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【何のために生まれて】能力者スレ【何をして生きるのか】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 17:07:26.42 ID:JnmnEvD30
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
•この世界は「多様性のある世界」です。
•完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
•弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
•戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
•基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
•書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
•描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
•他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
•「コテハン」は禁止の方向で!
•基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
•スレチなネタは程々に。
•スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
•基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
•国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
•他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
•時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
•特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
•あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
•全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
•能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
•エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1388860826/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

I'll never be complete without you. @ 2024/05/11(土) 21:32:24.15 ID:u/oaqw4e0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715430743/

テオノーマルさんの集い @ 2024/05/11(土) 17:52:36.77 ID:EjZidX+r0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715417556/

(安価&コンマ)苗木「仮面ライダー龍騎?」山田「TVSPですぞ!」(ダンガンロンパ) @ 2024/05/11(土) 16:21:44.19 ID:20Z4yGJVO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715412104/

寝こさん若返る @ 2024/05/11(土) 00:00:20.70 ID:FqiNtMfxo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715353220/

第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715300281/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715263679/

今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715262444/

誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 18:00:41.63 ID:aHxSUDqN0
>>1
3 :古都華(神隠しを使える :2014/02/03(月) 18:04:48.53 ID:3SbnfyMWo
1乙
神隠し程度ならいいんでしょうか
(相手を3m飛ばす、半径3mの物を操れる)
4 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/03(月) 18:43:52.24 ID:zKsi5HBOo
>>3
//キャラ設定の鑑定ならこちらへどうぞ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14029/1366453403/
5 :古都華(神隠しを使える :2014/02/03(月) 21:07:35.78 ID:3SbnfyMWo
【名前】草薙 古都華
くさなぎ ことか
【容姿】 黒髪でショート小さい体には合わないデカイ天狗の羽を持ってる
別に鼻は長くない
【能力】 神隠しを起こす能力
(相手を羽を使い半径5mまで飛ばすが、予備動作で5秒ほど羽を広げ溜め動作をする、何か掴むものがないと飛んで行く)
(半径5mの物を操れる、しかしタンスなどの重量の物は持ち上げられない
せいぜい机ぐらいまで
相手が手に持っている物は操れない)
【性格】 温厚
【戦闘方法】 普段は羽を使わないが、いざとなると羽を広げて飛んだりする、しかし重量な為スピードはかなり落ちたり、高く飛ぶことはできない上に長く飛べない
【備考】 天狗妖怪なのに信仰を集めて神様になろうとする妖怪
神様に成りたいが為に折角貯めた大金を使ってあっさり神社を建てちゃう
6 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/03(月) 21:51:22.89 ID:mjzYintVo
>>5
/>>1にあるように、能力者スレではコテハンは禁止ですよー。
/またキャラの設定などはこちらに貼らずwikiにまとめて
/ここ(本スレ)ではロールだけをする、というスタイルです
/よろしければ↓で色々とご助言できると思うので気が向いたらどうぞ〜
/【http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14029/1389606765/
7 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/03(月) 21:55:10.59 ID:3SbnfyMWo
>>6
そうなんですか
無知ですみません
8 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 19:38:09.30 ID:EhMMWctjo
>>999

【振り下ろす拳に反撃が飛んでくる、戸惑っている暇はない――が、防げるほどの力はない】
【喰らう覚悟はなくとも喰らうしかなかった、そしてその場で悶えているだけ――】
【――ただ、今回は助けられたというべきか、自分が拳を止めたことで相手も拳を止めてくれたのだ】
【さて、今度こそ戸惑っている暇はない、今生まれた疑問をぶつける為――表情を戻す】

「かんち……」

【そうか、勘違いか――と、素直に納得しかけた、元々他人には素直な性格が仇となる】
【……いや、思いとどまった、あまりにも似すぎている――双子とか、そういう可能性もあるが】
【何となく、そうでない気がした】 【――このままでは居なくなってしまう、ナイフを拾い折り畳み、ポケットに入れて】
【相手が立ち去る前に、問う、問いかける、――それは、子供の素朴な疑問なんてレベルの軽い口調ではない】

「ごめんなさい…………わるいひとじゃないのに、きろうとしたの、だからぼくがわるいの、ぼくはわるい子」

「でも、ききたいの……ねこやまお兄ちゃんじゃあなかったら、君はだれなの?」
「……"ゆないてっどとりがー"じゃないの?」 「ううん……」

【もし違うとしたら、の候補は幾つも思い浮かんでいた――他人の空似、偽物、幻、罠、――等】
【ある候補だったならば、本当にただの勘違いで済む――ある候補だったならば、敵として認識せざるを得ない】
【"UNITED TRIGGER"――まずは組織の名前を出した、団員ならば組織の名前くらいわかっているはず、……と】
【――この状況、見た目にそぐわぬ幼い精神の彼には負荷が強すぎるようで、時々頭を抱えて唸っている】

/了解ですー
9 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 19:49:48.63 ID:X8aXZvypo
【夜の公園】


「ククク……これで私の名声も高まった」
「ようやく野望に一歩前進したといったところかの!」


【人気の少なく静まり返った公園のベンチに、小柄な人影がポツリと座っていた】
【身長の頃140cm程度であろうか、裾に金糸の刺繍が施された白いローブに身を包み】
【フードを深く被り鼻下まで顔を覆い隠している】
【肩口からは漫画の吹き出しのような奇妙な形状のボードが生えており】
【声を発さず、代わりに板面で黒く細かい粒子がうぞうぞと形を変え、文字で言葉を表現していた】


「この方法で名を上げるのもよいが、そろそろ別の手法も試してみるべきかの?」
「手っ取り早く私の名を世界に響かせる方法か……うぅむ、悩むところなのだ」


【細く幼さを感じさせる足をぷらぷらと揺らしながら】
【その人物は文字を多彩に変化させて考え事に耽っていた】

【夜の公園で一人佇む、見るからに奇妙な格好をしたこの者の存在は】
【近くを通りかかることがあったならば目を引くことがあるだろうか】

【そうでなくとも、公園で何かが起これば反応するかもしれない】
10 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 20:39:55.29 ID:VUZtDU5f0
>>8

……何やそれ……誰やねん、俺、そんなん知ら―――………!


【『君は誰なの?』―――……単純明快な問いが、少年の頭の中で反響して止まない。……存在し得ない、答え。】
【然し反面、忘れかけていた事実、自分は今、記憶喪失状態であるのだという事を、漸く再認識する。……そういえば、だ。】
【先程から"ねこやま"だの"ゆないてっどとりがー"だの、……彼が話すのは、一つの可能性、その塊そのものである。】

【つまり、彼が話すキーワードが、もし自分に当てはまる物であるのなら。】
【目の前の青年は、"過去の自分"の素性を知る上での、大きなキッカケに成り得る―――そういう事。】

【此処まで考えて、それに付け加え、という形ではあるが。青年の話し方、幼稚さを垣間見せるその態度は、少年の心にスッと溶け込んでいた事に気付く。】
【不思議と、違和感がない。寧ろ、目の前の彼には、それが一番しっくり来る様な気がして―――だとすれば、何となく、信用に足る、というか、】
【もう少し話してみたいという、小さな欲望が、少年の中に沸き起こって来る。……と、そうなるのは良いのだが、然しこの先、どうした物か。】

【彼は今、恐らく、この複雑な状況を処理出来ないで居る。其処に自分が今記憶喪失にある事、そっくり其の侭打ち明けると言うのは、丸で得策ではない。】
【かと言って、表現が適切ではないが、彼を"利用"しないという選択肢は、余りにも勿体無い。……一旦、自分を偽るしか無かった。】


―――……あー……お前やったか、……久しぶりやな、………


【嘘を付く事が、こんなにも難しいのか―――少年は立ち止まり、振り返って声色を親しみ深い其れへと変える様、努力してみる。】
【記憶を失ってから、こんな声、言葉、出した事なかった。慣れない調子、其処に少しばかりの違和感を感じても、何ら不思議な事ではない。】


……良い時間やな、………どうやろ、飯、行かんか。……この辺の、良い中華料理屋、知っとるんやけど……


【少しでも、多くの情報を得たかったのだ。それ以上でもそれ以下でもない思惑の元、少年は一つの提案を口にする。】
【……この少年の事を覚えているのなら、二人が初めての出会った時、"ねこやま"が何処に連れて行ったのかも、記憶している筈だ。】

【"中華料理屋"―――偶然なのか必然なのかは、誰にも分からない。】


/ごめんなさい遅くなりましたァ!
11 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 20:40:08.70 ID:EhMMWctjo
>>8
/すみません、飯風呂の都合で一旦落ちます
/また、個人的都合により、10~11頃に寝るので、それ以降は持越しor置きレスor終了でお願いします
12 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/05(水) 21:28:39.17 ID:6QDmQ1kH0
【鉄の国―――近代都市=z

【首都近郊、に存在する新設された近代都市がここだ―――人々の頭上に存在するのは高層ビルの数々】
【国の内外との様々なビジネスの拠点として存在しており昼夜を問わず明かりが消える事はない。】
【街中には国中に張り巡らされた鉄道網の路線も高架橋として存在しており新型の車両がこの都市から発進していく】
【そんな高架橋の直ぐ近くに存在するビルの屋上から、若干曇った都市の風景を眺める人物が一人………。】

さて―――こっちもそろそろ動くとするか、まずはベアトリックスに下準備をして貰おう。
………あと少し、あと少しで終わるよ………そうすれば俺も―――、この国と共に巨大な墓標の礎となろう。

                  邪魔するものは………全て潰す

【その人物とは―――。】
【少し量が多めのウェーブのかかった銀髪をオールバックにして、冷徹な雰囲気を持つ深い闇を落とした紫の鋭い瞳をしており 】
【黒いタートルネックの服の上に灰色で背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の青年だ】

【青年は白い息を吐きだしながら、冷徹な瞳で街中を眺める―――空は今にも雨が降り出しそうな雲行だった。】
13 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 21:55:31.86 ID:EhMMWctjo
>>10

「…………お兄ちゃん、つかれてるのかな?」

【呟かれるその純粋な疑問は、"違う存在でない"のに"違う"、そんな認識から来たモノ】
【自分のことどころか、相手の名前や組織を問うて肯定の意が聞けない、"普通だったら"あり得ない事だったから】
【かといって、この男には"記憶喪失"という判断が出来なかった、知らなかったのだ――己もそうであるのに】
【きっと疲れてるだけなんだ、そう思った彼は――ポケットの中を漁る、取り出すのは……栄養ドリンク?】

「うん、きっとそう……つかてるなら、これあげる」
「うるさい人といっしょにいた、白くてぼうもってるお姉さんがくれたんだ、……すんごくおいしくないけれど、とってもきくよ」

【いや、栄養ドリンクと認識できるのは茶色いビンという部分だけで、ラベルも何もない怪しい何か】
【確かに効果はある、むしろ、飲んでから30〜60分で疲れが殆ど抜けるという優れもの】
【ただ……場合によってはその場で悶えたり、あるいは口から色々リバースしかねないほどの酷い不味さを誇るのだが】
【そんな怪しげなモノを差し出すが、受け取るか否か、飲むか否かは自由だ――】

「やっと気づいてくれたー、そうだよ、ぼくだよ、ぼくのことわすれないでよ、もー」
「……うん、ごはんいくー、まえにたべたちゅーかおいしかったもん」
「"きょうは"ぼくお金もってるから、……お兄ちゃん、ぼくの分はらわなくてだいじょうぶだよ」

【何となく違和感があった、前に会った時と調子が違う――が、それよりも自分を認識してくれたという事が優先された】
【それが例え偽りだったとしても、――今の彼にそんな詮索をする力なんてない】

【――以前中華料理屋に行った時は、色々な物を奢ってもらった、今は少ないながらもお金がある】
【だから、今回は相手に負担をかけまいと、自腹を切ると宣言するのだった――勿論、相手にとっては一度目と認識されているとは知らない】

/只今戻りましたすみません
14 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 22:12:09.38 ID:AT5RbHYRo
>>12

―――――こういう時は久しぶり、とでも言った方がいいのかしら?

【ガチャリ――――金属の擦れる音は、確かにその屋上で起きていた】
【その音源は、屋上とビル内とを繋ぐ境界を越えてその場所へと踏み入った、一人の少女】

【赤を基調としたドレスに西洋鎧を組み合わせたような、所謂鎧ドレス】
【高く結った銀色のポニーテールは、吹き抜ける風に大きく靡いて】
【背に担うのは、長短一振ずつの十字の双剣。蒼の瞳はその剣にも劣らず鋭く、彼を見据えていた】

あの学園祭以来……――――いえ、アブサス以来、だったわね。
アンタもあの時の女も、元気みたいで何よりだわ。

【言葉の端々の棘を隠そうともせず、少女は紡ぐ。微妙な間合いが二人の間にはあって】
【仕掛けられれば、剣を得物とするのであろう少女には圧倒的に不利な状況】
【されど、臆する様子も見せぬまま、剣も抜かずに少女は彼に対していた】
15 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 22:28:58.90 ID:VUZtDU5f0
>>13

………そうなんよ、最近、ちょっとな……あ、さんきゅ……

【"サンキュー"なんて礼を込めた言い回し、良くも自分の口から発せられた事だ……ああ、今は自分を偽っているのか、なんてバカげた思考を巡らせつつ、】
【少年は確かに、ビンを受け取った。……普通の栄養ドリンクなら、何かしら、例えば商品名や効能辺りが書かれたラベルが貼ってあるもの、】
【だとすればコレは市販ではなく、手作りの物か、……怪しい物である事には変わりないが、まあ状況が状況、飲まない訳には行かず、】
【……親指でクイッとキャップを外し、一口。彼の言う通り、お世辞にも美味しいと言える物ではなかった・が、逆に飲めない物という訳でもない。】

【"何故だろうか"―――少年はグイッグイッと一気に飲み干して見せる。……後味も最悪、口直しが欲しい所だが、まあそれは店に付いてからで良いだろう。】
【飲んでから直ぐというレベルの即効性は無い様だが、次第に効いて来る物なのか、……否、そもそも自分は今、疲れている訳ではない、だとすれば……?】
【薬剤の知識は丸で無い。分からない事を考えても其れが無意味である事は自明の理、まあ流石に、倒れはしないだろうと自分を丸め込む事にした様で、】


……すまんすまん、最近色々あって、な―――……いや、ええもんもろたし、今回"も"おごったるで……
………兄弟で飯食いに行って、……割り勘言うのも変な話やろ、……俺が払う、安心してええから………


【……目の前の青年とは血縁関係なのか? それとも、単に親しみを込めて、自分を兄と呼称しているのか? そのレベルで疑問に思う少年、】
【然し時折安堵の笑みさえ浮かべる彼に対し、相応しくない表情は取れない。……色々意識し過ぎたのか、極めてぎこちない結果となったが。】

【相手の話から読み取れる事実は、一つとして聞き漏らす事無く。成る可く不自然にならない様に、と助詞の僅かなニュアンスの差異にまで気を配り。】


………ほな行くで、……腹減ったやろ、……すぐ近くやから………―――


【ぽんぽん、と頭を触れてみる。確か、仲の良い兄弟はこんな事をしていた筈―――、テレビやどこかで見た知識をフル回転させ、何とか取り繕う。】
【然しこんなのじゃ何時化けの皮が剥がれるか分からない、リカバリーの仕方も考えておくか―――、なんて、歩きながら、作戦を練り続ける少年。】
【余りに不器用、だが其れを指摘してくれる人物さえ居ないのが現実。……さて、数分すれば、矢張り例の店、少々豪華な中華料理店が見えてくるだろうか。】

【手を引っ張って連れ込んだ以前とは対照的に、今度の少年は後ろ、青年から店に入る形を取っていた。……単純に、性格の違い、であろう。】


/はいー! 時間になりましたらお気になさらず休まれて下さいねー!
16 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/05(水) 22:29:38.13 ID:6QDmQ1kH0
>>14

さぁな………どちらに対して≠ノもよるがな。
まぁ気軽に絡んでくれた方が俺としても嬉しいわけだが―――そうもいかねぇか

【高架橋を走る列車に視線を落としたまま、振り向きもしないで青年は返答する】
【学園祭の時と同じようにどこか軽い口調で言葉を紡ぐ青年、だがそれが逆に不気味≠ナはあった】

【SCARLETとしての顔、そしてGIFTとしての顔が混ざり合ったかのような雰囲気である。】

そうか、一度ベアトリックスを回収した時に『W/ダブル』として居合わせたか。
ああ………アイツもアイツで何を企んでるかはしらねぇが割と元気でやってるぜ?

―――で、何の用だ?まさか世間話のついでにデートって訳でもないだろう。

【自嘲するように鼻を鳴らしながらゆっくりと振り返る―――そこから発せられるのは射抜くような鋭い視線。】
【そして、ディックはあえてその有利な間合いから詰めていく=B一歩、また一歩とゆっくりとゼリシュへと歩み寄っていく】

【未だディックは得物を出す気配はない、さてどう対応するか………?】
17 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 22:41:31.96 ID:EhMMWctjo
>>15
/すみません、そろそろ落ちるので返レスは明日します、一旦お疲れ様でした!
18 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 22:44:36.43 ID:VUZtDU5f0
>>17
/はい〜!
/明日ちょっと来れるかどうか分からないので、
/出来れば置きレスにして頂けたらと思います!

/一旦お疲れ様でした〜!
19 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 22:59:48.15 ID:t375/Xoz0
【月明かりと、其れを反射させる雪とで明るく照らされた森の中】
【枝々から垂れる氷柱や、凍った葉などが幻想的な景色を作り出していて】
【――――夏には夏の。冬には冬の妖が活発になる、なんて言うけれど…………今宵其処に居る妖は、そのどちらにも属さず】

【まだ足跡の無かった雪に、さくりさくりと自分だけの足跡を作って歩を進める姿が一つ】
【巫女装束に、特徴的な狐の尾と耳。所謂、妖狐と呼ばれる存在であるけれど】
【その妖気を辿ってか、真っ白な雪に刻まれた足跡を辿ってか。――――それとも、首に下げた翡翠の首飾りから発せられる神聖を感じ取ってか】
【何にしたって、白景色の中に浮かぶ紅白のその姿を見るのはそう難しくも無い】


「…………今日は、危ない事が何も無くて…………妖怪さん達と人間が傷付け合わなくて…………とても、良い日…………です
ずっと、こんな日が…………続けば良いのですが…………」

【その巫女装束も飾りでは無いのだろう。ポツリと漏らした呟きと、何処か嬉しそうな表情はこの少女の性格を実によく表していて】
【然れど――――この場に訪れた新たな存在に気付いたか、一度ピクリと耳が動き。嬉しそうな其れを不安げな表情へと変えれば、其方へと視線を移すけれど】








【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【そんな中、広い待合室で事は起きていて】


「………………」

【額から一本の角を生やし、汚れを知らないような真っ白な髪を持った少女が一人】
【その病院の入院服を纏い、車椅子に座っていて――――普段は五月蠅いとの評判の少女だが、今日はやけに静か】
【…………其れもその筈。小さな寝息が聞こえているのだから】
【何時も口を閉じてそれなりに絵となるのかもしれないが、そうもいかないのが現実であって】


「…………むにゃ…………――――わっ?!」

【ズルリ――――身体が前に傾いたかと思えば、そのまま重力に従う事になのだろう】
【――――待合室にそぐわぬ、素っ頓狂な悲鳴】
【大怪我をする事も無い故に取り敢えず落下する様を見るのも、落下を止めるのも自由な筈で】
20 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 23:05:20.98 ID:dXUskyLYo
>>16

私が話し掛けてるのは、『SCARLETとして私と出会ったGIFTメンバー』のディック・ホワイト=B
W/ダブル≠セとか何だとかいうやつのことは知らないわ。

【彼がSCARLETとGIFTを混ぜ合わせたような、どちらとも判らせぬ様な態度であるのなら、】
【ゼリシュは『どちらであってもディックはディックだ』と、そう返す】
【こちらはあの時よりも強く、そして幾らか冷たさのある口調で紡いでいった】

ああそう……じゃあアイツに伝えておいて頂戴。『次はもっと綺麗に斬ってあげる』って。

……別に、今ここで叩き切りに来た、って訳じゃないわ。
能力者が束になって倒せなかった相手に一人で挑むほど、私も向こう見ずじゃないの。

そうね……―――敢えて言うなら、お喋り=Aかしら。戦場で会ったらそんな暇ないでしょ?
この前奢ってもらったお礼も兼ねて、ね。まだ通報してないのだってそうよ?
―――勿論、アンタがやろう、って言うんだったら受けて立つけど。

【距離が一歩詰まる毎に、ゼリシュの警戒の色は強まっていく。臨戦態勢、とでもいうものか】

【そして言葉通り、ゼリシュは自警団にもSCARLETにも連絡を入れていない】
【しかし、その理由は違う。この避難も何も行われていないビル街。ここでこの相手を下手に刺激する事、】
【それはより大規模な被害に繋がりかねないと、そう判断してのものであった】

【更に言えば、ここで彼と会ったのも偶然の要素が大きい。たまたまこのビルで屋上に出てみたら、】
【そこに彼がいたのだ。―――これもまた、因果というものなのかもしれないが】
21 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 23:16:39.58 ID:aBTaBqWbo
【とある街の橋の上】

【ある地方都市のこの街の今夜は特に冷え込んでいる。空気が砥いだナイフのように肌を刺す】
【だがその刃のように煌めくような夜空が、そして支流の支流であるこの川にも街の夜景が反射していた】
【その川にかかるごく普通の鉄とコンクリートの橋。歩道と車道程度で大きくもなし、小さくもなし】
【橋の中腹辺りに銀色のロングノーズのスポーツカーが端に少し寄せてテールライトを点滅させながら停まっていた】

さっっみぃな……。もっと暖かい国に行きゃぁよかった

【欄干に寄りかかって、川を眺めながら煙草をフカしている背の高い痩せた男がいる】
【黒いウール地のダブルのロングコート、グリーンがかったレンズのサングラス】
【フェルト地の中折れ帽を被っていて、右頬から首筋にかけて大きな火傷の痕があった】

こういう格好も、傷跡も煩わしくて仕方ない…もっとラフに化けりゃよかった

【煙を吐き出してから指に煙草を挟んで、しゃがれ声でなんとなしに愚痴をこぼす】
【キン、と手の内のオイルライターを蓋を開けては閉める。単に手持ち無沙汰なだけだ】
【けれど時折通り過ぎる車の音以外は街中にしては静かなもので特別なリズムを打ち鳴らしていた】
22 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/05(水) 23:23:24.43 ID:6QDmQ1kH0
>>20

それはそれは………それならこちらもディックとして振る舞って接するのが筋ってもんだな。
まぁそう睨むなよ、別にお前個人に対しては特に敵意なんて持っちゃいないさ。

ベアトリックスの件だってあいつは些かやりすぎるきらいがあるからな、いいお灸だったさ。

【不敵に笑いながらも肩を竦めて軽薄な調子で返答する、だがどこか嬉しさというようなものも感じられた】
【自身の本質に真っ向から向き合ってくるゼリシュの態度が気に入ったのだろうか、だが未だ敵という事実は変わりはない。】

【冷たい口調がかえって心地よいかのように涼しげな視線で一度風景を眺めてから向き直る。】

はは、確かに伝えておくよ。

買いかぶられたものだな………この前の傷だってまだ完全には癒えていない、それに
お前だって何か隠し玉≠ェあるんじゃないのか?

【眼を細め、相手を挑発するように両手を広げながらそんな事を口にする。】
【隠し玉=c……というのはゼリシュがベアトリックス戦の最後で見せたあの不可思議な力の事だろうか】
【―――尤もゼリシュにあの力の自覚があるのかどうかはディックも把握はしていないのだが、それでも警戒はしているのだろう】

ほぉ、国際指名手配の人間とお喋りしたいだなんて物好きな奴もいたものだな。
だがまぁ―――女性の誘いを断るのは俺の主義に反する、いいぜ何か聞きたいことでもあるんならなんでも聞きな。

何ならもっとムードのあるバーにでも移動して話すか?

【苦笑しながら肩を竦めてゼリシュの提案を受け入れる、わずかに放っていた威圧感も薄れてきているのが分かるだろう】
【そしてディックはゼリシュの言葉を待つ、何を聞くのかそしてこのままこの場所で会話するのか、全てはゼリシュのさじ加減だ】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 23:32:41.04 ID:nXbBEvJg0
>>21

【たすたす、と、本当に微かな音がした。それは彼の寄りかかっている欄干の上からで】
【見てみればつんとすまし顔で佇んでいる影がある、ぴんと立った耳、よっつの足、しゃなりとした尻尾に】
【全身をふかふかとさらさらが同居した毛で包み込んだ生き物、グリーンアップル色の瞳をした、通常猫と呼ばれる“それ”】

「――――」 

【なぁうと鳴くのと同じ仕草で、ただ出ない声は虚空の中に静かに溶けていく、危うげなく欄干の上を歩くなら】
【ちょうど彼の傍にたどり着いてもう一度口を開ける、――彼が寄りかかっているから、先へ進めないといいたげに視線が向いた】

ああ、もう、……人間の歩ける場所を行ってくださいませんか、まったく……、

【――そんな折だ。少し急くような足音と、一人ごちる女の声。そっと猫を撫でるときの甘ったるい声が、夜に響いて行く】
【かつこつとした高い音が男へと近づいていけば、何か少しぐらいは身構えもするだろうか。そこに、まるで敵意がなかったとしても】

……わたくしの猫がご迷惑をお掛けしまして――すいませんですの。

【空っぽの両手を不自然でなく見せるようにしていた。トップコートだけを塗ったつま先、月明かりにてらてらと艶めいて】
【もしも近づくことを許したなら、欄干の上の猫に呼びかけるだろう。手の届く高さなら、そっと抱き上げたりもして】
【結果腕の中に黒猫を収めたなら、ふうと一息。それから、そっと男の側へ視線を向けることだろう、――グリーンアップル色の瞳】

ごきげんよう、これも何かの縁ですの。少々お聞きしたいことがあるのですけれど――……、

【腕の中の黒猫とまるで同じ色の瞳を瞬かせる、ほんのりと化粧を乗せた顔は、夜の中でも寒さの中でも血色よく綺麗に見えて】
【肩を少し通り越すほどの黒髪はふわふわとした猫ッ毛、見た目よりも防寒を重視したコートはごわごわと膨らんでいたが】
【下手な女よりも女らしい体型を全て隠すには少し足りない。結果、その内側に隠したバランスの良さを僅かに透かしながら】
【腕の中でまた猫がくぱと口を開けていた。無音の鳴き真似、鳴いたふり、かわいいふりが少しだけ飼い主と似通う錯覚】

この辺りで猫を見ませんでしたかしら、……いいえ、この子ではなくって。白黒の猫なんですの、
背中に渦巻きみたいな模様があって――迷い猫なんですけれど、わたくし、その子を探していまして。

赤い首輪に鈴をして。名前が……ええっと、そう、ミルフィーユちゃん。女の子ですわ。

【にこにこと愛想のいい笑顔を浮かべながら女はそう尋ねることだろう、その視線は一度彼の火傷痕を眺めたけれど、】
【さも何も見なかったような態度で通り過ぎる、その意識はとかく探しているという猫を気にしているらしかった】
24 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 23:59:36.65 ID:aBTaBqWbo
>>23

【右手に煙草を指で挟んだまま、左手にライターを握ってぐいと腕を伸ばす】
【欄干から手を投げ出して、長時間のドライブで疲れた腰を伸ばした。コツコツと】
【彼の履いている綺麗に磨かれた革靴の先でアスファルトを叩いた。履き慣れたブーツと違って】
【くるぶしがガッチリくる感じがしなくて好きじゃない。意識を足元に宙に視線に飛んでいたが】
【1つの気配…猫の鳴き声を聴いてそっちに顔を向ける。】

………何だよ

【猫の視線に対してぶっきらぼうに返事をした。猫も俺も対等だと言わんばかり】
【そして後を追うもう一つの気配…女の声の方へと今度は顔を向けた】

いや、別に…。ネコが歩いちゃいけないってルールはこの橋には無いだろうし

【だからって、ネコ優先にするルールもない。そんなことを言いたげなまま寄りかかったまま動かない】
【煙草をくわえて、吸い込むときに赤い火がその先に灯る。この夜には特に明るく見えるようだった】

いいや。…猫は見てないね。今で今週一匹目って言う感じ…ここに居るのは5分ぐらいだし
それまではそのクルマでロングドライブだったから…目は良いつもりだけど、見逃しているかもしれないけど

【ライターをポケットに仕舞って、しゃがれた声で話す。口調は文節ごとに間を開けた飄々とした男だ】
【けれど決して冷徹といった風ではない。空いた手で首の火傷痕を彼はなんとなく、軽く掻いた】
25 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 00:10:16.31 ID:O8BtH4Ago
>>22

……前に言わなかったかしら?『GIFTのあの思想とかが気に入らない』って。
アンタが私に敵意が無くたって、私はGIFTの事が――――……

……隠し玉?そんなの無いわよ。
……ああでも、プライドも全部捨て去ってあの偉そうな狐に頭下げておだてて、
それであいつを引っ張り出す、っていうのなら無い事もないわね……たぶん無理だろうけど。

【そんなディックの漏れ出した感情を感じ取ってか否か、ゼリシュも変わらぬ口調ながら、】
【冗談とも取れるような言葉を吐いたりもして。しかし、そこに何か≠隠そうという意思は無かった】
【つまりは――――あの力、本人には何の自覚も無かった、という事であった】

【また、狐≠ニいうのは恐らく、学園祭で会った時、ゼリシュの上に突然現れた妖狐の事】
【そして今日もまた、ゼリシュのすぐ近くに、妖気≠ニしか言えない様な妙な気配があった】
【それは何をする訳でもなく、ただそこにあるだけ。それはまるで、監視でもしているよう】

あー……私、未成年。それからアンタは超有名な指名手配犯。
そんな二人がお話するのにいい場所があるんだったら、行ってあげる―――あ、アジトとかは無しよ?

……何も仲良しこよしなお喋りをしよう、って訳でもないけどね。ま、遠慮なく訊かせて貰おうかしら。
そうね……―――――アンタはGIFTで、この国で――――何を見てる≠フ?

【些か遠まわしではあるものの、場所に関しては凡そNo、と受け取っても構わないだろう】
【―――無論、ゼリシュが言うような場所があるなら、話は別だが】

【『遠慮なく』。そう言ってから、大きく一つ息を吐いた。気持ちを改めるような、そんな少しの“間”】
【そうして口を開けば、やはり冷たさのある声。問うのは彼の見ているもの=z
【要するに―――最終的な目的、であろうか。それとももっと近い範囲、何を考えているのか、だろうか。】
【視界に何があるか、等という話ではない事は確かだが、どうにも判然としない言葉ではあった】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 00:14:39.86 ID:VlOfmwA10
>>24

【猫が発したのは口を開ける際のくか、なんていう音と、足音だけだったけれど】
【明確にそこにいるという気配があったし、彼に鳴き真似してみせたのだから、意思疎通しようとした風でもある】
【結果は女に捕まって大人しく抱かれているのだが。所詮は猫といった風情、尻尾がみょいみゅいと揺れていた】

そうですの……、……いえ、この辺りで見かけたとか見かけないとか、聞いたものですから。
それでしたらきっと見てないのですわ、車からでは――よほど見かけないでしょうし。

【――ふわぁと落胆して見せた色があった。残念そうに華奢な肩を落としてみたが、すぐに元の風を取り戻して】
【この辺りで目撃情報があったのだという。「しばらくうろついていたんですけれど」なんて言葉を口にしたなら】
【信憑性を疑るようでも。それでもそれ以外の情報を持たないのだから、信じるほかにないのだけれど――】

ドライブなんていいですわね、わたくし、車は持っていませんから――行けないのですけれど。
どなたかが連れて行ってくださるなら大歓迎ですわ、……なぁんて、冗談ですの。

【もたもたと猫の手が空を掻く、その仕草を見たなら、そうっと抱き方を変えてやる幕間】
【言葉を紡ぎながらのそれだ、そもそも猫を長時間抱き続けようというのが難しい話なのかもしれないけれど、】
【にこにこと愛想良さげな笑顔がぴくりとも動かない。ドライブ、という言葉からするすると連想を重ねて】
【誰かが――なんて言いながら彼を見つめていた、宝石みたいに艶めく一対の瞳、きらきらと瞬かせたが】
【やがて冗談だなんて言い終える。はじめから本気という風では、なかったのだが】

わたくしも一服しましょうかしら。おとなり、よろしくて?

【くすくすと笑う声が猫の喉を擽るような音で響く、休憩だなんて定めたらしいなら、視線は彼の横、空いたスペースを見やり】
【如何?という風に首が傾げられる、その角度も、様子も、どこかの誰かに似ていたのだけれど――些細過ぎて、錯覚のよう】
【なんにもなければ彼の仕草を真似るように欄干へと寄りかかるのだろう、そうと地面に猫を降ろしてから、だけれど】

【――降ろされた猫はきょろきょろとした後に自由気まま、そんな言葉が相応しいように、どこかへ歩いて行ってしまった】
27 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/06(木) 00:29:00.37 ID:Hax9LJT+0
>>25

あぁ、そうだっけか?悪いな俺もいろいろとあって記憶が曖昧だぜ。
ま、GIFTという大きな括りで見れば敵かもしれないが個人単位では仲良くしたっていいじゃねぇか。

―――そうか。
そういえば何か神霊≠ンたいなのと一緒にいたな、じゃああれは―――、まぁんな事を気にしても仕方がないか。
(………どうやら下手な事をしたら祟られ≠サうだ。)

【訝しげに眉を潜めるが、少しの間何かを考えるような間を空けるとそこで話を区切って終わらせた。】
【これ以上本人に聞いても意味はなさそうであるし、近くにいる何か≠ェ介入してくればそれはそれで面倒な事になりそうだ】

【「飲まれないように気を付けるこった」―――と最後にボソッと口にするがもしかすれば聞こえていないかもしれない。】

―――まぁ心当たりがないわけでもないんだが、ちょっと未成年には刺激が強いかもしれねぇなぁ。
仕方ない、どうも天候が怪しいがこの場で済ませるとするか。

………面白い質問だな。
しいて言えば、俺がこの国で見ている物=c……それは欺瞞と焔≠セ。

欺瞞=c……まぁこんなものはどこの国にも存在しているが、この国は軍事国家という側面もあってかそれが濃い
今の繁栄―――国際社会からの非難を受けながらも貫いてきたその姿勢、その為に流れた血の数はそれはもう大した数だぜ?
下手すればGIFTが鉄の国で流した血の数より多いかもしれねぇな。

そして焔=c……俺はこの国というデカい欺瞞を抱えた焔≠ノ当てられた小さな火≠セ。
大局で、世界という器で見れば取るに足らない小さな灯―――だが一度巨大な焔にあてられた火≠ヘ燃え上がるしかない。

その周囲の全てを焼き払ってやっと、俺という焔≠ヘこの世界から消え去るだろうよ。

【ディックが語ったのは欺瞞≠ニ焔=c……比喩的な言葉ではあるが、彼がこの国で起こした戦乱はまさに燃え上がる焔だ】
【この国が抱える大きな欺瞞と闇、そうした部分に彼はきっと触れてしまったのだろう………そして憤怒の焔に身を焦がし続けている】

【―――だが、その焔もいつかは消え去る………この国全てを道連れにしようとして。】
28 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/06(木) 00:38:26.24 ID:lSkNTqa0o
>>26

【猫の自由気ままな何の気のない動きを見て呑気だなとそんな感想が浮かんだが】
【直ぐ様、もう一人の自分が猫の気持ちでも分かるのかと茶化してきてそれに対しての】
【言い訳なんか考えようとしているのに気がつけば面倒な性格だと(もう慣れたけれど)少しだけ自嘲した】

まあ……猫だって何だって、動物だったら動きたくなるモノだろ?…だったら、お互いしっちゃかめっちゃかに動くより
どっちかが一箇所に居たほうが会えるんじゃないかって思うね。人間ってのはかなり鈍感な生き物だしさ

【ぱっと見、興味がなさそうな様子だったが、それなりのアドバイスをつらつらという辺り】
【ちゃんと気にかけているよう…なのか性格上余計な口を挟みたくなるたちなのか…両方なのだが】

…行き先のあるドライブってなら楽しめるけどね。そこに近づくたびにいい気分になるのは…そう、
子供がクリスマスまでカレンダーでカウントしていくのと同じような感じだ。プレゼントがなんであれ…
……けれど、一番大変なのが帰る先がないドライブだ。それだと……単なる、迷子さ。帰る先が見つかるまでね
生憎、今はどっちも地平線に消えちまったストレート。……頼まれても乗せないさ

【コンビニぐらいなら構わないけど。そうやって付け足して、煙草をくわえた。煙は優しくはないが暖かかった】
【隣に彼女が来て、男は黙ったまま夜空というより宙を見上げるように頭をあげていた。】

……煙草はあげないからな。こんなもん、吸うもんじゃない
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 01:00:26.81 ID:VlOfmwA10
>>28

【腕の中にいた猫はひたすらに尻尾をぶんぶんと揺さぶっていた。つまり、不平を示していたのだが】
【引っ掻いたり噛み付いたりしない辺りいい子ではあったのだろう、或いは、主従関係を弁えた子】
【わざわざ下々のものに噛み付いたりなんて恰好悪い。気高く見えやすい黒猫のことだ、そう考えたのかも――なんて、お遊び】

家猫が外になんて出ようものならそうでしょうね、世界はこんなに広かったのかと……わたくしなら感激いたします。
その分寒いしご飯は待っても出てこないわで大変でしょうけれど――数日ほどはエンジョイするでしょうか、わたくしでしたら。

……早めに飽きてくださると助かるのですけれど……。

【鳥篭に囚われたお姫様から一転、広々と広がる世界――初めて見たなら、いったいどんな感想を抱くものなのだろう】
【至れり尽くせりでない変わりに自分で好きなように好きなことを出来る。そんな、きっと初めて手に入れただろう自由は】
【さぞかし楽しいのでしょう、と結論。はぁと吐いてみた溜息は真っ白に揺れて、ぐるぐると宙に消えていく】

【彼のくれたアドバイスには「そうしてみましょうかしら」なんて呟いてみせる、うーんと悩んだ風に笑ってみせる、自然さで】

あら、迷子だなんて猫みたい。

【――そんな笑みがくすくすと面白げに変わる、まん丸に釣った猫とよく似た瞳を細めて――】

しばらく迷ってたらわたくしみたいなのが探しに来るかもしれませんわ? 早くお戻りなさいって。
それまでは好きに歩けばいいんじゃないかしら、どうせ道なんてもう見えないのなら――。

【冗談みたいにそう口に出す。遠くに消えていく猫の背中を見るでなく見ながら、揺れる尻尾を追いかけながら】
【やがてそれも見えなくなってしまえば、口元に手をやってふっと笑う、さも適当な風にも思える言葉たちだったけれど】
【人懐こい笑顔で包んで全てを有耶無耶にするような気配。何もかもが嘘で塗り固められたような、ただ、それがいたく自然に見えた】

……ええ、煙草の煙なら人様のを吸うだけで十分ですわ。
空気の変わりに煙草の煙で生きてるような方々と“お仕事”してますの。

【冷たい欄干に体を預けて星空を見上げる、――だいぶ太くなった三日月が浮いて、星屑の散りばめられた綺麗な星空】
【これだけ寒ければ空気だっていやでも澄む。星座を思い返すような、そんなぼうとした風に言葉がいくつか紡がれて】
【“お仕事”。その言葉だけが何か生々しい温度を持って存在していた、ように思えた】
30 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 01:16:55.52 ID:sXx2/R6So
>>27

あいつは……そんな大層なものじゃないわ……たぶん。
やたら態度のでかい狐の化け物。そんな程度よ。

【彼が生んだ、少しの時の空白。そこに不審がるような表情が浮かんだが、如何せん本人は何も知らない訳で】
【それから、背にある短剣。これには身体強化の加護があり、聴覚もその範疇にある】
【故に、消えてしまいそうな呟きまでもその鼓膜は拾い上げたが―――ただ、不思議そうな顔をしただけ】

【そして何かの気配≠焉Aただそこにあるだけ。やはり何の介入も動きもなく、見ているだけ】

【しかし……言われてみれば、どんよりとした雲が空を蝕みつつあった。刻々と雲は増えつつあって】

……―――――。
私は……私は、残念だけどこの国がどれだけの欺瞞≠抱えているのかは分からないわ……
だけど、こんなやり方しか無かったの?こんな、また多くの人が血を流すようなやり方しか……。

これじゃ、焔≠ノなったアンタの火≠ェ、また別の誰かの火≠燃え上がらせてしまうんじゃないの?
そうなってしまったら、きっとその焔≠ヘ繋がり続けるわ。燃え上がり、そして誰かを燃え上がらせて。

そんなの、何も面白くないじゃない――――皆、悲しいだけ……

【どれほど強い焔≠ェ彼に、そして鉄の国にあるのかは計り知れない】
【けれど、本当にそれでいいのか。本当に、燃え上がるままに任せるしか無かったのか】
【……今となってはもう、遅すぎるのだろう。けれど、そう言わずにはいられなかった】

……――――ねえ、個人単位では仲良く、って言ったわよね。
―――悪いけど、今の<Aンタとじゃ、それは無理だわ。
いくらこの国がやってきた事があっても、アンタの起こした事で犠牲になった人がたくさんいる事は変わらないもの……

【『だけど――――』】
【呟いた声は、突然の雷鳴に掻き消される。雨が、やって来るのだろうか】
31 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/06(木) 01:38:22.73 ID:lSkNTqa0o
>>29

外に出たって、自分の大きさが分かるかどうかって聴かれたら…分かんないもんだ
広いだけで退屈なものかもしれない。…俺はよく分かんないけどね
…三ヶ月ぐらい待つか、南に向かって進めば暖かくなるから、それならそれで楽しめるかもよ?
……大丈夫さ、好奇心があっても飼い主を忘れるほど不義理じゃない

【外に出たところで世の中の殆どは海か荒れ地。広くて自由でも道具がなけりゃ楽しめない】
【彼からすればそういう風に世界を見ているからかそんな冷めた言い方をしてしまう】
【自由な世界ってのに長くいすぎたせいか自由の素晴らしさを忘れているような気分だった】

まあ、ね。ずっと、行く宛も別に無い。だから帰る場所もない。…ストレイ・キャッツさ

さあ、どうだろう…。そうだったら、嬉しいだろうけど…そうじゃないほうが良い気がする
…戻れって言われたら、俺ならこう返す。…早く来い!日が暮れちまうよって、感じで
歩くのは良いかな…そんな元気は無いし、クルマがあるし。

【ジョーク交じりの例え話とわかっていながら歩くのは嫌だなって思ったらそのまま口に出す】
【自分がブラブラ歩くときは大抵酔っ払って、タクシーもなくてそうするしか無い時ぐらいなもんだ】
【好きに歩いていたら本当に迷子になってしまう。この季節、そこらで寝てたら本当に命にかかわるのだ】

……穏やかじゃないね。…単に飲み屋のウェイトレスならいいんだけど

【自分だって同じようなものだ。口に出さなくても伝わっていることだろう。嘘ならこっちだって嘘だらけだ】
【服装だって、今の経歴だって、火傷の痕もそうだ。内面の本人すら全て煙草の煙で巻かれてしまっているよう】
【しかし、嘘と真実の境目なんてあやふや。誰か一人でも信じていればそれは真実でオールオッケーなのである】
【だから嘘は自然だ。人が作っているから人に馴染みやすい。真実のほうが歪で、時としてそれは人を傷つけるものである】
32 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/06(木) 01:40:03.98 ID:Hax9LJT+0
>>30

まっ、どんな存在にせよある程度のご利益≠ヘあるんじゃねーか?

【依然として介入してくる気配はないが、これ以上話題に出すと出てこないとも限らない】
【そう思ってかどこか皮肉を込めた口調で適当に話題を切るとディックは黒い雲が立ち込める頭上を眺めた】

【そのどんよりとした大きな雲は、彼が秘めている闇の深さを現しているようにも感じられた。】

さぁな、ただ俺は自身に与えられたこの力≠ナ選んだだけさ。
安心しろ………他の誰かに移らぬように完全にこの国ごと俺の存在を世界から綺麗に抹消してやるよ
まぁもし誰かに移っちまっても、それはまた本人次第≠ウ無責任だがな、最終的に自身の道を決めるのは己だ。

悪いがこればっかりは他人にどうこう言われても、良心に語りかけられても止まれない=c……今まで犠牲にしたきたモノを背負っているからな

【ゼリシュの言葉に強い、その瞳の奥に凄まじい焔≠携えて返答する―――もはや一種の狂人の程の決意、信念だ】
【自身の身を犠牲にすることもいとわない………否、むしろ彼の中で最も許しがたいのは自分自身なのかもしれない―――。】

【鳴り響く雷鳴に視線を一度上げてから、「ここまでだな」と呟いてからゼリシュに対して背を向ける。】

そいつは残念だ、だが君はそれでいい―――。
だが今後もし俺の前に敵として立つときがあれば、その時はSCARLETだったディック・ホワイト≠ヨの感情はきっぱり捨てる事だな
でなければ………死ぬことになるぜ?

それじゃあな、風邪をひかねーようにさっさと帰って寝るんだな。

【最後に忠告とも取れるような言葉を送るとそのまま屋上の縁へと移動していく、そしてそのまま虚空へと飛び去ろうと―――】
【もし何か引き留めなければそのままディックは下にある高架橋を走る貨物列車への屋根へと飛び降りそのまま姿を消すだろう。】

【だが飛び降りる前に一言や二言など言う間はあるだろう―――】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 01:56:48.77 ID:VlOfmwA10
>>31

そうですねぇ、広い分だけ自分の小ささなら良く分かりますけれど……。
何が出来るわけでもない……、誰かに影響を与えることなんて、とてもじゃないですけれど。

いくら頑張ってやってきたことだって、わたくしは成功させられなかったのに、他の方があっさりしてしまうんですもの。
数年掛けても出来なかったことを数ヶ月で、なんて凹みますわ。ええ、凹みますの……。

【唐突に開ける視界、何をしてもよくて、好きにしてよくて、どこまでも自由で、でも、きっと、戸惑っただろうから】
【探す側からしてみれば早く戻ってくればいいのになんて思ってしまう。それでも探すしか出来ないなら、溜息がもう一つ】
【誰のことを言っているのだろう、頭の中でだけ誰かを想起して、ふわぁと一際大きく溜息を吐いたなら、真っ白な吐息】
【寒いせいか嘘がちょっぴり強張って素が覗いていた。或いは、誰かのことになるとそうなってしまうバグなのか、不明でも】

【――自由のふりして生きている気がした。いつかのためにだけ動いている、ただそれだけみたいな、ほんの僅かな思考の欠片】

歩いていくよりも重度の迷子になってしまいますわよ、車なんて……ちょッと居眠りしてれば知らない場所ですもの。
……ああ、運転なさる方でしたら居眠りなんていけませんけれど――、適当に右往左往してれば、知らない場所ですから?

【自分の車を持たないのだろう、それなら当然運転することもなく、視界は勝手に乗せてもらう側になってしまう】
【そんな思考の偏りにはすぐ気付いたのだろう、ついと言葉の向きを変えながら、それでも迷子にはなれるんじゃないか、なんて】

やれと言われればウェイトレスだってメイドだって何なりと……、もちろん、お金はいただきますけれどね。

【手にジョッキを五つ持つ姿も、しゃなりと礼をする仕草も、どちらだってありえそうに思えるぐらい、想像できてしまいそうで】
【それならば言葉通り。やれと言われればやるし、やれと言われたことばっかりはやるし、そんなお仕事で生きている】
【――相手の本当の姿。煙の向こう側にちらりと窺えて、ただ、何を言うわけでもない。こちらだって、何と明確にするでもなく】
【おんなじような世界に住まうのだろうから、だからこその距離間だった。手の触れる距離なのに、決して触れ合わないような――】

……そうそう、ミルフィーユちゃんはこんな猫ですのよ。もし見かけたら連絡いただけませんかしら……。

【――かと思えばふわと近づいて来る、コートのポケットから出した携帯電話、平べったいのをちょいちょいと弄りながら】
【やがて見せるのはあんまり画質の良くない画像だ。白黒の猫、ぐるぐる渦巻き模様の背中が見えるアングルの一枚】
34 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 01:58:20.30 ID:QhrcKGwRo
>>32

【夜の闇が、一段と深くなる。鉄の国を飲み込もうと、巨大な手が覆い被さったかのようにも思えて】
【不安がハッと過ぎり、思わず空を見上げる。そのまま彼の言葉を聞いて、戻して見せるのは覚悟の表情】

……―――――そう。
アンタが止まれない≠だったら、私は止めてみせる≠。
その時が来たなら、例え私一人だったとしても、ね。

【蒼い炎が燃える。ディックの瞳の焔≠ノは、足元にも及ばないような大きさの炎】
【しかし、輝きだけは一人前。それは大人の殻を被りたがる少女の姿にも似て】

今度戦場で会う時は本当の本当に敵同士。わかってるわ。
それじゃあ、さよなら――――――

【引き留める事はしない。そのまま見送れば、ゆっくりと深い呼吸を幾度か繰り返す】
【『今日は歩いて帰るわ……』――見えない何か=c…否、誰か≠ノ向けてそう言えば、ゆっくりと歩き始めるのであった……】



/お疲れ様でしたー!
35 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/06(木) 02:08:13.15 ID:Hax9LJT+0
>>34
//お疲れ様でした!
36 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/06(木) 02:39:57.21 ID:lSkNTqa0o
>>33

……それでも、歩き続けなくちゃならない。そういうもんだよ

【煙草をくわえる前にそれだけ呟いた。そして暫く彼は黙っていた】

【何だってかんだって広かれ狭かれ何処にいてもそれは世界だし、道があろうと無かろうと】
【レールだろうと茨だろうと目の前に進まなくちゃならない。前にあるものは虚仮で、通ってきた足取りも】
【もしかしたらもう風に吹かれてなくなっているかもしれない。それでも立ち止まるってことは出来ないんだ】
【何処かへ向かって歩いている。消失点に向かって。それを司るのは運命と意志だ】
【そんな哲学じみたことを前にも彼は考えたことがあった。何してんだ俺は。二日酔いの時はいつもそう思う】
【だからなんだと聞かれたら何なんだろうと思う。けれど、これが自由に対するアンサーなんだと思う】

さーねえ……。そこが居心地よけりゃそれでいいんだけど…俺は。……今は暖かいところなら特に
帰りたいけど帰りたくない…家出した不良少年みたいな話だけど、ようは気分の問題さ

【好き好んでいる場所じゃなければ生まれ故郷でもそこは異郷だろうし】
【気に入っていれば一日でホームタウンでにすればいい、道なりでも地図があっても気分で迷えるし迷わない】

そうかい、なら、次会うならウェイトレスをおすすめするよ。俺は意外とチップを出すほうだから…

【はにかむように笑いながらそう言って、電話の画面を覗きこんだ】

……ん?…まー……オーラィ。なんとなくわかったよ……ペット探しが得意な奴らに言っとくよ
ホントはユナイテッドなんとかっつってドンパチやってるらしいけど……ま、どうせ暇だろうから…
……っと、俺、電話持ってないんだよね……これに番号書いてよ、名前も横に

【コートの内側から手帳とペンを取り出して差し出した。身分証のように名刺が挟まっている『貿易商、ヒライ アキタケ』そんな感じだ】
【嘘の会社嘘の身分の名刺も欲しがればくれることだろう。ただ、電話を持っていないという完璧な嘘の彼がほころばせた違和感】
【それはどうしても隠し切れない…隠したくない彼の真実なんだろうか。手帳を受け取れば深夜の寒い風が吹いて】

うっ……悪い、そろそろ体が冷えすぎてるみたいだ。…ここの風は俺には堪える
どっかまで送る……そっか、乗らないんだっけ?

【肩をすくめながらニヤけつつ言って、彼は運転席に乗り込んでエンジンを吹かした】
【言い出せば何処かまで乗せてくれるだろう、そうでなければテールランプの明かりを残して。フッと走り去っていったことだろう】


/睡魔が肩を叩くのでこの辺りで〆させて頂きます
/遅くまでお付き合いいただいてありがとうございました!
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 02:58:15.61 ID:VlOfmwA10
>>36

【何か言葉を返そうとした。けれど、何か考えている風の彼を見れば、そっと押し黙ることを彼女は選んで】
【紫煙のくゆるのをぼうと眺めている幕間。けれどそれはひどく平和なものであって、きっと嫌な沈黙ではなかったから】
【――何を考えているのか分からない顔で佇んでいた。虚空に向かってにこにことしているのは、まあ、薄気味悪いもの】

そうですわね……わたくしもそろそろ帰りたくなってくるぐらいに寒いのですけれど……。
……今日が冷蔵庫並で明日が冷凍庫並だそうですわね? 人の住む温度じゃないと思うのですけれど。

【息が白くて、白くて、真っ白で。寒そうに体を縮めるのが、そこばっかりは嘘のない本当の色合いをしていた】
【頬にぺったり添えてみた指先は冷え切っていて、すぐにポケットへ仕舞いこむ。怨めしげに吐いた吐息もまた白く】
【嫌だなあという風な呟きがいやに生き物染みた温度を持って浮かぶ、それでも顔ばかりは、笑っていたのだけれど――】

あら、それじゃあどこかの店で落ち合いましょうか? ……ふふ、履歴書を書いて待ってなければいけませんわね。

【何だってやるのがお仕事。それなら、存外ノリ気だったりもして、少しだけ性格が透けて見えた気がする】
【それから画面を相手に見せやすいようにして――そうしていたなら、ふわりと甘い香水の香りのひとつでもしただろうか】
【甘いのに少しだけきゅっと酸っぱい柑橘の香り、本当に少しだけ、どこかにつけているようだった】

ありがとうございます……、助かりますわ、あんまり長引かせてしまってもね。
見つかるにしろ見つからないにしろ結果は早い方が助かりますから――、珍しいですわね、このご時世に?

……どうぞ、

【手帳を差し出されれば受け取って。ペンも受け取ったなら、挟まっていた名刺を眺める数秒がある】
【それからさらさらと書き出すのは個人情報も個人情報、名前とメールアドレスで、こちらはどうやら本物】
【書き終えれば相手の向きに正してから返却する、二谷音々子――それが、彼女の名前のようだった】

【(仕事用の名前というものを持たなかった。嘘だらけの癖にそこばっかりは本当で、真っ直ぐで、ほんの少し、おかしかった)】

いえ、もう少しこの辺りを探してから戻りますので……、あまり長くは居ないでしょうけれど。
お気をつけておかえりくださいな、それと――寂しい夜はいつだって連絡してくだされば、向かいますからね?

【せっかくですけれど、なんて並ぶ言葉はお断りの色。寒がりながらも、もう少しだけこの辺りをうろついていく、と告げて】
【ついと相手の身を案じながらも自分の要件はきっちり言う、――つまりそっちが本職なのだけれど、まあ余談だろうか】

【そうして去っていく車を見送る、そんな彼女のすぐ横にすたん!と、初めと同じ黒猫が飛び降りて来て】

……猫探しなんてお金にならないけど――まあ、いいか、

【(ひとりぼっちになって初めて素が出るぐらいには、野良猫みたいに人間を信用していないのかも、しれなかった)】

/おつかれさまでした!
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 21:15:18.96 ID:VlOfmwA10
【街中――広場】
【すぐ傍に大きなデパートのある広場、昼間ならば朗らかな暖かさに包まれるその場所、今はひんやりと冷たくて】
【それでも立地を考えればひとがちらほらと訪れたりもする、それなら、完全に冷たいとはどうにも言い切れないもの】

……あ、美味しい。なんだろ……ナッツ? ううん……、

【ざあと噴水の吹き上がる音と風の音がBGM、そんな中にぽつりと紛れ込む声は歌姫の歌うよりもずっと大人しく】
【その源まで辿ればひとつ、影へ辿りつく。――ベンチに腰掛けた少女、それが鈴の音の声の持ち主だった】

【真っ黒色の髪は腰まである長さ、切り揃えない髪先は総て真っ直ぐ降ろされて、時折風に吹かれて揺れながら】
【黒色と赤色のオッドアイが呟くたびにころころと表情を変えていた、右耳に光る宝玉のピアスが月明かりに煌いて】
【かっちりとした袖、裾、どこかに軍服の気配を漂わすデザインのワンピース、黒基調の中に膝をぴったりと揃えて】
【羽織っているのがマントと呼ぶべき長さだった。いっそう大きく吹いた風を大きく孕んで、ばさばさと靡いた残像】
【きちんとそろえた足先はベルトの多いブーツに包まれていて。底の厚いもの、凶器になりそうなほどだったというけれど】

なんだろう……、……ナッツのペースト? ――よく分からないからボツ、それに甘いし……。
甘くないチョコ……甘くないやつ……、大人っぽいやつ。やっぱりあれかな――。

【そんな少女がひとりでベンチに腰掛けていた。ふわぁと真っ白な吐息を吐き出して、一度足をぶらりと揺らしたなら】
【膝の上に置いてあるものを落としかけて慌てた声を出す、――見てみれば、どうやらチョコレートの入った小箱のようだった】
【――すぐそこのデパートの催事場でチョコレート展が開かれていた。きっとそこで買ってきたものだろう、袋がそうと示していて】

【またひとつ拾い上げて口の中に放り込む、いわゆるチョコとは違った濃厚さ、何由来なのかを一生懸命考えたなら】
【うーんと唸り声が漏れる、ぱたぱたぱたと足が地面を叩く音、夜という譜面の中に、いくつもの音符を足して】

【――数少ないベンチのほとんどが既に満席になっていた。ほぼ唯一空いているのがこの少女の居るベンチで、】
【誰かが来るならきっとベンチに広げている荷物を回収することだろう、それまでは、精一杯悩むつもりのようだった】
39 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/06(木) 22:32:53.85 ID:sXx2/R6So
【公園、ベンチのある一角】

【流石にネオンのような明るさは無いけれど、点在する街灯と自販機の光でそれなりには明るいその場所】
【パキ、という音が響く。そのベンチ……ではなく後ろの木の枝の上、小柄な影がちょんと乗っていた】

この時期はチョコが大量に売り出されておるから良いで御座るなぁ……
ばれんたいんだか何だかはどうでもいいで御座るが、甘味がたくさんあるのは実に良いで御座る。

【板チョコを食べているのは一人の女。といっても見た目は少女というべきものだが】
【身長は150cmも無く、女性らしい起伏も皆無。顔立ちも少女と女性の間くらいなものである】

【髪はカナリヤ色の三つ編みハーフアップ。黒い上衣は袖無しヘソ出しで、腕には黒のアームウォーマー】
【下はスパッツとミニのタイトスカート。どちらも黒、ニーハイソックスもまた同じく】
【右腰の白いポーチと首元の紅いスカーフを除けば、左腰の短刀二振も含めてほぼ真っ黒】

……流石にこの季節なら、そうそう融けないで御座るよな……?

【ついと目を向ける先、彼女の隣にバランス良く置かれているのは、パンパンのビニール袋】
【ミルク、ビター、ホワイトにストロベリー。種類は色々あれど、中身はどれも板チョコばかり】

【しかもこの袋、近くのスーパーの一番大きなサイズ……それがパンパンになるほど、である】
【一体どれだけ食べる気なのか、というか何故ベンチではなく木の上にいるのだろうか……?】
40 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/07(金) 19:56:23.50 ID:uUvrZdJko
【海岸】

【延々と続く堤防の上、街灯に照らされる小さな人影が座っていた】
【直下は2mほど下に白砂があって、10mほど先に波打ち際がある】
【人影は黒々とした海を眺めているだけだが、その年頃が少し心配材料だろうか】

【ゴシック調のワンピースの上にマントを羽織った、十歳程の小柄な少女】
【赤毛の髪をお団子に纏め、猫にも似た丸い紫の目に、薄く化粧を施している】

【少女は退屈そうに欠伸をして、遠望に浮かぶ月を茫と眺めていた】

ったく……あたしゃ一体、どうしちまったってんだい?
名前も知らない手下一匹、どうなっちまおうと今迄気にしやしなかったのに……
……歳なのかねえ、やだよぉ本当に……どうせひょっこり出てくるだろうさっ

【幼さに見合わない口調でそう零せば、はぁと溜息一つ。夜は静かに更けていく】

/次からID変わります
41 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/07(金) 21:24:25.76 ID:AVAwO2y8o
[《〈――――――うおおおおおおおッ!!!?〉》]


【とある国のとある街。住宅街も近く、この時間であれば団欒の声が聞こえてきそうな緑豊かな公園】
【時間帯故、足を運ぶ者は居ないと思いきや……何処からか吹き飛ばされてくる男3名有り】
【近くの団地にも聞こえそうなものだが、やはり時間の所為か、住宅街から出てくる者は居なかった】

「……はっ、このライラ=フェルンストレーム様に喧嘩挑むたぁ根性有るじゃねーか」

【その男達をゴミを見るような目で見据えるのは、奇妙な容貌の男だった】
【頭には魔女が被るような大きなツバのついた紫の帽子、羽織るのは帽子と同色、縁には金色の刺繍が施されたローブ】
【そして手に持っているのは、男の身長程も有る木製の杖だった。まるで、お伽噺の魔法使いの様で】

【話を戻そう。この男達、簡単に言えば強盗団。4人組で、道を歩く人間をターゲットにひったくりを重ねていたらしい】
【次に目に付いたのはこの魔法使いの男。どう見ても怪しいこの男はスルーしようと決めた男達だったのだが】
【なんと男の方が彼らに気付いたのだった。仕方なく力自慢のピエール(仮)が気絶でもさせようと襲いかかったのだが……】


「……だが、俺の魔法には敵わなかったようだな!! ざまーみろ!!!」


【男の持った杖の先端に、淡く光る白い球が現れている。『魔力』の塊であるそれは、ランプの役目を果たしていた】
【そう。この銀髪の男が持つ『魔法』によりピエール(仮)は尽く気絶。残った3人は逃げ出したのだが逃げきれず】
【最終的に男の放った魔法が直撃してこの公園へと吹き飛ばされ、今に至る……といった所である】

【周囲への迷惑など顧みていないかのように大笑いする男……ライラと、倒れこむ強盗団3人】
【ライラとしては襲ってきた相手を返り討ちにしただけ(&相手が予想以上に弱かったのでボロクソに言っているだけ)なのだが】
【……見方によっては、ライラがこの3人を虐めている光景に見えなくもない】
42 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/07(金) 22:12:23.31 ID:EBjc5Wojo
【酒場】

【寒波と寒波の間の日。だからといって今日が暖かいというわけじゃない】
【少し外に出れば身も凍るほどに寒い。それはこのチンピラばかりの裏通りの】
【ゴチャゴチャしてて、大して旨いものも無いこの酒場が繁盛しているのが証拠になる】

ったく……テクノロジーで雪ぐらい何とかしろって

【両手をポケットに突っ込みなっがら向かってくる背の高い痩せた男】
【濃い緑のレンズのサングラスをかけて右頬から首にかけて大きな火傷の痕がある】
【高級そうな革靴に黒いダブルのロングコートを着ている中はスーツでボタンは開けっ放し】
【青年実業家のような似つかわしくない男はその酒場のドアを押し開ける】

――『テメェこの野郎!!『るっせえぞこの野郎!『アアッッ?!何だと馬鹿野郎!』

【どういうわけだか大乱闘中だった。珍しいことじゃないが立ち入るべきじゃない】
【軽く暖気を浴びて、彼はドアを閉めた。ドアにかけてある『OPEN』を『CLOSED』に返す】
【ため息ひとつついて、ポケットの煙草…赤マルを取り出してライターで火をつける】
【ドアの横、煉瓦の壁に寄りかかって風に揺れる看板と点滅するこの店のネオンを見上げた】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/07(金) 22:22:37.88 ID:siWFzP+s0
>>41

【そんな公園にきらりと一筋の光が舞い下りる、それはきっと蛾のような形を持った、羽ばたく光で】
【それを従えながら歩くのは、さながら光の蛾の女王かお姫様みたいに。しゃなりとしたわけでもないけれど】
【双眸がやがてその光景を見出した、まん丸にぱちくり瞬いたなら――動きだす、その結果は未だ見えないままに】

――あー、お兄ちゃん、いけないんだ!

【――第一声がこれだった。公園に響くのは幼い子供の拙い声音、けれど彼なら覚えているかもしれない声の紋様】
【いつか公園で別の女性も交えて会話した。そんな昔の些細なことを覚えているかどうか、それは別として――】
【こちらからは覚えているようだった。魔法使いのお兄さん。勇者のパーティみたいだった思い出は、確かに脳裏に】

弱いものいじめはね、いけないんだよー?
ごめんなさいってするのね、一緒にしてあげるから、しなきゃ駄目!

【一部始終を知らないならどうしたって今で判断することになる、ぷりぷりと怒っている仕草は勘違いのあかし】
【まして謝罪までさせようとするのだから。事情を分かっている彼にとってすれば、ひどい話でもあって――】
【こつん!と足音が彼の傍で止まる、或いは芝生でも踏みつけるさくりとした音、夜の中にそっと紛れ込ませて】
【両手を腰に当てて彼を見上げる姿、あの日と何にも変わらずに――真っ直ぐな瞳で、きっと見上げていた】

【クリーム色の髪は頭の高いところで結んだツインテール、ふわふわのシュシュでその根元を飾って】
【夏の青空の色をした瞳と、右目の下の紫色した蝶の刺青、幼い顔に似合わない異質さを秘めたそれを刻み込んで】
【イチゴとクマさんをたくさん描いた柄のワンピース、ふわふわとしたコートをその上に羽織って、ボタンを留めて】
【足元は木底のシューズ、普通の靴底とは違った硬い音、どうやらそれ由来であるようだった】

ほらー、早く早く!

【――まだ5歳ぐらいだろうか、どうにも幼く見える女の子。何にもなければ彼の服をぐぅと引こうとまでして】
【思い出してくれたとしても、そうでなかったとしても。真っ先にするべきは、きっと誤解を解いてやることだった】

/まだいらっしゃいましたらー
44 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/07(金) 22:44:16.44 ID:AVAwO2y8o
>>43

「――――――……んあ?」

【さて、こいつらをどうしようか……などと、肩をトントン叩きながら考えるライラ】
【まだライラは彼らが窃盗団などとは気づいていないようで、交番へとズルズル引きずって行くわけではないのだけども】
【しかし自分は正義の味方であるからして、市民へのアピールとしてこいつらを―――と、ふと声がした】

「……いや、これは弱い者いじめなんかじゃ……あれ、お前どっかで……?」

【後ろからの声。反射的に誤解を解こうと口が動くが、その口が中途で止まった】
【見ればその姿は声に比例する幼い女の子。声で判別できなかったライラだったが、その容姿で朧げながら思い出すことが出来た】
【確か、公園で一緒に話したっけか。その時は別の女性も一緒だったけども、今日は――当たり前といえばそうだが――居ないようだ】

「だ、だから待てって! 俺は只喧嘩吹っかけてきたあいつらを返り討ちにしたなんだよ!」

【どうやら自分が彼らを甚振っていると勘違いされたらしい。そうすれば、彼女が怒っている理由も割と推測できる】
【自分のローブが彼女にぐいと引かれる。……拙い、このままでは俺は正義の味方ではなくてただのいじめっ子だ】
【そんな思考に至ったライラは、焦りつつも彼女の誤解を解くために口を開いた。その言葉は少々、荒い物なのだが】


[……何だか分かんねえが、チャンスじゃねえですかボブ(仮)さん]
《……待て待てマイケル(仮)。まだだ、もうちょい待てば活路は開けるぞ……。おいチャーリー(仮)、お前も準備しとけ》
〈……(だ、大丈夫かな……)〉

【一方の窃盗団といえば、密かに脱走の計画を立てているようだ。しかし、その声は結構大きく】
【彼女にも聞こえてしまうのではないだろうか? あくまで、何か喋っているのは分かるが、内容まではわからない声量だが】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/07(金) 23:01:59.18 ID:siWFzP+s0
>>44

【反射的に零れた彼の声、ただし来訪者はそれを易々とは受け入れてくれないようで、】
【そんなこと言ったって駄目なんだからーなんて声がした。誤解を解くのとは違う、言い訳だと判断してしまったように】
【ますます彼にとって不利な方向で話が決まりそうになっていた。ただ、それがほんの少しだけ動いたのは、】

そうなの! お久しぶりなのよ、お兄ちゃんっ!

【この2人が顔見知りであったからだろう。麗らかな午後の日差しの中で話した相手だ、悪いヒトじゃないと思い(たい)】
【ぺたんな胸を大きく張る、思い出してくれたという喜びを表情に表したなら、この場に少し不似合いなにこにこ笑顔】
【少なくとも夜の中には不似合いで、それこそ昼間の暖かな頃合が似合うはずの、幼い笑顔だった】

……えー、ほんとう? でもね、あのね、だからって喧嘩するのはね、いけないんだよ?
喧嘩とかね、危ないし、怪我しちゃうし! みーんなでね、仲良くするのが一番いいの!

【そんな笑顔がころりと変わる、ほんとう?と疑るように目を伏せたなら、見上げる視線はじとりと湿っぽく】
【結局は大まかに信じるようにしてくれたみたいだった。それでも、喧嘩はいけないんだよ、なんて少しお姉さんみたいに】
【最終的にはそんな平和な案で言葉が終わる、それが出来たらいいのにと心底信じ込んだような、語調だった】

【(例えば自分が生物兵器としての力を振るわずに済むような世界。そんな世界になったら、どれだけいいことか)】
【(平和に生きていることに時折どうしようもないほどの罪悪感が積もる。こんなのじゃいけないのに、平和が好きだったから)】

だからね、……お兄ちゃんたち、喧嘩しようとしたって、本当なのっ?
あのね、そんなの危ないしいけないからね、おまわりさん呼んじゃうよ!

――ね、そうなんだよね? お兄ちゃん?

【くるりと振り返る仕草、ぴょんとツインテールが揺れて、ふわふわと揺れるのが柔らかい毛質を示す】
【とりあえず彼のローブを放した手は腰元に当てられていて、一生懸命張る声は、それでもいくらかのかわいさが残る】
【何か話しているというのは気付いていた。ただ内容は聞こえなくて、それなら彼らのチャンスを思い切りフイにしようとしている】
【この場にそんなもの呼ばれたらたまらないだろう、自分の意見みたいに言ったくせ、男へその結果を委ねようとしながら】
【とりあえずこの瞬間は彼らの言葉を待つことにしたようだった。何をするにも後手になる対応、果たしてどんな結果を招くのか】
46 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/07(金) 23:27:59.25 ID:AVAwO2y8o
>>45

「……おう、久しぶり。あの時は名乗ったっけか?
 ライラ=フェルンストレームだ。ゆくゆくは世界を回す大魔法使いになる男!」

【ふむ、可怪しい。どうやら現実と彼女の中でギャップが大きく生じているようだ。すぐに修正せねば……】
【……と、次なる言い訳、もとい誤解を解くための言葉を結構必死に考えていた所、彼女から振られたのは自分達の再会について】
【ライラ自身、この少女を覚えていないわけではなかった。けれど、正直それも会ったこと位しか記憶が残っておらず】
【自分が名乗ったかすら忘れていて。だから少々オーバーな自己紹介も付けた。これで自分のイメージが良くなれば、なんて多少不純な目的も含むが】

「うんうん、そいつは合ってる。当たり前だ。
 ……でも、アッチから殴りかかっておいて、無抵抗で殴られるのはなー……」

【ライラも彼女と同じく、正義というか、平和を追い求めようとする心は確りと持っているようだった】
【違うのは、そのやり口が多少強引だということだけか。自分は魔法を駆使し悪を殲滅する。一方彼女は(ライラ視点ではまだ)ただ平和を愛する女の子】
【だからか、その言葉を少々荒っぽいものに変わってしまう。力で滅しなければ潰せない悪が有ると、ライラはこの一年で大いに学んできた】


[へぇっ!? い、いやち、違います違います! 喧嘩なんかじゃないですハイ!]
《……そ、そうだぜお嬢ちゃん。 さっきのは決して喧嘩なんかじゃない。だから警察なんて呼ぶ必要ないんだよ……?》
〈……(ボス……顔が汗だくですよ……)〉

「なっ!? テメーら!! さっきは喜び勇んでコッチに向かってきたじゃねーか!
 ……まー、交番に引きずってく必要はねーと思うが……何だかこいつら怪しいな……」

【いきなり自分達に向けられた言葉に、倒れこんだ3人の体は硬直し、すぐさま少女の方へと向き直る】
【右側の長身の男と、中央の髭面の男はにこやかに彼女に対して「警察を呼ぶ必要はない」と必死にアピール。それを左側の茶髪の男は黙って見ている】

【そしてその言葉に納得行かないのはライラだ。先ほど喧嘩を吹っかけられたのは何を隠そうこのライラなのだから】
【少女には多少彼らの扱いを軟化させるように言うには言うのだが、3人の男達に、何か不審感というものもくすぶり始めていた】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/07(金) 23:51:05.48 ID:siWFzP+s0
>>46

【ぱたぱたと光の蛾が羽ばたく、まるで彼女を飾り立てるみたいに、彼女の存在を夜の中に隠さないように】
【ちっちゃな頭の周りを一回りした蛾が胸を張るような仕草をしてみせた。ちょっぴりの人間らしさが、そこにあって】

あのね、私はね、ファラエナって言うんだよ――なの!
ライラお兄ちゃんはね、……世界で一番偉いヒトになるの?

【その名はどこかの国の言葉で蛾という単語だった。それを彼が知っているのかどうか、それは別だけれど――】
【あんまり穏やかとも言えない場での自己紹介。そこだけがほんのりと日常めいて、どこか和やかな色合いを持つ中】
【ちょんと傾げた首、尋ねてみせたのはそんなことで――ただ、今は“彼ら”のことが先になってしまうだろうか?】

殴られるだけもね、痛いから駄目なのっ! あのね、だからね、ちゃーんと。おまわりさんに言うのよ!
そしたらね、おまわりさんがちゃーんと叱ってくれるんだからっ。だからね、次にひどいコトされるヒトも居なくなるの!

【喧嘩は駄目。でも、されるがままにされるのも駄目。少しだけ我侭で、結局は誰も傷ついて欲しくない発想】
【おまわりさんに連れて行けばそれでもう大丈夫なんだと思っている節がある。幼い夢のような考えごとが、そこにあって】
【ひどい事件、それこそテロなどはテレビや新聞の中のお話。その場に居合わせたことのないなら、どうしたって甘い部分がある】
【それが彼との違いだった。現実を知っているかどうか――現実を、どれぐらいまで思い知ったのか、どうか】

……だってライラお兄ちゃんが喧嘩売られたってね、言ってたよ? それともね、仲良しだったって言うのなの?
そういうのはね、いけないんだってテレビで言ってたよ――えっとね、“かわいがり”とか、“いじめ”って言うの。

えー、でもでも、わるいヒトはおまわりさんのところに連れて行かなきゃ駄目なんだよっ!
ぶう……、……ライラお兄ちゃんがそうじゃないっていうなら、それでいいけどー……。

【――何かちょっとだけ思考がずれている気配がした。ただ、まあ、よほど間違えているというほどでもないようなら】
【喧嘩じゃないと彼らは言う。じゃあ何なのかって、気になって――むうとほっぺた膨らませて、問い掛けがひとつ】
【ライラへの言葉にはどうにも納得いかなげな言葉を返すのだろう。彼らがそうなのだと、決めてしまっていたような言葉】
【ちょっぴりむくれるようにしたのが子供みたいだった。ただ、訝しげな彼の様子に、はてなを浮かべて、首をかしげて】
【ちょんと一歩退くのだろう、それは彼に判断を委ねるよう、ただ、彼らに向けるきりっとした視線だけはそのままだった】
48 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 00:06:31.44 ID:nMk1KITQ0
【街中の大通り。うっすらと月が浮かぶ夜の暗がりは吐息が白くなる程の寒さをはっきり感じさせる】
【ぱきぱきと凍結した道路を踏みしめる音、それに混じって―――女の子の、すすり泣く声】

―――――ひっく…えぐ、うぅぅっ…!返して、返してよぉ…!

【泣いている様子を隠す気もなく、袖口で涙を拭いながら歩く姿は人々の目を引いただろうか】

【髑髏が全面に書かれた灰色のフードパーカー、オレンジ色のサルエルパンツにカットスニーカー】
【背丈は150程度という低身長で、前髪に金色のメッシュが一房だけ長く伸びた黒のジャギーボブに赤色をした双眸】
【そんな出で立ちの少女が一人、寒空の下でめそめそと泣いているのだった】

うぅぅっ…―――――――――――う、あっ…!?

【冬の道は滑りやすい、少女の場合は足場の悪さなど考えていなかったから尚更。摩擦を失いよろける足に、弱弱しく声を跳ね上げた】
【ましてや街中の大通り、誰かにぶつかるかもしれないし、転んだところを見られるかもしれない】
49 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/08(土) 00:27:20.66 ID:W/ap0Iito
>>48

やあやあお嬢さん、どうかしたのかね?

【氷に跳ねた泣き声の元、投げ掛けられたのんきな声は、少女の正面からの物だ】
【顔を挙げれば、目の前に立っているそいつが、今まさに腰を下ろして目の前に屈みこむ動作中】

変態にパンツでも取られたかい?どんな奴?色は?
あ、違うか?もっと大事なモノ?やべーな

【とても呑気で、適当で、本当に心から人を気に掛けてはいない、好奇心渦巻く声色が、続く】

【彼女は、蜘蛛の巣が這い回る黒いパーカーを黄色いノースリーブシャツの上に着て、黄色色チェック柄のミニスカートと黒いスパッツ】
【黒いセミロングの髪の上に被る、白いニット帽に黒いゴーグルを被せた様は髑髏を被ったようにも見えて、オーバーニーソックスと黄色・黒の縞模様スニーカーがいかにも活発だと主張する少女だ】
【また、パーカーは腋の部分が空いた風通しのいい作りで、袖先は指貫手袋と一体化したような閉じた作りとなっている】

───ま、何にしたって
『泣いてちゃ女神様は微笑んでくれないぜ』

【弱い光を湛える半開きの目と、猫の様な口がニタリと嗤った】
50 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/08(土) 00:28:44.01 ID:Tcj5te6ao
>>47
【ふと彼女の方へと目をやると、其処には決して街頭の灯りで集まったのではない蛾の姿】
【やはり彼女も能力を持っていたりするのだろうか? 右目には蝶の刺青があるし、もしかしなくても、コレは……】

「ファラエナ、か。オッケー、もう絶対忘れないぜ。
 ……そうだな、それも良いかも知れねーな。一番偉い奴になって、世界を平和にするってのも」

〈……(蛾、か)〉

【本当は世界中に名声が知られれば良いなと思っていたライラなのだが、語るのは壮大で、彼女の言葉に合った目標だろう】
【けれどライラはその時、「別にそうなっても良い」とも考えた。やはり、平和主義なのは彼女と変わらないらしい】
【窃盗団の茶髪が静かに彼女の名前の意味を察するが、当のライラは全く気付いていないようだった】

「おまわり、なー……。つっても、警察はもう上がボロボロって専らの噂だし……いや、自警団の方か。
 ちゃんと叱ってくれるのは良いが……分かった分かった。今度からはちゃんと言うから」

【彼女が幼いということは先程までの言動から分かりきっていたことであるが、ここまでだと、逆に対応に困ってしまう】
【自警団は、優れた組織だ。罪を犯した人間に、適した罰を与えてくれることだろう。ただ、再犯がないというわけでもない】
【だから、彼女の言う「ひどいコト」がもう二度と起きないわけではない。彼女はまだ、それを知らないだけなのだろう】
【気圧されて思わずそう口走ってしまうが、多分ライラには達成できない目標なのかも知れなかった】

[……え、えっと……]
《……》

【彼女にそう疑問を呈されれば、2人に何か語ることは不可能だった。アレが何だったのか、自らが口を開き、墓穴を掘ってブタ箱行きなど死んでも嫌なのだろう】
【どうやら彼……ライラがアホなために辛うじて持っているようだが、何時均衡が崩れても可怪しくない】

「……いや、ファラエナ。お前の言葉もまー一理ある。此処は一応自警団の詰所に……」
〈……待ってください、ライラさん〉

【彼女は一歩引いてくれたようだが、確かに、悪い奴らは1回詰め所に言って絞られたほうが良いのかもしれないと思い直したライラだったが】
【其処で手を上げたのは、今まで無言だった茶髪。ライラと彼女との会話を聞いて仕入れた彼の名前を使って、丁寧に説明しだした】

〈すみません、アレは事故なんです。ピエール……先ほどライラさんを襲ったヤツはちょっとした事で凶暴になっちゃってですね。
 俺達がちゃんと見ていたんですが……何かの拍子に凶暴になっちゃったらしく……申し訳ございませんでした〉

【ペコリと頭を下げる茶髪。それに倣って頭を下げる2人。どうやら先ほどライラを襲った奴が全て悪いということでカタをつけるつもりらしい】
【それは、彼女の見ていない光景だろう。辻褄はあっているだろうし、ライラもなるほどなと呟いている。この状況で、彼女はどう対応するだろうか?】
51 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 00:42:38.85 ID:a55Gvk7No
【銀杏並木の通り道―――今は葉などないのだが】
【人も疎らな夜の道、ぶらりぶらりと歩くは150cmにも届かぬ背丈の小さな影】

―――――流石に寒い。

【夜目にも目立つ明るいカナリヤ色の髪は三つ編みハーフアップ、怠そうな瞳は翠で】
【黒い上衣は袖無しヘソ出しで、アームウォーマーもまた黒。首元のスカーフは紅く】
【スパッツとミニのタイトスカート、そしてニーハイソックスも黒であり、左腰の短刀二振も同じく】
【右腰には白いポーチ、左手首には板チョコでいっぱいのビニール袋を提げた、そんな女】

【―――呟いた言葉の通り、どう見ても寒そうな格好である。しかし震えている様子は見えなくて】
【口では寒いと言いながら、のんびり板チョコを齧ってぶらぶらと】

まあ……これも修行と思えば生温いもので御座る。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ―――――というやつで御座るな。忍耐、忍耐。

【ブツブツ言葉を吐き続けながら、女は行く。女性らしい丸みは見当たらず、外見だけなら少女なのだが、】
【ただただ少女というにはどこか違う、そんな雰囲気が、何となくだが漂う女であった―――しかし、やっぱり寒そう】
52 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 00:45:13.39 ID:NSIxXKIBo
/>>42で再募集しますーよろしければ
53 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 00:47:35.07 ID:nMk1KITQ0
>>49

【転んだ時に受け身は間に合わず。顔面を強打した彼女は冷たい地面に顔を伏せて言葉にならない悲鳴を上げる】
【痛みに耐える様に低く声を唸らせて、顔を手で覆って上体をゆっくりと起こす】

―――――――…ぅ〜〜〜〜〜っ?

【そこで、自分に声をかけてくる誰かの存在に気付くのだった】
【打ちつけた個所の痛みと見られたという羞恥心、指と指の間から見える瞳の色は困惑そのもので】

――――――っ…誰、ですか?

【軽い咳払い、覆った手を解いて表情を装ったなら、眼前の少女を睨むだろう】
【行き場のない感情が溜まりに溜まった故の表情。怒りと悲しみの混じったそれは初対面の相手に向けるものではなかったが】
【それでも迫力なんてものはない。大体は小さい体と、泣き腫らした眼のせいだが】

――――――女神さまなんて居ないです。でなきゃウチが、こんな理不尽な目あうはずないです

【何か取られたのかなんて質問には答えない、冗談っぽい態度が癪にでも触ったのか】
【拗ねたように呟く少女はやがて、地面に手をついて立ち上がる。軽薄そうな相手の様子に、不機嫌そうな様相で返した】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 00:58:12.63 ID:U0LjU2P60
>>50

【ぱたぱたと舞う光の蛾。彼女からしてみれば、ただ夜道を歩く際の明かりのようなものでしかなく】
【ただ、どうしようもなく能力の発露だった。或いは、人目につくところでそれを扱う、軽はずみとも言えるかもしれないこと】

あのね、世界で一番偉くなったら……とっても凄くてね、きっとね、悪いヒトも言うこと聞いてくれるんだと思うの。
でもね……あのね、言うこと聞かないヒトってね、絶対絶対居るしね、それにね、
……お兄ちゃんがね、寂しくなっちゃうんじゃないかなってね、私ね、思うのなの。

だってね、偉いヒトと話すのって、とっても緊張するでしょうっ? 私ね、きっと出来ないよ!
だからね、1人だけでしちゃ駄目だよ! 私だってね、お手伝いぐらいなら、できるんだから!
皆ですればね、1人ぼっちじゃないよ、だってね、皆が居るんだから! でしょ?

【世界で一番偉くなること。一生懸命考えてみれば、少しぐらいは思い浮かぶようでも、どうにも難しいお話なら】
【あーとかうーとか、唸り声がたくさん溢れてくる。思考すればするだけ、考えたことの証明みたいに、止まらない】
【――危惧することがあった。世界で1番になることで、彼が孤立してしまうんじゃないかって。そればかり気にしたなら】
【言い出すことは、ただどこまでも真っ直ぐな心からのもので、自分だって手伝うよ、なんて笑ってみせた】

【(気付かれたことには、気付かない。或いは、自分の名がそうであることにすら気付いていないようですらあった)】

それにね、何があったかって知らないヒトが見たらね、お兄ちゃんが正しくたって、分からないかも、なの。
だってね、私だってね、言われなかったら――ライラお兄ちゃんが虐めてるんだってね、思っちゃったもの!

えっと……だからね、ごめんなさいなの。

【はじめ、自分は間違えた。彼が一方的に虐めてるのだと思って、だから、最初の方で怒っていたのだろう】
【けれどその誤解はもう解けた。残るのは罪悪感で、ぺこりと頭を下げれば髪がふぅわりと夜風に揺れる】
【その間窃盗団の彼らは放置だが。逃げ出さないと見て、少し油断しているような節があったのは確かだったろうから】

うにゅ――、なあに、ヤなことでもあったの、なの?
あのね、ヤなことがあったらむきー!ってなっちゃうのね、よく分かるけど……。
……それってね、ダメなコトだと思うな……。……ライラお兄ちゃん、どーするの?

【ちょっとしたこと。暈された説明、はっきりしない形に、むうと歪められた眉のかたちがあって】
【自分なりに考えてみたならこうなる。嫌なことがあったんだ、なんて理解をして、そのまま話を進めていくなら】
【曰くピエール氏の行動は八つ当たりだったということにされてしまう。それが彼らにとって良いことなのか、悪いことなのか、不明でも】
【駄目なことは駄目であるという意見を述べて。その後は、この場において大人であるライラの判断を仰ごうと、視線を持ち上げた】
55 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/08(土) 01:11:17.43 ID:W/ap0Iito
>>53

ん?『人間』

【『誰ですか』と聞かれて、まともに答えない奴は大抵捻くれている、きっとこいつもそう】

そうプリプリしないでよ、僕は君を和ませようと努力したつもりだぜ?
ウチの駄メイドくらいでいいんだよ、転んだだけでキレるのは

【少女が立ち上がると、自称『人間』も立ち上がる、クルリと体を回転させながら、踵を地面に軽く叩きつけた】
【少女に向けるのは背中、そのまま首を振り返りながら、仰け反りながら、逆さまに首だけ見上げるような体制で少女を見る】

女神様ってのはドSだと思うのよね、理不尽に他人をいぢめて笑うんだよ、たまーに飴をくれるのが性格の悪さ出てると思わない?

そんな事よりもさー、んなこたぁどうでもいいんだよお嬢ちゃん、なあお嬢ちゃん
君は何か思わない?貴女は何か考えない?今が、『これが』どいいう状況かさ
お嬢ちゃんは何か困ってる、そこに私は話し掛けた、クールに素通りするのでもなく、アツく熱血主人公様するのでもなく話し掛けたんだぜ?
『利用』しようとか、考えちゃっても許すよ?女神様より慈悲深いキブンなワタシ

【まるで乱雑に書かれた、教科の定まっていないノートのように、話し方や一人称をころころ変えながら、しかし全体的な雰囲気は変わらずに】
【そう、『客観じみて愉しんでいる』ような、言い方によれば『達観』した彼女は、粘度の高い水のように話を続けるのであった】
56 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/08(土) 01:33:39.24 ID:Tcj5te6ao
>>54
「……」

【黙りこくる。何故ならば、彼女のその言葉に少しだけ衝撃を受けてしまったから】
【「頂点に立つのと同時に生まれる孤独」。ライラが戦闘で受けた血の味も知らないだろう少女だからこそ、ライラが考えつかない、純粋な事が言えるのだ】
【少々羨ましく感じた。でも、戻れないのは何より自分が一番良く知っている】

「……そん時はっ、よろしく頼むぜファラエナ!」

【だから今は、そんな事を提案してくれた彼女の髪をくしゃりと撫でながら感謝の言葉を述べるに留まった】
【自分が本当に世界の頂点に立つ時は無いだろうけど、仮に立つとしたら……ライラは彼女の言われたとおりにするのだろう】
【それが、ライラが彼女から受けた一番の影響であると言える】

「いいよいいよ。ファラエナが謝る必要なんて無いしな。
 ……さて、こいつらだが……」

【彼女が頭を下げるのに、「いやいや」と手を振る。正直先ほど彼女に誤解された際は、ちょっとムカッときた物だが】
【其処までする必要は無いと思った。……いや、コレが彼女の普通だったりするのだろうか?】

「……まー、しょうがないかもな。そのピエールってやつ、お前らがちゃんと見とけよ? 今回は俺だったから良かったものの……」

[〈《ありがとうございます!! それでは!!》〉]

【この3人は悪くないし、そのピエールも悪気が有ったわけじゃないらしい。ライラは結果的に、4人を許した。……それが作戦とも知らず】
【「やはりアホだ」と茶髪は思い、高校生並みの元気を持って深々と謝罪。そして逃げるように帰っていく。……彼女は納得がいかないかもしれないが】

【……そして、残ったのは2人だけ】

「……さて。一段落ついたトコだし、俺は帰るかな。ファラエナは……1人で帰れるか?」

【彼女の如何に関わらず、ライラは事件解決! と言った調子にすっきりしているようだった。それはもう、呆れるくらいに】
【そして心配するのは彼女のこと。やはり幼い子供なのだし、自分が送っていく必要があるかも知れないと、彼女にそう問いかける】
57 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 01:39:08.75 ID:nMk1KITQ0
>>55

――――――つまんない。

【自分だって質問には答えなかったというのに―――不貞腐れて、一言漏らす】

神経を逆なでる、の間違いなんじゃあないんですかぁ?
どうだっていいけど、自分で努力したなんて言う奴は努力してないんですよ。

【どう思うかなんてのは人の勝手なのだが―――少なくとも、涙を止めるという意味でなら成功と言えるか】
【こちらを見たのなら逆さまでも、眉間にしわを寄せて静観する彼女が見えるだろう】
【泣きじゃくっていたのも束の間、零れ落ちていた涙はもう収まったらしい】

【そんな女神様なら元から必要ない―――そんなこと思いつつも、続けられる相手の会話を聞きながら】

―――――…伝わりづらいんですよぉ言ってることが…!
じゃあ何?あなたはウチの大切な大切な『作品』を取り返してくれるんですかぁ?
だったら取り返してくださいよ、どーせ嘘とか冷やかしなんでしょうけど!

【七変化する口調、掴みどころのない相手に、今度は多少の苛立ちを覚えた。しかしその内容は彼女にとって希望と成りえるもの】
【穿った見方で、素直とは一概にも言えない態度だが――― 一応の「お願い」をした少女】

【―――『作品』と言うからには、この少女は芸術家か何かなのだろうか】
58 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 01:50:05.05 ID:4Y6C9UFuo

【公園】

【すっかり夜も更けた時間帯。昼間には大いに賑わうこの広い公園も、もうとっくに人は捌けてしまっている】
【そんな、黒々しい静寂の中心地――――氷の張った噴水の目の前に、ぽつりと立つ人影があった】

…………ええ、はい。こちらは終わりました、迎えの方をお願いします。

【黒いブレザーに赤いネクタイという学生服に黒色のダッフルコート、右手には学生鞄という身形の、瀟洒で落ち着いた雰囲気の少年だ】
【流れるような水色の髪はやや巻き毛気味ではあるものの、一本一本にまでしっかりと手入れが行き届いていて、育ちの良さが伺える】
【挙措の一つ一つは優雅で美しく、ある種の風格すら漂う。緩く浮かんだ微笑みも、まるで絵画から出てきたかのようで】
【少年は電話口の相手と事務的な会話を交わした後、すっと瞳を閉じて思慮に耽る。どこか疲れの伺えるその動作も、鼻につくほど絵になっていた】

さて…………。
そちらの方、何かボクに御用でしょうか?

【――――ひとつ、白い息を吐いた後。少年は闇の奥にいる何か≠フ気配を察知して、そこへ柔和な笑みを向けるだろう】
【普段は平穏を享受する人々しか寄り付かないこの場所だが、何せ時間が時間だ。街灯のか細い光だけが、その残滓として少年を照らしている】
【勿論そんな小さな光など、やろうと思えば一瞬で吹き飛ばしてしまえるし、逆にそれを分かち合うことも出来るはずだった】
【つまるところ――――その何か≠ェ誰であっても、どちらの住人であっても、別段おかしくはなく】
【また少年も、全く物怖じしない態度で、分け隔てなくそれに接するのだろう――――】


/予約です!
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 01:50:50.79 ID:U0LjU2P60
>>56

【黙りこくってしまった彼の姿に、表情が少しだけ不安そうなものになる。何か、間違えたことを言ってしまったのではないかと】
【まぁるい瞳に揃う長い睫毛がしゅんと下をむき出した頃、ようやく彼の言葉が紡がれた。そうなれば、ぱぁと笑う笑顔の花】

分かったの!

【やはりその笑顔は夜には似合わない。昼間とか、明るいお日様の下で見るのが一番似合うだろう色合いで咲って】
【くしゃあとちっちゃな頭を撫でられる、ふわふわとした髪がわしわしにかき混ぜられて、ほんのちょっぴり歪むけれど】
【ざっと手櫛で整えてしまえばそれでおしまい。ちょっと乱れているぐらいなのが、元気な彼女に不思議とよく似合っていた】

【いいと言われればそっと頭を上げる、ちらと向けた視線は僅かに窺うようなものだったが、すぐに平常の色を取り戻す】

あ……、……。

【元気よく下げられる頭、なんだか反省とは違うように思えて、少しだけ不思議なような、引っかかるような感情】
【ぽつりと声が漏れたけれど、その頃にはもう遅い。きっと脱兎のように逃げ帰る背中、ただ眺めるしかなくって】
【逃げて行った方向に向けられた視線が徐々にじとーっと伏せられていく。今更ながらに抱いた疑念は、ただ、】

【――自分でライラに任せると決めたのだから、と。そんな風に思うことで、どこかへ晴れていった】

えっとね……大丈夫だよ、なの! 夜はね、あんまり歩かないようにしてるから……。
お空からびゅーんって帰るんだよ、だからね、大丈夫なの! あっ、でもでも、ライラお兄ちゃんとなら一緒でもいいかな――。

【1人で帰れるかどうか。尋ねられたなら、ほんのりと嬉しそうに笑う、或いは自慢げに笑う、それはどこか悪戯っぽくもあり】
【さんざ出歩いておいて何を言うかと思われそうなものだが。その実、リアルに地面を歩かないようにしているという答え合わせ】
【――でも。送ってくれるというのがちょっぴり魅力的なように思えた。お話しながら帰って行くのも、きっと楽しいだろうから】

……うーん、うーん、……あのね、やっぱりね、大丈夫だよ!
お気持ちだけね、受け取っておきます! ありがとうございますなのっ。

【――それでも。わざわざ送ってもらうというのが悪いように思えたなら、最終的に導いた結論は、これだった】
【先ほどよりも軽めに頭を下げる、にっこりと見せた笑顔は、心底感謝しているようで、ただ少し申し訳なさを孕むようで】

じゃあね、ライラお兄ちゃん、良かったらね、またお話して欲しいな!
困ったときはいつだって呼んでね、聞こえたらね、すぐに行くんだから!

またね!

【助け舟は聞こえたとき専用。それでも、実際そうなったならいつだって駆けつけてみせる、覚悟が窺えて】
【嘘じゃないというのだけ精一杯に伝えるだろうか。何か困ったなら、猫の手程度に相談してやれば、きっと応えてくれるから】
【ぱたぱたと手を振った背中できらきらとした光が生まれる、午後のお日様のぽかぽかした暖かさとまるで同じ光が、】
【――ぶわと広がったかと思えば翼のかたちを作り出す。数度確かめるように羽ばたいたなら、やがて体はふわと浮いて】
【「じゃあねー!」と最後に言い残した声を最後に、空高く舞い上がる。その姿は、街のほうへと消えて行ったという】

/おつかれさまでした!
60 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/08(土) 01:59:50.61 ID:W/ap0Iito
>>57

自分の努力を自分で認められない、それこそが愚かなんだと思うぜ?
それに、努力してるくせに「私は努力してません」「こんなの努力に入りません」なんて言ってる奴の方がなんかアレだよね、うんアレ
誰に自分をどう見せたいのか分からないけどさあ、影の努力家気取り程笑モノは無いと思わない?それこそ神様に媚売ってるっつーかまあ私は努力しないんだけど

あれ?何の話だっけ?三原則の話?いや違ったな

【怒られるとか、不機嫌にするとか、人によってはそれこそが愉悦のスパイスたり得る物、他人が自分の戯言にムキになるのはどんなに楽しいか】
【首が疲れたので普通に向き直って、両手をパーカーのポケットに入れながら、尚も饒舌に、無駄話7割くらいに話は続く】

え?何?ブーメラン発言ネタ?笑う所?ジョークのセンス無いね
物事は時と場合と場所と目的だべ?『何が』『何時』『何処で』『如何やって』無くなったか言えや
それによっちゃ聞いてやってもいいしやらなくてもいい、人生に選択肢でセーブ&ロードなんて事は出来ないんだから吟味する時間は必要だ

ま、ヒマだから聞いてやるケドね

【右手人差し指を自分のこめかみにグリグリ回して戯けながら、しかし一言多いとはいえ話には食い付く】
【……善意なんて、欠片程も見えないが、とすれば彼女を頼るということは正に『利用』という形になる】
61 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/08(土) 02:09:26.41 ID:Tcj5te6ao
>>59
【彼女の何処か引っかかる様な気持ちとは裏腹に、ライラは呆れたような笑顔で3人を見送った】
【単純と純粋。一方だけが思うことの出来た疑問だが、何時しか夜の闇に溶けていく。そして、消えていく】


「空から……? な、何だかわかんねーが兎に角大丈夫なんだな? それなら俺は良いけどよ―――」

【彼女の子供っぽい悪戯心が見え隠れする笑顔に、ライラはほんの少し苦笑する】
【今だって決定的に夜なのに、「夜は出歩かないようにしてる」とか、色々突っ込みどころは有ったものの―――】
【兎に角大丈夫だと彼女の顔からはそう見えて、ちょっと思い残りはあるものの了承することにした】

「おお、ありがとな。さっきも言ったが、頼りにしてるぜ。
 じゃあなファラエナ! ……って、翼!? じゃ、じゃーなー!!」

【分かる。きっと彼女は少しでもライラの弱音と彼女を呼ぶ声が聞こえたならすぐに駆けつけてくれることだろう】
【だが、男としては彼女と合う時はそうじゃないほうが良い。その為には、やはり強さが必要なのだろうか】

【先ほどの疑問が、何処か温かみのある翼によってかき消された。なるほど、と思ったのはその翼に驚いたのとほぼ同じ】
【もう一度大きな声と共に手を振って、彼女が町の方へと飛んでいき、視界から消えるまでずっとライラは見ていることだろう】
【そうしてライラも帰路につく。新たな信念を胸に、また今年も、ライラ=フェルンストレームは歩き出した】



〈(……最近は1円で会社建てられるらしいし、思い切って実業家でも目指してみるか……)〉

【また、この日を境目に新たな人生を辿り始めた茶髪の青年が居たとか何とか……】

/お疲れ様でしたー!!
62 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 02:11:56.28 ID:PpjR0fE+0
>>58
【辺りには誰も居ない。ならば、声を向けられて居る先は当然自分なのだろう】
【その事を理解したならば後の展開は早い。同じか細い光に自ら照らし出される様に現れたのは―――― 一人の女子生徒】
【とは言え、纏うブレザーは少年と同じ学園所属を示す物では無くまた異なった其れ】
【明るい茶色の髪とその人相は何処か活発な少女といった印象を与えるかもしれないけれど】


「ありゃりゃ、バレちゃってましたか?
私としては上手く闇に紛れ込めたつもりだったのですがー…………うーん、中々思うようには行かないですねぇ」

【少年が落ち着いた雰囲気ならば、少女はその逆に位置する存在】
【仕草、話し方、雰囲気に至って騒がしいとまでは行かずともその一歩手前までは来ているのだ】
【見た通り得物は所持していない。能力を用いて戦闘をする――――なんて事も考えられるが、少なからず今は友好的であって】
【もう一歩二歩よって漸く相手の表情がハッキリと見える距離。屈託の無い明るい笑みを見せれば、誤魔化すように頭を搔き】


「いやぁ、暗闇。僅かな光。冷たい気温に張った氷。そして美少年と来れば写真になるかなぁ…………何て思いまして
――――と言った建前は置いておきましょう
ふふ。こんな時間に学生さんが居るなんて珍しいなと思って見ていたんですよ
そりゃ、私だって学生ですけど…………でも、ほら。こんなですから出歩いていたって珍しくは無いかもしれませんが
…………どうやらお仕事か何かみたいですし、“取材”か何かさせて貰えたらなと思って見ていたんです。邪魔しちゃいましたか?」

【敵で無い事は明白。或いは、所属する場所は異なれども同じ学生という点に興味を惹く事が出来るか――――其れとも、“取材”の部分で惹き付ける事が出来るか】
【女子生徒は多少突っぱねられた所で諦める事は無いであろうし、もしも少年が言葉を返してくれるならば】
【笑みを浮かべたまま思い出したかのように「これ、賄賂です」なんて巫山戯た言葉を放ちながら暖かな缶コーヒーを差し出す事だろう】

/宜しくお願いしますですよー!
63 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 02:38:45.10 ID:4Y6C9UFuo
>>62

おや…………こんな時間に学生さんに出会うとは。
ボクが言うのもなんですが、珍しいですね。

【少年としては、もう少し剣呑な相手を想定していたのだろう。現れた少女、それに彼女の纏うブレザーを見て、やや驚いたような様子だった】
【いや、厳密にはその可能性が消えたわけではない。実際に話してみないことには、警戒が必要であるのには変わりないのだが】
【――――警戒、しているのかしていないのか。柔らかい物腰の言葉に芸術作品じみた笑顔からは、温厚な雰囲気以外のものは伺えない】
【少女が近寄ってきたのを見ると、少年もまた一歩そちらへ近づいて。無防備なようにも見えるし、そうでないようにも見える】
【あるいは…………そう見せている、のかもしれないが。笑顔に返した微笑みは、やはり綺麗なだけだった】

ふふ、面白い方だ…………。よろしいですよ、その取材、お受けしましょう。
ちょうどいま、その仕事≠ェ終わったところでして。迎えが来るまで暇だったんです。

…………でも賄賂を貰っただなんて知れたら、父になんて言われるかわかりません。この事は秘密にしておいて下さいね?

【少年にしてみれば美少年だなんて言葉、本心にしてもお世辞にしても言われ慣れているものであったのだが】
【それを「建前」とバッサリ断じて本題に進んでいく少女の話術に、少年は楽しそうに笑って。少女の言う取材≠快く受諾するのだろう】
【差し出されたコーヒーも、冗談なのか本音なのかよくわからない言を飛ばしながら受け取る。とりあえず機嫌が良いのは間違いなさそうだった】

さて――――ボクはリチャード・トラヴィス、レイリスフィード学園の一年生です。あなたは?

【そして最後に、少年は自分の名前と所属する学園の名前を口にするのだが…………ある程度情報通であれば、いくつかの事が読みとれるだろう】
【まず、レイリスフィード学園という場所――――能力者の集まる場所でありながら、能力≠ノ頼らず生きていくための教育を行う学校】
【そして、『トラヴィス』という姓。そう珍しい名字でもないのだが、とても単なる学生には見えない少年の挙措から、推測を立てることは可能かもしれない】
【――――『TRAVIS(トラヴィス)』。主に鉄鋼業やIT関連分野に展開し、昨今急成長を遂げているとある大企業の名であり、その社長の姓でもある】
64 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 03:08:47.97 ID:PpjR0fE+0
>>63
「良く騒がしいだとかは言われるので、“面白い”は褒め言葉として受け取らせて貰いますよ
――――其れと、安心して下さい。こう見えても守秘義務で口の堅さには自信がありますから」

【秘密にしておけと言われれば自身の唇に人差し指を立て、一度ウィンクを飛ばして見せる事だろう】
【その形や性格からして口が軽そうにも思えるが…………“取材”なんて事を出来る程度には信頼もあるのか】
【無論、学園生活では色々と生徒に迷惑を掛けたりしているが――――割愛】


「イスカーチェリ学園の現二年生。アグアニエベ・アウラですよ
それにしてもアレですねぇ…………レイリスフィードと言えば私の所とは殆ど真逆で、其れに前に行われた大会でも其処の生徒の子が――――っとと、脱線する所でしたね
そこら辺の話はまた後でにしましょう」

【性格も異なれば所属する学園も少年とは対。能力を禁ずると言うよりは、持って居る能力を使って役立てる仕事を探してたりのりしろを伸ばしたりする事を目的とした処】
【自分とは異なる学園に触れる事なんて滅多に無いのだからついつい話が其方へと向かうが、最初の目的を思い出したならば自ら道を訂正して】
【更には流石に取材なんて発言を出来る程度の知識は持ち合わせているのか、少年の名を聞いた時にふと表情が変わり】


「トラヴィス?…………えっと、ちょっと待って下さいね。トラヴィス、トラヴィス…………――――」

【聞き覚えのある名だ。詳細までは分からずとも、何かの事業に関わっていると聞いた事がある様な気がする】
【少年を前にして少年の姓を何度か呟く姿は異様であるが――――「あっ!」の声と共に手を叩いて】


「思い出しましたよ!トラヴィスと言えば彼の大企業ですね!
いや、この時間に仕事とか言っている所を聞くとただの学生さんでは無いとは思って居ましたがまさかのまさか、本当に彼処の人ですか?!
だとしたら御曹子さんですね!久しぶりのスクープですよ!!それで、それで仕事って何だったのですか?!」

【思い出す事が出来たら、後はバラバラのパイプを組み立てるだけだ】
【その結果、何処か興奮した様子で話す事になるのだろう】
【確信は無いし、まだ少年は認めては居ない――――が。其処は長年の勘だ。意外と其れが鋭い一突きをする事もあり】
65 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 03:43:07.78 ID:4Y6C9UFuo
>>64

ええ、どうかよろしくお願いします。あまり父を怒らせると、後が怖いですから。

【少年、リチャードは缶コーヒーを開けて一口飲んだ後、また綺麗な笑顔を浮かべる――――のだが】
【父を怒らせると、誰にとって後が怖いのか。取りようによっては脅し文句にも聞こえる、抜け目のない言葉だった】
【そしてリチャードは背後にある噴水の縁まで行くと、「少々見窄らしい椅子ですが」なんて冗談を口にし、貴公子然とした一礼をして着席を促すだろう】
【吹き上がる噴水の背景と街灯の仄かなスポットライト、観客をもてなす俳優――――それはまるで、演劇の世界へ飛び込んだような情景であった】

アウラさん、で宜しいでしょうか。いや、アウラ先輩、の方がいいかな?
にしても、イスカーチェリ学園の方でしたか。…………まぁ、どの学園にも不良の一人や二人はいる、ということですよ。些か可愛らしい不良が、ね。

【少女の自己紹介を受けると、リチャードはわざとらしいウィンクと共にまた冗談を飛ばす。物腰の柔らかさとは裏腹に、中々お茶目な人柄のようで】
【リチャードは決して、少女ことアウラより先には座らない。自身の誘いに従って噴水の縁に座ったなら、その後に続いて隣へ座るだろうし】
【そうでなければ立ったまま話を続けるだろう。何というか、女性の扱いにも相当精通している印象だ】

【…………それはさておき。違う学園に在籍する先輩という事もあって、興味があるのはリチャードも同じようだったが】
【アウラが話を戻したのを見れば、それに合わせて自身も言葉を切る。意味深な口調からして、アウラの言った大会出場者の事も知っているのかもしれない】

――――ええ、その通りです。一応御曹司という事になりますね。
将来は父の跡を継いで会社を纏めていく立場ですので、今のうちに仕事に慣れておけ、と父から簡単な仕事を任されることがあるのですよ。
今日もその一環で、部下と共に契約会社の方へ挨拶回りに。五社ほど回っていたら、いつの間にかこんな時間になってしまいましたが…………。

【アウラの推測を、リチャードは微笑みの表情のまま肯定する。その驚きも興奮も、恐らく見慣れたものであるのだろう】
【仕事≠ノついても、喋ってはいけない部分には決して触れず、しかしそれ以外の部分は出来るだけ詳細に語って】
【簡単な仕事、なんて謙遜して言っているけれど、その発言からするに相応に責任ある仕事を任されていることが推測できるだろうか】
66 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 04:19:21.68 ID:PpjR0fE+0
>>65
「別に先輩なんて必要ないですよ。ほら、私達は同じ学生であっても学園は違うんですから無駄な気遣いは無用です
そ、れ、に。何だかまるでその子を知っている様な口振りですね
むふふ、良いですよ。お姉さんは勿体ぶられるのも嫌いじゃありません。私の色気と話術で学園とその子の事と聞き出してみせますよ」

【先輩と呼ばれれば苦笑と共にやんわりと否定して。その性格から、堅苦しい雰囲気は好まないのだろう】
【ちょこんと促された先に座ったならばもう一本のコーヒーを取り出し、プルタブを開ける】
【果たして色気と口に出す女がむふふ、なんて親父臭い笑いを漏らすのかは不明だが】

【――――件の大会出場者が何故気になったのか。其れは極単純な事】
【自分たちの学園は能力を認め、高める事を良しとしているが…………レイリスフィードは逆だ】
【若かしながら、その学園から大会出場者が出ており、忌むべき能力を用いた戦闘を行っている。其れは何故か。大会の映像を見ていた時に生じた疑問】
【校内新聞の一面を飾る様な内容で無いにしても、個人として気になる所】


「ほぇ〜…………私と歳が変わる訳でも無いのに凄いですねぇ
私なんかが任されたら粗相をして直ぐにクビですよクビ。五社ともなれば…………あー…………考えたくも無いですね
と、兎に角。お疲れ様です若社長。コレ、今日一日を頑張ったおねーさんからのご褒美です。あ、お父さんに見つかるのが不味いなら、今の内に食べちゃって下さいね?」

【軽い冗談でも飛ばせば内ポケットを漁り、取り出されるのは二つのチョコレート。ピーナッツが含まれた其れは軽食としても愛用される事が多い物】
【ゆるりとした笑みでその内の一つを手渡せば、残る一つの封を開いて頬張り】
【咀嚼してコーヒーで喉を潤した後、手帳に色々と記入を始め】


「記事のタイトルは某有名企業、志高し未来明るしといった所でしょうか
…………ああ。其れとですね。私達の学園は完全寮制といっても良い程なので中々に情報が入ってこなかったりするんですよね
代わりとして、私がこうやって時々学園の外に抜け出して情報収集を――――っと、失言ですね。今のは内緒です
さて、良かったらちょっと情報交換でもしませんか?私としてもレイリスフィードには興味がありますし…………貴方の“仕事”にも興味がありますから
勿論、美味しいネタがあれば記事とかにしますけどね」

【幾つかの題を書き起こし、その内の一つを適当に読み上げた】
【思ったよりも口の堅そうな少年だ。取引先も気にはなるが――――ゆっくりと綻ばせて聞き出すしか無いと判断したのか、直接は尋ねず】
【代わりとして、同時に織り交ぜて質問するような形式を取って】
67 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 05:00:24.27 ID:4Y6C9UFuo
>>66

そうですか? いえ、ボクってこんな身の丈のせいか、先輩にも敬語を使われることがあって。少し憧れているんですよ、頼りになる先輩っていうのに。
…………ふふ、どうかお手柔らかに。なにせボクも男ですから、美人に迫られると断り切れませんので。

【整った顔立ちに人当たりの良い性格、そして大企業の御曹司という立場。学園でもさぞかし人気がありそうだ】
【ただ、それ故に相手に萎縮されてしまうことも多いらしい。一般的な生徒の生活に憧れる面もあるようだった】
【一見すると弱気な言葉には、しかし淀みも何もない。さり気なくアウラを誉めている辺りも、一筋縄では行かなそうな少年である】

はは、若社長は勘弁してください、取引先の方がそういって散々お世辞をぶつけてくるので、正直なところ耳に胼胝が出来そうなんです。
ボクのことはリチャードで構いませんよ、アウラさん。ありがとうございます、頂きますね。

【リチャードは苦笑いを浮かべ、ルビーのような真紅を称える双眸を虚空へと向ける。今日一日だけで既に幾度も聞かされた言葉であった】
【そうしてアウラからチョコレートを受け取ると、白磁のような指で一粒取り上げてさっそく口に放り込む】
【心なしかだが、コーヒーの時より嬉しそうに見えるだろうか。食べ終わるとすぐにもう一粒取り上げて、また咀嚼…………どうやら甘い物が好物らしい】

ああ、そういえばあそこはその様な体制でしたね…………ええ、ボクは何も聞いていませんよ?
わかりました、ボクもイスカーチェリ学園には興味がありますので、ちょっとした情報交換と行きましょうか――――。

そうですね、まずは手始めに、ボクから先程の大会出場者のお話でも。
実はその彼女、他ならぬボクのクラスメイトなんですよ。悪い意味で、になってしまいますが、学年問わずかなり有名な方です。
ボクは父の仕事の都合で今年転校してきたばかりなので、過去のことは伝聞になってしまいますが…………どうやら大会に出るよりずっと前から相当の不良だったようですね。
ああ、不良と言っても性格的には正義を重んずる良い方ですよ。ウチでは単に素行不良の生徒だけでなく、能力≠積極的に使用しようとする人間も不良≠ノなってしまいますから。
…………まあ多少ぶっきらぼうで、性格に全く問題がないとは言えませんが、ボクも仲良くさせて頂いています。

――――彼女にしてみれば、あれは当てつけみたいなものだったのかも知れません。
彼女は学園生にしては珍しく自分の力に誇りを持っているタイプの人間ですから、昔から学園の体制や生徒たちに不満があったんでしょうね。
それで、わざわざ学校の制服を着たまま大会に出場して…………と。あの後停学処分まで食らったのに、全く反省の色も無い様子で。
レイリスフィードは能力を抑えつけるような校風ですが、必ずしも宗教じみたものではなく、現体制に不満のある生徒も少なからず存在する――――と、そんなお話です。

【リチャードはアウラの言にまた一つ恣意的なウィンクを送ると、まずは自分から語り出した】
【先程の大会出場者の話だ。本人の事を配慮してか多少ぼかしてはあるが、語り口は滔々として、流れ出るように止まらない】
【ほんの少々だが、熱も篭もっているように見える――――その彼女≠ニは仲も良いとのことだが、もしかすると何か特別な思い入れでもあるのか】
【…………まあ、それが男女の云々であるかは置いておいて。取り敢えず、好意を抱いているのは間違いなさそうであった】

【――――そうして話を纏めると、リチャードは次にアウラの表情を伺うだろうか】
【こちらの話をどう受け止めたかが気になる、という意図であると同時に、他に質問はないか、という確認でもあって】
【また、アウラの話も聞いてみたいという意思表示でもある。正反対の思想を持つイスカーチェリ学園の話、やはり気になるところがあるようだ】
68 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 05:04:09.40 ID:PpjR0fE+0
>>67
/申し訳ないです……ちょっと眠気が強くなってきましたので今日に持ち越しは大丈夫でしょうか……?
69 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 05:34:40.82 ID:4Y6C9UFuo
>>68
/了解しました! 明日は昼以降完全に暇ですので、いつでも声をお掛けください!
/気づくのが遅れて申し訳ない、ひとまずお疲れさまでしたー!
70 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 05:37:45.05 ID:4Y6C9UFuo
>>69
/…………よく考えたら明日じゃなくてもう今日ですね、私も寝ます(白目)
71 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 13:13:56.94 ID:asVkl5Bj0
【降り出した雪に目を奪われる】
【積もりもしない弱弱しく自分の視界を埋め尽くす】

「…寒い…な」

【そこは公園だった】
【普段なら子供たちの笑顔や己の鍛錬に勤しむ若者の集う憩いの場所だが、この天候では誰もいなかった】
【ただ一人、雪と見間違えるような、まるで捨て犬のような少年がそこにいた】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

「…まだ降るのかな」

【滑り台や階段、中の開いた空洞等がある加工された石でできた遊具】
【その遊具の中で、雨風をしのぐ様に座り込んでいた】

【息は白く、凍えてくる】
【少年は一人、この寒空で震えている】

【その姿は、公園に入らずとも見えてくるだろう】


/予約ロールです!
72 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/08(土) 13:54:09.94 ID:6JsDQLPL0
>>71
【誰も居ない公園、入り口からゆっくりと少年に近づく人影】

【それは60後半といった顔つきの老人の姿であった】
【足首の辺りまである黒く大きなローブに身を包み、その下から見えるのは厚底ブーツ】
【髪は白いセミロングのオールバック、しわの多い表情はあまり優しくそうには見えない】
【木製の杖をついてはいるが 背筋は曲がってはいない、そして何よりその杖の頭には逆五芒星が掘りこまれていた】
【少年の近くに向かえば、老人は枯れた声で話しかける】

君は、此処で何をしている……?
まだまだこんな季節、このような所で寝ていては 最悪凍え死ぬぞ…
……それとも、死に急ぐつもりか……?

【それは少年の身を案じての言葉か、しかし老人のそれはとてもそうには聞こえない】
73 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 14:08:31.16 ID:asVkl5Bj0
>>71
【その声に思わず顔を上げる少年】
【目の前の老人に少年は安堵とも恐怖とも取れぬ複雑な表情で返した】

「…すみません、おじいさん。心配をおかけしました…」

【少年の身なりは町に転がる浮浪者と何も変わらない】
【だがその透き通った声や顔立ちは少年が卑しからぬ身分を連想させるものだった】
【吹けば崩れるような少年は声をかけられてもそれでも動こうとしなかった

【折り曲げた脚を両腕で包む体操座りのまま続ける】

「…僕には帰る場所も何もありませんから」

【僕は空っぽなんです―――と、少年は包んだ腕をより強く握って】
【白色に溶ける吐息を浮かべながら老人に、その言葉を返した】

74 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/08(土) 14:51:16.63 ID:6JsDQLPL0
>>73

【少年の言葉にを聞けば老人は目を細め、まるで睨むかのような目付き】
【老人が何を思うのかは解らないが、良い印象を持っていないのは確かだとその表情からは読み取れる】

……ならば、帰る場所があればお前は満たされるのか……?
もしもお前がそうならば、カノッサ機関にでも来い、そこは進化を辿る場所、お前の存在意義を見出だしてくれるだろう。

生物は進化しなければ生き残れん、それは人間も同じ。
ならばお前は進化するべきなのだ、私はその為に機関に居る。

【機関は言わずと知れたこの世界の"悪"、それは少年にもきっと解ること】
【要するにこの老人はスカウトしようとしているのだ、それを語る彼もやはり悪なのだろうか……】
75 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 15:13:29.69 ID:asVkl5Bj0
>>74
【カノッサ機関】
【少年はその名前に聞き覚えがある】
【決してよい印象を浮かぶことができない、悪の組織だ】

「…あなたはあの人と違うんですね」

【座ったままの少年は老人の顔を見上げて、ただ笑顔でいう】
【その無邪気な笑顔は、とても悪といわれる組織にはあまりにも眩しいものだった】
【「あの人」とは、老人にはわからないだろう】
【ただ、察するに老人と似た立場の人間なのだろう】
【そして、どこか違う人間】
【そんな人間と少年は出会ったことがあるようだ】

「…非常に興味深いお話でありますが…申し訳ありませんが、僕にも守りたい矜持というものがありますので」

【少年を支えるちっぽけな、世間知らずな正義】
【それが少年が持つ唯一無二の志だ】

「…僕なんかがいたら、あなた達の中で目立ちすぎるので」

【もちろん、容姿の意味でなく心が】
【悪を背負うには少年には幼すぎるのだろう】

【丁重に、断る】
【その笑顔に敵意も何も感じられないが】
【ただ、不思議と少年との距離を縮められるような笑顔が老人には見えるだろう】
76 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 15:39:39.04 ID:o6/LG/7No
【路地裏】



(――――さて、と……。)



【彼女の手には、緑色の爪痕が三本刻まれた、缶のエナジードリンクがある。】
【揃えられた前髪と、長い黒髪を靡かせて、鉄製のヘアバンドのようにティアラを填めて、】
【釣り気味の目、色白の肌、肉付きのいい身体に忍装束を惑い、】
【太ももには3つクナイを納めたクナイ入れ、左の腰には忍刀、右の腰には缶のエナジードリンクを納めたホルスター、両手に手甲を填め】
【――とまぁ、攻撃重視の軽装備の、170cmほどの女性である。】



………一仕事、してくるか………。



【飲み終え空になったエナジードリンクの缶をくしゃりと潰して、】
【路地裏の闇の中を歩き始める。】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 15:47:52.81 ID:U0LjU2P60
【街中――噴水のある広場】
【こんこんと降り積もる雪が視界中を白くして、いろいろなものが皆で白い雪帽子を被った、まぁるい世界】
【まだ誰も踏んでいない雪を楽しそうに踏む足跡が続いていた。辿ってみたなら、やがて追いつくのはひとつ、ひとのかたち】

……――、

【ふわと白い吐息が漏れる、ふと立ち止まったなら、それまでの足跡は雪が刹那に白く白い覆い隠そうとして】
【まるでこんな天気の中歩いてるひとを迷子にしてしまおうとするみたいに、空がちょっぴりのいたずらごころを見せたように】

【――やはりどうしたって歩いているひとは少ないようだった。居たとして、よほど用事があるらしいひとばかりだったなら】
【さくさくと雪を踏んで遊ぶ姿はよく目立つ。真っ白の紙に垂れたインクのような髪の黒さも、その要因なり得て】
【傘をそっと傾ければ積もっていた分がどさりと落ちる、――ちらりと見えた顔は、どうやら少女のようだった】

【真っ黒色をした髪は素のままに落とされたストレートヘア、リボンで飾ったカチューシャが、その頭をそっと飾り立てて】
【まあるい瞳は黒色と赤色のオッドアイ。神様が取り違えたみたいに、左右で違う色合いが時折瞬いて、雪の白によく映える】
【赤基調のジャンパースカートに締めた黒色のコルセット、生成り色のブラウスの姫袖がひらひらと揺れたなら、華奢さがよく目立つ】
【長めのケープは雪に対抗するような真っ黒の色、時折風雪を孕んで、ふわりと大きくまぁるく膨らんでいた】
【足元は厚手のタイツと、ベルトの多い安全靴とよく似たロングブーツ。ざくざくした底が、雪をきちんと踏みしめて、】

【――いた、はずなのだけれど】

雪だるまでも作ろうかな、かまくらは……ひとりじゃ大変そうだし、作ったことないし……、
雪うさぎじゃちいさいし。……うん、やっぱり雪だるまかな――せっかく、こんなに積もってるんだし……。

【差した傘をくるくる回しながらひとりごちる、こんなに積もった雪でどうして遊んでやろうかと考えているらしく、】
【雪が降るみたいにつらつらと零れていく案は、ただ、最初から決まっていたみたいな出来レース】
【「きめた」と呟いてくるりと身体の向きを変える、まだ踏んでいない方の雪へと意識を向けた、――そのとき、】

【雪だらけの地面を上手に踏み損ねた。一応しっかりとした靴を履いていたようだが、そうなってしまえばどうしようもなく】
【呆気なくつるり滑った足元、ある種の綺麗さすら感じさせるぐらいに見事に滑って転ぶ姿があったなら、】
【どてーんとかびたーんなんて擬音が聞こえそうなほど。地面と仲良しこよし、零距離で接吻することになる】

――――ッ、

【「み゛ゃ゛」なんて変な声が存外大きな声量で漏れていた。雪に吸い込まれる前に街中へ響いてしまったその声は】
【滑ってしまったどじを証明するみたいに空気を揺らして、倒れたっきり起き上がろうとしない醜態を余計に目立たせる】
【痛かったのか恥ずかしかったのか、冷たいだろうに起き上がってこないその姿は、――やっぱり、目立っているはずだった】
78 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/08(土) 15:54:49.05 ID:6JsDQLPL0
>>75
あの人……、私とその人物は似ていて異なる存在……といった所か。

何が不満だ……? 悪であることか、それとも其処では満たされぬと……?
お前の望むものなど手に入る、それは約束されることだ。それでも不満か……?

【老人には理解できなかった、何故そんなものに拘るのか】
【心とでも呼ぶのか、目に見えぬものを何故そこまで信じれるのか】

矜持……それは何だ、お前は自己満足の為に生きると言うのか。
下らんな、そこではいつまで待っても進化は望めぬ。
この世界には能力者が居るが 使おうとしない人間まで居る始末……
能力は進化がもたらした物、私には宝の持ち腐れというものが堪らなく悔しいのだ。

目立つかどうかなど過程の前には意味を成さん、お前には見えないのか……?
進化こそ最も尊く素晴らしいと言うことを……

【ここまで話して解るのは老人の独自の思考、彼の信じる其れは生物の進化論】
【語る姿はまるで一端の科学者の様にも見えて】
79 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 15:55:10.95 ID:PpjR0fE+0
>>67
「先輩なんて一つ二つ上なだけなんですからそんなに変わりませんよ。そうですねぇ…………中には規格外に凄い人も居ますが、そんな人は置いておき
リチャードも上手ですね。でも、攻めるところは攻めて退く所は退く。ふふ、これぞ聞き出す必勝法です」

【お世辞でも美人だと言われれば悪い気はしないもの。人によっては謙遜やら恥ずかしがったりと色々な反応を見せるだろうが、その中でもアウラは小さく笑う程度】
【頼れる訳でも無いし、憧れの対象ともなれそうにも無い性格――――だが。こうして一企業の息子と対面しても臆する事無く冗談を飛ばしたり接したりする事が出来る】
【肝が据わっているのか其れとも単なる馬鹿かは分からないが、それなりに様々な経験をしている事も分かるだろうか】
【得意げに笑って見せれば少しの間を作り】


「能力を使用する事が不良に該当、ですか…………私からしたら何とも複雑な、っと、と
いえ、気にしないで下さい。やっぱり学園が違うなら校則も全部違いますから当然の事ですしね
――――それにしても、リチャードは随分とその子に思い入れが有る様ですね?良いですよ、何がとは言いませんがお姉さんは応援しちゃいます
私としては色々な事が知れて良かったのですが…………リチャードから聞く限りどうやら面白そうな性格の子みたいですし、何時か時間があればその有名人さんに大会の事とかも取材しに行きましょうか」

【茶化すように笑いながらも要所要所はしっかりとメモに残し、記さなかったところは今の会話と共に記憶に止めておくのだろう】
【大体の記事構成を練り上げ、ペンの尻で頬を突いて考え事をしていた時にその視線に気付いて】
【頭の切り替え。記事の内容は大体考えた――――後は約束を果たすだけか】
【メモ帳をしまい、次には語るべき内容を整理して】


「さて――――そうですねぇ。私の所の不良と言えば本当にみんなが連想するような校則を破る…………つまり、私も風紀委員や先生からは不良と見られちゃいますが
知っているかもしれませんが、私達の所はリチャードの所とは正反対です。元々持って居る能力を伸ばして、自分に合った職業を探したりする事を目標としていますからね
自警団は勿論、卒業したらそのままギルドに流れていったり、治癒の能力がある人達は治療院を開いたり紛争地帯に行ったり…………本当にもう色々ですね

後はその規模からして部外者が中々入り辛い事でしょうか。ちょっとした街程度の大きさで生徒達には最低一つ学園の循環を担う仕事に就いて貰いますから知らない人が居ると良い意味でも悪い意味でも必然的に目立ってしまうんですよ
ちょっとした購買で買っても小さなパン屋に寄っても其処に務めて居るのが生徒ですからね。社会経験も兼ねて強いセキュリティも持てるなんて仕組みらしいですよ
それと、年齢の制限が無いので下は一桁から居る…………って言うのも特徴ですね
そういえばレイリスフィードはこの前学園祭を開いていましたよね。出来れば私も実際に行って確かめて見たかったのですが――――」

【やがて語るはイスカーチェリについての大雑把な内容。リチャードの意思に気付きながらも質問を返さないとは、とどのつまり大体の事は解したからであろう】
【それぞれの対比も持ち出した説明を終えれば小首を傾げ、何か聞きたい事が有るかと言葉無く問うが】
80 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 16:13:23.97 ID:asVkl5Bj0
>>78
【老人の言葉に間違いはない】
【この能力は確かに人類の進化の賜物かもしれない】
【選ばれた人間だけが持つ、世界の特権】

「…なら、その進化からこぼれた人は…何なんでしょうね」

【少年は脳裏に浮かぶ一人の女性を思い出す】
【その世界で生きる絶対的な特権を持たない、その人を】

「きっと、あなたは能力を持っていてそれを誇りに感じているのですね…
ですが、その能力の有無が故に自分に絶望した人を僕は知っています」

【少年はふと、地面に手をつけて己の特権を発動させる】

【―――風圧装甲(アウフダクト)】

【その形を視認こそできないが僅かに感じる空気の流れ、地面の砂の僅かな微動から少年は風を操る能力者とわかる】
【人類の進化、特権を得ている人間だ】

「僕は―――そんな人を知っていて、その人を無視できないんです」

【「世間知らず」】
【そう罵られた記憶が脳裏をかすむ】
【あの時出会った彼女に何も反論できなかった】

【きっとこの人にも罵られるだろう】
【構わない、それが僕だから】

「―――同じ道を一緒に歩きたい先客がいますから。貴方と共には歩めません」
81 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 16:43:16.07 ID:YVum8QmU0
【新しい年をひと月を終え、街は往来を行き交う人々で俄かに慌ただしく賑わっている。……が、ひと月前賑わっていた此処は対照的に静寂が支配している】

【此処も毎年の始めは賑わう。或る人は商売繁盛を願い、或る人は親しい人と結ばれるように願い……想う物は違えども】
【めいめい何か目標を持ってそれが叶うように、一年のはじめに神様へお願いする。今も昔も変わらない光景は、今年も見られた】
【願いを秘めた人々が集うのが、神社。一ヶ月前の長蛇の列から察するに、今年もなかなか多くの参拝客で賑わっていたようだ】

【さて、そんな山の中の大きくて静かな神社―――境内の丁度真ん中辺り差し掛かる場所には、親子らしき女性と少女の二人組の姿があった】
【母親らしき女性は、時折通り過ぎる寒風に鳶色の長髪を揺らし、優しそうな垂れ目は広く暗い境内で我が子を見失わない様に娘へと向かられている】
【身に纏うのは濃緑色のマフラーと若草色のコート、ロングスカートから覗く足は、先日の賑わいも落ち着いて閑静な境内の敷石を踏みしめる】

【娘らしき少女は可愛らしいピンクのセーターに黒いスカート、頭には動物の形をしたこれまた可愛らしい耳あてとニット帽】
【子供なのだから当然だが、母に比べて華奢な体。広い境内ではぐれて迷子にならぬよう小さな手はしっかりと母親の手を握り締めている】


――――ね?今日来て良かったでしょ?

「うん!ちょっと前は人で一杯やったのに、今日は全然おらんね!
 ……なんか、凄く静かな神社やね。どうして神社ってこんなに静かなんやろ……」

【――――時折風が吹き、木の葉が身を揺らしカサカサと音を立てる。が、それだけ。他に聞こえる音は何も無く、その静けさには厳かな雰囲気さえ感じられる】
【二人の靴が敷石を刻む音だけが境内に響き渡る。このご時世で誰もいない、何も動かない空間というのも珍しい……】

そうねぇ……ここの神社は緑に囲まれてるでしょう?森の木の葉が周りの音を遮るんじゃないかな
……でも、神社の閑静さって、きっとそれだけじゃない気もするなー……なんだろ、神様がいるから神聖な空気があるのかな?

「そうかも!……ね、ホントに神様っているんかな?」

うーん……本当のことは分からないけど……きっといるんじゃないかな?
いないなんて決めつけちゃうより、もしかしたらいるかもしれないと思った方が楽しいと思うな!

「えへへ……そうやね!さ、お参りしていこーか!」

【二人は本殿へと歩みを進める。人っ子一人見当たらないとはいえ流石は大きな神社、立派な狛犬が鎮座する本殿は神様の存在を感じさせる……】
【二礼、二拍手、一礼……作法に則りお参りを済ませる二人。さて、どんな願い事をしたのか……それは二人の胸の中にしまっておく】

【静寂の中、人が二人も訪問すれば嫌でも目に付くことだろう。――――果たして此処は本当に誰もいないのか…… 人?はたまた妖しの類?二人が気づかない誰かがいるかもしれない】
【或いは時を同じくして参拝に来る人もいるかもしれない。いずれにせよ、二人に出会いはあるのだろうか……?】
82 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/08(土) 16:55:18.82 ID:6JsDQLPL0
>>80

絶望……?絶望だと? お前は相手の心が読める能力でも持っているのか。

進化から溢れるなど当然、最初に地上に上がった両生類と海に残った魚の内、地上に上がった両生類が今の我々へと進化したのだ、能力者と無能力者で枝分かれするのもまた進化の過程の一つに過ぎん。

【無論、少年の能力は心が読める能力などではないのだろう】
【其れは解る、さらに言えば彼の見せた能力は風、そうでないことは決定的】
【老人の考えは何処までも論理的、少年がどう思おうが知ったことではなかった】

下らん、実に下らん……! お前が共に歩みたいと思ったとしてもその人とやらは同じ道は選べん、……進化出来ない限りはな。
………理解出来ないのならば仕方ない、お前には同じ能力者としては期待せん……
今すぐ去れ、でなければどうなるかは解るな……

【老人の周囲に、いつの間にか金魚の様に小さな何かが漂っていた】
【それはXの形状をしていて、うっすらと光を帯びている】
【少年が戦う意志を見せればそのまま交戦を初めようとし、立ち去るのならば引き留めようとはしない】

/ちょっと席を外します
/次の返信は恐らく7時頃になるかと
83 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 17:14:22.82 ID:asVkl5Bj0
>>82
「…そうですよね、難しい道だとは分かってます」

【少年はゆっくりと立ち上がる】
【雪の吹く寒空に少し体が震える】

「でも、僕は諦めたくないんです。
世間知らずでも、愚か者でも、この思いだけは…」

【ちっぽけな正義の意思は老人と少年を完全に隔てていた】
【遊具の外に出て、老人と対峙する】

「…ここで争う気はありません、
岸織詩織…僕の名前です。おじいさん」

【そして少年は老人に名を言う】
【その女みたいな名前の少年は、老人に背を向ける】

【そのままなら少年は去っていくだろう】

/すみませんがその時間帯はロールできそうにないので、ここで凍結か切らせてください…
84 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 18:25:45.45 ID:4Y6C9UFuo
>>79

【――――慣れているな、というのがリチャードがアウラに覚えた印象だ。もちろんリチャードが言えた義理ではないのだが】
【大企業の御曹司という、世間的には雲の上の人間ということになっている自分を見て、遠慮する様子も萎縮する様子も殆ど無い】
【その方がやり易くて助かるのは事実だが、しかしそれだけに、その礎となっているモノが気になる――――が、それはまだ口には出さない】
【攻めるところは攻めて退く所は退く。なるほど確かに、そういうものだ】

そうですね、ボクも外で自警団員の方と合うこともあるのですが、皆そういう顔をされます。
レイリスフィードは、確かに過去に能力がらみで心の傷を負った子供達のケア施設、といった側面も大きいのですけど…………真に救われているのは、親の方かもしれませんね。
本人はなんとも思っていなくても、その子供が何かしら問題を起こして迷惑を蒙っていたり、単に子供の能力が恐ろしかったり。そういう方は、いつの時代も一定数居ますから。

ええ、応援してくださるなら有り難い。実は手強いライバルも居るので、毎日大変なんです。
あ、彼女のところに取材に行くなら気をつけてくださいね? 無愛想な子なのでとっつき辛いですし、一度機嫌を損ねると挽回するのが大変ですよ。

【まるで自分は、その子供達≠フ中には居ないとでも言うように。リチャードは生徒らしからぬ視点で自身の通う学園の性質を分析する】
【実際のところ、件の大会出場者のような「能力を積極的に使う」不良のみならず、「能力を使って悪事を働く」真の意味での不良だって、学園には居るのだ】
【彼らは大抵の場合、過去に問題を起こしたせいで行き場がなくなってやむを得ず学園に来た編入生であったり――――】
【あるいは、子供の能力が怖いばかりに、親から体のいい厄介払いとして学園に押し込まれた者であったりする。どちらにしても、それは被害者≠ナあって】
【能力があるばかりに悪い親が生まれ、そのせいで子供までもが悪くなる。そんな悪循環を断ち切るためにも、レイリスフィード学園は存在している】
【…………何とも暗い気分を誘う話だ。リチャードはそれを払拭するように、話の最後を軽口めいた台詞で締めた】


イスカーチェリ学園――――話には聞いていましたが。何といいますか、両極端ですね…………。
しかし街単位の生活機能を生徒に一員するとはまた、それはそれで中々面白そうではあります。ウチは能力関連の制約以外、大体普通の中高一貫校ですしね。

ああ、こちらも一桁から入れる「特別支援科」というのがありますよ。能力に関して特に甚大な被害を負った子供達が集まる場所で、こちらはケア施設としての側面が強い。
生徒に限らず一般からも年齢問わず子供達を募集していて、中等部の年齢になったらそのまま学園に入学、というパターンが多いらしいです。
先程の大会出場者の子も中等部時代はここにいて、高校から普通科に復学したらしいですが………ここはかなりプライバシー保護に厳しくて、ボクもあまり詳しいことは知りません。

【話を聞いていると、イスカーチェリとレイリスフィードは随分対照的だ。片や能力に肯定的だが閉鎖的、片や開放的だが能力に対し拒否的】
【そのどちらも、どちらかに偏りすぎているような印象を受ける――――能力とは才能なのか異常なのか、果たしてどちらが幸せなのか。きっと誰にも解らない】
【…………ただ、少なくともレイリスフィードは、やはり大人が子供達の心を癒す場所という面が強いらしい。「特別支援科」という制度があるのもそれを裏付けていて】
【生徒が自主的に学園を形作るイスカーチェリとは違って、子供はただありのままに、子供として成長させる。そういう方針であるようだ】

…………にしても、言い方は悪いですが、そちらは随分閉鎖的な印象を受けます。
こちらは学園祭でも、普通に一般の方が多数お集まりになるのですが…………そちらでは、そういった行事はありますか?

【――――これだけ違うのだ。学園祭という制度についても、また互いに相違点があるのだろうとリチャードは疑問を抱いて】
【あの日。普段と変わらぬ平穏なようで、しかし何か≠ェおかしかったあの二日間を思い返しつつ、アウラに質問を投げかける】
85 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 18:52:31.29 ID:YVum8QmU0
>>81
//取り消しですー
86 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 19:29:22.71 ID:PpjR0fE+0
>>84
「所詮は勝手なんです。全部の先輩が頼れる存在じゃ無かったら親だって皆が万能な訳でもありません
全く、どっちが子供なのか…………って溜息を吐いてしまいたくなりますよね
大人だって一人じゃ生きられないのに、自ら子供を一人にする様な事をして何がしたいんだろうって

――――其れはそれで面白いですよ。簡単に進んでしまったら駆け引きの楽しさが無くなってしまいますから」

【その話を聞いてどんな感情が生まれたのかは定かでは無いが、僅かながらも吐いた言葉から心情を察せよう】
【調子の軽い少女にしては真面目な言葉であるが、突っ込んで聞いても今はきっとはぐらかされて】
【自分に関係することなのか、友人に関係することなのか。或いは又別な何かなのかは分からないが、少なからず過去を刺激する言葉】

【リチャードが締めた言葉の軽口の意図に気付いたならば同じ様に返し、後は普段通り】
【表裏が有る様な性格とも考え辛いが…………何処か胡散臭さも交じるのは、そんな性格の所為】


「でも、結構面倒ですよ?新しい子達が入ってきてその子の誰かが失敗すると責任の押し付け合いが始まったりしていますから…………確かに楽しいと言えば楽しいですが

…………なる程。特別支援科に居ながらも結局は校則に染める事は出来なかった様ですね
ふふ、映像を見る限りでは櫻の子の様でしたし、善し悪し関係無く精神は強いみたいです
まっ、その部分は化石発掘の様に慎重に慎重に探っていきましょう。最初から完成された物を見るのも楽しいですが、やっぱり自分で探るのが楽しくて――――私のして居る事の醍醐味です」

【最後にクスリと笑ったならば言葉を締めた。好奇心が人一倍に強い。だからこそこうして臆する事も無く次から次へと情報を求める】
【相手が誰で有ろうと、どんな種族であろうと同じ事だ。知りたいことは聞く――――ただ、最初から全てを知れるのは詰まらない】
【湖の上に張った薄氷の上を歩くように慎重に、そして時には大胆に動き揺さぶりを掛けて知りたい事を聞き出す】
【其れが何よりも楽しいのだ、と】


「まぁ、確かに閉鎖的という言葉はピッタリですねぇ。全て補わずに一部は外に頼ってみても良いと私は思っているのですが
――――大会、ですね。大きく一般的にも解放される事を挙げるなら
幾つかの学科を纏め、一つのお題の下に競い合わせる…………なんて事をしていますよ。料理であれば絶品が出来ますし、医療であれば下手な所よりも優れた成果が出せます
…………後は、武術の大会ですね。勿論、水の国で行われた程の規模ではありませんが……それでも、結構白熱してくれます。その時に撮った写真が高く売れたりもしますよ。人気のある女子生徒男子生徒ならば値段の上々のうはうはです」

【学園祭と言えば学園祭。ただし、生徒が学園で学んだことや身に付けた事を公の場で競い合わせる物だ】
【医療、料理、果てには魔術では無く科学的な事。それだけ多くの学科が存在する証左】
【学園の大きさから数日間続けて行われる事も付け加えれば、ふと気付いた様にリチャードを見遣り】


「っと、写真と言えばそうでした。折角ですしリチャードを一枚撮っても良いですか?
もう少し後ででも良かったのですが、もしかしたらそろそろお迎えが来てしまうかもしれませんし――――ね?」

【人差し指と親指を立てて、長方形を作る。正に写真家や画家が風景を切り取る為に行う行為に等しいが…………少女はそのままだ】
【本物のカメラを持ち出す事も無いし、そもそも持っては居ない。ならば、その行為こそ能力を使う証であろうか】
【被写体となる少年へと声を投げかけたならば後は反応を待つのみ】
87 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/02/08(土) 19:29:32.14 ID:nK9dEaQD0
【魔海―――表層・エアンキ集落=z

【ここは魔海の中でも比較的人間国家に近い場所、魔獣の数もそれほど多くなく魔素の濃度もそれほど濃くはない】
【この集落に住むのは人間とも友好的な種族、エアンキ族だ………彼らの作る民芸品などは近隣の国々でも広く愛されている】
【さて、そんなエアンキ族からギルドに向けてある要請が入った―――その内容というのは。】

【本来は魔海≠フ深層≠ノ存在している筈の邪霊・シヅキ≠ニいう魔獣が近頃はこの表層にも出現するようになったというのだ】
【魔素の濃度的にもそんな事はあり得ないのだが、エアンキ族がわざわざそんな事をでっちあげる必要もない、そこでギルドは討伐部隊を招集した】

【報酬は500万と邪霊・シヅキ≠討伐した際に発生する素材などである………そして召集された討伐隊はこうして魔海≠フ内部へと派遣された】
【表層といえど人の侵入を拒んできたこの魔海≠ヘ、少なからず人間に害のある魔素≠ェ漂っている。】
【もしそうしたモノに耐性のないものがいるのなら事前に魔素清浄化マスク≠ェ支給されるだろう、これを装着している間は魔素による害が無くなる】


【―――ガタン、………魔素などに対する説明などが行われている間に、一行を乗せた軍用ジープは件のエアンキ集落へと到着したのだった】
【開けた平原上の場所に木製のドーム状の家屋が並んでいる………ここがエアンキ族が暮らす場所だ。】
【尤も、既にエアンキ族達は退去しており現在は人っ子一人もいない状態である、伽藍とした集落はどこか不気味さも感じさせる。】
【と、そこでギルドから派遣された討伐隊の指揮係の人物がジープの助手席から降りてくる。】

さて、皆さん長旅お疲れ様でした―――もう一度名乗らせて頂きますが僕は傭兵団・業/カルマ≠ゥら派遣されました
酒元 無頼≠ニ言いますどうぞよろしく………。

今回の討伐対象はかなりの大物ですので皆さん油断なさらず―――ってこんな事は言わなくても大丈夫ですよね。
僕は一応魔海≠フ戦闘民族アスラ≠フ家系なんで魔素清浄化マスク≠ヘ要らないんですが、必要な方は外さないようにお願いしますね?

【降りてきたのは赤髪をオールバックにした金色の瞳の青年だ、少し着崩して紅い軍服を着ており気だるげな調子でそう自己紹介する】
【傭兵団・業/カルマ=c……一国の軍隊にも匹敵すると言われる大規模傭兵団だ………戦闘となればどこでも姿を現す荒くれ者の集団だが】
【戦闘能力においては信頼はそれなりにおけると言っていいだろう。そして】
【戦闘民族アスラ=c……かつて存在していた少数民族でその戦闘力は常人の数倍と言われている………数百年前に各地に散り散りになり血も薄れたと聞くが―――】

【それはさておき、酒元は懐から蛍光灯のような装置を取り出しそれを地面へと深く突き刺した―――。】
【突き刺さった装置は徐々に紫色の光を放ち始める………酒元はその装置を次々と集落の周囲へと突き刺していく。】

これは魔光灯≠ナすよ―――邪霊をおびき寄せるにはうってつけ、今回のターゲットもじきに姿を現すでしょう。
エアンキの方々からは集落の被害への許可はある程度頂いているので安心して戦ってください。

視界の不明瞭な森林部では危険ですからね………―――っと、さっそく来たようですね。


【そうこう話している内に―――バキ、バキと森の奥の方から木々をなぎ倒す音が聞こえてくる、やはりこの辺りに潜んでいたようだ】
【既に待ち伏せされているともしらずに、今日も得物を狩ろうと森の奥から怪物が向かってくるのだ。】

【未開の地の奥から這い出てくる邪霊との戦いが―――始まる。】

//突発イベントです!3〜4人まで対応致します!
88 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/08(土) 19:37:46.94 ID:YbQv4ZId0
>>83

それがお前の思想か……
だが覚えておけ、今のままではお前は進化の先を見ることは出来ない。
……そういう意味ではお前も所詮 凡人と変わらんな。

【老人の思考は降り続ける雪よりも冷たく、そして少年に何の迷いも無く語る】
【進化こそが生物の辿るべき道だと信じて疑わない、これもまた揺らがない意志の一つ】
【だがそれには違いが有り、共に相容れることは無いのだろう】

岸織詩織…………、精々良く考えることだ、能力が何故在るのか、そして進化が持たらすものを。

【老人はそのまま詩織を見届けるだろう、背後から攻撃することはきっとしない】
【少年が去ったのを確認すれば 自らもその場を後にした】
/ではこの辺で、ありがとうございましたー!
89 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 19:55:14.45 ID:NSIxXKIBo
>>87

――――……ねえ、コレさ、何かキツイんだけどサイズあってるの?

【ガタガタと揺れる軍用車両の後部座席、雇われの中でも一際異彩を放つ女】
【汚れた白のロングブーツにジーンズをねじ込んでサスペンダーで吊った革ジャン姿】
【ボサボサに伸びた黒髪を振り乱しながら浄化マスクをつけ、1人危機感が薄い感じだ】
【中でも銃を持つわけでもなく、剣を持つわけでもなく彼女の得物は真っ赤なエレキギター唯一つ】
【生身のまま肩からストラップでぶら下げてわぁわぁと話しながら到着を待っていた】

っと…やっとか……もうちょっとシート柔らかいのはないの?まあ、それはもうそれとして
コレはコレはご丁重によろしくどうも!私はコールドスティール=レディランド。ここは一先ずコールちゃんでよろしくね…冗談だよ冗談

【ハスキーボイスで初っ端からマシンガン並みのトークで受け答える。周りから白い目で見られても気づかない】
【辺りを見回して、こんな女だろうとその不気味さは感じ取れている。マスクの中が嫌に息苦しい。緊張しているようだった】

あっとお……そういやどんな敵か聴いてないんだけど…あっ、いや、私が聞き逃してる可能性が大なんだけどさ
エッヘッヘどうもそういうのは黙ってられない性格で………おっと。…お出まし?

【そう言って、彼女はギターをまるでマシンガンを持つかのように構えた。目つきも尖る。音のする方へ意識が高ぶる】
【弦を鳴らす右手は引き金のように静止させて。指も爪もボロボロだ。そこに実績が現れていた】
90 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 20:24:52.77 ID:4Y6C9UFuo
>>86

頼りにならないものですよ、大人というのは。子供だろうが大人だろうが、信じられるのはいつだって自分です。
――――なんて。ボクは父から、自分の事は自分で全てやれと教わっているもので、これも全部受け売りですけど。

気難しい子ですから、本当に気をつけてくださいね?
それと、ボクが喋ったということはどうか内密に。彼女に睨まれながらの食事は味がしないんですよ…………。

【アウラの感情を受けてなのか、リチャードはこの時――――彫刻じみて美しく、それでいて作為的で笑顔の中に、ほんの一瞬だけ綻びを表したようにも見えた】
【それは刹那にして掻き消え、リチャードはまた自身の身の上話を始める。そこにはもう完璧な笑顔だけが浮かんでいて、正の感情以外のものは伺えないだろう】
【…………それから最後に、リチャードは苦笑いを浮かべつつ一つお願いをする。これだけ念を押すのだ、やはり彼女はリチャードにとって特別であるのかもしれない】

責任の押し付け合い…………やはり実際の社会に近い生活ですし、そういうのもありますか。
ボク個人としては正直見慣れていますけど、一般生徒の方にはお辛いでしょうね。その中で楽しい事を見つけられるというのは、立派な才能だと思いますよ。

…………ボクが知っているのは彼女が特別支援科に居たということだけで、そこで何があって、どうやって普通科に戻ってきたのかまではわかりません。
その過程を知らない以上、確かな事は言えませんけど――――肉体的に強いのは間違いないですが、ボクから見る限り、精神的にはまだ不安定なところがあるように思えます。
まあ、だからこそ支えてあげたくなるっていう話ですけどね。

【実社会に出て活動しているリチャードだからこそ、イスカーチェリ学園内で起きているらしいいざこざの面倒さも理解できるようだった】
【大人の世界には、悪意など何処にでも転がっている。だが、決してそれだけではないのだと気づくことが出来るのなら、それは生きていく上で大きな糧となる筈で】
【このリチャードとて父の言われるがまま仕事を続けているのなら、きっとここまで柔和な態度は取れまい。何かしら、そこに自分の意思を持っているのだろう】
【自分の意思を貫く――――そういう意味では、大会出場者の女生徒は、リチャードから見ても相当強固な心身を持っているように見える】
【だが、彼女は頑な過ぎる。周囲から傷つけられない為に、必死に周囲を遠ざけている。ひとたび虚を突かれれば、彼女は一気に崩壊する――――】
【…………というのが、リチャードから見た彼女の印象だった。リチャードが彼女を気にかけている理由にも、それに対する心配が多分に含まれているのかもしれない】


へぇ、大会。それはなんとも、とっても面白そうなお話じゃないですか。
ボクだったらそうだな、嗜む程度ですが護身術も習っていますし、武術大会も行けないことはないかな。最近仕事詰めで体もなまっていますし。
なんて、仮定の話ですけどね。まずもって、父が許してくれないと思います…………。

あぁ、そう言うお話ってやっぱりどこにでもあるんですね。うちの学園でも、件の彼女の写真が売れていたりするらしいですよ?
大会の事もそうですが、元々筋の通らない事が嫌いな上、あの強さですからね。怖がって近寄る方は少ないですが、どうやら密かに人気はあるらしいです。

【意外と思うかもしれないが、リチャードは特に武術大会に興味を示した。普段地味な仕事に徹している分、たまには発散したい気持ちもあるのだろう】
【外見や雰囲気は、どう見ても戦闘向きではなさそうだが…………未だ明かしていない、彼の能力の事もある。その実力は未知数といったところか】
【例の少女も、良くも悪くもそういった場で目立つタイプのようだ。不良扱いとはいえ、必ずしも悪い印象だけではないということらしい】
【まあ最も…………学内での人気という意味なら、リチャード自身の人気がどうであるかの想像はかなり容易であろう。本当に写真が販売されていてもおかしくはない】


へぇ。それがアウラさんの能力≠ナすか?
良いですよ、特に写真慣れしている訳でもありませんので、ポーズとかは取れませんが…………。

【アウラが指で作った窓をこちらに向けたのを見ると、リチャードは一瞬赤色の双眸をそこへ投げ込んだが、言葉を聴けば笑って立ち上がり】
【苦笑いのままアウラに向き直る。ポーズが取れないなんて言うけれど、立っているだけで絵になる人間が言うと単なる嫌味にしか聞こえない】
【実際写真集でも出せば売れそうな容姿だが、本人としてはこういったものは得意でないのかもしれない。ほんの少し、表情も強張っているように思える】
91 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/02/08(土) 20:49:12.36 ID:nK9dEaQD0
>>89

サイズは一応フリーサイズなんですがね………アンタの頭が大きすぎるんじゃないですか?
まぁなんにせよコールドスティール≠ウん、僕は近接タイプなんですが―――えーとアンタは?

【コールドスティールの言葉にどこか呆れたようにため息を吐きだしながら返答していく】
【そしてコールドスティールがそれらしい得物を持っていないので訝しげに全身を眺めながら問いかける】

【とはいえもはや木々をなぎ倒す音はすぐそこまで接近している………悠長に話している間はないだろう。】

今回のターゲットは邪霊=c……つまり悪魔≠ンたいなものですね。
本来はもっと深層の場所に生息するらしいですが―――まぁ何かしらの異常≠ェ発生したんでしょう

―――さて、お出ましですよ。

【コールドスティールの問いかけに対してどこかボケッとした様子で適当に答えながら首を傾ける。】
【そして酒元はつかつかと一人でその音の方向へと歩き出す―――徒手空拳だがこのまま戦闘しようというのか?】



【ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァッ!!】

【そしてその音の主はそのまま二人の前方にあったドーム状の家屋の一つを粉々に吹き飛ばして姿を現す。】


   『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォオォォォォォォォォォォぉォォォッ!!』


【凄まじい咆哮と共に姿を現したのは巨大な悪魔=B】
【20mもあろうかという黒い襤褸切れで包まれた巨大な骨、牛の頭がい骨のような頭部からは二本の巻き角が生えており】
【掌に巨大な瞳がある四本の腕とそれに連なる尻尾のような無数の触手、背には蝙蝠のような巨大な翼が生えており】
【襤褸切れに覆われた胸部からは碧い光≠ェチラチラと見え隠れしているまさに悪魔≠ニいった風貌の怪物。】

【これが今回のターゲット、邪霊・シヅキ=\――噂通りの巨大さ、邪悪さだ。】
【邪霊はそのまま翼を使って滑降するように二人へと突進してくるッッ―――!酒元は素早く飛ぶとそのまま邪霊の背に乗ろうとするだろう】
【巨体での突進は恐ろしいが、あくまで直線だ………身体的にも小回りは聞かないだろう、さてコールドスティールはどう対応する?】

//とりあえず開始しますが飛び入りは歓迎です。
92 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 21:33:36.90 ID:7rUSagZ0o
>>91

「あァー、糞、……俺様が昼寝しィていたと言うのに煩ェぞテメェーら!」

【――魔海の奥の方から何かが飛んできた、昼寝と言うには寝過ぎな気もするが、とにかく騒ぎに反応したのだろう】

【それは全身真っ黒な毛に覆われている奥二重でコワモテ、エルフ耳で2mの身長の悪魔だ、頭部には二本の鋭く禍々しい赤い角を持っている】
【黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、首にはマフラーの様な長い紫色の毛を持ち、他にも所々に紫色や赤の模様や毛を持っている】
【鋭く赤い牙と同じく爪を持ち、手足や尻尾の先の方は紫色で、いかにも悪魔だと思わせる尻尾の先端には赤い棘がある】
【赤い棘は肩や手の甲、アキレス腱の位置にもあり、先端に赤い爪を持ち紫色の翼膜な黒い悪魔の翼を背から生やしていた】

「別に争うのは勝手だ、むゥしろ俺様の大好物! ……だァがよォ」
「……俺様の耳は地獄耳なァんだよ、そォして超嗅覚なァんだよ、よォーやく一段落つゥいた所を邪ァ魔されちゃア、俺様怒るぞ」
「まァー、混沌は俺様の餌だァからよォ、こォーやって戦って撒ァくのは大歓迎だ、……あァ、糞、寝ェ起きで話が纏まらねェ」
「とォりあえずだな……俺様の二ィ度寝まァでにどォーにかしィやがれってんだ、糞共ッ」

【怒るぞというよりは既に怒っている、――おそらくは、ここに居る皆に対して……寝起きの機嫌が悪いのは、どうやら人間だけではないようだ】
【――さて、この悪魔……どこからどう見ても、数々の罪で指名手配されている悪魔、邪禍のようだが】
【人間にとっては過酷なこの状況下は、むしろ悪魔にとっての好条件。指名手配写真よりも毛並みが凄くツヤツヤしているのはきっと気のせいでない】
【さて――うまく味方につければ役に立つかもしれないし、逆に敵に回したら厄介になるかもしれないが――はたして、どうなるか】

/飛び入りになりますし、あと流れによっては敵になる可能性もありますが、もしそれでもよければ
93 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 21:42:09.76 ID:NSIxXKIBo
>>91

えーちょっとぉ…酷くない?ホントだとしてもそういうのは黙っておくもんじゃ…
まー状況が状況だしね、ピリついてもしゃーないか…私、私は流浪のミュージシャンさ

【ますます怪しい状況になってきた。これで傭兵とも言ってくれればよかっただろう】
【しかし言い出したのは戦闘タイプもわからないような飛んだ一言。先が思いやられる】

へぇ……ソイツは攻撃が効くもんなのかい?透明になって避けるってのはやめて欲しいね
生憎、除霊の御札みたいなものは持ってないんだ

【さて状況は一変して、敵を迎え撃つ為にギターを構えるコールドスティール】
【ギリリとライフルを握りしめるかのごとくひしひしと近寄ってくる敵を待ち構えていた】

【そして現れてのは見ての通りの悪魔。獰猛な怪獣という見た目で、絵に描いたような悪さだ】
【ここまで見るからに悪の化身の姿だとやりやすい。彼女はショウタイムと言わんばかりにギター鳴らした】

さぁて、お出ましか……気分はどうだい?私はサイコー。いけッ!”フィール・グッド”!!

【連続でギターを掻き鳴らす。アンプもないのに鳴る音は歯切れのいいクランチサウンド。右手のストロークに合わせて】
【ギターのヘッドの先から小型の刃のような赤い光のようなものが次々と飛び出す。敵の正面にガンガンと放つが独特な軌道】
【を描いていくので命中率は低く、見た目ほど切れ味も良く無い。ほんの、小手調べみたなものだ】

【突っ込んできた敵には射撃をやめてギターを抱きかかえながら、正面に走りこんで仰向けにスライディングをかましてその下をくぐり抜ける】
【それが決まればすぐに方向転換して、立ち膝の姿勢でまた光の刃を用いた射撃を行なうだろう】


/すみません!遅れました
94 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/02/08(土) 22:10:29.12 ID:nK9dEaQD0
>>92

―――ん?

【酒元は邪霊の背に飛び乗り、上手くバランスを取りながら攻撃を仕掛けようとした矢先、また違う悪魔が現れた】
【その新たに現れた悪魔を視界に収めると攻撃を中断しそのまま邪禍の目の前へと飛んだ。】
【常人とは思えない軽い身のこなしで着地すると―――軍服についた土ぼこりを払いながら目の前の悪魔と相対する。】

やぁどうも………アンタって指名手配犯の邪禍≠ナしょ?噂通りの凶悪な面だね。
とまぁ騒がしいのは謝りますけど―――原因はあの怪物だよ、僕たちはアレを駆除しにギルドから派遣されたのさ

ついでに言うと今回の討伐は僕が全権を持っている、もし暇で、かつ早く静かにしたいなら手伝わない?
報酬もきちんと払わせて貰うけど………どうする?

でももし嫌だというのなら耳栓でもして待っててくれよ―――それじゃあ忙しいんで。

【要件をとんでもなく簡潔に述べると青年は再び邪霊の下へと振り返ることなく駆け出して戦線復帰していく………。】
【さて、この言葉を受けて邪禍≠ヘどう動くか―――?】

>>93

【やはりこの巨体だ、赤い光の刃は次々と邪霊の身体へと激突する―――しかし】
【邪霊の身体を構成する骨に多少の傷は入るが致命傷にはなりそうもない、そのまま邪霊はコールドスティールをすり抜け】
【奥にある家屋を一つ破壊してから動きを止めて、再び一同の方へと向き直っていく―――。】

―――中々良い動きするじゃないですか、流石は流浪のミュージシャン=c……。
とりあえず僕はこのまま接近して注意を引くのでゆったりと後方支援をお願いしますよ。

   『ガァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッッ―――!』

【新たに現れた怪物と少し言葉を交わした後、酒元は再びコールドスティールの脇を通り過ぎながら邪霊へと向かっていく】
【口ぶりからしてどうやら新たに現れた悪魔は取り合えず敵≠ナはないようだが、あまり油断は禁物だろう。】

【向き直った邪霊はその背から生える無数の尻尾のような触手を伸ばして二人の肉体を串刺しにしようとするだろう】
【今度の攻撃は先ほどの攻撃より精度も高く速度も速い―――ある程度集中しなければ回避は難しいだろう―――。】

さぁーて、何枚降ろしににしようかなっとぉッ―――!
『武器庫/マルチアームズ=xッッ!!ゴリアテ一式=\――ッ!!

【酒元はそんな無数の触手にも臆せずそのまま突進していく、そして頬や脇を切り裂かれながらもギリギリの所で回避し邪霊に肉薄する】
【そして酒元の呼び声と共にその右手には両刃の剣が召喚され、それを器用に使って酒元は邪霊の腕を一本切り落とす。】
95 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 22:14:01.68 ID:PpjR0fE+0
>>90
「まっかせて下さいよ。情報提供者を売るような真似はしませんし――――何より、ちゃんと会えるかどうかも分からないんですから
でも、リチャードは随分と入れ込んでいる様ですね?ほら、貴方みたいな人だったら逆に不良とは遠ざかろうとするものだと思って居ましたが…………
――――ほら、大企業の息子が学園きっての不良と絡んでる――なんて噂が立ったら色々と大変そうじゃ無いですか」

【そう、企業の息子で有れば傷を付ける真似は出来まい。一生徒ならばまだしも、リチャードには背負っている物があるのだろう】
【ましてや相手が能力を自ら使って大会に出場するような学園にとっての“不良”だ】
【話を聞く限りでは危害を加えて来るような性格で無い事を掴めるが――――しかし、周りの見る目はどうしても付きまとう】
【だからこそ、“揺さぶり”を掛けた。ただのお節介なのか、それともまた別な思惑を抱いて居るのかを探る為に】


「ああ…………それと。きっとその揉め事も学園長の想像通りなのかも知れませんね
体験させて、解決方法を自分たちで探るように学ばせる。…………どうも私にはスパルタにしか思えませんが、現に卒業した人達は学園での経験が役立っているのも多いみたいですし
まー、何が良いのか悪いのかは私には分かりませんが。きっと、どれも悪いはずはありませんよ

踏み込みすぎて気付いたら戻れなくなった…………何て事になるよりも、遠くから面白可笑しく見ているのが一番ですよ
それが出来ないから、私はこうやって色んな人から話を聞いたりしていますが
兎にも角にも、強いながらも折れそうな孤高の美少女なんて記事のネタに打って付けじゃないですか
んふふ――――書くべき記事が増えましたし、その内に質問内容とかを纏めておきましょう」

【問題の発生から解決に至るまで、重大な責任を負わされることの無い学園で経験させる】
【効率的なシステムであるが、手助けが一切ない故に非情なシステムでもある。自分で解決するか、仲間と協力するか――――問題から逃げるのか】
【ある意味では、己を確立する手段としても役立っているのだろう】

【そして件の生徒に対する答えが返ってきたならば即興で題目を作り上げ、赤の線を引く】
【その後、ペンをクルクルと回して考え事をすれば――――恐らくは碌でもない質問を幾つか書き記したのだろう】
【リチャードの話から、大体の人物像は見えてきた。後は接し方だが――――辺に気を遣う必要も無いか。以前接した少女然り、その体の性格は“弄る”と面白い】
【其処まで纏めたならば一度話を区切り、大会に対してリチャードが反応したならば驚いた様に目を丸くして】

/続きますっ
96 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 22:14:17.26 ID:PpjR0fE+0
「おや…………てっきりもやしっ子とまでは行かなくても争い事とは関わらないように見えたのですが――――やっぱり人は見掛けによりませんね。それとも、能力ですか?
もう少し早く会えてたら学園に謎の覆面現る!と言った形で大会手続きの手伝いも出来て居たのですが…………

ええ、やっぱり結構売れますヨ。戦えば戦うほどにあられの無い姿になっていく写真は一番の――――いえ、関係有りませんねコレ
でも、売れるのは本当です。可愛い子も綺麗な子も、格好いい人も優しい人も普段と違う姿が見れますからね
…………やっぱり、女子生徒の方が人気がありますけどね

リチャードが気に掛けているその子もどうやら綺麗な子の様ですし…………別な学園の子と知れば尚更男子達も群がって買いますよ
その子に断られれば売れないのが残念ですが…………其処は私の口でどうにかする事にしまして…………」

【情報は武器なり言葉は刃也。武力こそ其処まで強い訳では無いがアウラには其れに代わる物がある】
【――――無駄に使おうとしているのが嘆かわしい。お堅い性格の者が相手ならば、きっと咎められる事は間違い無く】
【自分の欲求を満たして、学園に風を吹き込んで、そして生活費も稼ぐ。学園生活が垣間見える言葉であろうか】


「何も不自然にとった格好よりも自然体が一番綺麗に見えるんですよ
と言う訳ではいチーズ!!」

【――――フラッシュも無い。機械音も無い。カメラが具現化してきた訳でも無い】
【だと言うのに本人は満足そうな笑みを浮かべれば窓の形を崩し、再び歩み寄る】
【ポケットに手を入れ、撮りだした物を差し出せば…………フィルムには紛う事無きリチャードの姿が残されている事だろう】
【隠密には便利だし、パパラッチにも使える。いや、カメラを持ち込めない場所での撮影だって可能だし――――もしかしたらまた別な機能も持っているのかもしれないが】


「記念に一枚、リチャードにあげますね
さて、折角同じ学生さんに会えたのですからもう少しお話ししたかったのですが――――そろそろ帰らないと面倒な風紀に抜け出している事がバレてしまいますからね
…………ふふ。何かお話残しや聞きたい事があればお付き合いしますよ?」

【所謂念写。そして少なからず現像枚数を自在に操る事が出来る】
【差し出した一枚を拒まれれば苦笑と共にポケットに戻すし、受け取って貰えたならば嬉しそうに一度頷く】
【――――何にせよ、もう別れの時も近いだろうか】
97 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 22:40:32.35 ID:7rUSagZ0o
>>94

「そォーよ、俺様こォぞ邪禍様よッ!」 「俺様も有ゥ名になァって動き辛ェぜ、ヒャハハ」

【凶悪な面という言葉もこいつにとってはただの褒め言葉、――さて】
【この悪魔、欲深さに関して言えばかなりのもの。――本当は喧嘩両成敗……と言う名のボコり&追い剥ぎでもするつもりだったのだが】
【どっちについた方が得か、今分かった――と言っても、魔海に家を建てた手前、その生物との敵対はあまり好ましくないのだが】

「残念なァがら、俺様の聴ォ覚は耳栓じゃア封ゥじられねェーな、――」
「さァて、――さァっさと寝ェたいからな……テメェーらがさァっさと出ェて行くよォーに、ぜェーんぶ大人しくさァせてやァろう」

【――悪魔の背中から2本の腕が生える、――それは"生命と変化の、混沌の魔翌力"で構成されているようだ】
【魔翌力の腕は形を保つために透明な皮膜に覆われている、――やはり、これも魔翌力で作ったようだ】
【もし触る機会があればわかるだろう、……濃い魔翌力の塊であるそれの触感は、まるで淀みきったヘドロの様に気持ち悪い】

「つゥーか、そォこの邪ァ霊よォ……おォ仲間さんは奥の方に居ィるじゃアねェか、こォーんな空ゥ気のそォこそこ不ァ味い所になァーんで居ィるんだか」
「確かに俺様は奥の方のかァなり空ゥ気の良ォい所にでェっけェー家建ァてたが、だァれにも立退き依ィ頼はしィてねェぞ?」

【どうやらこの悪魔も魔界の奥の方のかなり魔素等が濃い所に居るらしく、その邪霊は見たことがあったのだろう――】
【――魔翌力の腕が伸びる、狙うは邪霊の両脚及びそれに値するもの】 【狙いは"すっ転ばせる"ことだ、環境が良いこともあってか力は"高水準"】
【"一応"、酒元が押しつぶされないように配慮はしているらしい、……後の報酬に響くから。つまり、一時的とはいえ味方になってくれる……のかもしれない】

【かなり濃い魔翌力で作られた腕とはいえ、物理的な攻撃での破壊も可能だし、逆に掴んだり引っ張ったりして色々することも可能だ】

「さァーて、こォいつ"ら"にはなァーんの部ゥ下が良ォいか……」

【――そういえば、この悪魔は召喚術を使うと指名手配書に書かれていたはず。だが、この攻撃は自分の魔翌力を使っただけ】
98 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 22:42:45.06 ID:NSIxXKIBo
>>94

こんなことせずに音楽で食えりゃ万々歳なんだけどね!そうもいかないのさっ!

【ジャカジャガとクランチサウンドの刃を次々と放つコール。戦闘は一流でもギターの腕はそうでもなさそうだ】
【後方から相手の動きを制限するかのように右へ左へ、そして尻尾の触手を斬り落とそうとギュンギュンぶっ放し続ける】
【とは言え無限のエネルギーというわけでもない発射事態は無限だがそれを鳴らす指のほうに制限があるのだ】
【まだ大丈夫だがその辺も相談というわけだ。そもそも意外かもしれないが遠距離とタイプという性分ではないのだ】

………何これっ!気持ち悪いッ!もうちょっと考えて進化しなよっ!

【向かってきた触手に吐き捨てるように悪態をついて、ギターを腰に回した】
【ギターのヘッドを左手で握る。腰を落として、触手を見据える。さながら、それは居合のような姿勢】
【そしてグッと手に力を込めれば弦は断ち切れて手にまとわりつく。薙ぎ払うようにその手を動かせばそこにはサーベル】
【ギターはまるで仕込み刀のように本体が細く長い直剣の鞘のような代わりをしていた。無数の触手をその居合で切り裂けば】
【切れた触手の先をブーツの踵で踏みつけで隠し切れないニヤつきとしたり顔を浮かべたのだった】
【”Sixstrings SAMURAI”流浪のミュージシャンは伝説の男の意志を継ぐものだとはほとんどの人間には関係のない話だった】

よしよしっ!!ねーオニーサン。前衛が疲れたなら交代したげるから早めにいいなよ〜!

【ギターに剣を戻せば弦は自動で元に戻って、チューニングもされるのであった。彼女はまたそれを射撃体勢に持ち直す】
【グッっと腰に力を入れて、ビンッと弦を弾けば、先ほどとは違う。足元の土が舞って、彼女を中心に風が起きる。そして】
【ハウリングのノイズ混じりの高音が遠くまで鳴る。決してうるさくはないがその静けさが逆に不気味だ】

さーて、チンタラやってても仕方ないしね……大技行くからご注意をッ!!

【時間がかかるのか彼女はギターの先を的に向けて、腰で構えたままニヤリと笑う】
【ハウリングの音と揺らめくような唸りが段々と増幅されていく。ギターが輝き出す、刃と同じ赤い光だ】
99 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 22:53:52.84 ID:VKOejOMEo
【公園】

【ひゅん、ひゅん。息を吐けば白く染まる、凍て付くような空気の中で風切り音は鳴る。無論公園には彼以外誰も居ない】
【この時期時間に公園で遊ぶ変わり者も居る筈無く、唯一人公園の中央で剣を振るうのは、この鍛錬を定期的に行っている彼くらいしか存在しないのである】

―――ふっ……!!

【白い長着に黒い袴を履く、薄藍のインバネスコートを羽織った黒髪の男が剣を振るい、風切り音が孤独に鳴り響く。柄を握る素手の冷えなど、まるで気にもせずに】
【一振りごとに雑念を消し、一振りごとに集中をより深めていく。其処には苦しさも楽しさもなく、ただ無念無想のままに、架空の敵の袈裟を沿うように剣が振り抜かれる】
【―――ひゅん。もしこの一振りを見ている人物がいて、そしてその人物が「素振り」というモノをある程度知っているのであれば―――その「違和感」に気付くのかも知れない】

【一般的な素振りは、腕の力に依存する“加速度運動”で、剣先が撓るように動き動作終盤に最速となるので風切音は最後に鳴る。だが彼の素振り、そして風切り音は―――】
【―――振り始めに「ひゅん」と言う音を奏でているのである。そしてその動き―――剣速は確かに速いが、大会で名を馳せた剣士達に比べれば遅い】
【だが、それにも関わらず―――感じさせるキレは物凄いというか、剣を袈裟に振り下ろす「動き」が―――特に動き始めが、殆ど見えないのである】

……―――疾ッ……!!

【横一文字、一閃。風切り音は振り始めに鳴り響く。淡藍のインバネスは動きに遅れてばさりとはためき、ぴたりと剣が振り切った所で止まればインバネスも止まる】
【止まった時に初めて解るだろうか、彼の右肩部分―――緋色の鷹の紋章。……即ち彼がSCARLETに属している、という証明】

【更に濃くなる研ぎ澄まされた雰囲気が、濡羽色の鋭い瞳が―――彼の周りを漂う「武人」の匂いを、より一層濃くするのであった】
100 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/02/08(土) 23:13:57.47 ID:nK9dEaQD0
>>97

まぁ色々と派手にやっているようだしねぇ………てかとりあえず味方って事かな?
(この悪魔も随分深層に居を構えているようだな―――これは後々面倒な事になりそうだけど)

【邪霊の触手による攻撃をヒラリヒラリと躱しながら邪禍へと確認の為の問いかけをする―――。】
【だがそうしている間に邪禍の魔力の腕が邪霊の脚に掴みかかり、そのまま横転させる。酒元がギリギリの所で後方に飛び退いて押しつぶされずに済んだ】
【脚を掴まれて倒された邪霊はそのまま体勢を立て直せずにもがきながら、腕の一本を酒元へと向けようと………。】

(―――あの邪禍とかいう悪魔、なんだか信用ならないな………それに後々≠フ事もある、なら………。)

  『ギャァァァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアァァァッッ―――!』

【そして、手の平についた目玉がギョロリと動き、赤く発光し始めた瞬間―――酒元はその腕を蹴って邪禍の方へと掌を向けさせる】
【結果として―――掌から発射された紅い魔力の閃光は一直線に邪禍の方向へと発射される………ッ!】
【強烈な魔力の閃光だ、もし直撃すればかなりのダメージを負ってしまうかもしれないが、環境のアドバンテージを活かせば対処出来るだろう】

【意図的に攻撃を邪禍の方向へと誘導したようにも思えるが―――真相は不明である。】

>>98

【居合で切り裂かれた触手はビチビチと地面をのたうち回りながら紫色の体液を周囲へとまき散らす。】
【この体液は軽い酸性を帯びており、それほど重症には絶対にならないが触れれば軽い爛れを起こすかもしれないので注意が必要だ】

それは残念だね………今度CD買わせて貰うとするよ………!
―――まだもうちょっと前衛で頑張れそうだよ―――だからコールドスティールさんはガンガン攻撃してくれッぐぁ!

【攻撃をいなしながらコールドスティールの申し出を断るが、その直後、邪霊の腕が酒元を吹き飛ばす。】
【酒元は地面を二度三度バウンドした後、ようやく地面を滑りながら止まり………体の至るところから血を流しながら立ち上がる】
【かなりの距離を飛ばされてしまったが直ぐに戦線復帰しようとするが―――そこで何かに気が付いたように顔を上げて叫ぶ】

―――不味いッ!危険だ、避けろッ!!コールドスティール―――!!!

     『コォォォォォォォォォォォォォ―――ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!』

【邪霊の方を見れば、何か空気を吸い込むような動作をしてから停止して、それから―――。】
【今までで最も強烈な咆哮―――ッ!それは音の衝撃波を発生させ、周囲の家屋や地面を抉り吹き飛ばしながらコールドスティールへ迫るッ!】
101 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 23:16:03.23 ID:4Y6C9UFuo
>>95 >>96

だからこそ、と言う感じですかね。
ボクは普段――――少なくとも表面上は、自分に好意的に接してくる方のお相手ばかりしているもので。
まるで他人全てを拒絶しているような、そんな彼女に興味が沸いたんですよ。今では一応、友達程度の信頼は獲得できていると信じています。

まぁ、有り体に言うなら…………一目惚れ、という奴ですね、きっと。
こればかりはどうしようもない。父にバレないように、これからもうまいことやっていきますよ。

【リチャードは色々と迂遠な言い回しを使って、その彼女のことを回想し。最後は、そんな直球の結論に行き着いた】
【相変わらず表情は綺麗な笑顔のままで、それ以外のことは読み取れない。故に冗談なのか本音なのかも、いまいち判然としないが】
【何にせよ、リチャードがその少女に好意を抱き、現在も親しく付き合えるよう努力している、と言うことだけは嘘ではないのだろう】
【これだけの処世術を身につけている彼ならば、周囲の目を騙くらかすぐらいは容易、という事なのかもしれない】

そうですね…………時々ボクも、父の手の上で踊らされているような気にはなります。
けれど、将来的にはすべて自分のためになる事だとわかっていれば、苦にもなりませんから。逆にそれに気づけない方には、きっとそちらの学園生活は辛いでしょうね。

強いながらも折れそうな、孤高の美少女ですか。ふふ、それは確かに言い得て妙だ。
ああそうだ、彼女と円滑にコミュニケーションを取りたいなら、先に彼女の幼馴染に渡りを付けておくのもアリかもしれませんよ。
彼女、何故かその幼馴染には弱いみたいですから。そちらは特に功績を挙げている訳でもありませんが、ボクと同じく生徒会役員として頑張っていたりボランティアに積極的に参加したりとかなりの優等生なので、調べればすぐ解ると思います。
最近はどうも、小旅行に出るのが趣味になっているみたいですし。もしかしたら出先で会う事もあるかもしれません。

【何がおかしかったのか、リチャードはアウラが下した少女の評に満足げに笑うと、ひとつ情報を付け足すだろう】
【調べればすぐ解るとリチャードは言っているが、その通りだ。その幼馴染は非常に人脈が広い少年で、逆に言えばその筋で辿っていきやすい】
【実家こそごく普通の中流家庭だが、同学年ではリチャードに並ぶ程の人気者だ。噂も多数流れているだろう】
【深いところまでは掴めないかもしれないが――――彼女本人共々、名前や学校での評判ぐらいは判明する筈だ】


積極的に争いごとに関わるような真似は避けていますが、大企業の御曹司にだってたまには暴れたいときもありますよ。
それに、ボクの能力…………ビジネスに役立つものであれば良かったんですけど、何故だが戦闘で真価を発揮するタイプのものなんですよ。
まったく、本当に何でなんでしょうね。ボクは彼女のように、強者と見るや襲い掛かるようなタイプではないんですが。

まあ、写真云々はどうにでもなるとして――――。
イスカーチェリ学園に武術大会≠ェあると言う話、明日にでも彼女にしてみますよ。きっと喜んでくれると思います。

【リチャードの言が本当であるという確証もないが、しかし無駄な嘘を付く人間でも無さそうで】
【とすると、やはり何か強力な能力≠有しているのか。護身術も嗜んでいるようだし、本当に武術大会に出たら意外と好成績を残すかもしれない】
【無論、全ては推測だ。リチャードの見掛けはどこからどう見ても美少年然としていて、覇気のようなものは感じられない】
【…………写真云々はどうにかなる、の下りを除いては。いざとなったら自分の力で如何様にも抹消≠オてしまえる、と言う風に聞こえなくもなかった】

/続きます!
102 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/08(土) 23:16:49.62 ID:4Y6C9UFuo

写真、ありがとうございます。何だか照れくさいですが…………。
察するに、念写系の能力でしょうか。音も光もないとなると、ボクらとしては頭の痛い能力ですね。やりようによってはスキャンダルも取り放題じゃないですか?
ボクの力とはまた別の意味で、力≠フある能力だと思います。

…………ねぇ、アウラさん。あなたは、その力を――――おや?

【写真を受け取ると、リチャードは照れ臭そうに頬を掻く。写真の中の彼はどこかのモデルにしか見えないが、本人としては自覚しがたいらしく】
【アウラの能力を珍しそうに分析すると、リチャードは普段通りの美麗な表情のまま、しかしどこか熱の入った様子になるだろうか】
【一歩そちらへ踏み出し、何か言わんとして――――ダッフルコートのポケットの中身が、振動音を上げる】
【リチャードは携帯を取り出してメッセージを確認すると、ふっと目を閉じ。些か残念そうな様子で、アウラに向き直るだろう】


…………どうやらこちらも、迎えが来てしまったようです。
長々とお話に付き合って頂いてありがとうございました、アウラさん。取材、とても楽しかったです。
アウラさんも気をつけてお帰りになって下さいね。最近は物騒ですし、その風紀の方もなんだか怖そうだ。

【リチャードは一度深々とお辞儀をして、礼儀正しい御礼を述べるだろうか。流れるような、体に染み着いた動きだ】
【もう一度アウラの顔を見据えて柔和に笑い掛けると、彼は楽しそうな言葉を贈って、公園の入り口へ向けて歩き出す】

それではお返しに、最後に一つ――――また機会があれば、是非お会いしましょう。
さようなら、アウラさん。

【その途中で最後に一度振り返り、真紅の視線が吹き上がる噴水を突き刺して。リチャードが挨拶を述べ、今度こそ背を向けて帰路に就くと――――】
【――――噴水の水が、ぐにゃりと歪む。夜闇を更に染め上げるような黒≠ェ、どこまでも深い漆黒色の球体が、噴水の中央に出現していた】
【その球体の中央に向けて、周囲の水が一気に殺到していく。アウラが近寄ったなら、そこへ引き寄せられる力を感じることができるだろう】
【街灯の光すらもねじ曲がり、水流は龍のようにのたうつ。それは不気味であるが故に、とても美麗な光景であるだろうか――――】
【これが、リチャードの能力なのだろう。そちらの能力を見た代わりにこちらの能力を見せた。お返し、とはきっとそういう意味合いで】

【アウラがそちらに気を向けていたなら、リチャードの姿は既に消えているだろう。公園の奥で、長躯の車体が唸りを上げて発進していった】
【最後の最後まで、どこか演劇がかった少年であったが。少なくとも彼にとって、今日の出会いは有意義なものであった筈だ――――】


/二日間、ありがとうございましたー!!
103 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 23:50:06.29 ID:NSIxXKIBo
>>100

インディーで一枚だから見つけたらレア―――クッッ!!気ぃ抜いてるんじゃないの?!!

【叫んでみてもキィィィンと唸りにかき消されてしまう。技のエネルギィを溜めている間どうしようもない】
【前衛を失ったことで非常に危険な状態だったがそれをリセットするのは勿体なさ過ぎる。長期戦になれば】
【ここでのロスが後々響いてくるだろうと思われた。弦をチョーキングして音を揺らす。ギリギリと指先に食い込む】
【それほど現状の危機には焦りを感じていた。だが、退けない。ここはステージの上だ。前以外に降りるところはない】

……生憎、此処で退けるほど賢くないの。この弾き始めたギターソロは最後までやるしかないじゃない
―――さて、力比べといこうじゃないの!!『ULTRA FEEDBACK GROOOOOOOOOVE !!!』

【高らかにあげた右手で開放弦で叩き鳴らす。ロケット弾をかっ飛ばしたかのように激しくバックブラストがおきる】
【ギターの光はマックスまで達して真っ赤な閃光とともに衝撃が発生する。さながら六本の弦が組み合わさって】
【巨大な一本のネジのような杭が敵に向かって、戦艦の主砲で発射されたようなそんな勢いで閃光のドリルが衝撃を引き連れて飛んでいった】
【空中で邪霊の衝撃波と衝突する。向こうが音なら此方は音楽だ。魂をブレンドして真っ赤な閃光を火花のように飛び散らかせた】

……クッ!!ダメッッ!!!ァァァアアアアアアアアアア!!!

【自分の衝撃と敵の衝撃波によって、コールドスティールもギターとマスクが無くならないように押さえながら遠く後方へと吹っ飛ばされる】
【ギター抱きかかえながら周りの瓦礫と木々と同じように造作もなくグルングルン木の葉のように舞って、ボロボロになった木製の住居に】
【そのまま突っ込んで、ガランガラン崩れる板やら木やらの中に埋もれた。声をかけても返事はないだろうが、ギターを握りしめる腕だけは見える】
104 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 23:55:57.78 ID:7rUSagZ0o
>>100

「ククク……安心しィな……俺様の安眠が確保さァれる"まァでは"味ィ方でいる保ォ証をしィてやる」

【逆に言えば、この目の前の邪霊を倒した後どのような立場を取るかの保証はしない――ということか】
【確かに迂闊に信用すべき相手ではない、指名手配犯でもある故――何より、笑みが邪悪、己の欲でしか動かなそうな顔】

「肉体は大きけりゃア良ォいってモンじゃアねェぜ?」 「デェカブツ飼ァいまくってる俺様が言ィっても説得力ねェってか、ヒャハハ」

【――まずは相手の動きを封じる、戦いにおいてアドバンテージを得るのにはわりとポピュラーか】
【伸ばした腕を手元に寄せ、擬似阿修羅状態――元々肉体にある腕と同様の長さに戻す】
【ひとまず何か召喚するか――といったところで、攻撃が飛んできた】 【勿論、まともに受ける気など無く】

「"魂砕技"ィッ!」 「無ゥ駄ァッ!」 「……ふゥむ、少ォ々展開が遅かったか」
「(そォれに……今、腕を蹴ェってこォっちにやァらなかったか?)」 「(……にィおいがすゥる、"意ィ図的"な行動のな)」

【これは魔翌力の壁だろうか、しかし腕の魔翌力と何かが違う――なんて考えている前に、閃光は壁に到達した】
【パリィン!】 【――閃光がその壁に触れれば、それは砕けて辺りに散る。それはあらゆるエネルギーの元になってしまう欠片で、非常に不安定】
【そして、少々壁を貼るのが遅かったようで完全には砕ききれず――元々の肉体の左腕が酷く損傷し、魔翌力の煙が上がり、どす黒い血が流れ落ちる】

「――"人間共のにおい"は気ィに障んだよ、だァからそォこのでかい奴、――原因がテメェーって言ィうんなら、さァっさと退場しィて貰おうか」

【静かに、――しかし強く言い放つ悪魔】 【怒りに任せた口調ではない、どちらかと言えば子供を論すそれに近い】
【――悪魔の目の前に魔法陣が現れる、そこから現れる闇が悪魔を包み込んで】
【気づけば悪魔の手の甲・足の甲・額・翼爪・尻尾に赤い刃があり、特に尻尾の刃は斧状に二つ付いている――更にいうと、尻尾が龍やトカゲの様に太くなった】

「さァーて、つゥいでに、つゥいでで頂いたこォいつの実力、見ィせて貰おうか……まッ、俺様が使ったら本来の実力はわァからねェがな、ヒャハッ!」

【この変身、おそらくは"召喚術からの融合術"を流れるように行ったのだろう】

【――悪魔は咆哮に巻き込まれないようにしつつ一直線に邪霊に飛翔すれば――その飛翔の勢いを利用した斬撃を繰り出すッ!】
【狙いは邪霊の腕――己の右翼→右手→右足を使った、辻斬的攻撃だ】 【鋭い刃による斬撃を三連続で繰り出すが、割り込めないほどの連続性はない】
105 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/08(土) 23:57:39.55 ID:7rUSagZ0o
>>104
/すみません、たいして変わりませんが
/攻撃の流れは左翼→右手→左足にします
106 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 00:10:02.04 ID:Cr8vwDhP0
>>101>>102
「ありゃりゃ、思ったよりもハッキリと言いますね。その子じゃ無くても聞いて居るだけで赤面しちゃいそうです
でも、まあ…………不思議な人に惹かれるという気持ちはよく分かりますよ
この活動をしていたら今まで知らなかった世界も沢山見れましたし――――面白い人だって沢山見て来ました
勿論、危なかった事だって沢山ありますが…………でも、危険を冒しても良い位の見返りがあるのだから止められません」

【キャーだなんて巫山戯た様子で頬に手を当てて赤面した振りを見せるも、その言葉はしっかりと脳内に焼き付けられた事だろう】
【約束した手前、リチャードの名前は出しはしないが…………少女の抱く感想と比べてみるのも面白いかも知れない】
【悪用云々は無い本当に自分の欲求を満たす為だの事。下らない質問が、アウラの中で一つ増えた瞬間でもあった】


「だけど…………楽しい時、この時間がずっと続けば良いと思う事はありませんか
友達と巫山戯居る時や、家族と居る時。…………うーん、表現としては難しいですが、でもきっと皆も何だかんだで楽しんでいるのかもしれません
もしかしたらそんな風に考えて居るのは楽天家の私だけかもしれませんけどね

幼なじみ……ですか?分かりました、その辺りも少し探っておきましょう
急がば回れ、ですからね。ふふふふ…………囲い込んでからじっくりじっくりと追い込んで行きますよ
――――なーんだか悪役みたいな言い方になってしまいましたけど、悪いような事はしない事だけは誓います」

【新たに出てきた人物像。幼なじみを架け橋とすると良し――――その事を追記すればメモも閉じられる】
【果たして本当に直ぐに分かるのかは未だ不明だが…………リチャードが言うことに嘘は無いであろう】
【だったら、今は深く聞く必要も無い。生徒役員であれば、一般生徒よりも辿りやすいのも間違いは無いのだから】


「是非、そうして下さい。少しでも共通の話題がある方が話も聞き出しやす――――あ、でも。私は非戦闘員ですから見るや襲いかかるなんて事は無い様にしておいて下さいね?
逃げ足だけは自信がありますけど、でも逃げてばっかりだと取材も出来そうにありませんし…………」

【少しでも話しやすくなるのは良い事だ。だから出来る限り架け橋となって貰おうとするが、慌てて付け加えるのは自分の事】
【この活動をしていれば自然と隠密や逃げ方は上達するが、戦闘には然程長けている訳でも無い】
【まして相手が大会出場者であったならば逃げる以外に方法が無いのだから、自分に対して武力を使わないようにだけ伝えて欲しいと釘を刺し】


「私もとっても楽しく取材出来ました。…………私も当然気を付けて帰りますが、リチャードもお父さんにバレ無い様に気を付けて下さいね。色々と
嗚呼、後。言う必要は無いかもしれませんが、さっきも言った様に私は口が堅いんです。貴方と会った事は信用できる人にしか言いませんし――――記事に書き起こすとしても、当たり障りの無い事程度ですから安心して下さい
それでは、また何時か。リチャード」

【黒の球体に対して最初に思い浮かべたのは“ブラックホール”だ。乱れる髪を片手で抑え、幻想的な景色を見て――――最後の言葉を放った事には、もう少年の姿も無いであろう】
【走り去る車に対して小さく手を振った後振り返り、僅かな吐息。今日記したメモのページに撮ったばかりの写真を挟み込めば自身も寮へ帰るべく歩み始め――――途中で足が止まる】


「おや、何時から居たのか分かりませんが…………ふふ、心配して迎えに来てくれたのですか?
先輩思いの後輩を持って私も幸せ者で――――ありゃ、違いましたか
ま、でも帰りながらちょっとお話に付き合って下さいよ。今日は色々面白い情報が手に入ったんです
大企業の御曹子や、あの大会に出ていた女の子の話や…………後、レイリスフィードの話
そう急かさないで下さいよ。約束の手前全部は話せませんがちゃんとある程度は伝えますから――――――」

【その後ろ姿に加わるもう一つの影。同じ制服に親しい口調とイスカーチェリの者であると判断するのは簡単だ】
【今宵奇しくも二人の学生が出会った事がこの先何か変化を生むのか生まないのか――――それは、未知の話】

/こちらこそ、お疲れ様で有りましたっ!
107 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/02/09(日) 00:21:02.59 ID:fJj0YUjO0
>>103

ああ………悪い、少し考えごとをしてたからね―――ッ!
オイオイマジかよあの人………!なら僕も乗るしかないッッッ!!!

【衝撃波の余波を右腕を顔の前に構えてガードしながら戦場へと韋駄天の如く舞い戻ってくる。】
【だが先ほどの一撃で受けた傷はそれなりに深いらしく、ダラダラと血を流して肩で息をしているのが分かる】

【邪霊の方はというと、赤い閃光のドリルの余波が直撃し―――頭部の骨の半分以上が砕け散り身体の方もヒビが入っている】
【あと一押しと言った所だが………手負いの獣はここからが恐ろしい。】

      『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォぉぉォォォッッ―――!!!』

糞―――ッ!ゴリアテ二式<b―――!!!
コールドスティールッ!!立て!!!このまま一気に止めを刺すぞぉぉぉぉぉぉ―――!!!

【衝撃波によって体勢を強引に戻した邪霊は、そのまま翼をはためかせて飛翔し―――そのまま一同の頭上へと向かう】
【そして上空からコールドスティールの埋もれている瓦礫の上から全身で押しつぶそうと落下してくるだろう―――ッッ!!】

【酒元は邪霊が落下してくる瞬間に合わせて再び両刃剣を、今度は先ほどよりさらに刃が巨大なモノを召喚しそれを邪霊へと投擲する】
【ガキンッ―――!っと投擲された両刃剣は邪霊の胴体に突き刺さり多少落下速度は落ちるがそれでも未だ落下は止まらない。】

【ここでコールドスティールが立たなければそのまま潰されてしまう―――!】
【―――だがもはや邪霊も回避行動など出来ない、まさに絶好のチャンスでありピンチなのだッ!!!】

>>104

―――どうだかな、だがアレが片付けば僕たちは撤退するよ。
それに金や素材もアンタのとっても悪い話じゃないだろうし、手伝ってもらうよ………悪魔

【剣を投擲する前に、邪禍へと疑心に満ちた瞳でそう言ってからコールドスティールへの援護へ向かう。】
【そして邪霊の飛翔に追いついた邪禍の三連続斬撃によって、邪霊の腕は一気に二本も吹き飛ばされた―――】
【だが邪霊ももはやこの程度では止まらない、背から生えた無数の触手を邪禍へと放ち、その翼を破壊しようとするだろう】

【成否に問わずそのまま邪霊は飛翔して、コールドスティールへの攻撃へと移行するだろう。】

―――邪禍ッ!!アンタも手伝え、これが決まれば安眠が守られるぞッッ―――!
胴体か頭部を狙って攻撃するんだ!!!

【両刃剣を投擲し、酒元は傷によって膝を付きながらも邪禍と叫ぶ―――今度は裏に意図などなく、単純な要請だろう】
【確かに、手負いの相手………そして敵の意識はコールドスティールへと移っている………今は邪禍にとって絶好の機会なのだ】

【だが人間の言う事など意にかえさないかもしれない………果たして邪禍の取る行動は―――?】
108 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 00:42:11.69 ID:3TyiMrUUo
【各地で積雪が見られたある日の、街中の光景】

【こんな日だからといって、道を行き交う人が減ったりしているような事もなく】
【雪に浮かれたような者もいれば、襟元を押さえ足早に過ぎ去っていく者もいて、やはり人の流れはそこにあった】
【積もった雪がなかなか解けない程度には寒いのだが、それでも社会は回っているのである】



【ドサリ―――何かが落ちる音。見れば、屋根の上に積もっていた雪が落下した様子】
【そういえば、道端に幾つか雪の山がある。それらもきっと、そうして出来たものなのだろう】

【そんな中で、路地の入り口に山が出来ていた。通ろうと思えば通れない事もないが、なかなかに邪魔で】
【もし誰かがその山に近付き、目を向けたのならば、気が付くだろうか……】



【―――――天辺からチョロリと覗く、カナリヤ色の髪の毛に】
109 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 00:49:25.00 ID:bEji5v5Po
>>107

「悪魔が好ゥきな言葉ってなァんだか知ィってるだろォ?」 「――"対価取引"、だ」
「そォう報ォ酬――払うもん払って貰えりゃア、そォれ相応の働きはしィてやる、"差ァ別無し"にな」

【あくまでも、"差別"はしない――では、"区別"はどうだろうか?】 【それは悪魔にしかわからない】
【というより、元々は煩いから出てきただけであって、もし報酬の話がなければどちらの敵でもあった存在なのだ】

「ククッ、ちゃアーんと撤退しィてくゥれよォ?」 「しィねェ時は――ヒャハハッ」

【直後、舌打ちが一つ聞こえた――無数に迫る触手が、己の翼を破壊しようと迫っていたのだ】
【尻尾を振り回し幾らかの触手は対処しようとするものの、――結果がどうであれ、両方の翼を破壊されてしまうだろう】
【無論、肉体がある以上――落下は免れない、運悪く左腕をクッションにしてしまい、肘から下を失った】

「――俺様が言ィいたい"対価取引"は、言ィい換えりゃア"やァられたらやァり返す"」
「人間共の指ィ示に従う気はねェーが、"安眠と復讐"の為だ……"つゥいさァっきの分"のな……!」

【左腕から、両翼から、どす黒い血と魔翌力の煙が発生する、――だが、悪魔は笑っていた、己から発生するそれらより黒く】
【倒れた体勢のまま、斬撃の魔翌力・元々の魔翌力、二つのそれらを発生させれば目の前で渦を巻いて――そして、放たれる】

【但し、――向かう先は、邪霊ではない……邪霊がぶっ壊した建物等の瓦礫!】
【――渦は瓦礫を幾つも巻き込み、さながら竜巻のようで】 【そして、瓦礫と斬撃の魔翌力が融合して行く】

「瓦ァ礫に刃を混ァぜる事で……殺傷力を上ァげ……放つッ!!」

【打撃だけでなく斬撃性も上がった瓦礫は渦によって勢いをつけて――今度は邪霊に向けて、発射!】
【狙いというか飛ぶ方向がかなり雑で、辺りのものにも被害が出るかもしれないが……大まかな狙いは頭部の様だ】
【流石に全ての瓦礫を巻き込んでの攻撃ではないし、雑な狙いなので防ぎやすいかもしれないが……まともに受けたくはない攻撃だ】

【――そして……一つ、懸念すべきことがある。攻撃の一部が酒元やその近くにも飛んでくることだ、ちなみにコールドスティールには来ない】
【幸い、直撃する軌道のものはなく……わざと当たりに行かなければ、何もしなくともちょっとした傷だけで済むだろう】
【先ほどのお返しか、それとも攻撃の方向が一直線で無いが故の余波か、――"ついさっきの分の復讐"の言葉に、"Who"は無かった】
110 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 00:55:00.69 ID:89wbSYDTo
>>107

アツツ……流石にコレはダメージが来るねコリャ…

【瓦礫を避けながら、ギターをたぐり寄せる。自分より頑丈とはいつも恐れ入る】
【こっちは傷だらけで血も出てるし腕も左が動かすのもやっとなぐらい痛い。ギターが弾けないのは困るな】
【ガチャガチャと板をギターで突っついて避けて瓦礫の中から這い出せば、グラグラする頭を押さえる】

『コールドスティールッ!!立て!!!このまま一気に止めを刺すぞぉぉぉぉぉぉ―――!!!』

【キンキンする耳の奥で声が聞える。はたと意識が覚めれば、邪霊の影に自分が居ることが気がついた】
【回避するか…?いや、ただでは転べないね。まだSAMURAIを魅せつけてないじゃないかギターが言っている】

ああ、勿論だよ…!!……これで決めよう。ぐらつかないでよ?!アンコールはナシなんだから

【ギターのヘッドを掴んで引き抜く。サーベルのような直剣を構えて、ギターは背に回す】
【瓦礫の山、高いところに登って、低く、斜めに剣を両手で構えた。ガガガガガガガガ!!と剣が振動する】
【振動で剣の刃が赤く光っている。煙がシュウシュウと上がり、震える刃は本来よりも大きく見えた】

イェェエェエエエイイッッ!!カモォォォオオオオオオオンン!!喰らいなっ!!―――――『野獣バイブレーター』ッッ!!!

【落ちてくる邪霊の胴に向かってジャンプ。下から上へ技術何か捨てて力のみでに振り上げる野獣の一刀】
【当たったか外れたかかかわらず、そのまま前方に避ける。…というより着地に失敗してゴロンゴロンと転がって】
【背中のギターがあたって痛い。地面にうつ伏せのまま暫く立てずに様子を伺うしかなかった】
111 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/02/09(日) 01:25:35.74 ID:fJj0YUjO0
>>109

―――どうだかな、最後はこっちの取り分も全て持っていくんじゃないのか?
だが僕たちは約束を守ろう………こいつを片付けたらおとなしく退散させて貰うとするよ。

【膝を付きながら悪魔を鋭い視線で見ながらバツが悪そうにそんな事を吐き捨てたのだった。】
【確かにいくら邪霊を斃してもその後にこの悪魔が立ちはだかったのなら流石に分が悪すぎるのだ、報酬の割に合わない。】

【青年の思惑としては悪魔もここで片付けたかったようだが、どうやらそれは叶わないようである。】

       『ゴッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ―――!?』

―――良し、これで………ッ!?

【悪魔が放った魔力の竜巻は邪霊の頭部に激突し、邪霊はなすすべもなく頭部を木端微塵に破壊される―――。】
【酒元は致命傷を与えた事に満足したように頷くが、直後に酒元の下にも竜巻の一部が飛来し………右の頬が大きく切り裂かれた。】
【血が滴る頬から血を無言で拭って―――酒元は悪魔を見る。】

………野郎。

                          消すぞ

【金色の瞳を輝かせて―――空気が凍るような強烈な殺気が酒元から悪へ向けて放たれるが―――それも直ぐに消え去った。】
【酒元は既に邪霊の下へと視線を移していた、流石に突発的な感情で戦況を混乱させる事はなかった。】

>>110

―――コールドスティールッッ!!!

【邪霊へと飛び立つコールドスティールに対して呼びかけるように叫ぶがきっと届きはしないだろう。】
【悪魔によって頭部を破壊された邪霊は、さらに下から切り上げを放つコールドスティールの斬撃を受けて真っ二つに切裂かれた】

【流石に魔海の深層にいる怪物と言えどもこれほどの一撃を受ければ耐えきれない………。】

            『ア………ガ………ガァァァ………―――』


―――なんとか、終わったか。

【そのまま巨大な骨の残骸は、コールドスティールと共に大地へ降り注ぎバラバラに砕け散った―――。】
【よろよろと立ち上がった酒元はホッとしたように一息吐き出すと、そのまま残骸の方へと歩き出していく。】

【そして、まるで煙のように骨の残骸から魔素が抜けていくのを見ると何かを考えるように少しだけその場に立ち止まった。】

(―――やはりクライアント≠フ予想通りの結果になったか、イレギュラーはあったが一先ずは依頼成功か。)


//続きます
112 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/02/09(日) 01:26:47.45 ID:fJj0YUjO0
>>ALL

【そして暫くすると酒元はコールドスティールの倒れている場所へと進んでいき、手を差し伸べる。】

コールドスティールさん、大丈夫ですか?
なんとか依頼は成功ですね、魔素も充満していますし一先ずギルドへ戻るとしましょう。

立てますか?直ぐにジープを呼びますので待っていて下さい。

【コールドスティールが酒元の手を取ればそのまま肩を貸して、呼んだジープの下へと運んでいくだろう。】
【手を取らなくともそのまま並ぶようにして魔光灯≠回収しながらジープの下へと移動していき、助手席のドアを開けてから振り返る】

【視線の先には悪魔=\――一瞬敵意を含んだ瞳をするが、一度ため息を吐くと普通の瞳へと戻り、口を開く。】

アンタの下へも後日報酬を届けさせる………人間≠ヘしっかりと約束は守るよ。
だが、次に任務の邪魔になるような行動や行為をしたならば―――その時は容赦はしないから覚えておけ悪魔

今回は助かった=\――それじゃあな。

【それだけ言うとジープに乗り込んでコールドスティールと共に人の里へと戻っていくだろう、じきにここの集落の住民も帰ってくる。】
【家屋などは随分と破壊されてしまったが………彼らの技術ならば直ぐに元の集落へと戻る事だろう。】

【―――こうして、魔海を騒がしていた怪物は退治されたが、何故本来深層にいるはずの邪霊がここにいたのかは不明なままであった】
【ともかくとして、後日報酬の500万と品が届けられるだろう………邪禍にもしっかりと―――。】

【この怪物騒ぎの真相は不明だが、また近いうちに魔海≠ナ何かが起こりそうな、そんな予感を感じさせたまま今回は幕を閉じたのだった。】


【*報酬の品はこの中から二つ選んで受け取ることが出来ます。】

【暗黒の棘:邪霊の触手を加工した物。先端は鋭く尖っており、身体や武具などに接続して使用する。装備者の意志で自在に操作する事が出来る。サイズは1m】
【邪霊の首飾り:邪霊の骨を加工して作られた三角形の首飾り。同じく邪悪なモノ等が近くにいる場合反応し、知らせてくれる。】
【魔骨のロッド:邪霊の頭部の角を加工して作られた30cm程の杖。闇魔術に対するブースト機能があり、魔術の心得がない者にも使える。】
【悪魔の魂:邪霊の魂を瓶の中に封印した物、これを飲めば一時的に邪霊を憑依させて肉体を強化出来る。しかし精神汚染効果も高い。】

//これにて討伐イベントの〆とさせて頂きます!急な呼びかけに参加して頂きありがとうございました!
113 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 01:59:36.98 ID:bEji5v5Po
>>111

「ククッ……さァーな」

【下手に隙を見せれば本当に全部持って行きかねない、過去にもそんな"未遂"が幾つもあった、そして未遂でない事も――】
【……とりあえず、"今は"根こそぎ奪う気は無いようだ、相手が出て行くと言う約束を守るのだから】
【それに、肉体も結構傷付いた――幾ら環境が良いといえども力がどんどん流出してしまう、故に回復が優先】

「おォっと……狙いが雑過ゥぎたよォーだな、ヒャハッ」

【予想通り、謝罪の言葉もなければ――申し訳ないという気持ちすら籠っていない、わざとらしい口調】
【強烈な殺気をむしろ喰らうかのような、――"聖"で無ければ怖じけるつもりのない、"邪"な存在だった】

「俺様が味ィ方すゥるのは混沌だァけ……そォーだな、混沌やァら、まァた俺様の安眠やァら何やらを妨害すゥるよォーなら、どォーなるかなァ〜」
「ヒャハハッ、……まァー、"今回は"、"取引成立"ってところだからな、……テメェーが今回の約束を守るなら、俺様もこォれ以上はなァにもしィねェ……」

【――"邪魔をしない"なんて断言するどころか"そうする可能性"を暗喩する悪魔】 【"邪"な悪"魔"故仕方なし……なのだろう】
【とはいえ、己にとって環境の良いこの魔海で騒ぎが起きたらまた飛んでくるかもしれない、適当な難癖と共に……】

【その時はどうなるか、――】

「さァて……よォーやく二ィ度寝がでェきる、……メディアット、報ォ酬の受ゥけ取りは任せたぞ」 『承知致しました、邪禍様』

【――さて、悠長にしている暇はない、早く二度寝をして心身共に回復し無くてはならないのだ】
【悪魔の足元に現れる魔法陣、続く先はおそらく自宅――深い深い混沌を感じるその中に、悪魔は闇となり吸い込まれて】
【そして、移動という役目を終えれば――魔法陣は、静かに消えるのだった】

【――報酬の受け取りを行うのは、メディアット――眼がレンズで執事の格好をした二足歩行のコウモリである】
【受け取り場所はここの集落。――自宅まで郵送と言うのは、色々な理由で無理だと判断したのだろう】

【なお、悪魔が選んだ報酬は次の二つ――後は、元々の報酬である500万の貨幣】
【一つ、――暗黒の棘。強力な所持素材と親和性がありそうだから。】 【もう一つ、――魔骨のロッド。己自身が"悪しき闇の主"の名を関する悪魔だから。】

/お疲れ様でしたー
114 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 02:39:00.22 ID:89wbSYDTo
>>111-112

……やりぃ!ッッテテテ…

【ニヤつきながら笑うも体が痛んで仕方がない。全身傷だらけだ】
【当初のイメージではこんなに痛い目にあうとは思っても見なかった】
【まあ、生きてるし成功したんだから結果オーライ。過ぎてしまえばいいのである】

あー悪いね…いやぁまいったまいった……こんなに汚れるとはねヘッへ

【剣をギターに戻して、それを担ぎながらよっこらせと、肩を借りつつジープに乗り込んだ】
【額を拭うと血と土で汚れた。それよりも今はさっさとこの余計なマスクを外してしまいたい】

まっ……いろいろあったけど…私にかかればこんなもんサ。痛ってて…
さてと、こんな目に合わせたんだから報酬はたっぷりはずんでもらうからね

【車に乗れば口数が多いのは変わりない。今は痛みを紛らわすために来る時よりも喋るだろう】


【後日、報酬のお金と『邪霊の首飾り』『悪魔の魂』が届けられた】

……何これ。こっちの首飾りは何かいかしてるからいーけど……こっちは?
…魂?…なになに……うえーっ!なんでこんなのぉ?!縁起悪そっ!!

【にがーい顔をしつつ悪魔の魂を眺めるのだったが、まあ何かに使えるだろうということで暫くは持っているのであった】


/遅くなりましたがお疲れ様でした!
115 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 17:14:40.33 ID:7WzEW2jXo
【都市部・郊外】

「――――んでさぁ、ソイツ最初はスゲー息巻いてたクセに、二、三発ヤキ入れてやったら泣いて侘び入れてきたワケよ!
 ホラ、これがそん時の顔! 傑作だろ!?」
「うわ、ヒッデェの! ギャハハハハハハハ!!!」

【そこは区画開発に取り残され、数十年間誰にも使用されないまま廃墟と成り果てた、そんなビル群の中の一つだった】
【砕けた窓ガラスにヒビ割れた外壁。時間にも人にも取り残された世界は、不気味さと寂寞の両方に包まれている】
【…………はずである、のだが。少なくとも周辺にある廃墟はそうなっているだろうが、このビルだけは例外だった】
【ビルの三階の一室で、間断なく喧しい声が響き渡る。壁面には所々にスプレーによる落書きが成されており、濃いアルコールの香りも漂ってくるだろうか】
【勿論、そこに居るのがこのビルの権利者などである筈がない。最近、悪質な詐称と暴力によって若者へクスリ≠ばらまいている、一言で言えば悪党の集まりだ】

――――――………………。

【そんな無法者達の会話を、天井と四階との間の僅かな隙間の中で聞いている者がいた。月色の大きな双眸を怒りの形に釣り上げた、小さな小さな人影だ】
【――――濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛り、ふんわりと広がるポニーテールにして肩まで流した髪型】
【真っ白なベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着ており、残り三分の腕には包帯が何重にも巻かれて肌を覆い隠していた】
【その他にも、手には鉄板で補強した革手袋、脚にはニーハイブーツ、僅かに覗く太股にも黒いタイツ。首元には暗い赤色をしたロングマフラー】
【人影の容姿はそのように、顔以外の部位から執拗なまでに肌の露出を無くしたような、非常に地味色な格好をしているだろうか】
【そんな服装に、背中で漆黒の鞘に収まる二本の刀の印象が合わされば、見る者に忍者≠ニいう言葉を連想させるかもしれない】

【…………もっとも。殆ど完璧に気配を断っているその少女≠、見つけられる者が居ればの話だが】


(アジト≠はっけんしたぞ。何かへんか≠ェあれば、れんらくする――――。)

【少女は小型の通信機に向かって小声で情報を伝達すると、再び覗き穴へ視線をやって、全身の神経を視覚と聴覚に傾ける】
【もしこの状況で、ターゲット達に何か変化があれば――――あるいは、何か別の異変≠ェ起きたのであれば】
【この少女はきっと、すぐにそれを察知することができるだろう。流石にその異変が何であるのかまでは、推測できないのだが――――】


/予約です!
116 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 17:48:03.43 ID:fg28kqCQo
>>115

【栄華に見放され、朽ち果てたビルの亡骸達が眠る一角。その眠りを妨げるのは、下卑た無法の声】
【――――しかし、その声を妨げる音もまた、そこに生じる。それは砕け、割れ落ちたガラスを踏み躙る音で】

【彼等、そして彼女がそちらを見たのなら、月光を背に立つ小さな影を見ることができるだろう】
【それは少女のようにも見える、小柄な女の影。しかしその手に光るのは――――銀色の刃であった】

なるほどなるほど、確かにこれは騒がしい。
――――ああ、拙者はただ、バラし≠ノ来ただけだから気にしなくともよいで御座るよ。

【夜目にも目立つ明るいカナリヤ色の、三つ編みハーフアップにした髪が揺れる。左手には逆手の短刀、右手には苦無を握って】
【上衣は袖無しヘソ出し、腕にはアームウォーマー、共に黒く。故に、首元の紅いスカーフはより鮮やかに見える】
【下半身はスパッツの上にミニのタイトスカート、そしてニーハイソックス。やはりどれも黒い】
【左腰には短刀一振と、同じ大きさの鞘。右腰には白いポーチがあって―――こんな時期なのに露出度はかなりのもの】

【身長は150cmにも満たない程。しかも胸は平坦であるし、全体的に丸みがない、そんな女】
【何を考えているのかよく分からない顔も少女と女性の中ほどであるから、外見はかなり子供っぽい】

……さて、早速で御座るが始めるで御座るよ。

【刹那、姿勢を低く走り出す―――!その速度、かなりのもの。向かう先は出口に最も近い一人】
【小さな身体が跳ねたなら、首筋目掛けて短刀の刃が駆け抜ける。バラす≠ニ言った言葉に嘘はなく】

【そのまま壁を蹴ったなら、身を捻りつつ音もなく着地。次の一人に狙いを定めていた――――】
117 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 18:25:16.91 ID:7WzEW2jXo
>>116

【室内はそこそこ広く、廃墟にしては足場もしっかりしている。また、少女が入ってきた側から見て右側の壁には隣の部屋へ続く扉が見えるだろう】
【中には体格の良い男が六人。どいつもこいつも人相は悪く、アルコールとタバコの臭気が篭もっているのが感じられるだろうか】
【床には酒瓶を初めとしたゴミが大量に転がっており、長らくアジトとして使用されていたことも推測できるだろう】
【そして男たちの大半は、部屋中に安置された木箱のような物に腰掛けている。そこに何が入っているかを想像するのもまた、容易であるか――――】

「…………あぁ? なんだテメェ?」
「へへ、誰だか知らねぇが…………まさかこんな寂れた場所に、俺達が誰だか知らず迷い込んできたってこたぁねえよな?
 お嬢ちゃんクスリ≠お求めかい? それとも俺らと一緒に楽しいコトでも――――――、ぁ?」

【そして…………ぱきん、という硝子の破片が砕ける音が響いたなら、その部屋にいた六人の男たちが全員少女の姿を捉えるのだろう】
【すると一番出口に近い位置にいた男が立ち上がり、少女の前に立ち塞がる。ピアスだらけの顔は下衆な色合いに歪んでいて】
【そのおどけた口調に、残る五人の仲間たちが笑い声を上げる。男は気を良くして、もう一歩踏み込んで】
【…………ひゅっ、という音。そして一瞬遅れて、男は銀色の何かが首筋を通過した事を認識する。意味を理解することまでは、出来なかったようだが】

「あ、ぁ………………ぎゃあああああああああああああ!!!!!」
「なッ!? テメェこのアマ、連中の回し者か!? クソッ、舐めやがって!!
 おい、コイツは俺らでブチ殺す! 先にブツ≠運び出せ――――!!」

【飛び散った鮮血が、元々汚れの溜まっていた部屋中を更に汚していく。首筋を斬られた男は大量出血と断末魔の後、あっさり事切れるだろう】
【それでようやく事態を認識した五人の行動は、意外にも早いだろうか。全員が素早く身構え、怒りに任せて少女に襲いかかったりもしない】
【連中≠ニいうのが誰のことは不明だが、日常的に敵と遭遇する機会があるのだろう――――かなり荒事に慣れている様子だ】
【その間にもリーダー格らしき帽子の男が拳銃を引き抜いて構え、周囲に指示を出す。五人のうち二人がそれぞれ木箱を抱え上げ、逆方向の扉から逃げ出していく】

「俺達を舐めてタダで済むと思うなよ! その貧相な体、生きてることを後悔するまで犯してやるッ!!」
「おらあああああああああッッ!!!」

【これで残るは三人――――リーダー格の男が一歩下がった代わり、残る二人が少女へナイフを構えて突撃していく!】
【二人は左右から挟み込むような軌道で迫り、右側の男は顔面へ拳を、左の男は鳩尾へ右足で蹴りを、それぞれ放つだろうか】
【ナイフを使わないのは、まだ男たちが自分達が有利だと思いこんでいるからだ。少女を生け捕りにして好き勝手に出来るとタカを括っている】
【実際、数の上では男たちの方が上ではあるが…………その油断は、この攻撃にも現れている。当たれば相応の威力はあるが、大振りで回避は難しくないだろう】
【拳銃を持ったリーダー格の男が、何故か動かないのは不気味だが――――】


…………ッッ!!!

【そして、それと同時。少女の感覚が敏感なら、天井の方で僅かに動く気配を感じ取れるだろうか】
【男たちには気取られないまま、その気配は若干慌てているようにも思える様子で、先程二人の男が逃げた方角へ移動していく――――】
【取り敢えず少女の戦闘に直接の影響は無さそうだが、気に留めるに越したことはあるまい】
118 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 19:44:08.22 ID:/DcqMMypo
>>117

【不意を突いての攻撃が功を奏したか、まず一人。脱出を図る二人は……上に感じた気配もあり、無理には追わない】
【彼らの味方であれば厄介な事になるのは明白であるし、そうでなければわざわざ自分が行く必要がない】
【それならば、まずはここにいる者を始末するのが先決。そう判断しての行動である】

生憎……依頼者の素性はいちいち聞かないタイプで御座ってな。
大事なのは、相手がクズ≠ゥ否か、だけで御座る。

【言って女は、蹴りを放つ男の側へと身体を滑らせていく。脚に当たるか当たらないか、ギリギリの所を通る薄い身体】
【そうする事で蹴りを躱したなら、生じるのはもう一人の拳が命中するまでの僅かな時間】

【―――その僅かな時間を活かすのは、女にとっては本領とも言える】

【右手の苦無が駆ける―――行く先は蹴りを放った男の腹部。突き立てる事が叶ったなら、その手を放して】
【更に、苦無を突き出して右腕が前に出た今、左肩から先はやや後ろに流れていて―――】
【その腕を曲げ、もう一人の拳を受ける。小柄な身体に男の攻撃は、そう軽いものではないが】
【そこで受けた衝撃に敢えて身を飛ばし、そのまま二人から距離を空ける形とした】

……――――貧相だと言った事を後悔するまで、痛め付けられたいで御座るか?

まあ、何と答えようと――――殺す事に変わりはないので御座るが。
ところで、出ていった二人の方にも『拙者の仲間が向かっている』ので御座るが、のんびりしていて大丈夫で御座るかな?

【仕掛けてきた二人と、リーダー格の男。その全てを視界に収めたまま、女は構える】
【『仲間』だなんて、真っ赤な嘘。天井裏の気配がどちらの人間であるかを知る為の、ブラフである】
【天井裏に潜んでいるような人間だ、只者ではないはず。もし仲間だったなら、彼らの反応にもそれが表れるだろう、と女は踏んでいた】


/お待たせしましたー
119 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 20:19:59.98 ID:7WzEW2jXo
>>118

「ぎ、ぁ、あああああッッ!! 痛ぇっ、痛ェよぉッ…………!!」
「何だコイツ、ガキの癖に強ぇぞ…………!?」

【蹴りを放った左の男は、油断もあって敢えなく腹部に苦無を突き立てられる。激痛に叫びながら傷口を抑えて倒れ込むだろう】
【拳で殴りかかっていった右の男も、ほんの微かな隙すら逃さない少女の驚異的な反応速度に怯み、追撃出来ずに蹈鞴を踏んだ】
【しかし、それも一瞬…………今度こそ完全に、その表情からは油断が消えるだろう。これで残りは二人だが、決して一筋縄では行きそうになく】
【…………だが、少なくとも今は。戦況はまだ少女の方に味方しているようだった】

「――――う、うわああああああああああああッ!!!」
「こ、このガキ、どっから――――クソォッ!!!」

【少女が『仲間』の存在をほのめかした直後のタイミングで、隣の部屋から男たちの絶叫が響き渡る】
【発砲音が連続するのも聞こえるだろうか。何かしらの戦闘が行われているようだ――――恐らく、先程少女が感じた気配の仕業であろう】
【どうやらその気配の主、少なくともこの男達の仲間ではないらしい。男達の焦りの表情を見ても、それは明らかであって】

「い、一体何が…………!?」
「狼狽えんじゃねえ! はん――――テメェら、やっぱりあの連中の手先だな!?
 クズにクズと言われる筋合いはねぇよ! テメェも俺らと同類だろうが、えぇ!? 人殺しィッ!!」

【動揺する部下を一喝し、それで自分もどうにか焦燥を押さえ込むと、リーダー格の男は唐突に笑うだろうか】
【嘲弄と憎悪が多分に含まれた表情で、男は少女を罵倒する。野生動物の雄叫びのような、否が応にも聞く者の警戒を煽る大音声だ】
【また言葉の内容も、倒れた二人の部下へ視線をやりながらの、相手の良心に訴えかける卑劣なもの。勿論、少女がそれを聞き入れるかは別だが】
【そしてこのやり取り、確かに男の本心でもあるが――――同時に、少しでも気を引くための方策である事に、気付けるだろうか】

「う、うおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」

【最後の言葉を放った瞬間、リーダー格の男は真横の部下に目線をやる。やはり戦闘慣れしているようで、部下はそれだけで男の言いたいことを理解し】
【殆ど視線を向けられたのと同時という、相手に判断の時間を与えない素早さで以て駆け出すと、すれ違いざまに少女の左肩をナイフで斬りつけようとするだろう】
【ただそれ自体は、少女がリーダー格の男の罵声に気を取られれなければ、回避も容易であるのだが――――】

「へへ、せっかくクズ同士なんだ…………クズはクズのやり方でケリ付けようぜ、クソアマよォ!!」
「ぎ、何、やめ…………ッ!!?」

【――――そちらはフェイクだ。その攻撃の傍ら、男は苦無で腹を刺された部下を強引に立たせると、少女の方へ思い切り突き飛ばす!】
【もしこの試みが成功すれば、その部下は少女に抱きつくような形で動きを一時封じることになるだろうか】
【それがこの、クズ≠フ狙い。行動の成否に関わらず、男は即座に拳銃を構えて容赦なく乱射――――部下の体ごと少女を蜂の巣にしようとするだろう!】
【この拳銃はかなりの大口径で、人体を容易く貫通する程度の威力はある。部下の体を通して多少威力は落ちるものの、当たれば危険なのは間違いない】


「く、クソ、すばしっこい――――っつあ!? な、何ッ、ぎゃああああああああ!!!!」

【…………なお、この戦いとはまだ無関係だが。隣の部屋で起きていた戦いも、ちょうど終わりを告げた様子だ】
【あの気配の正体も直に判明するだろう。無論、少女がこの卑劣な策略を切り抜けられれば、だが】
120 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 21:06:36.12 ID:Q4AhJE2Jo
>>119

貧相≠セのガキ≠セのと……それは自分達のアタマ≠ノ向けて言うべきだと思うので御座るが?
――――ああ、脳ミソが貧相過ぎてそんな事も分からぬで御座るか、拙者としたことが迂闊。

【ここに来て、連発される挑発の言葉。ただ、どうにも貧相な体≠ナあったりガキ≠ニ言われた事が特に気に障った様であったが】
【その一方で、頭は隣室より聞こえる音を冷静に判断していた。敵ではないのなら……放っておいても問題は無いだろう】

人殺し?そんな言葉、拙者の心には響かないで御座るなぁ……
拙者のこの手は、とうの昔に血に染まっているので御座るから――――

【男が向ける罵倒などどこ吹く風とばかりに、飄々とした調子で女は紡ぐ】
【しかしその内容は、そんな軽い口調には似合わぬ、そして見た目にそぐわぬものであった】
【それでも、迷いなく男達に刃を振るう様子を見たのならば、その言葉は十分に信じられるだろうけれど】

【そして、走り来るナイフの男。しかし女は避けない。行ったことと言えば、短刀を順手に持ち替えた事、だが――――】

っ……!―――しかし、拙者をお前達程度のクズと同列に扱うなど―――――



―――――影に生きる忍者、ナメるなよ


【散る緋色。だが、肩を切り付けた男をそのまま行かせはしない。持ち替えた短刀を、抉り込むように突き刺すのである】
【すれ違いざまの一撃を放ったのとほぼ同時の事。見事突き刺さったのなら、短刀を両手で引き、男を自らの前に立たせるだろう】
【そうなれば、突き飛ばされた方の男がぶつかる相手は、言うまでもなく……】

【―――拳銃の男がそのまま乱射してしまったのなら、二人重ねた男達は哀れ、穴だらけ】
【先に出来た穴を抜けてきた弾が一つ、腹に当たる。だが、左肩と腹部から血を流しながらも、女は真っ直ぐに立ち上がった】

卑怯な、などとは言わせんで御座るよ?
前もって#E者だ、と言ったので御座るからなぁ?忍者とはそういうもので御座ろう?

【『忍者なのだから卑怯で当たり前』という旨の言葉を語るが―――忍者だと言ったのは、行動するほんの直前】
【先に言った事自体は事実なのだが、その論がそもそも、汚い理屈で出来ているのである】

【さて、隣室の戦闘が片付いた様子。聞こえた声から判断すれば、無傷なのは拳銃の男だけ、だろうか――――】
121 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 21:33:53.62 ID:z28pQviko
【公園】

【ひゅん、ひゅん。息を吐けば白く染まる、凍て付くような空気の中で風切り音は鳴る。無論公園には彼以外誰も居ない】
【この時期時間に公園で遊ぶ変わり者も居る筈無く、唯一人公園の中央で剣を振るうのは、この鍛錬を定期的に行っている彼くらいしか存在しないのである】

―――ふっ……!!

【白い長着に黒い袴を履く、薄藍のインバネスコートを羽織った黒髪の男が剣を振るい、風切り音が孤独に鳴り響く。柄を握る素手の冷えなど、まるで気にもせずに】
【一振りごとに雑念を消し、一振りごとに集中をより深めていく。其処には苦しさも楽しさもなく、ただ無念無想のままに、架空の敵の袈裟を沿うように剣が振り抜かれる】
【―――ひゅん。もしこの一振りを見ている人物がいて、そしてその人物が「素振り」というモノをある程度知っているのであれば―――その「違和感」に気付くのかも知れない】

【一般的な素振りは、腕の力に依存する“加速度運動”で、剣先が撓るように動き動作終盤に最速となるので風切音は最後に鳴る。だが彼の素振り、そして風切り音は―――】
【―――振り始めに「ひゅん」と言う音を奏でているのである。そしてその動き―――剣速は確かに速いが、大会で名を馳せた剣士達に比べれば遅い】
【だが、それにも関わらず―――感じさせるキレは物凄いというか、剣を袈裟に振り下ろす「動き」が―――特に動き始めが、殆ど見えないのである】

……―――疾ッ……!!

【横一文字、一閃。風切り音は振り始めに鳴り響く。淡藍のインバネスは動きに遅れてばさりとはためき、ぴたりと剣が振り切った所で止まればインバネスも止まる】
【止まった時に初めて解るだろうか、彼の右肩部分―――緋色の鷹の紋章。……即ち彼がSCARLETに属している、という証明】

【更に濃くなる研ぎ澄まされた雰囲気が、濡羽色の鋭い瞳が―――彼の周りを漂う「武人」の匂いを、より一層濃くするのであった】
122 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 21:53:16.01 ID:7WzEW2jXo
>>120

「ご、ぷ、ぁあ…………ッ」
「っちぃッ、役に立たねえクソ共め…………!!」

【刹那の交錯――――その終わりを告げる発砲音の後、目論見が成功していたのは少女の方であった】
【一切容赦のない銃弾の雨に、腹と脇腹をそれぞれ刺されて弱っていた部下二人は、殆ど即死同然の状態で地面に倒れ込むだろう】
【二人は痙攣しながら、しばし鮮血をまき散らす。既に血に染まっているという少女の言の通り、その体に怨念のような返り血が飛び散るかもしれない】

【…………だがそれでも、と。残った男は考えを巡らせる。部下二人を失ったものの、これで相手も左肩と腹部に傷を負った】
【冷静に状況を見据え、その顔には余裕が戻ってくるだろうか。能力≠烽る、これならどうにか――――】


…………うごくな、おまえたちっ!!
「な、クソ! あいつら…………!!」

【その時だ。男の真後ろの扉が勢いよく開かれ、剣呑な表情の少女が飛び出してくるだろうか】
【明らかに男の部下ではない、先ほど天井に潜んでいた者だ。外見は前記した通り――――そして二人の少女は、とてもよく似ているだろうか】
【拙い語調や体格からして、新たに現れた少女の方がそちらよりも更に幼い年齢に思えるが、雰囲気や背格好は酷似している】
【即ち、三人の男を無慈悲に葬ってみせた少女自身が名乗った忍者≠フ特徴に、こちらの少女の風体もまた合致しているのだ】
【ただし、明らかに違う点が二つ。まず開かれた扉の奥で倒れ込む二人の男から、血の臭がしないことと】
【そして、その少女のマフラーの首元に自警団≠示すバッジが燦然と輝いていることだ――――】

わたしはじけいだんいん≠フ、よるなぎレラだ! おまえたちをこうそく≠キる!!

【――――「夜凪レラ」と名乗ったその少女は、確かにそちらの敵ではない。だが、味方でもないようだった】
【月色の双眸はまず床に転がった二名の遺体を見つけると、怒りの篭もったでもって、男だけでなく少女をも睨みつける】
【その、大きな瞳の輝きは――――確かに忍≠フものではあるが、しかし決定的に、少女とは何かが異なる】
【少女が持っているような、忍者という名の暗殺者≠ノ本来あるべき血塗れた色合いが…………そこからは、感じられなくて】


「じ、自警団員だと!? …………て、テメェら、俺をハメやがったなぁああッッッ!!!!」

【だが、似ているようで違う二人の少女が言葉を交わすだけの時間は、今はまだ無いようだ】
【男はレラという自警団員が現れたことで、目の前の少女も実は自警団員であるのだと勘違いした様子であった】
【連中≠フ仲間であると思い込まされ、年端も行かぬ少女二人の掌の上で踊らされた――――誤った認識であっても、そこから沸き上がる屈辱は本物】
【二人の少女へ憤怒を募らせた男は、眉間の青筋も張り裂けそうな程の勢いで咆哮する。血走った目を泳がせ、二人を交互に睨んで】

「ぶっ殺してやる…………ぶっ殺してやるゥゥ!!!」
っ!! よせ、やめろ…………!!

【レラが叫ぶが、もう遅かった。男は手近な木箱に手を突っ込んで、白い粉末状のクスリ≠ひっつかむと、袋ごと嚥下する】
【――――その直後、異変が感じられるだろうか。男が呻き声を上げて苦しみだしたかと思うと、その体が歪に肥大化していく!】
【どう見ても通常の違法薬物の効能とは異なる様相。だからこそ、こうして自警団員が張り込んでいたのかも知れないが…………何もかも今更だ】


「死ねぇええええええええええええええええッッッ!!!!」

【そうして男は、たった数秒で二メートルを優に超える筋肉の固まりのような状態に変化し――――】
【手近な木箱を二つひっつかむと、目の前の少女と背後のレラへ一つづつ放擲するだろう!!】
【筋力が強化されているのは見ての通り。狙いは大雑把で回避しやすいが、直撃した場合の威力は半端ではない】
【また、それが少女に当たるにせよ回避されて床に当たるにせよ、飛び散るクスリ≠ノも注意が必要だ】
【このクスリ、『能力を暴走させる』という効果がある――――飛び散ると言っても量は少なく、男のように本当に暴走することはないだろうが】
【もし少女が能力者であれば、これをまともに吸い込んだ場合、軽い風邪程度の発熱をもたらすだろうか】

【一方、レラの方はこのクスリの効能を知っていたようで、うまく木箱を回避した上で着弾地点から離れ、飛沫も回避する】
【互いに味方同士というわけではないが…………差し迫る驚異に対し、協力するというのも手ではあるだろうか】
123 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 21:58:19.06 ID:97gcTnRho
>>121
/*まだいらっしゃいますかー?*/
124 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 22:02:16.09 ID:z28pQviko
>>123
/います!
125 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 22:04:37.32 ID:97gcTnRho
>>124
/*うぃ、今すぐレス書いてきます――!*/
126 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 22:13:25.90 ID:97gcTnRho
>>121
【男が、気配を読む技量に長けているのならば――それの存在に気がついたかもしれない】
【生気の薄い、顔色の悪い白髪の青年が、ベンチに座ってオッドアイの双眸を細めて相手を見据えていたのだ】
【服装はマウンテンパーカーとカーゴパンツ、合金板を仕込んだ安全ブーツというカジュアルなもの】
【だがしかし、腰に巻くベルトポーチからはホルスターに差したリボルバーや、その他不穏な気配を漂わせるものが収められている】
【相手とは異なり、所属を示す様な物は何一つ表にないそれは、青年の孤独を形として表しているようで】

「――流石だな、俺にゃーちょいと無理そうだ。
前動作の隠蔽、そして行動の工数を減らすことによって個々の動作が最速じゃなくても結果的には速い。
初見で[ピーーー]気で打たれたらまず大抵のヤツは対応できずに殺られちまうだろうな、こりゃ」

【おもむろに口に出す言葉は、相手の技量に対する素直な賞賛と分析だった】
【夜闇に輝く不自然な不気味さを感じさせる右目。それは、人のそれとは思えないほどに冷たい光を宿して、相手の挙動を見定めていたのだった】
【そこに居た青年の姿を、男は知っているだろう。幾度と無く、カノッサとの戦いに現れたジャーナリストである】
【口元に少し歪んだ笑みを浮かべて、昏い力を感じさせる正義は、SCARLETの男の前に現れたのだった】

/*よろしくお願いしますー!*/
127 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 22:41:53.73 ID:PQghGRvwo
>>122

【銃声が止み、倒れた二人の男。女はそれぞれの身体から己の得物を抜き取っていく】
【自身が浴びた血液は気にもしないが、刃に付着した血肉は振い落して、短刀は鞘に、苦無は再び右手に構える】

【と、その時、現れたもう一人の少女。『おまえ“たち”』というのは気にかかるが、第一は自らの仕事である】
【故に、少女の登場で最も気になったのは、扉の向こうにいる男達が生きている、という事であった】

……―――やはり、忍の者で御座ったか。しかし、忍が自警団などと笑わせる。
この男を始末したら、次はそっちの二人で御座るな―――っ!

【自警団を名乗る少女、そして変貌を遂げた男。一先ずは男の方だが……】
【投げ付けられる木箱。それに対して女は―――右手の苦無を、突き出した】

【砕ける木箱に、舞うクスリ。無論、吸い込んでしまうが、動けない事はない、駆け抜ける―――】
【血の付いていた苦無が、粉末状の薬に触れて――――刃が、白く染まっていた】

毒は薬であり、そしてまた薬は毒である――――適量であれば薬物として働いても、過剰に投薬すれば劇物となる訳で御座る……!

【持ち前のスピードで一気に距離を詰めたなら、滝を上る鯉の如く身を跳ね上げ、苦無で突き上げる!】
【筋肉の薄い脇を、下から上へと―――クスリを多量に付着させた苦無がそのまま捩じ込まれたならば、】
【その傷口から体内へと、その成分が入り込んでいくだろう。目的に足る量かは分からなかったが、】
【過剰な摂取による更なる暴走を起こす事、それこそがこの攻撃の目的であった】

【だが、この一撃の後に女には隙が生じる。苦無を手放したが故、手にした武器はなく】
【床に膝を突いた姿勢で、肩が小さく上下する。体力の問題ではなく、出血とクスリの影響だ】
【翠の瞳の周りが、薄らと赤く染まる。頬も心なしか紅潮していて、薬を吸った女もまた能力者である事を示していた】
【そんな姿に相対するのが果たして男なのか、それともレラと名乗る少女なのかは分からないが――――】
128 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 22:48:19.02 ID:z28pQviko
>>126

【極度の集中によって研ぎ澄まされた五感が、その視線を見逃すことはなく。ピタリと振り切った姿勢のままで、瞳だけを声の方向に移せば】

……―――谷山か。―――「W」の騒動以来になるが……あの時は取り乱した姿を見せてしまったな、済まない。

【2度程共闘しただろうか、その青年とは。そしてその2度の戦闘では、どちらも瑛月が敵を切り裂くお膳立てをしてくれたことは鮮明に覚えている】
【―――彼ほど優秀なサポート役はいないだろうとの高い評価、そして信頼を―――瑛月は密かに彼に対して持っていた】
【……だが、戦闘以外の場で会うのは恐らく初めて。瑛月は流れるような所作で刀を鞘に仕舞えば、冷えた両手を白い息で暖めつつ言葉を投げかけた】

……まぁ、それが「武」というものだからな。俺は才能ある筋肉を持ってはいない―――「バネのある」「馬力がある」などと表現されるモノは。
―――だが、柔らかくすることなら鍛錬次第では可能だ。柔らかくすれば、色々な動きにもその筋肉を「使える」。
そして「全身の筋肉を一つにして動かす」という究極に近づけば近づくほど、動きは簡略化されそして威力も増していく……

……―――才能は要らない、努力さえあれば君にも出来るさ。……圧倒的スピードや腕力を活用した戦闘に比べれば、よっぽど難易度は低い

【この男、武の話題になると自然と口数が増えてしまうこともあり―――谷山の賞賛の言葉に多少の笑みを浮かべると、詳しい説明をつけて返すのである】
【―――難易度は低いとは言うが、彼の人生を全て捧げたと言っても等しい時間をかけて辿り着いた境地。勿論容易に取得できる訳ではない―――が】
【……彼の言う「圧倒的スピード・腕力」となると其処には「才能」が必要不可欠となってくる。それは努力では辿り着けない境地であり、其れに比べれば―――という意味だった】

―――ところで、こんな時間にこんな場所……俺は此処での鍛錬を定期的に行っているから、なのだが―――君はどうして此処に居るのだ?
ああ、確か……ジャーナリスト、だったか。戦いの最中にそんなことを聞いた覚えがある。……まぁ、ジャーナリストが巨悪と「本当に」戦うというのもおかしな話だが。

【不気味に煌めいた瞳が、瑛月が無意識にそのような質問を零すという結果を導いたのだろうか。自分以外に冬の公園、しかも深夜―――偶々立ち寄っただけかも知れないが】
【それでも何故か気になってしまうのだ。戦闘で感じ取った気迫は尋常では無かったが、その場では素性を聞けるはずも無く。しかし今ならば、話は別である】
129 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 23:08:05.99 ID:97gcTnRho
>>128
「別に気にすんなって。俺はホラ、フリーだしそんなに接点は無かったけどよ。
あんたからすりゃ、大切な仲間だと信じていたヤツだろ? そりゃ取り乱して当然、むしろ取り乱さなかったほうが怪しいっての」

【ひらひらと手を振りつつ、鷹揚な態度を見せる青年】
【影のある雰囲気と人間味のある所作の入り混じるその雰囲気は、独特のものだ】
【普通の自警団などに見られる、正義漢とは一種異なるそれは、曲者と言う言葉が相応しいだろうか】
【男が青年に対して高い評価を持つとともに、此方もまた、相手の実力には信頼を持っていた。少なくとも、戦地で背中を預けても良いと思う程度には】
【同時に、頭の隅では目の前の男が敵となった時にどのように対処をするべきか考えてしまうのが、青年の性であるのだが】

「……まあ、アレだな。初動の読めないあんた相手だと、俺は相性が悪そうだ。
武人じゃないからよ、俺ァ。今できる事を出来る範囲でやり尽くす、って主義だしさ。
ただ、まだ筋トレとかやるよか芽がありそうではあるわな。……ま、鍛えるのに耐えれるかが問題だけどよ」

【青年の戦闘法は、ある意味で男の戦闘法に近い理念を持っているものだろう。共通する点は、効率化≠フ一点】
【青年の場合は、異能を用いた状況把握によって最小の行動で最大の効果を引き出す戦闘法】
【それは、戦術というよりは戦略と呼べるもので、攻撃力などの定量化出来るもので推し量れるものではない】
【相手の弱点を只管狙い相手の長所を只管潰す。行ってしまえばそれだけが、青年の戦闘】
【この青年の戦い方もまた、異能の助けを使っているが、異能がなくとも可能な――才の要らない戦い方と言えるだろう】

「あー、夜の街とか人気のない所が好きでよ。大抵そういう所にはニュースが転がっているもんだし。
ジャーナリストとして、な。争い事に首を突っ込みたがるのは昔からの悪い癖だよ……こりゃ死ぬまで多分治らねぇ。
それに、カノッサとかGIFTとの戦いに直接出向くのもジャーナリストとしての仕事の一環だぜ?
なにせ、他の戦場ジャーナリストの連中より更に一歩踏み込んだ所で生の情報を真っ先に手に入れて発信できるってのは、報道者としちゃ垂涎ものだからな」

【戦闘中の気迫に比べて、今の青年の纏う印象は鋭く研ぎ澄まされた危うい刃、そんな印象を抱かせるだろうか】
【口から吐出される言葉は、当たり障りのないもので、それは嘘ではなく確かに理由の一つではあるだろうが、その奥の本質を今ひとつ覗かせない】
【少なくとも。ジャーナリストとして、という理由だけではあのような地獄の戦場で戦えるはずは無い】
【鋭さと危うさを持つ青年は、夜風の寒さにふるりと身体を震わせて、己の本心を何処かに押し込めてそこに座っていた】
130 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 23:22:56.56 ID:7WzEW2jXo
>>127

ふざけるな…………!
わたしのめざすしのび≠ニは、ひとごろし≠フことではない!!

【レラは少女の挑発のような言葉に対し、激昴を露わにするだろうか。目の前の男と少女、双方への敵意を込めて背中の二刀を引き抜く】
【…………発言に矛盾があるのは、どう見たってレラの方。忍者とはどこまで行っても暗殺者、まさしくその人殺しを生業とする者である筈で】
【ただ――――その発言に、迷いはない。彼女の目指す忍≠ニは、少なくとも目の前の少女の事ではないらしかった】


ばか、やめろ! それいじょうのとうやく≠ヘ…………っ!!
「う、ぐ、ぉおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!」

【クスリをたっぷり塗布された苦無は、少女の目論見通り脇腹へ突き刺さる。回避に移る様子も無い、肥大化した筋肉の分敏捷さが失われているらしい】
【許容量を越えるクスリを体内に流し込まれ、男の様相は更に醜いものになるだろう。あちこちで血管が引きちぎれ、内出血で体が黒く染まっていく】
【…………だが、それでも男は止まらない。怒りで我を失っているというのもあるだろうが、この男本来の全身強化≠フ能力が生命機能を保っているのだ】

くそ…………くそぉっ!!

【その様子を見て、何故かレラが瞳に涙を浮かべるだろうか。薄々察せられるかもしれないが、今の投薬のせいで――――男は完全に手遅れとなった】
【捕縛して処置を行えば治療も出来たかも知れないが、全ては後の祭り。放っておいても男は死ぬだろうし】
【そして死ぬまで、ここで暴れ続けるのだろう。二人だけでなく、レラが命を取らなかった残り二人にまで被害が及ぶかも知れない】

【――――夜凪レラは、最後に激情を込めてそちらを強く睨んだ後、黙って涙を拭う。その瞳は冷たい暗殺者≠フそれへと変わるだろうか】
【どこまでも甘い少女ではあるが、少なくとも戦いに身を置く者として、状況判断ぐらいは出来るようだ――――もはや殺すしかない、と】

「でめぇらあああああああああああああああああああ!!!!!」

【強化された声帯が、耳をつんざく爆音を生み出す。怒りのまま、男は両手で思いきり地面を殴りつけるだろうか】
【本来は目の前で膝を突いた少女を狙ったものだったのだろうが、先の投薬のせいで過剰強化された視覚に振り回されている様子だ】
【無論、そんな攻撃を受けて廃墟の床が無事であるわけがない。床はいとも容易く爆散、鋭い瓦礫が多数、周囲に飛び散る!!】

【――――それだけではない、ここは三階だ。粉々に粉砕された床板は耐えきれずに抜け、三人と遺骸を階下の二階にまで叩き落とすだろう】
【幸い、下は会議室だったようで広さもある。バトルフィールドとしては上々だろうが…………それ以前に、一階分の高さからの落下は危険だ】
【瓦礫の飛沫と、転落。少女が、迫り来るこれらの脅威を乗り越えられたなら―――】


…………はぁああああッ!!

【着地した直後、男の体が大きく揺らぐだろうか。背後に回り込んだレラが、膝裏を刃物で突き刺したのだ】
【ただ、どうやら瓦礫と崩落を防ぐ時に弾かれてしまったようで、その両手に構えていたはずの刀はない】
【凶器は鎌≠セ。レラはこの一瞬で新たな武器を抜刀し、分銅のような形状の柄と長い鎌の刃とを組み合わせた手鎌を使って攻撃に転じていた】
【よく見ると、レラの顔色もやや赤らんでいるのが見えるだろか。崩落したときに木箱が砕け、飛び散った粉末を吸ってしまったらしく】
【一切の抜刀動作を必要としない、高速の武器転換――――このレラの戦法にも、何か能力的なカラクリが存在しているらしい】

「っぐ、ぉおおおおッ!!?」

【――――ともかく、これは間違いなくチャンスだ。完全に体勢を崩した男は、とっさに両手≠使って尻餅を付く】
【これであの厄介な豪腕も封じられ、体勢が体勢だけに蹴りも繰り出せない。この巨大な体躯、少女の速さ≠ネらどこだって狙える――――!】
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 23:27:45.23 ID:ZpBTOXhT0
【街中――児童公園、遊具の傍】
【半分のお月様が照らしこむ世界、つうと遊具や木々が黒々と長い影を延ばして、灰色の地面を飾り立てる】
【昼間の賑やかさをどこかへ置き忘れてしまった中に、――けれど確かに誰かの声と、気配が、そこにあった】

――こーら、あげるから。いい子にしてね、じゃないと駄目よ――、もうっ、

【にゃーんと鳴き声がする。聞こえて来る鈴の音によく似た声は、そんな甲高い鳴き声に不思議とよく合う声質をしていて】
【にゃーにゃーとひっきりなしに何か強請られているような気配、擽るような笑い声が響いたなら、夜に映えた】

ほら押さないの……、ちょっと待って。いい子だから、ねっ――。

【――真っ黒色に艶めく髪の少女だった。古く錆びた滑り台の傍、ちょんと爪先立ちでしゃがみこんで】
【黒色と赤色のオッドアイは綻びながら足元を見やる、見ればそこには猫が二匹、膝に掴まるように立っていて】
【黒地に刺繍で柄を刻んだバッスルワンピース、きゅうと締めたコルセットは華奢な身体つきをよく目立たせて】
【ふわりと羽織ったケープと、ヒールの高いショートブーツと。右耳だけに嵌めたピアスを光らせる、少女だった】

あ……ちょっと待って、押さないで、転んじゃうっ――転んじゃうから、 ――きゃっ、!

【わたわたと慌てた風な声が漏れる、その手元には小袋になった猫用のドライフードが握られていて、】
【つまりはそれを強請られて強襲されているのだろう、ずいぶんとかわいらしい強盗だけれど――】
【ふらついた足を最後に一度押されて、それが止めになった。ぺたんとしりもちを突いたところ、餌の袋ごと奪われたなら、】

もう……――、

【零れた餌をかりかりと食べているところを見てるしかない。よいしょと立ち上がったなら、お尻についた土を払って】
【ぐうーっと身体を伸ばす、――猫が餌を齧る音と、鈴の音を転がすように笑う声が、夜の中によく目立っていた】
132 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/09(日) 23:36:19.73 ID:z28pQviko
>>129

……そう、なのだろうか。―――仲間が死んでいく姿は悲しいが慣れてしまっているのだが……
なんせ、ああまで見事に「裏切られる」という経験は初めて味わったのだから―――動揺と怒りと失望が入り混じって、正気じゃなかったよ。
―――深い憎しみをアイツに抱いているのも事実だ……先程の鍛錬も、敵のイメージを固めていくと自然とアイツの姿になるくらいでな……

【未体験の感覚故にだろうか、どう受け止めて良いかも解らない様子で男は軽く首を捻り視線を伏せた】
【―――あの時の取り乱し方は、瑛月にとっては異常なモノであった。未だに憎悪の炎は収まる気配もない】
【「裏切られる」ということの痛みを知らずに生きてきた彼は、その憎悪という正義に在るまじき感情にやや困惑を抱いている節があった】

―――いや、此方も君とは刃を交えたくないな。何度か君の能力を拝見したが、未だに良く解らないというか……
此方も、君のやってくることなんて読めやしないに決まっている。……曲者な相手ほどやり難い敵は居ないさ。

【青年の性、とは言ったが瑛月にも似ている部分があった。―――能力を見れば自然と「自分だったらどうするか」と考えてしまう傾向が瑛月にもある】
【流石に敵と戦っている最中には出来ないが、そのような「戦う脳」が過去の経験から作り出されていたのである】

……―――確かに、あそこまで突っ込めるジャーナリストは君以外に居ないだろうが……それは「情報」欲しさだけでは無い―――のだろう?
……覚えているぞ。君が度々口にしてきた言葉……「正義」。―――君が危険に近づくのは、その「正義」の為。

その「正義」が何かは解らないが、少なくとも「正義」の為に戦うと言うのなら―――其れはSCARLETと、俺と変わらない理由だ……

【彼の姿はどこか映えていた。きっとその特異な、表現しがたく―――そして、奥に何かを秘めているような雰囲気があってのことだろう】
【その奥に秘めたる何かに、瑛月は心当たりがあった。……合っている確証は全く無いが、気になっていたワードがあった。……「正義」】
【彼は「彼の正義」を貫いているということは、戦闘時に耳にした、彼の力に溢れた言葉が表していた―――のではないだろうか】
133 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/09(日) 23:57:41.40 ID:97gcTnRho
>>132
「動揺も怒りも失望も憎しみも、人なら誰しも持ってるもんだよ。狂気だってそうだ。
それを認めないで見ないふりしてたら、いつの間にか背後からそれに潰されて狂っちまう。
……大切なのは受け入れることさ。世の中に清廉潔白な人間なんて居やしないし、聖人君子なんか狂人そのものだって、な。
俺たちは人間なんだ。裏切られりゃそりゃ憎しみだって抱くし、ブチ殺したくもなる。――いいんじゃねえか? それで。
綺麗でなくても醜くても汚れてても、自分の芯さえ揺らがなければどうなろうと自分が自分である事は、変わらねえだろうし、な」

【青年は、その感情を有ろうことか肯定してみせた。悪意も狂気も全て人間の一部であると認めてみせたのだ】
【綺麗でいる事に拘らないその言動は、青年自身の経験から生まれたであろう人生哲学だ】
【この世に汚い所の無い人間など居ない。だが、綺麗であろうとする事は素晴らしいと思う。そういった一種の割り切り】
【正義が悪性を抱くことを認めるそれは、青年の昏い雰囲気の理由を僅かに感じさせただろうか】

「読まれたら負けだよ、俺の場合は特にな。
あんたもあんたで普通の剣士じゃない――やっぱり、癖のある連中は相手にするのが面倒で仕方ねぇよ」

【青年は、戦いとなれば相手を屠ることも考慮に入れ、あらゆる手段で敵を叩き潰す主義だ。それが誰であろうと】
【だがしかし、そもそも戦いにならないように立ちまわるのが、青年のあり方】
【それは、己があくまでジャーナリストであって武人でも傭兵でもないという意識から来るもので】
【その点では、武人である男とジャーナリストである青年は異なっているのだろう】

「――そうだな。
……俺の主義で言うと、カノッサにも正義は有り、GIFTにも正義が有り、当然UTにもSCARLETに正義は有る。
じゃあなぜ俺がカノッサとかGIFTの敵をしているかといえば、俺の正義はその正義じゃないから≠チてわけだ。
ここだけの話さ、俺の正義とあんたらの正義が違えば俺はSCARLETにもUTにも弓引く積もりだ。
ただ、俺とあんたらの正義がぶつからない限りは、あんたらと共同歩調を取って行きたい――ってわけでよ。
カノッサの構成員とGIFT構成員の戦力情報、あんたらにやるよ。俺がこの目でみたそのまんまだ、確実性は保証するぜ?」

【青年の語る正義は、あくまでも青年の正義。そして、それがUTやSCARLETと同じ方向を向いている限りは、彼らの味方だ】
【しかし、青年の正義がGIFTやカノッサ機関の正義と同じ方向を向いたならば、おそらく青年は彼らに力を貸すことも有る】
【それが、青年の掲げる正義の形。善悪関係なく、正義の為に行動する。それは、どの組織とも合致しない、独特の思想であったろう】

【そして、今のところは仲間――という言葉をニヒルに笑みながら口にして、ベルトポーチから取り出したのは一つのUSBメモリ】
【組織に属する積りはないが、協力をする気はあるという意思表示のそれを、青年は相手に向かって放り投げた】
134 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 00:03:10.63 ID:/NQGwM16o
>>130

『忍は刃の下に心を隠す』……ありきたりな言葉ではあるが、正しくこれに尽きるで御座るな――――……泡沫の夢

【呟いた声の余韻は、怒声と打音により掻き消されていく。飛び散る瓦礫に対する女の行動は、何故か両腕を水平に突き出す≠ニいうもので】
【すると、その隙間から無数の、シャボン玉にも似た泡が現れるではないか!】
【瓦礫に触れた泡は弾け、それとともに瓦礫を削り食っていく……腕に命中する頃にはもう、瓦礫は小さな礫となり果てていた】

【そして、崩落。落下する最中、女は一枚の手裏剣を投げた。それは二階の天井、未だ無事な所へと突き刺さる】
【そしてそこから伸びる、一本の光の筋―――ワイヤーだ。その一端が、女の手の中にあった】
【元々軽い身体、少し体勢を整える分には、刺さった手裏剣も無事であった。まあ、着地の少し後で天井が落ちたが】

心を殺せぬ忍は、刃を持たぬに等しい。刃を持たぬ者に、戦場に立つ資格があるとは思えんで御座るな……

――――こういう輩を殺すくらい、躊躇い無くできねば話にならぬ。

【しかし、女は着地と同時に走り出していた。左手で跳ね飛ばすようにもう一振の短刀を抜き、右手で受け止めて】
【研いだままの鋭い刃が、男の首目掛けて駆け抜ける。人間の最も明確な急所を狙った一刃】
【銀の閃きは、鋭く、疾く、そして躊躇いの無い殺意に満ちたものであった】

【そのまま女は、再び膝を突く。血液量は体重に比例するもの、同じだけの出血でも、影響が出るのは小柄な方が早い】
【致命なものではないが、少しずつ、行動に影響な出始めているようでもあった】
135 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 00:27:49.80 ID:qAXHo35Uo
>>133

―――……大人だな、君は。俺の何倍も大人で―――だからこそ、君の強さがあるのだろうな。
なんというか、SCARLETという看板を背負っている以上……正義を背負うに相応しい人格を持つべきだ、という想いはあったのだが……
―――其れが強すぎたのかも知れない。……確かに、罪のない民を護るという想いは、悪を許せないという感情は必須だろうが―――
狂気や激しい憎悪も、俺は心の何処かで持つことを否定していた……のだろう。そう簡単に今まで持っていた感情を言葉にするのは容易ではないが、多分。

【―――割り切る。すんなりと受け入れたのはその発想が瑛月には無かった為であった】
【武では少しのロスを許さない完璧主義があるからか、其れが普段の思考にもこびり付いて固まっていたのだろうか】
【少しの沈黙を生み出した後、感心する様子で瑛月は谷山を「大人」だと形容した。同時にその清濁織り交ぜた雰囲気の理由も、微かながらに掴んだ気がした】

……其れはお互い様さ。基本スペックで劣るのだから、戦術で上を行くしか無い。見切られてみろ、其れでほぼ詰みに近い……だからこそ、見切られないように「癖」を作る

【苦笑いを薄く作りながら、瑛月は言葉を零す。谷山も知っているだろうが、彼は無能力者である。どれだけ技を磨こうともその事実は変わらない】
【―――やはり無能力者と能力者。能力者は喩えるならば、常に「見えない刃」を握っている。決して見ない限り想像もつかない能力という刃は、やはり大きな壁であって】

……―――成る程、「正義の反対は別の正義」という言葉もあるくらいだからな。……そして有益な情報、ありがたく頂戴する。
SCARLETの正義は極めて単純、恐らく最も広く認知されている「正義」ではないだろうか……「罪なき民を侵略者から護る」という。
勿論正義というモノは掘り下げれば幾らでも言い様があり、穴がある……君と面識があるらしいが、ウチのマーシャル・T・ロウという男は恐らく誰よりも「正義」を考え苦しんでいる。

そこで、君に聞きたい。SCARLETに協力してくれるのであれば問題ないから、教えたくなければ構わないが……―――「 君の『正義』とは何だ? 」

【「俺の正義はその正義じゃないから」と彼は言った。じゃあ、彼の考える正義とは。彼が貫く正義とは何か。正義の為に行動する―――その『正義』とは、何を指すのか】
【谷山基樹の語る『正義』が、瑛月にはまだ掴めない。方向性は自分達とは同じであることは分かったが、正義は多種多様】
【自分とロウの正義も違うように、SCARLET全てのメンバーが全く同じ正義を抱いているとも限らない。―――宙を舞うUSBを掴みながら、踏み込んだ質問を投げかける】
136 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 00:41:17.68 ID:h/TUrSAUo
>>134

「ご――――ッ、ぱ、ぁ、あ………………」

【――――少女の掌に、ぞぶりと肉を引き裂く感触が伝わるだろうか。視覚には不調を来し、レラのせいで脚は動かない】
【もはやただ痛々しいだけの肉達磨と化した男に、回避の術などなかった。短刀は肉の奥深くに埋もれた頸動脈にまで達し、それを無慈悲に切断した】
【男は傷口から莫大な量の紅色を噴出させ、部屋中に真紅のシャワーを降り注がせながら倒れ伏すと、地面に大きな血溜まりを作ってゆく――――】
【目を逸らすことも、耳を塞ぐことも、叶わない。逃げようのない死≠ェ、そこには生まれていた】

「ぐ、ふ…………ふざげるなっ、おまえらぁッ、く、クソがぁっ…………。
 死ね…………死ね、死ね、死ねッ! 死んでしまえ…………ッッ!!!」

【自身を動かしていたエネルギーを全て出し尽くして、最期の力で二人にあらん限りの呪詛を撒き散らした後――――男は、ようやく力尽きるだろう】

【…………全身に降り注いだ血を拭う事すら忘れて、レラは呆然と立ち尽くす。少女の言にも、一言も言い返すことは出来ずに】
【レラとて、人を殺したことが無いわけではない。やむを得ない場面に遭遇し、その手で悪人を殺害したこともある】
【だが…………慣れることなど出来ない。改めて、そう思う。それだけに、目の前の忍者≠フことがレラは恐ろしかった】
【いくらクズ≠ナも人は人だ。それを一切の躊躇なく殺せるこの存在が、自分の目指す道の先にあるのかと思うと…………恐ろしくて、たまらなかった】


それ、でも。だめだ。やらせない、これいじょうは…………っ!

【――――その恐ろしい存在を、前にして。レラは怯えを必死に押し殺し、必死に立ち塞がるだろうか】
【忍≠目指す自分の道は、少女とは違うのだと。ここまでの努力は少女のようになる為のものではないと、証明しなければならない】
【任務には忠実であれ――――それもまた、忍者であることの一側面。レラは父の教えを思い出す】
【そもそもここでのレラの任務≠ヘ、あの男達の動向を監視し、後日自警団によって行われる一斉摘発の為の情報を集めることだった】
【それが完全に頓挫した今、レラに残された任務は、生き残った二人を守ること。その情報をほんの少しでも持ち帰ることだ】

【冷酷になりきれない、忍者として不適格な甘さ≠抱えるこの少女にだって、絶対に譲れない一線がある】
【こうして両者の道は、全てを呪って死んでいった者達を前にして、いま完全に分かたれた――――】

…………ッ!!

【鎌は男の膝に突き刺さったまま、刀はまだ三階に残っている。レラは徒手空拳の状態で少女との間合いを計る】
【その様子を観察すると、精神的な動揺だけでなく、肉体的な疲弊も決して小さくはないように見られるだろうか】
【先程の攻撃で被った小さな傷だけでなく、顔の赤らみや息の荒さが目立つ。どうやら落下の際、少女より多めにクスリを吸い込んでしまった様子だ】

【この様子ではいくらそちらの傷が深いとはいえ、レラが有利であるとは言い難い。どちらが任務≠果たすのか、一概に確率では語れないだろう】
【また、もしそちらが離脱を選んだとしても、これでは追う気力もなさそうだ――――この後の展開がどうなるかは、少女の判断に委ねられている】
137 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 00:52:24.58 ID:IAbIFUCTo
>>135
「俺の正義は、正直一言じゃ纏められねぇよ。あんまりにも漠然としてるしな。
ただ、目の前でガキが腹空かせてりゃパンでも呉れてやるし、路地でカノッサやGIFTが非道を働いてりゃ拳を振るう。
俺にとっての正義って言うのは、俺にとって正しいことを貫くこと≠セよ。
理不尽に踏みにじられる連中を、戦乱に巻き込まれるなんも悪い子としてねぇ奴らを、見て見ぬふりは出来やしねえ。
……そのくらいさ、俺の正義は。……んで、正義とは別に、俺には夢がある、こっちが俺の人生の目的、かな」

【青年の語る正義は、漠然としたもの。要するに、己の良識に良心に従い躊躇いなく行動すること、それが青年の正義】
【己が正しいと信じた時点で、己の正しさの敵が善であろうと悪であろうと叩き潰すその苛烈さは、戦場で男は目の当たりにしているはずだ】
【そして、正義とは別に夢があると、青年は語る。その瞳の奥には、汚れの中でも一際目立つ輝きが、僅かに浮かび上がり】

「バカみてえかもしれねえが――世界を平和にする。ってのが俺の夢で、目標でな。
……カノッサを、GIFTを叩き潰したところで、どうせまた同じ様な連中が世の中には現れる。間違いなくだ。
それはなぜかと言えば、月並みな言葉だが世間が、政治が悪い。奴らの育つ下地がこの世界には存在している。
……だから俺は、この世界を変えることで悪の芽を小さくしていきたい。
今はちょっと準備期間中なんだけどよ、学校つくろうとしててさ。……俺一人じゃ世界は変えられなくても、俺の意志に同調してくれる人は増やせるはずだ。
そして、その連中がそれぞれ世界を変えるために動いてくれて、10年、50年、100年かけて世界がちょっとでも平和な方向に変わってくれれば――なんて、な。
ああ、アホつっても良いぜ? ある意味、GIFTとかと同じでよ、俺も思想家の類だ。
連中が教えるのが能力者の絶対優位なら、俺が教えるのは――――平和を愛する心だ。
戦争孤児とかストリートチルドレンの連中には良く飯食わせがてら勉強教えたりしててさ、連中が平和ってものを将来作ってくれれば俺としちゃ万々歳なわけだ。
……てなわけで、昨日も今日もこれからも、ジャーナリスト谷山基樹は戦地の悲惨な現状をお茶の間に伝え続けるって訳。
…………どーだ、青臭いだろ?」

【口から吐出されたのは、あまりにも青臭く、そして熱量に溢れた熱い夢】
【自分一人では世界を変えられないが、その後の世代に託すことで平和を愛する心を広げていきたい、それが青年の夢】
【その為に青年は戦地の現状を世界に広め、戦争の辛さを皆に伝え、そして平和への道を模索していく】
【子どもたちの教育の場たる学校を作ろうとしているのは、単純に未来を担うのが彼ら子供だから――と言えるだろう】
【最後に自分の言葉を茶化し、恥ずかしそうにそっぽを向くその姿は、人間味に溢れたものだったろう】
138 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 01:21:03.05 ID:qAXHo35Uo
>>137

……―――「正しいことを貫く」か。その言葉だけを取り上げると、きっとGIFTの連中……「W」も同じなのかもしれないな。
ただ、君とアイツの考える「正しさ」が違うというだけであって。シンプルであるが、其れもまた難しい―――貫き通すということは、強い意志が必要だ。
……まぁ、君にはその強い意志があるということは以前の戦いから十分に伝わってはいるのだが。

【―――ある意味最も単純明快で分かりやすい正義なのかも知れない。多種多様な正義の形には目もくれず、唯信じるままに突き進む】
【だが、自らの正義を信じ切ることが出来るというのも容易くはない。瑛月はそう感じていた、いや、瑛月だからそう感じていたのかもしれない】
【―――似ている奴がいる。その男の名はマーシャル・T・ロウというが、彼は突き進む正義は『不殺』。だが、不殺の青義には色々な欠陥がある】
【その不殺は甘さとも捉えられ、そして不殺と言う判断が結果的に大きな損失を生むこともある。1人の命を見逃した為に、100人の命を失うということも起こりかねない】
【そのような批判と分かり切った欠陥が、不殺を貫き通す上での障害となる―――彼は信じ切れているのかは解らないが、迷いながら今も貫いている】

【……現在、その人物の最も近いポジションにいる瑛月だからこそ、余計に考えさせられるのだ】

―――青臭い理想を聞かされるのは色々あって慣れている……そしてそのような思想―――嫌いじゃない。
君はジャーナリストとして、情報を通して正義を表現する。俺は武術家、一刀正伝唯刃流師範として「武」を通して正義を表現する。いいじゃないか、何も文句はないさ。
俺は―――正直な話、2,3年前までは正義とか民を護るとかはそれほど考えてはいなかった。唯能力者への嫉妬というか……対抗心を燃やしてばかりというか。
唯刃流が能力者にも負けない武術であると証明することや、能力者に殺された祖父の仇討ち……それらが最優先されていた。

―――変わったのは、当時の六罪王コーネリアスが水の国に大規模テロを仕掛けた時だろうか。……荒れ果てた水の国、逃げ惑う人々、泣き叫ぶ子供達。
……その惨状を見て、俺の「武」は何のためにあるのかを考えさせられた上で……今の俺が在る。―――俺は兎に角、この武が少しでも民を救うために役立てばいいと思っている。
―――それだけだな、今思い浮かぶのは。

【馬鹿になどしたりはしなかった。浮かべた微笑みは決して見下したりするようなものではなく、その「青」を肯定する笑みであった】
【―――自分はどうだろうか、何故「正義」でいるのだろうか。自分で自分を確かめる意味も籠めて、男は語り出す。正直歴史は浅い正義だが、脆い正義ではない】
【……一刀正伝唯刃流。彼が全人生を懸けて培ってきた武術を、人々の幸せと笑顔を護るために使える。その喜びこそが、正義の味方の報酬でもあると思えた】
139 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 01:33:08.56 ID:Da+KeVM9o
>>136

【血が、全てを緋く染めていく……最早、紅潮しているのか血に濡れているのか分からない顔が、レラへと向けられた】
【ゆらり、立ち上がる。血で張り付いた髪もそのまま、あれだけ黒かった服も至るところが赤く】

……――言われずともどうせ死ぬ……血の道を歩む影となった時点で、ろくな死に方しないのは分かってるで御座る……
今更恨みの一つや二つ、増えたところで何ともないので御座るよ。

【―――男の怨嗟の叫びをも、血染めの影は呑み込んでいく。怨み、恨み、憾み……小さな背中に全てを背負い、それでも尚、進む】
【忍者として生きる事。それは女にとっての光であり、同時に呪縛となった】
【闇の中であってもこの世界に確かに生きていける。その一方で、その足は見えざる枷に囚われ、二度と陽の下には踏み出せない】

【それでもそう生きると、自分の意思で決めた。だからこそ、殺すに足る、と判断した相手なら、どんな人物からの依頼でも殺してきた】
【例えそれが、組織悪による尻尾切りであっても、何も聞かず、ただ、任務を遂行した】
【目の前の少女を認めてしまえば、そんな自分の過去を否定してしまう。そう考える自分を、女は知覚していた】

……血を、流し過ぎたで御座るな……。
不覚ではあるが、今夜は退くで御座る。
トカゲの尻尾程度に、これ以上命を懸けるのもアホらしい。

【足がふらつく。このまま戦闘に入ったとして、残る二人を始末する余裕が残るかは怪しい――――】
【故に、女は去る事を選んだ。飛び退ると同時に手裏剣を二枚、レラの顔目掛けて投擲し、窓枠に足をかける】

【トカゲの尻尾=\――女はここにいた男達は、末端に過ぎないと考えていた】
【クスリを扱うなら、大元はそれなりの規模があるはず……】
【そんな連中が、こんな廃墟で大騒ぎするようなグループに大した情報を持たせているとは思えなかったのだ】

―――忍≠フ名を掲げるのであれば、そんな甘さ、捨ててしまえ。
命のやり取りなど、戦場では当たり前の事で御座るからな……

【それだけ言って、女は窓から飛び出していく。赤い緋い影は、夜へと消えて】

【名乗らないままに去ってしまったが、彼女の同僚に女と会った事のある人物が一人、いるだろう】
【その人物に訊けば分かる事だが―――女の名は丹波。17歳の、フリーの忍者】




/時間も時間ですしここで〆という事で!
/お疲れ様でしたー!
140 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 01:38:03.68 ID:IAbIFUCTo
>>138
「だけどよ、俺の正義は妥協の産物だ。正しさのためなら手段を選ばない――ってのはさ、いわば甘えさ。
本当なら誰も殺したくないし、戦いたくないし、手だって汚したくない。
だけど、殺さなきゃならないことも有るし、戦わなきゃならないことも有るし、手を汚さなきゃならないことだってある。
そのせいで、青義同盟とJusticeは一回対立したしな。……ま、俺はもうJusticeじゃあないけど。
だからさ、あんたらみたいな綺麗な正義ってヤツは――キライじゃないんだ。そして、俺はキライじゃないあんたらと今は組みたいと思っている。
あんたらがGIFTの『正しさ』に立ち向かうってんなら、俺も向く方向は同じだ。あんたらに出来ない正義を、俺はやらせてもらう。役割分担、ってヤツさ」

【多種多様な正義を認めはしている。だが、認めた上で敵対するならば己の正義を貫くために叩き潰す。それが、青年】
【闇討ち裏工作罠の設置。何から何までなんでもありの戦法をする青年は、その己のやり方を甘えと切って捨てる】
【その上で、理想を掲げて戦う正義の組織を見て、好ましいと思うのだ。己には決して出来ない正義の貫き方だから】
【欠陥を持っていても良い、矛盾を孕んでいても良い。それを認め、それを受け入れることさえ出来れば――】
【――哲学者の卵という悪意の塊と向き合い続けた青年は、人の汚れたところを否定しない。迷う事は、悪ではない、貫き通せない事も悪ではない】
【昏い瞳には、煌々と輝く正義の炎が、揺らめいていて】

「武は戈を止めるもの――あ、語源は戈を担ぐ人らしいがな。
あんたの武は、多分そういうものの為に振るわれるものなんだろ。いいと思うぜ、そういうの。
――今度GIFT倒した後にでもよ、あんたらの取材でもさせてくれ。いい感じな記事書いてやるからさ」

【にぃ、と笑みを浮かべて――青年はゆっくりと立ち上がる】
【そして、ぐぐっとのびをすれば、己の腰のベルトポーチから何かを取り出し、ちらりと見せて】

「もしかしたら、だけど。いつかあんたらに迷惑掛けるかもしれない。
そんときゃ、迷わず殺してくれ。そうならないのが一番なんだけど――な」

【チラリと見せたのは、カノッサの悪意の顕現。――哲学者の卵】
【ベルトポーチの一つのポケットには所狭しとそれが詰め込まれている。青年の危うい力の源泉と言えるそれ】
【それを扱い続けて無理が出ない筈はない。『いつか』、『かもしれない』が現実にならない事を祈りながらも、その『いつか』の際に己を止める者を青年は欲していた】
【ベルトポーチに哲学者の卵を仕舞いこむと、手をひらひらと振って青年は歩き出す。……相手の返答を、待たずに――――】

/*お疲れ様でしたー!! お付き合いありがとうございましたっ*/
141 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 01:56:21.14 ID:qAXHo35Uo
>>140

そりゃあそうだろう……進んで殺したい奴が正義であるものか。殺すことを軽く見ることを俺は正義と認めない。
だが、俺は何人も殺している。……君が言うように、殺さなければならないから。殺さなければ殺されてしまう―――殺さない余裕なんてありはしない。
綺麗な正義と言うが、決して綺麗なんかじゃない……俺は。まあ、兎に角―――異なった正義同士で組むなら、その利点もあるだろう。
……―――君は君の正義を、俺は俺の正義を。……今更こんなことを語る必要は全く無いのではあるが。

【青年の瞳を凝視するが、やはり正義を志す人物の中でも特徴的な瞳であった。―――清濁織り交ぜた中に見える、眩い光】
【自分とも全く性質の異なった眼光ではあるが、頼もしさと意思の強さを感じさせる瞳である】
【―――彼が何かを取り出した。……中にあったのは、実物は確か初めて見るだろうモノ。哲学者の卵―――beyondの前に多用されていたらしい、狂気の種】

【……一瞬見えただけではあったが、背筋を凍らせる何かがあった。唯でさえ寒い今の季節なのに、更に身体が冷えていくような、そんな感覚】
【―――危険性は文面だけで分かっていたつもりだが、見て感じて改めて分かった。……―――コレは危険だ、と】
【瑛月は小さくなっていく谷山の背中に、聞こえない程度の声で呟いた】

……―――そこまでして、なのか。それほどまでに君の正義は、夢は―――……

【途中で吹いた風が、彼の言葉を遮った】

/お疲れ様でした、ありがとうございました!
142 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 02:24:12.89 ID:h/TUrSAUo
>>139

…………それで、本当によいのか、おまえは…………。

【ぽつり、と漏れる言葉は、殆ど無意識でのものだった。全身を汚す真紅色を恐怖する自分と、甘んじて受け入れる少女があまりに違いすぎて】
【少女の体を染め上げる血の中で、あの男のものだけでなく、それまで殺してきた全ての命が憎悪を叫ぶ光景を幻視する】
【果たして少女がどういった経緯でこの道を選んだのか、どういう気持ちでこの道を進んできたのかは、レラには察することさえ出来ないが】
【もし、自分がその道を行くことになったとしたら――――言葉に続いて、両の頬を憐れみとも悲しみともつかない大粒の涙が伝う】
【血と怨嗟に塗れて進む、闇色の道なんて。それは余りにも、辛すぎると思ったから――――】

くっ…………!!

