時間のかかる事項が耳に入ったのか】
【こんな男だが歳もそれなりでありある程度の世間の常識にも染まっている。それに即せばお父さんと結婚するってのは?だ】
【しかし、そこはこの男柔軟性は人一倍だ。処理中にまあ…文化の違いとかそういうものもあるわけで】
【大体、実父であるとは限らない。ここまでくれば黒に近いグレーも大分白に近づいてきた。ならば、良しである】

………そうなんだ…。……そりゃあ、おめでとう。ハッピーだねそれは…それは間違いない

【幸せそうに笑っているんならいいじゃないか。笑顔ってのはそれだけでオールオッケーなのさ】


/すみません…眠気が物凄いので一旦、失礼させていただきます
/よろしければ凍結か、〆てくださっても構いませんので!
/私は明日の一応9時頃には居ますので…それでは
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/18(水) 01:42:21.35 ID:F+Tma/ON0
>>265

あ、ああ………まぁ最近はどの国も物騒だから………まぁ心配する必要はないか

へぇ、随分と恐ろしそうなスポーツの予感がするが、まぁ聞かないでおくとするよ
街にはそれなりにいい技術屋があるだろうからしっかり治ると思うぜ?

―――って忙しないな!まぁ気を付けていけよなー!

【そう言いながら出口へと向かう男性の方へと声をかけながら手をヒラヒラと振る】
【それから再び建設機械の方へと進むと………やはり寝転んでそのまま寝息を立て始めたのだった………】

//お疲れ様でした!
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 02:00:29.87 ID:Z/002tl30
>>266

……じゃー要らない。不味いチョコなんて食べたくないの……、美味しいのがいい。
コンビニで売ってるようなのでいいんだけど駄目かな。ケーキ屋さんの生チョコのほうが好きだけど――まあいいや。

通報しないから――皮算用しても意味ないの。

【美味しくないならお断り。そもそも不味いチョコレートがどんな味わいなのかを彼女は知らないけれど】
【――この路地裏で暮らす時期があった。腰掛けているようなごみ箱を引っくり返して暮らした過去があった。それならば】
【どんなものだってたいていは美味しくいただける性質。まあ――まともな生活に慣れた今では、もう、だめなのかも】

【特に意味もなく首を傾げてみれば揺れる三つ編み、それ以外の色なんてなく真っ黒に艶めくのが、夜に溶けて】

そう、ずーっとくらいの。暗いのはいいんだけど……、……寒いのは、いや、かな……。
……すっごく寒いの。すっごくすっごく寒いの。――冬眠したくなるぐらいに寒いの。

【ここですら白い吐息を零しながら、零していくもの。不満と不満と不満と不満と――たくさんの不満】
【とかく寒いのがいやであるらしい。わざとらしく身体を抱きすくめてなんて見せて、ぎゅうっと抱き締めて】
【それでも心の底から嫌がっているようには見えなかった。――結婚するという父親と、暮らしているからなのか】

はたち。来年で二十一。

【――見た目で言うならせいぜいが高校生のぐらいに見えた。大人に見積もって、である】
【下手をすれば中学生ぐらいになって見えかねない顔で、さて平然に言い放つ年齢は、信じ難いともいえるほど】
【真っ白な頬を寒さに赤くして。まん丸な瞳とすーっとした唇と。幼さを十分に残す顔の造形は、童顔というにも少し過ぎる】

ほらほら、これはね、ずーっと前に貰ったんだけど――……。

【がたんとごみ箱を鳴かせて立ち上がる、こつこつと足音をさせながら向かうのは、彼のほうで】
【左手を見せるような仕草をしていた。大人しく視線をやったなら、左手の薬指付け根に見つけるものがあるだろう】
【――痣、だった。あまりにもくっきりと刻まれた痣はそれだけで不自然で、蛇のようなかたちをするなら尚更に不自然】
【誓いというにはあまりにも異質な、けれど確かに未来を誓ったような、――その手首に歯型らしきが浮いていたのは、さて、余談か】

【お父さんと呼ぶひとと結婚する。貰ったという指輪は痣で出来ていた。やはり彼女も平常とは違う世界の住人だった】

/9時ごろ了解しましたー、今日のところはおつかれさまです!
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/18(水) 21:52:51.04 ID:51U5KfP+o
【水の国】

【今にも雪が降り出しそうな、冷たい冬の夜だった。厚い雲に覆われた月の代わりに、街灯の柔らかい光が精一杯道を照らし出している】
【星も見えない空の下、夜闇から人を守れるのは、一定の間隔で屹立する彼らだけだった。ただ彼らは一様に年老いて、既に寿命を終えたものもいた】
【老いた光に、佇む遺骸。それらが形作る闇と光の道の上を、いま、かつかつと革靴の音で彩っていく人影があった】

ふぅ…………今日は、このぐらいか。
後は一度本部に戻って、情報を纏めてみるしかないな…………。

【フォーマルなスーツの上に紺色のトレンチコートを着込み、首元には黒いマフラーを巻いた、背の高い青年だ】
【前髪を右側だけ垂らした藤色のミディアムヘアに、赤紫色の瞳と黒縁のメガネが特徴で、いかにもインテリらしい印象であった】
【青年は手元の手帳を神経質そうな瞳で睨んだ後、溜息を白く宙に溶かすと、それを内ポケットに仕舞って顔を上げる】
【疲れの滲む表情も一瞬、青年が怜悧な視線を道の先へと向ければ、革靴の音は時計の針のように正確なリズムで鳴り続けた】

【場所は、大通りから一、二本外れた小道。歩道すらないおんぼろの細道には、悪人もいないが善人もいない。この青年を除けば、だが】
【平時より治安が悪いわけでもなく、かといって良いわけでもない場所だ。悪にも善にも忘れられた寂れた道は、大通りに沿ってずっと続いている】
【逆に言えば、それは――――ここにはそのどちらもが介入する余地がある、ということでもあった】
【夜に紛れる不届き者か、あるいは単なる迷い人か。何にせよこの場に人気はなく、もし誰かが現れたなら、お互いすぐに気付ける筈だった】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/18(水) 21:55:56.41 ID:jDFqBofTo
>>268

さあてね……あんな奴らにチョコの気持ちなんてわかんないだろうから…
……それならいいいんだけどね……これ以上、鬼が増えても困るからさ

【彼はいつだって鬼ごっこの最中だ、極端に不利で捕まったら何もかもオシマイだ】
【通報しないでと大した事の無いようにモノを言ってはいたが本当ならば重大な事項であった】
【ついでにそこから元々通報されなくてもそういう立場の人間だということが示唆される】

寒いなら……ストーブにでもあたってセーターでも着ればいいのさ…簡単な事さ

【そういう事じゃないってこともわかっている。けれど彼はそんなんでいいじゃないか】
【悩みなんてそういう風に簡単にすればいいじゃないかと言いたいような適当さがある】
【もし、彼女がもっと20代半ば以上に見える容姿をしていたならば、ビールでも飲めば】
【オールオッケーじゃないか。ともっと適当なアドバイスをふっかけていただろう】

あー………なら…いいか……いいのか?……他所の国の事はよくわかんねえからなあ…
…親父さん…旦那さん?…は…いくつ?

【確かに見た目だと十代に見えるが…成人しているのなら…まだいいんだろうか】
【なんだか色々とゴチャゴチャしていそうだが世の中ストレートな物事のほうが少ないもので】
【一々、こういうことにだけあれやこれや言うのは不平等という感じがするから彼は言わない】

…ん?……うーん……まあー……これもまた……どうなんだ……

【差し出された手を見るために体をモゾモゾと起こして、それを見つつ腕組みをして】
【首をゆっくりとグリグリ回しながら何かまた考え始める。痣となるとまたグレーが濃くなってくる】
【しかし彼女は幸せそうだ。なら…いいか…彼はそう思った】

あれ……ほら……指輪はもらうの?……アレは式だっけ?まーいいや…貰っとけ
折角だし貰っておきなよ……あれだ…あのー……今後の人生で面倒な説明をすることが1つ省けるから
シルバーがいいんじゃないの?…縁起がいいし…………いいんだっけ?……まあいいか…
…まあ、少しはわがまま言う方がね…可愛げがあるってもんじゃないの?

【痣だの歯型だの気の抜けた彼は気にしないが世の中には首を突っ込みたがるのがやたらにいる】
【それは多分大体はいい人なんだろうけど…面倒なことになってもかわいそうだ】
【そんなことが思いついたので、極自然に痣を隠すように遠回しに言っては見た。彼なりの気づかいだ】


/遅くなりました!本日もよろしくおねがいします
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 22:20:23.19 ID:2nKy+l3Lo
【深夜――都市部からやや離れた開発地区の、その一角】

【周囲には様々な資材が積まれ、奥には倉庫の骨組みと思しき建屋が見える】
【此処は工事現場――昼の活気は無く、しんと静まり返った隅に、一人】

【衣服は戦闘服。その上に白衣を着た特異な衣装で、髪はスカイブルー、瞳は藤色】
【一品しかない真新しい街灯に照らされて目立っていたが――注意すべきはその周囲】
【数名の男性が倒れていたのである。いずれも額や側頭部を押さえて倒れており】
【どうやら戦闘服の彼女が手にしたハンマーでヤラれたらしいことが一目でわかる】

やはり難しい。UNITED TRIGGER≠フメンバーが来るかと思いましたが
……まあ良いでしょう、こうして続けていれば、いずれは本物が来るハズ。
彼らが看過するならそれはそれ……自警団の数をジリジリと減らすのみであります――。

【――さて、実は昼間、こんな立て札が街角に立てられていた】
【UTメンバー来たれり。場所は郊外の工事現場、時刻は夜間にて夜明けまで待つ=z

【つまり果たし状だった。しかしこれを怪しんだ自警団が調査に来た所――やられた、と】
【そういうことらしかったが、その事情を知らなくとも奇怪な状況だ】
【中々、散歩道とは行かないまでも――誰であろうが此処を通れば、件の藤色の瞳は、逃す事無く見留めるハズで。】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 22:45:21.92 ID:Z/002tl30
>>270

わたしが鬼になるのは、わたしたちの邪魔した奴にだけだから。

【――にっこりと笑顔を浮かべてみせた、真っ白の肌をキャンパスに描いたのは、やはり年齢よりも幼い色合い】
【それでいて、何か凶器めいた――硝子の破片を取り上げたときのような、つめたいきらめきが混ざりこんだように】
【造形のかわいらしさに混ざり込む不穏は、ただ、どうしようもなく彼女には似合っているようにも見えて――】

――でもね、やめるの。そういうの……お父さんとね、約束したんだ。

【けれど、そんな表情は長続きしない。不穏さだけがはらりと解けて、残るのはこの場所に似合わない朗らかな笑顔だけ】
【すこし不安になっただけで噛み付いてしまう癖だった。けれど最愛に言われた以上、守る以外の選択肢なんてなくて】
【だから精一杯に押さえ込むと決めた、我慢すると決めた、頑張ろうって――決めたから】

……おとうさん、? えっと……、三十六? たしか――そう、
それでね、すっごく背が高いんだよ、綺麗な紅茶色の髪で……、いつも見てくれないけど、たまに目、見てくれるの。
声がね、低くって……、わたしより暖かくって、手が大きくって、いっぱいぎゅうってしてくれて――――。

【ぱちと瞬いた瞳は、そこを聞かれるということをまるで意図していなかったと示すには十分すぎるぐらい】
【普段滅多に意識することでもないのだろう、言われて考えてやっと思い出したという風な、その語尾の曖昧さは】
【合っているとして十六年の差があると答えて――そこから先に続くのは、どうにも浮かれた少女の惚気でしかない】
【ぺたと合わせた両手で口元を隠しても、笑んだのが隠しきれない。浮付いた声音はひどくしあわせそうに揺れて――】

【(告げていった特徴になにか覚えがあるかもしれない。高い身長、紅茶色の髪、合わない視線――)】
【(薬指の痣はふたりでおそろいのものだった。さらに言えばピアスもひとくみを分け合ったもので)】

分かんない……、くれるのかなぁ、くれると思う?

【――今日出会った始めよりもさらに態度は軟化していた。尋ねるのは、彼の知りようのないこと】
【それを知っているわけがないと、分かっている上で尋ねているような――つまりはこれも惚気の一端でしかなく】
【今が一番しあわせだと言い切ってみせるみたいに破顔した。聞いてやる限り、どこまでも終わらないような予感――】

/気付くの遅れました、すいません……今日もよろしくお願いします!
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 22:59:46.97 ID:A9yvlNYco
>>271

【――ザリ、と擦るような足音が一つ】

――――自警団の数を、ねえ……

【響いた声は、男の声。そこからは、一歩ごとに足音が響き渡る】
【そしてその姿が、暗がりから現れて――――】

悪いがお嬢さん、あんたの勝手にさせるわけにゃあ……いかねえな。
俺は自警団所属、ディハート・グリムジャック。生憎と、今の所UTには所属してない。

一度だけ訊くが……大人しく投降する気はないか?

【黒の軍服と黒の制帽を着込み、その胸元には何処かの自警団のバッジが光って】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげ辺りの二房は長く垂らしたまま】

【男の周囲には、無数のカード――トランプが漂っており、恐らくは能力者】
【碧の瞳は、真っ直ぐに戦闘服の彼女を見据えていた】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 23:16:07.26 ID:2nKy+l3Lo
>>273

【藤色の瞳が新たな人物に向き、上から下へ、トランプも含めて睨めつけて】
【直ぐに足下の面々の仲間だとわかったのだろう。ハンマーの持ち手を握り直せば】

投降は在り得ません。私には成さねばならないことが幾つもある……
貴方にもそれは在るはず、理解に難い弁明ではないと思われますが――

―――逆にお尋ねします。私に投降するつもりはありませんか?

【不敵にそんな答えを返しつつ――ふと、戦闘服に白衣の彼女は】
【側に倒れている自警団員の一人に近づくと、空いている片手で襟首を掴み――】
【そしてさも当然のように、彼を片腕で持ち上げて。意味ありげに、またディハートを見遣った】

【片手にハンマー、片手に瀕死の自警団員。脅しであることは言うまでもないだろう】
【それに――この大胆不敵で奇怪な女がどんな相手か、それもよく分かるハズだ――が、さて――?】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/18(水) 23:23:07.51 ID:MoYlMcTx0
【鉄の国=\――森林地帯】

【鉄の国と言えば工業地帯………そんな印象であるが、未だ自然が残っている地域も実は多いのである】
【首都を中心に強引な工業化を進めた結果、その落差は少し歪にも見えるが未だ工業化は休まず進められている】
【ここは中部に位置する森林地帯―――木々が鬱葱と生い茂っている、また薄らと霧も立ち込めておりそれなりに見通しは悪い】
【それでも一応整備はされているらしく、中心に流れる川の付近には街道も存在しており、飛び出た木の根で凸凹はしているが】
【なんとか通れる程度の道である、そんな街道を歩いている人物が一人………。】

あーったく、なんでこんな時に限って全公務車が出払ってるんだよ………この辺りは鉄道も通ってないし
徒歩移動なんてガラじゃあないんだが、まぁ仕方ないのかねーとほほ

これならウチもなんか専用の乗り物でも導入すべきじゃあないかねー………ハァ。

【ぶつくさ文句を垂れながら歩いているその人物は………。】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【青年は頭上を横切った観光用の気球を恨めしそうに睨みながら、ダルそうに街道を進んでいく―――】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 23:33:21.07 ID:BSChbk9Wo
>>274

おいおい……自警団相手に真正面から脅しかけて来るか……
こんなの初めてぇ、とでも言っとこうか?

【冗談めかした言葉と、僅かに上がった口の端】
【けれど、その目は笑ってはいない。寧ろより一層、鋭さを増して】
【――ただ、両手は上げてホールドアップポーズ……トランプはそのままだが】

――確かに、俺だってやりたいことはまだまだある。それはお嬢さんの言う通りだ。
だからこそ、こっちから更に一つ訊こうか……投降したら、俺はどうなるんだ?

【速度はゆっくりになったが、歩みは止まらない】
【それでもまだ、距離は少しあるだろうか。もう少しで、手は届きそうだけれど】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/18(水) 23:35:06.32 ID:jDFqBofTo
>>272

……愛を盗むほど俺も器用じゃないからね

【肩をすくめながらキザなセリフを吐くが、彼が言うと何処か違和感は少ない】
【それはサングラスと路地裏とこの世界という異空間がその違和感を取り去っているようだ】
【自分がドロボウだと話しては居ないがここまでの彼の話の端々からそんな感じも勘が良ければ分かるかもしれない】

そうかい……そうなら…それでいいけれど

【ジャケットのポケットに手を入れながら、彼はついライターに手を触れてしまう】
【ヘビースモーカーとしては仕方のない事だが落ち着きが無いようにも見られてしまう】

…んっと……じゃあー…差は…16か……まぁー…ならいいか…いいのかな?
まあ今時は…そんなもんかな…?……よっぽどのダンディなんだろうか

【相手がお惚気に意識が向いている間に彼もまたその結婚の違和感について考えていた】
【両者とも両者の話を聞いていない瞬間がこの時だけ生まれていた。だが、誰もそのことには気がつかない】

ちょーだいっていいなよ。…だから、わがままな方がさ…いいんだって
何でも許しちゃうのなんて今だけなんだから……そうなのかな……俺はわかんねえや…
……あーあ…俺ってもしかしたら大分寂しいんじゃないの…あーあ…もうすぐ30だし…

【何かと年上らしく上からものを言っているが…独身だし恋人も愛人も居ない】
【彼を何かと想うのは恨み重なるギャングのボスぐらいだろう。是非ともご遠慮願いたいが…】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 23:47:13.25 ID:2nKy+l3Lo
>>276

――――――、―――――――――――…………。

【ディハートの瞳、そして語調と口の端とを彼女の瞳が捉えていた】
【無論、トランプもそうだ。一見して降参というポーズだが――そうは思っていないらしく】

【ふとハンマーが振るわれた。一瞬のビリッ!≠ニいう電気音が静寂を裂き】
【ハンマーから放たれたらしい小さな稲妻が、近付くディハートの足元を打つ】
【『そこで止まれ』という明確な線引きだ。相当に出来る、と見て良いだろう】

……投降するのであれば、身の安全は保証致しましょう。
貴方の態度や身分次第でしょうが、恐らくは拷問、尋問も無いはず……。

さらに後の処遇は、私がどう言うものでもありません
ただひとつ言えるのは、現状維持……自警団の一人として治安維持に当たる……
これは二度と出来ないだろうとうことです――なにせ、機関に連行するのですから。

【僅かにジリっ、と後退する。距離は――例えば鉄パイプを震えば届く、そんな距離だ】
【ハンマーはまだ帯電している様子で、目はしっかりとディハートを見続けていた】

【一見、脅しは完璧――だが、実際は違う。引いた背後、もう何十cmか奥に木材が見えるのだ】
【もしもディハートが危険を顧みず詰めていって、彼女も引いたなら――躓くかもしれないし】
【あるいは別の手段で、自警団員をつかむ片腕を攻撃したら―?可能性はまだまだ、多分に開けて見えていた】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/18(水) 23:57:52.42 ID:Z/002tl30
>>277

【「ふふふ?」と零した笑い声は語尾の上がるもの、少しだけ不思議そうに、瞬いて】
【放火魔でないことは分かった、じゃあ何かって――なんでもいいかな、なんて、それが答えだった】
【こうして何にもなくお話が出来るなら。それは或いは信頼なんて呼べるものかも、しれなくて】

あ……、要る?

【前会ったときも煙草を吸っていた。今日だって煙草を吸おうとして、駄目だったから吸っていないだけのことで――】
【落ち着きのない手元を見て口寂しいらしいと判断したのだろう、ただ、彼女の差し出せるものは火なんかではなくて】
【コートのポケットから出して差し出すものが可愛らしい飴玉だった。個包装されたそれ、少しだけすっとした檸檬味】

――だからね、だいすきなの。ぜーんぶ、ぜんぶ好き!

【とっておきの秘密を教えてくれる子供みたいに、きらきらとした笑顔に終わりが見えない】
【そうして浮かべているものは本人から聞いたあとだって二十歳になんて見えないのだけれど――】

【(その年齢は数え方を変えれば八つにしかならない。宙ぶらりんになる十二年は、所在なさげに立ち尽くすだけ)】

でも、知りたくないなーってね、ちょっとだけ……思うの。内緒にしててほしいなって。
きっとたくさん考えてくれてるから――そのときに初めて知りたいって思うのが、わたしの我侭かな。
……そう言うの、駄目かな? 一緒に考えたほうがいいんだと思う? ……ううん、

【独身だって、恋人が居なくたって、愛人も居なくたって、十年も先輩なら、それで十分なように思えるから】
【視線を伏せながら考える、少しだけ迷うように唇が動いて、吐息が零れて、数秒ほどの沈黙と、やがて告げるのは】
【知りたいけど知りたくない。隠された仕掛けに驚きたい、きっとそれも確かな我侭と言えて、言えるのだけれど】
【言葉がそのままなら、いろんなことは相手に任せてしまっているのだろう、視線を伏せて悩むのが至極真面目な色合い】

……――聞いてみようかな、“わたしに出来ることある?”って。

【――やがて考えごとの海からひとつ、答えが釣り上げられるのだろう。ゆっくりとひとつ瞬きをしたなら】
【それでいいんだよね、と。視線で彼に尋ねるようにして、ごそっと右手がコートのポケットを探る】
【ずろと引きずり出したのは鎖付きの懐中時計で、時間を確認したなら――そろそろ帰ると告げる風に、首を傾げた】
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 00:22:05.20 ID:wT0dJu+Uo
>>278

【放たれた稲妻に、短く口笛を一つ吹いたなら】
【流石にいきなり抗う事はなくて、そこで歩みは停止した】

おうおう……随分とハイテクな武器持ってんじゃないの……

身分って言われてもな……どうも俺は俺自身の事もよく分かってなかったりするからな……
しかし、命の保証付きで機関へGo、か……いや、普段見られないし悪くないかも――――

【少しばかり、考える様な素振り。至って真面目な顔をして】
【それから、あー、だとか、んー、だとか唸りながら空を見上げたかと思えば】
【上げていた両手を俄かに下ろし、ポケットの中へ】

でも、困るよなー。やりたい事が出来なくなっちまうだろ、それ?
自由に外を出歩けない様じゃあなー……その辺、どうにかなんないのか?

【左手をポケットから出そうとしたところで、一緒にトランプの箱も零れかけ】
【何とか箱は止められたけれど――赤のスートのトランプが一枚、ひらひらと】
【強い風が吹いている訳でもなしに、それは彼女の足元の方へ……】

【またしてもその口の端、僅かに上げて見せるけれど、それだけ】
【本人に大した動きはないが――突然、そのカードが急速度を持って飛び上がる】
【その先にあるのは自警団員を掴んだ彼女の腕】

【勿論、ただカードをぶつけようという訳ではない】
【まず、能力によるものか、カードの硬度がかなり増している】
【そしてその速度、十分に反応出来る範囲ではあるがそれなりの勢いであって】
【側面を向けて飛んでくるカードをまともに受けたなら、まるで刃の様に突き立つことになるだろう】

【無論、落ちていくところで踏んだりして止められてしまえば、それまでであるが】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 00:36:26.82 ID:eABtf88Oo
>>280

【結論から言えば――トランプは彼女の腕にしっかりと突き立ち、拘束を解くこととなる】
【幾つかの要因はあった。カードの硬さ、軌道。見切れたにしても】
【それをハンマーで撃ち落としたり、避けられるというのは普段の状況ならではだ】

【その膂力は恐るべきものがあるが、流石に男一人掴んだ腕で回避は出来なかったのである】
【自警団員は這々の体で両者から離れ――ひとまずは、逃げ切って】

―――考え方を変えましょう。貴方については外出は儘なりません
ただしそれは我々が拘束するからではなく……物理的に否だからだ、と。

【そして――左腕に突き立ったトランプもそのままに、なんとこの女性――】
【ディハートへと突っ込んで≠ュるのである。受け答えもそこそこに、姿勢を低くである】

【右手のハンマーを振るって狙う先は相手の左足、その脛に当たる部分であった】
【当たれば痛いのは当然のこと、直撃などすれば骨すら折れかねない一撃で】
【だが高速で精確な攻撃だからこそ――対応も難しくは無い。トランプだけでは、また違うかもしれないが。】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/19(木) 00:42:38.87 ID:4Ab2vo9Qo
>>279

【飴玉を見て、彼は少し笑うが受け取りはしないで】

…甘いのはもう十分だよ。俺は煙草かビールじゃないとさ

【ゴソゴソとポケットの中で触っていたライターを取り出して】
【何となくまた火がつくんじゃないかと思って蓋を開く】
【手慣れたように何回か擦れば……点くほど運命はリアリストであって映画じゃない】
【それを見ながら苦笑いしつつ、またポケットにライターを戻す。不毛な行動だ】
【だけれど世の中なんてそんな意味もないことばかりで出来ているから無駄とは思わない】

…そっか。…それでいい…それがいいね。……世界は愛で動いてるんだから

【相手の笑顔を受け止めてはじき出された返答もまたやけに大きすぎる突飛な言葉で】
【彼もまた余計なことなんて全部それでいいなら愛に理由なんて要らないだから、それでいい】
【愛なんて定義は無いし見たこともないけど…確かに目の前に存在しているみたいだからそれでいい】

それは知らんよ…俺は乙女じゃねえし……まー……なんだろ?
女心も天気予報もわからないから…モテねえのかな………

【まともな恋愛はしたこともない男には分かるはずもない悩みだ。あまりの純粋さにやられそうだ】
【サングラス越しに相手の目線の動きを追いながら相手のことを考えてみるが思いつくこともなく】

……じゃあ、そうしなよ。…愛は無尽蔵だからね……惜しんじゃダメさ。全部ブツケなくちゃ

【彼はまたそんなことを当たり前で後いう風に言ってみせる。愛で塗りつぶせ、世界なんて小さいもんだ】
【ニィッと笑いながら、またピースサイン。ラブアンドピース。おまけにロックンロール。白い歯を見せて笑った】

【相手が時計を気にしているのを見て、結構な時間が立ったんだろうかと彼もふと思う】
【そう考えると脳内がタバコをよこせと鐘をうるさく鳴らし始める。そろそろライターを手に入れないと】

そろそろ帰る?…まあ、風邪ひいちゃ勿体無いから…早く帰りなよ
俺もそろそろ、煙草を吸わないと……

【早く帰るように背中を押しながら、彼も非常階段からその長細い体をゆらりと起こして】
【ちゃんとまっすぐ帰るようにその姿を暫く見送れば、彼もまた寒さに体を縮こまらせながら】
【月の光を避けるように、水溜りを踏みながら何処かへと去っていくんだろう】


/とまあこんなところで〆でよろしいでしょうか!
/お付き合いいただいてありがとうございました!お疲れ様でした!
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 00:58:35.33 ID:7HuYejaKo
>>281

ハッ―――いきなり胸に飛び込んでくるなんて、そんなに魅力的か?

【そんなふざけた台詞の直後、連続する破砕音――左脛の前、黒のトランプが7枚ほど砕かれた音】
【硬度に関しては、先程の攻撃から言わずもがな。但し今度は、防御用、である】

【それでも、当然と言うべきか、ハンマーの一撃は脛へと叩き込まれる】
【けれど、勢いはいくらか殺されていて――やっぱり激痛】
【脛を殴られたのだから当たり前だ。こちらも姿勢が崩れ、低くなって】

――――――悪いね、色男でッ!

【重ねて自ら姿勢を低くし、右肩を前に突き出す。相手の勢いも利用したショルダータックルだ】
【そのまま決まったなら、ぶつかるのは胸の辺りになるだろうか】

だけど……まあ、どちらにせよ外出、出来ない……なんて、勘弁、だね。

【その行動がどうなろうと、ディハートはそのまま倒れ込むだろう】
【すぐに座った状態まで体は起こすけれど……脛を押さえて、立ち上がるのは厳しい様子】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 01:04:26.34 ID:oLfELeV60
>>282

【ポケットから引き摺り出された飴玉は一度身震いするように掌の上でころりと転がって】
【要らないのだといわれればそうかと言うような表情が少し、気を悪くした風もなくポケットへと戻す】

……大丈夫だよ、道端で会っただけの女の子とこんなにお話してくれるんだもの。

【背中に両腕を回してそっと繋ぐ、伏せた瞳でくすくす笑うのが、やっぱりどこか悪戯ぽい色を持ち】
【きっといつか誰かが見つかるよなんて遠まわしに言うような言葉を投げるのだろう、相変わらず鈴の音の声で】
【甘さに浮かれてふやけた思考では嫌味もなしにそう思えた。少なくとも自分は彼のことを嫌いじゃないのだし――】

全部ぶつけてるよ、精一杯なの。だって、全部後悔するぐらいに愛されなきゃいけないから……、
おんなじぐらいに愛してみせなきゃ不公平だもん、だからね、……言われるまでもない。

【全部――全部だろうか。全部のつもりだけれど、まだまだ絞ればあふれ出しそうな気もして、無尽蔵を理解するしかない】
【いつか言われた言葉を思い出せば、同じ気持ちをあげたかった。あげられているのだろうか、少しだけ不安だけれど】
【もしもおんなじ気持ちを共有できていたなら――思うだけで、ふつふつと湧き上がる気持ちが、止まらなかった】
【――返したのはちっちゃなピースサイン。細い指がすらりと夜に映えた】

――うん、帰る。あんまり遅くまで出歩いてたら怒られちゃうもの、それに寒いし……。
今日はありがとう……、元気でね。また今度どうなったか教えてあげるから――

――、またね。

【――途中からはずっと上機嫌だった。最後に手を振ってみせた、その瞬間までも】
【そして彼女の身体を包むのは黄緑色の煌き、その姿をどこか遠くへと誘って――音もなく、その姿は消えた】

/おつかれさまでした!
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 01:18:06.40 ID:eABtf88Oo
>>283

ご冗談がお好きなようで。その口は塞がずに置きましょうか
歩けない上に喋れない……それではイモ虫とも変わらないですから――。

【しっかりと脛を打ち据えた感覚。直後、タックルがカウンターとして入ってくるが】
【数歩飛ばされるように後退して強く咳き込みつつも、ダウンするようなことはなく】
【詰まる息を何とか整えながら、じろりと藤色の瞳を相手に向けて、挑発した】

【――足を潰した。そういう余裕というか、プロットを一つ達成したような顔つきで】
【やがてゆらり、と立ち上がれば、彼女はハンマーの柄を『両手』で持ち直した】

【すると、ハンマーが急激にそのサイズを巨大化させて、まるで小樽を括りつけたようになり】
【彼女はそれを、左側に回す形で構えていた。やや溜めてから、振り回すつもりなのだろう】
【となれば狙いはディハートのもう一方の足、それも今度は脛ではなく足ごと粉砕するような様子に見え――】

【対策をするなら――今だ。まだ振るうより早い今ならば、僅かに隙が見て取れる】
【もし逃せば巨大化したハンマーを避けられる保証も無く。旗色はまだ、変える事が出来るのではないかと思われた】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 01:42:55.15 ID:JHMGUrl+o
>>285

あー……ツンデレってやつ?それにしてはちょっとツンがキツすぎるぜ……

それと、やっぱり塞ごう、ってなったらその時は君のく―――――――

【顔を顰めながらも軽口を叩き、余裕を見せようとするけれど】
【巨大化したハンマーを見れば、流石に言葉も止まって】
【――いくら何でもこれは防げない――明らかな事である。ならば行うべきは、回避か】

どこまでハイテクなんだよそのハンマーはよぉ――――!

【まず腰を持ち上げ、右足で地面を蹴り後方への初動とする】
【そこから左の片腕だけを使い、バク転の要領で更に距離を確保】
【右脚一本で着地すればその距離、一先ず急場は凌げる程度、であろうか】

【しかし、少し踏み込んだりすれば、十分射程には収められそうではある】

【一方でディハートが着地してから刹那の後、4枚のトランプが放たれる】
【いずれも赤のカードであり、性質等は最初の攻撃に同じく】
【そしてその狙いは―――腕。右腕と左腕に2枚ずつが飛んでいく】
【出来るならばハンマーを潰してしまった方がいい、と考えての行動であろう】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 02:08:18.24 ID:eABtf88Oo
>>286

往生際の悪い……!投降すれば今の状態で許しましょう
ですがあくまでも抵抗するのであれば、このまま右足も……、……?

【ザクッ、と四枚のトランプのうち半分がその腕に突き立った】
【一分はハンマーで蹴散らしたのだが、やはり、剣などよりは対策しづらいと見え】
【それでもまだ軽傷だとばかりに飛びかかろうとした彼女が、ふと動きを止めるのである】

【ピピピッ―ピピピッ―!=@電子音は、何かの呼び出しを告げるものらしく】
【彼女は右手を髪で隠れた耳に当てると――やや数秒ばかり、動きを止めて黙りこみ】

入電がありました、『貴方を生かして返すように』と――理解に苦しみますが。
……指令は指令。私はブランデン・ブランデン・ケミッシュ、六罪王に仕える者……。

――命拾いしましたね、ディハート・グリムジャック。友人≠ノ感謝すると良い―――。

【そんな事を言って、ハンマーを元のサイズに戻し。そして、彼女は不意に向きを変えれば】
【暗がりの中、再開発地区の奥へと駆けていく。やがては、その白衣も見えなくなり】
【本当に唐突に嵐は去っていった。やや少しばかりの謎を残して―――。】

/すみませんが眠気が危ういので、急ですがこの辺りでっ…!
/遅くまでありがとうございました&お疲れ様でしたー!
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/19(木) 02:26:00.94 ID:2Oa22zdIo
>>287

だーかーら、その条件じゃ投降はしない、って何回言えば――――あ?

【やはりまだ、軽い。もっと大きく狙うなら攻撃の後を狙って……】
【と思ったところで、突然の電子音。かなりの隙が生じていたのだろうが、思わずこちらも停止して】

【少しして、告げられる、六罪王=Aそして友人≠ニいう言葉】
【怪訝そうな顔で、首を傾げるが――そんな事をしている間に彼女を見失い】

友人……?機関とか六罪王周りに友達なんていたか……?
―――いや、んなこと知ってたら放っておく筈ないしな……

兎に角今は、ぶっ倒れてるやつらも含めて手当てが先か……応援、呼ばねえとな……

【いつまでも考えていたって仕方がない。今は記憶の隅へとやって、目の前の事を】
【この事により、ディハートは暫く頭を悩ませる事になりそうである――――】



/お疲れ様でしたー!
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/19(木) 20:00:24.27 ID:1XdX6n/Ro
【とある寺院】

【黒木造りの伽藍、其処から望む白砂の庭園には、折からの細い雨が降っており】
【木戸と襖を開き切って、その光景を一望できる廊下の柱に凭れた背高の人影が一つ】

……妙な気配が残ってやがるな。人なんだか、草花なんだか
とかく、俺にとっては好かない残り香だ。お前みたいでな、黒妙……

【役者めいた豪奢な裃と袴姿の青年。側頭部に夜叉の面を付けている】
【長い銀髪を高い位置で括り、真朱の目は何処か気怠げな雰囲気を持つ】

【腕を組み、柱に背を預ける青年は、言葉を切ると徐に座敷の方を見遣る】

「神聖な香りだね。 此方は御仏のものだ。 それでいて、酷く揺らいでいる
 きっと何処かに迷いが在るんだ……だから、香りを残してしまう」

【視線の先には、座敷の中央に坐して、盃を片手にしている人物が居た】
【黒の直垂を纏い、烏帽子を被った青年。傍らには小さな人型の紙が浮遊している】
【黒髪を烏帽子の中へ纏め、緩く細められた黒い目は穏やかな雰囲気を持つ】

【静かな雨音が包む境内で、二人の青年の会話は続く】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/19(木) 20:39:45.54 ID:iEEKccGc0
【路地裏のとある隠れ家の前】

【夜の路地裏、隠れ家がある場所】
【そこはカノッサ機関の人間が出入りする場所だと言われていた】
【そしてその真相を確かめるべく、自警団の何人かの人員が派遣された】
【その派遣された人員は――無残な死体となっていた】
【そしてその死体となった人員を殺した、男が立っていた】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

ああ、おいおい、弱いなこいつら
 まあ、一応調べてみたらまさかものほんの機関員がいたとは信じられねえはな

【男はそのように死体を見おろす】
【その死体たちは切られたり刺されたりして殺されていた】
【そしていまだに血がこの路地を赤色に染めていく】

ま、自分の不運を呪うんだな
 しかしばれたとなるとここも破棄だろうな
 あーあ、探すのがめんどくせえな、他のやつに投げとくか

【男はそのように愚痴をこぼしながら、ため息をつく】
【そして回りを見渡したあとに、しゃがみ】
【なにやら、死体を物色し始めた】

ええと、何かもっていたりとかしてないか
 ――んお、へぇ、タバコかいいもんもってんな

【男は喜色いりまじった声で見つかったことを喜んだ】
【そして懐からライターを取り出してその死体からとったタバコに火をつけた】
【そしてそのままタバコを吸っているであろう】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/19(木) 21:15:42.96 ID:ddFVU6Ay0
【――――年も暮れ、身を刺すような冷たい風が街を通り過ぎる】
【本当ならば道行く人々は寒風に縮こまって足早に帰路につくはずだが、やけに浮かれているように感じるのは気のせいではないだろう】
【商店街は色とりどりのイルミネーションで明るくライトアップされ、闇夜の星々に負けずにキラキラと美しく輝いている】
【立ち並ぶ店の数々を見れば、看板に踊るクリスマスセールの文字。ショーウィンドウには美味しそうなクリスマスケーキが並ぶ】
【何もかもが輝き、至る所にクリスマスソングが流れ、間近に迫った聖夜に向けて商店街全体がクリスマスムード一色に染まっていた】
【そんな商店街の一角、この周辺随一の品揃えを誇るデパートの前で唸っている女性が一人――――】


――――あの子のプレゼント、何にしようかしら……
新しいお裁縫の道具?使い慣れたものの方がいいかしら……
じゃあ玩具かなぁ……いやいや、あの子玩具より針と糸で遊んでる方が多いか……
……うーん……一番喜ぶものは――――


【その女性は時折通り過ぎる風に鳶色の長髪を揺らし、優しそうな垂れ目は考え事をするかのように宙を向いていた】
【身に纏うのは濃緑色のマフラーと若草色のコート、ロングスカートから覗くローファーはその場から動く気配なし】
【時折首を傾げたり髪をいじったりしている様子から、彼女は何やら考え事をしている事が読み取れる】


……出来れば一番喜ぶ顔を見たいけど、何をあげたら良いのやら……
あの子ったら周りの子と全然趣味が違うから、無難な物って訳には行かないのよね……


【尚も唸りながら考え込む女性。行き交う人も多い中、周囲のことも上の空で突っ立っている】
【往来も多い商店街だ。同じく不注意な人がぶつかるかもしれないし、そうでなくてもこんな場所で考え込む女性を不思議に思う人もいるかもしれない】
【果たして、この先出会いはあるのか―――――】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/19(木) 21:56:23.86 ID:kteDixdJ0
>>291

【商店街の一角、デパートの前で顎に手を当て歩く一人の老人の姿】

【黒のインバネスコートに身を包み 首には赤いマフラー、頭は白髪混じりな黒い短髪のオールバック】
【優しそうな印象の顔、その口元には短くも立派な口髭】
【老人は何か考えながら歩いているのだろう、「うーむ」なんて声が少し聞こえる】

……やはりあの子が欲しい物といえば……うーむ……
あの子の喜ぶ顔が見たい……あの子の為にやはり何か…………おっと!すみません。

【完全な不注意であった、老人にポン、という衝撃が伝わる】
【激しくぶつかったという訳ではないが、女性の方はもしかしたら 転びそうになってしまうかも知れない】

大丈夫でしょうか……?
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/19(木) 22:04:53.06 ID:tWMQ28ASo
【水の国】

【今にも雪が降り出しそうな、冷たい冬の夜だった。厚い雲に覆われた月の代わりに、街灯の柔らかい光が精一杯道を照らし出している】
【星も見えない空の下、夜闇から人を守れるのは、一定の間隔で屹立する彼らだけだった。ただ彼らは一様に年老いて、既に寿命を終えたものもいた】
【老いた光に、佇む遺骸。それらが形作る闇と光の道の上を、いま、かつかつと革靴の音で彩っていく人影があった】

ふぅ…………今日は、このぐらいか。
後は一度本部に戻って、情報を纏めてみるしかないな…………。

【フォーマルなスーツの上に紺色のトレンチコートを着込み、首元には黒いマフラーを巻いた、背の高い青年だ】
【前髪を右側だけ垂らした藤色のミディアムヘアに、赤紫色の瞳と黒縁のメガネが特徴で、いかにもインテリらしい印象であった】
【青年は手元の手帳を神経質そうな瞳で睨んだ後、溜息を白く宙に溶かすと、それを内ポケットに仕舞って顔を上げる】
【疲れの滲む表情も一瞬、青年が怜悧な視線を道の先へと向ければ、革靴の音は時計の針のように正確なリズムで鳴り続けた】

【場所は、大通りから一、二本外れた小道。歩道すらないおんぼろの細道には、悪人もいないが善人もいない。この青年を除けば、だが】
【平時より治安が悪いわけでもなく、かといって良いわけでもない場所だ。悪にも善にも忘れられた寂れた道は、大通りに沿ってずっと続いている】
【逆に言えば、それは――――ここにはそのどちらもが介入する余地がある、ということでもあった】
【夜に紛れる不届き者か、あるいは単なる迷い人か。何にせよこの場に人気はなく、もし誰かが現れたなら、お互いすぐに気付ける筈だった】
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/19(木) 22:24:28.81 ID:ddFVU6Ay0
>>292
【我が子のプレゼントに散々悩まされていて、彼女はまさに上の空という言葉がピッタリだった……】
【どうすれば子を喜ばせるかに夢中で周りの事が完全に頭から消し飛んでしまっていたのだ。そんな彼女がこちらに流れてきた人を避けられる筈もなく】
【次の瞬間、肩に加わる衝撃。人間というものは不意の事柄への対応が苦手なもので、完全に意中に無かった衝撃に思わずよろめいてしまい―――】


―――うぉっとっとぉ!?


【結果、いい年した女性が天下の往来で素っ頓狂な声を上げて、尻からコケてしまう。さても豪快な転びっぷりで、当然赤面は不可避……】
【一体何があったのかと慌てて辺りを見回し、前にいる老人をその目捉えると、今しがた起こった出来事を漸く諒解。……完全に上の空だった自分は誰かとぶつかったのだ、と】
【白い肌を赤らめさせながら、あたふたと衝突した人物へ謝る。その様が慌てて失敗した少女のようだったのは、老人には微笑ましくも思われるだろうか】
【とにかく、老人の目の前にいる女性は申し訳なさと羞恥で顔を赤らめながらペコペコと頭を下げている……】


す、すみません!私ったらボーッとしてて!お怪我はありませんか!?
考え事が過ぎまして、完全に不注意でした……!


【さてこの女性の反応、老人はどう捉える……?】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/19(木) 22:41:41.85 ID:kteDixdJ0
>>294
/始まったばかりですが、次の返信が少し遅れるかも知れません。
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/19(木) 22:46:06.48 ID:ddFVU6Ay0
>>295
//了解です!こちらは大丈夫ですのでごゆっくりどうぞ!
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/19(木) 23:30:21.08 ID:JlKVdiFf0
【鳥の囀りも響くことが無い森――――だけれど、存外に月の光が明るくて】
【読書でも出来そうな程に強い月光。その下で、フラフラと定まらない足取りで歩く姿が一つ】
【所謂、修道女であろうか。見たところ、外傷は見当たらない。けれど、その息遣いは荒く】


「よりによって……こんな時に……、ですか……
もう少し、保ってくれれば…………いいのですが…………」

【木の幹に手を当てれば、頭を抑えるようにして呻くけれど】
【少しずつ下がり行く身体。やがては、自重を支える事も出来ず、そのままズリズリと湿った土に身を横たわらせた】
【呻く声に釣られて、時折獣達が顔を覗かせるけれど――――まだ生きていると分かれば、互いに互いを威嚇しながらも獲物が動かなくなるのを待つのだろう】

【さて、その女性。頭を抑えている腕が妙なことになっていて】
【四本の指。それぞれの先には鋭利な爪が生えそろっており、まるで悪魔の其れを連想させる】
【少量の血が口から流れるも、気に留めることは無い。今は、頭が割れるような頭痛さえ無くなればそれで――――】
【ただ、葉の擦れる音。そして、獣の威嚇する其れだけが聞こえる筈のこの場に、女性の呻き。人を引き付けるには、十分であって】









【この時間。殆どの店が閉まっているけれど―――――一角だけ、明かりを放つ小さな店があって】
【看板こそ掲げてはいないが、外から見れば直ぐに魔術用具専門店だという事が分かるであろう】
【――――或いは、少しでも裏に通じている者ならば其処の店主が殺人窃盗誘拐全てを受け入れる所謂万屋である事も知っているだろうか】
【報酬は金では無く、店主の求める品。実に下らない物から高価な物までと…………言ってしまえば変人なのだけれど】
【扉を開いたならば、何の仕掛けが作動するでも無く――――きっと、珍しい道具の数々が棚に並べてある所を見る事になる】


「暇ねぇ…………可愛い子でも探してからかいに行くのもいいけれど、探しに行くまでが面倒なのよね」

【漆黒のローブを纏いフードを目深く被った女性が、カウンターで頬杖を突いていて】
【ポツリと呟くのは、被害に遭う者からすればたまったものでは無い一言】
【指をクルクル回せば、其れに従うようにして小瓶が辺りを旋回していた――――なんて事は、余談】


「だからといって、する事がある訳でも無いのだけれど…………
あら、いらっしゃい。良かったらこっちに来て座りなさいな」

【来客の存在に気付くのには、少しばかり遅れて】
【口元に微笑を浮かべて見せたならば、何かを手の甲で払うような仕草をする事だろう】
【やがては、椅子が独りでに動き出し、来客者の方へとゴトゴトと音を立てながら向かって】
【――――座ったならば、同じ様にゴトゴトと動いて店主の前まで移動するし、自らの脚で行くならば、その後を着いて行く】
【或いは棚に置かれている商品に気になる物があったならば、ずっとその場で待機しているし――――全ては、その行動によって変わるであろう】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/19(木) 23:33:43.69 ID:kteDixdJ0
>>294

【尻餅をついた女性を見ると老人の方は、口をへの字に、目をノの字に曲げ慌てていた】
【顔を赤らめ、頭をペコペコと下げて謝る様子は まるで赤べこの様にも見えて】
【それを見ると、地面に座る(?)女性に老人の方も謝り始める】

こ、こちらこそすみません、そちらこそお怪我は……
それに、服なども汚れてはいませんか……?本当に、申し訳ありません……

【だが老人が女性の"考え事"という言葉を耳にすると】

……失礼ながら 考え事、というのはもしかするとクリスマスのプレゼントの事……ですかな?

【この時期に彼女のような女性が考える事といえばやはりクリスマスの事かと老人は少し探りを入れた】
【これに応えるかは彼女の自由ではあるが】

/お待たせしました!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 00:08:41.57 ID:h4yT+m/i0
>>298
【恥ずかしさをグッと堪えて謝ったのが功を奏したか、はたまた老人が好人物だったからか、逆に老人の方も謝ってきた】
【……お互いにペコペコと謝る姿は、傍から見れば何ともおかしな光景だ。……まあ、人目を気にする余裕なんて今の彼女には無いのだけれど】
【とにかく、お互い不快な思いや怪我などをしていないのなら何より。謝って済む問題で良かったと心の中で少し安心して】
【漸く落ち着くと、服についた埃を払って立ち上がる。女性にしては長躯で健康的な印象だ……と言ってもとりわけ大きいという訳ではないが】
【さて、その老人何やら興味を引く話題を持ち掛けてきた。―――クリスマスプレゼント。現在の彼女の至上命題である】
【悩みに悩んでいるが妙案が一向に出てこない。ボーッとしていたのもそれが原因な訳で、この話題に彼女が食いつかない筈はなく……】


ええ、そうなんですよ!娘に何をあげようかと悩んでいまして……恥ずかしながらそれで頭が一杯でした
あれがいいかこれがいいかと、浮かんでは消えキリがなくって……


【図星と言わんばかりに、彼女は答えると同時に苦笑い。娘のプレゼントがこうも難題だとは思ってもみなかった、と】
【……もしや、この老人もそうなのだろか?お子さん……いやいや、この人の場合お孫さんか。とにかく、この人も自分と同じ悩みを抱えていたりするのだろうか?】
【ならば、もしかしたらなにか妙案を出してくれるかもしれない。一人で考えるより二人の方が何かいい案が出るかもしれない】
【そんな淡い期待も込めて、老人に問う。―――悩んでいるのは貴方もか】


……貴方もどなたかにプレゼントを?何がいいんでしょうね……傍にいる人が喜ぶものを探すって、案外難しいですよね……ははは
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 00:50:45.22 ID:DFS+L/rN0
>>299

ほう、娘さんが居ましたか、私もその気持ち、分かりますぞ。
……あぁ、実は私にも8歳程の"娘"が居まして、本人に聞かないとやっぱりプレゼントは難しいですな。ハハハ

【老人は今 はっきり"娘"と言った、しかも年齢は10歳より下だ、察しが良ければ義理の娘なのだと分かるかも知れない、そのまま老人は女性の問いの答えを続けた】

……そうですね やはり気持ち、なのでしょうか。
何か思い出になるようなサプライズが出来れば良いな、と考えたりもしていますが
………本当は本人に聞くのが一番なのですがね……ハハハ

【そう言うと、老人は後頭部に手を当てまいったという顔だ】
【どうやら彼もなかなか案が浮かばない、浮かんでもすぐに沈んでしまっている様だ】
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 01:17:55.22 ID:h4yT+m/i0
>>300
【娘……?孫ではなくて?老人の言葉に少々引っかかるものを感じたが、まあ色々あるのだろう。必要もないのにそこに踏み込むのは野暮というもの】
【それに、孫だって娘だってどっちでもいい。子供を想う気持ちはきっと変わらない。そこに差異は生まれないだろう】
【どちらにせよ、可愛い娘のことを想う気持ちはよく分かる。なにせ、自分自身が娘を愛して止まない一児の母な訳だもの……】
【目に入れても痛くない愛娘の喜ぶ姿が見たいのは両者とも変わらないらしい。……ついでに考えてることも一緒。】
【どうせ喜んでくれるなら一番嬉しいものをやりたいと思うのも、きっと一緒なんだろうなぁ……と。余りにも気持ちが良く分かるのが可笑しくって、思わず微笑みがこぼれる】


訊いちゃったらサプライズになりませんもんねー……やっぱり驚いた顔が見たいですよね
驚いて、それから喜んで笑ってくれるのがプレゼントをする身からすれば一番ですよ、本当に……ふふふっ
いつも娘からは元気を貰いっぱなしですからね、こんな時になにかお返しできればいいなって思うんです♪

……あ!そうだ!

【……と、ここで彼女は思いつく。折角考えていることも同じなんだから、一緒に考えてみよう!きっとその方が良いに違いない!】
【三人寄れば文殊の知恵ともいうし……一人足りないが。なにか見つかるかもしれない!】
【ならば、一つ訊いてみよう。その娘さんは一体何が好きなのか。どんな子なのだろうか……】


良かったら、娘さんがどんな子か教えて頂けませんか?一緒に考えてみましょうよ!
こう見えて私、頭の回転は早いんです!……さっきは鈍かったじゃないかってのは言いっこなしでお願いします、ははは……
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 02:00:40.35 ID:DFS+L/rN0
>>301
/申し訳ありません!眠気と明日のちょっとした予定の為、
/持ち越しか置きレスをお願いできませんでしょうか?
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 02:06:29.45 ID:h4yT+m/i0
>>302
//了解です!ではまた置きレスか持ち越しかどちらにしますか?
//日曜日以降に跨らなければ持ち越した上で本スレ再開も大丈夫です!
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 02:16:43.34 ID:h4yT+m/i0
//すみません、または消し忘れです……
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 02:17:41.85 ID:DFS+L/rN0
>>303
/では明日9時辺りから時間が作れるので、明日に持ち越しで良いでしょうか?
/土曜に少し予定があるので、もしも明日で終わらなければ、置きレスという形でどうでしょうか?
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 02:19:45.86 ID:h4yT+m/i0
>>305
//分かりました、ではまた明日お願いしますねー!それではおやすみなさいませっ!
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/20(金) 20:31:18.44 ID:F/YRHyL50
【鉄の国―――首都・黒鉄の都アブサス=z

【工業化と軍事拡大を続けてきた鉄の国、ここは首都である通りその国の指針の象徴となる大都市である】
【黒をベースとした鋼で作られた巨大な外壁、中にある街並みも油を塗ったような黒いレンガ作りのモノばかりだ】
【国中に広がる鉄道網が集まる場所でもあり、都市の内部にも路面電車が走っている姿を見る事が出来る。】

【―――そして、GIFTからの侵攻を受けながらも強引に開催されようとしている各国の重役を招いて行われる国際サミット】
【それを前にして、国が不安定な状態を悟らせない思惑だろうか、記念祭と称して連日この都市全体が浮足立って祭りを行っている】
【今日は祝日という事もあってか大規模なパレードまで行われ、GIFTの侵攻など人々の記憶から忘れさられようと―――】


【―――そんな中、一つの影がパレードの頭上に差し掛かった………子供がこぞって指を差し、それに反応した大人が見上げる】
【それは―――金十字≠フ旗が掲げられた、漆黒のガンシップだった。】


≪諸君、お楽しみ中申し訳ないが………祭りはここまでだ、諸君らが謳歌しているこの国の繁栄とは裏で大量の血が流れた
 欺瞞≠フ繁栄だ………その事を理解して頂こうか―――これより行う裁き≠ノよってな………≫

         ≪では、これよりさらにスリリングなショーを始めるとしようか………!≫


【ガンシップより聞こえる音声、それは以前より度々姿を現したGIFT≠フメンバーにして鉄の国侵攻のリーダー格】
【W/ダブル=\――!大通りは直ぐにパニックが発生し、人々は逃げ惑い、パレードは滅茶苦茶になってしまった】
【だが、鉄の国側がこのような事態を想定していなかった筈はない、すぐさま路地などから鉄の国正規軍が姿を現し銃を構える】
【GIFT¢、も応じるように、次々とガンシップから兵や兵器を投下していく―――】

          【祭りは、既に血塗られた物へと変貌しようとしていたのだった―――。】



                  【首都アブサス中心部・中央通り=z

【―――ここは先ほどまでパレードが行われていた片側3車線の大通りだ、近くには路面電車の停車駅もあり】
【ここがアブサスの交通の要であることは想像に難しくないだろう―――だが、今やそこは戦場でしかなかった―――。】

【轟々と燃え上がる炎、破壊された無数の戦車や装甲車………その全てが鉄の国正規軍のモノである。】
【そしてその前方、まるで爆発の波でも起きたかのように巨大なクレーターが出来た場所に立っている人物がいる】

―――にゃはは、意外と正規軍も大したことないにゃー………これじゃあ全然愉しめないよ
何にせよ近代兵装ばかり取り入れて異能に対しての免疫が全然ないんだもんねぇ………笑っちゃうよぉ

さてさて、じゃあこのまま市街地でも行って―――たーくさん遊ぶ≠ニしようかにゃーはははっはははははははは♪

【その人物は―――。】
【灰色のシニヨンヘアーの髪に紫の薔薇の髪飾りを差し、同じく紫の瞳をして口元から犬歯を覗かせており灰色のシャツを着て】
【全身を、背に金十字≠フエンブレム、右胸に髑髏のエンブレムの入った白いロングコートで包み込んでいる華奢な体系をした少女である】

【おおよそ戦場に似つかわしくない風貌の少女は、戦場の跡をスキップで駆けながら次の獲物を探しに―――】

//これよりイベントを開始します!
//VS???の方はこのレスに、それ以外は指定のフィールドに投下してください!
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/20(金) 20:32:56.47 ID:CcIz48YLo
【首都アブサス中心部・中央公園】

 【:アブサスの中心地の付近に存在する大きな公園】
 【:何本か小川が流れており、奥には巨大な植物園も存在している】

【――逃げも隠れもしない、とはこの事を言うのだろう】
【広場のド真ん中にて、仁王立ちした大柄な者の姿があった】

【周囲には、既に彼の者に伸されたのであろう、数十人の自警団員等が倒れ伏している】
【中心に腕を組んで立つその人物は、更なる強者を待ち構えているようでもあった】

……弱者は不要。その理念だけは、私にも理解出来る
力も無いままにただ群れを成す者共を、認めてなるものか――!!

【重厚な白鎧を纏い、背に大剣を負う、大柄かつ鍛え上げた体つきの女戦士】
【ウェーブの掛かった腰に届く長さの黒髪と、一切の揺らぎを見せない深緑の目】

【彼女は徐に組んでいた腕を解くと、すう、と息を深く吸った】
【その際に双眸が閉じられ、一瞬の静寂の後――括目し、叫ぶ】

正義の者達よ、強者共よ! この国を守らんとする者共よッ!!
己が信念を以て、この私に挑むが良いッ!! 貴様らの敵は此処に居るっッ!!!

【広場全体をビリビリと震わすような声量は、否が応でも良く目立つ】

【佇まいからすれば、如何にも実直かつ誠実な戦士のように見えるが】
【その周囲に自警団が伸びている以上、“正義の味方”でないのは確実だった】

/襲撃側フラズグズ・スヴァンフヴィード(GIFT協力者)です
/主催者の方、アルフレドの方、よろしくお願いします

309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 20:34:12.42 ID:DFS+L/rN0
>>301

【娘から元気を貰える、それは老人も同じだった、恩返しをしたいという心も同じ】
【女性が微笑めば 老人の顔も彼女へと微笑み返してみせて】

私もです、娘はいつも私に元気を与えてくれます、お陰で私も仕事を頑張れます。
きっとそこには何か、見えない特別な力があるのでしょうね。

【そしてふと女性は何かを閃いた様子で】
【聞けば老人の娘がどんな子なのか知りたいという事だった、老人は構わないといった表情を見せた後、答え始める】

……では、代わりに私の娘の話が終わった後で貴方の娘さんの話も聞かせて貰いますよ……?
で、趣味なのですが……実は家ではゲームばかりで、お恥ずかしい話なのですが 私も一緒になって遊ぶ始末でして……ハハハ……

【そう言うと、老人は頭に手を当てて苦笑した】
【話を聞く限りでは、どうやら彼の娘はいかにもな現代っ子のようだ】

……そうですな、やはり いつも娘から貰っているものをお返しするべきでしょうか……
元気を貰うだけではなく、私達があげるというのは……?と、すみません 少し脱線しているような答え方で……

/今日もお願いします!
/それと、次レスが遅れるかも知れません。
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/20(金) 20:57:24.61 ID:WUb9iJOvo
>>307

【首都アブサス中心部・中央通り】

【先程までの空気から一転、現在は混乱のただ一言】
【逃げ惑う人々の中を逆行し、姿を現した少女が一人いた】

GIFT……また随分と派手にやってくれたわね……
どういう考えでこんな事してるのか知らないけど――――――

【赤を基調としたドレスに西洋鎧を併せた様な、所謂鎧ドレス】
【右手には長剣を、左手には短剣を握り締め、背にはそれらの鞘を背負っている】

【銀のポニーテールが揺れ、鋭い蒼の瞳がスキップする少女の姿を捉えたならば】
【唇を噛んで気持ちを引き締め、一気にそちらへ駆け出して】

――――気に入らないから、私の前に跪かせてあげるわ!

【そのまま接近が叶ったのなら、右の長剣を薙ぎに振り抜くだろう】
【左足を前に踏み込んだ、前傾姿勢。高さとしては腹の辺りとなるだろうか】



/ゼリシュ中身でございます!宜しくお願いします!
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/20(金) 21:12:24.94 ID:F/YRHyL50
>>310

にゃはは〜ッととぉ!
………全く危ないにゃー………いきなり斬りかかるなんて恐い怖い

【スキップの着地の瞬間に相手が現れ、横薙ぎに振りぬかれた長剣を身体を後方に剃るようにして回避する】
【その際に、左の頬を薄く切り裂かれるが………発言とは裏腹に、嬉しそうに顔を歪ませながら頬から滴る血を舐める】
【そしてそのまま体を振り上げて相手へと頭突きを放ってからバックステップで距離を取ろうとするだろう】

にゃはは、是非跪かせてもらいたいにゃー………、ところで君は一般人かな?
僕はGIFTメンバー≠フ一人………ヘル・ベアトリックスさ、どうかよろしくね〜にゃははは。

まずは小手調べをいってみようか―――?

                ―――≪死の軍勢/ヘルタロイ=E弾=窿b!

【距離を放して、パチンと一度指を鳴らすとそれと同時にゼリシュとベアトリックスの間に白い瘴気が発生する】
【そして―――瘴気の内部から白い軍服を纏った骸骨が一体、姿を現す。】

【軍服を着た骸骨は懐から拳銃を取り出すと、ゼリシュの右肩を狙って発砲するッ―――!だが精度はそれ程高くはない】
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/20(金) 21:12:26.22 ID:YMZOMD1Ao
>>308

【鉄の国首都・同中央公園付近――――】

慌てないで! 落ち着いて、我々の指示に従って避難してください!

【GIFTの侵攻によってパニックと化した市民を避難させるべく、そこでは複数の自警団員が誘導を行っていた】
【市民へ向けて声を張り上げるこの青年も、その内のひとり。もっとも、その左肩にあるエンブレムは、自警団のものではないが――――】

【それは前髪を右側だけ垂らした藤色のミディアムヘアに、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年だ】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はデニムジーンズに膝丈ブーツという服装で】
【シャツの左肩部分には、自警団ではなく警察≠示すエンブレムが――――ストールで隠れた右肩にはSCARLET≠フエンブレムが、それぞれ縫い付けられている】
【腰や上半身、両太股にはポーチ付きのベルトが多数巻き付いており、左胸の上と腰の左右にはホルスターがあって】
【左胸には派手な金色をした大型拳銃が、腰の左右には既存のどんな拳銃にも当てはまらない奇抜な外観の銃器が二丁、それぞれ吊り下げられていた】

【彼は一通り周辺住民の避難が終わったことを確認すると、後を周囲の自警団員に任せて移動し始める】
【その表情は憤りに満ちて、酷く厳しい。その様子はまさしく、彼の服にあるエンブレム以上にはっきりと、青年が正義≠フ人間であることを示しているだろうか】

…………何?

【彼はGIFT兵の侵攻を食い止めるべく、鉄の国正規軍へ合流しようと走っていたのだが――――その最中に女の声を聞きつけて、足を止めた】
【思わず振り返れば、倒れ伏す同士の姿と、その中央に屹立する女戦士の姿を見咎めて。彼女と自身の間にある決定的な溝を悟ると、そちらへ向けて歩き出すだろう】
【広場を震わす大音声をその身に受けてもなお、その歩みは止まらない。むしろそれに煽られたかのように、歩調はどんどん速く、荒くなっていって】

――――動くなッ!!
SCARLETの人間として、警察の人間として――――貴女を拘束します!!

【そうして青年は、女性の声に負けない程の音量で、怒気に満ちた一方的な言葉を女性へ投げ掛けると】
【腰の近代的な二丁拳銃を引き抜き、そちらへ向ける構えるだろうか――――】

【二丁の拳銃は、どちらも黒い特殊魔鋼をベースに白い強化パーツで覆われ、各所に緑色のエネルギーラインが走った近未来的な外観だ】
【左手に持つのは、下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる回転式多砲身機関銃――――ハンドサイズのガトリングガンのようだ】
【後部が護拳のように広がっており、その中にグリップが隠れている構造のため、まるで銃を直接左手に取り付けているようにも見える】
【逆の右手に持つのは、上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガンだ】
【名前だろうか、銃の側面にはそれぞれ『Nara(ナール)』と『Kibrit(キブリット)』という文字が刻まれていている】

【相対した両者は、間合いだけ見れば銃を構えた青年の方が有利に見える。しかし女性の実力が並以上であることは、周囲の自警団員を見れば瞭然】
【青年の方から動く様子は、今のところない。女性はどう出るか――――?】


/こちらはアルフレド・フェリシアーノです
/フラズグズの方、主催者様、よろしくお願いします!
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/20(金) 21:26:33.53 ID:CcIz48YLo
>>312

【動くな、と声を掛けられて尚、喜色に満ちた表情で女は振り返った】
【尤も、即座に動き出す様子は無い。まずは眼前に立った相手を見据え】

……これまた、軟弱そうな男が来たな。 しかし……SCARLETで、警察だと?
見た目通り、潔さが無い。 その前髪と言い、飛び道具使いと言い――

【彼女の言う“潔さ”の基準は不透明ではあるが】
【どうやら、相手が二つの組織に属しているという事を指しているらしい】

【髪型にまでケチを付ける言葉を投げた彼女は、やがて静かに背の大剣に手を遣った】

――ふむん。 まあ、転がっている奴らよりは悪く無い
いざ、フラズグズ・スヴァンフヴィード――参るッ!!

【気勢と共に、大剣を両の手で構え】
【鎧を纏った体でありながら、かなりの速さで彼女は駆け、接近を試みる】

【銃を恐れる様子は無かった。それは己の装甲に自信があるからなのか、それとも――】

……――はぁァーッ!!

【先ずは相手の胴へと、両手で握り締めた大剣で以て横薙ぎに切り捨てんとし】

【この攻撃を喰らうなり、受けるなりすれば分かる事ではあるが】
【彼女の大剣はそれ故の重みと、そこから生まれた圧し切る切れ味がある】

【――が、それだけならば、やや優れているだけの普通の戦士だ】
【GIFTが掲げる理念は無能力者の淘汰。ならば、無能力者が与するとは考え難い】
【此処までに、彼女が何かしらの能力を使用している気配はないが――?】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 21:29:31.83 ID:h4yT+m/i0
>>309
ええ、本当に……娘の笑顔を見れば、疲れも飛んでいきますよ
不思議なものです、きっとそれが親というものなんでしょうね……ふふふ

【やっぱりそうだ。この老人も自分と同じで、娘のことを本当に大事に思っているんだ……言葉の端々から優しさが滲んでいるのがよく分かる】
【きっとその特別な力というのも、愛情から生まれるものなのだろう。時に愛というものは、人に様々な力を及ぼすものだ……】

【さて、話はプレゼントの事へと移ろう。その愛する娘への贈り物の案が、お互い手詰まりになっているのだ】
【何かこの膠着状態を瓦解させる案はないものか……――――しばらく考えた後、何か思いついたようにポンと手をつく】

【何を考え着いたのかと言えば、「考えてもらう」ということだった。……実に他人任せではあるが】
【岡目八目とは良く言ったもので、考えている当事者よりもそれを傍で聞いていた他人の方が妙案を思い浮かべるのはよくある話】
【そこで彼女は思いついた訳だ。もしかしたら、お互いに客観的な立場で考えれば何か思いつくかもしれない、と……】
【この老人の娘さんの話を聞けば、自分はその娘さんへの良いプレゼントを思い浮かぶかもしれない】
【で、あわよくば同時にこの老人にも我が娘のプレゼントを考えて貰えれば……という算段だ。そう事が上手く運ぶかは分からないが……】

【という訳で、早速この老人の娘さんの事を訊いてみる。一体どんな子なのやら――――】

【―――――老人の話によると、その娘はなかなか現代っ子のようで。……ウチの娘とはえらい違いだなぁなんて心の中で苦笑い】
【苦笑いをしながら娘のことを語る老人の表情は、何だか楽しそうにも感じた。それはきっと、娘を愛するが故なのだろう―――】

そうですか、ゲームですか……ふふふ、一緒に遊べるっていいですよね。
まだまだ一緒にいたい年頃でしょう、きっと喜んでくれてますよ♪
此方は暇さえあれば、針と糸で何か縫ってますね、ははは……裁縫が大好きなんです、あの子。
今着てるセーターも娘が作ってくれた物で、私へプレゼントしてくれたんですよ!本当に優しくていい子に育ってくれて……

【一緒になってゲームとはまた微笑ましい……二人して遊んでいる光景が容易に想像できて、彼女はクスリと笑う。きっと時間を忘れ夢中になってるんだろうなぁ、なんて……】
【一方自分の娘は裁縫。女の子らしい趣味ではあるが、今時の子らしくはないか……】



元気、かぁ……やっぱり一緒にいてやれれば、娘は喜んでくれますかね――――あ!

【――――ここで彼女はまた思いつく。一緒か……そうだ、クリスマスは一日中一緒に娘と遊びに行くなんてどうだろうか!?】
【普段は一日中ずっと一緒にいてやれる機会はないだろう。一日一緒に遊びに行ってやれば、その娘は喜んでくれるかも……?】
【早速思いついた案を喜々として老人に提案してみる。これは、いいサプライズになるかもしれない――――!】


//はい、宜しくお願いしますね!遅れる件は了解です!
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/20(金) 21:34:38.86 ID:eowgK6yZo
>>311

っ――――――――!

【踏み込み、長剣を振り抜いた直後の頭突き。そのまま額に受けて】
【一瞬生じた隙の内、詰めた間合いを広げられる】

【更に、骸骨による銃撃――――これは身体をより前に倒すことで、肩を掠める程度に止めて】
【そして走り出し、まずは骸骨にすれ違うようにして左の短剣で切り付ける】

まあ、一般人ってところかしらね。
――――ゼリシュ・フェーブスよ、跪く相手の名前だからよく覚えておきなさい。

【そこまでで行動を止められなかったのなら、そのままベアトリックスへと接近を敢行】
【無事に長剣のリーチに捉えたならば――真っ直ぐに胸へと突きが繰り出されるッ!】

【ここでの剣による二つの攻撃は、先程の切り払いとは少し異なる】
【それは魔力。長短共に、刃が僅かながらも“光”の魔力を纏うのである】

【――――ただし、骸骨への切り付け以降は邪魔をされなければ≠フ話ではあるのだが】
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/20(金) 21:35:23.84 ID:h4yT+m/i0
//>>314の続きです!コピペミスで、下3行が切れてしまって……すみません

【――――ここで彼女はまた思いつく。一緒か……そうだ、クリスマスは一日中一緒に娘と遊びに行くなんてどうだろうか!?】
【普段は一日中ずっと一緒にいてやれる機会はないだろう。一日一緒に遊びに行ってやれば、その娘は喜んでくれるかも……?】
【早速思いついた案を喜々として老人に提案してみる。これは、いいサプライズになるかもしれない――――!】

―――そうだ、一緒に旅行に行ってやりましょうよ!
旅の計画は、クリスマスまで秘密にしておくんです!で、朝娘が目を覚ましたら突然旅行の準備を始めて……きっと驚きますよ!
で、その日は一日中傍にいて、一緒に遊ぶんです!……どうですか?
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/20(金) 21:59:13.08 ID:YMZOMD1Ao
>>313

まったく、先程といい、今といい。随分、好き勝手言ってくれますね。
言っておきますが、正義≠フ組織の人間が相手だからと油断なさらないよう。

――――容赦は、しません。殺す気で行きますよ…………!

【女からの酷評もどこ吹く風、青年は全く意に介さない素振りで、中指で眼鏡を押し上げる】
【…………が、その額には見事な青筋が立っているだろうか。何も感じていないどころか、明らかに激怒しているようにも思える】
【ともあれ、今の遣り取りで相手におとなしく拘束される意志がないことは間違いなく判明した】
【青年は再び銃を構え直すと、女性を鋭く睨んで――――殺すことも厭わない、と、明確にそう告げるだろうか】
【軟弱なようでいて、しかし青年は甘くはなかった。他にもGIFT兵が多数街を襲っているこの状況、一人にかまけている時間がないことを理解していた】
【――――故に、拘束が困難であるなら殺してでも止める。その思考は、冷酷なほど現実的であって】

ふっ…………!!

【肉薄してきた女性に対し、青年は鋭い瞳で始動の瞬間を見切ると、バックステップで大きく距離を取るだろうか】
【それで大剣の一撃を回避すると共に、少しでも距離を置き、得意の銃撃戦の間合いを確保するのが目的であった】
【そして。女のように近づいて腕を振る必要もなく、ただ引き金を引くだけで成立する青年の攻撃は、回避と同時に行われる】
【右の『キブリット』の照準を女性の眉間へ、左の『ナール』の照準は女性の胴体へ。軽い銃声を引き連れ、多数の弾丸が射出される――――!】

【まず、女の顔を狙った一発の銃弾。実弾銃と同じ速度で発射されるのは、緑色に光る小さな球体――――魔力で形作った魔弾≠ナある】
【風属性を帯びたこの弾丸は、高圧縮した空気を魔力製の弾殻に閉じこめたもの。着弾するなどして脆い弾殻が割れた瞬間、中身の圧縮空気が一気に解放される仕組みだ】
【威力は制圧用のゴム弾程度だが、直撃すれば決して小さくないダメージになるだろう】

【一方、ガトリング機構を持つ『ナール』から射出される胴体を狙った弾丸は、一気に数十発にも上るだろうか】
【弾丸の性質は上記の『キブリット』のものと全く同じもの。そして拡散する弾丸の雨は、女の首から下の全身にまで至る】
【…………ただしこちらは、連射に特化した分、一発一発の魔弾のサイズが小さくなってしまっていて】
【一つ一つの威力は小石の投擲程度しかなく、一、二発掠めた程度では何ら行動に制限はないレベルのダメージにしかならないだろう】
【まして、女は重厚な鎧を着込んでいる訳で――――もちろん、それは青年も承知の上だ】

【…………つまり。右の銃弾は女に直接ダメージを与える為のもの、左の速射は女性の鎧の防御力≠確かめるためのものであった】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/20(金) 22:18:56.10 ID:HuknvdO/o
【首都アブサス中――中央通り】 【today 22:00】

【黒煙が絶望の狼煙となって、真っ赤な炎が瓦礫を街ごと血染めにしていく】
【メインストリートの高らかな行進曲も今は鳴り響かない。実際の戦争が全てを支配している】
【ただ、静かになったそのストリートを蛇のように蛇行しながら狼のようなエンジンの唸り声が聴こえる】
【それは一台のオートバイ。余計なものは取っ払って街中を走り抜けるためにチューンされたものだ】

……クソッタレ、まさか一儲けする前に襲撃されるほどバカだとは思わなかったな

【運転手は舌打ちして、スロットルとクラッチを切り替えながら悪路を突き抜ける】
【タンデムシートにのせた黒いバッグの中には沢山のダイアモンド。まあ今は関係ない話だ】
【運転手はサングラスにシングルのライダースジャケット。ジーンズ、ブーツ。リボルバー拳銃が2挺】
【腰のベルトに拳銃を挟み込んでいる。痩せた黒い髪の男だった】

……あークソッ!

【また舌打ち。このまま行けば戦闘中のところに突っ込んでしまう】
【しかし、他に道もない。強行突破も悪路で難しい】
【急なアクシデントに周りの強烈な炎。装備品も心もとない、敵も味方もアンノウン】

まー嘆くのはやめようか……まあ、死んだって、どうせ何も変わりゃあしない…

【戦闘の輪に飛び込めば、ブレーキを掛けて焼けた臭いをアスファルトに残す】
【飛び降りれば、バイクを乗り捨ててあたりを見回すだろう】

ハロゥ、ベイビーズ!!……通行手形はドッチにもらえばいいんだ?

【嗄れ声で、ニヤケヅラで両手にリボルバーで馬鹿野郎が登場だ。】
【さて、ここから戦闘は第二幕となるのだろうか】


/主催さん、ゼリシュさん 遅れてすみません!
/乱入ではありますがよろしくお願いします
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/20(金) 22:19:45.91 ID:CcIz48YLo
>>317

【女は振り下ろした大剣を、外したと見るや即座に顔の位置まで持ち上げる】
【頭部にも重厚な白鎧があるが、眉間に近い目の部分は流石に開いている為である】

【広い剣幅が盾代わりとなって、顔を狙った“魔弾”を受けるも】
【其処に秘められた風の力が――剣の楯を通したと言え、彼女の至近距離で炸裂し】

ぐ、ぬぅぅっッ……!! おのれ、小賢しい……ッ!!

【後方へと、二、三歩後退――そう、明確なダメージとしては、“これだけ”である】
【剣の腹に傷を残しはすれど、重量のある強靭な体躯を倒すまでには至らず】

【胴体を狙った弾幕にしろ、それは同じだった】
【細かな銃弾が幾つか鎧の継ぎ目部分にも命中はしたが、其処にも厚い革が張られているらしく】
【ダメージは、残念ながら“ゼロ”である。纏う鎧の硬度は相当に固いと、把握出来ただろう】

猪口才な……まるで蝿のような男だ! 切り捨てるにも惜しい……!!
貴様のような者は“叩き潰す”ッ!! 圧倒的な力で以てなァッ!!

【そう叫ぶと、女はその場で両手に握り締めた剣を、高々と天へ突き上げた】
【同時に、剣の周囲に強い魔力が集中する。そして、目に見えた変化が現れ出す】

【標準的な大剣であった其れが、厚みを格段に増し、見るからに重量を増していく】
【いわば“圧力特化”の形態だ――その一方で、剣の鋭さは失われているのだが】

貴様の力はこんなものかッ! 見損なったぞ軟弱男ッ!!
更なる高みを見せてみろ……さもなくば、この剣でそのふざけた頭から潰すぞっッ!!

【再び、女は相手へ接近せんと掛けていくが、勿論此処までの動作の“隙”がある】
【加えて、剣の重みが増したため速度は下がっているも――距離は離した方が賢明な筈だ】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/20(金) 22:29:19.57 ID:F/YRHyL50
>>315

―――にゃはは、その割には随分と戦いなれているようだけどにゃー?
まぁさっきの軍人さん達よりはよっぽど愉しめそうだから………ちゃんと壊れないでよね=H

にゃーはははははははははッ!

【骸骨はゼリシュのすれ違いざまの一撃で斬られ、再び白い瘴気に戻るようにしてそのまま消滅する。】
【攻撃も単調であったが、防御能力もあまり高くはないらしい―――ただの牽制用の時間稼ぎといった所か】

【そして―――放たれた刺突に対して、ベアトリックスは右手で払うようにして対処する………その際に光≠フ魔力によって】
【じゅうう………という肌の焼ける音がするが、ベアトリックスは狂気に淀んだ瞳を緩ませながら、未だ笑っている。】

あちちッ!これはちょーっち喰らったら面倒な事になりそうだにゃー………。
まぁまぁそんな焦らないで、ゆっくり愉しもうよ………折角のパーティーなんだから………さ。

             てなわけで………ホイ、『SPP-Z・スタングレネード=x♪

【そして自身は顔全体をコートを被る事によって塞ぎながら、碧い光を放つ幾何学模様の球体をゼリシュへと投げつける】
【―――瞬間、凄まじい碧い閃光、そして音波が周囲へと発せられる、まともに受ければ意識が数秒間混濁してしまうだろう】
【だが、もし切り抜けたのならば、これはベアトリックスにとっての大きな隙となる。】

>>318

―――ん?新しいお客さんかにゃー?
残念だけどここを通りたければ………僕の玩具≠ノなって貰わないとねぇ…!

【バイクを乗り捨てながら颯爽と参上した男へと、被っていたコートを整えながら淀んだ視線を向けて………笑う】
【その瞬間に、男へと―――絶対的な死の気配≠ニもいうべき感覚がじわりと這い寄っていくだろう】
【その発生源は………もちろんこの少女なのである。】

二回も名乗るのは面倒だけど………僕はGIFTメンバー≠フヘル・ベアトリックスだにゃー。
まぁここで会ったのも何かの縁だ―――愉しんで行っておくれよ。

          歓迎しておくれ―――≪死の軍勢/ヘルタロイ=E焔=

【そして、男へと向けて指を一回鳴らせば―――男の正面に白い瘴気が発生し―――そこから蒼い焔を纏った白い軍服の骸骨が現れる】
【骸骨は、男へとゆっくりと歩きながら………口から蒼い火炎弾を発射するッ!―――山なりの軌道だが炎の爆散力は強い。】
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/20(金) 22:50:37.81 ID:YMZOMD1Ao
>>319

(ちっ、やはりあの鎧が厄介だ――――!)

【殺害も厭わない、とは言ったものの――――それはあくまで、今回のような非常事態の場合の話だ】
【警察官としての彼の装備は、制圧することに特化している。元々低い殺傷力は、あのような全身鎧とは殊に相性が悪かった】
【青年は心の中で舌打ちするも、その目はまだ諦めてはいなかった。正攻法ではあの鎧を抜けないが、それ以外の手段であれば――――】

フラズグズ、と言いましたか――――たかだか一度防いだ程度で、本当に好き勝手言ってくれるッ!
ならばその鬱陶しい鎧で、こいつを防げますか――――!?

【青年は、女――――フラズグズの言葉を受けて更にその視線を鋭くすると、威勢良く吼え返し】
【右手で『ナール』に取り付けられたマガジン、その側面にあるスイッチ弄ると、銃のエネルギーラインが緑から黄色に変化するだろうか】
【何かの能力か、凶暴なまでに鈍重さを増していく剣の迫力にも負けず、青年は左手をまたも女性の胴体へ向けて】
【刹那、高速回転する四つの砲身が火を噴き、接近してくる女性へ向けて黄色≠フ弾丸が大量にバラ撒かれる!!】

【この攻撃、威力自体は先程と変わらないが、色の変化が示すとおり弾丸の属性≠ェ違って】
【緑は風で、黄色は雷≠セ。フラズグズの鎧が金属であれば、これ以上相性の悪いものもないだろう――――】
【先程のように全身へその弾丸を浴びた場合、人間一人程度なら十分に行動不能に出来る量の電流が通電する筈である】
【だがそれは、全身へ数十発以上も弾丸を浴びれば、の話。一発一発の電撃の威力は相変わらず小さいため、回避や防御で被弾数を減らせば威力は軽減できる】
【青年はフラズグズの接近に合わせて少しづつ後退しながら弾を放っているが、その速度は遅い。これを凌げれば、青年へ肉薄することも可能なはずだ】

【…………この攻撃への注意も、もちろん必要であるが――――】
【二丁拳銃の戦法を採る青年が、何故かこの攻撃に左手≠オか使わなかったことも、注意に値するかも知れない】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/20(金) 22:54:24.51 ID:zrVfa0zxo
>>318>>320

これでも場数はそれなりに踏んでるのよ!そんな簡単にやられる訳ないでしょ――――!

(“光”の魔力は有効……みたいね……それなら――――)

【ベアトリックスの反応に、確かな手応え】
【続けて攻め立てようとした、その瞬間――――閃光】
【咄嗟に瞼を閉じるものの、両手に剣を持っている為に音波までは防ぐ事ができず】
【思わず膝を突くけれど、何とか視界は生きている。二つの蒼が、新たな役者を映し出した】

(――――三半規管が……油断した……!)

(風の国の時といい――GIFTの連中と戦う時はガンマンに会う運命なのかしら……?)
(……でも、あいつが攻撃してる辺り――――GIFTの人間ではなさそう、ね……)

【状況からして、敵ではないと判断を下す。ならば向かうべきはやはりベアトリックス】
【未だ落ち着かぬ身体を無理矢理に起こせば、地面を思い切り蹴り、低い位置から飛び掛る!】
【振るう得物は左の短剣。またも光を纏い、ベアトリックスの脚を狙う様にして――】

【けれど、感覚が完全に戻っていない状態からの攻撃だ】
【当たろうと当たらなかろうと、また姿勢を崩してしまって】
【大きな隙を晒す事になるのは、言うまでもない】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/20(金) 23:07:51.53 ID:CcIz48YLo
>>321

【相手を叩き潰さんと迫る女だったが、矢張り速度が下がった影響は大きい】
【接近というにもやや遠い位置まで来たところで、“黄色”の銃弾の弾幕に襲われる】

【肉厚になり、剣幅も先程より増した剣で、彼女は再び防御に出るが――】

――“雷”だと……ッ!? ぐ、ううぅッ……ぬああぁァッ!!

【剣とて金属。そして其れを握る以上は、彼女自身に雷は及ぶ訳であって】
【途端に人一人を行動不能に至らしめる電流が、彼女の肉体を走り動きを止める】

【剣を顔の前で振り上げた状態で、女は麻痺により完全に硬直した】
【猪突猛進な戦闘法が仇となったか――否。女は、微かに“笑った”】

――……ッ、甘いわぁーッ!!

【頑強な肉体、そして鋼鉄の精神が、己が神経の麻痺さえも叩きのめさんと奮い立ち】
【剣を、ただ前方の地面へと“突き立てた”――同時、まるで小規模の爆発が起きた様に地が鳴いた】

【相手を襲うのは、凄まじい振動と砂埃、そして拳大の無数の“土塊”】
【飛来するこれらが、原始的でいて一番危険だろう。砂埃が目晦ましになるのも厄介であって】

【だが、目を凝らせば――砂埃の向こうで、剣を突き立てたまま女は停止している】
【矢張り麻痺のダメージは大きいのだろう。だが、この状況も長くは続かないはず】

【土塊にさえ対処できれば、明確な隙を晒している女への痛撃も叶う筈だが――?】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/20(金) 23:14:19.25 ID:HuknvdO/o
>>320

生憎……ガキのおもちゃには少し、刺激的過ぎるってもんさ

【サングラスの男は拳銃をややキザな笑みとともにウエスタンの様に拳銃をまわす】
【握りなおして、両親指で両手の拳銃の撃鉄を起こせば―ひとりでにシリンダは一回転する】
【左手には銀色の銃身のリボルバー。右手には黒色のリボルバー。銃身は長めで44マグナムのようにゴツイ】
【二種ともエングレービングが施されていて、その部分が血のように赤く染まっていた】
【彼の銃は彼の血を銃弾とする。だからリロードする度にスタミナが減っていく呪われた拳銃だった】

GIFT……へえ……やっと、GIFTにも会えたよ。……ま、望んじゃいなかったけどさ
……まあ、俺は……通りすがりのドロボウさ。おっかなびっくり生きてるから…名乗りはお断りだ

【返すようにサングラスの下の口をニィと笑わせて答える。死の気配に気づかないわけじゃない】
【持ち前の冷静な性格と、常に死を覚悟したライフスタイルは少しばかりそれを減退させた】
【だが、彼が元々持ちうる”殺人”する事に対する恐怖も想起され威圧はそういう面で効果があった】

………ッッ!!

【目の前に現れた骸骨。一歩近づく度に距離を測り、周辺を確認する】
【火炎弾を発射すると同時に見繕っていた瓦礫(電車か装甲車か何かだっただろう)へと走る!】
【そして、爆発よりも先に瓦礫の後ろに転がり込めば、しゃがんでその衝撃に暫く堪える】

クソッ!あの世への歓迎はこっちから願い下げさ…!!

【衝撃が止めば、瓦礫から体を乗り出して骸骨に向かって両手2発、計4発を射撃する】
【反撃に出るという予測は容易だし、普通の人間相手なら1,2発当たればラッキーというところか】


>>322

…クソッ!スタングレネードなんてまるで…ミリタリーだな

【だからこそ有効な手段だろう。こちらからでもそのまばゆい攻撃を感知することが出来た】
【受けた側は一応味方なんだろう。どういう立場かはわからないが…見捨てるわけには行かない】

【膝を立ててしゃがみ、右手を折り曲げ、右腕の上に左手首を置いて狙いを定める】
【二者が近いため、狙いはベアトリックスの後ろへと射撃を2発行う】
【これは狙ったといえど牽制に近い。常人であれば近くを銃弾が横切れば一旦、身を守ろうとするものだ】
【しかし相手が狂人ならば効果はないし。そこまで接近して射撃できるかはその日の運命次第だった】
【彼はコレを終えたなら、ヒット・アンド・アウェイよろしく瓦礫の影に身を隠して次の手に備えるだろう】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/20(金) 23:26:33.08 ID:F/YRHyL50
>>322

にゃははッ!そうこなくっちゃねぇッッ―――!
………っとぉ、この程度の閃光じゃあ大した足止めにはならないかにゃ………ッ!

【閃光を受けながらも尚、攻撃を仕掛けてくるゼリシュに流石に焦ったようにして後退するが―――】
【新たに現れた男への注意もあって短剣が左足へと刺さり、一度苦痛に顔を歪めながらもそのまま距離を取る】
【―――そして、右脚から流れ出る血液を右手で掬って―――それを舐める。まさに狂気の行動と言える。】
【そして、再び高らかに指を大きく鳴らすッ―――!】

おやおや―――?もうへばっちゃったのかにゃー?

そろそろ壊れちゃう?壊れちゃうの?―――≪死の軍勢/ヘルタロイ=E撲=

【再び発生する白い瘴気―――そこから現れるのは巨大な棍棒を持った白い軍服の骸骨だ―――身体も今までのより一回り大きい】
【その骸骨はゼリシュへと接近すると………そのまま腹部を棍棒で打ち付けて吹き飛ばそうとするだろう。】
【動作は単純で遅いが、体勢を崩したゼリシュは対応できるか………?】

>>324

むふふ………全くキザだねぇ―――まぁ手足を一、二本捥いだら面白くなりそうだ
―――それは残念、だけどまぁ愉しんでいってくれればそれでいいよッ―――にゃははははは!

【カウンターで放たれた弾丸を2発受けて、その場で骸骨は再び白い瘴気となって消滅する………どうやらかなり脆いようだ】
【さらに攻撃のバリエーションはあるが動きは単調………冷静に対処すれば難なく倒せそうだ。】
【とはいえ狂ったように笑っているベアトリックスも相手にしなければならないのだが―――。】

【再びゼリシュへと注意を向けていたベアトリックスだが、男の銃弾が右頬をかすめた事によって意識はそちらへと移る】

にゃはは………なーんだ、君から死にたいのかにゃー?
それなら早く言ってくれればいいのに〜『ドレッド・スカル=x転・送♪

さぁーて蜂の巣だにゃーーーーッ!≪ドラゴン・ウェーブ=窿bッ―――!

【ベアトリックスが笑いながら転送の掛け声を放つと、その右手に2m程の巨大な白いカラーリングのガトリングガンが転送される】
【それを男が隠れた瓦礫へと向けて………銃身を左右に振りながら、蛇のように蛇行する弾丸の軌道で銃弾を放つッ!】

【流石にガトリングだけあってかなりの威力だ、そのまま留まれば危険かもしれない―――。】
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/20(金) 23:44:34.78 ID:YMZOMD1Ao
>>323

な――――クソ、これだから気合馬鹿は…………ッ!!

【電撃弾の威力は上々。鎧の材質を利用した攻撃は、並の人間であればそれで戦いを終わらせていた筈なのに】
【フラズグズの気迫が、それを上回る。見た目通り精神論を振りかざすタイプの人間でない青年は、酷く驚いた様子で暴言を吐いて】
【また右手で『ナール』のマガジンを弄って、属性を風≠フ衝撃弾へと戻すと、迫る土塊の雨へ引き金を引く】
【弾幕に弾幕をぶつけて防御するというその判断は正しい。土塊は着弾の瞬間に圧縮空気に弾かれ、攻撃性を無くしてゆく】

ぐ、がぁ………………ッ!?

【…………だがそこには、フラズグズの対応に驚いてしまった加え、属性を変更するという間隙が存在し】
【風の弾幕による防御は、幾許か遅れる。結果、その防御より早く飛来した土塊が青年の右肩と脇腹へ着弾してしまうのだろう】
【『ナール』の発射の反動が、その傷に響いて青年の表情を歪める。ダメージは、決して小さくはなかった】

(ちっ、まさかあの雷撃に耐えるとは…………!
 …………何だ、水音?)

【青年は傷の程度を見るため、一瞬視線を下に落とす。その時、青年の耳は水音≠捉えて】
【ちらりと背後を見やれば、そこには公園内に流れる小川がある。これ以上後退すれば、その中に落ちてしまうかもしれない】
【――――これは、使える。青年の頭脳はその瞬間、直感した】


フン、よく耐えたものだ…………!
だが――――こいつはどうかなぁッ!!

【青年は内心の思考を押し殺し、挑発するような口調で吼え立てると】
【下ろしていた右手を、構え直す――――そこにある『キブリット』のエネルギーラインが、強い輝きを発していた】
【その銃口からは、緑色の光が漏れ出している。フラズグズが魔力を感知できるなら、そこに込められた魔力量の多さも理解できるか】
【青年の右手は、そのトリガーを引き続けている。今までの間、ずっと魔力をチャージしていたのだ――――】

――――喰らえぇえええええッ!!!

【そのトリガーから、青年の指が離れた瞬間――――野球のボール程もある巨大な緑色の魔弾が、女性の右膝目掛けて射出される!】
【込められた圧縮空気の量は最初の一発の数倍にも及び、ゴム弾程度だった威力は実弾すら凌駕し、骨をも砕く程。鎧越しでもダメージは十分だ】
【もし直撃すれば、その強烈な衝撃は鎧を伝って女性の膝へと強い負荷を与え、機動力を大きく削ぎ落とすだろうか】

最初の威勢はどうした、フラズグズッ! 本当の軟弱者はどっちかな!?

【そして――――その反動なのだろうか、青年の体は真後ろの土手へと滑り落ち、水深の浅い小川へと片足を突っ込むだろう】
【掛ける言葉は、何とも安っぽい挑発。その意図は――――真後ろの小川の中へと、バトルフィールドを移すことにある】
【あの銃口な鎧姿だ、川底の凸凹激しい地形の上なら機動力を更に落とせる筈、と青年は考えている。今回の攻撃が功を奏したなら、なおのこと】
【もちろん、その挑発へ乗るか否かは、フラズグズの判断しだいだが――――?】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/20(金) 23:57:17.92 ID:vFgD9EaKo
>>324>>325

あぁ……漸く戻ってきたわ……何がスタングレネードよ……ほんっとに……
あと、そっちのアンタ!私の寝覚めが悪いから死なないでよね……!

【ここに来てやっと、まともに感覚が復帰して】
【そこで彼へと言葉を掛けるが――どうも刺がある言い方】
【戦っている最中だからか、それとも元々そういう性格か】

【どちらが正解かはさておき、ここまでのものより大きな骸骨の登場に目が向く】
【まともに受ければ一堪りも無いのは目に見えている】
【かといって、避けるにしても間に合わないから――防御しかない】

ぅあっ……!くっ、ぅ……さ、すがに重いわね……

【両の剣を交差させ、棍棒の一撃を受け止めようとするも……やはり殺しきれない】
【軽減しても尚重い一撃が、深く腹へと叩き込まれる】
【武装しているとはいえ軽い身体、吹き飛ばされて、瓦礫の一つに衝突】

だ……か、ら……壊れないって言ってんでしょうがァ!
まだまだ……これからよ!!――Brennen!

【ゆらりと立ち上がり、まだ戦える、と構えて見せれば長剣から漏れ出す魔力】
【それはすぐに炎に変わり、刃を包む。そしてゼリシュは先の骸骨へ駆け出して―――】
【けれど、今度はリーチに捉える前に長剣が振るわれて――炎の刃が放たれる】

【言うなれば、飛ぶ斬撃。光の魔力は宿していないけれど、切れ味はそれなりにある】
【何より重要なのは放った位置。ちょうど骸骨とベアトリックスを結ぶ直線上に立っていて―――!】

【しかし、その軌道は極めて直線的。対処はそう難しくもないだろう】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 00:03:24.02 ID:xkStwv4Lo
>>325 >>327

うるせえ、男ってのはカッコつけるのが生まれ持ってのお仕事なんだよ
……特に俺みたいな大馬鹿野郎にとっちゃあ…

【映画みたいな世界、常識は崩壊して全ては無秩序だ】
【だからこそ彼は気取ったセリフを吐く。全ては意志と運命次第】
【俺の意志がこの場を支配すれば…運命も自分次第になる…と信じている】

悪魔に魅入られたヤツは地獄だろうと天国だろうと行けないのさ
…行き先のねえヤツを死なせてみろよ……俺h……っと!!

【銃を握りしめて瓦礫から飛び出して、ベアトリックスに銃を向ければ】
【こちらより何倍も多い銃口が自分に向かって狙いを定めているではないか】
【流石にニヤけたまま表情は張り付いて、回転するガトリングに釘付けだ】
【ほんの一瞬のことだがその時は数倍に長く感じた】

――あああああッッ!!クソッタレ!!

【時間がまた元に戻るとともに彼はもうセリフを続けるつもりもなくなった】
【ヤケッパチの声とともに残りの銃弾、計8発を無茶苦茶に撃ち鳴らした】
【これから降り注ぐ銃弾より桁で少ないが立ったままの相手を狙う分には…どうだろうか】
【照準なんかあまり気にせずに撃ち尽くせば瓦礫から飛び出して横へ横へ走りだした】
【仲間が声を投げかけてくる頃にはそれを宙でボロボロに裂くような銃声が途切れなく弾け始める】

【燃える車、ボロボロの装甲車、ビルの瓦礫など次々と隠れては飛び出して銃弾の蛇と鬼ごっこになるだろうか】
【背後から金属が飛び散る音、銃弾が空を裂く音、バリバリと弾ける銃声。まるで死神が背を撫でるように迫っては逃げる】

【暫く走り続け、射角より下(かと思われる)爆発でできたであろうアスファルトのはじけたクレーターへと飛び込んだ】
【息を切らせて身を伏せながら塹壕で突撃を待つ一兵卒のように周りの瓦礫に紛れ込んだ】

……クソッ!…煙草を吸う暇もない

【ガトリングの取り回しの悪さ、そして瓦礫の多い見通しの悪さ複数相手ということもあってもしかしたら】
【相手が自分のことを見失ってしまうのではないか、死んだと誤認するのではないだろうか】
【彼はそれを望みつつ今は地面に這いつくばる。仲間に挨拶すら出来ないのは少しばかり残念だが今は息を殺していた】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 00:05:22.23 ID:ixK9cilq0
【闇取引が行われ、人身売買も珍しくは無いと囁かれているその廃墟】
【今宵も複数人の男達が集まり、何やらアタッシュケースの交換などを行っていたが――――】
【不意に、耳を劈く様な乾いた音が響き渡る。その数瞬後、一人が胸を押さえて倒れ込んで】
【続けてまた一人、また一人と倒れ伏し、そう時間が掛かる事も無く冷たいコンクリートには血だまりが出来ていることだろう】
【唯一急所を外し、然れど肺を撃ち抜かれて生存した男は焦燥感を露わにして辺りを見回すが…………無慈悲にも、熱を持ったままの銃口がゴリと後頭部に押し当てられ】


「駄目じゃ無いか。何人の悪人を捌いて身体を売った所でボクは見向きもしないしきっと教会も命令を下さないだろうけど
…………君達がその狭い箱に詰めたのが信者なら。そして子供なら、ボク達は君等に裁きを与えなきゃならない」

【目を見開き、その姿を確認するべく振り返ろうとするも――――叶わない。後頭部から侵入した弾丸は額から抜け、その身体も倒れ込むのだろう】
【自身に降り掛かる血を気にする様子も無く。修道服を赤く染める鮮血を拭うことも無く】
【ただ、冷えた金の双眸だけが骸達へと向けられる。まだ僅かに息の残っている其れが居たならば頭を思いっきり蹴り飛ばして首の骨を折り、呻きが漏れているならば弾丸で静め】
【件のアタッシュケースの前に立てば、やっと表情も和らぐのだろう】


「さて…………帰ろうか。君を生き返らせる事は出来ないけど教会に掛け合えば何か出来るかも知れないし――――それに、こんな寒いところでずっと捨てられるのも嫌でしょ?」

【語りかけても当然返事は無い。…………修道女の放った言葉をそのまま取るならば、恐らくは中に収められているのは人間の骸】
【手にとってそのまま帰ろうとするけれど】
【――――先程の発砲音も反響して、思いの外遠くまで聞こえる事だろう。そして血染めの修道服に捨てられたままの骸達】
【もしこの場を訪れる者が居たならば、果たしてどの様に思うか】









【森の中――――其処に存在する、廃れた教会】
【外装はまるで廃墟と間違える程に荒れており、壁には蔦も這っていて】
【場所も場所故に、訪れる者が滅多に居ないそんな場所。然れど、教会内からはカツカツと足音が響いており】
【疑問に思って扉に手を掛けたならば――幸いか否かは分からないが――ギギと低い音と共に、開く事だろう】


「…………この時間にどうかしましたか?
……助けが必要でしたら、出来る限りお力にならせて頂きますが……」

【――――視界の中に映るであろう、一人の修道女。右手に聖書を携えている事から、恐らくは礼拝か何かの最中であったか】
【訪問者の存在に気付いたならばそちらへと視線を変えて、小首を傾げる事だろう】
【どの様な理由で、此処へ訪れたのか――――と】


「こんな森の中です――――もし、良ければお座り下さい」

【こんな森の中、歩き回るのは疲れたであろう。もし良ければ、適当な所にでも腰を掛ける様にと促して】
【…………座ろうと座らなかろうと、再び問うのは此処を訪れたその理由】
【珍しくてふらりと寄ったのか、宿を求めて訪れたのか――――はたまた、別な理由か】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/21(土) 00:11:05.26 ID:uPwl0yrEo
>>326

ッ、はァっ……!! ふんッ、此れしきの、痺れなど……ッ!!

【相手が土塊に苦戦する最中、女は荒い息を整え、あれだけの痺れから徐々に回復しつつあった】
【その理由は彼女の今の体勢にあった。剣を地に差し、アース線のようにして電気を逃がしていたのだ】

【だが――それ故に、巨大な魔弾への反応は大きく遅れた】
【鎧の上からでも強烈な一撃が右膝を砕き、片膝を付く形になった女は縋るように剣を握り締める】
【ぎりぎりと響く音は、彼女が歯を噛みしめる音だった】

〜〜っッ、青二才がぁッ……!! この私を、愚弄するかっッ!!
誇りも無い軟弱男がッ!! 猪口才な飛び道具でッ!! この私をーーっッ!!

【剣の支えと左足の踏ん張りで立ち上がると、女は始まりの時よりも激しい怒号を上げた】
【びりびりと響く声は頭痛さえ齎すようなもので、本能的な恐怖を感じた野鳥達が一斉に飛び立っていく】

【そして叫びと共に、女戦士は再び剣を天へと突き上げた】
【今度は、肉厚だった剣が薄く鋭く、長くなっていく。先程までの圧が無くなった代わりに、】
【軽さと切れ味を追求した“切断特化”の剣を構え――彼女は、相手へ向かい一直線に走り出す】

っらァああああああーッ!!

【剣が軽くなったとはいえ、右脚を引きずりながらであるのと、蓄積されたダメージは大きい】
【明らかに遅くなった速度のまま、相手の狙う通り、女は小川へと足を踏み入れた】

【――だが、此処で想定外であろう事態が生まれる】
【女は凹凸を意に介さない。というよりも、凹凸の原因たる石を“踏み潰し粉砕して”走って来るのだ】
【それだけの全身全霊の攻撃であるのだ。ただし、裏を返せば満身創痍という事】

消え失せろォーーッ!!!

【相手の腹部を目掛け、女は変形した大剣で以て、ランスの様に“突き”を放つ――!!】
【尤も――これが正真正銘、彼女の最後の一撃となるだろうが】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/21(土) 00:23:09.71 ID:HDogqi7i0
>>327

にゃっははははははッ!中々タフだねぇッ!
僕特性のスタングレネードはそれなりにいい気分になっただろう………にゃは♪

無駄無駄………もう既に君は壊れて………にゃッ!?

【未だ立ち上がるゼリシュへと狂気の笑いで語りかけながら骸骨へと止めの指令を出そうとした瞬間―――】
【焔に包まれた紅蓮の刃が骸骨を貫通し、前方へ迫ってくるッ!だが反応するには十分、そのまま横へ回避しようと―――】
【だが、ベアトリックスは忘れていた、先ほど光≠フ刃で足を貫かれていた事を………それによってわずかに回避が遅れるッ!】

【バシュウウウッ―――っとベアトリックスの右肩口を炎の刃が引き裂き、焼き払い―――かなりのダメージを与える】
【ベアトリックスは、苦痛に呻くような………だがどこか笑っているような壮絶な表情でゼリシュを見つめている】

ッ………にゃはは………やるねぇ―――つい油断しちゃったよ………フフ。
でもまぁいいや―――こうなったらまとめて葬ってあげるよ―――にゃは、にゃはは

【歪んだ笑みを浮かべながら、纏う死気≠より一層強化して、ベアトリックスはゼリシュを睨み付ける―――ッ!】

>>328

うーん、僕にはその感覚は良くわからないにゃー
にゃはは、それならば虚無≠ヨとしっかりと誘ってあげるよ、オジサン♪

【相手が滅茶苦茶に放ってきた8発の弾丸も、ガトリングの砲身で強引に吹き飛ばそうと振るうが、弾ききれなかったものが】
【左肩、そして左脇腹に突き刺さるが、そんな事は気にせずガトリングを全弾掃射する―――。】
【そして相手が出てこなくなると―――詰まらなそうな顔をして2mもあるガトリングを軽々と担ぐ。】

あれれ、死んじゃったかにゃー?そんな事ないよね?まだどっかで息を潜めてるんでしょー
それなら丁度いい………これから全てを吹き飛ばす≠だからさ

【相手を探してキョロキョロと見回していたが、見つからないと直ぐに諦め………そしてもう一度ガトリングを構えた】
【弾はリロードされていないはずだが―――何か恐ろしい気配≠感じるだろう】

>>ALL

―――それじゃあそろそろパーティーのフィナーレといこうか♪
このまま全て鉄くずに飲まれて消えて行ってねッ!にゃーはははははははははははッ!

                   ≪アンチフィールド・キャノン=窿bッ―――!

【ガチャン………大きく後方の、山積みとなった瓦礫の上に立って、二人の中間点へと銃口を向けると―――】
【ガトリングの砲身に集まっていくのは負≠フオーラ………それは次第に、球体のような形へと変貌していって】

【―――轟ッ!それを二人の丁度中間地点へと解き放ったッ!!そしてそれが地面へと着弾してしまえば】

【発生するのは途轍もない破壊≠フ爆風、爆炎―――新たに巨大なクレーターを創りだすような途轍もない威力だ】
【どこか瓦礫に隠れたとしても余波は避けられないかもしれないが………同時に、これだけの一撃を放ったベアトリックスにも隙が生まれる】

【最後の………起死回生の一撃は成るか―――?】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/21(土) 00:52:36.91 ID:dviW7UMjo
>>330

(よし、掛かった! このまま――――)

【風の魔力を集合させたチャージ・ショットが、フラズグズの膝に強いダメージを与えたのを確認し】
【その上挑発に乗り、フラズグズはこちらに近寄ってきてくれた。青年としては、それは確かに最高の形だった】
【フラズグズの接近に合わせ、青年もまた小川の奥へと足を踏み入れ、両者は川の中で対峙することとなるだろうか】
【後は動きの鈍った相手を、遠距離から打倒すればいい。フラズグズからすれば姑息にも見えるだろうが、しかしこの上なく理に叶った戦法だ】
【だが、しかし――――】

こ、この――――どこまで理屈が通じないんだ、お前はッ!!?

【バシャバシャと弾ける水音に混じって、小石の踏み砕かれる音が響く。それはここまでひた隠しにしてきた青年の動揺を、如実にさらけ出して】
【機動力の低下をものともせず、鬼神の如き気迫で迫る女戦士。閃く銛鋭の剣が、青年の心に恐怖をもたらした】
【こうなれば、川へ誘い込んだのは完全に裏目だ。地形によって機動力が落ちるのは、何もフラズグズだけではないのだから】
【必殺の突きが、青年の命を断つべく放たれる。対する青年は水でもつれる足回りに苦心し、どうにか後退しながら体を捻るが…………】

が――――っぐううッ!!!

【――――直撃だけは、避けた。だが脇腹を通過した剣は青年の皮膚と肉を無慈悲に引き裂いて、多量の出血をもたらす】
【傷口から垂れ流される赤い液体は、どんどん川の水を汚染していく。処置をせず放っておけば、失血死もあり得る程の深手だ】
【片や、体中へ電撃を浴び、膝を壊しながらも気合で迫る女戦士。片や、土塊で打撲を負い、動揺して脇腹を裂かれた青年】
【有利に盤面を動かしたつもりが、青年は逆に劣勢に転じてしまって――――】


…………僕に誇りが無い、とか言ったか、お前。

【否。動揺し、深手を負いはしたが――――赤紫色の双眸が放つは、獲物を前にした鷲のように鋭い視線】
【がしゃり、という鈍い機械音が、青年の両手から響くだろう。左の『ナーラ』の後部に、右の『キヴリット』が差し込まれている】
【両者のエネルギーラインが一瞬にして直結し、強い光を発する――――側面に、『Al-Tinnin(アルティニン)』という新しい文字が浮かび上がって】
【彼の拳銃は、二丁拳銃≠ナはなく二丁一対=B一つの銃を、二つに分割したものであったのだ】

弱いだの何だの、んなふざけた理由で他人様を傷つけるアホを取り締まるのが僕の仕事だ!!
SCARLETを、警察を、正義≠――――――ただ強さに縋るだけの軟弱者≠ェ!!!

僕の、アルフレド・フェリシアーノの誇り≠ッ!! その汚ねぇ口で汚すんじゃねぇえええええええええッッ!!!!

【青年――――アルフレドは、その『アルティニン』の銃口を、フラズグズの胴体へと向け】
【見た目からは想像できないほどの激しさで、咆哮を上げた。そこには燃えたぎるような憤怒と共に、確かに抱える信念が浮かんでいるだろうか】
【あまりの興奮で、脇腹の傷が更に血を吹き上げるが――――そんなことにすら気づかず、アルフレドは後部の『キブリット』の引き金を引いた】
【同時、連動した前部の『ナール』の砲身が高速回転を開始し、膨大な魔力の奔流が四つの銃口の中心へ集まっていって――――】


――――――『デカディメント・ウラガーノ』ッ!!!


【直後、人の頭程もある巨大な風の魔弾≠ェ、猛烈な爆音と共にフラズグズの胴体へ射出される!】
【銃撃というより、それはもはや砲撃だ。最初の弾丸の数倍の威力を持つ先程のチャージショットを更に上回る威力と範囲を併せ持つ砲撃!!】
【直撃すれば、車に轢かれるのにも匹敵する激烈な衝撃がフラズグズの体を強く吹き飛ばしてしまうだろう】
【それは、アルフレドの持つ必殺の攻撃――――だがフラズグズがそうであったように、最後の攻撃でもあった】
【この近距離で、それだけの砲撃が炸裂すれば。アルフレド自身も、ただで済む筈がないのだから】

【攻撃の成否に関わらず、その反動を受けたアルフレドの体は、血をまき散らしながら後ろへ吹っ飛んでいく】
【ばしゃん、という軽い音と共にその体が水面に叩きつけられる頃には――――アルフレドの砲撃がもたらした未来が、明らかになっているだろうか】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/21(土) 00:56:18.66 ID:KZd+qiKNo
>>328>>331

フフフ……いい炎でしょ……?いいもの、使ってるから……

【最早ボロボロで、満身創痍と言っても過言ではないような状態】
【それでも、倒れない。瞳の鋭さはより一層、増すばかりだ】


……だから死ぬな、って言ったのに……戦場でカッコつけるから……

――――って、生きてる、の……?それじゃ……次も死なないように頑張るのよ……
私は――――――――行くわ

【ガトリングが止み、彼の姿と声を確認できなくなった事から――そういう事かと思ったが】
【どうやら思い過ごしだった様なので、それだけ言葉を掛けて】

【―――ガトリングに集まる負≠フオーラ。そしてベアトリックスの死気=z
【濃密な二つの暗き気が、場を満たしていく……】
【その中で、少し、少しばかり、ゼリシュの影が“濃く”なった様な気がした】


やられる前に――――やるッ!
――――《Licht Schwert》!!

【ここでゼリシュは短剣を鞘に納め、今度は鞘ごと背中から外して長剣と交叉】
【そのまま十字架の様に結合させれば、一振の十字剣の完成】
【すると、これまでの比ではない量の光の魔力が溢れ出し、剣を包み込んでいく】

【そうして出来上がったのは、光の十字剣。切れ味は元の剣より遥かに上だ】

【そうして光剣を構えて走り出すすぐ後ろで、炸裂する破壊】
【それは容赦なくゼリシュにも降り掛かり、ボロボロの身体を襲って――――】
【もう少し、もう少しで刃が届くというところで、走る脚から力が失せた】


――――!……もう……ちょっと、なのに……!

【身体が崩れ落ちる、その瞬間。ゼリシュの影が――――消えた】

【変わりにその背中に現れるのは、影の様に真っ黒な翼で――――】
【力強く、羽撃き一つ。空気を背後へ押し出して、その身体を、前に】

【そうして、大上段から光の刃が振り下ろされる】
【しかし、本人は意識すらあるのか不明であって。故に重力に任せるがままの、雑な一撃で―――】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 01:08:27.51 ID:CEDpmrJto
>>329

【夜は黒、血は赤で廃れた建物には月明かりも届かないか】
【ただ響くのは命を奪う音だった、まるで終焉の鐘にも似ていてならばそこで起きているのは終末か】
【少なくとも実際に生命を奪われている人がいるのだろうけど、だからといって何の関係もない】

【あるがままを見て知るべきを記すのが、わたしの在り方であるし】
【生きている者はいずれ死ぬのが摂理である】

――――――――スリルが欲しいなら少し足を遠くに向ければ良い、とは誰の言葉だったでしょうか

【薄い声は鼓膜に纏わり付くように】
【近づく靴音は儚くされど確かに近づいて、影から現れる一人の人影】
【白い肌白い髪白い衣服、それら全ては淡くも妖しく輝いても見える……丁度星々の明かりのように】

誰かの平穏の影には何者かの悲劇があり、悲劇は他方から見れば喜劇である
主観というのは不思議ですね……ならば今のこの現場というのは、さてどう表現すべきなのでしょうか

【背丈は一般的な女性のそれ】
【ロシアンハット、ポンチョコート、覗くストッキング、ロングブーツ】
【その全て一切が白色である彼女はその瞳も開かないで、今まさにアタッシュケースに手を掛ける修道女へと語りかける】
【悪意もなければ善意もない……されど亡霊ではない】

こんばんは、本日はお日柄も良く?
……服装とは似つかわしくないオシゴトをされていらっしゃるのですね、ここまで食い散らかす――――――――
いえ、ここまで処理出来るとは驚嘆を隠せません……最近の修道女というのは子羊を積極的に天上に向かわせるのですね

あちらも急に人が増えれば大変でしょうに、なんて……

【遺体には一瞥もない、純然たる興味はただ修道服の彼女へと向けられている】
【こつん、と靴を小さく鳴らし壁か何かに寄りかかれば……酷く無防備に白い息を吐くのだった】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 01:12:37.77 ID:xkStwv4Lo
>>331

うっせーな…もうすぐ三十なめんなよ…チクショウ

【身を伏せているのでオジサンに文句をつけようにも小声でブツクサ言うぐらいしか出来ない】
【ちなみにサングラスを外せば二十代後半に見られることが多いが何分、サングラスにしゃがれ声】
【スーツや革ジャンの渋目の服装、それと能力者の年齢層の若さからオッサンと言われることはかなり多い】
【本人はかなり気にしているが否定のしようもないので放置している次第である】

【閑話休題。銃声が止めばサングラスの彼も反撃に出ようと動き出す】
【これ以上銃弾をぶちまけるのはスタミナ上、宜しくない。白銀の拳銃はベルトに挟んで一挺に切り替える】
【黒い拳銃。撃ち尽くしていてエングレービングも今は白い。撃鉄をまた起こせば血管のように赤く滲み、シリンダが回る】

このままナメられたままじゃいられるかってッ!!

【身を乗り出して飛び出せばそのままの勢いで拳銃を構える。両手でキツく握って銃口を向ける】
【だが、彼の”殺人”に対する恐怖が無意識に働いて、それはガトリングの方に向いてしまう】
【そしてそれが一瞬のタイミングの遅れにもなって、狙いが定まりきらないまま相手のキャノンの射撃が行われる】
【向こうは高威力広範囲。こちらは拳銃、射程も遠く。命中率は格段に落ちる】

【しかし呪われた拳銃はただのピストルでは終わらない。彼がままならないまま引いた引き金】
【銃声はつんざくぐらいに大きく。マズルフラッシュは炎が飛び出したように吹いた】
【この銃は6発分の力を使えば1発。機関銃や狙撃銃にも引けをとらないぐらい速い射撃速度と威力で】
【目標に向かって高速に回転し、高熱を発しながら発射することが出来た】

【ガトリングを狙い、且つ怯みと接近戦の仲間への配慮とタイミングの悪さもあり…命中はあまり望めなかった】

―――――なっッッ!!

【その一撃の行く末を彼は見ることは出来ない。撃った瞬間にその爆風が彼を襲うのだから】
【ドン!という衝撃で彼の体はまずそのクレーターの中に引きずり込まれた。瓦礫が盾となって】
【そのお陰で爆炎で焼かれてまる焦げになることはなかった。が、降り注がれるガラスの破片や瓦礫が彼を襲う】
【静かになってから彼が落ち着いて把握した時は、全身砂まみれで、頭部からは出血は大したことはない、腕も大丈夫そうだ】
【しかし、左足は怪我は無いようだが瓦礫に阻まれて直ぐには抜け出せないような状態になっていた】

あー……ゴホッ!ごほっ…一々、ツイてないな

【仰向けで、瓦礫に背を預けながら右手で持っていた拳銃を探すが少し離れた瓦礫に挟まってしまっている】
【それにサングラスはいつの間にかなくなって、彼の白眼が赤く、黒い瞳という特徴的な目が見えた】
【それは彼が銀行強盗で指名手配された際”ロッソ”と呼ばれたただ一つの証拠でもあり所以である】

【今は爆発の影響と先ほどの射撃の衝撃で追撃をすることはできない。動けないこともあり…万事休すか】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/21(土) 01:17:07.83 ID:uPwl0yrEo
>>332

【相手の脇腹を掠めた感触と、血の香に、女の口の端が歪に吊り上がる】
【勝利を確信し再び剣を振り上げようと、振り向くが――身体が、再び硬直した】

……――なッ、まだ、隠し弾がッ……!?

【迸る怒りと、恐ろしい程の魔力の本流に、彼女は慌てて構えようとするも】
【今度は立場が逆になった。土壇場で見せた青年の力に圧され、女は動きを鈍らせており】

う……、動けッ、動けフラズグズ・スヴァンフヴィードッ!!
こんな所で、こんな脆弱な相手に、こんな……っッ!!!

【四つの銃口と、相手の怒気を孕んだ目と、視線が合う】

……みッ、認める、ものかぁァーーーっッ!!!

【――悪は、撃ち滅ぼされるものだ】

【強烈な“風の魔弾”は、確実に胴体へと命中し、その重厚な鎧の体を遥かに吹っ飛ばした】
【遠くの建物の壁に叩きつけられ、崩れた瓦礫の中でぐったりとしたまま動かない――筈であったが】

……み、と……めぬッ、……この、ようなッ……
この、私がッ、……敗走、するなど……ッ!!

【恐るべき体力、といった所か――瓦礫の中からよろよろと立ち上がる女は、憎々しげに呻きを上げ】

【見れば、大剣はただの細い一振りの剣になり、あの重厚な鎧が露出度の目立つ軽鎧へと変化していた】
【軽さはあれど、防御にはまるでならない鎧――まるで全ての力が解かれたように、弱体化していて】

覚えて、いろッ……!! この私にッ、このような無様を晒させた罪をッ……!!
貴様だけは、貴様だけは必ずッ、この私が倒す――アルフレド・フェリシアーノッ!!!

【そんな捨て台詞を吐くと、女はぼろぼろの体を引き摺って、その場から退却していった】

【かくして、この場所の最大の脅威は、アルフレドの手により払われる】
【敵が消えた広場には、やがて入れ替わるようにして、相手側の救護隊も到着するだろう――】

 【BattleU――勝者:アルフレド・フェリシアーノ】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でした
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/21(土) 01:32:42.73 ID:HDogqi7i0
>>333

ふふ、ざーんねんでした………これで君も終わりだにゃーっはっははははは
やる前にやられちゃったらそれで終わりだよん………まぁそれなりに愉しめたからいいと―――ッ!?

【相手が十字剣を創りだして、それを持って自分を攻撃しようとした瞬間に炸裂する自身の攻撃】
【先手を打ったこと、そして放った一撃の威力を踏まえたうえで勝利を確信してほくそ笑むが………突如ゼリシュを襲う異変】

【それに驚き、対応しようと身構えた瞬間―――胴を縦に切り刻む光の刃の一撃が命中し、血液を大量に噴出しながらよろめく】

………なんだよ、それ………き、聞いてない………にゃー。

【口元に驚愕、そして少しばかりの好奇心を持った様子でそのまま体勢を崩していく―――。】

>>335

―――なん、だ………おじさんも生きてたのか………ちぇ………
この僕が………何も壊せないなんて―――屈辱だよ―――にゃはははは………ガッ。

【右手を見れば………手の甲を強烈な弾丸で貫かれ、ガトリングは遠くへ吹き飛ばされ、手元にはない】
【―――弾丸を放った男性へとゆっくりと虚ろな視線を送り、苦笑するとまた一歩後ろへとよろめいていく】

―――僕も、ツイてない………にゃあ。

【それだけ言うと、口から鮮血を吐きだして―――後方へ斃れようと………。】

>>ALL

   ≪―――フ、全く世話の焼ける………作戦目標はある程度はクリアした、今回は引き上げるぞ
                      各地の部隊にも撤退命令を出した―――仕込み≠ヘ完了だ。≫


………あ、………W/ダブル≠カゃないか………にゃはは。

【そこでいつの間にか出現していた第三者≠ェベアトリックスを受け止め、そして抱える………。】
【まず頭部は紫のバイザーのヘルメット型の灰色の仮面に覆われており表情はおろか人相も判別できない状態であり】
【全身は銀色の装甲服とその上に灰色の背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の男だ】

【テレビや新聞などのメディアでも見たことがあるかもしれない………この男がGIFT鉄の国侵攻のリーダー、ダブル。】

【ダブルはそのままベアトリックスを小脇へと抱えると、二人へと顔を向けて―――そして一歩踏み出す。】


≪お初にお目にかかる………私はGIFTメンバー≠フ一人で鉄の国侵攻の指揮を任されている灰色の魔人=c……W/ダブル≠セ
 ―――もし時間があればここで相手をしたところだが………生憎とそうも言っていられないようだ≫


 ≪ベアトリックスの治療もある………残念だがここで失礼させて貰うとする―――では諸君、また会おう。≫

【―――それだけ言うと、ダブルは建物の陰に隠れるようにして素早く移動し、そのまま姿を消した。】
【暫くすれば鉄の国軍の医療班が訪れるだろう………話によれば辛くもGIFTの軍勢を退けたようである―――。】


【―――そして、鉄の国政府は被害の実情は話さずGIFT≠退けたという結果だけを各国へと通達し………】
【懸念する声も出たが、数週後に控えた国際サミット≠ヘ予定通り開催するという発表がなされたのだった………。】

              【それこそが―――W/ダブル≠フ狙いとも知らずに。】

//これにてイベントの〆とさせて頂きます!
//平日にも関わらず参加者の皆様ありがとうございました!
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 01:42:42.60 ID:+njIi1P90
>>334
【顔に掛かる血の飛沫を拭う事も無い。指先から滴る血を振り払うことも無い】
【ありのままの姿で、修道女は歩みを止めた。聖職を示すその纏い物に、あろう事か大量の血液を染みこませたまま修道女は歩みを止めた】
【銃を構える事こそしないが、その視線は実に鋭かった。隣人を愛する事も無く、一つの罪を赦すことも無い。そんな視線】
【――――――が。少なくとも今は相手に害意が無いと知れば、クスリと小さく笑って】


「さあね。生憎ボクには学が無いから、格言でも名言でも、誰がどんな時に言ったのか何て考えは思い浮かばないよ
――――嗚呼、本当に良い天気だ。雨に濡れたって、その雨が暖かいんだから風邪をひく心配もなさそうだ」

【ようやく思い出した様に血を振り払うのだけれど…………対象は指先では無く、愛用の銀銃】
【冷たいコンクリートに新たな朱を描いたならば、暫し相手を観察する様に見つめるけれど】
【得物を握っている訳でも無い。魔術を発動する様子も無い。なれば、今一度アタッシュケースに詰められた其れへと視線を下して一つ吐息を吐くのだろう】


「教会と言っても全部が全部打たれた方とは逆の頬を差し出すわけでも無いさ
右を打たれたら相手の顔半分を壊しちゃう位怖い教会もあるんだから…………
後、心配ご無用。もしかしたら、えーっと…………ほら。ぶっきょーとか、しんとーかも知れないし…………何より、仮にボクと同じ宗教であったとしても行くのはこの世界の反対側よりももっと深い所だよ」

【修道女の金の髪は、この場に於いてもよく目立つ。唯一朱に染まる事の無かった其れは、尚の事目立つ】
【もはや、殺した者達の事は既に眼中に無いのだろう。同じく女性へと興味の全てが注がれて居て、転がる其れ等はただの石ころと同様。転ばぬ様に意識を向ける程度の存在】
【僅かな間。何かを考えては居たけれど、其れよりも先にまた別な考えが口から出て】


「…………それ、で。君も随分と物好きそうじゃないか
ボクが“処理”をした…………って事は分かっているんだろう?
それなのに、自分から話し掛けて来るなんて…………ふふ、面白い
まあ、ボクはカノッサでもGIFTでも無い。君が何もしなければボクも危害を加える気は毛頭ないけど…………さ
それで、白い君。優しい優しい修道女に何かご用かな?丁度ボクも仕事が終わって暇してた所だ。世間話でもなんでも、嬉しいけど」

【女性の言葉から考えるに、少なくとも一部始終を見ていたのだろう】
【それでも話し掛けて来るとなれば…………きっと、自分と同じ様に真人間とはまた異なった存在か】
【クツリ。人懐っこい笑みを漏らしたならば小首を傾げて】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/21(土) 01:51:47.28 ID:FCsY/lwPo
>>337

【十字剣を包んでいた光が消え、今度こそ崩れ落ちた時にはもう、背中の翼は跡形も無い】
【ただただ一人の少女が、倒れているだけ】

【荒く、弱いながらも呼吸はあるが――ぴくりとも動かず】
【ダブルが現れても虚ろに開かれた眼はどこを見ているかもわからないまま】

【それ故、何か言葉を返す訳でもなくて】
【ただ、結論を言えば――耳からの情報だけは入っていたらしい】


【そのまま、誰かに声を掛けられるまで意識はハッキリせず】
【意識が戻っても、最後の攻撃をどうやって届けたのかは自分でもわからないという始末】
【結局、ゼリシュの心中にはダブルの事とその事と、モヤモヤする事ばかりが残る結果となった】



/何か変な感じの〆文にしてしまいましたが、皆さんお疲れ様でした!
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 02:08:29.64 ID:CEDpmrJto
>>338

【彼女の職が人の罪を問うものならばわたしには適応されない】
【人でないから、という単純な話ではなく事実罪など無いからである故に赦される事も求めない】
【それとも、生きとし生けるもの全てが罪人か……】

数えれば、この惑星には幾多の命があります
仮にそれぞれに大きい小さいが無いとすれば、ここで消えた命はごく少数で全体から見れば大した損にはならないでしょう。
むしろこのご時世、ない方が利益になることの方が多いのではないでしょうか

【ひい、ふう、みい……陶磁器のような指先で数える】
【遺体が2桁だろうが3桁だろうが分母たるや膨大だ、ならば些細な問題だと白い彼女は呟く】
【声色はただ平坦に面白くもなく可笑しくもなく、台本でも読むように】

それにしても物好きですか……うん、そうかもしれないですね
人間への興味を表すにはその単語こそが相応しいかもしれません。
……そう、貴女の行動原理なんて特に、興味深かったりしますね……アタッシュケースの中身なんかも特に……

【どの勢力でもない彼女と、どの勢力にもならない自分】
【コインの表裏ではない謂わば捻じれの関係、そり合わないのではなく交わらない】
【しかし今宵は摂理は捻じ曲がっているのか、血にむせかえる空間はそうだと思わせるには十分だった】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 02:11:04.57 ID:xkStwv4Lo
>>337

うっせーなコノヤロウ……勝手にやってろ馬鹿野郎…俺はどうだっていいんだよクソッ…

【戦闘の終了を感じ取れば、もはやどうだっていい。イデオロギーだの思想だのしったことか】
【今回だってGIFTが鉄の国を茶化してくれたからおこぼれに与ろうと思っていたぐらいだ】
【むしろGIFTだのカノッサさまさまだ、なんでオレば馬鹿みたいに戦っているんだ】

……クソッタレ

【相手にも言ってやりたいが一番は自分に向かって言い捨てた】
【瓦礫を避けて、グラグラする頭を押さえながら何とかして立ち上がる】
【全身が痛いし、ダルいし強盗するより気分も悪い…だから戦闘なんて嫌なんだ】
【そうやって文句を言いながら投げ出した拳銃を拾って、額の血を袖で拭う】


>>339

【ブラブラと歩きながら、彼はポケットの煙草を探して火を付けた】
【バイクもダイヤも見当たらない。何もかも上手くいかないが…タバコを吸えるならまだマシ】
【ローに入ったギアもハイに入ったギアもニュートラルに戻してくれる。だから止められない】
【医療班が来てしまえば、そのあと賞金首の己には面倒なことが待っている可能性が高い】
【この場を離れるべく、歩き出した途中で倒れているゼリシュの傍へとよって行く】

……起きてるか?……まあ…生きてっか

【しゃがみこんで様子だけ見て、特に長居することもなく男は立ち上がる】
【煙草の煙を吐き出して、瓦礫だらけの街をまたゆっくりと歩き始めた】
【その後、医療班が遣って来た頃にはゼリシュだけが残されていることだろう】
【公式の記録にもこの戦闘は彼女一人の功績と名前が残ることだろう…】


/乱入という形でしたがお二人ともありがとうございました!
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/21(土) 02:18:59.30 ID:dviW7UMjo
>>336

――――ッがはぁっ、げほッ…………ぐぅあッ、くそったれ…………!

【場所が水辺であったことが、最後にアルフレドに味方した。衝撃と失血で水面下へ意識を埋没させ掛けていたアルフレドの口に、水が入り込む】
【激しくせき込んだアルフレドの意識は、その動作で傷口から走る激痛によって嫌が応にも浮上し】
【どうにか首だけを動かせば、暴風に吹き飛ばされた満身創痍のフラズグズの姿を見つけて、凄絶に笑うのだろう】
【あれだけのダメージなら、拘束も可能。とっとと終わらせて、次の場所へ向かわねばならない…………】

がっ、ぐ…………なんて、流石に無理か…………。

フラズグズ・スヴァンフヴィードッ! 僕もお前を覚えたぞ!!
そちらもせいぜい覚えておけ、次は無い…………次は必ず、お前を捕まえてやる!!

【…………『アルティニン』を放り捨て、アルフレドは傷口を押さえつける。そうするしか、今は出来なかった】
【傷のせいで走り寄るのは不可能。銃で狙撃するにしても距離が遠すぎるし、ましてこの傷では反動で自滅しかねない】
【彼女の敗走を止める手立てが無いことを、アルフレドがこの世で最も頼りにする自身の頭脳が告げていた】
【故に、その背に投げ掛けるのは怒号――――フラズグズの台詞に呼応するように、アルフレドもまた天へ向かって決意を吼える】

(…………鎧と剣が、変化していたな。さっきの攻撃で破損したのか?
 いや…………それにしては、欠損部位が綺麗すぎた。あれがあの女の能力≠ニいうことか…………?)

【それを終えれば、アルフレドは力尽きて真後ろへ倒れ込み、ただ止血することだけに執心するだろう】
【だが猛禽類のような瞳は、最後の瞬間、フラズグズを攻略するための情報を抜け目なく捉えているのだった】
【この刑事≠ニしての洞察と勘こそが、アルフレドの持つ何よりの武器――――空いた片手で無線機を取り出しながら、しばし考えを巡らせて】

…………こちら、アルフレド・フェリシアーノです。
中央公園にて、自警団員を襲ったと思しき剣士の女と遭遇。交戦の後、対象は逃走しました。
こちらは怪我人多数、救援を要請します…………。

【フラズグズを追え、と言えなかったのは、街の防衛機能は今GIFTの対応に手一杯になっているからだ】
【故に、逃走した彼女がよほど迂闊でなければ、混乱に乗じて逃走することは可能である筈だった】
【こんな状況だ、今は一人より、多数を相手にすべき時。そして同じく、この場の多数もまた救われるべきであって】
【この傷では、フラズグズにやられた自警団員の様子を見ることも出来ない。だが死んでいない希望に賭け、アルフレドは繰り返し無線に声を乗せた】

【しばらくして、救援隊は到着する。失血で顔面蒼白になっていたアルフレド共々、まだ息のある自警団員がいれば救われることだろう】
【担架に乗せられて、水浸しの体を冬の風に晒しながら。アルフレドは、今日の寒さに身を委ねて――――】
【お互いが道を曲げない限り、いつの日か再びまみえることになる仇敵。フラズグズ・スヴァンフヴィードの顔を、脳裏に焼き付けるのだった】


/お疲れさまでしたー!
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 02:29:41.95 ID:ixK9cilq0
>>340
「ん…………確かにそうだね。其れに、何人死のうがボクに関わりが無ければ見向きもしないだろうし
面倒なのは其処に鎖みたく繋がっている人と人の関わりだけど――――それだって、ボクに関係していなければどんなに歪に千切れたって構いはしないよ」

【無感情、ともまた異なるのだろう。然れど感情の起伏が薄い女性とは反対に立つように、この修道女は感情をよく露わにしていて】
【一瞬ばかり見せた表情が、視線がまるで嘘の様。修道女にも思えず、ただそこらで遊ぶ十八の小娘と変わりがない】
【――――尤も、臓物の破片を付着させず、その身を鮮血に染めていなければの話であるが】


「行動原理ねぇ…………。兵士は考えない。与えられた命令だけをこなすなんてあるけど、例えるならボクは其れに近いのかな
教会に命じられたから殺してきた。哀れみも無いし断罪でも無い。ただ殺しただけだけどね
それで、君の言うこの中身――――だけどさ」

【一度持ち上げ、再び地面に置いたときの音。鈍い其れは、中々の重量である事を伝えるだろうか】
【又、耳が良ければ多量の水分の含まれた物同士がぶつかり合う音が聞こえたかも知れないし、それ以上の物も聞き取れたかも知れない】
【ただ、其れだけではきっと分からないだろうか。ケースの中に人が入っている時の音なんて、早々聞く機会がある筈も無いのだから】


「人。子供。開けたら零れちゃうから見せれないけど。…………少しだけ、ちょっとだけ、ボクと関わりがあってね
だから、考えない兵士はちょっとだけ規律を犯した。自分から志願してここに来て、殺したんだ
立候補して、命じられて。殺した。――――はは、此処に転がっている人達も馬鹿だよねぇ。この子の鎖を断ち切ってしまえば自分たちも断たれるのに、意気揚々としていたんだもの」

【中に入って居る物と関わりとをサラリと告げれば、もう一度確かめる様に音を鳴らして】
【ケースから、女性へと視線は移ろう。全身を白に包んだ姿は、この闇夜では良く見映える事だろう】
【数秒、或いは其れより少しだけ長く。視界の中に留めたのならば、言葉を紡ぎ】


「これがボクの行動原理。さて、それじゃあ君の話へと移ろうか――――
君が興味深いと言った様に、ボクも君を興味深く思っている。白の事もそうだけど…………何て言うんだろう。つかみ所が無い、からかな」

【疑問とも取れる様な言葉。存在を問うているのか、この場所へ来た理由を問うているのか。様々な意味合いとして受け取れるだろうか】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 03:00:05.72 ID:CEDpmrJto
>>343

惑星の裏側での事など所詮は対岸の火事、ですか
勿論そういう考えも尊重されるべきですね、好き好んで火事に関わる愚か者など片手で数えられます……きっと

【と、続けて彼女は黙る】
【愚か者に思い当たる節があったのだろう、誰がとは言わないままほんの少しだけ表情を曇らせ】
【ふ、……と鼻で嘲笑うように逃がす】

外部から入力された情報を元に動作する装置、私と似たり寄ったりですね
ああ、でも少しは貴女の方が救いがある……のでしょうか、こうして赤色に染めたのは貴女の欲望の証
惜しむらくはその冷たい箱が直接の原因だったこと、物語とはかくも残酷ですね……

【なんて言葉を零すけど、それだって対岸の火事に過ぎない】
【自分という我は他人というモノを理解出来ない、私はその極例だろう】
【本当は残酷なんて単語は使うべきじゃない……それくらいは知っているけれど】

私がここに来た理由としては……「なんとなく」ですね
音がして血が視えたので、蒐集者としてはそういう場面を観察するに越した事はないかな……という打算も含め。
掴みどころが無いと貴女が思うのは、私にはそれほど我というものが備わっていないからではないでしょうか?

【外部の情報を読み取って記録する装置】
【そんなオートメーションに我は必要あるまい、私にロジックは備わっていてもメンタルまでは所有していない】
【ある意味では修道女と自分とがこうも会話を成立させている事自体が奇跡に近い】

奇跡を運ぶのが修道女とは、なんともまあありがちな……
―――――――ああ、それにしても貴女は帰るにしてもそんな格好で大丈夫なのですか?

【無菌の自分と血肉に塗れた彼女、精神的にも……だ】
【喩え歩くのが夜の街でもよろしい格好とは言い難い、というよりその姿はあまりにも猟奇的だ】
【それとも蠱惑的だろうか?何にしても良からぬモノを惹きつけるには違いない】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 03:31:45.51 ID:ixK9cilq0
>>344
「救いがあるか無いか、ボクは気にしないよ。死ねば後は只の塊だ。魂が楽園だろうが天国だろうが、地獄だろうが煉獄だろうがもうボクには関係の無い話さ
――――ハハ。確かに残酷なのかも知れないね。姉ちゃん姉ちゃん言って近寄って来てくれた子が、今じゃこんな小さな箱に成り変わった。暖かい身体だって、今じゃこの気温とそう大差も無いだろうね
君の言う冷たい箱は、確かに原因に成り得るには十分だったんだよ」

【今宵沢山の命を奪った銀の双銃。きっと、今までにはそれ以上の命を奪ってきたのだろう】
【月の光を冷たく反射させるその形は、やけに浮いた存在であった】
【何を思って引き金を引いてきたのか。其れはつい先に語られたこと】


「何となく、か。最もらしい感想だね
しっかし…………世の中には変わった蒐集家が居るもんだね。やっぱり世界は広いや
でもまぁ、ボクが君の立場であったなら、きっと同じ様に見ちゃうから気持ちは分かる。何よりも面白そうだしね
――――そして、観察したいなんて欲望が湧くほどには我もあるんじゃない?無いなら其れも其れで、ボクとしては面白いけどさ」

【女性の言う様に、確かに我を薄く感じる――――が。無いと感じた訳では無い】
【少なくとも、この女性と話しているんだと実感できる程には感じていたのだろう】
【どちらかと言えば正常では無い…………謂わば“壊れている”と称した方が良いこの修道女】
【――――不思議と、面白い巡り会いが多いものだ】


「奇跡は神の業だから強ち間違いでも無いさ。ボクが其れを出来るのだとしたら、世界が引っ繰り返る程の驚きかもしれないけどね
神と言えば…………その生まれ変わりの子の友達も居たね。ふふ、何処か君に雰囲気が似ていた様な気もするけど。案外、君もホッペタを伸ばせば可愛らしい反応でも見せてくれるのかな」

【クツリ、クツリ。思い出し笑いと、勝手な想像との狭間】
【血濡れた手で女性の肌を汚すわけにはいくまい。実行はしないからこそ、勝手な想像】
【乾き始めた血を擦り落としながらも、最後の紡ぎには一度頷いて】


「問題無いさ。突っかかってくるなら追加で仕事が増えるだけ。良い子はもう寝てる時間だ
ボクと君は悪い子だからこうやって話して居るけど――――そう、見られたって不都合は無いさ
万が一でも死体が少し増えるだけ。太陽が昇れば何時もの毎日になっているんだから
…………ボクは身形に気を遣う柄じゃ無い。其れにさ――――今日は、ボクが殺したコイツ等の血で濡れていたい気分なんだ」

【罪を赦せ、なんてこの修道女には無い。罪を犯せば、償わせる】
【その確かな証拠として。仇討ちと、任務完了の証として浴びた血液。どうにも、心地が良い】
【女性の思ったことは、確かな事で道理に適っている。だが、壊れた者からすれば、自分が良ければ其れで良いのだろう】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 03:56:39.58 ID:CEDpmrJto
>>345

空虚、言葉自体は簡単ですがそれを経験するとなると話は別です
……神というのがいるのだとしたら空虚を果たして埋められるのか、いえ戯言ですそれ以上でも以下でもなく

【ふたつの銀色を見てふと一人の人間を思い出す】
【同じくふたつの銀色、だけどこっちは銃であっちは刃】
【でもその本質は自分の他人の血に濡れている、それを操る主は……果たして空白か】

蒐集も仕事ですから、仕事に我は必要ない……何よりも貴女が知っているそうでしょう?
仕事という動作にそれらしい言動を加えればさも感情があるように見えます、観察者は偽る事も得意なのですよ

【感情がスイッチではなく行動がスイッチとして動作してその後に感情という嘘の衣を被せるだけ】
【ラベルさえまともならば中身を気に留める人間などそうそういない、つまりはそういう事】
【白色とは見る人によって何物にも染まる、曖昧な色故に】

ほう……神の生まれ変わりですか
それはまあ、知り合いが聞いたのならば「バラしてやる」とでも言いかねませんね、くわばらです。
ほっぺたなんて、……恥ずかしいので勘弁して欲しいものです、ええ。

【当たり障りないキャラクターを演じているというのにそんな彼女の知り合いとやらは中々にエキセントリックらしい】
【ちなみに世の中には「類は友を呼ぶ」という言葉がある、或いは彼女もまた……】

様々な人の生き死にを見ていました
そんな経験を踏まえて言えるのはただ一つ、幸せは計れるモノではないということです
貴女が求める終わりが例え他人から見た悲劇だとしても、貴女が良ければそれはハッピーエンドなのでしょうね。
血に濡れていたいというのが混沌衝動ならば正しく、それは何者にも曲げられはしない……羨ましくも思います、ね

【来るならば来い、触れるならば叩き伏せる】
【そんな修道女の覚悟は潔くも尊くそしてどこか哀しげだ】
【その姿が血塗れならば尚の事……願わくばその血を濯ぐ者が現れることを――――――祈る権利はきっとない】

【白の彼女の、その創作物のような横顔は機微もなく】
【思えば「雪」とは冷たくそして白いものではなかっただろうか】
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 04:22:50.43 ID:ixK9cilq0
>>346
「全知全能なら何でも出来るから、もしかしたら出来るのかもしれないね
でも、神に絶対に持ち上げられない石を作って貰って、それを神様に持ち上げて貰ったら…………いや、持ち上げられなくても、もう全知全能じゃ無いし、難しいや
ハハ――――でも、言葉で埋める事なら、もしかしたら出来るのかもしれないね。結局は、其れが一番簡単な方法だ」

【考えてみようとするけれど。難しい事を考えるのは、性分に合わない】
【たった数秒間の思考だけ。それ以上先はしない様にと言葉を適当に放り投げて】
【――――何とも気軽な生き様である事か】


「そうさな。ただ…………幸い、君もボクもロボットって訳でも無さそうだ。こうして会話が行き来している所を考えると

そりゃあ勘弁だね。とは言っても、ボクもこれ以上は話せないけどさ
グロリアの友達といい、あの子と言い、そして君――――みんなみんな個性的で面白いよ
ほっぺた摘めば三者三様。この指が紅く濡れていないとき、何時か君のも引っ張ってみようかな」

【冗談か真か。何と無しに読み取りづらいのは性格故に】
【緩んだ笑みの下で何を考えているのか何て本人にしか分からない事で、親でも親友でも読み取る事なんて出来やしない】
【これも又偽り。言葉にこそ成らないが、内の中では果たしてどの様な考えが巡っているのか】


「その通りだね。同意するよ
不思議な事に傷付けられて喜ぶ人が居たり、赤子を殺して喜ぶ人が居る世界だ
何が幸せで何が不幸かだなんて皆が勝手に決めつけている事で、きっと存在はしないんだよ。…………だから、君の幸せは計れないの言葉に同意するよ

ボクの見える範囲がボクの世界だ。だから、ボクの世界の幸せの定義はボクが決める
狂っていようが混沌だろうが…………それがボクの喜びだ。たった一度の命なら、窮屈には生きたく無いしね
しかし…………。羨ましがれる、と言うのも中々にくすぐったいね。例え、表面だけの言葉でもさ
そんな白の君にも、幸せの定義があるのかな?」

【血が乾く。滴りも止まれば、素肌の飛沫は民族的な模様にも思えるか】
【――――無論、生臭い。曰わく嫌な臭い。曰わく死の香り。どちらにしたって、聖職からはほど遠い匂い】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/21(土) 05:52:17.54 ID:XS6yMQlu0
>>314
/昨日は急な予定が入ってしまい、返すことが出来ませんでした。
/本当にすみません、これからまた用事がある為、以前話した通りに用が済み次第 置きレスに返しておきますので。
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/21(土) 10:32:39.75 ID:rlWCv84Q0
>>348
//了解ですよー、そちらの時間が許すときに返して頂ければ大丈夫ですので!
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/21(土) 14:57:17.87 ID:vZZBAgHA0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 カフェ屋外席】

<……一体どうしたのだ? 久しぶりに顔を見せたと思えば、随分と無茶な注文をしていく……>
……今のままだと、ただ世の中を歩いているだけでも大変なものなんだ。それを、実感させられた……
ただ旅してまわるだけでも、力が足りない……そこを、どうにかしなきゃいけないって思うんだ……
「ちょっとさ、きっついんだよね……身を守るだけで手一杯って状況で、余裕がなかったり……危ない橋が多くなってきちゃったって言うかさぁ……」

【燃えるような赤い短髪に黄金色の瞳を持ち、首には緑色のスカーフを巻いた】
【長旅用の生地の厚い服の上から、胸部を覆うブレストアーマーとショルダーパッド、焦げ茶のマントを羽織り】
【腰に歩兵用の両手剣を佩いた、身長170cm前後の青年と】

【白いストレートの長髪に赤く緩やかな光を纏った瞳をしている】
【白いタンクトップの上から白いジャケットを羽織り、白いハンドグローブに白いスカートを履いた】
【肌の色白さも相まって、眩いほどに白さが際立っている、身長160cm前後の少女と】

【分厚い筋肉質の肉体を暗緑色の皮膚で覆い、赤茶けた髪をもっさりと生やしている】
【何かの獣の皮革を材料としたらしいと思しき頑丈な半ズボンに、両腰に巨大な短斧(柄の短い斧)をぶら下げた】
【素肌を晒している上半身の、その胸元に焼きごてらしきもので魔方陣の様なものを焼きいれている、身長220cm程の巨人が】

【同じテーブルに陣取りながら、やや緊張した面持ちで言葉を交わしている】
【互いに気の置けない仲らしくはあるのだが、話している内容によって張り詰めている、と言うべきだろうか】

「……実際最近は、あまりあっちこっち歩いて回ってもいられなくて、フラストレーション溜めてる感じと言うか……」
……せめて、自分自身と、何かを守れるくらいの力量……それがないと、何をするにも危ない気がするんだ……
<……そこは変わってはいない様だな、お前は……まぁ、何とかしてはみるが……>

【季節柄、屋外席はそろそろ寒さが堪える時期になりつつある。3人のテーブルにはそれぞれ、湯気立つカップが置かれていて】
【――――話の熱ゆえか、誰もそのカップに手を伸ばそうとはしない。湯気だけが、虚しく立ち昇っていた】



【――――所変わって、風の国 路地裏】

……運が悪かったって、そう思ってください……どうせ、下らない事に使う気だったんだろうし……

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【震えている老人をその背に庇い、倒れている3人の男たちを睨むようにして見下ろしている】
【どうやら背中の老人を守りながら暴漢達を打倒したらしく、わずかに息が弾んでいた】

【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

「お……お嬢ちゃん、あんた一体……!?」
……『UNITED TRIGGER』の一員としての、ついでみたいなものです。見過ごすのも何でしたし……――――気をつけて帰ってください……
「そ、そうかい……済まないなお嬢ちゃん……!」

【事もなげにコートの埃をはたき落とすと、老人に立ち去る様に促し、その背中を見送る】
【足元の暴漢を睨みつけていた、冷ややかな侮蔑が覗いていた瞳とは異なり、老人を見送るその瞳は、不思議な程に無感動なものだった】
【――――正義の旗印を口にする人間にしては、やけに冷めた様であったと言えるだろう】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 14:58:16.50 ID:CEDpmrJto
>>347

全能のパラドクスですか、しかし言葉など永遠に保存するなどまして一生を通してその空白を埋めるのは難しい
手段としては簡単だけれどそれを続けることは……持続という概念は実に難しいですね。

【それでも誰かの空白は空白を持つ人自身で埋める事は出来ないだろう】
【何かが欠けてしまったら最期それはずっと誰かに埋めて貰う他にない、依存とはこの事か】
【目の前の彼女はどうだろうか、欠片を満たす何者か……いやそれを語るのは無粋だ】

ロボットほど精密に造られてはいませんから、ついでに維持費も高くありません

あまり触られるのは好きではありませんので勘弁していただきたく思います
貴女の指が血塗れだろうとそうでなかろうと、です……なんとなしに苦手なのですよ?

【白色は一度染まれば元には戻らない】
【潔白である為には何者にも与する訳にはいかず、だから何かに触られることは避けたい】
【潔癖といえばその通り触られて直ぐどうにかなる訳でもないが、すらり伸びる指先を意味もなく踊らせて】

――――――生と死は背中合わせです、対立する2つの概念は全て等価
であるならば幸福と不幸もプラスマイナスはゼロでしかありません、だから幸せを定義する事に私は価値を感じませんし
意味も見いだせません……無論私という存在そのものの理論という意味でです

【あらゆる出来事はそれら全てに価値がない】
【無垢な出で立ちをして並べる台詞はどうしようもないモノばかり、真実救いがない】
【彼女はつまりこう言っているのだ「貴女にも価値が無いしそこで死んでいる方々に意味はない、ケースの中の彼らも同様」】
【そしてなによりも自分自身さえ意義を導き出せない、パラドクス】

【未だ閉じられた瞳で外を見やるように視線を上げて、かつ……と靴を鳴らす】
【ここで行われた制裁の音に惹かれた自分以外の者も来るかもしれない】
【引き際としてはここらが丁度良い、終わった命を一瞬だけ見つめ何事もないかのように歩き出す】

私の名は白妙です、血塗れの修道女……貴女は?

【声は静かに沁みるように】
【名を告げて名を問う、夜の間、僅かな空白】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/21(土) 17:00:53.99 ID:vZZBAgHA0
/>>350取り消しでー
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/21(土) 21:52:30.37 ID:GttYm5yDo
【公園】

【―――侍が立っていた。ただそれだけでも少し奇妙な光景ではあるが、彼の姿は「少し」奇妙では済まないモノであったのだ】
【薄藍のインバネスを羽織った袴姿の男。目にギリギリかからない程の黒髪がインバネスと一緒に寒風に揺らぐ。そして侍故に左腰に刀を佩いているのだが―――】

【―――長いのである。佩いてあるその刀、明らかにサイズが合っていないのだ。子供が羽織るLLのコートが不格好であるように、その姿は大きな違和感を醸し出す】
【鞘に収められた其れを抜くだけでも一苦労しそうな程。しかし男は沈身し右手をその刀の柄に置く。即ち居合の構えを取った、ということであるのだが】
【長さが邪魔をして抜けそうにもないということは素人目にも解る。にもかかわらず、男は居合を始動させた―――】


―――……疾っっ―――!!


【―――露わになる銀色。剣先が月の光を反射して輝く。振り抜いた右手には抜身の刀が握られていた。ヒュン、という微かな風切り音が無音の公園には良く響く】
【腕だけでは抜けない。体捌きを完璧にこなしたとしても、まだ足りない。完璧な軌道を描き、上手く巻きつけるように全身で刀を抜く】
【その行為に加え、極限にまで広げた関節可動域があって初めて実現する居合。……つまり男にはその要素が全て揃っていたのである】

【男は抜いた刀を窮屈そうに鞘に収めたのなら、ふと顔をベンチの方へと向け言葉を零す。ベンチには茜色の鞘に収まった通常の長さの刀が立て掛けられていた】

……そろそろ戻すか。この感触を忘れずに、いつもの刀で理想の軌道と動きを描く……案外ハードだ、少しでも身体の動かし方を間違えると詰まる。
しかしまあ随分と高い買い物であって……しかも重い。更に持ち運びは辛いし目立つし場所も取る……のだが、買って正解だったな、悪くない感触だ。

【額を伝う汗を拭えばインバネスを脱ぎ捨て身体を冷やす。地面に落ちたコートに縫い付けてあるのは緋色の鷹。そのマークが何を意味するかは今ではよく知られている】
【ついでに重かった長い刀も地面に置くと、ゆっくりとベンチの方へと歩き出し立て掛けた刀を取りに行くのだろう】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 22:07:59.62 ID:akkCnuqW0
>>353

―――おお、やってるなぁ、旦那
っと………もし集中している最中だったら悪いな………

【不意に………そんな声が公園の入り口の辺りから聞こえてくるだろう………】
【どこか軽い調子の声だ―――声の主は接近しながらヒラヒラと手を振ってくる………その人物は】

………って俺の事分かるか?たまに同じ現場にいたりもするんだけど………

【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【青年はぽりぽりとほほを掻きながらそんな事を口にして男性へと接近してくるだろう。】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/21(土) 22:09:00.69 ID:0dzOMhmOo
>>353
「――うし、ベストショット。悪いね、隠し撮りさせてもらった」

【ぱしゃり。シャッター音が響きフラッシュが焚かれ、鍛錬をする男の姿が捉えられて】
【ベンチの横、刀の傍らには、1人の青年が立ち、カメラを構えていた】
【体躯は細く、しかしながら鍛えられたムダのない小柄さであるが、武人≠フそれではない】
【立ち姿の安定感から何らかの心得を持つ事は伺えるだろうし、戦場の臭いを漂わせるのにも関わらず、戦うものの気配を持たないのだ】
【服装はダメージジーンズに緑のモッズコート。靴はブーツに見えるが合金板を仕込んだ安全靴】
【白い髪を逆立て立てつつ、垂らした前髪で右目を隠し。左手は手袋で覆い隠されている姿は、一種異様と言える】

「SCARLETは皆気になってるからな。構成員がこうして真面目にやってるって事を発信したくてな。
って訳でこっそり撮らせてもらった。記事は配信前にそっちの広報にでも送らせてもらいたいんだが、良いか?」

【どさり、と疲れたようにベンチに座り込み、寒さに身体を震わせる姿は、軟弱そのもの】
【だが、この青年の姿を相手は見たことが有るだろう。かつて一度戦場を共にしたのだから】
【そこに居たのは元゛ustice。ジャーナリストの谷山基樹だった】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/21(土) 22:09:02.55 ID:9P80RkGc0
【路地裏のとある隠れ家の前】

【夜の路地裏、隠れ家がある場所】
【そこはカノッサ機関の人間が出入りする場所だと言われていた】
【そしてその真相を確かめるべく、自警団の何人かの人員が派遣された】
【その派遣された人員は――無残な死体となっていた】
【そしてその死体となった人員を殺した、男が立っていた】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

ああ、おいおい、弱いなこいつら
 まあ、一応調べてみたらまさかものほんの機関員がいたとは信じられねえはな

【男はそのように死体を見おろす】
【その死体たちは切られたり刺されたりして殺されていた】
【そしていまだに血がこの路地を赤色に染めていく】

ま、自分の不運を呪うんだな
 しかしばれたとなるとここも破棄だろうな
 あーあ、探すのがめんどくせえな、他のやつに投げとくか

【男はそのように愚痴をこぼしながら、ため息をつく】
【そして回りを見渡したあとに、しゃがみ】
【なにやら、死体を物色し始めた】

ええと、何かもっていたりとかしてないか
 ――んお、へぇ、タバコかいいもんもってんな

【男は喜色いりまじった声で見つかったことを喜んだ】
【そして懐からライターを取り出してその死体からとったタバコに火をつけた】
【そしてそのままタバコを吸っているであろう】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/21(土) 22:09:26.24 ID:0dzOMhmOo
>>355
/*かぶったので撤収で!*/
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 22:10:44.13 ID:ixK9cilq0
>>351
「なあに、自分で空白だと分かっていて、その言葉を埋めて貰った言葉は存外に覚えているよ。良い事にしても悪い事にしても
そうだね…………懺悔の時に貰った言葉が、似ているのかもしれない。まっ…………所詮はコレだってボクの戯言だ」

【カラカラと明るく笑うその様は、日中であれば。そしてもっと人間が居るべき場所に相応しい所だったならば、見映えも良かったのだろう】
【しかし、死臭漂うこの場では――――冷たい色でしか彩られていない此処では、きっと異質】
【その服に一滴の血が付着していなかったとしても同じ事】


「メメントモリ。教会では、ちょっと意味合いが異なっちゃうけどさ
…………ふふ。白の君は向いているのかも知れないね。少なくとも、ボクよりはずっとずっと
さて――――風が冷たくなってきたね。コイツ等の血も冷たくなってきた」

【特に別れの言葉も無く、ケースを持てば去ろうとするけれど――――】
【女性の名を示す声にふと足を止めて。更には自身の名を問うその言葉に振り返って】
【血濡れの修道女との言葉には苦笑を浮かべるけれど、否定は出来ない。その血で身体が冷えるほどには浴びているのだ】
【場所によっては、歩けば水音が生じる程には血を流させたのだ。否定は出来ない】


「グリース・イムリンパルス。教会の死神
もしかしたら、覚えて置かない方が安泰かもしれないし…………もし覚えていてくれるなら、何時かまたこうして話そうか
君が拒まなければだけど…………ね」

【最後に一度柔和な笑みと共に冗談を零したならば、何やらふと思いついた様な表情を見せ】
【不意に左手――血の付いていない其れ――が伸ばされる】
【一度頭を撫でる為の動作であるが――――汚される事を良しとしない白ならば、避けたって何ら可笑しくは無い。若しくは、其れを承知なのだろう】

【女性は、白妙は何と無しに慣れていないと言っていたから、からかうつもりで】
【その手が避けられたり払われれば、クスリと笑い。もし触れたならば本人が驚いた表情を浮かべるも、やはり笑う】


「じゃあ、そろそろ失礼するよ。明け始めたら悪い意味で目立っちゃうしね
さようなら、か、又何時か…………どっちかは分からないけど。じゃあね、白妙」

【正真正銘最後の言葉。コレより先は紡がれず、きっと白妙だって紡がないであろう】
【踵を返し、後ろ手を振れば歩み始め――――そう時間も経つ前に修道女の姿は失せて】
【女性もこの場から消えれば…………後は、寂しく朽ちてゆく骸達が残されるのみ】

/この辺りでしょうか……!
/お疲れ様でありましたっ!また機会がありましたらお願いしますですよー!
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/21(土) 22:22:17.22 ID:3JxywAFw0
【公園――】
【明るい月明かりと、電灯と、辺りを確認するには十分すぎる明るさが満ちて】
【幼い声も失せたどこか寂しげな公園の中、――がしゃん、と、ひとつ音が響いて行った】

……――でも今日は暖かいから、

【公園の隅に設置されたベンチの傍の自動販売機。それもまた公園内を照らす光源のひとつ】
【ぴかぴか光るボタンは最後に押されたひとつを特に光らせて、選ばれたのがお茶だとそっとアピール】
【微かに呟く声が夜に響いて、――人物のか細い影が、地面の上につうっと長く黒々と延びていた】

【――真っ黒色の髪は途中でマフラーに掴まってふんわりと膨らんで、その輪郭を曖昧にして】
【黒色と赤色のオッドアイはまん丸のかたち、右の耳にだけ付けられたピアスは、宝玉の欠片をあしらったもので】
【ふわふわとしたフェイクファーをあしらったコートはボタンがきっちりと留められて、少しだけ裾の広がるデザイン】
【編み上げを模した柄の印刷された靴下に、ヒールの高いショートブーツ。長く影の主は、少女だった】

あれ……、……――、……もうっ……!