【少女が動き出した瞬間、レラは相手の意図を察知する。道は違えても根本は忍者同士だ、手裏剣の投擲動作は誰よりも見慣れていた】
【レラの月色の瞳が、浮かべた涙で乱反射する。先程の鎌の時と同じカラクリだろう、次の瞬間にはその手に同じ二つの手裏剣が握られて】
【クスリの影響で襲い来る頭痛に耐えつつも後方へ飛び退き、軌道を合わせて素早く投擲。甲高い衝突音を立て、四つの手裏剣が弾けて散る】

…………、……………………。

【レラは頭痛に耐えながらも更にもう二つ、手裏剣を構えるが――――窓の外へ消えていく少女の背中へ、それを投げる気にはなれなかった】
【正直なところ、少女が撤退を選んでくれたことに安堵を覚えていたのだ。相手は忍者としての先達だ、自身の力が及ぶかも不明だし】
【肉体と精神、双方の状態も最悪。何より、きっと解り合うことができないから。いざ戦いとなれば、殺し合いになってしまうだろうから】
【…………自分と少女、どちらが死ぬかは解らない。だが例え誰のものであれ、これ以上ここで人が死ぬのは見たくなかった】

ちがう…………ちがう!
しのび≠ニは…………そんなものじゃ、ない…………。

【かくして、その場に取り残された小さなしのび≠ヘ…………何が違うのか、どうしてそんなものでないと言えるのか、何一つ答えを出せないままに】
【数十分後、去っていった少女もかつて出会ったことのある快闊な女が真っ先に駆けつけてその体を抱き締めるまで、ずっとずっと、泣き続けていた】
【…………丹波。その女から聞かされた忍者≠フ名を、レラは強く強く、心に刻みつける――――】


【なお、今回の事件について。これは丹波も『依頼者』からある程度聞いているかも知れないが、あのクスリは少量ならば多少能力を強める効果があり】
【だがあの男のように多量使用すると、殆ど確実に能力が暴走してしまう。そして悪辣極まりないことに、強い依存性のせいでその過剰接種が行われやすい】
【その非常に悪質なクスリを、あの男達は弱い能力者をメインターゲットに『能力を高める薬品』と偽って売りつけていたようだが――――】

【今回のことの後日、残った二名から得られた情報で、周辺でクスリを売買していた大元へ一斉捜査の手が入った】
【だが少女の言ったとおり、トカゲの尻尾切りだ。この地区を根城にしていた売人達はあらかた摘発できたものの】
【その売人にクスリを提供した黒幕≠ヘ不明のまま。クスリの性質から最も疑われていたGIFT≠ニの繋がりも、今のところ発見されていないらしい】
【完璧に隠匿されているのか、はたまた別の誰か≠フ犯行なのか、詳細はわからないが…………】
【少なくとも、このクスリを原因とする暴走事件の被害が着実に増えてきていることだけは、確かなのだった】


/お疲れ様でしたー!!
143 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/10(月) 09:36:25.33 ID:WDyB/CO10
【吹き荒れる寒空の強風に思わず体が震えてしまう】
【曇り空と反比例して都市部は華やかな喧騒に包まれている】
【歩き行く人々が己の欲望のために道を埋め尽くしていた】

「…寒っ、なんでこんなに冷えるんだろう…」

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

【そんな幸薄そうな少年が人々の波の中を一人で歩いていた】

「…お金どうしようかな…」

【寒いのは身も心もだが財布も同じらしい】
【目に映る危ない仕事の求人チラシ】
【少年はここ数日で出会った人物を思い浮かべてその手の仕事を一切していなかった】
【身寄りのない子供が賃金を得るのはその手の仕事しかない故に、少年は苦しんでいた】

「………ハァ」

【歩きつかれて近くの電柱に背をつけて座り込む】
【こうしていれば少しは楽になる】

【目に映る料理店の明かり】
【慣れてはいるが飢えを耐えるのもそろそろ苦しい】
【見ただけで目に映るその少年の惨めさに、きっと通り過ぎる誰かは気づくだろうか――――】

/予約ロールです!
144 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 09:51:26.19 ID:5yqxuAfeo
>>143

……おまえ、お前。大丈夫かい?

【座り込む相手に掛けられる、女の声】
【顔を上げれば、車椅子に座る二十代程の和装の女性が居る】

【白磁のような皓過ぎる肌、結い上げた黒髪、艶のある瑠璃色の目】
【細い身体といい、何処か病弱な雰囲気を纏っている】

【少年の疲れ切った様子に、女は心配気な表情を浮かべていた】

細っこい子だね……、飯はちゃんと食っているのかい?
何だって一人で、こんな寒い中に……親は何処なんだ?

近くにいるなら、俺が送って行ってやるよ。立てるかい?

【どうやら、親からはぐれた子と思ったようで】
【女は座り込む相手に、そっと細い手を差し伸べた】

/よろしくお願いします!
145 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 10:05:38.66 ID:WDyB/CO10
>>144
「あ、えっと…僕は…」

【声をかけられ思わず顔を上げた】
【その目の前の女性に少しだけ戸惑ったように声を詰まらせて、少年は答える】

「いや、その…僕は…だ、大丈夫…なので…」

【帰る家も、待っていてくれる親もいない】
【なんてことを目の前の女性になかなか言い出せるわけもなく、少年は差し伸べられた手から目をそらして口を開いた】
【整ってはいるものの、その痩せ気味な体から出す声にとても大丈夫の欠片も感じられないだろう】

「ちょっと道に迷っただけなので…その、気にしないで――――」


【ぐうぅ、と】
【その少年の腹部から聞こえる可愛らしい腹の音は、少年の言葉をいとも容易く断ち切った】
【それは当然女性の耳にも聞こえて、当然どんな意味の腹の音か分かるだろう】

「―――――ッ!」

【顔を赤くして思わず腹を押さえる】
【少年もその腹の音の意味を十分に理解したようで恥ずかしいようだ】
【少年はそのまま上目遣いで女性の顔を見て】

「――――大丈、夫…ですから」

【なかなか強情なようで、そう答えた】
146 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 10:27:56.44 ID:5yqxuAfeo
>>145

……――

【相手の言葉を濁す様子に、何となく事情を察して】
【それでもなお強情な姿の少年の両肩に、女性は手を置こうとする】

【手を置けば、ぐっと相手の肩を強く支えて、確りと顔を見据え】

そんな成りで……、何が大丈夫だって?
見りゃ分かるさ、本当は悲鳴を上げてるって事位。馬鹿にしてんのかい?

辛けりゃ素直に助けを求める。助けられたなら、何時か恩を返せば良いのさ
人ってのはそういうもんだろう? 俺だって、こんな成りでも、そうして生きてる

【諭すように、それが大きなお世話であると薄々思っていても】
【女は、少年の目を確りと見て話した】

飯を食う金が無いなら、俺の屋敷で働けば良い。ちゃんと報酬は出すよ
寝床も無いなら、暫くは空いた部屋を貸してやるさ。その間は、俺が飯を作ってやる

広い屋敷で掃除も大変、おまけにこの体じゃ、金があっても何も出来やしないのさ
……ほら、そうすれば俺もお前も、貸し借りなしだ。気持ちがいいだろ?
それでも大丈夫っだって言うなら、俺は何も言えやしないさ。どうする?

【そう言って、女は快闊げな笑みを浮かべ、相手の意思を確認するように見据える】
【選ぶのはあくまで相手であって、女は、それを強いるような事はしない】
147 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 10:44:45.16 ID:WDyB/CO10
>>146
「え…っと…その…」

【惨めな両肩に置かれたその手に少年は戸惑う】
【こんな言葉をかけられたのは――――あまりにも】

【久しぶりだったから】

「僕は…その、なにも、できません…」

【存在すら、その出生すら疎まれて】
【嫌悪でも、阻害でもなく、ただ仕方なくその存在を無視された】
【叩き込まれて叩き込まれて、捨てられた】

「掃除も…上手に、できません…」

【親に吐き捨てられた言葉を、数え切れなかった】
【そして、今ここにいる】

「でも、そんな僕でも…」

【目の前の女性を見つめる】
【その暖かく、心地いい手の感触を感じながら】
【不思議と視界はぼやけてぐしゃぐしゃで、何も見えないが】

「一緒に…いさせてください…なんでもします」

【せっかく整った顔が台無しだが、滴る涙を拭かずにそう答えた】
148 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 11:12:49.05 ID:5yqxuAfeo
>>147

……うん、うん、大丈夫さ。大した事が出来なくてもね
今は、の話しさ。これから、上手くなっていきゃ良いのさ

その言葉だけあれば、大丈夫。よく言ってくれたね、有難う。

【少年の涙をそっと指で拭いながら、女はにこりと微笑んだ】
【相手が決断してくれた事、それは女にとっても有り難い事だった】

【それから、相手が落ち着くまで待ったなら、徐ろに声を掛ける】

……それじゃあ、帰ろうか。車椅子、押して貰えるかい?
この先しばらく進めば、俺の屋敷がある。広さだけなら中々のもんさ

【彼女の言葉通り進んでいけば、都市の郊外へと向かうだろう】
【相手が応じてくれたならば、その道中、女はぽつりぽつりと語り始める】

昔は宿だったんだよ。今は、俺がこんなだから、荒れ放題になっちまってね
それで……お前が屋敷をもう一度綺麗にしてくれたなら、また宿をやろうと思うんだ。
勿論、俺一人では切り盛りが出来ないから……お前が良ければ、ずっと働いて欲しいし

当分、宿として動き出すまでは、俺の蓄えで二人分くらいは食っていけると思う。
前に助けてやった奴が、礼にって残していった財産があるのさ。それで十分食いつなげる

【語られたのは、彼女の描いている具体的な構想だった】
【確りと前を見据えている性格のようだが、体が追いつかず叶えられなかったのだろう】
【彼が支えとなってくれたなら、彼女もまた、救われるのだ。ずっとでなくても、構わないのだし】

っと……そう言えば、まだ名前も聞いてなかったな。
俺は朝霞。朝の霞で、あさか。お前の名前は?

【ふと、相手の方を振り返って、今更ながらにそう尋ね】
149 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 11:35:12.44 ID:WDyB/CO10
>>148
「よろしく…お願いします…!」

【涙腺なんてとっくに機能していないと思っていたのに】
【溢れ出したそれを止めるのには時間がかかった】

【そして、真っ赤な眼を落ち着かせて彼女の車椅子を押して歩き出す】
【屋敷についてその建物を見る】
【荒れてしまっても、少年にはとても希望に満ちていた】

「僕なんかでよかったら…ずっと…」

【ボソッと、小声でそう呟いてみた】
【この女性にとって自分が支えなんかになれるのかと】
【不安になったのだろうか】

【少なくともまだ恥ずかしく顔を赤らめ俯いているようだ】

「岸織…、岸織詩織、です」

【その名前を口にする】
【この名を口にするは三度目だろうか】
【少なくとも、こんなに心が温まったのは、初めてで――――】

150 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 11:51:00.38 ID:5yqxuAfeo
>>149

【庭の草木も荒れ放題で、手を焼くだろう事は間違いないけれど】
【広くともしっかりとした作りの屋敷は、磨けば答えて綺麗になってくれるだろう】
【少なくとも、彼がしばらく住まう分には、何の問題もない筈だ】

【相手の呟く声を拾って、朝霞はにやりと快闊げに笑んで】

……ふふっ、それならいつまでだって、働いてもらうよ?
細っこくても男なんだから、体使ってしっかり働いてもらうさね。
岸織 詩織かい。良い名だね、これからもよろしく、詩織。

あと……詩織は綺麗な顔してんだから、宿の顔にもなれるだろうよ。
渡りの客ばっかりじゃなくて、詩織目当ての固定客とか……
……うん、稼げる臭いがしてきたね。詩織にしか出来ない仕事だ

【少年の容姿さえも、宿の繁盛に一役買うだろうと言ってみせる】
【つまりは、詩織だからこそ、という事だった。彼だからこそ、という例え】
【抜け目のない性格か、いい所を見つけ、前向きに捉える人柄のようだった】

【――其れからは、屋敷の掃除が詩織のメインの仕事になるだろう】
【きちんと報酬も貰えるし、寝床も広い部屋が使えて、食事も朝霞が作ってくれる】
【自由な時間もしっかり確保されている。宿として動き出すのは、まだ先の話――】

/この辺りでしょうか? 他に何かあれば、舞台裏でも受け付けます!
151 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 12:06:11.10 ID:WDyB/CO10
>>150
「女みたいな名前でちょっと恥ずかしいですけどね…」

【照れくさそうに微笑む】

【ふと、自分の顔に触れてみる】
【そんな風に笑えたのはいつからだろうか】
【ものすごく久しぶりな気がする】

「そ、そんないい顔はしてないですようっ!
何かの間違いですっ!!」

【思わず顔を隠して珍しく反論する】
【そう言いながらも、詩織は笑っていた】
【自分にしかできない、自分だけの存在意義】

【それがあまりにも眩しくて――――――】


「―――――ありがとう、ございます」


【そうして、彼の日常は変わったのだった】

/ありがとうございましたー!
152 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/10(月) 19:21:02.58 ID:5V5lpYClo
【――水の国の地方都市ラグナールは風光明媚な観光地であり、海運の要衝だ】
【年間を通しての安定した温暖な気候、他国・他都市との海や陸での繋がりの深さ】
【それらを重視した都市構造は多くの人々の出入りを促し、自然とラグナールは発展を続けてきた】

【その街の作りはかなり珍しい。簡単に表してしまえば、2つの区画からなるのである】


【先ず、多くの人が住み、泊まり、そして働く都市部=\―言わずもがな生活の基盤だ】
【海に面した箇所ではチープホテルが、もっと中央に行けば超高層ビルの高級ホテルが存在し】
【観光に偏重した構造故にサービス業が栄えていることもあって、全体的に明るい町並みか】


【そしてもう一方が港湾部≠ナある。これがラグナール最大の特徴なのだが――】
【第一にその面積が凄まじく、都市部と同等の面積が港≠ニして使用されているのである】

【大掛かりな運河の開拓により何層にも枝分かれしたそこには、大小様々な船が数千艘も留められると云い】
【またそれらを完成する交易センターの設備は最新鋭を極め、船には欠かせない灯台も実に巨大】
【漁業、海運業、或いは海にまつわる観光業。全てが世界最高峰の賑わいを見せる、特殊な都市がラグナールであった】

【更に言うのなら――この都市部と港湾部は双方がほぼ同じ面積、という点があるのだが】
【そのどちらもが都市構造を円形≠ニしているのである。つまり、巨大な丸が2つ並ぶ形だ】
【どうしてそうなったかは明らかではないが、実に見事なその円形はラグナールの双月≠ニ称されている】



【さて―――このラグナール、2つの区画を繋ぐのは『ロングストン・ブリッジ』という大橋である】
【同名の大きな川が区画間を流れて居るのもまた特徴だが、此度の異変はまずこの川から始まるのだった】


【某日・早朝】
【ラグナールを内陸に進んだ、円の外。畜産業を営む男性の目撃例が一番最初に街へと届けられた】


         【『小山ほどもある巨人が川の上流に居る』】


【――その一方を受けた自警団が調査に向かうと、確かに居た。遠い山々の合間に、ぽつねんと佇んでいる】
【だが、まず巨人ではなかった。色合いは鮮やかに黄銅、白金、そして黒鉄を基調とした金属色】
【そして刺々しくも凛々しい装甲や、一軒家程もある兜や、矛、あるいは盾を見るに、それは間違いなく人型の鎧≠ナあった】


【騒ぎは徐々に広がっていった。遠くラグナールの高層ビルからも見える程に大きいのだから、当然だ】
【人々は様々な感想を述べた――『話題の巨大モンスターか』『アトラクションか』『機関の襲撃か』――等々。】

【ただハッキリ言って、存在を危惧していたかと言えば違った。それは街の陽気さから来るものだからどうしようもなく】
【また、ただそこに居ただけのラグナールの民には全く非はなく、ごく自然な反応だったと言えるだろう】
【結局早朝の騒ぎはそれきりで、鎧も動かなかったから、日が高く登るまでは人々は安心して朝食を楽しんでいたのだった】


【――事が動いたのは数時間後、ほぼ昼過ぎの頃合い。巨大な鎧が動き出し、川上流のダムを破壊したのである】
【監視を続けていた自警団の面々も止めようとは≠オた。出来たかといえば――否である】

【なにせ、相手は人間の数十倍も大きな鉄の塊。動き始めて10分後には汚濁した奔流が川を下り、『ロングストン・ブリッジ』を押し流し――】


    【14:32――ラグナール都市部-港湾部間の交通と通信が途絶=z


/続きます
153 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/10(月) 19:23:12.11 ID:5V5lpYClo
【ロングストン・ブリッジが濁流に飲まれて少し。――港湾部・大通り=z

【人々が徐々に混乱を来し始める中、自警団の詰め所では騒動の収拾に務めるため】
【港湾部の最低限の警備を残して多くの自警団員が集められ、緊急の会議が行われていた】
【――そして、その詰め所を眺める者が一人。ライトブルーの髪、藤色の瞳をした少女であって】

『……既に午後四時を回ったのであります。日暮れも近く、時はまさに今……。
 ダグラス様からの指示通り、私が先陣を切らせて頂きます――状況、開始―――…。』

【カチッ≠ニいう音が彼女の手元で鳴った。同時に、自警団の詰め所で空気の収束が音を掻き消し】
【直後には――詰め所そのものが、燃えるゴミへと変貌していた。言うまでもない、吹き飛んだのだ】
【恐らくは爆弾によるもの。通りを慌ただしく歩いていた人々の動きが一様に止まり、顔が青ざめていく】

【戦闘服を身にまとった少女はそこに歩みだして行って、突撃銃を数発空に向かって撃ち放った】
【人々は理解する。彼女の服に刺繍された逆五芒星≠ェ何を意味し、これから自分たちがどうなるのかを――】

/もう1レスばかり続きます。
154 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/10(月) 19:23:25.61 ID:5V5lpYClo
【一方で都市部では人々の避難と救援隊の流入が入れ違い、これもまた大変な騒ぎとなりつつあった】
【港湾部での爆発騒ぎと違うのは、未だ遠目に見えるものの例の鎧≠ェこちらに向かっていることであり】

【また鎧に関しては、早くに外へ救援を要請したお陰か暗くなりつつある時間帯でも捕捉できており】
【数十の車両と数百の人員、無数の武装が鎧を取り囲み、やがて更なる増援も送られる予定である】

【にも関わらず鎧の歩みを止められないのは――相手が大きすぎるから、という一言に尽きる】
【70メートル以上の巨体、そして正面からでは戦車砲すらも効かない鉄板。余程、能力者のほうが倒す希望も湧こうというもので】
【事実、鎧も己の有利を理解して前進を続けていた。現在は山間の谷を進んでいるという状態だ】

【ここから先に続くのは山道から断崖へ移り、やがて草原に出る。そこを直進されるともう都市部である】
【そのため、更なる増援――能力者たちに要求されるのは鎧の動きを止める事≠ニなる】


『――まあ、そういうわけなんだけどね。如何せん、決定打に掛けるのが正直なところでさ
 あれだけのサイズだ、まさか生き物でもないだろうし……頭か胸か、誰か乗ってると思うのよ。
 それでなくてもあんたらこういう事態はお得意だろ?頼むよ、ラグナールのことをね……。

 そうそう……申し遅れたね。アタシはエルベシア・レセップス≠チて名前だよ
 これでもラグナールの自警団長さ。支援が必要ならアタシに言っておくれよ?

 ……しかし、どうしたもんかねぇ……ウチの旦那が前にデカい塔だのクジラだのをヤったってホラ吹いてたけど
 今になって思えばちゃんと話を聞いておけばまだ対策も寝れたかもしれない。
 港湾部との連絡も途絶してるし…、……いや、この話は無しなし!まず目の前のアイツを何とか、ねッ!』


【救援に駆けつけた能力者たちとそう遣り取りをするのは、自警団の制服に身を包んだ一人の女性だった】
【その身分はもうわかっただろう。彼女は忌々しげに鎧を睨むと、左腕を覆う、身長よりも巨大な鉄の筒を撫でて――】
【――余談だが、それは武装であるらしい。恐ろしく大味な、それこそ今回にこそ役に立つような物だ、とか――】


【さて、もう下手に事態を説明する必要もあるまい。諸君は好きな場所から鎧の前進を止めれば良い】
【堅固な装甲を打ち壊すか、罠にはめて動きを止めるか、或いは操縦者が居るなら見つけ出して降伏させるか】

【他にも手段はあるかも知れないが、それすらも全て能力者任せ――それが今回、唯一のルールである】
【そのための支援―例えば移動手段や武器弾薬、その他後方支援等など―は、自警団が全力でフォローするという】
【自警団に関しては――隊長は勿論、隊員の一人に至るまで精鋭ぞろい、ということを伝えれば十分か】

【さあちょうど潮時だ、今まさに鎧が一歩を重々しく踏み下ろし、周囲に小さな地震にも似た揺れが走る】
【既に戦いは始まっている。全高70メートルを超える鉄の巨人と、僅かに2メートルにも満たない人間との戦いだ】
【――どちらが勝つか、それとも負けるか。それはほんの数人の能力者の双肩に、重々しくのしかかっているのだった―――。】


/これよりイベント『ワルキューレの騎行=xを開始致します。
/悪側の方は投下を開始し、VSヴァルゴ戦の方はこちらにレスをお願いします
/また蛇足ですがイベントに関する質問は随時受け付けますので、気軽に舞台裏でどうぞっ!
155 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/10(月) 19:43:35.81 ID:7JwAdDzMo
【港湾部、大小さまざまな船が鎮座する港風の光景】
【吹き荒ぶ風は、荒波にも似た不穏な風情をそこへと誘いこんで】
【行く先知れぬ船頭、繕った先に果たして未来は、あるのかと】

【――――――そしてそこに在る灯台£痰「建物が押し並ぶ湾岸部に於いて、一際目立つ塔】
【野ざらしになった頂上はちょっとしたスペースになっており、日頃は観覧席として、スポットとなっている】
【そこに降りたった影は、文字通り降臨≠オた、と言えよう】

【靡く白縫の切片、立ち尽くす背筋に軽やかな箔をつけるかの如く】
【月明かりが零れる、不穏な空気を感じ取って宵闇に僅かなため息が混じったなら】
【立ち尽くす影の薄墨色の輪郭を、そこに切り取るのだろう】


……そなたらには悪いと思っている、罪が無い事もまた知っている
だからこそ恨め、思う限り私に怨嗟を向けるがいい
償いは存分、あの世で詫び続けよう

――――――Mors Principium Est=i死は始まりに過ぎないのだから)


【高くしなやかな身体を白皚皚とした甲冑に身を包んだ男】
【決して分厚いわけではない鎧は傷一つ無い純白であり、穢れ無き皚】
【背中になびく巨大なマントもまた、その身を包む鎧と同じ雪の如き白】
【顔には騎士然とした仮面が一つ、顔全体を覆うソレは真っ白で凹凸すらなく目すら開いていない】

【純白に染まりきった騎士の中に存在する白銀、柄すら純白の両手剣】
【その分厚い刃の切っ先は刀剣の如く鋭き剣閃を描いていた】
【彼は右の手に握った剣の切っ先を、静かに地面へと向ける】

【彼の周囲に広がるのは血だまり、物言わぬ骸と化した狙撃手達の姿】
【恐らくは自警団か、その種の人間達、巨人に対する攻撃手段として狙撃を用いようとしたのだろう】
【それらを切って捨て、彼は独白する、語りかけるような言の葉を、撒き散らして】

【踏みつける姿は饕餮が如き気高さと暴虐の色合いを秘めながら、未だ穢れ無き白を纏う】
【仮面の下に押し秘めた顔色を微塵も伺わせずに――――――】


/白中身です、ヒライさんの方よろしくお願いします!
156 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/10(月) 19:46:00.55 ID:KPXwqXOB0
【水の国の都市、ラグナールの港湾部にある倉庫街】

【普段でさえ人は多くない場所だが、今日は特にだった】
【理由は機関の襲撃によるもの、話では都市部に向け巨大な兵器が進行を初めているという】
【それだけでなく、港湾部のあちこちにも機関の手が迫っている、誰も居ないのは当然だ】
【しかし、そんな倉庫街に何故か人影が見える】

【二本角を生やした漆黒の兜に、重厚な漆黒の鎧】
【手に握る刀は飾り気の無い漆黒の太刀、冷気さえ感じそうな程に黒い】
【そんな人物は、4m程の倉庫の屋根で町を眺めていた】
【雰囲気から考えても恐らく機関の人間、現に彼は先程まで逆五芒星の人間達と共に居た】

【屋根の上で潮風を浴びる彼は神経の何処かで、近づく敵の存在を感じ取っていた】

/黒兜です、谷山さんの方よろしくお願いします!
157 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 19:46:06.74 ID:NYJyygkZo
【水の国 沿岸都市『ラグナール』】

【温暖な気候、大海原を臨む大自然、リゾートと言うに相応しい観光施設の数々を有する都市部】
【そうした観光地としての側面のみならず、市街地と同じだけの規模を持った港湾も、この地の目玉だ】
【都市部と港湾部、ラグナールの双月≠ニも呼ばれる円月状の地形は、人々の営みを載せて優雅に浮かんでいた】

【その地に突如襲来した脅威。カノッサ機関の逆五芒星。そして、天をも突かんばかりの巨大な西洋甲冑=z
【豪華絢爛を絵にかいたような派手な装飾でその身を飾り、握る矛と盾はあまりに規格外のサイズだ】
【響き渡るは、美の象徴とすら思える巨大な機兵の地を揺るがす足音。破壊された堤防から流れ落ち、『ロングストン・ブリッジ』を吹き飛ばした濁流の音】
【そして、港湾部に響き渡る破壊の音。この国に、この世界に、またもや戦乱の嵐が吹き荒れる】


【『ラグナール』 港湾部 コンテナヤード】

【海運という巨大流通システムを支える施設の一つ。無数に取引される各種物資が、ここに集積されている】
【円滑な物資の運搬のため、貨物船が進入する水域、および港からの陸運のための道路や鉄道が併設され、その敷地は非常に広大だ】
【大小様々な種類の、色とりどりのコンテナが積み上げられたこの場は、さながら尽きぬ人の欲望が作り出した迷宮というべきか】

【コンテナヤードから見える景色の向こうには、都市部へと歩を進める巨大機兵の姿も見える。一歩一歩、ゆっくりとだが確実に突き進んでいく】
【港湾部もまた脅威にさらされている。港全域に渡ってカノッサによる蹂躙が行われているのだ】


【だが、奇妙なことにこのコンテナヤードは未だ業務を続けているようだ。連続する機械音が聞こえてくる】
【コンテナを輸送用トレーラーに積み込むための橋型のクレーン、トランスファークレーンがヤードの各所で稼働している】
【クレーンがコンテナを吊り上げ、下で待ち受けるトレーラーの荷台に積み込む。トレーラーはすぐさま走り出す】

【トレーラーが向かう先には、RO-RO船と呼ばれる貨物船が数台停泊していた。旅客ではなく、積み荷をトレーラーごと載せて航行する、一種のカーフェリーだ】
【そのすべてが大型ではなく、高速艇仕様だった。港に降ろされた車両通行用の斜路を踏みしだきなから、トレーラーが次々と並んだRO-RO船の内部へ入っていく】
【そう、この大規模な港湾では至極自然な光景。それがこの非常時に展開されている。コンテナヤードの奥に踏み込めば、その違和感の正体はすぐにわかるはずだ】


『急げ急げ急げ!!! 正義連中が来るまでに、出来る限りを運び出せ!! 盗みはスピードだ、スピードォ!! 』
「次のコンテナの位置を送る。トレーラーをただちに所定位置へ。オートマーダー、積載準備」

【無線から流れる二人分の声は、コンテナに反響してヤード内に広がる。コンテナヤードの管制室を占拠している、賊の発する声だった】
【ヤードからはその姿は見えないが、声の主はデュアル兄弟と呼ばれる男達だった】
【カノッサ機関ナンバーズ、No.50を冠する、一つの身体に二つの頭と四本腕を持つ異形の双子。盗賊団『スクラップズ』副首領だ】


はっ!! トレーラー、積載位置に移動します!!

[ウィーン……ガッシャン。了解、シマシタ]

【双子の指示に機関兵が答え、トレーラーを操りクレーンの下に着ける】
【トランスファークレーンの運転席にいるもう一人、筋骨隆々の肉体を持つ男が見事にクレーンを操作して、トレーラーにコンテナを積み込む】

【ガラス張りになったクレーンの運転席の足元。下から見上げれば、異形がそこにいた。黒いタンクトップに青みがかったニッカボッカ、足には黒い安全靴】
【運転中にも関わらず、『安全第一』と書かれた黄色いヘルメットと溶接作業用マスクを装着している。マスクの覗き窓から見える鉛色の瞳は機械的なほど無機質】
【その男を異形たらしめるのは、タンクトップから伸びる無骨な鉛色の義手。所々に錆色を含む二本の義手は、人間離れした太さと長さをしていた】


【そうした積載作業が、コンテナヤード全域で繰り広げられている。大半の作業員は機関兵だが、中には歪な姿をした者たちも混じる】
【『スクラップズ』。カノッサ機関傘下の盗賊団。異形の悪党どもが、コンテナを次々と奪って回っているのだ】
【本来の職員たちの姿は見えない。警備らしき者たちがヤードのあちこちで倒れ伏していたが、大半が逃げ散ってしまったらしい】
【異形どもの略奪は、もはや留まるところを知らず。次々に、トレーラーが船の中に飲み込まれていく】

/続きます
158 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 19:46:25.72 ID:NYJyygkZo
【さらに、RO-RO船から離れた位置にあるコンテナを開けて回って、中身を直接略奪している機関兵たちもいた。彼らの中にも、異形の影が見てとれる】

次はその隣のコンテナだ、トレーラーを回せ。ネグティー、二人連れていけ
{ひっ、は、はいぃ! 了解ですうぅ!!}

【コンテナを荒らす機関兵を指揮している異形は二人。片方は、紫の髪をボブカットにした儚げな女性だった。起伏に富んだ身を女物の黒い礼服に包んでいる】
【泣きはらしたように充血した鉛色の瞳、無数の自傷痕がある白い細腕。だが、何より目を引くのは彼女の下半身であろう】
【傘状に広がった大きなスカートから伸びる、八本の鉄製義足。左右に広く展開するそれらが、尖った先端を地面に突き立てて女性の身体を支えているのだ】

【その女性に指示を飛ばし、二人の機関兵と共にコンテナを開けて中身をトレーラーに運ぶ彼女から、今その視線を切った男。その男が、この略奪の首謀者だった】
【身長2メートルを越える巨体、薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角張った顔付きに短く切り揃えられた黒髪。両の目玉は黒い瞳の義眼。その義眼の真上、額を埋め尽くす巨大な一つ目。配下たちに引けをとらない異質な姿】


……そろそろ限界か。スカーベッジ、撤退の準備だ。各船に指示を出せ

〈了解しやした、ボス。では、機関兵の旦那方、一つお願いしますぜ!!〉

【一つ目の大男が無線の向こう、RO-RO船で待機していた配下に命じる。ヤードに散らばっていた機関兵や異形たちの乗るトレーラー群が、船着き場へと走り出す】
【ここに、正義を胸に秘める者がやってくればわかるだろうか。異形どもは略奪はしていても、港湾の施設にはほとんど被害を与えていないことを】

(これほどの規模の港湾……海運を主とするスペーツィエ・ファミリーが関わっている可能性もある。連中の商売を下手に探らずにおいたのが裏目に出たな……)
(とかく、港湾施設への被害は見た目だけを派手にして内実は抑え、連中のものと思われる積み荷を出来る限り確保……後ほど連中に連絡を取る。それしかあるまい)
(……少々、各所への取り入りが過ぎたか……これからの活動も、考え直さねばな)

【どこどこまでも利己的な思考。それゆえに、彼らは利害の一致する複数の勢力と手を結んだ。それが今、彼らの首を絞めている】
【今彼らは機関員として行動しつつ、繋がりのあるD.R.U.G.S.のマフィアに対しての交渉カードをかき集めている。彼らによる施設への被害が小さい理由】
【盗賊特有の判断力で、中身の情報に怪しいところのあるコンテナ、あるいは高価な品の入っているであろうコンテナをピンポイントで選び、奪っていたのだ】

【利己的な思考を渦巻かせつつ、一つ目の大男が船へと退いていく手下たちの後を追う形で動きだそうとしている】
【コンテナヤードに踏み込んだ者は、恐らくこの大男の姿を最初に目撃することになるだろう】

/カニバディール&『スクラップズ』です
/たこやきさんの方、よろしくお願いします!
159 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/10(月) 19:55:05.38 ID:CYsX8Dqo0
【水の国都市『ラグナール』――港湾部・工業港】

【夜であっても賑わいを見せるであろう工業湾】
【しかしそれは平和の時だけであろう、今は避難する一般人やその対応に追われる自警団がいた】
【その原因はカノッサ機関の襲撃、この場所にも襲撃は始まっていた】

 ……第一作戦終了これより第二作戦に移る

【無線に報告しながら歩みを止めない男ここを襲撃してきたカノッサの人間だ】
【戦闘服を着用し、ゴーグルをつけている】
【袖口にはカノッサ機関の逆五芒星が刻まれている】

【その男は報告しているさなか後方ではちょうど入港していたタンカーが爆発する】
【幸いにも人は避難しており死傷者などはでなかったが】

『こちら第二小隊作戦開始します』
『第三小隊も同じく作戦開始』
 わかった、できるだけこちらに敵をひきつけろ

【無線機から“了解”という言葉を聞きそれぞれ無線を切る】
【そして男はMA56を取り出し戦闘を開始する】
【敵の目をこちらにひきつけるために】

/バッド中身ですディハート・グリムジャック肩よろしくお願いします
160 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 19:56:33.40 ID:IAbIFUCTo
>>156
【空。都市の軍が派遣したヘリが、上空に陣取った。そして、そこからこぼれ落ちるシルエットが一つ】
【その影は、高速で地上へと接近し、ぎりぎりのところでパラシュートを展開。一直線に倉庫の屋根に落下する】
【着地時点で既にパラシュートは外し済み。回転で衝撃を殺し――一人の青年が、カノッサの敵として立ちはだかった】

「仕事させてもらうぜ? カノッサ機関よォ」

【立っていたのは、白髪の青年だ。暗闇で煌々と輝く、蛍光グリーンの右目。溢れる戦意は、武人のそれとはまた異なるざらつきを抱く】
【右腕が滑り、ベルトポーチに指を掛ければ容易く引き抜かれるのは肉厚のシースナイフ】
【地面の感覚を確認するように数度足場に足を叩きつけ、硬い音を夜空に響かせて】

「――――Hello World」

【己の異能の名を掲げれば、直後に青年は新生する】
【神経系に電流が走りぬけ、視界は変貌し、全身からは薄いノイズが吹き上がる】
【右目から漏れだす蛍光色の光はよりその強さを増し、あふれだす狂気の波濤は青年の一挙一動からにじみ出た】

(どうみても武人。……んでもって単純に硬くて重そうでんでもって刀だから俺よりリーチが有る。
こりゃあもう――――不利ってレベルじゃねえなァオイ)

【左手をベルトポーチに伸ばし、握りしめて引き抜いたのは幾つかの直径5cm程の円盤状の何か】
【思い切り腕を振りかぶり、それを倉庫中に撒き散らして。同時に青年は――前進を開始した】
【加速に躊躇いはない。最高速は然程ではないものの、重心を良く捉えるその走りは、少なくともある程度の経験を含んだもの】
【夜闇に輝く蛍光色が尾を引いて、青年の駆動の残滓を物語った】

/*谷山です、よろしくお願いしますー!*/
161 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 19:59:02.63 ID:JUcQF+JVo
>>154

「ヘェーケッケッケッケッケェェーーッ!!」
『……まったく、いつも通りどこかに走っていったかと思えばですよ、あなた、あれと一騎打ちするつもりなんですか?』
「もt」 『無茶はしないでください』 「だっt」 『潰れますよ、あなたも私も』 「……」

【――何やら戦う前から騒がしい2人の人物がいる】
【1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】
【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

『こんな調子ですが、頑張らせていただきます』
『……そうですね、私は自警団の方々から予め色々受け取らせて頂きました……ので、遠慮なく使わせていただきま……あっ』

【……挨拶していた途中、男の方は巨体に向かって走っていった。数百m程度を移動するのに一分とかかりはしない速度で】

『……えーっと、……ちょっとヘケメト、兵器渡していません……えっ、なんですって?』
『…………人間昔からデカブツ狩る時の手段は決まってる?』 『……あの……些か昔の話過ぎませんか?』

【どのように連絡をとっているのかは不明だが……話をまとめると、彼が何をしたいのかといえば】

【――すっ転ばせる、のだ、穴に脚を突っ込ませて】

【やりたいことはわかった、だがしかし……課題は幾つもある、まずあの巨体の脚の分の直径を確保できるか】
【また、直径だけでなく深さも確保できるか、そして……そもそも、踏ませられるか、だ】

『……皆様、私は兵器の方で応戦いたしますので、……その、ヘケメトは……巻き込まないであげてください』

【どちらにせよ、既に掘り始めてしまったのだから止めようもない。――重機なしで、草原地帯に。】
【腕に棘を生やし、それをショベル状に整える。後は気合で地面の硬さなど気にせず犬の様に掘り進めるだけ。……下手な重機より速いのは気のせいでない】

【ともかく他の者は、ここに誘導するも放置するもどちらでも構わない――アウはまず簡易ミサイル(長さ約60cm)と発射台をポケットから取り出して】

『ロングレンジ・エフェクト&ヒット・アッパー――ミサイル、ゴゥ!』

【杖で魔翌力をかけてから、ヴァルゴの頭部に向けて……発射!】 【ミサイルにはエフェクトがかけられており、それは射程距離増加+命中精度増加の効果がある】
【とはいえ、距離はかなり離れているのがネックだ――幾ら補助をつけていても、果たしてヴァルゴの元まで届くのだろうか?】
【そして、届いたとしても、簡易的で扱い易いだけが長所のこのミサイルがどれだけのダメージになるのか?】
162 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 20:09:40.84 ID:1iM4REsYo
>>159

おーう、そっちグレネード飛んでったぞぉー

【そんな間の抜けた声が響く。ゴーグルの彼の背後でピンの抜ける音、見ればハンドグレネードが宙を舞っていた】
【程なくして、空中で爆発。位置としてはギリギリ爆風が届くかどうか、といったところであって……】

【――――そう、注意を逸らしたいだけの一発である】
【だが、爆発するその瞬間。炸裂する光の中に見えるだろうか―――グレネードと糸で繋がれた、トランプが】

自警団のディハート・グリムジャックだ。
大人しくお縄につくか、痛い目見るか……好きな方選ばせてやろうじゃねーか!

【その間に現れた声の主が立っているのは、彼の前方。黒い軍服と制帽を着込んでいて】
【胸元には自警団のバッジがあるのだが、軍服の上に更に黒いマント。しかしそのマントは風に靡かない】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めに、もみあげの二房は長く垂らしたまま】

【ディハートと名乗った男は、身体の周囲に無数のトランプを漂わせた状態で彼を見据えていた】
【その様から察するまでもなく、先ほどのグレネードはこの男によるものであって――――】



/ディハート中身です、今夜は宜しくお願いしますー!
163 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 20:11:55.77 ID:scuS7iYc0
>>154
「全く、教会も爆撃機でも何でも寄越してくれれば良いのにポータル一つだけって何考えてるんだか…………
何だかんだで色々取り出しやすいから良いのかもしれないどさ
…………っと、宜しくねエルベシア。人間とか悪魔なら兎も角あれだけ大きいのはボクはあんまり経験ないし、大きな期待は禁物だけど」

【少し遅れてその場に訪れた一人の修道女。重火器も無く、身を鎧などで包んでいる訳でも無く】
【だからと言って丸腰でも無い。掌サイズの光る球体を懐から取りだした所を見ると、其れを“ポータル”と考えても良いだろうか】
【未だ球体の持つ力はは分からないけれど少なからず巨大な相手に対峙する事を可能にする力を秘めている事は間違い無い筈だ】


「しっかし、改めて見るとやっぱり大きいなぁ。団長サマも石屋も封印解除だか何だかボクにはよく分からないけどさ
どうやら機関が同じ時に動き出したのも偶然じゃ無いだろうし分からない事は分からない事であのヴァルゴの中からメイドを叩き出して聞けば…………ん、旦那?何だかどっかの船長さんからそんな自慢話を聞かされた気がするけど
――――嗚呼、ボク。うん、今丁度着いた所だから何か支給して欲しいんだけど。…………え?いや、大がかりな程時間が掛かるなら先ずは適当に無反動砲で良いよ。あんまり意味は無いだろうけど…………ちょっと確かめておきたいからさ」

【この場面では些か頼りない銀の双銃を腰に提げつつも女性の言葉に対し何やら反応を示したが、それっきりだ。気になる事ではあるが、今はあの甲冑をどうにかせねばその気になる事すらも聞けないのだと思い直し】
【――――中に居ることは以前の出来事で把握している。搭乗したと同時に動き出した事から、彼の人物が要である事も分かっている。ならば撃ち抜くなりして殺めればとまるのだろうか】
【否、今回の相手は大きさが規格外だ。悠長によじ登っていようものならばあの掌で蚊の如く叩き潰されてしまう事を想像するのは難しくは無い】
【鎧を損傷して止めるしても搭乗者を直接止めるにしても先ずは鎧の強度次第だ。そして其れを運用する技術次第だ】
【先ずは其の前者を確かめる一撃。ポータルからカールグスタフを転送させたならば色々と弄って調節を施して】


「…………君達もボクと同じ様に要請か何かを受けて集まった人達かな?
ふふ、見ての通りあの鎧はでっかいし…………一人でどうにかなりそうでも無いし。中に乗っているのも中々の曲者だったから何だか苦労しそうだけど頑張ろうね。ボクも足を引っ張らない様に努力するからさ
“教会”所属、グリース・イムリンパルス。折角だし、もし良かったら名前を覚えててくれると嬉しいな
って…………彼は何をしているんだい?」

【緊迫した場面。だと言うのにクスリと笑いを漏らしながら自己の紹介を行う修道女は、其れだけで何と無く性格を掴めよう】
【この場に集った面々を見つめ、最終調節も済ませたのかゆるりと手を振ったならば――――甲冑の足関節を狙って、放たれた】

【前面からの直接攻撃で意味を成さない事は明白。しかし、関節部という部分ならば如何なる結果を出すかを確かめる為だ】
【更に加えるならばその角度。方角からすれば丁度ヘケメトを越して甲冑へと向かう。最初こそ懐疑視線を向けていたものの、やがて意図を解した故の行動だ。即ち、爆発やその弾頭に気付いて反撃を行おうとして歩んだならば丁度落とし穴の上を通る事となろうか】
【防がれたにしても、避けられたにしても、そして無意味だったとしても。カールグスタフは一発限り。空となった砲身をポータルに転送させれば次に取りだしたのはグレネードランチャーであるけれど】
164 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 20:25:43.91 ID:phfNusZdo
>>155

【遠くでエンジン音と、コンクリートでタイヤが擦れる乱雑な走行音が聞こえる】
【おそらく軍用の四駆トラック。バウンバウンと大排気量のストロークが聴こえる】
【続いて機関銃の射撃音、闇夜をスクリーンにマズルフラッシュと銃弾の曳光が遠くからでも確認できる】

<BRAAAAAAAAAAAAAAATATATATATATATATATATA!!!>

【エンジンを加速させながら半ば無理やりドリフトのように飛び出してくる軍用車両】
【近くの建物に隠れていた敵へ向かって据え付けられた機関銃を銃身から煙が立ち上るぐらい撃ちまくっていた】

経費も全部向こう持ちだっ!派手にぶっ飛ばそうぜえ!!…YEAAAAAAAAAAAHHHHHHuuuuuuuu!!!

【射手の男の服は軍服でも緋色の紋章もない。黒いスーツに白いシャツ、細身の黒ネクタイだ】
【夜だというのにサングラスをかけて、手には革手袋、ブーツを履いた似つかわしくない風貌だった】
【運転手も似たようなスーツ姿に安っぽいピエロの面をしてビール瓶を片手にハンドルを切っているのだった】

『……見ろっ!無線に入ってたやつだッ!Uhhhhhh…最高に”それっぽい”。なっ!』
オーラィ、当たり前だ。…俺が此処で彼奴を食い止めてる。ソッチは2隊と合流して”掃除”に行け
『了解。ボーナス待ってるぜ!ジョニー・ビー・グッド』

【サングラスの男はクルマから飛び降りて、運転手に合図を送る。クルマは加速してその場を離れていった】
【男はポケットの煙草を漁る。ラッキーストライク。いつもは赤マルだが今日は”ゲン担ぎ”だ】
【塔の屋上への階段を登りつつ、火をつける。味は違うが効能は一緒だ。ファッキンラヴューニコチン&タール】
【ジャケットのボタンが開けっ放しだと夜風は冷えるな。そんなことを考えていればすぐに頂上に付いた】

さて、早速だけれど…金もらってさっさと帰りたいんだよ俺は。こういう仕事は得意じゃなくてね
……そっちがよければ直ぐに帰ってもらったら助かるんだけど。…下っ端も何人か引き連れてさ
アンタを殺ればもうちょっと額があがるんだけど…ま、今のままでも十分。ボロ儲けだしな

【男は十分な距離を開けながら、しゃがれた声でそう話してきた。ライフル銃でも初弾で当てるのは難しい距離だ】
【彼は煙草をくわえながらポケットに手を突っ込んで、自然体のまま立っている。なんとなく、海の方を見つつという風だ】
【機関の側が純白の騎士で、正義の側が金で汚れたマーセナリーとは運命も大分シニカルな笑いが好きなようだ】
165 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 20:26:55.32 ID:h/TUrSAUo
>>154

【ラグナール自警団長、エルベシア・レセップスとの会談を終えて暫く。国は違えど同じ自警団員として、今日ここに来たひとりの男がいた】
【筋肉質で背の高い体格に褐色肌、ボサボサで短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に銀色の瞳、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして、首からはドッグタグを下げている】
【砂の国自警団小隊長にして、SCARLET麾下特務部隊『ヘイダル』の部隊長――――アサド・アル=アーデルだ。こと対巨大生物戦に対しては一家言ある人間でもある】

………っはー、こりゃまた。デカブツにゃあ慣れてるつもりだったが、ここまでのにお目にかかったことはねぇな。

【しかしまあ、当然…………そんな彼でも、全高70メートルの高層ビルじみた相手とやり合ったことなど無い。手を額に当てて全貌を眺め、呆れた様子でごちる】
【彼は最初の山道地帯から一足先に移動し、現在地は鎧の進行ルート上にある『断崖地帯』だった。その中でも非常に見晴らしがよい、特に高い崖の上で立ち尽くしている】
【巨人からは少し離れた場所だが、ここから見ても敵は巨大だ。人海戦術でどうにかなるレベルの物ではない。それが解っているから、ここに居るのはアサド一人だけ】
【既に『ヘイダル』の指揮は副隊長へ預け、街中で起きているカノッサ機関の侵攻への対処と市民の避難誘導へ全人員を割いている】
【何せあれだけの敵だ、街に着くまでに止めきれる可能性は決して高くない。少しでも多くの人々を救うには、恐らくそれが一番合理的――――そういう判断だった】


さって…………それじゃあこっちに利≠ェある内に、仕掛けさせて貰うとするか。
イスラ、補助頼むぜ! それとそっちの戦況も逐一伝えてくれ!

【そして、機は満ちる。アサドは地面に転がしていた巨大なケースから、あのエルベシアが持っていた物にも似た巨大な円筒を取り出した】
【アサドがそれを右脇に抱えてしゃがみ込むと、突如機械的な音と共に円筒の後部が斜めに折れ曲がり、折れた根元の真下にトリガー≠ェ現れる】
【次いで、今度は円柱の前部にある部分が蒸気を噴出し、同じ様な駆動音を立てて最先端部が伸びる――――バレル≠ェ展開される】
【――――黒色の特殊魔鋼をベースに、要所を白い強化パーツで覆った巨大な兵装。それは明らかに、大砲じみた大きさの銃≠ナあって】
【側面部に取り付けられた小さなモニターには、この銃砲の名前だろうか、『Al-Hadi(アルハーディ)』という文字が浮かび上がっている】

【フレームの要所を駆けめぐる橙色のエネルギーラインが、内部に漲る魔翌力の存在を伝えているだろうか。戦闘準備は、整った】
【よく見れば、アサドの腰にある大型の無線機のような装置へ、『アルハーディ』の銃把からケーブルが繋がれているのも見えるだろうか】
【イスラ、というのは彼の部下のオペレーターの名前だ。つまりこれは――――外部の演算機とも連動させた、長距離射撃≠フ構えに他ならない】


/続きます
166 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 20:27:17.01 ID:h/TUrSAUo

あぁ、心配すんな。俺は一人じゃない、集まったほかの連中も頼りになりそうな奴ばっかだったぜ? 必ず、全員で生きて帰るさ。
じゃあ始めるとすっか、デカブツ――――、

【最後の会話を交わし、アサドは上部に取り付けられたスコープに右眼を預けた。『アルハーディ』のサイドグリップの根底には、≪B≫という文字が刻印されて】
【そこから流れ込む術式が、滾る炎の魔翌力を膨大に膨れ上がらせる。側面のモニターに『B-strike』という文字が浮かび上がる】
【男の相貌に、不敵な笑みが浮かび上がる。窮地であるからこそ燃え上がる闘志を人差し指に乗せ――――がちり、と引き金を引いた】


――――初っ端から飛ばして行くぜ!! 受け取りやがれえええええええええええええええええええええええええッッッ!!!!


【刹那――――銃口から迸った炎の魔翌力の奔流が、巨大な反動でアサドの体を真後ろへ引き摺りながら、宵闇を裂いて亜音速で飛翔する――――――!!!】
【狙いは巨人の首元、鎧と鎧の間に当たる部分だ。距離はやや遠いが、演算機のバックアップとアサド自身の腕のお陰で、照準に全くズレはない】
【弾丸は着弾した瞬間に大爆発を起こし、爆風と爆熱、そして衝撃波を以って周囲を焼き焦がすだろう。アサドの持つ弾種の中でも特に高い威力を持つ砲撃だ】

【…………ただその脅威も、相手が真っ当な生物であればの話である。この『アルハーディ』も、流石にあんな化け物の相手は想定されていない】
【狙い通り鎧の内部に滑り込めばまだダメージもあるかもしれない。だが確かに狙撃は正確であるものの、距離の関係で発射から着弾するまでにはラグが生じる】
【またこの距離の隔絶も、普通の相手なら有利だが…………相手の素性は不明だ、この距離まで届く遠隔攻撃があっても不思議ではなく】
【ましてアサドは、狙撃の為に見晴らしのいい場所にいる。こちらの攻撃がどういう結果を出すにせよ、そちらが反撃に転じるのは簡単だろう】

【月下に轟いた、砂漠の獅子≠フ咆哮――――この戦闘の始まりを告げる攻撃は、果たして如何様な結果を齎すのか】


/いきなり分割で申し訳ない、本日はよろしくお願いします!
167 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/10(月) 20:27:20.98 ID:KPXwqXOB0
>>160

【空から落ちた青年を見定めて、黒騎士は刀をきつく握りしめる】
【星空の明かりは決して暗すぎる事はなくて】
【むしろ幻想的でさえあった、白髪の青年と 漆黒の騎士が対峙する舞台としては】
【やがて騎士は、兜の内から声を発した】

……無理に 死に急ぐ必要も在るまい……、去れ……

【しかしそれは決して若い声ではない、兜のせいではっきりとした声も、ましてや顔すらも分からない為、外見をイメージすることも難しいが それだけは分かった】
【そして彼の能力と思わしきものを見たのなら、騎士の方はより一層戦いの意志を増すだろう】
【彼が走り出す前に撒き散らした何かは気になるが、それに気をやる時間はきっと許されない】
【ならばと刀を構え、谷山の初手を伺った】


168 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 20:27:24.09 ID:h/TUrSAUo

あぁ、心配すんな。俺は一人じゃない、集まったほかの連中も頼りになりそうな奴ばっかだったぜ? 必ず、全員で生きて帰るさ。
じゃあ始めるとすっか、デカブツ――――、

【最後の会話を交わし、アサドは上部に取り付けられたスコープに右眼を預けた。『アルハーディ』のサイドグリップの根底には、≪B≫という文字が刻印されて】
【そこから流れ込む術式が、滾る炎の魔翌力を膨大に膨れ上がらせる。側面のモニターに『B-strike』という文字が浮かび上がる】
【男の相貌に、不敵な笑みが浮かび上がる。窮地であるからこそ燃え上がる闘志を人差し指に乗せ――――がちり、と引き金を引いた】


――――初っ端から飛ばして行くぜ!! 受け取りやがれえええええええええええええええええええええええええッッッ!!!!


【刹那――――銃口から迸った炎の魔翌力の奔流が、巨大な反動でアサドの体を真後ろへ引き摺りながら、宵闇を裂いて亜音速で飛翔する――――――!!!】
【狙いは巨人の首元、鎧と鎧の間に当たる部分だ。距離はやや遠いが、演算機のバックアップとアサド自身の腕のお陰で、照準に全くズレはない】
【弾丸は着弾した瞬間に大爆発を起こし、爆風と爆熱、そして衝撃波を以って周囲を焼き焦がすだろう。アサドの持つ弾種の中でも特に高い威力を持つ砲撃だ】

【…………ただその脅威も、相手が真っ当な生物であればの話である。この『アルハーディ』も、流石にあんな化け物の相手は想定されていない】
【狙い通り鎧の内部に滑り込めばまだダメージもあるかもしれない。だが確かに狙撃は正確であるものの、距離の関係で発射から着弾するまでにはラグが生じる】
【またこの距離の隔絶も、普通の相手なら有利だが…………相手の素性は不明だ、この距離まで届く遠隔攻撃があっても不思議ではなく】
【ましてアサドは、狙撃の為に見晴らしのいい場所にいる。こちらの攻撃がどういう結果を出すにせよ、そちらが反撃に転じるのは簡単だろう】

【月下に轟いた、砂漠の獅子≠フ咆哮――――この戦闘の始まりを告げる攻撃は、果たして如何様な結果を齎すのか】


/いきなり分割で申し訳ない、本日はよろしくお願いします!
169 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 20:27:25.51 ID:dPgGlSAv0
>>157-158


【ラグナール港湾部、コンテナヤード付近】

【海の幸が楽しめると評判、多数のVIPが足を運ぶ高級ホテル、それに燦燦と降り注ぐ太陽の光を反射して輝くプライベートビーチ。】
【温暖な気候条件も相俟って、ラグナールは世界的に有名なリゾート地へと発展した。……然し今日ばかりは、その賑やかさが失われて、】
【……都市部・湾岸部における同時テロ。カノッサの脅威を完全に制御しきれず、双方の連絡手段は凍結、加えて、壊滅的被害が出ているらしい。】
【そしてその姿はどうやらその飛び火を食らった、二人の影。ペチャクチャと話す声が、張り詰めた緊張感に不相応である事は、言うまでも無く……、】


『あぁんもうなによぉ……食べ物はどこにも売ってないし、っていうか何か、締め出されちゃったみたいだし……』
『……お腹空いたわぁ………たこやき君、何とか出来ないのぉ? あ、素潜りとか、出来そうじゃなぁい……』

「………出来んことは無い、せやけど、こんなトコでそんなサバイバル、せえへんやろ普通……」

『まぁ、そうよねぇ〜……でもお腹は空いたのよぉ、……こんなことなら、ホテルでジーってしておいた方が良かったわねぇ……』

「……バカンスに来た訳ちゃうやろ、……まあ、あれや、いざとなったら、取って来たるから、………」

『え、素潜りのコトぉ? ……多分あいすちゃんなら、この海凍らせてくれるからぁ……あれ、冗談のツモリだったんだけど……』
『……あ、でもたこやき君が泳いでるトコ、見てみたいわねぇ……? うふ、ふふふ、ふふふふ………』

「………なんやねん、……ほんまにちょっと、覚悟しとったんやけど……」


【二人には10cm程の身長差があった。大きい方は何かがプリントされた白地のシャツに、デニム生地のパンツ、サンダルにサングラスと、】
【それは至ってラフな格好。……まあ、近くにリゾートがある、其処の観光客であると考えれば、自然な身なりであると言えるだろう。】
【澄んだ青色の目、黒い髪、……然し真っ赤な口紅が塗りたくられているのは、彼らと同じく異様……否、その類は、全く異なる物、か。】

【もう一人は、身長が165cm程の少年。カーキ色のジャケットに、ブラウンのパンツ。ポケットが沢山付いており、内数ヶ所が少し膨らんでいる。】
【艶やかな黒髪に加え、黒曜石の様に澄んだ黒目。―――少し雰囲気が違ってさえいるが、その顔立ちは間違いなく、……………。】

【二人は海岸沿いを歩いていた。どこまでも変わらない景色、それにシンと静まり返って―――否、100m程の先の船から、何やら聞こえてくる。】
【……港町として発展しているこの場なら、聞こえてきて当然の作業音、機械音。逆にだからこそ、今、というのは可怪しな話で、……然し、】


『……あら、今みたいな時でも働いてる人は居るのねぇ〜……あ、あの人達なら、どこか連れてってくれるんじゃないかしらぁ?』
『………そこのお兄さぁ〜ん! ちょっとお話したいんだけど、いいかしらぁ〜?』

「…………、……………。」


/よろしくお願いします!
170 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 20:36:31.55 ID:PZ+JWpGC0
>>154

――――これはこれは、何ともまぁデカい代物で……誰があんなデカブツを動かしてるんだか……
ともあれ私達が倒れたら最後、全てが終局に向かってしまう……それだけは確かなようですね
……止めましょう。アレが此方へ来てしまったら、街が危ない。人々を護れるのは、私達だけですから―――――
UNITED TRIGGER所属、ダン・ブラッグス、力の限り奮戦努力します。皆さんもどうかご武運を……!

【救援に駆けつけた能力者の中に、黒ずくめの男がいた】
【肩に掛かるか掛からないか程度のストレートの長髪、頭には黒いソフト帽。帽子の下から覗く目つきは鋭く、静かに前を見据える】
【偉丈夫とも呼ぶべき大男が纏うのは黒いコート。所々に汚れや傷が目立ち、かなり使い古されていることがよく分かる】
【左の袖には通っているはずの腕が通っておらず、代わりに左肩の部分から金属質の鎧のような義手らしきものがコートの下から覗く】

【駆けつけた理由は他でもない、あの巨大な機兵を止めるため。あの絢爛たる兵器が街に災難を齎す存在であることは、自明の理……】
【どうして此処に現れたのか、どの様な仕掛けで動いているのか、どのような攻撃をするのか……不明な事は多々あるが、敵であることには間違いない】
【そして、その敵が今人々を脅かしている。ならば、自分の為すべき事は一つ。―――――機兵をどんな手を使ってでも止める、それだけだ!】
【敗北は許されない。屈服も許されない。罪無き人々を奸悪から救う手段は、勝利のみ。さもなくば、破滅が待っている――――!】


【鎧が歩むたびに揺れる地面。震える我が身。機械兵器は目撃証言にあった「山のような」と形容されるに相応しい巨大さ……一歩動くたびに地が揺れる】
【余りにも大きい其れは、金属の装甲に覆われて砲弾も効かない。今のところ歩みを止めうる物が何もない。対策が取れなければ、きっとこれからも……】
【……だからこそ、我々が最後の希望として招聘されたのだ。大げさでもなく、自分達が負けた時が即ち全てが負ける時なのだ……】
【それを理解しているから、ブラッグスは震えた。……負けられない!】

>>161

【何やら威勢の良い人達だ―――――彼らを初めて見たブラッグスの印象はその一言に尽きた。この緊急事態にはおよそ似つかわしくないテンションが、嫌でも目に付いた。……まあ、嫌ではないけど】
【兎に角、彼らもまたあの鎧を止める為に此処に来たのは間違いない。ならば、連携なり協力なりしなければ……一人ではあの巨大兵器は倒せまい】
【彼らの言葉を借りれば、『人間昔から自分より強いものを狩る時の手段は決まってる』。―――そう、頭を使って多人数で協力するのだ】
【ならば、自分がするべき事は、『穴が完成するまで引き付ける』『穴に誘導する』だろうか?……作戦をいろいろ考えておかねば】



>>騎兵への攻撃

【あれだけの巨体なのに二足歩行だ。この地上で人間のみが可能な二足歩行は、極めて高度な平衡感覚によって成りっている。……言い換えれば、ちょっとしたことでバランスを崩せるのだ】
【怪我による関節の損傷で歩行が不可能になったなんて事はよくある話。狙うは、膝にあたる部分?いや、そこは修道女然りとした女性が今一発打ち込んだ所だ】
【では、此方は股関節を狙おう。足の根元が動かねば、歩く事もできまい。……最も、関節部分の装甲が強化されている可能性も十分考えられるが】
【兎に角攻撃してみなければ分からない。彼は左肩から伸びる鎧のような義手を機兵の方向へと掲げる。瞬間、赤い光が閃いて】
【閃光が投擲槍のように細く長く伸びると、矢のように機兵の左股関節目掛けて飛んでゆく。真っ直ぐ、高速に……】
【この光の槍は高熱を孕んでいる。それこそ、普通の鉄板ならば溶かして貫いてしまう程のものだ……しかし、砲弾すら効かない装甲を持つ機兵対してはどうだろう?】
【槍を放った次の瞬間には、先程と同じようにして槍が鎧のような左手に握られている。反撃を警戒して、そして追撃を期待してのものだ】


//遅くなりました、本日はよろしくお願いします!
171 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 20:37:56.81 ID:IAbIFUCTo
>>167
【加速は止まない。相手の警告すら、考慮にいれることなく――否、それすらを前進の力に変えるように】
【最高速はそれほど無くとも、柔軟性に富んだ安定した挙動のまま、青年は相手に肉薄していくのだ】

「死ぬつもりはさらさら無いんでね――ッ!!」

【身体のシルエットが、急激に縮まっていく。身を屈め、そのまま滑るように相手の脇をすり抜ける軌道を青年は描く】
【すれ違いざまに、青年は己の右腕に握る肉厚のシースナイフを振りぬいていく。ナイフの通るはずのない、甲冑の胴に向けて、だ】

「――――ッシィ!!」

【ナイフの刀身に纏わり付くのは――ノイズ。じりじりと空間を侵食するそれは、特殊な物性を持つのだろう】
【――ナイフの刀身が通らなくとも、そのノイズは鎧を浸潤しその奥の肉体に干渉してみせる】
【そして、もしそのノイズに相手が触れたのならば、深々と刃を胴に突き刺されたかのような錯覚と、耐え難い激痛が襲い来るだろう】
【刀身に纏わりつくノイズは、青年の異能――アートマン、Hello Worldの力に寄るものだ】
【膨大な情報量を直接相手の神経系に叩きこむことで、肉体的ダメージはなくとも激痛を対象に与えることの出来る力】
【それが全てではないが、青年の力の一端の発露が、――迫る】

(――さて。これで通れば中身は人間……! んでもってこれを防がれればその程度の練度は間違いなく有るって事……!)

【思考を加速させる。異能によって思考速度を爆発的に上昇させている青年は、高速戦闘での熟慮を得意とする】
【1秒の戦闘で、他の者の100秒の思考が可能であるそれは、青年にとって大きなアドバンテージとなるもの】
【1秒間に100秒の思考さえ出来れば、あらゆる事に対して考えぬいた末の対処ができるのだから】
172 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/10(月) 20:39:09.31 ID:CYsX8Dqo0
>>162

【グレネードのピンが抜ける音が聞こえて男は前方に飛んでローリングする】
【そしてグレネードは空中で爆発するのも男はその爆発を見ず】
【ローリングからすぐさま男は自警団の男――ディハート・グリムジャックを見る】

 ……大人しくお縄につく気はないそれだけだ

【そのように男はディハートに淡々と告げる】
【彼だってわかっているであろう大人しく捕まるような存在ではないということに】

 ……………

【そのまま無口になり男はディハートに対してMA56の銃口を向けて】
【そのまま――発射する】
【フルオートのまま発射されたMA56の弾丸はばら撒き、相手のけん制に放たれたものだ】

【けん制に放たれたもののためろくに狙ってはいない】
【そして男はそのまま後方へと跳躍していく】
173 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/10(月) 20:57:01.75 ID:7JwAdDzMo
>>164

【軋むノイズの如き雑音、白鍵をぐちゃぐちゃにかき鳴らす騒音】
【荘厳なBGMを背に登場した男は状況に見合わないラフな格好で】
【しゃがれた声で撒き散らす声の輪郭を、彼は指先で感じ取った】


――――――悪いが私にも仕事がある、掃除とはいえ仕事は仕事だ
例え、どんな小さな支障であったとしても、見過ごすのは私の忠義に反する
そこに一能力者程度の支障があったとしても、だ


【自然体のまま立ち尽くす男に対し、彼は片手を剣の柄に落としたまま立つ】
【間合い的に見れば男の方がやや有利であろう、剣士然とした彼には踏み込まねば命に届かない距離】
【それでも声に僅かの乱れもない、声は男に比べたならば、まだ優しげな声】

【けれどもそれは貴方に向けた声、というよりかは語りかけるような遠くへと向けた声】
【言の葉の意味は辿れよう、その内部にいかなる意味があるかも、十全と理解できる】
【しかし、そう紡ぐ声の真意を知るには、あまりにも無感情な声とも言えようか】

【甲冑の表面、月明かりに照らされる白の軌跡】
【乱反射する白銀に、僅かな影が落ちたのなら】
【寸刻の間を置かずに吹き抜けた風が、荒涼とした夜を奏でる】


六罪王ダグラス・マックスウッド≠フ命に応じ参じた
同じく六罪王が一席白=ォaKU>

さあ行こう――――――Mors Principium Est


【彼がその場で剣を振り上げる、彼の目線の高さ、貴方の目と同じぐらいの位置に剣先が揺れる】
【地面に平行にその刀身を傾けたなら、夜に侵食されていくかのように、その刃が消えていく】
【剣先から少しずつ夜に飲み込まれていくかのように、やがてその柄しか残らないのだろう】

【そして柄だけを握ったなら、彼は一閃、右手に握った柄を外側へ切り捨てるだろう】
【刹那、貴方の眼前に先ほど闇へと溶けた剣の刀身が出現する】
【高さは彼の持つ柄と同じ位置、そして切り捨てる動作と連動し剣先が襲いかかる】

【剣の腕前は中々のものだろう、動作はしなやかに無駄のない早さだ7】
174 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 21:01:42.58 ID:NYJyygkZo
>>169
【来る者たちの声を聞いて、一つ目の大男は歯ぎしりしつつ立ち止まった。ゆっくりと振り返る】
【大男の背後に控えていた蜘蛛脚女・ネグティーが「ひっ!!」と悲鳴を上げる。彼らの前に、障害となる二人が出現した】
【単眼が捉えるその姿は男性と少年。その二人を交互に単眼が睨む。と、少年の方を見たその一つ目が、驚いたように見開かれた】

……総員、最大速度で撤退しろ。ネグティー、お前もだ
{ひ、あっああ……う、うわああああああああああああん!!!}

【大男の声が無線を通じてコンテナヤードへ広がっていく。ネグティーがそれに応じて、泣きわめきながらトレーラーに飛び乗る】
【それを振り返ることなく、大男が取り出した携帯端末のボタンを押した。少しの間の後、爆発音。青い閃光と爆炎が、コンテナヤードのトレーラー用搬入ゲートを破壊した】
【それを確認した大男が、改めて少年に視線を戻す。怪訝そうな表情を浮かべながら】

お前……ねこやま、か? どうにも、雰囲気が違って見えるが……
そちらの御仁は初めてだな。こちらには観光で来られたのかね? 間の悪いことだ……

私の名はカニバディール。カノッサ機関No.29だ。以後、お見知りおきを
――――オートマーダー、降りて来い!!

[ガッッシャン……本機ハ、任務ヲ、認識、シマシタ]

【大男・カニバディールの声に応じて、遥か頭上のクレーンのガラスを破り、コンテナの上に着地する男。義手の怪人・オートマーダー】
【コンテナを足場に素早く地面に降り、義手男が二人に対峙する。いつの間に取り出したのか、その義手には両端の尖ったツルハシを一本握っていた】
【カニバディールその隣に立つ。エプロンの内側に太い右腕が差し込まれ、大きな肉切り包丁が取り出された】


……分かってもらえたと思うが、我々は犯罪の真っ最中だ。話をしている暇は、残念ながらないのだよ
それに、誠に申し訳ないが、目撃した者を生かしておくわけにはいかないのでね……

[ウィーン……ガシャン。ウィーン……]

【二人の異形がゆっくりと展開していく。左右をはさんだコンテナの圧迫感が、この場の四人全員を覆い尽くす】
【二人が踏み出そうとした、まさにその時。カニバディールの無線から声がした】


<ボ、ボス!! 海上のゲートが閉まり始めました!!>
何!? デュアル、管制室はどうなっている!!

『クソが、外部で誰かが遠隔操作しやがった!!』
「すぐには戻せんぞ……!!」

【と、彼らの撤退に異常が発生した。水域に存在する、船の出入り口のゲートが突如閉じ始めた】
【逃げ出そうとしていた船が、水域に閉じ込められる。大男・カニバディールの単眼が周囲を見回し、やがて一点で止まった】
【その先には、倒れていた警備員と、自警団員たちがいた。上体を起こした警備員が、手にした非常スイッチを押し込んだのだ】

う、ぐ……そこの二人、逃げるんだ……!!! 奴らはここからの撤退を優先してる!!
そうだ、こうすれば撤退の対処に気を、割くことに――――ゲホッ!!!
早く、逃げろ……ここは、俺たちが……

【満身創痍の身体でどうにか立ち上がり、自警団員たちが異形どもに立ち向かおうとする】
【その姿を憎々しげに睨み、カニバディールが肉切り包丁を構えた。オートマーダーも続けてツルハシを構える】


……そうそう思い通りにはさせんぞ
[ウィーーーーーン……ガガガガガガガ!!!!!]

【異形が動く。武器を振りかざし、彼らに向かってくる、と思いきや。カニバディールは肉切り包丁を少年へ投擲し】
【オートマーダーは、ツルハシを振るって地面の石を弾いて男性へと飛ばした。双方とも、二人の足元を狙っての牽制だ】

【それを成した後、攻撃の成否を見ずに二人は後退し始める。自警団員らの言った通り、彼ら『スクラップズ』にとってこれは撤退戦だ】
【有体に言えば逃げ腰。自警団員らの活躍で、その傾向がさらに強まった】
【その自警団員らと警備員は、勇ましいセリフと裏腹にほとんど動けずにいた。立ち上がるだけでも精一杯らしい】


【さて、男性と少年。二人には選択肢がある。ここから避難するか。異形の二人を追撃するか】
【異形の双子が潜む管制室を目指すもよし。まだ見ぬ異形の潜む船着き場へ向かうもよし。今や無法地帯のコンテナヤード、あらゆる行動が許される】
【背後の自警団員と警備員は、傷は負っていても命に別条はなさそうだ。放っておいても、問題はないだろう】
175 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 21:01:57.79 ID:NYJyygkZo
>>169
【来る者たちの声を聞いて、一つ目の大男は歯ぎしりしつつ立ち止まった。ゆっくりと振り返る】
【大男の背後に控えていた蜘蛛脚女・ネグティーが「ひっ!!」と悲鳴を上げる。彼らの前に、障害となる二人が出現した】
【単眼が捉えるその姿は男性と少年。その二人を交互に単眼が睨む。と、少年の方を見たその一つ目が、驚いたように見開かれた】

……総員、最大速度で撤退しろ。ネグティー、お前もだ
{ひ、あっああ……う、うわああああああああああああん!!!}

【大男の声が無線を通じてコンテナヤードへ広がっていく。ネグティーがそれに応じて、泣きわめきながらトレーラーに飛び乗る】
【それを振り返ることなく、大男が取り出した携帯端末のボタンを押した。少しの間の後、爆発音。青い閃光と爆炎が、コンテナヤードのトレーラー用搬入ゲートを破壊した】
【それを確認した大男が、改めて少年に視線を戻す。怪訝そうな表情を浮かべながら】

お前……ねこやま、か? どうにも、雰囲気が違って見えるが……
そちらの御仁は初めてだな。こちらには観光で来られたのかね? 間の悪いことだ……

私の名はカニバディール。カノッサ機関No.29だ。以後、お見知りおきを
――――オートマーダー、降りて来い!!

[ガッッシャン……本機ハ、任務ヲ、認識、シマシタ]

【大男・カニバディールの声に応じて、遥か頭上のクレーンのガラスを破り、コンテナの上に着地する男。義手の怪人・オートマーダー】
【コンテナを足場に素早く地面に降り、義手男が二人に対峙する。いつの間に取り出したのか、その義手には両端の尖ったツルハシを一本握っていた】
【カニバディールその隣に立つ。エプロンの内側に太い右腕が差し込まれ、大きな肉切り包丁が取り出された】


……分かってもらえたと思うが、我々は犯罪の真っ最中だ。話をしている暇は、残念ながらないのだよ
それに、誠に申し訳ないが、目撃した者を生かしておくわけにはいかないのでね……

[ウィーン……ガシャン。ウィーン……]

【二人の異形がゆっくりと展開していく。左右をはさんだコンテナの圧迫感が、この場の四人全員を覆い尽くす】
【二人が踏み出そうとした、まさにその時。カニバディールの無線から声がした】


<ボ、ボス!! 海上のゲートが閉まり始めました!!>
何!? デュアル、管制室はどうなっている!!

『クソが、外部で誰かが遠隔操作しやがった!!』
「すぐには戻せんぞ……!!」

【と、彼らの撤退に異常が発生した。水域に存在する、船の出入り口のゲートが突如閉じ始めた】
【逃げ出そうとしていた船が、水域に閉じ込められる。大男・カニバディールの単眼が周囲を見回し、やがて一点で止まった】
【その先には、倒れていた警備員と、自警団員たちがいた。上体を起こした警備員が、手にした非常スイッチを押し込んだのだ】

う、ぐ……そこの二人、逃げるんだ……!!! 奴らはここからの撤退を優先してる!!
そうだ、こうすれば撤退の対処に気を、割くことに――――ゲホッ!!!
早く、逃げろ……ここは、俺たちが……

【満身創痍の身体でどうにか立ち上がり、自警団員たちが異形どもに立ち向かおうとする】
【その姿を憎々しげに睨み、カニバディールが肉切り包丁を構えた。オートマーダーも続けてツルハシを構える】


……そうそう思い通りにはさせんぞ
[ウィーーーーーン……ガガガガガガガ!!!!!]

【異形が動く。武器を振りかざし、彼らに向かってくる、と思いきや。カニバディールは肉切り包丁を少年へ投擲し】
【オートマーダーは、ツルハシを振るって地面の石を弾いて男性へと飛ばした。双方とも、二人の足元を狙っての牽制だ】

【それを成した後、攻撃の成否を見ずに二人は後退し始める。自警団員らの言った通り、彼ら『スクラップズ』にとってこれは撤退戦だ】
【有体に言えば逃げ腰。自警団員らの活躍で、その傾向がさらに強まった】
【その自警団員らと警備員は、勇ましいセリフと裏腹にほとんど動けずにいた。立ち上がるだけでも精一杯らしい】


【さて、男性と少年。二人には選択肢がある。ここから避難するか。異形の二人を追撃するか】
【異形の双子が潜む管制室を目指すもよし。まだ見ぬ異形の潜む船着き場へ向かうもよし。今や無法地帯のコンテナヤード、あらゆる行動が許される】
【背後の自警団員と警備員は、傷は負っていても命に別条はなさそうだ。放っておいても、問題はないだろう】
176 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 21:02:01.85 ID:ATJpNMVeo
>>172

【ハァ、と溜め息一つ。分かってはいたが、やはり戦闘せずに済むに越した事はない】
【もしかしたら、と訊いてはみたが、初めから期待なんざしてはいなかった】

あっ、そ。そいつは残念だな……
俺は面倒な事を減らせる、あんたは痛い目に遭わずに済む。win-winだと思ったんだけど。

……っつ―――――――!

【ばら蒔かれる弾丸、自分に向かってきた物に対しては―――黒のスートを持つトランプが立ちはだかる!】
【響くは、破砕の重なり。トランプはまるで障壁の如く弾丸を食い、砕けるとともに地へと落としていって……】
【計6枚のトランプが散った。いくつか掠めた弾はあったものの、直撃した弾丸は0という結果】

ったく……面倒くせえが――――いっくぜぇ!

【頬を滴る血を指先で拭えば、ディハートは走り出す。銃器を持つ相手に大きく距離を取られるのは良くない】
【更にその最中、彼へと放たれる4枚のトランプ―――赤のスートのそれらは、硬さと速さが相まって、まさに刃の鋭さッ!】
【第一に狙ったのは彼の脚。左右それぞれの太腿へと2枚ずつが向かっていって――――】

【……ここまで見ればもう分かっただろうか。ディハートが使うのは、トランプの強化及び操作=z
【元々はただの紙であるトランプ。それがかなりの硬度を得ている事は、言うまでもない事であろう】
177 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/10(月) 21:05:32.84 ID:5V5lpYClo
>>161

―――――――――――――…………。

【ヴァルゴはその一軒家ほどもある頭部を――どちらに向けることも無かった】
【穴を掘りに向かったヘケメトは勿論、ミサイルを放ったアウに大してすら、だ】

【ではミサイルそのものはどうなったのか。結論を言えばしっかりと命中した】
【の、だが――鉄面皮を僅かに煤けさせただけに留まっていて、どうも一ミリも凹んだ様子が見えない】
【化物だ。モクモクと立ち上る煙すら気にする様子もなく、ただ一歩、ヴァルゴは前に踏み出して】

【――そして不意に、ガシャン!≠ニいう音と共にスカートの様な鎧の下部が背後に開く】
【見えるのは円筒形のナニカ。例えるならそう――大砲のような。筒は、アウの方を向いていた】

>>163

『あぁ!よろしく頼むよお嬢ちゃん、っと……船長?そりゃ旦那に違いないさ
 前にも風の国で半魔をぶっ倒したって言ってたんだけどね、ノウハウは聞いちゃいないんだ

 だから……力になれるかなんて知らないさ、なってもらわないと困るんだから。
 援護は任せな!その分、アンタには思いっきり暴れてもらうからねッ!』

【――そんな力強い声をエルベシアがかける一方で、機兵はグリースに気付きもしなかった】
【大きいがゆえに視界は悪いと見える。そして関節部への砲撃の効果はといえば――】

【有り≠ニ見て良い。ギ、ギィ――と爆音の後に鈍い、金属の擦れる音がしたからである】
【煙が晴れてみると金属がひび割れて、脚は一時的に停止した。また随分と関節は弱いようだった】

【所が、ここで変化が訪れる。機兵の全身が黄銅の金属に変化し、見るも眩しい輝きを放ち始めて】
【同時にアウに向けられたのとほぼ同じ物が装甲の影からグリースを狙い、俄に収束音まで立て始め――】

>>165-166

【幾つかある初撃の中で最も強烈で堅実な手を撃てたのはアサド・アル=アーデルに間違いない】
【彼の放った強烈な銃撃――否、砲撃は正面から黄銅の巨人の喉元を叩き、ぐわらり、と巨体を揺るがせた】
【同時に肩周辺の装甲がバランスを崩してガラガラと落ちる。――装甲というより、足場だろうか】

【ただ一方で、この強烈な一撃はアサドの位置を遠距離からでも特定させるに至ってしまう】

【巨人は――脚の関節を止められ、首を撃たれたのが効いたのか動くのを一時的に留めていたが】
【ふと大盾を構えれば、それが上下に蓋を開け。現れるのは直径200mm≠ニいう化物じた砲門で】
【無論、弾丸を放つのではないのだろうその武装は、他の細かな砲門が用意されるのと同様に】
【今から攻撃する≠ニいうのを伝えるように、多量の光を収束させはじめていて――!】

>>170

【ブラッグスの放つ閃光槍は、お世辞にも他の爆撃に比べれば派手とは言い難いものだったが――】
【効果の程で言えば上々、だろう。関節に打ち込まれた槍は尚も光を放ち続け、じわりと装甲を溶かしていく】

【――ただ、今のところ最もマークの薄いブラッグスなら分かるだろうが――何か妙だった】
【単なる爆撃や光熱で止まるのなら、何故自警団に止めることが出来なかったのだろうか】
【動きを止めた機兵・ヴァルゴが姿を変貌させる――装甲の影から、数十門の筒が姿を見せ――!】

/続きます
178 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/10(月) 21:05:59.82 ID:5V5lpYClo
>>ALL

【ブラッグスが警告をするなら、それが速いか。或いはヴァルゴの全身から出現した砲門が日を噴くのが先か】

【いや――火≠ニいう表現は正しくない。訂正するなら熱線光≠ニでも表すべきだろう】

【アウを、そしてグリースを狙った砲門が第一。第二に全身から周囲一帯、狙いもつけない砲撃を】
【そして第三に大盾に仕込まれた規格外の砲門から、アサドの陣取る断崖そのものを狙って閃光が放たれるのである】

【その威力たるや、岩をも溶かす。人ならば――もし避けねば、死は愚か骨を拾うのも絶望的なほど】
【そして射程は?答えは草原地帯にまで届く、つまり1km単位でのリーチを誇る、超高威力のレーザーということであり】

【特にアサドの居る崖そのものを狙った一撃は危険だ。すぐさま攻撃を予感して逃げ出さなければ――】
【砲撃手たる彼は崖の岩ごと欠片も残さずに溶かし尽くされてしまうこととなるだろう】
【これだけでどれほどの存在かよく分かる。周囲では焼かれた山々が火に飲まれ、ヴァルゴを紅々と照らしだしていて】


【やがて無差別の砲撃を終えたヴァルゴは砲門を装甲の影に―僅かなラグ、攻撃の隙はある―仕舞いこむと】
【その全身を虹色のオーラ≠ナ包み込む。―すると、股関節や脚の関節、或いは砲撃を受けた首の辺りなど】
【様々に被害を受けた部位が修復され、アウの攻撃の成果である顔の煤すら消えて、立ち上がり】

【ガシャン!≠ニ大盾の仕込みを元に戻しつつ、機兵は当然のようにまた渓谷を進み、断崖地帯の手前に差し掛かる事になるだろう】


【――だが一つだけ戻っていないのは肩の辺りから下る足場のようなもの、これは直っていなかった】
【揺れる上、まともな階段などではないから登るのには苦労するだろうが――可能性は見える】

【またダメージにしても首元は大きく効くように思えたし、過度の火力を用いれば装甲も通せるらしい】
【直されてしまう、というのも同時にわかっていたが――何より今は情報の一つ一つが重要だ】

【そう、情報といえば――股関節の、ブラッグスが放った閃光槍。あれがまだ残っていたが】
【どうも黄銅色の今は熱の効果は無いと見える。となれば、物理的な攻撃が効かないフォームなのだろうか】
【物理がだめ、ならばどうするか?どうにかして色を変えてやるか、或いは―――。】
179 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/10(月) 21:11:42.95 ID:KPXwqXOB0
>>171

……ならば仕方無い、お前に諦めさせるのみだ、死ぬ気も無くて私に挑んだ事を……
…………後悔させよう……!!

【まずは敵の動きを掴む、その為に敢えて谷山の攻撃を受けようとする】
【騎士はすれ違いざま、敵の能力を観察しているといった所、しかしそれは動体視力が無くては出来ない事】
【つまり、たった其れだけの動作が騎士の実力を物語っていた】

……グッ……!? ヌヴゥ……

【谷山の攻撃は成功に終わった、本来当たる筈の無い場所に痛みが走る】
【貫通ダメージを与える能力、これに対してでは鎧は逆にハンデとなったか】
【しかし騎士もやられているだけではない、すれ違う谷山を追うように 刀を屋根に走らせるようにして下から上に斬り上げようとする】
【この刃、頑丈な屋根をまるでカッターで紙を斬るかのように滑らかに切断している】
【切れ味は高い、まともに喰らえばかなりのダメージを負うことになる】
【刃の向かう先はストレートに胴体、単純だが狙いは正確】

180 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 21:28:51.77 ID:IAbIFUCTo
>>179
(――通った。なら中身は人間――人なら人に対する術が通る……!
後は――徹底して強みを潰す、つぶし続ければ良い――――!!)

【己の行動の帰結を、加速し続けている青年の思考は認識し――そして処理し、それに対する最適な対応策を策定していく】
【そして、策定され算出された行動に従うように脳髄から叩き出される命令は異能によって加速され、体躯にそれらを送り込んでいく】
【命令を忠実にトレースする五体。それらの動作は、どれも洗練が無いというのに微塵の乱れも存在しない、まるで機械を思わせる正確さ】
【武人の練度とは全く異なる、武の心得のない卓越した戦闘技術というその矛盾を、この白髪の青年は身につけてそこに存在していた】

(――真っ二つじゃあねえか、喰らえばな――!)

【重心が揺れ動く。体のすべての筋肉は異能によって掌握され、そのすべてが即座に命令に従って駆動する】
【背後に迫る斬撃の気配。それを、風切る音、風圧、金属の臭い、踏み込みによって僅かに歪む足場、空気の味の変化で認識する】
【相手が斬撃を放つ瞬間に、既に青年は転身を開始している。転身と同時、青年の取った行動は単純。――――前進だった】

「――――ッは上等ッ!!」

【己の体躯の真芯を捉えるようなその正確な斬撃を見て、青年は内心でほくそ笑む】
【正々堂々、単純明快に強い剣技ならば――己の様な嫌らしい相手としては、比較的与し易い】
【青年は身体を捻り――左腕を切断させた=z

「ゥゥゥウ――――ォォォォオ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォォ゛ァ゛――――――――ッ!!!」

【己の左腕を両断された直後、青年は捻る動作に合わせて軽く刀身を腕の断面で叩き軌道をずらす】
【全身から飛び散る鮮血=Bそして、響き渡るガラスが砕けるような音】
【青年の左腕は、人間のそれではない。アートマンによって構成された、仮初の左腕だ】
【容易く砕け散るそれは、アートマンのダメージフィードバックで左腕を切断されるダメージを平等に全身に割り振ることとなる】
【すなわち、腕を切断されても、青年にとってはそれは致命傷になりはしない。血霧の向こうで壮絶な雄叫びを上げる青年は、その右腕を駆動させる】

「Code――――――Blackout!!!」

【引きぬいたのはリボルバー。Taurus M513 JUDGE MAGNUMと呼ばれるそれ】
【通常のリボルバーに比べて比較的大型なそれに装填されている6発の弾丸は、極めて特殊な特徴を持つ】
【――散弾なのだ。世界においてもそう種類の多くない、散弾を発射する機構を持つ回転拳銃。それを敢えて選ぶ理由は何か】
【回答は単純。青年は射撃の素人で、狙い撃ちなどできようはずがない。ならば狙う必要がなければ良い=z
【銃身に莫大なノイズが纏わりつく。銃爪を引く――銃声が響く。相手の斬撃の内側に潜り込んでの、至近からの散弾連射】
【一発辺り30発の小散弾、都合180発の鉛弾がノイズを載せて相手の重厚な装甲を掃射する――――――!!】

【当たったところで、相手の装甲が砕けるかどうかは五分五分といったところか】
【だが、マグナム口径から打ち出される大量の鉛弾は、大きな衝撃を相手に与える。そして――先のナイフと同じように鎧を貫く異能の力も】
【此度の攻撃に載せられたノイズは、相手の神経系に莫大なデータを送り込むことで対象の神経系に障害を起こす能力】
【一発一発は小さくとも、数が重なれば次第に剣を握る手は重く、歩みは遅く――武人として致命たる事態へと追い込まれていくだろう】

【幸いにも散弾は、対人ではなく狩猟用の小さなもののため致命傷を追うことはない。転がるなりなんなりすれば、弾丸の回避も難しいが決して不可能ではないだろう】
181 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 21:30:39.55 ID:phfNusZdo
>>173

【煙草を指に挟んで、ふうぅぅぅと長く口の間から煙を吐く。好き勝手に】
【煙草を吸える所は今は戦場ないんだろうか、つーか元々、そこのもんか…】
【といったように相手の話は殆ど煙草の煙と同じように抜けて消えてしまうぐらいにしか聴いていない】
【出だしの一言目でお互いに合理的な解決を望めないとなったら後のことは興味がなかった】

ハァン?よし…じゃあ、その忠義を俺が買ってやるよ。200万でどうだ?俺らの今回のギャラの半分だ
ボスにはザコばかりだったって適当に言えばいいじゃないか。楽して金だいい話だろ?
アンタラだってパンを食うたびに毎回パン屋を襲ってるわけじゃねえだろ?人類が1人になるまで金はカネさ
なんなら、そこらに転がってる死体の耳でも削いできゃいい。手伝うか?5つ集めりゃ”エース級”さ

【相手を冒涜するような軽薄なセールストーク。そちらからみれば悪でも正義でもないろくでなしの傭兵】
【そんな風な印象を受けることだろう。だけれど、彼がそう言った態度を取るのは初見でご破算になると予測していたから】
【相手の雰囲気を読み取り、力量を…少なくとも自分より上か下か図るぐらいは出来る程の経験は持っていた】
【効果があろうとなかろうと仕掛けておくのが彼の戦法だ。軽口で相手の勇み足を誘う、驕りや油断を誘う。―戦いはもう始まっていた】

【空気が固まった。彼はそれを察していたが心の奥底に隠して、さも気がついていないように振る舞う】
【吸っていた煙草を手首にスナップを効かせて海に投げ捨てる。こんな演技、相手にかかりゃお見通しなんだろう】
【彼は向き直る。ジャケットの裾が風で揺れる……二挺のピストルのグリップが見え隠れした】

―――ッッッッ!!くだらねえよ!何もかもよぉっ!!

【それは相手に対しての暴言だけじゃない。彼の心が叫んだ世界へのラヴコール】

【敵が剣をふつと動かしたのに合わせて腰のリボルバー拳銃の1つを右手で抜いた】
【少し赤みがかったシルバーの44マグナム。銃身は長く。薄くエングレービングの装飾が施されている】
【彼は抜いた動作に合わせるように左手の平で撃鉄を起こす。乱雑だが早い。瞬間にシリンダは勝手に回転して】
【装飾はジワジワとグリップの方からまるで吸血されていくかのごとくその部分だけ真っ赤に染まるのであった】

<BABABABABABANG!>

【引き金を引きっぱなしにすれば壊れたおもちゃのようなフルオートの連射で6発。距離もあり命中は到底期待できない】
【ギィィィィン!と銃弾は飛んで行き、手すりや壁にぶつかって火花をチュチュィンとあげた】

クソッっ!クソッっ!!能力者どころか大ボスじゃねぇか……ファック!!

【撃ち尽くして、直ぐ目の前に現れた剣を避けるためにキュキュと床を踏んでバックステップで回避した】
【そのタイミングのギリギリさと足元のおぼつかなさで身体能力は剣士に到底及ばないものだとわかるだろう】
【彼は次の銃弾を用意している。リロードは必要ない。撃鉄を上げるだけでいい。それに相手が気がつくかどうかは時間の問題だ】
182 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 21:36:21.61 ID:dPgGlSAv0
>>175


『……あら、変な……いや、変わった人ね。イケるかイケないかで言えば……ぎりぎりイケない、かしらね……』
『………ごめんなさぁ〜い! やっぱりイイの、適当に無視してちょうだぁ〜い!』

「………何言うとんの………、………―――――!」

『……あ、あの人たち……、結構ヤバめじゃないかしらぁ〜?』

「………俺、行って来る。」

『え〜? じゃあアタシも行っちゃおうかしらぁ……』

「……いや、倒れとる二人拾って、空から見といて、……地形が複雑やから、な」


【船へと近付く二人、徐々に作業員達の働く様子が明らかになって。その内の一人、僅かに逆五芒星を見て取れば、彼ら全体の正体を知る事となる。】
【初めに気付いたのは少年の方だった。何を見据えているのか分からぬ瞳の中に、瞬間確かな灯火が点る。……男を右腕で制し、一歩を踏み出した。】
【『男前になったわねぇ〜♪』と依然腑抜けた声を漏らすオカマは、嬉々として自警団員に近付いては身体をペタペタと触り、命に別状がない事を確認する。】
【……腰に装着された拳銃を抜いた。『たこやきくぅ〜ん♪』と言いながらポイっと投げれば、少年は受け取る、同時に感謝の目線を送っていた。】

【男はオレンジ色の宝石をポケットから取り出し、空中に放った―――瞬間、パアッと光を発すれば、其処には随分と大きな鷲が現れて。】
【『コンドルちゃん、ヨロシクおねがい♪』と背中に自警団、そして自分が乗れば、鷲は上空へと羽ばたく。……彼は戦闘に向いていない、そういう事だろう。】
【弾かれた石が男を襲ったのは、その飛び立つ直前だった。……召喚獣は主人を、身体を張って守る。勿論傷付きはしたが、飛行には問題ない。】


「………人違い……、いや、何でもない。お前らの事は良う知らんけど、とりあえず自警団と同じ目、あってもらうで。」


【一方少年。投擲された包丁に応じる事はなかった。軌道を瞬時に理解し、右足を少し曲げるというだけの行動、僅かに鼻で笑っていたが、聞こえただろうか。】
【鋭い金属音を立てながら、包丁は床に突き刺さる。……中々の威力を誇るようだ、然し無論、ただ投げられるだけであるなら、当たる筈もない。】
【その間、先程受け取った拳銃のタイプを裏表と角度を変えながら確認する。矢張り良くも悪くもベーシックな物、カチャ、とセイフティを外せば、向き直って。】

【―――少年は追撃を選んだ。大男の一つ目に向かって容赦無く発砲、加えてエイムを瞬時に切り替え、ツルハシを振るった方にも足を狙ってトリガーを引いた。】
【相手と同じ、此方も小手調べ……一度戦った経験のある彼とは違い、この少年は"初戦闘も同然"。対峙する人間の情報が、必要不可欠だった。】
183 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/10(月) 21:40:12.25 ID:CYsX8Dqo0
>>176

 …自警団とまじ合わす言葉は持ってはいない
 所詮は消すか消されるかの、だ

【そのように男の言葉に対して返す】
【面倒であれなんであれ所詮は敵だなら語ったところでなんになる】
【ゴーグル越しにディハートを見る眼はなにも感じていないようで】

【トランプで銃弾を防ぎきったことには驚かずにあいての能力だと結論ずける】

 ―――――っ!

【刃のような鋭さをもったトランプを男は急速にジャンプし前へと前転することで回避する】
【少々掠ったように思えるが血は出ていないので回避には成功したのだろう】
【ジャンプして前転しさらにすぐさま立ち上がりディハートに向かって走り出す】
【そのままディハートにMA56フルオートのまま連射させる、それはディハートの胴体部分に狙って撃ち込む】
【さらに、自動式拳銃K666をとりだしてすぐさまディハートが回避するであろう場所に撃ち込む】

 ぐっ…!

【だが男にもダメージが行く】
【急速にうった反動で男の体にもダメージが入るだがそれはビビたるものではあるが】
184 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/10(月) 21:45:32.56 ID:7JwAdDzMo
>>181

【剣先が消えたなら、再び彼の柄の先に剣先が出現する】
【言の葉の後の残響、無垢とも言えるほどに穢れ無き白の声】
【振りぬいた刃を下ろしたなら、その切っ先は再び頭を下げる】


すまないが、そなたの言い分には賛成できない
私には金銭に対する執着も無ければ、その価値も無い
私の望むのは機関≠ノ在る事だけ、そう言えば理解できるだろう


【返す言葉、男の言葉を切り捨てられる程大層な理論ではない】
【むしろ男の言葉の方が正論であろう、戦いを避けるに越したことはない】
【ただ誤算があったとすれば目の前の彼が、通常の論すらも破綻しているから】

【巻き上がる風の一陣、月夜に描く白銀の軌跡、振りぬく刃の残り香すら辿れぬ程】
【銃弾は彼の身を削ること無く、周囲へと落ち、金属音を響かせるのだろう】
【靡くマントの切片を、遠く歪んで見せるぐらいには】

【彼の纏う雰囲気が一層濃くなる、それはまるで放つ闘気により風がかき消されたかのように】
【呼吸をするのに一度、二度と深くしなければならなくなるほど、研磨されていく刃の先】
【両手剣を持つ指先に力を入れたなら、吹き抜ける風が薄れていく】


――――――行くぞ、次は落とす


【切り上げの一閃、右手に握った両手剣が彼の目の前で虚空に消える】
【刹那出現する切っ先、先ほどと同じように貴方の身体を、柄の動きと同じように切り裂こうとする】
【速度は相変わらず早いが、先ほどの攻撃を回避できたなら、回避は難しくないだろう】

【しかし、刹那、貴方の目の前に左手が出現するだろう、甲冑に包まれた左手】
【首の位置に出現する左手は躊躇なく、顎を目掛けて貴方へと拳を叩き込もうとする】
【時間差をつけた連撃、ダメージは決して、軽くない】
185 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 21:47:52.09 ID:JUcQF+JVo
>>177-178

『流石……と言ったところでしょうか、でしたら別の兵器を試してみましょう』

【確かに命中した、……命中しただけだった。】 【様子見とは言えこれほどの硬さとは――】
【だがアウ達が用意した兵器はこれだけでは終わらない、あれが駄目ならこれを試せば良い】

『――!』 『ヘケメト、伏せなさい!』 「んゥ? ……んゥゥオオオ!」

【穴を掘っていては相手の攻撃など見えるわけもない、だが今はアウが居る、攻撃が見える】
【――既に人が入るには十分な程の大きさであった落とし穴の原型、ヘケメトは咄嗟に伏せてから】
【障壁……否、気合のオーラを纏うことで、攻撃の余波も抑える】

「熱ィィッ、だが……俺の気合の方が熱いッ!」 「うおおおォォオオッ!!」

【おっと、背中が焦げて焼き肉が見える――が、それ以上の熱苦しさでどうにか……なっているのか?】
【……彼は再び穴を掘る、どんどん深く、そして広く、――気合の棘撃・守貫、それは硬さを気合で人並みにする技】
【その地面がどれだけ硬かったかは知らない、何故ならば、彼がその気合で掘り進めているのだから】

『っと……プロテクト・シールド!』

【一方、アウに向けられた砲撃は――こちらはまともな、と言っては悪いが……普通の魔翌力の障壁だ】
【まずは物陰に隠れて盾にする、壊れる、障壁で防ぐ、壊れる。しかしまともに防ぐよりはよっぽどダメージが少ない】
【特に目立った被害は右脚だろうか、動けなくもないが引きずって歩いている】

『……そうですね、こちらはチャージに時間がかかりますから……まずは、こちらを』 『私はサポーターですからね、それらしく生きましょう』

【――相手が修復機能を持つならば、それを上回る火力でぶっ叩けば良い、だがこの距離では難しい、ならば……】
【アウが取り出した武器は二つ。一つは砲台で、何やらチャージ中の様子】 【もう1つは……バズーカ砲。ただし……】

『そしてこちらが……"ソイルベイビィ研究所"の方々に作っていただいた、"アルミニウムの粉末と煙幕"を組み合わせた妨害用の弾です』

【――同じくロングレンジ・エフェクトとヒット・アッパーをかけてからの砲撃、またも狙いは頭部】
【先程撃って効かなかったのは重々承知の上。――何故か、それは先ほどと目的が違うのだから】
【その弾は、もしどこかしらに命中した場合、広い範囲に妨害用に加工された"アルミニウムの粉末(チャフ的なもの)"と、"黒煙"を撒き散らす】
【相手がどのような方法で我々を探知しているのか、あるいは動いているのかはわからない、が――】
【アルミニウムは電波等に頼るもの、黒煙は視覚そのもの妨げる効果があるはずだ】
【更にいうと……アルミニウムは引火性が高い。一気に燃え広がれば、爆発する恐れもある――物理に強そうな今の状態に効くかは別として】

>>他

「ヘケケケ、なんだよ変な目で見るなよォ、でかいのは落とせば良いんだよォ〜」

【……やはり懐疑的な視線で見ておいたほうが良いのかもしれない、が……攻撃前に既に人間が落ちるには十分な広さになっていた】
【このペースならばヴァルゴが来る前に、それにも通用する可能性のある深さと幅まで掘れるかもしれない】

『(ただの落とし穴でどうにかなる相手では無さそうですし……かと言って、たくさん頂いた対戦車地雷を全て仕込んでも通用するか怪しいですね……)』

【しかしアウは思った、ただの落とし穴が通用する相手では無さそうだと、だがヘケメトに言っても無駄というもの。、やめる気は間違いなく無い】
【ならば、……"ただの落とし穴"で終わらせなければ良いのだ、――仕込むのも、ただの対戦車地雷でなくすれば良いのだ】
186 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 21:57:13.16 ID:h/TUrSAUo
>>161 >>163 >>170

(この支援砲撃、あの四人か。見たところ草原の方だな、なら今のところ安全…………とも言い切れねぇが)

【ヘケメトとアウ、グリース、ブラッグス。背後から飛んでくる爆撃に、アサドは同じ目的で集まった四人のことを思い浮かべる】
【この断崖地帯へ移動する前、まだ一緒に居た時に、アサドは自身の名前と所属、そして断崖地帯からの狙撃という作戦を四人に伝えているだろうか】
【また、アサドは無線機を持っている。それでそちらに連絡を取ることが可能だし、逆にそちらからこちらへ連絡する事も可能であろう】

『隊長、どうやら草原地帯で巨大な落とし穴が掘り進められているみたいです! うまく行けば動きを止められるかもしれません!』

落とし穴? …………そうか。そういやエルベシアが「あれには誰かが乗ってると思う」って言ってたな。
ってことは、今回の俺の役割は――――。

【砲撃の反動が、軽い痛みとして全身に伝わる。その感じ慣れた疼きの中で、アサドはイスラが齎した新たな情報を頭の中で咀嚼し】
【今回の役割は――――草原地帯に辿り着くまでに、弱点を探ること。ひいては、あれに乗っている誰か≠フ位置を探り出すことにあると考える】
【落とし穴を使って動きを止められても、それは一時的なもの。完全に動きを止めるには動力を切る必要がある。であれば、操縦者を叩き出すのが早い筈だ】
【ならば自分は、胸か頭か、その辺りを中心に攻撃していくべきか…………と。具体的な狙撃方針を頭の中で組み立て始めたところで――――】


>>177 >>178

…………おいおい、おいおいおいおいおいおいおい!!!
覚悟しちゃあいたけど限度ってモンがあんだろうがよ!!?

『こ、ここからでも感知できる熱反応なんて!? 離れてください、早くッ!!』

【自身の砲撃と他の三人が齎した戦果を確認することは出来たが、得たデータを次の行動へ反映するだけの時間はなかった】
【耳元でイスラの声が喧しく炸裂するが、文句を言う猶予すらない。狙撃手としての感か、大盾がこちらに向いた瞬間に移動していたら良いものの】
【瞬く閃光は、どう見ても破滅の光だった。アサドは殆ど転がるようにして崖を下り、ここに来るのに使ったバギーに乗り込んでエンジンを掛ける】

【そこまでが…………アサドに取れた行動の、すべてだった】
【刹那、白いとしか表現できないものが背後を通り抜ける。僅かな静寂の後、莫大な熱量が襲い来て――――】

        【――――――――破壊、破壊、破壊、破壊――――――――――ッッッ!!!!】

【草原地帯の仲間からも見えるだろう、崖がひとつ丸ごと消し飛ぶのが。高熱は周囲の木々に着火し、一瞬にして地獄絵図が出来上がる】
【ドロドロに溶けた岩がマグマのように流れ落ちる情景が、あの鎧の脅威を何よりも象徴していて】
【この時アサドの持つ無線機に連絡しても、流れるのはノイズだけだ。果たして彼は、原型を留めているのか…………】


/続きますです……
187 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 21:57:29.59 ID:h/TUrSAUo


――――――――うぉおおおおおおおおおおおらあああああああああああああああッッッ!!!!!


【それを″ナ初に確かめることになるのは、断崖地帯へ一歩踏み込んだ鎧と、居るのならその中にいる者であるだろう】
【消し飛んだ場所から少し離れた、かろうじて被害を免れた別の断崖の上――――水色、氷≠フ属性を帯びた莫大な魔力が飛散するッ!!】
【巻き上がった莫大な土埃の中で、『B-splash』という文字が目立って見えるかも知れない。焼け付くような咆哮の、放たれる先には】
【――――余波を受けてバギーごと吹き飛び、早くも全身ボロボロの状態だが。そこには確かに、巨大な銃砲を抱えた男がいる!】

【そして放たれた砲撃だが、これは先程使ったものの氷属性版だ。着弾地点で弾け、周囲をまとめて氷で閉ざす広範囲砲撃】
【大きく吹き飛ばされた先でどうにか木の枝を掴んで墜落死を逃れたアサドは、近場に運良くこの高い崖を見つけていた】
【足場が悪く狙撃には適さないが、重要なのは『高さ』と『位置』。ここはちょうど、断崖地帯に入った鎧の肩≠ェ近くを通る場所であって】

【もう解るだろう――――砲撃の狙いは鎧の肩だ。ダメージ狙いではなく、展開される氷によってこの崖と肩とを接着する事が目的である】
【所詮は氷、接着と言っても強引に砕かれるのは時間の問題だが…………これによって一瞬でも動きを止め、味方の攻撃を支援すると同時】
【自身はその氷伝いに、先程の砲撃で露出した肩の階段≠ヨ辿り着く。それがこそがアサドの目的だった】

『こちらアサドだ! 全身死ぬほど痛ぇがどうにか生きてる、そっちは無事か!?
 今からヤツの右肩に張り付く! 死にたくねぇからその辺への攻撃は控えてくれると助かるぜ!!』

【とてつもなく危険な賭けであるのは間違いないが、他に手がないのも事実だった】
【攻撃の余波で装置が破壊され、オペレーターとの連絡は途絶。援助も受けられなくなり、長距離狙撃はもう無理なのだ】
【だったら、普段対人戦で行っているとおりの戦法に切り替えるしかない。あの街には家族同然の部下だっている――――命を賭ける価値はある】

【そうしてアサドは、一つだけ残った無線機を使って残る四人と自警団の面々へ連絡を入れた後】
【他の攻撃がすでに肩へ向かっていたのならそれが止むのを待ってから、そうでないのなら一切迷うことなく即座に――――】
【『アルハーディ』を左腕だけで抱え、右手に取り出したナイフを氷に突き立てて振り落とされないようにしつつ、肩の階段へ到達するだろう】

【…………なお、アウ(>>185)の攻撃が無事当たってチャフが散布された場合、この後一時的にアサドとの通信は途切れてしまうだろうか】
188 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 22:01:08.04 ID:h/TUrSAUo
>>187
/あがががミス発見……「肩の階段」ではなく「肩の足場」でした、すみません
189 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 22:06:28.37 ID:scuS7iYc0
>>177-178
「あぁ、やっぱりねー。その船長さんも気さくで面白い人だったよ。出来ればもう少し話してたかったけど、ボクにも用事が出来て…………おっ、命中!
狙い通りやっぱり兵器でも何でも連結部は中々…………へっ?ちょっ――――まさかまさかまさか?!」

【高ければ高いほどに遠くを見渡せる事が出来ても足元を見ることが出来ない。その事を実感すると共に、元より自分たちなんて眼中に無いのかもしれないとの考えが生まれたが】
【侵攻の足を止める一撃を放てる者達を無視する事が出来るだろうか。その事から推理すれば、先までの距離はこの甲冑の死角。二度目からは警戒されようが、攻撃を行うには適切な距離か】
【続けて畳みかけ、一気に終わらせようとするが――――感じるのは違和感だ。ふと見てみれば砲身の口がこちらを向いている。同時に、危機感】
【まさか只の砲弾が飛んでくる訳でもあるまい。ならば魔力の塊でも飛ばしてくるか――――いや、そんな生やさしい物でも無さそうだ】

【飛び退き、その着地の勢いを利用して更に距離を作り。更には一度地面を転がることでやっとの事回避する事が出来たが】
【つい先程まで立っていた大地が抉れる訳でも無く溶けて居るのだ。思わず乾いた笑いが出るのも無理は無いであろう】
【木々もなぎ倒される訳では無く燃やされている。グレネードランチャーこそ放り投げてしまった物の、もし被弾していたらどんな結末を辿っていたなんて想像したくも無い】


「ッ――――…………ったく、幾らメイドは掃除が得意だからって幾ら何でも綺麗にしすぎじゃないかなってボクは思うよ…………
おまけに効果はあっても傷にはならない…………か。いや、効果がある事が分かっただけでも儲けものかな
別に今回は壊すことよりも止める事が重要みたいだし――――」

【もう煙幕も晴れた頃。自分の与えたダメージは如何ほどかと確かめて見たら…………そう、丁度修復され始めている頃だ】
【なる程、確かに厄介な存在だ。だが、効かなかった訳では無い。いや、アサドが放ったような高火力を同じ部位に当てていたら、もし貫き吹き飛ばす事が出来て居たら結果も異なって居たのだろうか―――?】
【全てはもしかしたらの話だ。今更IFの結果を考えるよりも現実のこの瞬間を解決する方が先か】

【勇敢な仲間達の成果を見れば…………破損部位は修復されようとも未だ槍は刺さったまま。――――刺さったまま?】
【そし件の崩れかかった足場。あの日メイドが乗ったときは階段を用いていた】
【副団長に気を取られて搭乗口は分からなかったが――――足場があるならば、その近くにあると考えても良いだろうか】


「カメレオンみたいに色も散々変えちゃって…………お洒落したってお姫様はやってこないよっ、と」

【色が関係している事は何と無く察せる、が。果たしてその色が何で変わるのかはまだ分からない】
【甲冑に攻撃させてその隙を突くのが効果的か?しかし其れでは被害も増える事になる】
【ふと辺りを見れば、断崖地帯。無論甲冑の高さには届かないだろうが――――登るには好機】

【近づけば危険が増すことは分かっている。仲間の攻撃による被害を受けるかも知れないし、甲冑が又別な色を表す可能性だって十二分に考えられるが】
【危険を冒さねば勝利なんて掴めやしない。キョロキョロと自警団員達を見て――――バイクがあるならば其れを使うし、無いならば一番軽い車でも勝手に乗る事だろう】

【そのまま崖の道を行き、急に進行方向を変えたかと思いきや、その先は無謀にも甲冑だ。突撃でも喰らわせるのか?否、それにしては余りにも高度が低すぎる】
【崖から飛び、向かった先は――――ブラッグスの刺した槍だ。途中で車体から離れれば聖で熱を中和しつつ其れを足場としての跳躍】
【そのまま甲冑の体表を蹴り進み、可能ならば足場まで向かおうとする事だろう】
【今の状況、直接攻撃を行うよりもメイドを、詰まる所甲冑の機関部に対して攻撃を行い、気を反らすのが最も良い手だと判断したからだ】

【しかし甲冑も容易には登らせないであろう。もし、修道女の侵攻が不可能になる程の妨害が有れば――――ブラッグスの槍に対して一つの光弾を放つ】
【曰わく、関節の最大可動域を縮めようとの目論見だ】


【――――余談、だけれど。足場を目指した仲間達が他に居て、自身も含め無事に辿り着いたならば「やっ」なんて緩い挨拶も交わされる事か】
190 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 22:09:45.07 ID:GFFiO/N/o
>>183

【言葉少なな相手の態度に、浮かべるのは退屈げな表情……無論、表情だけの話であるし、気は抜いていないのだが】
【しかしその表情も、次第に真剣なものへと変化していく。】

そうかいそうかい、随分とつまんねー考え方だなぁ、おい。
……っ……―――ああくそ、弾数が多くて面倒くせぇ!

【再びの連射に、すかさずディハートは身を右方へ飛ばす。しかしそこを狙っての、更なる射撃】
【横転の形で着地を行っていたディハートは、その弾丸を右の二の腕に受ける】
【―――流れ落ちる緋い雫。腕へのダメージは大きい筈だが、切迫したような表情はどこにも無かった】

……――――痛えじゃねえか……キッチリお返し、させてもらうぞ……

【先程の回避の際の事。何故か風に靡かなかったマントの内側で、何か硬い物が地面と触れる音が鳴っていた】
【―――それが彼に聞こえていたかは分からないが、ディハートはそのマントの左側を持ち上げる】
【するとそこから飛び出すのは――――またもや、赤のカードが4枚】

【そのトランプ達は彼の方へと飛んでいき……頭の少し上を、通り過ぎるだろう】
【外れた?―――そんな考えを抱いたのなら、直後にそれは否定されるだろう】
【そう、さっきも聞いた、ピンの抜ける音が背後で響くのである。またもや、ハンドグレネードだ】

【2枚のカードがピンとグレネードを牽引し、残る2枚はなるべくグレネードが見えない様にカモフラージュ……そういう作戦であった】
【少しの猶予の後、グレネードは炸裂する。それまでに、何らかの対応が必要となるだろう……】
191 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 22:15:24.35 ID:PZ+JWpGC0
>>178

【強烈な砲撃が、ミサイル砲が、各々衝撃音と共に機兵に命中する。ある物は一時的に動きを止める事に成功し、あるものは有効打たり得ずと結果は各々だが】
【そんな中、己の放った槍も関節へと命中していた。他の面々が派手に攻撃する中、己の放った槍は特に爆発することもないし轟音を発することもない。が、熱は確実に金属を溶かし、蝕んでゆく】
【結果は期待以上のようだ。恐らく他の面々の放った攻撃も相まって、機兵は軋むような鈍い金属音を立てながら歩みを止める。間違いなくそれは自主的に停止したのではなく「動けなくなった」からだ!】
【……しかし、何かがおかしい。事前の情報では「自警団の兵力では太刀打ちできない」程の兵器と聞いていた。実際、止められないから我々が呼ばれたのだ】
【しかし、関節以外の装甲が強力とは言えこの程度の砲撃で停止するなら、自警団の兵器でも事足りたはず。――――まさか!】



【―――――太刀打ち出来ないというのは、攻撃が効かないのではなく、「攻撃が強すぎて殲滅されてしまい、戦闘不能に陥った」ということか―――――!!】



【嫌な予感が電撃のように脳髄を駆け巡る。巨大な兵器は何かとんでもない攻撃を隠しているのではないか―――】
【――――予感が的中するのに時間はそう掛からなかった。巨大な砲門が装甲の下より姿を晒し、光が収束し―――……不味い、攻撃への対策は出来ているのか!?】

退避ッ!!皆さん今すぐ速やかにその場を離れて!!
恐らくあれは、主砲――――!!


【届くか届かないか分からない喚呼を響かせ、ブラッグスは崖から可能な限り離れる。それが彼らの耳に届くか届かないかの内に白く、太い閃光が崖を貫く。
【離れたにも関わらず、背後から爆風が襲い、体を蹂躙する。―――自分は転倒で済んだが、彼らは無事なのだろうか】
【同時に鎧は周囲一帯に砲撃を撒き散らす。我が身目掛けて飛来する砲弾を左手から放つ槍で弾いて逸らしつつ、退避、退避、退避……!】 

【――――暫く後。砲撃は止んだのだろうか、ようやく響き渡っていた砲撃の轟音は止まり、砲門が仕舞われる】
【そして、次の瞬間……】

――――嘘……でしょ……

【―――我々が挙げた戦果は、尽く無かったことにされたのだ。虹色のオーラが機兵を包み込み、損傷の全てが修復されてしまったのだ】
【成る程、一般兵器では太刀打ち出来ないとはこういう事か。漸く事の次第を理解できた……予想を上回る事態ではあるが】

【己の放った槍は股関節に刺さったまま。自分の知る限り、あの槍は並みの金属なら溶かしてしまう筈なのだが……一体どういう事だ】
【あの状態では熱は効かない?いや、いっそ「外的衝撃が効かない」と考えたほうが良いのか?】
【……分からないが、熱が効かないということは今自分はあの股関節を攻撃する術はない。ならば他の部分を攻撃するしかあるまい】

【(>>187)――――無線で連絡が入る。SCARLETの、獅子の如き勇猛でその名を轟かせている男からだ。良かった、生きているらしい……!】   
【しかし安堵も束の間、彼はとんでもない事を口にする。――――あの鎧の肩に張り付くというのだ。】
【先ほどの攻撃では彼も手傷を負ったに違いない。それでも尚乗り込まんとする彼の果敢さには、敬服するばかりだ……!】
【ならば、自分がすべき事は彼の援護!彼が賭けに出るなら、己はその「賭け」が外れになる確率を少しでも下げてやることだ!】
【動きが止まれば、彼も階段を登り易い筈。自分なら止められる……!】

【先ほどの挙動で修復することは重々承知。しかし、一時的に動きを止めることは出来る筈……!】
【左腕を構えると一発、二発―――狙うは、首元。二つの紅蓮の槍が先ほどのアサドと同じ箇所目掛けて飛んで行く!】
【二つの槍は、首元に到達した瞬間互いに魔力が反応しあい強烈な熱風を伴う。少しでもいい、止まってくれ――――!!!】
192 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/10(月) 22:17:58.76 ID:KPXwqXOB0
>>180

【騎士は谷山の能力を、きっと強化や補助の能力だろうと仮定していた】
【しかしその思考が一瞬飛びそうになるような光景が目に映った】
【彼は自ら腕を切断するように仕向けた、それは並の人間では考えられない行動】
【直後、現れた異様な腕、様子から見て痛みで苦しんでいる訳ではない】
【しかし、そんな事を一々詮索する程の余裕はないのも確か】

【敵の引き抜くリボルバーを確認すれば、直ぐに身構え 射撃に備える】
【放たれた銃弾は通常の弾ではなく 散弾であった、その鉛弾の嵐は騎士の鎧を砕こうと襲い掛かる】

……甘く……! 見るなよ……!! この程度……ッ!

【すると騎士の身体を突然、青白い焔が包んだ】
【そこにはまるでもう一人の騎士が居るようにも見え、焔が黒騎士を庇う様にして散弾を受ける】
【この焔に威力を殺され、弾が黒騎士に届かない、これが恐らく彼の異能】

ッ……ハァ……ハァ……

【しかし騎士は何故か息を切らしている、ふっと焔が消えると彼は膝をついた】
【まだ一度しかこの場では使っていない、きっと相手は疑問に思うはず】
【だがこれは攻撃の確かなチャンスであった】

193 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 22:19:49.68 ID:NYJyygkZo
>>182
この姿に対する感想は聞きなれているが、「変わった」で済ませてくれたのはお前が初めてだよ
…………。ぎりぎり……いや、そうだな、お言葉に甘えて忘れることにする

【カニバディールが、面食らったような様子を見せる。微かに眉をひくつかせ、どこか安堵したような様子すらあった】
【だが、少年がその身一つで悪に対峙する姿勢を見せた時、その表情は再び悪意に塗れたものに戻る】
【その瞳の中に宿る意志。やはり、二度にわたって邂逅したあの少年のものとしか思えなかった】

【自警団員と警備員の安否を確かめる男性には、異形どもは意識は向けたままでも目は向けず】
【今の脅威は、少年の方だと認識しているからだ。歩み寄る男性の姿を見て、思わず自警団員らは驚き、呻き掛けるがそれをどうにか抑え】
【自分たちの怪我の程度を確かめている、と分かれば「申し訳ない……」と不甲斐なさに震えつつ、その身を召喚された鷲に預ける】


召喚術か……珍しい力を使うのだな
(頭上から、状況を認識されるのは面倒だ……またもや厄介な相手に当たってしまったな、この非常時に……)

【男性が少年に拳銃を投げ渡すのも、鷲が男性と自警団員らを乗せて飛び立つのも、黙って見過ごす他なく】
【苦々しい思いを、表に出さないように抑えつける。少年が鼻で笑うのも聞こえたが、カニバディールは一切意に介することもなく】
【一つ目の前に、少年の戦闘行動が飛び込んでくる。銃声。立て続けに二発。少年の取った行動は追撃。銃弾が、異形目がけて飛来する】


――――フン
[ウィーン……]

【先ほどの意趣返し、とばかりにカニバディールは鼻で笑った。と、その喉の肉が不気味な音を立てて膨れ上がり、一つ目を狙う銃弾を受けた】
【肉塊と化した喉肉に穴が空き、僅かに血が滴る。肉塊から銃弾が押し出されて地面に落ち、喉肉が縮んで元に戻る】
【肉を膨張させたことによるガード。カニバディールの喉は、わずかに傷付いた程度だ】

この能力を見ても、まだそう言うのか? 人違いだと……?
双子の兄弟か何かかね? 他人を語るには、お前は彼奴に似すぎている

……いいや、お前の相手はごめんだね。オートマーダー、足止めしておけ
[ガシャン……了解、シマシタ]

【未だ、表情から僅かな困惑は抜けない。見知った敵の一人、そのはずだ。しかし、この少年は人違いと言い張る。そうすることに、メリットがあるのか】
【測りかねているカニバディールに対し、オートマーダーはただ与えられた指令を遂行する】
【カニバディールが少年に背を向けて走り出し、少年の前にオートマーダーが立ちふさがる】


【オートマーダーに飛来した銃弾は、その足を掠めていた。直撃は避けたとはいえ、常人なら体勢を崩してもおかしくないダメージのはず】
【だが、その身体は身じろぎもしなかった。そのことから、オートマーダーの異能の一部がわかるかもしれない】
【痛覚遮断。自身の持つ感覚を機械のように操作できる能力、その一端。疲労も苦痛も一切を感じずに、この義手男は蠢き続ける】

【だが、その肉体は人間の物。痛みは誤魔化せてもダメージは別。その動きは、明らかに鈍っている】
【しかし、止まることもない。ツルハシを振り上げて、少年に突進していく。カメラの如き高性能を誇る瞳が、少年をしっかりと捉える】
【接近に成功すれば、ツルハシの先端が少年から見て左斜め上から振り下ろされようとする】

【だが、大振りなこの一撃はフェイク。少年なら、簡単に避けられるはずと見越して】
【彼が避けた方向へ、オートマーダーの義手の片方による腹部狙いのパンチが襲い掛かろうとするだろう】


【さて、上空に飛んだ鷲の上から、男性の目に飛び込む光景。コンテナヤードの全域の状況】
【機関兵らの撤退は、まだ完了していなかった。残り僅かなトレーラーが、船の中に乗り込んでいく】
【船着き場にてその有様を見守りつつ、見張りを務めるは先の蜘蛛脚女・ネグティー。おろおろと、周囲を見渡している】


【少年とオートマーダーが対峙する位置から少し離れたところを、カニバディールが疾走していく】
【少年から少し離れた位置、少年の死角となるコンテナへ、肉の膨張を利用してよじ登ろうとする一つ目の巨大が見えるはずだ】


【少年から見て、右にしばらく行った先には、管制室がある。メインコンピューターを前に、四苦八苦する二つ頭の異形の姿が、ガラス越しに見えるはずだ】
【二つ頭のによる対策で、海上ゲートが動き始める。その動く速度から見て、あと2レス後には海上ゲートが再び開かれることになるだろう】
194 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 22:32:59.21 ID:phfNusZdo
>>184

【バランスを取り直して、一息。一瞬で全身に汗を感じる。動いただけじゃない】
【戦闘独特の空気の重さ、ストレス、恐怖、興奮、モラル、フラッシュバッグ。全てが重荷になる】
【躊躇いのない余裕の動き、六罪王ってのはこんなにも”ストレート”なのか。厄介だ】

……理解できるかよクソったれ。猿でもわかるほど噛み砕いたって、理解したかないね

【彼奴の声が真白で純白ならば、彼の酒と煙草に焼けたしゃがれ声は不完全な黒だ】
【幾つもな色が混ざり合って生まれた黒色。常に一度だって同じ配合にならないアンバランスな黒】
【だからどうした!お互い何も狂っちゃいない。戦場で[ピーーー]か殺られるかは当たり前だ。狂ってるのは全てだ!】
【だからこのサングラスの男も逃げ出さない。それが道理。ダンスホールで音楽がなれば踊らなくちゃならない】
【だから彼奴にこちらの銃弾が全く効いていなくとも、心臓があるウチはピストルを構えなくちゃならない】

―――うらぁぁあああああああああッッっ!!!

<BAMBAMBAMBAMBAMBAMBAMBANGBANGBANG!!!>

【数撃ちゃ当たる、無鉄砲。この言葉の説明にふさわしいぐらいの乱れ撃ちだ。だが、狂乱ではないようだ】
【目の前の敵めがけて辺り一面にばら撒くように撃ちまくっているせいで殆ど床やら壁やらに食い込んでいるが】
【言葉の通り弾幕を張って、近寄せないようにすることは出来ている。連射連射で撃鉄は火花を散らす。撃ち鳴らす】

【だが、相手の技にはそんなこと関係ないんだろう。剣はするりと目の前に現れる。射撃は中止。またバックステップで回避】
【そしてまんまとフェイクにはめられる。反応は早かったが、力負けだ。顔を動かすのが精一杯、避けきれず頬にクリーンヒット】
【歯が飛ばなかったのは幸運だ。だが顎に貰ったせいでぐらりと視界が揺れる。ゆれるゆれるゆれるゆれるゆれるゆれるぐらぐらだ】
【ロープ際に寄せられたボクサーのように銃を持った腕を柵に絡ませながら、必至に倒れないように体を支えている。がら空きだ】

…………―――――Great Balls of Fire.

【ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!!炎が弾ける。小さい火の玉のようなものが連続して彼らの間で弾け出した】
【彼の放った銃弾の”ハズレ”。彼の拳銃には隠し技が残されていた。銃にある炎属性。弾を小さな火の玉へ変えたのだ】
【しかし、ここを火の海にするほども、相手を燃やすほどもない。すぐに消える。ただ、夜に慣れた目で炎を見ればどうなるだろう】
【こちらはサングラスだ。だが、向こうも甲冑だ。エスキモーは木の板のスリットでサングラス代わりにしていたというが……】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 22:35:24.63 ID:fagtFsm70
【森の奥――泉のほとり】
【しんと降り続く雪の止んだ幕間、そっと差した月明かりが新雪を白く煌かせて】
【こんな夜は生き物だって巣に篭る、それなら、さくさくと踏みしめていく足音は異物のようによく目立つ】
【泉のすぐ傍で立ち止まった足音/気配は、しんと静まりかえる夜にゆっくりと馴染んでいくように、そこにあった】

…………――、

【水面につんとした影が映りこんで微かに揺れる、そっと立つのはひとかげがひとつ、少女のかたちで佇んで】
【街のほうから点々と続いてきた足跡の終点がここ。足跡にきらりと煌くのは、御伽噺の目印みたいに】
【桜色の魔力が足跡にこびり付くようにして煌いていた。ゆっくり遠くから消えていくのは、それでも緩やかで】
【たとえば誰かが興味を持ったとして、追いかけることは十分に叶うだろうほど。夜に煌いて、飾り立てるようだった】

――もう一年経つんだ、去年から……、……。

【ほろりと剥がれ落ちるようにこぼれた声、夜の中にしんと響くのは。鈴の音によく似た声質、暗がりに映えて】
【水面のすぐ傍でそっとしゃがみ込む、月と顔と、水鏡に映しこんで――ふ、と笑って見せた顔が、映り込んだ】

【――真っ黒く夜の色をした髪は腰ほどまである長さ、途中をふんわりと巻かれたマフラーに押さえつけられて】
【黒色と赤色のオッドアイは硝子玉のようにまあるく艶めく、右耳だけに嵌められたピアスにあしらわれた宝玉が煌いて】
【リボン飾りの多いショートコートと黒色のプリーツスカート、赤いラインが裾に沿って入った、デザインのもの】
【しっかりと地面を踏むのは雪の中でも大丈夫そうにしっかりしたロングブーツ、ベルトの飾りがちゃりと鳴いた】

…………――、

【薄らと口元に笑みを湛えたままの思案顔、絶えず水面を見つめたままなら、しんと静まりかえる空気があって】
【やがて足元の雪を掬い上げる仕草があった。ぎゅうと握り固めたと思えば、そっと水面へと落とし込んで】
【ほろほろと崩れながら落ちていくのをじっと見つめていた、――遠目に見れば、水面を見つめて思案する以外の何でもなく】
【時間も時間、ひとりぼっちでこんな森の中に居るのは、(ひどく不穏なようにも、或いは見えたのかもしれない)】
196 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 22:37:03.82 ID:IAbIFUCTo
>>192
【6度の銃声、マズルフラッシュが視界を染める】
【そして、その白く染まる視界に更なる白が映り込む――すなわち、相手の異能、炎だ】
【現状青年が通常扱う物理的最大火力であるその散弾を防がれたという事は、今後は正攻法であの鎧を貫く術は無いということ】
【リボルバーをホルスターにしまい込み、青年は己の五感から読み取ることの出来た情報を精査し、それに相応しい判定を引き出していく】

「――――ちィ、防がれたか……!」

【その一言の間に、超加速された思考が回る】
【全身から吹き出す鮮血、その痛みすら思考を冴え渡らせるスパイスとして】

(だがこれで収穫は出来た。……相手の異能は今の炎で多分間違いない。
んでもって予想するにそう多用できるほど負担が小さい能力でもねェ。
生命力か何かを代償に発動するタイプの可能性が高いな――――そして、単なる炎でもない。
……よし、ここまで試算すれば十分。――後は、叩き潰して潰し尽くす、だけだ)

【所要時間は0コンマ1秒以下の一瞬の思考。そして、青年は行動を開始した】
【ベルトポーチに左手を突っ込み、引きずりだしたのは――哲学者の卵=Bカノッサ機関が生み出した、狂気の種】
【幾度と無く人々の人生を狂わせ、カノッサ機関員ですら昨今は好んで扱うものがまず居ない――そんな旧世代の遺物】
【災いの具現たるそれを掲げた青年は、昏い瞳に宿る正義≠きらめかせ――己の異能を昇華させる】

「Dual Core=\―――哲学者の卵強制人工孵化=\―――」

【膨れ上がるノイズの群れが、左手に握りこまれる哲学者の卵に収束していく】
【哲学者の卵を付加させる要因は、強い情動――それも、負の感情に強く反応する性質を持つそれ】
【ならば、負の感情という情報≠無理やり哲学者の卵に送り込めば、此方の任意によって強制的に卵を孵化させる事も可能となる】
【孵化した後の、荒れ狂う力と狂気の群れを制御できるかどうかは――また別になるのだが――――】

「Hello――――――――」

【破裂音。青年の左手に握りこまれた哲学者の卵が破砕し、空間を歪めるほどの狂気の力が吹き上がる】
【並の精神では、近くにいただけで一時的に錯乱しても可笑しくない様な、そんな歪みきった力の発現。正義のそれでは決して無いもの】
【イメージカラーである蛍光グリーンのノイズの群れが、赤黒いノイズにとってかわり――そして、青年の肉体もまた粉砕していく】
【右目が砕け散り、僅かに残っていた左腕の残骸も崩れ落ちる。体内の神経系が砕け散り、そして青年の肉体が新たにアートマンによって補完されていく】
【右目が再構成、左腕が再構成、神経系が再構成。全てが、アートマン。青年の掛けた生身を補うように、肉体がアートマンと入れ替わる】
【どこまでが人で、どこからが異能か。それすら曖昧な、異形の姿。――――悪の力で悪に立ち向かう、正義の徒は己の異能を高らかに名乗りあげる】

「――――Next World!!!」

【姿が消える。肉体の構造がアートマンによって再構成されたことで、身体能力が人間の域を出はしないものの底上げされる】
【そして、そのスペックを最大限に生かす神経系によって、移動するという行動が最大の効率を以て実行されるのだ】
【異能の負荷によって、全身に刻まれていた傷は開き、赤黒い血を辺りに飛び散らせる。が、それを意にも介さず、掛ける】

「落ちろやァ――――――――――ッ!!」

【雄叫びを上げて振りぬかれるのは、右拳。相手の顔面を狙い叩き込まれるそれは、装甲を抜くノイズの拳】
【当たれば次に与えられるのは、痛みではなく麻痺の効果。一度二度では行動不能にはならないが、次第にそれは毒の様に効いていく】
【異形の姿、悪逆の力、狂気の心。それら全てを背負い、青年は正義を掲げて対峙し――掛けるッ】
197 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/10(月) 22:39:11.53 ID:5V5lpYClo
>>185>>186-187

【まず第一に効果を発揮したのはアウの用いたアルミニウムの粉末であった】
【つまるところチャフグレネードと同等の効果を持つそれが放たれるや、再度開きかけた砲門が動きを止め】
【肩の辺りを覆っていた装甲が半開きの状態で止まってしまうのがよく見て取れるだろう】

【つまりこのヴァルゴ、一部のみならず機械的な面が有るらしい。少なくともこの粉末が有る間は――】
【先ほどの様な無差別砲撃は起こせないと考えていいだろう。目に見える効果はなくとも、その一点は非常に大きな進歩だと言えた】

【一方で脚が止まらないところを見ると黒煙は効果薄か。視力に頼る点も有るのだろうが――】
【もしかすると巨体と走破性を頼りにして進んでいるような所も有るのかもしれない。】


【また丁度、肩の装甲が途中で止まったことがアサドの戦略に幸いした】
【もしもそのままアウに向かって砲撃が再開されていれば、アサドもまた焼かれていたに違いないからだ】

【だが、実際にはそれは無く――そして強烈な氷の属性が、鎧と断崖をつなぎとめる】
【アサドがその肩に移るのは難しくない。氷もやがては溶けてしまうだろうが、移動の時間くらいは有る】
【すさまじい上下動と強い風が周囲にはあったが、決して足場に辿り着くのは難しくなく】

>>186-187>>189>>191

【加えて、アサドの――そしてグリースの移動を手助けするのがブラッグスの槍だ】
【砲撃は表面で弾けるが、槍は刺さったまま。恐らくそもそもにして、貫通性能に弱いのだろう】
【硬い分、刺さると抜けない。足場としては最上だろうし、実際利用するのも難しくはなく】

【足場へ向かう二人は各々苦労こそあれ、後援のUT構成員のお陰で目的箇所に辿り着くことが出来るだろう】
【急勾配、柵は無し、崩落箇所あり。古びた橋のような不安定さだったが、足場は確かに上部へ続いている】

【上り詰めればそこは後頭部。ハッチ式の扉が一つだけあって、動くが――果たして入って、良いものか】
【部屋の奥からは荒い息遣いが漏れていた。同時に、濃厚な血の匂いも僅かに薫るのが不審だった】

/続きます
198 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/10(月) 22:39:56.73 ID:5V5lpYClo
>>ALL

【それはアサドの氷を受けてからか、それともブラッグスの槍が熱風を巻き起こしてからだったろうか】
【――機兵がその色を白金に変える。黄銅では物理が効かず、魔術・属性攻撃を受ければ白銀に変わる】
【つまり、ある種の属性の攻撃を受けるとそれを無効化するように変化するというワケか】

【殴られれば物理を無効化し、魔撃を受ければそれを跳ね返すように。】
【だがその無敵性はあくまでも一種類だけと見える。証拠に、槍はまた鎧に刺さったではないか】
【最も、虹色のオーラで直ってしまうのだから完全破壊という活路は見出だせないが――】


【さて、機兵は妨害を受けながらも断崖地帯へ差し掛かった。此処では崖の上からヴァルゴへと】
【その高さを考慮しなければだが――飛び乗ることも出来るだろう。アサド、グリースの判断は的確かつ迅速であったと言える】

【ただ更に加えて言えば、ヴァルゴもまたこの断崖地帯の危険性を把握している様子であり――】
【先ず、通りざまに巨大な矛を崖に向かって思い切り突き出し、地盤に叩きこむと】
【ほんの僅かな間をおいてから矛が、ヴァルゴが、そして地盤から大地全体が微動を始め】

【――敢えて震度≠ニいう尺度で示すのなら、5≠ゥ6≠ゥ】
【そう、地震だった。ヴァルゴはどうにかして大地を振動させ、周囲の山々を揺らしはじめたのである】

【こうなるとマズイのは山岳に居る面々だ。先ほど強烈な一撃を受けた山体が、そうそう強い地震に耐えられるはずもなく】

【崩落は崖からであった――巨大な石々が落下を始め、燃え盛る木々が根ごと抜け落ちて斜面を下り】
【やがて起きるのは土砂崩れ。先に戦場だった山間の谷を埋めるように、それは発生した】
【逃げるなら急がねばならない。『「攻撃が強すぎて殲滅されてしまい、戦闘不能に陥った」』】
【そういうブラッグスの想像が現実になるような、考えを実証するような一撃だった】



【―――同時刻・都市部ビル群の巨大モニター】


『おおっとォ、見えてきましたよ巨大機兵=Iいやぁ凄いですね、見てくださいあの大きさ……!
 私、今ある建物の17階に居るのですが……同じか、もう少し高いようなサイズに思われます!
 現在、巨大機兵は山間を抜け、断崖から草原に差し掛かる様子ですね。肩には……あれは氷でしょうか?

 いえ、その……何分遠いものですからハッキリとは言えませんが、どうやら能力者が戦っているようです!
 あのサイズを相手にどう立ちまわるのか取材できないのが実に残念ですが……我々はまだ退避せず、限界まで機兵を捉えるつもりです!
 
 この後もルネサンスTV≠フ中継放送、どうぞお見逃しなくッ――!』


【それは単純な、ただ違法に近い――退避勧告を無視した報道の始終だった。だからどう、というわけではない】
【偶然付いたその番組の声が聴こえるほど、既にヴァルゴは都市部に近づいているのである】

【山間は埋める。断崖は崩して、そろそろ草原に差し掛かる事となるか】
【搭乗者のいる場所は既に特定されたようなものだが止まらない。一方で、草原といえば――】
【そう、あのトラップが有るはずだった。あっという間に踏破されてしまったが、どこまで掘れているだろうか】
【それによって今後の動きが大きく変わる。白金に染まった巨兵は、今草地に脚を踏み入れた】
199 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/10(月) 22:50:11.94 ID:7JwAdDzMo
>>194

【夜の中の攻防、ある程度大きさはあろうがそれでも灯台の頂上は広くはない】
【通常の人間であったならば、弾幕に対し怯み、攻撃を躊躇したのだろう】
【だが、彼は違う、ばら撒かれる弾丸を前に、一歩も揺らぐこと無く耐えてみせる】

【甲冑に弾かれるであろう弾丸、その強固さが伺えるだろうか、故にどれだけの重さがあるのかも、計り知れない】
【剣、そして追従する左手、顎に放った一撃は決して軽い一撃ではなかった】
【追撃が来る、柵に腕を絡ませた貴方の眼前、そこに彼の姿はなく】

【貴方の顎へと一撃を入れた、虚空に浮かぶ左手≠ゥら身体が現れていく】
【白が夜闇を侵食するかのように、その色を滲む一端に翳すかのように】
【靡くマントが呼吸をしたなら、貴方の目の前に出現するのだろう】


見解の相違だな、別に受け入れてもらおうとは思っていない
そなたにそなたの価値観があるように、私には私の価値観がある
私がこの世界に居る意味を、推し量ることはできまい


【右手を下に向けたなら顕現する両手剣、どうやら彼にとって、間合いも空間も意味を成さないようだ】
【そして身体全体を包む甲冑が、高い身体能力を後押しする】
【小細工も何も無い純粋たる強さ、それが六罪王≠スる所以か】

【近づけば分かるだろう、その体の中にどれだけの闘気を備えているか、を】
【人の身で練り上げられたとは到底思えない程に、研磨された英気を】
【呼吸の音が零れたなら、右手に込めた刃へ力を篭める】


――――――ッ!!あっ……ぐっ……ぅ!!


【瞬間、燃えがる焔、それによって照らしだされる夜、黒を塗り潰す光の雫】
【刹那、声が歪んだ、振り抜こうとした刃が硬直する、苦しげな音が世界に混じる】
【彼は貴方の方を向いたまま、仮面の下の顔を歪める、貴方の狙いは成功だったのだろう】

【仮面によって顔全体を覆い尽くしている、にも関わらず急激な灯りに目をやられた】
【それだけではない、貴方の焔は、彼の巨大なマントの先端を焼いたのだ=z
【風が爆ぜた、振りぬいた右手の刃が自身のマントの火をかき消す、僅かな火であったが、苦悶の声は消えず】

【よろよろと一歩、二歩と後退したなら、肩幅に両足を広げ、体勢を整える】
【甲冑に釣り合うマント、見た目としては大切だろうが、戦闘にはきっと不必要であろう】
【――――――何か理由が、あるに違いない】
200 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/10(月) 22:57:23.55 ID:CYsX8Dqo0
>>190

 …あいにくとそのようにつまらない考え方で生きてきた
 では――貴様はどんな考えで生きてきた
 
【つまらない考え方、そのように言われたのは今初めてでもない】
【だが、そのような考え方だからこそ自分は生き延びてきたのだ、だからこれからも変わることはなく】
【そして、一つ自分は問うだがそれは一つの時間稼ぎ】
【相手が退屈げな表情であったが徐々に真剣な表情になっていく、ならばこちらも警戒を強め】

 ……お返しなどはいらんのだがね

【ディハートが自分の攻撃に対して予想通りの動きをした、だが男はそれで満足はしない】
【相手が何を仕掛けてくるのか――ディハートは仕掛けてきた】
【ディハートがマントの左側を持ち上げる動きにも警戒をして】
【そしてそこから出てくるトランプが自分の方へ向かって男は当たらないとそうかんで判断し】
【特に回避行動へ見せなかった、だがなぜそのようなことをしたのか――答えはすぐに来た】

【ピンの抜ける音それを聞き男はすぐさま前方へとローリングするが間に合わず】
【炸裂したグレネードの爆風を直撃はしなかったが受けた】
【爆風により吹っ飛ばされてそのまま地面に落ちる、受身は取ったがダメージは大きい】
【さらに焼けどもおったが、今はその傷みを気にしているひまもなくポーカーフェイスを維持する】

 ……――厄介なことをしてくれる

【男はそのように言った後に空になったマガジンを取り出して――ディハートに投げつけた】
【そのマガジンはただのマガジンではない男能力により爆弾になっているのだ】
【そして男はマガジンがディハートに十分近ずいたとこりで爆破、さらにK666を方に向かって撃つであろう】
201 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 23:00:12.75 ID:dPgGlSAv0
>>193

「………何やアレ………きもちわる……」


【相手の能力―――特に喉の辺りの肉を膨張、それは文字通りの肉壁となり、被害を最小限に食い止められる……まあ、そんな所だろうか。】
【それに対する反応は、極めて素直な物だった。"気持ち悪い"、男の表現した"変わっている"とは一回りも二回りも悪意の籠もったものだろう。】
【然し、そんな感想を持つというのは、矢張りこの少年にとっては初対面―――そういう事になるのだろう。演技をしている訳でも、何でもない。】

【そしてもう一つ、あの筋骨隆々の男に"足止め"の指示を下したアイツが支配者であるのは間違いない……という事も理解した。】
【攻めるべきは、無論ボスから、だ。だとすれば、下っ端に時間を取られる訳には行かない。然し向かって来る敵、体格は桁違い―――。】

【少年は相手の動きの僅かな差異、例えば癖であるといった様な物を認識し、其処からその穴を突く、弱点を導くといった行動を得意としている。】
【彼が此方に迫って来る際、足の動きに微かな違和感があった事に気付けたのは、恐らくそのお陰。被弾、然し表情も声も発しなかったが、】
【それでもこちらの方は確かにダメージを受けている―――そう確信した所で、少年はもう一人の大男の動向を確認しつつ、回避行動に移る。】

【喰らったのなら一溜まりもないであろうツルハシ、明らかな前兆があった故に、之がフェイクなのだろうと言う事は意識せずとも分かっていた。】
【だがその先、回避しつつ、次の攻撃も―――と言うのは、来る事を知っていたとしても中々出来る物ではない。少年は止むを得ず、その拳を左手で受け止めた。】
【……恐らく、純粋な力比べでは負けてしまうのだろう。だとすれば拳を弾き、透かさず振るうはローキック―――狙ったのは矢張り、足だった。】
【超至近距離、加えて、能力の発動もある。一般の男性が喰らったなら大腿骨が折れ、そのまま倒れ込む、再起は不能といった所になるだろうか。】


『あ、言い忘れてたんだけどぉ〜! オートマーダーちゃんって言うのね、アナタはイケるわぁ〜!』
『マッチョはタイプなのよぉ〜! うふ、ふふふふ、ふふふふふ…………』


【上空で雄々しき声が響き渡る、が……無視して良い。】

202 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 23:20:39.12 ID:h/TUrSAUo
>>185 >>189 >>191

ハッ…………命知らずってのはどこにでも居るもんだな!
改めて、アサド・アル=アーデルだ。行き先は地獄かもしれんが、ここまで来たんだ…………付き合ってくれるな?

【痛む体を引きずってどうにかこうにか足場まで到達してみると…………同時刻に、同じ事を考えた者が居て】
【一瞬驚愕の表情を浮かべた後、おかしくて堪らないといった調子で笑い出すだろうか。それはグリースに向けたものであり、同時に自嘲でもある】
【直後、少し遠くの首元でブラッグスの槍が炸裂して。釣られて草原地帯の方を見れば、ヘケメトとアウ達の姿も辛うじて確認できる】
【…………アサドの表情に、あの不敵なものが戻ってくる。他ならぬ自分が最初に言った「一人ではない」という言葉の意味を、本当の意味で実感して】

んじゃ、行くとすっか…………!!

【アサドはひとつ呟くと、腰を据えて足場に全力で踏ん張り――――サイドグリップを≪B≫から≪E≫へと換装し、弾種を変更する】
【威力だけで言えば≪B≫の砲撃が有効だが、この距離での範囲攻撃はグリースも巻き込みかねないし、そもそも反動で滑落してお陀仏だ】
【照準を付けないままに、アサドは四回連続で引き金を引く。軽い反動に橙色のマズルフラッシュと同時、モニターには『E-bit』の文字が浮かび上がり】
【そうして飛び出したバスケットボール大の弾丸四つは、しかし真っ直ぐ飛ぶことはなく、アサドの周囲に侍るようにして静止するだろうか】


>>197 >>198

っぐ、ぉお…………ッ! クソ、暴れんじゃねえよ!! 傷に響くだろうが…………!!

【鎧が矛を振りかざした瞬間、アサドは攻撃を察知して更に身を伏せる。直後、激振――――!!】
【右手からナイフが滑り落ちて、一瞬で見えなくなる。その光景に肝を冷やしつつ、振り落とされないよう必死でしがみついて】
【普段は機動力を落とす欠点となる『アルハーディ』の重量が、今はいい方向に働いたようだ。銃砲の重みで体幹のバランスを保ち、どうにか振動をやり過ごした】

…………しっかしこの色変化、物理攻撃か特殊攻撃かをキーに入れ替わってやがるのか?
だとしたら、形態変化で弱点を補ってる訳か…………クソ、アニメの巨大ロボかコイツ! ちょっとカッコいいのがなおムカつくぜ!!

【振動が収まったのを確認すると、アサドはグリースの事も気遣いつつ、足場を上へ上へと登っていく】
【黄銅色から白銀色へ――――途中、間近で変化した色の原理とその厄介さに気づけば、暢気な冗談を飛ばしながら装甲を思い切り蹴り飛ばす】
【全身の傷の恨みも込めて、更にもう一発。何とも下らないやり取りだったが、気を紛らわせるにはそれで十分だ】
【そうしてしばらくすれば…………アサドは無事、後頭部のハッチ前にまで辿り付くだろう】


…………どうやら操縦者≠ニやら、実在したらしいな。
早速ご対面、と行きたいところだが――――!

【濃厚な血の香りに、扉一枚隔てた荒い吐息。確実に誰かが居て、そして何かが起こっている】
【このまま馬鹿正直に飛び込むのも危険だ。アサドがそう判断した直後、周囲に侍っていた弾丸のうち二つが移動を開始するだろうか】
【弾丸は最初に狙ったのと同じ首元の鎧の隙間へ素早く飛び込んでいくと、そのまま軌道を上へ変えて】
【二つの弾丸は、時間差で頭部の内側へと突っ込むと――――そこで勢いよく爆散、頭部を内側から焼き焦がそうとするだろう!!】

【この橙色の弾丸は、着弾するなどの強い衝撃を受けるかアサドの任意のタイミングで爆発を起こす、遠隔操作型の砲弾だ】
【至近距離で爆発しない限りはそこまでの威力もないし、目視もなく突っ込ませたせいで軌道も単純。対応はそこまで難しくないが――――】

――――開けるぞ、一応構えとけよッ!!

【アサドはその行動と同時、グリースへ向けて声を掛けると、ハッチに手を掛けて勢いよく明け開くだろう!!】
【もちろんいきなり飛び込む愚作は犯さない。扉の隣に背中を張り付け、まずは首だけで中の様子を伺う】
【先程の弾丸は、この突入から相手の気を逸らすための方策だ。二つの弾丸が時間差で爆発すれば、内部の人間はそちらに掛かり切りになると踏んだ】
【例え頭部の中に隙間もないほど操縦機械などが詰まっていて、弾丸が内部へ入り込むのが失敗したとしても】
【弾丸は何かしらの器物にぶつかった瞬間に炸裂し、少なからず後頭部の設備を壊すなり揺らすなりして気を引くことができるだろう】

【――――アサドの銀の双眸が、ハッチの内部に注がれる。この巨人を操る者の正体は、果たして】
203 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 23:28:20.43 ID:JUcQF+JVo
>>187,189,197-198

『動きが鈍ったような気がします、が……通信が一時的に途切れましたね、近づいていた方は大丈夫でしょうか』

【アウの放ったアルミニウム粉末+煙幕の弾はある程度の成果を上げた、と言っても街中からでは殆どわからないが】
【しかしそれと同時にアサドの通信が一時的とはいえ途切れたのがわかった、それだけが不安だった】
【あの騎兵に近づいた勇気ある者が居る、彼らに悪い影響が及んでいなければ良いが――】

『そして……ヘケメト、いい加減終わりましたか?』 「もォーちょい、もォーちょいッ!」

【重機でもないのに重機ばりの仕事である、この掘り進み具合は――気合でどうにかなりそうな無いが、現実はなっている】
【裏の話をすれば、ヘケメトが勝手にどこかに行くことを見越してアウが予めアタック・アッパー(物理攻撃)とヴェロシティ・アッパー(攻撃速度)を上げていたのだが】
【――もうヴァルゴは草原地帯まで迫っている、早く完成させなければ……そして、誘導しなくてはならない】

「ッ、揺れて……ッ」 『……私の脚であの距離は……いえ、行ってみせましょう』

【あと少しで掘り終わる、そんな時に揺れたのだ、……一度掘り起こした土がまた入ってきてしまう】
【いや、そんなことはさせない――直後、炸裂音が聞こえた……気合が爆発したのだ、比喩ではなく】
【それは入り込む土を吹き飛ばし、そしてついでではないが落とし穴を完成させた】
【――そういえば、土の量が穴の体積と合致しないが、――アウのポケットは異次元的だった、では彼はどうか。同じだ。】

【――深さ・直径ともにヴァルゴの片脚が膝ほどまで十分入れる程度と言ったところか、さて後は……】
【先程の砲台をアウが持った、質量保存の法則を無視してポケットから出てきたが、1人では到底持てない】
【ならば、一旦しまえば良い、このポケットの中に。そして……】
【フェベロリゲステスプ(光になる技)――アウは光となって、ヘケメトの元へと飛んでゆく。これなら揺れは関係ない】
【といっても速度まで光とは行かないのでそれでも急が無くてはならない――】

『ヘケメト、……誘導しますよ』 「えェー」
『あなたでしょう、穴を掘ったのは……片足だけでも大きな損害を与えれば、止められるかもしれませんからね』
『……直される可能性もありますが……もしかすれば、近づいた者が搭乗者をどうにかしてくれる可能性もあります、それには動いていないほうが安全でしょう……』

【まずは元の姿に戻り落とし穴の後ろに砲台を再セット、発射準備をしつつ――落とし穴を仕上げる】
【予め自警団から受け取っていた複数の対戦車用の地雷を穴の底に設置、そしてそこに補助をかける】

【――ニードルマイン。地雷の炸裂と同時に棘も炸裂させることで、更に攻撃翌力・また、関節といった部分への攻撃の行き易さを上げる】
【――アタック・アッパー。地雷は一般的な物、つまり物理系なので、その攻撃翌力を増強させるのが目的だ、それにニードルマインも強くなる】
【――ガード・アッパー。地雷ではなく、落とし穴とニードルマインが物理攻撃で壊れにくくなるようにする為だ】
【――クリティカル・アッパー。後は運に委ねて会心の攻撃か急所への攻撃が発生して大ダメージを狙うだけ】

【そして、ヘケメトが穴から這い上がり、とりあえず布と土、草等を被せてカモフラージュ】 【最後はヘイトを稼ぐ――】

「抗いの……なんたらかんたら砲、発射ァーッ!!」 『……"抗いの可能性を実現するエネルギー砲"、ですね』

【そして、先程からチャージしていた砲台から……エネルギー砲を発射!】
【高濃度の"魔翌力"エネルギーによる純粋な破壊の力だけでなく、粘り気のあるそれが散れるまでの間僅かでも動きを制限出来れば良い、という考えの兵器だ】
【狙いは首、先程の攻撃の通りからここが良いかも知れないと判断したのだ、――】
【ただ……タイミングが悪かったか、今は魔術・属性攻撃に強い白銀の色の状態だった、果たしてどこまで効果があるか】

【――そもそも目的は、落とし穴にはめて、動きを一時的でも良いから止めること。元よりこの砲撃は2人がヘイトを稼ぐ目的の方が大きいが……はたして】
【そして、もしもの時のための咄嗟の避難のために、予め――アウは光となり、ヘケメトの背中に装着・翼化している――】
204 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 23:29:20.62 ID:CiychwsRo
>>200

【ボキボキと首の骨を鳴らしながら、細めた碧眼が彼を見遣る。ローリングによる回避はあったが――ダメージは与えた】
【それならば、結果としては上々だろう。元より、兵器に頼る戦い方は自分の本分ではないのだ】

……あ?俺の考え方か?
――――聞きたいか?

【ニヤリ、口の端に笑みを浮かべ、投げられたマガジンに黒のカードをぶつけようとした瞬間―――爆発】
【爆風の中で破砕音が重なり響く――――合わせて8つ。咄嗟に飛ばしたカードが、不完全な角度ながらも爆風を和らげて】
【顔の前に掲げた腕は、袖が焼け落ち、火傷もある。されど、決して致命的な傷ではない】

【――更に一発。今度は左の二の腕、肩に近い位置に弾丸が命中】
【しかし……ディハートの顔にはまだ余裕がある。そう、この男は腕を使わずとも――――戦える=z

……―――  教  え  て  や  ら  ね  え

消すか消されるか、なんだろ?それなら俺の考え方なんか、てめえにゃ関係ねえだろ。

――それから、俺はいらねえと言われたって、お返しはちゃんとするタイプでな?
まあ……――――取っとけよ。赤ノ道化師

【口元の笑みが一層濃くなったなら、放たれるのはやはり、赤のカード】
【今度は2枚、絡まりあう様な軌道を描き――――彼に届く少し手前で、互いに衝突する】
【するとその内の1枚、赤い色をしたJokerのカードが、爆発を起こす!】
【先程のグレネードと比べても、少し劣る£度の威力。そして、グレネードと違い前兆がない=z

【だが、前兆がないのはあくまで爆発に関しての話。その口ぶりから、何か違う事を予測するのは不可能ではない、だろうか】
205 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/10(月) 23:34:41.54 ID:phfNusZdo
>>199

【揺らめく視界。三半規管がビビっちまってるせいで耳までオカシイ】
【KOパンチのクリーンヒットでなかったお陰で段々と良くなっていく。その中で彼奴の声が響く】

……クソッタレ。だけどな……アンタのも、俺のも……同じ世界なんだよ。
窮屈な世界で……諦めちまうわけにはいかねぇだろうよ。

【相手の言ってることは正しい。俺もそうだと思う。種族を絞って人間だけでも様々なパーソナリティがある】
【どんなに世の中が発展してもそこだけは100%解析できない。完全なスタンドアロンな領域だ】
【だから理解するんじゃなくて、理解できないことを理解しなくちゃならない。無知の知…ちょっと違うな】
【けど、俺は納得しない。個人は無限でも世界は1つだ。理解しようって心持ちを忘れて妥協しちまったら】
【それはかなり寂しい世界になることだろう。人類滅亡だ……相手がどんなに憎かろうと……気分だけはそうありたい】
【多分、こんなことを言いたかったのだが、今は脳震盪でダウン中だ。何を言ったかも覚えては居ないだろう】

【そして、次に意識がハッキリした時は燃え上がった時だ。”Great Balls of Fire.”、”the killer”の名前は此処でも響いてる】
【怯んだ相手に向かって、サングラスの男は痛む口をぎりりと噛んでぐらりと下がったところで追い打ちのタックルをしようと突っ込んだ】
【自分からその時だけ間合いを詰めたがコレでさらに間合いを開ける為の攻撃。自分が柵まで追い詰められているのは変わらない】

【間合いをとれれば、彼奴がやたらマントを気にしている。焼けたところであの甲冑なら気にならないはずだ】
【何かある。理由はわからない。彼はそれに賭けることにした。ポケットの中、煙草と一緒にある。ライターを取り出す】
【これで攻撃するのは二度目。あの時も六罪王だった。タイマンじゃなかったが酷い目に遭わされたのは忘れやしない】

【キチリ、撃鉄を起こす。カッチチチ…シリンダが回る。サングラスを彼は取ってそこらに投げ捨てた。白眼が赤い、瞳は黒い】
【目の前の彼奴らは知らんだろう。別のベクトルの悪。社会悪。連続銀行強盗のお尋ね者――”チンザノ=ロッソ”はここに居る】

こんな俺もガンマンの端くれだ……見てみろよっっ!!

【ライターを空中にフワリと投げた、ヤツの真上に落ちるようにライターが舞う。彼の目はとらえた】
【リボルバーを目の前で構え、…1発、…2発、…3発と撃ってゆく。ライターはオイルをばらまきながら燃えた】
【先ほどと違って強い光を放つほどではない。ただ、燃えながらオイルがそこらに飛び散った】

【ただ、そこまでに暫く時間もあり、下がって避けるぐらいなら非常に容易い攻撃である。蹴りの1発も余裕だ】
【ぐらりとまた、視界が揺らいだ。指先が寒い。今度は貧血だ。撃ち過ぎたのか。膝に力が入らなくなってきていた】
206 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/10(月) 23:37:29.31 ID:KPXwqXOB0
>>196

(……あの様子だと、タネは割れたか……)

【騎士は立ち上がり改めて青年を見据える】
【すると谷山が取り出したそれは、本来は機関が持つ哲学者の卵そのもの】
【それを自ら孵化させてみせた、直後に人間とは思えない変貌を遂げる】
【彼が異形の姿へと変わった後で、ようやく彼の能力を理解した】

アートマン……、特殊な能力の類いか……

【見ただけでは分からないが、騎士の方もかなり体力を消耗していた】
【カタカタと刀と屋根が当たる音がする、腕に余り力が入っていないのが分かる】
【肉体的には谷山の方が重症に見えるが、総合的に見れば騎士の方が重症だったのだ】

【そして彼の渾身の一撃に合わせ刃を振るおうとしたが、その時】

「バゴオオオオオォォォォン」

【という音と共に、倉庫の下から屋根を何かが貫き 騎士の盾となった、一体何なのだ……?】

【その正体は……】
【三角形の頭部に、三角形を組み合わせた様な 幾何学的なフォルムをしたヒトガタ】
【そのボディは金属特有の光沢があり、形こそ人のそれだが 生物には見えない】
【そいつが盾となり、騎士の代わりに顔面に鉄拳を喰らっていた】
【しかしそいつは、冷静な声で主へと話す】

「黒兜様、連戦の疲れが見えております、直ぐに後退を」
…………感謝する、後は……っ、任せるぞ……
……私は、撤退させてもらう……、後は彼に相手をして貰いたまえ。

【そう言い残せば、騎士は後退りして屋根から落ちた】
【敵としては逃れたのか確認をしたい筈だが、今 谷山の目の前には異形の戦士が】

「後は私、アルバテッド・サージが相手になろう」
「全力で来るが良い、義の生み出す力、見せてやろうッ!」

【機関の増援、恐らく騎士の部下だろう】
【先程殴られた箇所は僅かに凹んでいるが、このヒトガタの装甲は恐らく騎士の着けていた鎧より硬い】
【この怪人に、谷山はどう攻めるか……】
207 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 23:37:39.14 ID:NYJyygkZo
>>201
(私の能力は以前見ているはず……あの反応が演技とも思えん。本当に別人なのか? まさか、記憶喪失というわけでもあるまい……)

【自身の能力の異形に対する反応、それに込められた感情にカニバディールは反応などしない】
【利己的であるが故に、見据えるは己の利益のみ。何を言われようと、何とも思いはしない】
【それとは別に、やはり違和感。見た目だけが同じ別人を相手にしているような感覚。彼はいったい何者なのか。カニバディールの頭に疑問符が躍る】

【それでいて、カニバディールは動きを止めない。コンテナによじ登り、周囲を睥睨。状況を確認】
【すかさず無線に向けて指示が飛ぶ。眼下の少年の戦いを睨みながら。少年の近くのコンテナの上へと移動しながら】

……オールドベビー、来い


【オートマーダーの方は、そんなボスの行動など知る由もなく、ただ動く、動き続ける】
【鉛色の瞳が、マスクの覗き窓越しに少年を見据える。体格差は圧倒的、しかし機械的なまでの思考に油断という概念はない】
【すでに背後のボスを見据える少年、それでいてオートマーダーをしっかりと観察する、その見事な判断にもなんの感慨も見せない】
【頭上から降り注ぐ雄々しいラブコールにも、一切の反応を返しはしない。どこまでも、機械的】

[キュイィィーーーン……殺害シマス、ゴ注意クダサイ]

【何の意味もなく放たれる機械音そのままのような声音。左右で微妙にテンポの違う足取りで迫る】
【ツルハシが、振り降ろされる。回避されたが、予定通り。放つ義手の一撃が、少年の拳を軋ませるだろうか】
【が、直後にはその一撃はいなされ、振るわれるは鉄の硬度のローキック】

[ガガ、ガガ……異常、発生……ガ、ガ……]

【至近距離での一撃は、オートマーダーの足に直撃。その身体が、ぐらりと体勢を崩す】
【小柄であるが故、身軽さは少年が上。拳の一撃をこうもあっさり弾かれたのは致命的だった。続けざまにダメージを負った足はもはや筋肉を支えきれず】
【筋肉で覆われた身体も、こうなれば役立たず。その義手も重りと化す。オートマーダーが、地面に崩れ落ちる】


(――――噛み殺す!!!)

【そこへ、カニバディールが急襲を試みた。少年の背後のコンテナの上から、首肉全体を膨張させて】
【その首を伸ばしたのだ。一つ目のろくろ首が、鋭い歯を剥き出して少年の背後に迫る】
【狙うは、蹴りを終えた後の、少年の右の肩口。肉を食い千切らんばかりの勢いでの噛みつきだ】
【だが、その動きは頭上の男性からは見えているはず。それを承知した上で、あらん限りの速度で首を伸ばしていく】


【と、もし男性が船着き場に目を向けていれば。船からトレーラーと入れ違いに飛び出す、一台のベビーカーが見えたであろうか】
【それに乗る赤子ほどの大きさの老人と、ピンクの装甲を纏い赤子の頭をした巨漢が、少年たちの戦場へと走ってゆくのが見えたであろうか】


【オートマーダー ――機動力、戦闘能力が著しく低下】
【援軍 オールドベビー ――次レスで戦場へ到着】
【海上ゲート ――次レス最後で解放】
208 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 23:44:56.74 ID:scuS7iYc0
>>197-198>>202

【僅かな記憶と見た光景とを頼りに足場を登ってみれば案の定。だが、今となっては危ない橋を渡る方が近道だ】
【――――さて、到着してみれば。何やら鼻腔を突くのは嗅ぎ慣れた臭いだ。操縦者もそう深部まで潜っていないことを悟らせる臭いだし、辿れば視線は自然とハッチに向けられる】
【罠かもしれない。開ければ自衛装置なる物が発動するかもしれない。…………だから、なんだ】
【今宵偶然とは思えない機関の襲撃について聞かねばなるまい。第三近衛騎士団について問い質さねばならない事もある。そして――――人々を殺すわけにもいくまい】
【仲間達も頑張っている。此処まで登る事を手助けしてもらった手前、危険だから逃げただなんてどんな顔で言えようか】

【扉に手を掛けようとした――――刹那。ヴァルゴによって人工的に引き起こされた地震だ】
【ただでさえ不安定な足場が更に心とも無い物に感じる。幸いにして崩れ落ちる事は無かったがこの地形はどうだ】
【土砂崩れの轟音に重みに耐えきれず悲鳴を上げていく木々達。確かに、先のヴァルゴの一撃で弱っていた事もあろうが――――同じ事が都市で引き起こされたならばどうなるか】
【確かに都市ならば高いビルもあり、こちらにも利が作られよう。しかし、同時に多くの犠牲が出る可能性も否めない】
【現に、こうして耳に聞こえるのは―――――――】


「山一つ駄目にする人形遊びなんて悪趣味だね。このまま進んで次は街一つ壊れる光景を見るのも良いかもしれないけど…………ボクはそんなの映画の中だけで十分さ
別に報道されて勇者サマとかになる気はしないけどさ、でも――――このまま君や団長サマの思惑通り進むのも癪だ」

【ポータルへの要請。至って単純。代わりの弾倉だ】
【内部ならば大がかりな兵器は要らない。必要であればC4なりで吹き飛ばしてしまえば良いし、小回りが効く愛銃の選択を取った】


「ボクも君も物好きみたいだね。そりゃ勿論付き合うよ?折角援護して貰ってここまで来れたのにスゴスゴと帰ったら恥ずかしいモンね
後ね…………乗ってる人、と言うか、操ってる人なのかな。前にコレが起動する所に立ち会っちゃったんだけど無愛想なメイドで間違い無いと思う。他にも色々あったけど――――まっ、この話は後々
話して死んじゃったら元も子もないしさ。今は君がむかついてるコレの操縦者をとっちめないとね」

【アサドの言葉に対して返答し、またオーラの色を変えるべく頭部へと“聖”のみで作られた槍を投擲した】
【熱量こそ無いが、ジャイロ回転する其れは貫通力に優れる。そして、有る一定まで浸食したならば傷口を広げるが如く槍が三つ叉となるのだ】


【アサドを先頭にハッチの前に着き、同じ様に中を伺い。】
【――――もし、落とし穴が成功したならば。きっと其れは大きなチャンスとなる筈だ】
【もう少しその時は様子を伺うか――――答えは否だ。伺ったときに危険が無いのなら、そして落とし穴に足を踏み入れて隙が出来たならば】
【例え制止があったとしても聞かず、中へと侵入するだろうか。あの時と代わりが無ければ、誰が乗っているのかは分かっている】
【だったら――――この破壊を生む元凶を止めるだけだ。都市を破壊させはしない。これは任務だ。これは使命だ】
209 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 23:47:04.57 ID:IAbIFUCTo
>>206
「――増援、か。厄介、極まりねぇな」

【青年の五感は、認識する。この場に新たな戦力が現れたことを、それが己の拳を受け止め、屋根を吹き飛ばしたことを】
【だが、問題はない。直後、青年は己の異能によって、最初に仕掛けておいた仕込みを発動する】

「だが――――――ッ!! この程度で――!!」

【直後、異能によって最初にばら撒いた幾つかの円盤――爆弾≠起爆させる】
【異能に寄るアクセスで、任意に起爆させることの出来る指向性爆弾の爆風は、四方八方からそのヒトガタに襲いかかって】
【その爆風の隙間を縫うように、異常拡張した五感を以てして――退避。そして、腰を落として息を整える】

「――――Imitation Saver!!」

【口にするのは、己の奥の手。イミテーション・セイバー。贋作の剣を意味するその必殺は、青年の秘蔵の手段】
【思考する。この場を切り抜ける、最適解を、それを実現する最良の奥義を】
【己が見てきた全ての中で、この窮地をすり抜ける――必殺技≠】

(――――まだデータが少ない。……ギリギリまで見極めに回さなけりゃ――!)

【目を細め、五感の全てを総動員し、ヒトガタの力を見極めンとする】
【いざとなれば、対象のデータだけをとり撤退することも、青年は視野に入れはじめた】
【意図せぬ伏兵。それに対して問答無用に勝利を掴める程、青年は決して有能ではないのだから】
210 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/10(月) 23:49:37.89 ID:7JwAdDzMo
>>205

【よく観察していれば分かるだろう、彼の身体に、白縫の甲冑にノイズ≠ェ奔っていることに】
【まるでかき消されているかのよう、小さなノイズであるが普通の人間にそんなもの、つくはずもなく】
【月光の下立ち尽くす騎士に混じる穢れが、消えない禊のように染められる】

【動きの硬直、そこを見逃さなかったのは流石であろう】
【吹き飛ぶ彼の身体、鋼鉄の塊が、軋み後方へと押し出される】
【地面に倒れ込んだなら、苦悶の声一つ、白に増していく、汚れ】


――――――っ……なるほど、良い読みだ、ただのチンピラという訳では無さそうだ
だが、甘い、白を穢すのに、その焔は小さすぎる
そなたの世界は、まるで小さすぎる――――――!!


【右手に握った両手剣が消える、消えたなら一閃、彼の頭上に閃光が弾け飛んだ】
【その正体は両手剣、先ほどまでと同じように刀身だけを消したのだろう】
【違和感があるとすれば大きさだろう、先程までとは違い、彼の身長ほどの大きさにまで、伸びている】

【空中に放たれる剣先の一閃、燃えたオイルを切り伏せたのだ】
【煌めく宵月の灯りしか目に入らぬほど、巨大な白の奔流は一刀の下に溶ける】
【オイルを全て切り裂いたなら、彼の手に両手剣が戻るのだろう】

【追撃をと、踏み出す右足、その瞬間、右足にノイズが奔り足元がぐらついた】
【姿勢が傾く、それでも尚前へと進み、貴方との距離を埋めようとする】
【速度は先程までと比べたなら遅い、それでも距離を縮め、右手の剣を下から上へ切り上げようとする】
211 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/10(月) 23:52:47.83 ID:PZ+JWpGC0
>>197-208
【―――二人が鎧の階段へと辿り着いた。己の放った槍は期せずして足場にもなったようだ。ともかく、あの巨大な鎧を止める為の大きな、大きな一歩だ。】
【……さて、その後二人はどうするのだろうか。……どうするなんて言っても、ハッチに入る他選択肢はないような気もするが】
【ともかく、どういう形になろうと自分に出来ることをするのみだ。可能な限り二人の支援攻撃を、あわよくば鎧そのものの破壊を目指す……!】

【アルミニウムの粉末もまた、大きな役に立ったようだ。あの大きな砲門が、途中で動きを止めた……攻撃が中断されたのだ】
【中途で止まった装甲は、攻撃を放つに至らない。これなら二人も攻撃される心配なく階段を登れる……!】
【よし、これなら「賭け」のリスクも最小限に留まる――――そう安心した次の瞬間……――――】


【―――――地鳴りが魔物の唸り声のごとく響き渡る。地震?いや、違う……あの鎧の攻撃だ!何ということだ、あの代物は天変地異まで起こせるのか……!】
【地を突き上げるような縦揺れ。立っていられないような振動が彼を―――いや、山を襲う!不味い、山は度重なる攻撃で地盤が緩んでいる――――!!】
【ゴゴゴゴゴと耳障りな低音が響く。予想するまでもない、これは地滑りの予兆……!恐らく、間もなく巨大な岩が、多量の土が、土煙と共に波となって押し寄せる!】

(三十六計逃げるに如かず、ってことだ!此処はあれこれ考えず、逃げる!)

【余計な事は考えなかったのが幸いしたか、地滑りの予感がした瞬間に逃げる事が出来た。出来たのだが――――多少なりとも余波に巻き込まれることからは逃れられず】
【多量の土砂や巨大な岩に押しつぶされることこそ無かったものの、こぶし大の石が数回当たったり土煙を吸い込んだりしたせいで多少の打撲と土まみれの哀れな姿になる結果になった】
【……打撲と書けば軽そうに感じるかもしれないが、正しくは「骨折していないだけで全身強打」なのだ。当然全身を強烈な痛みが襲い、動くのが苦痛になる程だ……しかし、生きている】
【いかに屈強な男といえど、土石流に飲まれてはひとたまりもない。助かったのは奇跡だ……】

――――これが、あの機兵の力だというのか。誰が、何のために、あんな物を動かしているのだ……
……絶対に止めなくては。こんなものを、人々に近づけさせてなるものか……!

【……さて、今度はこちらの番だ。――――最初のとおり、『人間昔から自分より強いものを狩る時の手段は決まってる』。……頭を使うのだ】
【情報を纏めよう。あのデカブツは、魔力を浴びれば耐性を持ち、衝撃を浴びれば物理的攻撃が出来なくなる。】
【鎧の下には砲門が有り、特に盾から出る巨大な砲門からの砲撃は危険。しかし、今その砲門は半開きになったまま停止している】
【現在機兵には二人が乗り込もうとしている。もう二人は「罠」を仕掛けている。……つまり、鎧の外部で自由に攻撃可能なのは自分のみ。】

【以上の情報を踏まえて、自分の取るべき行動は?――――機兵の誘導だ。確実に穴に落とさなければ、罠を張った意味がなくなってしまう……!】
【痛む体に鞭打って移動し、ブラッグスは機兵に向けて攻撃を繰り返す。二本、三本と飛んでくる槍は、丁度穴を挟んで機兵の正反対の位置からのもの】

さあ……来い、デカブツ!貴様の敵は、此処にいるぞ……!!

【攻撃の発生源を叩くために前進すれば、穴に足を突っ込むことになる。さあ、誘導は成功するのか……?】

【ちなみに、誘導のために放たれた槍はどれも中途半端に開いた砲門の隙間を目掛けて飛んでいる。単に誘導だけでなくダメージも与えられたなら……】



【内部に行った二人はどうなった。誘導の結果、掘られた墓穴に足を突っ込む事は叶うのか。……結果は如何に】
212 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/11(火) 00:15:26.53 ID:CiZDvduO0
>>204

 ……なるほど、それもそうであるな
 どちらにしろ知ったところで変わるはずもないな

【ディハートの問いの返しに対して男はやはりとそのような感想であった】
【自分がそのように言っていたのだならば答えることもないだろうと思っていた】

 まったく、厄介なもんだなその性格は

【ディハートに対してそのように返す男ポーカーフェイスではあるがダメージは大きく】
【そしてディハートの技のようなものに対して男は何か仕掛けて来ると予想して少々後方へと後退】
【するとディハートが2枚のカードを放ってきてそれに対して警戒をする】
【そして自分の手前に来た際に一気に後方へと行く、そのときにカードは爆発する】
【そのときに後方へといっていたが爆発するまへにはいけずにその爆発を食らった】

 ……っ!

【その爆発を受けて後方へと吹っ飛ばされてゆく男そして受身をとれずに地面に落ちた】
【そのさいなにか大きな骨が折れる音が聞こえ、そのまま気絶した――いや気絶したふりをしているのだ】
【そしてもし不用意に近ずいてくれば男はすぐさまに飛び起きてK666を発砲するだろう】
213 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 00:18:41.57 ID:w99JysLu0
>>207


『……ふぅん、あの人達は、ドロボウ……なーんか、まだまだお子ちゃまって感じ、かしらぁ?』
『ま、悪い人だからイイんだけどぉ……お子ちゃま達に手出すのって、なーんか、気が引けるわよねぇ……?』

『アナタ、どう思う? ……あ、そう、ヒールの子出してあげるわ、同時に一人しか出来ないし、時間もかかっちゃうんだけど、……先どっちがイイ?』
『お望みなら、アタシもヒールしてあげるわよぉ〜♪ ……あらアナタ、案外イケメンなんじゃなぁ〜い? うふふ、ふふふふ……』

『……冗談よ冗談、今からコレ投げるんだけど、案外強い光でちゃうから、目、つぶっててちょうだい、……大丈夫よ、何もしないと思うわ。多分ね。』


【空中、鷲の背中の上で、身動きが満足に取れない自警団2人に襲い掛かる男の姿。……それはもう、修羅場だった。】
【然し被害を与えるだけだったという訳でもない。今度は黄緑色の宝石を取り出して、先程と同じ様に、空中へ放る。】
【現れたのは、緑色の羽が付いた、やたら可愛らしい3匹の妖精。どちらを優先すべきか、その話し合いが何語かも分からぬ言語で行われ、】
【結論が出れば、一匹は頭部、もう一匹は腹部、もう一匹は脚部といった具合に分担し、治癒を始めていく事だろう。】
【案外時間はかかるが、上空、安全地帯に居る故、其処まで問題になる物でもない。……十分か、その辺りだ。】

【二人の傷が癒えたなら、妖精はやがて黄緑色の光を放ちながら消えて行く。『ありがとぉ〜♪ 後でマカロン送っとくわぁ〜♪』の声は、】
【矢張り嬉しかったのだろう、黄色い響きを奏で、……そして、完全に跡形もなくなった。と、同時、男はもう一度、ポケットを漁る。】
【今度取り出したのは黄色の宝石。……現れたのは、筋骨隆々、凛々しい顔立ちの男で……黄色の光で構成された、矢張り妖精だった。】

『あ、アナタ今、何でいっぺんに出さないんだろう、とか思ったでしょ? そんな顔、してたわよぉ〜!』
『これでも結構頭はいいのよぉ〜?……あのね、同時に、"3体までしか出せないの"。………分かったかしら?』

『えっとね、"さんだー"ちゃん、……あらぁ、今日もイケメンねぇ〜……じゃなくって……あったわ、アソコよアソコ、』
『何か、色んな機械が置いてあるトコ……わかるかしらぁ? この船の動き、止めちゃいたいのよぉ〜!』

《システム系統の破壊……という事でしょうか》

『そうよぉ〜、よろしくおねがいするわぁ〜! ……あら?』


【妖精はデュアル兄弟が占拠コンテナヤードの管制室へと向かう。何かが来た―――周囲を見回していたなら、そういう事になるだろう。】
【応戦は可能だ。寧ろ、例えば何らかの遠距離攻撃を受けたなら、そのまま光の粒となって砕け散る……それ位、極めて脆い。】
【然しそのまま飛来を許したのなら、妖精は機械類に溶け込んでいってしまう。となれば、何の音も響かず、管理システムに何か起こった訳でもない……】
【様に見えるが、実は彼の言っていた通り、システム系統が破壊されている。テレビで言えば、そもそも電源が入らない、といった具合だ。】

【……そして男は、何ともシュールな二人組に気を取られてしまっていた。目の前で崩れたオートマーダーには目もくれず走ろうとした少年が、】
【肩の食い千切りを許してしまった原因には、恐らくそれも含まれる筈だ。……否然し、何より、まだ新しい身体に慣れていない……というのが大きかった。】
【"新しい身体"―――確かにダメージは受けているし、それに対する痛みもある、が、破損した右肩から血液が吹き出す事は、一切無い。】

【そして、反射的な反撃。噛み切った首に対し上段回し蹴り―――少年の得意技、以前に比べ練度はグンと増し、極めて精密な蹴打だったが、その後、】
【少年は思わず右足から崩れかけんとする。必死に耐え、荒くなる呼吸と身体のブレを鎮めようと試みるが……先程のダメージは、相応の物だったらしい。】
【然しそれでもとその瞳に燃やし続ける闘志―――、未だ闘える、という事なのだろう。口で言わずとも、誰もが読み取れる、そんな目をしていた。】


214 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 00:20:36.96 ID:VxxIg1Gdo

>>202>>208

【アサドが色の変化とその原理に気付けたのは、今後恐らく役立つはずだ】
【余談だが、蹴っ飛ばした程度では色は黄銅に変わらない――というのも、頭に留めておいて損はない】

【――それで、ようやくハッチにまで辿り着いて。第一に内部を攻撃したのは正解だろう】
【内部で爆発が起きるその直後、爆炎は意図的な動き方でハッチから逆流してきたのである】
【まるでパイロキネシスの様なやり口だった。もし突っ込んでいればそのまま地上に落とされたに違いない】


【ハッチの内部、頭部の内側はといえば――近未来的、というのが一番簡単な表し方か】
【全方位を透過して見渡せるディスプレイが広がり、中央には椅子があって】

【その肘掛けに有る丸い球体2つが、恐らくこの巨兵を動かすコントローラーに違いない】
【もっとも元は青いはずの球は血でべっとりと汚れていた。椅子も、人は座っておらず】
【また他に何もないこの部屋は、何処も傷ついた様子がない。外の装甲よりも頑丈に思える】


っ、はッ……!なぜ、何故『あの時』…!…博士は私のことを、裏切ったのです……?
 わたし、は…何もしなかったのに……言われたとおりにしただけだったのに…?
 
 ……ッッ、ガ…ァ……!アタマが、割れそうに…何故、どうして……っ!!
 博士は…、……どうして私を見捨てて、あんな…どうしてですか、一体…!
 ぁ……動かさ、ないと…命令は絶対……服従、しないと……っ!


【そして、内部に居たのは男≠セった。身長は170センチと少々だろうか】
【上半身は裸だった。いや、正確に言えばボロを――メイド服だったもの≠まとっていたが】

【彼は明確に、男だ。細身ながら筋肉が有り、髪は紺色でぼうぼうと伸び、右手は頭を押さえていた】
【出血の元は主に口元、唇を噛み切ってしまっていることによるものと、左手からのものと分かるだろう】
【どうやら、左手のうちにはロザリオ≠ェ握られているらしい。――それが手のひらに突き刺さって、尚も握りしめているのだった】

【他には、剣が一本転がっていた。刃だけで縁取られた黄銅の大剣、武器らしかったが、床に捨てられていて】
【見るものは――後は爆発した砲弾の欠片が男の周囲に浮いている≠アとくらいであろうか】

>>203>>211

【二人の能力者がコックピットへ突入を図る中、そこから見えるディスプレイに明かりが見える】
【言うまでもなくヘケメトとアウが放った『"抗いの可能性を実現するエネルギー砲"』である】
【知っての通り、今の装甲は白銀。魔力は弾かれて消え行くものの、一部は残留して首を固定し】
【宛ら鞭打ちの治療を受けた人間の様な格好で――上手い事、コックピットを安定させる】

【だがそれだけであれば単なる悪あがきとして操縦者に判断されていたに違いない】

【上手くいった@摎Rのもう一つは、更に続けてブラッグスによる槍の誘導があったことだ】
【思えば先ほどから足場を作り、関節の動きを抑制してきた攻撃と同等のものなのだ】
【特別意識せずとも『またか』という忌々しさがこみ上げるのが自然な所、というのが功を奏した】

【二人の攻撃の直後――ヴァルゴは狙い通り、二人が居る――そして落とし穴が在る場所へと左足を踏み出した】
【邪魔があれば踏み潰す。それが安牌であり、王道であり、必勝法。そういう考えが、まさに陥穽――!】

/続きます
215 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 00:20:47.82 ID:VxxIg1Gdo
>>ALL

【先ほどの地震と山体崩壊にも匹敵するような轟音、そして地鳴りが続いて発生した】
【威力が極端に挙げられた地雷を、膝ほどまで機兵自らが埋めて踏み抜く――衝撃は逃げ場を失って】

【そして、装甲は今まさに白銀である。物理に弱いこの状況、溜まりに溜まったエネルギーは行き場を上に求め】
【かといって超重量の脚は押し上げきれず――最終的にどうなったかといえば、大爆発だった】
【土を水爆実験か何かのように周囲へ吹き飛ばし、同時に左足そのものを極限まで破壊し尽くす】

【ヒビだ、破損だ――それでは済まない。完全に大破した左脚は支えを失い、ぐらりと巨体が左に傾いて】
【――そして、止まった。破壊された左足を穴から引き出せない時点で、それはもう機兵の積みを表しており】


    『アタシの事を忘れないで、ってねぇええええええええええ―――!!!!!』


【追撃は更に加速する。横ざまに飛び出してきたのはかの自警団長エルベシア・レセップスである】
【左腕に纏った巨大武装の封は既に解かれており、それを跳びかかりザマに健全な右足の膝に叩きこむと】
【恐らくそれは所謂パイルバンカーと似た構造なのだろう。ガコォン!≠ニいう音と共に、装甲を打ち抜き】

【その右足も崩れ落ちる形で、機兵が高さを下げてバランスを取る。――ともあれ、動かなくなったのは事実であって】


っ、うぅっ…!そんな…どうして、どうすれば……私は、あそこに向かわなければ…、……!

『――おっと御覧ください!あの巨大な機兵、なんと左足を落とし穴に突っ込んでますねぇ!
 おまけに右足は……あれは穴でしょうか?大きな穴が開けられて動けなくなっております!
 
 よくよく見てみれば上部にも既に能力者の皆さんが上り詰めている様子!
 宛らハイジャックの制圧風景を拝んでいるかのような気分です!如何でしょうか皆さん!
 あの巨大な機兵が!ラグナールの全てを破壊せんとした悪の巨兵が!動きを止めているじゃあありませんか!


 ―――あーあ、とっても残念だ。月は一つだから綺麗なのに、壊しそこねちゃったねえ。
 なにがラグナールの双月だか……美的センスの欠片もないんだから、まったくさあ――…。』


【コックピットに陣取り、悶えながら突入する二人を凄まじい形相で睨む男≠ニ――】
【そしてもう一人、声の主は先ほどテレビ中継を始めていたカメラマンの男に違いなかった】

【――ただ、今なんと言った?テレビ中継の男は、モニター越しに残念だ≠ネどと言わなかったか?】
【あれだけノリノリで実況していたのが突如として冷めた声に変わり、内容も百八十度打ってかわったのである】
【どちらに注力するかは自由だ。少なくとも、カメラマンの男が居るのは都市部。ヴァルゴは目の前で沈黙している】
【突入班の二人も既に目の前に敵を捉え、その敵もやや不穏でこそあれ――既に瀕死に近い、追い詰められた様相で】


【―――――――何か周囲の空気が変わった気がした。風が止み、僅かに温かい。劇場の中に居るようだった】
216 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/11(火) 00:24:13.74 ID:gjgoKy3r0
>>209

【サージの周囲にある円盤が爆発し、ヒトガタを爆炎が襲う】
【爆炎に包まれたヒトガタが煙から姿を見せると、そのボディは煤で黒くなっていて】
【しかし高いダメージはない、あの装甲はやはり脅威と言える】
【谷山が何かをしようとしている姿を認識すると、サージは腕を屋根と並行になるように伸ばし】
【さらに二つの脚をピンと伸ばし、そのまま回転し始める、それはさながら独楽の様】
【しかし、段々と回転が速くなる、数秒後には空気を切り裂く音まで聞こえるようになっていた】
【ではそこからどうするのか、それは単純だった】

我が揺るぎなき忠義がお前を切り裂く……!

【サージはそのまま頭を上にし、谷山に向け突進した】
【高速回転の独楽、腕が触れれば切り裂かれ 頭が当たればドリルの様に穴を穿つ】
217 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 00:29:02.47 ID:8TwocedYo
>>210

【どうなっているだ?彼奴の能力は?自慢じゃないがその辺についてはてんでだめだ】
【もしここで説明されたとしても理解できる気がしない。ただ、あの無敵の装甲は何らの能力の】
【副産物。杖が有るから魔術師が技を使えるのであるのであのマントがその役割を果たしているのか?】
【はっきりいって全然わからない。兎に角、ダメージは与えている。目の前の事実だけを信じよう】

【ぐらつく足元を何とか踏ん張りながら、ギシリと柵により掛かる。銃弾は3発は余裕だ】
【だが、そこからさきの装弾はどうかわからない。この銃の弾丸は彼の血だ。銃弾となり、硝煙と消える】

うるせえ……ハッ!そうだな…俺には世界は窮屈だ。……アンタにはデカすぎるぐらいだがなぁ!!

【ニヤリと笑ってみせる。初めのような威勢の良さは残っていない。空元気で張り合おうとするぐらいだ】
【オイルはかき消された。神は二度も俺には微笑んでくれないようだ。銃を握る手に力がこもる】

甘いんだよ……ッッ!!うおおおおおおおおおおおおっっっ!!!

<BANG!!BANG!!BANG!!>

【詰めてきた敵に対して声を飛ばす。なめんじゃねえ!かかってこい!気合で負けたくはない】
【身を半身ずらして剣撃をギリギリで避ける。背後の柵がギギギンと容易く切れるか外れるかして壊れることだろう】
【彼は半身、右半身を伸ばして敵の懐まで腕を伸ばす。右手には拳銃だ。懐に飛び込んでナイフでも突き刺すように】
【接近した状態でピストルの3発を撃ち鳴らした。とっさの行動で狙いも定めてない。鎧で弾かれるかもしれないし】
【大剣を避けたからって懐に飛び込んでいるんだ。リスクはコレまでの中で最高まで高まっていた。ここが正念場だ、歯を食いしばる】
218 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/11(火) 00:31:04.34 ID:gjgoKy3r0
>>209

【サージの周囲にある円盤が爆発し、ヒトガタを爆炎が襲う】
【爆炎に包まれたヒトガタが煙から姿を見せると、そのボディは煤で黒くなっていて】
【しかし高いダメージはない、あの装甲はやはり脅威と言える】
【谷山が何かをしようとしている姿を認識すると、サージは腕を屋根と並行になるように伸ばし】
【さらに二つの脚をピンと伸ばし、そのまま回転し始める、それはさながら独楽の様】
【しかし、段々と回転が速くなる、数秒後には空気を切り裂く音まで聞こえるようになっていた】
【ではそこからどうするのか、それは単純だった】

我が揺るぎなき忠義がお前を切り裂く……!

【サージはそのまま頭を上にし、谷山に向け突進した】
【高速回転の独楽、腕が触れれば切り裂かれ 頭が当たればドリルの様に穴を穿つ】
219 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 00:34:45.36 ID:eZuntJTeo
>>216
【視界に映る、超人的加速。そして、そのまま己の身を貫こうとするその動作】
【それを見て、決定する。絶対的な力には、絶対的な力を持ってして対応しようと】

「Imitation Saver――――――魔剣・ダモクレス」

【確定した力の形は、GIFTの猛者――W/ダブルの振るう魔剣の力】
【外面だけを再現したそれは、即座に青年の両手に握りしめられて――青年の全身に溢れ出すノイズが肉体を組み替える】
【この一斬の間だけ、その技量の外面だけでも完全再現することを許される、奥の手中の奥の手、イミテーション・セイバー】
【作り上げた虚ろの剣。それが本物であれば、魔界の醜悪な魔力を宿すのだろうが、これはイミテーション】
【纏うのは魔力ではなく、精神汚染の力に満ちた――――哲学者の卵の力そのもの。悪を持って悪を屠る――相克の刃が、握りしめられた】

「一の刃――――――陽炎=v

【W/ダブルの一閃。それを寸分違うことなく、本質以外≠再現し――真正面から突進と肉薄する青年】
【体躯に頭が突き刺さる。そして、身体が思い切りひねられ――青年の脇腹の肉が吹き飛んだ、が躊躇うことなく――振りぬく】


「ッ お お お ォ ォォォォォォォォォオォォォオォオォッ――――――――――――!!」


【それは、先までの攻撃よりもなお実体的性質≠持たない斬撃。精神を引き裂く斬撃≠セ】
【物理的防御を透過し、精神に絶望≠叩きつけ、心を破壊する狂気の斬撃】
【言語で表しようのない、物理的な痛みとも異なる――総合的苦痛が、当たったならば相手を苛む】


「…………っは……ァ……ッ!!」


【振りぬいた先。荒い息を吐き、鮮血を飛び散らせながら、青年は後ろに首を向ける】
【そして、その結論を認識したならば――迷うことなく青年は、この場からの逃走を選択する】
【これ以上の戦闘続行は、青年としては不可能。これ以上増援が来ないにしろ、だ――】
220 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 00:46:20.53 ID:PaYlH4Byo
>>212

【さて、顔には余裕の表情を浮かべているが、傷は傷。左右の腕に受けた銃弾、そして爆発】
【加えて初めの乱射が掠めたものもあるが―――他に比べれば霞むような傷だ、数えるには及ばない】
【とにかく、表情を取り繕ったところで蓄積したダメージは変わらない。そろそろ決着といきたいところだ――】

厄介で結構。女の子相手なら、もうちょっとは優しくしてやった、かもしれないけどな……
――――って何だ、聞いてねえか。

【と、思ったところで気絶――したふり。マントの内から手枷を取り出しながら、一歩、また一歩と近付いていく……】
【殺害せずに捕縛する事が可能であるならば、そうするのが最善。遠目からは気付けぬが故に、ディハートはそれを選んだ】

【―――そして、境界を越える一歩。轟くは銃声、舞い散るは鮮血】

がっ……――――て、めぇ……!

【腹部へと突き刺さる弾丸。口から漏れる声に苦悶の色が混じり、後ろへ倒れて行く身体】
【だが、こちらとて自警団員だ。まだ終わってなど……いない!】

【――――トランプには、スペアカードというものがある。真っ白なそのカードは、他のカードを紛失した際に代用できるもの】
【そしてディハートの使うスペアカードもまた―――同様であった】

複写―赤ノ道化師=I !

【懐から出でたスペアカードの表面に、先ほど見たような道化師の姿が浮かび上がり……それを追う形でぶつかる、黒のカード】
【無論、同じ様に爆発が起きる。だが、この位置で起こればディハート自身をも、その範囲に捉えられるハズ】

【しかし、今回は起爆するのに黒のカード≠使った。そこに、鍵がある】
【ここまでで分かるように、このディハートという男は赤のスートは攻撃=A黒のスートは防御≠ニ使い分けている】
【――――そう、起爆すると同時に、身体の前面に黒のカードを展開したのである……!】

ぐぁっ……!さ、すがにきつ……!

【幾つもの破砕音が、爆発音の中に消える。視界を覆う煙が消えれば、地面を転がる、うつ伏せのディハートがそこに居た】
【……やはり、ダメージは大きい。この攻撃を越えて尚、彼に余力があるのならば】
【その時は、ディハートは窮地に立たされる事になるだろうが、果たして―――?】
221 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/11(火) 00:47:14.04 ID:UZsXNuMto
>>217

【吐息が交錯する距離での攻防、互いが互いの命を奪える距離】
【仮面の下が揺らめいた、まさかと心の奥底で叫ぶ、ガンマンが自ら間合いを詰めたのだ】
【剣閃の届く間合いの更に奥、一撃必殺の刃の先、命に手が届くつま先】

【――――――そしてこの状況で笑みを浮かべることの出来る男に、恐怖すらも感じた】

【回避された剣撃、見事だと言葉をかけても良かった、その後に続くのは無論逆接】
【彼にとって身体とは柵であり、単なる飾りでしかない、と示せた】
【けれども、予想を裏切ったのは彼の方、零距離まで詰められた命の先、届く一瞬の駆け引きすらも、遠く】


ッ!!!あぁぁっ!!!っぐぅ――――――……!!!


【胸に奔る衝撃、甲冑が衝撃によって陥没する、零距離の射撃の衝撃は計り知れない】
【さすがと言うべきか甲冑が砕けることは無い、けれどもその衝撃を殺しきるには、足りない】
【甲冑越しに深いダメージを受けたのだろう、骨が幾つか砕けたかもしれない】

【仮面の下の表情が、伺える程に、その苦悶の声は、声色を歪ませて】
【肩幅に広げた両足が強く地面を擦った、巻き上がる粉塵が白を汚していく】
【捲れるマントが白を染め上げたなら、宵月の下に立つ姿一つ】


ハァ……!!ハァ……!!くっ……ノイズが、ひどい……ッ!!
知ったような口で、世界を語るな……!!知らないだろう、世界が本当はどういうものかすら、わかるまい!!
そして我が白刃の下!!切り伏せられて悔やむがいい!そなたの未熟さを!!


【彼の左手が伸びた、銃を握る貴方の手を、握ろうとする、今にも握りつぶしてしまいそうな程に強く】
【そして同時に切り離した#゙の身体から左手が離れ、彼は一歩後方に下がった】
【それでも左手にこもる力は変わらない、握られていたなら依然強い力のままであろう】

【右手に握られる両手剣、それを高く振りかざしたなら、貴方に対しその切片を向ける形で翳す】
【呼吸を一筋、そして振り下ろす、一閃、右肩を深く切り裂く軌道だ】
【能力を活用した一撃、生半可な方法では回避は難しいだろうか】
222 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 01:02:23.64 ID:PUuP0im1o
>>214-215

『ヘケメト……この場から早く逃げますよ、吹っ飛び……』 「ヘケケケ、わかってるぜェ」

【誘導さえ出来れば後は逃げるだけ、そう逃げる……――踏み潰される前に、爆風に巻き込まれる前に】
【先程発射した抗いの〜砲台は急いで回収、少し逃げ遅れたがまだ間に合うはず……――】
【――この状況なら走った方が良いはずだった、飛ぶより走った方が速い、彼の身体能力的には――だが】

「だけどよォ、掘るので疲れたぜェー」 『ブドウ糖不足ですか……仕方ありません、S・ヒールは時間が必要ですしこれで早く補給してください』

【高い身体能力も、無限ではない――流石にあの大きさの穴を猛スピードで掘って、……突貫工事を行って疲労しないはずもなく】
【ヘケメトにエネルギー補給用のドリンクを渡しつつ仕方なしに飛翔、念の為に変化していた翼が役に立った――ある程度、は】
【逃げる時、爆風と吹き飛んだ土塊が2人を襲う、――バランスを崩して一旦は地面に激突、左脚と相打ちだけは免れたか】

「くゥ……ヘケケケ、これが人間の"知恵を借りた"結果だァーッ!」 『あなたにはとてもではありませんが……似合わない言葉ですね』
「アウにこんなことするから脚がぶっ壊れんだよッ!」 「思い知ったかァーッ!!」 『(脚以外は主に壊れた後ですが……まあ良いでしょう)』

【アウが変身を解けば、――翼が背面に付いていた都合上、落下以外のダメージはこちらのほうが上で、元々弱いため歩くのは辛そうだ】
【ひとまず擦り傷切り傷だらけなヘケメトがアウを肩車すれば――そういえば、TVの音声が僅かに聞こえる気がする】
【ここまで近づけば突入した者がいかなるものかわかる、操縦者は彼らに任せるとして――】

『……変、ですね……普通のニュースキャスター……でしたら、まずはこの状況に……喜ぶはずです』

【都市部からはそこそこ離れた場所故に、どのような言葉を話しているのかまでは聞き取れなかった――が】
【明らかにテンションがおかしい、――喜びとは正反対のそれだ、遠くからでもそれだけは理解できた】

「んゥー?」 「とりあえず行ってみるかァー?」

【まだヴァルゴが動き出す可能性も捨てきれないが、――あちらの様子も気になる、それにアウの傷も心配だ】
【H・ヒールで傷を治すことはできる、だが瞬時ではないしそれ故に隙も大きい――戦場ではとてもじゃないがリスキー過ぎる】
【というわけで、ヘケメト達は都市部に向けて歩き出す――行きより遅いが、それほど時間はかからないはずだ】

【――さて、"カメラマンの男"を探すにしても"睨む男"を探すにしても、手掛かりは殆ど無い】
【故に、彼はまずは人の気配がどこからかしないかを探る、怪しい気配、場所、――明らかに本能的……こんな時、嗅覚が鋭ければ……】
【――何がどこにあるかを把握するサーチング・サポートの出力が弱いため、あまりアテにならないのだ】
223 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 01:21:07.33 ID:0K+yoqOpo
>>213
い、いやあの化け物共をお子ちゃま呼ばわり出来るほど、俺たち経験豊富じゃないもんで……

ヒールですか? そんなことまで……え!? あ、いえその、俺はなんというか、そう、ノーマルでしてその……
あ、あの俺もそうなんで、いやほんと、フリとかでなく!!

あ、じょ、冗談ですか……はぁ……
は、はい瞑っておきます、はい!!

【鷲の上の二人は、男性のペースに半ば傷の痛みも忘れて応答する】
【上空にて、感心したり慌てたり。何とも忙しい有様だ。いつも通りに仕事をしていただけのはずが、どうしてこうなったのか】
【と、男性が呼び出したのは妖精。思わず見とれる二人は、聞いたこともない言語を認識するや我に返り】
【慌てて、光対策に目を閉じる。その身体が、癒されていく。傷の痛みが消えていく】

あ、その、ありがとうございました!!

【二人が同時にお礼を言った。消えていく妖精と、男性の双方に】
【と、間髪入れずに次の宝石。現れるは、新たな妖精。その雄々しい姿に二人がまたも目を丸くする】


な、なるほど、能力の制限ってことですか……
あ、あの船を止められるんですか!?

【二人は、ただただ驚きながら管制室へと飛び去っていく妖精を見送った】
【さて、その管制室。そこを占拠する異形ども。デュアル兄弟はようやくメインコンピューターから目を離したところだった】

【一つの身体に、二つの頭と四本の腕。中央から向かって右が白、左が黒に色分けされた特注スーツ】
【向かって右側の頭は、病的に青白い肌をしたほっそりとした顔つき。後ろで一つに束ねた白い長髪。落ちくぼんだ目。白濁した瞳】
【向かって左側の頭は、浅黒い肌に突き出た顎のがっしりとした顔つき。ボサボサに乱した黒い短髪。吊りあがった目。爛々と光る黒い瞳】
【スーツの両胸のポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ「No.50」と刺繍されている】


『……おい兄貴。あれは、俺の幻じゃねえよなあ? 黄色く光ったマッチョの優男が、こっちに飛んできてるように見えるんだが』
「……幻覚だと願いたいところだが、鉄火場において眼前の事実を正確に認識出来ぬものは、死ぬぞ」

【双子の兄・オーギュストは、弟・ギュスターヴを窘めつつ細い右腕を上げ、掌から泥を溢れさせた】
【棒状になって固まった泥の鈍器を振るい、管制室のガラスを割って迎撃に備える】
【だが、双子はミスを犯した。確実に、至近距離で仕留めようとしたばかりに、妖精の飛来を許してしまったのだ】

『うおっ!? なんだこいつ、俺ら狙いじゃなかったのかよ!!』
「機器の中に……しまった!!」

【デュアル兄弟が慌ててコンピューターに駆け寄るも、時すでに遅し】
【精密機器の数々は、完全に沈黙していた。一切の操作が受けつけられず、海上ゲートもその動きを停止している】
【ある程度までは開いているが、今から船の全てを離脱させるのは不可能だろう】


『クソッタレえええええええええええ!!! ふざけんじゃねえぞてめえ、食らえやあああああああああ!!!』

「スカーベッジ!! 先頭の三隻のみを、ゲートの隙間から何としてでも海へ出せ!! 残りの船と積み荷はすべて捨てる!!」
「先頭三隻以外に搭乗している機関兵は、全員離脱せよ!! マサツネ、ネグティー、機関兵を先導して先にこの場から退け!!!」

【弟・ギュスターヴは上空まで届くほどの怒声と共に、両手から一つずつ砂の刃を形成して、鷲とその上の男性へとそれぞれ飛ばした】
【狙いは正確、速度も速いが、威力は大したことはない。当たっても肌が浅く切れる程度だ】

【兄・オーギュストの判断は早かった。奪った物資の大半を放棄することを決定、異形のうち二人と機関兵の大半がその指示に従いこの戦場を後にしていく】
【デュアル兄弟自身も、砂の刃を放った後は管制室から飛び出し、船着き場へと走り始めるだろう】

/続きます
224 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/11(火) 01:21:32.83 ID:gjgoKy3r0
>>219

【頭部が谷山の脇腹にぶつかり、高速回転によって周囲の肉を抉り取る】
【だがそれを受け止め、怯まずに谷山の一撃がサージの精神を斬り裂く】
【それを喰らい、サージの回転が止まり後ろへよろめく、実体を持たぬ攻撃が為 回転で防御出来なかったのが致命的となった】
【……しかしそれでも】

…………ガハッ……、私の忠義はッ……! この程度では折れぬ……!
人間の素晴らしさは……義の心があってこそ……、お前程度の者になどやられん……!
『そこまでにしておけサージ……』

【ふと、何処かから老人の声が聞こえてきた、その声の後には ヘリの音も】
【それは上空の逆五茫星の印が付けられた輸送ヘリ、そしてヘリのハッチにいる黒いローブの老人からであった】

『もう此処には用は無い、そんな男など放っておけ』
…………次こそは、私の義の力をお前に見せてやる……、二度と会わぬよう祈りでも捧げているが良い……

【別れ際 そんな台詞を吐き、サージは機関のヘリに乗せられ撤退していく】
【谷山はこのエリアを守り通したと言えるだろう】
/ではここで〆とさせていただきます
/有り難うございましたー!
225 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 01:21:36.66 ID:0K+yoqOpo
>>213
【一方、少年との戦場。割り込んできたオールドベビーの異形が思わぬ効果を発揮する】
【カニバディールの牙が面食らった少年の肩を食い破る。しかし、その口中に広がる味と食感の異様さ】

(なんだ、この身体は……!? 血が流れない……どういうことだ……)
――――ぬ、ぐっ!!?

【攻撃に成功したにもかかわらず、この違和感のためにカニバディールの思考が一瞬持っていかれた。戦場では致命的な隙】
【反射的に放たれた少年の反撃が、伸びきっていた首を襲った。以前よりも遥かに昇華された蹴りが、異形の頭を吹き飛ばす】
【その首に引き落とされる形で、カニバディールがコンテナから転落した。無様に地面に叩き付けられるも、すぐに起き上がる】
【倒れ伏すオートマーダーに駆け寄り、その身体を全力で担ぎ上げて船着き場へと身体を向ける】


おの、れ……!! オールドベビー、殿を任せた……!!

《ホッホッホ、お任せでちゅよおおおおおおおおおおおお》
‘ママアアアアアアアアアアアアアアアアア’

【オールドベビー。フリルをあしらった、巨大なピンク色の電動ベビーカーの中に収まった、赤子ほどの大きさの老人】
【そフリル付きのピンクの乳児服。異様に大きい頭部。しわだらけの顔。鉛色の瞳】
【体躯は、それこそ赤子ほどしかない。それでいて頭部は異様に大きい。しわだらけの顔に、醜悪な笑みをたたえている】
【頭からは、頭髪の代わりに太いコードが何本も伸びて、それらがベビーカーと老人を接続していた】

【ベビーカーを押すのは、丸みを帯びたピンクの装甲に包まれた巨漢】
【四肢は関節を挟んで前後が大きく膨らみ、芋虫のようなフォルム。頭部は身体に見合わずひどく小さい】
【唯一露出している顔。それは、あどけない赤ん坊の物だった。大柄な男の身体に、赤子の顔が付いているのだ】
【オールドベビーのマインド、『サン・オブ・ベビー』。その巨躯を、ベビーカーの側面から伸びた二本の触手型機械アームが掴み上げた】


《ホッホッホ、たかいたか〜〜〜〜〜〜〜〜い》
‘ダッコしてえええええええええええええええええ’

【マインドを鈍器代わりにする形で、機械アームが横殴りに振るわれる。少年から見て右から、アームに掴まれた『サン・オブ・ベビー』の巨体が迫る】
【そのサイズに見合わぬ速度での振り。しかし、これはマインドの能力によるもの。マインドの重量をコントロールし、軽くすることで高速の振りを可能としているのだ】

【故に、見た目ほどの威力はない。だが、その攻撃範囲は広い。さらに、振られているのは意志もつ鈍器】
【装甲に包まれた四肢をバタつかせ、少年に何とか一撃を加えようとしている。少年に隙を作って、とにかくここから去ることを最優先にしているのだ】

【マインドによる殴打に対処できれば、殿のオールドベビーまでの障害はない。反撃はいくらでも可能だろう】

/遅れて申し訳ないです……
226 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 01:24:37.81 ID:xuBP8KD0o
>>203 >>211

『…………こちらアサドだ、これから操縦者≠とっ捕まえる。そろそろ草原地帯に出るみてぇだが――――そっちは頼んだぜ』

【ハッチの内部を覗く直前。アサドは回復した無線機へ向け、内部の人間に聞き取られないよう小さな声で告げると、すぐに通信を切った】
【現在地の後頭部からは、ヘケメトが放ったエネルギー砲もブラッグスが放った槍も、爆音という形でしか認識できない】
【ただ、もうすぐ鎧は特大の罠≠フある草原に踏み入る。それを考えれば、恐らく三人は必死で気を引いてくれているのだろう】
【敵を目の前に、これ以上の通信は出来ない――――だから彼らの頑張りに対して出来るのは、ただ信じている≠ニ伝えることだけだった】


>>208 >>214 >>215

なんだ姉ちゃん、コイツを動かしてる奴を知ってんのか。
しっかし無愛想なメイドって…………最近のメイドってのはこんなバケモンも動かせんのかよ?
…………まぁいい、都市部まで時間もねぇ事だ。どんなおっかねぇメイドなのか、直接あらためるのが早ぇわな!

【グリースの話を聞いて、アサドはその「無愛想なメイド」を想像するが…………この鎧の印象のせいで、一瞬でキャパシティを上回った】
【もう殆ど目の前にいるのだ、街を守るためにも直接会うのが手っ取り早い。結局はその結論に達して】
【暢気な軽口は、元々の性格なのか場を和ませる為のものなのか。何にせよ、アサドは銃砲を握る腕に力を込め、今度こそ中を覗き込んで――――】



………おいおいおい勘弁しろよ。こういうミステリーは俺じゃなくアルの領分だってのに。
確かにメイドはメイドだが、こりゃあ…………うぉっと!?

【そこに居る人影の正体を…………アサドは知ることなど出来なかった。ただ見た≠ニいうだけで、全く理解出来なかった】
【扉を開けた瞬間に襲い来た、自分が放ったはずの爆炎。肉体的にも精神的にも尋常ではない様子の男。そして男の周囲に浮かぶ魔弾≠フ破片】
【そして最後に、この機体の巨大な揺れ。結局アサドに解ったことは最後のひとつだけ、即ちあちらの三人が鎧を見事罠≠ノ掛けたのだという事実のみ】
【――――判断は一瞬だった。この機を逃すわけには行かない、とにかく目の前の男をコックピットから引きずり出してこの鎧を止めるのが最優先だ、と】

【そうして、アサドは再び動き出す。まず最初の行動はトリガーを二回連続で引くことだった】
【軽い反動と発射音。モニターに『E-hail』という表示が浮かぶのと同時、『E-bit』と同サイズの水色≠フ弾丸が二発、補充される】
【これでアサドの周囲には、橙色の『E-bit』と水色の『E-hail』が二発づつ浮かんでいる状態となった。サイドグリップからは光が失われ、弾切れを示している】
【それを終えた後、アサドは先陣を切ったグリースの後に続いての素早い突入と、サイドグリップを≪I≫へ換装する動作を同時に行うだろうか】
【そして最後の行動は、銃口を男に向けて腰を据えること。最も得意とする砲撃体勢――――何千という反復努力が、これらの行動を一瞬にして終わらせていた】

そこまでだ!
コイツを止めな、兄ちゃん…………でなきゃ力づくでも引き摺り下ろす!

【培って来た経験は迫力≠ニなり、単なる言葉の羅列を精神を拘束する縄に変える。抵抗すれば撃つ、と。銀の双眸は獲物を睨み付ける】
【すぐに撃たないのは、男の周囲に浮かぶ自身の弾丸を警戒しての事だ。もし相手にこちらの弾丸の制御を奪う力でもあれば、撃った瞬間に自滅することもありうる】
【隣にはグリースもいるし、いくら相手が弱っているとはいえ迂闊には動けない。……先の読めない展開に精神を拘束されているのは、こちらだって同じなのだから】

(…………何か、嫌な予感がしやがるぜ)

【そして、もしもコックピット内から都市部の様子が伺えたらの話だが。アサドは決して顔に出さないまま、テレビ中継の男の言葉に焦燥を募らせる】
【おかしい――――何かがおかしい。何か自分の及びも付かないところで大きな陰謀が進行しているような…………そんな、予感がする】
【その感覚は、例え中継の言葉が聞こえなかったとしても、勘≠ニいう形でアサドを蝕むはずだ。それ程、この場には異様なものが感じられて】

【それに関して、少なくとも容易に想像できることがひとつ――――】
【――――ここで男と鎧を止めたところで、きっと事件≠ヘ終わらない。恐らく裏で糸を引いているであろう誰かを、追い詰めない限りは】
227 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/11(火) 01:24:48.89 ID:CiZDvduO0
>>220

【自分の策が決まって男は心のなかで喜んでいる】
【しかし、すぐさま喜び気分を律してディハートと向かい合った】
 
 ……こちらも……返すものは返すのでな……
 ……こちらもきついか……

【厳しいながらもポーカーフェイスをしている男ではあるがさすがに持たない】
【あの爆破の連続を食らっているのだ当たりは焼け焦げて骨まで折っている始末だ】
【とはいえ自分も苦しければ相手も苦しいのは必然でありすぐさまディハートを倒そうと動く】

【ディハートが後ろへと倒れる、だがディハートは耐えた!】
【これくらいで終わるわけはないと男も思っていてだからしとめようとそうしたときに】

【さきにディハートが攻撃を仕掛けてきたのだ】
【それはさきほどと同じ技であって男はすぐさま回避しようとした、しかし】
【体が思うように動くずに、その爆発を受けてしまった】

【そしてそのまま吹っ飛ばされた男は海に落ちようとそのように思いすぐさまマガジンを爆弾に変えて――爆破させる】
【直撃ではないように調整していたためかダメージは少なく、そして海へと落ちた】

【特機してそれにきずいたカノッサの回収部隊が男を回収してそのまま男は運ばれて撤退した】

/ここまででしょうか
/お疲れ様でした
228 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 01:29:18.09 ID:8QQghpfp0
>>214>>215
【誘導が功を奏した。此方の攻撃が単調な上にいちいち有効打になっていたのが幸いし、自分を潰さんと足を踏み出した】
【それは即ち狙い通り罠に嵌めた、という事。機兵を葬る為に用意した穴に、今左足が突っ込まれていく……――――!】

ビンゴ……!大当たり、だ……!

【足が穴に落ちた次の瞬間、穴を仕掛けた張本人が用意した地雷が、音を立てて作動する。破壊的な轟音が上がり、土が跳ね上がる!】
【余りにもの衝撃に地が揺れる。爆発による衝撃波が通過する。目を向けなくても分かるレベルの、物理的エネルギー……!】
【――――左脚は大破していた。如何に破損箇所を修復できるといえども、完全に破壊されて折れてしまっては、どうすることも出来まい……】

【そして、追撃とばかりに件の自警団長が右脚膝の部分目掛けて飛びかかる。甲高い金属音とともに、装甲に大穴が開く!】
【――――右脚も、とうとう崩れた。巨大な鎧は、遂に動く術を失ったのだ……!】

【……そうだ、内部は!?内部に行った二人はどうなっている!?上手くやっていればいいが……今は願うのみだ】



【……先程から耳障りな中継が聞こえていた。避難命令を無視した其れは違法だ、あとで警告しなければと思っていたのだが……】
【――――何か様子がおかしい。声のトーンが確実に変わっている……しかも、「残念」とは……】
【……放たれる言葉の内容からある程度声の主の予想はついていた。「月」への拘り……予感が正しければ自らも過去に身を置いていた機関の、「彼」に違いない】


月を両方とも壊そうとしておいて、よく言いますよ。―――――六罪王、ダグラス・マックスウッド。
……貴方に言わせてみれば、空に浮かぶ月以外は月とは認めないのかもしれませんが。
さて――――何を考えているかは分かりませんが、私は脅威から人々を護ると決めました。ここで人々を死なせては、「少年」に合わせる顔がありません……
……私は貴方が市民を傷つける限り、戦います。

【街へ歩みを進めるブラッグス。先程までの戦いで傷ついているはずの彼の足取りは、強い意志に後押しされるかのようにしっかりとしていた……】
【――――とはいえ、彼が何処に居るのかはてんで見当が付かない。ヒントは「17階」に居るという事ぐらいか……】
【今回の事件、恐らく単なる機兵の侵攻でない。意図は?目的は?……一体何が狙いなのだろうか】
229 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 01:35:12.07 ID:GQSqH7Wl0
>>214>>215
【突入は成功。さて、後は対象を縛り上げる等をすれば一件落着――――とも行かず】
【いざ中を覗いてみればどうだ。相手があの時とは違う。入れ替わったか…………?】
【いや、しかし。確かに破れたメイド服に黄銅の大剣と面影は残されている。ならば変化か?幻術か?】
【――――分からない。ただし止めねばならない事は分かる。…………今から干渉せずとも、外で仲間が奮闘していよう。だったら操縦者を捕まえるだけだ】


「初めて会った時から随分と様変わりしたねぇ――――
ボクもアサドも任務っていうかお仕事って言うか…………君と同じ諦められない事があって此処に居るって言うか――…………博士?
まっ、もう動かそう動かそうと努力する必要も無いよ。もうじき君の仕事も終わりだ
だから――――これだけ破壊した君が熱心な教徒でも無いだろうし、血塗れになるまで其れを握っていなくても良いよ」

【博士とは何だ。裏切りとは何だ。譫言か――――しかし、其れにしては感情が籠もりすぎている】
【何故ここまで拘る。何故“命令”に服従しようとする】
【何故、教徒のロザリオを握りしめている。軽口を叩きながらも、脳内では何故の文字だけが何度も何度も現れては消えていた】
【――――だが、今は必要以上に問う事は無い。もはや男性に逃げ場は無いのだから】

【侵攻は止まった。依頼内容は果たされたのだ】
【解決か?いや、これだけの大がかりな事だ。そう容易く行くはずもあるまい】
【それに…………もし今回の件で本当に団長達が関わっていてならば、或いは更に大きな影があったならば終わる筈が無い】


「チェックメイトじゃ無いけど、チェックにはなってるよ
守る駒を失ってビショップとナイトに追い詰められた状態からどうするのかは分からないけど、変に抵抗しなきゃボク達だって手荒な事は――――ッ」

【睨まれようとも萎縮する事は無く、相手の力は未知で有るが既に瀕死に近い事は明らかだ】
【更にこちらは二人組――――だが。中継から漏れる声はそんな事を簡単に覆せる程の物を感じさせた】
【やはり組織関連。…………いや、便乗して暴れているカノッサの関与か】

【アサドの隣に立てば、幾人と殺めた銀の双銃を取りだして】
【――――その銃口を、男性へと向けた。それ以上の言葉は今は無い】
【アサドが警告した事もあるし――――実況の男が反応したのだ。そして、甲冑の侵攻は止まったのだ】
【促さずとも、何かは起きるだろうか。ならば、其れに神経を注ぐ】
230 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 01:35:50.33 ID:8TwocedYo
>>221

【銃を持った腕がビリビリくる。撃った時の衝撃だけじゃない。近いからだ】
【銃弾が弾け飛んだのがいつも感じてるガンマンの”カン”じゃなくて目の前で衝撃で伝わってくる】
【だがクソ、意識がふらつく。もっと早く輸血しとくんだった。また内ポケットだクソ。使えない…俺が】
【血を使う彼は血を浴びれば貧血は回復できる。代謝が上がるからかヤクキメたみたいに治癒力も神経も極まる】
【けれど毎回見る真っ赤な景色と幻覚が俺のトラウマで無意識それを使うのを避けちまっていた。馬鹿野郎…俺】

アアッッ!!クソッっ!!クソッっ!!クソがッっ!!

【右腕を掴まれて、必死にもがいてみるがダメだ。もっと先の方で掴んでくれればよかったが肩をやる気だ】
【ギリギリと締めあげられるその力で拳銃がガシャンと地面に落ちた。力が入らない。クソみたいにヤバイ】
【彼奴は剣を構えて、バッチリ、やる気だ。逃げる手立ては思いつかない。あークソッ!ディミッッ!】

【そう焦りながらも、彼は既に腹をくくっていた。やられるぐらいならこっちだってやってやる】
【向こうは獲った気でいるが、こっちだって獲ってんだよ。深淵を覗くものはなんとやらだ】

ハァ……ハァ……クソッ…あーうるせぇ。うるせえんだよ。……ビビリやがって。……最初の余裕は何処行ったんだよ?
ククッ…ハハハ……おい…アンタ…見えるぜ…?……お前、今……俺にビビってるだろ?
……ああ、そうさアンタの真っ白な世界なんぞ知らねえ。言っただろ、本当の世界なんて知りたくもねえよ…

【話をしながら、彼は左手を自分のベルトへ持っていった。時間稼ぎと話術で隙を作らす。今は焦りと恐怖だ】
【彼は懐から黒いリボルバー拳銃を取り出した。同じようなもので金属の色だけ違う。対になっているから名前が刻まれている】
【シルバーは『SABRINA HEAVEN』。黒い方は『SABRINA ”NO” HEAVEN』。天国には行けない。撃つ奴も撃たれる奴もだ】
【キチリと撃鉄を上げる。意識が遠のく感じがする。震える左手で正面に構えた。実際はどうだかわからない。もうあやふやだ】

【魔術だとか能力だとかそういうものに敏感なら気がつくだろう。物凄い、執念のような何かが彼の銃口から感じられる】
【六発で1発。炎の熱と高回転で何処までもストレートに突っ込んでいく。彼は狙いを定める。あやふやで怪しいが狙いはヤツの腕だ】
【やられる前に利き腕をやっちまえばイイ。ダメならそれまでだ……そう思うと笑いがこみ上げてくる。彼の目は真っ赤だ血のようなどす黒い赤】

ハハッ………俺は俺だ。覚えとけ。―――――――STRAIGHT TO HELL

【戦車の主砲のような爆音が辺りに鳴り響いた。弾なんて知らない。当たったか?つんざく音と痺れとでわからない】
【銃を出した時点で拘束を解いて回避に回れば十分、避けるタイミングあっただろう。っと人の心配している場合じゃない】
【サングラスの男は腕を斬り落とされてもそうでなくても、意識朦朧の中その場に崩れ落ちた。】
231 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 01:45:21.47 ID:fk4BP5iFo
>>227

【海の方から聞こえる爆発音。その後の工業港は極めて静かなもの】
【都市部の方角に目を向ければ、巨大な機兵も見えるが――――こちらは最早、これ以上の活動は不可能だ】

……っ―――だぁ、くそッ……逃がしたか……!
―――でも、取り敢えずここは、何とかなった、か……?

【ゆっくりと起こした身体、『あーもう無理』なんて言葉を投げやりに吐き出せば大の字に倒れて】
【空には星。暫くの間、碧の瞳で見つめていたかと思えば、突然身体の下に現れる魔法陣】
【そこから放たれる光がディハートの姿を包み隠し……そして光と共に、ディハートの姿は、消えた】

【残ったのは爆発で抉られたコンクリートの地面と、焦げたような跡】

【――――輝く星、波の音。こんな事態でなければ最高のリゾート地を楽しめたのに……】
【去る前に、ディハートはそんな事を考えていたとか、いなかったとか。どうでもいい話である】



/お疲れ様でしたー!
232 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/11(火) 01:47:51.64 ID:UZsXNuMto
>>230

【全身が総毛立つ感覚、背筋がそっくりそのまま氷柱に入れ替わってしまったが如く】
【六罪王の一人である彼、その彼をここまで焦らせるのは何であろうか】
【目の前のボロボロの男一人、その存在が彼に深く向かい立つ】

【振り上げた右手に力を篭める、銃口を向けられても尚、その形は変わらない】
【自信があった、彼の腕前であれば、発射される前に切り伏せられる、と】
【もし撃たれたとしても尚、彼の甲冑であれば銃弾を防げる、と】

【白波が凪を迎える、白磁の仮面の奥底に僅かな表情を沈めて】
【あるいはそれが、静かな形の成れの果てであろうとも、揺らぐ意味合いを知らず】
【踏みつくす足元の感覚だけが、確かに身体に実感として伝わる】


――――――この期に及んで御託を……!!そなたを買い被り過ぎていたようだ
ならばその腕切り落とし、実感として、刻みこんでしまおう!!


【翳す右の手が変わった、その銃口に刻まれる深い執念を、彼は感じ取った】
【ダメだ、コレはまともに受けてはいけない、と全身全霊で教えられる】
【だが、確実に攻撃を刻まねばならない、そうでなければ、彼の使命を果たした事にならない】

【寸刻の間の後、彼の手が離れた、貴方の手を開放したなら、彼の身体が翻る】
【長いマントが彼に巻き付く、そしてそのまま、しゅるしゅると音を立て収束する
【刹那、そこには空っぽになった空間があり、貴方の銃弾は虚空を貫くだろう】

【消えてしまったのだ、彼の身体が、僅かな跡すら、残さずに】


……今宵は私の負けだ、潔く、退くことにしよう
だが、それもやがて道理、私が私であるかぎり、そなたの命は、必ず取る
それまで、静かに生きていることだな


【残響が奏でられる、どこからともなく響く声は、彼のそれ】
【響いたなら、後に残るのは寂寥とした風だけ、残る確かな勝利の実感だけを残して】
【――――――収束する戦いの音だけが、確かにあって】


/お疲れ様でしたー!
233 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 01:59:23.68 ID:w99JysLu0
>>223


『止められるかどうかは分かんないわねぇ〜、アタシ、船マニアとかじゃないからぁ〜……』
『何ていうのかしら、電動ならイケるはず……あ、何か慌ててるわねぇ………何かナイフみたいなの、こっち来たわよぉ〜……』
『……え、ナイフ?………―――っ! ちょ、ちょっとぉ………イヤん、傷出来ちゃったわぁ……』

『見てみて、ココ……あら、血も出てきちゃったぁ……アタシの芸術的な身体……あ、切り傷ってぺろぺろしたら治るっていうわよね?』
『………分かってるわ、アタシも、愛の無い愛はイヤよ、……後で、たこやき君にしてもらお♪』

『……何見てるのよ、冗談に決まってるでしょ、………ホント、自警団員って、ジョークが通じないわねぇ……?』


【上空は安全地帯、だが動きに柔軟性は無い。若し突然の動きに鷲が対処すれば、背中に乗っている3人をも落としかねない、という事だ。】
【とすれば、間違いなく、2本の砂の刃は彼の狙った正にその通り、男と鷲に被弾する事になるだろう。……威力が低かったのが、幸いか。】
【然し、その様子を見ていたのなら―――あの連中は、敵の攻撃を殆ど回避出来ない、という判断に至る事になるだろう。其処に漬け込むのも、アリだ。】


『あらぁ、結局、持って帰れるモノだけ持って帰るみたいね……敵ながら、良い判断じゃなぁい? あっぱれ、ってやつよぉ〜。』
『……海、凍らせちゃう事も、出来なくないんだけど……それだと、たこやき君がいざというとき……、うーん、妥協ラインかしら?』
『まあ、アタシにしては上出来なんじゃないかしら、……アタシ、本業はシェフなのよ? 闘うシェフ、あ、なんかイイ響きね………』


【一方少年、嘆いたのは、敵の数の多さだった。倒しても倒しても、あのボスと対峙する事が出来ない―――……自らが疲弊していくだけの様で、】
【然し自分に出来る事といえば、一人ひとり、確実に倒して行くだけ。……勿論、目の前の奇妙な二人も、その範疇内だ。】

【見るからに質量を持っていそうな鈍器、少年に目掛けて勢い良く振り抜かれれば、想定出来る威力に思わずその回避に専念してしまった。】
【故に、バタついた四肢には苦労させられる事となる―――鉄の両腕をクロス、即席の盾を作って、何とか耐え忍んでいるという所だろうか。】

【然し、其処に一瞬の隙でも出来たものなら、少年は透かさず反撃―――珍しくも殴打を狙った。右ストレート、蹴打に比べれば威力は其処まで無いが、】
【それでもその辺の石なら簡単に砕け散らす事が出来る程だ。……とは言え、その反撃の成否に問わず、時間は稼がれてしまったのだろう。】


/このクォリティならしかたがないです!のーぷろぶれむ!いっつまいぷれじゃー!
/深夜テンション突入です!ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱぁーっ!
234 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 02:14:01.80 ID:VxxIg1Gdo
>>222

【ヘケメトとアウが、そしてブラッグスが前線を離脱して都市に向かったのなら、丁度入り口で一人の男に会うだろう】
【舞踏会のような仮面をつけた、薄手の格好の男だ。胸元をはだけたワイシャツ姿に、絵の具汚れのあるジーンズを着用し】
【肩には持ち運べるタイプの大型カメラ。近くのモニターを見れば中継されているのはヘケメトたちで、例のカメラマンなのは間違いなく――】

『――おっとちょい待ち!君らだろ、ヘケメトとアウっていう二人組は?
 話に聞いてるよ、というか見てた……人間離れした身体能力、怖いよね。
 僕ってさ、運動とか戦いとか苦手なんだ。だからちょっとおとなしくしててよ、ね?』

『それとそっちのおじさんは……どっかで会ったこと、あったかな?
 ちょっと覚えが無いんだけどさ、まあ飲み込みが早いなら助かるよ、そこ退いてくれる?
 じゃないと……僕はいいけど君らが死ぬよ=\――……?』

【彼は出会うやいなやそう言うと、マスクの下でニヤリと笑った。――おかしい】
【あまりに軽装過ぎる。武器もない、従者も居ない、何処かに罠があるようにも思えない】

【ただ1つ言えるとしたら――それは月が赤い≠アとだろう。空の、丸い月が赤い事だ】
【色は薄い赤。血よりも、上等なワインに似た色合いのそれは――些か普段より大きく見えて】

>>228>>229

【二人が内部に入り、強く脅しをかけ、或いは銃口を向けたなら】
【メイド服姿――とも言いづらいが――その男は、絶望と悔恨に満ちた表情でゆっくりとそちらを向き】
【つらそうに、苦しそうに。とても重犯罪者とも、精神が崩壊したとも思えない様子で動きを止め】

ぁ……いや、だ…!『あの時』も……そうやって、脅したクセn―

                  『――あぁ、無駄だよグリース・イムリンパルス。』

【外からだった。遠く街のモニターの音が上げられて居るようで、まるで今まさに見ているかのように言葉が入る】
【若い男の声。その声が聴こえると、怯えたように男は――ふらりと倒れこむようにして、気を失って】
【不思議なのはその瞬間だった。今さっきまでたくましい男性だったのが、小柄な女性に変わったのである】
【メイド服の似合う、150cm程度の女性に。ただ、倒れ込めば――もう数日は起き上がることはなさそうで】
【それでもロザリオを握りしめていたのが印象的か。さあそうとなれば、外にでてモニターを確かめるしかあるまい、が】

【――――大きな月が見えるだろう。真っ赤でまあるく、目を惹く月が。】

/続きます
235 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 02:14:51.29 ID:VxxIg1Gdo
>>ALL

『――さて、っと。せっかくの玩具も壊れちゃったし、自己紹介でもしようか?
 折角テレビに写ってるんだ、大々的にやらなきゃ損だからね。』

【目の前に居るヘケメト達も、ブラッグスも無視するように男はカメラを自分に向けた】
【マスク姿のドアップだ。顔は分からないが、若いことくらいは見て取れる】
【先ず、マスクの端を指さす。見えるのは逆五芒星――言うまでもなくカノッサ機関を表すもので】

『この世界の多くの人は初めまして、一部の人はこんばんは。僕の名前はダグラス……
 カノッサ機関、六罪王のダグラス・マックスウッド……本物だよ?よろしくね、世界中のみなさん。

 それで、今日は何を言おうかって言うと取り敢えず自己紹介でさ、みんな僕をよく知らない。だろ?
 かの大先輩レギン、コーネリアス、そしてリリアなんかは色々と名が売れてたけど……僕は不世出だ
 だから、せっかくの機会なんでこうさせてもらったワケ。名前は言ったし、身分も……あぁ

 ――僕は美しいものが好きなんだ。耽美っていうか、まあ色々あるけど……作るのも好きさ
 知り合いは多いほうじゃないけど、友達になりたかったらそこらの機関員に電話番号とか聞いてくれれば……え?あぁ、ハイハイ』

 『……ゴメンゴメン、数少ない友達がうるさくてさ。でね、僕の六罪王としての目的は特に無い≠だよね
 世界征服も、復讐も、喉から手が出るほど何かを欲しがったり、成し遂げたかったりすることがない。
 強いていえばあるけど、それは僕の才能があればいつか達成可能だ。だから、先に一つだけ言っとくよ

 僕は飽きない≠チてね……機兵一つ、街一つぶっ潰そうが失敗しようが、それで終わりじゃない
 今、もっとやりたいことが在るんだ。でもそれにはもう時間がないし、兎に角自己紹介だけして終わろうと思ってる。
 ……今ので自己紹介は終わりじゃ無いのか、って?まだまだ、だって能力≠見せてないしさ――あれ、ヘケメト君とそっちのおじさん、逃げないの?』

【――巫山戯た男であった。漂泊で責任感のなさそうな、今時という言葉を使うのも憚るような男である】
【言葉遣いも、今まで六罪王として世界を騒がせた者達とは全く異なって――重みの欠片も無い】

【ただ、言っている事はやはり悪人らしかった。狂っているのでもなく、そうしたいからそうするという思考】
【とんだ自己紹介≠烽ったもので、それでも一先ず、カメラはマスクのアップからヘケメト&アウとブラッグスを映しだし】
【更にその奥、ヴァルゴの頭頂部付近にちらと見えるはずの二人も映さんとするだろう】

/もう一レス…!
236 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 02:15:06.61 ID:VxxIg1Gdo
【問題はその後――彼は空を、月を映した。赤く染まった月は、空を覆い尽くさんばかりに大きくなっていて】


『……僕は芸術家、ダグラス・マックスウッドだ。そして僕の能力は、僕個人の劇場をつくり上げること。
 劇場は素敵だよ――彫刻も、絵も、詩も、演技も俳優も脚本も全部僕がつくり上げる劇場は特にね。

 それでね、いい忘れてたけど僕は月が好きなんだ。子供の頃から何千枚とその絵を描いてきた
 だから……いや、だからこそ僕は今以上の存在になれない。月は僕の心を射止めて止まない。
 でもそれじゃ駄目なんだ。月は至高だ、でもそこで立ち止まったら、もっと高いところが見えなくなる

 だけど未練もある……お子様だろ?そうそう、僕はまだ未熟でさ、欲張りで困ったちゃんでね
 月のない世界と、ある世界が欲しいんだ。幸い、僕が創りだした劇場の世界は全て仮想だから……』


【――月を写していたカメラが、再度ダグラスの顔を映した。にやりと笑う顔は、幸せ満面といった様子で】


『そういうわけで、この気に入らない双月を吹っ飛ばすついでに――

                         ―――――月を落とそうかと思って。』


【ゴゴゴ…!≠ニいう、重いものが空気を割るような音が周囲に満ち始める。月が、そのサイズを増していく】
【落ちる――月が、まるで嘘のような光景だったが――ラグナールの街を、押しつぶすように迫ってくる】

【それでも劇場≠セと言っていたのがまだ理解できるのが、月のサイズが丁度街と同じ程度だということ】
【もし本物の月が落ちたら街一つでは済まない。劇場だから――彼の世界だから、その世界の中でだけ、月を自由にすることも出来る】
【そういう見せ付け≠煌ワめた示威行為≠ノ違いなかった。ただ、落ちるのは先ず確実】

【――ヘケメト達、都市に立ち入らんとした面々はすぐに取って返すべきだろう】
【仮に止めようとダグラスに襲いかかっても、見えない壁が両者の間に存在することも伝えておく】
【まるで舞台≠ニ観客≠分ける様な壁だった。――無論、観客はダグラスということに違いない】


【街に月が落ちるのは、その中継から三分後。ビルを押しつぶし、円球をピッタリと月が埋め尽くすように降り注ぐ】
【だが、土が津波となって周囲に迫ることもないし、大爆発が起きるのでもない。或いは起きているのかもしれないが】

  【それすらも制御出来るのが彼の能力だとしたら――?――ヴァルゴは沈黙し、操縦者も同様になったが】
  【もう一つ、大きな悪因が其処にはあった。ダグラス・マックスウッドの自己紹介は――これで完了だった】
237 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 02:18:19.90 ID:8TwocedYo
>>232

【銃弾を放ってそれはただそれだけで何処かへ消える。外した…だがもうどうでもいい。その場に崩れ落ちた】
【不気味な目は相手を最後まで睨んで居たようだった。いなくなってしまえば、気の抜けた様にその場に伏せる】

【血は魂の通貨。血の弾丸は魂の弾丸だ。彼の命そのものが乗っている。それは時として運命さえも突き抜ける】
【世界は意志と運命で出来ているならば、運命の壁に弾かれても意志という弾丸が突き抜けて新たな運命を切り開く】

【本来ならば腕を切断されて挙句にやられていてもおかしくはない。彼の放った弾丸は相手の騎士や六罪王という意志に】
【働きかけたことによってその運命を変えることができたんだろうか。とはいえ彼は撃っただけだ。感謝すべきは】
【その姿、騎士道に恥じぬ敬意を表してくれた相手に言うべきだろう。お互い、大した利益もなく満身創痍でドロー結末としては】
【両者とも納得の行かないものになったことだろう】

………うっせえ、俺は派手なのが好きなんだよ

【幻聴なのか幻覚なのかもうわからないブラックアウト寸前の状態で最後まで減らず口を叩いてみせた】
【拳銃も投げ出して、サングラスもヒビが入ってしまった。ああそうだ、ライターもなくて、煙草も吸えない】
【そんなことを考えている。そこで彼の意識は暫く強制的に閉じられた】


【その間、彼の最後に放った爆音で部下たちが集合しもろもろを回収されて撤退した】
【出費は経費で落ちておまけに大金も手に入ったのだが…暫くは不服の入院生活だった】

/こちらこそお疲れ様でしたー!
238 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 02:39:42.57 ID:PUuP0im1o
>>234-236

「ヘケケケ、――俺はおとなしくできないッ!」 『……先程まで疲れたとか言っていたくせによく言えますね』

【――ただの栄養補給剤一本如きでここまで回復したのか、それとも高ぶる闘争心でダメージを隠しているのか】
【どちらにせよ、おとなしくする気は無さそうだ。肩車の状態のまま行われる節折は挨拶代わりである】

『……安心してください、駄目なら退きます……ヘケメトの生命力を見ればわかるでしょう――私達はそう簡単に死にませんから』

【アウのサーチング・サポートに何か異常なモノが引っかかった、出力が弱くともこれだけはわかる】
【……とんでもない何かだ、こんな所に居てはいけない、今すぐどこかに行かなければならないナニか】

「いぇーい」 「よォーし、よくわからねェーけど、殴れって事だな!」 「そォーい、……やァ?」 「なんだよォー、殴らせろォーッ」

【一方のヘケメトは……向けられるカメラに肩車のままポーズ。なんというか、……子供である】
【さて、御託はもう十分だ――とばかりにヘケメトはダグラスに殴りにかかる、……だが何故だ、届かない】
【壁なんてそこにはないはずなのに、しかしある――既に気合の棘撃・守貫は解除した、いや護貫の方が適切か――なんて前に】
【そもそも魔翌力の少ない彼には厳しい、先程の穴掘りで結構消費したからだ】 【何度か殴ってみる、蹴ってみる、……駄目か】
【――壁に阻まれている隙に、月はどんどん大きくなってくる、――これ以上粘ってはいられない】

『…………早く逃げますよ!』 「……ぶっ壊させろォーッ!!」 『無理言わないでください』

【が、……流石にあれを"防ぐ"のは少なくとも今は無理な話。今後も出来るかなんてわからない】
【だったら、逃げる。街がどうなろうと彼らには関係ない、元より報酬と戦いが目当てなのだ――】
【その結果として、今回は正義側についただけ。だから街を振り返らずに、先ほど来た道を猛ダッシュで帰るのみ】

【不味い、押し潰される!】 【――アウを背中に乗せつつのスライディングッ!】 【ギリギリセーフ!】
【…………あと少しで押し潰されるところだった、かろうじで草原の入り口まで戻って来られた――】


     【――六罪王、だったか】


 「……ヘケケケ、俺もしばらくは暇にならなそうで良かったぜェ」


        【――俺には関係ないね】


『……暇も何も、あなたはいつもどこかで騒ぎを起こしていて……そんなものどこにあるのですか……まったく』

【さて、ド派手な自己紹介の次はどんなプレゼンテーションをしてくるのか、……2人は身構えている】
【といっても、今のこの体力で戦うのは少々辛いものがある、――兵器でもぶっ放すか、いや……逃げるか――】
239 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 03:08:32.72 ID:0K+yoqOpo
>>233
船は占拠されてますが、海上ゲートは止められると思います!!
おお……成功したみたいですよ!! ――ってわあああ!!!

【もはやすっかり元気を取り戻した二人は、鷲の背中から眼下を見下ろしている】
【敵の目的を叩き潰す男性のファインプレーに、二人が快哉を叫ぶ。が、次の瞬間、飛来する砂の刃】
【鷲と男性が、それに切り裂かれるもともとの威力が低いうえにこの距離、ダメージがさほどでもないのが幸いか】

……き、傷は浅いです!! 下手に民間療法すると、かえって感染の恐れが……
あ、はいすみません、遠慮する方向でお願いします……
いやごめんなさい、よく冗談が苦手だって言われます……

【相も変わらずの男性の予測不能な言動に、二人はおたおたするばかり】
【自警団の中でも新人の方なのだろう。戦場の上空、鷲の上という状況も忘れかけるほどだ】


【地上の双子は、それ以上の追撃を行わなかった。ここまで追い込まれた以上、全ての行動を撤退に回すためだ】
【二人そろって、憎々しげな視線を鷲と男性に投げかけるが、すぐに踵を返して走り続け、船着き場へと到達するだろう】
【三隻の船のうち、二隻がほぼ間隔を空けずにゲートを潜り抜けていく。最後の一隻に、双子が駆け込んだ】


さすがにカノッサ、ただの盗賊じゃないですね……。って、海を凍らせる!? そんなことも出来るんですか!?
僕らが不甲斐ないばかりに……申し訳ない。ありがとうございます……!!
シェフさん、だったんですか……。ぜひ今度、お店に行かせてください!!
ところで、たこやき君って……そうだ、あの少年は!?

【驚き、感謝、心配、二人の表情がころころと変わっていく。あらゆる意味で、今までに見たことのないタイプの男性であるが】
【それでも、この港を、自分たちの命を救ってくれた恩人だ。深い感謝の意は、本心だった】
【が、未だ予断を許さない状況。二人が別方向に目をやれば、地表で戦い続ける少年の姿】


【数の差は、戦闘においては大きな要素だ。少年一人に対し、三人がかりの卑劣な戦法。しかし、盗賊どもにとっては、より確実な手法】
【それでも、己の成すべきことを成すため、少年は突き進む。その気高い姿を振り返り、カニバディールが忌々しげに舌打ちした】

【『サン・オブ・ベビー』が、少年に迫っていく。赤子そのままの、四肢を振り回す動きで】
【その手足が、鉄の硬度を誇る両腕にぶち当たった。衝撃は伝わったが、威力は殺される】
【疲弊した相手を、この一撃で戦闘不能に追い込めなかったのは痛い。オールドベビーが顔をしかめ、ベビーカーを後退させようとする】

‘オギャアアアアアアアアア!!! イタイヨオオオオオオオオ!!!’
《あ、あばばばばばばばば!!! ひどいでちゅ、ひどいお兄ちゃんでちゅねえええええええ》

【生まれた隙を、彼は逃さない。少年の反撃の一手は、真っ直ぐに放たれる右の拳】
【ピンクの装甲のど真ん中をぶち抜く。吹き飛んだマインドが、背後のベビーカーに激突。咄嗟に、アームの片方を地面に突いて転倒は回避】


……もう十分だ、オールドベビー。準備が整った

/本当すみません、続きます……
240 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 03:10:34.15 ID:0K+yoqOpo
>>233
【そこに、響いてくる重々しい声。まだ船着き場に辿りついていないというのに、カニバディールはそこにいた】
【担いでいたオートマーダーも降ろしている。なのに、準備が整った、とはどういうわけか】
【上空からなら、見えるかもしれない。船着き場に最後に残った一隻。その甲板に、二人の人物】

【一人は、カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベストを纏った、彫りの深い顔立ちの男だった】
【両耳と口元、にやついた唇から覗く舌の外周、全てに鉛色のピアスが光る。同色の瞳が、カニバディールらを捉えていた】

【もう一人は、少し長めの茶髪に細面の青年だった。丸い目と青の瞳は無機質に見えてどこか、生気と疲労と怒りの色を滲ませていた】
【白いシャツの上に青いジャケットを羽織り、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー。すべてが、ボロボロになっていた】
【この距離ではわからないだろうが、その肌の質感は人のそれとは異なり、四肢の関節は人形の球体関節だ】

【人形の姿をした青年。それが、車いすに縛り付けられた状態で、ピアスの男に甲板に引き出されてきたのだ】


生体のテレポートは、やつに掛ける負担が大きい……あまりやりたくなかったが、仕方あるまい
スカーベッジ!!

<わかりやした、ボス!!>

【無線越しの指示を受けたピアス男・スカーベッジが車いすに縛られた青年の人形の首を掴むと】
【その顔を、無理矢理にカニバディールらのいる方角へと向けた。すると、青年人形の瞳が光り出した】
【それに呼応するかのように、カニバディール、オートマーダー、オールドベビーらの身体も光に包まれていく――】


……我らはこれで退かせてもらう。ちょうどいいことに、どうやらこの事件も幕のようだ
聞こえるだろう? 我らが六罪王の言葉が

あ、あいついったい何を……!! い、いや本当だ!! 向こう側の公共ラジオから聞こえてきます!!
ダグラス・マックスウッド……!? 六罪王……!!?
つ、月が……赤い月が落ちてくる……!!

(これが、あの時マックスウッドさんが語っておられた、月か……。派手好きにしても、規格外が過ぎる……ふ、ふ)

【そう、>>235-236にて起こる大異変。六罪王、ダグラスのド派手な自己紹介。あまりに急な展開に、自警団員らはもうついていけていない】
【カニバディールは、その光景を見て内心で暗い笑いを漏らす。その巨体は、もうほとんど光に包まれていた】


最後に、お前たちの名前を教えてくれないかね? いずれまた、会うこともあるかもしれないからな

【返答があるかないかに関わらず、その言葉を最後に異形どもは、光に包まれて消えるだろう。最後の一隻の船の上へと、テレポートしたのだ。恐らくは、あの人形の力で】
【その後、すぐに船は出航する。海の彼方へと、異形どもが去っていく。だが、コンテナヤードへの被害は少なく抑えられた】
【彼らの活躍で、この場の脅威は全て去ることになった。だが、新たな悪意の出現、カノッサの齎す悪夢は未だ底が知れない――】


【自警団員らが、無事に生還出来たなら。二人の恩人に、改めて心からの感謝を述べるだろう】
【二人が断りさえしなければ、彼らの下に自警団からの感謝状と、彼らの店に自警団員の仲間と食事に行くという伝言が届けられるだろう――】

/またも時間が……本当、言葉もないです……
/捕捉にもう1レス入れるつもりですが、戦闘はこれで終了ということでお願いしたいです。ありがとうございました!!
241 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 03:17:33.87 ID:xuBP8KD0o
>>234 >>235 >>236

『あの時』? そりゃあ――――ッッ!! 誰だ!?

【戦況は2対1、相手は血塗れ。何か余程のイレギュラーが起きない限りは、二人は無事男を拘束し、それで今回の事件は終わりとなる】
【……はず、だった。「イレギュラー」なんて言葉では表現できない現象が、聞き慣れない声と同時にアサドの目の前に展開する】
【男だった筈のものが、女へと変貌し。ハッチの後部からは赤色をした月光がアサドを照らす。もはや、理解どころか推測だって出来やしない】

ああ、クソッ!!

【もはや余裕も失って強く悪態を付いたアサドは、それでも現実的な判断を下す。所詮、そうする事しかできない】
【女へ向けて二回、引き金を引く――側面のモニターには『I-ring』の文字。発射された弾丸はダメージこそ無いが、着弾と同時に弾け】
【そこから橙色のリング≠ェ生成され、女の体を拘束するだろう。狙いは両手を含んだ胴体と脚、両手両足を拘束して完全に自由を奪うための二箇所】
【そしてこのリングには、力を受けると熱を発するという効果がある。暴れる度に熱の責め苦が襲い掛かり、抵抗の気力を奪うというものだ】
【耐久性はそこまで高くなく、熱の責め苦に負けず全力を注ぎ込めば引き千切れる程度。また魔翌力製のため、それに対する何かしらの手段があれば破壊可能か】
【……もっとも、意識を失った女には全て関係の無い話。これは単なる保険だ。何せ、もうこの先何が起こるかなんて、全くわかりはしないのだから――――】


――――ハ。よりにもよってあんな覇気の欠片もねえ奴が、六罪王たぁな。
だが確かに、相応のクソ野郎にゃ違いないらしい……!!

【その後急いでコックピットから脱出し、モニターを仰いだアサドは――――漸く、真実の一端らしきものに触れる】
【アサドは今まで二度、六罪王に遭遇したことがある。だがあのダグラスという男は、そのどちらの印象にも当て嵌まらなくて】
【敵は草原を隔てた、都市部の入り口……遠い。だがあの弾丸≠ネら届かないことも無い――――ならば最後の一ピースは、自身の狙撃技術のみ】
【アサドは肩の足場まで降りると、また二連続で引き金を引いた。『I-embrace』の表示が輝く。着弾地点は二箇所隣り合わせ、そこに尖った氷の柱≠ェ生成され】
【もちろん攻撃目的ではない。狙いは、体勢を安定させるための壁≠作ることだ。その後アサドは、≪I≫のカートリッジを≪G≫へと変更する】
【氷柱に背中を預けて体を安定させ、今まで以上に深く腰を据える。莫大な反動と引き換えに最強の力を誇る必殺の砲撃で、あの六罪王を止める――――】


【――――そこでアサドが見た赤色≠ヘ、今まで見てきた中でも一番、絶望の色を孕んでいたかもしれない】


ふざけ、やがって――――。

【辛うじて搾り出せた言葉が、それだった。自然、銃口は月へと向かうが――――解っている。力をどれだけ振り絞ろうが、あのサイズの大破壊は止められない】
【このままでは街は滅ぶだろう。そして自分は、黙ってそれを見ているしか出来ないだろう。余りにも現実感の無い光景の中、冷たい現実が圧し掛かってくる】
【もはや出来ることなんて無い。街を救うことなんて出来やしない。深い絶望感の中、しかしアサドを部隊長たらしめている何か≠ェ、そこで吼えた――――】

【一つだけ、出来ることはある。落ちてくる月、あと数分で死に絶える街を視界に入れたまま、アサドは照準を元に戻して、ただ黙って引き金を引いた】
【――――現れた橙色の魔翌力針が、砲身の周囲を回転しながら数を増やしていく。三分……それだけあれば、十二本全て揃うには十分!】


ぉおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお――――――――――――ッッッッ!!!


【刹那。アサドの天を貫く咆哮すらも掻き消して、炎の魔翌力の奔流が爆撃じみた唸りを上げ、巨大なレーザーとなって撃ち放たれる――――ッ!!】
【威力は説明するまでもなく、莫大。対人ではなく対巨大生物を想定して作られた、アサド・アル=アーデルの最後の切り札≠セ】
【相手は腐っても六罪王、何らかの防御策はある筈。その勘は正しく、ダグラスの周囲には見えない壁≠ェあるのだが、果たしてそれを貫通し得るか否か!】

【この場面でその切り札を切った判断が、正しいのかは限らない。だが間違っていたとしても、無駄に終わったとしても――――】
【――――この攻撃は偏に、アサドの心を伝えるだろう。ダグラス・マックスウッドへ叩き付ける、全身全霊の宣戦布告≠】
242 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 03:39:31.09 ID:GQSqH7Wl0
>>234-236
「あの時がどの時かも分からないしボクは――――…………なぁーんだ。全部お見通しって訳かな
しっかしボクも有名人だなぁ。石屋の副団長さんにまで知られてたみたいだしさ
――――取り敢えず此処から出よっか、アサド。まだボク等の仕事が続いているかは分からないけど…………どうも、お酒で乾杯出来る雰囲気でも無さそう」

【噛み合わない会話。もういっそこのまま気絶でもさせてしまった方が早いか――――グリップを強く握り、首筋に強い衝撃を与えんと歩み寄るその最中】
【無駄だと吐き捨てる声に、自分の名を呼ぶその声。此処での事は解決したが…………本当の事件は、まだ解決していない】
【解決したのなんて表面だけだ。その深部に至る所には指を掛ける事すら出来ていないのだ】
【――――何が起きているのか確かめる必要が有る。今更遅かったとしても、何が始まり何が終わるのか確かめる必要がある】

【…………この人物はどうしようか。このまま放置した所で良い結果を生むとは思えないし――――警察自警団に突き出すにしても病院に運ぶにしても其処はあの自警団長に任せれば上手い事運んでくれるだろうか】
【断罪と謳って撃ち抜く事も出来るかもしれないが、見覚えの有る同じ教会のロザリオを握る者を殺すのは気が退ける】
【倒れ込み、姿が変わったら流石に目を丸くするけれど。今は其処に気を取られている暇は無い】
【アサドが拘束したメイドを担ぎ上げたならばそのまま入ってきた道を辿り、外に出て】
【――――月が、見えた。不吉な不吉な赤い月。これからの事を示唆するかの様な、丸い月】


「六罪王…………カノッサ。そしてヴァルゴを引き起こしたのが団長サマ達…………っと。嗚呼、なる程ね
臭いの元がやっと分かったよ。ハハ、教会の一団長サマがカノッサと繋がりを持って居たなんて――――カノッサの屈辱の洒落にも成りはしない
その内宗教裁判に引き出さなきゃいけないかな、っと」

【そして何とか守りきったと思っていた都市へと視線を向ければ――――不穏な気配だ】
【それもそうだろう。彼の六罪王の一人が其処に居るのだ。不穏な気配に包まれない方が可笑しいというもの】
【何をしでかしてくるのかと思い、巫山戯た自己紹介を耳に流すが…………。直後、まさかと言った表情で空へと視線は移り】
【言葉通りだ。月が今まさに都市へ落ちようとしている。ダグラス本人を撃ち抜いて止めようにも距離が遠すぎる。止める術なんてありはしないのだ】
【“福音”を告げるか?――――駄目だ。もっと確実な場面でなければ自己に負担が返って来るだけだ】

【ただ月が落ちる様子を眺めるだけ。街が崩壊しているのかは不明で有るが、しかしあるべき筈の土煙も何も起きない事を考えると――――?】
【自ら死地に向かう事はせず、今の状況では対抗する術は無いと判断。更には教会から下された自分の“任務”は完遂している事になる】
【ここから先は自分の判断だ。無論、探し出して捕らえるつもりであったが――――。通信が入れば、短く伝えられる「帰投せよ」の言葉】
【何処からか見ていたのか、現状況で挑んでは結果は火を見るよりも明らか故に伝えられた言葉だ】

/続きますっ
【だが――――「その行為を許さない存在が居る」。その事を告げるには十分すぎるだけの力だ】
243 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 03:39:42.68 ID:GQSqH7Wl0
【少し行けば六罪王を捕まえられる可能性があるかもしれないのに――――。手を伸ばせば届きそうな距離。だが、現実は遙かに遠い相手】
【心の隅で理解して居るからこそ苦虫を噛み潰した様な表情となるのだろう】
【一先ずは教会の命令通り帰投せねばなるまい。ヴァルゴから飛び降りて、未だその足元に自警団長が居たならば其処へと着地し】
【ガチャリと扉を開けたならば担いでいたメイドを中へと収める。カノッサの仲間が来て奪還しても、もう手助けする事は出来ない】
【「もし無事に何処かに届ける事が出来たなら、情報をこちらに流して欲しい」とだけ告げて最後にロザリオをもう一度だけ一瞥すれば】

【共に戦った仲間達は吠えている。或いは、一矢報いる事も出来るのだろうか】
【――――嗚呼、分かっている。後数分もすれば転送が始まる事も分かっている】
【だったら、その前にボクも一度だけ吠えてみようじゃないか。何よりも――――】


「ハハ――――芸術家、か。そんな人のキャンパスに落書きするのは楽しいよね
ちょっとばかり今回は落書きの規模が大きいみたいだけど――――…………」

【ポータルに転送させたのは朽ちた槍だ。救世主を刺した様な其れでは無いが、一般的に見れば強い魔力を秘めている】
【其処に更に自分の“聖”を加えれば――――不思議な事に、槍は嘗ての耀きを取り戻し】
【遠い場所に居るダグラスに向かっての投擲。いや、その勢いは“投擲”と表して良いものか】

【いずれにせよ、文字通りの落書き程度だ。殺せるなんて思いやしない】
244 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 03:41:29.83 ID:GQSqH7Wl0
/oh……>>242の最後の一文は>>243の最後の一文でありまする!
245 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 03:46:21.93 ID:8QQghpfp0
>>234-236
【前へ、前へ、歩みを進める。目的は一つ、街に居る筈の六罪王、ダグラス・マックスウッドを探すため】
【――――と、次の瞬間。ちょうど街への入口の所に仮面の男が立っていた。六罪王ダグラス・マックスウッド、その人だ……】

【知っているとも。かつて自分もまた機関員だったのだから……会ったことはなくとも、彼の話はよく聴いている】
【ある人は「芸術家気取りのいけ好かない奴」と言っていた。ある人は「こと美術に於いては天才」と評していた】 
【月への尋常ではない拘りがあるとも聞いている。……ともかく、目の前の彼が其の人であることには間違いない】

おじさんとは失礼な、これでも20代なのに…………会ったことはありませんが、私は存じ上げておりますよ。
―――――……?

【「こっちが死ぬ」……一体、どういう事だ?――――そういえば、機兵の足を破壊した時辺りから漂う空気がおかしい】
【彼自身は軽装どころの話ではない。完全に丸腰と言っていい程の格好をしているのだ。……なのにこの余裕は一体どういう事だ】
【疑問は尽きないが、警戒するに越したことはない。相手は六罪王、何をするかは予想できない……!】
【―――ここは素直に退こう。体力も消耗している今、戦える可能性は低い……】



【カメラは彼の顔を捉える。飄々と笑顔でモニターに映る彼は、喜々として世界に向けて挨拶を始めた】
【―――成る程、これで全世界に自分の名前を知らしめるのか。情報が簡単に世界に発信されるというのも考えものだ……】
【……っと、感心している場合ではない。彼の目的は?なぜこの街の襲撃を始めた?そんな事が彼の口から直接聞けるかも知れない……】

【そんな期待は、呆れるほどあっけなく崩される。彼は――――――目的が無いというのだ】
【では、目的もなしに街一つ破壊しようというのか。訳が分からない。あんな巨大な機兵まで持ち出して、目的は無いなんて……】
【……しかし、口ぶりから彼が嘘を言っているようにも思えない。恐らく本当なのだろう。……色々と感覚が狂っている】

……はっはっは……ふざけた人です。本当に、本当に馬鹿馬鹿しい……

【彼の演説を聞いたブラッグスは、呆れるように心の中で愚痴りつつ退避。……六罪王は、噂通り月への執着を語り始める】
【ブラッグス自身も絵が好きで、彼の言っていることも分からなくもない。―――しかし、次の瞬間仮面の彼はとんでもない事を口にする】

……―――なっ……え!?月!?

【月を、落とす?街に?―――見上げれば、嘘のように紅い月が落ちてくるのが見える。ほ、本当に月を落とすつもりだ……!】
【球体が街に迫る。「嘘のような」「映画でも見ているような」光景が、目の前に広がる。これが彼の作り出した劇場というのか?】
【―――「全て仮想」と言っていたが、逆に彼の仮想空間ならば彼は神となれるということでもある。成る程、これでは確かに彼の言っていた通りあの場に居たら自分は死んでいる……!】
【……やはり六罪王の名に相応しい力を持っているということだ。恐らく彼が全世界に見せたかったのも「これ」なのだろう……】
【それでもブラッグスは抵抗する。どんな理由であれ彼が人々を脅かすのなら、自分はその人々の盾となり矛となる、そう決めたのだから】
【その意思表示としてか、今までの先頭で幾度となく放った赤い槍を彼目掛けて放つ。恐らくその槍は彼に届くことはないだろうが、それでも一発放たずにはいられなかった】
【今は彼に対抗しうる力はない。しかし、対抗する意志だけは、確実に心に存在するんだ――――そんな叫びを孕んだ一閃だった】
246 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 04:05:01.04 ID:w99JysLu0
>>339-340

「何言うとるん……俺は、先に攻撃せえへんで……お前がやったら、俺も一発、……これ以上ないフェアやろ、」

【慣れない殴打を遂げた右腕をブンブンと振りながら、少年は奇妙な赤子が吹き飛ぶ様を眺める。】
【―――追撃を加えるべきかどうか、相手の残存する体力から見極めようと言う事だった。……然し隣から声が聞こえてくれば、話は別で、】
【余裕を含んだ声、内容。"準備が整った"、全体的な彼ら動向は撤退に在る、だとすれば彼らは間もなくこの場を去るつもりなのだろう、】

【然しここまで来て、勿論それを許す筈はなかった。最後の力、持てるもの全てを出し切り、閃光の如く駆ける少年―――。】
【狙いは勿論、"ボス"であるカニバディールだ。寸前で跳躍、回転のベクトルをも取り入れた回し蹴りも、洗練された動きだった、が……】
【……結論から言えば、間に合わなかった。少年が空中を飛んだ頃には、彼らは既に、光に包まれており―――、】


『アタシ、ふぉんてーぬって言うの! それじゃ、オートマーダーちゃん! また会いましょ〜!』
『あらぁ、なーんか今日は、色々ぶっ飛んでるのねぇ〜。月が落ちて来るって、……あら、結構ヤバいんじゃないの?』

「……………、…………―――」


【終始腑抜けた声でアピールを続ける男とは対照的に、少年は一言も発する事はなかった。―――悔恨、ただその感情だけが少年の頭を巡り止まない。】
【相手の姿が全く見えなくなれば、戦闘終了だ。同時、少年は左足から崩れるのだろう……全てを出し切った、然しそれでも届かなかった、その脱力感。】
【やがてふぉんてーぬは鷲に指示を下し、3人は少年の元へと移動する事になる。三人はそのタイミングで、少年の右肩の一部が無い事に気付くのだろうか。】
【それは丸で、リンゴを齧り付いたその痕の様な―――まあそもそも、血液が僅かにも出ていない所が、最も気付きやすい"違和感"だろうか。】

【今になって、耐え難い痛みが少年を蝕み始める。自警団と同じ要領で治癒される事になるのだが……歯を食い縛りながらの表情は、苦痛そのものだったと言えよう。】
【……傷は数分で治る。だがその先、少年が今感じている感情だけはそう容易く癒えることはない。為には、"強くなる"、それしか無いのだろう。】

【……さて、色々あって慌てふためいた自警団の二人も、そろそろ精神的な余裕、思考に耽る時間を持つ事が出来るだろうか。】
【考えるべきは、ふぉんてーぬが話していた、能力の制限だ。同時に3つしか出せない―――どういう事か。】
【あの時男が出していた物と言えば、今も乗せてもらっている大鷲、そして治癒能力を持つ妖精だ。……その後、可愛らしい物と入れ替わる形で、】
【今度は雄々しい黄色の光の妖精が現れた。―――然し、どう考えても、最大で2つではないか。………勿論、ふぉんてーぬが勘違いをした訳ではない。】

【だとすれば―――? 4人の中では一番疲弊具合が重いであろう彼、一度に何人もの敵を相手にした少年は大鷲に身を預け、既に瞳を閉じていた。】
【答えはきっと、………。夜色の中飛行する、ひんやりとした潮風が心地良い。被害の少なかった街の光、そろそろ見えて来る頃だろうか―――。】


/お時間はお気になさらずですよ! 素敵な盗賊団べりーぐっど!
/ありがとうございました! またお願いしますー!
247 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 04:25:32.23 ID:VxxIg1Gdo
>>238


『悪いね、僕の能力は自分で言うのも何だけど……そう、鉄壁≠フ自負が在る。
 パンチの一つや2つで壊されたら、ただの見掛け倒しじゃないか……
 さっきも言ったろう?僕、六罪王だって――文句があるならコッチに来なよ――』


【『来れるならね』――そういう挑発は更にヘケメトを苛立たせるだろうが、ダグラスは気にしない】
【何故なら相手は月が降り来るというこの状況で逃げざるを得ず、一方で自分は聴衆であり監督であって】
【自分の能力で落とす月にダメージを受けるようなヘボではない、というのが分かっていたからだ】

【最後にヘケメトが、そしてアウが爆風の中に見えるのはニヤリという自慢げな笑顔だろうか】
【いけ好かない相手なのは間違いない。どちらにせよ、今宵はダンスのお相手とはいかないようで】

>>241

【まるで暴走が収まった、とでも表現できそうなこのメイド服の人物は――素直に拘束された】
【まあ最も、そうだ。気絶しているのだから抵抗のしようもなかったし、当然か】


『――クソ野郎なんて酷いじゃないか、聞こえてるんだよアル・アサド=アーデル
 今、この周囲一帯は僕の劇場だ。この街も、奥の山も、僕の能力の範囲内だ。
 バカスカ撃って壊すだけの君にウダウダ言われたくはない……まあ、初めて会ったわけだしね

 人見知りのアサド君≠チて事で、良いよ。忘れておくからさ――おっと、怖い怖い』


【問題はそれよりも外であった。六罪王ダグラス・マックスウッドであった】
【落下する月、それは恐らく、機兵が街に辿り着くよりも多大かつ壊滅的な被害をもたらすことになるだろう】
【どれだけ覇気のない男であってもそれが理解できない道理はない。分かっていてやっている≠フだ】

【そしてアサドの咆哮、大気を揺らすようなそれと共に巨大なレーザーがダグラスに向かって放たれる】


『……僕は肉弾戦はからっきしなんだ、だから逃げる。戦わない、手は下さない
 弱点はもう分かったろ?道端で見掛けたらぶん殴ればいいんだ――他の人より、簡単だろ?』


【――が、駄目。その全てがダグラスに届くわずか数メートル手前で見えない壁にぶち当たり、横に、上に、奔流となってはじけ飛び】
【一部は劇場の中でしか存在し得ない特異な月の一部を砕くが、決して破壊には至らず――】
【それでも、やはり全身全霊の一撃は恐ろしいもの。レーザーが尽きる頃には、壁の厚さも紙同然と化していて】
248 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 04:26:28.80 ID:VxxIg1Gdo
>>242-244

【自警団長、エルベシア・レセップスはグリースが拘束したメイドを任せれば、一つこくりと頷くだろう】
【だがそれだけだった。言葉がない――当然だ。自分の護る街が、月に潰される光景を見なければならないのだから】

【――ふともう一人、その主犯であるダグラスの側に現れる人影があった。ライトブルーの髪、藤色の瞳】
【そして服装は戦闘服と、ミスマッチながらも機関の戦闘員であることは一目瞭然で】
【加えて言えばどこと無く、という程度だったが――あのメイドに目鼻立ちが似ているような、そんな気もして】


『そうそう、もう一人世界中に紹介したい人が居るんだ……僕の部下でさ
 名前はブランデン・ケミッシュ=\―本日、自警団をふっ飛ばした一番槍だよ

 だから今此処で任命しようと思うんだ、彼女をナンバーズの100番手に……
 ……なんで末席かって?そんなの、少しみてれば分かるよ――あぁホラ、危ないなぁ――。』


【不意に飛来する朽ちた槍。アサドが放った一撃によって摩耗した見えない壁はそれによって貫かれ】
【動きの不得意そうな――ましてカメラを持ったダグラスは、あわや串刺しかと思われた】

【だが、身を挺して庇ったのが例のケミッシュであった。胸を思い切り貫かれ、倒れ伏す】
【破壊されかけたモニターに満ちる血の赤。紛れも無く死んだ――そう思われた。だが――】

>>245

【――ダン・ブラッグスの放った赤い槍が、更にダグラス目掛けて迫っていくが】
【彼は動かない。ニヤリと笑って――脇からもう一人の人影が飛び出すのを待っていた】

【誰か―?カメラが向くと、そこには特徴的な藤色の瞳の少女が、同じ顔立ちの少女がもう一人】
【都合二人の、ライトブルーの髪をした戦闘服姿の少女が身体を貫かれて――死んでいて】
【それでもダグラスは笑っていた。彼の周囲に、人影が2つ、3つと増え始め―――】


『紹介するよ……No,100 ブランデン・ケミッシュのコードネームは分裂=c…。
 クローンを作り出せる能力だ。その時持っている服装から、記憶まで全て作り出せる
 無論消耗が激しいけど……非戦闘時に少しずつ数を増やせば、それはそれは素敵な軍隊になる、そうだろ?

 大方倫理観がどうとかいう人が出てくるだろうけどさ、僕はそんなのどうでもいいんだ
 優秀な部下が居て、僕が無事で、別にお互い利害の不一致が在るわけでもないんだから――』


【嗚呼――そのことごとくがブランデン・ケミッシュ=B顔も、服も、佇まいも全てが一緒】
【薄気味の悪い光景だった。これが能力者だと言われればそれまでだが、これは――何か違う=z
【決定的に人間味にかけていた。単なる兵器としての少女など、真人間でなくとも許せる者がそうそういるか――?】
249 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/11(火) 04:26:46.33 ID:VxxIg1Gdo
>>ALL


『さて、っと……もう自己紹介はOK?素敵な部下も、僕も、みんな十分堪能したろう?
 それとグリース・イムリンパルス、君が何を言っているのか僕にはさぁっぱり分からないね

 ……あぁそうそう、アサド君。キミ有名人だよね、化物退治でさ……サンドワームの、聞いたよ?
 だったら、会談とかしないのかい?同じ化物退治の有名人といえば、ほら――居るだろ?
 そこの修道女のお嬢さんがきっと詳しいから、聞いてみれば良い。それじゃあ、またね――……?』


【――にっこりとした笑いが印象的な最後、だった。終始ヘラヘラとした、不遜な態度】
【ある意味では最も六罪王らしい男。大舞台に出るのは初めてのはずだったが――もう忘れられまい】
【ダグラス・マックスウッドとブランデン・ケミッシュ。そして知る人ぞ知る、更なる敵】

【何より明かされていない真実がまだ一つ。それこそまさに化物退治≠フ一件なのだが――】
【その辺りの詳しいことは、また後日詳細を知る、或いは気づいた者達で話し合う事になるはずだ】


【今、事実として在るのは――空気の感触が元に戻り、モニターの映像が消え、ダグラスが消え】
【そして残ったのは、月が落ちた後の瓦礫の平野。月そのものは残っていなかったから――】
【あくまでも仮想の世界は、その世界で独立しているのだろう。げんに、空には白い月が登っていて】

【――流石にあれを何度もというほどの相手ではないだったが、それでも自己紹介には十分すぎた】
【今宵、ラグナールはその名声を失った。観光地としても、海運の要衝としても、終わりだった】

【思い出されるのは風の国・交易都市レナールの惨劇。或いは、彼はその模倣をしたつもりだったのかもしれない】
【商業の要を、全て押しつぶし壊滅させる。落ちてきたのが塔か月かの違いくらいで、悲惨さに差は無く――最悪の一言に尽きる】
【酷い、とても後味の悪い最後。港湾部と連絡がとれたのは結局朝を過ぎてからであり】
【唯一の救いは何とか双月の一方は機能を維持できたことくらい。被害の詳細や報酬は、更に後で明らかとなるだろう―――……。】

/遅くなりましたが、これにてVSヴァルゴ戦は終了となります
/皆様遅くまでのお付き合い、大変ご苦労様でした!また、ありがとうございました!
/イベント全体の〆は別に投下しますので、時間もありますし、どうぞ返レスなどはおやすみなってからどうぞ…!
250 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 05:05:32.00 ID:PUuP0im1o
>>247-249

「うーん、あれは守りか護りか……両方使えば間違いなかったけどよォ……」
『まったく、……駄目なものは駄目です、さて、ヘケメト、……もう片方は一応無事のようですし、……そちらに向かいましょう』

【ひとまず自分たちが無事なようで良かった、この草原にずっと居ても仕方がない――】
【立ち上がると同時に肩車体勢へ移行、そして――橋が壊れているならば飛べば良い、とりあえず湾岸部の方へ移動】
【別に宿が必要なわけではない、――安全な場所が必要だった、ヒーリングの為には】
【幾ら壊滅状態だからといって、何も起きないとは限らないし――物好きな火事場泥棒だっているかもしれない】
【――湾岸部もまだまだ混乱しているだろうが、ここで夜を明かすよりは幾らかマシだと判断したのだろう】


「あァー、腹減った、六なんだかのなんだかは知らねェーがそいつは腹立つし、余計に減るぜェ」
『そうですね、ではどこかで缶詰でも食べま……はい、こんばんは……いいんですか、ありがとうございます』 「ヒャッハーッ!」

【此処は街のとある一角、腹が減ったと嘆くボロボロの2人はさながら浮浪者のよう】
【とりあえず適当な場所で休もうと、それを探していると――見知らぬおばさんが話しかけてきた――"良かったら、どうぞ"とのこと】
【それはたくさんの廃棄予定の弁当――結局ラグナールは壊滅したが、頑張ったご褒美らしい。それが廃棄予定弁当と言うのは少し悲しい気もするが】
【――ヘケメトにとっては貨幣よりも価値がある、腐ってない食えるものには――腹が減ったら食う、それで良い】

【結局たくさん貰えた弁当は全滅。人通りの少なく雨風も凌げる物陰に移動した2人は――】
【アウの能力の一つである「回復による支援」によってダメージを回復してから、ひとときの眠りに付くのだった】

/お疲れ様でしたー
251 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 05:56:03.76 ID:GQSqH7Wl0
>>247->>249
「こんな所で任命式なんて悠長な事だね。其れとも態々見計らってやったのかは知らないけど
…………百人居ようが二百人居ようが“殺せる”ならボクにとっては全部同じだ
全部全部殺し尽くして最後は君すらも殺してあげるよ。其れがボクの仕事でコレがボクの使命だ
其処で死んでいる子はこれから何度も死ぬ事になる。銃殺絞殺焼死――――飽きない位にはバリエーションも準備しておくからさ。楽しみにしててよ」

【狙いは外れた。防がれたと記すべきだろうか。思わず舌打ちが漏れるが――――】
【ダグラスの部下を一人減らすことに成功した訳でも無い。しかし、少なからず存在は分かった】
【ヴァルゴの侵攻を止める事が出来ても結果的に都市は破壊され、十分な収穫とは言い難いが…………コレが現実だ。認めねばなるまい】

【任務は確かに完了した。だが、それだけだ。都市を守る事は叶わなかった】
【何とも言い難い感情が湧き出るが、其れを心の奥に封じて】


「――――分からなければ余計な口出しをしなければ良かったのに
兎に角、ボクは君の周りからジワリジワリと攻めて行こうかな。気付いた頃には身動きが出来なくなっていた…………なんて事にならない様に気を付けてると良いよ」

【ダグラス達が居なくなれば、もう此処ですべき事は何も無い。いや、有ったとしても転送が始まった今はどうしようも無い】
【最後にエルベシアに声を掛けようとするが――――今は下手に慰めの言葉を投げるよりも、何も言わない事が優しさか】


「あれ――――そういえば、アサドはサンドワームの時に居たんだ。と言うか、君が主体だったかな…………?
なら丁度いいや。ちょっと今は無理だけど今度会ったときに色々話しておきたい事があるんだ
今日の事は勿論だけど…………今まで起きた事件の事についてとかもね。ほら、さっきヴァルゴの上に登ったときに言ってた事覚えてる?
あの事、もっと詳しく伝えておきたいんだ。ボクは人脈が狭いから中々自警団とかにも伝える機会が無いけど――――君なら上手く広めてくれそうだし、信用できそうだしさ
同じ危ない足場に居たっていうよしみもあるしね。ふふ…………きっと退屈はしないと思うよ」

【ダグラスが消える間際に言っていた事。金色の双眸をアサドへと向けてふと笑ったならば、その言葉】
【頷くも頷かないも勿論自由。何にしたって今此処で語るだけの時間は修道女には残されていない】
【最後に共に戦った仲間達に手を振れば――――修道女は忽然と姿を消した】




「無事で良かったってさ…………ボクはそう易々と死なないよ。実際今回は危なかったけど仲間達も凄く頼りになる人達ばっかりでさ。こうやって無事にね
ああ、うん。甲冑自体は何とかなったんだけど――――――その先は言わなくても分かるか
所でさ、何か不思議だったんだよね。いや、ボク達…………は、変か。君みたいな信仰が厚い人が持ってるなら分かるんだけど――――何をって?
ロザリオだよ。血が滴る位まで握るなんて可笑しいと思わない?…………あれ、そう言えば君が何時も大切そうにしてたのって最近見な――ちょ、ちょっと。いきなり迫ってきて何さ
もっと詳しく聞かせろ?別に良いけど楽しい話じゃ無いよ?」

【場所はとある教会。ステンドグラスから差し込む月明かりの下――――会話する修道女が二人】
【一人は金の髪、一人は銀の髪。さて、どんな会話が繰り広げられていたのかは…………蛇足、か】
252 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 05:56:38.64 ID:8QQghpfp0
>>247-249

【僅かばかりの抵抗として放った槍は、案の定彼を貫くことはなかった。代わりに貫いたのは一人、いや一人と「もう一人全く同じ」少女。当の彼はにやりと嫌味な笑みを浮かべている】
【周囲には全く同じ顔、同じ姿をした少女が二人、三人と現れる。クローンだ。彼女ら一人一人は、死んでも問題ないのだ。―――どうせ同じ物が作れるのだから】
【背筋が凍った。人としての禁忌を犯す事すら躊躇わない彼は、飄々としていながらも胸糞の悪い人間に違いはなかったのだ……】
【ブラッグスの感情は、全てが怒りに支配されていた。許さない。許せない。こんな事が罷り通ってたまるものか……!こんな、人を人とも思わない人間が……!】
【畜生、畜生、畜生―――――!!今の自分は、こんな非道を止めることすら叶わぬというのか。畜生――――!!】


【右拳を地に振り下ろす。悔しさ、情けなさの余りに握る拳に爪が食い込み血が滲む。二回、三回、地に打ち付けて地面に拳の血が滴るが、なお止まらない。】

【ああ、今の自分は余りにも無力だ。機兵を止めても街の壊滅は防げず、非道の輩を眼前にして一矢報いることすら叶わない】
【力なき自分は街が破壊されるのを只見ている事しか出来ない。今の自分にはあの月を止める事も出来ない。何と、何と情けない……!】
【何が「力なき人々の為の盾となる」だ。己は街一つ守ることすら出来ないではないか……!畜生、己に力がないばかりに……!】
【傷ついて、必死になって機兵を止めて、結果がこれか!この瓦礫の山か!ああ無力、ああ無情!今までの闘いは無為だったのだ!】
【見よ、この瓦礫の山を!これが己が護ろうとした物の成れの果てだ!口惜しいか?情けないか?否、そんな物ではない。―――唯々、無力だ】

――――クソッ……弱い……己が弱いばかりに……
弱い、弱い――――強くならねば……――――!何よりも、強くならねば……!!

【激しい無力感がブラッグスを襲う。「街を、人々を護る」と闘った彼に待っていたのは「何も救えない」という余りにも無情な現実だった】
【力無き正義は何も救えない。人々を護るには圧倒的な、絶対的な力が必要なのだ。敗れて語る正義など、馬鹿馬鹿しい夢物語に過ぎないのだ】
【強く、強く、強く、強く、強く――――!誰にも負けぬ無双の力を持たなければ。万人の盾となるならば、強くあらねば……!!】

【最悪の結果となったこの事件が彼に齎したのは無力感・絶望・屈辱。――――この日を境にブラッグスの顔から笑顔は消え、只管強さを追い求めるようになった】
【どんな形でも良い。人々の盾となるには全てを越える力を持つ他に無い……!自分の信じた正義を貫くには、力が必要だ……!】


【後日、報酬が配られても、彼は全額を寄付してしまった。「護れなかったのに受け取れる金など無い……」―――こんな一言を残して】
【あとは只管敵を殲滅する訓練を積んでいるらしい。能力だけでなく武器、兵器も含めて持ち得る限りの力を求めている……】


//主催者並びに参加者の皆様、お付き合いいただきありがとうございました!
253 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 06:09:52.40 ID:xuBP8KD0o
>>247 >>248 >>249

【橙色の光。炎と激情の全てを『G-cannon』の砲撃に乗せて、アサドは体中の全魔力を注ぎ込み続ける】
【月が、落ちる。街が潰れる。あそこに居る筈の仲間達は、何よりも大事な家族≠ヘ避難しただろうか?】
【街の人たちは。まさか全市民が逃げおおせたなんて都合の良いことが起きるわけがない。ヤツに一体、何万人殺された?】
【アサドはただ、必死に耐える――――反動に。疑念に。怒りに。悲しみに。いままさに消えてゆく、命の重みに】


ふざ、けんなよ…………また、俺は…………。

【やがて全てを撃ち出し切って、アサド・アル=アーデルが見たものは。ふざけた軽口を叩く、無傷≠フダグラスの憎たらしい表情】
【砕け散った街の光景に、変わり果てた故郷≠フ姿が重なる。全ての感情がオーバーフローして、ただ呆然とした呟きだけが漏れ出した】

【それで、終わりだったなら。無力感と絶望感に、アサドは本当に叩き潰されていたかもしれなかったが――――】

………………!!

【その後に続いたグリースとブラッグスの槍を、飛び出してきた別の少女が身を挺して受け止めた】
【ブランデン・ケミッシュ――――クローンの軍団。月だけでは飽きたらず、ダグラスはそら恐ろしい言葉で絶望を突きつけてくる】
【……だが、そんな事はどうでも良い。絶望に打ちひしがれていたアサドの中の何か≠ェ、再び咆哮を上げた】
【萎びた心が凍り付き、そして燃え上がる。銀の瞳が、獲物を睨む砂漠の獅子≠フものへと復元されていく】
【――――自分は、一人ではない。ダグラスの作り出す仮想の世界の中でも唯一信じられる絶対の真理が、心の中を満たしていく】

(あの壁は――――破壊できる。あのケミッシュとか言うのも数は多いが、攻撃は通る――――)

【獲物のデータが咀嚼される。自身の砲撃が完全に無駄に終わったわけでないことを悟るる。次≠ヨと繋げるための情報が、全身へと伝わっていく】
【そうして、無言のままダグラスの声を全て聞き終わって。アサドは暫くそこで立ち竦んでいたが、やがて痛みと疲労感に耐えながら立ち上がるだろうか】
【ゆっくりと鎧から下りていく。あれだけ格好付けてうっかり滑落してお陀仏、なんて事になったら間抜けすぎるぜ、なんて暢気な考えが頭に浮かぶ事も確かめ】
【地面にまで降りると、アサドは『アルハーディ』を剛毅に肩口へ乗せ――――不敵に、笑う】

うるせぇよ、クソ野郎=B
種は割れた。自分の好きに出来る『劇場』、仮想世界を作り出して現実に干渉する能力…………。
テメェに戦闘力が無いってんなら、大方その中で部下や作ったモノを戦わせて、自分は観客席からゆったり演目を眺めるってとこか?

…………覚えたぜ、そのムカつく面、そのフザけた力。ダグラス・マックスウッド――――。

【実際のところ、その態度は虚勢に過ぎない。心中では仲間達の安否が気になって仕方がなかったし、ダグラスに対する恐怖が無いわけではない】
【ただ、自前の能力だけであれだけの大破壊を行える強大すぎる相手を目の前にしてもまだ虚勢を張れる程度には、アサドは強かった】
【ここに集まった四人、そしてあの街で戦っていた仲間達、今宵戦いを共にした全ての人間の陰に支えられて、その強さを取り戻していた】


そしてテメェも、覚えとけ!!
この俺が、俺の仲間達が、いつか必ずッ!! テメェに落とし前≠付けさせてやる――――――――!!!


【二人の距離は遠い。だがここがダグラスの世界だというのなら、この叫びも彼の耳へ轟いたことだろう】
【あの砲撃で示した意志を、口にして確かめる。恐れを越える勇気がまだ燃え盛っていることを、噛みしめれば】
【ダグラスの世界へ轟くように、真上へ砲撃を一発。空中で爆散した炎の光が、アサド・アル=アーデルの道行きを照らしていた――――】


【…………その後。アサドは四人と自警団の面々への挨拶もそこそこに、仲間の安否を確かめに行くのだが】
【その途中、グリース(>>251)からの提案を了承し、こちらもその時までに情報を纏めておく、と伝えるだろう】
【何にしても、恐らくダグラスの起こす事件はこれで終わりではない。数え切れない程の命が失われた今回の悲劇が、また起きないとも限らない】
【アサドと、そして彼の家族達の戦いは――――これからも、続く】


/お疲れさまでした!
254 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 19:56:13.98 ID:PUuP0im1o
【ヤーツァタウン――の端から東へ大体1km離れた所】
【最寄りの街は水の国、それも高層ビルは幾つかあれど大した発展のしていない場所で】
【しかも、そこですら20〜30kmは離れているという……もはや辺境なのか何なのかすらもわからない】

『邪禍様、こちらが先日の映像でございます』 「あァ……TVに流されてた奴録画しィてたのか、頼んでもいィねェ自ィ動録画機ィ能って奴でよォ」
『お頼みにはなられておりませんが、混沌のにおいはお好きでございましょう?』 「ヒャハッ、――答えは要ィらねェだろォ?」

【ここはだだっ広い荒野。乾燥した泥がめくれているが、どうも美味しそう……と、それはさておき、こんな所に何かがいたのだ】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【そして、その者が見ているものは……TVだ、コウモリ色で、それの翼も付いたもの】
【TVの内容は見ての通り、先日のラグナールの事件で撮られていた例の映像だ】

「……ふん、俺様の方が強ェーわ!」

【…………それが"事実"なのか"虚勢"なのか、確かめる術はない。が、"弱い犬ほどよく吠える"と言うのは昔からの言葉。】

「瓦ァ礫回収会でェも混ァぜ物研究会でェも良ォいが……こォっちの作ァ業も終ォわらせておォこうか」

【さて……TVの映像を見終わった後は、この場所に、瓶詰めされた赤い魔翌力インクで印をつける】
【直径2m程の円(垂れ流し式なので正確ではないが、わりかし綺麗)を描いたそれは、一体何をしたいのかさっぱりわからないが――】

/あまり長い時間はいれません
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 21:49:48.53 ID:z2YWOmaO0
【街中――自然公園、調整池のほとり】
【平らな水面と段々の土手、緑色の芝生が夜の風に時折さらりと揺れて、水面に浮く鳥の羽のひとひらも揺らされる】
【とーんと湧いた波紋のかたち、どこまでもどこまでも広がって、そっと表面に浮かした月のかたちを、乱した】

…………――、

【――そんな光景の中にぽつりと紛れ込む姿、土手の芝生の上にころんと寝転がった姿はきっとよく目立っていて】
【ましてそれがすやすやと安定したリズムで――さも眠っているような調子で――微動だにしないなら、余計に目立つよう】
【そんなひとかげの頭の傍には、どこか珈琲店で買ってきたらしい飲み物が置かれていて、緩やかに湯気を上げていたなら】
【こうなってからそんなに長い時間が経っていないことを示す、ほんの少しの余談が、描かれていた】

【黒色の髪。腰ほどまである長さは、そっと身体に沿うように纏められて、時折夜風にふわりと揺れる】
【黒色と赤色の瞳がはめ込まれた眼窩はすっかりと閉じられて穏やかな膨らみ、耳元で煌くのは宝玉をあしらったピアスで】
【丸襟のワンピースは寝転がっても裾のふわふわと膨らむようなもの、パニエの柔らかな布がそっと裾から零れ落ちるよう】
【お布団みたいに羽織っているのは丈の長いケープ、そっと抱えた膝までもすっぽり隠して、身体を夜から守るみたいに】
【ちょんと覗くつま先にはヒールの高いショートブーツが嵌められていた。きゅうと伸ばされたのが、ひどく華奢で】
【――神様が置く場所を間違えてしまったような感覚、とかく、この場に転がるのはそんな少女が、ひとりだった】

――、

【顔の傍できゅっと握られた両手、左手の薬指には銀色の、蛇をあしらった指輪が嵌められていて、黄緑の瞳が煌くなら】
【この場にいない誰かがその眠りをそっと見守っているように思える錯覚、頼りない様子に少しだけ付け足して】
【それでもこの時期に寝入るどじさがよく目立つ、ほうっておいたら風邪を引いてしまいそうな、幕間だった】
256 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 22:00:27.23 ID:eZuntJTeo
>>255
【かつん。地面を冷たく叩く、静かな音】
【その音は淀みなく、迷いなく続いていき、次第にその音響は眠る少女に向かって近づいていき】
【ふと音が止まる。そして、はぁ、と溜息を付くような声が漏れて、その音響はまた更に少女に近づいていき】

「――おう、こんなところで寝てると風邪ひくぜ?」

【眠る少女に投げかけられるのは、当り障りのないそんな声】
【ひゅうと吹く夜風に一瞬歯の根をかちりと鳴らして、少女に声をかけた影は身を震わせた】

【……月明かりが差し込む。差し込む月の明かりは、その声の主の姿を明らかとした】
【白い短髪。それを逆立て、ハリネズミのように立てた髪型は、少しばかり攻撃的に見えるだろうか】
【比較的童顔気味の顔立ちと、小柄な体躯と相まって、その印象はまさにハリネズミそのものといったところ】
【ただし、オッドアイの双眸に宿る感情の色彩は深く、単なるチンピラや悪党の類ではないだろうことを思わせるだろう】
【服装はマウンテンパーカーにカーキ色のカーゴパンツ。腰には雑多なものが詰め込まれたベルトポーチといったもの】
【ベルトポーチから覗く武装は様々で、雰囲気の棘と相まって物々しい印象を与えがちなものであった】

「起きろ――、おーい」

【下手に触ってセクハラだのと言われても――と思い、近くに陣取ったまま声を掛け続ける青年】
【外見や印象こそものものしいが、その振る舞いや表情を見れば、単純にこんなところで寝ている少女を心配するお人好しでしか無かったろう】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 22:14:48.77 ID:z2YWOmaO0
>>256

【すやと零れる吐息が白かった。今宵は少しだけ暖かい夜、けれど春にはまだまだ遠い夜】
【誰かが訪れたところでその眠りに変化はない、呪いを掛けられたお姫様よりも穏やかに、寝息は続いていく、】

【――はずだった、のだけれど】

【ぽつぽつと掛けられる声があった。夜の風よりもずっと暖かな声が、そっと身体を撫でて、夜に溶けていく】
【少しの間は何の反応もなかったことだろう、糠に釘というか、なんというか、このまま起きなさそうな――】
【――或いは、ここが暖かな室内だったらそうなっていただろう。一度眠ってしまったら中々起きないのが、この少女】
【けれどここは外で。夜風の吹きすさぶ外で。いくら冬服だろうと寒いものは寒いなら、ちょっとだけ、変化があった】

…………、――、……っ、?

【穏やかな寝顔が少しだけ変わる、むにと寝顔に悪戯したみたいに、むうと歪められる表情は、】
【眠りという水面に落とされた石の波紋を表に見せる、ほんのちょっぴり覚醒した意識を示して、声は届いているのだと】
【そう示すには十分だった。それなら、もう少しだけ、頑張って声を掛けてみたなら――】

……、うあ……、なあに――、

【――うんざりするだけ長い時間も掛からない。掛かったのはほんの数分掛かっただろうか、とそれぐらいの時間で】
【ぽつとようやく返答しだした声は鈴の音にきっとよく似ていた、夜に不思議とよく似合う声質をしていて】
【ぎゅうと握ったままの手が目をぐしぐしとする、それからぐぅと身体を伸ばして――ぱちりと、ようやく目を開けた】

【それでも意識の完全覚醒とはまだ少しだけ違う。もたもたと身体を僅かに起こしたなら、そちらへと意識を向けて】
【緩やかに傾げてみせた首、――髪や服に纏わりつく芝生の屑が、彼女の眠りを証明するようにこびり付いていた】
258 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 22:24:47.08 ID:eZuntJTeo
>>257
【たっぷり数分。じっくりと少女が起きるのを待ちつつ、辺りに意識を向ける】
【少女を狙う下手人か何かが辺りにいないか、一瞬警戒をしていたのである】
【暗闇で右目が煌々と――エメラルドグリーンに輝き、夜闇をその無機質さで引き裂いた】

【そして、ようやっと返答をした少女を認識し、はあ、と盛大なため息を付いて】

「だから起きろつってんだろうによ。
こんなところで寝てると風邪引くぜ? 俺なんか完全防備なのに風邪ひきそうだかんな」

【寒空の下で寝る、ましてや冬場になど自殺行為であることをこんこんと語りつつも、少女の顔色などを軽く確認】
【低体温などになっていなければ、安心した様子でまた嘆息してみせる】
【そして、少女の髪や服に纏わりつく草の群れを見て、青年はなんとも言えない表情になって、ついつい手を伸ばして】

「……だーもう、草まみれだぞオイ。
俺みたいに汚れていい服着てるならいいけどよー」

【少女が気にしなければ、そのまま服や髪から芝生を払おうとするだろう】
【特段悪意や敵意の無い、善意からくる行動は邪気を含まないもの。危険性は存在していない】
【そして、ふとこの少女をどこかで見たような気がして、青年はふと己の思考を掘り起こしていく、が――】
259 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 22:24:50.22 ID:SwFEylWho
【深夜のカフェテラス】

【白亜の港町、なだらかな坂道の途中に看板を出す喫茶店】
【日の出の頃は入り口を飾る花々も夜は店内へと仕舞われ、】
【暗闇や静謐から離れられる場所としての華やかさを演出していた】

【そんな店内は今宵盛況の中にあって、空席を探すには苦労するだろう】
【唯一余裕がありそうなのがテラスの一角、四人席のテーブルのみ】
【その内の一席は、既に若い男性が珈琲を片手に占めてしまっていた】

【白皙痩躯で三十代手前程に見える、何処か冷たい彫像に似た顔付きの男】
【オールバックにし後ろで一纏めにした髪は、赤毛と栗毛の境にある紅茶色】
【紺のチェスターコートに、深緑のタータンチェックのスラックス、スニーカー】
【左耳には宝玉製のピアスを付け、左手薬指には、銀の指輪を嵌めている】

【脚を組ませて落とし気味に下げる視線の元、その両目は少々特徴的だ】
【グリーン系統とブラウン系統の境、オリーブ色の瞳は右が散瞳、左が縮瞳】
【その事を目立たせないようにするためか、ブラウンのグラスを掛けていた】

【――他のテーブルにも空きはあれど、グループで談笑している所が多い】
【その輪にいきなり入りづらいともなれば、自然と選択肢は彼の居るテーブルになる】
【男は考え事でもしているのだろう、静かな様子で、時折珈琲を口に運んでいた】

/レス遅め&戦闘不可ですが、宜しければどうぞ!
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 22:35:08.39 ID:z2YWOmaO0
>>258

【彼が心配してくれたことなんてうわの空だ、起き上がった少女が真っ先にしたことなんて、】
【ふわあと大きな欠伸をすることで。一応手で隠したとは言え、少しだけ女の子らしさに欠ける行為】
【けれど真っ直ぐ彼へと向けた視線の色が当初とは変わっていた、何か考えるみたいに、思い出すみたいに、――】

あ……、前も会ったことある、よね、? ――っ、

【――それはちょうど彼が手を伸ばしてくる前のこと、寝起きにしてはずいぶんきちんと思い出せたことを口にして】
【そう、今日が始めての出会いじゃない。それも、記憶が正しければ、昔会ったときもこうして起こされたような――】
【懐かしい顔ということで安心したのだろう、少しだけ緩やかになる表情、少しだけ警戒していたみたいだったのが】
【ふわと解けて変わる、――伸ばされた手には、一瞬だけびっくりしたように身体を僅か、硬くしたのだけれど】

【ついと触れた手が優しいものだったなら、その強張りもすぐに溶けてしまうのだろう。彼の優しさのほうが、上手だった】

洗うのはわたしだからいいの、……、……ありがとう。

【家では洗濯は彼女の仕事。というより、家事全般を占領しているのが彼女で――】
【それだから必然的にそうなってしまうのだけれど。自分で洗濯するからいいんだ、なんて、ちょっぴりの我侭】
【草を払う作業に遅まきながら参加しつつ言っていた、――けれど、最後には。ぽつりとお礼、言葉に乗せる】

家に居てもチョコ食べるぐらいだし……太っちゃうからお外に行こうと思って……、
そしたら空がとっても綺麗だったから。見てようって思って……そしたら眠くって――。

【――その身体が大まかに綺麗になった頃だろうか、ようやく止めた手を膝に置いて、言い訳めく言葉の羅列】
【天体観測としゃれ込もうとしたって寝落ちしていては恰好悪い。まして風邪を引いたなら、もっと恰好悪かったのが】
【彼のお陰で回避できた。もう一度添えるありがとうの言葉、今度は少し照れたみたいに、夜へと響いた】
261 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/11(火) 22:45:18.11 ID:8TwocedYo
【街中―某駅前】

【この国の有数の大型都市であるこの街の中心に位置する鉄道駅】
【大型のターミナルには在来線のみならず高速鉄道も幾つも停車する】
【殆ど24時間、モダンなつくりのターミナルには人並みが途切れる事もない】

――ああ、もしもし…俺だよ俺。…だから、ロッソだって。
今、駅前…えっと…北口に居るからちょっと迎えに来てくれよ。…まあ、いろいろあって
頼むよ、奢るからさあ……っと悪いな。んじゃ、よろしく…

【今どき、完全にと言っていいほど使われなくなった公衆電話。駅の外につけられたそれで】
【コインを投入しながら通話している絶滅危惧種みたいな男が居た】
【目深にハットを被り、縁に少しヒビの入ったサングラスをかけていた。安っぽいミリタリーコートを着て】
【やたら泥汚れの付いた汚れた高そうなスーツを着ている。右頬から顎にかけて包帯がぐるぐる巻いてある】

【彼は受話器をおいて、足元のザックを肩にかければ付近の喫煙所まで少し、歩いた】
【禁煙の波に押されて隅に追いやられ、寂れたベンチが2つと吸い殻を捨てる灰皿スタンド】
【客を待つタクシーのレーン。ビルに掲げられたビジョンで昨日の事件について繰り返し報道がなされている】

ヘッ、メインばっかりだな。あれほど頑張ったって目立ちやしねえ…それでいいんだけどさ
カネもあるし…暫くはまた…向こう側に戻るか…

【煙草に火を点けながら愚痴をこぼす。時間はそろそろ最終便が近くなる頃だった】
262 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 22:50:16.36 ID:eZuntJTeo
>>260
【己の思考に混ざったノイズが、ようやっと晴れて少女の正体を思い出す】
【だいぶん前だったが、その時も同じようなことがあったのを覚えていた。そして、その時に比べて少女の様子が穏やかになっていたことに安心して】
【にぃ、と気取っているようで気取りきれていない微妙な笑みを浮かべて、青年は己の名前を口にする】

「……よう、谷山ってんだが――覚えてっか?」

【ひょいひょいと少女の服や髪から正確に草を除去する手際は実に確かなもので、無機質さすら感じさせるもの】
【少女が穏やかになったのに対して、青年はどちらかと言うと鋭さ、危うさを増したようにも見えるだろうか】
【どちらにしろ、その危うさや鋭さは少女に向けられることはなく、10秒もすれば綺麗に草は取り除かれて】
【ぱん、ぱん、と手を払えばなんとも言えない表情になって】

「だけどよー、泥汚れとか面倒じゃね? 俺なんかもう面倒で服全部まとめてクリーニングに持ってってるし。
……なぁに気にすんな。おせっかいは俺の仕事だからな」

【案外所帯じみた反論をしつつ、ひらひらと手を振って青年は気にするなと口にする】
【感謝を求めての行動でない辺り、やはりこの青年はお人好しであって】

「そりゃ動かずに食っちゃ寝してりゃ太るわなぁ。まあ、女の子がやたら痩せたがるアレは良く分からねえけど。
空、ねえ。――たしかにこりゃ綺麗だ、穴場だなここ」

【割りとデリカシーの欠片もない発言をしつつ、青年は少女の言葉に反応するように夜空を見上げて】
【冬の静謐な空気を引き裂く、空一面の星の群れ。それが青年の視界いっぱいに広がる】
【僅かに鋭さは鈍くなり、口元には薄い笑みが浮かび。おもむろに青年は右手をベルトポーチに伸ばしデジカメを取り出して】
【一度ぱしゃりと撮影すると、それをまた大切そうにしまい込むのであった】
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 23:08:09.30 ID:z2YWOmaO0
>>262

【――そう、瞳の濁りがなくなっていた。哲学者の卵という名前の濁り、悪意の塊に支配されていたあの頃】
【硝子の破片をぎゅうと両手で握りこむような危うさは丸く丸く平穏を帯び、今ではその残滓すら窺えないぐらいに】
【見ればその手元には永遠を誓ったような指輪まであった。二年ほど経っただろうか、彼女を取り巻く環境の変化が窺えて――】

……覚えてる。でも――名前は言ったっけ? ……りんねって言うの、鈴の音って書いて、鈴音。

【顔は覚えている。思い出した。ただ、思い出せなかったのがその名前、告げたかどうかも曖昧なら――相手のように、告げなおす】【にこりと笑んでみせた顔は、やはりあの頃とは大きく違っていて。きっといろいろなことがあったのだろう、そう思わせる】
【――彼女が変わったように、彼も変わっていた。鋭さの増した気配、危うくなった記憶との差異、そっと瞳を細めて見つめながら】
【それでも何も言いはしない。自分に向けられそうもなかったからか、触れないことに決めたのか――それが、不明だった】

【下の名前は、と尋ねる言葉があっただろう。記憶を確かにするように、ただ、名乗らなくても納得はするはずだった】

綺麗になったら面白いから――結構好きだよ、嫌いじゃないの。今の時期は……あんまり水、触りたくないけど。
……前も起こしてもらったよね、あんまり覚えてないけど――それは、覚えてるよ。

【――家事が好きなタイプであるらしかった。それでも嫌になるぐらいには、この時期の水は冷たいものだけれど】
【あんまりひどいとき以外はお湯を使わないようにしている――なんて、平凡めいた余談、誰も口には出さないまま】
【あの時も公園の草原の中だった。それならば、ふたりとも変わってないなんて言える原状、少しだけ、面白くて】

――かわいいお洋服がなくなっちゃうの。かわいいのってね、大概細いのばっかりなんだよ……――。

…………あとね、調整池でしょう、ここ。大雨の時とか水の底になるんだなーって……そう思うと、面白いから。

【よいしょと膝を折る、三角座りみたいにして、スカートの布地をそっと手で整える仕草】
【そんなことを言いはするが、そんな心配要らないぐらいに華奢な身体をしている。殴ったら折れそうというか、それぐらいに】

【(それと。あんまり太らない体質だった。人間とは少しだけ違った身体の仕組み、仕方のないこととも、言えたけれど)】

【――視線が段々になった土手を廻る。最後にここが水の底だったのはいつだろう、なんて考えたなら】
【それを面白く思う性質なのだろう。細められる瞳、伸ばした手は放置されていたホットドリンクを手にとって、】
【蓋の穴からそっと息を吹き込むぼうとした音、緩やかに傾けて――「冷めちゃった」なんて、ひとりごとを呟いた】
264 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 23:25:15.35 ID:eZuntJTeo
>>263

「谷山基樹[タニヤマモトキ]。谷と山で谷山、基礎の基に樹木の樹で基樹な。
……鈴音、ねえ。なんつーかうん、そんな感じっぽい」

【敵対しないものに対して、青年は己の名を名乗らないほどに無礼な存在ではなくて】
【少女の名前を耳朶に捉えれば、少女のイメージとぴったりに合っているように思えて、なんとなく面白くなった】
【己の名は、己に相応しいのだろうかなんてそんな事をつらつらと考えつつ、少女が穏やかになったことに素直に喜びを感じた】
【あの時感じた哲学者の卵の濁りが無くなったこと。……そして、今己が哲学者の卵の力を用いている事に僅か以上の皮肉を感じ】
【薄く、本当に薄く。自嘲する様に笑いを浮かべ、小さく笑い声を漏らした】

「寒いのも暑いのも苦手でよォ……体力とかもあんましねーし、面倒なことはやらない主義だし?
おう、前も寝てるところ起こして――あのときゃ、たしか口論になったっけか」

【無駄を省く、効率的な価値観を持っている青年は、洗濯などに時間を取られるなら金銭というコストと引き換えにクリーニングに出す】
【なんとも情緒だとかそういうものと縁ない青年。しかし、流石にこの、前であった時のコピーのような状況には、おかしみを感じる】
【わずかに口元に笑みを浮かべて、思えばあれから大分立っているな、と思いを馳せた。その間の、経験も】

「あー、俺もこうロックな感じの服とか好きなんだけどよ、ああいうのって割りと絞ってるからなァ。
足とか結構太いから、タイトな感じのパンツ履けねーし。ちなみに女の子の服なら俺は森ガール的なのが好きだぜ」

【高校生だった頃は、結構派手目な格好をしていた青年は、少女のおしゃれ感に同意を示しつつ】
【ほっそいなーと思いつつ、己の体もまた細い事に思い至る。あまり鍛えられない体であるため、どうしようもないのだが】
【水底の光景を思い描きつつ、青年はぼんやりと空を見上げ】

「……ま、なんだ。前に比べて幸せそうで良かった、なんか安心したよ」

【と、本当に嬉しそうに、自分のことのように青年は笑い、少女の今を喜んで見せて】
【また、吹いた夜風に身を震わせて、小走りで青年は近くの自販機まで走りだした】
【戻ってくる頃には、極甘の缶コーヒーが二つ有り。その一つを、当然のように青年は差し出すのだった】
【そして、少女が受け取れば、青年は自分の分を開けて、一気に飲み干して。真っ白な息を夜空に向けて吐き出すのだ】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/11(火) 23:45:25.15 ID:z2YWOmaO0
>>264

基樹、基樹……、分かった、基樹ね。
……そう、かな。……それっぽい? ――そっか、

――苗字はね、シュトラウスって言うの。貰ったんだよ、“だいすきなひとに”。

【名乗ってもらった名前を口の中で数度転がす、今度は忘れてしまわないように、きちんと覚えていようとするように】
【こくんと頷いた仕草にふわりと髪が揺れる、真っ黒な髪――夜に溶け込んでしまいそうに真っ黒で、艶やかな色合い】
【その髪の向こう側で少しだけきょとんとする表情があった。それっぽいと言われて、やがて笑みだすその表情は】
【嬉しそう――なんて風に見えたことだろう。唇を噛むようにして笑うのは、少しだけ照れているようにも見え】
【――最後に付け足した言葉がどうしたって幸せそうなものだった。まるで二年間に何があったのか察させるように】

【自嘲する笑みの意味に気付けなかった――ただ少しだけ気にするようにそちらを見て、それで終わってしまう】
【或いは昔ならば気付けたのかもしれない。穏やかになった少女は、それだけ荒事に対するアンテナも錆びつつあるよう】

……そうだっけ? そうだったかな……、ううん、そこは覚えてないの。
わたし、なんて言ってた? いろいろあったから――今とは違うこと、言ってたかもね。

【――本当にきょとんとした色合いを浮かべて見せた、それなら、本当に記憶がないらしいと証明するかのように】
【そうだっけ?と表情が語っている。目は口ほどに――なんて言うけれど、まさにそう思えるぐらいに、瞬いて】
【覚えているなら言ってやればいいだろう、自分の記憶にない自分の姿、少しだけ恥ずかしいように身体を縮めていた】

そういうのは持ってない、な……、ふわふわしたのが好きなの。かわいいから――、

【ちょっぴりだけ嘘を吐いた。ふわふわしたのを好む理由、本当はこの細い身体つきを隠せるから】
【それで言えば森ガール的服装も着ておかしくないはずなのだけれど。そこには純粋に好みが関わってくるのだろう】
【――そういえば。もしかしたら気付けたかもしれない。彼女の姿、かたち、むかしとまるで変わっていないこと】
【時計が毀れてしまったように、そのままだった。ただ唯一、瞳の色と、纏う気配と、それだけを別人みたいに変えて】

……――クリスマスにね、結婚したんだ。行く場所のなかったわたしをね、一緒に連れて帰ってくれたの。
すっごく嬉しかった……どこにも行く場所がなかったから。帰る場所も、行く場所も、わたしにはなかったの。

そのひとがくれたんだよ、帰る場所も、生きてる意味も、うれしいなって思うこころも……、ぜんぶ、どこかに行ってた。

【折った膝に顎を乗せる、ついと首をかしげるようにして、彼のほうへと横流しの視線を向けて】
【ぽつりと語りだすこと、少しだけ昔を思い返すようにしたなら、かつて彼と出会った頃の気配がある】
【――こんなに丸くなれたのは最近のことだった。ようやく一年過ぎたぐらいの平穏、しあわせな、穏やかな時間】

【――「ありがとう」って告げるのだろう、差し出された暖かさをふわりと両手で受け止めて】
【少しだけ今あるものをどうしようかと悩むような時間があった。それからしたのは、それを煽ること】
【元から大きいサイズを買ってあったわけでもない。大した時間も掛からず飲み干して――なかったことに、した】
266 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 00:03:41.97 ID:Ke0CyYLeo
>>265
「――良かったじゃねえか。鈴音・シュトラウスって事か、なんかかっけーし」

【かつての己の相方、大好きな人をふと思い出す】
【ある日から音信不通となり、今に至るが――、どうしているだろうかとふと思いを馳せた】
【今の己には、そういうものはない。だが、ともに歩んだ結果の思いがある故、青年は己の正義を見誤らない】
【あの時から今まで、していることは変わらない。穏やかな日々は、きっと己には来ないだろうと思って】

【己の自嘲が気付かれなかったことに、そして少女がそれを見抜けないほどに穏やかになっている事に、感謝を】
【知り合いがこうして幸せにしている姿は、見ていて好ましいものであった】

「ま――少なくとも前よか今のが良い顔してるのは間違いないぜ?
覚えてねーなら無いでいいさ、割りと大したことじゃねーし、な」

【摩耗した記憶を掘り起こせば、ずいぶんと今とかつてでは印象が違う事を改めて再確認できて】
【このままこの少女がこうしていてくれたなら、この世界も多少はましなのだろうと】
【救われた人を見て、青年は眩しそうにその目を細めて。気にするな、と軽く手を振った】
【少女の姿が全く変わっていないことには、青年は触れない。人でないのかもしれないが、それには頓着しない故に】
【そも、人でない事にどうこう言うのならば、己こそ言われてしかるべきものであるのだから】

「あーっと、なんだ。気の利いたものとかなんも持ってねーが、じゃあその缶コーヒーが結婚祝いってことでよ。
……なんつーか、帰る場所とか意味とか有るのってすっげー貴重でよ、大事なことだ。
その人のこと、大切にしてやんな」

【差し出した缶コーヒーはささやかな結婚祝いということにして、忠告のように青年は大切にしろと言葉を投げかけて】
【ふと、エメラルドグリーンの右目を閉じて開けば。缶コーヒーの僅かな残りを青年は喉に流し込み】
【軽く屈伸をすると、白い息を大きく空にむかって吐き出した】

「そろそろ他行かねーと……なァ。
調べ物ご用向きが有ればジャーナリスト谷山基樹までいつでもご連絡を――ってな。
じゃ、俺は野暮用済ませに向かうわ、また会おうぜ。鈴音」

【時計を確認せずに、時間を確認した青年は、ベルトポーチから名刺を取り出して少女に渡す】
【そこには、事務所の連絡先と青年の名前、フリージャーナリストという肩書が在った】
【一瞬だけ。ベルトポーチの隙間からは、哲学者の卵の気配が漏れて。それを青年は制するように掻き消して】
【口元に穏やかな笑みを浮かべて別れの言葉を口にすれば、青年は早く帰れよと言い残して、踵を返して歩き出すのであった】

/*時間も時間ですのでこの辺りでーお疲れ様でしたー!*/
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 00:32:51.59 ID:L6bkPhqK0
>>266

まだね、ちょっぴり慣れないんだけど――、せっかく貰ったものだから。

【苗字が変わること。確かに大イベントではあるだろう、結婚という一大イベントの影になってしまいがちだけれど】
【さらに恥ずかしい気持ちまであるなら。その名前を名乗ること、嬉しさと、恥ずかしさと、たくさんの感情でいっぱいになる】
【――彼にも大切なひとが居たということには、結局気付けなかった。ただ、彼にもいつかそんな穏やかさが、と考えかけて】
【通りすがりの寝こけてしまったどじな他人を二度も起こしてくれるひとだ。きっと大丈夫だろう、なんて、ふと思った】

そう? ……そうかな、ならいいかな――……、昔のわたしね、きっと変なことたくさん言ったと思うの。
あんまり気にしないで、ね……、あの頃は、いやなことばっかりだったから、――。

【あの頃を回想する、そうしてみたなら、確かに楽しいこともたくさんあった、嫌なことよりも、数としてはあっただろうけれど】
【それを上塗りしてしまうぐらいに嫌なことがあった。身に受けた悪意の卵にそれを何倍にもされて、苦しくて、――】
【――それを思えば今のなんと平和なことか。帰る場所があって、出迎えてくれるひとが居て、どうしようもないぐらいの平穏と平凡】

【彼もまた人間とは違ってきていることも、或いは気付けなかったのかもしれない。ただ、互いに人間みたいな顔で話す幕間】
【楽しそうに笑っていた顔が人間と区別が付かないみたいに、彼もきっと、おんなじぐらい、人間と似ていたから】
【気にしないし、気にするほどのことじゃない。人間かどうかなんて、彼女には些細なことでしかなかった】

……ありがとう。

大切にするよ、今日も、明日も、明後日も、その先もずっと……ずっとずっと先まで、大事にする。
やっと見つけたんだもん、わたしのしあわせ。やっと手に入れたんだもん、わたしの、ほんとうのしあわせ。
絶対手放さない、誰にもあげない、わたしだけのもの――わたしが大事にしないで、大切にしないで、どうするの?

【基樹のくれた結婚祝いの何と暖かいことか、掌で転がせば、暖かさと一緒に嬉しさが伝わって、笑みが零れる】
【そんな笑みのままで連ねていく言葉たちは、やっぱりどうしたってしあわせそうな色で響く、最後を悪戯ぽい笑顔で〆て】
【忠告はきちんと聞き遂げられることだろう。ここまで言っておいて粗末にするような性質ではない、もとい、粗末にする理由がない】

【(やっと手に入れた理想的な日々なのだから。精一杯抱き締めることがあっても、放り投げることなんて、あり得ないことだから)】

ジャーナリスト――? ――そうなんだ、わたしね、何のお仕事もしてないから……すごい、な。
うん、またね。珈琲ありがとう、……また寝ちゃってたら、起こしてね?

【受け取った名刺に目を落とす、なぞった文字列は、なんだかすごいもののように思えて、溜息みたいな吐息がひとつ、白くなる】
【したことがあってバイトまでだから。きちんと働くなんてことはなくて、ただひたすら養ってもらっている身分】
【だからこそ家事を頑張っているのだけれど、なんてことは余談。立ち上がる姿を追いかけて、別れの言葉に、そっとお遊びみたいに添える】

【――そうして誰も居なくなる。かちゃんとプルタブを押し上げるかすかな音が夜に響いて、】

あったかいなぁ……――、

【甘い甘い珈琲を嚥下する、優しい暖かさ/甘さに吐いた吐息は、普段よりもずっと白く白く、夜に解けていった】

/おつかれさまでした!
268 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/12(水) 02:44:35.05 ID:YNj9amh4o

【―――――事件から一日が経ち、様々な状況が明らかになってきた】


【まず、ラグナール都市部については完全に壊滅状態であり、もう復興のしようも無いということ】
【それはかのダグラス・マックスウッドが落とした月の影響に他ならず、全てが完全に潰されていた】
【高層ビルから路端のポスト一つに至るまで、完全にただの瓦礫と化してしまっていたのである】

【ただ幸いだったのは――能力者たちが機兵を相手に奮戦し、時間を稼いだ結果―】
【数多くの市民は既に都市を脱出した後であり、多くの人命が救われた、ということか】
【それでも、残っていた人々の救助は絶望的であったが――まだ、虐殺よりはマシだった】

【これにより発生した多くの難民は周辺の都市に移住することになる】
【草原地帯に新たな街をという意見もあったが――壊滅したかつての都市を横に住めるはずもなかったのである】


【一方で港湾部はと言うと、様々な箇所で爆破テロ、殺人、強盗等の凶悪犯罪が起きていた事が明らかになり】
【その大半はカノッサ機関の――ダグラス・マックスウッドの命令だったことも漏れ伝わってきた】

【タチが悪かったのは、一番最初に自警団の詰め所が吹き飛ばされた事である、というのが自警団長の見解だ】
【エルベシア・レセップス――彼女に寄ると、最初の爆発によって治安の要が除かれた事が被害の拡大原因であり】
【普段から別の対策を指示しなかった自分の責任だ、ということを彼女は声明の中に交えていたが、辞任はせず】
【彼女は、ひいてはラグナールの自警団は今後の街の再建に全力を傾けることとなる】


【また、両足を破壊されて起動しなくなった巨大機兵、ヴァルゴについては放置≠ニいう決定が為された】
【理由はあまりに大きすぎる為に場所を移すことも出来ず、起動も危険であるから、ということであった】

【そのヴァルゴを動かしていた人物というのも逮捕されたが、調査しようにも戸籍や身分を証明するものが何もなく】
【故に意識を取り戻し次第事情聴取、という裁定が下された。といっても、これは地方新聞のコラム程度の扱いだった】
【なにせ、事の大きさは被害のでなかった機兵よりも街を潰した六罪王のほうが重いから。当然といえば当然の処置であった】
269 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/12(水) 02:45:22.24 ID:YNj9amh4o
【暗い部屋に一人の男が居た。艶やかな黒髪、筋骨隆々の肉体と、それを隠す白のローブ】
【教会関係者――いや、宗教に興味がなくともニュースを見ていればその名を知るものも多いだろう】
【彼はフレデリック・シャリエールだった。深夜、テレビの報道番組を眺めていたのである】

【勿論、普段はこういったことはしない。戒律を守り、規則正しい生活を送るのが常だ】
【では何故今日に限って――というと『ラグナールの悲劇』に関する報道特番が組まれているからで】


『ふ、ム……ダグラスにしては悪くない。もう少しヴァルゴの方を暴れさせたかった所だが……
 ……まあ所詮、人の扱える代物ではないということか。心≠エネルギーにするのでは、な
 あのメイドも大方それで力尽きたのだろうなァ……役に立たぬ小娘よ

 さて、次はどうする…?もう既に種は蒔いた。幾度もの化物退治で勘付いたものも居れば――
 グリース・イムリンパルス=c…あの女のように別口で真実を知るものも居る。

 私とダグラスの関係、特に私の立場――早く広めろ「正義」ども……退屈で仕方がない
 いや、或いはいっそこちらから動くか…?……あぁ、それが良いかもしれんな
 まだ多くのものが知らんうちに、このゼン=カイマを厄介者共の墓場に仕立て上げる……――

 ―――――――フ、フフッ……悪くない、面白くなってきたじゃあないか…――。』


「――声ェ、外に漏れてますよ団長さん。……これ、頼まれてたヤツですわ
 いやしかし本当に残ってましたなァ、あのメイドはんが使うてた大剣と……
 それから最後に六罪王さんを狙った槍が二本。せやけど剣はともかく、槍は何に――」

『意趣返しに決まっておろうが、カガヤ。私の友に向けた刃で逆に殺してやるまでよ
 ……まあ、多少私の趣味が入っていることは認めるがな。まあ、よくやった。そこに置いておけ
 それよりカガヤ――報告≠聞いていなかったが、その後どうなった?』

「あァ、それなら……完璧≠ナすよ、団長さん。全員旦那の考えに賛同してくれはりましたわ
 ちいっと、一人ばかし……メアリーはんが逃げようとしたんで、石になってもらってますケドも。」

『そうか、なら良い。メアリーは敬虔な教徒だったが神の啓示を受け入れられぬのなら仕方あるまい…。
 どこか人目につかない場所で砕いておけ。これから忙しくなる、あまり余計な事に時間は使えんからな――…。』

「えェ、分かりました……ほんならこれで第三近衛騎士団は一枚岩≠チてワケですなァ、団長さん――?」


            【 事件の裏、悪意の闇は――尚も深い 】


/これにてイベント『ワルキューレの騎行』を完全に終了と致します
/参加者の皆様、本当にお疲れ様でした。そしてお付き合い頂き、ありがとうございました!
270 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/12(水) 19:30:23.76 ID:M/IPUJq6o
【ヤーツァタウン――の端から右へ大体1km離れた所】
【最寄りの街は水の国、それも高層ビルは幾つかあれど大した発展のしていない場所で】
【しかも、そこですら20〜30kmは離れているという……もはや辺境なのか何なのかすらもわからない】

【ここはだだっ広い砂地。夜行性の砂のせいで、太陽が無いのに明るく感じる……と、それはさておき、こんな所に何かがいたのだ】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「あァ、……OK、後3mm東な……こォこかァ?」 「よォし……」

【その者は何かと会話しつつ、位置を微調整してからその場所へ瓶詰めされた青い魔翌力インクで印をつける】
【中心に点が打たれた直径2m程の円(垂れ流し式なので正確ではないが、わりかし綺麗)を描いたそれは、一体何をしたいのかさっぱりわからないが――】

/あまり長い時間はいれません
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 20:43:14.63 ID:L6bkPhqK0
【廃墟街――広場に設置された舞台の上】
【毀れて転がる機材、熊のぬいぐるみ、何があったのか考える手がかりになりそうな数々のモノたち、散らばって】
【こればっかりはかつての姿をなぞるように降りる月明かりのスポットライトがそっと舞台の上を照らすなら、】
【ひらりはらりと舞い散る魔力の残滓、紙吹雪よりもずっと煌びやかに、踊っていた】

……っ、!

【――ひュんと風を切る冷たい音がした、少々遅れて聞こえて来るのは、ぱたたッと水の滴るような音で】
【鋭く詰めたような息の音は微かなもの、それらの音に掻き消されて、ただ夜に白い吐息のかたちを昇らせる】
【どうやら誰かが舞台の上で舞っているようだった、剣舞というにはあまりにも拙い、刃に似た煌きを夜に投げかけて】

【真っ黒色の髪が月明かりに映える、身体を動かすたびにふわりと舞い上がっては落ちていく、そっと艶めく色合いがあって】
【合間合間に長めの前髪から覗く瞳は黒と赤のオッドアイ、ちらりと覗く右の耳元にあるのは宝玉をあしらった特別製のピアスで】
【セーラー襟のワンピース、胸元に咲かせた大きなリボン飾りは髪と同じよう、身体の動くたびにひらりと揺れて踊って】
【ひらひらと膝丈ほどのスカートの裾が時折危ういぐらいまで舞い上がって舞い落ちる、ちらり、ガーターベルトの覗く幕間がある】
【表面の剥がれた舞台を踏みつける足先はヒールの高い靴を履いていて。それが、かつんこつんと甲高い音を奏でたなら】
【自然と性別を絞らせて、遠目でも分かる華奢さは、年の瀬までを絞らせるようで――少女が、ひとりだった】

うーん……、

【――ぴたりと振り回される煌きが止まる、そうっと首を傾げて見せた仕草、ひとりぼっちで虚空に尋ねかけるように】
【くるりと手首の仕草で返した刃は、――ようく見れば刃とは違う何か、その実、魔力で作られた塊でしかなく、】
【きらきらと煌いているのは塊から零れる魔力の残滓、桜色に黄緑色の混じったそれの発露であるらしかった】

――休憩しよ。

【空いた手で額に浮いた汗を拭いとる、その仕草を見れば、しばらくこうしてしていたらしいとうかがわせて】
【疲れたように吐いた息が白く白く夜に解けていく、――問題は、ぽいと後ろ手に何か放り投げるような、その仕草】
【誰も居ないと油断していた。魔力の塊とは言え、刃を模造したものを。ろくに見ずに。投げてみた動きの無責任さ、】
【くるくると空中で回った刃はそれなりの距離を飛んで地面に縦に突き刺さるのだろう、ざくんと地面を切り裂く音を立てて】
【そうなってしまえば飲み物に入れた砂糖のようにじわじわ溶けていく。桜色の魔力を零して、徐々に自壊していく挙動があるが】

【――自分は傍に退かしておいた上着を回収して羽織ったりなんてしている。誰かが居れば、危ない目に遭うのかも、しれなかった】
272 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 22:49:29.66 ID:ce/3/CcNo
【水の国、とある通り】

【ラグナールへの襲撃から二日、未だその影響は収まるはずもなく】
【テレビを点けてもラジオを点けても、どこもかしこも六罪王や機兵の話で染められていた】

――――双月に月を、か……。
やった事はまだしも、演出としては面白い……。

【そんな時でも人は動く。流れ流れ行く人の群れ、その中に一人の危ない£jがいた】
【―――と言っても、何も気が触れていたりする訳ではない。そういうアブない≠ナはなくて】
【白の燕尾服に、オールバックにした真っ白な髪の男。彼もまた、歩いていた】

機関の中に、まさかこの様な芸術家≠ェいるとはな……。
少しばかり考えを改めなくてはいけない、か……。

【左手には適度な大きさに畳まれた新聞紙。日付は昨日のもので、その一面の見出しにはでかでかと躍る文字】
【六罪王、月を落とす=\―――正しく件のラグナール襲撃の記事である】

【……歩いている最中だというのに、男の目はしっかり新聞へと向いていた。故に、前方不注意であり危ない=z
273 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 22:49:35.43 ID:Ul2ZLHgQ0

【櫻の国――――桜の名所として名高かった廃村】
【嘗ては多くの住民で賑わい、ことあるごとに祭事が行われていた、何て言い伝えが今でも残っていて】
【未だ桜の木は健全であるのに、何故廃れてしまったのかは分からない。疫病だとか村人同士による諍いだとか…………一匹の大妖の所為だとか】
【様々な噂は流れているけれど、今となっては其れ等を確かめる術も無い】


「何だか…………懐かしい気がします…………けど、気のせいでしょうか…………」

【そんな寂しい場所に訪れたのは一匹の妖怪。特徴的な狐の耳に尾と、見る者が見れば妖狐だと直ぐに分かるであろうか】
【不思議なのはその纏い物。妖怪だというのに巫女装束を纏っているのは些か不自然ではあるが――――】
【更には翡翠の首飾り。神聖を放っていて、少女自身の妖力の他また別な妖力が籠もっている事も感じ取れるか】


「…………何だか、疲れちゃいましたね…………少しだけ此処で…………お休み、させて貰いましょうか…………―――――?」

【これまた見事な雪化粧をした桜の木の根元に座ったならばポツリと呟いて】
【勝手に昔の情景を思い浮かべつつも今は廃屋しか残らない村を見渡した】

【―――― 一面白に染まる中、巫女装束の朱色はさぞや目立つ事だろう】
【例え幾分離れていても直ぐに見つけられるだろうし――――少女もまた近寄る気配に気付いたならば、其方へと不安そうな表情を向ける筈で】








【夜も遅くなったにも関わらず、賑やかな街】
【露店やら何やらが所狭しと並んでいて、眺めるだけでも楽しい気分にさせそうな其処】
【様々な人々が入り乱れるのだが、その中でも一際珍しい職の者――――教会に属する者が人混みを縫うように歩いていて】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば今年も既に大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとする事だろう】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】
274 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 23:16:52.68 ID:ZfZM6L7Ao
【夜の国、とある墓場】

【黒葉を繁らす灰色の幹の樹木に、青い果実が月光を受けて艶めく森】
【その奥に連なる逆十字の墓標の群れ、中でも一際目立つ黒い墓石】
【茫、と其処から黒い霞が沸き上がり、それはやがて人の姿を成す】

【黒のモーニングドレスを纏い、同色のベールで顔を隠した女の亡霊】
【ワンレングスの黒髪、唇には、目立つ黒のルージュを付けている】

ふふ、ふふふっ、ふふ……静かな夜ね、つまらないわ。死んでしまえば良いのに
ずっと留まっているのも退屈だし……街で男漁りでもしようかしらね?
小娘の姿がいいかしら、近頃の男はそういうのを好むみたいだし……
いつの世も馬鹿ばっかりね? ふふっ、ふふふふっ

【夜の闇に紛れそうな漆黒さながら、そのどす黒い魔力は嫌でも感知出来る程だ】
【この世の不吉全て集めて煮詰めたような、相当な力のある存在のようだった】
275 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/12(水) 23:24:07.57 ID:OtvKAllwo
>>272
/まだおりますか?
276 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 23:25:09.55 ID:+k8rmn6co
>>275
/おりますよー
277 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 23:33:08.42 ID:ZfZM6L7Ao
/>>274ですが0時までお待ちしております!
278 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/12(水) 23:51:24.29 ID:cQ8jgS6p0
>>271
【廃墟という物は往々にして往時の面影が残っていたりするもので、それが何かと物悲しさや切なさを掻き立てる】
【此処もそうだ。かつては賑わっていたであろう街は、今は人の姿は消え、道は冬の冷たい風だけが通り過ぎる……】
【風に吹かれるままに転がる何かの残骸や、為すがままに放置された建物の数々は、見れば見るほど寂寥感が胸を横切る】
【……そんな人っ子一人いなくなった廃墟に、今日ばかりは訪問者がたった一人いた。この先に出会いが待っているとは思いもよらずに……】

【前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳。丁度十六・十七歳程の背格好か】
【首元には燕の型を取ったペンダントを下げ、背には「薬」と書かれた大きな鉄の箱を負う。彼女が歩くたびに背負った箱がカタカタと音を立て、中の荷物が多いことを伺わせる】
【チャイナドレスに似たような燕の模様をあしらった緑色のワンピースの上に、鼠色のロングコートを羽織る。その下からちらっと覗く白い足と可愛らしいブーツ】
【彼女が羽織る鼠色の暖かそうなコートはブランド物。「Elysion」の名は、きっとこの先で出会うことになる少女も知っているだろう……】

【―――で、何故そんな少女がこの人も居ないような廃墟を一人で歩いているのだろうか?廃墟マニアならともかく、普通こんな場所には人は訪れない】
【当然訳があった。廃墟とはいえ、昔は人の通る往来はあった。ある街から彼女の目的地まで行くには、此処を通るのが一番楽で済むのだ】
【廃墟ではあるが今でも道そのものは歩くことは出来なくもないし、野を分け山を登るよりは廃墟でも道を通ったほうがマシに決まっている】

【そんな訳で彼女はこの街を一人歩いているのだ。……が、如何せんもう数時間も歩いたのだ。足も疲れてきてしまった……。暫く此処で休憩しよう】
【何もない所で休むよりは、一応雨風凌げる建物の中の方がいいや。……お化けとかちょっと怖いけど、結界でも張っておけば問題ない。……多分】

【そう決めて、手頃な建物の中に入ろうとした、次の瞬間――――――ガキン!と背負った鉄箱が大きな音を立てて、何かがぶつかった衝撃を感じた】


―――――――キャッ!?


【静寂の中に少女の軽い悲鳴が響き渡る。――――幸いその「何か」は頑丈な鉄箱に当たっただけで少女に直撃はしなかったようだが】
【――――当然慌てる。人はいないはず。では今背中の鉄箱にぶつかったモノは一体何!?生きた心地がしないまま、キョロキョロと辺りを怯えた小動物のように覗う。すると……】
【ちょうど彼女の後ろに刃が転がっている。しかも、その刃―――――溶けるのだ。ますます訳が分からない、一体自分にぶつかったこの刃は何なのだ――!!】

【尚も広場のすぐ近くの道のど真ん中で、不安げな顔で辺りを見回す彼女。幽霊なんて類が居ないことを祈るが……】

【――――鉄箱の衝撃音と彼女の悲鳴は、風の音以外何も聞こえぬこの廃墟ではよく響いたことだろう。さて、この刃の正体は――――?】


//すみません、お待たせしました……!
279 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/12(水) 23:52:00.28 ID:OtvKAllwo
>>272
【男が歩く通りの中、人の群れの流れに沿って歩く、目立つ人影はもう一つ】
【男の向かい側にいるそれは、とても大柄な体躯であって、何もせずとも周りを威圧していて、人々も無意識に彼を避けて歩いている】

……チッ……俺様抜きで楽しそうな事しやがってよぉ
次はもっとでけぇのを落とすか……オイ、何見てやがんだテメェ?

【金髪を獅子の鬣の様に立てた男だ。両耳には逆五芒星のピアス、右目の下には《No.16》という刺青が刻まれている】
【身に纏うワインレッドの分厚いロングファーコートの上からでも分かる、筋骨隆々で2m近い背丈、身体中に巻いた金のアクセサリーが下品な高級さを際立たせていた】

【ポケットに手を入れ、ふらふらと上の空で歩いていたが、ある一人の通行人から注がれた視線に気付き、睨み返す】
【ただ怯える通行人を睨むだけ、それだけの柄の悪い行為だが、彼の見た目と、何よりその紋章と数字がその悪どさを引き上げて】
【前方不注意なのは弱々しい兎への威嚇に注力している為、目の前から向かって来るもう一人の前方不注意とぶつかる寸前だ───】
280 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 00:15:04.00 ID:TiQp9M1Wo
>>279

【いくら人々が彼を避けていようと、男はそれに気付かない筈。そう思える程には記事に集中していて】
【その姿を見た通行人の一人は思っただろう――ああ、ご愁傷様、見知らぬオッサン――と。】

……ある程度まで復興が進めば、公演場所に入れる事も考えておくか……。

【しかし、だ。男は顔を上げもせずに、彼との衝突を避けるように右へ踏み出す】
【気配を察知して動いたとでもいうような動き。戦闘に従事するような人間だったと―――?】
【……とてもではないが、そうは見えないだろう。威厳は多少あるが、特別大柄という事もないただの壮年である】

――――おっと、これは失礼。
しかし……月より大きなもの、というと何を落とすのかね?

【ただ、彼の体格は大きい。男の身体は当たらなかったのだが、腕に新聞が引っかかってしまって】
【白い手袋の左手から、バサリと落ちる。それを腰を屈めて拾い直すのだが――――】
【あろう事か、彼に視線を向け、不穏な呟きに踏み入るという暴挙に出たではないか……!】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 00:22:01.08 ID:x75Upio30
>>278

【錆びて真っ二つになった自転車、プラスチックでできた子供用のスコップ、ぺしゃんこになったゴムボール】
【首の取れた熊のぬいぐるみ、すっかりと枯れた植木鉢、かさかさになったお手紙に、放置された車】
【いろいろなものが流れた時間に置き去りにされていた。誰も戻ってくるはずのない人間を待つように、ぽつり佇んで】

【そんな中だから、生きている人間は良く目立つ。動きのあるふたりは、まるで世界が注目するように夜へ目立っていただろう】

【(正しくは。生きているのはひとりだけで、もうひとりは生きている真似事をしているだけだったけれど――)】

【ふわと広げたケープを羽織る、細い身体にぎゅっと被せたなら、落ちてしまわないようにボタンを留めて】
【ばさばさと身体に纏わる感覚を調整している頃だった。硬いものに硬いものをぶつけたような音、夜へ響いて】
【びくりとした身体は、けれど、その金属音のためじゃない。そんな音がするものは、いくらでも落ちているのだし――】

【――悲鳴が聞こえた。問題はそれで、ふわと振り返ったなら、その姿が視界へと入ってくる】
【きっとひどく慌てているだろう少女の姿。それを見れば、なんだか状況を理解も出来るわけで――】

【(ただちょっと気まずいのをごまかすようにしたことがあった。刃の纏う液体、その酸性をなくしてしまうこと)】

あ……、……だいじょうぶ?

【かつこつと鳴らす足音、やがて舞台の淵にたどり着く足は、一瞬立ち止まった、その姿勢で一度尋ねる声があるだろう】
【すぐに淵に腰掛けて飛び降りてくる。かんと高く響いた着地音も、鈴の音の声も、きっと夜によく響いて目立つ音】
【大した声量でもないのに聴きづらいことのない声をしていた。鈴の音によく似た声質、少しだけ特徴的な声紋】

誰か居るなんて思わなかったの、ごめんね――。

【あどけなく整った顔をしゅんとさせながら歩く、その先は当然少女の方で、見渡していたなら当に気付かれているだろう】
【足はある。影もある。吐く息は白く、それならどうやらいきもののようだ。幽霊ではないと、ひとまず安心できるだろうか?】

あれ……、……その服、

【近寄ってきた少女は手も足も届かない距離で立ち止まるだろう、けれど服の細かなところを見るぐらいならば出来る距離で】
【そうして見た彼女の服には刺繍がひとつされていた。ケープの衿元、黒地に金色の糸で縫い取ったのは、動物のシルエット】
【とあるブランドであることを示す証拠は、ただ、少女が知らなければただの服でしかない、それで終わってしまうことなのだけれど】
【こちらからは、――何か、見たことがある感というか。そんなものを感じたらしい、そっと、首が傾げられて――】
282 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/13(木) 00:27:17.21 ID:yeDYjuD8o
【街中―某駅前】

【この国の有数の大型都市であるこの街の中心に位置する鉄道駅】
【大型のターミナルには在来線のみならず高速鉄道も幾つも停車する】
【殆ど日中は、モダンなつくりのターミナルには人並みが途切れる事もない】

――ああ、もしもし…俺だよ俺。…だから、ロッソだって。
今、駅前…えっと…北口に居るからちょっと迎えに来てくれよ。…最終はもう行っちまったって
頼むよ、奢るからさあ……っと悪いな。んじゃ、よろしく…

【今どき、完全にと言っていいほど使われなくなった公衆電話。駅の外につけられたそれで】
【コインを投入しながら通話している絶滅危惧種みたいな男が居た】
【目深にハットを被り、縁に少しヒビの入ったサングラスをかけていた。安っぽいミリタリーコートを着て】
【やたら泥汚れの付いた汚れた高そうなスーツを着ている。右頬から顎にかけて包帯がぐるぐる巻いてある】

【彼は受話器をおいて、足元のザックを肩にかければ付近の喫煙所まで少し、歩いた】
【禁煙の波に押されて隅に追いやられ、寂れたベンチが2つと吸い殻を捨てる灰皿スタンド】
【客を待つタクシーのレーン。ビルに掲げられたビジョンで先日の事件について繰り返し報道がなされている】

ヘッ、メインばっかりだな。あれほど頑張ったって目立ちやしねえ…それでいいんだけどさ
カネもあるし…暫くはまた…向こう側に戻るか…

【煙草に火を点けながら愚痴をこぼす。駅に向かってかけてくる人たちは街1つ崩壊する事件より】
【終電に乗れるか乗れないかそっちのほうが重要なようで。一心不乱に走っている】
【バスの最終は既に行ってしまったのか、呆然とする人がちらほらバスレーンに見えた】
【この国の日常の光景だ。あの辺獄のような場所から大分、離れていることをそれが示していた】
283 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/13(木) 00:45:37.95 ID:x0ymVFPUo
>>280
チッ!汚ぇ目を向けんじゃねぇよクズが!

【いくらなんでもこの場で一般人に手は出さない───とはいえ、ちょっとした事で暴れ出しても不思議ではない雰囲気である】
【何をイラついているのか知らないが、苛々と視線を戻そうとした瞬間】

【パサ、と体に当たった新聞がコンクリートに落ちる音】
【反射的に立ち止まって、高い目線から見下ろす男、みるみるうちに眉間にシワが寄って行く】

……

【だが、男性の質問を聞くと、小さなため息をついて、彼もしゃがんで男性に目線を合わせる】

あのなぁ爺さん、月ったって所詮偽物かなんかだろ?月がマジで落ちたら地球なんて今頃ねぇよ
あれと同じことなら俺様にだって余裕で出来るぜ、ボタン一つでな

ま、つまりはその程度って事さ……あぁ、何だっけ?何を落とすかだったか?そうだな、じゃあまずは───

【意外とおとなしい───見ていた周りの人間もそう感じただろう、先程の威嚇やぶつかった時のしかめっ面からはまるで予想出来ない反応で返答する】
【───が、それはただの早とちりであったと、彼等はすぐに想う筈だ】

───テメェの命……ってのはどうだ?

【刹那の事、男は目の前の男性の胸倉を、あわよくば首を右手で掴み、そのまま立ち上がって持ち上げようとするだろう】
【今までの表情は何処へやら、こめかみには青筋を立て、目は既にブチ切れている】

おいテメェこら、人にぶつかっといてろくな詫びもねぇのか?あん?
俺様のコートに安いインクの匂いが染み付くだろーが!おうコラ!!

【嗚呼やはり、この男はある意味予想通りの男出会った───】
284 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 01:11:10.04 ID:ITWwRsWM0
>>281
【キョロキョロと右、左に首を動かす少女。その姿は危険を察知した小動物みたいで、傍から見れば少し可愛らしい印象も受けるだろうか。……もっとも、見ている人が居ればの話だが】
【ここが打ち捨てられた人のいない町であることは知っている。が、なまじそういった事前情報を知っているだけに、怖がりな彼女は幽霊でもいるのかと思ってしまうのだ】
【……だって、居そうなんだもの。廃墟なんて心霊スポットの定番だし、暗さが余計に不安を増大させる……】

【―――すると】

【姿は目で捉えていないが、足音が聞こえる。ヒールがコツ、コツ、床を叩く音が聞こえる。……ま、ま、まさか、ゆゆゆ幽霊が近づいて―――――】
【――――あ、あれ?幽霊じゃ、ない……?「だいじょうぶ?」と生気のある声が耳に届き、声をした方を振り返れば……ようやく、足音の主の姿を捉えることができた】
【あ、足は!?足が透けてたりしない!?―――良かった、ちゃんとついてる。漸く安心したか、こわばっていた彼女の表情は見る見るうちに解けて】
【青ざめていた顔色は遠くから見ても分かるほど生気を取り戻す。……先ほどの幽霊へのテンプレのような反応といい、なにかと分かりやすい少女のようだ】


―――だ、大丈夫……デス……ハイ……
……ちょ、ちょっとビックリしましタ……


【とにかく人、それもちゃんと生きてる人がいるという事が分かり、ペタンと腰をつく。なんだか疲労が2割増しになったような気がする……】
【どうして少女がこんな所にいるのか、あの溶けた刃は一体何なのか、そういったことはひとまず置いておこう。今は落ち着くのが先だ……】

【―――すー、はー、と二度三度深呼吸して、気を付けるように頬を軽く叩いて、それから少女の方にくるりと向いて、ようやく見せた明るい笑顔】


……フゥ、もう大丈夫デス!えっと、ご心配をおかけしましター!
そんなしょげた顔しないデ!ホラ、ワタシは何ともないですカラ!


【相手がお化けや幽霊じゃないなら、もう安心。そう言いたげな笑顔は、やはりあどけなさの残る可愛らしいものだった】
【物悲しい廃墟にまるで似合わない底抜けに明るい声。心配ないヨ!としゅんとした少女を元気づけるその声は、少女の鈴のような声とは違った意味でよく響く】
【そんな彼女の元気な声を聴けば、しょげた顔も少しは明るい表情になってくれるだろうか?】



【――――さて、その少女がこちらに近づき、まず目にして気にかけたのは彼女の着ている鼠色のコート。】
【ブランド物の服なんてロクに買ったこともなかった彼女が初めて買ったお洒落なコート。シンプルながらも気品の漂うそのデザインは、流石一流ブランドといったところか】
【しかし、少女が気にかけたのはきっとそこではない。恐らく「Elysion」というブランドそのものだろう】
【……まあ、今の彼女はそんなことはつゆ知らずお気に入りのコートのことをちょっぴり自慢げに話すのだが】


……ン?あぁ、このコートですカ?エヘヘ、中々いいコートでショ?シンプルだけど暖かくて気に入ってるんですヨー♪
このコートはお薬のお代のかわりに貰った金券で買わせて頂いたんデス。
紅茶色の髪に、丁度アナタの付けてるようなピアスをしていたんですケド……


【――――この特徴を言えば、誰のことか少女には分からないはずはあるまい。このコートはその彼に貰った金券で購入したもの】
【つまり、彼女はその人に会っているのだ。さてさて、思いもよらぬことで会話が弾みそうだ――――】
285 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 01:20:51.88 ID:DEQ4Kybfo
>>283

【蜘蛛の子を散らすよう、とは正にこの事であろう。通行人達は三々五々に散開して距離をとる】
【胸倉を掴み、持ち上げられる男。その前に躱すような動きはあったが―――】
【躱しきれず、というよりも寧ろ、敢えて胸倉を掴ませた≠ニいうような、妙なもので】

フフフ……『天下のナンバーズ、衆人環視の中で新興サーカスの団長を惨殺』、か……。
流石に三日目ともなれば、メディアも少しくらいは触れてくれるかもしれないな。

【こんな状況にありながら、男の態度は余裕そのもの。命の危険など微塵も無いかのような喋りである】
【更には右手をポケットの中に入れるなんて真似までして……状況が分かっているのだろうか?】

【――遠巻きに事態を見詰める中には、恐らく自警団等に連絡しているのであろう者もちらほらと見えるか】

しかし――――自分達の幹部のした事を、『その程度』とはね……いやいや、恐れ入ったよ。
流石は悪の最大手カノッサ機関、と言ったところかな?

まあ、それはいいとして―――――――そろそろ放して貰おうか、皺になる。

【スッ―――と抜いた右手、振り払えば手の中には指揮棒。しかしそれも刹那、一本のレイピアに形を変えて】
【そして男は手首を捻り、その切先を以て彼の腕を突き刺そうとするだろう】

そうそう――――言葉を返そうか。
私は十分に避けた。当たるのが嫌なら君も避ける努力をすべきだった≠ニな。

それとも……ただ誰かに因縁を付けたいだけだったかな?

【先の試みにより解放されていたとしても、男はここでの更なる行動は行わない】
【しかしながら、口は別。ここに来て、まだ彼を煽るような言葉を吐くのである】

【……こちらも穏便に納めようという気は、ないのだろうか】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 01:30:15.83 ID:x75Upio30
>>284

【幽霊なんて初めから怖がっちゃいない。怖かったら、夜の廃墟でひとりぎりで遊ぼうなんて、思わない】
【或いは、誰も居ない場所として選んだのかもしれないけれど――どちらにせよ、眼前で怯える少女とは嗜好が違うらしい】

【びっくりするときはする性質。だけれど、幽霊が怖いと思ったことがあるかと言えば、どうにも曖昧に暈けてしまう】
【或いは幽霊よりも生きていない少女は、ただただ人間のふりをして、足元でふわりとスカートの裾を揺らして見せた】

良かった……、ごめんね、誰か来るなんて思わなかったから、――街からだって、遠いし、

【ぺたんと座り込んでしまった傍に佇む、曖昧な距離間は、初対面の気まずさを示しているようでもあって】
【どうしたって申し訳なさが残る。大丈夫だと笑ってみせる顔を見たって、どうしたって引け目を感じるべきはこちらなのだし、】
【繰り返しになる謝罪を述べる、鈴の音の声はいつもよりも低く震えて、少しだけ窺うようになる視線、上目遣いみたいになって】
【少しだけ鋭いかたちの眉をしゅんと下げていた。それでも、あまりに大丈夫なんだといわれれば、「そう?」とちいさな声】

【もう一歩だけ近づいて視線を合わせるようにしゃがみ込む、そっとスカートを抑えた仕草が、ちょっぴり女の子っぽくて】
【心配の色をふんだんに含んでいた顔が、――けれど、少女の続く言葉に変わる、びっくりの色を多分に含んだ、表情へと】

セシルに会ったの? お薬……、……ううん、助けてくれたのかな、ありがとう。
……これね、おそろいなんだよ。一組をね、ふたりではんぶんこにしたの――だからね、ふたりでひとつ。

【彼がまだ父親だった頃に、何度かそのブランドの服を与えてもらったことがあった。故に、着たことは何度もあり】
【今だって――それなら、少しだけ違っているけど、ふたりの服装は今宵おそろいとも言えて、奇妙な偶然】
【さらにその少女が出会ったそのひとが、別の縁を連れてくる。或いは、総てがそのひとから始まる縁とも言えたけれど】

【薬が必要なことがあったのか。ぴくりと表情に混ざる心配の色は、ただ、その後におかしさのなかったことから、大丈夫らしいと判断して】
【ちょっぴり零れてしまった感情を隠すように笑ってみせる、ぺこりとちいさく頭を下げたなら、一帯どんな関係性なのか】
【ピアスへと話題が移ろったなら指先でそっと触れる、ウロボロスの蛇が月白色の宝玉の欠片を抱くデザイン、世界で一組だけのそれ】
【――ふたりでひとつと言えばもう一組あった。左手の薬指で煌く指輪、それが彼と同じもので、ただ、黄緑色に煌く瞳だけが違う】
【彼のしていた指輪では瞳は桜色に煌いていたはずだった。桜色、といえば――この少女が散らしていた色も、桜色だったのだけれど】
287 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/13(木) 01:51:02.45 ID:x0ymVFPUo
>>285

なぁ〜にブツブツ言ってんだよジジイ!テメェ今の状況わかってんのか!?
偉そうに口振りやがって、俺様を誰だと思ってやがる!?
なんならよお、このまま本当にぶっ殺してやってもいいんだぜ、ジジイ!!

【『貴方は何処の世紀末の産まれですか?』と問いたくなる程理不尽な怒りだ、ただ新聞がぶつかっただけでこうなるとは恐ろしい】
【持ち上げる右腕をガクガク揺すり、男性を揺らしながら、威嚇を続ける男、声が聞こえないのは男性のせいではない】

【が、次の瞬間───男の手は、男性から離される事となるだろう。性格には、手が反射的に開いたのだが】
【腕に走った激痛が、電気信号となって神経を走り回り、反射を起こした筋肉が震え、腕を引く】
【頭が理解するのは数秒後、血が流れる右腕を見てから、男は顔を男性に向ける】

───ぶ っ 殺 す

【歯は食いしばり、頬は引き攣り、額には青筋が押し合う程に浮かんだ、怒りの表情】
【男は武器を構えた、人を殺すのに使う武器、悪行を行うのに使う武器、何人もを葬ってきた武器を】

【それは、黄金の輝きを持つ金属の籠手(ガントレット)、獅子の頭部を模したそれは、何人もの相手を喰らってきた】

もう詫び入れても遅ぇぞクソジジイ、テメェは俺様に喧嘩売ったんだからなぁ!?
遺書はもう用意してるかぁ!?書く暇なんてやんねぇぞゴルァ!!

【ガントレットを装備して、動きを確かめるが如く指を鳴らすと、とった構えは基本的なボクシングの構え】
【そこから、巨体からは予想だにしない軽いフットワークで左右に体を揺らしながら男性に接近、左のジャブからの右フック、素早いワンツーパンチを放つ】
288 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 02:06:19.14 ID:ITWwRsWM0
>>286

エヘヘ……ワタシも、ここに誰かがいるなんて、思いませんデシタ。ホントにビックリしちゃっタ!
……ウン、街から遠いよネ、ココ……疲れちゃったヨー……

【前述のとおり、彼女はここを通り過ぎて目的地の別の街に向かう途中。如何に毎日長距離を歩いているとはいえ、やはり日が暮れるまで歩いていると足が棒になる】
【……安心したらドッと疲れが押し寄せてきた。人の御前で申し訳ないが、もう暫くは座っていようか……】
【――――うーむ、距離感が縮まらない……初対面だから仕方ないのかもしれないが、折角なんだからもうちょっと仲良くしたいな、なんて】
【そんな希望も込めて、も一度明るい声で。底抜けに明るい声で大丈夫と言えば、今度こそ近づいてきて、同じ目線でしゃがみこんでくれた】
【そんな小さなことが彼女には嬉しかったりして、またまた廃墟の暗闇に負けないような明るい笑顔を見せる。その笑顔が作り物ではないことはきっと誰が見ても判るだろう】

【話はコートのことに移る。――――と、少女が見せたのは驚きの表情。左右で違う色の目を見開いて、それからちょっぴり不安げな表情をして】
【きっと薬という単語が彼女を心配させたのだろう。――――ああ、なるほど。あの人が言っていた「妻」って、もしかしてこの人のことか―――】
【少女の見せた心配そなその表情が大切な人を想うものと気づいた彼女は、この少女こそあの人の「妻」だと気づく。―――そっか、この人が……―――】

あの方はセシルさんっていうんですネ。……なんだか、物腰の柔らかい優しい人でしタ。
そっか、お揃いか……いいですネ、そういうの。女の子としてちょっぴり憧れちゃいまス。
……指輪もお揃い、カ……アナタの指輪からハ、セシルさんと同じ雰囲気がしまス。……気のせいカナ?
あ、そうダ。セシルさん、言ってましたヨ。アナタのことを「優しくて、可愛らしくて、それでいて芯のある女性」ッテ……
とっても愛されてますネ♪―――ワタシも何時か、ワタシの事を大事に思ってくれる人が出来るカナ……
あ、お薬は単なる酔い止めデス、どうか心配なさらぬよう。飲みすぎたなんて言ってましたヨ、奥さんとして飲み過ぎは良くないって言ってやって下さいナー♪

【少女の最愛の人の事を楽しそうに、ちょっぴり羨ましそうに話す。同じ女の子として、自分のことをそこまで大切に思ってくれる人が羨ましかったりするのだ】
【……自分もいつか、そんな人が見つかるのだろうか。今のところそんな気配は全く無いのだけれど……】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 02:27:57.14 ID:x75Upio30
>>288

【ほんの少しだけ縮まった距離。それは間違いなく、少女の笑顔の力だろう】
【その屈託のない色合いが彼女のこころを少しだけ変えた、だからこそ、ほんのりと縮まった距離があって】
【特に幽霊の怖い少女にしてみれば心強いだろう、傍にこんなにも“いきた”存在が居るというのは、きっと、】

……そうだよ、とっても優しいの。とっても優しくてね、とっても素敵で……だいすき、なんだよ。
そう、会ったんだ……。……いいな、知らないひととして、初めて、会ってみたいな――。

【ちょんと座った姿勢のままで会話する、そんな少しだけ変わった様子が、なんだか少しだけ面白くって】
【ふたりを繋いだ縁のことも思えば自然にちっちゃな笑みが溢れる、にこにことした表情は幼さの残る顔によく似合って】
【指と指とを絡めるようにしていた、そうして口にする願望は、自分では決して叶わないもの、けれど、過去に通りすぎたイベントごと】

【(もう一度始めて会ってみたかった。そうしたら、自分はどんな顔をするのだろう。彼はどんな顔をしてくれるのだろう)】
【(絶対に叶わないことだって分かっているからこそ不思議と惹かれる、あり得ないことだからこそ、面白かった)】

…………――そっ、か、……そっか。

【――続いた言葉に黙り込んでしまう幕間があった。どうしたのかって不思議に思うぐらいに、黙りこんだ間】
【真っ白の頬に薄らと朱が差すのは、寒さのせいではないだろう。唇を噛むように笑うのは、照れたあかし】
【ぺたんと頬に触れた指で蛇の輪っかが煌く、――そうしてみたなら、きっと、お似合いのふたりのようだった】

【(自分は優しいだろうか。かわいいだろうか。芯があるだろうか。自分だけじゃ、こんなにも不安になる言葉なのに)】
【(彼が言ってくれたんだと思えば不思議と自信が持てた。彼の持つ魔法みたいに不思議な力、たくさんの勇気をくれるから)】

酔い止め? ……普段はあんまりたくさん飲まないんだよ、あんまりね、強くないみたいだから――。

【――また、不思議そうな顔をした。酔い止めが必要になるほど普段は飲まないのに、と平常と比べてのもの】
【それから口に出すのは擁護みたいでもある。少しだけ余計なことを言ったようにも思えたけれど、】
【「言っておくね」と言葉を閉じた。あまりにも普通に、その身を案じる立場として】

【――不思議とふたりの距離が近しくなったようだった。それは、共通の知り合いの話を通じて、生まれた親近感】
【簡単に言ってしまえば警戒が薄れてきたのだろう、はじめの申し訳なさも、だいぶ薄れてきたようで――】

/すいません、眠気がひどくなってきたので明日にしていただけますでしょうか……
/明日でしたら夕方頃には普通に待機していられると思うのですがっ
290 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 02:28:31.61 ID:TAuXK2mao
>>287

君が誰かなど知らないな。名を聞いた覚えが無いからね――――……っ!

【相変わらずの口振りで繋ごうとした言葉。しかしそれは、予想外に俊敏な彼の動きに阻まれる】
【立てた右腕でジャブを受ければ、直ぐ様飛び出すフックが身を打って――その衝撃は意に反し、右後方に身体を運ぶ】
【しかし男は、そこから身体を捻って左手を使い、跳ね上がった。レイピアの刃から、血が玉となり宙に舞う】

―――――――conduct

……悪いが私はまだまだ死ねんのだよ、やる事が一つも片付いていないのでな!

【ぼそり、呟いた直後――――――男は、空中で彼に向けてほぼ水平に加速した】
【いや、ただ加速した、という訳でないのは、その時の脚の動きを見ていたならわかるだろう】

【――――――男の脚は、舞い落ちていく血≠蹴っていた】

【本来なら着地し、立ち上がり、そこから構えてやっと、次の攻撃というところ】
【それを男は、空中で推力を得る事により、着地すらせずに次の攻撃に繋いだのだ】
【――――そしてレイピアは、再び彼を狙う。といっても、正確な狙いをつける事はできていない】
【瞬間的な反応が出来るなら回避する事は容易いし、当たるにしてもどこに当たるか分かったものではなくて】

ああそうだ、年上として一つアドバイスをしよう。
……―――もう少し、カルシウムを取りたまえ。

【無事に攻撃を行えたとして。掠める、或いは回避が為されたならば、男はまた腕を使い、しかし今度は普通に立ち上がる。】
【逆に刺さった場合。これは男は彼のすぐ近くに着地する事となり――――彼にとっては有利な間空いか】

【何にせよ、男は一つ二つ咳を漏らす。先の右フックの影響であろう事は、確かだ】
291 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 02:32:05.04 ID:ITWwRsWM0
>>289
//了解ですー、返事がいちいち遅くて申し訳ありません……
//明日は此方も自由ですので、いつでも大丈夫です!21時ぐらいを目安にお返事させて頂きますー!それでは一旦お疲れ様でした!
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 02:36:07.57 ID:x75Upio30
>>291
/いえいえ、レス速度はお気になさらないでください!
/21時ごろ了解しました、それではまた明日よろしくお願いしますー!
293 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/13(木) 03:01:28.15 ID:x0ymVFPUo
>>290

【いくら心が腐っても、磨いた腕は衰えない、寧ろそれがルールという枷が外れたただの暴力として力を振るうならば、さらに強く】
【右の強烈なフックは男性を殴り飛ばし、男は手応えにニヤリと笑う】

あぁん!?何言ってるか聞こえねえっつってんだろ!!
殴られながら言われてもわかんねぇなあ〜ッ!!

【余裕───油断だ、所詮はただの老人であると、この男は思い込んでいた、ついこの瞬間まで】

【たったいま殴り飛ばした男性が、こちらに向かって来た、空中を滑り、槍のように飛んで来る】
【刹那の内に理解した、反撃の構えを見た彼は、素早く身を躱───せない】

〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ

【刺さったのは脇腹、レバーをギリギリ逸れるような位置に、深々と】
【こんな痛み、我慢したとしてもしきれない】

この……野郎ッ!!

【しかし、そこは戦闘員といった所、すぐさま体制を立て直し、右腕を振りかぶる】
【放ったのは大振りな袈裟懸けのテレフォンパンチ、大振り過ぎて見てからかわせる程だ───が】
【間違っても『後ろに小さく下がる』なんてしてはならない、何故ならそれは、パンチなんかじゃあないからだ】
【拳を振り下ろした瞬間、右のガントレットの獅子頭から二本の牙が伸びる、それは黄金の鉤爪で、リーチを前に伸ばした上で、切り裂く】
294 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 03:41:31.08 ID:RgeniU2Mo
>>293

【確かな手応えと共に深く突き刺さったレイピア。このままでは直ぐに動く事が出来ないのでは―――?】

【しかし、違った。男は、瞬間的にレイピアをタクトへと戻した≠フである】
【これは一種のマジックアイテムの様なもの。指揮者の振るうタクトであると同時に、騎士の持つ刺突剣でもある】
【そして、タクトとなれば引き抜くのは容易く――――男は動いた。動いてしまった】
【後方への、最小限の回避。それを、選んでしまった】

な……にっ――――――――!

【刹那、最悪の選択をした男目掛けて獅子の牙が襲い掛かる――――ッ!】


…………――――ふ……フフフ……痛いじゃないかぁ……折角の服が台無しだよ、君ぃ……

こうなっては――――仕方がない、かぁ……?

【大きく胸に走る、獅子の牙が残した赤い跡。ギリギリで更に下がった一歩が、傷を致命には到らせなかった】
【あれだけ白かった燕尾服を、血が緋に染め上げていく。胸ポケットから男が何か取り出そうとした、その時―――】

「自警団だ!戦闘行為を即刻停止しろ!」
「お前は包囲されている!神妙にお縄につきやがれ!」

【自警団の到着―――彼らの声の中、男の方から舌打ちの音が聞こえるかもしれない】
【通行人の連絡を受けてきた自警団。男にとっては味方となるであろう彼らに対しての、舌打ち】
【その意味するところは分からないにしても、とにかく男が口を開く】

フゥ……興が冷めてしまったな……私は帰らせて貰うよ。
後は彼らにでも相手をしてもらってくれたまえ。

ああ――折角一戦交えたんだ、帰る前に名前くらいは聞いておこうか。私はジェイル・クライムという。

【ポケットから出てきたのは、一枚の紙。男はそれを足元にハラリと落とし】
【すると現れるのは魔法陣。そこからの光が、男を包んでいって】
【そして彼が名乗ったならばそれを聞いてから、名乗らなければすぐに、光と共に男の姿は消え去るだろう】
【恐らく、紙に転移魔術でも仕込んであったのだろう――――】

【残るのは、彼と自警団、それから野次馬などなど。もう一暴れするも撤退するも、彼の自由である】



/すみません、時間も時間ですのでここらで〆ということで!
/お疲れ様でしたー!
295 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/13(木) 03:57:05.77 ID:x0ymVFPUo
>>294

それはこっちの台詞だクソジジイ、俺様のコートを傷物にして、生きて帰れると思うんじゃあねえぞ!!

【左手のガントレットからも鉤爪が伸び、二つの爪を研ぐ様に打ち鳴らしながら、更なる臨戦体制を取る】
【だが、乱入者の声がそれを邪魔して、男もまた舌打ちをした】

あぁん!?今いい所なんだよ!!邪魔すんじゃねぇクソ自警団共がァ!!
まずはこのクソジジイをぶっ殺してから……っておいコラ!何逃げようとしてんだオラ!!
この獅子牙迅皇様に名乗らせておいて逃げようなんざ───おいコラ待ちやがれ!!

【逃げられた───ついさっき『生きて帰れると思うんじゃあねえぞ!』なんて言ったばかりなのに、逃げられてしまった】
【どうにも消化不良で、苛立たしい、苛立ちを鎮める為の相手はまだいるのが幸いした】

───何見てんだよクソ共が!全員纏めてぶち殺すぞおらァ!!

【───辺りが血の海と化すのは、そう遠い未来の事ではない】

/お疲れ様でした
296 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 19:41:38.02 ID:9FaPeLhAo
【路地裏】

――――――っあ!!

【闇夜に埋もれた隘路の直中に、火花と金属音が散った。一瞬遅れて、微かな悲鳴が木霊したかと思うと】
【何かの店の裏口、だろうか。路地の壁を小さく切り取っていた長方形が突如として吹き飛び、そこから女が路地へ転がり込んでくるだろう】
【凹んだ扉は壁に叩きつけられて更にひしゃげるが、しかし女はそうはならなかった。しなやかな動作で地面を転がり、片膝を突いて受け身を取る】
【だが荒々しい吐息は、依然として女が窮地に立たされている事を示している――――】

ったく、冗談じゃないわ…………!

【悪態をつく女は、金色の瞳に褐色の肌、やや赤色の入った白髪を持つ、二十代ぐらいの風体だ】
【髪型は肩口までのセミロングだが、長い後ろ髪がたてがみのように跳ねさせた、かなり野性的なアレンジが加えられており】
【そして服装もまた、上は暗い赤色のチューブトップと白色で丈の短いファー付きコートを合わせたヘソ出しの格好に】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツという、全体的にやたら露出度の高いワイルドなものであるだろうか】
【また、上部にリングのようなものがいくつも嵌まった物々しい鉄製の腰当ても装備しており、荒事に慣れていそうな印象も感じられた】

【女は憎らしげに自身が吹き飛ばされて来た場所を見やると、路地の奥へと逃げ出す。だが生憎、その先は行き止まりだった】
【そして――――吹き飛んだ扉の奥からニヤついた表情の男達が複数人現れ、その後を追っていく】

うげ、最悪…………! ああもう、めんどっくさいわね!!

【――――かくして、女はあっという間に六人の男に包囲される。女はやむなく壁を背に振り返ると、両手で腰のリングに指を掛けて引き抜いた】
【それはどうやら、上部にリングの付いた形状の短刀だったようだ。女が両手のそれをゆるく構えると、ベルスリーブの左袖には緋色の鷹≠ェ覗く】
【世界的な正義の象徴、SCARLETの紋章。二刀流の構えにも隙は無い――――どうやらこの女、相当場慣れしているらしいが…………】
【数の利は圧倒的。しかも僅かに焦りの浮かぶ女の表情からするに、相手はただの烏合の衆ではなさそうで】
【男達の大半は若く、中にはまだ学生ぐらいに見える者もいる。だが女を焦らせているのは、彼らの異常な様相だ】
【顔は風邪でも引いているように紅潮し、目の焦点は合っていない。誰も彼もが肌を突き刺すような、一種の力場じみた雰囲気を纏っている】
【明らかに何か≠ェおかしい。そしてその何か≠アそが、女をここまで追い詰めた原因なのだろう】

【…………さて。路地裏とはいえ、毎日どこでも荒事が起きている訳ではない。女と男達の立ち回りは、それなりに目立つ】
【路地の中からも表通りからも観測できる、この光景。誰か≠ェこの場に介入してきたとしても、不自然ではない筈であって】
【まあ、もっとも…………その誰か≠ェ自分を窮地から救うのか、それとも更なる窮地に突き落とすのか。女に、それは選べないのだが】
297 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/13(木) 20:13:21.42 ID:6RP5hDrCo
>>296

【狂気すら感じさせる表情でじわじわと迫り来る彼等、その背景、路地裏の暗闇に―――僅かに煌くは鈍い光】
【一瞬の輝きを彼女は捉えられたどうかは解らないが、そこから鳴り響くは轟音―――音から察するに、銃声であった】

【位置的には男達の背後。直ぐ様反応して振り返ったとしても、躱すことはそうやすやすとは出来ないだろう。何故なら―――】
【唯でさえ暗い路地裏の中で、地面から浮き上がってくるような特殊な軌道で6人のうちの真ん中にいた男の右膝をピンポイントに狙った一撃】
【そのような軌道は―――コンクリの床を反射させる『跳弾』という曲芸に近い技があって初めて可能とするモノであり、そしてそれを使いこなせる男と言えば―――】

……―――流石に6対1は卑怯じゃねーの? ……し・か・も男が女を―――いや、もう今の時代男も女もねぇな……
寧ろ男の方が貧弱かも……って話は置いといて兎に角! ―――そんな卑怯なマネを許す俺じゃないんだよね……!

【……―――SCARLET所属、マーシャル・T・ロウ。トレードマークの青いソフト帽を、銃の握られていない左手で深く被り直せばニヤリと笑って彼女を見る】
【右手には朱い自動拳銃。―――先程の弾丸が彼のこの銃によるものであることは明白であった。段々とその姿が近づけば、徐々にその姿もはっきりと映り】
【弾丸が外れるにしろ当たるにしろ、その男は今度は左手にも銃を具現化させる。紺のコートに青のジーンズ、そして今握られた青の銃と青づくしで固めた男が両銃を構える】

【―――もし男共が振り向いたのならば、ようやくロウも彼らの異変に気付くのだろう。一瞬紺碧の瞳が見開けば、半歩だけ後退し沈身して用心を深める】
【……後ろからでも彼等が本気で彼女を襲おうとしていると分かった為、先程彼は間髪入れずに発砲したのだ】
【その時にも一瞬だけ肌に不気味なモノを彼も感じていたが、もし彼等がその表情をロウに見せたのならば不気味な感覚が肌に再度伝わり警戒を促すだろう】
298 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/13(木) 20:46:29.66 ID:563+eDqr0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――夜の国 広場】

雪、か……
人の通りが少なくなるのも、道理だとは思うけどね……

【華奢ながらも筋肉の浮き出た色白な上半身を晒す様に、ワイシャツだけをボタンも留めずに羽織り】
【下半身はジーンズとスニーカーで固め、腰回りに大量のチェーン装飾を巻き付けた】
【くすんだ水色の髪を前髪ばかり長くした、身長170cm前後の青年が】
【左手に、ほこほこと湯気の立つ大きめの紙コップを携え、街灯の下に佇んでいる】
【何ともなく往来に目を向けると、穏やかなプライベートタイムを楽しむ様な通行人が、ちらほらと家路を急いでいる】
【見上げればチラチラと雪が舞い、また道の端にも、除雪の跡と思しき雪山が、あちこちに形成されていた】

……まぁ、良いか……
家で時間を過ごせるって言うのは、悪い事じゃない……平穏って事だからねぇ……

【少ないながらも穏やかな人通りを、どこか安らいだ様な瞳で見つめながら、青年は紙コップを傾け、わずかに中身を啜る】
【相当熱いものなのか、ゆっくりと飲みながらも、十分に暖が取れている様だった】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

――――仕事が一区切りついて、明日の休日が楽しみですねぇ……えぇ、報告に不備は……そうですか
ではまた。良い夜を……――――さて……

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年が】
【携帯電話でどこかと連絡を通しながら、コツコツと歩を進めている】
【その電話も程なく切れた様で、端末を懐に仕舞い込んで顔を上げる】

【その首元には、金十字を象ったネックレスが慎ましく光っている】

――――ッ、ハァッ!

【その刹那――――暗がりから複数の影が青年目掛けて跳びかかろうと躍り出る】
【青年は、手に持っていた紙袋をその場に放りあげ、飛び出した影が一瞬その方向へと気を取られた様に動きが止まり――――】
【その場からのステップで踏み込んだ青年の、突きと蹴りが襲撃者の身体を捉え、足元に打ち倒す】
【3つの影は呻き声を上げながら、あっと言う間に勢いを減じてしまった】

……賞金稼ぎの類ですか? この様な簡単な誘導に引っ掛かるなど……所詮、烏合の衆と言う事ですね……っと
さて……どう落とし前をつけましょうか……?

【見れば蹲る男たちの手には、棍棒やギャロットなどの粗末な武器が握り締められていて。しかし結局その役を成す前に、勝敗は決してしまう】
【侮蔑の視線で彼らを見下ろす青年は、思い出したように手を構える。そこに放りあげた紙袋がポスッと収まったのは、言うまでもない】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
299 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 20:54:34.69 ID:9FaPeLhAo
>>297

「ぎぁッ…………!?」

【鮮血が飛び散る。間接を砕かれて一気に力を失った右足ががくりと崩れ落ち、男の体勢が崩れる】
【それに周囲の男達が反応するより――――女が思い掛けないチャンスを物にする方が早かった。次の瞬間、男は意識を失う】
【その顔面に情け容赦のない全力の蹴りが叩き込まれたのだ。悲鳴すらも蹴り潰されながら、男は豪快に吹き飛んで動かなくなった】

《 阿修羅ノ御手( マハー・ハスタ・アスラ )》 ッ!!

【残る五人の男達の反応は、思いの外鈍い。新たな支援者と再び勢いを取り戻した女、どちらに反応していいか解らず一瞬空隙が生まれる】
【それを逃す女ではない。吹き飛んだ男の分穴の空いた包囲網へ突進すると同時、女が吼えると――――】
【女の両手を朱色の輝きが覆う。更に女の背中から、同じ朱色の光を放つエネルギーの腕が四本、するりと伸び上がって】
【すれ違いざま突き出された六本腕≠ヘ、予想外の剛力で二人の男を同時に真横へ突き飛ばし、女はそのまま包囲を突破した】


誰だか知んないけど、カッコいいわよお兄さんっ!
あたしはミドナ、SCARLETのミドナよ。ホントに助かったわ…………!

確かに連中、こんなか弱い乙女を寄ってたかって襲おうとする男の風上にも置けない奴らだけど…………。
――――気をつけて。力だけは、マジでヤバいわよ。

【そうして自身を助けた男の近くまで駆け寄ると、すぐさま振り返って構え直す。背を向けたまま、女はミドナと名乗るだろう】
【…………ちなみにこの女、SCARLETの一員ではあるが相当不真面目だ。同じSCARLETのマーシャル・T・ロウの勇名も、知る由も無いらしい】
【自身をか弱い乙女なんて表する下らない冗談はさておいて、女の表情は厳しい。ロウの登場で戦況が好転したこの状況でも、まだ油断出来ないということか】

「へへ…………ちょうどいいや。試し撃ち≠フ的がひとつ、増えた――――」

【こちらに振り返った五人の男達は、仲間を一人やられたにも関わらず、余裕の表情のままだった】
【いや…………余裕と言うよりは。熱に浮かされて正しく状況を理解できないような、そのようにも見えるだろうか】
【と、ひとりの少年が一歩前に出て、右手をするりと上げる。彼の浮かべる薄ら笑いが、一瞬で全体へと伝播して――――】
【ふわり、と。先ほど吹き飛んで路地に転がっていた扉が浮き上がったかと思うと、鋭い金属音が連続してそれを襲うだろうか】
【見えない力によって一瞬で細切れになった扉――――その破片がぐるりと回転し、鋭い断面をこちらに向けた】

やっば…………! 気をつけて!!

【後はもう解るだろう。鉄の破片は次の瞬間、散弾じみた勢いで一斉に二人へ迫る――――!】
【増えた四本腕に更に四本短刀を補充し、六刀流≠フ構えを取ったミドナが一歩前に出て、手数を生かしてそれを叩き落としていくが】
【…………それでも、全て叩き落とすのは無理だ。破片のいくつかはミドナの脚や脇腹を浅く切り裂きつつ、背後のロウへも飛散していく】
【破片一つ一つは比較的小さく、多量浴びなければ致命傷にはならないだろう。だが破片の数と速度は脅威と思って間違いない】
300 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 21:24:35.12 ID:ITWwRsWM0
>>289
【少女の表情が柔らかくなったのは、きっと気のせいではないだろう。はじめの遠慮しがちな硬い表情は其処には無く、代わりに可愛らしい微笑みが覗く】
【――――少女の表情を柔らかくしたのは、彼女の明るい笑顔だけだろうか?……いや、それだけではあるまい。想いを語る少女の表情は、とてもとても幸せそうで】
【愛する人への思慕の感情もまた、自ずと少女の顔をほぐしたのだろう。ああ、二人はお似合いに違いない……少女をこんな素敵な表情にさせるのだから】

……そっカそっカ、だいすきカ……ウン、分かりますヨ。―――アナタ、今とっても幸せそうな顔してるカラ。
……エヘヘ、あんまり幸せに溢れてるカラ、コッチまで元気と幸せを分けて貰っちゃっタ。
ネ、今の私はどんな顔してル?モウ怖い顔してなイ?……モシそうなラ、それはアナタのお陰デスヨ♪

【感情というものはしばしば伝染するものだ。少女の幸せに満ちた笑顔を見ていると、此方もまた暖かな気分になってくる……】
【持ち前の明るさに温かい心も加わって、彼女の表情は太陽のようにぱぁっと明るくなっていた。はじめの怯えていた表情はもう面影もない】
【もう幽霊なんて怖くない。二人のいる空間は物悲しい廃墟に似合わない程に暖かく感じて、これならきっと幽霊がいても寄り付けないんじゃないかと思うから】


……初めて、会ってみたイ……?

【……少女はもう一度初めて会ってみたいなんて願いをポツリと呟いてみる。勿論そんな事は出来ないに決まっているけど】
【―――まあ、二度と出来ない事であるからこそ望んでみる気持ちは分からなくはない。でも、―――――】

でもサ、きっとセシルさんはもう一度会ったとしても、同じようにアナタを愛すると思うナ。そんな気がしませんカ?
だって、アナタとセシルさんは……ちょっと言うのは気恥ずかしいケド、凄く想いが強いもノ。それだけ互いを想えるなら、それはきっと運命なんじゃないカナ?
―――なんてネ、これはワタシの勘デス!でもネ、ワタシの勘はよく当たるんデスヨ♪

【――――少女の願いへの一つの答えを、笑顔で告げてみる。根拠はない。でも、きっとこの二人なら何回出会っても結果は同じような気がする】
【口に出すのは照れくさいが、それだけ二人は二人でいるのがお似合いな気がする。―――続く言葉に頬を赤らめて照れる姿を見れば、余計にそう思うのだ】

(あ、照れてル照れてル……分かりやすいネ。肌がとっても白いもノ、赤くなってるのがすぐ分かル……)
(セシルさん、いつもこんな表情を見てるのかナ?……そりゃ、大切に想うよネ。こんなに幸せそうな表情をされたラ……)

【少女のこんな照れ笑いを、彼はいつも見ているのだろうか?こんな幸せそうな表情を見ているのだろうか?―――そんな事を暫しの沈黙の間考えて】
【そういえば彼も少女のことを語る間、目を細めていたっけ……二日酔いに悩まされていたというのに自然と笑顔になっていた彼の表情を思い返して、今の少女の表情に重ねてみる】
【―――ああ、やっぱり二人は似合っている。】

【飲み過ぎは良くないという言葉に対する返事があんまり自然だったから、クスリと笑ってみる。ああ、彼の身を案ずるのは少女にとっては当然の事なんだな、なんて】



【寒風吹きすさぶ廃墟で少女の会話は弾む。出会った場所が場所だけに、傍から見ればおかしな光景だろう。もっとも、傍観する人はいないけれど】
【出会った時の距離感はすっかり消え失せて、随分親しくなったような気がする。これまでの会話で、彼女が警戒すべき人物ではない事は十分に伝わったと思う】
【何しろ、敵意が全く無い。根っから明るくて人懐っこい性格なのだ。少女の静かで優しい性格とは対照的だけど、だからこそ波長も合うのだろうか?】

//続きます!
301 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 21:25:03.71 ID:ITWwRsWM0
>>289>>300

【―――さて、明日はバレンタイン。愛する人へ贈り物を贈る日だ。きっとこの少女も思慕の想いを彼に伝えるに違いない】
【折角だ、何か少女が贈るにふさわしいモノは無いだろうか?―――背負った鉄の箱を下ろして、おもむろにゴソゴソと何かを探して】
【暫くして取り出したのは、チューリップの形をしたチョコレート。―――チューリップの花言葉は「永遠の愛」】
【本当は朝が明けてから向かうはずの薬の仕入先で薬屋のお爺さんに渡す義理チョコだったが、折角だから彼女へのプレゼントにしようと思った次第】

コレ、受け取って下さいナ。もしかしたらプレゼントは決めてるかもしれないケド、プレゼントの足しと思ってくれたラ……
―――あ、そうダ。お名前、何というんですカ?
私は黄春燕って言いまス。春の燕って名前、可愛いデショ?春燕は言いにくいし、つばめと呼んで下さってもいいですヨ♪

【―――そういえば、親しくなったというのに名前を聞いていなかった。彼女の名前は何というのだろうか?教えてくれたら嬉しいなと思いつつ自己紹介】

//すみません、お待たせしました……!
302 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/13(木) 21:25:59.21 ID:6RP5hDrCo
>>299

【―――当たった、と確認した瞬間突然あらぬ方向に吹き飛ぶ男。一瞬何が起きたのかと思ったが、続けて行われる彼女の躍動を見て彼女の仕業だと気付き】
【具現化されたオーラの腕、そして一瞬見えた緋色の鷹の紋章が―――彼女が何者なのか、という問いに対する正答を教える】

……まーさか仲間サンにこんな所で出会うとはねェ。……つーか同じSCARLETなら知っとけよ、SCARLET宣伝の為に大会参加させられたヤツをよォ。
―――ま、俺もアンタの名前は初耳なんだけど……・今はよろしく言ってる場合じゃねぇし、共闘といきますかィ。
……SCARLET所属、マーシャル・T・ロウ。精密射撃だけならナンバーワンの男……ってね!

【―――自分と同じ、SCARLET。そのわりにはSCARLET内では有名な部類に属している彼を知らない……ということで少し苦笑いをしてみせる】
【青狼こと水の国自警団の中邑、特殊部隊を率いてリーダーシップを発揮する砂の国自警団アサド、そして大会で3位になったマーシャル・T・ロウ】
【この3名はSCARLETの中では特に名前が知られている方ではないか……と言われているとかいないとか】
【彼は先述した2人とは違いスカウト組であり、その為かあまりSCARLET内部には詳しくない。彼女の名前を初めて聞いた、というのも恐らくそれが原因だろう】
【兎に角彼が言うように、今此処で自己紹介をして親睦を深めている暇はない。窮地を脱出してもまだ危機からは逃れていない。ひとまず―――相手に集中しなければ】

―――いくら数ではそっちが有利でも相手を知らねぇのか? こっちは世界の盾が2枚だぜ……―――ッ、来るか……!!

【……どうやら相手も、唯のチンピラではないらしい。意味深な発言から繰り出されるは能力と思われる現象、そして襲いかかる破片―――】
【ミドナが何個か捌いたものの、残りがロウを襲いかかる……!気をつけてとは言うが、彼にはある理由から「機動力」が低い。つまり避けるという選択肢は彼になかった―――が】

解ってるさ―――……<<氷柱ショット>>ッッ!!

【左の蒼のトリガーが引かれれば、伏せていた銃口から青色の輝く弾丸が唸り、彼の目の前の地面にへと衝突する。その瞬間、衝突した部分から真っ直ぐ天に伸びた氷柱が生まれ】
【―――ロウより一回り大きなそれは重厚な氷の盾となり、小さな破片の弾丸を受け止める。多少氷に罅は入るものの、砕けずにその透明なオブジェを保っていた】
303 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/13(木) 21:31:35.04 ID:563+eDqr0
/>>298取り消しでー
304 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 21:59:15.98 ID:9FaPeLhAo
>>302

ロウ? ふーん、あたしもやっぱ初耳だわ!
ま、有名人だってなら強いんでしょ…………! 是非頼らせて貰いたいわね!!

【弾かれる破片の金属音に混じって、ミドナの軽い声が飛ぶ。名前を聞いてもなお、彼女はロウの事に全く心当たりがないらしい】
【…………この調子だと、自身が所属する部隊のリーダーが有名である事すら知らなくてもおかしくはない】
【一応、彼女もまたスカウト組だ。だからSCARLETの内情に詳しくないのはお互い様、と言い訳した所で、彼女の不真面目な勤務態度の噂は消えないのだが】

…………っう…………!

【――――やがて破片の雨が止めば、お喋りをする余裕ももう無くなっているだろう】
【氷柱の向こうで、ミドナが膝を突くのが見えるだろうか。大半は弾けたものの、避けきれなかった破片は彼女の体の数カ所に浅い切り傷を残しており】
【特に酷いのが左太股だ。突き刺さったりしなかったのは幸いだが、切り傷からは少なくない量の血が流れ出している】

「ははは! 何が世界の盾≠セ、ザコばかりじゃないか! そんなので僕らに対抗しようなんて、笑わせるね!!」
こんの…………舐めんじゃないわよ!!

【中央の少年が発した煽り文句に発憤し、ミドナは自身の腕に構えていた短刀二本を腰当てに戻すと、今度は二丁の拳銃を取り出すが】
【そこで五人のうち一番右端にいた者が前に出た。両手を前に突き出したかと思うと、彼ら全員を守るように巨大な力場≠ェ形成される】
【次の瞬間、ミドナが乱射した数十発の弾丸は、境界面にぶつかるなり勢いを失ってずぶずぶと飲み込まれて消えてしまうだろうか】
【ミドナは構わず乱射を続けるが、結果は同じ。単なる銃弾であれを突破するのは難しそうだ】
【そして更に、戦況は動き出す――――】


「男は内蔵バラして売りゃあ金になる、カタチは残しとけよ。女の方は…………言うまでもねえな?」
「へへ…………オラァッ!!」

【路地裏をまるごと埋め尽くすような力場を軽々と飛び越して、二人の男がこちらへ跳躍してくるだろう!】
【ロウへ迫っていくのは、拳にメリケンサックを付けた男だ。あの位置からこちらまで、ロウの作った氷柱すら跳び越えて、一息で飛びかかってくる】
【異常すぎる跳躍力=Bまず身体強化系の能力か何かだと見ていいだろう。だとすれば、ロウの頭蓋へ叩きつけられる拳の威力も察せられるか】
【動きこそ大味だが、身体強化と重力加速が乗った一撃。直撃すれば決して無事では済むまい】

――――ロウっ!!

【…………一方ミドナは、同じ動きで迫ってきナイフの男の一閃を、上腕二本を唸らせて受け止める】
【ナイフの一撃にも全く力負けしていない所を見るに、ただ『腕が増える』だけの力ではないらしい。彼女もまだ戦えそうだ】
【そんなミドナの発した叫びは――――心配であると同時に合図でもある。ミドナはまだ二丁拳銃の乱射を続け、残り三人をその場に縫い止めている】
【その先を見やれば、あの巨大な力場が円状≠しているのにも気づけるか。加えて、路地の形は当然四角形であり】
【円で四角を埋めることは出来ない。その隅には必ず、隙間≠ェ出来る――――ミドナの射撃技術では無理だが、あるいは】
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 22:13:08.21 ID:4VODlS4W0
>>300

【――ふたりで一緒に居さえすれば、どんなことだって大丈夫な気がした。耐えられる気がした】
【それはきっと気のせいじゃなくて、一緒に居ることでどれぐらいの勇気を貰っているのか、教えたいぐらいに】
【でこぼこでぐちゃぐちゃだったこころを彼がまぁるくしてくれた。そうでなければ、今宵のこの出会いもなかったのかもしれない】

……うん、もう大丈夫みたい。

【ふわと笑みが零れる、見つめたその顔に恐怖はもう窺えなくて、元気のいい笑顔に、もう暗がりなんて近づけもしない】
【どこか遠くで風に鳴らされた何かの音がする。けれど思考は恐怖に傾かないのだろう、それぐらいに、この場は暖かいから】

そう、初めて会ってみたいの。道端で、公園で、どっかのカフェで……どこでもいいから、もう一回。
だってね、そうしたら面白そうじゃない? どんな話するんだろうって、どんな顔、するんだろうって――。

……でも。そうしたら、もしかしたら“こう”ならないのかな……それなら、嫌だな、

【ざぁと一際冷たい風が通り抜けていく、彼女の長い髪とケープをふわりと孕ませて、どこかへと逃げていく】
【けれど寒がったりしなかったのはだいすきなひとを想っていたから、かもしれない。ほんのりと、暖かくなるから】
【――どれだけ願ってみたところで、今の関係性が毀れてしまうのは嫌だった。それなら、やはり叶わないほうがいいのかも】
【空想ごとのままにしておくのがきっと正解だろう。そんなことが叶う日は、――きっと、来ないほうがいいだろうから】

……わたしがね、セシルを好きなのは当たり前なんだよ。
いろいろなことをね、してくれたの。いろいろなものをね、わたしにくれたの。……ぬいぐるみとか、そういうのも、そうだけど。

帰る場所のなかったわたしにおうちをくれた。おかえりって出迎えてくれる、素敵なおうち。
寂しいときはぎゅうってしてくれて、泣いちゃったらすぐに飛んできてくれて、抱き締めてくれて――、他にも、うんとたくさん。

【(それに恰好いいもの。背がとっても高くて、手が大きくて、暖かくて、ぎゅうっと抱き締めてくれる力加減がぴったりで、)】
【(耳元で囁いてくれる声はいつだってぞくぞくしたし、ちょっぴり子供扱いされるときも、するときも、たまらなく嬉しくて、)】
【(――他にもいろいろ言いたいことはあった。惚気の波は堤防をブチ壊す寸前、寸でのところで濁流から少女は逃れていたけれど)】

【だいすきなひととを並べてお似合いだといわれて嬉しくないひとなんてきっと居ない、彼女にだって、それは当然で】
【どうしたって気恥ずかしい色を残しながらも嬉しそうにしていた。もじもじと絡まる指先、か細い指のかたちを強調するように】
【――本当はもっといろんなことを貰っている。同じだけ、あげられているならとっても嬉しいのに、なんて思考の欠片】

【普段は飲みすぎないのに、どうかしたのだろうか。ふわりと漏れる考えごとがあった、表情には見せないけれど】
【そんなことをしていたら彼女が背中に背負っていた箱をがさがさと漁りだす、きょとんと変わる表情は不思議色】
【やがて取り出したものを見て――ぱちくりと、瞬いていた】

え……いいのかな。……いいのなら、貰っておくね。ありがとう――。

……鈴音・シュトラウス。それがわたしの名前。セシルに貰った、名前。

【差し出されたチョコレート、少しだけ迷うようにしながらも、そっと受け取って、わらう】
【耳に馴染みのない異国の響き。おうむ返ししようとして、上手に出来なくて、「……つばめ、」と諦めた光景】
【少しだけ気恥ずかしいような表情は、未だその名に慣れきっていないというせいもあるのだろう。まだ、まだ、嬉しくて】
【同じ苗字を持つのがこんなにもしあわせなことだと知らなかった。こんなに思い知らされて、また、だいすきになるのだから】

ねえ、――つばめは、誰かにあげるの? だいすきなひとに、チョコレート。

【――自分はといえばもちろんあげる。そのための準備はもう済んでいて、あとは明後日、渡すだけ】
【どうやって渡そうかという考えごとに終わりは見えないけれど、――どうにかなるなんて、ちょっとだけの楽観】
【尋ねてみたのが、ちょっぴり悪戯っぽい語調だった。誰か居るのか、なんて――そう尋ねるのは、普通の女の子みたいに】

/気付くの遅れましたすいません!
306 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/13(木) 22:39:47.71 ID:6RP5hDrCo
>>304

っふー……さっき言ったろ、「だけ」の男ってな。それ以上でもそれ以下でもねぇさ……!
つーかオイ……脚やられてんなら後ろに下がっておけ―――って、ムキになっちゃ出来る事も出来なくなるっての……!!

【氷の盾に深く突き刺さる刃の銃弾に額の汗を拭って安堵したも束の間、膝から朱が漏らす彼女の姿が氷柱越しに見えた】
【―――数は多いが1発1発の威力が低い破片の銃弾ならば、彼女のフォローが無くともこの氷の盾でカバーできると見る。彼女に下がって貰おうと呼びかけるが―――】
【……SCARLETのプライドがあるのか相手の挑発に呼び込まれて鉛弾を乱射する。弾丸は相手の肉を裂くことは無く、他の能力者の手により完全防御である】

【―――今の能力者は中々に厄介だ、そう思いながら瞬時に脳内のコンピュータが作動し数多の戦略を練り始めたのだが、それを遮らんと飛びかかる影があった】
【……しかもとてつもなく速い。透明の障害物を飛び越え上空から迫る敵の動きに対し、ロウの脚だけでは「避ける」という行動は取れない】
【急襲とも言えるその動きに対しトリガーを向け、狙って発射という複数の工程がかかる動作は難しい。ならば―――少々痛いがコレしかない……!】

……っぐ、はっや……―――ッッ!!

【ロウは韋駄天の如き速さに圧倒されながらも瞬時に両の銃口を合わせ、腕を前に伸ばしながら左右のトリガーを同時に引いた】
【―――右からは赤く輝く、左からは青く輝く弾丸が、発射直後にぶつかり合う。……そして其れ等はぶつかり合うと「爆発する」という特性を持っており―――】
【近距離の爆発と共に勢い良くロウは後方へと飛ばされる。ゴロゴロと転がり直ぐに姿勢を起こし片膝を付いた状態で視線を相手に向けた】
【身体の所々が焼け焦げており、ダメージを代償に無理やり爆風によるブーストをかけた、ということが解るだろうか。回避には無理やり成功したが、ダメージは負っているのだ】
【―――しかも、今は片膝立ちの状態。灼ける痛みも募り簡単に姿勢を立て直せる状態ではない。一難去ってまた一難、ということであるが―――】

……―――ッ、ったく忙しいねェッ……!!

【<―――ロウっ!!>と彼の名前を呼ぶ声が焦げ付いた身体に深く響く。直ぐに視線をそちらに向けると持ち前の洞察力で状況と狙いを察し―――】
【続けて銃声2つ。片膝立ちの状態のまま、跳弾ではなく最短ルートで真っ直ぐな弾丸をコーナー2箇所に叩き込み、そのまま敵の足元を狙った】
307 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/13(木) 22:39:48.39 ID:5a9M1HWNo
【路地裏・とある場末の酒場にて】

【そこでは二人の男が喧嘩をしていた。きっかけは誰それがぶつかってきただの、と】
【まあどうでもいいような、酒が手伝った下らない理由で――ただ、やはり喧嘩は華】
【ファイターも観衆も酔っぱらいとなれば盛り上がるもので、喧騒は外にも漏れでている】

【――ところがそれを良く思わない者も居る。カウンターでスコッチをあおる女性がそうだった】
【服装は場に合わない黒毛皮のロングコートとロシア帽。目は白く、髪は真っ赤で肩ほどまで伸び】

ったく、うるせェんだよ馬鹿が……クソ寒い夜くらい静かにしてやがれ
……あ?口答えしようってのか――よし、やっちまえベギー=\―…。

【小さなぼやき、それを耳ざとく捉える男たち、そしてうんざりというように言葉を吐く女性】

【――そこからまあ、あまり説明の必要はないかもしれない。展開の想像は容易だからだ】
【女性の側に流線型の黒鎧を纏った人型が出現し、それが男たちの顎を叩き上げると】
【そのまま気を失った彼らを扉の外――路地裏に投げ捨てる。慣れた、実に素早いやり口だった】

【そんな事があって、また酒場静まった。時に――この女性、顔立ちは決して悪くないのだが】
【如何せん衣服が場所に合っていない上、こういう問題を引き起こすせいか――】
【その周囲何席かがまったく空いてしまっていた。逆にテーブル席なんかは人が密集していて】

【それ故、新たに来客があれば問題を知る知らないに関わらず、彼女の側に座ることになってしまうだろう、か――。】

/予約でございます!
308 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/13(木) 23:05:38.96 ID:yeDYjuD8o
>>307

【ギィとドアを開ける。さっきの奴らが仕返しにカムバックした訳じゃない】
【新たな客は何故だかよくわからないが、店先でのびている輩に目をやりながらドアを押し開けて】
【店の中に残ったピリついた空気を何とか誤魔化そうとした客達の大げさな談笑には何の違和感も持たず】
【ふらりと店内に入って、ブーツをゴツゴツ言わせながらカウンターへ向かい。ポケットからクシャクシャの札を取り出して】

マスター、ぬるいギネスを1パイント。……パイントじゃ出してない?じゃあ何でもいいから…後、灰皿ね

【ひょろ長い体格、長いというよりか多いという形容が当てはまりそうな黒い髪、とんがった風な鼻。そしてサングラス】
【黒の細身のスーツに安っぽいミリタリーコートを合わせた所謂、モッズスタイルの酒やけしたしゃがれた声のこの男】
【今日は革の旅行かばんを持っていて、右頬から顎あたりに包帯をぐるぐるに巻いているのが普段と違う感じだ】

【何気なく、適当にそのグラウンド・ゼロすぐ近くの席について。疲れたようにビールをすすった】
【背後では事情を知る客達がジロジロと見ている。それには気がついた彼が振り向くと客達はサッと目をそらす】
【なんだかなあ…と不思議に思いつつ向き直る時に、その横が見知った顔だと気がついて直ぐに挨拶してきた】

おっ……よお。………あー……なんかあったの?

【気の抜けた温和な口調は相変わらず、ビールを飲んで満足そうにニヤついている】
309 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 23:19:17.03 ID:ITWwRsWM0
>>305

そウ……本当に一杯色んな物を貰ったんダ。―――いいナ。ちょっと羨ましいナ。
ワタシ、そういう人はまだいないカラ……

【――――この世界に、人の事が好きなことを当たり前と言い切れる人がどれだけいようか。戦い、傷つけあい、悪が跋扈するこの世界で……】
【きっとその愛は本物なのだろう。少女の小さな口からとうとうと溢れ出る想いの数々は、どれもこれも本当の暖かさを含んでいた。】
【一体少女はどれだけのものを受け取ったのだろう?どんな事をすればここまで人を想えるのだろう?……未だ異性への愛を知らぬ彼女には分からなくて、ちょっぴり少女のことが羨ましい】
【少女はとても口では言い切れないと言いたげな表情をしている。――――ああ、きっと私の知らない事をいっぱい知ってるんだろうな。】
【自分を想ってくれる人が与えてくれるモノってどんなだろう?いつか私も大切に想ってくれる人が出来るのだろうか?その人は私に何を与えてくれるの?】
【私にも、人の愛を知る日はいつか来るのだろうか―――?】


【実際は人の愛を知らないわけではない。薬屋のお爺さんはいつも優しくしてくれるし、患者さんは病が治ったらありがとうと言ってくれる。それだって愛の一つ】
【でも、異性への恋慕という意味での愛は生まれてこの方経験したこともないのだ。生きるのに忙しくて、恋をしたことがないのだ……】

【―――親の存在は朧げに覚えているけれど、随分前に別れた。いや、女であるが故に捨てられたと言ったほうが正しいか。今は何処にいるかすら分からない。生きているか、死んでいるかすら……】
【置いて行かれたのはきっと櫻の国だ。―――というか、幼少期の記憶が「気が付いたら櫻の国にいた」という物から始まっている。】
【天賦の才であった調剤能力が際立っていたから薬屋のお爺さんに拾われて、それからずっと、今も薬の材料を分けて貰いたった一人で薬を売り歩いている。……生きるのに、必死だった】
【だから、恋なんてしたことがない。……しかし、春燕も年頃の少女だ。異性の愛の話が出ると、当然羨ましくなるのだ……】


【―――少し寂しそうな、羨ましそうな、そんな表情を見せたけど、すぐに素の表情に戻ってチョコを手渡す。暗い表情はこの場には似合わない!】

ウンウン、受け取ってネ!チョコレートなんてありきたりだけド、喜んでくれたら嬉しいな、なんテ……

―――名前もセシルさんに貰った物なのネ。そっカ、名前まで貰ったのカ……
鈴音、カ。フフフッ……あ、ゴメンナサイ!いや、あんまりイメージとピッタリだったもんだかラ……
アナタの声は鈴のようデスカラ。リンと響く、鈴の音……ネ♪

【鈴音なんて名前があんまり少女のイメージ通りだったので、くすりと笑う。成る程、彼女の声は鈴の音のようだもの……名は体を表すとはこの事か】

【―――そう言えば、春燕という名前だけは親から貰った物だ。服に書いていた自分の名前だけが、親が私にくれたものなんだ……】
【私はこの名前が大好きだ。――――それが自分を捨てた親の付けた名前だとしても。】


【―――不意に投げかけられた質問。チョコレートを誰かにあげるのか?ああ、色んな人にチョコレートはあげるつもりだ。でも――――――本命を送るだいすきなひとが、いない】
【少しでも恋愛していれば、どうして渡そうか、どんな風に作ろうかなんて四苦八苦するのだろうが……肝心の恋をしたことが、ない】

……えーっト、そノ……―――ううん、あげるヒトがいないノ。
ワタシは鈴音みたいに大切に思える人がいないカラ……―――
……ダカラ、……ちょっぴり鈴音が羨ましイ。ネエ、どうすれば誰かを好きになれル?

【困惑の末に恋を知らぬ少女は愛を知る少女に質問する。分からないのだ、恋愛については何もかも……】
310 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 23:21:19.88 ID:5a9M1HWNo
>>308

【最初は、誰か知らない人間―自分の事、それとさっきの出来事―でも来たのかと思ったらしい】
【相手がビールをすすり、視線に応じて振り向くと視線が消えるなんて茶番を横目で眺めて】

……兄ちゃんよォ…俺の周りの席、座んねー方が――あ?
あ、あァ……久しぶりだな、てっきり雪にでも埋もれてるかと思ったが
元気そうで何よりだ……ところでそんな怪我、前からしてたか?

【どうやら、気付いたのはようやくそこだ。言葉から察するに包帯で気づかなかったのだろう】
【グラスを持った人差し指で自分の右頬から顎にかけて、相手が包帯で隠している場所を指し】

【だが一方で女性の方も前とは違うのが一つ、それはずばり瞳の色だ】
【以前会った時は黄土色、いまは珍しい白。まさかそうそう色が変わるでもあるまいし】
【――チョットばかり態度も前より違う気もしたが、恐らくカラーコンタクトであると見え】

……別に、何も無ェよ。うるせぇのが居たんで頭冷やしてやっただけだ
俺は静かに飲みたい気分だったからな。喧嘩は外でやりゃいいんだ、外で

そうだ、お前……アイツに俺の電話番号、ちゃんと渡してくれたみたいじゃねェか
おかげさまでようやく話せたんだ。一応感謝してるんだ、が……礼は何がいい?
何もしないってのは気に入らないし、かと言って酒も好みは知らねェし、なんか言ってみろよ。

【ニヤつく彼の表情にはふんっ、とそっぽを向いてまたグラスをちびりと一杯】
【その後に視線を戻しつつ、ふと語り出すのはある事実の報告と、その礼に付いてだった】
311 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 23:22:15.02 ID:9FaPeLhAo
>>306

「あがっ…………!?」
「ぐぎゃあッ!!?」

【ロウの放った弾丸は、完璧な軌道で盾の隙間をすり抜け――――残る三人のうち、両端の二人の右足と左足を突き刺した】
【たった一カ所銃弾で射抜かれた程度の痛み、ある程度場慣れしていれば堪える事は出来たかもしれないが…………】
【この六人、能力こそ異常に強いが動き自体は素人そのものだ。右の男も痛みで集中を乱し、能力を解除してしまって】
【そればかりか涙すら浮かべ、左の男共々脚を抑えてうずくまってしまうだろうか。痛い痛いと連呼する姿は、あまりに情けなく】
【…………何か、違和感を感じるかもしれない。あまりにも、力に心が伴っていなさすぎる】

ひゅう、さっすが有名人っ!
心配しなくてもあたしだってまだやれるわ! 後は――――任せなさい!!

【ロウの攻撃に、ミドナが下手くそな口笛で賞賛を送った。狙い通り…………いや、予想以上と言ったところか】
【ミドナは弾切れになった拳銃と下腕の短刀を放ると、空いた手で男の胴体をひっ掴んで固定。身動きを封じられて表情をひきつらせる男に、ウィンクを贈り】
【――――情け容赦の一切無い右アッパーが男の顎をカチ上げ、男は空中で三回転を決めながら路地の奥へと吹き飛んでいくだろうか】
【間を置かず振り返れば、今度は上腕二本が唸る。投擲された短刀は、ロウへ追撃しようとしていた男の両足を後ろから切り裂いて】
【機動力を奪う程度の浅い傷だった筈が――――男は絶叫を上げ、脚を抑えて地面にうずくまる。先程の二人と全く同じ反応だ、こちらも戦闘不能と見ていいだろう】
【流石にこの女も、無名とはいえSCARLETだ。ロウのような精密さには程遠いが、六本腕による手数≠ニ、そこに宿る剛力≠ノは圧倒的なものがある――――】


さぁて…………あと二人。これで互角ね。どうする、今投降するなら許してあげるわよ?

「ひっ、な、なんだよこれ、ふざけんなよ…………!」

【こうして、ロウが二人、ミドナが二人。あっという間に戦況はひっくり返ってしまうだろうか】
【こうなってしまえば、相手は単なるチンピラ崩れしかない。周囲に飛び散る鮮血を見るや、最後の少年は小さく嗚咽を漏らし】
【…………やはり、少し妙だ。貧弱な心と高い能力が全く噛み合っていない。まるでごく最近、強い力を手に入れたばかりのように】
【そして――――違和感の答えは、突如高笑いを始めた少年が懐から取り出した小さな袋が、すぐに示してくれた】

ちょっ、やめなさい! 解ってんの!? それ以上使ったら…………!!

「うるさい――――うるさいッ!!!僕には力があるんだ、お前らなんかに捕まるぐらいならッ!!」

【――――クスリ、だろうか。怪しげな白い粉末。それを二束も取り出した少年は、ミドナが止める間もなくそれを飲み干して】
【異変が起きたのは、そのすぐ後。異常なほど少年の顔が紅潮したかと思うと、胸を押さえて苦しみながら地面に倒れ伏してしまうだろう】
【それだけなら、すぐに駆け寄って病院に連れ込むだけで良かった筈だ。だが…………残念ながら、それを叶える事は出来ない】

「う、うわっ、うわああああああああ!!!!」
「ひっ、おろせ、おろせえええええええええ!!!」

【ふわり、と――――少年の隣、先程ロウが撃ち抜いた二人の体が、唐突に宙へ浮かび始める!】
【先程扉を浮かせたのと同じ力。ただ仲間もお構いなしな所を見るに、誰がどう見ても能力が暴走≠オている!】
【倒れた少年はその念道力≠使い、男二人だけでなく路地の壁を粉砕して大きな瓦礫を作り出すと、先端をこちらへ向け】
【直後、男達の悲鳴にも一切構わず、男二人と複数の瓦礫が同時に放擲される――――!!】

あーもう、本当に忙しいわね!!
ごめん、全部は無理よ…………! 後はどうにかして!!

【ミドナは手に持っていた短刀を全て捨てて徒手空拳になると、中段と下段の二本で男二人をどうにかを受け止め、更に残る上段を駆使して瓦礫を砕くが】
【男達を受け止めなければ、地面に叩きつけられて即死もあり得る。ミドナはとっさの判断でそちらの対応に注力した】
【それは間違ってはいないだろうが――――焦燥の叫びの通り、瓦礫の殆どはロウへと飛翔していってしまうだろう】
【ミドナが一つ二つ減らしたが、それでも飛翔する瓦礫の数はまだ三つ。サイズも大きめで速度もある】
【無論、先程の氷柱があれば防御も出来るだろうが…………もしその強度が本物の氷程度なら、流石に少々危険かもしれない】
312 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 23:25:21.08 ID:9FaPeLhAo
>>311
/台詞書き換え忘れてた…………
/「あと二人。これで互角ね」のところは読み飛ばしちゃって下さい、すみません
313 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/13(木) 23:49:25.51 ID:yeDYjuD8o
>>310

【ビールをゴクゴク飲んで、相手に怪我のことを問われれば慌てて口を離して】
【足下に置いていたカバンを手繰り寄せて、その中から新聞を取り出し、カウンタに投げた】
【この国では極一般の新聞だ。一面には大きく先日のラグナールの事が大見出しで載っている】

…コレだよ、これ。カネが入り用で…ちょいと稼ぎに行ったら1発、顎にもらってさ
六罪王だかなんだかそんなような事言ってたが……酷い目にあった。楽な仕事かと思ったが運に見放された
……そっちだって、目ぇなんて変わってどうした?イメージを変えるならもっと…わかりやすいところからしなよ

【肩をすくめながら、自嘲気味に笑った。その様子から見ても大した怪我じゃないらしい】
【煙草の箱をポケットから取り出して、カウンタの上に置く。ライターも箱の上に置いて、またビールに手を付けた】
【ダルそうに肘をつきながら視線がどっかに泳いでいる姿は前と同じ、彼は悪い意味でも何も変わっていないんだろう】

ああ、そう……ならいいけど。……ああ、あの外にのびてるのがそうか……まあ、いいか

……新年一発目にな。…持ち越した仕事が直ぐに片付いて中々幸先の良いスタートだった。おみくじ引かなくても
今年は大吉だってすぐに分かる。…………礼?…あー…別に、仕事のうちにも入らないから別にな…
………急に言われても……なんだろ。……んまあー……ビール一杯で十分さ。…そんなんで俺はいいかな

【礼と急に言われても思いつくあてもなく。暫く壊れかけのコンピュータのように唸りつつ考えていたのだが】
【連続銀行強盗の割に欲が薄いのか普通のことを言ってそれでいいと簡単に片付けてしまった】
【相手からすれば礼をすると言っているのに少しカチンと来る態度だったかもしれない。…殴ったところで欲深くなりそうもないが】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/13(木) 23:55:27.28 ID:4VODlS4W0
>>309

【いろいろなことはとってもじゃないけれど語りつくせない、それをするには、もっとずっとたくさんの時間が要る】
【腰を据える必要があるだろう。こんな場所で語るにはあまりにも不似合い、きちんとした席が必要になるし】
【それなら、やっぱり適当なところで切り上げておくのがきっといい。必要なところを拾えたなら、きっと合格点】

……だいじょうぶだよ、きっと、だいじょうぶだよ。

【ふわと笑ってみせたのは何の根拠もない言葉を裏付けるように、言葉の理由はただの勘でしかないけれど、】
【少女の勘は当たってくれるだろうか。けれど、こんなにも明るい子なんだから、きっと大丈夫と思えるのは必然とも言えて】
【「そうしたら話してね」と言い添える。自分ばかりで話すのは少しだけ物足りない、――こんなところは、やはり女の子だった】

【つばめはきっと様々な愛に囲まれて暮らしてきたのだろう、けれど、この少女には諸事情からそれがほぼ全く、なかった】
【暗がりの中で生きてきた。寒くて、暑くて、それをどうしようもない場所で生きてきた。それも、長い間、ずっと】
【ようやく見つけた愛、ようやく手に入れた愛、精一杯に抱き締める以外の選択肢を、彼女はきっと知らなくて】
【はじめはただ必死なだけだった。それがいつか余裕を手に入れて、こんなにも笑えるようになって、――彼の、おかげだった】

そう、セシルがくれたの。おそろいの名前――、違う場所(くに)の名前だけど、だいすき。
だってセシルがくれたんだから。……全部ね、わたしのだいすきなものをくれるんだよ、いつだって。

【まして、その苗字を貰ったのはクリスマスの夜だ。素敵という以外に答えの見つからないクリスマス・プレゼント】
【すうと左手に右手が触れる、指輪をそっと撫でて、くるくると回してみる手遊びは、ほんのちょっぴりの余談みたいに】
【たっぷりの自信で言い切るのだろう、くれるのはいつだってだいすきなものばかり、そんな、ふたりの関係を自慢するよう】
【独り身の相手にしてみれば少々寂しい話になってしまうだろうか、――けれど、言い終えればくすりと微笑んで、】

ひとを好きになる方法? ……気付いたらね、好きになっちゃってるんだよ。だからね、方法とかってない――かも。

【さぞ秘密のことを教えてやるみたいに口に出すのだから――ほんの少しだけ意地悪とも言えた】
【緩く首を傾げるのは何の意味もない少女の癖、さらさらと真っ黒な髪が雪崩れて――夜に、そっと艶めく】

わたしもね、はじめは……セシルのこと、本当は……今みたいに好きじゃなかったの。
ひとりぼっちが嫌だったから――いっしょに居てくれるっていうから、だから、一緒に居るだけだった。
怖かったんだよ、はじめの頃は……なんでかな、背が大きいからかな――。

……でもね、気付いたら、だいすきになってた。全部――ぜんぶね、だいすきになっちゃった。
なんでとかね、分からないの。いつから好きだったのかも、もう分からないの。でもね、こんなに好きだよ。

【――そうして口に出すのはちょっぴりの本音、初めての頃は、――そんな、恋とか愛じゃなくて、必死だったから】
【生きていくのに必死で。とかく誰でもいいから傍に居て欲しくて。はじまりなんて、きっと、藁にも縋るようなところから】
【それがいつの間にか変わって行った、父親として見ていたのが異性として見るようになって、どきどきして、止まらなくて、】
【気付いたころにはプロポーズの言葉に頷いていた。きらきらのドレスを着せてもらって、それで、後悔なんてあるはずがない】

【――結局は。いつか分かるさ、と、そんな風で終わってしまうのだろう。しっかりしたことを聞きたかったなら、期待はずれ】
【それでも。つばめにもいつか来るだろう日を考えて優しく笑うこころは本心からで、ただ純粋に、願っているようだった】
315 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 00:06:44.01 ID:RQHyq+vLo
>>311

……っっ、っぐゥ……ッ!! くっそ、大分無茶したが……俺は腕さえ動けば問題ねぇんだよ……!

【針の穴を通すような射撃が両端の二人の脚を貫き、戦場から引きずり下ろすことに成功したが―――】
【……全くタフさを感じないのは、彼等が能力だけに頼って生きてきたからなのか、実戦経験が少ないのか。後味の悪さがどこか後を引いて】
【―――ロウは確かに能力者だが、要となっているのはやはりその射撃技術。能力とは異なるモノであり、射撃の幅を広げる役目を能力が果たしている】
【能力だけ持っていれば無能力者の自警団員ならば大体は蹴散らせるだろう、それが能力の「暴力」というものだ。しかしステージが上がるとそれでは通用しない】
【―――その事を今、ロウとミドナが教えたという形になった。そしてロウは先程自分へと襲い掛かってきた素早い敵へと視線を送ったのだが―――】

……さっすがSCARLETなだけあるな。……つーか何がか弱い乙女だ、戦法も言動も男らしいじゃねーかよ。
―――ま、この男前なネーチャンが言う通りこれで数の有利もへったくれもねーぜ? ……で、どうするよ。ここでぶっ飛ばされるか大人しく降伏するか……Which do you want?

【6本腕の能力を活かし、彼の脚を投擲したナイフで封じる。避ける術の無いロウに彼が攻撃を仕掛けていたら―――ロウはかなり危険だったであろう】
【お互い助け合い、力を発揮し―――1+1を2ではなく3にも4にもする。そのようなコンビネーションが即席ながらも取れていた】
【数の優位は消え、お互い傷を負ってはいるが此方が有利。相手もそれを察したらしく、取った手段は―――麻薬のようなモノを摂取する、破滅的な一手】

ッ……!! 麻薬……beyond2では無いようだが……ッッ!?
―――くっそ、最後の最後に面倒なことしやがって〜〜〜〜ッッ!!

【明らかな能力の暴走―――そして襲いかかるその無差別な暴力。ミドナが必死に男二人を止めたが、暴力の数はまだ尽きない】
【先程よりも大きな破片の弾丸、いや砲弾が空を切って迫り来る。脳裏に浮かぶは先程氷の盾で弾丸を防いだシーン。だが今の砲弾とは威力が違う】
【最悪砕けた氷の破片がロウ自身に牙を向くことを考えると使えず、回避手段など身体を焼き焦がし機動力がさらに落ちている彼には到底ムリな話、ならば―――】

(こっちも「腕」と行くしかないよな……ッッ!!)
いつもより魔翌力多めだ……ッッ!! ―――『弾丸憑依Slaaaaaaaaaaaap=xッッッ!!!

【コートで隠れているが、彼の首にはペンダントがぶら下がっており―――そしてそのペンダントには『幽幻の宝玉』が秘められていた】
【コートの中から漏れる淡い砂色の光と、一気に路地裏に拡散される、芳醇でありながらもどこか不思議な魔翌力。今から放たれる弾丸は、『宝玉』の恩恵を受けたモノである】
【―――朱い銃が唸り放たれた弾丸は一見普通、しかし―――瓦礫と交差する刹那、弾丸の側面から突然『巨大な半透明の腕』が生えて】
【5本の指を確り開いた大きな掌が、いっぺんに3つの砲弾を思い切り叩いて弾き飛ばす。砲弾は地面へと大きく突き刺さり、コンクリートの床を軽々と割った】

……―――っはぁ、ッハァッ……!! どうだコラ……SCARLETナメんじゃねぇぞガキンチョが……ッ!!

【結果的には無傷だが、使用した魔翌力量が尋常ではない。唯でさえ宝玉の力を借りる際にはかなりの集中力・体力・魔翌力を奪われるのだが、今回は更に疲労は募る】
【皮膚に走る焼け爛れた感触が神経を削り、明らかに肩で息をしている彼の姿が其処にはあった】
316 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 00:21:28.35 ID:NCDQgycko
>>313

……あぁ。意外だな、お前ってもっと手堅くやるかと思ってたが
まさか機関が関わってくる場所に行くなんてよォ……ん、目は別に……。
言っちまえばカモフラージュだな。俺だって、一応は元機関員だし…。

【ばれちゃマズイ、というのを暗にほのめかしながら、視線は新聞へ】
【ラグナールの月落とし――知ってはいたが、いざこうして眺めてみるとなんとも言えず】

【一応――いや、しっかりとした恩義のある相手が、かつての所属元関係で怪我をして】
【それを流すとも、かといって追求するようなのも何処かおかしいことは理解でき】
【――結局のところ、目を落とすだけで新聞は用済みになった。が、グラスの水量は変わらないままで】

イメージ変えるってなんだよ、わかりやすいトコ……服とか、髪とかか?
生憎と俺はそのへんのセンス皆無だからな、面倒だしお前が何とかしろよ

……にしても欲の無ェやつ。それでいいって云うなら、この場は俺の奢りだな
今更やっぱ変更、とか言うなよ?強請ってもチョコとかやらねーからな。
でもよォ……割りとマジで助かったぜ、お前に仕事頼んで正解だった
お陰で今後の方針みたいなモンも決まったし……そういやお前、展望とかあんの?今年の…?

【落ち着くのは存外所帯じみた、凡俗な話題。なんとなく答えも分かっている様子だが】
【それでも聞くのは冒頭の、機関に関係した微妙な思いを掻き消すためだろうか】
【くいっと勢い良くグラスを傾けると、スコッチ・ウィスキーはもう一滴もそこには無くて】
317 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 00:45:35.00 ID:uJdYNNIJ0
>>314
【……同じ名前、か。目出度く結ばれて好きな人と同じ名前になれるのなら、それはきっととても幸せなことなのだろう】
【大好きな人と同じ名前を名乗り、傍に居るのが当たり前な存在になれるという、世界でたった一人のみに許されたことなのだから】
【――――自分はまだなんにも知らない。愛する人と一緒に居る喜びも、愛する人と同じ名前を名乗る幸せも、知らない】

【だから寂しそうな表情を見せた。けれど、愛を知る少女から「だいじょうぶ」なんて言葉を聞けば表情もふわりと緩む】
【何の根拠もなくたっていい。そんな風に言ってくれることが春燕にはとても嬉しくて、根拠のない自信がふつと胸の底から湧き上がる】
【大切な人からの愛を知る鈴音がだいじょうぶと言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。―――そんな気がするのだ】

【――――いつか、自分もだいすきなものをくれる人に出会う。その日が来るのはいつになるか分からないけど――――】


【―――でも、そうやって人を好きになれる方法を知らない。あるいは鈴音なら何か知っているかもしれないと訊いてみるけれど】
【返ってくる答えはなんとも曖昧なもの。―――気づいたら好きになっている、か。きっとそれは正しいのだろうけど、アドバイスとはとても言い難い】
【なんとももどかしそうな表情で鈴音の顔を見返すが、当の鈴音の顔は「恋なんてそんなものだよ」と言いたげに微笑んでいる】

……そんなこと言われても、気が付いたらなんテ……分からないヨ。理由なんてないのカナ……?
――――ウーン……エヘヘ、まだワタシには分からないことがイッパイだネ。

【分からない事に首を捻っていると、そっと質問の「解答」の一例を示すように鈴音が喋りだす。それは、心からの体験談……】
【――――ひとりぼっちが嫌だったから、傍にいてくれる人を見つけた。それは恋なんて甘いものではなくて、孤独から逃げるためのもの。】
【きっと誰でもいいから一緒にいたかったのだろう。……それでも、ずっと居るうちに「気が付いたら好きになっていた」ということか】
【……うーむ、やはり分からない。―――――きっと、分かる時が来たとしたらそれは自分にも大切な人が出来た時なのだろう】

……フフフッ……恋した本人も分からないんじゃあ、恋をしたことのないワタシが分かる訳ないネ!
いつか鈴音みたいに好きな人のことを話せる時が来たラ、その時は一杯話すヨ!

ダカラ……―――えーっと、そノ……――――良かったラ、これからも仲良くして下さイ!
鈴音とはまだまだ一杯話したイけど、一日じゃ話しきれないヨ。ダカラ……友達になってくれたら嬉しいナ、なんテ……

【照れくさそうに下を向いて、それから鈴音の顔を見て、伺うのはこれからも仲良くしてくれるかという質問】
【――――異性への恋とはまた別の、新しい出会いがあった。自分と同じくらいの年頃の少女。恋の話とか色んなことを話せる友人。そういった存在も、春燕にはなかなか無くて】
【だからこそ、友達になってくれれば嬉しいのだけれど……】
318 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 00:50:22.76 ID:74i9mOuNo
>>315

ロウッ!! ああもうしがみつくんじゃない、それでもタマ付いてんの!?

【男二人を抱えたまま即座に振り返ったミドナが見たのは、半透明の腕≠ェ瓦礫を纏めて弾く光景】
【それを見て安堵するも束の間――――明らかに消耗した様子のロウを見咎めると、ミドナは左足を引きずりながらそちらへ駆け寄る】
【…………その途中、泣いて謝りながら助けてと啜り泣く男二人を、まかり間違っても乙女とは言えない下品な言い草で一蹴したのはさておいて】

あたしがここに来たのも、あのクスリの売人をとっちめる為だったんだけどね。その売った相手が襲ってきたってわけ。
最近流行ってんのよ、あのタチの悪いクスリ…………確か『ヒュドラ』とか呼ばれてたかしら。
少量なら能力を強めるけど、飲み過ぎるとあの有様。最悪でしょ?

【ミドナはロウの隣にしゃがみ込むと、話しながら彼の状態と自分の状態を確認する。あちらも厳しそうだが、こちらもこちらでそろそろ出血が馬鹿にならない】
【そして、あの少年。幻覚でも見ているのだろうか、地に伏したまま笑い声を上げ、殺してやる殺してやると繰り返している】
【『ヒュドラ』を過剰接種すると、殆ど必ずといっていい確率で能力が暴走する――――それが手に負えなくなるまで高まれば、使用者はやがて死に至る】
【そうでなくとも、死ぬまで能力による被害を巻き散らすのだ。最終的に、殺すしか手立てが無くなることだってある】

【敵も味方も、限界は近い。双方に犠牲が出ないまま止めるには、もう時間が無い――――】


…………しゃーないわね。
ロウ、後は任せるわよ――――!!

【――――自分に出来ること。それをひとつ覚悟すると、ミドナは少年へ突っ込んでいくだろうか】
【あの少年の周囲には、念動力≠ノよる力場が形成されている。近寄った瞬間、あの男達と同じ目に遭うかもしれないのだが】
【何を思ったか。ミドナは先程放り捨てた短刀を拾い上げ、根こそぎ力場へ投擲する。予想通り、入り込んだ瞬間に短刀は制御を奪われて宙に浮かび】
【更に何本かは即座に投げ返され、ミドナの体を切り裂く。それでもミドナは更に短刀を抜刀すると、連続で投擲し続け】
【短刀が無くなるや否や、先程ロウが弾いた瓦礫も纏めてぶん投げていく――――】

っつ、あぁあ――――――!!

【跳ね返ってくる投擲物に体を傷つけられながら、それでもミドナは痛みに耐えて吼え、背後のロウを守って立ち続ける】
【明らかに無謀とも思える突貫だが、しかし…………この行動は二つの情報を、ロウへと齎すだろうか】

【まず、瓦礫を放った際に少し欠けた小さな破片は、力場に触れても浮き上がらなかった。ある程度小さな物なら、力場を通過できる】
【次に、ミドナが放擲した短刀や瓦礫。六本腕から放たれる投擲の雨に少年も追い付けなくなったのだろう】
【投げ返す前の瓦礫や短刀が、力場の只中でいくつも宙に浮かんだままの状態になっているのだ。勿論数秒後には帰ってくるだろうが、それまでは保つ】
【そしてその二つに付け加えて、少年達の心。地面に伏しているせいで的は小さいが、たった一発銃弾を貰っただけで集中を乱されてしまう、そんな虚弱さ】

【――――ロウに任せる、とミドナが言ったからには。この状況を打破できるのはロウしかいないと判断し、彼女はそれに賭けたのだろう】
【少年を止める為の最後の一撃≠ヘ、ロウの両手に託された――――】
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 01:01:51.34 ID:W/PLyJG+0
>>317

【同じ苗字を使うひとなんて世界中にたくさん居るだろう、それこそ、きっと、数え切れないぐらいに】
【ありふれた名前でしかないはずなのに。どうしてこんなに特別に思えるのかといえば、これが、だいすきなひとから貰ったものだから】
【いつかこの気持ちを分かる日が彼女にも来ればいいと素直に思う。チョコレートよりも甘くって、蕩けちゃうようなこの日々が】

【――寧ろ、知っているからこそ、分からないのかもしれなかった。理屈とか、そんなの関係なく訪れる、この感情】
【言葉で説明しようとしたって出来ない、胸がきゅうと甘く締め付けられる感覚を説明してみせろなんて、難しすぎるから】

理由? 理由……、……ない、かな。理由みたいな理由なんて、ないの。
なんだろう――、セシルはすごく背が高くて声が低いけど、そこもだいすきだけど、理由じゃないの。
全部が好き。セシルって言うひと全部が、……もしかしたら、理由なのかも。

【理由。うーんと頭を捻って考えてみても、思考の引き出しを引っくり返してみても、見つからない答え】
【好きになった理由を見つけるのは、嫌いになった理由を見つけ出すよりもずっと難しいだろう、いつから始まったかも分からないのに】
【――世の中にはそういった要素から好きになるひとも居るのだろうけれど。彼女はそれとは違っていて、だから、余計に】
【あのひとの総てが好きになった理由だ、なんて。或いは、余計に分からなくなる答えを出してしまった。ううんと首をかしげて、】

……うん、いっぱい聞かせて。どんなひとなのかとか、いっぱい――……約束、だよ?

【恋の話は女の子の主食。甘いものでも並べて、甘い飲み物でも飲んで、さらに甘い話があれば、きっと女の子は生きていけるから】
【そんな分類の隅っこの存在として。やっぱりそういった話は好きであるよう、聴きたいのなんて、瞳を煌かせて】
【いつか来る日を約束する。それがいつになるかは分からないけれど、きっとその日は、来てくれるから】

…………駄目だなんていわないの。

【――少しだけ間が空いた。けれど、それは、嘘を吐くための間でなくて、どうしてそんなことを聞くのかと、言うような】
【すうと音もなく立ち上がる、百六十センチの体躯、すらりとつばめを見下ろして、そっと吹いた夜風に髪が揺れる】
【言葉よりも態度で示すように手が差し伸べられるだろう、へたり込んだままの少女に、真っ白くか細い手】
【それでも掴めば存外強い力で引いてくれる。縋ってくれるなら起こしてやって、――ふうと吐息がひとつあったなら】
【別れの時がそろそろ近いのかもしれない。思えば、結構話し込んでしまったようで――夜も、だいぶ更けつつあった】
320 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 01:14:26.50 ID:JYbUCu32o
>>316

メンバーで徒党を組んでやればローリスクな仕事だ。表用に恩を売っとくのも悪くない
あー…なんか、悪い。別に、そっちの古巣に恨みがあるわけじゃないんだが……
…まあ、どっちにもつくんだよ。堅実にやってたらジリ貧になる……たまには吊り橋も駆け抜けなきゃならない

【バツが悪そうに、口をもごもごさせながらちょっとだけ真面目そうなトーンでそう言った】
【抜けたとはいえ元機関員にハンティングしてきたぜなんて言ったのは失言だったかなと】
【らしくない常識的な生真面目さが彼を大人しくさせた。切り替えるようにビールを一気に飲めば】
【新聞はサッと片付けてカバンに勢い良く投げ入れた。中身は大したものはない戦地から帰ったばかりだったので】
【飲みかけのペットボトルと莫大な報酬が乱雑にしまい込まれているだけだ。】

もっと…こう……クールな……のはもうあるか……ラグジュアリーな…それもあるし
あー…キュート…?…は…なんか違うな……カジュアル?…そうだな、カジュアルにしろ
俺はレディースは知らねえよ。まあそうだな、取り敢えずそのコートやめなよ。暑苦しいよ

【それから暫く、ダブルのトレンチコートにしろだとか毛皮残すなら中をシャツとスキニーで軽めにしろだとか】
【色々と注文をつけてきたが受け入れられるかは別である。彼自身は一応、スーツはオーダーするこだわりとか】
【革ジャンもいい値段のを着ていたりとしているのだがそのセンスが良いのか悪いのかレディースまであるのかは不明である】

欲ねえ……あるっちゃあるんだけど。まあ…ねえ……
…チョコ?なんで……あー…バレンタイン?…いーよ別に……愛が籠もってんなら別だ
けどまあ……チョコレート自体は俺はなんか…薬って感じがするから好きじゃないんだよ
……こうやって酒が飲めて、んでそれが独りじゃ無いってのは、幸せなもんさ

【彼の能力というか拳銃は特殊で撃つたびに血が減る。そういう維持のために日頃甘いモノを摂っておくのだが】
【何分、彼の舌は甘いもの自体は少し苦手なぐらいで最近はめっきり余り撃たない方に考え方をシフトしている】
【そんな背景は知る必要もない。彼は気分よくビールを飲み進めていた。】

あー、そう?…ならよかった。だいぶ暇そうだったからな。………展望ねえ…なんだろ
シゴトはメイン以外も軌道に乗った感じだし…カネもあるし……もうちょっとモテたいってのはあるか…
俺もう三十路だぜ?…いや、正確にはそうなのか知らないんだけど……あっ、…健康に気をつける…?
……やっぱ、シンプルに考えて死なねえって事かな…うん。サツも殺し屋もまた増えたみたいでさ

【平凡な話にも真面目に頭を捻って考えている。大した答えが浮かばないのは煙草が切れてるからじゃなくて】
【元からだ。グラスを指先で規則的に叩いて小さく鳴らしながらまあ、そんなもんだよと答えれば】
【「もう、飲まないのか?」と勧めてくるだろう。ちゃんと断らないと沈黙はイエスと見て彼は勝手にもう一杯頼むはずだ】
321 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 01:26:00.25 ID:RQHyq+vLo
>>318

……ッハァッ、ハァッ……だから言ったろ、精密射撃「だけ」って。……魔翌力もあんまり多くねぇし、扱いが上手いってわけでもねぇ……!
―――結構燃費悪いんだぜ、ったくよ……!!

【大粒の汗が流れる眉間に皺を寄せ、激しい動悸に襲われながらも何とか台詞を絞り出し、銃を暴走する少年に向けて構えた】
【だが暴走する少年の周りは強力な念動力が囲んでいる状態―――ロウの銃から放たれる弾丸は9mmと威力は抑えられ気味であり、念動力を貫通して届く確証はない】
【元々二丁拳銃で使用する、ということもあり片手でも反動に耐えられるように9mmなのだが、時折その工夫が裏目に出ることもある】
【今がその典型的パターン、即ちパワー不足が露呈する時である。その弱点を痛感させられる事態となり、ロウは銃口を向けても発射できずにいた】

……―――『ヒュドラ』、聞いたことねぇな……! 『卵』『beyond2』と来て今度はそんなもんが台頭して来たってか……ったく飽きないねぇ……!!
で、あいつらはその『ヒュドラ』に溺れた馬鹿野郎共ってことか……ならさっきのリアクションも納得が行く。能力はくっそ強力でも全く経験を感じさせなかったからな……

くっそ……あんだけ強力なモン振り回されたらこっちも手ぇ出せねぇ―――っオイ!? お前何か考えが……!?

【『後は任せる』―――と言葉を残せば彼女は勢い良く前進し、短刀を投擲するのだが―――結果はロウが想像した通りのものであった】
【ほら言わんこっちゃない……と言いたげに不安な表情を浮かべていたが、関係ないと投擲を繰り返す彼女】
【一瞬気が狂ったのかと思ったが、直ぐにその行動の裏に気付く。……しかし、それでも出来るかどうか。―――タイミング、発射角度共に難度は最高峰】
【いくら彼でも、こんなシチュエーションで銃弾を放つことなど無い―――のだが、迷っている場合ではなかった】

【今にも彼女の身体は朱に染まっているのに、自分が動かない訳にはいかない。自分も「男らしく」覚悟を決め、左の銃を消し右の銃を両手で握り、弾丸が唸った】

(……まだだ、焦るな―――ミスれば銃弾が返って来る……! 魔翌力がもっと残っていれば宝玉の力で銃弾を加速させられたが今は足りねぇ……!)
(タイミング、角度、うまく合わせて短刀のグリップを銃弾で押すしかない……―――Cool Head, Hot Heart……クールに熱くキメるぜ……!!)

                            ――――――ッッ、此処だッッッッッ!!

【威力を殺さない為に、跳弾は使わない。真っ直ぐ空を裂く弾丸が、一瞬宙で静止した短刀のグリップのど真ん中を、一番力の伝わる角度で捉える】
【タイミングも完璧。ビリヤードの玉が衝突するが如く押し出された短刀は、ロウのイメージ通りに刃を立てて青年の右膝へと襲い掛かる―――!!】
322 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 01:52:09.75 ID:uJdYNNIJ0
>>319
り、理由も無いのネ……こりゃ困っタ、方法も分からなけりゃ理由も無いカ……ハハハ
……恋って不思議ダネ。理由も方法もないのに、人は確かに人を好きになれるんダカラ。とっても難しいヨ……

【もう、何が何だかわからない。理由もなければ方法もないのが恋というものか、そんなもの体験しなければ分かるはず無いではないか―――】
【結局春燕の恋への疑問は解かれるどころか余計にこんがらかってしまったわけだが、それでいて「そんなものなのかナ」と妙に納得している部分もあり】
【――――そして、いつか自分も「その人の全てが好き」と言える日が来ればいいなと思った。少女の甘い夢はいつ叶うのだろうか……それは神のみぞ知ること】

【そんな風にもし想い人が見つかったなら、まず真っ先に鈴音に自慢しよう。恋の話、いろんな体験、そんなことを全部話すんだ。】
【あるいは、恋愛の過程での相談を持ちかけるのもありか。恋愛について分からないこと、今度こそいっぱい教えてもらおう……恋の始まりは分からなくても、その過程は知っているんじゃないか】
【だから、友達になろう。今この場から離れてもこの先ずーっと相談に乗ってもらえる、恋の話でもそれ以外のざっくばらんな話でも何でもできる友達になろう】
【そう思って、思いの丈を鈴音に告げてみる。返ってきた答えは――――】


――――ありがとウ!
またいっぱい話すヨ。好きな人のコト、今度はワタシも話せたらいいナ!


【何を当たり前のことを聞くのかといったような表情で、鈴音は言葉を返す。りんと響いたその声がとても嬉しかったら、春燕の表情はひまわりのようにぱぁっと明るくなって】
【差し伸べられた手を掴むとぐいと引っ張られて、春燕の軽い体はひらりと舞うように伸び上がる。友達の柔らかくて温かい手の感触が嬉しくて何度もギュッと握り締めてみる】
【……立ってみれば、すらりと背の高い鈴音と華奢な春燕の身長差が目立つ。10cmちかく差もあれば、座っていた時は同じだった目線も結構変わるもので】
【同時に春燕のやや貧相な体との差も……こんな自分でも、好きになってくれる人は見つかるのだろうか。あるいはまだ成長の余地はあるのだろうか……】

【手を握ったまま固い約束の握手を交わす。次は春燕も好きな人の話を出来たらいい―――もっとも、次会うときに好きな人がいるのかどうかは分からないけれど……】

―――あ、そうダ。どこに住んでるノ?ワタシは世界中を旅してて、特にココと言った家は無いんだけド……

【前述のとおり、春燕は薬の行商人。定住していおらず世界中を歩いて回っている。……だから、気が向いたら鈴音の家にだって歩いて行けちゃう】
【機会があれば、鈴音の家にも行ってみたいな……そんなちょっとした願い】

【――――さて、すっかり話し込んでしまったようだ。楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、夜更けの星は来た時よりだいぶ移動してしまったみたいだ】
【夜を徹して歩き続けるのはなかなか辛いものがあるが、そろそろ出発しないと予定した時間に間に合わなくなる。そろそろ、お別れの時間だ―――】

……またいっぱい話そうネ!今度はこんな廃墟じゃなくて、もっとお洒落なカフェで甘いものでも食べながラ……
じゃあ、名残惜しいけどワタシは出発するヨ。末永く、お幸せにネー!


【鉄箱を背負えばもう出立の準備は完了。手を振って別れを告げると、再会を約束して春燕は夜道へと消えていった……】


//お付き合い頂き有難うございました&お疲れ様でした!レスに時間がかかって本当に申し訳ないです……
323 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 02:04:44.24 ID:74i9mOuNo
>>321

「ぎぃ――――ああああああああああああああああああ!!!!」

【路地裏中に響き渡る、絹を裂くような絶叫…………何の覚悟もない少年に、右膝を短刀で貫かれる衝撃は重すぎた】
【あるいは、クスリの効果のせいで痛覚が鋭敏になっていたのかもしれない。少年はしばらく悶え苦しんだ後、気を失うだろうか】
【高い金属音と低い振動が連続する。浮かび上がっていた短刀と瓦礫が、それぞれ地面に落ちた音――――能力が解除された音だ】

はーっ、死ぬかと思った…………。
こっちは弾切れで殴るしかない。けどあれじゃあ近寄れない…………あんたに頼るほか無かったのよね。
流石に今回ばっかりは、あたし一人じゃ無理だった。ホントに助かったわ、ロウ。

【そうして、事が全て終わったなら。ミドナは少年の近くまで行って座り込むと、短刀を引き抜いて簡単に止血を施すだろうか】
【痛みの余り気絶していた少年が飛び起きるが、ミドナが恨みを込めて頭を全力でぶん殴ると敢え無く意識を失う。哀れ、それを二回も繰り返し】
【他の男達も全員自分で傷口を抑えている。恐らく技術があるわけではなく単に痛いだけなのだろうが、それが結果的に止血代わりになっている。致命傷も無い】
【ミドナは次に無線機を取り出すと、仲間に連絡を入れる。この様子であれば、きっと死者は出ないだろう】
【――――全員ボロボロだが、それでも誰一人として死ななかった。ミドナはロウへ振り返り、快闊な笑顔と心からの礼を贈った】

疲れたし、あたしはここで救援を待つわ。
…………もしあんたも残るんなら、一応、『ヒュドラ』について話しときましょうか。

【ミドナは場所も弁えず、路地裏の汚い地面へ豪快にぶっ倒れる。そのままの格好でロウへ視線を向け、意志を問うだろうか】
【最近流行りだした『ヒュドラ』の情報も、そろそろSCARLET内で共有される頃だ。そこで立ち去っても、これらはミドナから聞くまでもなく解るだろうが】

【まずこのクスリ、『ドラッグの快感を得ると同時に、能力を増強できる』という触れ込みで出回っているものだ】
【成分分析によって判明した事実は、これはいわゆる『カクテル』と呼ばれるもの。既存のドラッグに能力に干渉する薬剤を混ぜ込んで製造されている】
【実際の効果の程は、確かに少量であれば能力を強めるが――――多量接種すれば経験しての通り。ほぼ確実に能力が暴走する】
【更にドラッグが混じっているせいで、その性質も持ち合わせている。特筆すべきは、依存性≠ニ幻覚作用≠ゥ】
【依存性のせいで危険な多量接種が起こりやすく、更に幻覚作用のせいで能力が暴走した際に制御が全く効かなくなる――――まさしく、最悪と言って良い】
【そして、これが『beyond2』を初めとする物と最も違う所は、この「能力に干渉する薬剤」があれば一般人でも作れてしまうところだ】
【『ヒュドラ』の普及率は半端ではない。SCARLETの情報網を使えば、最近これを原因とする能力暴走事件が頻発している事が解るはずだ】
【その「能力に干渉する薬剤」の出元も『ヒュドラ』の考案者も、今の所不明。効力からして、最も疑われるのはGIFT≠ナあるが――――】


…………詳しいことは不明、と。不明不明不明、調べても調べてもわかんないことだらけでイヤになるわよホント。
はぁ…………ホント、ホントにもう…………。

【ミドナはそこまで話すと、急に言葉端を窄ませる。何かと顔色を伺ったなら…………こんな場所で無遠慮に爆睡している女が一人、居る筈で】
【寝言で「はすた……ら…………」とか何とか言っているが、それこそ詳細不明。そもそもこんな場所でも平気で寝れること自体、この女も詳細不明だが】
【最後の言葉からするに、大方このクスリ関連で徹夜でもしていたのかもしれない。それだけ追って尻尾も掴めていないのが、現状のようだが】

【ともあれ――――ひとまずこの場の騒動は、ロウのお陰で無事に幕を閉じることとなった】
【だが事件自体はまだ、終わっていない。いつの日か黒幕≠、追い詰めるその日までは――――】


/この辺りでしょうか……!
/長時間お付き合い頂いてありがとうございました!
324 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 02:05:16.42 ID:NCDQgycko
>>320
/申し訳ない、ちょっと眠気が強いので置きレスに移行する事は可能でしょうか…?
/どちらにせよ今日のところは凍結させて頂けないかな、と……
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 02:07:14.15 ID:W/PLyJG+0
>>322

【本当に恋とか愛なんてものは難しい。言ってしまえば、本能だとかそんな言葉で片付けられるとしても】
【それだけで終わらせるにはもったいないぐらいに心が動くのだから。こんなにも、しあわせになれるのだから】

【――いつかその日が来たなら。きっと彼女は楽しそうにその話を聞いてくれるだろう、きっと】
【ちょっぴり聞き返したりすることもあるかもしれない。それでも基本的には、にこにことしながら聞いてくれるはずで】
【そんな光景が容易に想像できる。ふたりで、どこか綺麗なカフェにでも言って、お菓子をつまみながら――そんな、平和さが】

――楽しみにしてるね。

【薄っぺらな掌に細い指。すらっとしているといえば聞こえはいいが、実際はそれよりも少しだけ細い】
【ケープやふわふわした服で隠されているが身体だってどっこいどっこい、腰元なんて下手すれば折れてしまいそうなほど】
【そんな身体つきだから。或いは、どっちが貧相かと言えば、こちらが負けるのかもしれない。胸なんて垂直落下だから】
【――それでも、そんなに華奢なのが不思議と彼女にはよく似合っていた。すっとした身体つき、どこか蛇みたいに】

【(ちなみにこちらはもう二十歳を過ぎた。成長の余地なんてものは絶望的、もう成長期は過ぎ去っていた)】

わたし? わたしね、夜の国の――えっと、*******の近くなんだけど……。

【家。問われたなら、分かるだろうか、なんて顔をしながら答えるのだろう、とある最寄の街の名を口にして、】
【その傍なの、なんて言うが。夜の国なんてよほどでなければ行きはしないだろう、ここからだって、かなり遠く】
【ある種辺境のような場所なのだから。――そういえば、どうして彼女はこんな場所まで何で出てきたのだろう、なんて】

【友達を家に招いたことがなかった。いや、厳密にはあるのだけれど――新しく出来た友達を招いたことは、一度もない】
【時折猫のような友達を呼んできてはぐだぐだとお喋りをする。そんなのも楽しいけれど、そっちだって楽しそうなら】
【いつか叶えばいいな、なんて。そっと、いつかへ思いを馳せてみる、幕間】

うん、またね――。

【そっと手を振ってその背中を見送るのだろう、ちいさくなっていく背中、やがては何も見えなくなって、】
【ざぁと一陣吹き抜けた風にケープが大きく膨らんで揺れる、華奢な身体つきをいっそう目立たせる、風の悪戯】

――明日かぁ、

【時計を見れば日付も変わっていた。少しだけ細める瞳、数秒ばかし――何か、考え込むようにした、身体に】
【ふわりと黄緑色が色めきたって踊る、刹那にその華奢さを隠しこんだかと思えば、】
【次の瞬間にはその身体は消えていて。瞬きするような間、その姿は遠く遠く、夜の中に転移した】

/おつかれさまでした!
326 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 02:10:22.16 ID:JYbUCu32o
>>324
/了解しました。では、置きレスの方にお願いします
/本日の所はお疲れ様でしたー!
327 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 02:11:48.10 ID:NCDQgycko
>>326
/申し訳ないです、ありがとうございます…。
/はい!こちらも今日は失礼致します、出来るだけ速く返レス致しますね!
328 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 02:36:48.48 ID:RQHyq+vLo
>>323

……いや、そっちが身を削ってヒントくれたからだって……ッグ、っくそ……大分ガタ来てんぜオイ……!
―――ホント男前だな、ミドナ……だっけ? アンタ、男より女にモテるタイプだろ?

【敵の攻撃を食らってないにしろ、至近距離の爆発を受け、魔翌力は既に特殊な効果を持つ弾丸を撃てない程消耗していた】
【それでもミドナよりは大分傷は浅いのだが、十分疲れは見た目からも感じられて。紺碧の瞳に映し出される光が、やや鈍っているような印象が持てるだろうか】
【―――だが、勝利したことには変わらない。ミドナが場を整え、ロウが決める。即席のコンビにしてはかなり上手く協力したと言えるだろう】
【しかも、ロウの正義である『不殺』を守った上での勝利。ロウが放った弾丸は全て足元、これはその信念が表れた結果なのだが、ミドナにもその配慮が感じられたように思えて】
【―――そのことが、余計に彼女を評価させる。台詞通りの、『男前な女性』だと】

……アンタよりは随分と痛みは軽いが、火傷の痕背負ったまま帰るわけにも行かねーし……俺も残るさ。
―――その『ヒュドラ』ってのにも興味あるし……

【両手の銃を消しソフト帽を外すとロウは壁にぐったりと寄りかかった。話を聞く姿勢にしては失礼だが、今なら許してくれるだろう】
【―――話を聞くに、広がる速さや使いやすさではbeyond2より凶悪だった。そして最も厄介なのは、出処が解らないということ】
【カノッサが作った新たな薬なのか、それともGIFTなのか。はたまた他の組織、もしくは個人―――可能性は無限であり、SCARLETを間違いなく困らせる】
【彼女が手を焼く理由も解る―――とロウは伏せていた瞳を彼女へと向けるのだが、既に彼女の意識は闇に落ちていた。……まぁ、寝ているだけなのだが】

……コイツ寝やがったよ。―――ったく、自由奔放なヤツ……ま、全力で盾してくれてるんだし―――良い奴取ったじゃん、SCARLET……

【彼も頭の後ろで腕を組み、床に転がった。ロウも寝ようと思い紺碧の瞳を閉じるが、皮膚の灼ける痛みが全力で彼の睡眠を妨げるのであった】

/ありがとうございました!お疲れ様でしたー!
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 09:18:00.09 ID:W/PLyJG+0
【かちりと時計の針が動く音、見てみれば時刻は九時を差すころで、けれど、外は夜】
【ならば夜の九時かと思えば違う、紛れもなく朝の九時で、――なんてことはない、ただ夜が明けないだけ】
【久遠に夜を刻み続ける国のどこか、真っ黒色の建物は、ただ、ちらちらと散り始めた雪が白く染めつつある】
【数分ほど前に外に出て行った子が帰って来たようだった。「寒かったー」なんて声が、ひどく平和で――】

ねえ、ほら、手つめたい――。また積もるんでしょう? お庭が埋まっちゃうね……、
そしたらどうしようかな、うさぎ、外に出せなくなっちゃう――。

【――珍しい。ただ一般的な時間に起きているだけなのにそう言われてしまうぐらい、普段は寝こけるくせに】
【こんな日ばっかりは早起きしていた。朝ご飯も既に食べた後で、二度寝してしまわない程度には元気】
【外で積もりだした雪でも弄ってきたのだろう、ひんやりと冷えた手をその頬に触れさせようとしていて】
【ちらりと窓から外を窺ったなら、結構積もるらしい雪の一粒を見つめるよう。すぐに視線は彼へと戻して、】

…………、ちょっと待っててね、今取ってくるから――。

【見つめたと思えば意味ありげに黙りこんだ数秒間。やがてにまと悪戯ぽく笑ったかと思えば、いつも通りに彼女の顔】
【“何を”だなんて今更考えるまでもないだろう、今日が何の日かを考えれば、それだけで正解が導き出せた】

【――流石にこの時期になると素足も寒いのだろう。買ってもらったスリッパ、ぺたん!と真っ黒の床を踏んで】
【自室の方へと向かっていく仕草、ひらりと外向きでないゆったりとしたワンピースの裾が揺れる、翻る】
【ぺたぺたなんて気の抜けた足音が遠ざかっていく、やがてぎいと自室のドアを開けて、閉めて、少しの静寂】

【またぎいと扉の開く音がして戻ってくる。後ろ出に何かを隠す様子で、戻りは焦らすようにいやにゆっくりと】
【やがて彼の傍までたどり着いたなら、今度はふわり柔らかく、溶けちゃいそうに微笑んでみせて、】

はい、どうぞ――、あのね、とっても上手に出来たんだよ。おいしいって好評だったんだから。

【若干二名に、である。いや、彼女を含めれば三名だけれど――とかく、彼女らの中では美味しくできたらしい】
【落ち着いた赤に生成りのドット模様の小箱。両方の掌に載せてちょうどいいサイズは、ちょっぴり深めのもの】
【喜んでくれることを瞳が精一杯に願っていた。甘いものが苦手な彼に贈るもの、精一杯に考えた結果に選んだもの】
【気恥ずかしいように、不安がるように、渡した後の空っぽの手を弄んでいた。――さて、その中身はと言うと】

【輪切りにしたオレンジをシロップで煮詰めたもの、――コンフィにビターチョコを半分だけ掛けた、オランジェ】
【ひとつひとつ小さな袋に入れられたものが合計五枚。細く切った紙のわしわしした飾りに埋まるように入っていて、】
【しっとりした艶のチョコレートに、透ける果実のきらきらした断面。箱の中からはふわりと芳香が、あふれ出して――】

【――時折、口より目が饒舌になる。「どう?」と尋ねるような視線、きっと真っ直ぐ見つめて、答えを待っていた】
330 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 10:12:15.02 ID:AtUrYs9+o
>>329

【季節柄の刺すような冷気さえも眷属にしてしまう、そんな氷の彫像にも似た相貌の彼】
【なまじ整っているが故に取っ付きにくいとも言えるその表情の裏、彼女ならば感じ取れるかも知れない程の差異】
【彼は普段通り先に起きて支度を済ませ、黒尽くめの調度品ばかりのリビングで暖炉の前のソファに腰掛けていたのだが、】
【眼鏡を掛けて文字を追う手元の新聞は彼女が外に出る前と後で、結局1枚も捲られる事は無かったのだった】

……おや、お帰り。もういいのかい? どれ……嗚呼、冷たい。
ロビンは雪の中でも平気だろう、寧ろ喜ぶんじゃないかな。きっと良く跳ねる

【頬に触れる手に変わり映えのしなかった新聞を置いた手を添わせ、その冷たさに軽く目を細めた】
【幻獣種の兎の名を口にして、きっと今も不機嫌そうに毛を膨らませてうつらうつらしているのだろう彼女も】
【普段とがらりと変わる庭の様子に目を輝かせて機嫌良く跳ねるのではないかと、そう添えて微笑んでみせた】

【窓の外の景色を鈴音と同じように眺めていた彼だったが、傍に置いた新聞の上を時折撫ぜる指が何処か落ち着かない】
【そんな折に彼女の方から鯉口を切った。数秒間の後に見せる表情が思いがけず妖艶に映り、少しばかり彼の時間が止まったのは余談】
【ワンピースの裾を翻して行くその背を茫と見送って、其れからやっと頬を緩ませて、もう捲る必要もない新聞をソファに放ったのだった】

【沢山の焦らされる瞬間が在ってから、差し出される小箱と添えられた笑顔に、誤差の範囲で少年めいて微笑んだ彼は】
【ラッピングから女子は拘っていくというのを自然体で理解しているようで、紫の爪先でそっとその小箱を撫ぜてからゆっくり開いていく】
【焦らされた意趣返しなのか、中身を見るまでにそうして時間を掛けてから――鮮やかな色の対比を見せるオランジェに、僅かに目を丸くした】

これは……オレンジ? 綺麗な菓子だね……、余り見た事が無かったから、驚いた

【長い紫の爪でそっと摘んだ一枚を宝石を観るようにして眺める彼は、この手の物には普段食べない事もあって疎かったのだけれど】
【それ故に見せる新鮮な驚きや物珍しさは、彼女の心を擽るには十分だろうか――その全てが酷く嬉しそうで、子供じみているのだから】
【彼はそうして勿体つけてから漸く一枚を口に運び、味を確かめるように緩慢に咀嚼してから、彼女の視線に答えるように表情を綻ばせる】

……美味しい。有難う、鈴音

【たくさんの言葉ではない。けれど、相手と同じように言葉よりも表情の方が饒舌にそれを語っているだろう】
【嬉しい。どんな表現で飾り付けるより率直なその一言で体現される程に、彼の微笑は、彼女の前でしか出さない素の笑顔だった】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 10:34:55.10 ID:W/PLyJG+0
>>330

【「もう少し積もったらもう一回行くの」】
【この前の雪の日もそうして外で雪塗れになって遊んでいたのは、彼の記憶にだって新しいことだろう】
【あれだけ遊んでおいて満足していなかったらしい、それとも、雪が降るたびに外に出たくなる類の性質なのか】
【先祖に蛇を持つとは到底思えないようだが、その実、相当の寒がりで部屋が寒いとぴったりくっついてくる】
【それが言い訳なのか真実なのかは一度も口にしたことがないけれど、――冬だもの、すこしぐらいはきっと、赦される】

【やっぱり気になるものなのだろうか。考えるのが当然で、作るのが当然で、あまりにも普通みたいだから、分からなかったけれど】
【傍に居たから気付いてしまった。きっと同じところを追いかけていた新聞、前と後とで変わらないページ、文字列に】
【愉快げにくすくす笑んで見せたのは、普段の彼とのほんの差異が、面白かったからに違いない】

オレンジのコンフィから作ってみたの。一週間ぐらい掛かっちゃった――、
何日もお水に漬けたり、何日も掛けて煮たり、……大変だったんだから。

【ちょっぴり自慢げなのは、なんだって知っていそうな彼の優位に立てたからだろう。ふふんと笑う口元が子供っぽく、】
【それでいて言葉に乗せるのは少しだけ拗ねたような声音、――ただ、そこに“嫌”な成分は欠片も含まれておらず】
【そうやって時間を掛けたことも楽しんでやったのだろう、柔らかい果肉に穴のひとつも開いてない出来上がり、相当の手間を掛けたはず】

……――よかった。

【――それでも、食べてくれる瞬間は少しだけどきりとする。ほんの刹那に息が詰まって、緊張の糸がぴんと張る】
【けれどそんな様子も長くは続かない。彼がおいしいって言ってくれるなら、その瞬間にぷつりと甘く切れてしまうのだから】

【オレンジの皮の仄かな苦味、口中に快い歯応え、乾いているのにしっかりと酸味の残る果肉の瑞々しさ、】
【チョコレートの苦味もよく似合っていた。変に甘すぎないのが彼好みだし、何よりオレンジの良さを殺さない】
【砂糖漬けのオレンジ自体は甘かったけれど。皮やチョコの心地いい苦味があったなら、きっと、そんなに目立たないから】

オレンジを煮たシロップも、コンフィも、たくさん残ってるんだよ。……失敗したらって思ったら、作りすぎちゃった。
いくらかは音々ちゃんのところに置いてきたんだけど――まだまだあるの。今度、ケーキにでもするね。

【緊張の糸が切れたと思えばよく喋る。つらつらと並べていくのは、ほんの平和なひと時を空想させるようで、微笑ましく】
【食べきらないともったいない。普段食べ物を滅多に残さない彼女が言うなら、きっとケーキやクッキー、様々な姿を見せるだろうから】

……――、だいすきだよ……。

【にこりと笑んで、少しだけ言葉の途切れる間があった。ほんのり瞳を細めたなら、何か考えごとをするように】
【けれど尋ねさせてはくれないだろう、そうしようと思った頃には、すぐ隣のスペースにふわりと腰を下ろしているから】
【ワインレッドのリボンで腰元を編み上げた白色のワンピース。珍しく着る白色、座ったときの裾の乱れも直さないままで】

【――叶うなら、ぴたりと身体を寄せようとする。そっと肩に預ける頭の重さ、いつからかきちんとした人間の重さを取り戻して】
【その身体だって。猫みたいに軽かったのが、すっかりと見た目通りのものになっていた。なおさら人間味を増したようになって】
【ちょっぴり年齢差があるのを覗けば何の間違いもないカップルだろう、きっとお似合いの――そうだといいなって、思った】
332 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 11:18:57.90 ID:kw96mNE8o
>>331
【逆さまに読んでいたとして大差無い程に、今日という日が常に頭のどこかを占めていた】
【一週間も前から準備していたのなら尚の事、きっと隠していたとして、彼は察していただろう】
【何時も共に居る事が当たり前になった日常でも、ある種の慣れなど其処には無く、彼女を意識してばかりだった】

そんなに……有難う、嬉しいよ。とても美味しく出来ているね

【その作成過程を聞けば、彼は更に驚いた様にして、何となく両手で持ち直した小箱に残るオランジェを見る】
【まじないの品にも似ていた。掛けた手間と時間、込められた想い、その完成度の高さは、今まで見てきたどんな品より貴重に見えた】
【勿論味の方も、甘味に慣れない彼にも充分に親しめる物だ。ただ今全て食べてしまうのは余りに勿体なくて、彼はそっと箱を閉じる】

大切に食べるよ。出来れば永遠に手許に残しておきたい位だけれど、ね……
君と一緒にいれば、またいつか食べられる。こんなに幸せな事は、無い

【心の底から出た言葉だった。それが、一緒に居られると云う事】
【その幸せを今更に噛み締めて、これからきっと見られるのだろうシロップやコンフィの変化した姿を想像するように目を閉じる】
【不思議な事に、その甘さを思い描いても普段のように頭が痛む事も無く、ただただ心中が穏やかになるのだった】

私も、君を愛しているよ。鈴音……、……

【考える様な間に視線で問い掛けようとして、それが叶わない事に気付く、何度繰り返したか分からない行動】
【それでも彼女を信頼している、だから問い詰める様な事などせずに、身体を預けてくれる彼女の温もりを感じ取る】
【裾を引き摺る手前の長さのローブはベルベット地で、肌を寄せればその心地良さを感じられるだろう】
【彼も少し考える様な間があった。身を寄せ合う時間をたっぷり取ってから、今度は彼の方から、会話の鯉口を切る】

……鈴音の事をもっと、知りたいな。既に色んな君を知っているけれど、それでも……ね。
どれだけの時間を一緒に過ごしていても、満たされているのに、足りないんだ。もっともっと、君を知りたい

【彼も頭を軽く傾げて、相手に身を寄せる。紅茶色の長い髪がざらりと滑り、静かに流れ落ちていく】
【どんな事でも構わない。鈴音の事が知りたい、深い事でなくても全然構わないと、穏やかな雰囲気で示す】
【好きな生き物、好きなぬいぐるみ、好きな服、食べ物、場所、時間。それを嬉しそうに話す彼女の笑顔が、彼は一番好きだった】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 11:44:00.23 ID:W/PLyJG+0
>>332

【やはり男と女では意識する度合いも違うだろう。ただ、違う方面で強く意識していたというのは、きっと同じ】
【喜んでくれるだろうか。おいしいと言ってくれるだろうか。そればっかり気にしていた、表面では何もないよな顔をして】
【――だから、きっと、気付かれていただろう。今日という日のことをずっと考えていたこと、強く意識していたこと】

でもね、楽しかったよ。同じものをそんなに長く作ることって、あんまりないから……。
……それに、ね。セシルのために作るんだよ、楽しくないわけ、ないでしょう?

【ひとはだ恋しい冬だから、だろうか。いつもよりもちょっぴり甘えた風が、鈴の音をくるくると包み込んで】
【唇に乗せる言葉だって最早遠慮や容赦なんてものもない、ただ思ったとおりを口に出して、ひどく甘たるい色】
【彼のためにすることならきっと何だって楽しめる。そんな自信が、どこからともなく湧いてくるのだから――】

――せっかく作ったんだから、ちゃんと食べてね。仕舞っておいちゃ駄目だよ? 腐っちゃうから――。

【くすくすと面白いという風に笑う、そっと注意するのは、或いは罷り間違えてそれがありえてしまいそうだから】
【本当はまだ少し残っているのだけれど、なんて考えたけれど黙っておこうと思った。そのほうが、いいように思えたから】
【もっと欲しいと言われたら出せばいい。そうでなければ――彼女らと食べてしまおう、なんて、ちょっぴりの隠し事】
【そうでなくてもシロップもコンフィもまだまだたくさんある。この日の余韻を楽しむには、十分すぎるぐらいなのだから】

…………――、もっと言って。

【――とろとろと蕩けて甘えるのが止まらない、普段ならば言わないだろうことを、今日ばかりは恥ずかしげもなく言って】
【瞳が重ならない寂しさを上塗りしてほしかった。或いは、そんな苦しみ無視して見つめて欲しかった。ただの我侭だと分かりながら】
【ベルベットのすべすべした手触りに頬を寄せる、そっと伸ばした手、彼の手を捕まえて、指先を絡ませようとして――】

【――彼の言葉に少しだけ動きが止まる。せっかく寄せた頬を僅かに離したと思えば、じ、と少しだけ低い視線から見上げて】

【(どうしてだろう。こころのなかみが全部見えてしまっているみたいに、言い当てるのだから)】
【(だって、その話は、じっと考えていたことと重なるから。こころを読まれているんじゃないかって思うのも、仕方ない)】

――それなら、ね。話したいことがあったの……たくさん迷惑を掛けたから。……本当は、もっと早くに言うべきだった。
わたしの……、――わたしの、むかしのはなし。セシルに会うまで、わたしが何をしてきたか、って。

……聞いて、くれる?

【深いところまででなくてもいいと彼の態度が言ってくれる、けれど、提示するのは何よりも彼女を深くまで知らせるもの】
【バレンタインらしく甘く語らうだけでよかったのかもしれない。だのに過去を話すと言い出したのは、言ったのは、】
【それだけじゃ足りないような気がしたから。たくさん掛けた迷惑の理由を、今更でも知ってもらうべきだと思ったから】

【手を繋げていたなら、少しだけ力が篭ったのが分かっただろうか。或いはさっきよりも緊張した風に、顔が強張ったようだった】
334 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 12:00:33.51 ID:kw96mNE8o
>>333

愛してる。……君が堪らなく好きだよ、鈴音

【寄せた頭の耳元で溶けてしまえとばかりに低音で囁く声は、確信犯めいて甘ったるく響く事だろう】
【容易く取れる掌は彼女に呼応するように長い指を絡ませて、けれど、動きを止めた事に彼は首を傾げた】

……、……ああ。分かったよ
聞かせて、鈴音の話。君の事なら何でも知りたいし、私は受け入れる

【分かり切っている事だ。例えどんな事であろうと、彼の彼女への想いが変わる事など、壊れる事など無いと云う】
【離れて行く心など此処には無いのだから。話せる範囲で良いとも、全て聞かせてとも、彼は言わない】
【鈴音が話したいと言ってくれたこと、それを尊重していた。だから彼女の話したいだけ話して欲しいと、緩く微笑んだ】

/お昼行ってきますー!
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 12:19:22.00 ID:W/PLyJG+0
>>334

【――ぞく、とした。背中を指でつうとなぞられた時みたいに、意思とは関係なしに身体が反応してしまう】
【恥ずかしいという風におでこを彼のローブへと埋めるのだろう、自分から誘ったくせに、乗られたらこれなのだから】
【ほんのちょっぴりずるい、――けれど、彼がこうして囁く声が、どうしようもないぐらいに、だいすきだったから】

【(低い声が好きだった。低ければ低いだけいいのかと言えばそれは違って、ちょうど彼の声の高さが一番好き)】

【しばらくもじもじとやっていた。話が移ろっていく過程で、流石にやめはするけれど――】
【最後に名残惜しいようにおでこを離したのだろう、けれど、肩に頭を乗せるのだけは、やめないままで】

うん――、……えっとね、どこから話せばいいのかな……、……怒らないでね、話してないこと、たくさんあるの。

【ちいさく頷く、頬に触れるベルベットの手触り、すべすべと心地よくて。暖かで、眠くなってしまいそうだけれど】
【今日ばっかりは大丈夫なようだった。繋いだぎりの手、確かめるように握ったりして、開始地点を迷うこと、しばし】
【もうひとつ頷いたなら、見つけたのだろう。どこから話すべきか、一番初めになる部分――、そっと、瞳を伏せて】

……わたしね、ちいさいころはね、違う名前だったんだよ、鈴音って名前じゃ、なかったの。
桜の花みたいに、ひとに囲まれて。桜の花みたいに、みんなを喜ばせる子になるように。

……――だからね、わたしの本当の名前。桜花って言うの、……お母さんに、貰った名前。

【ぽつりと語りだす声、さっきまでとは違う、ずっとずっと落ち着いてしっとりとした声音で】
【預けた身体の重さ、布越しに触れる部分からじわじわと彼の体温が伝わってくる。暖かで、優しくて、だから、】
【ほんのちょっぴりの不安も消えてゆくようだった。いやな部分まで知られることへの、不安に思う気持ち】

【――けれど、これは彼も知っていたことだろう。黒猫の女がかつて口走ってしまった名前なのだから】
【それでも由来まで教えてくれるなら、きちんとした家庭だったのだろうことを窺わせる、それなら、】

【(どうして今居ないのかって、或いは放って置かれているのかって――それも、すぐに、彼女が教えてくれる)】

お母さんが居て、本当のお父さんが居て、毎日“普通”に暮らしてた。なんにもなかったけど、だいすきだった。
……でもね、わたしが八つになった日に、毀れちゃった。……お母さんも、お父さんも、死んじゃったの。
事故に遭って、――病院に運ばれたけど、そのまま、死んじゃった。……助からなかったの。

【――死んでしまっているのだった。だからこそ赤の他人を父親と見間違えたし、そのまま父親にしてしまった】
【もしも彼が女だったなら、――或いは、母親になっていたのかもしれない。そんな、Ifに仮定するお話】

/了解しましたー
336 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 12:51:24.14 ID:kw96mNE8o
>>335
【繋いだ手はその先を急かす事はせず、緩やかに握られて、絡ませて、穏やかに相手を受け入れている】
【桜花。その名を心の内で復唱して、あの時の黒猫の彼女が云った意味を知った彼は、静かに瞳を伏せた】
【彼女の話だけを追っていくには少し隙間があって、何より彼女だけに語らせるのは、何処か寄る瀬が無い】
【差し挟む事にはなってしまうけれど、心強いものになれれば良い。そんな思考で、彼もまた、口を開いた】

……私も、幼い時に両親から引き離された。だから、その辛さは良く分かる
まして死別なら……、……私はね、姉の嫉妬で、ある日突然泥の街に捨てられたんだ

それまではとある小国の、貴族の家の長男だった。シュトラウスは、代々王家に仕えた家系でね
何も無ければ、何れは国の皇太子の従者になっていたと思う。それで両親からも甘やかされていたし
姉はそれが許せなかったのだろうね……下男を使って、五つの私を泥の街に棄てさせた

従者候補が姿を消したのだから、親も国も相当騒いだらしい。けれど革命で、その皇太子も一家揃って惨殺されたそうだ
私が自立した時に丁度その騒動があって、それでセシルと言う名を一時期は隠していたんだ
小国の騒擾でしか無いけれど、皇太子一家に関わっていた事で、面倒事に巻き込まれる可能性もあったからね

【出生の事、捨てられた理由、祖国の騒擾、偽名を用いていた訳。彼もまた、語っていなかった事は沢山ある】
【ただ、秘密にしている訳ではなかった。全てはいつか必ず、そして少しづつ、語られていく事】

……ご両親は、助からなかったのだね。

【どのような慰めも其処には掛け難い。故にその心情に寄り添うように、彼は彼女の言葉を繰り返した】
337 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 12:51:50.92 ID:kw96mNE8o
>>335
/追記忘れ、お待たせしましたー!
338 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 13:10:00.17 ID:74i9mOuNo
【海沿い】

――――………………。

【心地良い海風――――と表するには冷たすぎる冬の空気が、堤防の上を歩く少年の肌を刺していた】
【降り注ぐ雪を赤い傘で防いで、少年は曇天の下の海を見据える。真紅の双眸は見つめる波とは対照的に、全く揺らぎがない】
【モノクロの世界を切り取る三つの赤色もさることながら、少年の格好は黒色のダッフルコートの下にブレザーの学生服が見え隠れして】
【昼という時刻に、冷たい空気を不思議と和らげる瀟洒な雰囲気もあって、彼の姿はかなり目立つものとなっているだろうか】

………………。

【冷風に綺麗な水色の髪がさらさらと靡いても、少年はその場から動かなかったし、一言も喋らなかった】
【ただその表情には、優雅な笑みを浮かべて。気品に溢れる挙措の一つ一つからは、ある種の風格すら漂っているだろうか】
【目的無くこんな場所を歩いているところを見るに、真紅の瞳が本当に見ているのは目の前の海ではなく、思索の海なのかもしれない】
【果たして何を考えているのか。ただすれ違う程度の一瞬では、隙のない微笑みからそれを読み取ることは出来なさそうで】

【…………少年の物珍しさか、それとも容姿の美しさか、その意味深な表情か。あるいは、単なる偶然か】
【人気の少ない海沿いの道。どのような人物が少年の前に現れても、おかしくはないが――――】


/イベント始まるまでになってしまいますが、よろしければ〜
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 13:26:00.92 ID:W/PLyJG+0
>>336

【――本当の両親の死と言うどうしようもない事実、乗り越えたというよりはそうせざるを得なかったこと、けれど、】
【まだなんともないことみたいに話せるようにはなっていなかった。伏せられた視線が示す感情は、追憶と、追悼と】
【少しだけ黙ってしまった間――何もなければ沈黙が降りるはずだったちょうどそこに、彼の言葉が発せられる】
【少しだけびっくりした目をした。けれど、こちらだって彼のことを知りたいと願う気持ちがあって、それなら、】

セシルも――……?

【彼も両親と引き離されたのだと言う。新しく知ったことに、僅かに目を丸くして。語られること、静かに聴いてゆく】
【語られていく言葉のひとつひとつが大切な宝石であるかのように抱きとめる、ひとつも聞き漏らさないように、して――】

……そう、なんだ。じゃあ、わたしより、先に――。

【五つと八つ。大人から見ればたったの三年、けれど子供からみたら大きな三年、発育にだって大きな差があって、】
【どちらにせよ両親を必要とする年齢であることには変わりがない。寧ろ、生きているという希望があるだけ、生殺しのように】
【――彼女は目の前で見てしまったから。はじけた皮膚から溢れた真っ赤な色を、その影に潜んでいた拉げた白色を、】
【もう二度と動かなくなった姿を。よりによって、本来祝福されるべき日に、誕生日に】

【(神様に嫌われてるんだと思った。わるいこだから罰が当たったんだと思った。――違う、)】
【(本当は好かれすぎていた。どうしようもなく好かれて、はやく手に入れたくて、我慢が出来なくて、――)】

――それでね、施設に行くことになったの。わたしには、親戚、ひとりも居なかったから。
もしかしたら知ってるかもしれない、……だいぶ前にね、ちょっと騒ぎになったんだって。音々ちゃんが言ってたから。

*****っていうところ――、わかる?

【両親が居なくなって、親戚ははじめから居なくって、行く場所がないなら、どうしようもなく行くことになった場所】
【ぽつんと漏らした名前は、遥か昔の記憶としてその脳裏にあるのかもしれない。そうだとしたら、その後も予想がつく】
【どちらにせよ語る言葉は止まらない。ただ一度問いかけて、少しの間だけ空けて、また、話し出す】

……始めはね、優しかったの。怒鳴られたことなんてなかったし、蹴られたことも、殴られたことも、なかったし――……。
ご飯だってちゃんともらえた。お布団だってちゃんとあって、ただ、施設に来る大人のひとににこにこするのだけが、ルールだった。

【――知らなかったなら、この時点から既に不穏ではあった。言葉以上に、その瞳が濁っていたから、まるでいやなことを思い出すように】
【繋いだ手にきゅうと力が篭る、ちいちゃく聞こえたのは吐息の音、少しだけ大きめだったなら、深呼吸みたいな幕間】

身寄りのない子を集めて、欲しいひとに売る場所だったの。孤児院のフリして、そんなこと、してたの。

【*****という名前の孤児院――そこが騒ぎになった理由は、そこだった】
【身寄りのない子供を“仕入れて”きては売りさばく、子供専門の人身売買。特に問題になったのは、町長が関わっていたこと】
【土地を提供する代わりに、黙っておく代わりに、何人も貰っていた。だからこそ表面化せずに、誰もが騙されていた】

……――でもね、わたしは駄目だったの。お母さんも、お父さんも、死んじゃって……ずっと、泣いてたから。
誰も貰ってくれなかった。売れ残りだったの。――だからね、売れ残りの部屋に連れて行かれた。

そしたらね、……全部変わっちゃった。毎日何度も怒鳴られて、蹴られて、殴られて、
ご飯は“売り物”の子たちの残りで、お布団なんて布みたいで、毎日怖くって、辛くって、もっと、泣いて、怒られてた。

【――ぎゅうと身体を寄せる、もっともっとと温もりを強請るみたいに、いやな過去と向き合う勇気を欲しがるみたいに、】
【少しだけでも声まで震えているようだった。あの黒猫ですらあんな場所と評価した場所を、この少女がどう思っていたかと言えば――】
340 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 14:09:09.66 ID:kw96mNE8o
>>339
【幼かっただけに、記憶としては薄く、ダメージとしては大きく心に刻まれている。当時の姉と同年代位の、】
【少女というものがそれ以降、激しく嫌悪する対象になった。可愛らしい顔と体の中に、醜く汚らしい心を抱えた悪魔に見えた】
【その憎い姉も、そして両親も、結局は革命で死んだと聞いている。けれどそれを知ったのは自立した後で、彼女程の苦しみはなかった】

……、……確かに、その孤児院の話は、昔に聞いたことはあったけれど
まさか、其処の出身だったとはね……、辛かったろう。苦しかっただろうね

泥の街のみなしご達も、孤児院だけは行かないと口を揃えて言っていた。当時は何故か分からなかったけれど
私一人のままだったら……きっと頼る場所を求めた挙句、君と同じようにされていたかも知れない

【掛ける言葉も見つからない程、凄惨を極めた幼い彼女の状況を思う程に胸が締め付けられる様な感覚を覚えた】
【何故もっと早く彼女を見つけ出してあげられなかったのだろう、と無理な想像に悔恨を募らせる程】
【利権が絡む話は世に山となる程あれど、これ程気分が悪くなるとなると、そうはない事だった】

……私には、悦那がいたからね。同じ孤児として、七年もの間、何も出来ない私と月彗を助けてくれた
あれがいなければ今の私はなかったが……もしいなかったなら、祖国を失う事は無かった

祖国に革命の火を付けたのは、悦那だったんだ。あれは私の出自を知らなかった
皇太子一家が矢張り利権絡みでね、泥の街を利用していたんだ。お陰で泥では争いが絶えず、その報復で革命が起きた

後の報道で……私が仕える事になるはずだった皇太子の顔を、初めて見たよ
淡い茶髪に深い紺碧の目をした、聡明げな少年だった。生きていたなら、今年で二十五になっていただろう
とはいえ当時はまだ何も知らない少年だったのに……、私が、悦那を止められなかった所為で、死んでしまった

【恩があった。けれどそれは、祖国も同じ事。狭間で苦しんだ彼は、今もどちらをも恨み切れないでいる】
【悦那とセシルの間にある妙な壁の正体がそれだった。兄弟だと言っていても、交流に乏しかった理由】
【悦那は事ある毎に鈴音に、セシルを頼むと言っていた。その理由が、それだった】

……君は、売れ残りなどでは無いよ。そも売り物でもないし、不当に暴力を受ける立場でもない
怖かっただろう、嫌だっただろうね……、もっと早く助けられなくて、すまなかった

【それだけが本当に辛かった、初めて自分の力の及ばない所を知った様に、もどかしくも歯がゆいその感情】
【繋いだ手を握る。安堵させるように、今此処に彼女と、自分が居る事を、言葉にせずとも伝える様に】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 15:00:03.74 ID:W/PLyJG+0
>>340
【そんなことを言ってやったなら、不思議と首を傾げただろう。そんな中で、どうして自分を見出してくれたのか】
【今考えてみたところでよく分からない。それなのに、もう一度零からやり直したとしても見つけてくれると、信じている】
【それを運命だとか呼ぶのかもしれない。とある少女が言っていたみたいに――総ての苦しみをなくしてしまうぐらいの、運命】

【――助けてって叫びたかった外は見ることすら叶わない場所、やってくる大人たちはみんな下衆た目をしていて】
【誰も助けてくれない場所。それでも、売り物である間は、ずっとマシだったのだと後からいやなぐらいに思い知らされて】
【売れない子はごみであるかのような扱いだった。いっそ、ごみとして捨てられたほうが、マシだったのかもしれないぐらいに】

……でもね、友達も出来たんだよ。天音ちゃん。今は音々ちゃんと暮らしてるの――。
いっつもね、強くって。何されても大丈夫って顔をしてる子だった。……今もそう、いつだって何にもない顔をするの。

……――そこに入れられたのが九歳ぐらいのとき。たまにね、見に来るひとがいたの。
どこかに行くのもいやだった、そこに居るのもいやだった、……ずっと泣いてたから、けっきょく、売れなかったけど。

【地獄みたいな場所でたったほんの一握りの良かったこと、せめて縋る先を見出したことで、だから、毀れずに済んだ】
【そんななかにこの少女をひとりで放っておいたらどうなるかなんて想像するのは簡単だろう、きっと、すぐに、駄目になる】
【それでさえ泣いてばっかりだったと言うのだから。それぐらいに、怖くて、辛くて、いやな場所だったという記憶】

【(あの子みたいに何かあれば貝よりも硬く総て閉ざして黙ってしまえる子だったなら、もっと楽に生きられるはずだったのに)】

……セシルのことね、心配してたよ。でもね、いっつも聞くの、“優しくしてくれるか”って。
こんなに優しいのにね――きっと、わたしが、世界中で一番セシルが優しいひとだって、知ってるよ。

【――こうして昔を語ることで、余計にそれが良く分かる。想ってくれていることが伝わって、ぎゅうと胸の中が暖かくなる】
【そうでなければやめてしまっていたかもしれない。以下略と話を打ち切ってしまっていたかもしれない、けれど、しないのは】
【彼がすぐ傍に居てくれるから以外の何でもなく、そもそも、こんなに暖かでなければ話を切り出そうとも思わなかったはずだった】

【過去に二度会って、二度聞かれた。それは不思議だったけれど、それ以上に気にかけているということは伝わってきて】

……難しいことはね、よく分からないの。でもね、……いいひとなんだと思うよ、きっと、すっごく。
だからね、……ううん、分かんない……、

【いいひとなんだろうことは分かっていた。きっと、彼なら、もっとずっとよく分かっているだろうから】
【それが原因で気まずくなってしまったのだとしたら、なんとか壁を壊せないかと、ふと思ってしまう】
【――お話してみたら、とか、そんな言葉に繋がりそうだった。結局、彼の仕草を窺うように盗み見た後に首を振って、】

ありがとう、……そうしたら、わたしのいやなこと、――きっとね、ほとんどなくなっちゃうの。
そうだったら良かったのに――……でもね、セシルとこうして会えたから、この生き方も、嫌いじゃないよ……。

【――出会い方が違っていたなら。もしもあの時、彼が見つけ出してくれていたなら、どうなっていたのか】
【考えようとした思考が止まる、上手に思い描けないのは、――子供を買っていく大人たちの目を、覚えているからかもしれない】

十歳になった頃に音々ちゃんが入ってきたの。信じられないかもしれないけどね、いっつもとげとげしてて……。
怖い子が来たなぁって思ったの。それぐらい、……いっつも怒ってて、でも、わたしにだけ、優しかった。

ほんとうはひとに優しくするのが好きな子なんだよ、――いまもね、こわくて、やさしい子なの。

【――彼女が普段一緒に遊んでいると言う二人。相上天音と、二谷音々子と。名前だけなら、何度だって聞かされたことだろう】
【そのどちらもがあの地獄みたいな場所で出会った関係性だった。ただ、少しだけ覗いた違和感は、】
【あの黒猫の本性をあっさりと白状してしまったせいでもある。あれが怒っているところなど、想像つかないぐらいなのに――そうだと、言うのだから】

【(あの子みたいに何かあればすぐに尻尾を踏んづけた猫みたいに怒れる子だったなら、もっと楽に生きられるはずだったのに)】
342 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 15:41:39.41 ID:kw96mNE8o
>>341

……私も、良く分かるよ。悦那に助けられ、月彗を庇護して、そうして自分を保っていたから
結局は散り散りになってしまった縁だけれどね……、また繋げるなら、其れも良いと思う
月彗が今の所一番の気掛かりなのだけど……あれも相当しぶといから、心配は要らないかな

【この歳になった弟をまだ心配しているのか、と思うと笑いさえ溢れてくる程、人の心配など出来る身でもない癖に】
【助け合い寄り合った仲間として、彼女にとっての天音と音々子が、彼にとっての悦那と月彗に似通っていた】
【唯一違うのはその仲間内でいざこざが生まれてしまった事だった。諸悪の根源はあの黒ずくめの女なのだけれど】
【それも干渉をやめると言った今ならば、或いは彼女が縁を繋いでくれる事も、可能なのかもしれなかった】

……良い友達に恵まれたね、鈴音は。偶然だったとはいえ、再会の緒を掴めて良かった
私を愛してくれるように、彼女達の事も大切にして欲しい。これから先もずっと、ね

【そう言って大人めいて微笑むと、今度は彼が鈴音に軽く身体を預けて、ソファーを軋ませながら】
【そのまま長い上体を横に倒して、彼女の膝を枕にして、そっと横になろうとするだろう】
【負担としては頭の重さだけだが、広いソファーを軽く占めてしまう程の長身は、少々邪魔かも知れなかった】

【どちらにせよ、繋いでいた手で無い方に持っていた小箱を顔の前で改めて眺める表情は子供めいて穏やかなものだ】
【教師時代に物好きな女生徒から教えたての呪い付きで貰ったり、ギルド時代に致死量の毒入りで貰ったり、そんな思い出しか無いのだが】
【心を込めて作ってもらったものというのは、後にも先にも、鈴音から貰った物以外には無いだろう】

……施設からは、どうやって抜け出せたんだい?
話したくなければ、それでも構わないよ。今鈴音が此処にいる、それで良いんだ
若しくは、私のギルド時代の話でも聞きたいかい? 私は、どちらでもいいよ

【気になったこと。けれどそれは、彼女にとっては思い出したくない事かも知れない】
【故に気遣いながら、別の話題も出しておく。こちらは水の国の住居でその名残を見たかも知れない】
【数々の魔物の荒討伐、仲間内での喧嘩騒動、今では考えられないような無茶の仕方……】
【こちらの方も、ある意味では心臓に悪いかも知れない。彼の体の無数の傷跡の、理由でもあるのだから】
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 16:17:35.53 ID:W/PLyJG+0
>>342

【せっかくの兄弟という縁だ、きっといつか、何かしらの機会が、それを繋いでくれるだろう】
【それは彼女がするのかもしれないし、他の誰かがするのかもしれないし、まだまだ不透明なヴェールの中】
【とりあえず現状気がかりと言えるのは――やはり、義弟である月彗のこと、だろうか】

【追われていないかと思う、大丈夫だろうと何となくで思っている部分もあるにはあるのだけれど、】
【“もしも”があったならどんな顔をすればいいのだろう、それが分からなくて――少しだけ、曖昧な表情になる】

うん、……最初はびっくりしたんだよ、なんでセシルが連れてくるの、って。
寝起きだったし――、ほんとうにびっくり、したんだから。

【けれど、そんな曖昧な表情も。話し変わって、少しだけ困ったような――拗ねるような、表情へと変わるのだろう】
【寝耳に水と言うか、実際に寝ていたというか、とかく彼女にとってびっくりする事柄であったことには違いがなく、】
【始めはお遊びだったあの猫があっさりすぎるぐらいに手を引いたことからも、なんだか彼女らの関係性が見えるようでもあった】

【(誰かに必要とされるのを生きがいにする子だった。それなら、彼女は苗床にするにまさにうってつけといえるほど、貧弱で)】
【(精一杯に守ってやるのはやりがいがあっただろう、だからこそ、彼女はその牙に掛からずに――ただ、その光景を見ていたから)】
【(こわいこ/やさしいこと言う両極端な印象が残る。――互いに不健康な仲だった。三者が三様に歪んでいた、地獄の中の風景)】

【――ぎしりとソファが軋む、やがて掛けられる体重、けれど、彼女は何の文句も言わないままに、その身体を受け入れて】
【体重を掛ける代わりに、手を繋ぐ代わりに、そうと頭を撫でようとするのだろう。幼い子供を寝かしつけようと、するみたいに】
【やさしいやさしい手つきは、彼女がされて嬉しいことの鏡映しでもある。つまり、彼がいつもしてくれる仕草とよく似ていて――】
【なんだか不思議なようでもあった。紅茶色の髪を指に絡めて笑う悪戯な幕間、そこだけはひどく平和なものだった、のに、】

……毎日同じだった。朝起きて、怒られて、殴られて、蹴っ飛ばされて、ご飯がなくて、床で寝て。
でもね、十二歳になった日……その日はいつもと違ってて――髪の毛を捕まれて、引っ張られて、お風呂場に連れて、行かれて。

浴槽に入れって言われたの。怖かったから、入って、そしたら……“シャワーを中に入れて”蓋を、閉められて。
何度も何度も蓋をテープで張るような音がして、最後にね、きゅうって、蛇口を捻る音。

【尋ねられて、一瞬なぜだか笑って見せた。くすと微かな微笑みは、ただ、どうしたってこの場では不穏にしか思えないもの】
【遠くを見るような目で窓の向こう、降り頻る雪を見ていた。それなのに、彼の頭を撫でる手だけが止まらずに、優しくて、】

【――簡易式とは言え個室に人間を閉じ込めた状態で水なんて注いだらどうなるのか。その先は、きっと、すぐに想像できた】

……水がね、冷たくって。誰も助けてなんてくれなくって。そのうちにね、息が出来なくなるの――、
悪い子だったから罰が当たったんだって思った、神様はわたしのことが嫌いなんだって、思った。

……――でも、お母さんとお父さんにこれで会えるかなって。だったら、死んじゃってもいいかなって――。

【わらっているくせに目が潤んでいた、鈴の音の声だってふるふると震えて、少しだけ不安定な不協和音の気配を覗かせる】
【初めてこの家に来たときから水を嫌っていた。深さのある水に触れなくって、身体の一部を浸すだけだって我慢できずに、泣いてしまう】
【特にお風呂に入れない。どれだけ冬でも、どれだけ寒くても、絶対にシャワーでしか入らない徹底振りは、】

そうやってね、桜花(わたし)ははじめて死んだの。

【――すべての最初、人間としての死をそこで迎えたからに他ならなくて】

……わたしもね、どっちでもいいよ。セシルが話したいなら、それを聞くの。
でもね、――わたしの話が聞きたいって言ってくれるなら、全部、ぜんぶ、話すよ。

前の人のことも……、ぜんぶ。

【ぐしと潤んでしまった目元を拭う仕草があった。やがて彼の頭へと戻される手は、ひっそりと濡れていて】
【それでもやめると言い出さないのは、自分で話すと決めたからでもある。――少しだけ、臆病に足を震わせながらも】
【彼が望めばどちらだってそのとおりにしてみせるだろう、それが、彼女に今出来ることだから】
344 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 18:26:45.93 ID:WuDb7cIvo
>>246
《ぶぶぶ……悪者にフェアを望んだって、意味ないでちゅよおおおおおお……》

【少年のまっとうな言い分に、オールドベビーが返す言葉はマインド越しではなく、初めて明確に少年の方を向いていた】
【なおも戦闘を継続しようとする少年に、皮肉な笑みを浴びせつつ。向かってくる彼を一つ目で眺めるカニバディール】
【残存する力を振り絞ったその動きは、まさに閃光。洗練された跳躍からの蹴りはしかし、カニバディールには届かず】

このうえ、なおも戦闘を続けようとするか。やはり、ねこやまにそっくりだよ、お前は
その名、覚えておこう。……良かったな、オートマーダー。まさかお前にファンが出来るとは

[ウィーン、ガッシャン……]

【言葉を交わしつつも、少年らから異形どもの視線が外れることはない。やがて、光が彼らを飲み込むとその場から消え失せた】
【多くの物資と船は無傷で残され、倒れ伏していた者たちも後から見ればそれほど多くはなかった】
【盗賊団が、窃盗を優先していた結果だろう。そこへ、少年とふぉんてーぬの活躍。被害は最小限に抑えられた】


【少年が崩れ落ちれば、鷲の上の二人は目を見開く。鷲が地面に降りたつと同時、二人は飛び降りて少年に駆け寄る】

うっ……!!ひでえ、肩が……
(血が、出てない……? これは……)

【疑問を頭に浮かべながらも、まずは彼を助け起こそうとする。そこへ、ふぉんてーぬの治癒】
【ひとまず、傷が癒えていけば、二人はほっと息をつく。時間が経つごとに、冷静さが戻ってくる】

(ふぉんてーぬさん、確か3つしか出せないって……でも、鷲を入れても2つずつしか出してなかったような……)
(治癒は一人ずつだったし、管制室を潰した妖精も治癒と並行して召喚してなかった。ってことは、恐らくこの子も……)

【こうした思考にふけるのは、あるいは潰された都市部のことを考えるのが怖かったからか】
【眼前の恩人たち。彼らの事を、何も知らない。だが、それに踏み込むことが得策とも思えず】
【少年の浮かべた苦痛に耐える表情、そして自分たちが感じているそれにも似ているであろう、少年の癒えることのない感情】
【それらを思えば、自分たちの疑問よりも優先すべきこともある。少年が鷲に身を預けて眠る姿に注がれる、自警団員らの瞳には、敬意がこもっていた】

【やがて、安全なところまでたどり着けば。二人はふぉんてーぬと少年に対して、最敬礼の姿勢を取った】

お二人は命の恩人です!! 本当に……ありがとうございました!!
自警団員としても、一市民としても、お二人には心から感謝いたします!!

【背筋を伸ばして、はっきりした声でそう述べると。彼らが望むなら、二人を望む場所まで送るだろう】
【その後は、山積みになっているであろうやるべきことに立ち向かうために。若き自警団員たちは、ラグナールへと戻っていく】
【いずれ、彼らがふぉんてーぬの店を訪れるとしたら、それはいつになるか。それはまだわからない。ラグナールの被害は、想像をはるかに超えるものだったのだから――】


【海上 奪われた船の船室】

【機関兵に操舵を任せ、異形どもは集結していた。中央には、車いすに縛り付けられた一体の人形があった】

……とんだ邪魔が入ったが、特にきな臭い積み荷はどうにか運び出せた。この中に、スペーツィエの連中の物があれば予定通りに、なければそのままいただくとする
荷物の整理はスカーベッジ、お前に任せる。機関兵を使っても構わんぞ
<ひっひっひ、了解ですぜボス。いやあ、この荷解きの瞬間はいつも楽しみですなあぁ……>

……おい、カール

【そこに、人形の声が割り込んだ。異形どもが一斉に彼を見る。その視線に怯むことなく、人形は言葉を紡ぐ】

お前たちはいったい……何を考えているんだ? こんなことまでして……何を望んでるんだ……?

……何度目だ、その問いは。そのうち、嫌でもわかることになるさ。心配するな、その時までは殺しはしないとも。お前に死なれては、こちらも困る
お前の能力にそこまで手を加えるのにも、長い時間と試行錯誤を費やしたのだからな
……だが、私をその名では呼ぶな。私は、カニバディールだ

【単眼で人形をにらみつける。その一つ目を、人形は青い瞳で睨み返す。その目は、まだ死んではいなかった】
【船が、海上を滑っていく。まさか、その数日後に再びここを訪れることになるとは、異形どもも今は知らなかった】

/大変遅ればせながら、補足レスです……!! 改めてたこやきの方、ありがとうございました!
345 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 19:06:19.84 ID:AtUrYs9+o
>>343

【大きなネコ科の動物のようだった。髪を透かれるまま、撫でられるままに暫くそうしていた彼であったが】
【聞かされたその内容に――酷い話だ、差し引きなしにそう思えば、鈴の音が震えるのに気が付いた】
【彼はそっと上体を起こして、ずるりとしたローブの袖を指先に乗せて、鈴音の目許を軽く拭おうとするだろう】
【(泣いているかどうかを視認することは出来ないから。きっと泣いてしまっているのではないかと、そう思った)】

……屋敷の湯船は取り外そうか、どうせ私も使っていないから。広いばかりで邪魔だろう
或いは、そのスペースを温室に作り替えてしまってもいいし……そうすれば、君の好きな花々も育てられる
あと……、……何度も言ってしまうようだけれど。鈴音は悪い子ではないよ。桜花だって、そうだった

【当時の心境である、と言う事を理解していても、そう添えないと気が済まないように思った】
【湯に浸かりたがらないという事にも気が付いてはいたけれど、まさかそんな理由だったとは思いもしなかったから】
【浴槽があるというだけでも嫌な思いをするだろう、レイシーの趣味もあってか、湯船はそれなりの大きさがあった】
【それならば作り替えてしまえば良い、と彼は言ってみせる。何時かのように消してしまえではなく、前向きな形に】

そう言ってくれるなら……、もう少し、君の話を聞かせてくれるかい?
……、……前の人。私もね、その事をまだきちんと話していなかった。遅くなって、済まない
一度だけ……正確に言うならば一日だけ、結婚をした相手がいるんだ。フラズグズ、という女剣士だ

【本当ならば結婚の前に言うべきであったこと、それが遅くなったというのは、彼にとっても引け目だった】
【故に、或いは、話し辛さの残るような相手の言葉の潤滑油になれば良い、そんな思いも何処かにあった】
【一日だけの婚姻。其れは、傍から聞けば奇妙な話と思えるだろう。朝に契り、夜に指輪を砕いた、そんな女性がいたのだ】

神殿に巣食う幻獣を討伐するにあたって、神殿内部に入り込むには、その神殿で夫婦になることを誓う必要があった
当時は討伐だけが目的でしか無かった状態だったから、ギルドの中で適当に声を掛けて、それに乗ったのが彼女だった
……彼女を見たら驚くと思うよ、きっと。アマゾネス、と言うのかな……腕力も凄まじくて、銀製の指輪を指で砕いたんだ

【目的の幻獣を討伐した帰り道で離婚を済ませたというのだから、フラズグズという女の方も酷く割り切った性格のようだった】
【「……終わったな。此れで貴様とも終わりだ、シュトラウス」――そう事も無げに言って、銀の指輪をブチ壊してみせたのだから】
【流石の彼も唖然とした、と言うのは余談。正直バツのカウントに加えるか迷うものだが、一応初婚だけあって割と彼の中では引きずっていたらしい】

【其処までをまず彼から話してみせれば、後は彼女の言葉をゆっくりと待つ。落ち着くまで、背に手を回してあやすようにするだろう】
346 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/14(金) 19:32:05.63 ID:NCDQgycko
【水の国・元♀マ光都市ラグナール】

【――先日の機兵侵攻、そして六罪王ダグラス・マックスウッド手動の機関の攻勢】
【加えてその六罪王本人による都市部への月落とし。全てがラグナールを弱体化させていた】
【近隣の都市にはラグナールの難民が押し寄せ、商業的な混乱も各所で起こっている】

【それでも尚、諦めない人々も居る。自警団長エルベシア・レセップスがその筆頭であり】


【また、名も無き人々を上げるのであれば港湾部≠フ利用者がそれに当たるだろう】
【被害を受けたといえ、港は無事だ。確かにここ数日は交易もストップはしていたが】
【それでも――交易センターの面々を中心として、ラグナールは海運都市として復活を目指していた】

【その気概を初端から挫かんとするのが今回の海賊騒ぎ。不審船の一件は直ぐに世界へ伝えられ】
【なにせ、大事件の数日後。そのまま都市に逗留していた物も居るだろうし、勇士はあっと言う間に集まった】
【一方で悪党も同じであった。護衛が多いとはいえボロボロの街、暴れるには格好の標的であった】



【ラグナール港湾部・交易センター前広場】

【――事を遡るとおよそ30分前、一隻の不審船が港湾に近寄ってきたのが発端であった】
【海賊であるという声明を出したその船は、航行速度を全く緩めず高速で湾内に侵入】
【水門は大砲を利用してぶち破り、陸からの攻撃には銃撃をも駆使して奥まで進むと】

【その鋼鉄の大型船は、やがて海を飛び出して交易センターの前までガリガリと地面を削り】
【やがて広場に――倉庫とセンターの合間に広がる場所にまで到達すると、ハッチが開いて】


『―――よぉーし良いか野郎どもッ!この場まで突っ込んだのは伊達や酔狂じゃあない!
 俺達は海賊だ!盗るもの盗って、やりたいことをやる!それが俺らの稼業だからだッ!

 ワイアード、お前は若いの引っ張って宝飾品の倉庫に行け!選り好みするな、全部掻っ攫え!
 ドレイク、お前は重火器の方だ。幾つか拝借したら……後は指示通りにしろ、いいな?
 クウィット以下、残りのメンバーは俺と共に此処で足止めをする!絶対に通すな、誰が来てもな!』

『さぁて……誰が出てくる?誰でもいいさ、このキャプテン・キネシス≠ェ相手してやる
 一世一代の大仕事、絶対に成功させてみせるさ……見ててくださいよ、先代……!』


【何人もの海賊――武装は最先端だが、如何にも物語の中に出てきそうな格好をした面々が降りてくると】
【一部のグループは船の影に隠れるようにして各倉庫に移動し、積載された商材を運びださんと行動を開始する】
【最初は呆気に取られていた自警団たちであったが――直ぐに両者の間で、銃撃戦が始まった】

【しかし流石に堂々と突っ込んでくるだけはあり、海賊の面々の熟練差は数の劣勢を跳ね返し】
【このままでは様々な商品の運び出しを指を加えて見ることしか出来ない、そう思われた時だろうか】

【―――情勢を切り替えるスイッチとなる、二人の勇者が姿を見せるのは。】

/こちらはイベント『チョコレート・パイレーツ=xの開始文となります
/悪側の方は投下を開始し、VSイル・ピラータ≠フ皆様はこちらにレスをお願いします!
347 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 19:36:17.61 ID:gBEhqohgo
【ラグナール港湾部、第5番倉庫街=\―――鏡用倉庫】
【その一つ、入口が開け放たれた倉庫の中。覗けば多数のコンテナが並べられているのだが】
【奥の方からは、何かを漁るような音。恐らくそこに盗人がいて……】



【―――吹き込む潮風、揺れるカナリア色の髪。風を見事に受け流す、平たい体型の女が入口近くのコンテナの上】
【三つ編みハーフアップにした髪、首元の紅いスカーフ、それから右腰の白いポーチを除けば、黒ばかりで】

はぁ……早く終わってほしいで御座るな……。

【黒のノースリーブはヘソ出し、腕にはまた黒のアームウォーマー】
【黒スパッツの上に合わせるのは、これまた黒いタイトミニスカートで】
【左の腰には、黒鞘の短刀が二振、静かに並んでそこにあった】

【身長は150cmにも届かないほど、体型は先にも言った通り。顔も少女と大人の間くらいで、】
【外見的には、服装を変えれば小学校高学年くらいだ、と言われても信じられるような、そんな女である】

用心棒の仕事だと言うから受けてみれば、泥棒してる間の見張りとは……
――――ま、金が入るなら構わんので御座るが。

【やけに説明的な独り言の通り、今夜の女は見張り役。雇い主はきっと、奥にいる誰か】
【盗人を捕らえる為には、この女を何とかする必要があるだろう――――】



/丹波の中身でございます!宜しくお願いしますねー!
348 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 19:53:16.35 ID:WuDb7cIvo
【水の国 ラグナール】

【ラグナールの双月とまで言われたこの地は、六罪王が一人によってその名声を奪われてしまった】
【月を落とす、という凄まじい所業によって都市部は完全に壊滅し、港湾部も多大な被害を受けた】

【難民たちが去り、今はかつてのリゾートの残骸があるばかり。事件の際に現れた巨大機兵、ヴァルゴは今もそれを見下ろすように佇んでいる】
【しかし、人々はまだ折れてはいない。諦めない者たちがいる限り、終わりではない】

【だが、復興に向けて歩みだそうというこの街を、さらに蹂躙しようとする者たち。世の悪意はどこまでも尽きることなく】
【ならば、それを止めようとするものたちもまた然り。戦乱の音は止むことなく、再びこの地に響き渡る】


【ラグナール港湾部 第2番倉庫街=z

【立ち並ぶ倉庫の向こう側に見える海原の美しさは、陸上の惨劇など、どこ吹く風と言わんばかり】
【この倉庫街は、食品を始め鮮度のある物資が扱われている場所だ。現状を考えれば、この倉庫街の状況は想像に難くないだろう】
【すでに食肉は痛み始め、果実は熟していく。それらの臭いが、倉庫街中に充満している】

【そう、臭いが漏れ出しているのだ。各倉庫の扉が全て開け放たれ、倉庫内に閉じ込められていた臭いが外へと】
【またしても街が悪意の下にさらされているこの状況下、倉庫全てを開け放つものがいるとすれば、その正体は自ずとわかるだろう】
【倉庫の間を走る道路に大型トラックが何台も停車しており、何者かが倉庫内の木箱やコンテナを、あるいはリフトで、あるいは人力で運んではトラックに積み込んでいく】


『まさか、この短期間のうちに二度も同じ場所を荒らすことになるとはなあ……前の時よりかやりやすくていいけどよ』
「油断するな、ここにも正義連中がやってくる可能性は高い。警戒は怠るなよ」

【声を漏らしたのは、異形というべき二人の男だった。リフトを操作する彼らは、一つの肉体に同居しているのだ】

【胴体一つに、頭二つと四本腕。中央から向かって右が白、左が黒に色分けされた特注スーツ】
【向かって右側の頭は、病的に青白い肌をしたほっそりとした顔つき。後ろで一つに束ねた白い長髪。落ちくぼんだ目。白く濁った瞳】
【向かって左側の頭は、浅黒い肌に突き出た顎のがっしりとした顔つき。ボサボサに乱した黒い短髪。吊りあがった目。爛々と光る黒い瞳】
【スーツの両胸のポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ「No.50」と刺繍されている】


よし、この倉庫はもう十分だ。次は香辛料の倉庫に回る
スカーベッジ、食肉は残らず集めておけ。ネグティー、スカーベッジについていけ

<わかりやした!! おら来いネグティー、ボサッとしてんじゃねえぞおぉ!!!>
《は、はいい!! ごめんなさいスカーさん……》

【身長2メートルを越える大男が、この悪行を仕切っている存在らしい。周囲を荒らしまわる異形どもに指示を下しつつ、自身も略奪に及んでいる】
【巨躯を包むは、薄汚れた灰色の作業着。その上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角張った顔付きに短く切り揃えられた黒髪。両の目玉は黒い瞳の義眼。その義眼の真上には、額を埋める巨大な一つ目があった】


【命令を受けて動き出したのは、両耳と口元に鉛色のピアスをした、彫りの深い顔立ちの男だ】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒のベスト、迷彩柄のズボンに黒い軍用ブーツという出で立ち】

【その男に怒鳴られて、ビクビクしながら後に続くのは、女物の黒い礼服に身を包んだ儚げな若い女性だった】
【ボブカットにした紫の髪や、礼服の上からでもわかるスタイルのいい身体を、泣きはらしたように充血した鉛色の瞳、無数の自傷痕がある白い腕が台無しにしている】
【女性の下半身は、さらに異常。傘状に広がった大きなスカートから八本の鉄製義足が伸びて左右に展開している】
【尖った先端が地面を突き刺し、耳障りに軋みながら女性の身体を支えていた】


(さて、このような海賊行為が起きた、ということは、スペーツィエはここには関与してなかった、か……?)
(確実な情報がない以上、判断はまだ早いな。今は、略奪のお零れに預かることを優先するか……)

【邪な考えを脳裏で弄びながら、一つ目の大男とその配下らしき異形どもが倉庫を荒らしまわっていく】
【倉庫街に踏み込んだ正義の使徒は、これら異形どもと真正面から出くわすことになるだろう】

/カニバディール&『スクラップズ』です
/ロウの方、アルフレドの方、よろしくお願いします!
349 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 19:56:18.51 ID:B2tKSM/ao
【ラグナール港湾部――第13番倉庫街……のとある倉庫内】
【世界各地の骨董品、魔物の素材、刀剣――等、様々な貴重品が保管されている】
【――扱い辛いモノが揃っているが、少なくとも奪われて良いモノではない、特に混沌を望むものには】

「リザッシュ、次はこォっちだァッ!」 『ゥゥ……ザァァーーアッシュッ!!』

【それは黒い外套を羽織っていて、頭部から二本の赤い角を生やした、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【首には紫色の毛のマフラーを巻いていて、黒い褌一丁の服装で、また、鋭く赤い牙や同じく爪を持ち、いかにも悪魔だと思わせる黒い尻尾を持っている】

【その近くに居る青い物体――それは、青い身体で二足歩行な2m代のトカゲ男だ】
【頭部と手の甲には濃い赤色の刃があり、尻尾の先端にも斧状にその刃がある】

「ちィ……まァた複数種の蛇の抜ゥけ殻か、漢方や武ゥ具用ォ途……にしィちゃア混ァぜこぜ過ゥぎる、なァんかの研究用かァ?」
『(……そもそも、切り裂く必要、有るのか?)』 「勿論ねェよ?」 『…………ッシュゥ』 「――ぶゥっ壊すのが爽ォ快なだァけだ!」

【ズバシュッ!】 【悪魔がコンテナを放り投げれば、それをトカゲ男が刃で斬り裂いて】
【――中から出てくるのは、希少な蛇たち……の、抜け殻がたくさん。内容から察するに、此処は希少生物や魔物の素材の倉庫なのだろう】
【文句を言いつつも、魔法陣を生成してその中へコンテナ片ごと闇にして入れる辺りは、抜け目がないというかちゃっかりしているというか――】
【いや、それ以前に……これは立派な略奪行為。壊滅的被害を受けたラグナールにて行われる火事場泥棒……いや】

「さァて、人間共は今ォ日はバァレンタインだァか何だかで盛ォり上がっている……」
「――そォもそも、俺様は瓦礫回収による"フッコウシエン"兼……チョーコレート配りに来たんだよ、疲れ切った人間共にはチョーコレートがピィッタリだァからな!」
「ヒャハハハ、……よォーし、こォこのコンテナ群の代金としィて"後で払いに行ィく"かァーッ!」 『ゥリアーッ!!』

【……この悪魔……数え切れない数々の罪にて指名手配されている悪魔、"邪禍"と非常によく似ていて】
【違いといえば、こいつは毛に覆われてなかったり翼が無かったり、手配書ではは外套・マフラー・褌すらない全裸のはずだったり、――まあ、微々たるもの】

【――そもそもこんな所でこんな事している時点で"真っ黒"なこの亜人的悪魔、討つべき存在に間違いない】
【そういえば、この倉庫街に人の姿は一つ足りとも見えない。――血の跡のようなモノは見えるが、逆に言えばそれだけ】
【更に、独り言から察するに、此処でのテロ行為までほのめかしているが……】

/邪禍です、よろしお願いします!
350 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 20:02:37.03 ID:7lR+Yg5oo
>>346

【冷たい、凍て付く様な北風がぴゅう、と吹いた。季節は冬の真っ只中、港湾はほんの少し前まで冬の海の精悍さを保っていた。】
【港もまた、同じであった。交易センター前には武装した自警団員や"募集"を見て集まった士が幾人も巡回をしており、さながら】
【港は武装した要塞のようだったにも拘らず―――いや、例えどんな用意周到な防衛線があったところで、"コレ"は防げまい。】

【突撃してきた一隻の巨大船が、水門も、強靭な迎撃火線も、全てを圧倒的な"暴力"で支配・破壊し突破。】
【現れた海賊達は皆、"いかにも"という格好をした本物の悪人達―――こうして、港の緊張は見事に炸裂し、新たな戦が始まった。】
【カメラでも回っていれば、ハリウッドの超大作として『OH,COOOOL!!』等と大騒ぎできそうな光景だが、どうやらそうもいかないらしい。】

【―――目の前のド級スペクタクルに若干、面食らいながらも―――"彼女"は跨った愛馬に鞭打ち、素早く駆けた。】


 ハイヨ――――――――――ッ!! シルヴァァァァァァァアアアアアァァァァァァッ!!
 
【船底が陸地を貫き、港へと侵入したときのあの轟音。戦場と化した港に響く銃声や悲鳴。―――より、更に大きい程の怒声が響く。】
【乾いた空気を貫く一陣の疾風が、純白の弾丸となりて悪を討つ/撃つ。舞い降りたその姿は"白馬"、そしてそれに跨った―――……】
【カウ・ガール。いや、むしろガン・スリンガーと読んだほうが正しいか。そのどちらでも構わない、悪党であれば彼女を知っているから、だ。】

【馬蹄が地面を貫き、周囲の海賊達に向かってすかさず、馬上から怒涛の発砲、発砲、発砲―――!!】
【強烈ながらどこか古めかしい、古式な銃器の射撃音が鳴り響き、弾丸の霰の中を彼女は飛び降りて、そして立ち塞がった。】
【目の前の海賊の恐らくは頭と思われる人物―――キャプテン・キネシスの前に、堂々と、一歩も譲らぬその姿。】

 なーんちゃって、ウチの愛馬の名前、ホントは『アニー』ってんだけどね。それに女の娘だし。
 けどま、時代錯誤の海賊さんたちにはこれまた時代錯誤の"ヒーロー"がキッツイ御仕置きをかましてやらなきゃ、でしょう?
 こんばんわキャプテン<船長>、アタシの名前はセリーナ。セリーナ・ザ・"キッド"! 悪い奴をこらしめる、正義の弾丸さ。
 
 さて、今更聞く気も無いだろうけど一応警告はしておくよ? 大人しく投降するならロープでふん縛るだけで勘弁したげる。
 でもそうじゃないなら―――アタシの弾丸は万物を穿つ。たとえ相手がキャプテン・スパロウだろうとディビー・ジョーンズだろうと、ね。
 悪いことは言わない、お縄に付きな。さもなくば―――……

【セリーナ・ザ・"キッド"。賞金稼ぎとしてもそこそこに名は知れていたが、今はUTの創設者としての方が有名だろうか。】
【悪党であれば、彼女の顔や名前には聞き覚えがあるはず。きっと、とても厄介で殺したくて仕方が無い存在であるからだ。】
【海賊と、ガンマン。互いに時代を間違えたような存在が今、合間見える―――瞬間、セリーナは構える。隙の無い、静かな動き。】

【―――足を少しだけ広げ、右手の指をホルスターへと近づける、その仕草。西部劇では馴染みの、"速撃ち"前の威嚇だ。】
【キネシスの返答しだいでは、彼女の最も得意とする強烈なクイック・ドロウが火を噴くだろう。それは恐らく、開戦を告げる鐘の音になる、か。】

/セリーナです! 喋り屋さん、そして主催者さんお願いします!
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 20:03:20.06 ID:W/PLyJG+0
>>345

【それだとしたなら、ずいぶんと甘えん坊の猫さんだ。或いは、本当の猫よりも、ずっと】
【けれどそれを言い出してしまうときりがない、だって、彼女だって変わらないぐらいに甘えん坊さんだから】
【強いて結論を出すなら、“どちらも甘えん坊さん”だった。――もしかしたら、彼女の方が、少しひどいのかも】

【目元をぐしと拭われる。微かに零れた吐息の欠片、ぎゅうと目を閉じたきり、されるがままになる数秒間】
【その行為が終わったなら――そっと、控えめに強請ることがあった。膝に乗りたいと、抱き締めて欲しいと、甘えて】
【それを赦したなら、膝の上にちょんと向かい合わせで座るだろう。おっきな背中に両腕を回して、それでやっと落ち着くはずだった】

ううん、いいの……、だいじょうぶ。だいじょうぶだよ……、どこのお風呂にだって、あったもの。

【すんとちっちゃな呼吸の音、涙を啜るようにして、本当に泣き出してしまうのを、ぎゅうと堪えられたのは】
【彼がすぐ傍に居てくれる体温があったから。それ以外の理由なんてなくて、――ふらふらと、首を揺らすようにする】
【入りたがらないというだけで存在しているだけならば大丈夫だった。無理繰りに慣れた、というのがその理由であって】
【だから大丈夫なんて言うのは、別段無理をしている風でもない。お金のかかることだから、と、そっと口に出して】

【(ある頃合から、なるべく金を使わせないようにしようとしている節があった)】
【(洋服でも、ぬいぐるみでも、くれるものは貰うけれど、自分から欲しがるようなことが減りつつあって)】
【(それは遠慮でもあるけれど、彼さえ居てくれれば満足というようなことを、言ったことがあったかもしれない)】

うん……、大丈夫。ちゃんとするんだって、決めたから――、……、いちにちだけ、?

【こくんと頷く、これでもちゃんと覚悟はしているのだった。いやなことまで話す、ちいちゃな覚悟】
【少しだけ涙の気配を残す瞳でじぃと見上げる、彼は涙の確認すら出来なかったというのに、ぎりぎりまでを覗きこむ無鉄砲さは】
【彼にならば呪われても構わないというような自己犠牲の欠片でもある、――好かれるために首を差し出した初日を、思い出させるような】

銀の指輪を……?

【――うそだぁなんて目をしていた。くすりと洩らして見せた笑顔は、なんだかとんでもない話を聞いたことで気の逸れたように】
【あんまりガチの出来事だと受け取っていないようでもあった。指輪は壊すものじゃない。そんなイメージが、強いなら】
【ちらりと視線が動く、向かう先は当然のように薬指に嵌める指輪で、――これを毀すなんてとんでもない、そう、思考した】

【ぽふぽふと背中を撫でられる、自分のものよりもずっと大きい掌は、それだけでなんだか安心できるようで】
【心地よくって眼を閉じるのは、いつかを思い出すようでもあった。――そう、あのときは目を開けたら、】

……目の前に真っ白な蛇が居たの。気付いたら、真っ白な蛇と、わたしと、それだけだった。。

……それでね、生きたいかっていうの。だからね、“死にたくない”って答えた。

【目を開けたら目の前に彼が居た。それは当然のことなのだけれど、ほんの少しだけ驚いたような目をする】
【そこでようやく“彼”が姿を現した。今では宝玉に喰われてしまった白蛇、彼女の右の瞳は彼と同じ、血の色をしていて】

――気付いたら、袋の中にいた。真っ黒いゴミ袋……、ぺたぺたして気持ち悪いから、破って、外に出たの。
頭の中で誰かの声がして……、――目の前に、施設のひとが居たの。びっくりした顔して、わたしのこと見てて、
捕まえようとするから――その場に居た三人、全員殺して、そのまま街に逃げた。

…………わたしね、天音ちゃんも、音々ちゃんも、置き去りにして逃げたの……。

【そう、その孤児院のお話には不思議なところがあった。被害者たる少女の死体がひとつ、行方不明になっていること】
【目撃したほかの職員によれば一振りの刀を抱いて逃げて行ったのだと言う。その後の行方は誰にも知られておらず、】
【こんな世界だからそんなこともあるのかもしれないということで処分されてしまっていた。けれど、この話を聞いたなら、】
【消えた死体がどこに行ったのか。疑ってみる余地もなく、こうして語らうのが、間違いなく“それ”だった】

その日の夜に貰ったんだよ、鈴音って名前。前の名前は――わたしには、似合わないから。

【初めて殺された日。初めて殺した日。――そして、人間をやめた日。あまりにも思い出深い、誕生日の日だった】
352 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/14(金) 20:10:05.02 ID:WwVw5sX40
>>347

【――――扉から覗く外の闇が、一瞬蠢き、膨らんだ様に映る】
【そこから、恐らくは外よりは多少の明かりが確保されているであろう倉庫の中へと、何者かの足音が一歩踏み込んだ】

――――ここで何をしていますか
表の騒ぎに便乗しての火事場泥棒なら、さっさと出て来てください……!

【倉庫の中に、幼い少女の様な声が響く。それは、高めの音域の印象に反して、しっかりとした腹式呼吸から吐き出される、力の籠った声で】
【それと同時にもう一歩、入口からの介入者は倉庫の中へと足を踏み込み、その姿を明かりの下へと晒す】

【黒い身体に幾筋かの光線のラインが入った、細く歪んだ人型】
【右手は肘から先が光の剣となり、左手は肥大・硬質化し、爪のついた盾の様な形で】
【何らかの機械の様な頭部には、ラベンダー色の髪が、束ねられたように幾筋かに分かれ、風もなくはためいている】

【声の主の『幼い少女』と言う印象とは、やはり完全に異なる、『異形』としか表現しようのない人物が、真っすぐに倉庫の奥を見据えていた】

……抵抗するんだったら、こっちも穏便にはいかな……ッ!?

【尚も声を張り上げ、姿の見えない賊へと警告の文句を叩きつけながら、周囲をぐるりと見渡す異形だが】
【その声が唐突に途切れる。コンテナの上に陣取る人影に、そこで気が付いたのだ】

……抵抗するなら、負傷や戦死も、最悪覚悟してもらいますよ……!

【右手の剣を真っすぐにコンテナの上の少女へと向けながら、異形は宣言する】
【倉庫を物色する賊のガードを担当するのが少女の役目だと、悟ったのだろう】
【なら同時に、異形にとっての障害も、同じく少女が該当すると言う事も意味する事になる】

/ラベンダァイス中身です。よろしくお願いしますー!
353 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 20:10:18.51 ID:b1RzXPnn0
>>346

【こつこつ、軽い音を立てて靴音が鳴るも、銃声に掻き消される】
【ついこの前襲撃されたり月が堕ちたりしたのだというのに、この騒ぎ―――嘆きたくもなるが】
【今はまず、この状況を打破するべきなのだろう。雇われた能力者の一人は、センター側からローファーの音を立てて歩いてきた】

――――――…『デカブツ、機関に、月が堕ちて次は海賊って…随分と災厄が降りかかるね、不幸な街だこと』
『まあ、そのおかげで食ってける俺が言うことじゃあないか…なんとも皮肉だ』

【銃声に混じって響く声はハスキーな青年のよう。呆れだとか、諦観に近い声色で感想文を垂れる】
【適当に散らばらせた言の葉は紛れもなく今近づいている『少女』のものだったのだが―――その童顔の小さな口は固く閉ざされて】
【代わりに己の喉元へと、右手の人差指が宛がわれていたのだ。さながら、レコードを鳴らすための針の如く】

【雇われの何でも屋。勇者とは、正義とは程遠い立場ではあるが、せめて今回は正義であろうと決め、少女は進む】


――――――――『てなわけで海賊さん、さっすがにこれ以上の追い撃ちは大人げないだろうよ?』
『今なら船水没くらいで許してやるからさぁ――――さっさと降伏しとけよ!』


【―――グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰にはブラウスごと細い革ベルトが巻かれて、黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金のショートヘア―――そのような容姿の少女】

【「さもなくば」――――途切れた言葉と同時、地面から這い出る一本の『土の右腕』、まだ行動は起こさない】
【放った言葉は正しく宣戦布告。少女、もとい喋り屋は戦場へ足を踏み入れると―――その賊たちと対峙するが如く、彼らを見据えた】

/喋り屋です、セリーナさん主催者さん今回はよろしくお願いします
354 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 20:22:06.30 ID:RQHyq+vLo
>>348

【ラグナール。それはSCARLETにとっては屈辱の地であることは間違いない】
【彼等が「盾」の役目を果たせなかった事実を、言葉よりも周りに広がる無残な光景が痛々しい程に示していて】
【―――そして、その姿をその事実を紺碧の両眼で受け入れる男が独り。……SCARLET所属、マーシャル・T・ロウ】
【今は感傷に浸っている場合ではないことは分かっていたが、実際に現場に足を踏み入れると溢れてくるのは悔しさ、怒り、情けなさ】

……―――っ、俺の阿呆ッ……今はそんなことしてる場合じゃねーだろが……!!

【自分に言い聞かせるように言葉に出せば、両手で頬をパチンと叩いて。屈辱の地を更に荒さんとする不届き者を退治せよ―――との、今の任務だけを心に刻む】
【―――すると突然、何処からか漂ってくるは異臭。磯の香り―――などではない。明らかに違和感を感じる、鼻を摘みたくなるような刺激臭で―――】
【ロウは眉間に皺を寄せ不快な表情を見せると共に、大きく口で息を吸ってできるだけ匂いを感じないようにしながら臭いのした方向へと駆ける】
【―――かつて負っていた右足首の傷は完治した。とは言っても筋力は衰えかばう癖が身につき、かつての足が戻ってきたとは言いがたいが】
【それでも前よりは走ることが出来る身体になっており、ロウは今出せる全速力のスピードでラグナールを駆けた】

【―――そして見えるは、決して忘れもしない外見の「大男」の姿と。……その手下と思われる、これまたインパクトに溢れる連中】
【瞳は険しく細まり、闘気に満ちるギラついた輝きを漏らして―――両手に具現化する赤と青の拳銃。……刃のように鋭く切れる雰囲気から、怒りの声が荒らげる】
【銃のグリップを握る力がより一層増し、力強く大地を踏みしめて止まれば銃口を知った顔の彼に向け―――】

―――忘れねぇぜ、その面ぁ……ッ! イルなんとかっつーのはテメェ等かッッ!
いや、関係ないね……カノッサ機関の野郎が此処に来るってこと自体が……今この俺を……ッッ!! SCARLETをコケにする行為なんだからなぁッッ!!

【―――閑散とした倉庫街に広がる、独りの男の憤怒。臭いが不快だとか、もうそんなことはどうでもいい。―――ただ、カノッサが此処に居るという事が、許せなかった】
【青のソフト帽から見える眼光は大男とその手下を睨みつけ―――着込んだネイビーのロングコートに身を纏った男は、SCARLETのプライドを傷つける彼等に牙を剥いた】

/ロウ中身です、お二人ともよろしくお願いします!
355 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 20:26:21.19 ID:74i9mOuNo
>>348

【ラグナール港湾部・第2番倉庫街前】

くそっ…………!!

【息を荒らげて走ってきた青年の声が、外壁にぶつかって弾けた。海賊の襲撃によって再び混乱の直中に陥れられた、このラグナールの地において】
【左肩に水の国警察≠示すエンブレム、右肩にSCARLET≠フエンブレム――――二つの正義を掲げるこの青年の立ち位置は、非常に解りやすい】

【――――そうしていま、この第2倉庫街へと踏み入ったのは】
【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁のメガネを掛けた、怜悧な雰囲気の青年であるだろうか】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はジーンズと膝丈ブーツという服装。上半身や腰、太腿などにはポーチ付きのベルトを装備していて】
【左胸の上と腰の左右にはホルスターがあり、左胸には派手な金色をした大型拳銃が心臓を守るかのように吊り下げられているだろうか】
【そして本来、腰の左右に吊り下げられている筈の奇抜な形状の銃器。それは既に二丁とも、彼の両手の中で引き金が引かれる瞬間を待ちわびている】

(あの異形…………見たことがある。確かカノッサ機関の――――)

【饐えた臭いが鼻を突き刺せば、倉庫街の空気は何倍にも澱んで見える。青年も真正面から飛び込むことはしない】
【手近な倉庫の壁に体を預けて気配と息を殺すと、微かに顔を覗かせて異形の集団を確認するだろうか】
【青年もまだ若い。彼らの異常すぎる身形に、怯懦を覚えない訳ではなかったが…………しかし、ことこの街ではそれも消え失せる】
【――――天上の月が、丸ごと落ちる。そんな馬鹿みたいな光景を、数え切れない命が失われる光景を、ただ眺めるしかなかったあの時を思い出せば】
【今更異形の一人や二人で驚いてなどいられない。例えその相手がSCARLET≠フ調書で幾度も見かけた、札付きの悪党であろうと】
【無惨に半身を砕かれてしまったこの街に、それでも微かに根付き始めている復興の芽は――――決して摘ませるわけには、いかない】


(まずは、連中の脚を潰す!!)

【青年は一度目を閉じて深呼吸をすると、一気に物陰から飛び出し、両手の二丁拳銃≠構えて突進する!!】
【構えた二丁の拳銃は、どちらも黒い特殊魔鋼をベースに白い強化パーツで覆われ、各所にエネルギーラインが走った近未来的な外観だ】
【左手に持つのは、下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる回転式多砲身機関銃――――ハンドサイズのガトリングガンのようだ】
【後部が護拳のように広がっており、その中にグリップが隠れている構造のため、まるで銃を直接左手に取り付けているようにも見える】
【逆の右手に持つのは、上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガンだ】
【名前だろうか、銃の側面にはそれぞれ『Nara(ナール)』と『Kibrit(キブリット)』という文字が刻まれていている】

【青年は走りながら、左のガトリングガン『Nara』をリフトへ向ける。回転する砲門から連続発射されるのは黄色の弾丸、電撃≠フ魔弾だ】
【一発一発の威力は低いものの、弾丸は一瞬にして数十発分の弾幕と化す。すべて当たれば強い電流が流し込まれることになるだろう】
【狙いはリフト機関部の故障と、乗り込んでいる男へのダメージだ。これでまずは一人、となればいいが…………】
【そして同時に、右のハンドガン『Kibrit』が火――――もとい風≠吹く。発射される緑の魔弾は、風圧≠フ魔弾】
【狙いはリーダーらしき巨躯の男の右膝。着弾の瞬間に魔力にくるまれていた圧縮空気が炸裂し、強烈な衝撃でもって男の機動力を奪おうとするだろうか】

【どちらも殺傷力はないが、当たれば効果的な一撃である。まずは青年の初手、どのような結果を齎すか…………】
356 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 20:29:09.84 ID:AtUrYs9+o
>>351

【拒む事など勿論無い、膝の上に彼女を座らせれば、彼からも背に腕を回すだろう】
【大丈夫だとか細く返されれば、少しばかり思案するような間があった。近頃薄々、彼も察していた事】
【与えられてばかりでいる事も一方では苦痛だと、五歳の時に既に分かっていた筈だのに、彼女にはそうしてしまう傾向があった】

【(命を何処かにかなぐり捨てるレベルで魔獣討伐に明け暮れていた時に築いた財は、彼にとって所詮服属品でしか無かった)】
【(使い道さえ浮かばない程、本当は祖国に戻り素性を明かせば、今となっては政府の所管となった家財も残されているのだ)】
【(余りに血生臭い革命は後の人々の悲愴の的となり、唯一遺体の上がらなかった皇太子の存命説さえもまことしやかに囁かれる程)】
【(尤も、そんな騒擾は彼にとっても不必要で、枷にしかならないもので――政府が樹立したといえ、未だ身の危険も考えられるのだから)】

……、……分かったよ。

【やがて何かを考えついたような顔をして緩く微笑んだ。たまに子供のような事を思い付く時の、その表情だった】
【其れから、鈴音の背を撫であやしつつ、その先の話を聞く。消えた死体の正体、そして、天音達と離れ離れになった理由】
【――ふと、自分達を置いて去った悦那の姿を思い浮かべた。あの時の兄は、本当に酷い表情をしていた】

私も……、結局十二の時に、月彗ごと悦那に置いて行かれたんだ。……けれど不思議と、恨む事はしなかった
本人は酷く気にして背負い込んでいるようだけれど……、何処かで生きているなら、それで良いと思った
……きっと音々子達も、同じだと思う。置き去りにされた事を、君を責めるような事は、しなかっただろう?

【だって仕方の無い事だったのだから、殺してしまった事も、それまでにされた事を思えばどう責められようか】
【置き去りにされた側であったからこそ、その言葉には何処か正当性があって、少しなりとも彼女を励ませるだろうか】
【自分を世界で一番責める相手は、他ならない自分自身なのだから――、その苦しみが、少しなりとも緩和されるように願った】
357 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/14(金) 20:32:30.61 ID:NCDQgycko
>>350

『―――なっ、なんだッ!?カウボーイか……いや、ありゃ女だぞ!』
「はっ、冗談じゃねえ!こっちはコスプレお遊びで来たんじゃ――う、おおおおっ…!」

【初め、海賊たちは突如として現れた白馬の彼女を、それこそ鼻で笑って迎え入れた】
【これなら自警団のへっぴり腰の方がまだ頼もしいと。そして、それは連続する銃声でピタリと止まった】
【一人の海賊が撃たれたのだ。今まで無事だったのに、数発で――!これだけで、もう実力派明らかになって】

【そして声がかかってぬっ、と船の上に姿を見せるのは――これは壮年の男性だろう】
【だろう、と推定の形なのは少々装備がゴチャゴチャとしていて、顔がハッキリ見えないからだ】

【胸元まで伸びた顎鬚に、大きなキャプテン・ハット。これは群青の鮮やかなものだ】
【それから両目を隠すようにわざと衣装と合わせたような古いサングラスをつけ】
【首元にはギラギラと輝く宝石のネックレス。勿論、服は他のものと同様海賊らしい≠烽フである】

やあどうも!こんなシケた港町に君のような素敵なお嬢さんが居るとは驚きだ!
俺らは海賊、本来なら美人も略奪の対象だが……ちょいと手こずりそうだ
……そこでだ、今なら見逃しても良い。センターに取って返すなら
その可愛らしい頬にキスするだけで返してやっても良いが……


――お嫌かねセリーナ・ザ・"キッド"?あぁ嫌だろうな、君のような鼻っ柱の強い女は皆そうだ
お噂はかねがね聞いてるよ、UTの…そして君の、噂だ。

確か以前、奴隷商のパーティーをぶち壊した事があったな……その時、私もあそこに居たんだ
奇縁を感じる!……そこまで言うと、言い過ぎだと思うかね……?
……いやいや。私は縁を感じざるを得ない、なにせ―――私も拳銃使いだから=cね。

【何処か狂言回しのようによく喋る。ふと指輪やらでゴテゴテとした手元に握られるのは一丁の銃】
【名前は分かるだろうか――アストラM900≠ニいう古式の拳銃である】
【そしてそれを抜いたということは、もう言わずもがな。投降の意志は全く無いようで】

>>353

おおっと!こちらにも可愛らしい美女が一人だ、大人気じゃあないか私達は!
だが残念、君らを同時に武装解除して誘拐するほどの余裕はこちらには無い……

……あぁ勿論、そっちから降伏するなら話は別だとも!さあ、速く降伏したまえ
妙な声真似も結構だが、ウチの若手は恐らく君の別な声を聞きたいはずだ
どんな声かって?いやいや、それを大声で言うほど私は破廉恥な性格はしていないのでね!

――――おやこれまた見かけに合わないイイ腕じゃないか、恐ろしいな。吹き飛ばさないと…。

【新たに現れる異質な敵の声に、海賊はもう首領らしい男以外声を上げなかった】
【これは自警団も似たようなもので――名の知れたUTのリーダーと、そして土の腕を操る少女と】

【この二人に任せる事こそ第一だと、後方で舞台を指揮するエルベシア・レセップスが判断したのだ】
【故に後方からの銃撃は止む。援護射撃は消えるが、誤射の可能性も同様だ】
【ただし言ったとおり、首領らしい男――キャプテン・キネシス≠ヘ引き下がらず】

残念ながらお嬢さん、我らがイル・ピラータ≠ヘ現在陸上で装甲船と化している
生憎と水に沈めるのは難しいのじゃないかな?おや、そういう意味で言ったんじゃないって?

まあそんなことはどうでもイイさ、問題はこれから君たちと、そして私がどうするかだ
君らは私に降参を呼びかけ、私はそれを断った。じゃあ次の局面だ、ステップ2だ
呼びかけに応じなかった私が大砲をブチかます―――どうかね?――おいお前ら、とっとと火薬を詰めろ!遊びじゃねぇぞッ!!

/続きます
358 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/14(金) 20:32:40.36 ID:NCDQgycko
>>ALL

【キャプテン・キネシスの大声が船に響く。既に方向転換は不可能となっているこの船だが――】
【それでも大砲は可動性だ。最初に船長がそうしたように、船べりからヌッと砲門が2つ、姿を見せると】
【それぞれがセリーナに、そして喋り屋に向き―――ガコン!≠ニ弾が装填される音がして】

――言い忘れてた。我々はとても普通の人間だ、バラバラの肉塊になったとか
腕や脚が取れて血塗れだとか、そういう状態になった君達を連れ去ることは無い

だーかーらー……?フフッ、安心してコイツを食らってくれたまえ、最上の弾頭だ!
さあぶちかませお前ら!手加減してるとこっちがやられるのは何度も言ったはずだ!
お遊びじゃあない!何度も言うがな……おっと、君らもそのつもりで頼むよ、レディース…?

【言葉の直後、2つの大砲は火を噴いた。それぞれ、直撃すれば人体など一溜まりもないし】
【仮に避けて広場の石畳に叩き込まれれば、路面を大きく砕いて破片が彼女らを襲うだろう】
【情け容赦のない海賊、それがこのキャプテンだ。歳を食っても、耄碌しているようには見えなかった】

【そしてキャプテン・キネシスは砲撃に合わせて船から飛び降り、二人の女性と同じフィールドに降り立って】
【一丁の銃を構えたまま、さてどうなったか、と広場を眺め―――。】
359 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 20:33:43.94 ID:ufbkP29V0
>>349


【……今は無きラグナールの繁栄を、彼は知っていた。】
【―――正義の敗北。現状を表現するのに、端的に言ってしまえば、この五文字の言葉に匹敵する物はない。】
【確かに予想外と言えば、予想外ではあった。カノッサの手段は全て"ヴァルゴ"にあり、まさかそれが二重の意味で罠である事に気付けはしなかった。】
【然しその全ての要素を引っ括めて、正義は勝たなくてはならないというのが真実だ。―――全てを守る為に、死力を尽くしてでも。】

【この少年も、その一端だった。パトロール……壊滅的被害を受けたこの場で、所謂火事場泥棒が出現するのは自明の理、……という事である。】
【やがて聞こえて来るのは何かが破壊される音。案の定、と言った所だろうか、……まあ、物質的な被害は、ある意味で副次的な物だ。】
【……然し微かな赤色の臭い、誰もが気付く事が出来ない程度の何かを、破壊音を運んだ空気の中に嗅ぎ分ければ、その話は大きく変わる。】
【否、180度真逆と言っても良い―――兎に角、小さな小さな影は、その発信源へと文字通り、閃光の如く駆け抜けていく………。】

【やがて現れるのは、2m以上の肉体を持つ彼から見れば、それこそ一握りで潰してしまえそうな―――たった一人の少年の姿だ。】

【少し短いさっぱりとした黒髪に、何処か虚ろで黒い目。耳には黒縁の眼鏡をかけて、首筋をワインレッドのマフラーで埋めて。】
【6つの木製のトグルが目立つネイビー色のダッフルコート、インナーには白と黒のボーダー柄のシャツ。】
【落ち着いたベージュ色のチノパンに、白を基調として所々に青色と赤色のストライプが入ったスニーカー。】
【肩からは真っ黒のベルト。大きな白いアルファベットがプリントされた水色のショルダーバッグが斜めに掛けられている。】
【全体的に落ち着いた服装だ。又、165cm程の身長と顔付きから"16歳"位であろう推測出来るが、其れは極めて正しい、が―――】


………お前、………何やろ、もうええ年しとるんやろ、………そんなん………―――。


【あろうことか、哀れんで見せるのだった。まあ、大の大人が殆ど裸で、かつリズミカルな略奪行為に及んでいるのだ、】
【呆れて物も言えない状態になっても、それは普通の事なのかも知れない。―――が、ふと吸い込む空気には血液の香りが混じっていた。】
【少年はハッと思い出し、………やがて、敵意を剥き出しにする事だろう。ポケットからスッと拳銃を取り出せば、セイフティを慣れた手つきで外し、】
【トカゲの男の―――寸分の狂いも無く脳天を捉えた。人差し指は今にもトリガーを引かんと、既に準備、待機しており………、】


……俺な、"血の臭い、嫌いなんよ"。………まずはその跡の事、吐かんとドカンやで―――、


【極基本的な脅迫であり、見方を変えれば其れは取引でもあった。その血は誰の血なのか、言わなければトカゲ男の命は保証しない、そういう事だ。】
【然し其処に僅かな声の震えを聞き取れたのなら、それは間違いなく正しい。―――率直に言って、先程の発言は、ハッタリ、であった。】


/邪禍さんブライトさんよろしくですよ!
360 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 20:48:44.56 ID:hUqNkNHwo
>>352

【外に広がる、夜の黒。入口から覗いていたのが遮られたなら、響く声】
【それから現れた異形の姿を見るや、女は気だるそうな溜め息を一つ】
【顔に浮かべた表情は、溜め息よりも尚、怠そうなもので】

ほらもう……早くしないから……。

「えー何ー?丹波ちゃーん、誰か来たのー?」
「俺らまだ時間掛かるからさー、丹波ちゃんそっち何とかしてくれるー?」

はぁ……仕方ないで御座るな……――――

【奥から聞こえる、いかにも≠ネ若者たちの声。丹波、と呼ばれた女はコンテナから飛び降りて】
【――明かりはあれど、数は十分ではなく。蝋燭の様な頼りない光が、ところどころにあるばかり】
【恐らく、本来の明かりではないだろう。倉庫を漁る彼らが用意した、最小限の光源――】
【そして女は、音も立てずに着地。また溜め息をついたかと思えば――――】

――――生憎と、一度受けた仕事はやり通す。それが拙者の流儀で御座ってな。
死ぬ気などサラサラ無し。仕事を諦めるつもりも無し。まあ、そういう事で御座る。

【スイッチが切り替わった、とでも言うのだろうか。さっきまでとは別人の様な、真剣な顔】
【左手で素早く短刀を抜き放ち、右手はポーチの中へ――――】
【瞬間、無駄の無い動きで右手が投げ放つのは三つの棒手裏剣!脚を狙ったのは機動力を削ぐ為か】

【――――――斯くして、戦いは始まった】
361 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 20:59:54.09 ID:B+Z/EefZo
>>349

【――遠くの方から誰かが近づいてくるのがわかるだろう】
【徐々に大きくなってゆくその音は、誰かが駆けて来ることを知らせている】
【だが、ジョギングしているかのような速度は戦闘に向いているようには思えないかもしれない】

【それでも彼女は倉庫の入り口に立つのだろう】
【もうかなりの物資が奪われた後であろうが――これ以上の悪行を許すわけにはいかない】
【全速力で駆けた疲れが見える眼にはしかし、被害拡大を食い止めようとする意志が強く灯っていた】


(…………変態、さん、でしょうか)


【少年の隣に立ったのは、パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】
【大きめのショルダーバッグを肩にかけ、手にはスケッチブック≠持っている】

【脳が視界に入った男を悪魔のコスプレをしたほぼ裸の変態≠セと断定。隣の人外は……なんだろうか】
【この珍妙なペアに彼女は軽く唖然とするのだが――行われている行為は略奪に他ならない】
【停止しかけた思考が動き出すと、彼女はペンを取るのだろう】


『一度だけ警告します。盗ったものを全て置いて、大人しく捕まってください。
 抵抗すれば痛い思いをすることになりますよ。私もそれは、あまりしたくないです。』


【スケッチブックにそれだけの文章を書けば、裏返して男へとそれを示すだろう】
【同時に能力を発動させたようで、彼女の首周りに青いリングが浮かび上がる】
【そして、聖に近い力が辺りに広がってゆくのがわかるだろう】
【ただそれだけではあるが――脅しではない、その意志表示にはなるだろうか】

/遅くなりましたがブライトです。お二人ともよろしくおねがいします!
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 21:02:10.83 ID:W/PLyJG+0
>>356

【座ることを赦してもらった膝の上、ちょんと座り込んだなら、或いはそこが定位置であるようにしっくりと来る】
【こんなことを一年と少しの間に何度繰り返しただろう、きっと野鳥の会だって数えるのを投げ出すぐらい、たくさんで】
【背中に手を回されてふわと笑う表情があった。見えないかもしれないけれど――きっと、気配で、伝わるのだから】

【昔は与えられるばっかりでよかった。ぬいぐるみが増えれば増えるだけ寂しさが減るように思えたし、】
【何より関心を向けられていることの証拠になる。その愛情が拙かった頃は、それで満足することが出来たのだけれど】
【いつからかそれじゃあ満足できないようになっていた。申し訳なさとか、そんな感情が表れだして――】
【与えられるばっかりではいけないと気付きだした、同じぐらい与えたくって、もどかしくなるから】

うん、……。

【いつもよりぐっと子供ぽい表情は、だいすきな表情のうちのひとつだった。抱き締められているが故に、見えないのが残念だけれど】
【そっと気配で察する、ああきっとあんな顔をしているのだろうなと空想して――ほんのりと、口元に笑みが浮かんでしまうぐらい】
【怖い思い出だって届かない。新しく手に入れた総てが、きっとその心を守ってくれるから、もう怖くない、(って、思いたくて)】

……そうかな、ほんとうに、気にしてない?
わたしが逃げた後ね、騒ぎになったんだって。それで、みんなは別の“ちゃんとした”孤児院に移されて……。
だから大丈夫だよって言うの。でも、……ほんとうに、怒ってない?

【そうと抱きついていた身体を離す、ちらりと窺うように見る顔、視線を合わせないようにぎりぎりを見つめて】
【一時期ニュースを騒がせた事件のきっかけがそこにあった。死体が三つほど死体を製造して逃げ出した、それが】
【警察だか自警団だかの調査が入るきっかけになって、人身売買の温床になっていたことが判明した。みんな、助かった】
【――それを聞かされても気にしてしまう。自分が真っ先に逃げ出したのだから、なんだから裏切り者みたいで】

【だから。同じような立場にあったのだろう彼に尋ねる、本当にそうなのかと。――頷いてやれば、安堵して笑うはずだった】

それでね、そこから四年間は何もないの。ただね、暗くて、真っ暗で、なんにもなかった……。
……探されてるかもしれないって思ったら、街中にも出られなくて。ずっとね、いろいろな街に行って、路地裏の奥のほうに居たの。

……――すっごく、寂しかったの。**様はお話してくれるけど、撫でてくれないし、抱き締めてくれなかったから。
その頃にはね、まだ身体が作れるほどじゃなかったの。だから、お話してくれるだけで……、……。

【逃げ出した後の空白。何もなかったと言い切ってしまうぐらいに何にもなかった、隙間の時間】
【強いて言えば毎日食事を探すのが大変だったとかその程度。或いは、街間を移動することが大変だったとか――そんな、】
【三人殺しの逃亡者。実際、消えてしまった少女を探す動きもあったらしいのだが、見つかることは終ぞ叶わないままで】

……寂しかったの。すっごく、寂しくって……だからね、話し掛けてみようって、思ったの。
誰かとお話してみようって――それでね、話し掛けたのが、……怜司だった。

【何度その名前に魘されただろう、誰も居ない部屋の角に幻覚を見てまで泣きじゃくって、まともに言葉も交わせないぐらいに錯乱して、】
【ただ抱き締めることでだけ救われた。抱き締めてやったときだけ安心した顔で泣き止んでくれた、そんな過去がひどく遠くのことのよう】

はじめてだった、人間とお話するの……。思ってたよりずっと優しくしてくれて、ぎゅうって、してくれて……。
だからね、……まちがえたの。本当はね、好きになっちゃいけなかった。

【彼の背中をぎゅうっと抱き締める、その声は不思議と穏やかで、――そこばっかりは、確かにいい思い出として記憶されていた】
【はじめて触れ合った人間がそのひとだった。その出会いをきっかけに、他のひととも接触を持つように、なったぐらいに】
【声がしんと褪める、夢から醒めてしまった今から思えばなんとでも言える。けれど当時、そのこころは本物で】
【初めてだった分余計に真っ直ぐだった。或いはセシルに向けたものよりもずっと純粋に、綺麗なままで愛を欲しがって、】

【――ちょっぴりだけ背伸びをして肩に頭を乗せる、視線は遠く壁を見つめて――ぱちりと暖炉にくべた薪の弾ける音】
【少しだけの沈黙が生まれるのだろう、言葉を探すような幕間、一度頭をずりと動かしたのが、仕草らしい仕草だった】
363 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/14(金) 21:10:31.10 ID:WwVw5sX40
>>360

……………………

【どこか軽薄で粗雑な声が、倉庫の奥から響いてくる。異形は苛立たしげに首を軽く振るって見せた】
【間違いなく、思った通りに火事場泥棒の類だと言う事を、この時に確信したのである】

……金で雇われた訳ですか……まぁ、外の騒ぎの面々と通じてる連中じゃないだけ、まだマシかも、ね……

【すっと右手を下ろして、身体の後ろで構えながら異形は肩をすくめてみせる】
【薄暗い中、右手の剣を構成する光が、すぅっと光芒の尾を引く】

……だけど、だからと言って手心を加えたりする気はない……!
『UNITED TRIGGER』の兵器……ケツァル・コアトル=ラベンダァイス=カエデ=キャニドップ……行く……ッ!

【幸いだったのは、船に乗って乗り込んできた一団とは関係が薄い面々らしいと言う事だった】
【それならば、相手が十重二十重に策や武装を固めてくる可能性も、それに応じて小さくなってくれる】
【――――元より、日用品の類が集められているこの倉庫が、そうした面々の標的になるとは、端から考えにくかったのだが】
【それでも、用心棒の役割を担う眼前の少女――――丹波は、それなりに引き締まった戦士としての顔を見せる】
【恐らく一筋縄ではいかないと言う事を、感じ取ったのだろう。異形――――ラベンダァイスは、自分もスイッチを入れる為なのだろう、名乗りを口にして再び構える】

――――っ、たぁ……ッ!

【左手を構えると、ラベンダァイスはそのまま丹波へと突進する。駆け寄ると言うよりも、それは前方への跳躍と言うのが近かった】
【そこに、投げつけられた手裏剣が襲い来る。ラベンダァイスは盾として機能する左手で2本の手裏剣を弾き飛ばしながら尚も突進する】
【が、残りの1本は左の太腿に突き刺さり、わずかに姿勢が崩れる】
【それでも、突進の勢いは収まる事はなく、一気に丹波へと接敵し、右手の光の剣を振るった】
【被弾により、やや攻撃の狙いが正確さを欠いてはいるが、その切れ味は実体をもった剣と何も変わりはしないだろう】
364 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 21:19:22.40 ID:7lR+Yg5oo
>>353

 (おっと―――孤独な戦場かと思いきや、どうやらアタシは"ローン・レンジャー"じゃあ、ないみたいだね。)
 (いや、でも待って。ローン・レンジャーは相棒にトントが居たわけで、でも確かに"ローン"って―――……)
 (……やめやめ、何言ってるんだか! まずはこの愛らしいお嬢さんに、相乗りする覚悟があるか聞いとかないと、ねっ!)

 ―――ヘイ、そこのお嬢さん! ああそうそう、急に話しかけてごっめんね〜? アタシのこと知ってる?
 アタシね、セリーナ・ザ・"キッド"って名前で、こう見えて賞金稼ぎと正義の味方を兼任してんだけど―――……とっ!?

【どうやら、援軍が居たようだ。自警団員は憔悴している者も居るようだし、孤独な戦いになる事も覚悟していたが、救われたらしい。】
【この量の敵と巨大な船をたった一人で相手取るのはさしものセリーナと言えど、不可能に近い。此処はまず共闘を図ろうと、声をかける】
【―――つもりだったが、言葉は途中で途切れた。甲板から勇猛な声が響き、船の上には"男のシルエット"が浮かび上がったからだ。】

>>357-358

 ―――ワオ! これまたすっごいのが出てきたねぇ、今は一体何年だい? ひょっとしてアタシ、17世紀にタイムスリップしてきちゃったかな。
 おかしいねえ、デロリアンもなければプルトニウムもアインシュタインも見当たらないけれど―――……って事は、本物さん、だね。
 シケた町、そうは言ってもカノッサだって襲撃した重要な貿易拠点さ。ま、あんたらアウトローにはどれも同じに見えちまうんだろうね。

 生憎だけど、アタシの頬はマクラーレンを買ってもお釣りがくるぐらいに超高級品でね、唇になればイスパノ・スイザも真っ青な値段さ。
 キスより"こっち"が好きなんでしょう? 同じ"ガンマン"ってんなら、分かる筈。お互い只者じゃないと分かってる時の対峙は……
 そりゃもう、ドキドキする、ってね。噂どおりの女かどうか、試す価値はあると思うけどね!

【同じ、ガンマン―――獲物は、アストラか。これもまた、随分と古式なモノを携えているではないか。いや、自分も人を笑えないのは確かだが。】
【何と言っても腰にしまってあるピースメイカーとコルト・ライトニングアクションは―――ん。ライトニング。そう、ライトニングだ。38コルト、それも】
【"キッド"の刻印が入ったかなり特徴的で、そして貴重な一品―――手入れもばっちりされている。"キャプテン"には見覚えのある銃、だろう。】

【しかし真に特徴的なのは先程発砲したSAAより、年代を遡ったコルトM1851 ネイビーモデルだろう。パーカッション式等、今は絶滅種だ。】
【右腰のホルスターに鎮座しながらも、殺気と魔翌力を撃ち放つその様はまさに、貫禄の一言であって―――と、そこで轟音が鳴り響いた。】
【ただの轟音ではない、巨大な大砲が競り出てきた、悪魔の襲来を告げる鐘の音だ。なるほど、どうやらこの勝負、伊達ではないらしい。】

【海賊らしいなあ、そうか砲撃か―――かっこいい、と一瞬思考が逸れたが直ぐに、現実を直視しセリーナは冷や汗をたらした。】






365 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 21:19:42.32 ID:kw96mNE8o
>>362

……あれから、世論も活発になったようだからね。今まで見過ごされていたものに、やっと焦点が当たった
言わば君が救ったようなものだろうね。手法は兎も角として、助かった命はそれ以上の数だった筈だよ

私も……、悦那がレイシーに従って姿を消したから、約定通りにレイシーに拾われて、この屋敷に住んだ
寧ろ感謝する位の事だったよ、音々子達もきっと、同じだっただろう。君に感謝したと思う

【人死にがあって漸く世論が動くというのも情けない話だった、けれどいつの世だって、人とは愚かなものだ】
【切欠となるsuicideによって報道がなされ、最もらしい顔をして繰り返さない為の対策が練られ、そして、忘れられていく】
【それも何人か死んで初めて、やっとスポットライトが当たるのだから堪らない。それまで見過ごされて来た罪は山程あるのに、だ】

……怜司。君が初めて、好きになった人間だったのだね

【初恋ならきっと翻弄される事もあった筈だ、良い意味でも、悪い意味でも。幼かったのなら尚の事だろう】
【そんな初々しさのある彼女を見れたその人間に少しばかり嫉妬する感情はあったが、不穏な事情が垣間見える事にも気付いていた】
【大丈夫だろうか。鈴音の様子を伺いながら、無理をさせないように気を配りながらも、話を聞き入れる体勢のままで彼女を受け入れる】
366 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 21:19:52.36 ID:7lR+Yg5oo


>>ALL(>>353>>357-358

 げ―――げえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!? 、嘘でしょ、嘘でしょぉぉっ!? ちょ、ま、人間相手に帆船の主砲持ち出すなんて―――!
 きゃ、キャプテン卑怯だ! ガンマンらしく一対一で速撃ち勝負が普通に考えて一番―――こんの海賊めぇぇぇぇ〜〜!!

【恨み節を叫び、『畜生』だの、『卑怯だ』だの、おおよそ海賊を罵る言葉にしては非力なそれをぶつけるが、まあ意味は無いはずだ。】
【無慈悲な砲撃が放たれるその一瞬、それまで叫んでいた彼女の―――セリーナの意識が、覚醒する。いや、其れすらも過去形だ】
【恐ろしいまでの速さで神経が伝達、火薬の匂い、装填の音、火花が散る一瞬の閃光―――情報の全てを素早く処理、そして―――】

【―――ドウ、という一発の轟音が放たれた弾丸に遅れて、港に木霊するだろう。たった一発の、そうただの銃声だ。】

【しかし海賊よ、侮ること無かれ。それはセリーナ・ザ・"キッド"の本気が垣間見える、神速の抜き撃ちから放たれた連続ファスト・ドロウ。】
【銃声が一発でも、実際に放たれた銃撃は何と―――3発。腰溜めに構えたネイビー、通称"弾"末魔から放たれた三つの弾丸は】
【まず横薙ぎに二発、自分と、そして少女を狙う砲弾目掛けて放たれる。そう、正確に寸分違わぬ直線で、向かい来る砲弾めがけ、だ。】

【弾丸が直撃し砲弾が炸裂しようと、しまいと関係は無い。このタイミングでの回避は、少なくともセリーナには厳しかった。】
【少女が避けるか、防ぐ術を持っていることを祈りつつ―――もう一つの弾丸がここで、功を成す。そう、それは"弾"末魔の持つ真骨頂。】
【放たれた三発目が空中で停滞、すかさず青光を放つ美しい召還陣を形成し、それがセリーナの肉体へ向かい透過していく―――!!】

【砲撃が止まるとも、止まらずとも。爆破の後、煙が上がった。さて、普通であれば倒れている筈だが―――どうやら、そうではないようだ。】

 
                       騎士怪醒――"ティターン・アーマー"

【煙が晴れ、その直後姿を現した―――彼女は、セリーナでなくなっていた。】
【召還された武装は"魔導鎧"――魔翌力を人造的に生み出す魔道エンジンを背に積んだ、悪魔製の"自動装着アーマー"】
【太古の巨人族、強固な皮膚を持つ「タイタン」をモチーフとして精製された強固な外骨格に全身を包まれたセリーナは】
【見た目には、まさに"人造の悪魔"――機械と、悪魔とを融合させたかのような不気味なシルエットと化す。】
【しかし"ソレ"は紛れもなく、ただの人間であり能力者ではないセリーナを"戦士"の次元へと昇格させる為の"武器"で】
【関節部分に、魔翌力が流れていく音が木霊する――魔道エンジンの駆動音が全身を駆け巡る。】
【装着された事で使用者のパワー・防御力を大きく上昇させるその鎧――外見こそ生物的なフォルムを持っているものの】
【魔翌力によって駆動するこの鎧はまさに、特殊な動力を有するとはいえ一種のパワード・スーツと呼べるだろう。】
【――尚、彼女が頭部に被っているテンガロン・ハットの影響で装着後の鎧にもその「形状」がきちんと反映されている辺りが】
【いかにも単純な"メカニック"――機構を有するものでなく、悪魔の技術で造られた"魔導機械"である事を伺わせる。】

【砲撃は、直撃はしなかったようだが、それでも爆風と火薬の破壊力は召還された早々に、アーマーの防御力を大きく削る。】
【しかし、まだ死せず。むしろここからだ、と言わんばかりの眼光が―――アーマー越しにキャプテンへと、突き刺さるだろう。】
【次なる一手は、こちらからだ。すかさず引き抜いたコルト・ライトニングが異常な速度で火を噴き、連続で二発。】
367 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 21:21:25.31 ID:B2tKSM/ao
>>359

「……ちィ、まァた邪ァ魔が……ふゥむ、こォのにおい……厄介だ」

【また一つコンテナが斬られた、――これは魔物の爪だろうか、辺りにばらばらと散らばって】
【それらは――やはり、魔法陣にへと送られる】 【そして――そこには"何もなかった"かのようになる】

「あァ……?」 「確かに俺様は"000世創"の時ィ期に生ゥまれた、テメェーらの大先輩中の大先輩だァが、なァんだそォの眼は!」

【――そして、どうやら何故相手が哀れんでいるのか、さっぱりわかっていない様子】
【この悪魔にとってはむしろ全裸がデフォルトなのだろう、だからこんな変態的格好を気にすることはない】
【なんだ、ただの通りすがりの正義か――いや、"におい"で正義とわかっているならばもっと気にかける事があった】

「――……さァて、なァーんのこォとかなァ〜?」

【挑発的な声。――但し、撃たれても良いように準備は"させて"いる】
【見えるだろうか、トカゲ男の頭部の刃に薄っすらと斬撃の魔力が宿っていることに――頭部への発砲ならば、頭部で対処する】

「ククク……そォーか、"血のにおい"は嫌いか……なァら、"甘い甘いにおい"をテメェーにプレゼントしィてやァろう!」

【――結局血の痕について語ることは無かった、だが状況からしてこの悪魔以外に容疑をかけられるものはいない】
【先程使用した魔法陣から何かがいずる、闇だ、――その闇は形を成してゆく――】


>>361

「ちィッ、もう一人来ィやがった……ってよォ、やァっぱりなァーんだそォの眼はッ!」

【足音的にはこちらに来ない可能性もあった、だが――においが違った、平和的に済むようなそれでは無かった、だから舌打ちをする】
【そして……やっぱり自覚0。感覚としては、むしろ"服"という名のアクセサリーを身に着けているようなものなのだろう】
【――だが、ここに来るまでの間に結構疲れたと見える、これはこちらに有利だと思えば軽く黒く笑む】

「ほォう……人間、テメェーは俺様の事を、命令して大人しく従う質だァと思うかァ?」

【大人しく捕まる気は到底ないようだ、少年を挑発したように、少女にも挑発する】
【――そもそも、降伏命令を聞くならば指名手配なんてされるはずもない、今頃牢屋の中である】

「――……ッ!」 「ヒャハハハ、テメェーにこォそ、痛い目ェを見ィせてやァろォーじゃアないか、よォォオオ、人間さんよォォオオッ!」

【その悪魔は邪悪。――それ故に、聖の類は大の苦手であり、つまりは最もよく効く属性で敏感に感じ取れる】
【だから一瞬たじろいだ、唯一己が引くモノこそ聖なのだから――だが、それに怯えて尻尾を巻いて帰れる性格でもなく】
【――無理矢理邪悪な笑みを浮かべた、"聖"とは"対"である"邪"なエネルギーを感じさせるが如く】

/続きます
368 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 21:21:56.03 ID:B2tKSM/ao
>>367続き

「本日の食材はこォちらッ!」 「"今日が旬"のッ!」 「――"オクトレート"ッ!」

【それは、身長5mはあろうかというタコ――なのだろうか、それにしては少々異型過ぎる気もするが――】
【タコらしい頭部には眼が二つ、漏斗形の口が一つ】 【まるで木の様に上に伸びた身体。その上半身には8つのタコ足】
【下半身を支える脚はタコそのもので、身体のあちこちに茶色い塊のできもの的なモノがある】 

「さァっき手ェにいィれた"ビュードロパス"の素ォ材でちゃァちゃっと作ったが……さァーて、後はチュメルソーでェも出しておォくか」

【もう一体、それは、上半身に鎧のようなモノを纏い、下半身は様々なモノが混入しドロドロと汚らしいチョコレートに覆われている亜人の生き物だ】
【頭部の毛が逆立っているためわかりにくいが、それを差し引いた身長はおよそ180cmだろうか】
【チョコの下から見える足の指先には爪があり、長めの両手にも爪があり、眼の周りを覆う鎧のようなモノはまるでメガネのように見える】

「さァー、……甘くて熱ゥゥーーいキッスを食ゥらわせてやァりなァァアアーーッ!!」

【まず動いたのは亜人。――その両手が少年に向けられて、発射されるのは"高熱の液体"の弾だ】 【狙いは構えられている銃】
【野球ボール程度の大きさであるそれの正体は……舐めればわかる、チョコレートだ。……但し、雑味が多いのだが】
【チョコレートと侮っていてはいけない、粘性のある高熱の液体として考えれば火傷は免れないし、固まれば動きの阻害にも繋がる】

【次に動いたのはタコ。――この倉庫の天井に頭が付きそうで、故に動きづらそうだ】
【そのタコの脚の隙間から細い触腕が数本伸びる、結構長い――その触腕のうちの三本で少女を叩こうとする、順は脚→胴→顔】
【――細い、というのはタコ基準である。人間目線で見れば、一般的なタコの脚の長さとそう変わらない上に、パワーもある】
369 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 21:23:30.85 ID:WuDb7cIvo
>>354
【義憤と、折れない正義の心とをその胸に秘めて。熱き想いを冷静な頭脳でコントロールする歴戦の戦士が現れる】
【今もてる全力で持って港湾を駆け抜ける彼の姿が、異形どもの視界に飛び込んできた】
【異形どもが、一斉にそちらを向く。その途端、大男の単眼が見開かれ、続いて鋭き牙がむき出しになる】

ロウ……マーシャル・T・ロウ……!! 私こそ、お前の顔は忘れてはいないぞ。この喉に二発も銃弾を叩き込んでくれたお前の顔は……!!
それだけではない。貴様の相棒、中邑 瑛月にも私の手下の一人がズタボロにされた
コケにされた、とはこっちのセリフだ、忌々しいSCARLETどもめ……!!