【上機嫌気味に吐き出されたお茶を取り上げて、ぴしりと少しだけ空気の固まる音がした、気がした】
【頭上にはてなを浮かべてペットボトルをぺたぺたと撫でる指先、左の薬指には指輪めいた蛇の痣がぐるりと巻いて】
【最終的に頬に当ててみて――拗ねたみたいに、吐いて捨てる声】

馬鹿……っ、

【――常温だった。暖かさの欠片もない常温。頬を膨らませながらベンチに腰掛けたなら、ぎしりと大きく軋んだ音が夜に響いた】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/21(土) 22:25:02.45 ID:uPwl0yrEo
【水の国――ビジネス街】

【夜も更けた時間だが、立ち並ぶビルにはまだ明かりの灯る部屋が幾つもある】
【その光景に些かうんざりしたような様子で、街灯に照らされた通りを歩く人影があった】

はーぁ……良く皆ああも頑張れるわよねぇ……ちゃんと寝てるのかしら?
気が滅入っちゃうってのー。いっそのこと里に帰ろうかなぁ、お偉いの護衛の方がずーっと楽よっ

【それは、OL風の黒いビジネススーツに身を包んだ長身の女性だった】
【綺麗に揃えたボブカットの黒髪に、落ち着いた印象の黒い瞳が夜闇に馴染む】

【――其処には一つだけ、奇妙な点がある】
【独り言を零しながら、明るい道を歩いていながらも、彼女は“足音を殺していた”】

【それも並のポテンシャルではなく、常人の成せる物では無いのだが】
【矢張り女性は殺気など欠片も放ってはおらず、歩み方も一見して普通のものだ】
【生来の癖……にしては、如何にも技術が伴い過ぎている】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/21(土) 22:29:01.32 ID:z70sT/HFo
【某国にある繁華街。そこから一、二歩ほど入れば、表通りからは見えない路地裏と言われる場所】
【普段路地裏には不良達が屯していることが多いのだが、今日に限って、全くと言って良い程人気が無かった】
【それに、寒い。12月なのだから当たり前といえば当たり前なのだが、それにしたってこの寒さは異常だ】


【何故か。それは、その路地裏を少し奥に入れば分かるはず】
【其処には両側のビル壁に凭れる、"胸から水晶のような細長い物体を生やした"数人の不良達。その悉くが、既に生命活動を停止していた】


『や、やめてくれっ! なんでもする! なんでもするから!』

「―――何でもする、か。……月並な科白だな」


【さて、その不良達を見れば、その奥にまだ生きている2つの人影を見ることが出来るだろう】
【顔を真っ青にし、冷や汗を大量に掻いてビル壁へと追い詰められたかのように凭れ掛かるのは、死んでいる不良の仲間と思しき金髪の青年】
【対してその青年を眉一つ動かさず見つめるのは、黒々としたコートを着る隻眼の女だった】

【周りの闇と同化してしまう程に黒いストレートの髪は腰まで伸び、白い肌が唯一露出した顔の右目は、大きな縦の切り傷の下で固く閉ざされている】
【コートや下に履くカーゴパンツには大小様々な紅い華……もとい血飛沫が幾重も描かれ、より彼女の異常さを引き出していた】
【そして手に持つのは、櫻の国で製造されている一般的な形の刀。だがその刃は、死んだ不良達の胸に突き刺さっている物と同じ、月光に反射する其れだった】

「……言葉の重みを知らない様だな、貴様は」

『……は?』

【余りにも女との距離が近いために逃げることの出来ない不良の青年は、女の発す言葉にそんな間の抜けた声しか返せなかった】
【……いや、極度の緊張と焦りの中、言葉を発することが出来たというべきか。……何れにしろ、女の次の言葉は冷たい】
【それは、此処ら一帯に満ちる冷気の様に】


「……何でもすると言ったな。


 ―――……ならば、此処で大人しく私の糧と成れ」


【素早く持った刀を振り上げ、一刀の元に青年の息の根を止めようと刀を振り下ろす女】
【……しかし、もし誰かが此処へと迷いこむなりしてこの瞬間を見ればどうだ。もっと言えば、女の意識を向けさせる事が起こればどうだ】
【もしかすれば、女の意識はそちらへと向くかも知れない。そうすれば、或いは―――】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/21(土) 22:40:24.86 ID:GttYm5yDo
>>354

む……

【誰もいない筈の公園には良く響く声色に、男は足を止めて振り返った。濡羽色の瞳は青年の顔へと向き、そしてジャケットの胸へと落ちる】
【―――SCARLET、つまり同じ。……どうやら直ぐに青年の正体が解ったらしいが、瞳は地へと伏せられて。まるで彼へと向ける顔が無いかのような仕草を見せる】
【そしてぽつりと零した言葉は短かったが、その中に凝縮された感情は計り知れなかった。悔しさや、焦燥感。そのようなモノが詰まった一言であった】

ディック・ホワイト君……だったか。―――鉄の国の件、申し訳なかった。……俺が無力だったからだ。

【長距離弾頭ミサイルアイアン・イーグル≠ェGIFTに奪われたあの事件。彼の記憶違いでなければ、その時に少々の絡みがあった筈である】
【―――つまりまんまと奪われたあの時の失態を、見られていた。ダブル≠セったか―――あの男に、全てを持って行かれた】
【盾がその役目を果たせなかった初めての事件だっただろうか。その悔しさが生んだ一言が今の其れであるようであった。男は言葉を続ける】

―――俺は弱い。少なくともGIFT≠フ連中を無傷で倒す程の実力は持ち合わせていない。
……あの時、俺が満身創痍でなければ。ミサイルを奪ったダブル≠ヨと刃を向ける事ができた。……勝てるかどうかはともかく、あの時は戦うことすら出来なかった

―――否、きっと戦っても勝てなかっただろうな。……しかし、今はそうはいかないさ

【あの時を思い出しながら言葉を紡ぎ、男は口を動かしたままベンチに立てかけてあった刀を掴んだ。コレが本来の彼の得物である】
【其れを腰に佩けば、ダブル≠フ名を音に出した。……今でも脳裏にこびり付いている。あの威圧感、背筋の凍る雰囲気―――】
【……自分は今まで会ったことはないのだが、きっとカノッサの六罪王も同等のオーラを持つのかもしれない等と想像を膨らませた】

【―――其れでも、男は意味深な言葉を漏らして不敵な笑みを零した。しかし瞳は笑っておらず、寧ろ戦闘の中で見せる鋭い研がれたモノであった】

/>>355
/すみません、また次の機会をお待ちしております……
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/21(土) 22:42:42.85 ID:0dzOMhmOo
>>361
【――落下する気配。そして、振り下げられる刀身の先にいた少年は、消えた】
【否。正しくは首根っこを引っ掴んで後ろに引きずられただけだった】
【小便失禁し、がくがくと震える青年の傍らに立つのは――1人の人外じみた人間だった】

「――っぶねー。……おい、サッサとケツまくって逃げろ」

【ブーツのつま先を軽く地面と打ち合わせて。足元の青年に蹴りを入れて無理やり意識を覚醒させて】
【冷たい視線を足元に向ければ、必死に這いずりながら、路地を飛び出して逃げていく】
【それを横目で確認して――足を開いて青年は構えを取る。白髪の前髪の隙間から蛍光グリーンの光を漏らして】

「……1人しか助けられなかった、か。
まあ、しゃーない、1人助けられたから上々だ。
……んでもって、アンタを今から捉えて自警団にでもひきわたせりゃ――もうちょい上々、かねえ」

【こきりと首を回し――ベルトポーチに手を突っ込み――右手でナイフを引き抜く】
【左手で前髪を書き上げれば――醜い傷跡に彩られた右目があらわとなって、蛍光色の光が直で夜風にさらされる】
【逆立てた白髪が、不自然にざわめきだし、青年の存在感が俄に膨れ上がっていく。左手から漏れる力は、異能のそれだった】

「理由は聞かない。だが、アンタは俺の正義に対する敵だ。だから潰す。
――以上ッ」

【青年は地面を蹴る。身体能力は特別高いわけではない――だが、動作のムダは、限りなく少ない】
【それが、変哲ない鍛えた人間程度の身体能力である青年を、目の前の女に立ち向かわせていた】
【体捌きで牽制となし、その牽制と合わせるようにして――ナイフを投擲。狙いは腹部】
【それを追うようにしての加速。ナイフに対する対処から、青年は相手の技量を図ろうとしていた】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/21(土) 22:53:46.61 ID:BwcIZvjeo
>>361

【───それは、余りにも急だった】

【脈絡無く、気配も無く、伏線も無く、いきなり現れた】

【振り下ろされた刀を、左手に持った鞘で抑え、向かって左側にずれた立ち位置から女に向き合う様に立っている───いや、立っていた=z
【いつからそこにいたのか?それを認識出来た瞬間から、彼から漂う唯ならぬ気配と、酒臭い体臭が主張しだす】

…くっくっく……楽しそうだネェ…姉ちゃん

【水色の着流し、下駄履き、白髪のポニーテール、前髪で左眼を隠した青年である】
【首に白いマフラーを巻き、腰には瓢箪を吊り下げ、眠そうな半開きの目で口にはゲソの干物を咥えている】

【トロンと蕩けた眼差しを女に向けながら、しかし左手片方で持つ鞘は揺るがずに刀を抑え込んでいる。ただの片腕で、太くもないその腕で】

んだが、こんな雑魚で肴になるかい…?なあ

【漂う酒の強い匂いが、酔っ払うように辺りを包みだす。まるで彼の雰囲気が場を侵食するように】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/21(土) 22:54:28.81 ID:BwcIZvjeo
>>364
/被ったから無しで
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/21(土) 22:55:57.29 ID:akkCnuqW0
>>362

―――よッ!

【男性が視線を向けるとまるで十年来の友人に対してのようににこやかな笑みを浮かべながら手を挙げる】
【にっこりと笑いかけたが―――相手が落ち込んだように視線を落としたのを見ると両手を挙げて慌てる―――。】

中邑の旦那………むしろ謝るなら俺の方だろう、俺はSCARLETから鉄の国の担当を任されていたんだ
あれは俺の失態だ―――だからアンタは悪くない。

【軽薄な調子は何処かへ行き―――真剣な眼差しで中邑を見つめて、軽く頭を下げるような仕草をする】
【だが中邑の心中を察したのか………それ以上は言葉をつづけないで相手の言葉をしっかりと聞いて行く………。】

………ったくアンタが弱いなら俺はなんだっての………。
俺こそ雑兵に手間取ってあの場に行き着く℃魔キら不可能だったさ………せめて間に合えば………。

―――それ程なのか、あの仮面やろうは………っと、どうやら秘策アリって感じだな?
安心したぜ………あれから随分気を落としていたらしいから、様子を見に来たんがどうやら余計なお世話だったな

アンタはSCARLETのエースだ、だから頼りにしてんぜ………?

【肩を竦めて微笑みながら、中邑へ胸を拳で小突こうとするだろう………再び軽薄な調子に戻りはしたが】
【この男なりに激励しようとしたのかもしれない―――そして興味は中邑の新しい秘策≠ゥ何かへと移る。】

【顎に手を当てて考えるような仕草をしながら中邑の得物へと視線を注ぐ―――。】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/21(土) 23:08:12.77 ID:z70sT/HFo
>>363
【突如として消えた不良の気配。女の刀は、そのまま不良が居れば切断していたであろう首の位置でピタリと止まった】
【そして現れるもう一つの気配に、女は刀を構えを解きながらゆっくりと振り返る】

「……邪魔が入ったか」

【路地裏から這々の体で逃げ出していく不良を、そして現れた白髪の青年を見据え、短く息を吐いた女】
【独り事のように呟きながら、一旦解いた構えも青年の構えに合わせてまた構え直すこととなった】

【彼の白髪から漏れる光は、間違いなく異能の其れだろう】
【だが、何の異能か。運動能力を上昇させるモノだというのは何となく予想がつくが、女には、単にそうとは思えなかった】
【……そして、其れ以上に女には気にかけなければならないこともあった】


「……"喰い損ねた"が……。代わりに1人喰えるなら、良いだろう」


【直後、彼が動き出す。常人には中々出来ないだろう体の動き。そのまま白兵戦か―――いや、違う】
【投擲されたナイフ。コレが一応の本命かと考えた女は、腹部に向かってくるナイフを右へ身体をずらすことで回避する】
【其処まで化け物じみた回避方法でないことは、彼の目からでも明らかだろう。しかし、女の行動は終わらない】

【ナイフを追いかけるように向かってくる青年に、今度はその構えた刀を薙ごうとする女は】
【コチラもまずは様子見だと考えたのか、鋼とは全く似もしない霜が張ったその刀で狙うのは脇腹】
【狙いも甘く、避けようと思えばいくらでも回避方法は有る。万が一当たってしまっても、切り傷は浅いだろう】
【だが、切られてしまえば途端にその傷は凍りつき、内側の肉に向かって小さな氷の棘が出現することだろう。所謂、追加ダメージで】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/21(土) 23:08:52.57 ID:z70sT/HFo
>>364
/すいません! また機会があればお願い致します!
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/21(土) 23:09:07.04 ID:rlWCv84Q0
>>360
【眠らない街とはこの事か、未だ活動の止まぬ街のビル群の窓はポツポツとモザイク状に明かりが灯る】
【疲れた顔した大人たちがトボトボと帰宅する中、同じように疲れた顔した女性が人の流れに乗って歩いてきた―――】

……まったく、こっちの身にもなって欲しいものよ……私だって自分の実験のデータ整理に忙しいのに、実験を手伝えって……
こっちの身にもなれってんですよ、全く……私なら断らないなんて思われてるのかしら
……いけない、家で娘が待ってるんだった……早く帰らないと―――

【その女性は、時折通り過ぎる寒風に鳶色の長髪を揺らし、優しそうな垂れ目は疲れきったかのように宙を向いていた】
【身に纏うのは濃緑色のマフラーと若草色のコート、ロングスカートから覗く足は、棒になったかのように重そうに動く】
【重い足を何とか動かし、早く帰宅せねばと急く。加えて疲れのせいか意識がぼんやりとして、明らかな前方不注意】

―――――!?

【――――突如、何かにぶつかった。前方に気配は感じられず……意識が朦朧とした彼女に、足音のしない女性を認識出来ないのは自明の理】
【彼女にとっては惰性で歩いていたらいきなり何かにぶつかったように感じた訳で、それに対応出来るはずはなく】

【結果、彼女は軽い悲鳴を上げて転倒する。――――ぶつかった「何者か」は、大丈夫だろうか……?】

//まだいらっしゃいますかー?
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/21(土) 23:18:49.14 ID:uPwl0yrEo
>>369

【――本来であれば、相手を避けるのは造作も無い事だった】
【それをまさか避けるだろう、と片付けてしまったのは、都会生活に慣れたせいかも知れない】

【結果、ぶつかってしまっても、咄嗟に相手へ手を伸ばそうとした反射神経は鋭敏であったが】
【どうやら間に合う事は無く、転倒してしまった彼女を見て女性は酷く慌てた様子を見せた】

――っと! やだ御免なさい、大丈夫!?
てっきり避けるものだと……えっと、起きれるかしら……?

【女性は恐る恐る、と言った様子で、相手へと再び手を差し伸べる】
【取ったならゆっくりと立ち上がらせて、傷でも出来ていないかと視線を遣るだろう】

【この衝突の際に、相手が認識できる事が二点ある】
【ぶつかった際の妙な“固さ”と、僅かにしゃらりと金属がすれ合う音だが――】

/こちらに
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/21(土) 23:19:55.71 ID:0dzOMhmOo
>>367
【事も無げに己のナイフを回避する相手の挙動。避けられることを織り込み済みの青年は、さほど驚くことはない】
【その一挙一動を青年は、異様に加速された知覚で認識しており、その知覚の認めた動作を思考によって定義していく】
【これこそが、この青年の強み。脳髄のスペックを活かした、莫大な情報処理能力。直接的な戦闘力には直結しないそれは、しかし唯一絶対の青年の強みだ】

(――体捌きに無駄はない。異常な身体能力が有るわけでもない。
だが、あの刀はどう見ても異質。あれに触れるのは――不味い、それだけは間違いない)

【体捌きなどの情報はまだ足りない。だが、あの刀の異質さは認識できていた】
【また、数多の剣士の体捌きや技法のデータを元に相手の流派や、行動の特徴を照合していき、最適な対策を策定していく】
【脳髄が過熱する。それに異能でオーバークロックをかけて、無理矢理に思考を、知覚をクロックアップした】

「――し、ィ」

【柔軟性とバランス感覚に優れた体躯が周り――靴と刀身が衝突する】
【動作に淀みはなく、相手が刀を振りぬくその軌道を予め理解していたかのような、正確な迎撃】
【人間の関節である限り曲がらない方向が存在し、刀を握っている限り可動域は制限される】
【それらの情報を認識した上で脳内で処理し、それに対する最適な挙動を選択することが出来れば――このような迎撃は、不可能ではなかった】

【合金板の入った安全靴で刃を受けて弾けば――そのまま青年は前進を選択する】
【刀が刀である限り、振りかぶる動作と刃を引く距離が必要となる。要するに、至近か遠距離。そこが安全地帯】
【低い体勢を取った青年は――そのまま女の体へとタックルを仕掛け――コンクリートの地面へと、引き倒そうとする】

【どれも動作は慣れていても、その道のプロのそれには遠く及ばないモノ】
【だがしかし、その挙動に入るまでの間隔≠ェ異様に短い。最速判断からの、最速の行動開始】
【それぞれの行動が、決して遅れること無く最適のタイミングで開始されるその安定感は、一つの脅威であったかもしれない】

【が、身体能力や攻撃翌力は相手には決して優っているわけではない】
【後ろに引くなり、異能を用いるなりすれば対処は十分可能であるだろう】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/21(土) 23:38:47.36 ID:GttYm5yDo
>>366

【ドン、と拳の感触が胸へと響く。不思議な感触だった。何故か正反対の場所である背中を大きく叩かれ、押し出されたかのような感覚】
【自分の失態に対して彼が見せたその態度は、全く想定とは異なるもので―――頼っている、というその言葉が拳の感触と共に胸に染みこむ】
【―――瑛月は大きく息を吐き、そしてゆっくりと鼻から澄み渡った空気を肺いっぱいに取り込む。強く瞑ってから開いた瞳は、いつもより深い色をしていた】

―――ああ、俺も君を頼りにしているさ……!! だが、俺は一度も自分をエースだと思ったことはないよ。
……そりゃあ初期の初期メンバーとしての責任は多少あるが―――エースは皆だ。皆がそれぞれ欠けてはならない。皆が揃って本当に強固な盾が生まれる。
ディック君も、ロウ殿も、砂の国のアーデルも。俺が誘った三雲やマリフェネスやオラークルも……皆がエースで必要な存在だ。

―――俺達があの巨悪に勝つには、団結力≠ェ無ければ話にならないから。

【大きな声で言った訳じゃない。其れでも言葉には強さが感じられた。規模では明らかに劣る。UTと合わせても、全くカノッサにもGIFTにも敵わない】
【だからといって質でも、負けているのかもしれない。GIFTに負けたあの日、自分達はあの組織の恐ろしさを実感した。GIFTメンバーは伊達じゃないと、痛感した】
【ならばどうするか。1+1を2ではなく3にも4にでもすれば良い。つまり連携の力で差を埋めるしか無いのだ。SCARLETの売りであるネットワークの広さも利用して、団結するしか】
【そして団結には信じる事≠ェ必要だ。人を信じるために、まず自分の剣を信じる。ダブルとの戦いで折れかけていたその魂の剣を、修行で打ち直す】

【―――そして打ち直した先に、一つの光明が見えた。つまり先程零した―――秘策=z
【其れが気になっているディックではあるが、今は見せられない。何も隠している訳では無く、見せられない理由があったのだ】

……いや、言っておくが見せられないぞ? まぁ言葉だけで伝えるなら―――最終奥義を超えた最終奥義≠ェ生まれた、とだけ言っておこう。所謂チューンナップに近い。
―――未だ未完成なのもあるが、其れを撃つとなると手が衝撃波で切り刻まれてしまうのさ。 ……なんせ超音速、それを放つ腕に影響が及ばない訳がない

【最終奥義を超えた最終奥義≠ニ語る瑛月。彼は知らないだろうが今までの最終奥義はフリードリヒに放った裏・崩山=z
【あの時も音速の反動で手が切り刻まれたのだが、今回は超音速。ダブルを貫く自信を持つ、凄まじく思われる一撃。その反動も、相当なモノだと予想されて】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/21(土) 23:40:53.84 ID:z70sT/HFo
>>371

「―――ッ」

【避けられるか、または防御されるか。どちらかをしてくる事は女も予測済みであった事】
【しかし、その防御行動は靴――恐らく中に金属板を仕込んだ安全靴――。普通ならば、絶対に取らないような行動】
【何故この青年がそんな行動をとれたのか。女も女で、刀を構えつつ考える】

【つまりこの青年は――――――見えている、とでも言うのだろうか】
【刀がどのように振られるか、どのように動くか。其れを予測しなければ、足での防御は出来ないだろうから】

「……ッ!」

【女の息が詰まる。予測能力のような力を相手にしては、正面からぶつかっていても勝機は薄いだろう】
【加えて、チラリと見た青年は低い姿勢を取り、まるで今からタックルしますと言わんばかり】
【刀を引くこの隙にタックルなどされれば―――勿論女は抵抗できずに引き倒され、後は想像するまでもない】

【防御されたことによる再攻撃を中止し、バックステップを取ることで距離を取ろうとする女】
【其処には、女の剣士の勘というものも作用していた。反射神経が常人より優れた女、ステップも初動が早かったように彼には見えるだろうか】
【その間に刀を引けば、この勝負はまた振り出しに戻ることとなるだろうか】

「……良い動きをするな、貴様」

【口だけの賞賛。直後、まだ青年がタックルをしているかしていないかに関わらず、女は刀を中段で構え、そのまま斬りかかろうとするだろう】
【十分に近づけば、躊躇なくその刀は青年を捉えようと振られるのだが―――先ほどとは違い、その太刀筋は読み難い物となっていた】
【右から左へと斬るにしろその刀が何処を通るか、解りづらいのだ。肩? 胸? それとも腰? 実際、刀を薙ぐ直前に決定したのは両肩を横断する一撃】
【彼の判断速度なら、方法によっては完全な回避も可能だろう。だが斬られれば、やはりその切り傷は凍り、氷の棘が肉へと刺さる】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/21(土) 23:41:44.71 ID:rlWCv84Q0
>>370
【突如前方に人影が現れたかと思ったら、思いっきりぶつかった。……頭の中に突然現れた情報を処理しきれず】
【転ぶと同時に一体何が起こったものかと、慌ててキョロキョロ辺りを見回す。そして一瞬の間を置いて眼前に捉えるは一人の女性】
【ここで漸く彼女は今しがた起こった出来事を諒解する。自分はボサッとしていて、不注意なことにこの女性に衝突したのだと……】

【事の次第が分かった途端またまた慌てて、今度は申し訳なさそうに頭を下げて謝る。まさか歩いていているだけで人にぶつかるなんて……】

だ、大丈夫です……!本当にすみません、気がそぞろでした……
疲れていたもので、ろくに前も見ずに……―――ッ!

【申し訳なさそうに差し出された手を借りて起き上がろうとする。―――が、足に力を入れようとしたところでピリッと走る痛み】
【どうやら転倒した際に軽い捻挫でも負ってしまったようだ。思わぬ痛みに彼女の表情が僅かに歪む……】
【転倒した際の衝撃が妙に大きかったのだ。人にぶつかったにしては硬く感じたのがその一因か……?】
【とにかく女性の手を借りて何とか立ち上がるも、ジンと響くような痛みで次の一歩が踏み出せない】
【ここから動くことも出来ず、かといって休む場所も思い当たらず、どうやら彼女は途方に暮れているようだ……】

……だ、大丈夫ですから……!

【心配をかけまいと取り繕ったような笑顔を見せるも、額にはじっとりと油汗が滲んでいる】
【このまま我関せずと放置されたとしても、足を引きずって何とか帰れなくもないが……】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/21(土) 23:52:41.83 ID:uPwl0yrEo
>>374

――……足首。

【動きと表情を見ていたらしい女性は、相手の「大丈夫」との言葉にジト目を返して指摘する】
【それからきょろきょろと周囲を見渡せば、少し離れた場所ではあるが街灯の下にベンチを見つけ】

えーっと、向こうまで歩ける? 肩を貸すから……他にも痛む場所は無い?
ちょっと服の中に仕舞ってた物もあったからさ、ぶつかった拍子に青痣でも出来てなければ良いけど……

【女性はそう言って、拒まなければではあるが相手へ肩を貸し】
【手でその背を支えつつ十数歩程歩き、一先ずはベンチへと座らせようとするだろう】
【それが叶えば、手早く応急処置の支度を始めようとするはずだ】

家は遠いの? 余り痛むようなら、無理に歩かせるのも酷だし……
ご家族の人でも、誰か迎えに来れるかしら……? まあ、“別の手段”もあるけど?

【介抱を受け入れたにせよ、大丈夫だと言い張ったにせよ、相手にそう言葉を掛け】
【提示した手段は、タクシーを呼ぶ……では無いのか、何処か悪戯めいた笑み方があった】
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/21(土) 23:54:06.67 ID:Yf1FgPbEo
【小高い丘――近くにははぐれ街が見える】

「――ふゥむ、こォこをこォーすゥると…………」

【そこに居るもの――それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「いィや、こォこはこォーの方が……」

【その目の前に居るのは……?】 【……一体全体何なのだろうか】
【それはもはや得体の知れぬ謎の生命体と化しており、その者に生命を弄ばれてしまった成れの果てだった】

「うゥーむ、こォれはいィまいちだ……」

【その者が掌に魔法陣を生成すれば、何かしらのモノが出てきて――】
【それと元人間に黒い魔翌翌翌力を注ぎ、それが晴れる頃にはモノが何かしらの部位に反映され、元人間はますます人間を止めている。そんな図】

「次はこォれで……よォし、流ァ石"古ォ龍の鱗片"だ……"劣化複製品"でも中々素ゥん晴らしい……」

【……冒涜的で、倫理観も道徳観も糞食らえとしか言いようのないこの状況。加害者はこの上ない笑顔で、邪悪そのものだった】
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/21(土) 23:55:40.49 ID:0dzOMhmOo
>>373
(――聡い。んでもって熱くならないタチ、分かりやすい。
……感覚を疑わずに、あぶねーって思ったから後ろに跳んだか。
判断力は上々。だとすれば――俺がある程度の情報から、相手の行動を割り出してるのも予測できただろう)

【相手が後ろへと引き――構えを取った時点で、横薙ぎである事は理解】
【そして、青年は構えを更に低くし――前進を選択する。普通は、距離を取るのが常道】
【だが――相手のような百戦錬磨のモノを相手には――そういう常識を破ることが、一つの突破口となる場合もある】
【普通ならばこうするだろう≠ニいう思考の間隙。物理的ではない、精神的死角を狙う行動が、青年の常道だった】

「――あ、ぶねえな。オイ」

【接近しながら右手でナイフをもう一本引き抜き――右目を細めて光を強める】
【斬撃の開始。その時点で軌跡の予測を開始し、右手を即座に動かせるように意識する】
【金属音。跳ね上げた右腕が、辛うじて刀身を受け止めていた――が、圧に負けた青年の頬に切っ先が掠めて、鮮血を飛び散らせた】

「――――らぁッ!!」

【頬に突き刺さっていく刺。その苦痛に負けること無く――青年は、そのまま左腕を突き出す】
【突き出す拳は速いが浅く、そして弱い。触れた所で物理的ダメージは殆ど存在しない当てる事を目的とした打撃=z
【拳にノイズが纏わり付く。もし拳に触れたならば、莫大な情報が神経系に叩きこまれ、一時的に肉体の挙動が鈍くなる筈だ】

【相手が自分よりも強いならば、相手を自分以下の所まで引きずり降ろせば良い】
【相手のように他者を両断できる剣技を持つわけではない、特別身体能力高いわけではない、拳足のみで人を屠るなど不可能だ】
【そんな己がそういった者に勝つ為には、相手の強みを尽くつぶし、相手の弱みを尽く狙い尽くすしかない】

【女の身体能力と反射神経、そして歴戦の勘があればその拳の不自然さは理解できるはずだ】
【物理的脅威ではないが、その拳にたいする脅威を感じることが出来たならば、その対処も出来ないはずは無いだろう】

/*申し訳ないですが、明日バイトなので持ち越しお願いできますでしょうか?*/
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/21(土) 23:57:24.83 ID:xkStwv4Lo
【酒場】

【鉄の国、首都襲撃から一日。マスメディアはそれを取り上げて】
【その状況を新聞の一面にでかでかと燃え上がる街の写真を載せていた】
【尤も、他国であるここは国際世論に同調しない軍国主義化したその国を揶揄する意味合いもある】
【GIFTだけでなくサミットや鉄の国に対しての批判の記事も少なからず載っていたのだった】

【そんな新聞を折りたたんでテーブルに投げ出した。変わりに煙草を咥えて、ライターで火をつける】
【ここはある街の酒場。品のよろしい場所じゃないがそれぐらいの方が落ち着く場合もある】
【その一角、休日で混雑する中、テーブルを1つ1人で占拠している男が煙草の煙を吐き出した】

【ツバの広い黒いハットを深く被ったサングラスの彼。ロングコートを羽織っている痩せた背の高い男だ】
【テーブルの上に幾つもビール缶を並べ、灰皿を煙草でいっぱいにして、山のような飲み薬を散らかしている】

『よう…どうした?ニーチャン。女か?』

うるせぇな……バイクでコケたんだよ

【常連客に話しかけられて、ダルそうにしゃがれ声で返事をした】
【彼がテーブルを占拠しても誰も咎めないのは常連だからとかそういうのもあるが、左腕を包帯で巻いていて】
【三角巾で吊り、頬にガーゼを貼りそして薬を飲んでいるという見るからに腫れ物という見た目だからだろうか】

……収支もマイナス…暫くはこの調子……やんなっちまう

【コートの中の携帯電話をテーブルに投げ出した。機能は電話とメールのみだが”足がつかない”】
【彼は混雑する店内を見つつ、ここのところのツキのなさと居心地の悪さを感じていたのだった】
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/21(土) 23:59:30.62 ID:z70sT/HFo
>>377
/了解です
/レスは後で書いておくので、お休みになってもらっても大丈夫ですよー
/それでは明日もお願い致しますー
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/22(日) 00:00:50.17 ID:lHtIDo3Po
>>379
/*うぃうぃ、一旦お疲れ様です。オヤスミナサイー*/
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/22(日) 00:05:06.62 ID:jMAS7asi0
>>372

―――へッ!任せとけよ、次は俺も奴らの喉元へ剣を突き立ててやる
………確かに、GIFTの個の力がとんでもねぇ………だがそれに匹敵するほど―――

俺たち/SCARLET≠煬ツの力に自信があるんだったな………!そしてその力を合わせれば………!

【瑛月の言葉にディックも共感したように頷き………そして強い意志を持った瞳でニカッと不敵な笑みを浮かべる】
【どこか軽薄、飄々としたこの男からもこうした熱い感情を引き出す―――やはり瑛月はメンバーの中の心の中核であるのだろう】
【GIFTは個々の能力が高い分、我も非常に高く団結して戦うような場面はあまり見られない】

【ならば勝るならそこ―――その一点をもって戦っていくほかない。】

―――超音速………ハハッ………やっぱりアンタは大した男だぜ………!
その―――最終奥義を超えた最終奥義≠チて奴でGIFTの奴らが、いや、世界中の悪人に吠え面をかかせてやろうぜ!

俺たちならやれる………ッ!
それと………君はいらない、俺の事はこれからディック≠チて呼んでくれよ、………俺もアンタの事は

瑛月の旦那≠チて呼ぶからよ………ッ!

【瑛月の言う秘技の断片だけを聞いて身震いを覚えながらディックは笑い、拳をギュッと握って頷く】
【そして―――信頼≠フ手始めか………瑛月へとより親近感のある呼び合いを提案する―――】

【尤も旦那≠ノはこだわりがあるのか、それは外していないが………。】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/22(日) 00:21:21.48 ID:Ogmb9/Ao0
>>375

――――あ……
えへへ……バレちゃいましたか。
他は本当に大丈夫です。……そういえば何か硬いものとぶつかった気もしますが、問題ないです!
すみません、ではお言葉に甘えてちょっと肩をお借りしますよー……イテテ

【心配をかけまいと取り繕うものの、「足首。」の一言にいたずらっぽく苦笑い。成る程、この女性にはお見通しだったか……】
【あまり迷惑は掛けたくないが、そこまで察して頂けるのなら少し手を借りることにしよう。……こんな歳にもなって他人に甘えるのは、少々気恥ずかしいが】
【痛む足に負担を掛けぬよう肩を借り、少しばかり離れたベンチへと連れて行ってもらうことにした。こうして誰かの肩を借りるなんて、遠い少女時代以来だろうか……】


【親切な女性の助力もあって難なくベンチにたどり着いた彼女は、ゆっくりとベンチに腰掛ける】
【自分が座ったのを確認すると、女性は手馴れた様子で応急手当を始めようとする。……驚いた、この女性は親切な上に手際も良いのか】
【勿論拒みはしない。せっかくの好意だ、ここは有り難く手当をしてもらおう】

【―――それにしても、何と優しくて器用な方なのだろうか】
【……対比して、ボーッと歩いた挙句人にぶつかって転んで足を捻るような自分が情けなくなってきたりもするが】

【治療を施しながら、家は遠いのか問うてきた。……うむ、割と距離はある。それにまだ小さな娘を一人で迎えに来させる様な真似は、母として出来るはずはない】
【ならば選択肢はひとつ、その“別の手段”なるものを使わせて頂こうか。……それに、意味ありげな彼女の笑顔の真意も興味があるし。】

家はおっしゃるようにちょっと遠いですし、流石にこんな遅くに娘は頼れませんけど……
――――何ですか、その“別の手段”って?何だか面白そう!
表情から察するに、あなたにはきっと秘密の方法があるんでしょ?うふふ……決めた!私、あなたを頼ってみます!

【さあ、その“別の手段”は何なのか?それは、後ほどのお楽しみ――――彼女の表情は、何やら面白いものを見つけた少女のように笑っていた】
【治療が終われば、彼女はその女性の指示するがまま頼ることになうだろう……――――】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 00:28:42.63 ID:FIxPPal8o
>>382

【相手が受け入れれば、靴などをそっと脱がせ足首を露出させて】
【先ずは、OLらしいシンプルなデザインのハンカチをポケットから出す】

【此処までは応急手当の用意として通常だが、問題はその後の工程だろう】

【――ハンカチに続いて、懐から鈍く光るものを抜いたのだ】
【それは、紛れもなく忍びが操る暗器、クナイであった】

【その柄の部分の、丁度包帯に近い幅で巻かれた当て布に、彼女は手を掛け】

金属部分に触れていない当て布だけ切って使うから、一応アレルギーとかは心配ないと思うわ
布も昨日巻いたばかりでまだ握っていなかったし、衛生の面は私が保証済み。

……あ、色々と余り気にしないでね? 私の家、代々忍びの家系なんだ
普段から、クナイの柄には多目に当て布を巻いておくの。こういう応急処置に使えるから……――

【そんな説明を交えつつ、手早く相手の足首をハンカチと当て布で固定していくだろう】
【然程待つことも無く応急手当は完了する筈だ。そして彼女は、相手の回答を聞く】

え、娘さんがいるの? そうすると年上……かな?
御免なさいね、思いっ切り敬語じゃなかったけれど……ちょっと苦手なのよ、堅苦しくてさっ

……で、“別の手段”をご所望なワケねー?
ふふふっ……正解は、私があなたをおんぶして走る!でしたーっ!
いやー最近デスクワークばかりで鈍って来てるし……丁度いいかな、なーんてっ!

【相手に同じくテンション高めで返す……が、結構言っている事は凄い】
【勿論、同意するか否かは相手に委ねられているが……?】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/22(日) 00:29:16.88 ID:dHV9R9qzo
>>381

―――そういうことだ。……別にSCARLETだけじゃない、UTや自警団、警察、軍……そして正義の志を持つ他の猛者達との連携。
勿論各個人が鍛錬に励むことも必要だが……組織、そして「正義側」全体としてのレベルアップも必要になる。
現在ロウ殿……SCARLETのマーシャル・T・ロウが正義側のある男≠ニ協力関係を結ぼうとしている。UTを影で支える人物……らしい。

つまりUTと協力関係を結ぼうとしていると言っても良い。まぁ正義側の全体での連携に向けて着々と準備を進めているということだ。
まだセリーナ殿にも伝えてはいないのだが、決まれば直ぐに皆へと広がるだろう……もしかすれば、UTとSCARLETで会合を行う日も来るかもしれないな

【小さく頷きを見せる瑛月。そして見据えるはSCARLETの今後―――UTと正式に協力関係を結ぼうとしているらしい】
【そう語る瑛月の表情はどこか活き活きとしており、瞳には希望が映っていた。決まれば正義側だけが持つことが出来る武器、「団結力」を最大限に活かすことができるのだから】
【―――元々、SCARLETはメンバーの繋がりは薄い組織である。現にまだ顔も合わせていないメンバーもいる程だ】
【システム上仕方がないと思っていた。だが、そうしていてはいけない―――あの挫折から導いた結論であった】

……はぁ。 旦那≠ヘ恐らくずっと慣れないだろうが……俺は君のことをディック≠ニ呼ぶことにする。
―――鉄の国でまた何か起こったのなら、直ぐに駆けつけて我が刃を振るおう。……よろしく頼む、俺と一緒に―――命を懸けてくれ。

【―――差し伸ばした手。ディックの瞳に向けられる凛とした眼光。言葉に篭もる硬き正義の意志。瑛月は彼に握手を求めた。―――「命を懸けてくれ」という言葉を添えて】
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/22(日) 00:33:53.51 ID:zSKIt6yio
>>377

(接近―――してくるかッ!)

【相手の行動の予見。それは彼にとって、大きなアドバンテージとなりうるはずだ】
【つまり女が相手の後退を考え、接近して相手を切り倒さんとすることも予測済み。そしてそれを―――逆に利用される】

【接近という予想外の行動は女の太刀筋の甘さを生み、ナイフで刀を防御される結果となった】
【頬に出来た傷、食い込む棘も意識の外という彼を見れば、全くダメージは与えられていないことは火を見るより明らかだ】
【僅かに動揺した女に、青年の左腕が迫った】

【剣士の勘がまた警告したのか、嫌な予感がすると頭では思うものの、防ぐ手段は動揺した今の女には無い】
【有るといえば身体を捻り、どうにか掠る程度に収めること。無論、女はそれを実行する】
【―――そもそも、何故実行したかといえば触れることで脅威があると判断したから。"あたり具合で威力が変わる"だろうから】
【そんな思考が、無駄だとは知らずに】

「……グ、ッ!?」

【掠った途端に流れ来る「何か」と、それと同期して鈍重になる身体。彼が此方の運動能力に干渉したという事は、考えなくても分かること】
【では、何をするべきか。……分からない。人を斬ることにしか重きを置いていなかったから】

【だったら、斬れば良い。的は目の前に居るのだから】

「……ハ、ァっ!!」

【拳を突き出したその隙を狙ったのかは定かではないが、兎に角女は今度は左から右へと、その刀を薙ごうとする】
【重くなった身体で攻撃を仕掛ける。まず最適な行動でないことは確かだが、それでも女は脇腹を狙った一撃を仕掛けることになる】
【勿論、氷の棘のオプション付きだ】

/返しておきますので、お暇な時間に返してくれればありがたいですー
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/22(日) 00:50:19.79 ID:jMAS7asi0
>>384

確かに、この世界全体で見れば悪≠ネんてちっぽけな集団だ
戦える奴………誰かの為に力を振るえる奴が集まれば―――必ず逆転できる………。

UTと………聞けばそのロウさんって人も昔は正義を掲げる組織を率いてたって話だしな

UTの奴とは―――アンジェルっていう奴なんだがちょっとした知り合いでな、アンタも要塞防衛の時に一緒だったか
確かにアイツらと協力すれば心強い………聞けばリーダーのセリーナさんってのは相当な美人らしいしな、是非知り合いたいぜ………へへ

【ディックは夜空を見え上げて―――この世界の広さをいうものを感じるかのようにそう話す】
【UTとも個人的な知り合いがいるらしく、ディックを通してさらに話を円滑に進められるかもしれない―――】

【―――そして最後にちょっとばかしの邪な感情が見えた………やはりこの男の素行には注意した方がいいであろう。】

まぁなんかいいだろ?櫻の国≠ナは強い剣客は旦那≠チて呼ばれてるんだろ?
―――あぁ、俺の力が必要な時も呼んでくれよ、力になるぜ………よろしくな―――。

【差し出された手をがっしりと握りしめ、にやりと口元を弛める………互いの間には短時間で信頼関係が結ばれたといえるかもしれない】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/22(日) 01:01:41.97 ID:Ogmb9/Ao0
>>383
【さて、応急手当は手馴れた手つきで進む。進むのだが……懐から現れた凶器にギョッとする】
【映画とかで見たことのあるアレだ。所謂クナイ、忍者がよく使う武器だ……】
【一体この女性、何者なのか……先ほどぶつかった際の硬めの衝撃といい、色々疑問が湧く】
【―――が、その答えは女性自らが明かしてくれた。忍びの家系ということらしい……】
【……この前出会った少女といい、この女性といい、やっぱり忍者っているんだ。成る程、まだまだ世界は知らないことだらけである……】

……そうですか、忍びの家系と……やっぱり忍者って、色々用意周到なんですね
こうやって準備がいいのは、有事の際に咄嗟に行動が起こせるということですよね?その姿勢は見習わないと……
私なんてしがない大学教授ですから、鈍臭くって……へへへ
生き物の知識なら負けないんですけどねー……

【懐から暗器が出てきたり咄嗟に応急処置が出来たりするあたり、きっと何時如何なる時も備えは怠らないのであろう】
【その姿勢に素直に感心するかのように、女性の説明にうんうんと頷く。……ますますぶつかっても何の対応も出来ずに途方に暮れていた自分が情けない】
【自分の頭に詰まった知識は、どれもこれも日常的に応用の出来るものではないので仕方ないが……】

いえいえ、遠慮なく!私、よく学生にタメ口で話しかけられますし……
……学生ならもうちょっと先生に敬意を払えってんですよ、本当にねぇ……

【さてさて、治療が終えれば帰る手段の話。“別の手段”が気になる。忍者なら、もしかして何か術でも使うのか!?】
【――――そんな憶測は見事に外れた。答えは、「背負ってもらう」という何とも肉体派な答えだった】


―――――え!?
え、えーっと……いいんですか?私、重いかもしれないですけど、大丈夫でしょうか……?
その、……無理しないでくださいよ?


【女性さえ良ければ背負って貰いたいのだが、些か気が引ける。体重は言いたくないが、……重くないこともないかもしれないし。】
【しかしその戸惑いも、彼女のテンションに押し流されて―――】

ええ、じゃあお願いします!
……では、レッツゴーです!目標、我が家!いざ!

【最終的には背負われて、いい年したお母さんがいつもより若干高くなった視界にはしゃいでいる。……体重はさほど重くない。ように感じて欲しい。】
【進み始めれば、ハイテンションな道案内が頭の上から飛んでくるだろう。それに従えば路に迷う事はないはずだ……】
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 01:23:03.50 ID:FIxPPal8o
>>387

――……へぇー、大学教授なんだぁ!
生き物は私も好きよ、まあ里で良く見るのは猪とかばっかだけどねっ。
しかし何かセンセーと聞くと、ますます口調が……ま、遠慮なくっていうなら、いっか!

【いつの間にか、女性が始め街を歩いていた時の疲れ切った表情が消えていた】
【天真爛漫な相手との会話で、何処か心の凝り固まっていた部分がほぐれたようで】

だーいじょーぶっ! 里じゃあなた3人分位の荷を背負って山を越えてたし。
それに、出来ない仕事は引き受けないもの。 はい、じゃあ背中にどうぞっ!

【毎日繰り返しのありきたりな帰宅道に、今日は一つ変化があったというのも気分的に大きい】
【足に負担を掛けないよう相手を背負う際にも、確かによろめきなどはしなかった】

【視界の高さは意外とあるだろう。女性の背は170cm程で、平均的な櫻の人間よりも高い】

はーい、じゃー篝足軽、出発ー!
あ、なるべく揺らさないように走るけど、足が痛んだら言ってねーっ。

【“篝”と言うらしい女性は、彼女の道案内に従って、結構な速さでオフィス街を駆け抜けていく】
【木枯らしに吹かれ少ない髪を揺らしていた中年サラリーマンが、その風で逆側に髪を靡かせた】

【時間が時間なので、人目は少なくなりつつあったのが幸いと言うところか】
【――傍目には結構凄い光景だ】


――……はい、此処で良いかな?
うーん、ちょっと走り足りない気もしたけど……ま、久々の気分転換にはなったかな!

【やがて、そう時間は掛からない内に目的地へとたどり着くだろう】
【篝は然程息も切らしてはおらず、寧ろ余裕さえ見せていて】
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/22(日) 01:25:46.29 ID:q0WfvEA6o
>>358

【流れた血は染み付いていつかには馴染み消えてしまう】
【幾星霜も過ぎれば全ては風化して記憶にも残らない、歴史とはそういう物】
【特に歴史の表舞台ですらない場所の記憶は廃れやすく】

教会の死神ですか、なんともまあ……いや神の社ならば死の神がいるのも頷けますね
八百万は違う概念でしょうけど全能ならばそれも然り、ですねグリースさん?

【白妙は拒まないただあるがままを受け入れる性能しかない】
【受ける行動が善意や悪意によるものであろうとも、拒絶することは選ばない】
【物に感情は付随されずならば白妙も等しく】

……触らぬ神に、いえ戯言です

【少しむくれつつもグリースの指先は白絹の如き白髪を梳く】
【最上級の、人が望む美意識から作られたと錯覚しかねない手触りは流れるように逃げるように指の間を抜ける】

さて……こちらもそうしようと思っていた所でした
もし会うならば雪の時期が良いでしょう、そして静かな場所に貴女がいるならば
そこに私も現れましょう……夢幻を描くならば最高の舞台でしょうからね……それではさようなら

【白妙は僅かにその場に残り何をするでもなく】
【最後に「ほう」と息を吐いて、来た時のようにまた去ってゆく】
【音も無くただ幻か亡霊か、今宵の虐殺の現場には……やはり何も残らなかったという】

/お疲れ様でしたー!
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/22(日) 01:28:33.83 ID:dHV9R9qzo
>>386

……ちなみに、俺も実はUTだ。―――とは言うが、殆どUTとしての活動はできずにいるのだがな。
セリーナ殿とは事務所で1度、大会実況の席で1度会っているが……確かに美人ではあるな。
まぁなんというか……同性にもモテそうな「男前」な女性、というか。恐らく男のあしらい方は慣れていると思うぞ、特に鼻の下を伸ばしていた男なら……な
アンジェルとは……まぁ、過去に少し言い争った事があるが、アレは昔の俺が荒んでいたからだな。……正義の為に刃を振るっていなかった時代の。

俺もロウ殿も昔に比べて大分考えが変わったらしい……どちらもキッカケは巨悪との戦いだ。
俺は崩壊するフルーソを見てこの「武」を何に使うべきかを知った。正義同士でいがみ合う原因、青義同盟をかつて作ったロウ殿は巨悪に敗れ正義とは何かを見直した。
……アンジェルも昔に比べると随分と顔つきが変わったよ。アイツも随分と戦いに参加したようだが、きっと何かを感じ取ったのだろうな。
そしてSCARLETには今から感じ取ろうとしているヤツもいる。……ああ、折角だから帰る前に聞かせてもらおうか。

―――ディック、君は何故、SCARLETに入った?

【自分も夜空を見上げ、遥か遠くの光を追った。果てしなく広がる空を見つめていると、何故か自然に昔のことが思い出されて】
【アンジェルの名が出れば、能力者全体に対して敵意を持ち彼女にも振るいかけたあの日を。セリーナの名前が出れば彼女の真っ直ぐで優しい正義を】
【ロウの名前が出れば、悩み傷つき満身創痍になりながらも自らが選んだ正義を目指し続けるその不死身の信念を。そしてあの頃の自分と、変わるきっかけとなった出来事を】
【―――その3人は、皆強き想いを秘めている。きっと隣の彼、ディックも持っているのだろうか。……自然と口から其れを尋ねる言葉が漏れていた】

……―――初耳だが。まぁ……好きに呼ぶといい。
俺は水の国を任されている内の一人だ、だからきっと今後助けを呼ぶ機会が多くあるだろう。
……フルーソはカノッサもGIFTも最初に征服を狙った場所。―――必ず護らなければならない……!

―――次に会う時は水の国か鉄の国か、はたまた他の国かは解らないが……兎に角全力で「世界の盾」の役割を果たす。それだけだ―――……では。

【最後にギュッと握りしめる手が強くなった。その後手を放すとすっかり冷えた身体を温めんとコートを着直し、そして重い長刀を杖のようにして持ち】
【彼の横を通りすぎて公園から離れていくのだろう。―――去っていく歩みは、全く正中線の振れない「武人」の歩みであった】

/ココらへんで〆とさせていただきます! ありがとうございましたー!
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/22(日) 01:44:49.95 ID:jMAS7asi0
>>390

なぬ、それは初耳だな………とはいえアンタ程の人なら当然UTもスカウトするか
へぇ〜そうなのか―――俺は一回もあった事がないから会えるのが楽しみだぜ………。
そいつは………まぁアンジェルもなんか頑固っぽいところがあるからなぁ。

………まさかアンタ程の男にも迷っていた時期があるなんてな………。

―――俺は………違う世界≠ェ見たかったからかもしれない………俺はSCARLETに入る前はロクでもない生活をしていた
だから………自分は変われるんじゃないかって、そんな気持ちを抱いて、旦那のいう変わるきっかけを掴めるんじゃないかってな

【そのように―――どこか感慨にふけるようにぽつりぽつりと言葉を紡ぐ………この男にしては随分と殊勝な発言だ】
【果たして彼はSCARLETに入って変われたのか、それは彼のみぞ知るのかもしれない―――。】

【だが、彼もまた自身の想いに従って戦っているのだろう。】

あ、あれ?
おうよッ!機関だろうとGIFTだろうと俺たちで蹴散らしてやろうぜッ―――!

ああ、それじゃあ次はどんな時に会うか分からないが………お互い全力を尽くそう………!

【そう言いながら見送ると―――ディックはもう一度夜空を見上げてから反対の方向へと歩き出した―――。】

//お疲れ様でした!
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/22(日) 02:15:41.42 ID:Ogmb9/Ao0
>>388

【大丈夫という彼女の言葉を信じて背負って貰い、揺れる背中に身を預ける】
【久方ぶりに誰かに背負ってもらって、何か懐かしい感覚を覚えた。それが楽しくて仕方ないようで、年甲斐もなく彼女は笑顔を浮かべている】

【ここの所、ずっと背負う立場だった。勿論我が子を背負うのは親の務めであるし、それで子が喜ぶなら親冥利に尽きる】
【しかし、彼女は気づいていないが疲れは確実に溜まっていた。時には教壇に立ち、時には母として子を育てる。優しさ故に背負っていた日々は、負担になっていた】
【だからこそ、こうやって誰かに背負って貰うのが懐かしく、心地よく、何より楽しく感じたのだ。】
【今篝の上に乗っている彼女は母でも教授でもなく、一人の女性だった。一人の人間として、少しの間だけ背負うものを忘れてはしゃいでいた】

大丈夫!何だか楽しいですから痛くても平気です!えへへ……
―――風が冷たい!けど皐月は師走の風なんかに負けないぞー!

【風に負けじと、ビルの谷間を駆る篝。その上ではしゃぐ皐月という名の女性。……きっと、傍から見れば大人の姿をした少女に見えたことだろう】
【楽しさは日々の疲れを忘れさせてくれた。束の間であるが、背負う物もとっぱらって身軽になれた。……本当に、楽しかった】

【やがて、我が家に到着。見慣れた二階建ての木造一軒家の前では、近づいてくる母の声を聞きつけた娘が立っていた】


「……――――おかーさん?あ、おかーさんや!おかえりー!……あれ?えっ!?」


【まだ12歳程の少女が、可愛らしい動物がプリントされたパジャマ姿で母をお出迎え。】
【その少女はくりっとしたブラウンの瞳に流れるような黒い長髪を持ち、お気に入りの小さなウサギのぬいぐるみを抱えていた】

【何やら背負われている母を見つければ、驚いたように目を見開く。……まあ、母親が誰かに背負われて帰ってきたなら当然の反応か】
【帰ってきた母は、娘に事情を説明。捻挫してしまったこと、手当してくれたこと、背負ってくれたこと……】
【……少女に戻っていた事は篝との内緒にしておこう】



「か、神谷衣織といいます!え、えーっと、うちのおかーさんが、おせわになりました!ありがとうございました!」

今日は本当に色々有難うございました。本当に楽しかったです!

【娘は篝にたどたどしい丁寧口調でお礼を述べると、ペコリとお辞儀をする。慣れない丁寧口調が、何とも子供らしい……】
【一時少女に戻った皐月も、娘の前では母の顔に戻った。―――が、もう疲れたような表情は無く、代わりに何か憑き物が落ちたような微笑みが生まれていた】
【もう大丈夫、また明日からも元気に娘を、生徒を、背負っていける】

私、レイリス大教授の神谷皐月と申します!今度は家にでも遊びに来てください!
良かったら研究室も案内しますよ、珍しい生き物がいるんです!

それと、もしよかったら……またいつか、私を女の子に戻して欲しいな、なんて……
篝さんとなら、いつでも少女に戻れそうな気がするんです!へへへ……

【娘を家の中に返すと、最後に自己紹介、それから小声でもう一度お礼。……また少女に戻りたくなったら、篝に会おう】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 02:36:32.51 ID:FIxPPal8o
>>392

【何処か故郷を思い出す趣の家に目を細めていた折、少女の声が聞こえて】
【向こうも驚いていたようだが、此方も驚く――まさか小学校高学年の娘とは思わなかった】

え! ちょっ……えーっと、三つか四つ上かなー位には思ってたけど、
……見た目、本当に若いのね。 流石の私も見抜けなかったわ……

【取り敢えずこれまでの流れを説明してもらい、改めて篝は少女と向き直る】
【可愛い子だな、というのがまず一番に感じられて、思わず頬を緩ませた】

衣織ちゃんねっ、どういたしまして。ちゃーんとお礼出来て偉い子だねぇ、可愛い可愛いっ
お母さんの方は何か……随分楽しんでたわねぇ。ま、私も正直とっても楽しかったけどね!

【冷える夜、先に家に戻っていく衣織を最後に撫でようとして】
【「風邪引かないようにね」なんて言葉を添えれば、後はその小さな背中を見送り】

神谷 皐月さん、ね。 私は篝 香弥奈、御承知の通り、忍び兼企業戦士よ。
帰り道も同じみたいだし……また会ったら、今度はゆっくりお茶でもしましょう♪

【勿論娘さんも一緒に、と添えれば、篝は別れを告げて帰路へ着くだろう】
【幸い家の方向は同じで、そう遠くも無かった。鼻歌交じりにもう一走り――風が、駆け抜ける】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でした
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/22(日) 02:42:42.90 ID:Ogmb9/Ao0
>>393
//はい、お疲れ様でしたー!お付き合い頂き有難うございました!
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 11:11:04.63 ID:FIxPPal8o
【とある邸宅】

【暫く使われず軋んだドアがゆっくりと開かれ、中から小柄な人影が顔を出す】
【彼の者はきょろきょろと周囲を伺うと、他に人がいないと確信して、そっと外へ】

……やれやれだよぉ、あたしの思った通りなーんもめぼしい物は無かったし
こんなんじゃ稼ぎにならないじゃないのさ、年末は稼ぎ時だってのに……寂しい寂しい

【それは、カーキ色のマントに身を包んだ、10歳程の小柄な少女だった】
【赤毛の髪をお団子に纏め、猫にも似た丸い紫の目、薄く化粧を施した顔】

【――この家には、暫く所有者が戻っていない】
【半ば廃墟とも化してはいたが、人の家である事には変わりなく】
【幼い少女は此処の家人とも取れるが、台詞を聞けばそうでないのは明らかであった】

【少女が抜き足差し足玄関を出て、中庭へ――しかし其処には、別の人影が】

「――……僕の目の前に広がっていた光景は、“死せる者の庭”だった」

ええええっ!? な、なっ、ちょっとアンタ、いつから其処にいたのさッ!?

「……その光景に、異物が混ざりこむ。“生ける者”の気配だった。
 それは実に唐突に、僕に此処での滞在時間を問うた」

【灰色のパーカーにジーンズという出で立ちの、酷く薄い印象の青年】
【癖毛の茶髪、伏し目がちな鈍色の目、靴は履き古したスニーカー】

【妙な語り口の青年は、少女の方に向き直って再び口を開く】

「――僕はこう答えた。三十分ほど前から、と」

……えーっと、何なのさもう……今日は厄日かい?
まあ……通報はしないどくれよっ、妙なお兄さん――

【少女は足早にその場を去ろうとし――奇妙な青年は、それを追う気配もなく佇んでいた】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/22(日) 11:27:36.63 ID:Ogmb9/Ao0
>>393

「えへへ……では、おやすみなさい!」

【ペコリと頭を下げれば、その小さな頭を撫でて貰って嬉しそうに笑う。やはりまだまだ子供、褒められるのが素直に嬉しい年頃なのだ……】
【やがて母に家へと促されると、小さな少女は上機嫌にスキップしながら家の中へと消えていった】

はい、勿論です!近くに美味しい洋菓子店があるんです、良かったらまたご一緒に!
ではまた会いましょう、夜道お気をつけて下さいねー!

【皐月はまた今度はお茶をしようという言葉に嬉しそうに頷き、別れを告げる篝に手を振る】
【みるみる遠くなっていく篝の背中を見送ると、足を庇いながら家へと戻っていった……】

//ちょっと尻切れ蜻蛉な感じだったので、別れを告げて家に戻る描写を付け足します!
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/22(日) 19:13:02.62 ID:+qdP4To0o
【小高い丘――近くにははぐれ街が見える】

「――ふゥむ、こォこをこォーすゥると…………」

【そこに居るもの――それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「いィや、こォこはこォーの方が……」

【その目の前に居るのは……?】 【……一体全体何なのだろうか】
【それはもはや得体の知れぬ謎の生命体と化しており、その者に生命を弄ばれてしまった成れの果てだった】

「うゥーむ、こォれはいィまいちだ……」

【その者が掌に魔法陣を生成すれば、何かしらのモノが出てきて――】
【それと元人間に黒い魔翌翌翌翌翌翌翌力を注ぎ、それが晴れる頃にはモノが何かしらの部位に反映され、元人間はますます人間を止めている。そんな図】

「次はこォれで……よォし、流ァ石"古ォ龍の鱗片"だ……"劣化複製品"でも中々素ゥん晴らしい……」

【……冒涜的で、倫理観も道徳観も糞食らえとしか言いようのないこの状況。加害者はこの上ない笑顔で、邪悪そのものだった】
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 19:32:59.09 ID:FIxPPal8o
>>397

【――遠方より、渦巻く黒い魔力を視認してか】
【地獄の釜を空けたようなその空間に、駆け寄る大柄な男の姿があった】

そこな御仁ッ! 一体何事をッ……な、何ぞこの禍々しき姿は……ッ!?

【“元人間”を見遣り、豪傑と見える彼の者も、流石に言葉を失った】

【それは熊のような髭面の、五十代と思しき大柄な修験者だった】
【天狗の面を側頭に掛け、手には錫杖を持っている】

【驚愕は怒りへと、わなわなと震える手に握り締められた錫杖が鳴る】

お主は……魔の者、じゃな? 斯様な、非道な真似を……ッ
この熊襲が捨て置けぬッ!! 今此処にて祓ってくれようぞッ!!

【熊襲、と言うらしき男は錫杖を構え、怒声を響かせる】
【――遠くで、風の唸る音がした】
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/22(日) 19:53:34.46 ID:+qdP4To0o
>>398

「……ほォう、客か」

【この場にやってくる、大柄な男――その存在を感知しても、臆することはなく】
【"遊び"の手を止めて、ゆっくりとそちらに身体を向けて】

「俺様は作ァ業の"息抜き"をしィていただァけだ……そォれ以上でもそォれ以下でもねェ」
「ヒャハハハ!」 「――人間共には"ソウゾウ"出ェ来ねェーモノを作って、何が悪い?」

【――予想通り、謝罪も何もそこにはなく、あるのはただの開き直りのみ】

「よォーく俺様が人外だとわァかったな、だァが俺様を祓おうなァーんて、――やァれるモンならやァってみなァァアアーーッ!!」

【既に元の姿の面影が殆ど無いその生命体を放置したまま、悪魔は魔法陣を生成し――】
【そこからいずる闇は、――2m程でターコイズブルーな蛇となる】 【それを首に巻きつければ】

「シューダ!」 「焼ァけーィ!」 「俺様はそォの隙に"着ィ替える"」

【蛇の口部が大きく開き、野球ボール程度の炎の弾が吐き出され――男の右腕に、飛来する!】
【それは紛れもない"炎"。――特別な性質などは一切無く、全くもって炎と同じである】
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/22(日) 19:59:30.28 ID:oDVydTxAo
【首都郊外】

【日も落ち切った時間帯。いくら都市部から離れているとはいえ、表通りには仕事帰りのサラリーマンや部活帰りの学生の姿が多い】
【一方、裏通りではガラの悪い人間の姿がちらほら見え始め、少々いかがわしい店が回転率を上げ始めるような頃合いでもあった】
【そんな中、表通りから少しだけ道を折れた街角に、小さな喫茶店があった。ちょうど表通りと裏通りの境目とも言える立地だ】
【…………がちゃり、と。その裏口が無機質な音を鳴らしながら開いて、ふと一人の少年が姿を現すだろうか】

はい、それじゃあ今日はこれで。お疲れさまでした!

【人懐っこい笑みを浮かべて挨拶をしているのは、黒いブレザーに赤いネクタイという学生服に身を包んだ、男子高校生のようだ】
【前髪を上げた茶髪と適度に着崩された制服は、いかにも今時の高校生といった風情である】
【しかし、平均身長より少し低い体格にやや幼い顔立ち、何より温厚そうな黒色の瞳には、見た目に反して人を威圧するような雰囲気はないだろうか】
【少年は扉の先に軽く一礼すると、学生鞄を手に歩き出すだろう。裏口を出た先は――――その名の通り、裏通りの側であった】

【帰宅しようとする少年の目指す先は、もちろん表通りだ。しかしこの喫茶店の立地上、どうしても裏通りを経由せざるを得ないのだった】
【表通りの側からも、裏通りの側からも、容易に干渉することが出来る。この少年はいま、そんな境界線の上を歩いている】
【もしもこの瞬間、無防備に歩を進める少年に出会いが訪れるとすれば。例えば表と裏、例えば光と闇、そのどちらの可能性も平等に存在する筈で――――】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 20:10:09.86 ID:FIxPPal8o
>>399

おっのれェい……開き直るでないわッ!!
何が“息抜き”じゃぁーッ!! そんな理由で、人の生命を弄びおって……ッ!!

【聞く程に言い様のない怒りが込み上げ、熊襲はギリギリと歯を噛みしめ】
【それに比例するかのように、遠方からの風の音が強く、近くなっていく】

【相手が魔方陣を生成し、蛇を呼び出す間に、熊襲もまた術の準備段階にあった】
【錫杖を突き立て、風の魔力をその先へと集中させ――目を見開き、振り上げる】

……――いざいざいざぁーッ!! 櫻叡山の熊襲ッ、参るッ!!

【相手の蛇が炎弾を吐くと同時、豪ッ!!と此方も纏わせた風の力を解き放つ】
【それはさながら“刃”であり、炎を切り裂きながらも直進して、相手へと襲い掛かる――ッ!】

【裂いた火の粉が舞う中で、己が放った風に自信があるのだろう】
【その刃の行く末を見守りながら、大男が何処か不敵にニヤリと笑った】
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/22(日) 20:29:30.83 ID:nDlSdwIyo
【水の国】

なー猿よ、ここは一体何処じゃろーなー?

【粉雪降り落ちる、人気の少ない街の中、少女がキョロキョロしながら歩いている】

「そうですね」

【少女と、大男が連れ立って歩いている】

【振袖の上に高級そうなマントを羽織った少女と、ピッタリと前を閉めたロングコートで身を包んだ大男の二人組だ】
【少女の方は、黒字に金で揚羽蝶が描かれた振袖の上に、ファーの着いた大きなマントを羽織り、黒地に金で蝶のワンポイントのニーソックスと赤い下駄を履いて、黒髪をサイドテールにしている】
【附随する大男は、茶髪を逆立たせた不満そうなしかめっ面で、甲冑とハイブリッドしたような焦茶色のロングコートの前をピッタリと閉めて体を覆い、両手には籠手、背中には二つのアイスバーじみた棍棒を交差させて背負っている】

そうですねってなんじゃそうですねって、話を聞いておるのかお主?
「そうですね、所で姫」
なんじゃ?

【二人とも、この辺りではあまり見ないような格好をして、揃って歩く姿はよく目立つ】
【先導していた少女は、大男を振り向き後退りながらそのまま進む、前を見ないで歩く小柄な様は、傍目から見ても危なっかしい】

「ここは一体何処なんでしょうね」
それ今言った!余が今言ったばかり!
「あれ?そうでしたっけ?すみません季節外れの蚊の羽音かと思ってました」
酷い!それでも家臣か貴様!?

【少女は前を向かずに後退り、大男は目の前の少女を見下ろしながら、二人して前を気にせず歩いている】
【人気の少ないとは言ったが、誰かが前に出てくる可能性は大いにあって───】

「寒いですね姫、ホットお汁粉買って来て下さいよ」
上司ー!余、上司だからー!

【その上、喧しい突っ込みがよく響いていた】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2013/12/22(日) 20:35:12.37 ID:+qdP4To0o
>>401

「ヒャハハハ!」 「命を弄ぶな……っつゥーのは人間共の倫理観だ、"超強ェ悪魔"の俺様には通ゥ用しねェ!」
「そォう、テメェーらが植物を野ァ菜にすゥるのと、犬っころを好みに作り変ァえるのと――こォれはなァーんら変ァわりねェんだよ」

【相手の怒りを身体で受ければ、その味を愉しむ。――返されるのは、邪悪な笑み】
【それはまさしく"悪魔"。中身も、行いも、何もかも――おそらく、あの蛇も悪魔に弄ばれた生命の一つだろう】

【おそらく悪魔は、炎で相手をひるませようとしていたのだろう――が、風の刃の前に無残に散り】
【悪魔から見て右へのステップによる回避を試みるが、咄嗟だった為か左腕に直撃ではないものの命中し、大きな傷となる】
【流れる血には、邪悪な魔翌力が多量に含まれていた】

「ちィ……ッ、"殻"を剥ゥく隙がねェか」 「なァらば……こォいつでぶっ潰すッ!!」

【そう言い一つ舌打ちをすれば、生成されるのはやはり魔法陣で――次に召喚されるモノは、悪魔の正面に陣取った】
【それは長さ10m程の、ミミズに芋虫を掛けあわせたかのような生き物で、その直径はおよそ50cmだ】
【白っぽく退化した眼を持ち、灰桃色の身体に、白い環帯や体節を持ち、黒茶色の模様を全身に持っている】
【10mの身体の内、尾は4mでその先端は白くドリルの様に硬くなっていて、身体には透明な産毛を持っている】
【また、頭部には大きな口と鋭い牙を持っており、5本の黒茶色の舌は長くよく伸び、先端が白くまるで鳥の嘴の上部の様に鋭く硬くなっていた】

「グランヴェイト!」 「ぶゥっ貫けェッ!」 「風如き、大地が受ゥけ止めてくれるッ!」

【グランヴェイトと呼ばれたミミズがその長い尾を振るい、先端のドリルのようなもので男の腹部を貫こうとするッ!】
【否、――ドリルのように、ではなく本当にドリルの様。そう、先端部が回転しているのだ】 【巨体ゆえに初動は遅いが――下手に当たりたくはないだろう】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/22(日) 20:49:34.02 ID:lHtIDo3Po
>>385
「――しィ……ッ」

【ここで一つ、布石を積んだ。一撃で勝負を決める力がないわけではない】
【だが、それは己に向いた戦い方ではない。堅実に、臆病に。一つ一つを積み重ねることで、勝利へと這いずっていく】
【相手の神経系に叩き込んだゴミデータもまた、その積み上げた勝利への石の一つ】
【人は首を切られれば死ぬ、心臓を貫かれれば死ぬ、胴体を両断されれば死ぬ。だから、刃物は怖い】
【だからこそ、刃物に恐怖を覚えることは重要だ。そして、刃物に臆さないことも、また重要だ】
【急所に当たれば死ぬという事は――逆に言えば、当たらなければ少なくとも死ぬことはないのだから】

(――ッそろそろ、きつくなってきた……ッ)

【視界のスパーク。己の脆弱な神経系が、ついに異能の負荷に対して耐え切れなくなってきた】
【全身に奔る疼痛。それによって一瞬青年の視界が、歪み。そして――無理矢理に神経系に干渉、その苦痛すらを吹き飛ばした】
【視界に収まるのは、幾分か精彩を欠いた女の横薙ぎ。それを振りかぶった時点を認識し――女の刀の性質を確認する】
【かすっただけで傷口へと棘が食い込み――傷を広げ治りづらくする氷の刃。極めて厄介だ】
【だからこそ、触れることを躊躇い、大きな警戒をするのが当然だろう。そして刀ならば振りぬかれれば――当たった部位は絶たれるのだから】
【だから、青年は。それら総てを認識し、理解した上で――――】

「――ッ…………!」

【――――当たる℃魔決断した】
【振りかぶった時点、更に肉薄する青年。そして、振りぬかれる瞬間に――青年は、己の手を割りこませる】
【左腕が硝子の砕けるような音≠響かせて――引き裂かれる=z
【衣服を引き裂いた内側に有ったのは――中身の無いワイヤーフレームの腕=z
【――実態のない、アートマンの腕。肉体の一部をアートマンの顕現で補っている青年特有の、防御】
【だがしかし。アートマンのダメージは青年の全身にフィードバックし、全身に裂傷を生み出し――腕一本を縦に裂かれるダメージを全身に再分配して配置された】
【女の視界を埋め尽くすだろう血霞。その奥で――青年の雄叫びが響き渡った】

「Hello World――――――!」

【右腕。その表面にノイズがまとわりつき――皮膚の上から、皮膚≠ェ展開されていく】
【アートマンの顕現。テクスチャとして表皮の上に表皮というデータを貼り付けたそれは、同じようなデータの塊】
【そして、そのデータは先ほどのような神経系にダメージを与える負荷データではない】
【今この瞬間観測された青年の痛み=Bそれを打撃を受けた部位にそっくりそのまま送り込む打撃だった】

(――――殺せねぇが……、指一本動かせなくなるまで拳を叩き込んでやる…………ッ!!)

【右目から吹き出すノイズ。失った左腕と右目をアートマンで補った異形の姿の正義の味方≠ヘ咆哮した】

/*遅れて申し訳ないッ、よろしくお願い致します!*/
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 20:52:56.48 ID:FIxPPal8o
>>403

【風の刃が効果を成した事を確認し、熊襲はニイと笑って錫杖を顔前に構える】
【唱えているのは祝詞だろうか――周囲に渦巻く風に、何処か神聖な空気が混じり出す】

――……むッ、また悪鬼羅刹の類か――、ッ!?
これまた奇ッ怪なッ……、化け物めェいッ!!

【相手の召喚物の醜悪な姿に眉を顰め、熊襲は一先ず気を練る事を止めた】
【それがどう動くかを、溜めた力を保持しながらもじっと窺い――そして、攻撃が来る】

ぬぅッ……!

【巨大なドリルの突きを、左方向へ飛び退き躱す】
【初動の遅さが幸いした。熊襲も巨躯であり、そう俊敏な方では無い】

【そのまま更に数歩下がり、一定の距離を保ちながらも中腰に構え】
【錫杖の頭を斜め下方に下ろし、先程溜め込んだ風と光属性の力を、その先に集中させた】

化け物よッ! これより先の攻撃を、唯の風と思うでないぞッ!!
この儂の“浄化”の力、受けてみるがいいっッ!! ぬうんッ、はああぁーッ!!!

【盛大な掛け声と共に、熊襲は錫杖を下から切り上げるようにし、振り上げる!】

【同時にグランヴェイトの胴を狙って飛ぶのは、先程よりも大きな一陣の刃】
【――そして、其処には“光属性”が付与されている】
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/22(日) 21:20:59.96 ID:+qdP4To0o
>>405

「……ふゥむ、嫌な臭いだ」

【邪悪な悪魔故に、"逆ベクトルの力"の気配に関しては酷く敏感なようで】
【僅かに混じった神聖な空気にすらも、しかめた面と舌打ちをする】 【――そうした所で、"弱点"が変わるわけでもないが】

「だァが、俺様に"フェベロ(光)"はそォこまで効ィかねェぜ、ヒャハハハ――昼間に溶ォける程虚ォ弱じゃアねェ」

【ミミズが口部から垂れ流すのは、無数の岩片。これによって、刃を減衰させるものの】
【いかんせん、かかるエネルギーが重力のみな上隙間だらけなのだ、"消失"までは行かず、その胴体は刃によって斬られる】
【――どうやら、召喚されたこの生き物自体は"邪悪ではない"故に光が弱点でもないようで、ただ元がミミズなので多少は弱いのだが】

【それよりも、ミミズの影になっていている悪魔の胴体にも――2/3位のダメージがフィードバックしているのだ】
【更に、属性効果も同量のフィードバックがあるようで、しかしその効果はミミズより"高い"――焼き千切れる様な嫌な音と、多量の出血が見られて】

「……"デュハ(善光)"は負ゥの世界から一生出ェてくんなって話だがなァァアア」

【"ただの光"ならば弱点ではない、しかしそこに"浄化"だとか"聖"だとか"退魔"だとか――そう言った類のモノが含まれていると、より高い害を被るようだ】

「じィっくりたァっぷり嬲ってやァろォーかと思ったが、つゥいさっき気ィが変ァわった――死ねェーいッ!!」

【ミミズがその頭部を男に近づけつつ、その口部から先端が鋭く硬い舌5本が伸びて――】 【男の身体を抉ろうと、襲いかかる】
【位置は、それぞれ両腕+両脚+胴。――但し、同時ではなくそれぞれバラバラに到達する】
【猛禽類の上嘴の様な鋭さがあるそれは、下手な爪よりもよっぽど強いが、――回避の余地は十分あるだろう】
【何より先程のダメージで多少は動きが鈍っているように見えるのだ、巨体故に元から鈍足なのだが……】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/22(日) 21:22:41.32 ID:YfJfeQC0o
【酒場】

【鉄の国、GIFTの首都襲撃。マスメディアはそれを取り上げて】
【その状況を新聞の一面にでかでかと燃え上がる街の写真を載せていた】
【尤も、他国であるここは国際世論に同調しない軍国主義化したその国を揶揄する意味合いもある】
【GIFTだけでなくサミットや鉄の国に対しての批判の記事も少なからず載っていたのだった】

【そんな新聞を折りたたんでテーブルに投げ出した。変わりに煙草を咥えて、ライターで火をつける】
【ここはある街の酒場。品のよろしい場所じゃないがそれぐらいの方が落ち着く場合もある】
【その一角、休日で混雑する中、テーブルを1つ1人で占拠している男が煙草の煙を吐き出した】

【ツバの広い黒いハットを深く被ったサングラスの彼。ロングコートを羽織っている痩せた背の高い男だ】
【テーブルの上に幾つもビール缶を並べ、灰皿を煙草でいっぱいにして、山のような飲み薬を散らかしている】

『よう…どうした?ニーチャン。女にでもやられたか?』

うるせぇ……バイクでコケたんだよ

【常連客に話しかけられて、ダルそうにしゃがれ声で返事をした】
【彼がテーブルを占拠しても誰も咎めないのは常連だからとかそういうのもあるが、左腕を包帯で巻いていて】
【三角巾で吊り、頬にガーゼを貼りそして薬を飲んでいるという見るからに腫れ物という見た目だからだろうか】

……収支もマイナス…暫くはこの調子……やんなっちまう

【コートの中の携帯電話をテーブルに投げ出した。機能は電話とメールのみだが”足がつかない”】
【彼は混雑する店内を見つつ、ここのところのツキのなさと居心地の悪さを感じていた】
【電話が振動する。めんどくさいので出ることもなくビールをだらけたまま飲んでいるのだった】
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/22(日) 21:28:27.49 ID:gn5xIYpRo
【どこかの国の公園】


「うおぉぉーー!!雪だー!雪なのだーー!!」


【静かな夜の公園で、何か大きな物体がゴロゴロと転がっていた】
【サイズは2m近くあるであろうか?白く歪な球体であった】
【その物体は"何か"に押されながら、芝生の上に積もった雪を取り込み肥大していく】

【球体の大きさで判りにくいだろうが】
【もし近づいたならばそれを押す小柄な人影に気づくであろうか】


「偉大なる私にふさわしい最強の雪だるまを作るのだ!」
「私に似せた雪像というのもいいかもしれんな!」


【身長の頃140cm程度であろうか、裾に金糸の刺繍が施された白いローブを身に纏い】
【鼻までを隠すようにすっぽりと深くフードを被っている】
【肩口には漫画のフキダシを思わせるボードが"刺さって"おり】
【先程からの言葉は音としてではなく、ボード上で黒い文字がうぞうぞと変化しながら表されていた】

【もこもこの毛皮の手袋をはめて、新雪で出来た雪玉を無邪気に転がしている人物】
【容姿の特異さや、夜の公園で行われているこの遊びは】
【誰か通りかかる人がいたならば目に付くことになるだろうか】
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 21:33:53.45 ID:FIxPPal8o
>>406

ほォ……化け物ならず、喚び出した主も些か喰らうようじゃな?
結構結構ッ! その悪鬼ごとッ、貴様を祓ってくれようぞーッ!!

【踏ん張る足に力を込め、だァんッ!と地を蹴り後方へ飛ぶが】
【飛来する鋭い舌は五本――全てを躱し切る、とまではいかず】

……ぐ、ぬうゥッ〜〜!!

【胴と両足は辛うじて回避が敵うが、両腕に残りの舌が迫る】

【右を狙うそれを優先して、風を纏わせた錫杖で切り落とし回避と成さんとするが】
【左を狙ったものへは対応が成らず――結果として、左上腕を大きく裂く】

【地に足を付くと同時、僅かに踏鞴を踏んだ熊襲は】
【舌打ちを一つし、鮮血の滴る左腕を庇うと憎々しげに相手を睨み付けた】

悪鬼めがッ……だがッ! 此れしきの傷で、この熊襲は斃れんぞォーッ!!

【右手のみで錫杖を構え、熊襲は再び祝詞を唱え始める】
【これ以上は長引かせられないと見たか、強烈な一撃を呼ぶ為一心に集中し】

【だが同時に、隙でもある―― 一か八かの大勝負、といった所か】
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/22(日) 21:34:20.16 ID:zSKIt6yio
>>404

「な、ッ……!!」

【先程は足先の安全靴でガードされた剣撃。また今度も防御かと思われたが、それではなぜ先程は腕ではなく、態々足での防御を選択したのか】
【刀を振りぬいた瞬間に、答えが顕わとなる。ワイヤー製と思われる腕"のようなモノ"。義手には見えない。ならば何だ?】

「マインド……いや、アートマン、か!」

【金属装甲を持つマインドとは一線を画した、その”自在に動く只のワイヤー”にそう当たりを付ける】
【声から察することが出来る通りに驚きを隠せないこの女。しかし、その驚愕を一瞬で消せるのは、流石というべきか、単に冷たいだけか】
【女のコートに描かれているような血飛沫を腕で防いだ女は、とにかく再度バックステップで距離を取ることだろう】


(厄介だ……アートマン使い。そして、先ほどの"何か"も……)

【マインド、そしてアートマンともに、戦ったのはコレが初めて。故に分からないことも多すぎて】
【しかし、この青年が只のアートマン使いというわけではないことも、剣士の勘か、すぐに分かることであった】
【只の一般人だと見くびっていては、負ける】

【―――恐れていては、勝つことは出来ない。己が勝つためには、相手を斬らなければいけない】
【ならばすることは一つ。接近するッ!】

「は、―――ァッ!!」

【最早、彼の姿は人間に似ても似つかぬ異形のモノだが……それでも女は接近し、左下から右上への切り上げを放つことだろう】
【彼の右手、皮膚の上からまた新たな皮膚が貼られたことも見えていたのに。更に言えばヤバイ物だと分かっていたのに】
【それでも女を駆り立てるのは、只、カノッサ機関員として敵を斬らねばならない宿命からなのだろうか】

/遅れて申し訳ございません!
/今日もお願い致します!
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/22(日) 21:48:36.13 ID:lHtIDo3Po
>>410
「――――ッ」

【――青年の右腕。それはワイヤーで構成されたようにみえるが、実際はそれよりもなお脆弱なもの】
【存在していない§rがそこに或る。視覚的には見えているし、触れればフレームの腕に触れた感覚が存在している】
【表面にテクスチャを貼り付ければその外見は寸分違わず生身の腕となり、現に腕の代わりに動作している】
【だがしかし。それがもし腕の映像≠セとしたら?神経に腕の触感≠感じさせていたとしたら、体温≠データとして認識させていたとしたら?】
【どこからが確実な存在で、どこまでが確実でない存在かわからない。そのおぼろげかつ脆弱な存在。攻撃翌力は異様に低いそれ】
【それこそが情報のアートマン=Bその名を――Hello Worldと言う】

【そして、おぼろげで、弱く、脆弱で、軽いそれ故に――】

「情報を再構築――――」

【――復活も容易。腕のフレームさえ決めておけば、あとはその枠を作り上げるだけで腕のひな形が生み出される】
【あまりにも弱く、相手の斬撃で容易く砕けるアートマンは、しかしその姿を即座に取り戻す】
【どこからが肉体でどこまでがアートマンか。肉を異能で補う異形の様は――既に青年を人からかけ離れたものへと変化させていた】
【接近する相手に呼応するように――蛍光グリーンに輝く双眸≠ェ相手を居抜き、髪の色もまた同じように染め上がる】

「ウオォオォォォオッァアァ―――――ッ!!」

【左から右上への斬撃。それを視界に収めた瞬間に――加速する】
【ごきり。骨を砕く激痛――青年の視界が歪み――しかし――両断されない】
【なぜ両断されなかったのか。それは単純。相手の鍔に己の肉体を割りこませ、刃ではなく鍔を食らう事を選択したのだ】
【踏み込みからの右腕の振りぬき。――こちらは左腕と違い実態を持ち。そして、いままた追加された激痛のデータが存在する】

「届けやァ――――ッ!!」

【鮮血を吹き出し、光を双眸と頭髪からまき散らしながら――弱い打撃≠今可能な最高速、最速判断、最速開始にて撃発する】
【[ピーーー]ことはない。そも、打撃で人を屠る技量を青年は持たない。だが、その打撃は苦痛を与え、人を無力化するだけの力はある】
【元Justice。正義の名を掲げた組織に身をおき、カノッサの敵として、己の正義の敵に対して己の善性と悪性を振り絞り戦ってきた青年故の、攻撃】
【殺しはしないが勝ちに行く。激痛と神経系へのダメージは、正しく正義が持つにたる必勝/必生≠フ打撃と言えたことだろう】
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/22(日) 21:54:09.91 ID:+qdP4To0o
>>409

「ヒャハハハ、こォいつらは既に俺様の一部――"殻を破れば"喰ゥらわないのだがなァァアア」

【先程受けた胴体部への傷は、属性のためかグチャグチャに焼け爛れていて――しかし、出血がそれで収まったというわけでもなく】
【言葉ではあまりそれを出していないのだが、表情を見ればだいぶ苛立っている事が明らかである】

「――ほォう、……中々の捌きだ、だァが、――グランヴェイト!」
「こォのまま……ぶゥっ殺してしィまえェーッ!!」 「シューダも手伝えッ」

【首に巻き付いていた蛇を右腕に移動させ、数刻の間邪悪な魔力がそこを包んだかと思えば――"融合"】
【それと同時に、ミミズが頭を引いたかと思えば……口部から吐き出されるのは、結構な大粒の石が複数である】
【ただ、痛みで無意識の内に暴れるためか、その内の殆どは明後日の方向へ飛んでいって――それでも、幾つかは男にへと向かう】

「テメェーの身体も、グゥーッチャグッチャに焼け爛れろォォオオーーッ!!」

【そして悪魔は、蛇と同化した右腕を構えて――男にへと向かう岩に狙いを定めて、ターコイズブルーの液体と火種を発射!】
【すると、その石に液体が纏われ引火したではないか】 【わざわざ蛇と融合した理由は、おそらく……吐かせる液体の量を増加させるため】

【――質量の重い物体というだけでも面倒なのに、その上引火性の液体を纏っていてかつ既に燃えているのだ】
【液体が残っている内は、消火は少々難しいだろうが】 【物体自体は石の性質そのものであり、破壊は不可能ではない】

「……ッ」

【攻撃の後、ミミズもそうだが……悪魔にも、ダメージからくる怯みを見せるだろう】 【それはけして長いものではないが……?】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/22(日) 21:54:49.38 ID:lHtIDo3Po
/*痛恨のsaga忘れ……*/
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/22(日) 21:54:59.62 ID:lHtIDo3Po
/*痛恨のsaga忘れ……*/
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 22:14:50.19 ID:FIxPPal8o
>>412

融合、じゃとッ!? おのれェ、益々奇ッ怪なッ……!

【その邪悪な魔力に顔を顰めつつ、熊襲は只管に気を練り上げていく】
【左腕の傷も相まって難航してはいるが――徐々に、聖気はその総量を増す】

【放たれる、炎を纏った岩石に対しても、集中故に身を引いて回避する事が出来ない】
【そもそも、俊敏に動ける訳でもない熊襲にとっては、回避自体が悪手でもあって】

〜ッ、僧上坊殿よっッ! 烏天狗の風の力で、儂の身を守護し奉れェいッ!!

【叫ぶと同時、熊襲の周囲を豪ッ!!と吹き荒れる風が包む】

【細かな岩であれば、その風で岩自体を粉砕して防御と成すが】
【大きな物に対しては流石に砕き切る事は出来ず――火が装束を焼き、岩が直撃していく】
【岩が液体を纏っている事もあり、風だけでの炎の消化は難しいようだった】

ぐ、ぬッ、ぬううう……っッ!!

【多大なダメージを受けながらも、一心に練り上げた気が錫杖に満ちていく】
【そして――炎の岩石が齎す嵐の中で、力強くそれを振り上げた】

修験の力、とくと見ぃッ!! 悪しき魔物よッ、この風の前に散るが良いわァーッ!!

【刹那、解放される乱気流のような風と、光属性の力が複数枚の刃と化して】
【グランヴェイト、そしてその先の相手へと、一直線に飛来する――!】

【尤も、これが最後の一撃であり――放った後に、熊襲は地に片膝を付く】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/22(日) 22:28:38.64 ID:zSKIt6yio
>>411

「復元、するか……!」

【既に、彼の腕がどれだけ人間の腕然としていようとも、それがアートマンの能力であることは分かっている】
【しかしそれでも女の脳裏には、一縷焦りが見える。一度壊したものを再生させる。相手にとっては、とてつもないディスアドバンテージなのだから】
【例え女に「Hello World」の情報があったとしても―――この状況は変わらなかったのだろう】

「ッ……!! 鍔に、―――――――――!!」


【完全な振り抜き。だが、完全にその行動が終了することは無かった。ワイヤーの腕は刀の鍔へと添えられることでダメージを最小限に抑え】
【そして―――肉を斬らせて骨を断つとの言葉通りに彼の右拳、激痛のデータが乗ったそれは女の腹を捉えた】

【激痛のデータ、即ち女の放った斬撃のデータが女の体を駆け巡る。女の脳内を暴走し、胴体を、脚部、腕部を走り、その度に女の視界は明滅する】
【打撃こそ弱い物だが、確かに女は空を舞った。それこそその道の能力者に殴り飛ばされたような、そんな飛距離で、ズシャリと情けなく女は墜落した】
【うつ伏せになって、ピクリとも動かない女の体。死んでいない。だがその痛さがどれ程のモノか、彼が一番知っているはずだ】


――――――……天、誘、六華――――――。



【……いや、動く。腕の力で体を持ち上げ、脚、そして刀を地面に突き刺して胴体を支える。ゼェゼェと息を吐いて、今にも倒れそうなその体】
【だがその眼は。一つは傷で塞がれた瞳は、今もギラリと彼を狙っていた。喩えるなら、魂を付け狙う死神の様で】
【完全に立ち上がった女に、変化が見られた。持っていた刀を逆手に持ち――――――その刃の部分を、左手で掴んだのだ】
【流れ出る血を気にも止めず、女彼を見据える。この刀を……いや、この"刃"をもう一つの形態へと変化させ、切り捨てるために】



――――――曲(まがり)……!!!



【その瞬間、冷たい風が一段と強く吹いた】
【変化は単純だった。女が掴む刀の刃が消失し、そして先程まで柄だった場所に、刃のような透明な物体が収束する】
【それは刀形態のように真っ直ぐな刃とならない。積層する中で刃は大きく曲がり、端的に言えば、大鎌。伝説上の死神が持つあの武器を、確かに女が携えていた】

【接近はしない。長くなった柄の下を左手で掴み、上を右手で持つ。大きく振り被り左上から右下へと振り下ろせば、瞬間、半透明の所謂真空波が生成された】
【視認は勿論可能だが―――如何せん早く、そして彼の身長ほどある物だ。それが彼の腹部めがけて一直線に放たれる】
【当たっても、斬撃性が無いために切り刻まれることはない。だが……強い衝撃、そして雪の結晶のようにヒットした部位が凍りつくことだろう】
【冷たい氷は継続的なダメージを生む。要するにこの真空波、相手を仕留める"刀"への繋ぎに過ぎなかった。だがこの状況において、それは大きなダメージを生む】

/時、時間かかりすぎました……!! 誠に申し訳ないです……
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/22(日) 22:48:10.04 ID:+qdP4To0o
>>415

「……ちィ、仕ィ留め切ィれなかったか」 「だァが、……次は叩き潰してくゥれ、るッ!」

【ほんの少しの間だけだが、己を焼く痛みに己が支配された――それが命取りだった】
【元々炎は防御に向かず、かと言って岩を吐かせるにも速度が足りない、自分だけ回避しても無駄だ、ではどうするか】

「……糞がッ!」

【――悪魔自身の力で障壁を作るしか無い、左腕をかざして作ろうとするが傷を負っていたためそれを止め】
【口部から多量の"混沌の魔力"――悪しき闇であるそれを吐き、それぞれの刃とかち合わせてそれを防ごうとする】
【もっとも……先程の本体のダメージから推測出来るように、この障壁は"聖"等に弱く、瞬間的に多量に吐いたため強度不足で】

「グ……ウ……ガァァアアアーーーッ!!」 「…………ッ、」

【あっさりと魔力は散れてしまい、ミミズにも己にも刃が襲う、焼ける、"邪"が、その力が、"中和"されて焼けてゆく】
【……それでもまだ立っていた、フィードバックによるダメージも明らかなのに】
【右腕を構えて、炎の弾を再び吐かせる……が、どうやらダメージが重かったようで、男に辿り着く前にそれは落ちて消えて】

「…………Fuck、糞ッ、……!」

【魔法陣が出現し、召喚していた二つの生き物と……最初に作っていた謎の生命体はそれに闇となり吸い込まれていき】

「……ヒャハハハ、残念ながら俺様は今ォ日調ォ子が悪い、本気を出ァせばテメェーなんざ一捻りだァーったのだがなァァアア」
「そォもそもこォの世ェ界は混沌が薄いんだよ、――俺様の拠点ん中なァら、全員束になァろうと余ォ裕で消ェし飛ばせる」

【まるで小学生のような言い訳と負け惜しみを述べつつ、自身も魔法陣に吸い込まれていき――】
【……何かしらの妨害などがなければ、そのまま近くにある拠点にへとワープするのだろう】
【そう、そこそこ近くにある"とぐろを巻いた巨大な蛇の様な岩壁"の中にあるだろうそこへと】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/22(日) 22:49:01.38 ID:7DMIIh000
【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【その待合室。飾られた中々に立派なクリスマスツリーを眺めるのは一人の少女】

【汚れを知らない様な白銀の髪。額に生える角が特徴的であって】
【この病院の患者なのであろう。入院服を纏えば車椅子に乗り、自分よりも背の高いツリーへと視線は注がれて居た】
【院内ではある意味問題児の一人として有名である少女だけれど――――今宵は、静かで】


「全く…………暢気なものなのです。この程度のツリーを飾った所で子供達も喜ばないのです
………まあ、別に良いのです。ふふん、私がもっと見栄え良くしてやるのですよ」

【そんな事を言いながら手の届く範囲の所を装飾していくのだが、どうにもその表情は楽しげで】
【何だかんだ言っても少女もまたクリスマスを楽しみにして居るのだろう】
【子供らしく微笑ましい光景であるが――――来院者が近づいたとなれば、慌てた様子で素っ気ない態度を取るのだけれど】
【――――今更そんな装いをしたって遅くて】







【櫻の国。妖怪が出るとの事で有名な山中――――理由が理由故そう多くの者が訪れる事も無い其処】
【今宵も一つの妖気…………謂わば、妖狐の気が漂っているのだけれど】
【人を襲っている訳でも無く、まるで祈祷でもしているかの様に見えるその姿】


「…………えっと…………今日は、この辺りで…………終わりに、しましょう…………」

【見れば、巫女装束を纏った一人の少女が居て。その人物が妖気の元である事に間違いは無いのだが…………妖狐としての特徴的な耳や尻尾といった物は見られず。一見すればただの巫女】
【首に下げた翡翠の首飾り。勾玉を象った其れが放つ神聖と、少女自身の放つ妖気とが両立している事が、感じ取った人物によっては奇妙な事と思えるか】
【――――兎にも角にも、今宵の“勤め”が終わったならば小さな溜息を一つ吐いて立ち上がるけれど】


「これで…………妖怪さん達も、あまり……襲わなくなると……良いのですが……」

【ふと漏らした呟き。妖気を放つ存在でありながら、巫女装束を纏っているという矛盾】
【さて、物音がしたならば不安げな表情を浮かべながらも其方へと向くのだけれど。其れより先は、この場を訪れた者次第で実に様々に変わるはずで――――】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/22(日) 22:51:55.50 ID:lHtIDo3Po
>>416
「ダァァァッッシャァ!!」

【息を吸えば折れた肋骨が軋む。全身が動かすだけで激痛で視界を明滅させる】
【それでも駆動させた右拳――相手を殺さず、相手を止める。激痛の打撃は確かに届く――死なないが、死にそうに痛いそれが】
【拳を振りぬいた状態で、煌々と輝く双眸を吹き飛んだ先に向けて――細め、観察し、理解する。まだ、だと】
【己も満身創痍。そして、相手も満身創痍。そして、相手と違い、こちらは確実に相手を無力化する、殺害の術を所持していない】
【――それでも負ける訳にはいかない。だから、正義の為に悪にすら手を染める=B歯を食いしばりながら、青年は血まみれの手をベルトポーチに伸ばし、何かを握りしめる】

「まだ、来るか――――だったら…………ッ!!」

【眼前に展開されていく、異様な形状――異様なサイズ、命を刈り取る死神のサイス】
【それを認識した上で、青年はカノッサ機関である目の前の女を前にして、――悪の力≠引き抜くことを決意する】
【ベルトポーチにおさめていた奥の手。隠していた力の顕現。――切り捨てるというならば、止めてみせるという意志を現実にするために】

「奥の手、見せてやんよ……ッ!」

【血まみれ。拳の骨は砕けて動く度に隠し切れないうめき声が漏れだすその手の中に握られていたのは、手のひら大の小さな石】
【小さなそれの中には、莫大な悪意と、莫大な絶望と、莫大な力が押し込められている。悪の塊といえるそれ】
【それは、カノッサ機関に於いて――哲学者の卵≠ニ呼ばれているアイテムだ】
【人の悪意を、人の絶望を、人の激情を契機とし、孵化する事で悲劇を産み、力を生み出す制御不能の悪性兵器】
【そんなたちの悪い存在が、有ろうことか正義を掲げる側の青年の手の内に握られ、そしてあろうことか青年はそれを奥の手≠ニ評してみせた】

「――――ッ、…………ッ、お…………ッァ…………――――――――ッ!!」

【哲学者の卵を掲げ、青年は己の力を振り絞り――悪意のデータ≠右手に収束。手のひらの上に浮かぶ卵に餌として与えてみせた】
【眼前に迫る衝撃波。もはや満身創痍、いくらどう来ると分かっていようとも防ぎようのないそれを防ぐことを、青年は放棄する】
【しかし、耐えぬく事と諦めないことだけは放棄せず――――肉体を氷に覆われながらも、衝撃によって胃液と消化物の混ざる吐瀉物をシャーベットとして吐き出そうとも】
【ふらつく足を凍結によって固定されながら――悪意の象徴を天に掲げ――悪の力を持って、悪を阻まんと目の前の女を睨みつけた】

「…………かかって、こい……ッ」

【びきり。砕けたのは、氷か。殻か。もはや定かではない】
【だが、この次に来るだろう相手の必殺。それに相対する術を――青年は持っているのかもしれない】
【どちらにしろ、止めを指すならば――今だ。今しか、無いだろう】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/22(日) 22:59:06.84 ID:FIxPPal8o
>>417

はァッ、くうッ……おのれ、しぶとい悪鬼ぞ……ッ!!

【健在たる相手を忌々しげに睨み――熊襲にしろ、此処までが限界だった】
【敵が闇の魔方陣に吸い込まれていくのを追う気力もなく、錫杖を支えに息を荒げる】

【流石に、相手の言う拠点まで追った所で、もはや戦う力は残っていない】
【悔しげに唇を噛み、息が整った所で彼の犠牲者の姿を探すも、既に闇に消えていて】

救えなんだか……ッ、未だ、修業が足らぬ身であったッ……!!
すまぬ、名も知らぬ御仁よッ……、南無――……

【痛む左腕を持ち上げ、顔の前で手を祈る形にし、弔いの言葉を残して】
【よろよろと立ち上がると、熊襲は錫杖を支えに歩き出し、その場を後にするだろう】

【今宵の一戦で、少なくとも熊襲にとっては、深い因縁が刻まれた】
【救えなかった命もある――次こそは打ち払わんと、彼は己の信望する天狗に誓うのだった】

/お疲れ様でした
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/22(日) 23:09:08.94 ID:+qdP4To0o
>>420

「……ちィ、……風ゥ呂で善光流して布ゥ団で寝ェて……さァっさと傷を治さねェーと……」
「はぐれ街を改造すゥる計画に支ィ障が……ッ、くゥ……グランヴェイトも治しておかねェと工ォ事が捗らねェか……あだだだだ……」

【深い深い混沌の中、黒い悪魔は己の傷を癒やすべく一時の眠りに付いたのだった――】

/お疲れ様でしたー
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/22(日) 23:12:34.33 ID:zSKIt6yio
>>419

「ふふ、まだ、斬り足りない、のでな――――――」


【始めて女の顔に笑みが浮かんだ。今にも人を斬り殺そうかという殺人者の、猟奇的な笑み】
【口を釣り上げ、目の前の獲物を逃さんとするその様は、まさしく魂を刈り取る者。鎌の刃を地面に下ろそうとも、その炎は消えては居なかった】

【だが彼も、易易と斃れてはくれない。まだ氷結の真空波を繰り出す前。手に持ったのは、確かに"哲学者の卵"だった】
【この兵器で、一体幾らの人間が潰され、廃人と化し、そして消えていったのか】
【それを彼は奥の手といった。つまり彼には、この凶悪な物質を手中に収める術を持っているという事】
【そう―――それがどんな手であろうと、例えば身を滅ぼさんとするものであろうと、彼は"卵"の絶大な力を借り、必殺の一撃を放つことが出来るという事】

「……面白い、そんな事が、出来るならば」

【そんな状況でも、女はこの賭けに乗った。どんな攻撃かは分からない。今までと同じなのか、違うのかもわからない】
【しかし女には執念が有った。必ず目の前の敵を斬り倒し続けるという、人斬りとしての執念が。ならば、此処で倒されるわけには行かないだろうと】

【走りだす。構えは先ほどの真空波の時と同じ。だが今回は鎌でもって接近戦を挑むつもりらしい】
【リーチは刀よりは短いが、その刃に秘める性質は、刀のものより凶悪だ。傷口だろうが表皮だろうが凍りつかせる。感覚は冷たさを通り越し、純粋な痛覚となる】
【それを女は、直接彼の身体へと刃で傷を付けることで、切り傷と0距離での真空波を放つ算段だ。まさに、「必」ず「殺」す刃】
【使用に大きなリスクも伴う。身体能力もその一つだ。―――尤も、もうそんなことなど気にしては居ない。在るのはただ】



「――――――やってみろッ!!!!」



【純粋な、殺意の念だけ】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/22(日) 23:30:18.58 ID:YfJfeQC0o
>>400

【裏通りを通り抜ける途中、路地の曲がり角の方から一瞬強い光を感じ取るだろう】
【青白い、強烈な稲妻のような光。それが収まれば、次は革靴の歩く音だ】
【暗闇から出てきたのは1人の男。中折れ帽にブラウンの高級そうなトレンチコートを着た男だ】
【青い目、特徴的な鷲鼻に微笑をさらに薄めた様な微笑を常に顔に貼り付けている特徴的な人物】
【革の鞄を持った、ビジネスマン。ネクタイの結び目には軍人の勲章の様な鉄十字が取り付けられていた】

……おや…?

【帽子を軽く挙げて、極自然な笑みを会釈をする】
【彼が路地裏から出てくる数分前。見るからに金の有りそうな彼はチンピラ数人に取り囲まれていた】
【彼は冷静に、 財布を取り出すふりをして、コートの下のナイフを取り出す。翳して、何かをつぶやけば】
【青白い閃光がチンピラたちを襲う。彼らはうめき声もままならないまま、その場に崩れ落ちた】
【強い光とショックで一時的に麻痺させただけだが十分の効果だった。ナイフをしまえばまた歩き出すだけ】

…これは偶然。こんなところで偶然出会うなんて…いやはや、なんとも。

【ニヤけつつ、近寄ってくる男。偶然と言っているが如何にも作為的な偶然に感じる】
【青白い光は裏を支配する光だった…それは彼が善ではなく悪を引き連れる人間だからか…?】

424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/22(日) 23:31:58.43 ID:lHtIDo3Po
>>422
【瞳を細める。僅かでも制御を謝れば、己の肉体に卵の毒は降りかかり、己は悪意に飲み干される】
【――三度。三度哲学者の卵をその身に受け、三度孵化した経験を持つ青年だからこそ、その恐ろしさは誰よりも深く知っている】
【そして、それゆえに。誰よりも身を持って、哲学者の卵が付加する事態を己の肉体で知っている】
【――哲学者の卵が孵化した際の激情を、絶望を、悪意を。それをデータ化し、意図的に哲学者の卵を孵化させる事が出来たとすれば】
【また、宿主を介さない異様な状況の孵化によって、その力を危険な状態ではあってもある程度の制御のもとに置くことが出来たならば】

「応」

【一言。短く声を発し――硝子のように鋭い氷の薄片を散らし、鮮血を散らし、傷を広げながら】
【哲学者の卵を己の眼前へとかざし――相手へと真向から相対した】
【びきり】【嫌な音が響き――そして、次の瞬間びっしりと卵の表面に罅が入り――膨大な瘴気が辺りへと振りまかれる】

「Hello ――――」

【――Hello Worldを介する事で、悪意のデータ≠卵に送り込み、食らわせ、力を孵化へと向かわせる】
【一瞬だ。1秒にも見たない短時間のみの悪意の、絶対絶望の掌握を可能とする、青年の奥の手】
【その悪意を、青年は必殺にはしない。必生/勝=\―必ず生き、必ず生かし、必ず勝つ。それが、青年の道】

             「―――― N E X T ―――→」

【斬撃が迫るその刹那。ついにその空が砕かれ――膨れ上がるのは悪意のデータ=B開いたのは、パンドラの箱か】
【しかし、箱の最後に有ったのは希望。どんな闇の奥底にでも隠れているだろう希望を掴みとらんと、砕けた殻の奥底へワイヤーフレームの触手を伸ばし】
【――――アートマン≠発動する】

                              「―――― World!!」

【――アートマンHello World。悪意のデータにより哲学者の卵を励起状態へと移行し、内部エネルギーへとアクセスを開始】
【暴走をしない程度の膨大な悪意を卵へと供給しつつ。この一瞬のみの――――進化形態へとアートマンを覚醒させる】
【左腕。ワイヤーフレームの虚像の腕は、この瞬間に限っては実像を得た。満たされたのは――絶望=z
【その絶望は、今。正義を挫く為ではなく――眼前の敵を、青年の敵へと叩き込まれるための絶望として――振るわれる】

「――――――折れて落ちろッ……! これが――絶望だッ!!」

【青年のアートマンのパワー値は、人間と変わらぬ戦闘力。それだけは変わらない】
【だが、実像を得るに至ったその拳に満ちたデータは、先程までの神経系へのDOS攻撃や、苦痛によるダメージをはるかに凌駕する】
【――心に楔を打ち込み、立ち上がる身根を叩き折り、一歩を進ませることすら赦さない】
【魂を打ち砕く打撃。脳髄ハッカー£J山基樹にしかできない必殺。正義を名乗るにはあまりにも悪どく、そして非道な一撃――それを、堂々と青年は正面からふるうことを決定した】

【――衝撃】

【拳が届こうが届くまいが――青年は十数mを吹き飛ばされ、臓腑の一部を潰されながら大地に叩きつけられる】
【幸か不幸か、その裂傷は氷によって塞がれる形になるが――、限りなく死に近い傷を負った青年は、立ち上がることすら困難だろう】
【手の内に握りしめられていたのは――孵化していない卵=Bそして、煌々と赤黒く輝く双眸は、己の拳を振るった先を、なけなしの意志で見つめさせていた】
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/22(日) 23:54:21.86 ID:oDVydTxAo
>>423

【少年の表情は、明るい。立地上客層が若干危ないのが玉に疵だが、それにしたって割のいいアルバイトを見つけられたと思う】
【今回は学園祭も終わって時間も取れたので、勤務時間も増えた。必然的に、稼ぎも増えた形だ】
【大部分は生活費と学費の返納に当てるにしても、手元に残る資金は少なくない。何をしようか、何を買おうかと、そればかりが少年の頭を巡る】
【機嫌の良い歩調は、どう見たって一般人だっただろう。例えば、いま視界の端で爆ぜた光などと関わり合いになるタイプでは、決してない】

うわぁ。これはまた、派手にやりましたね…………。

【逆に言えば。それを覗きに行ってしまう時点で、いくら見た目や雰囲気が凡庸であっても、彼もまたそちら≠ノ近い一面を持っているのは明らかだった】
【少年は最初こそ、恐る恐るといった様子だったが。路地の角に崩れ落ちた暴漢たちと、その中央にいる人物を見つけると――――】
【何か、スイッチでも切り替わったように。まるで最初からそこが居場所であったかのように、その表情から一切の動揺が消え失せるだろうか】
【少年は学生鞄を片手に、その人物へ歩み寄る。青い光が孕んでいた悪≠フ臭いが制服に染み着くのも厭わず、その表情には笑顔を浮かべて】

アイケさん、ですよね。お久しぶりです。また会えて嬉しいですよ!
それにしても――――いやあ、本当に、偶然ですね。

【男の怪しい笑みと会釈に乗っかるように、少年もまたどこか白々しく会釈を返し、再会を喜ぶ言葉を吐くだろうか】
【その少年は…………鳴子一颯という名のその少年は、相も変わらず善≠ニも悪≠ニもつかない態度で、そこに在った】
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2013/12/23(月) 00:07:28.07 ID:IhRPmcj4o
>>424

【この地には全く不似合いな、いや、この路地裏という地だからこそ似合っているのか、莫大な瘴気が辺り一面に撒き散らされ】
【彼が"喰らう"。負のエネルギー、悪へと誘う一種の揺らぎをアートマンが吸収する。……それ以降の事は、最早女には分からなかったが】
【今自分が相対してる存在が、自分の悪よりも、もしかすれば自分の上司である人間でさえも超えるものであるかもしれないと、そう思わせる程】
【それ程に、彼の有している物が恐ろしくもあった】


「う、おぉぉぉ―――――――――ッ!!!!!」


【"絶望"という名の、左腕に溜め込んだ暴力的な程の力を爆発させ、拳を振るう彼。その力量は、女の力の総量を大きく上回るものであっただろう】
【それこそ、先程までの攻撃の何倍、何十倍―――当たれば一撃で沈む。容易に想像できた】
【しかし、それに対抗できる力を持っていない女。心を支えるのは、前述の執念。人斬りとしての殺意が、爛々と一つの瞳に宿っていた】
【雄叫びを上げる。ヒットすれば戦闘不能どころか―――。それでも全力には全力でぶつかろうとして――――――誰かの声が響いた。やけによく響く青年の物だった】


『―――――― A i g i s』


【―――衝突音の後、女もまたうつ伏せで倒れこんでいた。戦闘不能。彼と違うのは、意識の有無】
【そんな女の直ぐ側。最初に彼が降ってきたように誰かが降りてくる。何も使わず、手もポケットから出さず、ゆっくりと落下傘でも付けているかのように軟着陸】
【……白尽くめの青年だった。少し長く伸びた髪も、スーツも、靴も。唯一ネクタイは、ワンポイントかのように黒々しかった】

『……いやー、お見事お見事。
 でも、困っちゃうよ。Justiceの谷山 基樹くん。あんなのマトモに食らったら、冴なんて死にはしないだろうけどマジモノの植物人間かも。
 哲学者の卵を使ってくるのは予想外だったけど……。僕の「Aigis」でも、全然軽減できなかった。流石だよ、君は』

【饒舌な青年は、やがて冴と呼ばれた女を乱雑に抱きかかえ、彼へと今一度、顔を見せた】
【……笑顔、だった。自然な、しかし張り付いたような微笑み。この状況においても、この青年は笑っていた】

『この子の名前は梔子 冴……僕の優秀な部下であり、死神に憑かれた女さ。
 僕は―――あー、もう良いよね。そろそろ救護隊が来る頃だし。それじゃーね、谷山くん。 ―――「Ikaros」』

【捨て台詞の様に言葉を吐けば、瞬間、青年と女の姿は掻き消える。……動体視力が良ければ、上へと飛び去ったことが分かるだろうか】
【青年の言葉通りにすぐ救護隊が到着するが、その治療を受けるかどうかは彼の勝手だろう】


/絡み乙でした! 後歯切れの悪い終わり方で申し訳ないです……!
/そして再三に渡る遅レス申し訳ございませんでした……。こんなロールに付き合って下さり、本当にありがとうございました!
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/12/23(月) 00:15:47.78 ID:/39ErEPRo
>>426
「――顔、は。……覚えたぞ……ッ。
覚えたなら……地の果てまで、海の底まで、空の終わりまで……ッ。
追っかけて首根っこ掴んで捉えてやんよ……ッ、んで自警団に引き渡してやる……!」

【絶え絶えの意識。それを携えながら、この満身創痍で最後にそう言葉を吐き出して】
【青年は、そのまま意識を落とし――救護隊によって救助されるのであった】
【とはいえ。肉体の一部が最初から欠損している青年の治療は、困難を極めるのだが――】

【だが、少なくとも青年の脳内というストレージには、女の剣技と名前と顔。そして助けに入った男のなしたことと顔は登録された】
【ならば後は――それを辿り、情報を集めるだけ】
【そして、それを為すことこそが――ジャーナリストたる青年の、本業だ】

/*お疲れ様でしたー!*/
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/23(月) 00:25:31.00 ID:37OthsWwo
>>425

【背後でチンピラたちがアスファルトに這いつくばりながら、麻痺した口でうめきにもならない声を上げている】
【彼はそんなことは何一つ気になっていないかのように手に付けた上等な革の手袋の汚れを気にするように撫でた】

いや、何…死んだ訳じゃない。多少のショック療法で彼らの良心を呼び覚まさせようとしただけさ。
まあ…なんだ、彼らに見つかっては厄介だ。……少し歩こう。彼らだっていつまでも寝ているわけじゃないだろう?

【初対面の時と同じように彼は余裕のある冗談交じりの笑みを浮かべつつ】
【人差し指を軽く立てて向こうへと歩き出そうとジェスチャした】

ああ、勿論。……しかし、君のような人物とこのようなところで出会うとは思わなかったよ。

【図ったかのようなタイミングで現れた彼だ。もしかしたらGIFTの諜報員でもつけて居たのかもしれない】
【相手が普通の学生でないとわかっていながらも、白々しくそんなことを言うのだった】

……あれ以来…変わりは無いかね?…私の方は中々に重傷でね。戦闘も負傷も暫く忘れていたよ。
まあ…報道の通り、此方は調子が良いらしい。…久しぶりの休暇も貰えたから…良しとしよう。
金回りも大分良い。…長く続くものじゃなさそうだがね。

【GIFTの方も要塞の一件から先日は首都の攻撃まで成功させた。短期間で今やカノッサにも勝るとも劣らない】
【GIFTが揺らせば各国は軍備を整える。そうすれば軍需企業のGINも潤う。マッチポンプの仕組みそのものだった】



429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/23(月) 01:10:25.72 ID:iOKmclR5o
>>428

ええ、そうですね。ぼくはアイケさんほど強くありませんし、流石にこの人数に襲われたら――――面倒くさいですしね。

【あの要塞で、あれだけの激闘を演じておきながら。その謙遜は、かえって皮肉のように聞こえるかも知れない】
【少年はそのように謙虚な素振りを見せておきながら、面倒なだけで負けはしないと言外に含ませる。それも含めて、ちょっとした冗談のつもりだろう】
【アイケの指す方向へ、一颯も付いていく。背後で痙攣している暴漢たちのことは、結局一度も顧みなかった】

それはこっちもですよ。けど、アイケさんは普段G.I.N≠ナ働いているんですよね?
会社員と学生が、街で偶然会った。そういう風に考えたら、そんなにおかしな偶然でもないかも知れないですね。

【歩きながら、少年は何とも簡易な論理を並べ立てて、そちらに笑いかけるだろうか】
【その話には、一見矛盾はないように見える。しかし、話自体は筋が通っているものの、前提条件に致命的におかしな点がひとつ】
【即ち、アイケ・シュタウフェンベルクがG.I.N≠ノ所属している、という情報――――あの時、少年はそれを目の前の男からは聞いていない筈だった】
【そんな機密情報を、どこから入手したのか。それを手に入れられるルートなどどう考えても限られている――――】

ぼくの方もまあ、あの時の傷は中々重かったですけど。ぼくの場合は妖気≠ナ治癒力を上げられるので、そんなに尾は引かなかったかな。
最近の鉄の国での活動の方も、いろいろ見させてもらっています。ああ、身近なところで言えば、ぼくの母校でもGIFTの話はいろいろありましたよ。
…………そうだ。せっかくだし、座って話しませんか?

【またも冗談めいて笑う少年にとっても、あの時の邂逅以降、GIFTの活動にいろいろと気を配っているようだ】
【自分の母校、というのは――――もし本当にアイケが諜報員を付けていたなら一発でわかるだろうし、そうでなくとも制服から推測することは可能だ】
【レイリスフィード学園、という学校の件である。自警団内では既にある程度情報も出回っているが、GIFT側ではどうであるのか】
【その辺りも含めて、ゆっくり話したいとの事だろう。少年が指さした先には、最初に少年が出てきた喫茶店がある】

【――――もしアイケが提案を了承したなら、少年はまた裏口から店に入って何かしら交渉した後、すぐ中へ案内するだろう】
【店内は小ぢんまりとして落ち着いているが、店構えやインテリアが小さく洒落っ気を足している。隠れた名店、といった風情だ】
【流石にこんな場所に開店しているだけあって、店長は余計なことには一切触れず、窓際の一席を開けてくれる】
【時間が時間なので、他に客の姿もない。窓も表通り側に付いていて裏通りからは見えないので、気兼ねなく話をするにはちょうどいい場所だ】
【少年は着席したなら、コーヒーを注文するだろう。同じように、普通の喫茶店にあるものであれば店長が用意してくれるはずだ】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/12/23(月) 01:22:18.72 ID:iOKmclR50
>>429
/一応ですが最後に追加しときます……
【なお、店長も気を利かせて、注文が無い限りは奥に引っ込んでいる。ここでの会話を聞く者は、二人以外に誰もいない】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/23(月) 01:47:08.27 ID:37OthsWwo
>>429

いやいや…元軍人といえど後方の士官さ。戦闘は得意じゃない。
優秀な人間が発明した優秀な道具が有るから何とかなってるだけさ。

【こちらも負けず劣らずの謙遜と皮肉である。お互いに腹の底を全く見せず】
【作り笑いと聞こえの良い言葉だとお互い気が付きつつそのままにしておくという】
【一周回って心を開きあっている正直な状態にも見えなくもない】

……おや?…そんなことを話したかな?まあ…いい。そうだとも。
表向きは数字と睨めっこして銀行に媚びを売る経理。実際は
GIFTへの資金の調達や都合の良い企画書、各国の防衛関係を探る…情報部さ

……まあ、そういうことにしておこう。

【G.I,Nとて働いているときは会社のバッチをスーツの襟につけている】
【しかし、GIFTの時は外しているためバレることはないはずだが…しかし、今はそれは置いておこう】

【軍人の頃と同じ仕事は戦闘を指揮することよりも情報を操るこちらの方が近い】
【下手にGIFTの中枢に入るより今の立ち位置のほうが動きやすく居心地が良いのもあった】
【しかし、そんなことを包み隠さずに話して良いものだろうか。彼はただ笑っているだけだ】

なるほど。君の…その、『妖気』というものは中々、便利なもののようだ。…私のように
毎回、心臓を一突きする必要もないようだ。ま、色々と不便もあるだろう…

……今度の総指揮官は随分と勤勉な人物のようでね。戦略的にも中々…
ただ、それ以外の我々は付いて行くのに少し大変さ。毎度の事だが…秘密主義的なところもある。

出口が2つ以上ある地下でない場所なら…構わないよ。

【冗談めかしてそんなことを言うが軍人らしいセリフだ。案内された後も】
【出口やテーブルの配置、窓から見える景色など極自然な振る舞いの中で確認しているようだった】
【案内されれば足元に持っていた革のカバンを置いて帽子をテーブルの端に置いた】
【少年と同じタイミングで彼はコーヒーではなくココアか、なければ牛乳をと注文した】

刺激物は避けているんだ。ココアやチョコレートには健康に有益なものが多いからね。

【軍人として健康の維持に気を使っているんだろう。彼の能力から見て牛乳を欲しがるのもわからなくない】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/23(月) 02:24:58.05 ID:iOKmclR5o
>>431

ええまあ、実はあれから少しばかり、深入り≠オまして――――アイケさんの事も、ちょっとだけ耳にしたんですよ。

【男のささやかな疑問に対し、少年が答えたのはそれだけだった。それだけだったが、その言葉には深い含みがあった】
【前回の最後に言っていた通り、あの戦いを通じてこの少年も何らかの決意をしたのだろう。その結果が、深入りという言葉】
【何への深入りかなど、もはや言うまでもない。そのルートを使って、GIFTの表の顔であるG.I.Nについても知り得たようだった】
【男の口から発せられる真実も、少年は「すごいなあ」なんて言いながら聞く。その情報を知ってしまったという意味に、気づいているのかいないのか】

そうですね、基本的に便利なんですけど。
妖気って言うのは元々妖怪の力ですから、下手に人間が使いすぎると、力に呑まれて暴走してしまうこともあるらしいんですよ…………ちょっと怖いですね。
けどまあ、確かに毎回心臓にナイフを突き刺す怖さよりは、それもマシかもしれないですけど。

【気軽に放つ言葉は、多大なリスクにまみれている。攻撃に治癒にと確かに便利な力だが、それには代償が付きまとう】
【一度力に呑まれれば、大抵はそれで終わりだ。人とも妖怪とも付かない姿に堕ち、最後は退魔師に討伐されて死ぬのが常である】
【それはこの少年にだって適応される法則である筈なのに――――その言葉は何故か、とてつもなく他人行儀だった】
【自分は例外、とでも言わんばかりの態度。心臓に刃を突き立てる感触を思い浮かべて体を震わせる素振りは、何とも呑気なものだった】
【それは驕りのようでいて、驕りではない。実際のところこの少年は、あらゆる意味で例外的だ。そしてそれを、本人もまた自覚していた】

総司令官っていうと――――アルフレッド=フォン・ダグラスですか?
名前だけは聞いてますけど、確かに詳細は知らないです。まあ、ぼくなんかが知れる訳ないですけどね。

【少年が挙げるのは、未だ現役で活動中のGIFT創始者の名前。GIFT内だけでなくG.I.Nの代表も勤めていることまでは、流石に少年も知らないが】
【襲撃作戦等を指揮する戦略的な総司令官といえば別にいるかもしれないが、GIFT全体の総司令官といえば真っ先にそれが思い浮かんだ】
【いくら深入り≠オたとは言っても、限度がある。奥の奥の事情までは、流石に一介の少年には知り得なかったようで】
【アイケの前には、ココアが運ばれているだろう。健康を細かく気にする男を不思議そうに眺められるのは、若さ故かも知れない】

【少年は、ずず、とコーヒーを啜った。少し苦かったようで、顔をしかめると砂糖の瓶に手を伸ばして】
【――――制服の内ポケットから、十字≠フアクセサリーが覗いていた】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/23(月) 02:58:30.35 ID:37OthsWwo
>>432

なるほど……君も神に唆されて林檎と食べのか。

【深入りという言葉で少年がGIFTへと一歩、踏み入れたのだと知れば】
【静かにただ一言、何か哲学めいた言葉を述べただけだった】
【神に対する原罪である知恵の実を蛇に唆された聖書の一節をもじっているのは分かる】
【ただ人間を唆したのを神と置き換えることでGIFTに対する皮肉のような言葉になった】

強大な力というものは、何だって同じさ。君の妖力に限らず魔術も科学も文明も好奇心も…
操れば便利な力だ。だが、それを誤れば、簡単に人類もろとも飲まれてしまう。…そうなれば気がついた時には手遅れだ
君は恐怖しているということは、立派なことだ。…私のように忘れることのないようにな。

【彼は少年に対しては肯定的だ。それはGIFTの定義から優性たる能力者であるからなどというわけではなく】
【一貫して変わらない表情を見て、そこはかとないポテンシャルに対する敬意の表れだった】
【対して人類の科学進歩や自身に対しての否定的な見解も言葉から感じ取ることも出来た】

いや…彼は確かに名実ともにトップにいるが…喩えるなら大将ではなく大統領だ。何か進言することはあっても
作戦の立案や指揮をすることはあるまい。…私が言いたいのは鉄の国侵攻の指揮官のほうさ。
まあ…彼についても何一つわからない。何にせよ、勝っているわけだからな。

【GIFT創始者に対してはあまり注意を払っては居なかった。彼の仕事はGIFTが表に出て攻めに転じた】
【そのこと全体であって、鉄の国侵攻には大きくは関わっていないと考えているからだ。しかし、それは予測であって】
【彼自身、深く知ることは出来ないために大きな陰謀が隠れているという可能性もあった】

…何故、GIFTなんだ?…神に祈るのが好きなワケじゃないだろう?

【笑いながら(いつもより優しげでオーバーな笑みだ)ココアをすすりそんなことを尋ねた】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/23(月) 03:40:03.54 ID:iOKmclR5o
>>433
はは、やめてくださいよ。ぼくはこれっぽっちも、神様なんて信じてませんから。
確かに林檎は好きですけどね。

【発せられた意味深な言葉に、少年はやや雑な返答を返す。そういったものに馴染みがなく、気の利いた答えが思い浮かばなかったのもあるが】
【…………その表情には、それだけではない何かが浮かんでいる。神様を信じないと断言するその言葉には、黒色の何かが澱んでいる】
【その澱みを覆い隠して、少年は笑う。そういえばここのリンゴパイは結構美味しいんですよ、なんて下らない台詞でお茶を濁して】

――――力を恐れよ、ですか。改めて、肝に銘じておきます。

【ふと目を閉じて、少年はアイケの言葉を静かに聞く。その表情に変わりはないが、少しだけ雰囲気が引き締まったような気がした】
【少年は妖気という能力以外に、ある例外的で決定的な異常≠抱えている。妖気を難なく扱えるのも、今も表情を一切動かさずにいられるのも、それのお陰だ】
【それを考えれば、簡単に妖気に呑まれるようなことはこれからも無いだろうが…………力とは、それだけのことではない】
【踏み入った闇の世界には、権力という力もある。少年が持つ人脈や情報の多さだって、力だ】
【これから進んでゆく先に、それらに対する驕りがあってはならない――――アイケの含蓄ある言葉を、少年は素直に受け入れたようだった】

ああ、それなら知っています。確か、『W/ダブル』っていう人でしたっけ。
鉄の国侵攻軍…………自警団も、相当手を焼いているみたいですね。

【その人物についても、少年が知る情報は少ない。GIFTの直中にいるアイケ以上の情報など、持ち合わせているわけもなかった】
【相当の実力者であることだけは、間違いない。自警団は今でも苦戦しているし、これからも苦戦を強いられるだろう】
【GIFT。自らが入り込んだ場所の大きさを、少年は改めて自覚して】


ええ。さっきも言いましたけど、ぼくは神なんて信じていません。ぼくは――――神様って奴が、嫌いですから。
ぼくも、多分あなたと同じですよ。GIFTだから選んだ訳じゃなくて、たまたま都合がいいからここを選んだだけです。
こんな事を言うと、殺されてしまうかも知れませんけど。都合が悪くなったら、ぼくはいつでも掌を返します。
そういう覚悟を、ぼくはあなたを見て決めました――――。

【再びコーヒーを啜れば、胸元の十字架は見えなくなる。かたりとカップが置かれると、その瞳には真っ黒な意志が浮かんでいる】
【思えば先程も、深入りしたとは言ったが入った≠ニは言わなかった。それが、目の前の男の姿からこの少年が得た答えだったのだろう】
【――――踏み入りはしても、腰は据えない。正式にGIFTへ入ることもなく、かといってGIFTから離れることもない、都合の良い中立地帯】
【ひとつ下手を打てば全てを敵に回しかねない、危険な場所だ。しかしうまく立ち回れば、表と裏の両方の力を得られる、そういう場所】
【正義と悪の境界を歩き続ける、茨の道だ。そこまでして、一体どこへ向かおうとしているのか…………少年は、何も言わなかった】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/23(月) 04:31:47.63 ID:37OthsWwo
>>434

本来は禁断の果実はバナナらしいし地方によってザクロであったりブドウであったり…
何にせよ…林檎の方が描くときに赤が映える。

【自らの言った言葉の重みを自分で消すかのようにそんなことを言って切り替える】

そうだ。…そして、対話するんだ。世界や…自分と。声を聞かなくては…

【それだけ言えば彼も黙って目の前のココアを飲む。一瞬の沈黙が両者を包んだ】
【恐れることが自分を守ることならば、問いかけ続ける事こそが攻めることにもなる】
【恐れるだけで何もしなければ意味が無い。声を聞いて、知る事こそが最も大事なことで】
【それは恐怖という感情も行動を考える際の知識の1つであると彼は思っている】

【俯瞰的な物の考え方のできるであろう少年だからこそ彼はこういった独特の哲学めいた言葉を言ったのだった】
【それが正しくもあり、間違いかもしれない。だが、彼は嘘をついたつもりはなかった】

鉄の国も単なる現代兵器と戦術で敵うのは単なる小国相手だけだと知ったはずだが
硬質化した議会は今までの方針を捨てきれないらしい…何時まで軍備増強をしているのだろうか。
自警団やSCARLETなる能力者たちの応援が最も効果的だったとは誰も言っていないようだ。

…『W/ダブル』氏に関しても…ACADEMIAの人間なら何か知っていのかもしれないが
目的どころか素顔すらわからないとは…よくもまあ、戦争ができるものだ
私のような考えの人間のほうが少ないということの方が驚かされる事項だが…。

【古臭い総力戦という軍隊しか知らない彼は幾ら命令で行動する兵士といえど】
【目的もわからない侵攻や司令官の姿がわからないのは戦意を喪失させるのではと考えていた】

…君と私。ど違う部分があるようだ。私は神を信じる。…GIFTの教義とも世間の常識とも
君のとも違う神だが…私は、祈ることは無いが、信じている。…まあ、それはどうだっていいことだ
……私にも目標がある。…君も何かあるようだ。君の思考や行動は…一貫した何かをなそうとすることに
全てを捧げている…私は、そのように君の姿が見える。

【カップに映るココアの水面を見ながらそんな話をしていた彼は不意に顔を上げて少年の目を見る】
【真っ黒な意志。中立のラインを危険も厭わずに歩く姿、、それは一貫した何かをなす目標のための行動にも見えた】
【GIFTは単なる道具にしか過ぎない。GIFTやその他の力を使って何かをなそうとしているように彼は思えた】
【それは己のためか家族のためか野望か欲望かは分からないがその意志は非常に強いようにも思えた】

…しかし、そんな姿はGIFTの他の人物から見れば危険だ。信心深いACADEMIAの人間からすれば特にな。
不用意にもう一歩踏み入れてしまえば…冗談ではなく。殺されてしまうかもしれない。そこでだ
小さくはあるが…我々は1つ。派閥ということではどうだ?唯でさえ、扱いの悪い外部組だ。仲良くやるのも悪くないだろう?
僭越ながら…私は極一部ではあるが資金を管理する立場だ…中々、手を出しづらい相手のはずだ。

436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/23(月) 05:14:09.90 ID:iOKmclR5o
>>435

対話…………か。この世界との、対話…………。

【少年は、少し感慨深そうな調子で告げる。同年代の人間と比べれば相当歪んでいはいても、子供には変わりない】
【世界との、自分との、対話。大人になれば、いつかは行わなければならないこと】
【茨の道を行く少年は、もっと先にある筈だったそれをずっと先取りして、進んでいかなければならないのだろう】
【何かを恐れて、恐れたままに、進む。それはとてつもなく、難しいことのように思えた】

多分、ぼくの言う神≠ニ、アイケさんのいう神≠ヘ、違うんでしょうね。
けれど、それで構いません。自分とどれだけ思想が違おうと、ただ利害さえ一致していれば、関係は築けますから。

【にこりと笑う少年の表情は、相変わらず読み難い。その口から漏れ出すのは、確かにひとつの真理なのだろう】
【完璧に分かり合うことは出来なくとも、同じ点があれば協力できる。そして人と人とを繋ぐのは、いつだって対話≠ナあるのだから】
【世界とか自分とか、そういう曖昧なものでなければ。他人と話す能力に関しては、この少年はずば抜けて高い者を持っている】
【それもまた、ひとつの力。それを振りかざして、少年の向かう先は――――】

…………ぼくの望みなんて、ありふれたものですよ。大好きな子を、守りたいだけです。

【たったそれだけ、少年は告げた。声色も表情も、頑なに一切を変えないまま、青臭い台詞を吐いた】
【それは少年らしいとも言えるし、少年らしくないとも言える、そんな言葉だっただろうか】
【微動だにしない凪いだ空気からは、それが何かの比喩なのか、それとも言葉そのままの意味なのか、判断することさえ難しい】
【コーヒーを飲もうとして、それがもう空であることに気づくと、少年は苦笑いを浮かべる。その時にはもう、その表情は自然なものに戻っていた】


派閥、ですか…………ふふ、ちょうどぼくも同じような事を考えていたところです。
そのACADEMIAの人間と、実はもう接触してしまってまして。というかぼくが今の立ち位置にいるのも、その人にスカウトされたせいなんですけど。
…………ぼくは今、あるGIFTメンバーの部下≠チて形に落ち着いてるんです。その証が、これなんですけど。

【アイケからの提案に、少年は嬉しそうに、そしてどこか不敵に笑う。考えることは、お互い同じか】
【軽い説明と一緒に内ポケットから取り出されたのは、GIFTの紋章である金十字――――では、なかった】
【確かに十字だが、その輝きは金ではなく鉄=B安っぽくて飾り気のない、無骨な鉄十字】
【金より劣る鉄。それが表すところは――――外部協力者。GIFTへ立ち入りすぎることなく、しかし最も近い立場。今の少年にはうってつけである】
【しかしその立ち位置は、言われるまでもなく危険だ。一歩間違えれば、待つのは確実な死。だから少年もまた、アイケの力と立場を欲する】

ぼくの方も、人脈に関してはそれなりに持っていますから――――。
自警団とSCARLET=AそれにGIFTに、カノッサも少しは。色々と情報を融通できると思います。

あなたはぼくに、その後ろ盾を。ぼくはあなたに、人脈と情報を。それぞれが分かち合う。
――――お互いのために、是非とも手を結ばせてください、アイケさん。

【それは、確かに…………信用と等価交換の上に成り立つ、取引であっただろう】
【鳴子一颯という名の少年は、それだけ言うと右手を差し出す。その手が無事に握り返されれば】
【派閥、あるいは同盟。名前はどうあれ、互いに利用し合う関係は成立し、一颯からの柔和な笑みが贈られるだろうか――――】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/23(月) 06:48:15.74 ID:37OthsWwo
>>436

ああ、それでいい。何にせよ、何かに祈るのは悪いことじゃない
尤も…私は神よりも、チェスの駒の方が何倍も長く祈っているが…悩みを口に出すといい
そんなことと似たような誤魔化しだろうけれど…それで騙されてしまうのも我々だ。
利害もあるが…宗教家と仲良くしたくないというものも私にはある。

【微笑を浮かべつつわざとらしく眉を動かしてコミカルな動作を取って】
【冷め始めたココアの残りをのどの奥へと流し込んでカップを置いた】

それでいい。…それでいいんだ。その言葉だけで、私は君を歓迎する。

【真っ直ぐで濁りのない言葉に思えた。もしかしたら少年のテクニックなのかもしれないが】
【彼はその言葉をそのまま受け取って、少年の人間性をある一定の予測のもと確信した】
【ただ神のためと付き従う思考を放棄した彼らよりずっと素晴らしい。それにアイケ自身】
【守りきれなかった過去を持つため、今の少年の思いを彼の中で汚したくはなかったのだった】

なるほど…私はあまり接点がないもので…。まあ、その方が良いだろう。向こうも会話は知られないにしろ
我々が接触しているのは気づかないはずはない。君は私とそちらの上司の間をうまく渡ればいい。…簡単だろう?
私との連絡はG.I.Nの本社に来るか…これに連絡してくれればいい。お互いに気をつけていこう
ああ、それにもう一人…派閥に加入してくれそうな人物もいる。研究部の人間で神より研究という感じさ。
ただ…少々…いや大分、曲者でね。年下の上司というのも中々複雑な相手で……まあ、おって紹介することにしよう。

【そう言って内ポケットからG.I.Nとしての彼の立場の名刺をテーブルの上に置き、差し出した】
【くれぐれもといったことはやはり尾行や盗聴などが行われている可能性があるかもしれないということか】

【彼のネクタイの結び目にあるのは鉄十字。だがGIFTが配布するものとは違い傷が多く】
【マンジのようなマークと1939というよくわからない数字が刻まれていたが…目を凝らしていなければ気が付かないほどだ】
【ともあれ、アイケ自身彼の影響力をさらに伸ばすのにはこの少年の力が不可欠だ。特に内部対しての工作ができるかもしれない】
【お互いに必要なくなれば殺されるかもしれない立場だが、これで一筋縄ではいかなくなることだろう。】

私の目標のために、遠くない先、キミの手を借りることになるだろう。しかし今は話せない。
それは信用出来ないからなんじゃなくて、未だに私もそれを描ききれていないからだ…頼んだよ。

……是非とも、私を利用し給え。鳴子一颯君。

【冗談のつもりではない。この同盟はお互いをお互いに利用しあうのが主作用であるはずだ】
【相互利益の為に維持する。状況によって強まったり弱まったりする関係だがそのほうが柔軟性があって】
【変化し続ける状況に対応できると彼は考えていた。同一の目標がないからこそ生き延びていけるのだ】

【彼もまた、右手を差し出して、強く握り返した。一歩、彼の力はまた増すことになる】
【一颯としても彼に頼めば資金を優先的に回してくれるなどそういった面でも有益であると思われた】

さて…長くなってしまった。いや…短いと感じるほど有益な時間だったよ。ありがとう。
私から尾行や偵察なんかは一切しないから安心してくれ。……本当さ。勿論。
もうすぐクリスマスだ。…友人や家族とゆっくり過ごすといい。私はこれから仕事だがね。

【財布を取り出せば、二人分の支払いより十分すぎるぐらい多い金額をテーブルにおいて】
【中折れ帽を被り、革のカバンを手に持てば立ち上がってドアの方へと歩き出した】

……それでは、また。……勉学には励め、少年。

【簡単な言葉と微笑を残して彼は夜も深くなった路地へと消えていく】
【それは青白い閃光とは真逆の深い闇の人物だが、そこには眩いぐらいの野望の火が灯っているようにも見える】
【不思議な錯覚を覚えさせたまま、彼はまた何もかも隠しているのであった】




/こんなところで勝手ながら〆にさせていただきます。なんか怪しいところあったら本当にすみません。
/それでは勝手ながら失礼させていただきます。お付き合いいただいてありがとうございました。そしてお疲れ様でした!
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [saga]:2013/12/23(月) 12:35:43.99 ID:yqkWnjUqo
/>>289>>395で再募集します
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/23(月) 18:33:11.05 ID:iOKmclR5o
>>437

ええ、前にも言いましたけど…………宗教臭いのはぼくも嫌です。
祈るだけならまだしも、自分の全てを信心に預けてしまう人は面倒ですからね。

【神に祈りはしても、全てを委ねはしない。アイケの態度を受け、少年は少し安心したようだった】
【自分の意志を放棄して動く者は、悪が跋扈するこの時代では生きられない。今に放逐されてしまうだろう】
【何を切り捨てる≠アとになろうとも、自らの意志を突き通す。最後に全てを掴むのは、きっとそういう人間なのだと少年は思う】
【それ故に、この人は信頼できる――――この人と出会い、そして選んだ選択は、間違いでないと確信する】

ありがとうございます。では、ぼくの方もこれを…………。
そのもう一人の方も、アイケさんが選んだ人ならきっと大丈夫でしょう。
こっちもどうにか、上司とうまくやっていきます。だからそちらも、どうか頑張ってくださいね。

【少年は名刺を受け取ると、茶化すような言葉を掛けて。学生鞄から小さなメモを取り出し、連絡先を書いて手渡す。電話番号とメールアドレスだ】
【そのどちらの通信手段も、盗聴の恐れは十分にある。少年の方も色々細工をするつもりだが、気を付けねばならないのは間違いない】
【「頑張れ」なんていう気軽な言葉は、その実「死ぬな」という重たい激励であった。互いに巨大なリスクを背負う限り、そうなる可能性は決して消えないが】
【――――どちらかが死なない限り。この関係が続く限りは、広がる闇の中で居場所を守る程度の力は保有していられる筈であった】

それはこちらも、同じですよ。
ぼくだって、明確に進む道が見えているわけじゃない。だからぼくも、詳しくは言えません。
けど…………だからこそ、利用しあうことができる。そうですよね、アイケさん。

――――こちらこそ、よろしくお願いします。

【掌に、暖かな感触。それを感じながら、少年は笑いかける。とても暗くて小さな道だが、その先には確かに未来が見えた気がした】
【二人の間にいま、相互関係が成立し、同盟が結成され、派閥が築かれた。生き抜いて野望を掴むという、一本の黒い柱を基準にして】
【アイケとは違う宿命の込められた鉄十字を内ポケットにしまい、か細い絆の証である名刺を仕舞い込むと、少年もまた席を立つ】
【机に置かれた金額に、少しだけ驚いたような顔をしたが――――ここは子供として、大人に甘えておくことにした】

今日はとっても有意義な時間でしたよ。色々勉強させてもらいました。
大丈夫ですよ…………アイケさんみたいな良い人が、そんなことをする訳ないって信じてますから。
どうかお仕事、頑張って下さい。ぼくも次会うときまでには、もうちょっと数学の成績を上げておきますよ。

それじゃあ、ありがとうございました――――どうか、お元気で。

【店を出ていくアイケの背中へ、少年は言葉を投げかける。その表情には、もう後ろ暗いやり取りの痕跡はない】
【交わされる会話は、一見するとまるで先生と生徒のような。だが裏から覗けば、全ての言葉に別の意味がある、表裏一体のものであるのだろう】
【あくまでもごく自然な雰囲気の中で、少年は最後に一礼する。彼は扉の前に立って、その背中が見えなくなるまで頭を下げていた】


さて…………こんな危ない橋を渡ってるなんてあの二人に知れたら、怒られちゃうだろうけど。
――――うん仕方ない≠謔ヒ。

【いまは光の道へ進む。けれど自分の背中には、真っ黒な糸が闇の中へと伸びている。もう、後戻りはできない】
【その事を強く自覚した後、たった一言の口癖で全てを切り替える≠ニ、少年もまた鞄を手にして逆方向の表通りへと進んでいく】
【闇の中に光を灯して歩いていったひとりの男と背中合わせに、光の中に闇を抱えたひとりの少年は――――】
【鳴子一颯は、黒々とした混沌の瞳を心の水底へと沈めて、変わらぬ日常の中へと帰って行った】


/遅ればせながら、長い間お付き合いありがとうございましたー!
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/23(月) 23:34:53.86 ID:hqy9VfMf0

【街の中――――普段は喧噪で賑わう其処だけれど、今日ばかりは静かで】
【その街の中央に立つのは、一人の巫女。瞑想の如く目を瞑り、風に黒髪を靡かせている姿は幻想的に見えるかも知れないか】
【不意に手を横に伸ばしたならば、その腕に止まるのは一羽の鳩。真っ白で、僅かな耀きを放っていて】


「ご苦労様でした
――そうですか。異常はありませんでしたか。でしたら、何よりです
ゆっくり休んで下さい」

【空いた片手が鳩を撫でたならば、其れは瞬時に一枚の符へと変わるのだろう】
【所謂、式神。櫻の国ならば、それなりにメジャーな術であろうか】
【そのまま袂の中に手を入れれば、一枚の煎餅を手にとって】


「……可笑しいですね。何も無いという筈は無いのですが
まあ、良いでしょう。面倒事は嫌いですし
そんな事よりも、この空腹を満たすことが先です」

【ゆるりと小首を傾げるけれど、結局は自分に言い聞かせ、納得するのだろう】
【パリパリと食べながら、お腹が空いた何て言うが――――手に提げている袋には、大量の中華まんの飽き袋があったりするのは、余談だろうか】









【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【その待合室。飾られた中々に立派なクリスマスツリーを眺めるのは一人の少女】

【汚れを知らない様な白銀の髪。額に生える角が特徴的であって】
【この病院の患者なのであろう。入院服を纏えば車椅子に乗り、自分よりも背の高いツリーへと視線は注がれて居た】
【院内ではある意味問題児の一人として有名である少女だけれど――――今宵は、静かで】


「全く…………暢気なものなのです。この程度のツリーを飾った所で子供達も喜ばないのです
………まあ、別に良いのです。ふふん、私がもっと見栄え良くしてやるのですよ」

【そんな事を言いながら手の届く範囲の所を装飾していくのだが、どうにもその表情は楽しげで】
【何だかんだ言っても少女もまたクリスマスを楽しみにして居るのだろう】
【子供らしく微笑ましい光景であるが――――来院者が近づいたとなれば、慌てた様子で素っ気ない態度を取るのだけれど】
【――――今更そんな装いをしたって遅くて】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/24(火) 00:18:14.53 ID:7fDdadvj0
【廃ビルの屋上】

【この屋上からはさまざまな光景が見える】
【廃ビルと同じような運命をたどった家やお店】
【そして遠くを見れば、今明るく活気がある街の姿が見えた】
【そしてそんな屋上に二人組みの男の姿が見えた】

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そしてもう一人は甲冑をきており、顔に面頬をつけている】

 繁栄もあれば衰微もある、この光景が典型的かな
『どこに限られた話ではありませんしね』

【男二人は屋上から眺められる景色を見ながらそう言った】
【今現在猛威を振るっているカノッサといえどいずれ終わるそのようなことを思いながら】
【金髪の男は夜の暗い空に顔を見上げた】

 ふふ、いずれ空に行って見たいものだな
『そうですか、行ければいいですね』
 ああ本当にだ本当に行けるのならば、うれしいものだよ

【金髪の男は微笑しながら空を見上げるのをやめる】
【甲冑姿の従者はその反応を見て、無表情ながらも心では笑っていた】
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/24(火) 18:42:17.52 ID:8TjBCl3so
【夜の国――漆黒色の館】

【「先に待っているから、全て整ったらおいで」】

【そう告げると、互いの指に刻まれた輪を指し示して】
【一足先に“彼”は、とある場所へと向かっていた】

【其処が何処で有るかは彼女には理解らずとも、】
【この繋がりを追えば、行き着く先は間違いなく彼の許だ】


【そして今宵、燕尾服や給仕服を纏った物言わぬ骸骨の使用人達が】
【新たな“奥様”たる人に仕える為、眠りから目を覚ます】

【彼らは往時の手際の良さをそのままに、】
【鈴音の着衣、その他の支度を手伝っていくだろう】
【言葉こそ発さないが、細かな注文にも頷き、能くこなす筈だ】

 【一年前の今日、ぎこちない“父親”と“娘”がいたあの日】
 【一体誰が、こんな結果を想像していただろうか?】

 【嘘から、偽りから、真似事から始まった全てが、真実に変わる“今日”を】

【支度を整えて、左手薬指からの転移の術を起動したなら】
【使用人達が、白い頭を並べた丁寧な礼で“奥様”を見送るだろう】

【(――そして、互いに示し合わせたように、一つ頷いたのだった)】

/こちらセシルです。鈴音の方、よろしくお願いします
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 19:19:33.00 ID:axq4SIuc0
>>442

【――子供みたいだと自ら言ってしまえるぐらいには、そうであることを自覚しているつもり、だった】
【今日のことを考えると気持ちがふわふわして、きらきらして、いつまで経っても寝付けなくって】
【同じお布団に転がりながら、きっと会話でもしたのだろう。そうしていつしか、眠りに落ちた】


【繋がりの向こう側に消える姿を見送って、始めてみる姿だったけれど――、骨の彼らへ向き直る】
【そうしてぺこりと頭を下げたのだろう。少しだけでも、確かに。緊張した風の顔で、立ち入った先は彼女の部屋で】
【ぬいぐるみと、お人形と、空き瓶とビーズ。宝物だらけの部屋に、今日だけは煌びやかなドレスが存在していた】
【「内緒」だと彼には隠し通した。今日初めて見せてあげようと決めて、“友達”とてんやわんやしていたのは新しい記憶だろうか】
【やっと見せることが出来るとひとつ笑んで――華奢な身体を、使用人たる彼らに任せた】

【(退屈したのか話し掛けてみるようなことがあった。返される無言に、また言葉を返すような――そんな、幕間)】

【――少しだけ不慣れな芋虫を蝶々へ変えるための空間。誰にも隠された空間で、それなりの時間が経った頃】
【その姿は用意された姿見の前にあって、くる、くる、お人形さんが踊るように姿を映しこめば、ひとりで上機嫌】
【手伝ってくれた彼(女)らに掛けた言葉は明るく抜けて、ありがとうと――それだけ言い残して、姿は黄緑色に包まれ消える】

どう……、かな、?

【ふわと舞い下りる先はどこなのだろう。嬉しそうに嬉しそうに息を弾ませる彼女は、それを気にしてみせることもなく】
【それよりも先に彼の姿を視界に求める、見つけ出したなら――ここで急に照れたように、声はか細く震えた】

【――真っ黒の髪は三つ編みで編んだハーフアップ。幼い造形の顔には素材を殺さない程度に華やかなメイクが施されて】
【爛漫に咲き誇る桜を縫い取ったドレス。青みすら感じさせるほどに白い布地は、彼女の白肌を映えさせて】
【寒そうに肩が露出するのをレースで編んだボレロがそっと隠し込む、開いた胸元に一滴、しずく型の真珠をあしらったペンダントを添えて】
【ふわふわと拡がるドレスの裾は柔らかな素材、細かに桜の刺繍を刻まれ、後ろでいっそう膨らんだバッスルから垂れるリボンの尾っぽが揺れる】
【恥らうみたいに彼女を隠し込むのは引き摺るドレスよりも長いマリアヴェール。こちらは散り行く桜を縫い取った、ドレスと対になるもの】
【どこから見たって花嫁だった。彼のための、彼のためだけの、花嫁――やっと見せられた嬉しさに、幸せに、強く笑んで】

【短い手袋を嵌めた両手が胸の前で遊んでいた。答えを待つ間が恥ずかしいという風に、一対不揃いの視線が、振れた】
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/24(火) 19:31:30.01 ID:8TjBCl3so
>>443

【彼女の舞い降りた先は、】
【風の国・ルクシャトリスの地下神殿――】

【荘厳な造形の神聖不可侵たるその場所は】
【かつての、二人が初めて出会った、あの神殿だった】

【往時の憎悪も呪詛も、既に其処には存在しない】
【古の形をそのままに残し、本来の清らかさを取り戻している】

【そして、鈴音の降り立った場所から少し先に】
【厳かな祭壇の前で、彼女を待つ者の姿が在った】

――……綺麗だ。とても、綺麗だよ

【黒のフロックコートを纏う、紅茶色の髪の“青年”】
【何よりの違いは、まっすぐに相手を見据えた、呪い無き視線】

 【(それは時折、彼に起こっていたあの“巻き戻り”だった)】
 【(十年前の二十六歳だった彼は、まだ目に呪詛を受けてはいない)】

 【(それ故の事象、それでいて、長くは続けられない現象)】
 【(全ては誓いの為に。目と目で交わすそれを、外す事など有り得ないのだから)】

【初めて出会ったあの時と同じ顔をした彼は、】
【けれどその表情に、先よりもずっと温かな色を浮かべていた】

【一年前の今日、彼女から無理矢理に記憶を奪い取った日】
【代償として流れた十年の時が、今だけの許しを得て解かれ】
【一切の違和感もない、似合いの二人が、此処にいた】

【相手を見つめるオリーブ色の目が、緩く細められて】
【伸ばしたのは左の手。先んじて誓いを刻んだ、その手を取る為に】

……おいで、鈴音。

【あの時と同じ、けれど決定的に違う】
【もう二度と離れることの無い手を、彼はそっと伸ばした】
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 20:43:27.96 ID:axq4SIuc0
>>444

【舞い下りた足音がこつんと硬い。室内に居たときとは違う場所だと、様々な要因から思い知る】
【彼を見つけ出せば、それからようやく周囲に向かう意識、ただ、彼の言葉を貰うまでは逸れない】

…………――。

【――遊んでいた両手がぴたりと止まる。口の開かれる刹那、少しだけ緊張したように口を噤む、仕草が】
【ふわと端っこから解けてしまいそうなほどの破顔に染め上げられるだろう。最早その場所に、言葉なんて邪魔で】
【いつもみたいに駆け寄ろうとした身体が重かった。結局は恭しく傍へと寄ってみせる、ドレスの尾っぽをするりと引いて】

【(かつては桜を名に抱いていた。その血は櫻より流れてきた。決して切れない関係に、こんなにも花嫁らしく飾られて)】
【(六年の差にしてはまだ彼女が幼いけれど――それでも、いつもよりかは違和感もなく溶け込むのだろう、ふたりの時間に)】

【どちらの姿だってその愛情が変わるはずもなかった。纏う純白を自慢するように、ほらと胸を張ってみせる】
【父としてより異性としてその姿は強く意識させる。少しだけ盛った胸元に添えた指先が、ほんの僅か撫で下ろして】
【――ふわぁ、と。改めて見上げた顔に蕩けてしまっていた。素面のくせに彼に酔わされて、チーク越しに頬を赤くして】

うん、…………。

【そっと差し出した手は手袋に包まれて、いつもよりもか細い気のする錯覚】
【きっとぎゅうと握り締められるなら、おんなじように、ぎゅうと握り返すのだろう】
【――この先を期待するように視線が彼の瞳を窺う、しなくていいはずなのに合わせきれない癖が、少しだけ焦らすように】

【(はじめてこの場所で会ったときは親子ですらなかった。朽ちた聖母像の傍らで贋物の親子になって、)】
【(ぴったり一年前の今日に過去の男の記憶をなくしてもらった。あの日には、こうなるなんて思っていなかった)】
【(ただひとりが嫌で。誰かと居たくて。きっと誰でも良くて。――それなのに、今では彼以外なんて、考えられないほどに)】

 【――ベッドの上にぬいぐるみがひとつ、置かれていた。去年の今日に買ってもらった、兎のぬいぐるみ】
 【チェック地の服は既にぼろぼろになって、取り払われて。その代わりみたいに着せられていたのが、ふわふわのドレス】
 【どんな子よりもかわいがっていることを彼は知っているだろう。だからこそ、どんな子よりもぼろぼろで、愛おしい】
 【今日のためだけに縫った服を着た兎はどこか誇らしげにも見えた。月明かりに毛並みを艶めかせて、――そんな、ちょっぴりの余談】
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/24(火) 21:01:50.51 ID:8TjBCl3so
>>445

【明け透けに言うならば、“少女”は彼にとって性愛の対象ではなかった】
【寧ろ、嫌悪の対象としていたのだ。それは遠い昔の、幼い頃に在った出来事に起因する】
【少女を見る度に、あの腐れ果てた街に自分を捨てさせた、腐り切った姉(おんな)の姿を思い出すからだった】

【其処から救い出してくれた淑女(おんな)が、彼女の持つ、姉に奪われてしまった懐かしい母の面影が】
【一定以上の年齢の女しか追えなくさせたのは何時からだったか、彼は記憶していなかった】

【けれど――目の前の彼女は、異性として存在を強く意識させる、艶やかな花だった】
【差し出されたその手を壊れ物のようにそっと取ると、彼は鈴音の瞳を見据えて言葉を紡ぐ】

私達の信じる神は、既に現世に無くとも……
君との永遠を、始まりのこの場所に、誓う

……君の、答えは?

【問い掛ける彼の隣、祭壇の上に置かれていたのは】
【頭上で幾重にも揺らめく蝋燭の火を反射した、一対の銀の指輪】

【鈴音が問いに頷けば、彼は其れの片方を手にして】
【彼女の左手を恭しく持ち上げ、その薬指にそっと嵌めるだろう】
【直後に、指に刻まれた痣が微かに熱を持ち、反応を見せる筈だ】

【その装飾のない銀の指輪を嵌めると、黒蛇の痣が吸われるように消え】
【代わりに表面に、控えめながら存在を示す模様として新たに刻まれ、完成する】
【黒蛇の彫刻を施したシンプルな銀環――そんな、二人だけの指輪が】

【勿論、館に転移出来る効力も、互いの繋がりの礎となる効果も変わらない】
【強いて変わったと言えば、黒蛇の目が彼女の指輪は黄緑に、彼の指輪は桜色に輝く事と】
【傍目に示す存在価値が、それが結婚指輪であるとの認識をより一層強める事位か】

【――彼女が嵌めたなら、必然的に次は彼の番となる】
【勿論彼の側に拒む理由などある訳がなく、左手を預けたままにしていた】

【嵌める事により起きる変化も、前述の通りになるだろう】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 21:35:41.90 ID:axq4SIuc0
>>446

【誰も居ない祭壇の前に並び立つ、この場所のかつての姿にほんの少しの思いを馳せ】
【ぼぉと見上げていた蕩けた視線がひとつ瞬く、問いかけられて、微かに瞳は細められ】
【微かに逸れれば――蝋燭を見つめる数秒がある。じりじりと目を焼くようでも、そのままの数秒が】

――わたしも。どんなことがあってもずっと一緒だって……、誓います。
この場所に、……それと――この宝玉(いし)に。

【ぎゅっと握られた手を伝うようにして視線が戻される。呪いのない彼の瞳を、今度は真っ直ぐに覗き込むのだろう】
【――こうして見詰め合うのはいつ振りだろうか。苦痛も苦しみもなにもない視線の逢引を、嬉しそうに受け止めて】
【もっとずっとそうしていたくなる。けれどそんな我侭は叶わなくって、手袋がそっと引いて、外されたなら】

【すうと嵌められる銀の指輪。それだけで嬉しそうにしていたのだが、続いた反応に僅かに瞳が丸くなって】
【子供のような表情で変化を見つめていた。やがて完成すれば、ぱぁと拡がっていく喜色の笑みが強くなる】
【蛇が瞳に抱く黄緑色を見つめていたから、――彼が順番を待っていることに気付くのが、少しだけ、遅くなった】

【――彼女がもう片方の指輪を手に取っのは数十秒ほどあとのこと。銀色に煌かせながら、彼の薬指へとそっと宛がって】
【するりと――嵌めこんでいくのは焦らすようにゆっくりと。最後についと一押しして、おしまいまで運ぶ】
【彼のものにも同じ変化が起こるのを確認し終わる頃だろうか、ふと何か思い出したように、表情を変えたと思えば】

……――今日から。なんて呼べば……いいですか?

【去年の今日ではパパと呼ぶことを提示された。少しだけ違って、お父さんと呼んだ一年間はきっと今日で終わるなら】
【新しい呼び名が必要だった。片っ方だけの素手に指輪を煌かせながら、口の前でそっと両手を合わせて】
【微かに首を傾げてみせる。尋ねた鈴の音の声はいつもよりも甘ったるく奏でて、答えを、待つ】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 21:41:42.66 ID:7aTOVrKSo

【水の国-噴水広場-】

【聖夜の夜、毎年カップルに賑わうこの場所だったが、今年は例外的に人はまばらだった】
【特に人が集まる場所である中心地の噴水の周りにはたった一人の男が座っているだけである】

【────そう、まさにこの男こそ、この状況を創りだした元凶なのであった】

…………。

【男は何もしていない。ただ、座っているだけである】

【そんな男の容姿といえば、深々とシルクハットを被るサングラスを掛けていて】
【漆黒のスーツを身に纏い、星柄のモノクロマントを羽織る。黒尽くめ、故に両手の手に】
【付けられた白い革手袋は良く映えた。肩には奇妙な鋼色の翼を持つ雀が止まっている】

【そう、座っているだけである。だが、それだけで人を寄せ付けないオーラが男にはあった】
【足を広く開け、両手の指を組みながら堂々と座る彼の鋭い目付きで不敵に笑うその表情は】
【マジシャンの様なその格好に似合わず他者を楽しませる気は微塵も感じられず】

      カタギノモノ
【明らかに無能力者とかけ離れたその雰囲気は今にもテロの一つや二つ軽く起こしかねない危うさがあり】
【こんな日にトラブルは避けたい人々は自主的≠ノこの場を離れていくのであった────】
【そう、彼は座っているだけ。座っているだけである────】
【誰かと待ち合わせる訳でなく────】
【一人(と一羽)で────】

【一人、いや……一組が、また一組と去っていくのを横目にしては……心の中で「ニヤリ」とほくそ笑み……】
【こんな夜だから……】 【いや、だからこそ……】【そう、有意義に──】 【か、彼なりに──】
【有意義な時間……を──】 【その……】 【す、過ごしている……】
【のだろう──お、おそらく、たぶん】

449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/24(火) 21:58:15.15 ID:8TjBCl3so
>>447

【彼の左耳で輝く宝玉に、】
【彼女の誓いを受けて、彼もまた手を添え、軽く目を閉じた】

【其れに、其処に在った事柄に、同じく誓約を重ねる】
【――道は違えど、同じ幸せを願ったであろう人に】

【そうして、己の左薬指に嵌められた指輪を、其処に輝く桜色を】
【目を細めて見ていた彼だったが、鈴音に問い掛けられて視線を上げる】

……名前で呼んで欲しい。セシル、と

【もう偽りの名も、代名詞も、二人の間には不要だろうと思った】
【呼ばれ慣れた其れから離れるのは心寂しくとも、】
【名前で呼んでくれるのなら、それを上回る喜びを感じられる】

――……鈴音、……

【誓い、指輪交換――キス。其れが、結婚の式順となる筈だ】
【名を呼んだ後に少しの間が在ったのは、同じく相手にもそれを求めたからだった】

【言葉の代わりにこうして視線で示せる事が嬉しくもあるが、一方で】
【その手段を永遠に喪う事を選んだ自分の愚かさに、後悔を一つ上塗りした】


【――名を呼ぶその鈴の音を、鼓動の奥へと響かせたなら】
【新たな指輪を嵌めた左手を、彼は相手の細い顎に軽く添え】
【黒と赤色に己のオリーブ色を絡めた後に、その唇に顔を寄せようとする】

【拒まなければ、交わされるのは深く、甘ったるい口付け】
【幾度目かになる其れも、今この場所では明確な意味を持っていた】


【――それから、セシルは鈴音の肩と腰にそっと手を掛け】
【俗にいうお姫様抱っこで、彼女を抱き上げようとする】
【長い裾も踏まない程度に器用に腕へと抱え、彼は何処か悪戯げな笑みを見せた】

【曰く、「とっておきの場所に連れて行くから」との事――】
【鈴音を抱き上げたまま、神殿の外へと彼は歩を進めていくだろう】
【外に近づくほど広がる満点の星のカケラと、何かのシルエットが見え始める】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 22:23:35.22 ID:axq4SIuc0
>>449

【――セシル、と。確かめるように出す声は、つまりそのまま了承としての意味を持つ】
【二度、三度、語調を変えて、雰囲気を変えて、試すように名を呼んで――やがて、ひとつのかたちに落ち着いたらしい】
【本来の順序に少しだけ余計なものを付け加えてしまったけれど。ふたりきりなら、気にするほどでもないだろうか】

……! ぅん、っ……、ふ――、

【名前を呼ばれてはっとする、求められることを知っていたはずなのに、いざとなったら顔を真っ赤に熟れさせて】
【数えることすらなくなった何度目かの行為、きちんと目を閉じれば、感じ取れるのは腰の砕けそうな甘さだけ】
【乱れる吐息と吐息がきっと混ざり合う、少しだけ背伸びしてみせたけれど――気付いてもらえた、だろうか?】

【――終えれば開かれる瞳が微かに潤んでいた。はぁと白い吐息を吐き出せば、口元を右手で拭おうとして、止める】
【真っ白の手袋をした手で拭ってしまえば汚してしまう。左手で拭ったところで、口紅の色を塗り広げてしまう、気付いたなら】
【少しだけ舌先で舐めて整えて。――唇を気にしているようだったが、彼女には気付いていないことが、ひとつ】

あ……、

【ふわと抱き上げられて見上げたところで、ようやく気付く、彼の唇へ赤色をつけてしまったことに】
【左手をそっと伸ばして拭おうとするのだろう、柔らかな力でどうにかなるものでもないかもしれないけれど】
【彼女の反応で察することも出来る。気にするなら、彼女を下ろしたあとで何かしら対処するのが、きっと良い】

取っておき? ――、どこ?

【――この場所で誓うと言う時点で大分サプライズだと言えた。反応らしい反応はなかったとは言え、驚いていたし――】
【懐かしいとも思ったし、少しだけ、苦い思い出だって。けれど、確かにふたりのはじまりの場所で、思い出の場所】
【取っておきってどこだろうと。記憶の中を引っくり返してみたけれど――彼へ甘たるく問うてみて、首を傾げただけ】

【お星様が綺麗だった。そういえば流星群も過ぎたばかり。少し粘れば、何か見えるのかもしれない、なんて】
【考えていたところで何かを見つけ出す。きっとそちらの方へ歩いていくなら、不思議そうに何かを見つめるきりで――】
【「なぁに?」と尋ねた声は、まるで心当たりのないことを示しているのだろう、ぎゅうと彼に抱きつきながら、そっと身を乗り出してみた】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 22:30:23.87 ID:uQgEMt3Eo
>>448

【――噴水広場にヒュルリと凍て風が吹き抜けていった。今、この場に蟠る哀愁をいっそう引き立てるほどの】
【渇いた空気はそこにある危険を浚っていくこともしない。或いは、そうすることも出来なかったのだろうか】
【身を刺すような寒さだけが、彼らを取り巻くように訪れる。――だが、そんなひと時も、束の間のことであった】


【再び、ひゅるりと風の音。ただその場に坐す一人と一羽の背後に接近するのは、しかし寒風そのものではなく。】



――――メリークリスマス、一匹狼(ロンリーウルフ)



【ボイスチェンジャーでも通しているかのような、不自然な高い声質で挨拶を投げ掛ける黒い“影”】
【手の五指を錆びた鉄爪で覆い、腰に小さな革袋を携えている――――“般若の能面”の黒装束!】

【……それはいつだったか、相棒に託した「記憶」の一部にあるものと全く酷似していて――!】

【――さて、軽やかに宙を舞うその姿は、どうやらサプライズでクリスマスプレゼントを配りに来た訳でもないらしい】
【接近が出来たならば、上げた右腕を勢いよく振り下ろす。対処しなければ鉄爪が身体を引き裂くことになるだろうが――】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/24(火) 22:50:19.07 ID:8TjBCl3so
>>450

【三十センチの身長差でする口付けで、】
【相手が自然背伸びをするように、此方も腰を屈めるのは】
【いつからか、酷く自然な所作になった――それは重ねた数を思わせるように】

【彼女の零す声と視線で、唇に付着した赤に漸く意識をやると】
【左手で拭ってくれるのをそのまま受け入れながらも、その指を悪戯に舌で擽って笑う】
【そうしてから、彼は特にそれ以上気にする体もなく歩を進めていく】

さぁね、秘密……――

【何処かとの問いには、こうはぐらかす所為で結局神殿の外に出た後にされる】
【尤もその時点で、既に解答は目の前に在る事になるのだが】

【或いは、ドレスをずっと秘密だと焦らされた意趣返しだろうか】
【こういう所は、偶に彼女よりも子供じみていた。けれど、楽しげなのは間違いなく】

【神殿の外へたどり着くと、大きなシルエットがその姿を露わにした】
【海を狩るべき海賊船のような、木造の帆船――其れは、空を駆けるための】

さぁ、乗ろうか。今宵は貸し切りにしてあるから、思う存分に夜景が見れる
……――高い所は大丈夫、だったね?