……だが、お前との再会は望んでもいたんだ。以前はお前の肉を味わい損ねてしまったからな……
イルなんとか、とはここを襲っている海賊連中か。さて、私は聞き覚えのない名前だったがね。この世界に、悪党はカノッサに限らずそこいら中にいるからな……

【こちらに向いた両手の拳銃、その銃口。それを操る気高い精神。それらに相対し、怒気を含んだ声を投げかけたかと思えば】
【次の瞬間には、醜悪な食欲を露わにする。因縁は時を越え、倉庫街に実を結ぶ】


>>355
【見知った顔に意識を奪われ、もう一人の勇士に異形どもは気が付かなかった】
【怜悧な気配をその身に纏い、すでに愛用の銃を抜いている彼の胸には、先のロウにも劣らぬ正義の心】
【異形どもの正体を知りながら、なおもその足が止まることはなく。物陰がら飛び出した彼の姿を認めた時には、出遅れていた】

ぬ――――!!!

『うおお!! なん――ぎゃああああああああああ!!』
「相手側の援軍か……!! ぐ、うおおおおおおお!!」

【手に収まるサイズのガトリングガン。アンバランスなハンドガン。奇抜な武器を携えた青年が、最初の一手に出る】
【『Nara』から打ち出された黄色の弾丸の嵐が、狙い違わずリフトを襲っていく。着弾と同時に流し込まれる電流が、リフトの機関部を容易く破壊した】
【同時に、異形の双子にも電撃が襲い掛かる。咄嗟に、白い腕が泥を噴き出してその身をガードするも、間に合わず】
【破壊されたリフトから吹き飛んだ双子が、倉庫街の地面に転がった】

【一方の大男、左膝に迫りくる緑の弾丸。銃口から吹き出される風が、倉庫街の臭いを吹き散らす】
【が、こちらは反射的に発動された能力に防がれた。大男の両腕がボコボコボコ、と気味の悪い音を立てて膨れ上がり、巨大な肉塊に変形したのだ】
【肉塊が膝の前に殺到し、直後、魔弾が着弾した。圧縮空気が解き放たれ、衝撃が肉塊に叩き込まれる】
【だが、膨らんだ肉がその衝撃の大部分を吸収したらしい。大男の本体へのダメージはほぼなかった】

【地面に落ちて痙攣する肉塊が切り離され、大男の両腕が元の姿に戻る。一つ目の黒い瞳が、彼を捉えた】

ぐ……いきなりご挨拶だな……
ほう、そのエンブレム……警察官でSCARLETとは珍しい。自警団とは不仲だと聞いていたのだがね

さて、SCARLETの実力者が二名……あまり嬉しくないサプライズだな……


【単眼でその場の状況を睥睨し、大男が微かな唸りをあげる。まぎれもない強敵が二人。折れぬ正義の心のおまけつき】
【開幕の一撃で、異形の双子がダメージを負ったのも痛い。奪った物資を、またも放棄する羽目になることさえ想定しつつ】
【盗賊団『スクラップズ』の異形どもは、戦闘態勢を取る】

/続きます
370 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 21:24:26.63 ID:WuDb7cIvo
>>ALL
【カニバディールの太い腕が、手近にあったトラックの荷台に突っ込まれる。引き出された右手が握っていたのは、異形の操る得物だった】
【黒と金がベースカラーの大きさ1m半以上にもなるバトルアックスだった】

オーギュスト、ギュスターヴ、スカーベッジ、ネグティー。現時点を持って盗賊仕事は中断だ。トラックは任せた。先に退け

『ぐぅおお……ここまでかよ……!! ほんっと邪魔ばかり入りやがる!! せっかくの両方二丁拳銃ってそそるシチュが……』
「ぐ、う……ぼやくなギュスターヴ……この様では仕方あるまい。盗みにおいては、成功を追うより失敗を避けるほうが重要だ……」

<り、了解ですぜ!! お帰りをお待ちしてますよ、ボス!!>
《ひっ、ひいぃ……早く逃げなきゃああ……!!!》

【命令を受けた異形どもがそれぞれ別のトラックに飛び乗ろうと動き出す。ほぼ間を空けずにエンジンをかけ、走り出そうとするだろう】
【止めようと思えば、出発の妨害は可能のはず。二人の勇士なら難しいことではあるまい】
【だが、トラックとの間にはカニバディールが立ち塞がっている。一つ目が、二人を油断なく睨みつける】

【と、カニバディールの左腕が指を鳴らした。その音が倉庫街に反響する。わずかの間の後、左右の倉庫から、歪な影が走り出てきた】


{ああっはあぁ……ボス、あれってもしかして、例のマーシャル君かい……? 銃の痛みはなかなか好みだけど、彼のはどんなかな……?}

【一人は、腰ほどまで伸びたストレートの銀髪に、くすんだ鉛色の瞳の少女だった】
【濃紺のスクールブレザーにグレーのチェック柄プリッツスカート、白いハイソックスに白い運動靴】
【他の者に比べれば、いくらか人に近い姿。だが、やはりこの少女も異形の一味。それが証拠に彼女の肌は、暗い青色をしていた】
【瑞々しさを保つ青肌のその至る所に、様々な形の傷跡がある。鉛色の瞳は、歪んだ情欲を持ってロウを見つめていた】


〔あの歪な姿の銃がどのような志を持って作られたのか。それを扱う者、彼の青年は何を見ているのだろう。興味が尽きない問題だ〕

【もう一人は、黒いタートルネックのスウェットスーツに黒い革靴を着用した男だった】
【のっぺりした顔立ちに見開かれた目、どこを見ているかわからない、くすんだ鉛色の瞳】
【スウェットスーツには、至る所に天体や惑星の画像がプリントされており、電極でも仕込まれているのか常に淡い光を放っている】

【その男の頭蓋は、額の上ほどで断ち切られ、剥き出しになった脳味噌を透明なカプセルが包んでいる】
【頭頂部にはカプセルとアンテナを貫く形で、先端の尖った鉛色のアンテナが刺さり、天に向かって伸びていた】


そうだとも、美鈴。大会の好成績もあって今やすっかり有名人だ。相手にとって不足はあるまい?
ノーティヒア、気になるなら直接聞いてみるがいい。この無法地帯だ、聞き出すのに手段を選ぶ必要はないぞ……


【大男の言葉を受けて、二人の異形の身体がゆらりと揺れて。次の瞬間、攻撃が開始された】

【青肌の少女、美鈴は>>354のロウの方へ走り出す。その青い肌がわずかに動いたかと思うと】
【皮膚を破って、鎖が飛び出してきた。先端に鉤爪のついた、赤い鎖。一直線に、ロウの右足目がけて伸びていく】
【この鉤爪に抉られると、その部位は一時的に痛覚を奪われる。それゆえ、傷の程度を認識するのが困難となる】
【痛みがないのに面食らって対処が遅れれば、生き物のように蠢く鎖にその身を深くえぐられるだろう】


【一方のアンテナ男、ノーティヒア。視線の先には、>>355のアルフレド。その手がポケットに突き込まれると】
【一本の棒が取り出された、軽く振ると、カシカシと軽い音を立てて棒が伸びる。折り畳み式の金属警棒だ】
【アンテナ男が、アルフレドに警棒の先端を向ける。と、ノーティヒアの眼前に、半透明の箱が出現した】
【空中に固定されたかのように浮かぶ箱。ノーティヒアの能力なのだろう。と、金属棒が振り上げられ、箱に叩き付けられた】

【ガラスが割れるような音と共に、箱が砕け散った。その破片が、アルフレドに向かっていく。先の攻撃の意趣返しか】
【一つ一つは、たいした威力はない。肌が浅く切れる程度。速度も大したことはない。しかし、その攻撃範囲は広い】


【大男・カニバディールはバトルアックスを構えはしたがまだ動かず。手下たちの攻撃の推移を見守っている】
【走り去ろうとする三台のトラック、立ちふさがる三体の異形。正義の二人は、いかに動くか――?】

/いきなりお待たせしました……
371 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 21:32:42.09 ID:49VM4CQUo
>>363

【ハッキリ言って、丹波やラベンダァイスと比べてしまえば、奥にいる集団の戦力などゼロに等しい】
【この倉庫における、唯一にして最後の関所。それが、この丹波という女である】

UNITED TRIGGER、で御座るか……!また厄介そうなのが出たで御座るなぁ……

……よっ、と―――――っ!

【数少ない、民間による正義組織。その名前に丹波は、少しばかり眉を歪めた】
【―――飛び込んで来るラベンダァイス、走る光のライン。丹波は右の片手でバック転を打つ】
【殆ど肉の無い薄い体躯ではあったが、光の切先は腹を裂いていく―――】
【ただ、入りは浅い。皮一枚ともう少し、といったところか。血は流れているが、支障は無い訳で】

拙者も殺しの依頼ではないから、わざわざ殺しに掛かる気は無いで御座るが……
任務において手加減などせんから、死んでも文句は受け付けぬで御座るよ……!

【地に着いた足、構えなおしたなら直ぐ様、次の動きを開始する】
【ポーチから手裏剣を二枚取り出して、顔目掛けて投げ放つ。その瞬間、丹波は既に疾走の中ッ――――!】
【構える得物は左の短刀。しかし間合いに入る瞬間、丹波の姿勢は更に前傾するっ……!】

【すると―――元々低い位置にある頭が更に下がる。それは一瞬、相手の視界から消える事を狙う技術】
【先に投げた手裏剣に注意が向けば向くほど、それは決まりやすくなるのだ!】

【そして、視界外しが決まろうと決まらなかろうと、丹波はそこから背後に回ろうとする】
【短刀を閃かせ、背中側から放つ一撃は刺突。しかし、その前には身体をほぼ180°転換させる間もあるし、】
【その際に足と地面の間で擦る様な音もある。兵器≠名乗る彼女なら、対応は十分に可能か……!】
372 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 21:37:55.62 ID:ufbkP29V0
>>361,>>367-368


【体格が自分よりも一回り、二回り大きな相手でも、少年は一切臆する事はなかった。……もう慣れてしまった、のだ。】
【重要なのは、色んな意味での、"本質的な強さ"―――こればかりは、見た目で判断する事は出来ない。】


―――……何で服着らんのやろ……ええ身体しとるけど……いや、そういう問題ちゃうか………


【自分に増援があったのは嬉しい誤算だった。二人相手、それでも少年は闘志を絶やす事はないのだが―――、勿論、味方は多い方が良い。】
【だとすれば少年は、彼女にアイコンタクトではあるが、『よろしくお願いします』の意味を成すジェスチャーを送る事だろう。】

【共闘において最も重要なのは恐らく、意気投合出来るか、現段階では互いの能力を知る事にあるのだろうと考えた少年、】
【これは小手調べの意も含むのだろうが―――少年は亜人に向かって一歩を踏み出すのだろう。……因みに、銃はその間にポイっと捨てられた。】
【大概の人間は、或いは相応の知能を持つ生物は、この火器に平伏す物だ。なるべく"血を流したくない"―――そういう願いを込めての物だった。】
【尚も相手に敵対の意志があるのなら、既にこれは不要そのもの、……何故なら、それは文字通り、殴った方が強いから、だ。】

【目で追う事さえままならない速度で亜人との距離を一気に詰める。矢張り匂いからチョコレートだと分かった高熱の液体も、サラリと避けてしまった。】
【寸前で僅かに跳躍、フィギュアスケートさながらの回転、軸を確かに保ったまま振り抜かれるのは蹴打。丁度、亜人の首の当たりの高さまで来ていただろう。】
【見た目に違いはないが、既に少年の能力は発動されていた。手足の硬化―――鉄と同程度の硬度を持つ、また速度も相俟って、その威力は絶大だ。】
【鎧だろうが何だろうが、全てを破壊するかの如く振り抜かれた蹴打、亜人はどう受け止めるのだろうか―――……。】
373 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 21:38:27.17 ID:b1RzXPnn0
>>357-358

【降伏の指示には従わず―――地面から生えた『土の腕』が人差し指を立て、ちっちっち、と】

――――――…『へぇ、大勢でいりゃ冗談も飛ばせるか…ああ、冗談じゃないのか』
『生憎と男の期待できる反応は出来ないだろうが…鳴かせられるものなら鳴かせてみればいいさホトトギス、ってな!』

【羞恥の表情すら見せないのは面白みがないかもしれないが、彼女はそんな人間で】
【冗談っぽく返してみせたその数秒後に彼女が見ることになるのは、こちらを向いた船の大砲の頭】
【重々しい音、弾が装填されたと実感する。当たれば彼の言う通り、最悪死ぬ】

―――――――『げぇっ、不味いな…ッ!!』

【放たれんとする砲弾に、無表情の仮面を張り付けた顔は見て分かるように強張る―――直後、轟音】

【すぐさま体を傾けるように右へ跳ぶ。同時、地面から這い出た『土の右腕』が彼女の体を覆うだろう】
【大砲の衝撃から身を守るためのそれ、結果的に破片の奇襲によるダメージも軽減することとなった】
【盾となった『土の腕』はばらばらに崩れ去り、更には喋り屋の体にも破片による軽度の切り傷】
【間一髪、致命傷は免れた。土の腕が崩れると共に降り立ったキャプテン・キネシスへと狙いを定める】

―――――――――…『人に向かって大砲一発とか、どれだけ大人げないんだってーの…!』
『展開の勢い良すぎるだろ仮にも乙女だぞ、仮にも―――――嗚呼、神よ、我が声に自然の加護をッ!』

【気付けば喉元に当てた指は中指から人差し指へと、声は青年のものから可愛らしい少女のものへと代わり】
【紡がれた呪詛らしき言葉は赤色の魔翌力―――次いで、その魔翌力は『炎の球体』へと姿を変える】
【掌程度の『炎の球体』は勢いよくキネシスへと放たれる。軌道は肩辺りの高さ、彼から見て右側からの攻撃】
【彼女が持つ魔術の一であるが、さほど威力の高いものではない――速度も避けられない程度ではない】


>>364>>366

―――――――――…?

【声を掛けられて、そちらへと振り向く。さっきから煩いのはこいつか、と思ったがすぐに思考をかき消し】

―――――…『聞いたことがあるようなないような、ってとこかなぁ。俺記憶力無ぇーし』
『ああ、何だっけ?ゆないてっど…とりがー?―――UTだっけ、よく知らないけどよ』

【少女らしくない、男の声。記憶を頼りに情報を探していく―――口を一切動かさず呟く姿はまるで他の誰かが代弁しているよう】
【そういえばUT所属の知り合いも居た気がするが―――今は置いておくこととしよう】
【名乗ろうとしたところで、大砲の姿が現れ――――それどころではなくなった】

【大砲が放たれた直後―――砂煙の奥、安否の確認のため少しだけセリーナの方を向く】
【流石にどんな能力者であろうとあれを完全に食らってしまったら死んでしまうだろう―――少し冷や汗を流し】
【だがしかし、それらしき影が見えて安堵する――彼女からは別の誰かが現れたかのような姿ではあったが】

――――――『へぇ、頼もしいじゃん。さっすが正義の味方だね』
『じゃあどう戦うかは君に任せるとするかなセリーナ…私はただひたすら、援護に徹する―――!』

【気付けば声は風体に合う可愛らしい女の子の声へと代わっていた】
【無表情でありながら、笑んでいるような声で余裕を見せる少女。彼女は遠距離から魔術を狙っていく寸法のようで】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 21:49:59.45 ID:W/PLyJG+0
>>365

【買われていった子たちはどこへ行ってしまったのだろう。その誰とも、どこかで出会うことはなく】
【死んでしまったのだろうか。それとも、どこかで生きている? どちらにせよ、それを知る手段はないなら】
【死んでしまったのと何も変わらない。けれど、人身御供のような自分の死んだことで、その先に死ぬひとが出なかったなら、】

【(まして、死んだと言っても特別中の特別。人間ではなくなったけれど、こうして好き勝手に動きまわれる身体を手に入れた)】
【(それならば尚更良かったことのように思えてしまう錯覚。その代償として、水の神の子が水を恐れるという事態になったが――)】

……――。

【やっぱり安堵したように笑うのだろう、自分のしたことが間違いじゃないと言われて、それでやっと、】
【――こうして話していくことで過去を清算していくようだった。辛いこと、悲しいこと、怖いこと、全部、整理するように】
【けれど、まだ大きなことが残っている。記憶に身体に深く刻まれた傷、無視することなんて出来ないこと、だから、】

【背中をぎゅうと抱き締めることでまた勇気を貰う。この暖かさにどれだけ救われてきたことか――】

その頃ね、怜司には彼女が居たの。でも、わたしと居てくれた、……一緒に暮らしてくれたの。
……でもね、気付いておくべきだった。誰かが居たって気にしないんだから、わたしだって、きっと、そうされるんだったの。
気付いたのは最近になってからなの。最初から決まってたんだって、最初っから、全部――……。

【略奪。本人にそのつもりがなくたって、二度とその彼女とやらが顔を見せなくたって、その事実に変わりはなく】
【ただどうしようもなく幼くて真っ直ぐだった彼女は気付かなかった。それがどれだけ罪深くて、そうなる現状がどれだけおかしいかって】
【そっと瞳を細めた、悲哀でもなんでもなく、ただ一度憎らしいように瞳を細めて、ただ、それを彼には見せないまま】

……わたしのことをね、好きって言ってくれたひとがいた、けど、わたしは嫌いだった。
だって、**様のことを悪く言ったから。きらいだったの、そいつがね、怜司とわたしを殺すって言った。

いやだったよ、いやだったし、殺されそうになったから――そいつを、ころした。

【どうしようもなかった。彼女が知っていた手段はそれだけで、例えば誰かに相談しようとか、思いも寄らなかった】
【まして自警団に頼るとか、そんなことを思いつくはずがなくて。寧ろ、積極的に忌避して逃げてばっかりだったのだから】
【ふたりが助かることが優先事項だった。後からならなんだって言える言い訳を、ただ、彼女はひとつも口にしなくって】

そしたらね、怜司はわたしを殺したの。背中を裂いて、路地裏に置いて行ったの。

【声ばっかりがなんともない風に言う、けれど、顔が違っていた。悲哀とも憎悪とも何とも違う感情を湛えて、】
【――背中の傷を見たことがあるだろう。きっと深く深く刻まれたのだろう刀傷、背中に負ったなら、逃げ傷だろうか】
【指先がローブの布地を寄せるようにして握り締めた。二度目の死は、一度目と同等、或いはそれ以上にこころを深く抉っていった】
【ごめんなさいと何度も泣き叫んだのはそのときの夢。誰も居ない虚空に何度も何度も赦しを乞うて、それでも赦してもらえない、悪夢】

【――ふらふらと頭を揺らす、そうしたいぐらいのいやな思い出だった。ぎりぎりと頭の奥を締め付けられるような、】
【思い出そうとすること自体に拒絶反応があるような。びりびりと背中の古傷が痛む、――他の傷は消えるのに、これだけが消えないまま】
【ぎりと歯をかみ締める音がする。憎らしいのか、悔しいのか、それすらももう分からなくって、出来るのは、話すことだけだった】
375 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/14(金) 21:50:38.90 ID:WwVw5sX40
>>371

…………ッ
(浅い……っ、この人多分、大分身のこなしに自信があるタイプだ……!)

【振るった刃を彩る様に、わずかに赤い飛沫が散る】
【しかし、手ごたえはまるでない。ほんのかすった程度の当たりでしかないと、すぐに分かった】
【――――先の武器の投擲、そして今の回避の動きで、ラベンダァイスは丹波がスピードと身のこなしを身上とする戦士であるとアタリをつけた】
【この様な場合、地形を大まかにでも把握しているだろう事と併せれば、状況に合わせてどんな動きをしてくるか分からない】
【厄介な事になった――――と、異形の身体にわずかに力が籠る】

……言われるまでもない!
元より、私は兵器だから……!

【わずかに距離が開く。この場合、ラベンダァイスの今の姿では、あまり有効な手段を用いれるとも思えない】
【この姿――――7つある異形の姿を使い分ける能力『セブン・フォース』の1つである『セイバー・フォース』では、攻撃力とスピードの両立は出来ても、遠距離攻撃手段は無いのだ】
【元々、警邏を兼ねてのこの姿だったが、この状況では丹波に対して有効な形態とも考え難い】

(……でも、全部が全部、遠距離からの攻撃だけに徹するだけでもないはず……どこかで攻め手は変えてくる――――なら!)

【そこに、投げつけられた2本の手裏剣が顔面へと飛来する。やはり同じく咄嗟に盾となった左手で受け止める】
【その刹那――――決して少なくない戦士としての戦闘経験からくる勘が、ラベンダァイスに閃いた】
【――――これは目晦まし。ここから作った隙に乗じて、何らかの方法で仕掛けてくるはず――――と】

(……姿を消した、っ……今!)
――――『ギガンテス・フォース』!!

【そして思った通り、丹波の姿は視界から消える。その瞬間、背後に回られている事を察した訳ではないが、半ば以上思った通りに事態は推移していた】
【そこまで来たら、躊躇う必要はない。ラベンダァイスは、仮初の姿を更に別の物へと変じさせる為、全身から閃光を放つ】
【そしてその一瞬の閃光の後、そこにいたのは黒い歪な人型などではなかった】

【3m程の人形の様な巨体】
【土偶とも、石像とも表現できそうな威圧感を備えている】
【寸胴で、巨大な腕を備えており、腕の先端には、半透明のラベンダー色の爪がついている】

【姿から質量までまるで異なる巨人。その場に仁王立ちしているのはそれだった】

っ、ぅ……そこッ!!

【見えない背後から、突き刺す様な痛みが感じられる。しかし、その身体はもはやただの生物とはいかない程に固く、短刀も生身ほどのダメージとしては通らない】
【逆にラベンダァイスは、その痛みに耐えながら、そこに敵がいる事の確信と共に、両腕を振り回してもろとも振り返る】
【――――その巨大な質量と、先端に据えられたごつい爪。振るわれるそれにまともに巻き込まれれば、決してただでは済まないだろう】
376 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:04:54.39 ID:74i9mOuNo
>>354

あ、あなたは…………マーシャル・T・ロウ!?
心強い…………!!

【物陰から飛び出して異形の手段の目の前に飛び出したことで、青年は必然的に彼らに立ち塞がったもう一人の男の姿を捉える】
【その表情に浮かび上がるのは、驚愕と安堵、そして憧憬。同じ隊に所属するどこぞの女とは違って、この青年は見た目通り生真面目だ】
【正義≠フ旗印として各地に多くの武勇を轟かせる、同じ二丁拳銃使いの男。知らないわけがなく、また意識していない訳もなかった】

【無論、そんな相手と実際に会えたからといって、いきなりサインをねだりに行けるような状況でないことくらい青年も承知している】
【それで油断するような事はないが――――心強い、という言葉は紛れもない本心であって】


>>369 >>370

生憎と、悪党が月を落としてくるような時代ですから。いつまでも内輪で揉めていては、また大事なものが失われる…………。
僕は水の国警察所属、アルフレド・フェリシアーノ。カノッサ機関No.29、カニバディール――――あなたを、拘束します!!

【やはり一筋縄では行かないか、と。見事風の魔弾を受け切ってみせた男へ両銃を向けて、青年は目の前の巨躯の男とロウの両方に聞こえるよう名乗り】
【その傍ら、頭の中で思考を回す。最初から、たった一人きりであの悪名高い『スクラップズ』を全員捕まえられるとは考えては居なかった】
【ロウの登場で二人に増えたところでだが少なくとも、その首領であるカニバディールを足留めする事には成功した。まずはそれが僥倖だった】
【トラックのエンジン音が耳朶を揺らす。反射的に体が動き掛けるが、カニバディールの不気味な眼孔がアルフレドを捉えて離さない】
【…………僥倖、確かにその通りではあるが。首尾良く足留めできたからといって、それがこの相手を制圧出来るかどうかの保証にはならない】

【とにかく、まずは。新たに現れたアンテナの男――――ノーティヒアを、どうにかしないことには】


ちっ…………まだ部下が居たか!
生憎と、お前に教える気はない…………!

【このタイミングでの増援。予想していた事にはしていたが、目の前のノーティヒアほど何をして来るか読めない相手も珍しい】
【表情、体格、服装。プロファイリングの材料は軒並み意味不明だ。情報を得られないもどかしさに、知らずアルフレドの語気も荒くなって】
【ならば、と。相手の奇抜さに気を取られていては相手の思う壺だと割り切って、アルフレドはとにかく動作のみにひたすら警戒を注いだ】
【取り出される警棒――――浮かび上がる箱――――叩きつけられる金属、そして。アルフレドは半歩引くと、即座に左の『Nara』を突き出し】

あまり、僕を――――――、

【広範囲攻撃には広範囲攻撃を、意趣返しには意趣返しを。発車の直前、左手の親指の付け根をマガジンの側面に擦ったかと思えば】
【『Nara』のエネルギーラインは黄色から緑色に、雷≠ゥら風≠ノ変更され――――撃ち放たれる無数の空圧弾が、箱の破片と激突する!】
【着弾した瞬間に圧縮空気を撒き散らす風の弾丸だ、同じく一発の威力は低いが、破片の軌道を逸らして叩き落とすには非常に有効な選択だった】
【そして、防御に使ったのは左の『Nara』のみ。アルフレドは残る右の『Kibrit』の銃口を、攻撃に使う】

――――――舐めるなッ!!

【…………ただし、それはノーティヒアへではない。半歩引いた状態から更に体を開き、アルフレドは右手を真後ろに向け】
【狙うは――――トラックの進行ルート上にある倉庫。それが掲げている大きな看板!】
【直後、破裂音と共に放たれた空圧弾は、これだけの距離を物ともせず看板を止めていたビスに直撃するだろうか】
【看板は支えを失い、呆気なく倒れていく。計画通り、ここに走ってくる途中で道路沿いにある脆くそうな看板をいくつか見繕っておいた成果だ】
【がこん、と大きな音を立てて揺らいだ看板は、まさしくトラックが下を通り過ぎる瞬間に地面へ落ちるだろうか】
【直撃してフロントガラスを砕くなり、相手が避けようとしてスリップしてくれるなりすれば御の字。三台全ては無理かもしれないが、一台でも多く巻き込めれば――――】

【…………なお当然だが、攻撃の手をトラックの方へ向けたせいでノーティヒアへの反撃はない】
【アルフレドとてノーティヒアへの注意を忘れている訳ではないが、少なからず隙は生まれるだろうか】
377 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/14(金) 22:06:26.94 ID:NCDQgycko
>>364>>366

【――セリーナ・ザ・"キッド"の放った一発の――そうとしか思えない、三発の弾丸は】
【それはもう、恐ろしく正確であって。そう表現するしか無いのは勿論――】

『お、おい……俺たち今、夢見てるんじゃねぇよな……?』
「馬鹿言え…、……大砲の弾だぞ?普通それを撃つか、拳銃で……?まさ、か……」

……チッ、何かあるとすぐこれだ。お前ら!黙って次弾の装填か別の手段の模索だろうが!
水中銃で銛撃つとか、トンプソンを船倉から持ってくるとかいう発想は無いのか!?

まったく困った連中だ、君もそう思うだろうキャプテン・セリーナ?
さて……なんだったかな。拳銃を使う者として、分かり合えるやり口だったか?
残念だなぁミス。私は紳士で、船長で、そして確かにガンマンだが……年寄りでもある。

まして大砲の弾をすっ飛ばす……それも同時に……それをやり果せるような相手に
まさか一対一で早打ち対決を受けて立つなんて言えそうにも無い。いやぁ、怖い怖い……。

……おやその銃、見覚えが……いや。なぁんでもない、気にしないでくれたまえ
良い銃だな。わざわざ持ち歩くということは、さぞ気に入っているんだろう……そのプレゼント=B

【セリーナの放った弾丸は、寸分違わず大砲の弾を打ち抜き、空中で爆散させしめる】
【これによって強烈な爆風こそ発生すれ、直撃の衝撃波も、微塵となった路面の破片も発生せず】

【故に、場所が場所で無ければダメージも薄い。特にセリーナは装甲を纏っていたのだし】
【加えてもう一人の少女(>>373)も土の腕で身体を守っていたのだから、砲撃はほぼ無駄だったと言って良い】
【所がそれを見ても尚、船長はおどけたふうだった。それが素なのか、去勢を張っているのかはわからなかったが】

……おっと!いやいやこれは……案外そうでもないかもしれないな
弾が止まって見える≠シセリーナ・ザ・"キッド"ッ!これじゃあ豆鉄砲以下だ、ハッハッ―!

――――素敵な鎧じゃあないか、まるで悪魔だ。そんな君には特別にコイツを差し上げよう
本来は化物にしか使わんのだがね……?なあに大丈夫、ちょいとデカいが…。受け取ってくれ、私の気持ちだよ――!

【自らに放たれた銃撃を、身を捩ることで回避することくらいは出来るようだった。いや、正確には避けてはいない】
【僅かに一発が右腕を掠めたのだ。滴る血でそれは分かる、が――ではもう一発は?これは直ぐに分かる】

【なにせ――弾丸は船長の目の前で止まっていた≠ゥらだ。まるで、時が止まってしまったかのように】
【彼はその弾道をにやりとしながら見て、横に動き、そして弾丸は待っていましたとばかりまっすぐ進んで船体を叩く】
【能力≠ゥ。想像に難くないが、真実はわからず――代わりに船長が左手で取り出したのは一丁の大口径銃である】

【その名はM500=\―威力は説明の必要もあるまい。彼はそれを、反動もあるだろうに片手で構え】
【そして、撃った。鎧の胸部を狙って、真っ直ぐに――ズガァン!≠ニいう轟音が周囲に響き】

>>373

私が大人げないって?ご冗談を、可愛げのない女性より余程マトモだと思うがね
いや失礼……あんまり威勢が良いのでね?つい誂ってしまうのが私のクセだ

……さて、それで…君も傷は浅いようだ。あのミス・セリーナに救われたな
ついでにその腕も迷惑だ、どちらかと言うと君自身よりも……能力か魔術の方が厄介なのかな?
後方支援タイプというと大体そうだ、そしてそういう手の人間相手に――私は強いぞ?

【にやりと笑ったキャプテン・キネシスは拳銃を構え、ガン!ガン!ガン!≠ニ三発の銃弾を放つ】
【狙いはこちらに向かう掌大の炎の球体。一発目がそれを捉えると――なんと、銃弾は炎球の内部で停止し】

【やがてそれに二発目、三発目が直撃し、炸裂。内側から炎の球体をかき消さんとした】
【成否はともかく――銃の腕は確からしい。普通、前弾と同じ場所に撃ちこむのはまず出来る事ではない】
【セリーナのファストドロウ、つまり早打ちも相当なものだったが、彼の精密射撃も恐ろしい物がある】

【そして彼は更に狙いを少女自身へ向けると、更に二発の弾丸を射出。狙うは胴体、特にあたりの可能性が高い胸部だ】
【当たればどこでも重症足りえる狙い方――戦いも相当慣れていると見える。純粋に、脅威となりうる男なのが分かり】
378 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/14(金) 22:06:35.49 ID:NCDQgycko
>>ALL

『船長スンマセン!言われたとおりトンプソン持ってきました、今直ぐ援護しますッ!』
「バカッ!奇襲しないと意味無ェだろうが!ええいこなクソッ、蜂の巣にしてやるぜ嬢ちゃんたちよォ〜〜!!!」

おいおい、穴だらけにしたらお楽しみがなくなっちまうぜお前ら……ハハッ、まあいいさ
――クウィット!運び出しの状況はどんなだ、あとどれくらいで積み込み終わる!?
あんまりのんびりしてると帰り道で迷子になっちまうぞ、急がせろッ!

[あと10分かそこらはかかるかと……急がせます、指示通りっ!気を付けて下さいよビスk……キャプテンッ!]

【――そんな遣り取りもそこそこに、船上からの第二波がセリーナ、そして喋り屋に振りかかる】
【否、降り注ぐ。お次はトンプソン・サブマシンガンによる無差別射撃という、銃弾の雨である】
【二人の女性に、或いは遠くに控える自警団に向けて撃ち放たれるそれは十分な殺傷力を誇っており】

【今回は単純に避ける、という選択肢は厳しいだろう。ただ幸いなことに、周囲には自警団の使っていた弾除けの幾つかある】
【そこに飛び込むか――或いは、舳先から撃っているわけだから、それよりも船に近付けば安全圏だ】

【また船長はといえば弾丸を数えていた。様子から見るに、右手のアストラは残弾が五発】
【そして左手のM500は残り4発か。まだまだ十分に余裕有りと見えて、表情も笑顔】
【――さて、このままではラチが開かないが――もしも弾除けに飛び込んだ人間が居れば、あるものが見つかるだろう】

【形は旧式のパイナップルタイプ――そう、手榴弾だ。ピンを引き抜いてしばらくすれば爆発する、あれ】
【あれが幾つか、その物陰に転がっている。見つけられれば反撃の強打に鳴るはずだが――どうか】
379 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 22:06:59.96 ID:RQHyq+vLo
>>355>>369

【―――ぞわり、という感覚が肌に染み渡る。唯でさえ迫力のある外見を持つ敵が濃厚な殺意を込めれば、その身から沸き立つ危険な香りがより強調されるのだ】
【……しかも今回は1対1ではなく、多人数を相手にする不利な戦い。……恐らく部下もカニバディールと同じく特殊な能力を秘めているのだろう】
【その事実を考慮すれば、戦況は厳しくなることこの上ない。……それでも今抱えているこの激情は、その不利をまるで知らないかのように高まっていく】
【そしてその情熱の裏に潜む冷静さも健在であり―――突き刺すような闘気を醸し出しながらも、多人数を相手にする戦略を脳内で探り、可能性を見出そうとする】

【―――が。突如響いた銃声が戦況に変化を及ぼす。……視線を銃声の方向に移せば、自身と同じく二丁拳銃の男。……しかも、SCARLET】
【青年の顔に見覚えは無かったが、鷹の紋章が仲間であるということを教えてくれる。―――視線を敵から背けずに、ロウは直ぐ様大声で注意を呼びかけた】

―――っオイアンタっっっ!!! 解ってると思うがコイツ等を唯の盗賊と思うなよォッ!? 
特にでけぇ奴はカノッサでもかなりの実力者……見た目にビビって腰抜かすことがねぇ様に気合入れとけッッ……!!
言っとくがソイツの身体の肉、膨らんだり曲がったりとまるでスライムだ……単純な軌道じゃ弾見切られるぜ!?

【カニバディールだけなら、ロウは戦闘を繰り広げた経験がある。……1対1でも厳しい相手な上、今回はお互いに能力のタネがバレている】
【―――兎に角今は自分が抱えているカニバディールの情報を出来るだけ仲間の青年に伝えることが大事だと、大声で呼びかけるのだが―――】
【それとほぼ同時に、トラックにエンジンがかかる。ロウとトラックの間にはカニバディール。しかしロウは間髪入れずに膝を曲げ、低い位置から右の朱い銃から弾丸を打ち込む】

……くっそ、させるかよ―――!!

【場所は―――カニバディールの股下の床。相手の股を抜くことに成功すれば床を反射し―――3台の内、真ん中のトラックのタイヤの後輪を銃弾が突き抜けることになるだろう】
【……問題はカニバディールがそれを通してくれるか。そしてもし通ったとしてもトラックを止めるまでの一撃になるかどうかであるが―――】

【そしてその結果に関わらず、姿を現したのは新たな敵―――。どうやら女だが、紅一点……というよりかは青一点とでも言おう、その外見】
【少女だが外見から狂気がちらついており、ロウは彼女が此方に興味を抱いていると知ると苦笑いを浮かべながら唾を飲み込んだ】
【そして向かってくる彼女に身構えるように膝をやや曲げ沈身し、銃を向けた瞬間―――飛び出してくる、不意の鉤爪。一番動きが鈍い箇所を狙ったそれはロウの肌を裂く】

―――〜〜〜〜〜ッッ……!! くっそ……―――ッッ!? 

【右脚から朱が漏れ、そしてやや体制が崩れるのだが―――激しい違和感はロウを困惑させることになる。痛みが無い、という―――あり得ない現象】
【その不思議な感触に一瞬反応が遅れながらも右脚で踏ん張り、左の拳銃から弾丸が唸る。―――丁度鎖が出てきた根元の部分に、最短距離で弾丸が襲った】

【―――右脚で踏ん張った際に、痛みが無い。……おかしい。唯でさえ筋力が衰えて本調子ではない右脚が、傷を受けている状態で痛みを発さない】
【踏ん張ることが出来たことは痛みが無かったためかも知れないが、右足だけ妙に感覚が薄い気がする。……小さく首を傾げる動作が、彼女には見えただろうか】
380 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 22:09:20.77 ID:B+Z/EefZo
>>367>>368

【邪禍が返した問い、もとい挑発に、彼女は首を横にぶんぶんと振るのだろう。……なら何故訊いた】
【世界的に指名手配されている人物なのだろうが、彼女はそれを知らなかった】
【そうであってもなくても、淡い期待を抱いていたのは事実だが――やはり今回も戦闘を避けられそうにはないようだ】


……っ


【近い、とはいえ聖の性質を帯びる力。それが邪≠感じ取る】
【相変わらずただの――いや、変態の人間だと勘違いしたままではあるが、脅威であることを認めざるを得ない】
【首に浮かぶリングが輝きを増した。強い闇を捉えたならば、スケッチブックをぎゅっと握って覚悟を決める】

【現れたのは正体不明のチョコレートに、巨大なタコのような何か】
【その不可解な風貌に怖気を感じつつも、頭は冷静にその動きを追っている。ある程度の戦闘経験はあるのだろう】


『食べ物を粗末にしてはいけませんよ!』


【相手が動くわずかな時間に、そんな母親の説教じみた台詞を書いて見せつつ、防御態勢を取る】
【迫るタコ足。まずすぐ近くの地面に手を翳し、つららのような刃を発生させ】
【それをタイミング良く撃ち出して脚への攻撃を防ごうとする】

【胴への攻撃が見えたが――後続が来るところも見えた。顔は不味いと思ったのか、スケッチブックで顔を防御】
【必然的に胴への攻撃が直撃するが、痛みと衝撃に耐えて踏ん張るだろう】
【……吸盤があるなら危機的状況になりかねないが――】

【全て受ければすかさず手を前に翳すだろう。青い光が収束してゆく】
【やがてそれは弾けて数本の青い矢となってタコへと放たれるだろう。狙いは体の中心部分か】
【速度はそんなに速くはない。対処しようと思えば簡単に打ち落とせるはずだ】


>>372

【少年の視線に、彼女の青い視線が重なる。彼女は喋れないが、こくりと頷いて応じた】
【――会話できない、つまり即時の連携が取れないことはスケッチブックを見れば明らかだろう】
【ならば多対多のこの状況、各個撃破が理想の形となるだろうか】
【よほどの窮地に追い込まれない限り、彼女も少年の動きを阻害しようとはしないだろう】
381 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:10:17.68 ID:74i9mOuNo
>>376
/な、なぜ抜けたし…………
/【ロウの登場で二人に増えたところで、「数の利は相手が上。」だが少なくとも〜】です。失礼しました…………
382 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:15:36.51 ID:kw96mNE8o
>>374

……、……

【一瞬言葉を失ったのは呆れなどではなくて、同じ男であるからこそ、同属嫌悪のように捉えてしまう事】
【遊んだ事が無かったかと言えば嘘になる。それも本来なら鈴音の二倍にはなるだろう歳の女性ばかり好んでいたのだから】
【馬鹿な男だと吐き捨てることは出来ない、けれど、何も知らなかった鈴音に非など無い事だけは確実に分かる】

【そんな彼女の唯一の罪と言えるだろう事、彼女を好きだと言って、恋人ごと殺してしまいたいとさえ言った相手に思考を馳せる】
【それもまた、同性だからこそ理解出来るような気がした。女の想いも怖いけれど、男のそれもまた、募れば鬼に変わるのだから】

……結果的に、それだけ愛した鈴音の手で死んだ事は、或いはその人物にとって
幸せ……だったのかも、知れないね。自分が鈴音と恋人を手に掛けてしまうより、ずっと

【自分だったら幸せだ。少なくとも間違いを犯す事はないまま、最愛の人が最低限幸せになれる形で、その手に掛かって死ねるなら】
【けれどそれがどれだけの彼女の苦しみになったかを思えば、言葉にする事は出来なかった】
【起きてしまった事は変えられなくとも、新たな見方になれただろうか。考え方が変わるだけで、恐らくずっと楽になれる筈だ】

無理は……、しなくて良いからね

【抱き締めていた背をゆるゆると撫ぜる、その奥にある癒えない傷を和らげる様に、その時の苦しみに寄り添うようにする】
【流石に心配げな様子だった。云う側でさえそうなる、それだけの言葉全てを受け止める辛さを、けれど彼は微塵も見せなかった】
383 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:22:19.41 ID:bIZLGHM0o
>>375

【眼前で起こる、姿の変異。なるほど、兵器とはこのことか。】
【手に返る感触は確かにあった。しかし、硬い。一突きでダメージを通すには硬過ぎるのだ】

っ―――――ぐぅ……!
やはり、厄介な相手で御座るなぁ……

【真っ直ぐに短刀を引き抜こうとしたその時に、小柄なその身体に巨大な腕が命中する―――!】
【軽いが故、当然身体は飛ばされる。先端にも触れたのか、左腕から血が舞い散って】
【……それでも丹波は空中で身を回し、そのままの勢いでコンテナに叩き付けられる事を避けた】
【コンテナの側面を経由して着地した時には膝を着いてしまったが――――まだまだ戦える】

――――あまり派手に暴れて、コンテナが倒れたら中身が全部ダメになるで御座るよ?
鏡ってのは割れ物で御座るからな。

……まあ良いで御座る。拙者は、忍らしい戦い方をさせてもらうで御座るよ……

【立ち上がったなら丹波は、手近なコンテナの隙間へと身を隠す。小柄さもあってか、走るのは速い】
【そこから何をするか……と思えば、暗がりから光を反射するモノが覗いている。更にカナリア色の束も見えて】
【何だ、ダメージのせいで隠れきれていない事も分からないのか。短刀も髪も見えているではないか――】

【―――と思ってそちらに意識を注いでしまうのは、宜しくない。煌めいているのは短刀ではなく、鏡なのだから】

【コンテナから拝借していた、細長い形をした鏡。それと自分の髪の束を、苦無でコンテナに縫い止めたデコイ】
【明かりの乏しい環境であるからこその作戦。ならば丹波はどこに……?】

【――――気配を消し、コンテナの陰を駆けて、またもラベンダァイスの後ろを狙っていた】
【うまく背後をとれたなら、床を蹴り、コンテナを蹴り、横方向への加速を得て】
【右手に握った苦無を、可能であるならば先ほど短刀を刺した位置を狙って突き込むだろう】
【一度で届かぬのなら、重ねるまで―――そういう考えである】

【だが、コンテナを蹴った時に音が鳴る。それに、最初のデコイに引っ掛からなければ迎撃すら容易い程だ】
【今度もやはり、対応できない、なんて事はないだろう】


【――そういえば今、忍≠ニ言ったか。どうやら、ラベンダァイスの予測は当たりと見てもいいだろう】
384 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:23:25.92 ID:B2tKSM/ao
>>372

「……俺様の服装の事を気ィにしている余ォ裕はねェぞ?」

【"つーか、服とか邪魔"と付け足しつつ、悪魔は亜人に対して指示を出す】
【――速い、身体能力もバッチリだ――聖も厄介だがこちらも厄介なことに変わりない、その上あの亜人は脚が遅い】
【脚が遅い、というのは――身体の構造や動きから見てもわかるだろう】

【――脚が遅いということは、回避の術が減っているということ、だからそれを補う"護身術"が必要になる】
【首が弱点かはまだ定かではなかった、しかし――チョコレートを口から吐き出し、それを硬質化】
【それによって蹴りの威力を減衰させつつ、後はそれを右腕で受ける】 【――右腕に裂傷が生まれた】

【亜人はチョコレートの魔物。しかし、ただでやられるほど甘くはない――】 【攻撃を受ければ、即座に反撃に移る】
【それは素早く左腕を薙ぎ、少年を切り裂こうとするだろう】 【もし動かなければ、右腕から横に斬り傷が二つ付くことになる】
【何の変哲もない無難なひっかきだが――魔物の爪を舐めてかかってはいけない、特殊能力関係なしに鋭いからだ】

>>380

「ククッ、じゃア話は簡単だァろォ――あァ、あァと食ァべ物だァろォーとなァんだろォーと俺様にとォっては等しく素ォ材だ!」

【悪魔は邪悪に笑む、――話が通じないならば、力でねじ伏せるしかない、それが掟】

【胴への攻撃が通った――触手にも吸盤はあるようだが、今回は吸い付いてこないのが幸いか】
【見える青い光――タコは危険を感じる、が、――亜人と違って、そもそもこの場所が狭いのだ、結局は回避が難しい】
【ならば、はたき落とす。】 【腕の一本が斜め下に向けて振られれば、矢はそれによって破壊されるだろうか、】
【――しかし、全く効果が無かったわけではない、確かにタコについたのは軽いキズ程度だが……】

「オクトレートォォオオッ、遠距離技で護れ遠距離でェッ!」

【青い光で作られたその矢の聖が、悪魔にへとフィードバックしていた、100%の量ではなくとも――効いている】
【先程振った腕は左側だった、故に悪魔の左腕が聖で焼かれている――溶けている、ようにも見えなくはないが、効いているのには変わりない】

「……斬ィれェイ!」 『ザァァアアーーーッ!!』

【トカゲ男も飾りではなかった、――高い瞬発力を活かしたダッシュから、少女の胴体を右手の刃で斬ろうとする】
【鋭い刃――よく見ると、血を拭いた様な後が付いていて――この辺りが僅かに血生臭い原因は、人の気配がしないのは、もしかしなくとも――】


>>372,380

「そォして……オクトレート――ぶゥッ潰せェェーーいッ!」

【それと同時にタコの上半身が、その腕が――動く】
【2人に目掛けて振り下ろされる腕はそれぞれ一本ずつ、真上から叩きつける動きだ】
【その太い脚は一般人の太もも程度あると見て良い、先端に行くに連れて細くなると言えども、真面目に受けていては命に関わる】

【その上、その腕は何かを叩くと吸盤――牙や針は無いが、代わりにそこの小さな穴から溶けた熱いチョコレートが噴き出す】
【なので、最低限の回避のみだと――火傷を負いかねないし、チョコレートがへばりついて動きに支障が出る可能性もある】

【振り下ろす際に上半身が下がり、攻撃しやすい位置にそれや頭部が来るが――弱点なのかは、不明】
385 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:42:08.60 ID:WuDb7cIvo
>>376
ふ、ふ。我々もあれにはさすがに驚かされたがね……六罪王の皆様は、派手好きが多い
なるほど、立派な心掛けだな。我らとしては、面白くないことだが
……私の名を知っているのか。少々暴れすぎたようだな。裏の世界で名が知れるのは好ましいことではないのだがね
――やってみるがいい、アルフレド。拘束と言わず、殺すつもりで来い

【彼の名乗りを、向けられる銃口を受けて、単眼が悪意に輝く。大男の脳裏でもまた、邪悪な思考が渦巻いていた】
【数ではこちらが上とはいえ、相手は指折りの強者。さらに、こちらには盗んだ物資という足かせがある】
【少なくとも、殿として自分が立つことが不可欠。そう判断し、退くことなく彼らに対峙する】
【足止めされているのがわかりつつも、動くわけにもいかない。数の利は、同時に身軽さを犠牲にすることでもある。どう転ぶかわからない鉄火場】


〔教える気がない。彼はなぜそう思ったのだろう。敬語が崩れているのも気にかかる〕
〔それが悪への怒りがなせる業なのか。だとすれば、そもそも彼の中での悪とは何を定義してそういうのか――〕

【ぶつぶつと意味不明なことを呟き続けるアンテナ男。その頭が、脳味噌が、アンテナがゆらゆらと揺れている】
【でありながら、アルフレドを捉えている鉛色の瞳は逸らされることなく。自身の攻撃に、左の銃が動く光景を見つめる】

【左の銃が動けば、アンテナ男が身構える。が、その狙いは防御にあった。エネルギーラインを染め上がる緑が、風の魔弾を呼び覚ます】
【圧縮空気とかち合って、軌道の逸らされた破片が彼の背後に落ちては消えていく。攻撃の失敗にも、アンテナ男に動揺の様子はなく】
【続いて、右の銃がその力を発揮する。警棒を構えて身構える、が狙いはアンテナ男ではなかった】


『あああ!? あの野郎、味な真似を……!!!』
「ぐ……まずい……!!!」

【見事なまでのコントロールで放たれた風の弾丸が、看板を撃ち抜いた。ビスをピンポイントでぶち抜く、驚異的な技量】
【あらかじめの観察も怠らない周到さの前に、異形どもが翻弄される。先頭を走っていたデュアル兄弟の乗るトラックへ、看板が襲い掛かる】

【かわそうとハンドルを切るも、先の攻撃のダメージが尾を引き、反応が遅れる。結果、看板をぎりぎりで避けはしたものの】
【トラックが、倉庫の一つに激突した。凄まじい衝撃音と共にトラックが動きを停止し、後続に進路をも塞ぐ】


〔舐めるな、という言葉にも興味は尽きない。我々は、彼を舐めているわけではない。口にした覚えはない〕
〔だが、この言葉はあらゆる状況で使用される。私の行動が彼にそのような印象を抱かせたのか。自分が舐められている、と感じるきっかけはどこにあるのだろう〕

【そこへ、アンテナ男が襲い掛かった。右の警棒を彼へと向けた状態で、空中を滑る様に、直立姿勢で飛んできたのだ】
【見れば、アンテナ男の背後に新たな箱が出現していた。自身の身体スレスレに位置に箱を生み出すことで、自分自身を突き飛ばさせたのだ】
【右手に握った金属警棒の先端が、アルフレドの腹部に突きを見舞う狙いの軌道で迫る】
386 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/14(金) 22:44:00.90 ID:WwVw5sX40
>>383

……よし……!

【今度の手ごたえは、かなり確かなものがあった。拳を引きながら、ラベンダァイスは小さく声を漏らす】
【この拳で叩きつける事が出来たなら、相当のダメージを与える事にも成功したはずで】
【一撃が重いこの姿は、そうして一撃を当てればその効果は計り知れない。大仰な身体をゆっくりと振り返りながら、ラベンダァイスは受け身を取った丹波と向かう】

……品物と、敵……優先するのはどっちだと思う……?

【揺さぶりを掛ける様なその言葉に、ラベンダァイスは返す】
【確かに、ここを守る名目で戦っているのだから、あまり大っぴらに周囲を巻き込んでしまうのは頂けない】
【とは言え、その為に敵の優位を黙って見過ごすと言うのは、それはそれで悪手が過ぎる】
【そう簡単に全てを割り切ってしまう事は出来ないが、ともあれそんな姿勢を分かりやすく提示してしまう訳にもいかない】
【故に、大して気にしないというニュアンスの言葉だけを選んで返事としたのだ】

…………っ…………?

【気になる言葉と共に、さっと身をひるがえす丹波に、引っ掛かるものを感じるラベンダァイス】
【きらっと光を反射してその姿らしいものを目にするが――――そこでラベンダァイスは動けなくなる】

(……こんな時間稼ぎにもならない事で、何をするつもりなの……ただ隠れるなんて、お粗末すぎる……
……と言うより、隠れられてない……そんなに余裕がないなんて事、無いはず……!?)

【その意図が読めないが、何らかの作為は感じる――――朧な違和感が、ラベンダァイスを押しとどめたのだ】
【このまま時間を稼いで体勢を整えるなり、奥の面々の為に時間稼ぎとするなり、可能性はいくらか考えられる】
【それでも、こんな半端な隠れ方は普通はしないだろう。そのまま向かうのはそれこそ無策の策となりかねない――――】

――――ッッッ!!
(っ、まさか囮……!? こんな一瞬にどうやって……!?)

【背後から物音を聞いたのは、その時だった。ラベンダァイスは嫌なものを感じて、再び腕を振るいざまに振り返ろうとする】
【――――破壊力と防御力に優れる代わりに、その身体は鈍重極まるもので、こうでもしないとまともに動けないのだ】
【まぁ半面、反動を利用する為のこの腕が、同時に迎撃の役を成してもくれると言うのが利点なのだが――――】
【疑念の為に囮にこそ引っ掛からなかったものの、同時に動けなかった事で、初動の対応が遅れてしまっていたのだ】

っ、あぁぁッ!!

【刃は、同じ個所を2度刺した。先ほどよりも深く刃は突き立ち、流石に悲鳴をかみ殺すのは無理がある程に痛みを感じる】
【同時に――――初撃の手裏剣を足に喰らっていたのが響いたのか、そのタイミングでラベンダァイスの巨体は大きくバランスを崩す】
【振り向く為に振り抜いた腕の勢いを制動し切れず、ラベンダァイスはその場で大きく転倒してしまう】
【その身体故、一度倒れると起き上がるのには多大な手間を掛ける事になる。固いとはいえ全く無防備な姿をそこに晒す事になるのだが】
【同時に、その巨体が倒れるのは並大抵の衝撃ではない。同時に、先ほどの様に腕も振り抜かれているのだ】
【離脱が間に合わない程のタイトな瞬間ではないが、油断すればその転倒に巻き込まれてしまいかねない】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:57:43.82 ID:W/PLyJG+0
>>382

【遊ばれていたことすら気付けなかったぐらいに幼かった彼女は、きっと恋愛ごとなんてするには早すぎた】
【懐いていた、憧れていた、その感情を明確に愛にしてしまったのは、愛してるといわれたその言葉から】
【これが愛なんだと認識してしまえばあとは転がるだけ、ころころころころ転がって、おおきな穴に、落っこちた】

……分からない、けど、いまでも、きっと、そうする。
セシルが死んじゃうなんていや、ひとりぼっちになるなんていや、死んじゃいや、どこにも行っちゃいや……。

【何が正解だったのかなんて今でも分からない、ただ、自分がしたことが失敗だったのだと、それだけが鮮烈に刻まれて】
【けれどそれ以外が分からない。どうしたらいいのかが分からない。そんなひとが表れたときに、どうすればいいのかが、】
【ふらふらとちいちゃな子供が駄々をこねるように頭を揺らす、今も昔も、ただひたすら一緒に居たいだけ】

どこにも行かないで、置いていかないで……、死んじゃっても一緒に居て、ぜったいに死なないで。

【――良くない。昔のことを思い出して揺らいでしまったなら、頭でっかちにぐらぐら振れてしまうのが、わるいくせ】
【ぎゅうと抱き締める力が今までよりもさっきよりもずっと強かった。振り落とされないように、しっかり掴んで】
【いやいやを何度だって繰り返す、また置いていかれることが、あり得ないってわかっているのに、どうしようもなく恐ろしかった】

怜司は……怜司は、わたしのことを愛してるって言ってくれたけど、一回も、なにも、してくれなかった
お父さんみたいに首を絞めてくれなかったし、セシルみたいに、ぎゅうって咬ませてもくれなかった
辛いことも、苦しいことも、全部なくしてあげるなんて嘘だった。辛かったのに、苦しかったのに
何も聞いてくれなかった。何も聞いてくれないで、わたしのこと殺して、きっと別の女のところに行ったの
だって、そうじゃなかったら……そうじゃなかったら、クリスマスの夜だって、あんなの、おかしい……
ごめんなさいって言おうと思ったの。そうしたらお話を聞いてくれるって思ったの、それなのに
全部あげたのに。欲しいって言うからあげたのに……なのに、結婚してくれるって、言ったのに

【意味の分からないことばかりだった。だいすきなひとが居なくなってしまうこととか、そのひとに殺されることとか、】
【気付いた頃にはだいすきなひとに別の女が居て。自分がいつの間にか二番手にされていて、二度と振り向いてなんてくれなくて】
【何を言おうとしても聞いてなんてくれなくて、自分がひたすらに悪者で、そのまま頭をブチ抜かれるような、経験とか】

【(本当は違ったのかもしれなかったけど。彼女の瞳にはそうとしか映らなかった。説明も、してくれなかったなら、)】
【(どうしようもなく勘違いして生きていくしか出来ない。過去に忘れたがった記憶の断片、それがこれ)】

……すきだよ、だいすきだよ、誰よりも好き。世界で一番愛してる。
本当だよ……、本当だよ。信じて……。

【――いつの間にか声が震えていた。ベルベットの布地にぱたりと落ちる水玉模様、つうと表面を滑り落ちていって】
【もう話せると思ったのに。思い出すのが辛くて、苦しくて、怖くて、ぎりぎりぎりと頭が痛くて、泣きたくなる】
【こんなにも他所の男のことでこころが乱れるのを見られたくなかった。今更だって言われるかもしれないけれど、】
【言い訳めいてつらつらと連ねていく言葉たち、痛々しいぐらいに本心から溢れさせる、ただ、信じて欲しくって】

【(もう止めたほうがいいのかもしれなかった。初めてひとを好きになった記憶は、彼女の記憶は、あまりにも苦すぎて)】
388 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 22:58:31.95 ID:7lR+Yg5oo
>>377-378

【―――見た所、ではあるが。どうやら部下の愉快な男性陣、まさに海賊といった体で。爆風が晴れたその後に垣間見える寸劇は】
【激戦の中で清涼剤の役割を果たしてくれる―――などと、呆けている場合ではなかった。鎧は軽微損傷、HUDがノイズで揺れた。】
【キャプテンといい部下といい、騒々しくてどこか憎めない部分もあるが、それはそれ、これはこれだ。悪人に対し容赦は、出来まい。】

 ……やってくれるねぇ、げほっ、げほっ……!
 人間に対して大砲でダイレクト・アタックだなんて、昔の海賊でも恐れ戦くよ、多分ね!
 それにトンプソン! 機関銃にしたって、今はもっと良いのが沢山あるのにあえて、二次大戦の武装をチョイス。痺れるよ船長、嫌いじゃない。

 ん? 何言ってるのさキャプテン。見た限りじゃとってもいい部下を持ってて羨ましいぐらいさ!
 そっちの皆さんが"フルハウス"に出てくるような愉しい人達で命拾いしたよ、笑っちゃって弾道がずれるかとヒヤヒヤしたけどね。
 ―――はて、プレゼント、って……どういう意味かは聞かないでおくよミスタ、世界は広い様で、狭いねッ!!

 (―――……確か手紙に書いてあった名前は、"ビスク・フランコ"―――麻薬さんのファミリーだった筈だけど……つまり、そういう事か。)
 (まったく、マフィアってのは手広いねぇ。こんな事ばっかりだから、そりゃあ舞衣ちゃんも苦労するわけだ―――って、ええっ!?)

【停止、というのは初めての経験だ。弾かれ、切り伏せられる事はしょっちゅうあるが、"停止"というのはまさに、初めての事だった。】
【一発目が掠れたとはいえ、ニ発目はなんらかの力で防がれてしまう、つまりはどうにかして正面以外から攻めなくてはいけない、という事で】
【だて、どうする。こんな事は初めてだ、残り三発の"弾"末魔と四発のライトニング、両手に二挺を構えてセリーナは後方へと飛び退った。】

 ―――砲弾を打ち抜くコツ、よければ教えてあげるよ! ただし条件付きでね?
 キャプテンのやった弾丸を止める"コツ"ってのを伝授してくれるのを引き換え条件でさ! 悪くない話、でしょっ!
 
【M500、その銃口が見えた瞬間のセリーナの表情たるや、筆舌に尽くしがたいほどに輝いていたのは言うまでも無い。】
【だが感心している場合も感動している暇も無く、対応を迫られる彼女は敵の発砲に―――もはや砲撃にも近しいそれにあわせて】
【撫でる様な滑らかな動きでライトニングを発砲、50口径の弾丸を中途で打ち落とそうとするも―――威力不足、弾かれた。】
【逸れた大口径マグナム弾はセリーナの、と言うよりもティターン・アーマーの肩口を正確に射抜き、さしもの鎧も衝撃に吹き飛んでしまう。】

 う、くは―――ッ! 痛ぅ……!
 やっぱりとんでもない威力だねぇ、それ……ッ! 対抗するにはこっちも、大きいのを用意するしかないかなっ!

【直後、"弾"末魔が四度目の咆哮を上げ、召還陣が展開。再びの召還に周囲が閃光に包まれ、現れたのは巨大な―――銃器。】

                    ―――番犬吠々<ケルベロス・マグナム>ッ!!

【拳銃と思わしき形状、しかしそれでもグリップは驚くほど大きく、なおかつ中心のシリンダーは通常のリボルバー拳銃とは】
【比較にならないほどに巨大で、そして独特の存在感を放ち―――なにより、このバケモノじみた拳銃の最大の特徴は】
【銃身―――シリンダーから敵へめがけ真っ直ぐに伸びたそれが三つ、"三連装"に連なっている事だろう。】
【水平ニ連装のショットガンの上部に、もう一本の銃身を継ぎ足したかのような"歪"過ぎるフォルム―――】
【銃身にはレリーフとして、地獄の番犬を司って精製された事を伺わせるケルベロスが描かれている―――まさに、三つ首の"砲身"】
【セリーナは弾末魔をガン・ベルトへとしまいこみ、かわりにケルベロス・マグナムとライトニングの二挺を構えた。】

389 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 22:58:47.26 ID:7lR+Yg5oo

>>373

 よーそろー! こちらこそよろしくね、お嬢さ―――……あれ、おじさん? いやいや、そんな筈は―――……
 まあいいや、どうやらお互い"変わった"能力を持ってるみたいで、安心したよおねーさんは!
 こっちも出来るだけ援護するから、それじゃ後方支援はまっかせたよん!

 っていうか……本来はアタシも、後方支援型なんだけど……ま、甘えたことは言ってらんないよねっ!

>>ALL

【双方が対峙すべき共通の敵、即ちキャプテンめがけて装備したケルベロス・マグナムを構え、すかさず発砲―――轟音。】
【爆発かと見紛う強烈な火薬が噴出し、銃身が一瞬で焼け付いて大きな弾丸が―――M500のそれに負けない強力な物が放たれる。】
【つかさどる属性は『疾風』、弾薬は炸裂すれば広範囲にわたって暴風を撒き散らし二次災害を引き起こすだろう。足止めの狙いだ。】
【キャプテンの射撃が少女へと向かっているこのタイミングを狙ってこそ、撃ちぬくべきだと判断したのだろう。だがしかし、これがいけなかった。】

【敵は当然、一人きりではない。先程は甘く見ていた件の"部下"達だが、どうやら彼らもただの雑兵と言うわけではないらしく。】
【甲板から放たれるトンプソン機関銃による45口径弾丸の雨霰が、激しさを増してきた洗浄へと降り注いで。危うく、蜂の巣になる所だ。】
【4,5発がセリーナの肉体、主に脚部装甲と胸部、そして肘に命中し衝撃が伝道、貫通。内部のセリーナにも強烈なダメージが、通った。】

【『かはっ―――!』という、うめき声が漏れたのもつかの間、耐え切ることは出来ないと考えた彼女はすぐさま、船の方へと前転。】
【転がり込んで機銃掃射から身を隠すが、これでは攻撃がままならない。ではどうするか―――答えは一つ。】
【甲板へと強烈な攻撃を、船の下部から届かせて後方射撃を潰す作戦だ。セリーナはケルベロス・マグナムをリロード。】

【新たな弾丸が込められて、船底から部下の居るであろう上方へめがけて、強烈な爆裂弾が放たれた。弾薬の種類は、"火炎"】
【着弾時には20mmスマート・グレネードにも匹敵しうる大口径の弾丸が炸裂し、火炎を周囲に渡って振りまくだろう。】
【大まかな位置取りで放つため直撃は難しいだろうし、そもそも船底から機銃掃射をする彼等を撃ちぬけるかは疑問であるが―――】
【キャプテンへめがけ放った弾丸が彼の足止めを担っていると信じ、自らは部下を潰すために身を投げ出した。】


390 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 22:59:32.93 ID:WuDb7cIvo
>>379
【ロウが異形どもの殺気に肌を粟立たせているのと同じく、以前にも増して切れ味鋭いロウの気配に、カニバディールも似た感覚を覚える】
【元より、侮れる相手ではない。数で優位の状況であろうと、変わらない。彼の中の熱い想いが、こちらにもわかるほどに激しく】
【情熱と冷静、二つを兼ね備えた男に、悪意の異形が相対する】


あまり気安く、こちらの情報をしゃべってくれるなよ……
スライム呼ばわりとは言ってくれるな……

【背後で、手下がかけるエンジン音が響く。と、次の瞬間には放たれる弾丸。彼の持ち味、精密射撃】
【芸術的なまでの腕前の跳弾が、カニバディールの股下を抜く。大男の鈍い動きは、彼のの射撃速度には相性が悪い】
【歯噛みする大男の背後で、前方をデュアル兄弟のトラックで塞がれていた中央のトラックが、後ろのタイヤを抜かれた】


<うおああああああ!!? ちっくしょ……!! ダメです、ボス!! 一台やられました!!>
そのトラックは放棄だ!!デュアルを助けに向かえ!! ネグティー、お前もだ!! まずは前方の看板をどけろ!!
≪は、はいいいいい!! あわ、あわわ、うええええええええええん!!!!≫

【大男の指示が飛び、異形どもが背後で蠢きだす。トラックの動きは、二人の活躍で止められた。すぐには動きだせないだろう】


【一方で、青肌女の攻撃は通った。身構える彼の間隙を突き、鉤爪がその肌を襲う】
【彼の覚えた違和感の正体は、青肌女の様子を見れば察せられるだろうか】

{んはあああああああん……!! ああ、君の足、まだ完全に治っていないんだね……? この痛み、いいよお……}
{あはあ、銃弾のおまけつきとは、太っ腹だね……んくああああああああああ!!!}

【青肌女の嬌声が跳ねた。そう、彼女の能力は、鉤爪で攻撃した箇所の苦痛を、彼女自身に移すというもの】
【痛みに喜ぶマゾヒスト女、その異常性は能力にも反映されている】
【さらに、飛来する弾丸が鎖の根本、青肌女の右腕を襲う。鎖がはじけ飛び、地面に落ちて血液に変わった】
【右腕には、鎖に裂かれた傷と、ロウの一撃による銃創が共についている。それでいて、青肌女は悦楽に笑うのだ】


あまり快楽に酔うのもほどほどにしろ、美鈴。戦闘中だ

【言いつつ、異形どもの首領が動いた。手にしたバトルアックスを横に大きく振りかぶる】
【と、次の瞬間柄の部分のマギタイトが光り始め。刃の部分に光が纏わりつく】

蛇王、レギン様の遺作の一つ。その威力、その身で知るがいい――!!

【バトルアックスが振り抜かれる。ロウへ向かって刃から放たれるは、横に伸びた光線だった。バトルアックスの有する能力、遠距離用魔力攻撃だ】
【熱を伴った光の線は、ロウの胸部辺りを狙って飛ぶ。威力は見た目ほどではないが、速度は早い】
【直撃を受ければ、その部位に横一直線の火傷を刻まれることになる】

【青肌女は、まだ痛みの快楽に酔っている。隙は見せてないないが、すぐには仕掛けてこないはずだ】
391 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 23:01:45.81 ID:ufbkP29V0
>>380,>>384

…………―――!


【"まさか、チョコレート如きに―――"と言いたげな表情、自分の蹴打には相応の自信があった、寧ろ、一発KOで当然という具合に……】
【目の前の敵は、どうやら中々の実力を持っているらしい。振り抜く筈だと思い込んでいた故に、少年の足を耐えてしまったのなら、若干のバランスの崩れを許す。】
【伴って、亜人の斬撃を喰らってしまう事となるだろう、……然しそれでも反射的に、僅かに回避行動を取ったのだが。】

【少年の服に2本の切れ目が走った。―――然し其処から、少年が初めに感じ取った鮮赤の液体が服を染める事はない。】

【この事象の原因として真っ先に考えられるのは、"血が噴き出る程、深い傷を刻むことが出来なかったから"であろうか。】
【だがそれは亜人の感覚によって掻き消される事となる筈だ。掠ってじんわりと血が滲み出てくる程度、という訳でもない。確かに切る事が出来たのだ。】
【加えて、少々の距離を取り、……少年は右腕を匿うように、左手を擦っていた。明らかに、ダメージは入っている……―――可怪しい。】


………やるやん、俺の蹴り止められたん、結構久し振りやわ―――


【とだらだら話している内に振りかかるタコ足。頭上から叩き付けられるだけの、単純な動き―――ならばと最小限のバックステップで回避する事だろう。】
【加えて、反撃と言わんばかりに頭部へと跳躍した―――勿論、途中で高熱のチョコレートを浴びる事となる。左腕、丁度傷の入った方と逆側だった。】
【然しそんな物諸共とせず、先程の亜人にしたのと同じ様に蹴打を放つ。湯気の立つチョコレートを見ても無表情、どうやら、熱には強いらしかった。】

【着地したなら、取り敢えず左腕にへばり付いたチョコレートを払おうとするだろう、が―――上手く取れず、右手にもベッタリと付いてしまった。】
【これ以上は負の連鎖、諦める事にしたらしく―――だとすれば彼が言っていた通り、少年は甘い甘い香りに包まれてしまった様。】
392 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 23:05:23.66 ID:B+Z/EefZo
>>384

【矢はほとんど効果が無いようだ。もっと力を込めなければ――】
【打たれた腹を押さえつつ、反撃の糸口を掴むため異形の者達を見渡した】

【その時、彼女は男の異変を捉えた】
【左腕が焼かれているのを見れば、攻撃はフィードバックするのだと瞬時に理解】
【そうとわかれば攻撃を重ねるだけだ。彼女はタコに狙いをつけようと手を翳す――が】


(――っ、なかなか攻撃させてくれませんね……)


【トカゲが動き出したのを見咎めれば、攻撃どころではない】
【多数の敵を相手取った経験は少ないが故に、どう立ち回ればいいかわからず防戦一方となった】

【コンテナを引き裂くトカゲの攻撃は驚異のひとことに尽きる】
【スケッチブックでは防御できないが――それは刃を受け止めた時だけだ】
【彼女は咄嗟に前へと踏み込み、その地点でスケッチブックを構えるだろう】
【うまくいけば手首で攻撃を抑えることができるだろうか】


(まだ攻撃が……! お願い、守って――!)


【反撃に出たかったが更なる攻撃が迫る。スケッチブックは――間に合わない】
【ならばと、彼女は攻撃の軌道に刃を生成し、バリアのように設置して防ごうとする】
【その瞬間、透明な刃の向こうからチョコレートが噴き出した】


(熱……やなバレンタインですね)


【垂れたチョコが少し頭にかかった。範囲が広くなかったので横に退避】
【最悪のプレゼントを受け取って少し頭に来たのか――タコを睨みつけることだろう】
【反撃には――出ない。その代わり、手に青い光が収束してゆく】

【防がれないよう力を込めて、大きな一撃を浴びせるつもりなのだろうか】
393 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 23:13:00.88 ID:b1RzXPnn0
>>377-378 >>388-389

――――――――『可愛げがない、余計なお世話だね全く…女の子にそんなこと言うなんて男としてどうなのさ?』
『ま、そういう“なってない”男なんだから海賊なんてやってんだろうけど…出過ぎた発言だったかな?』

『そ、れ、に…私は、キュートっていうよりはビューティって感じだからさ!』

【火炎の球体を簡単に掻き消され―――その際の射的センスに思わず、吹けもしない口笛を吹きそうになる】
【次いで自分への攻撃。銃口の先、軌道を正確に読んで、回避行動の準備をする。依然として、右手は喉元に】

――――…『その辺は大丈夫、どうせこっからは私に構ってる余裕なんて無くなるからさ』
『救われた分、今から挽回しなきゃあ―――そのニヤケっ面に一発、きっついのぶちかますためにね』

【右肩を突き出すように体の軸を回転させ、最低限の行動で銃弾の軌道から自らを逃がす】
【しかしそれでも弾丸が一発、体を掠める―――ちり、と服の擦れる音が聞こえた気がした】
【もう一発は肉も抉り取っていき、直撃じゃないと言えど負傷。宙に舞った鮮血で、美しい紅の線が描かれた】

――――――――――…ッ!

【鋭い苦痛にしばし無表情を貫いていた顔を顰めて、あいていた左手で怪我を抑える】
【尚も目はキャプテン・キナシスへと向いていて、喉に宛がっていた指をまた変える―――今度は「小指」】
【本来ならそのまま、攻撃へと移るのだろうが――――】

―――――――…『うっわ、流石に弾丸のシャワーはきっついって!ほんとに大人げないっての!』
『いちじ、たいきゃく…っ!何か、防げるような場所は―――!』

【降り掛かる無数の弾丸。最初の射撃音が聞こえるより先に、まずは周りを確認した】
【小指をあてがうことで鳴らされる声はまるで幼い子供のような、そんな声。緑色の魔翌力が溢れて】
【弾除けを見つけたならその方向へと走り出す。魔翌力は彼女の走りを助ける「追い風」となって、足は勢いを強めた】
【半ばスライディングに近い形で飛び込んで―――間に合ったことに安堵すると同時、そこにある物に気付く】

【見つけたのはそう、手榴弾。これを使えばあの男の銃撃や部下たちの援護を止めれるかもしれない】

―――――――『よぉし…これなら一泡吹かせられるかなぁ…!』
『だーれが「本体より魔術の方が厄介」だっつーの…目に物見せてやる、超ド派手なの!』

『おっと、丁度あっちも頑張ってるようだし―――じゃあこっちはこっちで、ちょっかいかけよっかな』

 【――――セリーナの方を見れば、どうやら部下の援護を止めようとしているらしく】
 【ならば今はキャプテンの方をちくちくと攻撃して、ダメージを稼ぐ方が無難だろうか】

【左手でパイナップルの手榴弾を一つ手にしたなら、ピンを噛んで強引に引き抜く】
【軽快な音と共に抜けたピンを吐息で吹っ飛ばして、片手間にキャプテン目掛けてその手榴弾を放り投げただろう】
【隙作りかつ魔翌力節約として、もう一つだけ手榴弾を左手で掴む―――状況を見て船の部下にでも使う予定だ】
394 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 23:21:03.65 ID:eH0uptBlo
>>386

【完全ではないが、狙い通り決まった――――やはり重ねての刺突はダメージが大きい】
【パワータイプではない丹波が、防御に優れる形態の相手を倒すにはそこがキモであると、改めての確認】

【――――が、硬いところに、深く刺さってしまった。これでは抜くのは容易ではない】
【苦無は回収してまだ使うつもりであったから、そこで一瞬、隙が生じてしまった】

まずっ――――ぅあっ…………!

【先ほどよりも確かな手応えが、ラベンダァイスの腕に伝わるだろうか。離れようとした丹波に、】
【その腹部に、腕が命中した。今度は勢い良くコンテナに叩き付けられるのだが―――崩れない】
【何故か。答えは左手の短刀だ。コンテナの側面目掛けて、刃を突き込む形で飛び込んだのだ】
【そうすることで打撃として加わる筈だった衝撃は、刺突として突き破るに留まった】

【――――――まあ、ラベンダァイスが転倒した衝撃で結局崩れたのだが】

く、……あ、これは危ないやつで御座る……!

【ラベンダァイスを中心として、大量のコンテナが倒れていく。中でも短刀を突き刺した物はそこからパックリ裂けて】
【辺りに、大量の鏡が撒き散らされた。即座に短刀を抜き、丹波はそこから身を跳ばしていたのだが】
【それでも、裂けたコンテナか、或いは割れた鏡かが当たったのだろうか。右の太腿から血を流していた】

【大きな隙を見せているラベンダァイス。しかし、先程までの傷は恐らく、床側に隠れてしまっているだろう】
【ならば、どう攻めるか――――】

これなら……どうで御座るか!

【未だ空中にある身体、行える攻撃は限られている。取り出したのは、二本目の苦無で】
【己の移動も計算し、ふわりと宙に投げたなら――――両手に握り直した短刀の峰で、思い切り打ち下ろすッ!】

【打ち下ろす力、そして重力による加速―――苦無は刃を下にして勢い良く落ちていく】
【行き先は上半身、であろうか。しかし落下という過程が挟まる為、明確にどの辺りかまでは狙い難い】

【その後、丹波は一番下になっていて無事だったコンテナへと着地する】
【ただ、ダメージが影響を及ぼしているようで、そこには隙がある】
【奥の連中の事を考えるなら、そろそろ決め時か―――――】
395 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 23:28:41.54 ID:74i9mOuNo
>>379

りょ、了解です、ロウさん!!

【決して油断していたわけではないが、それでも実際に戦った相手に言われるのでは説得力が段違いだ。まして彼の実力の高さも知っている】
【先程風の魔弾を受け止めた肉の変質、不気味であると同時に厄介だった。ああして包み込まれてしまえば弾けるダメージは減衰する】
【ならば――――風≠ナ無ければどうだ? 相手が肉であるなら、人体≠ナあるなら、あるいは――――】


>>385

言われずとも、そのつもりだ…………!

【そうして思惟を巡らせていると、今度はそのカニバディール本人の台詞が耳に入ってくるだろうか】
【不殺≠掲げる憧れの男と肩を並べて戦いながら、こんな台詞を吐くのも皮肉じみているが…………カニバディールに向ける言葉に、迷いはない】
【お世辞にも綺麗な世界とは言えない警察組織の中に身を投じ、若いながらも刑事として人の死≠ノ触れている。そんな彼だからこその言葉だ】
【まして、アルフレドはまだ未熟。殺さない努力は勿論するが、実力不足でそれが叶わない時は。冷酷な決断でもって、未熟の代償を自らに課すしかない】
【ただ、その表情に浮かぶ僅かな躊躇いと嫌悪は――――そういう覚悟の出来る冷徹な自分を彼自身がどう思っているのか、少しだけ浮き彫りにしていて】

(まどろっこしいヤツだな…………!!)

【看板がトラックを止めたのを見ることなく、アルフレドは即座にノーティヒアに視線を戻す】
【スリップ音と轟音が続いたことから、恐らくはうまく言ったのだろうと判断。どの道、トラックを止める手立てはあれで最後なのだ】
【後はただ、目の前の敵に集中するのみ…………なのだが。こちらの行動をいちいち分析してくる相手の様子に、アルフレドのこめかみに青筋が浮かぶ】
【この青年、冷静なようではあるがどこか感情的だ。良くも悪くも、冷静な理性と怒りっぽい素の性格の差が激しく】
【トラックの方に攻撃した隙とその僅かな感情の揺らぎが相俟って、ノーティヒアに接近する時間を与えた――――】

ぐ…………っ! コイツ、そういう使い方も出来るのか!!

【接近戦を挑んだ判断――したのかどうかも、ノーティヒアからは全く読み取れないが――は正しい。銃器使いにとって近距離は鬼門だ】
【それはアルフレドとて例外ではない。『Nara』の後部を覆う護拳のようなカバーパーツを使って警棒を受け止め、どうにか直撃だけは避けるも】
【突きの威力を全て受けるには、左腕一本では足りない。『Nara』は力負けして鳩尾に押し込まれ、障害物越しとはいえ強い衝撃が腹部に走る】

【――――この時。ノーティヒアに慢心がなければ、ばち、という音がアルフレドの両手から同時に響くのにも気づけるだろう】
【右手の親指で『Kibrit』の側面にセレクターが押し上げられ、同時に左手の親指が『Nara』のマガジン側面部のスイッチを引き下げる】
【突きの衝撃で吹き飛ばされながら、両手が目の前でクロスする――――右手の下に左手を添えて射撃台代わりにする、アルフレド得意の掃射≠フ構え】

喰ら、え――――――ッ!!!


【『Nara』に雷の力が装填され、『Kibrit』に風の魔力が集約する。そして、刹那――――】
【『Kibrit』と『Nara』の引き金が同時に引きっ放し≠ノされ、ノーティヒアへ向けて二種類の弾丸が舞い飛ぶだろう!!】
【『Nara』の方は言わずもがな、最初と同じ性質の電撃の雨≠セ。多少程度なら痛いで済むが、全弾浴びれば相当量の電撃を流されることになる】
【そして『Kibrit』だが、こちらはいわば風のレーザー≠ニ言ったところか。銃弾サイズの口径に限界まで絞られた風が一直線にノーティヒア腹部へ向かう!】
【風とは言え、これだけ小さく絞られれば相当の貫通力≠ェ発揮されるだろう。掠めた場合でも斬撃に近い効果が発揮されるか】

【とはいえ、『Kibrit』の方は威力こそ高いが、銃口さえ見ていればそれほど回避が難しいものではない】
【むしろそちらに気を取らせて『Nara』の雷撃の掃射で全身を痺れさせ、行動不能にする。そういう意図だろうか】
396 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/14(金) 23:34:36.60 ID:RQHyq+vLo
>>390

……流石にトラック気にしたまま戦うほど余裕はねェが……少しでも足止めに時間食ってくれれば援軍が来るまでの時間稼ぎになる……!
―――じゃ、コレでアンタ等にある程度集中できるってこった……!!

【アルフレドの活躍もあり、トラックは停止。ロウはその光景を見届けるとカニバディールに鋭い視線を送り、白い歯をこれ見よがしに見せ付ける】
【―――だが、敵は独りではない。彼が今戦っているのは青肌の彼女、そして繰り出した奇想天外な鉤爪攻撃が傷つけた箇所は、何故か痛みがしない】
【……その謎は、彼女の言動、リアクション―――そして右腕の姿で判明する。知らない傷が―――いや、自分が受けたは筈の傷が、彼女にもある……!】

―――……何となく察しは付いた、だが……狂ってやがるぜ……どーも俺にはその気持ち良さ、理解できねぇが―――
そんなに欲しいなら、もっとくれてやんぜ……!!

【痛みが奪われたことに関しては兎に角今はプラスに考え、コンマ1秒でも速く敵を倒さねばならない。慎重になる暇も無く、今は激情という勢いに乗って蹴散らすべきだ】
【―――と、ロウは直ぐ様2発目の「ご褒美」を浴びせんと弾丸を右銃から放つ。―――今度は床を跳ねて右肩口へと跳ね上がる一撃が襲い掛かる】
【痛みが気持ちよくとも、肉体への負担である点は絶対に変わらない。左銃は彼女の奥で佇むカニバディールの存在を考え、残しておく】
【両方彼女への攻撃に使えば、射撃後の隙を埋める手段がなくなってしまう。相手は悪党、この戦いを黙って見ているとは考えにくい】

【―――そう思った矢先に、巨体が動き始める。……豪快な一振りを見せれば、光線の刃が空を裂いて襲い掛かる。ロウは直ぐ様右脚で地面を蹴り―――いや……】
【―――がくん。右膝から一瞬力が抜け、スタートダッシュが明らかに遅れる。……奪われた痛覚が、彼に判断ミスを引き起こしたのだ】
【朱にやや染まった右脚から一歩を踏み出すという行動は本来痛みを感じていればまず取らない。左足で踏み出しながら身体を低く落として避けるのがロウの中の正解】
【いつもと異なった感覚が引き起こしたミスを立て直すには、時間が足りなさ過ぎる。やや右にバランスを崩し倒れかけている彼に、光線が襲いかかり―――】

……―――なっ……〜〜〜〜〜ッッ!! ……っぐぁぁあああっ……!!

【急いで身体をそのまま前に倒し姿勢を低くしようとしたが、左肩に光線が当てられ灼ける痛みが肩から全身に広がり、そして床に倒れると転がった】
【―――転がることでうつ伏せになり隙を晒すことを避け、片膝立ちで彼女を注視する状態にはなったが―――その表情は痛々しく、左腕が震えていた】
397 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 23:40:00.08 ID:kw96mNE8o
>>387

大丈夫。絶対に、私は死なないから

【何度だって裏切られた彼女だ、こんな風な約束だってきっと何度もして、その度に傷ついて来ただろう】
【けれど、だからこそ、自分だけは決して裏切らない。何よりも強い誓いのように、断言という形で答えた】

……君が幼かったように、その彼もまた、若かったのではないかな。
人には様々な心の有り様があって、君が神を信仰しながら私を愛してくれるように、様々な形がある
君が愛情表現として縋り付いてくれる事に、若い彼は、或いは恐怖を覚えたのかも知れない
そして、それを君に伝えるだけの、充分な手段と心の余裕を、きっと持ち合わせていなかった

……怜司の味方をしている訳ではないよ。ただ、ほんの少し考え方を変えれば、それは新たな理解への切欠となるんだ
同じ宝石でもどの角度から見るか、どこに光を当てるか、それで様々な姿を見せてくれるように
辛かった記憶も、思い出す事さえ辛くとも、立場を変え見方を変えて考えてみれば、其処には別の真実があるかも知れない
それに気付けた時に、きっとその苦しみから解き放たれる。その痛みが、君を守ってくれる術になる

うん……多少、難解になってしまったかな。君が辛い思いをしたことには、代わりが無いのだから
分からない事ばかりで苦しかったろう、辛かっただろう……もう、そんな思いは、この私がさせない

【同じ男として、その彼よりは恐らく年長者であろう者として、教師であった者として】
【今分かってくれなくとも良い、いずれ気付いてくれた時に、彼女の痛みを和らげられれば良いと思った】
【自分が傍に居る以上、もうそんな思いは二度とさせないのだから。同じ苦しみを彼女に味あわせる事など、有り得ないのだから】

私も……愛しているよ、鈴音。……、お話しは、此処で終わりにしようか
私の大事な大事な宝物を、君にも分けてあげるから。苦しさなんて忘れてしまえる甘さなんだ
とても綺麗に出来ていてね、一枚一枚が貴重品のようなのだけれど……、ほら、君にもあげる。一緒に食べよう?

【そう言って、ずっと大切に持ったままだった小箱をそっと開けて見せる。彼がまず、一枚摘みあげて】
【それをそっと相手の口許に運ぶ、涙を拭うよりも先になったけれど、まずは笑顔が見たかった】
【食べさせられたなら微笑んで、それから空いた手の袖で、彼女の流れる雫をそっと拭い取るだろう】

【それ以上の話を彼は強制しない、だってそれは過ぎ去った話であって、今の幸せには何ら影響出来ない事だ】
【無理に思い出す必要もない。けれど、一人で仕舞い込み続ける事も無い。そう宥めて、彼は深い懐で受け止められる】
【年の差があったからこそだろう、その器は、彼女の同年代よりは少しなりとも広い筈だ】

【そうしている間にもしんしんと降り積もる雪は、何時しか窓からの景色を一変させていた】
【黒ずくめの館に白雪が飾られる、その光景は酷く美しいもので、きっと彼女の目を楽しませてくれるだろうから】
398 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/14(金) 23:44:00.91 ID:WwVw5sX40
>>394

――――ッッ!
(しまった……なんて事……!)

【鏡がぶちまけられる音が耳に響いてくる。と同時に、身体を覆い尽くさんばかりになだれ込んでくる鏡】
【その重量、コンテナに入っていた程の量から考えて一体どれほどになるのか――――その重さを、巨体故に満身に受ける事になるのだ】
【幸い、『ギガンテス・フォース』は強固だからそれによるダメージの心配は薄いものの、これでは尚更起き上がるのが難しい】

(状況が分からない!
でも、この状態で無理に変身したら、押し潰される……!
だからって、このままでいたら彼女に良い的にされる……ッ、どうすれば……!)

【鏡に埋まり、ラベンダァイスは次の一手を咄嗟に出しあぐねる】
【状況的に、変身をしなければ次の行動に移る事すら難しいが、鏡に埋まっている状況では容易に変身できないと言うダブルバインドに陥る】
【そして、状況や敵である丹波の姿を探ろうにも、こう埋まっている状態では近くを見る事すら難しい】

ッッ、ぁぐぁぁッ!!

【そこに、鏡の海を切り裂いて振り下ろされる短刀。状況も分からないままに、それはラベンダァイスの身体に打ち込まれ、確かな傷を残す】
【やはり、懸念していた通り、この状況ではただの的に過ぎない。行動は早めに起こさなければならないと、ラベンダァイスは決心する】

――――ッッ、『サキュバス・フォース』!!

【鏡の海の中で、ラベンダァイスの裂帛の――――痛みをねじ伏せる様な力が籠ったそれは、そう形容するのが相応しい――――叫びが響く】
【同時に、閃光が鏡の中で乱反射し――――その鏡の海が吹き飛び、小さな影が飛び出した】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女】
【さらにその背中にラベンダー色の翼膜をした、悪魔の様な翼を生やし、身に纏う魔力は質量を増大させており】
【翼からは、光の粒の様なものが燦々とこぼれている】

【恐らく、その姿こそがラベンダァイスの正体――――に、限りなく近い変身形態――――なのだろう】
【傷を受けた左太ももと背中、そして短刀が通ったと思しき個所は――――幸か不幸か、額】
【頭蓋骨でも、特に脳を守るために厚くなっている額であり、更に刺されたのは『ギガンテス・フォース』の時だったのが幸いした】
【とは言え、人の体に換算すればひどい傷である事には変わりなく、じくじく溢れる血がその目を汚し、睨みつける形相と相まって凄絶な光景になっていた】

もう……逃がさない!!

【吹き飛ばし、吹き荒れる鏡の嵐の中に飛翔するラベンダァイスは、キッと丹波を睨みつけると、その両手を突き出す】
【――――奇襲からの遠距離攻撃で、全てを決する腹積もりで、右手から淡いピンク色の魔力ビーム、左手から放電する電撃を見舞う】
【魔力による多彩な遠距離攻撃と空中機動が肝の形態。これで鏡と共に奇襲を仕掛け、一気に決してしまおうと言うのだろう】

【敵意に満ちた瞳で丹波を睨みつけるラベンダァイスの形相を、額から流れる血がどぎつく汚していった】
399 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/14(金) 23:47:28.70 ID:NCDQgycko
>>388-389

ハッハァ……!お褒めいただいて光栄だが、生憎とこっちは遊びじゃない≠でね…!
君は中々愉快な女性だ、聞くより何倍も魅力的……だが、危険でもある

如何だね、マフィアといえばトンプソンだろう?なんといっても古さは信頼だ
何十年も前から今に至るまで使用可能というのは、それだけ使うに値する
俺自身古い人間だが……決してそれは悪いことじゃあない。君がソレを使うように……っと!

……ちょい待ち。そんな武器は見たこともないが、明らかにヤバイぜ……!!
あぁ教えてやるよ、能力さ!とびっきり強力なサイコキネシスで……ええっ、クソッ!!!

【自身のM500が強烈に相手の肩を射抜き、また部下の振りまく銃弾が相手の肘を穿つ】
【僅かに満足感が満ちる。ニヤリと笑ったその顔が、今度はサァっと青ざめた】

【なんといっても――ケルベロス・マグナム、その威容がガンマンである彼の本能に訴えかけたのだ】
【アイツはヤバイ≠ニただそれだけを、強烈に脳裏に過ぎらせる。そして、予感はどうやら的中し】

【キャプテンは何とか、先ほど自分が撃った物をセリーナがそうしたように、M500を二発も放ち】
【風の弾丸であるケルベロス・マグナムのそれを撃ち落とそうとするが――如何せん、桁が違う】
【確かに直撃は避けられたものの身近で凄まじい風が巻き起こり、顔を左腕で覆ってしまい】

【また同時に―実はある手段で軽減はしているが―連続して高威力の銃撃を行ったせいで、反動が強まり】
【その左腕も僅かに麻痺を感じるという、一転してマズイ¥況へと陥ってしまい――!】

>>393

【少女が弾除けに入り込み、手榴弾を見つけてそれを投擲する――タイミングはばっちりだ】
【丁度、キャプテンはセリーナのケルベロス・マグナムによって動きが取れていない】
【もしも健常であれば飛来する物体の一つや2つふっ飛ばしていたろうが、如何せんこれは――!】

ぐ、おおっ……!っ、やってくれるじゃあないか、小さなナリしてデカい事を……!
お陰で私のトレードマークであるサングラスが……ん?おいクウィット!
私のサングラスが何処に吹っ飛んだかそこから見えるか!?

[えっ!?あー…えーっと……いや、見えないっッス!と言うかキャプテンマズイですよ!
 サングラスだけじゃなくてイケイケのキャプテン・ハットも付け髭も取れてます!
 これじゃあ顔、バレバレですよ!あの女に言われたから身分を隠し――あっ、ちょっと止め、ツ――!]

……ええい、忌々しい事になってきたな…ッ!やってくれる、実に良くも、まあやってくれたもんだ……!
なんて名前かは知らないが、強運の持ち主らしいな……だが、そこだ……場所は分かっているからな……!

【――さて、戦局が動く。まず船長の素顔が全て明らかになっていた。手榴弾の威力と、風によるものか】
【髭はある。顎を覆っていたが整えられ、短くて、そして両目はどうやら義眼らしかった】

【というのもその目玉はどちらも正常な黒と白ではなく、黒目の部分にスマイルマーク≠ェ存在し】
【―ちなみに右が赤、左が黄色で―しかしその両目はなにか仕込みでもあるのか、ちゃんと相手の居るはずの弾除けを睨んでおり】
【彼は左手のM500――巨大動物を撃ち殺すための銃をそこに向けて、残った二発を打ち込まんとした】

【これによって、仮に喋り屋が何もせずその場に居たのなら――弾除け毎、減衰するにしろ高威力の弾丸に撃たれるかもしれないし】
【でなければ、砕け散る弾除けの破片を身に受けるやもしれない事は明白であった】

【とはいえキャプテンのダメージも大きい。半ば倒れ伏したような格好のせいで、構えるには時間がかかり】
【そのため、相手が発砲するまでに僅かなラグが存在する――逃げるのならそこになるだろう】
400 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/14(金) 23:47:37.20 ID:NCDQgycko
>>ALL

【キャプテンの素顔が暴かれる。同時に、セリーナが船底側に移動――焼夷弾じみた弾薬が放たれ】
【それは大まかにだが船先に着弾、ボウッ!と炎を周囲に広げ、堪らず船員が後方に下がり】
【同時に、驚いた拍子に手でも離してしまったのかトンプソンが二丁ばかりからからと落ちてきて】

「クッソぉ〜、アイツか……あのいい女!顔もスタイルも良いだけにムカつくぜ…オイ!」
『へい!今直ぐ代わりの武器を……あっ、ちょっ…!マズイですよ、ソッチは……』

『「―――出てっちゃマズイですって、ビスクさんも言ってたでしょう坊っちゃん!!」』

……なに?まさか、坊っちゃん……!見てて下さい、と言ったのに…!
クソっ、いずれ俺が死ぬ前に伝統の稼業ってのをお見せしとこうと思ったんだが、早すぎたか――!

【何やら騒がしくなってきた。そしてその騒ぎは、やがて船の外――広場にも燃え″Lがる事となる】

【まず――船の上から、『炎が落ちてくる』。比喩ではなく――それも、チョコレートに乗って≠セった】
【チョコレートは燃える。仮に大量のそれがあれば、まあ確かに傾斜を利用して――】
【溶けたチョコの波で、炎を押し出して船を守ることも出来るだろう。だがあまりに非現実的、とすれば――?】

   ――ビスク。誰が勝手に死んでいいと言った。御父様の時も、話には聞いてるぞ
    お前はいつも勝手に突っ走って、勝手に死にそうになると……それに、相手はUTなんだろう

   だったら、僕には顔を見せる義務が在る。必要とされる社会悪であるD.R.U.G.S.≠フ――
    その一翼を担うものの代表として……『スペーツィエ・ファミリー』のボスとして……
    参謀であるお前一人に全てを負わせるのは、ボスのやることじゃない……たとえ僕が――

   ―――――……まだ十代の子供だとしても、だ。

【そう、能力だった。それも――姿を見せるのは髪を整髪料で撫で付け、きっちりと仕立てた黒のスーツを着こみ】
【何より痩躯≠フ少年であった。言うところによれば、マフィアの一グループの、ボスであり】
【キャプテンの――ビスクの云う坊っちゃん≠ナある少年、であるらしい】

【彼が手をかざすと、燃え盛るチョコは船上を滑るように駆け下り、広場にべチャリと落ちるやいなや】
【その燃え盛り、かつ質量もある液体状のチョコレートを魔導アーマー地味た姿の女性――】
【セリーナ・ザ・"キッド"へと差し向けた。もし避けねば――これは実に恐ろしい攻撃となる】

【装甲は確かに物理攻撃を防ぐだろう。だが、その隙間から入り込もうとする液体まで防げるのだろうか】
【或いはその液体が100度近い光熱で、加えて炎をまとっていたのなら――?】
【防げなければ、それは全身に重度の火傷を負うこととほぼ同義となるに違いない】

【まだ同時に、若き棟梁は船の周囲にも同様に大量の溶けたチョコレートを出現させ】
【それによって、にわかに陸に乗り上げた形だった大型船舶は浮き上がり、少しずつ回り始める】
【センターを向いていたのが、海へ。来た方向へと、ゆっくりとその身を回し始めるのである】

【――少年は船の上だ。キャプテンは――ビスクは一時呆然としていたが、ゆっくりと身を起こし】
【M500の球切れを確認するや、直ぐ様その再装填を行おうとしつつ、やや後退を図る】
【逃げるつもりなのか――ふと見てみれば既に倉庫は大半が空っぽで、部下たちが急いで乗船する所であった】
401 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/14(金) 23:51:19.77 ID:B2tKSM/ao
>>391

「ちィ……浅ェか……んゥ?」

【反撃の引っ掻きは成功するも、――完全に入ったわけでないことを血の量から判断しかけたが】
【今の感触は確かに入ったはずだ――と、テレパシーによる亜人の抗議があった、ならばどういうことなのか】
【――嗅覚の調子が良ければ察することができたのだが、最近は衰えており、先程の聖の力も効いている】
【人間にしてはおかしいが、関係ない――今はそういうことにして、略奪の再開をするべく魔物を"使う"】

「……ふゥむ、熱ゥーいプゥレゼントにィも反応しィねェか、まァ良ォ……くねェ!」

【タコ足を振り下ろす事によって下がった頭部に向けられるのは先程と同じ蹴打。――減衰しても裂傷だったのだ、威力の想像はつく】
【だがしかし、亜人の様に防御するには場所が悪かった、――振り下ろしに使っていない腕一本を盾にするも、衝撃をいなしきれず】

「グゥウアッ」

【頭部――ここに内蔵が入っているかは不明だが、ダメージの通りは中々悪くない】
【タコは頭部へのダメージからか、体勢を戻せずにいて――】
【――そして、悪魔の頭部にもそのダメージの一部がフィードバック。シンクロするかのようなよろめきは、少々滑稽かもしれない】

>>392

「(……聖、やァはり猛毒なァんてもォんじゃアねェ)」

【タコ自身に聖弱点が無くとも、受けたものは全てフィードバックするのだ――】
【例えそれが100%来るものでないとしても、悪魔にとっての"最高の毒"である聖は非常に効果的だ】

『グ……グル………』

【一刀両断――とまではいかなくとも、太い血管を断ち切ってしまえばこちらのもの】
【このトカゲ男もそれを狙っていたのだろう、"今まではそれで十分事足りていたから"】
【――だが、今回は防がれた】 【いらだちからくる低い唸り声は、近くに居る彼女ならばよく聞こえるだろう】


>>391-392

「糞ッ、だァいたいだァなァ――こォの倉庫は狭ェんだよッ!」 「なァ、コォンテナに栄養袋だァけ詰ゥめられてた蛸ちゃんよォ?」

【狭いから壊す、と言わんばかりに――タコが暴れだした、低い位置から身体を起こせなくなっていたのなら、そこから壊せば良い】
【それはまるで駄々っ子の様。勿論凶悪度は雲泥の差だが】 【――この暴れるタコが直接2人や或いは敵達に当たることはない、が】

【――暴れるタコによって倉庫の壁が壊されていく、タコ足が踊れば瓦礫も辺りへ舞う、壁が壊れれば屋根だって落ちてくる】
【そこまで広い場所ではないので外に出て回避することも出来るだろうし、運良く隙間が出来ればそこでやり過ごすことも出来るだろう】
【なお、亜人はチョコレートでシェルターを作りガード(予め行動を伝えてあったので準備万端だった)、悪魔とトカゲ男は一旦外に逃げることで回避したようだ】
【タコは暴れることで瓦礫を弾き飛ばせる、故にノーダメージではないがモロに受けるよりはマシだ】 【……ちゃんと悪魔にも一部ダメージがいっているようだが】

「ふゥむ……あァっちの倉ォ庫はまァだ見ィてなァかったな」

【なお、一部の瓦礫によって周囲にある一部の倉庫に穴が開いたようだ――が、それは副産物と考えて良い……のだろうか?】
【それよりも、そんな勢いで飛ぶ瓦礫を避ける事に気を使う事が第一か、あの倉庫のように穴が開かないためには】
402 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 00:09:29.90 ID:gyb+8ZQlo
>>398

【荒れ狂う鏡の海。満身創痍ながらも飛び出してきたラベンダァイスを、丹波は翠の瞳で追い掛ける】
【これまでで最も人間に近い姿。ようやく、その声に見合った外見となったと言えるか】

くっ……しぶといで御座るなぁ全く!

【回避は間に合わない。咄嗟に動くには全身での行動では追い付かない】
【だが、右腕。ポーチの中から取り出したのは棒手裏剣。精一杯、即座の対応】
【放出された電撃へ、ぶつける様に投げ放ち―――方向を逸らす】
【一方で、魔力のビームはそのまま身に受ける事となる。胴に受けたなら、仰向けにコンテナから倒れ落ち―――】

『やはり、こんな所には無かったようだな……』

「え?どうしたのさ旦那、どっか別の場所にいたはずじゃないの?」
「もういいっすか?まだ高そうなの残ってるっすよ?いいんすか?」

【そんな時、会話が聞こえてくるだろう。最初に聞いた若者の声に加え、どうにも一つ、質の違う声が混じる】
【冷たい、ひたすら冷たい声。他の口ぶりからすれば、彼らより立場が上のようだが―――】

『お前達への報酬はここでの盗品で良かったな?まあ、好きなだけ持って帰れ―――帰れるなら、な。
 ……丹波、もう任務は終わりだ。引き上げていいぞ。』

【生じるのは、小さな爆発。同時に、若者達の短い悲鳴が聞こえて――――次いで、壁が吹き飛んだ】
【注意がそちらに向いたなら、その隙に丹波の姿は消える。扉の側へ向かう血の跡も、途中で消えていて】

【やがてラベンダァイスが奥の方へと辿り着いたなら、そこにいるのは伸された若者、男女合計4名】
【全員息はあるが、気絶している様子。壁を壊して消えたもう一人は気になるかもしれないが、一切の痕跡も無く】
【今いる4人以外は、最早追う事すら不可能。気絶している彼らに関しては、どうしようと彼女の自由だ】

【――――奇妙な点は残れど、今夜、この倉庫での騒動はこれで終わり】
【その後、装飾品の倉庫に傷だらけの少女がいたらしいが――そちらは髪留めが一つ、消えただけの話である】



/お疲れ様でしたー!
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 00:18:22.25 ID:LgjLldf60
>>397

【彼の居ない世界になんて生きていけない。それは、きっと、幾重もの意味を持って】
【断言してくれた力強さが嬉しかった。ああ大丈夫だって思わせてくれる、信じさせてくれる】
【――それなら、言うべきことがあった。相手の言葉と対にするみたいに、きちんと誓ってみせなければ、いけないこと】

……わたしも、どこも、行かない。ずっと、傍に、一緒に、居る――。

【ひぐと言葉は情けない涙声でも、きちんとした重さを持って、きっとふわふわと飛んで行ったりはしないほど】
【何度誓ってもらっても怖がりな癖が抜けないのが悪いところ。そろそろ、きちんと信じ込んでもらいたいところだけれど】
【いつもみたいに頷いて理解を示す、それでも短くなった長い髪が引っ張られてざらりと流れる、微かな音を伴って】

【まだちょっぴりの波がある。ぐちゃぐちゃだったこころは、大分良くなりはしたけれど――】
【けれど、そうなった原因を探そうとするとばらばらとくっつけたところが剥がれてしまうようだった】
【彼の暖かさの中で精一杯に繋ぎ直しながら、その言葉を聞いていた。ゆっくりと、スポンジに水を吸わせるように、】

……こわかったの、こわかった……、ずっと、ずっと、こわかった……。

【今はまだその言葉の意味は分からないのかもしれなくても。いつか分かる日のため、きちんと記憶に刻み込む】
【思えば、生まれたときからずっと何かに怯えているようだった。それは水だったり、人間だったり、記憶だったり、かたちを変えて】
【もう少しゆっくりと慣れる必要があったのだろう、彼女は少しだけ急ぎすぎて、転んでしまって。じわと滲んだ血が、痛くって】
【真っ赤な傷口にぺたんと絆創膏を張ってもらう、痛いと泣くのを宥めてやるのは、きっと、年長者のする、お仕事だろう】
【転ばなくなるその日まで迷惑を掛けるけれど。いつまでだって転ぶひとは、きっと、どこにも居ないから】

あ……、

【精一杯に篭めた気持ちがほろ苦い甘さと一緒に溢れてくる、こんなにもだいすきなひとが目の前に居るのだと、改めて知って】
【それも優しく微笑んでくれているのだから、どうして泣いているのかが分からなくなってくる。まして、それを拭われるなら】
【手を退かす頃には、ほんのちょっぴりだけれど、それでも確かに、笑っていただろう。少しだけぎこちない色が、そこにあって】

ありがとう――……ごめんね、せっかくの、バレンタインなのに――、

【全体的に甘さを控えて作ったそれは、ほろ苦くて、けれど確かに甘くって、――思い返したときの、記憶に少しだけ似ているよう】
【苦いところもあれば甘いところもある。きらきら艶めく場所もあれば、しっとりと茶色に包まれた場所もあって、】
【どこも同じ味で色ではつまらないだろう。いろいろな面があるからこそ、きっと、人間は人間らしく、生きていけるから】

【小ぶりのオレンジを使っていたって一口には少し大きい、彼女はそれを数口分に分けて、】
【ほんの少しだけ硬い歯応えを楽しむようにゆっくり味わう、――彼が分けてくれた宝物だもの、大切に、食べないと】

今度、……今度、一緒に、作ろう? 楽しいんだよ、綺麗に出来ると、嬉しいんだよ――。

【作りすぎた分が余っている、けれど、それよりも一緒に作ったほうが、きっと美味しく思えると、思えたから】
【材料はある、あとはチョコレートを上手に溶かすだけ、なんなら今日これからだって出来るぐらい、簡単なこと】
【けれどそんな約束が大切なことのように思えた、――にこりと笑って見せた顔、涙の色は服の袖に消えてしまったよう】
【――ちょんと背伸びして額を合わせようとするだろう、宝石みたいな両眼は閉じられて、ふっくらと目蓋の膨らみに変わり】

【(ちょっぴりだけ空いた間は、口付けをねだるようでもあった、なんて、余談――)】
404 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 00:18:47.14 ID:DasqJ8+Ho
>>395
自警団にお株を奪われて、警察の士気も下がり気味と聞いていたが……ふ、ふ。骨のある人間もいるじゃあないか
ぜひ味わってみたい、お前の鍛えられた肉を……

【強い決意を持って立つ彼に対して、吐きつけられるはどこまでも穢れた言葉】
【自分の未熟を知り、それでいて諦めることなく、人の死をその目にしつつも進み続ける彼に比べて、なんと醜悪なことだろう】
【しかし、それゆえに異形どもの狂気は振り切れている。彼の表情の中に躊躇いと嫌悪を目ざとく見出し、にたりと笑う】


【ノーティヒアの異常性は、カニバディールのそれとはまた違う物。仲間内ですらいらつかれることがあるほどのことだ、彼が起こるのも無理はない】
【トラックが激突する轟音を背景に、ノーティヒアの瞳は揺らぎもせずに彼の感情の動きを覗き込んでいた】

〔ふむ……通ったか。悪くない手応えだ。どうだ、痛いか? どの程度の痛みがする? どのような感触だろう?〕

【攻撃は通った。この異形はもともと接近戦タイプ、自身の土俵に持ち込もうとしたが故の行動でもあった】
【相手のガードを押し込む形でめり込む警棒の先端、その感触を味わいながら警棒を引いて構えなおす】
【そのまま、僅かに後退して近距離を保ちつつ、ノーティヒアが聞く。本人は相手を観察しているだけのつもりだが、どこまでも彼の精神を逆なでするだろう言動だ】

【だが、彼もそれだけでは終わるはずもない。反撃の一手が、その前兆を見せる】
【ノーティヒアには慢心はなかった。ただ、己の好奇心の赴くまま、その動きを観察することを優先した】
【響く音は、反撃の証。吹き飛びながらも取られる構えは、掃射=B魔力が、充填されていく――!!】

〔ふむ。実に興味ぶか――――〕

【相も変わらずのノーティヒアの腹部を、掃射≠ェ襲った。電撃の雨≠ニ風のレーザー=z
【眼前にまたも箱を出現させ、盾代わりにしようとするも、それだけで止まるはずもなく。二種の魔力が、ノーティヒアを撃ち抜いていく】
【全弾を浴びるまでには至らなかったが、電撃に身を蝕まれ、風に貫通力を叩き込まれたノーティヒアが後ろに吹き飛ぶ】
【わずかに身体を逸らして、直撃は避けていた。しかし、この近距離でまともに食らっては、すぐには動けまい。ノーティヒアの身体が地面に叩き付けられた】


>>396
相も変わらず、頭は回るらしいな……その自慢したがりも同じくだが
挑発のつもりなら、期待はするな。……確かに、大会でファンの数と同じくらいに嫌われていただけはある、憎らしい笑顔ではあるがな

【歯を煌めかせるロウに、忌々しげな視線を向けつつ、カニバディールが応答する】
【確かな実力に加えて、余裕を見せることも忘れない。このガンマンには、いつも翻弄されてばかりだ】

{うふ、ふふふ……よく言われるよ……ああ、罵倒されるのも好きだ。どうせならもっと言ってくれ}
{おお、気前がいいじゃないか。ぜひ頼むよ、さあ!! ――――あああっはああああああああん!!!!!}

【溢れ出る激情の波に乗るロウに対し、青肌女・美鈴は狂った欲情の波に溺れる】
【またも見事なコントロールの跳弾が、地面を跳ねて肩を狙う。諸手を挙げてそれを迎え入れる美鈴】
【右肩を抜かれ、鮮血が飛ぶ。快楽の呻きとは裏腹に、その身体は度重なる負担にバランスを崩している】

【だが、そこへ続けてロウに襲い掛かる光。異形どもの首領が動き出す】
【ロウの回避行動が、美鈴の攻撃に妨げられる結果を見て、その口元が邪悪に歪んだ】
【初速の遅れは致命的、光の一撃がロウを襲った。地面を転がるロウ。笑う異形ども】


{あ、あ……すこおし、血が足りないな……分けてくれない、か……}

【そこへ、美鈴はじりじりと接近していく。その両手の指全てが上下に開き、中から空の注射器が飛び出してきた】
【ある程度の距離に近づけば、美鈴はロウに向かって走り出し、傷を負ったその身に身体を押し付ける様に抱き着こうとするだろう】
【そのまま、ロウの背中に注射器を突き立て、彼の血を吸い出すつもりだ】

/続きます
405 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 00:19:16.76 ID:DasqJ8+Ho
>>ALL
さて、ノーティヒアは……動けないか
仕方あるまいな……アルフレド。お前の相手は私がするとしよう

【ロウから視線を切り、カニバディールが向き直るはアルフレド。倒れ伏したノーティヒアから少し離れた位置から、じりじりと彼に接近していく】
【構えられた斧の刃が、鋭い歯が、不気味に光る。その斧がゆっくりと振りかぶられ――】
【カニバディールの首が、伸びた。首周りの肉を膨張させることによって成し得る芸当。一つ目の怪物の頭部が、彼に迫っていく】
【斧の攻撃に見せかけたフェイントだ。姑息な手だが、盗賊らしいともいうべきか。そのまま、牙を剥き出しにして、アルフレドの左肩に噛みつこうとするだろう】


【さて、ロウとアルフレドの観察力なら、気が付いただろうか。カニバディールが斧を振りかぶった時に】
【その指先をわずかに動かしたのを。背後の部下への合図だった】

【次のレスで、背後の異形の一人、蜘蛛脚女のネグティーが、ノーティヒアの穴を埋めるべくこちらへと戻ってくることになる】
【だがそれは、そうした手段を取らざるを得ない状態に、『スクラップズ』が追い込まれている証でもあった】
【トラックは、まだ動きを見せない――不気味なほど、静まり返っている】

【ノーティヒア ――行動不能】
【援軍 ネグティー ――次レス最初で到着】
406 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 00:28:44.90 ID:PT9EgQoP0
>>392,>>401


【少年の蹴打、今回は相手に的確にダメージを与えられた様子……落下し着地する寸前、彼とタコとのシンクロした動きが横目に入ってくる。】
【『……あ、なるほど、』と言う表情を見せたのは、勿論その事に気付いたらしかった。だとすればこれからはタコの弱点だけではなく、】
【この中では、どちらかと言えば一般的な"人"にも見える彼の弱点をも考慮に入れて行動していく方が良い……のだろう。】
【少年は近接戦を得意としている。例えば衝撃に弱い関節、或いは腱と言った部位に関して、悉く熟知していると言っても過言ではない。】


………お前ら、逃げんなよ…………―――!


【ならばと透かさず追撃を繰り出そうとするのだが、……壁やら屋根やらの瓦礫が頭上から襲って来るのなら、少年は回避に徹する事になる。】
【幸い、コンテナとコンテナの隙間、丁度良さそうな物陰があった。鉄同然の強度を誇る両腕で頭を守りながら、身体を屈めながら其処に避難する。】

【その途中、一つの煉瓦が少年を襲う事となった。天井は随分と高い、其処から降ってきたのだから、それなりの速度を帯びており―――、】
【轟音を立てて崩れるその中、甲高い金属音が一つ、響いた。……金属と、それ相応の物とが打つかって鳴る音だ、確かに今なっても不自然ではないが……。】
【彼女とは違い、見た目に変化のない少年の能力を知る上の材料となる事には変わり無い。後は気付けるかどうか、という所だろう。】

【他にも多くの、然し小さな瓦礫は少年を襲った。……否、襲ったと言うよりは……擦れ違ったとか、それ位の程度だ。】
【埃やら塵やらを被ったその見た目は、さながら奇跡の生還と言った所―――尤も、その中身は、右腕に傷さえ負ったが未だ、元気百倍である。】

【少年は其れを利用する、……油断させる事にしたのだ。咳き込む様子だとか、今にも倒れそうな体勢だとか、そういう辺りを全て演技して見せて―――、】


―――………お、俺、……もうダメや、………名前すら、聞いてないんやけど、………力なれんで、……すまん……


【なんてホラー映画の初めに死ぬワンシーンを取り繕って見るのだ。……勿論、気付ける要素は何処にでも転がっている。】
【第一、この少年は俳優でも何でもないのだ。確かに演技は上手い方ではあるみたいだが、では不自然さが一切無いかと言われれば、そういう訳でもない。】

407 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/15(土) 00:31:02.54 ID:rkJNQbVQ0
>>402

ぁぁぁあああああ!!

【背中の傷が痛む。太ももの傷が痛む。そして額の傷が痛む。それでも、この攻め手を止める訳にはいかない――――】
【幼い声色に似合わない、獣の様な絶叫と共に、ラベンダァイスは魔力を放出し、丹波はコンテナから落下する】

…………ッッ!! ――――?

【翼を1つ、大きく羽ばたかせて、その後を追おうとするラベンダァイスだが、奥の賊――――今回の本来の標的の声が耳に入り、動きを止める】
【そう言えば、手ごわいとはいえ本来の目的は丹波では無かったのだ。興奮が冷めると、今さらのようにラベンダァイスは向き直るが】

ッッ、なに……一体!?

【何が起こったのか――――ともあれラベンダァイスはその確認のために翼を羽ばたかせ、奥の空間へと飛び込む】
【盗品を物色して居る時に、こんな爆発音が聞こえると言うのは、穏やかならない『何か』があったとしか思えない】
【果たして、そこには誰かに打ちのめされた4人の姿が残されていただけで、それをした『誰か』は既に姿を消していて】
【罠かと身構えて背後を振り向くも、そこに丹波の姿ももう、残っていなかった】

っ、く……ぅっ……!
……とにかく、こいつらを公安に…………ッ

【戦闘は終わった――――その認識が気の緩みをもたらし、半ば振り切れていた傷の痛みが一層強く感じられる】
【思わず手で額を押さえて、ラベンダァイスは熱い吐息を漏らしながら呻いた】
【――――兵器として戦う以上、こんな傷など当たり前の事だが――――それでも、約束の為に自分を変える努力をしなければならないのだ】
【ともあれ、幼い容姿に反して気丈にも涙1つ見せる事はなく、ラベンダァイスは残っていた4人を運んで公安部隊へと引き渡し、後日謝礼を受け取る事になる】

【――――何を守ったのか定かではない。やはり何より戦う事そのものを得意とする『兵器』】
【しかし、『UNITED TRIGGER』の旗の下、何かを守って勝利を掴んだ事だけは、確かなようだった】

/乙でしたー!
408 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 00:42:14.19 ID:BN9zQv9Mo
>>401>>406

【十分に力は溜めた。手には大きな光の塊ができあがり、後は撃つだけ】
【しかしその前にタコが暴れ出す。彼女は次々と飛来する瓦礫を刃で弾きつつ防いでゆくだろう】
【天井が落ちてきては敵わないと、慎重に後退してゆく】

【が、到底全ては防ぎきれない。防げるのは体の中心に向かってくる瓦礫だけだった】
【ひとつ、またひとつと身体に瓦礫が当たる度に鈍痛が走る】
【頭にもかすったようで、先程浴びたチョコと合わさって異なる二筋のデコレーションが出来上がった】

【倉庫から出れば、まだ残っている壁に隠れてやり過ごそうとする。酷い傷は無いものの、痛みで大きく動けそうにない】


(あの子は……大丈夫でしょうか)


【もう一人、味方である少年を思い出す。外に来ていないところを見れば、倉庫内に居ることは明白】
【それを裏付けるように弱弱しい声が聞こえてきた。今にも力尽きそうなそれに、彼女は焦る】

【だが――冷静に見れば今がチャンスだ。派手に壊れたおかげで白煙が舞いあがっているはず】
【あれだけ大きいタコならば、攻撃すれば確実に当たるだろう】


(さて! そろそろ反撃です。お願い、貫いて――――!!)


【倉庫の入り口に再び立てば、彼女は腕に溜めた光を撒いた】
【それはいくつもの淡い光となり、宙に現れるだろう。その穂先は全てタコとその周辺を向き】


  【 ――次の瞬間、それらは一斉に弾け、飛翔する! 】


【広範囲の攻撃――あわよくばタコ以外にも命中させる算段か】
【密度は低く避けにくいが、ひとつひとつは脆い。どこかに隠れれば対処できるだろうか】
【そして、もし異形の軍団が少年を無力化できたと思い込んでいたなら――】
【自分の方が脅威であると、矛先をこちらに揃えてくれるだろうか】
【そうなれば、この上ない隙を突くチャンスを少年に作ってやれることになるが――】
409 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 00:45:16.14 ID:BTOsuZ0Ko
>>393>>399-400

 おやおやっ……くっ、ううぅっ……!!
 こっちだって、そりゃ遊びじゃあないさ……ッ! 伊達や酔狂でこんな鎧着込んで、ピストル持って暴れるわけが無い、そうでしょうっ!
 ただアタシも、『古きを愛する心』ってのには同意しちゃうねぇ、やっぱり武器はオールディーズが最高さ……ッ!

 ―――最も、アタシの"番犬"は造りこそ中折れ式リボルバーと原始的だけど、バレルが三つくっついた大型拳銃は
 昔どころか今現在の重火器を探したって、見つかりっこしない特別製だけれど、ねっ!

 (サイコキネシス―――……なるほど、そういう事か。コレで納得は行った、けれど能力は視認してから使用してるはず。)
 (だとしたら、アタシの銃弾を"確認"して能力を発動してるわけだから―――……ふふっ、キャプテン。やっぱり、侮れないねッ!)

【ケルベロスの一撃がヒットし、暴風が戦場へと吹き荒れた。これでキネシスを足止めすることには成功した上に】
【どうやら機銃掃射を回避していたもう一人の協力者も、同じ様に反撃を狙っていた模様で。手榴弾が殺到し、追加のダメージ。】
【現れた姿はキャプテン、と言うよりももはや完全にマフィアの殺し屋―――義眼がセリーナ、喋り屋の両名を睨み付け、恐怖が走る。】

【だが怯んでばかりはいられない、援護射撃をする部下の連中にトドメをささなくてはいけなかった。】
【ケルベロスの怒号が炸裂し、炎が船底から船先へと貫くのも束の間、何やら再び騒がしくなった"そちら"の状況を】
【自慢の聴覚を用いて聞き取る、大きな声で成されている会話が間違いでなければ―――『ぼっちゃん』? と、そう聞こえたが】

【聞き耳をそばだてている暇はどうやら、ないらしい。ケルベロスのリロード、バレルが回転し三本目の銃身がセットされた、直後だった。】
【吹け上がる煙を遮って、船の上方から見えてくる其れは、紛れも無くそう、チョコレート―――……"チョコレート"……!?】

 (さて、残る弾丸で徹底的に後方を叩いて―――って、なッ!? ど、どういう事これぇッ!? いや、美味しそうとか驚いてる場合じゃ―――)
 くっ! ちょっとちょっとちょっとッ! オカルトパワーの次は、マシュマロお化けもびっくりのチョコレート・ウェーブかいっ!
 オマケに炎までデコレートされてるときたら―――、ちぃっ! こん、のぉぉぉ――――ッ!!

【ぐちゃり、と音がした。炎を纏い、其れそのものが強烈な熱を発する液体であるチョコレートは、まさに"武器"と言えるだろう。】
【例えるならばドロドロに解けた超高温の鉛、という所だろうか。予想外の攻撃に俊敏性に欠けるティターン・アーマーは反応できず。】
【鎧の上から覆いかぶさる甘美な香りが、鼻腔をも焼き尽くす勢いで全身に襲い掛かった。おおよそ、煮え返るような地獄の灼熱だ―――!】

 あっ、ぐぁぁ……ああああっ!!、痛ぅぅぅ……ッ!! かふっ、うぁ、ぁぁぁぁあああああああっ!!

【悲鳴―――それはアーマーが規格外の熱に炙られ、煮られ、内部へと高温を伝える事を意味していた。それに加えて、何より酷いのは】
【粘性の高いチョコレートは其れそのものが攻撃媒体である上に、鎧の動きを丁度いい具合に"絡め取った"のだった。つまりは】
【彼女は今動くこともかなり制限される状況であって、とてもではないが笑って入られなかった。現れた少年、坊ちゃんと言ったか。】
【どんな能力を使う者であれ、到底無視できる存在ではない。たとえ10代の子供といえど、だ……!!】

 (う、くっ―――! アーマー内部の温度が、どんどん上昇して……ッ! このままじゃ、溶けて中身のアタシまで、ドロドロにされる……!)
 (どうする、このままじゃ身動きだって取れないし、格好の餌食だ……! 坊ちゃんの次の攻撃には、なんとか耐えないと―――、)
 (となれば、……そうだ、やるしかない……ああ、そうさ。熱い時には、COOLに、ってねッ!!)
410 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 00:45:26.24 ID:BTOsuZ0Ko

 ふぅ、ぅっ……あああっ! ああああああああああああああああああああッ!!

【ギギギ、と鎧の間接が音を上げる。魔翌力が走り、駆動が強調され、ケルベロスが構えられた、しかし狙い所は―――敵では、なくて。】
【なんと自身の直下へむけて、ケルベロスを構える。そう、丁度足元を狙い撃つ様な形で、爆裂を覚悟し発砲―――瞬間、炸裂ッ!】
【爆発が起こり煙が上がるが―――パキ、パキという不気味な音が聞こえるのは、その直後だ。そう。これはつまり、"砕けた音"である。】

【ケルベロスマグナム、最後の一撃に装填されていたのは"氷"を司どる冷気の弾丸。炸裂すれば強烈な冷凍ガスをぶち撒いて】
【周囲一体をキンキンに冷やすことが可能だ、そうそれはたとえばチョコレートであれば冷蔵庫に入れた状態にも等しい程で】
【瞬間、凍りついたチョコの鎧は、駆動音が走ると共に崩壊を極めた。鎧が動き出し、歪なデコレートはバラバラに砕けたのだった。】

【―――最も、そのダメージは大きい。熱に加えて急激な体温変化、鎧の耐久性はもはや限界に達しているだろう、セリーナは叫ぶ。】
【このまま逃がすわけには、いかない。すくなくとも船に大きなダメージを与えることだけは叶えなくてはならないのだから。】
【残りニ発となった"弾"末魔を構え、連続で射撃。現れた召還陣が二重に、セリーナの肉体を貫いた―――武装が、召還される。】

                       ―――竜王咆哮<ドラグーン・キャノン>

                     ―――翼神信仰<ジェット・ケツァルコアトル>

【現れた武装はセリーナが誇る最大火力の武装、自慢の一撃必殺兵器である『ドラグーン・キャノン』と、そして】
【翼神ケツァルコアトルをモチーフとして生成された、高起動形飛行兵器(フライト・ユニット)、『ジェット・ケツァルコアトル』。】
【丁度胸から竜の首が生えた様な歪な形状の巨大火炎砲と、背に装着された飛行兵器であるジェットが一体となって】
【まさにセリーナ自身が竜と化したような強烈なインパクトの姿となり、そうして更にそこから猛烈なチャージが開始された。】
【本来は非行型兵器である筈のジェットは、ドラグーンキャノンが大型で重量兵器である為に翼としての機能を失う。】
【代わりに、その噴射機構は多量の熱を生み出し、アーマーへと供給する"大型ジェネレータ"として働く為に】
【ドラグーン・キャノンの火力は通常時の其れよりも更に跳ね上がって、まさに"竜の息吹"と呼ぶべき凄まじい者へと昇華させるのだ。】
【爆音と共にチャージが完了次第、放たれるのは炎の渦が砲撃となった超高圧の火炎撃。この一撃が船底へどれほどのダメージを与えるのか】
【セリーナにはもはやこの手しか残ってはいなかった。果たして吉と出るか、凶と出るか―――!!】
411 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 00:50:44.08 ID:UzUQX6tbo
>>403

……忘れてしまえないのは、それが忘れてはいけない痛みだから、だそうだ
何時かは全て、受け入れられる日が来る。その時に、彼の全てを……許してあげられると、良いね

【相手を赦す、それは自分を赦す事でもあるから、いずれそう出来れば良いのだと思った】
【人は間違える。機械は壊れる。そんな当たり前を、自分にも相手にも厳罰化させるのではなく】
【いつか理解出来るように、と彼は望んだ。それが互いに苦しむ事の無い、一番の解決法だろう】

……私も? ふふっ……それは愉しそうだね、やってみたい。

【貰った物をあげるという狡い手を難無く使ってみせて、やっと笑顔が見れたなら一安心した様に笑う】
【背伸びする様子に彼もまた双眸を閉じて、額と額を合わせてから、先にうっすらと瞼を開いた】
【其れから、触れる程度を数度重ねて、離れ際に小さく彼女の唇を舐める何処か悪戯な口付けを落とそうとし】

【もっと、と望んでくれるならそれにも応えよう。何せ今日は、恋人気分を味わえる特別な日だ】
【一ヶ月後には何を渡そうか。去年は渡す事が出来なかったのだから、その埋め合わせもしたかった】
【何を渡せば喜んでくれる?きっと彼女も同じ事で今日という日まで悩んだ筈、なら彼も、少しは悩んだ方が良い】

【――其れから少し後の事、普段通りに浴室を使おうとしたなら、奥の広い黒の浴槽に浅く透明な水が張られていて】
【中で泳ぐ鮮やかな色合いの魚達があった。黒い底に映える彩りで、小さな魚達は、自由気ままに泳いで見せる】
【何時か水への恐れを和らげていければ良い、という考えだった。取り除くのではなく、見て楽しめる簡単な作り変え】
【彼女が気に入るかは分からない、子供の考えた悪戯のようでもあるが、彼が考えた末の結果が其処にあったのだった】

/この辺りでしょうか?
412 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 00:56:14.46 ID:0ledXnn+o
>>404

しゃーねーだろ……っぐぁぁあああッ……!! 遠くからトーシロの観客が見ても跳弾とか解り難いしよ……っぐ、他の連中に比べれば地味になっちまうんだよ……!
解る奴は解る―――それで俺は満足だね……―――っぐ、くっそ……!!
(左肩が上がんねぇ……左銃で撃ち込める範囲が大分狭まっちまう……っつーか、この痛みは相当……〜〜〜ッッ!)

【カニバディールにこのような攻撃方法があるとは知らなかったことも判断ミスを生んだ原因だろうか。不覚が与えた痛みはいつも以上に神経を刺激する】
【言葉で余裕を見せようとはするが、灼けるような痛みがそれをさせてはくれなかった。ハッタリをかます余裕すら焼きつくす、閃光の一撃】
【そして痛くないのに上手く動かない、という奇妙な感覚はバランス感覚をも崩し、すくっとスムーズに立ち上がることさえ苦労する。手間取っている間に接近する美鈴―――】
【片膝立ちのロウにそれを躱す力は無いが―――拳銃さえ握っていれば、トリガーを引ける力さえ残っていれば……ロウの脅威は消えることはない】

……―――女の頼みを断るのは男としてすべきことじゃねぇが……今回は勘弁願うぜ……!!

【左肩は上がらないが、トリガーを引けない訳じゃない。地面に撃ち込めればロウの弾丸は無限の軌道を抱いている】
【―――そして青い銃から放たれた青く輝く弾丸がロウのすぐ手前の地面へと衝突し、ロウと彼女の間に聳え立つ盾となる巨大な氷柱が生えた】
【更に右の銃が唸りを上げるのだが―――狙いは先程生えた氷柱。この至近距離での弾丸に、氷の盾は耐えうる堅さを抱いていない―――ので、それを利用する……!!】

……―――礫なら幾らでもやるよ、<<氷柱マシンガン>>ッッッ!!!

【2発目の銃弾により細かく砕け散った礫の群れが―――彼女へと襲い掛かるであろう。1発1発は軽いが、様々な部分から出血を引き起こすにはうってつけの技】
【―――血が足りない?ならばもっと足りなくしてやると言わんばかりの選択肢で、この窮地を脱出せんと考えた。だがもし氷柱が砕かれるよりも速く氷柱を避け彼に近づければ】
【……2発目も無為なものとなり、彼女の抱擁は成功する。左肩の傷が彼の動きをやや鈍らせていることは事実、回避も不可能ではないが……?】

【―――カニバディールはふと零した言葉。「アルフレドの相手は私がする」―――コレに反応を見せたのはロウだった。紺碧の瞳がひん剥いて、声を荒げる】

……―――オイッッ、テメーは俺にリベンジしたいんじゃねーのかぁぁッ!? このマゾ女だけじゃ俺は倒せねーぞコラァァッ!!

【疲弊は隠せないのではあるが、口だけは回る。アルフレドは先程までの動きを見るに頼れる存在だが、それでもカニバディールも相手をするとなると厳しい】
【―――そのことは自分も一緒だ。出来るなら2人でカニバディールを相手にするべきであり、それが最も勝率の高い方法だと彼は判断していた】
【……そして声を荒らげた彼、一見冷静さに欠けているようには見えるが、その攻撃的な瞳は僅かなカニバディールの動き、そして意識の配分を見落とさなかった】

【もしトラックが動き出したり、不審な動きが奥に見えたのなら―――その瞬間ロウは右のトリガーを引き、足元―――トラックであれば、タイヤの部分へと弾丸を飛ばすであろう】
413 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 00:57:53.39 ID:KG915x4e0
>>399-400 >>409-410

【キャプテンの悲鳴らしき声。手榴弾が破裂したと共にそれを聞いた時、思わず笑みが零れる――してやったり、という顔】

――――――…『大成功!大技でごり押すよりも、こっちのが爽快だね…!』
『さってと…船長、そのグラサンに隠されたスッピン拝ませてもらっちゃおうか…って、ん?』

【普段あまりしないニヤケ顔を続け、早速手榴弾によるダメージの様子を見る、ハズだったのだが】

【髭がない、爆発で綺麗サッパリ燃えたのだろうか?―――いや、そんなことはない】
【海賊らしさが無くなった彼を見て思わず訝しげに眉をひそめた―――何よりキャプテンの双眸が喋り屋にとっては奇妙で】

――――…『なんだあの目、義眼?…にしては随分と高性能じゃないか。何かこっちを見てるような…――――――!?』

【瞳に浮かぶスマイルマークに一種の不気味さを覚えた。義眼にしては正確だ、機械か何かなのだろうか】
【そう思案しているところで気付く。不味い、銃口がこちらを向いている、と。気付いた瞬間後方へと跳ぶ―――が、間に合わず】

―――――――――――――――――――――ッッ!!

【破片が飛び散り、体を切り刻まれる―――小さく転々と散る血飛沫と共に後方へと吹っ飛ばされた】
【受け身を取り、後転するようにして着地時の衝撃を和らげる。くるりと回る体を支える様に足と手を地面について】
【ざざ、と引きずるような音を立て跪いたかのような体勢。すぐに立ち上がるも、少しよろけた辺り耐久力は紙のようなものか】

【そして眼前、船の方向を見れば…目に映ったのは茶色の何か――チョコレートだろうか?――と、船の上に見える、少年】
【聞き覚えのある単語が出てきたのに少しばかり、目を見開いて―――確認するように、その坊っちゃん≠フ姿を記憶した】

――――――――『何これ、一体どういうこと?君ら海賊なんじゃ…マフィア?』
『スペーツィエ・ファミリー…D.R.U.G.S.≠セって?んでもってその子供が、一派のボス?』

【言っている意味が分からない、と言わんばかりに出てきた言葉を大体復唱していって】
【何よりもボスだと言われているその人間の若さに驚きを隠せない模様―――だがしかし今はそれを追求する暇はない】

【魔翌力消費は手榴弾の使用もあって抑えているつもりだが、体の方は持ってくれないらしい―――ややふらついた体を支えようと踏ん張る】
【踵を返すように向きを変える船に、やや焦りを見せる喋り屋。逃げられてしまう前に、何らかのアクションを起こそうと】

―――――――…『だったら一撃を食らう覚悟だって出来てるんだろ?』
『逃がすかよ、こっちは言葉紡げば人を殺せる“喋り屋”だぜ?多少の怪我なんかで逃がしてたまるか…!』

『さぁ、食らえよ悪党ども――――――神からのゲンコツ、正義の鉄槌ってヤツだ!!』

【気付けば声は最初と同じ青年の声、周りには黄色の淡い魔翌力がふわりと浮かんでいた。魔翌力の泡は地に落ちて、また『土の右腕』を作りだす―――今度は大きい】
【人一人は軽く握りつぶせそうな大きい掌を握りかためて、船ごと殴ろうと飛翔する――――!】

【しかし、威力はあれど強度は最初と同じく脆い―――速度も無く、攻撃するなりその気になれば防ぐことは容易】
414 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 00:58:28.30 ID:itKQYxhWo
>>404 >>405

(まず、一人――――だが)

【掃射≠フ雨を受け、ノーティヒアが吹き飛んでいく。直撃でこそ無いにせよこの距離での一斉発射、ただでは済まなかった様子だ。暫くは動けまい】
【ひとまず溜飲を下げる…………と行きたいところだが、そんな暇もない。数の利は未だあちら側にある】
【現在のアルフレドは、ノーティヒアへの反撃に全神経を集中した代償に片膝を付いた中腰の状態だ。それに突きを貰った腹部が痛む】
【体は既に立ち上がろうと腰を浮かせ、次の行動に移ろうとしているが、普段より迅速さに欠ける。このまま、何人も連続で相手に出来るのか…………?】
【ノーティヒアの代わりにこちらに迫ってくるカニバディールを前に、アルフレドの頭はこれだけの思考を一瞬で終わらせ】

気持ちの悪いことを…………な、何ッ!!?

【自身の肉を味わいたい、などと言うカニバディールの台詞に、アルフレドは一瞬自分が咀嚼される光景を幻視した】
【想像しただけで怖気の走る、そんな情景――――それに加えて命運を分けたのは、先程のロウの警告のお陰でもある】
【斧の方に気を取られて本命の噛み付きの方を全く予期できなかったアルフレドだが、それらの要因が彼の本能的な部分を動かした】
【立ち上がり掛けていた体の制御を、無意識的に放棄する。もう一度地面に倒れ込んだアルフレドの左肩は、直撃コースから逸れて】

【――――がじゅっ、という嫌な音。噛み付くまでは行かなかったにせよ、鋭い牙は左肩の肉を無慈悲に引き裂いていくだろうか】

ぐ――――ぅ、あああああああああッ!!?
…………くそ、まだだ…………!!

【肩口に走った激痛が、アルフレドの表情をひどく歪めた。悲痛な絶叫が木霊し、アルフレドは衝撃に従って真後ろへ倒れ込むだろうか】
【――――だが、彼の赤紫の双眸はやられながらも確かに、伸び上がった一ツ目≠真っ向から見据えていて】
【アルフレドは寝転んだ体勢のまま、右手を勢いよく真横に振る。その手にある『Kibrit』の引き金を、引き続けた状態で――――】
【再び空を切った風のレーザー≠ヘ、腕の動きに合わせて横一閃の斬撃と化し、カニバディールの伸びた喉元を切り裂こうとするだろう!】
【このレーザー、距離が離れれば離れるほど威力は減衰してしまうのだが…………噛み付こうと近寄ってきたカニバディールの首と『Kibrit』の銃口は、近い】
【直撃した場合、殆ど本物の刃物で斬られたのと同程度の威力でもって、その首元へ深い傷跡を残していくだろうか】


はぁ、はぁ…………っ!!

【…………だが、この攻撃を終えた後。アルフレドの体は地面に寝転んだままという、最悪の状態になっており】
【更に、彼の息が不自然に上がっているのにも気付くだろうか。負った傷の痛みというのも、勿論あるのだが】
【何より、このレーザー状の弾丸を二連続で放った消耗が大きい。この攻撃を使う時、体内の魔力はいわば蛇口が開きっぱなしの水道のようなものなのだ】
【威力と同時に使用する魔力量もまた、単発の時の比ではない――――ひとり退けはしたが、アルフレドもまた追い詰められていて】

【…………視界の端に、カニバディールの指の動きが映り込む。敵の次の手を察知したアルフレドは、悪足掻きでもするように腕を動かし】
【背後で蠢く蜘蛛女に攻撃するまでの気力はない。だが体の下に両銃のマガジンを挟み込むと、強引にそれを引き抜くだろうか】
【この状況で辛うじて取れる次への備えが、それであるということか。あるいは、何かの布石であるのか――――?】
415 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 01:15:43.22 ID:1Ve1BrFTo
>>406,408

『ゥゥザアアーーッ!』

【瓦礫が崩れ行く中、――トカゲ男がとある倉庫の中にへと侵入した、先ほど開いてしまった穴があったのだ】
【少しすれば戻ってくる、何か目ぼしいものでも見つけたのだろうか――そう、見つけていた】
【先ほど侵入した倉庫は骨董品等が保管されている場所のようで、その中身の大体は壺だったり皿だったり、まあ普通の骨董品である】
【……さて、そんなものを持って来てどうするのか、と言う話である、……現にトカゲ男が持って来たものはそのどちらでも無い】

「……ほォう、なァかなかの年代物の槍だ、そォれに…………良ォいエネルギーを感じるぞォォオオ」

【これは――三叉槍、だろうか……だいぶ錆び付いていて使い物にならなそうに見え、しかし僅かにパチパチという音を放つ】

「さァ……て、と」

【槍が邪悪な魔力に包まれて行く――】


>>406

「ヒャハハハ、俺様のこォれは戦略的撤退ってやァつだ、逃ォ走と勘違いすゥるんじゃアねェぜ!」

【――崩れ行く倉庫の中、少年は瓦礫の中に飲まれていった……様に、見えた】
【悪魔には一つ気がかりなことがあった、……金属音だ】 【金属らしい金属はあの時の銃程度、それすら捨てていたはず】
【つまり……あの金属音を生む"物"は無かった、ならば"者"が生むしかない――】

「ほォう……妙に威力の高ェ蹴ェりだァと思ったが……ククッ」

【だがわかった所でもう遅い、――瓦礫に呑まれて、なんとか這い上がってきているのだから】
【――少々怪しい"におい"はするが、――聖を先に片付けてしまおうか、そう考えている様子】
【故に、少年への警戒が"少し"薄まったようだ、さて、このちょっとした"心の隙"にどうやって付け込むか――】

/続きます
416 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 01:18:33.58 ID:1Ve1BrFTo
>>415の続き

>>408

【その心の隙をより増やしてくれたのは、少女の力だった――ちょっとした聖でも焼けていたのだ、ならばもっと与えれば?】
【――その結果は、邪な存在であるこの悪魔が一番良く理解している、だから余計に脅威を覚える】

「ククク……さァ、まァずはテメェーから止めを刺ァしてやァろう――」
「安心しなァ、俺様はリサイクルがだァアーい好きだァからな……聖は破ァ壊すゥるが、魂は残しておいてやァる」

【先程闇に包まれた槍、それが晴れると――見えるのは在りし日の姿、いや本当にそうだったのかは定かでないが】
【白銀色に輝き矛先に青白い雷を纏っているそれはとても神秘的――しかし悪魔が持つとむしろ輝きが邪悪に見えてくるから不思議だ】
【――悪魔は少女に向けて接近する、槍で一突きしてやろうと考えているのだろう、だがその前に】

「――く、くゥゥッ、不ァ味いぞ、槍なァんて復元しィている場ァ合じゃアなかった、オクトレートをしィまうべきだったッ!!」

【弾ける光が悪魔の眼に飛び込んできた、――自分やトカゲ男、或いは亜人の魔物であれば対処はまあまあできる】
【だがタコはどうだ、図体と火力の大きさは魅力だが、幾ら陸で立てるといえども軟体動物なので身体自体が軟らかいし、防御術も強くない】
【――タコの口部から吐かれるのは墨だ、但しチョコレートのそれだが……どうやらこの墨で光を打ち消そうという考えのようだ】
【また、亜人の魔物の作り出すチョコレート壁によって、更に防御の幅を拡大――】

「グ……ガァァアーーーアアァァーーー……ーーッ!!!」 「糞が、……グゥゥオオアアーーッ!!」

【しかし全てのガードは出来なかった、タコの身体に光が降り注ぐ、身体のあちこちがエネルギーで焼ける】
【――そして、そのフィードバックダメージから来る光は……聖は、悪魔を襲う】
【その姿はまるで頭から酸を被ったかのような悲惨な状況で、邪な気配が僅かに薄れて行くのが感じ取れるだろう】

「……!」

【これで敵意の矛先は完全に少女に向いた、少年への警戒も全て少女に移動した――聖に焼かれたこの状態だとあまり分がよろしくないのだが】
【だが、――刺しに行かずにはいられなかった、この怒りを収める方法はそれしかないのだから】

【――まず、亜人の魔物の下半身のドロドロした部分から熱く溶けた腐ったチョコレートが頭部目掛けて発射される】
【これ自体の攻撃力といえば、――熱による火傷や動きの阻害……と、今までと変わらないが、熱が控えめな代わりに粘り気が上がっている】

【そして、それによって"妨害"を行うことで――両手で持ったこの三叉槍を確実に刺そうと考えているのだ】
【狙いは腹部で、――あえて確実に殺せるだろう場所を狙わないのは、自分の痛みの分を"返す"のが目的だからだろう】
【もし刺された場合、三叉槍自体の刺突ダメージ以外にも……電気がある、数秒ほど痺れて動けなくなるかもしれない】
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 01:23:05.54 ID:LgjLldf60
>>411

……分からない、

【例えば自分は未だに怒っているのだろうか、それすらもどこか、曖昧なようで】
【怒っているのかもしれない、怨んでいるのかもしれない、それを認めてしまうのが、確かに恐怖としてある】
【悪いのは誰だったかって思考に一生懸命修正を掛けようとするのは、彼からの影響だろう。悪くないと、何度も言ってくれたから】

【いつか赦せる日が来るのだろうか。いつか、なんてことなかったように話せる日が、来るのだろうか】
【その日はきっとまだまだ遠いけれど、存在しないわけじゃないなら、ゆっくり歩いていけば、それでいいはずだった】

そしたら一緒に食べようね、おいしい紅茶を淹れて――約束だよ。ぜったい、約束だよ。

【するりと伸ばした手を相手の手へ絡める、蛇の巻きつくよりもずっとおしとやかに絡めたのは、互いの小指】
【相手の了承なしに勝手に契ってしまうのだった。「指切った」なんて言うまで、若干二秒ほど】
【けれど、――なんだか楽しそうに笑っているのを見れば、文句なんて言えないのかもしれない。こうしている方が、似合うから】
【泣いた顔よりも笑っているほうがやはりというかかわいらしいといえた。あどけない顔付きには、鮮やかな色のほうがよく映える】

【(色白の頬を真っ赤にして泣くのもかわいらしいといえばかわいらしかったが。まあそれは、余談と言えるもので、)】

【自ら閉ざした視界では何をされるのかなんて分からない、軽く触れるだけの口付けに、そのたびどきどきと鼓動が鳴いて】
【物足りないようで瞳を開けた。離れようとした刹那を追いかけて、仕返しのような口付けは、ふにと唇同士が触れ合うだけのもの】
【終えればぐぅとその胸板に体重を掛けるのだろう、甘えるというよりかいっそ押し倒そうとするような仕草、素直にされてくれたなら、】
【ソファの上に重なるように寝転がって。その胸元に顔を埋める、そうしたなら、そーっと目蓋を下ろして、一拍】

――おやすみなさい、

【――いつかされたことを真似たようでもあった。悪戯ぽくそのまま寝ると宣言してみせたなら、もうテコでも動かない構え】
【なんだかんだで疲れていたのだろう、放っておいたなら存外早く寝入ってしまうやわらかな吐息の繰り返される様は】
【悪戯描きなんてしたらちょうどいい塩梅になるだろう位置に頬っぺたがあったけれど。摘む程度にしておくのが無難だろうから】

【「――そうだ、友達に貰ったチョコがあるの」】
【束の間のお昼寝から起きだした後のこと。ふと、そんなことを思い出して見せた彼女は、】
【始めにそうしたように自室に行って、戻って、可愛らしい箱をもうひとつ、持って来るはずだった】
【チューリップを模したチョコレートは誰かの手作り、一緒に食べようと誘う頃には、もう泣いたことなんて過去の出来事】
【まだ忘れることは出来ないし、赦すことも出来ない。けれど、放っておくことが出来るようにはなった、今日この頃】
【ひとまず保留の場所に置いて、――それで、甘い甘いチョコレートを味わうことに、決め込んだらしかった】

【――後日。お風呂場に入った彼女は、そんな平時との違いを見出して、驚いたような顔をする】
【浴槽の淵にそっと手を掛けて覗きこむ、普段なら必要もないためにしないこと、したのは、彼の案をもっとよく見たくて】
【水に触れてみることは変わらず出来なかったけれど、少しだけ距離が近づいた気がした。そんな、余談があった】

【(魚の餌やりが楽しいらしかった。ぱっと水面に散る餌、ぱくぱくと食べる姿、見ていると面白くって)】
【(公園で鯉に餌をあげるのが楽しいタイプ。やっぱり動物というよりか、生き物全般が好きなようだった)】

/おつかれさまでした!
418 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/15(土) 01:30:39.27 ID:474PQ4hio
>>409-410

……強いんだな、外の女性は。今までは……ビスク、お前の話を聞いたり
 テレビや新聞のニュースで『結果』を知るだけだったが……実際に見ると、違う。

セリーナ・ザ・"キッド"。UNITED TRIGGERのリーダー……か

『――ぼ、坊っちゃんっ!悟ったようなこと言ってないで何とかして下さいよォー!!
 このまあじゃあイル・ピラータ≠ヌころか俺たちまでやられちまいますって!』

「そっ、そうですよ坊っちゃん!船体に穴程度ならまだ良い!
 でもそれで積み込んだ物が全部落ちちゃあ……いや、それ以上の問題だッ!
 船そのものが沈んだらどうするんですッ!チョコ板じゃあ海は超えられないですってばァ―!」

【セリーナの一撃――それもこれまでの中で最も特大の火炎が、船底の装甲を襲う】
【この船、イル・ピラータは特別製である。古いが特注の鋼鉄を使い、衝撃には恐ろしく強い】

【その証拠に無理やり陸に乗り上げて地面を削ったというのに、凹み一つ見えず】
【先ほどの火炎の属性を纏った弾丸でも巨大な穴が空いたりはしなかった。よく出来た船なのだった】
【それでも、船は船だ。これがそれこそ、ティターン・アーマーのような装甲であれば話は違ったろうが――】

【応急手当的にチョコレートが船底にこびりつく。船内の側にも、船体の外にもだ】
【合間には空気の泡を挟むことで熱の軽減も図る。存外に頭脳的なやり方は賞賛にも値するだろう】
【だが――どこまで言っても、所詮はチョコレート。高火力相手では溶けてしまうのが絶対的な真理であり】

>>413

『う、ぉ……嘘だろォー!?夢だ!大砲が銃で撃ち落とされたり、ビスクさんがサングラス外したりッ!』
「あんなデカい腕が在るわけねーだろ!大体、坊っちゃんが表に出てくる時点でおかしかったんだ!
 明日は槍か?それとも大雪か!?クソッ、このままじゃあ明日の空すら拝めや――」

……チッ、だから一々騒ぐなってんだよ馬鹿が。ぶち殺されたくなかったら黙って搬入組を乗せろ
もう十分にかつぎ込んだ……炎が入りそうな位置を直ぐに隔離してハッチを閉めろ!
どれだけ熱い炎だろうが、何層もの鋼鉄を溶かし切ることは出来やしない!
ましてサイズがサイズ……燃費がいいとは思えん。数秒耐えりゃ良いんだ、速くしろクソガキ共がッ―!!

【更に喋り屋の出現させた巨大な腕に戦慄く船員たちと、それを叱咤して銃を構えるキャプテン、ビスク】
【彼は両手の銃を相互に構え――狙いも何もなくただひたすらに打ち続けた】
【アストラM900が五発、それからS&W M500が五発。両腕が痺れ、空の薬莢が転がって】
【恐らくそれでも腕を留めるには足らないだろう。それを見かねた坊ちゃま≠ェ視線を向け――】

こっちは……名前は知らないが、奇妙な人だな。声が変えられるのか……?
 面白いな、多芸だ。能力か、それともマジックか…?いや、どちらにしても……

 ――御父様とビスクが引き継いできたこの船、決して落とさせるわけにはいかない。
 ファミリーのボスである僕が……この『マルコ・ドラゴニ』がやらせない!
 蠢け僕のSweet Dream the Moment=c!甘いのは味だけだと思い知らせてやれっ……!

【装甲の強化に力を使っているはずなのに、更に周囲の地面から多量のチョコレートが湧き出してくる】
【限定的な力だが――恐ろしく強力だ。やがてそのチョコは、半ば固まった状態で腕を作り上げる】
【丁度相手のそれと同等のサイズ。そして勿論、為すことといえば相手に殴りかかる事で――!】
419 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/15(土) 01:30:59.12 ID:474PQ4hio
>>ALL

【マフィアの参謀、ビスク――諸君にはキャプテン・キネシスだが、彼は船の側面のハシゴに何とか手足を引っ掛ける】
【今や船は凄まじい状態だった。船底はチョコレートの海に浮き、その一部がセリーナによって焼かれ、穴が空き】
【また後部の搬入口は半開きで、如何にも急いで閉めましたという感がはみ出した砲門から見て取れる――砲門=H】

――言ったとおりにあっただろう、ドレイク!そして指示通りのナイス配置だ!
ちょいと予想外の事態が起きて熱いだろうが耐えろ!そしていまだ…撤退の時間だ、野郎ども!
ドレイクがぶっ放したら一斉に撃てるもん撃って追跡を妨害しろッ!

――――マルコ坊っちゃん、このまま海まで頼みましたよ!勿論、その後もッ!!

【搬入口が改めて開かれる。既に船は方向を180度変え終えていて、後部のエンジンも丸見えだ】
【そして――姿があらわになるのが、固定式の砲台。所謂対空機関砲を改造したような代物で】
【その口径の大きさからして、グレネードランチャーに近い機能も備えているに違いない】

【キュイィーン…!≠ニそのガトリングガンと後部の砲門が音を立て―逃げるなら此処だ―射撃開始。】

【直後に広場は火の海と化すだろう。無数の銃弾によって路面が破壊され、グレネードによって爆炎が発生し】
【これは自然と喋り屋を狙うことにもなるだろうし、場合によってはセリーナを至近から撃つことにもなるかもしれない】
【どちらにせよ、後部のエンジンもまたジェット機のそれに近い形式で音を立て、奥には熱の明かりが見えて始めていて】

【相手のすさまじい攻勢の中、攻めるならば今此処限り――そう思われる】
【――ちなみに、船上の愉快な若者たちは既に安心しきっていた。物静かな若きボスと】
【そしてハシゴに組み付きリロードするビスクだけが、まだ警戒を解いていなかった】
420 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 01:42:01.24 ID:PT9EgQoP0
>>415,>>416


……………―――

【どうやら、状況が有利に働いたらしい。相性の良さも相俟って、少女の力の効果は絶大だった……そして、邪魔者は真っ先に排除するのが鉄則だ。】
【稚拙な演技が功を奏したかどうかは別として、兎に角片方に意識を集中させる事が出来た。尤も、彼女にとっては危険な状況極まりない訳だが、】
【然し矢張り強敵である彼に"勝つ"為には、そうでもしないとならない……多少のリスクは必要不可欠、だと言う事だった。】


……お、カッコええやん、……ちょっとそれ、貸してな………


【意識が彼女へと向かったのなら、少年はその三叉槍を取り上げる事さえ可能なのだろうか―――。】
【唯でさえ無い存在感を更に消していくかの如く、そろりそろりと……それはどちらが泥棒なのか分からない程の不審な歩きで。】
【だが、殆ど零距離に近い状態まで近付く必要がある。この行動の成否は、矢張り存在さえ忘れている程意識が遠のいているかどうかに掛かっていた。】

【若しこの厳しい条件の中、尚も槍を盗めたのなら、少年は一つ、二つのバク転で瞬時に距離を稼ぐ事だろう。少々の鑑賞の後、その場で跳躍し―――、】
【投擲する。少年は槍使いでも何でもなく、勿論その扱いに関しては初心者そのもの、玄人が投げる其れとは目に見えて速度に違いが有るはずだ。】
【然しそれでも相応のフォームで投げられたのは、恐らく極めて高い身体能力のお陰、……狙いは巨大なタコの中心、人で言う鳩尾の辺りだ。】

421 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 01:45:46.59 ID:DasqJ8+Ho
>>412
観客という連中は派手好きだからな……いやいや、同情するよ
私は、お前の戦いはかなりのものだと思ったがね。さすがに、その右足で今なお、現役で戦い続けているだけのことはある
……そういうやつは、早死にするのが常道だがね

【賞賛と皮肉を同時に浴びせながら、カニバディールが痛みに呻くロウを見て笑う】
【自身の放った光の一撃、亡き六罪王の力の一端が刻んだダメージは決して小さくないらしく】
【普段のハッタリにも切れがない。だが、拳銃を落としてもいない。すなわち、彼はまだ折れていない】


{冷たいじゃないか、マーシャル君……私だってうら若き乙女だというのに……}

【放つ言葉とは裏腹に、浮かべる笑みは邪悪に歪む。その眼前に撃ち込まれた弾丸が、氷柱を顕現させた】
【ダメージによる動きの鈍りが功を奏し、氷柱への激突は避ける。しかし、一瞬欠けたブレーキは、ロウの第二射を許すことになる】

{うっくはあああああぁぁぁぁぁ……!!! ああ……気持ち、いい……}

【右から放たれた一撃が、氷柱を砕いて散弾と化す。鈍った動きでそれをかわすこと叶わず。美鈴の全身を、氷の礫が削り取っていく】
【全身の傷から血を噴き出しながら、美鈴がよろよろと前身していき、ロウのところまでたどり着く。ロウの身体を青肌が抱擁して――そこで止まった】
【出血の多さに意識を失ったらしい。背に回された腕が、だらりと垂れさがる。術者が倒れたことで、ロウの足の痛覚も、次レスには戻ることだろう】


どうやらそうらしいな……美鈴め、相手の攻撃をいちいち受ける悪癖はどうにもならん……
しかし、本当に口の達者な男だよ、お前は……報復してやりたいのはやまやまだが、そう思い通りには――!!?

【激情のままに叫ぶロウの目は、どこまでも冷静さも兼ね備えていた。勝算に張る判断力、そして背後の動きを見逃さない目】
【放たれた弾丸が、こちらに向かっていたネグティーの義足の足元を弾く。義足のバランスが崩れ、ネグティーが転倒する】

《ひうぅ!! う、ううぅ……痛いよぉ……ひどいよお……》


>>414
【ノーティヒアは敗れはしたが、その戦闘は確かにアルフレドの魔力、体力を削り取っていた】
【迅速さに欠けながらも次の動きに移りつつ、瞬時に的確な思考を成す彼。ロウに劣らぬ強者の動き】
【だが、そこへ襲い掛かる異形の動きを見切るには、彼のダメージは大きすぎたようだ】

く、ふふ、ふ……うまい、うまいぞ、お前は……!!

【伸びた首が、口中に広がる味に破顔する。何と醜悪な光景だろう】
【だが、状況はまだ動き続けている。先に放ったカニバディール自身の言葉、そしてロウの的確な判断による情報提供】
【それらが、噛み付きの直撃は回避させた。それによって生まれる異形の隙。伸びきった首はすぐには戻せない】


ぬぐっ――がふっ!!

【倒れ込みによる回避から、流れるようなアルフレドの反撃。至近距離からの、風の一閃】
【赤紫の瞳からの視線と、『Kibrit』からの風のレーザー≠ェ、異形の首元を捉えた】
【咄嗟に肉膨張でガードしたものの、至近距離という状況を覆すには至らず。首が裂かれる。鮮血が噴き出す】
【表情を歪めたカニバディールの首が、本体へと戻っていく。肉のガードで致命傷は避けたが、鮮血は止まらない】


か、は……やって、くれたな……!! だが、お前の息も上がってきているようじゃあないか……
あれほどの質と量を誇る魔力弾、そうそう連発は出来ないか……?

/続きます
422 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 01:46:04.63 ID:DasqJ8+Ho
>>ALL
【ロウの活躍で、こちらに来る前に動きをけん制された蜘蛛足女・ネグティー。身体を起こしつつも、おろおろとしてそれ以上近寄ってこない】
【『スクラップズ』の異常性は、武器であると同時に弱点でもある。彼女の能力にも通じるネガティブ気質が、今は彼女の枷となっていた】
【一つ目でその有様を確認したカニバディールは歯噛みし、ネグティーに向かって声を張り上げた】

ネグティー!! そこからで構わん、叫べ!!!

《あ、あう……!!! あ、あ、うああああああああああああああああ!!!》

【その指示を受けて、ネグティーが泣き叫ぶ。と、彼女の身体から吹き出す黒い靄】
【それが触れた地面やトラックから、白いキノコが生え始めた。キノコ一つ一つには、人の顔が付いている】
【それらが、一斉に泣きわめき始めた――!!】

ウワアアアアアアアアアアアアアアア
モウムリヨオオオオオオオオオオオオ
オシマイヨオオオオオオオオオオオオ

【常人ならば、聞くだけで精神を掻き毟られるかのような、絶叫だった。ネグティーの有する能力】
【自身は肉体変形で耳を塞ぎつつ、カニバディールがゆらりと動き出す。首の傷を庇いつつ、腕まくりをして太い両腕を露出させた】


ゲ、ホ……。さあて、ロウ。お前の望み通り、二人まとめて私の手で、私の食卓に並べてくれる……!!!

【バトルアックスを背中に背負い、自由になった両腕をカニバディールが膨張させた。倉庫街に異様な音を響かせ、巨大な肉塊と化した腕が出現する】
【片方はロウへ、片方はアルフレドへ。それぞれ、真正面から肉塊が伸びていく。腕を巨大化させての、真正面からのストレート】

【単純な攻撃だが、肉塊となった腕のリーチと攻撃範囲は尋常ではない。まともに受ければ、重量に見合った衝撃を全身に受けることになるだろう】
【ネグティーの音波とカニバディールの肉塊。これらの攻撃を凌ぎ切れば、ボスの首は目前となる――】


【美鈴 行動不能】
【ネグティー 怯えて戦線に加われず。能力による泣き声は、カニバディールの攻撃の後、止む】
423 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 01:57:09.45 ID:BN9zQv9Mo
>>416>>420

【槍を放ち終わり、少女はスケッチブックに向かっていた】
【文字を書いていると倉庫内から絶叫が聞こえてくる。どうやら、目論見は成功したらしい】
【実は自分の能力が弱点だなんて気付いていなかったが――全身を刺される痛みだ、あれくらい叫ぶだろう】
【ならどの道動けなくなるだろうし、弱点であってもなくても構わない】

【……はず、だった】


――!!


【次に彼女の眼が捉えたのは大量のチョコだった】
【一直線に自分へと目掛けて襲ってくるそれを、彼女はスケッチブックで防御しようとするだろう】
【しかし防げたのは良くて半分ほど。それすら手に浴びて、結果全身がチョコ塗れになってしまった】
【べちゃり、自然と膝が折れる。熱さでスケッチブックを落としそうになるが――それは歯を食いしばって耐えた】

【その状態で更なる追撃がやってくるのだろう】
【濃い茶色の視界、その隙間から男の姿が見えた瞬間――彼女の表情は恐怖に染まった】
【チョコが寒い外気で急速に冷えてゆく。だが背に走る冷たさは、空気だけが原因では、決してない】


【このままならば間違いなく彼女は槍を受けてしまうだろう】
【その成否を左右するのは言うまでもなく少年にかかっていた】
424 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 02:27:14.40 ID:0ledXnn+o
>>421

……不殺を貫くためには……っぐぅ……ッ、まず俺自身が死なずに生き延びないと……話になんねぇ……!!
―――腕っ節も素早い動きも持ってねェが、その分拳銃の腕と戦う者の心構えってのは死ぬ程叩き込まれたからな……

それだけありゃ、いや……プラス運さえありゃあ何とかやっていけるってもんよ……っと―――ッ痛ゥゥ、急に来んのかよォ〜〜〜〜ッッ……!!

【痛みが電光石火の如く全身を何度も駆け巡り、そして痛みはしないが朱をじわじわと流す右脚も彼の体力を奪い―――ロウは肩を上下させ、疲弊している様子を見せるが】
【―――それでも彼は銃弾と能力、そして経験を駆使し彼女を撃破した。此方へと倒れこむ彼女を抱く形となったが、突如顔を出した右足の痛みに悶絶を隠せない】

【激痛に顔を顰めながらも彼女の身体を横に置き、痛みに震えながらカニバディールとその奥の蜘蛛足女を涙目で見据えて唇を噛み締めた】
【―――今度はお前だ、カニバディール。と、片足が激痛で動かない状況でも訴えかける瞳。……だが、まだ奥の蜘蛛足女が恐ろしい事を起こすとは気付いていなかった】

―――〜〜〜〜〜〜ッッッッ!? なんつ……音出してんだぁ……ッッ!?

【―――精神が芯から揺さぶられるような、「苦しみ」を体現したような狂音。視界が歪むような幻覚が見えてくる程のパワフルな音は、明らかにカニバディールのサポート】
【……―――その事を考えこむ間もなく察知したろロウが取った行動は―――ある意味、先程の美鈴を彷彿とさせる行為だった】

……―――くっそ……!!

【左肩が上がらない状況で左肘を折りたたみ―――なんと、自分の左耳に少しだけ離して銃口を向けたのだ。連想させるのは、自殺だが勿論そんなことをするはずがない】
【―――しかし、明らかに行動は其れ。……そして刹那、ロウの周りから漂う怪しい魔翌力―――ネイビーのコートに隠れてはいるが、ロウは宝玉のペンダントを所持している】
【……その名も、幽幻の宝玉。幻覚、幻聴―――そして幽霊に関するモノを生み出すことも出来る、使い方次第で強力なモノであるが―――ロウの左銃から轟音が鳴り響いた】
【だが―――銃弾は放たれていない。偶々タイミングよく弾が切れていた訳ではなく―――コレは宝玉が生み出した音。つまり幻聴の一種―――其れを自分の耳に向け飛ばした】

【……鼓膜が破れそうなほど大きな音が左耳を一時麻痺させる―――が、その分あの狂音の威力も半減。これなら何とか行動できるレベルにまで影響は収まり―――そして】
【―――後は知っている攻撃に対処するだけだ。前にも見た、肉体を伸ばして仕掛けるカニバディールの攻撃。強力で速いが、軌道は単純】
【……蜘蛛足女の狂音と組み合わせた場合は最短で繰り出されるストレートが最も効果的だが、サポートの効果が半減した今、其れは味気のない攻撃になり】

―――……喰らえや……弾丸憑依……ッッッ!! Slaaaaaaaaaaaaaaaaaaaap<bッッッ!!

【宝玉の力を籠めた特別な一撃を右銃から放ちロウは応戦―――この弾丸、放たれた瞬間に側面から半透明で巨大な腕が生え―――】
【そしてカニバディールにも勝るとも劣らない剛力のビンタでストレートを横へと流そうとする。もし流したのなら腕は消え、残ったのは普通の弾丸―――】
【だがその軌道はカニバディールの喉元へと突き刺さるモノ―――カニバディールにとっては、悪夢の一撃となり得るが……!!】
425 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 02:33:46.05 ID:KG915x4e0
>>418-419

『どうだ俺の地属性魔術…多分俺の使える中では一番強いぜ?鋼鉄の船だって、攻め続ければいつかは――――!』

【悲鳴をあげている部下たち、どうやら鋼鉄の船でも攻めれば何とかなるらしい、と思考して】
【銃弾によって奇しくも崩れかけてはいるものの―――喋り屋は諦めている様子はなく】

【そんな彼女の前に見えたのは、自分が使役しているのとは色がちょっと違う―――別の腕】
【それがチョコで、あのボスからの攻撃だということに気付くのに、さほど時間は必要無かった】

『ちぃ…!目には目を、歯には歯を…腕には腕を、みたいなとこか!』
『いくらバレンタインデーだとはいえ、そんな巨大で甘ったるいプレゼントは要らねー…!』

【船への攻撃に集中していたため、防御手段を取るのに間に合わず―――直撃】
【軽く後ろへと吹っ飛ばされたと同時、それまでの銃撃もあってか『土の腕』は崩れ始める】
【いくらチョコと言えど殴られれば痛い―――体中に鈍い痛みを感じながら、地面へと叩きつけられ】

―――――――――――――――っ。

【体を使って動くことはもはや不可と言ってもいいが、まだ魔翌力は残っている】
【すぐに次の魔術を行使しようと、喉元に右手をやった後―――ガトリングガンの存在に気付く】
【更にはグレネードランチャーのような、大きな穴も見えた。受ければ一溜まりもないだろうか】

【放たれる弾丸の数々、爆発したに等しい砲火の威力。広場の路面が削れていくのを見てぞっとする】
【それによって引き起こされる多少の砂煙――数秒すれば、その中から上空へと、跳びあがる何かの姿】
【よくみれば『赤黒い翼のようなもの』を生やした喋り屋だと分かる。寸でのところで回避行動に出たらしい、が】
【それでも足首から下は兆弾によりボロボロで、炎に巻かれ全身が焼け焦げていた。ダメージはやはり受けている】

―――――――…『あっぶ、ねえええ…ッ!』
『間一髪、マジで蜂の巣にされるところだった…!この程度の怪我ならまだ死ぬことは…!』

【この程度、と強がってはいるものの、体は限界。翼らしきものも、長時間の滞空は出来ないらしい】
【喋り屋は、高く飛んだその位置からゆっくりと落ちていく―――落ちながらも、目だけは船を向いて、何かを狙っていた】

――――――…『まだだ、融けるからこそチョコなように…土は崩れるから土だ!』
『俺の腕は、ただ掴んで殴るだけが仕事じゃない…籠めた魔翌力が切れるまで攻撃させてもらう!』

【そう、自慢げに詭弁を垂れ流したなら、また青年らしい声が黄色の魔翌力へと変換される】
【魔翌力は先程、壊された『土の腕の破片』へと伝わっていき―――まるで操作されているように宙へと浮く】


――――――――『土の疑似ガトリングガンだ、受けてみろッッ!!!』


【宙へ浮いた土の破片は無数の刃となって、甲板目掛けて襲いかかる―――!】
【悪あがきとも言える最後の一撃―――否、数撃。先刻のガトリングガン程ではないが、侮れない威力】
426 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 02:34:03.76 ID:1Ve1BrFTo
>>420,423

【少女に迫る悪魔、身長の高さに怒りの威圧を加えれば、いつも以上に落とす影が大きく感じられるかもしれない】
【槍を高く掲げて――槍の持つエネルギーを高めて、――】

「――――」

【――200,150,100,……――普段ならば即座に気付いただろう、においも気配も十分捉えられているから】
【ここまで近づいても全くもって振り向く様子がないのは、――聖で嗅覚が弱っているとかそういう前に、意識が向いていなかった、その一言に尽きる】
【あの時点で少年は再起不能(少々怪しんではいたが)だと思っていなければ、僅かでも向いていた可能性は――あったのかも、しれない】

「ぶゥッ潰す!」

【その槍を持てば更に感じるだろう、"雷雲"のエネルギーを宿していることに――】
【おそらくは、古代の雨乞いの儀式にでも使用していたのだろう、それを悪魔が復活させ、そしてリメイクしたのだ】

「くッ、糞が……!」 「やァっぱり偽ってやァがったかァッ」

【悪魔が少女の腹をメッタ刺しにしようとした時には既に槍は少年に奪われていた、故に腕を振るだけで終わる】
【慌てて取り返そうとするも、聖に焼かれた身体ではうまく動けない、それに距離を素早く離されていた――】
【故に、そうすることが出来ず――槍は、タコの中心に向けて投げられたのだった】

【――これがただの槍ならはたき落とされていたかもしれない】
【しかしタコはそうするのが一瞬遅れて、結果としては槍が狙った場所にぶっ刺さったわけである】
【何故か、……雷が怖かったのだ、触ってはいけないと思ってしまった】 【幾ら悪魔の部下にされているとはいえそれ以前に生き物である、故に怖いものは怖い】
【流石に"貫通"までとはいかなかったが、少なくとも三叉槍なのかただの棒なのかわからない程度には刺さったようだ、やはりただの三叉槍より強い】
【そこまで深々と刺されば、幾ら100%のフィードバックを受けるわけではない悪魔と言えども軽傷では済まず】

「ッ、ガァッ、!」

【胸部に来るフィードバックで身体が抉れる、濁流のように血が流れる――そして、電気で身体が痺れる】
【――悪魔は判断した、……このままだと"力が出て行く"一方だと、不本意ながらもこの行動を取らざるをえない】

「……く、糞ッ……!」 「俺様ちょオーっと用ォ事思い出したから帰る、こォのダメージの分は後できィっちり返してやァる、……覚悟しィてなッ!!」

【そういえば……トカゲ男はどこに行ったのだろう、いつの間にかまた消えていて】
【捨て台詞以外の何物でもないそれを吐けば、悪魔は魔法陣を生成する】 【続く先は――深い深い混沌、だろうか、そんな禍々しい力を僅かに感じさせる】
【そして悪魔と亜人、タコ、そしてトカゲ男が闇となりそれに吸い込まれていった――トカゲ男の闇は槍を奪った倉庫から出てきていた】
【……やはりこの悪魔、抜け目がない。他にも目ぼしいものがあったのか、骨董品の倉庫から"も"幾つかの物品(槍含む)が消えていたそうだ】

【――さて、悪魔はこの使えるように直した(元に戻したとはいっていない)槍を忘れていったようだが】
【武器として使っても良さそうだし、骨董品としての価値は無くなったものの武器としての価値は上がった故に高値で売れそうでもある、返却も大いに有りだろう】

【ともかく……ここで略奪行為を働くばかりか嬉しくないバレンタインデーを繰り広げた悪魔を追い払うことに成功したのは事実だ】
【その過程で倉庫の一つは壊滅してしまったが――コンテナの全てが破損したわけでは無さそうで、しかし大損害に違いない】
【無くなった交易品は数知れず。根こそぎ奪われなかったのは、そうするのは邪魔者を排除してからのつもりだったというのが幸いか――】

【――第13番倉庫街に現れた黒い影は、今はもういない】

/この辺りでしょうか、お疲れ様でしたー
427 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 02:35:56.51 ID:itKQYxhWo
>>421 >>422

(悔しいが、ヤツの言う通りだ。魔力を使いすぎた、こうなると切り札≠燻gえるかどうか――――)

【カニバディールの放つ言葉は、実に正鵠を射ている。まだ戦えるには戦えるが、長期戦をやれる程のものではなく】
【…………だが、それでも。彼が片膝立ちの状態で立ち上がると、その両手には二丁拳銃の銃把と一緒に新たなマガジンが握られているだろうか】
【アルフレドはそれらのマガジンを、『Nara』には右手の付け根を使って押し込み、『Kibrit』には口を使って直接叩き込む】
【怪我のせいでうまく使えない左肩をカバーして、それでも戦い続ける――――鷲の如く鋭い瞳は、まだ死んでいない】
【戦いはまだ、終わりではない。それはアルフレドにとってもそうだし、相手にとってもそうだったのだろう――――】

ぐ、ぅ、おおおぉおおッ…………!!?

【一瞬にして、気が遠くなった。全方位から響き渡る絶叫が、アルフレドの全身を揺らがして】
【バチバチと火花を散らす視界の中で、カニバディールが斧を背負ったのとその腕が巨大な肉塊と化すのが見えた】
【逃げようにも体が動かない。コマ送りになる世界の中を、巨大な腕がどんどん席巻していって――――】

【悲鳴すらなかった。最後に辛うじて体を逸らし、致命傷を避けたのだけは確認できるだろうが】
【巨大な腕に弾き飛ばされ、アルフレドは辺りにある倉庫の一つへ叩き込まれるだろう。爆発じみた破壊音が中から響き渡り、砂埃が倉庫の入り口を覆う】
【やがて、場を静寂が支配する。ガラガラと木箱が崩れるような音が響きはするが、アルフレドの声は聞こえない】
【若き刑事に、SCARLET≠フベテランでも苦戦する盗賊団の相手は、やはり荷が重かったのか。立ちこめる饐えた臭いだけが、周囲に立ちこめていた】



【…………暫くして。その静寂を打ち破ったのは、カニバディールの頭上へ飛来するいくつかの木箱≠ナあるだろうか】

まだ――――まだ、まだやれる………………ッッッ!!!

【そして刹那、止み始めた砂埃の直中から、風の魔弾の雨がその木箱へと一斉に殺到する――――!!】
【放り投げられる複数の木箱の中からは、すべて周囲と同じ饐えたニオイがする。中身は果物だと察するのは用意だろうか】
【崩れ落ちた倉庫の中では、大量の果汁と血に汚れたアルフレドが『Nara』を構えている。彼が無事で住んだのも果物がクッション代わりになったお陰か】
【彼が放擲した木箱は三つ、合計すれば相当数の数の果物がその中にはある。そしてそれは今、無数の空圧弾≠ノよって全て木箱ごと砕かれて】
【この行動の目的は、カニバディールを自分と同じ状態にすること。グチャグチャになった果実がまき散らす大量の果汁≠、その全身へ浴びせることだ】


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!


【そしてアルフレドは、この行動の正否に関わらず、ネグティーのそれにも負けない激烈な咆哮によって自身を鼓舞すると】
【体中に走るあらゆる痛みを激情で無理矢理押さえつけ、立ち上がる――――同時、両銃のマガジン側面のスイッチを引き上げ】
【ヴン、という小さな音と共に、エネルギーラインが緑≠ゥら青≠ヨと変わる。即ち、風≠ゥら氷≠ヨの変更!】

【後の行動は、単純だった。震える手でノーティヒアを仕留めたのと同じ掃射≠フ構えを取ると、全速力で走り出し――――】
【――――乱射、乱射、乱射、乱射! 『Nara』の引き金は引きっぱなしに、『Kibrit』の引き金をひたすら連続で引きまくる!!】
【風の魔弾が生成する圧縮空気の温度を氷属性≠ナ極限まで引き下げ、撃ち放たれるは圧縮冷気≠フ弾丸だ】
【効果は風属性の魔弾と同程度の衝撃に加え、冷気によって周辺の水分を凍らせる。つまりは、カニバディールが浴びている筈の果汁≠】
【残った全魔力を二丁拳銃に叩き込み、乱れ撃たれる氷の弾幕。その数は数秒ほどで百を越え、カニバディールとネグティーの双方を巻き込まんと唸る――――ッ!!】

【これで二人を倒せたのならそれで良い。だが例え仕留めきれずとも、氷によって少なからずカニバディールの動きは止められるとアルフレドは踏んだ】
【荷が重いのも実力不足も全て事実。だったら足りないものは、持っている者に託せばいい】
【これは自身の渾身の一撃であり――――同時に、続くロウの攻撃を補助するための支援でもあって】
【青年を動かすのは最も単純であり、それでいて刑事に最も必要な意地≠ニ根性=B血塗れで叫ばれる魂の行方は、果たして――――】
428 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 03:02:59.52 ID:BN9zQv9Mo
>>426

【チョコがへばりついて動けない――少女はこの窮地に死すらも感じていた】
【悪魔が槍を振り上げるのを見て懇願する。どうか外してください、と】
【その願いはどうやら――少年が叶えてくれたようだ】


(…………助かり、ました……)


【生き永らえた事実に安堵すると共に、緊張が解けて力が抜けてゆく】
【そのまま彼女はぐったりと横になることだろう】

【ここに残った物資を持ち帰ることももちろん可能だったが――その選択肢は彼女にはない】
【理由は至極簡単。持って帰ってしまっては自分まで泥棒になってしまうから】
【力を取り戻した槍は然るべき手段を持って封印されるのだろう】

【それよりも今は、浴びたチョコの匂いでむせ返りそうだった】
【バレンタインデーだというのに――当分はチョコを見るのも嫌になってしまうだろうか】
【痣はたくさんできるだろうし、服はダメになるしで、結局逃げてしまった男を恨むのだろう――】



【そういえば先程、彼女はスケッチブックに何を書いていたのだろうか】
【手から落ちたそれを誰かが覗きこめば、こう書いてあることだろう】


『食べ物を粗末にした罰が当たりましたね』


【――と】


/お疲れ様でしたー!
429 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 03:37:19.77 ID:PT9EgQoP0
>>423,>>426


………すまんな、……せやけど戦場はぜんぶ、やったもん勝ちなんやで………


【利用出来る手段が有れば、何でも使う。……ハッタリや演技で相手を騙す事でも、一見正義に反する行動でも、本質がブレていなければそれで良い。】
【特に戦場に於いてはそう、……というのが少年の考えだ。まあ、言ってしまえば当たり前、誰もが同意する内容なのかも知れない。】
【然し途中で気付かれたとしても近接戦で対応出来るとは言え、それが確実な物でもなければ、今回の行動は彼女の命を天秤に掛ける事に他ならなかった。】
【―――少女が瞬間見せた、恐怖の色。やがて此の場を去る悪魔には見向きもせず少年が走ったのは、それが理由でない筈は無く。】


―――………ほんま、悪い事したな、………一番やったらアカンの、やってもうて………


【見た目にはそぐわぬ力でチョコを割りながら口を開けば、―――只管、謝罪だった。結果的に彼女を囮としてしまった事に対する、其れは純粋な物。】
【やがて殆どの固まりは砕け散ってしまう事だろう、直ぐに身動きが取れる様になる筈だ。然し、今度は逆、少年の方が全身強張ってしまった。】
【精神的な要因が強い……彼女に対する申し訳無さと、手段としてそうするしかなかった自分の不甲斐無さ、両方が混じれば、その威力は倍増する。】
【結果としては勝利を収めたのだろう、然しその表情は正に敗北そのもの―――まあ客観的に見れば、理想が高過ぎる、という事なのだろうが……。】

【そんな思索に耽っていたからか、……彼が残した後片付けの途中、何やら未だ視線を感じ即座にその方を見れば、其処にはやたら可愛らしいタコの子どもが居て。】
【……流石に今は見るのも嫌、という感じだったのだが、包装のリボンにHAPPY VALENTINEの文字が刻まれているのが目に入れば、ああ……とやっと気付く事になった。】
【それから強烈な皮肉が脳裏を過ぎれば、少年は鼻で笑う。それが、終わりそうにない作業の手が止まった唯一の瞬間―――。】

【一段落した所で、……彼女が疲労からか其処に横になっているのなら、冬の潮風が吹き付けるこの場、勿論、そのままにする筈も無く、】
【かと言って起こすのも、或いは温かい所で抱えるのも―――否、それは状況上仕方が無いのかも知れないが、………―――。】
【結局、自分のコートを上に被せるというだけ、だった。起きるまで待つ、その間は、例のタコとにらめっこ……右腕を擦りながら、時間を潰していたらしい。】


/お疲れ様でした、ありがとうございました〜!
430 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 03:40:51.55 ID:DasqJ8+Ho
/都合上、レス順を逆とさせていただきます

>>427
【無理な姿勢で、だが正確にマガジンを装填しなおすアルフレド。認めざるを得ない、警察にもまだこれほどの人材がいたことを】
【自身が噛み破った肩は激痛のはず。だが、こちらを睨む瞳は未だ鋭い。単眼の邪悪な視線と、空中で火花を散らす】

アアアアアアアアアアアアア
《うわあああああああああん!!》

【そこへ、ネグティーの攻撃が襲い掛かる。キノコと一緒になって泣き叫ぶネグティー。怪音波が周辺全てを揺るがす】
【動けずにいるアルフレドへ、肉塊が接近していく。ロウの側に飛ばしたものより、こちらの方が早く到達した】
【肉腕へ伝わる、確かな手応え。弾かれ、吹き飛んだ彼の姿が、倉庫の中へ消えていく】

【寸前の動きで、致命傷には至らなかったことはわかったが、奥から響く破壊音】
【カニバディールは、にたりと笑って視線を切る。倉庫の静寂を見て、ロウの側に意識を向けなおしたのだ】
【それが、致命的な隙となるとも知らずに】


>>424
その有様でも、まだ不殺を謳うか……そこまで行けば大したものだよ
いい師匠を持っているらしいな。一度顔を拝みたいものだ。師弟揃って、私の晩餐にしてみたい

……確かに私の見る限り、お前は悪運の強いタイプらしいな。だが、それも長くは続かせんぞ――!!

【痛みが戻り、悶絶するロウ。満身創痍の彼を前に、カニバディールに油断はない】
【なぜなら、涙目になりながらも、痛みに呻きながらも、彼の目は死んでいないからだ。自分たちをしっかりと見据えているからだ】
【体力を削られつつも美鈴を撃破し、今も闘志を燃やし続けるその姿。どうして侮ることが出来ようか】
【こちらを睨む瞳の訴える意思を、カニバディールは正確に察知し、対峙する】

【肉の上からでも揺さぶられるネグティーの音に、カニバディール自身も耐えつつ前を見れば。自身に銃口を向けるロウの姿】
【カニバディールの表情に驚きが浮かぶが、次の瞬間には前回の戦いで自身を幻惑した宝玉の力に思考が行きつく】

(あの魔力……例の宝玉か……!!)

【止める間などあるはずもなく。轟音が、ネグティーの音波に対抗する】
【幽幻の宝玉。幻を操るその魔力が、ロウの技巧と組み合わさって高度な防御手段となる】
【音によるサポートが半減、ロウの目を持ってすれば迫るカニバディールの肉など問題ではあるまい】

【弾丸から生える腕、前回の屈辱を思い出させるその奇抜な技。幻覚とは思えない怪力が、肉腕を側面から襲う】
【カニバディールが苦々しい表情を浮かべる。肉腕のストレートは、完全にいなされた。迫りくる弾丸は、またも前回の再現】
【舌打ちしつつ、肉膨張のガードを発動しようとした――その時。木箱が、降り注いだ】

/続きます
431 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 03:41:07.70 ID:DasqJ8+Ho
>>ALL
な、に……!? 彼奴め、まだ……!!!

【砂埃から飛来する魔弾の雨、この戦闘ではもはや見慣れたそれは、間違いなくアルフレドの放ったもの】
【木箱から漂う臭いがカニバディールの鼻を突く。中身が熟した果物だということは察せられた。だが、それを利用しようという、彼の頭脳には届かなかった】
【元より、崩れた倉庫の中から正確に狙いをつける彼の銃撃に対抗するなど、現時点で出来るはずもなかったが】

【果物に救われ、果物を武器として使う。状況を巧みに利用したアルフレドの起死回生のプレイ】
【三つの木箱が空中で砕け、腐りかけた果汁がカニバディールの巨躯に降り注ぐ】

ぬ……何のつもりだ……

【果汁に塗れた身体を振るい、目に汁が入らないよう肉でガードしつつ、アルフレドを見やれば】
【咆哮が響き渡る。ネグティーのそれを押し返すほどの。立ち上がるアルフレド、掃射の構え、青への変遷】
【双銃から吹き荒れる、氷の嵐――!! 極限まで冷やされた、圧縮冷気。巨体をそれに打ち据えられて、カニバディールがよろめきかける】
【が、その動きすらも止まった。果汁が凍り付き、その身に纏わりついたためだ】

ぐ、お……!! おのれええええええええええええええええ!!!
マーシャル・T・ロウ……!! アルフレド・フェリシアーノオオオオオオオオオオオオオ!!!

《ひ、ひ、ひいいいいいいいいい!!! 来ないでえええええ!!! あ、あううぅ……!!》


【百を超える氷の群れが、二人の異形に襲い掛かる。カニバディールの身体が凍り付いていき、その巨躯の動きが鈍っていく】
【ネグティーも氷の嵐に襲われ、悲鳴を上げてのたうち回る。重い義足が完全にバランスを崩し、氷に削られたネグティーの身体を地面に投げ出した】
【キノコの声も、止んでいた。倒れ吹いたネグティー、動く気配はない。行動不能だ】

【意地≠ニ根性=Aアルフレドの想いを載せた渾身の連撃が、ロウの攻撃に希望を繋ぐ】
【動きを封じられたカニバディールに、喉元へ飛来する悪夢をかわす手段は残っていない】
【弾丸が、喉を、貫いた。肉のど真ん中に大穴が空き、巨躯が揺れる。一つ目が二人の正義をにらみつけて――】

――――ゴボッ……!!

【血の混じった呼吸音が一つ。それだけだった。カニバディールの巨体が、地面に吸い込まれていった】
【倒れ伏す音。それを最後に静寂が訪れる。異形の盗賊たちは、そのほとんどが倒された】

/さらに続きます
432 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 03:41:33.50 ID:DasqJ8+Ho
>>ALL
<……やってくれましたなあ、お二方……!!!>

【そう、最後の一人。傷だらけの双子、デュアル兄弟を抱えてトラックの上に立つは、ピアス男・スカーベッジ】
【鉛色の瞳が、二人の勇者をねめつける。表情は怒りに歪み、眼前の惨状を歯ぎしりしながら見渡した】
【その肩には、一個の大きなカバンを下げていた。抜け目なく、出来る限りの物資をここに詰め込んでおいたらしい】


<……まあ、よろしいでしょう。いくつか拾い物もしましたし、今回は退散とさせていただきますぜ……>
<毎度言ってるセリフですが、あたくしらはしつけえですからね。この御礼をするまで、ずうっとあんたらに付きまとわせてもらいますよおぉ……>

【捨てセリフを吐くスカーベッジ。だが、仲間全てが倒れたこの状況でどう逃げようというのか】
【その鉛色の視線の先に、答えがあった。倉庫の向こうに見える外洋に、一隻の船が浮かんでいたのだ】

【ガンマンたちの視力なら見えるだろうか。甲板に立つ人影。擦り切れた着物を着て、骸骨のように痩せ細った男がわめき散らしている姿と】
【その隣に、車いすに縛られた一体の人形があることを。茶髪に青い瞳、服もきちんと着て生きているかのように見える人形】
【いや、実際にその身体が弱弱しく動いている。ロウなら、あるいはその姿に見覚えがあるかもしれない。当たりはしなかったが、同じ大会に出場していた男】

<マサツネ、生体テレポートだ!! 同じやり口とは芸がねえが、背に腹は代えられねえ!! ギアの旦那の首を、こっちに向けろ!!>

【スカーベッジが無線に向けてそう叫ぶと、船の上の人形の瞳が光り出した。すると、倒れた者も含めて、異形どもの身体が青い光に包まれ始めたではないか】
【謎の人形の能力の発動。異形どもが光に飲まれて消えていく。最後にスカーベッジが中指を立てて見せる姿を最後に。『スクラップズ』全員がその場から消失した】


【その時、光の向こうから、微かな声が流れ出たのを、二人は聞いただろうか】
【途切れ途切れのか細い、しかし確かな意志がまだ残っている声だった。その声は、こういった】

UTのみんな――伝え、てくだ――。ギア――は、まだ生きて――――
『スクラップズ』――狙い――昼の国――ヴェンドゥラー……

【声が途切れた。それを最後に、脅威の全ては消え去った。外洋を見れば、先の船が海上を走り去っていくのが見えるだろう】

【トラックは三台とも残されたまま。物資も大半は無事だった。二人の正義が、異形どもを打ち破ったのだ】
【饐えた臭いと、戦いの余韻を残しつつ。今宵の地獄は、ここまでとなる】

【 ラグナール 港湾部 第2番倉庫街≠フ戦い】
【勝者 マーシャル・T・ロウ&アルフレド・フェリシアーノ】

/ここで締め、とさせていただきたく!! 遅くまでのお付き合い、ありがとうございました!!
433 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 04:11:09.13 ID:0ledXnn+o
>>432

【アルフレドが起こした氷の嵐がカニバディールの肉の盾を封じ―――ロウが決死の覚悟で繰り出した1発の弾丸が、敵の喉を貫いた】
【その一部始終を見届ければ、魔翌力が『弾丸憑依』で殆ど持ってかれたこともあってどさり、と後ろに倒れこんだ】
【倒れこんだまま、僅かにアルフレドの方に腕を伸ばして、親指を立ててボソリとこう呟くのだ】

―――ナイス、アシスト……ったく、派手だね……羨ましいぜオイ……ッごほ……っぐ……!!

【足が自由に動かない今、残念ながら追うことは出来ない。未だじんじんと痛みを訴える右足を恨めしく感じつつ、視線の刃だけは彼等に投げかけて】
【そして投げかけた紺碧の両眼が甲板に立つ人影をぼんやりと捉えたのだが―――車いすの人間に視線が止まり、凝視して、そして―――】

……―――あ、アイツ……大会で随分と姿を変えたあの時の……!!

【……彼の事は知っている。人形になる前一度彼とは共闘していることと、そして大会で試合を見かけた時には姿を変え、人では無くなっていたこと】
【―――そのどちらも印象深く残っているせいか、ぼんやりと遠くからでもあの弱々しい姿の正体を見抜くことが出来た】

……おいッッ、古城の時に……っごほォッ……共闘した俺だ―――……! っッ〜〜〜っぐ、お前、何で……!!

【掠れた声に咳を交えながらも、必死に振り絞って声を飛ばす。―――人形の、いやギアの瞳が光り出してから僅かに届いた声は外見同様弱々しいが、必死に聴き取って】
【……その内容、そしてスクラップズ―――きっとカニバディールとその手下達を指す言葉なのだろうか、彼等が狙う場所も麻痺していない右耳に聞き入れる】

アンタは生きている……そしてヴェンドゥラ……ヴェンドゥラぁっっ!? ―――昼の国のか……おい、おい……―――!!

【聞き返す声も虚しく、彼等は姿を消す。―――敵が消え去り、脅威が消えれば張り詰めたモノが一気に消えた反動からか、彼の意識は幕を下ろした】
【―――その後直ぐに援軍が来て、彼等を病院にでも運んでくれるだろう。戦いには勝ったが、ギアの弱々しい姿が大きな不安を彼に残していた―――】

/ありがとうございましたー!お二人ともお疲れ様でした!
434 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 04:28:30.59 ID:itKQYxhWo
>>430 >>431 >>432 >>433

【ただただ、目の前の敵だけを見据えて。ただただ、掲げた両手に力を込めて】
【二人の悪に突っ込んでいった筈の足は、いつの間にか止まっている。立って銃撃の反動を受け止めるだけで精一杯になっている】
【かち、かち、と――――半ば意識も飛んでいたアルフレドは、トリガーが空転する音によってようやく、状況を正しく認識した】
【倒れ伏すネグティー、カニバディールの叫び、閃くロウの銃弾。悪が倒れる光景を、アルフレドはその目にしかと焼き付けると】
【…………残弾ゼロ、底を尽きた魔力。満身創痍の肉体。最後の燃え滾らせた心。その全てが、そこで限界を告げる】

…………は、はは……あのマーシャル・T・ロウに誉めていただけるとは、光栄で……っご、ふっ…………。

【両手の銃も取り落とし、アルフレドは膝から地面に崩れ落ちる。荒い呼吸だけが、彼が生きて激闘を制した事を示していて】
【…………隣で同じようにぶっ倒れたロウへ、親指を立て返す。言い終えるなり吐血して、笑顔を返す余裕もないが】
【そうして地に投げ出された聴覚は次いで、ピアスの男の言葉を捉える。アルフレドはいつも見ている背中を真似て、必死に不敵な笑みを作った】
【そちらから来てくれるというなら有り難い。次は絶対に、捕らえてやる――――吐き出したかった台詞は、今度こそ咳にしかならなかったが】

(あれ、は…………人形? いや、人間…………?
 UT…………ギア…………昼の国、ヴェントラー…………なんだ、何が起きてる、何が…………。
 奴らは……何を、しようとして……、……止めないと、絶対に……僕は…………)

【――――倒れたときに偶然、アルフレドの首は沿岸の方へ向いていた。でなければその光景を、彼が見ることはなかっただろう】
【船の上に複数の人影。車椅子に乗せられたものが不思議と目立つ。周囲がぼんやりと光り輝いたかと思ったら、おかしな声が聞こえる】
【アルフレドの得られた状況は不確かなものだったが、遠くに去っていく船の後ろ姿から、とにかくこの場が収まった事だけは察して】
【安堵感と同時に、視界に白い靄が掛かっていく。最後に届いた単語が途切れ途切れに、頭の中を回って――――そして、闇の中へと消えた】

【ロウもアルフレドも満身創痍だが、じき自警団も駆けつけるはずだ。互いに掲げた正義≠フ息吹は、きっとこの場で息絶えることはないのだろう】
【こうして…………アルフレド・フェリシアーノは意識を失い、いまはただ深い深い眠りの中で、束の間の安息を享受するのだった】


【…………余談だが。自分とロウがどうにか『スクラップズ』の面々を止め、そしてとある重要な情報を預かったという事実をアルフレドが正確に認識したのは】
【数日後に病院で目を覚ますなり、寝ぼけてロウにサインを求めようとベットを飛び出し、全身に走る激痛に絶叫を上げた、その数分後であったそうな】


/お疲れ様でしたー!!
435 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 10:28:32.69 ID:BTOsuZ0Ko
>>418-419 >>425

【―――吐き出した火炎により、竜<ドラゴン>の頭部を模した砲塔が焼け付いて、煙が上がった。】
【凄まじい程の熱量、衝撃。爆裂した火炎が船底を焼き尽くすかと思いきや、矢張りそれも一瞬の事。】
【チョコレートと鋼鉄の鎧を纏った海賊船へのトドメにはどうにも、繋がらないようで。限界を超えた状況、とはまさにこれだ。】

(チッ―――、キャプテン・ビスクも厄介なら御曹司まで厄介な能力持ちだったとは、ね!)
(それにあの船、一体全体どれだけの武器を備えてるって言うんだいっ!?)
(冗談じゃない、これじゃロケットランチャーとC4をしこたま持ってたダイ・ハードの強盗団すら真っ青だよ……ッ!!)

【回転する船、後門より現れた巨大な火砲。次いで言えば、対空機関砲のパイレーツ・カスタム。野蛮な限りだ。】
【しかし笑って青褪めている場合でもないようだ、砲弾が驚異的な速度で連発され、港の彼方此方へと降り注ぐ。】
【当然、その破壊の渦は『ジェット』、そして『キャノン』の両武器を同時に装備し重量でまともに動けないセリーナを襲って。】

【炸裂、付近に着弾したニ発が強烈な爆風で襲い掛かった。次いで三発目、此方は遂にセリーナの本体へと目掛け飛来する。】
【命中すればさしものアーマーと言えど、先程からの攻撃で痛く傷ついている状況だ。とてもではないが、耐え切れまい。】
【『がッ……!!』という、悲痛な呻き声も上がって、絶体絶命のその瞬間。セリーナは眼前の地獄を見つめ、そして覚悟した。】

【―――そう、覚悟。死ぬ覚悟ではない。生き残り、撃破すると言う覚悟だ。】

【瞬間、ドラグーン・キャノンが目にも留まらぬ速さで"パージ"、するとアーマーの重量はキャノンを切り離したことで著しく軽量化。】
【すかさずジェットが息吹を取り戻す。そう、此処からが本領発揮、飛行兵器としての意地を見せ付けるときが来たのだ。】
【開いた羽が、噴射する炎が、急激に上昇しセリーナは間一髪で"飛行"―――滞空。砲弾の雨霰で傷ついたアーマーを夜空に翳した。】

―――ハァ、ハァ……ッ! ふふっ、こいつはなかなか―――……うっ! ファンキーな武器じゃないかい、蛮人さん達よ。
危うく身体が……ズタズタにされる所だった、見ての通りアーマーもボロボロさ。けど、残念な事にアタシはまだ、生きてる。

 やられっ放しは、大嫌いでねッ!! たーっぷりお返しさせて貰うよ、海賊ッ!! いや―――マフィアの皆さんッ!!

【ドウ、ドウ、とジェットが噴かされ、凄まじい速度でセリーナは海賊船目掛け飛翔、まさかそのまま突撃でもすると言うのか。】
【しかし彼女ならばやりかねないと思わせるのは、先程までの滅茶苦茶な攻撃があったからだろう。しかして、結末は違った。】
【なんと空中でそのまま、『ジェット』】すらもパージ―――そう、飛行兵器は奏者を失いただ、落ちるだけかとおもいきや、其れが違った。】

【落ちていったのはむしろ、ジェットを失ったセリーナ。しかし逆に、飛行ユニットはと言えば―――そう、点火したまま、だ。】
【つまりは燃料と、噴射機構と、そして強烈な熱を持った『重量物』を―――猛スピードで船の上空から、甲板へと、そう甲板へと】
【砲撃を繰り返す彼ら目掛けまさかのダイレクト・アタック―――更に言えば念入りに、彼女は落下した姿勢からライトニングを引き抜き。】

【―――発砲、残る弾丸を全てケツァルコアトルへと直撃させて、機構を破壊し、火花を散らせて、『爆発』を誘発させようとしていて】
【このまま直撃が許されるのならば、飛行ユニットは大爆発を起こし炎上するだろう。最も―――彼女もまた、危うい。】
【なんと言っても高度からの落下だ、せいぜいが10数メートルとは言えど、アーマーの耐久力はすでに限界を超えている。】

【激突、地面に叩きつけられた彼女はもはや追撃は不可能だろう。後は"意地の一撃"がどれだけの項を成すか―――賭ける。】

/遅くなりました、大変申し訳ない。
436 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/15(土) 12:11:51.99 ID:OkdYAtRU0
【そこは暗部と呼ぶにふさわしい場所だった】
【人々の熱気溢れる大通りから外れて、小道にそれた先にある路地裏】
【社会悪の蔓延る、犯罪の温床だった】

【今日も、道を外れた不良達が一人の少年を取り囲んでいた】

『オイ、俺等は知ってんだよ。テメーが金を持ってることをよー!』
『痛い目遭いたくないだろ?いいから出せよ』
『おい、そっち押さえてろよ』
『ウス』

「ちょ、っとやめて下さい…!」

【髪をど派手に染めたいかにも不良の匂いのする4人の男性が少年の腕を押さえている】
【誰が見てもわかる、カツアゲの最中だ】

「そのお金は、お店のもので…!」

『うるせえな…早く出せよ!』
『ってか、こいつほんとに男かよ…、手ェむっちゃ綺麗ジャン』

「は、離して…!」

【この世界には決して少ない生活の一コマ】
【だが、この凶行に気づく人間はいるのだろうか――――】
437 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 13:37:55.17 ID:OkdYAtRU0
>>436
/襲われている少年の
【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】という容姿を書き足します!
438 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 21:38:33.68 ID:BN9zQv9Mo
【公園】


【ざぁ、と木々が揺れ、肌を刺すような冷たい風が吹き抜ける】
【昼間の騒がしさも明るさも夜にはなく、舗装された道の端にちょこんと作られた雪だるまも】
【時間が経って溶けかけていて、どことなく寂しさを醸し出していた】

【ちらほらと帰宅する人が見える中、彼女は公園の道を歩いていた】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女】
【大きめのショルダーバッグを肩にかけ、手にはスケッチブック≠大事そうに抱えている】


(見てて痛々しいから帰れなんて――これくらい大丈夫なのに)


【変態的な悪魔と戦った昨日の今日でアルバイト先に出向いたのだが】
【額にガーゼを当て全身痣だらけの姿を見咎められ、追い返されたのが――ついさっきだった】
【服装のおかげで外見から怪我をしている印になるのは、今はガーゼくらいしか無い】
【だけどよく見れば、歩き方がぎこちないとわかるだろう。まだ痣が痛んでいた】

【拗ねたような顔で歩く少女。ふと自販機が目について、飲み物を買おうとそちらへ向かう】
【バッグから財布を取り出して、硬貨を取り出そうとするが――】


 【 チャリ、――ン 】


【腕が一際痛み、手元が狂ったせいで硬貨が地面にばらまかれることとなって】
【帰れと言われて正解だったかな、なんて考えながら落ちた硬貨を拾い始める姿が、そこにあることだろう】
439 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 22:03:13.05 ID:p0p7+cLwo
>>438
【硬貨を拾う少女の視界に、一つの腕が入り込む。その手は、静かな動きで硬貨を素早く拾い集めていく】
【数秒もせずに、その大分傷だらけの、働く手≠ノ硬貨を捉え終えればその手は少女の眼前に差し出される】

「――大丈夫か? なんか怪我してるみてェだが」

【鋭さ、危うさを孕むものの、善良であろうことを伺わせる程度には心配の情を多分に含んだ声色】
【掠れ気味の音程が紡がれれば、こほん、と空咳の音がそれに続いていった】
【そこに居たのは、一人の青年である。背丈は大分小さい小柄なものながら、その青年は大分目立つ風貌をしていた】
【ハリネズミのように逆立てた白い短髪、傷痕の目立つ暗闇に不審に輝くライムグリーンの右目と、鉄色の左目】
【だいぶ履きこまれた様子の伺えるワークブーツ。腰にはベルトポーチを巻き、所狭しと様々なものが詰め込まれている】

【そんな、非日常感を漂わせる青年は、少女の前に立ち心配そうに少女を見据えて立っていた】
【細められる目。夜闇に映えてより主張する右目の光がぎらりと煌めき、少女の姿を射抜いていた】

「そこら中怪我まみれじゃねーかオイ。
……世の中物騒なんだから、そういう時くらいはタクシーとか使ったほうが良いと思うぜ?」

【何かを見ぬいたような様子で、少女の怪我の深さをある程度看破する青年。ガーゼ以外の要素で判断した】
【そして、眉間にシワを寄せつつ、苦言を呈するが、怒っている様子は無い】
【SCARLETでもUTでも自警団でも警察でもなさそうで、風貌と口調だけ見ればどちらかと言うとチンピラ側にも取られかねない青年】
【しかしながら、こうして少女におせっかいを焼いている辺り、悪人ではないことだけは間違いなかったろう】
440 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 22:30:50.46 ID:BN9zQv9Mo
>>439

【視界の端から伸びる腕に彼女は気が付いた】
【どうやら、こんな時間なのに優しい人が居てくれたみたいで】
【手間はかけさすまいと、彼女も手を動かすことだろう】

【でも結局、青年のほうが遥かに多く拾うことになるのだが――まあ、それはどうでもいいことか】
【差し出された硬貨を、ぺこりとお辞儀をして礼を示した後に受け取るだろう】
【そして慎重に財布へと仕舞いこめば、今度はペンを取り出して】

【スケッチブックを捲ると、そこに筆先を落とした。次に続くのは掠れるような小気味良い音】
【それを少しの間響かせた後、彼女はスケッチブックを裏返して書いた文章を示すはずだ】
【女の子らしい、少し丸っこい字。辺りは薄暗いが、特殊なインクで文字自体がピンク色に光るため読むに困らないだろうか】


『すみません、拾ってくださってありがとうございます。
 怪我は……そんなに酷くないって言うと嘘になっちゃいますけど、でも、大丈夫です!
 でも、何で全身怪我してるって分かったのですか?』


【わざわざ紙とペンを用いて会話をするということは――大体、想像がつくだろう】
【怪我の具合は、血が出ている訳でもなく歩けるから大丈夫なのだろう】

【ライムグリーンに輝き目立つ瞳に気を取られながらも、なぜ全身の怪我がわかったのか不思議に思った】
【ハッと何か思い当たったようで、反射的に彼女はスケッチブックで身体の中心、首の下、へその上を隠すだろう】
【――透視か何かだと思ったのだろうか】
441 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 22:42:04.59 ID:p0p7+cLwo
>>440
【スケッチブックにペンで文字を描いていく少女。それを見て、口が聞けぬ事を理解する】
【かと言って、過分に気を使うことは無く。青年は、先程までと変わらない様子で文字を書く少女を見据えていて】

「なに、気にすんな。困ってる奴居て暇なら手ェ貸すのはポリシーだ」

【少女の礼にはひらひらと手を振って気にするなという意思表示】
【実際問題、単に硬貨を拾い手渡すだけという誰にでもできること。それを行うか行わないかで、人は分けられる】
【ここに居たのは、たまたまそれを行う人であったというだけだった】

「アレだろ、無茶すんなって言われると無茶しちまうタイプじゃねーか?
ま、大丈夫っつーなら気にしねーけど?」

【少女の様子から、歩ける程度ではあるが辛いだろうと予測しているが、己と同じようなタイプだろうと考える】
【あまり心配しすぎても、こういうタイプはムキになるだけ。なにせ己がそうなのだから】
【何かあれば直ぐ処置できるように心構えだけを整えつつ、青年は己の財布をおもむろに取り出して、硬貨を手にとって】

「あーっと、透視じゃねェよ? 単に重心の置き方とか、体を動かした時の挙動から予測付けただけだし。
……ま、ちょいと目が良いみてーなもんと思ってくれ」

【少女の反応を受けて、透視かなにか良からぬ予想を立てられていると理解】
【眉間に深い渓谷を刻みつつ、透視や何かではなく、単純に振るまいなどから予測を立てたと解説して】
【ライムグリーンに輝く右目を細めれば、次第にその光量は抑えられていき、鋭い気配も和らいでいき】
【青年は、そのまま自販機に向かうと硬貨を投入。迷いなく、異様に砂糖と練乳の入っていることで有名なコーヒー飲料を購入】
【出てきたそれを取り出すと同時、キャップを開けて一気飲み。数秒後には鮮やかな手つきで空になったペットボトルをゴミ箱に投入していた】
442 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 23:00:27.63 ID:1Ve1BrFTo
【――路地裏】

「あーあー、だりー」

【そこをうろつく者は――人ならざる存在――"亜人系の魔物"だった、身長はおよそ180cm弱である】
【羽毛の塊のような、しかし鳥とはまた違う羽を背に6つ持ち、上2本は長く下4本は短めで、頭部にも長いそれを1つ持っており】
【鳥のような手足を持ち、全身に鱗を持っており、そして場所によってその大きさが違っていた】

【――また、その隣に居るのは、眼がレンズで執事のような姿をした二足歩行の"コウモリ"だった】

「なーんで俺が"ボス"の代わりに素材集めなきゃあなんねーの」
『"邪禍"様は只今、傷を癒されている最中で御座いますので――むしろ、貴方を抜擢してくださった事に喜ばれては如何でしょうか』

【"ボス"が指す名はおそらく"邪禍"、――指名手配されている悪魔の名前と同じである】
【素材――それが指すものがなんであるか、亜人の担いでいるモノを見ればすぐに理解できるはずだ】
【――人だ、担いでいるモノとは人間。】 【血塗れで意識を失っているようだが、まだ息はある】

「そーっすね、はいはい」 『では、素材を転送しましょう』

【コウモリが懐から出すのは、――魔法陣の絵が描かれた紙、だろうか……それにしては妙に禍々しく】
【――その魔法陣の上に人間を放り投げれば、それは闇となり魔法陣の中へと吸い込まれていった】
【どうやらこの紙、転送用の魔法陣だった様子―― 一体どこに繋がっているのだろうか】
443 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 23:06:36.97 ID:73c/Iq+O0

【積もった雪が月光を反射させ、幻想的に照らし出される森の中】
【サクリサクリと軽い音を立てながら歩くのは一人の修道女であって、物騒な事にその腰には銀の双銃が提げられていた】
【特に何か目的を持ってその中を歩いている様子でも無く、時折立ち止まれば景色を楽しむ様に辺りを見回していて】


「全く……ラグナールの一件もあるし団長サマの事もあるし悪魔狩りの事もあるしで一気に忙しくなっちゃったなぁ……
取り敢えずは教会内部はこっちで幾らかしておくとして…………後はSCARLETと自警団とUTに報告すればある程度は抑えられそうかな
まぁ…………まだ能力を掴みきってないからどれ位かは分からないけど…………」

【適当な切り株を見つけたならば、其処に積もる雪を払い落として白い吐息を吐く】
【長い長い溜息が終わる頃には視線も空へと向けられて居て、何と無く手に取った銃を弄ってる事だろう】
【無意味にスライドさせたり、弾倉を取り出したり。適当に回してみたりと実に何も生まない非生産的な行動だが――――そもそも、修道女たる存在が銃を持つこと自体が可笑しい】


「――――協力者は多い方が良いだろうし、相手がカノッサとなれば大体の人達は協力してくれそうだよねぇ
問題は…………うん。ボクにその梯子が無いから適当にとっ捕まえて話さなきゃいけない事なんだけどさ」

【何度かテレビに映ったりでその修道女の事を知っている者が居ても不思議では無いし、こんな場所に修道女が一人で居ることに対し疑問を持って近づいてくる者が居ても不思議では無い】
【何にしたって、辺りは雪一色だ。近づこうものならばどうしても雪を踏んで音を立ててしまうだろうし――――】
【その音を聞けば女も振り返って、来訪者に視線を投げつつ小首を捻る事だろう】






【櫻の国――――桜の名所として名高かった廃村】
【嘗ては多くの住民で賑わい、ことあるごとに祭事が行われていた、何て言い伝えが今でも残っていて】
【未だ桜の木は健全であるのに、何故廃れてしまったのかは分からない。疫病だとか村人同士による諍いだとか…………一匹の大妖の所為だとか】
【様々な噂は流れているけれど、今となっては其れ等を確かめる術も無い】


「何だか…………懐かしい気がします…………けど、気のせいでしょうか…………」

【そんな寂しい場所に訪れたのは一匹の妖怪。特徴的な狐の耳に尾と、見る者が見れば妖狐だと直ぐに分かるであろうか】
【不思議なのはその纏い物。妖怪だというのに巫女装束を纏っているのは些か不自然ではあるが――――】
【更には翡翠の首飾り。神聖を放っていて、少女自身の妖力の他また別な妖力が籠もっている事も感じ取れるか】


「…………何だか、疲れちゃいましたね…………少しだけ此処で…………お休み、させて貰いましょうか…………―――――?」

【これまた見事な雪化粧をした桜の木の根元に座ったならばポツリと呟いて】
【勝手に昔の情景を思い浮かべつつも今は廃屋しか残らない村を見渡した】

【―――― 一面白に染まる中、巫女装束の朱色はさぞや目立つ事だろう】
【例え幾分離れていても直ぐに見つけられるだろうし――――少女もまた近寄る気配に気付いたならば、其方へと不安そうな表情を向ける筈で】
444 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/15(土) 23:10:58.94 ID:EnVjJVU/0
【此所はとある国の温泉郷】

【普段は観光客の多いこの場所も、今は風の冷たい夜の為に道行く人は余り多くはない】
【しかし、ある温泉宿の自慢の露天風呂には人影が見えた】

【それは 湯に肩まで浸かり、頭のてっぺんには折り畳んだ白い手拭い】
【髪は黒髪の短いオールバックに、口髭が特徴的な老人の姿であった】
【老人は腰に大きめのタオルを巻き付けており、湯には船の模型のようなものが浮かんでいる】
【良く見れば船の上にはお酒の入った徳利とお猪口、時々老人はお猪口を口へと運ぶ】

いや、ここの地酒のなんと旨いこと、こんな事なら毎日負傷しても良いかもしれませんな。

【老人は一人そう呟くと、もう一杯と酒を飲む】
【この温泉は、怪我や疲労に良く効くという話を聞く、この老人もそれを目当てに足を運んだのだろう】
【……ちなみにこの温泉実は混浴なのである、それ目当てに来る人も少なからず居たりもする】
【老人以外にこの場所に足を運ぶ客は、果たしているのだろうか】
/予約です!
445 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/15(土) 23:19:13.66 ID:BN9zQv9Mo
>>441

【彼女は幼いころからずっと筆談をし続けている。だからその動きはごく自然なもので】
【故に、明らかな憐みの表情を向けられたり、声を出せないことを指摘されたりしない限り、何の反応も見せないのだろう】
【ペンを持つことが、彼女にとっては当たり前。だから先程と同じようにまたペンを持って】


『お人好しなんですねっ。
 そんなことないですよ? 安静にしてろって言われたらちゃんとそうしますし!
 動けないくらいの怪我なら、無理したくてもできないですから。』


【失礼にあたるかもしれない言葉だが――恥ずかし気もなく、口に出すような人だ】
【きっと少しくらいならからかっても大丈夫だろうと、彼女は笑顔と共に文字を返す】

【性格を指摘されると彼女は一瞬図星を突かれたような反応を見せるだろう】
【それも一瞬のことだったのだが、示される言葉は口応えするようなそれ】
【もっとも、全身痛むくせに外をうろついている時点で説得力はない】


『そんなことで解るものなんですね。……すごいです。何か体術を習得されているのですか?
 正直、ちょっと無理してます。体中痛いですし……。』


【やっぱり無理をしているらしい。しかし動きのぎこちなさで不思議に思うことがあっても】
【全身の状態を把握できる人は、そうはいないだろう。少女は容易くそれをやってのけた青年に、素直に感心して】
【特別な体術でも習っているのだろうかと興味本位で訊いてみるのだった】

【――青年が飲み物を購入するところを見て、同じことをしようとしていたのを思い出す】
【今度は落とさぬよう慎重に硬貨を入れて、ガタン、お茶を購入することだろう】
446 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 23:23:24.93 ID:jXuSh7X+o
【高層ビル屋上】

【二月の冷え切った風が吹き荒ぶ。ヘリポートのライトアップと明滅する赤い警告灯、そして蒼白い月光】
【冷えた鉄柵に腰掛け見下ろす眼下にはチカチカと光る周囲のビルの警告灯、行き交う車のテールライト、眠らないオフィスの窓】
【宝石箱を引っ繰り返して掻き回す様な彩光の洪水を眺める少女の姿は、見る側からすれば危うい事この上無い物だった】

Twinkle Twinkle little star……ねえお星さま、あなたよりも光る街の明かりは、夜空の上からどう見える?
私だったらいやだなぁ、きっと妬んじゃう。だっていい子じゃないもの、私

【十代後半の、童顔めな背の小さい少女。白い素肌の脚をふらつかせる姿は、この寒い中では明らかに異質だ】
【艶のある黒髪を背の中程まで伸ばし、長い前髪を分けて広めの額を覗かせ、くるりと丸い瞳は夜色に染まる】
【150cmに届かない程度の小柄な体を膝丈のリトルブラックドレスで包み、黒のファーコートを羽織っている】

【少女は寒さに悴んだ手を重ねて、ほうと吐息を掛ける。ふと、思い付いたようにその手を器にして】
【再び吐息を掛けると、その掌中に漆黒の焔がふつりと灯った。満足気に微笑んだ少女は、静かに唄の続きを口遊んでいく】
447 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 23:33:26.80 ID:p0p7+cLwo
>>445
「お人好し……って、いや……別に。普通だろうよ、こんぐらい。
無茶しないって奴は怪我してるのに外出歩かねーっての、つーか無茶したくてもって言ってる時点で語るに落ちてるっつーかだな」

【お人好し、と言われて困惑した表情を見せる青年。青年自身での認識では、大分打算的で冷たい人間であるというのが自己評価】
【ただ、周りからはよくそういった事を言われる為、本人としてはそのたびに何とも言えない気持ちになるのだが、基本的にカッコつけの為仕方がない】
【少女の無茶をしない発言並に説得力のないお人好し否定をしつつ、はぁ、と青年はため息を付いて】

「いんや、体術って程でもねーなァ。一応人体の構造とか? そういうのはちょいと勉強してるがよ。
要するに、人間の体の此処がダメならここはこうなるってデータさえありゃ、それらを照合してきゃ結果は出るだろ?
あとは照合の正確性とデータ量の確保。それさえできりゃ、まあ多少は見るだけでも怪我とか分かるって訳だ」

【青年の言うこれは、簡単に言うが青年ですら異能の補助がなければ決して実現できない技術だ】
【数百では済まない無数のデータと、相手の振る舞いを照合していき、そこから即座に回答を出すなど、人に成せる所業ではない】
【本来ならば戦闘中に敵の弱みを貫き強きを砕く為の技術は、その応用によって少女の不調も見ぬいたというわけである】

「だろ? ……ほれ、お茶でも買ったらベンチで一休みでもしときな。
一息ついたら近くの駅かバス停まで送ってやっから」

【無理をしている事の告白を聞いて、またおせっかいを焼き始める青年。そして少女がお茶を買えば青年もまたやたら甘い缶コーヒーを買う】
【ベンチの方を指さすと、少女をそちらへと導こうとするだろう。そして、青年は立ったまま無言で缶コーヒーを啜り】

「そういや、どーしてそんな全身ボロボロんなったんだ?
どう見ても転んだとかじゃつかねーレベルの怪我だから、気になってな」

【夜闇にライムグリーンをぎらつかせつつ、ふとした疑問を少女に投げかけるのであった】
448 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/15(土) 23:45:14.66 ID:0HBH91SY0
>>444
【少し前に残った雪の名残はそこかしこに残っていて、空から雪は落ちてこなくても風が冷たい】
【冬なのだから当然といえば当然なのだが、やはりこの厳しい寒さは誰の身にも堪えるのではないだろうか。古傷が疼くという人も少なからずいよう】
【その証拠に、道行く人々はびゅうと風が吹くたびに体を縮こませてしかめっ面をしながら歩いている。一様に暖かい我が家が待ち遠しそうな表情だ……】

【――――が、ここばかりは寒さとは無縁。湯気は紺色の星空に立ち登り、冬の寒さに比例してその白さを増す。】
【湯の滔々と流れる音が山あいの静かな空間に絶えず響き、心地よい空間を演出している。そう、ここは温泉……冬の寒さも温泉の暖かさには敵わない】

【そんな癒しの空間に、暖かさを求めて足を伸ばした少女が一人。薬の行商人である彼女は各地を歩き旅をして薬を売り歩いている】
【しかし今はそんな長旅も小休止、今夜は此処で一休みとしゃれこもう……というわけで、この温泉宿にやってきたわけだ】

【前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳。丁度十六・十七歳程の背格好か】
【混浴というわけで一糸纏わぬなんて訳にも行かずに、バスタオルを体に巻いている。悲しいかな発達途上の体ではそんな格好でも妖艶さなんて毛ほども感じられないが……】

【寒いということもありペタペタと早足で浴場に向かい、足を踏み入れる。……おや?湯気であまりはっきりとは見えないが、どうやら先客が居るらしい】
【人の少ない時間帯を選んだつもりではいたが、一人ぐらいならいても問題ないか……混雑しているわけでもないし、特に気にすることもあるまい】

【でも、挨拶もなしに湯に浸かるというのも無愛想というものか。どこの誰かは存じ上げないが、一声交わすぐらいしておこう……】

ア、チョット失礼しまス……よいしょっト。……フゥ。疲れた足にハ温泉が一番ネ……

【異国の訛りのある言葉で一声向こうの誰かさんに声をかけると、足からゆっくり湯に浸かってゆく】
【――――熱すぎず微温すぎず、絶妙な湯加減。温かさが全身を包み込み、疲れた足腰をほぐしてゆく――――思うに、温泉とは湯に浸かった時が一番気持ち良いのではないだろうか】
【すっかりリラックスしている少女。夜空を見ながらの湯浴みというのは何とも良い気分だ……この上ない開放感と快適感が味わえる】

【さて、温泉を満喫している異国の少女の心は只今ご機嫌そのもの。声をかければ機嫌の良い声が返ってくるだろう――――】
449 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 00:07:36.96 ID:UoOtIWxDo
>>447

【もうどちらにも言葉を返すことはない。確かに青年の言う通りだから】
【言い返せない代わりにばつの悪そうな笑顔を向けることだろう】


『私にはとんでもないことを言っているように聞こえるのですが……。
 それって数えきれないくらいのパターンを記憶する力と、情報を処理する力が必要ではないですか?』
 ばかにしてる訳じゃないですよ? ただ、こんなことができる人って、そうそう居ないだろうなって思っただけです。』


【まるで自分のことを人間ではなく、ひとつの機械に置き換えて説明しているように感じられた】
【実際彼女が言うように、人の動きをパターン化して状態を把握しているのなら人間離れもいいところだろう】

【青年の言葉に頷くと、促されるまま彼女はベンチへと向かう】
【送っていくと言われれば、今度は首を横に振って『家が近いので、お気持ちだけ頂きます。』と短く返した】


『機能、ラグナールという街がまた襲撃されたことをご存知ですか?
 どうやら襲撃してきたのは海賊みたいでしたけど……私は周辺の火事場泥棒を退治しに行ったんです。
 そしたら運悪く、亜人をたくさん従えた人(?)と出くわして……。

 倉庫を壊すくらい暴れられたので瓦礫が当たってしまって、こんなになってしまいました。
 体中チョコ塗れになったり、最悪でした。』


【ラグナールと言えば最近機関に半壊させられた都市の名だとわかるだろう】
【おそらく彼女は、パトロールと乱れた治安の回復に赴いたのだろう】
【そこで強力な能力者と戦闘になったようだ】

【チョコ塗れだとかハテナマークがついたりだとか、何かと変なところはあるが冗談には見えないだろう】
【特に最後の行――チョコの行辺りを書く彼女の顔は柄にもなく怒りが滲んでいた】
【……当然と言えば当然か。バレンタインデーにチョコをかけられて怒りを覚えない人間など居ないだろう】
450 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 00:25:14.57 ID:s7Ng0lW5o
>>449
「逆に言えば、そのパターンが記憶できて処理できりゃ良いって訳で――ま、つまりそういう訳だ。
剣術も武術も無いし頭も悪いが――脳だきゃちょいと強いんでね」

【そう、無数のパターンを記憶し、膨大な情報を処理する力がなければその技術は実現できない】
【だが逆説的に言ってしまえば、それさえ出来ればそれは可能なこととなる】
【なにせ、必要なのは頭脳であって知能ではない。天才でなくとも、脳髄のスペックさえそれに追いついていればそれは実行可能な事】
【異能――アートマンによって肉体の一部を構築し、神経系、脳髄の情報処理を常に補助しつづけている青年には、それは可能な事なのだ】

「あァ、ラグナールな。今日はあっちの方行って取材してきたんだがまあ――酷いもんだったぜ。
復旧はちょいと時間が掛かりそうだが――、まあなんとかなるだろ。世の中カノッサとかGIFTにめちゃくちゃにされてもなんとか立ち上がってるしな。
襲撃時に駆けつけられなかったのが痛いところだったがな……、アンタも出向いてたのか。おつかれさん、だな。
にしても、バレンタイデーにチョコで攻撃されるとかなんとも言えねェなあ……ってかそうか、昨日バレンタイデーか……」

【ある程度その手の事情には詳しい様子の青年は、すでにラグナールに出向きその様子を確認してきた模様】
【取材と行っていることから、なにかその手の職種についているだろう事は想像に難くないはずだ】
【少女にねぎらいの言葉をかけつつ、そこで漸くバレンタイデーが昨日であったことに思い至り、苦笑を浮かべて】

「まあ、なんだ。正義感が強いのは悪くねぇし、無茶もダメじゃねえが――死ぬなよ?
命あっての物種なんだからよ、死んだりしたらなんにもなんねえんだから。
名誉の戦死程不名誉なもんはねーからな。戦うなとは言えねぇけどさ……なんつーか、逃げるのは不名誉じゃねーぜ?
自分の力量測れずに死ぬくらいなら、逃げて次に掛けたほうが億倍マシだしな」

【少女に、警告じみたお小言を投げかける青年。その言葉は、身も蓋もない現実味に溢れていた】
【死ねばそれまで。死ぬくらいなら逃げるほうがずっとマシだ、生きている限り次は有るのだから】
【なりふり構わない無様さに溢れた理論で、決して格好良くはないそれはしかしながら、実感の篭ったもの】
【この青年は、勝ちの道を歩んだわけではなく、泥濘を這いずりながらでも前に進む道を歩んできた】
【それ故に、命についてはシビアな言葉が口を次いで出る。真剣な表情は、少女を心配する故だと分かったろうか】
451 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 00:51:12.66 ID:GEPISxOco
>>446

もし空からこの灯火を視たならばどう思うのでしょうかね

【声は唐突に響く、その方向は屋上入り口の扉から】
【重厚なそれを開いて現れる彼女の表情は雪の冷たさにも似ている】
【整ってはいるがそれ故に「造り物」めいている、美しくはあるが心を奥から揺さぶる物は偽物故にない】

【ロシアンハット、ポンチョコート、覗くストッキング、ロングブーツ】
【その全て一切が白色である彼女はその瞳も開かないで少女の背後で歩みを止める】
【悪意もなければ善意もない……されど亡霊ではなく】

例えるならば粘菌の類でしょうか?条件さえ合えば際限なく増殖する性質
或いはウィルスとも言い換えられるかもしれません、ああ……確かに人間は病床足り得ますね自分で感心してしまいました

【当たり前のように歩みを進める白は星空に黄昏れていた少女とは対極に位置する色】
【閉じた瞼のままで合わせるように空を見上げて何にか向けて嘲笑を浮かべる】

黒い焔、こんばんはお嬢さん今日はより一層冷えますね?

【すう、と頭を下げて僅かばかりに少女へと向ける】
【冷える、とは言うが白い彼女に果たして外気温など計る能力があるのか……と疑問さえも浮かぶだろう】
【病的なまでに白い素肌はただなんとなく表面を覆うために配置したような適当ささえもあるのだから】

/お暇でしたらよろしくお願い致します!
452 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/16(日) 00:54:33.00 ID:NFHXZEyU0
>>488

【はて、ペタペタという足音、その後には誰かが湯に入った音がした】
【それだけなら別に気にする事はなかった、のだが……】

はぁ……そうですな、疲れた身体に良く効きます。
……ん…………?……
【聞こえてきたのは若い女性の声、それによって一気に酔いから覚めた】
【目を凝らして湯気の先をよく見てみればなんとも可愛らしい女性の姿があるではないか】

……まさかこんな所に可愛らしいお嬢さんが来るとは驚きました。
旅の疲れを癒しに来たといったところですかな?
……もし良ければお背中でも流して差し上げましょうか……と、今のは冗談です。

【殿方の声に、この少女はどんな反応を見せるか】

/遅くなってしまい、申し訳ありません!
453 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 01:04:28.40 ID:UoOtIWxDo
>>450

【脳ってそこまで鍛えられるものなのだろうか】
【能力かとも思ったが――何でもかんでも能力にしてしまうのは短絡的だと却下する】
【それに能力だとしても、自分なら扱えそうにもないと思えた】


『そうですね……。またいつ今回のように略奪行為が行われるか不安ではありますけど。
 取材というと、あなたは記者さんなのですね。

 本当にあれには参りました。ちゃんとシャワーも浴びましたが……まだチョコ臭くないですよね?』


【あの街の悲惨さを目の当たりにすれば――すぐに復興なんて軽々しく書けなかった】
【取材というワードを聞くと、記者やそれに近い職の人かなと推測したようだ】
【……いきなりこの人に取材を迫られたらちょっと怖いなと思ったが、それは心の中に留めておいた】


【続く警告の言葉に――彼女はまた、きまりの悪そうな苦笑を返す】
【わかっているつもりだが、死にかけたこともあるし、運が良かったのか見逃してもらえたこともあった】
【故に、受け取るには少しばかり遅かったけれど】


『はい、気をつけます。死んでしまったらそれまで、ですからね。』


【それでも、真剣味を帯びた青年の表情を見れば、素直にその言葉を受け取るしかできなかった】
【死なない保証はできないが、それでも精いっぱい気をつけようと心に決めて】


『さて、休憩しましたし、そろそろ私は帰ります。
 名乗り遅れましたけれど、私はホプス・ブライトって名前です。ブライト、とお呼びくださいっ。』


【最後に軽い自己紹介を紡ぐと立ち上がってそれを示す】
【すっかり怪我のことを忘れていたのか一瞬痛みで変な顔になりつつも】
【青年がこれに何かしらの反応を見せれば、ぺこりとまたお辞儀をして、彼女は去ってゆくだろう――】

/そろそろこのあたりで〆ますね!お疲れ様でしたっ!
454 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 01:10:04.57 ID:KN9pFyQGo
>>451

こんばんは、お嬢さん。そうね、私こんな格好だから、本当はすっごく寒いの
けれどね、この喪服が一番好きだから……ふふ、ふふふっ、でも面白いわ、まるであなたと正反対!

【首だけで振り向いてきゃらきゃらと笑って見せれば、黒の少女はくるりと器用に鉄柵の上で体の方向を変える】
【相手と向かい合う形になると、片手の上で焔を灯しつつ、可愛らしく小首を傾げて微笑んでみせた】
【寒々しく素肌を覗かせる白い脚をふらつかせながら、何処か無機質な相手を見て相好を崩す】

あなた私と気が合うかもね? 確かにそう、人間って癌細胞みたいに静かに貪欲に、確実に世界を汚していくの
眺めていて飽きないわ、何百年経ってもね。大きな水槽で泳ぐお魚さんを観ているみたいで

【態度こそ柔和であっても、表情こそ年相応であっても、その中身はまるで違う、敢えて言うならばずっと達観している】
【少女、なのだろうか。相変わらずにこにこ微笑む彼女は、白ずくめの相手に興味津々と言った様子だった】

あなたって、とっても白いのね。心も寒々しい位に真っ白。けれど甘えた白さじゃないからとっても大好きよ
純粋、って感じの白は嫌いなの。純白、なら素敵だと思うのだけれど……言ってる意味、伝わってるかしら?

【相手が白であるなら、此方は黒い。純度の濃い深い黒、そしてそれは、相手と相反していて良く馴染む】
455 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 01:11:35.87 ID:s7Ng0lW5o
>>453
「谷山基樹だ。アンタとはもしかしたら戦場で会うかもしれねェが。
――またいつか、ブライト」

【青年はひらひらと手を振って、少女を見送って。残った缶コーヒーを飲み干して、ゴミ箱に放り投げる】
【放り投げた缶の軌道は、青年の試考通りに描かれて、ゴミ箱に収まった】
【ぐぐ、とノビをすると、軽く空咳をこぼして、青年はまた夜の街に消えていくのであった――】

/*お疲れ様でしたー!*/
456 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 01:20:02.12 ID:39PVKgna0
>>452
【湯気の向こうから声が聞こえる……。年配の男性特有の少ししゃがれた低い声も、人の喧騒とは無縁の此処ではよく聞こえる】
【……まあ、おかしな事はあるまい。混浴なんだから男性がいても不自然ではないし、そもそも見られて恥ずかしがるほどの体でもないし……】

【そんなことより温泉が気持ちいい。疲労回復・滋養強壮の泉質なのだろうか、疲れが見る見るうちに湯に溶けてゆく……】
【これはいいものだ。疲れた時はこうやってゆっくり温泉に浸かって休むに限る……ああ、本当にいい気分だ】

【――――とまあこんな風に心ゆくまでリラックスしていると、件の老人が話しかけてきた。……せっかくの旅先の出会いだ、無碍に無視するのは無粋だろう】
【機嫌も良いし、此処は世間話と洒落込もうか。こうやって旅先で知らぬ人と他愛もない話をするというのも、楽しみの一つだ】


……えエ、結構な長旅でしテ……長いこと歩き続けているト、やっぱり寝るだけじゃア取れなイ疲れも溜まりますからネ……
温泉の効果には若いも若くないも関係ありませんヨ。やっぱり疲れを取るには湯に浸かってゆっくりするに限りまス……
最近寒い日が続きますシ、暖かさが恋しくなる日も多いですよネ…………アナタは温泉にはよく来られるんですカ?


【――――湯けむりの中、他愛もない世間話は進む。少女と老人というちょっぴり奇妙な組み合わせの二人は、どんな話をするのだろうか?】
457 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/16(日) 01:52:05.88 ID:NFHXZEyU0
>>456

【驚きはしたものの、老人はすぐに落ち着きを取り戻す】
【異国の訛りが混じる言葉には、彼女の性格すら溶け込んでいるようで】
【ああ、きっと優しい良い娘なのだろうなと老人は感じていた】

そんなに旅をしているのですか、とてもお若くて良いですな。
私などもう腰を痛めるのが恐い年齢ですからな、こうしてのんびりする方が合っています。
……ああ、時折仕事の疲れを癒しに来ております、今日は湯治といったところでしょうか。
何故なら 私はこう見えても正義の味方、SCARLETの隊員なのです……!
フフ……驚きました……? 私はブラック・レッドラインと申します、以後、お見知りおきを。

【SCARLETは、軍、警察、自警団が協力し合い悪へと立ち向かう為に設立された比較的新しい組織】
【老人はそこに所属しているのだと言う、言われて見れば体つきも軍人のそれに近い】
【……だがSCARLETは今、内部からとある反乱者が出たことでも話題になっている】

【その話を聞くか、日常の他愛ない話を聞くかは当然、少女次第であって】
458 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 01:53:52.91 ID:GEPISxOco
>>454

その言い分だとあなた、人間ではないのですね……?

【ハードと吊り合わないソフト、既視感は恐らく自分に似ているから】
【しかしだからといって共感を得たりなどこの白色はしない、白ただそれだけという色だ】
【静かな問いかけも確認の為のものであってそれでしかない】

完全な私であるならば言葉を介するまでもなく意味を悟れますが……
生憎力の一端をどこぞのおバカさんに譲ってしまっていて、まあなんとなくニュアンス程度には理解できますが

しかし私は何かに識別出来る程まともな存在ではありませんので
ああ、失礼申し遅れました私は白妙と申します、よろしくお願い致します

【黒い焔、それに対するように白妙を名乗るそれは掌を天上へと向ける】
【大気に湯気が立ち上るような白く淡い輝きの後に現れるのは白い「剣」】
【一振りのそれは「剣」とは呼ぶものの持ち手などが存在せず便宜上そう呼んでいるだけに過ぎない】
【表面には何時の時代の物かも分からない文字や記号の羅列が浮かんでは消えを繰り返すのみだった】
459 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 02:09:27.84 ID:KN9pFyQGo
>>458

人間よ? ふふっ、ふふふふっ、少し人と違うだけの、女の子だもの
ほんの少しの時代を渡り歩いて来ただけ……、世界の始まりから終わりまでを歩き続けられる訳じゃないわ

【数百年の時を生きているというだけで既に普通の人間ではないのだが、それでも少女は極普通に愛想のいい笑み方をするだけだった】
【それならば達観していて仕方が無いのかも知れない。此処まで黒く捻くれるのも頷けるだろうか】

白妙? あら……ふふっ、あなた白妙って言うのね。名前まで真っ白!
私はね、レイシーって言うのよ。Aliceを並べ替えて、Lacie。よろしくね?

【時間をさ迷う少女の名のアナグラム、その名を答えてから、白妙の顕現させた剣を見て口許に片手を当てて見せる】
【まあ怖い、なんて言う様だった。尤も、そんな彼女の掌でも昏い炎が灯されたままではあるのだったが】

それはなぁに? あなたの宝物?

【剣を指して言う。恐れなどは微塵もないようだったが、それは相手を信頼しているという訳でもなかった】
460 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 02:27:26.70 ID:39PVKgna0
>>457
【こうしてのんびりと寛ぎながら話をするというのは、旅人の特権だ。毎日違う人と出会うからこそ、話も弾む】
【そりゃあ旅の途前には苦労だって山ほどある。しかし人と出会う、人と話すという面において旅に勝るものはあるまい】
【旅先での話はいいものだ。自分とは違った経験をした人の話が幾多も聴けるから、誰と話しても飽きない】
【自分とは違った道を歩んできた人の話を聞けば、その人の辿った道も旅した気分になれる。それが彼女は堪らなく好きだ】
【長い道のりを進んだ者もいれば、旅は始まったばかりの者もいる。千差万別の人間模様、一つとして同じものなんてない】
【さて、この老人はどんな道を辿ってきたのだろうか――――】

……ヘェ、仕事の疲れですカ……そうですネ、日頃の疲れというものハなかなか取れるもんじゃありませんカラ。
ワタシなんてまだまだ長いこと歩いても平気ですけド、アナタ程になると体の管理もしっかりしなければなりませんよネ……

【言葉の端々に、この老人の辿ってきた道の険しさとそれを乗り越えたが故の深さを感じる。ああ、この人の道のりは長かったろうな……】
【言葉から老人の人生の長さを感じ取り、少しばかり我が道の先も考えてみる。自分の行く道は、この先何が待ち受けているのだろうか……?】
【楽もあれば苦もあるのだろうなという事ぐらいしか分からないが、まだまだ先は長いか……】


【人生に思いを馳せていると、老人が彼女にとっては聞き捨てならない一言を口にする。――――彼はSCARLETの隊員というのだ】

――――ス……何ですッテ!?

【ああ、知っているとも。知らないわけがない。――――あの男は私にSCARLETの証を預けて、世界の全てを敵に回したのだから】
【あれから私はSCARLET入隊を志した。彼が世界を敵に回して人を傷つけるのなら、私は傷つけられた人の傷を癒すと決めたのだ】
【志は十分、しかし緒が掴めないでいた。自警団でもない自分がSCARLETに入隊するにはどうすればいいのか分からなかった】
【しかし今、目の前に当のSCARLET隊員がいる。彼に聞けば入団の端緒が開けるかもしれない―――!】
【老人の言葉に俄然反応した彼女は、食い入るように老人に言葉をぶつける。SCARLETの隊員が目の前にいるのなら、この機を逃してなるものか―――!】

……ブラックさン!!アナタは本当にSCARLETの隊員なのですネ!
―――率直にお聞きしまス。SCARLET入隊の方法はありませんカ!ワタシは……ワタシは、彼の……『W』の代わりに傷ついた人々を助けたイ!!

【先程までの優しそうな少女の声は何処へ、思いの丈をぶつける彼女の声は意志に満ちて大きく鋭く響く】
【何でもいいから入隊する方法を見つけなければ!そして、彼の付けていたワッペンを自分がつけなければ―――!】

//すみません、事前に行った通り2時を過ぎてレスが遅くなってきました……凍結をお願いしたいです
//日曜日なら午後9時以降は空いておりますがどうしましょうか?9時から再開か置きレスか選んでいただければ……
//最悪都合が付かなければ打ち切りでも構いません……
461 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 02:27:52.06 ID:GEPISxOco
>>459

人の寿命から離れたモノは人とは呼べないでしょうに
尤も本人の気持ち次第というのもありますか……まあ貴女は人間ということで

【思いを巡らせるには遠い日々、それを経て得たモノとは何なのか】
【思いながらも問わず何故ならば語るにはそれと同じ程の時間を要するだろうから】
【俯瞰の景色から外界を見下ろし、静かに息を零す】

ワンダーランドではないですけど……いや、似たような物ですか
白兎ではないですけど迷い込んだならばご案内致しましょうかレイシー?

【きしり、と鳴る「剣」に刃はないが少なくとも異常の代物ではある】
【尤もこんな世界では異常が正常でならば白妙の「剣」も彼女の「焔」も同様とも考えられるか】

いいえ、宝物ではありませんよ?
ちょっと貴女の炎に対抗してみたくてなんとなく出してみました、それだけです
まあ敢えて何かというならばこれは……兵器でもあり書庫でもあり……砕いて言うなら便利なアイテムでしょうか?

でもこんなモノよりも貴女の焔の方が気になりますね……

【ふうわり浮く「剣」は遅く回転して佇む】
【どちらかと言えば博物館に飾られているような部類とも思える品】
【しかし白妙はそれ自体に興味なく、ならばレイシーの黒い焔をただただ見つめるのだった】
462 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/16(日) 02:34:05.04 ID:eiZhYfJD0
>>460
/こちらも明日のその時間は予定が空いております
/なので凍結でよろしいでしょうか?その時間までには返しておきますので
463 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 02:35:53.12 ID:39PVKgna0
>>462
//了解です!それでは一旦離れます、お疲れ様でしたー!
464 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/16(日) 02:38:41.18 ID:eiZhYfJD0
>>463
/お疲れ様でしたー!ゆっくりとお休み下さい。
465 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/16(日) 04:26:32.04 ID:5Gf6GcPvo
>>425

【キャプテンの――ビスクの両目は義眼であると同時に、精密なカメラでもある】
【要するに、機会だ。実際の瞳は失っていたが、それによって彼は非常に遠くまで見渡せたし】
【拳銃による精密射撃もこの瞳があってこそなのだが――今回も、その瞳が役に立った】

【彼ははしごを登って船に乗り込む最中に喋り屋の変容を見る。攻撃の中、ふわりと浮く素の姿をだ】

―――ハッッハァ!冗談じゃあないぞこりゃ…さあ急げ、お前ら今直ぐ身構えろ!
急速発進だ、なりふり構っていられるか!ズタズタになりたくなけりゃ今直ぐエンジンを動かしやがれッ!

【だからこそ対策も早かった。攻撃され、甲板に直撃を受けるよりはやく船のエンジンを噴かせたのである】
【これにより僅かに着弾点が逸れる――当たることには変わりないが、なんとか船体側面に抑えることに成功する】

【とはいえ、そのガトリングガン地味た無数の刃は脅威の一言だ。如何に硬い装甲を持つとはいえ、単なる船には荷が重く】
【喫水線のギリギリ上、航行に影響があるか無いかの瀬戸際の場所に大きく、幾つかの穴が空く】
【どうやらその奥は倉庫らしい――慌てふためく海賊たちの姿が見え、同時にジャラジャラと何かが落ち始めて――。】

>>435

【加速を始めた鋼鉄船。しかし、それでも逃れきれないのは空からの攻撃――特に今回はタチが悪い】
【先に喋り屋の擬似ガトリングガンによる攻撃があったことが、セリーナの一撃に上手い事寄与したのである】

【――船は、側面からの攻撃を受け、穴が空き、次いでその船体を堪らず僅かにだが浮かせてしまったのだ】
【それがいけなかった。もう海賊たちにはどうしようもない範囲での原因で、その僅かな浮上で――イル・ピラータは失速】
【その隙にねじ込まれるのがセリーナ・ザ・"キッド"の捨て身の特攻、にも似た甲板への攻撃だった】

厄介だな……私は、私達のファミリーは世界を狙っているわけではない、が……
 社会悪だと自負はしている…。それに敵対する組織のボスが、こうも強いのか。

 ……いずれまた会うことになる相手がどういう人物か、そしてどういう戦い方をするのか分かって良かった。
 ビスクや他の者に聞くのとは全く違うのだからな……あぁ、本当に良かった。
 この程度なら何とかなりそうだから=c…―――打ち砕け、ソドム=\―!

【だが――だが、捨て身だから届くとは限らない。若き御曹司は、己が側に降り来るユニットを眺め】
【そして、能力を発動した。今度は抽象的なチョコの液体でもなかったし、ましてや腕でも無かった】

【それはきちんとした形を持っていた。敢えて形容するなら、爬虫類系の細長い身体をした――そう、恐らくアートマンに違いない】
【サイズはもう言うまでもないか。船全体を浮かせる多量のチョコレートを発生させ、後部の穴を無理矢理に塞ぎ】
【更には降り来る飛行ユニット・ケツァルコアトルを、その両腕のような部位で事前に押し出し、叩き壊した】

【上手いのはその際、ユニット自体をチョコレートで包み込んでしまったこと。チョコのコーティングだ】
【これによってセリーナがライトニングによる爆破を目論見、成功するも――吹き飛ぶのは精々が高い位置にあった海賊旗程度】
【坊っちゃん≠ヘその旗を見てはいたが、所詮は形だけのモノとでも断じるかのように目を前に向けたのだった】
466 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/16(日) 04:26:41.51 ID:5Gf6GcPvo
>>ALL

【――戦局は決した。イル・ピラータは、大型船は甲板への被弾はなんとか避けたのである】
【だがその象徴である旗が折れ、ある意味では単なる痛撃よりも余程大きなダメージを負い】

【また喋り屋の一撃によって空いた穴からは――そう、運び込んだ宝飾品がこぼれ落ちていたのである】
【その量たるや、まったくいくら積み込んだのか分からないほど。そしてそれを防ぐのは、坊っちゃん≠フチョコレートであり】
【同時にそのチョコは船の行き先を左右する波ともなっていて、やがて轟音とともにエンジンが完全に始動すれば―――】

よォーし逃げろ逃げろっ!疾風のごとく駆け抜けて外洋まで行っちまえば敵なしだ!
『浸水します』ぅ?うるせェ!坊っちゃんの力に頼る他無いんだから天でも拝んどけワイアード!

……今回は良い社会勉強になった。私達のファミリーが創設された、最も古い理由……
 荒くれ同士の寄り添い、そして海を自由に駆ける稼業……海賊という出自。
 それを学べたのだから……感謝している、セリーナ・ザ・"キッド"と、声を変える女性と――二人に。

【―――まさに天も割れんばかりに響いた音の後、イル・ピラータの後ろ姿は急速に遠くなってゆく】
【その早さたるや、並の船舶では出航前に見失うほどであり、サイズもあって、まさに規格外の一幕であったと言えるだろう】

【かくして、海賊騒ぎの主役である面々――実のところ、後日D.R.U.G.S.℃P下の『スペーツィエ・ファミリー』一同と判明する――】
【狂犬<rスク・フランコこそがキャプテン・キネシスを名乗った張本人であると、隠し撮りされた写真付きで新聞に載り】
【更に若き御曹司はそのファミリーのトップ、若干13歳の『マルコ・ドラゴニ』であることも明らかになる――は】

【街に多大な被害を与えつつ、自分たちも同様に大きなダメージを負いながらラグナールから撤退したのであった】
【その被害の内訳は後日また明らかになるだろう。ただひとつ言えるのは――海賊は退いた、という事実のみ】
【そしてそれは、歴然たる勝利≠ナあり、もう失うものはないというラグナール復興の志が輝き出す踏み台ともなるのであった―――!】

/遅くなり申し訳ありませんっ!これにてVSイル・ピラータ乗員組は終了となります!
/全体のまとめ的なものはまた後日投下しますが、まずはおふたりとも、お疲れ様でしたー!
467 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/16(日) 10:26:24.18 ID:2bUHTx1g0
>>460

……ッ……、そんなに大きな声を出さなくても私は聴こえてますよ……

【夜の空気が揺れた、きっと浸かっている湯にもその波紋は伝わって】
【一瞬老人は何事かと思うが、彼女の紡いでいく言葉を聞けば そんな感情は直ぐに消える】
【この少女にどんな事情があるのか、それは最後の言葉にあった単語が教えてくれていた】

『W』……元SCARLET所属のディック・ホワイトですな。
彼と何があったのかは私には解りませんが、もし良ければ話して頂けますかな……?

【だから、少し落ち着いてほしいと老人は言う、まずは彼との繋がりを教えて欲しいと】
【その上で、SCARLETに入隊出来る"可能性"を提示した】

見たところ無所属の様ですな、入隊の方法を聞くなど何処にも所属していない証拠です。
しかし、まあ、方法が無い訳でも有りませんが…………

……実は私、これでも軍部ではそこそこ偉いのです。
ですから私が上層部に掛け合って、貴女を査定の場に立たせる事位なら出来なくもなかったり……
……どうしますか…………?

【査定、つまりは面接試験までなら少女を連れて行く事が出来ると言うのだ】
【少女に軽く微笑みかけると、彼女の答えを待った】

/一応お聞きしたい事が。
/この後の展開として、もし入隊試験のロールを希望するのであれば、そこからは置きレスに移動したいと考えていますが、どうでしょうか?
468 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 13:00:00.77 ID:KN9pFyQGo
>>461

「あなたは」って事は、あなたは人間ではないのね?
あなたの気持ちはどうなのかしらね、人間でいたいのか、人間なんてもう見下げているのか……
ふふっ、ふふふっ、あなたってとっても気になるわ。私あなたみたいな人、だぁい好き

【興味は尽きないようだった。愉しげに笑う少女の片手で漆黒の焔が揺らめく】
【鳴る剣と相手の言葉にも表情一つ揺るがせないまま、にこにこと笑う姿はチェシャ猫のようでもある】

あら……ふふ、ふふふっ、意外とお茶目なのね、ますます大好きよ。記録し記憶するアーティファクトかしら?
私はね、ただの超能力者。念動力、パイロキネシス、テレパス、テレポーテーション……そして、固有時間に干渉出来るの
それを造られた当時の輝く姿まで戻したり、或いは、遥か未来に掘り出される土錆びた姿まで進めたりね

……でも、そろそろ時間かしら。こうしていられる時間も限られているの、だからあなたに会えて良かったわ

【無為に費やす事になる筈だった時間、有限の砂時計の落ちていく間を相手が埋めてくれた】
【少なくとも彼女にとっては心地良い時間だった、そう告げればにこりと笑んで、黒の少女は手を振った】

さよなら白妙、また会いましょうね? ふふ、ふふふっ、ふふっ……

【ぐらりとその背が後方に倒れ込み落ちる、遥か高いビルの屋上から、レイシーの姿が消える】
【見下ろしたとてその姿はなかった。ただ名残のように黒い焔の残光が弾けて、夜に溶けていくのだった】

/寝落ちてしまいました、大変申し訳ありません……
/長引かせるのも申し訳ないのでこの辺りで失礼します、本当にすみませんでした
469 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 14:42:48.27 ID:V/D6/v7e0
>>435 >>465-466

【ざまあみろ―――開いた海賊船の穴から折角詰め込んだ宝飾品が零れていくのを見て、そう呟く】
【しかし穴を覆うチョコレートがそれらを防いだ。全部取り返すことは流石に無理か、と結論付けて】
【見た目が幼い子供に見えてもやはりファミリーのボス、抜け目がない―――喋り屋が持った印象はそんなものだった】

――――――『ちょ、待て!詰め込んだひかりもの全部返せこの“笑う眼球”!…うわ、うるさっ…!』
『くそ、逃げ足の速い奴らめ…!予告通り水没させてやろうかと思ったのにさぁ…!』

【笑う眼球なんていうのは、キャプテン・キネシス―――もといビスクのことだろう】
【最初の発言が本気だったのかどうかはともかくとして、そんな子供の負け惜しみのような言葉を吐く喋り屋】

【また珍妙なことに彼女の声はそれらしい少女の声へと代わっていた。無表情ながらも声は恨めしそうに】
【右手は喉元、あいた左手は浮かびあがるキャスケットを抑えつけ、彼女自身は落下していく】
【轟音に耳を塞ぐことも出来ず、流石に今回は眉間にしわを寄せて、海を睨んでいた―――同時、加速する海賊船】

【ゆっくり、またゆっくりと落ちていく途中で彼女を浮翌遊せしめていた『赤黒い翼』は泡沫の如く消えた】
【「ぎゃっ」という、猫が潰れたかのような声を上げ、破壊された路面へと落ちる。打ち付けた腰をさすって、船の消えた方へ】

『にしても、スペーツィエ・ファミリー?…危ない連中だな全く、あれほど攻められれば流石に手こずる…』
『今頃あいつらは海の上か…まだ、力及ばず…ってところ、だね――――くそ』

【もう既に船は激しい音とともに海の奥へ遠ざかっていた。轟音のせいか耳鳴りがする気もした】
【結果的には勝利した、と捕らえていいのだろうか。もう既に奪取された宝飾品などのことを考えると自然にため息が漏れる】
【疲れきった体を休めるように――――仰向けになって、遠い空を仰ぐ。キャスケットを深く被って光を遮り】
【悔しいから不貞寝でもするかのような体勢で息を整えて、まどろむ様に黒い双眸を閉じていく】

【海賊たちは追い払った、もう自分が出来ることはない―――ここから先はその他、自警団の仕事か】
【ならば病院に運んでもらうのも彼らにお願いしようかなとか考えながら、精一杯繋ぎとめていた意識を手放した】
【次目が覚めたらきっと白い部屋に居ることだろう。気絶した雇われの魔術師はその場で、自警団の助けを待つばかりであった】

/遅ればせながらお疲れさまでした皆さん、ありがとうございました!
470 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 15:08:29.54 ID:/kml66yh0
>>467
//はい、こちらも急な事情で今日中に返せるか少し怪しいので置きレスでお願いします!
471 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/02/16(日) 16:55:15.66 ID:FxwTL2qr0
>>470
/では返信は置きレスの方に返して下されば!
472 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 17:57:56.75 ID:Y1mLyblBo
【路地裏】



(――――さて、と……。)



【彼女の手には、緑色の爪痕が三本刻まれた、缶のエナジードリンクがある。】
【揃えられた前髪と、長い黒髪を靡かせて、鉄製のヘアバンドのようにティアラを填めて、】
【釣り気味の目、色白の肌、肉付きのいい身体に忍装束を惑い、】
【太ももには3つクナイを納めたクナイ入れ、左の腰には忍刀、右の腰には缶のエナジードリンクを納めたホルスター、両手に手甲を填め】
【――とまぁ、攻撃重視の軽装備の、170cmほどの女性である。】



………一仕事、してくるか………。



【飲み終え空になったエナジードリンクの缶をくしゃりと潰して、】
【路地裏の闇の中を歩き始める。】
473 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 21:22:27.06 ID:Y6fzdQ6Do
【路地裏】

【普段ならならず者達が集まってくるその場所に、いまは多数の自警団員が押し寄せていた】
【立ち入り禁止のテープが張られた道の奥で、複数人のガラの悪い男達が手錠を掛けられて連行されていく】
【誰も彼も、異様な雰囲気だった。紅潮した顔、荒い息、半開きの口。彼らを連れ立って歩く周囲の自警団員達も、どこかそれを不気味がっている様子だ】
【捕まって観念した、ようには到底見えない。熱に浮かされたように、幻覚でも見ているかのように、彼らは促されるままにふらふらと歩いていく】
【結局、男達からさしたる抵抗もなかった。無事に全員車へ押し込んだのを確認すると、運転手は窓の外に敬礼を送ってからアクセルを踏んだ】
【去っていく車を見送って…………その敬礼された側の男は、つい数分前まで獲物を睨む獅子のようだった銀の視線を跡形もなく、気怠げに変えて】

…………あぁー、終わった終わった。
悪ィな、俺は先に上がるぜ。お疲れさーん。

【間延びした声色を空気に溶け込ませながら、男は現場検証に残った自警団員達へ適当に手を振って挨拶すると、路地から抜け出していく】
【あまり見かけない容姿の男だ。筋肉質で背の高い体格に褐色肌、ボサボサで短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして、首からはドッグタグを下げている】
【服装や雰囲気こそだらしないが、身の丈程もある巨大な何か≠革製のケースに入れて背負っていることもあり、どこか剣呑な空気も感じられるだろうか】
【左胸に光る自警団のバッジと腰のポーチに付けられたSCARLET≠フ紋章が、そんな不審な男の身分を明解に証明していた】

ふぅ、さすがに疲れたぜ…………今日の所はとっとと帰るか…………。

【男は集まった野次馬に囲まれて脱出できなさそうな表通り側の道を避け、迷うこともなく路地の奥を進んで迂回路をとり】
【やがて、表通りほど活気もないが路地裏ほど危険でもない、人気の少ない寂れた小道に出るだろうか】
【誰に向けるでもなしに呟いた男の足は、この小道の先、つまりは先程出られなかった表通りの方へと向かっていく】
【帰ると言っておいて自警団の詰め所に向かわないのは、男の言う帰る≠ニは「メシを食べて帰る」という言葉の略であるからで】
【例え服が少々破れていても怪我をしていても、血で血を洗う大捕り物の後であっても。男にとって空腹を満たさず帰る選択肢など端から存在しなかった】

【――――人気のない小道に、男の足音が響く。先程の騒ぎは随分目立っていたし、男を追ってこようと思えば可能であっただろう】
【そうでなくても、元々目立つ容姿の男だ。更に今は服装もあちこち焦げ付いたり血が滲んだりしていて、人目を引くのは間違いない】
【そして現在地もまた、表通りにも裏通りにも近い場所だ。男はいま、どんな人間と出くわしてもおかしくはない状態にあって…………】
474 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 22:13:53.98 ID:V/D6/v7e0
>>473

【―――小道の反対側、男が向かう先から妙な足音が聞こえるだろう】
【靴の音とはちょっと違う音、そして何かを背負っているかのように重たい音。人の足音にしては変だ】
【そのまま歩いたならば、向かいあうようにばったりと出くわす形でその音の主と会うことになるはず】

「――――――――――――…」

【どんな人間に出くわしてもおかしくない状況ではあったがしかし―――そこに居たのは人ですらなかった】
【全身にビッシリと角が生え揃った凶暴そうな外見―――前足が小さいので恐竜にも似ている】
【背中には特に大きな角が二本生えていて、その間に専用の黒い鞍が装着されている、そんな大型の爬虫類】

【もしかしなくても、それは砂漠に生息しているはずの生物『ハーダスフィリア』だ】
【問題は、なぜそんなものがこの界隈に出没しているのか。街中で自由行動するにしても、付き人くらい居そうなものだが】
【その答えは、この子が付けている黒い鞍の上に乗っている「何か」を見れば分かるだろう】

――――――――――――っ、ぅぅん…うぅん。もーたべられないぃ…。

【―――鞍の上には、テンプレート通りのいたってシンプルな寝言を呟いて眠る一人の幼い女の子】
【長く伸ばしたブロンド、長い睫毛。寝ているので瞳まで見ることは出来ないが、肌は白く、砂漠出身には見えない】
【黒いリボンのついたカチューシャに、純白のフリルワンピースを纏う姿は一人旅しなさそうな箱入り娘のようで】

「――――――――――――――――――――ぐるる…」

【乗っかられている当のハーダはというと―――不服そうな鳴き声を上げ、鞍の上の幼女を見やっていた】
【この「困ったなあコイツどうしよう」みたいな様子を見る辺り、正式な飼い主ではないようだが、果たして主人はどこに居るのか】
【手綱を握ってすらいない上の幼女を落とさないように歩きつつ―――そこで、ハーダは男の方に気がついた】

/まだ絡んでよかですか!
475 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 22:42:00.87 ID:mPBEnLm/o
【街中、通りにて】

【行き交う人波の中、一人の男。周りと少し違うのは軍服を着ている事】
【それから、胸に自警団の所属を示すバッジが光っている事、か】

あぁーあ、結局今年もバレンタインは仕事だったな……
しかもまたカップル多い所ばっかり割り当てられたし……毎年毎年、絶対嫌がらせだろ、アレ……。

【長めの金髪をヘアゴムで一つに束ね、もみあげの二房は長く垂らしたままにして】
【黒い軍服と制帽は、緩く着崩した状態。そのせいか、特有の堅苦しさはあまり感じられず】
【寧ろ、そういった風貌や爽やかな香水の印象からは軽そう、というかチャラそうな感が強いか】

こうやって歩いてるところにこう……角から出てきた女の子が……―――いや、ねえな。
そんな都合の良い展開、有り得ねえ。俺は夢見がちな乙女か、っつーの。

【自分の呟きに自分でツッコミながら、男は歩く。欠伸が漏れたところで丁度、横道への入口に差し掛かり】
【男は真っ直ぐ進むようだが、横道側にはほとんど注意が回っていない。誰か出て来ればぶつかる可能性もある】

【しかし、何かが起こるのはそちらだけとも限らない。通りというのは存外、様々な舞台たり得るものである】
476 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 23:00:34.22 ID:Y6fzdQ6Do
>>474

(そういや繁華街の方に新しい店が出来たんだったか。ちぃと遠いがそっちに足を伸ばしてみるのも…………。
 いや、でもなぁ。最近アルとイスラがうるさいし…………)

【歩くこと数分。既に脳髄の半分を食欲に支配されつつあった男は、脳内で店の名前を浮かべては消し浮かべては消し、あらゆる観点から吟味を重ねていた】
【そうしていると、健康に悪いだの太るだの、ぶつくさ五月蠅い部下の顔も浮かんでくる。数名離れている者もいるが、大半は詰め所に居たはずだ】
【少々時間は遅いが、皆のいる場所で飯を食べるという選択肢も無いではない。無いではないのだが、しかし腹の虫のご機嫌もあまり宜しくない】
【さて、どうしたものか。…………などと、非常にどうでもいいことをマジ顔で考えていた男だったが――――】

…………あぁん?

【どすん、という聞き慣れた、そして乗り慣れた足音。思わず顔を上げれば、角だらけの厳ついフォルムと目が合った】
【合わせた目線は、すぐに疑いに染まる。ハーダスフィリア――――なんでこんな場所に?】
【野生、という可能性はまずない。ならば飼い主の元から逃げ出したか。銀の視線が、ハーダの全身を隈無く見渡せば】
【次に目に留まったのは黒色の鞍。やっぱり飼われていたのか…………と、考えるまでもなく。少し視線を上げると、角に隠れるように人影が一つ】
【…………空腹状態で聞くには、その寝言はどうにも皮肉じみていたが。とにかく男は、ハーダへ近づいていくだろう】

どうどう、ちょいとそこな嬢ちゃんと話をさせてくれな。
おーい、嬢ちゃん起きろー。おーい。……知らねぇのか、ハーダは人間が寝静まったのを見計らって髪を根こそぎ食べるんだぞ!

【まずはハーダに挨拶をひとつ。扱い慣れているようで、決して相手を刺激しないゆったりとした動作で鞍の横まで近づいて】
【その途中でハーダの様子を観察するも、背中にいる幼女への敬意らしきものは特に感じられず。飼い主、ではないのだろうか】
【とにかく、このままハーダを放しておいたら近隣住民に見つかって騒ぎになるかもしれない。男は幼女の体を揺さぶりながら、数度声を掛けるだろうか】
【それほど声量はないが、良く通る声…………そこに根も葉もない大嘘を混ぜ込んで、ついでに確実性を高めようとした】


/気付くの遅ちゃってすみません!よろしくお願いします!
477 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 23:11:34.97 ID:juyNvx+50
>>475

【行き交う人並みの中、もう一人の少年だ。周りとは随分と異なった雰囲気を纏っており、それは何と表現すれば良いか、】
【彼だけ別世界に生きているような、そんな感じで、……つまる所、どうやら深い思考を重ねている様だった。】
【地面でも見ているのかとも思える程目線は下に、ただ頭の中と足だけを淡々と動かしている。……周りに気を配る様子は、無かった。】

【少し短い黒髪に、濁りの入った虚ろな黒い目。耳には黒縁の眼鏡をかけて、首筋をワインレッドのマフラーで埋めて。】
【6つの木製のトグルが目立つネイビー色のダッフルコート、今は見えないが、インナーには白と黒のボーダー柄のシャツ。】
【落ち着いたベージュ色のチノパンに、少年らしい、白を基調として所々に青色と赤色のストライプが入ったスニーカー。】
【肩からは真っ黒のベルト。大きな白いアルファベットがプリントされた水色のショルダーバッグが斜めに掛けられている。】
【チャラいとは対照的、全体的に落ち着いた服装の筈だ。又、166cm程の身長と顔付きから、彼が一度病院の屋上で出会っている少年である事に気付けるか。】


―――………!

【丁度同じタイミング、T字路から二人は出て来る、ならば当然、打つかる事となるが―――否、少年はすんでの所で回避した。】
【持ち前の運動神経、反射神経の良さ……という事なのだろう、一部始終を見ていた周りが『おぉう…』と反応を漏らしていた、か。】

【然し相手を危険な目に合わせた事には変わりない、『すいません……』の消え入りそうな声に加え、深々としたお辞儀。一通りの謝罪だ。】
【……逆に言えば、それだけ。少年は確実に彼の顔を見ていた、にも関わらず、その中に知り合いらしい反応が一切として含まれていない。】
【もしこの少年の事を未だ記憶しているのなら、其処に絶対的な違和感を覚えるのは当然の事だ。……然しそんな事はいさ知らずと言った様子、】
【少年は今にも、彼を抜き去って、本来進むべき道を進もうとしており―――、】


/よろしくお願いします〜!
478 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/16(日) 23:31:46.45 ID:V/D6/v7e0
>>476

【ハーダは了承したかのように首を下げると、幼女に声を掛けやすいような位置へと動いた】

―――――――――ふぁぁああ、美味しそうなチョコミントアイス…!

【ハーダの背にある角に抱きつきながら眠る幼女。よくこれで眠れるものだ、寝言も継続中】
【さっき食べられないとか言ってたくせに、夢の世界ではまだ食事に夢中であった。夢でも甘いものは別腹らしい】
【幼女は体を揺さぶられ、小さく呻くような声で少しずつ目を覚まし始める…が、意地でも起きたくないらしく】


―――――んー、あと五分…いや十分か二十分だけぇ…ふぇ?はーだぁ?
髪食べるんだ変なのー…うぇ、えええっ!ハミィの髪食べられちゃう!?ハゲちゃうっ!?


【嘘を真に受けてそこで漸く起きる意思を見せた。驚いたように飛び上がりぱっちりと目を開く】
【「おっとと」と、軽く落ちかけるも、ハーダの背中にある角につかまることで何とかことなきを得た】

【「そんなもん食わねえ」と言いたげであったハーダも、落ちかける幼女に体をびくつかせつつ】
【彼女が落ちていないことを確認してから、やや安心したかのように首を元に戻した】

【――――ぱちくり、と目を開け閉めして、幼女は周りを確認する。次に、男の方を向いて】

―――――――――はれ、ここどこ?おじちゃんだあれ?
ワープでもしちゃったのかなぁ…ねぇはーちゃん、ここどこだか分かる?どうかなぁ?

「――――――――――――――ぐる…」

【まだ眠気が残っているのか伏し目がちに首を傾げた。開いた双眸の青色が綺麗で】
【ともあれ、無邪気で純粋な子供と言うのは無神経なものだ―――特に、発言とか】
【その場に居合わせた男、そしてハーダにもそのような質問をする。寝ていたのなら分からないのも当然か】
【何にせよ、ハーダが控えめに返事らしき声をだしたとしても、幼女は言葉の意味など分からないのだが】

/いえいえ、気になさらず!こちらこそよろしくです!
479 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/16(日) 23:35:00.02 ID:XwR96qrFo
>>477

――――ぅおっと……っておい、ちょっと待てこら。

【危うくぶつかるところだった相手は少年。結局ぶつからなかったが、確かに顔は見た】
【一瞬そのまま歩き始めようともしたが、彼の反応を見て考えが変わる。突然彼の肩を掴んで呼び止めようとして】

俺は今悲しい。どうしてか分かるか?
……まずは今のハプニング、相手が可愛い女の子じゃなかったからだ。

――――まあこれはお前に非はない。俺の心が夢見る乙女の様に純粋だっただけだからな。
でももう一つ。こっちはお前に問題があるぞ。

【呼び止めたなら、彼が振り向くや否や、話し出す。何の因縁を付けようというのか……と思えばよく分からない話】
【碧の瞳が、無駄に真っ直ぐに彼の目に向けられる。あのな、と言葉を繋いで】

顔見た上で無視するってどういうつもりだ―――――ねこやま。

【男――ディハートは彼の事を覚えていた。まあ、連絡先を教えた相手の事を忘れる様では人としてどうなのか、という話だが】
480 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/16(日) 23:48:14.59 ID:40LueWcVo
【汚れた煉瓦造りの塀に囲まれた路地裏の一角、奥まった袋小路の広場に、一陣の空風が吹き抜けた】
【乱雑に貼られた手配書が剥がれ、風に揉まれて飛んで行く、地面スレスレを滑った手配書は、そこにある死体にひっかかって張り付く】

【死体、死体、死体───一人や二人ではない、正に死屍累々といった風な様子の風景の中に、また一つ銃声が響き渡る】
【ドサリと崩れる新たな死体、それを見下ろす者の背中では、巨大な十字架が路地に続く入口を見ている】

おお神よ……おおー……神よ……
私はまた、貴方の元に迷える仔羊共を送りました
どうか彼等に貴方様の慈悲があらん事を……

【神に祈りを捧げる者は、この場に地獄を作り出した者】
【まずその姿から想像し得る物───神父服と帽子、それと非常に大きな鋼鉄の十字架を背負った姿形は、一見神父とも取れても、直ぐに歪と分かる】
【聖職の帽子を乗せた桃色の短髪
と碧眼が白い肌を飾り、大きな聖書を腋に抱えた男だ】
481 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 00:01:37.81 ID:Dwk/1plPo
>>478

チョコミントアイス…………。

【――――舌触り滑らかなアイスクリームが舌の上に乗る。ミントの涼やかな香りが鼻腔を満たし、遅れてチョコレートの甘みが口の中を…………】
【…………と、一瞬どこぞへ吹き飛び掛けた思考を慌てて引き戻しつつ、男は引き続き幼女に声を掛け続け】
【幼女ががばりと飛び起きて滑落し掛けたと見るや、素早く鞍の真下へ太い腕を伸ばす。が、どうやら要らない心配だったようだ】
【嘘八百に微妙に不満げなハーダへ「悪ぃ悪ぃ」と適当な謝罪をすると、男は目覚めた幼女へ改めて向き直るだろうか】

おじ…………お兄さんと呼んでくれ。
俺はアサド・アル=アーデル、通りすがりの自警団員だ。ハミィ、ってのが嬢ちゃんの名前か?
その「はーちゃん」が一緒とはいえ、女の子が夜中にこんな人気のない場所へ来たら危ねーぞ。
嬢ちゃん、どっから来たんだ? 帰り道、わかるか?

【おじちゃん、と呼ばれた事に若干ショックを受けつつ、男は自分をアサドと名乗った】
【ついでに胸元のバッジを見せて身分を証明する。流石に自警団員、ハーダへの対応だけでなく迷子への対応も勝手知ったりといった様子だ】
【普段ならしゃがんで目線を合わせるところだが、ハーダのお陰で今は幼女の方が背が高い。澄んだ青色の双眸を、優しげな銀の視線が見上げていた】
【それから続いて、アサドはやや心配げに声をかけるだろうか。正直言って腹は減っているが、迷子を放り出していく訳にもいかず】
482 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 00:06:59.24 ID:3p4Ljenj0
>>479


―――…………

【……少年の目に涙が浮かび始めるのは、少々のタイムラグがあった。その間少年は彼の顔をジッと見つめ、やがて唇を噛みしめる。】
【目線を落とせば、徐々に潤みを帯びて来て。顔も火照り、目元を何度も拭う様子は、快活だった彼とはさながら別人の様にも思えた事だろう。】
【然し、どの角度から彼を見た所で、きっと結論は変わらない筈。"双子"の可能性でさえ否定出来るのだ、それ程、余りにも似ている。】

【突然泣き出してしまったのには、当然理由がある。勿論、前触れも無く自分の肩を掴まれた事に驚いた……という訳では無い、真意はもっと奥底にある。】
【然し心理学的に相当優れている人間でないと、現時点ではまあ分からない……だろう。やがて少年は、眼を赤くしながらも彼の方をもう一度向き直り、】


………あ、……あの、俺……忘れて、もうて……

【右手で後頭部を掻きながら、少年はぎこちない笑顔を見せる。恐らくは、"照れを隠す為の笑い"を演じようと思ったのだろう……が、】
【そんな演技は寧ろ誰にでも見破られてしまうのだろう。ただ、嘘を付いている訳ではないのだ。……"何を忘れたのか"、それを明言していないだけで。】

【『……ああ、自分の事を忘れてしまったのだ、』と、どちらかと言えば楽観的な解釈が、真っ先に浮かぶだろうか。……それだけで済めば良いのだが、】
【もう一つ思考を膨らませれば、―――思わず目に涙が零れた原因でもあるのだが―――ある一つの可能性が浮かび上がってくるのかも知れない。】
【"記憶喪失"……少年の先の言葉に補う文字は、"全て"であるという答え。意識せずとも、何となくでも良い、ただ"尋常では無い"という事が掴めれば十分だろうう。】


……その、………俺、急いどるんよ……

【……だとすれば、今のセリフも真っ赤な嘘。どうも自分は避けられている、そんな印象さえ与えかねない発言だっただろうか。】
【少年は彼の手を振り払い、再び歩き出そうとする。……面倒を見てやるのも、そのまま逃げ去るのを許すのも、それは全くの自由だ。】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 00:10:27.00 ID:A0JhoX9U0
【街中――自然公園、人工池のほとり】
【池の半分ほどまで掛かった桟橋、木で出来たその場所は存外しっかりした作り、ふらつくこともなく】
【けれど隙間に水面を覗かせるのが少しだけ恐ろしかった。――とは言え、今宵そこに水面はないのだけれど】

【――凍りついていた。水面の総てが、それも相当に分厚い氷に包まれて】

ふわぁ……、すごい、こんなに凍っちゃうんだ……。

【こんこん、と言う軽い音が響いていた。見てみれば、誰かがひとり、その氷を突っついているようで】
【それでもぐらりともしない水面の氷、近頃の寒さを存分に見せ付けてくれるようで――】

【――真っ黒い髪の少女だった。腰ほどまでの髪は下ろして、頭には薔薇を模ったモチーフのあるヘッドドレスを乗せ、】
【赤色と黒色のオッドアイはまんまるく蛇のように艶めく、けれど時折瞬くのが蛇との差異、真っ直ぐに氷を見つめたまま】
【生成り色のブラウスに深い赤色のジャンパースカート、腰元の大きなリボンと裾に広がるフリルの波が目立つもので】
【ひらひらと布地の多いスカートの下は丈の長いソックス、ガーターリングではじまりを抑えた太ももと、】
【爪先のまるい底の厚い靴。こんこんと先ほどから氷を突いているのはこの靴で――なんて、余談、】

寒いわけだよね……、……雪も降るし。またこの後も降るのかな――。

【桟橋の端っこに腰掛けながら、ふわりと羽織ったケープを身体に寄せる。寒いという風に一息吐いて見せて、】
【様子を窺うように空を見上げた、――視線の先に広がるのは一面の星空、寒い夜だからこそ、綺麗に見える景色】
【下を向いていたために雪崩れてきた髪を耳の上にかきあげる、そうして覗いた右耳には片方だけのピアスが覗いて】

雪かきより雪遊びがしたいんだけど……。

【呟いてみるのは子供にだけ許される特権、仕事をしないで遊んでいるなんて、そろそろ許されなくなる年頃】
【見繕って高校生ぐらいに見える少女は夜に若干浮いていた。けれど、どこか人間と違った気配は、夜に姿を馴染ませて】
【それはもしかしたら右耳のピアスから零れているのかもしれない。――間違いなく、それは、宝玉の気配なのだから】
484 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/17(月) 00:28:00.17 ID:Kk+27AV2o
>>483

【―――「自然」公園と名がつく通り、此処は豊かな緑に囲まれた場所】
【故に公園には数多の生物が立ち寄ったりしているのだが、今彼女へと近寄るのは普通の動物ではなかった】


うー……やっぱ寒いのは苦手だにゃー……。……にゃ?


【頑丈な桟橋の上、コンコンと足で氷を小突く彼女に気付いたのは、少女と同じく高校生くらいの少女だった】

【茶色のショートヘアーに、明るく人懐こそうな山吹色の瞳。小麦色より少し薄めの肌だが、健康的なイメージを抱かせるには十分だろう】
【服装は大きめの、黄色に赤いラインが横一文字に描かれたデザインのウインドブレーカー】
【しかし下半身はといえば、黒いスパッツの上に茶色のホットパンツを穿くだけであった】
【そして一番特徴的なのは、少女の頭でピコピコと揺れる猫に付いているような黒い耳。そしてウインドブレーカーとホットパンツの隙間から垂れる、黒く長い尻尾だろう】


……幾ら凍ってるっていっても、其処はちょっと危なくないかにゃー?

【桟橋を軽快に歩きながら彼女へと近寄って、そう軽く声を掛けた少女】
【その声に反応して彼女が少女の方を向けば、少女も気付く。彼女が持つ違和感。それが宝玉のものだとは気付いてないのだけども】
【そして彼女からも分かることが有るだろう。まずこの少女、靴を履いておらず裸足である。危ないとはどの口が言うのか】
【更にこの少女が人間でないということも、妖怪とか妖魔とか、そういった類に詳しければ何となく察知することが出来るのかもしれない】

/よろしくお願いしますー
485 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 00:30:05.05 ID:qthaFiRk0
>>481

【バッジを見てぽかんとしたような、ぼーっとしたような表情。少ししてからその意味を理解したようで】
【すぐさま視線をアサドの方へと戻す。なんというか、何か期待をしているような眼差しだ】

ハミィはハミィだよ、ハミィ・カドゥケイス!…で、アサドさん、アサドおにいさん?自警団さんなの?
ハミィね、いま“せんせー”を探してて…そうだった、“せんせー”探してたんだった!
帰りが遅いから探してて、そしたらだんだん、眠くなってきてね…気がついたらワープしちゃってたの!

【ハミィという幼女はワープ説を唱えているが、少なくともワープなんて異常な現象は起きていないだろう】
【その“先生”という人物を探していた途中に睡魔に襲われ、気がついたら知らないところまで移動していたようで】
【ハーダがそれに気がついたところでアサドと遭遇した―――そう思われる。恐らくはハーダの主もその“先生”なのだろう】

【この分だと帰り道を知っているかどうかも危うい。ハーダが道を覚えている可能性もあるかもしれないが】

せんせーね、何かケガしてたみたいだから…心配でつい、来ちゃったの。
アサドにいさん見なかった?帽子かぶってて、黒くて、喋らないけど喋る人っ!

買い物に行ってくるからって言ってたけど、倒れてたらどうしよって思って…っ

【やや寂しそうな眼をして、アサドに理由を話すついで、そのような質問を投げかける】
【きっと先生とやらの説明なのだが、謎掛けのような理解しがたいヒントが出て、より分かりにくくなった】
【買い物が終わるのを待っていた、ということならば遠くには行っていないとも思われる】
【何より表からハーダに乗ってやってきたのだから、ハミィ自身も相当目立っていただろう。あちらも探しているかもしれない】
486 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 00:35:34.31 ID:ehQ1UFBxo
>>482

……お、おいおい、泣く事ないだろ……?
別に怒ってる訳じゃないって……な?

【いくらこんな男であっても、泣かれると流石に同性相手でも狼狽えるもの】
【しかも、軽い調子の詫びを予想していたのだから尚更のこと。本人であるのは違いない筈なのだが……奇妙】
【一度会っただけとはいえ、この程度で泣く様な人間ではなかった筈。しかし疑問に思う間もなく、答え――ヒントというべきか――は与えられた】

へ…………?忘れた……?
いや、忘れたって何を……っておい、待てって!

【ディハートの事を忘れた=H―――いや、それでは様子の奇妙が説明できない。解答としては不十分だろう】
【それだけならば、もっと自然に笑う筈。それがこうもぎこちないとなれば、選択肢はそう多くない】

【記憶喪失∴スいは―――知り合いと思われたくない=z

【万が一後者であったならばショックはかなり大きいが、そちらの可能性は低いだろう。そう思いたい】
【ならば前者。いや、だとしてもどうしたものか……と思っている内に、手を払われた。このままでは逃げられるが―――】

――――随分と挑戦的な態度取ってくれるじゃねえか……。
いいぜ……それならこっちにも、手はあるんだぜ……?

【独り言。呟きながらも彼の背中を視界に捉えて歩き出す。呼び止める為ではなく、後を付いていく為に】
【そしてそれと並行して、ディハートは携帯端末を取り出す。電話帳、表示された番号は――――あの日会ったもう一人=z
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 00:39:12.59 ID:A0JhoX9U0
>>484

【そっと冷たくなった手を温める吐息が立ち上ってゆく、ぐるぐると白く渦巻いて、まるで白蛇がとぐろを巻くように】
【この後どうしたものかと考えている幕間だった。帰るにはまだ少し惜しいような、遊んでいたいような、そんな気持ち】

【――誰かが訪れてくれたなら、願ったり叶ったり。もう少しだけ遊んで行こうと決めて、そっと振り返った】

……、……わあ、ねこさんだ。

【のだが、なんだか決めた覚悟よりも相手の容姿のほうに意識を取られてしまう、猫耳は流石に予想外だったよう】
【猫らしい容姿の彼女に対するのは鈴の音の声を持った少女、なんだか不思議と気の合うような、そんな出会いがしら】

危ないかな? ……水嫌いだから落ちたくはないんだけど……、だって、凄く凍ってるみたいだったから。

【水が嫌い。ならば尚更こんなことをしている場合ではないだろう、それこそ、彼女の言うように危ないことなのだから】
【もしも落ちたとして水の深さも不明。これだけ凍っているならかなり冷たいだろう、最悪命にすら関わるのに】
【「やっぱ駄目かなー」という風でのろのろと足を上げる少女の仕草、なんだか余裕があるようで、少しだけの違和感】

【――凄く凍っているみたいだったことが大事だった。どれぐらい凍ってるのか確かめたかった好奇心が少女にはあって】
【猫耳の少女に言われたことでやっと危ないということを再認識。足を上げたなら、やがてはゆっくりと立ち上がる】
【身長百六十センチに靴底を足した身長はぎりぎりで百七十センチに届くほど。少女というには長身だった】

こんばんは、……さむくないの?

【桟橋の上、凍った水面、それを背景にして佇む少女は、かわいさ重視ではあるがそれでも防寒はしっかりとしていて】
【それでもなお寒いという風にケープを身体に寄せていた。それから、肩に掛けた鞄の位置をもぞもぞと微調整させて、】
【ちょこんと不思議がるように首をかしげるのだろう、尋ねるのは――やはりというか、彼女のその恰好】
【やがて見ているほうが寒いという風に身体を震わせた、――正しくは、ちょうど吹き抜けた夜風に、だったのだけれど】
488 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 00:39:46.14 ID:WS20g1XU0
【人々から忘れられ、後は時間の流れと共に朽ちてゆくだけの神社】
【嘗ては村の子供達が遊んでいたであろう名残が哀愁を漂わせるも、現代に於いてはその近くにあった村すらも無くなっており】
【ならば、訪れる者が居ないのも必然。普段ならば風が吹き抜ける音だけが聞こえようが――――】
【今宵、其れに交じる一つの童唄。無論、唄っているのは子供では無く…………女の其れだ】


「全く、あの九十九も律儀なのねぇ…………確かにあの子を作らせたのは私だけれど――――
まぁ…………元気そうだったから良いわね」

【着物を纏い、艶の有る黒の髪。姿こそ二十代の女だけれど、纏うのは正しく人外の気配だ】
【賽銭箱を椅子代わりに使うなんて罰当たりな事をしているが、本人は微塵も気にしている様子は無く】
【漆黒の双眸が空を見遣れば一つ呟きを漏らして】

【神社ならば、聖を放っていても不思議では無い。しかし、一際強い“聖”は女性自身から放たれている事が分かるだろうか】
【童唄に誘われてか、或いは他の要因があってかは分からないけれど】
【石の階段を上ったならば、真っ先に女性の姿が視界に収まる筈で】







【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】
489 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/17(月) 01:03:03.06 ID:Kk+27AV2o
>>487

【第一に、綺麗な声だなと思った。夜風に鈴が響くような、凛とした声色】
【ふとそんな事を思ったのは、厳寒の澄んだ空間の中でこの彼女が佇んでいたからだろうか】

にゃー、まぁ分からないでもないけど……水嫌いだったら見るだけにしておくべきじゃ無いかにゃー?

【綺麗だけどにゃー……なんて水面を見ながら呟く少女は、少女の発言のちょっとした矛盾に小さく疑問を抱えて】
【しかしその好奇心は自分にもあって否定出来ない。現に少女は、先ほど彼女がやっていた事を今にもやりそうな、ウズウズしている雰囲気だ】
【危ないと自分が今さっき言ったことを忘れてるんじゃないかと彼女に思わせるには、十分なくらいで】

【彼女が立ち上がれば、その身長に少し驚かされる】
【顔立ちは自分と同じくらいなのに、背の高さは彼女の方が高かった。それも10cm以上。……見上げる少女の顔は少し呆けていた】

こんばんはにゃー。
ん、全然、寒くない……にゃよ!。むしろソッチが暑そうだにゃ!

……あ、ニャーは端喰。端喰 音去だにゃ。よろしくにゃー!

【彼女の指摘は至極全うなそれだっただろう。しかし少女にはさも当然というような風で否定し、逆に指摘までする始末】
【ピョンピョン飛んだり跳ねたり、準備運動のように動く辺り少女は本当に寒くないようだが、それが少女の異質感を強めるだろう】

【次に少女は名乗るのだが、これもまた変てこだ。なんだって名前がそのまま「ネコ」なのだから】
【こうなれば、「少女が普通の人間」で有ると思うほうが難しい。猫耳と尻尾は、まるで意のままに有るかのようにぴょこぴょこ動いていた】
490 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 01:03:38.14 ID:Dwk/1plPo

>>485

ハミィ・カドゥケイスか。よろしくな!
…………その先生≠チてのが、コイツの本当の持ち主か?

【幼女――――ハミィが名乗り返してきたなら、アサドは豪快に笑うだろうか。あながち子供の相手は嫌いではないらしい】
【期待の視線を真っ向から受け止めながら、ハミィの話を聞く。ワープ説はさておいて、大体の事情は推察できた】
【アサドはハミィにやっていた視線をハーダへ向ける。砂漠でも特に知能の高い生き物だ、当てに出来る可能性は高い】

帽子被ってて黒くて、喋らないけど喋る人ぉ?
なんだそりゃ…………いや、待てよ。喋る、喋る…………。

…………ははーん、大体読めてきたぜ。ハミィ、お前『喋り屋』の嬢ちゃんの知り合いか。
怪我してるってのが気になるが…………何かあったのか?

【戦場での機転は利く方だが、別に地頭が良い訳ではない。謎掛けじみたハミィの言葉にアサドも当惑した様子だったが】
【『喋らないけど喋る』というキーワードで、流石にピンと来たようだ。共に戦場を掛けた仲間のことは、アサドは決して忘れない】
【そして、そこまで来れば思い出す。彼女はあのサンドワーム討伐の折、報酬としてハーダスフィリアを貰っていった筈だ】
【――――口を動かさず言葉を紡ぐ、『喋り屋』と名乗る不思議な少女。それを口に出して、アサドは確認を取ろうとする】
【何にしても、怪我をしているという言葉が特に心配だ。……尤もそれに関しては、今まさにボロボロの格好をしているアサドが言えた事ではないが】

よし、どうせ暇だった所だ。俺が一緒に探してやるよ!
ハミィ、そのせんせー≠ェ行きそうな場所、心当たりとかないか?

【ともかく、ハーダが覚えているであろう帰り道とアサドの土地勘があれば、ハミィを家に帰すのはそう難しくない筈だ】
【本当に怪我をしているなら大変だし、まずは少女を捜すのが先決か。アサドはそう考え、ハミィへ気前よく返事をすると、ひとつ質問を投げかける】
【この辺りは警備や捜査のために幾度も訪れたことのある場所だ。一通り地理は頭に入っているし、よほどマイナーな場所でなければ案内できるだろう】
491 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 01:08:38.78 ID:3p4Ljenj0
>>486

―――…………


【少年は歩き出した。並行して後ろから聞こえて来るのは足音、音量から考えて、それは成人した男性の物……恐らくは、彼、だ。】

【少年の足は速い。戦闘時に見せる其れは、文字通り閃光の一端をも彷彿とさせる程で、……何が言いたいのかと言うと、例えば今走り出しまえば、】
【自分の姿を晦ます事だって十分可能だったという事。―――では、何故その様な行動を取らないのか……?】

【答えは単純、嬉しかったからだ。言い換えるなら、求めるべき助けを、求めずとも差し伸べてくれたから―――この理由に尽きる。】

【心配してくれている彼に頼らず、自分はこれからも一人で抱え込むつもりなのか―――?……このままでは何も変わらないなんて事分かっている。】
【心の何処かで、分かってはいるのだ。然し、"今"を認めたくない自分も何処かに居座って、離れようとはしない。……その板挟みの中に少年は居て。】

【やがて鳴り響くプルルルル……という呼び出し音、二回、三回コールした所で、『……もしもし、ねこもとですが、……ご無沙汰しております』と繋がるはずだ。】
【突然の電話に、という事なのだろう、彼も少々戸惑っている様子で、然しやがて要件は何かという旨の言葉が帰ってくる筈だ。】

【……彼と少年の距離、凡そ3,4m程だろうか、耳の良い少年なら、携帯電話から漏れる兄の声は、何とか聞こえる筈の音量だ。】
【然し依然として、少年の足音が止むことはなく、一定の速度が保たれている。"完全に"―――新たな言葉が、もう一度、補われてしまうのだろうか。】

492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 01:15:40.91 ID:A0JhoX9U0
>>489

【涼やかに伸びていくりんとした声は冬空の下にきっとよく似合っていた、まるで温度を持たないようなのに】
【それでも確かにひとの声、時折暖かな色合いを持つのが、なんだか甘くてしょっぱくて不思議なお菓子みたいで、ただ、不快じゃない】
【それとは別に凍っているとは言え水の傍に佇むのが何か不思議とよく似合う少女なのだった。こちらは、余談だが――】

そうかな……、そうだよね、落ちたら上がれないし……、――。

【むうと考え込む、猫を殺す好奇心で遊ぶには少々危なかったのかもしれない、なんて思考が揺れる】
【ならば落ちなかったこと、少女がこうして忠告してくれたこと、きっと感謝すべき案件だ。ぱちくりと瞬いたなら】
【そっと唇を開く、何か言葉を発しようとした気配が――ふと、彼女のうずうずする様子に気がついた】

……、楽しかったよ、普段は水なんだなって思うと不思議な気持ちで。

【――にまりと笑った悪戯顔、如何?なんて風に背中を押してみるのが、いつか林檎を食わせようとした蛇のように】
【ここまで氷が張ることなんて滅多にないだろう、それなら余計に特別感が猫耳の少女を煽る、暗がりからそっと囁くみたいに】
【それでも。素足でやるには少々冷たいだろう、相手は当然氷なのだから――けれど、楽しかったという言葉を無視できるのか】

暑い? 暑くないよ、寒いぐらいなの……、……あんまり運動とかもしないし……。

音去? ……ねこって言うの? ふうん――わたしのお友達にもね、音々子って子が居るんだよ。
たまにね、猫みたいなんだけど……あんまり言うとね、ちょっぴり不機嫌になるの。

あ、……わたしはね、りんねって言うの。鈴音・シュトラウス……鈴の音って、書くんだよ。

【暑いなんてとんでもない。寒そうに身体を縮こめる様子から分かるように、彼女は寒いという感覚に満たされていて】
【寧ろ寒がりなほうだ――同時に暑がりでもあるけれど――とかく、この場は寒い。常識的に考えてとっても寒いなら】
【ぴょんぴょん元気な彼女の様子はやっぱり異質、けれど、「元気だね……」と返したそれで終わらせてしまうなら、】
【なんだか彼女が人間かどうかなんて全く気にしていないようだった。抜けているのか、許容性が高いのか】

【――彼女の名前は友達の名前を思い出させた。くすくすと笑いながら喋るのは少女の友人の話、ちょっとした余談】
【それから思い出した風に自分の名を告げる、何というか名が体をよく現した、彼女らしいと言える名前だった】
493 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/17(月) 01:31:57.67 ID:4hayXLPvo
>>488
【淀んだ空気、沈む瘴気、人を寄せ付けない雰囲気の大気の中に漂う不純物が紛れ込む】
【それは、ぷぅんと緩く漂う酒の薫り、嗅いだだけで酔ってしまいそうな強い匂いが、生き物のように少女の元に届くだろう】

───こいつぁ驚いた、ヤケに旨そうな匂いがすると思いきやこんな可愛子ちゃんがいるたァな
……あァ。い〜い夜さ、なぁ

【月夜挿す廃墟の兵の隙間、背中を預けて少女を見やる、とろんと蕩けたその片目】
【水色の着流し、下駄履き、白髪のポニーテール、前髪で左眼を隠した青年である】
【首に白いマフラーを巻き、腰には帯刀、刀に並べて瓢箪を吊り下げ、眠そうな半開きの目で口にはゲソの干物を咥えている】

少し肴は足りねぇが、花か別嬪さんの花魁か……月以外にも何かあるという事がねぇと思わねぇか?

【そう言って、吊り下げていた瓢箪を手に取ると、そのままゴクリと喇叭飲みする】
494 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 01:35:08.87 ID:qthaFiRk0
>>490

うん、よろしくアサドにいさん!
そうだよ、せんせーがお仕事帰りに連れてきたの。新しい「家族」だって!

「ぐるっ」

【よろしくと言われて、元気に同じく言葉を返すハミィ。ハーダは目が合うと、頷くように首を動かした】
【ハーダとの出会いのことを話しながら、抱きつくようにしてハーダの首元を撫でる。その時はハーダも満更でもない声で】

―――――!…そういえば、お仕事の時、お客さんに「喋り屋」って言ってたかも…。
あの人、お名前いっぱいあるから…良く分かんないの。

バレンタインに、ラグナールの港で、お仕事してくるって言ってた―――帰ってきたら、ぼろぼろだったよ。
―――――もしかして、おにいさんも、怪我してるの?

【一応、「喋り屋」という名にはピンと来たようで。そんな名前の人間他にはいないだろうし、辺りだろう。】
【しかし、一緒に暮らしているであろう彼女にすら本名を明かしていないようだ…故の先生という呼び名なのだろうか】
【なんとなく、アサドにもそう聞いてみた―――彼の服をよく見てみて、そう思ったのだろう】

【――――バレンタインデー。今年は水の国のラグナール、その港にて海賊が現れた日でもあった】
【並べられたワードからその事件を連想することは容易、SCARLETであるアサドならばその時のメンバーの情報が入っていてもおかしくない】
【その時確かに彼女はその地にて、悪と対峙していたのだ。いつも通りの『喋り屋』という名で―――】

―――――ほんと?探してくれるの?
けど、せんせーが行きそうなところなんて、分かんないよハミィ…。

――――――あ、広場!お水があって丸い広場に居るかも!せんせーいつもそこで座ってるよ!

【少しだけ悩ましげに、思考を巡らせる。最初は思い当たる節など無かったのか、すぐに首を振って】
【しかし、すぐに先生の居そうな場所を一つだけ思い出した。ここから近い場所にある憩いの広場とでも呼ぶべき場所だ】
【「お水」というのはよくある噴水で、そこを中心に丸く広がっている広場。恐らくはその場所に、先生が居るらしい】
495 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 01:36:17.62 ID:oBXeJogyo
>>491

【いくらチャラい≠セとか軟派≠セとか言われても、それ以前にディハートという男は自警団員で】
【それに、この男は自分の正義≠持ち、それに従い生きている様な人間だ】

【目の前に問題があるなら、突っ込んでいく――――そういうスタンスが、ディハートの中の自警団≠セった】

ああ、ちゃんと通じたか。
ディハートだけどさ、今さっき、ねこやまに会ったんだけどな――――、
その、何つーか……“変”っていうのか……―――とにかくまあ、妙な様子でな。

【コール音の後、無事に目的の人物へと繋がった事を確認するや、早速、手短ながらも伝えるべき事を口にしていく】
【“らしくない”態度、忘れてしまった≠ニいう言葉、そして振る舞いに感じた違和―――】
【――先ほどの極めて短い会話の中で得た情報は、余す所など微塵も無く言葉にして】
【そこで一度、ねこもとの反応を待った。一息に情報を伝えたのだ、整理する時間を持たねば如何ともできまい】

【―――未だ彼此の距離は変わらない。近付きもしないが、遠ざかりもせず。もう一度、口を開く】

……まあ、そういう状況でさ。一人で無茶やるより、あいつの事知ってるやつに聞くのがいいかなー、って訳だ。
――こうして俺が言葉で言うより、直接会って確かめる方が早いとは思うが―――どうだ?

【一応、と伝える現在地に序詞が付いたのは、相手が旅人と聞いていたから】
【直接会うのが早くとも。それが今、叶う状況にあるかが不明であったからだ】
496 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/17(月) 01:41:15.89 ID:Kk+27AV2o
>>492

そうそう、だからやっぱり……。

……そうにゃね。何時もは掴めない水が凍って掴めるようになると、何だか不思議な気分にゃ。

【と、窘めるように言う彼女だったが、やはり言葉と行動が一致していない】
【やがて彼女が口を開けば、その言葉は誘惑。彼女が林檎を食わそうとする蛇なら、こちらは林檎に手を伸ばす人間のほうか】
【彼女へと放った注意は何処へやら、もう其処に、分厚く張った氷を危険だとする意識はないように思え】
【ストンと桟橋に座って、彼女と同じようにコツコツと指先で氷面を叩いて、「冷たいにゃー……」と呑気に漏らしている少女】
【林檎を食べたことによる罰が冷たく思ったことだけなら良いのだが―――】


運動はした方が良いにゃよー。ニャーは旅してるおかげで風邪一つ引いたことないにゃ!

奇遇にゃねー。世界には似ている人が3人居るって言うけど、名前が似ている人なんて沢山居るんだにゃー。
鈴、音……にゃ? ピッタリな名前だにゃー、鈴音は声がうっとりするほど綺麗だからにゃ!

【身体を動かすことの重要性を説けば、えっへんと小さな自慢をしてみたりする子供っぽい―むしろ彼女よりも―少女】
【少女自身、自分が化け猫だということは気にしていない。彼女が少女の事を「元気な子」だということで終わらせてしまえば、それまでだ】

【彼女の友人の名を聞けば、「ニャーは不機嫌にならないにゃよ!」と快活に笑う少女。それは自分の名前が「ネコ」だからだろうか】
【そして感想を言うために口を開けば、なんともストレートな褒め言葉だった。当たり前だが、これが少女にとって一番良く伝わる表現だから】


そういえば、鈴音はこんな夜中に何してたにゃ?
夜中に出歩いちゃ、お父さんとかお母さんが心配するんじゃないかにゃ?

【彼女から滲む異質な雰囲気を差し引いても、この世界だからこそ、こんな少女が夜中に出歩くのは危険だ】
【というわけで、疑問は少女にしてはマトモな意見だった。彼女と同じように首を少し傾げて、彼女の返答を待った】
497 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 01:55:05.46 ID:WS20g1XU0
>>493
【死臭と酒と脂の焦げた臭いと。其れはもう鼻が曲がっても可笑しくは無い場面が其処にはあった事だろう】
【今し方作り上げた髑髏の一つを手に取れば、まるでボールでも撫でるかのようにその頭蓋骨を掌が撫でて】
【――――青年の言葉には、小さく笑って返した。適当に弄び、飽きればその髑髏も地に放り投げられ】


「ええ、本当に良い夜。どんなお伽噺だって、夜に怖いお話があったり面白いお話が起こるのだから――――今日は、本当に良い夜ね」

【つい先程まで命乞いをしていた者達には最早興味を示さない】
【――――後は誰に拾われる事も無く、風に削られて存在を消してしまうと想像するのは容易な事だ】
【一見すればただの少女だ。こんな時間に出歩くには危ないと注意され、何処かへと連れられる歳】
【だが。だが…………そんな容姿にも関わらず、漂わせるのは悪魔の気配】


「私は面白いお話があれば別にどうだって良いのよ?
お酒も殺す事も死ぬ事もみーんな飽きてしまったもの。最初は楽しくても何百何千って繰り返していればやっぱり飽きてしまうもの
…………ふふ。ねえ、貴方。櫻の国の人よね?何か面白いお話でも持って居ないかしら?
さっきまでお話をしていた人達が居たのだけど――――ほら、こうやって私が口を動かしてあげてもなーんにも喋ってくれないから退屈なのよ」

【確かに悪魔である――――が。無闇矢鱈と人を襲う性でも無く】
【良く言えば人懐っこいとでも表せるか、無防備にも微笑みながら青年に近づけば、少しの距離を置いて立ち止まり】

【カチ、カチ、カチ。別な髑髏を手にとって、無理に上顎と下顎とを合わせて生じさせる音】
【其れがまだ玩具であれば、少女らしくも思えたのだけれど】
【兎にも角にも、死ぬのが飽きただとか、人の死を遊びにしたりだとか。――――何か面白い話が聞きたいだとか】
【果たして青年の興味を惹ける何かがあるかは分からないけれど】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 01:58:21.38 ID:A0JhoX9U0
>>496

【傍でそっと佇んで眺めていた、当然、その背中を押したのは言葉だけ、現実で押すようなことはなく】
【「面白いでしょう?」なんて目をしていたのだった。――二人で秘密を共有するみたいな、隠し事をするような、刹那】
【――いちおう傍に居るままなのはもしもの時を危惧していたのかもしれない。手を伸ばせないよりか、マシなはずだから】

本当はね、あんまり得意じゃないんだよ……、……おうちで寝てるほうが好き、かな。
旅は……昔してたんだけど。もうずっとしてないな――わたしの旅は楽しい旅じゃなかったから、もういいの。

【本当はあんまり運動が得意じゃないという。暴露のような語調だが、今宵初めてあったふたりなら、大したことでもない】
【暖かい/涼しい家の中でゆっくりしているのが好きな性質だった。ついでに本でも読めば、パーフェクト】
【ふわぁと白い息が立ち上る、いつかを思い出したように、視線は遠くを見つめて――自分のことを、少しだけ、話す】
【楽しい旅ではないというなら、思い浮かぶのは逃避行とかそんなものだろうか。この年頃で?なんて、思うかも――】

たまに怖いけどとってもいい子なんだよ、もしも会ったら仲良くしてあげて欲しいな――、
目がね、すっごく綺麗で……青林檎の色なの。髪が真っ黒でね、さらさらしてて……本当にね、猫みたいなんだ。

……ほんとう? ありがとう、嬉しいな――。

【友達のことを話すときは声色が少しだけ変わる、どこか暖かで柔らかなものへ、そのひとを想うように】
【もしも出会ったならよろしくしてやってと言う、その後に告げたのはその人物の見た目】
【黒髪にグリーンアップルの色の瞳となればだいぶ絞ることが出来るだろう、――比較的、珍しい色合いのようだったから】

【――褒められればはにゃと気の抜けたように笑うのだろう、嬉しそうに細められた瞳、立ち上る真っ白な吐息】

えっとね、お散歩してたの――家のほうね、雪だらけになっちゃって歩きづらいから。
歩ける道はなんとか作ったんだけど、そのほかは埋まっちゃった――寒い国だからね、仕方ないみたい。

……だいじょうぶだよ、遊んでくるって言ってあるから。でも、あんまり遅くなっちゃ駄目なんだけど――。

【出歩いていた理由を問われれば散歩だと返す、けれどその答えは少しだけ、おかしなようでもある】
【こんな世界にただの少女が夜の散歩など。命知らずか、よほど自分のちからに自信があるか、或いは馬鹿なのか】
【――宝玉を身にあしらうのだから前二つのどちらだろうとは分かるのだけれど。そもそも、“ただの”少女とは違う】
【けれどそんなことを説明もしないなら、気にした左手で煌くものがあった。薬指に嵌められた、銀蛇の指輪――】
499 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 02:10:03.77 ID:3p4Ljenj0
>>495

【沈んだ声だった。老成したとまでは言わないが、随分と大人びたねこもとの声が、より一層響く物に変化していた。】
【『……そのこと、………でしたか、』と、語調も随分と慎重そうに紡ぎ、然しそれはどうやら何か知っている事を示唆する内容で、】


『………ディハートさん。……………―――――。』

『……彼は一度、死んでいます。………今でも信じられませんが、……―――』
『………今こうして蘇っている様に見えるのは、……仮初の姿、と呼ぶべきでしょうか。』
『……"ねこやま"はもう一度肉体を得る為に、大きな代償を、……記憶喪失は、その一部です。』
『………"変"だと仰ったのも、恐らくその事だと思うのですが……、』

『……然し、私には、弟を守る事が出来ませんでした―――彼の顔をもう一度見る資格は、ありません。』

『………すみません、一息で全てを話してしまい………―――、』


【目の前の人物は確かに"ねこやま"で、然し彼は一度死を経験しているのだという。今この場に立って歩いているのは、謂わば仮初の姿であり、】
【もう一度動ける身体を得た代わりに、その代償として記憶喪失状態となっている。自分は弟を守ることが出来なかった、故に会う資格はない、………】

【以前、"ねこやま"と"ねこもと"が一緒になった時、一方は溺愛、もう一方は心酔と言った具合で、非常に仲が良かった事を覚えているだろうか。】
【だからこそより一層、この事実は兄にとって辛い物だった。芯の強い声が、時折途切れ途切れになったのも、確実に其処から来ており―――、】

【電話は切られていない。然し、ねこもとは静寂を保ったまま、……何かを話す気配は、全く無いと言って良いだろう。】

500 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 02:10:15.72 ID:Dwk/1plPo
>>494

家族、か…………そいつぁいい。これからも大事にしてやれよ。
そういや、「はーちゃん」ってのがコイツの名前なのか?

【「家族」――――その言葉と、仲睦まじいハミィとハーダの様子を見て、アサドは一層優しげな顔つきになった】
【ハーダは見た目こそ凶暴だが、頭も良く温厚な生物だ。彼らは主への恩を忘れない、種族は違えど、大切にすればするだけ良い関係を築ける筈で】
【…………そういえば、ハミィはこのハーダを「はーちゃん」と読んでいたが。それがあの『喋り屋』の少女が付けた正式な名前なのだろうか】

そうか、例の海賊騒ぎの時のか。
結構な激戦だったらしいが…………あの嬢ちゃん、色んな所に顔出してるんだなぁ。

【変な名前だとは思ってたが、やっぱり本名じゃなかったんだな…………と、アサドは彼女の顔を思い出しつつ益体もない事を考えて】
【ラグナール≠フ名が出れば、その表情は少しだけ陰る。あの地で六罪王と対峙し、力及ばず目の前で街が半壊した光景、忘れられる筈もない】
【そして先日の海賊騒ぎについても、アサド本人は別件で立ち会わなかったが、自身の部下が参加していたので知り得ていた】
【病院で暇そうにしている部下の顔が自然と思い浮かぶ。きっと『喋り屋』の少女の方も、相当な激闘だったに違いない】
【自警団や警察、SCARLET。そういった形はなくとも、同じく悪に立ち向かう者。実に頼もしい話だ――――】

――――ん?
あぁ、ついさっきまでちぃと悪者≠ニ戦ってたもんでな。なぁに、大したこたぁねえよ。

【…………と、そこでハミィに言われて自身の状態を思い出せば、元気な調子を崩さずに笑い返すだろうか】
【子供の手前言葉は濁しているが、実際はこちらも厄介な戦いだった。尋常ではない能力者を複数人相手にして、アサドも無事では済まなかった】
【その上、最近出回っているクスリ≠フせいで、同じような事件が頻発している――――なんて暗い事情は、もちろん話さなかったが】
【とりあえず、服がボロボロだったり血痕が滲んでいたりはするものの、怪我の処置は終わっている。本人の言の通り、大したことはなさそうだ】


お水があって丸い広場、か。了解、んじゃ早速向かうとするか!

【ハミィの言葉から、アサドの脳内に見知った噴水の風景が浮かび上がる。存外近い場所だ、移動にそう時間も掛かるまい】
【アサドは笑いながら一声掛けると、ハーダの手綱を軽く引いて、後に付いてくるように促すだろうか】
【その歩調に迷いはない――――順調に行けば、騒ぎにならないよう人気のない道を選びつつ、二人と一匹はすぐにその広場まで辿り着くだろう】
501 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/17(月) 02:31:05.41 ID:Kk+27AV2o
>>498

【彼女がコツコツと靴先で叩いて、割れなかったほどに厚く張った氷だから】
【それを少女が再現しても結果は同じだった。彼女が思うもしもは「もしも」で終わって、何回か小突いた所で少女は立ち上がる】
【その表情は、彼女が「どうだった」なんて言うまでもないだろう。満足しきった顔は、勿論笑顔だ】

ニャーも寝るのは好きにゃよ! 何も考えずにぐっすり寝ると気持ちいいからにゃ!

……旅は楽しいから旅にゃ! 楽しくない旅なんて旅じゃないにゃよ!

【寝てる、という単語に反応した少女。でもそれは、家でゆっくりするのが好きという彼女とはまた違ったニュアンス】
【たっぷり遊んでたっぷり寝る、と言った少女の性質も容易に想像できる。彼女が文学少女なら、少女は体育会系だろうか】
【楽しくない旅と言えば、幾ら少女でも理解できる。彼女の視線を少しだけ追えば、彼女の脳裏に映るものが少しだけわかったような気がして】
【でも、彼女の年齢を思えば疑問に思うのも事実。彼女に楽しくなかったと言わしめたのは一体何なのか、気になって】
【そうしたのを心に留めた上で、少女はそう言い切った。ある意味、少女の信念とも言えるものを】

にゃ、音々子……だったかにゃ? 勿論にゃ、覚えておくにゃー!
青りんご……ちょっと美味しそうにゃね。

【怖いと彼女は言うが、その口調は柔らかく、その小さな恐怖心すら消してくれるようで】
【ワケもなく力強く頷いたのは良いが、その次に出るのは美味しそうなんて言う言葉。やはり、子供っぽい】

雪かにゃ。確かに雪があると歩きづらいしにゃー。其処まで埋まってるならもっと歩きづらいだろうにゃ。

そうなのかにゃ……あ、その指輪綺麗にゃ! 誰かに貰ったのにゃ?

【経験談っぽく言えるのは、やはり旅人だからだろうか。この地にも、数日前雪が降っているのだけれど……】
【ともかく、彼女の理由ははっきりしたのだけれども。夜中に遊んでくると言って許す親はどんな親なのだろう】
【しかし逆に考えれば、この少女がそれなりに力を持っているということ。異質な雰囲気、それはつまり、こういうことなのだろう】
【そして彼女が気にした左手、薬指で光るものが何なのかは直ぐに分かったのだけれど、その意味は把握していないようで】

/すいません、睡魔が……
/そのせいか自分のレス速度が段々遅くなってますし、一旦凍結させてもらえませんでしょうか?
502 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/17(月) 02:31:29.44 ID:4hayXLPvo
>>497
くくっ、いいネェ、お嬢ちゃん、面白いじゃあねぇか
殺しも死ぬのも飽きたなんざ、一回言ってみてぇもんさ、くっくっく

【瓢箪から口を離し、ニヤリと歪ませた口で男は嗤う】
【少女の言う言葉に、普通ならば疑問を感じて然るべき物に、何も疑問符を浮かべずに】
【それは、少女の雰囲気がさせるもの、人ならざる雰囲気が、彼からした少女を見る目を人の常識からは外していた】

オイラはまだ、殺しは飽きやしねぇなあ、いくら殺しても殺し足りやしねぇ
極上の死合いで果てられりゃ、満足もできようか

【そう言って、男はずけずけと廃墟に入ってくる、下駄を鳴らして一見不用心に、少女に近づく】
【少女のすぐ脇をすれ違えば、背中を向けたまま屈み拾うは髑髏(しゃれこうべ)、もうどれがどれだかわからない、区別のつかない内の一つだ】

仏を粗末に扱っちゃあバチが当たるぜ、なぁんてぇのは子供騙しにもなりゃしねぇか?
昔の櫻の将軍ってのはよ、中には面白ぇ奴もいたもんさ
そいつぁ獲った対象首の頭蓋をその場で抜いて、それを器に祝杯を煽ったってなぁ
罰当たりもいい所さ、だがそれくらいじゃねぇと強者とは言えねぇ、そうは思わねぇかい?お嬢ちゃん

【拾った髑髏を片手に、一緒に少女を眺める様に、首だけ振り向く】
【髑髏の目から飛び出した彼の指が、芋虫めいてうねうねと動かして、カタカタと髑髏の口を鳴らす】

力ってのは、即ち狂気さね。強い者程狂人と呼ばれ恐れられるもんさ
───なぁお嬢ちゃん、死ぬのにゃあ本当に飽きたかい

【立ち上がり、振り向く、揺らぐ衣類の布の端と、ふわりと漂う酒の匂い】
【殺気はない、この後に及んで>氛氛沚の刀が、触れてもいないのにカチャリと打ち鳴る】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 02:44:09.06 ID:A0JhoX9U0
>>501

【楽しそうにしてくれたなら、薦めた甲斐があったというものだ。実際、自分だって楽しかったのだから】
【その感性を肯定してもらったようなら嬉しくもある。結果、彼女だってにこにこしてその顔を出迎えた】

暖かくてふわふわのお布団に埋まるみたいに眠るの、ふかふかの枕とぴしっとしたシーツを用意してね、
隣にはテディ・ベアを並べて……そうやって眠るのがね、だいすき。……隣で眠ってくれたらもっと嬉しいなぁ……。

……そうだね、じゃあ、あんなの旅じゃなかったみたい。だってね、ちっとも楽しくなかったもの。

【ぴしっとしたシーツ、ふかふかの枕、ふわふわのお布団、それが三種の神器で、睡魔の国への特急チケット】
【そこにぬいぐるみを並べればさらにグレードアップ、そこに一緒に眠ってくれるひとがいたなら、もうたまらない】
【――薬指の指輪を見つめていた。一緒に眠って欲しいひと、一緒に眠ってくれるひと、そっと教えるように】

【彼女の言葉を聞いたなら、あっさりあれは旅じゃなかったと認めてみせた。そっと伏せた瞳はどこか、寂しそうなそれ】
【同時にどこか羨ましそうでもあった。楽しい旅をしているのだろう少女を、羨む気持ちが、確かにあったから】

宝石みたいでとっても綺麗なんだよ、でもね、じぃっと見てると怒られちゃうの――……。

【そこまで言うのなら本当に瞳の綺麗な子なのだろう、回想してみる視線はほうとほどけていくようで】
【それならよほど大切な友達であるらしい。そこかしこに落ちているような友達にするには、あまりにも濃い表情だから】
【困ったように笑ってみせた、――或いは、そんなところが“ちょっとこわい”のかもしれない】

最初は楽しいんだけどね――……最近ちょっと、飽きてきちゃったかも……。
雪かきなんてしたことないの、全然慣れないし……腰痛くなるし、つめたいし、寒いしっ……。
……だからね、ずーっとおうちの中に居ようかと思うんだけど、……それもちょっとね。

【――彼女の住まうのは夜の国。ただでさえ寒いその国には、最近ちらほらと雪の降る日が増えてきて】
【積もることもままあった。基本的に雪かきなんてせずに生きてきた人生だから、そんなときは困ってしまって】
【“旦那さん”に頼んでみたりもするけれど、それはそれで申し訳なくて――なんて、いろいろ、困っているらしかったが】

これ? ……これね、わたしの“だいすきなひと”に貰ったんだよ。……綺麗でしょう?

【話がそこに及べば、その表情は友達に向けた親愛よりも柔らかくほどけていく、とっておきの愛情を示してはにかんで】
【月明かりに透かすようにすれば銀色がきらりと煌いた、蛇の瞳に宿す黄緑色もぴかぴかと艶めいて】
【当然のように自慢してみせる、それぐらいに、よっぽど大事なものであるらしかった】

/了解ですー、明日は大した用事もないので都合のいい時間に呼んでくださいなっ
/ひとまず今日のところはおつかれさまでした! また明日よろしくお願いしますー
504 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 02:49:52.68 ID:qthaFiRk0
>>500

うん、ずっとずっと一緒にいるよ!ねっ、はーちゃんっ
せんせーセンスないから、ハミィが考えた名前なの。ハーダスフィリアだから、はーちゃん!

【ハーダ、もといはーちゃんは呼ばれるも返事はない。がしかし、少しだけ頷いた気もした】
【先生と慕う彼女のセンスが皆無だとばっさり。矢張り子供、何の躊躇いもなく言葉を放つ】
【その名前を説明する時の笑顔はとても楽しそうで、無邪気と形容するが一番であった】

【こくり、とハミィは頷くだろう。どうやらそうして何時も遠くへと「仕事」をしにいくらしい】
【海賊が襲来した日もそうしてラグナールへと渡り、悪と戦っていたようで】
【その結果、病院送りとなったのだが―――とある事情で勝手に病院を抜け出したのはまた別の話】

そうなの?大丈夫ならいいけれど…怪我とか、したら痛いんだよっ!
見てる人だって、痛そうって思っちゃうよ!

【それは普段の彼女の思っていることなのだろうか。喋り屋が家に帰るたび、怪我をしているためだろうか】
【アサドの様子を喋り屋の怪我に重ね合わせて見た故に零した言葉だったとしたら、彼女も子供ながらに心労は多そうで】
【ともあれアサドが大丈夫だと言ったなら、ハミィは安堵したように微笑むのだろう】

【ハーダは素直にそれに従い、ハミィを乗せたまゆっくりと歩いていくだろう。ハミィはハーダに掴まり、そのまま】
【彼のことばに「うん」と告げたなら、ハーダも彼に歩調を合わせる様に、その道を歩いて行くのだった】

――――――あれ!せんせーだ、多分せんせーっ!

【件の広場についたなら、噴水の回りを囲うように配置されたベンチが見えるだろう。その中に一人、誰かが居た】
【ハミィは着くや否や、その誰かを指さし、やっと見つけたと言わんばかりに甲高い声をあげる】
【その誰かはどこか忙しなく、何かを探すように辺りを見回したり、何か考え込んだりしているのが目立つだろう】
【良く見れば、黒いカーディガン、ブラウスにキャスケットの少女―――正しくそこに居たのは『喋り屋』本人だ】
【彼女はハミィの声に気付くと、少しだけ辛そうにベンチを立ち上がり―――右足を引き摺り気味に、こちらへと歩いてきた】

『ハミィ、今までどこに行ってたのさ…!一人で出歩くのは止めなさいって言ったじゃっ…?』
『君、は確か前にも会った…アサド―――――?…ちょっと、ぼろぼろじゃないか!大丈夫なの!?』

【歩きながら、相も変わらず、人差し指を喉に当てて偽りの声を使い、ハーダに乗る彼女へと声をかけるだろう】
【結局、言葉は途切れ、手綱を持ちハーダを此処まで連れてきた人物―――アサドへと視線が向けられた】
【その後半の言葉は、アサドへの心配。そして、何かにハミィが巻き込まれたかもしれないという不安が籠っていた】
【無表情の仮面はこの時だけは、どこかへと。子供を心配する保護者の顔、と言えば伝わるだろうか】
505 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 02:59:18.04 ID:WS20g1XU0
>>502
「死んだ後の事なんて、別に良いじゃ無い。ふふ、もしもその時の姿のままで幽霊になってしまうのなら、きっと今頃あの人達はとってもスリムね
――――それとも、首と身体とが別々なままで彷徨う事になるのかしら。それならまるで首無し騎士みたいで面白そう
何処かでは頭で玉蹴りをしていて遊んでいたみたいだし、それと同じかしら。人間は面白いわよね――――どうせ直ぐに死んでしまうのに、同じ種族で暇があれば殺し合っているのだから
その中で強者だ弱者だなんて…………見ていて、面白いけれど」

【まるで自分は“面白い”の対象外。種族が異なるのだから当然と言えば当然だが…………小娘が其れを言い放つ違和感】
【カツンカツンと廃墟に足音を作れば、其処等の瓦礫へと腰を落ち着かせて】
【青年の動かす髑髏を楽しそうに見ていれば、時折笑い声を漏らし――――不意に、指が虚空を撫でる】
【さて、次の瞬間には髑髏に変化が訪れる事だろう。まるで一瞬にして何年の時を経たかの様に朽ち始め――――やがては砂と化す】
【無論、青年自体に危害は加えられない。強いて言うなれば、其の砂が指を伝って流れる事を不快に思うか否か程度だ】


「ええ。焼かれて斬られて潰されて…………こんな場所では言えない事だって、沢山沢山。だから、飽きたの
おんなじ事をしてみた事もあったけど――――それだって、もう詰まらないわ
だから、こうして人間達を見たり、時々干渉したり掻き回したり。そうやってずっとずっと時間を潰しているのよ
何時死ねるかも分からない時間をこうやって。…………殺し足りないなら、私を斬って遊んでみる?
きっとピリオドにはならないけれど、一節にはなるかもしれないわよ?」

【殺されようが死ねない身体。だから、何度も死を体験している】
【――――きっと、比喩では無いのだろう。物騒にも刀が鳴れば、其方へと視線を移して小首を傾げるが】

【ただの細首。無銘刀だって、簡単に切り落としてしまえそうな程に】
【挑発、でも無いのだろうが…………。きっと、青年が構えても少女が何か行動を示す事は未だ無く】
506 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 03:01:37.26 ID:O0rmC8YEo
>>499

…………――――――――は?

【思わず、声が漏れた。返ってきた言葉が、余りにも予想外だったから】
【足も止まっていた。幸いすぐに気が付き、まだ背中を見失ってはいなかったけれど】
【しかし先ほどまでとは明らかに、二人の間にある距離は広がっていた。同じだけ距離を詰める事は、出来なかった】

……そう、か……、悪い、そんな話、こんなズケズケと聞いちまって……。

どういうやり方で今に至ったのかは知らねえけど、な……こういう言い方も変かもしれないが――――変な事≠ヘしてない……よな?
その、何だ……やっぱり、普通の事じゃないだろ……?

――――別に、お前達を疑ってる訳じゃないんだけど、な。どうしてもな……気になっちまうんだよ……。

【一度死に、そして再び現世に肉体を得た―――この世界においても、そう起こらないケースだ】
【生前の彼、ねこやまが所属していた“UNITED TRIGGER”が結成される切欠ともなった、風の国への襲撃―――】
【その主犯がかつて、死者を蘇らせたという話はある。そこにも見えるように、やはり“只事ではない”事態であって】
【疑ってはいない。疑ってはいないのだが……訊かずには、いられなかった】

ああ、それとな……会う資格がねえとか、んなもん手前で決めんじゃねーぞ?
はっきり「会いたくない」って言われたんだったらまだしも、記憶が無いんだったら、そうじゃねえだろ?

――――気持ちが落ち着いたらでいいから、会ってやれよ。逃げないで≠ネ。
もしかしたら、それで何か変わるかもしれねえだろ?

【意識か無意識か、幾分か暗くなっていたディハートの声がまた、元の調子に近付いていく】
【あの日、病院で会った時、あれだけ再会を喜んでいたのだ。会えばきっと、ねこやま≠ヘ喜ぶ筈だ】
【今のねこやまがどうであれ、自分の知っているねこやま≠ネら、そうだろうと。】
【だから、言った。会え≠ニ。すぐには無理でも、きっと、いつか。他意などなく、そうするべきだと、思ったから】

【そして、ディハートの歩みが緩まる。今、自分が彼を追い掛けて、何か出来るのだろうか?】
【――――そんな疑問が、胸に湧いていた】
507 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/17(月) 03:28:50.51 ID:4hayXLPvo
>>505

人だけじゃあねぇさ

【サラサラと流れる砂を握り、手の中で感触を感じてから、開いた手からまた落とす】
【散った砂が風に舞い、下駄履きの足に絡みつくのを感じながら、彼は続けた】

人だけが同族殺しをする訳じゃあねぇ、そこら辺の犬畜生だって、腹が減りゃあ殺し合いして肉を喰らう、縄張り欲しさにぶち殺す
寧ろ人だけだぜ?理由のある殺しに疑問を持つのなんざなぁ、まったくおかしな事だと思いやしねぇか?
生きる為に殺すなんざ当然の事、殺されるのが嫌ならただ死ななきゃいいだけの簡単な事。それを否と言う事がさも高尚かみてぇによぉ、つまらねぇったらありゃしねぇ
殺さば死ね、死なざば殺せが生き物の正しい在り方よ、そうだろう?

【彼の表情に変化は無い。狂った思想家が理想を語る様に目を見開くでなく、狂った道化師が至高に身を捩らせる様に嗤うでもなく】
【唯々、酩酊したような愉悦の笑み、酒ではなく、殺しに酔った男の顔が其れである】

人で無い奴も沢山斬ったさ、あぁ今はコイツ≠フ為にやっちゃいねぇが

【腰に吊るした瓢箪に目線をやって語り、彼は一歩少女に近寄った】

面白いねぇ嬢ちゃん……なあ、死ねねぇってのはどんな気分だ?
いくら斬っても、斬られても、自分が死なず相手だけがいつか死ぬ、戦いの矜恃も何もありゃしねぇつまらねぇ命さ

───オイラだったら御免だね、そんなのは

【また一歩、近づく、と───】
【刹那、抜刀。そして接近。大股の一歩が一気に距離を詰め、右手が刀を掴むかと思えば、刃が閃く】
【少女がその場に入れば、狙い横に薙ぐは首の高さ、風を斬り裂き空気に隙間を開けて】



【止まる】

【それは、その刃は、少女が動かなければの話だが───薄皮一枚の所で止まっている】
【まるで元からそこにあったかのようにピタリと止まるその刀身からは、冷たい酒が滲み出ていて、雫を真下に静かに落としていた】
508 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 03:33:22.64 ID:Dwk/1plPo
>>504

そうか、お前が考えた名前だったか。
まー確かに、そんな可愛い名前を付けるタイプにゃ見えなかったな、あいつ。

【「はーちゃん」…………アサドのような無骨な男には到底付けられない類の名前である】
【あの『喋り屋』の少女が名付けたのであれば、すました顔で案外可愛らしいところがあるんだな、ぐらいに思っていたが…………】
【名付け親はやはりハミィだったか。からかうネタが一つ減って若干残念がりつつ、アサドは「はーちゃん」に改めてよろしくな、と軽く声をかけ】

まーそりゃ、怪我したら痛いけど…………。
そうだな、見てるヤツに心配かけるってのはいけねぇよな。心配してくれて、ありがとよ。

【――――自分が痛いだけじゃない。怪我をすることで、誰かが心を痛める。そんな当たり前の事に気づかされて、アサドは素直に礼を言った】
【当たり前のことを、当たり前のように言ってくる子だ――――そしてその当たり前≠アそが、最も難しくて】
【自分も相手も無傷で済めば、それに越した事はない。だが現実問題、アサドはあの男達に傷つけられたし、逆に傷つけもしてきた】
【多者との違い≠ニいうものは、未来永劫無くならない。まして正義と悪とでは、あまりにも相容れなさすぎる】
【だからせめて、一つでも争いが少なくなるように、アサドは戦っている。戦いを無くす為に戦うなんて矛盾を抱えたまま、それでも足掻き続けている】

【――――あの『喋り屋』は、どうなのだろうか。ふとそんな疑問が頭を過ぎるが、その時にはもう噴水広場に着いていて】
【溌剌としたハミィの声の先にその本人を見つけると、アサドは「よう」なんて軽く手を振ってみせるだろうか】


おう、久しぶりだな嬢ちゃん。
子供は目ぇ離すとすぐどっか行っちまうからな…………ましてハーダって足がある分、遠くまで行けちまう。気ぃ付けろよ?

…………っと、心配すんな。この怪我は別件だし、大した傷でもねぇ。ちょっと一つ任務≠終えたところでこの子と偶然会ったって塩梅でな。

【『喋り屋』が浮かべる表情や危惧の思いは、歳の離れた弟がいるアサドにも馴染み深いものだ。気持ちも良く分かる】
【それだけに、軽く忠告。捜索範囲が広がればそれだけ発見も遅れてしまう。今日も裏通りに近い人気のない道へ迷い込んでいた事だし、危険ではあったのだ】
【諫めるような言葉を掛け終わると、怪我についても説明する。とはいえこの程度の傷、隊長として常に前線に立つアサドにとっては日常茶飯事と言ってもいい】
【それこそ唾を付けておけば治るぐらいの気持ちで居たのだが………怪我は自分だけでなく、周りにも痛みを与える。ハミィの言葉、肝に銘じておかねばなるまい】

っていうかそういうお前さんこそ、足大丈夫かよ? こないだの海賊事件から日も浅いし、まだ病院に居た方がいいんじゃないのか?

【――――心の中で反省しつつ、アサドは逆に『喋り屋』の右足について言及するだろう。恐らくは例のラグナールの事件で負った怪我か】
【あの事件からまだ二日ほどしか経っていない。出歩いていて大丈夫には思えないし、足を引き摺るような状態となれば心配も募って】
509 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 03:44:16.47 ID:3p4Ljenj0
>>506


『否、私の方こそ……心配をかけて済みません………』

『……仮初の姿……彼の魂の肉付けをしたのが、………ふぉんてーぬという男です。』

『………料理の腕前が高く、店も開いているのですが……元々彼は死を取り扱う死霊術師です。』
『……死と契約、従属を代償に生を与える、……今、私の弟はふぉんてーぬに付いて居るはずです。』
『………もしかすると、店で働いている……のかも知れない、……です……―――、』

『……蘇生という行動自体、変な事以外の何物でもないだろう……否定は出来ないです。』
『………ただ、私達の……本質が変わる事はありません、何があっても―――、………。』

【一度死を経験したねこやまを生へと導いた男が、ふぉんてーぬという死霊術師。彼と契約する事で、今ねこやまはこうして生きている。】
【その事自体、変である事には変わりない。死んだ者が蘇るという事象は、此の世の常に反した、自然の摂理に抗った物であることは否めない。】
【然し、"ねこもと"や"ねこやま"の行動原理、正義に生きるという思想だけは、絶対に変わる事がないのだと言う。……この時だけは、語調が強かった。】


『――――…………、………』

【静寂。落ち着いた声、話し方は思わず高い年齢をイメージするが、彼もねこやまと同じ16歳。普通なら学校の友達と勉強やら部活やらといった年頃だ。】
【頭の中で、直ぐ様現状を処理し切れないのは、ある意味当然とも言えるだろう。自分は一体何をすれば良いのか、何をしてあげられるのか―――、】
【彼が言っている事は間違いなく正しい。然し、心の何処かで自分を咎める自分が居て……結局の所、ねこやまと同じ、板挟みの中に立っているのだ。】

【ただ、彼の場合は、結論を導くのが早かった。……早くも弱い自分を挫いた、と表現しても良いだろう。】


『……もし、ディハートさんが、良ければ、……ですが。』

『………一緒に、会っては頂けないでしょうか………、直ぐに、何処にでも、行きますので。』

【ねこもとが誰かに何かを頼む、初めての経験だ。……逃げている自分、ねこやまと向き合うのを恐れる自分……どちらも、嫌いだった。】
【だとすれば、ディハートの手を借りる事とはなったが、彼が踏み出したのは紛れも無い一歩。今のねこもとなら文字通り、何処へでも駆け付けるだろう。】

510 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 04:06:41.48 ID:WS20g1XU0
>>507
「ふふ、原始的ね。人間は話し合いでどうにでも出来るなんて誰かが言っていたわよ?
でも、貴方の考え方の方が面白いわ。付け加えるなら殺したいときに殺していれば良いのよ
どうせ幾ら強くたって千も万も時を生きられないのでしょう?なら、たった一回の命ぐらい好きにしてしまえばいいのに」

【地面にこぼれ落ちた砂。或いは、青年ならば其れが何か目的を持って移動し始めている事を理解出来ようか】
【然れど所詮砂。形を成すまでには時間が掛かる。何より、一つの形に留まらない其れは実に判別が難しく】


「さっきからお酒の臭いが強いとは思ってたけど…………其れが原因かしら?
枷か約束か分からないけど――――意外と律儀なのね?何かの“為”に何かをしないなんて
私だったら、無理にでもどっちもするけれど」

【追うかの様に、視線が瓢箪へと向けられる】
【殺しを好みながらも枷を着ける事に対して“律儀”なんて言葉は皮肉か】
【一歩詰めても二歩詰めても動かない。瘴気を消す事は無いが、魔力を漂わせもしない】
【そんな時、鋭い一閃が少女の首に向かって放たれ―――――――】


「そうね。貴方は本を読むかしら?何か好きな本があるなら、一冊だけ其れを想像しみて
ずっと其れだけを、永遠と読まなきゃいけない事に似ているわね。死なない事って
同じ話を何度も何度も繰り返していたら、どんなに好きなお話だったとしても色あせてしまうの
次はこんな文章だとか、こんな展開だとか――――全部全部分かってしまうから」

【丁度同じ程の距離感で“砂の刃”が青年の首筋付近で止まっているだろうか】
【まるで意趣返し。砂の一粒も皮膚を削る事は無いにしても、だ】
【――――酒の滴る刃の切っ先を摘んだならば水平に移動させ、自分から距離を作る。それに応じて、砂の刃も青年から離れて】


「本当に詰まらないわよ。死なないっていうのは
眷族を作ったりもしているけれど、だから世界征服が出来る訳でも無いもの
…………残念ね。貴方もそんな退屈を味わってみたいと言うのなら、私の血をあげたのに
あら…………美味しいお酒、ね?」

【永遠と生きるのが詰まらないのは本当。眷族を作っても少ししか満たされない事も本当。ただ、最後は些細な冗談だ】
【気紛れな悪魔。求めて契約を結ぼうとする者を戯れに殺し、必死に拒む聖職者を戯れに悪に染める。言ってしまえば、小さな小さな災害】
【――――指に伝って滴り落ちる雫を舌先で受け止めたならば、口の中に酒の味を広げて】
【どうでも良い様な、良くない様な。そんな感想を漏らしたならば、悪魔は嗤う。そんなやり取りだって楽しそうに悪魔は嗤う】
511 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 04:15:31.88 ID:oBXeJogyo
>>509

死霊術師……ネクロマンサー、ってやつか……なるほど。
料理人兼ネクロマンサーのふぉんてーぬ、か……。

――――ああ、あいつも、悪い方にはいってなさそう、ってのはさっき話して何となく分かった。
……「何があっても」―――言ったからには、曲げんじゃねーぞ?

【強い語調に、口元、笑みが零れた。まだ若いながらも、ちゃんとした芯がある――】
【――そんな様子が、心地よかった。確固たる信念、正義。それを持つということは、とても大事な事だから】

【静寂。ディハートはただ、ねこもとの言葉を待った。すぐに答えが出せる問題ではなかったから】
【寧ろ、この場で答えを導くのは難しいだろう――――そうも思っていた】

【――――しかし、ねこもとは。その予想を、裏切ってくれた】
【自然、歩調が速まる。まだ、まだ追い付ける筈。ここで見失う訳にはいかない……!】

……オーケー、どうせ俺は明日は休みだ。付き合ってやるよ。
場所は…………――――――

【自分の現在地を伝えながら、何人もの人を追い抜いていく。開いた距離を、取り戻す様に】
【いた。追い掛けていた背中を、今一度視界に捉えた】

【一度切れた糸だって、結び合わせればまた一つになれる―――】
【長さは変わってしまったって、そのまま離れてしまうより何倍もマシだ―――】
【だから、自分が彼に、否、彼達に出来る事。それは――――】
512 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 04:22:47.29 ID:qthaFiRk0
>>508

【ん、と納得したように声を出して頷くハミィ。分かったならそれでいい、という風で】
【アサドが考えていることは、彼女には分からなかったが―――自分の言いたいことが伝わったと分かれば、また笑顔】
【全てが幼い、子供故の行動と発言。戦うことにすら慣れていない彼女に、戦士である彼らの苦悩は分からないのだろう】

【今ここに居る喋り屋も目的は違えど同じ。ハミィという少女の為に、報酬金目当てで戦っている】
【その上で悪を倒し、彼女の日常を脅かす敵から守ることが出来るなら、本望なのだろう】

『――――そう、か。無事なら、それでいいんだ…君が見つけてくれたんだ、ありがとう』

『―――――まさか、ハーダに乗っていかれるとは思ってなかったよ。どうやって乗ったのさハミィ?』
『ホント、恩に切るよ。こんな夜遅くに…ごめんね。次からは私もちゃんと見張っておくよ…』
『…ハミィ、ちゃんと待ってろって言ったでしょ?一人っきりにしたのは、悪かったけど…』

だって遅いんだもん、待ちくたびれて寝ちゃったんだから!
―――――あ、アサドにいさん、一緒に探してくれってありがとうねっ!

【ぷんすか怒ったように、喋り屋に文句を言うハミィ。喋り屋は苦笑いで「悪かった」と軽くあしらう】
【それを不服そうにしつつもすぐに笑顔をつくってアサドの方を向いたなら、遅れて彼女も礼を言うだろう】

『――――ラグナールのこと?確かに、私もいたけど…良く分かったね。ハミィから聞いたの?』

『――――――それこそ、心配するようなことじゃない。私は大丈夫だよ、慣れてるから』
『生活にも大した支障なんてないし、もうじきにちゃんと動くようになるさ…それに、病院嫌いだし』

―――――――――むぅ…。

【――――そんなつっけんどんな言葉で返すこの女は、アサドのように気付かされているわけではないようだ】
【怪我が周りの心を締め付けていることになんて気が回っていないし、気がついたとて彼女に出来ることなどないのだろう】
【普段はすましているようで、実際は見た目通り。目配せを上手くやるには彼女はまだ若すぎるのかもしれない】
【余りにも子供染みた最後の方の言葉だけは、ぼそっと、聞こえるかどうかぐらいの声で呟いたのだった】

【そんな強がりを見せるのだからこそ、ハミィがハーダの上で頬を膨らませたりするのだが、喋り屋が気付く様子もなく】

【途中、喋り屋はベンチへと向かう。そこには先程言っていた、買い物の袋らしきものがあった】
【それを持ってまた足を引き摺り歩き、戻ってきたなら袋の中から何かを取りだすだろう】

『――――――コレ、お礼。間に合わせみたいで悪いけれどさ、この間バレンタインだったしそれも含めてね』
『これぐらいじゃ返しきれないけど、せめて受け取ってよ…ああ、ハミィ、君のもちゃんとあるからね?』

――――!…ほんと?これ、食べていいの?

【取り出したのは、何とも甘そうなチョコレートケーキ。茶色のスポンジにチョコムースと板チョコの欠片が乗っている】
【どうやら元々ハミィへのプレゼント(と、自分へのご褒美)として買ったものらしい。ケース入りのそれをアサドへと差し出すだろう】
【チョコケーキを嬉しそうに眺めるハミィを見て、喋り屋は思わず淡い笑顔を作る】
513 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/17(月) 04:37:02.42 ID:4hayXLPvo
>>510
【まるで其れは、戦いの中の駆け引きの一幕の様な風景】
【刀を突き付け止める男と、全く同じく鏡合わせに食らい付く砂の剣。一瞬の判断が生死を分つと、見たものは言うだろうか】
【だが、それは違う。これが勝負であったなら、負けが死であるなら、勝者等最初から決まり切っているのだから】

そいつぁつまらねぇなぁ、だったらこいつも何度か視た事かい?

【死なないのなら、全てを既視しているのなら、そんな相手をどう殺す?】
【何万もの事柄を掻い潜り、視た事の無いやり方で殺すか、それで死ぬのか、それは否】
【殺しても死なないなんて、死合いの旨味も糞も無い、死と死に挟まれた中の昂りが一つも無いのに、どうして愉しめようか】

なぁ嬢ちゃん、だったらお前はどうしたら死ぬ?
首を刎ねても死なねぇか、体を焼いても死なねぇか、仏に拝んでも成仏しねぇかい?
そんなもん、殺しても死なねぇなら、まだ豆腐でも斬ってる方がマシさね

【少し辛辣に言うそれは、彼が殺しに対する、死に対するある種の信仰があるからであろうか】
【ゆらり、と揺らぎながら右腕を上げ、刀の先端を少女に突き付けながら、ニヤリと嗤う】
514 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 04:44:22.46 ID:3p4Ljenj0
>>511


【『分かりました、』の声と共に、何やらパチパチと火花が散るような、静電気が鳴っているような音が聞こえただろうか。】
【……数秒も経たない内に、彼らの半径100m程にまで近付く事が出来たのは、彼の能力を使用した故、だ。】
【普段の旅では決して有り得無い行動だ。それが定められた戒律であり、彼自身も必ず守ろうとするルール。】

【然し今回ばかりは別だった―――多くを語らずとも、その理由は明らかで。】

【彼の見かけは一貫して目立つ。茶色の飾り気の無いローブに、草履。何とも簡素な、然し旅人だと言われれば案外納得できる物だろうか。】
【高い身長が功を奏し、ねこもとは直ぐ様、ディハートを見つける事だろう。先ずは感謝の意を伝え、……今度は数m先に居るねこやまの背中を捉える。】
【何kmもの距離を移動した割には、息も切れていなければ、疲労感も感じさせない……が、その顔付きは矢張り、緊張の色を隠し切れていなかった。】

【ディハートやねこやまと同じ歩調を保つ。……然し逆に言えばそれは、ねこやまに追い付こうとはしていないという事。】


『………何と……声をかければ良いでしょうか。』

【随分と弱気な発言。ねこやまと向き合う事は約束したが、……果たしてどうやって、という事だった。】
【ねこもとの狼狽える様子が窺える筈だ。かつてはこれ以上無い程仲睦まじく接していた分、逆に今となれば難しい。】
【ここは今客観的に物事を判断できるディハートに頼らざるを得なかった。……明晰な頭脳も、今ばかりは空回り。】

【今までは愛おしくも格好良くも、或いは自分よりも成長を実感させられる弟の背中。然し今だけは、全く異なって見えて。】


515 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 05:02:59.14 ID:Dwk/1plPo
>>512

【ハミィと『喋り屋』。どういう形にせよ、二人は家族≠ナあるのだろう――――微笑ましい対面の様子をアサドも楽しそうに眺め】
【ハミィの礼と『喋り屋』の謝罪に、「おうよ」と軽く返事をする。先程の注意も別に怒っていた訳ではないし、二人の団欒を邪魔したくはなかった】

――――慣れてようが大した怪我じゃなかろうが、それは自分にとってだけだ。
お前さんを大事に思ってる奴は、その怪我と同じだけ心を痛める事になる。
まぁ、俺みたいに悪と戦うのが仕事って訳じゃねぇのに、お前さんがそれでも戦ってるのには相応の理由≠チてのがあるんだろうが…………。
戦うなとは言わねぇけど、ハミィのためにも、した怪我はしっかり治しとかねぇとダメだぜ?
周りに心配掛けないって意味でも、次の戦いに備えるって意味でもな。

…………なんつって、俺もさっきハミィに言われて反省したところなんだがな。いい家族≠ェいるじゃねぇか、嬢ちゃん。

【怒るハミィにも気付かず気丈に振る舞う『喋り屋』の様子を見れば、自分もこうだったのかとアサドは苦笑いを浮かべ】
【先程言われた事に自分の言葉を付け加えて、滔々と語り出すだろうか。といっても解釈した事を並べるだけで、説教臭さのようなものは無いが】
【しかし――――何せこんな年若い少女が戦場に立つのだ、もっと特別な理由があると思ったのだろう。彼女の戦う理由が、ハミィにある事には気付かず】
【家族のために金を稼ぐ。そんな単純な事を察せられなかったのは、灯台下暗しという奴か。流石にアサドも、自分と全く同じ理由とは思わなかったらしい――――】

おぉ、チョコレートケーキか!? ありがとな、これだけ貰えりゃ十分だぜ!
…………これ、食ってもいいかな?

【アサドが、果たしてバレンタインにチョコレートを貰えていたのかはさておいて。『喋り屋』から贈られたプレゼントを受け取れば】
【ケース越しに微かに漂う匂いから、それがチョコレートケーキであることを一瞬で見破ると、アサドは今日一番の笑顔を浮かべるだろうか】
【食べ物のお礼ほどこの男に相応しいものもない。しかも今はちょうど胃の中が空っぽだ、返すどころか逆にお礼を返したいぐらいの気持ちで】
【――――我慢の限界を迎えた腹の虫が、そこで咆哮を上げた。アサドはハミィと全く同じ表情になり、全く同じ台詞を言うだろうか…………】
516 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 05:11:31.68 ID:WS20g1XU0
>>513
「正確な数字は覚えていないけれど、何度かは見た事ね
だけど――――貴方の様な人は居なかったわ。皆が皆私を殺そう殺そうって臭いが強かったもの
もしも私に時空を操る能力があって、今までのそんな人達を集めたら…………貴方が一番最後まで立っているんじゃないかしら」

【漸く立ち上がれば、一度指を鳴らして】
【其れで終わり。砂も在るべき姿へと戻るし、不意打ちが起こる訳でも無い】
【虚空から取り出すのは一冊の本で、最早掠れて題目すら読み取れなくなってしまった物】
【果たして何度捲ったのかは分からないが――――今一度、今宵ページを開いて】


「さあ、私にも分からないの。死にたくても死ねないなんて不便な身体よね?
でも、人間はどんな化け物も殺してきたのでしょう?
竜だって、神様だって。その中に悪魔も例外では無いのだから――――きっと、貴方達が私を殺してくれると思って居るわ
悪魔は滅ぶべき存在だもの。何時になるのかは分からないけど…………私の事も殺してくれるのでしょう。だから、待っているわ
殺されても死なない、死にたくても死ねない醜悪な悪魔のお話にピリオドを打ってくれるのを」

【その中へと手を入れて、引き出したのは何やら不可思議な物だ】
【蛸の足にも見えるが――――どうにも色がグロテスクであり、まるで深海の不気味な生き物】
【そんな姿にも関わらず平然と掴めば青年へと差し出して】


「ああ――――思い出した。其れの事
天狗のあの子に宜しくね。ふふふ…………あんな姿でも今は一応何処かのリーダーでもしてるんでしょ?
どうみたって貴方の方が強そうなのに不思議な話
――――貴方があの子の知り合いなら、お漏らしをしてただとか誰が苦手だとか弱みでも教えてあげれたのだけど…………もう、行かなきゃいけない時間だからまた何時かの日かしら

そうそう、ありもしない神様に頼んでも消えはしないけど…………貴方達が直接手を下してくれれば、きっと消える事が出来るわ
それじゃあ、さようなら。まだ寒いから――――酔っ払って雪の中で寝てしまわないように気を付けてね?」

【切っ先が突きつけられれば、自然と視線はその先に向けられるが。次には、「思い出した」の言葉と共に瓢箪へと向けられて】
【クツリと笑みを零せば緊迫感だって壊してしまう】
【奇妙な物を受け取ったにしろ受け取らなかったにしろ、少女は別れの言葉を告げればそのまま本の中へと消えていって】

【余談ではあるけれど。その生物、何やら香ばしい香りがしており】
【囓ってみれば、其れはもう絶妙な味わいであるそう。見た目が少々良くないが…………味だけならば、一級品のツマミとなろうか】


/時間も良い感じてすのでこの辺りでありましょうかっ
/お疲れ様でありましたですよー!
517 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 05:16:38.90 ID:oBXeJogyo
>>514

【耳が捉える異音。しかしそちらに意識を大きく割く訳にもいかず】
【すぐに現れたのは、見覚えのある姿。つい先ほどまで電話越しに話していた、張本人】

こりゃまた早い―――張り切ってるねぇ……。

――――ま、あんまり緊張する必要ないんじゃねえの?
記憶喪失だ、って先に分かってて決めたんだから、その辺の覚悟は出来てんだろ?

【小さく口笛を一つ、正に飛んで来た≠謔、な彼に一言】
【見れば、緊張した面持ち。そこでディハートは、敢えて平時の、軽い調子を選んだ】
【口元に弧を描き、明るいトーンで話す。そんな“普段通り”の姿は、ねこもとに返す言葉を、体現したものでもあって】

そういうのはな、深く考えるから泥沼に嵌まるんだよ。

……余計な事考えないで、今までどういう風にしてたか思い出してみろ――――
―――それでいいんだよ。いつも通りが一番いい。ダメだったら……そりゃそん時考えればいい。

【いつも通り、今まで通り。変に気取って、違う接し方をしたのでは意味が無い――】
【――ここで二人が会うならば、特別な事があってはいけない。あくまで“普通に”接する事で、】
【それが何か、記憶喪失という現状からの進展へと繋がるかもしれない。そう考えるが故の、助言】

――――――さあ、準備はいいか?
そぅれ、行ってこーい!

【―――と、助言まではいいとして。ここでディハートは、ねこもとの背中を思い切り前へ押し出そうとして】
【伊達に自警団をやっている訳ではなく、細身ながらもそれなりの力がある男で―――】
【これはもう、『普段通りにし過ぎだ』と言わざるを得ない行動である】
518 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/17(月) 05:39:16.66 ID:4hayXLPvo
>>516
ごもっとも

どんな化け物だって、最後にそいつを殺すのは人間さ、それが不死身だろうと、首が沢山生えてようとなぁ
いつか殺されるさ、お前ェもなぁ、今日か明日か……とにかく、いつかは人が勝つ
その時を精々楽しみにしてな、くっくっく

【二度、空気を斬り裂いた刀を、鞘に押し込み、カチンと納める】
【彼が人の前で刀を納めるのは、斬った後か相手する価値無しと見た時だけ。いまの少女は相手にする意味は無い】

くっくっく、どっちが強ぇかなんて、やってみねぇとわからねぇからなぁ
ま、今はまだ酒と引き換えに斬るのを辞めてやるくらいの興味って訳よ

【あの天狗と、瓢箪と引き換えに盟約を結んだ程度の仲である天狗と知り合いらしい少女に、しかし関係があった事には別段驚く様子もない】
【気持ちの悪い餞別を、嫌がる事なく鷲掴みにして受け取り、天狗の話題に嗤った】

……くっくっく、死なない化け物、か……

【───死なない怪物すらも殺したならば、それは一体どこまで登った姿か】
【人が鬼に近付き、正しく鬼となるには、それすらも容易く越える必要があるか】

───面白ェ……!

【ナマモノを咀嚼する音と共に呟いた一言は、冷たい月夜に飲み込まれた】

/お疲れ様でした
519 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 05:47:39.29 ID:qthaFiRk0
>>515

【アサドの言葉にしばらく、言葉を失って――― 一度、ハミィの方へ視線をやって】
【当のハミィはというと、目が合った時に何を思ったか地面の方へと目を逸らした。気恥ずかしいらしく】
【結局言い返せなかったのは、それに対し一理あると思ったからなのだろう。また少しして、言葉を紡ぎ始める】

『――――――――自分、だけ。自分だけ、か』
『けど私は…それでも、戦わなきゃ…それがハミィのためだし、それに…』

【ぶつぶつと、何か言い訳じみたことを呟いては、眉間にしわを寄せて、難しそうに何かを考える】
【やがて、考え疲れたかのように深く息を吐くと、喋り屋は気まずそうに頬を掻いた】

『――――心配かけまいって思って、言ってたのに…逆に心配かけちゃったか、やれやれだね』
『はは…そりゃ探し出されちゃうよな、ずっとそんなこと思ってたなんて知らなかった』
『気付かない私もどうかしてたか…ここ最近、ずっと戦ってたから、不安にも思うか…』
『そうね…ちょっとくらいは大人しくしとくよ、しばらくゆっくり出来なかったしね』

――――ん、じゃあじゃあ、せんせー!今度魔術っていうのハミィにも教えてよ!

【参った、と言わんばかりに目を伏せて笑う。どうも、彼女も反省したようで】
【ハーダの角に抱きつくハミィの思いに応えようと、少し背伸びして彼女の頭を優しく撫でた】
【ハミィの陽気そうな声に「はいはい」とだけ伝えるその様子は、あながち満更でもなさそうで】

【良い家族、そう言われてはまた嬉しそうに笑う。ここまで自分を信頼してくれる人が居るのは、やはり嬉しい】
【だからこそ、今度は心配掛けないように「無傷で戦う」なんてことを思ったりもするのだが―――まあ、無理だろう】

『…ははは!いいよ、そのためにあげたんだから…食いたければ食いなよ』
『喜んでもらえたなら何より、その代わり高いヤツでもないから、味は保証できないよ?』

――――――ん、おいひー!

【鳴った腹の音に、少し間を置いてから―――思わず笑ってしまい、チョコケーキを食べるのを促す】
【アサドに渡したそれはただの市販のチョコレートケーキでありながらも、食べれば普通に美味しいだろう】
【板チョコの歯応え、チョコムースとスポンジのコラボは甘すぎず、食べやすい】
【口をもごもごしながらチョコレートケーキの感想を言うハミィに苦笑いし、アサドへと感想を求める様に視線をやる】
520 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 05:48:08.90 ID:3p4Ljenj0
>>517

【普段通り、普段通り―――余計に何も考える事無く、かつて接していたのと同じ様に、ねこやまと話す、】
【頭では分かっていても身体が言う事を聞かないというのは、正にこの事を言うのだろう。】
【平常心を保とうとすればする程、平常心を保つ事に対しての焦りを感じ始め、そんな自分に大して更に……という具合のスパイラル。】
【彼に背中を押されたのは丁度その頃だった。まさかの想定外だったのか、恐らく体格では上を行くだろうねこもとも思わず前に出る。】

『………あ、………』

「……………―――」

『……………。』

「……………俺、やろか?」

『……あ、……そ、その……』

「………悪いけど、変な宗教はお断りやで……」

『………い、や、……私は……』

「…………あ、何か………」

『………、……』

「……すごいカッコええわ、お前………」

『………、………………』

『…………―――有難う、……また。』

「……え、何やの………泣いとるし……」


【―――自分は平常心を保てなかったが、当の本人のねこやまは、どうやら普段通り、だった。】

【彼にとって自分は見ず知らずの人間の筈、にも関わらず自分の事を"格好良い"と評価してくれた―――。】
【それは生前、散々言ってくれる口癖だった。若しかしたら、街中で出会う変人を撃退する為の策なのかもしれないが、……ねこもとには耐えられない。】
【これ以上彼と接するのは不可能だった。簡素なローブだけでは、溢れる涙を止めるには不十分で。】

【やがて、ディハートの元へと戻って来るのだろう。傍から見ればチャラい大の男と目頭は真っ赤、号泣中の大の男という、】
【それは丸で不可解極まりない組み合わせの二人が並んでいる事になるが、まあ今に限っては、それも許される。】
521 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 06:15:53.92 ID:Dwk/1plPo
>>519

ま、俺が言えた義理じゃねーけど…………兵士が一番苦労するのは、戦いが終わった後で普通に日常に戻ることだって言うしな。
心がささくれたら家族とゆっくりするのが一番だぜ?

【家族=Bそれはアサドにとっても特別な言葉だ。だからこの台詞も、『喋り屋』だけでなく自分に向けたものでもある】
【楽しげにやり取りする二人をアサドもまた楽しそうに見やって、満足そうに笑う。自分もこうありたいものだ、と】
【…………「魔術かー、俺も教わりてぇなあ」なんて呟きが最後に漏れたのは、アサドにその才能が全くないからこその高望みだったが】

――――――ん、うめぇー!!

【『喋り屋』に許可を貰った瞬間には、アサドはケースの封を切っていた。味は食ってから考えると言わんばかりの行動力だ】
【ベンチに腰掛けると背中のケースを放り投げ、ごどん、と重たそうな音が響くよりも素早くケーキの包装を剥ぎ取り】
【手掴みでケーキを一切れ摘むと口に放り込む。暫く間があって、今度は二倍の速度で同じ行動を繰り返し】
【口をもごもご動かして、やはりハミィと全く同じ調子で感想を言った頃には――――ケーキは、板チョコの一片に至るまで消えて無くなっているだろうか】
【元々大食漢のアサドだが、今日はいつにも増して速い。よっぽど腹が減っていたのだろう、まさしくケーキの贈り物は渡りに船だった】

【アサドはベンチにもたれ掛かって満足げな声を漏らし、一息付いた後――――】


はー、美味かった美味かった! ありがとな!!
さて…………時間も時間だ、報告書も上げなきゃならんし、俺はそろそろお暇するぜ。
…………胃にモノ入れたらなんか余計腹減ってきたしな…………。

【やがて天頂に登った月に気付けば時間を確認して、がばりと起きあがる。これ以上は流石に部下に怒られてしまう】
【一度詰め所に戻って報告書を作らねばならないし、この分だと予定していた外食の時間は無さそうで】
【…………何より、二人を見ていたら自分も家族≠ノ会いたくなってしまった。詰め所で余り物でも漁るか、と意地汚い思考を裏腹に】
【アサドは重たそうなケースを片腕だけで持ち上げると立ち上がって、皆へと軽く手を振るだろうか】

じゃーな、『喋り屋』の嬢ちゃんにハミィ、それにはーちゃんもな!
次会うときはまた戦場かもしれんが、お互い家族のために頑張ろうぜ!!

【最後に大声で声を掛けると、アサドは広場から去っていくだろうか。出口まで行けば最後にもう一度振り返り、今度は大きく手を振って】
【家族≠守るため、これからも戦いは続くだろうが――――自分のためにも家族のためにも、壮健にやっていけたら良いな、と】
【今宵出会った二人と一匹の家族の幸せを願いつつ、男もまた、自らの家族の元へと帰って行った――――】


/長時間ありがとうございましたー!
522 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 06:21:36.77 ID:61zX0K2po
>>520

【眇めた視線で二人を眺める。声を掛ける事もしなければ、それ以上近付く事もしない】
【いまはただ、二人の時間だ。――――ねこもとがろくに話せなくなるだろう事も、想定済みだったが】
【それでもこうしてまた、二人が共にある事。それだけでも少しは“進んだ”のだろう、と。】

……――――いや、今は何も言わないでおく。

【どうだった、と、言いかけた言葉を呑み込んで。余計な言葉を掛けるより、今はそっとするのがいいだろう】
【暫くの間、ディハートは黙ったまま、そこに居る。ねこもとが落ち着くのを、待つようにして】

――――もう……いいのか?
だったら、適当な所で飯でも食っていくか?金が入ったところだからな、奢ってやるぜ?

【近くの壁に背を預け、腕を組んで問い掛けるのは、半ば答えの分かった質問】
【続ける問いは、笑いを添えて。自分が空腹を感じていたからの言葉だったが、】
【やはり何事も食事から。そういった点から考えれば、激励の一つとも、考えられて】

【―――何にせよ、二人を引き合わせるという、ディハートの役目はこれで一旦終了だ】
【ここからどう転ぶかは、やはり当人次第。その途中でまた、二人が誰かの力を借りるのかもしれないが】
【最後は結局、自分達の力なのだ。だからこそ、ディハートがするのは最低限の事だけで―――】

【最後の問いにねこもとがYesと言おうとNoと言おうと、ディハートはふらりと何処かの飲食店へと歩き出すのであった――――】



/ここらで〆ということで……!
/お疲れ様でしたー
523 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 06:26:19.01 ID:3p4Ljenj0
>>522
/ありがとうございましたー!
/色々とありますのでこちらの〆は後でという事に……!
524 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 07:09:14.82 ID:qthaFiRk0
>>521

『―――そうだね、この怪我の御蔭で家族とゆっくり過ごせる、とかポジティブに考えてみるかな』
『君も、ある程度平穏なうちに家族と話しておきなよ、いつどう事件が起きるか分かんないしさ』

【冗談っぽい感じで他愛もない会話を続ける。反省の結果、というものだろう】
【喋り屋もそのことを深く、心に刻むのだった。戦闘の出来ないしばらくは、家で過ごすことになるか】
【いつ何が起こってもおかしくないこの世の中で休息を取るのもいささか不安ではあったが、こればかりは仕方ない】
【今は大切な家族のことを考えて、共に居る時間を大切にしようと思うのだった】

【最後の呟きに、少し首を傾げ、なら教えようか―――とも思ったが、彼に魔術のそれが要るのか疑問に思ったので、言わなかった】
【サンドワーム討伐の時も彼の実力は垣間見えた、戦闘における魔術に関しては不要かと思ったのだ】

『―――――――――美味しかったなら何よりだけどさ、もっと落ち着いて食べなよ』
『ったく、一体どんだけお腹空いてたんだか…もうちょっと味わって食べればいいのに』

【まるで似たような反応をする二人に、またも苦笑い。あっという間にチョコケーキがなくなるを見てそう呟く】
【こんな時間に付き合わせたのだからいくら礼をしても足りないくらいだったが、これでいいのならそれで】
【ともかく、ケーキが好評のようで良かった。ここまで美味しそうに食べられると、買った側も嬉しいもので】


【礼に対し軽く手を振って、どういたしましてを伝える。去ろうとする彼を笑顔で見つめてから】

『――――――――そう、時間とって悪かったね。夜も深い、気をつけて帰ってね』
『勿論、次も家族の為――――精一杯頑張るから、もしまた共に戦うことになったら、よろしく!』

――――――ん、じゃあねアサドにいさん!怪我増やさないようにねー!

【ベンチに座り、足を休める様に座って。その状態のまま彼へとぷらぷら手を振るだろう】
【それに従い、はーちゃんに乗ったままのハミィも大きく手を振って見送る】
【はーちゃんもまた、手を大きく振るアサドを見ながら―――低く、ぐるる、と鳴いた】

【そのまま彼女たちは、彼の姿が見えなくなるまで出口の方向をずっと見つめているのだった】

/お疲れさまでした、ありがとうございました!
525 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 11:38:32.48 ID:vV/DCAmr0
【そこは暗部と呼ぶにふさわしい場所だった】
【人々の熱気溢れる大通りから外れて、小道にそれた先にある路地裏】
【社会悪の蔓延る、犯罪の温床だった】

【今日も、道を外れた不良達が一人の少年を取り囲んでいる】

『オイ、俺等は知ってんだよ。テメーが金を持ってることをよー!』
『痛い目遭いたくないだろ?いいから出せよ』
『おい、そっち押さえてろよ』
『ウス』

「ちょ、っとやめて下さい…!」


【小柄で線の細い華奢な白髪の少年 】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう 】

【そんな非力と思われる…いや、事実、非力であろう少年が暴力を振るわれている】

【その周囲には髪をど派手に染めたいかにも不良の匂いのする4人の男性が少年の腕を押さえている】
【誰が見てもわかる、カツアゲの最中だ】

「そのお金は、お店のもので…!」

『うるせえな…早く出せよ!』
『ってか、こいつほんとに男かよ…、手ェむっちゃ綺麗ジャン』

「は、離して…!」

【この世界には決して少ない生活の一コマ】
【だが、この凶行に気づく人間はいるのだろうか――――】
526 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/17(月) 11:58:35.15 ID:7JFi2/m80
>>525
【スーツ姿の黄色人種の男が通りかかった】
【髪の毛は伸ばしっぱなしで少し長めになっているが、身なりは整っている】

【考え事があるらしくしっかりと前を見ていない】
【案の定、少年と揉み合いになっている男と肩がぶつかった】

「いで!」

【男達の視線が青年に集中する】
【一拍の沈黙の後、青年は気まずそうに苦笑いをした】

『おいテメェなめてんのか!』

「いや、別に」

【一筋の汗が頬を伝う】
【慌てふためきながら青年が懐をまさぐっている】

「あの、この場はどうかこれで!」

【突然、厚い重量感のある札束が現れた】
527 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 12:14:33.34 ID:vV/DCAmr0
>>526
『あァ!?、てめぇどこ見て歩いて…』
『お、おい!見ろよこの金!』
『ほ、本物か!?』

【突如目の前に現れた札束に不良全員の目線が奪われる】
【さっきまで相手にしていた少年を無視して、全員が金を拾ろうとするだろう】

【おかげで少年は暴力から解放された】

「ゲホッ、ゲホッ…」

【解放され苦しそうに咳を数回するが、少年は逃げ出さずにその場に立ち尽くす】
【金を出した青年をじっと見て、何か申し訳なさそうな顔をしているのだ】

『こんだけ金がありゃあ…オイ!いくぞ!』
『わりぃな、兄ちゃんよ』

【下品な笑い方をして不良たちはその場から立ち去ろうとする】
【引き止めれば止まるだろうし、無視すれば不良たちは路地裏から出て行くだろう】
【その場合は、少年と青年だけがこの場に残ることになる】
528 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/17(月) 12:25:34.16 ID:7JFi2/m80
>>527
「君! 大丈夫?」

【少年に駆け寄って、しゃがみ込む】
【ぶつぶつと何かとつぶやいたかと思うよいつの間にかその手には救急箱が握られている】

「怪我してないかい? こんなとこに一人でいちゃ危ない」

【手を握って路地から少年を連れ出そうと出そうとする】

/このままだと何も起きないですし、敵とか準備したほうがいいですか?
529 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 12:42:51.10 ID:vV/DCAmr0
>>528
「すみません…ありがとうございます…」

【カツアゲされ、多少なりとも暴力は振るわれたようだが目立った傷はない】
【僅かに赤みを帯びた白い肌から察するに、軽く殴られた程度だろう】

「僕は…大丈夫ですから…」

【あくまで無事を訴えるが、殴られたのは事実。多少の手当ては必要だろう】
【用意された救急箱と差し出された手を見て、彼の親切心を受け取った】
【恥ずかしそうに、細く柔らかい手で青年の手を握って路地裏を飛び出す】

「あんまり、走らないで…くださいね…」

【痛むのか、わき腹あたりを押さえながら荒い呼吸で青年に言う】
【いくらこの場所が危険だからと言っても、走ることは難しいようだ】


【青年に手を引かれ、青年に着いていくだろう】
【行く先は公園なり、広場なり、とにかく安全で手当てのできる場所をこの少年は望んでいるようだ】

/うちの子の現状だと足手まといになりそうなので無理に戦う必要はないかと思いますがどうでしょう〜?

530 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/17(月) 13:04:16.38 ID:7JFi2/m80
>>529
/そうですね勝手に戦わなけれえばいけない気になってました

「このあたりの子だよね」

【今度は手から日本製のお菓子を出し、少年に与える】
【どうやら日本人らしい】
【思い付いたように手を叩いた】

「ねぇこの辺で超能力やら怪奇現象みたいな噂ってないかな。おじさんそういうの好きなんだよ」

【胡散臭い作り笑いで話し始めた】
531 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 13:22:40.27 ID:vV/DCAmr0
>>530

【場所は公園】
【適度な人気のある公園のベンチに座る】

「えっと…ありがとうございます」

【再び現れたそのお菓子に目を光らせ、すぐに受け取る】
【どうやらこの手のお菓子は好きなようだ】
【無用心にも、そのお菓子をもぐもぐと頬張りながら、青年の話を聞く】

「…お兄さんは、旅人さんか何かですか?」

【超常現象、超能力】
【この手のものはこの世界では珍しくない】
【この世界には異能があふれかえっている】
【それこそ、持つ者と持たぬ者で社会規模で軋轢を生む程度には】

【右を見て左を見て、その手の力を目にするのは難しくない】
【事実、この少年も能力者だ】
【そういったものがお目にかかれない遠い国から来たのだろうか。と少年は考える】

「その、なんと言ったら良いか…たくさん、あります…ご存じないですか…?」

【能力者至上主義、カノッサ機関等の悪の組織の存在】
【能力者による暴力事件、人ならざる人外の存在】
【語りだせばキリがない、と少年は青年に伝えるだろう】
532 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/17(月) 13:37:45.62 ID:Kk+27AV2o
>>503

【少女同士、性質の違いは有るにせよ何処か通じるものは有るのかもしれない】
【例え一方が、また何方もが人間で無くても、本質的に考える事が似通ったりするのはこの2人から明らかで】

にゃー……ニャーには豪華すぎて考えられないにゃー。いっつも薄い布団とちょっと固めの枕だからにゃー。

そうにゃそうにゃ、美味しいものを食べて、綺麗な景色を見るのが旅にゃ!

【少しだけ羨ましいと思ったのは顔にも出ているはず。旅人で、それが常とは言えども一介の女の子でもある少女なのだから】
【薬指に嵌められた指輪は、彼女に想い人が居ることを少女にも知らせていた】

【彼女を余り悲しませたくないと思ったのは、多分仕方無い事なのだろう。伏せた瞳があまりにも儚く見えて】
【「鈴音も『旅』すると良いにゃ!」と笑ってみせる。そうすれば彼女の表情も少しは明るくなるだろうという、少女なりの計らいだったりする】

雪は積もると色々不便だからにゃー……でも、ニャーなら少しは溶かせるにゃよ!

【彼女が今まで雪かきなんて殆したことがないのは、何となく察することが出来て】
【何を思ったか徐ろに地面に落ちていた枯れ葉を一枚拾い上げ、少し長く伸びた右手の爪で挟めば、瞬間、その枯れ葉が発火した】
【魔術か何か。……歩む道の雪をコレで溶かしてきたというには、少し頼りなさ気な火だったかもしれないが】

とっても綺麗にゃー……。布団の話をしてた時も見てたし、鈴音には想い人が居るんにゃねー。
羨ましいにゃ! ニャーも好きな人が欲しいにゃ!

【明らかに今までより柔らかくなった口調に、少女でもそういった思考に頭が飛んで】
【でも、分かるのは彼女に好きな人が居るということだけ。妖怪と言っても特段頭が回るわけではない少女には、其処まで「察する」事ができない】
【好きな人が出来て其処まで気持ちが柔らかくなれるというなら、少女も欲しがってしまうのは当たり前か】

/ちょっと家の用事が長引いてしまいました、今日もよろしくお願い致します!
533 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/17(月) 13:51:34.92 ID:7JFi2/m80
>>531
「あんまり珍しくもないといった様子だね」
「僕らの住む国ではめったにないんだよ」
「旅人といえば旅人かも。いろんな地域を回って能力者を研究し、スカウトし国の戦力となる組織を作るのが僕の仕事だ」

【話を区切るとため息をつく】

「君の知っていること、教えられること、目ぼしい能力者、話せることだけでも教えてもらえないか」

【記憶の隅の「魔物」という単語が浮かぶ】

「以前、君のような能力者からマモノという化け物の話を聞いた。それについては何か知らないかな?」
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 14:02:17.01 ID:A0JhoX9U0
>>532

【春眠――というにはいくらも早いこの季節。けれど眠るのが好きというのはいつだってありえる趣味だろう】
【彼女の場合、ちょっと眠りすぎるのが難点なのだが――まあ、それも、彼女らしさと言えば、そうだった】

とっても素敵なんだよ、たまにね、ペットのトカゲがお布団に潜ってきたりして……、
……でもね、その前から眠るのは好きだったな――何にも考えなくったって、いい時間だから。

綺麗な景色かぁ、いいなあ――……、

【地面に転がって眠っていた頃があった。安眠なんてとてもじゃないけど出来なくって、誰かが来ればすぐに目覚めるような】
【そうでなければいけなかった。そうでなければ、或いは命すら落とすことになるのだから。物を盗られるぐらいなら、とっても幸せ】
【けれどその頃から彼女にとって眠りは大切なものだった。それは現実逃避のためだったけれど――】

【(抱き締められる暖かさの中で意識を失う瞬間までお話する、そんな包まれるしあわせ、他の何にも変えがたい時間)】
【(それが今彼女が眠りを好む理由で、そう考えたなら、あの頃と比べることすらもったいないぐらいだったのかもしれない)】

【ふわあと長い吐息が、見たこともない場所にあるだろう絶景を思い浮かべる、そうすれば、どこかに行きたいという気持ち】
【ふつふつと湧いてしまうぐらいには好奇心はある方だし、旅は好きな方だし、とりあえず、向いていないわけでなかった】

【家が出来るまでは雪なんて嫌いだった。大嫌いだった。眠る場所を真っ白に冷たくしてしまって、とても眠れなくなるから】
【いつからだろう、雪が好きになったのは。そんな差異、だんだんとしあわせになっていく過程、証明するように】

わあ……、わたしもね、溶かせるんだけど――水浸しにしちゃうから。

【めらと燃える葉っぱ、魔術だろうかと考える一瞬、羨むように瞳が煌いたような気がした】
【その直後に告げた言葉、自分でも似たようなことが出来るのだと、証明してみせるだろう、椀型にした手のひらの中に】
【じわりと音もなく湧き出る水、薄く桜色がかった水が溢れ出した、やがて掌では足りなくなって、地面にぱたぱたと落ちていき】
【――この水で溶かすのだろうか。下手すれば地面大凍結の危険性を孕むこと、それでもどこか、自信を持つように、見せた】

好きなひとが居るとね、いいよ――いろいろなことが楽しくなるの。急にね、何もかもが嬉しくなるの。
たまにね、ちょっぴり不安になることもあるけど……そんな時だって、顔を見たら元気になるんだから、……。

【綺麗だといわれれば余計に嬉しそうになる、ふたりを繋ぐ誓いの指輪、そうだとは結局言わないまま、だったけれど】
【自分達の関係を褒められたようで嬉しかった。指と指を絡ませたなら、考えるのはきっと最愛のひとのこと、だいすきなひとのこと】
【とっておきににこりと笑んで告げる、そんなことを言ったなら、余計に欲しくなっちゃうかもしれなくて――】

【(そのひとを見つけ出すまではもっと鬱々とした子だった。世界中の総てを怨んで歩くような、そんな、)】
【(彼のお陰でここまで変わることが出来たのだから、恋愛の力って凄まじいものだろう。別人に仕立て上げてしまうような、奇跡)】
535 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 14:09:42.22 ID:vV/DCAmr0
>>533
「(なんていう国から来たんだろう…?)」

【青年のくれた和風なお菓子の紙を握り、少し疑問に考える】
【この”見慣れない”文字の書かれた外国のお菓子がどんな場所かわからない】
【正確には、「日本」という国がこの世界ではまったく知られていないからなのだが】
【だが、少年はそこまで深く考察はしなかった】



「魔物…ですか?」

【腕を組み、考えるような仕草をする】
【思い出すような仕草だが、あまり思い出せないのか難しい顔をしている】

「僕は詳しいことは知りませんが、砂の国や…泥の街…そういった治安がよろしくない地域に出没するということしか…」

【少年も、それを間近で見たことはない】
【見聞で、風のうわさで聞いた程度でしかない】
【だだ、決して楽に討伐できるものではないだろう】

「魔物の存在で命を落とす人は少なくありません…もしかして、それを倒すおつもりなのですか…?」

【少年は少し不安そうに青年の顔を見つめる】
【人は見かけによらないと言うが、それでも危険だと感じるのだろう】
536 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/17(月) 14:26:25.54 ID:7JFi2/m80
>>535
「やはりこの世界には当たり前の存在なのか」

【納得した様子で何度もうなずく】
【掌で機械を操作した】

「君の能力ってのは何なんだい? なんなら俺と一緒に来て組織に入ってくれてもいい」
「組織といってもまだ僕とお手伝いの一般人だけなんでね。人材はいくらでもほしいのさ」

【不意に暗く沈んだ表情になる】

「そして今度は世界の覇権を日本が握る」

【ボソリ、とつぶやいた】

「旅はできるしお金はガッポガッポだし、悪い話じゃないと思うんだ」
「君の家族に楽をさせてやりたいと思わないか?」

537 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/02/17(月) 14:35:13.40 ID:Kk+27AV2o
>>534

トカゲ、にゃ……? ま、眠るのは大事にゃ。疲れも全部、ぶっ飛ばしてくれるからにゃ!

旅先で美味しい物食べると、元気になるにゃー。鈴音も何か疲れた時は、旅に出るのも良いかもしれないにゃ?

【トカゲと聞いて真っ先に思いつくのは、ペットとはまるで真逆の食料としてのそれなのだが、流石に黙っておく少女】
【……彼女の意見には同意するのだが、何か少女―ただ、一日の疲れを取るだけの睡眠―とは違った感情が見える】
【過去に何か――それこそ「楽しくない旅」なのだろうか――あったのか。邪推するのは好きじゃないから、とりあえず当たり障りないことを言ってみた】

【目を軽く閉じながら過去にあったあんなことやこんなことを想像して、やはり楽しかったなーと目を開ける】
【それが彼女にどんな影響を及ぼすか想像がつかないが、多分旅よりも疲れを癒してくれる存在が彼女に居ることを、少女はまだ知らなかったりする】

にゃにゃ、水……でもちょっと違うように見えるにゃ……。 鈴音の事だから――きっとタダの水じゃ無いにゃ?

【今度は彼女が手のお椀へと水を満たせば、逆に羨ましがるのは少女の方】
【同じことが出来ないわけではない、時間をかければ出来るのだが、その色に目を引かれる。水道水とかでは、決して無いのだろう】
【彼女の特異点……その宝玉とか色々に目をやれば、彼女の能力を伺っているように見えてしまうのだろうか】

良いにゃ良いにゃー!
ニャーは旅だけでも十分に楽しいけど、好きな人がいたらもっと楽しくなりそうだもんにゃ!

【ショーケースの中の「好きな人」に目を奪われた子供のよう。その口調は、まさしく駄々をこねるそれに聞こえなくもない】
【彼女がとても楽しそうなんだから、自分も一緒に旅なんかしてくれる好きな人がいたら――と思うとやはりそんな感情に陥るのだろうか】


……あ、ちょっと長く話しすぎたかもにゃー……。鈴音も、寒くないかにゃ?
じゃ、ニャーはちょっと町の方に行くにゃ! 今度会ったら、ゆっくりお話しようにゃ!

バイバイにゃー!

【ちらりと見やるのは、設置された公園の時計。見れば出会ってからそんなに時間が経ってないとはいえ、結構な深夜。彼女の身体も気遣って】
【また会って話を聞きたい。とても魅力的な彼女を前に、そう考えるのは不思議ではないだろう】

【最後に大きく手を振って、俊敏に森の方へ……ひいてはその先の街へと、少女は駆けていくだろう】
【鈴音という少女と楽しい話をした、そんな思い出を一つ頭に加えて】

/あんまり長くするのもアレなので、これで〆させていただきます! ロール有り難うございました!
538 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/17(月) 14:46:57.61 ID:vV/DCAmr0
>>536
「え、っとその。そんな話は…いきなり言われても、返答に困ると…言うか…」

【きっとこの人は何か高い志があるのだろう】
【その組織も、聞きなれない”日本”という地名のことも良くわからない】
【だが、その話をすぐに了承はできなかった】

「ぼ、僕には…今、お世話になってる人がいて…その人に、恩返しの…最中なので…」

【身よりもなく、行き場のない自分を助けてくれた】
【その返しきれない恩を返すために、少年はその人物のお手伝いをしている】
【青年の誘いに、縦に首をふれなかった】

「家族……ですか」

【不意に、今となっては曖昧にしか思い出せない生みの親を思い出す】
【もうしばらく会ってない】
【自分を生み、育て、そして捨てた両親】

【―――――不意に、目頭が熱くなる】
【もう、縁なんてとっくに切れているのに、と自分に言い聞かせる】

【だから、今の自分と生きる、血の繋がりはないけれど、心が繋がる大切な家族を思い出して――――】


「…すみません、僕は自分の仕事でお金を稼ぎたいんです…きっと、貴方の生きる道はすごく格好良いです
…でも、とても危険なのでしょう…。怖いという気持ちもあります…僕は、女の子みたいで腕っ節は全然だめだから…
怪我して、傷ついて、心配ばかりかけるようなことはしたくないんです…」

【だから、と区切って】

「申し訳ありませんが…僕には行けません」

【悲しそうに、そう断った】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 14:58:40.15 ID:A0JhoX9U0
>>538

そう、とっても大きくてね、尻尾まで入れたら……わたしよりも、ずっと大きいの。
ぽかぽか暖かいんだよ、サラマンダーの子供――だって、言ってたかな、

うん、どっか行きたいな……今度ね、機会があったらお願いしてみる。
綺麗なところがいいな、綺麗なところってどんなところだろう……ふふ、

【少女の素の身長は百六十センチ。ずっと大きいとなると、2メートルなんて超えてきそうな、気配がして】
【それならばただのトカゲではないだろう。曰く、サラマンダー――らしい。本当かどうかは、さておいて】
【どちらにせよとんでもないペットであるのは確実だった。「かわいいんだよ」なんて、言い添えたが――】

【――まさかひとりで家を空けるわけにも行かなかった。どこかに行くなら、最愛と一緒に行くことになる】
【ひとりで決めるわけにもいかなかったのだろう、大分乗り気だが確証を持たない言葉は、つまり仕方のないこと】
【けれど見たこともない聞いたこともない絶景を想像すれば楽しそうだった。どこかに行きたいと、本当に思う気配で】

……ふふ、なんだって溶かしちゃう不思議な水なの。

【だいぶ仰々しく言ってみせる水の正体。その性質は酸性で、ただ、今呼んだこれはそこまでの酸をもたない】
【見せるためだけに危ないことをしてみるつもりもなかったのだろう、何を溶かすも叶わない程度の水を揺らして】
【自分の力にそれなりの自信を持っているようだった。ぱっと水を地面に捨てる瞬間まで、なんだか上機嫌でいたという】

きっと楽しくなるよ、だって――旅だって楽しいのに、だいすきなひとと一緒なんだよ?
そんなのね、楽しくないわけがないの。……ぜったいにね、たのしくって、おもしろいんだから――。

【だいすきなひとと一緒に旅に出る。ただでさえ楽しいところに行くのに、さらにそこにそんな付けたしをされたなら、】
【自分ならきっととっても楽しく思うだろう。そもそも、“あのひと”と何かをするなら、それだけで最高に楽しいのだし】
【けれどこればっかりはさっきみたいに背中を押すわけにもいかない。自然と、そうなれるひとを見つけるまでに】
【彼女は関わることが出来ないのだから――だから、きっと楽しいよと声を掛けてみたのが、彼女の精一杯】

……もうそんな時間? ちょっと寒いけど……音去と話してたから、だいじょうぶ。
うん、またね……――ばいばい。

【――言われて、やっと時間のことを思い出したようだった。鞄から引っ張りだしてみた懐中時計、確かにいい時間】
【寒いのは初めよりもだいぶマシだった。それは、音去が気を逸らしてくれたから以外の何物でもなく――】
【はたはたと手を振ってその背中を見送るのだろう。次の再会を願って、いつかまたこうして話せることを願って】

【――見送った頃にはその姿が消えていた。誰も居なくなった公園、しんと風が吹きぬけて】
【誰かが居たという痕跡すら流していくよう。そうして、この場に静寂が満ちて行った】

/おつかれさまでした!
540 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/17(月) 15:30:58.38 ID:EqwTqfw40
>>465-466 >>469

【―――自由落下の中、セリーナは考える。ファミリー。そしてそのボスの少年と、彼を支える強敵の"お目付"役。】
【ガンマンとしても、パートナーとしても、そして"悪人"としてもよく出来た人間の様だ。】
【つまりは、また厄介な相手が増えた、という事。重力に従いながら、溜息を一つ。】

 (まったく、悪人っていうのはホントに次から次へと―――……けど、そうじゃなくちゃあ、ね。)
 (こんな"上物"をサラッと用意できる様な人間と、その雇い主の一族なんだから。ヘナチョコの筈がない。)

 ―――こちらこそ、だよボウヤ。おねーさんは君の能力をようく、見ておくとする―――……ぐっ、はあぁぁっ……ッ!!!


【上物―――つまりは、自分へと当てられたプレゼントの銃、そしてこの巨大なガレオンの事だ。こんなとんでもない武装郡を】
【用意するだけに留まらず、役割を活かし切り、そして強引かつ大胆に奇襲をかける。敵ながら天晴れ、と言わざるをえまい。】
【だがそれで怯んだり、勝負を捨てたりすることはできない。セリーナは"次のゲーム"へと備える為に、落下を続けながら目を開ける。】

【恐らくこれでは終わらない。彼等とは今後、再三にわたって砲火を交える事になるだろう、何故だかセリーナにはそんな予感がしていた。】
【勿論、只の勘でしかないが―――それでも、見届ける必要があった。彼の能力、そして戦い方を、セリーナもまた、彼と同様に。】
【そうしてチョコレートと、アートマンが見事に爆発を防いだそれを確認した直後に、―――……その肉体は、地面へ叩きつけられた。】

【鈍い音がグシャ、と響く。背中から大地へと吸い込まれたティターンアーマーはまず、背部の魔力機関が停止・破損。】
【魔力の供給が途絶え、関節が息を止めた。しかして、もはや動く必要もない。何故なら、耐久力の限界を超える衝撃で】
【着地の瞬間、炸裂。アーマーが彼方此方へと飛び散り、セリーナは無残な姿で鎧から吐き出された。】

【汗と血が混じり合い、純白のシャツがぐしゃぐしゃになっていても、尚―――腕を地面へ突き立て、去りゆく巨大船を、睨みつける。】
【間一髪、一命を取り留めることにはどうやら成功したようだが、とても追撃が出来る様な状況ではなかった。疲労も限界だ。】
【ふらつく足取りでなんとか立ち上がると、倒れたまま瞳を伏す>>469を視界の隅に確認し、ほう、と一息ついた。】

 ぐっ……いっ、痛〜っ……! げほっ、けほっ……ふぅ、オーライ、とりあえず二人とも存命って訳だね。
 良かった、貴女―――というか、貴方?がいなかったらこっちも大変な事になってたよ。
 御礼を言うね、名前も知らない"正義の味方"さん。って、聞こえてないかな、ふふふ。

 ―――さて、と。救援の自警団員は―――、へい! こっちこっち! けが人の確認を急いでくれるかな!  
 ああ、アタシ? アタシはまあ、精々が骨折程度だから、それよりそっちの女の子を―――……、、

【意識がハッキリとしていたセリーナは、救援の自警団メンバーと共に重症人の搬送・救護を暫く手伝ってから】
【すべてが片付いたのち、自身は馬に乗って静かに去った。後日、ニュースで大々的に取り上げられたマフィアの記事を読みながら】
【『また敵が増えちゃったなあ』なんて、呑気に呟いたそう。―――手元のライトニングが、差し込む月明かりに鈍く光った。】

/此方も大変遅くなりましたが、これで〆文とさせていただきますっ!
イベント主催者様、そして喋り屋様、どうもありがとうございましたー!
541 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/17(月) 23:39:30.30 ID:3p4Ljenj0
>>522


―――……いや、私が………

【恩人の提案、受け入れない筈がなかった。感謝の言葉に加えて、寧ろ自分が払うべきだ……といった具合に、今度は自分を主張しだす事だろう。】
【年長者の意地、プライドという意味で張り合うなら、張り合っても良い。然しこのねこもと、案外頑固の様で、最後の最後まで這ってくるだろう。】
【……どちらが先に折れるかどうかは本当に時の運、誰にも分からない。―――否、そんな事、今はどうでも良いのだろう、】

【食事中、2度3度の波があるのは言うまでも無い。思い出し泣き、と表現すれば良いだろうか、兎に角、一般的には一緒に食べづらい相手だ。】
【……まあ逆に言えば、ねこもとにとってディハートは、号泣をも許す、クサイ表現だが、全信頼の置ける先輩であると言う事。】
【ねこもとが時折見せる感謝の色は、正真正銘、心からの物と言っても過言ではない。……兎に角彼は、二重の意味で嬉しかった。】


【さて、一方ねこやまは、明確な違和感を覚える、然し紛れも無い自分が取った行動をハッキリと覚えていた。】
【……確かに、カッコ良かったのは事実。身長という点で余り恵まれていない自分は、背丈の高い人間に憧れているし、】
【相手は薄いローブだった故に、骨格、或いは筋肉の付き方も分かりやすかった、……それは極めて実用的な身体で、完璧だったと称しても良い。】

【だが、その自分の思った事をそっくりそのまま、何の"理性の処理も行われないまま"発言したのは初めての経験だ。】
【……思わず言ってしまった。無意識の内に言ってしまった。心は随分落ち着いてもきた今、そんな事あり得るのか―――?】

【やがてハッと思い浮かぶのは、たった一つの可能性だ。―――今のが、"習慣的な"行動だったという事。】
【確信はないし、それを証明する証拠だって少ない。信じるに値しない発想では有るが、……どうも引っ掛かって。】

【誤った記憶を植え付けられるのは最も避けるべき行動だ。だからこそ、或いは排他的になってしまったのだが、………。】
【結局少年はそのまま歩き出すことになる、何気ない様にも見えるが、然しそれは兄が踏み込んだのと同じ、確かな一歩だ。】

【何時もと変わらないはずの都会の喧騒、ただ今は、少しだけ、心地良く聞こえる気がしなくも無かった。】

/お疲れ様でしたー!
542 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/18(火) 01:11:56.75 ID:MP2PvskJo
【―――海賊の襲撃より数日後・海運都市<宴Oナール】

【六罪王ダグラス率いる機関、そして機兵侵攻。立て続けに起こった海賊の襲撃事件】
【そのどちらをも通して強くしぶとく生き残ったのが、かつては港湾部≠ニ呼ばれた地区だ】
【都市部は確かに潰滅した。そして、この港湾もまた甚大な被害を負ったのは言うまでもない】

【が、それでも尚残った人々が居た。そして、彼らはむしろ二度目の襲撃を被害≠ナはなく――】

――そう、これは『発破』ですよ。機関だか海賊だか知らないけどね
 海を知る連中が陸の些事で挫けるかって話さね。負けないよ、ラグナールは。

【かの自警団長――エルベシア・レセップスの言である。いつの間にか市長などより余程発言力を持っていたのは、やはり実働部隊だからだろう】
【そして彼女の言葉通り、後にラグナールは目覚ましい復活を遂げる。勿論――数年ほど先の事になるのだが】


【さて一方、水の国のとある港では今回の主犯が再度陸地に乗り上げていた】
【海賊船――もとい強襲揚陸艦イル・ピラータは、既にそこら中から煙を吹き、水を吐き出し】
【つまるところ、もうボロボロで。よくまあ陸に上がれたものだ、と言うのがビスク・フランコのボヤきである】

……だが、上手くいった。人質も出していないし、僕達は一人も殺し≠トいない。
 傷つけたのは確かだし、他に便乗した連中は知らないが……穏便な方じゃないか?

ま、確かにそうですけどね。あの霧崎ってのに釘刺されてたから扮装なんかしたわけですが……
……丁度良かった。謂わば坊っちゃんの初陣は辛勝で飾れたわけで、ファミリーとしても悪い稼ぎじゃあない
身分がバレた所で、ウチの名が上がるだけ……D.R.U.G.S.がどうのってより、スペーツィエ・ファミリー≠フ名がね。

……にしても坊っちゃん、変わりましたね。此処の所、本当に良く。まるで先代の若い頃みたいですよ
あの頃は俺も若かった……このイル・ピラータも、出来た当時はピッカピカd―――長いのか?

………………、…………………………まあ、とりあえず直しましょうか。
543 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/02/18(火) 01:12:44.69 ID:MP2PvskJo

【―――それと一つ。この船の被害と、ラグナールの実情とで、記しておかねばならないことがある】
【それはセリーナ・ザ・"キッド"と、そして喋り屋という二人の勇者が船体に大穴を開けたことにより】
【そこから漏れだした大量の貴重品類と、そして事件が起きた日の事、加えてチョコレートという若き首領の能力に関してだ】

【かの船は海から陸へと突っ込んでいった。それは謂わば、街のメインストリートを駆け抜けたようなものである】
【で、帰りも同じ道を通るわけで――その折に、大量のチョコが路面をコーティングし、その所々が光っていたのである】

【影に隠れていた市民たちが何事かと掘り出してみれば、そこから見つかるのはなんと無数の貴金属】
【当然、倉庫にしまわれていた商材だ。――だが、それをそのまま返すようなことがまさかあるはずも無く】
【結果的に倉庫まるまる半分ほどの量の、宝石を始めとした大量の貴重品が町中にチョコまみれでばら撒かれる結果となったのである】

【そのため、今後数年に亘って近隣の宝石商は買い取りの依頼が来た際、まず『カカオの匂いがするかどうか』を確かめるという――】
【なんとも微笑ましい逸話が生まれることとなる。ちなみに、匂いがするものは相当数あったそうだが】

【もう一つの逸話として、自警団側から『仮に倉庫のものだと判明しても糾弾せず買い取ること』というお達しがあり】
【これによって市民に広く金銭が行き渡り、それがラグナール復興の足がかりとなったのだ、という――】
【無論、眉唾話。しかしラグナールが直後に息を吹き返すのは実際のことであり、またカカオの薫る宝石も一部で実在はする、とか】

【はた迷惑な話だが、そして義賊でも何でもないものの――こんな一件があったからか、市民の間ではスペーツィエ・ファミリーは好印象を残したらしく】
【一方で倉庫を空っぽにされた宝飾品と、それから最新兵器を奪われたメーカーとからは大いに嫌われ、特に主犯のビスク・フランコは】
【その特異な外見から指名手配犯にまでされてしまうのだが――それはまた別のお話となるだろう】


【兎に角。街の平和は保たれ、温暖な気候は船乗りの好む風を吹かせ、やがて人々はまたこの都市に集結することとなる】
【遠く草原に鎮座する機兵ヴァルゴだけが、それを何時迄も眺めていた。――否】

     
        ククッ……良い眺めではないか、此処は……また来てやるぞ、この私が…――
            
                   ――ダグラス・マックスウッドの友として、な……!


/これにてイベント『チョコレート・パイレーツ』を完全に終了とします
/対主催のお二人を始め、多くの参加者様、皆様にご協力感謝申し上げます!
/みなさま、大変お疲れ様でした&ありがとうございましたー!
544 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/18(火) 13:15:57.36 ID:ANgPUyKd0
【古い歴史を埃とともに積み重ねる洋館】
【歩くたびに軋む木製の床が風情を思わせる建造物】
【ここは築数百年の時を刻む某国の国立図書館】

【たとえ時代は進み科学や電子が世界を包む中、動かずそこにあり続けるものがある】
【そのひとつにこの建物が上げられるだろう】

「………………」

【一人の人間が一生かかっても読み切れない量の本が並ぶ中、一人の少年がそこにいた】
【すぐ近くに本棚があり、手ごろで座りやすい位置にある席に】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

【その周囲には積まれているのは勉学の書物だ】
【一般的な学問のものから魔術的な異本や、何故かお札が貼られ血痕のようなものが刻まれた古書まで】
【その本をじっと黙って黙々と読んでいる】

【さて、ここでこの図書館でそんな目立つ人間に好き好んで近づく人はいない】
【そして、そんな目立つ彼の周りには誰も居らず、その近くしか席は空いていなかった】

【せっかく図書館に来たが席が本に囲まれた彼の近くしか空いておらず、別の席は地味に遠くて面倒かも知れないし】
【読みたかった本が彼に独占されてるかも知れない】

【そんな人物が――――来るかも知れない】
545 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/18(火) 15:22:55.72 ID:yHCX4FyS0
>>544

【古く歴史ある国立図書館、多くの本がここにある】
【多くの人がこの図書館を訪れて本を選びそれぞれの有意義な時間を過ごす】
【そしてまた一人この国立図書館に訪れる一人の人物がいた】

 ……はあ、息抜きに来てみた物の、本が多くて困るな

【キャップ帽をかぶっている】
【長袖の赤い服を着ており黒の長ズボンをはいている】
【一人ふらりと歩き始めて目的などなく面白そうな本を探す男】

【そして、歩いていると周囲に積まれている勉学の本が見えた】

 へえ、勉強熱心なやつがいるもんだなぁ

【しかしその少年のほうに歩いていって見えたものがある、なにやら怪しい本が見えたのだ】
【さっきまでは遠くで見えなかったのだが近ずいてみてみると見えなかった本も見えてきたのだ】

 おいおい、勉強熱心すぎねえか
 まあ、何はともあれ勉強することはいいことだからな

【そのように強引に納得する彼ではるがちょっとそのような本を読んでいる少年に脅威が沸いた】
【どうしてそこまで学ぶのかに興味がわいたのだ】
【そしてちょうど近くの席が空いており彼はその席に座って少年に話しかけた】

 と、ちょっと失礼させてもらうぜ少年
 ……しかしよくまあこんだけとってきたもんだなぁ
546 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/18(火) 15:44:41.44 ID:ANgPUyKd0
>>545
「あ、いえ……」

【突然話しかけられて少し驚いたような少年】
【あまり話すことは得意ではなさそうで、内向的に見える】

「僕……学校…行ってなくて、あんまり頭はよくないから…ここで勉強してるんです」

【性別を間違えそうな少年の容姿から年齢を予想するのは決して簡単ではない】
【なんとなく10代とはわかるが、それで学校に行けてないのは何らかの事情があるのだろうか】

「今、お店のお手伝いをさせて頂いてて…頭よくないと、ご迷惑をかけてしまうと思ったから…
学校ってどんなこと勉強するかよく分からないけど…手当たりしだいで勉強してるんです」

【ただ、その少年の周りに置かれた学問書はとても学校のレベルを超えているものばかりだった】
【大学やそれ以上の機関で扱われるようなものばかりある】
【独学でひたすらに、米粒みたいなサイズの文字が敷き詰められた極厚本を読んでいるらしい】

【本人は悲しいことに無自覚のようだが、かなり勉強はできる人間みたいだ】

「…………あ、もしかしてここの本読みたかったですか!?すみません!………えっと、これですか!?」

【そういって慌しく極厚本を差し出す】

【中を見ずとも分かる、これは読んでる人間の頭を破壊しかねない程の分量と内容の劇物だと】
547 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/18(火) 16:50:36.31 ID:yHCX4FyS0
>>546

【少し少年が驚いたのを見て彼は少々失敗したなあと思う】
【ただまあ、少年の反応を見るにどう話しかけても驚かれるかとも思った】
 
 ふむ、なるほど何らかの事情があるらしいな
 ま、そこまで突っ込むのはやめておこうか

【さすがに彼の事情に深く突っ込もうとはしない】
【まだあったばっかりである、そこまで仲がいいわけでもないから】

【お店の手伝いとそのように言った10代の少年に軽く感心した】

 へえ、その年でお店の手伝い偉いもんだな
 ……しかし何だこの積まれている本って軽く学校レベル超えていないかい?

【彼は軽く本を見て、冷や汗をかきながらそのようにい言った】
【軽く学校のレベルを超えている本を見ていてこのような少年が読めるもんだと思い】
【自分の年少時代と比べて軽く落ち込む】

 ……なんだか世の中不公平だ……

【軽く落ち込んでそのように少年に聞こえないようにつぶやく彼】

【そして少年が慌しく極厚本を差し出してきた、が、それはもはや彼が見ても頭がパンクするもので】

 いや、それは違うもんだよ、探してたのはこっちかなと

【そして適当な本をそのままとって読んでそのまま軽く少年と雑談する】
【時間が過ぎ自分が変える時間になるとその本を積みの中に返して少年に軽く別れの挨拶をして変えるであろう】

/ものすごく強引ですがこのような〆方をさせてもらいますね
/お疲れ様でした
548 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 15:17:41.51 ID:X3jcR2ato
Test
549 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 15:57:35.27 ID:5tt3EQxIo
【草原――そこには二人の人物がいた】

『"エコロス"とは、この世界では珍しいですね』 「なんかあのへんにいたんだぜェーッ!」

【1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】
【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【男が担いでいるのは、……毛を持った肉食恐竜だ、体長は2m前後だろうか、口先の嘴など鳥の要素も混ざっている】
【――その恐竜と男は既に戦った後であり、前者が負けて今日の間食(!?)の食材となったようだ】

【女性のポケットから取り出される大型生物丸焼用セットは、明らかにポケットサイズでなく】
【それにセットされる恐竜。――女性は予め確保していた食材で別の料理を作りつつ、焼き加減や調味料の調整をする】
【調味料の瓶は一つ。けれど出てくるモノは一つでなく、中にはよくわからない謎の調味料まで……】

「ヘケヒャハーッ!」 「焼くぜェー、焼いて食うぜェーッ!!」

【美味しそうな匂いが草原を満たしてゆく――】
550 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/02(日) 19:06:42.96 ID:uJUanrbho
(……さて、これからどうしたものか…)


【水の国――――――公園。噴水の音が穏やかに響き、もう日が落ちている。夜の闇と、若干の街灯の光が照らしていた。】
【日中の喧噪は、其処には無い。入れ替わるように穏やかで、そして幾ばくか陰鬱な静寂が広がっていた。】

【若い、独りの女が座っていた。北の入り口から入って、左手側に見えるベンチに、彼女は腰を下ろしている。】
【年齢にして、20代前半程度であろうか。場合によってはそれよりも若く見えるかもしれず、この地域では比較的珍しい和装である。】
【ゆるやかな着流しの上には、濃藍の――――それはまるで雨のような色である。見る物を不安にさせるような、】
【そんな色の羽織を着込んでいた。一陣の風が吹き、その裾を僅かに揺らしている。】
【羽織には、どこかで見たことのあるような――――それこそ、見る人が見ればなんなのか分かる。機関の紋様が、目立たないよう刺繍されていた。】
【銀色で羽織りに映えるそれはしかし、今の機関の紋様ではない。数世代古い、今ではほとんど見ることの出来ない物である。夜の國支部所属を表す…いや、】
【「表していた」ものだ。】


「仲邑の云ったあの組織を訪ねるかな…しかし、どうにもボクだと場違いな気もするし…」

「龍の鱗を扱えそうな能力者を探すか…しかし、そもそもアテがあるはずもないしな……」


【女は名前を如月 氷雨といった。最近水の国に訪れた、現在はどこにも所属していない流浪人である。身の回りの動乱が一息ついたことと、】
【「仲邑」なる人物…偶然邂逅したとある剣士から、これまたとある組織を詳解されたため、それらが妙に引っかかってこの当りを離れられずに居るのだ。】

【如月は剣客であった。和装に違わないといおうか。傍らには二振りの得物がある。本差しは立てかけられ、脇差しは腰にあった。】
【琥珀色の瞳の剣士は、特にやることもなく――――今後の方針を決めかねていた。】
551 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/02(日) 21:07:40.70 ID:QXWqniLZo
【枝垂れる月の一片、伸びた葉先のような夜がしとしとと降り積もって】
【底冷えする寒さを抜けた夜風は、心地良い冷たさを感じれるぐらい】
【肺の奥まで吸い込んだならきっと、喉を潤す雫のような味わいなのだろう】

【繁華街から少し離れた静かな通り、そんな夜道を歩く少女が一人】


……うん、と……買いすぎちゃった、の……


【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【銀の十字架のロザリオを首につけて、その先端は膨らんだ胸元に乗って】
【スカートの下から伸びて、ふりふりと揺れるのは猫を模したやや長めの尻尾】
【両手で握るのは大きな大きなバイオリンケース、両手を伸ばしてふらふらと揺れた】

【どうやら、両手で握ったそのバイオリンケースが重いようで、右に左に揺らされている彼女】
【人通りの少ない道ではあるが、このままでは誰かにぶつかってしまう可能性もある】
552 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 22:00:47.16 ID:w9Lfytg4o
>>551

【夜道を征く。微かな闇をその身に纏い、女は音も無く歩を進める】
【細い路地、進む先が少し開けば、そこには通り。それは正しく、少女の歩む道】

【やがて一歩を踏み出せば、それは丁度、少女がそこへ通り掛かる頃合で】
【当然、ぶつかりそうになる。だが――――ぶつかりはしない】
【何故なら、女が即座にバク転を打ち、距離を取ったから。身のこなしは非常に軽く】

―――っと。大丈夫で御座る……か……?

【――小さい。身長は150cmもなく、カナリア色を三つ編みハーフアップにした頭は少女よりも低いか】
【黒いヘソ出しのノースリーブに、アームウォーマー。首元に紅いスカーフを巻いて】
【スパッツとタイトミニスカート、そしてニーハイソックスも黒。左腰の短刀二本もやはり、黒鞘】
【右腰のポーチは白いのだが、全体的に黒ばかり。まるで、闇に溶け込もうとしているかのように】

【そんな女は、ぶつかりかけた相手へ声を掛けるのだが―――頬の筋肉が、ピクリと動いた】
【それは、彼女の胸元を見た時。何故ならば……そう、女の身体は全くもって平らであったから】
【胸はないし、尻の丸みなど皆無。見た目だけなら、かなり幼い。こちらも少女と言ってもいい程で】



/まだいらっしゃいますか……?
553 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/02(日) 22:29:40.18 ID:75RuhYxHo
【とある温泉】


【その温泉は、地元では知る人ぞ知る名湯、という評価を受けていた】
【浸かれば治癒力を高めあらゆる傷の治りが早くなるらしい。特に火傷には効果が高いとされている】
【しかし訪れる人はそう多くなかった。というのも街から少し離れた森の中にあるため、行くのが非常に面倒だからだ】
【それでも来ようと思えばいつでも来れるだろう。事実、今ひとつの影が湯けむりの中にあった】

【湯船に浸かっているのはパールブルーの瞳を持った少女だ】
【同じ色の長い髪は、今はしっとりと濡れていて温泉を満喫しているよう】
【いつも持っているスケッチブック≠ヘ鞄の中――なんてことは無く、浴槽のふちに立て掛けてあった】


(これで早く良くなるといいんですけど……)


【彼女の左腕は包帯でぐるぐる巻きにされていた】
【少し前に負った火傷の治療を兼ねているのだが――外から見れば怪我をしている、くらいにしかわからないか】

【―― 一陣の風が吹き抜けていった。冷たい冬の風だが、今はそれすらも心地よく】
【ぽかぽかいい気分で温まれば、やがて上がるのだろうが――果たしてそれまでに誰か来るのだろうか】
【もちろん浴槽はひとつしかなく混浴が前提で、外から見えないよう最低限のしきりと脱衣所があるが、それだけだった】
554 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 22:31:04.84 ID:IFMm3g5B0

【某都市の大きな図書館。国で経営している事もあり、書架の数は実に多い】
【それこそ、一生掛かっても読み切れない事は間違い無いのだが――――其れを全て理解出来るのかは別問題】
【何しろ古代の辞典は勿論の事、異国の物やら何やらと全て並べられているのだから】

【時間も時間だ。人も少なく、司書も今は別な場所で作業を始めている】
【――――即ち、この場に居るのは一人の女性。修道服を纏った人物が、片隅で新聞を広げて何やら小難しい表情を浮かべて居た】


「……ふぅ。今日はこの辺りで止めておきましょうか…………
それにしても、気付けばもう外も暗くなってしまいましたね……」

【銀色の髪に、同じ色の双眸。腰に提げられたのは何の変哲も無い銀の長剣】
【治安が悪い訳でも無いこの場所なれば夜道も心配ないだろうけれど】
【新聞を折りたたみ、元の場所へと戻そうとするが―――――――】

【場所が場所だ。160手前の慎重ならば、つま先立ちでやっと届く位置】
【精一杯に背伸びをして、ゆらゆらと動く身体は実に危ない印象を与えて――――】
【現に、その上の棚に収められていた分厚い辞書が今にも修道女の頭目掛けて落ちてきそうなんて状況だ】
【このまま誰も訪れる事が無ければ、或いは注意を喚起する事がなければ“ゴツン”なんて鈍い音が図書館内に響くことだろう】









【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【其処に有る、数種類の自販機などが並んだ少しばかり豪華な待合室】


「…………暇なのです。あの馬鹿二人も何処に行ったか分からないのです」

【ぶすっと頬を膨らませ、足を悪くしているのか車椅子に座る一人の少女】
【汚れを知らない白銀の髪。何より特徴的なのは、額に生えるその角か】
【魔力を感じ取れる力があるならば、少女から強い“聖”の魔力を感じるであろうし、仮に無かったとしても何と無くその周囲だけ清んだ気配が漂っていることに気付くか】
【とは言え、本人はそんな聖人からは掛け離れた様子。抱く不満を隠す事もなければ、当然看護師達だって近寄ろうとはしない。故、今この場は少女以外の者は居らず】


「ふん。全く困ったものなのです。別にあの馬鹿二人がどうなった所で私の知った事では無いのです
そんな事よりもジュースを…………を……―――――
ん……んん…………―――――何なのですこのアホ自販機は!お前にお金を恵んでやろうとしている私を拒否するのです?!」

【キィキィと車椅子を自販機の前まで移動させたならば、お金を投入して】
【いざ、最上段にあるココアを購入しようと手を伸ばすが――――届かない。手をプルプルと振るわせながら伸ばそうと届かない】
【何度か挑戦するも、やはり届かない。終いには何とも理不尽な理由で自販機を叩き出す始末である】
【まるで子犬の如くガルルと唸りながら自販機を威嚇するする少女だが――――仕切りも何も無いこの待合室、外から丸見えであって】
【果たして一連の流れを見た者はどんな感想を抱くのだろうか】
555 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/02(日) 22:47:09.76 ID:QXWqniLZo
>>552

【夜烏色の少女の姿、影に塗れてしまいそうな姿が残影だけを響かせる】
【目の前で溶ける風、夜風が翻ったかと思ったら、それは貴女の鋭い身のこなしで】
【彼女は、と言えば大きなマリンブルーで一呼吸、大きな瞬きをして】


わっ……すごいの、今ね、くるりんって、まわったの!
ねーねっ、もっかいみせて、ほしいの!


【その瞳がキラキラと輝いた、朝焼けを浴びて煌めく朝露に似た色合いで】
【声に嬉しさが増したなら、プラチナブロンドの髪がふわりと頬を濡らす】
【細身の彼女が一歩揺れ動くと、細い首筋が涼しげに覗ける】

【紅いスカーフをアクセントにした貴女の姿は、雪銀の彼女とはまた対比されて】
【同じく小柄な様子は、お揃いのクレヨンみたいに指先でころころと転がる】
【示される指先に似た、僅かな微笑みをそこに乗せて】

【バク転を見て、喜んでいるのは、初めてサーカスを見た少女のそれで】


……?どうかした、の?ソニアにね、何か、ついてるの?


【首をかしげる仕草は少動物のようで、不思議そうに睫毛を濡らす】
【長い睫毛はしっとりとマリンブルーを透かして、涙色に染まる】
【貴女のジェラシーなんて気づいてない、みたいで】
556 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/02(日) 23:07:33.38 ID:XiiGH3Myo
>>229

『しっかりと温まってくるんだぜ?外で待ってるからよ』

「――――」

『ん?あ、俺が入ると毛だらけになっちまうからなぁ』
『中々入れてもらえる温泉がねえんだよ、悪ぃが一人で行ってきてくれや』

『あと、ちゃんと湯の中で100まで数えるんだぜ?風邪引いちまうからよ』


【敷居の外から、何やら老人らしき者の声が聞こえてくるろうか】
【その後に何かが歩いて離れていく足音がして……】


「フハハハー!久しぶりの温泉なのだ!とぅっ!」


【入口を開け放ち、小柄な影が入ってくる】
【その者は自身の衣服に手をかけると、一瞬にして脱ぎ去ってカゴに放り込み】
【ペタペタと足音を立てながら勢いよく湯のほうへと駆けていく】

【その人物は、奇妙な格好をしていた】
【身長は140cmに僅かに届かないか程度だろうか?】
【頭には狼の毛皮から作ったであろう、耳の装飾付きのもこもこ帽子をすっぽりと着けており】
【それを深く被ることで顔の鼻下までを覆い隠している】
【そして、肩からは何やら漫画のフキダシを思わせる形状の"ボード"が"生えており"】
【声を発さず、ボード上で黒い粒子が蠢き変化して文字として言葉を表現していた】
【それ以外は一糸纏わぬ姿であり、幼い少女の肢体を隠すこともなく晒している】

【顔を隠し、奇妙な板で話す怪しげな少女は先客の存在に気づいていないようで】
【妨害されなかった場合、少し離れた場所へ豪快に水しぶきを上げながら飛び込んでくるだろう】

/まだいらっしゃいますかー?
557 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/02(日) 23:07:56.83 ID:CHL7ifimo
>>554

……む―――少しばかり失礼する……

【図書館内故に抑えたトーンの言葉を零せば、「ずいっ」と横から入り腕を上に伸ばした。そしてその手は彼女が戻そうとしている新聞の背を掴み、スッと棚へと入れる】
【その後、男は彼女と同じく背伸びをして手の位置を上げれば―――棚から今にも落ちそうな辞書の背を押して、その危険を排除するだろう】
【これを難なくこなせば格好良い動作なのだろうが、男の身長は172。彼女が苦労した棚の一つ上となると、彼も背伸びは必要になって―――少しばかりか不格好であった】

ふぅ……いや、危険が見えたのでな―――……っと……!!

【小さく息を吐いたその黒髪の男は、時代錯誤の格好に身を包んでいた。白い長着、黒い袴―――その上に、薄藍のインバネス・コート。そして左腰の、茜色の鞘に仕舞った刀】
【更にコートの右肩には緋色の鷹―――即ち、SCARLETの紋章が縫い付けられており、その存在感を露わにしている。……その彼の小脇から、何かが滑り落ちた】
【床に落ちたのは―――ファッション雑誌が、2,3冊。表紙にはでかでかと、「これさえ守れば外さない!オシャレ初心者の為のシンプルコーデ」と書いてある】
【シンプルなジャケットにジーンズの若者が写ったその本を、櫻の国の伝統衣装を来たこの男が借りている―――というのは、何となくミスマッチというか、滑稽というか】

……ッ〜〜〜!!

【男は目にも留まらぬ速さでファッション雑誌を拾い集めれば、がっちりと小脇に仕舞い込む。もう落ちないように、そして相手からは本が見えないように―――】
【その表情は明らかに強張り赤くなっていたのだが、彼は動揺を悟られないように下を向き、そして話題を逸らすかのように言葉を続けた】

……こ、このような時間まで調べ物とは、い、一体何を調べていたのだ……?
558 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/02(日) 23:10:38.26 ID:XiiGH3Myo
>>556>>553の間違いです申し訳ない……!
559 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 23:11:01.00 ID:NuncHMLlo
>>555

【一瞬、言葉に詰まる。まさかこれだけで喜ばれるとは、全くの予想外】
【翠の瞳が数瞬、足元を泳ぐ。自分としては当たり前の様にできる事】
【しかしながら、頼まれるがままに行うとなると、少し癪に感じてしまうタイプなもので】

べ、別にこの程度、わざわざ見せる程のものでもないで御座ろう……。
―――ああ付いてるで御座る、付いてるで御座る。その忌まわしい胸の事で御座るよ……!

【腕を胸の前、身体を抱き抱えるようにして重ねて。恥じらいというものは無いのか、】
【かなり直接的な言葉を飛ばす姿は、惨めにも見える様なものである】

【直後、片手を顎に添えて。考えるような仕草で、口を開いた】

……拙者は、頼まれ事を引き受ける代わりに報酬を貰う、そういう仕事をして御座ってな。
別に金を取ろうとは思わんが、甘味とか、そういう物があるなら……依頼として見せても良いで御座るよ?

【……何を言うかと思えば、望み通りバク転を見せるから何か寄越せ、という内容】
【“わざわざ見せる程ではない”と言っておきながらこれである。純粋な彼女を利用しようというのかと思えば、】
【実際のところ、小さいチョコレートでも与えればそれで満足する程度なのだが。】

【眇の視線を投げ掛けながら、女は彼女の様子を窺った】
560 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/02(日) 23:23:53.50 ID:QXWqniLZo
>>559

【何の事かな、なんて少しだけ逡巡する、胸元のロザリオが憂う月光を帯びて】
【そうして漸く気づいたように、ゆっくりバイオリンケースを置いて、両手をぽんと合わせた】
【貴女と一緒ぐらいの高さのマリンブルーが、静かに言の葉を揺らめかしたなら】


なぁんだ……ソニアもね、気にしてるの……
おっきかったらね、大変なの、狙撃する時も、邪魔なの
だからね、羨ましいの、無いほうが、便利だと思うの


【両手を一つに重ねて、くしゃっと握ってお腹の前に下ろす】
【頬に浮かぶ僅かな温もり、伝う言葉の意味合いは嘘なんかじゃなくて】
【見つめる大きな瞳の彩り、表面に映った微かな陰りと共に】


……甘いの……甘いの……ぅぅ……残念なの……
ソニアのね、とっておきなの……でもね、だんちょーの思いで、だすの
だからね、みせて、さっきの、とっても、すごかったの!


【心の中でする葛藤、結局欲望の方が強くて】
【ちょこんとしゃがみこんだなら、バイオリンケースを開けて、中からチョコレートを取り出す】
【そして、少し悩んで、えいってまるでラブレターでも渡すように差し出すだろう】

【取り残される開けっ放しのバイオリンケース、貴女の視力ならば見えるだろう】
【中には彼女が持つにはいかつすぎる、銃器があった】
561 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/02(日) 23:29:49.78 ID:YdXPXjlZo
【海辺】

【月明かりと堤防沿いの街灯が砂浜を淡く照らして、白砂を踏み締める人影の姿を映し出す】
【肩甲骨辺りまで伸ばした黒髪に、夜空を写し取った特徴的な瞳を持った十六歳程の少女】
【カフェオレ色の長めなセーターは袖から白い指先だけを覗かせ、デニムのホットパンツから伸びる素足が少し寒々しい】
【夜色を背景に黄金色の粒が舞う瞳、白く線の細い身体や相貌は儚げな印象でこそあるのだが】
【その身体の内には形容し難い膨大な力を秘めており、感知能力に優れた者ならば察知出来るだろう】

あったかくなってきたと思ったのになぁ、やっぱりまだ寒いや……

【ほうと吐息を手に掛けセーターの袖で覆い隠して暖めるも、脚がこれでは冷えて当然だった】
【素足だが、靴を手にしていない。何処から何で此処へ来たのか、一見すれば自殺志願者とさえ思える】
【それでなくともこの時間に少女一人、不穏ではあるが、声を掛ける人物は居るのだろうか】
562 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/02(日) 23:32:56.96 ID:75RuhYxHo
>>556

【――誰か来たのだろうか。そういえば混浴だったなと、彼女は今更ながら考えて】
【でもすぐにバスタオル巻いてるからいいかと思考を止めた】

【入口が音を立てる。僅かに身体の向きを変えて振り返り、彼女は少女の姿を捉えた】
【その瞬間にはもう少女は駆け出していて――あ、飛び込んでくるなと悟ったのはコンマ一秒後のこと】


【バッシャ――ン! と派手に水しぶきが上がった】
【一応腕でガードしようと試みたが、水しぶきをまともに受けた彼女は苦い表情で顔を拭うのだろう】
【だからといって怒るような人物ではなく、むしろ元気な子が来たな、くらいの感想を抱くのだった】

【彼女はスケッチブックに手を伸ばす。そしてページを捲り、文字を書いてゆくだろう】
【僅かな間の後、飛び込んできた少女にそのページを向けるだろうか。そこにはこう書かれているはずだ】


『こんばんはっ。』


【何の変哲もない挨拶――だが、筆談をしているということは声を出せないに違いない】
【同じくして彼女も少女から生えているボードに気が付くのだろう】
【文字を示しつつもその奇異な姿にじぃ、と視線を注ぐ様は、もしかしなくても失礼にあたるかもしれず】


/いましたっ。よろしくです!
563 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 23:40:30.60 ID:IFMm3g5B0
>>557
【横から現れた人物に対しては小さな驚きの声を上げるが】
【その行動の意図に気付いたならば何かをする訳でも無い。寧ろ、気付く事の無かった頭上の脅威を消して貰った事に対して感謝の気持ちを抱いており】
【さて、後は其れを言葉として表そう。――――そんな矢先の事。パサリと落ちた其れを無意識にも視線が追いかけて】


「これさえ守れば外さない…………ですか?
――――あ。ご、ごめんなさい。代わりに新聞を仕舞って頂き…………それ所か助けて頂いたのに、お礼が遅くなってしまって
貴方のコートにある紋章は…………あのSCARLETの物、ですよね?
ふふ――……貴方の様な方もその組織の一人だと知って、より安心しました」

【無情にも、そのタイトルの一部を読み上げた。全てを読み上げる事は無かったことから、きっと其れが何であったのかまでは分からなかったのだろう】
【然れどこの場合、いっその事全て呼んでくれた方が気も楽になったのに。何て思うのかは人次第】
【兎にも角にも、確かにその雑誌を見られた事だけは確かだ。愛想笑いとして浮かべて居る微笑も場合によっては嘲笑に見える――――か否かは、やはり人次第】

【修道女はSCARLETの存在を知っては居るが、その設立者は知らぬようで】
【世辞、と言う訳でも無いのだろう。実際に目の当たりにした訳で無いにしろ、男性の強さはその立ち振る舞いから醸し出されているのだから】
【或いは、人の身に危険が迫っているときに咄嗟に助け手を出す優しさに対してか】
【何れにせよ、表面だけの言葉で無いのは確かだ。クスリ、と優しく笑んだならば言葉を続け】


「ですが、私のせいでその…………貴方が大切そうに抱えている物を汚してしまったら――――もし、汚れが付いてしまっていたら弁償致しますので、その時はどうか気兼ねなく…………

私の方は、調べ物と言いますか…………色々と気になる事もあって、ここ連日の騒ぎの事を少し追っていた所です
何分、皆さんの力になる所が私が行けば迷惑を掛けてしまう事は明白ですからこの様にして活字で出来事を追っているのですよ
勿論、その場所に居る方々よりも得られる情報は少ないのですが…………

――――貴方も、何か調べ物で此処に訪れたのですか?もし、本を探している所でしたら…………私の方は一区切り付きましたので、探すお手伝いをしますよ
日々人々を守ってお疲れでしょうから……それに、危ない所を助けて頂いたお礼、とも思って頂ければ」

【新聞に少しでも視線を向けていたならば、ここ最近の事件のみが載った欄を覗いて居た事が分かるか】
【大きい物は勿論の事、路地裏で起きている様な小さな事まで隈無く目を通していて】
【何か思うところがあるのか、それとも本当に言葉通りなのかは分からない。ただ、自分の方は終えてしまったと告げたならば】
【提案するのは男性の手伝いだ。指した指先は表紙の隠された其れへと向けられて居て】

【同時にゆるりと傾げられた首。捜し物が終わったならば其れも良し。別な事を手伝って欲しいと告げれば喜んで手伝うのだろうが】
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 23:47:06.14 ID:Xlzx9+g10
【街中――大通りに面した店の前】
【月のない空に星屑をぶちまけたような空が煌いていた、街灯の明かりの向こうに、薄れて見えて】
【いつもよりほんのりと暗がりみたいな街の中、けれどひとの暮らす範囲内ばっかりは明るくて、いつも通りだった】

……わあ、お迎えできちゃった――……。
わぁ――、どうしよう? おうちに帰って――……でもでも、……うわぁ――。

【――とある店からかろりとベルの音で出てきた姿、ぴったりとひと通りを邪魔するように立つなら、悪目立ち】
【ぎゅうっとさも宝物のように紙袋を抱き締める様子が子供みたいで、きらきらと瞳を輝かせて、破顔していた】

【真っ黒い髪の毛はさらさらと夜風に揺れるほど、ようく手入れされた風に、星明りに艶めいて】
【王冠を模したヘッドドレスを被っていた、黒色と赤色のオッドアイがぱちぱちと嬉しげに瞬いて】
【胸元でくしゅくしゅっと咲く大きなリボン飾り、何段にもフリルをあしらったスカートは、その都度レースまでも飾って】
【ひらひらと姫袖の揺れるワンピース、それに羽織っているのは丈の長いマントで、肩から提げた鞄は、服に合わせたようなそれ】
【爪先のまあるいパンプスは底の厚いものでたくさんの装飾に飾られていた、ぱたぱたと嬉しそうにするたびに、底が鳴いて】
【――右耳にだけ付けたピアスが煌く、そこから絶え間なく溢れ出す清い水の匂いは、――確かに宝玉と呼ばれるものの気配だった】

どこかでお茶でも飲んでいこうかな――、はあ、どうしよう……、まだ残ってるなんて思ってなかった――。

【そんな少女がひとりでぶつくさと呟いているのは、テディ・ベアだけを専門に取り扱った店、世界中にいくつかの支店のあるもので】
【それなりにお高いが可愛らしさと品質の良さで人気という店。抱き締めている紙袋も、その店のロゴがあしらわれていて――】

【――今月から発売の熊が居た。初日で売り切れてしまった店があるとか、ないとか、初日時点でかなりの品薄だとか、】
【それがたまたま残っていて。さらに言えば最後のひとつで。店に飾ってあった展示品、それを袋につめてもらったのがついさっき】
【そんなの買えるなんて思っていなかったなら余計にテンションも上がる、――ふらと歩きだそうとしたところに、】

【邪魔そうに少女を避けたひととぶつかりそうになる、慌ててさっと避けたのはいいのだけれど――】
【慌てていたというのもあるし、周りに気を払っていなかったというのもあるのだろう。避けた先は、余計にひと通りの多いほう】
【もしかしたら誰かの前に飛び出してしまうのかもしれなかった。華奢な身体は見た目通りに軽いのだが、ぶつかったとなると、流石に――】
565 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/02(日) 23:51:07.61 ID:XiiGH3Myo
>>562

「ぬ、こんな時間に先客がおったのか?」
「悪いの、ちょっと水が飛んだかもしれんのだ!」


【飛び込んだあとに少女の存在に気づいたのか】
【ボードにそんな文字を表示させて小さく頭を下げる】
【その後、足を揃えるようにして湯の中でペタンと座り】
【ゆったりとその温かさに身を浸す】


「うむ、こんばんはなのだ!」
「……む?何やら変わった喋り方をするのぅ御主は」


【変わっている、などと全く人のことを言えないモノではあるが】
【スケッチブックに書かれた文字を興味深げに眺めて】


「何だ、そんなに私の"これ"が珍しいのかの?」
「ククク……欲しくてもやれぬぞ?何せこれは、私の自信作だからの!」


【顔は見えないが、口元の動きからドヤ顔と取れるであろうものを浮かべながら】
【腰に手を当てて自慢げにそんな事を語る】
【不快には思っておらず、むしろ喜んでいるようにも見えるだろうか】

【よく観察したならば、ボードの付け根付近は砂のように崩れて肩に被さっている】
【刺さっている、生えている、などではなく何らかの手段でくっつけている様だ】
566 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/02(日) 23:51:22.44 ID:AnfGkLYKo
>>560

【言葉を聞きながら、表情は変わらない―――と思いきや、かなり歯を食いしばっている】
【次第に頬がヒクつき、眉が動き、そして……無表情。彼女の言葉が、衝撃的過ぎた】
【「羨ましい」……?「無い方が便利」……?わけがわからないよ。いや、わからない事はないのだが】

……き、貴様ぁ……け、喧嘩売ってるで御座るか……!
確かに拙者とて、「隠密するときに大きいと邪魔だろうなぁ」とは思うで御座るが……!

――――いかんいかん、落ち着くで御座る……。子供相手にムキになるなど……

【フルフルと小さく頭を振れば、口にするのは「お前も子供じゃないのか」と言いたくなる言葉】
【だが、外見通りにこの女が子供なのかと言えば……】
【―――ともあれ、女の目は差し出されたチョコレートを確かに捉えた。一つ、頷きを返して】

……うむ。では然と見ておくで御座るよ?追加する毎に貰うで御座るからな?
――――よっ、――――と。

【容赦など無しに受け取ったチョコレートは、一旦ポーチの中に。軽い掛け声で後方に一回転して見せて】
【スっ、と着地する姿は、その身軽さを示すように静かに、そして安定したもの】
【少しばかり自慢げな表情をしたかと思えば、チョコレートを取り出し、言葉を紡ぐ】

―――その中身といい、 さっきの“狙撃”という言葉といい……戦場に立つ身で御座るのか……?
……拙者もまあ、半ば戦いに生きるようなところもあって、な。

【夜の中でも、寧ろ夜の方が、この女の目は活きる。抜け目なく、確かにケースの中を視認していた】
【問い掛けたのは、何の気無しのことで、それだけのこと。】
【―――とは言いつつも、幼さを残す彼女がそんなモノを持っているのが、気になったのかも、しれなかった】
567 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/03(月) 00:12:05.47 ID:x6flZyDmo
>>566
/ごめんなさい!そろそろ時間なので、凍結お願いしてよろしいでしょうか?
/安定してお返事できず申し訳ありません……
568 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 00:13:04.74 ID:wPHdgohdo
>>567
/了解です、こちらこそ時間かかっとりますのでお気になさらず!
569 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 00:16:12.36 ID:3c/NjWino
>>565

【見るからに人が来そうにない温泉だ。誰かが浸かっているなんて思わなくてもおかしくはない】
【それに、そうやって無邪気に騒げるのは子供の特権とも言える。元気な姿は見ていても微笑ましい】
【故に文字を向けられても、彼女は笑顔を浮かべることだろう】


【変わった喋り方――確かに筆談をする機会などそうそう無いだろう】
【いや、それ以上にボード談(?)を目にすることの方が圧倒的に少ないのだが……突っ込んではいけない気がした】
【しかし歯に衣を着せぬ言葉を久しぶりにかけられたからか、僅かに動揺しつつ、ペンを動かす】


『すみません。声を出せないもので…読み辛ければ言ってくださいね。
 お邪魔でしたら、もうしばらく浸かって出ますので…少しの間辛抱してください。

 ご、ごめんなさい思わず見つめてしまいました…。
 そのボード、あなたが作ったのですか? とっても便利そうですね。』


【やはり彼女は声を出せないらしい。そういえば目の前の少女も筆談だ】
【声を出せないからボードを作ったのだろうか。おそらく考えるだけでひとりでに文字が動くというのはもの凄く便利そうで】
【少女を見る視線が、ちょっとだけ羨ましそうな物に変わる】
570 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 00:17:56.91 ID:ekmDYm8To
>>563

……あ、ああ。これさえ守れば外さない―――らしい……。まぁ……別に、これ位は構わないさ。
確かに俺はSCARLETだが……安心も何も、この図書館内にはそんなに危険も無かろう―――いや、先程は危険だったが。
しかも今は病み上がりだからな……もし能力者が襲ってきても、対応できないかもしれない……

【段々と言葉が弱々しくなると、雑誌を抱える力がより一層強まった。濡羽色の瞳は伏せ、ローテンションの様子が良く分かる】
【―――恥ずかしいモノを見られた、ということは勿論、袴やコートに隠れてはいるが、まだ彼の右半身のあらゆる部分には包帯が巻かれており病み上がりなことも理由である】
【……先日の風の国、不落陵墓リジルでの事件。六罪王も関わったとされる事件により負った傷が治りかけであり、その為本日は仕事は無かった。図書館にいた理由もその為だ】

【ローテンションに事件のことも相まって、口から溢れる言葉も何処か弱気が見える内容であった】

―――いやいや、床に落としたくらいで弁償させる訳にはいかないさ。
……それで、連日の騒ぎについて調べているのか。最近は色々と物騒だからな……夜道を修道女が独りで歩こうものなら、暴漢に襲われてもおかしくない程に。
そのような事が無いようにする為の自警団にSCARLETなのだが……―――兎に角、現場に行くのは我々SCARLETに任せて、君達は出来る限り危険のない場所にいて欲しい。

……―――まぁ、俺は……少しばかりか興味のあるモノについて調べようと思っただけだから、別に……。
十分な資料も手に入ったし―――む……。 ……1つ、忘れていた調べ物があったな……。

【ぎっしりと詰まった事件欄に視線を送り溜息を吐きながら、男は今の状況を憂いた。路地裏の悪党共を幾ら成敗しようとも、数は一向に減らない】
【そしてカノッサやGIFTの侵略にも手を焼き、各国は、各正義組織はその対応に追われている。安全は、大小様々な悪に脅かされているのが現状であろう】

【手伝う、という彼女に対し男は其れを拒もうとしたが―――何かを思い出すと、その事について一緒に調べて欲しいと彼女に呼びかけた】

……宝玉、というモノを知っていたりしないか? ―――少し気になることもあるし、そもそも基本的な知識すら持ち合わせていないので、一緒に資料を探して欲しいのだが。

【宝玉―――と言う言葉を、彼女は聞いたことがあるだろうか。彼は直接宝玉を見たことがあるが、宝玉について詳しく理解しているわけでも無かった】
571 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/03(月) 00:20:34.64 ID:x6flZyDmo
>>568
/ありがとうございます!
/では置きレスの方へ、お返事返しておきますね!
572 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 00:36:49.70 ID:VwKR6ZQ9o
>>569

「む、別に気にすることはないぞ」
「私としても爺様と入れなくて少し人恋しかったところだからのぅ」

「丁度よいから私が上がるまで付き合うがよいのだ!」


【そう記して、口元を吊り上げ笑みを見せる】
【爺様――とは先ほど聞こえた者であろうか?】
【言動はどこか高圧的で我侭さの浮かぶものであるが、邪険にする様子はない】


「ふふん、そうであろうそうであろう!」
「以前ふと思いついて以来ずっと重宝しておるのだ!」

「まあ、これもこの天才魔術師シーナ様だからこそ為せる技」
「他の者ではまず真似は出来んだろうがの!」


【少女――シーナはボードを褒められた事で凄く舞い上がっている】
【人に褒められるのが好きなのであろうか、調子に乗りやすいとも言えるが】
【意外と扱いやすい人物なのかもしれない】

【シーナは、伸ばしていた足を戻すと】
【水面をチャプチャプと揺らしながら少女の方へと少し近寄り隣に座ろうとする】
【どうやらちょっと懐いたようである】


「のぅ、御主のそれは文字以外書けぬのかの?」
「確かそれは、街で絵描きが持っておったモノなのだ」


【少女のスケッチブックに興味があるのだろうか】
【少し首を傾げながらもそれを観察し、ツンツンと指先で触れようとする】
【スケッチブックを珍しく思うなど、どこか世間離れしている様子であった】
573 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 00:46:51.26 ID:nOF61I9Y0
>>570
「いえ、危険は何処に潜んでいるのか分からないのですから…………頼りにして居ますよ
貴方の様な組織の方達が居なければ、今頃きっともっと多くの方々が傷ついていましたから
――――それに、大丈夫です。もしも襲ってくるような方が居たら、私がお話しますので」

【戦うでも無く、話す。即ち其れは修道女が悪に対して抱いて居る感情と考えても良い】
【根から悪に染まっている者なんて居ない。話せば、きっと分かってくれると――――傷付ける事を止めてくれると信じているから】
【甘すぎる考えだ。この世界なれば直ぐに餌食となっても仕方ない思考】

【それでもこうしてこの歳まで生きているとなると守り手でも居るのか】
【――――まあ、今はそんな事はどうでも良い話。目の前の修道女が敵意という物を知らない方が問題だ】


「ええ……皆さんのお陰で、襲われた事なんて今まで一度もありません。重ねて感謝します
日々熾烈な戦いになる中、傷つくことも厭わずに他の方達の為に闘っているのですから…………
言いつけはしっかりと守りますよ。ですが――――私の友人…………グリースと天鬼ちゆりに会った時は、仲よくしてあげて下さい
…………ちゆりの方はあの性格ですから、その…………大変かとは思いますが…………」

【新たに連ねられた名。特にちゆりの方は大会出場者と言う事もあり、オラークル繋がりである程度の事は分かるだろうか】
【あのオラークルに聞いた時にも反応が反応であったし、今此処で言う時も苦笑と共に告げられるのだから余程変わった性格】
【グリースは――――ニュース等で見たことがあるか。この女と同じ修道女でありながら、武力に長けるといった異端】
【意外な事にもその二人と接点を持つこの修道女は二人と異なって何か優れた力を持っている様にも見えないし、実際に持って居ないと考えても良いのだろうが】


「宝玉、ですか?実際に見た事は無いのですが、話を聞いた事ならば何度か…………
ただ、私の説明よりもきっと本で読んだ方が分かり易いですよね。少し、待ってて下さい
確かこの辺りにー…………えっとー…………あ、これです。これ
――――その宝玉も、以前の戦いの中で見掛けたのですか?」

【男性とは逆に、見た事は無いが聞いた事はある。然れど内容が内容だ。あやふやな説明よりも活字で見た方が分かり易いだろうと本棚を探り】
【――――そんな遠くも無い書架。数歩歩けば辿り着ける場所に、其れは収められていた】
【言い回しも古く、当然それぞれの宝玉の特製が書かれている訳では無いが――――宝玉とは何たるかを知るには十分な事は書かれているのは確かで在ろう】
【全ては基本的な物、それとちょっとだけ深く書かれた程度だ。然れど、知識を0から5に引き上げるには十分な程】
574 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 01:10:41.70 ID:3c/NjWino
>>572

【邪険にされる様子がなければ、彼女はほっと胸を撫で下ろす】
【素早く筆を動かすと『ありがとうございます。』とだけ書き、少女へと示すだろう】


【魔術師、というワードに、彼女は一瞬だけ反応した。自分の父が魔法使いだったことをふと思い出す】
【父もいくつか魔法を習得していたが、このボードに似たような魔法は見たことがなかった】
【扱えれば何でもできるんだなと、改めて感心する】


『じゃあ私の肩にも付けれたりするんでしょうか。…魔法なんて全然使えないですけど。
 あ、シーナって名前なのですね。私はホプス・ブライトです。ブライトとお呼びください!』


【他の人がどうかはわからないが、少なくとも彼女には真似できそうもない】
【幼いころから修練を積んでいるのだろうかと思うと、急に少女が偉人のように見えるのだった】


『そうですね。私は大きな文字を書けるのでスケッチブックを使っていますが、普通はこんな使い方はしません。
 シーナさんが見た通り、本来は絵を描くのに使いますね。例えば、こんな風に。』


【シーナが疑問を抱くのも無理はないだろう。文字を大きく書く理由は、離れた相手にも言葉を伝えるためか】
【最後の文字のすぐ傍に、ちょこんと温泉まんじゅうが描かれていることだろう】
【……今更ではあるが特殊な紙なのか、少しよれているがちゃんと絵がわかるはずだ】
575 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 01:18:57.91 ID:ekmDYm8To
>>573

……流石、修道女だな。―――どれだけ遠回りな道であろうと、暴力には頼らない解決を図ろうとする姿勢は。

【現実を捉えていない甘い考えだが、修道女ならば其れでいいのでは無いかと思い、甘さを指摘するような行動には至らなかった】
【―――修道女くらい、理想を追い求めても良いだろう。だがSCARLETや自警団、UTのメンバーがそのような考えを持っているのなら―――きっと彼は叱咤する】
【……そんな生温い思想で戦えるか、戦いもせずに何を護れるかと。カノッサやGIFTなどの圧倒的暴力には、暴力で対抗する以外に方法は無いのだから】

―――……天鬼ちゆり殿か。あの大会3位の実力者か……彼女は寧ろ我々と一緒に戦って欲しいくらいだ。
……俺は彼女の戦いしか見たことは無い故に、性格がどうとかは分からないが……彼女を慕う人物も知っているのだから、まぁ大丈夫だろう……。

お陰と言うが、まだまだ女子供が襲われる事件が後を絶たない。警備が甘い証拠だよ……だからもしかすれば、君も腰の剣を抜かなければならない日が来るかも知れない。

【彼は視線を彼女の腰に提げられた剣に落とす。修道女が剣を持っていることに少しばかりの違和感を覚えたのだろう。護身用には大きすぎる気もしたらしい】
【彼女から零れた名前―――天鬼ちゆりは、自分が彼女の試合を解説していたくらいだから良く覚えている。強者の名前は余計に忘れないものだ】
【……一体どんな性格をしているのだろうと思うが、そのような事を考え不安を持っても仕方が無いのでまぁ大丈夫だろうと投げやりながらに思い込んだ】

……ああ、済まない―――……何というか、手の中に宝玉が作り上げられていく光景を見たのでな……。
後は、宝玉を持っている知り合いも一人いるな……あー、因みにちゆり殿と並んで3位だった人物だ。
……とはいっても修道女が大会には興味はないだろうから分からないか。

【風の国の事件―――彼は確かに見た。六罪王エインセルの手の中に、宝玉が作られていく様を。宝玉特有の濃厚で怪しげな魔翌力も、肌で感じ取った】
576 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 01:33:04.80 ID:VwKR6ZQ9o
>>574

「うむ、付ける"だけ"ならば簡単なのだ!操るとなるとまた別の話になるがの」
「えっと……ぶらいと、ブライトも覚えてみたいのかの?」

「一から全てとなると難しいだろうが、"粒"を操るだけならば然程技術もいらんのだ」

【シーナが指をくるくる回す仕草をすると】
【それに釣られるようにして帽子から細かい砂がサラサラと溢れ出し】
【砂は指先で螺旋の軌道を描いた後】
【シーナの頭の上付近まで移動し、収束。結合し形を変えた】
【……肩についている物体と同じ、"ボード"である】
【これがこの魔術師の操る技……見たままならば"地系統"に属するものであろうか】


「おお!私ほどではないが中々に可愛いではないか!」
「ふむぅ、羨ましいのぅ。私も絵の練習はしておるが一向に上手くならんのだ」

「新しい"設計図"を作るためには、もう少し絵心が必要なのだがの〜」


【少し足を上げて、水面をパチャパチャと波立てて】
【ホプスの書いた絵を見ながら口をへの字にして羨ましげに言葉を記し】


「そうだ!の、の?御主、人間の絵なども描けたりするのかの?」
「もし出来るならば、どうじゃ?今なら特別に私の似顔絵などを描いてもよいぞ!」


【そんなことを言いだした】
【描いてもよい、という言葉は正確には「描いて欲しい」であろうか】
【自身の胸の前で手を合わせるような仕草をしながら、どこか期待した視線を向けている】
【顔が鼻の先ほどまでしか見えていないため、"視線"というのも変な話ではあるが】
577 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 01:42:30.13 ID:nOF61I9Y0
>>575
「暴力に頼らない――――と言いますか、誰かが傷付く事があまり好きでは無いのです
確かに平和も力が無ければ得られない事を分かってはいますが…………
だから、私はその分だけ人を癒やして行きます。心の傷も、身体の傷も
――――もし良ければこれを使って下さい。完治までは出来ませんが…………きっと、普通に動く分には問題無い程度までは回復すると思いますから」

【よっぽどの事でもないと傷は付けられない。だけれど、傷を癒やす事は出来る】
【悪であろうと正義であろうと、助けを求めるならば皆同じだ。悪く言えば世間知らず――――なんてもんじゃない】

【取りだしたのは小瓶であり、中に注がれて居るのは清められた水であろう】
【流石に一瞬で傷を治癒する程の物では無いが…………言葉通り、今の傷が戦闘に支障を来さない所までは回復させる事も出来ようか】
【差し出した其れ。受け取られれば嬉しそうに微笑むし、拒めば少しばかり残念そうにするも無理強いはせず】


「私の剣は、どちらかと言えば悪魔に対しての牽制の様なものですから――――
人に振れば、忽ち私の方がやられてしまいます

――――ロウ、の事ですよね?確かに私は大きい興味は抱いてはいませんでしたが…………ちゆりから話は聞きました
銃を扱う方で、とても凄い方が居る…………と。その方も宝玉を持って居ましたか…………
宝玉が作られた話にも興味はありますが――――そちらの話にも興味はあります」

【取りだした本を近場の机に置いたならば、その口からは意外にも大会三位の名が正確に告げられる】
【何故知っているのか。其れは続いた言葉で納得出来ようか】
578 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 02:03:49.56 ID:3c/NjWino
>>576

【まるでその動作は見えない指揮棒を翳したかのよう。一粒一粒が的確に配列し、ボードを創り上げる】
【彼女はその様子を視て目を輝かせることだろう。急速に胸の中が好奇心で満たされてゆく】
【――が、彼女は突然何かを思い出したような表情を浮かべると、ぷしゅ、と空気が抜けてゆく風船みたいに落胆するだろう】


『やってみたいのはやまやまなのですが、私は魔法を使えないので…。
 魔翌力を全く持っていないので、操るまではできないと思います。
 でも、何だか久しぶりにワクワクしました。魔法を使えるひとって、毎日こんな気持ちになれるんですね。
 ちょっと羨ましいです。』


【以前にも魔法を使おうと試みたことがあるのだろうか。ブライトは自分の素質を把握していた】
【さっきも言ったくせに舞い上がったのは、付けるまではできる、と聞かされたからか】
【後半の文章は純粋な彼女の気持ちだった。シーナのように、魔法で物を創ったり操ったりできればどんなに楽しいだろうか】


『ふふ、絵は描けば描くほどうまくなりますよ?諦めずに挑戦してみてください!
 …設計図は書いたことがないので、何とも言えませんが…。』


【魔術に使うのだろうか。魔法使いが設計図を使うようなイメージは無いが、裏ではそんな努力もあるのだなと考えて】
【図面を引くシーナを思い浮かべると、楽しそうな光景と共に今度は頭が良さそうな印象を抱くのだった】


【シーナの申し出に面を食らいつつも、彼女は頷くだろう】
【スケッチブックを捲ると、手際良くさらさらと筆を動かしてゆく】
【……としたのはいいのだが、そういえばシーナの顔は半分帽子で隠されている】
【これでは顔を描くというよりも帽子を描くに近い】

【今思えば何故それで文字を読めるのかも疑問だが――それは、置いておくとして】
【さっとペンを動かしたならば『よければその帽子、取って頂けますか』と伝えようとするだろう】
579 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 02:12:31.14 ID:ekmDYm8To
>>577

……良い心掛けだな。―――俺には……この剣しか無い故に、戦うことでしか平和を生み出せない。
だから俺はこの「武」で、平和を掴み取っていく。……君は「癒やし」で、平和へ貢献する。所謂役割分担だな……。

―――……そしてその「癒やし」、ありがたく頂戴するよ。

【微かながら、包み込むような柔かな微笑みを見せて―――そして、彼女の癒やしを受け取る】
【その小瓶の中身をじっと濡羽色の瞳で凝視し中身を確かめると、彼は其れを懐へと仕舞う】
【彼を癒やすことで、少なからず平和に貢献したということになるだろう。彼女のお陰で完治が早まり―――仕事への完全復帰が1日早く可能になるのだから】

……―――ああ、そうなのか。修道女が剣を持っているものだから案外武闘派なのかと初めは思っていたよ。
悪魔……は見たことがある……というか一度戦った経験もあるからな……。大分凶悪な見た目と、見た目通りの中身だったよ……。

【悪魔と聞いて思い出すのは―――邪禍。一度だけ戦った経験のある、正真正銘の悪魔。やはり悪魔という存在はこの世に存在するのだ、と改めて実感する】

―――む、知っているのか……大会でも色々やらかした男だからか?……確かに射撃技術と戦闘の組み立てだけは一級品の男だ……だけは。
ロウ殿も宝玉を持っており、その力を使役するのだが……本人が言うには、1割も引き出せないらしい。

あまりにも膨大な魔翌力―――無理に引き出せば、体内中の魔翌力が全て吸い取られてしまうとか。
……兎に角正確な魔翌力コントロールが問われる為に、あまり魔翌力の扱いを得意としていないロウ殿だと宝玉のポテンシャルを存分に発揮できない様だ。

―――だがそちらの方が良いかも知れない。宝玉の魔翌力は余りにも濃厚過ぎて、様々な危険を呼ぶ……。―――まぁ、全て彼の言葉なのだが。

【そして彼女が続けるには、ちゆりからロウの名を聞いているということ。勝手に入場曲を流したり、前大会で人気を得た選手を破ったことでアンチがついたりと色々あった男だ】
【―――だが、3位の実力はちゆりと同じく本物。宝玉の力を要所要所で織り交ぜ―――ギリギリの勝利を掴み取ってきた。だが、その力も10%が限界らしい】
【……彼が持つ宝玉の情報は、全てこのロウから聞いたことであった。宝玉の危険さは、本人から何度も聞かされていた】
580 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 02:25:05.62 ID:VwKR6ZQ9o
>>578

「ブライトは魔力を持っておらんのか?」
「ふぅむ……流石にそれでは教えることも出来ぬのぅ」

「天から授かる"能力"と違い、相応の修練が必要だが」
「その分学を深めればそれだけ結果がついてくる。楽しいものなのだ」
「ちと、残念だの〜……」


【ホプスに魔術を教えたかったのか、こちらもちょっと残念そうにする】
【責める気などはないようで、「まあ、仕方ないのだ」と文字を表示させると】
【作っていた頭の上のボードを砂に戻し、帽子の中に逆再生するように還していった】


「そういうものなのかの?」
「じゃがの、前爺様の似顔絵を描いてみたら"すくらんぶるえっぐ"と間違えられたのだ……」

「天は二物を与えぬとは言うが」
「どうもに私は絵心の神に愛されておらん気がするのだ〜……」


【口をお湯に浸からせてぷくぷくと泡立てながらそんな言葉を記す】
【自信に満ちているようにみえて、絵を描くことに関してはどうにも苦手意識があるようだ】
【人間を描こうとしてスクランブルエッグになるのはある意味才能ではあるが】


「む?……む〜、すまぬがこの帽子は"今はまだ"外せんのだ」
「事情はちと話せぬが、の」


【湿気で少しクタッとなった帽子を、手で触りながらそう語る】
【声を出さないことといい、"素性"を隠しているのだろうか】
【その割には堂々と名を語っていたりするが、本当の名であるかも疑わしい】


「しかし、私の可憐さは帽子があっても翳らぬのだ!」
「どうかの?何か"ぽぉず"でも取った方がよいかの?の?」


【気を取り直し、そんなことをシーナは訊ねる】
【やはり帽子をつけたまま描いて欲しいようであった】
【もし何かポーズに指定があったならば、可能な限りそれを実行しようとするだろう】
【シーナはホプスの顔をわくわくしたように見ながら、返事を待っていた】
581 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 02:39:56.21 ID:nOF61I9Y0
>>579
「盾だけでは身体を守れません。時には剣を用いる事をしなければ――――いえ、剣が無ければ影を断つ事も出来ないのですから
…………悪魔も全てが害を為す存在という訳ではありませんが……でも、害を為す方が多い事は確かです
一度戦った事があるなら…………その警告も、必要ありませんでしたね」

【悪魔は確かに教会の敵だ。だが、そうであっても明確な敵意を抱かないのは――――きっと、気質】
【全ての罪を赦すとまでは行かずとも、その罪をも浄化してしまおう】
【差し出した其れが受け取られたならば嬉しそうに微笑んで、その手は自身の身体前面へと収められる】


「――――単純に強さについて、ですよ。彼女が話したのは
“やらかした”事は聞いていませんし、興味がありますが…………彼の名誉の為、問わないことにしましょう

宝玉は……そうですね。逆に魅入られて取り込まれてしまう、なんて話も聞いた事があります
――――貴方の言う通り、恐らくそちらのままの方が良いと思います
強すぎる力は、自分の厄として返って来る…………なんて、よくある話ですから」

【戦いの場には行かない為、実際の威力を目の当たりにした事は無いが――――】
【今までの逸話を聞けば、大体の事は分かる様な気がして。大きい力。故に、扱えば扱うほどに代償が求められる…………なんて】
【そんな事を話している最中、ふいに扉が開くことだろうか】
【その先に居るのは、純白のローブにキャスケット帽を被った――恐らく、少女】

【何よりも目を惹くのは、少女から発せられている“聖”と背に生えた大きな翼であろうか】


『カログリア。チェリが呼んでる……と、言ってみる
早く戻らないとまた看護師達に迷惑をかけ始める……と、嘆いてみる』

「――――すみません。迎えが来たようですので、私はそろそろ失礼します
これからも、頑張って下さいね。怪我等をしたら、言って下されば治しますので…………」

【そんな一風変わった少女が、この修道女の迎えらしく】
【新聞から得た情報を纏めたノート――書かれた内容は、偏っているようにも見えるが――を手にして一礼したならば】
【その足先は扉の先へと向かって…………やがては、図書館には男性一人と静寂が残されるか】

/そろそろ時間が近づいてきたのでこの辺りで失礼します……!
/お疲れ様でありました!また是非宜しくお願い致しますですよ!
582 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 02:59:38.89 ID:ekmDYm8To
>>581

……ロウ殿は確かに強い。―――射撃と組み立てだけとは言ったが、もう一つ、一番強いものを忘れていた……
彼の信念―――不殺。君の思想と同じく、実現の難しいモノだが……彼も本気で向き合い、取り組んでいる。
その意志が大きなエネルギーを生み、スペックで彼より勝る相手にもいつの間にか勝っているのだ……全く走れない状態で3位は、その姿勢に勝利の女神も微笑んだということ。

彼が宝玉を常に持ち歩くことも、その意志の現れ。カノッサやGIFTに常に狙われる覚悟を背負った―――という意思表明なのだろう。
そして宝玉はこれから更に重大に―――む、知り合いか……?

【強力なアイテムであるが、其れは強敵を呼び寄せ自分を危険に晒す諸刃の剣。そのリスクを背負う彼を、この男もある程度評価をしているらしかった】
【その後の話に入ると同時に、言葉に多少の力が加えられる。濡羽色の瞳も、何処か鋭さをいつの間にか持っており、これから真剣な話を―――という中で】
【……彼女の知り合いが来たらしい。心の中では少しタイミングが悪いな、などとは思っていたが勿論声に出すことはなかった】

……―――先程悪魔の話をしていたよな。……ならばその逆―――天使もいる、ということか……?
いや最近流行りの「こすぷれ」とかいうヤツなのか……―――あ、ああ。カログリア……というのか。これからも沢山の人を癒してくれ……。

【個性的な外見の少女に鋭かった瞳も丸く見開き、少々首を捻って凝視した。……偽物の羽根には見えなかった】
【兎に角、彼女―――カログリアというらしい修道女には予定があるらしい。男は彼女を見送り、独りで静寂を享受し―――そして呟くのだ】

……純白のローブの天使に、修道女……個性的な格好の多いこと。
―――ファッション雑誌で勉強してみる必要……ない……かもな?

【抱え込んだ雑誌に瞳を下げて数秒考えると、彼はその本を戻してから姿を後にした―――】

/ありがとうございましたー!
583 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 03:04:36.90 ID:3c/NjWino
>>580

【もし自分が魔術を使えれば――そう思うが、シーナの言う通り使えないものは仕方がない】
【――その理由≠知っているが為に、余計に残念だった】


『スクランブルエッグですか…上手くなるには遠そうですけど、続ければ上手くなりますよ!
 それにほら、神様って皆に祝福するするものじゃないですか。
 だからきっと絵心の神様がいればシーナさんも上手くなりますって!』


【神様を引き合いに出すあたり根拠などどこにも無いのだが、その努力がある限り諦めるのはもったいない】
【そう思う癖に具体的にどうすれば上達するか書かないのは、単に彼女が教え下手だからだったりする】


『わかりました。では顎に手を添えて、別の手はさっき砂を操った時のように顔の横に持ってきてください。
 かっこよく描きますねっ。』


【文字では少々伝わりにくいだろうから、言葉を伝え終わるとイメージしているポーズを取って見せるだろう】
【シーナがそのポーズを取ってくれたなら、彼女は描き始めるはずだ】


【……数分後出来上がったのは、黄色いシャツと五部丈のジーパンの上に白衣を着たシーナの絵だ】
【口元はにやりと得意げな笑みを浮かべ、帽子からは砂の粒が漏れ出して空を漂いシーナ≠ニ文字を形取っている】
【全体的に子供っぽい雰囲気だが、少年の心をくすぐるようなかっこよさも秘めているだろう】
【――なぜか科学者のような装いの上、それを女の子であるシーナが気に入ってくれるかは別だが】


/すみません、お風呂入ってきます…
584 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 03:26:22.35 ID:VwKR6ZQ9o
>>583

「そういうものなのかの〜?」
「むぅ、ブライトがそう言うならばもう少し練習してみるのだ……」


【あまり乗り気、とまでは言えないようであるが】
【少し練習してみる気にはなったようだ】
【生来の才に恵まれておらず、独学ではなかなか厳しいものであるが】
【練習をすれば最低限人として認識出来るレベルにはなるだろうか】


「こうか!……いや、こうかの?ふむふむ」


【シーナは言われた通りにポーズを決める】
【期待していたこともあって描いている最中はノリノリであった】
【そして数分後……】


「ブライトよ、もう出来たのか?早速見せてみるがよい!」


【……描き上がった様子を見て、シーナはスケッチブックを覗き見る】
【特に意識するようなことはないが、先ほどより距離が近くなるだろうか】


「ほほう、私の格好良さが上手く表現できておるではないか!」
「少々色気は足りんが……こういった趣の私もまた美しいのだ!」


【どうやら好評のようで、シーナは嬉しそうに絵を眺めている】
【声は出さず、表情も窺いにくいが】
【文面と口元の動きでも察することは難しくはないだろう】


「……の、の?この絵を私に譲ってはくれんか?」
「ちゃんとお礼はするから……ダメかの?」


【シーナは絵が気に入ったようで、そんな話を持ちかける】
【単純な技術や精度……ではなく、誰かに"自分(シーナ)"を描いてもらったという事実が】
【この少女にとって非常に喜ばしいことであった】

/行ってらっしゃいませー!
585 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 03:56:44.35 ID:3c/NjWino
>>584

【――思えば、スケッチブックを通して会話する相手の気持ちを考えたことなどなかった】
【シーナの肩で記される文字を見ていると、客観的に自分を見ざるを得なかった】
【これは彼女にとっていい経験になるのだろう】


【なるほど。色気を出せばなお良かったらしい。とても口には出せないが……無理そうだなと思ってしまう】
【彼女の脳内シーナはすでに、子供らしく探究心を満たすべく魔術を開発するイメージが定着していた】


『喜んで頂けて嬉しいですっ。
 濡れてよれよれですけど…こんなのでよければどうぞ。
 後で乾かしてシーナさんのお荷物のところに入れておきますね!

 さて、ではそろそろのぼせてきたので私は上がることにします。』


【それでも、喜んでもらえたのはやっぱり嬉しくて。譲ってくれなんて言われれば、笑顔で頷くことだろう】
【スケッチブックの文字を伝え終わったのならば、彼女は湯船から出てペタペタと脱衣所へ向かう】
【もしもシーナと話していた老人が居たのなら軽く会釈をして、しばらく退席するか目を逸らすかしてほしいと告げた後、着替えるのだろう】

【そして先程書いた絵を置いてあったうちわで乾かしたならば、老人に絵を預け、彼女は去ってゆくだろう――】


/このあたりで〆ますね!
/ありがとうございましたっ
586 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 04:12:30.59 ID:VwKR6ZQ9o
>>585

「うむ、大切にするのだ!」
「この絵にピッタリのいい額縁を買ってこなくてはならんのぅ!」


【絵を家に飾るつもりであろうか?大げさとも言えるような喜びようである】
【何か理由があるのか、それとも純粋な子供心か】
【どういう理由にせよ、シーナが絵を気に入ったという点に嘘はない】


「うむ、今日のところはこのくらいにしておくのだ!」
「次はもっと違う絵も沢山描いて欲しいところだの!」


【湯船から上がるホプスに対して、シーナは手を振って見送った】
【その後は、ご機嫌な様子で湯船でパシャパシャと水を鳴らして泳いでいた】
【もうしばらく、一人で遊んでから帰るつもりなのだろう】




『……悪ぃな、娘の相手させちまってよ』
『やんちゃ盛りの子だ、迷惑かけちまったんじゃねえのかい』


【シーナと一緒に来ていた老人は、敷居の外にいた】
【その者は、身長2m近くもあり虎の頭をした逞しい獣人であった】
【互いの声を発さぬ者同士、会話の内容は知る由もないが】
【気配から二人が交流していたことは察していたのか、湯上りの彼女にそう声をかける】


『ん?何だこりゃ……ってほほう、いい出来じゃねえか』
『まあ実物はこれの100倍可愛……いや、いけねえ。爺ちゃんの贔屓目ってやつかそりゃ?』

『有り難く受け取っておくぜ、後でちゃんと渡しておくからよ』
『またあの子と会うことがあったら……まあ、ほどほどに相手してやってくれや』


【虎の老人は、口元をニィと上げながらそう告げて】
【絵を受け取ると、去りゆく彼女の背を見送っていった】
【老人から絵を受け取ったシーナは、次の日には絵を立派な額縁に入れて自分の部屋に飾ったそうな】

/深夜までお疲れ様でした!
587 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 18:49:24.08 ID:XOweHQXro
【闇市通り――合法なものなんてほんの一握りなこの場所に、一際目立つ店があった】

【形容しがたい、混沌とした趣味の悪い屋台――並ぶのは、肉とか果物とか何かの素材とか小動物っぽいものとか、とにかく雑多である】
【それを運営するのは、眼がレンズで執事のような姿をした二足歩行のコウモリである】
【店の後ろにあるのは、趣味の悪すぎる混沌とした掘っ立て小屋――時々"人ならざる者"が出入りしていて、それは品出しだったりそうではなかったり色々】

『ええ、"対価は貨幣に限らず"――いつもの通りで御座います』
『"邪禍様ではないのですか"――ええ、邪禍様は体調を御崩しになられていらっしゃいますので、今日はワタクシが店番を務めさせて頂いております』

【値札はない、ただ、怪しげで曖昧な表記で正体の分からぬ謎の商品群が立ち並ぶのみ】
【一つ言えるのは……どれもこれも、この世界では見たこともないような品だということか】
【そんなものを堂々と出せるのも、闇市だからこそか――たまに"常連"が訪れている様に見えるのは、きっと気のせいではない】

『"あの件はまだ残されていますか"――はい、今日も、"アビスゲートに足りないナニカ"は非常に高い値段で買い取らせて頂いております』

【そういえば"邪禍"――とか言ったか、確かその名は数々の罪で指名手配されている悪魔と同じだったはず】
【――あなたはこの店に立ち寄っても良いし、もしくは別の何かをするも良いだろう】

/あまり長くはいれません
588 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/03(月) 20:41:20.64 ID:PYL+r3uv0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 市街地】

……やっと、退院できた……
傷が残っちゃったのは、まぁ、仕方ないかな……

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち、額に大きな傷跡が残っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【額の傷を気にする様に左手で撫ぜながら、確かな歩調で歩いている】

【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

……ともかく、一度事務所に戻らないと……

【斬りつけられた様な額の傷跡は、既に塞がっているものの、比較的新しい物の様で、左手はずっと額に宛がわれていた】
【まだそこだけ感覚が違うのに、慣れていないのかもしれない】
【それでも、どこか明確な目的地を目指しているのか、真っすぐに前を向いて、人波を裂いて行くように、足取りも軽やかに歩を進めている】



【――――所変わって、水の国 住宅街】

……水の国とは申しますが、流石にこの季節は……よく燃えますわね……
清めの為には、都合の良い物ですわ……空気が乾燥してくれていると、なお……

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性が】
【めらめらと火の手が上がる住宅を少し遠くに眺めながら、口元に笑みを浮かべて立ちつくしている】
【周囲は既にその火事を感じ取った住人が飛び出してきてか、喧騒と怒号が飛び交い始めていた】

――――無駄ですわ。この辺一帯……5軒程は燃えてしまうでしょう……
死にたくなければ、早々に逃げ去る事ですわね……

【その群衆に蔑む様な笑みを向けると、女性は火勢に背を向けてその場を去ろうと歩きだす】
【途中、手に持った杖でかつん、と地面を叩くと、シャンと杖の鈴が鳴り、それに合わせて火事現場で爆発が起こる】
【尚も勢いを増す火の手に気を取られてどよめく人々の中にあって、誰も人ごみから離れていく女性の姿を気に留める者はいなかった】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 21:10:58.94 ID:mqj1ncyE0
【街中――おおきな日時計のある広場】
【薄らとした月影が天高くに登ってからしばらく経った頃合、けれど、この場所だけは午後の陽だまりの暖かさが満ちていた】
【何にもなしに訪れたなら驚くことになるだろうか、日時計の範囲内にふんわり満ちる陽光の暖かさはまさに本物の“それ”で】
【時折夜風に吹かれて舞い上がる光の粒子。絶えずゆっくりと流れているようなら、ほぼ間違いなく何かしらの異能なのだろうが――】

……サラでしょ、ルーチカでしょ、カエデでしょ、私のとっても大切な“姉妹”たち。

【日時計の針部分、ぐねぐねとした不思議な形に腰掛けるようにしている人影が一つあった。けれど、それはひどく小さなもの】
【ひらりと揺らす足の仕草はけれど明るい中ではどこにも明確な影を落とさない、ただただ揺れる仕草を夜に残して】
【察知できる人ならばすぐに分かるぐらいに濃い魔力を垂れ流していた、なんにもない顔で。ただ過去を思い返しながら――】
【寂しがるような顔でふうと溜息を吐く、ひとりひとり指折り数えていた指先を、ばらりと闇夜に解放して――足を、ひらり】

【クリーム色の髪は高いところでのツインテール、かわいらしく頭に載せたティアラの飾りが時折きらり煌いて】
【真夏の青空と同じ色をした瞳が丸く瞬く、右目の下に刻み込まれたタトゥ、毒々しく紫色の蝶が白肌に浮き上がり】
【黒地にイチゴ柄をあしらったワンピースはふわふわとフリルを詰め込んで膨らんだスカート、羽よりもふわりとケープを羽織って】
【爪先のまあるいおでこ靴が足を揺らすたびにぱかぱかと僅かに余っているようだった。そこに座るのは、就学前ぐらいだろう女の子】

みんな、みんな、ずっと会ってないの……元気かなぁ、ご主人様(マスター)と仲良くしてるのかなぁ、

【普段なら向日葵みたいに笑っている顔は今日に限っては少しだけしょんぼり顔、はーっと長い溜息をもう一つ吐いて】
【退屈そうに遊ぶ手は蝶々の形、ぱたぱたぱたっとお日様とお月様の間で羽ばたいて、しんと落ちる沈黙の帳】

……っ、あのね、私はとっても元気だよー!

【それに我慢できなくなったみたいにざんと立ち上がる、それから夜に咆哮するように宣言してみせるのは、】
【まるでその声を本当に届けてやろうとでも言う風な意気込みすら感じさせるようで――言葉を終えれば、少しの沈黙】

…………よっし、これでいいのっ!

【――本当にいいのかどうかはさて置いて、ふわりと元気よさげな笑顔が顔に戻ってくる、ぎゅうと腰に両手を当てて】
【1人でドヤ顔をキメているのは大声を張り上げたこともある、幼い容姿も相まって、余計に余計に夜に目立つようで――】
590 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/03(月) 21:34:08.85 ID:49Zdum7Go
【水の国・路地裏】

【――――そこは元々人通りの少ない場所ではあったが、今日はいつも以上だった。普段幅を利かせているならず者達の姿も、今は無い】
【その原因となっているのは、間違いなくこの忙しない足音だろう。大勢の男達が路地裏を走り回り、何か≠探しているようだった】
【力が全てを支配するこの場所。故に路地裏に住まう者が彼らを恐れている理由もまた、力なのであるが――――それは暴力≠ナはなく権力≠ナあった】

………………。

【古びたビルの屋上から、真下の道を通り過ぎる彼らを密かに見下ろす影がある。その瞳が捉えているのは、彼らが共通して付けているもの――――】
【即ち自警団≠示すエンブレム。正義という名の権力が、路地裏に逃げた悪を追う……今宵の趣旨は、どうやらそういうことであるらしい】
【しかし彼らが正義であるのなら、果たして悪≠ヘ誰なのか。その答えがこの人影だということは、既に国中に知らしめられている筈だ】

【人影の輪郭は小さく、そして幼い。淡黄色の双眸はとても円らで、瞳を揺らして眼下を見つめる。今宵の悪≠フ正体は――――ひとりの女の子だった】
【闇夜に溶けるその外見は、濃鼠色のインテークヘアを黒い大きなリボンで縛ってポニーテールにし、肩口まで緩く流した髪型に】
【真っ黒なベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着込み、残り三分の腕には包帯を何重にも巻いて肌を覆い隠した、非常に地味な服装をしているだろうか】
【その他にも、手には鉄板で補強した革手袋、脚にはニーハイブーツ、僅かに覗く太股には黒いタイツ、首元には暗い赤色をしたロングマフラーが巻かれている】
【執拗なまでに肌の露出を無くした、明らかに闇に紛れることを前提とした格好だ。そして背中には、二本の刀が漆黒の鞘に収められていて】

………………っ…………。

【その瞳が、潤んでさえいなければ――――少女の姿はきっと、見る者に忍者≠ニいう言葉を連想させただろう】
【泣き声を押し殺し、少女はただ無言で涙を拭う。泣き腫らして真っ赤になった鼻や目元は、首元のマフラーを押し上げて無理矢理覆い隠してしまう】
【頃合を見て、少女はビルの手摺に足を掛けると、猫のように身軽な動きで隣のビルへ飛び移るだろうか。音も気配も殆ど感じさせない、熟練した動作だった】

【ただ、ひとつミスを挙げるとすれば……溢れ出した涙の最後の一滴が、その瞬間に真下の道へ落ちてしまう事か】
【そうでなくとも、泣くほど動揺しながら完璧に気配を消すのは無理がある。もしかしたら少女の影を見つける者がいるかもしれないし】
【少女の飛び移った先に、誰かが現れる可能性だってある。偶然か必然かはさて置いて、少女の姿が捉えられる確立は、低くはない――――】
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 22:37:15.82 ID:mqj1ncyE0
>>590

【そんな女の子の元にぱぁと一筋の光が差してくることだろう、それは雲間から差す光よりもずっと暖かに】
【お昼寝したくなるような午後の麗らかさが夜に差してくるのだ、パズルのピースを間違えたよりも強い違和感は】
【本当のお日様がそうであるように天井から降り注いでくる、もしも見上げたなら――(文字通り)後光を纏うのは、或いは神聖にも見えたかもしれない】

……あのね、あのね、そんなことしたら危ないよっ?
落ちちゃったらね……、……大怪我なんかじゃ済まないんだから!

【けれど舞い下りてくる声は、或いはそうやって佇む少女よりも幼いもの。もしも見上げたなら、その姿だってすぐに分かるなら】
【――どう見たって就学前ぐらいにしか見えない女の子がぱたぱたと暖かに午後の日差しで作った翼で飛んでいた。丸い眉を吊り上げて、】
【ついーっと滑るように空を降りてくる、やがて少女と視線の高さを合わせるように、“じっ”と向けるのは、“むっ”とした瞳】
【ひらりとした相手の行動をたまたま見てしまったのだろう、わざわざ危ないと教えに来たなら、おひとよしの気配を匂わせて――】

【まるで脅すような言葉のタメがあった。ぎゅうううっと縮めた体、最後の言葉に合わせてぱーんっと両手まで広げて、アピールするのは】
【或いは地面にぶつかってぱーん(仮)を幼子なりに表現してみたものかもしれない、とかく相手のことを心配してみせた言葉の色合い】

【クリーム色の髪の毛がふわふわと揺れていた、高い位置で結ったツインテールは綿飴みたいに柔らかな髪質で】
【ティアラの髪飾りが時折煌いては幼い顔を飾る、真夏の青空の色した瞳は元気のいい子のように艶めいて、右目の下の蝶も羽ばたかんばかり】
【黒色に大小イチゴの柄を印刷した布で拵えたワンピースは丈の長いケープに覆い隠されて、時折ちらりちらりと覗くだけ】
【ふらふらと危うげなく揺れる足先は爪先のまあるいおでこ靴に包まれていた。やがて、かつんと軽い音で屋上に降りるなら】
【光で作られた翼がばさりと一度何にもなく羽ばたく、陽光で出来た羽根を周囲に数枚ほど散らして、やがて静かに畳み込まれて】

あれ……、お姉ちゃん、どうしたの? なんかね、やなことでもあった?
えっとね、あのね、泣いたらね、いいこと逃げちゃうんだよ! だからね、――。

【そこでようやく相手の泣いた痕跡に気づいたような素振りをする、ビーズみたいにきらきらした丸い瞳を余計にもっと丸くしたなら、】
【関係ないはずなのにわたたと慌てたような仕草までして、やがて取り出すものがハンカチだった。どうぞという風に差しだそうとするのだろうから】
【もしも必要なようなら受け取ってやればいい、そうでないなら――きっと、困ったような顔をしながらも、元の位置へと仕舞うから】

【――そうして現れた幼子は、或いはまだ下に居るかもしれない彼らの視線を惹いてしまうのかもしれなかった】
【だって夜の暗がりの中をお日様の光を纏って飛ぶのだ、増して明かりに乏しい路地裏から見上げたなら、余計によく目立つ】
【もしもそうなったならどうなるのか、そういうことを考えていない彼女は、ただ純粋に相手を心配しているようだった】

/まだいらっしゃいましたら!
592 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 22:45:21.43 ID:nOF61I9Y0
【路地裏。様々な悪事や暴力が多発する所であり、大から小までの悪が暗躍する場所だ】
【今宵もまた、何やら不穏な事が起きているらしいが…………】


『ぬぅははははは!!馬鹿め、掛かったな天鬼よォ!!ここが!お前の!墓場となるのだァー!!喰らえ!我が一族伝統の封閃流奥義雲散らs――――どぅあぁぁぁぁ?!』

「五月蠅いですよ筋肉達磨。そう騒がなくても私には十分聞こえています。何より――――封閃流とやら、随分と動きが遅いのですね?」

【まるで筋肉を主張するかの様にタンクトップを着た男と、まるでそれとは真逆な体つきの巫女】
【片や大樹の様な身体の作りであり、よく鍛錬された身体である事が覗える。其れこそ、プロレスなんかに出させれば余程迫力があるのだろうと思わせる程に】
【片や、華奢な体つきだ。男が腕を持って少し捻っただけで骨が折れそうにも関わらず――――だ。現状は巫女が男をいとも簡単に転ばせていた】


『く……中々腕が立つではないか!では、これはどうだ?!封閃流秘奥義竜頭落とs――――ぐっはぁぁぁぁぁぁ?!』

「分かりました。もう眠っていて下さい。これから食事をしようというのに何故そこまで邪魔をしたがるのですか」

【意地とばかりに男は立ち上がり、急に腕を交差し始めたかと思えば――――不可思議な事に、主に臍を中心として光を放ち始めた】
【元より薄暗い場所だ。そんな中でも影一つ無くす程に強い光と書けば如何に眩しいかも想像出来よう】
【クネ、クネと関節を動かして巫女に向かって飛びかかり――――――次の瞬間には、男の顔面に草履の底がめり込む事となる】

【当然、自らの全体重を顔面一つに返された男は鼻から血を噴出しつつも、ゆっくりと冷たい路地裏のアスファルトに身を横たえる結果となり】
【巫女はどうしたかと言えば、無表情ながらも未だ憎々しげにその後頭部を踏みつけている何て有様である。更に加えれば、携帯食のチョコレートバーを囓りながら踏みつけているのである】
【一連の流れを見ていたにせよ、後頭部を踏みつけている場面のみを見掛けたにせよ。この場を通るならばその奇妙な巫女を避けては通れまい】
【或いは――――もし、声を掛ける物好きが居るとしたら、その方向へと視線を向けて】









【某都市の病院。大きな怪我から些細な怪我。死に至る其れすらも治療してみせるとの謳い文句であり、常日頃患者が絶えず】
【そんな中、食べ物の自販機があったり飲み物の自販機があったりと少しばかり豪華な待合室で事は起きていて】


「だ、か、ら!ボクは大丈夫だって言ってるでしょ?!
君達はさっさと戻って仕事でも―――――上に報告?適当に階段で転んだとでも伝えてくれれば良いからさ」

【金髪の女が一人、数人に囲まれていたのだ。とは言っても、争っている風でも無く寧ろ心配を向けられて居る様に見えるが】
【更に言えば、女を囲む面々は全て修道服を纏っていて。――――故、この女もまた教会に属する者であろうと判断するのは容易な事】
【心配の言葉を投げかけてくる者達に対して適当な言葉を吐けばぷいとそっぽを向いて】

【――――――しかしその傷。胸部に巻かれた包帯から未だに血が滲み出ていたりとしていて、とても“階段で転んだ”風には見えないのだけれど】
【よく見ればその他にも切り傷や、また同じ様な包帯が腹部に巻かれていたりして。だからこそ皆心配の声を掛けたのだろうが――――】
【最早意味も無いと悟ったのか、了承の言葉のみを伝えればその場から立ち去り】


「――――ふん。全く…………こんな時だけ…………
大体にして、ボクにとってはこの程度怪我にも入らな――――ッ」

【小さく悪態を吐いて病室に戻ろうと立ち上がれば――――やはり強がっていても傷が痛むのか、渋い表情を浮かべながら再度腰を落とし】
【新たな血が滲み始めた傷口を怨めしそうに睨んだ後に溜息が一つ漏らされる】
【奇しくも、この待合室にはこの女が一人だけだ。ともなれば、誰かの見舞いついでに訪れた者や、病院に用があって訪れた者と鉢合わせする可能性だって十分に有り得て
593 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 23:19:57.40 ID:49Zdum7Go
>>591

………………っ、だれだ!?

【涙をひとひらだけ残して、夜の闇に消えていくはずだった――――その少女の足を止めたのは、背後から差し込む光】
【欄干に掛けた足を下ろして即座に振り返り、左手を背中の刀の鞘に添える。そこまでの動作も、行われる筈だった跳躍と同じく熟練していて】
【小さく投げ掛けた声はまっすぐに飛んで、何にもぶつからず空を切る。てっきり背後にいると思ったら、差し込む光は空からで――――】
【……さしもの少女も、一瞬呆気に取られた。淡黄色の瞳から悲哀と恐怖が取り除かれて、ただ純粋な驚きだけが残った】

よっ…………よけいなお世話だぞ! わたしはしのび≠ネのだ、このていどのきょり≠ネどいっしゅんでだな…………。

【夜を切り裂く陽光を引き連れて、光の翼で降り立つ女の子。相手が相手なら「天使」と持て囃されていたかもしれないが】
【残念ながら、この少女は天使なんて信じてはいなかったし、それ以上に意地っ張りだった――――】
【ばーんっ、と女の子の両手が開かれれば、ぷくーっ、と少女の頬が膨らんでいく。頬の赤色が示すのは、悲しみから怒りへとすり替わって】
【外見から感じる暗い雰囲気とは裏腹の幼い語調で、少女は女の子へ吠えるだろう。残念ながらそこに威圧感はなく、へそを曲げた幼子にしか見えないのだが】

…………む…………あ、ありがとう。

【――――女の子の瞳が青空なら、少女の瞳は丸い月か。雲がかかったように滲むその色合いに気づいて、女の子からハンカチが差し出された】
【さっきまでの様子だと、怒って一蹴してしまってもおかしくはなかったが……頬の赤色が、今度は怒りから照れへとすり替わるのがわかるだろうか】
【何せ、「お姉ちゃん」なんて呼ばれたのは初めてだったから――――少女は照れ臭そうに目を逸らしつつ、ハンカチを受け取るのだろう】
【腕に巻いた包帯は、既に涙で濡れてしまっていた。涙に涙を上塗りするように拭っていた雫を、久しぶりに乾いた布が拭い取る】
【それを終えると、少女は女の子にハンカチを返す。そこで何となく落ち着いてしまって、ふぅ、と溜息を付くのだが………何か、忘れてはいないか?】

って、ちがう――――! ふせろ、ばかっ!!

【……現れた女の子のインパクトに負けて完全に吹っ飛んでいたが、少女はそこでようやく自分が追われていたことを思い出した】
【天から差し込んだ日の光に、眩いばかりの光の羽根。目立たないわけがない、少女は肝を冷やして女の子に飛びかかった】
【小柄な体格で体当たりするように女の子にぶつかれば、右手で口を塞いで、そのまま押し倒そうとするだろうか】
【成功したなら自分も息を殺して、めいっぱい気配を消す。近くにいる筈の女の子には、少女の心音が早鐘を打つのが聞こえるかもしれない…………】

…………だいじょうぶ、なようだな。
まったく、おまえはいったいなにものだ!?

【――――しばらくの間、静寂が場を支配して。やがてたっぷり十秒ほど経った後、少女は起き上がるだろうか】
【危険はない、との判断。どうやら運良くバレてはいなかったらしい。自警団員たちは別の場所を探しに行ったようだ】
【はぁー、と大きく大きく息を吐くと、少女は両目の月を半分の形にして、じとりと女の子を睨むだろうか。そのまま口を尖らせ、不機嫌そうに誰何する】
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/03(月) 23:40:32.54 ID:mqj1ncyE0
>>593

【鋭く投げられる誰何の声、鞘に触れる手を見たはずなのに、のほんと朗らかなこちらの気配は変わらないよう】
【相手が女の子ということで油断しているのもあったのだろう、何よりも――この幼子は、こういう子なのだった、というのが大きい】

“しのび”? あっ、忍びってね、知ってるよ! 櫻の国のね、“ニンジャ”でしょ!
でもね、あのね、ニンジャは居ないんだよー、……ふえ、お姉ちゃんがニンジャなのっ!?

【忍びという存在が居るのだと言うのは知っていた。けれど現世に居ないんだよーなんて無意味なドヤ顔、眼前に置いて何を言うのか】
【何から仕入れた知識か、現世にはもう居ないのだとドヤ顔をかましていた。けれど、相手の言葉をよく飲み込んでみたなら――】
【――驚くことに自分が忍びなのだと言う。そうなれば、きゃーきゃーすごいだの言い出すのが、ひどくお子様みたいな色合い】
【「初めて見た!」なんて言っていた、それが相手にどんな印象を与えるのだろう。ただ、幼子が純粋にしていたのだけは本当で】

……どういたしましてなの!

【――にーっこりと浮かべてみせた笑顔、涙の跡が拭われていくのを見れば、どこか安心したようにも、それは見えて】
【ニンジャスゴい!というのもひと段落ついた頃合だ。返してもらったハンカチ、「もう大丈夫?」って尋ねた幕間】
【大丈夫だと頷いてやれば今度こそ安心したように/嬉しそうに丁寧に畳んでしまいこむのだろう、ぴょこんとツインテールが揺れた――】

……――ふぇっ、!?

【――そんな折だ、彼女が本来の現状を思い出したのは。彼女が追われていることにも気付いていなかったお日様は、ひどく無遠慮に光を散らして】
【そんなままではきっといつかばれてしまう。彼女がそれを防ごうとしたのは必然だろう、誰が責められることでもなかった、が、】
【あまりに急に押し倒されて本気で転んでしまった現実があった。むぎゅと背中に押し潰された翼が、一度膨らんでから弾け散って】
【局地的にそれこそ昼間のような明るさに染めてしまう、ほんの数秒の出来事だが、下に居るヒトたちは――?】

【――幸いにも気付かれなかったらしい、そうして彼女は起き上がるのだが、幼子が一向に起き上がってこない】
【どうしたものかと見てみれば目を回してしまっていたのが見えるだろう、きゅう〜と、そんな擬音が似合いそうなぐらいに】

ふぇ――っ、……う、うー……、わ、私ねっ、私ね、あのね、ファラエナって言うんだよっ。
ケツァル・コアトルのね、ファラエナなの!

【ぐるぐるぐる、ついでにひよこが頭上を飛び交う、そうしてダウンしているのがたっぷり数秒以上はあったことだろう】
【やがてぱちくりと目を覚ましたなら、体をゆっくり起こして、ようやく幼子は自分の名前を告げることになる】
【それはとある国の言葉で“蛾”を意味する言葉だったが――それはさておいて、名乗りに続いた単語が不思議だった】
【“ケツァル・コアトル”。どこかの神話に出てくる神様の名前だが、まさかこの幼子がその神の化身ということもないだろう】
【それなら何かの名称と思うのが自然。――よほどそういった方面に詳しければ知っているかもしれない、その名を冠する生物兵器】
【けれどよほど有名なものでもない。寧ろ、知らないほうが自然といって差し支えないぐらいの、彼女の種族名だった】

【――ただの幼い女の子にしては持っている魔力が桁違いだった。生物兵器、まるでその事実を証明するかのように】
595 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 00:13:27.99 ID:uB19i+cWo
>>594

む、だいじょうぶか…………!?
ファラエナ、というのか。わたしはしのび≠フ、よるなぎレラという!

【じとりと投げた視線は、またも空を切る。少女は女の子が未だに地面に倒れていることに気づくと、慌てて駆け寄っていくだろうか】
【押し倒した際に怪我でもさせてしまったかと、心配そうにのぞき込むが……どうやら、大したことはなさそうで】
【起き上がってきた女の子の名乗りに対し、少女もまた礼儀正しく名乗り返す。自分がしのび≠ナあることを改めて強調して、胸を張って自慢するように】
【……切羽詰まっていて反応する暇もなかったが、どうやら先程女の子にはやし立てられたのがかなり嬉しかったらしい】
【その名を桜の国の字に起こせば、「夜凪レラ」―――夜≠フ名を冠する少女。ファラエナとは対照的だが、少なくとも幼さに関しては似た者同士だった】

けつぁる・こあとる? なんだ、それは?
……おまえのその大きなけはい≠ニ、かんけいがあるのか?

【一方、ファラエナの言うケツァル・コアトル≠ニいう単語については、どうやら心当たりがない様子だ】
【小さく傾げられた首が、完全に初耳なのだと示している。生物兵器としてどころか神の名前としても知らないらしい】
【ただ――――ファラエナから感じる濃密な魔力については、強い気配という形で察知していたとうだ。やや顔を険しくして、レラは軽く問いかける】
【ちなみにレラの方からは、魔力などは全く感じられない筈だ。……まあそれを感じるまでもなく、しのび≠ェ魔法を使う訳もないが】


さて…………ねどこ≠さがさねばな。
…………べ、べつに、ついてきたければついてきてもいいぞ。

【レラは一息つくと、屋上のドアへと向かっていくだろうか。いつ自警団員達が戻ってくるともわからないし、これ以上長居は出来ない】
【ドアノブに手を掛けて――――ちらり、と後ろを振り返る。普通に考えれば、ファラエナの事など置いて行くべきなのだが】
【………その瞳には、僅かな期待。ここのところ追われてばかりで、誰ともろくに話していなかったから】
【いくらしのび≠自称したって、所詮は小さな女の子だ。寂しさを紛らわせる話し相手が欲しいときも、ある――――】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 00:29:56.91 ID:qN9pE7nQ0
>>595

【「大丈夫なの!」と元気な声が返ってくるのだろう、それなら、どうやら大丈夫なようだった】
【背中にあった翼が緩衝材のような役割を果たしてくれたのだろう、光のくせに存外便利だったりもして――】

レラお姉ちゃんって言うのね! あのね、よろしくお願いしますなのっ、

【とってもじゃないけれど夜に似合わない笑顔が花咲く、にぱりと浮かべた満天の笑顔は、さっきまで泣いていたレラとは正反対】
【涙なんて知らないとでもいうような笑顔だった。そして、彼女にはそれがとってもよく似合っていて――】
【ぺこりと頭を下げれば髪の毛が“ふわっ”と夜に靡く、きらきらとした金糸の柔らかさが、薄っぺらい月明かりに映えた】

えーっとね、たくさんの“姉妹”が居てね、それでね、……、……うーっんとね、すごいんだから!

【「そうだよ」とでも言う風にこくこくと頷く、そうして生まれついたからこそのこの力だ、そればっかりは誇るようで】
【それなのに一部をぼやかしてしまう言葉が不思議だった、誇るようなのに誇れなくて、そんな気持ちは、やはり生物兵器だから】
【なんとなく言いたくなくなってしまう。それを言ってはいけないんじゃないかと思えて、でも、それが自分の本当で――葛藤、】
【結局伝えられたのは“うんとすごい”ということだけだった。そればっかりでは、何が何だか――という感じ、なのだけれど】

あれ……レラお姉ちゃんは、おうちに帰らないの? あのね、あんまり遅くまで歩いてるとね、心配されちゃうよ!
私はね、お母さんがね、出ておいでって言うから、いいんだけど……、お姉ちゃんも、そうなの?

【――寝床を探しに行くのだと言う、それなら、きょとんと浮かべるはてなマークは至極当然みたいな色合いで、瞬いて】
【おうちに帰らないのかと尋ねるのだろう、どの口で言うかという感じだったが――それには、理由があるらしい】
【親に外を出歩くことを推奨されていた。少なくとも普通の家庭じゃないだろうことを臭わせたが、幼子にはそれが普通でしかない】
【だから、そのおかしさに気付くこともなく――レラも、そう言う類なのかと純粋に首を傾げている、ばかりだった】

【かつかつと追いかける足取りがあった、それなら、どこか親鳥を追いかける雛鳥のよう、少しだけ微笑ましく】
【――付いていくこと自体はなんら問題でもなかった。元から1人で出歩いていた子だ、それが2人になるなら余計安心なよう】
【帰宅時間についても問題なし。あるとしたら、相手の側で――だからこそ、そんなことを気にしたのだろうから】
597 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/04(火) 01:13:30.19 ID:uB19i+cWo
>>596

う、うむ!
…………おねえちゃん……、ふふふ……。

【ぱぁっと咲いたファラエナの笑顔に釣られるように、レラもまた笑顔になるだろうか。純粋無垢な幼子の振る舞いに、少しは元気を貰えたのかもしれない】
【もっとも後半の方の笑顔は、何だか怪しいものだったが……お姉ちゃん≠ニ呼ばれることが、やっぱりとても嬉しいらしい】
【目の前で下がる頭とは逆に、レラの頭はぐいっと上がる。ふんぞり返ってお姉ちゃん≠フ威厳を示そうとしているのだろうが、威張るにはちょっとばかり幼すぎて】

姉妹? ……うーむ、よくわからんが、すごいのか?

【幼女らしからぬ巨大な気配は未だに感じ続けている。忍としての鋭敏すぎる感覚は融通が利かなくて、無意識に警戒しそうになってしまうが】
【ファラエナの説明もいまいち要領を得ないし、そもそも彼女の正体だってまだ理解していないのに、姉妹と言われても想像がつかない様子だ】
【結果的には――――ファラエナと同じような強い気配を発する幼女が、翼をはためかせてたくさん空から舞い降りてくる珍妙な情景が脳裏に過ぎって】
【……そんな訳のわからないイメージを抱く時点で、まともな推測など出来よう筈もなく。レラはまた、首を傾げるしかなかった】

…………いまは、かえれない。
いまのわたしには、かえる場所がない…………。

【――――ファラエナの純粋な質問が、ざくりとレラの心を抉った。俯いた顔に月色の瞳が翳って、表情からは余裕が消える】
【ファラエナは、知らないかもしれないが――――夜凪レラというこの少女は、少し前から指名手配を受けている身だった】
【罪状はまだ容疑≠フ段階だが、水の国国内には検問が張り巡らされ、ろくに身動きも取れない。ただ必死に、籠の中を逃げ回っているのだった】
【母親に外を出歩けなんて言われるファラエナも、よく考えればおかしいのだが……忘れていた悲しみに押し潰されたレラには、まだ気づけず】
【「いくぞ」と一声掛けると、レラは屋上を出ていくだろう。ちゃんと付いて来ているか時々確認しつつ階段を下りて、裏口からビルを出る――――】

【……寝床を探すとは言ったものの、一から探すわけではない。さすが忍者というべきか、予めいくつかの場所へ目処をつけていたようだ】
【五分ほど歩くと、元々商店だったらしき廃墟が目に付くだろうか。今度は通りにも面しておらず、周囲の背の高い建物に埋もれるように存在している】
【レラはそこに入り、ボロボロの階段を登って二階の一室へ行くだろうか。隣の部屋に繋がるドアや割れた窓があり、しっかり逃走経路の確保された場所だ】
【床もしっかりしていて、座り込んでも大丈夫だろう。いつでも使えるよう準備してあったようで、内部には既に毛布や食料などが置いてある】

…………たべるか?

【レラは小さなパンと水を持ってくると、ファラエナへ手渡すだろうか。その後、マフラーやベストを脱ぎ捨てていく】
【――――脱いだ服からは、何故かがしゃがしゃと重たい金属音がするが、それはさておき。マフラーの首元に、自警団≠フバッジが見えるかもしれない】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 01:35:46.04 ID:qN9pE7nQ0
>>597

【「でもね、みんなね、最近会わないんだ……」】
【たくさんの姉妹が居た、全員が別々の“お父さん”“お母さん”を持つ姉妹だが、同族であることには変わりない】
【世界にほんの僅かの同族、他愛のない話をした、一緒に遊んだ、たくさんの楽しい思い出。ただ、もう、ずっと――】
【ぱんぱんに膨らんだ風船に画鋲を刺したみたいに急にしゅんとなる態度、寂しがる色が、じわじわと溢れ出す】

あのね、もしも会えたらね、私が心配してたよってね、言っておいて欲しいな……。

【――もしかしたら会えていないのは自分だけかもしれない。たまたま、タイミングが合わなくて、そう期待したくって】
【ぽつとお願いするのだろう、「やってくれる?」と言う風に上目遣いで見上げる刹那、ぱちぱちとしょげたように瞬いて】
【誰もが大好きな姉妹だった。また会えたら嬉しいなと思うのは、どうしようもないぐらいに、しょうがないことだった】

ふぇ……、レラお姉ちゃん、?

【刃のつもりでなかった言葉が大きくその心を抉り取る、急に変わる態度、幼子には首を傾げることしか出来なくて】
【ただ自分が何かしてしまったのだけは把握したのだろう、ショックを受けたような顔をして――静かに、後ろを付いていく】
【彼女の現状を知らなかった。知っていたら何か態度も変わっただろうか、――否、きっと、変わらなかったのだろうから】

【こつこつと小さな足音が続く、やがてたどり着くのはぼろぼろの廃墟、ほえーっと見上げるような幕間があって、】
【それでも何にも言わずに付いていく、ぼろぼろの階段を登るときには少しだけ不安そうにしたが、――結局、何も起こらず】
【部屋に入れば、床の大丈夫そうなのを確認してからちょん、と座り込むのだろう。それから、差し出されたパンと水と受け取って、】

あ、ありがとうございますなの……、……いただきまーすっ、

【――おなかが空いていたというよりは気を使ったのだろう、ぺこりと小さく頭を下げたと思えば、パンをぱくりと齧りとって】
【もぐもぐとやっているうちに美味しくって少しだけ元気が出る、さっき踏んでしまった地雷を、忘れたわけじゃないけれど――】

……あのね、レラお姉ちゃん。私ね、レラお姉ちゃんのこと、まだなーんにも知らないけど……、
お話聞くくらいならね、きっとね、私でも出来るって思うなっ。だからね、何かあったならね、お話して欲しいのっ!

【――だからこそ、お話を聞かせて欲しい、なんてお願いするのだ。小さなパン、既に半分以上減らしたのを膝に置いて、】
【にじりと膝でそちらへ擦り寄る、少しだけ詰めた距離は、“話して欲しい”という気持ちをふんだんにあらわしたものなのだろう】
【けれど、もちろん話すかどうかは相手の判断に任せられる。どれだけ聞きたがったって、嫌がるなら無理に、なんて言いはしないから】
【にっこりとした笑顔に他意はない。ただ相手を心配して、少しでも苦しみから抜け出してほしくて、それを願って――】

……あ、あのね、お姉ちゃん、寒くない? 明るくなっちゃうんだけどね、それでもいいなら、暖かくするよ――。

【――とりあえずその第一歩として暖房代わりを申し出るのだった。きっと隙間風のひゅうひゅうするこの場所は、寒いから】
【お日様と同じ光を扱うのだと思えば何をしようとしているのかも分かりやすいはずだった。ただ、どうしたって副作用がある】
【“明るくなってしまう”。どれだけ頑張っても、そればっかりは変えようがなく、潜むにはずいぶんと不都合になるだろう】
【さっきは明るいのを何か気にしているように思えた。だからこそ尋ねたのだろう、こんな提案――どうだろうと、窺うように】

/すいません、眠気がひどくなってきたので……明日にしていただくことは可能でしょうか?
/明日でしたら夕方頃には待機できていると思うのですが……
599 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/04(火) 01:39:50.90 ID:uB19i+cWo
>>598
/了解しました、こちらも明日は空いておりますので大丈夫ですよ!
/ひとまずお疲れ様でしたー!
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 01:44:38.28 ID:qN9pE7nQ0
>>599
/ありがとうございます、ひとまずお疲れ様でした!
601 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 18:34:29.48 ID:HkKKzYYzo
【闇市通り――合法なものなんてほんの一握りなこの場所に、一際目立つ店があった】

【形容しがたい、混沌とした趣味の悪い屋台――並ぶのは、肉とか果物とか何かの素材とか小動物っぽいものとか、とにかく雑多である】
【それを運営するのは、眼がレンズで執事のような姿をした二足歩行のコウモリである】
【店の後ろにあるのは、趣味の悪すぎる混沌とした掘っ立て小屋――時々"人ならざる者"が出入りしていて、それは品出しだったりそうではなかったり色々】

『ええ、"対価は貨幣に限らず"――いつもの通りで御座います』
『"邪禍様ではないのですか"――ええ、邪禍様は体調を御崩しになられていらっしゃいますので、今日はワタクシが店番を務めさせて頂いております』

【値札はない、ただ、怪しげで曖昧な表記で正体の分からぬ謎の商品群が立ち並ぶのみ】
【一つ言えるのは……どれもこれも、この世界では見たこともないような品だということか】
【そんなものを堂々と出せるのも、闇市だからこそか――たまに"常連"が訪れている様に見えるのは、きっと気のせいではない】

『"あの件はまだ残されていますか"――はい、今日も、"アビスゲートに足りないナニカ"は非常に高い値段で買い取らせて頂いております』

【そういえば"邪禍"――とか言ったか、確かその名は数々の罪で指名手配されている悪魔と同じだったはず】
【――あなたはこの店に立ち寄っても良いし、もしくは別の何かをするも良いだろう】

/あまり長くはいれません
602 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/04(火) 19:17:41.52 ID:uB19i+cWo
>>598

…………うむ、よいぞ。

【ケツァル・コアトルという存在が結局何であるのかはわからずとも、家族と会えない寂しさはよくわかる。レラも、暫く家族と会っていなかったから】
【と言っても、レラの場合は所在もわかっているし、会おうと思えばいつだって会えるのだ。……今のような状況でさえなければ】
【その事実が少しだけ心を締め付けるが、それでも「お姉ちゃん」として意地を張る。出来るだけ安心させるように微笑んで、レラは確かに約束を交わした】


【――――その言葉からどれだけ経ったのだろうか。いま隠れ家の中を満たす空気は、肌に纏わりつくように重たい】
【話して欲しいというファラエナの言葉に、レラはきつく瞳を閉じる。それは拒絶ではなく、また浮かんできた涙を隠すために――――】
【ずっと、誰かにそう言って欲しかった。こんな狭くて冷たい場所にずっとひとりで居たから、久しぶりに感じた小さな暖かさは、強く体の芯を振るわせる】

わからない…………わからないのだ!
なかまが、いきなりつかまって………わたしもおわれる身になって………うらぎりもの≠セって!

【漏れ出した言葉は感情的で、とても冷静であるとはいえない。内容も支離滅裂で、普通に聞いただけでは理解できないかもしれない】
【ただ、地面に転がされたマフラーについている自警団のバッジや、ベストの裏地に縫い付けられたSCARLET≠フエンブレムを見れば、推測は可能か】
【彼女の仲間――正確に言えば上司――が突如犯罪者として逮捕され、その関係者だという理由でレラもまた追われている。よりにもよって、かつての同僚に】
【しかもレラの様子を見るに、彼女に心当たりは無い様子だ。わけもわからないまま裏切り者扱いされ、同士だった筈の者達に追い立てられる――――】
【……レラはどうやら、そういう汚い大人の世界≠ノ入り込むには幼すぎるようだ。割り切ることも憎むことも出来ず、ただ涙を零すことしか……出来なくて】

っ………たのむ…………。

【いくらこの隠れ家が見つかりにくい場所にあるとはいえ、リスクを最小限に抑えたいのなら「やめろ」と言うべきところだったが】
【必死に忘れていた辛いことを思い出してしまって、レラはもう寒さに耐え切れなかった。ファラエナに光を灯してもらおうと、一言頼み込むと】
【毛布を取り出して体を包み、壁に体を預けるだろうか。堪えていた涙腺はまた決壊して、鼻を啜る音だけが小刻みに響き渡る……】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 20:01:42.38 ID:qN9pE7nQ0
>>602

【ぱぁと笑った表情があったのだろう、もしかしたら姉妹たちにこの声が届くのかもしれないと、思うなら】
【一緒にお話したい、一緒に遊びたい、伝えたいことは山ほどあって、けれど何より先に言うべきなのは、】
【「心配してたんだよ」って――ちょっぴり拗ねた風に伝えてやるのが、きっと、一番大事なことのように思えたから】

【重たい空気が満ちていた、ひゅるりと時折吹き込む風は、まるで重たい空気を動かしてなんてくれなくて】
【室内だと言うのに関係なしに吐息が白かった。寒そうに体を縮めれば、ただ大人しく彼女が話してくれるのを待っている】
【ぺたんとアヒル座りの両足を体にくっつける、少しでも暖を取ろうとするようにして、そんな、少しの間】

仲間が……? お姉ちゃんの仲間のヒトが、いきなり捕まっちゃったの?
レラお姉ちゃんって自警団のヒトでしょ、だったら、そのヒトだってね、そうなんでしょう?

だのに捕まっちゃうなんて、……でもでも、悪いコトとかしたヒトじゃ、ないんだよね……、

【ようやく話してくれたなら、その話を精一杯に聞く。そうして飲み込んだなら、そっと尋ね返す言葉があって】
【仲間というにはそうなのだと判断した。ちらりと視線がマフラーを、自警団のバッチを捉えて――】
【こんなに泣いてしまうぐらいだ、とても大切な仲間だったのだろうことまで分かる、分かってしまうぐらいに、伝わってくる】
【その様子を見ていれば、捕まって当然というヒトじゃなかったことも、もちろん。うーんと悩むように視線が落ちて、】

あのね、私ね、レラお姉ちゃんは何にも悪いコトしてないんだって思うなっ、
だからね、その仲間のヒトもね、きっとね、――何かの間違いだってね、思うの!

だってね、自警団やってるヒトがね、悪いヒトだなんてそんなことないの。
たまには悪いコトしちゃうヒトも居るかもしれないけど……だって、最初は誰かのためにって、思ったはずなんだもんっ。

【――やがて口にするのは、ひどく楽観的とも言えるそれだ。現実追われている彼女からしてみれば、ひどく軽いというような】
【それでも何も考えてないわけじゃない、考えた結果の言葉であること、それはちっとも嘘なんかじゃなくて】
【「分かった!」と頷いて部屋の中央に手を翳す、するとふわりと溢れ出す魔力の気配、きらきらと陽光が手から零れ落ちて】
【糸が編まれていくように形が作られていく、――数秒もすれば出来上がるのは、光で出来た不思議な花だった】
【小さい彼女たちから見れば一抱えもありそうな大きさ、午後のお日様と同じ暖かさを溢れさせながら、りんと咲き誇る】

悪いコトしてないのに捕まっちゃうなんてね、そんなのおかしいよっ、絶対絶対ね、おかしいよ!
だからね、私に出来ることだったらね、なんでも言って欲しいな。私ね、これでも結構器用なんだよ!

【始めにお話を聞きたがったのと同じ声音が言う、出来ることがあったら何でも言ってね、なんて暖かな温度で】
【ちっちゃな体は頼りがいがないかもしれない、それでも自ら器用なんだよなんて自慢するようなら、頼ってねと言うみたいに】
【また泣いてしまっているのに気付けば立ち上がる、立ち上がって、そっとハンカチを差し出しながら――にっこりと、笑ってみせた】
604 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 20:42:33.33 ID:HkKKzYYzo
>>601
/持ち越し前提でよければになりますが、もう少し舞ってみます
605 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 20:46:57.61 ID:uB19i+cWo
>>603

うむ、そうだ…………。
………わるいいことをするやつでは、なかった。そのはずなのに、どうして…………。

【ファラエナの言うとおり。捕まったのはレラと同じ自警団員で、仲間であり上司であり――――大事な家族。兄貴分のような男だった】
【どんな顔をしているのかは、外へ出てゴミ箱に捨てられている新聞のひとつでも読めば、すぐにわかるだろう。それ程に大きなニュースになっている】
【レラの見ている限り、決して悪いことをする人間ではなかった。これまで何度も助けられたし、これからもそうだと思っていた】
【だが――――それさえも、いまとなってはわからない。もう会って話すことだってできやしないのだ】
【追いかけてくる同僚はみんな大人≠セし、捕まった男だって大人≠セった。レラにはまだ、大人の考えていることなんてわからない】

…………そう、だな…………。
そうだと、いいな………………。

【大人はみんな格好良くて優しくて、頼りになる。心のどこかでそう思いこんでいたから、それが崩れたときのショックもまた大きかった】
【レラは力なく呟いて、また大粒の涙をこぼす。重たい何かに潰されてしまうように、顔を俯かせて――――その先に、】
【「わぁ……」という純粋な驚きが漏れるだろうか。光の花が部屋中を照らして咲き誇り、潤んだ月の双眸をきらきらと輝かせる】
【……ファラエナの言葉に、レラの現実を覆すほどの力はない。だがそれでも、この光をまだ綺麗だと感じられるうちは、きっと自分を信じられる筈――――】
【レラはしばらく花を見つめていたが、ふと顔を上げると、ファラエナに微笑むだろうか。例え儚い一片でも、とても大きな何かを貰った気がして】

じゃあ………わたしも、たのみごと≠したい。
わたしのほかに、まだつかまっていないなかま≠ェいるはずだ………もしみんなにあったら、わたしはぶじだと伝えてほしい。
それから、これを…………わたしてくれないか?

【何でもすると言ってくれるファラエナにレラが返した言葉は、先程ファラエナがレラにしたのと同じお願いであるだろうか】
【ファラエナの姉妹に会えたら、レラは彼女のことを伝える。そのお返しに、もしレラの仲間に出会ったら、ファラエナにもレラの事を伝えて欲しいと】
【――――その直後、レラの瞳が煌めくだろうか。光の花のせいでも涙のせいでもなく、浮かぶ月が柔らかな光で夜を照らすように】
【伸ばした掌に、突如手裏剣≠ェ出現する。何かが刻印されているようにも見えるが……暗号か何かのようで、読みとるのは難しいだろう】
【レラはハンカチを受け取る代わりにそれをファラエナに手渡して、小さく頭を下げるだろうか。お互いの約束が、成り立つようにと――――】


…………む。そういえば、ファラエナ。おまえはよいのか?
こんなよるおそくまで外出して、ははうえがしんぱいするんじゃないのか…………?

【……そうして少しだけ落ち着くと、先程脳裏を過ぎった違和感にも気付く。外出を推奨する母親なんて、レラの常識ではあり得ないものだから】
【故に、外出を推奨しているのは昼だけで、流石にこんな夜中には帰らないといけないんじゃないのか――――と。レラはそんな風に推測した】
【どんな事情があっても、母親は子供を愛するものであると……レラは少なくとも、そう思っている様子だ】
606 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/04(火) 21:03:45.47 ID:QICUV6rCo
【廃工場】

【冷たい雨が降る深夜に、雷のような銃声と光がその廃工場の一室から見えた】

【郊外に位置する、元は工場か何かだった広大な空き地を持つ此処は今】
【アスファルトの割れ目から伸びた雑草がワサワサと茂り、三階建の建物……廃墟は】
【錆だらけ、ガラスは割れて、至る所にグラフティなんていう落書きが描かれている】
【そんなこの場所に、今夜は青いクーペがその廃墟の前に停まっていた。濡れた足あとは中へと続いていく】

【ある一室から明かりが漏れている。割れた蛍光灯の代わりにランプが灯り机の上に置かれている】
【広げられたカバンにはいろいろな種類の銃が置かれていた。―――パン!と乾いた銃声が1発】

………上手くいかねえな。やっぱ

【何もないただっ広い場所で、壁に貼り付けた人型のターゲットマークには幾つもの弾痕があった】
【窓に反射して射手の男の姿が映る。黒い髪に黒いレンズのサングラス。スーツの上に茶の革のロングコートを着ていた】
【構えていた自動拳銃をおろして、ランプのある机へと歩いて行く。拳銃を投げて、飲みかけの缶ビールを手に持った】
【ぐいとそれを飲んで、撃ち尽くした拳銃の弾倉を抜く。彼は一つ一つ空の弾倉に散らばった銃弾を込めていった】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 21:16:32.45 ID:qN9pE7nQ0
>>605

だったらね、レラお姉ちゃんは信じてあげればいいんだよっ!
捕まっちゃったことは変わらないけどね、信じてあげるのはね、いつだって出来るんだよ!

それにね、誰かが信じてあげないと、そのヒトは悪いヒトなんだーってみんなに思われてね、かわいそうだよ?

【わるいことをするやつじゃなかった、そんな言葉が聞ければ、彼女は満足するのだろう、そんな言葉が欲しかったというように】
【誰かが信じている限りは絶対的な極悪人じゃない、誰か1人だって信じていれば、――少しぐらい、中和されるような錯覚】

レラお姉ちゃんの仲間だもん、私だってね、信じるよ、本当はいいヒトなんだーって!

【どれだけ本当の気持ちを篭めたって、幼い少女の言葉であることには変わらない。子供の言葉で動くほど、世界は軽いものじゃない】
【それでも。少しぐらい救いになればいいなと願った、この言葉で誰かを救えたら、それは彼女にとってとっても嬉しいことだから】

【(何かを終わらせたり壊すだけじゃない、何かを救って、救うことが出来たなら、――生物兵器なのに、平和を願うこころ)】
【(きっと自分は失敗作なのだと思う。誰かと争うよりも誰かと遊びたかった。きっと姉妹よりも甘えんぼで、駄目な子だって)】

うん、いいよっ、これを渡せばいいのね? 分かったの――、レラお姉ちゃんの仲間は、どんなヒトなの?
間違えて他のヒトに渡しちゃったら大変だもの、あのね、良かったら教えて欲しいなって――。

あのね、私の姉妹たちはね、みーんな……たっくさんの魔力を持ってるからね、きっと会えば分かると思うよ!
それでね、みんなね、私と同じぐらいの見た目でね、私が言ってたって言ったらね、きっとね、分かってくれるの、なの。

【ぱっと現れた手裏剣に目を丸くする、わぁなんて声は感心の色で、やがて少しだけ恐々と受け取るのだろう】
【尖った先端をつんと突っついてみたりするのが危なっかしい、刻印されているのを読もうとするが――そのうちに、諦めた】
【一通りそんな行動を追えれば、大事そうに仕舞いこむのだろう。そうしながら、尋ねることがあった】
【どんなヒトに渡せばいいのだろう、と。緩く首を傾げたと思えば、そういえば言っていなかった、姉妹のことも告げていく】
【大体同い年ぐらいの見た目で魔力をたくさん持っている。そうなると少しだけ絞りやすくなるだろう、明確な証などはなかったが――】
【――何よりもこの名前を出せば分かってくれるはずだった。それを告げて、相手が教えてくれることを、待つのだろう】

うん、私はいいんだよっ。用事があったらね、メールが来るけど……今日はそれもないから、大丈夫なのっ!
……――それにね、レラお姉ちゃん、ちょっぴり寂しそうだもん。

【こんなに幼い子を分かっていて放置しているのだと言う、この言葉があったなら、勘違いという線すら断たれてしまうよう】
【けれど帰ってくるななんていわれているわけじゃない、それでも帰らない理由は、眼前に居る彼女のためだった】
【置いていくべきところを誘われたというのもある、まして、こんな涙を目の前で見て――置いていくなんて、出来なかった】
【ちょっぴり気の抜けたように笑ってみせる。それは、自分でよければまだまだ居るよって、伝えるのにもきっと似ていた】
608 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/04(火) 21:43:15.21 ID:Sl/d8D7Lo
【路地裏】

【表通りから外れて人気の無い路地裏を歩く男が一人】

【所々赤黒く汚れた作業着を着込んだソフトモヒカンのその男は大きな黒い袋を抱きかかえている】

【縦に長いその袋の成人男性がすっぽりと入るほどの大きさと】
【時折ポタ、ポタと袋の下部から垂れ落ちる赤い雫が袋の中身を暗に示していて】


♪〜〜、♪〜♪〜〜


【男は鼻歌交じりに路地裏の奥へ奥へと進んでいく】
609 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 22:07:42.96 ID:uB19i+cWo
>>607

…………しんじる、か。
ファラエナ…………ありがとう。

【――――僅かに見開いた瞳の奥に、小さく火が灯る。わけのわからないまま追い立てられて、暗い闇の中で息をひそめることしか出来なかったけれど】
【そんな混乱の中にいたから、すっかり忘れていた。事実がどうとかではない、信じたければ信じればいいのだという、とても単純なことを】
【……思えばいつも、レラは子供扱いされてきた。仕事ぶりはどうあれ、見た目もちっこいし話し方も幼いし、当然といえば当然なのだが】
【どうせ子供なんだったら、ちょっとわがままをこねたっていいじゃないか――――そう思うと、不思議と心が軽くなるのを感じて】
【ハンカチで涙を拭うと、レラはお礼を口にして笑うだろうか。それはもう儚い笑みではなく、会った時のような強気な笑顔であるはずだ】

まりょく≠ェいっぱいで、ファラエナとおなじぐらいの年のこどもか…………わかった、おぼえておくぞ!
こちらは……そうだな、なかまはいっぱいいるから、だれからつたえたものか…………。

【魔力というものがなんなのか、レラにはわかっていないのだが……それが元となっている強い気配≠ノ関しては、誰よりも敏感に捉えられる】
【それに話を聞いている限り、ファラエナと姉妹の仲は良いように思えた。だったら彼女の名前を出せば、きっとわかってくれるだろう】
【忘れないよう特徴を一度口の中で復唱すると、レラはうぅんと考え込むだろうか。何せこちらの仲間、部隊単位だけあって結構数が多い】

…………よし、では「ミドナ」と「アルフレド」という名を、おぼえておいてほしい。
とくちょう≠ヘ………………。

【しばらく考えた後、レラは全員挙げていてはきりがないと判断して、ターゲットを二人に絞って説明を始めるだろうか】
【ひとりは「ミドナ」という女。白髪でやたら露出の高い格好をしているらしい。こういうトラブルに慣れているらしく、捕まっていない可能性が高いとのこと】
【そしてもうひとりは、「アルフレド」という青年。藤色の髪にメガネを掛けている。こちらは警察官で、彼ならば現状を何とか出来るかも、ということらしい】
【先程の手裏剣に刻まれていた刻印は、多分仲間内だけで通じるサインか何かだろう。彼らを見かけたらそれを見せてくれれば十分だ】

なら、いいんだ。
…………ふふ、ならばこのおねえちゃんが、とっておきのぶゆうでん≠聞かせてやろう…………!

【ファラエナの母親のことには、やっぱり普通ではない何かを感じていたが――――この場では、特に問いつめることもなかった】
【少しは復調したとはいえ、レラが寂しそうだというファラエナの言葉は正しい。普段通りのレラだったら、寂しくなどないと意地を張っていたところだ】
【……それが出来ない程度には、レラも孤独を感じている。例えどんな理由であれ、ファラエナに残って欲しいというのが偽りならざる本心だった】
【これ以上暗い空気になるのが嫌だったのだろう、レラは怪しげに笑うと、これまで自警団として行ってきた活動をファラエナに披瀝し始める――――】

【――――話は長く、しかも殆どレラの自慢話である。その上あまり説明が上手いわけでもないらしく、抽象的なところも多いが】
【しのび≠ニして悪の組織の施設に潜入して情報を奪ったとか、砂漠で仲間と共に全長十メートルもある怪獣を狩ったとか】
【嘘か本当かは置いておいて、楽しい話ではあるはずだ。ファラエナはもちろん、話しているレラにとっても……】


…………それでな……、……ふぁらえな………………。

【……どのぐらい話したところだろうか、やがてレラはそのまま眠ってしまうだろう。話し疲れ以上に、ひとりでなくなって安心した事が大きい】
【むにゃむにゃと寝言を口にしつつ、レラは幸せそうに目を閉じている――――起こされない限りは、きっと朝まで目を覚ますまい】
【彼女と一緒に寝てしまってもいいし、その間に帰ってしまってもいい。寝息を立てるレラに、ファラエナを止めることは出来ないのだから】

【ただ、どのタイミングで別れることになろうと――――レラは暫くここを拠点に暮らすことになる。ファラエナからやってくれば、きっといつだって会える】
【その事が、レラにとってどれだけ大きな救いになったことか。これから自分がどうなるのか、さっぱり見当は付かないけれど】
【少なくとも今宵、レラの心をファラエナという友達≠ェ支えてくれた事だけは、例えどんなことになったって変わらないのだろう――――】


/このあたりでしょうか……!
/二日間ありがとうございました!
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 22:31:59.11 ID:qN9pE7nQ0
>>609

そうだよっ、信じてくれてたって分かったらね、きっとね、そのヒトだって嬉しいよ!
だってね、仲間なんでしょう? 仲間がずっと信じてくれてたなんてね、私だったら、嬉しいなっ!

【ようやく見えたきっと彼女が本来持つのだろう笑顔の色合い、それを見たなら、こちらだって嬉しそうに笑うはず】
【例えば自分が捕まってしまうようなことがあったとして、例えば誰かが信じてくれていたら――それだけで、心が暖かくなるよう】
【だってそのほうが仲間みたいだから。そんなことで揺るがないのが仲間だって、きっと、幼心で信じきっているから、】

“ミドナ”と“アルフレド”、なのね! 分かったのなの。ミドナに、アルフレド……、

【やがて絞られた二つの選択肢、伝えられた特徴を何度も復唱していくなら、忘れないようにと精一杯の努力】
【そのうちに覚えたという風に一際大きく頷いてみせるのだろう、この分なら、きっと約束を果たしてくれると思えるだろうか?】
【とかく精一杯に頑張るのだけは確かだった。彼女がこちらの要件を引き受けてくれたように、こちらだって。それは、恩返しみたいに】
【レラの現状を良くしてやりたかった。泣かなくてもいいように出来たらいいと思えた。そんな心、まだまだ幼いけれど、確かな決心】

武勇伝……、分かったの、たっくさん聞かせて欲しいな!
だってね、“ニンジャ”って凄いんでしょ、ご本で読んだんだから!

【帰れといわれなかったこと、それなら、言葉の裏づけみたい。余計に帰ると言う選択肢をファラエナは失ったのだろう】
【いくつかの選択肢の中からお話を聞くというのを選び取る、すごい話を聞かせてくれるんじゃないかと期待にきらきらする瞳は】
【うんうんと何度も頷いたり驚いてみせたりしながら、彼女の武勇伝をひとつひとつ聞いてゆくのだろう、束の間に平和な時間】

ふぁ……、

【――それもやがて終わりが来る、彼女が眠ってしまって、それに気付いた頃。眠たい眼差しで時刻を確認すれば、】
【大分いい時間になっていた。それから、ぱたりと携帯電話を開いて、短めだが操作するのは、メールでも製作しているよう】

【“友達と居るから、あとで帰る”】

【全うな親なら、こんなに小さい娘からこんなメールが来たら大変なことになるだろう。けれど、そうならないのが彼女の暮らす環境】
【返事すら返ってこないのを分かりながら仕舞いこむ、それから、余っている毛布を失敬して――レラの隣、小さく丸くなる】
【起こされるまでそうやって眠っていることだろう、明るくなる頃には、光の花もぼんやりと形を崩して壊れていて――】

【――帰る直前に、ひとつ、彼女にプレゼントするものがあった。それは、光で出来た蛹のようなもの】
【ぼんやりと暖かいそれは不思議にマシュマロみたいな手触りをしていて。ファラエナ曰く、衝撃を与えると使えるのだと言う】
【地面に叩きつける、思い切り握りつぶす、そんな風にすれば――まるで羽化するようにたくさんの光の蛾がそこから生まれて、】
【ばさばさと辺りをしばらく飛ぶらしい。また誰かに追いかけられたなら、一度だけだけれどきっと逃げる手助けになるから、そう言い置いて】
【最後にばいばいと手を振ったかと思えば、初めのときのように翼を操って去っていくのだろう――】

【(――また来てと誘いさえすれば、ぽつぽつと顔を見せに来たことだろう。お菓子を持ってきたりして、他愛のないお話をして、)】
【(そんなことでレラの支えになれるなら、――とっても喜んで、その役目を精一杯に果たす、はずだった)】

/おつかれさまでした!
611 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/04(火) 23:51:25.82 ID:BAS3vTSr0
【未だ喧噪に包まれる繁華街。酒に酔った人々は勿論の事、所々には夜遊びをする学生の姿も見られて】
【その中でも一際目を惹くのが、明るい茶色の髪をした一女子生徒か】
【辺り次第に人々の足を止め、何かを尋ねている様子。さて、では何を尋ねているのかと質問内容を聞いてみれば――――】


「はい、と言う訳で犬耳と猫耳ではどちらの方がより萌えるのかをお聞きしたいと――――え?聞く意味ですか?
そりゃあ今度私の学園の食堂でメイド喫茶ならぬケモミミ喫茶を提案するためにですね…………
あ、今両方持って居るのでもし良かったら試着でも…………ええ、他にも色々持ってますヨ?
メイド服巫女服チャイナ服…………んふふ。記念にお一つどうですk――――って、行っちゃいましたか」

【明るい性格、と言うよりも破天荒と表した方がしっくりとくるか】
【相手がそそくさと立ち去ってしまえば、少女は再び獲物…………もといインタビュー相手を探す為に視線を巡らせて】
【さて、偶然少女の近くを通ってしまったならば実に不運。何しろ唐突にガッチリと袖を掴まれたなら、満面の笑みで同じ質問が繰り出されるのだから】【未だ喧噪に包まれる繁華街。酒に酔った人々は勿論の事、所々には夜遊びをする学生の姿も見られて】
【その中でも一際目を惹くのが、明るい茶色の髪をした一女子生徒か】
【辺り次第に人々の足を止め、何かを尋ねている様子。さて、では何を尋ねているのかと質問内容を聞いてみれば――――】


「はい、と言う訳で犬耳と猫耳ではどちらの方がより萌えるのかをお聞きしたいと――――え?聞く意味ですか?
そりゃあ今度私の学園の食堂でメイド喫茶ならぬケモミミ喫茶を提案するためにですね…………
あ、今両方持って居るのでもし良かったら試着でも…………ええ、他にも色々持ってますヨ?
メイド服巫女服チャイナ服…………んふふ。記念にお一つどうですk――――って、行っちゃいましたか」

【明るい性格、と言うよりも破天荒と表した方がしっくりとくるか】
【相手がそそくさと立ち去ってしまえば、少女は再び獲物…………もといインタビュー相手を探す為に視線を巡らせて】
【さて、偶然少女の近くを通ってしまったならば実に不運。何しろ唐突にガッチリと袖を掴まれたなら、満面の笑みで同じ質問が繰り出されるのだから】








【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【其処に有る、数種類の自販機などが並んだ少しばかり豪華な待合室】


「…………暇なのです。あの馬鹿二人も何処に行ったか分からないのです」

【ぶすっと頬を膨らませ、足を悪くしているのか車椅子に座る一人の少女】
【汚れを知らない白銀の髪。何より特徴的なのは、額に生えるその角か】
【魔力を感じ取れる力があるならば、少女から強い“聖”の魔力を感じるであろうし、仮に無かったとしても何と無くその周囲だけ清んだ気配が漂っていることに気付くか】
【とは言え、本人はそんな聖人からは掛け離れた様子。抱く不満を隠す事もなければ、当然看護師達だって近寄ろうとはしない。故、今この場は少女以外の者は居らず】


「ふん。全く困ったものなのです。別にあの馬鹿二人がどうなった所で私の知った事では無いのです
そんな事よりもジュースを…………を……―――――
ん……んん…………―――――何なのですこのアホ自販機は!お前にお金を恵んでやろうとしている私を拒否するのです?!」

【キィキィと車椅子を自販機の前まで移動させたならば、お金を投入して】
【いざ、最上段にあるココアを購入しようと手を伸ばすが――――届かない。手をプルプルと振るわせながら伸ばそうと届かない】
【何度か挑戦するも、やはり届かない。終いには何とも理不尽な理由で自販機を叩き出す始末である】
【まるで子犬の如くガルルと唸りながら自販機を威嚇するする少女だが――――仕切りも何も無いこの待合室、外から丸見えであって】
【果たして一連の流れを見た者はどんな感想を抱くのだろうか】
612 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/05(水) 00:03:37.96 ID:OTzXnijT0
/>>611を取り消しまして……

【未だ喧噪に包まれる繁華街。酒に酔った人々は勿論の事、所々には夜遊びをする学生の姿も見られて】
【その中でも一際目を惹くのが、明るい茶色の髪をした一女子生徒か】
【辺り次第に人々の足を止め、何かを尋ねている様子。さて、では何を尋ねているのかと質問内容を聞いてみれば――――】


「はい、と言う訳で犬耳と猫耳ではどちらの方がより萌えるのかをお聞きしたいと――――え?聞く意味ですか?
そりゃあ今度私の学園の食堂でメイド喫茶ならぬケモミミ喫茶を提案するためにですね…………
あ、今両方持って居るのでもし良かったら試着でも…………ええ、他にも色々持ってますヨ?
メイド服巫女服チャイナ服…………んふふ。記念にお一つどうですk――――って、行っちゃいましたか」

【明るい性格、と言うよりも破天荒と表した方がしっくりとくるか】
【相手がそそくさと立ち去ってしまえば、少女は再び獲物…………もといインタビュー相手を探す為に視線を巡らせて】
【さて、偶然少女の近くを通ってしまったならば実に不運。何しろ唐突にガッチリと袖を掴まれたなら、満面の笑みで同じ質問が繰り出されるのだから】






【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【其処に有る、数種類の自販機などが並んだ少しばかり豪華な待合室】


「…………暇なのです。あの馬鹿二人も何処に行ったか分からないのです」

【ぶすっと頬を膨らませ、足を悪くしているのか車椅子に座る一人の少女】
【汚れを知らない白銀の髪。何より特徴的なのは、額に生えるその角か】
【魔力を感じ取れる力があるならば、少女から強い“聖”の魔力を感じるであろうし、仮に無かったとしても何と無くその周囲だけ清んだ気配が漂っていることに気付くか】
【とは言え、本人はそんな聖人からは掛け離れた様子。抱く不満を隠す事もなければ、当然看護師達だって近寄ろうとはしない。故、今この場は少女以外の者は居らず】


「ふん。全く困ったものなのです。別にあの馬鹿二人がどうなった所で私の知った事では無いのです
そんな事よりもジュースを…………を……―――――
ん……んん…………―――――何なのですこのアホ自販機は!お前にお金を恵んでやろうとしている私を拒否するのです?!」

【キィキィと車椅子を自販機の前まで移動させたならば、お金を投入して】
【いざ、最上段にあるココアを購入しようと手を伸ばすが――――届かない。手をプルプルと振るわせながら伸ばそうと届かない】
【何度か挑戦するも、やはり届かない。終いには何とも理不尽な理由で自販機を叩き出す始末である】
【まるで子犬の如くガルルと唸りながら自販機を威嚇するする少女だが――――仕切りも何も無いこの待合室、外から丸見えであって】
【果たして一連の流れを見た者はどんな感想を抱くのだろうか】


/余り長い時間は出来ないかも知れませんが、こっちの方で再投下で致しまする

613 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/05(水) 18:27:33.22 ID:qOtcuNUmo
【闇市通り――合法なものなんてほんの一握りなこの場所に、一際目立つ店があった】

【形容しがたい、混沌とした趣味の悪い屋台――並ぶのは、肉とか果物とか何かの素材とか小動物っぽいものとか、とにかく雑多である】
【それを運営するのは、眼がレンズで執事のような姿をした二足歩行のコウモリである】
【店の後ろにあるのは、趣味の悪すぎる混沌とした掘っ立て小屋――時々"人ならざる者"が出入りしていて、それは品出しだったりそうではなかったり色々】

『ええ、"対価は貨幣に限らず"――いつもの通りで御座います』
『"邪禍様ではないのですか"――ええ、邪禍様は体調を御崩しになられていらっしゃいますので、今日はワタクシが店番を務めさせて頂いております』
『"面会"で御座いますか、それは邪禍様の御許可を頂かなければ不可能で御座います――あなたは駄目のようです、また後日いらっしゃってください』

【値札はない、ただ、怪しげで曖昧な表記で正体の分からぬ謎の商品群が立ち並ぶのみ】
【一つ言えるのは……どれもこれも、この世界では見たこともないような品だということか】
【そんなものを堂々と出せるのも、闇市だからこそか――たまに"常連"が訪れている様に見えるのは、きっと気のせいではない】

『"あの件はまだ残されていますか"――はい、今日も、"アビスゲートに足りないナニカ"は非常に高い値段で買い取らせて頂いております』

【そういえば"邪禍"――とか言ったか、確かその名は数々の罪で指名手配されている悪魔と同じだったはず】
【――あなたはこの店に立ち寄っても良いし、もしくは別の何かをするも良いだろう】

/あまり長くはいれません
614 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/05(水) 18:42:43.14 ID:xXXVCmOto
【路地裏】


「い、やぁ……っ」

【一人の少女が微かな呻き声をあげた】

【服装からして恐らく浮浪児かなにかであろうか――少女の身体には数本の触手が絡みつき宙に持ち上げられている】
【触手の元を辿っていくと少女から数メートル離れた場所に赤黒く汚れた作業着姿の男が一人】
【少女に巻き付く触手は全て男の左腕に繋がっていた】


ん〜、ちょっと細いけど…まァ、いいか

【男はソフトモヒカンにカットされた髪を右手で触りながらそう呟くと】
【少女の首に巻き付く触手だけがきゅ、と収縮していく】


「ぁ、く、ぁ…っ!」

「ぅ…っ…ぁ…、…」

「…ぁっ、………――――――」

【肉と骨が潰れる鈍い音が路地裏を静かに響いた】

【か細い少女の声はぴたりと止んだ】
【少女は事切れたようでだらりとその体を触手に預ける】
615 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/05(水) 23:17:29.27 ID:fUBNdZ+ho
【山奥――――】

【虫の鳴き声ひとつない常闇の時間帯。人の気配も獣の気配もなく、草木をなぶる強風だけが不気味な音を奏でている】
【そんな山奥の一角に、ただひとつ――――人でもなければ獣でもない、化け物≠フ気配が漂っているだろうか】
【吹き荒ぶ強風は天の気まぐれに他ならないが、それが時折別の誰かの気まぐれに乗っ取られる。強風が、ふと狂風に変わる瞬間がある】
【何かの意志に狂わされ、突如複雑な気流を描く風。それが絡み付くように木々を撫でつけた後には、鋭い切り傷≠ェ刻まれるだろうか――――】

【蛇のように渦巻く風は捉えがたいが、そこには必ず化け物の気配があって、何よりも僅かに銀色≠帯びている】
【もしこれを見つけた何か≠ェ注意深くその陰を追っていったなら、その中心でぼんやりと立ちすくむ少年の姿に行き着くはずだ】

……………………。

【――――黒いブレザーに赤いネクタイという学生服に厚手のコートを羽織った服装、近くの木には学生鞄が立て掛けられて】
【制服は適度に着崩され、髪型はワックスで流した茶髪に前髪を上げた若干派手なもの。だが背丈はそう高くなく、顔つきにもまだ幼さが感じられる】
【……見た目だけで判断するのであれば、どこにでもいそうな男子高校生といった風情だ。だが彼が纏う空気は、明らかに異質であって】
【周囲には銀に狂った旋風が吹き荒れているのに、何故か少年の周囲だけは、静かすぎる程に凪いでいる――――】
【そして、異様な雰囲気を纏う少年からも、木々を浅く切る銀色の風からも………妖気≠ニいう名の化け物の臭いが、濃密に漂ってくるだろうか】

【少年は瞳を閉じ、瞑想でもしているかのような無表情のまま、銀の妖気を操って周りの風を狂わせ続ける――――】
【……これだけの妖気だ。もし感覚が鋭ければ、かなり遠くからでも異常は察知できるかもしれない】
616 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/06(木) 18:27:34.25 ID:J6Z4PpFbo
【――此処は町外れの廃墟群。生命のにおいなどとうに途切れたであろうこの場所に、怪しげな存在があった】

【それは、趣味の悪すぎる混沌とした掘っ立て小屋である――】
【黒曜石の様な未知の物質で出来た外壁、何かの骨と思わしき装飾、窓から覗くのは何色ともつかぬナニカ】
【まあ、それだけならばまだ見逃せただろう――しかしそれは、亀のように生えた4つの脚で歩いていた】

【そう、この掘っ立て小屋は生きているのである。確かに、ドアと窓の位置を見ればなんとなく顔に見えなくもない】

【一体どこを目指して進んでいるのか定かでないが、この掘っ立て小屋に興味を持ち近づくものがいれば――】
【――それは立ち止まり、客人として迎え入れようとするだろう】
617 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/06(木) 21:28:07.20 ID:/bz7aVc6o
【人気のない森】
【その広い空間の中、一定のリズムを刻んで少し湿った打撃音が響く】

――43! 44! 45!

【その中心にいたのは、人に似た姿をした何かだった】

【少し癖のついた、炎のような澄んだ緋色のショートカット、ガーネット色に輝く瞳】
【薄灰色の丈の大きいやや薄手のトレンチコートを羽織り、黒い長ズボンを穿いている】
【袖からは紅い甲殻が覗き、足は猛禽を髣髴とさせる異形と化している】
【首には竜をかたどったペンダントを提げていて、額に傷があるのか包帯を巻いている】
【背中には、魔翌力を帯びた「竜の翼」と思われるものが生えている】
【そんな格好をした、14、5歳程に見える少年だ】

【少年は手ごろな大樹に拳を打ちつけている。鍛錬だろうか】
【しかし、その拳は皮が剥がれ、痛々しそうに血が滴っている。それほど多く拳を打ち付けているのだろう】

――もっと! 強く! もっと!

【痛みを忘れているのか、それともあえて自分の拳を痛めつけているのか】
【少年の拳は止まる気配を見せない】

――49! 50! 51!

【拳を打ち付けるたび、僅かに大樹が揺れる。葉が一枚、ひらりと舞い落ちた】
618 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/06(木) 22:28:37.81 ID:bpagt4zGo
【山。静寂が支配する森の中、川の畔】
【冷たいながらも清い水は留まることも知らず。流れは絶えず、移ろっていく】

【ぴちゃり、水が跳ねる。濡れた足先が月光の下に晒されて】
【佇む一人の女。長い黄金の髪を風に預け、ただ岸に座っていた】

【雪下の襲は絢爛に、胸元は胸を強調する様に開けて白い肌を大きく見せ】
【金の瞳を持つ目は切れ長で、頭部に覗くは獣の耳。腰の辺りを見れば、】
【襲のどこから出ているのか金色に包まれた尾が九つ―――妖狐、だろうか】

――――肉は持っておらぬぞ……余は肉を食わんものでな。

【言葉と視線を投げる先、川の向かいに一頭の狐。その姿もやがて、木の中に消える】
【残ったのは清水の流れと妖狐の女。何をするでもなく、川は行き、女は足を浸すばかり】

【それだけではあったのだが、川上より弱く吹き降ろす風が、女の気配を濃く、流していた】
619 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/06(木) 22:31:31.55 ID:YpzHjWY4o
【廃墟群】

…………っはぁ〜、ったく………やってらんないわよ…………。

【主を失って久しい灰色の箱が、道の左右に物々しく鎮座している。かつて大通りだったこの場所もすっかり瓦礫と雑草にまみれて、女の歩みを妨害するばかり】
【邪魔な石をつまらなさそうに蹴っ飛ばしつつ、女は強引に進んでいく。とは言っても、特に目的地があるわけでもないのだが】
【左手の安い缶ビールに口を付ける。……ほんの数滴が舌の上を暖めて、女は空き缶に成り果てたそれをぐしゃりと潰すと、その辺へ適当に放り捨てた】
【ベルスリーブのコート袖が翻れば、そこにあるSCARLET≠フ紋章も垣間見えるが――――こんな有様ではあまり相応しいとも言えないだろう】

くそ、あんのケチオヤジめ、覚えときなさいよ!
あーあ、新しい寝床探さなきゃ…………。

【愚痴を零しながらフラフラと歩く女は、褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪、ツリ目気味の金色の瞳が特徴で、年は大体二十代ぐらいか】
【髪型は肩口までのセミロングだが、長い後ろ髪をたてがみのように跳ねさせた、かなり野性的なアレンジが加えられている】
【そして服装の方も、暗い赤色のチューブトップの上に、白色で丈の短いファー付きコートを羽織ったヘソ出しの格好に】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツを合わせて大胆に生足をさらけ出した、全体的に露出度の高いワイルドなものであるだろうか】
【更に、耳には金色のピアス、腰回りには上部にリングのようなものがいくつも嵌まった鉄製の腰当て、両手にはバンテージを巻いている】
【全体的に過激すぎる格好だ、こんなのが街中を歩いていたらさぞ目立つだろうが――――この壊れた街並みには、不思議と馴染んで見えて】

【女はやや赤らんだ顔で、風化した大通りをフラフラと進んでいく。今のところ、その視界には誰も映っていないが】
【それも、今のところの話だ。元々廃墟に住んでいた誰かなのか、それとも廃墟に迷い込んできた誰かなのかは解らないが】
【この夜空の下、退廃した街をたったひとりで歩く女の姿はとても目立つ。何者かの目に留まっても、おかしくはなくて――――】
620 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/06(木) 23:40:51.69 ID:V93RIMh50
>>619
/まだいらっしゃいますか?
621 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/06(木) 23:46:04.16 ID:YpzHjWY40
>>620
/こちらにおります!
622 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/07(金) 00:15:41.42 ID:uo4Zwvc00
>>619

【廃墟群を歩く人影に、近づいて声を掛けるであろう男が居た】

【それは濃灰色の将校服を着用し、白髪混じりの黒い短髪のオールバック、鼻の下には口髭をたくわえた老人】
【右腕には彼女と同じ、緋色の鷹のワッペンが縫い付けられた腕章が見える】
【そんな老人は二本の軍刀を腰に差しているのだから、今の彼女には警戒すべき相手か】

【老人はゆっくりと彼女に歩み寄り、その距離を縮めようとするのだろう】
【そして彼女とは10歩程の間隔を空けつつ、そこから落ち着いた口調で話し掛けた】

……お嬢さん、こんなところで何をしているのですかな……?
それに、それはSCARLETの……いや、もしや君が例の……?

【頭の中から記憶を掘り起こす、そうだ、確かに似ている】
【"裏切り者"扱いとなっている、あの一派の一人に】

【腰に差す軍刀を見れば、彼がこの辺りの見回りでもしているのだという事は分かる】
【老人には敵意はまだ無いのだが、果たして彼女の眼にこの老人がどう映るか】
623 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/07(金) 00:48:24.99 ID:iuWUu6+vo
>>622

…………ん? 何よあんた、何か文句でもあるワケ?

【こんな場所を女ひとりで歩こうというのだ、荒くれ者に絡まれるぐらいは想像していたし、撃退するだけの技量も持ち合わせていたが――――】
【ふと近づいてきたのは、予想とは全く異なる人間だった。軍服を着た老人なんて、この辺りでは見かけたことのない人相だ】
【相手の目的が読めない……そう思った女がまず取ったのは、軽い警戒である。老人の顔をじとりと睨み、ガラの悪い言葉で威嚇して】

【……礼儀の「れ」の字も弁えず、そのまま女は老人の全身を睨め付けるだろうか。あまりにも失礼な態度だが――――】
【その視線が、老人の右腕の紋章を見咎める。直後、アルコールで赤らんでいた女の顔が一気に青ざめるのが見てとれるだろう】

――――げぇッ!? なんでSCARLETがこんなトコに…………!?

【女はあからさまに「しまった」という顔をした後、即座に一歩後退して上体を傾け、両手の指を腰当てのリングに沿えた】
【言うまでもない、戦闘態勢だ。自分が裏切り者≠ノされていることは、この数週間で痛いほど身に染みていたから】
【老人を強く睨み付けつつ、女は必死に頭を回す。老人の台詞からするに、あちらは自分がお尋ね者であることを察しかけている様子で】
【そして冷静になって、先程の自分の態度を考える。そこらのゴロツキのような台詞を投げかけ、一昔前の不良みたいにガンを飛ばしていた自分を……】

い、いやぁ、人違いじゃないかなぁ、おじいちゃん……?

【……口先三寸で誤魔化そうとするも、目は泳いでいるし冷や汗もかいている。どう考えても逆効果だった】
【SCARLETにも、水の国自警団と警察がこの女を追っている情報は行き渡っているだろう。であれば、老人としては女を捕らえるのが筋なのかもしれない】
【当の女としては、「自分は無実だ」と声を大にして叫びたいところだったが――――今のところ、聞き入れてもらえた試しはないし】
【何より、まず見た目からして普通ではない上、向けた態度も最悪。女が老人に与えた印象は、如何な者だっただろうか……】
【女は臨戦態勢を取ったまま、静かに老人の反応を待つだろう。襲われると思いこんでいるようだが……老人の方は、果たしてどう出るか】
624 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/07(金) 01:28:46.85 ID:uo4Zwvc00
>>623

【女性の失礼な態度、お世辞にも良いよとは言えなさそう言葉が飛んできても嫌な顔はせずに】
【それよりも気になったのはその後の台詞、げっなんて言葉、何も無いなら出るはずもない】
【明らかに途中まで戦闘に入ると身構えていた様子から見ても、疑うなと言われる方が無理な話】

……いや、いくら私がジジイだとしても未だボケてはいないはず。
人違いではない……そう、確か…………ミド"ラ"殿!!

【違う、最後の一文字が、思わずそう突っ込みたくなる】
【老人は右手を顎に当てて彼女をまじまじと見つめる、完全に敵意は無い】
【当然、お尋ね者だということを知らない訳ではない、ただ今の老人はそこ以外を見ていて】

んー、やはり写真で拝見するよりも生の方が美人ですなー。
あの隊長も羨ましいですな、他にも女の子が居るという話も聞いたのですが、えー……レラちゃんでしたかな、あの子も写真を見ればなかなか可愛らしくて……
……あ、失礼、美人に目がないもので、ハハハ。

【何とも軽い乗り、写真とは恐らく手配書の様なものなのだろうが】
【今裏切り者が目の前に居ることよりも、目の前に美人が居ることの方が大事なのか】
【しばらく観賞していると、老人はハッと何かを思い出したようにして】

……っと、今は大変な事が起こっていたのでしたな……
こんな事を言っている場合ではない筈なのに……申し訳ない。
何でもあの砂の国の隊長さんが捕らえられたとかで……あ、私は貴女の事は秘密にしておきますので。

【老人を信じて良いかは彼女次第だろう、軽く咳払いをすると、今度は真面目な話へと移ろうとして】
【出来るだけ彼女から情報を得たいのだろう、当の隊長は恐らくは面会謝絶なのだろうから】
625 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/07(金) 02:04:54.38 ID:iuWUu6+vo
>>624

ミドナよ!! 最後の一文字が違……っ!?
か、鎌を掛けるなんて、喰えないジジイね…………!! 

【……緊張が限界まで高まっていたところに一気に肩透かしを食らって、女はたたらを踏みそうになる。思わず老人を睨み付けると】
【最後の一文字が違う、とバカ正直に突っ込みを入れてしまうのだが――――自分から正体をバラしてしまったことに、言ってから気づくという大失態】
【老人が老獪であるのか、それとも単にこの女、ミドナの頭が足りないのか。……多分後者だろうが、女はすっかり勘違いして老人に敵意を向けた】
【腰のリングに指をかけて引き抜けば、柄の頂点にリングが取り付けられた短刀≠ェ姿を現す。しゃらんと刃が鳴って、飛びかかってやろうと足に力を込める……】

はっ………はぁあ!?
ちょっとあんた、言っとくけどあの子に手ェ出したらブッ[ピーーー]わよ!!?

【だがギリギリのところで、ミドナは老人に敵意が無いことに気づくだろうか。狙っているのか素であるのかよくわからない老人の言葉に、当惑の表情を浮かべ】
【……危うく、自衛のためではなく撃滅のために飛び掛りかける。まだ小さな妹分の名前を出されて、ミドナの老人を見る目が何というか、変質者を見る目になる……】
【いや、実際は多分老人もそういう意味で言ったのではないのだろうけれど。仲間≠ノ追われ続けてきたストレスか、どうも相当気持ちがささくれ立っているようだ】


――――ったく、読めないじーさまだこと……。
いいわ、今は信じてあげる。話が聞きたいってんなら話してあげてもいいわよ。……あ、でもその前に名前聞かせてくれる?

【老人の慇懃な態度がどうあれ、彼女の自警団やSCARELT全体への不信感がすぐに無くなる訳ではない――――故に、完全に警戒を解いた訳ではないようだが】
【頭が足りない分物事を割り切るのは早いらしい。両手の短刀をしまい込むと、ミドナは腰に手を当てて溜息を付くだろうか。差し当たって敵意は消えたようだ】
【何でも聞けとばかりに老人を見やると、ミドナはまず名前を問う。信頼獲得の第一歩だ、それさえ明かせば冷静に話し合うぐらいは出来る筈で――――】
626 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/07(金) 02:40:06.80 ID:uo4Zwvc00
>>625

ハッハッハッ、それは怖いですな。
心配しなくても、少し可愛がってあげるだけで……と、何だか誤解を生みそうですな。

【老人は相変わらずニコニコと微笑んでいる、仲間思いなのは良いことだと】
【しかし老人は彼女から向けられた視線を感じとると、より一層期待が高まったという様な表情を浮かべて】

うんうん、そうミドナ殿だ、やはり本人で間違いはありませんでしたな。

【何はともあれ戦闘に発展しなくて良かったと今は思うべきか】
【話してくれると言って貰えた、未だ完全に信用はしていないが少しだけ距離が縮んだ気がした】

いや、感謝致します。……と、まずは名前ですね……?
私の名前は、ブラック・レッドライン、以後、お見知り置きを。

……それにしても、今回のこれはどうも気になりましてな。
何だか不自然な点が多い気がするのです……

【さて、どんな話をするのかはきっとミドナに任せるのだろう】
【老人はそれを黙って、真剣に聞こうとしていて】

/すみません!眠気が迫ってきました……
/凍結か置きレスをお願いしたいのですが
627 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/07(金) 02:45:30.17 ID:iuWUu6+v0
>>626
/了解しました!
/明日明後日とイベントもありますし、出来れば置きレスの方でお願いしたく……
628 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/07(金) 02:48:20.16 ID:uo4Zwvc00
>>627
/では置きレスの方に返して頂ければ!
629 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/07(金) 02:51:03.60 ID:iuWUu6+v0
>>628
/ありがとうございます、それでは一旦お疲れ様でしたー!
630 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/07(金) 18:29:46.49 ID:5zGLKuino
【――此処は氷の国。白銀の山『シルバーマウンテン』の近く】
【今日の天気は吹雪。細かな雪が降りそそぎ、風が吹けばそれは舞い上がり地吹雪を生む】
【白銀の山の近くには昔からある小さな村の数々が存在する、しかしそれらから離れた場所にナニカがあった――】

【それは、趣味の悪すぎる混沌とした掘っ立て小屋である――】
【黒曜石の様な未知の物質で出来た外壁、何かの骨と思わしき装飾、窓から覗くのは何色ともつかぬナニカ】
【まあ、それだけならばまだ見逃せただろう――しかしそれは、亀のように生えた4つの脚でゆっくりと歩いていた】

【そう、この掘っ立て小屋は生きているのである。確かに、ドアと窓の位置を見ればなんとなく顔に見えなくもない】
【その上、時々小刻みに震えては積もった雪を振り落としている――間違いない、それが生命であることに】

【一体どこを目指して進んでいるのか定かでないが、この掘っ立て小屋に興味を持ち近づくものがいれば――】
【――それは立ち止まり、客人として迎え入れようとするだろう】

/21時頃までおいてみます
631 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/07(金) 19:59:17.13 ID:2H9RJDN70
【――――雷の国『セードムシティ』】
【既に機関の手に堕ちて久しいこの都市において、機関の活動は半ば日常と化していた】
【外部との流通を断たれ、占拠されたその場所に関する情報も、まるで外には漏れてこない】
【――――機関の占領下にある事が、もはや当たり前となり始めていたのだ】

【――――だが、無論の事、その地を本来領有する雷の国が、いつまでも黙っているはずもない】



【――――『セードムシティ』 ルート55ゲート。内外の交通を監督する『関所』となっているそこに、1台の輸送トラックが差しかかる】

「おぅ、ご苦労さん」
……第210号物資の輸送、仮設プラントに向かう様に命令されてるが……連絡は受けているだろう?
「あぁ、確かに……確認した。通ってくれ……」

【運転席の窓を開けて、軽く言葉を交わす運転手と警邏の兵士。すぐにゲートが開くと、輸送トラックはそのまま都市の中へと入っていく――――】
【ポツポツと街角に姿の見える機関兵が、沈痛な表情で行き交う住民達の中に紛れて、景色と共に流れていく】



【――――『セードムシティ』 RL仮設プラント 地下第3駐車場】

――――よし、上手くいったな……おいお前たち、出番だぞ?

【駐車を済ませると、運転手と助手席の男は荷台の方へと声を掛ける】
【機関兵のプロテクターとヘッドギアを身に着けてはいるが、彼は機関の兵士ではなく、雷の国の兵士だったのだ】
【内部へと潜入し、情報を収集する。その為の偽装は、流石にプロと言うべきか、機関の人間を上手く欺いた様だった】

……もう一度確認する。俺たちは情報収集と、脱出のための手筈を整える
お前たちはこのプラント内部での戦闘と陽動、なるべく派手にやってくれ……
腹の中でいきなり暴れられたとあったら、敵さんも手の内をある程度明かしてくれるだろうからな……陽動だけじゃなく、威力偵察も兼ねるんだ……頼むぞ

【そして荷台に居るのは、輸送物資などではなく、この為に雷の国から依頼を受けた、氏素性のはっきりした能力者たち】
【潜入と共に、危険な任務を完遂する為に、戦力として嘱託された、戦いのエキスパートたちである】

【この地を占拠した、機関のチーム『RAGNAROK LABORATORY』――――その心臓部と言えるこの場所で、存分に力を振るう為に】

…………あっちの通路を行けば、施設の中心部に通じるはずだ……重ねて言うが、頼むぞ……!

【荷台から、同じくいくつかの装備を引っ張り出す】
【軽く確認を済ませると、彼らは指示した通路とは別の通路へと、早足で去っていった】

【――――すべき事は1つ。破壊その他の手段を以って、戦闘を行い、そして生き残る事】
【『セードムシティ』に陣取る機関に対する反撃の第一歩は、そこから始まるのだ――――】

/これよりイベントを開始します。参加者の方はこちらにレスをお願いします
632 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/07(金) 20:31:26.85 ID:iuWUu6+vo
>>631

【『セードムシティ』内部……輸送トラックは、無事敵の本拠地へ潜り込んだ。とりあえず初手は成功と言ったところか】
【兵士の呼びかけに小さく頷き、荷台から抜け出してくる人影があった。それは勿論、雷の国から雇われた手だれの能力者の一人であって――――】

……ええ、了解です。

【現れたのは少年だった。流行り物のシャツの上に青系のカーディガンを合わせ、胸にはシルバーのアクセサリー、下は深緑色のカーゴパンツという服装】
【それらの上に紺色のダッフルコートを着込んだ、どこにでもいる一般人の様な格好だ。ワックスを使って前髪を上げた茶髪も、洒落っ気はあるが完全に場違いで】
【顔つきは幼く、体格もそう大きくない。黒色の双眸もいたって温厚――――外見上、それは普通の男子高校生≠フお手本のような少年であるだろうか】

【そんな頼りなさそうな人物が何故、こんな場所にいるのかと言えば……何かの間違いなどでは、もちろんない】
【少年の体に纏わり付くのは、妖気≠ニ呼ばれる力を含有した銀色の風。浮かべる微笑みには不安も恐怖も全く感じられず、ただ兵士を安心させるように応えて】

さて……あっちの通路、でしたね。
ぼくは鳴子一颯といいます。あなたは『UT』のリーダーのセリーナさんですよね?
単なる学生のぼくが、そんな人と会えるなんて……いやぁ、緊張するなぁ………。

【鳴子一颯――――雷の国の素性調査によれば、彼は『レイリスフィード学園高等部所属の一年生』ということになっている筈だ】
【……そして同時に、過去に数回GIFT♀ヨ連の事件解決に関わった実績もある。今回雇われることになったのはその辺りが信頼されての事だろう】
【いや、あるいは……口調とは裏腹に一切緊張した様子のない、この胆力が買われたか。この大一番を前にしてここまでの普通さ≠ヘ、逆に異常にも感じられる】

【一颯は隣にいるであろうセリーナに軽く挨拶を終えると、兵士が指示した通路を見やるだろうか。この先は間違いなく、血飛沫の舞う修羅場になる】
【覚悟を決めるようにふと目を閉じて、それからもう一度開く。一颯はセリーナの方を見て頷き、彼女と歩調を合わせつつ通路に向かっていこうとするだろう】
【歩調は慎重だが、そこに迷いはない。少年は見据える通路の先を僅かに睨んで――――数十秒先の未来へ備えるように、妖気を滾らせるのだった】


/鳴子一颯です、本日はよろしくお願いします!
633 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/07(金) 20:31:38.76 ID:VXZc31BWo
>>631

【―――風が唸る。雷鳴を轟かせ、稲光を引き連れながら。ゴウ、と激しく咆哮する。】
【荒れ果てる戦地と化した『雷』の大地に、今宵も再び戦火の渦が巻き起こる。しかしそれは破壊の始まりではない。】
【むしろ闇を喰らうこの地に差し込んだ、まさしく雷光にも等しい一筋の光―――長い長い悪夢を終わらせる為の、眩い光であった。】



                            (―――着いた、みたいだね。)


【トラックが停車し、エンジンの鼓動が荷台の中へと響いてくる。心臓の鼓動が其れに重なり、"女"は一度息を吸い込んだ。】
【戦いの始まる前にはいつもこうだ。人を殺し、人を救い、また人を[ピーーー]。何時まで経っても鳴れる事の無いこの儀式に際して】
【"女"は常に、戦闘開始直前に精神を落ち着かせる―――討つべき相手と、そして自分が成すべき事を一つ一つ、確認していた。】

【課せられた任務は"情報収集" "陽動" そして"奇襲"(アサルト)―――相手の虚を突き、内側から手痛いダメージを与え】
【更にはそこから有益な情報を探り出し、この占拠された大地の情報と構造、敵の数、そしてその弱点を探り出す事が目的だ。】
【攻撃に関しては自信があった。火力は十分、持久戦よりも短期間の破壊戦が得意な"彼女"には先ず間違いなく、うってつけである】

【しかし今回の場合、課せられているのはただの戦闘行為だけではない―――むしろより重要な事。それは情報収集だ】
【仮に主な潜入任務をこのトラックの運転手達―――特殊部隊の隊員達が行うとしても、"彼女"だけは少し状況が違った。】
【知らなくてはならないのだ。手に入れなくてはならないのだ。敵の情報、敵の居場所、敵の能力、そして敵の―――"技術"を。】


 (……大丈夫、やれるさ。やっと巡って来たチャンスだ。殴り込んで一気に殲滅、とはいかないけれど―――)
 (きっと手に入る。"あの娘"に関する情報。"あの娘"を助ける方法。そして―――"あの娘"を堕落させた仇を。)
 
  オーライ。任せてよ運転手さん、最高のドライビングだった。でもこっからは、"アタシ達"の仕事だ。
  運賃代わり、とは言わないけど。その分たっぷり、お仕事してくる、さね。

                              さ〜て―――暴れ、ますかっ!