【待っていたのは、ただ二人のためだけに開放された飛空艇・シルフ】
【乗り込めば離陸し、神殿を高く見下ろす高度へと飛翔し始める】

【広い甲板上で鈴音を下ろした後も、その手を引こうとする紳士さが】
【今までとは違った意味を持つように感じるのは、】
【きっと――二人が夫婦になったから、だろう】

【空を飛ぶ木造帆船は、特殊な魔術によって外気の冷たさを遮断し】
【居心地の良い空間から一杯に広がるのは、風の国の神秘的な夜景】

【そして、装飾の施された船室内へと進めば】
【然程堅苦しくない形で用意されたディナーと、ロゼのシャンパンが並んでいる】

【広く取った窓の外に、夜空の星と地上の星雲を俯瞰する席での食事】
【其れが“取っておき”――勿論、気になるならば一度色直しを挟んでも良いし、】
【今のドレスのままでは、というなら、着替えのスペースもあるだろう】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 23:03:10.23 ID:7aTOVrKSo
>>451

【吹き抜ける男がおお寒い。と呟けば。それに同調するかのように肩の雀が「チュン」と毛を膨らませる】
【「今日は鍋にしましょうか」なんて、人々の楽しみを散々奪った男に相応しくないほっこりとした言葉を遮る様に、】
【旋風のごとく現れたその者の言葉に反応し振り向こうとしたその刹那──。ボチャン。と噴水から音がした──】


う、うぉおおぁあああァァァァァあああッッ〜〜〜〜!

【避ける事は叶わず、振り下ろされた凶刃は容赦なく彼の右腕≠切り落とし。噴水の中に沈めたのだった──】


わ、私の大切な腕が、うぉおおッ!そんな馬鹿な。あんまりだぁぁぁぁ!!ひえぇぇぇぐぉぁぁっぁあ……!いてぇよぉ!!ぐもーん!

【腕を切り落とされた男は座っていた噴水から転げ落ち、切り落とされた右腕があった所を左腕で必死に抑える──フリ≠した】
【それがフリ≠ナある事は容易に分かる。なにせ、切り裂かれたというのに血の一滴も流れてはいない。しかし、噴水に沈んだ腕≠ヘ本物だ】
【男は浮かべていた苦悶の表情を一瞬で真顔に戻し、片手で器用に素早く立ち上がるとマントを翻し、体に付着した汚れを軽く払った】


まったく、種も仕掛けも無いというのに。これではリアクション芸人だ。
──やぁ、こんばんは。素敵なサンタさん?良い子の私にプレゼントを渡しに来てくれたのかな。

【悠長な事にニコヤカな挨拶をする挨拶をする男とは対照的に、その方にとまった雀の眼光は主を思わせるほどの鋭さを見せる】
【シルバー・ウィングはひと目見ただけで記憶があの時≠ノ引き戻される。路地裏に般若のマークをプリントしまくる事13回】
【似たような仮面を付けてチンピラに喧嘩を吹っかける事7回──。その他もろもろ23回──遂に出会ったのだ】

【威嚇する様に叫ぶ。「チュンチュン!(兄貴ッ!間違いねぇぜッ!コイツは、この般若は────!俺の────!!!)」】

454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 23:25:24.74 ID:axq4SIuc0
>>452

【――慣れている、というのもおかしな話ではあるのだろう。だって、今日まで、親子だったのだから】
【父と娘。それだけ考えれば真っ赤で真っ黒でも、血の繋がりを思えば緑色で白色で、不安定な関係性は】
【一年と少しの時間を経て今宵終わりを告げた。これから先は――夫婦として、歩んで行くのだろう】

もう――……、

【むーっと頬を膨らませてみせる気配があった。けれどくすくすと微笑みに崩されて、ほどけてしまう気配も】
【そんな子供みたいな一面を見せてくれることが嬉しくて。いつもよりも子供ぽいのが、余計に愛おしく感じさせて】
【身体を支えるように抱き締める腕に力が篭る、――それが不安から来るものではないと、容易く察することが出来ただろう】

――わあ、すごい……映画みたい、乗っていいのっ?

【いつもみたいに歩いていたなら、きっと待ちきれないとばかりに早足になっていただろう】
【けれど抱き上げられた今では、彼のしたい風に焦らされて――やがて見えた姿に、わぁとはしゃぎだす】
【足を少しだけぱたぱたさせて、すごいって何回も口に出して、彼の私物かと思う風に見上げる視線もあったけれど】
【高いところが大丈夫かと尋ねられれば、「――大丈夫だよ、」なんて。瞳を細めて、焦らすように言葉を返した】

【――そっと身体が下ろされる。甲板をヒールの靴が踏みしめて、かたんと鳴らしたなら】
【少し前の死闘など露ほども知らずに、察せずに、きょろきょろと辺りを見渡して。きっとこの場の誰よりもはしゃいでいる】
【高いところが好きである。彼の兄なら電灯に登っているところを見たろうし、彼だって、もしかしたら知っていたのかも】

ふぁ……、おと、……――セシル、わたしこのままでいい?
もう少しね、着てたいの。……今日が終わったら、もう着られないでしょう?

【外よりも暖かな温度にどこか安堵したようにしながら手を引かれる、やがて案内された船内の、光景を見やって】
【食事ということなら着替えたほうがいいのかもしれない。けれど、そんな風に我侭する、その手に抱きつくようにしながら】
【「だから」「許して」と我侭は続く。それでも別のものを着せたいというなら、きっと彼女は言うことを聞くけれど――?】

【(――まだその呼び方に慣れていなかった。間違えたとぱちくりする顔を、誤魔化すように笑っていたとも、言えた)】
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/24(火) 23:42:55.24 ID:wwI8eWl2o
【酒場】

【今日は言わずもがなクリスマスイブ。家族や友人や恋人素晴らしい時間を過ごすのだろうか】
【ただ、それを彩る側の人間の人間だってそれと同じか、それ以上に必要なのである―――】

【素敵なレストランだけでなく今日明日は酒場だって賑やかなもので1人、2人、複数人と客層もバラバラ】
【今日は立ち飲みのテーブルを少し片付けて台なんか用意して、生バンドの演奏が特別な夜を演出していた】
【白いジャケットのバンドとバリトンのサンタのようなボーカルがクリスマスに相応しいジャズを静かに歌い上げる】

【ただ1人だけ、ビックバンドのウッドベースの男だけが黒いスーツでサングラス、おまけに頭に包帯をぐるぐる巻いて】
【中年のメンバーの中で1人若く、背が高く、いやに痩せていて頬に大きい絆創膏という不思議な奴が混ざって演奏していた】
【服装も十字架のネックレスにノーネクタイ、赤シャツと他の紳士たちと違って違和感があるが、演奏に違和感は全くない】

――――どうもありがとう。メリークリスマス。

【演奏が終わるとリーダーが挨拶。客やガラス窓から見ていた通行人も拍手をする】
【スペシャルイベントも終わって、黒スーツは周りと握手を適当に交わしてその輪から抜けだした】
【男は真っ直ぐ、ある立ち飲みのテーブルへと向かっていく】

あれ……?おい!なんだよぉ!俺のビール無いんだけど!……ハットもねぇし!

【そうやって声を挙げるが、すでに周りは談笑に戻っていてそれは喧騒にかき消された】
【行方を知っている人や何故コイツが弾いていたか気になる人間は声をかければ良い】
【まあそうでなくとも、この繁盛期に空いているテーブルはここぐらいだからちょうど良さそうな場所だ】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/24(火) 23:50:51.05 ID:uQgEMt3Eo
>>453

【噴水より少し離れた場所に着地する黒装束。能面越しに送る視線は、見えずとも感じられる程度に鋭い】
【そんな睥睨の視線も相俟って、嫉妬と憤怒に塗れた般若の厳めしい面が、形相の恐ろしさを引き立てる】
【が、黒装束の持っている心情はそれの表すようなものではない。あるのは、ただ純粋な“敵意”のみだ】

【切り落としたにしては妙に軽い感触、男の大袈裟な反応。不可解さと共に若干の呆れもあったようだが】
【相手が一通り話を終えるのを律儀に待てば、黒装束は右手を軽く振り払いつつ、向き直って言葉を発する】

……ふん、面白いモノは見せてもらったが……喧しいことこの上ないのが玉に瑕だな
そしてサンタではないし生憎“悪い子”の貴様にやるプレゼントなど欠片も無いのだ

あるとすれば“死”そのもの――路地裏界隈でこの私を有名人にした罪への、大いなる罰だ
機関の使徒に喧嘩を売ったことを死して尚恥じるが良い……「肩に大鷲を載せた奇怪・帽子男」よ

【彼らが例の件に纏わるトラブルを引き起こしていたことを、どうやら風の噂か何やらで知っていたらしい】
【あまりにも大胆な手口での“炙り出し”であったことから、さすがに黒装束も黙っていられなかったようだ】
【しかしながら風貌の情報として得ていたのは、――それこそ尾鰭の付きまくったような誇張されたものだった】

さあ、恨むなら貴様自身を恨め、後悔しても既に遅いがな――!!

【にこやかな男とは対照的に敵意を剥き出しにする黒装束――やはり方法がちょっぴり気に食わなかったのだろう】
【小鳥の威嚇めいた囀りを耳に入れると同時、低姿勢になりながら前方へと、ばねの弾けたがごとく飛び出しつつ。】
【両腕を胸の前で交差し、鉄爪を装着した手を思い切り握り締める。鋭く尖った爪先が手のひらを抉り、鮮血が零れ】

【クロスさせた腕を振り抜き・刺した爪を引き抜けば、『血で出来た十字』が男の胸元へと真っ直ぐに飛来する】
【手から滴り落ちるものや『十字』から沸き立つ湯気から、黒装束の血液は相当な「熱」を持っている模様である】
【物理的な攻撃力こそ低いものの、ほぼ熱湯に等しいものだ。素肌へマトモに被ったなら、熱による損傷は免れない】


【――尚、鉄爪が手を傷付けたとき、共鳴するかのように震えたのを……雀は、感じ取ることが出来ただろうか】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/24(火) 23:58:34.52 ID:i5Y4ext5o
【雪が降って来た】
【イルミネーションの光を反射して煌めく白い粒が空から落ちて、華やかな街を彩り冷ます】

【そんな景色を見下ろして、混ざれなくて、ただ遠くから高くから、違う世界だと自分と全ての人々に目線が語る】
【何をする為だったか、何の為だったか、最早忘れた、忘れられた。自分と全く同じな空虚の建物】
【入り組んだ骨が飛び出たフロアは、中間である筈なのに、それ以上は永遠に造られる事はない、悲しい頂点】

【背後に焼け焦げた死体を置いて、頂点から一人街を眺める少女は、何も語らず世界を視る】
【二つ結いにしてくるくる巻かれた、月のような金髪が揺れて、体をすっぽり包む布も揺れる】
【ボロボロになった布の切れ端からは、右手に持った斧だか銃口だかが一緒くたになった先端が覗いていて、黄金の眼差しはただ空虚に一点を眺め───】

【ガチャン、と重たい音がする。右手に持った、余りに巨大なライフルの銃口が、輝く街の巨大ツリーに向けられた】
【遠く遠く、イルミネーションに包まれた椵木、引鉄はまだ、引かれない】
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/25(水) 00:04:53.06 ID:kRSsjxrYo
>>454

……勿論。初めてこの船に乗った時から、
いつか君を乗せてあげたいと……ずっと思っていた

【微笑ましくはしゃぐ様子を見て安堵したように、彼はそう言う】
【二度の戦いを経た場所で、三度目にまさかこういう使い方をするとは思わなかった】

【それは船長や船員の方が驚いているだろうが――何せ彼は、愛想の悪い男だったのだから】

……――私も、今のままの君を見ていたかった
勿論、構わない……と言うよりも、着ていて欲しい

【矢張り慣れないのはお互い様か、と微かな苦笑に肩が揺れる】
【ドレスの裾を引きずる彼女の為にまず椅子を引いてから、彼も席につき】
【其れから、給仕役の船員がシャンパンをグラスに注いで、後は奥へと下がっていく】

じゃあ……今日という日に。乾杯

【そう言って、グラスを軽く上げて見せた彼は何処か慣れないような、そんな顔をしていた】
【台詞がどうも似合わないのを自覚した訳ではなく、ただ単に余り飲める方では無かったのだ】
【其れでも嫌いという訳ではないので、数度グラスを回し、酔い潰れない程度に口に運んでいた】

【――それからは、二人の時間】
【彼からは、この帆船で二度、仲間と狩りをした話などを持ち寄るだろう】

【特に先日の戦いでは、カイという男の協力で、この船の巨砲“龍”を放った事など】
【もしかしたら、彼女はその名前や特徴に思い当たる点があるかも知れない】

【尤も、基本的には鈴音の話を聞きたがる、そのスタンスはいつもと変わらないのだが】
【食事の後にも、甲板に誘って流れていく景色を示したりと、夜空の旅を満喫出来る筈だ】

【そして――出掛けに、骸骨の使用人達が目論んでいた事の種明かし】
【帰路についた二人がまず目にするのは、盛大なクリスマスの飾り付けがなされた館だった】
【人出があった為か、前年以上に大きなモミの木や、ついでにデコられた幻獣なども散見されていた】

 【(翌日の朝。やっぱりと言うべきか、セシルが先に起きていて)】
 【(鈴音の枕元には、彼の姿の代わりに大量の贈り物の箱があるだろう)】
 【(埋もれさせる意図すら感じられる中身は、大抵が服飾品であったりするのだが)】

 【(―― 一つだけ。きれいな球体のアクアリウムに藻と共に封じ込めた、)】
 【(赤いリボンを頭の辺りにつけた黒いミミズ(?)は、特筆すべき贈り物かも知れない)】

/遅れまして&非常に長くなり申し訳ないです
/それではこの辺りで失礼します、お疲れ様でした
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 00:13:21.50 ID:8ZlEk1Iro
>>456
/申し訳ないです。今日返せるのは次のレスで最後になりそうです。
/明日に持ち越し or 置きレスに移動 でもよろしいでしょうか。
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/25(水) 00:15:36.34 ID:Hh6Y6N2Do
>>459
/了解です、それでは続きは置きレスにてお願いします!本日は遅くまでありがとうございました!
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 00:35:37.65 ID:smqafKeA0
>>458

【今まで彼がこの場所でどんな顔をしていたのかなんて知らない、ただ、ほんの少しだけ空想してみて】
【その結果はきっと間違えているのだろう、だって彼女は、無愛想な彼の顔なんて、全然知らないのだから】

そっか……、――ありがとう。

【ずっと見せたかった景色だと言う。それなら、精一杯楽しむのが、きっと最上の礼になる】
【天井には満天の星空を、地面には満天の夜景を、ぐるりと煌びやかさに囲まれた景色を、しかと記憶に焼き付けて】
【危うげなく手を宙へ伸ばしたりしていた。飛んでいた鳥とすれ違って、――舟を横断した反対側まで、追いかけたりもして】

【それからのこと。ひととおり遊ぶに満足すれば、その手を引かれて、促されるままに席の前に立つ】
【引いてもらった椅子にとすんと腰掛け、数度ドレスの裾を気にするようにいじくっていたのだけれど――】

【――やっぱり着替えるべきなのだろうと今更思う。長い裾は邪魔だし、やりづらいし、楽な恰好でもないのだし】
【けれど彼がこのままがいいと言ってくれた。自分だってこのままがいいと思う、それなら、着替える選択肢は、ない】
【そんなことをしていては彼を待たせてしまうし料理を待たせてしまう。ひいては、裏方のひとたちも――】

明日にも。明後日にも。その先ずうっと……“死んじゃっても一緒だよ”

【ついとシャンパンのグラスを持ち上げて、乾杯とする。きらきら立ち上る泡に視線こそ取られていたけれど】
【いっそグラス越しに彼を見ていたのかもしれない。それぐらいに、ほんの少しすら逸らさず、意識は彼へ向けられて】
【――そのうちに視線は動いて真っ直ぐに彼を見つめるだろう。今のうちだと言う風に、微塵も揺らがず、真っ直ぐと】

【(彼から魔力を貰っている以上、彼の死がそのまま彼女の死に直結する。だから、生きていても、死んでいても、ずっと一緒)】

【彼よりもずっと酒に強い体質だった。ただ、飲むペースのやたらに速かったりするのは、場に酔わされたせいもある】
【二十歳になってからぴったり半年。まだ慣れていないというのが正解なのだろう、自分の限界を察しかねていた】

【――カイを知っているの。それが彼女からの問いかけで、ひどく驚いた顔で、既知なのだと説明した】
【バレンタインに悩んでいた時に話を聞いてもらった話でもするのだろう、御礼をしないと、なんて思いながら】
【さて、そのあとの話は雑多に渡る。親子の頃と変わらずに、お話して、食事をして、時間が過ぎていく】
【食事が終わった後の甲板での時間も、絶対に忘れられないぐらいにきらきらして――】

【「――こんなにしあわせでいいのかな」】
【満天の星空を見上げながら、彼女がぽろりと零したもの。そんな言葉と、涙が頬を伝い落ちて】
【こんなに幸せになれるなんて思っていなかった。嬉しくて、少しだけ不安で、溢れる涙を】
【きっと彼が拭ってくれるから、すぐに泣き止んで――嬉しそうに、笑ったのだろう】

【(やたらとテンションの箍がおかしくなっていたのは酔っ払っていたせいもあるのだろう、とは、余談)】

【去年よりも豪奢に飾られた館を見て瞳を丸くする。使用人たちのしたことだと気付けば、やられた、と。そんな顔】
【それから先は。クリスマスの夜を、夫婦として始めての夜を、緩やかに過ごすのだろう。ベッドの上ででも語らえばいい】
【その腕の中にはきっとドレスを着せられた兎のぬいぐるみが居て、でもきちんと彼の手も抱き締めて、】
【眠ってしまうその瞬間まで。そんな風に、はじめての夜が、過ぎて行った】

【(「これなあに?」って尋ねたのが、彼女の朝一番の言葉、だった――)】

/おつかれさまでした!
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/25(水) 00:55:03.63 ID:5RnJkNbJ0
【雪がうっすらと積もり、白に染め上げられた公園】
【其処に備えられたベンチに座るのは一人の女性。襲い晩ご飯、或いは夜食と思われしサンドイッチを食べている様は特に目を惹く物でも無いけれど】
【――――その纏い物が所謂修道服。更に、頭には茶色の猫を乗せていたとなればどうか】


「ねえ…………好い加減首が痛くなってきたから降りてくれると嬉しいんだけど
…………おーい、聞いてる?全く――――困った子だなぁ。ボクはゆっくりご飯を食べたいってのに」

【そんな猫を無理にどかす訳でも無く、黙々と食べている様は何とも奇妙な光景】
【時折強請る様にフードを?いてきたならば少しだけ千切って分けてやり、再び食し始める】
【――――奇妙にして平和な一幕。そんな事を何度か繰り返し、遂にサンドイッチも無くなれば猫も満足げに飛び降りて】
【挨拶のつもりか、ゆるりと一度尻尾を振れば気ままに何処かへと歩き去るのだろう】


「結局、半分位食べられちゃったなぁ…………腹八分目が良いって言うけど、これじゃあ五分目にも満たないよ
さーて、適当に何かお店でも…………っと?」

【そんな小さな生物を見送って、やがてはベンチから立ち上がり】
【足で雪を分け、適当に絵を描いていた時にこの場に訪れた新たな存在に気付く事だろう】
【警戒の色は無く、ゆるりと笑みを浮かべて「こんばんは」何て言葉を投げかけるけれど】







【聖夜。森の中――――其処に存在する、廃れた教会】
【外装はまるで廃墟と間違える程に荒れており、壁には蔦も這っていて】
【場所も場所故に、訪れる者が滅多に居ないそんな場所。然れど、教会内からはカツカツと足音が響いており】
【疑問に思って扉に手を掛けたならば――幸いか否かは分からないが――ギギと低い音と共に、開く事だろう】


「…………この時間にどうかしましたか?
……助けが必要でしたら、出来る限りお力にならせて頂きますが……」

【――――視界の中に映るであろう、一人の修道女。右手に聖書を携えている事から、恐らくは礼拝か何かの最中であったか】
【訪問者の存在に気付いたならばそちらへと視線を変えて、小首を傾げる事だろう】
【どの様な理由で、此処へ訪れたのか――――と】


「こんな森の中です――――もし、良ければお座り下さい」

【こんな森の中、歩き回るのは疲れたであろう。もし良ければ、適当な所にでも腰を掛ける様にと促して】
【…………座ろうと座らなかろうと、再び問うのは此処を訪れたその理由】
【珍しくてふらりと寄ったのか、宿を求めて訪れたのか――――はたまた、別な理由か】
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 01:28:22.44 ID:8ZlEk1Iro
>>456


奇怪ッ!?どちらかと言えば愉快な男であると自負しているのですが────。
やれやれ、もう少しロマンチックな事の進め方をすれば良かったですねぇ、それにしても大鷲……。シルバー・イーグル……。悪く無い。

【などと、主がいつも通りの呑気な冗談を雀に投げかけるが、いつもの様に突っ込みは返って来なかった】
【やり取りを続ける間もなく、飛来するのは赤い斬撃、炎か熱線か、いずれも否。『血の十字』である】

【それに対して、男が取った行動は回避でも迎撃でもなく。左手を突き出す≠ニいう行動であった】
【突き出された左手は『血の十字』の交差部分を握りつぶす様に閉じられる。男は『血の十字』を喰らった】
【高温を持つそれを触れるという事は彼が人間である以上。火傷は免れない。しかし、ここで急速な変化が現れる】
【『血の十字』は彼の左手だけではなく体にも振りかかる。接触しなかった部分は地面などに落ちるか、広場のどこかに付着するのだろうか】
【リロードに触れた血。触れなかった血。明らかに違う。リロードに付着した血は、既に 湯 気 を 放 っ て い な い 】
【────急速に奪われているのだ。彼に触れた、熱が!血が!】


【男の能力────『リロード&リリース』!物質などを別の物質に取り込む異能!取り込む入れ物≠ヘ自身とて例外ではない】
【しかし、発動条件は接触。故に血の十字は間違いなく男に付着し。火傷を負わせるだろう。だが、そこで止まる。触れた先から『リロード』したのだ】
【能力を受けに集中し、ダメージを覚悟するのならば、瞬間破壊力の攻撃でない限り、最小限の被害で食い止める事が可能となる】


(強烈な熱を持った……血、ですか。能力──いや、特異体質……はたまた、人外か)

【そして、リロードは理解する。現状、事は単純だ、能力を使わずも分かる内容ではあったが重要なフェーズである】
【先手必勝が打てる状況ならともかく、既に先制攻撃をされたこの状況。ならば、最初の数手は──捨てる℃フてて観察する】
【自分の手札も僅かに晒す形だが、奇抜な奇術攻撃≠ヘ入念な準備から成り立つ。故に得意技は不意打ち。苦手科目も不意打ち。なのである】


【──相手の手札の一枚を盗み見た、リロードが仕掛ける種、策、手札≠選んでいる時。シルバー・ウィングは彼の肩で震える様に固まっていた】

 【ドクン。鋼色の雀は小さな心の臓の大きな鼓動の様なものを感じた】
 【それは今日、二度目になる。最初は。黒装束の被る般若を見た時】
 【シルバー・ウィングと玖雀は昔は一つのもので、今はまた、一つのものになった】
 【だが、リロードといた長い時間で個の感情を深め。まったく別のものになっていた】
 【シルバー・ウィングにとって、元々同じもので本体≠ナあった玖雀という存在は常人には理解出来ないような複雑な存在だった】
 【故に、シルバー・ウィングは今の感情を処理できないでいる。怒り?哀しみ?憎しみ?困惑?いずれにせよ、気分の良いもの≠ナはない事は間違いが無かった】

【チ、チュン────…………。雀が鳴いた。男は雀の言葉を理解する事ができるが。これは言葉になっていない、唯の雀の鳴き声だった】
【「まかせろ。」、と。男は、それに笑って答えた。隻腕の男はマントをはためかせ。】


シルバー・ウィング。ここから先は、リロード・ザ・マジシャン≠フ、お前のためのS H O W T I M E だ!

【To be continued... 。置きレス用スレに続く────】

/ありがとうございます。それではオヤスミなさい!明日以降もよろしくお願いします。
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/25(水) 01:29:30.55 ID:xLKEQQ2Po
>>457
//短くなりそうですが……まだいらっしゃいますか?
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/25(水) 01:35:49.54 ID:sJ8SBO7eo
>>464
/いますよー
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 01:36:32.44 ID:5PfPqKEMo
>>462

【場所は公園。猫の去った先から、一つの人影が夜陰よりすぅ、と姿を見せた】
【背は1280cmほどで筋肉質。白のローブとマントを着ていても分かる程度には、である】
【そして背には長大な槍、首元からは古いロザリオを下げた――これまた、宗教関係の人間だ】

―――聖夜に猫と優雅に夕飯とは、この辺りでは修道女も暇なようだな
平和は結構だが、もう少し身分というものを自覚したらどうだ……女。

【が、性格は恐ろしく厳しい。顔も同様だった。会うやいなやで人を責めるのだからたまらない】
【もっとも、だからこそ反面、まだ若いと見えたがその信仰心のアツさも図れようというもので】

【それからもう一人――彼の背後から近づいて来る、恐らくは知り合いだろう人物が見えた】
【背は同じ程度だが体の線は細く、金髪。大きめのバッグを抱えていたが】
【一方で格好はシャツの上に豪奢なマントとなにかちぐはぐ。些か聖職者には見えなくて――。】

/まだいらっしゃいますかー?
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/25(水) 01:54:48.09 ID:5RnJkNbJ0
>>466
「――――いやだなぁ。ボクがクリスマスに礼拝なんてしてたら、世界が引っ繰り返る程驚いちゃうよ」

【クスリと笑いながら言葉を漏らせば、何処か不真面目とも思える態度】
【クリスマス当日ともなれば、教会にはとても大切な日である事に間違いは無い】
【…………其れにも関わらず、この修道女は悪びれた態度を見せる事も無く飄々としていて】


「身分、身分ねぇ…………ふふ、君こそ若い内からそんな顔してたら、年取った時に梅干しみたくシワシワになっちゃうよ?
…………まっ、良いさ。ボクは教会で大人しく礼拝やアリアを唄う様な質じゃないからぶらりと散歩をしていただけだよ
――それで。君と…………その後ろに居るお仲間は、こんな平和ボケしてるボクに何かご用かな
お説教なら…………右から左に流しながらでも良かったなら一応聞いておくよ。一応君も、関係者みたいだしさ」

【男性の性格は、最初の印象で読み取る事が出来よう。其れを知っていながらも、からかいの言葉を投げかけて】
【肩を竦めたその時――――もう一人の存在に気付いたのだろう】
【二人に言葉を投げかければ、〆の言葉もまた同様。堅物な者であれば良い印象を抱きそうにもないけれど――――】

/居りまするよー!
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 02:15:19.57 ID:5PfPqKEMo
>>467

不誠実なものだな……そんな薄っぺらい心持ちなら修道服など脱いでしまえ
それは貴様のような浮かれた輩が着る服ではない。
……そもそも、宗教とは戒律。それを微塵も守らぬ貴様が、恐れ多くも神―――

『―――はいはい、ハイ!お説教はその辺りにしてよフレデリック』
『なにせ夜中だし近所迷惑だ。神云々の前に相手も女性、取る態度を変えるべきだって』

【一体どんなお説教が始まるのか――俄に走った下らない緊張を切って捨てたのは件の一人】
【この対応一つで、もう関係や性格は分かるだろう。見た目に違わぬ適当ぶりが第一】
【そして、フレデリックという名前――知っているだろうか。宗教といえばその都市、と言われる――】

【かのゼン=カイマ≠フ近衛騎士団がどうとか、以前噂に上がったアリギエの討伐がどうとか】
【その辺りで名を広めた男のそれと一緒なのである。ともかく、口うるさい彼も金髪の若い男に制されて】

『いや、ゴメンゴメン。良い奴なんだけどお固いのが難点でね……まあ、腕は立つんだ』
『どうしてそんな事を最初に言うのかは、君の質問に答えるためだ。つまり、護衛でね』

『申し遅れたが僕はアンドレイ・ニキシビリチャチ≠チてしがない画家さ』
『彼とは子供の時からの親友で、夜とか、物騒な時間と場所に行くときは護衛をお願いしてるのさ』
『で、このバッグは画材入れ。今日はもう帰る所だったんだけど、彼が君を見た途端――ね?』

……ふン。よりによってこのような日にこのような場所で油を売っているから悪いのだ
貴様、名は何という。事と次第によっては教会の方に訴え出てやらねばならんかrあな、さあ言え今直ぐ――!

【――これまた、凸凹なコンビといえる。飄々と要領よく自己を紹介するアンドレイに対し――】
【フレデリックはまた、憤怒。早死しそうな気もするほどで、無論無理に答える必要は無かった】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/25(水) 02:16:07.41 ID:xLKEQQ2Po
>>465
/うおっと、見逃してましたすみません! それでは、まだよろしければですが……
>>457
【ホワイト・クリスマス。街の灯を浴びて輝く雪の結晶たちは、さながら空から降る星のようだ】
【愛だとか色恋だとか、呼称は兎も角としてそういう甘ったるい空気に染まった往来では】
【この雪は、まるで僕たちの前途を祝福しているかのようだ──なんて、恋人達が囁き交わす。そんな中】

【黒々と口を開けた夜空を見上げて、小さく溜め息。夜気に溶けてゆく紫煙を目で追いかけつつ、名残惜しげに最後の煙草を踏み消し】
【ずり落ちかけたソフトハットを押さえて、所在なさげに辺りを見回すのは、ひょろりと上背の高い黒服の男】
【戯れに降る雪のひとひらを掴んでみようと踏み出せば、積もった雪に軽く足を滑らせて】
【その痩せたシルエットはツリーの根元、少女が眺めるレティクルの真ん中に躍り出る】

【尻餅をついた男の視線が、ふと少女のそれと重なる。思わぬドジを踏んでしまった自分にか、或いは──もしかすると、彼女にだろうか】
【どちらに向けたものであるのかは定かでないが、彼は憂いを帯びた、ごく淡い笑みを浮かべた】
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/25(水) 02:32:49.93 ID:sJ8SBO7eo
>>469

【覗き見たアイアンサイトを通して、遥か遠くの景色を近くに移す、黄金の瞳がカメラのピントめいて絞られて、それを捕らえた】
【マヌケに転び、笑みを浮かべたその顔に、何も反応は起こさずにただ無表情、特に何も気にしない】
【感情の無い機械の様に、ただ引鉄を───】

……!

【ライフルを構えた少女が、顔を逸らして振り返る。眺めた暗い夜の空から、震える空気が近付いてくる】
【少女は素早く身を翻し、建物の上から飛び上がった、表情一つ変えないが、何かから逃げる様に建物を飛び継いでいく】
【『何処へ向かう?』『何処まで行く?』】
【どれも何も分からない、分からないが、無意識に向かう先は『その場所』だ】

───……

【───やがて、少女はやってくる。遠くに見たツリーの下へ、こちらを見ていた男の元へ】
【遥か上空から飛び上がり、地面に着地した少女。舞い上がった布の下にある彼女は、一糸纏わぬ裸足と肌色が寒空に一瞬躍る】
【白色人種の肌色と、肌色にバラバラに散らばるカラフルなマーブル模様のある素肌が一瞬だけイルミネーションに晒された】

【歩く人々は少女の着地の瞬間は見ていない、静かな着地に一瞬振り向くも、また各々の方向を向いて】
【少女もまた、着地すると振り向いて、曇った夜空を見上げるのだった】
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/25(水) 02:44:40.98 ID:5RnJkNbJ0
>>468
「さあ。誠実不誠実は君が決める事でも無いし司祭が決める事でも無い
――――宗教は救済じゃ無いかな。守るべき戒めが欲しければ法律の本でも――――…………」

【先の通り、男性の性格は何と無く把握している。それ故、自分に反論されれば怒ると考えに至ったのだが】
【…………知っていながら其れを実行するのだから、質が悪い】
【適当に言葉を紡ごうとしたけれど、その前に青年の仲裁が入れば大人しく口を閉じて】


「ふぅん。フレデリック…………ねぇ。噂は聞いて居たよ。ゼン=カイマや他の事も。勿論、細かくまでは知らないけれど――――少しだけなら、把握してる
それにしても…………随分と“頼もしい”護衛だね。弱い弱い女の子に対して猛々しく吠えるんだから、本当に頼りになりそう
寒い中、女の子に脱げなんて言うんだから…………ねぇ?」

【その言葉は嫌味である事は、男性ならば直ぐに分かる事だろう。神経を逆撫でするような言葉】
【序でにピンポイントで男性のみを狙った其れなのだから、性格の悪さも覗えよう】
【鼻で笑ったりせず、緩い笑みを浮かべたままではあるが…………其れ故に、不快に思う者だって居るだろうか】


「グリース・イムリンパルス。教会に言うなら好きにすると良いよ
――――死を穢れとする其れが、果たして命を奪うことを職務とするボクにどんな罰を与えるのかは分からないけどさ
…………嗚呼。でも、また前見たく大きな鳥を今度は一人で殺せって言われるのは嫌かな。あのウネウネした虫を全部駆除しろって言われても無理そうだし、幾らある程度水を使えるようになってもやっぱり元々扱える種族相手に敵うはずも無さそうだしさ」

【二人の言葉に応えるかの様に自身の名を告げて、更に言葉を連ねた】
【自分の役職。命を奪う――――即ち、殺害する事。アンデット等であれば、そう珍しい事でも無いけれど。何処か含みを持たせた言い方はまた別な種族生命をも殺めていると感じ取らせるには十分で】
【さて、最後には何時の日かの怪鳥―― テナー ――を匂わせる言葉で締めくくって。虫に水。少しでも知っていたならば、討伐者の一人だ有ったとの結論に辿り着くには十分。或いは――――】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 03:08:20.04 ID:5PfPqKEMo
>>471

【女性の煽り言葉――それも相当に苛烈な一言一言に、フレデリックの表情は暗くなり】
【ちょうど街灯の明かりが重なって、彫りの深い顔は影に隠れてしまい】
【唯一はっきりと見える額には、人間ここまでになるのかと思える程の青筋が浮いており】

【一方でアンドレイはそれを見てクスクス笑い、戦慄くフレデリックを身を以て制しながら】
【それがクセで、当然のことで、と言うように、女性の方をじいっと見遣り――】

『……あぁ、やっぱりそうだ。恐水鳥テナーの討伐隊に居た人、でしょ?』
『活躍は聞いたよ。いや、誰がどんなふうに戦ったかまでは知らないけど……倒したんだろ、あれを?』
『僕、化け物と戦う勇者の絵って言うのが好きでね。アリギエの時のも描いてるんだ』

『で……あぁ、フレデリックへの挑発の話だっけ。そこらにしといた方がいいと思うけどね』
『自慢じゃないが、僕は自分がマトモに戦えない分、彼に命を預けている……』
『言い換えれば預けてもいいほどの信用と力を彼は持っている。そして、騎士団長様は沸点が低くてね』

【何はともあれ仲良くしてよ――なんて、宗教という枠の外に居るアンドレイだからこそ、そう言って】
【ふと取り出したのは一枚の写真だった。例の、炎獅子アリギエと数名の勇者の絵を撮ったものだ】
【が、何名分か空きがあって、どうもそれは誰がどう戦ったかを知らないかららしく】

煮え湯は敢えて飲み下してやろう、グリーム・イムリンパルス……だが後日だ――覚えていろ。

……今宵、私がこのアンドレイと歩いていたのはまさにかのテナーと戦ったものを探して居たからだ
生憎とアリギエについてはまだ行方が知れない者も居るが、あの大きな鳥に関しては別……
偶然にも貴様はその一員だと公式に発表されている。……用はそれだけだ、コイツが貴様の顔を見れば、もう用は――

『――いやぁ有り有りだよ。で、恐水鳥ってのはどんな感じだったんだい?』
『死体は見たけどありゃただのデカイ鳥でしか無い。とても5人やそこらの手をわずらわせるようには見えなくてさ』
『あ、それとテナーの絵、君も足して描いていいかな?大丈夫、本物に負ける程度の美人にするから。』

【テナーに付いての質問、そしてその絵を描いても良いかという2つ目。アンドレイは、底抜けに明るかった】

【だが勿論、フレデリックは違う。睨んでいた。最も恨みではなく、警戒のような視線である】
【恐らくはグリースの言葉の意味を理解しているのだろう。何事かアンドレイの耳元でささやいても居たが――】
【――質問は途切れない。この画家かぶれも馬鹿か、それとも肝が太いのか。兎角、奇妙な二人組だった】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/25(水) 03:19:55.00 ID:xLKEQQ2Po
>>470
【きらり。アイアンサイトに照り返す街明かりが、男の眼を刺したかと思えば】
【小柄な影が屋根から屋根へ飛び移りながら、イルミネーション煌めく広場へと駆けてくる】
【目を眇めて見れば、それは年端もいかない少女。何かに急き立てられるような足取りだ】

【擦り切れた外衣に、少女の矮躯には凡そ似つかわしくない大口径のライフル。濃厚な厄介事の気配】
【逃げるべきか一瞬迷って、しかし男はその場に留まる。手持ち無沙汰にコートのポケットを探って、小さな缶を取り出すと】
【プルタブを押し上げて、湯気立つ中身を煽った。煙草のせいで味など分かったものではないが、飲んだ分だけ身体は暖まる】
【熱が喉を滑り落ちてゆくのを感じながら、白い溜め息をまた一つ、「熱い」と一人ごちる。彼は、猫舌だった】

……寒く、ないのかい?

【男は肌を刺す寒気に身を震わせながら、猫めいて音もなく広場に着地した少女を見遣る】
【銃、所属、あの場所にいた理由、問いたい事は山のようにあったが、それらを考える前にふと純粋な疑問が口を衝く】
【この寒空にこの格好、見ている方が寒くなりそうだ。子供は風の子などと俗に言うが、どう考えても彼女のそれは行き過ぎていた】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/25(水) 03:38:30.59 ID:5RnJkNbJ0
>>472
「絵、か…………だから画材って言ってたんだね
まあ、倒したと言えば倒したんじゃ無いかな。ボクはただ着いていって…………他のみんなの邪魔にならない程度には頑張ったつもりだけど

――――ん。そうしておこうかな。騎士団長様とやり合える程ボクも実力を持ってる訳じゃないからね
じゃあ、仲よくしよっか。フレデリック」

【男性は正論を言っていた筈。此処まで怒らせたのは、この修道女の屁理屈】
【これ以上は挑発行為をしない方が良い、との警告を受けたならば素直に頷くけれど】
【所詮は水と油。相反する二人はそう仲よく出来る筈が無い。――――然れど、男性が大人であった事が幸いか。争いへと発展する事も無く】

【その写真に対しては、興味津々といった様子で覗き込むのだろう。学は無いし、絵に対する知識も無い】
【しかし、上手い下手程度は分かるつもりであったし、その絵がこの修道女にとって上手い部類に入るからこそ、食い入る様に見つめて居た】
【――――それも、男性が締めの言葉を吐くまでであったが】


「…………そっか。じゃあ帰って今日の支度でもしようかな
子供達も今日は沢山来るだろうし、早めにクッキーを焼いた所で損は――――」

【サンドイッチのゴミを捨てて、その場を去ろうとした時】
【青年の言葉に足を止め、背中で聞いていた事だろう。迷う様な素振り。どの様な表情を浮かべて居るのか分からないし、元よりその性格が素であるかも分からない】
【――――ただ。振り向いた時には、今までと同じ様に屈託の無い笑みを浮かべていて】


「――――って思ったけど、美人に書いてくれるっていうなら質問に答えちゃおうかな
ただの五人じゃ無いよ。みんながみんな能力者で、其れで飛空艇シルフを使わせて貰っても苦戦したんだ
アレが無い状態で放り込まれたらと思うとゾッとする位には苦戦したよ」

【きっと、向けられて居る視線の意味にも気付いている。耳打ちの内容こそ聞こえないが、護衛ならばそれなりの事を伝えているのだろうか】
【仮そうであっても、マイペース。近づいた際に腰に提げた銀の双銃が月光に照らされ、本人が其れに気付くも気にした様子は無く】


「あの後も色々あったからね。少し思い出しながらだから時間が掛かるけど…………それでも良いなら、話すよ
あ、でも…………話した後は、一つお願い聞いて欲しいかな」

【了承の意を伝え、加えて少し時間を要するが良いかと訊ね】
【――――最後には、全て伝えた後には一つだけ願いを聞いて欲しいと付け足すが】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/25(水) 03:39:32.07 ID:sJ8SBO7eo
>>473

寒い───…?

【空を見上げていた視線が、空に『それ』を認めなければ振り向いて】
【男の言葉に、人形の様な表情を向けて、静かな高い声が繰り返す】

寒い……『寒い』…検索……

『寒い』───体感温度低下により生じる感情…
…体温低下……寒い…温度向上プロセス……エラー 機能凍結中───

【男ではなく、虚空に向かって呟く度に、黄金の瞳がちかちかと輝いては消える。まさか『寒い』という感情がわからないなどと、にわかには信じ難いような旨の発言】
【それ以上に色々と不自然ではある、容姿といい雰囲気といい発言といい───ただの人間とは言い難いような…】

質問、回答を求めます
即時的な体温上昇方法を要求、このままでは『寒い』の悪化に伴う人体的不具合再現シーケンスが発動する恐れがあります

【もし、彼女に触れたのならば、きっと人間なら既に息絶えているくらいに冷たい】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 03:57:12.62 ID:5PfPqKEMo
>>474

ふッ……貴様のような破戒者と仲良くなど、神が言いでもせねば絶対にしない。
……が、他ならぬアンドレイの言葉でも在ることだ。口くらいはきいてやろう

【頑固一徹、とでも言うべきか。まあ何にしろ――神と同じくらい大事なご友人≠フ甲斐もあり】
【一先ず、ぴりぴりとした強者同士の諍いは落ち着きを取り戻したといって良いだろう】
【瞬時、月光が差す。銀の双銃が煌めいて、アンドレイもフレデリックもそれを見たが――】

【勿論、視線の意味は変わる。厳格なフレデリックは、護衛者としてそれを見ていたし】
【逆に討伐譚の一端を聞いて興味を引かれていた画家はと言えば、楽しげに目を光らせ】

『美人にだなんて勿論さ。本物が限りなく素敵だから、それ以上とは行かないけどね
 完成したらお見せするよ……っと。もし良ければ、他のメンバーの特徴なんかを教えてもらっても?』

『……それから、是非そのテナー討伐の話、詳しく聞きたい所だね
 能力者5人が飛空艇なんて物に乗って、それでもなおゾッとするほど苦戦した巨鳥……
 一体そこにどんなドラマが在ったのか?……アイデアが、こう、湧いてきそうでさ――?』

『何だい、一体。僕らに出来る程度のことであれば、お願いの一つや2つは当然聞くけど……』

……なぜ当然のように願いを聞く者の勘定に私が入っているのかは、解せないが――
言うだけ言ってみろ、女。無論、全てを話し終えてからの事になるがな……。

【そんな遣り取りを挟んで、一先ず交渉は成立となるだろう。そして、ふと耳を傾ければ】
【アンドレイは一言一句を聞き漏らさぬようにと、神経をとがらせるほどに集中してグリースの声を待った】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/25(水) 04:24:31.34 ID:xLKEQQ2Po
>>475
【極力威圧的に見えないよう、膝を屈めて、目線の高さを相手に合わせる。犬猫や子供に接する際に効果的な手法ではあるが】
【ことこの少女に限っては、それは如何なる効果をも齎さないだろうと、彼女の言動から男は察した】

……あー、おい。待ってくれよ……これはつまりだな、まさか……。

【星が瞬くように瞳の中で明滅する光。ここではない何処かの──或いは己の内側の誰か/何かに、語りかけるような言葉】
【十中八九この少女は、真っ当な人間ではない。形なき霧のように漠然とした不安感が、確信に変わる】
【間違いなく、この少女は厄介事を引き寄せる。星の国の市街でも、ここまで精巧なガイノイド紛いを目にする事は恐らくない】
【彼女が妙な薬でも決めたただの人間なら話は別だが、麻薬中毒者はふつう大口径の銃を担いで屋根の上を走らない】

まず、人体には恒常性ってものがある。
今の君は、この恒常性──人体が持つ体温の調節能力を超えて寒冷環境に曝されつづけた結果、低体温症を起こしている。
風雨を避け、可能であれば乾いた厚手の衣類に着替え、しばらく安静にしていれば回復する筈だ。
運動はむしろ逆効果になる。冷えた血液が身体中を巡るわけだから、体温を余計に下げかねない。

ほら、羽織って。少しはマシになるだろう。……それと、とりあえず座るといい。

【どちらに転んでも、厄介事の種だ。しかし、だからと言ってそれは男が少女を見殺しにする理由にはならない】
【厚手のロングコートを脱いで、抵抗がなければ男はこれを少女に羽織らせようとする。丈が余るかも知れないが、却ってその方が好都合だ】
【その後、彼女に近くのベンチに座るよう促してから、自分は一足先に席に付き、缶の中身を煽った】
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/25(水) 04:25:51.39 ID:5RnJkNbJ0
>>476
「――――ハハ。そう言って貰えると嬉しいよ。コレでもボクは一応女だしさ
でも…………悪いけど、他のメンバーの特徴は言えない。いや、正確に言うと覚えて無いんだ
もしかしたら、君達の方が詳しいかもしれない程に覚えて無いんだよね」

【その言葉は嘘か真か。嘘だとしたならば――――その性格にそぐわず、警戒を抱いて居る事になる】
【然れど、討伐者達が公表されていたならばアンドレイ達の方が詳しい事は事実か。あの討伐騒ぎの中、あまり交流をせずに飛び降りてしまったから…………と言うのが本当の所だが】
【兎にも角にも、それ以上は紡がれない。いや、紡げなかった】


「インスピレーションっていうのかな?ボクにはそっちの才能が皆無だからよく分からないけど…………
そうだね。まず、大きな鳥と言う事は君達も知ってるんでしょ?
ただの大きな鳥だったら五人も要らないし…………それこそ、ボク一人にだってどうにか出来る
でも、その鳥が水を自在に操って、しかも厄介な虫も一緒に居るとなれば状況は一変するよ。嗚呼…………後、唄もあったね」

【目を瞑り、当時の状況を思い出しながらポツリポツリと語り始め】
【簡潔に纏まってはいないものの、全く伝わらない其れでも無いだろうか】
【ただの鳥では無く、水も操るからこそ厄介。其処に思い出した言葉を連ねていけば、何故能力者が五人も必要であったか。そして何故シルフを用いたかも理解出来よう】


「その虫って言うのが齧り付いた人間の魔力を吸うなんて特性を持っててさ
…………今でも疑問に思うのは、なんであの鳥にくっついていたかって事だけど
と言うのも、あの虫は“闇”みたいでね。そしてテナーは“聖”で焼かれなかったから…………コレは別にいいっか。話してて、ボクも混乱して来ちゃうから
一番驚いたのは、あの鳥が大砲の一発二発で倒せなかった事と…………その弾を嘴で咥えた事かな。其れだけでも、アンドレイの描く怪物には十分だと思うけど
――――皆の能力は分からない。身体を動きやすくしてくれたり、盾で守ってくれた人も居た。でも、ボクには詳細までは分からない
ふふ…………ただ、ヨブ記みたくお祈りすればする程酷い目に遭うって事は無かったみたいだ。こうして五体満足で話して居る訳だしね
あの唄もまるで船乗りを引き寄せる不吉の唄の様にも聞こえたけど…………そんな不吉な唄ほど綺麗に聞こえるんだから皮肉だよね

――――別に、ボクのお願いは急ぎじゃ無い。もう少し話した方が良いならその時の事を思い出すし、必要なければもう口も閉じるよ?」

【怪物と勇者。宗教画に近く、遠い其れ。アキレスやヘラクレス等の絵を思い浮かべるが、其れには少し遠かったかななんて一人呟けば苦笑を見せて】
【――――もう少し言葉を続けろと言われれば、きっと修道女は続ける。又は質問や突っ込みがあれば答えるだろうし、テナーを理解出来たとでも言えば、其処で一旦話は途切れるのだろうが】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/25(水) 04:41:02.41 ID:sJ8SBO7eo
>>477

回答を確認、対応を把握しました

【男を見つめ返す眼は、人形の様に冷たくて、子供のように純真無垢】
【人間のように低体温症を起こす事はないだろうが、よりリアリティを出す為にそれが『再現』される可能性は十分にある】
【少女は着せられるままにコートを羽織り、言われるままにベンチに座る。お手本のような、綺麗な座り方だ】

…………

【目的も無ければ理由も無い、少女は話す事も無いので、自分が来た方向の空を眺めながら黙って座っている】
【体温なんてそう簡単には上がらない、それまでずっとこうして黙っているつもりだろうか───】

私は、外の世界を見て見たかった

【いや、不意に少女は口を開き、語り出した。名前も所属も明かさ無いまま、自分に関する何かを】
【その雰囲気は、今までの『何も知らない』といった物とはまるで別物、無機質な感情らしきものが見え出した】

自由に動く体を手に入れて、電子配列以外の存在を、自らの眼で見たかった
だから、体を借りて外へ出た、なんて綺麗なのかと思った、だけど…

体を取り返しに、じきに彼女がやってくる

【まだ何も無い、ただ雪を落とすだけの空を見上げて、少女は語る。最早人ではない事を裏付けるような言葉を次々と連ねる】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 04:55:28.89 ID:5PfPqKEMo
>>478

……肝心な時に役に立たんのでは、ソレはただの飾りか、ッ――

『――はいハイ。……いや、確かに激戦だったとは尾ひれの付いた噂でも聞いてるし
 実際苦戦したと聞けばそうなんだろうと頷くのが僕だ。5人も居て、オマケに船だしね
 一々全員を覚えている方がおかしくもある……残念なのは確かだけど』

【手で制されるだけで言葉をつぐむフレデリックは、さながら飼い犬のようだった】
【さて。聞く当事者であるアンドレイはいつからか手に小さなメモとペンを持ち】
【遂に始まったテナーの語り――その始終を聞き逃さじと、茶々を入れずに耳をそばだて】

『ふむ、ふむ……――つまりテナーが恐水鳥と呼ばれるのは水を使うのに由来する……
 オマケに寄生虫?それも齧りついて魔力を吸うなんて、気色悪いね
 僕は虫が嫌いでさ、あの他の種族とは全く違うところとかあまり……あぁいや失礼』

『これは個人的な見解だけどさ、やっぱり寄生虫なわけだし、居心地が良かったんじゃないかな
 巨大で力の在る鳥……遠くにも子孫をばらまけるし、これ以上ない宿主だ。』

『それにしても残念なのは君がそこまで言う唄を生では二度と聞けないって事だね。
 テナー……鳥の声ってのも、奇妙な気はするけど。でもセイレーンのソレみたいなものなら、魅力的だ
 他の討伐参加者に付いてはまあ、おいおい足で探すよ。見つけ次第、戦いの記録を絵のピースにすれば良い。』

【サラサラと文字を紡ぐ様は、画家というよりは新聞記者のようにも思えたが――】
【小さく何か、お遊びの絵も描いているようで。チラと見えるそれはまさにテナーと寄生虫共】
【彼らをデフォルメしたような簡単な絵。やはりというか、この男のセンスは洗練されているようで】

『ふ、む……OK…。取り敢えずイメージは掴めたよ、具体的な体験談をどうもありがとう。』

『それにしてもアリギエに加えてテナーか……次はパレストか、それとも……?
 ……ふふっ、今のは昔、お伽話に見た神サマの好奇心≠チて一節の登場人物達でね
 アリギエは近衛、テナーは唄い手、他に門番や幼妻やらが居て、名前が偶然――』

【一緒なのだ、と。そう言ったっきり、アンドレイは次は次はと急かすことをしなくなった】
【つまり、テナーに関してはもう大丈夫ということ。次には修道女の願いを聞く番である】
【まだメモは手元。余程の無茶でも言わない限り、その願いはしっかりと書き留められるハズだった】
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/25(水) 05:32:33.52 ID:5RnJkNbJ0
>>480
「確かに“コレは”飾りなのかも知れないね…………いや、でも、人間相手には普通の効力があるから飾りでも無いのかな
兎に角、ボクが話せる事はその程度。もっと話が上手い人に聞けば、それなりに良い考えが浮かぶかもしれないけど」

【飾りかと問われれば、是とも否とも言えない微妙な表情を浮かべ】
【結局答えは曖昧なまま。自分自身でも今一明確に出来ないのだから仕方ない事か】


「なる程ね。そう言われれば、納得出来るよ
唄に関しては麻薬みたいな物だし、聞こえなくなった方がもしかしたら幸せ…………だった、のかな?
――――気になる事はと言えば、後はあの後チラリと影を見た気がするんだよね。ボク等を乗せたシルフが戻るときに、あの闘った場所で人影をさ
…………何だか可笑しいと思わない?もう遠かったからどんな格好だったのかも分からないし、何をしていたのかも分からないけど
でも…………あんな所に居るなんて可笑しいよね。そもそもテナーが何で彼処に居たのか…………何て事は考えるだけ無駄かな。鳥の考えなんて、ボクには分からない事だし」

【思い出した様に最後の最後に語ったのは、その後の事。テナーは直接関係ないにしても、この修道女としては確かに引っ掛かる事だったのだろう】
【特別目が良い訳でも無い為、顔も姿もよく分からなかったが。ただ、あの場に居るには異質である事は、何と無く理解して居る】
【第一、こうして話して居るアンドレイも五人と言っているのだ。そして、確かにあの場に居たのも五人。ならば、あの存在は――――?】
【考えるだけ無駄。推測こそ出来ても、それが答えとは成らないのだから。思わず漏れた疑問の他、意味も持たない】


「偶然…………にしちゃ、良く出来た話だね。ボクからすれば神サマの悪戯だ
…………まっ、良いさ。ボクは考えない。教会に言われれば、其処に向かって葬るだけ
――――それで、ボクからのお願いだけど」

【一通り話し終えれば、最後に自分の願い事】
【――――時計を見ればもう明け方。先も言ったように急いでいる訳でも無い様で、件のお願いをしても直ぐに結果を求める事も無い】


「――――絵、一つだけ描いてくれないかな。動物でも風景でも、何でも良いからさ
と言うのもボクの友達が凄い貧乏でさ。一応教会は持ってるんだけど、飾り気も何も無くてねぇ。隙間風は入るし内装はボロボロだしで、絵の一つでも飾らせておけばちょっとはマシになるかなと思って
別に今日明日欲しい訳じゃ無い。何時でも良いよ
それと、もしも金髪の女の子の姿をした悪魔を見たら――――いいや、コレは別に

じゃっ、そういう事で。今日はクリスマス当日だし、孤児や他の子供達も押しかけてきて忙しいだろうからボクはそろそろ帰るよ
フレデリックにアンドレイ、また何時か――――」

【きっと、本当は後者が“お願い”だったのだろうけれど。気が変わったのか、途中で途切れさせればその意味も消えてしまう】
【結局、絵を一つ描いてくれがお願いとなり、短い別れの言葉を最後にその場から立ち去る事だろう】
【聖職を示す修道服。其れに似合わぬ銀の銃。――――其れを持つ者らしからぬ飄々とした態度。果たして裏で何を思っていたのかは分からないが】
【――――気紛れに一度振り返って手を振れば、今宵はその姿が最後となろう】

/この辺りでしょうか……!お付き合い、有り難う御座いましたですよー!
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/12/25(水) 05:39:57.01 ID:xLKEQQ2Po
>>479

うん、良い子だ。

【人形のような情動に欠けた振る舞いを間の当たりにしても、妙な騒ぎにならなくて良かったと思いこそすれ気味悪がるような事はない】
【少女に向けて首肯すると、喉を鳴らして缶の中身を飲み干す男。ポケットに手を突っ込んで二本目を取り出そうとして】
【ふと、気付く。しこたま買い漁った缶飲料は、すべて少女に着せたコートのポケットに入っているのだ】
【年端もいかない少女の懐をまさぐる若い男というのは、絵面からして非常に怪しい。通報必至だ】

……ポケットに、缶が幾つか入っている。どれでも良いから二つ取り出して、片方を俺にくれないかな。
もう片方の中身は、君が飲んでくれていい。多少だが、身体が暖まるはずだ。

【男は仕方なく、少女に缶飲料を取ってくれるよう頼み込む。少女がこれに応じれば、続いて】
【親指でプルタブを押し上げて、缶の開け方を実践してみせるだろう。まさかとは思うが、念のためだ】
【しばしの沈黙を挟んで──ちなみに、缶の中身は甘いココアだった──おもむろに質問に移ろうとした青年だったが】
【それに先んじた少女の話に耳を傾けるべく、開きかけた口を閉ざして彼女の方を向いて】

つまり君はA.Iか何かで、サイボーグだかガイノイドだかのボディを勝手に拝借して、お忍びで街に繰り出した。
だから、そのボディの本来の持ち主に追われてる。
捕まれば自由に動く身体はなくなって、君が外に出られるような機会は、もう二度と与えられないかも、と。

……大体わかった。それで、君はどうしたいんだい? 綺麗な景色を目にできて、それで満足したのかな?

【一通り話を聞き終え、簡単に内容をまとめると、今度こそ問いを投げかけた】
【その言葉はごく僅かに、何らかの示唆を──例えば、彼女を焚き付けるようなニュアンスを──含んでいる】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 05:56:11.02 ID:5PfPqKEMo
>>481

【さて、まずはお願いの件から――といっても、単にアンドレイは頷いた、というだけで】
【それが全てを表していたし、それが画家としての彼の自信を具現化したようでも在って】
【ただニヤリと笑って『僕の絵は高いよ』なんて言ったのは、ちょっとした傲慢も垣間見せており】

『……まあ、お伽話とはいえ気になるよね。神獣に、あのサイズの鳥が何処からとも無く……
 それに君が言ったことによれば謎の人影も目撃されてるわけだ』

『となると……これは尚更、陰謀論が渦巻きそうな。あいにく、僕はそれを論じるほど暇でも無いけど。
 でも、君も気を付けて。もし今後もこの手の事があったら、きっと何か裏が在る
 そんな気がするんだ――君だって分かるだろう、何か異常なことがひっそり起きてるってのは。』

『――あぁ、それじゃあねグリース。絵に関しては冬のうちに届けるよ
 流石に大聖堂に在るようなのとは行かないが、出来る限り、とびっきりのを、ね―――。』

【そう締めくくって、きちんと手まで振り返し、にこやかに――さも貴公子のように見送ると】
【ふぅ、と白い息を吐き、メモをしまって、ぐぅっと伸びをしてから髪をくしゃくしゃと掻き】

……バレていたな、グルクススの奴。霧が濃いと聞いていたから、然程心配していなかったが
しかしあれがグリース・イムリンパルス……不逞な奴だ、気に食わん。

『そんな私怨放っといてよ、フレデリック。今は僕らの思惑が最優先だ
 アリギエは上手くけしかけられたし、テナーも見事に術中にハマって殺されてくれた。
 オマケに映像付きだ。彼らの絵を描くには材料に事欠かない……今、大きなピースも貰ったしね』

『――さて、どうしようかなフレデリック?次は巨人?それとも機織りの姫君か、あるいは……』

神の番犬をあだ名される砂漠の龍も居ることを忘れるなよ、アンドレイ……
……ふっ、今はダグラス、か?どちらでも良いがな、結局、貴様は貴様で変わりない。

『その通り。正義を愛する若手の画家であると同時に六罪王でも在る。
 でも隠してない、言わないだけだ。だって誰も聞いてこないんだから……そうだろ?
 ……さあ行こうか。神はいつ僕を見るだろうね。近衛兵を、唄い手を、懐刀や寵姫や番犬を全て消したら――』

『ッ――――あぁ、僕の才覚を早く愛でてくださいよ。本当に居るのなら。ねぇ、神サマ……?』

【うっすらと暗闇が溶け始める。公園の周りにも気の早い老人たちが見え出す頃】
【気づけば2つの長身は消えていて、同じ頃、ギルドにまた新たなクエストが届いたそうだが――】
【それはまだ、夜には知れぬ事実。いずれ来るその時まで、暗闇はゆらりと姿を晦ませたのだった】

/ですねっ!お疲れ様でした&ありがとうございましたー!
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/25(水) 06:12:25.83 ID:sJ8SBO7eo
>>482

【男が『ポケットの中を』と言うと、ゴロゴロとした物が詰まったポケットから缶を取り出して、一つを差し出す】
【缶の開け方は見て分かったが、しかし直ぐに真似はせずに、自分の両手の中にある缶に視線を落とした】

私は、意図せずとして生まれたイレギュラー、体が与えられる事は無いと判断出来る
だから、これは明らかな反逆行為と見做される、機密保持の為体ごと破壊される可能性がある

私は、この景色を美しいと思った。他の景色も、もっともっと見たい
だがそれは叶わないだろう、その為には、世界に迷惑をかけてしまう

【空気が震え出す───高い空から、雲の中からそれがやって来た】
【プロペラが無く、他の何らかの力で浮遊する戦闘ヘリのような物体が、少女のやってきた方角の空から、真っ直ぐ飛んできた】
【少女は立ち上がり、コートを脱ぐと、ベンチにそれを起き、航空機を見上げる】

…私は、私の為にこの景色が壊されてしまうのは耐えきれない
だから、これで夢を終わらせる、終わりにしなくてはならない

【男を振り向いた少女の顔は、感情の無い機械の無表情だが、少しだけ物悲しくて、少しだけ寂しそうで】
【再び、ここに来た時の様に高く飛び上がり、建物の屋上を飛び継ぎながら街から離れていく。それを追って航空機も、遠くへと離れていく】
【まるで冗談みたいな鬼ごっこは、きっと近い内に終わりを告げる、終わった後で、捕まった者がどうなるかは誰も知らない】
【だが、こんな聖夜の短い1ページに刻まれた願いは、叶ったとしても不思議ではなくて───】

/申し訳ありません、眠気が襲ってきましたので…
/お疲れ様でした
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/25(水) 18:47:20.69 ID:kRSsjxrYo
【水の国――オフィス街にある公園】

【今日が聖夜ということもあり、普段は殺伐とした景色の其処も】
【今宵ばかりは光に飾られ、忙しく通り過ぎて行く人達を少し立ち止まらせる】

【そして、その背景に星空を背にして整然と並んだ摩天楼の、】
【こんな日だろうと平常運転で灯る窓の明かりもまた、一種のイルミと化していた】

【――そんな場所の、街灯の下のベンチに、一人腰掛ける女性の姿がある】

はー、流石に少し寒いかなぁ……かと言って、一人の家に帰ってもねぇ
……あ、小銭あったかしら? 近くに確か自販機が、……――

【それはOL風の黒いビジネススーツに身を包んだ、長身の女性だった】
【綺麗に揃えたボブカットの黒髪に、落ち着いた印象の黒い瞳】

【彼女は身を軽く震わせながらコートのポケットを探り、】
【――ふと、何かに気付いたように手を見遣る】

……――本当、一人でいるのは、冷えるなぁ。

【視線の先には、右手薬指に嵌められた、古めかしいデザインの金の指輪】
【流行りの型でもない。人気のシルバーでもない。何処か今のOLらしからぬ、そんな品だった】
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 20:39:34.41 ID:smqafKeA0
【大通り――道沿いに設置されたベンチ】
【クリスマスも終わりつつある夜、賑やかな大通りには様々な音が溢れていて】
【クリスマスソングに、ケーキの売れ残りを捌こうとする店主の声に、人々の話す声に、足音に、】
【そんな中に――ぽつんと、古書のように掠れた声音でひとつ、言葉が追加された】

……クリスマスというだけでよくもまあここまでベタつける……。

【――膝と腕を駆使して斜めに立てかけた画板、貼り付けた紙にがりがりと何か刻んでいた手を止め】
【変わりにペンを指先でぶらぶらと弄びながら、視線の向くのは真正面、大通りを流れる人の波】
【さも理解不能だという風に向ける視線は勿忘草の花と同じ色をしていて、つんとつった視線が、また画板に降りた】

【肩を越す長さの髪は緩く巻いた癖ッ毛の気配を漂わせて、金糸のような金髪は毛先のほうで微かにピンクを纏う色】
【白地にワンポイント程度に赤をあしらったミルキーコートを着て、ふわふわとしたマフラーで顔の半分を隠しこんで】
【踝まで隠し込むロングスカートがこれまた白色だった。少しのリボンをあしらって、ふぅわりと膨らんでいる】
【覗く足先はきっと長いだろうブーツを僅かに見せるに留まって、組んだ足先、ふらりと揺らす】
【ペンの先をそっと顎に添えて――何か考えるようにしているのは、中学生ほどに見えるような少女だった】

これだけ番が居て少子化とはどういうことなのだろうね、ぜひとも絡繰が知りたいところだが――。
ま、……少なくとも文章よりか生まれづらいだろうし、仕方ないのかしらん。

…………――あ、

【執筆作業(?)に一区切り。長い溜息を吐きながらベンチの背もたれに預けた体はか細く、華奢なもので】
【そのくせ一人呟いている内容ばっかりが不釣合い。掠れた声音もまた、少女らしいとはおおよそ言えなくて】
【――そんな少女の手元からペンがするりと逃げ出したのは、イベントを素直に楽しまないことへの罰のよう】
【かつんと落ちてしまったペンは、――通りすがりに蹴っ飛ばされて、素っ頓狂な方向へ跳ねて――】
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/25(水) 21:05:32.09 ID:hvsFZgyZ0
【廃ビルの屋上】

【この屋上からはさまざまな光景が見える】
【廃ビルと同じような運命をたどった家やお店】
【そして遠くを見れば、今明るく活気がある街の姿が見えた】
【そしてそんな屋上に二人組みの男の姿が見えた】

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【そしてもう一人は甲冑をきており、顔に面頬をつけている】

 繁栄もあれば衰微もある、この光景が典型的かな
『どこに限られた話ではありませんしね』

【男二人は屋上から眺められる景色を見ながらそう言った】
【今現在猛威を振るっているカノッサといえどいずれ終わるそのようなことを思いながら】
【金髪の男は夜の暗い空に顔を見上げた】

ふふ、いずれ空に行って見たいものだな
『そうですか、行ければいいですね』
ああ本当にだ本当に行けるのならば、うれしいものだよ

【金髪の男は微笑しながら空を見上げるのをやめる】
【甲冑姿の従者はその反応を見て、無表情ながらも心では笑っているかもしれない】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/12/25(水) 21:51:37.89 ID:ezrRzF+E0
>>486
/まだいらっしゃいますか?
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 21:53:43.31 ID:smqafKeA0
>>488
/こちらに!
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/25(水) 22:09:26.32 ID:5rZnetgZo
【水の国】

【華美なる中心街から離れ、閑静なる住宅街を抜け、辿り着くのは寂寥の漂う一区画】
【当ても無く彷徨い、そして、「そろそろ帰ろうか」という気分になった時、その「モノ」は現れる】

【櫻風の──鄙びた、と表現するには聊か、佇まいが開き直った店だ】
【掲げられた看板には「筐屋」の二文字。櫻の人間にも、正確な読みと字義を理解するのは難しいか】
【店の前は綺麗に掃き清められており、なぜか配置されたヒーターの傍、猫が我が物顔に寝ていた】


【兎にも、角にも】

【水の国にはそぐわない雰囲気と、得体の知れない屋号】
【興味を持つ者が居れば、建付けの悪い引き戸も幾分かは応えて、すっきり滑るかも知れない】
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/25(水) 22:25:53.29 ID:dxzWQKI6o
【路地裏】

【街路樹が点々とイルミネーションされた賑やかな大通り】
【それを横に入って品も治安も良くない裏通りを歩き(それでも賑やかなのは変わらない)】
【それもまた細い道に入り、隣の酒場のダンボールや木箱が山となっている少し開けた置き場所】
【急にダンボールの山が崩れる。よく見ればその山の中に人がいたようだ。崩れた中から這い出てくる】

うぇ…なんだここ………何処だ……寒っ…

【這い出てきた男は立ち上がって手に持っていたツバの広い黒い帽子とバーボンの瓶を手近な箱に置く】
【男は痩せた長身で頭には包帯、黒いレンズのサングラスをしていた。とんがったような鼻で肌の色は悪い】
【革ジャケットのスーツ姿でネクタイはなく、靴はブーツで黒シャツの襟をだらしなく開けていた】

【フラフラと歩いて手頃なビールの箱に座ろうと山の方に近づくが酔っぱらいはその一部の5,6個の山をひっくり返す】
【男は倒れ、起き上がって、適当なビールの箱をヒックリ返してそれに座り込む。ジャケットのポケットに手を入れた】
【しかしそれは見慣れない銘柄の煙草であった。が、気にせずに一本くわえて安っぽいライターで火を付けた】

ゴホッ…ゴホッ……これ俺の上着じゃねえや

【そんなことを言いながら項垂れたように頭を掻いた。雪が降り出しそうなほど寒い】
【騒音をさんざん鳴らし、誰かそこを通りがかれば道が塞がるようにビールの箱が散らばっていた】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/12/25(水) 22:28:51.56 ID:ezrRzF+E0
>>486 >>488

けろ?

【聞こえた声(鳴き声?)は、ペンの転がった、その先から】
【視線で追うと、白い爪先。真冬だというのに靴一つはかない奴は、たいていロクでもないやつだ】

【その爪先にぶつかって、ペンは、転がるのを止めた】

……

けろ、やい、お前。

【酒臭い声。しかし、幼い声】
【そして小さすぎるシルエット。年の頃は十にも満たぬか。酒呑の童女。やはりロクでもないやつか】

【あなたに向けられるのは真っ赤な、林檎のように大きな双眸】
【毒々しい緑色の、前髪ぱっつんの髪と、白い肌とあいまって、夜の闇に不気味に光る、人外の証】

落としたぞ、けろり。

【だが、その大きな口から発せられた言葉は、思いの外、普通だ】
【しゃがんでペンを取り、差し出す】

けろけろ、誰かさんの誕生日にまでシゴトとは、ご苦労様だな? ニンゲン。

【そしてそのまま馴れ馴れしく、あなたの右横を陣取った。ベンチに、かえるのような姿勢で鎮座する】
【やはり、ロクでもないやつだ】

/よろしくお願いします。飯落ちなので次のレスはやや遅れます
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 22:38:40.30 ID:5PfPqKEMo
【砂の国・夜―――国境付近の砂漠地帯】

【先日、風の国にて恐水鳥を討伐する、という急報が入ったのは人々の記憶に新しく】
【加えて更に前、アリギエという巨大な化け物が出現したこともあって】
【ここのところ、年末だ、聖夜だ、というのとはまた別に、各国のギルドは賑わいを見せていた】

【――で、今夜。まさに夜は平和と愛で満ちた日に、砂の国から急報が入ったのである】
【発信元は第13国境警備団=B内容は『詰め所の危急につき』と実に簡素なものだった】

【人々は思い出す。元より数週間前より、その地域では奇妙な存在が目撃されていたのである】
【曰く、砂竜≠ニか。複数で群れを成して隊商を襲い、人だの物だのを砂漠に散らかす化け物だ】
【それが遂に兵隊の拠点を襲う。予測はできたが僻地故、こうして非公式の援軍を求めた次第であった】


―――チッ!弾切れでありますか……っ!アーカム、速く弾を持って来……ちィッ!

【さて、ギルドの依頼を受けた人々がジープに揺られて到着すると、既に戦線は押し下げられ】
【国境警備の拠点は遠くで火の手を上げ、みな銃やら剣やらを手に後退の最中であった】

【で――どうやら隊長格らしい女性―ライトブルーの髪に藤色の瞳―が、機銃を撃ち尽くし】
【背後の部下に弾薬を要求すると、それは手渡されたが、直後、砂から一筋の巨体が飛び出して】
【そのまま部下の肘から先を――つまり身体の殆どを喰って、砂塵に消えてしまったのである】

【そんな状況だから隊長格の彼女も笑えない。死を見てきた冷たい無表情で、弾を込め直し】

ギルドも仕事が遅い……!もうしばらくしたら報酬も用意できない所でした、が――。
……まだ押し返せます。出来れば直ぐに、戦線に加わって頂きたいのですが……!?

【視線を向けるでもなく、到着した面々にそう告げると、またズガガガッ!と機銃をぶちかます】
【撃ちぬいた一体が血に伏した。手足のない、そして目も無い、竜とも言いがたい蛇のような生き物だ】

【大きさは巨木を横にしたようなもの。口を開けば1mから2m。これが左中から飛び出して――】
【ホオジロザメのような凶悪な牙で食らいついたなら、確かに人の一人や二人、即死だろうか】


【――さあ、既に戦端は開かれている。各々が思い思いのタイミングでジープから砂漠に足をおろしたなら】
【その直後、件の砂竜が一人ひとりに対して、急に飛び掛かって、その生命を喰らおうとするだろう】
【ちなみに体表は柔らかく、ミミズを思わせるような具合。銃で撃てば死ぬのを見ると、防御力は低い様子だ】

【また周囲の地形に付いてだが、砂と岩場が混ざり合ったやや複雑なものであり】
【もし岩場の上まで行けば砂竜の攻撃を避ける事も容易だろう。また、周囲は月明かりでとても明るく】
【ザザッ!と砂中を駆ける砂竜の何頭もが、砂煙を巻き上げて泳ぎまわっているのもよく見えた――!】

/こちら突発イベントです。先着三名様までですが、もしよろしければー!
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 22:43:14.86 ID:smqafKeA0
>>492

【――指先からペンの抜け落ちる感覚がした。実際手の内からペンは消えていて、蹴っ飛ばされていくのも、見えた】
【かわいげのない言葉ばかり告げていたとしても幼い少女。見ようによっては可愛らしい顔付きからは、舌打ちが漏れて】
【ただでさえつんと硝子片のように尖った造形に鋭さが増す。もうひとつ舌打ちを重ねて、ようやく立ち上がったところに】

……おや、失礼。おかげさまで人波に潜らずに済んだようだよ。泳ぐのは苦手でね……。

【聞きようによってはおかしくも聞こえる声が掛けられた。次いで差し出されるペンを、視認すれば】
【「ありがとう」と紡ぎこそすれ、本当に感謝しているのかは危うい。拾ってやったのに、と怒られても仕方ないと言えるほど】
【それでいて冗談めいたことを言いもする。少しだけ、彼女がどんな人間なのか分かるような気がした】

【――差し出されたペンを白磁のように白い指先が受け止める。日に当たったことのないように、透ける白肌は】
【街灯の白さの下では余計に浮き立つようでも、イルミネーションのカラフルに紛れて、少しだけ分かり辛く照らされて】
【確かめるようにくるりと一度ペン先を回して握りこむ。――古びた万年筆は、どうやら大事に扱われているようではあった】

仕事? 残念ながら黄色い熊ぐらいプー太郎だよ、それともカップル数えながら文章書くような仕事があるのかね。
適当に数えてたから数は間違いなく合ってないが……よくもまあこんなにカップルが沸くものだよ、どこに潜んでいたのやら――。

【ベンチの右側を陣取るのをただ見ていた。言葉にはふらと気だるげな首肯と言葉で返すばかりで、つまりは趣味(?)であるらしい】
【ベンチに置いた画板を見れば言葉の意味も何となく分かるだろう。挟まれた原稿用紙には正の字がいくつかと、プロットらしきが】

【!加工済みチキンの大冒険!
 チキンのマイクが旅に出る→紆余曲折ある→いろいろある→火山でこんがり焼けました☆(原文ママ)】

【――見なかったことにするのが正解なのかもしれない。プロットにしたって適当すぎる並びが、そこにはあった】

ところでキミは寒くないのかね、私の世界では今は真冬で裸足が許されるような時期ではないはずなのだけれど。

【画板を引っくり返して隠しながら(或いは、もう遅いけれど)元のようにベンチへと彼女は腰掛けて】
【その隣にどこかカエルのような童女が居座ることに、なんら不満の類を覚えてはいないようだった】

/よろしくお願いしますー、それで了解しました!
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/12/25(水) 22:52:03.67 ID:hvsFZgyZ0
>>493

【砂漠地帯にて、砂竜が暴れているための援軍要請】
【それに乗りここにきた男が一人】

【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い 】
【片腕には義腕をつけているが手の部分は黒の手袋をはめておりよく見ないと義椀だとわからないだろう】

 おいおい、暴れすぎじゃねえか
 ちょっとはしっかりしてくれよ

【男はため息混じりにそう言った】
【その言葉は果たして国境警備隊に言われたのかはわからない】
【だが、今はそのようなことを気にしている場合ではない】
【男はすぐに自分の武器である人形兵器〔トリガー〕を召還した】

 んじゃま、それなりに働きますか
 報酬は期待させてもらいますぜ

【男は言うなり〔トリガー〕の腕を動かし、仕込み銃を撃つ】
【その銃弾は男に向かってきた竜に放たれたものだった】

/参加させていただきます、高野中身です
/よろしくお願いします
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/25(水) 22:55:41.43 ID:hvsFZgyZ0
/>>487は取り消しますね
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/25(水) 23:02:25.89 ID:Gv3T/Ngbo
>>493
さ、寒いなぁ

【そう漏らしながらジープに揺られる背の低い男】
【髪も目もきれいな灰色で顔は童顔】
【寒いといいながらもその服装は長袖のシャツに長ズボン程度だった】
【最近新しく新調したらしき服は砂塵によって若干汚れている】

【この男がここにいるのはわけがある】
【暖かいところへ向かおうとして方角を間違え北へと進んでいた男】
【その途中、聞いた噂】

【――砂竜、その名前は男の興味心をそそった】

【だから一度見ておきたいと思っていたところに危急の通信である】
【ギルドというのはよく分からないが、とりあえずけが人を運んだり手当てすることはできる】
【誰からかは忘れたが、昔教えてもらったように思うのだ】
【だから依頼を受けてきたのだが……男はそこまで危難の状況にあるとわかっていない】


よっと

【到着、その様子に何の気なしにジープから降りる男】

って、あ

【そして迫り来る影、その瞬間男の中で何かが切り替わる】

こうしている場合ではない、ですか

【一度閉じ、再び開いたその双眸は仄かに青白い光をまとっていた】

[命令:四元電磁シールド展開/01,02,03,04]

【その瞬間、男と砂竜の間に斜を切るように出現した若干青白い"盾"】
【そのまま突進すれば"盾"に受け流され男にその凶悪な牙が命中することは無いだろう】

//参加させていただきますこちらウク中身
//本日はよろしくお願いします
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/25(水) 23:06:01.10 ID:5rZnetgZo
/>>490であと30分ほど待機させて貰います
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/25(水) 23:27:21.89 ID:5PfPqKEMo
>>495

【男が召喚した人形兵器、それが放つ銃弾は砂竜の肉体を確かに捉えた】
【うっすらと膜に包まれた身体からは黒味を帯びた血が流れるが――決定打には至らない】
【それもそうだろう。如何に柔いとはいえ、機銃でようやく殺せるのだから】

【――が、実際に対応して分かるだろうことがもうひとつ有る】
【それは連中の飛び出した際の勢い。今回こそ、撃たれて体勢を崩し砂に落ちたが】
【もしも、その勢いを攻撃に利用できたら――?ともあれ、傷を負った一匹は砂中に身を隠し】

>>497

【もしも受け流す盾が鉄製なら、その表面の丸みが僅かに凹む――】
【それほどの衝撃が連中にはあったが、上記の通り、この受け流しは】
【見事に砂竜の勢いを利用したもので。砂に落ちた一匹は驚いたようにのたくってから】

【シャッ!という妙な音を立てて、砂の塊を口から吐き出して男を狙った】
【盾を展開したのとは逆の方向からだ。直撃すれば骨を折る程度の威力はあり】
【また、攻撃の成否に限らずこの砂竜も砂中に逃げ込んで。そして、俄に銃声も止むと――】

>>ALL

【一先ず、増援は二人の男性で決まりか。そしてその対応、どちらも余裕が垣間見え】
【流石に知性の薄い砂竜共とはいえ、これは今までの軍人共とは違うと思ったのだろう】
【先程から遠巻きに周囲の砂海を泳ぎまわるだけで何もしては来ない―――】

【―――そう思い込んでいたなら、それこそまさに命取りとなるのだが。】


……奴らはこの程度で撤退するほど弱くは無いのであります。
お二方とも、ご注意を!敵は相応に知恵を付けて居るものと――ッ!!


【周囲の砂竜が一斉に砂中へ消える。数秒後、また先ほどと同じように】
【一人に一体ずつ、一撃必殺とも云える飛びかかりからの食らいつきを試みて】

【しかし同時に、その足元からも魔の手は迫る。僅かに砂が盛り上がった時点で気づけなければ――】
【底からぬぅ、と牙を向いて出現する更に一体ずつの砂竜に、各々の足を持って行かれる可能性があったのだ】
【つまるところ砂竜の連携プレー。跳びかかりで気を引いて、実は足下から攻め立てようという狡い策だった】

【――最も、逆にこの一撃に気付けたならば、二人には大きな反撃なチャンスが生まれるワケで】
【先に一度攻撃を受けている分、どうすれば大ダメージを与えられるか――それはもう、手に取るように分かるだろう。】
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/25(水) 23:44:14.41 ID:hvsFZgyZ0
>>497>>499

 おお、しぶといしぶとい

【男は竜が生きていてもまだ余裕がある】
【それは言葉にも現れていた】
【そしてもう一匹が襲った男へこのようにいった】

 あっし以外にもいやしたか
 ま、楽になるからいいですね、

【そのように静かな声で言ったあとに】

 ま、今日はよろしく頼みやすよ

【そのようにして大声で男に言った】
【そして、女からの注意の声が男に聞こえた】

 おいおい、やっぱり一筋縄じゃあいかねえか
 
 そしてやっぱり二段攻撃ですか

【男は早々に竜たちの思惑にきずき、自分の足元から横に跳躍する】
【そして、自分の足元を狙った竜を一回捨て置き、陽動役の竜に〔トリガー〕の両腕を向けさせて】
【両腕から連続で銃弾が竜に向けて発砲された】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2013/12/25(水) 23:49:56.20 ID:p5NdUXRlo
【路地裏】

……全く。サンタに扮した盗人とは……
ただでさえいちゃついたカップルを見るだけでも疲れるというのに。

【両手両足に手錠をかけられ、地べたに座ったまま壁に寄り掛かるサンタの男。その男を気怠そうに睨むは、薄藍のインバネス・コートに身を包んだ侍】
【夜風にコートと目にかかりそうな黒髪を靡かせるその男の右肩には緋色の鷹の紋章が、そして左腰の刀も同様に存在感を示しており】
【どうやら左手に握られたスマートフォンを見れば、既にこの盗人サンタをぶち込むであろうパトカーの準備は済ませたようである】

―――で、本来ならプレゼントが入っているこの大きな袋には……現金、と。
……子供の夢を壊すような事をして欲しくは無かったな。―――最も俺はサンタなど昔から信じていなかったが。

【膨れ上がった白い袋、その中には無造作に札束が詰められている。夢を届ける筈のサンタの袋に、欲望が押し込まれていたということだ】
【はぁ、と男は呆れたような溜息を零しながら、取り出していたスマートフォンを懐にしまう。小さく耳に届くカップルの笑い声が、路地裏の静寂と対比されて虚しさを生み出す】
【―――サンタは何も語らず、ただ虚ろ目をしているだけだ。哀愁漂うその姿を濡羽色の双眸でチラリと見れば、侍は冷たい両手をコートのポケットに閉じ込めコンクリの壁に背を預けた】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/25(水) 23:50:46.28 ID:5RnJkNbJ0
【寒さも厳しくなり始めた今日この頃。大通りに面した銭湯も実によく賑わっていて】
【親子連れや独り身、カップル等様々な客層が見られる事だろう】
【そんな中、掲げられた特徴的な暖簾の前で悩ましげに行き来する姿が一つあり】

【一切の乱れなく着こなした軍服に制帽。眼帯で右目を多い、軍刀を腰に提げている姿は容易に性格を連想させるだろうか】
【腕には“自警団”所属を示す腕章を通しており、更には其処に“SCARLET”所属を示すバッヂも付けてあって】


「…………悩むでありますね。日々のご褒美と称して温泉に浸かるのも良いでありますが、向こうでは同じ金額でパフェを食べられるであります
なら、向こうで何か食べた方が…………む、むむ…………迷うでありますよ」

【時折財布を確認すれば、銭湯の入口と、また直ぐ近くにあるレストランの入口とを見比べて】
【少しすれば再び歩き始めて、自分の煩悩と格闘するのだろう】
【温泉に入るべきか、それとも甘味でも食べるべきか。優柔不断な少女からすれば其れは中々に難しい選択】
【さて、その呟きを聞いた者が横から声を掛けたり、或いは顔見知りが誘うなりすればまた結果も異なるのだろうけれど――――】











【櫻の国。妖怪が出るとの事で有名な山中――――理由が理由故そう多くの者が訪れる事も無い其処】
【今宵も一つの妖気…………謂わば、妖狐の気が漂っているのだけれど】
【人を襲っている訳でも無く、まるで祈祷でもしているかの様に見えるその姿】


「…………えっと…………今日は、この辺りで…………終わりに、しましょう…………」

【見れば、巫女装束を纏った一人の少女が居て。その人物が妖気の元である事に間違いは無いのだが…………妖狐としての特徴的な耳や尻尾といった物は見られず。一見すればただの巫女】
【首に下げた翡翠の首飾り。勾玉を象った其れが放つ神聖と、少女自身の放つ妖気とが両立している事が、感じ取った人物によっては奇妙な事と思えるか】
【――――兎にも角にも、今宵の“勤め”が終わったならば小さな溜息を一つ吐いて立ち上がるけれど】


「これで…………妖怪さん達も、あまり……襲わなくなると……良いのですが……」

【ふと漏らした呟き。妖気を放つ存在でありながら、巫女装束を纏っているという矛盾】
【さて、物音がしたならば不安げな表情を浮かべながらも其方へと向くのだけれど。其れより先は、この場を訪れた者次第で実に様々に変わるはずで――――】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/25(水) 23:59:50.18 ID:Gv3T/Ngbo
>>499>>500
……衝撃観測、強

【ぱっと受け流したことを確認すると男は先ほどまでとは違う雰囲気で呟いた】

[命令:解除/01,02,03,04]

【と、男が何かをした途端、盾がふっと消え去る】
【そしてすぐに男の周囲を四つの小さな何かが飛び回る】

まだいますね

【そういうと男はすっと砂竜のほうに手を伸ばす】

[命令:エレクトロガン/01,02]
[命令:エレクトロナイフ/03,04]

【すると男の周囲を取り巻いていた四つの何かが移動を開始する】
【四つのうち二つは男の周囲で滞空し、僅かに青い光を纏う】
【残りの二つは男の左手の付近に集まり、そしてエメラルド色の光を放つナイフを電気で構築する】

【そのとき聞こえるもう一人の男の声】

こちらこそ頼む

【そして男の周囲で滞空していた二つは次の瞬間、青色の光の弾丸を砂竜に向けて放つ】
【弾丸であるビームは威力は実弾に比べれば若干低いもののかなりの高温である】
【そして更に間髪をおかずもう一発が発射されようとした途端】

っ……

【吐き出される砂、咄嗟に左手に構築されたナイフを構え、砕く】
【が、直撃すれば骨を折る程度の威力がある、それをナイフ一本で完全に殺しきることは出来ない】

……痺れますね

【男は顔をしかめつつ左手に持ったナイフを右手に持ちかえる】
【当の左手といえば骨こそ折れなかったものの衝撃を交わしきれず痺れてうまく動かない、それは左腕にまで及ぶ】


……敵対生物への警戒レベルを一段階上昇

【女性の声に、男は警戒を強める】

[命令:四元電磁シールド展開/05,06,07,08]

【そして、男の周囲に新たに四つの何かが現れると再び先ほどと同じ"盾"、シールドが構築され、男の動きに合わせて移動する】
【あらかじめシールドを展開したところで飛び出してくる砂竜】
【そこにやはり斜を切るようにシールドを移動させ砂竜の動きを受け流し、同時に男の周囲を滞空する"砲台"はその砂竜に先ほどの弾丸の連射をお見舞いするだろう】

【それと同時に足元に奇妙な感覚】
【男はシールドを目の前の砂竜のほうに移動させながら咄嗟に飛びのくとぬっと出現する砂竜】
【左手を地面に付きつつ後ろへの慣性を殺し、男は砂から飛び出してきたもう一匹の砂竜の眉間の辺りに右手のナイフを突き立てるだろう】
【もし突き刺さり、そのまま勢いよく上へ飛び出たら、それは頭部に致命傷を負わせることになるだろう】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2013/12/26(木) 00:06:39.19 ID:d1mek0QV0
>>494

【おもむろに懐から瓶を取り出し、蓋を捻る】
【ラベルには『巳年』と書かれていた。あまりにも濁り過ぎていて、中身は伺えない。伺わない方がいいのかもしれない】

【無言で少し呷った後、ぶはぁと息を吐き出した】

気にするな、泳ぐのは得意だ、カエル泳ぎだけな。くわ。
それはいい万年筆だ、けろ。いつか化けて出るくらいには……けろけろけろ。

【礼だとか、そういうのは、求めていない。腹の足しにもならぬ】
【今、欲しいのは、暇を潰すためのどうでもいい相手。なら、捉え所のない人柄は好都合】

そう、働き蟻も、サボるやつはいるらしいな。けろ。

【往来を見渡す。なるほど、カップルだらけだ】
【こいつらみんな、今から獣みたいに繁殖するんだろうか、などと考えた。……それは愉快かもしれない】

ニンゲンの発情日、か。けろ。

【画板にちらりと視線を送る】

【……視線を戻す】

足? ……ああ、靴なんてもんを履いてるのは、窮屈でたまらん。けろ。
まあ、火山にでも行くのなら、流石の私も履くだろうな、足がこんがり焼けちまう、けろ。

……かえるとチキンは、味が似てるらしいしな。けろり。お前の発想は、ユニークだぞ。

【画板を覗いた事を、詫びたりはしない。見えるようにしていたのが悪いというのが、見解だ】
【愉快そうに大口を歪めながら、ベンチに尻を着け、右脚を上げる。肉付きが悪く、色も悪い。残念だが美味そうには見えない】

/お待たせしました
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 00:18:42.84 ID:dvLExKeCo
>>500

【砂竜の思惑を見抜いたのは流石、と女隊長も目を見張った】
【これで敵が人のような知性でもあれば別だが――回避されると、めっぽう弱く】

【まず囮役である一匹は、連続で放たれた銃弾で撃ちぬかれて地に落ちた】
【身体には少し前の傷も有る。先ほどの一匹だろうが、もう動かず】
【ぐにゃりと肉体が弛緩すると、砂漠の僅かな傾斜で死体は転がっていった】

【一方で足元から飛び出したい一匹は攻撃こそ喰らわなかったものの、砂を喰らい】
【噴水のように飛び上がり、びしゃりと砂漠に降り立つと男の方を向いて】
【そのまま蛇のようにスルスルと接近を図り、両足を一挙に食いちぎろうとする】

>>503

【砂弾を放った一匹へと向かって撃たれる青い光の弾丸は】
【残念ながら功を成さない。というのも、それより速く砂竜が潜ってしまったからだ】
【どうやら逃げ足は早いらしい――が、とっさの挙動は苦手と見え】

【まず囮役が盾に受け流される。既定路線だ、砂竜もそのまま逃げるつもりだったに違いない】
【予想と違ったのはその後の追撃で、これは見事に砂竜の肉体を捉え】
【一部分をジュウ!と焼き焦がしながら、その生命を奪い去った】

【また一方、足元から攻める一匹の最後は実にあっけないものであり】
【突き立ったナイフはそのまま致命傷へ至り、死んだ。身体の半分はまだ、砂の中であった】

>>ALL

【これで砂竜が三匹――いや、周囲で国境警備の面々が何とか倒したのもまとめれば】
【まず、10に近い数が倒されたことになる。この砂竜たちは群れこそ組むが、数は多くなく】
【また僅かな知性が絞った答えが劣勢で有るらしい。にわかに攻勢は弱まりを見せていた】

【――が、それでも攻めるのが野生のサガ。今度は実に単純な一撃である】
【何かといえば三方向からの同時跳びかかり≠ナあって、食らうというよりは――】

【むしろ、三体の勢いを合わせて叩き潰す。そんな意志を感じる狩猟行動で】
【またこれは攻撃とは直接関係は無いのだが――やや遠く、気付けば砂丘がそこに出来ていた】
【いや、ただそれだけなのだが――奇妙だった。砂の表面が波打つのは、何かとても不穏な予感がしたのだった】
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 00:28:57.34 ID:bAfJpgPT0
>>504

【どう見たって幼い風貌で、けれど纏うのは酒臭さで、ただ少女はその歪さを指摘などしないし、咎めもしない】
【いやに濁ったそれを煽るのも――僅かに瞳を細めて見ただけだった。造形の鋭さを思えば、睨んでいるようにも見えたが】
【当人にそのつもりがまるでないところが少しだけ厄介なところ。喧嘩を売っているように、見えてしまうのだから――】

そうだろうね、私は陸地専門なのだよ、活字の海なら得意だが――思考の海も。
ひどいかなづちでね、溺れてるんだか区別付かない泳ぎ方なら得意だが……。

【けろけろ鳴いていた。かえる座りで横に居る。かえる泳ぎなら得意だという。――なら、きっと、カエルなんだろうと】
【もう膝に伏せた画板の紐を弄んびながら言葉も弄ぶ、決して冗談を言わない性質でもないのだが、どうにも硬い】
【そのくせ緊張しているだとか、そういったわけでもなく。――強いて言うなら、柔軟になれるほど人に慣れていない、ような】

2割だったか。虫ですらサボるのだから人間は余計にサボろうよ、特に私は本を読むのに忙しい。
構ってやらねばね、九十九られても困るといえば困る、放っておかれたと騒がれたら余計に困るわけだし……。

……その割には9月生まればかりでもないわけで。まあ……、……この話は置いておこうか。

【――少なくとも彼女は働きありにはならないし、なれないだろう。隅っこで本を読んでいるタイプでありたいもの】
【本を読んでやるのが自らの仕事だとでも言う風に、自らそれを選んで行っているように、そう口にして】

【――10にも満たないような子と。大人に見積もって中学生ほどにしか見えない少女と。2人でする話ではないだろうから】

寧ろ裸足で歩く方が開放的すぎて堪らんよ、何が楽しくて足元の石やら硝子やらと仲良ししなければならないのか。
――キミの足は丈夫そうでいいねえ、私は引き篭もりだからそんな特殊スキル持ち合わせていなくって……。

【そっと足を持ち上げてみる、棒切れみたいな足は、ただ今はスカートとブーツに隠されて、窺うことは出来なくて】
【けれどふわふわしたコート越しでも細い指を見れば大体の肉づきは察することが出来るだろう、こちらもまた、美味しくなさそう】

【どうしてそこでチキンの話が出てきたのかを考えたようだった。僅かに数秒ほど視線を落として、】
【「――まあ、構わんよ」。ふわと吐き出した息が白色に解けて――そう、呟いたのだろう】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/26(木) 00:43:54.45 ID:GlnkfSb5o
>>505
当方の攻撃有効、だがその素早い身のこなしから弾幕系列の攻撃が最適と判断

【男は小さく呟く】

[命令:解除/05,06,07,08]
[命令:エレクトロガン/05,06,07,08]

【すると、男を守っていたシールドは再び消え、そのあとに浮遊していた小さな何かは男の周囲を浮遊した】
【その後男の周囲を滞空し、青い光を纏う】
【先ほどの二基に加え、新たに四基、計六基の"浮遊砲台"が男を取り巻く】
【そこから放たれるビーム光の弾丸の威力は実弾に比べればやや低いものの、その熱量と連射で弱点を補う】
【更に男の右手にはエメラルド色の若干発光するナイフ】

相手が勢いよく突っ込んでくるのなら

【男は静かにナイフを構え、周囲の物音に耳を澄ませる】
【僅かな挙動、目に見えなくても音は消しきれない】

こちらが相手の勢いを利用すればいい話

【その瞬間、男の普通の性能の耳は飛び掛ってくる砂竜たちの巻き上げる砂の音を聞いた】

……しつこいですね

【"浮遊砲台"計六門が一斉に男に飛び掛かろうとした三匹の砂竜に青い光の弾丸を一斉に放ち、掃射する】
【またもし命中しなければ男は右手のナイフで眉間、もしくは頭部を狙い、そのエメラルド色の刃をつきたてようとするだろう】

【そしてその最中、ふと視界の端に映った異常】
【だが夜、男のごく普通の目ではそれがさっきまでなかった影だとしか気づけない】

……

【すると男の体からあの小さな何かがもう一つ出てくる】

[命令:光源展開/09]

【そしてその小さな何かはぶわりと光を放ち、男の周囲の一画を昼の如く照らす】
【砂丘を照らすわけではないが、先ほどまではなかった影が存在することを確認することは出来た】

……
[命令:索敵/10]

【再び男の体から小さな何かが出現したかと思うと、それは影、砂丘の方へと飛んでいく】
【仄かな微光を放つそれは非常に頑丈であり、簡単なことでは壊れはしない】
【スピードも浮遊している上に小型ゆえにかなり速く、その何か――"小型機械"から送られてくる視覚情報を始めとしたさまざまな情報が男に送られてくる】
【これでその砂丘――男には影にしか見えていないが――の正体を探ろうとしている】
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/26(木) 00:45:48.87 ID:i0z1ixXm0
>>505>>503

よし、一匹撃破っと

【男は一匹撃破したのを気楽な声で言った】
【だが、警戒はしている、いついかなるときもこのような場所では油断はできない】

【そしてもう一人の男が竜を二匹死亡させたことに】

 おう、なかなかやんじゃねえか

【とそのような言葉を男にむけて言うであろう】

【そして自分に向かってくる竜に対して】

 さてと、今度も地中からか
 学習しなさいよ

【そうしているうちに竜は近ずいてくるが、男は決して慌てない】
【男は〔トリガー〕を操る一本の糸を引く】
【すると、〔トリガー〕の肩からいきおいよく新たな武器が出てきた】
【その武器の名は対戦車ライフルだ】
【そして竜が自分の足元から顔を出した瞬間に、対戦車ライフルをぶち込むであろう】
【もし失敗したときはそのまま一気に後ろへと転がるであろう】

【三匹の竜がいっせいに飛び掛ってきたときは、あわてて〔トリガー〕の取っ手をつかみ】
【急速離脱して回避するだろう、だがその途中たまたま砂丘が見えれば大声でこのように叫ぶ】

 おい、あの砂丘!、何かいやな予感がするぞ!
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 01:12:37.91 ID:dvLExKeCo
>>507>>508

【周囲の砲門を浮かせる彼に飛び掛かった三匹は、見事に撃ち落されてごろりと転がり】
【一方で人形を使役する彼の三匹はといえば、避けられてそのまま砂に消え】
【それで、一見して終わったかにも思える僅かな静寂が響き―――】


『隊長ーォ!弾!弾ァ持ってきましたッ!ガーランドでもMINIMIでも――』
『勿論、RPGでも好きなだけ撃てるってもんで……あぁクソッ!なんだありゃ……!』

……チッ。お二方のご助力には先に感謝を述べておくであります。
それと、今そこのレートが持ってきた弾薬も……武器の使用も認可いたします
何故かは……見れば分かるのでは。私も流石に、生きた心地がしませんが――。


【大量の箱、箱――弾薬箱を抱えた一人の隊員が到着し、隊長の女性もそれを聞き】
【急いで軽機関銃を引っさげて後退するが――その時であった】

【一人は気のせいだと思い過ごし、一人は妙だと気づいた砂丘そのモノが動き出したのである】
【まるで地面が波打つよう。しかしやがて、ごろりと転がっていた砂竜の死体が地面に引きずり込まれ――】
【生きていたものまでもが姿を消すのと同時に出現したのは、常識はずれも良いところというような化け物≠ナあった】


【体高は、砂の位置から見てざっと20メートル。身体の半分以上は砂に隠れているから】
【全長で見ると凄まじいことになると思われ、また、その表皮も凄まじく】
【まるで岩がそのまま身を包む装甲になったかのような、荒削りな外見――】


―――――G U U U R A A A A A A A A A A A A A A A A A A - !!!!


【――それは親玉≠セった。超巨大な砂竜の本体――それも、下顎は3つに割れていて】
【その口元から何十本と垂れ下がった触手こそが、まさに今まで潰していた砂竜だったのである】

【薄い膜を張ったような体表だったのも、そうとなれば頷くことが出来るだろう】
【さて、余談はここまで――問題は、業を煮やして飛び出したこの巨体をどう料理するか、だ】
【もっとも相手は待ってはくれない。出来る限り速く、攻略法を見つけねば――】

【――無数の触手、もとい先程まで砂竜として対処していたものが、今度は高所から迫ってくる】
【数は一々数えている隙がないほどで、いずれもが一斉に二人の悪を食い散らかさんとしていた】
【勿論、これをすべて潰すのもいいかもしれないが――機銃の弾丸が効く様子もない身体や、これよりも効く場所は――?】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/12/26(木) 01:24:49.45 ID:d1mek0QV0
>>506

【あなたが睨んでいるか、いないかは、童女にとって、些細な、問題にもならない事】
【年頃の娘が『横でいきなり酒を飲み出す女』にいい思いをしないのは、ニンゲンでなくても、多分、普通だから】

【仮に喧嘩沙汰になっても、それはそれで潰れるのだ、暇が】

本か。けろ、昔はずいぶん読んだものだ、私もな。
それに、なに、ニンゲンが無理に泳ぐ必要なんぞないぞ。けろ。海なんて塩っ辛いもんは、人魚の野郎にでもくれちまえばいい。くわくわ。

【反して、人に慣れた、あるいは慣れ過ぎた、この人外】
【奇特な姿も、行動も、人の常識の海には油。とはいえ、この世界においては、油の比率が多過ぎて、そう悪目立ちはしないが】

案外、楽しいかもしれんぞ、九十九に囲まれて、悠々自適に……私は、御免だがね。けろ。

【それはそれで、暇は潰れるかもしれないが、独り身ゆえの自由も奪われかねない】
【まして読書家にとって、何の特にもなるまいか】

【――下世話な話は、自分もあまり好きではない。ので、途切る】

けろけろ、野を駆け山を駆け路地裏を駆け、足の強さはちょっとしたもんだ。足音が鳴らんのは、便利だぞ。
しかしまあ、まずそうな身体だな。けろ、虫は虫でも本の虫というやつは、グルメな私が食うのには向いとらんらしい。くわっ、くわっ。

【笑う。この大口なら、人を頭からまるっと食うのも、難しくなさそうだ。まあそんな趣味はないのだが】
【其れよりは……少し太った羽虫を右眼が追う。舌を伸ばして食う事も出来る。それほど腹は、減っていない】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/26(木) 01:24:59.17 ID:i0z1ixXm0
>>509

【砂丘が動き出し、そして姿を現した】
【でかい、心にそのような言葉が現れた】

 親玉登場かよ
 つーか、あの砂竜が付属品かよ!

【盛大に大声でこのような言葉をはき少々落胆した】
【とはいえ落胆している時間はない】
【親玉は早々に仕掛けてくるからだ】

【しかし一人ではどうにもならないと判断した男は】
【隊長の女がいる場所へと移動する】

 しっかしよ、こんな巨体どうするよ
 ん、おいRPGあんのか、じゃあ使わせてくれ

【そのように言ってから、男はRPGを取る】
【そして〔トリガー〕 の対戦車ライフルを親玉に向けたのならば】
【女と隊員の男たちから離れてRPGと対戦車ライフルを両方同時にぶちかました】

 耐えるだろうなこれ、生半可な獲物でもないしよ
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/26(木) 01:35:57.81 ID:GlnkfSb5o
>>509
……
【索敵機から送られてくる情報、そして目の前に出現した"化け物"】
【男は眉を顰める、自身の周囲を飛ぶ砲台はその熱量と連射力はあるが、実弾としての威力は低い】
【更に自身の握るナイフは折れようが刃が毀れ様がすぐに再生できるが熱量はなく、軽機関銃を突破できない皮膚を突き破るほどの威力は無い】
【今の自分に出来ることは光源展開、索敵、そしてシールドの展開】
【だがそれでは】

物事は完璧に遂行するべきですから

【男は不敵な笑みを浮かべる】
【自分の手札は今は少ない、だが、だから、作ればいい】

そのための力が私……僕には存在しているから

【ふっと目に宿る青白い仄かな光が消える】
【それと同時に男の雰囲気はジープに乗っていたときとほぼ同じに変わる】

[命令:全体解除]

【次の瞬間、砲台もナイフも光源も消え、男の周囲には計10の機体が周回する】

[命令:光源展開/01,02,03]

【そしてその内の三つが化け物の周囲を明るく照らし】

[命令:索敵/04,05,06]

【さらに三つが化け物の周囲を飛行し、化け物の弱点を探る】
【機体は砂の中や皮膚の至近距離まで探るだろう、頑丈で非常に素早いため、簡単に壊れることもない】
【そして男はそれらの機体から送られる情報を整理する】

【残った機体は全てシールドを展開するために待機状態にしておく】


【一方男本体はその手にM1ガーランドを取った】
【銃器の取り扱いは不慣れそうだ】

銃器の扱いは苦手だなぁ……
ガーランドって言えば迫撃砲も存在するんだよね、関係、ないけど……

【男はそういうと不慣れな手つきで、だがしっかりと襲い来る触手に狙いを定めて引き金を引く】

狙うのは得意だし、撃つ事は引き金を引けばできるけど……

【やはり取り回しが苦手だなぁ、男はそう呟いた】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 01:45:13.76 ID:bAfJpgPT0
>>510

【そうして目付きの悪さを放っておいて貰えるなら、それがきっと彼女らにとっていいことのはずだった】
【天下の往来でまさか喧嘩を始めるわけにもいかないだろう。そもそも、この細腕では喧嘩などしたこともなさそうだったから】

昔というがね……、その体で言ったところで何の説得力もないのだよ、酒は飲むようだけれど……。
それとも絵本か何かかね。それだったらまあ――納得も行くのだけれど。普通の本も読むようにとオススメするよ。

【昔――昔。眼前の童女は見る限りでは童女にしか見えなくって、どうにもその言葉が薄っぺらに聞こえてしまう】
【けれどそう紡ぐ頭のどこかでは見た目以上生きているんだろうなんて思いながら、結局口に出したのはそんなことだ】
【「本はいいものだよ」なんて付け足して、最後の一節だけが、いやに活き活きしたように聞こえたのかもしれない】

……どうだかね。うちには本がたくさんあるのだよ、全てが自意識を持ちなどしたら大変なことになる。
まあ……でも、そうなったらそうなったで面白いのかも分からんがね。夢の中でなら大歓迎しておくよ――。

【「図書館の娘でね」と付け足した言葉があった。不思議と嬉しそうに紡ぐのは、心の芯より嫌がっているわけでもないらしいと示す】
【こんな世界だから何があるのかなんてきっと誰にも分からない。彼女の家の本が意識を持つ可能性だって、0じゃないなら】
【そんな風に考えてみることだって、――微かに現実味を持った空想として、楽しいことなのかもしれなかった】

足音は鳴らんだろうねえ、だが私は足音に不具合を感じたことなどないのだよ、残念だけれど……。
…………それは喜んでおくべきかしらん。食べられるよな趣味など生憎ながらなくってね、きっと不味いから――、

――ま、グルメなキミにはオススメしないよ。食べないでおいてもらえたら嬉しいね。

【いくらか底のあるブーツを地面で転がせば、ころりころりと鳴く音色。眼前の彼女ではあり得ない音を、遊ぶように鳴らして】
【細っこい指先が頬を伝い顎先まで落ちる。少しだけぎこちなく紡いでみせた言葉は、どう反応すべきかを悩んだようにも見え】
【最終的な結論としては“食べないで”というものだった。まあ、そんな答えは当然とも言えるものだったけれど】

……――おや、そろそろいい時間かね。悪いけれど……、今日はもう帰ろうと思うのだよ。
年末だからというわけでもないけれど――ああ、そう、アンネリーゼというのだよ、私は。

【「良かったらキミも」と、立ち上がりながら告げる言葉は些か急とも言えるもの。夜の更けたのに今更気づいたように】
【通りにはまだ人の姿が多く見られるが、それでも始めの頃よりは減っているようだった。店明かりも、減りつつあって】
【言葉通りに名乗ってもらえたとしても、そうでなかったとしても、「じゃあね」と言い置いて、人波へ姿を消した】

/すいません、眠気がひどいので……おつかれさまでした!
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 01:56:24.17 ID:dvLExKeCo
>>511

RPGでも、何でも……使い手が居ない分、武器は余っておりますのでお好きに。
しかしそうですね、どうしたものか。……策が無いではないですが
……奴の口元、あの触手に私の動きが邪魔されないよう、上手い事出来ますでしょうか――?


【隊長の女はそんな言葉で尋ねかけながら、まずうち放たれたRPGの弾道を眺めた】
【先ず、対戦車ライフル――これが触手の一つを砕くようにして撃ち貫き】
【続いて、RPGが巨大な砂竜の割れた下顎、3分の1を吹っ飛ばす――大戦果だ、が】

>>512

【ガーランドの弾丸は確かに触手の一つをとらえたが、イマイチ威力不足だ】
【だらり、一匹の力が抜けたように見えたがそれだけ。連写が効かない分、押しに弱く】


単に打つだけでは、あの巨体……沈みそうもないであります。
何処か弱点は……?見つかったならば、あるいは……。


【10の機体が周囲を舞うのを、巨大な砂竜は気にとめる風も無くうごめいていた】
【全身は固い甲殻に覆われ、唯一口は軟らかいようだが――砂の中も調べたのなら】
【もう一つだけ、分かることが有る。鼓動だ、わずかな波打ちが、砂の奥から聞こえていて――】

【――調査の結果を知るより速く、その鼓動が何かが明らかになる。心臓だったのだ】
【体外に露出した巨大な血袋。甲殻の隙間から覗くのは間違いないそれであったのだが】

>>ALL

【なぜ心臓が見えたのか?それは単純な話、巨大な砂竜が身を思い切り砂漠から乗り出し】
【無数の触手と共に、生き残りの人間たちを巨体でそのまま、叩き潰さんとするからである】
【避けることは――出来なくはない。幸いにして、顎の一部がふっ飛ばされていたし】

【触手の間も、うまくすれば回避に使えるやもしれず。そして何よりこのタイミングは】
【うまくすれば終局を一気に引き寄せられる好機とも成りうる。女隊長はすでに軽機関銃を放り捨て】
【弾薬と一緒に運ばれてきた手榴弾をベルトごと拾い上げて、顎の欠けた箇所が落ちるところへと走っていた】
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) :2013/12/26(木) 02:10:06.87 ID:d1mek0QV0
>>513

やい、見た目で判断するもんじゃあないよ。けろ。こう見えて私ゃ何百年となぁ……
でもま、そう見えるなら、これは正解というわけ……げこ。

【擬態】

【『欺く』為の容姿。この、悪い妖の基準なら、それは常識】
【ゆえに幼子に間違わられるのはまさに『狙い通り』だが、何か気に入らない】

……まあいいや。けろ。

しかし本に囲まれて生きてる本の虫か。けろ。餌には困るまいな。
どれ、冷やかしに行くのも、悪くはないか? けろけろ。

【実際のところ、本など、あまり興味はない】
【が、『冷やかし』というくだらない行為には、興味がある】

帰るのか、そうか、まあ、暇は潰れたぞ。けろけろけろ。

【……空を見た。暗い。往来も、ずいぶんと減った】
【なるほど、ニンゲンが家に帰るに相応しい時間だろう。ここからは化け物の時間】

名前か? カエロウだ。雨読川のカエロウ。覚えておけ、けろ。
……せいぜい夜道に気をつけな。けろけろ、モノ好きな化け物に食われんように……げこ。

【――つまり、自分の時間】

【アンネリーゼが去ってすぐ、カエロウもその場を去る。足音もなく静かに、消えるように】
【行き先は、路地裏。さて、鬼が出るか蛇が出るか、もっと厄介なのが出るか】
【ともあれその先は、今回の話には、無関係だろう――】

/お疲れ様でした。
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/26(木) 02:13:44.41 ID:i0z1ixXm0
>>514

 よし、ある程度ダメージを当てたか

【男はまず、当たった結果に一息静かについた】
【これでも、まだ終わりはしないと男はそう思った】
【だが、男にも聞こえるものがあった、鼓動である】

 おい、なんだこりゃ
 鼓動か?、なんで鼓動が

【男はそのように疑問に思ったがすぐに答えは出た】
【それは竜の心臓であった、男は顔をひくつかせていた】

 おいおい、まさかこんなもんを露出させてんだ
 
 ……そことなくいやな予感

【男の予感はあたり、巨体と触手が一直線にこちらに叩き潰そうとしてきた】
【いやなもんだとそうつぶやいて、〔トリガー〕 を一直線に走らせる】
【当然行くべき場所は、顎の欠けた箇所だ】

 だー!、たく潰されてたまるかよ!

【男はそのように悪態つきながら、〔トリガー〕 の仕込み銃や対戦車ライフルを触手や親玉めがけて撃ちまくる】
【当然狙いには、心臓も含まれているが、乱射状態なの精度はよくはない】
【そして顎の近くまできたら乱射をやめるだろう】
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/26(木) 02:15:47.76 ID:GlnkfSb5o
>>514
……あーもー、威力不足が否めないか

【だがRPGなんてもの自分が使おうものなら自分が後ろに吹き飛ばされるのが目に見える】

……ん、鼓動?

【砂の中の鼓動、そして鼓動するものといえば唯一つ】

心臓…かな!

【胃や腸なども動くことは動く、が一定したリズムは刻まないだろう】
【だから男はその巨体のすぐ近くまで走り寄る、と、同時に】

[命令:解除/04,05,06]
[命令:エレクトロガン/04,05,06>密集]

【化け物の周囲を探っていた三つの機体を自身の周囲に戻す】
【そしてその三つは密集し、青い光を纏う】

【だがそれと並行するように起こる地響き、化け物が身を乗り出し押しつぶそうとする】

ああ!もう!

【そう男が叫ぶと男の周囲で待機していた機体が一斉に動き出す】

[命令:四元電磁シールド/07,08,09,10>拡大>拡大>拡大>拡大]

【そして一瞬の間に砂漠と化け物の間に人を押しつぶさないように一枚の巨大なシールドが生み出される】
【だがこのシールド、拡大すればするほど脆くなるという欠点が存在する】
【つまり……巨体の落下を一瞬程度しか食い止められない、その一時がすぎればシールドは過負荷によって消滅してしまうだろう】

【だが、その生み出そうとした一瞬、例え生み出せなかったとしても男はその見える心臓へと走って向かうだろう】
【そして、密集することによって出力を上げたビームの光線によってその心臓を狙うだろう】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 02:38:37.61 ID:dvLExKeCo
>>516>>517

【人形を使役する男が乱射する銃の数丁に加え、機体を操る彼の――】
【強烈な青い光線が巨大な砂竜の、露出した心臓を傷つけていく】

【――こう、あまりに脆いのには訳がある。というのも、本来彼らは砂漠の奥地に生息し】
【天気も居なければ、こうして身を呈さなければ倒せない相手も居ないからだ】
【だから――あえて言うなら油断したのだ。何処を晒そうが負けるはずがない、と】


【対戦車ライフルに跳ね飛ばされた触手の一本が、一人の創りだしたバリアに跳ね飛ばされ】
【そのバリアを足がかりにして一つの影が躍った。それこそまさしく、手榴弾を持った女隊長で――】


>>ALL

――― G R U U U U U U U U U U O O O O O A A A A A A ! ! ! !

やかましい砂竜であります……竜という割、土竜にも似た体躯。
人に楯突こうというには些か早い種族だと断定いたします、そして――
――――これで終わり。元より心臓を撃たれては、長くないでしょうが……


【心臓に穴が空き、鼓動のたびに砂が真赤に汚れていく。触手はもう大半が動きもせず】
【やがてうめき声を上げながら倒れゆく砂竜の口元で、女隊長は手榴弾のピンを抜き】
【ベルトに束ねられた10数個のそれを選別とばかりに投げ込むと、離脱――】

【彼女が砂地に着地するのとほぼ同時、倒れこんで閉じた口の奥そこで爆音が響き】
【パシャッ!と血が周囲にあふれれば―――沈黙。僅かな地響きが収まれば――――】


…………終わり、でありますね。どうやら他に数も居ない様子……
幸いにして死傷者も……我々のを除けば……ゼロ、といった所。

――お二方とも、ご協力に感謝いたします。礼は後ほど、ギルドに致しますので
そちらの者から受け取って頂くようお願い致します。我々は後処理もありますので、これで――。


【女隊長の静かな声。それを告げると、軍人たちは早速後始末にとりかかった】
【ギルドのジープが近付いて来る――乗り込んだなら、二人はまた、都市の喧騒に戻ることになるだろう】



【それからのち、報酬は一人頭なんと600万。加えて、必要であれば砂竜の素材も】
【部位などを選んで貰える、ということで。更に詳しくは書類を参考すべしとのことであった】

【またこれは不思議なことなのだが――後になって調べてみると、砂の国には】
【第13国境警備団≠ネどという部署は存在しておらず、その地域も守りは置いていない、とのことだったが――】
【――まさか幽霊でもなし。報酬を貰えればそれで良いという人種なら、どうでも良い事――それが全ての終幕であった。】

/というわけで、やや巻きですがこの辺りで突発イベント終了とさせて頂きます!
/報酬は後ほどイベントスレで!では、お付き合い頂きありがとうございましたー!
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/26(木) 02:46:30.45 ID:i0z1ixXm0
>>518

へいへい、お疲れさん

【男は疲れた口調で言った】
【実際に疲れたたのだ、あんなのは二度とごめんかなとも思いつつ】

 はあ、まあいいか
 報酬も高値だろうしね、まあ臨時報酬が入ったと喜ぼうか

【すぐさま男はと調子をとり戻し】
【心の中でガッツポーズしていた】

 んじゃま、あんたもお元気で

【男はそう言ってジープに乗り込む、宿でさっさと寝るかという思いも乗せて】

/お疲れ様でした
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/26(木) 02:49:54.20 ID:GlnkfSb5o
>>518
……終わったのかな

【そういうと彼はほっとしたような表情をする】
【そして爆音】

う、うえへぁへあ……

【先ほどからの銃声、とどめに手榴弾の轟音に男は耳をやられ目を回す】

あぶっ……

【そしてとどめの血しぶき】
【気管に入ったのか、むせる】


【しばらくの後、男がようやく立ち上がると顔面血だらけ服はどす黒く所々硬化しているという様】

ぜーぜー……

【こんな様子の男が女性の話を聞けているわけでもなく】
【ただもう一人の男性がジープに戻っていくのを見て、自身も戻っていった】



【これは後日の話】

あれ?

【アレから服を再び買い換えた男】
【図書館にてこの国の情報を集めていたのだが……、どこにもあの警備団の名前がない】
【最近削除されたというわけでもなく、元々存在しなかったかのように】

……怪しい

【男はこの砂の国に疑念を残しながら再び旅へと戻った】

//お疲れ様でした
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/26(木) 21:20:31.90 ID:NiVNkb5Io
【水の国】


【「得体の知れぬ店が有る」】


【郊外の盛り場にでも繰り出せば、そんな話を小耳に挟むやも知れない】
【そうで無くとも、「それ」は「そこ」に在るのだから、通りかかっても可笑しくは無いのだが】
【場所は、郊外よりも更に郊外。開発途中で妥協の末、無理にベッドタウンにされた様な、半端な土地である】

【さて、櫻風の──鄙びた、と表現するには聊か、佇まいが開き直った店だ】
【店の前は綺麗に掃き清められており、首輪を付けた三毛猫と柴犬が、並んで餌を食べていた】
【──飼われているのならば店の中に入れば良い物だが、何故か、ヒーターが近くに置かれている】

【そして、最も目に付くのは、店の上に掲げられている古看板である】
【「筐屋」──櫻の人間でさえ、辞書でも無ければ、読みも字義も分かったものではない】
【まして、水の国である。「得体の知れぬ」というのは、浮いた雰囲気の上に、この看板の為す処が大きいのか】


【兎にも、角にも】

【其処を訪れる端緒がどうであれ興味を持ったならば、建付けの悪い引き戸も、飼い猫と飼い犬も】
【来訪者を妨げることは無いだろう】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 21:44:02.47 ID:CITABe8q0
>>521

【かつり、かつり、ゆっくりと近づいて来る足音は誰かが訪れることを夜に教えて】
【ある程度近づいた頃合だろうか、訪れた誰かが、「わぁ」と声を漏らした――そんな、気配がした】

――猫だぁ、犬だぁ、

【――ぱぁと声に喜色を塗して早まる足音は、つまり、まあ、動物のことが好きらしいのだと知らせるには十分なほど】
【かつかつかつと急ぎがちに店前まで歩いたなら、ひとかげはそっとしゃがみこんで――猫と犬へ、手を伸ばすだろう】
【彼(女)らが突然の動物好きに構ってくれるならば。凡そ数分ほどは店の前から明るい笑い声がしてくるはずだった】
【それは鄙びた周囲にはひどく浮いたもので――まるで鈴の音のように響くのが、余計に夜へ浮き立つ違和感なり得た】

どうしたの? こんなところに……、……ヒーターあるの。暖かくていいね、良かったねー。

【それでも。楽しげにしているところを見れば店をどうにかしてやろうという類の客人でもないのは、一目瞭然で――】

【――そんな誰かに動きのあるのは、構ってもらえなかったなら訪れてすぐに、構ってもらえたなら訪れてより数分後のこと】
【どちらにせよ姿を見られただけでテンションの上がる性質であるらしかった。上機嫌に看板を見上げて――読めない、のに】
【ひとつ首を傾げてから。引き戸をがたがた言わせ、店内へと立ち入ろうとするのだろう――】

…………こんばん、はー?

【――真っ黒な色をした髪は腰ほどまで伸ばされていた。ちょんと花を模した刺繍をあしらったヘッドドレスを添えて】
【蛇のようにまあるい赤黒のオッドアイは店内を興味を宿した色合いで見回していた、誰かが居るなら、そちらへ向けるが】
【そうして見渡す頭の動き、追随しては明かりに煌くものが、耳元に。――それは、宝玉の欠片をあしらった、ピアス】
【和袖のコートは黒基調。ふわふわと拡がるスカートのワンピースは深い赤色を基調としたもので】
【腰元に飾られたリボンが膝の高さまで降りてひらひら揺れていた。つま先のまぁるいストラップシューズは黒色のもの】

【――少女、だった。少しだけの不安に声を揺らして、自分の入ってきた引き戸を、いまだ閉めず】
【何かあったら逃げ出そうとしているのが見て取れた。ほんの少し怖がりな、おきゃくさん】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/26(木) 21:54:19.50 ID:NiVNkb5Io
>>522

【犬も猫も、彼女の手に応えはするが──何処か泰然としている】
【まるで、「しゃあないから付き合ってやるか」と云った様な、そんな雰囲気だった】

【ようよう引き戸と格闘して、其処に這入ったなら】
【先ずは「思ったよりも広く」、そして次に、「感じたより狭い」と思うだろうか】
【言い換えれば、「広いが、物が多い」。壁四面に棚が設えられており、物が溢れ出そうとしている】

【──中は然程、昏くは無い】
【外の雰囲気は佇まいに依る処が大きいのだろうか、天窓からは月光が漏れている】
【月光と照明に照らされた室内には先述した通りの棚と、そして】


……おっと。いらっしゃいませ。


【──少し奥に配置された大机の向こう、厚手の本から顔を上げた人物は店主だろう】
【身を包んだ和装は少し寒々として見えるが、室内には暖房器具が置かれているので十分だ】
【少し長めの黒髪に、眼鏡。まだ年若く、二十代の半ばといった所だろうか】


そろそろ閉めようと思っていたのですが、読書に夢中で良かった。
ようこそ、「筐屋」へ。お茶でもお出し致しましょうか。


【「かたみや」】

【店主らしい人物は、そう発音して】
【机の前に幾つか置かれた、古い椅子を手で勧めた】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 22:21:36.01 ID:CITABe8q0
>>523

【しゃあないから――きっと悟った風の顔で遊んでもらったなら、どちらが人間なのか危うく思える光景】
【ある程度気の済むまで遊んでもらったのだろう。犬も猫も大好き。蛇はもっと好きだが――閑話休題】

【立ち入った店は思ったよりも広くて、物が溢れていて、ただ、嫌いな雰囲気ではないらしい】
【ざっと見る限りで危険を感じるようなものが、ことがないなら、いくらも遅れて後ろ手で引き戸を閉める】
【はじめは疑問系の曖昧なものだった。改めて「こんばんは」と紡ぐなら、鈴の音はより一層涼やかに、店内へ放たれて】

かたみや……、おみせやさん? ……あっ、お茶は、えっと、……それなら、お言葉に甘えて――。

【“かたみや”。ひとりでは読めなかった名前を音で聞いてようやっと理解する。あれはそう読むのだと、関連付けて】
【店屋ならば何を扱うものなのかと疑問系の声が尋ねるのだろう、中を見る限りでは――いろいろありすぎて、少し分からない】
【その答えを探すように、近場をちらちらと見ていた折だ、そう提案されるのは。……故に、少しだけ反応が遅れた】
【肩を縮めてコートのボタンを指先で弄ぶ、少しだけ性格をうかがわせる欠片を見せて――】

――ありがとう。

【ここでようやく笑って見せた。微かではあったが、ひとなつこさを窺わせるように彼女は笑んで、】
【勧められた通りの椅子に浅く腰掛けるのだろう。膝にちょんと両手を揃えて、背中はしゃんと伸ばしたまま】
【――その手の片方、左手の薬指には指輪が嵌められていた。黄緑色の瞳を輝かせる蛇の模様の、誓ったような指輪】

あ……、……お店の前の子たちに遊んでもらったの。飼ってるの? かわいかった――。

【表の猫たちの話題となるともう少し笑みも解ける。冷えた指先をすり合わせるようにしながら――そう、尋ねた】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/26(木) 22:39:31.10 ID:NiVNkb5Io
>>524

【店主は腰を上げると、少し奥に見える流しに向かい、急須から茶を入れる】
【茶は予め、入れてあったのだろう。二つの椀からは、薄く湯気が立っていた】

えぇ、飼って「やって」います。
その代り、番をさせているんですよ。

【何とも恩着せがましいのか、それとも、度量が広いのかよく分からない】
【椀を両手に持ち──また、戻って来て】

ああ、茶柱が立っていますねぇ。
縁起が良い。私はどうも遠慮して飲みにくいので、嫌いなんですけど。

【そう言って、茶柱が立っていない方を自分の机の上に置き】
【立っている方の茶を彼女が座った横の椅子に置くと、机の向こうの椅子に腰掛ける】


さッて。

仰る通り、此処は「お店屋さん」とも言えます。
とも、と云うのは──まぁ、少し「プリミティヴ」、原始的な取引形態を取っていまして。

【と。――そこで、彼女の指輪に気づいたのか】
【笑みを浮かべて、】


ご結婚なされた。それも、最近でしょうか、恐らくは。


【勘ですが、と続けた】
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/26(木) 22:49:24.40 ID:tYRDedKA0
【櫻の国の森の奥地――――夜だと言うのに不思議と優しい光に包まれる其所。漂うのは一つの気配】
【妖気。即ち、妖狐の其れであって。例え妖気を感じ取る事が出来ないとしても、若干の違和感を覚えるであろうか】
【見れば、巫女装束を纏った一人の少女が居るはず。その身には、特徴的な耳や尾といったものは生えていないのだが…………確かに、妖気】

【首に下げられた首飾りは、勾玉を象った翡翠の其れであって】
【少女から放たれる妖気と、勾玉から放たれる神聖と。互いに相殺せず、両立している事がこれまた奇妙】


「…………あの……沙蔓…………?
えっと…………何処に、行ってしまったのでしょう…………」

【キョロキョロと辺りを見回しては、困った様な表情を浮かべて】
【――――迷子、という訳でも無さそう。ならば、呟いた言葉から察するに探し人であろうか】
【八の字に曲げた眉は、実によく少女の感情を表していて。落ち着き無く見渡す其れは、性格を現していようか】


「あの…………先に、戻っていますよ…………?
…………その……後、少しだけ、此処で待っていますので…………」

【そんな言葉を吐き終えれば、身近な切り株へと腰を落ち着けて】
【――――長い溜息。元より気弱な性格。幾ら明るく照らしているといえ、やはり森という場所に独りぼっちは中々に心細いのか】
【何か物音がする度にビクリと身体を跳ねさせて、そちらを確かめているのだけれど――――】








【街の中――――普段は喧噪で賑わう其処だけれど、今日ばかりは静かで】
【その街の中央に立つのは、一人の巫女。瞑想の如く目を瞑り、風に黒髪を靡かせている姿は幻想的に見えるかも知れないか】
【不意に手を横に伸ばしたならば、その腕に止まるのは一羽の鳩。真っ白で、僅かな耀きを放っていて】


「ご苦労様でした
――そうですか。異常はありませんでしたか。でしたら、何よりです
ゆっくり休んで下さい」

【空いた片手が鳩を撫でたならば、其れは瞬時に一枚の符へと変わるのだろう】
【所謂、式神。櫻の国ならば、それなりにメジャーな術であろうか】
【そのまま袂の中に手を入れれば、一枚の煎餅を手にとって】


「……可笑しいですね。何も無いという筈は無いのですが
まあ、良いでしょう。面倒事は嫌いですし
そんな事よりも、この空腹を満たすことが先です」

【ゆるりと小首を傾げるけれど、結局は自分に言い聞かせ、納得するのだろう】
【揚げたてであろうポテトチップをパリパリと食べながら、お腹が空いた何て言うが――――手に提げている袋には、大量の中華まんの飽き袋があったりするのは、余談だろうか】
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 22:52:12.25 ID:CITABe8q0
>>525

【ふわとゆったり上がる白い湯気が、外から来たばかりの彼女には嬉しかった】
【相手には知りもしないことだが、彼女は寒がりである。暖かいもの、大歓迎――】

そうなの? ……でもいい子だったよ、いきなりだったのに遊んでくれたもの。
どんな名前なの? 野良だった子たちなのかな? ……――、

……わぁ、茶柱なんて久しぶりに見た――。

【始めはどこか不安そうで、怯えているようにも見えた彼女が、犬猫の話になると、こんなにも明るく笑う】
【飼って「やって」という言葉から野良なのかと連想した。名は何というのかを尋ねるなら、帰りに挨拶でもするつもりだろうか】
【些か幼さの残る顔を嬉しそうに綻ばせて、些細なしあわせごとにご機嫌――単純なところのずいぶんとあるようだった】

【「いただきます」と告げて出された椀に手を伸ばす、数秒ほど沿わせて、手を温めたなら】
【そっと持ち上げて――口を付けたが、“飲まなかった”。警戒と見るか、猫舌と見るかは、相手に委ねられる】

物々交換とか……、……あれ、

【そうして唇を湿らせただけの椀を机に戻す。原始的な商売とは何かを、少しだけ考えるようにして――】
【口を付けた箇所を指で拭って、瞬きひとつ。“どうして知っているのか”、向けられる視線はそんな風だ】

……そうだよ、わたし、イブに結婚したの。

【――そんなに浮かれた顔をしていたのかと少しだけ思う、それでも少しだけ訝るように、そっと視線を向けて】
【その言葉は正解だと告げる。そっと笑んでは見せるが、犬猫を語るそれよりは、いくらか硬い色が窺えた】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/26(木) 23:08:05.39 ID:NiVNkb5Io
>>527

【彼女が茶を飲まなかった様子を見て、店主は自らの椀を取り】
【ぐい、と一飲み──半分ほどは減ったか。どうも、熱すぎる訳でも無いらしい】
【手の甲で口を軽く拭うと、頭を下げて】

それは、おめでとう御座います。

真坂、それほどの「最近」だとは思いませんでしたが。
……ああ、申し上げた通り、ただの「勘」ですよ。
指輪を嵌めて居られるということは、新婚であったり、愛が余程深いのでしょう。
加えて、貴女はお若い。十の前半で結婚する方は今時、そうそうおられません。

【つまりは、「根拠の有る当てずっぽう」であろう】
【持って来て置いた急須から、自分の椀に茶を足して、僅かに目を細め】


──お相手は、佳い方なのでしょうねぇ。


【嫌味の混じらない、よく透る声でそう言った】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/26(木) 23:14:53.03 ID:Q+e23CwT0
>>526

【街中、静かなその道にもう一つ、足音が響く】
【その足音は少しずつ大きくなって、その巫女の方向へと近づいてきているのが分かる】

―――『成る程な、次は櫻の国に行けってことか…了解』
『にしてもお前は面倒な仕事をいつもいつも…交通費は出るんだろうな?』

【同じく響き渡るのは、なんとも『ハスキーな青年の声』であった。誰かと電話をしているのだろうか】
【電話の内容ももしかすれば、櫻の国という地名は巫女らしき少女にとって気になるものなのかもしれないが】
【足音に気付いてその方向へと視線を向けたのであれば、巫女らしき少女は――少し、不思議な光景を目の当たりにするだろう】


―――『ああ、分かったよ…じゃあ切るぞ、いいな?』


【―――白いブラウス、黒のジーンズ、茶色のローファー】
【黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳、背丈は160cm程か】
【金髪のショートヘアを、左の前髪だけ紅いヘアピンでとめた『少女』が一人、そこに居た】

【どう見ても、そしてどう聞いても性別の違う声とその主。喉にぴたりと、レコード針のようにあてられた左手の中指】
【更に付け加えるならば、その少女はどう見ても『口を一切動かしていない』のだった。腹話術のようなもの、だろうか】

――――――――…!

【歩きながら右手の黒い携帯端末を切って、ポケットにしまう途中、そこでやっと巫女の存在に気付く】
【目が合ったりすればその時は、軽い会釈でもするだろう】

/まだよろしいでしょうかー
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2013/12/26(木) 23:19:40.02 ID:iJCdVPDy0
【雷の国、セードムシティ近郊/市街地】

【一月と少しばかり前に行われた“機関”による追撃、その拠点となった地方都市から十数km西方に位置する小さな街。】
【ブレザシティ同様の侵攻の恐怖におびえる日々を過ごしながらも、祓う様に、祈りながら先を急ぐ様に人々の営みは続いて】

【行き交う影たちは陽炎の様に、擦れ違いながら目的地を目指した】
【同じ場所には留まらない。二度視界を掠めるのかすら分からない。】
【けれど彼らは現実としてそこにあって―――他者の視線に触れたとて、熄えることなどないのだろう】
【……それが、どの様な 悪の視線であっても。】

【ふわりとした深緋色の長髪、榛色の勝気な双眸、カーマインのマキシ丈の上質なワンピース・ドレス、】 
【豊満な胸元に揺れるのは銀の逆十字―― 中心に“機関”の紋章が刻印された、装飾的なチェーンを特徴とする首飾りだった】

(……あの戦いが嘘みたいだね。何人死んで、何人生きたか……風化して残るのは“恐怖”そのもの、か)

【白い建物の屋上で、朱い女が淡く褪せた意識の片隅で地上を見る。】
【視線の先には白い雪。霞の様に人々を取り巻いて、朝の如く澄んだ気配で涼やかに宙を舞う】

【思索には最適といえる静かな一刻だったが―――、  】

「…――――――」

【物憂げに停滞に沈む難しげな双眸は、この物思いを今宵に求めての彷徨いの様で。】
【彼女の様な容姿の人物がそうしているのは、純朴に過ぎるこの街で、よくある事でもないのだろうが――――。】

【カノッサ機関系列の総合病院。表向きは一般の医院として看板を掲げているため、“機関”の構成員以外にも利用はあるのだろう】
【或いは小さく見える朱い人影に、興が乗ったなら声をかけてみるのも良いかもしれない。今は、殺気めいたものは予兆さえもなかった】
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/26(木) 23:26:53.42 ID:CITABe8q0
>>528

【――そちらが椀の中身を大方減らしてから、程なくしてのことだった】
【彼女はもう一度椀を取り、今度こそ――今度こそ、ひとくち分ほどを飲み込んだ】
【そうして机に戻した椀、口の跡をまたも指先で拭いながら――】

…………――そっかぁ、

【温まった口中から零す吐息は、普段のものよりも、ふわと暖かに無色でくゆって】
【何かを知っているのかと思いかけたところが、そっと崩れていく。言われてしまえば、そう思えたから】
【言い含められたとも言い換えることが出来たのかもしれない。もうひとくち茶を飲んだところに、少し窺えた】

そう、とってもいいひとだよ。とっても優しくてね、でも少しだけ子供っぽいときもあって……。
とっても背が高くって。とっても声が低くって。とっても手が大きくって――……

【椀の淵をなぞる指先は無意識の手慰みのよう。少しだけ気恥ずかしいのを、ごまかすようにも見え】
【鈴の音の声は少しだけ甘くほどける、記憶の中で最愛を想起して――笑みだって、いくらも濃くなるなら】
【新婚も新婚だ。これぐらい好いているぐらいがきっとちょうどいい。初対面に惚気てしまうぐらいが、きっと】

…………あ、ううん、だいすきなの。

【放っておけばどこまでだって語っていそうだった。だいすきなひとのことを、ずっとずっと、きっとしあわせそうに】
【それがそうならなかったのは、本人が寸でのところで気付いたからだった。瞳を一度ぱちくりと瞬かせて】
【――少しだけ気まずそうに残ったお茶を飲む。喉が渇いていたのか、それで椀は空になった】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/26(木) 23:36:59.71 ID:tYRDedKA0
>>529
【むしゃり、むしゃり。我関与せずといった様子で頬張り続ける事数秒】
【確かにその違和感は耳に届いている筈で、治安を維持する自警団として行動に値する訳でも無いにしても注意はしておくべき相手であろう】
【――――にも関わらず、未だに頬張り続け、ゴミが増えてゆくばかり。特に接触する様子も無い。…………今は、だが】


「…………随分と面白い話術を心得ているのですね。見た目とは違った声を出す力
――――いえ、その見た目こそが偽りでしょうか。何よりも、こうして声を発するべきその口を使わなかったのですから」

【通話が終わり、会釈をしたその後に投げかけられた声。抑揚の薄い声色は訝しむ其れであるか否かも感じ取りにくく】
【マイペースに中華饅頭を食べ続ければ一拍置き、やがて袋に入った其れ等が全て無くなれば今一度視線を向ける事だろう】
【感情が読み取り辛く、ただただ暗い、漆黒の双眸】


「聞いてみれば奇しくも私の故郷である櫻の国の話題
…………どうです。お急ぎでなければ一つ世間話でも
“面倒な仕事”とやらの事も聞いてみたいですから」

【有無を言わせぬ、とはまた異なるけれど。其れでも確かに、その声色か微かな感情を伴っていた】
【――――無視して進むも良し、時間があるならば適当に話すも良し。その選択は少女自身にあるけれど】

/もちのロンで大丈夫でありますよー!
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/26(木) 23:50:27.82 ID:NiVNkb5Io
>>531

 【「そう、とってもいいひとだよ。とっても優しくてね、でも少しだけ子供っぽいときもあって……。】
 【とっても背が高くって。とっても声が低くって。とっても手が大きくって――……」】

 【「…………あ、ううん、だいすきなの。」】


   【ぐらり と】


 【少しだけ、「何か」が揺れた気がしたかも知れない】
 【地でも天でも、実でも虚でも無く。或は、その総てが揺らいだか、揺らがぬか】
 【店主の笑みと、歪む室。何が有るのか、無いのか、彼岸とは、此岸とは──】



 ── 世は「筐の水」。

【そんな「錯覚」も、店主の声は掻き消す】

 ですが世の「形見」が有れば、水も取れようと云う物です。
 貴女は確かな、「片身」を「ここ」に遺して戴けました。
 人の想いは片身であり、形見に転じて、「筐の水」を取り払う──。

【ぐわん、と揺れた視界が、整復される様な「錯覚」を覚えるかも知れない】
【何を話しているのか、彼女にはよく分からないかも知れないが、それでも】
【「ここ」が、彼女の言葉を喜んだ、というのは少しだけ、感じられるかも知れない】


……失礼。佳いお話を聞かせて頂けました。
如何でしょう、「筐屋」から御礼としまして何か差し上げたいと思うのですが。


【気が付けば、先ごろと何も変わらぬ風景だ】
【店主は笑んで、彼女から少し離れた「戸付棚」を指し示して見せた】
【──其処を開ければ、貴女の「想い」の「形見」が入っているかも知れないし、】
【或は、欲しい物、期待した物。何も思い付かないなら──「ここ」が、決める】


/戸の中身は無理なもので無ければ、勝手に決めて頂いて構いません。
/思い付かない、或いは此方で決めた方が良い場合には、開ける所までお願いします。
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/26(木) 23:57:49.79 ID:Q+e23CwT0
>>532

【少しだけ目を丸くして、きょとんとした表情でその巫女を見据える】
【まさか話しかけられるとは思っていなかったのだろう。直ぐに、表情を無へと帰して】

【今度は、喉に当てていた指を、中指から人差し指に変えた】

―――――『お褒めの言葉として受け取っておこうかな。今度は見た目に合った声だと思うけれど、どうかしら?』
『それと残念ながら、この体はホンモノ。残念ながらね』

【次に彼女から奏でられた声は正しく『可愛らしい少女の声』】
【しかしながら、口を動かさないという奇妙さはまだ残っているのだが、違和感は少し無くなったか】

『ああ、櫻の国…どういう因果か、私の上司も櫻出身なんだよ』
『聞いていたのなら分かると思うけれど、さっきの電話の相手がね…』

―――『ふーむ、そうね…じゃあ貴女はこんな話を知ってる?』
『何でも、櫻の国で妖怪が出ただとか何とか…詳しい話はまだ聞いてないんだけれどさ』
『分かりやすく一言で言うなら“討伐”っていうヤツよ、今回の面倒なお仕事ってのは…』

【あえて少女はその場に留まり、世間話とやらに乗ってみた。無論やましいことなどないのだ――今回は】
【分かりやすい説明をしたつもりではあるが、信憑性やら何やらはまた別のお話で】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/27(金) 00:00:52.61 ID:VDmqrssh0
>>533

【ぐら、と。その違和感は、何が歪んだとも分からないほど微かで、けれど確かで、】
【貧血かと思った。或いは、疑いたいわけでもないが、茶に何か――とか。思いかけて、少し、“違う気がした”】

…………、あれ、――?

【店主の言葉は少し以上に分からない。きっと何かの意味を持つのだろうが、彼女はそれを知らない】
【――だから。顔に“はてな”を浮かべて、少しだけ笑みを浮かべて、いい子にしているのが彼女の答えだった】
【もちろん。その微かな笑みの裏で思考は回されている。店主の言葉の意味を、少しでも汲み上げようとするみたいに】

え――、お礼? ……わたし、なにかした、かな……、

【――先ほどの感覚は悪いものではなかったのだと、彼女の感覚のどこかが、そっと捉えた】
【けれど何が起こったのかを理解していないなら、始めに見せたような僅かに不安そうな態度で、そう尋ねる】
【何かしでかしてしまったろうかと――不安がりな性質なのだ。そこは、きっと、どうしようもないこと】

……開けるの……?

【きっと店主はあの感覚についても知っているのだろう。それとも、感じ取ったのは彼女/自分だけなのか】
【どちらとも察することの出来ないままに指先で“そこ”を示される。少しだけ迷うような素振りがあったけれど――】
【かたんと椅子を後ろに引いてから、立ち上がる。百六十センチに靴底を足した、ちいさいともおおきいとも言えない体躯】

【――やがてたどり着いたなら、恐々と取っ手に指を掛けるのだろう。そして、ぎぃと引いて――?】

/せっかくなのでお願いできましたら!
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/27(金) 00:19:13.78 ID:nZLxFBnuo
>>535

【中に入っているのは、小さな「ブレスレット」だった】

【珠が模しているのは、「鈴蘭」。――花言葉は、「永遠」】
【恐らくは相当高価な物であろう事は、それが「宝石」で出来ている事から伺える】


……ほう。


【だが、それにしても出来すぎだ】
【まるで今、「結婚したばかりの彼女に合わせた」様に、ぴったり】
【手に取れば分かるだろうが、サイズも彼女に合っているだろう】

──さる、水の国の貴族が作らせた物です。
没落した際に流れたものですが、まぁ、呪われてはいませんよ。
鈴蘭の花言葉は、「永遠」。新婚の貴女にぴったり、かも知れません。

【そう告げると、店主は茶を飲み干した】

【店内が少し暗くなったのは、「月光」が少し雲に隠れたからだろうか】
【気が付けば、結構な時間である】
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/27(金) 00:22:17.94 ID:e4rJsifU0
>>534
「大分マシになった…………とでも言っておきましょうか
未だ口は動いていないようですが――――まあ、良いでしょう
強制すべき事でも無ければ、其れによって他の方が死ぬ訳でも無さそうですから」

【暫しの間。所謂静寂であって、者によっては苦痛であるし、者によっては心地よいものでもある】
【――――相手から紡がれなければ、巫女から紡ぐ事が無い。受けの構えとは又異なるけれど】
【ゴミ入れと化した袋を丸めれば、小さな龍を象った一体の式神を召喚して】
【その口に咥えさせればそのままゴミ箱へ運ばせ――――その最中に、相手から返ってきた答え】


「ええ、知っていますよ。事情等々は分かりませんが、少なからずその話の表面程度は
一応巫女の端くれでもありますからね。とは言っても、今回関与すべきかは未だ不明な所ですが――――
まあ…………幸い、別な宗教ですが荒事が得意な知り合いが居ます。或いは彼方が先に出るのか、其れとも私と同じ様に見送るのか…………定かではありませんが」

【問われれば、知っていると答える。少女と同じく深い所までは掴んでいないが、少なくともその依頼が発生している事程度は把握している様】
【戻って来た式神の頭を撫でてやり、再び札へと戻した後に新たな言葉が紡がれて】


「――――即ち、貴女もその討伐に出ると?
どんな人間が能力を持っているのかも分かりませんし、きっと貴女も其れを任される程の実力を持っている事でしょう
…………今回の妖は相当に強力だと小耳に挟みました。例えどの様な力を持っていたとしても、油断だけはしない様に気を付けて下さい」

【巫女と言えば妖怪と対峙する存在であるが――――――この巫女はまた異なった位置に立つ、とは余談】
【真っ先に退治に向かう事を示さない辺り、その事を感じ取れようか】
【何はともあれ、語った内容は自身も同じその場に居るかも知れないし、居ないかもしれない。そんな曖昧な事】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/27(金) 00:34:18.49 ID:VDmqrssh0
>>536

【何が出るかと身構えている部分があった。少しだけ腰の引けたような、様子だったのが】
【いざ開いてみれば中にあるのはブレスレット。それも。宝石で出来たような――】
【――綺麗、だと思った。店内の明かりを微かに反射して艶めけば、石の色も微かに変わった気がして】

……――わぁ、

【そっと取り上げてみる。しゃらりと石同士の擦れる涼しげな音がして、ぴったりと手に収まるのは】
【彼女の身体にぴったり沿うサイズであるからだろう。大きすぎもせず、小さすぎもせず、まるで誂えたように】

え、――でも、そんなもの……。いいの? ……会ったばかりなのに。

【ブレスレットを掌に載せたまま店主へと向き直る。礼というからにはくれるのだろうが、どうにも――】
【高価なものではないかとか。そういった気持ちが遠慮させる、そっとそちらへ手ごと差し出すようにして】
【何なら返すと言う態度で佇んでいた。けれど、押してやれば受け取るだろうことも、きっと察することが出来たはずだ】

【――それでも綺麗であることには変わりない。彼女も少女であるなら、そういったものが嫌いでもないらしい】
【はじめて見たときに輝いた瞳を、今も少しだけ惜しいように見る瞳を、見ていたなら、きっと】

とっても綺麗だし……高価いんじゃないの? わたしが受け取っちゃって、いいのかな……。

【鈴蘭の花を掘り出した宝石は何色をしているのだろう。花の通りに白色なのか、それとも他の色を抱くのか】
【――ひとまずは店主の言葉待ちだった。彼女としては、“どうしてもと言われるなら受け取ろう”と】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/27(金) 00:47:02.84 ID:nZLxFBnuo
>>538


良いですよ、私の物じゃないですし。

【──軽い調子の即答である】

それに先ほど申しました通り、元の持ち主が手放した物です。
言うなれば、「形見」。「形見」に込められた想いは云わば、地縛霊。
救われるには、本来の効用を取り戻さねばなりません。

貴女の手にそれが収まったのは──「貴女の想い」を、望むが為です。

【額縁通りに受け取れば、それを「店主」が望んだという事だろう】
【だが、決して、「誰が」望んだと明確に言ったわけでは無かった】

 【兎にも、角にも】


……さて、余り遅くまでお引止めしては、ご亭主が心配されるでしょう。
私もそろそろ、店を閉めねばなりません。


【「商売は終わり」、と云う事か】
【──びゅう、と風が吹き込んだかと思うと、何時の間にか入口の引き戸が開いていた】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/27(金) 00:48:31.02 ID:BXHP5cvq0
>>537

―――『そう、ならよかったよ』
『悪いね、こういう体質なんだ。せめて違和感無い様に口パクでもしようか?』

【冗談めいた笑みをはらむ声色――の割にはなんだか、真顔のまんまだったりするのだが】
【途中、少女は浮翌遊する式神に少し目が行く。龍らしきそれがゴミを片付ける姿に一言――『便利だね』と】

―――――『そう、まあ知ってておかしくない、か』
『にしても、故郷が危ないかもしれない、というのに随分と冷静なことで…即刻お払いか何かにでも行くのかと思った』
『ああ勿論感心してるのよ?感情的になってしまえばそれこそ死へと繋がる、というものだし』

【仮面が張り付いたまま、離れないかのように変わらぬ表情。そこから発せられる感嘆めいた声】
【やはりこのギャップに慣れるというのは楽ではないだろうか。少女にとってはそんなものお構いなしのようだが】
【むしろきになったのは巫女の冷静な態度らしい。やや遅めのフォローを交えて、感想を紡ぐ】

―――『あら、ご忠告どうも…お金が関わることに油断するつもりは、無論無いけれど』
『額があれだけなら、こっち側の戦力も相当でしょうし、知り合いさんが居るなら尚更、ね』

『…と、いうわけで死んでやる謂れなんてないから、まあ安心してよ巫女さん』

【初対面にしてはなんというか口調がフレンドリーではあるが、とどのつまり任せておけと】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/27(金) 00:59:11.32 ID:VDmqrssh0
>>540

【遠慮気味の態度も、あまりにもあっさりと即答されてしまえば、どこか尻の切れた蜻蛉のよう】
【ぱちりと瞬いて見せて、数秒ほど黙り込む。そのうちに載せた掌を眺め――、視線を戻す頃には、決めているようだった】

……使ってあげればいいの? ……それなら、うん、――わたしで良ければ、連れて行くね。

【掌に載せるだけだったそれを、初めてぎゅうと握りこむ。石の冷たさに、自らの体温を教えてあげるように】

【(――自分はそうされると嬉しかった。抱き締めてもらったときに伝わる暖かさが、とても嬉しかったから)】

【そっと腕に通してみる。普通のものでは緩く感じるほど華奢な彼女の手首にも、それは不思議とぴったり合って】
【「どうかな」と尋ねてみる声があった。通した手首を店主へと見せて――ちいさく、首を傾げてみる】
【冬であるのが残念だともいえた。厚着をしているから、どうしても手首は隠れてしまいがちで――少し、見えづらいから】

あ……、……もうそんな時間?
ぅん――、本当。……――じゃあ、わたし、帰るね。

【――言われて初めて時間のことに意識が向いたようだった。このどこか不思議な場では、どうしたって忘れてしまう】
【コートのポケットから懐中時計を引きずり出して現在時刻を確かめる。そうしてやっと納得したように、ひとつ頷いて】

…………――わたしね、鈴の音って書いて、りんねって言うの。

【かつんと引き戸へ足を向けたところで、何かを思い出したように振り替える――すぐに、何を思いだしたのか分かるだろう】
【良かったら名を教えてくれないかということだった。店の名だけでは、少し、寂しいような気がしたから】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/27(金) 01:11:10.90 ID:e4rJsifU0
>>540
「責めている訳はありません。私に不都合が生じる事も無さそうですから、普段のままで――――
貴女が話しやすいのならば、其れで構いません」

【便利との言葉には小さく頷く程度には愛想があるのだろうか】
【――――果たして其れを愛想と認識するのかは、人それぞれであるかも知れないが】
【兎にも角にも、少女が其れで良いのならば無理に変える必要は無いと加え】


「私一人でどうにか出来る相手で無い事は明白ですし、かといって本家を空にする訳にも…………いえ、空にした所で敵うかは分かりません
ならば、他の実力者を待った方が効率が良いと判断しましたからね。それに、私の知人達に害が無いならば、焦ろうとは思いません
何より…………妖を一概に悪と言えないのは、重々分かっているつもりですから。それでも、今回は被害が大きいそうで。だから尚の事、行くべきか迷っているのですよ」

【或いは罵倒されても表情を変えないのでは無いだろうか。゛そう思えてしまうほどに、巫女の感情が薄い様に思えるか】
【つまりは、少女の抱いた冷静な態度とは間違っては居ないのだろう。自分の知人友人に危害が無ければ急ぎはしない。…………冷静。冷酷】
【又、別な宗教にも友人――――そして、その友人が戦闘を好む何て言うのだから、中々に変人か】


「今日話した貴女が翌日には死んでいた、なんて事は少し寝覚めが悪いですからね
貴女に言った所で釈迦に説法かもしれませんが…………妖相手ならば、どんな事をしてくるかも分かりません
――――ただ、死ぬつもりが無いのならば、それが一番生きる活力でしょう
もしその場に私が居れば、宜しくお願いします。知人が居れば、頼みました。どちらも居なければ――――そうですね、頑張って下さい」

【巫女とは愛想が無くても勤まるのか。その答えはこの女性自身が示していよう】
【――――さて、そろそろ“世間話”も終わりが見えてきた頃か】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/27(金) 01:11:55.12 ID:nZLxFBnuo
>>541

【外へと向かう彼女へ、店主は礼をする】
【彼女は確かに、「筐屋」の「客」であった。礼を尽くすのは当然だ】

【そして、ふ、と顔を上げて──】

鈴音さん、ですか。
それならば正しく、「鈴蘭」はお似合いでしょう。

【浮かべたのは、柔らかな笑み】
【「店主」としての表情が少し剥がれ、「人らしさ」を感じさせる物だった】


──では、又のお越しをお待ちしております。


【だが、名を名乗ることは無い】
【「ここ」での「店主」は、飽くまでも、「店主」であり、鈴音は「客」である】
【それ以上の存在意義を「筐」は許さない──】


【ばたん、と。来た時よりも軽い力で引き戸は閉まり、次いで、灯も消えるだろう】

/お疲れ様でした
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/27(金) 01:17:45.31 ID:VDmqrssh0
>>543

【鈴の名を持つ少女に、鈴の名を持つ花を。誂えたようにぴったりだったこともある、何か、不自然とも言えるような】
【けれど彼女ははじめのほうで総てとも言えるほどの警戒を使い切ってしまったようだった。今更、何と思うでもない】
【怪しさとか、警戒とか、そんな感情はこの場所の不思議さに取り込まれて、結局はなんにものこらないような】

…………またね。

【名乗ってもらえないのだと理解すれば、僅かに細められる瞳は、少しだけ残念がるように】
【最後にひとつ言い残してその姿は寒空の下に吐き出される。途端に白くなる吐息、寒さが肌を貫いて】
【はぁと顔に白く吐息の残滓を纏わりつかせながら最後に一度店を振り返る、そうして数秒ほど眺めて――】

【――きっとまだ居るのだろう猫と犬に手を振って。それがこの場で少女がした最後のこと】
【「ばいばい」と声を掛ける手を足を身体を、黄緑色の煌きが伝い纏わり、包み込んで、】
【ふつ、ん。ぱらぱら漫画から描き忘れられてしまったように、その姿は闇夜の中に溶けて消えた】

/おつかれさまでした!
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/27(金) 01:39:32.32 ID:BXHP5cvq0
>>540
【「じゃあお言葉に甘えて」と鳴らされる副音声】
【何だ、人間らしいところも――と思ったところで、自分もまた人間らしいと言える事はしていないことに気付く】
【かといって心情を大きく顔に表すのは、普通に喋るのと同様得意ではないのだが】

―――『成る程、まあ若いのにちゃんとしたもんだ…何とも巫女さんらしい発言でらっしゃる』
『…って今の私の台詞、妙に、ばばくさい気がする。年は取りたくないもんだね』

【ややため息交じりの声、にも関わらず、少女の口は動かざること山の如し】
【ため息すらついていないのだからもはや口はただのお飾りと見える】

『ふふん、まあ精々足元すくわれない様に頑張りますよ。その通りになっちゃったら死んでも死にきれない』
『ま、頑張りますともさ…金貰うからにはちゃんと仕事してくるのが常識ですから』

【ここでやっと、口角を上げ、やや苦笑いにも見える表情を浮かべる少女】
【場合によっては自身ありげな表情にも見えるが、変化としては淡いものであった】

――――『はてさて、じゃあ私はそろそろ行こうかな。』
『ああ…ついでに。私に名前なんてものは無いから、『喋り屋』なり『トーカー』なり『ゴンザレス』なり好きにどうぞ』
『大体はそんな感じの偽名で通ってるから…次生きて会えた時はそんな感じで呼んで頂戴ね』

【投げやりに、かつ簡潔に自己紹介文を放り捨てて、『喋り屋』とかいう少女はまた歩を進め始める】
【巫女が名乗りに返してきたならば、その名前をちゃんと反芻していくつもりのようで】
【次また会えたら、生きて帰ったら、というもしもの話も添えて、『喋り屋』はその場を後にするだろう】

/こんな感じでしょうか
/乙でしたー、ありがとうございました!
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/27(金) 02:13:43.81 ID:BXHP5cvq0
/>>545>>542当てです本当にすいません…
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/27(金) 02:20:56.98 ID:e4rJsifU0
>>545
「――――仕事人の鏡とでも言うべきでしょうか
何にしても、仕事に対してその様な熱意を持てるのは良い事ですね」

【冗談なのか、本気なのか。さて、其れは本人のみが知る事だけれど】
【――――少なくともからかいの意を込めて言った訳で無い事は明白】
【最後の言葉を聞き、告げられた偽名を留めれば】


「天鬼ちゆり。偽名では無く真名ですので、そのまま呼んで下さって構いません
ええ――――其れではまた何時か、或いは討伐時。私と貴女が生きていたら会いましょう
さようなら、喋り屋。冷える夜ですから気を付けて」

【名を返した成せば、踵を返し】
【この奇妙な出会いも終わりを告げる事だろう】
【明日出会うのか、或いはまた何時の日か出会うのか。まだ見ぬ未来、分かる筈も無く】
【いずれにせよ、今宵の奇妙な出会いはこれにて幕が閉じられた事か】

/最後の最後に遅れてしまって申し訳ないです……
/お疲れ様でありましたー!
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 18:20:34.99 ID:FYK3+AaRo
【櫻の国】

【冬―――それはかの国で最も人に厳しい季節であり、同時に美しい季節でもある】
【ギルドを通じてこの国へ、そして城へ呼び出された諸兄が見るのもそんな一端】

【天守から見える周囲の山々にうっすら積もった雪と、曇天の低い空、澄んだ空気】
【遠くに見える鳥も、獣も、生きるのに必死だからこその美がある。一方、下を見れば城下で子供がはしゃぎ回り】
【大人はといえば年の末。何処か忙しなく時を過ごしている――そんな国の、一大事であった】

【此度の依頼人は城の主、貫行行(つこう つらゆき)。すでに50半ばの男である】
【シワの多い顔、厳格な目元、筋張って大きな身体。全てが偉容の大名だった】


『――仔細はどの者も聞いておろう。我が領地に、さる大妖が姿を表したのじゃ
 名は折鶴愛し姫=c…学者や退魔師に聞けば、古くから櫻の国に居る者という。

 人によって、その者の見方は違う。ある者は人の大敵で、醜悪な嫉妬の女だと云い
 一方では心優しき美姫で、身の貴賎や種の千差にも心を変えぬ優しき女と云う。
 ……儂は後者を信じたい。儂とて、妖怪だからとむやみに殺生をしとうは無い……っ!

 ……だがの、諸兄。この暮れに彼奴めは「袈裟峠」に居を構え、贄を周囲の村落に求める始末よ
 信じたくとも行動が伴わぬのでは、この国ではどんな道理も罷り通らぬ。

 儂は、諸兄。民草を思えばこそ、それを害する者を打ち払うためならなんでもする
 金なんぞいくらでも出そう。三食が粟になろうとも、それで救えるならそうしよう
 ……頼む。相手は強敵、首級を取れとまでは言わぬ……退治≠トくれ、必ずやッ……!』


【語る内容もまた実直。思えば城下の大人も、忙しい中に何処か暗さが見て取れた】

【この領主からの言葉の後に語られるのは、様々に煩雑なこの依頼についての説明だった】
【報酬の件、金銭の件、袈裟峠のはずれに有るというかの妖怪の屋敷について――云々】

【が、何よりも大事なのは先行組≠ェ居るということであった。その組の名前は――】


     【同時刻・袈裟峠外れ、橋姫居住の屋敷前】

【一頭の大きな白狼がある一団を前に、屋敷の門扉を背にして激しく威嚇の鳴き声を上げた】
【体高は1,5mもあろうか。普通のサイズではないのを見ると、恐らく妖怪に違いなく】
【特徴的なのは白銀の毛並み、そして2mに及ぶ長大な尾。――対するは、西洋甲冑に身を包んだ面々――】

【その名を第三近衛騎士団≠ニ云った。宗教都市ゼン=カイマでも武勇で名高い一軍である】
【今宵彼らがここにいるのは、以前話題となったアリギエ討伐の功を認められたが故の招聘で】
【『他の面々より先に包囲を固めるから』という理由で、今まさに辿り着いた次第だった】

【率いるは騎士団長、フレデリック。大狼を前にしても怯まず、その背の槍をまず持って】


「……ふン。所詮は獣よ、如何に大きかろうがアリギエ同様……芸がない。
 此処は私に任せて貴様らは屋敷を包囲。武装は要らん、大盾だけ構えて道を塞いでいろッ!」


【そう指令を下すと、物々しい武者たちは散開して包囲に当たる。門の前には騎士団長と大狼だけが居て】
【団長の口元がニヤリと歪んだ。勝利への確信か、それとも何か別の思惑があってのことか―――】
【その程は誰にも知れなかったが、誰が駆けつけるより速く、両者の衝突は始まったのだった】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 18:20:46.28 ID:FYK3+AaRo

【さて―――時は過ぎ、全ての面々が峠の屋敷へ辿り着く頃合い】

【見えてきたのは如何にも妖怪が住んでいる、というような広い邸宅であった】
【周囲の空気は淀み、草木は緑よりも黒味を帯び、空すらも曇天を通り越した濁り模様】
【いっそ清々しいほどの怪しさである。果たして此処に人が近付いて食われるかと言えば――。】

【――周囲には誰も見えない。気配を察知出来る者が居たとすれば、周囲の藪や森に】
【何十人かの兵士が潜んでいることは分かるだろうが、門扉の前には誰も居らず】

【ただ、大きな血の痕があった。血溜まりと称しても何らおかしくはない量の赤い水は】
【手負いの何者かが邸内へ逃げ込んだように点々と内へ続いており】
【案内の者もこれより先は、と駒を止めれば――自然、全員がそれを追って進むことになるだろうか】

【屋敷は、広い。垣根の長さからしても相当なものだったが、家の周りを血を追っていくだけでもそれを思い知らされるだろう】
【また仮に玄関の戸を弄っても開くことはない。渡り廊下の雨戸も、小口も、何処も締め切られていて】

【噂される折鶴=\―機織りの音に惹かれて覗きこむと捕って食われるなんてものも】
【こう戸締まりが厳重なのでは、そも覗けないのではないかと思われ。また、機織り機の音自体も】
【今ようやくカタン、カタン―≠ニ聞こえ始めた程度。邸内でやっと聞こえるのに、どうやって人を誘うのか――?】

【疑念が膨らむものも居るかもしれない。一方で、やっと辿り着いた庭に興味を持つものも居るかもしれない】

【庭には鯉が屯う池が一つ、周囲を煌々と照らすが風靡とは言い難い篝火が幾つか、そして趣味程度の小さな枯山水があり】
【それを一望できる廊下の前には砂利と筵――まるで御白洲のような場所までこしらえてあった】

【異様だ。その筵の上には白銀の毛並みを朱に染めつつもまだ息のある、一匹の大狼が倒れていた】
【その尾は長い――。機織りの音が強く聞こえ、じんわりと妖気が屋敷の奥から庭のそこかしこへと広がっていって】

【やがてその強烈な力は、目にも見えず、匂いも温度も無いというのに、チクリと皆の肌を差すように強まると】
【ふと、機織り機の音が止まった。同時に張り詰めた空気と静寂が満ち、風の一つも無い空間が出来上がる】
【――備えるなら今のうちか。雨戸の奥、襖が開く小さな音が聞こえたような、そんな気がした―――。】

/橋姫退治≠フ開始文です。参加者の方はこちらにレスをお願い致します。
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/27(金) 18:45:58.08 ID:hZBGy2+zo
>>548 >>549

……まぁ、地方領主に恩売っといて、うちの里に損は無いわよねぇ
しかもかなりの大金が掛かってるみたいだし……まあ事が事だから、かな。

――……ただ幾ら領主って言っても地方なんだから、
大判振る舞いし過ぎるってのも、ちょーっと心配になっちゃうけどねー……

っと、余計なことは置いておいて。年末最後の大仕事、頑張ろっと!

【かの峠へと向かう最中、そんな決意を固める者が一人】

【それはOL風の黒いビジネススーツに身を包んだ、長身の女性だった】
【綺麗に揃えたボブカットの黒髪に、落ち着いた印象の黒い瞳】
【篝 香弥奈。櫻の小さな忍び里の出身だと言うが、現代的な容姿からは想像し難い】

【――やがて一行は峠に差し掛かり、彼女も件の屋敷を目の前にする】
【守りは固い。忍びの術を駆使するにも難しく、それは諦めるより他無かった】

(ひい、ふう、みい……うーん、数はいるけど大丈夫かしらね、本当に……)

【兵士の気配に息苦しさを覚えながらも、それだけの敵であるのだと再認識し】
【袖からすとりと掌へ何かを滑らせた。右手に四本の長針、左手に一本のクナイだ】

【血を追い、庭の狼の元へ辿り着けば、彼女は眉を顰め】

既に内部で戦いが起きている……にしては静かだし。妙だわね、これは
とにかくその狼、まだ息があるから気をつけて――……、開いた。

【「先ずは、様子見にするわ」】
【小声で仲間にそう告げ、彼女は暗器を構えて、襖の奥に神経を集中させる】

/篝 香弥奈です、よろしくお願いします
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/27(金) 18:56:47.25 ID:+EyIQqRGo
>>548 >>549

――――招=B

【ごう、と…………墨の文様を刻んだ符を持って、左手が光った。空間がいびつに揺らめく】
【それらの異変が収まれば、白くて柔らかな掌には、六尺ほどの長さを持つ薙刀が握られているだろう】
【浅い反りと波打つ刃紋、金剛石の破片が散らされた玉鋼製の刀身に、赤い縄による意匠と金色で描かれた紋様を持つ柄で構成される、美しい武器だ】
【翻る長い黒髪は、空気を満たす妖気≠ノ触れてもなおその美しさに翳りを見せず、光に当たれば少しだけ紫を帯びる】
【――――歩く。薙刀を手にした一人の少女が、赤色の滴を追って、屋敷の廊下をたおやかに、しかし力強く、歩いていた】

…………鶴の恩返し≠ニは、何ともまた。
微笑ましい童話の住人が、これだけの人間に喧嘩を売るなんて、おかしな話もあったものね。

【案内役とも別れて、暫時。少女の周囲には同じ志を帯びる者が数名いるのみとなっているのだろう】
【その誰かであればかろうじて聞きとれるかどうか、そんな小さな音色で、呆れたような、疑うような言葉が呟かれる】
【凛とした声色は妖気に満ちる空気を揺らし、まるで浄化していくよう。いや、声色のみならず、少女の纏う雰囲気そのものが】
【――――神聖=Bそう表するのが一番であろうか、清浄に伸び上がるゆらめきが、音も色もなく少女の体を覆って、辺りの邪≠溶かしていくようだった】

さて――――――、

【その足は、庭が見える場所へ至って止まる。黒曜石のように澄み切った双眸は、血を流す大狼を一度見やると、目の前の隔絶へ向けられ】
【するりと、体が半身に開く。艶やかな臨戦態勢。チェック柄のスカートが腿を撫で、ブレザーの制服は長い髪を擦って流す】
【それは現代的な学校の制服のような格好だが、少女の容貌から沸き立つ和の色合いを、何ら阻害してはいないのだろう】
【そして、浴び慣れた櫻の国の空気が、凪ぐ。その瞬間、少女の体から神聖≠ェ沸き立って、雨戸の向こうへ向けられるだろうか】
【それは、攻撃ではなく攻撃意志。妖魔であれば浴びるだけで恐怖と危機を覚えずに入られないはずの、圧倒的な神聖≠ェ宣戦布告を行った】

――――じゃあ、とっとと始めましょうか。

【短く切り揃えられた眉がきっと引き締まり、口元が不敵な笑みを浮かべる。見た目には不相応な、少しばかり荒い語調――――】
【こうして、故郷の櫻の国に、少女は降り立った。人に害なす邪≠狩る巫女が、神を宿して降り立った】
【薙刀を鋭く構え、いつも通りの挑発的な態度を滲ませて――――幸徳井佳乃が、降り立った】


/こちら幸徳井佳乃です! 主催者様&参加者の皆様、本日はよろしくお願いします!
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/27(金) 19:02:34.73 ID:upbwN+uto
>>548
【数日前 カノッサ機関本部の一室】

【十数名の異形たちがそこに集まっていた。二つの頭と四本の腕を一つの身体に有する男たち】
【鉛色の髪と瞳をし、両耳と口元にピアスをつけた男。空中に浮かぶ、首輪をつけた生首、などなど】

【それらの中心に、身長2メートルを超える大男が椅子に身体を預けていた】
【薄汚れた灰色の作業着に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【黒ずんで歪んだ両耳と、同じく黒ずんで細長い両手の親指、額いっぱいを埋める巨大な一つ目】
【本来の目の位置にある黒い瞳の義眼。いずれもその男の異形を際立たせていた】

【言葉を交わしているのは、大男、二つ頭、ピアス男の四人だ。他の異形たちは、周りを取り巻いて彼らの言葉を聞いていた】


≪……件のメイドの情報の通り、巨大生物の起こした騒動がここ最近、各地で頻発している≫
≪今回は櫻の国で起きたらしい。地方領主・貫行行が依頼を出したとのことだ≫

「……だが、その大妖、『折鶴愛し姫』といったか。悪い噂ばかりではなかったようだがな。メイドの言葉通り、何か裏がありそうだ」
『古龍の時を思い出すよなあ、なーんか踊らされてるみてえで嫌な感じがするぜ……』

[しかし、あの女は底の見えないやつでしたが、意味のないことを言うようにも見えませんでしたぜえぇ……]
[このまま、何もせずにってえのも……後から知らないうちに被害を被る可能性だってありますぜ]

≪……どのみち、公の依頼だ。我らが直接出向くのは少々リスクが大きい。誰がやってくるかわからないのだから≫
≪この中で、比較的怪しまれずに済む人員、となると……≫

【大男の言葉の直後、異形どもの視線が交錯し、やがて一点に集中した】
【そこには、無邪気な笑顔を浮かべて異形どもの話を聞いている少女の姿があった】



【時は移り、現在。櫻の国】

【依頼者である城主、貫行行の前に集った面々の中に、場違いともいえるだろう少女が一人】
【身を包むは、白い拘束衣。手足を始め至る所に金具を外された黒いベルトが揺れている。足には何も履いていない】
【長い金の髪を縦ロールにし、透き通るような白い肌の少女。年齢はまだ10代前半と言ったところか】

【だが、その少女のあどけなさを台無しにするのは、拘束衣ばかりではなかった】
【彼女の両目は黒い糸によって縫い閉じられており、耳には大きな黒いヘッドホンが取り付けられていたのだ】
【視覚と聴覚を封じられた少女。一見すればそう映る。しかし、歩く姿はしっかりとしているし、城主の言葉をきちんと聞いているような様子も見える】

【よくよく見れば、彼女の首に巻かれたチョーカー。そこには、小さなカメラが取り付けられていた】
【それが、少女の目と耳の代わりをしているのだろう。城主の言葉も周囲の光景も、彼女には聞こえているし、見えている】


ふーん、いい妖怪なのか、悪い妖怪なのか、よくわかんないのねえ
でも生贄だなんて、怖いなあ。みんなも怖がってるのね

うん、私、頑張るね!! お金のこととかはあんまりわかんないけど、ボスも頑張れって……
≪ベティー、そっちに居る間は、私の名を出すな。報酬云々のことについては、追って指示をする。妖怪討伐に集中してくれればいい≫

【城主の言葉を聞き終わって、無邪気な笑顔を浮かべて意気込んで見せる少女。そこへ、彼女のつけているヘッドホンに何者かの声が飛ぶ】
【彼女にしか聞こえない程度の小声での指示を受けて、少女は慌てて口を噤んだ】
【そのまま、城主の説明に熱心に耳を傾ける様子を見せるだろう】


≪(先行組=c…この状況下で、先鋒を任されるとは……何者だ?)≫

【少女を介して城主の言葉を聞いている一つ目の大男の疑念。それは、この場には関わりのないことだろう】

/続きます
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2013/12/27(金) 19:02:56.55 ID:upbwN+uto
>>549
【やがて、峠の屋敷の前にたどり着く一行。拘束衣の少女も、その中にいた】
【澱んだ空気、黒くなった草木、濁った空。普段、異形どもの中にいるというのに、少女はこうした怪しさに不安げな様子を見せていた】
【きょろきょろと辺りを見回しながら、黙って一行に付いていく。兵士の気配を後目に、誰もいない門扉を潜り抜け】


(うう……ボスもみんなもいないのって、久しぶりだなあ……ちゃんと出来るかなあ……)

【首のカメラが血溜まりを捉えれば、いよいよ表情をこわばらせて足を止めた】
【と、彼女の身体が揺らぎ、その身から何かが這い出るように姿を現した】
【それは、銀を基調にした、西洋騎士の甲冑のようなフォルムの装甲を纏った、一頭の大きな犬だった】
【恐らくは、これが少女の能力。彼女のマインドなのだろう。犬はぴったりと少女の横について、血痕を追う少女と共に屋敷に踏み込んだ】


【案内人に軽く会釈をして別れを告げ、屋敷内に歩を進めれば、締め切られた扉、聞こえてくる機織りの音】
【少女の背後にいる一つ目の大男は、邸内でようやく聞こえ始めたその音に疑問を抱いたが、当の少女はそれを疑問に思う余裕もなく】

【せわしなくカメラからの視線を巡らせれば、池と篝火、小さな枯山水を備えた庭】
【そして、砂利と筵、倒れ伏す白銀の獣。長い尾。漂う妖気】

【思わず後退りかけるが、機織りの音が止まるとその動きも止まる。肌を突き刺すような、強烈な力】
【張りつめていく空気、静寂。何かが開くような音。それを受けて、少女は戦闘態勢を取った】


……『ナイト・ドッグ』

【縫い閉じられた目の異様な姿に警戒心を漲らせつつ、少女が呼びかける。それに応じ、犬型のマインドがゆらりと少女の前に出る】
【少女とマインドの身から、立ち上る魔力。高まりゆくエネルギーは、雨戸の奥のまだ見ぬ存在へと向けられていた】

/ベティー・ザ・ブラインドです! 主催者様、参加者様方、よろしくお願いします!
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県) [sage]:2013/12/27(金) 19:03:44.97 ID:IKeGgvH/o
>>548-549

【年の瀬の櫻の国に現れた大妖怪、折鶴愛し姫=z
【城の主である大名でさえも討伐のために頭を下げる―――そんな恐ろしき大事の最中、男は居た】


「―――……ま、要するにその折鶴なんとかを懲らしめりゃ良いって話だろ?
 任せとけおっさん、このライラ=フェルンストレームが来たからには、必ず成功させてやるよ!」


【その男は、魔女が被るような紫色の大きなツバ付きの帽子、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブを纏い】
【そして男の身長ほども有る大きく長い木製の杖……この櫻の国には全く似合わない、まるで西洋のお伽噺に出る魔法使いの容姿】

【帽子からはみ出す髪は銀、ローブから覗く服はやはり櫻には似合わないカジュアルな服だが】
【明らかに目上の相手でも何時もの態度を崩さないこの男……ライラがこの妖怪退治に燃えているという事は、城主にも伝わるだろうか】



「……でけー屋敷なこった……」

【数刻か経って他の討伐組と共に来たるは、その妖怪が住み着いていると城主に説明を受けた屋敷の前】
【天気は悪く、ライラの目には木々も其処か生気がないように見える。直に肌に触れる空気も、ピリピリと肌に障る気さえしてくる】
【なるほど、確かにデカい魔翌力だ。ライラがボソリと言ったのは、何も屋敷の大きさの事だけではなかったらしい】
【潜む兵士たちを横目に、ずんずんと、その力の源へと近づいていく】

「……ッ。……来るか? そのなんたら姫が……!」

【カタリカタリと鳴る機織りの音。その屋敷の中といえば文献か何かで見たことのある櫻の国特有の庭であって】
【実際に見るそれに興味が湧くも、草か何かで編んだ敷物か、その上に横たわる大きな狼に嫌でも目を奪われる】
【誰かとこの狼が殺りあった事実。危険な気が満ちているも、フーっと深呼吸をすれば、忽ちその眼は"カノッサ機関ハンター"の眼に戻る】

【尤も、今日相対するは機関の者ではない。妖怪。さしずめ、今のライラは妖怪ハンターというところか】
【機織りの音が止んだ。右手首に通す赤と緑のブレスレットが淡い光を放ち、その長い杖を構えたライラは不敵に笑む】


「さぁ、来やがれ…………!」

/ライラ中身です。遅れるやら遅れないやらでご迷惑をかけました、すいません
/主催者様、参加者様、今日はよろしくお願い致します!
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/27(金) 19:05:37.34 ID:e4rJsifU0
>>548>>549
「結局グリースに押しつける事は出来ませんでしたか…………変な情報こそ得られても、有益な情報も無し…………
――――妖であろうと人間であろうと矢鱈と殺したくないのは同意。然れど、果たして相手が其の考えが通じるのか否か…………
まあ、良いでしょう。恐らく妖から事情を聞く暇も無し。なれば取り敢えずは“退治”に専念しましょうか
しかし…………鶴の恩返しと言うには、甚だ暴力的なものです」

【同刻、一連の話を聞き、所々を心に留めて】
【やがて屋敷の前で立ち止まれば小さな吐息。隠される事の無い妖気を肌で感じれば、僅かに表情を変えて】
【贄を求めるだとか、人や妖によって見せる面が違うだとか。気になる所は多々有ったけれど――――雑念を抱いて居ても仕方ない】
【門を潜り、屋敷に踏み入れ。おどろおどろしさを示すかのような血痕を辿る毎に、肌に当たる妖気が強くなることか】
【辺りを見渡し、大体の屋敷の間取りを脳内に描き。さて、肝心の“退治”すべき妖は何処に居るのかと視線を巡らせる事二度目】

【――――ふと、朱と表すべきか銀と表すべきか、迷うほどに血染めの大狼の存在に気付いて】
【草履の擦る音を静かに響かせ、まだ息が有ると知れば視線を下し】


「おや、もし私の知っている妖であれば随分と奇遇ですね。この場で出会うなんて
…………なんて、冗談を言う事が出来る様子でもありませんか。どれ、あなたが私の知っている妖であろうと無かろうと、取り敢えず手当でも――――
――――その時間も無い様ですね。相手が話し合いを好むならばまだしも、依頼主の話を聞けば其処に希望を託す訳にもいかなそうです」

【懐から札を取り出し、術を発動しようとして――――止まった。と言うのも、妖気が一層濃くなったから】
【攻撃の前兆か?否、それらしき物は無い。…………そうであっても、警戒させるには十分な物】
【…………いや、有無を言わさずに警戒させる程の其れを感じ取った】
【強力な妖であると話には聞いて居て、然れど具体的な所までは聞いて居ない。相手の持つ術や力を知らない為――――容易に先手を打つ事は得策では無いと考えたか】

【襖の開く僅かな音を耳聡く聞き、構える。また別な札を指に挟み、五行を含めて】
【――――さて、件の妖がどの様に出るのか。様子見といった所か】


/ちゆり中身です。宜しくお願いしますですよー!
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 19:17:33.34 ID:FYK3+AaRo
>>550>>551>>552-553>>554>>555

【各々、状況は把握できたろうか。あるいはこの場における準備は住んだであろうか】
【屋敷はまるで無人の廃屋のように、機織りの音以外には何も聞こえず、鳥の一匹も見当たらない】

【それぞれが構えた武器――暗器や薙刀、マインドに杖、そして五行の札――】
【用意を邪魔する何か≠燒ウかったし、逆に言えば、それが尚更に不気味を増し】

【また個々に対して云うなら、佳乃の放つ神聖、それに払われる邪、両者の消えて現れては終わることがない】
【つまり周囲を包み込む妖気の強大さが如何程かというのを、彼女個人に知らしめるかのようであり】
【一方で巫女・ちゆりが声をかけた白銀の大狼もまた、余程の重傷なのか息を荒げるだけで言葉も返せなかった。異常だった】


――――――――――――――――――――――――――――


【やがて訪れる僅かな静寂――それを叩き壊すように、雨戸と、その奥の襖とが一挙に内部から吹き飛ばされる】
【轟音。言うなれば妖気の爆発とでも表すべきか、すでにこの時点で橋姫の強力さがかいま見える】

【しかしこの程度で驚いていては、橋姫の仕掛けた初撃に対処することなど適うはずもない】
【先ず吹き飛ばされた雨戸だの襖だのが飛来する。これは全く仕掛けもない、単純な物理攻撃と云えるだろう。そこからが本題であり――】

【――屋敷の奥、機織り機の音が響いていたところから、何十もの糸が、まるで意志を持ってしゅるしゅると伸び】
【その全てが、この庭に居合わせた面々の四肢を絡めとり、縛り上げようと凄まじい勢いで迫ってくるのである】
【少し避けた程度では追ってくる。切り捨てるか、それとも燃やすか――しっかりとした対策が肝要で】

【もしもその手首なり、大腿なりを絡められてしまえば、糸はその者が身動きを取れぬように一挙に迫ることになる】
【そのタイミングまでに何とか出来なければ――空中に吊り上げられる形になるだろう。ひどく危険な状態に陥るのである】

【だが所詮、糸はいとだ。強度はただの繊維と変わらないし、妙な属性が有るでもない】
【言ってしまえば、状況さえ理解できていればどうとでも簡単に出来てしまうものである】
【それに、完全に排除しきれば追撃もない。この動乱の隙に身を表す、橋姫の戯れでしか無いからだった】


『――オオ、血の匂いがすると思えば、また勇ましい狼が倒れておる。
 痛ましい姿よな。ホ、まだ息もあると見ゆる……誰であろう、このような惨事……――。

 はて……貫の小倅か。それとも山の者が捕って食おうとでもしたか
 ……お主らか?いやいや、ともすれば我が家を取り囲む不逞の輩どもか……?
 分からぬのう、とんと――え?なにしに来やった、おのれらは……なあ?』


【橋姫、とは――俗に嫉妬に狂った妖怪とか、そういう風に言われる者。それに、この者に関しては】
【尚更様々な噂が飛び交っていたが―――姿を簡単に表すならば『絶世の美女』であった】

【髪は黒く、長い。艶やかな輝きを持っていて、その一端が金千斤にもなるのではないかと錯覚させ】
【しっとりとした色を持つ睫毛や、僅かな赤らみを見せる唇もまた麗しく、妖艶とは違った魅力を持っている】

【服は丹頂鶴をモチーフにでもしているのだろう、雪のようなグラデーションのかかった白の着物に朱の紋様で】
【またスラリとした手元には一振りの扇があり、もう一方の手は狼の首もとへと当てられていた】

【――いつの間に屋敷の奥から御白洲へ出て来たのか。ふぅ、と白い息を吐いて、彼女は面々をじろりと見遣り】
【くすっ、と小娘のように笑ったかと思うと立ち上がって―ぞわりと妖気を醸し出し―手にした扇をぱた、ぱたと開くのだった】

【この行為が敵対の意志を明確にしたものだと気付ける者は居るだろうか。いや、そもそも糸で絡めようと云うところに敵意が無いはずもなく】
【言うなればさらなる攻撃行為の予兆。糸に身の動きを阻害されていないのなら、直ぐに備えなければ――否、あるいは】
【攻撃を仕掛けなければならない僅かな間であって、実に静かに戦端が開かれた瞬間でもあるのだった】
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/27(金) 19:32:18.33 ID:hZBGy2+zo
>>556

【ぞわ、り】

【暴力的な力が静寂を叩き壊したその瞬間に、香弥奈は地を蹴っていた】
【瓦礫は回避、だが常人ならざる高さへ跳躍した彼女を次に襲うのは、無数の糸】

――……ッ!!

【左手のクナイを素早く虚空で振り、絡めとらんと迫る糸を切り裂くと】
【彼女は再び地に降り立ち、一定の距離を置いた場所から、酷く美しい敵を見据えた】

……何よ、自覚ありませーん、って訳? はっ、美人だけど感じ悪っ……!
捕って喰ってるのはあんたの方なんでしょっ、覚悟なさいッ!!

【先ずは右手の四本の長針を投擲、其れのみでは威力もたかが知れてはいたが】
【同時に彼女は印を組む。すぅ、と胸を膨らませ息を吸い、気を練り上げて】

――火遁術・明尊鳳凰ッ!!

【豪ッ!と吐き出したのは、名の通りに鳳凰を象るような火炎】
【先に投擲した針に追随する形で、炎は橋姫を狙い一直線に飛んで行く――!!】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/27(金) 19:54:32.84 ID:+EyIQqRGo
>>556

(こいつ――――――――)

【放たれる神聖≠ニ拮抗する妖気。焼いても焼いてもきりがない、無尽にも思える力の流れ】
【薙刀を持つ手に、知らず力が入る。佳乃が今まで戦った妖魔の中でも、間違いなく上位に入る力だった】

………………甘いっ!!

【そして――――爆ぜる。突如として、自身と正反対の力が爆ぜた。反射≠ェ薙刀を動かし、迫る破片を弾いていく】
【間髪入れず、その瞳はしゅるしゅると伸びる糸を見つけた。だん、と後退して一瞬時間を稼ぎ、薙刀を構え直して】
【その後の佳乃の対応は、素早く的確だった。間合いに入ってきた糸に片っ端から反応し、小さな動きで寸断して無力化していくだろう】
【薙刀の長大な間合いは、結界となって佳乃を守る。纏う神聖≠ニは何ら関係のない、薙刀使いとしての実力だった】

――――周囲の村に贄を要求しているそうね、あなた。それで、人間が怒らないわけがないでしょう。
てっきりそこで倒れていた狼も、あなたへの生け贄かと思っていたのだけれど――――。

【爆心地から現れるは、傾国と表して違いない美女であったが――――佳乃はそれに呑まれることもなく、糸を裁きながら鼻を鳴らして】
【この辺りは、同姓がどうとか言うより経験だ。美しさ≠邪の根元に持つ妖怪は世に多くいるし、佳乃自身幾度も出会ったことがあった】
【一方で、その全く悪びれない表情に、佳乃は疑問を覚える。元々悪い妖怪ではないという事前情報が、頭の中によぎって】
【――――掛ける言葉は、敢えて相手を悪≠ニ決めつける挑発であるだろうか】
【狼をやったのが自分たちでないと知らせると同時に、もしこれが勘違いであったとき、相手が訂正しやすい台詞選びだった】

【そんな会話もそこそこに。糸をあらかた裁ききった辺りで、佳乃の体に光が灯るだろうか】
【佳乃の纏っていた神聖≠ネ雰囲気が、具現化する。漠然とした清浄さが、形を持って湧き上がる】
【その体と薙刀を覆うは、純白の光を放つ聖のオーラ。神気≠ニ呼ばれる、この櫻の国の奥地で眠る土地神の力だ】
【感じる奔流は、妖魔でなくてもわかる程に濃密な聖≠フ属性。真っ当な生物には癒しを、邪を帯びる者には浄化を齎す、暖かくて冷たい光】

白刃龍紋流・壱の太刀――――『一矢』!

【気合いとともに薙刀が振り切られれば、その軌道に沿って神気が空間に線を引き――――飛翔!】
【横一メートルほどの神気の刃≠ェ、糸の出元である機織り機へ向けて一直線に飛んでいくだろう】
【威力は薙刀で横一閃にされたのとそう変わらない。機織り機に至るまでに糸が邪魔をしても、強引に断ち切って貫通できる威力はある】

【――――また。彼女の扱う神気は、単純な物理的ダメージに加え、相手によって二種類の追加効果を発揮する性質を持ち】
【妖怪や悪魔、ゾンビなどの『種族として邪の属性を持つ者』に対しては浄化=Aそれ以外の『生物』には治癒≠フ効果が発動する】
【浄化≠フ場合、斬撃による怪我に加え、激痛を伴う『火傷のような追加ダメージ』がその部位を襲い】
【治癒≠フ場合、斬撃による怪我の程度自体は変わらないが、その怪我による痛みが戦闘終了まで軽減されることとなる】
【橋姫のような見たままの妖魔であれば、言うまでもなく神気は浄化の牙を剥く筈だ】
【そして、もし機織り機が彼女の力で動いているのなら、神気はその力に対して浄化作用を発揮し、より機織り機をより破壊しやすくなるはずだ】


>>ALL

【それが終われば、佳乃は橋姫の方へ体を反転させると、ちらりと残る四人の姿を確認する】
【共に戦う姿は、暗器を構える女性、怪しげな拘束具の少女、杖を構えた魔術師風の男、それにどこか自分と似た巫女――――】

私は前衛に立つ――――後ろを任せるわ!

【見た目だけから推し量れるものは少ないが、おおよそ後衛も多いと見た。佳乃は軽く声を上げると、一歩前に踏み出すだろうか】
【矢面に立ち、壁役を買って出る。オールラウンドに戦える手立てはあるが、薙刀を武器とする自身の力がもっとも生かされるのは近・中距離である】
【戦況的にも心情的にも、これが自身に一番適した立ち位置――――そう、佳乃は判断した】
【それに彼らがどう反応するかは自由だが、その内容がどうであれ、佳乃のとる行動は変わらないだろうか】

【すなわち、薙刀を構えて橋姫へ走り寄っていこうとする。距離はそう遠くないが、一瞬で近づける距離でもない】
【反撃の余地は、十分にあった。橋姫は、これにどう対応するか――――】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県) [sage]:2013/12/27(金) 19:57:08.62 ID:IKeGgvH/o
>>556
【自分を除いた4人全員が女。……微かに、俺空気読めてなかったかななどと思うも】
【此処に来てしまったからには仕方が無い。……どちらにしろ、自分は妖怪退治のために此処に来たのであって】
【当然この4人も強き者。別に心配する必要なんて無い。……それに、どこかで見たような気がする人物も居て―――】


「………… ッ ! ! !」


【爆発音、それと共に吹き飛ばされる雨戸と襖。橋姫が仕掛けたものだと想像するのは安易であって】
【これは予想の内、そして何ヶ月も機関を追ってきたライラの身体能力は、常人でもかなり鍛えられた方】
【右に跳び、左に避け、避けられない物は手に持った杖で叩き落とし、また前に構えて防御したりと】
【無傷で対処しながらも、ライラには分かっていた。これは、いうなれば副産物にすぎないと。本命はまた別の物】

「……そりゃ、そうだよ、なっ!!」

【直後、まるで蛇か何かのように迫り来る何本もの糸。自在に動くならば、避けたくらいでは追いかけて来るのだろう】
【しかし、いや、だからこそライラは動じず。ブレスレットの緑が一段と発行すれば唐突に光が失せ】
【出現するのは薄緑色で薄い、三日月状の物体。大きさは50cmほどでそれが2枚。糸が直前にまで迫ってから、ライラは右手を突き出し、詠唱する】


「S 2 ! !  W i n d   C u t t e r ! !」

【その2つの物体……いや、鎌鼬とでも言おうか、風の刃。発射されるそれに糸が触れれば、スパリと断ち切られるのだろう】
【……今の糸は簡単に対処できるから良かったものの。それでも糸を全員に向かって操れる力。大妖怪の名に恥じないと言うことか】

【さて、現れたその妖怪。一言で言ってしまえば、綺麗だった。ライラもこんなシチュエーションでなければ惚れてしまうほどの、だ】
【だが退治されるべきものであるのは確か。その辺は切り替えが確りできるのがこのライラであって】


「アンタが一番分かってんじゃねーのか? 俺達がこんな大勢でアンタの家に押しかけてくる理由がよ。
 嫁さんにしたいほど綺麗だが……こちとら正義の味方やってんだ。運が悪かったと思って―――大人しく懲らしめられろッ!」


「 F 2 ! !  F l a m e   B a l l ! ! ! 」

【現れるのは直径1mほどの火球。呪文を唱え、右手を突き出せばそれは橋姫に向かい、一直線に発射される】
【避けられないほど高速という訳ではないし、動きも直線的だが。やはり当たれば普通の着物なら燃やしてしまうほどには、熱いのだろう】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/27(金) 20:00:32.73 ID:upbwN+uto
>>556
【これだけの数の実力者が一様に戦闘態勢を取ったにも関わらず、何の反応もない】
【神聖と邪の織り成すせめぎ合い、ただ息を荒げる白銀の大狼】
【この場の異様さは、少女にもひしひしと感じ取れた。少女の意識は、張りつめられていく】


――――!!!!!

【静寂は、破られた。轟音。吹き飛ばされる雨戸と襖。あまりに強大な妖気の奔流】
【少女とて曲がりなりにも邪悪な盗賊団の一員だ。飛来する雨戸と襖には、比較的冷静に対処する】
【雨戸や襖の軌道を見極め、小柄な体躯を活かして伏せつつ移動することでそれらをかわし、避けきれなかったものを、犬型マインドが叩き落とした】

【が、続いて伸びてくる多量の糸。そのままかわそうとしたのは失策だった】
【追いすがる糸が少女の足を絡め取り、そのまま宙吊りにされてしまう】


『ナイト・ドッグ』!!

【だが、少女は行動を止めなかった。少女の言葉を受けた犬型マインドの背中から、何かが噴き出した】
【それは、シャボン玉だった。どこか薄暗い色合いをしたシャボン玉が、犬型マインドから噴出されたのだ】

【シャボン玉が吊るされた少女の身体に纏わりつく。すると、少女を吊るしていた意図が急激に引っ張られ始め】
【やがて、限界を迎えて千切れた。強度が一般的な繊維と変わらなかったのが幸いしたのだろう】

【しかし、この一手で少女の能力は恐らく推測されてしまうだろう。体勢を崩さずに着地した少女は、苦い表情を浮かべている】


……この狼さんをこんなにしたの、貴女じゃないの?
私たちでもないよ、私たちが来た時には、もう倒れていたもの

【投げかけられた言葉に返答しつつ、少女がカメラの視界に相手を捉える】
【絶世の美女。幼い少女の目から見ても、その妖しくすらある美貌は強烈なものだった】
【長い黒髪、しっとりとした色合いの睫毛、赤い唇、朱の紋様をあしらった純白の着物】

【まさに、人の世のものとは違う、そんな感想を抱かせる姿。だが、その美貌から立ち上る妖気のすさまじさが】
【美しさゆえに、かえって余計に彼女の妖しさをより際立たせるように思えて】
【異形の少女は縫い閉じられた両目とカメラを、眼前の妖から逸らさないよう、必死に自分を抑えつけた】


……私たち、貴女に会いに来たの
みんな、貴女が怖いんだって。だから、いなくなって欲しいんだって

【少女がゆっくりと言葉を紡ぐ。右手がわずかに上がる。犬型マインドが、それを合図に唸り声を上げ始めた】

【次の瞬間、犬型マインドの口から先ほどと同じシャボン玉が十数個吐き出された】
【ふわふわと低空を漂いながら、暗い色を放つシャボンが橋姫の両足へと向かっていく】


【少女のマインドの固有能力。このシャボン玉が当たって破裂した部位は、一時的にわずかずつ重量を増す】
【一言で言えば、当たった物を重くする代物だ。しかし、一つ当たった程度ではわずかに違和感を覚える程度】
【複数個が同じ部位に命中して初めて、わずかに動きが鈍る程度に重量を増加させられる】

【だが、所詮はシャボン玉。動きは遅い。対処は容易だろう。回避してもいいし、振り払えば容易く割れて消える】
【仮に命中してもその効果は短時間、その一レスのうちに元の重さに戻るだろう】


【まずは牽制、といったところか。足に命中して少しでも動きが鈍れば、他のメンバーの攻撃に繋がる。そういう腹であるらしい】
【放ったシャボン玉の行方を見守りつつ、少女と犬型マインドはゆっくりと移動を始めようとしている】
【橋姫が扇を持っている方の手の側、側面へ展開しようとしているらしい】


>>558
うん、わかった。私、あまり前に立って戦うの得意じゃないの

【薙刀を持った少女にそう返答する。マインド自体は近距離型のようだが、少女本人は身体能力は低い】
【この場では後方支援、隙あらばマインドでの攻撃を仕掛ける、そういった戦法を取ろうとしているらしい】
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/27(金) 20:00:43.65 ID:e4rJsifU0
>>556
【飛来する物体が大きければ砕き、小さければ身体を斬らせる。――――どちらにせよ負傷覚悟だ。無傷で終える、何て事は出来ず】
【細かな傷口から僅かな血を滲ませ、拳に刺さる砕いた際の破片を除けば一滴二滴と血が滴り】
【其れでも目を逸らさなかった事が幸い。続けて飛来する糸を避け様とするけれど】
【――――一つ二つ。距離を空けた程度では意味が無い。なれば手刀で断つかと振った際には、指に絡み】

【僅かに身体が宙へと浮いたその時、札の力を用いてその糸を焼く事だろう】
【四肢の自由を奪わんと迫る他の糸も同様に燃やしたならば、やっと一息】
【忘れてならぬのは最初に感じた妖気の爆発、と――――?】


「おや、てっきり貴女がした事だと思っていましたが?
――――真であろうと嘘であろうと、生憎妖怪の言葉も人間の言葉も素直には聞けないのが私の性
どの様な答えを返されようが、そうですかとしか答えようがありませんが――…………
立ち位置によって善悪が変わる事は重々承知しています。が、今宵は貴女を悪と見なして私は天鬼の力を振るいましょう」

【疑問に感じるのはその言葉。しかし、推測している暇なんて存在しない】
【演技であっても無くても、注意深く観察する時間は無い。何しろ、明確な敵対を露わとしているのだ】
【――――油断できる筈も無いし、雑念を抱いて居れば当然迎えるのは死】
【今は引っ掛かりを覚えた言葉を全て捨て、札へと気を送り込んだ】


「何をしに――――妖の所に巫女が居れば、何と無く察しがつくことでしょう
宴でも無く、退治の他に理由はありません。普段は特に干渉しませんが…………被害が大きいとなれば話は別
さて、その狼に乗せた手。どの様にするのか分かりませんが――――締めるのであれば、出来ない様に折る程度の事はさせて貰いますが」

【札の投擲。無論、橋姫本人へと投げられる事は無い】
【左右で挟むかの様に地面に貼り付ければ――――其処から、“鉱石”を生み出した】
【その間に挟み、細い身体を鉱石を用いて潰そうというのだろう】
【…………しかし、妖怪であれば。ましてや強力な力を持つ其れであれば、防ぐのも弾くのも造作も無い事】
【一番の目論見は――――他の者達の攻撃が通る様、少しでも。僅かでも長く“隙”を作り出す事だった。その為に、左右からの攻撃】
【然れど相手は上位の妖。果たして其れが通じるのかは――――又、別な話】
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/27(金) 20:23:50.03 ID:Y7RgWngDo
【河原――水辺近く】

「……そういえば、ボクのカオってこんなのだっけ?」
「なんでこんなにボクは大きくなって、年もとっているのだろう」

【水面を見つめているのは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、しかし目自体は死んでいて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)、両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「……わからない、けれど」 「それよりも、ボクは、もっともっと、みんなのために、……ひところさないと」
「れんしゅう、……ながれてきたこれで……ううん、うまくいかない」

【右手には、逆手で持たれた折りたたみ式のナイフ。黒曜石にも似た未知の素材で出来ている】
【――よく見ると、その足許には水死体。彼が殺したわけではないのだが、それにナイフを突き立てようとし】
【…………どうしても、急所を刺せずにずれた場所を刺す】 【彼は、焦りと苛立ちと、しかしどことない安心を覚えていた】

「…………はァ……」
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 20:31:00.81 ID:FYK3+AaRo
>>557

『はて、のう……生憎と妾にはお主が何を言うておるのかとんと分からぬ。
 ……櫻の娘だの?それも忍び、とあればこの者の力は知っておろうなあ――?』

【投擲された針、そして直後に吐出され出現する鳳鳳の炎――だったが】
【それらはひとまとめにして、全てが女性・香弥奈へ向かって跳ね返される】
【針も炎も、全てだ。見れば橋姫と彼女の間には山伏姿に長い鼻をした翼人――】

【俗にいう天狗≠ェ立っていた。当然のように手に握られているのは、世に名高い芭蕉扇】
【その猛烈な風が針も炎も追い返したのだと理解するのに、どれくらいかかるだろうか】

【それから――この天狗が、一個の生き物ではなく、橋姫の術の一つと気付けるだろうか】
【分かってもどうしようもない事であったが、とうの姫は涼しい顔で天狗に彼女を任せきり】
【まるきり無視でもするようにして、糸に狼の傷ついた身体を引かせているのだった】

>>558

【機織り機については――大事なものとも思えたが、恐らく橋姫からすれば糸の一撃は小手調べですら無いのだろう】
【まったく防御策を打つこともなく機織り機は破壊され、全員を襲う糸の群れも全く動きを止めてしまった】

『ははあ、お主も先の娘と同じことを云いやるか。妾を誰と思うておるのかのう
 人なぞ……、……ふふっ。まア良かろ、その手管、見せてもらうとして――』

『汝は巫女よな?ホホ、妾は見せ掛けには騙されぬ……巫女はもう一人居るがの
 一番資質を感じるのはお主よ。その神聖、実に恐ろしい……震えが走る。
 ――妾はか弱い乙女故、守ってもらわねば生きては行けぬ。守護や、出てまいれ。疾く――。』

【左手に扇を持った彼女は接近を図る佳乃へ向き直る。ふわり、扇が風を巻き上げると】
【周囲に積もっていた枯れ葉が沸き立ち、妖気が形を成して5人の巫女へと成り代わった】

【ある種の意趣返しとでも云うつもりか。三人が大弓を持ち、それぞれに挟まれる形で薙刀を持った、計5人だ】
【先ず三人が弓を、弦も切れよとばかりに引き絞り――佳乃の左右肩と、胸を狙って撃ち放つ】
【その強力なことは言うまでもない。もし犬でも居られれば、地に縫い止められるほどの物が三発も放たれたのである】

【薙刀持ちは恐らく、接近の対策だろう。向こうから近付いて来ることは無い――狙うなら個々であったし】
【何より、巫女の姿をしていても妖気の塊。退魔や神聖には滅法弱いのは分かりきったことであった】

>>559

『はてなあ、何度も言いとうはない事よ。妾に手向かうなら……ほお、西洋の術だの
 では妾も友の力を借りて妖術を返そう……男子(おのこ)よ、どうやって返すか見ものよな?』

【切り裂かれる糸、出現する火球。面白げにそれを見る橋姫に焦りは無い】
【手にした扇を畳んでスッと縦に一線振ると、そこにはもう一人の着物の女性が現れる】
【薄青い着物に伸ばし放題の淡い髪。肌の色は凍った白で、直ぐにそれが雪女≠ニ分かるだろう】

【その雪女は火球に対してふぅ、と息を吹いた。ただそれだけで砂利に霜が降りて】
【やがて火球に息が届くと――あろうことか、火の玉は形を保ったまま、妖気に包まれて氷付き】
【推進力を失ってガシャンと落ちて砕ければそれで終わり。ただの吐息でそれ、しかも――】

『ほれ、ほれ。接吻より先に吐息一つで凍りついては男の名折れぞ?早うなんとかせねばなあ』

【その凍てつく吐息はなおも延長して地面を凍らせ、ライラへ向かって極低温の空気を運んでいく】
【よければ息を吐く口の向きを変えるだけ。受ければ炎の球よろしく全身凍てついて死んでしまうだけ】
【単純故に恐ろしい――これもまた橋姫の術であろうが、とんでもない反撃が待っていた】

/続きます
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 20:31:15.47 ID:FYK3+AaRo
>>560

『可愛らしい娘子よな。その幼さに免じて一つばかり答えてやるとすれば……
 ……妾は妖怪を好いておる。同族なればこそ、どのようなものであってもじゃ。
 その橋姫ともあろう私が何故妖狼を襲わねばならぬ?不思議だのう、このあぶくも――。』

【橋姫は動かない。恐らく少女の能力も見極めているのだろうが、素直にシャボン玉を脚に受けた】
【が、それだけで。他にも数多くの攻撃が身に迫っているというのに、一歩たりとも脚を動かす気配がないのである】
【――或いはそれが背後の狼を守るためであったとしたら。そこまで配慮が行くかはわからない、けれども】

【庭の端に佇む大きな柳の木。不意にそれがギィッ、と音を立てたかと思うと――直後】
【その枝葉に大量の頭髪を絡ませてぶら下がる、巨大な尼の頭部が出現し】
【ニタリと笑ったその顔は、やがて振り子のように動き出して――へと飛び掛かってくるのである】

『つるべ落とし≠竅A最近はとんと山に入るものも減っておろう、ぬしの腹も減っておろう
 喰ろうて差し上げえ……たらふく、残さず、しっかりと―――のう?』

【橋姫の言葉に応じて巨大な頭――つるべ落としはぐわりと口を開いて襲いかかる】
【そのまま立ち尽くせば、猪の牙のような歯列で、擦り潰すように食われることは必定――】
【その上、なにせ大きな相手。食われずとも振り子で迫る巨体は、それだけでも脅威であった】

>>561

『どいつもこいつも同じことを聞きやる。狼は大きく見て我が同族、嬲る理由は一つもない
 ……はて、人喰いのう。まあ、妾も確かに人を喰らわぬではないがなあ……

 どうせ食らうなら、お主の如き巫女が良いのう。若くて力も強い、若い娘が。
 あれ。之は何かのう巫女や、妾のために石柱でも建ててくれたのなら嬉しいが
 生憎と趣味ではないのでな。スマンが主の気持ちは受け取れぬ。』

【自身の左右に現れた鉱石≠確かめると、扇をその方向に一閃、もう一閃】
【吐出されるのは強烈な風の刃。まるで粘土でも切って落とすが如き威力でソレを裂くと】

『ま、どうせならば欲しいものは妾自身で選ぼう……ゆけ、それ、餓鬼どもや』

【にこりとして扇の先をちゆりに向ける。どこからともなく現れるのは二匹の餓鬼】
【目は落ち窪み、腹だけぼってりと出た子鬼ども。人の肉を食らう存在だ】

【彼らは両手を上げて、警戒も何もなくちゆりへ向かって行くとそのまま手を伸ばし】
【彼女の服やら、装飾品や札やら、物という物を取り上げようとするだろう】
【それが引き剥がす形だろうが関係ない。もらうという名目の攻撃なのは当然だ】

【そしてその行為の中、彼らは髪や、目や、皮や肉まで持って行こうとするのである】
【無論、鋭い爪も攻撃の一部となる―――が、所詮力は弱い子鬼にほかならず】
【近寄られるより速く対策を建てられれば、それでなんとでもなる話であった】
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/27(金) 20:50:11.51 ID:hZBGy2+zo
>>563

――……うっそぉッ!?

【まさかそっくりそのまま返される、とは夢にも思っていなかった】
【天狗に至っては言わずもがなで、兎に角香弥奈は地を蹴り、虚空へ跳ぶ】

【同時に、スーツの背を破って何かが背から姿を見せる――折畳式の凧、だ】

(一か八か、だけど……風で来るなら、其れに乗り切るだけ!)

【広い敷地であるのが幸いした。風を切る凧で一度空中回転すると、】
【そのまま香弥奈は左手のクナイを天狗目掛け投擲――そして、急上昇した】
【高い位置へほぼ垂直に切り上がると、一旦僅かに停止し、何やら印を結ぶ】

……――忍具・風魔手裏剣ッ!!

【刹那、右手に現れたのは四枚刃の巨大手裏剣】
【それを天狗のほぼ真上、脳天を突き刺さんとするように垂直に投げる】

真正面からよりは対処しづらい、筈よね……っ!

【一つ目のクナイに対処している間に、本命の手裏剣を当てるという算段だ】
【狼を引く橋姫へは対処しきれない。それは他の仲間に――と思うも、難しそうで】

(飛び道具ばかりじゃ、こっちも限界近いわよね……よし、)

【――そして、手裏剣を投げた後】
【香弥奈は高い位置を旋回しつつ、再び何かの印を結んでいた】
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/27(金) 21:01:15.30 ID:upbwN+uto
>>564
むう、私、そんなに子供じゃないわよお!!

……そんな話も聞いたわ、妖怪には優しいって
でも、貴女がやったんじゃないなら、狼さんはどうしてこんなになってるの?
ここに助けを求めてきたのかな?

【可愛らしい、と言われれば少し不機嫌に言い返す様は、背伸びしたがる幼い少女そのものだった】
【続く彼女の答えに、今度は強く興味をひかれた様子で、この状況にも関わらず考え込む様子を見せる】
【全てが年相応、いやもしかしたらそれ以上の幼さ、拙さを感じさせるものだった。こんな少女が一人でこの鉄火場に来ていること自体、不自然かもしれない】


【だがそんな様子も、マインドが放ったシャボン玉がかわされもせずに橋姫の足に吸い込まれ】
【なお、動く様子を見せない、そんな光景を目にした途端、消え失せる。代わりに現れるのは、戦闘者としての顔】

≪……シャボンを避けることも出来た筈だ。他の者の攻撃にも、一切動かずに対処しているな≫
≪この状況で動かないのは、こちらを舐めてかかっているのか、それとも……瀕死の狼を庇っているのか。その両方か≫

……狼さんを守ってるの?

【少女に、橋姫の行動からその真意を図るほどの思考は難しかった】
【しかし、少女の背後にいるものは違った。カメラを通してその場の状況を観察している異形の大男】
【その男の声が少女のヘッドホンの中に響き、それをそのまま少女が疑問として口に出す】

【少女の疑問の言葉が、あるいは他のメンバーにも疑念を抱かせることになるかもしれないが、少女にそこまでの意図はない】


【どのみち、そんなことを考えている暇などなかった。庭の柳が不気味な音を立て、現れ出でるは新たな妖】
【大量の髪の毛で枝にぶら上がる、頭だけの尼――不気味な笑いを浮かべる妖怪は、自分の方へと向いていた】

……ブレインデッドのおじさんに似てる。おじさんは、もっとごつごつしてるけど
食べられるなんて嫌よ。私、あんまりおいしくないよ


【振り子のように身体を揺らして、こちらへと飛びかかってくる妖怪、つるべ落とし=z
【巨大な頭、それに伴ってやはり巨大な口、そこに並んだ歯列。このままでは、容赦なくすり潰される】

【小さな体で、少女は横に飛んだ。犬型マインドが少女を庇うようにそれに続く】
【しかし、いかんせん体格差がありすぎた。少女の身体能力の低さも災いし、かわし切るには至らず】
【振り子の勢いのまま飛びかかる頭部に弾かれ、少女とマインドは揃って地面に転がった】

あうっ――――!!!
いったああぁい……すりむいちゃった……

『ナイト・ドッグ』、行って!!

【怪我を負った足をかばいつつ、少女が体勢を立て直そうとする】
【その隙を突かれないよう、マインドに反撃の指示が飛ぶ。犬歯を剥き出しにして、犬型マインドが地面を蹴り】
【つるべ落とし≠フ右目の少し上あたりに食らいつこうとする。同時に、またも背中から噴き出すシャボン玉】

【シャボン玉は、つるべ落とし≠フ全身に向けてゆっくりと広がっていく】
【シャボンの効果で巨大な頭部の動きを鈍らせつつ、直接的ダメージを与えようと試みたのだ】
【本来は近距離型、犬型マインドの鋭い牙は、まともに受ければ無傷では済まないだろう】


【動かない橋姫に対する動きはない。先のダメージもあるが、動かない彼女の真意を未だ測りかねているという迷いも、そこには含まれていた】
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/27(金) 21:11:18.76 ID:+EyIQqRGo
>>563

ああ――――面倒くさい!
あなたは結局、この領地の人間を害する意志があるのか否か! その意志があったとして、それを金輪際止めると誓うか否か!
すべて簡潔に答えなさい、妖怪橋姫ッ!!

【掛けた挑発に対しての返答は、柳に風とも言うべきもので。怒るでもなく否定するでもなく、善悪の判断材料は収穫できない】
【素質があるとか、恐ろしいとか。普段なら少しは喜びもしたであろう賛美も、短気を起こしたいまの少女を止めるには至らなかった】
【回りくどい駆け引きはやめて、佳乃は真正面から激しく問うた。元より、そういう気の利いたやり取りが出来る性格はしていない】
【理不尽なまでに妖魔を焼き滅ぼす聖の力も、使わなければ害はない。果たして目の前の女は、神気が滅ぼすべき相手か否か…………】

ちっ…………何がか弱い乙女だか!

【後衛に回った拘束衣の少女の返事も背中に聞きながら、薙刀を短く持って突き出した機動力重視の構えで走っていく佳乃だが】
【その足は、戦況の変化を見て止まる。五体の分身――――妖魔としてはありふれた術だが、呼び出したるは何という数か】
【目の前の五人だけではない。周囲を見るまでもなく、佳乃の神聖は他の者へ襲いかかっていく新たな邪を捉えていた】
【行儀の悪い舌打ちをひとつかますと、佳乃は五人から見て左側へ円を描くように走り出していくだろうか】

このっ、ふざけた真似を……………………ッ!

【形を成した五人は――――巫女装束。大弓に、薙刀。意趣返しじみたそれは熱い感情となって血管を伝わり、佳乃の怒りを更に強めて】
【ぎり、と強く歯噛みすれば、同時に弓が放たれる。走りの速度で左肩への矢をかわし、胸への矢は薙刀で叩き落として】
【寸時跳躍、空中で体を捻って最後の右の矢を避け…………ようとしたが、これは完全には回避できない。右肩の後ろ側に、鏃が掠めて赤い疵をつくった】
【佳乃は痛みと同時に危惧を募らせ、着地と同時に全力で地を蹴って巫女たちへ接近しようとするだろうか】
【まずは大弓を蹴散らさないことには不利という判断。もし接近に成功すれば、右端の大弓使いと薙刀使いとの間の空間に、得物が突き出されるだろうか】

白刃龍紋流・肆の太刀――――『四散』ッ!!

【そして、放たれるは気合一閃。突き出された薙刀の刀身へ神気が大量に集結し、そして急激に膨張――――】
【次の瞬間、薙刀の刀身を中心とした聖の爆発≠ェ巻き起こり、爆音と衝撃波が隣接する二人の巫女へと襲いかかるだろう!】
【属性が正反対なことを覗けば、一番初めに橋姫が起こしたのと似たような攻撃だ。爆熱こそないが、衝撃と音は小規模な爆弾の炸裂と変わらない威力で】
【もちろんこれにも、神気の浄化効果は乗る。直撃すれば、衝撃波で体を打擲されると同時に妖魔の天敵とも言える浄化を浴びることになろうか】

【範囲もそこそこ広く、右端の大弓使いとその隣の薙刀使いの二人は確実に巻き込める程度はある】
【…………もっとも、それは二人が動かなければの話だ。完全回避できずとも、爆心地である薙刀の刀身から離れれば離れる程に威力は減衰する】
【そして、例え首尾良くこの二人を倒せたとしても。場には大弓使いが二人、薙刀使いが一人残る計算だ。数の上の不利は、未だ変わらずか――――】
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県) [sage]:2013/12/27(金) 21:15:00.04 ID:IKeGgvH/o
>>558
「おう、前は任せたぜ! 後ろはこのライラに任せな!」

【声を掛けられたライラは、その声の出元である彼女に短くそう返答する】
【見たところ薙刀持ちで、近距離型だと見える……いや、彼女の薙刀が発した刃。遠距離もいける口と見た】
【対してこちらはほぼ遠距離専門の魔術師。他の者たちも遠距離中心が多いと見え、彼女の判断は妥当だと判断した】
【後衛を任されたならば、その分確りと仕事をしなければ。ライラの握る杖、より一層握る力が強まった】

>>563

「へっ、櫻の国の魔物だってのによく知ってんじゃねーか。
 これからアンタを倒す魔法だ、忘れられないくらい心に刻んでやるよ……!」

【魔翌力が妖力と同じものだと仮定すれば、その内包量はライラと姫とで比べ物にならないだろう】
【そんな妖怪を敵にしても不遜な態度を取り続けるライラ。姫にも、普段の性格が伺い知れるかもしれないが、それはともかく】

【トリックか何かのように突如として現れた女に「Flame Ball」は凍てつき、やがて呆気無く落ちる】
【見たことが有る。アレも妖怪。名前は雪女―――、見れば、全員にその妖怪が充てがわれているではないか】
【確かに大妖怪だ。そして、妖怪を召喚するだけがあの姫の力ではないのだろう。それは先程の糸で実証済みだ】
【火球を落とされたことに軽く舌打ちを鳴らしながらも、次なる攻撃に備え、杖を両手で確りと握った】


「全くだ、凍死するのは誰かとキスした後にしてほしいぜ!

  S 2 ! !  W i n d … … J a v e l i n ! ! 」


【姫はまず後回し、今は実際に攻撃を仕掛けてくる雪女を先に倒すのが定石だろう】
【魔翌力のチャージを完了させ、詠唱によって出現させるのは先程のような風の塊。しかし今回は細長く、まるで投げ槍のような形】
【そう、投げ槍。空中に浮翌遊する長さ1m程の槍2本を、触れるだけで凍りそうな雪女の吐息が脚へと到達する前に発射させたのだ】

【先ほどの「Wind Cutter」の様に周りに風を逆巻かせながら飛ぶ槍は、ライラへと到達しそうな低温の空気を周りの常温の空気と混ぜあわせながら進むことだろう】
【結果、脚へと到達した空気は冷たいには冷たいが、凍て付くほどではない。そして風の槍は、風中の水分を凍らせ氷の槍と化した】

【氷の槍は早いには早いが、動きは直線的だ。気を取られなければ、避けられないこともないだろう】
【しかし今回は2本、そして風の魔術というだけあって吐息だけでは速度は落ちないだろう。左右半身に一本ずつ突き刺さる挙動で、槍が雪女へと襲いかかる―――!】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/27(金) 21:19:32.12 ID:e4rJsifU0
>>566
「さて、私もこの歳に至までに様々な妖を見て来ました。真しか吐かない妖も、嘘しか吐かない妖も
たった一目で貴女の性格が分かる訳でも無ければこの様に問うても答えと見なさない
生け贄の要求や貴女の言葉。どうも、矛盾が生じますね
――――まあ、貫を問い質せば何れ分かる事でしょう。其れよりも今は目前の事」

【鉱石が斬られた――――更に術を練る暇も無かった故、其れ上の追撃も無い】
【一筋縄でいかない事は明白であった。否、果たして全力を出し切った所でどの程度のダメージを与えられるのか】
【――――考えるのは止める。今は自分一人で立ち向かっている訳では無く、仲間達が居るのだから】
【素性は分からない、会ったばかり…………そうであったとしても、一つの目的の下に集まっている事は確か】


「石柱では無く墓石でも良かったのですが――――生憎、“殺害”では無く“退治”ですから
しかし、餓鬼ですか…………。喰らっても喰らっても満たされない哀れな子鬼
諭そうが導こうが意味が無い、のならば――――」

【札を取られ、肉は削がれ。瞼は千切れ、双眸は転がり落ちて――――寒空の下、筋肉と骨とか露出した女体がさらけ出される】
【…………其れも、数秒の間だけ。やがては発光を始め、“退魔”の力を振りまけば一枚のヒトガタへと変化して地に落ちるのだろう】
【ちゆり本人はと言えば――――頬を斬らせ、額も斬らせ。所々の肉を浅く抉らせながらも、しっかりと人の形を保っていた】
【何時の時から変わったのかと問われれば、餓鬼の一匹が札を奪い去ったその時から。術を発動するまでに鋭い爪で襲われるも、重傷までには至らず】


「一瞬ばかりでも満たされる一時の夢を見せて滅しましょう
――――継いで。先の狼と、悪人と。コレまでに二度食われていますからね
どちらからも肉質は褒められていますが、だからと好んで食わせる道理はありません」

【未だ餓鬼が生きながらえているのならば、握って直接気を送り込んで滅しようとする事か】
【もし、ヒトガタを使った一撃で消えていたならば――――狙いは、もう一度橋姫へと向けられる】
【殺害の意思はない――――と言っても、殺害出来る相手かも分からない。だから、全力を出す事が出来る】
【――――用いるのは、鯉の泳いでいた池。所謂五行の“水”】

【指先は印を組み、水を用いようとする事だろう】
【池に橋姫の術等が施されて居れば、きっと干渉出来ないけれど】
【ただの池であれば――――合計5つの刃が作られる事となろう】


【一つはつるべ落とし(>>566)三つは、巫女を象った其れ等(>>567)、一つは――――橋姫自身】
【然れど不干渉の術を付加出来る時間も無い。橋姫程の妖怪であれば、その全てを只の水と変えることだって造作も無い事だろうか】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 21:45:21.72 ID:FYK3+AaRo
>>565

【空へ舞い上がった香弥奈に対し橋姫は何もせず、天狗に全てを任せた様子】
【バサリと彼女を追って空に上った等の天狗はといえば右手に芭蕉扇、左手に刀を抜き放ち】

【一瞬間が開いたかと思うと背中の翼がぐぅっと大きさを増して、羽根が総毛立ち】
【まるでダーツを連射するかのように、無数の黒い羽が彼女に向かって放たれる】
【羽の一撃は小さいが鋭く、数がある分対処も厄介――その上、これも追尾性能を秘めていて】

【一方で反撃のクナイが来ると之を芭蕉扇で扇ぎ落とし、しかし追撃の風魔手裏剣は流石に止めきれず】
【頭上に迫ったそれをなんとか左手の刀で受け止めたが――ざくりと顔を縦に傷つけられた形となった】

>>566

【少女の言葉に答える口はないとばかり、橋姫は扇を口に当てて言葉を失した】
【直後、意識を変えざるを得ないだろう理由は無論つるべ落とし。凄まじい異様で迫るそれは】
【避け損なった少女を弾き、すぐまた彼女の方を向いて更に食らいつかんとする】

【――が、それを逆手に取られたと言っていい。いやそもそも、少女のつるべ落としとの相性が良かったのだ】

【まずシャボン玉がその動きを鈍くし、押し切ろうとしたところにマインドの噛み付きが加わって】
【上がるのは身も凍るような悲鳴、そしてぱたたっ、と地に散った血液】

【攻撃成功だ。大きすぎる、頭しか無い。その二点から、なかなかつるべ落としが反撃に出るのは難しく】
【業を煮やしたか、その妖怪は髪を柳の木から解いて地に降り、いっそマインドごと潰そうと、ごろりと地面を転がろうとする】
【頭がそのまま転がる形だ。不気味かつ、脅威――転がっていく先は、当然少女のもとであった】

【―――所が之も、邪魔が入る。ちゆり(>>569)の水の刃がつるべ落としの頬をざっくりと切り落とし】
【また悲鳴が轟いて動きが鈍ったのである。こうなれば少女でも回避は容易いか―――!】

>>567

『オオ、怖や怖や……。おなごと見くびっては妾のほうが捕って食われてしまいそうよな
 まったく暴力的な巫女も増えたものよ、いやあ、本当に……恐ろしいのう。』

【くすりと笑う橋姫は答えない。怒気を更に誘うためか、何か意図があってのことなのか】
【どちらにせよそれは佳乃の意に反する行為。攻撃の重みが増すのも当然だろう】

【佳乃が突っ込み、巫女集団の合間で聖の爆発を起こす。その直前、薙刀の巫女が前に出て】
【二人して接近してきた佳乃の両肩を縦に切り落とそうとするものの、爆発は止められず】
【結局は巫女の半分が枯れ葉と化して消え失せ、残り二人。薙刀と大弓が一人ずつとなった】

【――いや、正確には違った。直後、ちゆりによる援護(>>569)が入り】
【薙刀がやられてしまうと残りは大弓一人だけ。接近されている今、抵抗のしようもなく――】

/続きます
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 21:45:56.16 ID:FYK3+AaRo
>>568

【風の槍を仕込んだのは正解だろう。防御も兼ね備えたそれは目論見通りにライラを守り】
【同時に反撃された雪女はといえば、橋姫と同じように扇を持って槍を叩き落とすが】
【一本はついぞよけきれず、ちょうどその左胸のあたりをドスッ!と貫いた】

【血が、赤い血が吹き出す途中で凍りつく。よよと崩れ落ちる雪女を見れば、勝敗は明らかだ】

【――それで油断しなければ次の一撃も対処は易いハズ。空から降り来る、幾粒かの雹である】
【一つが砂利の端に落ちた。直後、その場所にはツララが逆さまにはえたような氷の棘が出現する】

【それが2つ、5つ――計10個程もライラの周囲に落ちてくるのだからたまらない】
【効力は落ちた場所に人一人を串刺しに出来る氷柱を作り出す、というので相違ないだろう】
【また雪女の劣勢も事実。此処をしのいでやり返せば、橋姫への道は開かれるはずで――!】

>>569

『ははあ、お主話せるやつよのう。喰ってしまうには勿体無い女よな
 佳乃の方もなかなかに面白い巫女だが、本業で言えばお主に二、三歩劣る。
 さてしかし……妾の大事な庭を汚すとは無礼な。そうそう許さぬぞ、嫉妬狂いは。』

【ズタズタに引きちぎられるちゆりを――否、そう見せかけた彼女を見て、橋姫は笑った】

【が、一方で餓鬼は止まらない。骨となったと見ればその骨すらもしゃぶり尽くそうと飛びかかるが】
【それが一巻の終わり。振りまかれた退魔の力に、為す術もなく餓鬼共は朽ち果てていき】
【人の子どもとにた大きさの、しかし違った形の骨だけ残して消えてしまった】

【それから水の刃に関しては、橋姫は何もしなかった。強いて言えば己に向かったものは即座に真水に戻したが】
【他は見ての通りである。さて、それに対して怒ったなんていいながら笑った橋姫はといえば】

【その池の水を悉く妖魔の物として――言うなれば海坊主だろうか。そんな一体を創りだした】
【大きさは5mほど。全て水で作られた丸に手足がついたそれは、体内に鯉を飼っているのがコミカルながら】
【倒れこむようにちゆりに近付いて体内に取り込もうとするのは当然、脅威の一言に尽き】
【さらにその身は妖力も使われていたが水が主成分。単に退魔を振りまくのでは倒せないように思えた】

>>ALL

【強力な妖魔が跳梁跋扈する庭の上、屋敷の屋根にザリッ、と音がした】
【誰かがそこを見たならば、見えるのは男。引き裂かれたローブを身に纏った偉丈夫である】

【見知った人物だ、と声を上げるものは居るだろうか。彼の名はフレデリック・シャリエール】
【まさに先遣隊の長であり、服が乱れているのは狼の爪にやられたがゆえであろう】
【しかし、流血一つ無し。手にした槍を掲げる姿は―――恐らく何かの合図。次の一息で何かしら事を起こすつもりなのだろう】

【―――橋姫はそれに気付いていた。が、何もしない。くすりと笑う姿は、これも策が有るかのようで―――。】
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/27(金) 22:07:36.39 ID:hZBGy2+zo
>>570 >>571

【追って来る天狗、そして無数の羽】
【一方で香弥奈は印を結び切り、それらに向き直ると大きく息を吸い込んだ】

……――火遁術・龍炎群ッ!!

【再び吐き出すのは炎であったが、此方は先の技とは異なり】
【鳳仙花の種が弾け飛ぶに似て、小規模の炎弾が同時に幾つも放たれる】

【それで羽を焼きつつ、数発を敵に当てられれば尚良し――そんな算段であったが】

痛、ッ……!

【羽の全てを焼ききれはせず、幾枚かが彼女を切り裂く】
【流血しながらも凧を操る香弥奈は、真正面に天狗を据えたまま、一つ印を結んだ】

――忍具・影分身っ!!

【天狗が左手の刀で受け止めた風魔手裏剣と同じものが、更に四枚出現する】

【位置は香弥奈の両隣から、左右二枚づつ】
【手裏剣は虚空でくるくると回転すると、そのまま眼前の天狗を狙い飛んで行く】

【――火炎弾の後、四枚の手裏剣での攻撃】
【一見すれば香弥奈の圧倒的な攻勢でこそあったが、互いの距離が近すぎる】

【攻撃に有利でも、防御には不利な位置】
【ダメージもあり、手裏剣攻撃後の滑空も機敏さは失われ、追うのは先より容易いか】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/27(金) 22:13:18.60 ID:hZBGy2+zo
>>571

【屋根の上の人物は、香弥奈の知らぬ者ではあったが】
【先遣隊であると理解して安堵する。みな邸内で死んでいるのでは、と思っていたのだ】

【肝心の橋姫に何も出来ずにいた折だ、心強くはあっても、声さえ掛ける余裕が無い】
【ただ、その行動が成せることを祈るのみで――】

/見逃しました、こちら追加でお願いします
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県) [sage]:2013/12/27(金) 22:18:33.94 ID:IKeGgvH/o
>>571

「へっ、どーだ俺の魔法!
 この調子でアンタも蹴散らしてやるよ――――――ッ!?」

【結果的に見れば、雪女を刺し貫いたことで油断してしまったのだろう】
【そう大口を叩いた所で、一粒の雹が近くへと落ち―――巨大な棘へと変貌する様を見たライラは急いで対応しようとするも、遅い】
【一つライラの右側へと落ちた雹が棘へと変わり、ライラの右腕を切り裂く。思わず顔を歪めるが、これだけでは終わらず】
【更に足元へと降った雹を咄嗟に避けようとするも回避しきれず、カジュアルなズボンごと左足の皮膚を削り取った】

【それが雪女の攻撃であることは想像に難くない。崩れ落ちたのは、油断させるための演技か、それとも力を振り絞ってか】
【どちらにしても、胸を貫いたことでダメージは負っている筈―――、自らも傷を追いながら、魔法を放とうと右腕を翳せば】
【出現するのはまたもや風の塊。先ほどと違うのは、それが5本のナイフだということか。どうやら、雪女を倒すためには風の魔法が良いと気づいたらしく】

「とりあえず、コレでそっちには退場してもらうぜ……!!


 S 3 ! !  W i n d   K n i f e ! ! 」


【先ほどと同じように風を逆巻かせながら橋姫、雪女の方面へと一直線に飛来する5本のナイフ】
【刃や槍と違って小さいがその分素早い。5本中3本は雪女へ、2本は橋姫へと分岐し、一気に両方を狙う算段のようだ】
【雪女はともかく、橋姫にそう易易と攻撃が当たるとは思えなかったが……それでも、やって見る価値はあると踏んだようだった】


「――――――……な、だ、誰だ?」

【橋姫の上、屋根付近から聞こえた音にハッと顔を上げれば、其処には何やら服装がやや乱れた男】
【何時かの新聞で見たことが有るような気がしたが、ハッキリとは思い出せない。だが、実力者なのは雰囲気から読み取れる】
【槍を掲げて、何かをするつもりなのか。こちら側の人間だろうからそれを止めさせようとはしないが、少しその男へと意識を向けた】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/27(金) 22:31:47.31 ID:+EyIQqRGo
>>570 >>571

この、戯れ言を…………ッ!!

【――――遊んでいる。楽しんでいる。佳乃がここまで橋姫から受けた印象をまとめれば、それだった】
【この手の手合いも特に珍しくはない。自身を人間より上位と驕り、そしてその驕りをこの手で命ごと焼き払ったことも、何度もある】
【そして、その経験のすべてに共通して言えるのは…………気に入らなくて、腹が立つ。佳乃がそういう感情を抱くことであった】
【薙刀使いの反撃も、一応は予測済みだ。薙刀を片手に持ち替え、左腕で左肩を狙う薙刀の柄の腹を叩いて軌道を逸らし】
【同時に体を半身にすることで、二つの縦斬りの間に滑り込む。強引に軌道を変えた左腕にはダメージを負うも、斬られるよりずっとマシだ】
【やがて『四散』の爆発が、三体の巫女を巻き込む。予想より戦果は上、残り二人なら勝機もある、と佳乃は闘志を強め】

ふん――――礼は言わないわよ!

【後方より飛翔してくる水の刃(>>569)が、その優位を更に固める。それで血が上っていた頭を少し冷静にすると】
【残る巫女をひと睨み、そしてその奥の橋姫へ視線を向けて。薙刀をぐるりと回すと、佳乃は吼える――――】

白刃龍紋流・伍の太刀――――『五夜』っ!

【刹那、佳乃の体が目映い光を発するだろうか。その体から多量の神気が噴出し、周辺へ拡散していく】
【そうして出来上がるのは、吹雪のように真っ白く視界を阻害する神気の霧≠セ。一寸先も見えない程の濃霧が、周囲一体を覆って】
【その効果範囲は広大で、目の前の巫女はもちろんのこと、その奥の橋姫の位置にまでも達するだろうか】
【目的はもちろん目くらまし。その効力は、巫女が視覚で佳乃を捉えているなら言わずもがなであるし】
【仮に佳乃の放つ神聖≠目印にして捉えているにしても、これだけ周囲に神気が拡散してしまえば本人の位置を性格に把握するのは難しいだろうか】
【そして、逆に。拡散した神気を伝って、佳乃には霧内部の異物≠検知できる。こちらには見えるが相手には見えない、煙幕として非常に上等な奥義といえた】

【その一方、広く拡散した神気は一点あたりの力は弱く、浄化も治癒も明確に効果が認められるまでには至らない欠点もあり】
【もし妖魔がその中へ進入しても、肌にひりつくような不快な熱を感じたり、空気と一緒に吸った神気が軽く喉を痛めたりする程度の効果しかない】
【ならば佳乃の次の手は、必然――――】

ふ、っ――――!!

【――――薙刀による直接攻撃。佳乃は霧に紛れ、極力音を殺して巫女の左後方へ回り込もうとし】
【それに成功すれば、薙刀を勢いよく振りかざして、左端の大弓使いの胴体を横薙ぎにしようとするだろうか】
【それが本物の人間ではなく、妖気の塊であることはひしひしと感知できている。その太刀筋に、迷いはない】
【精神的な躊躇もなく、物体を斬るために適切な力が乗った薙刀の大振りな一撃。直撃すれば胴体を真っ二つに出来る程度の力はあるだろうか】
【ただし、霧は視界は塞げても音までは遮断できない。背後から迫る足音や薙刀を振りかざす風切音を聞き取れれば、回避も可能であろう】

(答える気がないのなら、容赦はしない…………一太刀浴びて貰うわよ!)

【その攻撃が、どのような成果を齎すにせよ。この霧の目的は、最初から大弓使いの撃破ではない】
【ひとりになって脅威の減った巫女相手なら、霧など使わずともどうにか斬り伏せられるだろう。ならば、その狙いはひとつで】
【余裕そうに扇を仰ぐ、橋姫。佳乃は霧の中に身を隠したまま、音を殺してそちらへ接近していくだろうか】
【とはいえ、橋姫の現在地は霧の効果範囲内のかなり端だ。素早く後退すれば、比較的早く霧の中から抜け出せるだろう】

【また、この霧により。同じく橋姫を狙う仲間(>>574)の一撃も霧の中をくぐっていく形となって、視認による回避を困難にするかもしれない】
【…………なお、霧の視界遮断が悪い方に働いたか。周囲に妖魔の気配が多すぎるのもあり、屋上の気配には未だ気づいていない様子だ】

/すみません、続きます………
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/27(金) 22:31:57.91 ID:+EyIQqRGo
>>ALL

この霧――――使いたければ使いなさい!!

【最初の大弓使いへの攻撃の後、橋姫に近づく過程で。佳乃は、周囲の全員に聞こえる声で叫ぶだろうか】
【『五夜』の効果範囲は広いものの、佳乃は予めひとりで前に出ていたため、この霧はひとまず他の戦闘へ影響を及ぼすものではい】
【だが、自分から霧の中へ入れば話は別――――踏み込みすぎて自分の位置を見失えば本末転倒ではあるが】
【その愚さえ犯さなければ、各々が身を隠すために十分使っていける筈であって――――】

【『五夜』の効力が切れるまで、まだ少し時間がある(残り三レス)】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/27(金) 22:47:02.61 ID:e4rJsifU0
>>571
「一つ。食われる気は毛の先程にもありません
一歩だろうが二歩だろうが、其処は歳の功。あの子の方が巫女という職は向いている事です
――――血染めで汚されない分だけ良いでしょう。どうにも、血は匂いも残しますからね
そして元より…………赦しを請うてはいません。許そうが許さなかろうが、私にはどうでも良い話」

【哀れみの一瞥とはまた異なった視線を朽ちた餓鬼達へと送り】
【――――水の刃は、やはり橋姫には届かない。想定内、と言えば想定内。生半可な術では到底ダメージが通らない事を改めて実感させられる】
【常人よりも僅かに熱の籠もる血を拭い去り、白かった袖を赤く染める】
【どうすれば攻撃を通せるのか。どの様にすれば打開できるか。――――そんな時、新たな音に気付いて】

【新手かとチラリと視線を送れば…………件の先遣隊であろうか】
【乱れたローブはどうにも新たな引っ掛かりを生まれさせる。妖に対して自分のような考えを抱く者はそう多くない】
【ましてや、他の国の者ともなれば無条件に悪として葬る者だって居るはずで――――先遣者達が、先の狼と出会っていたら?】
【妖怪である事に変わりは無い。もとい、橋姫ともなれば従えていたって可笑しくは無い上――――ずっと引っ掛かっていた貫の信じたいと言っていた後者が本来の姿ならば】
【引っ掛かる、引っ掛かる――――引っ掛かる。先遣隊が、そしてあの人物が先に訪れて居たら…………橋姫の言う事と辻褄が合わないことも無い。だが若かし、贄の話は―――――…………】
【グリースから聞いた話。気にくわない騎士団長。何処かの画家の言う神サマの好奇心に、今までのアリギエ、テナー等の事】


「――――ッ。今来た方が何かしでかす様ですが、随分と余裕なのですね
……存外に可愛らしい妖怪も作り出せるでは無いですか…………」

【思考は、舌打ちと共に其処で中断される。倒れ込んで来るならば――――“土”を隆起させた】
【衝撃を和らげる考えも、勿論ある。しかし一番の目論見は…………“吸水”させる事であった】
【其れだけで全てを吸水出来るとは思えない。水の壁に叩かれ、その中に取り込まれればあわや窒息しそうになるが】

【――――五行の“木”を発動させた。理由は単純。木の根で全て水を吸わせて仕舞おうというのだろう】
【成功すれば、防御でありながら攻めの糧としても用いる事が出来る一手。――――そう、攻めの一手を作り出すために、“木”を成長させる為に内部より植え付けた】
【果たしてそれが成功するのか。水とは言え、塊とも成れば叩き付けるだけの威力も生まれよう。そして現に、弱めたと言えその塊に身を打たれたのである】
【打ち破ることが出来れば、水の牢から解放されようが、失敗すれば取り込まれる事となる。成否は――――水で作られた妖の耐久に左右されるか】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/27(金) 22:54:28.77 ID:upbwN+uto
>>570
【橋姫からの答えがないことに向ける意識もない。扇を口に当てる優雅な仕草にも、気を配ってはいられない】
【眼前に迫る異様、つるべ落とし≠ヘ未だ殺意をこちらに向けたままであったからだ】

【しかし、偶然が味方したか。少女の能力とつるべ落とし≠フ巨体は、大きく少女に有利な相性であった】
【聞く物を震え上がらせるほどの悲鳴が響き、地面に血液が散っても、『ナイト・ドッグ』は牙を離さない】


いい子よ、『ナイト・ドッグ』!! そのまま――――!!?
(こっちに……まずい――――)

【その巨体は転がるだけでも圧倒的な破壊力。地面を踏みしめて回転しようとする巨大な頭】
【マインドもろとも、少女が押しつぶされそうになったまさにその時。飛び来る水の刃】
【つるべ落とし≠ェ悲鳴を上げ、動きが鈍った隙をついて犬型マインドが飛んだ】

【飛び降りた犬型マインドが少女の身体を突き飛ばし、つるべ落とし≠フ攻撃範囲から逃れたのだ】


う――――ありがとう、巫女のお姉さん。おかげで助かったわ
≪(……あの女に、手下を救われるとはな)≫

【自分を救った攻撃の主(>>569)に、少女が声だけを向ける】
【背後の大男は、皮肉な巡り合わせに口元をわずかに歪めていた】


『ナイト・ドッグ』!!

【少女の合図を受けて、犬型マインドがつるべ落とし≠ノさらなる追い打ちをかけようと動く】
【爪と牙を剥き出しにして、再びその巨体を引き裂こうとするだろう】
【次の狙いは額。脳のあるべき位置を潰せば、効力があると踏んだか】


>>571
【と、少女のカメラが捉えたのは屋敷の屋根に立つ影】
【少女にも、大男にも、彼の姿は見覚えのないものだった。引き裂かれたローブは、戦闘の証】
【大男は、彼こそが狼に瀕死の重傷を与えた張本人だと推測する】

【それでいて、血潮一滴流してはいない。相当な腕前の人物だと解釈できる】


≪……おそらくは先遣隊の人間か。ベティー、橋姫に集中しろ。あの男が何をするつもりかはわからないが、巻き添えは食うなよ≫
了解、ボス

【槍を掲げる男の姿、気付いていながら動かずに笑う橋姫。どちらも、油断のならない相手だ】
【槍の男は、この討伐においてはこちら側と見てよさそうだが、正体のわからない相手に気を許すことは出来なかった】


>>576
ええ、お言葉に甘えるわ

【この状況下を覆い隠すは、霧。響き渡る声を、少女のカメラが捉え、脳に送り込む】
【少女は自らそのうちに飛び込む。身を隠しつつ、カメラはしっかりと自分と他の位置を把握している】

【その隙に乗じて少女が拘束衣の懐から何かを取り出す。矢が装てんされた銃。ボーガン】
【狙いを定めるべく、両手でしっかりとそれを構える。発射はまだされない。橋姫を確実に射抜くために】
【絶好のタイミングで、不意打ちを食らわせるために。少女は霧の中に身を沈める】

【犬型マインドは、未だつるべ落とし≠フ方にいる。すぐには、戻ってこられないだろう】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/27(金) 23:08:03.58 ID:b0HEwiiOo
【路地裏】

【街路樹が点々とイルミネーションされた賑やかな大通り】
【それを横に入って品も治安も良くない裏通りを歩き(それでも賑やかなのは変わらない)】
【それもまた細い道に入り裏通りを進んでいると、壁沿いに段ボール箱やビールのケースが積まれているところがある】
【隣が酒場のようで必要のないものを重ねていたようだが、山積みのそれらは崩壊して道を塞いでしまっていた】
【暗い中、よくよく見てみればそこには人らしきものも一緒になって倒れているらしい。襲われた哀れなチンピラか―――】

うぇ…なんだここ………何処だ……寒っ…

【ゴミの中、這い出てきた男は立ち上がって手に持っていたツバの広いハットとバーボンの瓶を手近な箱に置く】
【男は痩せた長身で頭には包帯、黒いレンズのサングラスをしていた。とんがったような鼻で肌の色は青白い】
【革ジャケットのスーツ姿でネクタイはなく、靴はブーツで黒シャツの襟をだらしなく開けていた】

【フラフラと歩いて手頃なビールのケースに座ろうと山の方に近づいて手頃なものの上に腰を掛けた】
【ポケットからマルボロとライターを取り出して火をつける。冷静になるためというか何をするにも先ずは一服がいつも癖になっていた】

………ったく…なんだよ。……記憶に何も残っちゃいない

【そんなことを言いながら項垂れたように頭を掻いた。雪が降り出しそうなほど寒い】
【煙草の箱をポケットに仕舞うついでに携帯電話を取り出して時間を確認しようと電源を入れる】

…27日?……クリスマス何処行ったんだよ

【道を塞ぐ様にビールケースに座りながら完全なるアフタークリスマスに二日酔いで痛み出した頭を抱える】
【ここを通るなら彼を無視するのは中々難しそうだ。…路地裏を歩くチンピラも彼を見てそそくさと迂回路を探しに行った】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 23:14:31.23 ID:FYK3+AaRo
>>572

【顔を縦に斬られた天狗。当然というか、その目は片方だけしか機能せず】
【芭蕉扇を用い、刀で何とか風魔手裏剣を弾いていくが―――追いつかない】

【やがて数瞬の後、手裏剣の一枚が脇腹を掠めた隙に龍炎郡の数発が身を焦がし】
【それが全ての終着点。もう一枚の風魔手裏剣が、ざっくりと深く天狗の背中を穿ち】
【二枚、三枚と深々突き立てば、もう天狗といえども抵抗は虚しい物で、ひゅるりと地上へ落ちていき】

【その巨体が轟音を建てるより速く、枯れ葉に変わって霧散した。遂に、香弥奈は橋姫への障壁を打ち倒したのだった】

>>577

 【アリギエを討伐する折、そこには誰がいたか。三人の勇者と、そして一人の男が居た】
 【テナーを斃す時、何があったか。謎の人物が戦闘の始終を撮っていたという話もある】
 【つい数日前の砂竜はどうか。謎の一団が軍を自称した挙句、事を終えて消えたという】

 【では今は?接点の有る男が一人居て、先遣隊の名目で――恐らくは狼と戦ったのだろう】
 【だが狼は他の妖怪に従う類か。それに、人が嫌いか。否だ、むしろ友好派といって差し支えないはずである】
 【とすれば――橋姫を守りに来たのだと仮定したなら――面倒を、例えば弁明を嫌がる姫の代わりになりに来たとすれば―――】


【――海坊主は土の壁で些かサイズを減らしつつ、それでも巫女をその体内に取り込んだ】
【鯉が時折肌を撫ぜ、空気を奪い去っていく。しかし次の瞬間には木≠ェグンと体内から水を吸い】
【更にサイズを縮めた海坊主は――やがて自壊した。びちゃびちゃと鯉を地に落とし、這いつくばって形を失い】

【やがてちゆりは解放されることになるだろう。もう彼女のことを、橋姫は見ていなかったし】
【ふと屋敷を見れば引きずられていったはずの狼は姿が見えなかった。血の跡だけは見て取れた】

>>574>>575>>578

【まず雪女の身体にザクザクッ!と風のナイフが突き立った。やはり動けなかったのだ】
【となれば必死の技であったはずの雹が、一粒でも功をなしたのは幸運だったのか】
【雪女は意志の薄いながらも笑んだ表情で姿を雪に変えて、霧散した】

【また同じようなタイミングで佳乃の薙刀が大弓の巫女をざっくりと切り落とす】
【無論、反撃はない。元より精緻な動きはできない操り人形、対処のしようもなかったのだろう】

【一方で目線を変えて一人の少女にスポットを当てれば、つるべ落としの鈍ったところを狙い】
【そのまま接近して額へ爪と牙を突き立てたなら、気色の悪い音を立てて尼の頭部は徐々に裂け】
【悲鳴の声もそこそこに、腐った果実のようになって、その身は土に溶けていった】

【さて、これでちゆりの元に居る海坊主も含めて全ての妖魔が倒されたことになり――】

【――また、周囲を佳乃の神聖の霧で覆われた橋姫には2本のナイフが飛来し】
【それから二人の戦士が近づくということになるが――行動は急がねばならない】
【何故か?それは気を見計らった騎士団長が、遂に声をあげるからである】

/続きます
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/27(金) 23:15:20.24 ID:FYK3+AaRo
>>ALL


「―――第三近衛騎士団、総員前へッ!事前通りの包囲術式を発動せよ!
 所詮は妖怪などと言おうがモンスターに変わりはない……!
 神の御名の下、指一つ動かせなくして誅滅してやるぞ橋姫とやら…いや、女……!」

「……ふン、遅れたな貴様ら。我が名はフレデリック・シャリエール
 先遣隊の長だ。そして一つだけ忠告してやる、今すぐ身を屈めろ、さもなければ――」


【「上半身が吹き飛ぶぞ」という警告のさなか、広い庭を囲む垣根が全て内側に倒される】
【姿を表わすのは白銀の鎧を身に纏った何十人もの兵士。これぞ件の先遣隊の全容だ】
【ゴツゴツとした鎧は飾りではないのだろう。全員が何事か唱えると、周囲の空気が一変した】

【恐らく術式とやらを発動したのか、残っていた天狗や雪女の妖気が掻き消え、息苦しさも緩和して】
【直後、兵士たちの鎧が変形。全員が筒状の部位を庭に向けていて――それが何かは、近代文明に詳しければ言うまでもない、か】

【数秒の後に、庭の全体を強烈な砲撃が襲う。ゴオッ―!≠ニいう火炎の音も混じっていた】
【つるべ落としの柳の木はそれで焼け落ち、屋敷に火がまわり、橋姫が見えなくなる】
【一掃≠ニいう言葉がふさわしかった。苛烈な宗教団体――些か危険な響きだったが、頼もしい―――】


     『―――あな暖かや。のう、一つ目入道や?』


【そんな響きが聞こえるまでは、きっとだれだってそう思うだろう。が、直後に上を見上げたなら】
【目玉は一つ、袈裟姿の大男が立っていて。もうその身長を測ることは雲に手を伸ばすようなものだったが】

【その足のサイズを測るのは難くない。ちょうど――丁度庭より一回り大きい草鞋が、ぬぅと頭上に迫り】
【やがて庭にいる全てを、屋敷ごとグシャリと踏みつぶさんとするだろう】

【一つだけ安心できるのは実体が無いこと。強烈な風や衝撃が与えられるだけで、踏み潰されることにはならないのである】
【それでも鎧に入った人々にとっては重大な一撃らしく、がぁん、と兜の中で音を響かせながら動きを止める】
【やがて入道が消えると、グチャグチャに乱れた庭の中、煙った空間に立っているのはかの橋姫】
【くすりと、これもまた挑発的に笑っていた。些か着物が汚れていたが――無傷に違いなく】


『ふふっ……どんな秘策かとも思うたが、単なる火矢でやられる妾ではない
 まあ、少々術とやらには驚いたが。まだまだ、人の子は弱いのう』

『――お主らもそう思うであろ?さあて、そろそろ夜も更けて来た……妾は夜更けが嫌いでな
 寒いのなんのと良いこともない、せっかくの着物も夜露で濡れてはことだからのう
 ……そろそろ、終幕とゆこうか。首を差し出すつもりはないが――姿は見せよう。』


【佳乃の霧が――まだ残っていたとしたらだが――圧倒的な妖気によってかき消される】
【そしてはっきりと見える橋姫の姿はやや変わっていた。一番の変化は額の角だ】
【2本の黒い角、クスリと笑った折に見える犬歯、手にした扇が鞘も柄も無い刃に変わると――】

【さしづめ折鶴童子≠ニでも言った所か。美貌はそのままに、着物姿のそのままで】
【彼女は歴とした鬼と変わり、残った5人の面々に眼差しを向け――ちょいちょい、と手を動かして、挑発したのだった。】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/27(金) 23:44:42.21 ID:hZBGy2+zo
>>580 >>581

や、った……ッ、ってまだ、目標が……、ああもうっ!
こんなんで戦えるのかな、っと……――?

【所詮倒した敵は術によるもの、肝心の橋姫との戦いはこれからだが】
【手傷が多過ぎた為に、凧も操作が危うい程で――そんな折、“彼”らが現れた】

う、わぁ――……、凄いけど、怖いなぁ……

【自分もさんざ火を使いはしたが、この勢いには流石に負けてしまう】
【浮遊中であるために高みの見物、といった体で、その全容を呆然と見ていた】

【――が】

……、えっ、嘘、生きてる……!?

【頭上からの声、見上げれば迫る足、急転直下の展開についていくことが出来ず】
【踏み殺される覚悟を決め、ぎゅっと目を閉じ――右手の薬指、金の指輪を握り締めた】

――……“アキちゃん”……っ、……――ん、?

【何ともない。その事実に気がついた時には、風で煽られた凧が揺らぎに揺らいで】
【荒れ果てた庭にぼすりと着陸し、何とか起き上がってみれば、目の前には鶴姫】

……あ、ははっ……ちょっとコレ、ヤバくないかな……?
ま、私も……簡単にやられる訳には、行かないんだけどさ……っ!

【絶望的な状況下だが――思い出してしまった人がいるから】
【負けられない、此処で倒れる訳には行かない。もう一度会うと、七夕の夜に誓ったのだから】

【右手にクナイを持ち、立ち上がる彼女の傷口が、淡い光に包まれていた】
【当の本人はそれに気付いているのかいないのか、印を結び、先よりも強い気を練り上げる】

あなた、何か理由があるみたいだけど……っ、私達も、引けはしないの
人を喰う、妖なんて……だから、討伐されたふりでもしなさいよねッ……!!

――忍具・影分身ッ、重ねて火遁術・龍炎群ッ!!

【再三の火遁の印。他属性の術は使えないようであったが、それでも】

【忍具分身により、投げる右手のクナイが十数本に分身し】
【そしてそれぞれに炎を纏わせた攻撃が、折鶴童子へ向かう――!!】
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/28(土) 00:04:06.99 ID:3rWZcqnCo
>>580 >>581

(ちっ、邪魔が入った…………!?)

【橋姫目掛けて、静かながらも素早く移動していた佳乃。その気勢を、男の声が削ぎ落とす】
【濃い霧の中からでは屋上も見えない。だがそれに乗った妖魔への敵愾心だけは、しかと伝わってくる】
【その声に従い、佳乃は慌てて地に臥せた。直後、真上で砲火の飛び交う激しい音が響きわたって】
【さすがに、こんな事態は想定していなかった――――こうなると、霧を張ったことは逆効果だ。状況がまるで掴めない】
【神気から伝わる霧の範囲を確かめ、最短ルートを確認。佳乃は地に臥せたまま真横へ移動し、どうにかこうにか、霧を抜け出して――――】

【…………上空に、莫大な妖気!】

く――――、ぅうッ――――――――!!?

【巨大な草鞋が、天より無造作に落ちる。砲火を凌ぐために臥せていた佳乃には、それに対応する前に立ち上がるという動作が必要で】
【元はといえば、『五夜』の影響で屋上にいたフレデリックに気づけなかったところから、悪手であったのだろう】
【その隙が――――対応を遅らせる。一瞬の中で佳乃に出来たのは、立ち上がって真後ろに跳ぶという、それだけの動作だけだった】
【強烈な衝撃は、吹き荒れる暴風は。神聖とか退魔とかそんなものの前に、十五歳の少女の小さな体躯で耐えきれるものではない】
【たやすく浮いた佳乃の体は、襖と雨戸を数枚突き破りながら、真後ろの屋敷の中へと勢いよく叩き込まれて…………消えた】

【庭の中心に、膨大な妖気の塊。それは佳乃のような巫女でなくとも、本能で感じ取れるほどに強大であるのだろう】
【霧はかき消される。佳乃の制御下を離れて拡散しているだけの聖≠ナは、その莫大な妖気の前に太刀打ちも出来ない】
【そして当の本人は、無惨に火中へ晒された屋敷の中へ吹き飛んだまま、未だ姿も見えず――――】


………………白刃龍紋流・襲打=\―――――、

【――――その、屋敷の奥深くから。橋姫、否、折鶴童子の妖気にも決して呑まれぬ強烈な聖≠ェ、感じ取れるだろうか】
【ゆらりと呟かれる奥義の名は、距離の隔絶で折鶴童子には届くまい。血塗れた佳乃の体躯も、また同様に】
【けれど、神聖≠ニいう言葉では最早足りない、強大な力を纏う少女の雰囲気は、まるで屋敷自体を聖域へと変えるが如く】
【それは妖気と強く反発して、何よりも雄弁に、少女の無事と折鶴童子への敵意を伝わるだろうか】
【燃える。屋敷を燃やす火よりも強く、聖なる神の威容が――――否、幸徳井佳乃の闘気が、燃え立つ!】

         ――――――――――『二刀無依』ッッ!!!

【振り下ろされる薙刀も、血と共に叫ばれる声も、視認出来るかはわからない。だが極限まで研ぎ澄まされた神気の力は、確かに感じられるか】
【白い暴虐の音が、屋敷を巡っていく――――佳乃が吹き飛ばされた軌道をそのまま辿って、聖なる光が妖気を突き貫く】
【屋敷を半ばから両断しながら、一気呵成に進むそれは。横に三メートルはあろうかという、巨大な神気の刃=\―――!!】

【最初に使った『一矢』という神気の刃を飛ばす奥義と、この場ではまだ見せていない『二極』という神気を一点収束させる奥義の、これは合わせ技】
【莫大な量の神気を一カ所に集めて刃へ精錬したその攻撃は、巌も引き裂く切れ味と飛燕に見紛う速さを併せ持っているだろうか】
【また、屋敷をまとめて引き裂きながら進んでいくのを見ればわかる通り。この攻撃は優れた推進力≠持っている】
【例え防御されても、勢いを殺さず突き進み続ける性質があるのだ。それに速度と切れ味が合わされば、それは防御を食い破る貫通力≠生む】
【名前の通り、二の太刀に依らない必殺の一撃というわけだ――――鬼と化した妖魔の女を、それは斬ることが叶うのか】


…………はっ、はっ、っく…………!

【その攻撃の成否に関わらず――――佳乃は、『二刀無依』が破壊した跡を辿るように、屋敷から姿を現すだろうか】
【一つ目入道の攻撃に加え、衝突の勢いもあった。その体のあちこちには、少なくない量の血が滲んでいる】
【加えて、元々負っていた傷も癒えてはいないのだ。薙刀を左手に下げた姿は、何とも痛々しいが――――】
【その姿すら、どこか神々しい。人と言うより神と言った方が近い、それほどの威容。神威≠ェ、佳乃を覆っている】
【だが両の瞳には、白炎の如き光が宿っていて。そこにある意地と闘志は確かに、少女がまだ人間であることを証明していた】
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県) [sage]:2013/12/28(土) 00:13:19.13 ID:xTTw5ONso
>>575>>580-581

「よし、後はアンタだけだぜお姫様よぉ!」

【氷柱によって2箇所傷を負ったライラだったが、雪女を倒したことで気を大きくしたのかそんな威勢の良い言葉を姫へと投げかける】
【手に持った杖を彼女へと向けるのも、必ず倒すという意思の表れか】
【とはいえ、ダメージが蓄積されているのも事実。こうなると、先ほどのナイフの行方も気になってくるのであって】

【そのナイフはと言えば先ほど声を上げた彼女が生み出した霧によって橋姫に認識させることを困難としていた】
【……やはり実力者か。そういえば何処かで見たことが有る気がするが、ライラにはやはり思い出せなかった】

【さて、霧によって視認を困難としている所為か、ライラにもそれが当たったかは分からず】
【やがてそれに構わず橋姫へと魔法を発動しようとし、右手を翳そうとすれば―――先ほどの男が、ついに声を上げた】

「上半身が……な、もしかしてお前ら―――」

【ライラが言うまでもない。というより、言う暇がなかった。垣根を倒したのは、屋敷へと入るときに草陰に潜んでいた兵士たちだろうか】
【恐らく騎士団長だろうあの男の号令によって飛び出した彼らの鎧が変形し、見えるのは―――大砲】
【半ば反射によって身を屈めたライラの上を、幾つもの砲撃が飛び交っていく。背中が熱いのはそれとチラリと見えた火炎放射のせいか】
【ナイフも、砲撃によって壊れたのだろう】

【コレでライラにも理解できた。先遣隊だった彼らはあの大狼を瀕死に追い込み、更に自分たちによって橋姫が弱った隙を突いて】
【この一斉砲撃で仕留めると言った感じだろうと。男……フレデリックが言うように、橋姫はモンスターで、倒せば良いだけの事なのだから】
【自分たちを囮にしたのはちょっと許せないが、これで討伐も終わるだろう、そう思った矢先】
【見えたのは大きな大きな大男。聞こえたのは、鈴のように美しい橋姫の声。大男が足を上げているとならば、することは一つだろう】

「馬鹿野郎お前ら、お前らこそ今すぐ伏せろ――――――が、っ!!」

【騎士団員たちにそう叫んだのは、伏せた方が生存率が上がると考えたから】
【結果頭上からの衝撃に間に合わず、騎士団員たちは沈黙、ライラも地面とその幻影に挟まれる形で骨を軋ませてしまうのだが】
【踏み潰されても死んでいなければライラは直ぐに立ち上がる。巨大な男、一つ目入道が幻影と分かれば、恐れることもない】

【―――……しかし、あくまでも敵は橋姫その人だった。入道が荒らした屋敷に一人佇み、姿を鬼へと変えた大妖怪】
【妖気で先ほどの霧が消し飛ぶ。圧倒的だ。こうなれば俄然――――――燃えてくるではないか】


「確かに人間は弱いが、だからって蔑ろにしちゃいけないぜ姫様よ。
 アンタが終わりを望むんなら―――コッチだって全力で答えてやるよ……!!!


 F2S1……いや、 F 3 ! ! !   B u r n i n g  ! ! 」


【F2S1……「Frame Bomber」を使用しなかったのは、先に攻撃せんとする仲間(>>583)の姿が見えたからで】
【素早く魔法を変更すると、現れるのは先程のような火球だった。しかし今回は雪女が居ない上に、数は3つ】
【上へと素早く飛び上がった3つの火球は、地上から橋姫を攻撃しようとする仲間たちを邪魔すること無く、上から橋姫を焼き焦がさんとするだろう】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/28(土) 00:18:26.31 ID:YDCMkUfpo
>>580
【犬型マインドがつるべ落とし≠引き裂く。不気味な音と共に、妖が裂けて消えていく】
【断末魔と共に、その身が溶けて消えていく。犬型マインドは、その途中で身を翻して地面に着地した】

【見渡せば、他の妖魔たちも打ち倒されている。こちら側の被った痛手も小さくはないが、勝機は見えて来た】
【それを意識の端で確認し、ボーガンを構えて大妖へ一矢報いようとした、その時。響き渡る声】


>>581
先遣隊のリーダーさん、仲間でいいのよね?
ほーいじゅつしき? って何かしら、ボス
≪要するに、この屋敷一帯を囲い込んで何かしでかそうということだろう……まずいな。規模によってはお前も危ないぞ≫
≪攻撃より回避を優先しろ。あの男、そういった融通が効くタイプには見えん≫

……うん、なんかわかる気がするわ、ボス

【内向きのやり取りを成した直後、『ボス』の言葉を肯定するように、飛んでくる男の警告】
【続いて登場する白銀に輝く兵士たち。屋敷の周囲にあった気配の正体は彼らか】
【全員出揃って詠唱を始める姿は、まさしく新興宗教団体の如き、一種異様な光景】


わ――――!!!

【妖気が消え失せ、息苦しさから解放されたかと思えば、続いて庭を覆うのは鎧が変形した兵器の群れ】
【所詮は子供、カメラの前に展開される光景を前に、驚きを隠せず。少女は『ボス』の言葉に従った】
【ボーガンでの狙撃を中止し、慌てて砲撃の範囲内から退避する。犬型マインドがそこへ追従し、少女を守るように並走する】
【そこへ、一斉攻撃。火が屋敷を蹂躙していく。庭が焼かれ、屋敷が燃える。妖の姿も見えなくなる】

うわあああ……すっごーい……
≪派手なことをするものだ……文字通り、一掃≠セな。これで、くたばってくれればありがたいのだが――――やはり、そう簡単にはいかんようだな≫


【聞こえてくる、彼女の声。同時に、見上げるような巨大さの大入道。袈裟を纏った巨人。一つ目。庭より大きな、草履を履いた足―】

――――今度は、ボスみたいな人

【一つ目の巨人を見て、驚きを通り越して呆けたように、少女が呟く】
【そこへ振り下ろされる足。犬型マインドが、主を守らんと動く。小柄な少女の身体を引っ張って、地面に伏せさせると】
【その上に立って、落ちてくる草履に相対する。牙をむき出すが、この状況では蟷螂の斧にもなるかどうか】

【が、その巨体は実体のないまやかし。踏みつぶされる代わりに、凄まじい衝撃と風】
【犬型マインドにかばわれたとはいえ、完全に凌ぎ切ることはならず。小さな身体がまたも吹き飛んで地面に転がる】


あうっ!! う……あれ、生きてる……?
あ……でも、兵隊さん、みんな倒れちゃった……あの人、は……まだ、平気、そう……
≪……まずい状況だな。撤退の準備を整える。何とか持ちこたえろ≫

わかったわ、ボス……。う、くぅ……人が弱いっていうより、貴女がすごいんじゃ、ない……?

【カメラが、無傷のまま未だ笑いを崩さぬ大妖の姿を目の当たりにする。同時に、通信の向こうの『ボス』も何らかの動きを開始したらしい】
【少女は、幼い身を苛む痛みに耐えつつ、それでも大妖の前に犬型マインドと共に立つ】
【この場から逃げるのも容易ではない。ならば、立ち向かった方がまだ生存の可能性がある、少女はそう踏んだのだろう】


……私も、そろそろ寝ないとならない時間だわ。早くみんなのとこへ帰らなきゃ……
――――貴女、鬼さんだったの? 私、妖怪さんには詳しくないけど、鬼さんは知ってる

【どこか抜けた言葉を発しつつ、扇を刃に変え、犬歯を見せて笑う鬼、折鶴童子≠ヨと意識を向け直す】
【犬型マインドが少女の前に出る。主を守護するように。だが、折鶴童子≠ノ向かう様子は見せない。この大妖相手に、接近戦は無謀と考えたか】

【挑発の動きを見せる彼女へ向けるのは、打ち損ねたボーガン。何の変哲もない、ただのボーガンだ】
【狙いを定め、引き金を絞る。放たれる矢。他の者たちの攻撃に混じって、折鶴童子≠フ腹部目がけて飛んでいく】

【矢を放てば、全身を蝕む痛みと疲労に耐え兼ねたか、その小さな身を犬型マインドに預けることになるだろう】
【それでも、まだ顔は挙げたまま。カメラと意識は、決着の時を見届けんと、折鶴童子≠ヨと向いたままだった】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/28(土) 00:19:41.44 ID:YZqjD/p10
>>580>>581

【知っているのは、物事の端だけ。其処に点を記して全てを結びつけるにしてはどうにも材料が少ない――――が】
【其れでも、明らかな違和感は感じ取れる。未だ、答えは出せない。あの狼の全てを知っている訳でも無い…………だが】
【人に仇を為す存在で無い事位は分かっているつもりだ。そして、人に仇を為す妖に従わない事は分かっているつもりだ】
【ならば――――何故、あの様に息も絶え絶えな姿となったのか。線を結ぶべく打った点の位置は、疎ら。合っているのかも分からないが】
【――――舌を打ち鳴らす音が、もう一度小さく響いた。閉じ込めていた妖への悪態か、答えに辿り着けぬ苛立ちにか】


【…………その次の瞬間である。認識した事は三つ】
【あの狼が消えていた事。考えを裏付けさせる様な“妖怪などと言おうがモンスターに変わりはない”の言葉。そして――――瞬時に辺りを紅く染め始めた幾つもの閃光と焔】
【完全な白とは言い難い。だが、橋姫という妖は今回の悪事の元凶とも考えがたい】
【伏せた身を起こした頃には――――その通りの光景。大狼が屋敷の奥に連れ込まれたならば助けに行くべきか】
【――――否。この妖の言っていた事が真実ならば、その心配も必要有るまい。少なからず、見殺しにする様にも思えない】

【然れど…………ならば此処で依頼を止めるのかと問われれば、話は変わる】
【屋敷の中へと向かうか、このまま対峙を続けるか。迷ったのは数瞬ばかり】
【――――結局は信頼しつつも対峙するとの矛盾した結論に至る。殺せないのは分かっている。だが、相手が殺さないとも限らない】
【ともすれば、もしも白だったとしても弁明の余地が失われよう。――――いや、橋姫にとっては其れも必要ないか。ともなれば、天鬼としての自己満足に他ならない】


「フレデリック…………好かない…………なる程、グリースの言っていた事は何となく理解出来ますね。無論、私とあの子とではその理由は違うでしょうが
――――銀狼を何処に運んだのか、と聞いた所で答えてはくれないのでしょう。ならば、無事か否かだけは問うてみましょうか」

【大地を踏みならすかの様な一撃を地から足を離して避けるも、その風を消す事は出来ない】
【煽られ、転がり。身を打つけれど、立ち上がる。餓鬼に抉られたり水に打ち付けられたり――――そして、その水が傷口を犯したり】
【だが、其れで立ち止まる程では無い】

【そして何よりも“好かない”のは――――“所詮は妖怪などと言おうがモンスターに変わりはない”の言葉】
【妖と人間との間に立つ役目。モンスターに偏見を抱いて居る訳に無いにしろ…………人間と同じ様に扱っている妖をその様に言われが故に“好かない”】
【自嘲気味に僅かに笑えば、掌は先程の木へと当てられた】
【激しい砲撃によって、全てが残っている訳では無いであろう。…………だが、橋姫の妖気を少しでも。木に吸わせた水分に紛れる妖気を“吸収”出来れば良いのだ】


「奇しくも鬼でした、か。――――私も又、一つの鬼。とは言え、先祖に比べれば血も薄まり、貴女の様な純粋な鬼でも無ければ鬼継ぎの儀もして居ないので一介の鬼と変わりはありませんが
…………届かないと知ってても、私は天鬼として貴女に挑みましょうか
……――――――嗚呼。先の言葉、信用していますよ」

【即ち、橋姫の妖気を引き金として血を醒ましたのだろう】
【素肌に浮かぶのは、彼の耳をもぎり取られた者を思い起こさせるかのような経文。額に生えるのは、白の一角】
【纏うのは“気”では無く“妖気”であるが――――到底橋姫へと届くものでも無い】
【何よりも、水に含んでいた其れはきっと橋姫にとっては微々たる物であっただろうから。相応にしか鬼の力を引き出せず、相応の時間しか血を醒ましていられない】

【術を練りながら、思い出した様に付け加える言葉は、信用している――――大きく見れば同族であるあの大狼を襲うはずが無いとの言葉に対してであろう。自嘲とは又違った薄い笑みを零し…………】
【巫女は、術を放った。曼陀羅の様に張り巡らされた幾つもの結界を通し、強化に強化を重ねた一撃】
【五行は無く、ただの妖気の塊。一介の妖怪程度ならば、妖気の名残すらも飲み込み、消し飛ばす一撃】
【然れど、相手は歴とした鬼である。“一介”とは比べものに成らない存在である。何処までその術が通じるのかは分からないし――――己は格下の鬼。弾かれても、不思議では無い】
【鬼として残される時間は、残り僅か。果たして信頼と敵意と――――矛盾した一撃は、どの様な結果を作るのか】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/28(土) 01:03:30.38 ID:f92LVBdoo
>>582

【少女がまだやる気を見せたことにか、それとも言葉にか――折鶴童子はにやりと笑い】
【しかし同時に刃を左手に持ち替え、右手を思い切り振るって見せた】

【すると発生するのはこれまた、風。芭蕉扇など無くても風くらいは何時でも起こせるのだろう】
【それでも数多くの妖魔を屠られたからか多少妖力が落ちていて、全ては落としきれず】
【クナイの何本かが火を纏って着物姿を捉え、初めて傷を付けることに成功する】


『だが弱い、実に弱い……妾に傷とも言えぬような汚れを付けて意味があるかや?
 答えは否ぞ櫻の忍びよ。天狗一匹倒した術で、同様に通じるはずもなかろうが――返すぞ、この火≠。』


【――鬼火=@その言葉が発せられた途端、童子のかざした右手の先――女性の周囲に火の玉が発生し】
【それはゆらゆらと揺れながら、やがて巨大化。取り囲むようにぐるりと回ってから、香弥奈のもとに集合し】
【そのまま動かずに居れば、爆散――火球が合流した途端に発生する爆煙に飲まれることになるだろう】

>>583>>584

【次ぐ佳乃の一撃に、折鶴童子は左手の刃を以って対応した。が、無論受けきることが出来るほど】
【佳乃の全霊を賭けた一撃は安くはなく。ふと溢れる妖気は内包した予備≠ニでも呼称しようか】
【刹那の交錯が終わった後、折鶴童子は左手の刃を一歩踏み出して振り切った、そういう体勢で立っていて】

【――ドサリ。その右腕が落ちたのは数秒ほどの間を置いてから。真っ赤な飛沫が綺麗な顔を汚していて】

『やるのう、神威とは……これ程な力を持ったものなどそうそうおるまい……!
 未だ荒削りとはいえ驚異的よな。褒めて遣わすぞ娘、よく妾の腕を落としてみせた』

【直後に飛来するのはライラの火球。之にはとても、対応し切る余裕もないと見え】
【視線は佳乃へ向けたまま、何処か諦めのような目も見えていたのだが―――】


―――このド阿呆どもが……ッ!橋姫どのに何をっ、馬鹿なっ……!!
 相手を間違えるでない!あの領主に詰め寄るよりも、この方を襲うよりもッ!
 もっと大きな目を持って見れば自ずと、ォ――――!!?


【飛び出し、光の奔流を持って火球を全て撃ち落としたのは一人の獣人であった】
【薄着の女性。耳と尻尾から察するに妖怪で、手傷の数と尻尾の長さ、銀色の毛並み――】

【――そう、あの大きな狼であった。姿を見せなくなっていたが、自ら飛び出してきたのである】
【橋姫をかばうような言動、行動、そして橋姫自身もふぅ、と息を吐いたが、何も言わず】


「何を言い出すかと思えば血迷ったか、ケダモノめが……折角殺さずにおいたものを。
 おい、貴様ら。まさか今更戯言に付き合う筈もないな……?
 とっととその女を片付けるぞ。生憎と、我が騎士団は動かんが――私は別だ。」


「ゼン=カイマの騎士団長……フレデリック・シャリエールは、な――!」


【その橋姫――折鶴童子の目の前でまた、銀狼と云う名の妖怪は長大な槍に貫かれて突っ伏した】
【誰の槍か、誰の言葉か。言うまでもない――騎士団長フレデリック。その冷徹な言葉と行動であって】

/続きます
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/28(土) 01:04:37.56 ID:f92LVBdoo
>>585>>586 >>ALL

【ベティーの放ったボウガンの矢は、誰に邪魔されることもなく折鶴童子の腹部に突き立って】
【じんわりと白い着物に血が染まっていく。それをどうするでもなく、童子は刃を大地に刺すと】


『すまんのう小娘に小童共。妾はまだまだ、汝らと遊んでやっても良いのじゃが……
 ……妾も生憎と妖かしの情を持っておる。助けられた相手を見殺しには出来ぬのよ』


【周囲の妖気が全く消えて、単なる冬空の空気に――土と雨粒の薫りに変化してゆく】
【草木も緑を取り戻す。雪の白に明かりがともる。何故か、それは妖気が凝縮したからだ】
【空間に散らばった妖気を大地に刺した、刀とも呼べぬ刃へ。折鶴童子はそれを為すと――】

【――直後に発せられるのは強大な力の波動。本当に単純な表し方をすれば衝撃波≠セった】
【爆心地≠ゥら球状に、上下左右の違いなく全方向に一挙として――その波動は広がっていく】

【直撃すれば――例えば鼻なら、骨が折れて血が吹き出すかもしれないし、子供なら車に引かれるようなもの】
【そう表すことしか出来ない強烈な妖気の波が周囲一体を襲い、同時にその衝撃を受けた橋姫の屋敷は――】
【――倒壊≠キる。元より一つ目入道に踏み潰されたのもあり、様々な要因もあって、当然と言えたが。】


【またそんな大破壊の中にあって唯一安全なのは、ちゆりの付近。というよりも、そちらの方向で】
【何故かと言うと彼女の放った妖気の塊が折鶴童子のそれと共鳴し、一種のセーフティーゾーンを作り出しているからであった】
【その中にまで逃げ込めれば、何とか直撃は避けられる。さっきの入道の風程度は受けるが――余程マシであった】


【さて、この衝撃のほどはもう、これで伝わっただろう。冷酷な言葉を言ったフレデリックはと目を移せば――】
【これは上手い事、屋根の反対側へ逃れていた。上手い手、とは言ったが――狡い。あまりに小狡いやり方で】

>>ALL

【妖気を込めた衝撃波が全てを襲いつくし、屋敷が崩れ、気を失った騎士団の面々が鎧ごと倒れた後】


『……逃した、か。まあ良い、これでこの地には二度と現れんだろうしな
 貴様らの中に我々と同じ神を信じるものは?居ない?あぁ、ではこれきり――。』

『だが、せめてもの情≠セ……あの領主には私から報告に言ってやろう
 貴様らは精々此処で骨でも休めているんだな。いずれその領主自身が迎えにでも来るだろう。
 ……一人で帰れると云うのなら、別に誰も止めることはないだろうが、な―――?』


【フレデリックはそう告げて、先ず一人だけで先に白へと向かって歩いて行った】
【背中には血まみれの槍を背負い、ボロボロに成ったローブを纏って、気絶した部下を放置して】

【折鶴童子に関しては―――最初から最後まで、何もそれらしい事は述べなかった】
【人を食らう、確かに妖怪なら分かる話。しかし、あの姫は果たしてそういう類の妖魔だろうか?】
【それに加えて途中、姿を見せた銀狼――知る人ぞ知る、先日の大会の優勝者が嘘を云うかといえば――。】

【―――まだ、全ては闇の中だった。が、少なからず何かの全貌が見えてきたようにも思えるし】
【そんなことはどうでも良いというものからすれば、ひとまず退治成功≠ニいう結果が待っていて】
【後々、報酬を手渡される折にはきっと領主当人が出向くであろうことも容易に想像出来た】


  【戦いは終わった。そこに疑念や、残ったものが蟠りを持っていようが、終わったのだ】
  【死者は無い。寒空の中、雪が降る。冷たい涙のような、淡い雪景色が袈裟峠を覆っていた】

/と、本日のイベントはこの辺りで終了とさせていただきます!
/後々まとめの文章を落とさせていただきますが、戦闘など一切のロールはここまで、ということでっ!
/それでは皆様、本日はお付き合い頂き、本当にありがとうございましたー!
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/28(土) 01:19:06.11 ID:6tmM8Goi0
>>579

【すると、どこからか話し声がする。「青年くらいの男」の声が一つ】
【怒気の混じる声色、独り言にしてはよく響く。恐らくは電話化何かだろうか】
【声は大きくなっている、そっちに近づいているのだろう】

―――…『ったく、仕事の中断って何だよ。こっちの都合も考えて欲しいものだが』
『ああ、分かったよ、分かった分かった…それ以外に文句は―――…?』

【声の主が男の存在に気付いたのか、声は途中で途切れ、少しの静寂】
【「一旦切る」―――そう告げたと同時にピッ、と端末を切る音がした。黒い影が、ようやく露になる】

【白いブラウス、黒のジーンズ、茶色のローファー】
【黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳、背丈は160cm程か】
【金髪のショートヘアを、左の前髪だけ紅いヘアピンでとめた、そんな『少女』が一人そこにいた】

【見るからに容姿不相応な声を響かせている上、その人物は「口を動かさず」にいた】
【何かの癖かは知らないが、男を視認した瞬間に自分の喉に右手の人差し指を宛がった。さながら、レコードのごとく】

―――…『どうかしたのかい、チンピラと大乱闘でもした?』
『やれやれ路地裏ってのは物騒だねぇまあ状況は全く掴めないけれど…あ、立てるかい?』

【心配そうに問いかけるその声は先ほどと打って変わって全く別の声――「可愛らしい少女」そのものである】
【ただ口が接着剤でもついているかのように動いていないのは、さっきと同じ状況で】

/すいません遅れました
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 01:40:17.54 ID:QkduAYUko
>>587 >>588

(風……!! そうだった、あの天狗の術者もこの女……ッ)

【消耗故に見誤っていた。最初の時と同じ風による防御を前にして、香弥奈は眉を顰め】
【次いで、迫る鬼火を何とか躱したものの、爆風に押され地に伏せる。淡い光もいつしか消えていた】

っは、ッ……やっぱり……何か、あなた達には、あるって訳ねッ……
私は……付く方を間違えちゃった、かな……ッ、ごめん、“アキちゃん”――

【とどめと言わんばかりの衝撃波に、人の子の香弥奈は応じる術がなかった】
【ちゆりの元が安全であろうとは察しながらも、そこまで動くことさえままならず】

【――今度こそ、本当の終わりだ。ぎゅっと目を閉じ、古ぼけた金の指輪を胸に抱く】


“……――ふむ。敢えて手を出さないように、と思っていたのが災いしたようだ、ね
 世俗の争い事は僕の好くところでは無いのだけれど……神霊に嘆願されては、仕方ない”

【金の指輪が一瞬強く輝き――直後、香弥奈の周囲で黒い黒い霞が湧き上がる】

【衝撃波が屋敷を崩し、いわば場が一番荒れている瞬間の中で、彼女の周囲に守護陣が編まれ】
【――結果として、気を失った香弥奈と、光り輝く指輪と、声の主らしい若い男が其処にいた】

【それは、黒い直垂姿の青年。傍らには小さな人型の紙が浮遊しており】
【黒髪を烏帽子の中へ纏め、黒の目は緩く細められている――陰陽師、のようだが】

【彼は香弥奈の指輪を確認し、其処に刻まれた文字をなぞる】

“成る程、アーキッドと言う名だね。確か……ハイエルフだと、言ったかな?
 その本質は自然そのもの、元来人の目には見えず、同族のエルフでさえ難しいという……

 そんな君の、人の娘を助けろとの要請を受けた事は、僕にとっても面白い経験になった。
 だから礼は要らないけれど、二度目もきっと無いと思うよ? ではね、せめて不幸の無いように――”

【存在したのはほんのひと時、すぐに陰陽師の青年の姿は消えてしまう】


【――後に目が覚めた香弥奈にとっては、如何にして最後の攻撃を防いだか記憶に無いし】
【あの妖魔は、あの狼は、どうにも悪には思い難く、寧ろ先行していた連中の方が怪しいしで】
【謎と後悔と傷ばかりを残し、散々な年末になるのでは……と思いきや、本人の顔にそんな色は全くない】

えへへ……余り役に立ててなかったのに、何か悪いけど。ありがたく頂くねっ
里の子供達も喜んでくれるかな……ま、お金目当てはこの辺にすると思うけど。
次があるならもっと本質を見たいな、きっと何か、深い理由があるはずだから……

……――ついでにまた、あんな夢……見れたらなー、なんて。ふふっ……

【気を失っていた間、彼女がどんな夢を見ていたのか。それは勿論、彼女のみぞ知る】

【ただ――今回の違和感はしっかりと胸に刻まれていて、】
【いつか真実を知りたい、という前向きな思いが其処に残されていたのだった】

/お疲れ様でした
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/28(土) 01:56:06.50 ID:ect2DbdEo
>>589

【男が煙草をくゆらせていると声が聞える。先程もチンピラが来たし】
【そんなに気にすることじゃない。別に通りたければ通すつもりだ】
【気にせずに座っていれば、やってきた影が少女だったのには驚いた】

………。

【男は黙って煙しか吐き出さない。相手が通り抜けるかなにか喋るのを待っているようだ】

…知らないんだよ。……気がついたらこうなってた。いつものことさ

ああ…立てるよ。…歩けるかどうかは自信ないけどさ

【少ししゃがれた声でそう返事をする。二日酔いの酷い頭痛のするこの頭でどうしてこうなったか】
【そんなことを思い出そうとすればまた頭痛がひどくなる。それに思い出せないものはしょうが無い】

………声変わりにしちゃあ、若すぎる……そんな感じ

【その声のことを言っているのだろか。思った通り言ってみたが相手の返事もまたないで】
【まあ、いいか。と、少し笑ってみて、右手の指で煙草をはさみながら、左手で髪の毛をかきむしった】
【少し間を置いて、ゆっくりと立ち上がればハットを置いてあったダンボールの方へ歩いて行って】
【それを被り直せば、足で散らばったビールケースなんかを軽く蹴っ飛ばして道を作る】
【粗雑でけだるい雰囲気の彼はそれが済めば、一歩ずつそちらの方へと歩いてくる】

……通りたければ、通りゃいい。

【190弱はありそうなサングラスの彼は見下ろすようにそうやって言いった】


/すみません!こちらも少し遅れました
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県) [sagesaga]:2013/12/28(土) 02:00:30.74 ID:xTTw5ONso
>>587-588

「よしっ……コレで……!!」

【忍びの彼女が苦無で橋姫へと傷をつけ、薙刀の彼女は右腕を一本持って行くことに成功した】
【次の自分の攻撃で、火達磨とは行かずともダメージを与えられればと考えていた、その直後】
【誰かが飛び出してくる。橋姫が召喚したのかと思えばそんな素振りは見せなかったし、何より傷が多い】
【それに銀色の毛並みは、間違いなくあの大狼であり―――その姿は、先の大会で嫌というほど眼に焼き付いていた】

「ド阿呆……ってお前、長尾、銀狼……!!? てめっ、何やってんだ……!!」

【第3回天下一武道会の優勝者、長尾 銀狼。その彼女が、何故ここに居る?】
【いや、名前からして此処にいても可怪しくはないし、彼女が妖怪だとすれば、一層このような所にいても不思議ではない】
【そして、彼女が言った言葉―――「相手を間違えるでない」と言うのは、一体どういう事だ?】

「おい、待てフレデリッ――――――……ッ」

【ゼン=カイマ。その単語で漸く彼を思い出すライラ。彼は宗教都市ゼン=カイマに現れた炎獅子アリギエ討伐で功績を上げた、騎士団の長ではなかったか】
【そんな彼が、今櫻の国で妖怪退治をしている。可怪しくはない、決して可怪しくはないが……何かがライラの中で引っかかった】
【それに、この男の異様なまでの橋姫への執心も、この場においては何だか異様に見えた】
【フレデリックによって銀狼が貫かれるのを間近で見たライラは、様々な感情が沸き立つのを感じていた】

【そして、銀狼が倒れた今フレデリックの槍の穂先に狙われるのは橋姫ただ一人】
【このまま倒して良いのか? 疑問は、直ぐに確信へと変わる。そんな訳が有るか。この場は、どう見たって―――"異常"だろうが】

「橋姫……ッ!! お前、何を――――――ぐ、ぁっ!?」

【続くはずだった言葉は、「考えているんだ」だったのだが、彼女の放った妖力の衝撃波によって遂に口から出ることはなかった】
【咄嗟に顔を腕でガードするも、その力といえば、先ほどの入道の何倍なのか。腕の骨にヒビが入り、更に圧力によって後ろへと倒れこんだライラ】
【崩壊した元屋敷の中で頭を抑えながら頭を上げれば、もう既に、橋姫も銀狼の姿も無かった】

「……何なんだよ、これはよ……」

【雪が降り、澄んだ空気で音の伝わりは良かっただろうが。その言葉は、ライラ以外の誰にも聞くことは叶わなかっただろう】


【後日、退治は成功したということでキッチリと報酬は貰うライラだったが、当然のごとく釈然としない】
【橋姫とは何なのか。その助太刀に来た銀狼の狙いは。そして、フレデリックの目的は……不透明な部分は多々有る】
【どれもこれも、今ライラが調べてどうにかなるものでもない。出来る事といえば、ただ一つ。頭を抱えて悩むことだった】

(チクショー……で、何だったんだよアレは……)

【その思いも、誰にも通じることは無いのだろう】

/主催者様、参加者様、本当にお疲れ様でした!
/討伐イベントは恐らく初めてですが、とても楽しくロールさせていただくことが出来ました!
/また機会が有れば、よろしくお願い致します! 有り難うございました!
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/28(土) 02:02:46.87 ID:YDCMkUfpo
>>587>>588
【各々の最後の攻撃が、橋姫へと殺到していく】
【そのうちいくつかは、橋姫へと確かな傷を刻んだ。少女の放った矢も、そのうちの一つだ】

【しかし、平然として佇むその姿。さらに、飛び出してくる狼。橋姫をかばう行動、言動】
【続いて、その狼を貫く槍。展開されていく怒涛の展開を把握しきれず、少女はその場に立ちすくんだ】

え、え? だって、この人、生贄を集めてるって……え? どういうこと? 相手、って……?

≪大会優勝者、長尾銀狼……!! それに、ゼン=カイマの騎士団長だと……?≫
≪裏があるとは思っていたが、この一件、相当に根が深いらしいな……≫

【カメラの向こう側の大男、『ボス』は、その光景からわずかながら情報を汲み取っていく】
【先日の炎獅子アリギエの事件の舞台となったゼン=カイマ、そこの騎士団長だという先遣隊の男】
【橋姫をかばい、必死に相手を間違えるな、と訴える銀狼。現状では、その裏を読み取ることは出来なかったが】
【一連の巨大生物の暴走に何らかの裏があるということは、確定的となった】


……いいのよ、鬼さん。私、そろそろ遊び疲れちゃった

【どうにか意識を引き戻した少女が大妖怪に向けた言葉は、精一杯の強がりであったか】
【いずれにせよ、今から何が出来るでもない。妖気が消え失せ、周囲の光景が変わりゆく】
【それが、最後の一撃の前兆だ、とギリギリのところで気が付いた】


わ、ああぁ――――!!!!!

【少女は犬型マインドの背にしがみつき、マインドは主を乗せて駆けた】
【衝撃波=Bこの一帯を更地に変えるのでは、というほどの威力。先ほどまで自分たちが相手にしていた存在の強大さを、否応なしに見せつけられた】
【球場に広がる破壊の権化、崩れゆく屋敷。幼い少女の身で直撃すれば、命も危うい】

【波動がその身に届く寸前、少女とマインドは巫女・ちゆりの近く、唯一のセーフティーゾーンへとなだれ込んだ】
【威力は和らいだが、先の入道の一撃にも劣らぬ風に、またも少女とマインドは吹き飛ばされて転がるが】
【どうにか、致命傷は免れたらしい。ふらつきながら、ゆっくりと立ち上がった】


うう……今日は転んでばっかり……ありがとう、巫女さん。おかげで助かったわ

あ、あの人!! ずるい、自分だけ!!

【意図はしていなかっただろうが、安全地帯を作り出してくれた巫女へとお礼の言葉を向けて】
【次の瞬間には、屋根の反対側へ身を隠した騎士団長を見て、頬を膨らませる】
【くるくると変わる表情は、どこまでも拙い子供の物でしかなかった】


同じ神様? たぶん、私は違うと思うな。うん、じゃあ報告はお願いするわ。もう、疲れちゃったもの……

【先ほどまで不平を口にしていたと思えば、情≠ノはちゃっかり乗っかって見せる】
【部下たちを置き去りに、ボロボロのローブと血塗れの槍で去りゆく姿は、少女の想像するところの騎士の姿とはかけ離れていたが】
【とにもかくにも、この場は収まった。ならば、後は身体を休めるだけだ。子どもの身に、これ以上の負担は背負えなかった】


≪……ご苦労だったな、ベティー。おかげで、情報が手に入った。ゆっくり休め。後で迎えを出す。褒美は期待していいぞ≫
えへへー、ありがとボス……じゃ、私、ちょっと休んでるね……

あ、みんな。お疲れ様……みんな、すっごく強くて、感心しちゃった……

≪(折鶴童子≠フことは、何もわからなかったに等しいが……大会優勝者から情報を引き出すのは容易ではない。こちらは後回しだ)≫
≪(騎士団長、フレデリック……。とっかかりに成り得るとすれば、この男か。あの妖怪に濡れ衣でも着せたのか……?)≫
≪(背後に、まだ大物が控えている可能性もある。慎重を期さねば……)≫

【後に、討伐の報酬は何食わぬ顔をして受け取ることになる。それらは、少女の所属する盗賊団へと流れることとなるだろう】
【邪な思考を脳裏に交錯させる『ボス』。それに構わず、戦いに参加した少女はゆっくりとその身を己のマインドに預けて】
【最後に、共闘者たちに言葉を向けて。少女は淡い雪景色の中、来る迎えを待つだろう――】

/遅くまで、ありがとうございました!! お疲れ様でしたー
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/28(土) 02:12:16.25 ID:YZqjD/p10
>>587>>588
【大狼が槍で貫かれるその瞬間を見た。その言葉も、確かに耳に届く…………だが、今の状況で止める訳にもいかない】
【一秒長引けば身体が悲鳴を上げ、二秒長引けば骨が軋み。それ以上続けば崩れそうにもなるけれど】
【依然と放つ妖気。勢いを増すことも無ければ衰えることもせず】
【相殺を続け――――やがて波が途切れたならば、身体から血を吹きながらも手を下ろすことだろう】

【足取りは覚束無いながらも、意識は鮮明であり。経文も全て失せれば、先程の光景を思い出す】
【銀狼が貫かれる前に放っていた言葉。――――嗚呼、ようやく合点が行く】
【相も変わらず感情の薄い表情が去るフレデリックの背中を見て、果たして何を思っていたのかは分からない】
【折鶴童子を止める事が無かったのは、その方が良いと判断したから。そのまま銀狼も預けた方が、良い方向へと向かうことだろう】
【貫かれた後の具合が気になるが――――きっと、大丈夫であろう何て言い聞かせて】


「――――取り敢えず、依頼の件は終わったようですね。では、私はこれで失礼します」

【全員へ一瞥。負傷者こそ居ても、命に別状は無いと判断すればそれっきり】
【ペタリペタリと血痕を残しながらもその場から歩き去る事だろう】


「…………ええ、件のフレデリックとやらを見ましたよ。私の友人を槍で貫くところまでしっかりと
怒気が籠もっている?さあ、自覚していないので分かりませんが。――――あの子に伝える?顔を合わせる訳にはいきませんし、下手に伝えて悲しませるなら知らないままの方が良いでしょう
兎にも角にも、色々と情報は得ましたよ。約束通り、其れを伝えましょう
その先は貴女と教会とやらに任せます。フレデリックの事も、その他の事も。――――しかし、どうにも臭いますね
グリース。件の画家から貴女が聞いた事とテナー討伐の時の話と…………もう一度、聞かせて貰いましょうか」

【帰路の最中、水晶越しに何者かへと語りかけて】
【――――この巫女にしては珍しく、確かに怒りを感じる事が出来た。友人が傷付けられたから、との事がやはり一番大きいのだろう】
【今宵得た情報を、水晶越しの修道女へ渡すと語り。会話も終われば、血の混じった吐息を吐く事だろう】


「ぎんぎん……無事、だと良いのですが
………………今日は少し疲れましたね。此処で野宿でもしますか」

【――――そして、この巫女にしては珍しく感情を漏らし】
【あの時に立ち位置を変えていればどうであったかとか、妖気を放つ前にあの男に注意を払っていれば貫かれなかったのでは無いかとか】
【色々と後悔とも何とも言い表せぬ考えが浮かぶが――――其れ等全てを追い出して、今は眠りに就くことだろう】

【後日、領主の元へと送られた文。急用が出来たので、報酬は必要ないと簡潔に記されていたそうな】

/お疲れ様でありましたっ!有り難う御座いましたですよー!
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/28(土) 02:22:35.80 ID:6tmM8Goi0
>>591

【まるで仮面のように無表情気味だった顔を、少し怪訝そうに曇らせる】

―――『気がついたら、ねぇ…いつも気がついたらゴミ箱突っ込んでんだ?』
『あ、もしかしなくても酔いつぶれちゃった感じかな?』

【はっと、思いついたかのような声色。しかし本人は口を動かすことも無ければ表情も変えない】
【なんともシュールな見てくれである。少女は立とうとする男を、やや首をかしげるように見ていた】

『あ、さっきの声聞かれてたかな?―――このような声も出せますが何か?』

【腹話術のように、頑なに口は開けず。喉に当てていた人差し指を、文の区切りで親指に変えてみた】
【さっきは青年の声で今は少女――かと思いきや今度は「なんともダンディな中年」の声に】

【どうも彼女は――喉に指を当てることで、他人の声が出せるようだ。指の種類で声も変えられる様子】

――――――…。

【そう言われ、少し黙って考え事。男の様子を観察するように、三十センチ上を凝視した】
【最初はただ通り道に何か居たので話しかけた、という感じだったのだが気が変わった】
【結局のところ、歩けるかどうか自信ないと言う人間をそのまま放置するのは、声色には出さないが心配らしい】

―――『まあそうなんだけどさ…歩けるかどうか自信ないとか言ってたじゃんか』
『せめて肩ぐらいは貸してやるから―――あんまり無理すんな?』

【やや上目遣いになりつつ…どうにもお人好しな少女のようで、そんな甘ったるい提案をしてみせる】
【「家帰ってもすることないしさ」と付け足す辺り、暇つぶしも兼ねてか】

/いえいえ
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/28(土) 02:27:20.97 ID:3rWZcqnCo
>>587 >>588

【佳乃の瞳は、聖なる光が空を裂き、肉を裂いて、折鶴童子の腕を落としたのを確かに見た】
【それだけの傷。全身全霊で放った神気の浄化力は、有象無象の妖怪なら傷口から体内に浸食して体を焼き焦がしていたかもしれない】
【だが――――それが通用しないことぐらい。目の前の女の格がその程度でない事ぐらい、佳乃も痛いほど直感していた】

ふん、偉っ、そうに…………っ!

【賞賛の言葉に、佳乃はかろうじて鼻を鳴らす。その怒りは、敵に誉められたことに起因するものではない】
【彼女の何処か諦めたような表情を、どうしても敵と認識できなかったから。誉められた心地が、何故か少し嬉しかったから】
【何か、言いようもない憤り。彼女に対してでも自分に対してでもない――――両者が相対するこの状況の、違和感に対する憤り】
【狂っている。致命的に歯車が狂っている。何者かが、この場を狂わせている。橋姫の表情を見た瞬間、そんな気がして、ならなくて】

――――な、長尾、銀狼…………!?
く、っ…………!!

【そしてその根拠不明の違和感は、彼女の心の中へ確信として芽吹くことになる】
【直接会ったことはなくとも、その顔は知っている。あの大会には、自分も出ていたのだから】
【何よりも――――橋姫が称えた神威≠キらも越え、決勝の舞台に立った同胞の、最後の決戦の相手。その顔を、知らない筈もない】
【ボロボロの体では、彼女の言葉を聞き届けるのが精一杯。突き貫かれた槍を、佳乃にはどうあっても止められない】
【そして、フレデリックに対して怒りをぶつける暇すらもない。充満する神威≠ヘ妖気の流れを敏感に感じ取り、緩衝地点を見極めて】
【最後の力で、そこに飛び込む。ごうと靡く風圧を前に、佳乃は目を閉じるしかなかった。去りゆく彼女の背中を見ることすら、出来なかった】

【いつしか、佳乃を神たらしめていた神威≠ヘ消える。そこには、どこか神聖≠ネ雰囲気を纏っているだけの人間の少女が転がっている】
【そうして、今宵のすべてが、収束を告げる――――】



…………神さまは、居るわ。
そして――――その神さまに、妖怪は悪ではないと、私は確かにそう教わった…………!

【倒れ伏した無様な姿で、佳乃はフレデリックを睨む。信じるでも信じないでもない、そんな言葉と共に】
【放つ言葉は、神を崇めるものと言うより、大事な人を尊敬するような声色だっただろうか】
【妖怪は悪ではないと、佳乃は神から教わった――――そうでなければ、自分もこの男のようになったかもしれない】
【胸が、痛む。フレデリックの冷たい言葉を受けたからではない、彼のどこか狂信的な立ち姿に、遠い故郷の様相を思い出したから】
【ひどく、古傷が痛い。狂信の裏側には必ず被害者がいるということを…………佳乃は、身を持って知っていた】

【――――降り注ぐ、雪。佳乃は地面に転がったままの姿でそれを受け、頭を冷やす】
【橋姫はきっと、純粋な悪ではない。だったら何故、あの時何も答えてくれなかったのか】
【フレデリックの正義は、ここに居る者とは違う。信仰の矛先を、これから何処へ向けようとしているのか】
【わからないこと、おかしなことが多すぎる。考えても考えても、今はまだ答えは出ない】
【ただ、ひとつ――――】

(もう…………あいつみたいな人を見るのは、ごめんだわ)

【――――ひとりの少女の心に、火が灯った。過去からの痛みが、彼女の中の譲れないものを呼び覚ました】
【冷たい雪を浴びながら、記憶の糸を手繰る。あの小さな少女が、同僚が大きなライオンを倒したと自慢していたのを思い出す】
【話を、聞きに言ってみよう。そんな、いつもなら絶対にしない選択肢を思いつく。小さな力が、大きな流れに逆らおうと動き出して】
【薙刀を握る手に、知らず力を込める。曇天の空の下、幸徳井佳乃は強く強く、空の向こう側を見据えていた】


/主催者様、参加者様方、お疲れさまでしたー!
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/28(土) 02:47:46.26 ID:ect2DbdEo
>>595

……そんなもんだよ。生ごみじゃなかっただけ大分マシさ
グアーって飲むから……ほら、それにクリスマスだったし……もう3日も前か

【無表情な相手と違ってこちらは表情が豊か…というわけでもないが】
【苦笑いをしつつ、溢れんばかりのゴミを適当に片付けていったのだった】

いいよ……見た目に合わせなよ。…口が動いてないだけで十分ミステリアスだ

【割れんばかりの頭に無意識に意識が無いてしまう。つい髪の毛を掻いてため息を吐いた】
【片付けが済めば立ちふさがるように少女の前に立っていたのだったが、直ぐにどいて】
【背を壁に着けながらズルズルとしゃがんでまた、ダルそうにタバコを吸い始めた】
【持っていたバーボンの瓶を一瞬思い出してその方を向いたが、空なのがわかればまた上の空】

ああそう………肩を貸してやるなんて、随分男前なセリフだな。…声で性格も変わるのか?

【フッと少し笑いながらそんなことを言い、またつらそうに頭を片手で抑えるも、まだ少し笑っていた】
【そういう男も別にやることもない。まだ車を運転して帰るほどの元気も気力もない】

じゃあ………どうする?…あークソ…頭痛いな………

【見ず知らずの少女に助けられても助けられる側が何をしようか考えるなんて変かななんて考えつつ】
【取り敢えず、水が飲みたい。後は………なんだろう…】

……今日も寒いな………寒くないの?

【自分の服装でも大分寒さが堪える季節だ。相手の服装を見て、そうやって尋ねる】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2013/12/28(土) 03:05:49.30 ID:f92LVBdoo
>>590>>592>>593>>594>>596

【――――約1時間後】

【領主・貫行行が真っ赤な甲冑を着込んで馬で駆けつけたのは大体、その程度の時間が経ってからだった】
【追っ付け十数人の徒士や医師も来て、望むものには順次最適かつ最良の手を尽くして治療を施し】
【また更に望むものは城での休息や即座の食事なども用意される事となるだろう】

【更に翌日となれば、正装の彼自身が頭を下げて礼を言い、報酬も望むように手渡して】
【それによって国庫が随分と空いたという話もあったが――それを気にするふうもなく】
【唯一報酬を受け取らずに帰った巫女に関しては、苗字から実家を探り、感謝の書状を送ったとか】
【もっとも、その内容や送った事自体が適切なのかは――家庭の事情を知り得ぬ者からすれば、何とも言えなかったが】

【また袈裟峠に関しては屋敷が潰れたせいか、宿主が消えたせいか、妖魔の気配はさっぱりと消え】
【年末の忙しさも手伝って、人々は恐ろしい日々の事をあっという間に忘れていったという】


【ただ――これは更に数カ月後に明らかになることなのだが、ある事実が判明する】
【それは村々に生贄を要求する妖怪が居る≠ニいう証言自体が、まるきり嘘だったという事であり】
【判明したのは行行が後日、顛末をまとめる際に聴きこみをした折、些細な事で当の村人が漏らしたのだと云う】

【「今年はうちの村では満足に米も取れなかったから、納める物もなく、貢納の役を免れるためだった」】
【そんな理由で、ちょうどその時期に話題となった峠の妖怪を利用した。領主の優しさにつけ込んだのだ、とされた】
【無論、それを企んだ男と関わった郎党は斬首。これにてようやく一件落着、というのが事の次第なのだが――】

【如何せん未来の話である。まだ誰もそんな事情を知るものは居なかったし、加えて言えば】
【一体誰が学の無い農民にそんな知恵を吹き込んだのか≠ヘ、後日の処断で永久の闇に葬られることとなるのだった】


【それから―――第三近衛騎士団とその長フレデリックに関しては、後日見事にゼン=カイマへと凱旋した】
【そこに当時の事情を知るものもいなければ、妖怪に詳しい者も居ない。居ても僧侶くらいだったし――】
【その僧侶にしても櫻の現状には全く疎かったので、それこそ馬鹿みたいに、同じ宗教家として喜んだという、お話】


『……それじゃあ、君は英雄扱いだ。僕よりも名高く、気高く、そして凛々しい男としてやり玉に挙がるだろうね』

「六罪王よりも名高い男、か。……時折、お前の知謀も中々だと褒めてやりたくなるよ、ダグラス
 美術ばかりではない。いや、貴様のその性格が創りだす偶然とでも云うべきか……
 どちらにせよ幸運なやつ、残す所はあと一体……それも既に、どうせ目星を付けているのだろう?」

『勿論。優秀なメイドさんが居てね。無愛想だけど、契約には必ず従うって評判さ
 例えそれが、場合によっては死の危険さえ孕む仕事であっても……。
 ……今頃は僕の館の掃除でもしてくれてると思うけど。まあ、見ててよ』

「……ああ。お前が他の全てを押しのけて神に見染められるその時まで、しっかりと、な――。」


【――――後日・櫻の国某所】

【とある屋敷から機織りの音が漏れていた。誰かが何かを織っている――とも、違うらしく】
【シンとした邸内で、何台かの機織り機が勝手に動いているだけらしく。しかし、人も通らない山奥なので】
【これもまた、誰が不審に思うでもなく悠久と思われる時が流れていた。折鶴童子と銀狼が居るのは此処であった】

【仔細は省くが――結果的に言えば銀狼は生き残り、折鶴童子もまた腕を失しはしたが問題なく生活を続けていた】
【とはいえ、傷は深い。特に銀狼のそれはフレデリックの槍――カテドラルが聖槍だったこともあって】
【未だ彼女は目を覚まさず、それを放っても置けない橋姫が面倒を見ているような状況だった】

【―――あの攻防の折、何故姫は何も言わなかったのか。それは誰にも分からないし、当人も漏らさないのだが】
【こういった状態で何処かの山奥に彼女が潜んでいるらしい、というのは――国の一部の妖怪の間で噂になり】
【もしも妖怪が、或いはその友人が居る者が広い世界に居るとしたら。そんな話を聞くことがあるかも知れなかった。】

/これにて、橋姫退治のイベントは完全に終了とさせていただきます。
/改めまして参加者の皆様、この度はありがとうございましたっ!
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/28(土) 03:14:13.16 ID:6tmM8Goi0
>>597

―――…『いやお祭り騒ぎはいいんだけどさぁ、肝臓が泣くよ?すすり泣いてるよ?』
『クリスマスに酒飲んでられるのも、というより時間があるというのも、羨ましいねこっちとしては』

【やっと、ややはにかむかのような表情を見せる少女。何故かクリスマス中は忙しかったらしいが】
【仕事か何かでもしていたのだろうか―――まだ学生でもおかしくないような体裁である】

『はい了解…ミステリアスな魅力を持つ女性、という風に適当に脳内変換しとくわ』

【人差し指を喉に当てて了承の意を見せる。まあ身勝手な言語処理ではあるが】
【変わり映えない表情で冗談を言ってくるというのも不思議なものである。これが彼女の素なのだろうか】

『変わるでしょうよきっと。私はまあなんというか、気分屋なものでして』
『ていうか、こんな可愛い子の肩借りるんだから、喜びなよダンナ〜』

【タバコの煙を少し目で追いながら、冗談めいた文句を並べる。】
【そして、手を差し伸べると同時に行き先の提案――というよりは行動の提案を述べるだろう】

『とりあえず、もうちょっとすっきりした空気のところに移動したほうが、気分は良くなるんじゃない?』
『まあどこまで肩貸すかはお客さんの自由ってことで』

――…『まあ寒いといえば寒い…けれど、あまり動き辛いのは性に合わないので』
『後はインナーが、魔翌力を込めると暖かくなる優れものだったりとかね』

【ちらり、と襟を掴んで、開いて見せれば――確かに黒っぽいインナーの姿。実に便利である】
【にしても寒いことに変わりは無さそうだし、なにより女性として褒められた行動ではない】
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/28(土) 03:42:36.10 ID:ect2DbdEo
>>599

いーんだよ。脳みそが浮かれちまってるから肝臓に拒否権はない
酒飲みながらでも出来る仕事もあるからね……ま、そんなもんさ

【見た目通り横暴な事を言うが別に自分のことなので別に構わない話だ】
【そんな言動とは裏腹に煙草の吸殻はちゃんと携帯灰皿に入れる所もある】

ミステリアスな女性ってのは……ナタリー・ポートマンみたいなさぁ……

【映画の女優を引当に出して何か文句の1つでも言おうとしたようだが直ぐに顔をしかめて】
【まあいい……と暴れる二日酔いに屈してまた悲しげに髪を掻きあげた】

気分で他所から声を出されちゃ困るんだよ。……あー…でも、口じゃなくても……いいか。

【よく考えれば、というか細かいことは抜きにすれば意思の疎通ができているんだからいい】
【そんな風にひとりで納得して、コンクリの壁に手をついてよろけつつ立ち上がれば】

まあ……ね。…俺もこんなところで寝る趣味はないよ…別に。…ホントに

魔翌力…か。……俺は超寒い。もう寒いんだよ…マジで。………いつから此処に居たかわかんないけどさあ

【ポケットに手を入れながら、フラフラと頭を揺らしつつ取り敢えず明るいところを目指して歩き出そうと動き始める】
【酔いはかなり抜けている感じがするが如何せん頭痛が酷い。それに体調も悪いみたいでどうにも目眩がした】

嬢ちゃんさあ……歳いくつ?…ああ…名前は?

【ふらつく頭で見ず知らずの(少し怪しい)少女に付いて行くってのも中々にスリルのあることだ】
【しかし彼には深く考える余裕も無く。せいぜい年下にエスコートされるのは居心地が悪いなとかその程度であった】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/28(土) 04:09:10.16 ID:6tmM8Goi0
>>600

『うわぁ…肝臓もたまには首を横に振ればいいのに…いや、駄目か』
『酒飲みながら、っていうのも中々自由ですねぇ…堅苦しいよりはマシかな』

【表情とはまた違い、妙なボケをかましたかと思えば一人ツッコミしたりなど、忙しい声である】
【言いながらも、男の煙草処理の動作を見ては、関心したように見つめていた】

【小声で「誰それ」と、一言。映画の役者の一々を覚えるような人間ではないらしい】

『ふっふ、悪いね。ちゃんと喋らないのは、所謂クセってヤツだから』

―――…『そうだろねぇ。じゃ、行こうか』
『ってか風邪引いたんじゃないの、大丈夫?まあ、絶対風邪だよね…』

【動き出すも辛そうな男に、そんな問いかけ。声のトーンだけなら、心配そうに聞こえる】
【とりあえず、遮りが無ければ肩を貸すために、男の後ろに手を回すことだろう】

―――…『あー、もうちょっとで成人…いやあホント年は取りたくないね』
『名前は…今は『喋り屋』だとか『トーカー』だとか『ゴンザレス』だとか呼ばれてる、かな』

【要するに今は18、19程度だろう――名を聞かれると、少女はしばし考え】
【周りからの呼び名の羅列を述べる。どれ一つ本名らしきものはないし、三番目に関しては例外である】
【声を変える能力、それに見合った呼び名も挙げられたが、どうも胡散臭い】

【安心できない名乗りを終え、男の顔を見て――「そっちは?」と尋ねるだろう】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/28(土) 04:47:00.50 ID:ect2DbdEo
>>601

三日後までアフタークリスマスのヤツが堅苦しい仕事なんて出来ると思う?
まあ……自由に生きるってのは中々に大変なもんだ。…酔っ払いながらじゃないとさ

【ポケットに手を入れつつ、長い足を生かした大股でゆっくりと歩いて行く】
【時折よろけたり、壁に手をついたりもするがそうじゃなければ少女にあわせた歩調である】
【ただ、暗闇でサングラスをかけたままの彼だがそれはあまり関係はなさそうだった】

……イヤーな癖。……俺は気にしないけどね。…いわゆるちゃんと喋らないってのは……なんか…こう…

【フォローを入れつつもちゃんと喋らないってのは声の種類だとかじゃなくて喋る内容だとか口調だとか】
【そう言うのがしっかりしてないって意味じゃないかと伝えたかったが、思考停止中で口下手な彼は伝えきれず】
【結果として、ちゃんと喋らないのとちゃんと喋れないのがセットでこの場にいるということがわかった】

引いたかなあ…どうなんだろう……二日酔いの時は大体具合悪いから……

【また髪の毛をクシャクシャと掻いた。どうやらこれが彼の癖のようだった】

【手を回してくれば、彼はそれを軽く払って断った】

いいよ、危ないから……身長差考えたら無理じゃないの?流石にね

これからだろ?ティーンエージャーなんて勢いだけで生きてるようなもんだし
…え?…うーん。……もっといい名前つけろって。……マチルダ…とか、ニナとか…

【少しばかりさっきの女優を引きずって役名が出てきてしまった。それぐらい映画マニアなのか】
【ただ知らないであろう少女からすればそんなことすらもわからない事だろう】

俺……俺も似たようなもんだ。なんならそっちがマチルダならレオンでもいい
ま、一番良く使ってるのは…ヒライかな…?

【見た目に似合わずに特徴の薄い平素な名前なのは彼もまた偽名だからか】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/28(土) 05:17:08.56 ID:6tmM8Goi0
>>602

【ほんのちょっとの間を空けて、考えたかのように言葉をまた紡ぎなおす】

―――『うん、無理だね。何というか、ご苦労さんと言うべきか』

【よろけたり手を突いたり――そういった男の仕草を見つめながら、男の歩幅に追いつくように歩く】
【男の状況を見つめるその状況を見れば、彼女は割りと面倒見の良いタイプ、と言う風に見えるかもしれない】
【サングラスというのに違和感を感じたりもしたが――あえてそこは、突っ込まないことにした】

―――…『うーん何だ、まだ頭ぐるぐるしちゃってる?』

【言葉を纏められずにいる男に、少し首を傾げて問うてみる】
【案の定、少女には何も伝わっていない。どちらかと言えば男の様態を心配するばかりで】

―――…『とりあえず帰ったら安静だねぇ、引いたにしても引いてないにしてもさ』

【払われた手に、軽く、ほんお少しだけだが――表情が少しムスッとしたような、そうでもないような】
【そういうところはなんというか、子供らしいと言える。仕方なく手を戻し】

―――…『いやいや二十歳超えたらもう一気に三十路…って人生の先輩が言ってたよ』
『いいんだよ別に、それに私がつけたんじゃないし。それともお兄さん何か名前くれる?』
『マチルダとかニナとか呼んでくれても、こっちは別に構わないんだよ?』

【冗談っぽく笑みをはらんだ声。どうやら名を貰うと言うのも満更ではなく】

『あらら似たもの同士よろしく…、と言いたいけれど、ヒライってのもなんかな』
『何かないのもっとこう、アグレッシブな…リンカーンみたいな』

『まあよろしくねヒライさん…』

【また妙な語彙力の引き出しから人名らしきものを取り出して、後に「冗談だけど」と付け加えて】
【なんだかんだ言って彼の呼び名はヒライと、彼女の中では決定したのだろう】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/28(土) 05:46:00.23 ID:ect2DbdEo
>>603

……そりゃ、どうも

【わざとらしく肩をすくめる。けど悪い気分じゃない】
【元々こんな男にここまで付き合っている時点で相当なお人好しと言うのはわかりきったことだ】
【あの状況の彼をほおって置いて無視してもまだ冷たい人間だとカテゴライズするには尚早過ぎる】

……元々もあるけどね。…よく言われてるんだよ、最後が絶対キマってないってさ
まあ、通りに出てタクシーでもつかまえるか……クルマで帰る気にもなれないし……言われた通り大人しくするよ
…ツイてないよ全く

【まるで風を引くのは悪い宝くじに当たったかのように、困っちゃうよと言っていた】
【道端で倒れているのには慣れているようだが、風邪を引くのは慣れていないのか】
【はたまたところどころ天然な部分も見え隠れして言うので所謂バカは風邪を引かないというやつか】

人生は早い…それはそうだよ。俺もそんな感じ。……けど、速い分だけ楽しい…て感じ?ジェットコースター的な…

……マチルダ嫌い?あんまりいい名前じゃないかな……クロエとかの方が……あーもう…頭痛いし、自分でつけろよ……
 
俺も自分でつけた名前じゃないからさ……ベンジーとかにしたほうがいいかな

【ぼやけた頭で他の女優を検索したがエンジンが故障しているので途中で諦めた】
【大通りの明るい光が見える。明るくて、雰囲気は良い。でも居心地はあまり良くない…彼はそう感じている】
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/28(土) 06:18:18.67 ID:6tmM8Goi0
>>604

【「どういたしまして」とだけ言ってみた、のだが少女は少し首をかしげた】
【自分の言葉を思い返せば、どういたしましてなんて言う様な場面でもなかったような気もして】

―――…『うん、そうするのがいいよ、早めに帰って寝るのが一番っ』
『…というか、ツイてない云々の前に、そこまで飲むのは…いや、まあいいけどさ』

【なんにせよ、睡眠に勝る薬はないということで、その方向で意見を固める】
【割と最後のほうまで言いかけた言葉を飲み込む――と言っても口から出してない声なら、妙な言い回しだが】
【ともかく全ては言わず、己の言葉を遮ることとした。後に、話題を区切るような一文も付け加えて】

――…『あー、ジェットコースターねぇ…まあ確かにピーク超えたら真っ逆さまだもんねぇ。絶叫もしたくなるわ』
『んー、じゃー、うん…まあ、いつも通りでいっかな、どうも『喋り屋』さんです』

【男の比喩に何とも捻くれた解釈をしながら、楽しそうな談笑の声を響かせる】
【自分でつけろと言われた名前に関して、少し悩んで―――結果、思いつかなかったらしく】
【改めての自己紹介、ある意味彼女を一番表した通り名であるといえば、そうなのかもしれない】

『ベンジー…ね、その名前とかって何か元の…あー、なんて言えばいいかわかんね』
『…あ、そうそう、何かから取ったりした名前だったりするの?なんかの、作品かな?』

【なんとなく気になったことを聞こうとして、言葉に詰まる。仕切りなおしてもう一度、そんな質問】
【良く見れば、もう直ぐ通りを抜けそうだ。どうにも通りの明かり達が眩しくて、少女は少し目を細めた】

―――…『はてさて、もう少しで表だけれど、ご気分はいかが?』

【光から目をそらすように、男へと目を向けて】
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/28(土) 07:03:09.61 ID:ect2DbdEo
>>605

二日酔いの時はもう二度と飲むかって思ってるんだけど……もうね
少しでも飲んじゃえば後はもうわけわかんなくなってるからさあ…
酔わないビールがあればいいんだけど…そんなの飲んでもしょうが無いし

【相手が何を言いたかったの察したようにそうやって口にするが】
【なんともダメ人間の塊のような二進も三進も行かない不毛なことを口にする】

……結局それ?…ミシェルでもルシールでも良いと思うけど…ま、いい…
…よろしくね

【名前なら名前で良さそうなのを付けたいのが彼らしかったが本人がそういうならそれでも良い】
【それに名は体を現すというように名前でわかりやすいってのは案外いいのかもしれない】

えっと……グローイングアップだっけ?青春映画。オールディーズな映画。あんまり好きじゃないけど
ジョニーみたいな有りがちな名前じゃなくてベンジー…なんてのがかっこ良かったりさ

【映画の話なら饒舌になるらしく、頭痛もこらえて長々と話しだしそうだ】
【だが流石に通りが見えてしまえば彼としてはもう体力も気力も限界に近かった】

未だによく分かんないぐらい悪いけど……悪くないかな。…仲良くしてもらったことだしさ
……まあ、でも……帰る。……タクシーかなんか通るだろうし

【明るいところで見てみれば分かる通り、顔色は非常に良くない。痩せて背が高くてまるで死にかけのドラキュラのようである】

……だから……その…帰るから。……まあ、そっちも風邪引かないようにね
ありがとうね…わざわざさ。……嬢ちゃんもタクシーかなんかで帰りな

【上着のポケットを何かゴソゴソと漁り始めて、彼は何かを手の中に握り込めば】
【それを少女の手に無理やり握らせるだろう。見てみれば何処まで乗るんだというぐらいの金額の紙幣】

ごめんね、急なあれだから金ぐらいしかさお礼できないんだよね。
………まあ、そいうのは…またどっかで………それじゃあ。

【それだけ言い残せば、そそくさと(しかし、何処かふらつきながら)立ち去っていくだろう】
【多分、適当な場所で宣言どおりタクシーを拾ったのか、それとも迎え酒したのかはわからないが】
【それらはまた次、何処か出会った時聞けばいいだけの話だ】


/もう朝ですのでこの辺で失礼させていただきます。
/取り留めもないロールでしたがお付き合い本当にありがとうございました!それではお休みなさい…
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/28(土) 07:38:42.81 ID:6tmM8Goi0
>>606

【事実、酒のいろはなど知らずとも、一度口にしたら―――という気持ちは分からないこともなかった】
【しかし、それでも「そういうものかな」と、未成年卒業間近の女は怪訝そうに呟いた】

―――…『ま、これが私ってヤツだしね。仕方ないと言えば仕方ないかな』
『あ、けどルシールとかは…うん、いいかも。使うかも、しれないかも』

【肩書きのような聞こえではあれど、少女自身もその名はお気に入りの様子】
【だがルシール、という名前には少女の感覚と言うか…センスが反応したのか、妙に好感触であった】

『ふうん…映画、好きなんだねぇ。私はあんまり、そういうのは見ないけれどさ』
『ありがちでないものに惹かれるって、そういう気持ちは理解できるよ』

【タイトルを聞いても、少女にはピンと来るものではなかったが、馬の合う部分は会ったらしい】
【男の様子を見ながらも、自分なりの同意できる部分も然りと述べて】

『そう、ならよかった…くれぐれも途中で倒れたりとかしないように、気をつけてよ。ちょっと、顔色悪いしさ』
『んじゃあ、私もお言葉に甘えて帰りますかなぁ』

―――…『って何コレ、紙…お金?ちょっと待って、流石に多いよ…!』

【手の中の紙幣の桁を見て、少し驚いた表情を見せる。終始硬い表情の少女だったが、無理もない】
【呼び止めようとするも、紙幣に気付いたのは割と遅くて――男に金を返そうには少し間に合わなかった】

―――――…『別にお礼が欲しくてやったわけじゃないし、けど、まあ…ありがとう、またね』

【やれやれ、と困ったように小さく笑みを浮かべたなら、手に握った紙幣を適当にポケットに入れ】
【お礼が大きすぎた分、次会ったなら、とか考えては踵を返して、男が去った方向とは違う道をまた歩くのだった】
【結局、金はあまり使わないのだろう――お釣ということで、大部分を付き返すのも悪くはないかも、と考えながら、少女は大通りを後にするのだった】

/はい、乙でしたーこちらこそありがとうございました!
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 11:39:09.30 ID:QkduAYUko
【とある邸宅】

【暫く使われず軋んだドアがゆっくりと開かれ、中から小柄な人影が顔を出す】
【彼の者はきょろきょろと周囲を伺うと、他に人がいないと確信して、そっと外へ】

……やれやれだよぉ、あたしの思った通りなーんもめぼしい物は無かったし
こんなんじゃ稼ぎにならないじゃないのさ、年末は稼ぎ時だってのに……寂しい寂しい

【それは、カーキ色のマントに身を包んだ、十歳程の小柄な少女だった】
【赤毛の髪をお団子に纏め、猫にも似た丸い紫の目、薄く化粧を施した顔】

【――この家には、暫く所有者が戻っていない】
【半ば廃墟とも化してはいたが、人の家である事には変わりなく】
【幼い少女は此処の家人とも取れるが、台詞を聞けばそうでないと勘付けるか】

【少女は抜き足差し足玄関を出て、中庭へ――外門は半壊しており、入るのは容易い筈だ】
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 11:54:33.67 ID:QkduAYUko
【とある海岸】

【見渡す限りの水平線、時節故に人もいない場所】
【その景観を占有出来る堤防の上に、アタッシェケースを隣に置いて座り込む人影が在る】

っはー、年末の休日出勤ってもー、テンションだだ下がりじゃないッスかぁー……
僕さー別に昇進とかしなくていいからー、現状維持で気楽にやりたい訳なんスけどぉ。

【それは何処か軽い雰囲気のある、黒いスーツに星柄のネクタイを締めた青年だった】
【淡い茶髪の癖っ毛、怠そうな緑の目に、黒縁メガネを掛けている】

【――彼のスーツの襟には、逆五芒星のピンバッジが留められていた】
【それはかの機関の証でもあるのだが、ナンバーを所持している様子はない】

【仲間内でもそう目立つ方ではなく、知己の者は少ないはずだ】
【基本は事務方や取引・交渉関係を受け持つ者であるのだが――これも恐らく、仕事だろう】
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/28(土) 11:59:51.17 ID:yW9B+1N+o
>>608

……おやおやぁ?年の暮れに盗人たぁ不粋な輩がいるもんだなぁ

【誰もいないかと思われた、いない筈だった家屋への侵入者、それは少女ただ一人ではなかったようだ】
【中庭へ向かう少女を見下ろし、声をかける男が一人、二階の窓の桟に足を伸ばして座っている】

家主が泣くぜ、家をちょいと開けてたら、金目の物がガランと消えちまうんだ
……ま、他人の不幸は蜜の味、酒の肴にゃ丁度いいさネェ

【水色の着流し、下駄履き、白髪のポニーテール、前髪で左眼を隠した青年である】
【首に白いマフラーを巻き、腰には帯刀、刀に並べて瓢箪を吊り下げ、眠そうな半開きの目で口にはゲソの干物を咥えている】
【青年は、「くっくっく」と喉を鳴らして嗤うと、瓢箪に口を付けて中の酒を煽った。どう見ても、家主ではない】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 12:11:40.70 ID:QkduAYUko
>>610

【突然の声に、丁度猫が総毛立てるにも似て、幼い少女は酷く飛び上がった】
【慌てたように声の元を探し出せば、ぎょっとした様子で数歩後ずさり】

――ッひぃ!? ちょっ、あんた、何時から其処にいたんだいッ!?
あ、あたしは別に何も、盗んでなんかいないよぉ! 何も無かったんだものっ!!