【荷台から飛び出した一つの影。セームドシティの大地を踏みしめるのは、年季の入ったウェスタン・ブーツ。】
【長くしなやかな脚部をダメージ・ジーンズで覆い、腰元には象徴的なガン・ベルトと二挺のリボルバー式拳銃―――】
【白いシャツが雷光に反射し闇の中で輝き、その上に着込んだ土気色のベストが"彼女"の存在を色濃く、映し出すだろう。】
【特徴的なテンガロン・ハットを後から被って戦闘準備は、オーケイ。指でクイ、と帽子の向きを変え、神秘的な輝きの瞳を開けば】
【現れたのは独りの"ガンマン"―――西部劇から抜け出してきたような、時代錯誤の格好をした女。ショートの金髪が風に揺れた。】

  UNITED TRIGGER所属、セリーナ・ザ・"キッド"―――これより、任務を開始するッ!
  ま、アタシくらい有名だともう隠す意味もないし……いっちょ、派手に行きますよ、派手にねッ!!

/セリーナ中身ですっ! 今夜は宜しくお願いします!
634 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/07(金) 20:36:25.58 ID:2H9RJDN70
>>632-633

【――――共に潜入した雷の国の工作兵の指示した通路は、恐らくそれなりに大きな物資の輸送などを前提においているのだろう、広い通路だった】
【いくつか小さな扉はあるが、真っすぐに伸びるそれは、間違いなくプラントの内部におけるメインの通路の1つとして、間違いないだろう】

【――――――――そして、その通路を抜けると】

【あまり大きくはない喧騒と共に、開けた空間へと2人は抜け出るだろう】
【研究と開発を同時に行える施設である『プラント』と銘打たれただけの設備が、そこには整っていた】
【ベルトコンベアによるラインがいくつか広間の中に引かれ、小型のクレーン車が整然と駐車している】
【どこかへと繋がるシャッターのそばには、人の背丈よりも高い直方体のコンテナが列を成して】

【――――そして、円柱状のガラスによる大型のカプセルが、そのフロアの奥の壁際に、いくつか並んでいて】
【カプセルを満たす濃い緑色の液体の中には、熊が、蛇が、鷹が――――あるいは人間が、身体のあちこちに管を繋がれ、沈んでいる】
【それぞれの機器のそばには、操作の為と思しき端末がセットで備えつけられており、天井からの照明とは別にチカチカと光源としてフロア全体を照らし出していた】

【――――『RAGNAROK LABORATORY』の、その研究の一角を担う施設である事は、疑い様が無いだろう】
【実験機器と思われる設備や、何らかの武器の試作品と思われる装置が納められたケースなど、雑然とならぬように配慮されつつもそこここに置かれていて】
【あちこちの装置の駆動音がてんでバラバラに響いてくるため、独特の喧騒が醸し出されている】
【――――『セードムシティ』を落とした時、そして『ブレザシティ』を襲撃した時に、散々雷の国の軍勢を手古摺らせた生物兵器】
【それと同種と思しきものが、あるいは素材と思しきものが、奥のカプセルには収容されていて】
【それもまた、ここが『RAGNAROK LABORATORY』にとって、容易ならぬ設備である事を類推する材料となるだろう】

「被験体第38号、数値が乱れてるぞ。すぐに工程を確認してくれ」
「ちょっと資料がいるな……先月の調査資料、調べてくるよ」
「ダメだな。試作はしてみたが、やはりこの程度では制式には遠すぎる。設計を見直すか、あるいは諦めるかだな……」
「……………………」

【白衣を身に纏った、十数人の研究員と思しき人間たちが、あるいは端末を覗き込み、あるいは資料と思しき紙の束に目を通し】
【そして、フロアにはそうした研究員よりは少ない程度の人数の兵士が、黙々と誰何しながら立っている】
【ある意味で、『悪意の巣』に相応しい光景と言えるのだろうか。『セードムシティ』を牛耳る一派の頭脳である事を、雄弁に物語る光景だった】

「――――んっ、待て……何だお前らは、ここで何をしている……!」

【直後、施設内部の警戒をしていたと思しき機関兵の1人が、目ざとく2人に視線を向けて近付いて行く】
【軽く威圧するように放たれる声と、すっと腰に向かう右手――――明らかに、不審人物を警戒する仕草である】
【――――『別働隊の為の陽動』を行うには、ある意味で最適なタイミングであろうか。ともあれ、戦闘行為は避けられそうもない――――】
635 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/07(金) 21:08:55.00 ID:iuWUu6+vo
>>634

(…………これが、例の生物兵器か。話には聞いてたけど…………)

【通路を進んでいった先、一颯は程なくして『プラント』へと辿り着く。人目で研究施設だと解る、一般人としては異質な光景が飛び込んできて】
【周囲を見渡しているうち、部屋の奥の巨大なカプセルも目に留まる。ここに来る前に、機関側の生物兵器≠ノついてある程度情報は仕入れていたのだが】
【改造生物――――その素材には人間≠煌ワまれているのだろうか。ある程度予想はしていたとはいえ、見ていて気分のいい光景でもなかった】
【――――『RAGNAROK LABORATORY』。自分は敵の本拠地へ乗り込んだのだと、改めて自覚する。纏う妖気の質も、無意識に濃密になって】

……いえ、単なる社会見学ですよ。
良ければこの施設について、教えて頂けるとありがたいのですが――――。

【作業に没頭する研究員達と後姿を見咎め、まずどう動くべきかと悩んでいたところだったが……その手間も、どうやら省けそうだ】
【近寄ってきた機関兵に対し、一颯はにこりと笑いかける。その瞬間――――妖気の事を知らない人間でも異質≠セと解るほど、辺りの雰囲気が一変するだろうか】
【ざわりと周囲の空気へ妖気が混ぜ込まれ、銀色に着色される。その銀風はやがて一颯の両膝の隣の二箇所へ収斂し、一気に凝縮されていく――――】

風切<b!

【――――そして直後、その二箇所から一本ずつ銀色の帯≠ェ勢いよく射出され、鋭い風切音と共に兵士へ迫っていくだろう!】
【まず一本目は腰へ添えようとした兵士の右手を掠めるように、そしてもう一本は兵士の首元を掠めるように。銀風は時間差で二つの部位を狙う】
【……勿論、単なる風ではない。銀色の妖気によってこの風は斬撃≠フ属性を帯びており、直撃すれば刀剣で斬られたかのような裂傷を負うことになるだろう】
【一本目で気を引き、続く二本目が頚動脈を絶って命を奪う――――これは、そういう攻撃だった。そこには躊躇いも容赦も、一切感じられない】
【ひとつ欠点を挙げるとすれば、発射してからの速度は早いが、発射までに掛かる時間が長いことか。任務達成の為の最初の一撃、果たしてどうなるか――――】
636 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/07(金) 21:19:42.97 ID:VXZc31BWo
>>633-634

【真っ直ぐに伸びる通路、そして其処から先に広がった光景。無機質ながらも強大な悪意を感じさせる機器の数々。】
【『ラグナロク』―――北欧神話において、週末の日を意味する言葉をその名に冠した研究機関。まさに、と言ったところか。】
【視界に入るそれらはどれもこれもが、兵器、兵器、兵器であって。しかもどれもが、"命"を利用して生み出されている所が、悪質だ。】
【こうなってしまっては、本当に世の終わりなのかもしれないと―――そう思わせるほどに淡々と。この空間で命は、踏みにじられていた。】

 (―――鳴子、一颯。櫻の国の出身かな? それにしても、若い子がこんな任務につくなんて―――……)
 こんばんわ、お察しの通りアタシがセリーナ! セリーナ・ザ・"キッド"だよ、よろしく少年っ!
 んーと、それじゃ"一颯くん"、って呼べばいいかな。アタシの事は、気軽に"美人のおねーさん"とでも呼んでくれたまえ!
 まあ、これから一緒に任務を共にするわけだし、あんまり畏まらないでいこう。それより、どうして君みたいな年齢でこんな任務に―――

 っと、そういう話をしてるわけにも、いかないか。

【隣に居るであろう鳴子に此方も挨拶をして。ふと気になった疑問を口に出そうとしたところ、会話はそこで終わってしまう。】
【と言うのも、敵に気付かれたからだ。悠長に話をしている場合ではない、少なくとも"機関兵"は腰元に手を伸ばしている訳で―――】
【―――と、その瞬間。研究者の動きに追い付くような速度、いやむしろ追い越すような凄まじい速さで彼女の両腕が、躍動した―――!】

【―――発砲音、は後れて聞こえてくるだろう。むしろ彼女の動きは音の世界を置き去りにしていたと言ってもいい。】
【先ず最初に、右手が動いた。腰元に伸びた指が、ガン・ベルトの中に鎮座する"愛銃"たる"弾"末魔へと、伸びて。】
【引き抜くと同時、追い付いた左手が真横へ一直線にスライド、銃のハンマーをたたき起こして―――引き金は既に。】
【シングル・アクション・リボルバー特有のファニング・ショットが発動し、たった二つの動きで弾丸が放たれる。】
【だがしかし、驚くべきはその"抜き撃ち"の速度―――まさに雷鳴に等しい、電光石火の一撃が"機関兵"の腕を狙う。】
【神速―――そう呼んでも可笑しくは無い、彼女の持つ最速、最高の一撃が放たれた。そして其れを切欠に、全ての銃が起動する―――】


 一颯くんッ! これからドンパチ始めるから、あんまりアタシには近寄らない方がいいよッ!
 それからアタシは射撃専門で、あんまり前衛に自信はないんだけど―――其方さんの"力"は……っと、なるほど!
 風使いって訳だね、なかなかクールだ! 了解したよ。そいじゃ、出来れば前に出て暴れてもらえると嬉しいかなっ!
 
 さて……一人ブッ倒してそれで終わり、って訳じゃないんだろう……!?

【既に引き抜いた"弾"末魔、一発を撃ち終えたそれに素早く、弾薬の補給。と同時に、もう片方の腕で】
【友人より受け取った新たなる相棒―――コルト・ライトニングを引き抜いて、二挺をくるくるとガン・スピンさせる。】
【彼女の視覚、聴覚、嗅覚、触覚―――全感覚が稼動し敵の位置を探ろうとするだろう。この一撃で敵の勢力は一気に増える筈。】
【警報が鳴るか、鳴らなければ銃で撃って鳴らすまで。ともかくドンパチ始めるのが最善―――彼女はライトニングを宙にかかげて。】

 さぁ始めようか―――カノッサ機関、いや。"終末"を掲げる研究者達。今からここはラボじゃなくなる。
 賭け値なしのバトル・フィールドさ、OK牧場より派手に吹き飛ばしてあげる、さねッ!!

【ドウ、ドウドウ―――と、三発を発砲。まるで聖戦の開始を告げる鐘の音のように―――今、此処に開戦。】 

637 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/07(金) 21:28:43.84 ID:2H9RJDN70
>>635-636

「……っ、何をしらばっくれる、このガキが……ッ!?」

【軽く鼻で笑うと、次には怒気を表情に表して凄んで見せる兵士だが、すぐにそれに気づいたのだろう】
【少年、一颯の纏う妙な力――――妖気に。そしてそれが、危険な類の力であると言う事に】

「ッ――――――――!!」

【伸ばしかけていた腕を、そのまま腰に備えられたハンドガンに掴ませる兵士だったが、それは遅かった。女性――――セリーナの銃撃が、既に腕を撃ち抜いていて】
【被弾してひるんだ所に、一颯の風が襲う――――ハンドガンのグリップを握ったまま、手首が思いきり切り裂かれ、ハッと視線を向けた時にはもうバッサリと首をやられていた】
【何が起こったのか。それを確認しようと言う意志すら浮かばないまま、全身から力が抜け、床に崩れ落ちていく】
【痛みも、薄らいでいく意識の中ではさほど感じられない――――そのまま、最初に声をかけた兵士は、物言わぬ骸となり果てた】

≪ッ、敵襲! 侵入者だ!!≫
≪!!≫

【事態に気付いた誰かの怒号が、研究施設の中に響き渡る】
【中にいる誰もがハッと顔を上げ、あるいは異常の原因へと視線を飛ばし】
【そして白衣の面々は思わず頭を抱えて機材やコンテナの陰に逃げ込んで行き、そして兵士たちは一瞬遅れて、腰に提げているハンドガンを一様に手に取る】

【――――国軍の立てた作戦は、少なくともここまでは狙い違わず進んでいた】
【襲撃の可能性をほとんど考えていなかったのが、彼らの反応に良く表われている。この事態に、明らかに面食らっていたのだ】
【内側『から』危険にさらされる事などほとんど無い、と言う慢心があったのだろう】
【これで、機関の面々がパニックに陥れば、それだけ事態は優位に展開する事になる】
【無論、強力な戦力を向けられる事になる以上、戦闘による負担が大きくなるのは仕方の無い事だろうが――――】

【――――突然、大通路の方からエンジン音が響いてくる。それも重々しい、大型車両のエンジン音と思しき音である】
【籠って反響するその音が、それでも際限なく大きくなっていく様子が、真っすぐにここへと向かってきている事を表していて】

【そうして研究場へと飛び込んできて、荒々しく急ブレーキをかけたのは、カラフルなペイントに紛れて『Factory』と描かれた巨大な荷台のついたトレーラーだった】
【場違いな暴走トラックが突っ込んできて、何とかここで制止した様な格好だったが、無論これは場違いな乱入者などではない】
【運転席でも助手席でもなく、開いたのは荷台だった。そこから悠然と、何者かが降りてくる】

――――やれやれ、何事かと思ったもんじゃが……随分大胆な真似をする人間が現われた様じゃの?
招かれざる客が、流石にここまでやってくるとは、とんと思わなかったわい……
≪ッ、グラトン様!!≫

【恐慌をきたした研究者、そして動揺を押さえ切れていなかった兵士たちがその姿を見るや、それまでとは違った緊張の色が走る】
【降りてきたのは、量は多いが短い白髪をバック気味に整え、皺が多い割に肌の色合いが良い、ダボダボの研究衣を着こんだ、細めの目をどこかぎらつかせている、年の頃は壮年程の男性】
【そして彼を庇う様に、更に小さな3つの影を付き従えていた】

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女と】
【ブロンド色のさらさらした髪を短く切り揃え、炭団の様に濁った灰色の瞳をした】
【首筋に、逆五芒星の刻印を刻みつけている、身長130cm前後の少年と】
【短いボブカットの赤髪に、奇妙な笑みに近い表情を見せる、ぎらついた紅色の瞳をした】
【右の頬に、逆五芒星の刻印が刻みつけられている、身長160cm前後の少女】

【それぞれに、身の丈に合わせて設えられたと思しき、ハードレザーとソフトレザーを組み合わせた黒いスーツで全身を覆っている】

【――――『セードムシティ』を占拠した一団『RAGNAROK LABORATORY』のボスにして、機関の≪No.6≫である、グラトン=ブルーガー=ウルバヌス】
【そして、その懐刀にして切り札と言うべき、技術の結晶である『ネバーランド』】
【騒動を聞きつけて最初に姿を表したのが、あろう事か組織の首領その人だったのである】

/続きます
638 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/07(金) 21:30:07.04 ID:2H9RJDN70
>>635-636

……無謀な決死隊よ。わざわざ死にに来てくれて嬉しいぞい?
そういう思いきりの良い人間と言うのは、そうそう居るもんじゃないからのぉ……得難い機会じゃ
最大限の礼を以って、お主らを迎えるとしよう……ッ!
「…………」{…………}<…………ヒヒッ>

【老いた風貌ながらも血色の良い顔が、醜悪な笑みを浮かべて。そしてその瞳をギラギラと輝かせて、グラトンは侵入者2人を見据える】
【獲物を得た事が嬉しい――――直接口にはせずとも、態度や表情がその本心を良く表していた】
【側に従う3人は、赤い髪の少女のみがグラトンに似た狂笑を浮かべて、残る2人は憮然とした表情のまま――――】

――――何をしとる!! お前らには『F-144』を回してあるじゃろうが!!
さっさと捕獲射しろ!! そしてお前らは端末をデータベースから切り離せ!! 急ぐんじゃ!!
≪っ、ハッ!!≫

【グラトンの怒号に、統率を乱していた面々は、ようやく回転し始める】
【兵士たちは腰のハンドガン――――見慣れない型である。恐らくは『RAGNAROK LABORATORY』謹製だろう――――を抜くと、そこから光弾を1発ずつ発射する】
【命中しても一瞬身体が痺れるだけの、殺傷能力に低い攻撃だが、それが連続して命中すると、恐らくは立っていられない程のショックを受けるだろう】
【その光弾が、6、7発は数えられるだろうか。嵐の様に撃ち込まれていく】
【へたり込んでいた研究員たちも、その一部は慌てて端末に齧りついて、せわしなく操作を始める】

――――ッ、これは……どうやらこれを試すのは、今しかなさそうじゃの……
(セリーナ・ザ・"キッド"……ほんに、思わぬ大物が釣れたもんじゃ……! さて……お前は『どうしておる』のか……ッ!)

【前線に立ちながら事の成り行きを見ていたグラトンだが、不意に表情を変えると、懐に手を突っ込んでニヤリと笑みを漏らす】
【その懐の中で、誰にも知れる事無く、カチリと何かが音を立てていた】

{……ねぇ、僕たちは……?}
「まだよ。今回は出過ぎない様にって、言われてるでしょ? それに、おじいちゃんを守らなきゃいけないのよ……?」
<…………>

【グラトンの側に控えている3人の戦士は、ただ黙って状況を見据えながら、表情を引き締めて身構えている】
【攻撃に参加するよりも、グラトンの護衛としての役割に殉じているのだろう】
639 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/07(金) 21:45:13.69 ID:57si4rZuo
【夜・公園】
【昼に比べて幾分か冷え込む気候の中、一人の男がベンチに腰掛け新聞を読んでいた】

『ラグナールに二度の悲劇』……か。六罪王と海賊…マフィアの襲撃を立て続けに、ねえ……。
怖いよねえ、世の中さ。僕の身にそんな事が起きなきゃ良いけど

……そういえば彼ら、無事かな?自警団ならきっと関わってるんだろうけど、さ…――。

【彼の服装は簡素だ。シャツとジーンズ、そして唯一の防寒にはやたら豪奢なマントを羽織り】
【また、どうやら夕刻から絵に熱中していたらしい。ベンチの一方にはキャンバスが置かれており】
【そこには大きく描かれた巨鳥の絵。写実的な画風が実に目を引く一作であり】

【やがて若い彼は金色のふわりとした髪を掻き上げ、新聞を折り立たんでばさりと絵の方に放る】
【紙面に躍る幾つかの見出し――身近な恐怖を嫌がる画家、といったのが彼という人らしい】
【やがて新聞も見飽きると、彼は園内に目を向けた。誰か、興味を引いてくれるものは居ないか、と。】
640 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/07(金) 22:11:36.46 ID:VXZc31BWo
>>637-638

【まさに、と言った所か。奇襲作戦は第一段階を終え陽動へと切り替わる。】
【後は出来るだけ派手に暴れて、敵の手の内を明かさせる事が一番重要であったが―――】
【探りを入れるには、より深く、この機関の心臓部にまで達する必要があった。少なくとも、セリーナの欲する情報は其処に有る。】
【だからこそ、此処で一旦敵を排除し、更に奥地まで踏み込む事を目的としていたのだが。状況は一転するだろう。それも好転ではなく。】


 (―――音、それもエンジン音。かなり大きい、こっちに向かって―――っ、"突入"かッ!)
 (なるほど、基地内で車を乗り回すとは大層なモンだよ。出てくるのは蛇か、それとも獅子か―――!)


【突撃してくる一台のトラック。うろたえる兵士達を前に、セリーナは悠然と歩を進め、機器類目掛けライトニングの弾丸を撒き散らす。】
【トラックに乗っているのも所詮は、此処の警護を任された機関の特殊部隊、よく見積もってナンバーズの誰か、程度に考えていたのだ】
【だからこそ、その荷台から現れた人物と、その周囲に展開する"影"を目にし―――蒼い瞳が驚愕の色を灯した。其れもその筈である。】


 "お前"は―――"お前"が……どうして、此処に……ッ!!
 (グラ、トンだって……!? そんな、騒動を聞きつけて此処まで駆けつけたって言うのかい!?)
 (こんなに早く会うことが出来るとは思わなんだ、ていうかむしろこっちが危険なくらいじゃない……!)

 ……、ははっ。まさかね、ご尊顔をこんなにも早く拝めるもんだとは、アタシも思って無かったよ。
 ドクター・グラトン。アンタが一体、どれだけの人間を踏みにじって、そして絶望させてきたのか……
 いい機会だからさ、その"ツケ"、全部払わせてあげるよ。アタシの"友達"も言ってたんだ。

                    "アンタ"だけは赦すな―――ってねッ!

【怒り。明らかな激情が、セリーナの胸中へと満ちていく。こいつが。この男が。全ての元凶にして、倒すべき敵。】
【しかし決して殺してはならない、どうにかして気絶させるか、或いは逮捕するか―――ともかく、動きを封じて捕まえるべきだ。】
【でなければ、彼女は―――ブラックハートは、永遠に眠りに着いたままなのだから。そんな事にだけは、なってはならないのだから。】

【六発全てを撃ち終えたライトニングを腰元のガン・ベルトへと戻し、代わりに"弾"末魔を―――相棒を、宙へと翳し】
【科学者達の手にした新型光線銃が火を噴くその直前、天井目掛け放った"弾"末魔の弾丸が上空で停止、そして―――】
【蒼白い閃光が放たれる。弾丸が弾け、其処に浮かび上がった召還陣がセリーナの肉体を上方から足元へとかけて、透過―――】
641 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/07(金) 22:11:51.69 ID:VXZc31BWo
>>637-638

【まさに、と言った所か。奇襲作戦は第一段階を終え陽動へと切り替わる。】
【後は出来るだけ派手に暴れて、敵の手の内を明かさせる事が一番重要であったが―――】
【探りを入れるには、より深く、この機関の心臓部にまで達する必要があった。少なくとも、セリーナの欲する情報は其処に有る。】
【だからこそ、此処で一旦敵を排除し、更に奥地まで踏み込む事を目的としていたのだが。状況は一転するだろう。それも好転ではなく。】


 (―――音、それもエンジン音。かなり大きい、こっちに向かって―――っ、"突入"かッ!)
 (なるほど、基地内で車を乗り回すとは大層なモンだよ。出てくるのは蛇か、それとも獅子か―――!)


【突撃してくる一台のトラック。うろたえる兵士達を前に、セリーナは悠然と歩を進め、機器類目掛けライトニングの弾丸を撒き散らす。】
【トラックに乗っているのも所詮は、此処の警護を任された機関の特殊部隊、よく見積もってナンバーズの誰か、程度に考えていたのだ】
【だからこそ、その荷台から現れた人物と、その周囲に展開する"影"を目にし―――蒼い瞳が驚愕の色を灯した。其れもその筈である。】


 "お前"は―――"お前"が……どうして、此処に……ッ!!
 (グラ、トンだって……!? そんな、騒動を聞きつけて此処まで駆けつけたって言うのかい!?)
 (こんなに早く会うことが出来るとは思わなんだ、ていうかむしろこっちが危険なくらいじゃない……!)

 ……、ははっ。まさかね、ご尊顔をこんなにも早く拝めるもんだとは、アタシも思って無かったよ。
 ドクター・グラトン。アンタが一体、どれだけの人間を踏みにじって、そして絶望させてきたのか……
 いい機会だからさ、その"ツケ"、全部払わせてあげるよ。アタシの"友達"も言ってたんだ。

                    "アンタ"だけは赦すな―――ってねッ!

【怒り。明らかな激情が、セリーナの胸中へと満ちていく。こいつが。この男が。全ての元凶にして、倒すべき敵。】
【しかし決して殺してはならない、どうにかして気絶させるか、或いは逮捕するか―――ともかく、動きを封じて捕まえるべきだ。】
【でなければ、彼女は―――ブラックハートは、永遠に眠りに着いたままなのだから。そんな事にだけは、なってはならないのだから。】

【六発全てを撃ち終えたライトニングを腰元のガン・ベルトへと戻し、代わりに"弾"末魔を―――相棒を、宙へと翳し】
【科学者達の手にした新型光線銃が火を噴くその直前、天井目掛け放った"弾"末魔の弾丸が上空で停止、そして―――】
【蒼白い閃光が放たれる。弾丸が弾け、其処に浮かび上がった召還陣がセリーナの肉体を上方から足元へとかけて、透過―――】
642 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/07(金) 22:12:15.31 ID:VXZc31BWo


                 ―――<騎士怪醒 ティターン・アーマー>―――
 

【透過されたそれ<召還陣>が消えると―――セリーナはセリーナで、なくなっていた。】
【召還された武装は"魔導鎧"―――魔力を人造的に生み出す魔道エンジンを背に積んだ、悪魔製の"自動装着アーマー"】
【太古の巨人族、強固な皮膚を持つ「タイタン」をモチーフとして精製された強固な外骨格に全身を包まれたセリーナは】
【見た目には、まさに"人造の悪魔"―――機械と、悪魔とを融合させたかのような不気味なシルエットと化す。】
【しかし"ソレ"は紛れもなく、ただの人間であり能力者ではないセリーナを"戦士"の次元へと昇格させる為の"武器"で】
【関節部分に、魔力が流れていく音が木霊する―――魔道エンジンの駆動音が全身を駆け巡る。】
【装着された事で使用者のパワー・防御力を大きく上昇させるその鎧―――外見こそ生物的なフォルムを持っているものの】
【魔力によって駆動するこの鎧はまさに、特殊な動力を有するとはいえ一種のパワード・スーツと呼べるだろう。】
【―――尚、彼女が頭部に被っているテンガロン・ハットの影響で装着後の鎧にもその「形状」がきちんと反映されている辺りが】
【いかにも単純な"メカニック"――機構を有するものでなく、悪魔の技術で造られた"魔導機械"である事を伺わせる。】
【その機構は天才と言えるグラトンの目にはどう映るか。少なくとも異界の技術で造られた物である事に、違いはない筈だ。】

【強固な防護鎧と化したアーマーが、向かい来る全ての弾丸からセリーナを防護するだろう。】
【勿論、ノー・ダメージとはいかない。連続で衝撃と電流が流されれば関節駆動部分がバチバチ、と音を立てて】
【HUD内部に異常動作を知らせる―――魔力で動いているとはいえ、この機構もまた"メカ"である事に違いは無いのだ】
【このままずっと弾丸を受け続ければ、ショート紛いの電流異常を起こしてアーマーの機能が停止する可能性すらあるのだ】
【セリーナはアーマーの駆動を確認し、素早く立ち並んだ研究機材の影へとローリング、回転して姿を隠すだろう。】
【次いで弾丸の無くなったライトニングに"リロード"、弾丸を次々供給していく。しかし、それとは別に"弾"末魔を宙へと撃ち放って】


                  ―――『星火燎原ジギースターダスト=x―――

【放たれた弾丸は空中で停止し、強烈な閃光を発す―――現れた武装は幾枚かの浮遊する円盤型"レーザー発射装置"。】
【そう、セリーナが共に戦う仲間でもあり、大切な存在でもある狙撃主の"ソニア"より譲り受けた、拡散型光線照射魔方陣だ】
【彼女の周囲を展開するように六枚ほどの円形魔方陣が旋回、同時に頭上に現れた"鏡"が部屋の光を反射・吸収し装填。】
【魔方陣はまるで星屑のような美しい輝きを発し、研究室に眩い光を放ちながら、一斉に"熱光線"を―――照射開始した】
【この間接的に"射撃"を行う武装であれば、現状物陰に隠れているセリーナでも正確に狙いを付ける事が出来る、そう判断したのだろう。】
【最もレーザー一発一発の火力はかなり低い、牽制に用いる為の近接武装でしかないため、命中すれど致命傷にはなりえない筈だ。】
【がしかし、狙いは其処には無い。これで時間を稼ぎ、弾丸の装填を終えた後に、また新たな攻撃に移るための言わば布石】
【多角的な光線、数多の魔弾、新しい装備―――正義の組織を背負っているだけのことは有ると、如実に物語るはずだ―――!】
643 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/07(金) 22:14:43.55 ID:iuWUu6+vo
>>636

…………ええ、よろしくお願いします、美人のおねーさん=B
それじゃあ、ぼくは前に出ます。後方支援をお願いします……!

【流れるような銃撃――――銃に詳しいわけではない一颯でも、ひとりの戦える者≠ニして、その流麗さは見ただけでわかった】
【これが『UT』のリーダーかと、少しばかり瞠目する。そんな彼女と共に戦えるというだけで……ここへ来た目的≠焉A半分は達成されたようなものだ】
【――――セリーナの口から漏れ出しかけた質問には、触れないまま。一颯は軽く笑って一歩前へ出ると、辺りの風をざわつかせて周囲を睨む】


>>637 >>638

これはまた、派手な登場だなぁ。
……グラトンさん、でしたか。期待に添えなくてごめんなさい――――ぼくは死ぬ気はありませんよ。

【程なくして、二人の前に大型のトラックが滑り込んでくるのだろう。暢気な口調でその光景を眺めつつ、一颯は降りてきた人物を一瞥する】
【現れた三人の戦士へ視線をやった後、必然的に残るのは――――焼け付くような狂笑を浮かべた壮年の男。その時兵士が叫んだ名を、一颯は聞き逃さなかった】
【敵組織の重役らしき男にまで、一颯は敬称で呼ぶ。悪意と白熱で輝く瞳に、表情の読めない黒色の視線を返すと、少しばかり強気な言葉を投げて】

――――それじゃ、先に行きます!

【セリーナへ一言告げて一颯が走り出すのと、グラトンの怒声が飛ぶのがほぼ同時。全身の妖気が爆発的に広がり、彼の周囲全体が銀色に染まるだろうか】
【構えられた銃に狙いを付けられないようジグザグに移動しつつ、コートの懐から小太刀≠取り出して抜刀。鞘と刀を左手と右手でそれぞれ逆手に持った】
【そして、引き金が引かれる寸前……ほのかに一颯を包んでいた妖気が、回転≠始めるだろうか。銀の風は渦を成し、やがて竜巻≠ニ化す――――】


風薙<b!!


【――――そうして降り注ぐ光弾の嵐にぶつかったのは、同じく嵐であるだろう。刹那、一颯の周囲を暴風の結界≠ェ覆い尽くす!】
【自分自身を中心として斬撃の風≠無差別に回転させた、攻防一体の技だ。強い回転力と切断力が降り注ぐ光弾を相殺し、彼を守るだろうか】
【ただ、これも先程の風と同じく若干出が遅い。完全に展開する前に一発が一颯の肩を掠めるのが見えるだろう。発動速度の遅さが、この能力の欠点なのかもしれない】

【……そして。ダメージを受けつつも一颯の足は止まらない。結界を纏ったままの状態で、一颯は銃撃してくる兵士達の只中へと突っ込んでいくだろう!】
【結界の範囲は一颯を中心に半径三メートル程とそこまで広くないが、下手に結界の範囲内へ踏み込めば、全身を引き裂かれつつ風圧で弾き飛ばされることになる】
【そして一颯の走る軌道だが、まず右端の一人に突進し、そこから近場の兵士へ順番に突っ込んでいく形だ――――しかし、走力自体はそこまででもない】
【時間的に全員は巻き込めまい、今回狙えるのはせいぜい一、二人が限度だろう。もちろん、その間に他の兵士達が反撃を加えることも十分可能だ】
644 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/07(金) 22:17:16.19 ID:cnhZbfcIo
【酒場】

『――なんだと?!もう一度言ってみろ!!』

【治安の悪い地域にある大きな看板の酒場。それなりに広くて汚れている】
【活気はあるようだがそれはいい意味じゃない。あるテーブルで行われていた】
【ポーカーは既にご破算のようで辺りにトランプをまき散らして怒鳴り声が聞こえている】
【胸ぐらをつかまれた若い男と数人の地元の人間が問題点となっているようだ】

だから、下手くそなサマ、バレたからってキレてんじゃねえ………グッ!!

【筋肉を見せびらかすように腕まくりした男は懇親の右ストレートを頬に叩き込んだ】
【若い男はヒョイと突き飛ばされて、壁に叩きつけられた】
【黒い髪にダークグリーンのレンズのサングラス。タイトな黒いスーツ姿。黒いシャツに白いネクタイ】
【背はその中で最も高いが反比例して体重は一番軽そうである】

『調子のってんじゃねえぞ?。さっさと金出せよ。これ以上殴られ……オイッ!』

【ニヤついていた男たちは血の気が引いたように硬直する。それもそのはず殴られた男は】
【スーツの下のホルスターから異様な模様が一面に彫られた白と黒のリボルバー拳銃を2つ】
【両手に構えて、男たちに向けていたから。流石に見て見ぬふりの客や店主もざわつき始める】

脅すんならチャカ抜かす前にシメとかなきゃダメなんだよ、素人が。

【撃鉄を起こす。すると勝手にシリンダーが回る。―――――BANG! 店の外まで響き渡った】
【銃弾は壁にかかっていた有名ビールメーカーの看板に穴を開けた。それを合図に男たち一目散に逃げていった】
【一瞬の静寂の後、忘れてしまおうと客達は無理矢理の喧騒に戻る。男はピストルをテーブルの上に投げた】
【自警団なんかが来れば犯人は一目瞭然だ。そうじゃなくても店主がこっそり教えるだろう】
645 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/07(金) 22:42:21.87 ID:2H9RJDN70
>>641-642

≪うぁぅッ!!≫

【端末への発砲により、研究員の一部が情けない悲鳴を漏らす。そもそもが非戦闘員である彼らに、土壇場での度胸など持ち合わせては居なかったのだろう】
【バキバキと端末に命中し、その機能を破壊していく弾丸。そこにあったのは、『RAGNAROK LABORATORY』内の研究データの、あるいは最先端の一端だったのだろう】
【それの破壊は、確実に『RL』を痛めつけていくはずである。100%の復元など、まず無理で。だからこそグラトンは、端末の操作を優先させたのだろう】

――――ほぉ。面白いのぉ、小娘が……!
精々がわしの4分の1程度の時間しか、この世を生きとらんじゃろうに……分かった様な口をきく……
――――許されてはならないのはどっちなのか、遠からずハッキリするじゃろうなぁ!!

【自分たちにとって目の上のたんこぶである『UNITED TRIGGER』。そこの正に頭目であるセリーナがこの場に現われるとは、さしものグラトンも思っていなかった】
【しかし、こうした予想外の事態は、だからこそ面白いのだ――――97年間生きて来て、ハッキリとその事だけは断言できるのだ】
【そして世界は、自分の描く未来図に乗せなければならない。既に老いさらばえて良い歳でもあるグラトンは、しかし狂気のエネルギーに、未だに満ち満ちていた】

――――ッ、シュバルツガイスト、『シールドオーラ』じゃ……
「了解、おじいちゃん……!」

【しかし、中空に展開されるジギースターダスト≠見るに、流石にいつまでも悠長に構えては居られなくなる】
【合図と共に東洋系の少女――――シュバルツガイストは、その場で胸を突き出す様に構え、そしてスーツの前面から光の膜を展開する】
【元々威力の高くないレーザーの反射は、この膜で十分に防御する事が出来た。他の兵士や研究員はそうでもないが、この場合はこれで構わない】

【――――シュバルツガイストのその機能は、ブラックハートの『後釜』として、確かに十分なものがあるだろう】
【同時に、もしセリーナが思い出す事が出来れば――――移動に使う『拠点』である、と言う『Factory』の存在。これは、案外求めていた答えに近いかもしれず】

≪ぐあっ!?≫

【そしてその通りに、守られなかった兵士の内の2名が、目に光を浴びてか顔を押さえてその場にくずおれる】
【その強力な光は、場合によっては失明の恐れすらあるもので。こうした当たり方をすれば、強力なダメージにもなり得るだろう】
【その光景は、無事なグラトンと転がる兵士と言う、無情にして明確なコントラストとして映っていた】



>>643

こりゃまた若いのぉ……じゃが少年。戦場で死ぬ気でいる人間など、ほとんど居らんものじゃよ?
死ぬ気が無くとも死ぬ…………戦いとは、そう言うもんじゃ……!

【鼻で笑う様に、グラトンは真っすぐに一颯に見つめながらそう言葉を返す】
【最初から死を覚悟している人間なんて、戦場では極少数でしかない。そして、初めから2人に特攻の様な鬼気迫る意気込みは感じられない】
【――――それでも、死ぬ時は死ぬのが戦場なのだ】

こりゃまた派手じゃ……!!
≪ぐあぁぁッ!!≫≪く、クソッ! ……がはぁッ!≫

【――――とことん、グラトンはそうした光景を見ると昂奮する性癖でもあるようだ。一颯の能力に目を輝かせて】
【対応の遅れた2人の兵士がその風に貫かれて吹き飛ばされ、派手に鮮血をまき散らす】
【――――既にこれで、最初から室内にいた兵士のほとんどが死亡、もしくは戦闘不能に陥った事になる】

/続きます
646 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/07(金) 22:47:56.75 ID:2H9RJDN70
>>641-643

……ほぉ、流石にやりおるのぉ……

【堂々と仁王立ちしたまま、グラトンは片頬を釣り上げる。眼前に繰り広げられた鮮やかな切り抜け方に感心しているのだろう】
【イニシアティブは完全に自分たちが握っていると言う確信が、その余裕を生み出しているのかもしれない】

≪グラトン様! 調整途中ではありますが、『ウェンカムイ』が1体出せます!
識別処置は大丈夫でしょうか!?≫
うむ、そうじゃな! 出せ!!

【飛んでくる研究員の声に、同じ様な怒号で答えるグラトン。その直後、場の奥に備えられていたカプセルの1つが開放される】
【そしてその中から、巨大な『熊』が1体、のそっと床に足を下ろした。だがやはり、それがただの熊であろうはずもなく】
【頭部と肩部にそれぞれ『角』と思しき巨大な突起が突き出ており、自然な動物としてみると、より攻撃的な性質を肉体に備えている】
【人間以上の装甲兵器との戦闘すら視野に入っている、熊をベースとした改造生物『ウェンカムイ』】
【良く潤っている為にてらてらと輝くその瞳は、眼前の『獲物』である2人をしっかりと見据えていた】

【――――それと前後して、通路の1つを塞ぐシャッターが、突然に破壊音と共に歪んでいく】
【そして、捻じれて、千切れる様にして穿たれた穴から、勢い良く『何か』が飛び込んできた】

――――っ、来おったか!!

【それを察知して、グラトンの表情が我が意を得たりと会心の笑みを浮かべた】
【一度壁にドスッと激突すると、それで勢いを減じたのか、疲れ切った様にフラフラと床に落着する】
【パッと見、人間の子供程度の大きさの何らかの塊にしか見えないそれも、動きを止めればその姿をしっかりと確認する事が出来るだろう】

【――――銀色のウェーブがかったロングヘアーで、両目の眼窩からカメラレンズを突き出し、全身あちこちを包帯に巻いた、両手足の無い女性】
【背中からは、先端に鎌状の刃物の付いた、金属製の触手を4本突き出し、四肢の断面からは弱々しく推進剤と思しき何かを噴出している】

……おぉおぉ、ブラックハート……情けない姿になっておるのぉ……!
『ツインレイ』も『ワスプランチャー』も脱落して、それでもまだ生きとったのかぁ……ッ、このガラクタ……!?
「ッッ!!」

【子供程度の大きさに見えたのは、両手足が無くなっていた事が大きいのだろう。体躯を良く見れば、それはれっきとした女性の身体――――胴体だった】
【かつての≪No.616≫ブラックハート――――本来なら死んでいるはずのそれがこの場に現れた事さえ、グラトンは何も思う所は無かった】
【だが――――その姿を見て、常々彼女を『負け犬』と蔑み、忌み嫌っていた東洋系の少女は、明らかな驚きと怒りを表情に見せる】

/さらに続きます
647 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/07(金) 22:49:01.16 ID:2H9RJDN70
>>641-643

もう、どこでなりと朽ち果てるが良い、などと無責任な事は言わん……ッ
――――細胞の一欠、回路の一本に至るまで、わし自らの手で…………ッ、バラバラにしてやろうじゃあないかぁぁぁぁぁッッ!!

【かろうじて保持されていたはずの右腕と両足さえ、その身体には残っていなかった】
【グラトンは、懐から何らかのスイッチの様なものを取り出すと、それを床に転がるブラックハート目掛けて放り投げる】
【――――ブラックハートがここに表われる様に『操作』したのが、そのスイッチで間違いないだろう】

【――――グラトン以外の誰も預かり知らぬ事ではあるが――――そのスイッチは、ブラックハートの緊急モードを凍結させていたものだった】
【生存すら危険視される状況に陥った際に、ブラックハートには、何を差し置いても帰還・生存する為の緊急行動プログラムが組み込まれている】
【グラトンは、ブラックハートを切り捨てる心算だった為、それが発動しない様に今までストップを掛けていたのだ】
【しかし一方で――――ブラックハートが『連れ去られた』事で、その可能性を考えていたのだろう。延命されて生き延びている可能性を】
【だからこそ、このタイミングで緊急モードの凍結を解除し、思惑通りブラックハートは帰ってきた】
【絶望的な可能性を跳ね返して命を繋いでいたブラックハートを――――今度こそ、確実に闇に葬ってしまう為に】

「……この、負け犬が……ハッキリ負けたくせにこの期に及んで帰ってくるなぁぁぁッッ!!」
ッ、シュバルツガイスト、まだ出てくんじゃない、早過ぎるぞ!!

【グラトンの側を離れなかったシュバルツガイストが感情を爆発させるまで、時間は然程掛からなかった】
【鬼の形相でその場を飛び出す彼女に、グラトンは制止の言葉を掛けるが、それすら無視されて】
【シュバルツガイストの鋼鉄の左足から、床に小さな爆発が――――正確には銃撃が放たれて、その身体を加速させる。同時に左足のふくらはぎがスライドし、薬莢がジャコッと排出されて】
【そうして倒れたブラックハートに近寄ると、今度は右足でその身体を踏みしめようとする】
【足の裏から散弾を発射するシュバルツガイストの機構『ショットガンレッグ』。それを使って、確実にブラックハートにトドメを刺そうとしているのだろう】

【一方、その怒号と銃声に触発された様に、『ウェンカムイ』もその場で猛々しく咆哮すると、四足で肩の角を突き出した格好で、侵入者2人に飛びかかる】
【体重700kg近い大型生物でありながら、そのスピードも侮れない。そんな突進が、角を携えて放たれる――――】
【条件さえ整えば戦車1台と克ちあうと言うデータさえある『生きた戦車』が、眼前の獲物に喰らいつかんと疾走する】

≪博士!!≫
お、おぅ……周りを固めろ、そして火力支援じゃ!
≪了解!!≫

【騒動を聞きつけてか、徐々に周囲の人員がここへと集まり始めている様だ】
【飛び込んできた一団は5人。彼らはそれぞれに先ほどのハンドガンを構えると、出入り口を背にするように陣形を固める】
【今は、こうして脇を固めるのが先決――――やや暴走気味のシュバルツガイストに、グラトンはそうした判断を下したのだろう】
648 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/07(金) 23:23:42.70 ID:VXZc31BWo
>>645-647

【―――ジャキン、というシリンダーの回転する音が、セリーナの鼓動に重なる。】
【一発、また一発。怒りの弾丸が装填されていく。断罪の一撃は必ず、あの"悪魔"に―――】
【グラトンに届かせねばなるまい。であれば、此処で引く訳にはいかなかった。たとえどんな強敵が現れようとも。】

【ライトニングのリロードを終え、セリーナは勢い良く物陰から飛び出した。直後、"ジギー・スターダスト"の編成を少々、変更する。】
【複数枚を自信の身体の周りへと、まるで"砲台"のようにセットし、そしてライトニングと"弾"末魔の二挺を正面へと向けて】
【さながら"一斉射撃"の様に展開、ライトニング、"弾"末魔をそれぞれ一発ずつ撃つと同時に、レーザーを薙ぎ払う。】
【機器類、引いては敵対する研究者、機関兵に向けての迎撃動作だ。広範囲への猛攻は、バカにならないだろう。】

 ("Factory"―――工房、か。あの車体はもしかすると―――"ハート"の言ってた、移動用拠点かも……!)
 (なんとかしてアレを奪取できれば、或いは―――情報も探れるし、処置を施す為の機器類だって手に入る……!)
 (ああ、待っててね"ハート"……必ずだ、必ず貴女を助けてみせ―――)

【唐突に、射撃が止むだろう。其れは決して、勝負を諦めたから、などではない。驚愕の為に手が止まってしまったのだ。】
【四発を撃ち終えた"弾"末魔、残段数5発となったライトニング、そしてジギー・スターダストまでもが停止し】
【セリーナは目の前の光景に呆気を取られて―――困惑。いやむしろ、驚嘆、絶望とでも言い表そうか。】

【目の前に迫った凶暴な実験生物たる『ウェンカムイ』も、応援として駆けつけた機関兵五人も、彼女の視界には入らない。】
【ただただ、自身の目に映る銀色のロングヘアー、手足の無い胴体、滅茶苦茶に伸びた触手―――"彼女"の姿に、目を奪われた。】
【いいや。おかしい。居るはずが無い。何故こんな所に。ドクン、と心臓が揺れる。絶対にあってはいけない光景が、目の前に起こって――】


>>643
         一颯くん。お願いがあるんだ。

         あの五月蝿い熊……君に、頼めるかな。

【瞬間、返事を待つ事無く。突撃してくる熊と正反対の方向、現れたブラックハートをめがけ】
【より正確に言えば、ハートの命を奪おうとするシュバルツガイストめがけて、猛スピードで駆けて行くだろう。】
【恐らくは、彼女を助ける為。このままでは、くまに足止めされて其れすらも叶わない。であればこそ、一颯にウェンカムイを頼んで。】
【これもまた、グラトンの罠であるのかもしれない―――それでも、彼女は駆ける。怒声すら上げず。嫌に冷静に。落ち着いて、静かに。】


         ―――――――ハートに、触れるなッ!!!


【―――わけが、ない。触れるか、触れないか。その直前、彼女はシュバルツガイストへと唸る。】
【今までに誰も聞いた事が無いであろう、彼女の本気の、怒声だ。これが一人の女性から発せられる言葉か。】
【普段の優しい性格は此処ではなりを潜め、多くの血を見てきたガンマンとしての、冷酷でそれでいて熱い感情が全てを支配する。】
【セリーナはライトニングですかさずショットガンレックを攻撃、連続して二発を放ち、驚異的な命中精度で弾丸を放った―――!!】
649 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/07(金) 23:35:56.75 ID:iuWUu6+vo
>>645 >>646 >>647

はは、耳が痛いですよ。ぼくなんて所詮、まだ16年しか生きていませんからね。
………でしたら、どうぞ殺してみて下さい。こんな生意気を言うガキが、いざ死ぬとなったら――――いったいどんな顔をするのか。興味がおありでしょう?

【嘲笑するようなグラトンの態度に、一颯はあっさりと自分を曲げるだろうか。一瞬グラトンへ視線をやって、苦笑いを浮かべる】
【風のヴェールを挟んだ向こう側で、今まさに鮮血が舞い散っているにも関わらず――――事ここに至っても、少年は普通でしかなかった】
【鬼気迫る気迫を持っているのか、それとも死の恐怖に怯えているのか。風の中心の仮面のような笑顔からは、何一つ読みとれなくて】
【挑発的とも取れる台詞を吐き出したところで……二人目の処理≠ェ終わる。更に突進を続けようとした一颯だが、残りの兵力は既にセリーナが片付けていた】

さて、次は…………きみかい?

【一颯が立ち止まったのと同時、結界も消えていくだろうか。そして銀の風の消えた後、次に見えたソレ≠ヨと、少年は笑いかける】
【『ウェンカムイ』と呼ばれた熊の生物兵器。圧倒的な威圧感と共に降り注ぐ狩る側≠フ視線を、一颯が真っ向から受け止めれば――――】
【その一颯の瞳にも、変化が見て取れるだろうか。壊れた機械の発するスパークを反射すると、黒色の両目は猫のように緑色に輝く】
【――――双眸に浮かぶのは、人成らざる横長≠フ瞳孔。彼の纏う雰囲気もまた、明らかに人を越えた何かへと高まりつつあった】


(……………………あれは…………)

【そして、そんな状況と交錯するように……機械に蝕まれているかのような風貌の女性が、新たに視界へ飛び込んでくる】
【視線はウェンカムイから動かさないまま、一颯は頭を回す。考えるのはグラトン達の事でもその女性のことでもなく、先程のセリーナの反応だ】
【グラトンを見た彼女の激昴ぶりに、友達≠ニいう発言。彼女は恐らく、グラトンと何か個人的な因縁があるのだろう】
【――――この戦いにおいて、一颯は悪ではない。だが、純粋な正義でもない。別の目的で動く中立の立場だ】
【それを踏まえて、優先順位を書き換える――――心に浮かべるたったの一言を鍵にして、かちり、と思考を切り替える】

セリーナさん、あの熊は…………。
………ええ、もちろんです。こっちは任せて下さい――――!

【考えをまとめて、一颯はセリーナへ声を掛けようとするが……言うまでもなく、考えていたのと同じ言葉がセリーナ(>>648)から飛んでくる】
【一颯はふっと笑ってそれを快諾すると――――無謀にも、突っ込んでくるウェンカムイへとこちらから突進していくだろう!】
【駆動する戦車へ自分から突っ込んでいくような、あまりにも危険な行動だが……意識をこちらに向けるにはこれが最前と判断したのだ】
【もちろん、そのまま轢殺される気もない。ウェンカムイに知能があれば、一颯の走力が先程よりも増していることに気付けるだろうか】
【そして、直撃の数瞬前――――少年は全力で脚に力を込め、ウェンカムイを飛び越すような軌道で思い切り跳躍する!】
【ただ飛んだだけではない。跳躍の直後、少年の真下から銀色の風≠ェ強く吹き込んで、半ば吹き飛ばすように飛距離と速度を稼ぐだろうか】

獣≠フ相手は獣≠チてね…………!
悪いけど、きみはぼくと遊んでてくれるかなっ!!

【そのまま、跳躍が成功すれば―――鋭利な角で胴体を僅かに斬られつつも、一颯は飛び掛かってくるウェンカムイと空中で交差することになるだろうか】
【更に、一颯はぐるり体を反転。右手に持っていた小太刀を、ウェンカムイの背中へと全力で突き立てようとする――――!】
【この小太刀は防御用にかなり硬く作られている上、化け物≠ノ近づき始めた一颯の腕力も高まっている。突き刺す力は相当強い物になるだろう】
【もし成功したなら、一颯はその小太刀を支点にしてウェンカムイの背中に張り付こうとする。セリーナから意識を向けるための時間稼ぎだ】
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/07(金) 23:43:52.69 ID:3qA2giWP0
【街から離れた草原――ぽつんと生えた桜の木の傍】
【半分に大分近くなった月がぴかぴかと映える夜の中、ざわめいて生える木は良く目立つ】
【まだ葉っぱも出ていないくせにふくふくと膨らみつつある花の芽、蕾が開く日はきっと遠くなく】
【何年、何十年、或いは何百年もそこに居るのだろう。とても立派な木、その根っこに腰掛けるひとかげがあった】

……ねえ、今年はいつごろ咲くの?

【どうやら桜に話し掛けているらしい声がする、ぽつりぽつりと漏れてくるのは、どうやら鈴の音とよく似た不思議な声】
【優しげな声は不思議と夜によく馴染んで響く、夜風のさらさらしたのに誘われて、遠くまでその残滓を運ばせて】
【ぴったりと椅子のように馴染む根っこのうねうねしたかたち、そーっと身体の姿勢を整えて、夜に長い影を延ばし――】

【――真っ黒い髪を腰まで伸ばした、少女だった。黒髪に映えるのは桜の花を模したバレッタ、ハーフアップの髪を纏めて】
【黒色と赤色のオッドアイが真っ白の肌に浮き立つよう、右耳だけにしたピアス、宝玉をあしらったそれは月白色で】
【和袖のワンピースはちりちりと桜花が縫い取られた柄、帯みたいに締めたコルセット、編み上げ模様が飾って】
【長めに羽織ったマントが夜風を孕んでははらはらと揺れていた、それが彼女のシルエットを人外めいたかたちに見せて】
【夜にそーっと伸ばしては爪先の具合を気にする足、どこかで下駄の流れを汲むサンダル、留め具を外して、付け直して、】

――ちゃんと咲いてくれなきゃ駄目だよ、見に来るんだから、ね。

【ざらざらとした幹に手を這わす、その手元、薬指の付け根には銀色の指輪、蛇を模ったものが嵌められていて】
【そのうちに頬っぺたを擦り付けるように耳を当てたなら、――ぴたぴたと、水を吸い上げる音がしたような気がした】

【――宝玉の気配が風に乗って揺らいでいた、どこまでも清い水の気配、まるで傍に滝や泉でもあるかのように】
【けれど見渡したってそんなものは存在しないなら、元凶はこうして無言の木と戯れている少女のようだった】
【どこか人間と違ったような気配もする、――全うな存在じゃないのは、或いは、近づく前に気付けたのかもしれない】
651 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/08(土) 00:04:45.59 ID:I6Qum5XV0
>>648

…………あの武器、面妖な……わしには流石に理解できんわい……!
≪くそぅ!!≫≪データの転送、遮断、両方とも出来ません!! ぁぁぁぁああッ!!≫

【"ジギー・スターダスト"の展開する様に、グラトンは困惑する様な様子を見せる】
【元々、本人自身はほとんど魔力の素質が無い上に、知識は科学方面に大きく偏っている】
【それ故、自分の知らない力によってこうした光景が展開されると、驚きと興奮、時には困惑が浮かんでくる事が多かった】
【――――兵士や研究員の悲鳴すら無視して、完全に物見遊山の様相を呈し始めたグラトンだが、それでもここにいる目的を忘れた訳ではない】

(……ブラックハートの『グロウ・イラプト』は、確かに彼奴等の精神をかき乱した……ッ
後は詰めに追い詰めていくだと言うに……!)

【このタイミングでブラックハートを帰還させた事は、正にグラトンの策の内だった】
【――――セリーナの現在の狂熱。こうした類の変調を引き出し、一気にペースを奪ってしまう為に。その為にわざわざ『死んだふり』をさせていたに等しい】
【しかし、肝心要の『最後の詰め』の段階で、歯車が狂った――――勝利に強い執着心を見せるシュバルツガイストの心が、齟齬をきたすほどに急いていたのだ】

「今度こそ死ね『負け犬』ッ――――――――がッ!?」

【右足で踏みつけ、後は散弾を炸裂させるだけ――――頭に血が上りながら、ハッキリと殺す為のシーケンスを済ませようとしたシュバルツガイストの足に、銃撃が響く】
【足に喰らう2発の銃弾。それは思いきりシュバルツガイストのバランスを崩させ、思わずその場でつんのめって転びそうになる】
【かろうじて、その鋼鉄の両腕で床を捉えると、宙返りをするようにその場から距離を取って体勢を立て直すが――――義足に、大きなダメージが入り、早くもガタつき始めていた】
【更に、抉った破片ででも、傷つけたのだろうか。わき腹を損傷し、そこから透明な液体が――――ブラックハートと同じ、人工血液が流れ落ちる】

「……ソニアもソニアなら、リーダーもリーダー……揃いも揃って、私の邪魔をするなぁぁぁぁぁッ!!
勝てない分際で、どこまでもどこまでもッッ!! 負けたらみんな死ぬんだよぉぉぉッッッ!!」

【――――因縁のある狙撃手も、いつもこうだった。この足をぶち抜いて、這いつくばる事を強制してくる】
【もう2度と、負けるつもりなんてないのに――――怒りが、更にシュバルツガイストの精神を加速させる】
【両肩・両腰から砲台触手を展開。そこからセリーナ目掛け、4発のパワーバレットを発射する】
【ビュン――――と言う中低音と共に発射される光弾は、スピードこそそこそこ程度だが、破壊力がやや大きい】
【怒りにまかせて高威力の攻撃を、ではなく、こうでもしないと無力化させられないと言う判断が、そこには働いていたのだろう】

/続きます
652 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/08(土) 00:05:01.99 ID:I6Qum5XV0
>>649

……わしを相手にまぜっかえすとは面白い奴じゃ……気に入った、お前は気に入ったぞ少年!!
なら是非わしに見せてくれ!! お前の面が『何に』『どう』歪むのか……わしのみた事すらない何かなのか……わしに見せてくれぇぇぇッッ!!

【こうも若々しい純粋なパワーを見せつける様な返答を返してくるとは――――いつでもグラトンはそうだが、ほんの少しの拍子で、その精神は高揚する】
【何がツボにはまったのかも良く分からないまま、狂喜を満面に湛えてグラトンは吼える。その目は歪んだ探究心に取り付かれていた】

【ガァァァァァァ――――ッ、と言う、自然の脅威を思わせる、しかし人の手が入った『魔獣』の咆哮と共に、『ウェンカムイ』は一颯へと狙いを絞る】
【眼前にハッキリと構えるその姿を敵として認識した事もあるが、それ以上に――――その身に、何らかの尋常ならざる力を秘めている事に、感づいたのだろう】
【ともすれば、より強く興味を引かれるのも道理。一蹴り毎に大地を粉砕する様な脚力で、『ウェンカムイ』は突進をぶちかまそうとする】

【そんな一颯が、逆に自分に挑む様に飛びかかってくるのは多少意外だったが、それが行動を変更する理由にはならなかった】
【こうした体格差は、明確に勝敗を分ける要因になる。飛びかかってくるなら、逆にいなしてやるまでで、勝手に潰れて死んでいくかもしれない】
【そう考えていたのだが――――突然に一颯が飛び上がって姿を眩ました事に、『ウェンカムイ』は驚く】
【そして、背中に響く激痛に――――『ウェンカムイ』は思わず足をもつれさせ、壁に思いきり身体を叩きつけた】
【強固な装甲建材の壁にひびが入る程の一撃。先ほどのルールで言えば、まず間違いなくその力は脅威以外の言葉で語られないものだ】
【――――小太刀は確かにその背に突き立ったが、それでも致命傷にはどうやら届いてない】
【体格は、攻撃力だけではなく防御力すらも保障するのだ。精々筋肉のいくらかを傷つけても、内蔵にまで至る様な傷ではなく】
【『ウェンカムイ』も、自分の背に一颯が居る事に気付いたのだろう。彼を叩き落とす為に、思いきり前足で地面をガンと叩きつける】
【その衝撃を背中に伝えて、叩き落としてしまおうと言うのだろう。そして墜ちてくれば――――爪の餌食だ】

/更に続きます
653 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/08(土) 00:05:18.38 ID:I6Qum5XV0
>>648-649

下がるんじゃシュバルツガイスト!! 誰が攻撃して良いなどと言った!?
「で、でもおじいちゃん!! こんな負け犬、ブラックハート、さっさと殺さなきゃ……ッ」
わしの言う事が聞けんのか……それとも、戻るか? ……『優果』に……戻るかの……!?
「ッッ!! それは……」

【不用意なタイミングで前に出たシュバルツガイストを、グラトンは叱責する。それに対して尚も喰い下がろうとするシュバルツガイストだったが】
【続くグラトンの冷えた言葉に、思わず固まってしまうシュバルツガイスト】
【そのまま、臍を噛む様に悔しさを満面に湛え、苛立たしげに身を振りながら、シュバルツガイストは冷めていく】

……お前はあの『出来そこない』とは違うんじゃろう?
なら、わしの言う事はちゃんと聞いとくれ……お前はより完全に、勝つモノなんじゃから……
「……はい、私はおじいちゃんの為に……!」
{……とりあえず、大丈夫そう……?}
<…………>

【身を退いたシュバルツガイストに、グラトンは宥めるような声を掛け、それを受けてシュバルツガイストもいささか鎮静化する】
【内に秘めた激情も、グラトンよりは優先されないものらしいが――――ともあれ、ブラックハート個人に強い殺意を持っている事は確かな様だ】
【先ほどの激情を押さえこむと、次にはその表情に出てくるのは自覚の意志。「自分はブラックハートとは違う」と、自分に言い聞かせる様な】
【正に、グラトンとシュバルツガイストにとって、ブラックハートとはそうした『否定されるべき過去』なのだろう】

≪グラトン様!≫
なに、『対外ボランティア』か……? ……まぁ、居ないよりマシじゃろ。『ウェンカムイ』が居る以上、近づけん。奴等に銃撃するんじゃ!
≪はい! ……10が7、30が3、撃て!≫

【その直後――――バタバタとした足音と共に、増援と思しき10人の兵士が場内に飛び込んできた】
【だが、どこか様子がおかしい――――他の兵士たちとは、外装が異なり、区別された面々であるらしく、グラトンもいささか頼りにしていないと言った様子を見せる】
【とは言え、その場で彼らは同じく腰のハンドガンを抜くと、7人は膝立ちの姿勢になり、3人が直立のまま両手でハンドガンを構え、発砲する】
【しゃがむ7人の光弾は、最初に放たれた牽制用と同じく、被弾しても一瞬痺れるだけだが、3人の放つ光弾は、着弾すれば小爆発を起こす】
【3人の光弾は、被弾すれば直接的なダメージは避けられない物となるだろうが――――しかし、構えもやや遅く、銃撃も完全な正確さを持っていない】
【数に押されさえしなければ、対処は十分に可能だろう】
654 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 00:48:22.95 ID:MYoubdtWo
>>651-653

【抉った弾丸。打ち壊される機構。どろり、と垂れる人工血液―――"ソニア"という、単語。】
【全てが頭の中で、静かに処理されていく。倒すべき敵は誰か。グラトンだ。では、このシュバルツガイストはどうか。】
【彼女もまた、ハートに等しいサイボーグ。つまり、元は人間であった事が予想される。であれば、この子もまた―――。】

   が、はぁっ……ッ! く、ううぅぅ……ッ!!
   (ダメだ―――……余計な事は考えるべきじゃ、ない……今救うべきなのはハート、そして一颯くんだけ。)
   (全てを救う事なんて―――……そんな力なんて、そんな事なんて出来やしない……!)
   (考えるな、考えるな……! ここで心を掻き乱されたら、完全にアイツの……グラトンの思う、ツボだ!)

【一瞬、思考が遅れて。そう、『シュバルツガイストもまた、ハートのような過去を抱えているのではないか』、という。】
【そんな疑念がセリーナの脳裏を揺さぶり、引き金を引こうとする意思を鈍らせた。しかしながら、悩んでいる場合ではない。】
【すぐさま襲ってきたパワーバレットが全弾、ティターン・アーマーを貫く。衝撃が貫通し、内部のセリーナをも深く、傷つけた。】
【アーマーの破損具合がHUDに表示される。まだ、動く事は可能だ。いや、それどころか動かなければならないのだ。彼女の為に。】


   ふッ……ふふっ、"シュバルツガイスト"……そう言ったかい、アンタの名前は。
   ウチの妹分<ソニア>が、世話になったみたいだね。礼を言わせて貰うよ、言葉じゃなく―――弾丸、でね。
   そして……負ければ死ぬ、だって? そいつは少し違うね。いいかい人造兵器のお嬢さん、よく聞きな。

   ―――アンタの弾丸じゃ、死なない。何発撃たれても、アタシは死にはしないんだ。
   それはハートも同じさ。ハートも死なない、アンタやグラトンごときじゃ、絶対に―――絶対に、その命は奪えない。

   人が死ぬっていうのはね、シュバルツガイスト。当の本人が、生きる事を諦めた、その時なんだよ。

   ハート……ハートは、アンタ達なんかに殺せやしない……命を奪う事なんて、できやしないッ!!

   生きるって言うのは―――自分とずっと、戦い続ける事だッ! 自分の生き方を、自分で決める事だッ!!

   誰にもそれは、邪魔できないッ!! 邪魔させないッ!! ハートを開放しろ……グラトンッ!!


                   さもなくば。アタシの弾丸は―――必ず、お前を貫くぞ。


【ガウン。という、重い銃声が鳴り響く。五発目を撃ち放った"弾"末魔の銃口から、煙が漏れる―――と同時。】
【三度展開した召還陣より、強烈な地響きのような音を響かせて。"新たな武装"が呼び出された―――ッ!!】













 
655 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 00:48:36.24 ID:MYoubdtWo

                   ―――<八首猛撃 ガトリング・ヒュドラ>―――


>>649>>ALL

【ゴゴゴゴゴ、ゴウ。研究所が揺れるような轟音と共に現れた、武装。見えるだろうか、その巨体が。】
【超巨大な魔道機械の胴体と、そこから伸びた八本の金色の銃身―――いや、もはや"砲身"にも等しいか。】
【セリーナの足元、地面から召還陣を通して現れたそれは、まさしく巨大な重火器、そのものであった。】
【両手で抱えなければ到底持ち上げる事すら叶わない、余りにも大きすぎるボディ。ガンシップや護衛艦に】
【対空砲火、対地攻撃を主任務として括り付けられる巨大な『ガトリング・ガン』そのものが、姿を現した。】

【次の瞬間、壮絶な駆動音が戦場を揺るがし、全身を振動させる勢いで魔導機械の"回転"が行われるだろう。】
【スーパーカーのエンジンでもここまで五月蝿くはない。獰猛な"ヒュドラ"――伝説の魔獣を模した八つの首を】
【それぞれの銃身にレリーフとして飾りつけたおどろおどろしいその"魔界兵器"は、セリーナの手により空転を続け、そして―――】

【引き絞られたトリガーと共に、破壊の嵐が巻き起こった。瞬間、空間が破裂するほどの爆音が響く。】
【ヒュドラの首を模して生み出された八本の銃身は超高速で回転し、紫色の魔力弾丸を暴力的なまでの速度で撃ち出す。】
【ガトリング・ガン―――否、もっと強烈といっても過言ではない。放たれているのは魔力のカタマリなのだから。】
【本物の竜が暴れまわるかのように、彼女はガトリング・ヒュドラを振り回す。弾丸は一直線になど飛ばない】
【周囲の兵士、機器類、そしてハートとウェンカムイまでもを吹き飛ばすかのように】
【凄まじい勢いで熱気と弾幕が張られ、銃身が鋭く焼け付く。―――まるでセリーナの、怒りを代弁するかのように。】
【神に代わり鉄槌を下すその様は、ハートの傍に寄り添いながら、守護するように弾幕を張るその姿は】
【さながら―――アヴェンジャー<復讐代行者>とでも、言おうか。怒りと猛撃が全てを飲み込むべく、唸る、唸る、唸る―――!】


        う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!

【ウェンカムイを狙う、という事は当然、その砲火は一颯にすらも届く危険性がある、という事。】
【だからセリーナは砲撃開始直前、一声だけ『危ないと思ったら、下がって頂戴ね!』と、声をかけるはずだ。】
【一颯にとっては少し過激では有るが、これもまた援護射撃に等しいモノの筈―――攻める時は今、かもしれない。】






656 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 00:50:52.60 ID:MYoubdtWo
/あばばばばばばば>>655修正!!!!!
【周囲の兵士、機器類、そしてハートとウェンカムイまでもを吹き飛ばすかのように】→×

【周囲の兵士、機器類、そしてシュバルツガイスト、グラトンらやウェンカムイまでもを吹き飛ばすかのように】→○

俺は何をやっているんだ……(汗
657 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 00:56:12.14 ID:hOewVvypo
>>652 >>653

ッ……まったく、狂った人だ――――!!

【小太刀が肉を引き裂く感触が直に伝わってくる。そこへ必死に捕まりながら、一颯はグラトンの咆哮を耳にして】
【……その返しは、怒りのようでも嘲りのようでもあって。それでいて――――どこか、賞賛するようでもあるだろうか】
【自分ですら気づかぬ内に、一颯の口元は笑みを浮かべている。光を受けて反射する妖怪≠フ瞳に、何かしらの熱が篭もる】
【――――歪まされるまでもなく、とっくに歪んでいるのだ。思考が中断される寸前に一颯が考えたのは、そんな事だった】

くっ…………!?

【ウェンカムイが前足を振りかぶるのが見えて、一颯は表情を変えず焦燥する。流石に生物兵器、そのパワーは予想を超えていた】
【このままでは、長くしがみついているのは無理だ――――そう判断した一颯は、突き刺したばかりの小太刀をすぐに引き抜いて】
【前足が叩きつけられ、衝撃で一颯の体が投げ出されたのがほぼ同時。ぐわんと回転する視界に、一颯はウェンカムイの鋭い爪を捉え】
【……その途中で、集まってきた新たな兵士の姿も目に留めるだろうか。ただでさえ強靱な生物兵器の相手をしているというのに、このまま掃射を受けるのは不味い!】

――――ぁあああああああッ!!!

【少年の両目が、大きく見開かれて――――次の瞬間、そのまま地面へ墜落した一颯の体が不自然に浮き上がるだろうか】
【そのまま一颯の体は急激に起き上がり、直後迫ってくるであろうウェンカムイの爪を迎撃する!】
【真正面から受け止めず、左手の鞘で受け流すようにしたのは英断ではあったが、無理な体勢もあって完全には受けきれない】
【左肩を深めに引き裂かれ、少なくない鮮血が飛び散るのが見えるだろう。……そして、引き裂かれた服の下に覗く白色の毛並み≠焉z

【その姿を見れば、先程一颯の体を強引に押し上げたのが長い尻尾≠ナあることも一目で解ったはずだ――――】
【窮地におかれて大量の妖気を纏い、殆ど完全に妖怪≠ニ化した人外の姿が……人として歪んでしまった者の姿が、そこにはある】
【体の末端が真っ白な毛並みに覆われ、鋭く長い爪が伸びる。叫ぶ口から覗く歯も、獲物の肉を噛み切るためそれに変質して】
【何より、化け物になったのは姿だけではない――――筋力≠烽セ。熊を素体とするウェンカムイ以上ではないにせよ、速度と力は人間を大きく凌駕する!】


風切=\―――――ッ!!!


【――――咆哮と同時。その化け物≠フ次の行動は、二つ同時に行われるだろうか】
【まずひとつは、引き抜いた小太刀を順手に持ち直し、一気に目の前へ突き出すこと。狙いはウェンカムイの右目、瞳ごと脳髄を貫くつもりのようだ】
【突きの速度も威力も、先程より更に上。当たるかどうかはウェンカムイの反応速度に掛かっているが――――】
【そしてそれが成功するかどうかに関わらず、一颯はウェンカムイからすぐに距離を取ろうとするだろう】
【これはもちろん、続く十人の兵士の銃弾と、セリーナの援護射撃(>>654 >>655)から逃れるための方策だ】

【そして二つ目は、新たに現れた十人の兵士の隊列の真横に風≠集約させること。この技は一番最初と同じ、銀風の帯≠フ攻撃だ】
【……ただし、規模が半端ではない。一気に集約した風は数秒後、竜巻を輪切りにしたような巨大なサイズの銀風の帯≠ヨと成形され、鋭く飛翔する!!】
【当たれば胴体を大きく引き裂かれつつ、風圧に吹き飛ばされることになる。もし兵士達がある程度固まった位置にいれば、最悪全員巻き込まれることになる――――】


…………っが、は…………ッ!!

【なお、これらの行動がどういう結果をもたらすにせよ。一颯は少なからず兵士の銃弾を浴び、弾かれて地面を転がることになるだろうか】
【痺れる弾丸を数発、さらに運悪く小爆発する弾丸も一発。左肩の傷と合わせて、相当量のダメージであることは間違いない】
【ただ、それだけやられたにも関わらず――――少年の表情は、歪んでいない。依然感情の読めない笑みを浮かべているだろうか】
658 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/08(土) 01:31:05.99 ID:I6Qum5XV0
>>654-655

「くっ……打ち壊せて、ない……!」

【なるべく早く強く、一撃を叩きこむ為に選択した『パワーバレット』だが、それでも『ティターン・アーマー』を破壊するに至らなかった】
【ならば接近戦に打って出なければならないが――――この銃撃重視のファイターが、そうそう簡単に踏み込ませてくれるはずもない】
【どうやって無力化するか――――思索が脳裏を回転する中で、セリーナの言葉が聞こえてきた】

「――――ッ、ふざけないで……あんたもソニアと同じで、馬鹿な事を言うのね……ッ!!
負け犬は負け犬!! どうあろうが死ぬ時は勝手に死んで、勝たなければ生きる術なんて持ち得ない!!
それが人間なのよッ!! あんたも分かってるでしょ!?
こんな奴が……こんな奴が生きてるなんて、あっちゃいけない事なのよッッッ!!
――――――――そうやってみんな、そんな正しさのせいで死んでいく事になるのよ……ッ
父さんの身勝手な生き方に引き摺られて、私の家族はみんな死んじゃったんだからッッ!!」

【セリーナの語る死生観。やはりそれはシュバルツガイストにとって――――『ブラックハートの亡霊』と名付けられたサイボーグにとって、認められないものだった】
【――――全てを擲ってでも、勝利に固執するその姿は、奥に相当に根強く頑固な理由を抱えている】
【それこそ、自らサイボーグとなる事を望んでも――――ブラックハートと違い、シュバルツガイストは自ら機関の内に身を置いている】
【そうまでして勝ちにこだわる理由は――――敗者となったが故に、全てを失った過去を抱えていたから。ただそれだけの事だった】



>>657

ありがとう……最高の褒め言葉じゃよ少年……ッ!!

【狂っていようが狂っていまいが、グラトンにとってはどうでも良い事だった】
【むしろ――――自らの生きざまを『狂っている』と評されるまでに自己を貫いているのなら、それはむしろ本望だった】
【――――死は、常に隣にいる友人の様なものだと、グラトンは公言してはばからない】
【そうまでして己の命を貫けるのであれば、どうあっても己を恥じる必要はない。むしろ、本当に壊れているその精神には、心地よい刺激となるだろうか】
【凡俗で、普通である事もない。異端だからこそ、世界に一石を投じる事が出来る。だからこそ――――グラトンは、狂った自分を肯定できる】
【――――その奥底にあった、世界の平和を願う最初の気持ちは、もう泥の底に沈んで見えないのだろうが――――】

【――――『ウェンカムイ』の爪は、強く素早く振るわれた。背中に乗っている一颯は、『ウェンカムイ』にとってすれば小虫でしかない】
【叩き落としたのも、ある意味当然の事で、後は爪に薙ぎ払われてバラバラに砕けるだけ――――そう思っていたのだろう】
【だが、ここでも『ウェンカムイ』は誤る。所詮、動物はどこまで行ってもこうした高等さを持ち得ないと言う事なのかもしれない】
【薙ぎ払う事も打ち込む事も出来ず、微かに切り裂いただけ。勢いを逸らすと言う防御法を、熊は知らなかった】
【そして真っ向から狙われる目――――咄嗟に『ウェンカムイ』は頭部の角でそれを薙ぎ払おうとするが、ここにきて動きに乱れがあった】
【――――調整されていない、急ごしらえの未完成品に過ぎなかった故、完全な力を発揮し切れなかったのだ】
【刺される事こそ回避したが、逸らした刃先は確かにその眼球を切り裂き。大地に響き渡るような低く轟く悲鳴が、室内に響き渡った】

/続きます
659 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/08(土) 01:31:27.37 ID:I6Qum5XV0
>>654-655>>657

ぐっ……なんと!?
「っ、不味い!! ジ・エンブリオン、おじいちゃんを守って!!」
{わ、分かった、シュバルツガイスト……ッ!}
<ウアッ!?>

【『ガトリング・ヒュドラ』と『銀風の帯』――――2つの強烈な力がその場に解き放たれようとしている事は、すぐに見て取れる】
【そして、それを防御する手段など、咄嗟には容易出来ない――――『ネバーランド』の3人に「不味い」と言う共通の危機感がこみ上げる】
【今はともあれ、グラトンを守らなければならない。言葉すら必要なく、全員の意見は合致した】

【今まで、グラトンのそばを離れなかった少年――――ジ・エンブリオンの身体が、青白く膨張する】
【その身体は、半液状の青白いゲルとなり、その中に青い石と人間の脳髄が泳いでいる】
【その青いゲルで以って、ジ・エンブリオンはグラトンと赤髪の少女を包みこむ様にして守った】
【更に、咄嗟に駆け寄ったシュバルツガイストが、先ほどと同じ『シールドオーラ』を展開。二重の防御で、何とかグラトンを守り切ろうと言うのである】

≪ひっ……!!≫
≪そ、そんな……逃げ――――――――ッ!!≫

【当然、ネバーランドの3人の頭には、他の研究員や兵士たちの事など斟酌する考えなどない。何も備える事の出来ないまま――――――――それは発動した】



【――――さながら、室内の中で吹き荒れる嵐。ともすれば、それはフロア全体が巨大なミキサーになった様なものだった】
【人間の血肉と『ウェンカムイ』の血肉。そして大小様々な金属やプラスチックの、凄惨なミックスジュース】
【『ガトリング・ヒュドラ』の轟音や、様々な何かが激しくぶつかり合う音が室内を支配し、不思議と悲鳴は聞こえてこない】
【本当に人がいるのか分からないその空間で――――何十と言う命が無造作に散っていく】

「が……あがはァっ……っく……」

【――――全てが鎮まって。フロアにいるのは、倒れるブラックハートと、傷だらけになってグラトンを守るシュバルツガイスト】
【体積を大きく減らしてしまったジ・エンブリオンに、気圧された様子の赤髪の少女】

…………久々じゃのう……死ぬかと思ったのは…………

【そして、先ほどまでの狂乱や熱気を失い、毒気を抜かれた様に立ちつくす、無傷のグラトン】
【後は、セリーナと一颯の2人――――戦場と化していたフロアに残ったのは、ただそれだけだった】

/更に続きます
660 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/08(土) 01:31:52.27 ID:I6Qum5XV0
>>654-655>>657

【――――フロアが時間を取り戻して直後、鈍い低音と衝撃が、遠くから幾つも響いてくる】

ッ……爆発じゃと?

【地震の様な自然な揺れでは無かった。それは確かに何らかの衝撃の伝播によるものだったのだ】
【グラトンの言う通り、それは爆発による衝撃であると考えるのが、一番しっくり来る類のものだった】

【――――そして、その場に再び、近づいてくるエンジン音が鳴り響く。事態に対して、更なる乱入者が現われたのか】
【――――否。それは確かに乱入者ではあるが、それまで関わっていなかった『誰か』では無かった】
【既にこの事態と関わりを持っていた人物が、再び現われたのだ。それは――――】

〔――――乗れ! 2人とも!!〕
ぐっ…………車両を奪われおったのか……ッ!!
外の封鎖を急がせるんじゃ!!

【乗り込んできたのは1台の装甲車。その銃座から顔を出しているのは、最初に乗り込んだ輸送トラックの助手席にいた、雷の国の潜入兵士だった】
【『脱出のための手筈』として、この爆発を仕掛け、機関の中の装甲車を奪取して乗り込んできたのだろう】
【――――別働隊がいた事そのものは考えていたのだろうが、こうも上手く立ち回られた事は、グラトンにとっても予想外だったのだろう】
【驚愕と憤怒をその声に乗せて、怒号を飛ばす。だが、それだけではどうにもなるものでもなかった】

【ドアを開いて急かす雷の国の兵士。稼げた時間はそう多くもないのだろう】
【すぐに同行するのが理想だが――――倒れるブラックハートと『Factory』。少なくともこれらの確保は、セリーナにとっては急務だろう】

〔全く……無茶しやがって……でも、良くやってくれたよ……実際…………!
だが――――ダメだ……この街はもう終わりだ……ッ! 取り戻せたとしても、まず簡単には行かないぞ……!〕

【そうした喧噪の中、情報収集に徹した兵士の、呻きにも似た独り言が零れる】
【何か、恐ろしい物を見たと言う様に、その表情は強張り、引き攣っている】
【――――爆発によって施設や直近の兵員にダメージを与えての足止めは、予想以上に上手く行った】
【強行的にではあるが、一団は『セードムシティ』の外へと離脱する事に、成功するのだろう】

/もうちょっとだけ続きます……
661 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !red_res]:2014/03/08(土) 01:32:11.06 ID:I6Qum5XV0
【――――『ブレザシティ』 対『セードムシティ』前線司令本部】

「――――以上が、今回『セードムシティ』へと潜入した部隊が持ち帰った情報の、概略となります」
……なるほど、良く分かった。おって詳細を検分しつつ、今後の対策のために活かして行く事になるだろうが……

【かつて襲撃を受け、あちこちにダメージのみられたこの施設も、現在は既に堅牢な姿を取り戻している】
【だが、そこに内包されている雰囲気は、いつも以上に――――必要以上に、重々しい物となっていた】

……この情報の信用性は、疑うまでもない。偽りの情報を掴まされたなどと言う事が無い限り、まず信用できる情報だが……
もしそうだとするなら……畢竟、こう言わなければならないだろう……

【それは、齎された情報から導き出す結論の、その恐ろしさを誰もが感じているからの重い空気だった】
【しかし、認めなければならない。最終的にその結論を下して、戦わなければならないのは、彼らの誰もが知っていた】

――――我々は、『セードムシティ』を『奪還』する為にではなく『破壊』する為に、戦わなければならないかもしれない…………

【そうして、浴びる返り血で自分たちが汚れる事をすら、彼らは覚悟しなければならない】
【だが、あるいはそれが敵ではなく、守るべき対象の血であるかもしれないと言う事を、彼らは容易に飲み込む事が出来ない】
【――――――――失った時間は余りにも。余りにも大き過ぎたのであった――――――――】

/これにて今回のイベントは終了します
/参加して下さった皆様、ありがとうございましたー!
662 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 02:31:51.25 ID:hOewVvypo
>>658 >>659 >>660 >>661

くッ…………風薙≠チ!!

【吹き荒ぶ轟音の嵐の中、少年は再び暴風の結界≠展開する。ダメージもあって先程のような勢いは無いが、飛び散る瓦礫から身を守る程度なら出来た】
【飛び交う何がしかの物体が、風の境界に触れては切り飛ばされていく――――金属の削れる音、樹脂の砕ける音。破壊音が強化された聴覚を劈き、一颯は顔を顰める】
【床が抉れ、壁が穿たれる。……その光景を時折寸断して、人間の骨肉もまた結界に触れる。かといって、この状況で結界は解けないし――――解く気も無い】
【まだ生きている人間だって、いたかもしれない。悲鳴を上げた者もいたかもしれない。それでも風は全てを斬り刻み、主以外の全てを無慈悲に拒絶する――――】


………『死ぬ気が無くとも死ぬ』、か。
良かったですね、お互い運良く死ななくて。

【すべてが止めば、一颯はふらりと立ち上がって周囲を見渡す。粉砕された室内の中で、数名の人間だけがかろうじて生き残っていた】
【グラトンと、彼が連れていた三人の部下。それにブラックハートと呼ばれていた女性と、セリーナ。残りの兵士達や、研究者達は――――】
【死ぬつもりなんて無く、死を覚悟する暇も無く、死ぬ気が無いのに死んだ。戦場跡のような惨状の中で、一颯の双眸はグラトンを見据えるだろうか】
【――――そこには、敵意も悪意も無い。ごく普通に年上の男性と世間話でもするみたいに、グラトン自身の言った台詞を口にして、少年は屈託無く笑う】

【……新たなる闖入者を告げる爆音が響いても、横長の瞳孔はグラトンを見つめ続ける。壊れた世界の上で、一匹の化け物が立ち尽くしている】
【破壊に破壊を重ねたこの場に立つソレ≠フ姿は、ひどく似合っていて――――自分自身が本心から笑っていることに、果たして一颯は気づいているか否か】
【その心までも化け物に近づいているのだと、気づける者がいるとしたら。それは黒々とした混沌と狂喜の渦巻く双眸を、真正面から覗き込んだ者だけなのだろう】

(あの人とは、もうちょっとお話してみたかったけど……流石に仕方ない≠ゥな)

【突っ込んで来た装甲車が救援のためのものであることは、一目見れば察せられる。どうやら時間切れのようだ……最後に、一颯はふと目を閉じて】
【グラトンの常軌を逸した狂気≠思い返した後――――思い浮かべる言葉と共に、かちりと思考を切り替える。今宵の戦いは、終わったのだ】
【……次に一颯が装甲車の方へ振り返った時には、もうそこに化け物≠ヘいないのだろう。ただ、半ば獣人化したような人間≠ェ、ひとり居るだけ――――】


セリーナさん、手伝います。急ぎましょう!

【一颯はセリーナの方へ声を掛けると、彼女があの女性や他の設備を回収するつもりならそれを手伝うだろう。全てが終わったなら、素早く車に乗り込んで】
【かつて侵略され、そして侵略し直して。火の手の収まらない街の景色を窓越しに眺めながら、一颯は表情を変えずにぼんやりと今日の戦いを振り返る】
【……カノッサ機関、『RAGNAROK LABORATORY』。それにセリーナ・ザ・"キッド"。未だ見せぬ手札。いよいよ進退窮まるところまで行った、この街の行く末――――】


【やがて車が『セードムシティ』の外へ出た頃には、体の変化や迸るような妖気も収まって、一颯は最初と同じ一般人≠ノ戻っているだろう】
【報告や治療を終えて任務がすべて終わったなら、何事も無かったかのように笑って、少年はどこかへと去っていく。風のように、掴みどころ無く】

【――――命を懸けた甲斐は、あったなと。最後にそんな事を、小さく呟きながら】


/主催者様、セリーナの方、ありがとうございました!
663 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 18:26:20.20 ID:MYoubdtWo
>>658-662

【―――ドルルルルル。エンジン音がゆっくりとそのサイクルを緩めて行き、やがて轟音と共に停止した。】
【破壊活動を終えたガトリング・ヒュドラの超巨大魔道機関はその激しい動作故に停止後、自壊し炎上する。】
【抱えていた重火器の巨体からボッ、と火の手が上がるのを確認し、セリーナ・ザ・"キッド"はその巨体を床へと放った。】

【地面がその、余りの重量で揺れる。と同時に、ティターン・アーマーの活動領域も限界を迎えていたのだろう】
【護衛として現れた機関兵の援護射撃、小規模爆発の弾薬を避けもせず、正面から受け続けての一斉放射だった為に】
【此方の被害も恐らくは甚大だったと予想される。『はぁ―――ハァ……ッ』と、息を荒く吐いて。アーマーが自動で、パージされた。】

【煙と共にセリーナを防護していた魔道鎧が取り去られ、これもまた地面へと堕ちていく。次の瞬間には】
【傷と硝煙で滅茶苦茶になったセリーナが素早く駆け出し、足を引きずりながらも件の"トラック"―――Factoryへと直行。】
【『手伝う』と名乗り出てくれた一颯に対し、素早く『ハートをお願い!』とだけ叫んで。自身は脱出する装甲車を追う様にトラックへと乗車。】


   ―――この『トラック』の機材と、設備さえあれば―――……ハートは、もう一度……ッ!
   急ごう、一颯くんッ! どうやら休憩してる暇は―――くっ、ふぅ……! ない、みたいだからね……ッ!


【トラックへとハートを収容し、崩れ落ちる研究所の内部を装甲車の後続車として、追走する。】
【猛烈なハンドリング、瓦礫を吹き飛ばしながらの激走。しかしながら、これもまた運が良かったのだろうか】
【まさにハートの―――彼女の残した言葉の通り。『God Bless you』、神のご加護があっての事、全員が無事に帰還した。】

【しかしながら、意識はそこまでが限界。奪還作戦の指揮本部に到着した頃には、運転席で】
【傷だらけのまま、意識を失い眠ったままのセリーナが発見される事だろう。疲労とダメージが重なった為だ。】
【勿論、数時間もすれば目は覚めることは確かである。今回の作戦が一時的には成功した、という話も聞き及ぶ。そして。】

【どうやらそこに続く完全なる奪還自体は―――そう、簡単にはいかないようであって。報告を受けて、セリーナは小さく呟いた。】
【『神よ―――。』と。】

/遅くなりましたが、こちらもこれで〆とさせて頂きます!
昨晩はありがとうございましたー!
664 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 20:00:58.96 ID:1pZPohw6o
【昼の国 地方都市ヴェンドゥラー】

【首都グランツには劣るものの、商業都市として名の知られた場所だ】
【グランツを始め、複数の都市や地域と道路や鉄道で結ばれ、流通の要所の一つともなっている】
【温暖な気候の恩恵に預かった一次産業も営まれ、観光のための施設も備えられている】

【街の北部にはグランツと繋がる道路や鉄道の駅があり、この街の流通の玄関口となっている】
【街の西部には広大な敷地に跨る空港が存在し、飛行機やヘリがひっきりなしに出入りしている】
【街の東部には昼の国の主要産業の一つである農業・畜産業の地帯が広がり、最先端の技術による生産が行われている】
【街の南部には巨大なショッピングモールを中心とした歓楽街となっており、この街における観光の目玉である】


【これら東西南北の各エリアに囲まれた中央部。ここは、地元住民の大半が住まう住宅地を主としたエリアだ】
【公的機関の施設などもここに存在した。役所・警察署などのそれらに至る広いメインストリートが、住宅街を貫いている】

【日々、あらゆる商取引が成され、様々な品物がこの街を通り、人々に営みを形成していく】
【地方都市ながら、活気に溢れた街。それがこのヴェンドゥラーだ】



【しかし今日、この街をすっぽりと不穏な空気が包み込んでいた。普段は人でごった返す各エリアの人影はまばらとなり】
【シャッターを閉めている店も多く見られた。それらの大半が、外部の者ではなく地元住民の店だった】

【今、ヴェンドゥラーで最も多くの人間が集まっているのは、中央部のメインストリートだ】
【地元住民の大半と観光客が混ざり合った野次馬の波を、警察や自警団が整理している】

【間もなくして、車の音が聞こえてきた。ざわついていた人の波が一瞬静まり――巨大な怒号となってはじけ飛んだ】


この化け物め!! くたばっちまえ!!=@  そうだ、そんな野郎とっとと死刑にしろ!!
人殺し!! 人殺しいいいいい!!!=@  化け物!! 化け物め!! 地獄に落ちろ!!!

【怨嗟、侮蔑、憎悪――ありとあらゆる負の感情を煮詰めた声が、メインストリートの両脇から溢れ出していた】
【その凄惨なまでの恨みの声の先には、黒塗りの高級車を先頭にした行列が存在した】
【メインストリートをゆっくりと公的機関の集中するエリアへ向かっていく行列。絶えず飛び交う罵声の中を潜り抜けていく】

【先日流されたニュースを見ていた者なら、その理由はおそらくすぐにわかるだろう】
【盗賊団『スクラップズ』首領、逮捕=B首都を爆破した張本人が捕えられたとなれば、これも致し方ない事態か】
【だが、市民たちの様子はそれを差し引いても尋常ではなかった。警官や自警団員が必死にそれを抑えつけてはいるが、ともすれば暴徒にでもなりそうなほどである】
【自分たちの張りつめた気配を覆い隠そうとするかのように、怒号はますます激しくなっていく】


【行列先頭の高級車。無表情な運転手が操る車の後部座席には、二人の初老の男がいた】
【片方は、量の少ない白髪に痩せ形の男。理知的だが冷徹な光を灯した眼光が、窓から外の様子を伺う】
【それにつられて外に視線を向けたもう片方は、豊かな黒髪に肥満体の男。眼光は鋭いが、その瞳は暗く濁っている】

{……全てが片付くまで、あと一歩といったところですな、ミスター・ギル。ここからが難儀ではありますが}
{ええ、ミスター・リー。一筋縄ではいかん相手です……ですが、ここが正念場ですぞ}
{わかっていますとも。ミスター・ゴルドーの二の舞はごめんですからな}

【白髪の男、マスコミ業界の権力に深い根を張るメディア王、グレイ・リー。黒髪の男、リゾート開発で財を成した企業家、ジェローム・ギル】
【共に表と裏、それぞれの世界で知られた権力者だ。金融と流通の支配者だったデズモンド・ゴルドーとも、繋がりの深かった者たち】
【そんな者たちが、一犯罪者の連行に持てる力を注いで協力している。その時点で、違和感を覚える人間もいるかもしれない】
【車内で交わされる不穏な会話は、外に漏れ出ることはなく。行列は進んでいく】

【その二人が乗る車から距離を置いた先、行列の中央。武装した屈強な男たちに引かれていく、巨大な人影が一つあった】

/続きます
665 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 20:01:33.94 ID:1pZPohw6o
【身長2メートルを超えているであろう、大男だった。その巨躯を二重三重に縛られた拘束衣で固められている。首からつま先まで、一部の隙もなく】
【車輪が四つ付いた長方形の箱のような拘束装置に、直立姿勢で磔にされ、その状態でメインストリートを引きずられていく】
【口には鉄の輪を噛ませられ、顔も金具で固定されていた。唯一動くのは、額の眼球のみだ】

【そう、大男の額には眼球が埋まっていた。本来の両目のあるべき位置には黒い瞳の義眼が嵌っている】
【異形の男は、街中の人々の憎悪の声を一身に浴びながら、進んでいく。ここに渦巻く怨嗟の声は、全てこの男に向けられている】
【鉄の輪を噛まされた大男の表情は、何の色も見せぬままだった。その頭に、身体に、野次馬から投げつけられる石が立て続けに命中する】
【周囲を固める武装した男たちも、自分たちへの被害を避けようとするだけで、咎めるような様子など見せなかった】

【盗賊団『スクラップズ』首領、カニバディール。その怪物が今、捕縛され、連行されていく】
【人々が投げた物でその身を幾度打たれようと、うめき声ひとつあげず。周囲の喧騒とは対照的な、異様なまでの静けさ】
【街中の人間の恨みを凝縮したかのようなこの空間を、怪物はただ引き立てられていく】

【その光景を、数羽の鳥がじっと見つめていた。集まった人々の誰も気にしてはいないが】
【その鳥からは、気付かれないほど幽かな機械音がしていた】


『ソロモンさんの鳥は優秀だねえ、実によく見えるぜ』
「そろそろ予定の位置に到着するぞ。全員、準備しておけ」

【メインストリートの直下でそのような会話が成されているとも知らず、行列は進んでいく】
【やがて、行列がメインストリートの終盤に差し掛かる。目的地は、もう目の前という地点まで来たその時】  
【拘束装置とその周辺の地面が、複数名の武装した男たちを巻き込んで、陥没≠オた】

【メインストリートのど真ん中に空いた落とし穴。誰もが状況を把握できず、硬直していた間に事は済んでいた】
【まず、穴からバラバラになった肉塊が飛び散らかされた。共に落ちた男たちのなれの果て】

【続いて、その男が這い出した。拘束衣は影も形もなく、薄汚れた作用着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角ばった顔つき、短めに切り揃えられた黒髪。両耳は歪んで黒く変色し、両の親指も黒く細長い】
【その右手には、黒と金をベースカラーとした一メートル半ほどの長大なバトルアックスを握っていた】
【柄の部分のカートリッジに取り付けられた白いマギタイトが不気味に発光する】
【にたり、と醜悪な笑いを浮かべ、放った一言は人々の耳にはっきりと響いた】

……さあ、食事の時間だ

/続きます
666 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 20:02:07.28 ID:1pZPohw6o
【額の一つ目が悪意に輝き、周囲を睨んだところで、やっと人々は正気を取り戻した】
【市民は悲鳴を上げて後ずさり、武装した男たちが銃を構える。だが、バトルアックスの動きのほうが早かった】
【カートリッジのマギタイトが光り、斧の刃を発光させる。間髪入れずに振るわれた斧から放たれた光の刃】
【銃を向けた男たちを吹き飛ばし、リーとギルを乗せた車のタイヤを破壊した。二人が慌てて車外に飛び出す】

{ど、どういうことだ……!! いったい何が……}
{止めろ!! 奴を取り押さえろ!!}

【車から転がり出たリーとギルが大声で叫ぶ。即座に駆け付けた部下たちに身を守らせ、自分たちは退避を始めた】
【野次馬の中に紛れていた二人の部下や雇われた裏のプロたち、そして警察や自警団が一つ目の化け物を討つべく動く】

【だが、彼らは足を止めざるを得なかった。先の穴と同じように、メインストリートのあちこちが陥没し始めたのだ】
【さらに、その穴から次々に上がってくる者たちがいた。服装も背格好も性別も年齢もバラバラだが、狂気を秘めた瞳は共通している】

始まった、始まった!!=@ どっちがたくさん殺れるか、競争しようぜ!!
おーい、どこいったの……隠れてないで出ておいでー……=@ 火を、火をつけなきゃならないんだ。それが僕の使命なんだ
<へっへへへへ!! おい音楽だ、派手に音楽流すべ!! へへへへへ!!>

【極彩色のドレッドヘアの男の叫びに応じ、メインストリートに耳をつんざく大音量で暴力的な音楽が流れ出す】
【狂気に塗れた言葉を吐き散らしながら、彼らは音楽に背中を押されるように、無差別に周囲に襲い掛かる。メインストリートが地獄と化す】
【自警団員や警官も反撃を開始。この地域を席巻していた人々の憎悪は、殺意と狂気、暴力と恐慌に取って代わられた】

【そこへ、さらに追い討ちをかけるように、地面を揺るがす爆発音が複数。街の外につながる道の先に、青い爆炎と閃光とが迸る】
【ヴェンドゥラーの外部へ繋がる道、そしてヴェンドゥラー中央部の周辺の建物が次々に爆破されていく】
【瓦礫が道を塞ぎ、人々の避難経路を奪った。数多の人間が中央部に、ヴェンドゥラーに閉じ込められた】


【爆破と乱戦。グランツの再現といえる状況。違うといえば、暴れ回る暴徒たちに対抗する者がより多いという点か】
【二人の権力者が雇った『専門家』たち。暴徒の数に質で対抗し、その勢いを押し返す。だが、欲望と狂気に満ちた暴徒もそう簡単には止まらない】
【商業都市ヴェンドゥラーは、瞬く間に混沌の坩堝と化した。全てが定められた筋書であるかのごとく】

/さらに続きます
667 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 20:04:04.10 ID:1pZPohw6o
……さて、ここまではよし。スカーベッジ、例のモノを

[了解しやした、ボス!!]

【一人呟いていた大男のそばに、いつの間にか穴から這い出してきていた男が駆け寄った】
【カーキ色のジャケット、ポケットだらけの黒いベスト、迷彩柄のズボンに黒い軍用ブーツ】
【鉛色の髪をオールバックにし、同じく鉛色の瞳をぎらつかせている。両耳と口元、そして時折覗く舌の外周には鉛色のピアス群】

【スカーベッジと呼ばれたそのピアス男が、懐から箱を取り出し、それを開けた。中に納まっていたのは、キノコだった】
【10cm程の、黒を基調に紫や赤の模様を持つ不気味なキノコ。放たれる、禍々しい魔力】
【それを確認し、大男とピアス男の二人はメインストリートを素早く駆け抜けた。たどり着いた先は、行列の目的地だった公的機関のエリア】
【スカーベッジが、メインストリートとそのエリアとの境目に当たる位置の地面にキノコを突き立てた】


[準備完了。ようやくのお目見えですぜ、マーディケリウムの旦那!!]

【いつの間にか手にしていた容器から、スカーベッジが大量の水をそのキノコへと注いだ。わずかの間を置いて、それ≠ヘ正体を現した】
【おそらく、ヴェンドゥラーのどこにいても、それは見えるであろう。身長5メートルにも達する、巨大なキノコ】
【10p程のキノコが、水を与えられた途端急激に成長し、天をも突かんばかりの怪物となったのだ】

【丸みを帯びた三角錐の形状の傘は小さい時と変わらぬ不気味な模様をしており、傘の裏側のひだは絶えず脈動している】
【傘の下の方には、180°程に広がる口部があり、まるで獲物を待ちわびるかのように開閉を繰り返す】
【大きさ相応の太い柄の底からは、周囲の地面の表面に這い、巨大な身体をその場にしっかりと固定している】
【極めつけは、その身の至る所から生える菌糸≠セ。触手のように蠢くそれらが、空中でのたうつ】


[ひっひ……こいつぁとんでもないですなあぁ……。さすがは、音に聞こえた大悪魔・邪禍さんの作品だ]

ああ、まったく想像以上だよ。実に素晴らしい……。これに恥じぬ働きをせねばな……ふ、ふ

【ことの張本人すら目を奪われる巨大な異形。怪物キノコ・マーディケリウム】
【その傘の下のひだから、何かが噴き出す。目を凝らせば、それが胞子であることがわかるだろうか】
【周囲の建物や地面にキノコの胞子が降り注ぐ。少しずつ、だが着実にこの地を侵食していく】


オオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!!!

【マーディケリウムの口が、叫びを上げた。地獄の底から響き渡るような叫び】
【それを合図に、ヴェンドゥラーの東西南北で異変。更なる襲撃者たちが動き出したのだ】
【今宵ここに、この世の地獄が顕現した】


【その有様を背景に、一つ目の化け物が穴だらけのメインストリートへ向き直る】
【バトルアックスを握り直し、巨躯から殺気を放つ。迫りつつある敵、正義≠ノ相対すべく】

久方ぶりの大舞台だ。一つお付き合い願おうか――正義諸君


/これより、イベントを開始します。襲撃側の方は、投下をお願い致します
/対主催の方は、こちらにレスをお願いします。本日は、よろしくお願いします!!
668 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 20:15:55.50 ID:DzC8Lmn4o
【昼の国――ヴェンドゥラー東部、ファームズファクトリー】

【太陽が沈まず、常に昼である事が特徴のこの国だが、今日この一帯では太陽は見えない】
【何故なら――今も上空で低く響く音を聞けば分かるように、真っ黒な雷雲が広がっていたからだ】


【―――遡ること少し。それは、上からやって来た】
【一際大きい落雷の後、突如として天井を魔力の弾が穿ち抜いて】
【舞い降りたのは、二つの影。それは“白”と“黒”の子供の姿で】

――それじゃあ始めようか、プシー。
「私達の仕事を始めよう、クシー。」

【“白”……白いゴシック調の服に編み上げブーツ。首には真っ赤な炎を灯したマフラーを巻いて】
【髪は真っ直ぐな黒曜。鮮血の様に鮮やかな紅の瞳は感情を灯さない】
【手には真っ黒な、両刃の大鎌。自身の背丈も越えようかというその得物は、両手で構えて】

【“黒”……こちらもゴシック調、黒の服とブーツで、同様のマフラーが首に灯り】
【ストレートの長髪は新雪の色。瞳は青天の如く澄んだ水色をして】
【手に持ったのは、黒と濃いピンクのフリルパラソル。構えれば長銃の様】

【色こそ対照のものであるが、二人の形は瓜二つ。造られた人形をも、思わせる程】

カニバディールさんのお手伝いが僕達の仕事。
「戦い、 壊す事が私達の仕事。」

『邪魔する人は――――――――殺すだけ。』

【10やそこらの子供の外見でありながら、その口調は無機質に平坦】
【“異質”としか言えない幼い二人の兵器は、冷たい声を重ねて。】
【停止したコンベアの上に並び立ち、獲物を品定めする様に周囲を見回していた】



/クシー&プシー中身で御座います!お二方とも宜しくお願いしますー!
669 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 20:17:12.42 ID:UNA6s/c+o
【ヴェンドゥラー国際空港――】
【その都市の西部に位置するこの場所は、もう既に何者かによって爆破され機能停止状態】
【そして、……更にそれを悪化させる存在が、今ここに――】

【――それは、趣味の悪すぎる混沌とした掘っ立て小屋だった】
【黒曜石の様な未知の物質で出来た外壁、何かの骨と思わしき装飾、窓から覗くのは何色ともつかぬナニカ】
【しかもよく見れば、……亀のように生えた4つ脚を持っていて、それで歩いているではないか】
【そう、この掘っ立て小屋は生きているのである。確かに、ドアと窓の位置を見ればなんとなく顔に見えなくもない】

【……歩いていたかと思えば立ち止まり、脚がしまわれる。こうなれば、ただの掘っ立て小屋……だろうか】
【そして、その扉が開く。】 【――屈んで中から出てきたそれは、2mはあろうかという大柄な人物――否】

「ハッハーッ!」 「……おッ、あっちにでけェー"マーディケリウム"生えてんじゃん、ブッ壊してくるかァ」
『……やァめとけ、俺様が怒る――そォれより……どうだ、機ィ械類とか良ォいぞォ、爆発すゥるから爽ォ快だァと思うぞ』
「HAHAHA、冗談は止すんだぜェ、今の師匠に怒られても全然怖くねェーからなァ――じゃア、ブッ壊すとするぜェ」

【明らかに人ではなかった――筋肉隆々とした身体で、深緑色の髪をしていて、15cm以上あるそれは天に向けて逆立っていて】
【頭部から生えるのは狂気を感じる赤色でへの字型の角が2本。漆黒色の白目に、角と同じ赤色の両眼】
【両手両足から無数に生えるのは、髪と同じ色の棘――そして、秘部や臀部周辺にも同じく生えていて】
【背中には大半が棘で構成された翼、臀部から伸びる棘で構成された尻尾(先端は矢尻の様な形状をしている)】

【――その男と思わしき者がお姫様抱っこしているのは、巨漢なそれにも劣らぬ慎重の黒いナニカ】
【不完全なヒトガタであるそれは胎児のようにも見えて、腹部から伸びる紐状のモノは身体に巻きつき、尻尾と融合している】

『うゥゥるせェ、……あァ、ベテアエンテキシロムにマーディケリウムが生えてやがる……うゥん、旨ェ』
『体調不良って言ィっても、やァっぱり気ィになるかァらな……奴と"連絡がつゥいて"、かァつ"駆ァけつけてくれて"助かった』
「ちょうど暇だったって奴だぜェ、勿論"ブッ壊す"って意味でな――嫁は面倒がって来なかったが……祝拳打つくれェ、お安い御用って奴だ!」

【……先程の掘っ立て小屋には、辺りに降り注ぐ胞子が積もり……その一部が発芽していた様子】
【そのキノコと黒いナニカを見比べてみると、なんとなく似ているような気もしなくはないが――ナニカはゆっくりと手を伸ばしキノコを一つ取り、食す】

【男はナニカを玄関先に立てかけてから――最も近くにあった手頃な小型ヘリに向けて飛翔】
【殴る蹴るの暴行を加えてそれを破壊し始め――あっという間に破壊完了、爆発】
【奇妙なのは、爆発に巻き込まれたはずの男がほとんど無傷で次のターゲットを探していることだろうか、あとは機体の破片に混じってエネルギーの欠片も散らばっていて】

【――――ともかく、これ以上被害を広げないためには――この者の討伐が必須となりそうだ】

/という訳で、邪禍(の弟子)です、お二方よろしくお願い致します!
670 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 20:22:41.41 ID:MQBFMNRJo
【昼の国、地方都市ヴェンドゥラー――クロスロード・ステーション】


【――数分前、ヴェンドゥラーの各地で大きな爆発が起きた】
【ここもそのひとつであり、駅名の由来でもある十字路の中心と駅の両端の線路に爆破跡が見て取れるだろう】
【既に避難を終えた後で市民の姿は無く、ただ空っぽの車と電車、そして瓦礫が無残に散らかっていた】
【それだけならば――まだ、普通の襲撃だったかもしれない。真に異常と言えるのは駅舎全体=Aだった】

【二階建ての駅舎は今、まるで複雑なひとつの生物のように蠢いていた】
【よく見ればその正体に気付くだろう。駅舎を覆っているのは長い胴に無数の足を持つ節足動物――そう、ヤスデ≠フ群れであると】
【この世界には存在しない種のヤスデだ。通常の個体よりも大きく、くすんだ赤と黒をしている】

【何よりもこのヤスデ、木材はおろか信じられないことに石や鉄までもを食しており】
【このまま放置すれば駅は跡形もなく消え失せてしまうであろう、という状況だった】


取りあえず任務完了ね。これから何が起こるのか興味があるけれど――それは帰ってから確認しても遅くはないわね
この子たちも飢えていたところだし、ちょうど良かったわ


【駅舎を背にして、広場の捨て置かれた車に腰掛けるひとりの影が居た】
【オリーブ色の瞳を持ち、茜色の髪は後ろで二つの太い三つ編みにしていて】
【そばかすの上には丸眼鏡があり、頭には柔らかい素材の黒いハットをかぶっている】
【裾に緑色のよろけ縞が入った白衣を羽織り、その下に暗い緑色のセーターとタイトスカートを着た】
【そんな――研究者のような風貌の女性だ】

【普段はひとつの爪にしか施さないネイルアートを、今日は全てに施している】
【ひとつとして例外は無く――機関の使徒を証明する逆五芒星≠フ模様が刻まれていて】


ふふ……楽しいことになりそうね


【彼女は不敵に笑う。それは一体――どの未来を笑っているのだろうか】


/カーディ中身です!リチャードさんとミハエルさんの人、よろしくです!
671 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 20:31:03.80 ID:AKPlT9xso
>>667

【昼の国が伝えたそのニュースに大きな不安を抱えた人物が居た。―――マーシャル・T・ロウ。約一月前のラグナールの騒動で彼は、カニバディールと戦っている】
【そして彼に拘束された人物、ギアの掠れた声色がロウに伝えたその言葉が、ニュースを見た瞬間に脳内に再生されていた】

【『スクラップズは昼の国ヴェンドゥラーを狙っている』―――というギアの言葉が。狙おうとした矢先にヘマをして捉えられた……とは思えない。そんな男じゃない】
【狂気が体現されたかのような外見、能力に―――冷静さと狡猾さを兼ね備えた男。其れがカニバディールであると、過去2回の戦闘からロウは確信していた】
【―――そしてロウは直ぐに現場のヴェンドゥラーに駆けつけ、何が起こっても対応ができるように準備をしていたのだが―――罵声を飛ばさんとする野次馬の中に入れずにいた】

―――くっそ……入れねぇし様子も見えねぇなぁ……。 おまけに五月蝿ェ―――ってのはまぁしゃーねぇけどよォ。
おい、ちょ、ちょっと詰めてくれっての―――……ん?

【―――聞こえていた罵声のオーケストラが静寂へと瞬時に変貌する。人の壁でロウからは何も様子が見えないが、雰囲気から何か悪いことが起きたことだけは分かった】
【……そして、再度音楽は響き渡る。其れは罵声ではなく悲鳴。同時に人々は逃げ惑い、ロウの目の前を塞いでいた人の壁は消え去った。そして紺碧の瞳に映り込む、真実】

【不自然に空いた穴が数個―――そして周りを彩る血と肉。インパクトの有る外見を持った者共―――そして、カニバディール本人】

          ――――――…………カニバディィィィィルゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!! 

【正義の炎を灯した紺碧の瞳、そして覇気が篭った叫び。きっとカニバディールも知っているだろう。トレードマークの青のソフト帽も、きっと忌々しい筈だ】
【白いシンプルなシャツの右肩には、緋色の鷹を宿して。その上に灰色のジレ、下はスタンダードな群青のジーンズ。老獪な雰囲気を纏った20半ばの男、マーシャル・T・ロウ】
【首元からは濃厚な魔翌力を放つペンダント―――幽幻の宝玉のペンダントをぶら下げた彼は、右手に朱、左手に蒼の拳銃を具現化し握り締めれば構える】

【―――警備をしていたのは自分だけではないはず、と小さく瞳を動かし周囲を確認しながらも、目の前から伝わってくる特別に邪悪な雰囲気に唾を飲んだ】

……―――俺が掲示板でヴェンドゥラーを警戒しろって伝えた分、お仲間さん達はちゃんと多く来てんだろうな……!? 遅れて来たやつ入れねぇじゃねーかよ……!
これで来なかったらSCARLETだけじゃなくUTも纏めて説教してやんぜ全くよォ……―――つーかあのキノコは何だよッッ、前の蜘蛛女……ってわけでもねぇのか……!?

【キノコ―――と言えば、前に戦った蜘蛛女……だが、彼女が使った能力とは今回は異なり―――そして禍々しさも凶悪。兎に角、早めにケリをつけたいが一人では厳しい相手】
【……情けなくも心の中で助っ人を待ちつつ、情熱と冷静さを兼ね備えたロウの眼光がカニバディールを突き刺し、そして宣言した】


……―――3度目だな、オイ。ギアの言ってることは本当だったんだな……ヴェンドゥラーを攻めるってよ。―――案外頭のイイアンタなら知ってんだろ、この言葉。
『仏の顔も3度まで』『3度目の正直』……つまり、今回はテメェにチャンスは無い。今度こそテメェを捉えて……スクラップズ諸共撃ち抜いてやるぜッッ!!

/マーシャル・T・ロウですー、主催者様、参加者の皆様よろしくです!
672 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 20:34:56.68 ID:9lf2AhFd0
>>671
【逃げ惑う人々の波に流される事無く、その場に留まり続ける姿が一つ】
【否、道が開けたならばあろう事かそちらに向かいだして】
【何が起きたのか知らない訳でもあるまい。鼓膜を劈く様な音が鳴り響き、こうして人々が逃げ惑っているのだから】
【では、何故その原因であると思われる場所に歩んでいるのか。其れは正義の徒であり――――同時に、一つの約束を果たすため】


「大人しく掴まって晒し者にされていれば良かったものを、更に罪を重ねるとは困ったものですね…………カニバディール?
この地の警備を態々受けたのは自警団という立場を介して貴方からギアの情報を聞き出す他ありませんでしたが――――」

【ザリ、ザリ。荒れたアスファルトの上を草履が擦る度に生じる音】
【人の流れに逆らうように歩く“巫女”の姿は何とも異様なものであり――――それ故に、直ぐに視界に収める事も出来るだろうか】
【浮かべて居るのは、人々を傷付けた事に対する怒りだとかこの街を破壊し尽くさんばかりの行動に対する焦りだとかでも無く】
【まるで能面。顔の筋肉をピクリとも動かす事無ければ、ゆっくりとそちらへと歩み】


「まぁ…………良いでしょう。手続きを行う手間も省けましたし
何より貴方の仲間達には私の部下が直接お世話になったので…………そのお礼も出来ると考えれば得でしょうか?
覚悟しろ、とは言いません。ただ――――そうですね。代わりに“償え”と言っておきましょうか
…………幸い、私と同じ様な方々が貴方と敵対している様ですからね」

【冷たい色の双眸は、しっかりと件の大男を見据えていて】
【正に阿鼻叫喚地獄の中、女の清んだ声は良く通るのだから不思議なものだ】
【一歩、また一歩。やがて取り出されるは―――― 一枚の札。以前対峙した者ならば分かる、明確な攻撃の意思】
【…………集い始める妖気は、其れに移る前段階。即ち、初手から強力な一撃を加える準備か】


/天鬼ちゆりであります!宜しくおねがいしますですよー!
673 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/08(土) 20:42:58.08 ID:FmXjIg4co
>>664
【ヴェンドゥラー。其処は奇しくも、あの時と同じ昼の国に位置する活気ある地方都市】

【"カニバディール"というカノッサ機関ナンバーズの拘束。この男にはそれがまるで嘘のように感じられ。居てもたっても居られずに此処に来た】
【この半ばイベント地味た引き回し。罵声や怒号の最中、沢山の高級車からなる行列の中央で固められた大男をちらりと見た男は、唾を飲み込んだ】
【"何も表情が見えない"。男にはそれが、逆に不安を煽らせた。あのカニバディールが、何の抵抗も無く引き回されているのか?】
【そしてその不安は――――――的中した】


「――――――……ッ!!?」


【彼に向けられる罵声が、一瞬で悲鳴へと塗り替えられる。陥没に巻き込まれた人々だろう肉片が飛び散ると同時に、まさに阿鼻叫喚といった様相になって】
【それだけではない。男が振り返れば、其処には大量の狂人達。彼らが次々に人達を襲っていくと同時、男は走りだした】

【だが―――……だが未だ地獄と呼ぶにはヌルいかというのか。巨大なキノコ。魔法使いである男には分かる。あの夥しいほどの魔力は普通のキノコではない】
【周囲に飛散する胞子は瞬く間に周りの建物も、道路も侵食していく。魔界と呼ぶにふさわしいだろうこの光景】
【そしてこの光景を作り出した張本人達―――『スクラップズ』。もっと言えば、その首領、先程までは確かに拘束されていたはずの大男】



【男にも先ほど穴から出てきた狂人の1人が駆けてきた。当然だ、この場所にいて全く逃げようとしないのだから】
【狂人が持っていた得物を男に振り下ろさんとして―――その狂人は男の薙いだ大きな棍棒……いや、杖の一撃で無力化された】


「――――――あぁ、何となく分かってたぜ。テメーが簡単に捕まるなんて事、有るわけねーよな」


【吹き飛んだ狂人を一瞬で視界の外に追いやって、見据えるはキノコを設置し終わったのであろうカニバディールと、この前相対したピアス男、スカーベッジ】
【その目は……燃えていた。今まで幾度と無く取り逃がしてきた相手、二回目の大きな事件。ここで、またもや逃がす訳にはいかない】
【そんな気迫が、彼らにも伝わってくるだろうか。共に戦う助っ人も、また同じように考えているのだろうかと思いつつ】

「グランツの時も、この前も散々暴れてくれたが――――――今日こそは逃さねー」

【魔女のような大きな紫色の帽子を被り、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブをカジュアルな服装の上から羽織る】
【そして左手には先ほど狂人を一撃で叩きのめした男の身長ほども有る大きな木製の杖。まるで、お伽噺から抜け出してきた魔法使いのようなその男は】
【幾度と顔を合わせる宿敵を目の前に、気合入れも兼ねて叫ぶ。敵を討つその信念を】


「カノッサ機関ハンター、ライラ=フェルンストレームッ!!! 今度こそテメーの首、此処で取ってやるぜ! カニバディールッ!!!!」



/ライラ=フェルンストレームです。主催者様、参加者様、今日はよろしくお願いします!
674 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/08(土) 20:48:52.52 ID:tXgSXy080
>>670

【地方都市ヴェンドゥラー、クロスロード・ステーション】

【十字路から歩いてくる一人、いや後々二人となるのだろうが、男が居た】
【アシッドグレイの頭髪を肩にかかる程伸ばし、白いワイシャツに黒いネクタイ】
【濃灰色のズボン、そして長い頭髪は黒いヘアバンドで一本纏めにしている20代後半程の男】
【焦げ臭く、気味の悪い空気を深呼吸して確かめると、目の前の敵を捉え】

お前はどうやら機関の人間らしい、闘わざる逐えない様子だな。
……UNITED TRIGGER所属、ミハエル・ガーナランド、参る……!
…………なんてな……

【男は自己紹介の後に少しだけ笑って、以降は目の前の敵に意識を集中させた】
【すると男の顔の隣辺りには、いつの間にかルーレットが出現していた、これが能力か】
【ルーレットが回り初め、しばらく経つと止まる】

【出た目は4、すると今度は男の手に直径約2m程の大剣が出現した】
【長方形に近い形状、刀身の両側には二つの銃身の様なものが付いていて】
【それを構えると、まずは出方を伺おうとそこから一発の魔弾を発射した】
【速度はテニスのサーブ程、威力もそれの直撃程だろう】
675 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 20:50:00.82 ID:DAPZf1q3o
【喜劇的な逮捕劇が悪夢のような惨劇に変わる瞬間>>664->>667をじっと、遠くから見ている者がいた】
【見晴らしのいい場所から双眼鏡を目元に持ち上げ、作戦の要となるあの悪魔のキノコが設置され膨れ上がる光景を見届けると】
【作戦決行前、スカーベッジに渡しておいたと思われる通信機に繋ぎ声をかける】


―――よーう、スカベー、マージでやらかしてくれたッスねぇースゲーじゃん
こっからでもマーディケリウムの堂々とした勇姿がよーく見えるッスよ、さてそこに我らが一寸法師はいるッスね
お互い前もっての仕掛けは良好、そちらさんは滑り出しがいいようで何よりッス

さて、こっからが本番ッスけど、お互いしまって行こうって所ッスかね……まあこちらもそれは同じなんスけど
おーらおいでなすった、こっちが受け持ったポイントにも敵さんのおでましッス


【胸中で破裂するように悪意をまき散らした主賓を上機嫌な声色で讃えながら横のモニターに目をやる】
【モニターに映るのは彼女が受け持ったポイント、そこにいる二人組に目をやりながら場の経過を見守り始める】

【ヴェンドゥラー南部 サンライトモール】

【いつもは買い物客でにぎわうその商業施設に現在ほとんど人はいない】
【このパニック状態の中でのん気に買い物にいそしむような人間などまるで見当たらないのだ】
【いるのはすでに外で致命的な負傷を受け命を落とした者や、身を隠して外の盗賊たちに見つかるまいとしている者たちが少々か】

【そんな中、施設の真ん中を悠々と歩く二人組がいる】


「―――へー、お外はバッチリうまくいったらしいし!仕掛けを聞かされた時はビックリしたけど
こんなにうまくいくなんて思ってなかったし……カニバディールも結構大胆な度量の持ち主よね、レオ?」

『この大胆さこそ盗賊団の頭領の本領という事なのだろう
彼らがうまくいったのならよし、オレ達はオレ達の仕事を全うするまでだ……すでに来ている、『二人』だ」


【片方は肩のあたりまで伸びた長い金髪の髪の上に、"44"と書かれた缶バッチと、逆五芒星の缶バッチの着いた丸い布の帽子】
【ぱっちりと開いた目からはエメラルドのような翠色の瞳が覗き込み、まるで西洋人形を思わせるような顔立ち】
【首元に赤いリボンを結んだ紺のブレザーに、赤と黒の縞模様のスカートに黒色で厚手のタイツで足を包んだ少女だ】

【その金髪の少女の傍で佇んでいるのは、全長2mほどの大柄な体躯、弾けるような全身の筋肉を白と青の装甲で覆い】
【金色のたてがみを靡かせ、胸に"T"と刻印されたプレート、腰のベルト部分の場所にカノッサの逆五芒星のエンブレムを象った獅子の"怪人"だ】
【獅子の怪人は真っ直ぐと、その目を入口の方向、こちらに向かっている敵めがけて向けている】


「……おおっ?貴方達は正義組織の人?こんにちわー、カノッサ機関のブレンヒルトちゃんでーす、よろしくねー!
こんな所にまで何の用?今は外の騒ぎで全部閉店しちゃってるみたいだし、無駄足だったんじゃないかな?」

『…………………』


【前に現れた者たちに無邪気に笑いかけながらも、ブレンヒルトと名乗った少女は手元に緑色の丸い物を取り出して】
【獅子の"怪人"は一言も発さず前傾姿勢を取り、敵対者を迎撃する構えをすでに取っている】

/コマチ陣営、今回はブレンとレオです!よろしくです!
676 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 20:50:48.10 ID:MYoubdtWo
>>664-668

【―――風は強く吹く。幾多の戦場を通し、その全てを目にしてきた荒波となって。】
【風は強く、激しく、そして逞しく吹く。それはこの新たな戦場と化した、『昼』の名を持つ国においてもまた、同じであった。】



【"護送任務"―――という訳ではないが。直接の警護こそは叶わなかった物の、糾弾の地と化すであろう昼の国に】
【極秘裏―――という訳でもないが、"一人の女性"が、暴徒鎮圧及び護送の円滑な進行の為に、白馬と共に舞い降りた。】
【愛馬の鋼鉄の蹄が地面を強く打つ、罵詈雑言を浴びせる市民達に『はいはい、皆さん下がって―――』等と、警告を促しながら。】

【その"女"は考えていた―――『なぜ、そうも簡単に捕まったのか』と。ハッキリ言って、異常な事態だ。】
【カノッサ機関のNo.29、そして自身が追い求める仇敵でも有る大男、カニバディール―――彼の突然の逮捕。】
【勿論、喜ばしい情報では有る。彼が捕まったとあれば、後は政府機関に申請し彼への尋問に際して許可を貰いさえすれば。】
【彼女が追い求める『答え』―――即ち、"自身の仲間の居場所"と、そして"彼を誘拐し何をしようとしていたのか"という疑問も氷解する。】

【全てが上手くいく筈―――しかし、自分で直接護送任務につけないのがなんとも、残念ではあったが。】
【ともかく、現場に駆けつけてその様子を伺いつつ監視する事は出来た。であれば、何かが起こった際にも対処が―――】
【そう、対処―――上手くいく筈、だったのだが。唐突な地面の陥落。怒声。轟音。巨大な隆起物は―――見た通りのキノコ、か。】
【嫌な予感は的中した。すかさず愛馬をムチで叩き、その方向を民衆から黒塗りの車、及び震災の源流地へと向け、一気に駆け出した。】

【人の波、付近から上がる火の手、荒れた足場。これらを走破するに至って、必要な車両はどんな物か。】
【4WD、オフロードバイク、キャタピラ搭載の装甲車。色んな選択肢があるが彼女が選んだのは―――馬、だった。】
【強烈な音を響かせながら、まるで戦地に正義の鐘を打ち鳴らす様に、蹄が地面を掴み、舞い上げ、そして一歩一歩と前進。】
【考えてみれば、どんな悪路であろうと、馬であればある程度は走破可能なのだ。白い閃光となった白馬―――"Annie"が、駆ける。】


 
   まさか―――本当に予感が的中するとは、ね。護送任務ってのは『SWAT』でも『ダークナイト』でも失敗してたし
   どうにも、大々的にやるのは向いてないのかもしれないね。ヘリが落ちてくる前に―――片付け、ますかッ!


【―――爆心地、とも呼ぼうか。大男カニバディールの居るその戦災の原点に、一匹の白馬と、一人の女が舞い降りた。】
【馬から飛び降りるようにしてその正面へと立ち塞がり。地面を踏みしめるのは年季の入ったウェスタン・ブーツと、ダメージ・ジーンズ。】
【白馬に相応しい、銃煙と火薬で薄汚れた白のシャツと、その上に羽織った土気色のベストがモノトーンの戦場に色彩を宿らせるだろう】
【そして何より特徴的なのは、腰元に取り付けられたガン・ベルト―――左右と、そして背部にそれぞれが1挺ずつ、計3挺の銃が鎮座し】
【この"女性"が単なるこけおどしではない事を如実に物語る―――時代錯誤なテンガロン・ハットを深く、被りなおして。】
【神秘的なブルーと、翡翠の混ざり合った瞳をギラリ、と輝かせながら、その鋭い視線でカニバディールをまず、射抜くだろう。】


   久しぶり、と言っておこうかな。御機嫌ようミスター……ミスター、カニバディール。
   『リリア』との一戦以来、だったよね。あの時はお世話になったよ、改めてお礼と、それから―――


              アタシの仲間を傷つけて、誘拐したその"落とし前"を、つけさせて貰う為に参じたよ。

                 セリーナ・ザ・"キッド" UNITED TRIGGERの創設者にして、賞金稼ぎのガンマン。

                     アンタの悪事は見逃すわけにはいかない。正義の代行者として―――アンタを、"撃つ"!!


【―――悠然と立ち塞がった女は、名乗るだろう。セリーナ・ザ・"キッド"。風が吹き荒れて、クセのあるショートの金髪が、揺れた。】  
  
/セリーナ・ザ・"キッド"です! 今宵はみなさん宜しくお願いします!! 
677 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 20:54:15.54 ID:hOewVvypo
>>670 >>674

【クロスロード・ステーション、内部――――】

……困りましたね。これでは明日の仕事に間に合わない……。

【爆薬によって粉砕された駅舎の奥で、革靴の足音が響くだろうか。腕時計を眺めて困り顔で呟きつつ、その人陰は線路≠フ上に姿を現す】
【とうの昔に避難は終わっているはずなのだが、逃げ遅れた乗客か何かだろうか。彼は線路沿いのフェンスに手を掛けて乗り越え、広場に降り立つだろう】
【駅舎がグロテスクなヤスデに覆われていて近づけないので、線路の側から外に出たのだろう。なるほど、冷静な判断だ――――】

【――――そう、上質なスーツとロングコートを着込み、ビジネスバッグを肩掛けにしたその男は、一般人にしてはあまりにも冷静すぎた】
【そして良く見れば、大人顔負けにビジネスファッションを着こなしてはいるものの、背丈や顔つきからしてまだ年若い。少年≠ニ称すのが最も正しいだろう】
【身に付ける物品は見るからに高価そうで、長めの水色の髪もやや巻き毛気味あるものの、一本一本にまでしっかりと手入れが行き届いていて、育ちの良さが伺える】
【コートの汚れを軽くはたき落としつつ、真紅の双眸を広場へ流す――――そんな何気ない動作すら、演劇でも見ているかのように優雅で美しく見えるだろうか】

おや――――すみません、そこの方。
この惨状はあなたが? それにあの虫、あなたが操っているのですか?
困りましたね……とりあえず、虫をどけて頂けませんでしょうか。

【広場に人影はない。少年はすぐに研究者じみた風貌の女性に気づくだろう。そして彼女の呟きを聞き咎めると、柔和な態度を崩さず話しかける】
【彼女の言葉、そしてネイルに描かれた逆五芒星=B少年はそこから、その女性こそが駅舎を破壊している張本人なのだと推測した】
【そしてこのままでは仕事に支障をきたすので、虫を退けて欲しい頼み込む。……それはごく真っ当な論理であり、同時にとんでもなく暢気な台詞だった】
【この異様な状況を、理解しているのかいないのか――――あるいはこの混沌の渦中で全く平静を崩さず対応する少年の方が、真に異様≠セと言えるかもしれない】

(おや……他にもひとりいらっしゃいますね。UT所属、ミハエル・ガーナランド――――)

【少年は女性の反応に関わらず、そちらへゆっくりと歩み寄っていくだろう。一見すると隙だらけのように見えるが……】
【――――この崩壊した舞台の上を進みながら、少年は柔らかな微笑を一切崩さない。肉体的にはどうあれ、精神的な隙は全く感じられないだろう】
【また、歩いていく途中でミハエルの事にも気づくが……今のところ、少年は彼のように女性へ攻撃を仕掛ける様子はない】


/リチャードです、お二方ともよろしくお願いします!
678 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 20:59:21.27 ID:KKygzEcIo
>>668

【戦場という名称を付ける前にもっと凄惨な場所になってしまったヴェンドゥラー】
【気候のせいかなんだか昼行灯な国のイメージだったがそれはもう誰も彼も忘れていることだろう】
【街中では混乱に乗じて窃盗なんかも起きているようだ。だが警察も今はそれに構うことも止めることも出来ない】

【重厚な銀行の入り口の大きなドアが内側から蹴飛ばされて開かれた。出てきたのは武装した覆面の男たち】
【各々、金を担いでトラックや車に乗り込む中、1人の覆面の男は表で放置された警察のオートバイへと歩いて行った】

『―――工場周辺にも来やがったッッ!!東部にも応援をッッ!クソ!誰か応答しろ!』

【混乱した無線から声が聞こえる。オートバイに跨ると、勝手に無線の通話をオンにして】

よう、ご愁傷さまだな。ハッハッ!!”先払い”でたっぷり働いてやっから、安心しろよ、BABY

【半分笑ったような声で一方的に言い放って、五月蝿い無線は遠くに放り投げた。スタンドを蹴っ飛ばしてアクセルを捻る】



【ファームズファクトリーの前に停められたオートバイ。ドライバーは奥へと進み、敵と対峙する】

オーラィ、次はこっちの仕事だ……アッチもこっちも立てなきゃならないってのは…疲れるね
……っと、コレ被ったまんまだ…二足のわらじだとややこしいな………

【黒いスーツ白いシャツ黒いネクタイ。目出し帽を被り、古臭いレバーアクションのライフルを携えた男は】
【しゃがれた声でニヤリと笑う。目出し帽を脱ぎ捨てる。黒い髪、白眼が赤く黒い瞳】
【彼は肩に銃をかけたまま、誰かが動き出すまではと、ポケットからタバコを取り出して火を付けた】

/遅くなりました、ヒライです。お二方本日はよろしくお願いします
679 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/08(土) 20:59:21.59 ID:I6Qum5XV0
>>669

「くそっ……結局こうなっちまうのかよッ!」
<しょうがないでしょう……こっちの世界だって、生きてくためにはお金がいるのよぉ……>
「ったく……賞金稼ぎみたいな真似をするなんて、あまりぞっとする話じゃねぇってんだけどな……!」
――――2人とも、少し静かにしてよ……ッ!

【騒動の渦中、混迷と喧騒に包まれる『ヴェンドゥラー』の中にあって、事態の収拾のために奔走する人物たちも、決して少なくは無かった】
【軍や公安、そして個人として戦闘能力に優れた一般人。力のある人間たちは、それぞれがそれぞれの理由によって、混乱に介入していく】
【空港に向かって駆けていくその小柄な影も、そうした人物の内の1人だった】

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女】

【一見、戦闘行為など似つかわしくない、むしろ怯えて逃げ回る姿の方が似合っている様な、か弱い子供の様な姿だが】
【その緑色の瞳は、怯えよりも強い目的意識を映し出していて、その疾走も逃げる事を目的としていなかった】
【――――そうしていつの間にか、駆ける少女の姿を包む様に、黒い『気』が静かに顕現し始める――――】

――――――――ッッ
「……っ、なんだこりゃ……」
<どうも、随分とヤバそうなのに遭っちゃったみたいねぇ……こういうの、むしろあたし達の専門じゃあないかしら?>
「……世界が違うんだ……専門なんて、言ってられねぇ……まず、違うだろ……ッ」
…………でも、この事件に関わってるのは、多分間違いないよね……?

【そうして空港エリアまで踏み込んで行った少女は、眼前に表われた光景に思わず足を止める】
【――――明らかに、人々の安全に好ましくないと思われる存在が、そこに居たのを認めたのである】
【奇怪な風貌と共に、破壊行為を見てとれば、それが危険な事は誰の目にも明らかだろう】

……戦わなきゃ、いけないんだよね……
「……金の為に戦うってのが割り切れねぇのは分かるが……それでも割り切れ
誰かを守るって事にも、別に繋がってねぇって訳でもねぇんだ……言い訳にしろって事じゃねぇが……」
<グダグダ言いなさんなって……
『物事の尺度は1つだけじゃないんだから、絶対に良い事も悪い事も無い。だからここで引け目は感じなくていい』
……この一言で十分でしょお?>
……ありがとう、2人とも……それじゃ、行くよ……!
「……おぅ!」
<いざとなったら、任せなさいって……!>

【ふぅ――――と、軽く呼吸を整えると、少女は異形の前へと歩を進めていく。ぐっと引き締められた表情は、既に『戦士』のそれになっていた――――】

/リベル=アシェルです。よろしくお願いしますー!
680 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 21:05:42.36 ID:O4vNzdIY0
>>668>>678

【太陽を覆い隠すかの如く広がる暗雲は、この先に待ち受ける災禍の予兆か。轟く雷鳴は時折地面を震わせて】
【冷たい風が吹く。嫌な寒気を感じてぶるりと震える。……身震いをしてしまうのは、きっと寒さの所為だけではないだろうが……】

【――街の方からは地鳴りのような叫び声と悲鳴、響き渡る爆発音が聞こえてくる。襲撃は既に始まってしまったようで】
【もはや一刻の猶予もあるまい。街に残った強き者達の健闘を祈り、此方も来たる災難の主へと備えなければ……!】
【少女は静かにこの地に立ち、前を見据える。倒すべき黒と白を眼前に捉え、静かに足を前へと進ませる――――】
【丁度其処にはもう一人、誰かがバイクでたどり着いている。……彼は味方なのだろうか?】


【前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳。丁度十六・十七歳程の背格好か】
【首元には燕の型を取ったペンダントを下げ、背には「薬」と書かれた大きな鉄の箱を負う。彼女が歩くたびに背負った箱がカタカタと音を立て、中の荷物が多いことを伺わせる】
【纏うのはチャイナドレスに似たような燕の模様をあしらった緑色のワンピース、その上に羽織る鼠色のロングコート。下からちらっと覗くのは白い足と可愛らしいブーツ】
【コートの肩口には以前は付いていなかった赤いワッペンが貼り付けられている。鷹のマークが誇らしげに覗き、鮮やかな朱色が映える】
【手に持つは無骨な作りの朴刀。腰の高さほどにもなる大きな刀を軽々と片手で持っている……細い腕のどこにその様な力があるのだろうか】

【――――やがて彼女は白黒の二人の前へと辿り着く。無機質な二人の瞳とは対照的に、二人を見つめる彼女の瞳は静かに燃える心の内を映し出して】
【ふたりの言葉からしても、この目の前にいる少女が的なのは明らか。―――私が戦わねば街の人々の危険が増す……負けるわけには、いかない!】


――――悪いけど、ワタシは殺されるわけには行かなイ。アノ人の代わりにワタシがみんなを守るって決めたカラ……!
アナタ達には何も壊させはしなイ……―――行くヨ!

「陰陽霊符・火符」!焼き尽くセ!


【懐から取り出したのは赤い札。それを手に掲げて一声―――現れたのは燕の形をした炎が三羽。それぞれが本物の燕のように低空を舞い、二人目掛けて飛んでいく!】
【何かにぶつかればあっけなく消えてしまうが故に回避の方法はいくらでもあるが、厄介なのは直線的に飛ぶのではなく生きた鳥のように二人を追跡すること】
【勿論二人にぶつかれば紅蓮の炎が身を襲うことになる。機先を制すべく放った攻撃は、果たして―――?】

//すみません、すこし遅くなりました!お二方とも今日は宜しくお願いします!
681 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 21:08:45.50 ID:v9XdYYhco
>>669>>679

───ふぅぅぅぅ、む。これは酷い

【───そいつは、街の景色を一望出来る場所で呟いた】
【街の中心に生えた禍々しい一本茸と、辺りの様々な場所で繰り広げられる破壊の波、それらを一望すると、くぐもった声が乾燥を漏らす】

私としてはあの茸君も調べたいのですぐさまにでも向かいたい所…だが、恐らくはあそこに首謀者だろうな、これが捻くれた作者の書く物語でなければ
とすれば、新入りが出しゃばるよりもここは身の丈を弁えて殿を───おや?

【嫌に饒舌な独り言として考察を垂れ流し、自分がこの場に於いてどうするべきかを決めあぐねるその人物は、遥か上空から戦火を見降ろしていた】
【その人物が跨るは箒=c…に、辛うじて見れる様な物体。鉄で出来た煤けた体に、大小のマフラーが幾つも束ねられ、そこから黒い蒸気を上げながら空を飛ぶ鉄の箒だ】
【箒に乗るなら、乗る人物も正しく、といった風貌をしている】

【長い茶髪をツインテールに纏めて揺らしている人物だ、ガスマスクに覆われて顔は見えず、性別は判断し難い】
【油汚れに塗れた白衣に重ね着した革のコート、真鍮や銅の飾り歯車が着いたそれと同じ素材の尖り帽子にはゴーグルがかけられていて、頑丈そうなブーツと革製の指貫手袋を履き】
【背中には鉄と部品と歯車が色々と見え隠れするバックパックを背負っている】

……ふむ、あれも興味深いな、私はあちらにするか

【その人物が見定めたのは歩く掘っ建て小屋、下方に見えたそのフォルムは、酷く興味を惹いたのだ】
【黒い蒸気を尾に引きながら一気に近付く、だがその中で、自分よりも先に件の物体に近くあった物が突如爆発した】

【その人物からはそれ≠ェ丁度陰になっていて見えなかった、棘だらけの男が素手でヘリを落としたとは思わず、突如近距離で爆発したヘリの爆風に強く煽られる】

うなああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!?

【あっちへこっちへ、ふらふらと高速飛翔を始める箒に振り回される搭乗者、そのまま箒は地面へ向かって降下し始め───】
【ガスン!と先端をコンクリートに突き刺す様に、リベルと男の間に落下、衝撃で搭乗者は地面に投げ出され、転がった】

……あいたたた、いやー死ぬかと思った…だがなんたる幸運!私はまだ生きている!
ふっふっふ!この幸運に恵まれた私を相手にする事になるとは君も不幸だな!
名乗らせて貰おう!!私の名はDr.フォギー!UNITED TRIGGERの一員にして発明家!!
さあ!この私が相手だ!そしてその家を調べさせろ!さあ!!

【───すぐに立ち上がり、大声で口上を立てる辺り、全く平気らしい】
【フォギーと名乗ったその人物は、名乗りながら指を指し、宣戦布告を早々に立てた…………リベルに向かって】

……あ、こっちか

【そのポーズのまま、呟きながら反転し、男を指差した】
【コンクリートに刺さった鉄の箒が倒れ、虚しく音が鳴る】

/Dr.フォギーです、よろしくお願いします
682 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:13:33.19 ID:USRLXB8io
>>675

「残念だったの――正義組織とはまだ関係ないのだ」
「いずれは語らってみたいとは思っておるがの」

【ブレンヒルトらに向けて歩いてくる、一人の男がいた】

【その男、身長は約190cmといったところであろうか?】
【服の上からも判る逞しい肉体を漆黒の法衣で包み】
【手にはそれぞれ曲剣を一本ずつ握り締め、背には引き抜くにも苦労しそうな長い大剣が括りつけられていた】
【この男の妙な点は、肩から生えた漫画のフキダシを思わせる形状の"ボード"の存在であろうか】
【男自身は声を一切発さず、ボード上で黒い粒子が独りでに蠢き文字を形作っていた】

【威圧的な姿に"ボード"での会話、何やら奇妙といえるであろう容姿であった】


「貴様らには特に恨みもないが……私が"英雄"に至るにはまだまだ功績が必要なのでの
「喜ぶがいいぞ悪党ども、この天才魔術師シーナ・ゲルギル様の英雄譚の端に名を刻んでやるのだ!」


【男は腰を低く落とすと、足を前後に大きく開き】
【右手の曲剣を前に突き出すように、左手の曲剣を振り上げる姿勢で構えを取ると】
【自己紹介も早々に――攻撃を開始した】


【シーナの足元の地面が砂のように分解され、崩れる】
【そして粒子状に変化した床は前方に向かい"河"のように流れ出しシーナの身体を"運ぶ"】
【例えるならばホバー移動であろうか?】
【足を一切動かさず、地面を流すことによって人体構造に捉われない高速移動を可能とした】

【狙いは怪人――レオ】
【接近に成功したならば、移動中に右手を手前に畳み溜めを作りながら】
【加速の勢いをそのままにその胸をうち貫こうとするだろう】
【例えるならば矢の一閃であろうか、素直で読みやすいがその分威力が乗っている】
【シーナ自身の高い筋力も相まって、直撃したならば相応のダメージが与えられるだろうか】

【なお、砂の移動の際に崩れる床は"シーナの足元"のみであり】
【通り過ぎれば元の床へと戻っていく】


>>喋り屋

「ぬ?どこかでも見た顔だったかの?」
「まあよい、ここにきたという事は敵ではあるまい!」

「今なら特別に、私の背中を守らせてやってもよいぞ!」


【行動しながらも、シーナはボードの背面にそう表示させる】
【"以前"……サンドワーム討伐の際は直接話したわけでもなく、互いに印象は薄いだろうが】
【シーナの方に敵対したり、反発したりする意思などはないようである】

/喋り屋の方、小町の方、よろしくお願いします!
683 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 21:17:20.02 ID:PIgvOfNWo
>>664-667>>673>>676

【夜風に満ちる白皚々とした吐息の靄、積もる煙の如き艶】
【それはさながら氷柱が如く、背筋を伝う一陣の刃にも似て】
【伝う頬の涙一つ、体温を残して吹雪けば良いと思った】


――――――Dead Memories=\―――――!!


【光が舞う、それはさながら、掌から離れた紋白の軌跡のよう】
【指先で奏でる幾重もの閃光の中、瞬く景色の一葉】
【形作る煌めきの中、堕ちる影が月光に溶けて伸びる形を描く】

【羽≠ニ形容されるべき光、包まれる蕾のような少女の声】
【ワイヤーであった、戦場のその中心に、落ちる幾重ものワイヤーロープ】
【糸の紡ぐ音律がやがて一つに、交響曲を奏で、やがて協奏するのであれば】

【空中から落ちたワイヤーが一塊に集約され、一つの輪郭を描いた】


言ったはずです止める≠ニ……貴方が、悪の道を行くなら、私が止めます、と
私の身は既に正義≠ノ無く、それでも尚、私の心は正義≠ニ共にあります

貴方が悪を成すのであれば、私は私の正義を成しましょう
シオン=エルミオール=オルテンシア、もう一度だけJustice≠フ名を冠します!


【それはか弱い指先、荒波に落ちた、たった一粒の涙に過ぎない】
【けれどもそれは、流すに足ると思うに相応の雫であるのだから】
【紡ぐ言葉の響く音律、打ち付ける風に意味を乗せて、それを感じた】

【腰まで届くような紫苑色の長い髪を白いリボンで一本に結って】
【純白のブラウスの上に臙脂色のケープを羽織って、胸元には大きなリボンをあしらう】
【同系色の短いスカートとニーソックス、しなやかな脚のラインをくっきりと示す】

【特徴的な紫苑色の瞳は彼女の童顔に似合っており艶やかに映る】
【純白の素肌はやや弱々しげだが、知的な印象と幼気な印象を与えるスラリとした体躯の少女】
【小さな手を包む白磁のような手袋がその手にピッタリとあっている】

【華奢な見た目は強さを感じさせない、けれどもその名乗った所属はかつての正義の徒であり】
【指先から零れ落ちる数本のワイヤーロープ、彼女の周囲を旋回し、夜に紛れる】
【最早肉眼では視認できないほどに、その速度を早める】

【僅かにちらつく月光が時折彼女の周囲で反射する、その稲光だけしか、辿れないであろう】
【カニバディールに相対する者達の側に立つ形で彼女の姿が揺れた】


/シオンです!皆様よろしくお願いします
684 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 21:23:55.55 ID:1pZPohw6o
>>671
【真っ先に聞こえてきたのは、その雄叫びだった。折れぬ正義の意志を胸に抱いた、勇者の声】
【長い舌で、ベろりと唇を舐める。その紺碧の瞳を、青いソフト帽を、右肩に刻んだ緋色の鷹を】
【そして、首に下げられた幽幻の宝玉のペンダントを、両手に握られた彼の銃を】
【一つ目からの濁った視線が、ゆっくりとなぞっていった】

ああ、三度目だな、マーシャル・T・ロウ。お前とも奇妙な因縁を感じるよ……
ほう、ギアの奴め、いつの間に……ラグナールの時か。ふ、ふ。やつもやるようになった

知っているとも。今でも日常で使われることも多い、便利な言葉だ。だが、面白いものでそういったものには対極の言葉もある
『二度あることは三度ある』、だ。今度も、私は倒れはしないさ……ふ、ふふ……


>>672
【この状況で、こちらに向かって歩き出す人影、尋常のものであるはずはない】
【そちらへ素早く目を向ければ、その正体はかつて自身と部下を叩きのめした巫女】

相変わらず口が悪いな、天鬼ちゆり……だが、私が今更この身に罪を重ねることを躊躇うような人間でないことはわかるだろう?
ハハ、妹の友人だから、というだけでかね? 家族想いで結構なことだ……
心配せずとも、ギアには会えるさ。すぐにな

【このような場所で巫女、というだけで異質と言えるだろう。だが、何よりもさざ波一つ感じさせないその表情】
【これほどの惨状を前にして、顔色一つ変えはしない。でありながら、ひしひしと伝わってくる闘気】
【歩み寄る彼女に、巨躯が向けられる。一つ目の視線が、その姿を見下ろす。悪意に満たされた一つ目で】


手下が世話になったのは、こちらも同じだ。礼がしたいのは私のほうこそだよ
“償え”、か……ふ、ふ。言ってくれる。まだまだ、罪を重ねたりないんだ。すまないが、償っている暇などないね
ああ、こんな真似をしていれば、敵も多い。だが、それでこそ大舞台にはふさわしいというものだ

【澄み渡った彼女の声は、カニバディールの歪んだ耳には忌まわしく響く】
【取り出される札に、その巨躯から警戒の気配が湧き上がるも。まだ仕掛ける様子は見せなかった】


>>673
【狂人の一人が、一撃のもとに叩き伏せられる音。ゆっくりとそちらへ顔を向ければ、今や馴染みの顔があった】
【燃え上がる彼の瞳。湧き上がる気迫。彼もまた、歴戦の勇士】

ライラ!! 来てくれてうれしいぞ……。ふ、ふ。それは私への信頼と捉えていいのかね? ハハ!! 冗談だ、気にするな
グランツの一件は、お前たちのおかげであまり芳しくない結果に終わったが……今度はそうはいかんぞ

かかってこい、ライラ。カノッサ機関ハンターの首、この場で叩き落としてくれる

【宿敵同士。この場に集った戦士の中ではおそらくもっとも因縁深い相手】
【バトルアックスを握り直し、信念を言葉にして叫ぶ彼に、悪意が対峙する】


>>676
【響き渡る、その音。この場で聞くには似つかわしくないそれは、馬の足音だった】
【猛々しさすら感じさせるその足音は、足場の悪さなど無きが如くに戦場を疾走する】
【確かに、この場で馬を車両に選ぶのは合理的判断だ。だが、その馬をこうまで見事に操れる者がどれほどいるだろう】

【カニバディールの単眼の前に身を躍らせる、白き閃光。そして、それを駆る勇者】
【映画の中から飛び出したかのような姿はしかし、この世界では知らぬ者なしと言っても過言ではない】
【己へと向けられた神聖さすら感じる瞳に、ドス黒い一つ目で応える】

……本当に久々だな。こちらこそ、あの時は世話になった、セリーナ・ザ・"キッド"
その後の活躍の数々は、耳に入っているぞ。UNITED TRIGGERの長を名乗るだけのことはある

落とし前、か……ふ、ふ。らしいセリフだ
いいだろう、来るがいい。お前の正義で私を撃ち倒して見せろ

/続きます
685 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:24:53.79 ID:1pZPohw6o
>>675
[ひっ!!? こ、これはコマチ様!! も、もったいないお言葉でございます……!!]
[お察しの通り、戦場はこれなるマーディケリウムのふもとって寸法ですぜ。これというのも、コマチ様のご協力の賜物でさ]

[ええ、ええ、腕がなるってもんですよおぉ!! っと、そちらにも敵さんのお出ましですかい……]
[ブレンヒルト様方のご武運をお祈りしますぜ!!]

【通信機から響いた声に、不意打ちを食らったように驚いたものの、すぐに調子を取り戻す】
【だが、この場を六罪王にして出納係の少女に見られているという事実は、少なくともスカーベッジにはプレッシャーを与えてもいた】


>>ALL
【役者が揃った戦場に、新たな気配が割り込んだ。二人分。下卑た悪党特有のそれ】
【中央部の各地に散っていた暴徒の群れの中から、ここに戻ってきたらしい】


……来たな、二人とも。見ての通りの状況だ
手を貸せ。給料分はきちんと働いて見せろ

<へ、へへへへへ……わーってるべよ、カニバディール。あんまり殺し甲斐がなさすぎてもつまんねーべ>
油断しすぎるなよ、キメラウルフ

≪貴方にあまりえらそうにされたくはありませんがね。仕事はちゃんとこなしますよ≫
そうしてくれるとありがたいね、クリアーズ

【一人は、野太い声と訛った言葉で話す男。メインストリートに現れるなり、やかましい音楽を流させていた男だ】
【一束一束が色も髪質も違う、極彩色のドレッドヘアを後ろに伸ばしている。黄色い瞳を血走らせ、曲がった鼻筋を歪めてにやにやと笑っている】
【口元からは、蛇のように先端が二つに裂けた舌と、すっかり黄ばんだ乱杭歯が覗く】

【裸体をさらした上半身の上に、袖を切り落とした革の黒いジャケットを羽織り、青いジーンズにバイクブーツを着用】
【ジャケットの背中・全面・左右あちこちに、さまざまなロゴやアルファベットのパッチが見境なく縫い付けられている】

【だが、最も目を引く箇所は、露出した両腕と胸部。両腕にはオオカミの、胸部には蛇のタトゥーが大きく彫られていた】


【くぐもった声と慇懃無礼な口調で話すもう一人は、感染症対策の白い防護服に身を包んだ青年だった】
【隙間なく防護服で身体を覆っているが、頭部のみが円筒状のカプセルに包まれている】
【カプセルの中に泡が漂っているのを見れば、カプセルは液体で満たされていることがわかるだろうか】

【カプセルの中で液体に灰色の髪を揺蕩わせる青年は、色素の薄い瞳に冷たい光を宿して対峙する相手を観察している】
【防護服の背中には、数本のホースとノズルが繋がったポンプを背負っていた。何とも動きづらそうな、珍妙な風体だ】

【新たに出現した、二人の異形。だが、その口調にはカニバディールの配下『スクラップズ』のような、カニバディールへの服従は見られない】
【それどころか、彼を見下し蔑んでいるような気配すら感じられる。キメラウルフとクリアーズ。正体不明の異形たちが、互いに目配せをした】
【それを知ってか知らずか、カニバディールがわずかに口角を上げ、すぐに元に戻した】


ああそうだ。もう一人、大切なゲストを忘れるところだった

【カニバディールが、右手の指を打ち鳴らした。すると、巨大キノコ・マーディケリウムから数本の菌糸が伸びて】
【地面に空いた穴の一つへと降りて行った。このキノコ、カニバディールによって使役されているらしい】

【菌糸が穴から引きずり出し、柄の部分で縛り上げて磔にした物。それは、一体の人形だった】
【少し長めの茶髪と丸い目に青の瞳。中肉中背の体格に面長な顔】
【白いシャツの上に羽織った青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【人のそれとは異なった質感の肌、ガラス玉めいた無機質な青い瞳。服の上からでもわかる、四肢の球体間接】

【生き人形、ギア・ボックス。その身体はだらりと垂れさがり、本当の人形であるかのように生気を感じられない】
【だが、その瞳が彼らを見た瞬間。わずかに光が戻る】

/続きます
686 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:25:16.82 ID:1pZPohw6o
>>ALL
「――セリーナ、さん? ライラさん、ロウさん……ちゆりさんも……」

【あまりに弱弱しい声。だが、先ほどの生気の抜けた姿とは見違えるように、その瞳に意志が戻ってきた】
【いつぶりに会うのだろうか。鉄火場を共にした仲間たち。このような状況にも関わらず、ギアは湧き上がる喜びを抑えきれなくなった】
【それを土足で踏みにじるように。カニバディールの声が飛んだ】

わざわざお前を呼んだのはな、ギア。お前をさらってからというもの、今まで出来ずにいたことをここでやっておくためだ
お前が我々の邪魔をしたことは、恨んではいない。旧友のよしみというやつだ……

だが、カノッサ機関構成員としては、お前には報復をしておく必要がある。機関の沽券に関わるからな
やれ、スカーベッジ。まずは、夜の国で幾度も機関の前に立ち塞がり、レギン様の邪魔をした罪だ

[アイアイサー、ボス!!]

【柄の横に待機していたピアス男・スカーベッジが右腕を上げる。すると、その腕の肘から先が】
【ガラス片のブレードに変換された。ゴミと自身を融合する、スカーベッジの能力】
【スカーベッジががブレードを振るい、磔にされたギアの左腕に突き立てた。そのまま、ぐりぐりと抉った】

「――――ああああああああああああああああああああ!!!!!!」

[ひひ、ひひひひ……ギアの旦那、お気の毒ですがこれがカノッサに刃を向けた報いってやつですぜ……!!]

【これ見よがしにギアをいたぶるスカーベッジ。報復などと言いつつ、明らかにギアと面識のある者たちを揺さぶるための行為だ】


さて、さすがにこれだけの実力者を向こうに回しては少々荷が重い。援護射撃を頼むとするかね

【カニバディールが右手の指を鳴らした。すると、背後の巨大キノコの口が、不気味なうめき声を上げる】
【同時に、その身体から生えた菌糸が、まっすぐに伸ばされた。多くの戦闘を経験してきたであろう彼らならば、キノコから放たれる殺気がわかるだろうか】

【菌糸が、放たれた。長大な針のような姿となって、正義の使徒たちに降り注いだ。一つ一つは大した威力はないが、攻撃範囲は広い】
【それに続くように、悪漢どもが行動を開始する。カニバディール、キメラウルフ。クリアーズ。三人が動き始める】


【まずは、カニバディールが動いた。バトルアックスを振りかぶる。その刃を強い光が包む】
【間髪入れずに振るわれた刃から、光の刃が解き放たれた。二本】
【狙うは、>>673のライラと、>>676のセリーナ。まずは牽制といったところか。軌道は単純。だが、当たれば光の熱による火傷をその身に負うだろう】


<へへ、へへへへへ!! いけいけおめえら、あの女ぶっ殺してやんべ!!>

【笑うドレッド男・キメラウルフが左腕を掲げる。すると、その腕に彫られたオオカミのタトゥーが動き出した】
【次の瞬間、タトゥーのオオカミが現実の怪物となって飛び出す。空中を滑るように動く、二頭のオオカミ】
【タトゥーの生物を実体化させる、キメラウルフの能力。狙いは、>>672のちゆり。彼女の両側から、オオカミが噛みつきを仕掛けようとするだろう】


≪さて、掃除を始めるとしましょうか≫

【すまし顔のカプセル男・クリアーズが背中から伸びるホースを、その先のノズルを手に取った】
【向ける先は、>>671のロウ。その先端から、鉄砲水のごとき勢いで水が噴射されようとする】
【水も圧力をかけて打ち出せば、立派な凶器。まともに当たれば後方に吹き飛ばされるだろう】
【さらに、水をその身に浴びたとすれば。ロウに奇妙な寒気が襲い掛かるはずだ】

【この水は、クリアーズの能力で作り出された水。敵に当たれば急激に気化し、その体温と体力を奪っていく代物】
【悪意を秘めた水が、一直線にロウへと向かっていこうとするだろう】


【奥のスカーベッジは動いていない。ギアの見張りも兼ねているのか】
【未だそのブレードはギアを抉り、悲鳴は間断なく続いていた】
687 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:28:21.91 ID:5GDwn0Ll0
>>675

【そんな閑静なショッピングモールに現れる、もう一人。マイペースにだらだらと歩いてきて】
【細身の体、黒い影。それが若い少女であることはすぐに分かるだろう】

『―――あぁもう…次から次へと、色んなとこでテロリズムっちゃってさぁ…休む暇もないっての』
『あっちの方も大人しく捕まってくれてれば、無駄に戦うことなんてないだろうに…』

【少女は北の方角―――件の中央部が存在するであろう方向を見つめて、ため息交じりに呟いた】
【と言っても、実際に溜め息をついたわけでもなければ、ちゃんと口を動かして喋ったわけでもない。にも関わらず、声は響いた】
【誰かがその気持ちを代弁しているかのように、少女から確かに聞こえたのだ。その現象は言うなれば、まるで腹話術のよう】

【―――グレーのフリルブラウスと着崩した黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルトをブラウスの上から巻いて。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカット。闇に溶けてしまいそうな暗い配色の少女】

『―――べーつに?今は買いたいものなんてないし…こんなところでショッピングするほど、私も馬鹿じゃないんだよね』
『そっちだって大体分かってるんじゃないの、その口ぶりはさ…生憎と正義組織の人間じゃないんだけどね、私は』

【その少女、よく見れば喉元に右手の人差指を常にあてがっていて―――レコードを鳴らすための針を連想させる】
【奇妙な発声方法が腹話術ではなく、能力であるということは、その奇妙な行為と発音の綺麗さから想像できるだろうか】
【少女は向こうからやってきた二人組に顔を合わせると、立ち止って、ジョークにも成りえないような文句を紡ぐ】
【無表情、ではあったものの、少女の声色は妙に鋭くて―――気が立っている、という印象】

『―――無所属。喋り屋もといトーカー…流石にこれ以上の騒ぎは起こさせたくないし…止めさせてもらうよ』

【そっけない名乗りを済ませたなら、まるでそれが合図だったと言わんばかりに赤色の魔翌力が溢れて】
【やがて掌くらいの大きさの火炎球を生みだして、まだ攻撃をされなさそうなブレンヒルトへと真っ直ぐ放たれるだろう】
【威力、速度ともに大したことは無く、軌道も直線―――様子見の下級魔術、といったところか】


>>682

【―――見たことある顔に気付けば、記憶を探り出して…そういえば、砂漠に居たかも、とか思い出す】

『―――残念だけど、今誰かの盾に成れるほど元気でもないんだよね』
『まあ、足は引っ張らないようにはするからさ…そっちはそっちで好きにやりなよ、私もそうする』
『両方、遠距離っぽいし…あんまり力になれるか分かんないけど、そこんとこヨロシク』

【―――ぶっきらぼう、という感じ。要は今のところは各自好きに動こう、とのことらしい】
【もしかしたら前見た時よりも、テンションが低そうにも見えるが…気のせいとも言える】


/喋り屋です。お二方よろしくですー
688 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:28:35.78 ID:MQBFMNRJo
>>674

【オリーブ色の瞳が狂いなくミハエルを捉える。動く気は無く、何をしようという気配もない】
【ただ所属と名乗りを受けて――笑みを深めたように見えた】

ご丁寧にありがとね。そうね、あなたの推測は当たってるわよ
カノッサ機関所属、カーディ・スクワーマ――カディと、そう呼んでちょうだい?

【車の上で足を組んで、わざと見せつけるように爪の模様を示すだろう】
【まるで動じず、むしろ余裕を含むように言葉を紡いで――ミハエルを一瞥した】

【顔の隣に出現するルーレット。ランダム性の強い能力だろうかと思考。まだ、動く様子はなくて】
【魔弾が発射されると同時に彼女も詠唱を始める】

――リンク・ディメンション

あなたも運が悪いわね……私が飼ってる虫の中には人を食べる子もいるの
気の毒だけど、血も肉も、全部栄養になっちゃうわね

【すると彼女のすぐ傍に広げた両腕程の大きさの魔法陣が二つ出現する】
【別の空間に繋がっているのか、そこからずるり、とムカデが姿を現すだろう】
【黒い身体に赤い足――見た目は普通のムカデだが、大きさが人の胴と同等かそれ以上はある】

【這い出たそれは、頭部をうねらせると魔弾を弾き落とし、ミハエルへと突進してゆくだろう】
【肉薄したならばその凶悪な顎を開いて、脚に噛みつこうとするはずだ】
【ムカデは猛毒を持つ。命を奪うものではないが、痛みを増幅させる】
【噛みつかれれば――まさに死ぬほどの苦痛を味わうことだろう】

>>677

【ミハエルが現れてから少し経ってからだろうか】
【彼女は声をかけられてようやく、スーツを着た少年に気付く】

――あら、ごめんなさいね。気付かなかったわ
そうねぇ、操ってはないけれど……放し飼いみたいなものかしら
ただの餌の時間よ? そっとしてあげてね

【問いに返したようで――その実ちゃんと答えていない。ふざけた返答だった】
【だが、肝心なことは伝わるだろう。彼女は虫達を退けるつもりは毛頭ないようで】


……おとなしい子は好きよ。言いなりになる子はもっと好き
あなたはどっちかしら。それとも実は――どちらでもないのかしら?


【位置的に少年は、カーディの背後のどこかにいるのだろう。彼女は首を捻り、視界の端に彼の姿を映した】
【――少年と同じく隙だらけ、と取れるだろう。しかし出現した魔法陣はひとつ】
【片方はミハエルの迎撃に使われているが、もう片方に動きは無く】

【攻撃するか、それとも別の道を辿るか――それによって彼女の動きが決定されると言っても過言ではない】
689 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:34:47.60 ID:1pZPohw6o
>>683
【来る、最後の一人。響く声は儚くも強く。舞う光は淡くも美しく】
【羽の姿をとる光、響く信念を秘めた少女の声】
【そして、ワイヤー。空中から落ちたワイヤーが一つの形を成せば、降り立つはあの日見たのと変わらぬ姿】

……ああ、お前は確かにそういったな、シオン
世に悪が尽きず、正義も然りか……因果なものだよ

そうだ。私は私の悪を成す。お前はお前の正義でそれに対抗してみろ
来い、Justice

【向けられるカニバディールの声は、静かなものだった】
【しなやかで細く、されどどこまでも強い。名乗るそれはかつての正義の旗頭】
【戦いの舞台としては、出来すぎなほどだ。しかし、それに横槍を入れる声】


<お! 新手だべ!! おいカニバディール、あの女も俺がもらうべ!!>

【ドレッド男のキメラウルフが、目ざとく彼女の姿を見つける。先ほどちゆりに放った方とは逆、右腕を掲げる】
【右腕のタトゥーがやはり動き出し、二頭のオオカミが召喚される。空中を滑るように、蛇行しながらシオンに迫る】

【溜息をつきながら単眼の視線をそらしたカニバディールにかまわず、二頭のオオカミはシオンに襲い掛かろうとする】
【やはり、ちゆりに向かったそれを同じ。両側から食らいつこうとする、単純な軌道だ】
690 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 21:37:25.64 ID:KV8Fwy7mo
>>678>>680

【二色四つの瞳が獲物を捉える。最初に現れたのは――――男】
【どうも正義漢、という風には見えないが、機関員であるとも見えず】

そこで何してるのかな?お兄さん。
「逃げなくていいのかな?お兄さん。」

『…………殺しちゃうよ?』

【とはいえ、いきなり襲い掛かる真似はしない。言葉を 投げる内に更なる獲物が一人、現れたが故。】
【今度は少女、か。―――と言っても二人よりは年上に見えるが】

【彼女の立場を示すその鷹は、明らかな敵の証。しかし二人が動くより速く、彼女が動いた】

くっ……!

【三羽の紅蓮の燕が駆ける。だが、二人の対応は素早い】

【一羽、“黒”がパラソルの先端より放った魔力の弾丸が撃ち落とす。】
【一羽、“白”の漆黒の鎌が薙ぎ払う。蒼雷が迸り、燕は霧と散る】
【一羽、躱そうとした“白”の左腕を掠め―――幾らか肉を焼くものの、同様に薙がれ散る】

―――これくらいなら大丈夫。いくよ、プシー。
「分かってるよ、クシー。」

【「戦う事」を仕事と称するだけあり、そう簡単には倒れはしない、といったところだろうか】
【声を掛け合うのとほぼ同時、受けた傷に休む事すらせず、二人の仕事≠ェ始まる―――!】

【まず、“白”の動き。コンベアを一蹴りすれば一気にしゃがれ声の彼へと身を飛ばす】
【そして横薙ぎに振るうは漆黒の鎌―――先ほどの燕を見ていれば分かるだろうか。】
【この刃は、雷を宿している。つまり――斬撃を受ければ、体内へと電撃が流れ込む……!】

【一方、“黒”。こちらは尚もコンベアの上、パラソルを構え……少女へと魔力弾を放つ!】
【大きさや基本的な性質は一般的な弾丸と同じ。しかし一つ―――異なる性質が付加されていた】
【炸裂=\――読んで字の如く。着弾した瞬間に炸裂するのだ】
【身体に受ければダメージが大きいのは言うまでもないが、回避しても足元、コンクリートを砕き、破片を撒き散らす訳で……】
【生半可な回避では無傷でいられない、という厄介な攻撃であった】
691 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 21:43:47.70 ID:UNA6s/c+o
>>679,681

「クハハハーーッ!」 「爆発、爆発、爆発!」 「いいぜェ、ド派手な祝いになってきたぜェ!」 「なァーんか吹っ飛んだ気がするけどどォーでも良いぜェーッ!」

【フォギーが爆風に煽られた様な気がしても、省みることなく――続いて破壊するはセスナ機。――棘の拳が機体を歪め、ヒビを生み、破片を作り、――】
【――そうこうしている内に、破壊の過程で生まれる火花が燃料に引火、爆発】
【こんな調子で次々と"モノ"を壊してゆく、それはそれはもうこの上なく愉しそうな表情で】

『む……こォの臭い……来ィやがったな、正義の糞共が――おォい、……おォい、こォらッ、ヘケメディオン! こォっち来ォい、……あァ糞、弟ェ子のくゥせに……話聞ィけェッ』
「あァ?」 「どォーせまた隠し子問題の事聞くんだろ、オレは知らねェし、嫁も知らん、……あァ、今わかった、"アイツ"の仕業じゃアねェーのか?」
『あァなァるほど、"アイツ"か、アイツなら納得だって……違ェーよ、正義の糞共が早速来ィやがったんだよ、そォいつらぶゥっ壊さねェーと破壊活動続けらんねェーぞ?』
「ほォー、それは困るッ!」 「――ヘケケッ、じゃアーその正義とか何とか言う奴ブッ壊すぜェ〜ッ!」 『良ォしよし、そォれで良ォい』

【何度も叫ぶ声がナニカから発せられた、――そして、ようやく男がそのナニカの元に戻ってくる】
【その男はナニカの命令を従順に聞くような存在ではないようだが、性格をうまく利用して――2人に敵対するよう誘導する】

『……ククク、金なァんざどォーでも良ォいが、何かを求む事は良ォいことだ』
『――俺様は混沌を望む――こォこの連絡網の一つを完全に断ァち切ってしィまえば、No.29やマーディケリウムなァんかを邪ァ魔する奴が減ェる、って訳』
『あァと、そォっちの奴――俺様のこォの"ベテアエンテキシロム(悪しき闇の掘っ立て小屋)"に入りたいなら、まァずは入る時だけでェも友ゥゥ好的にすゥるんだな!』

【――黒いナニカがそう語ったかと思えば、もはや形すらなくして男の方へ飛びかかり――そして、彼に吸収されたようにみえる】

「うわぁ……オレ、怪しげなナニカにいれられる趣味ねェんだけど……」
『うゥるせェな、今は幾ら空ゥ気が良くともまともに戦えねェんだよ――だァったら、一時的にテメェーの力の一部になァった方が得だ』
「で?」 「オレに得あんの?」 『破ァ壊力UP』 「良いねェ、良いねェ!」

【男の豊かな表情から一貫して見える"余裕さ"――2人くらい、簡単に捻り潰してやろうかと思っているようだ】

「オレの名は『破壊と暴虐の化身』ヘケメディオン!」 「どォーでも良いけど、やっぱり師匠ってしつけェわ、毎日毎日連絡いれやがって、寝不足になるっつゥーの」
『良ォいd』 「――んじゃ、茶番はこの辺にしてテメェーらも此処もぜェーんぶブッ壊してやるぜェーッ!!」 「グランドニードルトゥース!」

【――人外的パワーで振り下ろされる右の拳、但し2人に対してではなく"地面"にだ】
【その意図はすぐに分かる、叩かれた地面が砕けると同時、その正面に無数の棘――手足等のそれと同じモノが生えてきたのだ】
【長さもそこそこなそれは地割れのごとく次々と生えて、2人のもとにへと迫るッ!】

【狙いは性質上脚であり、棘の破壊は可能(破壊した場合、連続的に生える棘がその場所で停止する)】
692 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:49:42.67 ID:KKygzEcIo
>>680 >>690

まあ……色々あるんだよ、俺にも……どっちにもついてないとね

【煙草の煙を吐き出して、慌てる様子も怯える様子もなく答えていたら】

……危っぶね!!

【後にやって来た少女。まあ、まずは軽く挨拶と思った瞬間にそんな悠長な考えは】
【向こうには無いらしく急な炎。勿論、此方に飛んできたワケじゃないんだけれど、彼は慌てて】
【何かしらの機械の影へと飛び込んで背中を貼り付け、煙草を指に挟んだままライフルをコッキングする】

……SCARLETか……丁度いい。……嬢ちゃん、今回の報酬は幾らになってるんだ?
まあ、いい。……俺の分も出るんならセリーナのところにでも送っといてくれ

【ニヤけたツラでそれだけ言えば煙草をくわえて、両手でライフルを抱える】
【警察でも自警団でもなさそうなこの男。UTとは関係はある風だが……まっとうな人物にも見えない】
【ともあれ、2対2で数の上では互角にするためにはこんな奴の手も借りなくてはならないだろう】

……クソッ!!

【一直線にやって来る。間合いに入ってしまえば不利なのは此方なのは明らか。男は銃を構え】
【その胴へ向けて引き金を引き射撃を行なう。少し、早かった。確実な命中には遠い。それに射撃の自信もない】
【オートマチックはてんでダメでなんとか扱えるのがこれだったにも関わらず…だ。男は命中したかも確認せずに】
【直ぐ様機械の影に戻って、ライフルをコッキング。その場から離れて距離を取るためにダッシュ。ベルトコンベアの下をスライディング】
【くぐり抜けて、また別の機械の影へと隠れた。弾着を見ずに直ぐ様移動する様子から、やはり単なる素人ではなさそうだった】
693 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:53:47.14 ID:AKPlT9xso
>>686 >>672 >>673 >>676 >>683

【―――密かな願いは叶ったようで、どうやらスクラップズ対ロウ一人という勝ち目のない戦いを避ける事は出来たらしく。胸を撫で下ろし、視線を仲間へと移した】
【……大会で見た面子が、並んでいる。ライラに天鬼ちゆり―――……話したことは無いが、二人共印象的な戦いを繰り広げていた為に覚えていた】
【それだけではない。見た目からはその事実が疑わしいのだが、justice≠名乗った彼女。―――その組織とロウの間に、少し壁はあるかも知れないが頼もしいことには変わりない】

……―――不幸中の幸い……っての? こーんな豪華な面子が揃ってるのはさ……! justiceに大会勢なんて金取れるぜ……?
おい、解ると思うがコイツは強え……身体の中の肉を操る能力に、光の刃を飛ばす―――しかも一番きついのは、コイツだけじゃなく手下も厄介な事だ……!

【スカーベッジに視線を移し、紺碧の瞳を細めて睨む。―――心強い仲間を得たからか、瞳の煌きは先程よりも輝いて見えた】
【其処に遅れて、もう一人の仲間。―――……密かに存在を意識していた彼女の名はセリーナ・ザ・キッド=Bド派手な登場をやってのけた彼女を見て、少しだけやられた≠ニ思った】
【―――色々と話したい事はあるが、今はその時じゃない。話すならカニバディールを捕まえ、平和を取り戻してから―――と、視線を合わさず、言葉だけで呼びかける】

―――UTとSCARLETのガンマンが、こんな所で共闘するとはな……W-phone見たかよ、セリーナ・ザ・キッド=B……ある程度の情報、頭に叩き込んでんだろうな……?
……カニバディールの、スカーレットの悪事は―――俺達全員、許すわけにいかねぇ。

―――みーんな正義の代行者さ……テメェら全員の悪事、1つ足りとも見逃さねぇ、1つ足りとも許さねぇ。スクラップズよぉ……―――正義、舐めんなコラァァァアッッッ!!!

【両銃口がカニバディールへと向く。正義を誇った男が吼える。―――SCARLETの紋章を背負って牙を剥く様は、まるで守護獣。気迫に満ちた大声量が、メインストリートに響いた】
【―――しかしその咆哮を受けても、カニバディールは怪しく「ふ、ふ」と微笑んでいる。ロウの心に不快な感情が沸き立つのを助長するかのように、怪しげな2人が姿を見せる】
【……一目見てスクラップズと分かるような外見、そして雰囲気。此方だけが仲間を増やせる訳ではない。相手にも仲間はいるのだ―――と思った矢先、更に異なる雰囲気】
【だが、彼は違った。―――ラグナールで見た彼、ギアボックス。ロウにヴェンドゥラーの混乱を教えてくれた人物であり、UTに所属している人形】

/続きます
694 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:54:06.91 ID:AKPlT9xso
>>686 >>672 >>673 >>676 >>683

―――……おいッッ、ギアぁぁぁッッ!! ちょっと待ってろ、俺が―――いや、「俺達」がッッッ!! 助けてやっから―――……ッッッ〜〜〜〜!!

【その姿を紺碧に収めた瞬間、ロウは自然と叫んでいた。絶対に助けてやる―――と強い想いを声に乗せて。……だが其れを嘲笑うかのように、ピアス男はギアの左腕を抉る】
【―――その痛みがまるでロウとリンクしているかのように、悲痛な表情を浮かべそして―――ピアス男を、凄味のある瞳で睨みつける。眼光という弾丸を飛ばすように】

           ……―――カニバディール……俺はテメェを捕まえる。……テメェは罪を重ねすぎた、その重さを知らなすぎた。
                     <<―――さぁ、テメェの罪を数えろォォォォォォォォォッッッ!!>>

【カニバディールが斧を振るうと同時に、ロウは右銃から弾丸を放つ。―――何度も経験してきた、あの跳弾。銃口から放たれた先は何個も空いた地面の穴、その縁】
【穴の縁に当たれば変則的に跳ね返り―――地を這うような軌道へとなり彼の左足首を狙う。斧が放つ強い光に丁度隠れるか隠れないかの所―――】
【……この男が一度見た攻撃を忘れる……ことは偶にあるが、この攻撃は覚えていた。その時に刃を強い光が包むことを計算し、その瞬間に紛れる弾丸を飛ばした】

【―――そして相手はカニバディール一人ではない。カプセル男―――先ほど来た相手の援軍のうちの一人が、ロウに向かって水を放射する】
【……スクラップズのことだ、ただの水ではないだろう。圧力によって放たれる水は早く弾丸では相殺出来ない―――と思われるが、此処で能力が活きる】

……―――ッッ、水ならコイツで行けるんだよォォォッッ!!

【残しておいた左銃―――その能力がモノを凍らせる氷結弾を放つということはきっとカニバディールは知っている。水ならば尚更、氷結弾の効き目は抜群―――!!】
【水に向けて放った弾丸が高圧力の水に触れると同時に、その凍らせるだろう。水を出し続ける限り、氷はどんどんと―――水を放った軌道を辿るように凍らせる】
【……つまり直ぐにでも水を切らない限り、ホースまで凍ってしまう。ロウの能力はシンプルな分、その効果は高い。……単純な攻撃では氷の弾丸が遮り、己の身を守るだろうか】

―――……掃除すんなら俺の部屋にしてくんねぇか? ……水を放つだけなら、この氷結弾がある限り相性きついんじゃないの?

【真剣な表情を保ったままに、少しコミカルな発言。―――余裕が漏れるというか、相手を煽るかのような彼らしい発言が飛ばされた】
695 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/08(土) 21:57:11.99 ID:I6Qum5XV0
>>681

「――――ッ、何かが来やがるぞ、上だ!!」
えっ……!?

【準備と呼吸、覚悟を整えて一歩を踏み出して行った少女だが――――唐突に上から、別な何かが現われると言うのは予想外だったのだろう】
【黒い闘気を発散させながら、思わず後方へとバックステップして距離を取る。落下の勢いを考えれば、それくらいしなければ危険だと踏んだのだ】

ッ……あ、あの……大丈夫ですか!?
――――え…………ぅ……?

【それが人だと判断するのに、それほど時間は必要なかった。少女は慌てて声を掛ける】
【下手をすれば、動けないくらいに怪我をしているかもしれないし――――それ以前に、死んでしまう事も十分に考えられる勢いだった】
【ましてや、ここには色々な危険が跋扈している。そんな中で動けないくらいの重傷を負うとなれば、到底黙ってはいられない――――のだが】
【突然立ち上がり、良く分からない事をまくしたてる人物――――フォギーに、少女は呆気に取られて言葉を返す事が出来なかった】
【危険な存在をそばにして、先ほどまで自分を鼓舞していた空気も、どこかに行ってしまった様に感じられて――――】

「……!」
ッッ――――…………
――――ったく……賑やかしだってんなら、邪魔だ……死にたくなきゃ、引っ込んでやがれ!!

【唐突に、すっと目を瞑る少女。次に目を見開いた時には、その緑色の瞳は『赤』に色を変じさせていて】
【口調も、ぞんざいな男言葉で、フォギーをあしらう様に睨みつけている――――余談だが、少女の声色とその口調は、奇妙なギャップを感じさせる】
【どうも、その言動が冗談か何かとしか思えず、戦闘の邪魔になるかもしれないと、考えたらしい――――】



>>691

…………っ、へっ……随分大層なもんじゃねぇか……これ
<そうね……さて、どう切り崩して行ったものかしら……?>

【瞳の色を『赤』に変えて、言動に男性的な刺々しさを含ませながら、少女は口元だけでニヤリと凄んで見せる】
【――――それに呼応するように、全身を包む黒い『闘気』の勢いが、爆発的に膨れ上がった】

こうなっちまった以上、しょうがねぇ……なるべく早く倒れてくれよッ!!
こちとら『借り物』の身体なんだからよぉッ!!

【そして、膨れ上がった闘気が両手足へと収束していき、渦巻いて行く――――明らかに、それがこの少女の戦う為の力だ】

ぶっ飛んじまうのは、テメェの方だよッ!!

【その瞬間、少女はぐっと両手を引きながら握り締め、一気に前方へと躍り出る】
【砕かれた地面からの棘をすら無視する様に――――否、実際にそれを無視するのは無理があるだろう。見せたアクションは、跳躍――――】

これは挨拶代わりだぜッ!!

【そのまま、一気に少女は異形――――ヘケメディオンへと蹴りを放つ。それも、ただの少女の蹴りなら、本当にただ『蹴っ飛ばす』で済んだのだろうが】
【纏う闘気が突起状に突き出され。更に空中で放出される闘気が、更なる推進力となり、到底ただの人間には成しえない程の、重く鋭い蹴撃となって、一気に突っ込んで行く】
696 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 21:57:59.03 ID:DAPZf1q3o
>>682

【まず最初に反応したのはブレンヒルトだった、彼女は最初に歩いてくるその男を視認すると】
【ひく、と鼻を動かしながらその男の事を観察し始めた、同時にこの男がレオの方向に近付いている事を確認する】


「へぇ……レオ、なぜかフキダシでしゃべってるこいつ、魔術師みたいだし
でも魔術師って名乗ってる割に見るからに肉体派って見た目なのがなーんか『誰かさん』を思い出させるのが気に入らないし……
気を付けてレオ、あいつ貴方を攻撃する気満々だし」

『皆まで言われずともわかる、―――ブレン、もう一人は任せた』


【どういう訳か、ボードに名乗り文句を表示するよりも早く、ほとんど会話も交わさぬ内から魔術師と見破るブレンヒルト】
【彼女の忠告を構えたまま聞きとめると同時、シーナの……一切足捌きを使用しない奇妙な移動法による突撃が行われる】
【獅子の面に表情は浮かばない、だが怪訝そうな様子を浮かべながら"怪人"はその、籠手のような装甲に覆われた両腕を前に出す】

【すると、その両腕から各三本の爪型の刃物が飛び出し、左腕の"爪"でシーナの一撃を即座に受け止める!】
【ガキンッ!という金属音、至近距離での鍔迫り合いの最中、レオは呟いた】


『……なるほど、一切足を動かす事なく移動を行うことが出来るのか
確かに純粋な武人の戦闘ではない、魔術師らしい戦闘―――……やりにくそうだ』


【そこまで呟くとレオはぐ、と左の"爪"力を込めてシーナの曲剣を勢いよく横に払い】
【空いている右の"爪"を素早く振るいシーナの左わき腹を切り裂いてくる―――!】

>>687

【続いてブレンヒルトは、もう一人―――年頃の変わらなさそうな少女に目をやると】
【ひく、と鼻をふたたび動かすと、やや驚いたようにその丸みを帯びた碧眼を動かして朗らかに話しかける】


「わぁ、今度は口を一切動かさずに声を出す魔術師が出て来たし
……でもその声は魔術でやってるんじゃなさそうだし、そうやって喉に指を当てると声が出てくる能力って訳?
来たのは正義組織の人間ではないっぽいけど、結構血の気が多そうじゃない?」


【やはりブレンヒルトが鼻を動かした瞬間に少女、喋り屋が魔術の使用者であると即座に見破っているようだ】
【もしかして彼女自身も魔術師か、いやそもそもこの一連の行動を見る限り彼女は鼻―――嗅覚で二人の魔術の匂いを嗅ぎ取ったのか?】
【どういう構造か分からないが、魔術の感応力は高い―――現に様子見の火炎球を軽々と左に動いてかわす!】


「おおっと、さっそくぶっぱなしてきたし……!
じゃあこっちもいっちゃおうかな!?―――生まれろ、『ブリューナク』!


【叫びと共に彼女の両手に嵌めたグローブ、その右手の甲に埋め込まれた赤い宝石が輝きはじめる】
【すると彼女の手元にある翠色のアイテム……『哲学者の卵』がその魔術を受けて孵化し、その手に長い突剣が握られる!】
【そして言うが早いかぼそりと二言呟くと、彼女の体がやや輝く―――この効果、バフ(肉体強化)をかけたのか?】

【強化された身体能力で彼女も喋り屋に突撃、その突剣を右肩めがけて一直線に貫こうとしてくる!】
697 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/08(土) 22:04:34.68 ID:tXgSXy080
>>688

【カーディのオリーブ色の瞳、それはミハエルの蒼い瞳と交差するだろうか】
【彼女の爪に視線を向ければ、くっきりと機関の証が見えた】

……そちらこそ、随分と余裕そうじゃないか。
気色の悪い虫がまとわりついているが、どうやらお前を倒せば解決するらしい。
…………なら、遠慮なく行かせてもらう……!

【彼の放つ魔弾を、詠唱により表れた巨大ムカデが防ぐ】
【突進し迫ってくるムカデに注意しながら、今出来る最良の選択をする】

……それは恐い、ならばしっかりと駆除しておかなくてはならないな。
…………甘くは見るなよ……!

【やはり当たらぬことがベスト、ミハエルは大剣を地面に突き刺し、それによって身体を宙へと逃す】
【大剣の上で一回転の形となってから地面に着地したミハエルは、そこから身体を横へ捻り、その大剣でムカデを凪ぎ払おうとする】
【残しておくと厄介だと思ったのだろう、もし毒等を持つ可能性をも考慮して】
【剣のスピードはその大きさに見合わず、意外にも速い】
【斬るよりも叩きつけるという方が正しいような攻撃、しかし切断面が汚くもしっかりと斬れる攻撃だ】

>>677
……ん……?何だ……人か……?
(あの雰囲気から考えて、どうやらただの通行人でも無さそうだが……)

【少年に気付くのは大剣による攻撃が終わった後だろうか】
【疑問に思いつつも、敵からは余り目を離せない】
【その為、片目だけで少年を捉えるだけで、少しだけ声を掛けるのみ】

アンタ、誰だ……?避難は始まっているはずだぞ?
……それとも一緒に戦うか……?何にせよ、一般人なら早く逃げろ……!

【そう言ったものの、少年が敵である可能性も考えつつあって】
【もしそうなら大分状況は悪くなる、なんて思っていたとか】
698 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:08:13.74 ID:MYoubdtWo
>>684-686>>ALL



【―――ギアの存在。付近に駆けつけた仲間―――ライラ・フェルンストレームの存在。】
【先輩であり、自身もまた一人のガンマンとして尊敬を抱く―――マーシャル・T・ロウの存在。】
【これから起こるであろう事に際して、予め此処で補足を入れておくが。セリーナ・ザ・"キッド"という女は、仲間を大切にしている。】

【仮に其れが一時の協定を結んだ者であろうとも、必ず最初に『援護宜しく!』と、元気良く声をかけるのがこの女だ。】
【決して無視したり、声をかけなかったり、挨拶をし無かったりという事は、無い。だがそれもこれも基本的には、の話だ。】
【この場合はまた一つ、状況が違ったのだろう。見知った顔にも、眼前の敵にも、そして自身の状況もまったく、省みず。鑑みず。】



                 ギアに―――アタシの仲間に、
                       
                                   指 一 本 、 触  れ  る   な    ッ  !  !


【―――全力の疾走。銃を抜く事も無く、ただ奔る。走る。駆る。まるで何もかもを無視するように。全てを威圧する様に。】
【ギアの悲鳴が轟く中。自身に向けて、バトルアックスから光の刃が向けられる中。そんな物は関係ないと、言わんばかりの突撃。】
【ガンマンは冷静である事が重要だ。勿論、そんな事は稀代の名手たるセリーナにも重々承知。しかし、ここで駆けず。ここで叫ばず。】

【―――ここで、立ち向かわず。一体何時。どこで。本当の怒りをぶつければ良いと言うのか。人間だ。ガンマンは人間なのだ。】
【光の刃が熱を持ってセリーナの腹部をグラ、と切り裂く。鮮血が舞い、顔がゆがむ。しかしそんな攻撃で、この女が止まるか、否。】
【向かう先はギアを磔にしているキノコの基部、そしてギアをいたぶるスカーベッジの方だ。仮に突撃を止めるのであれば、直接攻撃か。】

【ともかく、セリーナは傷を負い、熱に打たれ、それでも尚、仲間が悲鳴を上げるその中へと突進していくだろう。】
【その様はまさに、白き弾丸。直線状をぶれることなく、唯ひたすらに真っ直ぐに。彼女は今、有る意味で正気を失っている。】
【仲間の援護がなければ、きっとカニバディールにはやられてしまうかもしれない。だが、そんな事があるだろうか。いや、筈がない。】

【頼れる仲間、そして数々の英雄が、今この地にはいるのだから。仮に援護が得られなければ、それもまた必然だ。】
【セリーナは走りながら腰元の愛銃―――三つの引き金のうちの一つ、"コルトS.A.A"を引き抜いて、スカーベッジへと向ける。】
【カニバディールには注意が行って居ないために、攻撃を貰う事もあるだろうか。追撃が当たればどうなるかは、わからないままだ。】
【しかし尚、セリーナはS.A.A―――ピース・メイカー<平和の護人>を構え、走りながらも精確に、精密に、必中の射撃を慣行する。】
【放たれる弾丸は二発、一つはスカーベッジのブレード、そしてもう一つはスカーベッジ本体。果たして、この攻撃が成功するか―――!】
699 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 22:13:20.49 ID:hOewVvypo
>>688 >>697

カノッサ機関所属の、カーディ・スクワーマさんですか。それにそちらは、UT所属のミハエル・ガーナランドさんでしたね。
申し遅れました、ボクはリチャード・トラヴィスと言う者です。所属は……強いて言えば、『TRAVIS』所属かな。

【目の前で戦闘を始める正義≠ニ悪≠フ二人を眺めながら、少年は自分をリチャードと名乗って行儀良く一礼するだろうか】
【そして『TRAVIS』というのは……正義でも悪でもなく、企業の名前である。水の国に本社を置く大企業の名前、もしかすると聞いたことがあるかもしれない】
【カーディの放つムカデに、ミハエルの剣戟。そのどちらをも大して感情を揺らさず一瞥すると、リチャードは困り顔で肩を竦めた】

あぁ、それは本当に参りました。あれ以上破壊されると、駅の復興はいつになるやら。
ここにはウチの支社があるんです、あまり交通が不便になられると、流通ラインに支障が出てしまいます…………。

…………ふぅ、仕方ありませんね。
ボクはおとなしくて人のいいなりになってばかりの一般人であって、正義の使者ではないのですが――――。

【カーディの気のない返答に、リチャードは御託を並べて溜息を付く。そのどこか大仰な動作もまた、鼻につくほど様になっていて】
【次にリチャードが行った行動は三つだった。右手をコートの袖に差し入れ、左手を軽く中空へ持ち上げる。そして最後に、真紅の双眸をすっと閉じて】
【ぱちん、と左手を鳴らす――――その直後に起きるいくつかの出来事に、カーディは対応できるだろうか】


――――ミハエルさん、ボクも手伝います。
足を引っ張らないよう頑張りますので、どうかよろしくお願いしますね。

【最初の異変は、コートから引き抜かれた右手に現れる拳銃=B半身の射撃体制、揺るぎなく定める照準……そのどれもが素早い=z
【少年が暢気な笑顔のままミハエルに向けて挨拶するのと同時、発砲音―――― 一切の容赦なく、銃のトリガーが引かれた!】
【飛び出す9mm弾の狙いは女性の右太股、脚を潰して機動力を下げようという狙いだろう。狙いにはブレがなく、かなり銃を使い慣れている印象を受ける】

【――――そしてもうひとつの異変は、カーディやミハエルとは直接関係のない場所で起きる】
【ヤスデに浸食された駅舎付近の景色が……ぐにゃり、と唐突に歪むのが確認できるだろうか。そして空間は、段々と黒色に侵されて】
【数秒の後、世界は真っ黒に切り取られる。いや――――見る者にそう錯覚させる漆黒の球体≠ェ、そこに出現する!】
【規模はかなり巨大で、半径三メートルはあるだろうか。出現位置は駅舎の一階と二階の狭間といったところだ】
【……それが単なる球体ではないことは、駅舎を蝕むヤスデの群れが真っ先に実感することになるだろうか】
【これはいわば、小型のブラックホール=\―――生成と同時、そこから強烈な吸引力≠ェ発生し、ヤスデ達を纏めて吸い取ろうとするだろう!】

【もしブラックホールの中に吸い込まれてしまった場合、人間の骨程度なら容易く砕いてしまうほどの圧縮力≠ェヤスデ達の体に襲いかかるはずだ】
【ヤスデの甲殻の堅さによっては死滅まで至らないかもしれないが……少なからずダメージは負うことになるだろう】
【なお追記として、このブラックホールには一度に吸える限界容量≠ェあり、ヤスデを大量に吸ってしまうか数十秒が経つかすれば勝手に消失し】
【更に「ヤスデしか吸わない」設定が成されているため、彼ら以外の物体には何の効果も及ぼすことはない】
700 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 22:13:55.10 ID:DAPZf1q3o
>>685

【スカーベッジとは打って変わって通信機の声は平静その物】
【通信機のコマチの声は日頃と変わらない様子でその戦場に立つ者たちの様子をどこかで見ているようだ】
【この街のどこか……一番見晴らしの良い所からでも見ているのだろうか?】


まーそんなに緊張しないで欲しいッスね、確かにここにいるアタシですら心臓バクバク物の戦場だ
お前のいる所に一番連中の戦力が来てるッスからねぇ……だが流れは今、お前たちの方に向いている事を忘れるな
なにより、『組む』と決めたからには全力で仕事は全うするッスよ、心配するな


【なにせ『頼れる仲間』もいることだしなあ?などと対戦相手達を嘲笑うような皮肉を言い終ったなら】
【コマチは声から遊びを抜いて、非常時の際の行動を伝えて始めるだろう】


まあいよいよ危なくなったらこっから援護くらいはできるッスよ、ささやかな仕掛けくらいはさせてもらったッスからねぇ
緊急時には作戦開始前にお前たちに渡しておいた『スイッチ』でも押してみな、『2つ』渡したよな?手助けくらいにはなるはずッス


【"六罪王"が同盟者として動いてくれるからにはそれなりの後押しをカニバディール達にしてくれるという事だ】
【あまり戦闘のできる様子ではなかったコマチであっても、戦場に細工をしておくくらいのことはやるらしい、いざという時は使ってみてもいいかもしれない】
701 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 22:14:09.95 ID:DAPZf1q3o
>>685

【スカーベッジとは打って変わって通信機の声は平静その物】
【通信機のコマチの声は日頃と変わらない様子でその戦場に立つ者たちの様子をどこかで見ているようだ】
【この街のどこか……一番見晴らしの良い所からでも見ているのだろうか?】


まーそんなに緊張しないで欲しいッスね、確かにここにいるアタシですら心臓バクバク物の戦場だ
お前のいる所に一番連中の戦力が来てるッスからねぇ……だが流れは今、お前たちの方に向いている事を忘れるな
なにより、『組む』と決めたからには全力で仕事は全うするッスよ、心配するな


【なにせ『頼れる仲間』もいることだしなあ?などと対戦相手達を嘲笑うような皮肉を言い終ったなら】
【コマチは声から遊びを抜いて、非常時の際の行動を伝えて始めるだろう】


まあいよいよ危なくなったらこっから援護くらいはできるッスよ、ささやかな仕掛けくらいはさせてもらったッスからねぇ
緊急時には作戦開始前にお前たちに渡しておいた『スイッチ』でも押してみな、『2つ』渡したよな?手助けくらいにはなるはずッス


【"六罪王"が同盟者として動いてくれるからにはそれなりの後押しをカニバディール達にしてくれるという事だ】
【あまり戦闘のできる様子ではなかったコマチであっても、戦場に細工をしておくくらいのことはやるらしい、いざという時は使ってみてもいいかもしれない】
702 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 22:18:40.24 ID:PIgvOfNWo
>>689

【小さな横顔の直ぐ側、右の手が頬の高さにまで上がって、しなやかな指先を映す】
【宵月に照らされる白い手袋の形、彫刻のように整って、ピアニストのように可憐な指先】
【長い睫毛が宿り木を探す、呼吸を一つ噛みしめるように彼女の両目を覆い隠す】

【閉じた瞼、紫苑色の瞳の残照が揺らめいたならば、靡く風すらも紫苑の香りを描くかのよう】
【彼女の周囲がまるで、息を止めたかのように、暗い舞台の上、一人スポットライトを当てられたかのように】
【ほんの僅かな動作の中に、溢れんばかりの凛≠ニ艶≠含んで】

【その一瞬の動作の最中にも迫り来る狼牙、夜を裂く二頭が轟音を奏でながら距離を詰めて】
【一纏めにされた紫苑色の長い髪が揺れる、月光に照らされる首筋は細く華奢な、白百合のような可憐さで】
【牙を突き立てたなら、砂糖菓子のように容易く崩れてしまいそうな程に、緩やかな輪郭であった】

【彼女の首筋に狼が噛み付く一瞬――――――】


……飼い主が飼い主なら、狗も狗ですね
飼い主に代わって、躾け直してさしあげます

――――――Dead Memories=\―――――


【彼女の小さな口元、形の良い潤んだ桃色の唇、僅かに口元に溶けるワイヤーの一端】
【目を閉じたまま、ワイヤーを噛んで、頬の高さに挙げた右手を閉じた】
【刹那、彼女へと襲いかかった狼の動きを止めるが如く、ワイヤーがデタラメに絡み付こうとするだろう】

【彼女の周囲に展開したワイヤー、それが狼の動きに連動し、自動的に反応したように、口を閉じさせる形で絡みつく】
【狼に特別な能力や高い身体能力が無ければ回避は難しい、一歩でもタイミングを間違えたなら、致命傷であった】
【だからこそ、限界まで引き寄せ、彼女は動きを止めようとワイヤーを張ったのだ】


……ふざけないでください……それが悪、と分かっていらっしゃるのなら、何故悪をなすのですか
他人の行いに誰も善悪などつけられません、だからこそ人は自身が善と思うことをするんです
正しいと思えない行動をとる方に、負けるわけにはいきません

貴方の間違い全部、私が叩き直します!!


【彼女の右手が外側へと振りぬかれる、その動きに連動し、彼女のワイヤーが唸る】
【それはさながら空気が弾ける音が如く、夜風に一滴の波紋を生んだなら】
【彼女が絡めとったであろう狼£Bを放り投げる¢_いはドレッド男≠ノ向けて】

【彼女の手繰るワイヤー、それは超一流の琴の奏者が如く、指先よりも繊細に踊ってみせる】
【同時に彼女は強く地面を蹴って飛び上がる、空中に飛び上がって、重力に引かれ、落ちる】
【否、彼女が地面に降りるより疾く、彼女の足元に光が集まって――――――】


……私の能力Dead Memories≠ヘ記憶≠司る能力です
これだけの大きな道ですから、トラックの一台や二台、通ってるに決まってますよね!!


【言葉のとおりであった、彼女の足元に出現したのは巨大なトラック#r気ガスを吐きながら地面を揺らす】
【その荷台に飛び降りたなら、トラックに乗って、そのまま距離を埋めようとするだろう】
【疾走よりも疾い#゙女の接近、しかも巨大なトラックであるのだ、もしぶつかったならばただでは済まない】

【攻撃は無い、けれどもただこの質量がこの速度で突っ込む時点で十分すぎる攻撃であろう】
【回避か、あるいは迎撃か、そのどちらかを彼女はその能力によって迫る=z
【けれども、カニバディールを筆頭に、決して力だけではないのがスクラップズ達の強みである】

【特に直に彼女の能力に触れたカニバディールならば、何の制約も無しにトラックが再生できる訳が無いと気づける筈だ】
【判断は一瞬、されどとるべき手段は決して一つに絞られない、それだけの力の持ち主であるとは、彼女も知っている】
703 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/08(土) 22:19:59.77 ID:FmXjIg4co
>>684-686 >>671>>672>>676>>683


「ハッ、コッチからすれば、テメーとこうやって会うのはヒジョーに胸糞が悪ぃぜカニバディール……。
 けど、今日でそれも終わりにしてやるぜッ!!!」

【男が最初に見るは、彼が持つ巨大な斧。中央の石から強力な魔力が感じられ、それだけで内心、身震いがする】
【だがライラの心は揺るがない。カニバディールがしてきたこと、それを彼の死という名の永久の苦しみで以って償わせるために】
【彼が放つ強大な悪意に必死に対抗するかのように、男は叫ぶ】

「チッ……此処に来て新手かよ……! この前顔が広いって俺に言ったな、その言葉、そのままそっくりお前に返してやるぜ」

【見たことのない異形に、思わず顔をしかめるライラ。リジルで彼自身に言われた言葉が頭をよぎる】
【キメラウルフとクリアーズと言ったか。しかし、カニバディールの首元を断つには、彼らを倒していかなければ話にならない】
【ライラのシンボルとも言える木製の杖をしっかりと握り直して―――ライラは、目を大きく見開いた】
【当然だろう。巨大なキノコの菌糸……最早触手の様なそれが掴む人形が、ライラが奪還へと動いていたその人物だったのだから】

「―――……!! ギアッ!!!」

【思わず声を荒げるライラ。しかし報復と言った彼らが、このままギアを放置しておくはずもなかった】
【スカーベッジが、ギアの腕へと右腕のブレードを振るう。それだけではない、抉り、傷口を大きくしていく】
【ギアの悲鳴。あんなことをされては、それもまた当然と言える。自分も魔法がなけりゃ只の人間。痛みで簡単に絶叫するだろう】


【だからライラは怒る。ギリギリと歯ぎしりし、カニバディールとスカーベッジ、そして新手の異形二人を見るその眼は】
【今まさに杖を捻って上へと引き抜いた仕込杖の刃のように鋭く、そして冴えていた。獲物を射殺す、狩人の如きその視線】
【昼の国の上空に常に浮かぶ太陽の光が刃に反射し、キラリと輝いた】


「舐めてんじゃねーぞ……! テメーらはタダの見せしめでやってるつもりかも知れねーがよ……。
 

 テメーらがギアを傷つける度にッ!!! テメーらを殺すための力が何倍も湧いてきてんだッ!!!」


【自分を始め、共闘したセリーナも、大会で見たことの有るちゆりとかいう彼女も、ロウというらしい男も、送れてやってきたシオンという名の少女も】
【ギアの顔を見たことがあるかも知れない。……いや、例え見たことが無くとも、アレは心にクるものがきっとあるだろう】
【あのギアへの仕打ちは、そういうことを計算してのモノなのだろう。そんなこと、『最初からわかっている』】
【そしてそれが、悪を討ち滅ぼすための力になる。ギアを痛めつけるその光景が、怒りとなってライラに力を分け与える】


「ッ……!! あのキノコも攻撃してくんのか……ッ!!  ――――――くっそッ!!!」


【キノコから放たれる槍のような物体が降り注ぐ。防ぐ手段はない。何とか身のこなしで避けようとするが、所詮は普通の回避能力だ】
【ライラの服に刻まれる切り傷。―――それでも傷の量が少ないのは、服の材料である「橋姫の織った布生地」のおかげか】
【更に追撃として襲い来る、カニバディールのバトルアックスが放つ光の刃。自分が普段使用する「刃」系の魔法と似ても似つかぬそれ】
【上からの菌糸針で精一杯なライラが、完全に回避できるわけがない。左腕を来られ、縦一文字に赤いやけど痕が残った】
【痛みに顔を歪めるライラだが、やられっぱなしというわけにも行かない。引き抜いた仕込杖の刃に流すは赤い魔力】



「  F  2  /  ! !   『 S l a s h   F r a m e 』 ッ ! ! ! 」



【ライラの前方に現れた赤い魔法陣をライラがその刃を振り抜き、斬る。途端、出現するのは燃え盛る炎に包まれた赤い魔力の刃】
【それが二枚、カニバディールに向かって飛んでいく。カニバディールのそれと同じく、軌道は単純で牽制用だろう】
【そして着弾すれば、刃を包む炎によって忽ちやけどを負うだろう。まさに彼の、意趣返しと言えた】
704 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 22:23:00.15 ID:USRLXB8io
>>687>>696

「ほう――"よく判っておるではないか"?」


【金属の弾かれる音と共に、シーナ上体は大きく仰け反る】
【真っ当な"武人"であればこの時点で爪はシーナを深く切り裂き、勝負はついていただろう】
【だがレオの言葉通り……シーナは飽く迄も"魔術師"であった】

【爪が到達する瞬間、シーナの足元が後方に"流れ"、1m程移動する】
【それによって爪は法衣を微かに切り裂くのみに留まった】
【術者の状態に関わらない高速移動、それにより実現した回避方法であった】


「ククク……!足元注意なのだ!」
「私と打ち合いたくば、せいぜい周囲に気を配っておるがよいぞ!」


【言葉と並行するようにして、地面に魔翌力が流れる】
【そして――瞬間、レオの左右30cm程度の位置の地面が分解、再構築され形状を変えた】
【それは石のような硬さを持った人間の腕】
【左右から1本ずつ、魔術によって作られた腕が襲いかかり、レオの足首を強く掴もうとする】
【力は成人男性の平均程度、岩石を破壊することが可能ならば然程苦労もせず砕くことも可能だろう】
【また、発生から掴む動作までタイムラグが存在するため回避することも難しくはない】
【射程距離は現在のレオの位置がギリギリ程度、回避された場合元の砂に戻り消えていく】


(さて――どう動くかの?)


【シーナはこれでレオを拘束しきれるとも、当たる確率が高いとも思っていない】
【"地面からどこからでも現れる"魔術を警戒させることと、レオを"動かす"ことが目的だ】

【――シーナの背、肩甲骨付近に魔翌力が集中される】
【魔翌力感知に長けていた場合、それを察することも可能であろうか】
705 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 22:23:48.89 ID:9lf2AhFd0
>>684-686
「――――全てが事実です。口が悪いでは無く、耳が痛いと表すべきではありませんか
……暇が無いならば私が作って上げますよ。貴方はただ、くぐもった悲鳴だけをあげていれば良いのです
何も喋らず、何も話さず。ただ壊れていく身体を見て生きる希望を失っていけば良いのです」

【符に込められる妖力は、依然として大きくなりつつあり。完全に溜めきる事が出来たならば、櫻の五行が発動する事は明白】
【悪態も、皮肉も。淡々と述べられるだけに質が悪い。焦りも何も全てを奥に封じ込めている――――或いは元より無いのだから】
【一対一ならば、面倒な相手。然れど今宵の舞台は何を隠そうこの騒ぎを引き起こした男が作り上げた其れであり――――】
【数多くの部下を引き連れているのだ。簡単に事が進むとは思えないし、下手をすれば返り討ちだって十分に有り得る話】
【…………それでも退かないし、変わりはない。勝利を確信している――――と言った訳では無いけれど】


「…………おや。随分と賑やかになってきましたね
ですが、たった二人増やしただけで良いのでしょうか?
貴方の倒れた身体を持ち上げるには人数が足りないようにも思えますが――――っと

…………ああ、なる程。確かに直ぐには会えました、が」

【先に気を取られたのは、二人の男に対して。生粋の武人たる勘とでも表すべきか、その双方が一筋縄ではいかないこともヒシヒシと伝わる】
【容易には倒せまいし、カニバディール本人だって大きな実力を秘めているのだから厄介】
【――――然れど、今宵はこちらにも仲間が居る。青年の救出と、男を打ち倒す事の目的を同じとした仲間達】

【さて、弱々しい声ながらも自分の名を呼んだ事に気付き、視線を移したならば】
【件のギア・ボックスと――――何時かの夜に会った、スカーベッジの存在】
【軽口を投げる間も無く悲鳴が響き渡り、そして菌糸が放たれたて】

【幾本かは避けて、間に合わなかった幾本は持ち前の体術によって払い落とされる】
【――――負ったのは掠り傷程度だ。これからの動きに支障は来さないが…………】
【其処に織り交ぜられるようにされた狼の追撃は、防ぎきることが出来ない】

【ならば、せめて致命となる首筋や脇腹は避けねばなるまい。選択したのは、腕の犠牲】


「っ…………私の身体も、良く食われますね…………
――――ここまで苦労を掛けさせたギアを、何度か殴らねば気が済みません…………彼が死ぬ前に、全ての片を付けさせてもらいますよ

だから―――――――畜生は直ぐに葬り去りましょう。当然、カニバディールの味方をするならば貴方も同じ末路を辿って貰います」

【流れるのは、当然鮮血だ。幻術で無いことは、僅かに歪んだ表情から分かろうか】
【……符はまだ用いない。狼の攻撃範囲は当然自分の攻撃範囲でもある】
【元はタトゥー故に葬った所で手数を奪えるかは分からないが――――やる価値はあるかと踏んだか】

【葬った所で何も起こらなければそれだって一つの重要な情報なのだから】
【食わせた腕を思いっきり奥に押し込めば食道の中を拳が突き進む事になるだろう。例え嘔吐反射が起きようとも、止める事は無い】
【――――突き進むところまで行けば、拳は開かれる。外傷では無く、内臓のダメージを狙った其れだ】
【内側からの出血なんて、止める術が無いのだし…………何よりも、たった一手で左右の腕に噛み付く狼に大きなダメージを負わせる事が出来る一撃】

【もし、其れ等が上手く行き狼の口から解放されればの話だが――――カニバディールに放たれたのは“ヒトガタ”だ】
【一度限りだが、その肉体が攻撃を防ぐなんて代物。目的としてはギアを救出に向かうセリーナに放たれた其れを代わりに受ける事だが…………】
【例え其れが上手く行かなくとも、キメラウルフなる者に視線は移されて】
706 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 22:24:32.88 ID:O4vNzdIY0
>>690>>692

【機先を制すべく放った攻撃は、然し見事なまでに綺麗に回避される。余りにも手馴た攻撃の捌きは、二人の実力を示すには十分】
【掠めた炎による火傷にも痛がる素振りすら無し。ここまで無反応だと攻撃した側も少し悔しいものがある……】
【この二人、間違いなく強い―――恐らく生半可な攻撃は通用しない。気を引き締めてかからねば、やられるのは此方だ……!】


【……二人は無反応だった癖に、炎は其処にいた男を驚かせるには十分だったらしい。慌てた声が飛んでくれば此方も慌てたような顔をして】
【やや申し訳なさそうな顔をして、掛けられた声に返事をする。余裕がないためか、視線を寄越すことはなかったが……】

スミマセン、其方に注意をする余裕はありませんでしタ!
……?報酬なんて知りませン。……多分、イッパイでス!そんな事より……攻撃、来ますヨ!


【少女はキッと二人を睨みつけるように見つめ細心の注意を払う。集中、集中、集中―――動きを見極め、攻撃の瞬間を計る】
【……黒い少女はパラソルを構えた。瞬間、その先端に魔力が凝集し弾丸が形成。こちら目掛けて放たれる!】
【動きは弾丸と変わらぬ直線、回避するのはそう難しいことではない。弾丸の軌道に重ならぬよう少女は横へと素早く身を翻した】
【―――が】


―――!?


【その弾丸に炸裂する性質が備わっている事までは外見からでは見抜けない。弾丸そのものは回避出来ても、炸裂には対応が遅れる―――】
【礫や破片が少女を襲う。高速で少女の体を目掛けて飛ぶ欠片、回避するには余りにも時間が少なすぎる―――避けきれないなら、防ぐしかない!】
【少女は咄嗟に懐から緑色の札を取り出し、一喝叫ぶ。間に合うか!?】

―――ッ!!「五行霊符・木符」!

【一括を合図に、コンクリートからは生える筈のない木の幹が突然グンと伸びる。破片から少女を庇うようにして生えた木は、少女の盾となる!】
【……が、木の幹程度の太さでは全てをカバーしきれない。致命傷は免れたものの、掠めた破片は少女の右足の白い肌に一筋の赤い線を描いていた】
【鈍い痛みはある。しかしこの程度我慢すればどうということはない……それよりも、反撃せねば!】


さっきはキレイに躱されたけど、今度はどうカナ?
―――「五行霊符・水符、火符」!

【次は青い札と赤い札を取り出し、二枚同時に掲げる。一瞬出現した球状の水の塊に炎の燕1羽が突っ込めば、水の塊は瞬時に蒸発】
【不可視の水蒸気は冷たい外気に晒されて直ぐに水に戻り、霧となって辺りを覆う。工場が、一寸先も真っ白な世界と化した!】
【……そして、次の瞬間。黒い少女目掛けて飛んで行くのは先程と同じ炎の燕が2羽!この濃い霧の中、先程と同じように見切れるか……?】

【尚、少女は先ほど生やした木の影に隠れるように立っている。木の強度は普通の木程度でしかないが、盾になる物がないよりはマシか……】
707 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 22:25:29.60 ID:v9XdYYhco
>>691>>695

はっはっは!賑やかなのは結構ではないか!どう言う物も賑やかに限るよ君ぃ!!
何、任せたまえよ!君が味方だと言うのなら私も協力する!

【どう見たって、巫山戯ている、そう思う事は間違いではない】
【それくらいに声を張り上げ陽気に叫ぶフォギーは、そうリベルに言うと、ヘケメディウスに顔を向けた】

友好的にすれば入れるのかね!?ならば是非ともお願いしたい───と、言いたい所だが!!
立場上君達の様な輩とは仲良く出来なくてね!力付くで押し入らせてもらうよ!!

《ハグルマギア》!!起ィィィ……動ッ!!

【自分の興味本能を満たす為なら手段は厭わないだろう、フォギーはそういう人間だ。しかしUT所属であるという以上は弁える】
【何しろ、正義感の形が見え無いにしても、ヘケメディウス達に友好的にする考えはないようだ】
【フォギーがバックパックから取り出したのは、くり抜いた内側に幾つも小型歯車が回る歯車、一人でに回るそれを倒れた鉄の箒に投げ付けると、何のジョイントも無い部分に装着される】

《スチームブルーム》!ゴーレマイズ=I!

【フォギーの叫びでハグルマギアが回転を早め、スチームブルームから魔力が湧き出す……と】
【刹那、ヘケメディウスが地面を殴る、地割れの様に近付く棘山を、リベルは跳躍によりかわしたが───フォギーにはそんな体力は、無かった】

……私はこう見えてインドア派でね

【だが、ピョンと小さくジャンプするとその瞬間、フォギーの足下にそれ≠ヘ飛来、フォギーの体を運び棘山を回避する】

機械に頼らせて頂くよ!

【フォギーがスケートボードの様に乗るのは、さっきまで倒れていた鉄の箒、《スチームブルーム》、装着した歯車が回転し作り出す魔力が、スチームブルーム全体を包んでいる】
【そのまま、フォギーはスケボーに乗るように空中を滑りヘケメディウスに接近、リベルに続く様に近付くと、空中でサマーソルトを為るようにスチームブルームを振り上げてヘケメディウスに攻撃を仕掛けた】
【熱い炎と蒸気を噴き上げる鉄の箒の頭が、熱と重量を持ってヘケメディウスに襲い掛かる】
708 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 22:29:15.85 ID:1pZPohw6o
>>693-694
【あまりに豪華なメンツ、という点は、カニバディールらも同意するところであった】
【UT、SCARLET、自警団、justice。正義の代表格ともいえる面々だ】
【表面には決して出さないが、カニバディール一味にとってもこの状況は予断を許すものではないのだ】

[ひっひっひ……大会三位の兵にそうまで言っていただけるとは、薄汚い盗賊にはもったいない栄誉ですよおぉ……]

【向けられる彼の視線に、にやにやと笑いながらスカーベッジが返す。舌の外周を埋めるピアスが覗く】
【同時に、彼がセリーナへと行った呼びかけ。士気を高めるだけでなく、自分たちの情報を敵が共有していることも示していた】
【今までのツケは小さくはない。スカーベッジとカニバディールは、内心で苦い思いを感じていた】


舐めるな、か。以前にも言われたことがある。正義を名乗る男にな
そうだろうさ。お前たちは我々を許さない。お前たちは我々を見逃しはしないだろう。正義とは、そういうものだ。私とて、この目で見てきた

だがな、ロウ。同じ言葉を返そう。悪党を舐めるな。どれほど辛酸を舐めようと、幾度叩き伏せられようと
我々の邪悪もまた、折れはしないぞ……

【気高い正義の心を誇る彼の、雄々しいまでの咆哮。響き渡るそれは、確かな正義の光を伴ったものだ】
【情熱と、冷静な心。二つを併せ持つ正義を前に、カニバディールの声は対照的に静かだった】
【だが、同時にどこまでも重苦しい。地を這う悪意に彩られた、邪悪な声音だった】


「うあああああああああああああ!!! ロウ、さ――が、うあああああああああああああ!!!」

【浅く深く、絶妙な角度でブレードを動かし、スカーベッジはギアを痛めつける】
【眼光の弾丸を受けてなお、舌のピアスを見せつけるばかりだ】


この期に及んで捕まえる≠ゥ……不殺もそこまでいけば大したものだよ
だが、無理だね。私の業は、お前が思う以上に深いぞ
それに、まだ足りない。罪を重ねたりない。数える段階は、まだ遠い

【斧を振りぬいた後、カニバディールは体勢を立て直そうとする。だが、動きの鈍さはこの男の弱点だ】
【穴の縁を正確に狙い、見事に跳ね返らせる、芸術的な腕前。さらには。バトルアックスの光の狭間を狙う周到さ】
【右銃の一弾は、見事にカニバディールに左足首を撃ち抜いた。くぐもった呻きが、カニバディールから漏れる】


【だが、その前に迫りくるカプセル男・クリアーズ。狙いを付けた水の放射はしかし、ロウ相手には相性は悪く】
【こちらに向かって伸びゆく氷を、クリアーズの色素の薄い瞳が捉える。腕が振るわれ、ノズルからの放水が即座に停止した】
【自身の能力による水、噴き出すも止めるも自在らしい】

≪む……なるほど、氷の弾丸ですか……さすが、聞きしに勝る腕前をお持ちだ≫
≪貴方の部屋がどれほど汚れているかは存じませんが、お望みとあらば。ただし――≫
≪私の清掃は、基本的にその場を更地にすることを指します≫

【煽り立てるかのようなロウの言動に、クリアーズはすまし顔のままだ。だが、彼のいうことも事実】
【水を出すだけならば、彼に対抗すべくもない。だが、彼の水にはもう一つ使い道があった】

≪もともと芸が少ないほうでして。ですが、こんなところでどうでしょう?≫

【言うが早いか、ノズルが地面に向けられる。噴射される水が、クリアーズの身体を空中へ押し上げた】
【水噴射で空を飛ぶ。ゲームか何かのような光景だ。その状態から、残りのノズルが生き物のように蠢き】
【眼下のロウの周辺へ向けて、水の球を撃ちだした。そう、周囲へ向けて】

【穴を開けられて脆くなった地面を水で攻撃し、ロウの立つ地面を陥没させる狙い】
【すぐにその場から離れなければ、穴の下へと落とされてしまうだろう。今ロウがいる位置の真下に、足場はない――】
709 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 22:30:18.63 ID:AKPlT9xso
>>694 >>686
/スミマセン、次の行を追加で……
/【菌糸の針の雨を躱しながら攻撃できるほど、ロウは身軽ではない。否、回避する暇があれば―――少しでもカニバディールに痛い目を見せてやろうと動く。其れが彼、ロウだ】
/
/ ―――っぐ……!! キノコに襲われるとは思わなかった……ぜ……!!
/
/【左太腿にチクリとした痛みが襲い掛かる。一瞬体勢が崩れかければ、左肩にも怪しげな針が突き刺さり、ロウは苦悶の表情を浮かべた】
710 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 22:33:33.29 ID:5GDwn0Ll0
>>696>>704

【魔術師、とばれた時に、その無表情を少し驚愕の色に変えた。それと同時に、相手も魔術等に詳しい、と推測】
【すぐにその顔をいつもの素っ気ない面に戻して、首を傾げてまた奇妙な会話術で言葉を紡いだ】

『―――あーらら、そっちも魔術師なのかな。魔術師と見破るってことは…魔術師の匂い?ってのがどんなのか知らないけど』
『魔術かどうかも分かる、なんてさ…なんとも、厄介な相手と出くわしちゃったらしいね全く―――!』

【相手の様子を見ているに、何らかの匂いでの判断らしいが…魔翌力か何かに匂いでもあるのだろうか、とどうでもいいことを考えて】
【火炎球がかわされて、出来もしない口笛を吹きたい気分になる。やはり易々とはいかないらしい、と分かれば手加減は無用】

【―――哲学者の卵から生まれた剣。さらに体を包み込む光―――この速さ、肉体強化の類だろうか】
【魔術師にしては、随分と肉体派だなーとか思ったが、こちら側にも体の強そうな魔術師が居たため、それ以上は考えず】

『―――哲学者の卵、か…悪人らしいアイテム使うよねホント。出来ればそれらしく離れて戦ってほしいんだけどな…!』
『まぁ別にいいけど、近づかれたら離すっつーことで―――神よ、我が声に自然の加護を!』

【愚痴をだらだらと零すように、冗長な文章を垂れ流して相手の動向を観察。体の軸を左にずらす様にして突剣を回避】
【運動は得意ではないらしく、焦らず回避だけする姿は諦めたかのようで。もはや、距離を稼ぐことすらしない】
【故に、追撃も可能な距離だが―――近距離の苦手である彼女、喋り屋がそのまま反撃しないわけがなく】

【気付けば喉元の指は中指へと変わっていて―――「別にいいけど」の辺りで声も『ハスキーな青年の声』へと】
【どうやらこの少女は当てた指によって声を変化させ、紡いだ声によって魔術の性質も変化するらしい】

【―――その青年の声に反応し、黄色の魔翌力が彼女の足元へ溢れる。そして泡沫に消えれば、ぼこぼこと土が出てきて】
【地面から這い出るかのように現れる『土の右腕』が一本。接近してきたブレンの右脇腹へと伸びていき、ストレートをかまそうとする】
【威力はまあまあだが、避けられる速度。更に、当たるなり、剣で切り払うなりすればすぐ壊れるくらいには脆い】
711 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 22:46:22.38 ID:1pZPohw6o
>>700
[ひ、ひひ、いや面目ありやせん。何せ久々のでかいヤマなもんでして……]
[まったく、こうまで豪華なメンツがそろい踏みとは……。――ええ、もちろんですとも。この状況にこぎつけただけで、こちらの優位は変っちゃいません]
[そこに、コマチ様のそのお言葉とくりゃあ、千人力ですぜ!!]

【コマチの皮肉に、ひひっ、と同じく嘲笑めいた笑いを返す】
【だが、その笑みは自分に迫りくるその女性を見た途端、吹き飛んだ】


>>698
【その瞬間、一人のガンマンは弾丸より先に激情を撃ち放った】
【大会で見た陽気さは、微塵もなかった。リリア戦で見た信念や最後に彼女に見せた寛容さもなかった】

【そこには、一人の人間がいた。仲間を傷つけた者を許さない、ただそれだけの人間が】


ぬ……!!
(ギアを使ったのが裏目に出たか……まさか、こちらの攻撃をかわしもしないとは……)

【光の刃は彼女を捉え、その身を焼く。だが、それだけだった】
【仲間を救うべく駆け抜ける彼女を止めるにはあまりに足りない。稀代のガンマンがすべてを怒りに転じれば、ここまでになるのか】
【カニバディールでは、それを止められはしなかった。彼の後ろに仲間がいるという事実がすでに、カニバディールには重石】
【マーディケリウムへと駆ける彼女を止める障害はない】


[ひ、ひいいぃ!!! 冗談きついですぜ、こいつぁ!!]

【スカーベッジもまた、完全に面喰っていた。彼女の全てを顧みない突進に。正義の激情に】
【"コルトS.A.A"の銃口は、主人の激情にも関わらず、的を外さない。放たれた弾丸が、空中を走り】
【ガラスのブレードと、スカーベッジの脇腹を見事に撃ちぬいた。砕けたガラスの破片が、地面に散らばる】


[うっが……!!! なんつーめちゃくちゃな……!!]
[(やべえ、今のこの女を相手にして、この距離で銃相手に、勝てる自信がまるでねぇえぇ!!)]
[(ええい、こういう時のための切り札……今使わずして、いつ使うってやつですな!!)]


>>700
[コマチ様!! 早速ですが、使わせていただきますぜ!!]

【スカーベッジが懐から取り出したのは、スイッチ。コマチに渡された緊急用の代物】
【自身ですら、何のスイッチかわからない。だが、同盟関係にある六罪王のお墨付き】

【スカーベッジはためらうことなスイッチのうち一つを押した。そのまま飛び退ってギアの前へと移動する】
【セリーナにギアを渡すまいというように、身構えたまま立ち塞がるだろう。今は、コマチのスイッチの効果を見守るつもりのようだ】
712 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 22:47:10.43 ID:reDv4Tr2o
>>692

【男の放った弾丸は、鎌を振り抜こうと構えていた“白”の腕を捉えた】
【緋い滴が舞って、刃は空を裂く。被弾して攻撃は空振り、更に距離を取られる、という形になって】

……僕もライフル持って来れば良かったかな?
―――まあいいけどさ、UTに関係あるなら敵だね。どのみち殺すんだけど……

【それでもなお淡々と。鮮血の瞳が彼の向かった方を追っていく】
【大鎌を右手に持ち、左手を上空に掲げれば―――轟音。手の中に、雷が落ちた】

【……まさか、たまたま落雷事故が、という筈もなく。雷はそのまま掌中で球状に駆け回る魔力と化していた】
【恐らくは能力。鎌が宿す電撃といい、どうやら雷に関わる力のようで】

―――穿つよ、奔雷槍=I

【そしてあろう事か“白”は……左手の雷を――――投げたっ!】
【光の速さだとか音の速さには遠く及ばないが、速い。雷はその途中で槍に姿を変え……】
【そのまま行けば、彼が陰に隠れる機械に突き刺さる。そして数秒の後、周囲に雷撃を撒き散らすッ!】

【―――飛ぶ速度は確かに速い。しかし、着弾から雷撃までには時間があり】
【しかも元々は雷だった、というところを考えれば、ただの投槍でないというのは想像に難くない筈】
【となれば、避ける事はそこまで難しくはない、だろうか】

>>706

【炎の燕を出したり木を生やしたり……どうやら彼女は多彩な“属性”を扱うらしい】
【思っている間にも、今度は水。瞬く間に霧となって、視界を妨げられる】
【目で捉えられないならば、他の手段を使うまで。確実性は劣るが、ただ受けるよりはよっぽどいい】

「森が邪魔なら森ごと殺せばいい。人混みが邪魔なら纏めて潰せばいい。
 ――――霧だって同じだよ?お姉さん。」

【パラソルの先、集まる魔力は先ほどより少し大きく。そして燕が霧の中より出でた瞬間――】
【――レーザー状に放たれた魔力が、直線を薙ぎ払うっ――――!】

【一羽は視界に捉えてから撃った。故に直撃、霧散】
【しかし、そこからの薙ぐ軌道は半ば以上が予測。不規則な軌道を取る燕相手に、運良く当たる筈もなく】
【すり抜けたもう一羽は腹部へと突き刺さり――――炎上!】

「あっ……ぐ、うぅ……!」

――――プシー!?

【紅蓮が身を焦がす。“黒”は焼ける痛みを受けながら、マフラーを解いた】
【――このマフラー、炎獅子アリギエの鬣によるもの。灯す炎は所有者に害を及ばさない】
【故に、その炎を以て燕の炎を打ち払う、という芸当を、確かにやってのけたのである】
【……とはいえ、今度は掠めたのではなく直撃だ。ダメージは、確実に通っている】

【しかし――――今のレーザーは、軌道の途中に霧が生じる前に見た木を捉えている】
【つまり、そのままでは、霧の向こうより打ち出された一撃が少女を狙う事になるのであって】
713 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 22:48:25.87 ID:UNA6s/c+o
>>695

「おォー、わかってんじゃアねェか、挨拶ってモンを!」

【狂気的な赤い眼に宿る眼光が少女を捉える――それは、破壊狂であり、そして戦闘狂でもあった】

『ククッ、だァったら俺様が新しい身体を手ェ配しィてやァろうか――』

【それは男から聞こえるのに、男の口から発せられてはいない――どこからともなく、そんな感じ】
【……中に入られている側としては少々迷惑そうだが、だからといって追いだそうとしないのは実際に力がみなぎっているのだろう】
【その事は何となくわかるだろう、元々発していた力のオーラが、黒いナニカが入った後には高まっている様に感じられるのだから】

「そォーいやァーッ!」 「……うゥ〜ん、中々だな」

【蹴りに対する防御、用いるものは同じ"脚"――右脚を振るい蹴りを受け止める】
【――その際、蹴りが持っていた運動エネルギーが砕かれた感覚がするだろう、辺りに散らばるエネルギーの欠片はきっとそのせいである】
【軽々と受け止めてしまったものの一応無効化はしていなかったようで、その後脚を戻す際に一歩バックステップを取る】

>>707

『ククッ、じゃア小ォ屋には一生入れねェな――俺様』 「の弟子」 『が始ィ末するからなァーッ!』 『……流ァ石俺様の弟ェ子、ってか』

【迫る箒に対して取った行為は――右手で掴む、という行動だった】 【炎を吹き上げるそれを掴むなんて自殺行為に思えただろう、だが違った】
【――先程のリベルの蹴りを防いだ時と同じような現象が起きたのだ、そう、"エネルギーをブッ壊す"ということ】
【棘の生えていない掌には箒柄の焼き目が付く、しかし――強引に突っ切ろうとでもしなければ、止められてしまうだろう】

「おォー、熱ィ"魔力エネルギー"だこと、HAHAHA、脳筋には辛いぜ」

【小馬鹿にしたような笑いと共にそう言う男――そう言えば、闘気や炎のエネルギーはそこそこ通っていたように感じられる、とは言え実際のところは断言できない】

>>ALL

【――流石、自ら『破壊と暴虐の化身』と自慢気に名乗るだけあって生半可な攻撃は通用しないようだ】
【だがしかし、だからと言ってすべての攻撃が通用しない程の不死身性は持っていないはずだ――】

「あァー、ったく……中から話されると気持ち悪ィっつゥーの、あァ、んで掘っ立て小屋避けなくていいのかァ?」 『やァっといてくゥれ』

【――キノコまみれになってしまった掘っ立て小屋は戦火を避けるがごとく4つ脚で離れていって、しかし速度は数kmといったところ】
【攻撃が届きにくい位置まで行くのには相当時間がかかりそうだが、そもそも攻撃するメリットがあるかは不明である】

「――ヘケッ、どっちも中々悪くねェ、が……オレは何でもかんでもブッ壊さねェーと気が済まねェー質でな、遠慮無く"殺らせてもらうぜ"ェ」

「歯は"上下"ねェーとなァ〜ッ!?」 「スカイニードルトゥース!」 「色々ブッ壊すぜェーッ!!」

【先程生やした棘がまだ残っている状態で両掌から放たれるのは、棘の弾――それが空中ではじけたかと思えば、辺りに降り注ぐ!】
【無論2人にも降り注ぐが――見た目に反して意外と避ける隙間はあり、他にもモノを傘にすると言う手もあるだろう】
【――辺りにはまだ壊されていない乗り物が残っているし、ヘケメディオン本人の周囲は勿論の事、実は地面の棘が逆に死角になっている部分も僅かにある】

【但し、乗り物を影にする際――最も近くにあった小型ヘリに棘が当たって運悪く爆発するというハプニングを避ける必要がありそうだが……】
【なお、この爆発自体はその場から大きく動かなければ巻き込まれない範囲である】
714 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 22:50:04.06 ID:reDv4Tr2o
>>712
/変換ミスで化けてるところがあるっぽいですが……

/―――穿つよ、奔雷槍撃=I

/です……
715 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/08(土) 22:53:54.27 ID:tXgSXy080
>>688>>699

リチャードか、その名前にその所属先……
あの企業の御曹司か何かかな?いや、今の言い方は失礼だな、詫びよう。

【名前は聞いたことのある企業、彼の名前からも考えて少年にそう応える】
【御曹司なんて言い方は流石に失礼だと思ったか、直ぐに謝って】
【何か、少年が動作をした後にやって来る言葉に、安堵と期待を抱いて】

……そう言う人ほど足を引っ張らないものさ、特にこういう状況ならな。
こちらこそよろしく、リチャード。

【どうやら本当に只者ではなかったらしい、無駄の無く、容赦の無い彼の銃撃には、ミハエルも驚いた】
【これなら敵とも十二分に戦える、味方で良かったと思う】

……さて、これで1対2……いや、相手の能力から考えてこれで五分か……?
即興のコンビだが、どこまで出来るか……!

【突如表れたブラックホールにまたも驚きつつも、自分に害がない事を悟ると、直ぐに構え直し】

【ミハエルの隣にあるスロットがまたも回り初め、数字を示し止まる】

【出目は2、ミハエルの手に有った大剣を光が包み、形を変えていく】
【それは片手杖(ロッド)の形となり、文字通り片手で扱えるほどの大きさだ】
【ミハエルがそれを振るうと、今度はバスケットボール大の雷球が出現した】
【そして、それをカーディ本体に向けて発射する……!】
716 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 23:01:49.20 ID:MQBFMNRJo
>>697

気色悪いとは随分な言いようじゃないかしら
ヤスデもムカデもあんなにも可愛いのに……何が嫌なのかしら

【そんな愚痴のようなものを吐きつつも、彼女はムカデの使役を怠らない】
【ちなみにこのムカデ、先程魔弾を防いだ通りかなりの堅さがある】
【虫は巨大化すると外骨格が恐ろしく強靭となる――たかが虫だと油断はしない方がいいだろう】

ふふ、あなたも甘く見ないようにね
この子達は私が創りだした異次元の中で日々進化してゆく――
より堅牢になる子もいれば凶暴になる子もいるわ

人ひとりに――私の虫達を捌くことなどできやしないわよ

【ミハエルが繰り出した一撃は、狂いなくムカデに刃を立てるだろう】
【敢えて細かな描写はしない。が、命中時に身体をうねらせたのを見れば、それなりのダメージがあったのは間違いない】
【それでもまだ行動不能とまではいかない様子。恐ろしい速度で頭部を巻いたならば、再びミハエルの腹に牙を立てようとするだろう】

>>699

【彼女が心から嫌う存在は少ない――とはいえ、この場に現れたスーツの少年のようなタイプは好みとは言い難い】
【一々気障で鼻につく仕草もそうだが、何よりも読み取れない思考の所為で扱いに困るのだ】

『TRAVIS』……薄らと聞いたことがあったような、いや、その程度なら知らないのと一緒かしら
この駅の破壊だけを食い止めた所で、既にこの街が使い物にならなくなっているのよ?
諦めて別経路を用意した方が賢明じゃないかしら

【彼女の言う通り、この駅のみならずヴェンドゥラーは四方の交通網を破壊されている】
【もはやここだけ助かったとしても、気休めにしかならないだろう】

ふぅ、どうやら戦うつもりなのかしら。あまり手間を掛けさせてほしくないのだけど――ッ!

【言葉を紡ぎ終える前に、弾丸が彼女の脚を貫いた】

……私、痛いのは好きじゃないの。これはお仕置きが必要ね?

【彼女の瞳に鋭利な光が宿る。車の側面へと足を庇いながら降りた。これで後ろからの奇襲は心配しなくてもいいだろうか】
【眼鏡の位置を指で整えると、そのまま腕をリチャードへと伸ばす。片方の魔法陣が動いて彼を向いた】


【その後起きた異変に――意外にも彼女は反応しなかった】
【大きいとはいえ駅舎を覆うヤスデはまだ常識的なサイズだ。そこまで堅くはない】
【故に、ブラックホールに呑まれれば無事で済む訳がなく――ほとんどのヤスデが駆除されることだろう】

お仕置き、なんて甘いもので済ましちゃいけないみたいね
私の虫達に楯突くことは私に楯突くことと同義――覚悟なさい?

【ある意味、死刑宣告とも取れるだろうか。務めて冷静に紡がれた言葉も少なからず激情を滲ませていた】
【リチャードに向けられた魔法陣からも巨体が現れるだろう】
【こちらはヤスデだが、なぜか凶暴性が増しているようで、鎌首をもたげて威嚇を始めている】
【各節に普通の種には見られない突起がある。頭部のそれは一際大きく自在に動くようで、先端がリチャードへ向けられている】

【――あとは何が起こるかある程度予想できるだろう。次の瞬間ヤスデは突起から毒液を射出するはずだ】
【触れれば皮膚が赤く変色し激痛を引き起こす。反応できれば対処は可能だろう】
717 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 23:04:10.30 ID:1pZPohw6o
>>702
【血煙と死が吹きすさぶこの場所で、彼女のいる場所だけがまるで舞台のようだった】
【整いすぎているほどのその指先が、両目を覆うまつ毛が、その空間を彩っている】

【それを噛み破るべく、迫っていくケダモノども。牙をむき出して、その舞台を汚し尽さんと】
【だが、華奢な身体に汚らしい牙が届くことはなかった】

<あああ!!? おおい、俺のかんわいいオオカミどもに、何しよらあ!!>

【キメラウルフが声を上げた時には、空間に踊るワイヤーの群れが二頭を絡めとっていた】
【オオカミどもの動きなどお見通しと言わんばかりに、その動きを追うワイヤーがその身を拘束していく】
【己の命を危険にさらしてまで取った行動は、見事に通った】


なぜ、悪を成すのか……幾度も聞かれたが、私の答えは一つだ。それに対し、満足してくれたものはいなかったがな
私が、悪党だから≠セよ。私は、悪を成すためにこの世に生を受けたとすら思っている
お前のような者とあって、どうも揺らぎを覚えることもあったが……この地の土を踏んではっきりとわかった

たとえJustice≠ナも、私を叩き直すことなどできはしないさ


【カニバディールの返す言葉は、やはり暗くよどんでいた】
【そこへ、空気を裂いて飛ぶはオオカミ。向かわせた二頭を飼い主に投げ返すという意趣返し】

<うおおお!! 俺のオオカミを乱暴に扱うんじゃねーべ!!>

【キメラウルフがその二頭を受け止める。バランスを崩しつつも何とかキャッチし、一度右腕に二頭を戻す】
【再びタトゥーが刻まれた右腕を確認し、シオンへと向き直れば。こちらとはどこまでも対照的な、優雅な姿】


<うおわわわわわ!! なんじゃそりゃあああ!!!>

【記憶=Bあらゆるものに刻まれたそれをつかさどる、彼女の異能が、ここに呼び起こす凶器】
【大型トラック。記憶の中の存在が、現在の時間に牙をむく。走行するトラックに乗ってこちらに向かう彼女に、対抗する間もあるはずがなく】

【回避。横に跳んでトラックの軌道から逃げ出す。だが、逃げ遅れた左足がトラックの車体に弾かれた】


<いいっでええええええええ!! こんのアマあ!!>

キメラウルフ、攻撃をやめるな!! 能力を使った直後がチャンスだ、畳みかけろ!!

【迫られた選択の先、多大なリスクを負わされる。だが、それをしっかりとみている単眼の悪党】
【その叫びを受けて、キメラウルフが戦意を取り戻す。ジャケットの胸元を開く。そこに彫られた蛇のタトゥー。先ほどのオオカミと同じく実体化】


【だが、先のオオカミたちとは違い、音もなく蛇は忍び寄る。キメラウルフの胸部から滑り降り、シオンへ向けて這う】
【能力使用直後の彼女に、さらに不意打ちを狙ったのだ。蛇は、シオンの右足を狙い噛みつこうとするだろう。毒はない、がその牙は鋭く長い】
718 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 23:05:59.52 ID:AKPlT9xso
>>708

……―――っち、ムカつく野郎だぜ……!! カニバディール……テメェが折れる折れないに関わらず、俺のやることは変わんねぇ。
テメェ等を捕まえて、ブタ箱にぶち込む。……それだけさ。―――テメェ等は俺が折れる折れないにしろ、俺を殺しにかかる……そうだろ。

―――結局実力行使なのはお互い様さ……!!

【―――……深い深い闇の底から響き渡るような、背筋を凍らせる声でカニバディールは語りかける。……身体が震えそうになるのをロウは必死で抑え、牙を剥く】
【ロウには大会三位なんて肩書はあるが、カニバディールの放つ圧力はその肩書を無意味だと言わんばかりに押し潰すかのようで。ロウの理性は、必死に警報を鳴らしている】
【―――それでも、足が下がるなんてことはない。ギアが傷つけられている。平和が食い荒らされている。……そのような状況で退く奴に、正義≠語る資格など無い―――!!】

……〜〜〜ッッ、ギア……!! テメェ……この下種野郎が……ブタ箱でそのクソみたいな行為、悔やませてやる……!! 
待ってろよギア……!! 俺が、俺達が―――アンタを助けてやっからよぉ……!!

【―――ギアの絶叫が、ロウの感情を昂らせる。悪を憎む気持ちが、より瞳を攻撃的にする。―――でも彼は、「殺す」とは口にせず、「捕まえる」と言う】
【……不殺の意志。―――其れは誰が相手でも変わらない。其処がロウの弱点―――甘さでもあるが、曇りなき意志は強みでもある】
【高まった感情をロウは力に変え、行動に変え―――ギアを救い出しスクラップズを捕える最高のエンドへと向かい歩み始めんとする】

【―――だが、その障害は無数に。スクラップズも、そして奇妙なキノコも。そのキノコが繰り出した針が左太腿、肩に刺さる―――】
【何か奇妙な効果でも無ければいいが、不安は心の中で増幅するばかり。―――だが、そんな不安に頭を抱える暇など無いと、クリアーズの次なる攻撃に備えた―――が】
【……狙いは自分の周り。跳弾などする筈もなく、ロウにはクリアーズの行動の裏が読めなかった】

―――……随分と乱暴な清掃だな―――……ッッ……!
(周り……? 水撒きして何の意味があるんだ……? くそ、コイツ等全員トリッキー過ぎて読めねぇんだよ……!!)

【―――その行動の意味が分かるのは、急にバランスが崩れてから。―――自分の膝が折れたとか、体重を偏らせた訳ではない。大地そのものが§cみ―――崩壊】

―――うぉぉおおおッッ!? ……―――ぉわぁああああああッッ!?

【落ちていく、堕ちていく。―――見えない闇へと、いや地獄へと。こんな所でサヨナラは嫌だ―――嫌だ―――嫌だ―――!!】
【ロウは必死に、無我夢中で弾丸を真上に放つ。放つ刹那、ペンダントの宝玉が光を放ち―――弾丸が放たれると同時に、弾の側面から巨大な片腕が生える】

……―――弾丸憑依Slap=c…!! 俺をもう一度戦場へと導いてくれ――――――ッッッ!!

【巨大な片腕は素早い動きで彼を掴み、そのまま真上へと放り投げた。―――ロウが穴の下から飛び上がる。だが、真上ならば黙っていてもまた穴へと戻ってしまう。だから―――】
【ロウは両銃の銃口を合わせ、トリガーを同時に引く瞬間に僅かに前方へと腕を伸ばし銃を傾けた。―――生じる小爆発。その軌道でロウは横へと飛ばされ―――軌道変更に成功した】

【―――乱暴に地面に叩きつけられ全身を強く打ったが、なんとかゲームオーバーを避ける事が出来た。地獄を見たことによる精神的疲労、全身を打ったことによるダメージ】
【どちらも小さくはないが、ロウはクリアーズへと紺碧の視線を飛ばし―――肩で息をしながらも、微笑んだ】
719 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/08(土) 23:07:07.01 ID:I6Qum5XV0
>>707

……ヘッ、勝手にすれば良いだろうぜ……ともあれ、足さえ引っ張らなきゃ文句はねぇよ……ッ!

【時と場合を考えろ、とでも言いたかったのだが、これ以上はただの雑談になりかねないし、それこそそんな事をしている『場合』ではない】
【戦場で意気を殺がれると言うのは勘弁願いたいところだが、戦力になるならそれで構わない】
【それ以上余計な干渉をする事は避けて。とりあえずは味方として考えようと、少女は考えた】

――――おっ!?
「(あ、あの人……凄い機械を使ってる……器用だよ!)」
<(少なくとも、ただの賑やかしじゃあなさそう……ねぇ?)>
(……どういう手を持ってるのかが分かりにくいが……少なくとも、戦えない訳じゃないみてぇだな……!)
「(こっちも、使い分ければ、合わせる事は出来るよね……!?)」
<(そうね。ともあれそれは、もう少ししてから考える事よぉ……戦況は、ちゃんと経過で見極めなきゃ、ね)>

【そしてそれが正しいと言う証明は、意外に早く訪れる事になる】
【何らかの機械を操り、放たれた攻撃を回避して見せる光景を、視界の端で捉えていたのだ】
【――――少女の表層に表われている意識と、内に秘められている2つの意識は、共にその認識を改める事になる】

【とは言え、そこは即席コンビに過ぎない。完全に互いを知り尽くしての戦いなどは出来そうもないが】
【それでもやり様はいくらかはあるだろうと、ここでそれ以上を考えるのは止めにした】



>>713

――――チィッ!!
(こいつ……中々良い反応しやがる! 単なる体力馬鹿とは……それに、単なる戦闘狂とは、いかねぇみてぇだな……!)

【十分な加速と闘気の籠った蹴り。放った少女の側として見ても、さほど悪くはない一撃だったはずなのだが】
【飛び蹴りに対して蹴り返すと言う形で、その勢いをいなされるのは、いささか予想外だった。まして、何か特殊な力を用いたらしい感覚もある】
【真正面からの素直な一撃は、上手く通りそうにはないと言う認識を持たなければならないようだ】
【ともあれ、蹴り飛ばされた勢いを上手くいなして、少女は手近な棘の無い地面へと着地する】

(おいルヴァ、バトンタッチと行くぜ!)
<(ちょっと、早くなぁい? ……まぁ、了解よ)>

【なら、正面突破はその期を迎えるまで控えた方が良い。少女はすっと目を閉じると、一瞬呼吸を整える様に動作を止めて】

――――そんなんじゃ、踊り疲れちゃうんじゃないかしら?
パワフルなのは素敵でも、優雅さに欠けちゃうわよぉ……!

【再び開いた瞳の色は、今度は『青』に転じている。同時に、幼い容姿や声色にはミスマッチな妖艶な笑みと口調へと変わっていて――――更に服までも変わっていた】
【――――黒と紫の色彩の、シックなドレス。少女がもう少し大人であったなら、きっと妖艶な美しさを発揮させていたであろう、大人の装い】
【戦場に、場違いなどこかのお嬢様の様な姿となっていた。だが、そのドレスが少女の『闘気』と同一のものである事は、すぐに分かるだろう】

さぁて……それじゃあここからは、上手くあたしをエスコートしてご覧なさいな…………ッ!!

【構える少女の右手には、漆黒の鞭が、そして左手には大型の盾が出現する】
【闘気を形態変化させる――――先ほどの『赤』の瞳の時とは全く違う戦い方を、この『青』の瞳は行うのだろう】
【降り注ぐ棘を盾で受け止めながら、右手の鞭を重々しくブォン――――と振るう】
【先ほどの蹴りとは異なり、今度は様子見と言った趣の一撃である。しかしそれでも、音からするに決して『軽い』一撃】と言う訳ではないのだろう
720 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 23:10:26.23 ID:DAPZf1q3o
>>704

【レオが『やりにくそう』と発言した理由の一つは、脚の動きから次の行動を読むことが出来ない事】
【武術家同士の戦いにおいて、次の動きを読む際には膝を見れば次の行動をだいたい先読みすることができると言われており】
【桜の国の剣豪が袴を履くのも、膝を隠し脚の動きを読ませないためだったとも言われている】

【爪の一撃を回避され、相手のトリッキーさに感心すら覚える中、足元の警戒は嫌でも強いられることになる】
【なぜなら次の瞬間、シーナの作った腕がレオの足元を掴み、動きを封じようとしてくるのだから】

【やはり反応も身体性能も高いらしく、全く掴ませることなくその場から飛びのき拘束から逃れるが】
【ブレンに比べればさほど感知を得意としない"怪人"であっても、肩甲骨付近に何か異様な雰囲気を感じることが出来た】
【ほぼ同時、魔術師の少女の助言が飛び出してくる】


「レオ!来るし!」

『まだ大丈夫だ、それに必要な分だけコマチの『爆弾』も積んでいるからな』


【そういうなり、レオは背中の装甲を開き―――四角いファンのような形状の姿勢制御スラスターを射出すると】
【―――突如、ブォンッ!という凄まじい轟音と共にジェット噴射が一発ほど発生、急激な加速と共にシーナとの距離を詰めた】

【レオクレムリンとしての"機能"の一つである『噴射』―――これに加えその左の"爪"に魔翌力を込めていくと】
【その加速の力をも上乗せした一撃を持って――――容赦なく右胸から腹にかけて引き裂いてくるだろう!】


>>710


「ぴんぽーん!正解だし!
今でこそ破門されてるけど昔の師からは魔術に関しては類を見ぬほどの『天才』って言われるくらいは扱えるし!
この感知の仕方もその人に教わった訳よ、元々鼻は利くほうだもんね!」


【意気揚々と魔術師である事を公言するブレンヒルトはやや動揺しているらしい喋り屋に追撃を行おうとするが】
【喉元の指が中指に変わるのをその目で見て、少女の声が青年の声に変わっていくのを見た瞬間に彼女は目を見開く】

【効果に驚いているのではない、当てた指によって違う声を出せるのはともかく……なぜ今その声を変えたのかに"勘"を巡らせる】
【勉強がほとんどできないブレンヒルトではあるが、昔から勘は鋭い方である事を彼女も自負している】
【その直観を持って判断する、彼女が声を変えた理由は……】


「(指によって出す声が変わる能力……それを使って呪文を詠唱しているって事は……
もしかして、『出す声によって役割が違う』んじゃないの……!?次はいったい何で来るし?)

―――『土の魔翌力』の匂いになった……声の能力で属性を使い分けられるの!?」


【突如、地面から土の右腕が這い出て、こちら目がけて飛び出してくるのを見てとっさに防御の姿勢を取るブレンヒルト】
【あぐっ!?と呻き声をあげるもダメージはやや受け止めた腕にかすった程度、思いのほか大したダメージは与えられていない】
【傷を払うと、やや苦い顔を浮かべるブレンヒルトが突剣を持った右手とは逆、左手の"卵"に魔翌力を充填しながら前進する】


……面白い技を持っているし……ずいぶんとやってくれる訳ね!
―――じゃあこっちもいくし!……生まれろ、『デュランダル』!ぶった斬ってやるし!


【続いて左手に発現させるのは、銀色に輝く大ぶりの聖剣】
【右の突剣を前に出して突撃しながら、逃げた方向めがけてこの新しく生まれた剣を振るってくるだろう!】
721 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 23:16:43.37 ID:KKygzEcIo
>>706 >>712

知らんって……クソッ!タダ働きだけは御免だって……クソッ!じゃあ名誉だけ腹一杯貰ってってやるよ

【吐き捨てるように言って銃を撃つ男。何が正義だクソッタレと言ったかなり不満そうな皮肉だ】
【そうはいっても撃っては避けてとやることはやってる。余程やられることがない限りは逃げるってことはなさそうだ】


【戻って、戦闘中の彼。遮蔽物の影から頭を少し出して、特異な目を敵の方へと向けていた】
【銃弾は腕に当たったみたいだが…南無三。それで痛がるような相手じゃないらしい。バリバリと雷が落ちる!】

……クッ!!……やらせるかっ!!

【その雷が”何か”、攻撃に用いられる何かであることは明白。彼は飛び出してレバーをガチャガチャさせながら連射した】
【レバーアクションのため3発ほどしか撃てない。それにくわえ、ただでさえ苦手な射撃を腰撃ちでやたらめったらの速射は】
【先程よりも命中率は下がる。彼としても当てるためと言うよりは相手をビビらせる為の威嚇射撃だった】

……ッッ!!……ウワッ!!…クソッ!

【雷撃は相手の目論見通り、遮蔽物にしていた機械に突き刺さる。そして閃光!雷が周囲に放つ】
【彼はその時、それを避けるためにバッと後方へと下がった。しかし、雷撃が手に持っていたライフルに移り】
【バチッときたその電撃の衝撃で、彼はライフルをその場に投げ捨ててしまった。バリバリと電気を浴びて銃は暴発する】

【男はそれを避けるためにバランスを崩し、転びそうになるも積んであった木箱にしがみついて体を保持する】
【そんな状況は、敵から見れば完全なる格好の”隙”彼が敵へと目線を戻した時には一歩、後手に回ることは確約されていた】
【後ろ手に木箱に左手をついたまま右手を腰へと、伸ばす。ひらりと舞った上着の内側には拳銃の様なものが見えたかもしれない】
722 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 23:21:56.21 ID:1pZPohw6o
>>703
そうかね、それは残念だ……私は、お前を気に入っているのだがな。当然、悪い意味でだ
ハハ、何度やろうと無駄なことだよ。私のしぶとさを舐めないほうがいいぞ

【ライラも魔術師。マギタイトが含む魔力のほどはわかるはず。だが、それでも彼は決して退かない】
【恐怖をねじ伏せ、自分を倒すべくその力を振るおうとするライラ。彼もまた、一人の正義だ】


……今回は私の繋がり、というばかりではないのだがね

【ライラの言葉には、意味深な返事を返す。単眼に宿る悪意に、また別な色が加わった】
【その真意はまだ明かされることはなく。木製に杖を握る彼へもたらされたのは、ギアの惨状】

【ライラの歯ぎしり、こちらまで音が聞こえてくるのではというほどに。彼の怒りのほどや、推して知るべしだ】
【仲間を傷つけられること。踏みにじられること。それは彼の最大限の怒りを呼び覚ます】
【ライラの鋭く、激しい殺意を込めた瞳は、おぞましき宴に酔う異形どもを射抜く】


そうとも、見せしめだ。だが、それでお前の殺意を引き出せるなら、いくらでも見せつけてやる

【人の心を、尊厳を踏みにじる悪意の塊。それに抱く怒りは、炎より熱い激情となってライラを高ぶらせる】
【そこへ、降り注ぐ菌糸。怒りに水を差すがごとく。だが皮肉にも、自分の手下を送り込んだ戦いにてライラが得た防護服が】
【そのダメージを軽減する、という結果に終わる。だが、続く二の太刀はそうもいかないか】


ほう……それが、デュアルたちを切り倒した刃か……!!

【魔方陣。そして仕込み杖。カニバディールも初めて目にする、ライラの新魔法】
【自身の攻撃の意趣返しとばかりに、二枚の刃が巨躯に迫る。回避を試みる、がロウに受けた左足首の傷がそれを許さなかった】


ぐ、がああああ……!!  相も変わらず芸達者な男だ……!!

【カニバディールの胸部を炎の刃が焼いた。肉が焦げるにおいが漂い、苦痛の声が上がる】
【ロウとライラに立て続けにつけられた傷。このダメージが更なる枷として積み重なっていく】
【だが、カニバディールもやられっぱなしとはいかなかった】


【またも振りかぶられるバトルアックス。だが、今度は光を帯びることはない】
【カニバディール本来の能力、肉体変形。振るうと同時、腕を膨らませてただでさえ長いリーチをさらに増大】
【巨大な肉の腕につかまれた斧が、ライラの足元を薙ごうと迫る。動きは遅いが、かすめただけでもダメージは免れないだろう】
723 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:25:16.28 ID:v9XdYYhco
>>713

おっ……!?

【渾身の攻撃が糸も簡単に止められた───何という怪力、だけでは無いと、フォギーは判断した】
【自分の攻撃のまえに、リベルの攻撃が防がれた際、何らかの欠片が舞っていたのを思い出す、あれは魔力とは違うものであったが、重要なのは確か】
【フォギーは一気にエンジンを吹かすと、推進力を持ってヘケメディウスから離れる】

>>719
はっはっは!どうやら一筋縄ではいかないようだ……ん?君、雰囲気が変わったな
まあいい!ここは何とか倒す方法を探ろうではないか!

【リベルの近くまで逃げると、着地して鉄箒を右手に持って、話し掛ける】
【わざわざ立ち止まって話している暇もなさそうだが、それはそれ、ヘケメディウスを倒すには協力が不可欠だからだ】

おっとっと!呑気に話している暇は無いか……なっ!

【降り注ぐ棘の雨を、箒の一振りで振り払う=A箒から噴き出した炎が大きく薙いで、棘を弾き飛ばした】
【そしてそのまま、炎が上がる箒の頭をヘケメディウスに向ける様に両手に構えて】

接近戦がダメならこれはどうかな!?少々強火で炙るよ!バーナーガンナー=I!

【次の瞬間、箒の頭から噴き出したのは火炎放射、ただただ単純なる熱エネルギーの塊が、ヘケメディウスを襲う】
【……炎がリベルを巻き込みかねないのは、念頭に置いていないらしい】
724 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 23:30:54.13 ID:DAPZf1q3o
>>711

それだけ強がれれば心配はなさそうッスけど、取扱いには気を付けるッスよ
特に二つ目のスイッチは前もって味方にアタシが用意した特殊な『耳栓』をつけるよう合図してから使えよ


【力強く返してくる物の、セリーナを前にして面喰い、気負されているスカーベッジがここからでも見える】
【カニバディールでさえ多少はたじろぐこの威圧を前に彼が早くも自分の渡したスイッチを押したのを目撃する】
【やむを得ないだろう、と妙な納得をしながら彼女は呟く】


思いのほか御指名が早かったッスねー、まあいい、そんじゃあ『出撃』させるッスよ
―――『ファントム・プラネット』ッ!第二の爆弾!


【通信機の奥から……まるで何かの『能力』を発動したかのような声が響く】
【しかししばらく静寂が響いた、確かにスカーベッジがスイッチを押したはずなのに……そう思われた】
【だが確かに変化は起こった、それはまず、セリーナ>>698の足元から聞こえて来ることだろう】


『――――――プルプル、アタシワルイロボットジャナイッスヨ』


【何か、吹き込まれた声が聞こえたと思ったら……いつのまにか彼女の足元にブリキで出来た小さなロボットのおもちゃが現れていた】
【その頭部、まるでコマチを模したように左右にお団子髪のような装飾をつけ、背中にねじ捲きのついたぜんまい式のおもちゃにしか見えない何かがいる】
【そいつがギリギリギリとぜんまいの音をまき散らしながらセリーナの方向に一歩一歩近付いてきた】


『アタシワルイロボットジャナイッスヨ、アタシワルイロボットジャナイッスヨ』


【仮に、『コマチロボ』とでも名付けるべきその妙に愛嬌のあるロボットのおもちゃは】
【独特のぜんまい音をまき散らしながら一歩一歩セリーナの左足の方向に無害そうに近付いていくと】


『アタシワルイロボットジャ……』 ――――BOMB(ボン)ッ!!


【火薬の匂いがした時にはもう遅い―――突如、勢いよくセリーナの左足の付近で爆発を起こすだろう!】
【なんだこれは……なんなのだこの『おもちゃ』は―――?】
725 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/08(土) 23:37:00.13 ID:tXgSXy080
>>715追加

【大剣でも断ち斬るには至らないムカデの甲殻、振るった時の隙により、ムカデの牙がミハエルに食らいつく】
【それに加えて激痛を起こす毒、彼は元軍人なのだがそれでも苦しい】
【後ろに後退してムカデを振り切ると、変化したロッドによる雷撃をムカデに与えようとする】

……いくら硬くてもッ……これならばどうだ……ッ!!

【雷撃は宙を蛇のように動きながら、ムカデへと向かう】
【かなりの電圧で、内蔵を焦げさせるには十分な程だ】
726 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 23:37:37.07 ID:USRLXB8io
>>710>>720

(……向こうの方は特に問題なさそうだの)
(この場に顔を見せるだけあって、それなりには出来るのだ)


【シーナは"地術師"としての特性の一つ】
【地面と通した感知能力によって、視覚に頼らずとも周辺の情報を取得することが出来る】
【接地している物体のみが対象となり、詳細まで察知することは出来ないが】
【味方の位置や敵の攻撃動作、大きな魔翌力反応などはその範疇に入っている】

【今のところは先程の喋り屋の言葉通り、それぞれ動いても問題はないと判断し】
【前で交戦しているレオへと意識を集中した】


「ふん、せいぜい勇敢に立ち向かってくるがよいぞ!」
「一方的な戦いではつまらな――――」


【文字は、そこで途切れた】
【シーナの練っていた"策"を発動させる暇が存在しなかった為だ】
【想定を遥かに超えた急加速からの一撃】
【それは砂による高速移動を以ても回避しきれない"瞬間速度"であった】


「――ちぃっ!小賢しい技を使いおるのだ!」


【出来たことは、僅かに身体を後ろにずらす事のみであった】
【法衣は深く切り裂かれ、"肉体を構築している物体"が宙を舞う】
【臓物を抉りだされるほどの深さではないが、ダメージとしては浅くない】
【"物体"――血や肉ではなく、大量の"砂"がその場にぶちまけられ、受けた衝撃によってタタラを踏む】

【これを見れば、ある程度この"シーナという術師"に対して理解出来るだろうか】
【魔翌力感知に優れたブレンヒルトであれば、問題なく看破することも可能であろう】
【地の術、砂の身体……そして、大きく裂かれたことによってその傷口の中から漏れる"シーナという男"と別の魔翌力】

【シーナ……ゴーレムクリエイター。"ゴーレム"を創造し、操作する事に長けた術師である】


「しかし、まだまだこれからなのだ!」
「ククク……爺様に少し似ておるからといって、容赦はしないのだ!」


【シーナは、左右の曲剣をレオに向けて振るう】
【振り上げた後、Xの字を描くようにして左右の肩から胸までを切り裂くことを狙った斬撃だ】
【しかし予備動作が大きく、レオからしたならば回避することも受け止めることも難しくはないだろう】

【シーナの狙いは、"この斬撃"を当てることではなかった】
【斬撃を放った直後に、シーナの肩甲骨付近で肉体に変化が訪れる】
【対象部位が先程の地面と同様に分解され、再構築新しく創造されたそれは――第三第四の腕】

【肩甲骨が変化した腕は、背中に担いでいた大剣を引き抜くと……重量任せに思い切り縦に振り下ろそうとするだろう】

【左右の曲剣を対処させることを狙って上での、本命の背中の大剣による奇襲攻撃】
【背中の腕の力は大したこともなく、技術的に見れば振り下ろすだけの拙いものではあるが】
【不意を突かれる、または最初の攻撃によって隙が生じていた場合は危険かもしれない】

【また、事前に背の剣や魔翌力反応を警戒していたならば早期に反応し対処できる可能性も飛躍的に上昇するだろう】
727 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/08(土) 23:38:44.99 ID:PIgvOfNWo
>>717

【トラックが霧散する、淡い光となって夜の中に溶ける様子は、さながら昇華する煙が如く】
【また、キメラウルフの左足には殆どダメージが無い筈だ、触れれば分かるだろうが、彼女のトラックの質量は軽い】
【つまり見た目だけであるのだ、彼女の再生する記憶は、所詮記憶でしか無いのだから】

【足元のトラックが消え、彼女の華奢な身が空中に投げ出される、翻るスカートの裾】
【ケープのリボンを片手で抑えて、着地する、風が彼女を中心に巻き上がって、砂埃を散らす】
【かつてJustice≠ニして幾多の視線を超えた身体能力は、決して低いものではない、と】

【それは光臨する天使が如く、紫苑色の少女の姿を神々しく照らしだす】
【周囲に煌めく結晶の如き光、彼女の周囲に展開されたワイヤーが瞬く軌跡】
【けれどもそれは泡沫に光る焔緋のようなもの、永久に咲くわけではないのだから】


っ……くぅ……あっ――――――!!
なるほど……タトゥーを、実体化……そういう能力、ですか……っ!


【彼女の身体がかくん、と大きく崩れる、地面に着地した衝撃、細い背が大きく揺れた】
【途端に咳き込む少女の大輪、返り咲くこともせず、その身を震わせる刹那の瞬間】
【カニバディールはそれを見逃すことはないのだろう、彼女の脚が止まった瞬間、噛み付かれる右足】

【鋭く長い牙が深くまで突き刺さる、容易に引き抜くことができないほどに、深い一撃だ】
【彼女の表情が曇った、強力な能力、高い身体能力、それらを以っても、対抗するのでやっと、というほど】
【噛みしめる唇、たとえ其処に勝ち目が無かったとしても、戦わねばならないのだから】

【彼女の右手が揺れる、体勢を低くして、右足に噛み付いている蛇に触れようとするだろう】
【蛇に強い魔翌力がこもっていなければ、手に触れた瞬間に、蛇はタトゥーへと戻る筈だ】
【物体を過去の状態に戻す≠ゥつてカニバディールの傷を癒やした能力を、ここで発揮する】


……間違ってます……!!そんな考え方、絶対に、間違っています!!
それはただの自惚れに過ぎません!単なる自己陶酔です!
悪を成すためだなんて、何ばかな事言ってるんですか!!


【叫ぶ少女の声、響く彼女の音、見上げる瞳には強い意志がこもって】
【それは以前、彼女を襲った暴漢達の傷を直した、少女の横顔であって】
【指名手配犯を労り、助けた、彼女の横顔であった】

【風が荒ぶ、弾ける閃光の中に立ち尽くす少女の姿】
【足元がふらつく、肩幅に両足を開き、靴底で地面を踏みしめる】
【紫苑色の髪に溶ける素肌に、柔らかな質感を、残して】


人は変わり続けます、生きてる限り正しくも、悪くもなれます
悪党≠ニして生まれたなら正義≠ニして生きればいいんです
――――――それが生きてる者に課せられる使命なんです!!

Dead Memories=\―――――!!


【トラックによる接近で距離を詰めた、カニバディールは今、ロウとライラによってダメージを受けている】
【距離のアドバンテージがある分、彼女の取るべき手段も研磨されていく】
【きっとキメラウルフとの距離はそこまで遠くない、それならば――――――】

【右足が地面を踏みしめる、頭を下げて、左手を外側へと振り抜ける】
【ワイヤーが跳ねた、まるで光の奔流が如く、一筋の塊となって、キメラウルフへと襲いかかる】
【それはさながら、彼女の足元から、水の奔流が巻き上がり動くが如く】

【ワイヤーの束はキメラウルフへと巻き付こうとするだろう、丁度身体を簀巻きにするかのように】
【動きは直線的ではあるが、早いワイヤーの動きだ、なおかつ彼女の意思である程度は追尾する】
【巻きつけたなら左手を引き、思い切り此方側へとキメラウルフを引き寄せようとする】

【あろうことかインファイトを挑もうと言うのだ、よっぽど身体能力に自信があるのか】
728 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 23:39:47.26 ID:O4vNzdIY0
>>712>>721

……だから、報酬は一杯って……タダ働きな訳ないでしょウ!そんなこと気にしてる場合じゃないでしょうに、モウ!

【不満不平を吐き出す彼を尻目に、少女は戦闘の手を休めない。正直余裕なんてこれっぽちも無いのだ、戦いが苛烈だから……】
【……今彼に負けられて二人同時に相手するようなことになろうものなら、恐らく手に負えない。彼に負けてもらっては八方塞がりになってしまう】
【余裕はないが、一声掛けるぐらいは出来る。―――「其方は任せまス、頼みますヨ!」】



【―――回避が手馴れているのなら、目視が出来ぬ状態にすればどうだろう。効果の程は分からないが、ただ単純に攻撃するよりは効果はあるはず……】
【相手が生半可な攻撃は通用しないというのは分かっている。こちらが一工夫も二工夫もしなければ、攻撃は叶わない―――ならば、工夫するまで!】
【周囲を白いベールに包んだ霧。そこから突然飛び出す燕を二羽同時に捌く事が出来る程器用な人間はそうそういない筈。例えそれが戦い慣れた相手でも】

「……霧は殺せないヨ。アナタ達は形ある物を壊すことしか出来なイ―――」

【一羽は光線に打ち払われた。しかしもう一羽が敵の身を焦がしたのは、上がる呻き声からはっきりと分かる。―――よし、攻撃が通った!】
【……と、会心した次の瞬間……霧の中から突然現れる光。直線状の其れは瞬く間に此方の木を目掛けて伸びる、伸びる……】
【しまった、逆手に取られた!敵が此方の攻撃を目視できないとは即ち、此方も敵の攻撃を目視出来ないという事。木ではあの光線は耐えられないだろう】
【「避けるしかない!」直感で光が見えた瞬間木から離れようと横に逃げる。が、レーザーがそんな逃げる猶予を与える筈もなく―――】

―――ッ……アァ!

【レーザーが木を薙ぎ倒すと同時に、咄嗟に回避しようとした少女の脇腹を掠める。光線は脇腹を服もろとも灼き、激痛が頭を走る】
【幸い咄嗟に回避したのが功を奏して木ごとレーザーが直撃するのは免れた。が、脇腹に走る痛みは彼女の体力を削るには十分で】
【顔には脂汗が流れる。……痛みに支配されている暇は無い、次の攻撃を!】


……邪魔するモノは全て壊す、カ……これは壊せるかナ……?
「五行霊符・土符、水符」!


【黄土色の符と青色の符を掲げると、召喚されるのは大量の土。其処に水が混ざり、泥となり其方に押し寄せる……】
【ゆっくり、しかし確実に。黒い少女の周囲の足場は粘性を持った泥に覆い尽くされていき―――防がれずにやがてそれが少女の方まで達したなら】

【召喚した彼女は黒い少女から距離を取って、出方を伺うだろう。―――不定形の泥は、少女に「壊せる」か?】
【まあ、泥に足を取られたとしてもダメージはないが……迂闊に動けない状況にはなるだろう】
729 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 23:42:23.72 ID:1pZPohw6o
>>705
……前も思ったが、お前は本当に巫女か? 神職につくには、お前はそぐわないようにしか見えないね
言ってくれる。お前なら本当にやりかねないから、性質が悪いな
だが、私に生きる希望を失わせる、などということは不可能だよ。私は、そんなまっとうな感情を抱くほどまっとうな人間ではないのでね

【符へと収束していく力。手下ともども苦しめられた、櫻の五行がそこに成る】
【どこまでも感情をこめられずに放たれる罵詈雑言を、カニバディールも苦笑すら浮かべて受け流すしかなかった】
【あるべき感情が感じられない巫女。でありながら、実力の確かなことは疑うべくもなく】
【ここを退くことがない、という事実もまた同様】


いいや、この連中が私を担ぎ上げることはないだろうさ……

ふ、ふ。そうだろう。私はこういう時に嘘はつかない

【ちゆりに返すは、どこが含みを持たせた言葉。二人の男が、カニバディールに見下すような気配を発していたことに関係しているのか】
【だが、それを塗りつぶす事態。ギア・ボックスが引き出される。彼女をこの厄介な事態に引き込んだ、張本人と言える生き人形】
【それでも、彼女はギアに視線を向けた。仲間と共に戦場に立った。ギアには、それで十分すぎた】


【そこへ飛び来る菌糸の雨。体術にも長けた巫女、牽制程度にしかならない】
【だが、だからこその二の太刀だ。キメラウルフのオオカミたちが、ちゆりに食らいつく】

<へへへへへ!! そいつらは女の肉が大好物だべ!! 何度も食われてんならいいだろ、そいつらのディナーになるべ!!>
<あの人形を殴りたいなら、あの世でやれよ!! どうせ、どっちも今夜中に逝くことになんだべ!!>

【垂れ流される鮮血を啜るオオカミたちを見て、ちゆりの宣言を嘲笑ってみせるキメラウルフ】
【だが、ちゆりの冷静さは失われてはいない。どこまでも静かに、だが強力に】

【放たれたのは、符ではなく拳。オオカミの口中、その奥にまで容赦なく突き込まれる】
【嘔吐反射は起きない。ただ、その身を震わせただけだ。開かれた拳は、あっけなく二頭を貫くだろう】
【左右のオオカミははじけ飛んで雲散霧消した。内臓からの出血はなかったが、それはそのまま二頭の致命傷となった】


<あああ!! なんてことすんだべ!! まあた新しいタトゥーの彫り直しだべえ!!>

【キメラウルフが頭を抱えて叫ぶ。本人にダメージはない。だが、倒されたタトゥーは元には戻らないらしい】
【タトゥーへの攻撃は、そのままキメラウルフの手数を減らすことになる。戦力を削り落とされたキメラウルフは、忌々し気にちゆりを睨み返す】


<こんの……!! これならどうだべ!!>

【ジャケットの背後、キメラウルフの腰の辺りが盛り上がり、そこから飛び出したのは鷹だった】
【まだ隠すようにタトゥーを彫っていたらしい。キメラウルフの指す指の先、ちゆりへと空中からの脅威が迫る】
【狙うは、無傷のほうのちゆりの腕。そのまま、鋭い爪の一撃を食らわせようとするだろう】


【カニバディールへと放たれたヒトガタは、セリーナの攻撃を防ぐには間に合わず。だが、まだその効力を保っていた】
【これが吉と出るか凶と出るか――】
730 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/08(土) 23:48:38.05 ID:5GDwn0Ll0
>>720>>726

【どうやら自分の魔術はタネが割れたらしい―――実はまだ、奥の手は一つだけ持っているが】
【そちらの方は使うかどうかまだ分からない、というより消費が激しいため、使わない方が賢明で】

『―――おーその通り、中々鋭いな、強いのはその体だけだと思ってたが…!』
『流石は天才魔術師さん、といったところか?だがお前が天才なら、こっちも天才魔術師さ!』

【「こっちは破門なんてされてないし」と、冗談じみた言葉を付け加える。些か挑発じみた雰囲気】
【能力、そして自分の使う魔術式を見破られ、しかし平然とした顔で挑戦的な発言】
【それが原因で自分が敗北することは無い、とでも言いたげの余裕を見せているが、果たして】

【―――しかし、新たに現れた武器には流石に、澄ました顔も引き攣り気味になった、ような気がする】
【どう頑張っても彼女はただの魔術師、真っ向からあの一撃を受ければ普通にノックダウンするだろう】
【ましてや、元から体は強い方じゃない―――しかし回避するにはタイミングが遅くて】

『―――流石にそのデカいのは、当たると面倒そうなんだけど…っ…仕方ない、か…!』

【何かを決心したかのような言葉を呟くと同時、両足に精一杯の力を籠めて逃げる準備】
【そして、またもや指は人差し指、声は『少女の声』へと変わっている。それも考えあっての行動であって】

【今回はバックステップで距離を取る、がしかし武器を持って突進してくる相手にそれだけでは逃げられない】
【そんなことはこの喋り屋、百も承知。つまりは、回避行動以外が彼女の狙い―――その時点でもう察しがつくかもしれないが】
【何にせよ、剣が触れるギリギリのところで喋り屋はまた、新しく言葉を紡ぐだろう】


『避けるのは諦めるけれど、タダじゃあ転んでやれないね―――避け辛いのはそっちも一緒ッ!!』


【発声と同時、溢れる赤い魔翌力は最初火炎球を放った時と同じ「炎属性の魔翌力」で、大技を放つほどの量は無いが】
【生成されるのは火炎球ではなく、人一人の上半身くらいの大きさを持つ『炎の壁』――――!】
【大振りの聖剣は炎の壁をすり抜けて発声の為に曲げていた右腕と腹部付近を切り刻むのだろうが、ブレンヒルト自体を通すことは許さない】
【もし突進をそのまま続けたのならば、大きくない威力の魔術であろうとその身を焼かれる羽目になる】
731 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 23:51:02.67 ID:hOewVvypo
>>716

おや、これは手厳しい。我が社もそこそこ成長していると思ったのですが…………。
駅でも道路でも飛行機でも、どこか一カ所でも機能が残ってくれればそれで十分なのですよ。必要最低限の物資さえ運べれば、一月で立て直して見せましょう。
……その為にも、これ以上ここを破壊されては困ってしまいます、カーディさん。

【眉をハの字にした苦笑いが、「自分は残念がっています」と殊更に告げているようだった。その下に何を考えているかなんて、解りはしなくて】
【リチャードは軽く両手を広げ、自社について雄弁に語るだろうか。その文言に誇張が入っていないとは言えないが、『TRAVIS』が力のある企業であるのは間違いない】
【最後に真紅の瞳をそちらへ向けて、笑いかける。今更やめてくれと言っても従ってくれる筈がないことぐらい、解っているはずなのに――――】

怖いなぁ、せっかく綺麗なお顔をしていらっしゃるのにもったいないですよ?
それにボク、実を言うと虫は得意ではないんです。どうぞ、お手柔らかに…………。

【――――ブラックホールが解除されれば、原形を留めず圧縮され尽くしたヤスデの遺骸が散らばるかもしれない】
【虫は苦手だなんて言っておきながら、そんなグロテスクな光景を背後にして一切表情を変えず。場を弁えない気障な台詞に柔和な笑顔が、戦場をかき乱す】
【魔法陣がこちらを向いたのを見ると、リチャードは立ち止まるだろうか。現れたヤスデとその頭部の器官を注視し、すっと目を細め】
【直後、毒液が放出される――――が、やはりこの少年、相当戦闘慣れしているのかもしれない。心も体も一切動じず、ただ左手を前に突きだした】

せっかくの贈り物ですが、申し訳ない……先程申し上げたとおり虫は苦手でして。
――――お返ししますよ。

【その掌に生成されるのは勿論、彼の能力であるブラックホールだ。サイズはおおよそサッカーボール程度だろうか】
【このブラックホール、先程ヤスデのみを吸って見せたように、リチャードの認識≠キーにして吸う対象を変更することができる】
【今回の対象に選ぶのは、「ヤスデの毒液」に加えて「周囲の大気」。強い吸引力はあっという間に液体と気体を吸い上げ、黒球の中でそれを圧縮≠キる】
【そしてリチャードは、カーディへと――――視線と言葉と、毒液を吸ったブラックホール。この三つを同時に投げつける!】

【物でも投げ渡すみたいな軽いスイングで振られた左手に反して、投げられたブラックホールにはなかなかの速度があるだろうか】
【放物線を描くようにカーディとヤスデへ向けて飛翔するブラックホールだが……それが彼女達のある程度近くに到達すると、リチャードは能力を解除する】
【……風船に針を突き刺すのと同じ。ブラックホール内で高圧縮されていた毒液と空気が、いきなり気圧の低い大気に投げ出されればどうなるか――――】
【――――刹那、空気と毒液が圧力差によって爆散≠オ、カーディとヤスデへ襲い掛かる!!】

ッ…………これは、なかなか強烈ですね…………。

【爆発した空気は強い破裂音と衝撃波をまき散らし、更にそこへヤスデの毒液が加わる。威力は十分高いと言える筈だ】
【ただし、飛び散る毒液はともかく、空気の炸裂自体はそれほど範囲は広くない。素早く離れれば毒液へ対処するだけで済むだろう】
【また、ブラックホールは物理攻撃で破壊することも可能だ。その場合、破壊された地点で同じような爆散が起きることになる】
【……そして、突き出したリチャードの左手の甲が僅かに赤く変色しているのが見えるだろうか。彼の表情も、痛みによって初めて歪む】
【ブラックホールの展開より前に、毒液の飛沫を浴びたのだろう。どうやら、能力の展開速度自体は早くないらしい――――】
732 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/08(土) 23:52:18.82 ID:UNA6s/c+o
>>719

『ほォう、ちゃアーんと俺様の教えた技、前より滑らかに使えてるな』 「やァり過ぎて"DNAレベルで"無意識に使えるまでにはなったぜ? 師匠」

「バトンタッチとは面白ェ、"魂"が複数あるとすれば更に壊しがいもあるしな!」
「エスコートなんてメンドくせェ、踊るとかそれとか、んなモンどォーでも良い、"ブッ壊す"ってモンがあればなァーッ!!」

【振るわれる鞭に対して繰り出すのは、右手によるアッパーである。――先程のエネルギーを砕く術は、意識せずとも使えてしまう】
【闘気ごと運動エネルギーを破壊しようとしつつ――やはり、打撃とかそう言うのには強いようだが、他に対してはそこまでではない様子】
【鞭によって幾らかへし折れたとはいえそれに覆われていてわかりづらいが、拳に当たった部分が青色になっている】

「おォー、効く効く」

【この身体でましてや翼もあるのだ、もっと良い防御や回避が出来そうだが――"破壊"が目的故に、被攻撃時ですらそれを求めているのだろうか】

>>723

「そんな攻撃くれェ、エネルギーをブッ砕いちまえば余裕ってモンよ!」

【――エネルギーを砕く、とても現実的な行為とは思えないが……先程の様子を見れば、嘘とも思えない】
【なお、先ほどの欠片は――何かしらのエネルギーによる干渉があれば、それの一部となって消えてしまう様だ】

「ほォー、良い感じのファイアーッ!」 「だが残念、接近戦が得意ってだけで遠距離戦が駄目とは一言も言ってねェーぜェー!」

【両翼を羽ばたかせれば、そこから発生するのは――無数の棘弾だ】
【弱いながらもエネルギーの破壊を可能としたそれは炎の勢いを弱めてゆく】 【欠片の量が少ないのは、一部が落ちる前に熱エネルギーに戻ったからだろう】
【そして――流石に棘弾だけでは足りなかったようで、その熱のエネルギーが男の体を焼いて行く】
【先程リベルに対して行った防御行為の都合もあり、右腕に特に大きなダメージを与えたようだ】

「やべェ!」 「そんな気はしたけど、エネルギー片が即効で炎に戻ってやがるぜェーッ!」
「まァ、全部じゃないし良いか」 「だが!」 「わりと熱いッ!」 『……悪ィとォころも変ァわってねェなァ…………』

【なお、この棘弾は近くに居るリベルに当たる可能性もあるが、エネルギーの破壊の追加効果含めても大した威力はない】
【但し、"エネルギー"の枠に含まれるものが一般的なそれの他に"生命・魔力・属性・魂・etc"等、"何かをする可能性"を持つ非物質という広い枠な事だけは注意が要る】

>>719,723

「床をブッ壊してェ〜、持って、殴るッ!」 「床も者も壊せるお得感がたまらねェー」

【男はその場で思いっきり地面を蹴って破壊し、それによってその硬い部分の一部を左手の位置まで蹴り上げる】
【そして、その地面を握ったまま、リベルに向けて手を振り下ろす――狙いは左肩】
【単純でわかりやすい軌道の振り下ろしによる打撃攻撃だが、そのパワーは勿論のこと、地面の角の一部が鋭い事にも気をつける必要がありそうだ】

「しかも、投げられる!」 「う〜ん、"棘の能力"とか"魂砕技"とか関係なしに気持ち良いィィーーッ!」

【この攻撃の後に持っていた地面を手放さざるをえない状況がなかったとすれば、フォギーに向けてそれをぶん投げる】
【狙いは腹部。フォームはお世辞にも綺麗とは言えないが、それを補える程のパワーで強引に投げられたそれは、デッドボールなんてレベルじゃないのは確か】
【もし投げられてしまったとしても、投げる過程に発生するラグにつけこめる可能性は十分ある】
733 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/08(土) 23:52:24.09 ID:MYoubdtWo
>>711>>724

【白き弾丸と化したセリーナ。それはこの暗黒の時代を照らす一筋の光足りえるか。】
【まだその答えは分からないし、セリーナ自身にも其れ相応の覚悟、と言うものが必要となる。】
【だがきっと彼女は言うだろう。時代の救世主には成れずとも。仲間を見捨てない、優しいリーダーにはなれるさ、と。】

  (待っててね、ギア君……今からソイツを、その意地汚い卑怯者を、アタシが討つ<撃つ>からッ!)
  (もう少しの辛抱だ、だからお願い―――お願いだ、あたしの身体ッ!!動けッ!! ―――間に合ってっ!!)