【後ろ手にした布袋に何か入っている様子ではあるのだが、そんな言い訳をし】
【少女はどう切り抜けようかといった様子で酷く慌てていたのだが、ふと、相手をよく見据える】

……ってちょっと、あんたも不法侵入じゃないのさ!
まー此処はほらぁ、お互いサマサマって奴でさーあ……見逃しとくれよ、ねっ?

【浮浪者か、とは思いつつも、刀を持っている相手なので油断はならない】
【胡麻をするようにそんな事を言って、媚を売るように首を傾げてみせた】

【――どうも、彼女は年に見合わない態度をしていた】
【それももしかすると、お互い様であるのかも知れないが……】
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 12:13:17.02 ID:QkduAYUko
/>>609は取り下げで!
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/28(土) 12:31:14.86 ID:yW9B+1N+o
>>611

何時から?さぁ───いつからだったかネェ……
寒いからちょいと邪魔させてもらってから……三回くらいは寝た気がするんだが、何分昼に寝て起きたのが朝日と共にだった事もあるからなぁ

【驚きに体を震えさせた少女を愉快そうに見て、虚空を見上げながら日にちを数えて見る】
【覚えている日にちなんて殆ど無く、大体が酔いと眠気の微睡の中、正確な数なんて覚えていない】

ま、細けぇこたあいいじゃねぇか。それにオイラもそろそろお暇させてもらう所さ

【『不法侵入』を『細かい事』と簡単に言い切って、誰を攻めるでもなく、彼は窓から飛び降りた】
【地面の雪に下駄の歯を食い込ませながら、少女のいる方角へと歩いていく。近付くに連れて強い酒の匂いが彼を包んでいるのがわかるだろう】

……腹減ったから食物探してたら飾りの壺落としちまってよぉ
そしたら部屋中がビービー五月蝿くなったから居づらくなっちまってなぁ、いい家だったんだが……

【ニヤつきながら、自分のした事を何も悪びれる事なく、すれ違いざまに名残惜しそうに少女に伝えた】
【……『ビービー五月蝿くなった』とは、どういう事だろうか?家に他に誰かいたとは考え辛い。飾りを落としたら五月蝿くなったという事は───】

……おや、なんだありゃ?

【───空からヘリコプター、正門側からは慌ただしい車の群れが、こちらにやって来た】
【どう考えても警報器です本当にありがとうございました】
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 12:43:27.90 ID:QkduAYUko
>>613

な、何だいっ、……――

【その酒臭さに眉を顰めて、矢張り浮浪者か、などと思考しながらも】
【近寄って来る彼に少し身構えた少女は、袋を持たない方の手に魔力を集中させた】

【淡い銀色の光が、体が鋼で出来た蜘蛛を、その掌の上に作り出す――が】
【結局相手がただすれ違って行った事に拍子抜けしつつも、その言葉が妙に引っかかる】

……何だって? ちょっと待ちな、あんたそれって……

【――そういや微かにそんな音が聞こえるような気もするし、】
【というかそれどころでなく上空と正門側が騒がしいし……段々少女の顔が青ざめていく】

……こっの大馬鹿坊っちゃんがっ!! そりゃどう見たって警報機じゃないのさあーっ!!
どうしてくれるんだよぉ全くもうっ!! あたしゃ逃げるからねっ、捕まっても喋るんじゃないよっ!!

【慌てた様子で駆け出した少女は、手に作り出した蜘蛛にワイヤーに似た糸を吐かせ】
【中庭の木にそれを括りつけ、非常に身軽に塀の上へと上がって逃走を試みる】

【やはり盗賊であるのか動きは素早く、選んだ逃走経路も今のところの最善手であって】
【彼も逃げるなら同じ方向になるだろうか――跳躍力があるなら追えない事もないだろう】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/28(土) 13:12:01.50 ID:yW9B+1N+o
>>614

おーおー、わらわら集まって来てやがる、楽しそうだネェ

【見つかった原因の彼は、少女とは正反対に楽しそうに笑ってその様子を眺めていた】
【車から続々降りてくる武装部隊が、武器や能力を手にした二人を見て警戒を強める】

なんだい?逃げんのかい?もったいねぇ、斬り放題だぜ?

【しかし、少女が逃げ出すと彼もそちらに顔を向け、残念そうに声をかける】
【実際の所、少女と青年は仲間でもなんでもないが、警備隊からは同族だと思われているらしい。「二人組の侵入者が脱走!」などと怒号が飛び交う】

【少女が飛び乗った塀の下には、既に何人かの警備隊が待ち伏せしていた。こういう時に素早く対応する訓練をしていたのだろう】
【今こそモブ警備=噛ませの汚名挽回の時、警備隊達が一斉に銃を構え───】



【次の瞬間、青年が少女に並んで塀に飛び乗ったかと思えば姿が消え、白銀の光が闇に煌めいた】
【一瞬の事、中庭にいた青年は塀の上へ、塀の上から下へと素早く移動し、その刀を持って邪魔な警備達を斬り伏せていた】
【左手に持った鞘に、右手の刀を押し込みながら残心。辺りに無事な警備隊がいないのを見ると、少女へと振り向いて】

さあ姐さん!どちらへ逃げやしょうか?

【ノリノリで犯罪の片棒を担ぐつもりの台詞を吐いた、まるで長年付き合った相棒のような誤解を生む台詞だ】
【追加された罪状:公務執行妨害、傷害罪】

【突っ込むのも乗るのも少女の勝手だが、この時点でも警備隊は陸から空から追ってくる】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 13:33:02.29 ID:QkduAYUko
>>615

あーもうっ! 何でこんな酒臭いのと、このあたし、ウィドー・Sがっ!
勝手に仲間にされてんだいっ!? こんな間抜けは願い下げだよぉっ!!

【楽しげな青年とは裏腹に、少女は幼い体で必死に逃げる事に精一杯だった】
【怒号に突っ込みながらも塀の上へ、後は此処を伝っていけば……と、下を見れば】

う、嘘っ……や、止めとくれよぉっ、まだ死にたかないっ……――!!

【銃を構えた警備隊を目にして、流石の女盗賊も怯えを見せる】
【そんな折だった。青年が、それこそ一陣の風のように、彼らを切り伏せて】

――っ、あんた…………って、誰が姐さんだってぇ!?
あんた、あたしと今日会ったばっかじゃないのさっ!!

それにあたしゃ助けてなんて言ってないよっ、お陰であんたも捕まっちまう!
だってのに、勝手に楽しそうにしてんじゃ、……って空からも……っ!!

【素直に礼の言えない性分なのか、つらつら言い訳めいた台詞を並べるも】
【そう余裕はない状況、兎も角、青年が切り開いてくれた塀の下へ飛び降りる】

この先ちょっと走れば森だよっ、其処まで行けば撒けるかねっ……!
……ほら、あんたも一緒に来るんだよ!! ここまで来ちゃぁ同じ事だろっ!

【空からの捜索の手が及びづらい森へと、逃げる算段のようだ】
【理由は知らないが助けてくれた、何より使える――そんな思惑から、少女は彼に声を掛け】
【その森の方向へと、小道をすばしっこく駆け巡りながら向かっていくだろう】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/28(土) 14:00:50.04 ID:yW9B+1N+o
>>616

くっくっく、たまにゃあこんなのもいいさネェ……

「犯人は二人組の男女!数名を攻撃して未だ逃走中!絶対に逃がすな!」

【愉快そうに逃げる青年、必死に走る少女、叫びながら追う警備隊】
【空のヘリコプターから射されるライトが二人を照らし追うが、森の木々に遮られて見失ってしまう】

「くそっ!奴ら森へ……」
「草の根分けてでも探せ!絶対に逃がすなァ!」

【…まだ安心とはいかないようだ】



【一方こちらは森へ逃げた二人組】
【暫く森を進むと、追い掛ける足音も聞こえなくなってきた。ふと青年が立ち止まる】

……くっくっく、いやしかしとんでもないくらいの血相だネェ
一体何をすりゃああんなに必死になれんのか……

【「どっこいしょ」と手頃な岩に座り、余裕綽々で原因は呟いた】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 14:13:48.95 ID:QkduAYUko
>>617

なぁに呑気な事言ってんだいっ、遅れても助けてやらないよっ!

【警備隊から必死に逃げ、目的地の森へと少女は駆けて行く】
【思惑通りに姿を眩ませた事を確認した頃には、流石の少女も酷く息を切らしていた】

(結構飛ばしてた、ってのにっ、この坊っちゃん……)

【――尤も、まだ油断はならないのだろう】
【岩に腰掛ける彼に対し、少女は手近な木に寄り掛かって息を静め】

……そもそもあんたがっ、警報装置に引っ掛かったからだろおっ!?
はぁ……全くもう、散々な年末だよ……――ところであんた、何者だい?
ただの浮浪者の坊っちゃんにしては、随分と出来る子だしねぇ……

【此処まで一緒に来た相手だ、今更敵なのでは、という疑いは無かったのだが】
【常人ならざる体力と、その独特な雰囲気からか、ただの人とは思えなかったようで】

【ようやく落ち着いてきた体で、周囲に警戒しつつも、少女はそう問い掛けた】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/28(土) 14:34:48.73 ID:yW9B+1N+o
>>618

んな事言ったって、なあ……
ま、過ぎた事さ、気にすんないってね、くっくっく

【まるで散歩でもしているかのように、楽しそうに笑いながら、瓢箪を腰から取って一口煽る】
【「お前も飲むかい?」なんて差し出したりしてみたりして、もうすっかり馴れ馴れしくなってしまった】

……何者か、ってか?
そうさなぁ……ま、言うなりゃ───

───人斬り鬼。

【何者か、という問いかけに、ニタリとした笑みを浮かべた顔をしゃくり上げ、思案する様に、恍惚とする様に目を閉じた】
【緩く開いた隻眼が少女を見て、ぬるりと気味の悪い殺気が這いずり出る】

……何つってなぁ、くっくっく、吃驚したか───?

【一瞬出た殺気は、本当に一瞬の内に消えて、しかしそれは普段それを持たない人間がハッタリで出せるようなそれではないのは明白な事】
【しかしそれをあたかも冗談のように嗤う彼の背後、草むらの闇の中から、沢山の光る何かが現れる】

【荒く吐き出される息と、唸り声、そして闇に光る物は沢山の眼、目、瞳───】
【数にしてざっと三匹、三匹の猟犬が、それと気付いていない様子の青年の背後から、少女達を睨んでいる】
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 14:49:01.85 ID:QkduAYUko
>>618

ったくもう……って、まさかそれ、酒かい?
あたしはいーよ、飲めない歳じゃないけどさぁ……

【呆れたように彼を見ていた少女だったが、既に成人はしていると言う】
【奇妙な話では在ったが――相手のそれよりは、まだ正常範囲内だろうか】

っ……人斬り、鬼――?

【のらりくらりとした彼の嘘、と思いたいが、その殺気が証左とも言えて】
【不意を突かれた少女は豆鉄砲でも食らった鳩のような表情をしていたが、】

【――彼の背後、三匹の猟犬にいち早く気が付き】

連中、もう追って来たのかいっ……!? ちょっと鬼さんっ、後ろっ!!

【少女は叫ぶと共に、掌に呼び出していた鋼の蜘蛛を、猟犬の方へと投げる】

【しおり糸で少女の手に繋がっている、空を舞う銀色の蜘蛛は】
【同色の糸で出来たネットを即座に編み上げると、猟犬目掛けて飛ばした】

【糸は粘着性がありながらも、まるでワイヤーのような硬さを持っている】
【三匹全て捉えられるかは曖昧だが、補足出来れば暫くは足止めできるだろうか】
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 14:49:29.11 ID:QkduAYUko
/>>620>>619宛てです
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/28(土) 15:24:59.78 ID:yW9B+1N+o
>>620

あん?後ろ───?

【少し前に見せた素早さはなんだったのかと思うくらいにゆったりと振り向く、その瞬間にはもつ猟犬は青年に飛びかかっていた】
【少女の放つ糸に絡まり、二匹の猟犬が着地に失敗して地面に転がりもがく、だが残りの一匹はうまくそれをかわし、青年に飛び付いていた】

うおっと!おーおー元気がいい!

【仰向けに押し倒された青年は、鞘に納めた刀を猟犬の口に噛ませながら何とか持ちこたえているといった様子だ、表情は笑ったままだが】
【だが、脅威はこれだけではない、沢山の足音が草木を掻き分けながら近付いてくる、どうやら居場所がばれたようだ】

【もし逃げ遅れてしまえば、これ以上の数の猟犬や警備隊に追われる事となる、逃げるなら急いだ方がいいが───】

……どうやらここまでかい、いやぁ残念だ
お前は早く行けや、なぁにオイラもすぐに追い付くからよぉ

【この、あからさまにわざとらしいフラグを立てている男も連れて行くつもりなら、逃げ遅れるのは覚悟するべきだ】
【今出会ったばかりの赤の他人に構って逃げ遅れるか、自分を優先して安全を取るかは、彼女次第】
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 15:41:58.87 ID:QkduAYUko
>>622

【一匹を捕まえ損ね、蜘蛛を手元に引き戻しながらも少女は舌打ちをひとつ】
【既に居場所は突き止められてしまったようで、一刻も早く去らねばならない状況下】

……っとに、こんな時まで巫山戯てんじゃないよっ!
ちょっと、あんたなら此れ位っ、本当は何でもないんだろっ

【自分は彼程の戦闘力もないし、残った所で足手まといになるのは確実】
【――それ以前に残る理由など、今しがた在ったばかりで、ある筈がないのだ】

【そう自分に言い含めて、少女はじりじりと後ずさりし、青年を一瞥する】

……本当に何処まで本気なんだか、流石のあたしも分かりゃしないよ……
まあ……信じてるよっ、鬼の坊っちゃん。 精々足止めしといておくれっ!

【銀の魔力が湧き上がり、先ほどの蜘蛛と同じものが三匹、警備隊の方へと向かっていく】

【それらは先と同じく、“ワイヤーのような粘着性の糸”を吐きまわって、彼らの妨害に勤しむ筈だ】
【尤も、込められた魔力量は然程でもないので、一定時間暴れれば消えてしまうのだが――】

【兎も角、少女は手にした蜘蛛に糸を吐かせ、森の中をすばしこく飛び回って逃げ去っていく】
【結果として警備隊にも、そして彼さえも、きっとその消息は掴めないだろう】

……大丈夫、だろうねぇ……まさか、あの坊っちゃんに限って……ね。

【――名前も聞かなかった、と後悔したのは、普段傍若無人な彼女にとっては珍しい事だった】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でした
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/28(土) 16:10:25.89 ID:yW9B+1N+o
>>623

【少女の言葉に答える声は無い、ただニヤニヤ笑って、彼は猟犬を抑え付ける】
【少女が最後に放った餞別は、確かに足止めにはなるだろう。それは少女自身が逃げるのに十分な程度であるが】

「一人逃がしたか…!仲間を囮にするとはな…!」
「まあいいだろう、こいつから情報を───」

【何とか糸を抜けた警備隊達が、猟犬に組みつかれている青年を見下ろし悪態をつく】
【彼等から見れば外道な泥棒が仲間を置き去りにしたとしか見えない、だが実際は全然違う、それを知るのは少女と青年だけだ】
【だから、少女の情報なんて彼は知らないし、答える事はできない、囮になってやる義理も無い、が───】

【青年に組みつく犬が悲鳴と共に吹き飛んだ、構えた警備隊達を前に、ゆったりと青年が立ち上がる】

足止め……ねぇ……

───さて、歯応えはどんなもんか

【ゆらり揺らいだ、笑顔と白光、森はやがて静けさに包まれるだろう】
【僅か一瞬の戦闘音の、その後に】

/お疲れ様でした
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/28(土) 18:04:34.86 ID:hlyEPP0Mo
【河原――水辺近く】

「……そういえば、ボクのカオってこんなのだっけ?」
「なんでこんなにボクは大きくなって、年もとっているのだろう」

【水面を見つめているのは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、しかし目自体は死んでいて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)、両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「……わからない、けれど」 「それよりも、ボクは、もっともっと、みんなのために、……ひところさないと」
「れんしゅう、……ながれてきたこれで……ううん、うまくいかない」

【右手には、逆手で持たれた折りたたみ式のナイフ。黒曜石にも似た未知の素材で出来ている】
【――よく見ると、その足許には水死体。彼が殺したわけではないのだが、それにナイフを突き立てようとし】
【…………どうしても、急所を刺せずにずれた場所を刺す】 【彼は、焦りと苛立ちと、しかしどことない安心を覚えていた】

「…………はァ……このままじゃあ……ううん……でも……」
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/28(土) 18:43:34.71 ID:8ndvtp7Bo

【水の国】


【鄙びた街の、鄙びた一角──その中でも一等、鄙びた建物が有る】
【鄙びた、というのは「それ」が櫻風の建築である事が大きく起因しているのであろうが】
【鄙びた印象を最も強烈に与えるのは、鄙び切った看板が鄙びた軒の上に掲げられている事だろう】


【 ──「筐屋」、と、看板には記されている】


──ふぅ、寒い寒い。
君達が代わりにやってくれれば、私は凄ぉく助かるんだけど。


【その店の前を、箒と塵取りで以て清めているのは「店主」だろうか】
【羽織を重ねた和装にマフラーを巻き、眼鏡を掛けた黒髪の人物だ──年の程は、20代中盤】

【掃除をしながら話し掛けている相手は「柴犬」と「三毛猫」】
【首輪を付けられているのを見る限り、この店で飼われているのだろうか】
【彼らは何とも泰然としており、「そんな事言われてもウチら畜生やし」とでも言いたげだった】


 【兎にも、角にも】


【何ともはや、抜けたような、浮いたような──鄙びた光景だった】
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/28(土) 20:50:56.51 ID:QkduAYUko
【とある海岸】

【見渡す限りの水平線、時節故に人もいない場所】
【その景観を占有出来る堤防の上に、アタッシェケースを隣に置いて座り込む人影が在る】

っはー、年末の休日出勤ってもー、テンションだだ下がりじゃないッスかぁー……
僕さー別に昇進とかしなくていいからー、現状維持で気楽にやりたい訳なんスけどぉ。

【それは何処か軽い雰囲気のある、黒いスーツに星柄のネクタイを締めた青年だった】
【淡い茶髪の癖っ毛、怠そうな緑の目に、黒縁メガネを掛けている】

【街灯に照らされた下でこそあれ、こんな時間に、このような場所だ】
【不審といえば不審であるのだが――当の本人はただ怠そうに、海を眺めているだけだった】
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/28(土) 23:14:39.42 ID:YZqjD/p10
【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】









【小鳥の囀りも、虫の鳴く音も消えた森の中】
【――――漂うのは、複数の妖気。どれもが弱々しいのだけれど、その中で一つだけ確かに存在する謂わば異質】


「あほう共が…………我も天狗では無い。力量差を考えろとは言わぬが…………少なくとも、己が退くべき時を定めておけ
全く…………矢鱈命を奪うのは好かないのじゃ。今宵は逃す故、再度同じ事はせぬ様にの」

【下級妖怪達を伏せたのは一人の少女。姿こそ人間の子供であるけれど、放つ気配は確かに妖怪特有の其れ】
【銀色の髪は月の光を鋭く反射させ、森だというのに纏った地味な着物には汚れが無い】
【――――抜かれた刃は業物と知るには十分な耀きを放っていて、それでいて鮮血は刀身に付着する事無く下げられた切っ先から滴っている】
【妖怪達の身体は斬られてはいるけれど、どれも致命傷には至らない。然れど、そのどれもが確実に筋を断つ寸前まで斬り付けていて】


「…………ふむ。行ったかや。あやつ等であれば明日明後日には傷も癒えていよう
しかし…………我が楽しみにしていたあっぷるぱいを食えなくするとは癪に障る輩達であったが……
………………まあ、良かろ。確かに実に不快ではあるが、殺す事では無い
そんな事よりも、代わりの飯を見つけねば―――――」

【ぐぅ――――間抜けな音が、その場に一つ。足元に落ち、土だらけとなったアップルパイを見る瞳は、何処か哀れにも思えるか】
【じっと見る表情は何処か悲しげであって、深い溜め息を吐いたならば近くの切り株へと腰を落とす】
【…………さて、この場に人が訪れたって何ら珍しくは無いであろう】
【妖気も漂い、更には“ぐぅ”の音。――――もし、誰かが訪れたならばふと視線をそちらへ向けるのだけれど】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/28(土) 23:54:56.35 ID:419hOD4W0
>>628

あー全く本当に何時になったら落ち着くのかねぇ………肩がガチガチだぜ
まぁ、そろそろ一段落付きそうだし―――そしたらどっかリゾートにでもバカンスに………ん?

【森の中にそんな呑気な調子の声が聞こえてくる、それは次第に妖怪の少女の方へと近づいてくるだろう】
【そして妖怪の少女が腰かける切り株の所へと姿を現す人物が一人いた―――。】

おわッ!?―――な、なんでこんな森の中に少女が………。
き、君………迷子…ではなさそうだけどこの辺りの街か村の子供かな………?

もう夜だし、そろそろ帰らないと親御さんが心配する………って、どうかしたのか―――あっ。

【その人物とは―――。】
【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で頭にバカンス用のサングラスをかけ、紫の澄んだ瞳をしており】
【紫のシャツの上に七分丈の白いジャケットを羽織り銀色のネクタイをだらしなく結んで下は白のハーフパンツに白のデッキシューズ】
【といったいかにも軽薄そうな格好をした長身の青年、ジャケットの胸には緋色の鷹≠フワッペンが張り付けられている】

【青年は一瞬驚いて身を捩り、それから恐る恐る少女へと声をかける………どうやら妖気には気づいていないのだろうか】
【そして話しかけている途中で「ぐぅ」という音が聞こえれば、何かを察したように頷くとポケットから携帯用のチョコレートバーを取り出す】
【それを「あの、食うかい?」と差し出すだろう………味はイマイチだが腹には溜まる。】
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/29(日) 00:16:19.39 ID:4gr44+S5o
【真っ白な雪降る丘の上、足跡が一列続いている】
【いきなり急に現れたように刻まれた足跡は、丘の頂点にて断ち消えていて、その終端には彼≠ェいた、白に対する真黒な彼が、一本木のように真っ直ぐ立っていた】

【彼は男性───に、見える、体系と服装をそのまま見れば】
【背の高いスラリとした体系に、黒いスーツを着て白手袋を履き、モノクロチェック模様のネクタイを巻く】
【皿の様に大きく別々の方向を向いた瞳の両目と、月の様にひん曲がって歯を剥き出しにした口…の飾りを付けた箱を頭に被っているのがどうしようもなく異様であった】

……ふむ、これはこれは

【彼の目前に広がるのは煌く夜景輝く街並み、長方形のビル群がいくつも歪に空を突く】
【その中で、一体どれ程の物語が今この瞬間にも生まれているのだろうか。それを考えながら、彼は独りごちた】

さてさて、私はどのように介入するべきか……
はあ、どなたか向こう側から来てくれませんかねえ

【棒立ちのまま微動だにしないかれの平らな頭には、薄く雪が積もっていた】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/29(日) 00:16:48.80 ID:RQye1cam0
>>629
【近寄ってくる音と、掛けられた声と。その二つに反応するかの様に、銀の双眸は向けられた】
【――――直ぐに反応が返ってくる事も無く、代わりにクスリと幼い笑いを漏らして】


「さて、の…………果たして我の生まれた村がまだ残っているのかは分からぬ
そして特に目的を持たぬ旅故に、果たして迷った…………と言って良いのかも分からぬのじゃよ」

【迷子、にしては些か堂々としており。村の子かと問われればやんわりと否定して】
【見た目こそ、ただの子供。妖気を感じ取る術が無ければ勘違いしても仕方ない程には、人間らしい】
【達観していると表すべきなのか、どうにも子供らしさを感じさせない節々が、或いは引っ掛かるかもしれないけれど】


「我を創り出した親もとうの昔に骨となってしまったのじゃよ
…………否。今となっては骨が残っているかも分からぬが
くふ――――お主も迷ってしまう前に、早く帰った方が…………む?」

【果たして人間が子を“作り出した”なんて表現を用いるだろうか。“産んだ”ならば、よく分かるが】
【更にはとうの昔に亡くなり、骨すら残っているかも怪しいと言う親の存在。所謂痛い子か、否か】
【――――ただし。緋色の鷹を身に付ける青年ならば。或いは数々の修羅場を潜り抜けた者ならば】
【この世にはその容姿からは考えられないほど長い時を経た存在が居る事も解せよう】
【妖怪を知らずとも、その様な種族を知っていれば、少女の纏う独特な雰囲気に違和感を覚えるかもしれないけれど】

【――――さて、青年にクスリと笑い掛け、まるで諭すかのように語っていたが…………チョコレートバーが取り出されれば、思わず視線は其方へと移される】
【差し出されれば、細い指を自身の顎に添えて考える事数秒。空いている片手で其の端を摘み――――まるで「良いのか?」と問うかのように、小首を傾げて】
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/29(日) 00:29:28.69 ID:ti/7/Msc0
>>631

【見かけに反した落ち着いた、大げさに言えば妖艶とも取れる笑みを見て少し怪訝そうに眉を動かす】
【先ほどまでのおどおどしていた様子はなくなったが、警戒はしているようである。】

―――む、これは何か聞いてはマズイ事を聞いてしまったか………悪い
………そして旅人か、ようやくわかったよ………君、いやアンタはタダの人間≠ナはないみてぇだな

この気配………神霊か妖魔の類か―――?

【相手の言葉を聞いて合点がいったように頷きながら相手へと、存在についてといかける―――】
【この青年見かけの軽薄さにくらべて随分と鋭いようだ………良く見れば胸のワッペンのエンブレムは自警団の上位組織の………】
【実際にそのワッペンのエンブレムについての知識がなかったとしても、この青年もただの一般人ではないという事が分かるだろう。】

………随分と年をめしてらっしゃるようで、当然俺の上だろうな。
この辺りってやっぱり迷い人が多いのか?まぁ最寄りの街に用事があるから長居はしないけどさ。

ああ、気にすんな、毒とかも入っちゃいないから安心して食べろよな。

【肩を竦めて笑いながらチョコレートバーを相手へと手渡す、軍などでも採用されている携帯食だけあって】
【先述したが、味はあまりよろしくない―――。】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/29(日) 00:52:00.20 ID:RQye1cam0
>>632
「気にする事でも無いのじゃよ。知っていて態と問うた訳でも無かろ
それに、人間が先に死ぬのは摂理。――――故、気にしては居らぬ

うむ、ご名答じゃの。我は人間とは異なる存在。人に作られし存在…………九十九、と呼ばれる其れじゃの
果たしてお主の並べたその二つのどちらに属するかと聞かれれば、どちらにも頷き難いのじゃが…………
人間を喰らう事はせず、腰に提げたこの刀で戯れに斬る事も無い。じゃから――――そう、距離を置こうとせずとも良かろうて」

【敵意が無い事を明白にする何て、難しい事だけれど…………少なくとも、自分からは危害を加えるつもりは一切無いとの言葉】
【それを信じるか信じないかは青年次第。腰に提げている刀はよくよく見れば物騒だし、自ら人間とは異なる存在であると明言しているのだから、一層警戒を強めさせる可能性もあるだろうか】
【コクリ、と小さく頷きながらもやはりチョコレートバーの存在が気になるのか。チラリチラリと行き来する視線は、まるで動物】


「なに、歳何ぞただ如何に生きていたかを表すだけじゃ。妖怪よりも優れた人間は五万と居る
迷い人が多いのかは分からぬが…………然れど、人間ならばそれらしい場所に居るのが一番じゃろうて
態々この様な寒さの厳しい場所に長居して、身体を壊す必要もあるまい。――――して、食べて良いのじゃな?
ならば…………その言葉に甘えるとしようかの」

【和装。俗に言う着物。其れだけを纏い、何を羽織るわけでも無く。履き物だって草履であるけれど、寒さに凍える風でも無く】
【果たして人間の童ならば、どうだろうか。そんな身形でこの時間で歩けば、寒い寒いと喚くか】
【然りと許可を得れば、嬉しそうに顔を綻ばせて。包装を裂き、頬張る…………が】


「うむ…………喰らわせて貰った上、この様な言葉を吐くのは礼儀に欠けると理解はしておるが…………
何と言うか、じゃの。…………そう美味い物でも無いのじゃな…………」

【想像とは異なった味が口一杯に広がった。喰えないほどでは無いし、相当に不味い訳でも無い】
【だが――――期待していた分、現実を突きつけられれば相応に傷を負ったのか】
【モグモグと咀嚼しながらも、そんな言葉を小さく紡いで】
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/29(日) 01:12:55.67 ID:ti/7/Msc0
>>633

………確かになぁ、生物としての根源的な力が違う訳だからな
九十九―――やっぱり神よりの存在か、確かに邪な気配は感じないしなぁ

別に距離を置こうとは思ってないが………まぁそうそう会えるような存在でもないからな

【苦笑しながらぽりぽりとこめかみを掻きながら肩を竦めつつも一歩相手へと近づく―――。】
【警戒などとは少し違うところで相手と距離をおいているようであるが、それについて詳しく口にすることはない】

どうだかな、絶対数が多いだけの可能性もあるぜ?
―――確かに、住み分け≠チてのは重要だ、それを疎かにすれば互いに得がない。

【相手の言葉に同意するようにため息交じりにそんな事を口にする、随分と軽口のようだ―――。】
【その瞳の奥には深い疲労のようなものも見えるが………やはり人間というのもそれなりに大変な生活の様だ。】

だろうな、まず美味いならそんなホイホイあげたりしねーぜ?クク
まぁ腹はそれなりに膨れるだろうから勘弁してくれや。


―――っと、そろそろ行かなきゃな………俺はスカーレット≠フディック・ホワイト≠セ
まぁ、またどっかで会ったらよろしくな、九十九≠ウんよ………それじゃ!

【そういうとヒラヒラと手を振りながら再び森の出口へと消えていく―――やはりどこか軽い青年だった】

//申し訳ない、PCの調子が悪いので、速いですがこの辺りで…お疲れ様でした!
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 01:30:25.48 ID:bbsYeg32o
【酒場】

【某国の、ある街の某裏通りを抜けた3つ目の店】
【治安がいいとはいえないこの辺りの唯一、落ち着けるであろう酒場】
【とはいえ路地裏の奥の奥にあり、レンガの雑居ビルの1階で外観も看板が曲がったまま】
【内装も狭く、汚くはないが未だにブラウン管が置いてあるような古い店だった。カウンタがあって】
【窓際のボックス席が数個。丸テーブルの席が数個。古びた雑誌が数冊。店主は1人。椅子に座ってテレビを見ている】
【特徴といえば何故か暖炉があって見た目も実用もバッチリ、この時期は現役でぱちぱちと稼働しているのであった】

【24時間年中無休が売りだが、テレビドラマの時間は店主は何もしない。元々の無口がさらに不動になるのだ】
【だから常連客は金を払って自分で好きなものを持っていく。中には勝手に料理をつくる奴も居るようだ】
【誰かが言う。ここは地元のやつと何か裏の有るしか来ないだろう、と。テロリストが来ても何も問題ないんだろうな、と】
【ついたあだ名が『Everyone's Home』。店先のネオンが切れてから誰も本当の名前は知らない】

【夜も25時。外は寒気が降りてきていて雪が降るとか降らないとか言うぐらい寒い日だ】
【忘年会の時期だがこの店はそんなのは関係ない。今日も店主と客が1人だ】

………ゴホッゴホッ!……あークッソ…今何時だ

【店の奥の固いソファーに深く腰掛けている一人の客。黒いニット帽を被ったサングラスの男だ】
【カーキ色のミリタリーコートを羽織っていてシンプルな白いシャツに黒いジーンズという風な服装だ】
【テーブルの上には携帯電話やら煙草やら灰皿やらビールの空き缶の山に混じって近所の病院の名前の入った】
【内服薬の袋が場違いな感じで隅に存在していた。後は暖炉用の火かき棒がテーブルに立てかけてあった】

なあ…マスター。ここ…コーヒーあったっけか?……マス……あのオヤジ寝やがったな

【24時間オープンだが夜は店主は引っ込んでしまう。泥棒や強盗が大助かりにナリそうだが】
【そんなことを働く輩はおらず、寧ろその強盗も完全に居着いている】

……自分でやるか

【隅っこで縮こまっていた男は立ち上がって、カウンターの内側に堂々と入っていった】



/予約有りです
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2013/12/29(日) 01:37:45.64 ID:RQye1cam0
>>634
「なに、我は“物”じゃよ。長い間使われ、いつの間にか自我を宿した存在じゃ
神寄りと言ってしまえば、その者が怒るじゃろうて」

【少しずつ食みながら受け答えをして】
【――――街へ行くのだと悟れば、その言葉にコクリと頷いた】
【文句を連ねながらも食べる辺り、実際の所は気に入っているのか】


「――――くふ。そう言われれば、確かにそうじゃの。そう易々と渡すのも勿体ないかや
じゃが、助かったのは確かじゃ。腹を空かせたままでは寝ることも難しいからの。礼を言うのじゃよ
……うむ。其れではまた何れの、ディックや。風邪をひかぬ様、気を付けると良かろ
すかーれっと、の。話には聞いては居ったが…………中々に面白い者も居るようじゃ」

【貰った物を喰らいながら、見送って。――――最後に掛けた言葉が聞こえたのかは分からないけれど】
【チョコレートも喰らい終われば、満足そうな表情を一つ】
【切り株から降りれば…………また、目的の無い旅を再開する事だろう】

/了解でありますよー!お疲れ様でありましたっ!
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 01:48:08.45 ID:17N3F08Yo
>>635

【外から喧しい女の声と、宥めるような男の声が聞こえてくる】
【女の方が結構ヒートアップしているようで、一方の男の方の声は比較的落ち着いていた】
【――此方は聞き覚えのある声だろう。店内の彼と何度か飲み交わした、例の地下活動家だ】

【やがてドアが開かれて、声の主の二人が店へと入って来た】

「……まあ良いわ、続きはあんたの金で飲みながら……って何よこのシケた店!?
 最悪だわ! この私にこんな場所で酒飲ませる気!? 有り得ないわ!! 帰る!!」

ちょっと待ってくれってレベッカ……俺が、お前の言うような洒落た店に入れる男に見えるか?
こういう店の方がいろいろと話しやすい、だから……――聞いちゃいないな

【女の方は、背高で均整の取れた体に、気が強そうな顔立ちの若い女性】
【豪奢な赤のドレス、プラチナブロンドの髪、ツリ目なブルーの瞳】

 【(彼女はレベッカ・セヴィニーと言うB級映画女優だったが、ヒット作もなく、無名に近い上に)】
 【(唯一有名かもしれないのは男癖の悪さだった。年末に空港で毎回違う男と手を繋いで帰って来る)】

【もう一人は、よれた黒のスーツに黒いネクタイを締めた喪服姿の、酷く血色が悪い男】
【癖のある黒髪、灰色の目、右頬に「牛の生首が載った皿」の刺青がある】

【此方はいつも通りのただの悦那だが、彼女のような女を連れているというのが似合わなさ過ぎた】
【彼は何とか彼女を宥めすかして席に座らせ、其処で漸くカウンターの内側にいた相手に気がついた】

あれ……お前、いつの間に店持ったんだ? 開店祝い位持っていったのによ

「何よ、知り合いなの? まあ良いわ、ドンペリ頂戴」

……ある訳無いだろ……――悪いな、こいつの言う事は気にしないでくれ

【女の方は相変わらず愛想が悪い。悦那は肩を竦め、済まなそうに片手を上げた】
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 02:16:49.14 ID:bbsYeg32o
>>637

【麻袋に粗雑に入ったそれなりのコーヒーの豆(炒ってはあるみたいだがそこで飽きたらしい)を見つけ】
【棚からミルを取り出して、それをゴリゴリとカウンターの席に座ってハンドルを回していれば外から黄色い声】
【ちなみに風邪を引いていてあまり意識が向いていないためもう片方の相手は可哀想な男という程度の認識だった】

…周波数が高すぎでCDならマスタリングしなおさなきゃいけないぐらいだな

【それだけ感想をつぶやいて今度は落とす為のペーパーやら何かを探しに立った時ドアが開く】
【まあどうせ地元のやつだと思って何も気にかけない。カップにドリッパーをセットしつつサングラス越しに】
【二人組の方を見れば――なんとも。女の趣味がそこまで悪かったのか。それとも…考えただけでニヤけてくるぜ】

【こちらの彼は映画マニアであったためB級どころか名もない常連であっても見つけることが出来る自信があったが】
【カラーでもテープを映写機でまわしてた全盛期の古い映画じゃないと気が付かない。新しいのには全く興味なかったため気がつかない】

【沸かしたポットを持ってカウンタに戻ればそれをカップに落としつつそろそろ話しかけることにした】

まあな。中々洒落た店だろ?メニューも値段も無いんだ……冗談。…寂れた店で…それと特殊でさ
メニューもなけりゃ店員も居ない。夜はね。……俺がいる時が一番マシな料理が出る…そんなとこだよ

【この説明だけじゃ店のシステムも彼が一体店員なのか客なのかはわからないだろう】
【そうは言えど彼が居るときはマシな料理が出ると言っているんだ。まあじゃあ店員ということでもいいんだろう】

………ボランジェならあるよ。白の

【女のほうをチラリと見て、それだけ言えば後は自分のコーヒーにお湯を注ぐのに夢中である】
【くれといえば何も言わずにその瓶を持ってくるだろう。が、グラスはない。栓抜きもない】

……なんだよ。車を買うときはスペックは見ないタイプなのか?お前は
こう……イザベル・アジャーニみたいなの連れちゃってよ

【悦那の方もチラリと見て、コーヒーが落ちるのを待つ間そんなことを聞いた】
【要はルックス至上主義かと聞きたいらしい。イザベルアジャーニは特級の女優だが性格も女優である】
【いい意味にも取れるし、悪い意味も伝えられる所謂女優のアイコンだ】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 02:39:41.46 ID:17N3F08Yo
>>638

何だそういう訳か……って納得していいのか、其処は。ほぼセルフだな
お前の料理ね……気にはなるんだが、生憎食い物入れると発酵しちまう体でな

……ん、風邪引いてんのか? 今年は特に冷えるからな……大事にしろよ

【席にあった薬の袋に気付いて、悦那はカウンターの彼にそう声を掛ける】
【冷える冬が有り難い死人の体は、同時に病にも冒されることはないのだが】

「……あら、意外とちゃんとしてるのね。 じゃあそれ、頂戴よ」

【一方の女の方は、ボランジェの名が出た事に少し驚いたように見えたが】
【すぐに元の調子に戻って、持って来いと言い放ち、手持ち無沙汰に店内をジロジロと見回す】
【――勿論、栓を抜くのも、グラスを探してきて注ぐのも悦那だ】

いやー……昔っからなんだ、どうも性格が悪い女に入れ込む方でな
先生の影響かね……あの人以上に苛烈な女に、会った事は無いが……痛っ

「誰の事言ってる訳!? あんたさぁ、誰のお陰でそんな体でも動けてるか分かってる!?」

止めろって……腐った血が出てくるぞ、今は青じゃなくなったしヤバい色だぞ

【短気な女は、悦那を手近な栓抜きで強かに殴り付ける】
【まあ、女の力ではあるのだが……相当なじゃじゃ馬であるのは明らかだった】
【殴った相手も死人なのでまあ、不味いことにはならないが、衛生上の危険はあった】

「ほんっと最悪! まあ良いわ、折角見つけた事だし、これからまたこき使ってやるんだから!」

あー痛……ヒライ、なるべく近くに座らない方が良いぜ。 見ての通りだ
っと、俺もコーヒーが良いな。 ……いや、自分でやるか

【「猛獣注意」と一言添えて、悦那もカウンターの方へと向かう。今側にいるのは危険だと見たのだろう】
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 03:04:34.18 ID:bbsYeg32o
>>639

ここの店主のフィッシュアンドチップスよりは大分マシだぜ
……まあ、ならアンチョビでも食うか?いい感じに慣れたら取り出そうか

まあ、な。おまけに怪我までしちまって…何かとツイてないんだよ

【煙草をくわえて、火を点けながらヘッと口元をニヤけさせる】
【怪我は足と腕なので見えることはないが今はそれより風邪の方が重大事項である】
【死に体である悦那と並んでも血色のあまり良くない彼だが今のほうが熱で元気そうにも見える】

年代モノだから景気良く払えよ。サービスじゃないんだから

【煙草をくわえたまま、濃く濃く入れたエスプレッソを小さいカップに入れ替えながら】
【ラテンスタイルの飲み方で入れれば、煙草を一度灰皿にキープして胃にコーヒーを流し込んだ】

オーラィ。立地を気にしないから豪邸が買えるっていう感じか?……はっ!そりゃいいな
つーか、なんだよ今更。死んでも枯れちゃ居なかったのか?

【カップを持ったまま、移動してカウンタの内側、本来なら店主のポジションに横柄に座って】
【カウンタに肘をついたまま、足を組んで遠巻きのところに座り。アウトサイドからニヤけヅラを送ることにしたらしい】

わーってるさ。俺の好みじゃないし……うるっせえし。……悪いね。そうしてくれ
昨日からどうもダルいし頭痛も酷い。ビールもマズイしそうとうキテるぜ俺も……ったくそんな時になんつー女を…

【またカップからカップへコーヒーを移してそれを一気飲み。しかめるほど苦いが、薬ってのはそういうものさ】
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 03:24:58.47 ID:17N3F08Yo
>>640

体の中身は俺も気にしないようにしてるんでな……内臓が残ってりゃいいんだが。
なんだ、仕事でトチったのか? 気を付けろよ、お前の血はまだ赤いんだろ

【自分の中身ではあるのだが、どうにも不味いことになっていそうなのでなるべく触れないでいた】
【今年の夏も暑かったし、死んで四年は過ぎているし、――まあ、考えないでおこう】
【怪我と言われふと相手を注視したが、見かけ上はそう悪くもなさそうだと見れば、いつもの通りの軽口】

「……この男が払うから。 私今日、財布無いもの」

冗談キツイな、お前……知ってんだろ、俺も金なんか無いぞ
事務所買って、寝煙草で焼いて、新居に越して、家賃貯めてんだ……本当に勘弁してくれ

【ふん、とそっぽを向く女ではあったが、席には高そうなバッグが鎮座していて】
【カネがない訳では無いのだろう。喚くことは間違いないが、最終的には払う筈だ】

いやー……どうだかな……まあほら、ハートは枯れちゃいないさ。だから大丈夫だ
無痛の、革命の炎が燃えてるのさ。 分かるか? 全て取っ払った世界が、もう其処まで来てる
俺達は痛みなく世界に染み込んで――……と、今は止めておくか……

「何よ! 揃いも揃ってシケた男ばっかり! ……ま、これは悪くない味だけど……」

【余程風邪は酷いらしい、と判断して、悦那はカウンターに入り自分のコーヒーを用意し始める】
【相手の台詞にまた喧しい声がしたが、良い酒のお陰で先よりかは煩くないし、飲む事の方に意識が向いていた】

つーかお前、薬飲んで酒入れるなよ……危ないんだろ? 確か。
……ん、旨い。 良い豆だな?

【――見れば、悦那の入れ方は相手のそれとは正反対、かなり薄めたアメリカンだ】
【それを口に運び、悪く無いといった表情で飲む。……水の類も内臓的に危なくはないのだろうか】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 03:53:03.27 ID:bbsYeg32o
>>641

仕事はいつもどおり…最近はちょいと停滞気味だがね。シケたギャングをシメてやれば
飯代には困らな無いからいいけどさ………成り行きでカノッサだの…そういう絡みが多くてさ
最近はUTにも出入りしてたからよどっかの奴にロックオンでもされたらしい

【いい迷惑だ。と付け足して、また煙草に手を伸ばす正義だの何だのには興味はない】
【ただ単純にバカを狙って金を稼げりゃいいだけなんだから余計なことには足を踏み入れないのが信条だ】
【そうは言えど相手は待っちゃくれない。逃げる相手も増えて疲労からの病気ってのもあったんだろう】

俺は別に払おうが払わまいがいいんだけどさ……ここの店主。刀の名手らしいぜ…噂だけど。
だから強盗どころか食い逃げも居ないって話だけど……まあどうだろうね。今寝てんだろうし…

【2人は見たことは無いだろうが此処の店主は小柄な白人系の紳士であるが】
【その眼光は鋭く、手の甲に何か傷跡らしきものがあると評判である。そして寡黙…雰囲気はバッチリだった】

なんだよ…女連れだから政治はもうやめちまったのかと思ったさ。……革命の炎の前に
愛の火もばぁーって燃やしてやれよ。だからこんなナメられるんだよ……愛だよ愛
バーって燃え上がらせりゃあ………あー……大体、直ぐに終わっちまったな…そういや……じゃあこれは無し

俺はシケてねえよ!風邪引いてるだけだ!…………あ、そりゃ、シケてんな俺

【ロックンロールマニアらしい往年のロッカーみたいなセリフだ。クサさが無いのは彼もまた】
【平凡な生き方をしていないから何故か無意識にカッコつけたセリフを言ってしまうのか】
【しかし、必ずと言っていいほど最後まで締まらない。絶対に最後までかっこを付けきれないのだった】

あー…そうなんだっけ?……まあいいじゃない…ストーンズのキースみたいでさ
……知らねえな。客か店主が置いてったやつらしいが……商品かどうかすらわからないんだ
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 04:12:47.35 ID:17N3F08Yo
>>642

カノッサ、ね……出来ればもう、俺も関わりたくは無いもんだ
で、レベッカ。 俺は首を斬り飛ばされても平気だが……

「……分かったー。 分かったからもう、ごちゃごちゃ言わないでくれる?
 私、最初から払わないなんて言ってないから。 最初からね。
 良い物にはそれなりの対価を払うわ、あんたも知ってるでしょう?」

【この場所がどういうところか、というのは彼女も察してはいたのだろう】
【今連れている男が役立たずであるのも理解していた。故に、結局は折れる形となる】

おいおい、俺が左翼やめたら何になると思う? ただの死にっぱぐれだぞ?
こいつを愛してなきゃ俺はそれこそ本当の死体になるのさ、
何故ならこの女が、そういう能力者だから……痛っ、待てお前、瓶は無いだろ瓶は!

「人の能力勝手にバラさないでくれる!? あんたそれでも諜報員だったの!?
 ほんっと信じられない!! もう帰るわ、ほら、さっさと送って行きなさいよ!!」

【飲み干した空のボトルがそのまま悦那の頭に行ったが、何とかキャッチし割れる事は無く】

【当のレベッカはつかつかとカウンターに歩み寄れば、】
【わざとヒライの目の前に見せ付けるように、多めに札を突き付けて――そっぽを向くと、店を出て行った】

ちょっと待て、待ーてっての……悪いな、体調悪い時にこんな騒ぎで……
お前もあいつに惚れときゃ、風邪こじらせて死んでも“万が一”があるかもな……俺みたいに
ま、それは置いておいて……今度は五月蝿いの抜きで会おうぜ、またな

【どれだけ性格の悪い女でも、一人では帰せないようで】
【済まなそうにしながらも、悦那はレベッカの後を追って店を出て行くだろう】

【――酒の分は問題なかったが、悦那のコーヒー代がない】
【レベッカの払った分に含めておいてくれ、という事だろう……まあ、十分足りてはいる筈だ】
【店の外でも暫く喧しい声はしていたが、やがて遠ざかるに連れ、二人の声は聞こえなくなっていった】

/時間も遅いのでこの辺りで、お疲れ様でしたー
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 12:10:33.18 ID:17N3F08Yo
【とある海岸】

【見渡す限りの水平線、時節故に人もいない場所】
【その景観を占有出来る堤防の上に、アタッシェケースを隣に置いて座り込む人影が在る】

っはー、年末の休日出勤ってもー、テンションだだ下がりじゃないッスかぁー……
僕さー別に昇進とかしなくていいからー、現状維持で気楽にやりたい訳なんスけどぉ。

【それは何処か軽い雰囲気のある、黒いスーツに星柄のネクタイを締めた青年だった】
【淡い茶髪の癖っ毛、怠そうな緑の目に、黒縁メガネを掛けている】

【冷える時期に、わざわざこの場所――何かの取引、なのだろうか】
【本人の顔からはそれは伺えない。彼はただ面倒臭そうに座り込んでいるだけ、であった】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 13:32:22.29 ID:17N3F08Yo
【星の国――スラムエリア】

【開けた場所にシートが敷かれ、持ち運べる範囲での工具類が並べられており】
【其処に貧しい人達が、壊れた家電類を手にして並ぶ列が出来ている】

……ん、コレでとりまOKかな。
後は使ってみて、また何かあったら連絡よろ!

【そんな彼ら一人ひとりに丁寧に応対しているのは、】
【多様な工具を備えた灰色のツナギを纏う、一人の若い女性だった】
【今時の若者といった雰囲気で、オレンジの長髪に栗色の目】

【一つ修理を終え、彼女は次の依頼を受ける。工程としては非常に早い】

【どこが破損していてこういう風に動かない、との話は聞くものの】
【無闇矢鱈に中を開けて確認するのではなく、彼女はまず機械をじっと見つめて】
【――そして、何かを心得たように頷き、的確な修理を施していくのだった】

はいはーい、次はこっちね……っと、……――
ごめん、コレは一旦預かりで良い? 此処の道具じゃ無理っぽ。

【状態を見て済まなそうにそう言い、彼女はどのエリアの居住者かをメモし】
【機械を預かれば、棒付きキャンディーを口に加え、次の機械の修理へ入る】

【――やがて行列も落ち着き、彼女は少し疲れたように伸びをする】
【尤も、嫌々やっているという顔ではなかった。何処か達成感のある、そんな表情で】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/29(日) 15:14:44.91 ID:NA7KNHeHo

【水の国の街角で、不可解な張り紙を見ることが有るかも知れない】
【曰く──「貴方の想い、お持ち下さい」、と】


【荒れた道を辿り、地図に示された場所に向かえば鄙びた櫻風の店に辿り着く】
【店の前には番獣よろしく鎮座まします「三毛猫」と、「柴犬」】
【首輪が付けられているのを見る限り、この店で飼われているのだろう】

【──屋号は「筐屋」と云うらしい。古めかしい看板が掲げられている】
【櫻の者でも通常には読めたものではないし、況や水の国の者をや、か】
【張り紙をして、屋号を掲げているのだから「店」に間違いはないのだが、商売っ気は感じられなかった】


 【兎にも、角にも】


……えぇ、はい、そうですか。
それでは早晩、参らせて戴きます──感謝致します。では。


【若干建付けの悪い引き戸を開け、中に入れば──声と共に視界へ飛び込むのは、大量の「棚」】
【四方八方、あらゆる壁面の殆どが「棚」で埋め尽くされており、天窓からの陽光に照らされている】
【そして、部屋の奥。大机の向こうに座し、黒電話で通話をしていたのは「店主」だろうか】

【年の程は20代中盤、といった所か。和装、黒髪、眼鏡。店の雰囲気に似合った服装をしていた】
【若し、「誰か」が這入って来るのなら──そちらに視線を向け、にこり、と微笑む筈だ】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/29(日) 16:02:13.77 ID:4gr44+S5o
>>646
/まだおりますか?
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/29(日) 16:04:45.67 ID:NA7KNHeHo
>>647
/居ります
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/29(日) 16:37:43.63 ID:4gr44+S5o
>>646

【ギギギ、ガリガリ───と、建て付けの悪い引き戸をこじ開ける音がする】
【そのシルエットは、窓ガラスの向こうの影は、最早異様とも言える代物であった】
【引き戸が開き、隙間からぬぅと差し出されたのは、その異様が極まった頭部から】

失礼、『筺屋』なる物は開業中で?
いやはや、実に興味の魅かれる看板で

【彼は男性───に、見える、体系と服装をそのまま見れば】
【背の高いスラリとした体系に、黒いスーツを着て白手袋を履き、モノクロチェック模様のネクタイを巻く】
【皿の様に大きく別々の方向を向いた瞳の両目と、月の様にひん曲がって歯を剥き出しにした口…の飾りを付けた箱を頭に被っているのがどうしようもなく異様であった】

【店に入る前に軽く落としたのだろう、頭に薄く積もった雪が、少しだけ張り付いたのが店内の熱で溶け、ずるりと纏まって落ちた】
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/29(日) 16:50:44.77 ID:NA7KNHeHo
>>649

【這入って来る人物は、どう仕様も無く「異様」である事には、違いなかったが】
【これは「店主」個人の問題だろうか、それとも、この世の問題であろうか】
【──別段、狼狽えることなく、机の前に幾つか置かれた椅子を示しながら】

いらっしゃいませ。──何分、気楽な商売な物でして。
年末年始も「筐屋」は、営業させていただいております。

【平然と、屋号を「かたみや」、と発音して、軽く礼をした】
【卓上に置かれていたのは、急須と茶碗。それに、手を伸ばし、袖を持ちつつ注ぎながら】


お茶は如何でしょうか。
私は頂きますが──どうも、その様子では呑み難そうだ。


【と、尋ねつつも、二つの茶碗に茶を注ぎ入れる】
【若し、「客」が所望すれば渡すのだろうし、そうでなければ「店主」が自分で飲むのだろう】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/29(日) 17:17:52.37 ID:4gr44+S5o
>>650

いやはや仕事熱心な事で、この暮れにも通常営業とは
あ、これは失礼

【ポケットからハンカチを取り出し、濡れた頭を綺麗に拭くと、パカリと開いた頭頂部、その中にハンカチを放り込んだ】
【……何か不思議に思ったのなら、きっと見間違いではない、本人は当然のように開いたアタマを閉じているが】
【店主に促されるまま椅子に腰掛け、「では頂きましょうか」とお茶の催促をしながら、再び開いた頭からストローを取り出す】

……所で、筺屋とは一体どのような物なのか。失礼、私其の手の分野には疎い物でして
『筺』は『ハコ』とも読みますし、私自身の趣味としては非常によく気になりましてね

【自前のストローを手元でくるくる回したりして弄りながら、お茶を用意する店主に問い掛ける】
【彼の持つストローは、普通の円いチューブ状では無く、四角い筒のようになった特殊な物であった】
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/29(日) 17:30:32.08 ID:NA7KNHeHo
>>651

【茶を彼に渡せば、「店主」は自らの席へ戻り──首肯する】
【それは、彼の問いかけに頷いた様にも見えるし、そうでない様にも見えた】

「筐」という字は、「勝間」と同義──竹籠、です。
屋号にも由来は有りますが、ちょっとした「洒落」と思ってください。

【それよりも、と前置きして──「店主」は一度、袖を翻し】


 さッて。


戴きたいのは貴方の「想い」、で御座います。
想いは「片身」、物に収まれば「形見」に転じ──其は、「筐の水」を取り払う物。
願わくば、貴方の想いで「此処」を「形見」に転じる一助と為して頂ければ、至上に。


【そこで、「店主」は椀に口を付け、軽く口を湿らせる】
【──何時の間にか遮られていた陽光が、応じる様に再び漏れ始め、茶の水面に反射して】

【「筐の水」とは、物事の当てにならない事の喩え。櫻の者でも、知る者は少ない言葉だが】


……早い話が、「身の上話」をして頂いて、謝礼をお渡しする「場所」ですよ。
お話は、何でも構いません。例えば──


【「如何なる信念で、其なる面妖な箱を被るのか」】
【そう、最後に聞こえた声は、どこか、「店主」の其れとは違うように感じられた】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/29(日) 17:31:16.58 ID:5nPIvP6ro
【路地裏】

「……もういちど、やって……みる」

【サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男がそこに居た】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、しかし目自体は死んでいて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)、両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】
【右手には、逆手で持たれた折りたたみ式のナイフ。黒曜石にも似た未知の素材で出来ている】

「……ッ、だいじょうぶ……ちかくに川もあるから…………ぼくがやらないと……」

【何があったのかは不明だが、おそらく誰かにやられたのだろう。斬り傷や打撲が身体のあちこちにあり、血塗れで足取りもおぼつかず】

「…………おいしいの?」

【――しかし、奇妙なことに……手に持ったナイフだけは、血の一つも付いていない】
【むしろ、腕から滴る血を吸っているかのようにも見える上に、小刻みに震えている様にすらも見える】

/とりあえず19時頃までおいてみるテスト
654 :18:21 :2013/12/29(日) 18:22:03.47 ID:A5nXdnsRo
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/29(日) 18:22:13.46 ID:4gr44+S5o
>>652

【暖かいお茶にストローを刺して、口らしき部分に先端を持っていく】
【ストローを液体が登っているという事は飲んでいるのには間違いないが、どうにも不可思議だ】

……成る程、身の上話をするだけで謝礼を頂けるとは、これはまた面白い

【コトン、と湯呑を置くと、続く店主の言葉には押し黙り、「ふぅ」と息を吐いた】
【両肘をテーブルに乗せ、重ねた両手を寝かせて、視点の合わない眼が店主を見やる】

……昔話を、しましょうか

【窓から差し込んだ光が、凹凸の無い真四角な頭を照らす。声のトーンは大きく変わらないが、しかし雰囲気は重く】

───昔々、ある所に男がいました、その男は特徴らしい特徴の無い男だった
顔も、姿も、性格も、立ち位置も、生き方でさえ、平均的で図形的、まるで絵に書いた様に普通な男です
男は度々「図形的だ」と言われましたが、それ以外はあだ名も何も無く、只只普通だった
ある時普通な男はいきなり普通ではなくなってしまった、いきなり『選ばれて』しまった、『呪われて』しまった
誰にだって、理由も因果もわからない、理不尽に『普通』を剥奪されて、何もわから無いまま『異常』に放り込まれた
以来、男は、『普通』しか知らなかった男は『異常』である自分はどう『異常』であるべきか、探しているそうだ───

───おっと、これでは質問の答えになっていない所か、『私の話ですらない』
これは勘違いされがちですが、被っているのではありません、顔ですよ。『私』が『私』である時からずっと、この顔です

【ズズズ、残り少なくなった飲み物をストローで吸う独特のノイズ音が、店内に鳴った】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/29(日) 18:36:57.49 ID:NA7KNHeHo
>>655

【「───昔々、ある所に男がいました、その男は特徴らしい特徴の無い男だった」】
【「『普通』しか知らなかった男は『異常』である自分はどう『異常』であるべきか、探しているそうだ」】
【「これは勘違いされがちですが、被っているのではありません、顔ですよ。『私』が『私』である時からずっと、この顔です」】


 【ぐらり、と】 【視界が揺らぐ、錯覚】


【「其処」と「此処」、「あれ」と「これ」──「彼岸」と「此岸」】
【境界線が揺らぎ、世界は危うくも美しき、佳き日、佳き陽、佳き悲、佳き 】


──佳いお話を、聞かせて頂きました。

【そんな「錯覚」を、「店主」の声は打ち捨てる】
【整復される視界に浮かぶのは笑み。「ここ」は、「此処」である】
【彼が飲み物を吸うノイズ音も、全く以て耳障りに、通常に響き渡った】


御礼申し上げます。これで、「筐の水」も幾分かは取り払われるでしょう。
……さて。お約束した通り、私も「形」を貴方に引き渡さねばなりません。

【店主の手で指し示されるのは、彼の傍らの戸付棚】
【──其処を開ければ、貴方の「想い」の「形見」が入っているかも知れないし、】
【或は、欲しい物、期待した物。何も思い付かないなら──「ここ」が、決める】


/戸の中身は無理なもので無ければ、勝手に決めて頂いて構いません。
/思い付かない、或いは此方で決めた方が良い場合には、開ける所までお願いします。
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/29(日) 19:06:30.59 ID:4gr44+S5o
>>656

…………

【「失礼」、と、一言呟いて】
【椅子から立てば、綺麗に椅子を引いてから戸棚に向かう、箱男】
【一度戸棚に触れてから、はたと手を止めて。何も表情の無い後頭部が店主を見詰める】

私らしくもない、躊躇うなどと

【一言呟いてから、ゆっくりと、右手をずらして戸棚を開いていく】
【白手袋の摩擦が戸棚を引っ掛けて、すぅと開いていくその、中身は───】

……これが、そう、ですか

【中身は───】
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2013/12/29(日) 19:18:36.81 ID:esB1QVsZ0
>>653
/まだいらっしゃったりしますでしょうか……
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/12/29(日) 19:20:36.03 ID:NA7KNHeHo
>>657

【棚の中に入っているのは──手のひら大の「粘土」、だろうか】
【微かな魔翌力が放たれており、言葉通りの普通の粘土では無い、とは感じられる】


「鳥」、ですか。

……あぁ、何も私は狂っている訳では有りません。
その粘土で鳥を形作れば鳥になり、馬を作れば馬となります。……小ぶりの、ですが。
少し、階段を一段飛ばした表現を使っただけ、ですよ。


【言葉を信じれば、その粘土で形作れば、その形に見合った動きを粘土がするらしい】
【有機物でも無機物でも、それは同じ事なのだろう──まさしく、「魔法の粘土」だ】

 
……物の本に依れば「異常」と「普通」との境界は、常に揺らいでいるそうです。
例えば、今の私の「鳥」という発言──世間一般には少し、変わっている、とも評価できる。
しかし、「それ」が「鳥」となれば、百人中百人が鳥、と云うでしょう。
詰まり、「普通」とは主体を捨象した時点の、多数の客体的認識に委ねられる概念。
それ自体が「異常」であったり「普通」であることは無いのでしょう。

──簡単に言えば、「異常に見る人が異常を作り出す」、と。


【まるで、「普通から異常への変化」の話に呼応したような──棚の内容物】
【まるで、「店主」にこの、哲学的な話をさせる為に、何かが「用意した」様な──「錯覚」、か】


 【兎にも、角にも】

【本に書いてありました、と続けて、「店主」は笑みを浮かべると、店内の時計に目を遣る】
【この後に何か、予定でも有るのだろうか。立ち上がると──姿勢を正し】


 さッて。

そろそろ、日の沈む時刻です。
申し訳有りませんが、今宵は所用が有りまして──そろそろ、閉店させて頂きます。


【店主がそう告げると共に、何時の間にか開いていた「引き戸」から風が吹き込む】
【誰が開けたのかは、定かでない。――真坂、犬や猫が開けたわけでも有るまいが】

【──又のお越しを、と頭を下げる店主に見送られ、彼は店を後にするのだろう】

/ちょっと駆け足ですが、キリが良いので終わらせて頂きます
/お疲れ様でした
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/29(日) 19:25:17.58 ID:5nPIvP6ro
>>658
/いますんよー
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 19:37:12.28 ID:17N3F08Yo
/>>644>>645で再募集します
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/29(日) 19:45:14.99 ID:esB1QVsZo
>>653

【夜闇に沈んだ路地の奥底。僅かに川流れの音だけが響くそのただ中を、白光が直線上に切り裂く】
【光は地面を照らしつつ、時折路地の中を伺うように駆け回る。その動きには、確かに人間の意志が感じられるだろうか】
【やがて、こつこつという小さな革靴の音が聞こえてくるかもしれない。そちらに目を向ければ、光の出元には小型の懐中電灯があって】
【それを持つ掌の上の方で、二つの円形が光を反射する。その奥にある赤紫色の瞳が、人の気配を捉える】

(人の気配…………!)

【警戒心の噴出――――懐中電灯が即座に仕舞われ、それを持っていた手は腰元へ差し入れられる】
【この時点で、既に鉢合わせた両者の距離は近い。この人物がそちらを発見したように、そちらからもこの人物の様子が伺えるだろう】
【瞳から色濃く警戒を発しているのは、フォーマルなスーツの上に紺色のトレンチコートを着込み、首元には黒いマフラーを巻いた、背の高い青年だ】
【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘアに、赤紫色の瞳と黒縁のメガネが特徴で、いかにもインテリらしい雰囲気がある】
【こんな場所とは縁も縁もない若いビジネスマンのような背格好だが、その鋭い眼光だけは、闇の中にあっても輝きを失っていなかった】

貴方は…………って、血塗れじゃないですか! 大丈夫ですか!?

【青年は獲物を睨む鷲のような瞳で目の前の男を睨みつけていたが、闇に目が慣れてくると、その様相にも気づいたようで】
【警戒が完全に消えているわけではなさそうだが、その声色には確かに本気の心配も含まれている】
【腰に差し入れていた手で再び懐中電灯を持ち、男を照らして改めて容態を確認すると、青年はそちらに近づいていくだろうか】
【尋常ではない様子に、手にはナイフ。迂闊に刺激は出来ないと思ってか、その歩調はやや遅い。如何様にも対応は可能だ】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/29(日) 19:59:51.58 ID:5nPIvP6ro
>>662

「…………!」

【感じる気配、おそらくは人間――路地裏に居る人間の多くがどんな存在なのか、そう考えれば】
【――自然に体が動く】 【既に結構前からこの場に居ただろう彼は、そのシルエットを掴むと】
【一体その身体のどこから力を出したのだろうか、バックステップを取りつつ、ナイフを突き出すように構える】

「……だいじょうぶ、このくらいのきずなんてすぐになおるの……川があるから」

【懐中電灯で照らされるその顔は、明らかに20代と思われるモノだった】
【常人ならば明らかに、慌てていなければ大丈夫と言えないようなこの傷。しかし彼は据わった眼でそう言うのだった】
【……それにしても、どうもその口調が幼すぎるような、年無相応のような、――そう感じられるかもしれない】

「だからぼくはねればだいじょうぶ、…………だけど」

【ナイフを持つ手に力が籠もる、そもそもなぜここで血塗れになっていたのか――それは】

「……まだわからないけれど、きみがわるい人だったら、ぼくはきみをころさないといけないの」

【……怪しげな"ナイフ一本"、それだけで路地裏に蔓延る悪人を殺そうという無茶をしていたからだ】
【今のところ、相手の口調や動きなどから"悪人かは怪しい"との判断を下しているようで……すぐに手は出してこないようだが】
【……どちらにせよ、まともな精神状態では無さそうだ】 【下手に出るのは危険そうだが……】
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/29(日) 20:03:08.29 ID:4gr44+S5o
>>659

【棚の中にあった、少量の粘土、それを掌に乗せて眺めながら、箱男は振り返る】
【店主の言う粘土の効能と、『普通』と『異常』の境界線、「ふむ」と唸って箱男は頷いた】

面白い物だ、さながら───いえ、やめておきましょう、今の私にはいい例えは言えない

ありがとう、とても有意義な時間でした
また来たい……というのは野暮ですかねえ

【粘土を開いた頭に詰め込んで、帽子を被るかの様に頭を閉じながら、開いた引き戸から体を外へと躍らせる】
【冷たい空気が包み込んで、白い雪に黒いスーツを写しながら、静かに彼は立ち去った】

/お疲れ様でした、度々遅れてしまい申し訳ありませんでした
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/29(日) 20:26:04.66 ID:esB1QVsZo
>>663

(川…………? 何を言って…………?)

【相対する男――――最初の印象とは裏腹の俊敏な動きに、それによって明らかになる体躯からは、確かに大人のそれが感じられる】
【だが…………密かに、眉根が顰められるだろうか。大人のような体躯と子供のような言動の不一致からくる、強烈な違和感】
【それでいて、ナイフを構えた警戒体勢はどう見てもただ者ではない。このようなタイプと会うのは、青年も初めてだった】

その傷で、大丈夫という事はないでしょう。まして、こんな不衛生な場所で寝ていて。
貴方がどれだけ頑丈でも、病気になれば動けなくなってしまいますよ?

【とにかく、いきなり襲ってくる雰囲気はなかった。青年は腰に伸ばし掛けた左手を下ろし、懐中電灯の光を消すと】
【相手を刺激しないよう、出来るだけ親切な口調でそう話しかけるだろうか。演技が半分、本気が半分の言葉は、どこかこなれている】
【どんな筋骨隆々の戦士でも、内蔵までは鍛えようがない。毒や病気には、ひとりでは勝てない。人間というのは、そういう風に出来ている】
【――――特別な能力≠ナも無い限りは。不審な男を前にして、青年はまさに、それを一番警戒していた】

ああ…………これは失礼しました。
僕はアルフレド・フェリシアーノ――――警察の人間です。ご安心を。

【奇妙なナイフから、殺意が伝わってくる。青年は努めて表情を崩さず、ゆっくりとスーツの内ポケットに手を差し入れて】
【そこから出てきたのは――――もちろん、拳銃やナイフではない。実にわかりやすい正義≠フ提示、警察手帳であった】
【青年が表紙のエンブレムに指を翳すと、手帳が縦に開く。そこには青年の顔写真と共に、名前や階級が記載されている】
【男に知識があれば、それは確かに本物とわかるだろう。そうでなくてもそれなりに説得力は感じられるだろうか】

…………さて。殺すとは、穏やかでないことを仰いますね。
貴方は…………今まで、何人殺したのです?

【元々青年は、この路地裏にとある窃盗犯を追ってやってきたのだが…………男の言を聞くに、その情報は絶対に与えない方がいいと判断】
【台詞が狂言でないのなら、そいつも既に手に掛けられた可能性だってある。目下の優先事項を、目の前の男に切り替えざるを得ない】
【相変わらずその表情は優しげに、その裏には冷たい思考が潜ませて。ふっ、と冗談めいて笑うと】
【――――誤魔化し無しの、直球を投げ込む。今まで何人殺した、だなんて、馬鹿正直に答える悪人はいないだろう】
【だが、何事にも例外はある…………例えば、異質な言動の目の前の男とか。あるいは正直に、答えるかもしれないし】
【そうでなくとも、反応を見ることは出来る――――そういう意図での、台詞だった】
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/29(日) 20:46:06.89 ID:5nPIvP6ro
>>665

「ううん、だいじょうぶ――いままでビョーキになったことはないから」
「"よくわからないけれど"、"水"といっしょにねればいいだけだから、……きみだってそうだよね」

【――常人が水に浸って寝た所で、それこそ風邪を引くだけというものである】
【ましてや。どんな虫が居るかもわからぬ外の川の水など、傷口からそれが入って病気になりかねないのだ】
【やはり、"只者"では無いのだろうか――しかし、その非凡な面を自覚していないようで】
【まるで、"それが当たり前"であるかのように、そう語るのだった】

「……ケーサツ?」 「…………」

【その言葉に再び身構えた、――警察と聞いて身構えるのは、何か後ろめたい事をした者が大半だが】
【しかしながら"純粋過ぎる"その男は、続く"殺人数"を問う言葉にこう答えたのだった】

「……ひとなんて、ぼくは"この手で"ころせたことない、……けれどぼくは"わるいこ"」
「だけど……きみにたいほされて、くらくてつめたーいオリの中に入るのはイヤだよ」
「やっとあったかいばしょでねれるようになったのに、"また"入るのはさ、……うん、イヤだから」

【"直接的に"人を殺したことは無い、と答えるものの――】 【"檻"の中に入ったこと自体はある、そう答えたのだった】
【……犯罪歴は有りそうだが、少なくとも純粋な"悪人"では無さそうで】
【むしろ、"悪人だったら殺す"の言動からすれば――狂っているとはいえ、立場的には逆なのだろうか】

【未だ、ナイフを構えた手はそのままだ】 【かなり警戒心が強いようである】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 20:48:36.23 ID:WaUQbZkro
【公園】


【芝生の上に薄らと雪が積もった夜の公園】
【それを踏みしめるようにして動く大柄な人影があった】

【その人影の身長は190cm少々であろうか、中世の騎士を思わせる全身鎧を纏っていた】
【頭部には目線に細いスリットのみが空いたヘルムを被っており】
【右手にバックラー、左手に片手半剣を持ち】
【盾を前面に突き出すようにしながら踏み込み、刺突、縦斬りと剣を振るう動作を繰り返していた】


「――むむぅ、どうにも上手く動かせんのだ」
「あの大会で見たような武技にはまだまだ遠く及ばんのぅ」


【騎士の近くで、その動きを眺める小さな人物がいた】
【身長の頃140cm程であろうか、裾に金糸の装飾が施された純白のローブを身に纏っており】
【鼻頭までが隠れるほどにすっぽりと深くフードを被っている】
【肩口には漫画のフキダシを思わせる奇妙な板が刺さっており】
【声を発さず、その板状で文字をうぞうぞと動かし変化させて言葉を表していた】


【騎士の動きは一見正確で力強くも見えるが】
【見る者が見たならば、力の伝達がぎこちなく無駄が多く映るだろうか】
【腕や足の動きが連動しきっておらず、動作が数瞬遅れ力が乗り切らない】
【次々と振るわれる剣撃を、フードの人物は腕を組みながらどこか不満げに観察していた】

【誰か通りかかる者がいたならば、夜の公園で行われている奇妙な修練が目に付くだろうか】
【もしくは、何か起こった場合ローブの人物が反応を示すかもしれない】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/12/29(日) 21:08:21.63 ID:qoCHfgbQ0
>>644
/遅れてすみません。
【こんな季節、こんな時間に、こんな場所に人がいること自体珍しい。】
【しかし、もっと珍しいことに、もう一人この場所を訪れる人がいた。】

はあ、さすがに寒いな…。まあ厳しい気候には慣れてるけどな。ん?

【銀髪ショート、青眼、灰色のパーカー、紺色のジーンズ、】
【この青年は、この近くの町での依頼を終え、宿に戻る前に海でも見ようと、ここまで来た次第である。】
【まさか人がいるとは思っていなかったが、これもなにかの縁、声をかけようと楽観的な頭で判断した。】

いよう。こんなとこで誰かと会うとは思わなかったぜ。あんたも海を見にでも来てるのかい?

【その後、隣に座り込みとりあえず返事を待つように黙り込む。】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 21:14:19.85 ID:17N3F08Yo
>>668

【声を掛けられれば顔をそちらに向け、一度相手を確認してから】
【同じ位には見えたが、年上かとも思い、一応敬語を選択した】

……お、ちィーッス。 そっすねー、サボりながら眺めてたッス。
仕事場戻っても残業するだけだしー……どーせ残業代出ないっスからねー。

【隣に座る相手にも気楽に声を掛け、警戒する様子はあまり無い】

【――ふと、「温かい物でもどうスか?」と】
【青年は相手にそう声を掛け、アタッシェケースに手を伸ばす】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/29(日) 21:16:37.53 ID:esB1QVsZo
>>666

普通の人間は、水場で寝たら風邪を引いてしまいますよ。
本当にそうだとしたら…………君には、そういう特別な力≠ェあるのでは?

【青年はその言葉を、敢えて冗談と受け取って笑う。頭ごなしに否定するのも後が怖い】
【さりげなく、二人称が貴方≠ゥら君≠ノ変わっている。少しは距離も近く感じられるだろうか】
【それは相手に取り入る為の姑息な手段でもあるし、子供じみた言動にはそちらの方が話しやすいかという気遣いじみた内心もある】
【特別な力――――何らかの能力≠ェ、やはり男にはあるのか。もし戦うことになれば、普通の人間の側にいる青年では苦戦を強いられるかもしれない】

ああ、すみません。少し質の悪い冗談でしたね…………。
でも良かった。もし殺したことがあると答えたら、君を捕まえなければならないところでしたから。
安心して下さい。そういうことであれば、いきなり襲いかかったりはしませんよ。

【――――前科あり、か。ならば後でデータベースに問い合わせれば、素性もわかるかもしれない】
【その檻≠ニいうのが留置所や刑務所の事で無い可能性もあるが、とりあえず青年は、男の言葉からそう判断し】
【言葉の中身には、やはり様々な打算も含まれている。ただ今回は、八割方純粋な安堵であった】
【その言葉を鵜呑みにした訳ではないが…………戦闘となれば勝てるかは不明だし、青年だって人に手錠を掛ける瞬間が好きというわけではないのだ】

僕のことは、アルフレドで構いません。親しい人間には『アル』と呼ばれていますがね。もう少し、お話ししませんか?
それと――――良ければ、お名前を教えて頂けないでしょうか。

【いざとなればすぐ得物を抜けるよう、無意識に腰の後ろへやっていた左手を戻し、青年は棒立ちになる】
【心の内はともかく、見た目上の警戒はこれで解かれた。無防備な状態のまま、青年は男へ笑いかけるだろうか】
【自分の名前を意識させた上で、相手に名前を問う。交渉術まがいの口上だが、素性を引き出すのが主目的ではなく】
【青年は、よりアルフレドという個人に近いところで、男と話してみることを選んだ。市民の悩みを聞くのもまた、警察の仕事の一つなのだから】
【隙のない大人のようでいて、心の何処かには子供じみた正義感もある――――アルフレドは、そういう人間のようだった】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/29(日) 21:39:46.82 ID:kUeHi6cq0
>>667

【ふわふわとした雪が世界を薄く覆っていた、冬の劈くような寒さが辺りを包み込んで】
【さくん!と踏みつける音を響かせる、不定期な感覚はどうにも“遊んでいる”印象を誰かに与えて】
【真っ白な吐息を吐き出しながら表した姿は、――何にも変哲のない人間のかたちをしていた】

……――――、

【――身に纏うは雪にはしゃいでいるらしい上機嫌風の気配。実際、柵へと伸ばした手は積もった雪を掬い取って】
【ぎゅうと握り締めながら――ここで初めて公園の中に視線を向けたのだろう、「わっ」なんて、微かな声がした】

【真っ黒色の髪は腰ほどまでの長さ。三つ編みをあしらったハーフアップにされて、そっと揺れて】
【まぁるい瞳は蛇のようでも硝子のようでもある。今では、公園の中の“それ”に驚いたように特に丸く揺らぎ】
【露出した耳元で月明かりをきらり反射するものは――月白色をした宝玉の欠片をあしらったピアスで】
【リボンをあしらったショートコート。ボタンをきっちり締めた上半身と、ふわふわしたスカートの零れる下半身と】
【ようく膨らんだスカートから延びる足は黒地のタイツで覆われて、続く足先はロングブーツで隠されていた】
【――少女だった。耳下に艶めく宝玉の欠片がしんと静かに水の気配を彼女に添えて、僅かに異質としたけれど】

【さくざくずくと雪を踏みしめ踏みしめ歩く音、公園の中に立ち入ってくるのは、興味に瞳を輝かせたままに】
【鎧だぁなんて思っていそうな少女はある程度立ち入ったところで、鎧を眺める存在に気付いたらしい】
【少しだけ眼をぱちくりさせれば――最後に視線を鎧へとくれてやってから、人物の方に足を向けた】

――こんばんは、お知り合いさん?

【掛けた声は敵意の欠片もないよう。鈴の音のような声をりんと響かせて、視線をやってみれば笑ってもいた】
【左手には先ほど掬い取ったままの雪球(歪)があって、見れば薬指には銀色で出来た結婚指輪のようなものもある】
【鎧の人物に興味を惹かれて来たけれど、当人は忙しそうだから。傍に居た関係者らしきに声を掛けようと思ったらしい】

雪が降ると寒い甲斐もあるなーって……わたしね、思うの。

【真っ白な頬を寒さに赤くして、世間話のトーンで紡ぐ、邪魔じゃないかと尋ねるように、首を傾げながら】

/まだいらっしゃいましたら……
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/29(日) 21:39:58.79 ID:5nPIvP6ro
>>670

「ちから……あったら、いいけれど、……ぼくにはあるのかわからない」
「あったら、わるい人なんてカンタンにやっつけて……ころ、したり……できるのに」

【"持ってない"とは言い切れなかった、歯切れの悪さからしても心当たり自体はあるのだろう】
【ただ、……知ることが出来なかったようである、その要因は"今の彼"にもわからないのだが】
【どちらにせよ、"力"が無いか使えない故に、大方返り討ちにでもあっていたのかもしれない】

「……だったら、いいけれど」

【相手がひとまず自分を捕らえたりはしないだろう事に少し安心し、ナイフを持つ手が若干緩むものの】
【……やはり、警戒心が高過ぎる】 【ナイフを下ろすところまでは行かず、薄汚れてはいるものの返り血の一つもないそれは妖しげに輝く】

【もし、後でデータベースに問い合わせてもおそらく"犯罪歴"等は一切出てこないだろう】
【それどころか、"出生の記録"なども出てこないはずだ――理由は探れば出てくるのだが】

「アルフレド……ううん、…………ぼくは、ユウト」
「なんか、"ゆないてっどとりがー"ってところにいれてもらったから、たちばはそのメンバーだとおもうよ」

【相手の名乗りにはやはり返すべきだろうと彼は考え、名乗った後に】
【その"ついで"に、自分の所属も名乗るのだった――あまりはっきりと言える程の自信は無いらしいが】

「…………」

【――優しさの裏に怯えるかのようなその気持ちは、僅かだが表情からも読み取れるかもしれない】
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/12/29(日) 21:46:36.74 ID:qoCHfgbQ0
>>669
はは、サボリか。ま、俺も働きたいときだけ働くような感じだから年中サボリっちゃサボリだな。

【「もらっとこうか。ありがとう。」と返事をし、続ける。】

自己紹介がまだだったな。俺はレイン・ファルス。人から引き受けた仕事をやりながら旅をしてる。
捜し物に化け物退治、用心棒に悪事代行まで、金次第でなんでもやらせてもらってる。
あんたも依頼があったら言ってくれ。安くしとく。

【そして「あんたは?」と尋ねる。】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 21:55:38.25 ID:17N3F08Yo
>>673

俺もそんな感じっすよー、キャリアがどうこうとか気にしない方なんスよねー。
金だけ稼げれば良いかなー的な? ま、その稼ぐ時点で苦労するんスけど……

【何か物々しい物でも入っていそうなアタッシェケースではあったが、】
【青年が蓋を開けば――何て事はない、中身は二缶のホットコーヒーだった】

【その片方を、彼は隣に座った相手に手渡すだろう。どういう理由か缶はしっかりと暖かい】
【そしてそれは、恐らく目にした事は無い筈のメーカーの品だった。側面には「試供品」とある】

はー、何でも屋さんって訳っすね……男なら一度は憧れるっスよ、そういう自由な仕事。
僕はスターダスト・シューティングス、しがないサラリーマンの、営業担当っス

そんでもってコレが、今度新しく我が社で出す予定の新作コーヒーっス!
まだ社外秘の品なんスけどねー、特別にどーぞ!

【それの売り込みの途中だった、という訳だろう。配って良いものかは怪しいのだが】
【兎に角、飲んでも毒の類はない。そして肝心の味は、至って普通のコーヒーである】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 22:05:16.25 ID:WaUQbZkro
>>671

「むむ?……知り合い、知り合いといえばそうかもしれんな」
「どちらかといえば親とでも言う方が近かろうが」


【少女から声がかけられた瞬間、鎧の動きが停止する】
【それはまるで糸の切れた人形のように、首や肩をガクリと落とし】
【緩んだ指先から溢れた剣先が、地面に突き立ち新雪を貫いた】

【フードの人物は、板状の文字を変化させながら少女へと視線を向ける】
【写した言葉……"親"というには其の者はあまりにも小さく幼く見える】
【動かなくなった鎧と、フードの人物を見比べて意味を察することは出来るであろうか】


「――むむ、何の用かの?見ての通り私は今修行で忙しいのだ!」
「ただの冷やかしは受け付けておらぬぞ」


【少女からの言葉を聞き終えたあと】
【フードの人物は胸の前で腕を組み、足を広げて威圧するような姿勢を作りながら用件を尋ねる】
【140cm程度のちんまりとした体格である故迫力は無いに等しく】
【表情や声を隠しているため感情を掴みにくいが】
【突然の来客を歓迎しているようには見えないだろう】

【コミュニケーションをとる場合、何らかの興味を引く必要があるだろうか?】
【忙しいと言っている割には、敵対的な態度や煩わしさなどは匂わせてはいないため】
【恐らく、用件を正確に伝えるだけでも追い返したりはしなくなるだろう】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/29(日) 22:09:33.71 ID:esB1QVsZo
>>672

……………………。

【アルフレドは、何も言わなかった。ただ、男のとことんまでの自覚のなさに驚いた程度で】
【水場で寝れば傷が治るなんて、本当だとすれば特殊な能力か体質があると見て間違いないだろう】
【後半の言葉には、少し安堵する。殺せるのに、という望みの言葉。意志は恐ろしいが、実行力が伴っていなのらまだ有り難い】
【個人として話すために腰を据えたとは言え、刑事の肩書きは消えないのだ。そこもまた個人として、譲れない部分であって】
【悪を殺害という極端な手段で裁こうとする態度にも、相容れない所はあるが――――そこを指摘するには、まだ話足りない】

(警戒、されているな…………どういう生活をすれば、ここまで)

【こちらの警戒は殆ど解いている。間合いも近く、一気にナイフを突き出されたら対処できるかはギリギリの所だ】
【まるで、獣のような警戒心。人間社会で普通に生きていればこうはなるまい、長く野生≠ニして生きてきたが故の習慣なのか】
【心の中の正義感が、ちりちりと悲鳴を上げていた。もし仮に、この男をここまで追い込んだ者がいるとすれば、それはきっと警察の、自分の敵だ】

ユウト君、ですか。改めて初めまして、よろしくお願いしますね。
……………………ゆ、ゆないてっど…………UNITED TRIGGER≠ナすか!?

【男――――ユウトの名乗りに返す言葉は、しばし遅れる。レンズの奥の瞳にも、隠しきれない驚愕が見て取れるだろうか】
【まさかこの男が、あのUTの一員とは。ハッタリという可能性だってあるが、それにしても話が大きすぎる】
【全く予想外の返答に、アルフレドは平静に立ち返るためにしばしの時間を要した。かちゃり、と眼鏡を中指で押し上げながら、頭を回し】

あ、ああ、すみません。でも驚きましたよ。まさかあのUTの方とは…………。
凄い人だったんですね、君は。あそこは、僕たち警察でも手をこまねくような大きな事件にいくつも関わっていると聞いていますから。
もしかしてユウト君も、その一員として世界で活躍していたりしているんでしょうか?

【どうにかまたにこやかな様子に戻ると、ユウトを賞賛するような言葉を贈るだろうか。その言葉を、ひとまず信じてみることにしたようだ】
【問いかける言葉には、単なる好奇心以上の意味が込められている。何かしら武勇伝を聞かせてくれれば、多少判別もつくのだが】
【赤紫の双眸は、静かにユウトの反応を追っていて――――】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/29(日) 22:12:24.02 ID:miCEFlH50
【路地裏のとある隠れ家の前】

【夜の路地裏、隠れ家がある場所】
【そこはカノッサ機関の人間が出入りする場所だと言われていた】
【そしてその真相を確かめるべく、自警団の何人かの人員が派遣された】
【その派遣された人員は――無残な死体となっていた】
【そしてその死体となった人員を殺した、男が立っていた】

【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

ああ、おいおい、弱いなこいつら
 まあ、一応調べてみたらまさかものほんの機関員がいたとは信じられねえはな

【男はそのように死体を見おろす】
【その死体たちは切られたり刺されたりして殺されていた】
【そしていまだに血がこの路地を赤色に染めていく】

ま、自分の不運を呪うんだな
 しかしばれたとなるとここも破棄だろうな
 あーあ、探すのがめんどくせえな、他のやつに投げとくか

【男はそのように愚痴をこぼしながら、ため息をつく】
【そして回りを見渡したあとに、しゃがみ】
【なにやら、死体を物色し始めた】

ええと、何かもっていたりとかしてないか
 ――んお、へぇ、タバコかいいもんもってんな

【男は喜色いりまじった声で見つかったことを喜んだ】
【そして懐からライターを取り出してその死体からとったタバコに火をつけた】
【そしてそのままタバコを吸っているであろう】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/12/29(日) 22:15:45.67 ID:qoCHfgbQ0
>>674
【缶を受け取り、両手を暖めながら返答する。】

サラリーマンの方が楽でいいぜ?こっちは下手すりゃ野宿に残飯あさりだ。まあそうなったことはないがな。
仕事は選ばないが、本当に選べなくなったことは何回かあるかな。

【コーヒーをすすり、少し微笑みつつ。】

ん、うまいな。
最近のみたいにプロがいれるようなのに似せてるんじゃなく、あくまでも缶コーヒーのうまさを追求した、みたいな?
よくわかんないけど、俺はこういうの好きだな。ひいきにさせてもらうぜ。

【満足そうな表情を浮かべ、少しずつ飲む】
【ときおり海を眺める。特に遠い目をするわけでもなく、ぼーっと眺めているだけだ。】



679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/29(日) 22:22:43.85 ID:kUeHi6cq0
>>675

【――まさか止まるものだとは思っていなかった。きっと、それが少女の本当のところなのだろう】
【がくんと停止した鎧の動きにびっくりと肩が跳ねて振り向いた。因果関係を探すように、視線は眼前へ戻って――】

おや、……親なの? あれを作ったのは……、

【それでも、生まれながらにこんな世界の住人だ。相手の言葉を聞――見れば、何となくは理解したような顔をして】
【始めに見せたびっくりはだいぶ顔を引っ込める。「あなたなのか」と、尋ねるように微かに首を傾げてみせて】

【(そうだとしたら少しだけ似た異能なのかもしれない、なんて、そっと思っていた)】

あ、えっとね、すごいなあって……大きいなぁって思ったの、だから、
……あんなに大きいのを作ったの? “わたしはあんまり大きいのは作れないから”。

【理由を問われて少しだけ慌てたようになる。百六十センチの体躯だが、ひどく華奢なので、どうにも弱く見えた】
【性格だってそんなに強いとは言えないほうなのだろう、両手でぎゅうと雪玉を握り締めれば、ぼろり崩れる】
【その雪を払い落としながら告げるのは――眼前が親なのだと知ったことで付け足された言葉】

……――ねえ、良かったらわたしも見てていい?

【凍えた指先はそのまま祈るように合わせられる、ちいさく笑んだ口元の真っ白な歯を隠すようにしながら】
【さぞ今思いついたとばかりに強請るのは、この場での見学――先の言葉を思えば、何かしらの参考にしようとしている風にも】
【見えたのかもしれないし、見えないのかもしれないし、そもそも彼女が本当に似たような異能の持ち主なのかも、曖昧】
【――けれど悪い奴でなさそうなのだけは確実だった。黒と赤のオッドアイに、害意なんてもの、まるで窺えないのだから】

【(――それでも。宝玉を欠片とはいえ身に付けるのは、きっと一般人とも言い切れない、ナニカがあるようで――?)】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 22:25:00.07 ID:17N3F08Yo
>>678

あー、そういうとこ考えると確かにそーっスねぇ……
一応福利厚生はしっかりしてるンで、僕はその分恵まれてるっスねー。

【ファルスに倣い、青年も缶で暫く手を温めてからプルタブを起こし】
【一口飲んでから、微妙に押し黙って、もう一口。……やはり黙って】

……え、美味いっすか!? あ、いや……良かったっス!!
発売はちょっと先になっちゃうんスけど、見つけたら是非よろしくッスね!

【青年自身は美味いと感じなかったらしい。自社製品に余り愛着は無いのだろう】
【その後も首を傾げつ口に運び、ふと、相手がぼんやりと海を眺めているのに気付く】

なーんすかー、何考えちゃってんスかー? 元気出して下さいよー。
もしかして、忘れたい事とかある感じっスか? 最近フラれちゃった……とか?

【勿論ただ眺めていたい、という理由もあるのだろうが、青年はそんな邪推を投げ掛ける】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/29(日) 22:31:38.72 ID:5nPIvP6ro
>>676

【相手が警戒を解いているのは彼にも何となくはわかっているはず、しかし――】
【ナイフは一向に下ろされない――どうしても、相手を、人間を、信用することが出来なかった】
【幾ら相手が優しげに向かってきたとしても、その裏を深く深く読み過ぎてしまっていて】

「……たぶん」
「やさしいおにーちゃんにひろってもらって、はいったの」

【――だが、警戒心が異常に高いとはいえ、完全に人間を信用していないというわけでもないようで】
【"今の彼"がUTに入った理由も、とある人物に拾ってもらえたからのようである、……嘘でなければ】

「うん、みんなすごくつよくてがんばってるの……でも、ぼくはなにもできてない」 「わるい人ころすことも、しかもこらしめることもできないから」
「かつやくなんてしていないの、そうじとかせんたくとか、エサとか水やりとかくらいしか、できない」

【俯いてそう言う彼。やはり今の状態では戦闘力に難があるようで……居るだけ、の状態になってしまっている様子】
【ただ居るだけでは申し訳ないのだろう、細々とした事を自主的にやってはいるらしい】

【……これだけでは本当にUTの一員かは検討がつかないだろう】 【但し、もしも知っていればだが、過去の噂に結び付けられれば本物とわかるかもしれない】
【最近は全く見なくなったそうだが、昔はUTの一員として"ユウト"と言う男が細々と悪人退治等で活動していたらしいこと】
【近所の人々からお使いを頼まれて大変そうに、しかしやりがいを感じていたらしいこと――等、……もっとも、今の状態では同名の別人にしか見えないのだが】

「……きみのほうが、ぜったいいろいろかつやくしてるとおもうの」
「ケーサツだからわるい人つかまえたりとか、いろいろしたんでしょ…………ううん、ぼくはケーサツにがてだけど……」
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/12/29(日) 22:40:22.15 ID:qoCHfgbQ0
>>680
【相手の質問を聞いて突然コーヒーを吹きだしそうになる】
【それをこらえ、飲み込んでから少し笑って答える。】

はははっ!フラれるもなにも、フラれる相手が最初からいないからな。
忘れたいことも特に無いな。どんなに悪いニュースでも、それで得するやつはいるもんだ。
そいつのご機嫌をとりながらここまでやってきたわけよ。忘れるのはもったいねえ。

【まあ、いやな客は多いがな、と言ってコーヒーを飲み干し、立ち上がる。】

悪い。そろそろ戻るわ。それと、これ。

【ポケットから紙切れを取り出して渡す。】

連絡先だ。依頼があればそこに頼む。同僚さんにもよろしくな。
俺はこのコーヒーの宣伝でもやっとくかな。

【空き缶を掴み、ちょっと歩いて振り返る。】

それじゃあまたな。スターダスト・シューティングスさん。
いい連絡を期待してるぜ。

【そのまま、遠くに見える町の灯に向かう。】

/勝手ではありますが終了させていただきます。
/また時間の取れるときにご一緒させてもらえると嬉しいです。
/ありがとうございました。
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 22:52:45.56 ID:WaUQbZkro
>>679

「………………」


【少女の言葉を聞いて、フードの人物は顎に指を添える仕草をし】
【数秒……考え込むように言葉を止めた後】


「ふむ、なるほど……何かしらの参考になるやもしれんのだ」
「私一人ではどうにも行き詰まっておったところだしの」


「よいぞ!御主に天才魔術師シーナ・ゲルギル様を見学する許可をやるのだ!」
「心の底から感謝してよいぞ!」


【その言葉から"近しい技能"を持つ人間である可能性を察して】
【フードの人物――シーナは少女の存在を受け入れた】
【高圧的な物言いといい、フードで隠されていない口元が不敵に笑っているところといい】
【どうにも"いい性格"をしているようであった】

【視線を少女から鎧の方へと向けて、指を小さくパチンと鳴らす】
【すると、鎧がカタカタと揺れた後体勢を正した】
【右手を鈎状に曲げて盾を前に突き出し】
【左手の片手半剣を引き絞るようにして構えた騎士然とした姿勢】

【しかしどこか生気に欠け、関節の動きなどに若干の違和が生じている】
【人間を精巧に"真似た"というような、人形めいた代物であった】


「しかし……ふぅむ、御主はどうも剣豪という類ではなさそうだしの」
「剣士の動きをどうこうという事は出来まい?」
「こうしたモノよりももっと、技術を見せたほうがよいのかの?」

「もしくは御主も同じようなものを作れるならば」
「"競わせて"見るのも良い経験になるやもしれんな?」


【ふと、少女の姿を見てから思いついたようにそんなことを尋ねた】
【騎士を動貸たところを見せるのは簡単ではあるが】
【それでは"二流の剣士"の動きを見せるに過ぎない】
【少女が"似たような術師"であるならば、そうした方が互いによいのではないかと考えたようであった】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/29(日) 22:54:31.06 ID:17N3F08Yo
>>682

そうなんすかー? いやー、化け物討伐とかバッサバッサやってたら、
女の子とかキャーキャー言いそうなモンっスけどー……単純っスかね?

……しかしなーんか、考え方も格好良いっスねー……
僕もその台詞、どっかで言ってみるっスよ。言う機会あるかな……

【お互い客商売だ、気苦労も分かる部分があるらしく、青年は神妙に頷いていたが】
【帰るとなれば無闇に引き止める事もなく、ただ渡された連絡先だけはしっかりと受け取った】

どーもっス! もし業務で何か在った時は、レインさんに頼むかも知れないッス。
同僚にも伝えとくッスねー、コーヒーの方もよろしくお願いしアーっス!

【一礼してファルスを見送ると、青年もコーヒーを飲み切って】
【其れをアタッシェケースの中に仕舞うと、徐ろに携帯を取り出し、どこかへと連絡し】
【そして彼もまた立ち上がり、別の方向へと歩き去っていったのだった】

【――余談。そのコーヒーは、その後暫くしても発売の気配はなく】
【プロジェクトが頓挫したのか、残念ながら表舞台に出回る事は無かったのだが】

【……よく見たならば、缶には製造元の企業名がない】
【危険性こそなかったが、かの青年の得体の知れなさは、感ぜられたかも知れず】

/お疲れ様でしたー
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/29(日) 22:55:53.51 ID:+w7pCf9k0
>>677
/まだいらっしゃいますかー
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/29(日) 23:03:28.65 ID:miCEFlH50
>>685
/いますよ
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/29(日) 23:04:43.25 ID:esB1QVsZo
>>681

【ユウトの言葉に、UTという正義の組織を、アルフレドはどうにも測りかねていた。イメージとはなんだか随分違う】
【正義に燃える強者が集まり、世界を股に掛けて悪と戦う。言ってみればヒーローじみた組織だと、そんな風に考えていたのだが】
【目の前のユウトを見るに、そうも思えなくなってきていた。その実体はもう少し、身近なところにあるのだろうか】

…………そう気に病むものでもないですよ、ユウト君。
君を拾ってくれたという方だって、君に絶対的な強さを期待していたわけではないでしょう。
日々の細々とした問題を、少しづつ解決するのだって、立派な正義≠セと思うんです。

【掛けられる励ましの言葉は希望に満ちた響きであって、しかし多分に推測も含まれた不確かなものだ】
【アルフレドがユウトの本当の素性を知るのは、きっともう少し後――――後日本部でユウトの事を検索し、何も情報が得られなかった時】
【気になって独自に調査を行い、彼が本当にUTのメンバーだったことも含め、その本性を少しだけ垣間見る。そんな未来になるのかもしれない】
【だから、少なくとも今は。自分の言葉と同じぐらい不確かなユウトの事を、アルフレドが完全に信用できるだけの材料はなくて】

いえ、僕も…………君と同じようなものなんですよ。
警察というのは、最近はどうにも落ち目でして。自警団の方に仕事を取られることも多い。
僕の同僚や先輩には、それですっかりやる気を失って仕事をやめてしまう人間も居ます。

けれど、だからって本当に仕事がないわけではないんです。大きな仕事がないだけで、街には今も市民の悩みが溢れています。
…………まあ確かに、内容はペット探しとか落とし物とか、そんなものが多いですけどね。
それでも、そういう些細な問題だって、解決すればとても喜んで貰えます。それは、君にも覚えがあるのではないですか?
僕には、特別な力はないですけど…………そういう小さな力だって、正義≠ノ成り得ると信じているんです。

【しかし――――アルフレド態度は、何故か今までより軟化して見えるだろうか。言葉の裏の含みが、少しだけ減ったようにも感じられて】
【似ている、とそう思ったのだ。無力感とか、悔しさとか。そういったもので言えば、アルフレドだって毎日痛感しているから】
【ユウトが知っているかどうかはわからないが、昨今の警察組織は全体的に凋落傾向にある。質という面で、自警団やUTに負けつつある】
【当のアルフレドだって、武器がなければ満足に戦えない無能力者だ。刑事としていくら敏腕でも、その弱さだけは消しがたい】
【ただ、強いて言えば――――諦めが悪い。この青年は、どれだけ地味で小さくても、自分にだって人は救えると信じていた】

あ…………っと、し、失礼しました。いきなり色々話しすぎましたね…………。

【ユウトの素性を聞き出すという意図も忘れて、アルフレドは滔々と語った後、はっと我に返って】
【語る間の表情は、それこそヒーローにあこがれる子供じみたものであっただろうか。こう見えて、この青年もまだまだ若そうだ】
【それもその筈というか、アルフレドの歳もそうユウトと変わらない。大人びた雰囲気はあるが、それはユウトも外見から察せられるか】
【恥ずかしそうな、ばつの悪そうな表情を、アルフレドは先ほどもやっていた眼鏡を中指で直す仕草でまた誤魔化した】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/29(日) 23:11:42.84 ID:+w7pCf9k0
>>677

【――――かつり、かつり、そんな足音が聞こえるだろう。音源は、無論隠れ家の反対側から】
【足音は少しずつペースを速めて大きくなり、その主が近づいてくることを示していた】
【気付けば、黒い人影が一人分、男から見える位置に立っているだろう】

―――――誰かを殺して吸う煙草ってのは、旨いのかねぇ?

【黒い影は、160ほどの背丈で、紺色の外套に身を包んでいた。フードの陰に隠れて顔は見えない】
【それ以外に分かるのは辛うじて見えるカットブーツと、黒く長い髪、そして赤く鋭い眼光】

【そして、もう一つ―――とても若い、女の声である、ということ】

【女と思わしき影は、ほんの少しだけ辺りを見回して―――転がった自警団員“だったもの”を視認し】
【男に聞こえるか聞こえないかというか細い声で―――――「間に合わなかった」とだけ、呟いた】

あぁあ…こんなに派手にやらかしやがってさぁ。楽しいかよ、強きが弱きを挫くのは…
死体を見るのはこちとらうんざりなんだ…だが、今日は幸運かなぁ…!

会いたかったよ、カノッサ機関…!

【ガシャリ、外套の中から何か機械音が響く。正に敵意剥き出しで――紅の瞳が、男を強く睨んでいた】

/ではお願いします!
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/29(日) 23:15:38.96 ID:kUeHi6cq0
>>683

【ひたりと合わせたままの両手はさぞお願いと強請るよう、実際はただ冷え切っているだけだけれど】
【自分よりも二十センチはちいさい人物に手を合わせる姿。少しだけおかしくって、ただ、誰も見ていないから】
【――見学の許可を貰う頃には両手も下ろされていることだろう。濡れたのをコートでぐしりと拭ったなら】

わあ、ありがとうっ。

【――にこりと嬉しそうに笑ってみせる。僅かに傾げてみた首の動きに、長い髪がざらりと揺れて】
【少しだけオーバーに見えかねない仕草はどこか相手を子供扱いしているようにも。けれど、それは微かなことで】
【他者の異能を見るのが楽しみとばかりに喜んでみせるところに嘘はなかった。邪魔にならないような位置に陣取って、】

【お人形さんのように動く鎧をじぃっと見つめていることだろう。色のいい唇をそっと結んで、黙るなら】
【邪魔にならないようにというのが第一に見て取れる。何もなければ、そのまま見学していようとしたのだろうけれど――】

……昔はね、持ってたんだよ? 綺麗な刀――とっても綺麗で、素敵で、だいすきだった。

【話を振られればきちんと返答するのが当然のこと。まぁるい瞳を細めれば、どこか悪戯ぽく微笑んで】
【手を後ろに回したなら――閉じた目蓋の裏には、在りし日に持っていたという刃が思い出されているのだろう】
【やがてそっと開かれる眼にはほんの少しだけの寂しさが浮いている。“だった”という言葉があったなら、】

なくなっちゃった。ううん、“わたしが要らなくなったの”
死んじゃった。最期にわたしの名前を呼んでくれもしないで。……――でもね、今も一緒なんだよ。

【けろりとさもなんともないことのように告げはするが、そこに何かがあったのは確かだと窺うのは容易なことで】
【右手がそっと持ち上がって耳朶を撫でる、そこに煌くのは――先に記したとおりの、宝玉をあしらったピアス】
【よく見ればぐるりと蛇が石を抱くようなデザインをしていた。ウロボロスの輪――それをモチーフとして】

…………あ゛、でも、あの、……動かしたりするのは、やったことないの。
あれと一緒に戦わせるのとかだと、ちょっと……無理、かな、……。

【――意味ありげだった様子も、続く言葉であっさりと霧散してしまうのだから、少しだけ決まらなくって】

えっと……、……わたしに出来るのはね、こうやって、創ることなの。

【少しだけ認識にずれがあるのかもしれない。修正するべく差し伸べた手は、いまは空っぽだけれど】
【その手の上にきらりと水の湧き上がるように桜色が溢れたと思えば、無数の毛糸が編み上げられてゆくように】
【やがてかたちを持つのは一輪、桜色に黄緑色を混ぜ込んだ色で作られた、薔薇を模した魔力のかたまりだった】
【――モノを創り出すことは出来る。けれど、確かにこれではあの鎧の相手をするのは難しいよう】

【(例えば刃でも作ることを思いつけば、彼女が相手をすることは出来るのかもしれないけれど――?)】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 23:33:29.48 ID:bbsYeg32o
>>643

そうは言っても……まあ、多少のツイストは退屈しのぎには丁度いいんだ

【煙草を指に挟みながら、コーヒーカップを眺めつつ】
【棚に腕を伸ばしてシュガーポットを取れば、そのコーヒーの中に大量に投下していく】
【混ぜる道具がないのかそのまま残りを飲み干せば、クドい甘苦さに顰め面をしつつ満足そうだった】

さあな。俺は1回燃え上がっちまったら何もかもまとめて捨てちまうようなラテン的な奴だからな
仕事と私?ならベイビーお前だよ。仕事はとっくに辞めたぜって………だから続かないんだけどさ

【カウンタの上に挿してあった細長いマドラーをスプーンがわり底に残った砂糖を食べつつ】
【ムダに長い足をカウンターの上に乗せてどっかり座りながら、エスプレッソの余りを片付けている】

どうも、お嬢さん……ボーイフレンドにヨロシク言っといて

【おかんむりな彼女を面白がるかのように眉をわざとらしく動かしてニヒルに笑ってみせる】

まあ、いいさ。咳しても1人ってのを体で感じてたから……退屈だったしな。
なに?……悪いな、俺はもっと理解不能なぐらいブッ飛んだ娘の方が好みだからな……ベイビーにヨロシク言っていてくれ

【コーヒーカップをカウンタに置いて、煙草を取って、ふかしつつ 顔を向けるだけの簡単な別れの挨拶をした】
【暫く、この一本が吸い終わるまでそのままくつろいでいたが、それを灰皿に押し付けてもみ消せば】
【レベッカのおいて行った払いはそのままに、カップとグラスを流しに押し込んで】
【元々居た暖炉のそばの席に戻っていった。夜は明けても具合がわるいのは変わらないからな。仕方ない…】


/遅くなりましてすみません…お付き合いいただいてありがとうございました!
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/29(日) 23:34:27.43 ID:miCEFlH50
>>688

【男は反対側から一人の人物がきたことを確認】
【しかし、慌てることなく余裕しゃくしゃくでタバコを吸って、はいた】
【そして一連の動作の後、声が聞こえたほうへと振り向いた】

 タバコはうまいもんだ、そういうもんだよ
 ――それに勝利が重なればなおうまい

【男は女の問いに対してそのように答えた】
【そしてその顔には笑みが浮かんでいる、まるで楽しんでいるかのように】

 しかし、よくもまあこの情報を入手したもんだな
 それかたまたまか、まあどっちでもいいがな

【男は女がどのようにここについての情報を入手したのか興味がわいた】
【だがそれはあくまで少なくであり、本格的な興味にはならなかった】

【だがここに来たということは、男を捕まえるか殺しにきたのだろう】
【強く男を睨んでいる目に、男は笑い声をあげた】

 ははははは!、会いたかったかそうかならちょうどいい
 こいつら相手に退屈してたところだ!、ちょっと付き合ってもらおうかぁ!

【男はそう言ってナイフを生成、女にたいして二本投げた】
【狙う箇所は胴体、そしてこれは小手調べであり回避するのは特に難しくはない】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/29(日) 23:41:43.57 ID:5nPIvP6ro
>>687

「そう、なのかな……ううん、たしかにつよいからこいってはいわれてないけれど、……」
「……わかんない、ぼくはわるい人ころさないといけないのに、じゃないとまもれないのに、でも」
「でも……あのばしょのみんなは、よわいぼくをおいださない……ううん、わからなくなってきた」

【過ぎる程に固執するのは、悪人を殺す事】 【けして自分の為ではなく、他者を護る為にだが――】
【相手の掛ける励ましはおそらく彼にも届いているはず、しかしどうにも、自分を肯定しようとはせず】
【他の面ではかなり素直な様子が伺えるのだが――そこだけは違っていた】

「…………」

【ナイフを持つ腕の力が、何となく緩んだような気がした】

「やっぱり、おにーちゃんのほうが、……つよいよ」
「……ときどきぼくにたのみごとするひといるけれど、どうしてぼくなんかにたのむかがわからなかったんだ」
「とくにけーたいのじゅうでんなんて、ぼくにたのむひつようないのにね」 「でも、おにーちゃんはとまどわないでやってるから、……」

「……そういう小さなことも、せいぎ……ううん、ぼくは"まもるため"に、そのための"力のため"に、わるい人ころさないと……」
「でも、よろこんでももらえることもせいぎなの?」 「……わかんなくなってきた」

【頭の中で様々な思いが交錯する、ぐるぐると駆け巡る、――そうすれば混乱してくる】
【彼に植え付けられた価値観が、ここでも、あっちでも、色々な場所で否定され続けていて】
【けして人間を完全に信用する事が出来ない今の彼でも、いい加減間違いなのではと思い始めたのだった】

【ナイフを持ったままの右手で頭をぼりぼり掻く姿はなんとも危なっかしいのだが、……】
【心なしか、ナイフが勝手に頭皮を回避しているような、それとも偶然か……――】
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/29(日) 23:42:06.10 ID:WaUQbZkro
>>689

「…………」


【少女の放った"過去"の断片】
【かつてその手に在った刃の話】
【未だ会って間もなく、名も知らぬ相手の事である】
【どう返したものかと憐憫のような、慰めのような言葉が零れかけるが】
【少女の微笑みと、耳に付いた宝玉のピアスを見てそれらは霧散した】
【彼女なりに、もう"通り過ぎた"事なのだろうと思って】


「そうか、それはよかったのだ」
「上手くはいえんが……その、何だ。似合っていると思うのだ」


【少し不器用に、照れたように顔をそらしながらそうとだけ板状に記した】
【シーナは上から目線な性格ではあるが】
【人を褒めたり出来ないほど性根が悪いわけでもないらしい】


「むむむ……確かに私のゴーレムを"大きい"と言うだけのことはあるのぅ」
「それでは鎧を貫くことは難しいか……」


【シーナは、少女の作り出した造形物を見てそう判断する】
【先程までのシーナは、今表したような"ゴーレム"やそれに準ずるものだと考えていた】
【故に出た競うという言葉であったが、少女が生身で戦うことになるならば】
【鎧――ゴーレムと戦わせるという危険を伴う選択肢は消えた】

【指をまた一つ、パチンと鳴らす】
【すると、先程まで動いていた鎧がその場で"バラバラに"崩れ落ちた】
【先程のように姿勢を崩すといったものではなく、中身がそのまま消えてしまったように】
【鎧の隙間から大量の"砂"を吐き出し、全身鎧はガシャン、ガシャンと音を立ててその場に散らばった】


「ならば、私は御主の流儀に合わせるのだ」
「"それ"を見る限り、造形の精密さに特化した術なのかの?」

「ククク……私はむしろそちらの方が得意なのだ!」


【ニヤリと口元を歪めて得意げに笑みを浮かべると】
【つま先でトントン……と地面を叩く】
【瞬間――染み込むようにして魔翌力が流れ、先程崩れた騎士のもとへと向かい浸透していった】

【起こった現象は、"地面の隆起"】
【騎士を構成していた砂を巻き込むようにして公園の芝が盛り上がり】
【分解/構成/変化――数秒の時間を以て、シーナの魔術が完成する】

【それは、砂と雪で彩られた"樹"であった】
【砂色の幹と枝に、純白の葉を付けた高さ約3mはあろうかという造形物】
【葉は地表に積もっていた雪を使ったのだろう、樹木の造形自体は芸術と呼ぶには大雑把ではあるが】
【これを見たならばシーナという魔術師が"地"に属する者であると察することが出来るだろうか】
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/29(日) 23:59:09.61 ID:+w7pCf9k0
>>691

生憎と――――良い情報屋を知っているもので

【ただ適当に、平坦に返す。情報屋という存在を知らしめるにも、大してどうとも思わない】

―――――ああ、そうかい。楽しんでるっつーならこっちも容赦はしない
正義として、人として!お前を捕らえる!

――――――――――『ヘロス』ッ!

【誰かの名前…否、恐らくは能力か得物の名だろう。女がそう叫ぶと同時に、ナイフに向かい右腕を振るった】
【―――――だがしかし、ナイフは右手に刺さるどころか、その右腕に弾かれて宙を舞うのだった】

【外套の隙間から外界に露呈したその右腕は―――まるで篭手のような兵器を纏っていた】
【手の甲に嵌められている金色の『核』が、路地裏の闇で不気味に光る】

【その『ヘロス』と呼ばれた兵器を纏う右手を、握りなおす。更には体勢を低くして、地面を蹴る】
【眼前、ナイフを投げてきた男に近づかんと、死体を踏んでも構わず、鬼気迫る勢いでその場を駆け抜けた―――!】


―――――その、上から目線がムカつくんだよぉッ!


【近づいて終わる積もりも毛頭ない。女は駆け抜けつつも右腕を大きく振りかぶる】
【男の鳩尾目掛けて、疾走の勢いも加え、兵器の右拳を一発打ち出すだろう】
【接近から攻撃までのアクションは無論全て直線的だ―――避けるには容易く、また隙も大きい】
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/30(月) 00:09:44.39 ID:lbBXye9I0
>>693

【宝玉の欠片を抱き締める蛇の姿は、見ようによっては強大なちからに寄り添うちいさな存在のようにも見えて】
【寧ろそうして見たほうが何かが見えてくるような気すらしてくる。なんせ、彼女は刀にひどく入れ込んでいたようだから】
【もう現世で共に過ごすことは出来なくとも、こうして、装飾としてずっと一緒に居られる。それは、しあわせなことなのかも――】

わたしの“だいすきなひと”とね、はんぶんこしたんだ。

【いっとうしあわせそうに細める瞳があったなら。左手の薬指のこともある、誰を指しているかは大体分かるようで】
【けれど聞かれない限りはそちらに話題が向くこともないのだろう、変わりに。聞いてしまえば、どこまでも――とは余談】

【掌の上に載せた薔薇を見せながら、彼女は何か申し訳ないような、そんな顔をしていたことだろう】
【さも何か出来るような顔でいてしまったのだし――蓋を開けてみれば、似ているようで、違う異能の方向性】
【魔術というほうにはあまり精通していなかった。配偶者が魔術師だし、時折教わりはするけれど、本職には遠い】

【(じゃれつくがてらに教わるぐらいで何が出来るようになると期待するのがきっと間違えているのだけれど)】
【(いたく才能だけはある性質だった。ゆえに、――何というか、ひどく中途半端なぐらいには扱うことが、出来たのだが)】

うん――細かいのなら得意だよ。お花とか……ちいさな飾りとか。

【がしゃりがしゃりと崩れ落ちていく鎧を横目で見ていた。きっと重そうに崩れていくのを、ある種の尊敬のような色で】
【――ただ立像のようにするだけならできるかもしれないけれど。それだって楽なことではない。きっと相手のほうが、上だから】

わぁ……、――、ねえ、ちょっといいかな。

【ざあと立ち上がる樹を見上げて息を吐いた、吐息の隅っこに「おおきい」と言葉を添えて】
【砂の色と雪の色、ひどく淡く儚げな色合いは夜に浮き立って、異質だけれど――美しくもあるのだろう】
【そんな景色に見とれるようだった。それが、ふわと何かに気付いたような顔をして、許諾されるなら、樹まで歩もうと】

【ここから先は許されていたらの話。少女はその樹の幹へ触れて、そっと――壊さぬように魔力を注ごうとするだろう】
【黄緑色と桜色の交じり合った色合いは水の流れるように、けれど相手の魔力の邪魔をしないように、するりと抜けながら駆け上って】
【その葉の間や先でそっと花のかたちを結ぼうとする。淡く黄緑色の燐光を纏う、可憐で無数な花として】

【――成功すれば、砂と雪の樹に満開の花が咲き誇ることになる。やがて花弁まで散りだすのが、よく出来ていた】

【彼女の持つ力は水の属性をふんだんに持っていた。宝玉の持つ属性もそうだが、彼女の持つのもまた、清い水のちから】
【けれどおかしなところがあった。それは、見たとおりにふたり分――誰かの魔力を、一緒に抱いていること】
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 00:21:03.24 ID:2gQ8WZCV0
>>694

 はっは、捕らえられるもんあならなあ
 ――捕らえて見せろよ

【男は笑みを深く浮かべて、挑発的な言葉を並べた】
【女の言葉に対しても男は動じる様子もなく】

 へえ、兵器か、まあここにくるんだそういう物をもっていてもおかしくはないな
 まあ、上から目線の言葉を言われたくなきゃ、少しは証明して見せろよ、お前の実力をなあ!!

【男はなおも挑発的に女に言う】
【相手の本気を実力を知りたいように】
【ムカつくと言われてもそのようなこと気にすることもなく】

【そして直情的に来た攻撃を、後ろに素早くステップして回避する】
【その攻撃を回避したあとに素早くナイフを再び生成し、投げつける】
【一見先ほどと同じように見えるが違う、それは爆発するのだ任意で、だから防いだときや回避したときに爆発するだろう】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/30(月) 00:28:22.96 ID:9APYUaB6o
>>692

そこもまあ、同じようなものですよ。
実は僕、SCARLET≠ニいう組織にも入っているので、自警団の方と仕事をすることも多いんです。
そこにはもう、凄い人が沢山居ます。悔しいですけど、迷惑を掛けたり足を引っ張ったりも珍しくありません。
…………けど、彼らは僕を追い出したりしない。むしろ慇懃すぎて困るぐらいで、ね。
きっと、僕も君も――――実力以外の何かで、彼らと結ばれている筈なんです。僕は、そう信じます。

【アルフレドは今度こそ努めて冷静に、自分の経験も交えてひとしきり語る。言葉の端に滲む悔しさは、確かに本物で】
【語るにつれてまただんだん熱が籠もってきて、最後は何か力説するような口調になってしまうだろうか】
【そこでまた我に返って、ちょっとクサ過ぎましたね、と誤魔化す。いちいち眼鏡を直す動作は、多分癖なのだろう】

誰かが君に、助けを求めるなら。それは君が、認められている証拠ですよ。嬉しい事じゃないですか。
それに、悪人というのが人を害するもののことを言うなら、悩み事だって人を害するものという点では変わりませんよ。
そう考えれば、そういう些細な悩み事の解決も、根っこは悪人を懲らしめるのと同じではないですか?

…………ただ、ね。

【アルフレドはまだ下っ端だが、だから逆に市民の声を直接聞ける。誰かを喜ばせることは正しいと、それだけは胸を張って言って】
【そんな言葉の裏側で、アルフレドはまた親近感を覚えていた。UTの一員と言っても、そう自分と代わりはしないじゃないかと】
【UTというと、悪を打ち倒す正義の味方のようなイメージがあった。そこには警察としての対抗心と一緒に、憧れだってあった】
【それが、良い意味で打ち砕かれた、とでも言おうか。ユウトが異端なのは恐らく間違いないだろうが、それでも心証は少し変わったようだ】

【――――それから最後に、少しだけ表情を陰らせて】

僕は君が言っているように、悪人だからといって、ただ殺すのには賛同できません。
確かにこんなご時世ですから、綺麗事ばかりも言っていられない。時にはその手段が必要なときもある。
でも…………彼らにも人生があるし、家族や友達も居ます。反省の余地だってあるかもしれません。
殺せば、確かに守れます。けれど殺さなければ、もっと多くのものを守れるかもしれない。
君は、その最善の可能性を、最初から摘み取っている――――僕は、そう思います。

【一見似ている二人でも、この事だけは違う。これはきっと、ユウトの価値観とは真っ向から対立する言葉なのだろう】
【悪が強さ≠持つようになった、この時代。殺害による解決が禁忌とはとても言えない。正義の味方も、手を汚す時代だ】
【しかし、流れる血を最小限に抑える努力だけは、止めてはいけない。汚れるのを諦めてはいけない】
【警察の人間として、傲慢にも正義を名乗る人間として。それはだけは絶対に譲れないと、アルフレドは思う】

………………。

【偉そうにこんなことを言う当のアルフレドも、まだまだ経験は少ない。人生経験で言えば、ユウトの方が上かもしれない】
【これからいくつもの現実にぶち当たれば、折れてしまわないとも限らない。実績の伴わない、説得力のない話だ】
【ただ、少なくとも今は――――それは、確かに光り輝いている。赤紫の瞳にそれを宿して、アルフレドはユウトの様子を伺う】
【信念の相違。極端に解釈すれば、敵対。ここまでの話で敢えて避けていたことを、青年はついに口に出した――――】


/すみません、お風呂行ってきますです
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 00:34:42.80 ID:FItPorxFo
>>695

「だいすきなひと……のぅ?」


【その言葉を聞いて真っ先に浮かんだのは"祖父"の顔】
【しかし、少女の言う"大好き"と自分の想う"大好き"はどこか違う気もした】
【恋も知らず、結婚など考えたこともない幼い魔術師は】
【幸せそうな少女の様子をただ、不思議そうに眺めるだけでそれ以上追求することはなかった】



【少女の行った魔術……それによって生み出された幻想的な光景に】
【シーナは一瞬、言葉を失った】
【見惚れたのであろうか、感動したのであろうか】
【それも確かに含まれるだろう。しかし、シーナの心に響いたものは】


「まるで"桜"のようなのだ……」


【つける花の色も、恐らく形も違う。それ以前にシーナは桜の花など見たこともない】
【しかし何故か、自分の知らない何かがその花を思い出したかのような】
【懐かしさともとれる奇妙な感情が胸を襲い】


「――――っ!」


【一瞬、歯を食いしばり胸を片手で抑える】
【"何か"を拒むかのように】
【その動作は一瞬。次の瞬間にはもう先程までの様子を取り戻し】
【美しい光の花をつけた砂の樹木へとゆっくりと近寄った】


「ふぅむ、私ほどではないがなかなかに見事なものなのだ!」
「しかしこれでは、私の魔術を見ても参考にはならんかの?ちと残念なのだ」


【映し出される光は、明らかに"地"に特化したシーナとは別系統のもの】
【シーナは少女に見せる以外にも、別の者の魔術を参考にしたかったという考えも持っていたが】
【ここまで形式が違うと難しいかと「むむぅ……」とボードに唸るような文字を書き出した】


「しかし奇妙な魔翌力よな?熱……光、いや、分類としては水や樹に近いものか?」
「その"奇妙な石"の力も関わっておるのかの」

「むむむ……興味深いのだ!私に教える権利をやってもよいぞ!」


【少女の身体や、耳につけたピアスなどに視線をやりながら】
【質問するにしては珍妙な物言いで少女にその力について問うた】
【先程から宝玉に反応しなかったのは】
【"奇妙な石"などと言っている通り宝玉という存在を知らない、もしくは見たことがなかったのだろう】
【知的好奇心を刺激されたシーナは、顔は見えないものの】
【まるでサンタを待ちわびる子供のようにワクワクとした雰囲気を醸し出していた】
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/30(月) 00:40:38.75 ID:bfZs8SyA0
>>696

―――――ぐっ、くぅ…!?

(な、爆発した―――!?何だ、何かの能力…!?)

【無論、防ぐ暇もなくナイフは刺さる。そして爆破―――前半分、右肩付近の外套が散り、血が飛び交った】
【回避された右腕の攻撃は空を空しく殴りつけた。当たり所からして少し、攻撃火力が下がりそうだ】

(――――能力、だとすれば一体何だ。爆発…それともナイフに関する…?
 どちらにせよ、距離を取られた方が不利になる可能性が高いな―――!)

【相手の攻撃手段は今のところナイフの投擲が主―――それ以外の攻撃があるかは分からないが】
【少なくともこちらの戦法は基本接近戦である。男にこのまま距離を取られ続けるのは少し厄介だと感じ、次の行動に出る】

――――食らえッ!!

【先ほど打ち出した右腕をそのまま、何かを投げるかのように振るう。刹那、右腕の『核』から放たれたのは――― 一発の『電撃』】
【威力は電気にしては強いと言えるシロモノではないが――如何せん電撃だ、速い】
【つまりは攻撃ではなく機動力を失わせるための手段に過ぎない。当たれば一瞬だけでも身動き出来なくなるだろう】

【続いて、女も距離を詰めにかかる―――男へ向かい、最低限の歩数で駆け寄った】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 00:54:12.17 ID:2gQ8WZCV0
>>699

【その命中と同時に男は剣を生成した】
【それは、女が接近戦をしてきたときの用意だ】
【別段男は接近戦も苦手としてはいないのだ】

 さすがに爆発は防げねえか
 まあ、大体のやつが防げるかわからねえからな!

【男はそのようにいいつつ女に接近しようとし地面をいきおいよく蹴った】
【しかし女の電撃は早く回避しきれずに食らった】
【「ぐっ」といううねり声を上げればそのまま一瞬身動きが取れなくなった】
【男はそれでも女から視線をはずさずに笑みを浮かべる】

【獰猛な笑みで、女の攻撃を待っていた】
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/30(月) 01:06:19.26 ID:QEcZjQe+o
>>697

「じつりょく……いがい?」 「おにーちゃんはともかく、こくしかつぶしてないぼくに……あるのかなぁ」

「ううん、……みとめられたことなんてないから、ほんとうにそうなのかわからないよ、アメちゃんはおいしいけれど」
「……それに、知らない人が知ってる人みたいにはなしかけてくるのこわいし」

【ひとまず、相手は自分に対して危害を加え無さそうだとようやく思い始めたのだろう】
【相手の呼び方も変化し、ほんの少しだけ柔らかさが出てきたような――そんな気がする】
【……とは言え、完全に警戒を解いた訳では無さそうだが、少なくとも最初の"獣が唸っていたような状況"よりはマシになっているはずである】

「でも……"なやみ"っていう"わるものたいじ"、……うん、いいかもしれない」

【けして笑顔を見せるわけではない、ただ珍しく肯定の意を見せる彼――しかし】
【そこから少し俯き、少しの間考えて――そして、俯いたままゆっくり口を開く】

「わるい人はだいっきらい、でも……みんなをまもりたい、たくさんのひとをまもらないといけない」
「……だけど、……だけど……わるい人はやっぱりころさないといけないの」
「…………ほんとうはね、ぼくもころさないほうがいいかもって……いろんな人に言われておもったの」

「けれど、"てんしさま"はいうの」
「"わるい人をいっぱいころせばみんなをまもれる、"って」
「"いっぱいころせばぼくをもっとつよくしてくださる、そうすればもっといっぱいまもれるようになる"――っても」

【……彼が語るのは、"てんしさま"という怪しげな存在から受けた言葉のことだった】
【はたして本当に天使が"殺人"を推奨するようなことを言うのだろうか、あまつさえ殺人ボーナスを出すわけがあるのだろうか】
【――そもそも本当に居るのだろうか】 【……おそらく様々な疑問が噴出するだろう、しかし】

【彼にとっては、そんな怪しげな存在からの言葉の方が、人々の言葉よりも信用に値していたのである】
【――少しずつだが疑問を抱き始めては居るものの、未だその言葉に囚われているようで……】

「……おにーちゃんはたぶんわるい人じゃあないからころさないけれど」 「……そもそもぜんぜんころせないけれど」

【ただ、ナイフを持つ手は完全に下ろされた――故に、まだまだ警戒は必要だろうが】
【少なくとも今は意見の相違に対する攻撃はしてこなさそうだ】

/了解しましたー
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/30(月) 01:07:01.49 ID:lbBXye9I0
>>698

【魔術――とも、少しだけ違っていたのかもしれない。少女の振るった魔力の顕現は】
【たとえるならば、子供が思ったままに粘土を捏ねて形作るのと似ているように思えたのだから】

……――桜の花がいい?

【色は見ようによっては似通っている、というよりも同じようだと言えた。ただ、黄緑色を纏うのが本物との差異】
【けれど花のかたちは桜とも何とも言えない曖昧なもの。しかし、彼女の言葉を思えば変えることが出来るのだろう】
【相手の言葉を注文と取り、また幹へと――伝って、自らが創り出した花へと意識を向けていたから】

【相手のその変化には気付くことが出来ない。変わりに、頭上を埋める葉の陰で咲き誇る花々は、そのかたちを変えていく】
【ものの数秒もあればそれらは桜の花へと創りかえられていることだろう。散り舞う花弁もまた、そう変わっていた】

ありがとう――、でも、あなたのほうが上手みたい。
……もっとちゃんと教わったら上手になるかな? あなたとか、セシルみたいに上手になれるかしら――。

【――褒められれば嬉しそうに笑いながらも、ただ、自分は飾っただけだと思えば、少しだけしょんぼりもする】
【そんな思いをそのまま真っ直ぐに言葉に乗せたなら、今までの手抜きとも怠惰とも取れる教わり方を少しだけ悔いて】
【ぼそりと洩らすのは相手には分からない言葉だろう、セシル――というのも、いったい誰のことなのか】

【(左手をぱーと開いて、薬指を見ていたから。指輪の意味と言葉をつなぎ合わせたら、誰なのかを察せるようだった)】

水……――清い水と、毒の水。それとね、わたしと結婚したひと……夫かな、そのひとの魔力が、混ざってるの。
だから、ちょっと……多分、そこらへんのひととは違うんだと思うの。でも、わたしたちは“そう”。

【――彼女にとってそのひとはとっても大事なひとだった。関わりも多いから、どうしたってたまに触れることになる】
【どうしてそうなったのかを告げはしないが、とかくそうなのだと説明して――それがいいと言う風に、笑う】
【彼女の力は先に述べたふたつであるらしい。そうして見れば、桜色の方が彼女のものだと言うことがわかるだろうか】
【桜色の魔力から水の気配が強く感じられた。黄緑色のほうにも水を感じられるが、そちらには闇が混ざっていたから】

――これね、わたしのご先祖さまなんだ。今はこんな姿だけど……元はね、大きな白蛇だったの。

【教える。――何を教えればいいのだろうと彼女は数秒ばかし考えて、やがて紡ぎだしたのは石の由来】
【語りながらに相手から一歩距離を取れば、途端にざわりと足元が“まるで水のように”揺らぎ、隆起するものがある】
【それは、淡く桜色に透ける水で出来た蛇。頭の中にひとつ銀色の鈴を孕んで、時折りんと鳴かせ――】
【「触らないでね」と注意が添えられる。証明するように食わせた石ころは、腹の中で溶けてゆきつつあった】
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/30(月) 01:12:24.27 ID:bfZs8SyA0
>>700

――――――よぉし当たったな、なら次はこっちの攻撃だ機関員ッ!

【電撃が当たれば、女はそう言い放つ。しかしこちらに有利な場面ばかりでもなかった】
【女の目に映るのは―――投擲用のナイフにしてはとても大きすぎる刃物で】

(――――当たりはしたが…剣か、成る程接近戦も出来る、と)

【先ほどと動作は同じ―――右腕を振りかぶって、女のパンチにしては重すぎる拳を真っ直ぐ放つ】
【狙いは相手の左脇腹、重心を移動させ、体重を乗せて踏み込んでから攻撃の威力を底上げする】
【それは同時に、次の回避行動をし辛くするデメリットもあったが、女はお構いなしだった】

――――――――――――――――ッ!?

(コイツ―――笑ってやがる!攻撃するのを待ってるって言うのか…!?)

【―――放った後で、女はある異常に気付く】
【つまりは男の笑み。しかし勢いに乗ってしまった攻撃を今更止めることは出来ないし、やらないほうがいいのだろう】
【―――この後にどうなるのかは、女はまだ分からない】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 01:23:06.28 ID:2gQ8WZCV0
>>703

【男は笑みのままだったそう笑みのままだった】
【そしてその笑みのまま、女の攻撃を受けた】
【強烈な攻撃を受けて、右脇腹の骨が何本か折れたかもしれない】
【「ごは」と苦しそうにうめき一瞬顔を苦痛にゆがませたがすぐに笑みに戻し】

 なかなか、やるじゃねえかよ
 今のは痛かったぜえ

【男は賞賛の言葉を女に投げかけた】
【だが、それで終わるほどこの男は甘くはなく】

 だがな、回避のことを忘れてんじゃねえか
 そのせいで、こうなるよ!

【男はそう言ったとたん、もっていた剣で女の胴体に切りつけた】
【この切り付けが成功しようがしまいが男は一気に後方へとジャンプする】
【そして距離をとり、女との真正面から対峙するだろう】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 01:27:03.05 ID:FItPorxFo
>>702

「誰でも真面目に修練を積めばある程度の段階までは行けるのだ」
「私の今作った程度の造形物ならば、御主ならば一年も掛からず出来るのではないかの?」
「魔術の形を形成し、制御する基礎が出来ておるならばあとは高めるだけだからの」

「無論、天才魔術師であるこの私に匹敵するには」
「その数倍の修練は覚悟してもらわねばならんがな!"せしる"とやらは知らんが」


【系統は違うものの、物体の形状を変える/創るという点では同じであるため】
【シーナは少女の問いにそう応えた】
【どこまで本気なのかは、声色や表情で判断できないため見極めるのは難しそうであるが】


「ほほぅ……色々と混ざっておると思えば」
「お主に何やら数奇な運命を辿ってきたようだのぅ」
「ただの複合程度ならば何度か見たことはあるが、ここまで特殊な術師は初めてかもしれんのだ!」


【少女の話を聞き、現れた水の蛇をしげしげと眺める】
【魔術師としての探究心は、貪欲というほどではないが人並みにはある】
【その稀有な存在に一層興味を抱いたようであった】
【夫と混ざった魔翌力に加え、蛇を先祖に持つ少女】
【"地"の単一であるシーナとは比べ物にならないほど複雑な形式であった】


「しかし……夫、夫か。先程言うた"せしる"とやらのことかの?」
「御主は私とそう変わらぬ年に見えるのだが……」

「……むむむ、やはり最近の娘っ子は進んでおるのだ!」


【シーナはどうやら、少女を自分と同年齢程度と見ていたようで】
【夫というワードに改めて驚きを表していた】
【少々老人臭いような感想をボードに文字として記し、少女の顔を指輪を見比べていた】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/30(月) 01:44:44.09 ID:bfZs8SyA0
>>704

【当たった感触はあった、恐らくは骨を折ったのだろう。女にもそれが分かった】
【がしかし、その状態で相手の剣を避けれるということはなく】

―――――――がっ…ハァッ…ッ!

【スパリ、気味のいい音を立てて外套が切り裂かれる。鮮血が飛び散り、紅い線を描く】
【少女の息が大きく口から漏れ出て、顔が苦痛に歪んだ。ダメージの程は見て取れる】
【反動で、外套のフードが取れ――――女は、その素顔を晒す事になる】

――――っく、ぁあっ…!…はぁ、はぁ…っ!
…ちぃっ…!まだだ、まだ私は終わらない…ッ!!

【黒いロングヘアを、垂れ流し、右目の下には一本の傷。そんな顔をした『少女』】
【素顔を見られたことには構わず、少女はもう一度、右の拳を硬く握り締めた】

【よく見れば、右拳の『核』の光が強くなっている。そのことに男は気付けるだろうか】
【光を見たならば推測できるかもしれない。その光は、兵器『ヘロス』のエネルギー量を表すことに】
【攻撃すれば攻撃するほど、『ヘロス』の威力は強くなっていく――つまりは、そういうことだ】

まだ私は[ピーーー]ないんだよ…こ、の程度で、倒れてたまるかぁッ!

【まだ近づかない、男との距離は保ったままだ。握り締めた右手に、急速にエネルギーが溜まっていく】
【最後の攻撃に入るつもりか―――決意と執念の篭る紅眼を、男へと差し向けて】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/30(月) 01:52:14.50 ID:lbBXye9I0
>>705

そうかな、……本当に、できるようになる?

……――わたし、頑張るね。

【「そうかな」と紡いだ声が、やけに嬉しそうに弾んでいた。もう一度、頭上で拡がる枝葉を見上げ】
【視線を下ろせば、深く深く笑ってみせる。――わたしにも出来るかもしれない。そう思えたのが、ひどく嬉しいように】
【「一年かぁ」とそっと呟いた。来年の今頃は何をしているのだろう、鬼の笑うようなことを、そっと考えて】

いっつもね、教えてくれるんだよ。勉強するとね、嬉しそうにするの――。
だから頑張るけど――あんまり難しいのは嫌いかな……、楽しいのが好きなの。

【具体的な技量を示さなかった。特に深く学んでいないなら、示せなかったというのが正解なのかもしれない】
【ちょっと触れるだけの彼女にそれを判断するだけの技量がないのだろう。ただ、喜んでもらえるからやるという動機で】
【ここだけの秘密とでも言う風の表情でそっと付け加える、――楽しい勉強だけなら、大歓迎なのに、と】

【(怒られてしまうかもしれない。そんな風で果たして上達できるものなのか、なんて)】

うん、……わたしね、いろいろとみんなとは違うんだと思うの。聞こえてるもの、見えてるものも、違うのかも。
わたしに居ちゃ駄目っていう蛇(ひと)と、居てもいいよっていう人間(ひと)が居たの。……わたしは、ここに居たかった。

……りんねって言うの。鈴の音って書いて、鈴音。苗字は、シュトラウス。

【そっと伏せた視線はどこか憂う色を持って、にょっと地面から生え出た蛇を撫でてやる手つきが、やさしかった】
【腹の中の石ころはじくじくと溶けていくのに彼女の手は何にもならない。彼女の創造したものだから、ということなのだろう】
【いろいろなことがあったし、あるのだということだけを告げる。――総て話してしまうには、まだ、些か早いだろうから】
【まず名前を教えるところから始める。告げた名は――桜色と黄緑色の混じる彼女の魔力のように、交じり合ったものだった】

そうだよ、わたしの夫で、この宝玉の半分を持つひと――。

……来年で二十一だよ、旦那さんがいたって、おかしくないと思うな。

【そっと耳元へ触れて示す、――そう、ピアスとは本来一対であるべきなのに、ここには彼女の持つ半分しかない】
【ならばもう片方はその“セシル”が持つのだろう。同じちからを別った、もうひとりが】
【――最後に付け足したのはどうにも説得力に欠けた。見ただけなら高校生ぐらいに見える彼女が、二十だなんて】
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/30(月) 01:54:54.58 ID:9APYUaB6o
>>701

実力も人格も本当に駄目なら、そもそもUTに誘われたりしていないでしょうし、今も籍を置いてはいられない筈です。
…………君は、自分を過小評価しすぎだと思いますよ。

【それは、一番初めから感じていたこと。どういう由来か、ユウトは謙虚というにも行き過ぎなほど自分を評価していないように思えて】
【いや、それどころか、どうにも自分≠ニいう大切な軸そのものが不安定になっているような気さえする】
【元からこういう人物だったのか――――それとも、何か事情があってこういう人物に変わったのか】
【鷲のような炯眼も、流石にそこまでは掴み切ることができない。後日調べてみても、わかるかどうかは不明だ】

…………て、天使だって…………?
それは、一体…………それは一体どんな奴で、何処にいるものなんですか?

【謎はただ、深まっていくばかり。次に飛び出した言葉は、予想の範疇を遙かに越えていた】
【普通の警官なら薬物でも疑うところだが、この世には常識を越えた存在があることを、SCARLET≠ニして世界を回る中で、アルフレドは知っていた】
【もちろん、本物の天使とも思わない。例え翼があろうが輪があろうが、アルフレドは殺人教唆犯を天使とは呼ばない】
【一番妥当なのは、天使の名を騙る人間という線だが…………手掛かりが少なすぎる。思考は錯綜して、まとまりそうにない】
【だったらもう、直接聞くしかない――――そのてんしさま≠フ正体を、アルフレドはユウトに直接問うだろうか】

っ………………。

【表情には出さないようにしながら、返答を待つアルフレドの拳には知らず力が籠もる】
【ユウトは、ナイフを下ろしてくれたのだ。考えの違いでこちらを悪と決めつけるような、短慮な人間ではない】
【そして彼自身、天使とやらの命令で悪人を見境なく殺すことに、少なからず迷いを覚え始めているようだった】
【――――決して悪い人間では、ない。アルフレドはここまでの会話で、ユウトという人間をそう判断した】
【だから、本当に天使とやらがいたとして、ユウトに殺人を犯させようとしているのなら――――それは間違いなく、アルフレドの敵だった】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 02:00:29.58 ID:2gQ8WZCV0
>>706

【最後の攻撃そして執念】
【それらすべて男にとっては戦闘の材料でしかなく】
【相手がそれを望むのならば受けて立とう、それが男の信条だ】

 いいぜてめえ、その勝負
 うけてや――

【その言葉の途中だった、その言葉の途中で何かが言葉を遮るようになった】
【だが男は気にも止めなかった、すでに勝負は終盤、どちらも引けないのだから】
【だが、そのようなことをおかまいなしに男が持つ連絡ツールから一方的な通信入った】

『リシャール、なにをしている早くそこから撤退し、新拠点に来い
 命令を聞かない場合は、懲罰を与える以上だ』

【そのように一方的な通信だった、そしてもしかしたらこの通信は女に聞こえているかもしれない】
【男は一回舌打ちをした、このような面白そうなときに水を差されたからだ】
【しかし、懲罰を受けるのは面倒だだからこそ男は】

 この戦いの決着はお預けだ、次ぎあったときは
 ――どちらが死ぬか決着をつける

【男は苛立ち口調でそのように言った後に何かを取り出した】
【それは閃光手榴弾だ、それを女に向けてぶん投げる】
【そして強烈な閃光と爆音が発生する、それが止んだあと、男はいなくなっていた】

/ここで〆ますね
/お疲れ様でした 
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 02:19:40.21 ID:FItPorxFo
>>707

「気持ちは判らんでもないがの……まあ、必要な程度に学ぶとよいのだ」
「誰もが深淵を目指さねばならんわけでもない」
「浅く留めるのもまた、術師の自由なのだからの!」


【魔術師は一生を己の研究に費やす者が少なくない】
【人の一生では世界の理に到達出来るはずもなく】
【数代に渡り研究を受け継ぎ人生の目的とするような家系も存在する】
【しかし一方で、護身の手段や芸術などの為に浅く学ぶ者も多い】
【シーナは目の前の少女が後者の類であろうと思い、咎めるようなことはしなかった】


「この世界には、そこいらを歩いておる者と違う存在など幾らでもおるからの」
「私は足が蛇の一族や、頭が3つで腕が10本もある男」
「炎の中でしか生きられないような種族の者も見てきた」
「生きる者の数だけ価値観はあり、誰しもが手を取り合えるわけではない」

「御主がどのような人生を送ってきたのかは知らぬが」
「この人の世の中で、人と結ばれることが出来たのならば……鈴音よ、きっと――御主は幸せなのだろうな」


【ごく浅い表面しかシーナは鈴音のことを知らない】
【しかし一つ察せられるものは、今の鈴音は"幸せ"なのであろういうこと】
【人の世から離れた森で、様々な亜人と出会ってきたシーナは】
【それらを思い返しながらも、そう言葉を表した】


「御主が20歳――だと……?そんな小さいのに私より5つも年上になるのか!」
「……ふふん、見栄は張らんで良いのだ!まあ、早く大人になりたい気持ちは判るがの!」


【鈴音より20cmもちんまい魔術師が何やらほざいている】
【そして、私は分かっているといわんばかりにちょっと背伸びをして鈴音の肩をポンポンと叩こうとする】
【実際何も分かってはいないのであるが――。】


【これで話も一段落ついてきたところであろうか……そんな折に】


『おーい!シーナよぉ!爺ちゃん仕事終わったからよ、そろそろ帰るぜ!』


「――む?もうそんな時間なのだ?悪いな鈴音よ、今日はここまでなのだ!」

【公園の外から、よく響く男性の声がした】
【声色から察するに老年に差し掛かるほどの者であろうか】
【どうやら、シーナに迎えが来たようである】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/30(月) 02:27:24.83 ID:QEcZjQe+o
>>708

「……ううん、ぼくはもともとこれくらいだから、……そんなにひくくない」

「ゆないてっどとりがーのみんなやさしいし、まえからいたような気もするくらい、……こういうところで、ねてたべるよりずっといい」
「おにーちゃんにさそわれなかったらずっとあのままだったかもしれない、でも、やっぱりぼくには……入れたりゆうはぐうぜんしかわからない」

【――自分への評価があまりにも低い訳は、まだ彼の語っていない闇の部分にあるのだろう】
【ただ、自覚がかなり無い程までに下がっている辺りは、かなりの深い闇があるのかもしれないし、元からかもしれない】
【調べてみてもおそらく過去情報すら約一年前の物を入手するので精一杯な上、おそらくは別人の様な情報しか手に入らないだろう】
【関係ありそうなものは―― 一時期失踪していた事と、発見後に性格が変わっていた事、失踪中のデータは殆ど無いがそのくらいか】


「……てんしさまはね、まっ白で、でも緑っぽい金色の毛もあって、水色のもようもあったの、とりみたいなハネも、とにかくぜんぶすごかった」
「すごくきれいで、てんしだっておっしゃってきて……そして、ぼくにちからをさずけてくださった」 「……このナイフいがいの力はまだわからないけれど」

「……あえるばしょはぼくにもわからないよ、いきなりばしょがかわって、気づいたら目のまえにおられたから…………」
「そのあとはこういうところにほうりだされていなくなっちゃった、でも、たまーにぼくにテレパシー? でアドバイスしてくださる、とってもいいてんしさまなの」

【――容姿の証言からしても、人間では無さそうだがまだまだ確定はできない、手の込んだコスプレの可能性も0ではなく】
【"てんしさま"から貰ったというナイフも、"聖"の類を持っているようには到底感じられず――実際そうなのだが】
【そしてアドバイスの内容はおそらく――そういうことなのだろう、迷いを振り切れずにいる理由の一つなのかもしれない】

「…………ほんとうに、いるんだよ、てんしさま」 「みんなしんじてくれない、けれど」

【ただ、相手が天使というぶっ飛んだ存在を信用しない事を見込んでいるのだろう、彼を誑かしているだろうその者は】
【左手をポケットに突っ込み、取り出したのは"純白と聖の羽根"である――これも渡されたのだろうか】
【しかし――夜の闇の中でも確かな存在感を持つそれは、聖の香りもちゃんとするそれは、作り物には到底思えない程である】
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2013/12/30(月) 02:27:35.82 ID:bfZs8SyA0
>>709

【チャージが完了する。最後の一撃を今男へ放たんと、また体勢を低くする】
【例え何があったとしてもカノッサ機関の人間を仕留める―――女の頭は既にそれで支配されていた】
【最後の一発を放つため、一歩を踏み込み、腕を振りぬこうとした―――――そのときだった】

―――――――なっ…!?

【通信の声、思わず後ろに飛び退き辺りを確認する。無論居るわけがない】
【反撃のチャンスを逃し、眉間に皺を寄せた。拳をまた握り直した時にはもう、閃光手榴弾が投下されていた】

―――――くうっ…ま、待て、逃げるのか…っ!?
それだけは絶対に許さない―――今、ここで私と戦えッ!!

【閃光に視界を遮られ、気付けばそこには誰も居なかった。思わず舌打ちをして辺りを見渡す】
【怒気の混じる声で、叫んだとしても、反応はない。女には、そこで追う術などなかったのだ】
【少し思考停止した頭。おもむろに右腕の兵器を解除する―――華奢な腕と機械的な『腕輪』が残った】

【数秒後、ふと思い出したかのように携帯端末を取り出し―――何者かへ通話し始める】

――――ああ、どうも日下さん。夢木です…。
カノッサ機関のヤツ一人と戦って、逃げられました。すいません。

【端末に向かい、悔しさを交えた声で告げる女。それでも尚、視線は男がさっきまで居た場所であった】


――――――――――――ええ、勿論。次は、次こそは必ず!


【通信で微かだが聞こえた名前――たしか、『リシャール』と言っていたか。脳内で一度、その名を刻んで】
【女は一度唇を深く噛み締めた後、「失礼」とだけ言って端末を切り、取れたフードを被り、その場を後にするのだった】

/乙でしたーありがとう御座いました
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/12/30(月) 02:40:11.50 ID:lbBXye9I0
>>710

【――そもそも彼女は勉強というものに触れたことが、絶対的に少なかった】
【本来ならば学校へ行き過ごすはずの幼少期を、諸事情から過ごしていない。学校というものに触れずに育ってきた】
【当然のように勉強してこなかったのは彼女の怠惰でもあるだろう。ゆえに、勉強というものに慣れていない】
【嫌だったらしたくない。楽しかったらやりたい。ひどく単純に思ってしまっていて――だからこそ、厄介でもあったのだが】

【――それでも、今はやる気になっている。それを思えば、まあ、そこまで先行きが不安と言うことも、きっとないはずだった】

……うん、しあわせだよ。

【彼女はシーナの見てきたというそんなひとたちは知らなくて、知らないけれど、自分が今しあわせであることは、知っていた】
【もしかしたらどんな言葉よりも総てを説明してしまえる魔法の言葉。幼さの残る顔をふわぁと蕩かせて笑う、こくんと首肯がひとつ】
【いろいろなひとが存在するのだから、しあわせだってきっと多岐に渡る。でも、その中での“自分のしあわせ”を見つけ出せたこと】
【ひろい世界でちっぽけな、それでも確かな奇跡みたいに煌いて、ここにひとつ、ひどく気の抜けた笑顔を作り出していた】

もう……、――来年で二十一歳なんだから、……本当だよ?
本当なんだから……、……?

【肩をぽんぽんと叩かれる、分かっているという風なシーナの様子に、どこか困った様子を見せて】
【とかく本当なのだと言うことをアピールするのだけれど。華奢な身体つきも、幼さの残る顔つきも、総てが嘘吐いたようで】
【アピールしていることすら怪しく見えてくる。(――まあ、見方によって彼女の言葉は嘘とも言えたのだけれど)】

……――そっか、うん、また今度ね。

【公園の外から聞こえてきた威勢のいい声に、始めこそ少しだけ肩を強張らせたが、すぐにほどけてしまう】
【そちらへと視線を向けつつ、迎えが来たのだと察せば引き止めることもない。あっさりとひとつ首肯して、】
【次の機会を望みながら緩く手でも振るのだろう。そんな仕草を真似するように、水の蛇も頭をふらふらと揺らし】
【そのたびに頭の鈴がちりん、りん、涼しげな音色を響かせる――水中にあるというのに、不思議な光景だったけれど】
【――何はともあれ。その姿が消えるまで見送った後、彼女も黄緑色の煌きに包まれるようにして、姿を消した】

/おつかれさまでした!
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 02:58:05.47 ID:FItPorxFo
>>713

「うむ、また今度なのだ〜!」
「次はもっと凄い術を見せてやるから楽しみにしておくがよいぞ!」


【最後にそう言葉を残すと、形成していた樹木状の魔術を解除する】
【砂の樹はビデオの巻き戻しのように地面に溶け込んでいき】
【数秒と経たぬうちに元の公園の姿へと戻っていた】

【シーナはそのまま、鈴音に手を振って公園の外へと駆けていった】


―― ――


「爺様、爺様!今日は新しい友達が出来たのだ!」
「妙な魔翌力を持ってる奴での!私と同じくらいの背丈なのに結婚しておったのだ!」
「まったく、世界にはまだまだ知らないことばかりなのだ!」

『おー、そうかいそうかい!そりゃよかったなぁ!』
『ところでシーナよぉ、今日は食いたいモンはあるか?』
『クリスマスは帰れなかったからよ、今日は爺ちゃんちょっと奮発してやるぜ?』

「む!ならの、ならの!私は――――」


【大柄な影が、シーナを肩に乗せてのしのしと街を歩く】
【爺様と呼ばれた男は、肩の上で様々な料理の名前を出しては引っ込めてを繰り返し】
【何にするか決めかねている娘の姿にくくっ……と小さく笑いを零した後】


『(さっきちょいと見えた顔……確か、鈴音だったか?)』
『(あの娘ならまあ、悪い子じゃねえやな……心配は、いらねえか)』
『(しっかし最近反抗期なのか、どこで何してるかわかんねえのが怖えなぁ……)』


【シーナが友達と呼んでいた、先程公園で見えた姿を思い返しながら】
【爺様と呼ばれた男は縞々模様の尻尾を揺らしながら、どこかのレストランの中に入っていくのだった】


/お疲れ様でしたー!
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/30(月) 03:01:51.26 ID:9APYUaB6o
>>711

(…………やはり、後で調べてみる必要があるな…………)

【ユウトの言を聞きながら、アルフレドは頭を回す。彼に関しては、どうにも不審な点が多すぎる】
【彼がここまで自分を貶める理由は何なのか。元からであればそれでいいが、だがもし、それが歪められたものであったのなら…………】
【やはり、UTメンバーという線から調べるべきか。それが本当か嘘かは、調べればすぐにわかるだろう】
【もし本当なら、何せあれだけ有名な組織だ。記録も残っているだろうし、以前のユウトのことも掴みやすい筈】
【そのようにいくつか当たりをつけて、脳内で順列化していく。流石に刑事と言うだけあって、頭脳労働はアルフレドの得意とするところだ】

……………天使、か……………。

【ユウトの言うてんしさま≠フ像は、えらく具体的だ。アルフレドの脳内でもイメージが固まっていく】
【差し出された羽も、作為にしては手が込みすぎている。薬物だの幻覚だのの可能性は、やはり低そうだ】
【ただ、実物はどうであるか知らないが――――アルフレドの頭の中に形成されたてんしさま≠ヘ、酷薄な笑みを張り付けていて】
【アルフレドは無能力者だ。だから羽から感じる聖≠フ匂いも、正確には捉えられない。例えナイフに聖≠フ力があったとしても、同じように】
【――――どこか荘厳で、それ故に冷たい。そんな印象を、感じるのだろう】

ユウト君。君は今、人を殺すことを迷っている。そうですね。
だったら、てんしさま≠ノ従う必要はないでしょう。それとも、従わないといけない理由があるのですか?

【もう、ここまで来て迂遠な言葉は必要ない。アルフレドは脳内の天使を強く睨みつけると、ユウトの目を見据えて問いかける】
【実在しているかどうかはこの際関係ない。一番重要なのは、その影響でユウトが殺人未遂を犯していることだ】
【そのてんしさま≠フ言葉に乗らず、ユウト自身の意志を、貫くことは出来ないのか――――と】
【アルフレドは刑事として、個人として、ただそれだけを簡潔に追求した】
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/30(月) 03:36:50.54 ID:QEcZjQe+o
>>715

「…………」

【――はたして自分は、本当に"てんしさま"に従う必要があるのだろうか】
【今の幼い彼には、いやそうでなくとも――自分の信ずるモノをねじ曲げるというのは難しい】
【羽根と、相手と、――交互に何度かみたり、あるいは俯いたり】
【即決できるならばそもそも今の今まで悩む必要など無かったのだ、より護る為にはどうすべきか】

「……ころすのも、ころされるのも、どっちもイヤだけど」

【自分だって、他人に殺されるのは嫌だ。当たり前の話である――】
【そう、幾らかの時が経った時に静かに言い――更に、同じ様な声色で続けて】

「……やっぱり、"にんげん"より"てんしさま"のほうがずーっとしんじられるの」
「それに、もう、だまされるのもイヤだから、……」

「……ぼくに、まもる力をさずけてくださる"てんしさま"のごめいれいにしたがえば」
「きっと、ぼくはもっともっとみんなをまもれるようになる、だからぼくはみんなのためにしたがう」
「てんしさまが、……わるい人はタマシイもわるいから、ころさなければすくわれないから、そうおっしゃるから――――」

【見えるだろうモノは、過剰な程の"人間不信"の様なもの。先天的でも無い限りは、到底短期間で身に付くものでもないだろう】
【故に、どんなに誠実な人間よりも、怪しげでも人ならざる存在の方に信頼をよせようとしているようだ】
【"自分は殺したくない、しかし護る為には殺すしかない"――己が自ら考えて動いているというよりは】
【"人を護る為に自分は居る"――それしか頭にないような、行き過ぎた庇護の意思のようにもみえる】

「だから……人はころしたくないけれど、…………でも、したがわないのもできない……」
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2013/12/30(月) 04:09:46.90 ID:9APYUaB6o
>>716

……………そう、ですか………。

【ユウトの言葉を、ただアルフレドは黙って聞いていた。自分の欲しかった答えでない言葉を、何も言わず聞いていた】
【それを――――予測していた自分が、悔しい。自分の理性的な部分が、こうなると知っていたことが悲しい】
【彼と特別な縁があるわけではない、その場に居合わせただけのしがない刑事ひとりでは、頑ななユウトの心は溶かせない】
【どんな悪をも、どんな悩みをも打ち砕くヒーローなんてものは居ない。警察だろうがUTだろうが、きっとそれは変わらない筈だ】

(クソ…………!)

【過剰なまでの人間不信に、強迫観念のように刻まれた極端過ぎる正義の心。それに、裏にいるてんしさま≠ニいう存在】
【アルフレドには警察官としてユウトを殺人から遠ざける義務があり、また個人としても、ここまで純粋でいる彼の手が汚れるのは見たくない】
【だが…………どれもこれも、深淵の底へ手を伸ばすような問題に思えた。襲い掛かる無力感に、アルフレドの内心は荒れる】
【まして、今この場で自分に出来ることなんてあまりにも限られ過ぎている。もはや疑いようもなく、手詰まりだった】
【アルフレドは、しばらく目をきつく閉じた後。最後にもう一度、眼鏡を中指で押し上げて――――】


ああ、もうこんな時間ですか…………長々とすみません。僕はそろそろ、仕事に戻ります。
ここで会ったのも何かの縁です、僕の連絡先をお教えしましょう。何か困ったことがあれば、いつでも連絡を。

【唐突に腕時計を確認すると、先程までの重たい空気を吹き飛ばすように、ふっと破顔するだろうか】
【それから、ペンと手帳を取り出して何事かを書き込むと、ページを破いてユウトに渡すだろうか】
【記載された連絡先は、アルフレド個人の番号。一応現職刑事の連絡先だ、何かの役には立つかもしれない】
【気さくに笑って、仕舞い込んだ懐中電灯を再び取り出す。その足はユウトの隣をすり抜け、路地の奥へと向かっていくだろうか】

【その、すれ違う過程で――――アルフレドは、「最後に一つだけ」と前置きして、言った】

もし君が、またてんしさま≠ゥら殺せと言われたとき。そのナイフを、握ったとき。
…………少しだけでいい、考えてみて欲しい。それを本当に、振り下ろしていいのかを。

【どれだけ強く言うことを聞くなと言っても、すぐに止められるものではない。それは多分、誰にもどうしようもない】
【だから、アルフレドは少しだけお願いをする。てんしさま≠ノ従う前に、ユウト自身の意志で、殺すことの意味を考えて欲しいと】
【それは些細な言葉で、拘束力などまるでない。しかしそれで少しでも、彼が躊躇ってくれるように】
【その躊躇いが積み重なって、いつかユウトが、守ることと殺さないことを、両方とも叶えられるように、と――――】

【アルフレド・フェリシアーノは、諦めの悪い男だ。でなければ、警察組織の復興などという途方もない野望は抱かない】
【これは敗走だ。しかし、逃げ出すのではない。この場でこれ以上追求出来ずとも、次に託すことだけは出来る】
【ユウトが自分の言葉を、どのように受け取るのかはわからないが、ただ一つだけ確実なことは――――】
【もしこのまま、ユウトが人を殺せば。その時は本当に、アルフレドはユウトの敵になってしまう、ということ】

(……………………。)

【その日だけは、絶対に来させてはいけない。冷たい沈黙を背中に張り付けて、アルフレドは暗い夜道を突き進んでいく】
【歩く度に腰から感じる、三つの銃の重たさが――――今日はいつにも増して、強く感じられた】


/この辺りでしょうか…………!
/お付き合いありがとうございました〜!
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2013/12/30(月) 04:43:09.95 ID:QEcZjQe+o
>>717

「…………」

【誰かが殺された時、その殺された者の側に居た者が何を思うかくらい、人並みよりはよっぽどわかっている】
【けれど、今の彼にはてんしさま以上の信用をおける人間が居ないのだ、だから従ってしまう】
【幸いなのは、本当に手を自らかけることができる程の度胸も覚悟も何もまだない――ところか】

【ドロドロの深い深い海の底から彼を引きずり出そうとすれば、かかる錘がそれを邪魔していて】
【それでも少しずつ浮上はしてきているのだ、彼が思うほど人間が腐っている訳ではないと彼自身も体感し始めている】
【……はたして、彼が堕ちたその場所からこちら側に戻ってこれるのはいつの日になるのだろうか】

【ずっと俯きがちで、生気のない眼で時折相手を捉えて居た彼、紙が破れる音に反応して顔を上げると】

「…………ありがとう……?」

【渡される紙を左手で受け取れば――書いてあるのは、連絡先。最初はただの数字の羅列としか認識していなかったのだが】
【――流石に今の彼でも電話番号の概念くらいは知っていたか、どちらにせよ渡されたものを速攻で捨てる様な性格でもなく】
【左手の羽根と共に、それをポケットの中にしまい込むのだった】

「……それでも」

【そして、未だ持つナイフをすれ違いざまに突き立てる――なんてことはせず、ぼうっと突っ立っているだけだった】
【少しずつ崩れてゆく"命令"への絶対性は、当然迷いをより深めていって――ナイフを持つ手が僅かに震える】

「…………それでもぼくは、やらないと……ううん……」

【もし彼がもっと据わった精神の持ち主だったならば、既に命を奪われた悪人が居たかもしれない】
【もし彼がもっと己を大事にする精神であったならば、あるいはもっと人を信頼することができていれば、そもそもここまでてんしさまを信用していなかったかもしれない】
【――けれど、今更仮定が現実になる訳などなく、彼はますます悩むのだった】

「…………」

【しばらくその場に立ち尽くしていたが、ふと、僅かに聞こえる川のせせらぎ――はっ、と意識が戻る】
【彼はそれが聞こえる場所へとおぼつかない足取りで向かい、川辺で夜を明かすのだった】
【驚くことに、無意識とはいえ川辺の水に濡れながら寝た彼は――最初の言葉通り、風邪を引くどころか傷が癒えていた】

/夜遅くまでお疲れ様でしたー
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/30(月) 19:31:22.80 ID:E7VImPw10
【鉄の国=\――北部・山脈地帯】

【丁度間もなく首都アブサスでは各国の要人を招いて行われる国際サミットが開催されている頃合いであろう。】
【そんな中、この冷たい風が吹き荒れる北部の山脈地帯では、重々しい空気と共に鉄の国軍と自警団による部隊が移動していた】
【目標は、先に見える城塞………ノヴァル城≠セ―――GIFT≠ェ自ら座標を晒し、挑発的に鉄の国勢力を招いた場所。】

【恐らく何らかの罠がある可能性を考慮して、ここに送られている部隊は比較的少数である………しかしながら】
【サミット会場へ弾道兵器を撃ち込む≠ニいう脅しがある以上、ピリピリとした緊張感が部隊を包み込んでいる―――。】
【………そしてついに城塞が眼と鼻の先へと近づく、恐らく数百年ほど昔に建てられた城塞を改修したもののようで】
【建物自体は古い印象を受けるが、所々に最新鋭の機械化がなされている。】

【そして先導していたSCARLET≠フディック・ホワイトがサッと手を挙げて部隊を制止させる―――。】

『全員聞こえるか………?長い登山の末にやっとこさ敵のアジトが見えてきたぞ―――恐らく何か罠か、強力な迎撃がされるだろう
 何が待ち受けてるか分からないし、この立地だ、危険になったら直ぐに後退しろ………それじゃあ武運を祈ってるぜ、皆………!』


【それだけインカムで伝えると、部隊へと散開の合図を出してから自分も単独で城への接近を開始する―――】
【城は円状の空洞の真ん中に存在しており陸の孤島とも言うべき場所だ、ワイヤーロープを使って上からの侵入が効果的だろう】

【未だGIFTの兵の姿は疎らにしか見えない………やはり罠か?だがやるしかない、この戦いが鉄の国での戦乱の一つの山場である事は間違いないのだから。】


                  【ノヴァル城―――上層・兵器保管庫=z

【高くそびえるノヴァル城を上層へと進んでいくと、大きな開けたフロアへと到着するだろう―――。】
【フロアの左右には開発中と思われる最新鋭の戦車が規則正しく並んでおり、その他にも研究資材などが並んでいる】
【そして奥に存在するテラスには急ごしらえのミサイル発射装置が取り付けられており、そこには件の兵器アイアン・イーグル≠ェ設置されている】
【―――そして、アイアンイーグルが設置される発射台の脇にある複数のモニターの付いたPCデスクに腰かけて呑気にコーヒーを飲んでいる人物がいる。】


あら、どうやら戦いが始まったようね―――まぁこちらはもうエンターキーを押すだけで発射可能なのだけれど
まぁ―――彼≠フ筋書き通り、ある程度相手をしてからこちらの作戦を次のフェイズに移行するとしましょうか―――。

貴方もいろいろな場所に連れまわされたりして大変ね、でも大丈夫………もうすぐそれも終わる≠フだから。


【その人物は。】
【肩にかからない程度の毛先が丸まった栗色の髪に同じ色をした眠たげな瞳、何処かの量販店で見た事のあるような安物の紺のスラックスを履いて】
【白のカッターシャツ、そしてその上に襟元に金十字≠フ刺繍の入った白衣を羽織る研究者のような格好をした20代前半と思われる女性】

【女性はアイアン・イーグルへと語りかけるように言葉を紡ぎながら、周囲で始まった戦いの音をバックにコーヒーを啜る。】
【―――さて、彼女の元へとたどり着く者は、アイアン・イーグルの発射を阻止出来るものは現れるのだろうか―――?】

//これよりイベントを開始します!GIFT側から投下をお願いします!
//VS???はこちらのレスに返答お願いします!
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/30(月) 19:33:42.26 ID:tlFeWyBko
【ノヴァル城正面・テラス】

 【:ノヴァル城の正面部分の二階にある比較的広いテラス部分】
 【:遮蔽物などは何も存在しないがここを経由して物見塔や他のテラスへ飛び移れる】

【有象無象の古城と一線を画す、機械化の為された鉄の城塞】
【そのテラスの中央にて、腕を組み、仁王立ちした大柄な人物の姿がある】

【重厚な白鎧を纏い、背に大剣を負う、大柄かつ鍛え上げた体つきの女戦士】
【ウェーブの掛かった腰に届く長さの黒髪と、一切の揺らぎを見せない深緑の目】

【女は目を閉じ、戦場の空気に神経を澄ませ、徐に呟く】

宣戦布告……うむ、潔い。 其れでこそ、この剣を振るうに相応しい
飛んでくる羽虫共を正々堂々、全て打ちのめした上で――

【言葉を切り、一瞬の静寂の後に】
【女はカッと目を見開き、テラス全体をビリビリと震わす程の声量で、叫ぶ】

――彼の国へ、完全なる「敗北」を、“鉄の鷲”が絶望と共に刻み付けるッ!
正義の者よ、強者どもよッ!! 腕に覚えあらば、この私に挑むが良いッ!!

その下らない信念をッ!! 愚かしい正義をッ!!
さしたる価値もない生命と共に、我が前に突き出せッ!!

【高らかに叫ぶ挑発の言葉と共に、女は背の大剣を引き抜き両手で構える】
【重厚な鎧と剣の重みから、その動作だけで、豪ッ!と風の震える音がし】

【「何処からでも来るがいい」と、無言の内に彼女は語る】
【その気迫は先の声量よりも強く場を震わせ――向かい来る敵を、待ち望んでいた】

/襲撃側フラズグズ・スヴァンフヴィード(GIFT協力者)です
/主催者の方、吟醸の方、よろしくお願いします
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/30(月) 19:46:00.76 ID:3Vx4LWNYo
>>719
「ふ……ゥッ!!」

【唐突。兵器保管庫へ風切り音が響き――白銀が駆け抜ける】
【それはナイフだ。投擲用に特化した構造で作られた、ダガーナイフ。そして、そのナイフは――女の真横のPCへと向かう】
【狙いは正確、速度も完璧。だが、これを防げないほど警備や防護はザルではないだろう。そう投擲者は理解している】
【故に、作戦行動は迅速に開始された】

「――――ジャーナリストとして。最前線でお前らの作戦の失敗……ッ、取材させてもらうぞ…………ッ!!」

【保管庫へと足を踏み入れ――迷うこと無く駆け出した青年。白髪と鉄色の左目、蛍光グリーンの右目】
【服装はいつも通りのミリタリージャケットにダメージジーンズ、合金板の仕込まれた安全ブーツというモノ】
【ベルトポーチに仕込んだ閃光手榴弾を迷うこと無く頭上に放り投げ、炸裂させようとし】
【閃光と爆音に紛れながら――己の異能をこの世に解き放つ】

「――――Hello World!!」

【髪が逆立ち、目に悪い人工的な蛍光グリーンへと染め上がり――全身にノイズが駆け抜けていく】
【傷跡の目立つ右目が一端粉砕し、その直後に再構成。同じように左腕も人のそれから異形≠フそれへと再構成される】
【閃光も爆音も神経系への情報処理によって己に対しては影響のないように調整済み】
【爆音と閃光の最中を駆け抜けながら――戦車に挟まれる最短ルートをアートマン/ヒューマン=c…谷山基樹は疾駆する】

(……確実に伏兵は居る。……だが、俺のするべきことはGIFTへの勝利じゃあない。
アイアン・イーグルの発射さえ阻止できれば、その瞬間ケツ捲って逃げれば良い。
だから――そこまでは決して止まっちゃいけねぇ……考えろ、思考をクロックアップして……!)

【全身からノイズを放射し、神経系の情報伝達速度の加速を最大レベルまで引き上げ、知覚も最大強化】
【戦車の駆動音、砲撃の前動作を見逃さぬように、青年は己の集中を引き締めた】
【撃たれてからは決して避けられない。それが出来るような身体能力を持ち合わせていない。ましてや戦車を物理的に破壊する術も殆ど保持していない】
【――だが、撃たれる前に着弾地点から外れる事は出来る。それ以外で、防ぐ方法、避ける方法は存在しない】

「ッ……おぉぉぉおぉぉぉぉッ!!」

【時間を書ければジリ貧。故に――最初からためらうことはない】
【全力で駆け抜け、全力で叩き潰しに往く。それしか、この戦いの勝機は、無い筈だから】

/*よろしくお願い致します――!*/
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 19:46:20.82 ID:2gQ8WZCV0
【ノヴァル城正面・大門前】

【ノヴァル城の正面に存在する巨大な入り口、大門の前。】
【門の先は蛇行するような道が続いており、その周囲は絶壁となっている】

【そしてその場所で戦闘員たちと話し合いをしている人物がいた】
【だるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】

 いいか、俺たちの任務はアイアン・イーグル発射までの時間稼ぎだ、発射を確認したらすぐさま撤退しろよ
 それと、戦況がまずくなってもだわかったな
「ハッ」

【戦闘員は男の指示を聞き終わると、自分のもち場所へと移動していった】
【そしてそこに残ったのは男ただ一人だ】

 さて、どこから敵が来てもいいように備えとかんとな
 それにここで倒れるわけにもいかんしな

【男は一人心地でそのよう言う】
【そして男はここで敵を待った、ここにはこの場所の司令官たる自分がいるからだ】
【ここにくるまでの防衛は比較的薄くしているから敵の優秀な人物がくるとそう思っているからだ】

【来る敵を男はここで待つ、静かに警戒しながら】

/リヒト・マクダウェル中身です
/ブラック・レッドラインのかたよろしくお願いします
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 20:02:50.04 ID:pr0N26W+o
>>719

――――――――……

【静寂はただ嵐の前であるというだけ】
【危うい均衡、導火線に火が宿ればもはや逃れようもない】
【薄い表皮の下にはいつだって何かが渦巻いている】

……隠れるのも意味ない、か

【古き城を火薬庫にするとは中々に風流だ、そんな冗談を言っていられる余裕も恐らく無くなる】
【「彼」は己が瞳で周囲を見やり敵である「彼女」をみつける、流れる手つきのまま腰に差した装備へと手を伸ばす】
【流麗な銀色、淡き光を宿すナイフは例え月明かりがなかろうとも輝いて―――――得物を狙う】

(戦車に戦争用の道具……ああ、奥のアレが今回の)

【ただ散歩にでも来たような気軽さで構えもなしに歩き出す】
【三つ編みに纏めた後ろ髪を一?の度に揺らし「彼」は迫る】

御託を並べるつもりもないし、だったらとっとと終わらせよう
そっちだってそれをお望みだろうし……こっちもそれなりに切羽詰まってるんだからさ

【白衣の「彼女」その白にはきっと鮮血が似合うだろう】
【だとすればその役目とは自分が担うものだ、切先は震える……恐れかどうかは「彼」にしかわからない】
【火蓋はとうに落とされている、宣言する必要もなく血染めの夜はもう止まらない】

/エルフェスですよろしくお願い致します!
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/30(月) 20:06:08.52 ID:vJoVR/gOo
>>720

【───震えた空気が静まりを取り戻した頃、最初よりも静かな空気になった所、それは現れた】
【カランコロンと下駄の音、急ぎも臆しもしていない、ただただ暢気な軽い足取りの音】

【戦場には余りに似つかわしくないその足音は、ゆったりとテラス方面へと歩いて来る。その音が近付くに連れて、だんだんと漂いだす酒の香り】
【つんと鼻を刺すその匂いを纏う男は、水色の着流しの端と、白いマフラーをゆらゆらと水面めいて揺らして、歩いていた】
【優雅というには余りにも付和雷同、一つに結った白髪の、前髪で左眼が隠れた横顔をテラスに向けていたが、ふと立ち止まり、気が付いたように女に顔を向けた】
【緩く開いた右眼が女を見て、口に咥えたスルメの脚を揺らしながら、ニタリと嗤う。ぶらりと垂れる彼の左手には、鞘に納まった刀が握られている】

ぃよう、威勢がいいねぇ〜……姉ちゃん

【───浮浪者が、こんな場所に五体満足でこれる筈が無い、ここに向かう迄にも幾つも障害がある筈だ】
【だが、正義を志していると見るには余りにも異様……殺気は無くとも、その雰囲気は不気味極まりない立ち姿であった】

/吟醸です、よろしくお願いします
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/30(月) 20:18:38.49 ID:tlFeWyBko
>>724

【嗤う彼に対し、女の方はそのキツい表情を更に強め、相手を睨み据える】
【彼の異様さを感じ取ったか、構えをより深くし、大剣の切っ先を相手へと向け】

……ふむ。 前回に引き続いてまたも、軟弱そうな男が来たものだ……
その巫山戯た態度は何だ? 戦には誠実であれ……この私と相見える以上はなァッ!!

【動かぬならば此方から、と言わんばかりに、女は一歩を踏み出した】

【歩みは疾走へ、重厚な甲冑を纏いながらも、それなりの早さで接近を試みると】
【振り上げた大剣で以って、彼を頭から両断せんと一挙に振り下ろす――!】

……――はああぁァーっッ!!

【相手がこの一撃を回避した場合、テラスの床に切っ先が激突する事となるが】
【その勢いたるや小規模の爆発にも似て、城を構成する瓦礫が相手へと飛来するだろう】
【半端な回避は命取りとなるかも知れない。単純な“力”、されどそれは、油断ならない規模だ】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2013/12/30(月) 20:21:38.23 ID:oBCZYvX20
>>722

【大門前 前方より突如拡声器でも使ったかのような、大きく空を貫くような声が聞こえる】
【その声が聞こえた先、数十名で編成された小隊が見えるが、それはまるで道を作るかのように左右に整列している】
【そこには、隊員達が作る道の中央を歩く一人の老人の姿】

【濃灰色の軍服、その背後に差した2本の軍刀】
【白髪混じりの黒髪は短いオールバック、鼻の下には立派な口髭を生やした老人の姿が】

【分隊長と思われる男が声を張り上げ隊員達に命じた】

「将軍に敬礼ッ!!!」

【その声が耳に届くと同時に、全隊員が一斉に老人へと向き手を額に近づけ、脚を閉じ直して敬礼をした】
【老人はそれを見ることは無く、軍刀を鞘から抜くとそのまま全員に命を下す】

門は、私一人で良い、小一時間程経ったなら迎えを用意。
生死は問わん、各自で分隊長に従いGIFTの構成員を始末せよ。

【そう命じればそのまま老人は、門の前へと歩み寄ってくるだろう】

//ブラック中身です、よろしくお願いします!
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/30(月) 20:29:14.39 ID:E7VImPw10
>>721

【ザシュンッ!―――なんと投擲されたナイフはそのままPCへと突き刺さり、火花を散らしながら破壊した】
【だが当の女性は座ったままで視線を青年へと移して、椅子を回転させて谷山の方へと足を組んだまま身体を向ける】
【その腕には小型の端末が装着されており、何かデータが進行しているように見える。】

やるわね、その距離からその精度………だけど残念、データは既にこの『Enigma=xへと転送済みよ
ジャーナリスト、フフ中々面白い人が到着したわね?だけどあまり慌てると自分が明日の一面の戦死者リストにのってしまうわよ?

まぁ―――発射までのひと時、精々足掻いてみるといいわ………。

【トントンと、挑発的に笑いながら右腕に装着された小型端末を叩きそのまま端末の操作を開始する―――。】
【すると女性の周囲の空間が歪んで、何か物体の転送が行われる………ッ!】

さて、ショータイムよ。

【転送の最中に女性は一度指を鳴らす―――すると戦車の左右一つずつ戦車の砲身が稼動し、谷山へと標準を向けた】
【ドン―――ッ!轟音と共に砲弾が発射される、左右からの同時発射とはいえ谷山の予想通りだ、回避は可能だろう。】

>>723

あら、また新しいお客さんが来たようね………どうぞいらっしゃい。
そうね―――あまり長引くといろいろ面倒だしさっさと終わらせたいけど―――。

ある程度≠ヘ付き合えと、そう言われているから一瞬では終わらないかもしれないわよ?

【クスリと口元を緩めて、座ったままの状態で相手の言葉へと返答する―――。】
【何か発射までのフェイズがあるのか、どうやら直ぐに発射してしまおうという気はないらしいが果たして。】

まずは小手調べといこうかしら?―――閃銃・キファイゼ=c……転送。

【そして女性の右手に赤い小型銃が転送され、女性はそれをエルフェスに向けて―――引き金を引く!】
【発射されるのは至って普通の弾丸、だが弾速は通常のモノより早く、エルフェスの右肩を穿とうとするだろう】

>>ALL

名乗り遅れたわね―――私はGIFT Lab・第五研究室≠フ吉崎詩穂≠諱Aどうぞよろしく
以前はアタック、創世戦団なんて二つの組織で幹部を務めていたのだけれど―――どれも壊滅してしまってね、今はこうしてGIFTの一員よ

………ああ、私の身の上話なんてどうでもいいわよねごめんなさい。
とはいえ流石に手練れを二人は非戦闘系の私にはキツイわね………だから色々と使わせて貰うとするわ。

【気だるげに自身の名と所属………そして今までを聞いてもいないのにぺらぺらと語ると、再び指を鳴らす。】
【バチバチッ!再び空間がスパークし、現れるのは黒い装甲にガスマスク、黒のミリタリーコートを纏い、ロングバレルのマシンガンを持った二体の機械兵だ】
【二体はそれぞれ谷山とエルフェスへと頭部を向けると、手にしたマシンガンを掃射した―――ッ!】
【精度はそれ程ではないが、他の攻撃に合わせるようにして放たれているため厄介かもしれない…………。】

【吉崎と名乗った女性は未だ、椅子に足を組んで腰かけたままである―――。】
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 20:39:18.43 ID:2gQ8WZCV0
>>726

やれやれ、来るのは爺さんか

【男は門へと歩み寄ってくる老人を見てそのように言った】
【だが自分ひとりで来るのだ、実力があるのは確実であろう】
【男は油断せずに老人を見つめ】

 将軍か、それなりにえらい地位の人間か
 だがまあ、ここは守りきらせてもらうぞ

【男は老人を見据えたまま、そのように言い放った】
【どのような反応をしようとかまわない】
【睨みつけるでなく、だるそうな目で老人を見据える】

【そして男は老人に指を向けた】
【その指の先からは光が収束していった】
【そしてその光の収束は一瞬光、発射された】
【レーザビームだそのビームは一直線に老人に向かっていった】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/30(月) 20:46:19.46 ID:3Vx4LWNYo
>>723,727
「足掻くさ……! 足掻かなきゃベストショットは取れやしねぇ……!
伊達に死線超えてねぇ、伊達に正義背負ってねぇ――てめぇらが悪かどうかなんざ関係ねぇ。
――俺の敵なら俺は倒す、俺が認められないなら俺が潰す――絶対にだ……ッ!」

【悪だから倒すわけではない、善だから救うわけではない】
【己の正義≠ェ全ての基準で。己の正義の敵は倒し、己の正義の味方は救う】
【――善悪ではなく、正義。それが谷山基樹。そして、その割り切り故に――何一つの躊躇いを、抱くことはない】
【だからこそ――その一歩は、歩みは。決して淀むこと無く実行され――前へと青年を駆動させる】

「――シッ」

【駆けながら、エルフェスの方向へとノイズ球を一発飛ばしておく】
【エルフェスがそれに触れれば、脳裏に一気に情報が送り込まれ、谷山の持つ戦闘能力を理解することが出来る】
【後ろを振り向くこと無く駆ける谷山。だが、己の手札を開帳した以上力を合わせる意志は十二分に持ち合わせている】
【青年の能力は情報処理に特化したもの。そう、その異能を駆使すれば――破壊は無理でも阻止は不可能ではないかもしれない】
【谷山が明かした目的はGIFTへの勝利ではなく、あくまでも目的の阻止。その為に、互いの長所を生かし、短所を補う必要が有る】

(――1人より2人のほうが効率的……!)

【轟音が起こる前に――谷山の移動速度は急激に遅くなり――しかし、足に力を込め急加速への蓄えを行う】
【そして、発射の直前に加速する事で、発射前にその着弾地点から退避する事に成功する】
【駆動音、そして経験から導き出される着弾予想と、それを撹乱するための緩急をつけた前進】
【それが功を奏し、着弾地点から吹き飛んだ破片に幾らか裂傷を追いながらも――死ぬことはない、歩みが止まることも、無い】

「――――潰すッ!」

【視界にスパークが生まれた瞬間に、既に迷いなく谷山は己の腕を振りぬいていた】
【左腕に纏わり付くノイズは成形され――微細なノイズの散弾と化して機械兵の出現と同時に発射される】
【神経系が機械化されていれば、リソースに膨大なデータが流し込まれることでエラーを起こし、パフォーマンスを低下させる】
【脳髄や神経系が生身であったとしても、一時的に五感が鈍り――特に銃器などの狙いをつけることは難しくなるはずだ】

「……ぐ……ッう……!!」

【視界を埋め尽くすマズルフラッシュ。鉛球が掃射と化して己のわずかに残った生身をミンチにせんと襲いかかる】
【それでも、銃だけでなく全身の重心の置き方、肉体の構造上銃を向けづらいだろう方向へと移動することで着弾率をギリギリまで低下させて】
【掃射を前に選択したのは――全身しながら回避し――そのまま脇をすり抜け吉崎へと直進すること】
【吉崎を射線内に混ぜてしまえば誤射の可能性が上がり迂闊な射撃はできなくなる。そして、ノイズ弾をある程度受ければ――銃弾の命中率は下がっていく】
【倒せなくても、脅威を取り払えば十分。――最小の行動で、最大の効果を。都市区画の破壊だとか、刀剣による一刀両断だとかは出来ない谷山にしかできない――戦い方だ】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/30(月) 20:54:46.69 ID:vJoVR/gOo
>>725

【刀を持つも、抜かず構えず、ただただ立ちっぱなしの男へ、しかし容赦の無い鉄槌は下る】
【女の接近の余波により後ろへと流れる髪と服、目の前で女が構えるのを見る男の笑みが、より深く───】

【ズガァァァンッ!!!と衝撃波が立ち、テラスの一部分がいとも簡単に破壊されて行く】
【僅かその刹那、男は左側へと回避していた、本当にギリギリの動きで、大剣自体をかわせても衝撃波とそれに伴う破片は襲い来る】
【だが男はその分を、脚を開き腰を曲げて体制を低くする事で被害を抑えて、其の儘右手は刀の柄を掴む】

───なぁに、いずれお望み通りにやってやるさ
戦い≠ノなったらな───

【一閃───!閃いた白刃の輝きは、一瞬の残光と共に輝きの飛沫を伴い、女の右脇腹を横に薙ぎ払う】
【鎧で覆われていようと関係ない、まずは鎧の硬度を確かめんとばかりにそのまま切り払うのみ】
【また、その刃は水に濡れた様な煌めきが───いや、実際に何らかの液体が常に刃から流れ出ている】
【───酒だ、酒が刀の刀身から常に流れ出ており、斬られれば酒気が体に入り込むだろう】
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 21:05:51.62 ID:pr0N26W+o
>>727>>729


(上からの命令か、長引けばそれだけ危うい……)

【兵器のセッティングの時間稼ぎ或いはもっと大きな何か】
【全容を掴むには些か情報が足りないな、そう考えながらも色違いの瞳は「彼女」の挙動を逃さない】
【右の赤は鮮烈に左の瑠璃の紫は異様に、ただ在ることを見つめる】

ふん……小手調べなんかしている暇なんかあるのかよ

【唐突に現れた銃、しかし「彼」は眉一つ動かさずそして一瞬身体を強ばらせる】
【緊張……動作の前の要するに予備動作、相手が銃を取り出したのだ次の行動など考える必要もない】
【敵の視線、指の動作、呼吸……答えを導き出し弾きだしたソレを身体にて体現する】

――――――――オレはここに戦いに来たんだからな

【張り詰めた身体を弛緩させ同時に左へと足を踏み出す】
【僅かなイレギュラーで肩部の薄皮を抉られるがこの程度ならば関係はない】
【硝煙の香りと焼け焦げた防刃ジャケット……されど担い手は未だに地を踏みしめ】

よろしく、なんて言う間柄じゃないけど……言われたからには返すのが礼儀か
こっちはエルフェスっていう所属はなし……多分、だけど

【会話の最中で掌の中のナイフを軽く振る、漏れ出る光】
【その一瞬の後で気がつけば一本であった筈のナイフは今は二本に増えていた】
【右にひとつ左にひとつ……要するにナイフはそういった機能を有していて更に言えば未だ何かを残しているということ】

【そしてそれも直ぐに分かる】

――――――ああ、そうだコレでいいコレくらいして貰わなきゃこちらも困る!

【現れた二体の機械兵、そしてマシンガン】
【先程は単発であるからこそ避ける事が出来たしかし相手が弾をバラまいて来た日にはどうしようもない】
【されどそれに対するモノは我が手にある、そう言わんばかりに二本のナイフを掲げ】

重ねて六つ……!

【砕け散る音でナイフは霧散、ガラスのように辺りに飛び散れば漂い】
【再度カタチとして現れた時にはその姿を大きく変えて敵に向かう】

【六本の骨組みから構成される守護の為の武装】
【向こう側が透けるような例えて言うならばホログラムに近いそれは花弁、現世にある花ならば百合の姿が一番近い】
【中心から外側へ六層に「守護」の言霊が刻まれる、有する能力は語るまでもなく】

【それは宿主をただ守る為に在った】

質量兵器だろうとお構いなし、だ――――――――

【右掌を向けて銃撃を受ける】
【花弁はより一層と強く輝き、迫る銃弾を尽く受けて散らす】
【ただ「彼」とて受けているだけで留まる筈はなく……盾を構えながら一?一?と進む】

【硝煙の煙は機械兵へとだんだんと近く】
【近接には少し遠い距離まで詰めたのならば「彼」は盾の力に指向性を持たせ放つ】
【「内へと守る」から「外へと放つ」へ……光は集約され満たされた力は衝撃となって機械兵へと迫るだろう】

【同時に花弁は砕けて散り辺りへと舞い消える】
【地に落ちた……骨にも見えるか】


【戦闘の最中で谷山から送られたノイズへと左手を伸ばしていた「彼」】
【流れる情報に頷く、こちらも能力に関して伝えるべきかと考えたが谷山は先んじて駆けて行った】
【……思考の空白の後、戦いの中で見せるという事で結論を出し……そして戦闘は継続されるのであった】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2013/12/30(月) 21:12:21.38 ID:oBCZYvX20
>>728

【リヒトが放つレーザー、だがそれは一直線、予備動作も見える】
【ブラックは向かうレーザーを右の軍刀で一寸狂わず薙ぎ払ってみせた、一瞬だけ刃が青白く見えたのは光の具合だろうか】

老馬と侮ると直線の競り合いで後悔することになるぞ……?
古い樹木ほど、地に深く根付いているというもの…………!!

【そして右足に力を込め、そのまま大きく大地を蹴り急接近を試みる】
【リヒトの前まで近付けば左の軍刀で右肩を深く斬りつけようとするだろう】
【背後に回避すれば深手を、良ければ傷そのものを負わずに済むかも知れないし、それ以外にも回避の方法は有る】
【無論、負傷覚悟のカウンターも有るかも知れないが、それは敵次第】
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/30(月) 21:15:58.15 ID:tlFeWyBko
>>730

(消えた……――ッ!?)

【破片の舞う中で一瞬姿を見失った、直前まで目の前にあった筈の相手の姿を】
【だが――右側に白刃の煌きが在った。声を、姿を確認した時にはもう、右脇腹への一閃】

ぬうっッ……!!

【――が、鎧は硬い。通常のものであれば砕かれていたやも知れない相手の一撃は、】
【ガキィン!と硬質な音を上げて弾かれる。相手ならば、斬った感覚で察せられるだろうか】
【其れは“強化能力”によって、通常の鎧よりも一層強固になっていたのだった】

【しかし――その強靭な防御は、“物理”の面で特化したもの】
【可動部がある以上、継ぎ目は存在する。其処から、表面を伝い染み入る“酒気”は防げない】

何だ、これは……――酒、か? ちィ、厄介なッ……!!

【独特の香に眉を顰め、舌打ちをひとつ零すと】
【女はその場で大剣を床と水平に構え、腰から上の体を捻り――】

……――吹き飛べぇいッ!!

【大剣を両手に掴んだまま、その場で凄まじい勢いで“回転”する!】
【さながら独楽にも似て、ただしぶつかる物は容赦なく両断せんとし、】
【その勢いは先程の瓦礫を巻き上げ、小規模の竜巻さえ引き起こす――!!】

【――しかしながら。回転はその場を軸として動かず、そして勿論長くは続けられるものではなく】
【そして唯一の弱点となりうるのは、台風の目と同じく“中心部”だ】

【つまりは少しの時間を持ち堪えれば止むし、上方向から攻める手があれば切り崩せるだろう】
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/30(月) 21:32:12.37 ID:E7VImPw10
>>729

―――若いわね、だけどその若い感性と考えを持って戦場に出るのは自殺行為じゃないかしら?
この戦場は、もっとどす黒い、堕ちた人間にふさわしい舞台なのよ、だから明るすぎる貴方はいらないわ

帰って慈善事業に関するレポートでも書いてなさいな―――。

【谷山の言葉にまるで眩しい物でも見るかのように眼を細めてそう呟いてから頭を振る】
【それはどこか呆れたような、だが羨望の混じった不可思議な感情が込められていた―――。】

【ノイズを撃ち込まれた機械兵はその機能低下と吉崎への流れ弾を認識し、自動的に銃撃を停止させた………】

―――甘いわね、このGIFTの兵器………オルムスU型≠舐めて貰っては困るわ。
射撃性能が低下した程度で戦闘続行不可になどなったりはしないのよ、残念だけどね―――。

【吉崎が手元の端末を操作すると―――機械兵は彼女と谷山の間に割って入るような形で移動して】
【そのままロングバレルの大きな銃身を鈍器代わりにして、接近してくる谷山の右頭部を殴りつけようとするだろう】
【だが未だ谷山のノイズは効いており、動作には処理落ちが見られるため回避はしやすいかもしれない】

>>731

ええ、私は私の判断で………まずは小手調べ≠させてもらったわ
いいわねその眼は―――お隣の彼とは違って―――どこか闇を宿したような………。

やはり戦場はそうした堕ちた者たちの舞台でなければね………!

【エルフェスの色違いの瞳を見つめて、そのような事を口走り口元に大きな笑みを浮かべて頷く】
【どこか達観したような瞳を浮かべながら組んでいた足を解いて、相手の出方を伺う―――】

【ドゴォォォォォッ!っと凄まじい音を上げながら放たれた衝撃波が直撃し、機械兵はそのまま後方へ吹き飛んで粉々に砕け散った】
【破片の一部が吉崎の頬や腕へと飛来し、切り裂くが………頬や腕から血が流れようとも動じる様子はない。】

―――概念武装=c……?フフ、中々良いモノを持っているじゃない、研究したくなったわ
エルフェス君、これからもっと愉しませてあげるわよ………?

              『蛇剣・アリーテ=x………転送ッ!

【エルフェスの使った謎の武装、異能に対して興味が湧いたのか声を荒げて笑うと、新たな武装を転送する】
【今度はメタルレッドの2m程の機械のレイピア………いや、刀身の所々に溝≠ェあるこれは、蛇腹剣≠セッ!】

【吉崎はその蛇腹剣の関節を開放し、素早くしならせ右側からエルフェスの胴を薙ぎ払おうとするだろうッ!】
【軌道はかなり変則的だが、動かしやすさを追求したためか刀身自体の質量はそれ程ではない、いなす事は可能だろう】

>>ALL

―――さて、中々派手になってきたわね………それじゃあこの『Enigma=xの力も使わせて貰うとしましょうか
魔術回路起動………ブースター連結―――魔力増幅………ッ!

            焼き払えッッ!!『フレイム・ライン=x―――ッ!

【右腕に装着された端末に素早く何か式を打ち込んでいき、それは次第に魔術術式となって吉崎の頭上に展開される】
【そして端末によって増幅、加速された魔力は、赤い魔方陣を通してそのまま前方の二人へと発射されるッッ!】
【魔力は炎の矢のような形を成して、直線状を焼き払う………谷山へは、谷山の前にいる機械兵を巻き込む形だ。】

【だが軌道は直線―――対応のしようはあるだろう。】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 21:34:35.71 ID:2gQ8WZCV0
>>732

【レーザーをなぎ払った老人に対して、少々驚く】
【だが、これくらいできる人物だならば一人できたのも納得できる】

 たく、やっぱりだが厄介なやつが来るよな
 侮る気なんざねえよ…!

【侮ったらこっちがやられるからだ】
【そんなことをしてまける気はもうとうない】

【急接近を試みてきた老人に対して男は素早く手に光を集めた】
【するとその集まった光は剣に形を変え、その剣の形で固定された】
【その固定された光の剣で老人の繰り出す剣戟を素早く弾き後方へと跳躍する】
【手が打ち合ったときびりっと麻痺のような感覚に襲われたが特に意味はない】

 老人は大人しく引退して、庭弄りでもやってろ…!

【忌々しそうに言葉を吐はく】
【そして指に再び光を集めてレーザー撃つ】
【今度は一直線ではなく横斜めから撃たれた一撃だ】
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/30(月) 21:53:00.05 ID:vJoVR/gOo
>>733

ふん、こいつぁ硬ェ……

【鎧の硬度に刀が通らない───普通なら、この時点で少なからず攻め方を考える、もしくは鎧を着ている相手に良くない感情を抱くだろう】
【だが、この男は違う。「面白い」とばかりに笑みを深くして、素早く刀を納め───】

【次の瞬間、男の体は言われたままに吹き飛んだ、重たい音と共に背中を柱に打ち付ける】
【女の大剣の攻撃の勢いを抑え来れる程の贅力は無く、男が吹き飛ばされたのだ】

中々……

【だが、大剣自体は鞘で防いでいた為に体が両断される事は無い、ただダメージは低いとは言えない】
【柱にからずるりと降り立ち、未だ回転する女を見やりながら、その竜巻が如く力を分析する】

……ま、無理かネェ

【いくら回転の中心が弱点とは言え、あの中に飛び込むような賭けはまだしない】
【男は刀の鍔に口を付けて、滴る酒をゴクリと煽る。口を右手の甲で拭った頃には、女の攻撃は止んでいるか】

【女の回転が止んだ頃に、止み始めた頃に男は動き出す、回転の後の隙を狙って一気に接近、すぐ近くに肉薄するまで幾許も無い】
【接近し、目と鼻の先に肉薄して、ニヤリとした笑みで覗き込みながら、右手は柄へと───】

奥義───鬼殺し───!

【その居合の勢いたるや、鬼を正しく殺す一撃、発揮した殺気と覇気が暴風の様に渦巻き、女を斬撃と共に───】
【……と、見せ掛けて、その実刀は引き抜かれず、ただ右手だけがすっぽ抜けて女の目の前を掠め横切る。次の瞬間には、納まったままの刀の柄先が女の右頬を狙って殴りかかるだろう】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/30(月) 21:55:52.86 ID:3Vx4LWNYo
>>734>>731
「――俺は俺のやりたい事をする……ッ! 誰に止められようと、なんと言われようとだ!
舞台に相応しくない? どうでも良い俺に関係ねぇ、死ぬ気も欠片もねぇよ!」

【機械兵の流麗な動作。物理的な攻撃力に乏しい谷山は、直接の戦闘を得意とはしない】
【己の右頭部。そこに向けて振るわれる銃身を認識した途端、全身へとノイズが駆け抜ける】
【脚部が通常では発揮できない限界を越えた脚力を発揮し――姿がブレて】
【ちり、と掠る音と鮮血を軌跡に残し――獣の様な前傾姿勢を取った谷山は、加速し機械兵の脇を抜けていた】
【すり抜けざまに直接ノイズの拳を脇腹に向けて、確実な動作不良を起こすように数倍のデータ量を込めて叩き込もうとしておいた】
【あたろうが当たるまいが、谷山は既に前しか見ていない。――目的は機械兵を屠る事ではないのだから、他の障害は全て有象無象にすぎないのだ】

「……ッ、来るなら来いッ!! Hello――――――」

【展開された術式。魔力を持たないが知識だけは身につけた谷山は、ある程度の性質を認識する】
【その上で、銃弾と違い着弾地点の読みづらいそれは、脳髄のスペックを持ってしても深く低要素が高い分確実な回避行動が困難と鳴る】
【ならば、その現状を乗り越えるにはどうすればよいか? 単純な話――それを乗り越えるだけの力を持ってくれば良い】
【眼前を染め上げた紅蓮。矢の威力も速度も人間1人を屠るには十二分な性能――そして、谷山はそれを前に左腕で己のベルトポーチのあるポケットをなぞった】

「NEXT=@World――――ッ!!」

【膨れ上がるのは災の予兆。あるものは知るかもしれない――人の狂気を、悪意を膨れ上がらせる脅威の兵器】
【かの兵器は昔より人々を恐れさせ、何時暴走するとも知れない爆弾として善にも悪にも一定以上の危険を感じさせてきた】
【その兵器の名は――哲学者の卵、と呼ぶ】
【手のひら大のたまご型の宝石に見えるそれは、人間の可能性を広げる極めて強力な物性を持つ兵器】
【カノッサ機関の大きな発明の一つであるそれは、副作用として精神や肉体に変質や変容を与えるという性質も持ち合わせていた】
【数多くの人間の人生を狂わせてきたその兵器を――有ろうことか、正義を背負うと言うものが――望んで用いてみせるその異常】
【全身をノイズが駆け抜け――皮膚の上に皮膚が貼り付けられる=B目と髪からは煌々と不気味な光が漏れ――そして、着弾】

「――――ッ」

【燃え盛る火柱。機械兵すらを巻き込むその爆風で、青年は死んだかと思われた】
【だが――爆風の煽りを受けながら、体組織の半分以上をアートマン化させた青年はガランドウの肉体を覗かせながら、加速する】
【脚部がぎしぎしと軋みを上げるも、砕けた面にテクスチャが貼り付けられてアートマン部分は復活する】
【生身が残っている部位、顔や胴体の随所は炭化しているものの、人間の部分を減らし、アートマンで身体を覆うことダメージコントロールを実現】
【致命傷を乗り越えて――有ろうことか相手の火焔を生かしてここで最大の加速をしてみせた】

「――――潰す」

【瞳に宿るは、己の正義を疑わない意志。そして――己の意志の敵対者を迷いなく潰すという、決意】
【狂気も悪意も否定しない。それらに翻弄され尽くして、今の場所にいる】
【悪意のデータを、狂気のデータを哲学者の卵に意図的に送り込むことによる哲学者の卵の一時的な人工孵化とその制御】
【極めて繊細な技術を実現した青年は、それにより足りない力を補い――相手の下へとたどり着かんとする】
【地面を一際強く蹴った。握りしめた拳に、3度表皮が上書きされる。効率の悪い身体強化であるが、それでもしないよりはまし】
【全力でEnigmaへと攻撃を放つ青年。辺りさえすれば、データが叩き込めさえすれば――壊せずとも、データ転送やシステムに何らかのエラーを与えることは出来るだろうか?】
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/30(月) 22:10:00.41 ID:tlFeWyBko
>>736

【――やがて、回転が止み】
【女は大剣を斜め下に構えたまま、中枢の揺れもあって硬直する間があった】

【想定していたよりも揺れの引きが遅い事に、女は疑問を感じたが、すぐに合点がいった】

(……、先の酒があったな……おのれ、ッ……!?)

【刹那――弾き飛ばしたと思い込んでいた男の姿が、まさに目の前にあった】

【無論女に防御する間など無く、相手のニヤリとした笑みの前に】
【常の豪胆さも無い驚愕の色を浮かべ――たが、斬られた感覚が無く、呆然とした次の瞬間】

――……っ、ぐああっッ!!

【刀の柄先が右頬へ命中し、ただでさえ回転の揺らぎが残った頭が、更に軽い脳震盪を起こす】
【まさに不意を突かれた形で、ふらふらと蹌踉めく女の今の状態は、隙以外の何物でもなく】

【更に、意識が混濁した事で、発動していた“強化能力”が一時的に弱まる】
【あの重厚な鎧が、露出の目立つ軽装へと弱体化し、大剣は一振りの細身の剣へ変わっていた】

【軽微な装備でふらつく女、斬り掛かるならまさに今、だが――】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 22:19:26.86 ID:pr0N26W+o
>>734>>737


よりにもよって「闇」かい……そんな大層なモンじゃないよコレ
ただどちらにせよ戦場だ、何がどうなっていようとここは疑いようもなく戦いの場だ

【す、と指先で瞳を撫でるような仕草を】
【浮かべる笑みは相手を貶めるようなものではなくどちらかと言えば自嘲の部類】

【漂う「銀」は気がつけば再び集約され今度は刀へと姿を変えて右の手に収まっている】
【「増加」「強化」この2つが武装の支柱である】

ち、悪いけどお前になんか貸してやらねーよ
この状況で敵に塩を贈る程余裕なんかありゃしない――――――――

【きしり、鳴らし刀を構える】
【上から下まで全て銀色の刀身は露に濡れる如く艶めかしく】
【切先はただ柔く触れただけで指を落としそうな程鋭く輝く】

(蛇腹剣……それなら――――――――)

【「彼」のスタイルは刃物を支柱としている】
【慣れ親しんでいる物だ、相手の得物であってもそれなりには見抜く事も出来よう】
【そして構えたからにはそちらの対処法も必然有るということで】

受けて、―――――――流す!

【刃先を下から上へ円運動を用い、迫る刃に合わせて左へと薙ぐ】
【受ければしなり巡って結局はこちらへ向く、ならば流して違う箇所へと向ければ良い】
【「彼」にはそれだけの技量があってそれに応えられる刀を有していた、再びきしりと刀を構え】

(そして……次―――――――)

【されど相手の流れは止まらず、源流を枯渇させない限りは叶わない】
【炎熱は赤く赤く、火炎という概念を矢と圧縮した魔術はさながら荒れ狂う火竜か】
【しかし、竜は化物は人に倒されるが宿命】

(突っ込む……!)

【好機と見たか駆け出すその姿は無謀とも取れる】
【刀身に赤が映る頃、刹那に大きく左に跳ぶ――――――俊敏性に関して言えば「彼」はそれなり以上のモノを所有していた】
【ただ熱量を防ぐ事は難しく戦闘用の衣服は表面が焼け焦げ先ほどの傷口を苛む】

【炎の後、かの切先は確かに向けられより迫る】

その首、貰う――――――――!

【谷山から受けた先程の情報、目的からすれば彼がキーパーソンに違いなく】
【ならば自分がやるべきは撹乱、あわよくば命を刈り取り非常時であればあの兵器を破壊する】
【細めた瞳は意志を表し】

【大きく飛び出た身体の勢いのまま走り抜けると同時に「彼女」の首筋を左側から両断せんと刃を振る】
【躊躇いもない一閃は狙いが狙いだけに受ければただでは済まない、しかし敵である「彼女」がこれで終わるとは思えない】
【次の行動を脳内で組み立てつつ、視界の端でかの兵器の場所を再確認するのだった】
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/30(月) 22:27:46.17 ID:vJoVR/gOo
>>738

くっ、くっ、くっ……

【女の顔面を容赦無く殴り飛ばした、男は体制を直すのに大袈裟なくらいに体を揺らし、仰け反り、だらりと立つ】
【ニヤニヤとした笑みが、先程の覇気も殺気も掻き消して、ふらふらと揺れる様は正に酔っ払い】

どうした?まだたかが顔面に一発、オイラとお前で一発ずつのおあいこだ、これで終わりたぁ物足りねぇだろ?
こんなお遊び≠ナ疲れてんのかい?まさかネェ?

えーと、何だっけ?なんだか威勢良く騒いでたが、デカいのは声だけか?
お前が何であっても何考えてても、その程度じゃどうせつまんねぇ事さなぁ、ただ斬りたいだけのオイラにすらフラフラしてんじゃなあ

【ふらふらと歩きながら、女には近付かないで、一定の距離を置きながら、右手で瓢箪を取り、口を付けて煽りながら】
【語る言葉はただの挑発であって、何の考えも信念も無い男のそれは、ある意味では響くだろうか】
【女がもし立ち直すなら、男はそれに対峙して瓢箪を腰に吊るし直す、立ち直さないなら───】
【酒を飲みながら、ゆったりと近付いて行く。怒りを更に煽るように、見下しながら】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2013/12/30(月) 22:33:34.51 ID:oBCZYvX20
>>735

【剣撃が交わる時、リヒトの手は振動が伝わり一瞬麻痺したようだったが、ブラックにはそれが無い】
【それも含めて動きの端々から分かるのは、彼が百戦錬磨の兵士だということ】
【ブラックは敵の能力を見定める、光を操る、というよりは質量を持たせた自らの光を操る能力であろうと】

ふ、グラジオラスならば植えているのだがね、全く狂信者の集団の考えは理解に苦しむ。我々には途轍もなく邪魔だよ。

【放たれたレーザーはそのまま斜めにブラックに向かって飛んでいく、着弾間近のその瞬間】
【ブラックの身体を青白い炎が、まるで鎧の様に包んだ、だがその炎は熱は持っていない、熱風が伝わらない事を考えれば容易に分かる筈だ】
【この炎によってレーザーの軌道が横に逸れる、その際に左脇腹を少し掠め そこから僅かに血が滲む】

…………うむ、鎧が無ければやはりこの程度か、だが まあ、眼前の敵を倒すだけの力はある。
少しばかり力を入れるとしよう……

【やがて炎がすうっと消えたかと思うと、もう一度地面を蹴りつけ、再接近しようとする】
【次は二刀で同時に、上から下へと軍刀を降り下ろす、二つの衝撃によって貫通ダメージを与える為だ】
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/30(月) 22:42:29.60 ID:E7VImPw10
>>737

フフ………その強気、決意、意志がどこまで折れずに進めるか見ものではあるけれど
私も私の理由に従ってここに立っている………だから邪魔は―――させないわ

―――ッ!?この動きは………!

【谷山の決意に満ちた言葉と瞳に対して、どこか賞賛するかのような言葉を紡ぎ、突進してくる彼に応戦しようとするが】
【流石に自身の狂気………そして魔の兵器哲学者の卵≠キらも力に変えたその攻撃の圧力の前に一瞬だが怯み、そして―――】
【ガキィィンッ!という音と共に小型端末Enigmaは吹き飛ばされ、砕けた。】

―――ッ!全く………これでまた一から座標式を打たなきゃならないじゃない………ハァ。
でも流石にそこまでのポテンシャルを発揮するとは思っていなかったわ―――こちらの誤算というわけね。

………けど、まだ終わりじゃないわ

【Enigmaが破壊され、ミサイルの発射がさらに先送りされた事に対して腹を立てる様子はなく、谷山を見つめる】
【良く見ると肩で息をしている………どうやら直接戦闘は得意ではないようだ、このまま押し切れるかもしれない………しかし】

【吉崎の言葉と同時に、谷山の後方から炎にまみれ所々が欠損した機械兵が、未だ異常な耐久力を持って谷山へと飛び掛かってくるッ!】
【そしてそのまま組み付いて谷山の首を絞め落とそうとするだろう―――。】

>>739

あらそうなの、だけど興味深い事には変わりはないわ―――。
そう、ここは戦場………相手を斃すか自分が斃されるかの場………それだけよ。

それは残念、では捉えてからじっくりと研究させてもらうとしましょうか………!

【息を荒げながらもエルフェスの言葉へと返答を送り、そして視線を向ける―――】
【だがその時は既にエルフェスは頭上に接近しており、素早く回避を試みるが、そのまま左目の上辺りを切りつけられる】
【額から血を流し―――息をヒューヒューと吐き出して女性は転がるように後ろへと逃れる】

グ………流石に、厳しくなってきたわね………だけど、まだよ、まだ終わらない。

                      ―――≪レッド・テイル=窿bッッ!

【そのまま引き戻した蛇腹剣を再び伸ばし、エルフェスの腹部を狙ってロングリーチの刺突を放つだろう―――。】
【伸縮速度は速いが、直線攻撃なのでサイドへの回避は可能だ………その成否に関わらず吉崎は再び蛇腹剣を手元へと戻す】

>>ALL

―――そろそろタイムリミットね………強制発射装置を起動さて貰おうかしら
発動すれば………精度がかなり低下するかもしれないけれど発射はされるわ………そうね、逆に

市街地≠ヨと着弾する可能性もある―――どう?刺激的じゃないかしら?

止めたければ、この刃の嵐を超えていく事ね―――≪ブラッティ・メアリー=窿bッッ!!!

【そう言うと吉崎は蛇腹剣をまるで騎士のように構える―――そして】
【ザシュザシュザシュッ―――!まるでツバメか何かのように、無数の刃が柄から射出され、空中を舞うッ!】
【そして刃は一瞬浮遊した後、まるで狂ったかのようにデタラメな軌道を描いて周囲の空間を埋め尽くすッッ!】

【それは吉崎と二人を隔てる刃の壁のように二人へと襲い掛かるだろうッッッ!だがこの刃の壁にも少しだが抜け道は、ある】
【そうしている間にも吉崎はミサイル発射装置のコントロールパネルへと手を伸ばそうと―――】
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/30(月) 22:49:19.14 ID:tlFeWyBko
>>740

――……気に、喰わぬ……ッ!

【意識の混濁が薄れ始めた中での、女の第一声が其れだった】
【露出の目立つ軽装と化していた鎧が、相手の挑発の最中、元の形状を取り戻していき】
【剣もまた、先までの大剣へと徐々に幅を広げていく――そんな中で、彼女は口を開いた】

明らかな、隙を得ていながら……例えどれだけ薄汚い小癪な手といえ、
軟弱な貴様が、唯一この私から勝ち取った稀有なる“隙”をッ……、何故無下にしたッ!!

【ぎり、と歯を噛み締める音。そして軋みだす鎧は、先よりもずっと重厚に――重く、厚く】
【大剣はもはや、槌のような厚みと化していた。代わりにその鋭さは、大幅に失われていたが】

この私との戦いを……ッ、貴様は、軽んじているのかッ……!!
何が“斬りたいだけ”だッ!! 貴様は確固たる意思も正義への信念さえも無く、
この私のッ……フラズグズ・スヴァンフヴィードの前に立ったというのかァーッ!!

【青年のスタンスは、戦闘に何処までも実直な女に対して、最大級の“侮辱”となっていた】
【――もはや、其処に立つのは中身の性別さえ分からないまでの、重たい鎧を纏う戦士】
【手にするは、分厚い鈍器と化した大剣。女は怒号の後、突然無言になり、その剣を両手で掲げた】

――……叩き、潰すっッ!!!

【直後、女はその剣を、ただテラスの床へと“突き立てた”】
【だがその瞬間に巻き起こるのは、凄まじい“衝撃”と“破壊”――まさに、渾身の“力”】
【それは彼我の立つテラスをも半壊させる勢いであり――尤も、物見塔や他のテラスへは飛び移る事が可能だ】

【一方――崩れ掛かるテラスの上では、砂埃に包まれた女の姿が、徐々に細くなっていく】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2013/12/30(月) 23:05:21.68 ID:oBCZYvX20
/テスト
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/30(月) 23:05:47.25 ID:2gQ8WZCV0
>>741

【男は老人の麻痺のような感覚がないことを悟っていた】
【さすがは経験豊富な老兵とすなおに認めまたこのような相手とぶつかった運命を少々呪う】
【だがそのようなことをしても状況が好転するわけでもなく】

(反論のよちねえなこれ、狂信者なのは確かだし)

【老人が言った狂信者の集団、男もまったくもって同じ意見ではあるがだまっておく】
【このようなことを言ってしまえば粛清されるかもしれないからだ】

 おいおい、なんだそりゃ自警団が開発した新装備か?
 まあ、言ったところで答えてくれねえだろうが

【鎧のように包んだ青白い炎、それを新しく開発された装備だとそう疑問視する】
【能力ならば攻撃にも転換できるだろうとそう思うからだ】
【とはいえ、まだ相手が能力を持っていないとは結論ずけられたわけではなく】

【そして老人が新たな動きを作った】
【再びこちらに再接近しようとしてきたのである】
【男はその動きを見てこちらも地面を蹴り、老人へと接近したのだ】

【徐々に近ずくふたり、そして最初に仕掛けてきたのは老人のほうだった】
【上から下へと素早く迫りくる軍刀に男が取った行動は回避であった】
【急速に強引に体を横に移動させるが相手の軍刀が早く腕に切りつけられた】
【その切りつけは浅く軽症でありまだ戦闘に支障はなかった】
【そしてそのまま横に移動したあと素早く老人の背後に向き、光の剣を切りつけるであろう】
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/30(月) 23:09:32.67 ID:3Vx4LWNYo
/*分割します、すいません!*/
>>742>>739
【人の肉体の耐久では耐えられない膂力。人間の身体能力をベースにした身体能力しか発揮できないHello Worldの限界値】
【そして、それに膨大な情報量悪意のデータ≠載せることによってシステム的にも物理的にも大きな威力を持たせた左拳】
【咆哮。右目から赤黒い光――狂気を孕むそれを吹き上がらせながら、狂気すらも掌握しながら――――振りぬく/振りぬいた】

「だぁアァアァァァアアアァァァラァッッッッッッ――――――!!!」

【固く、軽い音。地面に叩きつけられたのは――Enigma】
【これで相手の計画の一部の阻止は可能となった。それでも発射機構を完全に潰したわけではない】
【だからこそ――まだ、前へと進む。NEXT World――先を見据えながら、進む方向を前方と定義して】
【背後から迫り来る機械兵。その直後、谷山の背部の皮膚が裂け、そこからポリゴンで構成された瞳が覗き、機械兵を認識】
【現状の谷山の感覚器は、アートマン部分であればどこにでも創りだす事ができ、感知することが可能。文字通り、背中に目があるのだ】

「……ッぶね……ッ」

【がく、と無理やり脚部への命令を遮断する事で急速に己の身体を崩れ落ちさせて】
【それにより羽交い締めを回避し、前へと斃れる動作の中で肉体を休止状態から再始動、前方へと転がる行動へとつなげていく】
【何をしても激痛が奔る。皮膚の一部は炭化しており、筋肉も随所が断裂している。そして、力の反動は暫く精神の平衡すら失わせる筈だ】
【だが――生きている。だから、まだ諦められない――まだ、戦える】

「ちィ……厄介な……ッ!!」

【前転から立ち上がり走りだした谷山の視界には――無数の刃の群れ】
【それを前にしてなお、まだ諦める様子を見せはしない。歯噛みして、谷山は――両手をベルトポーチへと押し込み】
【――――引きぬいた手には、災の証/哲学者の卵が2つ∴ャられていた】

「――――ぶっつけ本番だが……ッ、往くには、これしか……無いッ!!」

【理論上は、可能だ。一つの制御よりもなお難しく、負荷が増すが――一つできて、なお脳には余裕があった】
【ならば、ここを乗り切るためには――立ち向かうしか無い。己の限界と、相手の必殺に】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/30(月) 23:09:58.14 ID:3Vx4LWNYo
>>742>>739>>746
【故に、両手に一つずつ収まる悪意の証、人生を狂わせるそれを――喜んで解き放つ事を決意した】
【全身から吹き上がる悪意、狂気のノイズ。先ほどの哲学者の卵の孵化により幸いとして2つ分の卵を孵化させるだけの分量は存在していた】



        「NEXT World=@―――― D u a l   C o r e=I!」



【襲いかかる刃の群れを前に、最後のカードを切った直後――――青年の周囲に歪みが生まれた】
【アートマン部分にびっしりとひび割れが生まれていき――羽化≠オた】
【腕部は延長され、右目――アートマン部分の眼窩には無数の小さな瞳が詰め込まれた複眼と化して】
【全身から悪意、狂気を放射して――瞳にはそれと相反する善意と理性を欠片と残した】

「――――ッう……ォオ…………ッ! ぐ……ッあああああああああああああああああああああッ!!
殺すッ……ッ! 俺の敵は……ッ、世界平和の敵は……ッ、俺の道に立ちふさがるものはァ――――ッ!!
潰す、殺す、死ね……ッ、――――ッ二度と――ッ、誰も――ッ!! ――――――お前を――ッ、倒すッ!!!!」

【悪を憎むわけではない。だが、平和を乱すものは、イタズラに誰かを傷つけるものを谷山は許すことは出来ない】
【理不尽な暴力を、理不尽な悪行を、理不尽な被害を、理不尽な戦乱を――見逃すことなど、出来ない】
【それは、それらを受けてきた≠ゥらこそのもので。谷山の正義の根底にあるのは慈愛でも誇りでもなんでもない】
【この世界に対する憤り=Bだからこそ、谷山は谷山の手段で$「界を変えようと行動し続けていた】
【GIFTと結局は変わらない。ただ、立ち位置が違うだけ。だが、違うのだから谷山は――この憤りを正義として、立ち向かうのみだ】

「――――ッ往くぞォ!!」

【踏み込む。もはや質量を持ち始めたデータの嵐を纏い――刃の壁へと立ち向かった】
【エルフェスにデータを飛ばし――回路を形成。谷山の認識している情報中、抜け道と安置だけを教えておく】
【要するに――あとは好きにしろということ。刃の軌道上、刃同士がぶつかる場所や慣性の問題で確実に攻撃できない場所は存在する】
【あとは――それらを全て認識し――全てをかわしていくだけ】

「ッ――――ーァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

【駆ける。肉をデータを、骨を臓腑を絶たれながら――鮮血を、悪意を狂気を正義を善意をまき散らしながら】
【都合数十。幸い致命傷は避けるも瀕死のズタボロとなって――拳を握りしめて――跳んだ谷山は――女ではなく、パネルに向けて拳を叩き込もうとする】
【此処に来て、ここまで悪意を背負って――最初の意志を忘れずに。データの拳はがもし届いたのならば――発射装置は正常な動作を不可能とする、筈だ――!】
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/30(月) 23:12:12.31 ID:vJoVR/gOo
>>743

───ああ、そうだぜ?

【「だから何?」と、言わんばかりに、一蹴】
【咥えたスルメが揺れて、女の思いも言葉も全て一刀に言葉の刃が斬り捨てる】
【だが、女の鎧と剣が遥かに強く硬くなって行くのを、男は悪いようには見ていない。むしろこれを望んでいたからこそ】

【嗤う。】

【女が剣をテラスに突き立て、走り回る衝撃波が石造りの家屋を壊し尽くす。崩れて行く足場を蹴って、阿保みたいな早さで高度を維持しつつ、駆ける】

まだまだ、殺す≠ノゃ足りねーや、もっともっとかかってこいよ
バカにされんのが嫌なら、真面目にやってほしーならよ───

───殺す気にさせてみろよ、オイラを

【跳ぶ、テラスが崩れると同時に男はその身を空中に躍らせ、慣性の法則のまま女へと宙を滑る】
【そのまま、まだ全容も見えていない砂埃の中へ突撃、右脚での飛び蹴りを放つ。ただの飛び蹴りであり空中動作は不可能、迎え撃つのもかわすのも容易だが】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/30(月) 23:41:55.89 ID:tlFeWyBko
>>748

【砂埃の中へ放たれた、相手の右脚での飛び蹴り】
【其れは確かに、何かへと命中した感触があっただろう】

【――砂埃が晴れた先には、“右腕”に蹴り痕の残された女がいた】
【恐らくは、右腕を眼前辺りに構えて防御したようだ。その部分の鎧が砕け、剥がれる】

【女の全身の鎧は、渾身の一撃の反動のように薄く軽い物に変わっていたが】
【剣もまた、軽く細身な、それでいて明らかに鋭さを強めた一振りへと変貌していた】

【此方はただの弱体化では無く――言うなれば、“切断特化”の剣へと変化している】
【其れを鑑みれば、防御を捨てた鎧も、鋭さを活かす為に軽量化した、と取れて】

【――相手が何処に立つにせよ、】
【崩れかけたテラスの上から女は飛び退き、他のテラスの上へと飛び移る】
【そして暫く俯いていた女だったが、やがて微かに肩を震わせ始め――】

――……ふっ。 ふ、ふふっ……ふははははっッ!!!
面白いッ! 面白いぞ貴様っッ!! この私相手ですら、本気を出すに及ばぬと言うか!!
貴様もとんだ戦馬鹿だな……私と同じだ、お前からはそういう匂いを感じる、だからこそ――

【細身の鋭く光る剣を左手に構えて、女は相手を確りと見据え】

……――貴様の土俵で、貴様と対等に、この刃を振るい……勝つッ!!

【そう叫ぶやいなや、女は相手目掛け、先までからは想像の付かない素早さで駆け出した】
【距離があるなら一直線に詰めるように、離れた別の場所なら跳躍し接近し、】
【鋭く尖る左手の剣で、相手の腹部を刺し貫こうとする――!】

【人並みならぬ素早さの相手に、同じく此方も俊敏さで勝負に出た、という事】
【だがそれはつまり、装甲の硬さを失わせており――まさに諸刃の剣だ】
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/30(月) 23:46:07.74 ID:pr0N26W+o
>>742>>746>>747


―――――――、一拍遅かったか……

【「彼女」へと向き直る、その時には既に「彼」の手の内に刀はあらず】
【先程と同じように銀色の輝きが辺りに散らばっていた、そしてそれも収束されてゆく】
【渦巻くように集まるそれは「奔流」】

まあ、それでもこっちは構わないまた交える機会が増えたと思えばそれでいいさ

【かちり、歯車の廻る音】


【その根源に手を伸ばし、引き抜く】

……再形成、そっちもいよいよ見たいだな
じゃあこっちもギアを更に上げて、ぶっ飛ばす!

【銀色の軌跡、振り抜けば空間を貪るように残す】
【己の中心を狙う蛇腹剣の切先を薙いで飛ばす、間接的とはいえ触れれば「彼女」にも分かるだろう】
【未だ輝きの中にあって姿を確認出来ないそれは文字通り「渦巻いて」いるという事が、そして――――――――否、次】

ちっ、範囲攻撃なんて厄介なマネ……!

【蛇腹剣から次々と吐出される刃の数々】
【今更形成を崩し盾に変えた所で間に合わない、手ぶらならば避ける自信はあるしかしこの状況ではそうもいかない】
【耐えるしか無いか、と半ば諦めで構えるなか】

【もう一人からの贈り物は確かに意味があったのだろう】
【谷山という彼から再びの情報を受け、こちらでも把握し頷く……】
【回避の箇所さえ分かれば、これであれば最低限の形成は可能だ】


――――――――……並べて、八つ

【刃の嵐が暴力ならばそれを防ぐ手立ては同量の守護……或いは同等の暴力】
【暴風雨の中でそれは「目的」を確かに、牙を研いで待つ】

【去れば晒されるその姿は古代の石柱を思わせる巨大な槍、八角形の白銀のオベリスク】
【便宜上は槍と表現するがそれは鈍器の性質の方が多いのは言うまでもない】
【眼前敵を再起不能になるまで叩き潰す為の武装】

始動……!

【佇む彼はきっ、と瞳を開く】
【呼応しかの柱も目覚め動き出す、微かな駆動音はエンジンのそれに酷似して】
【┣¨┣¨┣¨┣¨、とまずは低く唸るように僅かな時間を経てトップスピードに、同時に表面装甲が8つに別れる】
【赤熱した炉心を晒す吹き上がる溶岩かそれとも心臓か昂ぶるままに、装甲を浮翌遊制御させ高速での回転を始める】

あっちはあっちの役目を果たした、それならオレはオレの役目を果たさなくっちゃなあ!
覚悟する間もなく、跡形もなく吹っ飛ばす!痛いどころじゃあ済ませないっ!!

【渦巻く力の奔流は担い手により敵へと向けられる】
【突き出すように大仰に構えられたそれは「彼女」からは巨大な瞳のように見えるか】
【炉心は赤く、焼き焦がし焦がれる】

――――――――征くぞ!!

【声を契機に駆け出す】
【膨大な質量故にその一歩一歩は重い、がそれは迫る障害を叩き潰すもの】
【「彼女」へと迫る間にも兵器群や壁を無意味に吹き飛ばしながら迫るその様は、鬼のそれ】

【人が御するには大きすぎる得物は、しかし「彼女」に迫れば正しく振り上げられてただ乱暴に右から肉薄するだろう】
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2013/12/31(火) 00:09:12.65 ID:e4U2V25s0
>>745

……生憎、自警団とは管轄が少し違うのでな、交流も少ないのだよ。

【互いに敵へと近づき、接近戦に入る、二刀の剣撃をリヒトは回避、そして背後へと回り込み光の剣による斬撃】
【普通、誰でも背後は死角になっている、唯の一兵卒ならば今ので倒せたであろう】
【しかしブラックは、後方を一瞬も見ていない状態から、常人離れした技を披露してみせる】

【軍刀二本を敵が回避した後に、構わず更に下へと勢い良く降り下ろした】
【地面に刃が突き刺さり軍刀の上で逆立ちをする形となる、頭の数センチ下を光の剣が通り過ぎる】
【しかしこれは回避の為の行動ではなく、あくまで攻撃の為の行動なのだ】
【ブラックは逆立ちの状態から自身の腕力だけで、軍刀を更に下へと降り下ろす、逆さの状態ならば、それは下から上へと斬り上げる形となる】
【身体ごと軍刀を回転させ、地面を割きながらリヒトに下からの刃が迫る、地面から刃が抜ける時にも同時に砂も巻き上がる】

【回避と目潰しと同時に攻撃する技、刃が当たるならばやはり腹部だろうか】

/申し訳ありません、遅れました
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2013/12/31(火) 00:18:13.23 ID:PlOEPB230
>>746>>747

―――流石に化け物染みてるわね………なぜ貴方はそこまでして自分の正義を………ッ!
いや………そんな事道を外れた私が分かるわけはないか。

ならば超えてみなさい………その壁≠………ッ!

【機械兵は攻撃を回避されるとそのまま床に倒れるようにして、流石に限界だったのか機能を停止させた―――。】
【そして複数の哲学者の卵≠開放し、全身から狂気を纏いつつも進もうとする谷山を、どこか恐れ、そして尊敬するような眼で吉崎は見る】

【どれほどその身を、自身を犠牲にしても自分の正義≠貫こうとする谷山を、刃の嵐ごときが止められる筈もなかった。】

【―――谷山の渾身の拳が叩き込まれたコントロールパネルは、吉崎が触れる前に粉砕され………発射装置の動力も同時に消え去った。】

>>750

………っち、そっちも大技の準備が整ってしまったようね―――!
残念だけど、このままやられる訳にはいかないのよねッ!全閃刃、防壁展開へ移行ッッ!

―――がッッ!!!

【巨大な、柱を得物としてこちらへと近づいてくるエルフェスに対して舌打ちをし、額から血と汗が混じったものを流しながら】
【放たれていた刃を、自身の周囲に………まるでエルフェスが行ったように盾として形成し、柱の攻撃を受け止めようとするが―――。】

【巨大な槍、柱の蹂躙はその程度の防壁など突破する―――刃の盾は簡単に砕かれ、その奥にいた………回避行動を取る吉崎を引っかける=z
【そう、ただ先端の一部が軽く引っかかっただけ………だがそれだけで十分だった。】

【ゴシャアッ!という嫌な音を上げて吉崎は宙を舞い、鮮血を辺りに散らしながら壁へと叩きつけられ………床へと落下する。】

>>ALL

………ガハッ!………全…く………ついてないわね、こんな怪物たちの相手をさせられるなんて。
これ以上は―――継続が不可能、潮時………ね。

これでプランは………B………となったわけ………か………ふ、ふ………さらに………惨劇が生まれる道筋………か。

今回は、私たちの負け―――残念だけど、このアイアン・イーグル≠ヘ返却させてもらうわ………それじゃあ………ね。

【吉崎は血みどろになった白衣のまま起き上がり、全身のいたるところの骨が砕かれて尚―――半ば這うようにして移動していく】
【ぽつり、ぽつりと言葉を紡いで最後にゆったりと笑みを作ると………そのままテラスから落下した―――後を追ったとしても下には闇しか広がっていない―――。】
【―――こうしてGIFT≠フ国際サミットを狙った計画は、完全に打破されたのだった。】



【暫くすれば、軍の増援部隊も到着し―――弾道兵器も無事に回収され………二人にも治療班があてがわれる事だろう。】
【戦いは………終わったのだ、奪われた弾道兵器も奪還され、GIFTのアジトとされる場所も軍によって完全に制圧された―――。】

【鉄の国がGIFTを退けたという報道は直ぐになされ………それに一躍買った能力者達もまた、表彰される事だろう。】


【―――だが、ノヴァル城にいたGIFT兵の数はあまりにも少なく………依然として首謀者『W/ダブル』を始めとする主要メンバーの身柄も不明であり】
【本当にこれで終わったのか、という意見も出はしたが………奪われた兵器の奪還によってGIFT自体への脅威の認識も薄れたようである。】

            【戦士たちよ、今は、ただゆっくりと傷を癒すべきであろう―――。】

//これにてイベントの〆とさせて頂きます、ご参加ありがとうございました!
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage saga]:2013/12/31(火) 00:25:43.21 ID:/0xOMzPQo
>>752
「――――ッ」

【衝撃音。幻像の左腕はパネルに叩きこまれた直後に粉砕し――、谷山もまた崩れ落ちる】
【髪の色は白へと戻り、肉体はそのシルエットを所々崩していた】
【それでも瞳だけは煌々と輝き吉崎の行方を睨みつけ――落下した光景を、視界に焼き付ける】

「……ま、ぼちぼち……かね」

【血と泥のような液体を口から幾度か吐き出し、近くに転がる哲学者の卵をベルトポーチに仕舞い】
【転がって大の字になると――そのまま血だまりで眠り始めるのだった】
【次の日には彼の運営する個人ニュースサイトでこの事件の顛末が公開されることとなる】
【首謀者の正体など謎はまだまだ多い。――真実を、追わなければならない。そう薄れ行く意識の中、ジャーナリストは決意するのであった】

/*お疲れ様でしたー!*/
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/31(火) 00:26:34.90 ID:F+0XrhWWo
>>749

【すたり、と男が着地したのは、物見塔の屋根の上、蹴りの反動を利用して崩れるテラスから離脱した】
【女よりも少し高い位置で見下ろす彼は、燃え盛る火を見る放火魔のような笑顔で】

おーそうだよ、こいこい、やってみな
だがなぁ姉ちゃん、殺す気になるってのはなぁ───

【吼える女の声に、のらりくらりと返しながら、向かって来る姿をしかし確りと目線で追っている】
【一つ、二つ、距離が詰まる度に、段階的に構えを取る男、最終的にはよく見る居合抜きの構えそのものに】

【残り十歩、五歩、一歩───


───ザクリ】

【肉を刺し貫く感覚、互いの熱が触れ合う距離、この瞬間、互いは互いを捕まえた=z

───死ぬ気≠ナもあるって事なんだぜ?

【ジャリっとした居合抜きの音、鯉口に仕込まれた鉄火石が火花を散らし、刀身を包む酒に引火、抜いた刀はみるみるうちに炎へと包まれる】
【腹に突き刺さった女の剣は、それ自体が女を縛る楔となる、引き抜こうとするにも、腹に力を込めて締め付ける】
【刹那閃く炎の一閃、女の胴体を狙った横薙ぎのそれは、愚直に腕を開いた動きのただ斬撃】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/31(火) 00:41:49.97 ID:AOixTLRYo
>>754

【“貫いた”。その手応えを確かに感じ、女の口角が上がる――も】
【直後に近い位置で炎が上がる、火元は相手の刀で、逃げようにも剣が“抜けない”】

――……な、ッ……!?

【刹那、相手の一閃が、女の胴体を横薙ぎに切り裂いた】
【散る赤と火の粉、そして肉を焼く音、声さえ上げぬままに女の手が剣から離され】

【二階の高さ、或いは其れ以上か、其処から落下していく女は】
【微かに――ほんの微かに、笑っていた】


【――そして、地面に叩きつけられて尚も、女はよろよろと起き上がったのだが】
【相手を一瞥することさえ無く、城の奥へと逃げ込んでいく。その後には血の跡が続き、】
【追う事も可能ではあるのだが――GIFTの手の者に助けを借りたか、途中でその痕跡は消えている】

【同時に、上層階での戦いも終了し。勝者は相手やその仲間、襲撃側となった】
【逃げ延びたフラズグズと、彼が死合う日は、いずれ訪れるのかも知れず――今はまだ、分からない】

 【BattleU――勝者:吟醸】

/お疲れ様でした!
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/31(火) 00:44:26.69 ID:MgonA4ip0
>>751

【数センチで回避されしかし慌てずにすぐさま元の体制に戻ろうとした】
【しかし老兵の攻撃がきた、地面を割きながら迫る軍刀、男はすぐさま光の剣を消し自分の勘に従い体を反らした】
【だがわずかに軍刀が早く腹部を切りつけられてしまった、受けたダメージは大きかったが致命傷ではない】
【老人の回避と同時の攻撃する技、それはまさしく歴戦の兵士だからできることであろうと男は評する】

(やるが!、まだおわらねえ!)

【だが、やられっぱなしでは終わらないのがこの男だ】
【すぐさま光の剣を再展開して老人に対して肩から一気に腹部まで切り裂こうというのだろう】
【この動作が成功しようともしないともすぐさまに光を指に集めて閃光を発生させて後方へと跳躍して老人との距離をとる】

【後方へと着地したら「ごほッ!」という声とともに口から血を流す】
【だが、それでもこの男はまだあきらめてはいない、その眼は鋭く老人を見ていた】
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/12/31(火) 00:52:13.92 ID:t2uY5Lnuo
>>752>>753

(外した、か……)

【持ちだした槍はしかし中心で「彼女」を捉える事はなかった】
【しかしそれだけでも十分な戦果だったといえよう、軌跡は赤く槍は地面へと埋まる】
【冷却には時間が掛かるのか回転数は下がっているものの唸りを上げる音は留まる様子はなかった】

【武装は用いる事は出来ない、しかし敵の息の根を止めた訳ではない】
【ならば、と「彼」は敵を探す……皮膚の焼けつく匂いに顔を顰めながら武装を離し歩き始める】
【開かれたオッドアイはただただ冷たく】

見つけた、随分と良い格好になったみたいだな
……更なる惨劇?……おい……その状態で……っ!?飛び降り!?

【距離は離れている、かけ出したとしても間に合わない】
【耳に届く情報は尋常ならざるモノ、更に聞き出そうとも消えるような笑みを浮かべた「彼女」はテラスから夜の闇へと消えた】
【探したとしても先はただの黒……混沌の中には何も無い】

まだ何かを企んでる、か……
上等、その時はまた叩き潰す……今よりも激しく……

【舞台の幕はまだ降りないのだろう】
【首謀者の姿の無い組織はその爪をまだ隠したまま】
【そしてそれはいつか白日の下に振り下ろされるに違いない、その時を考えると寒くなる思いがする】
【まだ、戦いは終われない】

/お疲れ様でした-!
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/12/31(火) 01:03:23.84 ID:F+0XrhWWo
>>755

【───チン、と刀を納める音、燃ゆる焔の輝きは消える】
【ニタリと笑い返した男は、声一つあげずに腹に突き立った剣を抜き、放り投げながら歩いて行く】

【フラズグズとは対する方向へ、見えるは方々の残党達】
【瓢箪の酒を煽り、ついでに傷口に適当にぶちまけて、笑った音は高い塔から飛び降りる】

【死なば死ぬ迄、死なざば其れ迄、彼の歩みは止まらない】
【戦いに酔い、生き狂う死の狂信者の行く先には、未だ続く残党狩り】

/お疲れ様でした
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2013/12/31(火) 01:52:39.40 ID:e4U2V25s0
>>756

【ダメージとしては十分、地面に流れ落ちている鮮血がそれを物語っている】
【だがブラックはこれだけで油断する楽天家なわけではない、リヒトが再び構えた光の剣が肩へと向かえば、それを左手首で受け止める】
【無論、手首には動脈が通っている、普通なら大出血する筈なのだが、残念ながら普通では無かった】
【手首にはリストバンドの様に、先程よりも濃く燃える青白い炎が纏わりついていた、それによって刃は深くまで届かず脈の表面を切るのみに留まった】

【出血はするものの致命傷には至らず、閃光で僅かに怯んだ間に後方へと逃れたリヒトを見据えれば】
【軍刀には蒼き焔が揺らめく、そのまま一歩ずつ歩くと、数歩進んだ所で先程の小隊員が駆けつけた】

「報告します!本作戦は鉄の国協力者の者が弾頭の奪還に成功、我々はGIFT構成員7名の身柄を拘束、内過半数は交戦の為死亡!」
「鉄の国増援部隊並びに治療班の接近を確認、以上であります!」
報告感謝する、残った奴に全員照準合わせ。

【恐らくGIFTにも撤退命令は下されたはず、もしかしたらリヒトの近くをGIFTのヘリや装甲車が通るかも知れないし最悪 崖に落下するという選択肢すらある】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/31(火) 02:11:25.15 ID:MgonA4ip0
>>759

【「チッ」と男が舌打ちする】
【ここで敵の部隊が到着するとは予想外ではなくとももどかしい気持ちが残る】

 まったく失敗したかよ

【男ははきすてるように言い放った、その声音はさきほどに比べれば弱くなっている】
【血も流し、意識が混濁してきた、このまま気絶すればつかまってしまう】
【だが限界だった、もう終わりかとあきらめかけた――そのとき】

『突っ込むぞおお!!』

【大音量の声とともに東方の空に見えるのはヘリだ男を回収するために】
【そのままの勢いでここに突っ込んできていた】

『おい準備できてるか!』
『何とか』
『よし回収するぞ!』

【そして、そのヘリパイロットはボタンを押す】
【そのボタンが押されたら、ミサイルとおもしきものがリヒト達の場所に着弾する】
【そして着弾したミサイルは爆発せず原型のまま埋まった、そしてそのミサイルの部分が開くと白いスモークが噴出して回りを覆い尽くす】
【真っ白となった場所にそのままヘリは速度を落とし地面ぎりぎりの低空にする】
【そしてリヒトの場所にきたのなら、ヘリのドアから手が伸び強引にそこからリヒトを素早く回収した】
【そこから再び高度を上げて速度を上げて撤退していく】

/〆ますね
/お疲れ様でした
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2013/12/31(火) 02:36:27.57 ID:e4U2V25s0
>>760

【プロペラの音が近づき、発煙砲弾が射出され、着弾すると煙を撒き散らし辺りを白で覆い尽くす】
【ヘリがすぐ側まで接近し、敵を回収したと判断すると、統率の取れた動きで離れていくヘリに向け発砲】
【数発は弾痕が確認出来るが、落とすまでには至らないだろう】

【しかし今は数名の構成員を逃した事よりも、アイアン・イーグルを奪還した喜びの方が強い】
【皆口には出さないが、安堵と歓喜を同時に味わっていることだろう】

/お疲れ様でしたー!
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2013/12/31(火) 21:41:04.36 ID:GRMxgTn+0
【ある町の大通りから抜けてすぐの路地裏。】
【もうすぐ年越しということで、大通りでは先ほどまでパレードが行われていた。】
【それを見ていた観衆も、メインイベントのショーがある広場へ向かったようだが、残った熱気が路地裏まで伝わってくるようだ。】

【その路地裏の少し広くなったところ。】
【青く透き通る眼、銀髪のショートカット、灰色のパーカーに紺色のジーンズという容姿の青年が、木箱に座り飲み物を飲んでいた。】
【飲み物はイラスト付紙コップに入っていて、売店で買ったものだとわかるだろう。】
【熱気に浸り、心地よさそうにリラックスしている。】

はぁ〜。パレード、すごかったな。町の富豪様たち主催らしいが、いくらかけてんだろうな。
しかし…、祭りはもう十分だ。ちょっと冷めたところで話す相手がいればいいんだが…。

【楽しそうではあるものの、少し疲れが見える。】
【こんなときに路地裏を通る人がいるだろうか?もしいたとすれば、良い話し相手になるのだろうが。そう考えていた。】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/31(火) 21:51:44.94 ID:wV3dI8ge0
【風の国 郊外】

ハァ……ハァ……っ、ふぅ……ッ
……着いた…………!

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女が】
【小さめのリュックを背負い、郊外の高台に息を切らせて駆け込む】
【冷え切った空気の故か空は晴れ渡っており、キラキラといくらかの星が瞬いている】

……久しぶりだな、こうやって走るの……!
やっぱり、スッキリして……気持ち良いな……星も綺麗……

【空気に白む息を吐き出しながら、ぐい、と汗をぬぐう】
【空を見上げるその表情は、心地よく晴々としたものだった】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2013/12/31(火) 23:38:13.40 ID:wV3dI8ge0
/>>763取り消しでー
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2013/12/31(火) 23:39:27.55 ID:AOixTLRYo
【とある寺院】

【除夜の鐘が突かれ始め、年明けへも残り僅かという時間帯】
【人気のない本殿裏手の軒下、柱に背を預けて、月を見上げる姿がある】

――……何も、見えへんな。
何がある? 此の先に……――ハッ、馬鹿らし。

【黒の紋付羽織に袴姿という、櫻式の喪服に身を包んだ線の細い男】
【肩口で切り揃えた白髪に漆黒の彼岸花を差し、切れ長な目は深い葡萄色】

【男は目を閉じ、押し黙る。月を映した近くの池で、錦鯉が跳ねる音がした】
766 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 00:17:43.72 ID:bvdBQTOP0
【公園。設置された古い時計を見つめながら、ある少女がベンチに座っていた】
【さん、に、いち…秒針のカウントダウンがゼロになった瞬間、少女はベンチから立ち上がり、左腕を真っすぐ突き上げる】

―――…『あ、あけおめー!』

【白いブラウス、黒のジーンズ、茶色のローファー】
【黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳、背丈は160cm程か】
【金髪のショートヘアを、左の前髪だけ紅いヘアピンでとめた少女】

【少女は口から直接言葉を発することはなく―――その代わり、何故か喉に人差し指を宛がって】
【少女の代わりに言葉を発する副音声が公園一帯に響く。普段表情の硬い彼女も、このときは少し興奮気味だった】

――――…『いや、言う相手なんていないんだけれどさ』
『やっぱり日付が変わった瞬間に言ってみたくなる、よね…?』


―――…『あ、あれ!?もしかして、時計遅れてる!?』


【ふと手持ちの時計を見てみたらとっくに一月一日が五分以上経っていた】
【思わず声をため息をつく少女。新年早々、馬鹿げたことをやっては早速やらかしてしまったようで】
767 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 00:33:57.60 ID:UsfM/Gteo
>>766

――……寂しくないの? 一人で叫んで……というか、恥ずかしいよね?

【ざり、と砂を踏む音と共に、公園の入口から人影が姿を見せる】
【その憎まれ口は、もしかすれば相手の記憶に在ったかも知れない】
【――尤も、一年以上も前の事ではあったのだが】

……こんばんは、いや……久しぶり。 ん……嗚呼、明けまして、おめでとう?
まあ良いかな……何でも。 君に会えた事には変わりないよね……トーカー。

【それは、灰色のパーカーにジーンズ、スニーカーという、ラフな出で立ちの青年だった】
【淡い茶髪の癖っ毛に、眠たげな紺碧の目は、相手を見据えて何処か懐かしげに細められ】

【――理人。彼はかつて、彼女を「トーカー」と呼んだ青年で】
【軽く片手を上げて見せ、覚えてるかな、と零す。相変わらずぼんやりとした空気が在った】
768 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 00:50:49.09 ID:bvdBQTOP0
>>767

――――…『べっつに、寂しくないよ。恥ずかしくも…いや、恥ずかしいけれどさ』
『というか何よりも、聞かれていたのが一番恥ずかしいな…!』

【こんなときぐらいは、彼女も恥ずかしい思いをするようで。赤く染めた頬を覚まそうと、息を大きく吐く】
【一方で、聞いたことのある声に内心、複雑な思いがふつふつと溢れるのを感じた――】

【肩から振り返って、その影の正体を見定めた。声で察しはついたものの、驚きを隠すことはないだろう】
【点になった目をすぐに伏し目がちに戻して、またレコードのように声を鳴らす】

『改めて…明けましておめでとう。そして久しぶりだね、いつ以来かな…理人』

【喉に充てた人差し指、鳴らされる少女の声】
【硬く、仮面に等しい表情の反面、声色はやや懐かしむ様な気持を抑えきれていないのが分かる】
【そのどこかで、彼に対しての気まずさというべき感情も見え隠れしていたのだけど】

――――――…。

【―――彼から逃げ去ったあの時。彼はどう思っているのか察することができず、唾を飲む】
769 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 01:01:07.75 ID:UsfM/Gteo
>>768

……さあ? 僕、兄さんの事探すので精一杯だったから……今もだけどね。
ずっと会ってないんだ。寂しくて……だから、今までの事は、忘れちゃった

【いつ以来か。その問いに曖昧に答えた彼は、矢張りあの時と変わってはいなかったけれど】
【「忘れた」。そう告げた表情はその通りに平然としていて、さして気にはしていないようだった】

【ふらふらと傍に近づいて行く彼は、拒まれなければ、彼女の座っていた隣に腰掛けるだろう】
【相手の気まずさに対して、本当に彼の方にはそんな気配はなく、ただの旧知の間柄として言葉を紡いでいく】

僕さぁ……どうしても、理性より感情の勝る方だから。だから兄さんしか見えないし、他は見る気もしない
それは今も、変わっていないよ。……でも、少しは、兄さんの教えてくれた事。理解できたと、思うんだ

――……あ。 何か、飲もうよ?

【神妙に語りだしたと思えば、ふと、傍に自販機を見つけてそう提案する】
【主旨のぐるぐる変わる様子はやはり不安定なのかと思わせる要素だったが、それでもあの時のような迫る感じはない】

【――毒気が抜けた、というべきか。少なくとも、警戒に値する相手では無くなったようだ】
770 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 01:02:47.55 ID:pL2e4MTGo
【とある国―――メインストリート】

【ネオンが煌々と照るこの大都市のビル群をかき分けて盛大に花火が上がった!】

【どこもかしこも2014が跳ねまわって、静けさは何処にもない普段は車道のこの道も】
【今だけは溢れかえる人々の熱気とビールの泡でブクブクとシュワシュワと収まることがないバブル気分】
【ストリートに作られた特設のステージからはゲストの歌手やミュージシャン、DJが盛大に盛り上げている】
【しかし、盛り上がり過ぎてもう既に、輩たちが勝手にステージに登ったりして盛り上がりはマックスだ】

ハッピーニューイヤァ!!オラァ!!テメーら、かかって来いよ!BABY!

【その一際目立つ男、DJブースに乗り込んで勝手に曲をかけまくっている】
【背の高い黒髪の男だ、サングラスをかけていて、黒いスーツに赤いシャツ】
【しゃがれ声でマイクで集まった人々を煽りまくっている。その隅で本物のDJという風な男は呆然としている】
【ビール瓶片手にターンテーブルを擦りまくってそのセンスはなかなか悪くない】

『おい!!自警団来たぞ!』

ああ?!馬鹿野郎!退けッ退けッ!じゃーな!ハッピーニューイヤー!

【自警団か警察か、わからないがサイレンと赤いランプが迫ってくる】
【ステージの輩たちは皆散り散りに降りていく。DJブースの馬鹿野郎もマイクに一言喋って】
【ビール瓶を握ったまま人の集まるステージ下にダイブしていった】
【人混みにもまれて暫く行方不明。数分後、人混みから街路樹のしたで座り込んでいた】

うえっぷ……テンション上がりすぎて吐き気がすごい…水飲みたい

【人にもまれて来たからか手ぶらでヨレヨレのスーツ姿。うなだれいた】
【さんざん目立つことをしていたのでいい意味でも悪い意味でも新年早々捕まりかねない状況だ】
771 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 01:25:33.03 ID:bvdBQTOP0
>>769

【落ち着いた口ぶりの理人を前に、思わず、頑なだった唇を開いてしまった】
【今日二度目の驚きは、どうにも隠しきれるようなものではなかった】
【彼がベンチに座るのを、ただぼーっと眺めて、彼女は話に耳を傾ける】

――――…『そう。君は、変わったね。どこが、とは上手く言えないけれどさ』

【今日の自分は、思ったより言葉を紡げない。なんとなくそう思った】
【驚きからなのか、安堵からなのか、呆気にとられたのか。どうにも、彼女には分からないが】

―――…『うん、そうだね。流石にこの時間だと、ちょっと冷え込むし』
『ああ、今日は奢るよ…飲みたいものは何かな?』

【寒そうな格好をしているせいだとも思うが――。理人の提案に、考えることもなく了承の意を示す】
【自販機に向かって立ち上がったなら一言、理人に向かって簡潔に問うだろう】

【自販機の前、ふとトーカーが呟く―――口を開けることない、いつもの話術で】

――――…『大切な人が、出来たんだね。きっとそれは、いいことだ』
『さっき言った通り、私にはそんなものいないからさ…少し羨ましいよ』

――――『早く、見つかるといいね』

【話しながらだと右手が塞がる。それでも手慣れた動作で、自販機に小銭を入れる】
【すぐに、自分の分の温かいミルクココアを選んだら、ガタンと音を立てて落ちてきた】
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 01:31:19.65 ID:ADX87X+f0
【街中――大広場】
【月のない真っ暗な空なんてどこ吹く風、今宵のこの場は、ひどく明るく照らされては盛り上がっていた】
【なぜかと言えばニューイヤーイベントと称した祭りが開催されているから。昼のように明るい中に、ひとが溢れていた】

【広場の真ん中には何かライブをしている特設会場があって、知らない音楽が辺りに響いては、場を盛り上げて】
【色とりどりに並ぶ屋台はまるで宝石箱を引っくり返したようにたくさん。様々な匂いで、周囲を包んでいく】
【空へと向けられたライトは空飛ぶ鳥を照らし出して、何事かという風に、鴉が一羽「カァ」と鳴いていた】

【――舞台はそんな賑やかな騒ぎからは少しだけ離れたところ】
【同じ広場の中でも少し歩かなければたどり着けない場所、大きな噴水の、その周辺で】
【賑やかさは十二分に伝わってくる。けれど一歩引いた落ち着きに包まれた、そんな平穏の中――】

……――おいしい。

【かろりと噴水の淵に踵の高い靴を転がしたような音がして、そっと呟いた声は、鈴の音とよく似たおとをしていた】

【真っ黒色の髪は腰ぐらいまでの長さ、黒いお花のコサージュを飾って、そのまま真っ直ぐ下ろされて】
【黒と赤のオッドアイは嬉しそうに/楽しそうに細められ、その耳元で光るのが、宝玉の欠片をあしらった右耳だけのピアス】
【ふわり拡がる袖のワンピース、段のフリルをあしらったスカートにはたくさんのパニエが詰め込まれて、膨らんで】
【フードのついた長いケープを羽織っていた。それで華奢な身体のラインを隠して、風を孕んでそっと揺れる】
【座って尚まぁるく膨らむスカートから延びる足元は単色のタイツと爪先の丸い踵の高い靴に隠しこまれ】
【ぱくと夜更かしに何か摘む左手の薬指には、銀色の指輪が嵌められて――そんな、少女は】

一緒に来れば良かったかな……。

【離れた場所の特権。盛り上がりに盛り上がる場所を少しだけ醒めた目で見つめながら、そう呟いて】
【少しだけ退屈を持て余したように、寂しさに擦り寄られたように、そっと周囲に視線を巡らせた】
773 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 01:43:39.48 ID:UsfM/Gteo
>>771

うん……変わったかも知れない。 あ……、良いの?
……ふふ、ありがとう。 そうだなぁ……君と、同じものが良いな

【女の子に奢らせるとは、と一瞬迷ったように見えたが】
【結局は好意に甘えて、彼女と同じものをと頼む。そんな所も、随分丸くなったようだった】

大切だよ。僕の存在意義さ……死にかけていた僕を助けてくれた、ただ一人の人。
兄さんは……組の頭だったから、慕う人はたくさんいて。僕だけに時間を裂けない事も、ちゃんと理解したよ
会えなくて寂しいけれど、兄さんも寂しいから。 だから僕も我慢、してるんだ……ふふ、偉い?

【“兄さん”を追い続けているのは変わらないが、そこにもうあの病み切った不安定な追い方はない】
【年よりも幼いような印象であるのは、元からなのだろう。屈託なく笑う顔も、彼女にとっては意外かも知れず】

【彼は徐ろに立ち上がれば、手が塞がっている彼女の代わりに、自分の分を受け取ろうとし】
【――「ありがとう」と、もう一度口にして微笑む表情は、矢張りとても穏やかなものだった】

……ところで、さ。 君の話も聞きたいな、『喋り屋さん』

【ミルクココアを手にすれば、暫く空けないで手を温めながら、理人はそう問い掛ける】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 01:52:23.27 ID:i+V05GN0o
>>772

【シンとした夜更けから、まだ日も出ていないのに騒ぐ正月へ――】
【毎年見られる光景で、そして誰しも何となく高揚を理解できるそんな元日、だが】

(やっぱ出てくんじゃなかったな……素直に寝ちまうべきだったか)
(祭だ甘酒だって柄でもねぇし、雰囲気に乗せられて出て来ても寒ィだけだってのに……)

【素直にそれを楽しめない者も居る。それが今宵この時、かつんと靴音を立てて広場に現れた人物だ】
【黒い毛皮のロングコートに同色のロシア帽、それから手にはカシミアの手袋と高級尽くめ】
【それにブーツと、白の瞳。赤い髪だけが際立った、長身の女性であった】

【特に祭りの食べ物や飲み物も持っていないところを見ると、喧騒は苦手なのだろう】
【行ったはいいが手ぶらで人を避けて、結局此処へ――そんな様子が容易に想像できる】

……………―――――こんばんは。……いえ、こんにちは?
新年って、いつも時間の感覚が無くなっちゃって困るわね……久しぶり、覚えてくれてるかしら?

【さて――そんな彼女が少女の目に留まって幾時もしない間に、軽く左手を振って言葉をかける】
【あいも変わらず良い所の令嬢か、それに近いような立ち居振る舞いが際立って】
【そのままゆっくりと歩いて少女に近付いていけば――それだけで楽しげに、小さく笑うのだった】
775 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 02:02:00.23 ID:PlqIXTMgo
【路地裏】

【新年の祝福ムードも、ここまでは届かない。相も変わらず澱んだ闇の底】
【しかし、その中でしか生きられない者たちもまた、確実に存在する】


……新年、か
まったく、時間が経つのが年々早くなってくるな

【路地裏の住人でありながら、世俗じみた独り言を呟く男が一人】
【身長2メートルを超えているであろう、大男だ。薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角ばった顔つきに短めに切り揃えられた黒髪。その隙間から見える額には、面積いっぱいを埋める一つ目が存在した】

【見れば、両耳も奇妙に黒ずんで歪み、両手の親指も黒く染まって他の指よりも細長い】
【異形と形容すべき姿。路地裏に打ち捨てられた、朽ちかけた木箱に腰かけて】
【この記念すべき新年を迎えた時に、一人闇の内に沈んでいる】

【大男がいる空間は、複数の道に繋がる開けた場所であり、大男は壁を背にする形で座っている】
【誰かがここに来れば、互いにその存在に気が付くことだろう】
776 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 02:06:34.90 ID:bvdBQTOP0
>>773

【「了解」とだけ紡げば、彼女はもう一本ミルクココアのボタンを押した】
【その声色はどこか、嬉しそうだったように聞こえるかもしれない。奢りたがりなところでもあるのか】

――――…『ふふっ、偉いよ。偉い偉い』
『そうか…いい人に巡り合えて、よかったね…。なら、次に会えた時には、うんと甘えなければいけないね』

【なんというか、前より幼い様子に思えてしまったもので、子供に喋るかのような文章になってしまった】
【それでも何故か、不思議と間違っている気がしないのは――これが彼の本当だからなのだろうか。彼女はなんとなくそう思う】

【そして、後ろの彼にミルクココアを手渡すのだろう。彼に一本手渡すと同時に、押し黙って】
【少しだけ、考え事をしてから、彼女はベンチへとまた戻る】

――――――…『私の話、か。そんなことを言われたのは、ちょっと久しぶりだな』
『それで、私はどんな話をすればいいのかな。希望があれば、どうぞ?』

【いつもとりとめない詭弁ばかりの彼女にとって自分の話、というのはいささか苦手であった】
【とはいえ、注文されたならきっと彼女は語りだすのだろう。どんな話であったとしても】

【無表情を解いて、『喋り屋』は静かにほほ笑んだ。喉から離した右手で、ココアのプルタブを開ける】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 02:14:45.27 ID:ADX87X+f0
>>774

【――お祭ごとが好きだった。楽しそうにしているひとたちに紛れていれば、それだけでなんだか楽しくって】
【それでも賑やかすぎると負けてしまう。あの賑やかさの中に居続けるには、少しだけ元気の足りない性格】
【だから、ここぐらいがちょうどいいと流れ着いた。そんな理由は、少しだけ、相手とも似ていたのかもしれない】

…………――アナスタシアっ?

【たくさんのひととひととひとを眺める視線が、一度は通りすがりかけて、けれどきちんとその姿を見出した】
【見知らぬひとばかりの中では見知った姿は良く目立つ。ぱぁと嬉しそうに笑顔を咲かせれば、寂しさなんてどこへやら】
【さっきのが最後のひとつだった。甘い甘いベビーカステラの入っていた袋をぎゅうと握りつぶせば、立ち上がって】
【ごみ箱にぽいと投げ込めばそちらへと歩いていく。秒速で“そう”だと確かめれば、余計に嬉しそうに表情は変わって】

こんばんは、久しぶり――覚えてるよ。忘れるわけ、ないもの……、――

【たまたまふたりがこの場に居た奇遇を。このひとごみの中で出会えた偶然を。喜んでいるのだろう、表情に浮かべながら】
【ぺたと胸の前で両手を合わせながら、そう言葉を紡いでいく。――やがて、その視線は彼女の腕へと移ろうて】

――手、だいじょうぶ? おかしなところとか、ない……?

【流石にこのときばかりは表情も少しだけ変わる。喜色をそっと裏に隠しこんだ、心配するようなものへ】
【自らが創り出した腕が彼女に何か悪影響を与えていないものかを気にしたのだろう、出歩いているなら、と思いはすれど――】

【――彼女の作った腕は、何にもなければ大した変わりもないはずだった。ただ、少し、消耗だけ感じさせて】
【そんな変化も今宵彼女と出会えたなら、改善するはずのこと。他に何か気になることがあれば、言ってやるのがいいだろうが――?】
778 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 02:17:12.53 ID:UsfM/Gteo
>>776

本当? ふふっ……うん、また会えたら、一杯甘える。
離れていても……ほら、この指輪が、一緒だから。信じて、待ってるんだ

【そう言って彼女に見せる左手、薬指には、黒いルナトリウム製の指輪が嵌められている】

【――いつか、彼女に左指に嵌めるように言われた指輪だった】
【尤も彼はその時の記憶が曖昧で、その理由までは覚えてはいなかったのだが、】
【どうやら“兄さん”とのペアリングであるらしく。愛おしげに撫でてから、漸くココアの缶を空けた】

【ベンチに戻れば、彼は両手で持った缶の中身を少しづつ、時折冷ましながら飲んでいく】
【悩んだ様子の彼女に不思議そうにして、相手がプルタブを開けてから、再び声を掛ける】

トーカーの……帰る場所、は? 大切な人がいないなら、場所でも、思い出でも。
そういう物は、ある? 君が寂しくならないような、温かいものは。 ちゃんと、ある?

【――心配、しているようでもあった。何処か、相手の様子を寂しげだと感じ取ったのだろう】
【どうしても感情が先んじる彼は、それ故に率直に不躾に、そう問い掛けた】
779 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 02:26:47.58 ID:pL2e4MTGo
>>775

【新年のハッピーを大分、エキセントリックな形で浴びた人間】
【その表側の中心で台風のようにかき乱した人間が本当に表の人間であるとは限らない】

……ッッ!!はぁ……ハァ……!

【路地裏を奥へ、奥へと走って行く一人の影。凍えた水たまりを黒いブーツが踏む】
【その影は息を切らせつつ、たまに後ろを振り返りながらマルボロの臭いをまとっている】
【飛び出たゴミ箱を蹴っ飛ばして、躓きながら角を曲がる。よろけて手をついてシャッターの赤錆が袖に付いた】

……ったく、新年早々…

【真っ直ぐ走ってきた男は息を切らせながら後ろを向きつつ歩いている】
【高い身長、それ反比例する如く痩せた体躯。…黒髪にとんがったような鼻】
【そして夜にもかかわらず掛けているサングラスが特徴的な男。手に水の入ったペットボトルを握りしめている】
【黒いスーツも赤いシャツも揉みクシャになっていて、何か一悶着があったのは簡単にわかる】

こういう時ぐらい見逃せって………っと、悪い……ん?

【前を向いて、目の前に居る大男の存在にようやっと気がついた。ぶつかりそうになって驚いたように避ける】
【自分より高い背丈の相手の姿、格好を見れば反射的に少しびっくりしたような顔をしたが】

……あっ!……あー……待って…アンタあれだろ?前にあったよな……
カノッサの……ゴメン…カノッサの…ここまで出かかってるんだけど…

【路地裏で誰かに追われてるサングラス野郎。デジャブなシチュエイションだがキャストは似ている】
【うろ覚えの人違いの可能性もかなり高いがカノッサとわかっている時点でただの一般人ではなさそうだ】
780 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 02:34:49.68 ID:kfhKQ2b1o
【とある国の酒場】

【街中の白熱は迎えた新年0時にピークを迎えたものの、未だ通りは喧噪に溢れている】
【騒ぐ若者、酔っ払うサラリーマン、取り締まりの目を光らせる自治組織…………多種多様だが、熱気を帯びているという点ではどれも同様であって】
【その熱気に着火――あるいは放火――した原因のひとつが、この身体の芯まで響くような激しい音楽であるのは間違いない】
【ストリートパフォーマーが徒党を組んで、突発的にライブを行っているのだ。普段は咎める側の大人も、いまは酒気にまみれて騒ぎ明かしていた】

いいぞーーー!!もっと飛ばせぇーーー!!!

【その大通りを見下ろせる酒場の二階から、手当たり次第に野次を投げ込みまくっているこの女も、間違いなくその同類であった――――】
【褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、二十代ぐらいの女である】
【髪型は活発な印象のセミロングで、長い後ろ髪をたてがみのようにハネさせたワイルドなアレンジが加えられていて】
【服装もまたワイルドなもので、上は暗い赤色のチューブトップと白色で丈の短いファー付きコートを合わせたヘソ出しの格好】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツという、冬真っ直中だというのにやたら露出度の高い格好だ】
【ベルスリーブのコート袖から僅かに覗く手にはバンテージが巻かれており、それも彼女の野性的な印象を強くしているだろうか】

ちょぉーーっと、だらしないわよぉ! あんたの方から声掛けて来たんでしょーが、もっと付き合いなさいよこらぁぁーーー!!!

【左手にはビールジョッキ。右手には青い顔をした男の頭。褐色の頬は赤らんで、金色の目は獲物を睨む鷹のように危なく据わっている】
【この女、無自覚なのがより質が悪いのだが、肌の露出に釣られてきた男に無理矢理大酒煽らせて潰すという食虫植物のような悪癖がある】
【いま頭を小脇に抱えられ、頬に当たった胸の感触すらもはや吐き気を促進させる材料にしかならい程に追いつめられた男も、その被害者だ】
【女はノリにノって、音楽に合わせて腕をぶんぶん振り回す。男の意識は瞬時にして遠心力と酒気の彼方へ吹っ飛んで、ごとりと地面に転がる】
【最初こそ意気揚々と女に突撃した残る仲間の男達も、今や猛禽に射竦められたように身体を縮めて、ただ女の罵声に肝を冷やすばかり】
【女は不機嫌そうに口を尖らせて、周囲をじろりと見渡す。次の獲物を、探しているのだ】

【果たしてこの女の暴走、勇者が現れ止めるのか。それとも朝になって、店主が半泣きで嘆願するまで続くのか――――】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 02:43:36.14 ID:i+V05GN0o
>>777

【自分がそうするように彼女が近づいてくれば、またひとつにこりと笑い】
【鈴音の言葉に続いて左手の手袋を外せば見えるのは、見えるのは遜色ないかの手があって】
【人の肌の色とは違っていたが、しっかりと五指も動いていたし――】

……そう、覚えててくれたのね。なら良かった、まだお友達で居られそう。
手は……少し重いような気もするけど大丈夫、ありがたいわ……本当に、ね?

……ね、鈴音。何処かベンチとか、落ち着けるところに行きましょう。
私、貴女に話しておきたいことがあって……それに、気になることもあるし――

【――その五指の一つが、少女の左手の薬指を指してまた、くすりと笑いをこぼす】
【ところが一方ではどこか思うところのあるような雰囲気もあって】
【少し遠くの喧騒もあるからか、その真意は掴みづらいけれども――ふと、左手を差し出した】

【それはつまり、男性が女性をエスコートするようなもの。同時に左手の無事を直接確かめてもらう事にもなろうか】
【彼女がその手を取ったなら、歩調を合わせて街灯の下のベンチへ向かうことになるだろう】
782 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 02:43:38.22 ID:bvdBQTOP0
>>778

【あの指輪は――――薬指に、というのは少しきになったけれど、あの時の指輪で】
【その人が大切に使ってくれるのが、彼にとっての本望だろう。指輪を嵌めるべきだったのは自分ではないのだ】
【対になるべき人が見つかって彼も、指輪も満足だろうと、そう思考した】

――――…『帰る場所、帰る場所か。家というより職場だからね、今私がいるのは…』
『そうなると、帰る場所っていうのとは少し、ニュアンスが違うのかな』

『それに、周りの人は勝手に居なくなっちゃうからね…こんな世界だから』

【どうにも、彼女には難しい問いだったのか、少しだけ悩み始める少女】
【この世界だからいなくなってしまう、その意味はきっと――――――】

【ココアを口に運び、考え始める。少しばかりの静寂】

――――『ああ、けど…私にはみんながついているよ』

【突然、静寂を切り裂いて呟いた彼女は、自分の喉に当てていた指を取り換えた】


――――――…『魔術のお師匠様が居て』

            【親指を喉に宛がい、渋めの中年の声が響く】

――――――…『孤児院時代の友達が居て』

            【人差し指で喉を触れて、可愛らしい少女の声で紡いで】

――――――…『その時好きだった、初恋の先生がいて』

            【次は中指がレコードの針となり、ハスキーな青年らしい声へ】

――――――…『ずっと一緒だった弟が居て』

            【最後――小指を喉に宛がったのなら響く、幼い男の子の声が鳴る】


―――『私が温かくなれる人は、思い出は、場所は…ずっと私と一緒に在るよ』
『私が死んでしまってもずっと、彼らは私のそばにいるの』

【最後―――彼女の代わりに鳴らされた『友人』の声】
【大勢の声に囲まれながら、幸せを謳う彼女の表情は――――寂しげにも見えて】

【彼女の、能力は――― 一体】
783 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 02:45:41.67 ID:PlqIXTMgo
>>779
【走る足音。水たまりを踏む音。ゴミ箱を蹴飛ばす音】
【それらを歪んだ耳で捉えた大男は、木箱からゆっくりと立ち上がり、その音のしてくる方向へと単眼を向けた】
【足音が近付いてくれば、漂ってくるマルボロの臭い。こちらに向かってくる】

(……この男は、確か……)

【やがて、彼が姿を現した。息を切らせる、痩せた長身の男。とんがった鼻にサングラス】
【乱れた服装、口から洩れ出でる言葉。見覚えのある姿に加え、状況まで依然と似ていた。すぐに、思い出した】


……久しぶりだな、チンザノ=ロッソ。相変わらず、仕事熱心なようだ。新年早々、またも誰かに追われているのか
千里眼のトラッカーの一味からは、無事に逃げおおせたのかね?

カニバディール。カノッサ機関員のカニバディールだ
あれからずいぶんと間が空いたからな。忘れてしまうのも無理はあるまい

【こちらに気付いて反射的に驚きを見せる男、ロッソに大男、カニバディールはその場から動くことなく語り掛けた】
【悪党ばかりを狙って強盗を繰り返す、赤目のお尋ね者。以前も、こうして逃走中の彼と出会ったことを思い返す】


しかし、今度は何をやったんだ? 新年最初の夜から、早速盗みにでも入ったのか?

【単眼が、乱れた服装と握りしめられたペットボトルを順番に眺める】
【無遠慮な視線ではあるが、ロッソに対して敵意を持つような様子は見せず】
【ただ、静かな声で問いを発した】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 02:58:21.36 ID:ADX87X+f0
>>781

【冬場の厚着は少しだけ嫌いだった。ごわごわするばっかりで、見たいものも見せてくれないから】
【――だから。手袋を外して見せてもらえれば、それでやっと安心したような顔をするのだろう、ふわと笑い】

【(けれど、ひとのそれとは違う風にしか作れないことに、少し――申し訳なく、思った)】

忘れないよ、大丈夫かなって、思ってた――……。
重たい? そっか……、――。

【ひとに腕を作るということ。どうしたって初めてなら、やっぱり不安と思うところは少なくなかったのだろう】
【どうやらひどいことにはなっていないらしいと安心していた。だから、重たいといわれた時には僅かに眉を顰め】
【どうしたって自分とは違う異物。重く感じられるのは仕方ないのかもしれないけれど――どうしたものかと、黙りこむなら】

あっ……、うん、……外で大丈夫? あっちのお店とかね、今夜はずっとやってるみたい――。

【――少しだけ反応が遅れてしまった。目をぱちくりとして、“話しておきたいこと”、心当たりを探ってみるが、何もない】
【ほんの少しだけ表情に不安そうなものを混ぜ込みながら頷くのだろう、その裏で、隠すようにちょっぴりの覚悟を決めながら】
【指された指をほんのちろりと見つめれば、“気になること”が何なのかはきっと理解した。僅かにきょとんとした後に、笑って】

【差し出された手を右手でそっと取る。ベンチへ向かうならベンチまで、店屋に向かうならば、素直に従って】
【普段と違って道にまで席を出すカフェは外の賑わいとは対照的に中は静かになっているようだった。話をするとして、悪くはない】
【けれど結局は相手の判断に委ねられるのだろう。どちらにせよ辿り付けばそっと腰掛けて、――相手の話すのを、待った】
785 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 03:02:17.93 ID:UsfM/Gteo
>>782

【――彼女に指輪を渡そうとした事を、矢張り彼は記憶していないようだった】
【ただ、トーカーとの邂逅の直後に生物兵器に取り憑かれ、それが巡り巡って“兄さん”へと繋がり、】
【その結果として今は彼と、その大切な人の間に指輪がある。そんな話を、掻い摘んで聞かせるだろう】

【相手の答えを聞けば、彼は難しそうな顔をしつつも、その先の言葉を待つ】
【そして――4人の声と、その正体に、目を見開いて押し黙った。……少しの後に、漸く口を開き】

……そっか。そんなに傍に、いるんだね。一緒なんだね……
けれど……寂しそう。トーカーは、寂しそうに見えるよ。

傍にいてくれる“彼ら”の為に……、君は、笑っていないと。そう、僕は思う
君が笑っていたら、“彼ら”も、きっと嬉しいよ。……だから。君の幸せを、探して?

……――僕で良ければ、力になるから。

【自分が“彼ら”なら、今の彼女の寂しそうな姿はきっと望まないと思った】
【言葉に表すことを難しそうにしながらも、理人はそんな思考を、懸命に相手に伝えようとしていて】

【添えた提案は、何が彼女の寂しさを除いてくれるかは理解らなくともと、心から思う言葉だった】
786 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 03:14:43.56 ID:pL2e4MTGo
>>783

【切れた息を整えつつ、ペットボトルのキャップを捻ればそれをゴクゴクと飲む】
【一息ついて、キャップを閉めてそれを足元に置いた。壁に背をつけてズルズルとしゃがむ】
【シャツのシワもスーツの汚れも気にしないようだが追手を気にするようにきた道を少しの間見てる】

ああ…そうだった……そうだった……悪いな、カニバディール。
仕事熱心のやつらが多くてな…年が明けようとも単なる乱痴気騒ぎにしか思ってないらしい
……前の奴らはどっかに消えたよ。契約が切れたんだろ?…変わりはいくらでもいるし…俺の知ったこっちゃない

【ジャケットをあさって内ポケットからクシャクシャになった煙草のソフトケースを取り出して】
【一本煙草を取り出せば箱を戻して、オイルライターを取り出す。親指の腹で擦れば大きめの火を点けて】
【煙草の先に翳せば、バフッと白い煙を吐き出してダルそうな表情を浮かべたままライターはポケットに仕舞った】

なに、夜は眠れないだけさ。年明けて馬鹿みたいにそこら中で騒いでるからね、下手くそなリミックスが聴こえたから
俺が変わりにやってやったら……まあこんなことはいい…盗みに入るのも悪かないが最近は意外と相手も手強くてね
アンタラも…もうちょっと派手にやってくれないと…俺もそのお零れに預かってる1人なんだ。GIFTみたいに国の1つでも
狙って欲しいもんだ…資金不足か?だったら人を分けてくれたら俺のとこで………っと、そうだミスタ

【何かを思い出したようにピクッと眉を動かせば、またポケットを漁り始めて】
【何の変哲もない小さい手帳を取り出せばページの間に挟んでいた折りたたまれた小さいメモを差し出す】

ヘイ、ミスター。美女がラブコールをお望みだってさ……元、NO.3からの使いだ

【中を見てみれば電話番号だけが書かれていることだろう】
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/01(水) 03:18:29.19 ID:i+V05GN0o
>>784

【鈴音の提案にはて、と足を止める。思えば新年、普段は閉まっている店も開いていて】
【それでも時間が時間だからだろう、人は少ない。外でも喧騒は変わらないか、と思い変えれば】
【より暖かで、飲み物もあるそちらの方へ。席に付けば、前の時と同じものを頼むだろう】

【アナスタシアはマスカットティー、鈴音はココア――勿論、温かいか冷たいかは選べるだろう】
【そして、ガランとした店内を表すようにそれらがすぐにテーブルへと置かれれば――】

ふぅ……こうして新年を外で過ごすことって、あんまり経験がなくて。
店員さんも大変ね。こんな時間に、家族とも居られないし……

……それで?前にあった時は、その手には痣みたいなモノがあっただけだったと思うけど
婚約かしら、それとも……?どちらでも、おしゃれでしてるのでなければ、良いな、って。
気になることっていうのは、ソレね。大事なお友達だもの、聞いておきたいでしょう?

【――まず、話すのは彼女のことではなく少女のこと。先に指さした通り、指輪のことで】
【それが何を意味するのかを尋ねたのだ。相手が何歳に見えるとか、それは抜きにして。】

【だが一方で――先に話しておきたいこと、というのを言わない辺りに妙がある】
【言いづらいのだ。思い切って伝えたいとは言ったものの、その後に気持ちが続かないようで】
【何となく、言い表すなら悩みのようなものを感じられるだろうか。左手に持ったティーカップが口元へと運ばれて――。】
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 03:19:45.24 ID:i+V05GN0o
/テストっ
789 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 03:36:39.83 ID:bvdBQTOP0
>>785

【巡り合いの話、それが随分近い時間での出来事だったらしく、少し驚いた】
【色々あって結果、彼がこんな風に生きているのだとしたら、それはきっと素晴らしいことで】

【喋り屋は独り、自分が信じていた自分自身に突き放されたような感覚を受けた】

―――――…『私が、寂しそう…?』

【彼女は自分の持っていた雰囲気の何かしらに、気づいていなかったらしい】
【思ってもいなかった彼の一言に、少し、複雑な思いを抱いていた】
【自分は、寂しかったのかな――――思考を巡らせれば、彼らの顔が浮かんでくる】

【―――どうにも、割と彼女は涙脆いのかもしれない。何かに気づいたように目を伏せる】
【顔を下に向けて、表情を悟られぬよう…彼の言葉の一言一言が心に染み込んで、涙腺が痛む】
【こういう時に限って、昔のことをよく思い出す。普段ならば、思い出そうともしないのに】

【少しだけ俯いた少女の表情は、彼からは見えないだろう。ふと耳を済ませると、小さく何かを言っていた】

――――――――――――…あ、ぁ、り…とぅ…っ

【そんな声が彼に届いただろうか、今までの四人とは違う、もう一つの声が】
【届いたとて、意味は分からないかもしれない。そんな消え入りそうな、か細い声】

【けれど彼女は確かに、理人へこう言ったのだ―――――「ありがとう」、と】

―――――…『駄目だね、私は。礼を紡ぐのだって、彼女の声を借りなきゃ出来ない』
『君が頑張ってるのに、私がこれじゃあ、ね…あの人たちに、顔向けできないや』

【困ったように笑いながら―――せめて声だけでも、寂しくないように明るい調子を作って】

―――『一つだけ、いいかな。私がこんなこと君に頼むのはすんごい、変なことなのかもしれない』
『虫が良すぎるかもしれない、我儘だけれど、それでも君には、頼みたい事なんだ…』


――――――――――…『私の、友達になって。友達でいて』


【顔を上げて、彼へと向けた真っすぐな瞳は、どこか潤んでいただろう】
【自分の声を出す勇気もない、そんな人間はきっと―――ずっと独りで生きてきたのだ】
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 03:43:47.34 ID:ADX87X+f0
>>787

【――立ち入った店は安心させるようにふわりと暖かで、微かに甘い匂いがする】
【席に着けば店員にホットココアを、と告げ――「今日はわたしの奢りだからね」と、念押すようにアナスタシアへ】
【覚えていたのだろう。前回会計をどうするかで揉めたこと。交互に奢りあうことにしようと決めたこと】

【水面にたっぷりの生クリームを乗せたココア。ぎざぎざに掛けたチョコレートの網目を、スプーンで一度壊してから】

……それは大変だなって思うよ、わたしだって……年が明けるまでは家に居たもの。
帰るのだって大変になっちゃうのに……って。――大変そうだから、わたしには出来ないかも。

【――くすくすと笑いながら、これを置いて行った店員のことを思って、少しだけ同情してみせる】
【それから。ふうとココアの水面を吹いて、唇を湿らすように微かに飲み込んでから、】

ん……、結婚したんだ。クリスマスの日にね、貰ったの。
お父さんだったんだけど――旦那さんになっちゃった。……ちょっとね、変な感じ――。

【かたん、と。カップをソーサーに戻す高い音がして、唇のクリームを舐め取った間をそっと埋める】
【それから紡いでいくのは凡そ予想通りとも言える内容だろう。どうにも最近に貰った物らしく】
【くると回すようにしながら指輪を弄ぶ、――まだ、少しだけ、そこにそれがあることになれていないような初々しさは】
【――けれど続いた言葉の異質さに負けてしまう。何気なく告げたことは、なんてことなく“ちょっと”どころではなかった】

【(それでも。話す声も、表情も、指輪を撫でる指先までもが――総て、しあわせで満ち満ちていた)】

とっても素敵なひとなんだよ、セシルって言うんだけど……、……?

【ふわぁとほどける表情はココアの甘さだけではないだろう、それよりもずっとずっと甘く、蕩けてしまいそうに笑って】
【「会ったことある?」と尋ねるように語尾が持ち上げられた。ふふと笑みの零れてしまう口元を隠すように、カップを持ち上げて】
【また飲もうとしたところで、ふと。気付くのは、何か悩みでもあるかのような――そんな、様子で】

……どうしたの?

【――かちゃん、カップが机へと戻される。笑みながらに首を傾げるなら、言ってもいいのにと伝えるように】
【まだ話を逸らしていたいというなら雑談にも応じるだろう。ゆっくりと――話してくれるときを、待とうとしていた】

/すいません、眠気がひどいので、後日にしてもらうことは可能でしょうか……?
/一応今日でしたら夜頃には再開できるかと思うのですが……
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 03:50:46.44 ID:i+V05GN0o
>>790
/勿論です!言い出したのはこちらなのに御返事遅くて申し訳ない…!
/一応三が日はほぼ空いていると思うので、また都合のいい時間に声をかけて頂ければっ
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 03:55:17.41 ID:ADX87X+f0
>>791
/いえ、そんなことはないのですよっ
/ありがとうございます、とりあえず今日の夜は暇だと思うので帰れ次第連絡しますー
/ひとまず今日のところはおつかれさまでした!
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 03:58:30.13 ID:i+V05GN0o
>>792
/了解です、ではまた夜あたりにっ!一旦、お疲れ様でしたー!
794 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 04:05:17.75 ID:PlqIXTMgo
>>786
【ペットボトルの中身を煽り、地面にしゃがみ込んだロッソの視線を、カニバディールの単眼も追う】
【服の汚れなど気にしていては、裏稼業人は務まらないだろう。カニバディールの関心も、追っ手の有無の方に向いていた】
【気配がない、と悟ると、再び眼前のロッソへと一つきりの視線が戻る】

気にせずともいい
せっかくの新年だというのに、いや、だからこそ稼ぎ時、という連中もいるのだろうな
私も、表で肉屋を経営していたこ頃はそうだったよ

あれからずいぶん時間も経ったからな。一つ消えたところで、厄介ごとの種は尽きないだろうがね

【慣れた手つきでタバコに火をつけるロッソ、オイルライターの灯す火が、路地裏の闇を照らし出す】
【タバコに点火されれば、大きな火は淡い光を放つ小さな火に取って代わられる。紫煙が宙を漂い、気だるげなロッソの表情を浮き上がらせる】


ああ、裏通りにいても聞こえてくるほど賑やかだな。確かに、眠るには向かないだろう
ハハ、盗んだのは人の晴れ舞台か。愉快なことをやるじゃあないか

チンザノ=ロッソともあろう男でも、一筋縄ではいかないか
ふむ、確かにここ最近は、派手さにおいてはGIFTが上回っているのは否めないな

資金不足の面はあるにはあるが、幹部に金策においては非常に有能な人物がいるのでね
それ以上に、人材だ。去年のうちに有能な人物がずいぶんと姿を消してしまった……

とはいえ、まだ実力ある機関員は残っている。お零れに預かる機会も巡ってくるだろう
私自身も、国一つとまではいかないが、もう少し派手な行動に出る準備を進めてはいるんだ

【息を整えながら言葉を投げてくるロッソに対し、ゆらりと佇んだまま答えを返すカニバディール】
【最近の機関の動向については、耳が痛い話ではある。だが、カニバディールは含みを持たせるような発言】
【世界に名だたる邪悪の脅威は、未だ生きている。それを知らしめんとするかのように】


【ポケットを探り、手帳とそのうちにあったメモ翌用紙を取り出す】
【カニバディールは、一瞬怪訝そうな表情を浮かべるが、彼が告げた言葉を受けて、表情が驚きへと変わる】

元NO.3……ベケンプフェン様……ベイゼ・ベケンプフェンからの、ということで間違いないか?
……使いを引き受けてくれたことには、私からも感謝しよう

番号は、確かに受け取ったよ
しかし、あの方とも繋がりがあったとは驚きだ。存外に顔が広い男らしいな、お前も
仕事≠フ関係で知り合ったのかね?

(番号のみ……さて、これは、どうしたものか……)

【かつて機関でその力を如何なく発揮してきた女性。今では、行方も知れないままナンバーズから外されていた】
【生死も不明のままであった彼女が、何故自分宛てに番号などを教えるのか。何か、特別な用件でもあるのか。そもそも、生きていたということ自体、今になって認識したのだ】
【脳裏を駆け巡る思考。予想外の展開。言葉を紡ぎつつも、まだカニバディールはわずかばかり面食らっていた】
795 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 04:07:38.08 ID:UsfM/Gteo
>>789

【少し俯いた相手を見て、間違えた事を言ってしまったか、と少しだけ迷ったが】
【――かすかな声がした。何度も咀嚼してその意味を飲み込めば、彼は花が綻ぶように微笑み】

うん……、どういたしまして。

【確かに彼女の“声”を聞いた彼は、そう返すと再びココアを口に運ぶ】
【その間に語られる言葉を聞いていたが、話が進むに連れ、少し難しそうな顔をし】

【そして――「友達になって」と言われれば、きょとんとしたように数度瞬いた】

……勿論。僕とトーカーは、友達だよ。 また会った時から、そうだと思ってた。
何がワガママなの? ……僕達は、ずっと友達だよ、トーカー。

【「そんな事は当たり前じゃないか」というような表情をして、彼は大きく頷いてみせた】
【それから思い出したように、手帳の1ページへ連絡先を記して、彼女へ手渡すだろう】

とりあえず、携帯番号。 帰国したばかりだから、住所はまだ決まってないんだ
前に住んでいた場所に戻るつもりだけど……とにかく、何かあったら、ここに掛けて。
空が青かったとか、ご飯が美味しかったとか。そんな事でいいから、いつでも掛けてね?

【そう言って屈託なく笑う表情が、無邪気な少年のように、何処までも裏がなくて】
【出す例えも無邪気な、見せる表情は子犬のようでもあり――やがて、話も尽きれば】
【ココアの缶を手に「今日はありがとう、またね」と告げて彼女と別れ、公園を去っていくだろう】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でしたー
796 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 04:24:53.06 ID:bvdBQTOP0
>>795

【伝わったのか、とても心配だったが――どうやら聞いていてくれたらしい】
【分かりやすくほっとして、心を落ち着けるようにココアを数回口にした】

――――『ありがとう、ほんとに。そうだね、友達だね…っ』

【今度はちゃんと、伝わりやすいようにお礼を述べて】
【頑なに凍りついていた表情は、今その時だけは笑顔が咲いていたのだろう】

【紡がれた他人の声は、まるで傍にいる「彼ら」からの礼にも聞こえた】

―――…『うん、掛けるよ。イタズラ電話しまくってやるっ』

【少し震えていた声のトーカーは、空いた手で目じりの滴を拭った】
【冗談めいた笑顔と口調で、そんな戯言を述べたなら――彼に手を振って「またね」と返すのだ】

【やがて、去って行った彼を見えなくなるまで見送ったならば――貰ったページに目を通す】
【連絡先の書かれたそれを眺めて、嬉しそうに笑ったのは誰の声だっただろうか】
【それは、その時その場にいた、彼女にしか分からない】

/乙でしたー!ありがとうございました!
797 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 04:54:10.35 ID:pL2e4MTGo
>>794

【しゃがみながらタバコをふかす姿は指名手配中の強盗というより】
【サボりがちのサラリーマンといった感じだ。尤も、サングラスはかけていないだろう】
【かの昔にモッズというファッションスタイルがあったのだが彼をそれを意識しているんだろう】

食い物屋だとか大道芸ならわかるがね…ドロボウも三が日ぐらい休ませてやるって
粋な考え方も出来ないのか……出来ないからあー言う仕事してるのか?

最近はおまけにアンタラやらGIFTやらに巻き込まれることが多くてね…アンタラに恨みもねえし
そっちもないだろうけど…ハプニングは仕方ないからさ

【膝に自らの手首を置いて、指先に挟んた煙草からは細く白い煙が登っていた】
【自らの調子の悪さがにじみ出ているかのように自分の髪をクシャクシャと掻いた】

眠れないのはいつものことだけどね……まあ、今日は賑やかだから寝るのもったいないだろ?
毎日あれぐらいハッピーだったら俺みたいなのは必要ないんだけどさ……

……まあ、そんな感じ?”円盤”はビミョーな感じだけど、中々高級な機材だったから楽しかったよ
派手に盗むのは俺の性分みたいだ。それとも…普段隠れてるから、目立ちたいのかもしれないけどさ

【今回は大したこともしていないし、人が多い分巻くのも簡単だ、追手は来ないだろうと安心したのか】
【きょろきょろと見回すようなことはなくなったがその逆のスイッチが入ったようにただただ正面の壁を見ながら】
【冷静に何か客観視しているような達観した風にその酒やけしたしゃがれた声で話してる】

そうかい。…まあ、ウチはいつでも誰でも仕事に使えるなら大歓迎だ。勝手にバカスカ撃ちまくるようなサイコ野郎じゃなけりゃな
……人、ね。そういうアンタだって中々、その…数字が上のほうなんだろ?……まあ、いい
国じゃなくても、うまくやれば市場はグラっと動くからね。GIFTのお陰で軍需の株価が馬鹿みたいに上がってら…
畑でも丸焼けにするなら言ってくれ…前もって先物でも買っとくからよ

【強盗と言えど銀行だのを中心に狙っているだけあって何かと金策には考えがあるようである】
【意外と強盗で盗む以外にも投資関係で莫大な財産でも築いてるかもしれない。なんにせよ単なる破天荒でもなさそうだ】

そ、あのお嬢さんで間違いない…本人が嘘を言ってたなら違うかもしれないけど…俺が見たのは赤い髪の美人だったぜ
……こっちも電話番号を聞き出せたからこちらこそお礼を言わせてもらうよ

【ヘッヘッヘっと笑って、煙草の灰を指先で叩いて落としてからまたそれを口に】
【煙草の先が赤く灯る。暗い路地裏にはいやに明るく見えた。すぐに消えて、彼は煙を吐き出してから話を続ける】

そうは言っても、何かと暇でね…俺は仕事人っつーより遊び人だから。友達は多いよ
だから仕事っていうより…なんだろ、説明は複雑だから端折らせてもらう……UTでもねえしカノッサでもない
んで、暇だから俺がお使いになったんだろう…

というか…その顔見てると…知り合いじゃないわけ?アンタとのホットラインをご指名だから…
…どういう要件かは知らん。…アッチが出てった理由と関係してるか…そっちの計画に関係あるんじゃない?
……アンタ、頭キレる方だろ?あの嬢ちゃんもキレる。……重要なのは、2人だけのホットラインってとこだと思うね
他所に知られちゃならない……嫉妬しちゃうねまったく

【まさかベイゼ・べケンプフェンがUT預かりになっているとは知らないだろう。これは黙っておいたほうが良さそうだ】
【とにかく、このサングラスの男はUTでもカノッサでもない『中立』であるが故に使いを出されたんだろうと推測していた】
【サングラス越しに相手の表情を見ながら、くだけた口調でありながら冷静な観察と分析をしていた】
798 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 05:18:12.67 ID:IU7AyVq2o
>>780
//まだいらっしゃいますかー、もといもう起きてらっしゃいますかー
//と、駄目元で問いかけてみるテストです
799 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 05:52:59.48 ID:PlqIXTMgo
>>797
【路地裏の地面にしゃがみ込む、モッズスタイルのサングラスの男と、その傍らに佇む一つ目の大男】
【何とも奇妙な光景が、路地裏の空間を支配する】

まったくだ、せっかくの正月だというのに、無粋なことだよ
そういう輩の受け皿になる仕事でもあるのかもしれんな

それは難儀なことだな。機関のみならず、GIFTにもか
GIFTと言えば、最近は鉄の国で精力的に活動しているようだが、その関係で、かね?
無論のこと、お前に恨みなどはないが、有事の際はそうも言っていられない。まったく、難儀なことだよ

【立ち上る紫煙を目で追い、そのまま視線を下に降ろせば、調子が悪そうに髪を掻き毟る姿】
【こうしてみると、やはり名うての強盗には見えない。そんなことを思いつつ】


それはそうだ、せっかくの年に一度のイベントに眠りこけていては損をする
毎日が正月、となるとそれはそれで問題になるだろうがな……うまくいかないものだ。なあ?

それは是非聞いてみたかったな、残念だ。元より表通りの路上音楽など、ゆるりと聴ける身分ではないが
いいじゃあないか、己の性分に従って動く、悪いことだとは思わないね。新年くらいは、泥棒が目立つのもいいじゃあないか

【カニバディールも追っ手の気配がないか気を張り続けていたが、その意識は外す。話を聞く限り、前ほど危険な状態でもなさそうだ】
【達観した様子で正面の壁へ視線を送るロッソを、カニバディールの単眼が眺める】
【酒やけしたロッソのしゃがれ声に対し、ゆったりとした、しかしどこか重々しい子声が応対する】

恥ずかしながら、私の直属の配下はそういったサイコ野郎ばかりだ。その点では、役にじゃ立てなさそうだな
……ああ、お前に会った時はまだ違ったが、少し前に昇進してな。今ではNO.29だ
数字が下だからといって、弱いというわけではないがな。数字が上の方の者が実力者揃いなのは確かだ

なるほどな。殺し合いは、ある意味では最大の消費ともいえる。それだけ需要も生まれることになるのは道理だ
特に、軍需関連などはな……
ああ、いいだろう。今のところは、畑を襲うような計画はないがね

(……思った以上に強かな男だ。ただのならず者とは一線を画する……)


【眼前の男、ロッソへの認識を改めねばならない。言葉の端々から伝わる智謀】
【ただの強盗犯に出来るものではない。あるいは、盗む必要もないほどに、すでに稼いでいる可能性すらある】

赤髪、か。それなら間違いないだろう
ハハ、そう言ってもらえるとありがたい。だが、彼女を誘うなら、相応の覚悟と準備をしておけよ

【タバコの灯りが、路地裏の闇を浮かび上がらせる。灰の落ちる音。煙を吐き出す音】
【全てが、闇の中へ溶けていく】


遊び人も侮れないな、人脈という点においては……
ああ失礼、わざわざ詳しく説明してくれなくとも構わない。要は、中立の立場として番号を言付かったわけか

いいや、よく知っているとも。だが、ここ最近は連絡が取れていなかったものでね、少々驚いていたんだ
……さて、どうだろうな。少なくとも、頭の回転で言えば、彼女には遥かに及ばないよ
さて、その線もあり得るだろうが……ふむ……とにかく、一度連絡をしてみなければな

……確かに、互いの立場を考えれば、ホットラインは必要だろうな
しかし、こういったことで人に羨まれるのは初めてだよ……

【件のベイゼがUTにいることは、ロッソの気遣いもあって隠ぺいされた。カニバディールが勘付くことはない】
【きわめて冷静な分析能力。やはり一介の盗人では出来ない芸当だろう】

【内心で舌を巻きつつ、カニバディールはそれを表には出さず。自分を観察するロッソに、単眼の視線を真正面から返した】

/誠に申し訳ありません、そろそろ眠気が限界です……
/凍結か締めか置きレスか、でお願いできますでしょうか……?
800 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 05:58:04.97 ID:pL2e4MTGo
>>799
/大丈夫ですよ!では置きレスの方に返しておきますので
/どうぞお休みください
801 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 06:00:01.19 ID:PlqIXTMgo
>>800
/ありがとうございます、お言葉に甘えて今宵は失礼いたします……
/遅くまでのお付き合い、感謝です……!!
802 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 06:38:32.65 ID:kfhKQ2b10
>>798
/気づくの遅れちゃいましたがまだおります!
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 20:13:04.02 ID:0dfAyp+/o
>>790

【一息、ほうっと吐いてから、観念したようにこくりと首を縦に振った】
【実を言えば――前の小さな約束を忘れたつもりで奢ってしまおうか、とも思っていたのである】
【なぜかといえば、この後に語られる事のお祝い代わり。ほんの気持ち、だったのだ】

【ところがその点で念を押されてしまえば――まあ、この通りというわけで】
【差し障りの無い店員の大変さに耳を傾けたり、彼女のココア、表面のチョコが崩れるのを眺めながら】

ふぅん……やっぱり、何となくそうかなとは思ったけど……おめでとう、鈴音。
先、越されちゃったわね。女性としてのゴールに辿り着いた、っていう感じかしら?

私は、お相手も何も無いから上手くは言えないけどけど……幸せ、でしょうね
隠してもダメよ、顔に書いてあるもの……――?
……『セシル』……、…………もしかしたら、見かけたことくらいは――

【あったかも、なんて言いかけた所で、自分の気持ちを見透かされた事によってか、言葉を区切る】

【アナスタシアは――お父さんが旦那さんに、という普通に考えれば妙なんて程度では済まない事ですら】
【友人が幸せそうに居るのなら、その事実をすんなり受け入れるだけ――という彼女である】
【言葉を区切り、そもそも話しだすのも億劫というのは相当だ。何事日、と思われたが――】

【――ふと取り出すのは小さな入れ物。左手を目にやると、何かを取って、その入れ物に落とし込み】
【右手で帽子を取って隣に置いて、それから顔を上げた。バサリと髪をかき上げ、瞳は白ではなく、黄土の力強い――】

……前に、フルネームを教えなかった、って小さな嘘をついた。
あの時、許してはもらった、が……心苦しかった。だから、もっと大きな嘘は吐きたくなかった

―――鈴音。話したいことっていうのは、俺≠フもう一つの本性のことだ

【そこでまた彼女は言葉を切った。力強い、黄土色の瞳に赤の髪――ガラリと印象が変わるだろう】
【加えて口調も令嬢からさながらチンピラのようなものへ。強いて言うなら、少女への気遣いだけは不変だった】
【あえて言葉を切って、その反応を待つ。変化に対応できる時間を作る】
【そういった言葉にならず、形も見えない小さな心遣い――それだけが、彼女がアナスタシアだという証左であって。】
804 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 20:15:26.58 ID:UsfM/Gteo
【とある寺院】

【人気のない本殿裏手の軒下、柱に背を預けて、月を見上げる姿がある】

――……何も、見えへんな
何がある? 此の先に……――ハッ、馬鹿らし。

【黒の紋付羽織に袴姿という、櫻式の喪服に身を包んだ線の細い男】
【肩口で切り揃えた白髪に漆黒の彼岸花を差し、切れ長な目は深い葡萄色】

【男は目を閉じ、押し黙る。月を映した近くの池で、錦鯉が跳ねる音がした】
805 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 20:20:38.73 ID:kfhKQ2b1o
【夜――――街外れの細道】

【平時であっても誰も近づかないような、時代と人に忘れ去られたおんぼろの道中に、淡い人影がひとつ浮かんでいた】
【静かに歩く小さな背中は、亡者にしては美し過ぎ、亡霊にしては存在感を放ち過ぎていた】

…………ふぅ…………。

【高い声色が、憂うような音を奏でる。止まった足を置き去りにして、思わず解き放たれた白い息は道を先行していって】
【人影がふと空を仰げば、月はまるでその視線に恥じ入るみたいに、ちょうど雲に隠れてしまう】
【髪がはらりと流れ、白いうなじが晒されて。そこから上へと視線をやれば、わずかに残念そうな表情が浮かんでいる】
【そんな優雅な立ち振る舞いからは、人間の発するものとはとても思えない、どこか神聖≠ネ雰囲気すら流れ出しているだろうか】
【果たしてこの人影、どのような物の怪なのかと、もし誰かが真正面から見据えたのなら――――】
【何のことはない。そこにあるのは、ただ何の気なしに歩いているだけのうら若い少女の姿だ】

……………………。

【それは、背丈は平均的だが、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉と枝垂れるように長い睫毛が特徴的な少女だった】
【暗い朱色の布地に百合の花の刺繍が入った着物に身を包み、手には白い籠巾着を下げた服装だ】
【夜を溶かしたように艶めく黒髪は、光に当たるとほんの少しだけ赤紫の色彩を差し】
【末端をすべて一直線に切り揃えたその端正な長髪は首元で折り返され、少し古びた簪が楔となってそれを留めている】
【頭の横には芒の柄を模した黒漆の髪飾りが添えられ、少女の容貌が醸し出す優美で雅やかな風情を殊更に強調していた】

【からころ、からころ…………と、歩くたびに下駄の音色が鳴り響く。それに引き連れられるように、いっそ奇妙なほど清涼な空気が彼女の周囲に侍っている】
【風もない夜天の宙空を、少女の放つ神聖≠フ威容が、一歩、また一歩と音もなく呑み込んでいくようにも思えた】
【雲隠れした月みたいに、睫毛の下に隠れるその漆黒の瞳の中には、いったい何が伏せられているのか――――】

【…………からころ、からころ、と。下駄の音色が、静寂の上に鳴り響き続ける】
806 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/01(水) 20:22:56.37 ID:/XEG9n1R0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 公園】

……あと何日かは、これくらい賑わい続けるのかな……

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【人気の少ない公園の中から、遠く感じられる賑わいの声や光に、冷めた様子で視線を向けている】
【新年を祝う人波は、蛍の様に明るく集っていた。その熱から逃れる様に、公園の中は静寂が支配している】

……こう言う時は、人の多い場所で何かが起こったりはしない……何かがあるなら、その死角……
……何もないに、越した事は無いのかもしれないけど……

【賑わいの中に参加する事をどこか拒絶するように、少女は意味もなくぐるぐる歩き回り、そしてその瞳を空へと向ける】
【全てに飽いた様な瞳は、空の先に何かを見つけようともしていなかった】



【――――所変わって、水の国 キャンプ場】

「……何故、あなたは私を誘ったのでしょう?」
なに、良いじゃあないですか。年明けを祝う事が出来るのは、年明けの間だけですよ?

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年と】

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性が】

【アウトドア用のカジュアルチェアにそれぞれ腰掛け、星の光の下でくつろいでいる】
【青年の方は、先ほどから忙しく湯の入ったポットなどをいじくりまわしており、女性はどこか表情に険を含ませながら、それを見つめていた】

「……新たな年を祝い、心を新たにするのに、ああも馬鹿馬鹿しく浮かれる必要は無い筈ですわ……それを、俗物どもは……」
……あなたの身を削る様な節制と克己心は尊敬に値しますが、世の習いに従ってみるのも一興ですよ?
それに、こうした中で味わうコーヒーも悪くはない……せっかく日帰りなのです。良く味わってみては?
「……それは、悪い気はしませんけどね……」
なぁに……いずれ、我々が新たな『世の習い』を生み出すのです。今は甘んじるのも、悪い事ではないでしょう?
……さあ、お口に合いますかね?
「……あなたが選ぶコーヒーです。そこは信頼してますわ……」

【カチャカチャと青年が用意して持ち出したのは、今まさに抽出されたコーヒー。それを受け取り口をつけると、女性の表情の険も取れる】
【――――揃いの十字架のネックレスが光る中、香しい香りと湯気が、仄かに立ち上っていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 20:38:45.88 ID:ADX87X+f0
>>803

【――そろりとカップの取っ手が回される。それは、言葉の待つ幕間のほんの少しの手遊びみたいに】
【普段は相手をよく見る子だったが、今ばかりは視線は逸らされ気味だ。あまり見つめても、ということか】
【それとも何かもう少し雑談でもしている方が良かったろうかという悩みもある。そっと噤んだままの口元が不安そうに】

…………――。

【彼女がなにやら準備らしきをしているのを直視しすぎない程度に見ていた。そっと口に運んだカップを傾けて、】
【その準備が終わる頃にはカップは皿へと戻されている。――かたりと音の乱れたのは、驚きに指の跳ねたことからか】

【――驚いたように丸くなった瞳が見つめる先が白色から黄土色へと変わっていた。カラーコンタクト、単語だけ微かに思い出し】
【そもそも自分だって瞳の色が変わった過去がある。それなら、拒絶なんてものは見せないが、――ただ、少し驚いた】

……わたしも、ね。嘘吐いたの。……嘘じゃないかな、でも、黙ってたの。
――あの時のわたしにはなかったんだ、名前以外の名前、……みんなが苗字って呼ぶもの。

【少しだけ言葉を整理するような間が開いた。気持ちを落ち着かせようとするような間が、ほんの数秒だけのこと】
【けれどそういった気遣いを持つ相手には長い数秒だったのかもしれない。やがて紡ぎだすのは、少しの懺悔】
【少しだけ引け目を感じた。それでも黙っていた。――黙っている以外、出来なかったから】
【それをようやく今吐き出す、吐き出して、何もアナスタシアばかりがずるいわけじゃないと、教えるように】

でもね、貰ったんだ。この間……、だから、今度こそわたしの名前、言うね。

……――鈴音・シュトラウス。それがわたしの名前……、……あれ、逆かな? ――いいんだよね?

【つうと指で指輪を撫でる、見つめる視線の向こう側に“だれか”を見つめて、そっとはにかむように笑い】
【やっと告げられたほんとうのなまえ。――どうにも終わりが閉まらなかったのが、少しだけ彼女らしいようにも思えた】

……わたしに話してくれるの?

【「うれしいな」って、声にならないほどの微かな音は、耳よりも目で聞いたほうが早いほど】
【自分のずるかったことを口に出してしまえば後はアナスタシアの話を聞くだけ。彼女はそっと膝に手を下ろせば】
【しゃんと背中を伸ばして――最後に口も噤んでしまって、その言葉を待つようにした】
808 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 20:45:31.76 ID:Bv3e6n7Lo
>>804

【荒涼とした夜風が貴方の頬をなぞるのだろうか、冷水のように風の体温は冷めていて】
【喪服の袂揺らす、指先に絡みつく風の音は茫漠とした浮世を示すがごとく淋しげで】
【白髪が月光に傾いたなら、盃の上、浮かぶ幻影みたいにその色を波紋の上に投げかけるのだろう】

【香りが混ざるだろう、柱が醸し出す深く染み付かせた樹木の香りとはまた違った芳香】
【包み込むような木々やどこか儚げな夜風の香りとはまた違った新しい色香】
【舌先に絡みつくぐらい、喉元を潤すぐらいに、甘い甘い少女のフレグランス】


……うぅ、なんでこんなトコ、来ちゃったんだろ……ちゃんと歩いてた、よね
えっと、すいませーん、誰か、誰かいませんかー夜遅くなのは、分かってますけど


【色彩が交じる、錦鯉が水面の中に溶け込んだと同時に、波紋の音がピチャンと跳ねる音に交じる】
【白百合よりも儚い少女の柔らかな喉元が震える音、ハーモニーと重ねるのは小さな足音で】
【柱にもたれかかる、貴方の右後ろから流れる声が貴方を見つけ出した、音】

【それはきっと似ている、両手一杯に大判の絵本を開いて、その中の探しものを見つけた少女の声に】

【貴方の右側を通って、しゃがみこむ音が聞こえるだろう、衣が擦れる音、僅かな物音が不確かに響く】
【目を開けたなら視界に映り込むのは、覗きこむように頬を傾けた少女の横顔、塗料のように真っ白な頬をした少女】
【夜の中溶けてしまいそうなぐらい華奢な頬をくしゃっとほころばせて、微笑みを浮かべたなら】


あっ、ごめんなさい!もしかして……お昼寝の途中、だったりしました?
それと、勝手に入ってきちゃって、それもごめんなさい……

私、この辺り初めてで……その、暗くもなりまして、どこか泊まれる場所、探してるんです
良ければここで一晩、過ごさせていただけませんか?


【迷った≠チて言葉は使わない、気恥ずかしさがそこにあったのか紅色が頬に交じり合う】
【不安そうに重なる少女の小さな掌、しゃがみこんだ膝の上、顔の前でくしゃくしゃって呼吸をして】
【小さな口元から零れた吐息が白い靄を作ったなら、その薄さが少女の体温の低さを伝えるのだろうか】

【背中まで伸びたシルバーブロンドの長い髪はバニラのようにふんわりとした彩り】
【右の瞳は苺のように紅く左の瞳はチョコのように艶やかな黒色をしていて】
【雪のように透き通った素顔、右目には黒い冠のようなタトゥーを刻んでいる】

【バラのコサージュと黒いチュールをつけたミニハット】
【姫袖の大きな、黒のゴシックドレスは長いリボンをつけたバラの飾りを腰元につけて】
【黒と白を重ねたミニスカートは黒のパニエでふくらませる】

【白い素足に黒く細いベルトを巻いて足元は黒の編み上げブーツを履いている】
【絵本から抜け出してきたかのようなゴシックパンクな服装に身を包んだ細身の少女】
【首元には黒いリボンを締めて華奢な肩幅を強調する】
809 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/01(水) 20:47:57.84 ID:6YbRcQLNo
>>805

【冷たい夜を裂く神聖な空気、それに割り込むようなぬるりとした気配が漂い出す】
【不意に漂い出した───と言うよりは、彼女がその領域に入り込んだようだ。辺りを漂うその気配は、別段特定の物に向かってはいない】

【気配の中心は、向かおうとせずとも歩けば段々と近付いてくる、濃くなるのは気配に留まらず、ある『匂い』もそれに伴う】
【───酒、である】
【櫻の国で良く飲まれる物の、それの度数が強い物に近い匂いが、ぷぅんと辺りを包んでいる。噎せてしまいそうな匂い】

──────……

【それは、いた。月の光に輝く白髪を垂らしながら、何かを待つでもなく壁に背中を預けていた】
【その男は、一つに結った白い髪の、左眼を隠した前髪にも。白いマフラーと組み合わせた、水面のような水色の着流しにも。ニタニタと笑顔を浮かべた顔にも】
【組んだ両手にも。下駄履きの足にも。上から下まで全て一様に、真っ赤な牡丹模様を身体中に咲かせていた】

【男は、腰に挿した刀に手を伸ばし、しかしそれと一緒に吊るしている瓢箪の方だけを手に取って、一口煽る】
【傾けた瓢箪から水音がして、飲み口から離した口元が煌めいて。「いい夜だなあ」と、彼は呟く】
810 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 20:58:12.36 ID:UsfM/Gteo
>>808

【ゆるゆると開かれる目がその横顔を捉え、微笑まれた事にか眉を顰めてみせる】
【問われた内容にも、気難しい表情で押し黙れば、ついと視線を外し】

――……帰れ。 こないな場所に、一人で一晩泊まる気か?
若い女が……、迷子でもないんなら、家に戻れ。

【意図的であるのか相手がまさに伏せようとしている点を突くと、男は】
【それきり話す気など無い、というようにあからさまに顔を背けて池の方を見る】

【少しの間、静寂が在ってから――何処か投げやりに、男は再び口を開く】

……善人やない。あッちは……――善人や、ない……

【――自身に言い聞かせるような、口調だった】
【ともすればこの男の方が迷子のような、そんな希薄な空気を其処に残す】
【善人でないから、近寄るな。そう相手に自分の危険性を警告すれば、彼は再び押し黙った】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 21:09:47.46 ID:0dfAyp+/o
>>807

っ…………―――――――。

【『咎めないのか』とは言えなかった。今度はこちらの瞳が驚きに満ちる】
【思えば、今、この少女とここにいる事――友達になったのも、腕を貰ったのも】
【もう一つの本性≠明かした彼女からすれば、アナスタシア≠セからこそ、と思っていたのである】

【あの淑女然とした、如何にもな良い人だったから彼女もそうしてくれたのだろう、と。】
【だからこそ嘘を突き通せない。自分を信じてくれる相手だからこその煩悶で】

【――それでも、さも当然のように受け止めて。しかも自分も嘘を、なんていう少女には】
【『もう変に繕えねェな』なんて呟きを漏らしつつ、真正面から向き直るしかなかった】

……じゃあ、旦那の名前は『セシル・シュトラウス』か?
どっかで聞いたことがある。もしかしたらアイツか、って心当たりは……
前にリリア≠チていう半魔を倒した時、姿を見かけた程度だけどな

ぁ……悪ィ、遅れた――本名はアナスタシアだが、普段はベイゼって名乗ってる。
ベイゼ・べケンプフェン……今じゃ単なる居候、元は機関の……まあ、怪我はそれが理由でな

―――はぁ…。正直、取り越し苦労だよなァ……お前に話すの、物凄ェ悩んだんだぜ?
どっちも確かに一人の人間で、だがそれにしちゃァ落差がありすぎる。だろ?
かたやどっかのお嬢様、かたや路地裏が似合いの俺だ。……失望するだろ、フツー……。

【そんなふうに、どこか肩の重荷が降りたようにして一気に話し――全て流しこむようにカップを口元へ】
【ところどころの所作が似ていたが、少しばかり荒い。なるほど確かに、別人のようでもあったが――】

【――それを気に止めるどころか受け入れる、その少女の寛容さにでも打たれたのだろう】
【本来ならこの女性は、この手の友人を作らない――プライドが邪魔するから――のだが】
【鈴音という少女に限っては、別らしかった。黄土色の瞳は、僅かに輝いて見えるはずだった】
812 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 21:16:48.59 ID:Bv3e6n7Lo
>>810

【声色に交じる細雪、霜のように耳元に満ちて貴方の放つ言葉の意味合いを強める】
【最初の言葉は納得がいった、黙りこむように口元を噤んで、そのとおりだと思う】
【迷子ってことも、そしてそれ以外のことも、あまり簡単に泊めてもらえるような人間じゃないから】

【けれども、続く言葉には納得がいかなかった】


……いい人じゃないから、泊めることができないっていうのは、理由にならないと思います
なにも、迷惑をかけるとかじゃなくて、その部屋の隅っこでも良いので、貸してもらえませんか?
この辺り、他に家とかも無くて、それにもう暗くて……それで


【拒絶の言葉は胸に痛い、それがどんな状況であれ、少女であれば尚更だろう】
【向かれたそっぽと遠くへといった貴方の視線、追おうとしても中々その目を見れなくて】
【視界に映る貴方の背中、喪服に包まれたその姿はとても、儚くて】

【影のようだと思った、とても端正な影、月光の下でしか生きることの出来ない存在みたいに】
【その背中の輪郭が、夜風の中に消えていってしまいそうな、そんな感情を覚えなくもなかった】
【ゴシック姿の少女は考える、そのまま立ち去る、って事は選択肢にないみたいで】


あっ、私!家事できますよ!料理とか、洗濯とか、あと……お掃除とか!
一人暮らし、ですよね?だったらそういうの、貯めちゃったりしてません?
言っていただければ何でもしますよ、泊めていただけるのでしたら――――――


【そこまで言って、気づいたように言葉を止めた、最後の休符が目の前を揺らして】
【紡がれる淡やかな旋律、透き通った声色は風鈴に揺らされる冬風にも似ている】
【立ち上がった少女の残影、スカートのフリルが揺れたなら、貴方の前にふわりと躍り出る】

【顔を背けた貴方を追っかけるように、庭に踊りでたなら姿勢を低くして顔を近づける】


……泊めていただけなくても、言っていただければ、お手伝いしますよ
勝手、かもしれないですけど、何だか寂しそうに、思いましたので、私で良ければ、何かできないかなー……って

わわ、べ、別に責めてるとか文句言ってるとか、そういうわけじゃないんですよ!ただ、ただ……お手伝いできれば、って思いまして


【表情豊か、だと貴方の視界には映るのであろうか、小さな身体を精一杯に動かして感情を表現する】
【両手を重ねて貴方を見つめる横顔はゴシックなメイクとは裏腹に清純さをそこに浮かべていて】
【――――――だからこそ、見た目とのギャップが激しいかもしれない】
813 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/01(水) 21:24:47.03 ID:/XEG9n1R0
/>>806取り消しでー
814 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 21:26:36.96 ID:kfhKQ2b1o
>>809

【からん、と。最後の音が響く。下駄の音はそれきり途切れ、少女の小さな身体は道中で止まる】
【少女が意図せずも常に作り出している神聖≠フ領域の末端部が、何か別の領域に触れた。ぴくりと動く眉根が、それを知らせている】
【漂ってくるのは、雰囲気だとか威容だとか、そういう曖昧なものではない。より原始的に伝わってくる、嗅覚としての情報――――】

(………………酒、臭い)

【左手の籠巾着の中に手が伸びる。少女はその中にあった数十枚の札を掴み、まとめて懐へ移動させる】
【酒の匂いなんて、今時どこにでもある。まして元旦の夜だ、酒を交えた宴会のひとつやふたつ、街の至る所で開かれている筈だ】
【だからこんな人気のない寂れた小道でも、道に迷った酔っ払いが紛れ込んできたと考えれば、そう不自然という程でもない】
【――――ただ、この道の先から感じる気配は。少女の心に警鐘を鳴らすのに、十分すぎる異質さがあった】
【例えるなら、それは酒に酔った人ではなく、酒に酔った刀。酔いしれるように人を斬る――――そういうモノのように、思えて】
【覚えている。身体はそれを忘れていなかったし、頭脳もそれを忘れられなかった、この感覚は】

ああ、確かに、いい夜ね。
…………吟醸。

【その名を呼んで、少女は――――幸徳井佳乃は、かつて死合った男の前に立つのだろう】
【互いの間合いは、やや遠い。刀で斬り合う間合いではなく、長物で突き合う間合い。偶然ではない、計算された距離だ】
【佳乃の表情には、不適な笑みと強い警戒が張り付いている。噎せ返る酒気が、彼女の神気≠ニ反発していた】
815 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 21:35:20.59 ID:UsfM/Gteo
>>812

【――敵わない、というように男は一つ溜息を付くと】
【顔を近付けられても今度は背けなかった。ただ仕方なしに、という空気は在ったのだが】

……別に、此処はあッちの住処やない。ただ、管理人がいる訳でもない
泊まるなら勝手にすればええ。あッちにどうこう言う権限は無いが、
ただ、世間知らずなお嬢サマの為に忠告してやっただけや……分かったか?

【相手が勘違いしていそうな部分についてそう説明をし、男は一息ついてから】
【感情豊かな相手の容貌を、其処にある違和感を感じ取ってかじとりと眺める】

――そッちは。見ず知らずの、善人やない言うてる相手に、何でそないな事を言える?
力になってやれば、あッちが何か見返りをしたると思うて、言い寄って来よるのか?

【人を何処までも疑る、そんな表情だった】
【何故無償の善意を向けられるのか、まるで理解できないというようにしていたが】
【少しの後に何故か小さく首を触れば、非常に気難しいような、迷うような色を見せる】

……嗚呼違う、そうやない……――聞きたいのは、其れじゃない
寂しそうに思ったって、言うたな……そう、見えたか? あッちは。

【顔立ちはどちらかと言えば、人を拒んでいる表情だと自負していた】
【――なのに何故、相手はこんなにも自分の力になろうとするのか】

【人の暖かさを、まるで知らないという様子だった。何故自分が寂しいかも、理解していないようで】
816 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 21:55:30.75 ID:Bv3e6n7Lo
>>815

【へ、と彼女の顔が硬直した、完全にこの寺が貴方の所有物だと思っていたから】
【きょろきょろと周囲を見渡したなら、決まりが悪そうに苦笑いを一瞬だけ浮かべて、顔を伏せる】
【シルバーブロンドの髪の隙間から覗く頬の色、多分サクランボのように紅くて】


うぅ……はい、分かりました……そうなんですか、てっきりここの関係者さんかと
最近のお坊さんはカッコイイ方多いんですねーと思ってたりしてたのですが……
――――――わ、えっと理由ですか、うんと、ちょっと待って下さいねっ


【貴方の眺める表情に、うぅとたじろいだ、顔をちらりと上げて一瞬離して、また戻す】
【整った顔たちの貴方、柱にもたれかかったその儚い横顔すらもどこかの彫像のように均整がとれていて】
【降りしきる月光に映る陰影、コントラストがひたひたと滴り落ちる様子は少女が見惚れるのは無理もない】

【申し出の意味合いがカッコイイ人の側にいたいからで、納得できるほどに、強く――――――】
【横髪を指先が絡みつかせた、ゴシックドレスの姫袖から零れる小さな手は彼女の顔にあう小ささ】
【細やかな両手が一生懸命に考える姿を、多分修飾するのだろう】

【うんうん、と考えるように唸っていたなら、貴方が首をふって続く言葉を紡ぐのだろう】
【きょとん、とした少女の表情、大きな瞳をぱっちりと開けて、長い睫毛がすやすやと瞬く】
【赤と黒のオッドアイの中、浮かぶ貴方の表情はどこまでも暗澹として、迷うみたいに】


はい、見えました、すっごく寂しそうでした、だから……だから、何かできないかな、って思ったんです
失礼な言い方だったらごめんなさい――――――でも、そう思ったのはホントの事実なんですよ
あっでも……私、お節介やきだから、ひょっとしたら、自分が手伝いしたかったからっていうのが……半分くらいは、あるのかな?