【目前に迫った敵。至近距離、ガンマンにとって見れば得意なレンジとは言えない物の、逆に言えばこの混戦状態で】
【三挺もの銃を持ったセリーナが、弾丸を外す事があるだろうか。勿論、絶対必中とはいくまいが、それでもこの距離感だ。】
【何処に命中させるのもそう、難しくはない筈―――逆に言えば、それは敵にも同じ事。セリーナのどこを貫く事もまた、容易いだろう。】

【だがセリーナが、最大の理解者にして相棒たる魔銃―――"弾"末魔を引き抜き、S.A.Aとの二挺持ち<デュアルスタイル>で】
【更なる追い討ちを、つまりはスカーベッジへの"トドメ"を指そうとしていたその時。ふと、聞こえてくるのは『スイッチ』という単語だ。】
【そして自身も聴いたことがある『コマチ』というネーミング―――連絡の相手は、六罪王か。直ぐにそう判断するも、走る足は止まらず。】

【走り続けて後一歩、もう手が届くかと言う距離にして―――足元に現れた、"違和感"に思わず、気を取られ。しかし。】


                          なっ―――――――――――くっ!?

【ボン、という小さな音。いや、破裂音にしては、という注釈をつければ意味も変わるか。爆発は爆発だ。】
【セリーナの足元で起こった『地雷攻撃』は覿面の効果を発揮し、土煙の中にガンマンの身体は吹き飛ばされていって。】
【そのまま、硝煙が続く中でその姿はしばし、見えなくなるだろう。だが勿論、ダメージは追っているはず。それもそうだ、なぜならb……】


【―――否。否、爆風が晴れる直前、再び轟くのは轟音―――S.A.Aの特徴的な45.口径の音とは少し違う、その銃声は】
【まさしく彼女が己の全てを賭けるに値すると信じて止まない、切り札とも言うべき"弾"末魔の咆哮だ。魔銃が吼えて、そして―――】
【煙が、晴れる。蒼白い召還陣が風と共に表れて、吹き飛んでいた筈のセリーナの肉体を通過し。そして、現れたセリーナは―――。】


                         <騎士怪醒――"ティターン・アーマー">


【―――セリーナで、なくなっていた。"弾"末魔の放った弾丸、それは通常の魔弾ではなく武装の召還を行う召還弾だ。】
【召還された武装は"魔導鎧"―――魔力を人造的に生み出す『魔道エンジン』を背に積んだ、悪魔製の"自動装着アーマー"】
【太古の巨人族、強固な皮膚を持つ「タイタン」をモチーフとして精製された強固な外骨格に全身を包まれたセリーナは】
【見た目には、まさに"人造の悪魔"―――機械と、悪魔とを融合させたかのような不気味なシルエットと化す。】
【しかし"ソレ"は紛れもなく、ただの人間であり能力者ではないセリーナを"戦士"の次元へと昇格させる為の"武器"だ】
【関節部分に、魔力が流れていく音が木霊する―――魔道エンジンの駆動音が全身を駆け巡った。】
【装着された事で使用者のパワー・防御力を大きく上昇させるその鎧。外見こそ生物的なフォルムを持っているものの】
【魔力によって駆動するこの鎧はまさに、特殊な動力を有するとはいえ一種のパワード・スーツと呼べるだろう。】
【―――彼女が頭部に被っているテンガロン・ハットの影響か、装着後の鎧にもその「形状」がきちんと反映されている辺りが】
【いかにも単純な"メカニック"―――人間の科学機構を有するものでなく、悪魔の技術で造られた"魔導機械"である事を伺わせる。】

【グウォン、と魔力が駆動する音が戦場に木霊するだろう。HUD内に光が満ち、爆風を物ともせずにセリーナは再び、前進。】
【ゆっくり、また一つ、一歩一歩と歩みを進めるその様はまさに、悪魔にも等しいか。機械仕掛けの魔導ガンマンが銃を、構える。】
【"弾"末魔を腰のガンベルトにしまい、今度はコルト・ライトニングとS.A.Aの二挺を持って、スカーベッジへと進む―――!】
734 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/08(土) 23:59:25.75 ID:1pZPohw6o
>>718
そう怒るなよ、ロウ。ガンマンが頭に血を登らせるな。お前の相棒は、私の手下にお前の言葉で説教を垂れていたぞ
熱い心と、冷静さが肝要だとな

そうとも。私はお前を殺す。お前は私を捕える。それだけだ。どこまでも、それだけだよ
ならば、話は単純だ。より強い暴力を振るうものが、己の主張を通す。ハハ、いつの世も同じじゃあないか

【ロウが向ける正義の牙。カニバディールの悪意に対抗するに十分な鋭さ】
【ロウは、カニバディールの圧力に押されているのかもしれない。だが、彼は退かない。戦いを挑む】
【これこそ、勇気というべきもの。彼の正義の形と言えるのだろう】


[ひ、ひいひひ!! ブタ箱にぶち込まれたことはありますが、後悔なんざ一遍もしたこたありやせんぜ!!]

「ロウ……さ……」

【スカーベッジが嘲笑を、ギアが幽かな言葉を、それぞれ彼へと送る】
【そのいずれにも関わらず、彼の意志はどこまでも高潔に。不殺を貫き、悪を許さない】
【彼は進み続けている。己の抱く理想へ。それを現実にしようと、本気で行動しているのだ。これを正義と言わず、何と言おう】


【菌糸が彼を穿ち、クリアーズが空を飛ぶ。そんな彼の意志を削り取らんと、敵の攻撃も激しさを増す】
【続くクリアーズの策は、ロウの行動を遅らせた。己の狙いが見事に通ったことを知ったクリアーズの表情が冷たく歪む】

≪フフフ、乱暴なくらいでなければ、落ちない汚ればかりですよ、この世の中は……≫
≪まあ、汚れた部屋に戻る必要もなくなるでしょう。そこが貴方の新しいねぐらなのですから……≫

【落ちていく。ガンマン、ロウが転落していく。ぽっかりと空いた地下トンネルへの穴は、落ちるものを死へ導く奈落と化す】
【それを冷徹に観察していたクリアーズの笑みは、次の瞬間凍り付くことになる】


≪な……!! なんです、そのふざけた弾丸は!!≫

【眼前に展開する光景は、クリアーズの度胆を抜いた。銃弾から腕が生え、ガンマンをつかんで放り投げる】
【さらに銃から小爆発を起こし、自分の身体を弾き飛ばす。跳弾使いは、自分の運命すらも意のままだというのか】

≪く……!! 小癪な!!≫

【決して小さくないダメージを負いながら、それでもこちらへ微笑みを向ける。ロウのクールな姿に、クリアーズは我を忘れた】
【空中からノズルを向け、ロウへと放水。距離がある分、見切りやすい。先ほど、相性が悪いと証明されたばかりの攻撃だというのに】
【クリアーズは、完全にロウの術中にはまったといえるだろう。空中に浮くクリアーズは、今や的だ】
735 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 00:07:48.73 ID:O+7sO/wo0
>>729
「――――安心して下さい。貴方はもう彫り直す時間も労力も使う事はありませんから
嗚呼…………その願いは叶えられませんよ。貴方は今夜中に一生分の痛い思いをする事になるのでしょうから」

【皮膚の上から殴りつけるのには慣れているが、直接に内部よりダメージを与えるのはまた異なった感触だ】
【それでも、然りと消えた事を確認したならば純白の衣を染めていく己の傷口を見遣って】
【――――まだ大丈夫。動きに支障が出る程では無いと瞬時に判断】

【“ヒトガタ”を呼び戻したならば…………その身体を呈して爪に貫かせる事だろう】
【鷹で警戒すべきは爪と嘴。その内の片方を封じる事が出来たならば後はもう片方に警戒するだけだ】
【驚異的な加速力で駆け出したならば、同時に懐に手を入れて】

【――――先程まで妖力を溜めていた符。己の血を染みこませれば、限界まで高めて】
【キメラウルフの側に近寄る事が出来たならば、その符は腹部目掛けて所謂空手の貫手と共に突き出される】
【属性は“土”。その符をキメラウルフの体内に仕込もうとするが――――】


「どうやらふかの部下達の様にカニバディールを慕っている、という訳でも無さそうですね
…………まあ、貴方達がどんな関係であろうと構いません。私の腕に傷を負わせた後悔、しっかりとして貰いますよ?」

【人体に“土”なんて、どうも相性が悪いように思えるけれど】
【……もし、目論見通りにキメラウルフの身体を抉って符を埋め込むことが出来たなら】
【そのまま“土”は“金”の属性へと変わる筈だ。謂わば、傷口を広げるかのように鉄が生まれ、角張った角を体内の八方へと伸ばしていくことだろう】

【激痛を与える事は勿論だが、何よりも重視したのは鉄の“重量”だ】
【派手に動けば動くほど、重力に従って下へ下へと向かって動こうとするのだから――――きっと、切り傷や打撲なんかと違って痛みは一定では無い】
【然れど、当然ちゆり本人だってキメラウルフの側に寄る事になるのだから、危険が増して――――】
736 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 00:07:53.42 ID:fJp163Udo
>>721

【威嚇としての射撃。命中させる事に主眼を置かぬ弾丸と言えども、来た弾は、避けなければ当たる】
【投擲の直後に撃ち出された弾丸、その一発が、無防備な腹部へと突き刺さる】

くぅ……ぁあっ……!

【呻きが漏れる。ダメージが通っていない、という訳ではなさそうだ】
【しかし、まだ倒れない。この二人の組み合わせを考えればこちらは前衛】
【―――その分、タフさに関しては優れている、という事か】

>>728

【聞こえた声。どうやら当たったらしい。だが、まだ足りない】
【もっと、より確実に――――はっきりと、壊した♀エ覚が無ければいけない】

「形があろうと無かろうと関係無い。ただ戦い、ただ壊す。それだけ。」

【平坦な声。ダメージを受けようと、そこは変わらない。】
【湧き出る泥を無感情に見下ろしたまま、避ける事も無く“黒”は先ほど雷が落ちた側へと声を飛ばした】

>>all

「クシー!」
OK、プシー!

【二人が交わす、ほんの少しのやり取り。会話というにも足りぬ、言葉を投げただけのもの】
【それでも、互いの伝えんとしている事を理解し、動く】
【この二人は、それができる程度にはお互いを理解し合っていた】

「お兄さん、今度は私が相手だよ。」

【―――“黒”の構えるパラソルが、その向く先を男に変える。そう、戦う相手をスイッチしたのである。】
【先端には既に魔力弾が出来上がっている。隙を見せていた男へと、放たれて】
【やはり基本性質は弾丸のそれ。しかし、また、というべきか、特殊な性質もあった】

【貫通=\――やはり字の如く。属性こそ無いが、撃ち抜く力が強いのだ】
【下手をすれば、腹から背中へ抜けてそのまま木箱も、なんて事も、有り得なくは無い】
【けれど、足元に粘性の泥があり、動きが制限されて状態からの射撃だ。放たれるまでに、少しの“間”があった】

僕はお姉さんの相手だね―――!

【そして“白”は、床を蹴り、大きな機械を蹴り、一気に少女の側へと加速するッッ!】
【接近の勢いそのままに、振り下ろされる漆黒の雷刃。外見に見合わぬ腕力は速さを産む!】
【やはり、喰らえば電撃が流れ込む事は変わらない。しかしこの動き、直線的ではあって……】


【そして二人の攻撃の、その後。“黒”の持つパラソルの骨組みの上、次々に魔力弾が出来ては先端に集まっていって】
【少しずつではあるが、魔力の塊を形作りつつあった――――】
737 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/09(日) 00:08:45.28 ID:CnijCxrto
>>722

「可愛い子ちゃんに気に入られるのは嬉しいが……テメーに気に入られた所で、ちっとも嬉しくねーぜ……。
 ―――あぁ、だから俺は何回も取り逃してる。けどな、その度に俺も死ぬまで食らいつくだけだッ!!!」

【彼の軽口に軽口で返せる辺りは、まだ余裕が有るように思えるが―――その口調は、過去のどの対戦より荒々しい、憤りの色を隠せていないものだ】
【ハンターを名乗るなら、獲物には容赦しない。たとえどんなに傷ついたとしても、獲物を仕留めるまでは努力を惜しまない】
【ライラの言葉には、そんな気力が篭っていた。正義として、今此処でやられる訳にはいかない】

「ッ、テメーに協力者が居るって事か? 
 どっちにしろッ、カノッサと手を組む野郎共はぶっ殺すッ! 何人掛かってこようが関係ねェッ!!」

【キメラウルフ、クリアーズの混じっていたあの狂人達を思い起こす。あの数は、混乱を引き起こすには十分過ぎる相当なものだった】
【『スクラップズ』の他にあんな数を用意できるのは―――やはり、カノッサの実力者か】
【しかし、考えていても始まらない。新手の異形二人と、彼らに立ち向かう正義の使徒達を軽く、チラリと見やった】


「そうだ、最初はテメーを斬ろうと仕込んだんだがな……思わぬ所で収穫があったぜ」


【先日、突如現れた『スクラップズ』メンバー三人。No.50のデュアル兄弟を、この刃で倒したことを思い出す。アレが、「M/」魔法の初めての舞台】
【アレが有ったお陰で、刃を使いこなす今のライラが有ると言って良い】

【苦痛に歪むカニバディールの声に、「そりゃどーも」と返す男。小さく「……これで倒れてくれりゃ、世話ねぇけどな」と言ったのは、まさしく本心だろう】
【だが、反撃もまた当然来ることだろう。またバトルアックスの光で攻撃かと思いきや、腕が伸びる。そう、彼の能力は元々肉体の変化だった】
【長いリーチに、回避しづらい低空での薙ぎ。結果避けきれず、足首付近を掠ってしまう。そしてその攻撃力は、ライラの予想を大きく超えていた】
【掠っただけとはいえ、血が噴き出る。瞬く間にライラの足元が生暖かい液体で濡れ、ライラも絶叫を必死に押し留めた】


「ぐうう、うッ!!! ……負けねー……負けねーぞカニバディールッ!!!!


   E  3  !  !  !      『 E a r t h   B l o w i n g 』  ッ ! ! ! 」


【斧が完全に振りぬかれたと見るや、ライラは自分の傷を物ともせずに呪文を紡ぐ。黄色のブレスレットが3段階に減光し】
【魔法陣が地面に展開されるやいなや、ライラはその魔法陣を足で思い切り踏み抜いた】

【途端に、カニバディールの足元が不意に大きく隆起するだろう。その直後、岩で出来た大きな腕が彼の前と後ろから一本ずつ同時に出現、彼へと襲いかかる】
【質量は大きく、まともに当たれば巨漢の彼でもどうなるかは分からない。更に岩の鋭く尖った部分が、殴打痕だけでなく刺し傷をも与えるかもしれない】
738 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 00:14:54.30 ID:8WufB5KAo
【正午をやや過ぎた頃――場所はとあるショッピングモール】
【国内随一の規模だとか、何処かの有名メーカーが出店しているだとか、触れ込みは多いが】
【まあ、言ってしまえば単なる複合商業施設。昼間ともあれば人出も凄まじく】

……もうちょっと、遅い時間の方が良かったか……?
アイツ、背はあんま高くねェし……ちゃんと落ち合えるといいんだが……。

【その中に一人、目立つ女性が居た。吹き抜けのフロアに据えられた時計塔の真下に、だ】

【まず、髪が赤い。これだけで非常に目立つのだが、服装は深紅のジャケットに加え】
【どこかスレた様子のジーンズと、ブーツと――なんとも男性の様な格好だったことも】
【そしてジャケットの奥はチューブトップで、チラと豊かな胸元が覗くのも目を引くのだが】

【――まあ、それはそれとして。時折彼女は周囲を見回していた。宛ら恋仲の相手を待つ乙女だ】
【が、実態は違っていたりして――彼女は数少ない、信頼の置ける親友をショッピングに誘っていたのだった】

【といっても彼女自身はそういうのは趣味ではない。ぶっきらぼうな表情や、飾り気の無いのを見ると】
【むしろそういうチャラチャラしたもの≠セとか、女性的な物には疎いように思え、何となく人混みも苦手そうで】
【結果的に場にそぐわない雰囲気を醸し出しながら、彼女――ベイゼは、一人の友人を待っていたのだった】

【ちなみに、呼び出した時はこんな様子――『ちょっと用が在るから買い物、付き合ってくれよ』】
【――と。その用は言わなかったのが実はミソ。今までの彼女とは、何となく纏う空気も違うように見えるだろうか】

/すみませんが予約です…!
739 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/09(日) 00:15:20.13 ID:NBjvuJGJ0
>>723

……3つの力に、3つの魂……あたし達が共有してるのは、それよぉ……
……ともかく、どうも向こうには地の利があるみたいだし、あまり長引かせるのも良くはないかもねぇ……

【下手に混乱の材料を残しておくのも良くない。手短に、ではあるが、自分『たち』の状態を簡潔に伝える】
【同じ身体の中に、複数の人格を宿している。それがこの少女の、先ほどからの言動の変遷の理由なのだろう】
【そして相手には、妙な胞子や力の供給と言うアドバンテージがある事を、少女は懸念する】
【消耗戦にするよりも、一気に期を掴んで叩いてしまうべきかもしれないと、そう口にした】

――――ッ、ちょ……!!
あぁっ……っもう、髪は女の命だって言うのに、それを無頓着に傷つけちゃうなんてねぇ……ッ

【だが、そんな少女も、背後からのフレンドリーファイアは想定していなかったらしく、思いきり慌てて飛び退く】
【しかし、微かにそのオレンジ色の髪がチリッと焦げる音が、確かに聞こえた】
【深刻なダメージにこそならなかったが――――心配する所がそこと言うのも、のんきな話だろう】
【顔を顰めると、盾を構えたまま頭へと手をやって軽く髪をすく。ショート気味ではあったが、後で切りそろえなければ目立ってしまいそうだった】



>>732

……つまんない男…………これじゃあ、あんた1人で盛りあがって、つまんないじゃなぁい……
発散されるエネルギーが、これじゃあ無駄になっちゃうわよぉ……ッ

【冷めた女の口調で、少女は冷ややかにヘケメディウスを見据える】
【粋もなにもあったものではない、ひたすらに戦闘狂と言う他ない返答が返ってきて、白けてしまったのだろう】
【――――仮にも敵である以上、そうした反応もどこかおかしい物だとも言えるだろうが、そうした悪戯っぽい所が如何にも『女』なのかもしれない】

(っく……の割に、戦い方は堅実そのものねぇ……こうやって遠距離から色々やって、付け入るタイミングが見えたらドカンと一発……
ペースを掴まれるのは、ごめんなんだけどねぇ……)

【更に飛来する棘弾を、尚も左手の盾で受け止めながら、徐々に焦りを覚え始める少女】
【鞭の一撃も、やはりいなされてしまう。更に盾も酷使し過ぎたのか、徐々に『解け』始めていた】
【『確実な一撃を打ち込む』には、どうしたら良いのかと。状況の打破のために思索を重ねる】
【そろそろ決めなければ、敗北が現実的になってくると言う事も、少女は――――『青』の人格は分かっているのだろう】

――――ッ!!
<(っ、来た……ッ)>
(大丈夫……これはチャンス……!)

【そこに、ヘケメディウスが、塊を振りかざして突っ込んでくる。少女本人の人格は思わず焦りを感じるが、『青』の人格は逆にそれをチャンスと考えた】
【確実な方法と言うなら、これしかないのだ――――『肉を切らせて骨を断つ』】

うっ、ぁはぁぁッ――――――――!!
――――――――あなたも、壊れちゃいなさいよぉッ…………!

【振り下ろされた岩塊は、左肩に命中。闘気のドレスが守っていた箇所ではあったが、バキッ――――と、人体から聞こえてはならない音が聞こえた】
【流石に耐えきれなかったのか、少女の悲痛な悲鳴が零れ落ち、殴り倒されてしまう――――だが、次の瞬間少女は、涙目ながらもキッと殺意を伴った笑顔を向けて】
【同時に、身に纏っていたドレスが、幾筋もの薄く細長い何かに、その形を変えていた】
【パラパラとしなるそれは、細い幾筋もの刃。言ってしまえば『切断触手』とでも言おうか。接近したヘケメディウスをバラバラに切り裂いてしまおうと、この一撃に賭けたのだ】

【――――同時に、その素材は少女の身に纏っていたドレス――――その闘気なのだ。攻撃に割けば割くほど、身を守るためのその衣服としての機能は失われていく】
【――――肩が露わになり、太ももが曝け出され、細い腰と慎ましい臍が顔を覗かせ――――今の少女の姿は、幼い身体には似合わないビキニの水着を着ている様な姿となっていた】
740 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 00:21:08.91 ID:s1LJLEh1o
>>726

【獅子の怪人の"機能"による急接近によりこの一瞬、相手の動きを凌駕する】
【確かにとらえた―――そう確信して放った一撃だが、その結果作った傷口から砂が漏れ始める】
【砂の身体で出来ている男……まさかこいつは?】


「……違う、レオ!こいつ人間じゃない……魔術で作り出されたゴーレムだし!
おそらくは遠隔操作されている、近くに『本体』が隠れているはずだし!」

『……………』


【理解したのか、外見からは分からないが獅子は無言で動き始める】
【一度、ブレンヒルトに『目配せ』を行ったならレオは、接近してくるシーナを迎え撃つだろう】
【左右の曲剣が来る、だがあまりにつけいる隙が多すぎる】

【おそらくこれは囮……先ほど感じた異様な気配、肩甲骨から飛び出す何かこそが『本命』!】

【そう判断した後、獅子の怪人の取った手段……それは曲剣を避けないという手段!】
【ダメージをあえて覚悟し、最小の損傷で済ませるために"怪人"は肉を切らせ―――肩から胸にかけての傷をあえて負う事になるだろう】
【そして遺す両手の爪をクロスさせて、こちらに振り下ろされる大剣を真正面から受け止めた―――!】

>>730

「そうらしいし……!能力をうまく魔術の役割分担に当てているし
ハマれば相当便利な魔術を使いこなせるかも……けどまだ!」


【喋り屋の魔術師としての才覚も並ではない事は伝わってくる】
【近距離戦を挑めば有利な相手だがそれ相応の技を持ってこちらを迎え撃つ意図が読み取れる】
【再び少女の声に変わると発生するのは炎の壁―――軽く手応えを感じたが踏み込み過ぎている―――!】


「アチッ!ぐ……くぅ、でもこれでいいし!
このまま魔術の腕比べするのもいいけど、それよりもお仕事の方が大事!
お忘れな訳?これはチーム戦だし!」


【深入りしすぎて右手首にわりと大きな火傷を負ったブレンヒルトだが、冷静にそれ以上足を進めるのはやめる】
【むしろ彼女は急に距離を取り始める……いや違う、ブレンヒルトはこの土壇場で急に『喋り屋から逃げ出した』―――!?】
【いや、ただ逃げ出すのならば彼女は何故、辺りを見回しながら鼻をひくひく動かしているのだろう】

【―――いつの間にかそして、急に距離を取った理由がその数秒後に判明する、自分たちはシーナの背後、と言うよりも……『レオの正面』の位置に動いていたのだ】


>>726>>730


「いきなりだけど『切札』切るし!―――――レオ!思いっきり『吼え』ちゃってッ!!」


【合図とともに、レオの口に高密度の魔翌力が収束していることが感じ取れるかもしれない】
【喋り屋とシーナは今、レオの正面に並んでいる状態に追い込まれていたのだ―――ひとつの攻撃でまとめて薙ぎ払うために!】
【直前、一切の空気の震えが止まる、そして】



『……ヴォオオオオオオォォォォォォ――――――――――――――――――――――ッ!!!!』


【レオに備わった"噴射"の機能……その神髄である破壊の『咆哮』】
【獰猛な『咆哮』は、射線上の見渡す限りの風景に純粋なる"破壊"をもたらすべく発射される】
【これを直で受ければゴーレムが仮に砕けなかったとしても……その衝撃で喋り屋を巻き添えにするかもしれない―――!】

【そしてブレンヒルトが急に退いたのはレオの『咆哮』から逃れるためだけではない】
【―――鼻をひくひく動かして探っている、おそらくシーナがゴーレムを操作している位置を感知するために――――!】
741 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 00:29:02.32 ID:bhClzXsPo
>>734

……―――良く言うぜ、姑息な手を使いやがって……!! UTの仲間はSCARLETの仲間……いや、んなこと関係ないね……!!
俺の目の前で人を傷つけるんなら、俺の身体が動く限り止めてみせるさ……!!

―――昔は言葉で納得させようとしたけど、んなことでは人は動かないってリアルに気付いた。……そうだよ、実力しか無いんだよ。
だから俺は―――実力でテメェを捕まえ、平和を掴み取る……!!

【邪悪な2人が嘲笑う。ロウは歯軋りしながら、苦しむギアを見つめる。―――その痛々しい姿から、早く救いたい。その想いはだが、言い換えれば焦り】
【焦りに怒りが混じれば、冷静から遠ざかる。―――解ってはいるが、この感情の高まりを抑えられるほど機械的な人間ではない】
【―――その結果が、自身を奈落の底へと突き落とす結果へとなったのだろう。……だが、彼が若い中でも積み重ね、凝縮された経験が瞬時の最適行動を生み出し】

【―――クリアーズの策略から逃れることに成功した。体力の消費も正直激しいが、この危機回避は流れを彼の方へ持って行くには十分だろう】
【……そして、クリアーズは確かに隙を晒している。地面に打ち付けられた痛みもあり立ち上がるには時間がかかるが、銃口を向けトリガーを引くことは今直ぐにでも出来る】
【ロウは両銃をクリアーズに向け―――左のトリガーを引いた。青く輝いた氷結弾が、空を裂き天へと向かう。その先はクリアーズが放った水】

【相性もあり、先程の様に水が凍る。―――勿論、クリアーズが放水を止めなければどんどんと氷は侵食していくだろう。……だが、そちらはメインではない】
【―――少し遅れて、銃声。右の銃から放たれたが、その直前にペンダントが光り輝くのが見えただろうか。―――軌道は氷に隠れて、彼からは見えにくい】

【そしてこの弾丸―――跳弾ではなく。「ノ」の字を描くかの様に、段々と軌道が伸び上がり、速度も増して行く―――……!!】

      ……―――弾丸憑依Icarus=B ―――正義の翼を得て加速するこの銃弾は……テメェ等悪をも貫く!!

                <<   こ  れ  が  正  義  の  牙  だ  ッ  ッ  ッ  !  !  >>

【飛翔する鉛の牙。加速して威力も倍増したその一撃は、彼の土手っ腹を撃ち抜かんと唸った。空中でバランスを保つには、幾ら水の勢いがあろうとも腹筋を使う】
【そうしなければバランスも取れないのでは無いだろうか―――との瞬時のひらめきから、その腹筋部分を狙ったのである。この行動がどう影響するのだろうか―――?】
742 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 00:29:56.84 ID:CVGPCgLFo
>>727
【まさしく幻のごとく、トラックは消えて失せた。淡い光の残留は、この世への名残を秘めているかのように】
【それと同時に、相当なダメージと思い込んでいたキメラウルフも、左足の痛みが薄いことに気が付く】
【記憶の再現。強烈な力ではあるが、記憶が持ちうる力には限界があるということだろう】


【トラックの上から華麗に舞い降りる姿、一挙手一投足全てが周りを魅了するかのような動き】
【Justice≠フ一員だった、という事実を否応なく突きつけられるその動き。異形どもすら、目を奪われかけた】

【それを彩る光は、天使と見まごう神々しさ。張り巡らされたワイヤーの動き】
【だが、その優美さゆえに淡く儚い彼女に対し、汚れた異形どものしぶとさは折り紙付きだ】


<へっへっへ!! そういうことだべ!! 俺のかわいいタトゥーの力、思い知れっつーの!!>

【着地の隙を逃さず、蛇のタトゥーが細い足に牙を立てる。鮮血をすする蛇のタトゥーが目をわずかに細める】
【それでも、彼女は唇をかみしめて耐えるのだ。どれほど傷つこうと、彼女は正義を貫くべく動き続けるのだろう】

【その信念が動かす右手。蛇に通った能力は、あっさりと蛇を無力なタトゥーへ戻す】
【主のもとへの帰還もままならず、崩れ落ちて消え失せた】

<あああああ!! どいつもこいつも、俺のタトゥーをおおおおおお!!!>

……自己陶酔、その通りだ。私は根っからの利己主義者だ
他人から見ればどれほど愚かでも、私には何より優先すべきことなのだよ

【強い、強い彼女の意志。彼女の正義。込められた叫び視線。それを見下ろす一つ目は、やはり変わらず暗かった】
【あの日、公園で自分に牙を剥いた暴漢たちすら助け、己を悪と知りながらその傷を癒した】
【そんな少女が、戦場で退くことなく立ち向かい続けている】


変わる、か。そうだろうな。私も見てきた。人が変化していく様を
だがな、シオン。私は、私だ。どう変わろうともな。そこは譲れないし、譲らない
生命の使命に背いたとしてもだ

【傷を負いつつも、シオンへ返す言葉はやめない。カニバディールにとっても、シオンは特殊な相手なのかもしれない】
【だが、戦況は容赦なく動いていく。距離は未だ空いている。それを埋めるべく、シオンは動いた】
【束になったワイヤーが、キメラウルフへと迫っていく――】


>>735
<へ、へへへ!! 口が減らねえ女だべ!! ちっとは痛がるとかしたらどうだ、いかれ女!!>
<ハっ!! 言ってろ、地獄見るのはてめえのほうだべ!!>

【内部から破壊されたオオカミの感触、その余韻も消えぬうちに己のコンディションを再確認】
【ちゆりの戦闘者としての腕前のすさまじさが発揮される。瞬時に引き戻されるヒトガタ、鷹の一撃は反撃に転じられ】
【鷹の爪が封じられた、と認識した時には、彼女はすでにキメラウルフの前にいた】

<へ……!? っぎゃああああああああ!!!>

【貫手、一閃。ちゆりの拳は、見事にキメラウルフの内部に符を抉りこんだ】
【“土”は“金”へ、符は凶器へ。ちゆりの一撃はキメラウルフを内部から破壊していく】
【角張った角に抉られる痛みが、重みで下へと落ちていく。激烈な痛みが移動し続け、キメラウルフに腕のツケをたっぷりと支払わせた】


>>727
<はっが……!? ちょ、待て、待つべ……!!>

【このタイミングで、シオンのワイヤーがキメラウルフを捕えた】
【先ほどまでのキメラウルフの行動からわかるだろうか、この男接近戦は不得手だ】
【常人よりは上ではあるものの、戦闘者の世界では通用しない。だからこそ、タトゥーに全て任せていた】

【そこへ、ちゆりから受けた大ダメージ。ここからの、シオンによるインファイト】
【痛みに耐えて手足をばたつかせ、必死に抵抗するが、それも叶わず。右腕に残ったタトゥーを出すこともできず】
【キメラウルフは、シオンの領域へ引きずられるだろう。後は、彼シオンの思うままだ】
743 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 00:31:40.76 ID:st4zWuNoo
>>728

……そこらの一杯ぐらいじゃ足りないから聴いてるのに…あークソッ!もういい!集中しろっ

【こっちから余計な茶々をいれたのに舌打ちしてめんどくさそうに会話を切り上げた】
【電撃を食らうことはないにしろ、ダンスを踊らされるかのような回避は苦戦中という感じか】


>>736

あー…畜生ッッ!!撃ち合いになってから武器をやられっ……ッッッ!!

【男はリボルバーを握り、相手に向けようとした瞬間!向こうのほうが早かった!】
【正確に言えば”白”に銃を向けた時にはもう既に此方側では無く、完全に見逃していた】
【彼は目をグリグリ動かして、”白”を追った時、”黒”を見、相手が黒に変わったことに気がついた】
【黒へと銃を向けている間、先に相手が弾丸を放つ!ダンッッ!!!と男の体に衝撃が走った】
【弾丸は彼の脇腹を深く、かすめていった。男が銃口を向けた際に体を動かした事が直撃を回避することが出来たのだろう】
【ただ、その弾丸の持つエネルギィはかすめたにもかかわらず、彼を床へ倒す程の衝撃を与えることが出来た】

アアッッ……クソッッ何やってんだ…俺は…っっ!!

【ぎりりと歯を狂犬の様に噛み締めながら、仰向けに、左手で傷口を抑えながら右手の銃の撃鉄を起こす】
【黒い金属の銃身の長いリボルバーは薄く全体に模様が彫られていた。意味のないエングレービングだが】
【彼が撃鉄を起こせばシリンダは独りでに回って、その模様は血のような赤で染まる。引き金が引かれる】

【BANBANBANG!!見境の無い3連射。非常に撃ちづらい体制からの射撃だった】
【床に倒れこみ、痛みもあり。牽制射撃を行ないながら一歩づつ後ずさりながら遮蔽物へと移動していった】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 00:32:47.30 ID:uF43oKWx0
>>738

【様々な人々の発する声が、音が、がやがやとした賑やかさになって、吹き抜けの高い天井へと抜けていく】
【暖房の効いた店内にひとごみ特有の暖かさが混じりこんだなら、ご飯の直後にはちょっぴり眠くなってしまうような】
【それでも、相手にしてみればそんな場合ではないだろう。身体的に目立つ要素のない少女を、探しださなければ――】

【――けれど、目立たないというのは身体的なもの。百六十センチの身長や、華奢な身体つきは、よく見るものでも】
【纏う気配が、身に付けるものが、――普通とは違っていたから、“なんとなく”傍に居るのぐらいは、分かったのかもしれない】

【それでもひとごみの中に紛れ込んでしまう宝玉の気配、涼しげに水を打つようなのが、あっちへ行ったりこっちへ行ったり】
【数分前に“どの辺りに居る?”というのを尋ねるメールが届いていたことだろう、返事をしてやった後は、ぐるぐると堂々巡り】
【時計塔の周りをひとに流され押されついでにカップルに遮られながら、ようやく、その一対は綺麗な赤色の髪を見出した】

アナスタシアーっ!

【ようやっと姿を見せた、その始めの印象は“ぷはぁ”とかそんな感じだろう、ぎゅうぎゅうのひとごみからぷいと顔を出して】
【傍に駆け寄ってきたのはまさしく相手の待っていた姿だろう、かつんと硬質の足音が、ひとごみの中に溶けていく】

【薔薇を刺繍で描いたヘッドドレス、蔦を模したようなレースがきゅうと顎のところで結ばれて、真っ黒の髪を飾り】
【黒色と赤色のオッドアイが真っ白な肌によく映える、――変わらず不思議な気配を放つ宝玉が、右耳で煌いて】
【前のボタンで留めるタイプのワンピース、シンプルな形の分だけ、たくさんのフリルが裾を彩って】
【暑かったのだろう開け放たれたコートのボタン、防寒よりもかわいさを優先したような、リボン飾りの目立つもの】
【薄手のぴったりしたサイハイソックスに底の厚く高いパンプスを履いて。それでようやく、百七十センチの身長】
【肩から提げた鞄は四隅のかっちりしたボックスバッグ、ぱたぱたと小走りの仕草に合わせて、腰元で跳ねていた】

やっと会えた――会えないかと思っちゃった、

【ひとごみにもまれて乱れてしまった髪をかきあげる、ほんのちょっぴり汗の気配を漂わせて、ひといき吐いて】
【安堵したようにはにかんでみせる、ぺたんと胸の前で合わせた両手、左手の薬指にはいつもみたいに指輪が煌いて】

用ってなあに? 何か欲しいもの、あるの?

【本題に踏み入る、誘われたということは――ただ買い物するだけというわけじゃあないのだろう、そこが不思議だと】
【ちょんと首を傾げて尋ねる、コートの中でくしゃっとしたワンピースの裾を直す仕草が端っこにちょっぴり混ざって、】
【急に呼ばれた割に機嫌が悪いということも当然だがないようだった。寧ろ、“一緒にお買い物”程度に喜んでいるように見えて――】
745 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 00:47:58.83 ID:CVGPCgLFo
>>724>>733
[ひ、ひひ……いったい、どんな代物を仕込んでいらっしゃったんですかい、コマチ様……!!]
[二つ目のほうも了解ですぜ。きちんと伝えときますよ]

【コマチの忠告に、彼女の並々ならぬ面を改めて見せつけられるスカーベッジ】
【だが、眼前に迫る危機はそれどころではなかった。あわてて押したスイッチ、結果としてはいい判断だったのだろう】

【『ファントム・プラネット』、第二の爆弾。六罪王特性の装置が、その効力を発揮した】
【ブリキ製のロボットのおもちゃ。くしくも、ギアが使うものにも似たそれ。しかし、その効力の凶悪なことは見ての通り】
【ぜんまいの音をまき散らしながら、愛嬌すら見せる姿で、しかしその身は爆風となってセリーナを襲う】


[ひっひー!! あのサイズでこの威力、さあっすがコマチ様ですぜ!! こんな素敵な隠し玉を用意してくださってたとは!!]
[せっかくの三丁拳銃の接近戦も、これじゃあ宝の持ち腐れですなあぁ……]

[さあて、ガンマンさんがどんなざまになってるか、とくと――!!?]

【爆発を見た途端、調子を取り戻すスカーベッジ。下卑た笑いと共に覗き込んだ先に、彼女はいた】
【魔銃の咆哮。戦場に響き渡るそれは、彼女をUTのリーダーにふさわしい戦闘者へと昇華させる】


[ひ、ひひひ……生で見るのは、初めてですぜ……]

【セリーナの十八番、召喚鎧、<騎士怪醒――"ティターン・アーマー">】
【情報として知ってはいたが、聞くと見るとでこれほど違うものか。機械と悪魔が融合したかのような姿は】
【とても、正義のリーダーとは思えない恐ろしさをスカーベッジに感じさせた。"魔導機械"。未知なる存在】


[ひっひっひい!! 来るな来るな来るなあぁ!! マ、マ、マーディケリウム!!]

【スカーベッジの叫びに応じて、頭上からキノコが菌糸を伸ばした。二丁拳銃でスカーベッジに迫る彼女へ向けて】
【巨大さからは考えられない素早さでその足を薙ぎ払おうとするだろう】

【スカーベッジもやられっぱなしではない。右腕を突き出す。それが肘から折れ曲がり、不気味な空洞が覗く】
【筒状のゴミと融合して作り出した即席砲台。セリーナのそれに比べれば論外の遠距離武器だが、ないよりはましだ】
【細かい屑鉄の塊を、セリーナの銃を握る腕めがけて撃ちだす】


[――――耳っ!!]
[(あと少し、時間を稼げれば……!!)]

【これら攻撃行動をとりつつ、スカーベッジは叫んだ。戦況は不利になりつつある。二つ目の切り札を切るタイミングを、仲間に知らせる叫びだ】
【次のレスで、二つ目のスイッチが押されることだろう】
746 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 00:47:59.82 ID:FITu2ouXo
>>732

はっはっは!成る程!そういう事か!分かったぞ!!
え?何をかって!?それは勿論、君の───

【火炎放射は効果あり、しかしリベルの叫び声でフレンドリーファイアしている事に気付いたフォギーは、火炎放射を取り止める】
【しかしヘケメディウスの台詞が大きなアドバンテージをもたらした、すなわちヘケメディウスの能力の効果が分かった今、対策も考えやすくなる】
【が、それは飽く迄対策方法が可能ならの話であって、またフォギーがヘケメディウスに対応出来るならである】

【ヘケメディウスが投げた地面の塊、フォギーは防御する方法を殆ど持ち合わせていない為に、持っている箒で防ぐ他無い】

うぬおあああああああああっっ!!

【幸い箒は折れなかったが、硬く重い塊の衝撃は半端では無く、強い衝撃が両腕を骨から揺らし、フォギーの体は仰け反り後方に吹き飛んだ】
【背中を強かに打ち付けたが、まだ立ち上がる事は出来る、フォギーはリベルに向かって叫んだ】

>>739

君ぃ!私にいい考えがある!どうかここは私に賭けてはくれないか!!
どうやら君は接近戦に部がある様だ!だがそれだけでは運動エネルギーさえ潰してしまう奴には叶わない!!

だが!奴がエネルギーを砕いた欠片が炎にまた戻るのを見た!これを利用する他無い!!
つまりだ!エネルギーを砕かせた瞬間に他のエネルギーで欠片を吸収し、尚且つ対処出来ない早さで攻撃すれば───

勝てる!勝てるぞ!!

【割と離れた場所から、リベルに対して考察と作戦を叫ぶフォギー、だが気付いているだろうか、否、フォギーは気付いていない】
【リベルに聞こえる様に叫ぶ、という事はつまり肉薄しているヘケメディウスにも普通に聞こえていると言う事───つまりは、そういう事】

間に合ってくれ!《サンダープラス》!!

【その場で箒を回転させるフォギー、すると箒の炎が歯車の生み出す魔力により、雷の力へと切り替わる】
【雷がバチバチと音を立てながら溜まり、箒を上へと掲げた瞬間、空から落ちる青い稲光】
【しかしそれはヘケメディウスでは無く、リベルに対して落ちた、だがリベルにダメージは無く、代わりにその雷の力が纏われるだろう】

【この魔術は、雷の力を対象にエンチャントする魔術。その性質は雷を纏うだけでなく、スピードを一定時間飛躍的にあげる効果もある】
【その雷の力は、電気エネルギーと共に沢山の切断触手のスピードを上げて、リベルの攻撃を補助するのだ】
747 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 00:48:06.19 ID:CVGPCgLFo
>>724>>733
[ひ、ひひ……いったい、どんな代物を仕込んでいらっしゃったんですかい、コマチ様……!!]
[二つ目のほうも了解ですぜ。きちんと伝えときますよ]

【コマチの忠告に、彼女の並々ならぬ面を改めて見せつけられるスカーベッジ】
【だが、眼前に迫る危機はそれどころではなかった。あわてて押したスイッチ、結果としてはいい判断だったのだろう】

【『ファントム・プラネット』、第二の爆弾。六罪王特性の装置が、その効力を発揮した】
【ブリキ製のロボットのおもちゃ。くしくも、ギアが使うものにも似たそれ。しかし、その効力の凶悪なことは見ての通り】
【ぜんまいの音をまき散らしながら、愛嬌すら見せる姿で、しかしその身は爆風となってセリーナを襲う】


[ひっひー!! あのサイズでこの威力、さあっすがコマチ様ですぜ!! こんな素敵な隠し玉を用意してくださってたとは!!]
[せっかくの三丁拳銃の接近戦も、これじゃあ宝の持ち腐れですなあぁ……]

[さあて、ガンマンさんがどんなざまになってるか、とくと――!!?]

【爆発を見た途端、調子を取り戻すスカーベッジ。下卑た笑いと共に覗き込んだ先に、彼女はいた】
【魔銃の咆哮。戦場に響き渡るそれは、彼女をUTのリーダーにふさわしい戦闘者へと昇華させる】


[ひ、ひひひ……生で見るのは、初めてですぜ……]

【セリーナの十八番、召喚鎧、<騎士怪醒――"ティターン・アーマー">】
【情報として知ってはいたが、聞くと見るとでこれほど違うものか。機械と悪魔が融合したかのような姿は】
【とても、正義のリーダーとは思えない恐ろしさをスカーベッジに感じさせた。"魔導機械"。未知なる存在】


[ひっひっひい!! 来るな来るな来るなあぁ!! マ、マ、マーディケリウム!!]

【スカーベッジの叫びに応じて、頭上からキノコが菌糸を伸ばした。二丁拳銃でスカーベッジに迫る彼女へ向けて】
【巨大さからは考えられない素早さでその足を薙ぎ払おうとするだろう】

【スカーベッジもやられっぱなしではない。右腕を突き出す。それが肘から折れ曲がり、不気味な空洞が覗く】
【筒状のゴミと融合して作り出した即席砲台。セリーナのそれに比べれば論外の遠距離武器だが、ないよりはましだ】
【細かい屑鉄の塊を、セリーナの銃を握る腕めがけて撃ちだす】


[――――耳っ!!]
[(あと少し、時間を稼げれば……!!)]

【これら攻撃行動をとりつつ、スカーベッジは叫んだ。戦況は不利になりつつある。二つ目の切り札を切るタイミングを、仲間に知らせる叫びだ】
【次のレスで、二つ目のスイッチが押されることだろう】
748 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 00:51:44.49 ID:z4b9ZXafo
>>730>>740

「ぬぅ――正面から受け止めおっただと!?」
「ふん、敵ながらその勇敢さ……見事と褒めてやるのだ!」


【左右の曲剣による斬撃は、飽く迄も囮として放たれた行動】
【故に必殺の力が篭っておらず、直撃したとしても命に関わるダメージにはならない】

【受け止められた大剣、そのまま鍔迫り合いにするのは危険だ】
【技量に於いてシーナはレオの足元にも及ばない】
【先程のように受け流され、手痛い反撃を喰らうビジョンが頭に浮かび】
【足元の地面を流し、操作。大剣を引き戻し鋭い動作で後退しようと――】


【――瞬間、シーナは敵の意図を悟る】
【シーナはこの場の位置関係を見ずとも近くすることが出来る】
【前方で放たれようとする攻撃、それはブレンヒルトの"切り札"の言葉でも判る通りの必殺の一撃】
【シーナだけならば、腕の一本も犠牲にすれば回避することは可能であろう】
【しかし、そうしてしまえば後方にいる味方が受けきれる保障はない……ならば選択肢は一つであった】


「――貴様の切り札など、私の魔術の前では子供騙しも同然なのだ!」
「地術が誇る守りの技巧、その目にしかと刻み付けるがよい!」


【"シーナ"の身体が、その場で膨大な砂の塊になって分解した】
【手にしていた3本の剣と、法衣がその場で無造作に転がり】
【そして――崩れたゴーレムの"中"から小さな人物が現れる】


【その人物――身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下から上を隠している】
【先程同様に、肩口からは漫画の吹き出しを彷彿とさせる形状のボードが生えており】
【言葉を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして文字として意思を表現していた】

【地術師シーナ・ゲルギルは、"搭乗"していたゴーレムを放棄】
【構成物質である聖地の土と、魔術印により加工の施された砂に分解し即座に術を形成した】
【他の術を使うには、あまりにも時間がなさすぎる】
【時間にして数瞬であろうか?レオとシーナの間に、分厚く広い亀の甲羅のような盾が形成された】


「くっ――――」


【爆発的な衝撃に、盾の砂がみるみる内に破砕され砂煙が舞う】
【守りに長けた地の術とは言え、楽に受けきれるような生半可な威力ではない】
【その咆哮を受け止めるための代償は――大きい】

【咆哮を全て受け止めることには成功するが、盾は完全に破壊される】
【また、咆哮が止む頃には盾を構成していた膨大な砂が周囲に吹き飛んだことにより】
【レオの視界に影響が生じる可能性があるだろうか】

【そして――ゴーレムから飛び出た小さな魔術師の姿は、先程までいた場所には存在しなかった】
【塵も残さず吹き飛んだのか?……それとも】


【ブレンヒルトが冷静に場所を探れたならば、"地中"にその反応を見つけることが出来るだろうか】
【隠蔽されているが、微かに放たれるそれは……レオの背後に向かい移動していた】
749 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 00:52:30.15 ID:8WufB5KAo
>>744

【時間を確かめたり、届いたメールに返事を送ったり。何かと時間を潰すことはある】
【それでもやはり人混みは苦手か、でなければ嫌いか、そのどちらかのようで】
【ダルそうに周囲を睨むように見回していた彼女だったが――ふと声が響けば、眉根の皺を解いて瞳を向け】

……よっ、大丈夫か?あんまこういうトコ来ねェから、混み具合とか分からなくてよォ…。
もうちょっと後にした方が良かったな。ま、何はともあれ会えて良かったぜ、鈴音

【先ほどまで不機嫌そうだったのが嘘のように小さく笑い、軽く手を上げてみせ】
【なんとか合流してしまえば、やはり他の人々とは相当に雰囲気が違ってくるとみえ】
【二人の周りには――この際嬉しいと表すべきか、少しばかりの隙間が生まれていて】

【そしてアナスタシアと呼ばれた彼女は、やはりというか以前の通りベイゼ寄り≠ナ】
【男装に近い今では少し彼女より背は高い程度か。左手に黒のグローブをしている以外、装飾は皆無】

【恐らくそのことを気にしている、と言うよりは――相手の服装、可愛らしさというか、センスというか】
【それに目を引かれたに違いない。合流して話しながらも、黄土の瞳は相手の全身に移っていて】
【ひとしきりリボンやらを見つめてからふと肩をすくめれば、相手の言葉にようやく気付いた、という風に口を開き】

ん、まあな……ホラ、俺ってファッションっつーか……そういう方面、詳しくねーだろ?
昔からそういうのとは無縁だったからってのも有るんだが、色々分からなくて……

……で、その点、お前は違う。少なくとも俺の知り合いの中じゃ一番その手の事に詳しい――
―と、そう思って連絡したんだ。ちょっと……ワケがあって、服でも買おうか、ってんでよォ…。
まあそんな感じだな。……服選ぶの、手伝って欲しいんだよ。

【『そういうフリフリしたのじゃなくて――』なんて付け加えながら答えたのは、そんな事】
【言葉の途中で目が泳いで足下を見たり吹き抜けを見たり時計を見たり、何となく頬も赤い】
【風邪でも引いているようにみえるだろうか、それとも――?ともかく、彼女の希望は至極簡単だ】

【要するに――似合う服を一緒に探して、見繕って欲しい≠ニ。そんな様な用事らしかった】
【決まりが悪そうに右手で髪を弄る仕草は何処かいじらしい。それが恐らく、なれない『友達との買い物』が理由ではなく】
【他に何かありそうだということは、先駆者とでも言うべき少女であればすぐに分かってしまうだろうか】
750 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 00:57:57.64 ID:fDIMY+O4o
>>731

【『TRAVIS』。普段機関の自室か研究室に閉じこもっている彼女でも知っているのだ】
【かなり大きな組織なのだろうと推測する。そしてその組織が一月で立て直すと言う。間違いなくその力はあるのだろう】

……カニバディールとその部下たちが今回の襲撃に失敗すれば、あるいはそうなるかもね
でもリチャード君、ヴェンドゥラー中心部の巨大キノコ――マーディケリウムをみたかしら?
あれの出現だけで終わればいいけれど、この街はもうじき私達の土地になるわ

……そうね、あなたは機関に敵対している訳でもないのだから、頼み込めば駅のひとつくらい貸してもいいかしらね

【彼女は今回の作戦の全貌を把握してはいない。が、憶測だけで語ってはいるものの、ここを機関が奪うのは確実だ】
【取り返したくばどの道戦わなければいけない。それだけは不変の事実】

あら、口が上手いのねリチャード君。でももう手遅れなの

――――あなたはただの餌よ

【散乱するヤスデの死骸。それに目を向けることはなく、彼女は笑みを深めた】
【はりぼての笑顔の向こうには分かりやすく怒りの色が覗いているのだろう】

【吸収と爆散――なるほど、厄介な能力である。こんな風にヤスデの力を利用されるとは思いもしなかった】
【しかし対処できない訳ではない。傍らのヤスデが彼女を包み、毒液から守ろうとするだろう】
【隙間から毒液を浴びることになるが――少量で済む。衝撃波は防げないのか、直撃するはずだ】

……っ、吸収させなければいいのかしら? なら、この子ね

【僅かに血を吐きつつ、カーディはヤスデを別の次元へと帰す。次いで召喚したのはゲジだ】
【見た目こそ普通のゲジと大差ないものの、これもまた巨大である。ゲジはリチャードへと一直線に突撃するだろう】
【ゲジの身体は獲物を捉えるためのフォルムをしていると言っても過言ではない】
【――が、言ってしまえばそれだけだ。毒も強くはない。故に文字通りの体当たりを仕掛けるだろう】

>>715

危ないわねぇ……女性を痺れさせるなら、もっと他の方法がいいんじゃないかしら

【脚を怪我しているが――彼女も全く動けない訳ではない。右足を使わずに移動し、車の影に隠れるようにして躱わすだろう】
【リチャードのブラックホールも厄介だが、こちらは朧気なれど種が解っている分対処できる】
【しかしミハエルの能力は、次に何が来るか予想できない。必然的に距離を取ることでの対応を迫られるが――この足では難しいか】

【が、動きが鈍る点ではミハエルも同じか。ムカデの毒は激痛を与えたはずだ】
【これに抗おうものならば、余程強い精神が必要になる。ミハエルにそれがあるかで戦局は変わるはずだ】
【ミハエルの放った雷撃は見事ムカデを捉えた。ムカデは身体をはねさせたかと思うと、今までの動きが嘘のように沈黙する】

……この子を倒すなんて、なかなか強いわね。だけど、どこまで抗えるかしら

【ムカデもまた、別の次元へと帰ってゆく。カーディは片方の魔法陣を操作し、ミハエルの足元に設置しようと試みるだろう】
【そこに留まったままならば魔法陣から五匹のヤスデが出現し、ミハエルに巻きつこうとするはずだ】
【厄介なのはこのヤスデ、全身に鋭い針が生えている点だ。ヤスデ自体は先程のムカデに比べれば大きくないが、十分に大きい】

【そしてこのヤスデ達に対処できたならば――ミハエルはひとつの勝機を見出すかもしれない】
【魔法陣が移動した≠ニいうことは、彼女は即座に身を守れなくなったも同じ】
【ミハエルが接近しようとすれば、案外それは容易く叶うかもしれず】


//どう返せばよいか迷ったのですが、このような形にさせていただきました
//遅くなって申し訳ないです
751 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 00:59:46.56 ID:IXaHmaBQ0
>>736>>743


……壊すことしか知らないんだネ、アナタ達。アァ……それは余りにも視野が狭すぎル。まるで、兵器ダ……
でもネ、まだ完全な兵器にはなってないヨ。アナタ達は痛みを感じているし、声を上げることも出来ル。……それって、人間だからだよネ?

【平坦な声。無感情無機質な瞳。彼女達から受ける印象は、全く以て生きたものの暖かさを感じない……壊すことだけを考える、まさに兵器と同じだ】
【相手を殲滅することだけを考えた、人の体と頭を借りた兵器。二人からはそんな印象を受けるのだ。きっとその勘は正しいのだろう……】
【しかし、それでも。二人は少なくとも痛みを感じた。少なくとも二人の間には少ない言葉でも意思疎通が出来る程の信頼ににも似た感情がある。】
【―――それは二人が兵器ではなく、人間であるという証左ではないだろうか?未だ二人は、人間である余地が有るのではないだろうか?】
【兵器は痛みを感じない。兵器に信頼なんて芽生えない。……それは、人間だからこそ生まれるものだと思うのだ】

【彼女の言葉が二人に届いたとしても、恐らく何の反応も示さないだろう。無機質に、表情一つ変えないだろう。……それでも。】
【言っておきたかった。言わずにはいられなかった。「壊す」以外の選択肢を知らない二人に、彼女の言葉はどう聞こえる?】


【図らずも、その二人の信頼を垣間見るやりとりが交わされた次の瞬間。今度は白い少女が此方へと向かって来る!】
【体躯に見合わぬ瞬発力で、小さな躰は加速、接近。その勢いのままに腕を振り下ろさんとする!――――が】

ッアァ!!―――ッ「五行霊符・土符」!続けて「水符」!

【その動きは直線的。横に逸れるように動けば回避は出来る。出来るのだが―――予想以上に動きが速く間に合わない、避けきれない!】
【白い少女は彼女の肩を掠めて通り過ぎる。激痛を我慢して、手に持っていた黄土色の符をもう一度掲げると……直線状に動く彼女の進行方向目の前に、土の壁を発生させる!】
【これ程の勢いで突っ込んできたのだ。回避が叶わず激突すれば自らの勢いで体が叩きつけられることになるが……】
【もう一つ付け加えておくと、激突すれば間違いなく土の壁は崩れる。崩れてもろく柔らかくなった土砂は、きっと白い少女を埋めてしまうだろう】
【這い出るには時間が掛かる。そのまま生き埋めとは行かずとも時間を稼ぐには十分だろう。急襲する相手には時間が欲しい……】
【激突しようがしまいが、直後に掲げた水符による水が土に降りかかる。瞬く間に泥になった土の塊は、やはり足場を危うくするだろう……】


【―――そういえば、黒い少女の方のパラソルの様子がおかしい。何か大きな攻撃が来なければ良いが……】
【少女は土符と木符、そして金符をいつでも発動出来る状態にして手に持っておく。……これは何かの予兆だろうか?】
752 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/09(日) 01:06:54.11 ID:FLcvNpYro
>>742
【掴んだ感触、視界の端に映る、キメラウルフに相対するまた別の正義=z
【息を呑む、圧倒されるほどにその高い力を発揮されて――――――】
【小さく頭を振った、そこにどんな戦い方があったとしても、彼女はその力を崩さないのだから】

【引き寄せるキメラウルフ、縛り上げたワイヤーに辿られる身体、まさに生殺与奪を彼女が握っている状況だろう】
【カニバディールの言葉を借りるなら、彼は明確な悪≠ニ言えよう、ここで倒さねばならないほどに】
【伸びる指先、手元に引き寄せた彼へと、右手を伸ばして】


……私は貴方がたを赦すわけには、いきません
罪は償わなければならないのです、どんな時も、でも……でも
死≠ナしか償えない罪なんて、ほんとは無いんです

――――――真っ白になって、やり直して下さい


【貴方の頬に触れようとする指先、手袋越しの右の手が、柔肌の表面に溶け合っていく】
【成功したならば、キメラウルフの身体が光に包まれる筈だ、かつてカニバディールが受けたように】
【過去の状態≠フ再生、それを彼女はキメラウルフに施そうというのだ】

【夜に塗れる光の残照、それはさながら、宵闇に浮かぶ豊月が如く、雲間に消える三日月の残影にも似て】
【光が解けて消えたなら、そこには元の傷も無い状態になったキメラウルフが在る筈だ】
【彼女が再生しようというのは過去=\―――――タトゥーをいれる前の、どこにもタトゥーの無いキメラウルフだ】

【尤も、彼女の能力は過去の再生であるが故、キメラウルフにタトゥーが無い過去がなかったなら、そうはならない】
【また、能力は一時的なものでもある、本気で抗ったなら、彼女の能力を強引に打ち破ることも可能だろう】
【それでも彼女は貴方を打ち倒そうとはせず、できるのならばそのまま、その場に放置するのだろう】

【貴方を縛った状態でワイヤーを切り離す、自身の唯一の武器を、捨てるのと同義であろう】


……だから私が変えるんです、変わらないと思っているのなら、変わりたいと思わせるだけです
挫折を知らない人間は、自分の過ちに気づきません、成功している人間は、自分の正しさを疑わないものです
私はいっぱい間違いを犯しました、それらは一生をかけて償わねば、ならないものです

……私にできるのは、せめてもう、間違いを犯さないように、するだけです


【記憶≠司る少女の言葉、それは過去に触れるからこその言葉なのだろう】
【過去を顧みない人間など居ない、と言いたげに華奢な言葉が饒舌に羽ばたく】
【見上げる視線の先、交錯するその一瞬を、逃さないように、と】

【右足の出血は止まらない、いくら可憐に舞おうとも、彼女の身体が弱いことは言うまでもない】
【それは季節外れの沙雪のよう、夜が明ければ朝露に紛れてしまう泡沫のようなもの】
【そこに思いを込めたとしても、朝焼けの微睡みの中に、消えてしまう涙が如く】


良い人間になれとは言いません、私もそんな良い人じゃないから
ですが、正しい事をしてるつもりです、私の信じるJustice≠ェ示す、正しさを
だから……だから、負けません、貴方の悪なんて、否定しつくしてあげます!!

――――――Dead Memories=\―――――!!!


【胸元に右の手を当てる、ケープについた大きなリボンが揺れる、紡ぐ言葉には幾許かの思いを込めて】
【ソプラノの唄う旋律、どんな詩よりも静かに響けば良いと思う、賛美歌にも似て】
【木漏れ日の下、触れる昼下がりの光のような、透明な言の葉なのだろう】

【胸の前で右の手と左の手を合わせる、僅かな逡巡、瞼を閉じたなら、長い睫毛が頬に溶ける】
【紫苑色の髪が靡いて、風を感じさせたなら、両手を思い切り外側へと広げるのだろう】
【手元に出現するタトゥー§Tを出現させたキメラウルフのそれだ】

【記憶≠フ再生、違うのは数か、その数は10以上は軽くある】
【刹那、それらのタトゥーが狼へと変化し、カニバディールへと襲いかかるだろう】
【狼の形こそすれど、その中身は先程のトラックと一緒だ、強く攻撃すれば掻き消える】
【だが数は多く、その牙は鋭利――――――それは彼女が身を持って、証明しよう】
753 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 01:09:19.88 ID:4G0nF1mQo
>>739,746

「無駄無駄ァ、無駄で結構だハッハーッ!」 「オレが爽快な気分になれば、他はどォーでも良いって奴よ!」

【明らかに狂ったその欲望、その破壊や戦闘が出来ればそれで良いという精神――】
【正義とか悪とかそんなものは関係ない、ただ、求めるモノを手に入れたら悪の道に進んでいただけ】
【何より、表情も眼も、おおよそ常人が持つものではなかった――それは、最初から今に至るまで、ずっと】

「HAHAHA、聞こえてるぜェ〜?」
「確かに"ディルムカプテスプ"で砕くと辺りに散るエネルギーは"誰でも利用できる"汎用エネルギーって奴だ――」
「だが安心して良いぜェー、そんくれェーオレだって分かってるからなァーッ!!」

「ヘケケッ、良い音だァ……オレはその音が聞きたかったんだぜェ〜ッ」
「もォーっと、もォーっと、良い音を出して貰おう……かァーッ!?」

【――その時、身を纏うドレスの形が変わった、薄く細長いそれは己を切断しようと迫るではないか】
【同時、フォギーの支援――リベルに落ちる雷である】 【元々の切断力に加えてスピードと電気まで増えたとなると――】
【幾ら防御が硬いとはいえ、まともに受けてはひとたまりもないのは確かだった、攻撃後の隙を突かれたのも痛い】

【実質的な防御は"無意識的に発動させたエネルギー破壊の技"――そのおかげもあってか、バラバラにはならなかった様だ】
【ただ、防ぎきれずに深い斬り傷を幾つも負ってしまった様で……壊れた地面に赤色はよく染みわたる】
【よく見なくとも火傷もあちこちに負っている、おそらくは雷によるものだろう――】
【辺りに散らばるエネルギーの欠片は不安定で、すぐに他の何かに変わってしまっている様子】

【――しかし、やはりあらゆる面で"人間"とは違っていた】

「――なッかなかやりやがるなァー、テメェーらッ!」 「うゥ〜ん、ブッ壊し甲斐があるぜェーッ!」
「よォーし、もォーっと見せてやるぜェー……人間とは違う、この"堕天使"の力を、後ついでに師匠の力もなァーッ!!」 『つゥいでじゃアねェーよ、糞がッ』

「ベテアニードルテールスラァァーーッシュ!」

【見た目は人に近く、しかし人ではない――その男が何であるかを自ら明かしたかと思えば】
【棘で構成されていた尻尾が本体から分離し、更に二つに分かれて】 【そしてその尻尾は形を変えてゆき――三日月の刃の様なそれになる】
【更に、その刃に纏われるのは混沌とした魔力――おそらく、中に居るナニカのモノ】 【胞子を喰らい力を徐々に高めている様にも見える】

【その刃は2人の胴体から腹部にかけてを斜めに切り裂こうと迫るッ!】 【軌道は、斜め上から斜め下へ、半回転する感じ】
【棘の先端は刃の進行方向と大体同じ。その為、刀と言うよりノコギリの様な斬撃に近いだろうか――ただ、混沌の魔力の力もあってか、ノコギリ特有の引っ掛かりはなく滑らか】
【"まともに受ければ"身体を真っ二つに破壊されかねないが、わりと悠長な準備をしているし、法外な速度でもない】

【また、先程雷を受けた影響だろうか―― 一時的とはいえ動きがかなり鈍っている様子】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 01:16:29.01 ID:uF43oKWx0
>>749

大丈夫だよ、誰も居ないお店なんて寂しいもの。それに、これぐらい賑やかな方が楽しいし――、
――アナスタシアはご飯食べた? わたしまだだから、後でどこか寄ってもいいかな――、……。

【――恰好を見れば今日はベイゼだと言うのも分かっただろうに、それなのに、どうしてか彼女はアナスタシアと呼ぶ】
【うきうきしたように笑っている裏側で考えているのは、――もしかしたら、ひとごみで呼ぶのに気を使っていたのかもしれない】
【こんなひとごみの中だ、元とは言え機関員の名前を呼んで――何かあったりしたら大変だと、そんな心遣いなのか】
【とかく本人が口にしなければそれも分からない。或いは、何も考えていないというのが、正解だったりするのかもしれないから】

【――あとでどこかに行こうと誘う、これだけ店がたくさんあればカフェなんかもあるだろう、そこに行きたい、と】
【もちろん買い物のあとで、だ。くだらない話でもして時間を潰したい気分、そんな普通の女の子としての、欲求みたいな――】
【構わなければ誘いを受けてやるのがいいだろう、そうすればいっそうにっこりと笑ってみせるのが、予想出来るようだったから】

【視線が身体を撫でているのに気付いていた、きょとんとしながらも、お人形のように佇んでみる幕間は】
【ワンピースを止めるボタンが花の柄を刻んだものだというのまで確認できたかもしれない、或いは、】
【かたちはシンプルだが装飾が結構ごっさりした服、ヘッドドレスの浮かないぐらいにフリルやレースで飾ったのを見るのも出来たし】
【それはトルソーのようにぺたんこな身体つきだからこそという部分もあるようだった。めりはりのある身体つきでは、こんなに飾ることは難しいから】

お洋服買いたいの? ……わたしなんかでいいのかな、わたしね、セシルに買ってもらうのが多いから――。
……ううん、わたしで良ければね、お付き合いするよ。せっかく呼んでくれたんだもん、頑張らなきゃねっ、

――どんな服がいい? 恰好いいのとか、かわいいのとか、大人っぽいのとか――……、

【「ふりふりなのもかわいいと思うけどな……」なんて言葉があった、それは多分に彼女の趣味を反映したひとことで】
【出来るなら着せてみたかったりもしたのだろう、少しだけ残念なようでもあって――ただ、諦めてくれるというなら】
【ベイゼだって安心できるかもしれない、こんなにふりふりなのは、――急にとなると、ちょっぴり覚悟がいるのかもしれないから】

【視線が時計塔の傍にある案内板へ向く、どこにどんなお店があるのかと確認しようとして、数歩ほど近寄る仕草】
【つ、と指が文字を追いかけてゆく、ひとつひとつの店の名前を読み込んでいって、記憶するように】
【一言添えられた説明も読んでいるのだろう、その速度はちょっぴりだけゆっくりで、問いかける言葉の時間いっぱいを使って】
【言い終えればそちらに視線をやって首をかしげるはずだった、お姫様のご希望はどんなものかって、問いかけて】
755 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 01:18:56.07 ID:O+7sO/wo0
>>742

「――――痛がる事なんて後からでも出来ますが
彼を助ける事は、この今しか出来ません
…………優先順位を付けたまでですよ。邪魔な貴方を倒し、其処から救出に向かう。ただそれだけの話です」

【ぬるりとした血の感触。其れが目論見を成功させた事を伝えていた】
【人体を貫くだけの一撃なれば、当然身体に負荷も掛かろう。それ故に、傷口からは一層鮮血が溢れることとなるのだが】
【――――其れだけでは止まらない。腕の肉に穴を空けられた程度では、止まれない】
【きっと、“いかれ”の表現は正しいのだろう。そう思わせる程に、冷徹。正に、戦闘に特化した鬼の如く】

【痛みは癒える。然れど時間は取り戻せないならば、この時をどの様に行動すべきか】
【…………答えは簡単な事だ。ただ一つの目的に向かえば良いだけ。その時に傷が出来ようが、そんなのは何時か治ってしまう】
【ただ、時間は後悔しようと何をしようと戻ってこないのだから】


「さ、て。地獄を見るのは私だと言って居た気がしましたが…………
――――その状態で出来るのかと問う必要も無さそうですね」

【ぬるりとした血の感覚。己の血と、キメラウルフとの血と】
【巫女と呼ぶには余りにもな姿ではあったが――――――】

【仮に戦闘の続行が可能だとしても、最早大きな脅威では無いと判断したのか視線は移動させられて】


「それで、カニバディール。どうするんです?
貴方は私ならば“やりそうだ”と言いましたが…………実際に“やる”んです」

【符。今度は直接的な攻撃では無く、他の仲間達を援護するための物だ】
【即ち、“火”。足場を熱して、踏みとどまるなんて行動を封じるための其れ】
756 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 01:20:56.34 ID:vHPNafdB0
>>740>>748

【―――切り刻まれた腹部、更には右腕から血が滴って、ぽとりと点滴のようにショッピングモールの床に落ちる】
【しかし、これでも助かった方だろうとポジティブシンキング。次の攻撃へと移ろうとした、矢先の出来事】

『――――おいおい逃げるのはどうなのよこの状況で…まぁ逃がすつもりはないけれど…ん』

【炎の壁は火の粉となって消える。ある程度のダメージは与えたし、深追いはしまいと思っていたが】
【チーム戦、その言葉にはっとした様子で、すぐに何かの気配をにおわせていた背後へと視線を向けた】

―――――――…ッッ!!

【気付けば、味方陣営二人をラインに、その凶悪な咆哮が放たれようとしていた。今回ばかりは分かりやすく、その表情を変えて絶句】
【これを逃れるには、早速奥の手を使わざるを得ない。魔術でも能力でもない、彼女のもう一つを】

【―――気がつけば、喋り屋の背中には大きな『赤黒い翼』が生えていて、その場を逃れようと大きく羽ばたく】
【ブレンヒルトには分かるのだろう。その翼が魔術でもなんでもなく、彼女が本来持つ『闇属性』の魔翌力を固めたものだと】
【その翼を使い真っ直ぐ上空へと跳ぶのだが―――いかんせん初動が遅かった。衝撃によって吹き飛ばされ宙を舞う喋り屋】
【幸い、シーナの作った盾の範囲に居たため、大きい衝撃を食らうことは無かったが、多少のダメージは矢張りある】

【―――しかしながら、喋り屋は吹っ飛ばされた反動を利用し更に翼を羽ばたかせ、飛翔する距離を大きく、高くした】
【上空へと飛んだ理由は一つ、シーナの盾が壊れた際の砂煙の影響を最低限にするため―――こちらだけの、良好な視界を確保するためだ】
【翼を器用に動かして、体勢を整えたなら―――次もまた中指を喉に当てて、声を青年のものへと変えた】


『―――チーム戦、チーム戦ねぇ…それなら俺はもーっと鬱陶しいぜ?…神よ、我が声に自然の加護を!』


【その掠れた男声は、黄色い魔翌力を生みだした。現れた魔翌力は咆哮を放ち終えたであろうレオの『足元』へと放たれる】
【魔翌力が足元、地面へと触れた瞬間に、先の土の腕と同じように、土が大量に生成されて―――また何かを形作っていく】
【完成したのは矢張り『土の右腕』だが―――今回のは人一人を握れそうな程の大きさで、文字通りレオの体を掴もうと襲いかかるだろう】
【握力が強いのは無論のこと、それは彼の行動を制限するために放った魔術であり―――次のシーナか、自分かの一撃を決めやすくするためのもの】
【生憎と、耐久度はそれほどでもない…先の小さい土の腕から髪の毛が何本か生えた程度で】

【さて、喋り屋は完全にブレンヒルトのことを放置した―――ようにも見えたが、視線だけは鼻を効かせる彼女を追っていて】
【喋り屋の魔翌力の残高を彼女が読み取れるとすればもう残り僅かだと分かるだろう。にも拘らず、その目は何かを狙っているようで】
【背中に生えていた魔翌力の翼は少しずつ消えて、今にも落下する寸前、といったところだった】
757 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 01:25:24.68 ID:s1LJLEh1o
>>733>>745

【その位置から双眼鏡で覗き込んでいるコマチが"悲しそうな"『苛立ち顔』を浮かべている】
【防がれた、彼女の使用する武装、"弾"末魔―――大会でさえ公開されている召喚機能を搭載した魔導の拳銃】
【そのアーマーを持って今の爆撃を防いだのか】

【何か言葉を発揮するよりも前に、その場に『別の誰か』の声が響いた】


 『チュミ』  『チュミ』  『チュミミ〜ン』


【コマチの周りを取り囲むように、その『人の上半身』のようなシルエットの『像』は浮かび上がっていた】
【角張ったロボットのようなフォルム、それをコマチが背中に背負うような形で発現させており、その顔面には『泣き顔』の仮面が取り付けられている】
【そして腕は左右合計4本あり、上の2本腕はそれぞれ『笑い顔』と『怒り顔』の仮面を泣き顔の仮面の左右にぶら下げているのだ】

【マインド 『ファントム・プラネット』―――――この能力にはそう名前が付けられている……】


『―――――……『損傷』ハ……軽微ダゼェェェェー、今ノハ『人間』ノ爆発ジャネェェェ――――……』

んなこたー、言われんでもみりゃわかるッスよ
なるほど、あれが"弾"末魔……アタシの爆弾が破裂するよりも速く……鎧を呼ぶ事ができるのかよ
流石に正義組織の長、ガードが堅いッスねェ〜……

『……本日ノ天候ハ『晴レ』ノチ『曇リ』、風向キハ『北北東』、ヤヤ弱イ風ガ吹イテルゼェー
空気ガ乾燥シテイルノデ、絶好ノ『放火』モシクハ『爆撃』日和ダヨォォォ――――ン、チュミミ〜ン』


【意志を持ち、言葉を喋るマインドゆえ発現する度に無駄口が飛び出す仕様なのが困り者ではあるが】
【爆弾を扱う事に関してはそこそこに有効なマインド能力であるとコマチは自分の持つこの『手札』の一つを評価している】

【対象を爆弾に改造する能力、『第二の爆弾』―――これでブレンヒルトが前に余興でふざけて作った自分似のおもちゃを爆弾にして投下したが】
【セリーナには傷をつけるには足りなかったようだ……だが、これくらいは様子見、本命はここから先だ】


『アタシワルイロボットジャナイッスヨ、アタシワルイロボットジャナイッスヨ』
『アタシワルイロボットジャナイッスヨ、アタシワルイロボットジャナイッスヨ』
『アタシワルイロボットジャナイッスヨ、アタシワルイロボットジャナイッスヨ』



【メインストリートの戦場、その退路の方向から……まるで戦闘ロボットが基地から飛び出すように地面が開き】
【そこからまた8体の『コマチロボ』が歩いてくる……来るとわかっていれば容易に避けられそうな品なのに、なぜこんな物がまだ?】
【もしかして、逃がさないためにバリケードでも張っているつもりか?それにしてはこのおもちゃのサイズは小さすぎるが】
758 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 01:27:19.64 ID:kL3G7yGpo
>>745>>747

【二挺の銃―――その内片方である、45口径のS.A.Aはシングル・アクションだ。ハンマーを片手で起こして、弾薬を装填。】
【ガキリ、という鈍い音と共に弾丸が、相手を屠らんとする正義の意思が装填される。次いで、ライトニングは古式ながらも】
【所謂ダブルアクションという、引き金を引けば即座に弾丸が放たれる構造をしている訳で―――つまり、両銃共発射準備は完了。】

  『来るな』……だって? 悪いけど何を言っているのか、アタシにはさっぱりわからないよ。
   アタシの仲間を、大事な友達を、そんな風に"見せしめ"状態にしておいたクセに……
    自分からアタシが突っ込んでくるよう誘っておいて、いざ行為に及ぶとビビっちまうなんて。

      スカーベッジ、だったっけ。アンタの名前。いいかい、良く覚えておきな。


         ―――ケンカは売る相手を、よく見てからするモンだよ。
            そして自分から売ったケンカを、"勝手に"降りる事なんて絶対に、赦さない……!!


【今、自分は相手からどう見えているのか。恐怖の存在か、それこそ悪魔か。最も、其れでよいとすら思える。】
【ずっとずっと、待ち続けてきた瞬間。ギアとの再会、それをこんな形で"演出"し、あまつさえ悲鳴すら零すとは。】
【セリーナの怒りは、頂点に達していた。まさに、この瞬間。ガンマンは復讐代行者<アヴェンジャー>と化していた。】

【もはや言語道断。煙を掻き分けるようにし、至近距離からの射撃を試みようとした、しかしその瞬間だった。】
【異変が起こったのはまず、聳え立つ巨大なキノコより伸びる菌糸―――さながらその様は、触手にも等しいだろうか。】
【振り払われた一本のそれが足元へと素早く、伸びて。咄嗟に回避を試みるものの、代わりにもう一つの攻撃への対処が、遅れ。】

  
  くっ―――ッ!! この期に及んで、邪魔を……ッ!! あと、あと少しなのに……ッ!!

【スカーベッジの腕から差し出された砲台、そこから放たれる金属片が容赦なくセリーナを襲った。】
【持っていた、いや正確に言えば構えていたS.A.Aが地面へと弾かれた上、胸部装甲にも攻撃が及ぶ。】
【姿勢が崩れ、S.A.Aは2mか3m程、彼女から離れた地点へと落下した。残るライトニングをすかさず構え、迎撃射撃。】

【スカーベッジの腕を破壊すべく、ライトニングの小口径弾丸が放たれる。一発のみの精密射撃だが、姿勢が崩れたゆえ】
【先程までの鋭い射撃とは多少、精度が異なると解釈して間違いない。最も、セリーナはそのまま今度は"弾"末魔を引き抜いて】
【再びの発砲、轟音と共に弾丸が直進するも、停止―――直後、輝きと共に召還陣を展開。また新たなる武装が、この空間へと現れる!】

 
 
                 ―――<番犬吠々 "ケルベロス・マグナム">―――


【召還陣から取り出されたそれは―――銃、のような"何か"。否、そうとしか形容できない程の巨大な、武装。】
【拳銃と思わしき形状ではあるが、しかしそれでもグリップは驚く程大きく、なおかつ中心のシリンダーのサイズは、それこそ】
【通常のリボルバー拳銃とは比較にならないほどに巨大で、そして独特の存在感を放っている。装填される弾丸の大きさなど】
【大口径の特殊弾頭―――所謂、『スマートグレネード』等に代表される弾薬だ。なにより、このバケモノじみた拳銃の最大の特徴】
【それは銃身、つまりシリンダーから敵へめがけ真っ直ぐに伸びたそれ<バレル>が三つも、"三連装"に連なっている事だろうか。】
【西部劇にも良く出てくる、水平ニ連装のショットガンの上部に、もう一本のバレルを継ぎ足したかのような"歪"過ぎるフォルム―――。】
【銃身基部にはレリーフとして、地獄の番犬<ケルベロス>を模して精製された事を伺わせる彫像まで用意され。まさに、三つ首の砲身。】

【現れた巨大武装を、"弾"末魔と入れ替えで片手で装備し。ライトニングの射撃後、なんとキノコの傘部分めがけて直に、発砲―――!】
【強烈な射撃音の後に、通常弾薬とは異なり少し遅い弾速で、まるでグレネード・ガンのように20mmの爆裂弾がはなたれるだろう。】
【直撃すれば属性付与効果として、疾風を巻き起こす弾薬だ。炸裂後に暴風をもって、傘を破壊するつもりだろうが】
【その気になれば、弾道軌道上での撃ち落しも、可能かもしれない。ともかく、邪魔なキノコを排除すべく。セリーナは吼えた。】

759 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 01:27:44.28 ID:XnNvfhYDo
>>743

【直撃ではなくとも、確かな命中、破壊の感触。二人の連携があるからこそ成せる高速のスイッチが奏功した】
【しかしながら、足は尚も泥の中。三連射を躱す事など、到底不可能で】

「あっ……!ぐ……っ……!うぅ……っ!
 もう少しで……終わらせてあげる……!」

【三つの弾丸をきっちりと身体に受けた。後ずさっていく彼を追う事も出来ず、】
【次第に増えつつある傷口から血を流しつつ、ただそこに立ったまま】
【魔力の塊を作り上げつつあるパラソルを抱え、彼を見逃さぬよう、青天の視線に追わせるだけ】

【だが―――もしかしたら。その無機質な表情の中に、「得意」の様なものが見えた、かもしれない―――】

>>751

【彼女の言葉は、正しいものだった。正しく、そして、正しすぎた】
【相手が入れ替わった今、言葉を返すのは“黒”ではなく、“白”】

そう、僕達は兵器。そしてそれと同時に人間なんだよ。
より効率的な兵器には人間としての知性は必要だ≠チて、だから、僕達は――――

『――――半分人間で、半分兵器なんだよ』

【最後の言葉だけは、声が二つ、重なった。】
【―――結局のところ、人間を最も「破壊する」事ができるのは、同じ人間なのだ、と。】
【彼女達が知る由もないが、それこそが、この二人の兵器におけるコンセプトであったのだ。】

【突如として現れた土壁。これが硬ければ、受身など対応策はあった筈】
【―――しかし、壁は脆く崩れ落ちる。小さな白い姿は、多量の砂に埋もれて】
【そしてこちらもまた、泥となる。これで二人揃って、泥を受けたという形になるが……】


>>all

「クシー……こっちは、準備出来たよ。」
くっ……このっ……わかったよ、プシー!こっちも何とかするから!

【ここに来て“黒”は、魔力の塊を携えたパラソルを天へと向ける】
【その先と言えば、丁度二人がやって来た際に穿った風穴があって――――】

「《Stardust Bullet》――!」
降雷千迅=I

【魔力の塊は、そのまま空へと撃ちだされて、昇っていく。】
【同時、上空で雷鳴が聞こえたが……どちらを見ても、今のところ変化は見えず】

【――――不発?】
【二人は今、動きを制限されているが……ここで油断するかどうかは、大きな違いを生むだろう】
760 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 01:30:45.51 ID:CVGPCgLFo
>>737
ハッハッハ、まったくだな。私とて、私のような人間に気に入られても、嬉しくもなんともないよ
ク、クク……なら、どちらが先にくたばるか、勝負といこうじゃあないか!!

【ライラは湧き上がる怒りを抑えることなく、カニバディールはにじみ出る悪意を隠すことなく】
【それでいて、軽口の応酬が成される。狩人と獲物、正義と悪、相反する二つが交錯する】


……察しがいいじゃあないかね。そういうことだ
殺す、か……さあて、そう上手くいくかな……?

【ライラの読みは、核心に迫りつつあるものだった。地下から湧き出た狂人たち】
【キメラウルフとクリアーズは、その狂人たちを送り出した者の配下、ということだ】
【だが、この場では真相は明かされず。ライラの目前の状況への対処という判断は、実に正しいものだった】


フッ、デュアルたちに先を越されたわけか。敵に塩を送る羽目になるとはな……

【苦々しげに吐き捨てるカニバディール。怨敵を討たんとした配下の行動が、ライラに新たな道を授けることになろうとは】
【ライラが小さく漏らした本心は、耳ざとく聞きつけたうえで、にたりと笑って見せる】
【痛みを押し返す耐久力でもって振るった斧の一閃、わずかながら手ごたえあり。この武器によるわずかな手ごたえは、相手への確かなダメージを意味する】
【しかし、ライラは叫ばない。ライラは倒れない。動きを止めず、詠唱を止めず】


ぬ――!! おのれ、まだ倒れないか……!!

【光り輝く、黄色のブレスレット。展開される魔方陣は地面。それを踏み抜くライラの足】
【一連の行動の答えは、攻撃をもって示された。足元の隆起。岩石の腕】
【ダメージを負い、もともと機動力も低いカニバディールは、なすすべなくそれらに挟まれた】

がは――――!!

【口から鮮血。尖った部分が、カニバディールに身体を穿ったか】
【肉体操作を駆使して致命傷は免れたものの。相当なダメージをここにきて負ったことになる――】


>>752
<あがが……!! つ、償う、償うから逃がしてくれ!! がふっ……い、いてえ、べ……>

【恐怖に囚われたキメラウルフ、シオンに完全に生殺与奪を握られた以上は当然か】
【しかしシオンのもたらしたのは、どこまでも彼女の信念を貫いた行動だった】

【光に包まれるキメラウルフ、カニバディールには覚えのある光景だ。あの日、公園の遊具がよみがえったように】
【光が収まれば、キメラウルフの身体のタトゥーは一つも残っていなかった】

<あ……あ、あ……>

【ちゆりから受けた痛みはそのまま。キメラウルフは、もはや戦意を喪失してその場に倒れ伏した】


正しいこと、か。それを貫き続けた結果、Justice≠ヘ消えて失せたはずだ
否定しきれるのか……本当に、私の悪を――!!

【挑戦的にたたきつけた言葉も、彼女の美しさの前に露と消えていく】
【キメラウルフから再生さえたタトゥーが、ライラの攻撃に傷ついたカニバディールへと殺到する】
【体力を削られたカニバディールは、なすすべなくその身を破壊されていく。うめき声ひとつ、あげられずに――】
761 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 01:30:59.53 ID:CVGPCgLFo
>>741
姑息は盗賊のお家芸だ。そこは否定されても困るね
ふ、ふ。お前の正義は、愚直に過ぎる。それを貫くに、それほどの実力がいることか
お前の道も、修羅の地獄だ。平和のために、地獄を駆けることになる……

【かすれた声で放つ言葉は、どこか自嘲めいた響きも伴っていただろうか】
【感情を抑えるには至らず、それでも最適な行動を導き出し続けたロウ。彼を見て、一つ目の怪物も何かを思ったのだろうか】


≪ぐ、ぐう……!! まだ撃ちますか……! いい加減に、倒れなさい!!≫

【放ち続ける水流。しかし、それがクリアーズの首を絞める。さすがに、それは彼もわかっていた】
【いらだたしげに放水を止めてノズルを逸らす。だが、そこに隠された本命までは見えなかった】


≪な――――!!≫

【氷に隠された必殺の弾丸。ロウ得意の幻想銃術。放たれた正義の牙が空間を裂き】
【クリアーズの腹を貫いた。崩れるバランス。噴き出す水流はクリアーズを振り回すだけの存在となる】

≪ぐ、ああああああああああああああ!!!≫

【クリアーズが空中から滑り落ちる。地面にたたきつけられ、そのまま動きを停止】
【息はあるようだが、戦闘はもはや不能だろう】
762 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/09(日) 01:31:19.84 ID:NBjvuJGJ0
>>746

……戦略ってもんを、考えてるのかしら……ぁ?
(それじゃ、敵に警戒してくださいって言ってる様なものじゃなぁい……)
<(でも、これって……!)>
「(……幸か不幸か、賭けた一撃が正にそれだったなぁ……もうこれ以上の攻撃は、出来ねぇぞ……?)」

【聞こえてくるその『アドバイス』に、痛みに表情が顰められている少女に、違った意味の苦笑が混じっていく】
【こう言った発見は、あからさまに伝えてしまうのは逆効果になるのではないかと】
【無論、他に方法があるのかと言われると困ってしまうが、何も原理まで詳しく説明する必要はないだろう】
【――――とは言え、既に『最後の一撃』と覚悟した攻撃が、正にフォギーのアドバイスに合致した攻撃だったのは幸いだった】
【ただ、これで押し切れなければ、もう少女には打てる手段は無い。なら、尚更の事この一撃を成功させなければならなくて】

えっ……っきゃあぁっ!!
「(あ……っ、あの女郎何を!?)」
ち、がう……行ける…………はああああぁぁぁぁぁッッ!!

【そこに打ち込まれる青の電光。思わずひるんでしまう少女だが、それも一瞬の事】
【スピードと斬撃を強化された刃は、更に早く鋭く展開する。最後に賭けた一撃の、その勝率を上げる、確かな支援】
【――――後はもう、なりふり構う必要はない。勝敗を決するのはどれだけ打ち込まれるかの一点だけだ】



>>753

くっ…………!

【フォギーの援護を上乗せした一撃を繰り出し、今度こそ有効打をぶつける事が出来た】
【だが――――結局、倒すには至らなかった。少女はその事実に、初めて余裕を失う様に口元に力を込める】
【――――乾坤一擲の賭けは、『骨を断つ』までに至らなかったのである】

「(っ、急げ!! 早く立ち上がらねぇと、不味いぞ!!)」
急かし、なさんなって…………肩が、砕けてちゃ、上手く動けないのよ……!

【展開された切断触手を再びドレスに形成し直して、少女はようやく立ち上がろうとする】
【だが――――先の一撃で、左肩の骨に明らかなダメージが入っていた。この状況では、まともに動けそうもない】
【体勢を立て直すのにも時間が必要となり――――振り抜かれる刃に対処する事も、ままならなかった】

――――うあああああああああああッッッ!!

【袈裟掛けにバッサリと切りつけられ、ドレスが闘気として霧散し、斜めにざっくりと切り傷が走る】
【こうも大きな傷を負ってしまうと、尚更行動が封じられる事になる――――既に戦闘不能と言って良い状態になってしまった】

「くそっ、ちょっと貸せ!!」
あ、あんたねぇ……さっきから自分勝手に……
「良いから!!
――――うぉっ、が…………ッ…………へへっ、悪いな……命あっての物だねだぜ……!」

【どうにかよろよろと姿勢を維持する少女の瞳が、再び『赤』へと変じ、その瞬間痛みに驚いたのか、右手で左肩を庇う】
【同時に、ドレスが元の服装に戻り――――斬りつけられた傷からと思しき血が、じわっと滲む】
【そして、その乱暴な口調から放たれた言葉は、俗に言う『捨て台詞』だった】

【そのまま、両足に纏った闘気によって、少女は無理やりに跳躍をしてその場を離脱していく】
【元より、既に戦闘を維持できる体力も、勝てる見込みもないのだ――――ある意味合理的な判断とは言えるだろう】
【――――例え命を捨てようとも、と言う正義の義侠心に殉じる心算は、少女には無かったようだった】

/すみません……ちょっと限界が近いので、一足先に落ちさせてもらいます
/半端になってしまい申し訳ありません。乙でしたー!
763 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 01:38:00.61 ID:8WufB5KAo
>>754

……言われてみればそれもそう、か。ま、お前が楽しいならソレはそれで……
付き合わせといて面白くもないんじゃ俺のほうが申し訳ないからなァ
飯はまだ……そうだな、用が済んだらどっかで休憩がてら、軽く何か…――それで良いだろ?

【あくまでも自分をアナスタシア、と彼女が呼ぶことに関しては――特に咎めもしない】
【気にはなったし、気遣いだとしたらそれには気付いても居ない様子だったが】

【どちらにしたって自分のことなのだ。分かるのならソレでよかったし、と髪を弄る手を下ろし】
【ご飯はまだ、という答えを返せば、カフェテリアか何処かにでも行こうと提案も添え】
【やがて少女の服装からその声に意識を向け直すと、困ったようにふぅ、と一つ息を吐き】

服、俺一人じゃ買ったこと無ェし……そもそも知り合いも少ねェからな
勿論男も女も居るが、こういうのはお前がベスト思ってよォ
……その、セシル……旦那も居るし、色々知ってそうだったから。

ん……そうだな…クールな感じ…?……いや、違うな……。
可愛いってのは柄でもねェし、格好良いってのも……あー、思い出した

……カジュアル≠ネヤツ。具体的にどんなのか、全然分からねーんだが……
トレンチコートがどうとか言ってたな……後は化粧品とか、少し…。
何が要るとか、どれが良いとか……その辺サッパリだから、任せたいんだけどよー……。

【――と。自分から誘っておいて、どうも何をどう買いたいというのが決まっていないらしい】
【と言うよりは言葉をそのまま受け取るなら『何を買えば良いか分からない』のか】

【どうも誰かに抽象的なオススメでもされたような口ぶりだったが、余程適当だったのだろう】
【唯一明確に決まっていたのはトレンチコート。少し聞けば『ダブルのやつ』と答えるはずで】
【それから化粧品、と言うのも『薄めで良い』とか――ちょっと小奇麗にしたい、というのが総評か】

【ともあれ彼女――ベイゼも少女に付いて行って、言葉をかけながら目を案内板に向けたが】
【どれがどういうブランドなのかサッパリというように――コレが先の、困ったような溜め息なのだった】

【兎に角、だ。大体ではあったがイメージは伝えた、となれば次はソレらしい店に行くことになるのだろう】
【となればベイゼ――アナスタシアは鈴音に後ろから付いていくか、或いは手でも繋ぐのだろうか】
【どちらにしたって、付いていくより他になくて。人混みを切り抜けるように進むことになる、か】
764 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/09(日) 01:47:01.39 ID:Y459fj6I0
>>750

…………は……ッ……!なら望み通り他の方法を見せてやるか……?
……う……グ……ゥッ…………

【ミハエルのダメージは決して軽いものではなかった】
【白いシャツに滲む自身の鮮血、しかし止まっている時間など許されない】
【今彼がするべき事は、目の前の敵を倒すこと、それだけを考えて】
【ムカデをどうにか片付けて、それから彼女へ雷球が当たったか確認するが、これは失敗に終わり】
【このままではまたムカデが出現して、それを相手にするの繰り返し】
【ならば、多少リスクを負ってでも強行突破しかないと考えたのか】

【足元に移動した魔方陣、ミハエルに巻き付こうとするムカデが出現し、その針を皮膚に突き立てる】
【だがミハエルは肉がズタズタになるのを覚悟で前に走り出していた、完全に絡まる前に本体へと接近する】
【思い切り前に出た為、皮膚に刺さっていた針がズボンの上から肉を抉る】

【それでも痛みを堪えて唯走る、走っている途中にもスロットが回って】
【カーディの前まで迫れば、出た目は5、彼の身長より大きな大鎌だ】
【それを構え、カーディの両腕を切り裂こうと振るう】

喰らえッ!はァッ……ッ!!

【実体のある刃は右腕を、そして右腕を斬るときには風が発生し】
【それが言わば鎌鼬となって左腕を襲おうとする】

【それは命を刈る死神のそれにも似ているようで】
765 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 01:50:16.34 ID:yNBuLuDUo
>>750

ふふ、そうですね。大口は叩いてみましたが、正直なところどうなるかは解りませんよ。
ミハエルさんたち正義の側が勝ってこの街を奪い返すか、カノッサ側が勝ってこの街を奪い取るか……戦力は五分といったところでしょう。
……ただ、どちらにしても一月ですよ。傷ついた支社を立て直すか、それとも支社から全情報を本社へ戻すか。それだけの違いです。

【カーディの言うとおり、今でこそ駅舎を守るためにミハエルと共闘してはいるが……リチャードはこの戦いにおいて、正義でも悪でもない中立だ】
【故に、どちらの情勢にも通じてはいない。正義の側が勝てば、あの巨大なキノコもいずれ撤去されて街は元に戻るだろうが――――】
【先手を打ったのは悪の側だ。今回の戦いでそちらが勝つか、そうでなくとも引き分けにでも持ち込めれば、この街は支配されたまま終わるだろう】
【そんな状況に対し、リチャードが口にするのは――――なんとも強かで、冷徹な言葉だった。復興か撤退か、しょせんはその違いでしかないのだと】
【………どちらにしても、自分が負ける≠アとはないのだと。表情こそ柔らかだが、リチャードの台詞はひどく強気にも聞こえて】

ボクは、常に勝者≠ナなければならない。そういう風に教わって、今まで生きてきました。
申し訳ありませんが、ボクは誰かの食い物になる気はありませんよ――――!

【笑顔の仮面の向こうに透ける怒りの色に、リチャードもまた笑顔で答える。それが仮面なのか本音なのかも解らないほど、その笑顔には隙が無い】
【……いや、今回ばかりは「隙が無かった」というのが正しいか。お前は餌だと、そう言われたリチャードの双眸が、すっと細まるのが見えるだろうか】
【新たに現れたゲジが突進してきたから、なのだろうか。カーディへ返答するリチャードは相変わらず笑顔ではあるが、その語気は僅かながら荒くて――――】

【――――その意味を考えるだけの余裕が残るかどうかは、数秒後に自身の背後で小さく響くずぶっ≠ニいう音を、カーディが聞き取れるかどうかに掛かっている】


流石に、良い判断ですね。
ですが――――ボクの能力は、こういうことも出来るんですよ!

【強い吸引力を操るリチャードの能力は、こと飛び道具≠ノ対して滅法強い。突進攻撃を選んだカーディの判断は正しいといえるだろう】
【リチャードは突っ込んでくるゲジを横っ飛びに回避する。ただ、誤算だったのはその巨体と肢の多さか。回避はギリギリ間に合わず、肢の一つが服に引っかかって】
【直撃こそしなかったものの、リチャードは体勢を崩して後方へ倒れこむ……が、それでもただではやられないとばかりに、右手の銃を構えて引き金を引く!】
【……だがあまりに体勢に無理があるせいで、照準はカーディから大きく外れている。弾丸は大きく右へ逸れ、カーディを素通りしていく――――】

【――――そこで生きてくるのが、カーディの背後に響く異音≠セ。もし振り返ったなら、そこには小型のブラックホールが出現しているだろう】
【冷静に考えれば、カーディにもすぐ察せられるだろうか。このブラックホールが吸う物体がカーディでも空気でもなく、「銃弾」であることに】
【カーディを素通りするはずだった銃弾は、ある程度カーディに近づいた瞬簡――――強い引力に引かれて軌道を曲げ=Aカーディの腹部へ向かう!!】

っ…………!!

【なお、この攻撃がどのような成果を齎すにせよ……リチャードがゲジの突進を避けきれなかったことに変わりはない】
【一度崩れた体勢は当然戻らず、そのままリチャードは転倒してしまうだろうか。受身を取ろうとした左腕を転がっていた瓦礫が裂いて、鮮血が散る……】
766 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 01:50:54.48 ID:CVGPCgLFo
>>755
【シオンに完全に敗北を喫したキメラウルフから、返答はすでになかった】
【所詮、この男など彼女の前ではただのうっとおしい障害にしかなりえなかったのだろう】

【自分の身すら傷つけ、それでも合理的な判断を下し続ける。冷徹なまでに】
【狂気すら感じるその姿に、カニバディールの単眼は鬼の姿を見た】


……ハ、ハは……残念ながら、そうらしいな……

【血まみれの彼女に返す言葉は、どういうわけか弱い言葉だ】
【凄惨なれど美しい、ちゆりの立ち姿。未だ闘気失せず。たたきつける言葉も冷徹に】

さあて、どうしたものかね……お前にそうされる≠フは御免こうむりたいのだが……

【符から放たれる熱。徹底的に自分を追い詰めようという気配を感じる】
【傷だらけの巨躯を無理矢理動かして、カニバディールがとった行動】
【それは、耳栓をつけることだった】


>>757>>758
【銃弾の装填される音が、スカーベッジの脳裏にこだまする】
【込められるは正義の意志。そして、セリーナの怒り】

[い、い、いやちょっとアンタ、アンタ正義の味方でしょお!? もうちょっとやり方ってもんがあるんじゃあねえですかい!!]
[何ですか、その禍々しい鎧は!! むしろあたくしらみたいなモンが使う装備じゃ……ああ待って待って待って!!]

【セリーナの怒気のこもった声にさらされ、スカーベッジはあたふたと言葉を並べ立てる】
【しかし、そんなものが今のセリーナ相手に何になろう。スカーベッジの行為は、彼女をこれほどの存在へと駆り立ててしまったのだ】

【突きつけられる復讐代行者<アヴェンジャー>の銃口。断罪の瞬間は、しかし横槍を入れられた】


[ひ、ひひ!! いいぞマーディケリウム!!]

【キノコから伸びた菌糸が、立て続けにセリーナに襲い掛かる。その隙をついたスカーベッジの反撃も通る】
【あと少し、あとわずか時間を稼げれば。しかし、そんな甘い考えを、銃声が打ち消す】

[ぐあああああああああ!!!]

【放たれた一発は、先ほどまでの鋭さこそないものの。スカーベッジ本人の反撃の芽を摘むには十分だった】
【地面に倒れるスカーベッジ、その鉛色の瞳が見たのは、セリーナのさらなる召喚武装】


[んな……なんっだこりゃああぁ……]

【呆然と見上げるしかなかった。それほどまでに、圧倒的な威圧感】
【三つ首の砲身を誇る、化け物サイズの拳銃。それを、見事に操って。セリーナは一弾を放った】
【マーディケリウムの傘へと、一直線に向かう爆裂弾。防ごうと蠢く菌糸が、まとめて弾かれる】


オオオオオオオオオオオ!!!!!

【爆音、直撃。マーディケリウムの絶叫。傘の全面が焼けこげ、砕け散った】
【さらに追い打ちをかける暴風が、巨大キノコを空中で蹂躙する。舞い散る、傘の破片】
【最初の攻勢から一転、『スクラップズ』は追い詰められた。だが、スカーベッジの耳には】

【聞こえていた。メインストリートの退路から迫りくる、あの声を】
【持てる力を振り絞り、スカーベッジは耳栓を付け、スイッチを取り出す】


[コマチ様――――!!]

【悪党の分際で祈るような叫びと共に。二つ目のスイッチが、押し込まれた】
767 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 01:54:39.84 ID:s1LJLEh1o
>>748>>756

【我が陣営最高戦力でもあるレオ、その主砲たる『咆哮』を持って吹き飛ばす】
【レオ単体でも二人纏めて仕留めるくらいは可能な威力の一撃を放てるこの大技に対し二人が取った手段】
【まずシーナは状況を確認したと同時に……ゴーレムを破棄、再構成して巨大な『盾』を作り上げる―――!】


「高密度の魔力と土で練り上げた盾……!なるほど、本体は思ってたより小さく、そして直接乗り込んでいたとは驚いたし!
そしてこっちの子は……へぇ、能力を使わないで発動すると『闇属性』になる訳ね、それで作った翼で上に逃げた……!

だったら今度は私が撃ち落としてやるし!―――生まれろ、『月天弓』!
そしてレオ……もうひとりは後ろから近付いているし」


【ブレンヒルトは両手の即席の剣をその場に破棄、次の"卵"で遠距離用の武具―――彼女が最も得意とする獲物である『弓矢』を生み出す】
【矢を弓の弦にかけ、引き絞り……狙いを喋り屋に定め魔力を充填する!】
【相手はあと数秒で落下するのが感じ取れる、このまま狙っていれば問題なく撃ち落せると見た!】

【一方のレオは、ブレンの忠告を聞き次第即座に振り返って"爪"で切り裂く事を狙うが】
【ここで喋り屋が最後に放った大型の『土の腕』が行方を阻む!】
【一度に別方向の二人を対応するのはある程度動きが粗雑になる、その瞬間にうまくはまった】

【避けようとするが間に合わない、右の"爪"を土の腕に掴まれてしまった!】
【このままでは背後から攻撃を受けてしまう!それを避けるべく左の"爪"を気配のするだいたいの方向めがけて差し】


『―――セイバー・オフ!』       「―――herrlich!」


【奥の手として、搭載されていたその爪を気配のする方向めがけて勢いよく射出した!】
【同時、ブレンヒルトも仕掛ける、魔力を込め切った光の矢を空中の喋り屋めがけて発射するだろう!】
768 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 01:55:50.20 ID:st4zWuNoo
>>751 >>759

【周りにあるモノにより体重をかけながらゆっくりと立ち上がる。遮蔽物の陰にいるおかげで】
【一端は窮地を脱した、というところ。一息ついて脇腹を押さえた手を見れば真っ赤に濡れている】
【血を見てゾクリとした。そういう体質なのはしょうがないが、自分の血でもビビるのは流石に滑稽と自嘲した】

……クッ、………何をするつもりだ……?

【痛みは脳内物質が無理やり消しているのかそれほどない。ただ、熱く。脂汗がにじむ】
【物陰から相手の様子を覗いていた。向こうに与えたダメージの方が大きいはずだ】
【だが奴は、貯めていたエネルギィらしきもの(彼には魔翌力とは断定できなかった)を空に向けた】
【あの貫通力ならば機械ごと吹っ飛ばせるはず……つまりは、もっとヤバイってことか】

【不発ってことは無いだろう。それならそれなりの”表情”って物があるはずだ】
【空に向けての……初め白い方が電撃を使ってきたことを思い出し、結びつく。そうか、上か】

………クソッッ!!!上からくるぞッッ!

【彼は大声で叫び、周囲を見回した。上からの攻撃を防げそうなものはあるか?いや、どれも不安だ】
【アレぐらいの貫通力ならば容易く撃ちぬくはず。どれほどの攻撃かはわからないが最悪を想定しておく】

【男は物陰から飛び出してきた。BANGBANG!!と当たらない射撃を繰り出しながら、重たい体を動かし】
【牽制しながら兎に角、敵から距離を取っておこうと考えたのだ。…道連れってのも悪くないが生憎、まだ死にたくはない】
【一発一発撃つたびに空と敵と味方が目に飛び込んできて、やたらにスローモーションに感じられた】
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:00:49.49 ID:uF43oKWx0
>>763

“友達”が呼んでくれたんだもん、面白くないわけがないよ、それに――、
また一緒にお茶が飲めるもの、この前のね、すっごく楽しかったんだよ。

どうでもいいお話して、甘いもの食べて、……そういうのね、あんまりしたことがなかったから。

【それでも声を掛ければ呼び方を直すぐらいの心遣いは出来たのだろう、ただ、言われないならそのままだ】
【二つの名前、そのどちらで呼ぶか――少しだけ悩んでいたというのは余談だったのだが、まあ今は関係のないお話】
【一緒に居られれば楽しいとでもいうようなのはよっぽど親友とでも呼ぶべき間柄に向ける態度と顔、にこにことしていて】
【――そんなのに憧れていたような色が言葉に混じった。或いは、夢が叶ったのだとでも言うような、刹那のこと】

【「それでいいよ」と言葉を返す、そうと決まればおいしそうなお店の下見も必要だろう、通りすがりにでも――】
【そんなことを考えれば、後での案内板観察にもいくらか力が入るというもの。知らないお店ばっかりだから、少しでも知りたくて】

なんだか嬉しいな、だって……アナスタシアの今までの知り合いの中で、わたしを選んでくれたんでしょ?
ちゃんと出来るかなぁ――、頑張るね、わたし。ふふふ、任せてなんて、ちょっと自信ないけど――。

【ちょっぴり気の弱いような発言は不安要素、それでも精一杯に頑張るというなら、プラスマイナスゼロぐらいにはなるだろうか】
【それでも嬉しいというのは本当のようだった、自分に頼ってくれたということが――なんだか、とっても、嬉しくって】
【ついにこにことしてしまう幕間、そのうちに案内板も一通り見終わったらしい、視線をついと持ち上げて、】

カジュアルな奴……なら、このお店、みたい? カジュアルって書いてあるし……きっと、そう、

【手近にあった紙の案内図をぺらっとひったくる、開いて中身を確認してから指差してみるのは、とあるブランドの名前】
【脇に書かれたちょっとした説明にはカジュアル専門店なんて書かれていて、それならひとまずはそこに向かうのがいいらしい】
【ぱたぱたと蛇腹折に戻しながら「とりあえずそこに――」ということを告げる、それからきょときょととエスカレーターを探して、】

【はぐれてしまわないようにしながら向かうことになる。待ち合わせ場所になる広場を抜けたなら、エスカレーターに乗るころにはひとごみもきっと落ち着いて】

急にメールが来たからびっくりしちゃった、ペットのコモンとね、遊んでたんだよ。
二メートルぐらいあるおっきなトカゲでね――とってもかわいいんだよ、炭が大好物なの。

あげるとね、ばりばりってすごい音で食べちゃうんだ――、

【そんな会話をする余裕だって出て来ている、手すりに掴まりながら身体ごと振り返るようにして、紡いでいく言葉は】
【なんだか平和な暮らしの一ピースを見せてくれるよう、――どうやらずいぶんと変わったペットが居るらしく】
【炭が大好物のトカゲというのはどうにも不思議で興味を惹くかもしれない。二メートルはあるというのも――普通じゃなかった】
770 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/09(日) 02:01:49.95 ID:CnijCxrto
>>760

「やってやるよ、カニバディール……!
 どんな世界でも、勝つのは必ず正義だ……ッ、テメーがどんだけ暴れようと、最後に笑うのは俺らなんだよッ!!」

【元々、ライラ=フェルンストレームという人間はコレほどまで感情を表に出す人間ではなかった】
【そんなライラがこの激情と悪に抗うための魔力を手に入れられたのは、ライラ自身でもカノッサ機関のおかげだと言わざるをえないだろう】
【しかしこの男はそれを全く悔やまない。今になって、"ハンター"を捨てるなど考えられないことなのだから】


「あったり、めーだろ……!! テメーが死ぬまで、俺はお前に食らいつく……!!

 "こんなん"で倒れてちゃ――――――機関ハンターなんて務まらねぇッ!!!」


【足へのダメージは、想像以上に酷いものだった。硬いはずの骨を、いとも簡単に砕いたのだから】
【その為、ライラの機動力は大きく削がれている。何か追撃でも来れば、それこそライラの命は危ういものとなり得るのだが】
【―――六罪王謹製のスイッチのことなど露知らず、ライラは言葉を紡ぐ】

「はぁ、ハァッ……! どうだ、カニバディール……こんなん、テメーが殺してきた奴の痛みの、何分の一でも無ぇんだ……ッ。

 償う気が有ろうが無かろうが―――此処で死んで償いやがれッ!!!


  W  2  S  1  /  … … ッ 、 『 I c i c l e   B u l l e t 』  ォ ォ ォ ッ ! ! ! 」 



【最早気迫だけで放つ言葉。ギアをちらりと見やる。共闘した友人を必ずや取り返さなくてはいけないと再確認】
【出現した青と緑が混ざった魔法陣を手にした刃で一突きすれば、現れるのは3発の氷の弾丸だ。小さいながらも、その威力は弾丸に引けをとらないだろう】
【それを発射―――もとい発砲する。狙いはカニバディールただ一人だけ】
【だがそれは、果たして命を取りうるものなのか。現にその弾丸は、風によって揺れ動く。更に、六罪王のスイッチの効果もまだだ―――】
771 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 02:05:06.16 ID:FITu2ouXo
>>753>>762

はっはっは!どうやら私の考えは正解だったようだな!!
破壊が間に合わないスピードに加え、駄目押しの追加エネルギーだ!これを耐えきれはしまい!!

……はぁ、はぁ……少し疲れた……

【何とか補助が間に合い、雷と高速の連撃がヘケメディウスを襲う、はたから見てもダメージが通っているのが分かる】
【が、当のフォギーは息を切らして立てた箒を杖代わりにしている、叫び過ぎたか、または魔術に多大なるエネルギーを使うのか】

……やれやれ、元気だね君は!私も負けていられないな!!
堕天使が何だと言うのだね!?私は発明家さ!堕天使なんかには負けはしない!!

【リベルの渾身の攻撃でも倒れないヘケメディウスを見て、空元気を振り絞り立ち上がるフォギー】
【雷迸る箒を構えて、ヘケメディウスの動作を観察して対処を考える】
【チャンスは一度だけ、そこに大技を叩き込む───破壊が間に合わないくらいの一撃を】

後は任せたまえ!私がトドメを頂こう!見せ場もな!!

【投げ付けられた巨大な刃、対するフォギーは次の動作へと移行しながら、体を反らせて回避する】
【ギリギリで回避した刃は、フォギーのガスマスクを切り取って行き、その素顔が露わになったが───それを確認する間もなく、フォギーは目にも留まらぬ早さでヘケメディウスへと接近する】
【スケボーの様に乗った箒が青い稲光を引きながら、雷撃の様にジグザグに螺旋を描きながら、空中を先程とは比べものに鳴らない早さで接近】

【接近すれば、フォギーは箒を脚から離し、その手に箒を持って振りかぶる、慣性の法則で空中のフォギーがヘケメディウスへと投げ出されながら】
【振りかぶった箒の頭がスライドし、変形。頭が柄に対してTの字になる様に変形し、そこに雷が包み巨大な槌を連想させる様な形状となる】
【露わになったその顔は、中性的であるが確かに少女≠フそれ───口から、排気ガスの様な黒い煙が止め処無く湧き上がっている】

《トォォォール!ハンマァァァー!フォォォォォォォルゥゥ!!》

【振り下ろされるは巨大な雷撃の鉄槌、雷そのものが鉄槌の形をとったような攻撃が、空中からヘケメディウスの頭に振り下ろされる】
【その鉄槌の頭は確かにほぼ雷だ、雷がただ鉄槌の頭の形を取っているだけであり、重さは無いが、自然で起きる雷が如きエネルギーを、そのままぶつけるような攻撃】
【ただただ、青い閃光に包まれる中、フォギーの口から只管に吐き出される黒い煙は、空気を確かに汚していて】
772 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 02:14:29.65 ID:bhClzXsPo
>>761 >>766

―――無論、承知の上ってね……!! 今までその修羅の道歩んできたんだ、今更楽な道進もうなんて格好悪いだろ……!!
だから俺は乗り越える―――今、このカプセル男を倒したように……ッハー、ハァッ……!!

【弾丸憑依を2発使ったことで消耗した魔翌力は計り知れない。が、確かにロウはクリアーズという障害を乗り越えた】
【一度地獄に落ちかけた所を、機転、技術、経験、そして意地―――其れ等を駆使して、乗り越えた。クリアーズが堕ちていく様を見届ければ、次はお前だと言わんばかりに】
【瞳を細めて睨み付け―――ふらつきながらも立ち上がり、銃口を向ける。余裕は無いだろうが、口角を上げて表情だけでも余裕を演出するのが、彼らしい】

―――……これでやっと、テメーに集中できる。カニバディール……確かめようや。―――3度目の正直と、2度あることは3度ある……どっちが正しいかをなぁ……!!

【全身を打ったことで、彼は背筋を伸ばして立っていられない状態になっていた。猫背で不格好ながらも、伸ばした両腕は震えていながらも。其れでも彼は戦い続ける】
【時々フラつき、瞬きの回数も異常な程に増えている。肩で息をしているのは勿論、動悸も激しい。―――満身創痍、とは彼の事を指していると今だけは言うことが出来る程だった】
【キノコの悪影響の中で、見ているだけでも精神を削られそうな連中と戦っていること。そして一度、極限まで死に近づいたこと。元々跳弾には極度の集中を必要とすること】
【―――などの要素が重なり、精神的疲労は甚大。肉体的疲労は先程指摘したとおり、全身を打ったことに加えて左肩、太腿を刺した針、起こした爆発の被害があるだろうか】
【皮膚は軌道変更の為に起こした爆発の影響で一部焼け焦げており、今でも転がって叫びたい位に痛い。受け身を取り損なったことで、全身に鈍い痛みが常に回っている】

【元々そこまで頑丈じゃないこともあり、正直な所カニバディールと戦う程の体力は残していないと言えた。其れでも彼の意地が、SCARLETのプライドが彼を戦いへと誘う】
【ロウが必死に立ち上がり、両腕の震えを抑えようとしている最中にも、周りの仲間はカニバディールと戦っている。自分も、戦わないと―――その想いが、彼の瞳に輝きを蘇らせた】

【―――蘇った瞳に見えたのは、カニバディールが耳栓を付ける姿。……―――自然とロウの震えが止まった。極度の集中が、痛みを一瞬だけ忘れさせる】
【……耳栓をしていれば、銃声が聞きとりにくい。―――狙うなら今。カニバディールに、影からの一撃を喰らわせるチャンス】
【カニバディールの厄介な所は、その防御力。肉を集中させることで、弾丸から身を守る―――が、それも弾丸の存在に気付いて初めてなせる技】

【つまり―――銃弾の存在すら気付かせなければ……唯の銃撃も、威力を持つ。ロウは右銃を消し、両手で左銃を握り締めた。―――絶対外したくない一撃は、両手を使う】
【……今持つ集中力を全て消費するような感覚で、相手の動きを見る。目線、体勢―――様々な要素を。一番見切られにくい、気づかれにくい軌道とタイミングを探す】
【そして―――見付けた。マーディケリウムの絶叫―――そのタイミングに銃声を隠して、弾丸を放った。―――なんと、空へと向かって】

【人は無意識の内に、大きな音から逃れようとするときは身体を縮こめてやや下を見るか、屈む。兎に角目線は下がる―――と言われている】
【ならばその瞬間、絶叫の瞬間に上空に放てば―――弾丸は視界からは消えやすいだろう。しかし問題は、空に放った弾丸を、どうカニバディールに当てるか】
【答えは―――ロウが振り絞った、残り僅かな魔翌力にあった。……宝玉の力を最後まで借りて、ロウは全力を見せつけた】

―――……最後の弾丸憑依……Fat man 。 ―――こいつは先程と逆……弾丸が急に100kgの重さになり、沈む軌道に急転換―――
           <<―――弾丸と共に堕ちろ……!! 堕ちろカニバディールゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!!>>

【―――何度も、何度も貫いたその喉元。急降下する100kgの弾丸は、3度目も彼の喉元を喰らいつかんと迫った―――!!】
773 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:15:22.67 ID:IXaHmaBQ0
>>759>>768

――――!!
そっカ、……そっカ。知性……そうだネ。知性は人しか持ち得なイ……
どんなAIも人間の知性にはかなわなイ。確かに人間の知性を持ち得る兵器は最も効率的だろうネ。

……じゃあ、アナタ達のその知性に問おうカ。アナタ達は何故戦ってるのか、考えタ?

【少女の言葉に、彼女は驚き半分、納得半分の感情で大きく目を見開く。兵器のようだというのは唯の形容に過ぎなかったのだが、本当に兵器とは……】
【成る程、人がどれだけ頑張っても人に勝る人工知能を作ることはできない。ならばいっそ人間を兵器にすれば良いという考えか】
【――――「そこに、二人の意思はあったのだろうか?」ふつと少女の頭に疑問が湧き上がる。彼女達は、自分達のことを考えたことはあるのだろうか?】


【闘いながら、問う。土くれに埋もれた白い少女に、日傘を天に向けて掲げた黒い少女に問う。……一体何のために戦っているのか、と】
【人には知性がある。ならば考えるという行動も出来る筈だ。半分人間なら意志がある筈だ。――――戦う意味を考えさせる問いを、投げかける】


目的はあるのかナ。何か大事なことがあるから戦うのカナ。……そんな風に傷ついてまで、アナタ達は何のために戦うノ?何のために壊すノ?
ワタシはネ、誰かが傷つかない為にアナタ達と戦うノ。みんなが笑っていられるように、守るノ。これは、ワタシの意志だヨ……
知性があるなら考えテ。アナタ達の行動の意味ヲ――――


【……言い終えると、少女は―――フッと微笑んでみせた=B嘲笑でも、勝ち誇った笑みでもない。兵器に向けられた其れは、「人」としての笑顔だった】
【――――そうこうしている内にも、パラソルの魔力はどんどんと溜まり……遂に天を目掛けて解き放たれた】
【……が、それだけ。魔力の塊はそのまま空へと消えていき、何も起こらない……どういうことだろうか?】

【―――不思議に思って首を傾げていると、横から大声が飛んでくる。「上から来るぞ!」……上から?――――攻撃が、「降ってくる」ということか?】
【彼女も油断はしていない。先程用意した木符・土符・金符は手に持ったまま、何時でも発動できるようにしている。……上からの攻撃、彼が言うのだから留意するに越したことはない】

【……しかし、動けない敵の状況を利用しない手もない。炎の燕を牽制目的で三羽放つ……回避行動を起こさねば、三羽は攪乱するような動きで白い少女の方へと向かっていくだろう】
774 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/09(日) 02:22:27.95 ID:FLcvNpYro
>>760

【夜桜の如く、世界は彩られる、落ちる風の音が戦いの終幕を奏で始める】
【糸が切れたなら、傀儡は足を止める、人形は命を失い歩みを辞める】
【足元から力が抜ける、彼女はきっと、かくんと、倒れる――――――】

【座り込む少女の細い脚、スカートから零れた両足は、今にも砕けてしまいそうなぐらい】
【ぺたんと座り込んで、視線を向ける、自身の放った行いの先を】
【空虚な風が抜ける、騒音が背景に溶けて、静かになっていく】

【何が起きているのか、分かっていないように、これで終わりなのか、と自問自答する】
【紫苑色の髪が靡く、前髪が白帯の柔な額を染めたなら、きゅぅと睫毛の端が凪いで】
【座り込んでる場合じゃないって、思った、慌てて立ち上がったなら、足元がもつれる】


――――――カニバ……ディール……?


【前へと倒れこむように体勢が崩れた、泡のように言の葉がひらりと羽ばたいて、両手の隙間から零れる】
【手袋をした両手が地面へと落ちたなら、顔を歪める、体力はもう限界なのだろう、背中を丸め咳き込む】
【胸を強く握りしめるかのような圧迫感、肺をそのまま引き裂かれたかのように一回、二回辛く空咳をする】

【呼吸に血の味がまじり始める頃、彼女の視線が漸く上へと上がる】
【それは先程まで雄弁に言葉を紡いでいた少女ではなくて、それよりももっと、壊れやすい何か】
【掌で触れたら溶けてしまいそうなぐらい、小さな小さな硝子細工の少女の人形】

【紫苑色の大きな瞳、引き絞る声を濡らす涙一筋、頬から落ちた】
【それは危惧する気持ち、今まで戦っていた相手を、いたわる気持ち】
【戦いという手段をとらなければならない、それでも尚、人殺しはしたくない、そんな心の淡い表れ】


――――――――――――!!!


【声が弾けた、止めをさそうと、カニバディールへと銃を向ける周囲の動き】
【それは言葉と呼ぶには艶やかな花弁をさかして、摘まれてしまうぐらいに鮮やかに咲いて】
【ソプラノを一輪、そこに返り咲かせたなら、少女の身が投げ込まれる、よう】

【カニバディールを庇うかのように、身を放り投げた彼女、そして、それをかき消す光の渦】
【転寝から覚醒する、夢の終わりを告げる朝日にも似た、可憐な光が、彼女を包んで消していく】
【周囲の人間には、夢から覚めた時の光景が如く、幻が形を消したかのような、少女の残影が見えたことだろう】

【あとに残る紫苑の、香りだけが確かに――――――残り香だけを、響かせていた】


/すいません!そろそろ時間ですので……先に落ちさせてもらいます!
775 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 02:23:29.91 ID:s1LJLEh1o
>>766&メインストリート戦闘中正義陣営

【怒りに燃え、堂々とスカーベッジに攻撃を仕掛けてくるセリーナの勇姿が見える】
【一方で弱腰で今にも泣きべそをかき出しそうなスカーベッジの姿を見て、彼女は呟いた】


……今のセリーナの台詞はアタシも結構頷きたいもんッスねぇ〜、スカベ
『自分から売ったケンカを"勝手に"降りるな』……んで、『売る相手を、よく見てからするモン』だってのも至極最もッスよ
やるからには徹底的に勝利をおさめられるよう、十二分に『勝機』のある相手にだけ売るべきだと思うッス

―――ああ、『勝機』が見えてるのにビビってんじゃあないッスよ……!―――"Million Dollar Quartet"!


【次に彼女が懐から取り出すのは、六角形型の小箱の"聖遺物"だ―――彼女がその財産で収集した品々を収める聖遺物】
【その中から取り出したのは……古ぼけたマイクのような形をした、また別の"聖遺物"だ】
【名称は"Boys noize"、見晴らしのいいその場所から、容赦なくその効果を発揮させる―――!】

【味方が皆耳栓をしたことを確認した後、『コマチロボ』は口を大きく開けて中のスピーカーを露出させる】
【そして内蔵された通信機能をコマチのいる場所に繋いだなら―――】



『キィィィィィィアァァァァァァァ―――――――――――――!!!!』


『ギィィィィィ!!!』『ギリギリギリ!!』『ザザザァァァァ!』『キィキィキィィィ――――!』



【突如、その場の窓ガラスが割れるほどの巨大な大音量で……非常に耳障りな音がメインストリート中に鳴り響く!】
【それも音源が『黒板をチョークや爪で勢いよくひっかく音』や『発泡スチロールをこすりあわせたりねじ切ったりする時に出る音』】
【『鉄製品を電動ヤスリで削る時の音』や『カナキリ声の女の悲鳴』など、聞いた瞬間に気分が悪くなるほど生理的に受け付けない音声ばかりをチョイスしている】

【窓ガラスが割れるほどの大音量でも、体に与えるダメージは少ない】
【だがこれを耳を塞がずに聞いていると……急激に猛烈な吐き気に襲われるなど人為的に体調不良を引き起こす引き金となりかねない】
【かといって両手を塞げば……それは盗賊たちにとって大きな隙を与える事となるだろう】
776 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 02:24:01.67 ID:z4b9ZXafo
>>756>>767


(地中の私を探知出来るとは……忌々しい)
(……やはり、あの猫よりも"あやつ"の方が厄介なのだ)


【ブレンヒルトの声を周囲の床を通して聞き、眉を顰める】
【シーナの攻撃は基本、潜行や指定座標攻撃などの奇襲性に重点を置いており】
【それを看破出来る優秀な術師とは極めて相性が悪い】


(だがの――)


【レオの背後の床が崩れ、中から小さな人影――シーナが上半身を飛び出させる】
【それを迎撃するように飛び出すはレオの左手の爪】
【察知された以上奇襲は失敗し、絶体絶命の危機にも思えるが】


「――バレておると知った上で、対策せぬわけがないのだ!」


【爪とシーナの間で破砕音が響いた】
【飛来した爪は、シーナの前方に展開された"小盾の形をした砂"によって受け止めてられていた】
【小盾は限界を超えた損傷を受け、その場で崩れて風に流れていく】

【飛んでくるとまでは予想していなかったが】
【シーナが"ブレンヒルトの忠告"を聞いていた以上、レオの迎撃は予想の範囲内】
【レオ自身がシーナの存在に気づき、迎撃されていたならば結果は違っただろう】
【ゴーレムから出たシーナは見た目相応の耐久能力しかない】
【レオと真っ向からぶつかれば、瞬く間にその身を切り裂かれていた】


「ククク……お膳立てご苦労様なのだ!」
「では行くぞ、私の新兵器で地獄送りにしてくれるのだー!!」


【シーナは、何やら角笛のような物体を口に咥えていた】
【小さな頬をぷくっと膨らませると、肺の空気を思い切り笛に注ぎ込んだ】

【<砂塵の牙笛>……サンドワームの牙を加工した自作魔道具】
【中に砂を入れて息で吹き出し、砂を内部に螺旋状に刻まれた数多の魔翌力回路の中に流すことで瞬間的に加工】
【砂は瞬時に圧縮/加速され、さながら岩の大砲の如き一撃として現出させる】
【一戦闘に一度きりしか使用できない、シーナの持つ切り札の一つ】
【それをレオの胸に向けて叩きつけようとする】

【"腕"に行動を制限された状態の場合、回避出来る可能性は低くなるかもしれない】
【しかし、攻撃自体は直線的で読みやすいものである】
【これに対処し、反撃できた場合シーナに手痛い反撃を食らわせることも出来るだろうか】
777 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:30:13.03 ID:4G0nF1mQo
>>762

「うゥ〜ん、中々良い切れ味だぜェーッ」

【棘の刃は攻撃を終えれば崩れて、地面に散らばる――尻尾に戻るとか、そう言う事はなかった】
【尻尾に戻るといえば――あくまでも、尻尾に棘を纏っていたという状態だった様で、元々の尻尾は残されている】
【それにしても……この尻尾、棘がなくなると何というか、貧相というか――】

「さァーて、いい頃合いだなァ――魂ごとバキバキに砕いてやるぜェーッ!!」

【リベルに向けられる左手――今まで以上の"エネルギー破壊"の力を感じさせてくれる】
【あと少しで掴めると思った時、彼女はその場を素早く立ち去っていた――】

「――ヘェェエエーークッ!」 「糞ッ、追ってブッ壊してやる、だがまずはこっちだなァ〜」

【――彼は単純だった、ぶっ壊せれば嬉しい、ぶっ壊せなかったら嫌だ】
【故に、"ぶっ壊せなかった"彼女に対しては怒りを覚えた、けれど目の前にはまだ"ぶっ壊せる対象"が居る、追う前にまずはこっちと判断した様子】

「トドメを刺されるのはテメェーの方だぜ、真剣白刃取りィッ! うゥゥおおおおおァァーーッ!」

【――パシィッ、と柏手が一つ鳴る。端的に言ってしまえば……動きが鈍っていた影響で、白刃取りに失敗したのだった】
【何かが割れる音がする、――それはエネルギーだった、電気エネルギーを砕くことで威力の軽減を試みる】
【その時、黒いナニカが"サポート"していたのが見えただろうか、師匠が弟子に教えた技を使えないわけがない】

【――もくもくと上がる煙の中、それは静かに立っていた】 【全身を包む火傷は軽傷では済まない、けれど】
【まだ、"狂気"は止まらない――全てを壊す事が彼の生きがいなのだから、そして、――】

「――機械がそんなに好きなら、機械でブッ壊される機会を作ってやるぜェ」

【"負けず嫌い"なのだから】 【彼の両翼が動く、――先程、逃げた者に対して怒りを向けたというのに、自分も逃げるというのだろうか】
【否、逃げたのではない、……少しすれば戻ってくる、しかも持ってきたのだ、"機械"を!】

「聖で弱っていても流石師匠のパワー! そしてそれを高めるマーディケリウムの胞子! あァ、いつもより物が軽いなァ〜ッ」

【それはヘリコプター ――まあ、そこまで大きなものではないが……深い傷を負った身でそれを持って飛べる辺りが人ならざる所以か】
【余裕を装ってはいるものの、実際そこまで余裕はなさそうで……そして――そのヘリコプター"ごと"堕ちてくる男、狙いは勿論フォギー!】


「ヘリコプターって奴だァーッ!!!」

「―――― Go to Heck! ――行っくぜェーッ!!」


【落下というわかりやすい軌道だが、勿論ヘリコプター自体に当たればどうなるかわかったものではないし】
【直撃を避けたとしても、爆風とそれに伴い発生するヘリコプターの破片が襲いかかるだろう――見た目以上の範囲だが、逆にこれは"チャンス"だ】

【爆風などを一番近くで浴びるのは勿論ヘケメディオンの方だ。――幾らエネルギーを破壊して軽減したとしても、それは揺るぎ無い事実】
【それ故、体勢を立て直すのに時間が掛かる――そう、"もう一発"派手にぶちかますのには十二分な程には!】

/リベルの方、お先にお疲れ様でしたー
778 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:30:39.19 ID:8WufB5KAo
>>769

【最初の鈴音の言葉に、ベイゼは『そうだな』と言葉短に返事を済ませた】
【もしかするとその返事に『おもしろくなかったのか』なんて思ってしまうかも知れないが――】

【――よく見れば、言葉の代わりと言うように、その口角は小さくだが明らかに緩んでおり】
【元より底意地の悪そうなにやり≠ニいう笑みばかりだった彼女からすると、歴然の差】
【そしてその笑顔が無言で『自分もそうだった』と告げているようでもあって、事実その通りであったりする】

【ちょっとだけ捻くれ者なのだ――素直に気持ちを伝えるのが恥ずかしいという、子供の様な理由】
【それをごまかすようにはにかんだまま、やがて二人して案内板に目を向けることになるのだろう】

【少女が自分のために細々と目を走らせているのなら、自分は彼女のために――】
【そういう風に互いのプラスになるような場所を――例えばコチラはカフェだとかを、探しつつ】
【目星を付け始めたらしい鈴音にも時折、気遣うように目を向けて】

―……自信なんて必要ねーよ、お前が選んでくれりゃ俺はソレが良いんだ
ファッションチェックしようなんてワケでもなし……友達ってのは、そういうもんだろ?

ホラ、さっさと行こうぜ?のんびりしてると置いてっちまうぞ――?

【――彼女の笑みが、ちょっとだけ例の意地悪なものに変わったような気がしたろうか】

【鈴音がそれらしい店を見つけたなら、案内図に、そして彼女自身に従って目的地へ】
【勿論、提案には首肯で答えた。やがてエスカレーターに乗り込むと、彼女が振り返ったのに気が付いて】

ほォ、ペットか……俺にはまだ縁の無ェ……、…トカゲ?
……なあ、そのサイズってペットっつーか……いや、俺やお前よりデカいじゃねーか

怪物っつーンだぞ、そういうの。……でもその様子だと、随分懐いてるんだな?
炭って云うと、何となくサラマンダーっぽいが……何処で買ったんだ、そんなペット
散歩とか、そもそも飼うの自体メチャクチャ大変そうなんだが…―――っと。

【ペットの話になれば、やはりと言うか、ベイゼは食いついた。何せそのペットが尋常ではないのだから。】
【炭を食べる巨大なトカゲ――今の外見とは中々結びつかない存在だ、思わず疑念も浮かぼう物で】

【その一方、静かに動くエスカレーターが話す合間に終わりを告げる事になるハズで】
【少女が後ろを向いたままとなれば――相手が気付いていないのなら、降りる際にマインドを発現し】
【黒い流線型のヒトガタで以って、彼女を掬い上げるようにすることだろう。勿論、『気付いていなければ』の話だが】
779 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:31:15.94 ID:4G0nF1mQo
>>777の安価先に>>771が抜けてました、すみません
780 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:35:07.33 ID:M7da7r/go
>>768>>773

「私達はただ、仕えるべき相手の為に戦うだけ。」
従う事。それが僕達の意志だよ。

【不意に、上空から何かが降って来た。あれだけの黒雲だ、雨だろうか?】
【――――――否。断じて否だ。そんな優しいものなどではない】
【男の予測した通り、上から来た、という訳か。二人が言葉を発する―――】

『Lightning Stardust=I』

【屋根を突き破って工場内に降るのは、無数の雷の魔弾!】
【―――恐らくは先ほどの魔力塊と“白”の雷が合わさった技なのだろうそれは、】
【術者たる二人をも関係無く痛め付けて降り注いでいくッ―――!】

ぐ、あ、あぁぁぁ……!
「く、ふ、うぅぅぅ……っ!」

【傷付く事を厭わぬ、兵器故の性質。それを利用した、広範囲への攻撃】
【密度自体は大したものではないが、その範囲は驚異的なもの。貫通性を高めた魔弾は、尽くを穿ち抜いて】
【男がその範囲外まで行けるかはわからないが……とにかく広い、という事は再度言っておこう】


【――最早“白”は避ける素振りすら見せず。自らの攻撃をさえ受けているのだ、燕を受けようと大差は無いという訳か】
【それとも、避ける余力が無いのか……どちらなのかはわからないが、ここで二人の更なる攻撃は無い】

【一気に畳み掛けるのなら、今だ――――!】
781 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 02:43:13.04 ID:fDIMY+O4o
>>764

【カーディの表情に淀みはない。ミハエルは遠ざけてさえいれば、どうとでも対処できる】
【――だが、自分としたことが迂闊だった。彼が接近戦闘を仕掛けて来ることを視野に入れず、魔法陣を操作してしまった】

それじゃあ及第点にすら満たないわね。レディに近づくなら、もう少し自分を磨いてきなさい?

【彼女はここにいる二人のように機敏に動けはしないが、ある程度戦闘はできる】
【鎌による一閃――彼女はそれに合わせて踏み込み、持ち手の部分を掴むことで攻撃を無力化しようとする】

な――っ!

【しかし鎌鼬による攻撃は予想できず、それによって左腕を切り裂かれるだろう】
【鮮血が滴り左腕が使い物にならなくなるが――そもそも武器を持たない身だ。戦闘に支障は出ない】

見直したわ。でもね、さっきも言ったけど私――――痛いのは嫌いなの

【ミハエルは気付けないかもしれないが、先程彼が居た場所の魔法陣が消える】
【接近されれば彼女の分が悪くなるが――彼女はまだ切り札を残しているのだろうか】

>>765

……ふふ、そうね、その通りだわ
でも残念ね。あなたはここでヤスデちゃん達に償いをするの
リチャード君、あなたの命を以て、ね

【確かにそうしてしまえば、例え中心部で戦う正義たちが負けても損害は最小に留められる】
【結局失うのはここヴェンドゥラーの交通網のみなのだから】
【だがそれも、リチャードが生きて帰らなければ意味のないこと】

【勝者で在り続けられるか、敗者としてここで力尽きるか――】
【リチャードにとってはある意味ここがその究極の別れ道なのかもしれない】

――ッ!!

【背後の異音には気付けた。しかしミハエルの攻撃に対応していたが為に、それが何かを確認することはできず】
【もし確認できていたとしても、空中で軌道を変える弾丸など彼女は避けれなかっただろう】
【銃弾は腹部を撃ち抜き、彼女から力を奪ってゆくのだろう。いつの間にかゲジが出てきた魔法陣も消えている】
【これで終わりか――否】

【 彼女はまだ――薄い笑みを浮かべている 】


>>all

……もう少しだけ……抵抗してみようかしら
ふふ、耐えられたら褒めてあげるわ


      ――――ランダムセット・リンク・ディメンション


【彼女が詠唱を終えると共に、空中に無数の魔法陣が展開される――!】
【そしてカーディ自身に当たらぬよう、ミハエルとリチャード両名に向けて一斉に黒い球体≠ェ射出されるだろう】

【その正体は――タマヤスデと呼ばれるヤスデの仲間だ。この種はダンゴムシのように丸くなる習性がある】
【しかし魔法陣から射出されたヤスデは、普通のサイズの何倍もあり、その分表皮も堅牢になっているだろう】
【で高速迫るそれはまさしく砲弾と呼ぶに相応しい。当たれば痛いでは済まないはずだ】

【出現した魔法陣自体は多いが、両名が捌くべきヤスデの数はそう多くはない】
【よくて四匹、回避か防御をすれば難を逃れられるだろう】

【――リチャードはもしかすれば避けるのが難しくなってしまうだろうか】
【というのも先程出現したゲジ=Aこれが背後から忍び寄っているのだ】
【もしゲジに気付かないままでいれば、その長い肢を駆使して背後から脚を拘束され、おまけに咬みつかれるかもしれない】
【だがあれだけの巨体だ。いくら速いとはいえ、その気配は隠せるものではない。気付くのは難しくないか】
782 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 02:50:54.71 ID:vHPNafdB0
>>767>>776

『へっへー…ざまあみやがれってんだ。さて、こっちはこっちで…!』

【レオを掴むことに成功したなら、手助けはもう終了したと言わんばかりに息をついて】
【しかしその時に、弓矢を生成するブレンヒルトが見える。あの弓矢で自分を撃つつもりなのはすぐに分かった】
【避けようと翼を動かそうとするも消滅寸前―――空中での移動手段を失った彼女は、避ける術がなく】


―――――――――――――――…っ…ぁッ!!


【無論、直撃する―――腹部中心を光の矢が貫き、勢いよく飛んだ鮮血が矢の軌道を赤く塗り替えていった】
【翼は消えて、重力に従い、落ちていく。口からぴゅっと零れる様に、吐いた血が喉に、そして右手に伝っていって】
【―――どすん、という痛々しい音を立てて、喋り屋は地面へと叩きつけられた。そこだけ見れば、彼女が負けた風に見える】

【しかし、光の矢に撃ち抜かれて落下する喋り屋と眼が合ったなら、ブレンヒルトは何かを察するかもしれない】
【何故なら、多少なりとも切り裂かれて損傷した腹部を更に貫かれ、致命傷とも言える傷を負ったにも関わらず】
【その顔は、その口は、その眼は―――何かを企むかのように「笑って」いたのだから】

【シーナがその切り札を放つや否や、落下した後の喋り屋がごそりと動いて―――今度はレオを、正確には『土の腕』を見た】
【依然喉に当てられた中指。勿論のこと操るのは土属性の魔術―――何をするかはすぐに、分かるのだろう】


                  『王手(チェック)だ、爆ぜろ』


【そう喋り屋が紡いだ時、突如、レオを掴んでいた『土の腕』が崩壊、そして轟音と共に破裂する―――!】
【しかしレオに起こるだろうダメージは音ほど大きくは無い。それにその前に壊してしまえば破裂によるダメージはないだろう】
【結局、破裂に成功したにせよ、壊されたにせよ、その土の破片たちは宙を舞う―――何故かブレンヒルトに向けて、だ】
【最後の一撃として喋り屋が用意したのはこの魔術―――つまり、無数の土の弾丸を浴びせる、というものであって】
【一つ一つの威力は大したことないのだろうが、如何せんそれは雨のような数。かわし切れるかは、彼女自身の反応にかかっている】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:55:29.78 ID:uF43oKWx0
>>778

【――その笑みの色合いがいつもと違っていたことに、きっと彼女だって気付いてみせたのだろう】
【出会った回数はまだまだ少ない、けれど、それだけたくさんお話をしたから、そんな差ぐらい、すぐに気付いてみせる】
【ふにと瞳を細めるようにして笑う、どこか安堵したような――同じ気持ちを共有してくれて、嬉しいというような】

【それを言ってしまえばこちらだって子供っぽいだろう、何せ感情が顔に出やすい性質だ、中身だって子供ぽいなら、】
【実年齢よりも幼い見た目よりもさらに幼いような気がして来る。けれど、そうかと思えば時折大人びてみたりもして】
【おませさん――と言ってしまうのがいいのだろうか、そんな、見た目と中身とのちぐはぐさが、彼女らしさ】

そうかな、……そうかも。じゃあ、……アナスタシアに似合う服、頑張って見つけるね。
……かわいいお洋服ならもうちょっと得意なんだけど。――ねえ、あとで見るだけでいいから見てみようよ――。

【ちょっぴり自信のなかったのがアナスタシアの言葉に元気付けられる、それでもいいんだって、励まされたようで】
【けれどだからといって適当なものを見繕うわけにはいかないだろう、“友達なのだし”、頑張るのに変わりは無い】
【それから少しだけ拗ねたような目をする、そうして提案するのは――ゴシック系の服も、見るだけだと、そう提案して】

【(足を運んでしまったら最後な気がした。買うかどうかは置いておいて、いろいろなものを見繕われるような予感)】
【(フリルとレースの楽園に叩き込まれる予感しかしない。けれど、置いてくなんていわれる頃には、待ってと追いかけて)】

他にもね、真っ青な毛の兎でしょ、お水をあげると膨らむ蛙でしょう、靄で出来た馬に――、うにうにした寄生虫とか、
……そうだよ、とっても尻尾が長くてね、すべすべしてるの。あんまり触るとね、ちょっぴり嫌な顔をするんだけど――。
そう、サラマンダーの子供なんだって言ってた。まだ大きくなるのかな? そしたらおうちに入らなくなるね……、

どこだろう? わたしが家に来たときには居たから……、セシルってね、動物好きなんだよ。
お散歩はね、時々家の周りの森とか――いっしょに行くの、あとはおうちで放し飼いかな……、

【――どうやら家にはたくさんのペットが居るようだった、そして悉くまともな生物が居ないというのも、なんだか面白くて】
【そういったのを集める趣味らしかった、彼女でなくって、彼女の旦那さんが――そこに、彼女の趣味は関わっておらず】

【(けれどみんなかわいいと思うなら、なんだかんだで趣味の合う夫婦なのだろうということに落ち着くのだった)】

【さも真剣そうに悩んでみる幕間がある、そうしたらどうするんだろうなんてしばし考えてみて、ただ浮かばないなら】
【どうにかなるさなんて楽観視、そんなところが彼女には時折あって――それなのに思いつめる性質だとは、余談だが――】

――あ、そうだ、アナスタシアも今度遊びにおいでよ。みんな不思議なんだよ、見たらきっとびっくりしちゃうっ。
セシルもきっと喜ぶよ、なんならお泊まりでもいいし――、――ねえ、だめ……、――きゃっ!

【――ぱんと両手を合わせた仕草、さもいいこと思いついたとばかりなら、何事かと思うかもしれないけれど】
【思い浮かんだ案にきらきらと目を輝かせれば、告げるのはそんなことだった。是非来て欲しいと、瞳が語っていて】
【お茶会に憧れたようにお泊まり会にも憧れる少女らしさ、――そんなことをしていたら、終点のことが意識から抜ける】
【何にもなければ後ろ向きにド派手に転ぶことになったろう、ただそうならなかったのは彼女の異能のお陰で、】

【少しだけ気恥ずかしいようにありがとうと告げる、目当ての店は、エスカレーターホールのすぐ横にあるようで――】
【先ほど確認したのと同じロゴが描かれている店が目の前にあるだろう、綺麗に着飾ったトルソー、きちり畳まれた服たち、】
【いかにも服屋ですといった趣で出迎えてくれる、一歩踏み入ったなら――奥から店員の、「いらっしゃいませ」が聞こえてきた】
784 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 02:56:45.70 ID:O+7sO/wo0
>>766>>775


「――――終わりです。これで
次に掴まる時は先程まで以上に厳重な事となるでしょう
…………さて、ギアも近くに居る事ですから最早貴方と話す事は何も――…………?」

【女の身体に集い始めたのは妖気だ。其れが溜まれば溜まるほどに、きっとカニバディールにも妙な感覚を覚えさせるかもしれないけれど】
【他の正義の徒も追い詰めつつあるならば、最早終わりかと思って――――】
【改めて見てみれば、反撃する訳でも無くどうした事か耳栓を着け始め】

【分からぬ者から見れば、不可解な動作だ。この場に於いて耳栓を装着するなど、まるで殺してくれと言わんばかりの行動だが】
【――――直後に訪れた大音量には、思わず耳を塞ぐほか無い】

【痛みはどうにでも出来よう。然れど、鼓膜等々を揺るがす其れは無視を出来ない物なのだから】
【歩みが止まるのは必然。両耳を塞ぐが故に、攻撃を行う事も防ぐこともままならない】
【即ち、多大なる隙を晒している事に他ならず】

【足だって、音という“振動”が襲っている現状上手く動かす事も出来ない】
【謂わば絶体絶命。無事切り抜ける事が出来たならば反撃に転じようとするが――――果たして】
785 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 03:02:11.19 ID:kL3G7yGpo
>>766>>775>>757

【最初に貰った、バトルアックスの一撃。次いで受けた爆風。そして其処に連なった幾つかの攻撃。】
【どれもがセリーナにとっては、そう、唯の人間であるセリーナにとっては重症足りえるものばかりであった。】
【しかしながら尚も、その活動が、ティターンアーマーの動きが止まる事はない。悪しき一団を葬り去るべく、唸る。】

【三発の弾丸が装填されたケルベロスのうち、最初の一撃は精確にマーディケリウムの傘を撃ち抜いた様だ。】
【間髪を居れず、"次弾"の装填を行うためにセリーナは両手で、ケルベロスのハンマーをガキリ、と起こす。それに連なって】
【弾丸を吐き出した事で余りの威力に焼け付いた最初のバレルと交代するように、シリンダーと同時に三連バレルもぐるんと回転する】
【一撃を見舞うごとに一本ずつバレルを消費していく文字通りの高火力武装―――歪ながら、それを振るうセリーナの技術は合理的だ。】

  
  ―――……スカーベッジ。其処をどきな。ギアを解放しなければ、次にアタシの"マグナム"はアンタをバラバラにするよ。
           それとも、案外アンタの覚悟は生半可なものじゃない、って所を見せ付けられるなら、それもまた良し、だ。
                その時は勿論、アタシの弾丸が容赦なく、アンタを穿つ。其れが嫌なら、其処を退いて―――……


【強烈な破壊力を見せたケルベロス・マグナム。その銃口をまさに、今度はマーディケリウムではなく】
【立ち塞がる障害たるスカーベッジへと、突き付けるだろう。人体に命中した際の威力は推して知るべし、だ。】
【無論、そう簡単に相手が退くとは思うはずもない。だからこそ、最初の一撃で傘を破壊したのだ。自身の力を、誇示する為に。】

【なによりもまず、救出が先決だ。カニバディールはライラが抑えている。であれば、セリーナに課せられた任務は】
【身動きもとれず現状、有る意味で『人質』と化しているギアを助ける事に集約される。此方もまた、ここで退く訳にはいかず。】
【だからゆっくりと、ケルベロス・マグナム、そしてライトニングをそれぞれ構えたまま、それこそ本当に至近距離にまで寄ろうとした】


【―――その、瞬間。周囲に展開していた小型爆弾―――と、つい先程までは思っていた件のロボットが。】
【強烈な炸裂音と共に、今までに体感した事のないような、否まさに味わった事のない爆発的な音量のノイズを放ち出すッ!】
【無論、HUDで制限をすればセリーナの聴覚を護る事は出来たであろうが、ここで彼女が優秀なガンマンである事が災いした。そう。】

【彼女の聴覚は限界ギリギリまで常に研ぎ澄まされた、いわば高性能のレーダー。爆弾と化した玩具が周囲に居る以上】
【その動きには一つ一つにおいて注意を向けていたのは想像に容易い。故に、そこから発せられた驚異的な火力の『音撃』は】
【セリーナ・ザ・"キッド"という、生来のガンマンに対しては文字通り悪魔的な威力を発揮し―――瞬間、彼女の威勢は崩壊するだろう。】



    なぁ……っ!? ぐっ―――!? あ、ああ、アアアッ―――ッ!? な、ん―――これぇ、ええぁっ……!!

    (音の―――超音波と、バカみたいな声量の、音の衝撃波か……! こんな、爆弾だと思ってたのに……ッ!!)

                          (あた、ま、が……割れっ……。!?)

                                         
                        あ……っ、ああああ、ああっ、ぁっ……ぁっ……!

【余りにも強烈な、音の攻撃。慌てて、銃すらも取り落として。セリーナは振動で打ち震えるアーマーに苛まれて】
【両手で耳を塞ぐ。同時、HUDが自動で攻撃と判断したのだろう、音声を遅れながらもシャット・アウト。】
【これにより音を封じるが、危険な状態だ。なにせ銃は持っておらず、その上"音"が聞こえていない状況なのだから。】

【これは一つの大きな隙、であり―――もし攻撃を加えて動きを止めるなら、絶好のチャンスとなるだろう。】
【菌糸による束縛、スカーベッジの反撃、はたまたカニバディールのバトルアックスか―――何もかもが、その標的と成りえた。】
786 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 03:08:52.65 ID:FITu2ouXo
>>777

【雷撃の鉄槌───それは、派手さと聞こえだけはいいかもしれない、しかし】
【火と雷、スイッチする属性の得意な性質は違う、雷の性質は飽く迄もその早さであって、パワーは実際そこまで無いのだ】
【破壊に対しては対抗できた、しかしそれはまだ足りず、目の前で立ち上がるヘケメディウスを見やるは、対峙するフォギー】

……はぁ……はぁ……しかし、元気だね君は、是非とも体を調べさせて欲しいくらいだ
どうだね?あの小屋を見せてくれるならここは見逃して───とはいかないかな?はっはっは

【頭を上にして立てた箒がまた元の形へと変形し、属性が炎へと切り替わる】
【箒から燃え上がる炎と黒煙、それとは違う黒煙が、フォギーの口からは吐かれ続けている】

【自分でも、あり得無いと思う一言に力の無い笑い、表情には疲れが見えるが、まだ目は死んではいない】
【朝焼けの様な橙色の眼が空から降ってくるヘケメディウスを見上げ、口元がにやりと笑う】
【くるりと箒を反転させ、ロケットが如く炎を上げて一気に上昇、落ちて来るヘリを間一髪で回避すると、安堵する間もなく下から爆風だ】
【襲い掛かる熱と衝撃と破片、しかしそれを逆に利用して加速しながら、空中のヘケメディウスを追い越し更に高く、ヘケメディウスの上空で箒を両手に掴む】

ヘケメディウス君!君は確かに興味深いが!君自身に全く恨みはないが!あの小屋を観察させてほしいが!!

だが!

だがしかし!!

私はUNITED TRIGGERの一員として!いやそれ以上に!!

この世界の美しい空を汚す輩は許してはおけないのでね!!

【両手に持った箒の頭をヘケメディウスに向けると、歯車が激しく回転を始めて、大量の魔力を生み出し、フォギーは箒の炎と魔力を合成して纏め上げる】
【箒の頭は見る見るうちに炎に包まれ、それは形を変える───それは、炎の砲口】

───燃えよ太陽の怒り!総て焼き尽くす咆哮をいまここに=I!

《シャインレーヴァテイン》!!

【その砲口から打ち出されるのは炎───と言うには既に馬鹿馬鹿しいほどの熱の塊、赤熱が行き過ぎて白くも見える程の、極太の熱線だ】
【威力に特化した炎の魔力の、最大級の魔術、それは魔力を作り出す技術と、炎を生み出す技術があってからこそ】
【技術の力と、魔術の力、その二つが合わさり生まれる更なる力、それこそが───】

そう!これこそが!魔術と技術の奇跡の融合!!

即ち!魔技(マギ)!!

787 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 03:15:12.06 ID:i9B2wEMSo
>>776>>782

【両者の放つ最後の一撃!―――最初に決まったのはブレンヒルトの一撃だった】
【腹部を打ち抜き、大ダメージを与えることが出来た事を確信する、これで自分の勝利は確定―――!】


「やったあ!大金星だし……ッ!?」


【だが違う、確かに仕留めたと思ったその少女が最後にこちらに向けて目を向けたならば】
【今この時もこちらが狙われている事を悟る―――そしてそのほぼ同時に、爆音がブレンヒルトの横で鳴る!】

【続いて交差するレオとシーナの攻撃】
【最後に発射した爪が防がれたと同時、シーナがこちらに向けて切り札、砂塵の牙笛を向けているのが見えている!】
【未だ腕にしがみつかれているレオにはもはや避けられない―――!】


『―――――――――!!』


【直撃の寸前に腕が砕けると同時、ドゴォン!と大きな音を立ててレオの巨体が背後へ吹っ飛ばされる!】
【そして、砕けた土の腕、それが砕けて生まれた土の散弾がブレンヒルトめがけて飛び交ってくる】
【明らかに動揺を見せるブレンヒルト―――そして】


「わ、生まれよ、『アキ……きゃああああああァァァァァ――――!!」


【防御用の装備を生み出すのが間に合わず、ブレンヒルトが恐怖の悲鳴を上げながら―――】
【ダダダダダダダダ!と連弾を受けてそのまま倒れ伏せてしまう事だろう】

【……両者の大技を放ち、どちらも無事直撃させることが出来た……この勝負、どうやらシーナと喋り屋の勝利で飾ることが出来た】
【――――かに思えたが、まだ油断することは出来ない】


『――――――ぐ、うぐ……、なる、ほど……やはり相応の……実力者がそろっている……』


【―――確かに直撃させたはずのレオが、立ち上がった】

【ダメージは間違いなく与えた、現に獅子の"怪人"の腹部は装甲がひび割れ、赤い血が滴り、発射した際に発生した熱で少し焼け焦げている】
【相当の致命傷は与えたはずだ、なのにこの獅子の"怪人"はまだ動けるだけの力が残っているのか】
【……だが、レオは二人に戦意を向けていない、残る爪や牙を二人に向けようとすることなく、気絶したブレンヒルトの側に寄り、抱えようとしているらしい】
788 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 03:15:52.18 ID:st4zWuNoo
>>780

【銃を撃ちまくって、ああクソ、弾が切れた。そんなことじゃない今考えるのは】
【退避しようと行動したが…この攻撃から逃げ切るのはやはり無理だった。畜生】
【男は一瞬、はたと降り注ぐ魔弾に目を向けた瞬間、全身にそれをもろに受けるのだった】
【どれほどのダメージなのか彼にはわからない。衝撃が体に起きたと思ったら、もう走れなくなったとだけ】
【ぐらりと足の力が抜ければ、全身が神経を遮断したかのような感じだ。バキバキに破壊される機械類を見て】
【ああクソ。俺もああなっちまったってわけか。と、やけに冷静な頭は察知した】

……アアッッ!!クソクソッッ!!やられてんじゃねえかよ……!!

【べたりと倒れて、今度は確実にやられていた。血が流れている。マジかよ。クソ。】
【アレほどの衝撃だったのにモロ食らったのは一発だけだ。左肩を貫通。骨が折れたのか腕も言うことを聞かない】
【あとはさっきの脇腹と、足をかすめてる。男は残った力で這うように、彼奴を狙える位置まで移動する】
【ゆっくりであるが、血の跡を床につけながら。握った拳銃は離さない。悪いが撃ち抜くのはこっちだって十八番だ】

【血を流し、床に転げながら、右手を持ち上げる。撃鉄を起こす。血がなくても銃は構わず血を吸って弾丸にしてくる】
【それでも、今は撃ってやりたい。仕事だとかそういうのはもうどっかにいって、理屈じゃない。今、撃つのは本能だ】

【ぎちりと、銃を握る手に力がこもる。―――BANG!!白い方か黒い方か、どっちを狙ったか定かではない】
【ただ敵の影に狙い、無意識な闘争の本能で引き金を引いた。……そして、男はその腕を下ろした】
【一発撃つのがやっとだったのだ。拳銃を投げ出して、肩を抑えて、後は神のみぞ知るということだ】
789 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/09(日) 03:21:44.95 ID:Y459fj6I0
>>781

……はっ……!お高く止まったその態度、少しは直す気にでもなったかッ!
更にもう一発…………何だ……ッ!?

【鎌による攻撃、受け止められたのは想定外だったが、風の刃が腕を切り裂けば、ミハエルは勝機と感じた】
【が、何故か無理は出来なかった、何か嫌な予感がそこにあったからだ】
【そう、先程ミハエルの居た場所にあった魔方陣が消えている】
【それを目の端で捉え、直感的にだが不味いと思ったのだろう】
【ミハエルは後退して距離をとる、と同時だろうか、空中に無数の魔方陣が出現して】

……!これはッ……!!

【弾丸、いや砲弾となったヤスデが撃ち出され、当たれば致命的】
【ミハエルは鎌で顔と心臓は守ろうとするが、腹部に飛んできた砲弾によってダメージを受ける】
【それは脇腹を抉り、一番下のあばら骨にヒビを入れたか】
【激痛が走り足元もふらついてきた、しかし、このままでは終われない】

……まだ俺は戦える……ッッ!!

【スロットが回り初める、出た目は6、今までの武器を考えれば、数字が大きい程、威力も高い武器らしい】
【6番目の武器は、彼より一回りも二回りも大きい重火器】
【長方形を基本とした外見で、片手で扱うには余りにも巨大な"銃"】
【それを両手で固定し、カーディに狙いを定めると引き金を引く!】

【撃ち出されるのは巨大なレーザー砲、全てを飲み込もうとする光】
【当たれば一瞬で再起不能に出来るほどの威力、これで決める!】

【これを凌げるかによって、勝敗が決まるか】
790 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 03:31:24.83 ID:yNBuLuDUo
>>781 >>789

驚きましたね、まだ抵抗しますか………。
――――良いですよ、ボクはあなたのような強者≠ェ好きです。最後まで、お付き合いしましょう。

【ミハエルの斬撃に、リチャードの銃撃。どちらも確実に当たっているにも関わらず、カーディ・スクワーマはまだ屈さない】
【表情は笑顔の形で固定したまま、リチャードはその事に少々瞠目する。そして――――密かに、浮かべる笑顔を本心からのものに変化させて】
【――――くくっ、と。転んだ体勢から膝立ちの状態になったリチャードが、優雅というには少々獰猛な含み笑いを漏らすのが、聞こえるかもしれない】


……………………ッ、!!!

【空に展開する複数の魔法陣。もはや不要ということなのか、リチャードは右手の拳銃のセーフティを戻して懐にしまい込む】
【そして、右腕を真横に、痛む左腕は前方に。まるで何かを握り込むように、整った顔立ちを微かに歪めながら力を込めていく】
【途中――――ゲジがリチャードの脚へ噛み付くだろうか。気付かなかった訳ではないが、タマヤスデとゲジの両方の回避は不可能と判断し、敢えて反応しなかったのだ】
【激痛に両目を見開きながら、リチャードは右手を強く握る。その甲斐あって、タマヤスデがリチャードへ当たるより先に能力を発動させられた】
【突き出した右腕の先に現れたのは、半径一メートルほどある大きなブラックホールだ。吸引する物体は勿論、降り注いでくるタマヤスデである】

【一体一体のサイズが大きい上に飛翔速度も高速であるため、最初のヤスデのように全てを吸収しきる事は出来ないし、すぐに限界容量≠ェ来るが……】
【――――自分に向かって落ちてくるの軌道を逸らし、直撃を避けるだけなら十分。砕けた地面の飛沫が体を叩くが、リチャードは決して残る左腕を下げない】
【そうして、四、五匹ほど軌道を逸らしただろうか。ゲジはまだ脚に絡み付いているし、リチャードは動けないはずだが――――】


では――――行きますよ、カーディさん!!!


【……自ら動く必要など、無い。吼えると同時に強く左手を握り込めば、カーディの背後で先程聞いたのと同じ音が響き渡るだろう】
【ブラックホール……それも、先程より大きい。サイズが巨大であるという事は、それだけ吸引力も高まっているということで】
【ただ、これもカーディを吸うものではない。最後の対象は瓦礫でも空気でも、虫でもなく――――リチャード本人だ】
【――――絡み付かれていない方の脚で、軽く前へ跳ぶ。それだけで十分だった。強烈な吸引力が、リチャードの体を一気に引き寄せる!】
【狙いは当然、ブラックホールの前に立つカーディ。リチャードは空中で跳び蹴りの体勢を作り、強烈な蹴りをカーディへ叩き込もうとするだろう――――!!】


…………まったく、流石UTというのか、派手なお人だ…………っ!

【蹴りが当たる部位は腹部、鳩尾という急所がある上、先程銃弾を命中させた場所でもある。直撃した場合の威力は非常に高いと言えるか】
【……なお、攻撃のタイミング的にはミハエルの放ったレーザーの直前になるだろうか。当たろうが外れようが、リチャードは新たなブラックホールを設置し】
【彼の攻撃に巻き込まれないよう、範囲外へ移動する筈だ。だがその際、脚を封じれられたままのリチャードは受け身も取れず地面を転がることになる】
【当たれば勝利、だが外れれば。果たしてこの攻撃、如何なる結果を齎すか――――?】
791 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 03:33:57.91 ID:z4b9ZXafo
>>782>>787

「ふっ――このシーナ様の力、思い知ったか!」
「猫の一匹や二匹程度、物の数でもないのだ!」


【地面から全身を出して、懐にローブの中にごそごそと牙笛を仕舞いながら】
【レオの方にドヤ顔で指差しながらそう告げる】
【激戦だったにも関わらず、元気なものであった】
【……魔翌力の使いすぎと、咆哮を受け止めた時の衝撃で若干足元が怪しいが】


「貴様――まだ動けるのか!」
「よかろう!今度こそ止めを……」


【起き上がるレオの姿にシーナは身構えるが】
【戦意もなくブレンヒルトの元へと向かうレオを数秒、見定めるように眺めた後】
【顔を少し逸らして片手をひらひらとさせる仕草を見せた】


「むぅ……如何に悪党といえども、私は今の貴様の背中を斬る程非情ではないのだ」
「夢見が悪くなりそうだし……何より、爺様に怒られそうだしのぅ」

「飼い猫よ、私の仏のごとき寛大な心に感謝するがよいぞ!」


【そうボードに記すと、シーナは爪先でトントンと床を叩いて"喋り屋"の方に向かって魔翌力を放つ】
【龍脈を通し、対象範囲を簡易的な"聖域"と定める魔術】
【効果は治癒力の向上……短時間で大きな効果を望めるものではないが】
【特別反発する特性や行動がなかった場合、怪我に対する応急処置程度には働くだろう】

【……とはいえ、レオに対する警戒自体は怠っていない】
【弱っているとはいえ、肉弾戦闘になればシーナの華奢な身体を砕く程度容易であろう】
【指先で赤い石のようなものをコロコロ転がしながら、探知の"眼"をレオたちの方に光らせていた】
792 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 03:36:10.91 ID:8WufB5KAo
>>783

おう、頼むぜ鈴音。服選びなんて経験は勿論センスも無ェしで困ってたしよォ
ったく、それっぽいの言うだけじゃなくていっそ向こうから選ぶとか……

……いや、なんでもねェ。にしても……可愛い服、見るだけねェ……?
まあ、別に良いけどよォ……俺は着ねェぞ?大体似合わねーしな
所謂ゴスロリってのとか、メイド服とか……リボンってタイプじゃねーだろ、俺。

【――そういう面での危機察知能力というのは、どうやら存外に低いらしい】
【きっとずるずると底なし沼に浸かるようなものなのに――ベイゼは、一応『YES』の答えを出した】
【自分の服を見て、ついでに少女に進められるがままにそういう服も見て、或いは――買って】

【それから一息つく形でカフェか何処かへ。そういう段取りが、此処で決まったと言えるだろう】
【その荷物の量も何となく推し量れたが――今は触れずに置こう。後のお楽しみだ】

【それから、話はペットの方向にシフトする。ベイゼは未だ犬猫すらも飼ったことが無かったが】
【白が代表のはずの兎は青く、どんな生態かも知れないカエルや、生き物かも分からない馬――】
【それらがさも当然の様に語られると、くらりと目眩がしたかのように右手を額に当てて】

……お前ンち、オモシロ動物園か?フツーじゃねェよなァ……
でも、まあ……面白そうだとは思うけど、気を付けろよ?
サラマンダーって言ったら、ドラゴンみたいな生き物ってイメージ有るし、牙とか……

ん、遊びに……?いいのかよ、お前と旦那の愛の巣ってヤツな訳だろ
俺なんかが行って…、……泊まり?…、……一応考えとく、あと…気を付けろよ?

【仕方ねェな、なんてぼやきながらも、少女の提案――お宅訪問とか、お泊りだとか】
【その辺りには悪くない感触の答えを返した。完答しなかったのは当の彼女が危ない所だったからだ】
【無論、その危険は排除したのだが。ひとつ言えるのは、意外そうにきょとんとしてこそ居たものの】
【エスカレーターを降りる際、その横顔はまんざらでもなさそうだった、なんてことくらいか】

【さて、場面は件のブランド店に移ることになるが、ここからは少女のお仕事となるだろう】
【ベイゼ自身は周囲を見回しこそしたが、コレというコーディネートは思い浮かばない様子で】

……取り敢えず、アレだな。トレンチコートだ、それもダブルのヤツ。
後は特にねーんだけど……色は明るいほうが好みってくらいか

【そんな事を云うと、店内をうろうろとしながら少女のチョイスを待つことになるのだろう】
【『スカートは嫌だ』とか、『動きやすい方がいい』とか――割りと責任もなくコメントなどもするのだが】
【勿論、コレが良い、と少女が思ったのならその一切を無視して服を選んでやったって構わないだろう】

【強いて注意する点が有るとすればそれはボディラインだろうか。少女のソレとは違って――つまり、メリハリが有るわけで】
【その点を少し考慮すれば、後は何の問題も無いはずだ。任せると言っていたのだし、ソレこそアクセサリーだって選んでも構わないハズ】
【お金の心配は――以前来ていたコートを思えば、しなくとも良いだろう。なんとも無責任なショッピングの始まりだった】
793 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 03:43:42.86 ID:IXaHmaBQ0
>>780

従う、カ。……それでいいのカナ。人間って、誰かに従うだけで生きるものじゃないヨ……
――――来タ!

【暗雲立ち込めた空が一瞬光ったか。雲が一瞬魔力で満ち満ちて――――二人の発した言葉を合図に、空から無数の魔弾が降り注ぐ】
【完璧なまでに男の予想通りだった。上から来るという言葉通り、魔弾がまさにバケツをひっくり返したような雨霰の如く落ちてくる!】
【だが、予想内の出来事だったが故に……少女は、「用意が出来ていた」。手に持っていた木符・土符を待ち構えていたかのように掲げると―――】


「五行霊符・木符、土符……陰陽霊符・陽符」!――――『天蓋』!!


【木が生え、土が隆起し……形成されるのは、土壁とそれを崩れないように支える木と金属で出来た即席の「屋根」。木と土で形成された其れは、土であるが故に雷を受け付けない!】
【勿論、物理的なエネルギーまでは相殺できない。降り注ぐ魔弾に、徐々に屋根は崩れ落ちてゆき、もう長くは持たないだろう……】
【―――と、その時。不意に屋根から飛び出した彼女は、一目散に二人の元へと駆け寄って行く。全速力で、息を切らしながら走る―――!】
【降り注ぐ弾は彼女にも当たっている。痛い。とても、とても痛い。それでも駆ける足は止まらず、二人へと向かい――――そして】
【とうとう二人の目の前まで辿り着くと、流れる血も疼く痛みもそのままに――――二人を向いて符を掲げた】
【苦しむ二人への止めか?―――――いや、違う。むしろ、正反対……彼女は二人を魔弾から「庇った」のだ。】

「五行霊符・土符、水符、火符、金符」――――『土盾鉄壁』。

【丁度3人が凌げる程の大きさの盾が生成されると、彼女は盾を上に掲げて、二人を抱き寄せるようにして降り注ぐ魔弾を弾く】
【土符・水符により粘土状になった土を火符で固め、それを支える鉄筋で作られた盾。それが、二人を上から覆うように被さる……】

―――これが、アナタ達の望んだ意志ですカ?自分を痛めつけてまで攻撃するのがアナタ達の意志ですカ!?
誰かに従った結果、こんなにボロボロになって……それがアナタ達の望む結果ですカ!?

自分の行動を決めるのは誰かじゃなイ。自分自身だヨ。ワタシは、守りたいから戦っていル。自分で守ると決めたから戦っていル。
誰かに言われて戦ってるんじゃなイ。誰かに命令されて戦ってるんじゃなイ。――――自分が決めた事ダ。
何も考えずに従うなんて、ワタシはゴメンだヨ。命令されるままに戦って、壊して、傷ついて、アナタ達に得るものはあるノ?――――考えテ。

……それでも何も考えずに従うというのなら……ワタシはアナタ達を兵器として破壊すル。

【言うだけ言い終えると、あとはボロボロの体で火符を掲げ、炎の燕を召喚しようとするだろう。少しでもこちらを攻撃しようとする素振りがあったらこれで応戦するようだ】
【至近距離からの燕は同じく瀕死の二人に捌けるだろうか?―――同時に、此方も限界の少女も、二人が攻撃すれば回避は難しいだろう】
【……二人が少女を攻撃しないのならば、それっきり。此方が攻撃することはないだろう……】
794 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 03:55:30.77 ID:4G0nF1mQo
>>786

「ヘケッ、伊達に堕天使はやってねェんだぜェー、オレはよ……破壊の為"だけ"とは言えども!」
「そして……オレがブッ壊そうと思ったモノを見逃す気はねェーぜ、さっきどっか行った奴も例外じゃアねェ」

【――破壊を、戦いを、それらを"求める"が故に失った天に後悔はない、真っ直ぐに狂った眼はそう語る】
【地面にヘリコプターを叩きつける、爆風、砕く、しかしそこにフォギーの姿はない――ならばどこか】

「……Heck! 上かッ!」

【落ちるあの時に見えた影がそうだとすれば、今、フォギーが居る場所は……上空ッ!】
【赤く燃え盛る炎が己に迫り来る、迎え撃つにも体勢が悪い――だが、強引にそうするしかない】
【中に居る"師匠"のサポートも受けつつ、"エネルギーを破壊"――しかし、付け焼き刃的防御で防ぎきれるシロモノではなく】

「ぐゥゥぬぬぬぬゥッ」

【――熱い、焼かれる、己の身体を焦がしそして破壊してゆく!】
【熱戦が晴れる頃、そこにあるのは黒く煤けた男の姿。何故か髪型は無事だが……】
【まずは深呼吸を一つ。そして、悪どく微笑む――"地獄の業火には遠く及ばねェーな"なんて挑発までして】

『……く、グ…………』

【……だがしかし、男の腹部から黒いナニカが出てくる事に目が止まるだろう】
【自力で立つことすら出来ないそれ――不完全な顔故に表情こそわからないが、おそらくは"こっちが限界"】
【力の一部となっている以上、その者のダメージを無視できるわけでなく……男と似たようなダメージ(但し深度はだいぶ浅いが)を負っていた】

「あァ?」 「Heck、流石師匠の一般人にも負けられる形態って奴だ、先帰ってて良いぜ」 『……帰りのタァクシーは既に手ェ配してある』
「お、おい、こらッ、糞ッ、――Heeeeeeeeeck!」

『糞が……研究者さんよォ……良ォいこと教えてやろう、更なる術が欲ォしいなら俺様特製のマーディケリウムの胞ォ子でも研究しィな』
『UTも空もどォーでも良ォくなる素ゥ晴らしさも味わえるからな――……そォう、混沌と言ィう素ゥん晴らしい……モノのな……』

【この男のことをよく知っているからこそ、何をしでかすかもわかっていた、どうせ死ぬまで戦い破壊を求めるだけ】
【男と黒いナニカを囲うようにして現る魔法陣、それに吸い込まれる二つの存在――】
【――その後、掘っ立て小屋の4つの足からジェットが噴射され、何処かにへと去っていった】

【――黒いナニカが言った最後の言葉は"この場にいる正義"に対する負け惜しみとかそういうのではなかった】
【相手から感じたそれよりも、"好奇心"という名の欲が強い事に眼が行ったのだろうか――それに、戦ったのは弟子。だから捨て台詞が大人しかった様子】


『……おォっと、こォんな所にボタンが』

【立ち去る直前――黒いナニカがどこからか出したボタンを押すも、今は何も起きることがない】
【それから数十分した頃……まあ、忘れた頃にそのボタンの結果が現れるのだ】

【――それは爆発とか、そんな単純な"破壊"ではなかった】
【確かに爆発音は聞こえるものの、……その音源に残されていたモノは、黒色のアメーバの様な物体】
【それが連絡に必要なモノを包むことで、更に連絡網を弱らせる――この混沌の魔力のアメーバ、"餌"が無ければその内死ぬのだろうが】
【それまでは、空港にある連絡手段は物理か否か問わず、更に麻痺してしまう――かもしれない】

/お疲れ様でしたー
795 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 03:55:50.95 ID:vHPNafdB0
>>787>>791

【自分の最後の一撃―――否、数撃が成功し、またシーナの切り札も直撃した】
【これで彼女も漸く勝利を確信して―――安堵した途端に、体の力が抜けて、意識が飛びかけた】
【何とか気をしっかりと持つも、今度は貫かれた腹部やら右腕やらが痛んで―――歯を食いしばって】
【要するに、満身創痍であった。何とかこれ以上の騒ぎは起こさなかったから良かったと、そう思うようにし】

【―――しかし、それでも尚、あのレオという怪人は動いた。驚いてばかりもいれず、今度は表情を変えなかったが】

『―――くっそ、まだ…っ動けるのかよ…!その頑丈さ、分けてもらいたい…っぐらいだね…!』
『まぁ、こっちに、止めを刺す力なんて…残ってないんだけど、さ…っ』

【気付けばまた最初のように可愛らしい少女の声を取り戻していて、疲労感の垣間見える様子でそう零す】
【しかし声のトーンは恨めしさを隠すことなく、そしてまた視線もまだ殺意の籠ったものであった】
【何か企んでいるようなら、許さない。そう告げるような鋭い眼つきで、レオとブレンヒルトを見つめていた】
【結局、彼らが何をしようが、言葉通り彼女には何も出来ないのだが…】

―――――――――…?

【シーナから放たれた魔翌力に訝しげな表情をして、何となく周囲を確認した】
【何となく心地よいような気がする―――治癒系統の魔術だろうか、と推測して】

【その魔術の意味を理解したなら、シーナへと視線を向けて―――礼の意味も込めて、軽く手を上げて】
【上体を軽く起こして、貫かれた腹部を余った左手で抑えたなら、ブレンヒルトを抱えるであろうレオを睨むように】
【そこからはシーナと同じだ―――体を休ませながらも警戒心だけは解かず、その動向を探る】
796 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 03:59:07.12 ID:AcEB3hKyo
>>788>>793

【降り注ぐ魔弾が――――不意に、遮られる。見れば、敵である筈の少女がそこにいて】
【……理解できない事だった。兵器として、余計な感情を取り除いた二人には。】

得る、だとか……
「望む、だとか……」
『――――兵器にそれを語って何になるの?』

プシーが居れば、それだけでいい。
「クシーが居れば、それだけでいい。」
傷なんて、メンテナンスさえすればどうにでもなる。
「私達に余計な物は必要無い……感情も含めて。」

【上体を起こしたその時。血の弾丸が駆け抜け、“黒”の腹部を打ち抜いた】
【立ち上がろうとし、然れどよろめく二つの小さな体。二人を止めるにはあと一歩――――しかし。】


【ド、シン――――音がした。土煙が宙を舞い、視界を覆わんとして】


【無数の穴を開けられた天井は、最早限界であった。次々に、崩れて瓦礫が落ち始めていたのだ】
【次第次第に土煙で視界が塞がっていく。やがて晴れた頃には、二人の姿はどこにも無く】
【何らかの手を使い、逃走したのだろう。機関所属であろう事を考えれば、そこに不思議は何ら無い、か】


【気付けばすっかりと消えていた黒雲。吸い込まれる様な青空に、一羽の山鳩が飛び立っていった――――】



/これにて〆という事で、長々とありがとうございましたー!
797 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 03:59:49.47 ID:fDIMY+O4o
>>789>>790

【――両者それぞれの方法でヤスデの猛攻を制したのだろう。ならば、後は言うまでもない】
【ランダムセット℃g用時は魔法陣を動かすことも増やすこともできないのだ。勝敗は決まったようなものだった】

【まずリチャードの超高速による飛び蹴りが繰り出される】
【流石に直撃は不味いと考えたのか、カーディは右腕を出して咄嗟に防ごうとするだろう】
【それで威力を殺せるはずもなく、腕が砕け凄まじい痛みに襲われるが――今意識を手放すよりかはよっぽどいい】

【後方へ吹き飛ばされてもおかしくはなかったが、ずっと背にしていた車に身体を打ちつける】
【防御を兼ねていたが仇となったか。もはや脚に力が入らず、そのまま崩れ落ちる】
【しかし、その時初めてミハエルが向けた銃口の光に気付くのだろう】

【――直撃だった。ミハエルが放ったレーザーは彼女の脇腹に命中すると、車もろとも背後へと吹き飛ぶだろう】
【これで立ち上がれるものなど存在するのだろうか。少なくとも彼女はそんな強靭な肉体ではない】


ふ、ふっ、……やるじゃない……二人とも……
今日のところは……っ、撤退、かしら……。


【リンク・ディメンション*aがれるのは異次元へと繋がる魔法】
【指一本動かすことはできないが、辛うじて地面に展開した魔法陣に身を沈ませて彼女は消えてゆこうとする】


さよならね……また、縁があれば……会いましょう?

   ――――じゃあ、ね


【最後に短く言葉を紡ぐと、完全にその場から姿を消してしまうだろう】
【こうして今宵この場は、ミハエルとリチャードによる勝利で幕を閉じるはずだ】


/このあたりで〆ますね!
/お疲れ様でしたっ!
798 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 04:07:09.94 ID:CVGPCgLFo
>>770
ハハ、ハハハハハハハ!! 正義への信奉もそこまでいけば大したものだよライラ!!

【一年前、初めて対峙した時の彼とは見違えるようだった。それだけ、彼が血みどろの戦いの中を生きてきたということだ】
【カノッサとの戦いは、彼をハンターとして育て上げていた。今、その牙が獲物の首を刈り取りにかかる――!!!】


食人鬼たる私に、食らいつくと来たか……!!
ああ確かにそうだ。ここで倒れるようなら、機関ハンターは廃業だな――!!

【口だけは達者に返すが、カニバディールも限界に近い】
【紡がれるライラの言葉と共に、持てる力を振り絞った氷の弾丸が、カニバディールに飛来する】

ふ、ふ……知っているさ。私は知っている。私が殺してきた連中の痛みが、どれほどのものだったかをな……
比喩ではない。本当に知っているんだ。私の能力は、そういう能力だ

……死んで償う、か。『いやだね』

【この期に及んで笑うカニバディールの胴体を、三つの氷が穿った。巨躯が揺れ、血が迸る――】


>>772
自分の意志でそんな道を歩こうなどと……相当な物好きだよお前は……
乗り越える、か。その言葉、安くはないぞ……

【吐く言葉にも、力はない。事実、クリアーズを打倒して見せたロウに対して、負け惜しみにしか聞こえないだろう】
【一度は死にかけながら、不屈の精神でよみがえった男。今なお、余裕を演出する彼の笑み】
【向けられる銃口に対する醜い一つ目は。無意味な言葉を吐いてまでも、何かを待っているようだった】


……ああ、そうしよう。ケリをつけようじゃあないか、マーシャル・T・ロウ……!!

【格好はついていない。明らかに異常をきたしている体の動き。満身創痍そのものの姿】
【だが、彼の信念は折れず。SCARLETのプライドは倒れず。仲間たちの姿と共に、彼はなおも立ち上がるのだ】

【一極集中。ロウの研ぎ澄まされた感覚が、針の穴ほどのその瞬間をとらえた】
【両手を用いた構え。マーディケリウムの叫び。その一瞬を逃すことなく。弾丸は、放たれた】


――――!!!

【針の穴<ピン・ホール>を通す、ロウの一弾。奇しくも初めてたたかったあの日、己を撃退せしめたあの技】
【宝玉がもたらす100sの弾丸は、堕ちた=Bカニバディールの喉元を貫き、沈み込んだ】
【ゴボリ、と鮮血があふれ出す。喉が左右に開き、銃弾を排出することには成功するも、重症には変わりない】
【もはや、万事休すか。この傷で、これ以降何ができるのか――】


>>774
【その自分よりも先に崩れ落ちる彼女の姿が、単眼に飛び込んできた】
【地面にへたり込む彼女を、一つ目でただ見ていた。その瞳に何が秘められていたのだろうか】

【数瞬の後、彼女は立ち上がる。それでもなお、己の正義のために】
【儚いまでのシオンの呼びかけに、口角をわずかに釣り上げた】
【歪んだ耳に飛び込む彼女の咳と吐血音を聞けば、その笑みも溶けて消える】

【なぜ、涙を流しているのか。なぜ、それほどまでに殺しを厭うことができるのか】
【なぜ、命のやり取りをした相手を、今なおいたわろうとしているのか。カニバディールは、真の理解には及ばなかった】


【ただ、彼女が自分の前に身を躍らせて。その前に、光の渦にのまれて】
【そこにいたのが嘘だったかのように、シオンが消えていくまでを見続けた】
【紫苑の残り香に視線を向けていたのは一瞬。狭間から、己の地獄へと舞い戻る】

/続きます
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 04:08:40.33 ID:uF43oKWx0
>>792

【どうやら彼女は誰かと服についての話でもしたらしい、そんなことに気付いて、ただ、何を言うでもないなら】
【何か言葉の変わりにちょっぴり笑ってみせたのだろう、言われて服を気にしてみるなんて、なんだか、“女の子”みたいで】
【好きな服を着ればいいと思う心がちょっとある、けれど、そうやって気にする可愛らしさを切り捨てるなんてこと、あり得ないから】

【「そうかなぁ」「似合うかもしれないよ」「おとなしめの服だってたくさんあるんだよ」】
【つらつらと並べていく言葉たちは沼へ誘う一直線、あわよくばのワンチャンスを精一杯に狙った、言葉の数々】
【別に買わせようとしているわけじゃなくって、着せてみたい/見てみたい――ちょっとした好奇心のかたちを見せて】
【単にそちらの方が得意だからというのもあったのだろうけれど、――とりあえず、おとなしめを見繕ってはくれるようだったが】

だいじょうぶだよ、コモンはとってもいい子だもん。咬んだりとかね、しないんだよ。
たまに煙吐くけどね――それぐらい。マロンも、ロビンも、みんないい子だよ。

……もちろん。“ともだち”だもん、いつ来てくれてもいいんだよ?

【――言葉を紡ぐのは体勢をきちんと整えてから/店に入るまでの僅かな間、気恥ずかしさをちょっぴりだけ引き摺っているなら、】
【くすくす笑いもどこか照れたよう、それでもきちんと気持ちの篭る言葉の重みは、みんなのことが好きなんだろうと思わせるには十分で】
【コモン、マロン、ロビン、――ペットたちの名前だろう、そうやって語るのが、なんだかとっても幸せそうな色合いだった】

【おうちに遊びに来るのはいつだっていいらしい、夫婦で暮らしているのだから、実際いつだって、というのは難しいだろうけれど】
【こうまで言うのだから、きちんと事前に話を通しておけば歓迎されることだろう。それこそメールでもすれば――】
【――彼女のことだ、きっとたくさんの用意をして出迎えてくれる。いつもみたいににこにこして、「いらっしゃい」と】

【そうして店に入ればペットの話もおしまいになるだろうか、彼女はきょとりと店の中を見渡して、】
【「トレンチコートだよね」と確認した声と、アナスタシアの声がちょうど重なるようになる、ぱちくりと瞬いたなら】
【とりあえずという体で傍にあったトレンチコートを手にとって、広げて、――それで、ひとつ気付いたような顔】

あ……、丈はどうする? 長いのと、短いのと、……わたしは短いのが好きなんだけど。
スカートがね、長いと見えないから――、短いとね、ふわふわしたのが見えるでしょう? だから、

……ズボンなら長くても大丈夫かな?

【たった今広げたのは比較的長いものだった、ぞろっと零れ落ちるようになった裾を一生懸命に引き止めて、】
【それからぴしーっと両腕を伸ばして広げなおす、ちらとそちらを見たなら、ざっくりとその身体に合わせてみたように】

白いニットとかどうかな、後はジーンズとか――それだと、シンプルな感じ。でも、……、
……アナスタシアはスタイルがいいから……、……。

【――どうしたって服を選ぶ時は自分をものさしにしてしまう、それが一番見慣れているものだから、仕方ないのだが】
【今回はそこに問題があった。自分の華奢なのと比べたなら、彼女はまるで別の生き物みたいにスタイルが良くって、】
【うーっと悩むように視線を伏せる刹那があった、やっぱりそこで詰まってしまうのだろう、なんだか上手に想像が出来なくて】

【ひとまず悩みながら挙げたのはずいぶんとシンプルなもの、あまり突飛に冒険してもどうかと思うけれど、】
【まあずいぶんと大人しいところから始めたものだ、と言ったところ。既にうーんと悩み出しているのが、真剣な色合いだった】

/すいません、そろそろ眠気が出てきたので……明日にしていただいても大丈夫でしょうか?
/明日は用事もないので起き次第待機していられます、そちらの都合に合わせられるかと
800 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 04:08:52.36 ID:CVGPCgLFo
>>775
【それが発動した時、メインストリートは揺れ、建物のガラスが何枚も破れた】
【その直前、耳栓をつける前に聞いたのは、コマチの勝利を促す言葉】

[ひっひい……お、お見苦しいとこをお見せしました……]
[おっしゃる通りで。お二人のいうことはいちいちもっともです。なんせあたくしらは――]

[勝てる喧嘩をしに来てんですからね――!!]


>>784
そう、……だな。話すこと、は……何も、ない。それ、について、は……まったく、同意する、よ……

【ロウに潰された喉の代わりに、頬に出現した口がしゃべっている。それでも、苦しげな途切れ途切れの音声だが】
【その単眼がかろうじて捉えるは、彼女の身体に集いし妖気。巫女が妖気を集めるとは、どういうことか】
【だが、それを知る術もないままに、こちら側の切り札が発動する。あのちゆりに大きな隙が出来た】
【ちゆりにとっては絶体絶命、カニバディールにとっては千載一遇、この瞬間はしかし、攻撃に使われることはなかった】


>>785
【セリーナもまた、満身創痍と言える状態だろう。だが、その身を包む鎧は駆動を止めない】
【彼女自身は、ただの人間だ。だが、彼女の信念はどうだろう。今なお戦い続ける、その精神の強さは】

【ケルベロスのハンマーが起こされた。聞いたこともない音量の、撃鉄の音】
【回転するバレルは、死刑執行のカウントダウン。派手ながら合理的、超火力の兵器は今、悪漢の命に王手をかけた】


[ひ……ひっひ……まあったく、とんでもねえ女性もいたもんですなあぁ……]
[そうでしょうねえ、ギアの旦那を離さなけりゃ、あたくしは木端微塵のばーらばらでしょうねえぇ]
[ですが、ここで必要なのは、覚悟じゃありやせん。耳栓ですよ。耳栓]

【ケルベロス・マグナム。マーディケリウムすら砕いた、人知を超えた悪魔の兵器】
【それを正義の信念で振るえば、悪にとってこうも恐ろしい存在となろうとは】
【マーディケリウムでのデモンストレーションは、確かな効果を発揮していた】

【だが、誤算だったのは。盗賊どもの背後にいた六罪王の存在】
【解き放たれたノイズの嵐が、セリーナの動きを封じ込める】
【ノイズに交じって、スカーベッジのけたたましい笑い声が響く。聞こえはしないだろうが】


【耳をふさぎ、悪夢から逃れようとする一人の女性。コマチの力は、稀代のガンマンは瞬時にそんな存在へと変えた】
【この時、正義全員に隙ができただろう。異形どもはこの瞬間をいかに使うか】
【答えは、スカーベッジの手の中の起爆装置にあった】

【特殊な耳栓をしていてもズキズキと響く狂気の音色。メインストリートを席巻する六罪王コマチの秘密兵器】
【"聖遺物"を投入した悪魔の音声は、この場の全てを無差別にかき乱していく】
【それは確かな隙を作りだした。反撃の、ではない。異形どもの目的達成のための、だ】
801 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 04:10:06.75 ID:CVGPCgLFo
>>ALL
【大音響の隙をついて、カニバディールは移動した。もてる力を振り絞って、正義全員から離れた位置に】
【そこで、スカーベッジが自分たちの『スイッチ』を押した。ノイズに交じる爆発音。何のつもりか、スカーベッジは自分のボスのいるエリアの地面を、破壊したのだ】

【地面は陥没。カニバディールが、地価へと落ちていき――肉を膨張させて着地した】
【メインストリート地下に出現した異様な空間。そこには、カニバディールとキメラウルフとクリアーズ。そして、ヴェンドゥラーの住人たちがいた】


《ボ、ボ、ボス。い、い、生きてるやつ、ぜ、ぜ、全員ここに連れてきた……》

よくやったぞ、ブレインデッド……ゴホ……

【カニバディールの傍らに、生首が浮かんでいた。人間の生首。無機質な声音】
【『スクラップズ』が一人、ブレインデッド。カニバディールは、『スクラップズ』を動員してまで、この地下に住人達を無理矢理集めたのだ】

【ここから先の光景は、コマチのノイズが止んだ後。正義の使徒らも、頭上のコマチも、その会話を聞き取ることはできるはずだ】
【だが、入り込むことはできないだろう。そこで展開された出来事はあまりに早く、あまりに唐突で、あまりに醜悪だった】



<へ、へへへ、ま、待てって待てって、あんた方!! お、俺らはこいつに無理やり従わされてただけなんだべ!!>
≪そ……そうです!! この男が、私たちを無理矢理に……!!≫

【キメラウルフとクリアーズ。彼らが残った力を振り絞って立ち上がり、カニバディールの横へ移動すると】
【その巨躯を両脇から抑え込んで、住人達に許しを乞い始めたのだ。受けた傷が大きいのか、カニバディールが抵抗する様子はない】

――そうだ!! 殺せ、殺しちまえ!!=@今すぐ殺すんだ!! 早く!! 早く!!

【違和感に気が付くだろうか。住人たちの声は、地下に連れてこられたことへの怒りや恐怖以外に】
【何かを秘めているようだっ。いうなれば、何らかの焦燥≠抱いているかのような――】


<お、おお!! 殺してやるべ!!>
≪死になさい、化け物!!≫


【住人達の声に押されるかのように。両脇からキメラウルフとクリアーズが腕を振り下ろそうとした。いつの間に取り出したのか、その手にはナイフが握られている】
【ダメージに弱った身体では、よけられないだろう。これが、この怪物の最期となるのか――】
【だが、カニバディールの声のほうが、二人のナイフよりも早かった】

――クロード。お前が散々弄んだお前の実の妹は、元気にしているかね?

【ピタリ、と。キメラウルフ、クリアーズ、のみならず街の住人達も動きを止めた】
【住人達の先頭で声を張り上げていた青年など、顔面蒼白になって震えていた】

バーサ。お前が金づるにして自殺に追い込んだ旦那の墓は、誰か参りに行っているのか?
ハワード。今も路地裏の浮浪児を二束三文で買っては連れ込んでいるのか?
ゼズゥの店は見違えるほどに大きくなったな。詐欺と麻薬以外に、どんな商売を始めたんだ?

【並べ立てられていく、聞くに堪えない悪行の数々。街の住人達は、それを聞いてただ震えていた】
【これが何を意味するか。正義の使徒たちにもわかるだろう。だが、なぜこの男が――カニバディールがヴェンドゥラーの住人の悪行を知っているのか】


本当は、みんな気付いていたのだろう? 声くらいかけてくれてもいいだろうに
ずいぶんと久しぶりじゃあないか。なあ?

……おお、どうやら我らが名士殿らも来てくれたらしいな

/続きます
802 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 04:11:34.50 ID:i9B2wEMSo
>>791>>795

【ブレンヒルトに近付いたレオは、その腕で自分の方に抱きかかえると、問いかけるだろう】


『―――ブレン、お前はどうだ……やれそうか』

「む、無理ィ……体がバラバラに引き裂かれそうにいたいし……!
くぅ……不意を思いっきり突かれる形になっちゃったし……!」

『そうか、オレももはや満身創痍、お前の援護なしで戦う事はもはや望めない
……口惜しいが足が動く内に撤退してコマチと合流するより他はない、正義陣営の者たちの実力もやはり侮れないな』


【そう呟くと、獅子の怪人はブレンヒルトを背中に背負うと、敵対者たちの場所から遠ざかり】
【そのまま入口の方へと足を運ぶ……最後、一目だけ二人の方を向き】


『―――この借りはいずれ必ず返す、戦場にてまた会おう』

「お、覚えてるし……!次にあったら今度こそぼっこぼこにしてやるからね……!」


【最後に捨て台詞だけその場に残して、去って行く事になるだろう……】
【←To Be Continued...】

/乙でした!遅くまでお疲れ様です!
803 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 04:11:49.61 ID:CVGPCgLFo
【硬直した住人の向こうにカニバディールの単眼の視線が向く。その先から、数人が歩いてきた】
【前方を行くのは、いや歩かされているのは、二人の初老の男。最初の行列の先頭を行っていた二人】
【メディア王、グレイ・リー。リゾート王、ジェローム・ギル。権力者としての威厳も何も奪われた、おびえ切った姿で】

【彼らを連行してきたのは、逆五芒星をその身につけた者たち。そう、この戦いで一度も姿を見せなかった存在。機関兵】


{ハ、ハ、ハルズマン……!! 貴様、貴様あ!! 最初からこのつもりで……!!}
{う、ぐ……頼むハルズマン、何でもする……助けてくれ……}

ええ、最初からこのつもりでした。あなた方に話を持ち掛けた時からね
ですが、あなた方とて事が済めば私を消すつもりだったのでしょう? おかげで、地下トンネルに潜ませていた連中に『スクラップズ』の大半を充てる羽目になりました


『ファニー・ゲーム・クラブ』に関わっていた異常者や、裏の仕事を任せていた部下たちをこの戦いに投入することで消し
我々にヴェンドゥラーを住民と数々の証拠もろとも葬らせて、最後には我々にも消えてもらう……
我々があなた方と同じようなことを考えていなかったとしたら、危なかったかもしれませんな

わかったろう、ライラ。私に協力し、あの狂人どもを提供したのは機関ではない
この二人――いや、この街。ヴェンドゥラーそのものだ

【頭上へ向かって声を張り上げるカニバディール。その視線はしかし、ヴェンドゥラーの住人達から離れない】
【パクパク、と口を動かすばかりの二人の名士。もはや顔色も失っているキメラウルフとクリアーズ。街の住人達の憎悪が、彼らへと向き始める】
【そこを、カニバディールが機先を制した】

『ファニー・ゲーム・クラブ』でやっていたことを知っている者も少なくはないだろう?
――今更、善良な市民を気取る気かね、ヴェンドゥラーの諸君

【――怒号が、破裂した。先のコマチの"Million Dollar Quartet"にすら匹敵するかのような】
【罪のない市民でいたい、というこの街の住人の最大の欲望を、カニバディールは土足で踏みにじったのだ】
【メインストリートに渦巻く負のエネルギー≠ヘ最大限に高まり――今回の事件、最後の一幕が展開される】


――今だ、オートマーダー

【地響き。ヴェンドゥラー中央部、全体が揺らいだ。地震か。いや、ヴェンドゥラーの他の地域に揺れはない】
【揺れは、一度収まる。が、今度は小刻みな振動。それが、少しずつ大きくなって――】

【マーディケリウムの背後。公的機関のエリアを地盤から突き破るかように、何かが現れた】
【最初のマーディケリウムにも似た現象だが、その規模は先にも増して凄まじかった】
【それは、大樹だった。一本の、巨大な樹が、地面を突き破って現れたのだ】

【みるみるうちに、歪な枝を伸ばし、歪な葉をつけて。巨大樹はヴェンドゥラー中央部の空を覆いつくしてしまった】
【沈まぬ太陽の恩恵は断ち切られ、中央部は闇の底に沈み込んだ】

【それだけではない。地下に現れた大樹の根を思しきものが、次々にヴェンドゥラーの住民たちに襲い掛かったのだ】
【その速度たるや凄まじく。ギルもリーも、キメラウルフもクリアーズも。声すら上げられぬうちに】
【ヴェンドゥラーに巣食っていた悪党たちが、次々に大樹へと飲み込まれていった】

/さらに続きます
804 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 04:13:16.08 ID:CVGPCgLFo
《ウィーン……本機ハ、任務ヲ、完了、シマシタ》

ご苦労、オートマーダー……見事、成功したな……

【カニバディールを庇うように、その傍らに立つ人影。穴の中から、這い上がってきたらしい】
【黒いタンクトップに青みがかったニッカボッカ、足には黒い安全靴】
【『安全第一』と書かれた黄色いヘルメットと溶接作業用マスクを装着している。マスクの覗き窓から見える鉛色の瞳は機械的なほど無機質】
【その男を異形たらしめるのは、タンクトップから伸びる無骨な鉛色の義手。所々に錆色を含む二本の義手は、人間離れした太さと長さをしていた】

【オートマーダーと呼ばれたその義手男は、双方の義手で何かを握りしめていた。それは、一本の小太刀だった】
【鉄の塊のように無骨な色合いをした小太刀は、義手男をして両手でしっかりと握らなければならないほどの重量を誇っていた】
【橋姫討伐に参加していたライラとちゆりなら、あるいは見覚えがあるかもしれない】
【櫻の地方領主、貫行行。橋姫討伐にて報酬の一つだった品物だ。魔力や妖力すら断ち切る、断≠フ刀】


……光のマギタイトの魔力を浴びせて育てた木の苗を、地下トンネルのある地点に植える
地下には、血流のようにエネルギーが流れている。陰陽道では、地脈とも呼ぶらしいな、天鬼ちゆり……

その正常な流れを、この大黒鉄刀≠ナ切断する。後はそのタイミングだ……
街に渦巻く負のエネルギーが最大限に達した瞬間。そこを狙って断つ

もともと、あらゆる悪がなされ、発生した負のエネルギーを吸収し、忌土地というべき場所だ。正常な流れが断たれれば
この有様にならざるを得なかった。後は、ご覧のとおりというわけだ

混沌の後押しにマーディケリウムを添えて……私流の、混沌の世界の出来上がりだ


【料理のレシピを話しているかのような語り口。苦痛に苛まれ、鮮血を垂れ流しながらも】
【カニバディールは太い両足で立ち上がり、それを語った。この街の闇と、それを飲み込んだ自身の悪意を】

アアアアアアアアアアアアア……∞ウウウウウウウウウウウウ……
ナンデ……コンナメニ……∞オレタチがナニシタッテンダ……
ノロッテヤル……ハルズマン……!!=@カールゥウウゥ……

【そこへ、聞こえてくる数々の呻き。見上げれば、大樹の表面にいくつもの人の顔が浮き出ていた】
【恨み、憎しみ、あらゆる負の言葉を吐き散らすそれらは、ヴェンドゥラーの住人達のもの】
【その声がさらに大樹を、その下のマーディケリウムを活性化させ、この地をさらに汚していく】


【大樹から何かが落ちてきた。さらに、地面から何かが生えてきた】
【落ちてきたのは、牙をはやした巨大な赤ん坊の頭部だった。生えてきたのは、トカゲのような鱗に覆われた男だった】
【この地の生態系が、混沌によって異形と化した。生まれいずる生命、すべてが冒涜的な怪物と化す】

【地方都市ヴェンドゥラー ――改め、悪徳の街・ヴェンドゥラー】
【一つ目の怪物の手によって、この街は生まれ変わった。ある意味では、その内実にふさわしい姿に】

【そう、この街で生まれ育ち、この街で悪党になった一人の肉屋の手によって】
【飛び切りの親しみを込めた醜悪な笑顔で。カニバディールは、大樹で呻く同胞たちにこう言った】

ただいま、ヴェンドゥラー……懐かしの故郷……親愛なる隣人たちよ……
805 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 04:14:05.63 ID:8WufB5KAo
>>799
/持ち越しオーライですよっ!当方明日(今日)は夕方からお仕事なので
/多分15時位までならOKかと……その後は24時を過ぎるかもです
/とまあそんな感じですが、取り敢えず本日のところはどうぞごゆっくりなのですよ〜
806 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage !nasu_res]:2014/03/09(日) 04:14:35.72 ID:CVGPCgLFo
さて……ここはもはや我々の領地、異形の城だ……
正義諸君には、お引き取り願おうか……

【正義に向き直るカニバディール。満身創痍ながら、悪意はますます濃くなっていく】
【だが、彼らは気が付かなかった。慢心していた。背後の気配に】


「うあああああああああああああああああああああ!!!」

な――――!!!

【ギア・ボックス。セリーナの一撃で、菌糸の拘束がわずかに緩んでいたのだ】
【背後からの、完全な不意打ち。右手を振るい。身体に突き入れる。取り出されたのは、ただ一本のナイフ】
【それを、カニバディールの胴体に突き立てた――!!!】


が――!!

[て、てめえ!!]

【カニバディールとスカーベッジの怒声を背後に。ギア・ボックスは駆けた】
【仲間たちのもとへ向かって。多大な傷を負ったカニバディールらは、それを追えず――いや】
【振り向きざまにカニバディールが伸ばした舌が、ギアの右眼を抉リ出した】


ぐ、うわああああああああああああああああああ!!!

【右眼を失い、それでもギアは止まらない。駆ける。駆ける。仲間たちのもとへ】
【カニバディールらもそれを追うことはない。彼らも、もう目的を達成したということなのだろう】
【ここからの行動は、撤退となるだろう。魔都と化したヴェンドゥラーに、もういるべき理由もないはずだ】


【あるとすれば、一つ。みんなにさんざん迷惑を心配をかけたこの生き人形を】
【最後に一矢報いたこの男を、どう迎えてやるか、ということだろう――】

/大変お待たせしました!! いったんイベントは終了とさせていただきたく!!
/遅くまでにお付き合いに感謝します!!
807 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 04:16:50.15 ID:FITu2ouXo
>>794

【熱線───それは、ただ只管に熱く、総てを焼き、融かすだけの破壊の力】
【その力は箒を持つフォギーの手にも伝わり、手袋ごとじゅうじゅうと掌を焼く、しかしこんな事に泣き言を言っている場合ではない】
【目の前の敵を倒す、それが今為すべき事だから】

【熱線の放射が止み、推力の無くなった身体が落ちる。箒の炎を吹かしながら着地すると、目の前には黒焦げたヘケメディウスの姿】
【なんと言う事だ、あんなに黒焦げなのに、あれ程のダメージなのに、まだ生きている、むしろピンピンしているではないか】

……君の元気には流石の私でも辟易するよ、なんだか泣きそうになってきた

【なんて冗談を飛ばしながらも、頭では自分の危機を悟り、逃げる算段を立てていた】
【何故なら、大技を二連発した上に動き回ったお陰で体力は既に限界を迎えており、相手はまるで応えておらず───おや?】

……ふむ、どうやら君達≠煬タ界のようだね
いいさいいさ!撤退を許そう!私も丁度そうしようと思っていたからな!
……あ、その前にあの小屋は置いといて───あっ!待って!待てぇぇぇ!!

【───最後に叫んだ静止の声は、飛んで行く掘っ建て小屋に向かっての物、ヘケメディウス達はまるで止めようとしない】
【調査対象を逃してしまったフォギーは、溜息と共に黒煙を口から吐きながら、仕方ないと言った風に箒にもたれ掛かった】

スチームブルーム、一旦帰ろうではないか、今日は久しく疲れたよ
それに、この胞子とやらも研究してみようではないか、専門外ではあるが

【言われたとおり、ちゃっかりと胞子を集めていたフォギーは、飛んで行く箒に捕まりながらその場を後にする】
【数分後、更なる被害があった事を、フォギーは知らない】

/お疲れ様でした
808 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 04:16:57.68 ID:Y459fj6I0
>>797

……終わった……?
…………そうか、終わったか……

【そう呟くと、ミハエルは駅の中へと続く階段にベンチ代わりに腰かけて】
【はーっと肺の空気を吐き出す、今は夜だったか?昼の国では分からない】
【呼吸を整え立ち上がると、リチャードに歩み寄り】

……大丈夫か……?後少しタイミングがずれていたらお前にも当たりかねなかった……すまないな。
しかし協力は感謝する、お陰で奴を退ける事が出来た。
リチャード……本当にありがとう。

【そう言ってリチャードに感謝の言葉を伝えて、それからまた階段に戻る】
【体力を随分と消耗しているのだろう、しばらくはそこで休憩するのだろう】
【スロットも既に消えていて、ミハエルはヘアバンドをするりと外すと、青空を見上げているのだろう】

【今の彼にはそれだけが痛みを紛らわす方法だったからだ】
/お二方、お疲れさまでした!
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 04:17:36.81 ID:uF43oKWx0
>>805
/了解しました、ではお互いに都合のいい時間ということで……再開できたらっ
/ひとまずおやすみなさいです、またあとでよろしくお願いしますー
810 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 04:31:23.69 ID:z4b9ZXafo
>>802

「ふん――今度は今以上にボコボコにしてやるからの!」
「首を洗って待っておるがいいのだ!」


【腕を組み、口元を吊り上げて挑発的な笑みを浮かべながらボードに記す】
【どこから出ているのかよく判らないが、自信満々である】

【今日のところは辛くも勝利を掴むことが出来た】
【だがシーナは特性上「初見殺し」の色が強く、二度目以降は不利になりやすい性質である】
【「何か新しい技でも考えておかねばの」などと一人ボードに書き呟いていた】


【撤退する様子を最後まで見送った後、手で転がしていた石を放り投げる】

【そしてパチン――と指を一つ鳴らすと、周囲に散らばっていた砂が収束し】
【石を中心として人型のゴーレムが完成……曲剣や法衣などを回収した】

【何はともあれ、本日の戦いはここまでである】
【シーナの目指す頂きにはまだまだ遠く、険しい道ではあるが】
【「一歩前進したかの〜」などと記しながら肩をコキコキと鳴らす姿は】
【未来を見据えて前向きであるように見えたとか見えなかったとか】


>>795

「その怪我ではすぐには動けまい」
「この近辺には奴等の兵もおらぬようだしの、ゆっくりと休んでいくがよいのだ」


【シーナは、喋り屋に向けてそう語りかける】
【語る……といっても、ボードに文字を蠢かせるという奇怪なものではあるが】


「私ほどではないが、御主も中々の使い手であったぞ」
「次に戦場で会うことがあったならば、また背中を預けてやってもいいのだ!」


【そんな、上から目線な言葉をボードで表した後】
【聖域の魔術を維持したまま、シーナは先程作ったゴーレムの肩によじよじと登っていき】
【後ろ手にひらひらと手を振りながら、ゴーレムに歩かせてその場を去っていった】

【治癒の効力は約1時間程度は継続する】
【傷口が完全に塞がるような効果はないが、止血やある程度の回復は見込めるだろうか】

/お二方とも深夜までお疲れでした!
811 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 04:34:50.13 ID:st4zWuNoo
>>796

………ハァ……ハァ……


【息も絶え絶えで、向こうで何が起きてるかなんてわからなかった】
【ただ自分は、相当、参っている。銃を手探りで拾って、痛みを堪える】

【土煙、そして崩れ落ちる天井。潮時だ。そういうことなんだろう】
【彼も辺りに血をベッタリと塗りつけながら、なんとか立ち上がった】
【自分もこの土煙に乗じて撤退しようということだ、一歩一歩。ゆっくりと紛れている】

【彼はSCARLETとともに機関に立ち向かったとはいえ、大人しく表へ出られる身分じゃなかった】
【混乱に乗じた銀行強盗はどこの書類にも乗らない架空の事件。だが彼自信は指名手配中の男】
【病院でゆっくり治療して手錠付きのベッドで寝ることになるのは勘弁だ。点々と血を流しながら】
【煙に紛れて、そのまま外に出れば血痕も途切れて、完全に追えなくなった】

【さて、この協力者は存在していたのだろうか?確かに居たのだが……】



/眠くてヤバイです…… 御二方、遅くまでお疲れ様でしたー
/簡単ではありますが私も此処で失礼させていただきます!
812 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 04:43:08.68 ID:IXaHmaBQ0
>>796>>811

――――違ウ!兵器なんかじゃなくて、人間として――――!!………
………―――痛みを感じる、信頼を感じる、人として、訊いたんだヨ………

感情は余計なものなんかじゃなイ。アナタ達は兵器じゃなイ。……生きてる人間なのニ。
――――アァ……

【少女の穏やかに澄んだ瞳は、悲しげに二人を見つめていた。―――二人はどうあがこうと人間ではなく、兵器なのだ。他ならぬ本人がそう自覚している。】
【―――二人が彼女を理解できなかったように、彼女も二人を理解できなかった。人として、傷つくのも厭わない二人が理解できなかった】
【命令一つで自分が傷つくのも厭わないなんて考えられない。そこに自分の意志が介在しないのが信じられない】

【……少女は、二人を「人」として見てしまっていた。それが間違いだったのだろうか――――】

【出来ることなら二人に人としての自身のあり方を考えて欲しかった。しかし、それは叶わず……二人は兵器として生きている】

【……悪用される兵器は壊さねば。炎の燕を二人にぶつけて破壊せねば。―――それでも、あんなに無機質に自分の事を兵器と思い込んでいるのに……止めを刺すことができない】
【弾丸が黒い少女を貫く。もう自分が手を出せば、二人を倒してしまえる。――――それなのに。】
【それでもまだ兵器に人としての余地を見てしまい、止めを刺す事を躊躇していると、次の瞬間――――建物が倒壊した。】
【度重なる攻撃による破損に耐え切れなかったのだ。土煙を上げて崩壊する屋根に、二人は巻き込まれて……】
【……晴れた頃には姿は無し。―――逃げたのだろう。……とりあえず危機は去ったが、少女の胸中には複雑なわだかまりが残る結果となった】

―――ワタシは、甘いのカナ。兵器は兵器でしかないのカナ。

【あの二人に、人として生きる選択肢はないのか……そんな事を思ってしまう少女は、きっと甘いのだろう】
【痛む傷を庇いながら、少女は帰還する。―――次にあの二人に出会った時、自分は二人を兵器として破壊するのだろうか。それでも人として生きる道をぶつけるのだろうか……】

【もう一つの疑問。―――そういえば、共に戦った筈の男はどこへ行ってしまったのだろう。……彼もまた何処にもおらず、結局この戦いを公に知るのは彼女一人となってしまった】

//はい、お二方共お疲れ様でしたー!
813 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 04:45:05.02 ID:yNBuLuDUo
>>797 >>808

ご、ほっ…………。
ええ…………またいつか、お会いしたいものです――――。

【地面に打ち据えられ、リチャードは血を吐きながらも上体を起こすだろうか。突き出した左脚には、確かな手応えが残っていて】
【額から流れ出す血の色が、カーディに向ける瞳の色と重なる。最後の最後まで優雅で丁寧に、そしてどこか楽しげに、リチャードは笑って彼女を見送った】
【カーディの姿が完全に魔法陣の中へ消えると、リチャードはそのまま地面に倒れ込み、しばし空を見上げるのだろう】
【決して日の落ちない国だ、果たして三人がどのぐらい戦っていたのかも、どのぐらいリチャードが空を見上げていたのかも、判然としないが】


…………もしもし、ボクです。支社の資料の方は…………まあ、上出来でしょう。
そちらはそのまま、自警団側と合流して国外へ出て下さい。例の場所に人を呼んであります。
ああ、それと駅舎に人を回して下さい。こちらは怪我人が二名。……どうやら中央の方にも何か動きがあったようですし、至急でお願いします。

【――――ふっ、と笑ったのを合図に。リチャードは脚を引きずりながら立ち上がって、最初に捨てた鞄の元へ歩いていくだろうか】
【蹴りの勢いで振り落としたか、それとも彼女が去ったのと同時に消え去ったか。どのタイミングかは思い出せないが、右脚からは既にゲジの姿も消えていた】
【歩く度に痛みが走るが、それよりやるべき事がある。リチャードは鞄から取り出したPHSでどこぞへ手早く連絡するだろう】
【それを終えると……血塗れだというのに丁寧な挙措を崩さず、その場に座り込む。演劇じみて美しい達成感に満ち溢れた笑顔が、ミハエルへ向けられて】

いえいえ、これでもボク、結構強いつもりですから。あのUT所属の方のお役に立てたなら光栄ですよ。
こちらこそありがとうございました、ミハエルさん。またご縁があればお手伝いさせて下さい。
正義≠フ為とあらば――――我が社も協力を惜しみませんから。

それと、ここに部下を呼んでおきました。………残念ながら、このヴェンドゥラーを手にしたのは悪≠フようだ。
これ以上この街に居座るのは危険です。宜しければ、一緒にこの街を出るとしましょう――――。

【つい先程まで、悪≠ナあるカーディへ親しげに話し掛けていた口先で――――あくまでも礼儀正しい挨拶をすると、軽く会釈をして】
【ミハエルの視線に釣られて、もう一度天を仰ぎ見る。見据えるのは真上ではなく、暗い陰に覆われた街の中央部――――】
【得体の知れないキノコが、ドス黒い悪意と共にこの街へ根付いたのだ。それを強く感じたからこそ、リチャードは真剣な顔で警戒を発して】
【ミハエルがもし了承したのなら、数分後に彼の部下が到着し、リチャードと共に安全な街の外まで撤退することになるだろうか――――】

【………街を埋め尽くす悪の臭い。肌を突き刺すような混沌の香り。リチャードの浮かべる微笑みに、何かを読み取る隙などない】
【ゆえに――――その笑顔が、ほんの一瞬本心のそれにすり替わっていた事など、誰一人として気づけないのだろう…………】


/お二方共、お疲れさまでした!
814 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 04:49:39.57 ID:vHPNafdB0
>>802

【そのまま立ち去ると思いきや、途中振り返る彼ら。それに少し怪訝な表情で、ただ言葉を聞いた】

『――――――覚えてろはこっちの台詞だっての、ったく…エンリョなく撃ちやがってぇ…っ』
『あーお腹痛い…最悪だよホント、また病院かよチクショー…ッ』

【腹立たしい、と言わんばかりに声を荒げる。半分くらいは無謀な作戦故の自業自得な怪我、とも言えるのだが】
【そのこと自体は棚に上げて、再戦の意思を見せる二人に燃やす敵意、そして正義感】
【―――やがて立ち去っていく二人。またあの協力プレイをやられたら、とても苦戦するんだろうな、と】

『―――また増えるのかー、痛いの…あぁーあ…っ』

【ぼそっと呟いた彼女はどこか遠い目で、何か深刻な悩みでも抱えるかのようで】
【まるでそれは、戦いで出来た怪我以外の違うものについて、思考しているような様子ですらあった】


>>810

【気付けば、自分に向けてシーナが語りかけていた。音声無しだから、少し気付くのは遅かったが】

『――――――うん、じゃあ…そうさせてもらうかな、いくらかしたら助けも来るだろうし、ね…っ』
『にしても…君も君で、変な喋り方するよね…っ…喋り、ってのとは、違うかもしれないけどさ…!』

【ボードに浮かんだ文字を読みながら、なんとなく思ったことを口走り】
【何となく親近感を覚えながらも、頑なであった無表情を弱々しく綻ばせて―――】
【ゴーレムに乗って立ち去っていく彼女に、適当にぶらぶらと手を振ったなら、起こしていた上体を寝転がせて】

【―――そして、誰もいなくなったことを確認したならそこで、保っていた意識をついに手放した】
【速かれ遅かれやってくるだろう助けを、彼女の治癒魔術に手助けしてもらいながら、無意識に待ち続けるのだろう】

/乙でしたお二方、ありがとうございましたー
815 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/09(日) 05:29:31.09 ID:CnijCxrto
>>775>>798

「がッ……ぐ、クソッ……今に、なって……ッ!!」


【三発の弾丸を発射した後、ライラは膝をついてしまう。カニバディールによる足への一撃も大きいのだが】
【最初の菌糸による針が、じわじわと体力を削りつつあった。何箇所にも刺し傷が穿たれているのだから、それもまた当然】


「―――――――――ッ!!! ああああああああぁぁぁっ!!!!」


【続けて、2つ目のスイッチが押される。響くのは大音量の不快な音声。実害こそ無けれど、精神に直接作用するそれ】
【ライラにも、その音声が耳へと入る。入ってしまう。戦闘で身体も精神も疲弊したライラの耳には、最も効果的な攻撃手段だったのかもしれない】
【絶叫。耳を塞いでも山彦のように頭部を伝播し、脳内を侵食する。嫌な汗が、体中から吹き出た】

【……苦しげに表情を歪める。だが、だがライラはカニバディールを睨む視線を決して止めようとしなかった】
【もう少しで、この怪物を仕留めることが出来る――――――悪の華を、一つ散らすことが出来る】


【――――――そう思っていた。少なくとも今までは】
【……自分が思ったのだ。この騒動が始まった直後。拘束されたカニバディールを見て、これで終わるはずがないと】
【彼も言っていた。自分はしぶといと。……ならば、物語はまだ終わらないんじゃないか、と】


「―――んだと……ッ!! その体で、何が……――――――――――――」


【自分でも聞こえない声を荒げながら杖を構えようとして―――爆発音。思わず腕で顔を防ぐ】
【足を怪我したと言っても、未だ動けないわけではない。筋肉を総動員してその開いた大穴へと飛び込もうとする】
【しかし、出来なかった。何故か? ゾクリと背筋が凍ったのだ。これから始まる種明かしに、永久に終わらない異形の宴に】



「――――――……なっ……!?」

【言葉を失った。カニバディールによって明かされる悪行の数々に、ではない。人々を虐殺したあの狂人達を、この街自体が提供した?】
【一瞬思考が停止して。再開された後の、ライラの口からは何もでなかった。絶句、という表現が一番良く似合うであろう、唖然とした表情】

【ライラが正常な表情を取り戻す前に怒号が街を揺らし、その直後には何か別の物がまた、街を揺らしていた】
【反射的に振り返る。木だ、木だが……その枝も、葉も、いや、全体が歪だった。その身にまとう雰囲気自体が、最早マトモではなかった】
【大樹が住民達を飲み込むのを、ライラは黙ってみているほか無い。最初と同じように、歯を精一杯食いしばって】


「あれ、は……く、そッ……ぐッ!!!」


【『スクラップズ』のメンバーなのだろう、オートマーダーと呼ばれたその男。まだ居たのかと思うより先に、彼が両手に持つそれ】
【"大黒鉄刀"。それは橋姫退治で櫻の国の領主が報酬として差し出した小太刀ではなかったか。その能力は。そして、それを貰ったのは―――】
【強力な負のエネルギーを吸い上げる大樹に、ライラの身体的、精神的なダメージが更に蓄積されていく。最早、考える暇は無かった】

【が、ライラも思考の隅へと追いやっていた彼がカニバディールへとナイフを突き立てたことで、ライラに僅かながら、希望の光が戻った】



「ギア……ッ!!!  待ってたぜ…………――――――」


【―――暫くライラがギアと再会することはないだろう。足の骨が削られているのが大きく、病院への入院を余儀なくされたライラ】
【大きな絶望がまた一つ生まれ、僅かな希望が戻った。対価にしては、あまりにも大きな代償だった。だが】
【カノッサ機関ハンターがこれで折れてはいけないという信念だけは、未だ消えずに燃え続けていた】


/主催者様、参加者様、イベントお疲れ様でした……!
/眠気が限界なので挨拶はこのへんで……、ありがとうございました!!
816 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 05:30:56.94 ID:8WufB5KAo
>>799

【鈴音の誘い――この場合はさそい、ではなくいざない、という感じだが――】
【それを受けて、やはり相手の気迫や押しが勝る。元より、ベイゼの性格として】
【自分より下手というか、そういう立場に居る相手のことは拒絶しきれない、なんていうのがあって】

【結局のところ、拒否の唸りは次第になりを潜めていって――勿論、快諾ではないが】
【ちゃんと店にも立ち寄るし、見るだけなら、なんていう言葉に騙され――否、誘われ】
【ここで服を見繕ったなら、その後にはやはり薦められるがままに店へ向かうに違いない】
【――幸か不幸か、そう言った系統の店はほんの数軒となりに有るようで】

そりゃまあ、咬まれたらヤバいだろうし……お前の旦那、動物の仕込みとか
そういう方向の才能有るんじゃねーの?いくら良い子だっつってもよー……

……また可愛らしい名前してんなァ、そいつら……
お前がそう言うなら、一目ペットも見てみたい気ィするし……行く、か。
……、…もうちょっとだけ落ち着いたらな。あァ、行くよ。

【動物好きというわけではない。ただ、それでも尚好奇心を煽るに余りある少女の言葉】
【そして、家に来たらいいという提案と――最後のたった四文字の言葉が、背を押したに違いない】

【まだちょっとだけ予防線を張ったような言い方だったけれども、確かに行く≠ニ】
【ベイゼはそれをしっかり告げて―――やがてちょうどよい折、店内に足を進め】
【少女が自分の注文に合わせて服を選んで、かつ悩むのを見て自分も少しは頭を動かし】

丈は、そうだな……長い方だ。スカートはなんつーか、風通しが良すぎて好みじゃない
……フリフリしてるしな。だから長い方で…ジーンズも今のコレ、借り物だから新しいの買って……
白のニット帽だな?じゃあその辺りを店員に言って……ちょっと待ってろ、試着してみるから…――。

【鈴音が自分の身体に合わせるようにしていたトレンチコート、それを受け取ろうとしつつ】
【奥に居た店員に声を掛けて、ジーンズとニット帽を指定し――やがて、彼女は試着室の奥に消える】
【しばしはごそごそという音が聞こえるだけの時間となってしまうだろう。少し、寂しいかもしれないが】

…………――どうだ?こういう格好しねェから、よく分かんねーンだが……。

【シャッ、とカーテンが引かれて再度姿を見せたベイゼは――また随分とシンプルだが】
【だからこそコンパクトな、確かにカジュアルと言えそうな様子に変わっていた】

【上から見ると――ニット帽はやや浅めに被って、赤髪が少し外ハネしているのもイイ感じだったし】
【トレンチコートはよく合っていて、その下には店員が一緒に渡したらしい首元の開いたシャツがあった】
【それが白・緑・赤と簡潔なカラフルさを、シンプルなファッションの中に投じていてまた、悪くない】
【スタイルだけはいいものだから、ジーンズもよく合った。サイズの違っていた先のものとは段違いだ】

【――で、総評してみれば、此処に大きめのサングラスでも付け加えてみれば】
【休日を満喫する芸能人のような、意外と言えば意外――そうでないと思えばそうでもない】
【まあ、よくまとまった――と思われる彼女が其処に居て。ただ、ベイゼはその良し悪しが付かない様子】

【となれば結果を決めるのは鈴音となるだろう。気に入ったなら、きっとこのセットをまとめ買いするし】
【でなければ次の物に着替えるだけだ。宛ら出来のいい着せ替え人形だったが、初めての体験にベイゼもどこか、楽しげだった】
817 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/09(日) 11:34:22.54 ID:kL3G7yGpo
>>798>>800-801>>803-806

【―――ガチャリ、と機械が地面を強く穿つ音が響く。ティターン・アーマーを装備したセリーナが、倒れ付す音。】
【より正確に言えば、極度の疲労、そして今現在襲い掛かってきた強烈な音の衝撃波によるダメージが累積し、膝を突いて】
【立っている事すらもままならなくなっている状況こそが、今のセリーナだった。それほどまでに、最後の『スイッチ』は強力であって。】

【満足に動く事すらも叶わない状況下、"音"による情報は全てが、シャットアウトされた状態。しかしそんな中でも】
【彼女の神秘的な輝きを灯す瞳は、しっかりとHUD越しに、事の顛末を追っていて。カニバディールが後退し、その直後】
【音もなく陥没する地面と、その中に吸い込まれていくのを見て―――セリーナは付近に落ちていたS.A.Aとライトニングを拾い上げ】
【這いずる様な格好になりながらも、全てを見届ける為に、もっと言えば、これ以上の巨大な被害が出るのを防ぐ為に、其方へと向かって】


(一体……何が起こって……くっ、耳がまだ、ふっかつ、してな―――……ううっ!)

【罅割れそうな全身にムチ打ち、なんとかカニバディールが視界に入るその地点まで到達。銃を構えようと、するが―――】
【そのセリーナの視界に入ってきた事態は、余りにも唐突で。そして余りに衝撃的で。なにより―――余りにも、悲劇的過ぎると言えた】
【構えた銃口が、下がっていく。カニバディールの言葉、堕ちた権力者、この街の抱える病巣、そして―――腐り切っていた、住民の真実】

【―――"誰に銃を、向ければよいのか"。そんな単純な疑問が、脳裏を掠めていく。既に音は止んでいて。】
【むしろ返って、彼等の声以外は何も聞こえないような、そんな静かで、そして追い詰められた状況下―――いや、しかしだ。】
【仮に街そのものが腐敗し切っていたとしても。其れを糾弾する為と言えど。こんな虐殺が赦されて良い筈が、ない。あってたまるか。】


……完璧に、一片の曇りすらなく……アタシは、いいや"アタシ達"は―――アンタに踊らされてた、ってワケだ。
……カニバディールッ! それが真実ならなぜ、こんな形で、こんな状態で暴こうとするのっ!?
糾弾するなら、もっと別の方法があった筈じゃないかっ! アンタがやったのは『虐殺』―――


【―――その通り、であった。何も不思議な事はない。彼がやろうとしている事は、決して邪悪の糾弾ではないのだから。】
【むしろそんんあ住民達だからこそ、そしてそんな住民達を理解しているからこそ、それに相応しい姿に街を変えた、だけなのだ】
【何も正義の為とか、彼等に天罰を下す為にそんなことをしているのではない、と次の場面でセリーナはそう気付く。何故ならば―――】

【マーディケリウム。陥没。それに続く三度の、大きな轟音。その正体は聳え立つ巨大な樹木が姿を現した音であった。】
【張り巡らされた地脈と、腐葉土にも等しい住民達、全てのピースが埋まっていく。住民達が阿鼻叫喚の中、根で絡め取られていくのを】
【セリーナはただ、見ていることしか出来ない。叫ぶ事は出来ても、もはや銃を持つ手が震えるのだ。―――なにを、どうすれば良いのか。】


(撃つか、撃たないか……どうすればいい、アタシのこのちっぽけな銃で、何が……一体なにができるっ!?)
(アタシは、この状況で、一体何をすれば―――)

【だが、考えずとも。実は答えは出ていた、出遅れた以上住民達の救済は叶わないのだから。だが、だがしかし。】
【まだ間に合うものも居る。それこそがまさに、彼―――そう、救うべく無垢なる仲間である、彼だ。ギアを、助けなければ。】
【セリーナは最後の力を振り絞り、身体を躍動させ。銃を二挺ともベルトへとしまい、代わりにケルベロス・マグナムを拾い上げて、駆ける】


(やらなきゃいけないこと、そうだ―――簡単だった、アタシのすべき事は、ずっとずっと変わらないっ!)

    ―――ギアっ!! 手を!!


【残った二発の弾丸を、火炎と氷撃の属性をそれぞれ持った弾丸を、一気にマーディケリウムへと撃ち放つ。】
【ギアは既に、その身を逃れこちらへと駆け出していた。セリーナも其れに呼応するよう、ギアへと向かって手を、伸ばす。】
【マーディケリウムへの最後っ屁の攻撃は、それこそまさにセリーナのカニバディールに対する、挑戦状と取っていい。"赦さない"、と】
【彼女はそんな意思を込めてせめて、キノコだけは破壊しなければと。そう考えたのだろう。撃ち終えた銃を放り、遂に彼女は、手を取った】

/お疲れ様でした!
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 13:28:24.37 ID:uF43oKWx0
>>816

【「名前だけじゃなくてみんなかわいいんだよ――」】
【はじめはひとのペットだった。けれど今は自分のペットでもある、それならかわいがるのは当然で】
【動物だって好きな性質だ。というより、生き物が好きといえるような性質だったりもして――】
【そんなのもあるから、かわいいのを知って欲しいというのが強くなる。精一杯に主張して、】

――待ってる。

【来てくれるというならいっそう嬉しそうにする、ぱぁと咲いた笑顔をすぐに大人びたものに変えて、】
【「お菓子とか用意しておくね」って囁くよう、それはふたりだけの秘密みたいにした、約束事になる】

すぐに慣れると思うよ、動きやすいのは段違いだし……、まあ、無理にとは、言わないけど……。
あとでちょっと履いてみようよ、ちょっぴり女の子っぽくして。…………、あれ?

【長めの丈のコートをそっと手渡す、それから視線を向けて行ったのは、真っ先に手近なジーンズと】
【白いニットの“服”だったのだが、――まあ、ちょっぴりだけ齟齬があったらしい、ぱちくりと目を瞬かせたが】
【言う前に行ってしまう、(まあいいか)って風で見送ってしまうのだろう、そんなところに少しだけ性格を窺わせて、】

【試着室に消えてしまった姿、その間にごそごそと別の服を漁っていたのだろう】
【それは彼女用かもしれないし、自分用かもしれないし、――ずいぶんとかわいらしいのを選んでいたなら、さて?】
【サイズを確認しては首を傾げて傾げて、きちんと畳んで戻すから、少しだけ時間の掛かる暇つぶし】

【そのうちに岩戸よりも軽やかにカーテンが開かれる、その手に数枚の服を持ったままで、それを出迎えて】
【わぁ、とちっちゃな声。ぱちくりしてみせたのは、言葉よりも先に“似合う”って言葉を伝えるように】

すっごく似合ってると思うよ、やっぱりベイゼ、スタイルいいもん……、羨ましいの。
わたしなんて子供みたいでしょう、なんだろ、もう少し太ればいいのかな――、

【その直後には言葉でも伝える、――気の抜け出してきたのか、やはり今日はよく似合う名で彼女を呼んで】
【服を左手に抱えたままでぺたんと胸元を撫でる、どうにも寂しいそこは、ただ、隠すようにリボン飾りがあって】
【おっきなリボン飾りも平らな身体の特権だろう、変にかたちの歪むことがなくって、ふわふわと揺れるのが可愛らしい】
【――どうしたって華奢だから育つ余地がないように見えたが、そんな希望よりも二十歳だと言う絶望を考えた方が良かったのかもしれない】

それでね、とりあえず――、これ。ちょっと着てみて欲しいのっ。
女の子っぽいの選んでみたんだよ、カットソーとキュロット。春になったら着られるかなって――。

【彼女の意見としては似合ってるというものだった、それなら、お買い上げ――ということになるのだろうか】
【そんな雰囲気になったあたりで切り出すことがある、―やはりと言うべきか、先ほど選んでいたのはベイゼ用だったらしく】
【抱えていたのを手渡そうとするのだろう、太めの横ボーダーのカットソーと、サーモンピンクのふわっとしたキュロット】
【スカートは一応避けたのだという感じ。一応ズボンだけれど、ふわふわしてるならあんまり変わらないような――】

【――ひとめで女の子らしいものだと良く分かった。それなら、着るかどうかは彼女次第でもあって】
【新しい領域にチャレンジするかどうか。ひとまず、にこにことしている顔に、何か他意のようなものは窺えなかった】
819 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 15:40:23.18 ID:8WufB5KAo
>>818

【ベイゼが試着室に消えるちょっと前、少女が『待ってる』と言ったなら】
【その笑顔に応えるように、にやりと口角が上がるのが鈴音には見えたことだろう】
【お菓子、というとこれもまた柄ではなかったが、“友達らしいこと”となれば】
【そして何より親友と言って差し支えない少女が共にであればやぶさかではない、そんな様子だった】

【―――で、ちょっとした勘違いを挟みつつも、試着室から出てみれば】
【幸いなことに送られたのは『似合ってる』という言葉で、言われた本人は何処か恥ずかしげに見え】

……そうか?まあ、お前がそう言うなら悪くねェんだろうし……
取り敢えず、なんだ……買うか…?……何だ、スタイルなんて気にしてたのか?

そんなもん十人十色ってヤツだろ、俺みたいなのが居ればお前みたいなのも居る。
それに向き不向きっつーか……今来てる服、交換したら絶対ェ似合わねーだろ?
だからお前はソレでいーんだよ、鈴音。……旦那だって今のお前が良いから結婚したんだろ?

【まあ確かに、二人の体格というか――その違いの差は大きい。そればかりは認めざるを得ない】
【が、物は言いようそして見様。弱みでも突くかのように、彼女の最愛の人も引き合いに出して言いくるめようとする】
【――といっても、言われてみれば気になるところはあるようで、相手がそうしたように胸元に手をやり】
【しばしの沈黙の後に『肩が凝るぞ?』と火に油を注ぐような言葉を漏らしたのは――聞き取れるだろうか】

【さて、次いではもう少し趣向を変えた服装が出てきて、それを見るベイゼの表情はやや暗い】
【というより、気乗りしないという様子だった。来た時も男装、今もカジュアル、女の子らしさは微塵も無い】

【勿論性格も知ってのとおりだ。それこそ、青年が女装に抵抗を持つような感覚のようで】

……はぁ…、……まあお前がそう言うなら…ちょっと着るだけ、だぞ?
確かに暖かくなってきたらトレンチコートなんて着てらんねーし……
ちょっと待ってろよ、直ぐ着替えて来るから…――。

【それでも、やはり笑顔には勝てなかった。好意を無碍には出来ない性格が災いした、とでも云おうか】
【それとも鈴音から見れば、彼女の災いが転じて――なんて扱いになるのかもしれないが】

…………―――で、どうなんだコレ…?なんかやっぱり……落ち着かねェんだケド……?

【人間、変われば変わるモノらしい。薦められたままにきた服は、やはり悪くない】
【先ほどのどこかサバサバした感じよりも幾分か女性らしさも全面に押し出せていたし】
【言ってしまえば先に話した胸だとか――その辺りも良い具合に強調されて、確かに春服としてぴったりだ】

【――が、着ている本人は気が気じゃない。そもそもスカートなんてほとんど履いたこともなく】
【如何に違っていようが、なんだかふわふわとしたのが有るだけで気になる様な乙女心が有るらしい】

【その証拠に、片手が気持ち程度にその裾を押さえていたり、目線が斜め下を向いて泳いでいたり】
【ついでに顔もうっすら赤く染まっていて―――それはそれで女性らしくも有るのだが】
【やはり、コレを良いか悪いか決めるのは少女の選択に託されるらしい。僅かに気恥ずかしそうなベイゼの首が、傾いでいた】

【それとコレは余談だが、少女が『意外とベイゼが押しに弱い』と気付いたのであれば】
【先に話していた服――特に鈴音なら詳しい分野のそれを、今の試着時間で持ってきて】
【じゃあ次はコレ!と渡してしまうのも可能である、というのは――まあ一応、伝えておこう】
820 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 17:48:55.85 ID:bhClzXsPo
>>798

【大音量に銃声を隠したろロウの両耳は勿論フリー。つまり爆音がダイレクトでロウの脳を揺らし、精神を蝕む】
【―――あまりのショックと魔翌力の枯渇により銃は消滅し、ロウは耳を両手で塞ぎながらも唸り声を上げながら悪夢から逃れようとした】

……〜〜〜ゥゥッッッ……!! ―――っぐ……なんて……前回の蜘蛛女よりもヒデェ……!!

【余りの爆音に視界も歪む程だが、その歪な視界の中でロウは見届けた。―――己の弾丸が、裁きの鉛弾が……異形を貫くその光景を】
【元々威力不足の傾向にある彼だが、その彼の技でも高威力を誇るfat man=\――を喰らっても、異形はまだ倒れない。終わりじゃない】
【だが爆音により再度膝をついた彼に、追い打ちをかける力は残っていなかった。またアイツを捕まえられないのか……と食い縛るしか出来ない】

……ち……く……しょう……!! どれだけタフなんだ……あんのバケモノ……ッゴホッ……―――ッ、消えた……!?
逃げたのか、オイ……!? くそ、逃げすかよ、逃すか……今度こそ……っぐ―――!!

【目の前からカニバディールの姿が消えた。直ぐにでも立ち上がって追いかけたいが、足が上手く動かない。バランスが取れない。大音量の影響か、ダメージの影響か】
【理由は分からないが、兎に角今あるのは「ロウに戦う力は残っていない」という悲しい現実。無力感が全身に回る。―――噛み締めた唇から、朱が滲んだ】
【―――姿は見えないが、地下からエコーのかかった声が響く。饒舌に喋るカニバディールの声だ。―――其処から、聞きたくなかった真実が流れ出した】
【……悪はカノッサだけではない。このヴェンドゥラーを闇へと誘ったのは、幾つもの黒き思惑。ロウは衝撃の事実に目を見開き、口が開き―――朱がまた、地面へと垂れる】
【―――その後ロウにも込み上がって来るのは怒り。誰に向けているのかも定かでは無かったが、猛烈な負の感情がせり上がり、口から血と共に溢れる】

―――……な―――んだよ。 ……なんだよ、ソレ……ッッッッ!! カニバディール……テメェ……何てことを……!!

【―――その瞬間だった。巨大な樹が街を覆い、街から太陽の明かりを奪ったのは。それだけではなく、樹が人を喰らっていく。―――どす黒い感情を、食料と見做しているように見えた】
【喰われた人々の怨嗟の声は、大樹の表面に浮き出た醜悪な顔が吐き捨てる。スクラップズらしい悪趣味なモノが、ヴェンドゥラーを絶望へと落とした】
【そして樹は実をならし、地面へと落とす。地面からも、ナニカが生える。―――どちらも化け物。……このショッキングな光景で、ロウは全てを理解し確信した】
【……―――ヴェンドゥラーは堕ちた。……認めたくない真実だが、この光景を見て認めないわけにはいかなかった。……盾は砕け散った、SCARLETは―――負けた】

【紺碧の双眸が、絶望に浸る。ロウの瞳からも光が潰え―――そうになった刹那、聞いた覚えのある声が、魂を震わせて吠えていた。―――ギア・ボックスだ】
【その捨て身の行動が、ロウに僅かな光を与えた。ギアの勇気が、一矢報いた行動が―――失いかけていたSCARLETの魂を、蘇らせる】

                           ……―――ギアぁぁぁぁあああああッッ!!!!!

【彼が呼応するかのように吼え、必死に立ち上がる。瞳に僅かな煌きを保ちながら、ロウは想う。―――失ったものは大きい。でも―――彼が帰ってきただけ、十分じゃないか】
【……そう思わなければ、絶望や無力感で何もかも潰れてしまいそうだったから。ギアの方を向き、ロウは笑った。……作り笑いに、表情の裏にある悲しみが大きく漏れていた】

/遅れましたがお疲れ様でしたー!
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/09(日) 18:25:42.50 ID:uF43oKWx0
>>820

【恥ずかしげなのが余計に可愛らしいようだった、なんだか今日の彼女は女の子っぽく見えることが多い気がして】
【ちょっぴり変わった様子がいやに新鮮で面白くなる、実際洋服だって似合っていたなら、改めて褒める言葉を重ね――】

……でもね、羨ましいんだよ。だって、……わたしもそうだったらって、思うこと、あるもの。

――――もう、ベイゼったらずるいよ。ぜーんぶずるい。そんなの言われたら……。

【――やっぱり羨ましいものは羨ましい、せめてもうすこしマシなら良かったのに、なんて何度も考えたこと】
【無理に寄せてみたところで出来るのは谷間じゃなくて皺、背中のほう腰のほうから肉を集めてみても絶壁】
【だから。寂しいような、憧れるような、少しだけ嫉むような色合いを顔に浮かべて、はぁなんて溜息を吐いていたけれど】
【「何にもいえなくなっちゃうもの」って言葉が続いた、引き合いに出されたひとは、彼女にとって絶対的過ぎて】
【もしも自分が彼女のような体型だったとしても好いてくれただろうけれど、――今のままでも認めてくれたんだと、思えば】
【――ぼそっとした呟きの言葉、あんまり凝らない肩を考えてみれば、――少しだけ、寂しげに、笑っただけだった】

ちょっとね、新しいのを着てみるのもいいとおもうの――だって、着て見なきゃ似合うとか、分からないじゃない?
だからね、お試しだよベイゼ。モノはためしって言うじゃない――、

【やっぱりというべきか、気乗りしないらしい彼女に投げる言葉が、これだった】
【よっぽど女の子らしい服も着せてみたかったと見える、そんな言葉はいやにすらすらと饒舌で】
【服を手渡してにこやかに見送る、――それから少しの間、再び扉を開けたなら、その姿は変わらずそこにあって】

わあ、ベイゼかわいいよ。鏡見た? とっても似合ってると思う――、――素敵だよ。
アクセサリも付けたらいいかもって思ったの、ちょっと首貸して――、……ほら、

【「かわいい」】
【その手にはアクセサリがぶら下がっていて、はじめから出てきたら掛けるつもりだったのだろう】
【真正面から真っ直ぐに褒めながら、拒まれなければその首にそっとネックレスを掛けてやろうとする、】
【近づいた距離にはほんのりとシャンプーの甘い香りを飾って、やがて掛けさせてくれたなら、一歩距離を置いて、笑顔】
【数色の色味を持つネックレス。大きなビーズをあしらったもので、そっと胸元の寂しいのを埋めてくれる】

……でもやっぱり落ち着かない? とってもかわいいけどな――、似合ってると思うよ?

【試着室の扉が姿見になっていた、“見てみたら”と言う風に仕草で誘導しながら、それでもうーんと悩む仕草】
【とっても似合っていると思うのが本音だった、けれど、あまり気乗りしないなら、無理に勧め続けるのも、と】
【無理に押しきれるタイプじゃないというのが少女の性格なのだろう、ちょっぴり――ここで、弱くなってしまった】

【「やっぱりカジュアルっぽいのがいいのかな――」 ぽつりと呟く声があって、少しの沈黙】
【少女曰く似合っているという服を買うのかどうかは、ベイゼの判断に委ねられるのだろう、無理強いは、しなかった】
822 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/09(日) 22:16:17.60 ID:8G9d4GEQo
【水の国、街中――――――人通りの少ない商店街に、響き渡るけたたましい音】


だーかーらーっ!お金ならあるって言ってるじゃん!何で売ってくれないのさ!

「当たり前だろ!どう見ても子どもじゃねぇか!お前みたいなのに売れるか!」


【何事かと視線を向けてみれば、店の軒先で言い合う一つの人影】
【近づいてみればタバコ屋≠ニ書いてあるのが分かるだろう、少し老け気味の店主が頭を抱えて】
【その理由は直ぐ様分かるだろう、店主に啖呵を切る、言葉の主の姿を見れば】

【ウェーブのかかったセミロングのブロンドを黒いハットに沈めて】
【胸元を開けたシックな柄のワイシャツの上に漆黒のスーツを着こなす】
【ゆるく締めたネクタイは鮮血のように深く濃い紅色、革靴には汚れ一つ無い】

【それでいて横顔は、少女のように柔らかな中性的な顔立ちで】
【少動物のような雰囲気のスーツの高級さに似合わない小柄な体躯の少年】
【檸檬色の双眸と、首元には安物の小さなネックレス、その両手には白い手袋をしていた】

【少年はまだ声変わりのしていない華奢な音色を響かせると、舌打ちをして】
【諦めた、と言いたげにくるりと背を向けて、その場を後にするだろう】
【そして街角まで歩いたなら、そこで立ち止まって、スーツの内側をごそごそと漁る】


ったく、最初っから素直に出しときゃいいのにさ、金なら十分あんのにね
ま、一服の前の良い運動にはなったかな、お金も置いてきたし

――――――騙される方が悪いんだぜ、おっちゃん♪


【角の壁に背中を預けて、取り出すのはカートンに包まれたタバコ、先ほどの店に置いていた、それ】
【少年は鼻歌交じりに包装を開け、一箱取り出したなら残りをスーツの内側に治す】
【手袋に包まれた指先でクルクルとタバコの箱を回しつつ、子猫のようにくしゃっと目を細めているのだろう】

823 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/09(日) 23:53:56.51 ID:vHPNafdB0
【某国、ある程度大きな街の大通りに面した公園。時間が時間のため、そこにはあまり人気がなく】
【雲の見えない寒空から星やら月やら、ついでにいうなら一本だけ心許なく光る切れかけの街灯が照らすばかり】
【遊具などもあるにはあるのだが、この暗がりに静けさで、遊んではしゃぐ子供たちも居なくて】

【そんな夜中の閑静な公園に一人、よろよろとした足取りで入ってきた細身の影があった】


『―――何が、痛みが続くならまだ病院にいろ、だよ…原因が分からなければ、治せもしない癖にさ…!』

【それは若い女性だった。やや童顔であれど、一応成人一歩手前くらいの人間が入口近くのベンチを目指して】
【腹部を左手で抑えて、何かの苦痛に耐えかねるような表情。右手の指を喉元にあてて、唇を動かさずとも声が鳴るのは些か不自然な現象で】
【やがて誰もいないベンチにたどり着くと、どさりと音を立てて腰かける。その時に、件の点滅した街灯が彼女の姿を映した】

【―――グレーのフリルブラウスと着崩した黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルトをブラウスの上から巻いて。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカット。そんな、夜の闇に溶けてしまいそうな暗い配色の少女】

『――――――にしても…まさか、出先でまた…“再発”する、とはね…!』
『あーくそ痛い、痛い、痛い…っ!嫌だよもう…何なの、これ…!』

【背凭れに体を任せて、ぐたりと脱力する様子はどこか仕事帰りの疲労した人間にも見えた。が実際はそうではないらしく】
【まだ星の見える空を仰いで薄らと眼を細めたなら、深く、はぁーと息を吐く。寒さのお陰か、吐息は白くなって、また消えた】
824 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/10(月) 00:07:16.71 ID:jpGwoSTxo
>>821

んー……いや、なんだ…。……俺にそう言われてもな?
俺だってあれだ、別にこうなりたくてなった訳じゃ……あァもう、この話は終わりだ!
胸なんてあってもなくても変わらねーよ、ソレで判断すンのは馬鹿だけだっての

……ホラ、分かったらとっととさっきのに……、…………かわいい?俺が?
……、…俺が?冗談―……ン、仕方ねーな……つけるだけだぞ……?

【少女の恨めしそうな色を見て聞けば、普段はそうでなくとも自身のソレが気になるもの】
【まあ、確かに大きい方なのは確かだった。UTの某リーダーよりもあったりはする】
【が、男勝りなベイゼにとってはそんなのは割りとどうでもよい事として生きてきたのだったし】
【周りにこういう話題を振ってくる相手が居なかったのもあって――今更ながら、ソレを見下ろし】

【其処に在る深い谷間から、ふと少女の方に目が行くのは「かわいい」というたった一言のせい】
【表情は、そう――『鳩が豆鉄砲を食ったよう』なそれで、余程驚いたか、自分として否定したいのか】
【それでも本気で嫌がる様子には見えないのが、彼女の性別をしっかり物語っている】

【――で、言われてしまえば断れないのがベイゼだ。勿論、ネックレスをつけやすいように近寄れば】
【ふわりと漂う彼女の香りに、同姓ながら何か胸が高鳴るようなものを感じつつ】
【首元に飾りを下げたなら、言われるがまま振り返って鏡を見る。そこに映るのは、今までにとは違う自分】

【そう、まるで女の子のよう≠ネ姿が鏡に映ると、気持ちとしてはやはり落ち着かない】
【多分、しばらく前までのベイゼであったならすぐに服を脱ぎ捨てていただろうけれども】

…………………じゃあ、これとさっきの……カードで……。

【―――と。思わぬ冒険をしたとでも言いたげな表情だったが、着てきたジャケットから一枚のクレジットカードを取り出すと】
【それを店員に渡して、つまり服をお買い上げして――なんだか後悔したように、額に手をやっていたが】
【結局、キャンセルもせず。最終的に例の可愛らしい服は来たまま、大きな袋を手にする事になるだろう】

【此処に至るまで、ベイゼは喋らないのだが――これは別に、気にするような事もないだろう】
【今までの自分と、可愛いと言われた服を着た自分とがせめぎ合っているだけ。ただ、それだけの事だ】
【どんな女性でも多かれ少なかれ持っている乙女心が、ようやく芽を出し始めたような具合だった】

【さて、これからどうするか――もう何着か見繕ってもいいし、件のタイプのお店に向かっても良いし】
【どちらにせよ、ベイゼは鈴音に付いて行くというのは変わらない事実となるはずだ】
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/10(月) 00:33:17.70 ID:OMl3S4hO0
>>824

こんなに似合うのにもったいないよ、男のひとみたいな服ばっかり着るの――、
……もちろんそれだって似合ってるんだよ、なんだろ、男のひとみたいな恰好なのにね、確かに女のひとで……。
不思議な感じなんだけどね、それがとってもよく似合ってるの。ボーイッシュっていうのとも違ってて――。

【ネックレスをつけてやればにこりと優しげな微笑、きゅんとするように微かに甘酸っぱいのは、少女特有の香り】
【人間じゃなくたって、それが擬態だって、こんなにも少女らしく生きてるのに、その身体つきに女らしさがないのはどこか嫌がらせのよう】
【相手の服装と身体つきのギャップは甘くてしょっぱいお菓子のよう、なんだか不思議なのに美味しくって、止まらないみたいな】
【簡単に言ってしまえばとっても魅力的なのだろう、男らしい口調なのも、またそのギャップを強くするようで――】

【それは彼女にはないキャラクターだから。ちょっぴり憧れるというのもある、自分とはまるで違った色合いに――】
【けれど自分にはこの色が似合ってるんだと言うのもどこかで分かっているのだろう、淡く/鮮やかな桜の花の色】

荷物持つの手伝うね、ベイゼは怪我人なんだし……、――そだ、手はだいじょうぶ?
あとで様子見せてね、何かあったらそのときに調整もするから――、……じゃあ、

……ちょっとだけ付き合ってね。“ほんとうにちょっとだけだから”。

【お買い上げする様子を見ていた、カードで支払う格好良さは、もう大分と見慣れてしまったが、それでも変わらない】
【お財布をせっせと漁るよりもずっとずっと恰好いいだろう、そんなところでも、彼女と少女は違っていて――】

【母親の道具を借りて初めてお化粧した時の気恥ずかしさと誇らしさ、きっとそんなのを感じているだろう様子を、ただ見つめたなら】
【通りすぎてしまった過去を思い返す、――そうだ、お化粧品も買うんだっけと、ぼんやりと思い返しながら、なんとなしに微笑ましい】

【――強調するのが逆に怪しくて恐ろしく。手渡してくれたなら片方に纏めて持った荷物、空いた片手で彼女の手を引こうとして】
【沼というにはずいぶん小奇麗な店に連れ込もうとする、さながら池から飛び出してきた鰐を優しくしたみたいな、がっちりホールド】

ここのブランドね、とってもかわいいのから大人っぽいのまであるんだよ――、
たまに買ってもらうんだ、この間もここのジャンパースカート買って貰って……今日は着てないんだけど。

【先ほどの店内よりも豪華と言うか、耽美というか、そんな装飾の目立つ店内だった。天井にはシャンデリラなんてあって、】
【このブランドの服を着せられたトルソーも、さっきの店とは方向性が違う。トルソー自体、ゴシック調のものだったなら】
【店中がゴスゴスフリフリとした気配なのだけれど、――その言葉を信じるなら、あまりそうでないものもあるのだろう】

【踏み入ってしまったなら逃げ出せない。――いや、逃げ出せはするだろうけれど、なんだか取り囲まれてしまったような錯覚】
【或いは前の店よりも落ち着かないだろう。全方位フリルやレースで溢れるこの空間――かわいらし、すぎるようだから】
826 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/10(月) 01:26:58.80 ID:jpGwoSTxo
>>825

【―――言い返せ、ない。元来、褒められることになど全く慣れていない面もあって】
【切った張ったの世界で生きてきた分だけ、そういうのに弱い。服装や褒める言葉が、少し嬉しいのもまた事実】
【『うぅ……』だなんて小さく呻くだけで何も出来ないのは、全くいつものベイゼとは違っていた】

【そんな姿を、少女は好きなだけ楽しめるだろう。にこりと笑って褒めれば、その分その時間が伸びる筈だ】
【恥じらう姿はいっそしおらしい、と言ってもいいかも知れず――言われるがまま、荷物を任せる】

【買った服の枚数自体は大したことは無いが、コートだの着てきたジャケットだのも有るから】
【少し、少女の身には重いかもしれない。ただ、持ってもらえるのならベイゼが助かるのもその通りで】
【『……ありがとよ』と、久しぶりの言葉も聞こえただろう。――それから腕を取るのは実に容易いはずだ】

む、ぅ……分かったわかった、お前にはさっきも服を選んでもらったし…。
自分で言ったんだからな……『お前が選んだならそれが良い』ってのは

あぁ、腕は結構調子いいぜ。カフェかどっかでそのことも少し……?
……お、おう…。別にそんな事言わなくても、付き合うくらいは―――

【――さて、さてさて。向かった先は、ベイゼにとってはさぞ凄まじい魔窟≠ノでも見えたに違いない】
【先ほど普通の店に入ったのとは様子が違った。目を点に、とでも言うような様子できょろきょろと周囲を見回す】
【レース、フリル、リボン――桃色やら白黒やら、胸焼けがしそうな光景が広がるばかり】

【少なからず、ベイゼにはそう見えたに違いない。そして今更になって理解≠キるのだ】
【あの時の少女の言葉がどういう意味を含んでいたのか――それを、もう店の中ほどまで入ってから。】

―――……ァ、えっと……鈴音?俺、外で待ってちゃダメか?
いや、だって此処はアレだろ。お前の趣味の領域で、そういう……下見的なアレだろ?
か、可愛いとか言ってもだな……人には似合うのとそうじゃないのとが有るっつーのはさっきも……!

【腕が解けない。けが人だからとか、親友だからとか、パワー関係の問題ではない】
【何かそうさせないような力=\―それが働いているとしか思えない様な、そういう感覚】

【ただでさえ苦手な環境下、冬だというのに冷や汗じみた物に背筋が凍るような】
【何か、モンスターの密集した部屋に押し込められたような感覚が全身を支配していく】
【―――と言うのは言い過ぎだが、先程よりもベイゼの様子は、固い。『出ちゃダメ?』という】
【明確な意志を持った黄土色の双眸が、少女のくりっとしたそれに向けられるのは同時期だった】
827 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/10(月) 07:53:46.89 ID:jpGwoSTxo
【――雑踏、人混み、何処か眠たげながらも動きを止めない人の数。全国にありふれた朝の風景の一端だ】
【水の国、或いは風の国や昼の国の都市部。でなければ、世界中の何処かで電源をONにしているラジオたち】
【そこから流れるのは各地の大雑把な天気予報や、経済のニュースや、そして機関らの横暴に関する内容であった】


『――水の国・ラグナールの悲劇に続き、長らく混迷の続く雷の国・セードムシティ
 そして先日はここ、昼の国でもヴェンドゥラーにて痛ましい事件が起きました。
 それぞれの街では数多くの難民が出ており、特に最近ではこの街……そうです

 昼の国にあってリゾートとは無縁の宗教都市、ゼン=カイマに彼らが流れ着いていると云います。
 
 理由は多数有るでしょう。都市の潤沢な物資や食料は炊き出しという形で隅々に行き渡ります


 信じる者であれば差別、区別はほぼ皆無。他都市では中々見られない笑顔もよく見かけます

 さて、本日私が生放送でお送りするのは、そのゼン=カイマのほぼ全権を握る
 大司教≠フ選抜が行われているからなんですね。これは基本的に投票で決定されます
 ただし候補は何人も居るため、一人に絞り込むには何回も投票を繰り返すそうで
 過去にはなんと50回以上も連日投票を続けた記録もあるとか…――さあ、そんな昼の国のお天気ですが―――』


【――なんていう、差し障りの無い地方の特集。テレビであれば荘厳な大聖堂の装飾の数々と】
【そして奥の席に腰掛ける何十人もの老司教たちが映しだされている。今も投票の最中のようで】
【厳かな雰囲気の中、お天気キャスターらしい男性の快活な声がいつもよりやや小さめに電波を介して世界に伝わる】

【なんてことはない朝の一場面。水の国のどこそこは雨、昼の国は全土が晴れ、そんな天気情報が伝えられる――そんな時】
【ある一瞬、キャスターの言葉が止まった。ざわざわと騒動の火種が、静かに広まり始めていて



【本来の職ではないはずだったが、このお天気キャスターの男性は判断が実に早かった】
【カメラを引っ張り、天気のことはそっちのけで実況を続ける。『カメラさんあれあれ!』という声が響き】


『えー、大変な事になりました!ちょうど今、大司教が決定したとのことです!
 現在の投票回数は4回ですので、かなり短い期間での選抜になるのですが……
 
 ……あ、いえ!大変なのはそちらではありません―……カメラさん速く映して!
 ぁ…、―――すみません、実況を続けます。フレデリック氏です!
 
 炎獅子アリギエの討伐や櫻の国での妖怪退治など、皆様記憶に新しいのではないでしょうか
 輝かしい戦果で名を馳せたフレデリック・シャリエール第三近衛騎士団長が……

 あ……え?立ち入りは禁止?――ハイ。えーこちら、投票の際は担当司祭と司教の方以外は立ち入り禁止だそうでして
 大司教が決まった今もまた同様……つまり、如何に騎士団長であっても本来は此処に居ることが許されないわけです
 ですが、その……見えますでしょうか?フレデリック氏は厳格な方と聞いていますが、手には槍が……っ、ちょっとカメラさん…!』
828 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/10(月) 07:55:24.23 ID:jpGwoSTxo
【先ず映ったのは身長180cm程の艶やかな黒髪が特徴的な男であった。彼こそフレデリック・シャリエールに違いない】
【真っ白なローブを纏っていた。正面の入り口から入ってきた、此処までは全く――規則を無視すれば、まだ良い】

【しかしその手には豪槍があって、彼はそれを構えると一息に選抜されたばかりの大司教へと投げ放ったのである】
【決まったばかりの彼の名はマッキンリーという、肥え太って丸々した老爺。槍は、その太鼓腹を一挙に貫き】
【カメラが慌ててそこから焦点をズラしたが、一瞬真赤な血しぶきが舞うのが全世界に中継され】

【やがて映像の乱れが終わって、次にテレビに映し出されたのはフレデリックと、背後に展開する白銀の鎧騎士たち】
【直ぐ後ろには角隠しが印象的な副団長、加賀屋善助の姿もあり、他何名かも鎧を着ていないものが居た】
【威容=\―その一言がこれ程に似合う光景もそうは無い。ステンドグラスからの木漏れ日が鎧に反射して光が満ち】


「……この大司教選抜は無効≠セ…。オズムンド司教、並びにビトレス司教から報告を受けた
 今しがた私がこの手で粛清したマッキンリー元司教から賄賂を送られた、とな……。
 事実関係を調査した所、複数名の司教方の私室から不可解な量の金貨も……既に見つかっている。

 従って、この選抜は無効……再度の実施をしようではありませんか、ご老公がた?」


【最早、お天気キャスターの出る幕はなかった。騎士団長フレデリックの、その顔が大きく映しだされる】
【見て取れるのは僅かな怒り。冷酷な感の強い中に、ひくりと顔の筋が動くのが見て取れて】
【それから、一人の痩せぎすの司教が立ち上がってフレデリックに何かを言おうとしたのが音で伝わったが】

【カメラがそちらを向いた時、既にそこに人の姿は無かった。あったのは、口を開きかけた老人の石像≠セ】
【そして、その石像の背後には――何時そこに移動したのか、あの副団長の姿があって】


「文句が有るなら言いたまえ、このフレデリックには何ら一点も引くべき理由は無い
 
 ……ふン、宝槍が豚の血で汚れたわ…。そうだ――貴様ら司教は、豚だ
 それも臓腑の奥底まで腐りきった下賤の輩……自覚が有るのではないかねコルミロス司教?
 神聖なる大司教という役割を金で買うだと?笑止千万だ…ッ!それでも神に仕える者かッ!
 
 ―――恥を知れッ、腐った豚共!このフレデリック、金や少々の偽装では謀れぬわ!
 貴様らの誰かが!神の真似事をして教会専属の暗殺者を創りだした……それに関与しているようなことも
 既に聞き及んでいるのだぞ……?一体何人を弄んだのか……老体に鞭打って聞き出すかね、カガヤ……どうだ?」

『……そら、構いませんよ。幸いあっしは生まれも育ちも櫻の国、彼処はそういう手管≠ェ充実してましてねェ?
 大丈夫ですよォ、司教様……ちょっとした苦行だと思えばエエんですわ。神様にも近づけますし、ねえ?』


【ガゴ、ッ!≠ニいう破砕音と共に、独特の訛りで話す副団長の手元――石像が容易に砕け落ちる】
【誰もそれが元司教であるとは言い出せなかった。騎士団長を捌ける力を持つものも、この場には居合わせなかった】

【ただ二人だけ――恐らくそれが先に言ったオズムンドとビトレスの二司教なのだろうか】
【彼らだけが、フレデリックが既に息絶えたマッキンリーから豪槍を引き抜くのを痛切そうに眺めていて】
【当のフレデリックは、祭壇に登って司教を見下ろし――また彼の指揮する舞台は、司教らを逃さじと周囲に展開する】
829 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/10(月) 07:56:42.42 ID:jpGwoSTxo

「……さあ、再度の選抜を実施しよう。だがマッキンリー司教が悲しくも儚い人生を終えられた為に枠が一つ空いている……
 そこで、だが……私も大司教の座に立候補したく思う。神の声を聞き届け、この都市の全てを救うために。
 
 さて、どうしたね司教がた。投票をしよう、あまりのろのろやっていては観客も飽きてしまうのではないかな?
 それとももう少し私の説教を聞いていくかね?貴様らが如何に世俗に浸かり、腐りきっているか……

 ……大聖堂の補修費を横領し、夜になれば郊外に囲っている修道女を自室に呼びこむ体たらくや
 或いは清貧を良しとして難民とも苦難を分かち合わんとする僧たちを無視しての暴飲暴食、狂乱の宴の記録……。
 何でも揃っているぞ、我が騎士団には…。ゼン=カイマの守護……その風紀・綱紀をも正すのが我らの仕事だからな……?

 ――――さて、では先ず私に投票する者は?おやクラウス司教、手が上がらないのかね?
 カガヤ、そのご老人を介助して差し上げろ。意志が鮮明でなければ投票の意味が無いからな……?……あァ、おやおや―――。」


【誰も、何も言葉を発せない。外野である筈の報道陣も、外野であることを許されている≠ニいうような圧力を感じ取ったに違いない】
【幾つもの曲が、団長フレデリックの言葉と姿を全世界に放映していた。足下の死体も、移さざるを得なかった】
【やがて画面に一つ、また一つと手が映り込む。いずれも皺だらけの老人の、司教たち全員の同意の手であった】

【――暴挙に等しい。大義は我に有りという、普段であれば罷り通らない騎士団長の意向が押し通されていた】
【周囲の騎士たちは歴戦、騎士団長は尚更であり、既に二人の司教が余りにあっさりと命を失していた】

【だが、反論も出来ない――司教たちには多かれ少なかれ、くらいところがあるのもまた事実らしいことが】
【教会について何一つ知らない、テレビの前、ラジオの前の人々にも次第に分かってくるような様子だった】
【やがて、全ての手が下ろされる。騎士団長フレデリックは『よろしい』と告げて、槍を片手に持ったまま、オズムンド司教に目配せする】

【すると彼は図っていたかのように裁断奥にあった一枚の法衣を手に取り、儀礼的に、恭しくフレデリックに差し出した】
【彼がそれを受け取った瞬間こそが、新たなる大司教の誕生を意味するのだが――余りに静かすぎて、誰しも実感が沸かない様子】

【もっともそんな事、フレデリック・シャリエールは気にする事も無いようだった。ニッ、と口角を上げたなら】
【右手の槍はそのままに左手を掲げ、司教たちへ――そしていつしか集まり始めていた、聖堂前の群衆に向かって口を開き】
830 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/10(月) 07:57:26.70 ID:jpGwoSTxo


「―――よろしいッ!!ではこれより、大司教の名のもとに聖地巡礼≠フ敢行を宣する!
 ゼン=カイマにて神を信ずるものは全て我らに追随せよ!腐りきった膿を吐き捨てる時が来たのだ!!
 
 よいかッ!先ず我々が目指すは風の国……聖人ヨナの眠る地、大聖宮ヴィンド≠ナある!
 奇しくも彼の地はかつて半魔リリアの苦恨を残す草原より程近い……
 霊を慰撫することもまた我らが使命である。さあ、早々に支度をしたまえ、諸君……。

 出発は……三日後だ…!それまでに各々用意を整え、身も心も清めるよう…――では、下がりたまえ。」


【『大変なことになった』――そんな小さな、もう忘れられかけていたキャスターの声が映像に混じっていた】
【映像はその後もしばらく教会内部を映し続けていたが、やがて途切れた。そして一時間後には】
【ゼン=カイマより正式に、世界各地の教会や関連施設、ひいては国そのものにも大司教選抜と聖地巡礼の件が通達された】

【新たな大司教は第三近衛騎士団長と兼任でフレデリック・シャリエール≠ナあり――】
【その命によりゼン=カイマの全信徒、並びに加盟騎士団は聖地巡礼を催行する=\―と。】

【――だが、これには各地の教会派閥が反発した。大司教は世界でも何人か居るが、この選抜は到底認められるものではない、と】
【だが、それでも既にゼン=カイマを中心に数千数万の人間が動き始めていた。大衆と言うのは厄介だ】
【誰かがそうするのなら私もそうする――そういう思考が、特に宗教という団体には強い傾向にあるからだ】

【幸いなのは風の国・大聖宮ヴィンドへの巡礼に数日の時間があったこと。これに際し】
【各地の教会派閥は団結して対抗を決意。彼らは同教の者ではない≠ニの決定をした上で】

【裏では密かに、ゼン=カイマへの偵察を送り込むこととした。体裁が悪いために、教会の人間ではなく】
【外部の――UTやSCARLETを始めとした組織の人間への秘密依頼である。加えて、大聖宮ヴィンドの防衛人員も募集を始めた】

【というのも、巡礼にしては明らかに諸騎士団の数が多かったことに加えて――】
【各教会派閥の反発に対して、『フレデリック大司教』が異端は貴様らである≠ニ声明を発表したことに寄った】
【一触即発の事態――いや、既に戦争の気配が迫っていた。宗教戦争、それも表面上はどちらにも義のある戦いだった】


【―――そう、実態はともかくとして。最終的に、世間が知ることになるのは三日後に両者がヴィンドで邂逅するだろうこと】
【そして秘密裏には、その前日にゼン=カイマでの偵察を行うということ。この二点が確実となったのだった】


    Side:F=\―……っと。ふふっ、第一章はこれで完成だ
    しばらく僕が出る必要は無いね……応援してるよ、フレデリック?
    さ、機関の方にもさっさと情報を流しておかないと……忙しいねえ、六罪王ってさ――。
        

【そして、この広い世界の何処か。暗い一室で、一人の若い男がペンを紙面に転がして】
【柔らかな金髪をくしゃりとすると、息を吐きながら満足気に笑う】
【彼の側には一枚の仮面、そして豪奢なマントがあった。――世界はまた、風の国を起点に動乱を見せ始めたのだった】

/イベントに向けての絡み不要文です。
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/10(月) 14:24:03.79 ID:OMl3S4hO0
>>826

【任された荷物をぶんっと振って店という名前の沼に引きずり込む、なんとなーくご機嫌に見えるのは、】
【目論みが今のところ上手く行っているからだろうか。その様子はさながら捕食者、きらりと目が光った気すらして】
【逃げ道がないように見えただろうか、実際は――あまりに拒否してみせれば、逃げ出せたのだけれど】

【(こんなにかわいらしいのを見ているのが面白くって不思議で、何か誰かに自慢したくなるような気持ち)】
【(関係性を知ってさえ居れば義弟にでもチクってみるのが面白かっただろうか、――まあ、彼女は知らなかったから)】
【(後日このことをバラされるというのもなかった。それなら、地獄の中に咲いた花みたいな、救いがひとつ?)】

だめだよ――ベイゼに合わせてみたいんだもの、自分の服買うならいつだっていいんだし――……。
……ちょっとだけだから。合わせてみるだけ。買わなくってもいいから、――ねえ、ほら、これかわいい!

【店のだいぶ奥まで行ってからようやっと手を放す、けれど逃げ出そうとしたらぴゃっと裾でも掴みそうな気配があって】
【視線も言葉もあっさり切り捨てる、まん丸な瞳がこんなときばっかりは本当の蛇みたいに温度を喪ったような気がして、】
【せっかく一緒に居るんだから、ということを前面に押し出してアピールする、ちょっとだけなんてまるで信用できないし】
【まして次の瞬間にはハンガーで掛かっていた服をさっと取ってベイゼに見せているのだから、なんだかもう駄目な感じ】

ベイゼはスタイルがいいからあんまりきっちりした服はやめたほうがいいよね――、でも隠しちゃうのは勿体無いし、
でもあんまりぶかぶかしてても不恰好なの、大きくってかわいいのってシャツとかセーターぐらいでしょう?

だからね、あんまり関係ないような服とか……、こういう、胸元に余裕がある服とか。

【荷物は持ったままだから少しだけ覚束ないけれど、ぴしりと広げてみたのは、赤色のジャンパースカート】
【胸元に布がなく、胸の下から布の始まるタイプで、もう一枚持ってきたシャツとあわせれば、胸元を強調するようなそれ】
【――ビーズと刺繍で描いた柄が光の反射に煌く、裾にはレースがたくさん縫い付けられて、ふわふわと揺れながら】
【まあこの店の中では大人しい一枚だった。ぱっとした赤は、けれど目を焼くほどでない色合い、自然と目を惹くような】

あとはコルセットとかどうかな……あんまり締めなくってもね、かわいいよ。締めるの大変だし……。
――誰かにしてもらわないとだもん、苦しいし、あんまりいいことないよね。今時は締められない奴もあるの。

そのスカートにも似合うと思う、……ただのシャツと合わせてもかわいいんだよ。それぐらいなら簡単でしょう?