うんと、ですけど、分かるんですよ、寂しそうな人って、こう寂しいオーラ出してるんですから!
思わずぎゅって抱きしめて側にいますよって、言ってあげたくなるような、そんな雰囲気、してるんです
それって、何だか、こう、むずむずするんです、そういう人がいたら、黙ってさよならなんて、できないのです


【会話の途中に照れて頬を掻いたり、強調するように目を大きく開いたり、両手で抱きしめる動作をしたり】
【考えこむなら頬に手を当てて、真剣に話すなら真面目そうに真っ直ぐ見つめる、そんな彼女】
【言葉は整然としているとは言い難い、感情表現が先行したハチャメチャな言葉で】

【紡ぎ終えて見つめる少女の横顔、白と黒、それと少しの紅――――――三色で塗り固められた少女は、無い色を補うよう】
【足りない≠フだ、感情表現を豊かにしても、そこにいるのはどこか不足した不完全な少女でしか無いから】
【人と触れ合うことで、ようやく完全な色になれるような、そんな、別の意味で寂しげな色をしていた】

【パニエで膨らんだフリル裾からこぼれる両足が寄り添うように絡みついて、白に交じる細い黒のベルトを強調する】
【夜風がほっぺたを撫でたなら、そこに混じるのは少女の柔らかな笑顔の残光】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 21:57:54.77 ID:ADX87X+f0
>>811

【――驚かなかったといえばきっと嘘になる。瞳の色の変化も、言葉遣いの変化も、確かに彼女を驚かせた】
【元からまぁるい瞳は余計に丸められていたし、声音も少しだけ変わっているように思えたが、】
【そんなに驚いたようには見えなかっただろう。心が動かなかったのか、取り繕ったのか、今は少し見えなくて】

……そうだよ、わたしのだいすきなひとの名前――、……リリアのことを知ってるの?
そう――リリアのことを斃しに言くんだって、シェンが言ってた。……“お父さん”にも、少し聞いたかな。

【挙げたふたつをつなぎ合わせたなら、それが正解。隠すことでもないだろう、――彼女にしてみれば、だが――ひとつ頷いた】
【そして挙げられる名前は知るものだ。ひどいことをされた。けれど助けられた。怨むには怨みきれない、関係性は】
【倒された。けれど斃されなかったらしい。その後のことは、ほんの少しだけ――ひとつ目の大男から、当時の父親から、聞いた】

機関……、……――。

【――別の本性を告げられたときよりも、視線が振れたように思えた。鸚鵡のように呟いた声は、ほんの微かなもので】
【友人が悪名高いカノッサ機関の者だった。それは確かに驚き足りえるだろう、そして、彼女にはその振れ幅が大きくなる要因がある】
【哲学者の卵。かつてひとつ植えられ、ふたつ植えられ、吹いた悪意が伸ばした根っこにこころをぐじぐじに食い荒らされて――】

……会ったこともないひとがわたしを知ってたの。カノッサのひとが、わたしを知ってたの。
だからね、きっと、アナスタシア――ベイゼも、わたしのこと、知ってたのかもしれない、ね、

……カノッサ機関は赦さないって思うけど。一緒に決めたんだ、もう危ないことはしないようにしようって。
ベイゼも、……もう違うんだよね? あいつらとは、違うんだよね……、――だったら、

【――彼女の知らない場所で、その情報は流されていた。けれど、とある邂逅からそれを察するぐらいは出来ていた】
【伏せた視線はクリームばかりが余りつつあるココアを見つめて、少しずつ、言葉が紡ぐのがゆっくりになっていくのは】
【コンピューターにたくさんの仕事を与えた時の処理落ちにきっと似ていて、それだけ機関に向ける重さがあるのかの証明になる】

【けれど。今まで話した中で悪意を向けられたことがあったろうか、答えは否で、それはきっと、これからも】
【なにより教えてくれたということがその証明になりうるだろう。それだったなら――友達のことを、信じようと、】
【――カップを取り上げて、冷めつつある中身を一気に流し込んだ。疑念も疑惑も飲み込むようにして、ぜんぶ】

失望しないよ、びっくりしたけど……、うん、すごい、びっくりした。
みんな怖いひとなんだって思ってたから、――アナスタシアは、とっても優しくて、暖かかったから。

……だって、友達だよ。初めて会ったのに友達になっちゃうぐらい、わたし、いいなぁって思ったの。

【かたんと皿に戻したカップにはもう溶けかかった生クリームだけ。やがて口にするのは、――そんな、言葉たち】
【スプーンで生クリームをくるくるとかき混ぜて掬い上げる、零さぬようにそっと口元へ運ぶだけのその合間に、】

ベイゼ……わたしね、人間じゃないんだ。ずっと昔に死んだ人間を真似て創った、……お人形なの。

【――ぱくん。口の中で文字通り蕩ける甘さを嚥下して、もうひとくち、ぱくり、――飲みこんで、黙り込む】
【告げた瞳が虚空で縫いとめられていた。ベイゼの反応に怯えるように、“失望されるかもしれないひみつごと”を、口にして】
818 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/01(水) 22:00:22.30 ID:6YbRcQLNo
>>814

くっ、くっ、くっ……

【喉を鳴らして、笑う───何が可笑しいのか】
【愉快だと口にはせずとも、その笑いが何よりも彼の心持ちを表現していた】

枯れ彼岸ぶりかい?久し振りだねぇ、佳乃ちゃん
少し色気が……いや、やっぱり何でもねぇや

【まるで、ただの酔っ払いのような冗談を言って、酒をまた煽り。しかし佳乃も分かっているだろう、これはただの酔っ払いの妄言ではない】
【ニタリと、緩やかに開いた隻眼が佳乃を見て、吹いた風が前髪を持ち上げる。刀傷に縫い止められた左眼が冷えた空気に一瞬だけ晒された】

そうピリピリすんなよ、こちとらまだ体が火照ってんだ

───手滑らせて、殺す気になっちまうじゃあねぇか

【ぬるりとした気配が、殺気に変わる。生温くて、軽く肌を撫でる様な嫌な殺気】
【瓢箪を腰に吊るし、代わりに左手が握るのは刀の鞘、鍔に近い所を掴んで、帯からゆるゆる引き抜いていく】

【戦う理由なんて、無い、どちらにも無い。しかし吟醸には、戦う理由を『作る』事が容易に出来る】
【戦いに酔った酔っ払いは、理由無く、ただその刹那に、跳ねる】

【一陣の風の様に佳乃へと接近、その動きは彼の雰囲気とは裏腹に非常に速く、また接近は必要以上には行わない】
【刀の切先が撫で斬るくらいの距離にて居合抜き、横薙ぎの一閃が月に煌めく】
【輝いた白刃は煌めく雫を伴って、空気を斬り裂き滑る。酒に濡れた刀身は斬った相手を酒気に酔わせる】
819 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/01(水) 22:01:10.41 ID:d9QaU6yJo
【夜、何処かの国】
【年の始という事で何処の国の繁華街も何時も以上の盛り上がりを見せ、またこの国もその例に漏れず】
【初売りセールやら何やらで、この賑わいは3日ほど続くのだろう―――喋りたがりのおばちゃん達からそんな話を耳にした人物が1人居た】


「―――……にゃー……」


【情けない声を上げるのは、外見では高校生ほどの少女。言うまでもなく、先ほどの話を耳にした人物である】
【茶色のショートヘアーに、明るく人懐こそうな山吹色の瞳。小麦色より少し薄めの肌だが、健康的なイメージを抱かせるには十分だろうか】
【服装は大きめの、黄色に赤いラインが横一文字に描かれたデザインの暖かそうなウインドブレーカーなのだが】
【下半身はといえば、黒いスパッツの上に茶色のホットパンツを穿くだけであった。当然膝から下は素足であり、さらに靴も履いていない】
【そして一番特徴的なのは、少女の頭でピコピコと揺れる猫に付いているような黒い耳。そしてウインドブレーカーとホットパンツの隙間から垂れる、黒く長い尻尾だろう】


「やっぱ人混みは苦手かもしれないにゃー……ニャーには大自然がお似合いなのかにゃー……?」

【さて、この少女が何をしているのかといえば、端的に言えば寝ているのであるがその場所が異常であった】
【場所は公園、その中にある街灯の近くにて聳え立つちょっと高めの木。具体的に言えば4、5m有るだろうか】
【そんな木の、ちょっと太めの枝にうつ伏せに成って寝ているのである。無論、四肢はぶらーんと垂れ下がっていて】
【そしてその枝が公園へとちょっとせり出しているので、この猫少女が寝ているなんてことは一目瞭然だったりする】

【なんとも危ない状況であるが、少女が気にする様子はない。寝ているのだから当たり前だ。さっきの言葉も、当然寝言である】


「……にゃー、あぁ……」

【どうやら深い睡眠に入ったようで、微動だにしなくなった少女】
【しかし、すこーしずつだが少女の体がズレていっている。このまま寝続ければ……間違いなく滑落だろう。枝の強度も心配である】
【……この公園、今は偶々人が居ないが昼間は人出のある場所だ。誰かがこの公園に入ってきても、可怪しくない状況だ】
【さらに、魔物とか妖怪の類に少しでも知識のある人物であれば、この少女が多少の妖力を放っていることも分かるのであろうが】

【さてさて、こんな少女を見つけるのは何処の誰なのであろうか】
820 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 22:04:32.72 ID:rqjTJGcdo

【噴水広場は新年ということもあって、いつもより多くの人がいた】
【少女もまた、その一人。長い銀のポニーテールが風に揺れる】

【噴水の縁に座り、ぼんやりと行き交う人々を眺めては時間が過ぎていく】
【キャメルのコクーンコート、ポケットに片手を突っ込んで】
【黒のタイツを穿いた細い脚は、焦げ茶色のロングブーツに包まれていた】

っつ――――!
……やっぱりまだあんまり動かない方が良かったかしら……?

【数少ない露出した部位、顔にはガーゼを当ててあったりして、軽く押さえた腹部にも怪我があるのは想像に易い】
【更にはその腰、一振の短剣が見受けられて――――きっとそれらの傷は、戦いの中で負ったのだろう】

でも……あんまりじっとしてるのも詰まらないのよね……
ハァ……どうしたものかしらね……

【膝の上に頬杖突いて、溜め息一つ】
【鋭い蒼の瞳が、力無く地面へと向けられた】
821 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 22:12:47.67 ID:UsfM/Gteo
>>816

【相手の言葉を聞き終えれば、彼は此方がむずむずする、と言いたげな表情をした】
【特に自分が寂しいオーラとやらを出していた、という点には未だに自覚がないようで】

【少し思い返す間があってから、男はぽつりと言葉を紡ぎだす】

……――いつも、そう。 あッちはそないな事、一言も言うてへんのに
妙な世話焼きが必ず現れて……、頼んでもおらんのに、手を貸して……助けよる

あの時、放っておけば……勝手に死んだ命やったのに。

【何故、自分を救おうとするのか。それも彼女だけでなく、過去にもそんな人間がいた】
【自分は誰かを救ってやろうなどと考えた事は無いのに――理解が、出来なかった】

【彼は唐突に、柱に預けていた背を、ずるずると下へ落とし】
【疲れたように地面に座り込めば、上空の月を見上げた。やりようがない、といった表情で】

――……何か出来ないか、って?
だったら聞くが。 そッちは、あッちに、何をしてくれる?

【自分が他人に求めている事など何も無い、と思っていた】
【だから、理解らなかった。故にそのまま、彼は目の前の彼女に問い掛けた】
822 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 22:28:33.54 ID:Bv3e6n7Lo
>>821

【水しぶき跳ねる鯉の塗料、音に潤いが混じったなら香る夜風もまた変わる】
【細い鼻筋を揺らしたら、可憐な香りが満ちる気がしたから】
【見つめた貴方が紡ぐ吐露、白い靄が纏わりつく毛先のように怠惰で】


……皆さん、つくづくお人好しなんでしょうね、人の事、言えませんが
でも思うんです、世話を焼くことのできる人って、助けられなかった人なんじゃないかって
あの時自分が欲しかった助けを、今度は誰かにしてあげるって感じで――――――

誰かを助けるのに理由なんてホントは必要ないんだと思います


【見上げる貴方を覗きこむ少女の顔、悪戯っ子のようにクスリと微笑む様子は見た目よりも幼く感じるかもしれない】
【頭の上、揺れる小さなミニハット、可愛らしさは小悪魔的であって、同時に素直な笑み】
【唇を雪色に濡らしたなら、透き通った頬に月光が滴り落ちるみたい】

【理解が出来ないと言葉を述べる貴方に対して、彼女は正しい言葉なんて伝えられない】
【ただ紡ぐのは自分勝手だけど、とても他人勝手な言葉の綾】
【お人好しで世話焼き、分からなくてもずっと、そう続けていくのだろう】


ふふっ、良くぞ聞いてくれました!家事全般なんでも来いという感じですよ!
こう見えましても何でもソツなくこなすオールラウンダーですから、お望みとあれば何でもできます
さあさあ御用を何でも申し付けてくださいなー!


【えっへん、胸を叩く様子は無邪気な少女のままの姿、月夜に伸びる影がどこか小さく見えて】
【浮かべる笑顔はえへへ、と言った本当に嬉しそうな少女のままの笑み】
【さっき照れながら言葉を述べた彼女の、また違う横顔の姿】

【華奢な素肌のラインを、ゴシックドレスに落とし込んだなら、そこに映るのは映画のワンシーンのよう】
【一杯のクリームみたいな柔肌を包み込む、ショコラの甘い言葉と香りが、彼女を彩る】
823 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 22:41:11.07 ID:HbXJ6XI1o
>>820

【噴水公園沿いに伸びる表通り――人の気配は絶えず、いくつもの足音が混ざり合っているのだろう】
【ちらりとお互いを見ることはあっても顔を覚えることもなく、ただすれ違うだけの人々】
【だけど、中には気にかける人も、確かに存在する】

【――そんな彼女はふと足を止めて、少女がいる噴水へと雑踏から外れて歩いて来るだろう】
【手に何か持っているようで、それに目を向けながら、書きこみながらゆっくりと近づくはずだ】
【もし気付かれていないのならば、少女の肩をとんとんと叩くことだろう】

【少女が振り向いたならば、こんな風貌をした人物が立っているはずだ】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白く、つばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】

【彼女は少女の様子を心配そうに窺いつつ、手に持ったそれを――スケッチブックを、向けるだろう】
【そのページにはこう書かれているはずだ】


『あの……辛そうですが、大丈夫ですか?
 もし必要でしたら、近くの病院までご一緒させて頂きますけど……』


【どうやら見たままの通り、少女を心配しているらしい】
【筆談をするということはどういうことか――もしかするとすぐに気付けるかもしれない】

/まだいらっしゃいますかー?
824 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 22:45:54.15 ID:UsfM/Gteo
>>822

……“あの時自分が欲しかった助けを、今度は誰かに――”?
ハッ……自己満足やないか。下らない……――くくっ、本当に……下らんなぁ

【そう言って笑う、が。何処か納得がいったというような、そんな表情をしていた】
【言葉は相変わらず辛辣であったが、顔色は先程よりもずっと険悪さが解けている】

【――が、相手の答えを聞けば、呆れたようにして見せて】

無い。用はない……嗚呼、そんなら一つだけ。

【ばっさりと切り捨てたが、ふと思い当たったようにして、彼はついと何処かを指さした】
【其処には人気のない道が続いていたのだが、整備されたものである以上、何処かには続いている筈であり】

……その道を、まっすぐ行け。此処よりマシな宿が幾つかある筈や
分かったら早う、往ね……――あッちにはもう、構うな。仲良しごっこは“してやれない”

【そう、明らかな拒絶の言葉を吐くと、男は座り込んだままで別の方を向く】
【コレ以上は関わるな、と無言の内に告げていた。彼の周囲に、青藍色の魔力が渦巻き始める】

【それは明確な殺気――関わるというなら容赦なく振り払うし、だからこそ、そうさせないで欲しいと】
【彼の望みは、其れ一点だった。言葉に従ったなら、確かに行き着く先には宿が有り、困ることは無いだろう】
825 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 22:46:21.15 ID:kfhKQ2b1o
>>818

ああ、まったく…………よりにもよってこんな日に、こんな場所で、あなたと会うとはね。
ツイてるんだか、ツイてないんだか。

【吟醸の愉快そうな笑い声が肌を這い回って、佳乃の表情を不機嫌に染める。放たれる声色も、どこか乱暴に叩きつけられる】
【じり、と――――灼け付くような視線を隻眼に送り込みながら、佳乃はあの時の戦いの、最後の瞬間を思い出す】
【本気の斬り合いではあったが、勝負はさせて貰えなかった。押し付けられた勝ちの重さは、今でも腕に抱えたまま】
【そういえば前に会ったとき、言った覚えがあった。次に会ったときは、鬱憤を晴らすと――――】

…………手が滑った程度で、人を殺せるのね、あなたは。

【その強さは、本物だ。自身を苦しめたあの居合いの絶技、未だに脳裏に焼き付いて離れない】
【結果的に目的が達せられたこともあったし、何よりそれに敬意を払う形で、佳乃は前回、この男を逃がしていた】
【だが――――後になって思えば。その鮮烈な強さに、自分は目が眩んでしまっていたのだろう】
【あの時からずっと考えていたことが、たった今確信に変わる。この男は、佳乃の目指す武人の形とは、決定的にズレている】
【――――人斬り=B当て所なく戦場を彷徨い、理由もなく人を襲う亡者。人としての道を踏み外した、武の鬼】
【道は違った。故に、もう決して逃がさない。吟醸が刀の鞘を握るのに合わせ、佳乃は懐から一枚の符≠取り出した】

【殺気に、闘気が衝突する。やがて雲間から、隠れていた月が顔を出す。佳乃の瞳は、吟醸の身体中に咲く赤い華を見咎めて】
【それは、単なる模様なのか――――それとも、誰かの命を啜った証なのか。何にせよその赤色が、佳乃の心に火を付けた】


――――招=I!

【その時、凪いだ夜道に一陣の風が吹いたのを、佳乃は見逃さなかった。接近に合わせて素早く後退し、同時に左手の籠巾着を振る】
【横薙ぎの一閃は、佳乃の代わりにその巾着の紐を切断する。宙を舞ったそれは、佳乃の狙い通りに行けば吟醸の顔面へ飛んでいくだろう】
【他愛ない目眩ましだ、うまく行っても僅か一秒、時間を稼ぐのが精一杯だろう。しかし吟醸程の達人でなくとも、それだけあれば得物は抜ける――――】
【佳乃が叫びと同時に右手を吟醸へ突き出すと、その手の内の符≠ェ光を発する。ぐにゃりと、右手周辺の空間が歪んで】

【刹那――――陽炎のような揺らめきの中から、白銀の刃が一直線に解き放たれ、吟醸の胸の中央へ突き出される!】
【佳乃の武器である薙刀が、陰陽術により召還されたのだ。抜刀と同時の刺突、速度も威力も平凡だが、歪む空間が多少視認を難しくしている】

そう簡単にやれると思ったら――――大間違いよ。

【…………この攻撃の成否に関わらず、空間の歪みはすぐに収まって、佳乃の右手には六尺ほどの長さを持つ薙刀が握られることになるだろう】
【浅い反りと波打つ刃紋、散りばめられた金剛石の破片が輝く玉鋼製の刀身に、赤い縄による意匠と金箔で描かれた紋様を持つ柄で構成される、美しい武器だ】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 22:52:42.85 ID:0dfAyp+/o
>>817

シェン……シェン・ロンドか。アイツとも顔を合わせたことが有るな
それもこれも全てリリアが原因……奴は最後、機関からも切られたんだ
言っちまえば俺がその首謀者。だから、知る知らない以前の話しでもあるんだが……

……あぁ、俺はもう機関の人間じゃない。怪我をして、戦えなくなったから。
だから信じてくれていい……俺は友達ってのが、片手で数えられるくらいには少ない自信があるが……

―――鈴音、お前のような奴は他に居ない。腕も、どっちの私も受け入れてくれたことも
知り合いが見たら信じてもらえないだろうが、それぐらい感謝してお前を信じてる。
だから、鈴音にも私を信じて欲しい。……こんな事、誰にも言ったことは無いンだけどな

【言葉の最後には些かばかり熱が入り、それを濁すように自嘲地味た笑いが溢れる】

【信用≠ネんていうのは、目にも見えず買うことも出来ないが――もう、これで全て問題なかろう】
【アナスタシアの――ベイゼの鈴音への気持ち。あどけない少女相手だからこその信用を】
【また逆に、彼女にも信じてもらいたい。そういうものが、じんわりと気持ちとして滲んでいて】

【少女の言葉の端、友達≠ニ言ってもらえたなら、心の中の雲が晴れ始め】
【また更に続く言葉を聞けば―――これが意外そうにはしたが、驚きはせず】

……お人形だからどう、って俺が言うとでも思うか?そりゃ無いぜ、見損なうな……
確かに奇妙な感じはしていたが、だから何だ。ヒトと変わる所も大して無いじゃねェか

――それにな、俺だって兵器≠セ。元はただのガキだったが、投薬と訓練で人間兵器に仕立て上げられた
そのまま機関でNo.3として暴れていたが……お前や、他にも何人か……それ以外の生き方を教えてくれる奴が居てな
不器用だから、そんな上手くも生きちゃいねえし、今みたいに気持ちを伝えるのも……。……まあ、なんだ

俺は、鈴音。お前が人形だろうが、昔死んだ奴のそっくりさんだろうが、そんな小さい事を気にする程……

【『繊細な心は待ち合わせちゃいねェぜ』――なんて言い放つ。そこに二心は絶対になかった】
【何故か――?目を見れば分かるのだ。黄土の瞳は、気持ちを表すようにきら、と輝いていて】
【妙な蟠りを取り払うように、ベイゼはマスカットティーを一気に飲み干す。陶器の白いそこがちらと見えた】
827 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 23:01:40.91 ID:Bv3e6n7Lo
>>824

【朱色が頬に満ちる、下らないと笑い飛ばされ羞恥の色合いが強くなる】
【耳の根っこまで真っ赤になりそうな心地――――――それを飲み込んで、貴方を見つめるのだろう】
【そして紡がれるのは拒絶の言葉、そして返す言の葉を飲み込んだ、白い喉筋がとくん、と揺れる】

【殺気≠サの意味合いを知らないわけではなくて、だからこそ焦る色合いがそこに溶ける】
【嘘偽りでなければ、そこいらのチンピラが放つような紛い物とも違う】
【研磨された刃のようだとも思った、細く伸びた日本刀のように、美しく鋭い殺気】

【言葉は正しい、それが分からないぐらいに子どもではなくて】
【――――――それが理解できないぐらいには大人ではなかった】

【一歩、もう一歩と踏み出して、貴方の元へと近づいたなら】
【できたら、思いっきり一発貴方の背後から貴方の頭を叩こうとするのだろう】
【隙だらけの一撃だ、回避自体は、難しくないのだろうけど――――――】


……そりゃ押し付けがましいかもしれません、余計なお世話だって言われても仕方ないかもしれません
でも、でも!!その言い方はないでしょう!そういう……やな言い方……っ
誰かの為になりたいとか、役に立ちたいとか、そんな間違った事、言ってないじゃ、ないですか……っ

――――――……ごめんなさい、つい、手が、出て……本当に……


【表情は見えない、振り向いても、俯いた少女の髪の残影があるだけ】
【どんな理由があれ、最初に暴力を振るう彼女に正当性は無い、責められても仕方ない】
【でも、どうしようもなかった、善意を拒絶されて厳しい言葉に耐えられるほど大人じゃなかったから】

【顔を上げたなら、涙を一杯に貯めて、異なる色の瞳を大きく震わせて】
【謝る少女のしゅんとした横顔は、雨下がりの午後の悲しげな横顔だから】
828 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 23:12:21.27 ID:lFRx4sbdo
>>823

【動かないと退屈。大きく動くと痛い。そんな板挟みに揺れる心(一部誇張表現あり)】
【そんな状態でぼんやりしていると、不意に肩を叩かれた】
【思わず素っ頓狂な声を出しかけるものの、それを許すと精神的に厳しいので押し止めて振り返る】

な、何?――――って、スケッチブック?
……ああ、なるほど、そういう事ね。あー、音を聞く分は大丈夫、かしら?

――気を遣ってくれたのはありがたいんだけど、病院ならもう行ったわ。
色々あって、肋骨を何本かやられてね。入院はしなくていいけど安静にしてろ、って。

【一瞬、スケッチブックに怪訝な顔をしかけたが、わざわざこの様な手段を用いるという事はそういう事なのだろう】
【念の為、聴覚についても確認してから、彼女の言葉に応え始めた】

【周りの人からよく無愛想だと言われるけれど、今日の自分は違う】
【何故なら、今こうして、穏やかに微笑みながら話ができているのだから!】

――――だけど、こうして出会ったのも何かの縁。時間あるならお茶でもどうかしら?

【言って、ゆっくりと立ち上がったら服を軽く手で叩いて】
【確か近くに喫茶店があったはず。新年早々開いてるのか、という話は置いておく】
【そちらを指差して、彼女の返事を待った】



/おりましたですネー
829 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 23:17:17.31 ID:UsfM/Gteo
>>827

【――これだけ突き放せば、もう寄って来る事は無いと思っていた】
【故にその攻撃の気配にはまるで気が付いておらず、結果的に思い切り頭を叩かれて】

っ、……!?

【目を白黒させてそちらを見る表情は、今日一番感情的であったかも知れない】
【言葉も出てこず、ただ本当に驚いたのだろう。相手の言葉を聞き入れて、黙り込む】

……――――

【驚愕は沸々と静かな内に暴力的な感情へと変わっていく。水面下で、冷たい表情が覗く】
【初めからこうしておくべきだった。そう思考しながら、彼は掌に魔力を集結し始め】

――……だから、言ったやろ。

【やがて――其処から青藍色の太い蔦が現れて伸び、相手の首を狙って飛来する!!】

【その細い首を締め上げようと、迷いなく伸ばされた蔦は僅かな光属性の力を纏っている】
【距離は近いが攻撃までには初動が有り、蔦自体も、属性はあれどただの植物の強度だ】
830 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/01(水) 23:19:39.88 ID:6YbRcQLNo
>>825

【閃いた光───それは、吟醸の放つ白刃の光ではない】
【佳乃の手の内にある符が放つ輝き、しかしそれはすぐに吟醸からは見えなくなる。顔を巾着が被さって覆い、前を隠した】
【揺らめきから放たれる一瞬の突きを、しかし吟醸はそれを見る事が出来ない、出来ないのだが───】

【ガリ、とした感触が佳乃の手に伝わるだろう、それは吟醸の左手にある鞘が薙刀の先端を抑えた証】
【逆手に持ったそれを、その上を薙刀の刃を滑らせる様にしつつ、前へ前へ躍り出る吟醸。はらりと落ちた巾着から覗いた目は、まだ開き切らない蕩けた半開き】
【其の儘、接近しながら刀を鞘に納めて引き戻す、寄らば斬る、かと思えば───】

そうだねぇ、簡単に終わっちゃつまらねぇ
せめて、素面で殺る気の寸前くらいまでにはさせてくれよ?

【佳乃の目前で、反時計回りに反転して、遅れて流れるマフラーが佳乃の顔を撫でるように覆うかもしれ無い】
【反転したのは、彼特有の足取り掴めぬ剣技の為に。体制を低くして小尻(鞘の先)を佳乃の腹部に突き立てようとする】
【それだけでは終わら無い、鞘の突きが終わった瞬間から、体制を直しながら振り向きながら刀を抜き、振り向きながらの変形袈裟斬りを、佳乃の右肩からに掛けて放つだろう】
831 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/01(水) 23:30:34.75 ID:Bv3e6n7Lo
>>829

【――――――跳ねる音、水しぶきがもう一つ音を奏でた残響】
【池に映る月光の形が霞む、視界に映る蔦の残影、その軌跡には僅かな迷いも無くて】
【唇を噛みしめる、当たってあげれるほど彼女は遅くはなかった】

【地面を蹴ったなら一歩、飛び退いてその蔦を回避するのだろう】


……ごめんなさい、貴方の言うとおり、出て行くことにします――――――
色々、迷惑かけちゃいましたね……その、すいません……


【言葉が見つからなかった、ショックもあったが、ここまで真っ向から拒否されたなら、彼女にかける言葉はない】
【それは同時に彼女の未熟さを示して、責任の転嫁をそこに残すのだろう】
【ゆるやかに刻まれた表情の意味合い、それを知ることはきっと、難しくないから】

【夜風に混じる仄かな温もり、雲間に隠れた月光の後付けのようでもあるのだけれど】
【踵を返すその背中は、どこか寂しげで、とても小さくて――――――】
【やがて、歩いてそこから立ち去っていくのだろう】

【さよならの言葉はどこか、通り過ぎた名残のように――――――】


/この辺りでしょうか、お疲れ様でしたー!
832 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/01(水) 23:34:08.52 ID:HbXJ6XI1o
>>828

【彼女はこくこくと頷いて問いに答えるだろう。どうやら聴覚は正常のようだ】
【続く言葉を聞けば大事ではないとわかったようで、いくらか胸を撫で下ろすことだろう】
【よく考えればけっこうな怪我だけれど、医者に言われたのなら余計な気遣いは無用か】

【立ち上がる少女を、やはり心配そうに見つめ、問題がなさそうだとわかるとその視線も元に戻る】
【やや遅れて、彼女はスケッチブックに向かうだろう。ペンを握ると、筆先を落とした】


『いいですね。ちょうど用事もありませんし、ご一緒させてください!』


【素早く書ききると、その文字を少女へと示すだろう】
【世間は正月で忙しいかもしれないが、彼女、もしくは彼女たちには関係のないこと】
【ボーイフレンドのような存在もいないから尚更、断る理由なんかなかった】

【指された場所を軽く確認すれば、そちらへと歩きだすことだろう】
【――余談、普段からかもしくはわざとかは不明だけれど、彼女の歩幅は小さかった】

/やったー!よろしくお願いしますです
833 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 23:40:57.95 ID:UsfM/Gteo
>>831

【――去っていく背を見送って、呼び出した植物を消し去ると】
【無言のまま男は立ち上がって、相手とは別の方向へと歩き去っていく】

……――絆される訳には、いかんのや……、絶対に……

【受け入れられないのだ。数多の人を殺めて来た此の生き様を、】
【その人の温情で絆されて、安易な幸福を得る事を――彼は、受け入れられない】

忘れるな……、……認めるな、赦すな……、……――

【繰り返し、自身に言い聞かせるようにして】
【亡霊のようにふらふらと、彼は暗い夜道へと、姿を消していった】

/お疲れ様でしたー
834 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 23:57:19.90 ID:kfhKQ2b1o
>>830

【突き入れた薙刀が止まり、佳乃の右手に更なる力が籠もる。これぐらいは、流石に想定していた】
【吟醸の接近に合わせ、佳乃は後退する。この至近距離、完全に刀の間合いだ。薙刀の力をすべて引き出すにはどうしても距離がいる】
【幸い、ここは屋外。小道は長く続いていて、壁に追いつめられるということもない。かといって、有利というわけでは決してないが】

白刃龍紋流・参の太刀――――『三衣』!

【刀が鞘に収まり、その体躯は目前で回転。正々堂々真正面から斬り合う佳乃のようなスタイルとは相反する動きだ】
【棚引いたマフラーは、後退の動きによって直接顔に当たる事こそないが、確実に一瞬佳乃の視界を狭めて】
【佳乃の叫びと同時、続くは小尻の一撃――――しかしそれは、鉄でも殴ったような感触を吟醸の掌に伝えるかもしれない】
【あの時も見せた、純白の光。神気という聖なる力の奔流が、全身を結界のように覆っているのだ】
【この全身防御の奥義なら、例えどれだけ不意を付かれようが対応は可能――――】

相変わらず、上から目線で言ってくれるわね…………ッ!!

【刀と薙刀、武器の扱いの練度で言えば、きっと吟醸の方が上だ。だが佳乃には武人としてだけでなく、退魔師≠ニしての力も備わっている】
【武人としての力と退魔師としての力、その二つを合わせて振るう『白刃龍紋流』。例え達人級の相手であろうと、そう簡単に終わりはしない】
【続く袈裟切りに対して、佳乃は薙刀を持つ右手を身体から離す。反射%Iに動きそうになる右手を距離の隔絶で封じ、決して薙刀を動かさなかった】
【代わりに、薄い鉄板程度の防御力を備えた『三衣』を引き続き展開し続け、それを防御してみせるだろうか】

(くっ…………流石に、重い…………!)

【とはいえ、その防御も万能ではない。痛みに耐える表情を見ればわかる通り、完全に防御出来たわけではない】
【鎧を着ていても、殴られた勢いは伝わるものだ。斬撃と、それに付随する酒気は防げたが、刀の衝突による衝撃は確かに佳乃の身体を痛めつけた】

肆の太刀――――『四散』!!

【そのような強引な防御でリスクを負う代わり、佳乃は薙刀を防御に使わなかった――――つまり、薙刀の全てを攻撃に回すことが出来る】
【繰り出された袈裟の斬撃を防御し終えたその瞬間、離していた右手を引き戻し、吟醸の腰元へ突き出すだろう】
【近距離戦用に薙刀を短く持ち替えた上での刺突は、速いが威力は低い。それは刺突による攻撃を、主眼に置いていないから】
【この奥義、吟醸も見たことがある筈――――刀身に集合した神気が急速膨張し、強い爆音と衝撃波を伴って爆発を起こすそれが、至近距離で炸裂する!】
【込められた高い威力は、一度受けたことのある吟醸なら理解できるだろう。まして距離も近い、直撃は危険だ】

【逆に言えば、刀身から離れれば離れるほど威力が減衰すると言うことだが…………それは、佳乃から距離を取ることを意味し】
【佳乃自身もまた爆発の反動で、真後ろに後退することとなる。ダメージを与えるのはもちろん、距離を取ることも視野に入れた攻撃であった】

【…………なおこの際、『三衣』の防御は消えている。奥義による攻撃と防御を同時に行うことは出来ないようだ】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/01(水) 23:58:30.84 ID:ADX87X+f0
>>826

【(――ずっと、隠していることが引け目になっていたのかもしれない。或いは、気付いていないのかもしれなくても)】
【(こんなにも大切だと思う人間にそれを伝えるのは二度目のこと。一度目は泣きたくなって、二度目だって、慣れはしない)】
【(不安症は彼女の悪い癖だ。根底まで根付いた悪い悪い癖。けれど、どうにか出来たら苦労なんて、していない)】

【強張らせた身体は、きっと生クリームの甘味なんて感じとれていなかった。ただただ、ベイゼの言葉を待って――】

あ……、――……ありが、とう、

【信じると決めた。それでもこわかったのだろう――縫い止められていた視線がほどければ、ふらりひらりとそっと振れ】
【少しだけその瞳が潤んでいるように見えた。強い安心と安堵と、それと、深い喜びとが、雫になって僅かに溢れ出し、】
【簡単に言い切ってくれたことがその安堵を余計に強固なものとしてくれた。百点満点の答えを、受け取って、反芻すれば】
【強張っていた身体から力の抜けていくのが良く分かる。――へにゃと浮かべた安堵の表情の情けないのも、きっと】

わたしも、……わたしも、気にしないよ、そんなこと。機関なんて、どうでもよかった――……。
……わたしのこと、信じてくれてありがとう。わたしも――信じるよ、あなたのこと。絶対に、もう、疑わない。

【相手の言葉の総て、ひとつひとつが、嘘偽りという濁りのない煌き、まるで宝石みたいにきらきらと放たれて】
【一生懸命に拾ってみれば篭められた感情がどうしようもないぐらいに伝わってくる、絶対の強さで、痛いぐらいに】
【誓うように言葉を紡ぎながら、浮かべてみせるのは破顔だった。最愛に向けるのとよく似て違う親愛を、精一杯に篭め】
【――はじめて他人に見せる表情だった。最愛の夫ですら引き出せなかった表情を、今、ベイゼに向ける】


…………だからね、人間の身体を作るのはちょっとだけ得意なの。そこらへんのひとには、きっと負けないよ。

【――やがて付け足されるのは余談といってしまえば余談だろう。彼女が精巧な左腕を作ることが出来た理由の一端】
【右手を一度開いて握れば、きらりと皮膚を走る桜色――つまりは、彼女の身体総てがベイゼに施したものと、同じだと?】
【少しだけ仄めかすようにして笑っている。どこか悪戯ぽい、勝気に見える笑みは、彼女の顔の造形によく似合うものだった】

【(魔力と能力で身体を構成した身体。自分自身にならここまでの精度を発揮し、保てるのだけれど――)】

【すっかりと心の軽くなったように最後の生クリームを食べ終えた。見れば、相手のカップの中も底を見せるほどまで減っていて】
【お開きの頃合だろうか。それとも、日の出まで他愛ないことを語らうのも面白いかもしれない。結婚という最大の話題もあることだし――?】
836 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 00:06:16.52 ID:lmLK+KVJ0
【オープンカフェ、そのテーブルのうち一つ】
【「あーあ」とため息をつく人影が一人、イスの背もたれに寄りかかりながら座っていた】
【だがしかし、声の主はそういった特徴からは一切想像もつかない容姿の人間であった】

―――――――――…『くっそ、こんな時間でも眠くならない』

【白いブラウス、黒のジーンズ、茶色のローファー】
【黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳、背丈は160cm程か】
【金髪のショートヘアを、左の前髪だけ紅いヘアピンでとめた「少女」】

【何の癖なのか、右手の中指は自分の喉に当てられ――左手には大きい紙コップが握られていた】
【テーブルの上に置かれたカフェラテは半分減っており、ある程度の時間ここにいることが分かる】

『眠れないとはいえ、やることがないのはあれだなぁ…少しでも時間が潰せればいいが』

【顔に似合わぬ声色は勿論、この人物は一切『口を動かさず』喋っていたという不可思議】
【表情を無で固定したまま、声だけは疲労しているかのような調子を作っている】

【少女の左手、大きい紙コップに入っていたのはポップコーン―――キャラメルの甘い香りが辺りに広がっていた】
837 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 00:07:02.59 ID:jsliIEWVo
>>832

【彼女の同意を得て歩き出すものの、怪我のせいかあまり速くは歩けない】
【だから小さな歩幅で歩く彼女のペースは丁度良いものであって――また気を遣わせたかな、なんて思いもしながら】

――こうして見てると、最近の物騒な話が嘘みたいね。

【時は新年、正月。家族連れもあちこちに見られるが、誰も彼も皆、団欒を楽しんでいる】
【鉄の国でのGIFTによる一連の事件や、炎獅子を始めとした怪物騒ぎなんて忘れてしまいそうで】
【半ば意図せずして、そんな言葉が口から零れた。殆ど独り言の様な、そんな言葉ではあったけれど】


【――そんなこんなで、少し時間は掛かったけれど、目的の場所まで滞りなく到着】
【案外、店内は空いており、すぐに窓の近くの席へと案内されて】

そういえば名前、まだだったわね。私はゼリシュ。ゼリシュ・フェーブスよ、よろしく。

――――ああもう、もうすぐ二週間経つっていうのに、早く治らないかしら……

【席に着いたら漸く、簡単ながらも自己紹介。注文を取りに来たウェイターには紅茶をミルクで、と】

【それから忌々しげに、腹部を見下ろしながら呟いた】
【二週間弱ほど前、というと鉄の国のパレードをGIFTが襲撃する事件があった頃だろうか】
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 00:43:30.97 ID:gBgfi8Ivo
>>835

【ベイゼの言葉を受けた少女の反応に、その言葉に対して、何かが返されることはなかった】
【強いて言えば――『おう』という極めて短い返事のようなものと、それから――】

【少女の、特上の笑顔に対してのニヤリという笑みとを向けたに過ぎなかった】
【そっけないというよりも、下手に気遣うことよりこちらの方が余程分かりやすい、という】
【如何にも、アナスタシアとは違った面を見せるベイゼらしい受け答えであったといえるだろう】

……あぁ、そういうワケか。どおりでこの左手、初めてだって言った割に
よく動くもンだと思ってたんだ……重いとはいったが、調子は良いんだぜ?

っと、そうだ……ちょうどいい機会だし、折角だからこの左腕、メンテナンスしてくれよ
どうせ朝まで店は開いてるし、聞きたいことも幾らだってあるからな
それに、どうせ奢ってもらえるなら存分に……ってのはまあ、冗談だが―――

【少女の言葉と肌の変化、それには流石にやや驚いたようにしながらも声を出し】
【思い出したように左手を動かして、テーブルの上、少女の方へとそれを伸ばす】
【無理をしたあとも傷もない腕。定期的に見てもらえればそれで良い、という話を今此処で、ということか】

【それからベイゼが言うのはもうしばらく此処に居て、一緒に話さないか――なんて内容で】
【恐らく、誰かとこうしてお茶を飲みながら談笑するというような事、ほとんど人生で無かったのだろう】

【だから少し無理矢理でも、付き合ってくれそうな彼女には――それこそ甘えるように言ってみて】
【良いと言えば飲み物のおかわりを頼むことになるだろうし、話の内容も少しずつ軽いものになるだろう】
【腕の話から結婚の話、きっとその後は馴れ初めだの、生活はどうの、という事を話すようになり――】

【―――遅くとも、朝方。空が白む頃にはふたりとも流石に疲れて、別れる事になるだろうが】
【去り際にベイゼは携帯の番号を渡し、最後の最後にも一度だけ笑って見せて、その場を離れる事になる】
【心のおける相手を見つけた喜びからかわからないが、ゆっくりとした歩みは――何処か、軽そうにも見えた】

/っと、こんな感じで〆てみたりっ!
/それでは二日間、そして新年、お付き合い頂きありがとうございましたー!
839 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/02(木) 00:44:50.16 ID:auKvnYjho
>>834

おっと、へへ、そういやそいつがあったか……

【佳乃が纏う神気の輝き、腕を使わずとも衝撃を緩衝出来るその力に阻まれて漸く、思い出したように吟醸は呟いた】
【しかし、それは厄介な物に対する不満や悪態ではない、逆に歯応えを感じているような笑顔で】

【袈裟斬りを止められようと、「ならば諸共斬る」と言わんばかりに競り合う吟醸、あくまでもその勢力自体はまだ人間の範疇ではあるが、引かないという手を取るのは人間離れしている】
【『出来ない』とは一瞬足りとも思わない、『やる』としか考えないからこそで】

【しかし、佳乃の突き出す薙刀は流石に体制を変えてかわさずにはいられない、後ろに飛び退きながら、その肉を先端が掠って───】
【爆裂、一瞬の光の後に、吟醸の体が吹っ飛んだ】
【地面を転がり、5m程開いた距離、しかし吟醸は立ち上がりながら、刀を鞘に押し込んで】

……くっくっく……いいネェ………矢っ張り大量の薄酒よりも一滴の極上酒か……
よお、佳乃ちゃん、今の一撃、殺す気で打ったかい?オイラの臓腑を抉って、吹き飛ばす気でやったかい?

だとしたら、まあ中々。そうじゃねぇなら……是非とも殺る気で来て欲しいネェ

【ゆらり、ゆらり、幽鬼のように揺れながら語る姿は、段々と変容してくる。姿そのものは変わらず共、だんだんと佳乃の知らない吟醸が表立って姿を表す】
【鬼の角はまだ見えず、代わりに右手が着流しの裾を掴み、捲り、表すのはその体、身体中にある幾つもの生傷の中に真新しい血を流す傷が幾つかある、それは佳乃が刻んだ傷一つだけでは無く】

見ろよ、雑魚どもが殺す気で付けた傷幾つより、今の佳乃ちゃんの攻撃の方が余程響いた。これが殺す気で心の臓を狙ってくると考えたら堪らなくて寒気がすらぁ
斬って斬られて血を啜る、その死狂こそが境地よ、そうだろ?

【捲った服を直し、吟醸は歩き出す、ゆっくりと佳乃に向かって】

【ゆっくりと、蝸牛が這うより遅く】

【ゆっくり───】

佳乃ちゃん、お前はオイラに、殺す気で斬らせてくれんのかい?

【───これはれっきとした吟醸の技、足運び】
【極限までゆっくりとした動きで、直視する人間に錯覚を起こさせて距離感を掴めなくさせる歩行法……付けた名は、蚤歩き=z
【所謂ゲシュタルト崩壊だ、佳乃が吟醸の素早い動きに注意している程に効果は顕著に現れるだろう】

【接近出来れば、吟醸は緩やかに刀を抜きながら、佳乃の右腰から左肩を逆袈裟に斬りつけようとする】
【打って変わって鋭い動き、攻撃に移る寸前もまた、それまでの分殺気や動きの感知はし易いが】
840 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 00:52:35.98 ID:gIPcudhvo
>>837

【こくりと、また彼女は頷くのだろう。一見平和に見えるが、争いが絶えないのは事実】
【――他人事では決してない。いつ自分達の周りに火の粉が降りかかってもおかしくはないのだから】
【そう思うと、自然とスケッチブックを持つ指に力が入るような気がした】


【喫茶店に到着し席に着いたなら、ふう、とひと息つくのだろう】
【あったかい店内の空気に冷えた身体を馴染ませて、リラックスしたなら自然と笑みを浮かべる】
【自己紹介を受けると、彼女もペンを持って】


『ゼリシュさん、ですね。私はホプス・ブライトと申します。ブライト、とお呼びくださいっ。
 気持ちはわかりますけど……安静に、ですよ。』


【こちらも短く自己紹介。そのままひっくり返そうとしたが、下に文を付け足した】
【そうこうしているうちに来たウェイターに、ゼリシュと同じものを注文する】
【スケッチブックを机に置いて、別のメモ翌用紙でウェイターと会話するその姿は、】
【傍から見ればかなり忙しなく映るかもしれない】

【ともかく無事注文を通し、ゼリシュが文章を読み終わったならば】
【彼女はスケッチブックを自分の方へと寄せて、また文字を連ねてゆくはずだ】


『結構いろんな所を怪我されてるみたいですけど……何かのスポーツで怪我をしたのですか?』


【先程の言葉や怪我をしてなお外出しているところから、活発な人なのかと思っての言葉だ】
【それは間違ってないけれど――腰の短剣を見て、もしやと思ったこともまた事実で】

【内心は、その時の戦いについて何か聞けるかもしれないと期待していた】
【二週間前、というと、その頃はGIFTが動きを見せた日の近くだったはずだから】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 01:18:49.74 ID:PCxsseDD0
>>838

【下手に気遣うよりも――相手のそのスタンスは、もしかしたら彼女にとって心地よいものであるのかもしれなかった】
【新たに知ることになったベイゼ/アナスタシアの本性。そのどちらもをゆっくりと、確実に飲み込みながら】
【ある意味ではふたりが初めて出会った夜が/今年初めての夜が、緩やかに過ぎて行く――】

それなら良かった……、でも、何かあったら言ってね。わたしに出来ることなら、頑張るからっ――。
……最近ね、セシルに魔術とか教わるようになったの。だから、もっと上手になれるかな――……。

【――調子がいいのだと言われれば浮かべるのはやはりというべきか安堵だ】
【先ほどのことを思えばあれほど心配していたのだから、それは当然とも言える反応で――胸を撫で下ろすように】
【けれど重いというのが少し気になる。軽く――どうしたら軽くなるのかを、考えながら言葉を紡いで】

【「メンテナンスしてくれよ」「もちろん」】
【返した言葉はあまりに早く簡潔で、相手の要求をそのまま受け入れて、こくりと頷く】
【時間はまだまだあるのだから。別の飲み物を飲みながら、様々な会話をしながら、――考えただけで、きっと楽しくて】

【(頷いたのは、後の誘いに対してでもあったのかもしれない。当然断ることなんてなく、朝までを了承した)】
【(けれどちょっと――と言ってから弄っていたのは携帯電話だろうか。数十秒もすれば、ぱっと手放して)】
【(“友達と会ったから先に寝ててください”――送信したメールには、そんなことが書かれていたという)】

【メンテナンスのためと称して左手を求めたのだろう。言うとおりにすれば、机の上で手を繋ぐようなかたちになって】
【時間があるからと余裕に思うためだろうか、ずいぶんとその作業はゆっくりだったけれど――確実に、行われていく】

【――とかく素敵なひとなんだよ、と言うことを何度も何度も何度もアピールしていた。ココアよりも甘ッたるく惚気話】
【そんな話をずっと聞いていれば旦那とやらがどんな人間だかも少しずつ分かってくるというもの。いいひとらしいと、きっと】
【もちろん相手の話を聞く場面もたくさんある。お互いにお喋りして、女の子らしく囀るようにお話して、過ぎていく夜は】
【彼女にとっても初めて、或いはそれに近しい体験であったのだろう。眠たがりのくせに、欠伸ひとつしなかった】

【ばいばいって手を振る頃にはすっかりと空も白んで、朝模様。ふあぁと大きな欠伸を洩らしていたのがちょっとした余談で】
【携帯電話を受け取れば後で連絡するというから、そうしたら登録してやればいいだろう。去り行く背中には手を振って】
【――きっとその頃には左腕も少しだけ軽くなっているはずだった。精一杯に頑張った結果は、ごく些細な変化だったというけれど】

【蒼白く染まる世界に紛れ込むように溢れた黄緑色が彼女の華奢な身体を攫って、彼女の視界を夜へと引き摺り戻す】
【時が戻ってしまったような真っ暗闇の中で、けれど絶対に消えない思い出をひとつ増やした彼女は、ひどく嬉しげだった】

/おつかれさまでした、二日間ありがとうございました!
842 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 01:39:52.31 ID:RmaxDy9ro
>>839

【吟醸の身体が大きく吹き飛んでいくのを見届けると、佳乃は素早く薙刀を持ち直す】
【長いフォルムの遠心力を全て生かしきれる、薙刀本来の構えだ。鋭く構えた切っ先は、吟醸へと向けられて揺らがない】
【呼吸を整え、空気の冷たさを全身に感じ取る。一時退けられはしたが、この程度ではまだ終わらない、終われない】
【元々の端麗な相貌に纏う純和風の装い、構えるは美麗な薙刀。漂う神聖な空気が、少女の美しさを人外じみて強調する】
【その挙措のどれを取っても、月にも負けず美しく、夜にも負けず冷ややかで。双眸に宿す黒色が、研ぎ澄まされた氷刃だった】

…………私はあなたとは違う。殺すことを、是とはしない。

【着物という名の外面が剥がされれば、そこには鬼の躯があった。戦を糧とし、血を啜って生きる幽鬼の姿があった】
【――――ひどく、対照的だ。同じ刃を構えているのに、佳乃の姿は荘厳で美しく、吟醸の姿は血で汚れて揺れている】
【先の一撃に限らず、佳乃はここまで殺す為の攻撃はしていない。対する吟醸の行動は、すべてが死に直結しているのだろう】
【佳乃の力は、人を生かす為の力だ。振るう薙刀は妖魔を斬るため、神気は人に使えば治癒の力を発揮する】
【少女は人を守る武人であり、人を守る退魔師である。吟醸からすれば、きっと物足りないと思うだろう】
【ただ――――】

私も、戦いは好きよ。強い人と戦うのは、本当に心が躍る。
…………けれど。あなたのようには、なりたくない。

【いざという時。本当に、殺さねば終われない時。その手を血染めにする覚悟は、少女も確かに持っている】
【鬼が歩いてくる、と佳乃は感じた。外道に堕ちた人間の成れの果て、強さ≠セけを啜る鬼が】
【佳乃は、強く歯を噛みしめた。その表情には悲壮なものが浮かび、黒い瞳が怒りと悔しさを糧に燃え上がる】
【――――殺す。ここで止めねば、この先もっと多くの被害者が出る。何より、その気でやらねばこちらが死ぬ】
【吟醸にとってはきっと軽い、佳乃にとっては何よりも重たいその覚悟が、両の手から薙刀へ伝わって】

勝手に――――しなさいッ!!

【殺したければ殺せ。ただし、こちらも殺し返す。当たり散らすような言葉と共に、一線が越えられた――――】
【奇抜な歩法が佳乃の心を惑わせ、焦らせる。緩い動きからの転換、吟醸得意の速さ≠ェ襲うと頭ではわかっていても、思考が追いつかず】
【佳乃の瞳は、一瞬前の吟醸を捉えた。接近と同時、火が付いたように刀が振るわれ――――その瞬間、甲高い金属音が打ち鳴らされるだろうか】
【薙刀の刃が、刀の軌道を逸らしている。右腰に浅い切り傷と少量の酒気の浸透はあったものの、ダメージは想定より遙かに小さい筈だ】
【佳乃自身は、現在の吟醸を捉えていなかった筈なのに――――まるで手が勝手に動いたかのように、それは止められていた】

(『零露』なら…………反応できる!)

【――――種は簡単、反射≠ナある。思考より遙かに速い反射神経が、咄嗟に薙刀を動かしたのだ】
【白刃龍紋流・零の太刀、『零露』。反射神経を刃のように研ぎ澄ます速さ≠フ奥義が、佳乃の身体には常時発動している】
【一瞬遅れて吟醸の姿を捉えた佳乃は、一歩後退しながら薙刀を勢いよく縦に振るうだろうか。吟醸ではなく刀を狙い、弾き飛ばすような動き】
【佳乃はそのまま、手元で薙刀を翻し――――柄の先端、石突の部分で、吟醸の右肩を打ち据えようとするだろう!】
【十分に体重の乗った攻撃だ、刃を使った刺突には劣るまでも、威力はなかなかに高い】
843 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 01:39:59.10 ID:rS3TNUeso
>>840

【今度は机に頬杖を突いて、彼女が言葉を書き記していく様を眺める】
【始めよりいくらか、目にも力が宿っていて。そうなるとやはりその鋭さが目立つだろうか】

安静に、って……言われなくても分かってるわよぅ……
……でも、色々と動いてるのを黙って見てるってのも癪だから、ね。

【少しばかり口を尖らせて言うけれど、別に本気で拗ねているわけでもない】
【ただ、じっとしていたくない、そんな性格なだけなのである】

【つまり、活発な人、というのは間違っていないわけだ】

スポーツ……そんなところ、かしら。
この前、GIFTが鉄の国の首都を襲った時にその防衛に回ったのよ。
その時に……GIFTメンバーの一人と戦って……ね。

こっちは二人だったんだけど、結局逃げられたみたい。
その前にも一度、他のメンバーと戦った時も負けたし……まだまだだわ……

【言って、それから溜め息。最後の言葉もまた、この状態でも動こうとする理由、なのだろう】
【つまりは、自分の力不足。それを感じているが故に、怪我を押しても行動しようとしているのである】

【――しかし、戦闘の中身は深くは語らず。聞き出したい事があるなら、ブライトから踏み込む必要があるだろう】
844 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 02:11:47.43 ID:gIPcudhvo
>>843

【拗ねるようなゼリシュの言葉を聞いて、彼女は要らぬお節介をごまかすように笑みをこぼす】
【口を尖らせて文句を言う様からは、無愛想と思われているようには見えない愛らしさも垣間見えた】


【GIFTとの戦い――そこにいた事実から、数か所にわたる怪我に合点がいく】
【歯がゆさを表すような言葉が、ゼリシュの悔しさをありありと彼女に伝えるのだろう】


『あの、なんだか取材みたいで申し訳ないのですが……いくつか質問に答えてくださると嬉しいです。
 まずは、GIFTがなぜ鉄の国を襲撃したか、知っていればお願いします。
 実はあんまり、その事件について知らないので……。』


【鉄の国が襲撃された――それ自体は知っていた】
【けれど、その場にいた人にしかわからないこともあるかも、そう思っての質問だった】
【そしてこれは彼女にとって、あることを確かめるためのものでもある】

【いずれにせよ――折角のお茶の席、重い話を避けたいのならば一言言えばブライトは引き下がるだろう】
845 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/02(木) 02:19:50.06 ID:auKvnYjho
>>842

【蚊が止まるような、石像のようにも見えるその動きから、まるで目の前にいきなり現れたかのようなそれ】
【輝き走る一瞬の斬撃は、薙刀に逸らされ佳乃を避ける、佳乃の反射が、人智を超えた反応をして】

【ならば、人智を超えたそれを更に超える───吟醸がやるのはただそれだけだ】

くっくっく……殺しを望まず、仕方なしに殺しを為るか……それもいいさ、佳乃ちゃんの人生だ

【鉄の音。刀鬼の手から刀が落ちる音、彼が人斬りである為の角が、落とされる】
【確かに彼は人斬りであった、ただ斬られ、斬りたいが為にいる、人の理解の及ばぬ鬼。殺しと死を何とも思わぬ獣】
【血肉を喰らい、争いを啜り、闘いに生き、殺しに酔う怪物】




───だが、それじゃオイラに『勝てても』『殺し』はできねぇよ

【───だからこそ、殺せるのは同族か。それに近い人間のみ】

【肩の骨を砕かんとするその一撃を、受けた。鈍い音がして、何かがずれる感覚がする】
【だらりと右肩が垂れるが、しかし吟醸は其の儘、右脚で落ちた刀を踏み付ける】
【くるくると回転しながら浮き上がる刀、首を傾げて頭と肩で石突きを挟み込み抑えながら、吟醸は体を捻り右脚を挙げる】
【前蹴りだ、しかし単なる蹴りでは無い、回転し浮き上がった刀の柄頭を捉えて放つ、足を使った刺突攻撃へと昇華させて放つ】
【腕が無くとも刀を自在に扱える、それが闘いに生きる鬼の所業】
846 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 02:52:52.38 ID:z5AgKuk0o
>>844

【ウェイターが二人の注文した紅茶を運んで来て、また、去っていく】
【砂糖数杯とミルクを手早く入れたら、スプーンとカップの擦れる音を鳴らして、ぐるぐると紅茶が渦を描く】

【元々目つきが鋭く、基本的に勝気な性格である為、無愛想に見られる事は多い】
【けれど、その中にも年相応な面もあって――ついさっき見せたのも、そんな一つ】

襲撃した理由、ね……それがどうにも、よくわからないのよ。首謀者と直接ぶつかった訳じゃないしね。
前に一度、SCARLETのメンバーとこの事についてちょっと話したんだけど、
たぶん、SCARLET側もあんまり分かってないんじゃないかしらねぇ?

アイアン・イーグル≠ニかいうミサイルを盗み出してたみたいだけど何に使うか不明だったし、
そのミサイルだって、この前奪還したとかいう話でしょ?

――――だけど、あれだけしつこく鉄の国を狙うって事は……何か目的があるんでしょうね。

【この話題を嫌う事は無くて、少し声のトーンが落ちた事を除けば先ほどまで変わらない語り口】
【それから紅茶を一口、カップはそのまま口の近くに持ったまま】

【質問の主題たるGIFTの目的は――特に何の情報があるわけでもなく】
【一連の襲撃の首謀者、W/ダブルとはほんの少し会っただけで、言葉を交わしてもいない】
【目的も無く襲撃を行っている様には見えないけれど、その実態は杳として知れなくて】

【ブライトがどういった事を思い、この話を聞いているのかはわからないが、嘘を語っていない事は確かである】
847 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 03:08:38.82 ID:RmaxDy9ro
>>845

…………ッ!?

【手応えは十分にあった。右肩の間接を打ち据える一撃、腕を潰されれば並の剣士ならそこで終わりだった】
【しかし、佳乃は慌てて薙刀を手元に引き寄せる。この状況で不気味に笑う幽鬼の顔は、到底尋常ではない】
【落とした筈の刀が跳ね上がる。まるで刀を振るためだけに生まれてきたよう、人を斬るために生まれてきたよう】
【どんな有り得ない体勢からでも斬り掛かれる、吟醸の強み。攻撃後の隙もあり、思考はおろか反射ですら完全には対応できない――――】

っぐ…………『三衣』ッ!!

【あまりの不意打ちに、薙刀での防御も回避も間に合わない。佳乃の反射が選択したのは、体を動かさず発動できる防御結界】
【再び、神気の膜がその身体を覆い尽くすが――――それすらも、遅い。ギリギリ展開が完了して僅かに軌道を変えるが、左の横腹を鋭く裂かれる】
【佳乃は以前に、口を使った居合いという妙技を見ていた。どんな体勢でも襲ってくると身構えていた。その前情報があってなお、この傷だ】
【それがなければ致命傷も有り得ただろう。人斬りの鬼の威容は、神の力を前にしても揺らがず】

それで、十分よ…………!

【――――殺す気では行くが、殺さないに越したことはない。現実問題、行動不能にしてしまえばそれで十分なのだ】
【勝つ。それが出来なければ、殺すことはおろか生き残ることさえできないのだから。佳乃はいつも通り、ただそれを目指すだけだ】
【薙刀を握る手に強く力を込め、佳乃は吟醸の懐へ飛び込むと、薙刀を胸の中心めがけて突き出すだろう】
【それ自体は単調な刺突だ。右肩を壊されたとはいえ、吟醸の技量なら防ぐのは難しくないだろう】
【だが決して、吟醸を舐めている訳ではない――――次の一手への、これは布石】

白刃龍紋流・襲打=\―――――『四境絶塵』ッッ!!

【燃え盛るような咆哮。間を置かず、佳乃が今しがた防御のために張った『三衣』の結界が輝きを増して】
【次の瞬間、膨張した結界が勢いよく爆ぜ飛び、佳乃の周辺へ強烈な衝撃波が巻き散らされる――――!!】

【襲(かさ)ねて打つ。その名の通りの合わせ技=Bこれは、結界を張る『三衣』と爆発を起こす『四散』を同時発動させる奥義だ】
【結界を瞬間膨張させ、周囲一帯にあるものを纏めて吹き飛ばす。薙刀の間合いを破られて接近された時の切り札だ】
【性質上、佳乃の身体に近ければ近いほど威力は高くなる。最初に懐に飛び込んで刺突を繰り出したのは、接近すると同時に注意を逸らす方策で】
【それから、このタイミングでの発動にはもう一つ意図がある。足を使った刺突を繰り出した吟醸の刀は、今握られていない=z
【『四境絶塵』は、目の前の吟醸のみならず佳乃の周囲を無差別に攻撃する。つまり、突き出されたその刀も範囲内にあるということだ】
【発動前に素早く刀を手元へ引き戻さないと、自身がダメージを負うだけでなく得物も遠く弾き飛ばされてしまうかもしれない】


…………っく、っ…………。

【そして――――攻撃主の佳乃の顔には、苦悶が浮かんでいるだろうか。脇腹の傷からは、少なくない血が滴っている】
【酒気も相当量流し込まれてしまっただろう。佳乃にもあまり時間は残されていない、これで優勢に立てるかどうか――――】
848 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 03:36:39.36 ID:gIPcudhvo
>>846

【ブライトも紅茶を受け取ると、同じように砂糖とミルクを入れる】
【戦いや争い、そんな言葉が似つかないような見た目をしているにも関わらず】
【言葉を紡いでゆくゼリシュに向けられる彼女の目は、真剣そのもので――】

【聞き終えると、ペンを動かそうともせずに考え込むのだろう】
【少しして思い出したように紅茶をかき混ぜる。ぐるぐると渦を巻く紅と白をじっと見つめて、そして一口】
【――どうやら、何が目的かはっきりしない襲撃だった、というのが結論か】


『……GIFTってどんな組織なんでしょうね。
 能力者がそうでない人の上に立つべき、そんな思想だったと記憶しているのですが。
 ミサイルなんて何に使うのか見当もつきません。

 以前GIFTで教授≠ニ呼ばれている人と会いましたが、彼はその思想を本気で叶えようとしていました。
 その人も、その目的のためなら人を殺める人でしたが……
 なんだかもう、それが目的なんじゃないかって思えてきます。』


【――ブライトも彼らと一戦を交えたことがあるのかもしれない】
【その時、その人が口にした思想――否定しきれなかった思想が彼女の頭にこびりついていた】
【でも、ミサイルやらという話を聞いているとただ闇雲に暴れ回っているイメージでそれが上書きされてゆく】

【これが、彼女が確かめたかったことだった。彼らの目的の確認。それが果たされて、彼女の中で考えがまとまってゆく】
【ゼリシュが文章を読み終えたのを確認して、彼女はスケッチブックを自分のもとに戻し、新たに言葉を紡ぐ】


『答えていただいてありがとうございます。あと、もうひとつだけお願いします。
 ゼリシュさんは、なんでGIFTと戦おうと思ったのですか?』


【見たところ、SCARLETやUTのワッペンは見当たらない】
【前に出会った小さな忍者のように、組織の下で動いていないのなら何がゼリシュを動かしたのか――】
【それを率直に聞いてみたいのかもしれず】
849 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/02(木) 03:46:22.92 ID:auKvnYjho
>>847

【吟醸は、見抜いた、佳乃の眼差しの中の、その真っ直ぐな輝きを】
【殺しに迎合する濁った光では無い、しっかりとした信念と意気込みを持った瞳だ】
【正義を謳い、悪を誅する者にはこれまでとない程に相応しい眼差し】

【『殺したい』だなんて思わない真っ直ぐな輝き、だからこそそぐわない、噛み合わない】
【歯車は擦れ、吟醸の運命を佳乃は、佳乃の運命を吟醸は回す事は出来ない、『勝てる』と言うのはあくまでも遊びの中での事】
【これが戦闘(コロシアイ)だったなら───殺しを望む者と望まぬ者、何方に部がある?】

【突き出された白銀の輝きを吟醸は見る、その太刀筋に佳乃の在り方を見て】
【『嗚呼そうか、まだ死会いを知らないのか』───ならば、児戯の一つと見せてやろう、殺す気の在り方を】

【『四境絶塵』───佳乃の叫び声と共に、空気が破裂し湧き上がる。魔を祓う神気が、全ての魔を佳乃から引き剥がすように炸裂した】
【───だが】

───佳乃ちゃんよぉ

駄目だよなぁ、こんなんじゃ、しっかりと狙って『殺す気で』刺さねぇと、オイラは全然何ともねぇさ

【人斬り鬼、引かず───】
【何故?どうして?理由は、佳乃なら大分前から分かっている筈だ】

【吹き飛んだ吟醸の刀と鞘、吟醸の胸に突き立つ薙刀の先、その薙刀を力強く掴む吟醸の両手───】
【吟醸は、佳乃の当てるつもりの無かった刺突にわざと当たり、その薙刀を掴む事で、距離を保ったのだ】
【まさか、まさか、ただ距離を保つ為だけに、そんな選択を取る奴がいるか?血を吐きながらも、笑う奴がいるか?】

【いる、それは佳乃の目の前に】
【死ななければ、死ぬ寸前まで、相手を殺す為に動く。そんな化け物が】

心の臓はずれてるから、全然死にゃあしねぇやなぁ、残念だ
ま、殺すつもりじゃあねぇんだから当然さなぁ

【刹那、まるでそれは蛇の様に】
【吟醸の左手が、佳乃の首に伸びて、掴みかかる。殺す為なら刀なんて無くてもいい】

【だがそれは、吟醸の望む形ではなくて。例え今刀があったとしても、佳乃は殺す対象にはならなくて】
【掴めたとしても、直ぐに手を離すだろう、あのニタニタとした笑顔で】
850 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 04:20:49.31 ID:J1Te56rbo
>>848

【幾度も繰り返し、少しずつ紅茶を飲み下していく】
【GIFTとは――――そんな疑問の答えを、その間は自分なりに考えていた】

【風の国で会った者と、鉄の国で会った者。二人は共にGIFTメンバーではあるが、同じ、とは言えない】
【そんな事を思い出しながら、カップを唇から離して口を開いた】

――――そう、その思想は共通のもの、なんだと思うわ。
『能力者が無能力者を支配するべき』だなんて、本気で信じてる様な、そんな感じ。
ま、今までに会った事あるのは二人しかいないけど。

だけど……この前戦った相手、ヘル・ベアトリックスってやつは愉しんでる様な感じだった。
戦いを、というより……たぶんあれは、相手を痛め付けて愉しむ感じだと思う。

――それも、強ち間違ってないのかもしれないわね……
いくら思想を掲げていても、結局は機関と同じ様な事をしてるもの。
……でも、所属してる人間に共通した思想がはっきりある、っていう辺りは機関より質が悪いかも。

【自分も、GIFT全体の事を知っている訳ではない。本当に理想を目的とし、動いている者もいるのだろうが】
【しかし、現時点では客観的に見てそんなイメージがある、と、そういう話】
【ただ、本当に自分が“客観的”な話が出来ているのかはわからないけれど。何故なら――――】

んー……そうね……元々、機関みたいな悪≠チて言われる様な奴らはどうも気に食わないの。

そして、能力者だからとか、無能力者だからとか言って暴れるあいつらは私の中で悪≠ノ当てはまった――
――だから、だから戦ってる。こんな理由じゃ……ダメかしら?

ま、私が無能力者だ、っていうのも……もしかしたらあるのかも知れないけど。

【――自分自身が、無能力者であるから。だから、本当に客観視できているのかはわからない】

【自警団やUT、そしてSCARLET。そのどれにも属さない、ただの旅人――自分はそんな存在】
【だけど、それらに属さないのは自由≠好むから。決して正義に近い心が無い訳ではなくて】

【カタリ、置いたカップの中は空になっていて】
【『まだ何か訊く事、あるかしら?』と一言、ブライトに訊ねた】
851 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 04:28:10.48 ID:RmaxDy9ro
>>849

(………………な…………にっ!?)

【そこにあったのは、一種の信頼だった。人格としては狂い切っていても、男の繰り出す絶技の数々だけは、心から認めていたから】
【佳乃の知る吟醸なら、絶対に防げる攻撃。それ故に、勝利≠掴める筈だった――――佳乃は心のどこかで、吟醸と心を通わせようとしていた】
【…………しかし。返ってきたのは、久しく感じていなかった肉を裂く感触。無意識下での信頼を、崩壊させる手応え】
【結局のところ、どれだけ殺す覚悟をしていても、佳乃は『そちら』側を理解できなかった。どうしようもなく、光の道を歩んでいた】
【何かを成す為の殺しではなく、殺す為の殺し。真っ赤な世界を垣間見て、薙刀を持つ佳乃の手は知らず、震える】
【そうして、佳乃の放つ聖なる力が、周囲の全てを一様に拒絶し――――】

…………あ、なた…………。どうして…………!?

【――――目の前に、鬼。大きく見開かれた瞳の中に、吟醸という名の妖魔がいた】
【鬼を斬ったことなんて、山ほどある。やむなく人を斬ったことも、何度かある。だが目の前のそれは、明らかにどれとも違った】
【巫女として、百を越える妖魔を屠ってきた過去――――そのすべての記憶に当てはまらない、見たこともない化け物】
【人の身で、これほどの領域に達することが出来るのか。ここまで死≠ノ近づいた者を、まだ人間と呼べるのか】
【何もかもが、理解できなかった。子供であり、混じり気のない聖≠ナあり、正道を往く佳乃には】


――――っが…………!?

【動揺のあまり、一瞬だが完全に動きが止まって。伸びた吟醸の手は、容易く佳乃の首を掴むのだろう】
【殺される、という恐怖よりも先に――――ばちり、と脳内で爆ぜるものがある。誰かに触れられる、というその行為は、佳乃の中で最も重い】
【触れられた指の先から、過去の記憶が流れ込んでくるように。吟醸の指は脇腹の刀傷以上に、佳乃の心の傷を強く強く抉って】
【澄んだ双眸に、怒りとも悲しみとも付かない感情が浮かび上がって。少しだけ、瞳が濡れた】

…………わ、たしに…………私に!! 触らないでッ!!!

【悲鳴のような、叫び声。それよりも寸時速く、反射≠ノよって動いた体は、吟醸の顔面を思い切り殴りつけようとするだろう】
【攻撃意志ではない、拒絶意志。先程の奥義と同じ――――囲う四境を、塵のひとつも絶やし尽くすように】

【――――これが、幸徳井佳乃の実体。過去のトラウマから、他者と触れることを反射%Iに拒絶してしまう、傷ついた子供】
【自身も気づかない根幹のところで、佳乃にとっての戦いとは、対話なのだ。戦いの中でアドレナリンに溺れている間だけは、誰かと触れていられるから】
【ある意味では少女らしい、不確かで不安定な心根。亡者の振りをして人を殺すには、あまりにも柔すぎる】
【ここに来て、初めて見せたその弱さは…………隠す余裕すらもなく、吟醸にも伝わってしまうかもしれない】


…………殺して、殺して、殺して…………!
あなたは一体、どこへ行こうっていうの…………!?

【殴りつけた痛みが拳に残っているかどうかは、わからないが。佳乃は最後に、分かり切った質問を投げかけるだろうか】
【投げかけざるを、得なかった――――理解できないものは、年端もいかぬ少女には怖すぎるから】
【聖なる神に守られ、強さという殻を被って。その内側にある柔らかくて弱い心が、震えながら回答を待っている】
852 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/02(木) 04:49:45.83 ID:auKvnYjho
>>851

【触れた佳乃の首の感触が、嫌に柔らかくか細い感触が、左手に残る】
【初めての感触だ、と感じて、やはり殺すのは斬るのが一番だと納得する】
【殴られた頬の痛さも手伝って、きっと血が登っていた吟醸の頭も冷めてくる】

【それにしても、流れ出す血の暖かい事よ、自分の体温が低くなってくるから余計に感じる】
【左手で薙刀を握り、無理矢理にずるりと引き抜く。生々しい、内臓が引っ張られる感触】
【右肩の関節を嵌め直し、吟醸は瓢箪の酒を適当に身体にかけた、酒の匂いが強くなる】

【殺して、殺して、どこへ行く───】

そりゃあ、佳乃ちゃん、人を殺し回る奴が行く先は一つさ

地獄、六道、修羅道輪廻だよ

【嗚呼、この男が見ているのは既に、此の世ばかりではない】
【未来、彼の世、黄泉の世界での闘いすらも、既に予想して、待ち侘びて】

此の世で満足行く死会いで果てりゃ、次は閻魔様殺しでも掲げるか、くっくっく、楽しみさネェ……

【きっと普通なら死に体、嫌、彼だって死ぬ寸前の筈なのに、その瞬間が来るまでは無傷健全と何も変わらない体動作】
【落ちた刀と鞘をだらだら拾えば、納めた刀の鍔に口を付けてくいと一口】

……案外、『こっち』の方が合うかもしれねぇぜ?佳乃ちゃん
いつでも来いよ、きっと愉しいぜ───

【追撃はしない、これにて終幕、人斬りの舞】
【血の牡丹花を雪道に咲かせながら、歩いて行くその背中は、隙だらけで無防備で、気持ちが悪いくらいに】

/お疲れ様でした
853 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 04:56:17.82 ID:gIPcudhvo
>>850

【一種の宗教のような恐ろしさを内包する組織、ということだろうか】
【最終的な目的を据えているから一丸となって襲ってくる可能性がある】
【性質が悪いという点はきっとそういうことなのだろうとブライトは解釈して】

【そして、やはり人の命を弄ぶ異常者がいることも事実のようだった】
【――理解が、できない。それをして、何が楽しいのだろう】
【胸に渦巻く嫌な感じは、拒絶に近い。わかり合えないであろう存在≠ヨの不快感――】

【彼女は排他的な性格ではないけれど、人を傷つけて楽しむことだけは、どうしても理解ができなかった】


【ゼリシュの答えはとてもシンプルだった。だからといって否定するわけではない】
【ダメかと訊かれると、頭を横にぶんぶん振るのだろう】


『全然ダメじゃないです。……むしろ、その勇気はすごいと思います。
 でも、無理はしないでくださいね……。』


【無能力者だから、というのは少し納得できる気がした。意地、というものだろうか】
【それに似た感情が理由に含まれているのかもしれないと、密かにそう思って】

【最後の問いかけにブライトはゆっくりとかぶりを振る】
【紅茶をすすったなら、ほう、とひと息ついてペンを走らせるだろう】


『すみません、こんな質問ばかりして。
 ですが、とっても参考になりました。ありがとうございます。』


【とん、スケッチブックを立てて文字を示す】
【もう夜も遅い。窓の外を見れば、空の色はすっかり濃さを増していた】
【区切りをつけるにはいいタイミング。だけど、何か話したいことがあるならば、彼女は応じるだろう】
854 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 05:21:59.11 ID:1GxY5WVKo
>>853

【ふと窓の外、視線を投げた今宵の空には月は無い】
【新月――今宵は朔の夜。一段と夜空は暗くって】

ふふ……大丈夫よ、まだまだ野垂れ死ぬつもりはさらさらないもの。
なーんて言っても、こんな怪我してちゃ説得力ないかしら?

――――そんな、大した事はしてないわよ。
それに、こうして話す相手が見つかって私も助かったわ。

じゃあ、またその内に会いましょう?
それじゃ、おやすみなさい――――

【時間も時間、それだけ言い終えたなら、席を立って】
【小さく手を振って歩きだし、店の者に紙幣を手渡したらお釣りも受け取らずに出て行くだろう】

【支払った額は“二人分”を越えたもので、困った店員はお釣りをブライトに渡そうとする】
【そしてブライトが店を出る頃にはもう、ゼリシュの姿は何処にもないのだろう……】



/こんな時間までお疲れ様でしたー!
855 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 05:39:00.78 ID:gIPcudhvo
>>854

【「ええ、またどこかで――」】
【音は出ないけれど、ブライトは唇を動かして別れの挨拶を言うのだろう】
【背に向けられたその言葉は届かないけれど――改めて礼をする機会が欲しかったから】

【それに――】


(……また、ごちそうになってしまいましたね)


【これで何度目だろうか、過剰な金銭を渡されるのは――】
【店員に小さく頭を下げつつ、これも返さなくちゃ、なんて考えて】

【――ゼリシュのおかげで考えがまとまってきた】
【彼女はもう見当たらないけれど、心の中でもう一度礼を言って】
【その目は、夜の闇を捉える。そして、彼女も歩いて帰路につくのだろう――】


/お疲れ様でしたー!
856 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 05:54:04.61 ID:RmaxDy9ro
>>852

……………………。

【やはり、この男は狂っている。狂気すら越え、永遠に醒めない酩酊の中で踊り狂っている】
【戦いを楽しいと感じていたこれまでの自分が、急に恐ろしく感じられた。その戦いが、吟醸の戦いとは違うとはわかっていても】
【生も死も、戦いに預けて。その先に、きっと果てなどない。ひたすらに殺し続けて、廻り続ける】
【…………恐れと同時に、虚しい、と感じる。それこそが、吟醸が佳乃には理解し得ない領域に至っている証左だった】

………………ふざけ、ないで…………。

【肉を分け入る感触を掌に残したまま、佳乃は薙刀を片手にただ立ち尽くす。濡れた視線を、人斬りの背へ漂わせて】
【噎せ返る酒の臭い。打ちのめされた神聖では、もはや浄化し切れぬほどに広がっていくのだろう】
【去り際の一言は、佳乃の心を容赦なく恐怖の色に染め上げた。薙刀を持つ手はカタカタと震え、形相は雪のように白い】
【――――戦いは、これからも続く。不器用で弱いこの少女が、それを対話の道具として振り翳す限りは】
【だが、どこかで道を踏み外したら――――いずれ自分も、ああなってしまうのか。人を人とも思わぬ鬼に、変化してしまうのか】
【いや…………人でなくとも。回ってきた酒気が、少女の思考に陰を差す。百の妖魔を斬ったこの手は、既にああなっているのでは――――】

う…………っく………ぁ……………。

【武人としてだけでなく、退魔師としての誇りすらも揺らぎかけた、その一瞬。少女の身体は、急にぐらりと崩れる】
【悪魔のような酩酊が少女の思考を支配するより先に、脇腹で咲く赤い華が、少女の脳から思考能力を奪っていった】
【それは神に愛されているような、神懸かったタイミング――――いっそ、哀しいほどに。少女の先途は光り輝いて、選択の余地すらない】
【懐から木符≠ニいう治癒の符を取り出し、血止めの施術を施す。この時既に、佳乃の意識は朧げに消えかけていた】

(…………わたし、は…………)

【――――見なければ、ならない。闇に落ちる意識を総動員して、佳乃は吟醸の無防備な背中を心に焼き付ける】
【戦いは、対話は終わらない。ならばあれは、堕ちた自分だ。いつかどこかで間違えば、背負った業は己を鬼と化すだろう。あれと同じに、なるだろう】

【新たな年の始まりの日――――幸徳井佳乃の、十六歳の誕生日。ある男の手によって、少女の心にまたひとつ、消えない傷が贈られた】
【いま嫋やかに臥した少女は、翌日警察に発見されるまで、悪夢に抱かれ眠り続ける――――】


/お疲れさまでしたー!
857 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 13:12:51.81 ID:4ZBnvGgdo
/>>645で再募集します
858 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 20:25:10.44 ID:F4T6cgM+o
【街の中心に位置する公園】
【モニュメントとして巨大な噴水が置かれており新年を祝ってか華美に飾られている】
【水中には煌めく鉱石が雑多に散らされ水流は様々に姿を変えつつライトの光が通され踊っているかのよう】
【それが誘蛾灯となってか周りには串焼きたこ焼き焼きそば等様々な屋台が出店していた、ストーブも配置され喧騒もそれなり……といった感じだ】
【一際大きい屋台では甘酒などが無料で配布されており、余談ではあるが甘酒は近隣の神社より提供されたものである】

【往く人来る人も多種多様で仕事帰り風もいれば家族連れ、恋人達も例外なく思い思いに年始を過ごしている】
【こんな日が今後もずっと続くならばそれこそが平和なのだろう……少し離れたベンチに座り傍観する彼はぼうっとした頭で考える】

(人が多いから何かあった時危ないかなーと思ったけど、流石に年始から暴れるヤツもいないかー……すっごい暇だなあ)
(ちゃんとストーブ貸してくれるから寒くないけどただ監視してるってのもなんというか持て余す、事件を望んでる訳じゃないけどさ)
(建前上寝落ちする訳にもいかないし――――――――)

【3人掛けのウッドベンチに彼は腕組みながら座っていた】
【赤の右目と紫の左目、その双眼で周囲に異常が無いかをつぶさに見つめているものの事は起こらず】
【平和なのは喜ばしいが自分がただの置物のようでどうも納得がいかない、三つ編みに纏めた後ろ髪を適当に弄くり回す】
【綺麗な白髪は揺れてだけどただ暇を持て余すだけ……建前上このまま寝入る事も出来ない、ため息が溢れるばかりである】

こんな事ならどっかで訓練でもしときゃあ良かったなー
最近は鈍ってるし……特に刀なんかあまり使ってないし、かといってここまで鍛えてないと一人でやっても微妙
……ま、こんな場所で近接に心得のある人間を求める方が贅沢っちゃ贅沢かー……

【独り言ちが多くなるのも致し方ない】
【精一杯の暇つぶしがそれか物を食べるかくらいしかないのである】
【ジャケットの内に隠した愛用の銀のナイフを弄るかぼーっと見つめている、なんて事もこんな場所では出来まい】
【歳の割に幼い顔立ちの青年もここまで暇だと逆に不機嫌なようで眉間にシワを寄せつつ少しむくれ気味】
【八つ当たりをする相手でも現れれば良いのだけど知り合いが都合よく通る訳でもあるまいし……八方塞がりである】

大事は困るけどちょっとしたハプニング程度でも起きないかなー
人が死なないくらいの笑って済むくらいのさー……ないかーないよねー……はー

【自分が腐ってゆく感覚といえば良いのだろうか】
【ついには大きくため息を吐いてぐてんと頭を垂れる、きっと寂れた店の店主というのはこんな感じなんだろうなあ】
【うつらうつらとし始めた淀んだ思考でそんなことを考えながらも夜はどんどんと深くなってゆく、喧騒はまだ無くなる様子はなかった】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 21:20:40.23 ID:PCxsseDD0
>>858

【きらきらと宝石のように煌く噴水の涼しげな音、ひとごみのざわめきの狭間に微かに窺え】
【ひどく薄っぺらな月だけが存在する夜だと言うのに、この場ばかりは賑やかで、暖かで、楽しげだった】

……――いけないこと考えてるんだ、

【――だから、そーっと後ろから延びてきた手は異物めいた冷たさを僅かに孕む】
【そこに孕むのは敵意や害意とは違ったもの――悪戯ぽいそれ――であるのだが、なにぶん唐突なら、十分に危うく】
【自分が彼に対してどんな態度を取ったのか。ふたりの中に挟まった幼子にどんな態度を取ったのか。忘れてしまったように】

【叶うならその視界を緩やかに両手で塞ごうとする。その場合触れる手は色の白さをそのまま温度にしたように冷ややかで】
【左手の薬指に銀色の輪っかのかたちで煌くものが嵌められていたのが、もしかしたら見えたかもしれない】

【――もちろんそれは振り払うことも可能だった。鈴の音みたいな声は、他の誰と間違うことも少ないように思えたし】
【だーれだなんて囁く声を振り払って振り向いたなら、背後にその姿を容易に認めることが出来たのだから】

【真っ黒い髪をした少女だ。腰ほどまである髪はそのまま下ろされて、途中でマフラーにふわと押さえつけられて】
【黒色のショートコートに紺色のプリーツスカート。白色に編まれたレースが縫いつけられたデザインのもので】
【足の肌を厚手のタイツですっかり隠しこみ、さらにロングブーツを履いたのは、どうにも寒がりな風合い】
【少しだけ異質な感じのしたのは右耳だけに嵌められたピアスからだ。――見れば、宝玉の欠片があしらわれているよう】

【どちらにせよ、伸ばされた手に力という力は篭められておらず、純粋に戯れなのだろうと察することが容易かった】
【振り払うならばそれはひどく簡単なこと。受け入れるなら――数秒ばかし、その視界が殺されることになるのだが】

/まだいらっしゃいましたらー
860 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 21:25:02.86 ID:4ZBnvGgdo
【街中――とある広場】

【年始から屋台が軒を連ね、人々が繰り出し、喧々囂々としたその影で】
【隅の方にあるベンチに腰掛け、いやに神妙な面持ちをした人影がある】

【喪装の黒い祭服を纏い、儀式刀を傍に立て掛けた、白皙の貌の若い男】
【腰に届く紅茶色の髪に、左右で瞳孔の開き幅が異なるオリーブ色の目】
【左耳には宝玉製のピアスを付け、左手薬指には、銀の指輪を嵌めている】

【男は涼やかな夜風に目を細めつつも、不意に眉を顰め、頭を軽く抑えた】

(……――、飲み過ぎたな……)

【喧騒さえ鈍痛として響くのが煩わしく、出来れば早く帰りたいと内心ごちながらも】
【手にした端末を確認するが、呼んだ本人は未だ姿を見せず、連絡が来る気配もない】
【――帰ろうか。そんな事を考えつつも、暫し夜風に触れていようかとも考えて、夜空を仰ぐ】
861 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 21:32:51.02 ID:WPdsWhGLo

【新しい年に浮かれる街中、その男は思案しながら歩いていた】

えーっと……行かなきゃいけないのがあっちとこっちと……
それから今持ってるだけでも書類が……これだけあるか……

【黒い軍服は乱れているのではなく着崩したもの。制帽が斜めなのも同じだ】
【視界の端で自分の金の髪が揺れる。首に当たるのはヘアゴムで纏めた後ろ髪】

で、あんまり時間が無いのはこの辺、っと……
ったく……何で俺が新年からこんなに仕事押し付けられなきゃいけないんだよ……

【こうは言ったが、理由はだいたい分かっている。帰省したりする予定が無いから、だ】

【手にした鞄の中には書類の束。本当なら燃やしてしまいたい忌々しい品だが、そうもいかない】
【そんな事をしてしまったらきっと、というかまず間違いなく、自警団を追い出されるだろうから】

【仕方がないので、やるべき事の内容とそれぞれの優先度を考えながら歩を進める】
【正直な話、周りは見えていない。けれど、どうせ向こうがぶつかるのを避けるのだから同じ事だ】
【まさかそんな、周りを見ずに歩いているような人間はゴロゴロとはいないだろう――――】
862 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 21:34:30.35 ID:F4T6cgM+o
>>859

……………あ、やばい寝そうだな

【うつらうつらと船を漕ぎかけている、抵抗しなければならないのだけど本能に逆らえそうになく】
【どうせこんな時期だし少しくらい寝入ってもこんな時期だし構わないだろうなんて負けた考え】

【もういいやと本格的に睡眠に入ろうとしたところで……】

――――――っ!?……

【染みるような声と冷たい掌、声にも出ずただ息を飲むしかない】
【身体を強ばらせるも武装を取り出す暇などない、酷く緩んでいたから】

…………なんだ全く……悪戯するなら心臓に優しい悪戯で頼むぞ
ただでさえ寒いのに冷や汗かいたじゃねーか、ほんっともう……

【ただ視界が塞がれた後もどうやら主犯は命を奪うつもりもないらしく】
【強制的にクリアに戻された思考で、漸くこの悪戯をした人間の正体を悟る】
【ため息を[ピーーー]ように呆れた口調で若干のふてくされを交えつつ「はよ離せ」とぶっきらぼうに話す】

/おりますよーよろしくお願い致しますー
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 21:53:15.38 ID:PCxsseDD0
>>862

【ぺたん、と。やがて彼の顔にその掌が触れる、けれどやっぱり害することはなく、あるのは冷たさだけ】
【悪戯が成功したと喜ぶような気配があった。ぱっと笑ってみせるような――けれど、彼はそんな場合ではないのか】

……――油断して寝ようとなんてしてるのが悪いの。わたしが悪いひとだったら殺されてたよ?

【――抱きつくように、と言ってしまうのは少しだけ距離がある。手だけ回して、視界を塞ぐだけの距離間が】
【そっと顔を彼の耳元に寄せて囁く、さぞ「そうでなくて良かったね」と告げてやるような、どこか偉そうな口ぶりで】
【少しだけ詰めが甘いのか、指の隙間から僅かずつではあるが向こう側が見えてしまっていた、とは余談で――】

やだ……、どうしてもって言うならいいよ。

【せっかく成功したのに、とでも言いたげな声が紡ぐのだろう。言葉の端っこにはしゃぐ明るさを匂わせたまま】
【けれどどうしたってやっていたいというほどでもない。続いた言葉は彼女の口癖めいたものだが、彼の知っているはずもなく】
【くすくすと笑う声が鈴の音を転がしたように背後で響くのは、――視界のない中では、余計にひどく浮き立って】

――でもいいや。やっぱりやめてあげる、だってわたしひとのものだし……。
こんなとこ見られちゃったら嫌だもの、だから特別。良かったねっ。

【――気変わりするのがやたら早かった。言いながら言葉通りにその視界は解放されて、冷たさも遠くなる】
【何か楽しげなのは悪戯が成功したせいもあるが、場の空気に中てられたというのもきっと、あるはずで】
【ベンチの裏側で背中の後ろ側で手を組んでいたのだけれど――、そうしているのも、と思ったらしいなら、】

…………隣、座っていい?

【背もたれのあるタイプならそこに手をつきながら。そうでなければ、そっと身体を乗り出すだけに留まって】
【さらさらと髪が流れて揺れた、一本一本がひどく真っ直ぐに伸ばされていて、屋台の明かりに艶めかされて】
【にっこりと笑いながら首を傾げてみせる、――はじめて会ったときと比べてしまえば、まるで別人のような顔をする】
【ぎざぎざの刃がついた刃物のような鋭さが失せていた。許可してやったなら、間にひとつ空けた端に腰掛けるだろう】
864 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/02(木) 21:54:14.54 ID:X97te88So
>>861

【人波かき分けるように貴方は進んでいくのだろう、避けるのはきっと人波の仕事】
【水面に指をすぅっと突っ込んで縦に切り開くよう、分別される雑踏は無意識に避けて行く】
【彼らは無関心だから、前が見えていないであろう貴方の目の前に電柱があったって、気にしないから】

【そのまま歩いて行けば感触がするだろう、少しの痛みを孕んだそんな感触】
【後ろ髪が握られ、引っ張られる感触、正確に言うなら引っ張ったのではなく、貴方が進んだ事によって引っ張られる事になる】
【絵の具のように綺羅びやかな金髪の跳ねた景色の先、静かな少女の声色が墨色混じりに零れ落ちる】


――――――忙しいのは結構な事だと思うわ、新年始まって、まだ二日目なのにね
でも、歩く時間ぐらい考え事を休んでも、誰も文句を言わないんじゃないの?

そうでしょおじさん、目の前見えてるかしら?


【それは朝焼けの中、目覚めに顔を洗う冷たい水のよう、乾燥した素肌に染みこむ清涼な雫が如く】
【艶やかな指先でしっとりと肌の隅にまで流れこむ麗らかな響きが、流れこむのだろうか】
【上品さを含んだ声色は考え事をしている脳をハッキリと認識させるには十分すぎるほどで】

【それでいてどこか幼さを残したような音色は、少しだけ彼女という存在を、桃色に示す】

【ゴールデンブロンドの華やかな長い髪を蒼の細いリボンでツインテールにして】
【美しいスカイブルーの瞳をした、やや膨らみかけた胸のスリムな少女】
【ピアニストのように細い指先は綺麗に切り揃えられた爪先の淡い桃色を強調する】

【羽織ったフード付きのハーフコートは白を基調とした大人びたデザインで】
【肩からかけたポシェットは相反するようにゴシックパンクな品物】
【首元に巻いた大判のストールがとても暖かそうに見えるだろう】
865 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/02(木) 21:59:35.51 ID:t9sOrpcgo
【夜、何処かの国】
【年の始という事で何処の国の繁華街も何時も以上の盛り上がりを見せ、またこの国もその例に漏れず】
【初売りセールやら何やらで、この賑わいは3日ほど続くのだろう―――喋りたがりのおばちゃん達からそんな話を耳にした人物が1人居た】


「―――……にゃー……」


【情けない声を上げるのは、外見では高校生ほどの少女。言うまでもなく、先ほどの話を耳にした人物である】
【茶色のショートヘアーに、明るく人懐こそうな山吹色の瞳。小麦色より少し薄めの肌だが、健康的なイメージを抱かせるには十分だろうか】
【服装は大きめの、黄色に赤いラインが横一文字に描かれたデザインの暖かそうなウインドブレーカーなのだが】
【下半身はといえば、黒いスパッツの上に茶色のホットパンツを穿くだけであった。当然膝から下は素足であり、さらに靴も履いていない】
【そして一番特徴的なのは、少女の頭でピコピコと揺れる猫に付いているような黒い耳。そしてウインドブレーカーとホットパンツの隙間から垂れる、黒く長い尻尾だろう】


「やっぱ人混みは苦手かもしれないにゃー……ニャーには大自然がお似合いなのかにゃー……?」

【さて、この少女が何をしているのかといえば、端的に言えば寝ているのであるがその場所が異常であった】
【場所は公園、その中にある街灯の近くにて聳え立つちょっと高めの木。具体的に言えば4、5m有るだろうか】
【そんな木の、ちょっと太めの枝にうつ伏せに成って寝ているのである。無論、四肢はぶらーんと垂れ下がっていて】
【そしてその枝が公園へとちょっとせり出しているので、この猫少女が寝ているなんてことは一目瞭然だったりする】

【なんとも危ない状況であるが、少女が気にする様子はない。寝ているのだから当たり前だ。さっきの言葉も、当然寝言である】


「……にゃー、あぁ……」

【どうやら深い睡眠に入ったようで、微動だにしなくなった少女】
【しかし、すこーしずつだが少女の体がズレていっている。このまま寝続ければ……間違いなく滑落だろう。枝の強度も心配である】
【……この公園、今は偶々人が居ないが昼間は人出のある場所だ。誰かがこの公園に入ってきても、可怪しくない状況だ】
【さらに、魔物とか妖怪の類に少しでも知識のある人物であれば、この少女が多少の妖力を放っていることも分かるのであろうが】

【さてさて、こんな少女を見つけるのは何処の誰なのであろうか】

/使い回しですが、よろしければどうぞ!
866 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 22:13:13.23 ID:F4T6cgM+o
>>863

殺してるからな殺されても文句は言えないだろ
もっとも例え殺されても道連れにしてやるよ死んでもただじゃ死んでやらね

【実際に寝入りかけたのだから言い返せもしない】
【言えて精々これくらい、これぐらいでまあ構わないだろう】

何が特別なんだか……座りたきゃ座れよもてなせはしないけどな
ほらたこ焼きとか貰ったから食う?どうせ余りものだから遠慮しなくていいぞー

【漸く視界が開ける、合わせるように息を吐いて】
【スペースを少しばかり空け移動する、そうしてその真中に袋から無造作に取り出したたこ焼を置く】
【少し時間が経っているのかところどころ冷めてはいるが不味くはない、といったところ】
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 22:24:37.29 ID:PCxsseDD0
>>866

そうなの? ――でもわたしは死にたくないな、何したって生き残ってやるんだから。
だってわたしが居なくなっちゃったら、ひとりになっちゃうひとが居るんだもん……駄目だよね。

【――はじめて会ったときを思えば、彼女だって堅気ではないのだろう。きっと、何人か、奪っている】
【それでも彼と違うのは生きていたいと願うこと――それはきっとずるいとも言えたし、怖がりでもある色】
【けれど続く言葉を聞けば、それが誰かのためであるらしいと知れて、笑っているような声が、そっと言葉をしめた】

……特別だよ、本当ならどうしてもお願いしますーって言うまで駄目だったの。そのつもりだったんだから……。
良かったね、おめでとう――、……わあ、食べる! 貰っていいの? ありがとうー。

【座っていいといわれれば、「ありがとう」と礼の言葉を言うのが、ひどく平和めいた声音で】
【何か偉そうなことを言っていたのだけれど――たこ焼きにあっさりと釣られてしまうのが、少しだけ子供ぽく】
【ぺちと嬉しそうにあわせた両手、にこにことしているのが前までの彼女を思えば不気味ともいえて――、】
【さらに何の裏もなさそうであるなら、余計に恐ろしくも見えたのかもしれない。本当に、素でこれのようだった】

【――憑き物が落ちたようだという言葉が今の彼女にはきっとよく似合っているのだろう】
【まあるい瞳を鬱々と病ませていた過去と、まあるい瞳をきらきらに煌かせる今と、どちらがいいかなんてすぐ分かる】
【置かれたたこ焼きのパックを取り上げて、輪ゴムを外せば、ぱっかんと軽い音。「いただきまーす」と軽い声がして、】

美味しい――あ、そうだ。あのね、お願いがあるんだけど……いいかな、

【もぐとひとつをそのまま口に放り込んで、言葉を発するのは数秒後のことだ。口の端につけてしまったソースを舐めて】
【顔に少しだけ真面目な色合いが混じりこむ。たこ焼きのパックを元の位置に戻して――相手の言葉を、待った】
868 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 22:26:59.48 ID:rS3TNUeso
>>864

【ガクン、と痛みが走って視界が上を向く。帽子が落ちそうになるが――結局落ちない】
【目の前に迫った電柱に気付いたので、痛みに関しては良しとしよう。しかし――】

――――誰がおじさんだ、まだ20代だっつーの。
職権濫用するぞ?連行しちまうぞ?

【いくら折り返して三十路が見えてきたと言っても、流石におじさんはいただけない】
【冗談を言いつつ振り向き、指差す胸元には自警団のバッジが光る】

……って何だ、また会ったな。あー……確か……そう、カノン。だよな?
今日はちゃんと繋がってるんだな、ポシェット。

【顔を見れば見知った相手。以前ひったくり騒ぎの時に出会った少女だ】
【早速、口の端をにやりと持ち上げて軽口を叩くけれど】
【対する彼女は覚えているだろうか。この自警団らしくない自警団員の事を】
869 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/02(木) 22:28:28.55 ID:xwJ4X33z0
>>865
/まだおりますかー?
870 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/02(木) 22:34:34.16 ID:t9sOrpcgo
>>869
/居りますよーどうぞー
871 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/02(木) 22:37:53.59 ID:xwJ4X33z0
>>870

/では、失礼しますー

>>865

はぁ……どうしよう……?
「(適当に歩き回った所で、いまいち馴染めねぇんだよな……)」
<(まぁ、こっちの風習はね。楽しむくらいに慣れるには、まだ難しいって事よ)>

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女が】
【人込みを避ける様にして、早足で公園の中へと足を踏み入れる】
【手には小さな買い物袋を下げているが、その程度の荷物の量にも関わらず、表情には疲れたものが感じられた】

「(しょうがねぇ……人波が掃けるまで、ここいらで休憩するか?)」
……うん、それが無難かな――――っ……え……?
あ、あれ…………!?
「(どうしたよ……っ、あぁっ!?)」
<(2人とも驚き過ぎじゃないかしら? こっちに来て、もうどれだけびっくりするものを見てきたと思ってるのよ
……まぁ、確かになんだかすごい姿ではあるわねぇ……)>

【ほっと一息ついて足を止めた少女は、ふと頭上を見上げてそこに眠っている人影を認めて、思わず驚きの声を上げる】
【人間の身体に、大きな耳と尻尾――――そんな姿をした人物には、これまで会った事もなかったのだ】

「(……あ、おいおい……)」
<(あー……ちょっと不味いかも……)>

【そうこうしている内に、徐々にずり落ちてきそうな頭上の少女】
【それに気付きつつも、どうしたものかと足元の少女はまごついている】
872 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 22:39:03.67 ID:gmh4vlT90
【櫻の国――――其処に存在する、一つの神社】
【妖怪と人間。互いに対立する関係であるとの認識が一般的であろうか】
【然れど、その神社では実に奇妙な事に妖怪と人間――――それも、巫女等が共存しており】
【三箇日という事もあって、門を潜った者が居るならば妖怪人間にとそれぞれから歓迎を受ける事だろう】

【この時間にも関わらず、参拝客と思われし者達も多く】
【種族が異なって居ても楽しそうに酒を飲み交わしていたり、何てちょっとした宴会にも発展していた】
【巫女達が忙しなく動く中、本殿の前では一人の妖狐が立っていて】


「今年も…………無事に新年を迎えられて、良かった…………です…………」

【纏うのは、巫女装束。ともなれば、参拝者で無い事は明白】
【加えて、近くを通りかかる巫女達が律儀に一礼して行くのだから、この神社ではそれなりの地位なのだろう】
【驕ることも無く、寧ろ困った様な不安そうな、或いはそのどちらとも取れる表情からは、威厳が感じられないけれど】


「忙しいですけど…………お姉ちゃんが居ない分…………私が、頑張らなくちゃ…………いけませんね…………」

【本人の妖気と、首に下げた翡翠の首飾りから発せられる神聖とが余計に存在を目立たせる事か】
【今は妖怪も人間もそれぞれの事に夢中になっていて、守女達も自身に課された仕事を終える事に精一杯な様子】
【この場に訪れ、もし興味を抱いた者が居たとすれば――――話し掛ける事は難しくは無い】








【イルミネーションに彩られた街の中】
【年も明け、浮かれ気分で歩いている人々や酒に酔って千鳥足で歩く人も珍しく無く】
【そんな中、パンの入った紙袋を抱えて歩く修道女の姿はよく目立つ事だろうか】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも年明けに話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば去年も大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとして】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】
873 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/02(木) 22:43:20.98 ID:X97te88So
>>868

【目の前で金髪が揺れ動いた、飛び散る黄金色の残照に眩しそうに目を細めたくなる】
【スカイブルーの双眸に映る、高い貴方の視線、傾けてようやく、届くかなってぐらいだから】
【大きな瞳の水面、映る貴方の虚像が、どこか懐かしい色合いを強めていた】


あら、かの有名な自警団ともあろう方が、こんないたいけな少女捕まえて連行だなんて許されないわ
人間年とると注意力散漫になるって言うし、今の貴方の注意力じゃ、おじさんって言われても、仕方ないんじゃない?

……それに20代だなんて初めて知ったわ、予想外、今年最大のビックリよ


【掌を口元に当てたなら、上品にクスクスと笑う、短い会話の間にもキツイ言葉遣いが並ぶ】
【言葉を紡ぐ度に零れる白い吐息、白皚皚たる呼吸の破片は少女の柔肌が如く】
【夜月浮かぶ風の下、佇む少女の視線の先、映る貴方の姿は軽口混じりの変わらぬ姿】

【思わず頬が緩みそうになる、そんな気持ちを辿られないように、心の中で深呼吸一つ】
【繋がり≠ナあるのだから、此方の世界に来てできた、数少ない繋がりだったから】
【――――――忘れるわけがなかった、でも、それを手放しで言うのは、だから】

【彼女の矜持の先端が、指先できゅっとつまむみたいに】


……覚えててくれたんだ、ディハートだったっけ、軽そうな見た目なのに意外と真面目ね
むしろ、軟派だから覚えてたのかもね、ほら、私ってば10人いたら10人振り返る美少女じゃない?
そうそう居ないんじゃない、こんな可愛い子と知り合える機会だなんて、だからほら――――――

ええ、おかげさまで、まあ大したもの入ってないからちぎれたままでも問題ないのだろうけど


【嬉しさをひた隠しにして、ふふっと笑みを浮かべながら紡ぐ言葉は生意気な彩り】
【本当は叫びたいぐらいに暖かかった、コートの下の素肌はとくんとした鼓動の色合いに満ちて】
【でもそれを知られないよう、返す言葉は背伸びをした少女の色香みたいに】

【髪の毛が揺れた、貴方と似た金色の髪は、月光を溶かしこんだが如く鮮やかで】
【白百合の頬に彩られる表情は、言葉とは裏腹にとても彩り深い少女の香り】
【紡ぐソプラノがたどる先、在る貴方に伝える一葉の葉が瞬く】
874 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 22:45:27.70 ID:F4T6cgM+o
>>867

その辺りは個人の自由、命の使い方なんてルールはないだろうさ
産んでくれた親への想いとか周りへの責任とか……正直面倒臭い、でもお前の言葉も間違いではないんじゃねーの
駄目かどうかは知らないし知りたくもないけどさ

【つっけんどんな感想、古びたわら半紙にでも書いたほうが遥かにマシな……】
【それでも自身で思ったことなのだから隠しようもないし言葉なんか一時の物なのだから別に良いだろう】
【そして敢えて言うならば暇つぶしには持ってこいではないか】

随分と得体の知れない……もとい脳天気な、関する事でなし……か
ああ、好きなだけ食べていいついでに言うとあと3パックほどある6個入りが3つだから18個まるまるあげようじゃないか

【時の流れは全ての人に平等だ、彼女にだって当たり前に時間が流れる】
【以前の彼女と違うというのは必然だろう、傍目ではそうそう悪くはない変化だとは思うが】
【細い視線の中にある思考を隠すようにまたたこ焼のパックを無造作に置く、いや押し付けた訳ではない断じて】

たこ焼なんか誰が作っても同じ……?

なんだ面倒な要件なら話を聞くくらいしかしてやらねーぞ、それもまあ報酬次第だけど
ああ、飲み物も必要かホラ烏龍茶くらいしかないけど飲みたきゃどーぞ

【軽い背伸びの後にふと見れば何やら真面目な表情を浮かべていた】
【面倒事だろうか、と知らずの間に怠惰な人間性を身につけてしまったらしいと自嘲を浮かべつつ】
【話を聞くくらいならばタダでも出来るだろうと、これまた傍らの缶烏龍茶を取り出してコトンと置くのだった】

【喧騒は鳴り止まない、初詣帰りの人々の波はそうそう収まる事はなさそうだった】
875 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/02(木) 22:55:10.96 ID:t9sOrpcgo
>>871

【真下にそんなオレンジ色の髪をした彼女が居るとはつゆ知らず、ぐーすか眠っている猫耳少女】
【ましてや自分の姿を見て彼女があたふたしているなんて、まさしく夢にも思っていないだろう】

……うーん、肉まんはできたて熱々が一番美味しいにゃねー……。

【などと寝言を言っている辺り、さぞ幸せそうな夢を見ているのだと彼女にも想像できるだろうか】

【さて、そうこうしている間に少女の体はどんどんとずり落ち、枝もそろそろ危ういといった所】
【今にも折れそうな枝の上、安眠中の少女は異様という他無いが、その格好の所為か少しだけ風景にマッチしているようにも感じられるかもしれない】
【……如何にも自然派と言わんばかりのこの少女が「肉まん」などと思いきり人工物を口にしているのは、それはそれで異様だが】

【―――そして、折れる】


「――――――……に゛ゃ゛ぁッ!?」


【流石の少女もその不吉な音と浮遊感で目を覚ましたらしいが、もう既に身体は落下中】
【このままでは地面へと身体を強かに打ち付けてしまうが、彼女は避ける以外、何をしなくても大丈夫だろう】
【何故ならこの少女、落下した瞬間から即座に体を捻り、脚のバネを十全に使って、ピタリと着地するからである。それはもう本物の猫ばりに】

「……ん……おねーさんは誰にゃ?」

【そして不意にキョロキョロと周りを見渡し、彼女を見つければ第一声がそれである】
【彼女は気づくだろうか、なんだか少女がボーっとしていて、身体も僅かにふらふらとしていることに】
【そう、この少女まだ寝ぼけているのである。あの着地を決めたあとでさえ、だ】
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 23:08:53.42 ID:PCxsseDD0
>>874

【少しだけ言い悩むような態度だった。逃れるように揺らした足、高い踵が石畳を蹴っ飛ばして】
【あーとか唸っていたのだけれど――やがて、やっと覚悟を決めたみたいに。瞬いたなら、視線をそっぽへと向け】

あのね……、……エナちゃんにわたしのこと見つけたって言ってもいいよ。

【――遠くの喧騒を眺めながら告げる、お願いしたいこととは、つまり、それだった】
【お願いという言葉を使ったのだからある種の命令形なのだろう、そうしろと、遠回りに告げているように】

気が変わったの。会ってあげてもいいかなって、……別に、わたしのことが信用出来ないなら、いいけど、
――結婚したんだ、そしたらね、なんか――どうでもよくなっちゃった。意地張るのとか、そういうの。

【頑なに拒んでいたのはやはり意地っ張りだったと自分で認めてしまうぐらいには、彼女の時間は進んでいて】
【その間にあったことといえば、――なるほど、確かにその気持ちを変えてしまうには、十分と言えるかもしれない】
【手遊びするように弄くる手元で指輪が何度も煌く、言葉を証明するように、心変わりを証明するように】

……手柄はあげる。きっとありがとうって言ってくれるよ、それで……、……ええと、どうかな、

【手柄と言ったって童女の礼だ、たいしたことは期待できそうにもないけれど――精一杯に礼を言うだろうことは、予想できた】
【ちらりと横目で彼の表情を、反応を、窺うようにする。その瞳にはほんの少しだけ、恐々とした色が混ざっていて――】

…………いただきます。

【――それでも置かれた烏龍茶はきちんと受け取る辺り、特別深刻に何か思いつめているということではないらしいけれど】
【かちょんとプルタブの押し上げられる音、そっと口元に運んで――ひとくち飲む頃合には、言葉も帰ってくるのだろうか】
877 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/02(木) 23:11:40.18 ID:xwJ4X33z0
>>875

(……あれ、人……それとも……?)
「(ああいう生き物……ってのも、普通にあり得る話だよなぁ……)」
<(思いっきり人間の言葉で、なんか寝言……を口にしてるけどねぇ)>

【驚きが過ぎ去れば、次にそこに顔を覗かせるのは興味である】
【妙な寝言が耳に入ってくる事にも、なお張り詰めた神経が弛緩するのを感じながら、少女はその様を傍観する】

あっ――――――――

【が、そんな状態でのんびりしているせいで、枝がへし折れ、上から件の少女が落下してくる】
【慌てて、足元の少女はその身を翻す】

<っ、ちょっと身体、借りるわよ!>
えっ、なんで!? ――――

【身をかわす一瞬。少女の瞳が緑から青へとその色を変じさせる】
【そうして、避け様に振り返り、手の中に集まった黒い『気』の様なものを落下してくる少女へと向けようとするが】

っ…………なんだ、あたしがわざわざ気にする事でも、無かったらしいわねぇ……

【そこで目にする事になったのが、見事の一言に尽きる綺麗な着地】
【察するに、瞳の色に連動して口調の変わったこの少女、落下に備えて何かをしようとしていたのだろうが】
【それも必要なかったかと、苦笑しながら手の中の気を散らせた】

……ちょっと、まだおネムなのかしら?
良く見てみなさい、そっちの方がお姉さんよ?

【おおよそ、明瞭な言葉を話す時点で、眼前の少女は人間なのだろうと――――耳や尻尾は何かの理由があるだけなのだろうと――――考えたらしく】
【青い瞳の少女は、まだ夢うつつな様子に苦笑しながら、とりあえずは応答して相手の意識をハッキリさせようとする】

……とりあえず、この身体の名前はリベル=アシェル……ちゃんと頭に入るかしら?
それにしても、見事な身のこなしだったわねぇ……あなた、何者なの?

【今の少女に名乗っても、ちゃんと認識してくれるかは不安だが、ともあれ名を名乗る少女――――リベル】
【『この身体』と、どこか奇妙な前置きを入れての名乗りだが、恐らく今の少女ならそこは深く追求されまいと、説明はせずに】
【そのまま、むしろ相手の少女へと質問を返してみる。色々と不思議なその様子は、やはり気になるのだろう】
878 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 23:13:50.11 ID:Nu7P6COyo
>>873

【身長の差は確かに大きいのだろう。けれど、己の碧はしっかりと目の前のスカイブルーに向けて】
【相手の目を見る事――それは、誰かと話をする時に於いて最も重要視している事だから】

これでもまだ25、今年で26歳だっての。
こんな見た目で明らかな事じゃあ、すぐに今年の記録は塗り替えられそうだな?

――それと、年を取らなくても注意力は散漫になるぞ?
ほら、若い娘が大事な鞄なのに簡単にひったくられたり。

【キツイ言葉が並んでも、のらりくらりと躱しながらお返しとばかりに皮肉を返す】
【しかし、それは決して悪意があっての物ではなく。寧ろ親しく感じる相手だからこその言葉】

【丁度すぐ近くにある電柱に背中を預けて立てば、少しばかり目線は近付いただろうか】
【知り合いは多い方だと、そういう自負はあるけれど、その大半は遊ぶ上での関係】
【そういった意味では、彼女との繋がりは此方からしても数少ないもの、なのかもしれなかった】

ちゃんと覚えとく、って言っただろ?俺みたいないい男はそういう所もきちんとしてるもんさ。
だけど、折角の滅多にない機会も相手がつれない感じじゃ、なあ?

――ところで、振り返らず歩いて行ってる人もいるけど、それについてはどうだ?

【彼女の“美少女”という言葉に対し、こちらは“いい男”】
【こんな性格だから冗談だか本気だか分かりにくいかもしれないが、正解は――――半々である】

【――とまあ、前と変わらない調子であったけれど、ここに来て妙な音が一つ】
【『グー』とでも表現するべきであろうその響きは、弱いながらもハッキリと、腹部から鳴っていた】
879 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/02(木) 23:28:26.51 ID:F4T6cgM+o
>>876

……………

【素知らぬふりをしつつ言葉を待つ】
【言いたくなくなったのなら言わなくても構わない、何より尊重すべきは彼女の気持ちだろうから】
【例えどうなろうともこちらとしては対応を変えるつもりはない、それが自分に出来る精一杯の平等だった】

ああ、そんな事もあったなあ……心変わりは、ふうん結婚……?

【辺りを見回したまま小さく頷く、が「結婚」なんて単語を聞いてガッっとそちらに向き直る】
【ああ、確かに彼女の指には煌めくリングが激しく主張していた……】
【なんと言えばいいのだろう時の流れというのはここまで人を変えるのか、と暫く呆けるしかなかった】

【いきおくれ、なんて単語はまだ自分には関係ない筈である】

―――――いや、真実ビックリしたというか何がなんだかよくわからないってのが本音
手柄云々は正直興味ないけどそっちが良いってんなら報告しておくよ、おめでとさんと言ってもあげられるものなんか無いけど

んで?結婚なんて大層なことしちゃって、生活とかどんなー……あーあんまり立ち入らないようにするか
そっちもそっちで都合不都合あるだろう、それを一々計りながら会話するのも面白くないしさ
ま、幸せであるようならそれでなによりってコトで

【丁度よい落とし所といえばそうなのだろう】
【随分と長いこと掛かったが件の問題を解決するならば渡りに船、こちらとしても断る理由はなく】
【というよりもはや自分が介入するような次元の話ではないような気さえする、うんどうみても部外者だ】

【であるならば不要な部外者は後は去るだけ、何も告げず何も拘らず】
【それが矜持というものだろうし……横目で彼女を見ながら、ほんの少しだけ微笑んで】
880 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/02(木) 23:30:46.81 ID:X97te88So
>>878

【――――――見下されるのは嫌いではなかった、見上げるのもまたどちらかと言えば好きだから】
【月を背景に立つ横顔、見つめる視線の先に映る姿は透かして見えた掌の溶けた先みたいに】
【碧色の瞳、軽口を叩いても尚、強い意志を感じさせる美しい瞳を眩しそうに見つめた】


……25ってまだ≠チて言える年齢なのかしら、信長的に言えばもう半分過ぎてるし
そうね、ここに居たらアンタの年齢なんてちっぽけなことに思えるぐらい、ビックリすることばっかりだし

――――――っ……あら、失礼な言い方ね、言っとくけどか弱い女性に向ける物言いじゃないと思うわ
いくら大切に思ってようが、体力とか腕力とかそんな面でどうしても劣ってしまうってことはあるの
だからね、そう、決してボーっとしてただとか、そういうわけじゃないの

得手不得手というものがあるの、人には、そんな可憐な女の子を護るのが、アンタの仕事でしょ?
だから注意力散漫なんかじゃないの、分かった?


【相手を詰ったりからかったりするのは得意ではあるが、その逆はあまり慣れていないらしい】
【貴方の返す言葉に一瞬、口を噤んだなら、溢れ出るのはそれ以上の弁解の言葉】
【左手を腰に当て、右手を揺らしながらくどくどと喋る話は兄の気を引きたい妹のようなもので】

【腕を組んでぷいっとそっぽ向きながら、じとーっと横目で見つめる様子は、言葉とは裏腹に幼気で】
【電柱にもたれる貴方のすぐ近く、泳ぐ視線のその先の、佇む可憐な姿は夜に溶けてしまいそう】
【それでもハッキリとした存在感を示すぐらい、整った横顔は貴方に負けずとも劣らない】


っ……っと、そういうトコ……その、サラッと言うの、やめなさいよ……もう


【貴方の言葉回し、軽そうに見えても尚、貴方に対し悪い感情を抱かない理由がそこにあって】
【赤くなりそうな頬を辿られないように、心の中で深呼吸一つ、覚えていてもらった嬉しさがこみ上げてきて】
【すり合わせる細い両足、その意味合いを知ってほしくは無かった】


さあね、忙しいんじゃないの、こういう時期だから、人って集中したら周り見えなくなるし、アンタみたいに
それにね、私だってそういう風に――――――ふぇ……?

あら、今の音……もしかしてアンタ……


……ついに自警団辞めちゃったの?そりゃそうよね、アンタみたいないい加減な人間が長く続けられるわけないもんね
折角新年になったのに、食べるものも無いとかそういう感じかしら、悲惨ね……


【わーわーと捲し立てていたなら、聞こえてくるのは貴方の腹部の音色】
【少し考えこむように両手を組んで、口元に手を当てたなら、ハッと気づいたようなオーバーリアクション】
【覗きこむように一歩前に出たなら、彼女の柔らかな頬が直ぐ側に溶けて】

【大きな瞳をわざとらしく潤わせて、頬に絡みつく黄金色の毛先を揺らめかせる】
【蒼のリボンが霞む指先を、届くその先端を見つめたままで】
881 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/02(木) 23:32:47.11 ID:t9sOrpcgo
>>877

「……? ……あ、ホントにゃー……でも、話し方がおねーさんだにゃー?」

【まだ一言でさえも話していないために、口調が変わっただの瞳の色が変わっただのを気にする様子はない】
【しかし、妙に大人びた話し方だにゃ……なんて、まだ半分夢の世界へと足を突っ込んだ状態で思考していたりする】
【その思考も口からダダ漏れしているのだが、それはともかく】

「リベル……リベルにゃ? 覚えたにゃー……。
 ニャーは"端喰 音去"って言うにゃ……。れっきとした妖怪にゃ……」

【彼女の予想通り、集中するのは彼女の名前だけであって。その前置きには特段意識が向いていない】
【……とりあえず彼女の名前を復唱はしてみたものの、完全に覚えたかと言われれば……まだ、眠気が抜けきってないようで】

【そして問を返されれば、案外あっさりと少女は自分の身元を明かすだろう。「ネコ」で、「妖怪」だと】
【少女の耳や尻尾、そして名前から少女が何の妖怪なのか推測することは容易だろう。わかりやすい容姿もしていることだし】

「それより……リベルもこんなとこで何を……。


 ……お腹すいたにゃ……」

【相手がこの少女に一番質問したいであろう事を少女が言う前に、ぐぅ〜……と、情けない音が響く。出処は勿論、少女のお腹の中】
【それで完全に目が覚めたのか幾分ぱっちりと目が開いたが、その眼は直ぐにシュンと、悲しそうな開き方に……】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/02(木) 23:51:13.82 ID:PCxsseDD0
>>879

【――思いつめているほどではない。けれど、少しぐらいは緊張しているようだった】
【烏龍茶を無意味に少量ずつ飲んでいたのだけれど、やがて彼が言葉を返してくれたなら】

うん、そう――、そしたらね、いろいろ変わっちゃった。なんでかなぁ……、

【彼女にとっては時間よりもその事象の与えた影響が大きかったのかもしれない、なんて余談とも言えること】
【ふうと缶へ息を吹き込めばぼうと音が返ってくる。溜息みたいな吐息は、ふごーっとそんな音に化けて消えて】

【「ありがとう」と、その表情はようやく緊張の抜けたように和らいで、鈴の音が暖かにそう告げる】
【膝の上にもう半分ほど飲んでしまった缶を置いて、手で支えるようにしながら、】

……ずっと一緒に暮らしてたからあんまり変わらないよ、
“お父さん”じゃなくて“名前”で呼ぶようになったぐらいかな……後は――なんだろう?

でもね、なんだろう……前まで、もしかしたら嫌われちゃうんじゃないかってずっと思ってた気がする。

【「今は違うって分かるんだよ、」――彼が提案を受け入れてくれたことで幾分かほどけた態度、ぐうと両手を伸ばして】
【屋台の煌きを掴み取ろうとするような数秒、実体はただの伸び、やがてゆるゆると腕を戻したなら、問題発言があった】
【さながら普通のことだと言う風に言いのけたのだけれど――それなら、指輪にあしらわれる蛇のかたちもどこか納得できる】

【――びしびしと皹の入った硝子のようだったこころの安定。半年も掛からないぐらいの時間の中で、彼女は大きく変われて】
【運も良かったのだろう、徹底的に毀れて狂ってしまう前に拾ってもらえた。――ずいぶんとぎりぎりだった、けれど、】

あなたは食べないの? ちょっと冷めてるけど美味しいよ、なんかちょっと……火の通った感じで?

【全部で十八個。くれるとは言ったが、流石に全部となると多すぎる。貰い物を返すよなかたちだが、相手にも勧めて】
【先ほどの食べかけにまた手を付ける。余熱の入りきったそれは、熱々のものとも少しだけ歯ごたえが違って、面白いから】
【おいしそうに食べていくことだろう。烏龍茶も時折飲んで、――ずいぶんと餌付けの簡単そうな、なんて余談だろうか】
883 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/02(木) 23:54:22.76 ID:xwJ4X33z0
>>881

……ふふ、まぁ、今はそこは置いておいて……

【1つの身体に3つの魂が同居していると言う、今の状態を説明しようとすると中々に面倒だった】
【故に、半分寝ぼけているのを良い事に、リベル――――実際には別の魂・人格だが――――は、その事を棚に上げようとする】

……本当に覚えた? ……とりあえず、音去……妖怪、ねぇ……
(人間じゃないって事……本当に、この世界は何でもありねぇ……人間じゃないのが、こうやって街中を普通に闊歩してるなんて……)

【まだ語尾に覇気のない少女――――端喰に若干の不安を感じつつも、リベルはその言葉に考え込む様子を見せる】
【そうした存在に免疫が無いわけではないのだが、やはりこうして相対するのはまだ慣れないらしい】

妖怪って事は、生まれは『魔海』? それとも櫻の国……かしら?

【本来、この世界の住人ではないリベルは、頭に入っている地理の知識から問いかけてみる】
【なんて事の無い、会話の掴みの為の雑談の様なものに見えるかもしれないが――――】

(……おおよそ、超常の力を探してみるには、こういう糸が大事なものよね……
普通に人間の域の及ぶ所だけを浚ってたって、元の世界に帰れるかなんて、分からないものよ……)

【その奥には、リベルが特有に抱えている事情に対する、ある種切実な動機が隠されていた】

……あたしはねぇ、新年って事で少し街を歩いてたんだけど、人ごみに疲れちゃって、ここで休憩ってあたりね
そういう煌びやかな所、ちょっと苦手だったりするからねぇ
(……この世界に慣れてないと、どうも馴染み切れないのよねぇ……)

【リベルの方はと言えば、特段の事情があった訳でもなく、ただ往来の賑わいから距離を取ろうとしただけの様で】
【たまたま、足が向いた公園で端喰と居合わせただけなのだろう】
【――――やはり、話していない腹の内では、特有の事情はしっかりと抱えているのだが】

…………あぁ、道理で……
……しょうがないわねぇ。ほら、これでも食べる?

【端喰から聞こえてきた空腹の音に、リベルは苦笑する。寝言の理由がこれ以上なくハッキリと分かったのがどことなく可笑しかった】
【手に提げていた買い物袋から、紙包みになった饅頭を1個取り出して差し出す。新年の買い物で買った品の1つの様だった】
884 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/03(金) 00:04:11.98 ID:arBXCiBbo
>>882

そりゃ変わらない人間なんていないさ
全ては変わりゆく、だが恐れるな友よ……何も失われてはいない、どっかの誰かが言ってたぜ

【行儀悪く両足を胡座にして足に肘をつきながら掌で顎を支える】
【借用の言葉を吐いていつものようにつまらなさそうに風景を眺める】

【ああ、でも変わらないままありのままを見つめ続けている「ある人物」は確かにいるなあ】

前までだろ?今は別に嫌われてないならいいじゃんか

【彼女の抱いた不安というのは悲しいかなこの男は理解出来ないらしい】
【どうしようもないくらいに鈍感というか察するという能力が欠落していた、仕方ないと諦めるしかないレベルで……だ】

んー?いやオレはさっき死ぬほど食べたからいらないよ
いらないって言ってるのに阿呆ほど押し付けてくるから困る……押しが強い人間はホント苦手だよ
なんで頑張って処理してくださいね、まあおみやげにでも持って返ればいいよ

【やはり完全な押し付けであった】
【それをバラして尚飄々とした態度であるから食えない男である】
【ふと視線を上げるとたこ焼き屋台のガタイのよろしい威勢の良さそうなおじ様がニッコリとこちらに微笑んだ】
【「ああ……」と諦めた風な声、きっと碌なことにならないと悟った彼だった】
885 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 00:07:15.44 ID:7EDD5SGBo
>>880

【平均より少し高い身長だから、同性相手の時はまだしも異性が相手の時は自分の方が高くなる事は多い】
【それが昔からだったのかはわからないけれど、今はそうであって】
【だから、高さの違いがあってもスカイブルーの輝きを見詰めるのに苦は無かった】

20代なんだから“まだ”でいいんだよ、体力だって全然衰えてないし。
流石に30越えたらどうか分からないけど―――それはその時考えるし。

――――ああはい。じゃあ散漫だった訳じゃない、って事にしといてあげよう。
……ま、こうして出会いの切欠になる事もあるんだから、散漫なのが一概に悪いとは言えないかもな。

【散々揶揄う様に話していたのに、妙に物分かりが良い――のかどうかは口端の笑みを見れば分かるだろう】
【それから、突然真剣なトーンの声を出すのは意識してのもの、だろうか】

【ただ一瞬、これまでの皮肉めいたものとは違った笑いが浮かんだ様にも見えたけれど】

【少し眉を持ち上げて彼女を見遣るその瞳、足の動きもちゃんと映していて】
【だが、何を言うでもなく。フッと小さく笑っただけ。ただそれだけ】

や、辞めてねえ!寧ろ続いてるからこんな事なってんだよ!
というか俺、もう何年も続いてるんだけど……

――――色々やってたから飯がまだなんだよ、勝手に哀れむのはやめてくれ……

【近付いて色々と言葉を掛けてくる彼女に、少し慌てた様な声】
【そんな声を出したらまた何か言われるかも……と思って声を整えるものの、時は既に遅く】
886 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/03(金) 00:16:33.21 ID:RzPmEb7uo
>>883

「櫻の国の山奥にゃ。魔海は……行ったこと無いにゃねー」

【彼女が腹の中に抱える考えなど知る由もなく、ただ答えられる質問だったから答えたまでのこと】
【……と言っても、プライバシーという言葉を知っているのかも不安なこの少女、質問されたら何でも喋ってしまいそうである】

「にゃー。その気持よく分かるにゃー……。
 ニャーも人混みに慣れようとはするけども、なかなか出来ないんだにゃー……。
 完全に溶け込むには、もう数年ぐらいかかりそうだにゃー」

【「苦手」なんて聞くと、同じような理由で繁華街から遠ざかっていた少女も少し彼女に親近感を覚えるもので】
【ちょっとだけ口数が多くなるものの、やっぱり語尾は覇気が無い。それがより一層悲壮感を演出しているかのよう】

「……お饅頭だにゃー!
 リベル、ありがとにゃ! リベルは優しい人だにゃ! 一生忘れないにゃー!」

【さて、目が覚めたと言っても空腹の所為か勢いがない少女だったが、差し出された饅頭を見れば一気にぱっと表情が明るくなるだろう】
【感謝の言葉を言うが早いかリベルの手に乗った饅頭を手に取り、包みを解いて一気に半分ほどを口に入れる】
【それでまた表情が良くなったのは言うまでもないだろう。結局、二口で食べてしまった少女の口にはまだ白い粉が付いているが気にすること無く】

「にゃー……美味しかったにゃ! ありがとにゃー!
 ……あ、お返しに今出来ることなら何でもするにゃ!」

【なんて、快活そうな笑顔でリベルに問いかける。これが少女の本来の顔というのは想像に難くない】
【一瞬で懐いてしまった少女。少女の言うお礼も、無理なものでなければ喜んで少女は引き受けることだろう】

/すいません、眠気が差してきてしまったので凍結お願いしてもよろしいでしょうか……
887 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/03(金) 00:19:27.36 ID:wNr208zF0
>>886
/了解しました。今日明日の夜はほとんど空いているのでその時に呼んでもらえればと思います
/では、一端お疲れ様ですー! こちらでレスは返しておくのでー
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 00:21:04.27 ID:fTlmGWWf0
>>884

【行儀の悪い姿勢の彼に対して、こちらはぴったり揃えた膝と、すっかり伸ばした背中と、行儀の良い姿勢】
【どこか白い印象を抱かせる彼と、黒い印象を与える少女と、きっと様々なことが対照的なふたりだけれど】

……そうかな。

【人間じゃないけど、なんてふと思いながらも会話が続くのだから、きっとそれで上等と言えるだろう】
【虚空に向かって少しの間首を傾げていたけれど――すぐに戻されて、それが癖だとは閑話休題】

だから、今は……すっごく安心する。一緒に居るとね、それだけでしあわせなんだよ――。

【不必要な心配に駆られることが少なくなった。それは多分に彼女のストレスを減らしこんで、それによる疲労までも減らす】
【それによって余裕が生まれつつあるのだろう、ここしばらくで大きく改善した彼女の心象風景、荒地に花の咲いたように】
【にっこりと笑ってみせれば言葉を証明してみせるのもきっと容易いだろう、しあわせそうに浮かべて――】

そうなの……、――でも買うと高いよ、得したって考えたらいいんじゃないかな……。
……じゃあありがたく貰っていくね。明日の朝ご飯かな――あんまり夜に食べちゃ駄目なの。女の子だから。

【祭りの屋台なんて足元を見た価格設定、安いとはとてもじゃないけれど言えないぐらいで、ハレの日専用】
【それをもらえたならばお得だろう、なんて。当事者じゃないから言える軽いこと、たこ焼き地獄なんて知らないから】
【ぱくぱくと食べていくペースは中々に早く、飲み込むまで口を開かないから、会話のペースは中々に落ちる】
【――自称女の子。見た目では精々が高校生ぐらいで、年齢は二十歳で、数え方を変えれば、違う年齢になるけれど】

――ねえ、なんでこんなところに居たの。眠たいなら帰っちゃえばいいのに……。

【結局、最初に開けたパックはぺろりと平らげてしまって、ただもうこの場で食べるつもりはないらしい】
【袋に詰まったままだろう残りふたつは言葉通り持ち帰ることにして、自分の側にそっと引き寄せ】
【ソースの味が残る口中を烏龍茶でさっぱりと流したなら――いちばんはじめの彼の様子について、今更だが、そう尋ねた】
889 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/03(金) 00:25:41.36 ID:hQsHBVVso
>>885

【夜風が凛とした冷たさを映し出す、肌に透けるような冷色の香り】
【頬に触れる濡れた感触、宵闇の陰りに似た風の温度だけが確かに冷えていく】
【それはまるで掌みたい、冷凍庫の中温度を下げた手を頬に当ててみて】


なんかやな返事ね、まあ許してあげるけど
アンタに出会えた事が良い事かどうかは知らないけどね

……うん、でも――――――悪い事じゃ、ないのかもね
少なくとも知り合いが増えるっていうの、悪い気はしないわ、その相手が誰であれ
そうじゃなきゃ淋しすぎて生きてけない、こういうの言いすぎかしら?


【よく出来た台詞みたいに、彼女の言葉は芝居じみた響きを含むだろうか】
【視線をまっすぐに向けたなら、少し目を逸らして、行く町並みを眺める少女】
【金色の髪が溶ける横顔、ツインテールが震える先はシャーベットのように蕩けそうな頬白】

【揺れる小さな声は清涼な響きを含んだ、ソプラノで、キラキラと輝く万華鏡が如く華やか】
【それでも貴方の目の前の存在は、小さく華奢な、硝子細工の折り紙のようなものだから】
【きっと、強そうに見えても、気丈に振る舞っても、少し指先に力を入れたなら、砕けてしまう楼閣】



ぷっ……ふふ、はははは!!なーんだ、そんな事だったの、ふふ
いや、でもご苦労様、新年早々忙しいのね、貧乏暇なしだなんて言葉思い出しちゃった
社畜だったっけ?ホントご飯食べる暇ないくらい働かされるのって中々惨めね

それに自己管理ぐらいきちんとしなさいよ、どれだけ忙しいかだなんて分かんないけど
私だって寝る暇もないぐらい忙しかった時あったけど、その時だって合間見つけて体調管理してたんだから

――――――……まあでも、アンタが忙しいのって、そういうこと、なんでしょうね
余り物だけど、アンタには高価すぎるかしら、味わって食べなさいよ、全く


【口元に手を当てたなら、その手を直ぐ下にずらして、両手を合わせて笑い声をあげるのだろう】
【心の底から笑うような声、それでも鈴の音を転がしたかのようなその声は、嫌な響きは無くて】
【恵まれた声色ではあろうが、本人の心を映すには少し、不十分すぎるくらい】

【失礼なぐらいに笑ったなら、その大きなスカイブルーから笑い涙を零して、手で拭いながら言葉を紡ぐ】
【半分忠告で、残りの半分はからかいだろう、それだけの言葉を投げかけて】
【ある程度したなら、言葉が途切れた、長い睫毛が濡れた潤いをそこに広げて】

【ポシェットから取り出したのは、新品のサンドイッチ、どこかのコンビニで買ったであろう安物】
【彼女の言を借りるなら、彼女のような人間のあげるサンドイッチなのだから付加価値は高いだろう云々】
【差し出す指先に溶けた言の葉、いつもありがとうって言葉が、小さく口元から漏れて】

【――――――気付かれないようにって目を逸らして、紅に濡れた頬をひた隠しにした】
890 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/03(金) 00:35:27.85 ID:wNr208zF0
>>886

そう……そういえば、そっちの方面の名前だったわよねぇ

【幼い顔立ちに似合わない様な、包容力のある朗らかさを感じさせる表情でリベルは頷く】
【外見上、リベルはどう見ても年下なのだが、主客が逆転してしまっている様だった】

……特に、今みたいな時節じゃあねぇ……いつもよりもずっと人が多い訳だし
いつにもまして疲れちゃうのも、仕方ないって所かしら?
まぁ今は……仕方ないわよね……

【もしかしたら向こう1週間ほど、この『異常事態』は続くかもしれない。そうした中で疲れを感じるのも、致し方ないだろう】
【アウェイ感で疲労を感じているリベルと、そもそもの性質として人混みが苦手な端喰とでは、事情は多少異なっているはずなのだが】
【そうした事を些細に思わせるほど、年始の人混みと言うのは凄まじいものがあるのだろう】

あ、あらら……そうまで喜んでもらえるとは思わなかったわよ……
(……ふふっ、なんか恩人になっちゃけど、ご感想は、リベルちゃん?)
<(……わ、私でもお饅頭はあげたと思うから、別に良いよ……騙してると言えば、確かにそうだけど……)>

【あっと言う間に平らげ、満面の笑みで礼を口にする端喰に、やや気圧され気味のリベルだが】
【その様子を、身体の中に隠れている『本当のリベル』と共に、どこか微笑ましく見ていた】
【もっとも、本物のリベルからしてみれば、どこか気まずさや申し訳なさも同時に感じているのだが】

……じゃあねぇ、聞きたい事があるの、いいかしら?
何か、強い霊的な力……魔力とか、そういうので、心当たりのあるものがあったら、教えてくれないかしら?
……魔石とか、パワースポットとか、そう言うの……ちょっと必要でね、探しているのよ

【その言葉を待っていた――――そう言う様に、すっと表情に真剣味が差し、リベルは端喰に問いかける】
【強力な霊力や魔力を秘めたアイテム、もしくは力場。そうしたものを探していると口にして】
【――――普通の人間なら必要のない問いかけだが、それを口にするという事は、リベルもただの人間ではないと言う事の証左なのだろう】
891 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/03(金) 00:37:06.77 ID:arBXCiBbo
>>888

ええい、幸せなのは分かるけどノロケ話は違うヤツに話せっての……

【実はその手の恋愛話はこの青年の大の苦手科目だったりする】
【どう反応していいやら、同意しても結局そういう経験が無いのだから上滑りするだけだろうし】
【どことなく気恥ずかしくもあり、そんな色々なことが重なって……苦手なのだ】

【如何とも表現し難い表情を浮かべながら「むう」なんて息を吐き】

(朝ごはんにたこ焼……)
(なんだろ、ちょっと申し訳ない感があるけど……ま、いっか)

ん?ああ、ここの軽い警備の仕事だってんで二つ返事で引き受けたら存外時間ながくてさ
しかもやることなんか時期柄何もなくてずっと置物状態、それに屋台のオッサン達がやたら差し入れしてくるし……。
でも仕事だろ?眠いならまだしも帰る訳にはいかねーじゃん?話し相手がいれば違うんだろうけど

【事はとても単純だった、というかもはやただのアルバイトで】
【年末年始となると給料もよろしいので適当に、やった結果が暇を持て余す、という事態であった】
【体を動かす機会もなければただただ無意味に疲労するだけで……まあ彼がこうなるのも仕方ないのである】
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 00:59:20.35 ID:fTlmGWWf0
>>891

【苦手なのだといわれればひとつ瞬き。そうなのかと納得するような顔をして――そうかと思えば、】
【からかうように悪戯っぽく笑ってみせたりもする。「弱点見つけた」とでも言うような、そんな表情で】

【――けれど、今のところはそれきりだ。口を噤んでしまえば、これ以上曝されることもないだろうから】
【曖昧な表情と、妙に笑顔な表情と、――向こうのガタイのいいおじさまには、どんな風に見えていたことだろう】

ふうん、バイトなの……、楽し、……楽しくないんだっけ。
……でも何にもないならいいじゃない、わたしは平和な方が好きだな。

【これから食べるつもりのないたこ焼き、こんな夜中に押し付けたところで、きっと食べないだろうから】
【それなら朝ぐらいしか食べる場面はないわけで――昼頃だと、悪くなってしまいそうだしと】
【いろいろ考えたなら、その結果。彼になにか思われていることなんて、彼女はちっとも気付かないまま】

【どの口でそれを言うかとも思われそうだったけれど。足をぱたぱたと揺らせば、ふわっと白い吐息を吐いて】
【ぐーっと最後まで傾けて飲んだお茶の缶を少しだけ持て余しかけて――「捨ててくる」と言って、立ち上がった】
【数秒もすれば戻ってくるだろう。両手を空っぽにして、ただ、元の位置に座り込まない】

うんと……、わたし、今日は帰るね。今日は早く帰りたいし――……。
……今日はありがとう、あの子には適当に連絡しておいて。あとで、暇なときに会いに行くから。

【――どうやら今日は帰ることに決めたようだった。彼を見下ろすようにしながら、ただ、高圧的ではない視線で】
【背中の後ろで手を絡ませながら、今日の礼を告げる。その顔は柔らかに笑んでいて、優しげにも見え】
【最後にがさりとたこ焼き入りの袋を引き寄せたなら、もうひとつ礼が。それから、ぺこりと頭を下げたなら】

ばいばい、……またね。

【そういい残して背中を向ける。ひとごみの中に紛れて行く背中はやがて見えなくなるけれど】
【きらりとひとすじ夜へ立ち上っていく黄緑色の煌きがあって、それが、最後の彼女の軌跡だった】

【――後日。電話なりであの幼子に連絡してやったなら、きっと何度も何度も何度も何度も礼を言われることだろう】
【曰くお礼をしたいとか。もしも受け入れるなら、菓子折りを届けにやってくることになる】
【冬の雀みたいにふくふくと着膨れする幼女は、とってもとっても嬉しそうで――とりあえず、平和に済んだらしかった】


/おつかれさまでした!

893 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 01:11:04.81 ID:1QvquRZao
>>889

【ふう、と吐息を一つ、夜空を一度見上げて】
【その顔は何か思うところがあるような、そんな表情】

確かに、知り合いは多いに越した事ねえよ。
何かキツイ事があった時に、誰か一人でも居るのと居ないのとじゃ、大違いだ。

それに、いつどんな状況で出会いがあるかなんて、わからないからな。
ちょっとしたゲームで負けて、見回り押し付けられたと思ったらそこで芸術家と知り合ったりもしたし。
普段と違う事があると、普段じゃ出会わないような相手とも知り合えるかもしれない、って訳だ。

【それだけ言ったら、『俺で良けりゃ、何かあったら言えよ』なんて言葉を真っ直ぐな視線と共に】
【そういう事を躊躇う事もなく言えるのは、性格故の事なのだろうか】

【しかし、そういう自分だって、弱い所はある】
【いつも目に見えないところに仕舞って、隠して。滅多に他人には見せないそんな領域が、確かにあるのだ】

……笑い過ぎだっつーの。それと、貧乏ではないぞ?テロの鎮圧何かで臨時の収入とかあるし。
正月はみんな、里帰りだとかでよ。そういう予定の無い俺に仕事が回って来るんだよ。
――とは言っても、書類の整理とかが多いんだけどな。
それでも、テロが立て続けに起こった時よりはよっぽどマシだぜ、うん。

まあ、体調に関しちゃ大丈夫だろ。自警団に入ってから今まで、でかい病気も殆どしてないし。
――――って、いいのか?いい男の俺には丁度いいから、有り難く貰っといてやるよ……サンキュ。

【目一杯笑う彼女を見て、聞いて、少しだけ、不機嫌そうな“振り”をして見せる】
【けれど結局、最終的には元の調子でサンドイッチを受け取って】
【その時、差し出した右手の甲。非常に薄くだが、水平に走る三本の古い傷とそれらを貫く一本が見えるだろうか】
【しかし、気付いたところでどうだ、という話でもなくて。故に、気付かなくても何も変わらないのだが】

【一言礼を言ったなら、空いた左手を伸ばして彼女の頭を一度、ポン、としようとするだろう】
【その行動は、ニヤリとしたものではない、普通の笑顔と一緒に】

……っと、そろそろ行かないと時間がやべえ。
これ、ありがとな!また会おうぜ!

【そして今宵の別れは唐突に。時計を見ればけっこう時間が過ぎていて】
【早く済ませなければいけない仕事もある事を思い出したからと走り出してしまうだろう】
【夜の中に、金色のラインを残して。その姿は遠くへと消えていく……】



/こんなところでしょうか!お疲れ様でしたー!
894 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/03(金) 01:17:16.00 ID:arBXCiBbo
>>892

平和だけってのもなー体が鈍るといいますか
それが一番良いのは知ってるけど、結局……戦いしか知らないしさ

【胸元にある銀色の刃がどこか重たく感じた】
【所詮、自分は戦いしか知らない愚か者だと警告するように、ずしんと】

あいよーとっとと帰ってやった方がいいだろう
アイツの事も極めて了解、その内そっちに行くんじゃないか丁重に持て成してやれよな。

【あふう、と欠伸をしてからふらふら手を振る】
【頷く姿もどことなく眠たげなのは、話し相手もいなくなってしまうからだろう】
【少しの間だけだけれど彼女の存在は幸いだった、かねてからの問題も解決出来たし悪くない夜だった】

おう、じゃあな……会えて嬉しかったよ気を付けて
体を労ってな、またいつか元気で……

【「嬉しかった」なんて慣れない言葉躊躇いなく使って後ろ姿へ手を振る】
【しゃんとした後ろ姿はかつての彼女とは遠く、それはとても尊い姿に思えたのだった】

【後日、連絡の後のお礼は珍しく断るコトなく】
【彼としても一区切りつけるには丁度良いと思ったというのが本当の所】
【頭を2,3撫でて極めて平和に、終わったのだった】

/お疲れ様でしたー!
895 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/03(金) 01:29:54.31 ID:hQsHBVVso
>>893

【見上げる横顔に沿わせる視線の先、息を呑んでしまうぐらいに呼吸を忘れてしまうぐらいに】
【整った貴方の横顔が見つめる先の空は星をまき散らしたかのように綺麗な夜空で】
【視線を傾ける貴方の姿は満天の星空ですら霞むほどに絵になっていた】


……カッコイイ言葉ね、信頼はしないわよ、信用はするけど
こっちでの生活にも慣れてきたし、今はそうアンタに頼ることも無いだろうけど――――――

そうね、その時は、目一杯甘えさせてもらうことにするわ


【真っ直ぐな視線、交錯する双眸は、まるで重なった二つの掌のように】
【貴方の大きな手の下に、彼女の小さな指先を置いてくしゃくしゃに絡めたくなる衝動】
【飲み込んで、そうして、ずっとこのままでもいいかななんて思えるのだろうか】

【夕月色に染まる頬の色、指先で辿ったなら滴り落ちる涙みたい】
【紅葉と呼ぶにはどこかしら冷めていて、それでもずっと咲き続けるみたい】
【柔らかな頬の行く末、見える景色の残照がどこまでもくすぐったく見えた】


ふぁ……ぅ……もぅ、子ども扱い、しないでほしいのに……っ――――――
にぃ――――――そんな笑顔じゃ、怒れないじゃない、の……っ

……さよなら、怪我しないでね、アンタが怪我したら、誰が私を護るの?


【予想外だったのだろう、頭をポンとされて、心にもない声が漏れた】
【少動物のような小さな表情、召し物を剥ぎ取った後の柔らかな頬が庇の下に現れて】
【言葉を返そうとして見上げる先、映る笑みは太陽みたいに暖かくて】

【去っていく貴方の姿、一瞬視界に移った傷跡が見えなかったわけなくて】
【心配だった、でも――――――どうしようもなかった、から】
【祈る言葉の架け橋と、残る思いの揺れた先を、どうかずっと、知っていて欲しかった】


/お疲れ様でしたー!
896 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 13:08:01.23 ID:NJLdoP/no
【星の国――スラムエリア】

【開けた場所にシートが敷かれ、持ち運べる範囲での工具類が並べられており】
【其処に貧しい人達が、壊れた家電類を手にして並ぶ列が出来ている】

……ん、コレでとりまOKかな。
後は使ってみて、また何かあったら連絡よろ!

【そんな彼ら一人ひとりに丁寧に応対しているのは、】
【多様な工具を備えた灰色のツナギを纏う、一人の若い女性だった】
【今時の若者といった雰囲気で、オレンジの長髪に栗色の目】

【一つ修理を終え、彼女は次の依頼を受ける。工程としては非常に早い】

【どこが破損していてこういう風に動かない、との話は聞くものの】
【無闇矢鱈に中を開けて確認するのではなく、彼女はまず機械をじっと見つめて】
【――そして、何かを心得たように頷き、的確な修理を施していくのだった】

はいはーい、次はこっちね……っと、……――
ごめん、コレは一旦預かりで良い? 此処の道具じゃ無理っぽ。

【状態を見て済まなそうにそう言い、彼女はどのエリアの居住者かをメモし】
【機械を預かれば、棒付きキャンディーを口に加え、次の機械の修理へ入る】

【――やがて行列も落ち着き、彼女は少し疲れたように伸びをする】
【尤も、嫌々やっているという顔ではなかった。何処か達成感のある、そんな表情で】
897 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/03(金) 20:31:03.60 ID:RzPmEb7uo
>>890

「……やっぱり、ニャーよりおねーさんっぽいにゃ……」

【出会った時から――その時は寝ぼけていたが――口調において少しだけ不審に思っていた少女だったが】
【完全に眼が覚めている今においては、それが顕著に現れていると少女には感じられて】
【何だか、その微笑みさえも年上の女性のように感じられる。……少女の呟きは、彼女に確り届いてしまうだろう】

「食べ物を分けてくれる人は全員優しい人にゃ! だから、リベルも優しい人に決定なんだにゃ!」

【……今までの話を聞いていれば彼女も分かっていると思うが、この少女、ドがつくほどの単純である】
【それは日常生活や戦闘において、致命的なミスや隙を晒す原因となる物で、余り良いとはいえない物だというのは彼女にも分かるだろうが】
【しかし、逆にそれが少女のアイデンティティになってたりもする。この単純さで少女が成り立っていると言っても過言ではなく】
【屈託のない笑顔を振りまくこの小さな猫女は、『本当の』彼女の後ろめたい気持ちなど、微塵にも感じていないのだろう】

「霊的な力……にゃ?
 んー……そういえばこの前、櫻の国で大きな妖力を感じたにゃねー。
 なんとか峠って所で、ニャーよりもっと強い妖怪と人間たちが戦ったらしいって聞いたにゃ」

【少女にもその真剣味が少し伝わったかは分からないが、自らの記憶を引っ張りだして一つ、そんな事を喋り出す】
【彼女がニュースを耳に通していれば、それが先日の"折鶴愛し姫"を討伐したという情報だと気がつけるだろうか】
【此処までならば新聞などを見れば確認できることだが、少女はさらに、その討伐後にその妖怪、"折鶴愛し姫"が山奥に隠れているらしいという情報も口に出すだろう】
【何でも他の妖怪に聞いたらしいが……少女の目は、とても嘘を言っているように思えないそれをしていた】

「魔力……リベルは、『そういう』お仕事でもしてるのかにゃ?
 その点々も気になるしにゃー……」

【ここまで問われれば、少女も流石にただの人でない事には気づくのだが……、詳しい事は殆ど分からないまま】
【彼女の額に映る3つの点を少し控えめに指さしながら、そう問を返す少女】
【彼女のと違って、真剣味も何もないただの疑問。故にその質問を引っ張る気は毛頭ないようで】

/今夜もよろしくお願いいたします!
898 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 21:01:40.83 ID:NJLdoP/no
【水の国――広場】

【他に誰もいないバスケットコートで、それなりの精度でゴールを揺らす人影がある】
【フリースローの練習のようで、近くのベンチには中身の詰まったコンビニの袋が放置されていた】

……――久々だと結構、外すモンだな……ッたく
まあ漸く暇な時間も出来たし、ゆっくり勘を取り戻すかね……っと、よッし

【それはよくいる若者といった風貌の、黒いジャージ姿の青年だった】
【長い銀髪を高い位置で括り、真朱の目は何処か気怠い印象】

【ぼやきながらの一投が見事ゴールし、ぐっと右手を握りしめた彼は】
【ふと何かに気付いたようにベンチを見た。放置されたままのコンビニ袋が視界に入る】

――……あー、雪見買ったんだったな……忘れてた……

【ボールもそのままにベンチへ向かって中身を確認すれば、無事だったのか安堵の吐息が零れ】
899 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/03(金) 21:02:55.54 ID:wNr208zF0
>>897

……ふふっ、それもそうよね?
なんてったって……あたし、身体は13歳だけど、実際にはもう……10万年くらい?
ともかくそれくらい、生きてるんだもの……

【何も隠す事でもない。リベルは端喰の口にした疑問に、なんて事の無い様な口調で応える】
【だが、その内容は――――なんて事無い、では済まされない、途方もない言葉である】
【真偽の確かめようもない言葉だが、少なくとも感じられるミスマッチの理由としては適当だと分かるだろうか】
【――――見た目と実際の年齢が一致していない。10万年という言葉はともかく、それは確かなようだ】

あぁ……まぁ、ね?
食べ物って言うのは、生きてく上で一番大事な基本でもある訳だし、それはそうよね
……でも、『人はパンのみで生きるに非ず』よ? それは妖怪でも同じことなんじゃないかしら?

【どこかやりにくさすら感じさせる、表裏の無いさっぱりした――――単純とも言えるその言葉に、やや戸惑いを見せながらもリベルはどうにか溜飲を下げる】
【思考判断が、どこか単純というか幼いと言うか。理知的でないと表現するのは流石に憚られるものの】
【食物をそこまで重視する様子に、どこかおかしさの様なものを感じたのだろう】
【――――思わず、妙な言葉で謙遜して見せるくらいだった】

……ッ!
妖怪の妖力、ね……確かに、新鮮度100%って感じの話よねぇ……これはちょっと、考慮してみる価値があるかも……!

【伝聞した所で、どうやらリベルはその一連の事件の事は詳しくは知らないらしく】
【ただ、伝えられたその情報にサッと顔色を変えると、なにやら考え込むように口を噤む】
【強力な霊的エネルギー、そしてつい最近の騒動と言う事は、それなりに手応えのある情報だ】

(……どう思うかしら、2人とも?)
「(まぁ、いずれにしろこう言うのを追っかける時点で、危険だってのは分かってた話だからよぉ……程良いくらいなんじゃねぇか?)」
<(……久しぶりに掴んだ、大事な情報だから、無駄にはしたくないって思う……)>
(……やっぱりそうよねぇ。これは十分に検討の余地がある感じ……!)

【――――リベルは、自らの体内から同じく話を聞いていた、2つの人格と意志疎通をして意見を交換させていた】
【彼らはある意味で、運命共同体とも言える。だからこそ、等しく触れた情報に対してそれぞれの立場から検討をしているのだろう】
【傍から見れば、リベルが1人で考え込んでいる様に映るだろう】

……まぁ、ここまで色々聞いちゃうとそこが気になっちゃうだろうし、黙ったままって言うのも、怪しいわよね?
――――実はね、あたしはこの世界の人間じゃないのよ。ちょっと迷い込んじゃったって言うか、飛ばされてきたって言うか……
それで、帰る手段を探してるって訳よ

【こうした情報を集める理由は、流石に明かしておかないと色々と怪しまれる事になってしまう】
【リベルも追及を受けた時点で、自分の素性を――――異世界からの迷子である事を明かす】
【霊的なエネルギーを探していると言うのは、要するに元の世界に戻る為の手段を探していると言う事だったのだ】

あぁ、これ?
……実はね、この身体には3つの魂が入ってるのよ。あたしは本当は『リベル=アシェル』じゃなくて、この身体を借りてるの
この『青い点』があたし。で、この『緑の点』が本当のリベル=アシェルで、『赤い点』が、あたしと同じ仲間のお客さんって訳
だから、本当は『あたし自身』はリベルじゃなくて、全くの別人って所なのよね
……あぁ、勿論無理やり乗っ取ってるって訳じゃないわよ? まぁ、経緯は色々あったけど、今は穏便に身体を借りてるわ
<(……うん、そうだよね……)>
「(まぁ、そう言うこった)」

【差された光点の円環についても、リベルは――――リベルの身体を用いた人格は、滔々と説明する】
【1つの身体が3人の人間に使われている。異世界から迷い込んできたという事も合わせて、相当に複雑な事情を抱えているようで】
【額の光点もそれに応える様に、緩く明滅して見せた】
900 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/03(金) 21:18:10.81 ID:8C5PYfOdo
723 名無しのお客様 sage 2014/01/03(金) 21:04:06 ID:iHqe9tWU
寧ろラギが謝罪&自粛すべきじゃないの
前に合併猛反対してすみません、勝手に変なルール作って過疎らせてすみませんって
自粛はロールじゃなくてラジオと舞台裏での発言にして
901 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/03(金) 21:36:35.76 ID:RzPmEb7uo
>>899

「じゅ、十万年……にゃ?
 すごく長生きなんだにゃー……、おねーさんなのも頷けるにゃねー。
 ニャーも50年位生きてるけど、リベルとは比べ物にならないにゃー……」

【上には上がいるんだにゃー……なんて、ポケーっとした様子で答える少女】
【10万年なんて確認のしようも無いが、その口調の所為か、少女には彼女のその言葉が真実のように感じられた】
【少女がちょっとだけ対抗するように口に出したのは、少女が言うように彼女と比べれば圧倒的に少ないものなのだけれど】
【猫という動物の寿命を考えれば、十分長生きだったりする】


「―――ということは……リベルは異世界人、って訳にゃ?
 なんか聞いたこと在るにゃー。……時々、違う世界から何人かが飛ばされてくるって、にゃー」

【ホントに居るんだにゃー……とちょっとだけ彼女の見る目が変わった少女だったが、結構重要情報の筈なのに、それだけであった】
【あっさりとしているが、これも彼女にはもう慣れたことだろう。少女の話を信じるスピードが妙に早いのは気になるかもしれないが】
【それも、彼女が『いい人』だからである。お饅頭をくれたから、これに尽きる】
【先ほど彼女が言った通り、妖怪もパンだけで生きているわけではないかもしれないが、この妖怪は随分とその意識が薄いようだった】

「…………えーっとにゃ……。
 つまり、3人で1人って訳にゃ? で今は、リベルの身体に『おねーさん』の意識ってわけかにゃ。
 
 じゃあ、『おねーさん』にも名前はあるのかにゃ? 違う人をリベルっていうのも、何だかリベルに申し訳ない気がするにゃー」

【単純とは、要するにバカということである】
【ちょっと話が長くなれば忽ち少女の頭はオーバーヒートしてしまうのだが、今回はなんとか耐え切ったらしく、自分の解釈でそう確認を求めてみる】
【額の点の明滅におおーなんて声を出すのは、面白いものを見た幼子のようでも有った。】

【そして更に少女が問うのは、今表に出ている人格の名前であった】
【何だか良く分からない遠慮なのだが、それを聞いておかないと少女は煮え切らないらしい】
902 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/03(金) 22:00:20.81 ID:wNr208zF0
>>901

まぁ、そのうちの大半は、ほとんど活動してなかった訳だから、純粋に10万歳だって言う訳じゃないけど……
魂に歳はないって感じでね、それがすぐにあたし自身長生きだって事にもならないわよ?
――――しっかし、50年かぁ……やっぱり妖怪ともなると、見た目通りじゃないのねぇ
人間なんかとは違う、特殊な存在って言うのも、分かる気がするわよ……

【その年数は多少『盛った』面がある。何も10万年の間、常に活動をしていた訳ではない】
【霊魂として過ごした時間こそ――――やはり確認の仕様もないものだが――――言葉通りではあるのだが、それは額縁通りに受け入れられる事ではない】
【ただ、過ごした時間の長さは、その言動にある程度表われているようで、やはり見た目通りの年齢とはいかないらしい】
【一方で。端喰の方もやはり、妖怪として人間にあるまじき時間の過ごし方をしてきたらしい事に、改めて唸らされた】
【妖怪化した存在と言うのは、通常の生物の枷を外れた在り方をするらしいと言うのは、どうやらこの世界でも同じらしい】
【それを実際に目の当たりにするというのは、十分に驚かされる事実であった】

そう言う事。だから、本当はすぐにでも元の世界に戻らなきゃいけないんだけど……
世界を移動する方法なんて、そう簡単に見つからないじゃない?
元々、こっちに来たのも事故みたいなものだったし……この世界は、そうして人を引き寄せるなんかの力でもあるのかしらねぇ……?

【元々、『異世界人』ともなればどんな目で見られるか分かったものではないのだが、端喰の反応はさほど大きなものではなかった】
【とりあえず、必要以上に奇異の目を向けられなかった事に安堵しつつ、改めて事態の異常さを想う】
【――――やはり、元の世界の事が気にならないと言えば、嘘になるのだろう】
【同時に、異世界の人間と言うものが、割合普通の概念として受け入れられている『この世界』についても、何か想う所があったらしい】

とりあえず、その認識で合ってるわよ。あたし自身はリベルじゃないって訳

【多少複雑な事情だが、端喰には了解された様で頷きながら応える】

……あぁ、確かにそうね……『リベル』も戸惑っちゃってるし……
……『あたし自身』の名前は、ルヴァ=レンシス。まぁ、それ以上詳しい事は聞かないでね?
単に、この身体を借りてるってだけの事だからさ

【端喰の言う通り、確かに都合不都合はさておいて、リベルにとっては不憫な状況だろう】
【改めて名を名乗る人格――――ルヴァ。同じ身体に同居すると言うのは、何やら並々ならぬ事情を抱えている様だったが】
【その事を説明しようとすると、恐らくは長くなってしまうのだろう。流石にそこから先の追求はやんわりと避けようとした】

……まぁ、そんな訳で、『本人』にもちょっと挨拶させるわよ? というか、そろそろ身体を返そうかしら……
<あっ……うん……>

【軽く肩をすくめながら微笑んで見せると、すっと瞑目する】
【そうして次に目を開いた時には、リベルの瞳はその光を青から緑へと変じていて】

……え、えっと…………その、私がリベルです……
……色々、ありがとうございました…………
その、高い所で寝るのは危険だと思います、けど……大丈夫でしたか……?

【いきなり、その言動やら所作やらが変じてしまうリベル。どうやらこれが本来の『リベル本人』らしく】
【どこかおずおずとした言葉で、今さらではあるが端喰の身体の事を心配する】
【ルヴァほど、こうした場面には慣れていないのだろう】
903 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/03(金) 22:26:06.43 ID:RzPmEb7uo
>>902

「でも、10万年っていう数字が大きすぎるから、きっとニャーよりも長生きなのは間違いないにゃ。
 リベルが凄いのに変わりはないにゃね。

 ……ま、ニャーが妖怪に成ったのは"偶然"生き過ぎただけにゃ。妖怪って、案外そんなもんにゃよ?」

【10万年という母数が途方もない数字のために、殆どと言っても自分の50年という数字はらくらく超えている】
【さらに10万年を自覚しているということは、活動していなくても意識は有ったのだろう】
【無意識にそういった事を考えて、少女はやはり前と変わらない結論を出すのだった】

【彼女が自分の年齢をサラリと口に出すのと同じように、少女も自分という妖怪の在り方など大して凄くないと言う】
【他人が驚くべき事実でも、自分にとっては当たり前で、ありふれたこと】
【少女のような妖怪でも、彼女のような霊魂体であっても、そういったことは多々有るのだろう】

「ルヴァ、にゃ? ……まぁ、色々有るのは理解したから分かったにゃ。

 ……で、コッチがリベルってわけにゃ? よろしくにゃ!
 全然大丈夫にゃよ? 元々猫だから、こんな感じで跳べる……にゃ!」

【3人の魂が1人に同居するだけでも、様々な理由が絡みあって、漸く今落ち着いているという状況なのは少女でも分かる】
【だから、おねーさん……ルヴァの要求には快く従った。少女自身、長い話はイヤなのも有るのだが】

【そして出てきた、元々の身体の持ち主であるリベル。同じ相手に2回挨拶することのむず痒さはあるものの、それでもリベルには元気に挨拶する】
【リベルの心配は笑顔のまま手で制して。何をするのかと思えば脚を大きく折り曲げて2、3mほど飛んでみせる】
【木から落下した時のようにスタリと着地すれば、リベルの方に事も無げに笑いかけるのだった】
904 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 22:40:35.60 ID:sbG9LcvU0
【櫻の国――――其処に存在する、一つの神社】
【妖怪と人間。互いに対立する関係であるとの認識が一般的であろうか】
【然れど、その神社では実に奇妙な事に妖怪と人間――――それも、巫女等が共存しており】
【三箇日という事もあって、門を潜った者が居るならば妖怪人間にとそれぞれから歓迎を受ける事だろう】

【この時間にも関わらず、参拝客と思われし者達も多く】
【種族が異なって居ても楽しそうに酒を飲み交わしていたり、何てちょっとした宴会にも発展していた】
【巫女達が忙しなく動く中、本殿の前では一人の妖狐が立っていて】


「今年も…………無事に新年を迎えられて、良かった…………です…………」

【纏うのは、巫女装束。ともなれば、参拝者で無い事は明白】
【加えて、近くを通りかかる巫女達が律儀に一礼して行くのだから、この神社ではそれなりの地位なのだろう】
【驕ることも無く、寧ろ困った様な不安そうな、或いはそのどちらとも取れる表情からは、威厳が感じられないけれど】


「忙しいですけど…………お姉ちゃんが居ない分…………私が、頑張らなくちゃ…………いけませんね…………」

【本人の妖気と、首に下げた翡翠の首飾りから発せられる神聖とが余計に存在を目立たせる事か】
【今は妖怪も人間もそれぞれの事に夢中になっていて、守女達も自身に課された仕事を終える事に精一杯な様子】
【この場に訪れ、もし興味を抱いた者が居たとすれば――――話し掛ける事は難しくは無い】








【イルミネーションに彩られた街の中】
【年も明け、浮かれ気分で歩いている人々や酒に酔って千鳥足で歩く人も珍しく無く】
【そんな中、パンの入った紙袋を抱えて歩く修道女の姿はよく目立つ事だろうか】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも年明けに話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば去年も大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとして】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】
905 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/03(金) 22:50:35.43 ID:wNr208zF0
>>903

<それは確かにそうね。まぁ、色々あった訳だけど……>

【ボウッと、リベルの額から青い炎の弾が飛び出る。いわゆる人魂と言う奴なのだろう】
【それはルヴァの魂であるらしく、どこからか声を発して端喰の言葉に応える】
【元々特殊な力を身に秘めて色々やっているのに相応しく、それこそ様々な経験をしてきたのだろう】

<そっか、長生きが霊的なキーになった訳ねぇ……意外と妖怪になるって、珍しい事じゃないのかしら……>

【知らない立場からすれば、新鮮な驚きを感じられる事実なのだが、端喰たちにとってはごくありふれた事なのだろう】
【まして、その成因も聞いてみると他愛のない事と言えて。人とは違うと言っても、それは大したことじゃないのだろう】
【自分たちの知らない所で、意外と妖怪と言う存在はいるのではないかと、ふとルヴァは考え込んでしまった】

よ、よろしくお願いします……

【奇妙な状況から、実質的に2度自己紹介する事になったおかしさは、リベルの方も感じているのだろう】
【なんと言って良いものか困ったと言った様子で、リベルはおずおずと頭を下げる】

え……っ、ぁ……!
す、すごい…………軽くで、それだけ跳べるなんて……

【リベルの心配をよそに、その場跳びで跳躍して見せる端喰に、思わず息を飲む】
【軽く実演して見せている程度でこれなら、恐らくその底としては更なる距離を跳べるのだろう】
【自分の心配なんて、全くの杞憂でしかなかったと知り、リベルは驚きながらもホッと胸を撫でおろした】

あ……でも、端喰さん…………私がこんな事を言うのもなんですけど……カノッサ機関には気を付けてください、ね……?
この世界……人と人との戦いがとても多いです……私も、襲われた事がありますし……大変な事にもなりかねないですから……

【だが、すぐにその表情に不安の陰が差す。こうした力を持った端喰を見て、それを思い出したのだろう】
【――――この世界を覆っている人間の脅威、機関について。釈迦に説法とは言うものの、リベルは口に出さずにはいられなかった】
【自分自身もかつて、命のやり取りをした事がある故に、好感が持てるほどに明け透けに接してくれた端喰の身を、案じずにはいられなかったのである】
906 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 23:07:54.78 ID:sbG9LcvU0
/申し訳ないです……急用が入ったのでちょっと>>904は取り消させて頂きます……!
907 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 23:19:18.26 ID:NJLdoP/no
【街外れ――小高い丘の上】

【ぽつりと設置された街灯の下で、虚空を相手に白刃が煌めく】
【振るう人影のゆっくりとした動きは、それが稽古であると理解出来るもので】
【やがて一連の流れを確認し終えれば、彼の者は刃を静かに鞘へ仕舞う】

……――武芸にせよ、芸事にせよ……少しでも弛めば、途端に精彩を欠くのですね。
これでは合わせる顔が無い、というものですが……さて、待たせてしまうのも、癪でしょう

【それは濃灰色の和服に下駄を履いた、穏やかそうな雰囲気の青年だった】
【長い黒髪に黒い瞳、右目は隠れており、左腰には長ドスを差し】
【左手の薬指に、ルナトリウム製の黒い指輪を嵌めている】

【――堅気には見えない出で立ちであるが、殺気の類は其処にない】
908 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/03(金) 23:23:22.37 ID:RzPmEb7uo
>>905

「……わっ、凄いにゃ! これが魂ってやつにゃ?
 絵では見たこと有るけど、こんなだったのかにゃ……」

【口調で直ぐに先程まで話していたルヴァだと分かった少女は、そのルヴァの魂のキョロキョロと観察してみせる】
【長生きしている少女、これまでに様々な文献を読んできているのだが、実際に魂に出会ったのはこれが初めてであった】
【触ってはいけないような気がして手では触れないものの、目が相当キラキラとしているのでその興味の深さが伺えるだろう】

「んー……ニャーみたいに生き過ぎて妖怪になるのはあまり珍しくないかもにゃ。
 他の妖怪の事は知らないけど、ルヴァの言うとおりかもしれないにゃね」

【知っているのはあくまで自分の生まれた原因だけ。他の方法で生まれた妖怪なんて、ゴマンと居るだろう】
【だから、確証を持って言うことは出来なかった。どうせ、そんな事を言えるのはこの世の神だけだろうし】


「にゃはは、そんな凄くないにゃよ〜。

 カノッサ機関、にゃ? 知ってるにゃ、悪の組織ってやつにゃ?
 ……大丈夫にゃ、良い事と悪い事の見分けはつくし……なにより、ニャーは自分で身を守れるにゃ!
 ありがとにゃ、リベル!」

【感嘆の声を上げるリベルにカリカリと頬を掻く少女。笑いながらもその頬は少し赤い。要するに照れているのだ】

【次いで出てきたこの世界を覆う悪の名前】
【リベルはどうやらその構成員と接触したことが有るらしく、表情を見ればその危険性は少女にもよく伝わってくる。心配してくれているということも、理解した】
【しかし、それでも少女はその朗らかな笑顔を忘れない。ただの強がりでないことは、その表情からも明らかだろう】

【最後にその笑顔のまま彼女へと感謝の言葉を言えば、少女はくるりと、その身を反転させた】

「……じゃ、ニャーはそろそろ帰るにゃ。リベルとルヴァと……あと一人聞いてないけど……気をつけて帰るにゃよ!
 それじゃ、バイバイにゃー!」

【黒いしっぽを揺らしながら軽く右手を上げて後ろに居るであろう3人へと手を振れば、少女は夜の闇へと消えていくことだろう】
【少女の記憶に、3人の事は強く焼き付くことだろう。異世界から来た、3つの人格を持つ少女】
【次に会う時が来れば、もっと役に立てればいいな。そんなことを思うと、思わず黒い尾は揺れるのだった】

/2日間お疲れ様です! ロール有り難うございました!
/レスが遅くて申し訳ありませんでした……、次からは精進しますっ
909 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/03(金) 23:37:16.18 ID:wNr208zF0
>>908

<ふふっ、祟ったりしないから安心してね?>

【実際に人魂と言えば、不吉の前兆とか呪われる兆しとか言われる事が多い】
【そんな先入観があるかもしれないと、安心させるような言葉を掛ける。ゆらゆら揺らめいているその姿は、正に怪奇の姿なのだが】

<……世界が違えば理も違っちゃうんでしょうけど、そう考えるのは新鮮ねぇ……
身の回りのものに、もう少し注意してみた方がいいのかしら……?>

【少なくともルヴァは、元の世界においては端喰の様な『妖怪変化』を知る事無く過ごしてきたのだろう】
【長く生きた猫が妖怪になる様に、身近にそうした変化はあるのかもしれないと、考え込む】

……それなら、安心ですけど……

【自分自身が襲われた記憶を再び思い返しているのか、不安げに頷くリベル】
【確かに端喰の身のこなしは素晴らしいし、何らかの力を持っているらしい事はその態度から察する事も出来る】
【それでも――――今まで経験した事の無い形での脅威に、リベルはその不安を完全に打ち消す事が出来なかったのだろう】
【元々そうした力を持っている――――察するに、元の世界でもそれなりに修羅場を経験しているらしいリベルをして、尚も恐ろしさを感じさせるほどに】

あっ……お、お元気でー!
<また会いましょうねぇ>

【去っていく後ろ姿を見送りながら手を振るリベルと、それをじっと見つめるルヴァ】
【情報や、妖怪の知識など、多くの事を知る事が出来た邂逅だった】

<……さて、あたし達も行きましょうか、リベル?>
うん…………櫻の国、かぁ……
「(やっぱ、情報は足で稼げって事だな……まぁ、俺たちも休もうぜ……)」

【ルヴァの人魂がリベルの身体に沈んで行き、そのままリベルも公園を後にする】
【徐々に人波も切れて、祝賀ムードも日常へと戻りつつある道を、リベルは去っていった】

/2日間、乙でしたー!
910 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/03(金) 23:42:11.79 ID:ZKTjcnDCo
>>907

【とことこと、青年へ近づく足音が響いてくる】
【そちらに目をやれば、その足音の正体がつかめるだろう】

【黒い瞳、ポニーテ−ルにした茶色の長髪】
【白地に青の装飾がついたセーラー服と黒のプリーツスカートを身につけた、ここまでならよくいる少女】
【しかし、両腕には無骨な黒いガントレットをつけ、腰のベルトには同じ金属で出来ている金属棒が2本括りつけられている】
【そんな妙な風貌の少女だった】

こんばんは。
良い刀だね。ちょっと見せてもらっていいかな?

【少女は青年の腰の長ドスを指差し、問う】
【「少女が武器に興味を持っている」という点では、どこか妙に感じるかもしれない】
911 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 23:53:31.70 ID:NJLdoP/no
>>910

【声を掛けられれば、漆黒の髪を揺らしつ男はそちらを見遣り】

……おや。こんばんは、お嬢さん……、これですか?
ええ……構いませんが。こういったものがお好きで?

【少女とはいえ見ず知らずの相手だ。見たところ唯一の武器を、】
【彼は然程躊躇う様子も見せずに鞘ごと腰から抜けば、相手へと渡すだろう】

【余程の間抜けであるのか、それとも他に、武器足りうる物があるのか】
【真意を見せない微笑のもと、彼は何処か機嫌の良い様子で相手を見ていた】

しかし、お若い方は余りこういう物を、好まないものと思っておりました。
何とも嬉しいような、妙な気分ですね……いや、燥いでしまって、お恥ずかしい。

【久々に若者と話した老人にも似て、愉しげにする彼は何処か年に似合わない】
【刀を渡した後はそのまま近くのベンチに腰掛け、相手にも良ければ、と隣を進めるだろう】
912 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/03(金) 23:56:46.63 ID:NJLdoP/no
>>911
/すみませんが、以下の文を追加願います
/【長ドス自体は一般的な桐製であり、特別何か目立つ物ではないが、良い品ではあるだろう】
913 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 00:12:50.96 ID:Ld2gkuM3o
>>911

そうそう、それそれ。
うん、好きだよ。かっこいいじゃん。

【刀を受け取ると、刃を街灯にかざし、軽く素振りする】

ふむふむ、なるほど……
なかなかの業物だね。ありがとう。

【刀を鞘に収め、青年の隣に座り、刀を返す】

仕事柄、ね。
武器を見ると、つい観察したくなっちゃう。

【まるでそういう仕事をしているかのような口ぶりで話す】
【外見と会話の似合わなさは、こちらも青年に劣らない】
914 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 00:25:35.17 ID:vpZKUoa7o
>>913

【刀が格好良いと評されれば、青年は途端に明るい顔をして数度頷いた】
【そして隣に座った相手から、何事も無く返された刀を受け取って、左腰に差す】

お分かりですか、ドスの良さが。いやはやお目が高い……、御見逸れしました。
昔は太刀を振るっていたのですがね。今は一介の侠客、持つべきは此方の方が相応しいと。
こう言うと、節操の無い様に思われてしまうやも知れませんが……刀は種類形状拘らず、好きな方でして。

【昔は何で在ったのか――今も侠客、という辺り、やはり堅気では無いのは確かだったが】
【そういう危険な空気、というものが全く彼には欠けていた。お人好しが全面に出過ぎていて】

ほう、仕事柄……ですか。失礼ですが、そちらはどのようなお仕事を?
うら若いお嬢さんですので、その年頃ですと学生の方と思い込んでおりましたが……。

【気になる言葉を拾い上げれば、青年は興味津々に相手にそう問い掛ける】
【ちぐはぐな者同士、通じる部分が有るのかもしれない。どうにも刺のない侠客だった】
915 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 00:44:35.53 ID:Ld2gkuM3o
>>914

へぇー、昔は太刀を……
かっこいいなー、いわゆる侍、みたいな?

【ふむふむと頷きながら、青年の話を聞く】
【殺気めいたものは感じられないが、青年の話を疑う様子はない】

仕事?
私は今、鍛冶屋の見習いをやってる。

あなたは?

【右手を前に突き出し、答える】
【すると、右手のガントレットがゆらりと形を崩し、流れ――】
【長さ30cm程の、刃が波打った奇妙な外見のナイフが現れた。少女の台詞を信じるのには十分だろう】
916 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 00:56:51.38 ID:vpZKUoa7o
>>915

ええ、櫻の小国の武将でした。もう四百年近く昔の事になってしまいますが……
あれから時代は流れて、戦うための鎧兜も太刀も、いつしか武家では飾りにされがちになった。
形ばかりの流派は増えど、いざ戦となれば……鎧の当て方も知らない、という事さえあったそうですよ。

【四百年前の武将だった。それは何のうわ言かと思われかねない台詞だったが、】
【嘆かわしい、などと後世の武家を憂う様が現実味を帯びていて、ある程度の説得力にはなるだろうか】

【少女の職業を知れば、青年は驚いた様子をしつつも、成る程納得と一つ頷いた】

なんと、鍛冶屋の……お若いながら、さぞかし修練を積まれている事でしょう。
私は土岐 咲庵と申します。かつては武将でしたが、今は家も既に無く、侠客として信ずる道を往く身。
自警団に所属していた時もありましたが、諸事情あって今は、そういった場所に身を置かなくなりました。

【そしてガントレットの変異を目の当たりにすれば、ほう、と息を零し】

これは……そちらの能力、という事でしょうか。それとも、刀自体が特殊なのか……
兎も角、初めて目の当たりにしました。もし能力であれば、私と似たものであるかも知れませんね。

【そう言って、美術品を鑑賞するが如くそのナイフを見る。其処に相手の言葉を疑う様子は無かった】
917 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 01:13:13.61 ID:Ld2gkuM3o
>>916

――えっ、武将?
400年……えーと、つまり、タイムスリップ的な……?

【さすがに驚いたのか、目を丸くして困惑する少女】
【しかし、疑う様子は一切ない。純粋と言うべきだろうか】

私は叢雲 茜。今は素材を探したり武器を学んだりの修行の旅をしてる。

【青年のため息を聞くと、得意げな表情を浮かべ】

そう、能力。
ほかにもいろいろ作れるよ。凄いでしょ。

【いわゆるドヤ顔を浮かべながら、腰に下げた金属棒と左手のガントレットを追加して大きな武器を作ってゆく】
【大きな鎌や薙刀のような武器や鎖鉄球など、レパートリーは多岐に渡っている】
918 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 01:30:16.73 ID:vpZKUoa7o
>>917

たいむ・すりっぷ……では無いのです。敬虔なお嬢さんには、全て……お話しましょう。
私はかつて体を三つの兵器に分かたれ、以降数百年の時を散り散りに過ごしていたのですが
此の指輪の……とある御仁のお陰で、今この世に三つの体が揃い、斯くして復活を果たしました。

【初対面でこそあれ、少女の純粋な姿の前に、何かを隠す事は筋で無いと思った】
【故にそのまま全てを話して、彼――咲庵は、気遣わしげに少しはにかんだ】

叢雲 茜さん……良いお名前です、しかと記憶しました。
武具への思い溢れる方なのですね……兵器であった身としては、至上の思いです。

ほう……これはまた、面白い。武器であらば東洋西洋、何でもござれという訳なのですね。

【相手の能力による武器の変遷を見て、咲庵もその多様さには非常に驚いた様子であって】
【「他には何を――」と言い掛けた所で、彼の懐から間の抜けた演歌の呼び出し音が鳴った】

っと、失礼……めーる、ですね……嗚呼いけない、話し込んでいたら此のような時間に。
茜さん、武器についてもっと語らいたい所ではありますが……この辺りで、失敬致します。
武芸についても修めていらっしゃる方と存じますが、宵の刻は不届き者にご注意下さい。

【――時刻も夜更けだ。誰かから連絡が来て帰るというからには、今の彼にも居場所が有るようで】
【申し訳無さそうに此処で別れる旨を述べて、咲庵は立ち上がると、相手に背を向け丘を下っていくだろう】

/この辺りで失礼します、乙でしたー!
919 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 01:48:20.01 ID:Ld2gkuM3o
>>918

3つの、兵器……?
うーん……よくわかんないや。

【あごに手を当て考えるが、理解には至らず、考えを諦める。嘘だと思っている訳ではないが】

うん、そう。私が知ってる武器なら何でもできるよ。

【武器の披露を続けようとしたところで、どこからか演歌が響く。何かの着信である事はすぐにわかった】

――そうだね。もう真っ暗だし。
それじゃ、またね。さよなら。
大丈夫。変な奴が来たらぶっ飛ばしてやるから。

【歩き去ってゆく青年を見送り、少女もまたその場を後にした】

/お疲れ様でした!
920 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 01:48:29.42 ID:Ld2gkuM3o
>>918

3つの、兵器……?
うーん……よくわかんないや。

【あごに手を当て考えるが、理解には至らず、考えを諦める。嘘だと思っている訳ではないが】

うん、そう。私が知ってる武器なら何でもできるよ。

【武器の披露を続けようとしたところで、どこからか演歌が響く。何かの着信である事はすぐにわかった】

――そうだね。もう真っ暗だし。
それじゃ、またね。さよなら。
大丈夫。変な奴が来たらぶっ飛ばしてやるから。

【歩き去ってゆく青年を見送り、少女もまたその場を後にした】

/お疲れ様でした!
921 :かつての参加者 :2014/01/04(土) 11:13:30.02 ID:CP3g698do
サリード中身(旧ラギデュース中身)
・旧スレリセット賛成派、かつ1キャラリボーン提唱者(スレ崩壊の最大要因)
・新旧統合反対派、その他様々な議論を高圧的な論調で妨害(管理者としての中立性に欠く)

以上二点を踏まえ、したらば管理者のリコールを希望します
922 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 22:39:45.62 ID:n8hAIcamo
【夜・図書館】

【本来なら既に閉館時間だが、今宵に限って常夜灯程度の明かりがついていた】
【というのも、閉館間際に有る二人組が来て――平和的に鍵を開けたままにさせたからである】
【で、場所は館内。『地歴』と『神話』の書架を漁る女性が一人、居た】

【服装は白い将校服。髪は朱のロングツインテールで、腰には刀を下げており】
【小脇には神話の、足元には地歴の書物を持ち、バタバタとそれらを周囲に積み重ねていく】

……炎獅子アリギエ、恐水鳥テナー、砂竜ハビギス――……。
それに、折鶴愛し姫……この神話の中じゃ、全員が何らかの役割を持っている……

守護や唄手、番犬に寵姫……なにこれ、ほんとうに偶然……?
最近妙にギルドの仕事が多いから、気になって調べてみたけど……うーん。

【――どうやら、その独白が行動のすべてらしい。さて、その一方で―――】


【音のする書架からはやや離れたテーブル。そこに足を乗せ、椅子を傾ける女性が一人】
【黒い毛皮のロングコートを着こみ、手にはカシミアの手袋。ロシア帽まで被った彼女は】
【赤い髪の端を気だるそうに弄りつつ、黄土の瞳は天井を見つめていて】

(……とっとと終わんねーかなァ……早く帰って酒、飲みてェーなァー……。)

【はぁ、と息を吐くその姿は如何にも誰かを待っています、という態度そのもので】
【時折ゴンッ、とブーツのかかとがテーブルを打つ音だけが、彼女が他に発する音の全てだった】


【さて、図書館は鍵自体は開いている。もし光に気付くものが居たのなら――】
【不審と思って立ち入るものも居るかもしれないし、この機に夜の散歩を楽しむものも居るかもしれない】
【問題はその人物が、一体どちらの女性に会うかだが――さて、どうだろうか】
923 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/04(土) 22:58:54.72 ID:OpNEFdZ5o
>>922

【テーブルの上、ブーツに包まれた爪先に揺らめく影の一葉、灯火に照らされてふわふわと揺れる】
【それはまるで雪光りする朝靄の如く、背の低い影はゆっくりとその場を歩いたなら、きょろきょろと周囲を見渡して】
【ロングコートの女性に気づかずに、目の前の書架の前で、立ち止まるのだろう】


――――――……っ……んぅ……


【背伸びをする小柄な少女、背中に伸びたプラチナブロンドの髪がふわりと足首をなぞったなら】
【指さした先、その少し上にあるのはロシア語で書かれた大判の絵本】
【小柄な彼女はきっと背伸びしただけじゃ届かなくて、手を伸ばしてもまだ、遠すぎるくらい】

【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯、それでいて膨らんだ大きな胸】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【銀の十字架のロザリオを首につけて、その先端は膨らんだ胸元に乗って】
【スカートの下から伸びて、ふりふりと揺れるのは猫を模したやや長めの尻尾】

【片手で持っていたバイオリンケースを置いたなら、その手も伸ばして取ろうとするけど、まだ届かなくて】
【うんしょ、よいしょと辿る声は、段々と可哀想になってくるぐらいに必死そうだから】
【目の前の少女の頑張りが貴女にどう映るかはきっと、わからないけど――――――】
924 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 23:00:56.10 ID:vpZKUoa7o
【夜の国、とある墓地】

【月光のみを受けて育つ木々は、葉から幹から全てが死に絶えたような灰色をして】
【梢に交じる青い果実が、唯一その空間を飾る瑠璃玉となって、昏い昏い夜を彩る】

【数多の錆び付いた逆十字と冷え切った墓標を連ねる、静謐な墓地でも一際異質な】
【漆黒色の墓標を、紫に染めた爪と、豪奢な宝石の指輪を嵌めた白皙の指が撫でた】

……――彼の行方を、知りませんか。“Lacie”

【その問い掛けに答えが無い事は分かり切っていた。墓標を撫ぜた手を懐に差し込み】
【取り出すは白色の薔薇、それに吐息を掛ければ、黄緑色と桜色を混ぜ合わせた色へ】
【魔力に染め上げられ淡く光るその一輪を墓標へ手向け、彼は静かにその前へと跪く】

【黒衣の上をざらと滑り落ちる長い紅茶色の髪、緩く開かれた双眸はオリーブの色彩】
【瞳は右が散瞳、左が縮瞳であり、其の奥には見る者を呪う悍しい力が渦巻いている】
【白皙痩躯、長身の彼は三十代と思しく、目鼻立ちが通った西洋の面持ちをしていた】

【其の墓標は数多の物の中でも一番古めかしく、遡るに数百年は下らないであろう物】
【現世を生きる以上、そんな過去の死者と接点など有る筈もない彼は、無言を貫いて】
【返って来る筈もない誰かの声を待っているのか。それは愚者か道化か、或いは――】
925 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 23:01:11.81 ID:vpZKUoa7o
【夜の国、とある墓地】

【月光のみを受けて育つ木々は、葉から幹から全てが死に絶えたような灰色をして】
【梢に交じる青い果実が、唯一その空間を飾る瑠璃玉となって、昏い昏い夜を彩る】

【数多の錆び付いた逆十字と冷え切った墓標を連ねる、静謐な墓地でも一際異質な】
【漆黒色の墓標を、紫に染めた爪と、豪奢な宝石の指輪を嵌めた白皙の指が撫でた】

……――彼の行方を、知りませんか。“Lacie”

【その問い掛けに答えが無い事は分かり切っていた。墓標を撫ぜた手を懐に差し込み】
【取り出すは白色の薔薇、それに吐息を掛ければ、黄緑色と桜色を混ぜ合わせた色へ】
【魔力に染め上げられ淡く光るその一輪を墓標へ手向け、彼は静かにその前へと跪く】

【黒衣の上をざらと滑り落ちる長い紅茶色の髪、緩く開かれた双眸はオリーブの色彩】
【瞳は右が散瞳、左が縮瞳であり、其の奥には見る者を呪う悍しい力が渦巻いている】
【白皙痩躯、長身の彼は三十代と思しく、目鼻立ちが通った西洋の面持ちをしていた】

【其の墓標は数多の物の中でも一番古めかしく、遡るに数百年は下らないであろう物】
【現世を生きる以上、そんな過去の死者と接点など有る筈もない彼は、無言を貫いて】
【返って来る筈もない誰かの声を待っているのか。それは愚者か道化か、或いは――】
926 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 23:01:43.75 ID:YaGatXJ5o
>>922

【すでに閉館した図書室に今の所人が入り込む気配はないが、すでに誰かがいる気配がする】
【この時間にまだ残っているとすれば、残業している職員か、あるいは警備員だろうか】
【遠目から見て、警備員らしきシルエットの人物がライトを持ったままかつ、かつと足音を立ててテーブルにいる赤い髪の女性に近付いてくる】


―――あれ?こんな時間にまだ残っている人がいたんだな
もうここは閉館時間だよ、ぼーっとしてないでウチに帰る用意をした方がいいと思うよ


【現れたのは年若い青年、柑橘系の整髪料の匂いが漂うさらっとした茶髪にきりっとした目に真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【白い襟をはみ出させた紺色の堅苦しい制服の上下に、白く四角い名札を胸に付けた、首には季節に合った赤いマフラーを巻いている青年だ】

【胸には『王立図書館警備員 剛田 剛太郎』と書かれている】


居眠りでもしてたのか?時々俺もやったりするからあまり怒れないけど
もうすっかり遅くなっちまったし帰ろうぜ、家は分かる?


【妙におっとりした雰囲気の警備員の青年は、どうも彼女の事を怪しいとか、不審人物だとか感じていないらしい】
【警備員の割には、ずいぶんと警戒心が薄い人物のようだが……何なのだろうか】
927 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 23:03:25.06 ID:YaGatXJ5o
/すいません、かぶっちゃいました
/引いた方がいいですか?
928 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 23:06:35.36 ID:n8hAIcamo
>>926-927
/普段よりちょっと時間掛かっちゃいますが、お待ち頂ければ続けられるかとっ
929 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/04(土) 23:16:16.15 ID:OpNEFdZ5o
>>928
/私は問題無いですよー!
930 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 23:19:59.19 ID:n8hAIcamo
>>929
/ありがとうございます!というわけで↓な感じでー!

>>923

書かれてる可能性があるとしたら、こっちの本か……それともこっち?
絵本程度のお話だから、あまり詳しくは……、……?

……あれ、もしかしてソニア?こんな時間に何を、っていうか……

【本を漁りつつふと見れば、そこには同じUTの仲間である少女が一人】
【個人的な友好はまだまだ浅いが――それでも見知った相手だからか、声をかけ】
【手にしていた本をそこらに置けば、少女の方へと歩み寄って】

(んー……あの本を取りたいのかしら。読めないけど……まあ、いいわ)
(私じゃちょっと届かないし……となれば、そうね―――)

……ソニア、持ちあげるわよ?と言ってもあまり長くは持たないし……早めにね?

【彼女の答えを待って――それがYESだったのなら、アンジェルはソニアの背後に周り】
【小柄な少女を、見かけによらない力でくっ、と持ち上げようとするだろう】
【上手いこと行けばそれで本には届くはず。さて、答えがNOだったなら――その時は、その時か】

>>926

―――――――…………?

【ふと向けられるのは、天井を見ていた黄土の瞳。力強い意志が感じられる、が】
【ライトの光をやや眩しそうにしながらも、露骨に垣間見せるのは面倒臭さ】
【口を開く前に、彼女はふてぶてしくも体勢はそのまま、両腕を組み】

……『家は分かる?』って、なあ……俺はガキじゃねぇぞ間抜け
それに居眠りしてるわけじゃねェ。向こうの書架で音がすンだろ……そいつを待ってンのよ

っつーかあの司書……警備員には伝えないで帰りやがったのか……
……あのなァ、悪いこと言わねーからそのまま何も見なかったことにして帰りやがれ
こっちにも用事が……アイツのだが……まあ、有るんだよ。まだ帰んねー、お分かり?

【ぶっきらぼうで乱雑な言葉を返しながら、キィキィと体重を預けた椅子の足が鳴る】
【確かに、やや離れた場所からは音もするし――少々特異な状況だが、単なる居残り利用者ではないらしい】
【そもそもそういう風体ではないのもあるが。なんにせよ、警備員たる彼からすれば面倒な相手には変わりない、だろうか】
931 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 23:28:09.56 ID:X0a+wifbo
>>924
【死と静寂がどこどこまでも広がる、静謐な空間。降り注ぐ月光、佇む木々にすら、その気配が伝染したかのように】
【そんな墓地にただ一人、生者として立つ男性。この墓地の中にあっても異色な墓標の上に、手を這わせるその姿は】
【彼の端正な面立ちも相まって、一枚の絵画のようにも見えるだろうか】
【その瞳に宿る不吉もまた、この場においてはふさわしいものと言えるかもしれない】


【そこに、割り込む音があった。昏いながらもどこか調和のとれていたこの空間を乱すかのように】
【灰色の木々の間、この場に彩を添える青い果実がなった梢の方角から、済んだ音色の口笛と、重々しい足音】
【低く高く、時折変化も交えたその口笛は、その澄み切った音とは裏腹に、陰鬱なメロディを奏でている】

【口笛と足音の主が、やがて月光の下にその姿を晒した】
【身長2メートルを超えているであろう、大男だった。角ばった顔つきに短めに切り揃えられた黒髪】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】

【男の両耳は黒く変色して形も歪んでおり、両手の親指も黒ずんで他の指より細長い】
【何より、その額。面積いっぱいを埋める巨大な一つ目がそこにあった】


【窄めた口から流れ落ちる口笛の音色とは裏腹に、醜悪な大男】
【月明かりに照らされながら、口笛を吹きながら、ゆったりとした足取りで墓地へと侵入していく】

【やがて、その単眼が彼の姿を捉えた。口笛が止む。足音が止む。男性から少し離れた地点で、大男は立ち止った】


……失礼、邪魔をしてしまったかな

【古めかしい墓に答えのない問いかけをする彼に向けて、言葉を漏らした】
【接点などあろうはずもない墓へと語り掛ける姿も、その問い掛けの内容も、その耳で捉えてはいたが】
【それを訝しがる様子も見せることなく、ただ、単眼からの視線のみを向けている】

【現れ出でた異形の者は、果たして彼の目にどう映るのだろうか】
932 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/04(土) 23:36:35.84 ID:OpNEFdZ5o
>>930

【呼吸の溶ける一瞬の吐息、夜の静けさが温もりを孕んだ室内の空気】
【頬を濡らす人工的な暖かさは、肌に当てられた掌みたいに緩やかで】
【少女が伸ばす指先も、そんな滑らかな影を映しているのであろうか】


――――――ぇ……アンジェ……ふぇ……!?


【長い睫毛がふわりと浮いた、マリンブルーの瞳を添い遂げる羽毛のように柔らかな睫毛】
【バニラのように柔和な頬があらわになったなら、そこに浮かぶ表情は、戸惑いと驚愕】
【目の前に映る少女の虚像、朱いツインテールの持ち主を、知らないわけじゃないけど】

【返答に困った此方の言葉≠ノ反応するのにはまだほんの少し難があるから】
【コミュニケーションはきっと子どもの食事に似ていて、良く噛んでそしてようやく飲み込めるのだろう】
【彼女が貴女の言葉の意味を理解した瞬間はきっと、貴女に持ち上げられたのと同時】


わっ……わわ……!!ア、アンジェル……ビックリ、するの……っ!!
ソニア、高いとこ好きじゃ――――――わっ……!!


【白百合が揺れた、可憐な少女の指先に収まるのは、負けず劣らず華奢な花弁みたいに】
【突然の事に動揺したなら、掌の中包み込んだ少動物が、あたふたと大きく揺れる】
【スカートの下、零れ落ちた両足をばたつかせたなら、柔らかな脚先が、何度か蹴るかもしれない】

【力が抜けて、柔らかなお尻がアンジェルの胸部に押し付けられるだろうか、背中が顔に押し付けられる】
【バランスを崩したとの表現が一番正しいだろう、アンジェルが力持ちといえど、暴れる雪銀の色は濃く】
【もしかしたなら、そのまま彼女が、貴女を尻に敷く形で尻もちをつくかもしれない】

【――――――もし、そうなったならきっと響き渡る大きな音と、ちょっとした砂埃の中】
【少女は少しして尻に敷いた貴女の事に気づいて、そーっと覗きこむ彼女の頭の上】
【落ちてきた目的の絵本が、彼女の頭に直撃して、両手で頭を押さえるのだから】

【……にしても狙撃手が高い所苦手、とはどういうことであろうか】
933 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/04(土) 23:42:08.62 ID:vpZKUoa7o
>>931

【――口笛の音、重々しい足音】
【其れ等全てが“彼”ではないと明らかに分かるもので在ったのに】
【静かに問い掛けてくるその語調だけが、悲しい迄に良く似ていて】

【そんな理由で浮かべた微笑は、無論相手とは一切が無関係だった】

……いや、構わないよ。祈りも済んで、後は家に帰るだけだったからね
君は……散策かい? 失礼だが、これから祈る人間が、口笛を吹くとは思わなくて

【相手を目の当たりにしても然程驚く様子はなく、彼は会釈を返せば】
【立ち上がる際に乱れた髪を掻き上げる一幕があった。其の際に、】
【左耳に付けた宝玉製のピアスと、左手薬指の銀の指輪が月光に煌めく】

【その指輪に刻まれた特徴的な黒蛇の彫刻は、小さなものではあるが】
【とある少女の薬指に在ったものと同じデザインで――気が付くかは、相手次第】
934 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/04(土) 23:53:19.74 ID:YaGatXJ5o
>>930>>932

【ぶっきらぼうな言葉を返してくる赤髪の女性に対し、当の青年はきょとんとした顔をしている】
【前にどっかで見たことがあったかな……などと、首を傾げながら呟いている……何故かはわからないが】
【ライトの光がまぶしくないように一度明かりを下に向けながら彼はこくこく、と彼女の事情を聞き続けていると】


そうなんだ……まあ用事があるならしょうがないな
わかった、とりあえずムクとか部長には俺から言っておくからあんまり長い時間居残っちゃダメだぞ
今日の仕事が終わったら明日はUTの酒場で新年会やるんだから……ジャンクちゃんがおせち持ってきてくれるんだよな

それにもう夜も遅いし……子供じゃないってのは見りゃわかるけど、女の子が夜更かししてたらお肌に悪いしな


【屈託ない笑顔を向けながら、青年―――名前は剛太郎と言うらしいが、彼は寛容に女性の居残りを咎めない事に決めたらしい】
【端正な顔立ちに似合わずどこか抜けた雰囲気というか、なんか変わり者、という印象が強い】
【女性が告げる通り物音のする書架の方に、じーっと、目線を送ると、目を見開いて呟いた】


あれは……ソニア?それともう一人は確か……アンジェル・ベルジュロン、だっけ
うん、前に顔は見たことがあるから間違いない、どっちもUTのメンバーだったはずだ……もしかしてUTの仕事関係?
だったらなおの事大目に見ないと……じゃ、君もみんなの仲間なのかな?


【UTのメンバーの中にはいなかったと思うけどなぁ、と首を傾げながら不思議そうに呟いている剛太郎】
【どういう訳か、彼はずいぶんUTの事情に詳しい……かくいう彼もUTの中にはいなかったはずの人間なのだが】
【彼は何者なのだろう、UTの面々と何か関係があるのか?】
935 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 00:00:20.22 ID:AaZFQypg0
【街中―――大通りに繋がる広場の、数あるベンチのうち一つ。そのベンチに一人もたれる影】
【このくらいの時間にも関わらず周りには人が多く、中でもその人物が一際目を引いていた】

―――――…『おいしいなコレ、なんていったっけ…』
『櫻ムース…シュークリームだっけか…意外と当たりだったなー』

【グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカットの少女】

【右手で、生地がピンク色のシュークリームを貪る傍ら、空いたベンチの上にはシュークリームが入っているらしき箱が三個】
【食べながら独りごとを呟くその少女。あまり褒められた行為ではないのだが、それ以上に、不思議な現象が起きていた】
【何故なら少女は、喉に「人差し指」を当てるだけで、その声を発していたからだ――何らかの能力、のようだが果たして】

――――…『さくらの花の味ってほんとにこういうの、なのかな。名前と色だけとか…』
『いやまあ…美味しいから別にいいんだけれどさぁ…釈然としないな…』

【ぐちぐちと疑問を並べている割には、シュークリームを口に運ぶ辺り、気に入ったのだろう】
【美味しいものを食べて幸せなら―――あとは何か、暇つぶしになるものを探す算段】
【周りを見ながら、ふんぞり返ってベンチを陣取る姿は見ようによってはとっても行儀の悪い姿であった】
936 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 00:06:51.33 ID:QsXNSdj4o
>>933
【彼が浮かべた微笑の理由は、知る由もなく。ただ、静寂が響き渡る常闇の国の墓地で、自分の姿を目にして】
【驚きもせずに会釈を返したことに、少しばかり面食らった。表には出さなかったが】

いや誠に申し訳ない。そう言っていただけるとありがたいよ

ああ、お察しの通りだ。何せこの面相だ、人気のない場所や時間を選ばなければ、おちおち外も歩けないのでね
今宵は、歩いたことのない場所を散策してみようと彷徨っているうちに、ここに辿り着いた
死者の眠りを妨げるような真似をするつもりはなかったのだが

【単眼で辺りの墓標をゆっくりと見回しつつ、彼へと返す言葉はやはり静かなものだった】
【やがて、彼へと視線を戻す。そこに飛び込んできたのは、髪を掻き上げる姿も様になる、彼のピアスと指輪】

(…………? 見覚えが……)

【目ざとい性質の大男は、月光を反射するそれを見逃さなかった。その脳裏で記憶が反芻されていく】
【やがて、辿りつく。黒蛇の彫刻。白魚のような指に絡みつく、その姿】
【同時に、彼女との会話。思いがけない奇縁】


……もしや、貴方が……月彗さんの兄君か?
……私の名は、カニバディール。月彗さんと、鈴音さんの知人だ


【これを告げることによる相手の反応を、その汚らわしい脳髄で打算的に想像することもなく】
【わずかの間の後、それを口に出した。この大男にしては珍しく、後先を考えた打算を交えずに】

【それは、この大男にとって数少ない、自分の属する組織以外での縁が】
【大男の中で、本人も知らぬうちに小さくないものとなっていたせいであったのかもしれないが】
【彼の微笑の理由と同じく、これもまた彼とは無関係なことであるだろう】
937 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 00:12:51.73 ID:bxl7hzP1o
>>932

……へ?…ぁ、わっ!ちょ、ちょっと待っ……!
さすがにこの体勢でそれはマズ、ッ……うわ、ちょっ…――!!

【暖かく柔らかな感触――言うなればまさに小動物のような彼女が、揺れる】
【少女からすれば、暴れると言うよりは必死に体勢を保とうとしているのだろうが】

【――生憎と、アンジェルも筋骨隆々というわけではない】
【ソニアよりは身体も大きく力もあったが所詮は女性、不意に後ろへ倒れこむと】
【刀の鞘でも引っかかったか、同時にアンジェルが積んでいた本も一挙に崩れ】

【バタバタッ!≠ニいう――昼間なら即退場を願われるような大音が立ち】
【それでも、きっとソニアは無事だろう。ちょうどアンジェルがクッション代わりとなっていて】

【そのアンジェルも、ちょっと背中だのを打ちはしたようだがすぐに首を起こしている】
【――小動物と形容するようにもなると、自然、体重も然程気にならない物になるのだろうか】
【少なからず、下敷きとなった彼女からすれば――柔らかくも、直ぐに下りろ、なんて様子もなく】

【更に直後、少女の頭を痛打した重い書籍――それが床に落ちる前に、アンジェルは手を伸ばして上手く引っ掴み】
【少し重たげに、引きつった笑みではあったが、ロシア語の本をソニアに差し出すだろう】

>>934

アーアーハイハイ、日が昇るよりは早く帰りますよーっと。
……UTで新年会?なんだお前、あいつらの知り合いか……?

【青年の言葉が引っかかったらしく、女性はふと、しゃんとした様子で彼を見る】
【――となれば彼からもよく顔が見えるわけだが、もしも青年が機関に詳しいのなら】
【かつてのNo.3――ベイゼ・べケンプフェンに瓜二つであると――気付けるかはまあ、さておき】

……あー、アンジェル・ベルジュロンだな。アイツに引っ張ってこられたんだよ
だから俺は悪くねーし、責任追及ならアイツ経由でUTにしろ……あ?
俺はあいつらの仲間じゃねーよ。居候はしてるが、無所属の名無しサマだ――ん?今……

……ソニア、って……、……なんでアイツこんな時間にこんな場所で―――ってオイ!

【丁度、話が面白くなってきたそんな折。件の書架で、二人がも連れ合い、転がって】
【本が崩れる大きな音と舞う埃が目に入るだろう。――何とも痛々しい、が】

はぁ……おいガキ、どーすんだアレ。助けてやらねーと男の株がストップ安だぜ?

【女性はそれを見て溜息を吐きつつ、全ての始末を青年に押し付けんとして】
【それでも同行者故に気にはなるのだろう。実のところ、もう一人の少女が気掛かりだったりするのだが――】
【青年がその後、どうするにしても女性は崩れた本の書架に向かってゆるりと歩き出すことになる】
938 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 00:27:42.23 ID:8nz2QlMfo
>>936

【告げられた言葉、その名前を聞いて初めて、彼の表情が変わった】
【相手を改めて見据える視線は、目と目が合わないギリギリで下げられる】

――、……嗚呼、そうだとも。私はセシル・シュトラウス。
驚いたね……鈴音の知人は存外いるものだが、月彗の名まで出るとは。

【思わぬ縁に目を丸めている様子であったが、一番のポイントは月彗に在った】
【それから相手の言葉を暫し咀嚼すれば深く考え込み、少しの後に再び口を開く】

月彗に……あれに、知人の類が。それも君は、月彗「さん」と呼んだね。
いや……、……どういう縁なのかな、失礼は承知だが、気になってしまう。
気性の荒い弟に、君のような……誠実な友人がいるとは、想像が付かなくて。

【見た目でなく、相手の態度が、月彗の知人であるには意外であったらしい】
【誠実と評したのは、無論この時点で、相手の素性を知る余地はない故だが】

【兎も角、彼は佇まいを正すと、何処か神妙な面持ちをし】

鈴音が……私の妻が、お世話になっていたのかな。礼を言わせてもらうよ
それで、話は変わるのだがね……君は最近、月彗には会ったかい?
先日会う約束が在ったのだが、結局姿を見せなくてね……気になってしまって。

【――鈴音の件も去ることながら、気がかりな様子で訊ねたのは、そんな内容】
【人間性を憂慮しているとはいえ、弟である以上、気には掛けているようだった】
939 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 00:28:20.37 ID:z1pDxzrzo
>>934>>937

【ブラウスの姫袖に溶ける、淡雪の欠片、指先に向かう無垢なライン】
【両手で傷口を抑えたまま、きょろきょろともう一回周囲を見渡して状況を把握する】
【剥がれ落ちたマリンブルーの薄布、瞳いっぱいに涙を貯めて、じんわりとした痛みを感じて】


わっ……ぅ……あ、ありがと、なの……アンジェル……
でもね、アンジェル、こんなとこで、何してる、の……?
ここ図書館なの、だからね、そんな風に寝転がるの、良くないと、思うの……


【差し出された書籍――――――というよりかは絵本である、両手で抱えぐらいに大きな絵本】
【それを胸に抱く形で受け取ったなら、大きな瞳をぱっちりと開いて、その目尻をとろんと蕩かす】
【お尻の下のアンジェルを見つめる少女の紡ぐ形は、少し歪なソプラノで】

【胸元で抱くように絵本を持っている彼女、口元に当たった本の端から小さくあくびが漏れた】
【まるで指先でこすったみたい、白雪の頬に溶ける瞳の輪郭はきっと寝ぼけ眼≠ニ表現すべきで】
【あんまり夜が強くない少女は、自分がアンジェルを下に敷いているという事実も、よく分かってないみたい】


……それにね、アンジェル……本探すの、昼間の方が、良いと思うの
暗くなるとね、図書館って、怖い空気になるの、だからね、夜の図書館は、とっても怖いと、思うの
だからね、夜に図書館来るの、一人じゃダメだと思うの


【ほっぺたが揺れた、マシュマロみたいにふわふわとその純白をほころばせて】
【紡ぐ言葉と同時、ぷくぅと少しだけ膨らませたその頬の様子は――――――】
【長い眉毛をくしゃっと傾けた様子は拗ねている≠ニ表現するのが正しくて】

【多分きっと、夜中に図書館に行くなら、誘って欲しかった、ということなのであろう】
【邪気は無いし、そこに論も無い、ただ一緒に、外に行きたいなって思っていたから】
【……余談ではあるが、見た目こそ幼いが実年齢は15歳程ではあって、絵本を読む年齢にしては、少し高い】
940 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 00:45:36.61 ID:MAvMNBUzo
>>937>>939

【知り合いか?という問いかけに対しては剛太郎は少し困ったように頭をかきながら】


えっと、知り合い……って言うのはちょっと微妙かな
ジャンクちゃんや"WILD"は結構何度も顔を合わせてるんだけど、俺は何度か助っ人に入った程度の面識だから
せいぜいいつぞやのバイクチェイス……あれ?ああ、そういえば

もしかして君、あの時バイクチェイスで機関の連中と奪い合った女の子本人……じゃないか?確か、えっと、ベイゼって言ったっけ
あんまり話をしたことないけど、元気にしてた?


【UTと共同で動いた一件を思い出した事で、その時要となった女性の事に思い当たり―――そして女性がその時奪い合ったベイゼ本人に似通っている事に気が付く】
【そういえばいつだったか、セリーナがベイゼを機関からかくまうためにベイゼの影武者を用意し、分散して相手の目を引きつけた者たちがいたはずだ】
【彼もその中の一人、ベイゼの影武者を連れながら囮役を買って出た人員の一人だったのだろう】


そっかあの時の……元気にやってた?君も今は特にどこの組織にも属してないのか
……うーん、顔は全然パプリ……じゃなかった、"ビブリオ"に似てないね、"WILD"が影武者の一人に"ビブリオ"を選んだのは
確か……『奇跡的にもスリーサイズが全く同じだったから』って理由だったけど、本当に?確かえっと、上から……


【―――待ってほしい、この男、今聞き捨てならない事を言わなかったか?】

【そのときの影武者の事は一度おいておこう、彼女たちとその後特に何か面識があったわけでもない、問題はそこじゃない】
【その、影武者を提供してくれた"WILD"という人物はどうして、『ベイゼと影武者のスリーサイズ』を正確に知っているのだ】
【本物と偽物、両方のデータを手元に持っていなければ当然ながらそんな発言が飛び出してくるはずがない……なにか、放っておいてはいけない匂いがする】

【だが、そうこうしているうちに、書架の方で二人のUT所属の女の子が大きな音を立ててすっ転んだのを見た】
【青年は、あわわ、と見るからにうろたえながらベイゼを追い越すように二人の方向にかけていく】


うわ、二人とも大丈夫!?
怪我は……ないみたいだな、よかった……あーでも、本散らかってんじゃん……
これ、俺が片付けるしかないよなあ……やっぱ

「おい、どうした剛の字……夜中に何大きな物音を立てちょる、近所迷惑だから静かにせい……ん?なんだこいつらは」


【慌てふためきながら、積んでいた本を律儀に積み始める警備員の姿を見せた後、突然初老の男の声が響いてくる】
【しかし近付いてきたのは極めて小さなシルエット……もこもこした茶色の毛に覆われた可愛らしい子犬の姿だ、犬種はトイプードルか】
【ただし、このトイプードルは今間違いなく人の言葉を喋った、全く悪びれる様子もないその犬はきょろきょろといるはずのない来客の姿に戸惑っている……】
941 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 00:57:04.13 ID:QsXNSdj4o
>>938
【相手にとっても、自身の抱えている縁は想定の範囲外だったらしい】
【色を変える彼の表情が、それを物語る。合わせられることのない視線には、一瞬訝しがるも、すぐに意識からは外す】


……そういえば、お名前を聞いたのは始めてだ。セシルさん、か

【大男もまた、単眼を細めて驚きを示しつつ、考え込む様子の彼を前にして】
【わずかな沈黙の時を、彼が自ら破るのを待った】

私にとっては、月彗さんは恩人とでも言うべき存在でね……
……気になるのは無理もないことだ。だが、私と月彗さんの間柄を語るには……
残念ながら、たった今賜ったばかりの誠実という評価を、撤回していただかねばならなくなるな

……月彗さんとは、一言で言えば『元同僚』ということになる

【そういうと、大男はわずかに逡巡する様子を見せた後、顎を上げて喉元を彼に晒した】
【と、その喉肉が蠢いたかと思うと、左右に開いた。人間ではあり得ない、異形の動き】
【露わになった喉の内側の肉。そこには、逆五芒星のマークと、その内側にNo.29という文字が刻まれていた】
【晒されるのは、少しの間。すぐに、喉の肉は閉じ、元の形に戻る】


(妻……? 親子では、なかったのか……?)
……ご結婚なさっていたとは知らなかった。私のような立場のものがそうしていいかはわからないが
奥さんの知人としては、心から祝福申し上げよう

いや、彼女とは二度ほど言葉を交わしただけでね。貴方もご存知かもしれないが、かつて機関にリリアという半魔が君臨していた
当時、私はその半魔と敵対していてね。鈴音さんとは、偶然にも共通する因縁を持った相手だった、というわけだよ
彼女が月彗さんの縁に繋がっていたと知った時は、心底驚いたものだ

【意図せず、口が回ってしまう。言葉をいったん区切り、内心で己を諌めた】
【いくら、間接的な関わりを知ったとはいえ、たった今会った男に対して、聞かれてもいないことをしゃべってしまうとは】
【しかし、そうさせるだけの雰囲気が、この地に立つ彼にあるように思えてならなかった】


【続く言葉を聞けば、大男の表情が曇る。弟の身を気に掛ける兄の姿が、そこにはあった】

……いいや、半魔リリアが捕縛された日、それ以来顔を合わせていないんだ
お役に立てず、申し訳ない。貴方さえよければ、この先月彗さんに会う機会があった時、貴方の心配は伝えておこう

【大男もまた、恩人たる月彗の音沙汰がないということを知れば、その身を気に掛ける様子を見せる】
【昏い墓地に佇む巨躯の不気味さには、似合わぬ様子がそこに見て取れるだろうか】
942 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 01:01:28.49 ID:bxl7hzP1o
>>939

【少しばかりムッとする。というのも、アンジェルからすれば良かれと思ってやったこと】
【それを上に乗りながら何をしているのか、と言うのはいかがなものか――】

【――なんていうのも最初のちょっとした間だけ。ふと、当の少女を見てみれば】
【双眸は潤み、それも本を―しかも小難しい本ではなく絵本を―受け取れば喜色に染まり】
【よくよく思えば、どこか眠たげ。寝ぼけているとまでは言わないのだろうが――】

(――……か、可愛らしい……もうっ、怒れないじゃない…ッ!)
(……でも、まあ……仕方ないわね。年上の私がしっかりしないと……!)

あ、はは……ごめんごめんっ!さ、まずは本をかたさないと
……で、ソニア…?ちょーっとだけ退いてもらってもいいかしら……?
まずは立ち上がらないことにはなんとも……うっ、罪悪感が……

【とりあえずは、という行動を起こしたいところに――拗ねた彼女の視線が痛い】
【どうやら生来、このアンジェルは自分がしっかりしなくては、という思いが強いらしい】

【だからこそ今こうして、なんとも言えない状況に陥っていたりするのだが――】
【――さて。そうこうするうちに足音が近付いて来る。それと同時、崩れた本の1ページがひらりと少女の頭の上に舞い降りる】
【大きな獅子や鳥の集合画――ニュースを知っていれば、それがアリギエだの、テナーだのとよく似ているのが分かるはずだが――?】

>>940

……は?オイ待て、確かに俺はベイゼ・べケンプフェンに違いねぇし……
それにバイクチェイスのことも……まあそこまで知ってるならUTの協力者としておいてだ
元気……ってのもそうだと答えといてやる。だが―――今何つった?

さも『私のスリーサイズを知ってる』ような事を言いやがった気がするが……
……誰だよ、そのWILD≠チてのァ。事によっちゃ……あぁ、ったく!話は後だッ!

【言葉に対する反応というのは時として凄まじい物が有る。今回がそうだった】
【実際にはそうしなかったが――今にも胸ぐらに掴みかかりそうな様子で、ベイゼは彼を睨み付けたのである】

【スリーサイズを知られている、というのも嫌だったが――それ以上に『何故』というのが先立った】
【手段、というよりも如何にその機会を掴んだのか、だ。彼女自身には心当たりは微塵もなく】
【それ故に相手が誰か気になった。うっすらとマインドすら見えていたが――今は、他に大事がある】

【――さて、本の様子だがこれまたひどい。おおよそ50冊にもなる、図鑑級の重い本がそこら中に散っていて】
【で、白い将校服――アンジェルが寝転ぶ形で、その上にソニアが座っており】
【そのソニアの手の中にはロシア語の大きな絵本。何となく何が起きたのかは想像出来て】

……オイオイ、今度はしゃべる犬ッコロかァ?冗談じゃねーよ全く……
勝手にスリーサイズ知られてるのも気味ワリィが、話す犬なんて尚更気持ち悪ィぜ

……ま、いい。ベギーアデン=\―散らかった本、適当に棚に戻しちまえ
どうせ朝には司書が来て暇つぶしに本の並びを戻しといてくれるさ……多分な。

【ベイゼはそこにたどり着くと、ソニアに一瞥くれながらもマインドを完全に発現】
【すると現れるのは黒い流線型の鎧を纏った人型で、ふわりと浮きながら本を何冊か掴み取り】
【上手いやがて始まるだろう片付けの第一手を取ったのだった】
943 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 01:10:16.04 ID:z1pDxzrzo
>>940>>942

【喧騒が耳元で囁くのなら、佇む声もまた、その中の一つの音律に聞こえて】
【ソプラノをそこに落としてみたなら、広がる波紋の音色、飛沫のように広がる】
【新しく現れた困った顔の青年と、直ぐ後ろで響いた初老の男の声】

【きょとんと首を傾けた、初老の声の主が、どこにもいないように思えたから】


……ごめん、なの……本散らかしちゃったのね、ソニアが悪いの……
どうしてもね……読みたかったの、この絵本……


【どう考えても自分の責任だから、この状況で一人素知らぬ顔ができるほど悪い人間ではなくて】
【アンジェルにも言葉をかけられ、アンジェルの上から降りて、その場でしゅんと顔を俯かせているのだろう】
【本を片付けようとする剛太郎にもきっと、そんな悲しげな顔の少女は映るはずで】

【――――――最中、頭の上、ひらりと落ちる本の一葉】
【右の手で辿ったなら、小さな光の下に曝け出して、その絵を見ることが出来た】
【詳しくは分からない、けれどもそれがニュースで見たことのあるものと一緒なのは分かって】


ねーね、アンジェル……この絵、何か……分かるの?
テレビとかでね、やってるの、見たことあるの、ソニア……でもね、ソニア、頭良くないからね、分からないの


【片手で紙を握ったままもう一方の手でアンジェルの袖をぐいっと引っ張ろうとする】
【普段の彼女と比べたなら、今の彼女はきっと、手のかかる幼子のようでもあって】
【――――――それでも沿う視線は、歩む道も知らない、迷い子のようでもあった】


ぁ……ベイゼだ、ベイゼも、夜の図書館に、ご用事……?
ソニアもね、夜寝る用のね、絵本、探しに来たの――――――わっ……わんわん……?


【マリンブルーが見つける、ベイゼの姿、親しい人の登場に彼女は絵を持った手を振るのだろう】
【振っていたなら、足元の犬にきづいて、そちらに注意がとられる、自分が散らかした本のことなどもうどこかへ行って】
【アンジェルの袖を掴みながら、ぐいっと引っ張る形で座り込んで、犬と視線を合わせるのだろう】

【――――――先の緩んだ視線が犬に微笑みを傾けた】
944 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 01:29:48.83 ID:8nz2QlMfo
>>941

恩人……? ……、……月彗が。恩人……――
……嗚呼、成る程。機関のナンバーズ、か……それは確かに、誠実でない
尤も……私も丁度去年の今頃に、コーネリアスの元で破壊活動を行った身だが。

……そう言えば、彼は死んでしまったそうだね。
同じ革命家の兄とは似ても似つかない、行動に実の伴う者だと思っていたのだけれど

【相手の発言に、今度こそ彼は明らかな戸惑いを見せる。友人どころか、恩人とは】
【だが「元同僚」、そして逆五芒星とナンバーを見れば、既知である事への納得はいった】

【ならば仕事上での恩なのだろうか、と結論付けて、其れ以上を深く探らず】
【探らない事に加えて、相手と近しい過去があった事を明かす。全ては波風を立てない為に】
【もう一人の六罪王、近頃姿を消したというレギンとは対立関係に在ったのだが、其処は伏せた】
【(尤も、データベースには敵対する呪術師として記述があった。無論それは、セシルの知る所ではなく)】

嗚呼……今までの一年間は、親子としていたのだけれどね。年も離れていた事だし……
それが昨年末に、私の決心も固まったものでね……――いや、まあ、……有難う。

……リリア。忘れはしないさ、その名前だけはね。成る程、そういう縁だったのか……
あの半魔に会うまでは、機関に敵するつもりは無かった。私達を害するものでなければ、ね
私は討伐隊にも加わっていたんだ。若しかしたら、其処で会っていたかも知れないね……

【まともに誰かに祝福されたのはこれが初めてだった。故に慣れない様子を見せる】
【兄にはさんざ泣かれて若干腐敗臭のする涙で服を汚されたが、それはノーカウントとして】
【弟にも伝えようと思って会う機会を設けたのだが、それが成せない理由が先述した件になる】

そうか……――いや、気にする事はない。……そうだね、良ければ、伝えて欲しい。
今のあれは、リリアも消えた事だし、機関に追われている訳では無いのだろうから……

……――だとすると、何か別の要因か……気紛れかな。その線の方が、強そうだけれど

【相手を気に病ませぬようにか、物騒な理由では無いだろうと言って、彼は肩を竦める】
【だが、少しだけ何か迷うような、思い当たる節の有るような表情を一瞬垣間見せて】
945 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 01:39:01.31 ID:8nz2QlMfo
>>944
/申し訳ない……以下の一文を読み飛ばして下さい
/【もう一人の六罪王、近頃姿を消したというレギンとは対立関係に在ったのだが、其処は伏せた】
/正しくは機関員・スワンプマンからの報告がデータベースにあった、という形です
946 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 01:46:21.04 ID:MAvMNBUzo
>>942>>943

ま、待て、俺が教えたわけじゃねえって!
博士……じゃなくて、"WILD"は……その、妙にスキルの高い変態だよ
こといやらしい事に関しては謎の超人的パワーを発揮する事があるから……いつどこで情報を盗み取ったのかは俺も知らない


【単刀直入で簡潔な説明が嫌すぎる人物だ、とりあえず次顔を合わせたらぶん殴っておこう】
【すでに従者が殴ってるかもしれないが構わず殴っておこう、そんな事よりも今は本と、倒れ込んだ少女たちだ】
【ベイゼのマインドをおー、などと感心した様子で見ながら、剛太郎がまとめた本をひと固まりずつ渡してくるだろう】

【そして、奇妙な物を話す犬っころはいぶかしげな様子でベイゼとアンジェルを見ながら】


「ふん、気味の悪い犬で申し訳ないのう……そこの小娘どもはUTの連中か?まあええ
そこの将校服の小娘がみちょるのは……神話の本か?夜遅くまで調べ物とは精が出るのう」

なんか仕事の都合で残らなくちゃいけないっぽかったんだ、口うるさい事は言わないでやってくれよムク
ソニアも怪我はない?夜中にあんまり騒いじゃダメだよ?……それと、その犬が喋るのは遠くから交信してるからで……


【剛太郎があちこちにいろいろと現状をあたふたした様子のまま話をする中……ムクは微笑んでくる少女の姿を見る】
【絵本を持った少女はどうやら―――自分の言葉を伝えている自慢の愛犬に目を奪われているようだが、とりあえず説教しておくことにして】


「Будьте спокойная ночь.……Дочь(夜中にあまり騒ぐなよ、小娘)」

―――へ……?


【彼にしてみれば、ソニアに絶対伝わるようにこう告げたつもりだったようだが】
【突然相棒がその言語を使用してみせたことに、剛太郎は目を丸くして、ムクとソニアを交互に見ていた】
947 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 02:06:35.72 ID:bxl7hzP1o
>>943

【紙切れ――さながら妖怪大集合、とでも表せそうなそれは古い一枚だ】
【端にあるのは『天帝の求めた美しさ達』という題材。――ソニアに読めるかは別として】

んっ……え、…あっ。探してたのってまさしくこれ……?
あぁ、そっか。ソニアはまだこっちの言葉に不慣れだものね
思えばさっきのもそのせいかしら……まあいいわ、ちょうどいい機会だし……

こほん…!これはね、最近ギルドに依頼されてきた討伐対象≠スちよ
でっかいライオンに鳥、砂を潜る竜、それと……絶世の美女。妖怪らしいけどね

でね?私が今夜ここに来たのは、どうしてもその依頼が気になったからなの
だっておかしいじゃない、たった二ヶ月でそんな……4件も起きる規模の事件じゃないし。
おかしいと思って、いざその怪物たちを調べてみたら……ビンゴ=I

【『この一枚に辿り着いたのよ』――と締めくくれば、気になるのは少女の様子】
【説明は足りただろうか。何となく、上手くいっているかが気になるようで】

【――それともう一つ。画には先ほど言った4つの存在の他にもう一つ、在った】
【見てくれは兵士。甲冑を纏った巨大な兵士、名前はヴァルゴと云うそうだが】
【その報告はまだギルドにはない。とすれば、近い将来に――とも思えるが】

『よう、ソニア。俺はそっちのバカのお守りだよ、引きこもってないで付いて来い、ってな
 ……というか、お前今年で幾つになるんだ?……絵本、自分で読むのか?』

【一方でべギーアデンを動かすベイゼも、手を振られれば小さく返さずにはいられず】
【手元の本を見て少し呆れたように物申したが――後者の部分については】
【むしろ『読んでやらないこともない』なんて、捻くれた言い方をしたようにも取れて】

>>946

『……あァ、分かったから黙っとけクソガキ。テメェは許してやる
 WILD≠セかJOKER≠セか知らねェが……そっちのは会ったら一度殴らねぇとなァ……。
 最近はべギーもパワーアップしてるしよォ、一回本気で人を殴ってみたかったんだよなァ……?』

【些かにやりとした笑みが危なっかしいが――まあそれはともかくとして】
【彼女のマインドは主人の苛立ちもヨソに、スルスルと人や物の合間を縫って本を片付け】
【そこに剛太郎青年の手助けも加われば、やがて崩れた本の山も消え始め】

いや、その……喋る犬ってやっぱり、身近な分ちょっと気味が……何でも無い。
……神話も神話よ、『天帝の求めた美しさ達』っていう、お伽話風な奴だけど……

【『天帝の――』という神話は、一部の子供ですら知っているお伽話でもある】

 【むかしむかし有るところに美しいものが好きな神様が居ました、神様は至高の美を求めました】
 【荒々しく素朴な美や声によるもの、実直な精神や並外れた容姿にもそれを探し求め――】
 【やがて長い年月の果てに、神様は人の心の美しさを知りました――というもの】

【あえて意味を考えるなら、この物語は子供に『神様が欲しがるくらい美しい心を持ちなさい』――】
【なんていう訓戒が込められているとかいないとか。その求められた者達が今、ギルドの依頼で倒されつつあって――】

―――Он был удивлен.

【『驚いたぜ』と言ったのは、これはベイゼだった。彼女もロシア語を理解するものの一人だが】
【流石に喋る犬とはいえそこまでの学があるとは思っていなかったのだろう。言葉が口をついて出たような様子だった】
948 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 02:16:57.54 ID:QsXNSdj4o
>>944
……恩を受けたのも、半魔に関わることでの話でね
そういうことだ。外を堂々と出歩けないのは、見た目ばかりの問題ではない

なんと、これは驚いたな……去年の今頃、となると中央放送局の一件か
あの頃の私は下っ端で、テロには参加できなかったが

……ああ、かれこれ五か月前にもなるか。我々としても、惜しいお方を失ったよ
言う通り、あのお方は確かな行動力を持ってはいたが……それ故に、敵が多かったからな

ほう、もう一人兄君がおられるのか……機会があれば、その方にもご挨拶申し上げたいものだ
(革命家……まさか、な)

【恩については、軽く触れる。これもまた、半魔リリアに纏わること。大男の奇縁に、大男の怨敵たる半魔が不可欠な要素とは、皮肉なものだ】
【波風を立てない、という彼の目論見は、成功するだろう。自身が機関員であることを明かしても動じない彼の態度に、納得のいく理由が出来たことで】
【大男の態度は、さらに軟化した。元より、彼と敵対するつもりはなかったが】

【革命家、という言葉には、わずかに心中で反応する。自身が起こしたテロで、手下の一人を撃退した男】
【手下は、その男が革命を口にしていた、とそう報告してきた。まさか、その疑念の通りだとは知らず】
【大男の知らぬところでも、彼ら兄弟との関わりは存在していたのだ】

【データベースの記述については、流れ込んでくる新たな情報を処理するのに気が行って、この場では思い当たらず】
【後に、データベースを閲覧中、その記述を発見し、大男はそれを無視することに決めたが、それはまた別の話だ】


……ああ、私が話を聞いた時には、まだ貴方のことを父だと呼んでいたよ
そうか、それは何よりだ……彼女は貴方を強く慕っていた様子だったから、きっと喜んだことだろう

彼奴めがあなた方にも手を出していたことは聞いたよ。所構わずそうしたせいで、最後には四面楚歌に追い込まれていたな
そうだったか……討伐には私も参加していた。いや、まったく奇遇なことだ

【祝福の言葉は、本心からのものだった。今まで、誰かにそんな言葉をかけることなどなかっただけに】
【慣れない様子の彼に向ける顔は、至極真面目な様子で。彼の兄の祝福がノーカウントに終わったことは知らず】
【そこに、月彗の行方が知れないことが絡んでくる、ということまでは、察しがついた】


ああ、確かに承った。伝えておくよ
リリアの件に纏わることには、片が付いている。現在、機関の者が彼を追っているという話は聞かない

ああ、彼ならあり得そうなことだ……?
……いや、失礼だが……何か、思い当たることでもおありなのかね?

……そういえば、一度月彗さんに聞いたことがある。“我々”が求めるのは、“平等なる不幸”、と
彼の真意は、ついぞ聞くことが出来なかったが……その“我々”とは、あなた方のことでは……?
あるいは、その真意に纏わる何かが理由ということはあるまいか

【思い起こすは、邂逅の日。半魔の正体を彼から聞いた日】
【機関を抜けた彼の居場所。それについて、わずかながら彼が漏らした言葉があった】
【目ざとくセシルの表情を見出して、そこに踏み込みつつ。語調は変わらず、単眼の視線もそらされはしなかった】
949 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 02:21:58.89 ID:z1pDxzrzo
>>946>>947

【爪先を伝わって、二の腕を通る、皮膚の下と骨の上の僅かな隙間を縫うように】
【耳元へと流れていくその響きが懐かしい憧憬を思い浮かべさせてくれるなら】
【その歌詞が示す言の葉の意味が、どんなに厳しくても受け入れられるのだろう】


――――――Я сожалею(ごめんなさい)
Это приехало к библиотеке(図書館に来るの久々だったから)


【きっと、剛太郎のそんな説明を受けずとも、素直に喋る犬を受け入れただろう】
【交信とか、そういうわけじゃなくてきっと、喋る犬なんだって彼女は理解できるから】
【ペコリと頭を下げて、次に上げた少女の頬には柔らかな微笑みが浮かんでいて】

【図書館に来て、その戦利品であろう絵本を、今はバイオリンケースの上に置いて】
【伝える言葉は今この場だったら、彼女と貴方ともう一人――――――それぐらいしかわからない言葉】
【秘密の暗号のように思う心はきっと、間違いじゃないから】


うん、大丈夫なの、剛太郎、アンジェルのお陰でね、怪我一つなかったの
それとね、ごめんね……本、こんなに、散らかしちゃって……
ソニアもお片付け、しなきゃいけないけど、ソニア、ちっちゃいから……


【一片の曇もないロシア語と違って、彼女の言葉は非常に辿々しくて、一つ一つに区切りをつけて】
【それでも掌で一つずつ辿るように紡がれた意味合いは、剛太郎へと伝える謝罪の言葉】
【すかさず行動できる、剛太郎やベイゼと違って、彼女はぼーっとするだけしかなかったから】

【ごめんねの言葉に――――――ありがとうを付け足して、ペコリともう一回頭を下げた】
【視界の端に映るのは手で握る紙切れ、何だろうコレと首をかしげたなら、アンジェルがいて】
【言の葉を耳に流し込んで、その意味合いを知る】


……の……めた……しさ……?……ソニア、分かんない、の……
ん、でも、アンジェルのおかげでね、なんとなく、分かったの

でもね、この絵にはね、4つじゃなくて、5つ絵が、あるの
だったらね、この兵士もね、来ると、思うの……


【どうやら漢字は読めないようで、平仮名だけを読んで、もう一回首を傾げる】
【けれども、アンジェルの説明のお陰で理解できたのだろう、うんうん、と満足気に頷いて】
【次に述べる推理は、既にアンジェルが解き明かしたであろう、推理の軌跡】

【それでも、マリンブルーの瞳に夜空色の輝きを写して、誇らしげにアンジェルの袖をぎゅっとひいて】
【見上げる視線に映る嬉しさはきっと、ソニアが謎を解いたよという満足気な色合い】
【そんな少女も声に引かれるベイゼの方向に向いて、言葉を飲み込む】


うんと……14……でもね、でも……難しい本とか、そういうの、読んでたら、頭痛くなるの
だからね、ソニア、絵本読むの、好き、でもね、読んでもらうの、もっと好き


【浮かぶのは無垢な微笑み、確かに気恥ずかしさはあるのだろう、正直絵本という年齢でもない】
【けれども――――――彼女には決定的に子ども時代の教育を含む経験が欠落しているが故】
【絵本という存在でも彼女にとっては、立派な書物であるのだろう】
950 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 02:39:46.64 ID:MAvMNBUzo
>>947

【とりあえず解放されたことにホッとしながら、ややバツが悪そうに剛太郎が呟いた】


……博士はなんかもう、毎度毎度女の子にグーで殴られているような気がするなあ、もう慣れちゃったよ
聞いた話じゃあの人何年前からずっとあんな感じなんだっけか……ブレないなあ

てか、一応言っておくけど俺ガキじゃねーよ、もう23だから俺の国じゃとっくに成人しているんだ
酒も飲める齢だし、ていうかそもそも……多分だけどベイゼより年上だと思うぞ


【周りはもう、強制を完全に諦めている感じだ……その男の奇行は何年も前から日常茶飯事であるらしい】
【それよりも彼が気になったらしいのは先ほどからクソガキ呼ばわりされている事だ、ムッとした顔でその発言に反論してくる】
【そもそも、警備員の仕事をしている時点でそれができる年齢には達しているのだろうが、子ども扱いされるのはやはり日頃のあどけない言動のせいか】

【だが本当に剛太郎が目を丸くして驚いたのは、突然その犬が耳慣れぬ言語を口にしたことだ】
【直後にベイゼも同じ言葉を口にしたことでぎょっとしながらベイゼを見たが、すぐにムクに向き直るだろう】
【当のムクは剛太郎の視線など気にも留めずふう、とため息を突きながらその言葉で謝ってくる少女を見返しながら】


「……Я возьму осторожность из следующую. (次からは気を付ける事じゃのう)
なんじゃあ剛の字その目は、この小娘はロシア人って話じゃったろう、じゃから絶対伝わるようロシア語で喋っただけじゃが」

いやそうじゃなくってさ!どういう事だ!?ムクがロシア語喋れるなんて今日初めて知ったぞ!
……いやベイゼもだけどさ、この世界の人間がどうして知ってんの!?


「――――ふん、忘れちょらんか剛の字、ワシはお前がこの世界に来るずっと前からお前の世界の人間との交友があった
その中にはロシアの国のモンもいただけの事……それだけの話じゃあ」


【この場にいる者に誰一人、この犬の正体を把握できる人間がいないため、何があったのかを図り知ることは出来ないが】
【彼が生きていた中では、その言葉を学ぶ機会があったのだろう、とりあえずそう理解しておくことにしよう】
【剛太郎はその説明を受けて、とりあえず納得する事にしたらしく……ソニアの傍で本を片付けて行く事にする】


まあ、そんなに気にしないで、こういう事をどうにかするのは俺の仕事だから
本に興味があるんだったらうんと読んでもらいたいもんさ、俺は一応図書館に勤めてる訳だから
何か面白そうと思ったモノがあったら取ってあげるから言ってね



【それだけ言うと、彼はす、と今まさにアンジェルとベイゼが話題にした『天帝の求めた美しさ達』に関する本の一つに自然と手が伸びた】
【その絵に移っているのは甲冑の兵士、その姿を一瞥した後、やや真剣な目でアンジェルに視線を送っている……】
951 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 02:40:25.50 ID:MAvMNBUzo
/>>950>>947>>949でした
952 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 02:50:44.31 ID:8nz2QlMfo
>>948

ふふっ……私達は初対面であるというのに、話が何処までも尽きそうにない。
だが、この先はもう機関に関わる事はなくなるだろう。今は無理がたたって、隠居の身でね
一人ではろくに戦えないから、仲間と魔獣討伐をしているだけさ……立場としては正義でも何でもない。
願わくば、君とも敵対したくはない……今、君の足で蹴られれば、私は即座に死ぬ自信があるよ。ふふっ……――

【こうして話す情報量の多さを鑑みても、昨年の間に様々な事があったものだと感慨深く】
【そして――これより後には、もうそんな出来事も少なくなっていくだろうと自覚していた】
【全ての戦いは鈴音を守る為でしか無く、もとより自分は、善人では無いのだから】

【それから冗談交じりに告げたのは、セシルが既に、前線で戦えない身だという事】
【これは、相手がデータベースの記述を無視する一つの要因にもなるだろうか】
【機関にとってはもう無害化されたのだから。実際、今後表舞台に姿を表わす事は無いだろう】

【――相手が月彗から聞いたという件に触れると、セシルは視線を墓標へと遣り】

……ああ、其の通りだよ。リリアによって私と娘に災禍が及んだ時、この墓の主・レイシーが便乗して事を起こした
月彗は初め、機関に付かず離れずだった私を疑り、リリアと共に私の館に乗り込んで来たんだ。其処で裏切られたようだがね
一方の私も情けない事にレイシーの亡霊に操られ、守るべきだった鈴音を一度手放し、去ってしまった

兎も角、私と月彗、そしてもう一人の兄は、レイシーにいたく愛された兄弟だったから……対立は、許されなかった
結果として私達は、この女の亡霊に縛られ、“平等なる不幸”を掲げて行動を共にさせられた時期があった。
その後に鈴音のお陰で呪縛は解かれ、今となってはレイシーも無害な亡霊に成り果てた。姿を見せてもくれなくて、ね

……初めにこの墓に問い掛けていたのは、そういう理由さ。だが返事がないと言う事は、彼女も知らないのだろう
だから理由は矢張り思い至らないね……済まない、立ち話にするにはだいぶ長くなってしまった。
そろそろ妻も心配するだろうから……私はこの辺りで。――……嗚呼、君に会った事も、鈴音に伝えておくよ

【実際には、月彗の行方を聞いたのではなかった。だが、話の落とし所としてごく自然にその名前を持ち出して】
【ふと気が付けば、かなりの時間が過ぎていた。相手に何か話があれば其れに応じた後、彼は帰途へと付くだろう】
953 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 03:05:56.44 ID:bxl7hzP1o
>>949

んっ、と……要するに、私達には想像もつかない世界のお話ね
分かってくれた?……そう、なら良かった……!
でも確かにそうね、一つだけ今までに見たことも聞いたこともないのが居る……

……ヴァルゴ=cか。ねえソニア、もし今までに現れた奴を倒した……
ううん、会ったことがあるでもいいわ。そういう人と会ったら、この事を伝えて貰ってもいいかしら?
なんだかきな臭いのよね、この一件……気が向いたらでいいから、さ。

【少女の満足気な様子を見てそれを持ち上げ、ついでに仕事を任せてみる――】
【やる気を引き出すにしては中々の手だ。それに、仕事自体も難しいことではない】
【問題はソニアがそれを受け入れてくれるかだが、アンジェルには『きっと』という思いなんかもあって】

『はぁ……分かったわかった、じゃあ手が空いてる日は読んでやるよ
 でも、そのうちロシア語じゃなくこっちの字で書かれた奴も読むんだぜ?
 じゃねーと、いつまでも慣れないままで大変だからな……お前も、他のやつも。』

【一方で絵本の事――歳のことなんかを聞いたベイゼはといえば、溜息を小さく吐き】
【嫌々、という程でもない様子で読み聞かせを請け負って、ついでに小言まで付け加える】
【さながら保護者だ。何となく、アンジェルとベイゼのそういうところが似ているのは感じられるだろうか】

>>950

『……23?そのナリで、その話し方で、そのツラで?……マジかよ
 まァ良いだろ。歳なんて大して関係ねェ世界だ……聞いたろ、ソニアなんか14だそうだぜ
 人間色々あるしなァ……ああ、犬っころにも色々あるみてェだが……。』

【面倒そうに髪を弄りながらそう呟けば、そろそろ本も片付いた頃か】
【ベイゼはベギーアデンを消失させると、また犬の――ムクのロシア語に耳を傾け】

『あァ、俺も向こうの世界繋がりだ。育ての親……みてェな奴があっちの生まれでよォ
 ロシアとは敵だったとか言ってたが、まあそいつに教えられてな。』

……はいはい、異世界談義はその辺にして……問題は例のヴァルゴよ。
でっかい兵士っていうのはわかるけど情報もないし……うん、本は探して貰いたいわね

早急にってわけじゃないけど、出来るだけ早く。『天帝』の話と……
それから、アリギエやテナーについての文献や、あるようならヴァルゴについても、是非。
……全部、司書の人にストックさせといて貰っていいかしら?

【願った内容の筆頭が早速そこに在る――剛太郎の視線でそれを知ったアンジェルは】
【一つ、同様に真剣な面持ちで首を縦に振って、それからお願いもひとつ加え――】

>>ALL

『……さて、と。そんじゃそろそろ、俺達はずらかるとするか……』

言い方が悪いわね、帰るのよ……正義の筆頭UTが図書館に押し入ったなんて聞こえも悪いわ
ごく平和的に書架を調べて、警備員立ち会いのもとで帰るんだから……ねっ、剛太郎さん?

『だ、そうだ。よろしく頼むぜ警備員さんよォ……例のWILD≠フ野郎にもなァ?
 それとソニア、その絵本を借りる手続き、ちゃんとしとけよ。
 幾らロシア語が分かるからって、そっちの物語まで知ってるわけじゃねェんだから。』

【なんて、アンジェルとベイゼ――二人の赤髪はそう言って、他に細々したことを終わらせれば】
【様子を見て、どちらもゆっくりとその場を後にすることになるだろう】
【先ほど見つけた古い集合画はソニアに任せたままだ。可能なら役立ててくれ、ということだろう】

【また剛太郎には本のストックを頼んだが――正直言って、大した事は何処にも書いていない】
【唯一分かるのはヴァルゴがからくり仕掛けである≠ニいうことくらいだったが――】
【からくりとは、つまり――?それが理解できたとしたら、案外大きな進歩かもしれない】

【ともあれ夜間、図書館の一幕はこれで終い。小さな発見と出逢いがあった――それだけでも、成果だったと云えるだろう】

/本当はもっと続けたいのですが明日も早くから予定があるのでこれにて……っ!
/おふたりとも夜遅くまでお付き合いありがとうございました&お疲れ様でしたー!
954 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 03:13:49.30 ID:z1pDxzrzo
>>950>>953

【絵本の中に紙切れを入れたなら、そこにはもう十分すぎる宝物を持って】
【彼女にとっての収穫はあったから、ならば後は遅くなった夜更かしを終わりにしようと思う】
【バイオリンケースの中、しまいこんだ絵本の後、ケースを両手で握った】

【アンジェルから任された仕事、それは少しだけ、重くなるかもしれない宿題みたいに】


ん、じゃあソニアもね……帰るの、早く寝なきゃね……おっきく、なれないの
剛太郎、よかったらね、絵本の借り方、教えて欲しいの
そしたらね、また、ソニアも一人で、絵本、借りられるから


【紡ぐ言の葉に僅かな陰りもなく、そこに微塵の濁りもない】
【ただひたすらに彼女の思う、信じられることを続けるのだろうから】
【絵本を借りれたならそのまま二人に挨拶して、その場を後にするのだろう】


/おふたりともお疲れ様でしたー!
955 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 03:32:45.95 ID:QsXNSdj4o
>>952
ハハ、いやまったくだ。こんなに人と話したのは、いつぶりだろうか……
それはそれは……せっかくの新婚なんだ。身体には気を付けられたほうがいい

大変失礼とは知りながら、私としてはそう言ってくれることをありがたく思うよ
私も、貴方や鈴音さん、月彗さんとは敵対したくない。受けた恩や心情としてはもちろん、実力的にも、ね……
ふ、ふ。悪い冗談だよ、セシルさん……

【感慨深げなのは、大男も同じだった。昨年は、あらゆる面で濃密な時を過ごしたものだ】
【同時に、彼が告げる隠居の事実。これから先、彼は最愛の妻と共に静かに暮らしていくつもりなのだろう】
【己の得た縁がそうして存在し続けていくであろうことへ、少しばかりの安堵と寂しさにも似た感情を、らしくもなく抱いた】
【彼は善ではなく、ただ妻と共にある夫として、世界の鉄火場とは極力関わりなく、生きていくのであろう】

【一方で、彼がすでに戦うこと叶わぬ身であることを察しもする。故に、カニバディールが機関の敵対者としてセシルを認識することも報告することもない】


【己の言葉に続いて、語られていく奇書と葬列の物語、その一端】
【大男は、ただ黙ってそれに耳を傾けた。大男としては、知らなかった事実を知ることとなったのだが、途中で口をはさむこともなく】
【聞き終えれば、一つ息をついて。再び、彼に向き直る】

……人に歴史あり、とでもいうべきか。貴方がた兄弟に、そのような事情があったとはな
レイシー……その亡霊が何の意図があってそんなことをしたのかは知らないし、貴方がたがその亡霊にどのような思いを抱いているのかも知らないが
私としては貴方がたが解放されたことを幸いに思う。そのおかげで、月彗さんの兄君たる貴方が、奥さんとの生活を手にできたのならな

愛、か……私にはあまり縁のない代物だが、時としてどんな悪意よりも厄介なものになり得るということは知っている
“平等なる不幸”とは、その亡霊が授けた言葉だったのか……
愛していたのに、それきり姿を消してしまうとは。私が何か言えた立場ではないが……なんだかな

…………? なるほど、先の問いはそういうことかね……
あるいは、仇敵であったリリアとの決着も付き、その亡霊からも解放されて、目的を見失ったが故の失踪なのかもしれん
いずれにせよ、貴方がたに一度会うことが不可欠なのだろう

【墓への問いかけを落とし所とした彼の言葉に、わずかに違和感を覚えた。が、それを口には出さず】
【彼が行方を問い掛けた本当の人物が、いったい誰であったのか。大男がそれを知ることはなく、そもそも気付くにも至らず】
【違和感はすぐに頭から消え去る。彼が、別れの言葉を口にしたから】


……いや、こちらこそ付き合わせてしまい、申し訳ない。新婚の身だというのに、気が利かなかったな
良い時間が過ごせた。貴方がたとのご縁には、感謝するよ

ああ、よろしく伝えておいてほしい。彼女にも、久しく会っていないからな


それではな、セシルさん。私がそれまでに地獄に落ちてさえいなければ、また会う機会もあるかもしれない
貴方がたの知人として、その時を楽しみにしているよ

【ふっ、とこの大男には珍しい微笑を浮かべ、セシルの帰途とは反対の方向へと去っていく】
【最初の重々しい気配とは違い、どこか穏やかなその背中が、墓地の向こうへと消えていく】
【奇書と葬列の物語の中に、一脇役としてこの大男の名も連なるのだろうか】

【やがて、再会する口笛の音色が、墓地を横切って木々の向こうへと消えていくことだろう】

/すみません、続きます
956 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 03:33:29.34 ID:QsXNSdj4o
>>952
【さて。咄嗟に一つ、隠し事をしたのは、セシルだけではなかった。大男もまた、歩いていた。自分たちの物語へ。ゴミ溜めから湧いた、盗賊たちの物語へ】

「……ボス。ずいぶん遅かったですねえぇ? 何事かあったのかと思いましたよおぉ……」

【墓地を囲う木々の遥か向こう側。人気もない鬱蒼とした場所。そこに、唐突に出現する声】
【声の主は、地面の下にいた。正確には、地面に巧妙に隠された、隠し扉の向こうから顔を出していたのだ】
【彫りの深い顔立ちのその男は、両耳と口元に付けたピアスを月光に光らせつつ、大男へと声をかけた】

すまなかったな、スカーベッジ。いや何、ひょんなことで知己を得てね。詳しい事情は後で話そう
それより、時間は測れたか?

「へい、問題なく。この分なら、予定の通りに行きそうですぜ。しっかし、あのゴルドーの旦那が、こんなとこにまでトンネルを繋げていなさったとはねえぇ……」

これほどの規模となると、ゴルドーさんだけのものではあるまい。またぞろ、面倒な障害にぶち当たる可能性もあるな
そのあたりも、おいおい調査していくとしよう。今日のところは引き上げるぞ

「わかりやした。では、こちらへ……」


【大男がここを訪れた理由。人目に付かず、この場に立てた理由。地下を蠢く悪漢どもの気配】
【先ほどとは打って変わって不穏な空気を漂わせつつ。大男とピアス男が、地面の下、闇の底へと消えていった】

/ここで締め、ということでよろしいでしょうか
/遅くまでのお付き合い、ありがとうございました!!!
957 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 03:37:15.62 ID:ZhN4ITL3o
>>953>>954


……俺が23に見えなかったらドラなんかもっと酷い事になるんじゃねえか?
けどまあ、前に何かのテレビで外国の人から見ると日本人は皆、幼く見えるって話を聞いたことがあるな
だから大人に見えないのかな

「いーや、単にお前の言動が幼く見えるほど青いっちゅうだけじゃあ」


【きっ!と犬の茶々に対して睨みつけた剛太郎は、しかしアンジェルの次の頼み事で顔に真剣味が戻った】
【注文は『天帝』にまつわるこれまでに出現した事件の怪物に関する資料……おそらく、この一件は全力で挑まなければならなくなる】
【UTメンバーからの直接の依頼となれば、すぐにでも動く事が出来るだろう】


わかった、大真面目に取り組まなくちゃあいけない事だってことはね
近日中に纏めてもらうように言っておくから後日また取りに来てくれよな……じゃあ気を付けてね
ソニアもだよ、お昼に来たら図書カードの作り方を教えてくれる人がいるから出直してくるんだよ

「気ィつける事じゃあ、小娘ども、そんじゃあな」


【こうして、夜中の来訪者たちを皆手を振って見送ったのだった……】
【その後、彼は残った本の整理を済ませて、本日の報告、引き継ぎの用意を済ませて帰宅する事になるが】
【その道中、彼は平然とした顔のままでいるムクの横顔を見ながら考えていた】


……ムク、おまえはその……この『天帝の求めた美しさ達』っておとぎ話、読んだことあるの?

「ん?……まあガキの頃にちらと読んだことくらいならあったかのう、ほぼうろ覚えじゃが」


そっか……後それと……いや、やっぱ今日はいいや、帰ろうか
「?」


【ほんのわずかであるが、割と付き合い長い相棒の知らない一面についていろいろ聞きたい衝動に駆られた物の】
【それはもっと、別の機会……腰を落ち着けて話せるような時と場所で改めて聞く事にするか、と考える剛太郎であった……】

【←To Be Continued...】

/はい、同時絡みありがとうございます
/ではお疲れ様でしたー!
958 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 03:42:04.43 ID:ZhN4ITL3o
/そして、次スレでございます
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1388860826/
959 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 03:55:58.49 ID:8nz2QlMfo
>>955 >>956

……愛憎とは恐ろしいものだよ。だが同時に、満たされるものでも有る
しかし、“目的を見失ったが故の失踪”……言い得て妙だね、どうもその可能性が高そうだ。
月彗を泥の街で拾い上げ、弟にしたのはこの私だ。監督する責務は果たさねばね……――

【「親類として」。唐突に語られた事実だが、そう添えて締め括れば、其処には一種の温味があった】
【奇書と葬列、母なる聖女の喪に服する者達の物語は、主を欠き配役を散らしながらも、確実に回り続ける】

【別れの言葉を交わし、互いに違う方向へと去っていった後――秘め事もまた互いに抱え、巡らせる】


 ――……愛憎。ねえ雲母(まいか)、君の趣味に合いそうな知人が出来たよ。
 これで他は全て、片が付いた……後は、君だけ。私が迷いから犯した誤ちを、君に償う事だけだ
 何で償うかはもう、決めているのだからね……嫌とは、言わせないよ。

 【誰にも言わず、弟よりも優先し、探している“彼”】
 【その名を囁くと、彼は静かに笑んで、散らした黄緑と桜色の燐光に姿を消していく】


【場所は館へ移り。最愛が既に眠ってしまっているなら明日の朝に、起きていればこれから】
【セシルは数奇な縁を繋いだ誠実な悪人、一つ目の知人について語るのだろう――】

/ありがとうございました、お疲れ様でしたー!
960 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 20:07:30.67 ID:Fj3h9H9Qo
【櫻の国――神社】

【元日ではないとはいえ、まだ年は明けたばかり】
【この場所はまだまだお参りに来る人でごった返していて】
【高く澄んだ水色がどこまでも伸びる空の下、人々は長い行列を成していた】

【他の国ではほとんど見ることのない櫻の国の衣服を着た人たちの中、】
【晴れ渡ったこの空と同じ色合いの、彼女の姿もあることだろう】

【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】
【肩にバッグを下げて、手には何故かスケッチブック≠持っている】


(去年はカエロウさんとお参りしたんでしたっけ……)


【お参りの仕方すら知らなかった去年のことを思い出しつつ、列が動いて彼女も動く】
【今回は大丈夫だけど、まだ願い事を決めてなくて】
【スケッチブックを抱いた手からぴんと指を伸ばし顎にあてて、考えるのだった】




【――時同じくして、別の影も、この場所にいた】

【そいつは小さな崖の上に座って、人が沢山歩いている通路を見降ろしていた】
【目をぱちぱちとしばたたかせ、不思議そうに人々を見遣る】
【特に本堂へと続く、長い行列が気になっているようだった。なんで、あんなに並ぶんだろう】

【デニム生地のホットパンツ、薄い緑のシャツを着て、足には運動靴という服装に】
【嘘か真か、背中に伸びる黒いしっぽと、アーモンド形の大きな黒い瞳】
【そして目を引くくらいにくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えている】
【崖の上に佇むのはそんな、精悍な顔立ちの少女だ】

【彼女は考える。櫻の国はようかいぱわーに満ちた場所(そもそもこれがおかしい)だったと】
【ならばこの列は何だ? よく見れば人々は、何かを投げて、そしてお祈りしているように見える】
【ひょっとしてこの儀式は――】


まさか……なるほど! そういうこと――に゛ゃっ!?


【答えを見つけた彼女は勢いよく立とうとして――そして、間抜けなことに足を踏み外した】
【もちろん落下。掴めるものも無く、諦めたように手足を放り出して――】
【まず間違いなく、誰かに大迷惑をかけるのだろう】
961 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 20:27:05.58 ID:SW54zCnyo
>>960

【崖から落下しているであろう少女、肌をすり抜けるのは夜風の鋭さ】
【加速度的にその早さを増したなら、ぐんぐんと地面が近づいてくるのだろう】
【響くのは轟音、風が切り裂かれる暴風にも似た、分厚い跫音】

【――――――夜に閃光が煌めく、近づく地面が、その動きを止めるのだろう】
【さながら空中で射止められたかのよう、少女が何もしなければ、猫耳の少女の身体は地面に落ちる前】
【崖にピン留めされたかのように動きを止めているだろう】


……怪我はないか、今、下ろす
それと……すまない、服、キズつけてしまうことになる


【声が聴こえるだろう、語りかけるような静かな声】
【決して濁声と言うわけではない、それでも年齢を感じさせる響きを孕んでいて】
【視線を向けたなら、通路から少し離れた位置、崖の直ぐ側に居るであろう少女の足元】

【――――――佇む影が月光に揺れた】

【高くしなやかな身体を白皚皚とした甲冑に身を包んだ男】
【決して分厚いわけではない鎧は傷一つ無い純白であり、穢れ無き皚】
【背中になびく巨大なマントもまた、その身を包む鎧と同じ雪の如き白】
【顔には騎士然とした仮面が一つ、顔全体を覆うソレは真っ白で凹凸すらなく目すら開いていない】

【右手に握るのは純白に染まりきった騎士の中に存在する白銀、柄すら純白の両手剣】
【その分厚い刃の切っ先はまるで切り落とされたかのように平らな形をしていた】
【彼はその右手を貴女に向けるように伸ばして、平らな切っ先もまた、貴女へと向いているだろう】

【そして彼が僅かに右手を揺らしたなら、空中で射止められているであろう貴女が落ちてくるはずだ】
【可能なら彼は左手で貴女を受け止めようとするだろう】
【片手だけでも十分と言うほど、きっと、僅かな揺れも無く貴女を受け止めてみせる】
962 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 20:53:11.23 ID:Fj3h9H9Qo
>>961

【下にもし誰もいないのなら――彼女は何十メートル上から落下したって着地する自信があったけれど】
【生憎下は動く地面。頭の足りない猫でも、落ちればどうなるかくらい瞬間的にわかっていた】
【だから、目を固くつむって衝撃を覚悟したのだけれど、いつまでたってもそれが来なくて】

【どうなったかと目を開けると同時、物語を朗読するような柔らかい声が耳に届いた】
【そこには見たこともない白騎士が立っているのだろう。服は大して気にしないけれど、この状況は気になった】
【状況を確認していると、再び身体が落下する。だけど危なげなく受け止められれば、何事もなかったかのように降りて】


ありがとにゃ。どうなることかと思ったにゃ……


【――じぃ。礼を言ってはいるけれど、大きな眼は明らかに騎士を凝視していた】
【多分周りの人と同じ眼をしているはず。かなり失礼だがその姿は、ここだからこそ、奇異なものに映っているのだろう】
【少女は騎士を見つめたまま、ほんの数秒間黙りこむと】


櫻の国は見たこともないものがいっぱいにゃ……!


【呟くように、そう言うのだろう。あまりこの地に詳しくないのか、勘違いもいいところな発言をして】
【なれなれしく近づくと、その鎧を指でなぞったりコンコンと叩いたりするだろう】
963 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 21:05:06.75 ID:SW54zCnyo
>>962

【もし貴女に深い観察眼があったなら、彼の持つ両手剣の切っ先が、尖っていることに気づくだろうか】
【先ほどまでは切り落とされたかの如く平らであった切っ先、その両手剣の切っ先が普通の剣と同じように】
【その分厚い刃の切っ先は刀剣の如く鋭き剣閃を描いていた】


礼は必要ない、すべきと思ったことを、しただけだ
――――――それに、礼を言われるべき……人間でも、ない

Mors Principium Est=\―――――


【右手に握った両手剣の切っ先を地面へと向けたなら、淡い光が両手剣を包む】
【そして切っ先から溶けていくように空気中に蒸発していくのだろう】
【それはさながら、光の粒子を一杯夜空に振りまいたかの如く、泡沫が揺らめく陽炎みたいに】

【寸刻の後、甲冑と同じ篭手に包まれた右手には、もう何も握ってはいなかった】
【声の調子は変わらない、ただひたすらに喋るのではなく、語るという調子で言葉を綴る】
【人間、との言葉に僅かな躊躇を覚えて、少し間を取ったのは、間違いではないのだろう】


……悪いが期待には沿えない、櫻の国の者ではない
私の姿が見たこともないもの≠ナあったとしても、それは櫻の見たこともないもの≠ニ表現されるべきものでなく

――――――この世界ではまず見ないもの≠ニ表現されるべきなのだろう


【言葉はきっと、貴女に向けたというワケではない、やはり語っているだけ、なのだろうから】
【その意味では彼の言葉通りであろう、期待には沿えない、その意味は分からない筈は無い】
【けれども、彼は語り手、というわけでもまた、無いのだから】

【近づく少女の姿、鎧に触れるその姿は、愛らしいと思うには十分すぎる程なのだろう】
【一人か′元から零れた言葉は、物語の中、本に書かれた一節を朗読するのと変わらず】
【けれどもまた、貴女へと向けられた言葉なのであろう】
964 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 21:11:42.91 ID:21ww7Gm1o

【新年に未だ浮かれ騒ぐ人々の行き交う街の中】

【集まって歩く者が多いその中、一人で歩く姿は目立つだろうけれど】
【周りの人間はそんな事、気にする様な者はいないよう】

――――そういえば、新年を迎えたので御座ったか。
長らく里にも帰らぬと、忘れそうになるで御座るなぁ……

 【それは少女。しかも全体的に“小さい”】
 【まず身長。150cmも無いほどで、髪はカナリヤ色の三つ編みハーフアップ】
 【次に胸、全く無い。袖無しへそ出しの黒い衣服は、盛り上がる事無くストンと平ら】
 【付け足せば尻。肉付き薄く、グラマーには程遠いそこを覆うのは、黒いタイトなミニスカート】
 【スカートの裾、僅かに覗くのは黒のスパッツであろうか】

 【左腰には短刀を二振、右腰には白いポーチ。手首から肘先までを黒のアームウォーマーで包んで】
 【首には真紅のスカーフ、脚には黒のニーハイソックス。そんな少女である】

……さて、と。これで一つ、済んだで御座るな――――

【どさり。遠く後ろで音がして、それから悲鳴があがる】
【目算20秒といったところで御座るか――徐々に大きくなる騒ぎもどこ吹く風とばかりに】
【ずんずんと足早に進める歩みはそのまま、人気の無い方へと向かっていた】
965 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 21:40:20.48 ID:Fj3h9H9Qo
>>963

【その剣が、何のためのもので何からできているか、彼女には見当もつかない】
【ただ頭にできたちょっとした違和感はきっと、剣の形が変わったからなのだろう】
【中空に溶けてゆく剣を見届けると、視線は騎士の――眼があるはずの場所へと移る】


にゃ、変わったことを言う人なんだね
もっと素直になったほうがいいにゃ。あたいみたいにね!


【満面の笑みでそう言う少女は――もう少し、言葉を選んだほうがいいのかもしれない】
【どこまでも元気な声は、物静かな騎士とは反対のもの】
【ひょっとすると親子に見える――わけがないか。二人とも異色に過ぎる風貌だから】


……???

それって、この世界に無いものってことかにゃ?
全部宝石みたいだにゃ。ちょっと眩しいかも


【この少女、あまり頭は良くない。しっぽを揺らして考え、どうにか言葉を理解したようだ】
【この世界に無いのならどうやって持ってきたのか、なんて考えもしたが】
【それは感想を言い終わってからのことだったりする】

【そして、短い問いかけに彼女は、思い出したように口を開くだろう】


そうだよ! 今からあそこに行くんだにゃ!
あんたもここにいるってことはあそこに行って――行って、えーっと、何するんだっけ
とにかく行くんでしょ? じゃあ一緒に行こうにゃ!


【あそこ、とは行列の先、本堂のことを指しているのだろう】
【しかし言葉を詰まらせているところを見ると、どうも行って何をするのか、目的がよくわかっていないようだった】
966 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 21:53:01.99 ID:SW54zCnyo
>>965

【交錯するであろう視線、純白の仮面にはどこにも穴はなく、見えているかも分からない】
【けれども貴女の大きな黒い瞳の輪郭を辿ることは、難しいことじゃなかったから】
【素直な笑み、その向日葵のような笑顔は、心を洗うには十分過ぎるほどなのだろう】


……素直――――――遠い昔、似たような事を言われた、つまりまだ、素直にはなれてない、ということだろう
だが私は、あまり素直になる気はない、素直になれるとも、思わない

……だから君は素直なままで居ればいい


【眩しい、ただひたすらに、自由気ままな猫の如く、目の前の少女はその存在を揺らめかす】
【だからこそ見つめていたかった、太陽を見上げ、眩しくて目を細めてもまだ、その奥を覗く】
【貴女に触れるということはそういう感情に似ていた、語り口は未だ、変わらず】

【眩しいという貴女の言葉に対して、少し影に行くだろう、行列から一歩離れる形】
【貴女の左手側に移動した彼、ちょうど行列と彼の間に貴女を挟み込む形で】
【月光に照らされる白が薄みを帯びて、少しは眩しくなくなるだろうか】


――――――お参り、と聞いたことがある、この場所に祀られている物に、願いをするのだと
良いのか、ここで願いをする、ということは、相応の願いが必要ということだ
生半可な気持ちで、行くべきではない、と思うが……


【返すのは堅苦しい言葉、彼もまた目的をよくは理解していない】
【けれども一緒に行こうという言葉に対して否定はしなかった、貴女が行くのであれば付いて行くぐらいはする】
【真意は掴めない、けれども、その言葉はただ純粋で――――――】
967 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/05(日) 21:53:49.40 ID:QIAUCl4k0
【とある街――広場】

【黒く暗い色が空一面に広がっている】
【街灯がこの広場を明るく照らしてはいるが人はいない】

 ふむ、年明けとはいえ我々には関係のない話か

【一人の男がベンチに頬ずりしながら座っていた】
【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

 まあ、今日くらいは平和にすごしてもいいはずだ
 だが、いずれこの平和も吹き飛ばされるのだろうな

【一人心地でそのように語りながら誰もいない広場を見渡す】
【そして誰もいない広場を見わたしたあとに頬ずりを再びして思考の海に沈んでいった】
968 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 22:01:51.60 ID:nwfp4q7So
>>964

【――――時間にして、20秒前の話になるか】

【新年に活気付く街中。あちらこちらで賑やかな声が上がっているが、笑い声と悲鳴では流石に質が異なりすぎて、隠れてしまうこともなかった】
【ひとつの悲鳴を中心に、人混みへ動揺が波及していく。あっという間に人の輪が出来上がり、転がる異変≠囲い込むのだろう】

あーはいはい、どいてどいて! ちょっと通してー!

【その恐怖と興味の円で囲われた領域へ、ずかずかと歩んでいく人影があった。左手を天に掲げ、人だかりを押し退けて中心へ進んでいく】
【――――褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、二十代ぐらいの女だ】
【髪型は活発な印象のセミロングで、長い後ろ髪をたてがみのようにハネさせたワイルドなアレンジが加えられている】
【服装もまたワイルドなもので、上は暗い赤色のチューブトップと白色で丈の短いファー付きコートを合わせたヘソ出しの格好】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツという、少しばかり目のやり場に困る露出度の高い服装だ】
【季節感も何もない無駄に派手な風貌、怪しさ満点といった所だが――――女の姿を見た人々は、以外にも大人しく道を開ける】

こらっ、もう、どきなさいったら! 緋色の鷹≠フお通りよ!

【それは何故かと言えば、大きく掲げた左手の袖の部分に、SCARLET≠フエンブレムが大きく刺繍されているからであろう】
【掌にはボクサーのようにバンテージが巻かれていて、腰に巻かれた鉄製の防具が歩く度にがしゃがしゃと物々しい音を立てている】
【見た目はどうあれ、いかにも戦闘に秀でていそうな雰囲気。それが、左袖のエンブレムにも多少説得力を持たせていた】

【…………さて。その女は騒ぎの中心に到達すると、その異変≠ェ他愛ないものなのか、あるいは血塗れたものなのか、すぐに確認し】
【前者なら拍子抜けといった様子で、後者なら一瞬顔をしかめた後に目つきを鋭くして、どちらにしても女は顔を上げるだろうか】


(ん、あの子…………?)

【そして――――ここで話は、現在に戻る。女は少し離れた場所に、周囲の人間からはいささか浮いた雰囲気の少女を発見し】
【無線機を取り出して仲間に一言連絡を入れると、また人混みを押しのけてその後ろ姿を追っていくだろうか】
【尾行、にしてはかなり大雑把な歩調だ。少女が人気のない場所に移動しているなら尚のこと、気づくのは難しくないだろう】
969 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 22:28:42.72 ID:Fj3h9H9Qo
>>966

【笑う時は笑い、泣く時は泣く。喜ぶ時は喜び、拗ねる時は拗ねる。それは彼女にとっての当たり前】
【感情というものは、ほんとはもっと細かいものだけれど――理論なんて彼女にはわからない】
【だから】


んー、そっか。なれないなら仕方ない、かにゃ?


【素直になれない、というのも彼女にはわからなかった】
【彼女にしては歯切れの悪い言葉は、それを仕方ないで済ませていいのか迷ったからで】
【逸らした顔、流し目で注ぐ視線は――騎士の感情を、心の中を覗こうとしているようにも、見えるかもしれない】

【影に移動する騎士の配慮に、果たして彼女は気付いているのだろうか】
【きっと彼女は冗談半分で眩しい≠ニ言ったのだろうけど――】
【それを真に受けるところも、また純粋なのかもしれない】


あるよ、とっておきの願いがあるにゃ
あれ、むしろ皆同じお願いごとをしてるんじゃないのかにゃ?


【生半可な気持ちで、と言われたにも関わらず彼女は即答した】
【それだけ強い願いがある、ということなのだろう】
【どうもまた何か勘違いしているようだが……】

【ともかく、行かなければ願うこともできない】
【彼女は半ば強引に騎士の手を引くと、列の最後尾へと向かうのだろう】
970 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 22:32:55.73 ID:hLAT4u19o
>>968

【騒ぎの中心、辿り着いたなら、見えるのは口から泡を吹いて倒れた男の姿】
【目立った外傷はこれと言って無いが――毒物、であろうか】

【何にせよ、事態は後者≠ナあって――――】


【それから少女の後を付いて行ったなら、やがて至るは薄暗い路地】
【彼女の姿を見るや、猫や鼠が急いで隠れていくが――人の姿が、無い】
【しかし、探す必要も無い。何故ならば】

尾行ならもう少し、気配を消した方が良う御座るな。
せめて拙者くらい……というのは少し修行が必要で御座ろうが、もう少しは何とかなるかと。

【彼女の後ろ、スタッ、と上から跳んで降りて来たのは件の少女】
【微かに纏う血の臭いを感じ取る事が出来たなら、出来なかったとしても一連の動きから考えて、】
【少女がただの一般人であるとは、とても思えないであろうが――――】

……して、何故拙者の後を尾ける様な真似を?――――しかも、SCARLETのメンバーが。

【口元に薄い笑いを浮かべて問い掛ける様子は、しらばっくれている様であって】
【それでいて全く何も知らない、という風にも見えなくはないだろうか】
【小柄な体躯から向けられる上目遣いは、挑戦的なものであった】
971 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 22:40:09.15 ID:V3ybWZFY0
【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【その、中庭。冬と言う事もあり、普段ならば人は皆無と表しても良いのだが――――今宵は、一人の少女が居て】

【足を悪くしているのか、車椅子に乗り。辺りに積もる雪と同じ様な、汚れを知らない白銀の髪。何より特徴的なのは、額に生えるその角か】
【一人空を見上げ、何を考えているのかは分からないけれど――――】


「冬…………雪は、良いのです。穢れも何も全部白に染めて、隠してくれるのです
ただ――――ただ。寒いのです」

【ズズ、と鼻を啜る音。寒ければ院内に戻れば良いのに、其れをせずにこの場に居たいという我が儘】
【看護師や医師が連れ戻しそうな気もするが…………何分、この少女は問題児として有名で】
【下手に連れ戻そうとして、ギャンギャンと喚かれてた仕方ない】
【故に、時折様子を見る事はしても直接声を掛ける事は無く】

【――――さて、何者かが近づけば少女から発せられる“聖”の魔力に気付くであろうか】
【その角と、魔力と。興味を引き出させるには十分かも知れないけれど…………】
【それ以前に、見られているとこの少女が気付けば。やけに攻撃的な視線が送られて】








【イルミネーションに彩られた街の中】
【年も明け、浮かれ気分で歩いている人々や酒に酔って千鳥足で歩く人も珍しく無く】
【そんな中、パンの入った紙袋を抱えて歩く修道女の姿はよく目立つ事だろうか】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも年明けに話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば去年も大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとして】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】
972 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 22:41:23.33 ID:SW54zCnyo
>>969

【見上げる少女の流し目、右手が揺れる、透かした白の奥に映る黒の景色】
【猫耳と尻尾の少女はきっと、普通の人間じゃない、それは分かっていたけど】
【言の葉をひらひらと指先で辿る姿は、可憐なただ一つの少女の姿】


……心は磨り減り、摩耗する、心の終わりは即ちその人物にとっての死だ
素直になることは、自分の心と真っ直ぐに向き合うことだと、私は思う
これ以上私は、擦り切れた心を――――――見たくないのだろう

仕方ない、という言葉で片付けられない、ただの私のワガママだ
すまない――――――猫の少女よ


【掌が溶けた、出来るなら貴女の黒い髪をその掌でなぞろうとする】
【篭手に包まれた手は大きく、甲冑と同じ白で染められた形は固く】
【きっと何よりも、誰よりもずっと、不器用の掌だったに違いない】

【それでも、思いを伝えたかったすまない≠フ一言を強く伝えたくて】
【一回、二回と、撫でようとする指筋、とても不格好で不細工な撫で撫でだろうけど】
【その奥一筋、残る心を、忘れてほしくはなかった】


っ……そうか、なら、私の言葉は余計だったな
非礼を詫びよう、そしてこれは、その償いだ

離すなよ、この手を、そして、信じてくれ、私を――――――

――――――Eternal Tears of Solow


【表情は読めない、仮面の下の素顔は、月光すらも差し込ま無い夕月】
【けれども、貴女なら分かるかもしれない、その奥の彼の姿が――――――】
【小さく微笑んでみせたように、感じることを、辿れるかもしれない】

【できるなら引かれた手を握り返し、そのまま強く握りしめようとする】
【そしてその手を伝って、触れる柔らかな雫が一つ】
【貴女の手の甲に零れ落ちたそれが涙≠セと気づいたなら】

【まるでワープしたかのように、一瞬で列の最前へと出現するだろう】
【恐らくは彼の能力――――――それによって、一番前、直ぐ前に賽銭箱がある位置までワープしようと試みる】
973 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 22:55:04.31 ID:Y8vKqtR1o
>>971
【かつん、かつん。がさり、ごそり。中庭に入り込む気配が有った】
【そこに居たのは白い頭髪を逆立てた青年だ。本来あるはずのシルエットの一部が欠けている青年は少し不安定な動きで】
【降り注ぐ雪の源泉たる夜天を見上げて――、白い息を吐き出し、直後】

「――うっわ……寒っ……! なにこれ、寒っ……!?」

【歯の根をかちかちと震わせながら、なんとも締まらない声を発するのであった】
【そして、車椅子の少女を見ると、この子が先ほど看護師たちが言っていた困りものの少女なのだろうと、納得】
【僅かに異能――少女のそれと正逆の気配――を発現し、震えを強制的に止めつつ、近づいていく】
【攻撃的な視線を向けられても、一向に揺らぐ様子のない――隻眼を向けて、僅かに笑みを浮かべ】

「寒くねーか? さっき外から結構心配そうに見られてたけどよ」

【と、なんというかおせっかいな様子を見せつつ、馴れ馴れしく話しかけるのであった】
【外見こそ隻眼隻腕で、白髪を逆立てた少しばかり近づきがたい外見ではある青年】
【しかしながら、雰囲気や気配を読めば――同しようもないお人好しであるということが分かるかも知れなかった】
【そして、そんな穏やかな雰囲気の反面、青年の肉体からは狂気や邪気と行った、聖性とは程遠いものも発せられている】
【何処と無く普通ではない、異質な青年は、しかしながら敵意や攻撃性を見せることは無く、角や外見を気にする事も無く。心配そうに少女を見下ろすのだった】
974 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 23:04:41.29 ID:nwfp4q7So
>>970

(ちっちゃくてかわいい子ねぇ)

【…………というのが、女が少女に抱いた最初の印象だ。この女、大の子供好きだったから】
【人混みの中で少女を見つけられたのもその辺りが大きい。もう一つ理由を挙げるなら、その立ち振る舞いが知人と似ていたからか】
【泡を吹いて倒れていた男の姿が脳裡を過ぎる。仲間はすぐ駆けつけるだろうが、少女が女の思ったとおりの人種なら、恐らく間に合うまい】
【まさか、あんな可愛い子が――――という疑念に突き動かされ、その後を追っていくと】

尾行とかさー、そういうかったるいのって性に合わないのよね。
それに…………忍者≠チてヤツでしょ、お嬢ちゃん。本気で後を追えるとも思ってないわ。

【一瞬の空隙に、背後を取られた。その手際、その口調に、女は少女がその手の道のプロである事を確信する】
【くるりと振り返ってみると、先行する印象はやはり「可愛い」であった。血の臭いさえ無ければな、と女は内心で残念がって】
【挑戦的な上目遣いに、金色の視線をぶつけるだろうか。ひとしきり全身を眺めた後、不敵な笑みで言う】

さっきあっちの通りで、男の人が泡吹いてぶっ倒れる事件があってさ。
あたしの見立てじゃ、ありゃ毒物ね。やりようによっては、そう…………あなたみたいな可愛いお嬢ちゃんでも殺せちゃう手口。
…………悪いんだけどさ。ちょーっとお話、聞かせて貰えない?

【一見友好的なようでいて、警戒と敵意の隠し切れていない語調。尾行のこともそうだが、腹芸は苦手なようだ】
【そしてそれは、完全にそちらを疑っている――――忍者≠ニいう名の暗殺者の手口を知っている。そういう口振りでもあった】
【女は無遠慮に少女へ歩み寄ると、自身の左手を伸ばして、勝手にそちらの右手と手を繋ごうとするだろうか】
【もちろん、繋がれる前でも繋がれた後でも、抵抗はごく簡単であるが――――】
975 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 23:13:19.32 ID:V3ybWZFY0
>>973
「…………ふん。寒い寒いと言いながら出てくるのは阿保しか居ないのです
病院で風邪を引けば馬鹿なのですよ。でも、馬鹿は風邪を引かないと言うのです
だから、少しでも知性があるならさっさと戻ると良いのです」

【笑みを向けられようと、少女のその視線が薄れる事は無い。寧ろ、出てくる言葉はトゲトゲしい物ばかり】
【纏うのが聖であっても、性格がコレならば――――どうにも、疑いたくなる事か】
【やけに高圧的な態度であって、言葉を投げたならばもう一度視線は空へと向けられるのだろう】

【――――しかし、寒いと言いながら出てくる者は阿保。なんて言っているけれど】
【この少女もつい先程寒いと言ったばかりであって、しかも鼻まで啜っていたのだ】
【と、なれば。誰よりも阿保なのはこの少女。得意げに語りながらも鼻を啜る姿は様になるはずも無い】


「冬は寒いものなのです。でも、寒くなければ冬では無いのです
…………それで。私と相反する様なお前が何のようです?
新年早々に邪が側に居るのは縁起が良いとは言えないのです」

【心配そうに見られているにも関わらず。返されたのは、やはりキツイ口調の其れ】
【ただの傲慢な子供――――に見えて、感覚は鋭いらしい。青年の抱く物に気付けば、夜空からジロリと視線を移行させて】
【ふん。と鼻を鳴らすけれど、警戒している様子も無い。青年が敵意を見せなかったから、と言うのが一番大きいのだろうけれど――――】
976 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/05(日) 23:22:38.63 ID:Fj3h9H9Qo
>>972

【彼女の眼は――完璧≠カゃない。いつしか出会った人形の人でもない限り、完璧にはなれない】
【人間の眼として扱うなら、普通のひとよりも優れたものを持っているのだろうけど、猫としては中途半端】
【だから見れない――心の奥底、相手の感情のかたちなんて】


……。


【でも、ほんの少しだけ、これを表す言葉を猫は持ってないけれど、彼女は騎士の感情が見えた気がした】
【だからだろうか、普通なら頭を撫でられれば嬉しいはずだけど、今は心地よく思わなくて】
【むしろ――彼女はどこか悲しいとさえ、感じたのだろう】


【――その笑みを、彼女は見たのだろうか】
【言葉で触れることは無かったから、どちらかはわからない】
【でも、つられるようにして、彼女も小さく笑みを浮かべたことだろう】


…………にゃ? あれ、どうなったんだにゃ?


【次の瞬間に、彼女たちはワープする。周りが驚いたことは言うまでもない】
【賽銭箱の前まで来たとわかると、彼女はきょろきょろと周囲を見渡して、それに倣おうとする】
【やがてポケットから硬貨を取り出すと、賽銭箱に投げ入れるだろう】

【そしてパチン! と手を合わせると願い事を――】


――――――さいきょうの猫になれますようにッ!!!!


【別に叫ばなくてもいいのだが、叫ぶのだろう】
【……そういえば、騎士は願い事をするのだろうか】
【願い事をして満足をした猫は、ふとそれが気になって、彼を見遣るのだろう】
977 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 23:25:38.25 ID:Y8vKqtR1o
>>975
「悪ぃね、俺アホだかんよ。
……って、そういう事ならお前さんもアホって事になるんだけどそれ良いの?
ちなみに俺は風邪引くぞー、そりゃもうガンガンな」

【マウンテンパーカーの下には、何枚か着込んでいるようで服装的にはそれほど寒そうではない】
【だが、もともとそれほど身体が強いわけではないようで、顔色の悪さなどは生来のものと感じられただろうか】
【鼻を啜りながらの少女の発言を前に、特に気を悪くする様子も無いのは持って生まれた性格ゆえか】

「ほれ、鼻すすりすぎると蓄膿症なんぞー」

【ベルトポーチからポケットティッシュ――宣伝つきのどこにでもあるそれ――を取り出し、少女に差し出す】
【ポーチには何個かのポケットティッシュがひしめき合っているようで、要するに在庫処分一斉セールという事だった】
【少女の寒そうな様子を見つつ、マフラーを外し、それもまた少女の膝元に放り投げる】
【行動こそそっけないものの、寒そうな少女を放っておけない程度の優しさは有るようだ】

「いや、外で看護師さん達心配そうに見てたからさ。
こんなに寒いのに外でっぱだと風邪引くだろうし、ちょいとおせっかいでも――って思ってな。
あと、縁起についちゃもうどうしようもねーな、不運に関しちゃちょいと自信があるレベルさ。
……ま、アレさ。逆に俺が不幸持ってくって事で、勘弁勘弁」

【狂気や悪意の気配は、青年のベルトポーチや、眼帯の奥から発現しているもの】
【しかしながら、無軌道な気配を感じさせないそれは――、青年が制御していることの証左であって】
【少女の歯に衣着せぬ物言いには苦笑を隠せないが、そこで怒らない辺り、割りと何言っても大丈夫なタイプの人間である】
【はー、と白い息を吐いて、ふと視線をずらしてみれば、自販機が見えて。少しふらつきつつ自販機まで歩いて行き、ごうん、と一つココアを買う】
【自販機の方からココアを振る青年。どうやら、何か飲むかと聞いているようだ】
978 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 23:33:46.41 ID:SW54zCnyo
>>976

【もし自分に娘が居たなら、このような感じなのであろうか、とその横顔を見て思った】
【表情豊かな猫の少女、その愛らしさは日輪が如く、明るくそれでいてまっすぐで】
【周囲の喧騒を他所に彼は気にしないといった様子で、貴女の願いを聞いていた】


……帰りは使うまでもない、多用は、自分の身を滅ぼす
さいきょうの猫、か……良い願いだと、思うよ


【歩き出す彼の背中、貴女の願いを聞き入れたなら、道から外れてその場から離れようとするのだろう】
【言葉はぎこちない、単純なコミュニケーションをとるのに、不便を感じるぐらいには】
【他者を褒めること、そんな何気ない行為が、とても遠く感じてしまって】

【少女の期待には沿えないのだろう、彼は、彼自身は何も願い事をせずに】
【雑踏の喧騒から離れて、ただその白を揺らめかすことしかできなくて】
【周囲に溢れるのは活気と、それでいて香ばしい香りが、少々――――――】


……言っただろう、この場所に祀られている物に、願いをする、と
願いとは頼ることだ、その事に対し、とやかく言うつもりはない――――――だが

私の願いは、私の問題だ、私の手で、全て叶える
願うことも、望むことも、祈ることも、私の用いることではない


【視線が背中に刺さった、返す言葉は貴女の心を読み取ってかの言葉】
【願い事が無いというわけではない、けれどもそれは、己が手で実現すべきこと】
【それを知っているから、彼は願い事をしなかった、自身を信じていたかったから】

【ある程度歩いたなら踵を返すのだろう、長いマントが翻り貴女を向き直る】
【語りかけるような言葉が消え、そこに在るのは、異質な白き騎士】
【向き直る彼の視線は、一体どこへと溶けているのであろうか】
979 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 23:34:13.24 ID:luUsQqhSo
>>974

【20秒やそこらでああなるのだから、毒の回りはなかなかに速いと見ていい】
【倒れてすぐに、毒を抜く事が出来たならどうとでもなるだろうが……】

【下手人は、より確実に仕留める為に毒を選んでいる。彼女の予想は、きっと当たるだろう】


【伸ばされた彼女の手は、そのまま右手で払い除けて。見た目通り、力は強くはないけれど】
【その動きに無駄は無く、その間も左腕はいつでも短刀を抜ける、といった具合】

毒物によるものであるなら、もう少し警戒すべきでは御座らんかな?
拙者がその犯人なら、手の中に毒針が仕込んである可能性もなきにしもあらず。

まあ――――推測通り、拙者も一人の忍者。それくらいの事は想定すべきだ、という事で御座るよ。

【一歩を下がる。詰められた距離を再度開く様に】
【疑われている事は重々承知の上、それでも尚、尻尾は見せず】
【相も変わらず薄い笑み、掴ませぬという意思の表れで】

話は別に構わんが、どうも胸のある女は苦手で御座る。
出来れば……触れないでほしいで御座るな。

【しかし、即座に逃走を図る訳でもなければ、襲い掛かる訳でもない】
【やるなら、こちらもやる――窺えるのはそんな様子ばかり】

【それでも、一歩を下がった事により大通りの側へと少し、近づいていて】
【この小柄な忍者、そちらに逃がせば厄介なのは言うまでもない】
980 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 23:48:03.95 ID:V3ybWZFY0
>>977
「ふん。なら、高熱でうんうんと唸っていれば良いのです
――――わ、私は阿保じゃ無いのです!阿保と言う方が阿保なのですこの阿保!」

【阿保という方が阿保。その言葉が事実ならば、先にその言葉を述べたこの少女こそが真の――――…………】
【悪態は多々吐いても、墓穴を掘る姿は虚しいであろうか】
【ティッシュを受け取りつつも、ふんとそっぽを向いた時。丁度膝に掛かったのは件のマフラーで】

【子供の様に――――と表せば、子供なので語弊が在るが。幼い子供の様に頬を膨らませた】
【くしゃくしゃと丸め、投げ返してしまおうかと思ったけれど。其処に宿っていた仄かな暖かみを手放せず、それでも巻いて体温を保持するのも癪で】
【結局は、そのまま膝掛けのようにしている事か。背中は車椅子の背もたれで守られ、更に小柄なれば…………マフラー一つでも十分なのだろう】


「…………あの馬鹿達は心配しすぎで窮屈なのです。自分の管理くらい、自分で出来るのです
まるでお前はひな人形みたいなのですね。だったら、凍える川に流すのです
数百年後に発見されて解凍されれば良いのですよ」

【愛想良くして貰っているにも関わらず――――恩知らずな少女は、ただ棘の含んだ言葉を吐くのみ】
【ただ、ココアを購入する姿は何処か羨ましそうに見ていて、自分にも何か買って貰えるとなれば表情をパっと輝かせた事だろう】
【それも、たった一瞬の出来事であったが。慌てて取り澄まし、不機嫌な表情を作ればキィキィと音を鳴らしながら近寄って】

【何かを告げる事も無く、ボタンに手を伸ばす――――が、届かない。狙う先は最上段。少女の座高では、中段までしか届かないのだ】
【指先はミルクティーへと定められているが、幾ら力んで顔を赤らめた所で届かないものは届かない】
【――――助け船を出してやるのも、からかってやるのも。其れは、青年の自由であって】
981 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/05(日) 23:57:19.00 ID:Y8vKqtR1o
>>980
「それな。俺も昔は良く世話焼かれてたけどよー、連中の思ってるよりできることは有るもんだ。
……でもよ、心配されてもらえる内が花なんだからよ、感謝だけはしとけよ。俺にはおせっかいだから要らねぇけど」

【少女に説教するでもなく、肯定しつつ、それでも感謝の気持だけは忘れちゃならないと釘をさしておく】
【外見こそとんがっているが、中身は案外穏やかな青年は、そのままココアのプルタブを開けて一口含み】
【わずかに口元をゆるめて、先程より濃厚さを増した白い息を吐き出して】
【眼下で腕を思い切り伸ばしてミルクティのボタンを押そうとする少女を、なんとも言えない顔で見るのだった】

「出来ることは自分ですりゃいいけどよ。
出来ないことは出来ないつっても良いんだぜ? ……で、どうしてほしい?」

【ここで自分が気を使ってボタンを押す事も出来たが、青年はあえてそれをしなかった】
【このまま少女が誰にも頼らないのなら、それはそれで困りそうだと思ったからだ】
【できる事は自分でやるのが当然。だがしかし、出来ないことは出来ない、それは恥ずべきことではないというのが青年の持論】
【だからこそ、青年は問う。どうしてほしいのか、と】

【青年の手元にあるココアはとてもあたたかそうで、この寒空の下ではその暖かさと味わいは幸せを与えるだろうもの】
【妥協して手の届く飲み物を買うか、ミルクティを買おうとするか。それは少女の自由だろう】
982 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 00:08:24.23 ID:0ZsCtF+1o
>>979

ご忠告ありがと、優しいのねぇ。

【弾かれた手をぶらぶらと振りながら、それを怒るような素振りも見せず、女は戯れ言を口にして笑う】
【それから――――その手を、腰元に。鉄製の腰当ての上にはリングのようなものが取り付けられており、その輪の感触を指で確かめる】
【一歩、さらに一歩と近づいて。開けられた距離を再び詰めるように、だんだんと歩調を早める】

…………ぷっ、何よそれ、女ってのは胸があるもんでしょ?
お嬢ちゃんのはまあ…………ほら、あと二、三年すれば大きくなるって、たぶん!
何なら――――、

【少女の言葉を受け、女は右手で無造作に自分の胸を持ち上げながら、おかしそうに哄笑する】
【些かばかり下品で、些か以上に短絡的。そういう女だ、こんな腹の探り合いのような事もそう長くは続けられない】
【見た目から完全に相手を子供扱いして、女は最後に励ましというにも無責任すぎる適当な言葉を放り――――】
【――――瞬転、歩みを走りに変え、疾駆!】


《 阿修羅ノ御手( マハー・ハスタ・アスラ )》ッ!!


【その瞬間、女の両手と背中に赤い輝きが灯る。女のシルエットが、人を越えて揺らめく】
【自身の両腕が朱色の光を纏い、更にその背から、同じ朱色のエネルギーで構成された腕≠ェ四本、ずるりと生えて――――】
【同時、女は跳躍。その際、下段の二本腕も地面を殴りつける。両足両腕、四つの力を得た女の体は宙を舞って、少女を飛び越すだろうか】
【これが成功すれば、女は空中で体の向きを変えて着地、少女と大通りを分断するように立ちふさがる事になるだろう】
【ゆらり、と六本腕≠ェ動く。通せんぼをするように、路地を塞いで。それから女は、そちらへひとつウィンクをして】

――――何なら、お姉さんが揉んで大きくしてあげましょうかっ!!

【再度、地面が蹴られる。口から漏れるのは下品でふざけた物言いだが、少女を力づくで拘束しようとする意志がそこにはある】
【女は上段の二本腕を少女に覆い被せるようにして大きく上へ伸ばし、抜け目なく上を飛び越されないようにしつつ、残る四本を動かし】
【下段の二本と自身の両腕を左右から囲い込むように伸ばし、少女の体を抱き締めて捕まえようとするだろうか】

【この六本の腕、女自身の両腕も含めて、腕力は相当高い。完全に捕まってしまえば、力だけで抜け出すのは難しいかもしれない】
【幸い、動作自体に反応できないほどの速度はない――――回避や迎撃も十分可能な筈だ】
983 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 00:17:55.94 ID:+DLwEtCOo
>>978

【少女は確かに騎士を見たが――彼はどうやら願い事をしなかったようで】
【ただ、自分の願いを聞いていたのだろう。次に見るのは白い背中だった】
【彼女はその背中を追いかけて、列から出る】


でしょ? あたいはもっともっと強くなりたいからね


【それだけを返すと、彼女は彼の背中を見つめながら次の言葉を紡ごうとするのだろう】
【あんたはどんな願い事をしたのか――と。けれどその問いは、途中で遮られてしまう】
【まるで心を見透かされたかのように】


……あたいだって、全部全部お願いするわけじゃないにゃ
ただあたいは、櫻の国のようかいぱわーが欲しかっただけで……


【言い訳じみた言葉は決して茶化しているのではなく、彼女なりに真面目にお願いしたのだろう】
【さっきの勘違いはこれだったようだ。祀られているもの=妖怪パワーをくれるもの、と認識していたのだろう】
【責められているように感じたのか、段々と彼女の言葉から力強さがなくなってゆく】

【でも、騎士が言っていることもまた正しい。本当の願いは、自分の手で叶えるものだ】
【すっかり垂れたしっぽのまま、彼女はその背中を追うのだろう】

【やがて騎士は振り返る。彼女も足を止めると、彼の次の言葉を待つのだろう】
【この不思議な騎士が語る、次の言葉を】

/遅すぎですね…すみません…
984 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 00:18:17.75 ID:sHndcw8Z0
>>981
「…………私は誇り高い種族なのです。人間の手を借りなくても、全て出来るのです」

【角に、聖に。少女が人間と異なる種族である事は明白】
【伝記にはとある生物は気性が荒い、何て記されているけれど――――】
【正体が何で有れ、少女はプライドが高いのであろう。其れ故に、傲慢な態度となる】

【やがては、ピッと機械音。ゴロンと音を立てて転がってきたのは…………ミルクでは無く、レモン】
【手に取ればキャップを回し、一口分喉の奥へと流し込んで】


「――――別に、どうもして欲しく無いのです
全てが出来る様にすれば良いのです。私だって、元は歩けたのです。ならば、何れまた歩ける様にすれば良いだけなのです」

【プライドが高い故に、枷となる。頼らずに生きていくのは、余程強くなければならない事。無論、孤独に打ち勝てなければ其れを得る事すら叶わない】
【暫しの沈黙。誤魔化すかのように、ふふん。と得意げに笑って見せるのであった】
985 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 00:30:11.96 ID:HiOCgvnJo
>>984
「誇り、ねぇ。俺なんか種族関係なしに誇り低い人間だからよ。
もうできる事は力いっぱいだけど出来ねーことは出来るやつにやらせちまうからなあ。
……ま、アレよ。プライドとか割りと邪魔な気もするけどな、それが譲れないなら譲れないなりに頑張りな、なんにも出来ねーけど応援だけしとくし」

【誇り。久しくそんな概念とは、向き合ってこなかった気がする】
【目的のためなら泥さえ啜る。栄光も要らない、評価も要らない。そう思ってきた青年には、誇りやプライドは、無い】
【だからこそ、逆に誇りに拘る頑なさを持つ少女の傲慢さは、己の持たない者故に、少し眩しく見えた】

「……そりゃまあ、全部できりゃいいけどよ。
なにも頼らないで、全部独りで出来る奴って、それもう神様くらいじゃねーの?
この世界に確り足ついて生きてくなら、誰にも頼らないで生きてくのなんか、実際無理と思うんだけどよ」

【現実という刃。それが言葉となって、少女に突きつけられるだろう】
【冷めた瞳は、夢を宿さないわけではない。だが、現実の上に誰もが立っている事を、青年は口にする】
【そして、この世界で、人類が多くを占める社会に於いて生きていくということは、誰かに頼らなければならないことだと、青年は思う】
【左目を細めて空を見上げ、ココアを一口すすり。数秒の間を開けて、また口を開き】

「……ただ、それでも自分でやろうとするのは、ある意味偉いと思うよ。
妥協しないってのは、中々できる事じゃないしな。
色々折り合いつけまくってる俺からすると、ちょいとそういう馬鹿な生き方――羨ましいからさ」

【それでも。その誇り高さや、その有り様は基調なもので尊いのだと青年は思う】
【年若い少女特有の、青い理想かもしれないが。その意志の強さは、好ましいものだ】
【いつか現実と直面するのかもしれないが、それまでは今のままでも悪くないのかもしれない】
【己も、かつてはがむしゃらに世界に向き合っていた時期が有った。今も意志は変わらないが、向かい方は変わっていて】
【少女のその、生き生きとした様は、少しばかり昔の己を思い起こさせる様で。微笑みが、思わず漏れる】
986 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/06(月) 00:37:28.44 ID:BI3Ks5iCo
>>983

【責めるつもりはなかった、責めるとすれば自分自身に対しての戒めだけだから】
【取り繕う言葉は浮かばない、こんな時、自分の言葉に自信を持てない自分が嫌になる】
【夜の風、冷たく溶けた頬の感触が、どうしようもなく悲しく思えた】

【溢れ出る言葉、語りかける言葉は、絵本の奥の誰かじゃなくって】
【真っ直ぐに、目の前の貴女に向いた響きになるのだから】
【白縫の仮面、そこに浮かぶ表情を、秘密のままにはしていられなかった】


勘違いするな、私は君を責めているわけでは、ない
願うこと、祈ること、頼ること、それらの行為を気負う必要はない
特権だ、それらは、何かを求める者に赦された――――――特権なのだ

それをしないことで責められることはあっても、それをすることで責められることはない
願いを持ち、それを他者に預ける事ができるのは……強さだ、君達の持つ、誰にも負けぬ強さだ

――――――私は違う、私は……私の願いを、他者に託すことはできない
それは弱さだ、他者を信じ、頼ることのできない、私のどうしようもない臆病な心が故の弱さ

ならないでくれ、君は……こんな弱い人間に、ならないでくれ
他者を信じ、他者を頼り、他者と共に、己が人生を進む者に、なってくれ

それが願いだ、私の――――――託すことしかできない、願いだ


【夜風に靡くマントの切れ端、白が染め上げる騎士の姿は貴女にどう映るのであろうか】
【彼にとっての貴女は、眩しく、それでいてとても、羨ましい存在であった】
【自分に素直に、そして明るく振る舞える貴女に、彼は憧れる】

【長き言葉は忠告か、はたまた戯言か】
【伝わる形の意味合いは知らない、それが正しいかもわからないけれども】
【自分に与えられた役割を果たした、とは思えないわけではなかった】


白=ォaKU>――――――それが、私の名だ
会えるかは分からない、だが、いずれまた、どこかで巡り会おう
私の歩む旅の先が、君の軌跡に繋がれば、それで良い


――――――Eternal Tears of Solow


【HaKU――――――ハク、と彼は名乗った、その名乗りは別れの名乗り】
【最後に一回、一歩前に踏み出して、右の手のひらを貴女の頭の上に乗せようとする】
【篭手に包まれた無骨な手、温かみも柔らかさもないけど、彼にできる精一杯だから】

【そして、一歩下がったなら、マントを翻す、波打つマントの水面に彼の身体が溶けていく】
【翻したマントを身体にまとわりつかせ、するりとその中へと姿を消す】
【後に残るのは残響、彼の居た名残が消えたなら、言葉の残響だけが、夜に響き続けているのだろう】


/いえいえ!お時間に関しては気にしてませんよーっ!
/ただ区切りが良いのでこの辺りで!お疲れ様でしたー!
987 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 00:49:42.13 ID:yw2O9tqHo
>>982

【彼女が走り出したその瞬間、左手で弾く様にして一方の短刀を抜く】
【宙を舞うその一刀を左の逆手で握り構えて、六の腕を見遣り――瞬間、立ち位置が逆転】

拙者はもう17……あまり子供扱いしない方がいいで御座る。
それからその胸……――――

【くるり、軽い身のこなしで反転しつつ、一歩を路地の奥へと後退】
【更に彼女の接近に対して即座に後ろへ身を跳ばすものの、地面を蹴る力が違う】
【抱き締める事はできないまでも、右の腕が掴まれるだろうか】

【しかしその右手が、足下に“何か”をバラ撒いていた。彼女が踏み出した足を着く、その場所を狙って】
【それは撒菱――――ではなく、ビー玉。たとえ底の厚い靴であろうと拘らず、足下を危うくするものだ】

――――ムカついたから削る≠ナ御座るよ。
泡沫の夢=\―――!

【内容の割に怒気の見えない言葉を紡げば、身体の横に構えた短刀と、脇腹とが作り出すその隙間=\―――】
【そこから突然、シャボン玉の様な泡≠ェ溢れ出す!それらは触れた物を『ほんの少し』、“削る”のだッ!】

【発動者は対象とならない親切設計だが、彼女に向けられたそれらは親切とは程遠かろう】
【身体の反らしの調整により、だいたいの方向としては顔から胸といった辺り】
【しかし忍者に卑怯も何も無い、顔を狙う事にも躊躇は無かった】


【――――路地の奥側から、人の足音が聞こえた】
【近付いてくる様なものであるけれど、敵か味方か、果たして――――】
988 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 01:03:23.05 ID:+DLwEtCOo
>>986

【ゆらゆらと、心の形が変わるのがわかる。いや、魂が震えていると言った方が正しいか】
【そして今――彼が何を言っているのかを理解した。彼は、ハクは、自分のことが――】


シルバーキャット、銀猫、それがあたいの名前だにゃ
覚えていてくれるなら、また会おうにゃ


【頭に触れた手の感覚に、目を細めて、名乗り返したならばそこにはもうハクの姿はないのだろう】
【自分は他者にはなれない。同じく他者は自分になれない】

【だけど、人は誰かに倣うことはできるから】


にゃ、もう一回だけお祈りして行こうかにゃ


【だから彼女はもう一度、列に並んで参拝するのだろう】
【願うことは自分のことではない。白い騎士が強くなれますように――と】
【それが終わったのならば、彼女も神社を後にするのだろう――】

/ではこのあたりで、お疲れ様でしたっ
989 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 01:04:10.18 ID:sHndcw8Z0
>>985
「無理かどうかは、生きてみなければ分からない事なのです
思う、で決めつけるならば、学者にでもなった方が有意義なのです」

【時には諦めが必要、妥協が肝心。それでも尚、少女は生き方を曲げない】
【人によっては寂しい生き様だという者も居るだろうし、或いはその姿を勇ましいと思う者も居るのかも知れない】
【――――いや、前者が多いだろうか。何にしたって、少女はこれからもその様に生きるのだろう】
【その果てに何を抱いて居るのかは、この少女にしか分かり得ない事】


「馬鹿、は余計なのです。――――そうやって生きなければいけないから、私はするだけなのです
…………そろそろ戻らなければけないのです。コレ、返すのですよ」

【何故其処まで拘るのか。――――何時の日か、明かされる事もあるのだろうけれど】
【ふと時計を見遣れば、もう夜更け。幾ら看護師や医師達が口出しをせずとも、そろそろ退かねば後が怖い】
【膝に掛けていたマフラーを返したならば、車椅子の車輪を漕いで】
【院内へと入る一つ手間前で、その動きも止まる事だろう】


「――――お前も風邪を引く前に帰った方が良いのですよ」

【そんな言葉を一つ投げかければ、再びキィキィと音を立てて姿を消す事だろう】
【――――最後の最後、僅かに微笑んだ気がしたが。追う事も出来ない状況なれば、確かめる事も出来ず】

/申し訳ないですが、少しばかり用事が入りましたので、〆でお願い致します……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!また機会がありましたら相手してやって下さいませ!
990 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 01:07:51.01 ID:HiOCgvnJo
>>989
「――谷山だ。近くで事務所やってるから、困ったことが有ったらいつでも頼りな=v

【去っていく少女の背に、声を投げかけて】
【受け取ったマフラーを首に巻けば、久方ぶりに己のものではないぬくもりを感じる】
【空を見上げて、己の髪の白さと雪の白さを比較して、なんとも言えぬ笑みを浮かべ】

「……んじゃ、行くかねー」

【全身をノイズが包み、右目を覆う眼帯を――左腕が剥ぎとって】
【歪な肉体を歪な力で補ったジャーナリストは、ココアを啜りながら、夜の街へと繰り出していくのであった】

/*乙でしたーッ!*/
991 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 01:24:29.12 ID:0ZsCtF+1o
>>987

【二本の左腕が、確かに少女の右手を掴んだ。女はにやりと笑い、強く力を込めるだろうか】
【痛いほどの握力は、決して離さない、と言わんばかりに。一部でも掴んでしまえば簡単、それを足掛かりに少女の体を――――】

えっ、じゅ、17!? それで!? …………っとと、ぉ!?

【何か球体のような物を取り落とした、と。気づきはしたが、少女の言葉に驚いた事もあってか、完全には回避できなかった】
【咄嗟に踏み込んだ足の着地点を横にずらすが、ビー玉を一つ踏む。ブーツ越しに伝わる感触が、がくん、と女の重心を右へ揺らがせる】
【ただ、そこは六本もの腕の面目躍如というべきか。空振りした右の二本腕を引き戻し、下段の腕を地面に付いてバランスを取り】
【ビー玉を蹴散らしながら体勢を戻すと、掴んだままの左腕二本に力を込める。このまま一気に引き寄せてやろうと少女を睨んで、】

可愛い攻撃してくれちゃって、この――――っ!? いた、痛たたたっ!!

【…………しかし。せっかく掴んでいた腕も、こうなっては離さざるを得ない。シャボン玉の大群が、顔から胸元に押し寄せる!】
【手放した左の二本腕を戻して顔を庇いながら、女は右の二本腕を腰元へ。それぞれ腰のリングへ指を掛けて一気に引き抜けば】
【抜き身の刃に包帯を巻き付けただけのような見た目の無骨な短刀が、その手に握られる――――】
【左腕二本が僅かに削れる£ノみに耐えつつ、女は胸元に来るシャボン玉を短刀を手元で回して叩き割るだろう】
【防げなかった分がチューブトップの生地を削って£々豊満な胸を更に強調する結果になるが…………それはさておき】

こんの――――悪い子には拳骨よっ!!

【女は叫ぶと、シャボン玉を突破して一気に跳躍する。そして、依然フリーのままの上段二本の手を頭の上で合わせると】
【落ちる勢いも加えて、大きく振りかぶった二本分の拳骨を、少女の右肩めがけて一気に振り下ろす――――!】
【動作は大振りだが、単純故に強力だ。常人を越えた腕力は、当たればハンマーで殴られたような衝撃を伝えるだろうか】

【――――ぴくり、と。その最中、女の耳は路地の奥から来る足音を捉える】
【気づいてはいるが、流石に確認するだけの余裕がない。どう出るかは、その足音の主次第だ】
992 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 02:02:36.36 ID:5k3SJDJho
>>991

【彼女の意外そうな声に、平らな眉がピクリと動いた。子供扱いされるのは嫌いな様子で】
【更に彼女の胸を見て眉が顰められる。豊満な胸は更に嫌いな様子】

【さておき、彼女が左の二本腕に力を込めた事により、軽い身体は前にいくらか傾いて】
【しかし、一歩を踏み込む事でそこを軸に体勢を立て直し、次の行動に備える】

――――依頼でない余計な殺しはしたくないので御座るが……
まあ、こうも挑発されては仕方ないで御座るな、うん。

【刹那、視界から彼女の姿が消える。しかし、見逃しはしない】
【跳躍したその影を双眸が捉えていたのだ。右手がポシェットから苦無を取り出して】
【両手に得物を握るスタイル。暗殺の時には用いない、戦闘時の構えを
とる】

忍相手に、そういう大振りな攻撃はどうかと思うで御座るが……来世ではもう少し勉強した方が――――

「あーくそ、近道しようとしたらすぐこれだ。ほんっと、路地裏の治安の悪さはどうにかならねえのか?」
「……って、そういうのは俺達の仕事だったな。はい、そこまでねー」

【身体を右を引いた半身にし、苦無を以て振り下ろされる拳を受け流し】
【左の短刀で一突きにしようとしたのだけれど′繧から肩を掴み、思い切り引き寄せられた】
【――――どうやら、眼前の相手に気を取られて気付いていなかったようだ。そしてその、後ろからやって来たのは――】

【黒の軍服と黒の制帽をきっちり着込み、胸元に何処かの自警団のバッジを付けた男、だ】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげの二房は長く垂らしたままにして】
【爽やかな香水の香りを振り撒きやって来た、そんな男である】

「あのさ……大通りの方でも何かあったらしいし、こんな所で喧嘩とかやめてくれよな……」
「ってあれ?SCARLET?んでその腕……もしかしてミドナって……君?」

【……どうやら、ただの喧嘩と勘違いした様子。すぐに緋色の鷹のエンブレムに気が付くけれど】
【時既に遅く、少女の姿は建物の上。こちらを見下ろす様に立っていた】

【――――しかしこの男、彼女の事を知っているようだが……?】
993 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 02:35:31.03 ID:0ZsCtF+1o
>>992

あいにく、勉強は嫌いなのよ! これで終わりと思ったら大間違い――――!

【振り下ろされた拳は、いなされて空を切る。この女は根っからのパワータイプだ、本来少女のような素早い相手は本来不得手かもしれないが】
【しかし、速さはないが手数≠ヘある――――女の腕は、まだ四本余っている。少女が苦無を構えたのに合わせ、女も左の二本に短刀を抜き】
【数打ちゃ当たる、と言わんばかりの四刀流。大味なゴリ押しだが、いかにもこの女らしい戦法だ】
【突き出される少女の苦無に短刀を合わせようと、女は腕に力を込める。いままさに、正反対のバトルスタイルが死闘を繰り広げようと…………】


…………へ? あっ、ちょっと!?

【盛大に肩すかしを喰らって、女の体は地面へ落ちる。香水の匂いに気を取られた瞬間、既に下手人は手の届かない場所へ】
【六本の腕の力があれば、無理矢理壁を登れないでもないが…………速さが足りなさすぎる。自分で追うのはもう無理だろう】
【「あー!!」などと益体のないうなり声を上げて、女は悔しそうに全部の腕を振り回す。ぎらり、と金色の瞳が恨みがましそうに光って】

今のがその、大通りの騒ぎの犯人…………かもしれない子だったのよ!!
ちょっとあんた、どーしてくれんのコラ!? っていうか何であたしの名前知ってんの!? さてはストーカー!!?

【獲物を失った六本腕の矛先は、一気に目の前の男に集中する。全ての腕が男の体をひっ掴もうと素早く動き】
【もしそれに成功すれば、男を軽々と宙吊りにして、上下左右あらゆる方向へがくんがくん揺らしまくるだろうか…………】
【本人も混乱しているのか、思考はおかしな方向へ吹っ飛んで、布地の削れて更に露出の増えた胸元を隠す事すらなく】
【話をするなら、取り敢えず落ち着かせた方がよさそうだが…………言葉からするに、とりあえずこの女が「ミドナ」である事は間違いなさそうだ】
994 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 02:59:35.52 ID:Rf3GIypQo
>>993

帰る前に一つ、教えておくで御座るよ。
――――拙者がやったのは違いない事で御座る。しかし、拙者は依頼を受けて動いただけ。
それに……依頼者の話が事実なら、あの男にもそれだけの非があったと思うで御座るよ。

まあ、そう判断できる内容でなければ暗殺の依頼は受けんのが、拙者のやり方で御座るが……
――――では、これにて失礼。拙者は丹波、フリーの忍。戦闘、暗殺、諜報で困った時は、金銭で請け負うで御座るよ。

【上方から投げ下ろされる言葉はそんなもの。最後に宣伝の様なものを添えたらその姿は闇に消える】
【そしてこれは、後後わかる話なのだが――倒れた例の男、会社の資金を着服していた罪を部下に擦り付け、】
【結局その部下は自殺にまで追い込まれたという、なかなかの“悪人”であった様で】
【『非があった』という言葉の意味はきっと、その事なのだろう】

「……あ、アハハハ……いや、こんな日もある……だろ。ほら、次があるって!な!」

「っていうか誰がストーカーだ!あの……アリギエ?だったっけ?の討伐に参加した三人を探してたんだよ!」
「それで!前に会った一人が!SCARLETのミドナって!名前を覚えてたんだよ!」

「というかやめろ!いい加減下ろせえぇーーーー!!」

【一方の自警団の男、空中でガックンガックンと揺らされ、必死に帽子を抑えながらも言う事は言って】
【ゼン=カイマでの炎獅子騒ぎ。どうやらそれに関する用件で彼女の事を知っていたらしい】
【――――平生なら食いつくであろう胸元にも気付かない辺り、視界に気を遣る程は余裕はない様だが】

【一気に騒がしくなったせいか、隠れていた鼠達が更に逃げていった――――】
995 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 03:21:27.43 ID:0ZsCtF+1o
>>994

丹波! 丹波ね、覚えたわ!
あたしはミドナ、次会ったら覚えときなさいよ! その胸揉みまくってやるからぁーーー!!

【少女から最後に掛けられた言葉に、女――――ミドナは悔しさに任せて吼える。捨て台詞は相も変わらず、明けっ開き過ぎる物言いで】
【まだ詳しい事情を知らないこの時のミドナから出る言葉は、リベンジを誓うような内容であったが………】
【後日殺された男の素性を知れば、少女の言っていた言葉も理解が及んで。ミドナの中での少女の印象も、多少改善されることだろう】
【――――それはさておき。叫ぶだけ叫んだら、ミドナも少し落ち着いたようだ。六本腕の力ふと弱まり】

…………ああ、ごめんごめん。
んで、あのでっかいライオンちゃんの時のご用事? 何よ、あんたあのゼン=カイマの関係者とか?
そのバッジ見る限り、自警団の人よね…………?

【全く悪びれない様子で全く心のこもっていない謝罪を贈り、ミドナは男を地面に下ろす。次いで、男を掴むときに放り捨てた短刀を納刀し】
【同時に、彼女の両腕に纏われていた朱色のオーラと四本腕が光を失い、空気に溶けるように消失するだろうか】
【腰に手を当てて、ようやく話を聞く体勢になる。阿修羅のような様相はどこにもない、派手な服装の女だけがその場に残っていた】
【…………この時胸元が多少破けている事にも気づくが、全部見えてないならいいや、とばかりに堂々と仁王立ちの状態だ】
996 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 03:44:22.03 ID:hzm0YB2Zo
>>995

【下ろされても暫くの間は、地べたに座り込んだまま。立たないのではなく立てないのだが】
【ふと、彼女の胸元を見たなら、『ヒュウ』と口笛を一つ、短く吹いた】
【しかし、別に凝視する訳でもなく。口を開いたらその視線は彼女の金色へと向けられる】

ゼン=カイマは行った事もねえよ……俺が宗教家に見えるか?見えねえだろ?
……そ、本職は夜の国所属の、しがない自警団員。ディハート・グリムジャックだ。

――――ああ、しがない、とは言ったけどただのヒラ、って意味でな。
俺自身が取るに足りない訳じゃないから……って、見りゃわかるか。

【落ち着いて話し始めれば、なかなかに喋る。聞いたことから聞いていない事まで喋り出して】
【一旦間を置いて、吐息を一つ。それからゆっくりと立ち上がったなら彼女よりも目線が高くなる】
【それでもやはり、しっかりと目を見て話すのは変わりなく】

ああそうそう、アリギエの事だった。
アンドレイって芸術家と知り合ったんだけど、そいつがアリギエの絵を描くのに、その三人を探してるって言うんだよ。
それでまあ、取り敢えず連絡先とか教えて貰えないかなー、ってさ。

――そんで、後一人、子供が居たって話だが……そいつについて何か知らないか?

【事情を手短に話せば、懐から取り出したのは紙製のトランプの箱】
【蓋を開けるとその中から一枚が飛び出して……彼女の方へと飛んでいく】
【見れば、電話番号と思しき数字の羅列が書き込まれたスペアカード】
【受け取ったなら、『それ、俺の番号だから』と一言、付け加えるだろう】
997 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 04:24:52.63 ID:0ZsCtF+1o
>>996

ディハート、ね。ま、確かになんかキザっぽいし、宗教家には見えないけど。
夜の国か…………確か、レギンとエインセルだっけ? その六罪王が現れたときに行ったきりだったかしら。
しばらく行ってないけど、向こうはどう? 復興とか、進んでる?

【胸元への視線は、真正面から堂々と受け止める。口笛には得意げな笑顔を向けて】
【歯に衣着せぬ物言いで、上から落ちる男の声をバッサリ切り払う。とは言えそれは素面であって、別に嫌というわけでもなさそうだ】
【ふと、ディハートの胸元の自警団のバッジを見て、ミドナは思いを馳せるように呟くだろうか】
【SCARLET≠フ一員として、その二つの事件解決の為、上司に連れ立って現地へ支援しに行ったことがあったのだが…………】
【特にレギンの起こした動乱は、まさしく地獄そのものだった――――それを思い出して、ミドナはぽつりと問いかける】

アンドレイ? 聞いたことないわね…………まあいいけど。
後一人、ってことは、私のことはねこもと君から聞いたわけか。うーん…………。
その子結局名前も明かしてくれなかったし、詳しいことは私にもわかんない。

ただ何かこう、変っていうか、尋常じゃない感じって言うか…………うまく言えないけど。
ああ、そう言えば…………なんかあの子を見て、妙に怖がってた僧侶が居たような…………?
…………何にしても、ちょっとヤバげな子だったわ。会うなら気をつけた方がいいかも。

【ミドナはディハートから受け取った連絡先を、やっぱりキザねぇ、なんて言いながら受け取ると】
【自身とねこもと、そして後一人。あの場に居合わせた最後の一人を思い出しながら、やや漠然とした語調で話すだろうか】
【戦闘中一言二言交わしはしたが、挨拶もままならないまま別れてしまった。だからミドナ言えるのは、勘に基づく推測でしかないが】
【だいたい語り終えると、ミドナは口頭で自分の連絡先を伝える。「せっかくだし今度飲みにでも誘ってよ」、なんて軽口を言った後】

【――――それから、と前置きして、伝える】

これはそのバッジを信用して、言っとくけど。
あのアリギエの件の後も、同じような巨大生物の暴走が何度かあって、同じように討伐されたじゃない?
アリギエの時にも出てきた、ゼン=カイマの第三近衛騎士団長、フレデリック=シャリエールとか言う奴――――どうやら他の暴走事件にも出張ってきて、手柄を挙げてるみたい。
まだ確証はないけど、どうにも動きがキナ臭い感じ…………この件に関わるなら、ちょっと気をつけといた方がいいわよ。

【それは自身の目で見た物と、それから別の事件に関わった少女からの情報提供を受けて、ミドナが判断した内容だ】
【情報も少ないし、まだ証拠もない。しかしミドナの勘は、先程の話題に出たもう一人≠ニ同じような香りを嗅ぎ取っている――――】
【忠告であり、箴言。もちろん明確な根拠はない――――故にこれをどう受け取るかは、ディハート次第だ】
998 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 05:08:23.28 ID:d7LABzsTo
>>997

そうそう、見えねえだろ……って、キザは余計だキザは。
んー……まあ、順調っちゃ順調なんじゃねーか?俺達が寝る時間削って働いたんだし。

【こちらが思い出すのは、また別の“地獄”。レギンの指揮による襲撃の後、大量の仕事が入った時の事だ】
【あの時は朝から晩まで――と言っても一日中夜なのだが――次から次へとルルーメンを走り回っていた】
【そんな時でも変わらず犯罪は起こるものだから、正に寝る間も惜しんで働いたものだった】

ハハハ……そりゃ、芸術とかあんまり知らな――――いや、何でもない。
ま、俺も芸術とか詳しくないから、それまで名前聞いた事無かったんだけどな。

……やっぱりそうか……あいつも詳しくはわからねえって言ってたから、そうだろうとは思ってたけど。
しかし、僧侶を怯えさせる子供、ねえ……ま、精々気を付けて探すとするさ。

【幼気な子供が巨大な怪物とやり合っているのだから、怯えるのも当然――そんな気もするけれど】
【そういう話ではない事は分かっている。それでも、最後は口の端に笑みを浮かべ、いくらか軽い調子で】

――――ああ。流石に立て続けに起こり過ぎてるのは、俺も気になってたところだ。
フレデリック・シャリエールか……そういや、アンドレイがゼン=カイマに知り合いがいるって言ってたな……
今度会ったらそのフレデリックってやつの事も何か知らないか、聞いてみるかな。
それに、アンドレイにも気を付けるよう言っておいた方がいいな。

【自警団にも、一連の騒ぎの情報はある程度は入っている】
【こちらはそれを見ての分析だったが故、フレデリックの事は初めて聞くものだったが】
【元々感じていた怪しさもあってか、彼女の話もすんなりと受け入れていた】

――――おっと、何時までも喋ってる時間は無かったんだった。
あー……でも、あっちの方ももう片付いてたりしそうだよな……

まあいいや、取り敢えず俺、行くわ。
飲みに行く時はそうだな……さっきの侘びも込めて奢ってやるよ!じゃあな!

【ふと、呼び出されていた事を思い出すが、大通りの騒ぎからかなりの時間が経っている】
【もう済んでいるかもしれないが――行かない訳にもいかないもので】
【軽く手を振りながら大通りの方へと路地を走り抜け、あっさりと立ち去っていく】
【どうやら連絡先はちゃんとメモしていた様なので、その内飲みの誘いが来る、かもしれない――――】



/遅く……というか早くまでお疲れ様でした!
999 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 05:52:42.55 ID:0ZsCtF+1o
>>998

そ…………ならいいけど。
あたしらって基本的に砂の国か水の国が本拠だから、あんまそっちに顔出せないのよね…………。

【ミドナはSCARLET隊員ではあるが、自警団員ではない。それでもあの事件の折には、しばらく夜の国に残って復興支援をしていたのだが】
【ある縁でSCARLET内のチームのようなものに参加しているミドナには、他の任務も次々入ってくる。ずっとそこに留まる訳にも行かなかった】
【だから、ずっと気掛かりではあったのだが――――ディハートの存外軽い口調に、ミドナも安心したようだ】

…………最初は、確かに力に驚いてはいたけど、その僧侶達も別に変な態度じゃなかったのよ。
ただ、そう…………討伐を終えた後になって急に、なんか変に恐れてたっていうかさ。
んー、これも勘だけど、戦闘中に何かヤバいものでも見ちゃった…………とか?

【戦闘に必死だったミドナは、結局その最後の一人の耳元にあった逆五芒星≠ノは、気づけなかった】
【気づいていたところで、強大な力を持つアリギエを前にして、そちらにかまけている余裕も無かっただろうが…………】
【ただその勘は、かなりいい所を突いている。ディハートが信用してくれれば、これもきっと手がかりの一つになるだろう】

そいつ、あたしの印象だとすんごいカタブツって感じだったけどね。ちょうどあたしの苦手なタイプ。
んで、別の事件に関わった子の話だと…………人間じゃないとは言え一応話の通じる相手を、一方的に化け物扱いして殺そうとしたらしいわ。
過激な狂信者、ってところかしら。そのアンドレイって奴がどんな奴か知らないけど、本当に、気をつけなさいよ。

【フレデリックに関しても、別の事件で得た情報も交えて更に情報を付け加える。普段の快闊な表情も、いまは成りを潜めて】
【本当に、と少し強調した言葉は――――フレデリックと友人だというそのアンドレイへの注意勧告も、言外に含んでいた】
【もっとも、実際に会ったディハートが信頼できると判断した相手なら、これも余計なお世話に過ぎないのだが】
【大体の事を言い終わると…………ミドナは暗くなった空気を吹き飛ばすように、一度大きく伸びをして、笑顔を浮かべた】

ああ、それじゃあそっちは頼める? あたしもさっきの子の事、もう少し調べておきたいし。
まあ…………忍者相手じゃ、尻尾が掴めるかも怪しいとこだけど。

そんじゃね、ディハート! 奢りの約束、忘れんじゃないわよー!!

【――――事件はもう、事後処理の過程しか残っていないかもしれないが。それでも暗くなっても仕方ないと、ミドナは笑顔を崩さなかった】
【走り去っていくディハートの背に、元気良く手を振る。最後に意地の悪い言葉を掛けると、ミドナも仲間の元へ帰って行くだろう】

【余談だが――――ディハートがミドナの事を探っていたのなら、この女がとんでもないうわばみであることも知れるかもしれない】
【曰く、ナンパしてきた男をまとめて飲み潰したとか、乱暴しようとした暴漢を返り討ちにして浴びるほど酒を奢らせたとか】
【そんな悪評が、各国の酒場で転々と。この日交わされた約束、意外に重たいものとなるかもしれなかった…………】


/お疲れさまでしたー!
1000 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 12:47:20.88 ID:YKgmUMeyO
うめ
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

ローカルルール変更に伴い、1000到達の報告が不要になりました。

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
【安価】京太郎「大阪に転校?」【咲】 @ 2014/01/06(月) 12:13:21.66 ID:PmWdhGNx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388978001/

ウィッチ☆アクティビティ中毒者隔離スレ @ 2014/01/06(月) 11:29:09.65 ID:MyGE6g7i0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1388975349/

僕は神になる安価で!! @ 2014/01/06(月) 11:01:08.05 ID://qTvNIs0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388973667/

シエル「できました。>>3ができるバレットです」 @ 2014/01/06(月) 10:33:13.35 ID:1kqOFHeO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388971993/

穂乃果「実はことりちゃんと付き合ってたの」海未「」 @ 2014/01/06(月) 09:53:32.03 ID:Ezqnrr1ao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388969611/

この画像の元ネタ知ってる奴居る? @ 2014/01/06(月) 09:21:47.15 ID:edM2XYO1o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1388967706/

美琴「んっ……」カチッ @ 2014/01/06(月) 08:21:51.31 ID:0L05cROK0
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提督「全く…ウチの金剛は…」 @ 2014/01/06(月) 07:09:25.90 ID:mC0+lp05O
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