【はいって手渡そうとする、傍にある姿見に視線をやったのを見れば、どうやら自分で合わせてみたらどう?なんて】
【真っ先に着ろといわないのがせめてもの優しさか。あくまで遠まわしに、合わせたのを見たいというような仕草】

【――自分とは違った身体つきのひとに服を見繕っていくのが楽しいことにそろそろ気付きだした頃なのかもしれない】
【はじめはうんうん悩んでいたのがなくなっていた、きらきらと瞳を煌かせて、ちょこんと首を傾げた刹那】
【店のもう少し奥のほうに陳列してあったコルセットを持って来る、実演的に自分の腰元に巻いてみて、ただホックで止めるタイプなら】
【さながら通販とかの「簡単でしょう?」みたいな感じである。――ちなみに、コルセット推しなのはただ彼女の趣味でしかなかった】

【(締められるのが好きだったとは尚更の余談。だから、簡易式より本物に近いほうが好きだったのだけれど)】
【(それは初心者にはちょっぴりハードルが高いのかもしれないと思ったなら、自分でつけたのを外して、そっと差し出してみる)】
【(水に入れた魚みたいにいきいきしだしている気がした。余計に遠く思える逃げ道、――さて、どう反応するのか)】
832 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/10(月) 22:30:26.68 ID:jpGwoSTxo
>>831

【あぁダメだな、と――ベイゼがそれを悟ったのはもう遅い時だったのは、言うまでもないか】
【一縷の期待を込めて向けた視線の先には、何か蛇のようにも思える彼女の瞳】
【そのくせにっこりと、今までに無く楽しげにしているのだから――その理由がなんであれ――】

【――ベイゼにはもうどうしようもない。フリルとレースに取り囲まれて】
【はぁ、と一つ息をついたのは降参宣言にも似たもので。やがては、面倒そうに手を伸ばし】

【まるで未知の惑星の生物を見回すように、そこらの品物を見定めていく】
【どれが可愛いとか、興味がるとかというよりも、知らない世界を覗いている――そんな感覚のようで】
【ちなみに、彼女が義弟にこの事を話したらきっとベイゼは悶死でもするに違いないのだが】
【まあそんなIFの話は置いておこう。まず、少女がぱっと広げて見せてくれたのは赤のジャンパースカートか】

可愛いってそりゃお前、服の話…、……赤の…スカートか、これ?
色々あンだな、ホント……分かったわかった、着るだけだからな。
……ぜってー楽しんでるだろ、ったく…。まあ、赤なら……

……コルセット?――って、あァ、こう……締めるやつだろ?
可愛いかって言われるとそういうイメージはねーけど……ほら、貸せよ…――。

【どうやら、赤はお気に入りのそれらしい。スカートを見てそうつぶやいたかと思えば】
【次にはコルセットの実演にもきちんと目を通していた――きちんと≠ニいうのが、大きい】

【さっきまでフリルだのリボンだのを、自分が着るという目線で見るのも嫌だったのが】
【推しにおされて、ちょっとずつだが確実に――洗脳、とまで言ってしまうと過ぎているのだが】
【ぶっきらぼうにでも興味を持ち始めたのは、間違いなく少女の戦略勝ち、というやつだろう】

【そんな次第で――いずれの服を上から下まで見ても、さっきも今も自分で思うのは『こんなカワイイ服は似合わない』】
【だが、その気持を誤魔化すように少女の『ちょっとだけ、合わせるだけ』という言葉が残響し】

【結局は、しぶしぶジャンパースカートも、シャツも、そしてコルセットも受け取ると】
【ちら、と鏡に振り返って見てはみたが、やはり実感も何も沸かないらしく】
【いつまでも『試してみるだけだから』とボヤきながら、しゃっ、とカーテンを閉めて試着に移ったのだった】


【――さて、出てくるのにはしばらく時間がかかる。何せ不慣れな服なのだから仕方ないといえばそうだろう】
【特にコルセットに手間取っているようで、最終的にはマインドまで繰り出したのか】
【仕切りのカーテンから黒い鎧姿がはみ出しすらして、小さく声も漏れたりなぞもしたのだった】

【やがてゆらり、とカーテンが半分ほど開くと、なんとも言えない表情のベイゼが顔を出す】
【服は着ているようだった。なのにじりじりと開けるのを渋るのは――恥ずかしいのだ≠ニ、気付けるか】

―――――……、…………………………おう…。

【ふわり。スカートの広がりが、一歩の歩むを刻むたび主張するように揺れていて】
【ビーズと刺繍の輝きも、まるで別人のように彼女を照らすアクセントとなっている】
【赤色、というのも良い。真赤な髪と揃いだが、派手すぎないのがこれまたイイ味を出していた】

【一方で胸を強調する、という鈴音の考えだが――これは実に上手いこと行っている】
【元よりジャンパースカートのせいというか、お陰というか、それだけでも中々のモノなのだが】
【加えてコルセットを付けて、苦しくはなさそうだが腰元がきゅっと締まったこともあり】

【それでまあ、尚更丘だか、谷だか、そういうのが強調されていたのだった】

【――こちらを総評するなら、これはこれで似合っている。当人はもうぐうの音も出ない様だった、が】
【ここに小さなハットかリボンでも足せば、不思議の世界の住人になれそうな素質は有ると見て良い】
【元々が機関のNo.3だ、なんて言ったら冗談にしか思えないほどには――可愛らしかった】


【ちなみに先ほど荷物を預けた時、ジャケットと一緒にカードも鈴音に預けている】
【何も言わないというのは、往々にしてYES≠ニいう意味を持つ。つまるところ】
【別に買っちゃったって構わない―――少女がちょっと悪戯心を出してしまうのも、たまになのだから良いかもしれず】
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/10(月) 23:19:57.55 ID:OMl3S4hO0
>>832

【きっと本当に未知の国に来てしまったのだ。それぐらいに、この場において男らしさなんてものは無縁】
【僅かにあるズボンの類だって“王子様風”だったりするだけで、男が履くようには出来ていないのだから】

赤色が好きなの? わたしもね、選ぶ服には濃い赤色とか暗い赤色とか、多いかな――、
黒ばっかりだとちょっと駄目な気がするの。なんとなくね、色があればいいかなぁって……。
……でもね、本当は黒い服が安心するの、なんでかな。暗いところが好きだから――……?

――ベイゼがいろいろな服が似合っちゃうのが悪いんだもん、いろいろ着せたくなっちゃうんだよ。

【――やっぱり楽しそうだった、ちゃきちゃきとハンガー同士のぶつかる音、即ちさらに服を物色している音を響かせて】
【つらつらと並べてみるのは、そんな服の色合いについて――今日の彼女は、黒に黒を重ねた黒尽くめなのだけれど】
【普段は気を使ってみているのだという、それでも使う色は赤と黒なんて少ないのだけれど、――色がないよりは、ましか】

【そして言うのは。さもベイゼが悪いんだよという風、誰かに言い訳するみたいで、ただ存外素直に“楽しい”のだと認める】
【(自分的に好きな)コルセットを手にとってくれたというのも嬉しい話。自分の好みを認めてもらうのが、彼女はだいすきだから】

【しゃっと薄布の向こう側に隠れる姿、どんな風に変身してくれるのかが楽しみで、ついついうきうきとしてしまうような幕間に】

【さっき助けてくれたマインドの姿がちらちら見えた、ぱちくり眼で追いかけるなら、その全貌を探ろうとするように】
【自分とは違った異能に目を惹かれる、――それと一緒に、“仲良しなんだ”なんて、考える仕草のかけら】

【ちらりとカーテンがゆっくり開かれていくなら、焦らされるようでむず痒い、それ以上にベイゼこそむず痒いのだろうが――】

――やっぱりベイゼすごいよ、どんな服でも似合っちゃうみたい……、似合わないなんて、うそばっかり。

【瞳を細めて納得の表情、赤色がこんなに似合うのは彼女ぐらいなんじゃないかと思わせるような錯覚、それぐらいに】
【豊かな胸元にはちょっぴり嫉妬もするが――この場においてはそんなことも関係無いぐらい、彼女の要素として成り立って】
【全体的に褒めてばっかりだが、もちろんそこに嘘はない。褒めて伸ばすタイプ、褒められて伸びたいタイプ、彼女の性質】

頭がちょっぴり寂しいかな……おリボンとか、着けてみる? ミニハットでもいいよ、好きな方。
あとは――タブリエとか合わせるのもかわいいかも、“アリス”みたいで……、きっとその服に合うと思う。

【それでも褒めるだけじゃない、頭がちょっぴり寂しいなんて言い出せば、店内から見繕って頭飾りを持って来て、】
【どっちがいいなんて彼女の好きなほうを選ばせるのだろう、選んでくれたなら――付けるのを手伝ってやって、また笑い】
【今度はそんなことを言い出したと思えばさっき物色していた時に見つけたのだろうレースのタブリエを持って来て、】
【これもまた胸元を邪魔しないデザインのもの。そっと合わせて見せたなら、今度こそ不思議の国に舞い下りるよう】

【きっと三番目だった頃には考えもしなかった未来だろう、まさか少女に転がされてこんな服を着せられる、なんてことは】
【怪我をしたからこそ仲良くなれたというと少しだけ違うかもしれない、けれど、そうなったからこそ繋がった、ふたりの縁】
【精一杯に楽しんでいる様子だった彼女はいつにないハイテンション、楽しげにしているのが至極平和の色合いで――ベイゼにしてみれば災難だったかもしれないけれど――】

あ、靴もあるよ。履いて見る? 流石に靴下は試着できないけど――……、

【最終的にはこれもまた赤色のストラップシューズまで持って来る、爪先の丸さにリボンの飾りをあしらったかわいらしいもので】
【誰かの脛でも蹴っ飛ばしたらさぞ痛いだろう底の厚さ。ここまで揃えたなら、靴も合わせてみようよ、なんて言うような顔が】

【――流石に他人の金を勝手に使ってしまうのは気が引けたのだろう、一通り似合うとかかわいいとか褒めちぎりはしたけれど、】
【そこから先に彼女から進みこむことは無い。別に買えとも言わないし、別の服も試してみるかという気配も出していたのだが】
【買わなくたっていい、これで終わりにしたっていい、そこはベイゼに任せられる。それはもちろん、買ったって、別のを試したっていいと同義で――】
【呼ばれてのこのこと出てきたのだ。一通りのことには付き合う覚悟が出来ている、――付き合せてしまって、構わないだろう】
834 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/10(月) 23:26:56.54 ID:7M0a20Wm0
【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【其処に有る、数種類の自販機などが並んだ少しばかり豪華な待合室】


「…………暇なのです。あの馬鹿二人も何処に行ったか分からないのです」

【ぶすっと頬を膨らませ、足を悪くしているのか車椅子に座る一人の少女】
【汚れを知らない白銀の髪。何より特徴的なのは、額に生えるその角か】
【魔力を感じ取れる力があるならば、少女から強い“聖”の魔力を感じるであろうし、仮に無かったとしても何と無くその周囲だけ清んだ気配が漂っていることに気付くか】
【とは言え、本人はそんな聖人からは掛け離れた様子。抱く不満を隠す事もなければ、当然看護師達だって近寄ろうとはしない。故、今この場は少女以外の者は居らず】


「ふん。全く困ったものなのです。別にあの馬鹿二人がどうなった所で私の知った事では無いのです
そんな事よりもジュースを…………を……―――――
ん……んん…………―――――何なのですこのアホ自販機は!お前にお金を恵んでやろうとしている私を拒否するのです?!」

【キィキィと車椅子を自販機の前まで移動させたならば、お金を投入して】
【いざ、最上段にあるココアを購入しようと手を伸ばすが――――届かない。手をプルプルと振るわせながら伸ばそうと届かない】
【何度か挑戦するも、やはり届かない。終いには何とも理不尽な理由で自販機を叩き出す始末である】
【まるで子犬の如くガルルと唸りながら自販機を威嚇するする少女だが――――仕切りも何も無いこの待合室、外から丸見えであって】
【果たして一連の流れを見た者はどんな感想を抱くのだろうか】








【荒波が立つ事も無く、穏やかな浜辺。寒さは残ったままだけれど、白銀の光が海と砂浜とを照らし出すその光景は神秘的とも思えるだろう】
【其処に存在する音と言えば、波の音と――――人が、砂浜を歩く音】
【見れば、一人でこの海辺を歩く修道女が居て。金の髪は、月光を受けて美しく輝く事だろうか】


「うん。今日は良い天気…………って言うにはもう遅いかな
まっ、でもさ。星も月もみんな綺麗に見える良い夜だね」

【立ち止まれば夜空を見上げ、そんな言葉が漏らされる】
【都会等の余計な光が無いこの場ならば、確かに様々な星が見えよう】
【それこそ、普段見ることが無いような星だって見えるが――――だから暗いのかと問われれば、否。月光はこの一帯を照らし出すには十分な光量を秘めている】
【目的も無く適当に歩き、気が向いたら再空を見上げる。そんな、宛ても無い散歩】


「教会だとか色々面倒な事を少しは忘れられる時間――――…………ん?何かボクにご用かな?」

【戯れに砂に自分の足跡を作って、そのまま歩んで】
【自由気ままに一人の時間を満喫していたけれど――――また別な誰かがこの場を訪れた事を悟れば、其方へと金の双眸を投げかけた】
【物騒にも聖職者に似合わず腰に提げた銀の双銃が、月光を浴びてキラリと鋭く光るけれど】
835 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 00:00:36.88 ID:daGY3c4ho
>>833

【ちょっとだけ、時系列がズレこむ。――というのも、ベイゼはさっきもそうだったように】
【何かを言うのも困るような状態だったからで、だから少女の言葉に、思い出したように返事をするというわけだ】
【服を着終えたあと。カチコチに固まった状態を自分で何とかしようと、口を動かしてみて】

……あ、赤はまあ……好きだな…。お前の言うような濃いヤツ……深紅≠ゥ?

暮れかけの夕日とか、結構……黒の落ち着いたのも嫌いじゃないけど
深紅のほうがもっと味わい?みたいなのが、こう……有る気がして…。

……似合ってなんか…ねーよ、別にっ……。
つーかあんま褒めんな……その…恥ずかしいっつーか、照れるっつーか……―バカ……。

【でも結局は褒められて、似合っていると言われて、尻すぼみに言葉が小さくなっていく】
【気付けば両手はもじもじといじらしく絡み合っていて、俯いた顔は耳まで真っ赤】
【件の義弟でもきっと今の彼女を見れば、一瞬誰だか分からないに違いない】

【語調もどんどんしおらしくなっていた。人間、褒められて悪い気はしないものだ】
【例え抵抗が有ろうとも、やっぱり何処までもソレが良いのだ、と言われれば気持ちも変わる】

【――これではどっちが少女だか、わかったものじゃない。体つきも、背もベイゼのほうが大きいはずだが】
【なにかもう、蛇に睨まれた蛙のように、鈴音という少女に呑まれてしまっていて】
【俯いたままの視界に更なる選択肢が増えたなら、少しの時間を置いてから――ミニハットを選ぶのだった】

【その理由として、ベイゼの数少ない友人――いや、親友だろうか。ある少女なのだが】
【彼女が似たようなものを使っていたな、というのが思い浮かんだから――なんていうのがありもして】

【もう此処まで来てしまうと、今更暴れだすほど子供というわけでもない。大体、そういう基質でもない】
【強気ならば何処までも強気、弱気ならば――これも然り。タブリエ、という提案には】
【未だに顔を真っ赤にしたままで、ほんとうに小さく頷いて見せた。着せるなら、おずおずとされるがままにするだろう】

【本人はこんな調子で、楽しいのかと問えばそんなわけない、と意地を張るに違いなかったが】
【確かにそうだった――怪我をして機関を辞めたからこそ、今こういう時が有るわけで】
【女性としての幸福を少しずつ取り戻しているような、そんな思いもきっとどこかで燻っていて】

……ぁ、の……あの、その……これ、…カードで……、……全部……、…?

【――勿論この言葉、少女が最後に持ってきたストラップシューズも込みのお話である】
【話す相手は店員。声が小さくて聞こえなかったのか聞き返されて、更にもじもじとしながらも】
【カードを手に取ったなら、それを店員に渡して改めて『……全部ください』と敬語で%嘯ヲた】

【買ってしまった――そういう意識があるのだろう、か。語尾の『?』は自分でもよく分かっていなかった証拠だ】
【ただ、最初に言った言葉が何処までも真実だったということが鈴音には分かるだろう】

【お前が選んだなら、というアレだ。余程相手を信用し、好いているかが推し量れる】
【性格が性格だけに、それを素直に伝えることは全然――さっぱり出来ていなかったけれども】
【試着したままの格好で支払いを済ませたなら、ベイゼは小さく、鈴音に『ありがとう』と伝えるだろう――顔は、真赤なままで。】
836 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/11(火) 00:26:56.59 ID:sIi6ffn1o
【喫茶店】

【深夜の街角。そこにある喫茶店はこの辺りでは唯一、深夜営業の場所だ】
【正確には飲み屋関係は幾つか空いているのだが、落ち着ける場所はここだけだ】
【今夜も街の住人らがポツポツと眠れない夜を過ごしにやって来きていた】
【古い柱時計は一定のリズムを刻む。在り来りだがジャズがかかり、孤独な静けさを消す】

アツツ……これだったら入院すりゃあ良かったかもな

【隅の方のテーブルの男は読んでいた新聞を畳んでテーブルの上に置く】
【黒いサングラスに黒地の独特な柄のシャツを着てジーンズを履いている】
【あいた胸元からはグルグルに巻いた包帯と聖母マリアのようなシルバーアクセサリが見える】
【頬にも絆創膏、左手を動かさないところから大分、怪我だらけの様子】
【テーブルの上にはコーヒーカップとポット、ウイスキーの小瓶。それに灰皿と煙草が置いてある】

金はどうなってんのか…ったく……っと。……くそ

【新しい煙草の封を切って、煙草をくわえるも手を滑らせてオイルライターを落っことす】
【ガシャカシャとちょっと億劫なぐらいまで転がっていった。痛む体に舌打ちして立ち上がった】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 00:30:21.86 ID:Mb4CSj/y0
>>835

【身体の前に預かった荷物をぶら下げて佇む姿、ひどく優しげな視線はお姉ちゃんが妹を見るような、それ】
【この場においては自分のほうがなんだか年上のようだった、いつもは、彼女よりも幼く見えるのに――】
【普通と違うことばっかりが起こっている。けれどそれはひやひやと不安になるようなものじゃなくて、うきうきと楽しいものなら】
【たまには違うことも大歓迎だって思う、――とりあえず、今日のベイゼをしっかり覚えておこうって、そっと思った】

そうなの、ぱっと鮮やかなのも綺麗だけど――ちょっと暗い色のほうがわたしは好き。

……似合ってるよ、とっても似合ってる。お店のひとに聞いてみる? きっとかわいいって言うよ――、

【彼女の瞳は血を散らしたような鮮やかな赤色、それももう片方の黒い瞳や、真っ白な肌や、真っ黒な髪によく似合っていたけれど】
【服として着るには鮮やか過ぎる色合い、瞳というちっちゃな宝石の一粒みたいだからこそ、彼女に鮮やかな赤色はよく映えて】
【色合いとして好きなのは深い赤色なのだった。そっちの方が落ち着くような――目に痛くないというか、そんな感じだから】

【顔にちょっぴり悪戯ぽい色が差す、お店のひとがそれを言うのは仕事だけれど、この場では証人みたいになるような気がして】
【例えば通りすがりの誰かを捕まえて尋ねたっていいと思えるぐらいには強くそう思う、今この場のベイゼはとってもかわいいんだって、】
【――こんな姿を見られているのがどこか不思議で面白くって誇らしい、きっと世界中で自分だけだから、とっておきみたい】

【俯いてしまった頭にぱちんとミニハットを止めてやる、そうすればふわりと長いリボンの尾っぽが、赤い髪に垂れて】
【深い赤色の本体に黒色のリボンは淵にレースをあしらったもの、細かく入った柄が、ただの黒色だけじゃないとアピールして】
【タブリエも恭しく着せてやった、そうして出来上がった姿を見るのは、やっぱりというか満足げ。腰にそっと手をやって、】

どういたしまして――こっちこそ楽しかった、お友達とお洋服とかお買い物するなんて、始めてかも!

――お化粧の道具も買うんだったよね、それとも休憩してからにする?
慣れてないと動きづらいかもしれないし……、ちょっと慣れてからのほうが疲れなくていいかも。

【――その光景を見ていた、そうしたなら、尚更珍しい“敬語を使う彼女”なんて見られて、ぱちくり瞬き】
【顔を真っ赤にしたお礼というのにはにっこりとした笑顔で返す、ああ本当に楽しかったんだって思わせるような、――語尾の上がりかた】
【それから思い出したのはそれだ。買う予定だったことを思い出せたなら、けれど、疲れたんじゃないかと提案するのは別のこと】
【あんまりきついものでないといえ慣れてないコルセットにスカートだ、身体もそうだが、気疲れするんじゃないか――と】
【とりあえず増えた荷物も持ってやろうとしながら首を傾げる、どうする――?と尋ねて、返事を待つ少しの間】
【どちらにしたって彼女は機嫌よく頷くだろう、休憩して一度クールダウンするか、そのままのテンションで突っ走ってしまうか】
【さて、ベイゼはどちらを選ぶのだろう。その選択肢は委ねられて、――優しげな瞳が、ぱたりと瞬いた】
838 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 01:13:22.58 ID:daGY3c4ho
>>837

【『ええ、お似合いですよ――』―そんな店員の言葉が笑顔とともに、ベイゼに向けられた】
【勿論、少女の言葉を受けての援護だ。その笑顔は鈴音にも、意味深長に向けられて】

【やがてぱちりとミニハットを戴き、タブリエをその身に纏ったなら完成、だろうか】
【おずおずと靴の方にも挑戦していた。ふわりとしたハットのリボンが髪に触れれば】
【きっと帽子の形だけとでも思っていたのだろう、少し驚いたように手を伸ばしたりもして】

【ようやく落ち着いた頃には、顔の火照りも少しは落ち着いてきたようだったけれども】
【それでもやはり、俯きがち。誰に誇るわけでもないのに、顔向け出来ない=\―そんな様子】
【恥ずかしい、でも可愛いと言われるのはじつは嬉しい。鬩ぎ合いだ。乙女心の、難しい所に違いない】

ん……お、俺もこういうの初めてだから……楽しかった…うん。
……休みたい、ちょっとだけ……少ししたら、大丈夫だから……。

【口調が変わってしまうのは、しおらしいからだけが理由だろうか。ベイゼと、アナスタシアと】
【2つの人格を持っているようなモノの彼女だからこそ、こう変わることが有るのかもしれない】

【それで――少女の気遣いに、助かったとでも言うように小さく頷いたなら】
【まだ悩ましく絡めていた両手をようやく解いて、店のそばにあるベンチを指さすだろう】
【コルセットやスカートという慣れない服もそうだが、何より気疲れが一番強い】

【よく出来たマネキンの様に立っていたのから、やがて綺麗に着飾ったお人形さんのように】
【コッ、と靴音をたてて、ゆっくりとベイゼはベンチに向かう事になる】

【座ったなら、ほぅ、っと一息。強調された胸の動きが、呼吸の大きさを物語り】
【その支えも取れたように落ち着いたなら、先程から目元を隠す赤髪の合間から少女を見て】
【ちょっとだけ潤んだようにも見える黄土色の瞳を相手に合わせ―――】

…………その……か、可愛い……?

【――念押しでもして欲しいのか、それとも最後の一押しで、取り返しがつかない所にでも落として欲しいのか】
【或いは、単に純粋な思いがそんな言葉を発せさせたのかもしれなかったが――】
【ぽつりと。隣に居るだろう鈴音にしか聞こえない声で、そんな事を訪ねかけてみるのだった】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 01:39:06.50 ID:Mb4CSj/y0
>>838

【“ほらね”というような目をした、店員さんの援護射撃に、きっと彼女はなおさら機嫌を良くして】
【「かわいいんだよ」という言葉に続く、今日だけでこの言葉を何度言ったろうか、全てが本心からのもので揺るぎなく】
【ミニハットのリボンを触れる指先すら可憐な花を摘むときの仕草のよう、何もかもがきっと初々しい色合い】

【自分の好みで着せたのだ、当然現状の彼女を気に入らないわけがない。或いは、はじめのシャツのときよりも反応がいいぐらい】
【もちろんそれだって恰好良かった、それならやっぱり羨ましくなるぐらい、スタイルもいいし、いろんな服が、似合うのだから】

じゃあちょっと休んでいこうっ、だいじょうぶ? 疲れてない?

【そっと水面に垂らした絵の具を混ぜたときのように交じり合うふたつの色合い、異なる人格が交じり合うその狭間】
【そこに優しく手を伸ばして手を掴む、ぱたぱたと店の外に誘い出す手つきは今度は優しく、ゆっくりとしていて】
【疲れていたって付いていくのに困らないぐらいだろう、それから、店の外のベンチに疲れた身体を預けたなら】

……――もちろん。とってもかわいいよ、今日来て良かったって、思えるぐらいに。

【――ふはーっと長い吐息を吐いていた、それなら、昂ったテンションを鎮めるときの仕草によく似て、ぼうっとする刹那】
【うっかり気の抜けてしまった瞬間に話し掛けられて一瞬驚いたような顔をした、けれどすぐにふわぁと綻ばせたと思えば】
【“当然”だって言う風に言葉が紡がれる、悪戯っぽく囁くように、ぎこちないがウィンクまで添えて、甘たるく告げ】
【傾げた首の角度にさらさと黒髪が雪崩れていく、そのうち黒蛇のくねるように揺れて――】

【(かわいいって繰り返すこと、自分だったら褒められたいというのもあるが、何よりも)】
【(かわいいよって、いい子だよって、何度も言ってくれたひとがいたから。その嬉しさを、余計に濃く印象付けられて)】
【(自分が思ったのと同じように喜んでくれたなら、それがとっても嬉しかった。初々しい様子の、彼女に)】

ねえ、この後どうしよっか――化粧品見てからお茶にする? 全部終わらせちゃってからの方がいいかな、
……わたし、パンケーキが食べたいな、ベイゼは何が食べたい? ……おなかすいちゃった――。

【それから、始めに取って来ていた紙の案内図を広げて見せる、始めに指差したのは化粧品店、次が、カフェの固まった集落】
【ぺたんこのおなかを押さえてみればおなかが空いているのだという。それなら、彼女にも何が食べたいのか聞くのがあって――】
【もちろん先に買い物を済ませてしまってもいいし駄弁ってからでもいいだろう、そこは、疲れている彼女に合わせられるから】

【――床に置いた荷物をせっせと並び替えて揃えて、そうするのがなんだか性格を窺わせる。そんな、幕間だった】
840 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 02:04:27.67 ID:daGY3c4ho
>>839

【自分が尋ねた事に、まっすぐで一番強烈な答えが返ってくる】
【それに、恋でもあるまいにトクンと胸が高鳴って、うっすらと頬が朱に染まる】

【恥ずかしい、なんて言っても色々とある。羞恥というのが此処までのそれなのだが】
【今、ベイゼが感じた恥ずかしいというのは――嬉しい方のソレ。先ず間違いなく】
【人と人との触れ合いでしか湧かないような感情で、笑いこそせずとも、やはり乙女なのだと分からせて】

【少女にはその様子、繋いだ手からまさに手に取るように分かるはずだ】
【少しだけ繋いだ力が強まったり、その温度が上がったり。――右手ならの話だが】

【きっと初心なベイゼにはその言葉、さぞ重く大きく、感情を動かすには過ぎたものだったに違いない】
【ウインクまで添えられてしまえばまるで恋仲の男女のようだ。勿論、そういう仲ではないにしても】
【気付けば立場が逆転しているかのようで、きっと傍から見ても面白いはずだった】

ん、と……それなら先に、化粧品だけ軽く見て……それから、カフェで。
化粧はそんなに力というか、そういうの入れるつもりはないし……

……俺も、お腹すいた。パンケーキもいいけど……サンドイッチが良いな
コーヒーと、ちょっと焼いたパンでトマトとか挟んで……もうちょっとだけ、付き合ってくれる?

【気付くだろうか――未だにベイゼは俺≠セなんて言っているけれども】
【ちょっとだけその言葉端が変わっていることに。どこか、路地裏のチンピラのような】
【ガラの悪い話し方が、ひっそりと身を潜めていたのだった。本当に思春期の少女のようだ】

【――そういえば前に、そんなようなことを言われたな、なんて内心では思い返していたりもするのだけれど】
【先ずは用事を済まそうかと、少女に声をかける。快諾してくれると信用して、立つのは早い】

【そうして化粧品店に向かったなら、買い物は先程よりはスムーズに行くはずだ】
【色は薄めの物がいいとか、注文も分かりやすい。化粧の仕方も教わったりするのだろうか】
【或いはマニキュア辺りでは少しだけ冒険もするかもしれないし、其処の舵は鈴音が取れるハズ】

【どちらにせ、あまり長い時間は悩まない。吹っ切れたという程でもないが、慣れたのだろうか】
【ダイヤの原石をカットして形を整える作業のようだった――少し小綺麗なくらいが、一番映えるタイプらしく】

【やがて其処での買い物も済んだなら、二人して近場のカフェに移って荷物を下ろすことになるのだろう】
【そして各々、頼みたいものを頼んで、それが来た辺りでお互いに一服出来る――なんてところか】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 02:24:52.53 ID:Mb4CSj/y0
>>840

【そうやって真っ直ぐに言われて、恥ずかしい思いは何度もしたことがあった。どうしてそんなこと真顔で言うかなって、】
【自分がされたときは思うのに。する方へ回ったなら、なんだかからかってみたくなる。どんな顔をするのかって、気になって】
【わざと意地悪な告げ方をしてしまった、甘く潜めた声で囁く必要なんて、特になかったのだから。ただの、悪戯でしかない】

【「ほっぺ」とだけ呟いた言葉があった、何事かと思うかもしれないけれど――赤いよって、口の動きだけで告げたなら】
【触れればきっとじんわりと暖かいのだろう温度を空想したように笑う、ぎゅっと繋いだままの手に優しく力を篭めて】
【こういうことに関してはちょっぴり先輩だった、とは言え、彼女の知る“それ”は恋愛ごとだったから、】
【――すこーしだけ、友情のところに混ざってしまったのかもしれない。ただ、そこに、不自然な感情は何にもなく】

分かった、じゃあさくっと見ちゃおう? おなか空いて倒れちゃいそうっ。
……サンドイッチもいいな、うーん――でもパンケーキも食べたいし、……、……。

…………ねえベイゼ、サンドイッチ、ちょっと分けてくれる?

【ただ友情だけの色合いで紡いでいく言葉と態度、相手がそうだったように、こちらもさっくりと立ち上がったなら】
【よほどおなかが空いているらしいと見えた。少しぐらいは盛っているだろうけれど――存外、本心からの言葉だったりして】
【荷物を纏めて持ち上げながらちょっぴり悩む色、――そのうちに尋ねたのは、そんな、ほんの少しの我侭で】
【くれるというなら嬉しそうにするだろう、くれないというなら、ちょっぴり拗ねた顔をするだろう、けれどどちらも笑顔のまま】

【そうして向かった化粧品店、始めの吹き抜けの傍にあって、それなりの広さには化粧品箱を引っくり返したようにたくさんの道具たち】
【はじめて見たならびっくりするぐらい、赤だけでも“赤色”のはじっこからはじっこまで揃えたような口紅とか、いろいろあって】
【とりあえず最低限必要なものを見繕って、その後はちまちまと好みやらに擦り合わせていく。そうして選んでいくのだろう、きっと楽しいままで】
【試供品を用いて大雑把ながら説明もしてやる、――ただ、彼女自身あんまり化粧に慣れていないらしいのがあったなら、少しだけぎこちなく】
【終えれば軽めに化粧を施した彼女の顔、ほんの少しだけのはずなのに印象がかなり変わるものだと、少し恐ろしくなる気もした】

【そしてカフェへと辿りつく、ふかふかの椅子に腰掛ければ、ぐうーっと身体を伸ばしてリラックス、】
【「楽しかったね」と告げる言葉、相手が同じ風に思っていてくれたら嬉しいなんて思いながら、その表情をそっと窺って】
【先の質問にどう答えてもらったとして、頼むのは変わらずにパンケーキだった。リコッタチーズのパンケーキ、たくさんのベリーを添えて】

今日は本当に楽しかった、呼んでくれてありがとね、ベイゼ――、……。
わたしも何か買っちゃえば良かったかな、なんだかお買い物したくなってきちゃったみたい。

……ねえベイゼ、良かったらこの後お買い物、付き合ってくれない?
時間があったり疲れてなかったりしたらでいいの、さっきのお店でちょっと欲しいのあったなって――、

【飲み物はミルクティー、指差して店員さんへ告げ、ベイゼが注文するのを待ってから、】
【お冷を飲んでようやく一息吐いたところ、膝をきちんと揃えて言う、少しだけ残念そうに――考え込んで、】
【――そしてそんなお願いをしてみるのだ、彼女の言うように断ってしまったって誰も責めやしないだろう、そんなお誘いは】
【さっきのお店にとんぼ返りする計画。――或いは、彼女にいろいろ着せてみるなんて意趣返しができるのかも、しれなかった】
842 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 02:58:05.73 ID:daGY3c4ho
>>841

【『―――?』と顔を上げてみる。同時にグローブをはめた左手をやってみたのは】
【その手では何か付いていても分かりづらかろうというのに、左手を使ったのは】
【一つには少女と繋いだ右手を離してしまいたくないのもあったし】
【もうひとつは、そんな意地悪な事を言われるとは思っていなかったから、なんていうのがあった】

【きっと口の動きで何を言いたいのかは分かってしまったのだろう】
【元々うっすらと染まっていたのが、見る間にまた髪と同じような真赤にかわり】

【それで、すねた子供みたいにふん!とそっぽを向いてしまうのだが――】
【優しく力の篭った彼女の手を、ゆっくりと握り返したのが本当の気持ちに違いなかった】
【その代わり、精一杯の抵抗のように、サンドイッチを分けて、という彼女の言葉には】
【肩をすくめて答えてやらなかった。なんだか、本当にどちらが子供だか分からない】


【――さあ、そのあとは化粧品を漁る時間だ。勿論、こんな店には来たことも無い】
【単純に色のバリエーションや、使用用途やらの多さに目が回ってしまいそうになり】

【なんとか必要最低限の一式を揃えたなら、今度は細かいところも決めてゆく】
【きっとベイゼ一人では此処まで上手くは買えなかったに違いないと、本人もそう言っていて】
【そんな感謝の気持と同時に芽生えるのは、一緒に何かを買ったりするという、楽しみ】

【一度たりとも買い物に楽しさなんて感じたことは無かったが――今は、格別に違う時間だ】
【いつしか、最初は嫌悪感に近いものを持っていたはずの衣服にも慣れてしまったようで】
【自然と買い物も最後となれば、ベイゼの顔には笑顔が浮かんでいたのだった】

【その後、カフェでくたりと身体を休めれば、頼むのはホットコーヒーとサンドイッチセット】
【トーストを軽く焼いてから、そこにツナとコーンや、チーズとハム、レタスとトマトを挟んだ三点が添えられている】
【どれも香ばしい香りが漂っていて――それのお陰もあるのかもしれない。ベイゼはまだ、笑顔のままだ】
【そのまま続くのは鈴音の言葉。今度は自分が買いたいものがある、なんていう内容で】

……良いんだ、俺も楽しかったから。初めて……こういうの、着たし。
多分、一人じゃ絶対に出来ないことばっかりだったと思うから……

ん……友達だろ、俺達。俺ばっかり手伝ってもらって、断るワケないっての
何がほしいんだ……?……ぁ、その前にどれか一つ選んで。
腹が減っては、って言うし。お腹すいてるんだろ、鈴音…――ほら、―――。

【きっと、二人だけの空間だからというせいもあるのだろう。普段の、ではなく】
【今までのベイゼでは考えられないような、そういう行動と言動が目立っていた】
【いや、何より行動が意外だ――親友相手とはいえ、自分から――『あーん』だ、なんて。】

【―――その後の話は、また長くなる。ただ、ベイゼは今度こそと自分から服を選び】
【これだ、いやこれだなんて鈴音を飾り人形の様に着せ替えさせるに違いなかった】
【パンクな衣装や男性らしい格好をさせてみたり、チョーカーをオススメしてみたり】
【まだ時期は早いけど、なんて言いながらホットパンツを探すような場面もあって】
【恐らく帰りはさぞ遅くなるだろう。荷物も、とても沢山――だが、それ以上に多くの、かけがえのない物を手に入れたなら】

【最後の最後、別れ際。マインドに荷物を持たせながら、軽く左手を振って見せて】
【『今度、泊まりに行くから』と――約束を忘れないように一言告げて。にこり、笑顔で別れを告げることになるのだろう、か――。】

/っと、こんな感じでしょうかっ…!長らくのお付き合い、ありがとうございました!
/もうホント楽しかったです!お疲れ様でしたー!!
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 03:19:29.37 ID:Mb4CSj/y0
>>842

【そうやってふんと拗ねてしまうのが自分とは違うところだった、自分だったなら、そのまま止まってしまうから】
【そんな差異もまた面白くからかい甲斐があるというもの、余計に意地悪したくなっちゃう気紛れ、珍しいことだけれど】
【――けれど、そんな戯れも長くない。再び買い物に行くとなれば、気持ちをほんのりと切り替えて、】

【ぐるぐると目を回しそうな品揃え、自分だってあんまり化粧品には慣れていないなら、ぐるぐらいは目も回る】
【とりあえず名前であれだこれだと指定して、その売り場に行ってから一緒に悩む。その様子は、きっと楽しげで】
【なんだかんだ自分の分もいくらか買ってみたようだった。お化粧はあんまりしない性質なのだけれど――そうしたのは、】
【やっぱり楽しかったからの一言に尽きるだろう。ついつい買いすぎてしまったなんて後悔も、また楽しみのひとつ】

【(いつまでだって時間を忘れた身体は特に化粧の要らない年齢で止まっていた。けれど、今日をきっかけに触れてみることが増えて)】
【(昔からの友達に化粧の仕方なんてものを聞いてみたりもした、――それは、少しだけ後のお話)】

【やがて運ばれてくるパンケーキ、ぱぁと表情が輝くなら、よっぽどよっぽどおなかが空いていたと見ていいだろう】
【食べ物屋さんに入ると余計に空腹がひどくなる。そんなスパイラルに陥っていたのだろうが、もうだいじょうぶ】

ありがとう、それじゃあね、さっきのお店でかわいいスカートがあったからそれと――、

……くれるの? じゃあ、ハムとチーズのやつ――……。

【ぽつぽつと欲しいものを挙げていく、――ふたりでまわった店の商品ばっかりだ、いくつか連ねたのは】
【だから、元来た店を戻ることになるだろうか。けれど、今度の着せ替えお人形は少女の方、それなら雰囲気だって変わるはず】
【――さっきは返事をしてくれなかったけれど、くれると言って。差し出されたなら、少しだけ戸惑ったようにした後、はくと口を開ける】
【そうしてぱくん!と齧り取る、綺麗な三日月型を描いて、「おいしい」って瞳を細める仕草、嬉しそうに】

ベイゼもパンケーキ食べていいよ、…………――ほら、あーんっ。

【それからパンケーキのおすそ分け、ベリーの甘酸っぱい果実を添えて、意趣返しのように「あーん」を要求する】
【してくれたなら口の中には甘酸っぱい味わいとパンケーキの優しい甘さ、交じり合ってちょうどいい味わいと】
【何よりこの楽しさが隠し味になってくれるだろう、――なってくれるといいな、なんて思った】

【そのあとのこと。二人で会話しながらお互い食べるものを食べて、再び繰り出したお買い物】
【欲しいものを買ってしまえば、あとはあれだこれだと服を選ばれる着せ替え人形の役、自分がしたように受け入れて】
【すらっと細いなら男ものでも問題なく入る、なんだかんだ言ってはいたが、彼女もまた、大体の服は良く似合って】
【ベイゼが抱いたような羞恥心もあまりないなら、それこそ着せ替え人形だ。互いの気が済むまで、とっかえひっかえしつくして――】
【――あれだけ高かったお日様も沈んでしまった頃に解散となるだろうか。最後に改めて楽しかったと告げて、】
【「待ってるね」と改めて告げる。指切りはしなかったけれど、きっと遊びに来てくれるって、そんな確信めいたものがあったから――】

/おつかれさまでした!
844 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 18:26:39.75 ID:xH3gnjhPo
【闇市通り――合法なものなんてほんの一握りなこの場所に、一際目立つ店があった】

【形容しがたい、混沌とした趣味の悪い屋台――並ぶのは、肉とか果物とか何かの素材とか小動物っぽいものとか、とにかく雑多である】
【それを運営するのは、眼がレンズで執事のような姿をした二足歩行のコウモリである】
【店の後ろにあるのは、趣味の悪すぎる混沌とした掘っ立て小屋……黒く小さなキノコが幾つも生えているが、どこかで見たことがあるような……?】
【――そして、時々"人ならざる者"が出入りしていて、それは品出しだったりそうではなかったり色々】

『ええ、"対価は貨幣に限らず"――いつもの通りで御座います』
『"邪禍様ではないのですか"――ええ、邪禍様は体調を御崩しになられていらっしゃいますので、今日はワタクシが店番を務めさせて頂いております』
『"面会"で御座いますか、それは邪禍様の御許可を頂かなければ不可能で御座います――あなたは駄目のようです、また後日いらっしゃってください』

【値札はない、ただ、怪しげで曖昧な表記で正体の分からぬ謎の商品群が立ち並ぶのみ】
【一つ言えるのは……どれもこれも、この世界では見たこともないような品だということか】
【そんなものを堂々と出せるのも、闇市だからこそか――たまに"常連"が訪れている様に見えるのは、きっと気のせいではない】

『"あの件はまだ残されていますか"――はい、今日も、"アビスゲートに足りないナニカ"は非常に高い値段で買い取らせて頂いております』

【そういえば"邪禍"――とか言ったか、確かその名は数々の罪で指名手配されている悪魔と同じだったはず】
【――あなたはこの店に立ち寄っても良いし、もしくは別の何かをするも良いだろう】


844 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga] :2014/03/11(火) 18:28:31 ID:xH3gnjhPo

【河原――】

「…………」

【流れる水をぼーっと見つめるのは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、しかし死んだ眼で、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)、暖かそうな茶色いコートと、青いマフラーや手袋を身につけている】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

【――なお、この男が座っている場所は川のど真ん中にある岩の上。脚を川に付けている状態だ】
【冬の水が冷たいのは勿論のこと、最近は雪解け水も合わさって水かさが増しており――つまりは、流れも早く、危険】

【男が右手に持っているのは、黒曜石の様な未知の素材で出来た黒い折りたたみ式ナイフ――刃は出されている】
【流水を見ていたかと思えば時折ナイフの刃を見て、――また、水を見る】

「……はぁ」

【その表情に入り混じるのは、悔しさと迷い――例え時間を置いたとしても、何かの干渉なしではポジティブな表情は見ることが出来ないだろう】
845 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 19:22:23.73 ID:rNAWea3oo
>>844

【屋台の番をするコウモリには聞こえるであろう、街角で響く一際大きな音を】
【それは何かの抗争のようであって、闇市通りで茶飯事ともいえる音響】
【コウモリの良く透る耳に残るには、少々ありふれた音かもしれない】

【そこに一つの黒鍵噛ませて、和音を乱す悪戯心一つ】
【披露してみせたなら、そこに響くのは非日常の音律に近く】
【闇市通りでは中々聞けない音に、なるのであろうか】


――――――ったく、この辺りはホントに柄悪いな
喧嘩売るなら相手選べってんだ……っと
お、いいところに店があんじゃん!腹ごしらえ腹ごしらえ!


【闇市の街角を割って、此方へと歩いてくる人影一つ】
【ぱたぱたと服の汚れを払う姿には微塵の傷も無く、歩む足取りは軽く】
【なおかつ響く、変声期前のあどけない声色が、この場に相応でない音の理由なのであろう】


【ウェーブのかかったセミロングのブロンドを黒いハットに沈めて】
【胸元を開けたシックな柄のワイシャツの上に漆黒のスーツを着こなす】
【ゆるく締めたネクタイは鮮血のように深く濃い紅色、革靴には汚れ一つ無い】

【それでいて横顔は、少女のように柔らかな中性的な顔立ちで】
【少動物のような雰囲気の、スーツの高級さに似合わない小柄な体躯の少年】
【檸檬色の双眸と、首元には安物の小さなネックレス、その両手には白い手袋をしていた】


おう、取り敢えずなんか精がつく――――――ッ!!?


【少年が屋台へと脚を踏み入れて、声を引き攣らせるであろう】
【瞼がぱちくりと呼吸を零して、涼し気な目元に不思議な色合いを浮かべる】
【それも当然であろう、店番をしているのがコウモリ≠ナあるのだから】

【彼は、と言えばそのまま、しばし呆然と立ち尽くす、よう】
846 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 19:54:42.83 ID:xH3gnjhPo
>>845

『騒がしい、で御座いますか? ――何をおっしゃいます、いつもの通りでは御座いませんか』

【どこかで何かの騒ぎが起きる、ただの市場ならともかく……闇の市場であれば、よくあること】
【毎日でなくとも店を出していれば、自ずと慣れてしまっているようで――顔色一つ変えず、店番を続ける】

『おや、お若いお客様がいらっしゃったようで御座いますね』

【客が手に持ち見ては適当に返して帰った商品を丁寧に並べつつ、近づく少年を視界に捉えて】
【――この通りに何度も訪れる者ならば慣れてしまった、人ならざる存在であるその店番に対して】
【始めて来た者が見せる反応は千差万別。けれど、それも慣れた事――人間に対する行動と違うそれを見せられる事には】

『……驚かせてしまいまして誠に申し訳ございません』
『ワタクシはこのお店の店番をさせて頂いております、メディアットの"ディワート[Dewart]"と申します、以後お見知り置きを……』

【低姿勢で過剰に尊敬語を使うのが特徴的なそのコウモリ――メディアットと言う種族の者らしい】
【おそらくは聞いたこともないような種族だろう、確かにこの世界には非現実的な生物も多くいるが――】
【そして、何事もなかったかのように……ディワートはこう続けるのだった】

『――――"精のつく"モノで御座いますね、後ろにあります小屋に生えていますキノコはいかがでしょうか、間違いなく力がお湧きになられますよ』
『そしてですね、こちら、珍しい品でして……"ヴェンドゥラー"まで採集に行かれるのが面倒というお方にもおすすめで御座います』

【小屋に生えたキノコ――まあ、色も黒いし、変な家に生えた変なキノコとなれば……冷静に考えなくとも毒キノコとしか思えないのだが】
【ヴェンドゥラー……と言えば、最近カニバディールらによって医系の巣窟と化した場所だが、そう言えばその時にキノコが用いられていたとか何とか】
847 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 19:56:03.08 ID:xH3gnjhPo
>>846
/変換ミスです本当にry
/最後の行の「医系」→「異型」
848 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 20:08:56.12 ID:rNAWea3oo
>>846

【店番をするコウモリにびっくり、そしてその丁寧な態度にもう一度驚きを重ねて】
【取り繕うように右の手でハットを深く抑えて、ブロンドの前髪が額をなぞる】
【髪越しに揺れる檸檬色の双眸、恐怖よりは好奇心の方が強いか】


……お、おう……ディワートだな
あー、その、だな、人間の店員は居ないのか?
俺あんまり、お前みたいなコウモリの相手するの、慣れてなくて、さ


【言葉を探す、良い感じの言葉が思いつかない、必然零れる言葉はどこか無礼な音】
【本人もそれを気にしてか、視線を逸らした、右に曲げた視線の先には何やらよくわからない品物】
【低い目線の先、映る景色は非現実で、浮世草子の中の顛末のよう】

【右の手を下ろして頬をかく、その仕草はお家を探す子犬のようで】
【檸檬色の視線が再び踊る、貴方の言葉に釣られて、向き直るだろう】
【左手で緩ませる首元のネクタイ、高級そうなそれが妙にミスマッチか】


いやいやいやいやいや!!あんなん食えるわけねぇだろ!食ったら死ぬって絶対!
そりゃ俺もそう良いモン食ってる方じゃないけどさ!あれ絶対に食えないでしょ!
もっと、だな、俺みたいな人間にでも食える物を――――――ん?

ヴェンドゥラー≠チてどっかで聞いたな……どこだったっけ


【手をぶんぶんと振る、檸檬色の瞳が大きく見開かれて彼の動揺を伝える】
【口調からあまり良い育ちではないことは伺えるが、それでも毒キノコは管轄外のようで】
【思い出そうと手を組んだなら、うーんうんと唸っている、よう】

【屋台の軒先から差し込む淡い月光、宵闇に浮かぶ少年の姿】
【考えこむ横顔はそのラインに微塵の無駄も無く、幼さの描く柔和な色合いを強める】
【指先でハットのつばをそっと押してみたり】
849 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 20:31:43.04 ID:xH3gnjhPo
>>848

『あいにく、我々の中に人間はいらっしゃいませんので……申し訳ございません』

【感情を入れつつ、しかし淡々と応答するコウモリ――謝罪の念を込めて頭を一度下げて】
【自分どころか他の者も全て人外……となると、人間がこのコウモリを飼っている訳ではないようで――】
【……闇市通りの中でも特に異質な店には間違いなく、だが何だかんだで受け入れられてはいるらしい】

『……おや、お気に召されませんで御座いましたか――今の季節で御座いますと、特にお鍋に大変良く合う"食材"なので御座いますが……』

【そう言うコウモリの顔は、気に入られないことが間違いなくわかっているのにあえて提案してみたという色が見えていて】
【小屋から出てきた、羽毛を持つ鳥型亜人がキノコを一つちぎってコウモリに投げ渡し――近くでそれを見せる】
【――近くで見れば見るほどやはり毒キノコにしか見えない、その上"邪"で"混沌"としたにおいも放っているではないか】

『おや、この通りに来られる御方で御座いましたらご存知かと思いましたが……』
『ヴェンドゥラーはですね、昼の国に御座いまして……最近カニバディール御一行様が"素晴らしく"作り替えられました都市で御座います』
『今度、遊びに行かれてみては如何で御座いましょうか?』

【――そう言えば、この場に居るものとしては何となく雰囲気が似つかわしくない様な気がした、迷い込んできたのだろうか、なんて思いつつ】

『して、キノコはお断り――では、こちらは如何で御座いましょうか、精はともかくパワーがお付きになられますよ』

【屋台のどこかに置いてあったそれを近くに寄せる――どうやら、サイコロステーキ(焼きたて)の様だ、団子の様に串に3つ連なっている】
【……勿論、何の肉で形成されたステーキなのかそんな説明は一切ないし、見た目でもわからない】
【味は、"少々砂っぽいが"柔らかくワイルドで中々である――予めまぶしてあるよくわからないスパイス(胡椒的な何か)とも相性が良い】
【ただ、最初に毒キノコと思わしきモノを進めてきた店なのだ、食べたら色々と後悔しそうな気がするのはきっと気のせいではない】
850 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 20:45:06.97 ID:z7YXp3Xx0
【水の国――――――公園。噴水の音が穏やかに響き、もう日が落ちている。夜の闇と、若干の街灯の光が照らしていた。】
【日中の喧噪は、其処には無い。入れ替わるように穏やかで、そして幾ばくか陰鬱な静寂が広がっていた。】


「 (これからどうしたものか……。)」


【若い、独りの女がいた。年齢にして、20代前半程度であろうか。場合によってはそれよりも若く見えるかもしれず、服装はこの地域では比較的珍しい和装である。】
【ゆるやかな着流しの上には、濃藍の――――それはまるで雨≠フような色である。見る物を不安にさせるような、】
【そんな色の羽織を着込んでいた。一陣の風が吹き、その裾を僅かに揺らしている。下半は黒い袴。安物らしく、裾がほんの少しほつれていた。】
【切れ長の瞳は、琥珀のような深い、何処と無く月≠思わせるような色合いである。】

【羽織には、どこかで見たことのあるような――――それこそ、見る人が見ればなんなのか分かる。機関≠フ紋様が、目立たないよう刺繍されていた。】
【銀色で羽織りに映えるそれはしかし、今現在活動の機関の紋様ではない。数世代古い、今ではほとんど見ることの出来ない物である。夜の國支部所属を表す…いや、「表していた」ものだ。】


「まあとりあえず……もうそろそろ一波乱ありそうだ。よっこらせ、きちんと準備をするに越したことはないな。」


【女は名前を如月 氷雨といった。最近この場に訪れた、現在はどこにも所属していない流浪人である。身の回りの動乱が一息ついたこともあり、この付近を散策していたのだ。】
【如月は剣客であった。和装に違わないといおうか。その腰には二振りの得物がある。】
【本差しは立てかけられ、脇差しは腰にあった。多くの剣士達とは異なり、右腰に帯刀している。左利きであるらしい。】

【通常、剣士といえば恵まれた体躯でありそうだが、彼女の場合はその限りではないらしい。】
【小柄で、身体の線も細い。しかし、常人と比べて全く鍛えていないというわけでもなさそうで、】
【つくべきところに、必要な筋肉だけが着いている――――――――そう形容すれば、分かりやすいかもしれない。】


「……――――――――。」


【如月には全く能力≠ニ呼べるものを持ち合わせていそうにない。】
【その身に、その武器に、どこを探しても、一切能力や異能の片鱗が見えないのだ。】
【隠している≠フではなく、元々持ち合わせていない≠謔、で。察しの良い人物なら、雰囲気や細かな仕草から何と無く無能力者であることが推測できるだろう。】


「…せいっ!」


【立ち上がり、軽く準備運動を行った如月は、一声かけるとともに左手を腰に伸ばした。大刀の下の、脇差にである。】
【――――瞬間、シャッ!という音と共に一閃の抜き打ちを、誰もいない中空めがけて放つ。】
【同じ動作を何度も何度も、確認するように放つ。銀色の剣閃が月光を煌びやかに反射し、周囲には鞘と刃の擦れる音が残響していた。】

//※最初の数レス返信遅れ気味になりそうですが・・・
851 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 20:45:35.26 ID:rNAWea3oo
>>849

【その答えを聞いて、ハットを目深にかぶり直す、そっか、と返した言葉】
【素っ気ない返事ではあったが、ある程度の納得はしたようで言葉尻に嫌悪はなく】
【周囲を見渡す彼の軌跡、靡くブロンドに響く音律が、ふぅん、と小さく揺れた】

【硝子細工のような喉元が、からんころん、と鈴の音を転がす】
【できたての果実のように青く、淡い声色が響いたなら、そこに描くのは少年の色】
【身に纏う服装に合わない、背伸びした形にも似て】


あーいいよいいよ、そもそもキノコにそんな良い思い出ないしさ
道端に生えてもん食べて、一日中お腹下したこととかあったしね
アンタらはやっぱり、そういうの食べても、平気なわけ?


【片手を軽く振ったなら、苦笑交じりに言葉を返した、綻ぶ頬の形】
【セミロングの髪が修飾する微笑み、幼さゆえの透明感のある笑み】
【先ほどと比べて親しい言葉になったのは、元々人懐っこい方なのだろう】

【近くの棚に背中を預けたなら、ハットを脱いで、右手の指先でクルクルと回す】
【丁寧に扱っているようで、シワ一つ無いそのハットは、少年の頭にぴったりの大きさで】
【被り直して、視線を向ける、その先に居る貴方を見つめて】


ふぅん……ま、俺みたいなのの性には合ってるんだろうけどさ
悪いけど、食には合ってないみたいだから遠慮しとくよ、ごめんね
しっかし都市ごと作り替えられたって、街中こんな感じなのかな?


【両手を軽く合わせて謝罪のポーズ、軽くウィンクをしたなら口笛一つ聞こえてきそうなほど】
【中性的な容姿が故に、動作の一つ一つに可憐さがありつつも、中身は立派な男の子のようで】
【食べ物第一な思考は、変わっていない様子】


そうそう!そういうの!アンタ最高!よくわかってるねっ!
腹ごなしの運動も済んでることだし!早速いただきまーっす!!


【声が弾んだ、表情に嬉しそうな色合いを強めたなら、くしゃりとほっぺたを崩す】
【満面の笑みは愛玩動物みたいに、くしゃくしゃとほっぺたを濡らして】
【割りと素早い動きでひょいっと、サイコロステーキを取り、そのまま一気に口の中に詰め込もうとする】

【もぐもぐと数回噛んだなら、そのままごくりと飲み込む勢いで】
852 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 21:04:08.89 ID:xH3gnjhPo
>>851

『ワタクシ共は"邪禍"様の部下で御座いますから――全く問題は御座いません』
『つい先日も、この小屋のキノコ掃除と称しまして"闇鍋"パーティーをしましたから』

【――闇鍋の具材に使う時点でまともな食材でないような気もするのだが】
【何となく、"闇鍋"の意味が我々人間とは違うような、そんな気もしなくはないだろう】

『そうで御座いますね、――しかしどちらかと言いますと、こちらの方がイメージにお近いかと思うので御座います』
『――まあ、こちらは"交易都市レナール"より拾われた種族で御座いますがね』

【否定はしなかった、しかし――屋台の下の方から出されたそれは、まさしく異型の者だった】
【大きさおよそ50cmのそれの姿は、まるで半円に脚をつけたかのようなフォルムの化け物である】
【正面には人のような顔、頭部と胴体部の区別は非常にわかりにくく、象のような短い足を4つ持っていて】
【下顎が脚のように発達しており、地面にその底面をつけていた】

『――どうで御座いますか、邪禍様が誇る精肉技術は』 『お代は後でしっかり頂きますよ』
『そちらの肉は、"グランマーヴェイト"……ミミズの一種で御座います"グランヴェイト"を砂の国原産"サンドワーム"の肉で進化させた者で御座います』
『主食の都合もあり、少々砂っぽいのが難点で御座いますが――"しっかり食べた"と思わせてくれるお味が大変人気の一品で御座います』

【どこからか聞こえてくるような聞こえてこないような"「本当に食ァべてしィまったのか?」"なんて声は気のせいにしておいて――小屋の中、だろうか】
【……つまるところ、先程の肉はミミズ肉だった様子。まあ、毒も無いようだし得体の知れない何かとかよりはマシ……マシ、なのだろうか?】
853 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 21:08:04.99 ID:rNAWea3oo
>>852
/すいません!そろそろ外出しなければならないので、置きレス移行、お願いできますか?
/ほんとに申し訳ないです……
854 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 21:09:51.14 ID:xH3gnjhPo
>>853
/置きレススレ移行了解です!
855 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 21:24:24.94 ID:jrtiliK/o
【UT事務所内】

【酒場、と表現した方が適切であろう場所の一角】
【テーブル席を二つ借り切っている、傍迷惑な二人組がいる】

【四人席の奥に座る、酷く顔色の悪いスーツの男と】
【隣のテーブル、丁度対角線上の角に座る和装の男】

【時折言葉を交わしているのだから、連れの筈だが】
【何の理由か、席を一つにする様子は全くない】
【どうも、不機嫌な和装の男がそれを拒んでいるらしかった】

……なあ、お前確か手先が器用なんだろ?
こう、上手いこと俺の体を、可動式の剥製に出来ないか?
今はまだ寒いから良いんだが……春先になると臓物が、痛ッ!

「あッちの半径六千三百キロ以内は禁煙や。吸うな腐敗物」

てめッ……! 指!! 花が刺さった!! 花が!!
その前にこれは俺が苦労して拾い集めたシケモクなんだぞ!!
テーブル一つ離してんだから別に吸ったっていいだろ!!
つーか心の距離的には六千三百キロ以上離れてるぞ今!!
兄的にすっげー辛いんだよこの距離感!! 分かれよ馬鹿!!
大体お前だっていつも煙管ふかしてんだろうがッ!!

【指から綺麗なお花を咲かせつつ、声を荒げる死人顔の男は】
【癖のある黒髪に鋭い灰色の目、よれたスーツのネクタイは黒で】
【右頬には、「牛の生首が乗った皿」の刺青を入れている】

【一方、捲し立てられても素知らぬ顔で頬杖を付く和装の男は】
【肩口で切り揃えた白髪に、青藍色の燐光を零す黒彼岸花を挿し】
【切れ長な葡萄色の目、気味が悪い程整った造形、体の線は細く】
【黒の紋付羽織に袴、下駄と、櫻式の喪服に見を包んでいる】

「五月蝿い、死ね」

死んでるっつの!! てめェ表出ろ表ッ!!

【刺青の男が怒鳴り声を上げている状況】
【絵面的には非常によろしくない。触れようとする者は現れるのか】
856 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 21:36:09.32 ID:TPQzScz7o
【水の国・公園】

【道に連なる街灯の光だけでは、今宵の冷たい闇を照らすには少々心許なく感じられた。春も近づいているというのに、いやに寒い夜だ】
【噴水が淡々と吹き上げる水が、肌寒さを余計強調している。光に照らされた水煙が宙を漂い、やがて地面に沈着して黒色に染める】
【些か不気味な光景だ。だが真に不気味なのは、その不気味さを観測するものがひとりも居ないということかもしれない】

……………は、ぁ…………。

【――――いや。その静止した世界を動かす観測者がひとりだけ、いま公園の中へ踏み行ってきたようだ】
【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁のメガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年である】
【フォーマルなスーツの上には紺色のトレンチコートを着込み、首元には黒いマフラーを巻いている。だがそれでも、青年は少し寒そうにしているだろうか】
【別に彼が「寒い」と口にしたり、震えたりしている訳ではない――――きっとその表情があまりに疲れ切っているから、そのように感じられるのだろう】

(クソ、情けない…………やらなければならない事が、まだ山ほどあるというのに………)

【青年は白い息を吐きながら、ふらふらとした足取りで噴水広場へ近づいていって、近場のベンチへ座り込むだろうか】
【持っていた鞄も半ば投げ出され、ベンチの上へ乱暴に転がされる。それすら気付いていないように、青年は背もたれに体を預けて天を仰いだ】
【眼鏡を外して右腕で両目を覆うと、長い長い溜息が漏れる――――残った口元だけを見ても、色濃い疲労と悔しさがありありと読み取れる筈だ】
【……青年はぐったりとした様子のまま、しばらくそうしているだろう。ただでさえ人気のないこの公園、その様子はひどく目立って】

【そんな様子だから、もし公園へ新しく誰かが入ってきたとしても、彼がその気配に気付くのは遅れてしまうだろうし】
【逆に、もし彼が来る前から既に誰かがこの公園にいたとしても、あるいは気付かなかったかもしれない――――】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 22:24:31.42 ID:Mb4CSj/y0
【街外れ――走る川のすぐ傍、橋の上】
【みかんの房とよく似た形のお月様が映える夜の風景、街灯の明かりも少しだけ遠くにあったなら】
【橋の上は月明かりだけに照らされて薄暗い、そこに誰か居るのだと理解させても、すぐに理解できないぐらいには――】

……、えい、

【――そんな中にぽつりと紛れ込む声。その刹那に生まれる違和感は、――川の流れるごにょごにょとした音に、紛れ込む異音のせい】
【ぞばぁと水を塊で掴んで引き摺りあげたような音。追随するのはぱたたたと水の滴るような音で、音楽を刻むよう】
【ついでに言えば言葉と同時に魔力もあふれ出していた。濃厚なのは宝玉の気配とよく似た水の気配、夜に、たゆたって】

【真っ黒な髪に月明かりのハイライトが光る、おっきなリボン飾りのついたカチューシャ、リボンの尾っぽは風になびいて】
【黒色と赤色のオッドアイは水面へと向いていた。露出した耳元、右にだけ付けられたピアスは、宝玉の欠片をあしらっていて】
【肩口を少しだけ露出した深い赤のワンピース、飾るレースは水玉模様を縫い取ったもので、随所でひらりひらりと揺れ】
【羽織ったマントは僅かに茶色の混ざる黒色で。刺繍で入る細かい柄が月明かりにちらちらと煌く、夜風にふわり靡きながら】
【欄干に預けた身体を支える足元はかかとの厚いストラップシューズ、足首ぐらいまでを紐で編み上げたようなデザインで、地を踏んでいた】

うん、上手になった――、よしよし、いい子。

【そんな少女が佇んでいた、手を伸ばした先で何かを撫でるような仕草があるなら、少しだけ怪しいようだけれど】
【すぐに虚空を撫でているわけでもないと気付けるか。何か、薄ぼんやりと光るものがあって――それを、ぺちゃぺちゃと】
【水音立てながら撫でているのだった。まん丸の瞳を三日月みたいに細めたなら、優しい声音が夜に響いていく】

【――水で出来た巨大な蛇だった。水面からするりと身体を伸ばしたなら、少女に甘えるように頭を橋の上へとやっていて】
【それが桜色に黄緑色を混ぜたような色合いをしていたなら、どうやらただの水じゃないとも気付けるよう。淡く光っていたのだし――】
【よく見れば頭の中に一センチほどの銀色の鈴が浮いていて。それが、時折“りん”と鳴るのが、夜の中にアクセントとなっていた】

【ほぼ間違いなく異能の発露だと見ていいこの光景。誰を/何を害するでもなく、ただ遊ぶかのように行われた行為は、】
【けれど宝玉の力を借りたもの。ただの遊びだなんて言い切っていいものでもないような気がして――夜に、良く目立つ】
【街外れと言えひと通りがないわけでもない。誰かの目に留まる可能性は、きっと十分にあった】
858 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 22:41:02.23 ID:z7YXp3Xx0
>>857

【河原の方で、動く気配があった。おそらく、相手が橋の上にいるもっと前から、そこにいたらしい。】
【その人物は、相手の魔翌力――――――――それがまだ家宝による所以とは分からない。】
【ただ何かに気がついて、だ。刀を振る手を止めた。】


「 (……?)」


【若い、独りの女がいた。年齢にして、20代前半程度であろうか。場合によってはそれよりも若く見えるかもしれず、服装はこの地域では比較的珍しい和装である。】
【ゆるやかな着流しの上には、濃藍の――――それはまるで雨≠フような色である。見る物を不安にさせるような、】
【そんな色の羽織を着込んでいた。一陣の風が吹き、その裾を僅かに揺らしている。下半は黒い袴。安物らしく、裾がほんの少しほつれていた。】
【切れ長の瞳は、琥珀のような深い、何処と無く月≠思わせるような色合いである。】

【羽織には、どこかで見たことのあるような――――それこそ、見る人が見ればなんなのか分かる。機関≠フ紋様が、目立たないよう刺繍されていた。】
【銀色で羽織りに映えるそれはしかし、今現在活動の機関の紋様ではない。数世代古い、今ではほとんど見ることの出来ない物である。夜の國支部所属を表す…いや、「表していた」ものだ。】


「妙な音がするな。鈴か…? いや、それよりもっと……」


【女は名前を如月 氷雨といった。最近この場に訪れた、現在はどこにも所属していない流浪人である。身の回りの動乱が一息ついたこともあり、この付近を散策していたのだ。】
【如月は剣客であった。和装に違わないといおうか。その腰には二振りの得物がある。】
【本差しは立てかけられ、脇差しは腰にあった。多くの剣士達とは異なり、右腰に帯刀している。左利きであるらしい。】

【通常、剣士といえば恵まれた体躯でありそうだが、彼女の場合はその限りではないらしい。】
【小柄で、身体の線も細い。しかし、常人と比べて全く鍛えていないというわけでもなさそうで、】
【つくべきところに、必要な筋肉だけが着いている――――――――そう形容すれば、分かりやすいかもしれない。】


「へぇー……、これは面白い。視界の外だから気がつかなかったが、これほど大きな……」


【相手と異なり、如月には全く能力≠ニ呼べるものを持ち合わせていそうにない。】
【その身に、その武器に、どこを探しても、一切能力や異能の片鱗が見えないのだ。】
【隠している≠フではなく、元々持ち合わせていない≠謔、で。察しの良い人物なら、雰囲気や細かな仕草から何と無く無能力者であることが推測できるだろう。】

【ゆえに、如月にとっては水の蛇は珍しい。特に、それが能力や異能由来のものであれば、なおさらだ。】
【岸から橋の上まで上がると、相手のちょうど右側から遠巻きに見つめるであろう――――――――幾分か面白そうに、そして幾分か興味ありげに、だ。】


//>>850取り消して突撃していいですかな。。。?
//もし不都合でしたら断ってしまってください!
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 22:53:46.91 ID:Mb4CSj/y0
>>858

【自らの異能と戯れる少女の姿。それは、持たざる者より見れば興味を持ちえる光景なのだろう、けれど、】
【これは少女にとってみればなんてことない日常の一ページでしかない。だから、誰かの興味を惹くなんて、思考の外】

【誰かが居るなんてことにも、或いは気付いてなかったのだろう。水辺に来て、気が向いて、蛇を呼んだだけだったから――】

……、?

【――少女よりも先に蛇のほうが女に気付いたのかもしれなかった。ぴくりと動く頭、ゆらりと鎌首を擡げて】
【ちらりと身体と同じ色合いの舌を出して引っ込める、それを数度繰り返すうちに、少女本体の視線がそちらへと向いて、】

【色違いの視線がまず顔を捉えてから腰元に移ろう、そうして女の得物を見つけ出したなら、少しだけ細められる瞳】
【蛇に向けていた笑顔のまま固定された表情があった。けれど、それはそのうちにいくらかの色を変え、そっと作り変えられて】

……――こんばんは。

【ほんのちょっぴりの警戒を含んだ対人向けの笑顔。しかしよっぽど警戒しているようにも見えない色合い、首を傾げて】
【その機関の紋章にも、女が無能力者であることにも、なんにも――なんにも知らないような顔は、あどけなさの残る顔立ち】
【高校生かそこらに見えただろうか、こんな夜に出歩いているのがちょっぴり似合わないぐらいの――ただの、少女】

【(――ただの少女は宝玉なんて欠片だって持ち合わせないはずなのだけれど)】
【(あまりにもそれを持つことが彼女の普通になっているようだった、何も――特別な感情を持たない、様子で)】

ほら、こんばんは。 ……、わたしに、なにか用事?

【――ひたひたと濡れた手で蛇の頭をぺしんと軽く叩く仕草、そうすれば蛇も思いだしたようにぺこりと頭を下げるだろう】
【それを見ているとなんだか仲良さげな様子が窺えた。少なくとも、不仲ではないぐらいには、柔らかい関係性を窺わせて】
【異能と仲良しというのも少しだけ不思議なお話。けれど、こんな世界なら、なんにもおかしなことでもないはずだった】

【そうして挨拶するのを見届けたなら、どうして視線を惹いたのかというのを尋ねる言葉がある、少しだけ――考えるようにしてから】
【「それともこの子?」と言うのをさらに尋ねるように視線が動く、そうして首を傾げて。相手の言葉を、待つ間が空くのだろう】

/もちろん大丈夫ですよ!
860 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 22:59:11.23 ID:HR1NLe+10
【日々子供達の遊び場や家族の憩いの場として用いられる公園】
【――――けれど、今は時間も時間。子供達の姿は勿論の事人一人居ない。筈であったが】
【今宵は其処に備え付けられたベンチに座る姿が一つ。銀色の髪に、纏っているのは所謂修道服】
【膝の上とベンチの余った部分とに広げられているのは――――聖書と、ここ最近の事件が纏められた薄い雑誌】


「…………さて、そろそろ戻りましょうか……
教会をあまり長く空けている訳にもいきませんし…………」

【其れ等を全て閉じればふう、と小さな溜息が吐かれて】
【――――見上げた夜空。今宵の月は夜道を照らし出すには十分な光量】
【その上曇りの一つも無く星々も良く見えているのだから、良い夜であると言えるだろう】

【故に散歩等々に出ている者が居たって可笑しくは無いし――――】
【新たな来訪者の存在に気付けば敵意も警戒も無くそちらへと視線が向けられ、穏やかな笑みが浮かべられる事だろう】









【荒波が立つ事も無く、穏やかな浜辺。寒さは残ったままだけれど、白銀の光が海と砂浜とを照らし出すその光景は神秘的とも思えるだろう】
【其処に存在する音と言えば、波の音と――――人が、砂浜を歩く音】
【見れば、一人でこの海辺を歩く修道女が居て。金の髪は、月光を受けて美しく輝く事だろうか】


「うん。今日は良い天気…………って言うにはもう遅いかな
まっ、でもさ。星も月もみんな綺麗に見える良い夜だね」

【立ち止まれば夜空を見上げ、そんな言葉が漏らされる】
【都会等の余計な光が無いこの場ならば、確かに様々な星が見えよう】
【それこそ、普段見ることが無いような星だって見えるが――――だから暗いのかと問われれば、否。月光はこの一帯を照らし出すには十分な光量を秘めている】
【目的も無く適当に歩き、気が向いたら再空を見上げる。そんな、宛ても無い散歩】


「教会だとか色々面倒な事を少しは忘れられる時間――――…………ん?何かボクにご用かな?」

【戯れに砂に自分の足跡を作って、そのまま歩んで】
【自由気ままに一人の時間を満喫していたけれど――――また別な誰かがこの場を訪れた事を悟れば、其方へと金の双眸を投げかけた】
【物騒にも聖職者に似合わず腰に提げた銀の双銃が、月光を浴びてキラリと鋭く光るけれど】
861 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/11(火) 23:02:20.23 ID:sIi6ffn1o
【喫茶店】

【深夜の街角。そこにある喫茶店はこの辺りでは唯一、深夜営業をしている場所だ】
【正確には飲み屋関係は幾つか空いているのだが、静かに落ち着ける場所はここだけ】
【今夜も街の住人らがポツポツと眠れない夜を過ごしにやって来きていた】
【Y字の交差点にそって三角の不思議な建物。格子状のガラス窓からはゆったりとしたオレンジの明かり】
【古い柱時計は一定のリズムを刻む。在り来りだがジャズがかかり、孤独な静けさを消す】

アツツ……これだったら入院すりゃあ良かったかもな

【隅の方のテーブルに居た男は読んでいた新聞を畳んでテーブルの上に置く】
【黒いレンズのサングラス、黒地にカラフルな独特の柄がついたシャツを着て、スレたジーンズを履いている】
【だらしなく空いたシャツの胸元からはグルグルに巻いた包帯と聖母マリアのようなシルバーアクセサリが見える】
【頬にも絆創膏、左手を動かさないところからかなり怪我だらけの様子】
【テーブルの上にはコーヒーカップとポット、ウイスキーの小瓶。それに灰皿と煙草が置いてある】

金はどうなってんのか…ったく……っと。……くそ

【新しい煙草の封を切って、煙草をくわえるも手を滑らせてオイルライターを落っことす】
【ガシャカシャとちょっと億劫なぐらいまで転がっていった。痛む体に舌打ちして立ち上がった】
862 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 23:21:16.56 ID:/DaH84yOo
>>859

「ん? いんや、用事という程でもないさ。なかなか、面白そうなことをしているなあと思ってね。」


【少女の挨拶に、こちらも応じた。ゆっくりと、そちらの方に歩いてゆく。遠くから観察していた蛇の様子が、】
【柄づくに連れて少しずつ露になっていった。どうやらそちら――――彼女、あるいは彼か…いやそもそも性別が無いのかもしれないが、】
【実態が明らかになってゆく。なるほど、大蛇だ。鎌首、頭、諸々全て存在している。】


「仲が良さそうだね。そう、キミだ。やあ、こんばんわ。」


【水の大蛇が頭を下げると、如月もまた応じた。少女と蛇。まだ出会って間もないが、二人の関係性がなんとなく予測できる。】
【ひょいと手を伸ばして、自分もまた蛇の頭に触れてみようとした。ところが、その最中。さりげない少女の警戒――――――今までは夜の闇ではっきりと見えなかったそれが、】
【伝わったのだろう。加えて、旧時代とは言え機関≠フ産物。相手がまだそちらに対して敵対するか、あるいは「同類」か定かではないため、一概には云えないかもしれないが、】
【ともかく普通に人間ならば、身構えるのも当たり前であろう。――――というわけで、如月は伸ばしかけていた手を中途半端に引っ込めた。行き場を無くし、手持ち無沙汰実に藍色の髪をくしゃりとかく。】


「あー……危ない人間じゃないぜ…? こんなもの引っさげて云うのも、なんだけれどもね。」


【蛇と少女、交互に見ながら如月は肩をすくめた。加えて少女の視線―――――得物に向けられていたであろうそれにも気がついたようで、】
【右手で隠すようにして答える。かちり、と大小の鍔が合わさり、小さな音が響いた。】

【如月はこの段階で初めて少女を見たことになる。左右で色の違う瞳、カチューシャにリボン。自分よりまだ若い。】
【それから琥珀の視線は、耳元に向けられた。すなわち、宝玉――――――の破片。】


「ん、それと関係があるのかな…? どうも無能力者だと、こう言うときに疎い。なあ?」


【と、改めて水の蛇に触れてみようとする――――――】
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/11(火) 23:33:50.63 ID:Mb4CSj/y0
>>862

【頭はある、身体もある、けれど瞳がなくて、口はあって、頭の中に鈴が浮いている】
【鱗はなく身体は桜色と黄緑色を持つ水の混血、“そこから感じ取れる魔力は二人の人間のもの”】
【――それは彼女が単体で演出できるものではなかった、どこかの誰かの力が混ざっているのは、ひとりでは不可能だから】

……別にいいの、それをわたしに向けないなら。この子にならいいよ、使い物にならなくなるまで焼いたげる――……。
触らない方がいいよ、手が骨だけになっちゃう。……ううん、骨すらも残らないの、じくじくに溶けてなくなっちゃうわ。

【瞳をさらに細める幕間、紡いでいく言葉たちは、つまり敵対行動を取られなければ、とそんな風に理解できた】
【或いはそれは相手の機関の紋章が目立たないところにあったからというのもあるのだろう、今だ気付いていなくって――】
【基本的には平和好きだ。荒事よりも普通にお話するほうが好き。怪我をすれば、悲しませてしまうひとが居るのだから】

【――伸ばされる手の動き。途中でくしゃっと髪の毛を潰したとしても、はじめ向けたのがどこだったかを理解すれば、】
【ずいぶんと親切な警告か脅しだ。それでも彼女はひたひたに手を濡らしているから、さて言葉と行動のどちらを信用するのか】
【始めに刀を――というのも異能を窺わせる言葉、刀を焼く、肉を/骨を溶かす、少し考えれば何かも分かりそうなもの】

どうしても触りたいなら――特別に触らせてあげるけど。溶けないぐらいに調節してあげる、……ほら。

【とは言え。それは無秩序に垂れ流される暴力ではないらしい、“とくべつ”だなんて偉そうに演出しながら、】
【そっと身体を引いて大蛇の目の前を空けてやる、蛇は首を傾げるように佇んで――大人しく、じいっとしていて】
【先の警告よりも後の言葉を信じて触れるなら。水はなんてことなく生温く、ただの水――のように、触れるはずだった】

【(けれど厳密に言えば弱い酸性を持っていた。さっきまではもっと強い酸性を抱いていて、だから触らない方がいいと言った)】
【(その辺りの匙加減は少女次第、けれど触っている最中に強酸性にしてやろうなんて悪戯で済まない悪戯を、彼女はしなくって)】
【(先の言葉を信じて止めておくか、後の言葉を信じて触ってみるか、どちらにせよ、女に害らしい害は及ばない――)】

……仲良しに見えたかな、むかしはね、仲悪かったんだよ。この子、だいきらいだったの。

でもなんか慣れちゃった、たまにお菓子あげるんだよ、喜んで食べるから――味なんて、分からないはずなのにね。

【欄干に身体を預けながら天を仰ぐ、横目でちらちらと女の様子を窺う仕草があったけれど、無視しても何も変わらないなら】
【ぐうーっと身体を伸ばす動作。微かに洩れる声が、なんだか初めよりも警戒の薄れているらしいのを示していて】
【その際に左手の薬指できらっと煌くものがあった。銀で出来た指輪は蛇を模ったもので――黄緑色が、指輪の蛇の、瞳に宿っていた】
864 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/11(火) 23:55:47.32 ID:/DaH84yOo
>>863

「手が骨になるか。そりゃあいいなぁ、こう見えてもボクは………………」

「………………ええ??」


【二度目に伸ばされかけていた手すら、その言葉で止まりそうになる。いや、はっきりとと止まった。あわてて引っ込める。】
【如月は驚きを隠せない様子で少女を見ていた。大きく見開かれた目がそれを証明している。】
【手を――――皮膚を焼く、刀―――鋼を溶かす。あまり頭がいい方でない、考えるのが苦手な彼女でも、少女が云わんとしていることは分かる。】
【水――――で出来ているのには変わりないのだろうが…如月は実態が分かると、ううむと唸って僅かに後ずさった。】


「……ははあ…そいじゃちょっと……。途中でやっぱり嘘でした、なんてのはいやだぜ?」


【少女に言われて、如月は再び手を伸ばす。明らかの如月の中で、大蛇の存在感とでもいうべき物が変わっていた。先ほど暢気に声を掛けたのはどこの誰か、】
【とでも言えそうだ。とはいえ、そこは危険な好奇心とでも云うべきものが勝利したらしく。伸ばした手は今度こそ引っ込められない。】
【最初は恐る恐る―――やがて徐々に距離が縮まってゆく。左手と頭が、そうして触れた。】
【少女のことは――――その言葉は信用したらしい。触れたこともその証明であるが、なにより生命線である利き手を使ったことが、確固として裏付けている。】


「あー……これはなんともその…」

「うん、なるほどね、よく、よおく分かった。」


【やはり―――――――この蛇、「酸」で出来ているではないか。】
【如月の予想―――半分以上確信を持っていたそれは、やはり、と彼女は思う。感想にもならない感想をしどろもどろに述べて、ひょいっと手を引っ込めた。】
【伸ばすときとは比べ物にならない速度である。それから今度は注意深く、今触った箇所を見つめ始めた。小さく「溶けてないだろうな…」なんて呟く声が聞こえるか―――聞こえないかもしれない。】


「ああ、見えたよ。すくなくともボクにはね。へえー……それはそれは、なにか訳がありそうだねぇ。」

「お菓子か…キミがあげるからじゃないかい?」


【例えばボクなら、そうもいかないさ、な? ―――――とまた蛇には触れない。】
【触るか触らないか、ぎりぎりのところで撫でる仕草をしていた。それから少女の傍ら、欄干に寄り掛かる。】
【夜の月が羽織を薄暗く照らし、すると如月は指輪に気がついた。】


「おや、それにも……ってなんだい? なにか付いてるかい?」


【同時に、こちらを伺う少女にも気がつく。如月は自分を指差して云った。】
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/12(水) 00:24:51.41 ID:s/EZIoTQ0
>>864

【――くすりとした笑いが零れるのだろう、相手のその反応に、――相手がそれどこじゃないとしても】
【ちょっとだけ悪戯っぽい笑いは彼女の幼さの残る顔によく似合う、ちょっぴり子供ぽくて、大人ぽくて、不思議な色合い】

嘘じゃないよ、本当だもん――、ほらね、?

【そんな顔がむうと拗ねたようになる、本当だもんって言葉の子供らしさ、表情の子供らしさとぴったり合って】
【いざ触ったのを見届けるとどこか得意げに言う。大丈夫でしょうって問いかけるように瞳を瞬かせて――しばし、】
【そうして触れ合うのを見ていた。とうの水蛇はというと、なんだか懐くように頭を手にすり寄せて。蛇らしくない行動】
【猫か犬かという様子だった。蛇っていうのはもっと――クールというか、そんなイメージだろうから。少しだけ、おかしくて】

――だいじょうぶだよ、飲んでも大丈夫なくらい。

それにね、通りすがりを骨以下にしちゃう趣味はないの、そういうのやめたんだ、約束したの――……。

【安心させるような言葉を重ねていく、それは、女が手をじっと見つめているのを、見つけたからかも、しれなくって】
【飲んでも――っていうのがどれくらいかはよく分からないのだけれど。まあ、とかく大丈夫であるらしい。本人がいうなら、きっと本当】
【――“やめた”と言ったのは気のせいでもなんでもない。それなら、過去は? ――あんまり、触れない方がいいのかも】

そう、“わけあり”なの。……でも、もうどうでも良くなっちゃった、終わったことなんだもん。
だったらお菓子でも一緒に食べたほうがいいかなって思うの、――わたしの、能力(ちから)なんだから。

【欄干に預けた身体、くるりと回して、欄干の上に肘をついてみる、視線の先では蛇がゆらゆらと揺れていて、】
【やがて見つめられるのに恥ずかしくなったのか蛇がばしゃんと水の中に落ちていく、――けれど、薄らぼんやりと光るのが水中にも窺えて】
【ふらふらと泳いでいるのが上からでも良く分かった、――周りの水に溶けていくなんてことは、どうやらないらしい】

【「そうかなぁ」って言葉のひどく適当な様、“違うと思うけど”なんて言いたげな瞳が瞬いて、女をそっと窺えば、】

【――ぱちりと目が合ってしまう、そうしたなら、少しだけ気まずそうに視線を逸らして】

なんでもないの。……昔ね、わたしも刀を使ってたんだよ。でもね、なくなっちゃった――、
だから、懐かしいなって、思ったの……――刀って、刃がとっても綺麗だからだいすき。わたしのもね、素敵だったんだよ?

【欄干の向こう側に投げ出した手、空っぽのをくるりと翻せば、その掌の中に生まれる煌き、桜色に黄緑色の混じったそれ】
【きらきらきらと何かの形を描くように踊って伸びていく、――数秒もすれば、その手のうちに生まれるのは刀のようなかたち】
【けれど桜色/黄緑色の魔力で作られただけのそれは刃も何もないすらっとした見た目、まるで出来の悪い模造刀のよう】
【その表面を蛇と同じ色をした水が滴って落ちていく、ぴっちゃんと川の水面に王冠を作り出して、そっと消える】

もっと綺麗だったんだよ――すらっとしてて、水のせいできらきらしてて、――ほんとうに、とっても。

【――水から蛇を作り出した、魔力から刀を作り出した、少しずつ、彼女の異能の一端が明かされていくような中】
【贋物の刀を見つめて瞳を細めるなら、その脳裏には過去の得物が浮かんでいるよう。はぁとちいさい吐息が洩れて】
【よっぽど好きだったのだと窺わせるだろうか。だから、得物を持つ彼女をどこか羨ましげに見つめるのだ。いいなぁと、言いたげに】
866 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/12(水) 00:57:16.15 ID:z9X8EsLao
>>865

「……そ、そうだな、ちょっと皮がむけているがね…」


【水泡のような物で、しかしそれは大したことはない。見た目にも、殆ど変化はなかった。】
【両手を合わせてごしごしとやる。もう春先というのに、少々寒い。安堵したからか、彼女は寒気を感じていた。】


「ふーん。や、飲むのは遠慮する。あー…今そんなに喉が渇いてないんだ。」

「それはそうと、約束か……ってことはキミは昔はそういう…」


【如月は自分が酸性の――――強酸の蛇に飲み込まれるところを想像してしまった。思わずうっと唸る。】
【やめた、と少女が云った。となると昔彼女はそのような行為に及んでいたのだろうか。如月の思考は、】
【些か短絡的とも云えるが、そのように回り回っていた。果たして、目の前の少女の過去に――――この幼そうな、それでいて、】
【明らかに自分よりも大人っぽい―――一見矛盾するような仕草、雰囲気の少女の昔に触れようとしている。】


「…いや、そうだな、やめとこう。」


【しかし、少しでもその質問に対して拒むような仕草を見せたのなら、即座に話を打ち切るだろう。】
【少女がどうなのかは分からないが、掘られたくない過去を持つのは如月もまた同じである。そして、】
【まだあっただけの赤の他人に、そのことを追求される気持ち――――それもまた、分かっているつもりであった。】


「くっくっく……いいんじゃないかい? そういう関係≠焉Bボクからすりゃうらやましいもんだ。
 昔はどうなのか分からないがね、今キミ達はそういう♀ヤ柄だろ?」


【見つめる少女――――そして気恥ずかしげな蛇。如月は彼女らを指していった。】
【本心である。彼女は羨望の視線を送っていた。大部分を隠しているため、それは露骨な物ではなくどちらかと言うと分かりにくい、微かな物だ。】
【それでも、少女達を彼女は思っている―――いいなあ、と。過去になにがあったのか彼女は知らないため、無責任と言えば無責任な物だが、】

【それから如月も蛇を見送った。刃がみるみる想像されるのを、最初に蛇と遭遇したのと同じように、半分の興味と半分の好奇心で見つめる。】
【自分の得物とは明らかに異なっているが、しかし自分には無い能力を持ち合わせている少女のそれを前に、目を丸くしていた。】


「…ふぅん…刀が好きか。」


【少女の能力刀と、自分の真剣。如月は双方見比べていた。】
【すると――――なにか思いついたように自分の刀、脇差しの方を腰から引き抜く。鞘ごと抜いたので刃は見えないが、】
【黒塗りの漆が、月光を反射して鈍く輝いていた。相当使い古されているらしく、ところどころ煮塗りが禿げかけている。】


「…―――――どれどれ。えいやっ……。その様子なら、ただ好きなだけじゃないんだろう?」


【すると、如月は少女に向かって――――順手で持った脇差しを振り下ろそうとした。ちょうど正面に、である。】
【先ほどの蛇云々の仕返し―――そもそもなにに対して仕返すのか分からないが、本人はそのつもりなのかもしれず、ほんの僅かに意地悪そうな笑み。】
【が、もちろん本気で斬り込むつもりは無い。鞘越しの一撃であるし、なにより少女が何も反応しなければ、鼻先で寸止めされるであろう。当然傷一つつかない。】

【もっとも、少々不自然ではある。加減しているのだが、それよりもさらに―――――】
【その脇差しの軌道は緩かった。初心者を彷彿とされる剣劇だ。立ち振る舞いには、そう言った点は見当たらなかったにも関わらずである。】
【いうなれば、「反撃したくなる」ような、隙だらけの攻撃(?)だ。事実として、容易に斬り込めそうな気がした。】
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/12(水) 01:22:35.13 ID:s/EZIoTQ0
>>866

【たくさんの酸で出来た蛇が身体に纏わりついてくるのだ。腕に足に首に身体に、全身に数え切れないほど。びっしりと】
【それを見つめる少女は表情ひとつも動かさないで、何も面白いことなんてないというような目で、褪め切った態度で、それを、――】

危ないことはしないって約束したの。それに、……もういいかなぁって、したくないなあって――。
怪我したくもないし、ね。捕まっちゃうのも嫌なら、もうやめることにしたの。全部……、

【――にこりと笑って見せたのが冷たいのから変わる温度差、ひんやりした空気には少しだけ不釣合いで、違和感なりえるよう】
【安堵させるような色の笑顔だったが、完璧に場面と比べたら選択ミスだった。とりあえず、今宵あなたを襲うつもりはないと、】
【それが通じればいいだろう。ひらりと揺らした手に嘘はなく、作り出した刃もまた、そちらへ向かうことはなかった、――今は】

【ひとの命の重さをよく理解できていなかった。何せ自分の命が紙っぺらみたいに薄いよう。そうじゃないと気付けたのはつい最近】
【非道いことをたくさんしてきた。怨み言も聞いたし呪われそうな瞳を向けられたこともある。けれど、どれもこびり付かない】
【血塗れた手なのにそれに罪悪感を持たなかった。そんなところが彼女の異常、けれど、会話するだけなら、困らない】

【上辺だけなら話もする。けれど、実際に何をしたかを明確にすることがないまま、ただ、何をしたかを察するのは容易くて】
【さっきの言葉だって冗談めかして言うようなそれじゃない、もっと必死になって止めるべきだったのだ、強酸に触れようとする人間を見たなら】

そうかな……羨ましい? ほんとうに? ――そういうなら羨んでもいいよ、精一杯。

【――少しだけ顔にドヤ顔みたいな成分が混じった気がした。悪戯っぽく笑うのを、もう少し濃くした色合いで】
【ちょっぴりの上から目線、いいでしょーなんて言う風で、それなら、険悪だったという過去すら嘘ごとだったみたい】
【こんなに冗談みたいに出来るぐらいには険悪さも薄れたということだろう、ずいぶんと平和なことで――】

【(相手が無能力者だと言うのに、或いはまだ気付いていなかったのだろう。だから、羨まれるのが良く分かっていなかった)】

好きだよ、とっても綺麗なんだもの。剣とかよりも刀が好き、武器なら一番好きかも――、――ッ、!

【つぅ――と指先が作り出した刃の背中を撫でる、指先の動くたびに刃が纏う水が動いて、ぱたぱたと地に水玉を描いて】
【或いは恍惚と細めた瞳が薄らと恐ろしい。刃好きというのはよほど珍しいものでもないが、――ひとの命に、直接繋がりそうで】

【――かん!と甲高い音がした。それは振り下ろされた鞘に反応した結果の音響、夜の中にこだまして抜けていきながら】
【驚いたように丸い瞳が少しだけ鋭くなっていた、細いくせに存外力のある腕は手作りの刀を握ったまま、相手のそれと交差させ】
【鼻先に辿りつくよりずっと先に押さえ込んでいた。ただ、それが攻撃よりも戯れに近いのだったと気付けば、ふわと力を抜いて、】

【びっくりした、とでも言うように一息吐くのだろう。刹那褪め切った瞳の色が、ゆっくりと解けるように戻っていく――】
868 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/12(水) 01:39:08.73 ID:z9X8EsLao
>>867

「や、失敬。なに、そう驚くこたあないよ。少なくとも鞘に納まっていれば、酸なんかよりよっぽど安全だ。」


【交差した点から、それ以上押し込むようなことはしなかった。フッと力を抜いて、如月は脇差しを腰に戻す。】
【驚いてこちらを見る少女に、彼女はおどけたように笑った。これでさっきとチャラだよ――――なんて思っているのかもしれず。】


「今は<Lミの刃は奇麗だ。」


【その表情のまま、如月は云った。模造刀と――――そのもっと奥。少なくとも少女を構成する、心の一旦。】
【そのほんの僅かな片鱗に触れた―――いや、「触れかけた」感想である。過去がどうなのか分からないが、】
【今≠ヘ、少なくとも如月にとっては少女は冷淡で非道な人間には見えない。そして、彼女に取って重要なのは今である。】


「ああ、羨ましいさ。羨ましいね、本当に。ボクも仲間に入れてくれないかい?」

「……――――っと、邪魔したね。さて、そろそろボクは行くよ。」


【「今度会ったら、できればもっといろいろな話を聞かせておくれ」。】
【すれ違うときに如月はそう言うと、あるきだす。少女の影と、ゆらゆらと揺れる刀の水――――それらと如月の羽織が交差した。】

【ところが、彼女はふと立ち止まる。】


「…―――――蛇くんにもよろしく。」


【ふと気がついたようにそう言うと、再び彼女は歩き出した。このまま何事も無ければ、藍色の剣士は歩き去ってしまうだろう。】
【もっとも、引き止めることも十分可能だ。声を掛ければ立ち止まる筈である。】
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/12(水) 02:03:51.91 ID:s/EZIoTQ0
>>868

…………、――。

【そう言われてしまえばどんな言い訳だって出来やしない、実際、彼女はお遊びで済まない刀を持っていて、】
【けれど今は驚きが強かったからだろうか、酸性は鳴りを潜めていた。例えば鞘が焼かれるなんてことは、ちっともなくって】
【それなら一安心だろう。剣士にとってはとっても大切なものなのだから――お遊びで傷つけてしまうのは、あまりにも】

――ありがとう、

【少しだけ面食らったような顔をする、そう言われることを予期していなかったような――ぱちり、瞳が瞬いて】
【深淵の闇の色と垂れる血の色、お母さんが取り違えてしまったように異なる色合いの瞳が、手の中を覗き込む】
【確かめるようにぎゅっと握り返して――かつて彼女の刃を染めた血は、もう昔に押し流されてしまったけれど】
【もう汚れてしまわないことをそっと願う心ぐらいは持っていた、――それは、きっと自分のための心だったとしても】
【何にもないよりはきっとまし。平和に生きたいと願いながら毀して歩いた日々は、もう、昔のことであって欲しい】

……気が向いたらいいよ、混ぜてあげる。良かったら遊んであげて、わたしとばっかりじゃ飽きちゃうから、ね。

そう、……――わたし、……わたしね、りんねって言うの。鈴の音って書いて、鈴音。姓はシュトラウス。

【――それなら、別に拒みはしない。それどころか、そっと誘いの言葉まで投げて――受け取るかは、相手次第でも】
【ペットは飼い主に似るという、異能なら尚更だろう。そうだとしたなら、この子はきっととっても寂しがりだと】
【分かっているから、そんなことを言う。――ちょっぴりからかうような色合いで、そっと首をかしげて、】

【刃の先端にそっと指先を寄せる、それからついと両手の幅を狭めたなら、はらはらと崩壊していく刃のかたち】
【残骸はまるで桜の花弁のように煌いて落ちる、――桜色の黄緑色の混じるのは、桜の品種、御衣黄と呼ばれるのにもよく似て】
【そうしながら告げる名前。名と姓の国籍が違うのは、左手にした指輪のせいだろうか。やがて、その手から刀は失せて】

またね。

【その背中に言葉を投げる、それから少し後――ふっと、彼女の居た位置に湧き上がる黄緑色の燐光は、】
【ざぁと彼女の身体を包み込んでどこかへ誘う、華奢なそのシルエットは、まるで御伽噺の魔法みたいに、どこかへ転移して消えた】

/おつかれさまでした!
870 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/12(水) 02:07:20.55 ID:z9X8EsLao
>>869
//すまぬう、眠気がひどいのでこれで…お疲れさまでした!
//こちらも名乗ったということでお願いします!ありがとう御座いました!
871 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/12(水) 18:06:51.43 ID:z9X8EsLa0
【水の国――――――公園。噴水の音が穏やかに響き、もう日が落ちている。夜の闇と、若干の街灯の光が照らしていた。】
【日中の喧噪は、其処には無い。入れ替わるように穏やかで、そして幾ばくか陰鬱な静寂が広がっていた。】


「 (これからどうしたものか……。)」


【若い、独りの女がいた。年齢にして、20代前半程度であろうか。場合によってはそれよりも若く見えるかもしれず、服装はこの地域では比較的珍しい和装である。】
【ゆるやかな着流しの上には、濃藍の――――それはまるで雨≠フような色である。見る物を不安にさせるような、】
【そんな色の羽織を着込んでいた。一陣の風が吹き、その裾を僅かに揺らしている。下半は黒い袴。安物らしく、裾がほんの少しほつれていた。】
【切れ長の瞳は、琥珀のような深い、何処と無く月≠思わせるような色合いである。】

【羽織には、どこかで見たことのあるような――――それこそ、見る人が見ればなんなのか分かる。機関≠フ紋様が、目立たないよう刺繍されていた。】
【銀色で羽織りに映えるそれはしかし、今現在活動の機関の紋様ではない。数世代古い、今ではほとんど見ることの出来ない物である。夜の國支部所属を表す…いや、「表していた」ものだ。】


「まあとりあえず……もうそろそろ一波乱ありそうだ。よっこらせ、きちんと準備をするに越したことはないな。」


【女は名前を如月 氷雨といった。最近この場に訪れた、現在はどこにも所属していない流浪人である。身の回りの動乱が一息ついたこともあり、この付近を散策していたのだ。】
【如月は剣客であった。和装に違わないといおうか。その腰には二振りの得物がある。】
【本差しは立てかけられ、脇差しは腰にあった。多くの剣士達とは異なり、右腰に帯刀している。左利きであるらしい。】

【通常、剣士といえば恵まれた体躯でありそうだが、彼女の場合はその限りではないらしい。】
【小柄で、身体の線も細い。しかし、常人と比べて全く鍛えていないというわけでもなさそうで、】
【つくべきところに、必要な筋肉だけが着いている――――――――そう形容すれば、分かりやすいかもしれない。】


「……――――――――。」


【如月には全く能力≠ニ呼べるものを持ち合わせていそうにない。】
【その身に、その武器に、どこを探しても、一切能力や異能の片鱗が見えないのだ。】
【隠している≠フではなく、元々持ち合わせていない≠謔、で。察しの良い人物なら、雰囲気や細かな仕草から何と無く無能力者であることが推測できるだろう。】


「…せいっ!」


【立ち上がり、軽く準備運動を行った如月は、一声かけるとともに左手を腰に伸ばした。大刀の下の、脇差にである。】
【――――瞬間、シャッ!という音と共に一閃の抜き打ちを、誰もいない中空めがけて放つ。】
【同じ動作を何度も何度も、確認するように放つ。銀色の剣閃が月光を煌びやかに反射し、周囲には鞘と刃の擦れる音が残響していた。】
872 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/12(水) 18:34:42.31 ID:cFuyC5sco
【火の国・温泉街クレーネ】
【火山が多く存在する火の国において温泉が集結している場所だ】
【そこのとある温泉施設の混浴──水着着用が義務付けられている──にて】

ふぅ〜体が安らぐぜ〜体は資本だから大切にしないとな〜

【栗色の逆立ったオールバックの髪や黄土色の瞳に鋭い目つき、引き締まった口に薄橙の肌で身長170cmぐらいの
肌は薄橙の水着の上にタオルを巻いた男がくつろいでいた】
【周りにあるのは湯気だけで客は居らず男一人しかいない】
【男は手を組み背伸びをする。温泉が体に染みこんで悪いものを浄化している……】
【そんな錯覚すらも男は感じる】

はるばるここまでやってきた苦労もこれでチャラだな……ほんとうに良い湯だ

【完全にくつろいでいる様子だった。まだ旅慣れしていない男にとってここまで来るのは結構くるものがあったが】
【それも温泉で全て吹き飛んだ。さてそんな閑静な温泉だが誰かが来てもおかしくないだろう】

/温泉の効能は自由に決めてください。
/またこちらの時間的都合により最後の方は置きレスに移行するかもしれないです
873 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/12(水) 19:16:13.10 ID:cFuyC5sco
>>872を取り消します
874 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/12(水) 21:30:02.10 ID:zc3fqJ4m0
【風の国 公園】

「悪いわね、こんなお世話してもらっちゃって……助かるわ。やっぱり外の空気、偶には吸わないと、気が滅入っちゃうからねぇ」
……気にしないで良いです。正直言うと、なんだかこう言うの、慣れちゃってますから……

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち、額に大きな傷跡が残っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女と】

【薄緑色の病衣に全身を包み、少し安っぽい車いすに腰を下ろしている】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、青色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女が】

【恐らくは散歩道と思われる、草花を快適に整理された区画を、コートの少女がオレンジ色の髪の少女の車いすを押しながら、共に歩いている】

【この国特有の緩い風は、やや肌寒いものの清々しさを感じさせるように吹き抜けて、ざわざわと木の枝を鳴らして】
【こんな時間にあってもなお、街灯が道を明るく照らし出して、数少ない利用者の安全を見守っている】

【コートの少女の身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

「……しっかし、お互いひどく傷つけられちゃったわねぇ……その額の傷、大丈夫なのかしらぁ?」
……この程度、ひどい怪我じゃありません。そっちに比べたら……
「だけど、せっかくの女の子の顔に、傷跡が残っちゃあねぇ……こっちも、跡が目立たない様に、後でちょっとやっておかなきゃだけど」
そんな事……私には、どうでも良いんで……
「ふぅん……でも、相手の方が気にすると思うわよぉ、顔の傷って言うのはさ……」

【病衣に隠れてこそいるが、オレンジ色の髪の少女は、上半身の胴体部のほとんどを包帯に巻かれており、特に左肩は厳重に巻き付けられている】
【かなり響く傷なのか、時折ノイズの様にその表情が顰められて】
【コートの少女は振られる言葉に応えながら、淡々と車いすを押して散歩道を進んで行く】
875 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/12(水) 22:03:01.99 ID:zc3fqJ4m0
/>>874取り消しでー
876 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/12(水) 22:50:52.69 ID:1mP0/Brr0
【某国、ある程度大きな街の大通りに面した公園。時間が時間のため、そこにはあまり人気がなく】
【雲の見えない寒空から星やら月やら、ついでにいうなら一本だけ心許なく光る切れかけの街灯が照らすばかり】
【遊具などもあるにはあるのだが、この暗がりに静けさで、遊んではしゃぐ子供たちも居なくて】

【そんな夜中の閑静な公園に一人、よろよろとした足取りで入ってきた細身の影があった】


『―――何が、痛みが続くならまだ病院にいろ、だよ…原因が分からなければ、治せもしない癖にさ…!』

【それは若い女性だった。やや童顔であれど、一応成人一歩手前くらいの人間が入口近くのベンチを目指して】
【腹部を左手で抑えて、何かの苦痛に耐えかねるような表情。右手の指を喉元にあてて、唇を動かさずとも声が鳴るのは些か不自然な現象で】
【やがて誰もいないベンチにたどり着くと、どさりと音を立てて腰かける。その時に、件の点滅した街灯が彼女の姿を映した】

【―――グレーのフリルブラウスと着崩した黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルトをブラウスの上から巻いて。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカット。そんな、夜の闇に溶けてしまいそうな暗い配色の少女】

『――――――にしても…まさか、出先でまた…“再発”する、とはね…!』
『あーくそ痛い、痛い、痛い…っ!嫌だよもう…何なの、これ…!』

【背凭れに体を任せて、ぐたりと脱力する様子はどこか仕事帰りの疲労した人間にも見えた。が実際はそうではないらしく】
【まだ星の見える空を仰いで薄らと眼を細めたなら、深く、はぁーと息を吐く。寒さのお陰か、吐息は白くなって、また消えた】
877 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/12(水) 23:08:17.11 ID:6emZgyOIo
【廃ビル】

【今夜の月は少しかけていたが晴れた月夜だ。しかし、雷のような銃声と光がその廃ビルの一室から見えた】

【機関だかなんだかの襲撃によって街自体が放棄されてしまったこの一角】
【道路だけは申し訳程度に整備されて、壊れたビルなんかはそのままで極少数の人間がポツポツ住んでいるのみ】
【防犯上の理由で自警団なんかがたまに見回りしているがチンピラすら殆ど寄り付くほど何もない】
【そんなこの場所に、今夜は青いクーペがあるビルの前に停まっていた。路肩に止めてあり珍しいので目につく】

【ある一室から明かりが漏れている。割れた蛍光灯の代わりにランプが灯り机の上に置かれている】
【広げられたカバンにはいろいろな種類の銃が置かれていた。―――パン!と乾いた銃声が1発】

………上手くいかねえな。やっぱ

【何もないただっ広い4階のフロア、壁に貼り付けた人型のターゲットマークには幾つもの弾痕があった】
【窓に反射して射手の男の姿が映る。黒い髪に黒いレンズのサングラス。スーツの上に茶の革のロングコートを着ていた】
【構えていた自動拳銃をおろして、ランプのある机へと歩いて行く。拳銃を投げて、飲みかけの缶ビールを手に持った】
【ぐいとそれを飲んで、撃ち尽くした拳銃の弾倉を抜く。彼は一つ一つ空の弾倉に散らばった銃弾を込めていった】

【銃声で誰かに気が付かれるかもしれないが…まあ、どうせ通報するような迷惑かける相手も此処には居なかった】
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/12(水) 23:22:50.86 ID:s/EZIoTQ0
>>876

【かつ、ん、――遠くで足音がして、それに少し遅れてから漂ってくるのは、清い冷たい水の香り】
【暗がりの中に真っ白な肌とまあるく浮かぶ二つの煌き、黒色と赤色の瞳が、ぱちくりと瞬いたなら】
【真っ直ぐにふたつ並んだのがそっと斜める刹那がある、首を傾げたような挙動で揺れて、――そのまま、ふらりと】

【獲物を見つけた肉食動物よりはいくらか優しい挙動で近寄ってくる人影があった、なんにもないなら、そのまま傍で佇んで――】

……どうしたの、だいじょうぶ?

【掛けた声は不思議に鈴の音とよく似た声音、冬の夜にはずいぶんと冷たいのに、不思議と人間めいた暖かさを持つ声音は】
【今宵何の害意も悪意もなく少女に向けられる、ただ心配したような仕草は――相手の言葉が、聞こえていたのだろう】
【そんな言葉に釣られてきたなら、凡そ善人らしい立ち振る舞い、「飲む?」って聞いてから差し出すのは、未開封のココア缶】
【泣いている子供に餌付けするみたいに。そっと差し出して――その返事を待つ、ほんの数秒間の沈黙】

【――真っ黒い髪の少女だった。黒色と赤色の瞳、まるで蛇の目のようにまあるいのを、ぱちぱちと何度か瞬かせて】
【傾げた首の仕草に流れた髪が耳元を晒す、右にだけ付けられたピアスは、月白色の宝玉の欠片をあしらったもの――煌いて、】
【腰元を編み上げた後ろバッスルのワンピース、腰元のおっきなリボン飾りが、ふわりと猫又の尻尾のように揺れ】
【寒そうに身体に纏わせたマントはフードがついたもの、夜風の吹くたびにひらりふわりと揺れる、風の子を孕んだように】
【さくりと地面の土粒を踏み潰す足元はかかとの高いレースアップのパンプス、全体的に黒尽くめなら、溶け込み度は相手よりも或いは上なぐらい】

怪我してるの? それなら、外に居ないで家で――、……

【「寝てたらいいのに」】
【きっと向けられた瞳はそんな意味合いを持つのだろう、心配するような、少しだけ呆れるような、そんな視線の色】
【決して病院に行けと言い出すわけでないなら何らかのこだわりでもあるのだろうか、僅かにそれを窺わせて】

帰れないの? ……送って、いこうか、?

【――けれどそんなことまで言い出すなら決して悪いひとではないようだった、裏も他意もない真っ直ぐな言葉、そっと向けて】
【その親切に頼ってみるのも手を払ってみるのも少女次第、そのどちらの選択だって、誰が強制できるようなことでもないなら】
【既に何度目だろう、またぼんやりと首を傾げながら、現れた黒尽くめの少女はただその返事を待っていた】

【(欠片とは言え、宝玉を身につけていた。それなら、きっと彼女はいわゆる普通のひとたちとは違っていて)】
【(その濃厚な気配に隠れていたけれど、彼女自身が纏うものもどうやら人間とは違っていた。それが、違和感になるのかも)】

/まだいらっしゃいましたらー
879 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/12(水) 23:57:27.65 ID:1mP0/Brr0
>>878

【―――びくり、と肩を震わせて、空へと向いていた顔を声のする方向へ。その驚き様は見ようによっては滑稽で】
【目を細めて、自分よりも闇に溶けてしまいそうなその黒色を漸く視認すれば、軽くそこで会釈をするだろう】
【そこにいたのは優しそうな少女、それも自分の大好きなココアを持って―――どうやら自分の状況を察して声をかけてくれたらしい】

【しかし一方で宝玉の気配、雰囲気など、何やらただものではなさそうな要素を見つけては怪訝そうな表情で】
【彼女の善意にはまだ表情を綻ばせることは無く、しかしそれに相反して声のトーンは柔らかいものだった】

『――――――ありがと、優しいね…っ…まぁ、怪我って訳じゃ、ないんだけれどさ…っ』

【人差し指を喉元に、口は動かさず―――それでも腹話術のように声が響いた】
【その不思議な発声方法が、何らかの能力だと考えるのは容易だろう。少なくとも、この場で腹話術をする人はいない】

【痛みの原因である腹部からそっと左手を離して、差し出されたココアを受け取る。今はまだ、開閉せず】
【怪我でないなら何なんだろうか。病気か、それとも何か別の要因があるのか…或いは、彼女も分かっていないのか】
【ただ、無事でないことは確かなんだろうけど、詳細なことはまだその少女が語ることは無くて】

『―――生憎と、ここから家が遠いんだよ…出張帰り、みたいなものでさ。少なくとも、国一つ分は遠い』
『流石に、一緒に飛行機に乗ってまで、私について行くわけにもいかないだろうしね?』

『…そう、だな。もし良かったら、近くに宿屋とか、あるかな…今日はもう、帰れなさそうだから…』

【不運にも、仕事先での体調不良らしく―――話によれば、違う国の人間だから家まで寄り添うのは不可能だとか】
【代わりに、鈴の音のような彼女に一つだけ違う頼みごとをする。帰宅自体はもう、諦めているらしい】
【風邪引きのような弱った声で、彼女の親切に頼るようにそう懇願してみるのだが―――】

/おねがいしますー
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 00:29:31.60 ID:XJJCkarp0
>>879

【気付いてくれたとなると幼さの残るあどけない顔つきがふわと緩む、大丈夫なひとだと伝えるように、淡く笑って】
【珈琲に落としたミルクみたいに真っ白な肌が寒さに薄らと赤らんでいた、それなら、血の通った人間だって、分からせるように】

…………、――。

【そんな彼女が一瞬言葉を無くす、というよりも、一瞬不可解だというような目をして、黙りこんだのだ】
【――彼女の話しかたがずいぶんと不思議なものだったから。そちらに意識を取られてしまったのだろう、ぱちくりと】
【元から丸い瞳をいっそう丸くして瞬く数秒、ちょっぴり失礼かもしれない仕草、わざとではないのだけれど、】

気に、……なったの。調子が悪そうだったから。……怪我じゃないの? じゃあ……、

【「なあに?」と尋ねる声がどこかふわふわしていた。腹話術みたいな彼女の様子が不思議で、けれど心配で、どっちつかず】
【痛いいたいと言っていたのが聞こえていた、たまたま通りがかっただけだったけれど、聞こえてしまったなら】
【ふーんそうですかと帰ってしまうのも忍びない、それを気にするぐらいの余裕は、持っているつもりだったから】

【ココアを受け取ってもらえたならそっと瞳を細めて笑う、じんわりと暖かいなら、少しぐらい癒しになってくれるだろうか】
【かきりと開ければ彼女だってだいすきな甘さが待っている、本当は自分で飲みたかったのだけれど――まあ、たまには、こういうのも】

う……、それは、ちょっと……できないけど、……宿屋? 待ってね、調べてあげる。

【――流石に今から飛行機、というのは無理があった。困ったようになる表情、しゅんと下がる眉が子供っぽく思考を洩らして】
【魔術の練習をもう少しきちんとしておくべきだったかという思考が過ぎる、そうすれば――或いは、送ってやれたかもしれないと】
【考えても今更遅い、出来ないものは出来ないのだし――それなら自分に出来ること、宿探しぐらいは、と頷く仕草があって】

【隣に座ってもいいかと尋ねるのだろう、いいと頷いてやれば、そのすみっこにちょこんと座り込んで】
【取り出した携帯電話、かちかちと入力していくなら、素直にそれを実行しているらしいと、窺わせた】

……お金とか、だいじょうぶ? どれぐらいがいいとかってあるかな、……ごめんね、この辺り詳しくないの。

【「わたしのおうち、夜の国だから――」】
【申し訳ないようにそんなことを言う、そうして尋ねたことは、どれぐらいのランクの宿屋を所望しているのか、ということ】
【あんまり突飛に高いのを持ち出してしまっても困らせるだけだろう、或いは――ひとりで探しに行ってしまったほうが早かったかもしれないけれど、】
【怪我人だか病人だかをひとりで置き去りにしてしまうのもどうかと思って。それなら、この場でこうして探すのを選んだ】

それ飲んで待ってて、ちょっと冷めちゃってるかもしれないけど――……。

【――やっぱり基本的に悪い子ではない様子だった、それなら、宝玉持ちだとしてもよっぽど警戒することもないらしい】
【かちかちとボタンをプッシュする音ばっかり響かせているが、話し掛ければ応答もするだろう、――少女にその余裕があれば、だが】
881 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 01:10:46.61 ID:ZcmeaODU0
>>880

【少女の反応―――自分の喋り方に対してだろう、というのはちゃんと分かった】
【慣れている故に思うことも無く、むしろ驚かせちゃったかなと心配するくらいで。それで普通に喋ることはないのだけど】

【気になった、と言われたら少しその無表情に、クスリ、と薄く笑みを咲かせた―――ような気もする】

『―――さぁ、なんだろね?…病院に行っても、詳しいことは分からなかったから…私にもさっぱり』
『一応、心当たりはあるんだけど…まだ、明確にはよく分からないかな』

【首を傾げて、ココアを持った左手を上げて…「お手上げ」と言う風におどけて見せる。少し楽になった、ようにも見えて】
【怪我でも病気でもないとしたら、何なんだろうか。病院でも分からなかったなら、ただの腹痛、とかでもないらしい】
【心当たりがある、とは言ったがそれについての深い言及は無いあたり、自身の推測にはあまり自信は無いようで】
【―――カノッサ機関の六罪王、そのの一人と戦って、その際に貶められた…と言っても、信憑性に欠けるものだし】

『―――ふふ、ホントにありがと。付き合わせちゃってごめん…埋め合わせはいつかさせてもらうよ』

【思った通りの反応と表情、と言ったところか。謝罪らしき言葉を告げるも、困ったような少女を見る彼女はどこか楽しそうだ】
【助けてもらってはいれど中々にこの人間、いい性格をしているようで…馴れ馴れしい、とも言うのだろうか】
【尋ねられれば「どうぞ」と隣を明け渡して―――ココアのプルタブを開けて、端末を弄る様子をただぼっと眺めて】

『うーん…近ければ、何でもいいよ。どれだけ高いトコでも一泊出来るぐらいなら、持ってるからさ』
『シャワーとベッドとか、宿として最低限の設備がついていれば大体良し…かな』

【贅沢を言う元気も無く、というか元々言うつもりもなく、宿として機能していればそこでいいとか】
【金銭についての問題はないらしい。どれだけの超高額ホテルでも近ければ、そこに泊まりかねないぐらいで】
【シャワー、ベッドの無い宿なんて逆に探すのが面倒だろうし、やはり候補の条件は「近いこと」が一番か】

『猫舌だから、別にこのくらいならむしろ嬉しいくらいだよ。悪いね、もらっちゃって…』

【遅くはなってしまったけれど、彼女へとココアを貰ったことに対する礼を述べるのだろう】
【そうしてから、片手でココアを口へと持っていく。まだ体調は芳しくないのか、なんともその様子は気だるげであった】
882 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 01:11:04.37 ID:ZcmeaODU0
>>880

【少女の反応―――自分の喋り方に対してだろう、というのはちゃんと分かった】
【慣れている故に思うことも無く、むしろ驚かせちゃったかなと心配するくらいで。それで普通に喋ることはないのだけど】

【気になった、と言われたら少しその無表情に、クスリ、と薄く笑みを咲かせた―――ような気もする】

『―――さぁ、なんだろね?…病院に行っても、詳しいことは分からなかったから…私にもさっぱり』
『一応、心当たりはあるんだけど…まだ、明確にはよく分からないかな』

【首を傾げて、ココアを持った左手を上げて…「お手上げ」と言う風におどけて見せる。少し楽になった、ようにも見えて】
【怪我でも病気でもないとしたら、何なんだろうか。病院でも分からなかったなら、ただの腹痛、とかでもないらしい】
【心当たりがある、とは言ったがそれについての深い言及は無いあたり、自身の推測にはあまり自信は無いようで】
【―――カノッサ機関の六罪王、そのの一人と戦って、その際に貶められた…と言っても、信憑性に欠けるものだし】

『―――ふふ、ホントにありがと。付き合わせちゃってごめん…埋め合わせはいつかさせてもらうよ』

【思った通りの反応と表情、と言ったところか。謝罪らしき言葉を告げるも、困ったような少女を見る彼女はどこか楽しそうだ】
【助けてもらってはいれど中々にこの人間、いい性格をしているようで…馴れ馴れしい、とも言うのだろうか】
【尋ねられれば「どうぞ」と隣を明け渡して―――ココアのプルタブを開けて、端末を弄る様子をただぼっと眺めて】

『うーん…近ければ、何でもいいよ。どれだけ高いトコでも一泊出来るぐらいなら、持ってるからさ』
『シャワーとベッドとか、宿として最低限の設備がついていれば大体良し…かな』

【贅沢を言う元気も無く、というか元々言うつもりもなく、宿として機能していればそこでいいとか】
【金銭についての問題はないらしい。どれだけの超高額ホテルでも近ければ、そこに泊まりかねないぐらいで】
【シャワー、ベッドの無い宿なんて逆に探すのが面倒だろうし、やはり候補の条件は「近いこと」が一番か】

『猫舌だから、別にこのくらいならむしろ嬉しいくらいだよ。悪いね、もらっちゃって…』

【遅くはなってしまったけれど、彼女へとココアを貰ったことに対する礼を述べるのだろう】
【そうしてから、片手でココアを口へと持っていく。まだ体調は芳しくないのか、なんともその様子は気だるげであった】
883 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/13(木) 01:24:25.06 ID:iMKSBS0x0
【とある国のとある街、そして街外れの人の姿などない公園にて】
【先週までとは打って変わって綺麗に月の光が公園に差し込んで、街灯なども公園を照らしている】
【昼などには子供たちが遊んでいるがいまは家に帰って寝ているだろう】

【そしてそんな夜が更けた公園に一人の人物がふらりとこの公園にやってきた】

 ふむ、私が研究所に引きこもっている間に世界が動いていたな 

【若い顔に金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

【彼は一人心地にそのようにつぶやいてからベンチに静かに座る】
【座った後にどうやって中に入れたのかわからない新聞を取り出して読んだ】

 正義組織のアリーアサドが逮捕か、罪状は内通
 何を考えているのだろうね水の国の警察は、まぁなにかたくらんでいるのはまちがいないか
 機関としては喜ぶべきニュースかな

【新聞の中身は前に言われていたアサドという人物の逮捕についてだった】
【なぜその古い情報を知らなかったのかというと彼が研究所に引きこもっていたからである】
【だが彼にもこの情報は古いという自覚はあるようで】

 とはいえ、私が何もすることもなく出てくるだろうさ
 彼の仲間が動くだろうからね

【そのようにいってから一息ついて、新聞をとじる】
【いまの気温は夜であるからか寒く感じられる】
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 01:26:52.87 ID:XJJCkarp0
>>882

【時が時で場合が場合ならもっと変わった反応も見せたことだろう、もっと子供みたいに驚いて見せた姿とか、】
【そういうのを見られなかったのがちょっぴり残念なようでもある、けれど、今宵の出会いだから見せる表情も、きっとあるはずだから】
【――例えば心配する表情とか。普通に会話する分にはあまり見られるものじゃあないだろう、だから、ちょっぴり、珍しいもの】

変なものを食べた……とかじゃ、ないんでしょう?
心当たりがあるの? ――治しかたは? 寝てれば大丈夫とか……、……。

【まさかここに来て賞味期限切れの牛乳、とかでは無いだろう。だから、少しだけ冗談めかして、そう尋ねる刹那】
【心当たりがあるのだといわれれば治し方も分かるんじゃないか、なんて淡い期待。けれど、こうしているのを思えば――】
【――段々と小さくなる語尾が“分からないんだろうな”というのを理解していくのと同期していた。そうして、言葉を切って】

ううん、いいの――……、……そう? なら、期待しておくね。

【ふらりと揺らす頭、気にしないでという風な言葉が優しげに響く、言葉の持つ温度が、余計にその息を白くさせた錯覚】
【少しだけ悪戯っぽく笑って見せた顔、言ってはみたけれど、言葉のお礼だけでも十分という様子だった。礼目的ではないのだと、】
【すぐに分からせる。最初から損得関係なしに声を掛けたのだろうと、察させるものが、何か、あるようだった】

分かった、……近いところね。――気にしないで、ココアぐらいなら、お安い御用なの。

【こくりと頷く、ただでさえ真っ白い顔は液晶の明かりに照らされて余計に白くなる、それでも浮かべる笑みがあったなら】
【いくらか血の通った人間みたいに見える幕間、そうして数分ほど、携帯電話を操作していたのだけれど――、】

こことかどうかな、結構近いみたい。ご飯は付いてないけど……安くって、
こっちはもう少し遠いけど、ご飯付いてるの。ちょっと高くなっちゃうけど――。

【――やがて目ぼしいところを見つけて来たらしい。そっと相手に見せるようにする携帯電話の液晶、表示されているのは】
【ここから少し歩いたところにある宿と、もう少し歩いたところにある宿と、その二つ。違いと言えば、食事の有無ぐらいで】
【お金も大丈夫というなら、ご飯を食べたいかどうかぐらいだろう。そこは、少女の好きに決めてもいいはずだった】

【――どっちというのを告げれば、かちかちとまた操作。どうやら電話を掛けるようで、】
【なんにもなければ空き部屋の有無を確認することになる。具合の悪いひとを無駄に連れ歩くのも、ということだろう】

885 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 02:08:14.15 ID:ZcmeaODU0
>>884

【心配している、と分かるその顔を見て、優しさを実感する。それを顔に出すことは苦手らしく、表情は依然固い】
【何にせよ、会話をしていたら痛みも和らいできた―――気がする。言葉が途切れ途切れでなくなっているのがその根拠と言えて】
【―――ふと、考える振り。食事によるものではないとは思っているのだけど、一応記憶を蘇らせて】

『―――最近食べたものの賞味期限は、切れてなかったはずだけどね…怪しいキノコとかも食べてないし』

『――――――それも、全く分かんない。痛くなる時と、痛くない時があるんだけどさ』
『治し方についてはまだ何も…なんかこう、古傷を、抉られているような…そんな痛みなの、分かるかな』

【痛みには周期があるらしい。最初に言っていた“再発”なんて言い回しは多分そのことだろう】
【原因も分からない自分の症状を説明するのは些か難しくて、そのせいかあやふやで、良く分からない】
【だがその話によれば、やはり特殊すぎる症状。怪我とも病気とも言えぬ―――呪い、とも言えそうなもので】

【「うん、期待しておいて」と告げたなら、何をしてこの借りを返すべきかを考えるのだが】
【如何せん、頭が働かない―――更にいえば経験不足とも言うべきか。何をすれば礼と言えるのだろう、と】
【相手はきっと、言葉だけでもいい、と思っているのだろうけど―――それではやはり、こちらの気が済まなくて】

【次会った時は、彼女にまずココアでも奢ろう―――なんて計画を立てつつ、照らされた顔を見入る】
【―――夜闇であまり見えなかったけど、真っ白だな、とか、彼女を見ながらぼんやりと考えていて】
【自分もきっと、日に焼けている方ではないけれど、彼女に比べればまだまだ。そうしてる内に、彼女がこちらを向いて】
【やがて、見つかったらしい宿の候補を二つ提示されたなら―――数秒だけ、考え込むだろう】

『―――…そうだな、じゃあその近い方にしよう、かな?』
『今は別にお腹すいてないし、朝はあんまり入らないし…うん、近い方がいいな』

【結果、食欲より怠惰の方が勝ったらしい。泊まった時をシミュレーションし、近くて安い方の宿を選ぶ】
【流石に食事を残すのも気が引けるし、そういった無駄遣いはしたくない。なにより、近いなら―――なんて安直な思考で】

【自分が宿を選択し、相手が電話をかけ始めれば、また彼女に貰ったココアをちびちびと飲んで】
【電話中に話すなんてわけにもいかないし、空き部屋確認のその結果を待つばかりで】
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 02:22:01.90 ID:XJJCkarp0
>>885

【少しでも癒しになれていると知ったなら、きっと彼女は喜んだだろう。或いは、気を逸らしているだけだとしても】
【ぎりぎり痛いのに苦しみ続けるのはきっと苦しいから。ほんの束の間だとしても、救えたなら――きっと、いいことだから】

古傷……? 台風の時とかは傷むっていうけど……、……きっと、違うんだよね。
……なんだろうね、分かんない……、――病気とか、詳しかったら、良かったんだけど。

【「そっか」と紡いだ声が少しだけ残念なようにも聞こえただろうか、そこに理由があれば楽なのに、と考えているような】
【しょんぼりとするように伏せられる睫毛、たっぷり貯えたのは長さも十分あって、色の異なる二粒を精一杯に飾っている】
【ぱちくりするたびに長いのが余計に良く分かる、髪の毛と同じ真っ黒色。他に何の色もない、綺麗な黒色だった】

【――なんにもわからなかった。ほんの欠片の手がかりもない、思い浮かぶこともない、それなら、本当に無力】
【それを噛み締めるような一瞬の沈黙、変わりにかちりと携帯のボタンを押して――それで、場を持たせる】
【何にも出来ないとなると歯がゆいものだ、初対面だって――不思議な縁だって、繋がったふたりなのだから】

【生まれつき白いのだろう、それがさらに太陽のない国に暮らして、ひどくなっているような】
【あんまりお日様に当たる生活をしていないのだろうことは窺えた。そうでなければ、こう白いのは維持できないのだし】
【けれどよっぽど不健康に見えるというのでもない、なんだか――上手い具合に、プラス方面の色白で収まっているのだった】

【――そうして場面が変わる、ぺこぺことしながら電話を切ったなら、ふうと吐息をひとつして】
【「空いてたよ」と告げるのはちょっぴりだけ焦らすようにしてから。そんな吉報とも言えるのを告げて、】

【ふわりと立ち上がればスカートが夜にたなびく、ひらりと翻ったなら、顔よりも或いは白い太ももの一端が見えて】

……じゃあ行こう、歩ける? 負んぶは出来ないから、頑張って欲しいけど――、……手伝うから。

【携帯電話を片手で弄びながら、もう片方の手をそちらへと差し出すのだろう。その白磁の細腕は、握ったら折れそうなほど】
【体重を掛けたならぱっきりしてしまいそうに細いけれど――まあ、これで生きているなら、そう脆いということもないから】
【必要なら頼ってしまえばいいだろう、そうでないなら、立ち上がるのをその片手で支えてやろうとして――】

…………あっち。歩いて十分掛からないぐらいだと思う、……でも、ゆっくりめに行こうね。

【――携帯を持ったままの手で“あっち”の方を指差すのだろう、大まかな距離も告げて、もう一度地図の確認】
【「よし」なんて呟けばぱたんと携帯電話を閉じる、それからポケットに押し込んで――暗記、したらしい】
【問題は少女がどれぐらい歩けるのかというところ。心配げに窺うのだろう、ちまちまとした手助けを、きっとしながら】
887 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 02:59:17.76 ID:ZcmeaODU0
>>886

【やはり分からない―――予想していたとはいえ、依然情報は掴めず。医者が分からないなら、無理も無くて】
【だがしかし、それ以外のことで彼女は尽くしてくれたのだから、感謝しつくせないのは変わらずのこと】
【風邪の時に誰かに甘えたくなるような、きっとそんな感じ。ともあれ、彼女には色々世話になってしまった】

【―――分からないことを考えていても、埒が明かないのだろうな、と目を細めて】
【そろそろ移動するだろうし、持っていたココアを一気に飲み干す―――そして、電話が終わるのを確認して】
【どうやら部屋はまだ空いていたらしい。少しどきどきしつつも、そのニュースを聞けば安堵の息を漏らす】

『―――ん、大丈夫。歩くくらいだったら、自分でも出来るハズだし…』

【それだけ告げたなら喉に当てた右手で、差し出された手をしっかりと掴むのだろう】
【160を少しくらい越える身長、にしてはその体は軽いことだろう。40kgをやや上回る程度】
【一応自分でも起きようと足に力を入れたこともあって、割と簡単に立ち上がることが出来たけど】

【近くにあったゴミ箱に向けて、空になったココアの缶を放る。からんころんと缶同士で音を響かせて】
【指さされたあっちの方向を見て、所要時間やらを聞いて―――そんな近くにあったんだな、と驚く】

『へぇ、ホントに近いね…探してくれてありがと。あと、そう心配しなくてもいいんだよ?』
『話し相手が出来たおかげで、少しは楽にもなったし…まぁまだちょっとは痛い、けどさ』

【改めての礼の言葉と、相手に心配をかけないように紡いだ強がり。時間を取らせたくない、というのもあって】
【何にせよ、最初よりましになったとはいえよろよろとした足取りで、探してくれた件の宿へと向かうだろう】
【肩を貸そうが、手を取ろうが、恐らく拒否はしないだろう。ただちょっとだけ、申し訳なさそうにするだけで】

【―――歩きだしたなら、それと同時、何かを思い出したかのように彼女の顔を見て】

『――――――名前、そういえば聞いてなかったよね』
『私は…喋り屋、だとか、トーカー、って呼ばれてる。別にそれ以外で呼んでくれてもいいけど…君は?』

【―――切り出したのは自己紹介。あからさまに、名乗ったその名は本名ではないのだろうと分かるが】
【挙げられた選択肢で呼ぶのも、それ以外に呼び名を考えるのも、彼女の自由らしい】
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 03:19:22.28 ID:XJJCkarp0
>>887

【余談だが、電話があんまり得意な方ではなかった。なんというか、顔が見えないのが好きじゃなくて――】
【その向こう側であかんべでもされてるんじゃないかと思うと気が気じゃない、そんなだから、どうしたって】
【最初の頃は声が上擦っていたようだった。いやにぺこぺこしてたのも、きっと、そんなのがあったからで――】

そう……、なら、良かった。……でも、無理しないでね?

【百六十センチの身長に厚底を足したのが彼女の今の身長で、それなら近い目線、身体つきだってなんとなく似ているよう】
【彼女だってひどく華奢だった。どうにも頼りがいがないが――まあそれは仕方がないだろう、我慢してもらうとして】
【よいしょと起こしてやればあともうひと頑張り。きちんとホテルまで送っていく、それが彼女に残されたお仕事】

【からんと缶たちが奏でる音階を聞いて、ひどくざっとだが説明もして。それから、「じゃあ行こうか」なんて】
【声を掛けて誘うのだろう、目的地はそう遠くない、元気だったなら、ほんの数分でたどり着いてしまうような――】
【ちょっぴり具合が悪くたってよっぽど歩かされるわけじゃない、それなら、この公園の立地に少しだけ感謝するよう】

……――どういたしまして。

【――心配しなくてもいいなんて強がり、気付いていたって気付いていなくたって、並んで歩く歩調は変わらなくって】
【転んじゃったりしても平気なようにすぐ横に立つ、ちらちらと気遣いながら、歩く速度をぴったり合わせて】

りんね。鈴の音って書いて、鈴音。鈴音・シュトラウス――、

――喋り屋。トーカー? ……うん、分かった。

【名前を尋ねられたならすぐに自分の名前を名乗って返す、告げたのは櫻風の名前で、なるほど見た目と対して違いもない】
【それで居て苗字だけ国籍が違うようなのは、――左手の薬指嵌められた銀の指輪、それがきっと、関わっていること】
【ぱちくりと瞬きこそしたものの、あからさまに本名でないのはあんまり気にした様子がなかった。慣れているような――】

【――「喋り屋さん」って鸚鵡返しする、覚えたって風に頷いて。それで、今度こそきちんと歩き出したなら】

【宿屋までの少しの間。ぽつぽつとどうでもいいようなお話を振ってみるのだろう、それは間を埋めるように】
【気まずくならないように気にしたみたいに、至極平和めいた、どうでもいいようなお話ばっかり並べて】
【やがて辿り付けばさっき電話しただのなんだのをフロントで言って、部屋までついていく】
【最後に部屋まで送り届けて、ちゃんと部屋に入ったのを見届ければ、ふーっと長い吐息を吐いて、】

【――ホテルに入ったくせに出て行く姿がなかった。それなら、監視カメラに映った彼女の最後の姿は】
【廊下に佇んでいるところに黄緑色の燐光が生まれて、くるりと彼女の身体を包んでどこかに転移させる、術式のかたち】
【監視カメラの故障か何かみたいにその姿はどこかに消えて――きっと夜の国へ――そのまま、戻ってこなかった】

/すいません眠気が強いのでこのあたりで……おつかれさまでした!
889 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 03:53:55.24 ID:ZcmeaODU0
>>888

【眠たげとも言えるような、伏し目を向けて、数秒ほどかけてその名を咀嚼するように】

『―――鈴音。鈴音・シュトラウスか…君に合う、いい名前だね』

【覚えやすい名前、と最初に思った。次にやはり、櫻の国の人なのかな、とも推測して】
【櫻の国に行ったこととかも思い出したりして―――そういえばあっちの人たち、黒い髪だな、と気付く】
【りんね、という名を同じように繰り返して、その字を頭の中で思い浮かべて、記憶に深く刻む】

【―――櫻らしい名、そして容姿。それを見たからこそ違和感のある苗字にやや首を傾げたが】
【彼女の左手、薬指に光る銀の指輪を見て、ああ成程と納得して―――ちょっとだけ、羨ましいな、と思ったりもした】

【彼女の話に相槌を打ったり、答えてみたり、はたまた冗談を言ってみたり―――すぐに、その宿にたどりついて】
【あの痛みと戦っている最中で、彼女が来てくれたことといい、近くに宿があったことといい、その幸運を噛みしめる】
【「ありがとう」とまた薄く笑んで、繰り返し礼を告げたりでもしたのだろう。それからフロントで鍵を受け取り】
【そして部屋まで付いてきてくれる彼女を見て、世話焼きな人、とか思って―――それでも悪い気なんてしないのだが】
【部屋に入る前にまた礼と共に別れの挨拶をして、ゆっくりと扉を閉めて―――そのまま、ベッドで寝てしまうのだろう】

【朝にはきっと、痛みも無かったかのように消えて―――いつにない、清々しい目覚めとなるのだろう】
【監視カメラに映った奇妙な光景、なんて噂を聞き流しながら、次に会った時までにお礼を考えておこうなんて思いつつ、その宿を後にするのだった】

/乙でした―ありがとうございました!
890 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 19:19:21.77 ID:YIGGqNg2o
【―――作戦開始時間:一九二〇】

【今宵、偵察任務を帯びた諸君はゼン=カイマ郊外の森林で車から下ろされ】
【まずはおよそ10分ほど歩いて、その中心部への潜入を開始することになる】
【先に手渡されていたのは教会でよく使用されるローブと、都市の地図だけ】

【ローブは使用すれば一般的な信徒に扮装できるだろうし、フードを被れば顔も隠せる】
【地図は、大まかな見取り図だ。何処に何があって、何処を行けば逃げられるか】
【つまり逃走経路まで書いてあるが――裏を返せば、自分で歩いて帰って来いということで】

【諸君が任務を受注した相手はゼン=カイマ同様の教会勢力。派閥が違う、とはいえ】
【驚異的な力を持つ相手の偵察がこれでは、如何に適当でお粗末な集団であるかが伺えるというものだ】


【さて、夜の森林浴を終える頃には都市の光が見えてくるだろうか】

【第一に目立つのは中央の大聖堂。既に明かりは落ちていたが、月の明かりは健在で】
【ステンドグラスを多用したその構造からして、きっと内部を漁るには十分な筈であり】
【――ちょっとした、邪推だが。得てしてこういう古く、如何にも『中枢』という建物には】
【何かしらの仕掛け――秘密部屋だとか、地下への階段だとかがあったりするものだ――多分】

【一方で静謐を保っている古めかしい建物は、地図によれば第三近衛騎士団用の館と見える】
【こちらは囲いも門扉も付いていて、『表の入り口』には白銀の鎧を装備した兵士が二人】
【小さな庭も有るのだろう。木々の中に佇むその館の窓からは、仄かに光があふれている】
【とはいえ、外灯は無い――そろりそろりと歩んでいけば、裏にも回れるようだった】

【対照的に騒がしいのは大会堂だ。普段であれば、恐らく大人数での聖書朗読やら】
【或いはそれに準ずるお勉強のための場所、とでもなっているのかも知れないが】
【今夜の騒ぎを見ると、今は食堂なのだろう。前夜祭と言っては、少々教派として好ましくないが】
【もしかすると一般の教徒から何かを聞き出せるかもしれない。ただ、身分がバレればかなりマズイ事になるだろう】

【或いは意外性を狙うのであれば、図書館なども有る。こちらは完全に照明が落ちており】
【また都市の内部だからか鍵も掛かっておらず、当然監視の目も存在しない】
【ただ、何かあるかといえば――分からない。物を隠すにも、人を探すにも、もっと適切な場所がある】
【だから、此処に来る必要性は薄いように思えた。強いてくるというのなら、扉は開いているのだが――】


【それから――もっと大穴を狙うなら、人通りの少ない外をぶらぶらとするのもいいかもしれない】
【誰かに会えるかもしれないし、そうなれば話しを聞けるかもしれない。何かを見る可能性もある】
【が、それらがない場合も有る。何もしないよりはマシだがちょっと望み薄な選択肢だといえるだろう】

【さて、諸君は選ばねばならない。巡礼の前夜、様々な思惑が渦巻くこの宗教都市ゼン=カイマにおいて】
【一体、何をどのようにして探りたいのか――それを明確にして、直ぐ様行動に移さねばならない】
【無論、逃げるところまで頭に置いておくのも重要だったが。一九四〇――作戦開始の時刻であった】

/『ゼン=カイマ偵察任務』の開始文となります。参加者の方はこちらにレスをお願いします
/また、今夜はよろしくお願い致します!
891 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/13(木) 19:49:45.52 ID:J1LfDZcyo
>>890

【―――"装備は現地調達"。はて、この言葉、どこかで聞いた事の有る台詞だとは思わないだろうか。】
【某有名ステルス・ゲームの主人公が置かれた過酷な状況を思い出して、女―――セリーナ・ザ・"キッド"は当惑した。】
【いくらなんでも手薄すぎる。いや、潜入捜査という名目を考えれば妥当と言えば妥当なのかもしれないが、それにしても、という感じだ】

【時刻は"一九四○"、つまりは作戦開始の時間帯を示していて。ローブの奥から取り出した懐中時計をそっとしまい】
【彼女は被りなれた特徴的なテンガロン・ハットを外し、これもまた背中の方へと回しておく。流石に、この帽子の上からでは】
【いかに教徒の使用している共通ローブと言えど、『何だあのガンマン!?(驚愕)』となるのは目に見えている訳であって。と言うか】
【自分のような顔の知れている人間が普通に潜入など出来るのだろうか、今の今になって気になりだしていたのだが―――まあ、良い。】


  (さ〜て、武装は最低限、"相棒"とライトニングが二挺のみ、S.A.Aも無いから大勢を相手にした戦闘だけは避けたいところ。)
     (アタシの情報収集能力は限られてるし、恐らく身を隠して潜入する事はあまり向いてない筈だから―――と、なれば。)
        (得意の会話能力を活かせる場所に赴くべき、ってのはあながち間違いじゃないと思うんだけど。よしっ、決めた!)


【ローブに身を包み、その下には"いつもどおり"の格好をしたガンマン―――セリーナ・ザ・"キッド"は歩みを進める。】
【まずは自分の得意とする会話能力を使って情報収集をしようと、人間が多い所にまぎれることを計画した。】
【尚流石にバレるとまずいと考えているのか、声色を変える為に『んっ、んんっ、あ〜』等と喉の調子を整えている辺りが】
【非常に馬鹿馬鹿しいというか、彼女らしい所でもあって。ともあれ、彼女の足は自然と、人の気配が多い場所へと向く。】
【即ち、それは大会堂―――教徒が晩餐会を楽しんでいる場所だ。ただ、何よりも哀しいのは】


   (うおっ! なんだかすごい人だねぇ、しかもあちこちに美味しそうな物がたくさん―――っと、いけないいけない。)
   (お酒に目が眩んで酔っ払って身分バレ、なんて流石に笑えないからね。しかもこの数が相手じゃ、とてもとても。)
   (慎重に行くよ、慎重に――――……)
  
      ――――んっ、んっ! ごほん。 この声で大丈夫かな。
         ―――いやはや、流石に今夜は賑わっているねぇ。
            みんな、何か素敵な事でもあったのかな? 色々あって此処最近の情報に疎くてね。
              ちょっと、話でも聞けると良いんだけど―――……あ、僕にもそこのワイン、貰えるかな。

【―――ちゃっかり酒を頂こうか、なんて考えているくらいのスタンスそのものであって。矢張りこの女、バカだった。】
【とはいえ、仲間の情報にも関わっているゼン・カイマに関する情報収集だ、流石に気が抜けている、という訳ではないが】
【バレない為にもとりあえず自分も楽しんでおこう―――という考えらしい。相変わらずなのはおいておいて、彼女は作った声で】
【とりあえず男と言う設定なのだろうか、まるで宝塚か何かの劇団員のような仰々しい迫真演技で、晩餐を楽しむ教徒に話しかけるだろう。】

/セリーナ・ザ・"キッド"です!
今夜は宜しくお願いします!   
892 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 19:57:34.39 ID:njGZAzi9o
>>890

―――ちょっと面識ある程度の私にこんな事頼むって、あの男は何を考えてるのかしら……
瑚蝶も「試したい事があるから行って来い」って、それなら自分一人で行きなさいよね……

【ぼやきながら森を抜けて来たのは一人の少女。溜め息の後、蒼く鋭い眼で手にした地図を確かめて】

【煌めく銀の長髪は頭の高い位置、一つに束ねたポニーテール】
【赤を基調としたドレスと西洋鎧を合わせた、所謂鎧ドレスに身を包み】
【背に担うは長短一振ずつの剣。交叉した様はまるで十字架の如く】

【……といっても、今夜はその上にローブを羽織っているのだが。】

えーと……どこを見に行くのがいいかしら……
やっぱり……大聖堂?如何にも、って感じだし。

【――少女は、ゼリシュ・フェーブス。どこにも所属していないが、正義組織のメンバーの代理としての参加である】
【ちなみに、当のそのメンバーはと言うと。「いやほら、友達の友達じゃん?行きにくいじゃん?」等と云々】

【ともあれ、ゼリシュが目指すのは中央、大聖堂。時計を確かめれば怪しくない程度の早足で、歩みを進める】
【―――その少し後ろ、人ならざる気配の塊≠ェ後を追う様にして漂っていた】

……一先ず、何か怪しい物とか人とか隠してないか探してみようかしら。

【その気配も、他者を害する様子どころか何かする様子すらなく。今は捨て置いて構わないだろう】
【ただ、そういったものを悟れる人間が見たのなら、明らかに怪しいとバレてしまうのだが。】

【何か隠されたものはないかと探りつつ、ゼリシュは大聖堂へと向かって行くのであった……】


/ゼリシュ中身で御座います、宜しくお願いしますー!
893 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 20:00:01.78 ID:YIO54/Ux0
>>890
【手渡された物を纏ったならば馴染みの姿。手首にロザリオを提げてれば一見神を信仰する修道女】
【地図の大体を頭の中に叩き込み、後は暫くの間不要とばかりに仕舞い込んだならば歩き出し】
【――――今宵ばかりは、銀の双銃も腰には提げて居らず。代わりとして、二振りの短剣が腰には提げられていた】


「ふふ…………何だか知った顔も見えるけど。みんな今日は宜しくね
なーんだか団長サマのお偉いお偉い演説を聞いてみたら険悪な雰囲気が教会中に漂ってたけどさ
――――皆と色々話してみたいけど、それはボク達が…………ああ、違った。“私”達が無事に帰れたら、という事になるのでしょうか」

【ニコリと愛想の良い笑いを浮かべたならば、他の受注者へと言葉を投げかけるけど】
【何処か、殺気立っていた。無論、此処に集った者達に対してで無いのは明白だが――――ただ、偵察であるという事を改めて確認すれば、そんな気配も身を潜め】
【仲間達からの言葉があったならば返事もそこそこに、目的の場所まで歩み始める事だろう】


「さ、て…………訪れてみれば、存外に大きなものですね
フレデリックならば果たしてどんな場所に彼の秘密を隠すのでしょうか
――――いえ。考えてみれば此処一体が彼にとって神聖な地。ならば…………」

【言葉も変わり、雰囲気も変わり。死神たる由縁も今は消してしまったならば、此処に居るのはただの一介の修道女だ】
【彼の信仰心は偽物では無い。だからこそ、可能性は色々と考えられるが…………見れば見るほどに怪しく感じる】
【依頼内容を果たすとしたら、第三近衛騎士団用の館。大聖堂。大会堂の三つに搾った方が効率が良いか】

【――――自然と、足は大聖堂へと向かっていた。大会堂の中を潜り抜けるのは難しい、と判断したのだろうか】
【大聖堂に特に情報がないならば、次は第三近衛騎士団用の館で団長や副団長の事について探っても良い】
【…………そんな考えの下に、先ず選んだ先。大聖堂】


「先ずは神聖な場所…………逆に、信徒が多く訪れる場所から探って行きましょうか
フフフ――――尤も。その場所に何か不穏な物があったならば、流石大司教“様”と讃える所ですが」

【その最中で擦れ違う人々が居たならば穏やかな笑みのまま、神の加護を表す短い一節でも読み上げて挨拶とするのだろう】
【神を信じない。逆に言えば、考え方を変えれば幾らでも神を肯定する言葉も捻り出せるのだから】
【特に障害も無ければ、辿り着いたと同時に中の探索を始める筈だ。説教台は勿論の事、司教座等々も】
【怪しいと思われる場所に目を付け次第、辺りに警戒しながらそれとなく探ってはみるけれど】

/グリース・イムリンパルス中身です!
/宜しくお願い致しますですよっ!
894 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 20:01:14.53 ID:Xs0PciCro
>>890

【森林を抜け、その人影はゼン=カイマ中央大聖堂の近くに立っていた。人目を避けて大聖堂の横に付き、まずは周囲の様子を伺っている】
【小柄な人影だった。ローブをすっぽりと被って顔と体のラインを覆い隠しており、人物像ははっきりとしないが……月光を受ければ、黒色の瞳が僅かに輝いて】
【その正体は、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的な少女であるだろうか】
【漆で染めたように艶めく黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差してはいるものの、この地から遠く離れた櫻の国≠フ特徴が色濃く感じられ】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしている】

(ふぅん…………)

【それらの身体的特徴は、ローブで隠れているとはいえよく目立つ。しかしそれでも、少女はここに至るまで、誰にも怪しまれてはいないはずだ】
【目立たないよう行動してきたというのも、勿論ある。だがそれ以上に――――空気を塗り替えるような神聖≠ネ雰囲気を、少女が纏っていることが大きいだろう】
【普段はそれもまた彼女を目立たせる一因でしかないのだが、いまはそれが聖堂の荘厳な雰囲気にこの上なく調和している。傍から見れば、立派に信者に見えるはずで】
【――――無論、ただの信者などではないのだが。彼女は今宵の探索任務を請け負った四人のうちの一人、幸徳井佳乃という少女だった】

(いつまでも見ていても、しょうがないわね…………。とっとと行きましょうか)

【佳乃はしばらくそうしていたが、やがて決意するようにすっと目を細めれば、正面突破とばかりに大聖堂の正面入り口へと歩いていくだろうか】
【纏う神聖な雰囲気はもちろん、聖堂の威容にも任務の重圧にも全く負けない堂々とした歩調のお陰で、怪しまれる確立は今のところ少ないといえるかもしれない】
【このまま誰かに止められたりしなければ、佳乃はそのまま門戸を押し開き、内部へと踏み入ることになるだろうか――――】

【そうして聖堂内に入ることに成功したのなら、佳乃はまず周囲を見渡すだろう。目的は安全確認と内部構造の把握だ】
【中にいる人間の数、設置されている内装、何か怪しそうな器物などなど。ローブの下の表情をきっと引き締め、佳乃は矯めつ眇めつ何か≠探す――――】


/幸徳井佳乃です、よろしくお願いします!
895 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 20:02:49.22 ID:YIGGqNg2o
>>891

【大会堂へ向かったのなら、下手に潜入≠意識しないほうが正解かもしれない】
【たやすく開く扉の向こうに居るのは、ゼン=カイマ麾下の敬虔な騎士連合の諸氏であり】
【大宴会でこそないものの、皆久々の再開とおそらくは起こるであろう戦いに高揚しており】


『――っかァー!しかしあれだなぁ!新しい大司教様ってのはスゲェお人らしいじゃねーか
 前の爺さんもお優しい感じで悪くなかったが、今回の若くて厳格な感じは中々だぜ!』

「なんでも騎士団長になるまでも相当に苦労してるらしいからなぁ……
 聖地巡礼なんて最初からかっ飛ばしすぎだと思ったが、案外計算ずくだったりして――おう、ッ?」

『んだぁ?そりゃおめぇさん、第三近衛騎士団のフレデリック様が大司教になったのよ!
 そんでなぁ、私が不正を正すッ!ってな具合で聖地巡礼……風の国に行くんだけどよぉ……』

「向こうの司教……金も女も戒律破りのお偉い様共が、着々と準備を進めてるって話でよ
 俺達は近衛騎士団ほどじゃないが騎士の端くれだ。普通の信徒を守るために……
 ……ついでに、聖人ヨナに勇姿を見てもらうために武装して……おっ飲むか?飲め飲め!」


【――その点、セリーナの作戦は悪くない。多少酔っ払った教徒の一部、騎士たちが流暢に応対してくれた】
【大会堂にはおよそ5列の長大な机の列が有るのだが、どうやら此処の列はこういった騎士たちの場所らしい】
【単純な信徒――神を信じて付いて行くだけの者は端にいて、もう少し静かだが――尚、ワインは溢れんばかりに注がれて差し出された。チーズ付きだ】

【一方で奥を見れば何人かがテーブルを囲んで居て、宛ら円卓の騎士≠ニいった具合だ】
【どちらに意識を向け、何をするかは自由。そこらに座り込んで普通に食事をしたって構わないだろう】
896 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 20:10:08.08 ID:YIGGqNg2o
>>892>>893>>894

【大聖堂に向かったのならそれを邪魔するものはない。元より公に開かれた施設だ】
【時間帯も合って周囲には人もいない。正面の大扉は開かないが、隅の小扉は音も立てずにすぅ、と開いて――】


「――しかし、本当に良かったのですかオズムンド司教……?
 フレデリックは確かに有能です。ですが……彼には色々と、問題も……。」

『それはカノッサ機関とつながりが有るという噂かね、ビトレス司教?
 ……だとすれば看過するより他にあるまい。彼は昔から敵を多く持つ……
 誰かの心ない嘘ということもある。だが、本当であれば……それでも、我々には力が無い―――。』


『……ともあれ、我々には今、彼という若い力に全てを託す他ないのだビトレス司教。
 私達はもう老いてしまった……同じ司教にありながら、その腐敗を見逃してしまった
 その罪は深い……。彼のように、少しばかり強権的であっても、それを正すためならば……』

「致し方ない、と……。……そう、なのかもしれませんな。
 マッキンリー司教が彼に殺された時は動転しましたが、公に彼を批判する度胸は私には無かった
 ……時代のうねりには、神の教えも逆らえぬと……そういう事なのでしょうか、オズムンド司教……。」


【――入る前後で、そんな会話が聞こえてくるだろう。ガランとした大聖堂の奥、長椅子に二人の老人が居るのだ】
【彼らは互いに高位の者が身にまとうローブを着ていて、そして何より『自由に動ける司教』であるらしい】
【今回の任務、拘束された司教を開放せよというのも任務目標だったが――さて、問題はここからだ】

【三人の修道女に扮した皆がどう行動するか。今のところ、大聖堂には二人の司教しか居ない様子】
【オマケに彼らはまだ侵入に気付いていない上、どうやらお話も溜め息とともに終わりのようで】

【放っておけば、彼らは大聖堂の奥に消えていくだろう。そこには司教たちの執務室か何かが有るはずだが】
【一方で、やはりこういう施設で怪しいのは祭壇か、その奥の神像か――それとも壁際に配置された無数の本棚だろうか】
【ちなみに、本棚の一つに背表紙が全て真赤な一つがあった。ただし、一冊だけ抜けていて未完成だ――。】
897 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/13(木) 20:28:57.43 ID:J1LfDZcyo
>>895

【元来、ガヤガヤとしている場所を大得意としている以上、恐らく溶け込むのはそう難しい事ではないのだが】
【それにしてもこの騒ぎよう、対照的に静かにしている一部を除けば、なる程かなり舞い上がっていると見て良い様だ。】
【聞こえてくる単語を一つ一つ、脳裏に刻み込む。といっても、こういった騒がしい場所での情報収集のコツは考えすぎないこと、である】
【少し肩の力を抜いて、勿論声は流石に変えたままだが、差し出されたワインを上機嫌で受け取ると、愉しそうにその会話に加わっていく】

  (前の爺さん、ってのが誰だかはいまいち分からないけれど、少なくとも大司教の変化があったのは確か、か。)
          (そしてそれが件のフレデリック、情報にもあった近衛騎士団の団長サマ、だったかな。なる程ね。)
             (そして巡礼と称して彼方此方に火を吹っかける準備中で、今夜はその前夜祭……オーライ。)

   おお、"あの"勇猛果敢で名実共に歴代随一と名高い騎士団のフレデリック様が! いやはや、世情に疎いのは
             僕の一番の欠点でね、と言うのも此処数ヶ月は怪我をして暫く寝たきりの生活だったんだよ〜。辛かったなあ。
                けれどそれも今日でおしまい、禁酒も解禁さ!それじゃあ皆でフレデリック様の栄誉を祝い、かんぱ〜いっ!
                                  

    ―――それにしても、聖地巡礼で風の国に遠せ……こほん、風の国を訪れるとはね。行動が早くて流石だ!
      僕も病気が直ったし騎士として志願したいくらいだよ。それで、その巡礼はもう明日から開始するのかい?
           もしそうならこうしちゃいられないね、僕も鍛えて強くならないと―――っと、美味いねこのチーズ!

【もう、それはもう自然と馴染む、馴染む。良い具合に出来上がっている騎士の一人と肩まで組んじゃって】
【ワインをぐいっ、と煽る姿はさながら酒豪だ。乾杯の音頭までとって、ノリノリである。が、一方で別のグループに対しても】
【絶えず視線をまわし続け、その様子を観察する。此方のお遊び騎士とは違って、向こうは少し"気合"が入っていそうに見える。】
【話を聞きだすのは難しそうだが、逆に言えば彼等はより大きな情報を持っていると考えるのもまた当然であって。セリーナは自然に】
【奥のほうに佇む、"いかにも"といった風貌の騎士達へと近づいていく。その手にはチーズと生ハム、パンを載せたお盆を持っていて】

    
   やあ! 君達も皆みたいに盛り上がらないのかい? それとも、ああいうバカ騒ぎにはうんざりしてる手合いかな。
           もしそうだとしても、そうじゃなかったとしても、ここの料理は最高だから皆で食べるといいよ、ほら!
                 それからワインも上物だ、流石は我等がフレデリック様の巡礼前夜祭、ってところだよね。

【出来るだけ、彼らと親交を深められるように、と。ワインや料理の載った盆を"分けに来た"という体で近づく。】
【少々騒がしい印象は残しつつ、大騒ぎをしている彼等を(先程まで一緒に騒いでいたのに)直ぐに腐すことで】
【自分も少し静かに食事を楽しみたいグループなんだ、とアピールもしつつ―――はたして、これがどうでるか。】      
898 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 20:32:24.15 ID:Xs0PciCro
>>892 >>893

………………。

【いざ正面突破と思って手を掛けれれば、出鼻を挫くように閉じたままの大扉に、暫時突き刺すような視線を注いでいたとか……そういう話はさておき】
【他に人影はない……あの車の中で顔を覚えていた、同じく大聖堂の調査を選んだらしい二人を除けば。佳乃はそちらに、ちらりと視線をやって】
【任務が任務だし、そもそもこの少女に他人と親しく話すスキルなどない。アイコンタクトだけに留め、特に言葉を交わすこともなく他人のフリをしようとするだろう】
【……この任務の前から少しだけ面識のあったグリースには、そのあまりの変わりように、露骨に『気持ち悪い』と言いたげな視線を送るかもしれないが】


>>896

(カノッサ機関…………ですって?)

【気配を殺して司教たちの話に耳をそばだてれば、幾度か刃を交えたことのある組織の名前が佳乃の眉間に皺を寄せた】
【フレデリック・シャリエール……まさかと思う前に、納得してしまう。普段の彼の素行を知らない佳乃には、彼について狂信者≠ニいう悪いイメージしかなくて】
【――――司教たちが去っていく。実のところ、佳乃がこの大聖堂を選んだのは「人が少なそうだから」という理由が大きい。人付き合いが極端に苦手な少女だ】
【故に少々気にはなったものの、佳乃は彼らを追う事はないだろう。代わりに彼女が調べに行く先は――――祭壇の奥にある『神像』であるだろうか】

【この場の信者とはまた違った形で、少女もまた神≠ニ強い関わりのある人間だ。そこが気になったのは、手掛かり云々よりもそういう興味が原因だったが】
【一度調べると決めれば、それを隅々まで調査しようとするだろう。何か仕掛けや、不審な点などは無いだろうか――――?】
899 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 20:34:15.61 ID:ALb5nKQoo
【――路地裏】

「……!」

【路地裏をふらつくのは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【死んだ眼で、服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

【右手には、黒曜石の様な未知の素材で出来た折り畳み式ナイフ――】
【――この男は、あなたを見付けると……正面からいきなり飛びかかり、刺そうとするッ!】
【気配、物音、かわす材料は十分。但し、殺気が不十分なところは気になるか】 【実際、回避しなくとも左肩の上の方を怪我するだけだ】
900 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 20:37:16.01 ID:YIO54/Ux0
>>898

【そんな視線の意を汲み取ったか、クスリと笑う様子には以前のらしさが覗えるけれど】
【場所と状況だからか、軽口が出る事は無い。代わりの応答としてウィンク一つ飛ばされる程度――――か】

>>896

(色々と問題も、ねぇ…………ボクからすれば団長サマは問題だらけだ
――――まっ。ボクも人の事を言えるようなたまじゃ無いけど)

【司祭達の話を耳に入れれば、全ての者がフレデリックを完全に認めている訳でも無いのだと知るけれど】
【それが今は攻撃の材料になる事は無いだろうし――――きっと、本人自身が一番その事を分かっている筈だ】
【そのまま司教達の跡を追って奥へ入るか、それともこの一帯を調べるか】
【依頼内容は――――司教達についてと、第三近衛騎士団について、そしてゼン=カイマの巡礼を行う者についてだったか】

【――――最後のものについては、仲間の一人が大会堂に行ったから良しとしようか、なんて考えて】
【司教達は…………もしかしたら先程話していた二人が知っているのだろうか。追ってみれば、様々な情報が得られるのだろうけれど…………】
【第三近衛騎士団達の情報を得るならば、やはり館が確実か】

【ちらりと周りを見れば、自分の他にも二人。ならば、此処は任せてしまっても良いだろうか】
【本棚や老年の者と気になる事は沢山在ったが――――きっと、手分けした方が効率良く情報も得られるだろう。そんな判断】


【老年達がこちらに気付かずに去った事を確認すれば、序でに周りへと視線も向けて】
【仲間以外誰も居ない――――その事を確認したなら大聖堂から出て行く事だろう】


「第三近衛騎士団は兎も角他の司教達はあの通りっと…………一応コレも報告内容でしょうか
さて、大聖堂はあの方々にお任せして…………私は第三近衛騎士団用の館とやらを調べてみましょうか
何しろ依頼内容の一つをこなすにはこの場所が一番相性の良い様な…………見張りが二人」

【次に目指すのは第三近衛騎士団用の館。そう、第三近衛騎士団についての情報を仕入れるためだ】
【自ら本拠基地に入るなんて飛んで火に入る状態だが…………仮にも暗殺に長けた存在。裏口から侵入すれば、そのまま中へ入ろうとするけれど】
901 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 20:42:20.98 ID:eYCd3q8Yo
>>898>>900
>>896

【辿りついた大聖堂、どうやら他にもここを選んだ者がいたようで】
【しかし、元々知り合いはそう多くない。二人とも初対面ならば掛ける言葉も特に無く】
【漏れ聞こえる声に息を殺しつつ、小扉を潜れば溜め息までも耳に入って】

【―――納得できる事態ではないが反発する事もできない、といった具合か】
【だが、それにどうこう反応している場合ではない。こちらは探索する事を目的としているのだ】
【彼らが奥へ消えるのを物陰に隠れて待って、行動を開始】

大司教様が機関と繋がってるってどうなのかしらね、っと……怪しい所は……
―――私はここ、調べてみるわ。

【月明かりに照らし出された内部。気になるのはざっと見て三ヶ所】
【その内からゼリシュが近付いたのは――――祭壇。】

……瑚蝶、何か変なモノとか、無い?

――――そう急くでない、少し待て。

【小さく声を掛ける先は、他の仲間ではなく背後の気配。返る言葉もまた小声】

【祭壇の周辺、何か妙な気を放つものがないかと、気配の方が探り、】
【ゼリシュの方は祭壇を物理的に調査する。足元やら何やら小突いてみたりして】
【二段構えの調査、という形になるだろうか。何か発見はあるか――――】



/少し飯抜けします!
902 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 20:46:14.34 ID:YIGGqNg2o
>>897


「そうそう、あのフレデリック様がだぜ!近衛騎士団自体は何百年って
 歴史があるが、第三≠ニ名のついたのは言葉通り三回目でな?
 つまり、あの人は史上三人目の超が付くほど優秀な騎士団長様ってワケよ!」

『腕も立つし頭も良い!オマケにちょいとお固いがルックスもイケメンだ
 ……いやぁいいよな……俺もあの人くらい背が高くて強かったらよォ……。』

「止めとけやめとけ!良いこと無いぜ?嫌ってる奴も多いし……あ、巡礼か?
 そりゃお前、今日は前夜祭だからな。明朝には此処を出て、夕暮れには着くはずさ
 なんなら一緒に行くか?初陣が聖地巡礼だなんて一生の語りぐさだぜ――あっ、ちょっ……!!」


【肩を組んだ騎士団長を褒め称え、もう一人はそれを羨んで気を落とす】
【どうやら評価は様々らしいが、騎士団長の実力自体は余程のものらしいことが分かるだろう】
【『カンパーイ!』なんて言ってすぐに元気を取り戻すのは酒の力。普段であれば敬虔な騎士とこうは行くまい】

【――だがセリーナが盆に様々な食物や酒を載せて奥に向かった時はそのローブを掴んでまで止めようとした】
【結局それはかなわず――それが良かったのか悪かったのかは分からないが――近づけば、聞こえるのは怒声で】


『だから…ッ!何度言えば分かるんだ、我々もヴィンドも同じ教会の信徒ではないか!
 それを貴様、同じ神の下僕に刃を向けろとはどういうことだ!
 ゼン=カイマの大司教だろうが、第三近衛騎士団の長だろうが、そんな理屈は無いッッ!!
 大体貴様は人間ですら無いだろうか!知っているのだぞ、副団長加賀屋、ッ―――!!?』

「人権侵害、言うんですよォそういうの……北方担当のアレクサンデル騎士長はん……?
 そら確かにあっしは人じゃあないから、鬼の権利ですけども……話聞けないンは、アンタだけですよォ?」

「―――うン?見ない顔ですけど、信徒の方ですかねェ?……なァんか、…、……キミ、男のヒト?」


【壮年の男が声を荒らげて、奥に座っていた角隠し≠ノ道士服風のデザインのローブを着た】
【もう一人の男――その人物を罵倒していた。恐らくお偉いさんの会議場か何かだったのだろう、が】

【罵倒された方はにこりと笑ったまま、壇上に飛び乗って壮年の男性の顔を右手だけで握りこむ】
【その爪は尖り、人でないことは明らかだったが――そこに入り込んだセリーナを見ると、鼻をクンクン、と動かして質問をした】
【周囲の他数名は膠着していた。その視線はこんなかんじだ――『空気を読めこのバカもの』――と。】
903 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 20:52:54.09 ID:YIGGqNg2o
>>898>>901

【司教らを見送り、祭壇の傍に近寄ったなら、その古さと背後の神像の巨大さ、威圧感がさぞ強まることだろう】
【この木と石材を組み合わせた祭壇は、恐らく長年大人数が手を置いたせいか両縁が磨り減っており】
【仮にそこに手をおいたなら――僅かに祭壇が動く℃魔ェわかるだろう】

【それを単に古くて立て付けが悪いと見るかはその人次第だ。ちなみに、祭壇の前後は赤絨毯が引かれているが】
【丁度、祭壇の前後で別の布を利用している。―――つまり捲れる、ということだ】

【また一方、祭壇の上には赤い装丁≠フ聖書が置かれている。古いものだが上等な品だ】
【日々、司教や大司教がコレを読むのに違いない。何か小さな紙切れが挟まっているのも見える】

【また神像を調べたなら、それそのものには何もないことが分かるだろう】
【――が、気配や魔力に詳しければ分かるはず。その像の内部、奥深くには何か――】
【非常に強力な魔力をまとったアイテムが埋め込まれているようだった。】
【神の像、そして古き都、となれば――。得てして、触らぬ神に祟りなし≠ニ言うものだ】

【一方で祭壇や神像の空間を調査できるのなら、その下方に空間≠ェ有ることが分かるだろう】
【石畳の下に、ということだ。つまり――それに小突けば、僅かに音が鈍い気がする筈だった】
904 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 20:56:19.57 ID:YIGGqNg2o
>>900

【移動して裏口に回ったのは正解だろう。入る際に誰かが見張っていることもなく】
【まず右手には厨房とその倉庫、左手には階段の下に扉があったが――コレも倉庫だろう】

【となると、廊下を奥に進んで左手の上に向かう階段か、更に奥の広間に進むか】
【或いは裏口とほぼ同じ箇所にある別の扉を開けて見れば鍛冶場≠ノ辿り着くだろう】
【どちらにせよ、まだ進んでみないことには何もわからない。人気は――厨房に一人だ】
905 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/13(木) 21:10:35.94 ID:J1LfDZcyo
>>902

【―――あとで思えば、此処で足を止めておくべきだったのだろう。大人しく大騒ぎ(矛盾)して居ればよかったものを】
【好奇心とこういう場に馴染む自身の能力を過剰に評価していた事が災いとなってしまったのを、セリーナは冷や汗を垂らして確認】
【イケメンだとか、背が高いだとか、ワインがどうのとか、そういう会話の中に戻ろうとしても今更、という事だろう。聞かれた事には答えねば】

   
  (―――……やっち、まったねぇ、こりゃ……いやはや、どういう会話かもう少し探りを入れてから来るべきだった。)
  (とはいえ、聞こえてきた情報は一つ。"あの大声で怒鳴ってた爺さん"は、今回の巡礼には否定的、ってことだね。)
  (いや、もうこうなってくると否定的だとかそんなレベルじゃあ、ない。むしろ非難してるくらい、か……となると、だよ。)

   あ、……あっははははははは! いやあぁ、そのね、なんていうかほら、ちょっとお酒が回ってて、
   気分が良くなっていたと言うか、、うん、まあそういう事なんですけど〜……う、うう……(視線が痛い……!)

【何とか取り繕うと、盆を早々に元の騎士達が大騒ぎしている方へとフリスビーよろしくブン投げて、セリーナを止めようとした】
【あの騎士に受け取ってもらえるように目配せ。いや、もうこの際下に落っこちてぐちゃぐちゃになっても仕方あるまい。】
【ワインの瓶は手で後ろへと隠し、『あははは、ご、ごめんなさい……』と、力なく呟く様は痛々しい事この上ない。】

【が、しかしだ。】


   (―――様子を鑑みるに、あのお爺さんをとっ捕まえてる"男"―――ありゃ、人間じゃないのは確かだ。)
   (聞こえてきた情報が確かなら、副団長というのも確定。という事は、大きな情報源ということ。)
   (出来れば仲良く行きたいところだけど―――残念ながらアタシは、武力行使で人を黙らせる男が、大嫌いだ。)

              (そもそもこの状況、場を収める事が出来たらアタシは―――ふふっ。)
  

【ピンチは常に、チャンスでもある。このいざこざをどうにかする事こそ、セリーナに与えられた急務だと、そう判断し。】
【セリーナは恐れず、ずいと前に出る。右手で壮年の男性を捕まえたままのその"副団長"へと近づいていって、そして―――】


   信徒の―――そう、信徒の"ジュリアーノ・イーストウッド"と申しますっ!
    実はついこの前までちょっと病気で寝込んでまして、副団長様が顔を見知らないのも当然かとお、おもいま――――


     

                         ――――ふぁっくしょい!!


【近づいていって、顔面の目の前で。思い切り、くしゃみをした。勿論、本物のではない。演技のそれだ。】
【がしかし、間違いなく涎は飛んだであろうしなによりこの状況、このタイミング、この緊迫した空気の中で、これだ。】
【訳の分からない名前を名乗ったセリーナはこの世の終わりとでも言いたげな表情でハンカチを取り出し、急いでその顔を、拭こうとする】


  あ、あ、あああああああっ! も、もうしわけございません副団長様ッ! いや、その決して、わざとではないのですがっ!
  なにぶん久しぶりに酒を飲んだもので鼻がなれてなかったのか、この地に伝わる芳醇なワインの香りにやられてしあいましてね!
  嗚呼大変だこれは大変だ、すぐに綺麗にしないと――――!


【―――そう、ここでセリーナが取った行動は"あえて"場の空気を更に掻き乱す、ということだ。】
【失礼を働いたのが先程の"お偉いさん"であるよりも、新参者のセリーナである方がまだ、場の収まりは良くなるだろうと】
【すくなくともこのまま貴重な"巡礼反対"を掲げる人間が痛い目にあうのだけは、居ていられず―――彼女は大博打に、打って出た。】
906 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 21:19:07.87 ID:Xs0PciCro
>>903

(……………この感じは…………)

【神像をひとしきり調べ上げれば、佳乃はすぐにその内部の何か≠ノも気付くだろう。こういった力の探知は得意分野だ】
【問題となるのは……それをどうするか、である。今度の任務と関係のあるものであるかもわからないのに、まさかいきなり破壊して取り出す訳にも行くまい】
【だとすれば、像を傷付けない範囲で調べてみる他ないだろう。そう考えた佳乃はふっと息を吐くと、半身の体勢になって右手を引いた】

――――白刃龍紋流・捌の太刀、『八卦』!

【小さな発声と同時――――佳乃の右手に、白銀に輝く力≠ェ纏わりつくだろうか。そして一度息を吐いた後、佳乃は右手を像へ押し付ける!】
【その力の正体は、櫻の国で神気≠ニ呼ばれるもの。強い聖≠フ属性を帯びた、紛うことなき本物の神の力≠ナある――――】
【そして佳乃の使ったこの『八卦』という奥義は、『神気を物質へ浸透させる』というものだ。つまり、この行為の意味は単純】
【神像に自身の聖なる力を流し込んで、内側にある何か≠フ反応を見ようというのである。もし何かが起きたなら、佳乃はすぐにそれを察知するだろう】


>>901

下に、何か空間があるみたいね…………。

【………また、その行動が如何なる結果をもたらすにせよ。佳乃は掌底のために左足を踏み込んだ際、足下から響く異音を察知するだろう】
【こうなるともう、隠し通路の存在を疑わずには居られない――――ゼリシュが調べている祭壇の方に、何か手がかりがあるのではと】
【壁の本棚のことも忘れたわけではない……佳乃はちらりと後ろを振り返って、ゼリシュに情報を伝えるだろうか】
907 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 21:19:13.03 ID:YIO54/Ux0
>>904
「罠も無く侵入成功…………っと
なら次は何処を探って行くかですが…………
――――今の所、人は一人。警戒はしても今から拘束する必要はありません、か
では、虱潰しに探して行く事になりますが…………」

【辺りの確認。近くの気配は一つだけ】
【その者がやり手か否かは分からないが、こちらに気付いていないならば今はまだ態々確認をする必要もあるまい】
【――――もし気付いて、探り出したならば。面倒が起こる前に背後から忍んで拘束をすれば良いだけの話だ】

【となれば、探るべき場所の内から厨房は消された。扉を開けるか、奥に進んでみるか】
【…………決断に至るまで、そう時間は掛からなかった。先ずは身近な場所の探索から】
【即ち、“鍛冶場”へと向かう事となる。その歩みは足音は当然だが布の擦れる音一つ立てないで】
【それでいて歩みは忍のでは無く堂々としているのだから、不思議なものだ】
【万一誰かに見られようとも、直ぐにはばれない様な振る舞い】
【――――――扉を開け、何も無ければ中へと入るけれど】
908 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 21:24:38.41 ID:YIGGqNg2o
>>905

【――盛大なくしゃみをされるとは、さしもの副団長も思っていなかったに違いない】
【微笑を浮かべたままの真顔――という矛盾のまま、演技だろうがそれを受けて】

【まるで石のようにぴくりとも動かず、されるがままにセリーナが顔を拭くのに任せ】
【やがてそれが落ち着けば、背後に左手を伸ばす。誰かしらの騎士長がナプキンを渡すと】
【もう一度己の顔を吹き直して、覗きこむような姿勢を崩し『……ふゥン。』とぼやく】


『……ま、そういうことならあっしも鬼≠ソゃいますから、許しましょ。
 ゼン=カイマは昼の国の豊かな大地の恵みを享受した、芳醇なワインの産地……
 存分に楽しむとエエですよ……ちょっと粗相をしない程度に、ねェ?ジュリアーノはん?』

「あ、あの……ッ!加賀屋さま、そろそろアレクサンデル騎士長を離して差し上げてはどうでしょうか…?
 彼も彼なりの意見を述べたまで、面従腹背の裏切り者でないことはわかったわけですし……!」

『ン……あァ、そうですなァ。そうしましょっ……そうそう、ジュリアーノはん
 ちょっとお聞きしたいんですけどもね?キミ、今回の聖地巡礼についてどう思います?
 何せ普段はお偉い人としか話さないもンですからね?ちょっと普通の人らのお話、聞きたいなァ――って。』

【加賀屋はそう質問をしながら、壮年の男を開放した。彼の顔には綺麗に五指のアザがあったが】
【尚も、無事だ。その目が僅かにセリーナに向いたのは言うまでもなく――副団長は円卓の上、最後に質問を投げかけた】
【――ちなみに、背後に投げたお盆の状態は「うわッ、勿体ねぇッ!」という声でよく分かるだろう】
909 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 21:26:35.96 ID:a8Ww/5bto
>>903>>906

【最初に見えたのは、赤い聖書。これは――――本棚の残る一冊と思われる、が】
【祭壇の調査を一通り遂げてしまうのが先決だ。足元をコツコツと足先で小突いていく】

……こちら側は特に無さそうだがの、そっちの小娘のいる方、あの像の中に何かありそうだえ?

――――こっちは何か……ええ、やっぱり下に何かあるみたいね……
だけど、どうやって下に行くのか、って話よね……―――あっ

【相も変わらずボソボソと会話が繰り広げられる。互いの得た情報を交換していって】
【佳乃から掛けられた声、やはり足の下にまだ、何か空間が広がっているようで】
【しかしそれをどうしたものか……と、思案しつつ祭壇に置いた手が、微動を感じた】

この本、たぶんあの本棚のやつよ。
取り敢えず私はこっち、祭壇が動きそうだから試してみるわ。
この辺りに置いておくから、試すなら勝手に持っていって。

【佳乃に言葉を投げつつ絨毯の変わり目、捲り上げて石畳を露出させたなら、】
【祭壇の上にあった聖書を近く、足元へ置いて】
【再度、祭壇に手を置けば、先ほど感じた微動の方向、グッ、と力を込めていく】

――――さぁて、余の方もそろそろ、試してみるかのう……

【そして一方、これはまた、一際小さな声。その声と同時に、気配は消えていた】
910 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 21:30:23.17 ID:YIGGqNg2o
>>907

【厨房にいるのはどうやら手伝いの若い修道女のようだ。それも騎士団員というより、ただの教徒】
【食事の後片付け中らしい。気付く様子は無く、グリースは安々と鍛冶場に向かえるだろう】

【そして――鍛冶場≠セが、此処にもまた人はいなかった。更に奥では声がするから】
【恐らく、一時的に現場に人がおらず、仕事についての相談事でもしているに違いない】
【パッと見てあるのは無数の剣と、金床と縋と、ふいごと――そして豪炎を上げる炉≠セが】

【何よりグリースの気を引くのは一本の槍であろう。その名は既に知っているはずだ】
【騎士団長フレデリック・シャリエールの愛槍であり、教会の至宝でもある――雷槍カテドラル=z

【それが無数の剣やらフレイルやらモーニングスターやらと同じように立てかけられていた】
【どうやら、明日の遠征に向けて武器の新調の真っ最中らしい。秘密は無いようだったが、武装の激しさが際立っていて】
911 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 21:39:16.90 ID:YIGGqNg2o
>>906>>909

【先ず神像――これに『神気』を送り込むと、像の中央に十字型の力≠感じるだろう】
【そして起きる現象は血涙=B振動も何もなしに、ぴちゃん、と大粒の赤い涙が聖堂の床を濡らす】
【――普通であればあり得ない。だがこの血涙は絨毯に染み込み目立たなくなると――】

【めくり上げた絨毯の下に存在した溝――コレが丁度祭壇の幅と合う、レールのようなのだが】
【そこにじんわりと染みこんでいって、ゼリシュが動かそうとしても当初硬くて動かなかったのが】
【血涙が潤滑油のような役割をして、結果的に祭壇を動かすことに成功するだろう】

【そうなると、祭壇の下には穴。見とれる構造は地下への階段だったが、まだ入るには小さすぎる】

【となるともう一つの仕掛けが有るのだろうが――これはもう、省略したって構わないだろうか】
【その仕掛け≠作動させたなら、静かに石畳が動いて階段が完全に露わになり、冷たい空気が吹き出すだろう】
【ただ、そこには食事の香りも混ざっていた。同時に血の香りもして、とてもいい香り≠ニは言いがたく】
【わずかだが、うめき声も漏れている。側には神父がかぶるようなシルクの帽子が落ちていて――】
912 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/13(木) 21:50:23.96 ID:J1LfDZcyo
>>908

【先ず第一印象で言うならこの副団長、とても怖い。断言できるがこの副団長、とても怖い。】
【さしものセリーナも『うわっ!?きったね!?』だとか『てめー殺すぞ!』という反応を期待していたので】
【まさかこの漬物石のように微動だにしない表情を見せつけられるとは、思ってもいなくて。あわてた様子でいつつも】
【"あの"団長の元で戦っている存在なだけはあると、その肝っ玉の大きさ、引いては冷静さに対し舌を巻いた―――只者ではない、と。】


  (―――……"鬼ちゃいますから"、ね。どう見えても鬼にしか見えない辺りが、コイツの怖いところ、か。)
    (それにあの指の跡……"アレクサンデル"さんの頭が特別柔らかくて跡が残りやすかったとしても、)
        (ちょっと尋常じゃない握力だ……こりゃあ、今の状況で敵に回すのは得策とは思えない、ね。)

  え、ええそそそそうですね加賀屋副団長殿っ! 僕もこの国の気候は大変気に入っております、さながら聖地ですね! 
    それにその、さっきのは本当に、久しい酒で舞い上がっていましたというか―――た、たいへん失礼いたしましたっ!
       以後気をつけます、明日からは巡礼も始まる事ですし、より一層、気を引き締めて行きたいところでありますな!


【ともかく、冷え切っていた空気の温度をほんの数度―――にも満たないかもしれないが、緩和出来た様だ。】
【アレクサンデルの視線に対しセリーナはちら、と其方を見やり。ローブの奥で軽いウィンクをばれないように放った。】
【しかし話はもっと重要な方へと動いていく。アレクサンデルの様子に気を取られたセリーナに、思いもよらない質問が重なって。】


  ……さて、ね。僕は本当に一介の信徒ですから、あまり大きなことは言えませんよ、副団長殿。

  ただ―――……ひとつだけ、気になることもあります。


【―――だが、そういう状況に陥ってこその彼女だ。先程までの慌てた様子とは打って変わって、静かな声で言い放つだろう。】



  フレデリック大司教殿には、あまりよろしくない噂も流れている―――ついさきほど、いやね、
  どこで聞いたのかはもう酔っ払ってしまって忘れたのですが―――あはは、そんな話を聞きましてね。
  

  『カノッサ機関』

 ―――な〜んて単語が聞こえてくるもんですから、驚きましたよ。まさか、そんな噂がながれてるなんてね。
 勿論、疑うつもりは御座いませんよ。そんなくだらない風説など、払って欲しいというのが正直な所です。
 団長殿は優秀なお方ですから―――ただ、ね。そんなくだらない噂でも、信徒の心を惑わせるには事足りてしまう。

 ―――かも、しれないと思いませんか? というのが僕の意見です。面倒な話を片付けて
 スッキリした状態でこそ、聖地巡礼は護られる……巡礼に出陣する兵の数は、えーっと……いくつ、くらいでしたっけ?
 ともかく細かい数は把握していませんが、これだけの大規模な作戦です。兵が多くなればなる程、その士気の維持には
 とことん気を使っていくべきではないでしょうか、僕はそんな風にも思いますよ。貴方はどうお考えですか?
 加賀屋副団長様。目上の方の意見を聞ける機会など滅多にないもので、ご意見を伺えれば幸いです。


とかなんとか、そんなのは全部受け売りであっちの方の騎士達がこんな内容で喋ってた、ってだけなんですけどね!あ、あはは!

【少し、喋りすぎただろうか。これがどういう刺激を相手に与えるかは不明だ。だが、このまま『巡礼はすばらしい行いだ』と】
【一方的に彼を褒めちぎった所で何の情報収集にもなるまい。セリーナはまた一つ、ここで賭けに打って出る。】   
  
913 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 21:54:24.48 ID:YIO54/Ux0
>>910
「ふぅん…………なる程。随分と危なっかしい物が並べられてるものですね
団長の槍が残っているとなれば――――今は丸腰状態、ですか
…………これだけ多く作られれば、どうにも血が多く流されるようにも見えますが」

【時折その一本の刃に触れてみたり、刃に対して指を滑らせてみたり】
【全てが全て鋭い物だと判断したなら炉へと視線が送られ――――後は簡単な細工を施すだけだ】
【其の炎に炙られ、焼かれた鋼は逆に脆くなっていくなんて呪い。見た目こそ変わり無いが、打てば打つ程に武具の耐久性が落ちて行く物】
【戻って来た者が知らず知らずの内に鍛え続けて居たならば、其れより先の武具は粗製品となってしまうだろうけど】
【――――とは言え、此処は宗教都市だ。呪いに無知な者ばかりでは無いだろうから、解かれたって不思議な話では無い。謂わば、明日の事で少しでも怪我人が少なくなれば良い程度の考えだ】
【その序で、もしも争いが起きてしまったら――――本戦時に武具に不具合が起きれば、士気も気力も失せて投降する者が居るだろうかだなんて】


「――――今此処であの槍を壊しても良いのですが、そもそも壊れるのか…………いや、寧ろ触れれば電撃を浴びる可能性もある事を考慮すれば下手に触らない方が良いですか
…………此処に特にめぼしい情報が無いとなれば一度引き返して館の中の探索に戻りましょうか
広間は最後にして…………階段でも登ってみましょうか。個人の部屋があるなら良し。無くても――――情報が得られれば良し」

【耳を澄ませば、内容こそ把握出来ない者の誰かが奥で話している事は分かる】
【戻ってこられれば面倒だ。特に機密も何も無いようであれば、その場を後にして】
【先の場所へと移動すれば、次は上に向かう階段か】
【何があるのかは分からないが、上に強い気配も感じられなければそのまま登り】
914 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 22:04:32.59 ID:YIGGqNg2o
>>912

【――くいっ、と首が傾いた。表情が一切変わらず微笑のままで、「カノッサ機関」の言葉に応じてだ】
【『何言ってはるんですか?』なんてイイそうだが、言わない。何も言わずにじいっと正面から相手を見る】
【そして、彼女にしか見えないように小さく口角を上げると――ギラリとした刃のような歯列が覗いて】


『―――皆さん聞きましたァ?どうやらこんな噂が流れてはるそうですわ
 我らがフレデリック・シャリエール大司教がカノッサ機関とつながっている、と……。

 一体何処の誰が言い出したのか知りませンけどねェ……一つ、断言してもイイですよ
 彼は力あるものは利用する。あっしが良い例、第三近衛騎士団には元殺人犯の騎士も居る。
 
 でもね?カノッサ機関は今までに幾つも都市を潰し、時には半魔まで居たような組織……
 確かに力が強大だとはいえ、まさか外敵の象徴たる相手と手をつなぐ?そら悪い冗談ですわ
 あっしの地元でもそんな事言ったら相手にされないくらいの、ね。……分かったでしょ、ジュリアーノはん。

 ――それに、皆さンも。ね、フレデリック団長とカノッサ機関、つながる所が何処にあるのか……

 噂するんは結構ですケド、もうちょぉっとだけ考えてから発言……して欲しモンですわ……ねッ?』


【円卓の上にすっくと立つと、副団長は長く――全体に響き渡るような声で、そう述べた】
【時折、新参者という体であるはずのジュリアーノ――セリーナに声を掛け、目を向けて】
【まるで威圧するかのように、まるで見透かしているかのように。にこりと笑って、最後にも同意を求める】

【気付けば大会堂は静まっていた。すべての視線は副団長へ、そして――セリーナへと、向いていて】
915 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 22:08:54.78 ID:Xs0PciCro
>>909 >>911

(……………………。)

【果たして起こったその現象に、佳乃は不愉快そうに神像を睨むだろうか。流れ出る血の涙は、神像の荘厳さと相俟って不気味と言う他ない】
【十字型の力に、流れ出る赤色の滴――――ある程度の情報は掴めたが、点と点を繋ぐには流石に材料が足りなさすぎる】
【どうやら佳乃だけの力と頭脳では、この神像からこれ以上の情報は引き出せなさそうだ。佳乃は諦め、ゼリシュの方へ向き直るだろうか】


…………? えぇ、わかったわ。

【……神像の方ばかりに気を取られていたが、気のせいでなければ、先程ゼリシュの方から二人分≠フ声が響いていたような】
【だが気配を探ってみても、その声の主の気配は既に消えた後。結局ゼリシュ一人分の気配しか感じ取れず、佳乃は若干首を傾げて】
【気にはなったが、いつまでもそんなことに拘っている時間はない。結局佳乃は、ゼリシュが置いた聖書を素直に拾い上げるだろう】

(…………頭が痛くなるわね)

【その本を持ったまま、佳乃は壁際の本棚へ移動するだろうか。元々そこまで頭は良くない、壁を埋め尽くす本の数に、若干圧倒されて顔をしかめ】
【本棚の様子を、ざっと確認しようとするだろうか。本棚の数や収納された本の種類だとかを一通り調査して】
【……そうして行ったなら、最終的には赤一色の本棚に気付くのだろう。意味深に抜けた一冊……ゼリシュの言った通り、手元の聖書を試してみる価値はある】

…………あら?

【だがそれを差し込む前に、佳乃は一応聖書を開いて内容を浚おうとして。そうすれば必然、挟まっている紙にも気付くことになる】
【そちらも勿論、佳乃は読み取ろうとする。両方とも、佳乃に解読できる程度の内容であればいいのだが……】
【――――とまあ、そのようにいくつかの過程を経た後。佳乃はついに赤一色の本棚の前に立ち、意を決するように双眸をきつく窄めて】
【抜けている場所に聖書を押し込み、その仕掛け≠発動させることになるだろうか――――】


…………白刃龍紋流・陸の太刀、『六花招来』。

【これはどうやら、当たり――――と見て、間違いないだろう。うめき声に血の香り、明らかに危険の臭いがする】
【佳乃は一度ゼリシュに視線をやって合図すると、懐から一枚の符≠取り出す。墨で何かしらの紋様と操≠ニいう漢字が描かれたものだ】
【左手でそれを空中に張り付け、同時に右手で小さく印を切る。最後にその右手で符を突けば、神気がそこに集合していって………】
【式紙≠作り出す奥義・『六花』は、そうして完成する。神気によって構成され、白銀の輝きを帯びた狼≠ェ佳乃の前方に現れるだろう】

【佳乃は用心のため、まずその狼を階段の奥へ先行させ、その後に続いて自身も階下へ降りていく】
【この式紙、性質はほぼ本物の狼と同じだ。優れた嗅覚と野生の勘が、何か異常が生じれば真っ先に反応するはずであって】
916 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 22:14:44.42 ID:YIGGqNg2o
>>913

【グリースが炉に呪いを掛けた直後だろうか、奥から『とっとと仕上げるぞ!』なんて声が聞こえた】
【恐らく鍛冶師にまで魔術や呪いの適正が行き渡っているわけでもないらしい。効果は出るはずだ】

【また槍に触れないのも正解だった。触れたところで雷こそ流れないが、それは非常に重く】
【なんと重量はおよそ18kg。おおよそ人の振るうものではないのだが――あの団長の能力ならば、可能なのだ】
【そそくさと鍛冶場を出れば問題もない。誰か居た形跡が残らなければ、鍛冶師たちもカンカン、とまた縋を手に取り始めたのだった】

【次いで上階へ向かうなら途中で気になるものが2つ。ひとつは、階段の側にある壁である】
【わずかだが、壁紙に隙間がある――ふぅ、と生暖かい風が吹き出していて】
【一方で上階には強い気配がいくつかあった。騎士団長ではないだろうが、恐らく居住区なのだろう】
【とすれば歴戦の猛者たちが明日に備えているはずだ。少々危険だが――地図によれば団長の部屋は三階、危険はあるが、どうか――。】
917 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 22:17:48.69 ID:6lT6lKkAo
>>911>>91

【血涙が染みていき、祭壇が動き出す。穴が露わになれば、覗くのは階段】

……階段、ね。だけどちょっと小さ、い……――――良し、無事に入れたかの。
いちいち二人で分けてやる方が面倒だとは思わぬのかのう、あの阿呆は……。

【ガクリ。項垂れたかと思えば、口調がめっきり変わって。漏れ出る気配だって最早、人のものではない】
【それどころか頭に狐の耳が覗いているわ、ローブの下から銀色の尻尾が出ているわで】
【獣人か妖怪か……といった姿になっている内に、佳乃の行動により石畳が動いていた】

……成程のう。妙な匂いがしておるが……の。
しかし、狼とはまた……いや、あやつは関係の無い話よの。

【すんすんと鼻が動く。漂う香りを嗅ぎ取り、眉が微かに歪んで】
【血の匂い、呻き声、落ちた帽子―――何か≠ェあるのは、まず間違いない】
【いや、こうしてこの階段が隠されていたのだから、その時点で間違いない事であったか。】

―――――豊川

【階段を下りながら呟けば、手の中に現れるのは紅玉の飾りが付いた鉄扇】
【警戒の姿勢……にしては少し妙なもの。だが、研ぎ澄まされた神経を張り巡らせて、その先にあるものを捉えようとしていた】
918 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 22:18:48.08 ID:6lT6lKkAo
>>917
/二つ目の安価は915のミスです……
919 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 22:28:30.58 ID:YIGGqNg2o
>>915>>917

【これは想像だが――神像に関しては、きっと仕掛けがあったというわけではないのだろう】
【どう考えても、像の中にある十字――恐らく由緒正しいロザリオか――それが血涙の為のアイテムとは思えないし】
【となれば、奇跡≠ゥ。そんな陳腐な言い回しで表していいか悩みどころだが、今重要なのは別のことに違いなく】

【佳乃が赤い装丁の聖書を手にとったなら、先ず目に飛び込むのは紙片となるのだが】

【此処には十数名の名前―幽閉された司教の物と一致する―と、その罪状が簡潔に記されていた】

【贈収賄、姦淫、恐喝、詐欺に殺人教唆まで見て取れて――恐らく、フレデリックの云う不正≠セろう】
【とすればこれから、そういうことをした連中を救わねばならないということだ。仕事と割り切れればそれで良いが――】
【――聖書を本棚に押し込むとガコン≠ニいう音。暫くすると、石畳が動き出して地下への階段が顕になり】

【佳乃の式神が奥に向かえば、やはり臭いが濃くなっていく。食事は複数人分のようであり】
【同時に血の匂いに混じって獣臭≠ェした。わずかだったが――人以外も居るらしく】

【一方でゼリシュが――彼女が奥を見透かそうとすれば、やはり一つ、大きな牢獄の中に】
【小奇麗だったのだろう法衣を汚し、憔悴しきった老司教たちの姿が見える事だろう】
【ひとまず捉えられるのはそれだけだ。場所が場所だけに警戒の衛士も居らず、奥に進むのは用意のハズ】

【――ちなみにこの地下通路は深くて暗い。何か火種を用意出来れば特に便利だろう】
【また、牢獄自体は50mほど先だ。進めば進むほど、司教たちの声ががやがやと聞こえ始める事となる】
920 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 22:34:04.17 ID:YIO54/Ux0
>>916
【仕上げるぞ、の声。戦闘になるにせよ、ならないにせよ】
【バレた所で自分だけが危険に晒されるのでは無く、仲間まで危険に目に遭わせるのだから派手にも動けない】
【――――間一髪とでも言うべきか。例え眠らせようとも、目を覚ましてしまえばどちらにせよ辺りに知れ渡る事になるのだから】


【さて、壁に手を着いて歩いていたが故に風については敏感に触知した】
【同時、気配についても感知。ひぃふぅみぃ、と数を数えてみれば、そのどちらもを天秤に掛けた】
【団長の部屋に忍び込めれば情報は得られようが――――争いを避けなければいけない状態となれば手間が掛かる】
【なれば先に調べるべきは壁紙の隙間より吹く風か。何より、覆ってまで隠さねばいけない事があるのだから】

【…………団長の部屋の探索は、それが終わり次第向かえば良い】
【壁に手を着けたならば、取りだしたのは一つの洋紙だ。転移の術式が書かれた洋紙――――とは言えど】
【魔力を勘付かれぬ様にする為、距離はごく僅か。鍵を用いずに牢屋の中へと入ったり出たりする事が出来る程度の距離だが…………壁一枚ならば、其れと同様の働きを見せてくれるだろうか】
【壊すこと無く中へと入り、探る。ただ其れだけを目的として転移が発動された】

【――――何らかの魔術が施されて居たならば。或いは、入口が別であったり、壁が厚ければ発動は出来ない】
【だからその時は、一時諦めて団長の部屋を優先とするのだろうけど】
921 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/13(木) 22:38:23.05 ID:J1LfDZcyo
>>914

【セリーナの頭の中に素早く情報が流れていく。その一つ一つが整理され、再計算されていった。】
【といっても、副団長の言葉をくまなく聴いている、というワケではなく―――彼女が見ているのは周りの状況だ。】
【机の数。食堂と化したこの一室に存在する人間の数。燃やせる瓶の本数。盾になりそうな盆の枚数。そして―――悪意の数。】
【彼女の言葉が終わると同時、副団長が見せた強烈な牙のイメージが焼き付く。そしてその瞬間、彼女は全てを察したのだ。バレた、と。】


  (ライトニングと"弾"末魔、それぞれに込められた弾数は六発ずつ。ただ、弾薬自体はたくさん持ってきてる。)
  (リロードすれば相手は出来るとして、問題はこの数か。一斉に襲い掛かられたらどうするか―――いや、方法はあるね。)
  (配置上"アレ"と"アレ"を駆使すればこの一室からの脱出は、可能かな。ま―――ダメなら物理的にブッ壊す、だけだね。)


【威圧するような声。演説のような加賀屋の言葉が終わったそのとき、視線は全て自分と相手の二人に注がれていた。】
【セリーナは『ふぅ』―――と息を吐いて。チラリ、とアレクサンドルの方を確認する。出来る事ならば彼を連れて行きたい。】
【だがその余裕があるかどうか―――ともあれ、自分がすべき事は決まった。彼女はローブのまま―――自分も、円卓に飛び乗った。】


  まったく、本当に、嫌な噂だとは思うよねえ。正直信じたくも無いよ? 
  
  巨大な宗教団体の『似非臭い』団長様がさ。
  悪の組織の代名詞たるカノッサと癒着ズブズブで
  あれこれ裏で画策してて、この巡礼もそれが関わってる―――なんて。

  信じたくないのは当然だし、"アタシ"だって考えたくないのは一緒さ。だって、敵が増えるってことだから、ね。
  

  けどさ、こういう言葉があるのは知っているかな? "副団長様"。


               『人は見たいように見て』 
 

                『聞きたいように聞き』 
 
                    そして
 
                『信じたいように信じる』

  ―――誰の言葉だったかな。これは其処に居る酔っ払った騎士さん達の言葉じゃあ、無かったとは思うけど。
  いい言葉だよね? けど、もしかしたらアンタには不釣合いかもしれないね副団長。アンタ、知ってて騙そうとしてるだろ。


【―――ローブを剥ぎ取る。白のシャツ、土気色のベストにウェスタンブーツ、そしてテンガロン・ハットが、シャンデリアに照らされて】
【現れたのは一人の女ガンスリンガー。腰元に取り付けた二対のガン・ベルトから強烈な魔力と、威圧感―――銃圧が、放たれる!】


  アタシは隠すのを止めようか。まず一抜け、ってところだね。アンタは何をバラすんだい? "副団長"殿。

【セリーナ・ザ・"キッド"。もはやその正体を隠すまでもあるまい。今の彼女に出来る事は、こうすることだけだ。】

  遊ぶなら相手になるよ? それともこの人数で女一人をボコボコにするのは、流石に気が引けるかい"鬼さん"。
  でも安心しな、アンタの目の前にいるのはセリーナ・ザ・"キッド"―――UTリーダーにして、ただのガンマン、さ。

  (こうなっちまったら、アタシに出来るのは派手に暴れて他のメンバーに兵士が向かないよう、陽動を勤める事ッ……!)
  (――――――せいぜい大暴れさせてもらおうか、神に仕える騎士団サマッ!!)
922 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 22:41:59.06 ID:YIGGqNg2o
>>920

【転移の術式を利用したのは正解だった。本来、この隠し扉は秘術で開くもので】
【下手に壁紙を剥がして――なんてことをすれば後が恐ろしかった】

【さて、向こう側にたどり着けば消えかかってこそいるが、火の点いた松明があり】
【狭く暗い石壁が延々と地下に向かって伸びていて、風はそこから吹いていた】
【そういえば今夜は外も生暖かい風が吹いていた。外と続く施設がある環境なのだろうか】

【――コツコツと先に向かえば、不意に一つの気配を感じることになるだろう】
【グリースなら分かるはずだ。相手は公園で初めて出会い、ラグナールでも顔を合わせた相手なのだから】


『……暇だなぁ。せめてメモでも持ってくれば絵を描いて暇潰せたけど
 すぐ済むってフレデリックが言うからそれもないし……死体と一緒とか気味悪くてねぇ……。
 
 ねえ君ら、なんか話してよ。僕とフレデリックの一挙両得の策にハマってさ、死んだ気分とか。
 僕は神≠ノ見初められたくて君らを殺して、フレデリックは単に強大な外敵だから殺したわけだけど……
 ……やっぱり、あれ?死んだら神の御下とかいうところに行くわけ?……なんてね、答えるわけ無いもんなぁ――。』


【豪奢なマントと質素な衣服。顔には仮面が無く、金色の髪は柔らかに風に揺れていて】
【彼は大牢獄の中、アリギエ、テナー、そして砂竜ハビギスの死体を望むようにして椅子に座っていた】
【更に奥には月明かりの漏れる亀裂がある。どうやら地上と通じた古の大牢獄――そういう場所らしかった】
923 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 22:55:54.36 ID:Xs0PciCro
>>917

…………だ、誰よあなた。妖怪…………?

【共に階段を進んでいくゼリシュの様子がいきなりおかしくなって、佳乃は流石に声を上げるだろうか】
【いや、様子どころか姿形までも変化してしまっている。とりあえず敵対の意志はないようだが……今は、ゼリシュの能力か何かだと捉えておくべきか】
【ただ、もしもその彼女が妖怪≠ナあるのなら、佳乃の纏う神聖な雰囲気がやや鼻につくかもしれない。神気は妖怪にとって、毒でしかないから】
【神気とは究極、妖魔を滅する為の力なのだ。味方だというのなら、佳乃は彼女を巻き込まないよう立ち回る必要があった】


>>919

……………………発=B

【地下通路は予想外に暗い。佳乃は次いで光≠フ漢字の画かれた符を取り出すと、口元で簡単に印を切って発動させるだろう】
【すると、その符が強めの光を発するだろうか。周囲一帯を照らし出すだけなら十分な光源の筈、佳乃は通路の様子をきょろきょろと伺って】
【……歩きながら、本に挟まっていた紙の内容を思い出す。もしもゼリシュ(?)が見たいと言ったなら、素直に見せるだろう】
【多数の宗派の集まる聖なる都、ゼン=カイマ。わざわざ推薦まで貰ってこの仕事を受けたのは、そう聞いていたからという面も大きくて】
【それだけに――――佳乃の心中は複雑だ。あの紙に書かれていた司教……否、罪人がこの先にいるとすれば、佳乃はそれを助けなければならないのか】
【……仕事だからって全てを割り切れるほど、少女は大人ではなかった。とにかく後は、連中と対面してから考えよう――――】

(臭う…………、わね)

【そんな風に自身の感情を押さえ込みつつ、佳乃は通路を進んでいって、妨害さえなければ無事牢獄付近まで辿り着くだろうか】
【とは言っても、最初にそこへ踏み入るのは式紙の狼である。狼が周囲の安全を一通り確かめた後、佳乃が到達する形になるだろう】
【着いたのであれば、佳乃はひとまず司教たちの顔を見渡すだろうか。その後、牢獄の堅さだとか鍵穴の有無だとかを確かめる――――】
924 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 23:05:22.07 ID:YIGGqNg2o
>>921

【『どよどよッ!』というざわめきの色が大会堂に広がっていった。副団長が唐突の演説】
【そして、側の新米らしい修道士が彼と同じ壇上に立つ――異様だ、絶対に何かが有る】
【そういう思いを知ってか知らずか、加賀屋は尚も笑っていた。セリーナに向きあえば、指をパキ、パキと鳴らし】


『―――ふゥ〜〜〜……。困りましたねェ、どっかで見た顔や思うとったンですけど
 まさか輝かしい戦歴をお持ちのセリーナ・ザ・"キッド"はんとは、ねぇ……?

 でもね、あっしにも言い分はありますわ。それを聞かずに銃を抜くのも結構ですよ?
 此処に居る騎士は総勢256名、信徒は189名……外の宿舎にはその10倍、20倍は居りますわ
 それから逃げ切る度量があれば良し、好きにしはればいいんですわ。でもねェ、セリーナはん……?


  ―――あっしにも言い分は有ります。もう一度イイますかァ?アッシにも、言い分が有るんですわ。

  あのねェ姐さん、UTって本当に代表的な正義≠竄ニ思うんですわ……
  あっしらも手を焼いた様々な巨大生物の討伐、大概の場合にはそっちのメンバーが居ましたし
  GIFTやカノッサとの戦いの折にはほぼ確実と言ってもいいほどその名を目にしますし、ねェ?』


【くつくつ、と鬼が嘲笑う。何のつもりか、指を鳴らすのは戦いの準備というよりまるで余裕の現れだ】
【そして尚も口は止まらない。それどころか彼女に背を向けて、卓上を荒らしながら群衆に振り返り――】


 『……セリーナ・ザ・"キッド"の言い分は、団長やあっしがカノッサ機関と手を組んでいて
  実は世界中に戦いの火をばらまこう思てる云うことでっしゃろ?

  あァ、確かに見方によっちゃ出来なくもない。でもねェ、それって全部妄想≠ナしょォ?
  謂わば証拠も何もない空想で、ヴィンドの連中に吹き込まれた大嘘や云うことと、等しい……
  ……姐さん。あっし、知ってるんですよホントの事。知りたいンなら言って差し上げますわ
  本当は口止めされてたんですよ?団長はんが『まだ真偽も分からないから』言うてましたからねぇ……?

  ――――UNITED TRIGGERがカノッサ機関と手を組んでる≠「うこと、ですけど……。


  考えてみたら……UTは正義と共に金儲けも掲げてますよねェ?いつも、金を払うのは国や都市……。
  それを攻めるのは機関、勝つのはUTはですわ。コレって、ずいぶんとエエ稼ぎなんちゃいますかねェ…??
  ……フフッ、ここまでだったらあっしの妄想、でしょ?でも知ってるんですわ、アンタの所の裏事情……

  アンジェル・ベルジュロン=c…これ言うて、アンタが顔色変えないか見ものですわ。

  ……彼女、UTのメンバーなのは大会やらで周知の事実。でもね彼女、元々機関の人間らしいじゃあないですか
  見たんですわ、資料。『裏切り者のグリース・イムリンパルス≠ェ持っていたのを』――ね?

  ……それ、まさか知らないとでも?身内一人切って『そんな疑惑大嘘』やイイますか?
  聞けばUTは……ご大層な拠点をお持ちでしたよねェ?そんな金、アンタが持ってるなんて信じられへんのですわ
  なにか別な稼ぎ口≠ナも無い限り、普通の人間が世界に轟くUT、を立ち上げるなんて想像も付きませんわ

  ――ねっ、姐さん。どうやったんです、組織の立ち上げ。その時のノウハウ、UT作ってからも応用してるん違いますかァ?
  賞金首と手を組んだのか、それとも何か別に手段でも――いやそれより、元機関の生きた証拠……彼女の説明が先かなァ……。
  どっちにしろ……どっちにします?撃てばどういうお答えかは、ここに居る数百の人間が聞き届けることになりますさかい―――

  なんでしたっけェ……―『人は見たいように見て』 
 

                 『聞きたいように聞き』 
 
                    そして
 
                 『信じたいように信じる』ゥ……?――アハハッ


【にやァ――と。鬼は笑い、全ての群衆は水を打ったように静まり返ってセリーナを見た】
【その視線には驚きもあったが、疑念や不安――中には敵愾心を露わにするものも、確実に居るのだった】
925 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 23:09:09.98 ID:njGZAzi9o
>>919>>923

……ん?余は妖狐の瑚蝶ぞ。今は少し、こやつの体を器としてどの程度動けるかを試しておる。

【―――要するに、憑依、といったところか。あっさりと妖怪である事を明かして】
【しかしそれでいて、瑚蝶は神気には反応する事もなく。身体が人間だからなのか、】
【それとも別に理由があるのか。それはさておく事として】

【薄暗い通路。どこに罠があるか分からぬ敵地なれば、明かりを取る方が無難】
【幸いにして敵となる者の気配は無い。ボウッと灯った明かりは、蒼白く揺れる火の玉】
【狐火、とでもいうものだろうか。幾つかが宙を漂い、仄明かりで周囲を照らす】

して、その紙切れは何だえ?
……おうおう、随分と煩悩の塊の様な司教がいたものよのう。
これならば余の方が清廉な身やも知れぬのう……ココココ……。

【佳乃の持つ紙を見付けたならば、覗き込む様に首を伸ばし、視線を落とした】
【さっと目を通したなら、司教達の働いた“不正”に、目を細め、鉄扇を口元に当て、】
【喉を鳴らす特徴的な笑い声を押し殺して、愉快そうに笑っていた】

ほう……こやつらが、件の司教とやらかのう?
しかし――――この臭い……これはどちらかと言えば、余達に近い、かの。

【頭部の耳が狐のそれならば、嗅覚も狐に近しいものか。すんすんと鳴らす鼻が、獣の臭いを嗅ぎ取る】
【この外見でそれを自分に近いと評するのはどうかとも思うが、とにかく足は進んでいって】
【近付いていく司教達の声を聞き流しながら、蒼い瞳はその臭いの出処を探していた】
926 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 23:26:19.60 ID:YIGGqNg2o
>>923>>925


『―――大司教どのーっ!儂らが悪かった、謝るっ!もう邪道など歩かんっ!
 酒も断つ!女もそうじゃ!儂らはこんな場所で死にとうない……ン?何じゃ、狼――』

「ひィッ!か、神の使いか……!?あな恐ろしや、儂もついに終わりか……!
 こんなことであればあの時……ええい、死にとうない死にとうない……嫌じゃッ!」


【――先見する狼の式神を通して聞こえてくるのはそんな声ばかりだ。皆、自分の身が可愛いと見える】
【檻はあったが狼から避けるように壁際に全員が逃げていて、歳も歳だろうに恥ずかしげも無く神に祈りを捧げている】
【先に幽閉された司教の顔写真を見たりして覚えていたのなら、罪状などとも全て一致するはずだ】
【行方不明の全員が同じ檻に叩きこまれていた。隅のお椀は食事の後だろうか、片付けの後も意地汚さが見えていて】


『……おっ、……?なんじゃお主ら、見たところ……普通の修道女ではないのう?
 これまた可愛らしいおなごだが……なんだのその耳は?まさか……』

「――ええい妖怪でもなんでも構わん、とっとと其処のレバーを上げろ!
 儂らはもう3日もここで冷や飯を食っとるんじゃ、そろそろ我慢の限界というもの!
 貴様らも神の下僕ならば司教の言葉にははよう従わぬか、さあ!はようせえ、娘ッ!」


【人間、歳をとっても元来の性情がコレでは――そう思わせる言葉が飛び交った】
【生きるのに必至なのは分かっても、少々見捨てたくもなる。ちなみに、牢獄の外には大掛かりなレバーがあり】
【それを引き下ろせば牢獄は開くのだろう。そうすれば、我先にと老人たちは這い出してくるはずだ】

【一方で、獣臭だが――それはもう少し奥の牢屋からだった。血の匂いもどうやらそこかららしく】
【弱々しいかちゃん、という鎖の音が暗闇に木霊する。この牢の開け方も同じくレバー式であった】
927 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/13(木) 23:27:10.26 ID:YIO54/Ux0
>>922
【――――無骨で暗い道のりが続いているのは、何とも不気味なものだ】
【身を刺すような冷たい風だとか、夏のように暑い気温だとかならばまだ其れ等に悪態を吐いて気を紛らわすことも出来ようが】
【生暖かい風はまるで魔物の口の中を連想させる。一歩一歩進む毎に自ら溶かされる為に胃に向かっている。そんな錯覚】


「…………あーあ。最もゼン=カイマと遠そうな六罪王サマがこんな所に
――彼もキレ者だから此処で戦闘をおっぱじめないとは思うけど…………能力がまだ掴めきってないから不意に近寄るのは自殺行為かな」

【まさか、の存在だったのだろう。独り言の内容からして、他人とも考えられない】
【――――辺りにある巨体は、全てが嘗て討伐依頼の出された存在か。櫻の妖怪やラグナ―ルの巨人が居ないにしても】
【情報は武器なり。特に、フレデリックとカノッサとの関係性を示すには武力だけではどうにもならず――――】

【取り出されたのは小型のカメラだ。シャッターの切る音も無く大牢獄を数枚撮ってしまえば、次はその生物の骸を撮って行く】
【未だ術の者がカノッサとの関わりを信じていないならば…………こうして、攻撃の素材を集めていくだけだ】
【極力血を流さずに敵を減らして行く。…………いや、味方に寝返らせる】
【ゼン=カイマの信徒を少しずつ引き込む。最初は疑っていようとも、別な派閥の者達も引き込む】
【――――さすれば、何時か教会の敵は一つへと定められようか。己の利益を追求する者でも良い。心より神を信仰する者でも良い。僅かな間でも教会を一つにして、退路すらも断ってしまう】
【聞けば討伐された生物達は元より害をもたらす者でも無い。…………巫女に聞けば、橋姫は元は人間との距離を適切に保ってい存在で、妖怪達に好かれていたという】
【――――ヴァルゴは、そもそも人が乗らねば動かない。其処等を突いて行けば、その内に教会以外の者も味方になるだろうか…………なんて】


「…………死ねばやがて魂は主の元へ送られ、審判の後に適切な場所へ送られる事となるでしょう
罪を清める煉獄か、罪を咎められる地獄か、一切の苦痛も無い天国へ――――か
…………全ては主のみが知る事です。私達はただ人々に救いの手を差し伸べる事だけを考えて居れば…………なーんて、さ
やあ、随分と薄暗いところに画家さんも居たもんだね。こんな所で書こうとしたら目を悪くしちゃうんじゃ無い?…………描くものがあれば、だけど――――ねぇ、ダグラス」

【あろう事か、自ら声を掛けた。と言うのも、相手は六罪王だ】
【実力は強大だし――――きっと、間も無く自分の気配も取られていただろうから、自ら姿を見せただけ】
【別に攻撃を仕掛ける訳も無く…………否、ダグラスも此処で事を起こせば面倒だという結論に辿り着くか】
【――――考えてみれば、フレデリックとは友人関係。轟音を響かせられたらこちらが悪者に仕立て上げられる事は容易だけど】
【……言ってしまえば一抹の望みだ。予め姿だけを見せておき、争いが起きないようにする】
928 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/13(木) 23:44:44.72 ID:YIGGqNg2o
>>927


『―――あれ、君にソッチの名前、教えてたっけ?確か前にあった時はアンドレイだったろ?
 ほら、今日は仮面も付けてないしさ。まあいいや、好きなように呼べばいいよ
 僕って本名が長くて書くのも言うのも嫌になっちゃうくらいだから……ラグナール以来だね、元気?』


【頭の後ろで組んでいた手を肘掛けに下ろし、きぃ、と椅子を鳴らしながら振り返る】
【――ちなみに安楽椅子だ。その表情はちょっと意外そうで、しかし面白げでもあって】


『死ねば……へぇ、ふーん……?要するに何も考えないで助けてろってことでしょ?
 意味分かんないよねぇ、宗教……バカにはしないけどさ、僕は信じようとは思わないなぁ
 まあ、彼ら関係の絵や彫像は作ってて楽しいから文句があるわけでもないけど。
 あぁ、暗いところでっていうのアレ、嘘らしいよ。それに僕は両目とも視力1,2で……

 ……それより、よくここまで入ってきたね。僕でもフレデリックの手引きでようやくなのに
 その格好、前とちょっと違うけどコスプレ?紙さえくれたら描いてあげるよ、被写体は可愛いほうが良いしさ。

 あ、そうそう。それと忘れてたんだけど、君のお友達宛の絵も描けたんだ……この間、ラグナールに行っただろ?
 視察の時にさ、丘の上から街を見たんだ。月が2つあるのは気に入らなかったけど、きれいなのは本当だったから……
 ……其処の絵、もう描いて僕の手元に有るんだけどね?ぜひ貰って届けてよ、まだ『双月』の頃の絵だよ、貴重なね?』


【何事も無く、まるで世話話でもするように。本当に暇つぶしの様子でダグラスは話を受けた】
【攻めるでもなく、時間を稼ぐでもない。純粋に楽しむようにして――ふと、パチン、と指を鳴らせば】

【グリースの側、壁際に出現するのは額縁に入った大型の絵。一辺が1,5m程も有るだろうか】
【波間の微細な変化や船の一隻、在りし日のラグナールの小窓まで書き込んだ写実的な一枚だ】
【時刻は夕方。海の奥に太陽が没する頃合いで――まだヴァルゴも無ければ、街も潰れていない】

【受け取るのなら、転移の術で送ることも出来るだろう。受け取らないならそれまでだ】
【しかし、あまりのんびりもしていられまい。彼は先ほど、ひとりごとでフレデリックを待っているというようなことを言っていたのだから。】
929 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/13(木) 23:58:21.72 ID:Xs0PciCro
>>925

…………ふん。まあ、敵じゃないっていうならいいわ。
私は退魔師の、幸徳井佳乃よ。

【瑚蝶が妖怪なのだとわかれば――――人間の体に憑依しているのだとわかれば、佳乃は少しだけ相貌を厳しくするだろうか】
【……あまり妖怪には、特に人間に憑依する妖怪≠ノはいい思い出がない。とはいえ瑚蝶に敵対の意思はなさそうだし、仲間割れしている場合ではない】
【神気にも憶さない瑚蝶の態度を見やると、佳乃は敢えて退魔師≠ニ付け加えて名乗るだろうか。殆ど意地じみた、幼稚な牽制だった】


>>926

【ざわめく大司教達の声を受ければ、まるで不愉快だとでも言いたげに、狼は佳乃の元へ帰っていくだろうか】
【ほどなくして佳乃も到着する。……見渡した世界は騒がしくて汚らしくて、しかし今回の任務の目標となる者達が確かに存在していた】
【司教たちの声が、佳乃の耳朶を叩く。あの紙に書かれていた罪状と彼らの印象が重なっていく。小さく、佳乃の体が震えるのが見えるかもしれない】
【饐えた臭いを鬱陶しがるように、狼が軽く唸って司教たちを威嚇して。そして、その主もまた……耐え難い雑音≠ノ、思わず吼えていた――――】


                                  ――――うるさい!!


【刹那、握り締めた符≠フ輝きとはまた違う、白銀の力の奔流が牢獄を照らし出すだろうか。神気――――神の力が佳乃の体から溢れ出し、世界を塗り潰す】
【……実際のところは、身勝手な文言を並べる司教たちに怒った少女が、癇癪を起こして叫んだに過ぎない。だが纏う力が、そんな少女の怒りに手を貸して……】
【生物を優しく癒す神聖≠ウは、あまねく全てを跪かせる神威≠ヨと変わる。少女の小さな立ち姿が、神とも人ともつかない強烈な威容を帯びるだろうか】
【――――今まさに少女の体に顕れた神の怒り≠前にして、老人達がまだ喋れるなら大したものだ。佳乃はそうして、彼らの心を畏怖で縛り付けようとするだろう】
【佳乃はまだレバーを下ろさないが、後々開放しなければならないのは確か。その時、これが老人達が勝手に逃げるのを阻止する程度の抑止力にはなるかもしれない】


…………何?

【その後すぐに、佳乃のローブの裾を狼が軽く噛んで引っ張るだろうか。佳乃がそれに応えれば、狼が指し示すのは奥から漂う血と獣の気配で】
【佳乃はそれに導かれるまま、奥へと進んで牢獄を覗き込むだろう。そこに居る何かの正体を確かめるのが先決ということで、まだそちらのレバーも下ろさない】
930 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/14(金) 00:07:31.45 ID:zXiZdjFBo
>>924

【相手が何を言わんとしているのか。それは分かっていた。だが、其処から先の情報については、想定外だ。】
【いや、本来ならば予想して然るべきだったのだろう、何せ"あの情報"の元の持ち主は、フレデリックであるのだから。】
【彼がこの副団長と結託している以上、あの情報についても同じ様に、此方を強請る武器になりえると―――判断、出来なかった。】

【セリーナは言葉を返す事も無い。自信が立ち上げたUNITED TRIGGER、それについてそういった噂が流れている事は】
【立ち上げて運営を今日まで行ってきた本人こそが最もよく知っている。だが、それはつい最近まで気にするまでもなかった事】
【全くの嘘であるカノッサとの結託など、疑う者は無視し為すべき事を為す、それが自身の正義の証明にもなると、そう信じていたが】
【確かに、UTには謎があり。そして今現在、UTが、その所属メンバーたるアンジェルが、抱える闇はとてもとても、深く―――大きいのだ。】

【やられた、とそう思うのは間違いないだろう。だが、彼の証拠にしても『物的』に今、ここに存在するものではない。】
【否定に否定を重ねていくのは簡単だろう、『資料を見た』だけでは証拠にはならない―――と。なおかつ、その資料があったとして】
【当の本人であるアンジェル・ベルジュロンは事の真相を知りえていないのだ。であれば、反論する事も出来るだろう。だが、だがしかしだ】



   身内一人を斬る、だって?

   よく……よく、わからないな。アンタが、一体何を言って何をしたいのか。何を証明したいのか。


【セリーナ・ザ・"キッド"。その瞳が揺らぐ事も、驚愕に振れる事も、悔しさに俯く事も無い。ただ、神秘的なブルーの瞳に】
【今はハッキリとした激怒の―――そう、滅多には見る事の出来ない、彼女が本気で激怒した、炎の色が宿っているだろう。】
【証拠不十分で相手を突いたのは間違いない、だが―――この情報を持って、セリーナに揺さぶりをかけようとは。言語道断だ。】


     ああ、そうさ。アンジェル・ベルジュロン―――彼女は、カノッサ機関で生まれた能力者。
                  戦う為に人造の能力者として産み落とされた、造られた正義の士。
      お前の言った書類とやらも、アタシは知っている。なにせ、それはアタシの手元にあるからね。


【驚いた事に、何もかもを、肯定し始めるではないか。グリースによってもたらされたその書類すらも。】
【全て自分が管理し、そしてアンジェル・ベルジュロンは―――UTのメンバーは確かに、カノッサとのつながりがあった、と。】
【セリーナは全てを認め、そして尚譲る事無く立ちはだかる。決して引く事も、笑う事も、泣く事もせず。ただ、組織の責任者として、立つ。】


       で、だから何だって言うんだい。ウチは別に、元カノッサのメンバーなんて、他にもいるけど。


【―――沈黙の後。セリーナはあっけらかんと、そういうだろう。まさに―――「いまさらなにをいうか」と、でも言いたげな表情で、だ。】


      アタシの言葉には何の証拠も無いよ。信じたくない者は、信じなくて良い。聞かずに撃ちたければ、アタシを撃て。
      だけどアタシが、UNITED TRIGGERを造り出したのはまさに、『現在<いま>』を護る為だ。
      

   元メンバーの一人、『悦那・スティングレイ』は知らず知らずのウチにカノッサのナンバーズに情報を抜かれていた。
   現メンバーの一人、『ダン・ブラッグス』は、カノッサで戦闘員として戦いを続けてきて、あっちを裏切りこっちにきた。
   他にも二人、正式なメンバーではなくともアタシの元にいる仲間は、カノッサと関わりのある過去を持ってる。
931 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/14(金) 00:07:45.26 ID:zXiZdjFBo
>>924




                  ――――――――――で、それがなんだ。


   何だって言うのさ。裏切り者はまた裏切るから、メンバーにするべきじゃないのかい。
   スパイかもしれないから、仲間にすれば大変な事になるかもしれないのかい。
   そもそも――――アタシがカノッサとベッタリだから、カノッサから逃れた奴も匿ってると。そう言いたいのかい。


   いいよ。そう言えば良い。そう思えば良い。"UNITED TRIGGERは大嘘つきの集団だ"―――声高に、そう叫んでみせろ。
   アタシは何がどうあれ、『信頼』を言葉や釈明で勝ち取るつもりはない。結果で勝ち取っていくのがやり方だ。
   それまでに石をぶつけられる事もあるだろう。疑いをかけられることもあるだろう。信じられない事もあるだろう。

   ……だから何だっていうのさ。そんな程度の『障害』一つ、乗り越えずにこのアタシが……ッ!!
   このセリーナ・ザ・"キッド"がッ!! 後ろ指を差される事を恐れて仲間選びをしてるとでも、思うのかッ!!
   彼等は確かに誓ったッ!!本当に護るべきモノを見つけたとッ!!護りたいものがあるとッ!!
   生い立ちや過去に抱えるも物が、みんなみんな白紙揃いで綺麗な奴らばかりじゃないッ!!
   それでもアタシの仲間はッ!!誰に疑われようとッ!!誰に疑念をかけられようとッ!!
   
    ―――――――信ずる物の為に戦うと、そう決めた強い人間達しかいないんだッ!!

   ああそうさ、UTを設立するのにあたって、アタシは私財の全てを投げ打った。でもそれだけじゃ足らず、
   確かに『他の人間』の力は借りたよ。だけどその『人』は、ただ金儲けをする為に手を組んだカノッサなんかじゃないッ!!
   その人はアタシの夢に命を賭けて、出資をしてくれた掛け替えの無い『仲間』だッ!! それだけは絶対に、絶対に譲らないッ!!


   正しい事を……人が正しい事を、為そうとした時に、必ず其処には居場所が必要になる……
   大きな過ちを犯したり……後ろめたい過去をもった人間が、そんな居場所なんて見つけることは、不可能なんだ……
   だからアタシは、決めたんだ……たとえ信じられなくとも、そういう人間の居場所を作り、アタシ自身もそこに属することで
   彼等を支援する人間になりたいって―――そう、決めたんだ。アンジェルがなんだ。ベイゼがなんだ、ダンがなんだ……ッ!!

   UTも、そして彼らも、それを擁するアタシも、真っ白な正義じゃあない。けれどね、『現在』、まさに、
   真っ黒に染まろうとしてるアンタを、アンタの部下を、アンタの上司を、此処で止めないワケにはいかないんだッ!!
   アンタが言うまでもない、ウチは一筋縄じゃいかない問題児だらけの、前代未聞の正義組織さ!認めてやるッ!!
   オマケにその頭はこのお金好きで酒好きの滅茶苦茶な女ときた、一体だれが信用しようか!するわけないよね!!



   ―――――でも諦められないんだよ。信じたいように信じる人間に、信じさせるためには。
   アタシはその覚悟をもって此処に立ってる。アンジェル・ベルジュロンは元カノッサ所属の能力者。
   だけどその記憶を失った今、彼女が目指すのはアタシ達と同じ、『正義』だ。
   いいだろう、いくらでも疑え。いくらでも罵倒しろ。全て受け止めて、本当に悪いのが誰なのか、アタシは必ず突き止める。


   ―――――――グリース・イムリンパルス。
   彼女が言っていたよ。アンタの上司はクソ喰らえのファッキン・ダグラスと関わってる、とね。
   六罪王と仲良しこよしして、一体何をするつもりかは知らないけど……好き勝手にはさせない。そうとだけ、言っておくよ。


【―――無論。この言葉にも、証拠は無い。あるのは言葉だけ、だ。だがセリーナはそれでも力強く、言い放つだろう。】
【UTは決して、まっさらな組織ではないと。しかしそれでも尚、貫くのは正義であると。信用されなければ、そうなるまで戦う、と―――。】    
932 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 00:10:19.15 ID:1GRjWyb9o
>>926>>929

【口端が持ち上がる。ゼリシュの鋭い目もあって、ますます狐じみた表情】

退魔師、のう……生憎、人の子相手に臆する余ではないのでな?
ま、基本的に余は人の子と争いはせんから安心するがよかろ。


…………、酒と女と言わず命まで断たせてやっても良いのだが、それではこやつの体裁も悪い。
しかしまあ――――後で遊んでやるか、の。

【鉄扇を持たぬ手でこめかみを押さえ、眉を顰める。多かれ少なかれ人間とはこういうものかもしれないが、】
【彼らはあまりにもそれが顕著だ。先の紙を見るに、追い詰められた状況であるせいかも怪しいところである】
【最後にニヤリ、悪巧みの笑みを浮かべ、レバーもそのままに歩き出して】

【そして瑚蝶は鎖の音のした方へ、奥の牢屋へと歩いていく。蒼白い狐火の光、そして微かに漏れる妖の、】
【妖狐の気。地下に潜ってしまったからか、それを隠そうとする様子すら、なかった】

ココココ……偉ぶった老人ばかりが居るのだと思うておったが、よもや、のう……

【笑いながら立つ、牢の前。片手をレバーに添えれば、鉄扇を開いて。】
【細めた蒼の瞳が、一瞬、金色に色を変えたように見えた。】
933 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 00:13:38.93 ID:AWNiyMlIo
>>929 >>932

【『ひィッ!』という悲鳴とも呻きとも、或いは叶わぬ存在に会った折に自然と漏れる声が】
【司教十数名のそれぞれから吐き出されて、土下座でもするかのように少女を仰ぐ】
【それは自然な動作だった。恐らく本物の神が現れてもそうするに違いない、本能的な力】
【神気=\―それを知らぬ高僧たちは、しばらくして何故自分たちは平伏しているのか、と】
【早くも口々文句を言っていたが、流石に疲労も著しいのだろう。取り敢えず、静かにはなっていた】

【一方で更に奥の牢獄に式神の狼が進んでいけば、其処に有るのは同族≠フ気配】
【そして妖気=\―いずれもひどく微弱で、司教達より長く、ひどい扱いを受けていたのが見て取れる】

【やがて暗闇を照らせば、映しだされるのは女性の獣人だ。その毛並みは総じて白く、長い尾が特徴的であった】
【――だが、その容態は悪い。薄毛は耳、尾、或いは頭髪を問わず所々が血で汚れ、固まっており】

【また元より薄着なのだろうが、露出した腹部や脚部なども酷い拷問を受けた後が見て取れた】
【具体的には、記さないが――痣が特に酷い。オマケに両手首は傷になるほどの期間、天井から下る鎖と鉄輪で吊り下げられていたらしく】
【先ほど鳴った鉄の音はそれだった。まだ生きている――歩けはしないだろうが、確実に】

【もっとも、目隠しに猿轡と外の状況が掴めていないようだった。見れば手足の爪も伸び放題の上】
【そこにも何かしらされたのだろう。他のものよりも赤い血が滴っていて―――。】
934 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 00:23:19.60 ID:ffaIyjHN0
>>928
「本当は六罪王サマって呼んだ方が良かったのかもしれないけどさ…………こんな場所で“罪”なんて呼ぶのは不吉でしょ?
――――ボクなりの配慮ってやつ。ほら、ボクってば気が利くもんだからさ
……ああ。元気だよ。君の親友に殺され掛けても、こうして歩き回れる位には元気さ
ふふ…………君が潰した街の自警団長はどうか分からないけど、きっと彼女も元気だよ」

【会話に織り交ぜられるのはフレデリックと一戦交わした事と、ラグナ―ルについての事】
【攻める口調でも尋問する口調でも無いのだから不思議なものだが…………確かに、この女はフレデリックと。延いてはダグラスと明確に敵対する存在】
【何時もの様に軽口を叩けば、首を竦めて。攻撃も無いとなれば、ひとまずの安心】


「概ね賛成だよ。神様が本当にいるなら、信仰によって勝手に助けてくれる筈なのにね?
――――ボクを作った人も大体は同じ考えさ。…………ふふ。だから、ちょっとした異端者

こう見えても侵入暗殺は得意分野だから凄く難しいって訳でも無いよ。君が本当にただの画家って立場なら、教えてあげれたのに
…………ん。遠慮しとく。この服装はあんまり気に入って無いし、時間もないから…………?」

【穏便に済むならばそれに超した事は無い。下らない冗談を交えたならば同じ様にまるで世間話をするかの様】
【ただ、今の修道女らしさが滲み出た姿を気に入っていないとは本音らしく】
【絵が出現したなら、其れを拒否するでも無く受け取って。感嘆の声を一つあげればポータルで転移させた】


「流石芸術家サマなだけはあるね。これなら、友達も喜びそうだ
まっ、今はその絵が上手いってのが癪だけど…………褒める所は素直に褒めるよ。だから、有り難う
あー…………ついでに、フレデリックじゃなくて君に聞きたい事が幾つかあったけど…………」

【絵を貶す事無く、寧ろ褒める。当然だ。確かに、その絵画は美しい物なのだから】
【…………切り出したのは質問、だが。この先の事を考えて居れば悠長に問答をしている暇も無い】
【まだ団長の部屋は探れておらず――――そして、団長が戻ってきたとなれば其れ自体が難しくなるのだ】


「それはまた別な機会で。ボクはまだ色々とする事があるからさ
…………そうだ、アンドレイ。いや、ダグラス…………かな。大司教選抜の時に殺されたあの人――――あれも、君の指示だったのかな」

【無防備にも、背を向けて先程の通路へと戻り始めた】
【その最中、背中越しに投げられる言葉は今回の巡礼に関してだ。フレデリックの神を信仰するが故の意思か…………それとも、ダグラスに考えがあって起こさせた行動か】
【答えがあろうと無かろうと、もう女からは言葉が返される事も無いだろう】

【さて、無事に階段の側へと戻って来れたならば。有ろう事か、短剣が僅かに壁紙の隙間を突いて広げた】
【注意して見ねば分からぬ程度。しかし――――確実に、風が通る量は多くなる】
【もし、これが全ての者に共有されている秘密で無かったなら。その場合、一人でも多く牢の存在に勘付かせられたなら】
【――――小さな悪あがきだ。何にせよ、外に出ることが出来れば…………後は、本人が戻る前に団長の部屋を目指すのみ】
935 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 00:37:48.47 ID:AWNiyMlIo
>>930-931


『…………―――ふゥーん。』


【にやりとしていた加賀屋の表情は変わらない。だが嘲りから――『やるじゃないか』、と】
【僅かな賞賛が含まれていたのは、読み取れるか。いや或いは、その嘲りの色が濃くなったのが分かるだろうか】
【意外に、言う。そう思ったのは確からしかった。改めて彼はセリーナに向き直ると】


『――グリース・イムリンパルスなんて論外ですわ、姐さん。あのお人は裏切り者……
 他所の派閥が創りだした、謂わば人工の暗殺者……教会の意志の、人の意志の手先ですわ
 敵だなんて生ぬるい……背徳の生き証人ですわ、あの人は。それがまあ、よういけしゃあしゃあと名前を出せたモノで――

 そういえば記憶、無いッて今言うてはりましたよね?それァよくない、速く治して差し上げないと行けない。
 ―――――…………団長もそうお考えでしてねェ?あァそうそう、アンタの考え方、団長さんに似てはりますわ
 まあ最も信じるものが違うンですケドも……電話*ツってますよ、出ェへんくてエエんですかァ?』

【prrrrrrrrrrrr―――=@呼び出し音だ、W-Phoneの。いや、持っているならという話だが――】
【仮に持っていて、それが鳴って、出たのなら――相手は『ベイゼ・べケンプフェン』と表示されていて】
【出ればただ一言、荒い息に混じって『ヤバい』とだけ。ただそれだけで、通話は途絶してしまって】

【その数秒後にかちゃり、と大会堂の扉が開く。そこには一人――若い、朱色の髪の女性がうずくまっていて】

【半開きの扉の奥、艶やかな黒の長髪と白のローブが見えた。厳格な顔つき、鷹のような鋭い瞳】
【――フレデリック・シャリエール。まさにその人が扉の奥、白い将校服の女性――アンジェル・ベルジュロン≠フ】
【その背後にいて。そしてアンジェルはなにか辛そうに頭を押さえ、倒れこむ。怯える子供のように身を震わせて、だった】


「――……夜分にごきげんようセリーナ・ザ・"キッド"……。
 一度ご挨拶に伺おうかと思っていたのだが……丁度居なかったのでな……?

 そこで面白い患者≠見つけたので、こうして治療≠オてお届けした次第だ
 記憶障害だったようだが……何、礼は要らんよ。それと済まないが、少し静かにしてくれたまえ
 この都市にいる者の80%が明日の日の出には街を出るのだ……眠れなくては困る、そうだろう?
 声が外まで漏れていたのでね……。……それでは私は失礼するよ、大事な友を待たせてしまっているので――では後は待たせたぞカガヤ……―――。」


【こくり、と加賀屋善助がその頭を下げたなら、フレデリックは僅かな笑みをセリーナに見せて扉を閉めた】
【そして倒れこむアンジェルの側――どこから出血したのか、零れた血液が逆五芒星≠床に描く】
【まるで『自分が機関の所属であることを証明する』かのように。一般の信徒ならそれがどう見えてしまうかは――】

『罪の意識ですかねェ?SCARLETや自警団じゃあ殺される上に味方にも迷惑をかける……
 だが教会なら……?そう思って、今名の上がっている此処に、団長も同伴で着いてきた……
 ……ほォら見てくださいよ姐さん。あんなふうに、しっかり罪の告白までして―――ねェ?』


『―――こういうのなんて言うんです?あっし、大陸の言葉は苦手なんですわセリーナはん
 あァ、こう言うのどうです……チェックメイト≠チて―――そういうのは。』


【一瞬だけ、まるでセリーナの反応を見守るかのように大会堂が再度静まり返っていた】
【笑っているのは加賀屋善助ただ一人。角隠しの奥に隠れた瞳が、しっかりとセリーナを見据えていて】
【取り囲まれた状況、動けぬ渦中の味方が一人――恐らく偵察隊の中で、もっとも悪い状況に彼女は置かれたことになるだろう】
936 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/14(金) 00:56:53.20 ID:m6gohGqKo
>>932 >>933

…………ッ! 瑚蝶、開けて!

【そこにあった光景に、佳乃は一瞬息を呑むだろうか。相反する力を持っているからこそ、弱弱しい妖気を感じ取るのは容易くて】
【そして、どれだけ神の力を振り翳そうが、少女もまた人間であるからこそ――――血塗れの状態で釣り下がる女性の姿に、強い悲しみと怒りを覚えた】
【佳乃は既にレバーに手を掛けている瑚蝶へ一声掛けて、すぐに牢を開けてもらおうとするだろうか】

――――発=I!

【あまりにも酷い状態だ、すぐに処置しないとまずい。相手が妖怪であるのなら神気による治癒は行えないが……他にも手はある】
【彼女が牢に入ることが出来たなら、まずは女性の両手を縛り付けている鎖を破壊しようとするだろう。今度は「火」と書かれた符・火符≠ニ棒手裏剣≠取り出し】
【棒手裏剣に符を巻き付け、鎖ではなく天井≠ヨそれを投擲する。狙った場所に届いた瞬間、佳乃の印を合図に符が小爆発を起こすだろう】
【硬い鎖そのものではなく、それが付けられている天井を壊すことで縛めを取り外すつもりのようだ。……成功しようがしまいが、次に佳乃は女性へ駆け寄り】

ちょっとあなた、大丈夫……!?

【差し当たって目隠しと猿轡を取り外し、女性と会話を試みるだろうか。どうやら生きているのは確かなようだが――――意識があるかどうか】
【更に、佳乃は連続で水符≠ニ木符≠取り出すと、先程と同じ発≠ニいう印を連続で切る。間を置かず、それぞれが効果を発して】
【まずは水符、これは空気中の水分を集めて小さな水塊を作るもの。まともな食事を取っていたようにも見えないし、気付けも兼ねてそれを飲ませようとするだろう】
【次に木符だが、これは小規模な治癒能力を発揮するものだ。佳乃は今日の任務に持ち込んだ十枚全部を持ち出すと、特に傷の酷い箇所へ貼り付けていくだろうか】
【――――傷が一気に癒えるほどのものではないが、止血と痛み止めによる応急処置程度の効果はある。今は、これが精一杯だ】

しっかりしなさい、何があったの……?

【そういった処置をしつつ、佳乃は女性に話しかけていくだろう。その際、光源である光符≠烽ワた近づけられて】
【女性の顔つきについてもよく見えるようになるかもしれない。もし佳乃の知っている人物なら、すぐにわかるはずだが……】
【……なおこれらの動作の間、狼は牢の外で佳乃の代わりに警戒を続けるだろう。こちらも何かあれば、すぐにわかるはずだ】
937 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 01:03:38.48 ID:AWNiyMlIo
>>934


『そう?どうせ此処の神様なんて意識してないんだし、罪でもいいと思うけど。
 あぁご配慮ありがとう、君とは気が合いそうだと思ってたんだよグリース
 なんなら仲良くするかい?僕は彼みたいに槍でキミを突っつき回したりしないよ?
 ……おっと、それは嬉しくないお話だね。見つかったらミンチにされちゃいそうだからさ

 それと、僕は本当の画家さ。と言うか……作家?彫刻なんかもやるけどね
 水の国の新人展とか言ってみなよ、どっかに僕のが賞状付きで置いてあるはずだから。
 ……本当?それは残念、じゃあまた今度会おうよ。お友達も呼んでさ――。』


【にこり、と屈託のない笑みを向けたなら、アンドレイは満足気に絵の受け取りを眺めた】
【彼は他社からの評価をあまり好まないが、プラスの評価であればやはり嬉しいものらしく】
【そういう点だけ見れば、本当に若き新進気鋭の芸術家だ。六罪王だなんて、過ぎた言葉の様に思えて】

【それから質問をされたなら、また意外そうにだが、少し楽しげに笑っていて】
【答えないつもりはないらしい。お気楽に向き直れば口を開き――】


『……第一に、君が思うほどフレデリックは極悪人じゃあないってことを伝えておこうか。
 彼はさ、誰が思うよりもずっと純情な男だよ。行動原理が僕と一緒でイカレちゃってるんだ

 僕は芸術を極めたいし、彼は如何にして神様を崇め奉るかを考えて生きてる
 で、僕は自分にも他人にも緩いけど、彼は自分にも他人にも厳しく生きてる。
 そして僕らは幼い頃からの親友で、確かに利害関係で手は組んでいるけど……

 ……あの人を殺すシナリオは、確かに書いた。でもそれを選んだのはフレデリックさ
 聖地巡礼も、今までの全てを選んだのは彼。フレデリックは僕の部下じゃないんだ、親友だよ
 
 だからカノッサ機関とゼン=カイマは確かに手を組んではいるけど、それは私情や嘘で偽るものじゃない
 お互いの利になるから手伝うんだ。彼の全ては、神と教会を思っての情動で動いているんだよミス・グリース。
 マッキンリー司教を殺して大司教になったのも僕に直接の関係はない……全て、彼の意思さ。』


【『善や悪では推し量れない、ね――』―――そんな言葉を最後に、グリースは地下を脱出することになるのだろう】
【ダグラスは何もしなかった。また暇になっちゃったな、なんて言っているかもしれなかったが追手はなく】

【またグリースが階段を登り切る直前、階下に気配を感じるだろう。弐つ――片方は確実に騎士団長のものであり】
【もう一つは意識を失いでもしているのか小さいが、元の力が強大なのが分かる。どうやら壁紙の傷を訝しんでいるようだが】
【やがてはその向こう側に消えて行った。歩いていったから少しは時間が稼げるだろうが急がねばなるまい】

【騎士団長の部屋は三階だ。幸い、2階を駆け抜けても誰も部屋から出ては来ず】
【彼の部屋にあるのは大きな槍の台座―コレは空で―と、デスクと本棚。見るべきはデスクだろうか】
938 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 01:05:01.89 ID:+twSavLLo
>>933

やはり、お主よのう……銀狼。

【照らし出された姿に告げる名は、大会優勝者である妖怪のもの。“やはり”というのは、】
【以前会った相手であり、妖気を感じ取っていたから。顔に笑いは無い。言うならば無表情といった具合で】
【ガコン、とレバーを作動させる。佳乃がこちらに声を掛けるのとほぼ同時、寧ろこちらが速い程】

……祐徳=Aいくぞ。
―――――仙術、「源九郎」

【レバーを放した手、代わりに現れるのは蒼玉の飾りが付いた鉄扇】
【サッと片手で開いたならば、振り扇ぐと同時に漏れ出る濃い妖気】

【流れていくその妖気は、形を作る。それは、“刃”。柄の無い刀の様な、無数の白刃が空中に形成される】
【それら全てが、天井より伸びる鎖へと打ち込まれていって。憑依という形を取っている以上、】
【本来より威力は落ちていた。しかし、それを補うのが数だ。同じ箇所に、幾つも、幾つも】

豊川=B妖術「女鬼・荼枳尼」―――受け止めてやれ。

【今度は紅玉。振るえば強い風が巻き起こり、彼女の足下でぐるりぐるりと渦を巻き】
【鎖が切れて崩れ落ちたならば、衝撃を消してその身体を受け止めようとする】

【それから、ゆっくりと歩み寄って。ぺちぺちと軽く頬に手を当てるだろう】

――――おい。こんな所で死ぬかえ?折角この余が出向いてやったのだ。しっかりせんか、この犬っころめ。

小娘―――佳乃、だったかの?こやつは余が連れて行く。お主はあやつらを、の?

【挑発するような言葉だが、瑚蝶なりの発破の掛け方だ。わざわざこの為に出向いた様な物言いだって、その内で】
【無表情――一見すれば、そう見える。しかしよく見れば、その眉は浅く立っていた】

【―――瑚蝶という妖狐は、多数の妖怪を配下に置く立場にある。そういった性質上、】
【実際に配下にある妖怪でなくとも見知った妖怪である彼女のこの状況は、決して快いものではなかった】
939 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 01:06:30.14 ID:+twSavLLo
>>938
/安価>>936が抜けてました……
940 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/14(金) 01:09:47.31 ID:zXiZdjFBo
>>935

【ただ、想いを言葉にしただけ―――しただけなのに、この疲労感、この緊張感。セリーナにとってもこの瞬間は】
【まさに生涯をかけて絶対に譲れない場であったのは確かだろう。言い終えて、加賀屋の表情が変わらない所を見ても】
【それでも、自らが今、為すべき事、告げるべき事は告げたとそう感じる。だが、それで終わり、とはならないのがこの任務だった。】

【―――僅かにだが、感じる加賀屋からの嘲り。いや、それは良い。セリーナも相手に響くと思って叫んだのではない。】
【むしろ自身が否定されない為に、仲間の栄誉の為にと言った事。だから相手にそれが効力を発揮せずとも良いが、問題は】
【むしろその言葉を受けて尚、この男が不愉快な笑みを浮かべている事であり―――セリーナは気を抜かず、彼の言葉を待った、が。】

【唐突に鳴り響くW-Phoneの緊急コール。決して加賀屋から目を離さないまま、片手で端末を掴み、コールを受け取ると。】
【たった一言、聞きたくなかった言葉と聞きたくなかった焦りの声。ベイゼは賢く、冷静だ。悪戯でこういう事は、絶対にしない。】
【となれば、一体何が『ヤバイ』のか―――しかしその答えは数刻後に、自ずと理解できるようになろう。背後の扉が開き、事態は急転した】


  (――――――――――――――ッ!?)

  あ―――アンジェルッ!? どうして、ここ―――……!?


【言葉をかけるまでも無く。彼女<アンジェル>はそこにどさり、と倒れた。そしてその背後、忍び寄る影はまさしく】
【フレデリック・シャリエール―――その名を聞いた日より、ずっと倒す事ばかり考えてきた、仇敵がそこにいた。】
【しかしそれよりもまず、倒れたアンジェルの保護が先だろう。彼女の毀れた血液が描く、ものは―――。】

   
                 ――――――――クソッ!!


【加賀屋の『チェックメイト』―――勝利宣言が背後で聞こえる。だが、そんなものに構っている暇は無かった。】
【瞬間的にセリーナは発砲、"愛銃"たる"弾"末魔による召還陣を形成―――呼び出す武装は悪魔の兵器、ティターンアーマー。】
【円卓から飛び降り、扉の方へと猛ダッシュをかけるセリーナは召還陣にぶち当たる様にして透過、全身に魔導鎧を装着する―――!!】

【すかさず、右手のコルト・ライトニングにて空中に浮かんだシャンデリアを次々に発砲、破壊を試みるだろう。】
【先ずは視界を奪うのが先決だ、この数が相手では真正面からは逃げ切れない、上に彼女は怪我人を抱えなければならず】
【まさに窮地、対レギン、対リリアに次ぐ生涯で最大のピンチを向かえ尚、セリーナは獰猛に直線上を、駆け抜けようとする―――!!】

  (もう、無理だ……感じる、信徒が暴徒と化していく空気をッ! 目を覚まさせるとか、そういうのは後回しだッ!)
  (じゃなきゃアンジェルが―――アタシの仲間のアンジェルが、)

                                   ―――――――――――全員、そこをどけぇぇぇぇッ!!


【―――与えられたミッションは二つ。アンジェルを生きて返す事。誤解を解き、信徒を出来るだけ傷つけず説得すること。】
【つまり、闇雲に信徒へ発砲する事は叶わず。ケルベロス・マグナムやドラグーン・キャノン等の強力兵器すらも、今は使えない。】
【―――果たして、逃げ切れるか。いや、逃げ切らねばなるまい。少なくとも今、この空間における凶器は加速している―――――!!】
941 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 01:19:33.40 ID:AWNiyMlIo
>>936>>938

【佳乃の疑問は瑚蝶の言葉で解決されるだろう。この獣人はかつての大会優勝者――】
【その名を『長尾銀狼』という――しかし今は見る陰もなく、頭上の鎖を小爆発と妖気の刃が打ち壊し】
【何もなければそのまま倒れこんで絶命してしまいそうなところを、なんとか二人に助け起こされて】

【逆らうこと無く治療と手入れを受けて、目と口の異物を取り払われれば『こほっ』と咳込み】
【落ち窪んだ目元の瞼が開いて、眩しげに二人を見遣り――浅く息をしながらも確認すれば】


っ……ぁ、瑚蝶か……なにゆえ、こんな所に……、…?
…それにお主は……橋姫様≠フ時の、巫女か……、――そう、じゃ……!
―――あの方≠ェ……橋姫様≠ェ危うい、あの騎士団長に……ぅ、…ゲホ、ゲホッ……!!


【朦朧とする意識の中、なんとか言葉を発した。橋姫=\―覚えのある名前のはずだ】
【櫻の大妖。そういえばあの討伐の折、白い狼と――それにフレデリックも居たはずで】

【しかしそれ以上は声も出ないと見えた。僅かな水を享受して、死に体というようにぐったりとして】
【それから――隣の牢獄がまた、騒がしい。『早くしてくれんかのう』だのと、老人どもがゴネていて】
【何か外からは大きな音も聞こえたように思う。大会堂のそれ(>>940)がまさに、なのだが】
【あまり時間はないということか――戻った方がいい。下手を打てば全員が一網の内に捕らえられる可能性もあったから。】
942 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 01:32:18.09 ID:ffaIyjHN0
>>937
【答えを聞く背中。振り返る事は無かったけど、クツリと笑い声が小さく小さく響いた】
【なぁんだ――――そんな言葉が聞こえるか、聞こえないか】


「過ぎた信仰は最早別の宗教だと思うよ。血でしか止められない罪はあっても、血でしか拭えない罪は無いんだから…………ねえ、団長サマ
君は思って行動しているだけで神託を受けた訳じゃ無い。なら――――ボクと同じ我が儘じゃないか
流血で崇め奉る事で喜ぶ神様なんてのが居るなら、一回お茶をしたい位だ
――――…………ボクには人間の心っていうのが無いから今一分からないけど…………教徒と関係無いからって踏み躙ってると、その内怖い怖い人達が吠え出すだろうさ」

【殆どがかれの意思だというのだから、殊更可笑しく思えてきた】
【修道女でありならがら、無神論者。結局全ては人が救い、人が殺めるのだから――――そんな考えだから、可笑しく感じる】
【敵に対して後ろ手を振りながら去る背中は何とも奇妙だが…………何事も無く、二人は別れる事となろう】



【誰にも見られず、無事に辿り着いたなら。ざっと部屋を見渡し、確認】
【――――目に付くのはデスクだ。団長も戻ってきて――――先感じた、小さな気配も気にはなるが】
【残された時間はそう長くないだろう。脱出の事も考えると、一から掘り返している暇も無い】
【デスクの引き出しやら、書類が載っているならば其れやら。調べられる物は一通り目を通してはみるが――――?】
943 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 01:38:07.73 ID:AWNiyMlIo
>>940


『言うたでしょっ?団長と姐さんはよく似てる、て……行動的なんですよォ、うちの団長さんは。
 UTのリーダーが直々にゼン=カイマに侵入するように、UTの拠点にお邪魔したまで……
 ……オマケにお得意の治療まで施したんやから、そないに怒ること無いンとちゃいますか?

 ―――あーあァー、もう滅茶苦茶ですわな。まあエエでっしゃろ……でもその人はあきまへん
 もうちょっとウチで様子見ないと、ねェ?自分のトコロで虐殺起こっても知りませんよォ?』


 『―――さァ、信徒の皆さん長机から離れんようにお願いしますよォ……!
  アッシの元の稼業はねェ、姐さん?石屋≠ネんですわ、親父もその親父もねェ!
  代々加賀屋は石を食い物にしてきた……それは石鬼≠スるあっしらの誇りであり能力……!!
 
  加賀屋謹製・千畳石畳=\―――お祭りみたいで、ステキでしょっ?』


【ニィ、と笑ってセリーナの武装を見遣り、彼女が猛スピードで駆け抜けていくのを眺める加賀屋】
【シャンデリアが落ち、部屋の明かりが一挙に暗く。そして幾人もの悲鳴が周囲にこだまして】

【だが、それを抑えるように加賀屋は声を張った。直後、両腕を二列の長机と重ねるように掲げると】
【スッ≠ニその両掌を地に下ろすと――直後、長机を粉砕して、巨大な石板が地中より這い出すように出現する】

【それは宛ら壁のようにセリーナの両隣を狭め、そして最後には彼女が辿り着くより早く】
【アンジェルのうずくまる空間毎石棺≠ノでもするように包み込んでいってしまう】

【更には、出入口すらもせり出す岩壁が塞ごうとしていて――今からアンジェルの場所まで引き返すなら】
【まず確実に、セリーナ自身が捕らえられる。それも数百の群衆に囲まれた状況で、だ】
【マズイ――確実にマズイ。逃げるか、動けるかも怪しい味方―かも分からない―と運命を共にするか】
【選べるのは僅かにゼロコンマ数秒しかない。石壁は既に人の膝丈までせり上がってきていたのだった】
944 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/14(金) 01:44:28.93 ID:m6gohGqKo
>>938 >>941

長尾、銀狼………。
――――なんですって!?

【照らし出された顔立ちに、瑚蝶の呟き。あの櫻の国の事変で出会った者だと思い出すのに、そう時間は掛からなかった】
【同時に、暗い疑念が頭を過ぎる。何故こんな所に銀狼がいるのか――――今回の件とあの時の事件は、やはり関連しているということか】
【そしてその疑念は、銀狼の言葉ですぐに現実に変わった。自ら右腕を切り落としたあの鬼のこと、辛酸を舐めて終わったあの日のこと、忘れるはずも無い】

っ………わかった、急ぎましょう。時間も無いみたいだわ…………。

【瑚蝶からの言葉を受ければ、佳乃はしばし唇を噛み締めた後、素直に従うだろうか。同時に狼が軽く吼え、通路の上で起きた異常を佳乃に伝える】
【佳乃は銀狼を彼女に任せて牢から出るなり、また操符≠取り出して『六花招来』と呟く。新たに作成された式神は鷹≠フ姿をしているだろうか】
【狼と鷹を引き連れて老人達の牢まで出向くと、無言のままレバーを下ろす。そうしたなら通路を走って、出て来るであろう老人たちの先頭に立つだろう】

行くわよ、ついて来なさい。
ただし、おかしな動きをしたら――――。

【背後には傲慢で我の強そうな人間ばかり。佳乃はじろりと彼らを睨むと、一瞬だけまた濃密な神威≠纏い、彼らへ強い脅しを掛ける】
【それと同時、老人たちの最後尾についているであろう狼が、大きく唸るだろうか。……まるで羊を追い立てる牧羊犬か何かのようだが、これも脅しとしては効果的か】
【佳乃はそれだけ言うと、通路を早足で引き返していくだろう。佳乃の前には鷹が先導して危険が無いか探り、常に警戒を張り巡らせる――――】
945 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 01:50:16.63 ID:AWNiyMlIo
>>942

【無論――フレデリックはグリースには気付かなかった。他に気がかりがいくつか会ったのもあるが】
【恐らく外の騒ぎ(>>940)のせいだ。グリースにとっては幸いだろうし、セリーナも目的を果たした事になる】

【が、それはともかくとして――デスクを漁れば出てくるのはどうでもいい大司教交代の用紙やら、誓約書やらと】
【それから愛用らしい古い羽ペン、懐中時計、分銅、後は気になる書類が幾つかである】

【書類の内訳はおおまかに『計画書』『人員構成』『資金蓄財』の三種類である】
【『計画書』は今後の指標。風の国・大聖宮ヴィンド、夜の国・『希望の灯』、そして聖都スラウロット】
【この三聖地を回る行動のまとめとでも言うべきものだ。つまり、次の行動が把握できるということになる】

【次に『人員構成』――これは第三近衛騎士団のメンバー表と言っても差し支えない】
【といってもちょっとした出自と基礎的な情報のみで、能力や戦い方は乗っておらず】
【また写真も付属していないため、使えるかといえばそうでもないだろう】

【最後の一枚は、要するにゼン=カイマの支出をまとめたものだ。やはり、寄付が圧倒的に大いが】
【その中に『アンドレイ・ニチシビリチャチ』の名もあった。こういう面でも後援はしているということか】

【――後は、デスクの上にあった小箱に金貨が十数枚入った袋が一つ。これは好きにすればいいだろう】
【さあ、階下からか重い足音が聞こえてくる。扉を開けても階段以外に出口は――いや、外が見えては居たが――どうするか。】
946 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 01:56:13.37 ID:1dkoVTu7o
>>941

【橋姫に関しては、瑚蝶が会った事も無ければ、ゼリシュも討伐には参加していない】
【それ故、事情はそこまで詳しくないのだが……何にせよ、マズい事態である事はわかった】

―――何、この身体への憑依を試してみたくての。しかし……何やら表が騒がしい。
あまりゆっくりとしておる暇は無いようだの、細かい話は後ぞ――――

【詳しく事情を聞ける程銀狼の体力も無ければ、時間の猶予も無い】
【ぐったりとした彼女の身体を横抱きに抱え上げたなら、牢の外へと出て。】

……二本以上はまだこやつの身には負担が大きいが、致し方あるまいな……!

【不意に、妖気が格段と強くなる。纏っていたローブはチリチリと灰になり、散っていて】
【一本だけであった銀色の尾が、増えていた。二本、三本と増すにつれ、ローブが灰になるのが速まっていく】
【――――濃く、そして神性をも秘める天狐の妖気が、銀狼と瑚蝶の―というよりもゼリシュの―身体を包んでいった】

【進む位置は、佳乃の式神狼と同じく最後尾。その妖気を以て追い立てる様にして】
【もはや、修道女だと偽る事は出来ないだろう。しかし、この騒ぎではその必要もないのだろうか――――】
947 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/14(金) 01:57:57.25 ID:zXiZdjFBo
>>943

【ベイゼが攻撃されたのは想像に容易い。いや、もっと言えば拠点そのものが、か。】
【地下の基地にまでダメージが及んでいた場合、どうなるか―――そもそも、彼が先程の演説中に】
【『UTはたいそうな施設を構えている』―――と、そう言っていたのも伏線の一つか。ともかく、今は戻らねばなるまい―――!】

  治療、だって……? アンタの上司がやった其れは、治療なんかじゃないッ!!
  荒療治ならなんだって良いってわけじゃないんだ、アンジェルが現実と向き合うにはもっと相応しい方法が―――クッ!!

【浮かび上がる石畳。これがあの男の能力か―――通常戦闘でどう影響するかまでは分からないが、少なくとも】
【今回、いや今この一瞬においては到底看過できない能力なのは間違いない。空間を掌握する制圧型能力―――!!】
【脱出を目的としている以上、これ以上に厄介な能力が相対するとは思えまい。セリーナは短く舌打ちし、素早く思考を回転させた。】

  
  (―――――――どうする……ッ! 今助けに向かわなきゃ、アンジェルは間違いなく連中の手に、堕ちるッ!)
  (しかも連中の事だ、恐らく捕獲やそれだけじゃ済まさない筈……絶対に見捨てるわけには……けどっ!!)
  (このままじゃアタシすらも脱出できない、そうなったらまさにジ・エンド――――最低の結末だ、どうするッ!!)

       ―――――クソッ、クソッ、クソッ……!!

【しかし、判断せねばなるまい。どう動くか、少なくともこのままでは二人とも捕縛されてしまう。】
【仲間として、そんな結末を選ぶのもまたひとつの手かもしれない。だが、それでは余りにお粗末だ。】
【仮に連中がアンジェルを『洗脳』するとすれば―――まだ、チャンスはあるか。次に合間見えるのが戦場だとしても】
【生きてさえいればまだ、彼女を元に戻すだけの能力はセリーナにもあるかもしれない……最も、其れも連中が彼女を殺さなかった場合だ】


 (仮に殺されたら……そのとき、アタシは立ち直れるのか。この小さな、消えそうな火を前にして逃げた、アタシが。)
  (―――――また、"あのとき"と……"クリス"と同じ様に、アタシは護れないのかッ!!護れないのか……ッ!!)

       (――――いや。アタシはUTのリーダーだ。こんな所で、ブレるわけには、いかない……)

【ガツン、という強烈な音。それはセリーナが暗闇の中、出口に向かって発砲した射撃音だ。】
【ガンフラッシュが闇夜を照らし、一瞬だけティターン・アーマーのシルエットを浮かび上がらせる。】
【セリーナは出口目掛けて弾丸を放っていた。少しでも岩壁が出口を覆うのを遅らせようとして、だ。そう。】

【―――つまりは、脱出を優先した。と、同時に。セリーナはアンジェルの方へと、"ある物"を投げるだろう。】
【それはセリーナが常に装備しているガン・ベルトと親友たるベイゼ・ベゲンプフェンより受け取ったコルト・ライトニングだ。】
【そう、自分の大切な武器を預けるという事は―――必ず迎えに行く、という強い意思表示でもあって。更に言うならば―――。】
【いつでも一緒にいる、とそういうメッセージを込めて。倒れたアンジェルの傍に、一握りの想いを込めて、彼女は愛銃を投げた。】



             ――――――アンジェル。必ず、迎えに来る。約束だ、アタシはアンタを裏切らない。


【―――だがそれには、自分が生き残る事が重要だ。セリーナは出口を破壊するほどの勢いで、体当たりし脱出を試みるだろう。】
948 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 02:05:43.86 ID:AWNiyMlIo
>>944>>946

【老司教たちはレバーが降りて牢獄の境がなくなれば、ようやく息が吸えるとでも言うように】
【一斉にその外に飛び出して、またわんわんと騒ぎそうな様子だったが――】
【佳乃の一喝が効いたのだろう。狼も唸られて、気弱な老人たちは頷くしか無く】
【そのまま一行は銀狼と瑚蝶、そして狼の式神を最後尾にして進み、外へ】

【やがて大聖堂に出ると、流石に騒ぎを聞きつけたか、二人の司教が隅に居たものの】
【驚いたような顔やら、申し訳ない顔やら――しばらくした後に、また奥へこそこそと消えて行った】
【騒がないだけ、恥を知っているぶんだけ他の連中よりマシだ。きっとそんな感想を抱くことだろう】

【更に外、空の見える場所まで行けば何やら大会堂と第三近衛騎士団の館が騒がしく】
【二人と司教たち、そして銀狼にとっては幸いな事に夜陰に乗じて都市を脱出することが出来るだろう】
【また、本来ない筈の救助部隊だったが――郊外まで行けば、一大の大型輸送トラックが止まっており】
【『騒ぎを聞きつけてな』とドライバー。それに乗り込みさえすれば――今回の任務は、完了だった】
949 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 02:14:26.14 ID:ffaIyjHN0
>>945
【当然の如く、計画書は手中に収めて転送を行う事だろう。人員構成は、パラパラと捲って一瞬ばかり迷う素振りをしたが…………】
【今回の依頼を思えば、無いよりもあった方が良いか――――何より、不必要と言われた時は自らか会う事があった時、人物の特徴でも纏めて行くかと同じく転送して】
【支出状況を見れば、少なからず昔の購入した武具の事を掴めるだろうか。捲る限りでは寄付が多いし、或いは最後までその文字が続いても不思議では無いが】

【そして最後だが――――小箱を手にしたなら、袋の口を開いて罠等々が無いかを調べて貨幣を追加した後に馴染みの孤児院にでも送った事だろう】
【自分のものとしてくすねた訳でも無いことから、金銭に執着がある訳で無いとは直ぐに分かる。グリース個人による、団長へのただの嫌がらせだ】
【ただ、その先か孤児院なのだから…………何と無く、修道女の性も分かるもの】

【書類と金貨以外に手が付けられる事も無く、後は迫る足音に集中して】

【必要な情報は全て得られた。もう少し念入りに調べては見たかったが――――もう、時間だ】
【流石にポータルも自分を運ぶだけの力は無い。だから、代わりに取りだしたのは先程転移に用いた物だ】
【尤も、対象は壁では無く――――床。扉が開かれる数瞬前に下へと転移して、そのまま騒動に交じって脱出する算段なのだろう】
【その道中、誰かが気付いたり阻むなりすれば話は変わるが――――】
950 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 02:20:59.93 ID:AWNiyMlIo
>>947

【セリーナが愛銃――コルト・ライトニングをアンジェルの傍へと放ったなら】
【それは非常にギリギリのラインで、ガチガチ≠ニ石棺に阻まれながらも】
【――確かに、確実に彼女の元に届いて、見えなくなった。同時に、正面のドアは衝突で破壊され】

【ティターン・アーマーを纏ったセリーナは、ここまでくれば何者もジャマをすること無く】
【陸からでも空からでも脱出することが出来るだろう。ただ、次第に人が集まってくるから】
【未練がましく残っていることは出来ない。加賀屋だって、すぐに出てくるはずだったから】


【そういう理由もあって――恐らく、セリーナは立ち去らざるを得ず。周囲には、信徒と騎士とが残されるわけで】


『ふゥ……相応の方法?それって、姐さん……ただの棚上げじゃあ有りませんかね?
 答えなんて要りませんケドねェ……あっしの事でも無し、聞いても無し。
 先ずはこの大会堂かたさなあきまへんわな。前日だっていうのに、全く……

 ―――信徒の皆さァん。落ち着いたら瓦礫片すだけかたして、明日に備えまっせェ!
 怪我人が居るならはよ名乗り出ること!それと誰か、団長はん呼んできてや!』


【加賀屋善助の行動は、そして切り替えは早かった。この男――この鬼は、もしかすると】
【愚直なまでに信仰に熱心な騎士団長よりも、こと策謀に関しては数倍上手だったように思われた】

【そしてアンジェル・ベルジュロンは――まず、第三近衛騎士団の牢に居れられることとなった】
【といっても抵抗は一切なく、加賀屋もそれを知って拳銃はわざわざ懐に忍ばせてやったほどで】
【彼女に関しては後の知らせも有るのだが、それはまた後にしよう――先ずは、セリーナ自身の脱出が先であった】
951 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/14(金) 02:31:51.64 ID:zXiZdjFBo
>>950

【―――強烈な衝撃が全身に走る。ティターン・アーマーの防御力が勝ったのか、扉が其れに負けたのか。】
【ともかくセリーナは屋外へと抜ける事に成功する。其処から先は、又只管にゼン=カイマの内部を、とにかく奔った。】
【逃げるしかない。これ以上此処にいれば、どうなるかは火を見るより明らかなのだ。早いうちに脱出しなくてはならなかった。】


                    ―――<有限軌道 クラーケン・ウィール>―――

【三発目の"弾"末魔が、森の奥で吼えた。轟音と共に現れた召還陣がセリーナの、アーマーの下腹部を通り抜ければ】
【彼女の腰元から巨大な兵装が素早く装着された。10本の魔導機械式アームが丁度、海の怪物クラーケンの触手の様に】
【セリーナの腰からそれぞれ全方位に伸びる形で呼び出される。その脚部の先端にはこれまた魔導式の駆動輪が備えられていて】
【極めて特殊だが移動用兵器として長時間の使用に耐えうる形状となっていた。魔力が唸りを上げ、クラーケンのタイヤが動き出す。】
【セリーナはそのまま高速で移動、森の中へと逃げ隠れるようにして去っていく―――ともかく、脱出は成功したと見て良いだろう。が。】


   ……任務は失敗、得られた情報は少なく……失った物は、大きい……

【―――そう、決して成功とは呼べない結果に終わる今回の潜入捜査。セリーナは敗北の味を噛み締める。だが。】


   ……いや、失っちゃいない。必ず、取り戻すんだ。アタシの手で。アタシの仲間の手で。
  
                          待っててよね、ちょっとの間だけ―――アンジェル。
 
【そう、呟き。異変があったと思わしきUTへと、先ずは岐路を急いだ――――。】  
952 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 02:36:36.01 ID:AWNiyMlIo
>>949

【書類三種、そして金貨―ちなみに箱に罠は無い―は、しっかりとグリースの手中に収まるだろう】
【まあ、一つは別の場所に送られるわけだが。それさえ終えてしまえば、やはり此処にはもう何もなく】
【やがて転移を開始すれば、丁度下階に辿り着いた瞬間に、上階で扉が開かれる音が聞こえるはずだ】

【その後、逃れるのは思っているより容易なハズ。何故なら外の騒ぎで何人かがドタドタと館内を走り回り】
【フレデリックを探すやら、主要なメンバーを叩き起すやら、大きな騒動となったからであった】

【――ただ、強いていうなら外に出てから視線を感じるはずだ。振り返れば、それは煌々と明かりの灯る第三近衛騎士団の館――】
【その三階、騎士団長執務室に大きな陰が一つ見えるだろう。さすがに表情やらはもう、分からなかったが】
【じっと睨むように、或いは何かの意志でも込めているかのように――ふとその姿が消えれば、もう阻むものは何もなくて――。】
953 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/14(金) 02:48:22.70 ID:m6gohGqKo
>>946 >>948

………………ふん。

【思っていたような妨害も無く、無事に外に出ることには成功した――――途中逃げ出していく司教たちの姿に、少しだけ苛烈な目を向けて】
【その後も騒ぎに乗じるような形で、佳乃達は一気に中心部を抜け出すだろうか。地図を眺めて、予め当たりをつけておいた逃走ルートを確認し】
【その通りに郊外へと抜け出せば、待っているのは大型トラック。信頼できるか否か、ドライバーの顔を確認だけすると、佳乃はそこへ老人達を乗り込ませるだろう】
【式神たちも一緒に飛び込ませ、瑚蝶と銀狼が乗るのも待って。そうして全員乗ったのを確かめれば、ドライバーに合図を出して車を出してもらうだろうか】

(……………………。)

【――――トラックの中で今回のことについて回想する佳乃の顔つきは、厳しい。今宵もまた、何かの陰謀の上で踊らされていたような気がして】
【じきに聖地巡礼≠燻nまる。何か大きなものが動き出そうとしているのは想像に難くない。その中で今日の事が、果たしてどれほどの意味を持つのか……】
【神像に埋まっていた何か≠フこと。拷問されていた銀狼を救えたこと、彼女が齎したとある情報。見聞きした情報は多いが、今はどれも不明瞭すぎて】
【あの傲慢な老人達を救ったことが、この街にとって本当に良い事だったのかすらもわからない……。何もかも、未だ闇の中に沈んでいるように思えた】

【どれだけ考えても、現状では答えなんか出やしない。他の二人が持ち帰った情報も含めて、改めて検討する必要があるのだろう】
【それをわかっていても――――胸中に渦巻く不安は、佳乃の心を苛んで止まなかった。結局少女は、騒乱の渦中に一石を投じて、この国を去っていくのだろう】
【……少なくとも、今は。あの日宿した炎が消えない限り、幸徳井佳乃はまたいつか、戦場へ赴いていく筈だ――――】


/皆様、お疲れさまでした!
954 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 02:52:28.21 ID:ffaIyjHN0
>>952
「脱出成功、と…………まっ、内容の達成率はそれなりって感じかな
写真も撮ったし一応はダグラスから貰う物も貰ったから、その追加報酬を考えれば成功になるのかな…………
まあ、絵自体は綺麗だし六罪王が描いたって言わなければカログリアも喜んで飾る……よね」

【盗み出した書類を眺めてみれば大体の行動を掴むべく頭で色々と練ってみて】
【ふと視線を移した先には、先程まで自分が居た場所に影】
【突き刺さる様な視線に対しては、同じくじっと視線を返すのだろう】

【女の纏う聖が強くなり、純白の翼が生えるのとその姿が消えるのは同じ頃】
【――――忍んで出て行くことより、逃げる速度を重視したのだろう】
【数枚の羽をゼン=カイマに散らして行けば、女の姿も何処へと飛び去り】

【――――後日、自らの所属する教会に資料を移出したのは勿論の事】
【依頼を出してきた教会にも、同じ様に資料を出す事だろう。…………ただ、一つだけ違うのは】
【牢屋にあった、巨大生物達の骸を収めた写真も共に提出してある事。態々骸を保存している事に疑問を抱かせたり、なんて】
【尤もコレに関しては特に口に出さずに渡したのだから…………気付かぬ内に捨ててしまった頃で不思議な話でも無い】
955 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 03:17:26.62 ID:rkrq/JMgo
>>948>>953

【オズムンドとビトレスの両司教に一瞥をくれて、瑚蝶はそのまま大聖堂を後にした】
【ここで色々と文句を垂れるのは、瑚蝶ではなくゼリシュの領分だ。何より、時間も無かった】

ふう……慣れぬ事はするものではないのう……解。

……――――!?ど、どこよここ!何がどうなってるのよこれ!?
何かすっごい体もダルいし疲れてるし……瑚蝶の試したい事って……

【やがて郊外に至ってゼン=カイマを離れ始めたなら、傍に下ろした銀狼を眺めて一息】
【耳と尻尾が消え、憑依を解除したのか漸く始めのゼリシュに戻れば、その間の記憶が無いのか大混乱】

【―――が、騒いでいる内に近くの空いた場所に、一つの影が現れた】

【それは胸元を大きく開けて豊かな胸を強調した、絢爛な襲を着た女の姿】
【切れ長の目は金色に、流れる髪は黄金の輝き。この女こそが、瑚蝶であった】
【……といっても、人間の姿を取っているだけであって本当の姿、といえるかは微妙なところだが】

「苦労であった。身体に異常は無いかの?」

……めちゃくちゃ疲れてるくらいよ。他は何とも無いわ。
―――それより、これから、どうするの?

「一先ずはお主も銀狼も、山へ飛ばす。銀狼の傷も診てやらねばならぬし、お主の方も一応な。」

わかった。じゃあその前にアイツに報告入れておくから、ちょっと待ちなさい。

【携帯端末を取り出したゼリシュが連絡する先は―――今回の仕事をこちらに回してきた、あの男】
【不機嫌な声で暫く簡単な報告をしたなら、かなり一方的に通話を切って】

【それから――――輸送トラックが移動を終える頃には、瑚蝶・銀狼・ゼリシュの三者は姿を消しているだろう】
【近くで見ていた司教に聞いても、わかるのはただ、「突然景色が歪んだら三人とも消えた」という事だけ】
【恐らくはきっと、瑚蝶が現れた時と同じ様に移動してしまったのだろう。足跡を辿るのは極めて難しく】

【ただ、夜の国、妖怪が住むと言われるとある山。そこに住む妖怪達だけは、全てを知っているのであった】



/ではお持ち帰りコースということで、お疲れ様でしたー!
956 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 03:37:32.37 ID:AWNiyMlIo
>>951>>953>>954>>955

【『ゼン=カイマ偵察任務』は――全員脱出、という形でひとまずの終わりを見た】

【任務の達成度は100%と言って良い。少なくとも教会諸派閥≠ニいう勢力にとっては、だ】
【大聖堂より全員の司教の救出、武装の確認・劣化の呪い、地下構造の確認】
【ほかならぬ第三近衛騎士団の館、その地下に存在する大牢獄と巨大生物の骸が幾つか】
【そしていくつかの書類の入手と――最後に、全てを支えたセリーナ・ザ・"キッド"の奮闘】

【現場を知らぬ司教の一人は『パーフェクトだ、任務遂行者を福者に推挙しても良い』と言ったそうだが】

【実際は痛手も大きかった。何より先ずはUNITED TRIGGERがその被害を被っていた】
【第一にメンバーのアンジェル・ベルジュロンがゼン=カイマにより拘束され】
【また、UTの基地もまた襲撃を受けていた。ただし、この損害は極めて軽微であり】
【その功績はほかならぬアンジェルと、共にそこに居たベイゼ・べケンプフェンの者らしく】

【精々、暖簾だか幟だかがちょっと燃えただけ。酷いのは人的被害であった】
【当のベイゼは全身に火傷を負い緊急入院、またアンジェル・ベルジュロンは――】
【数日後に逃走した≠ニゼン=カイマ側が発表した。わざわざ『うちには居ない』と言ったのだ】


『……まあいい、お前がグリース・イムリンパルスを見逃したのは許してやろう
 あの女は我が騎士団員が首を取る。それより、あの二人はどうするのだ?』

「アンジェル・ベルジュロンと……そっちの橋姫≠ウん?
 そりゃ単純だよフレデリック、人材さ。どっちもとっても上玉の素材だろう?
 
 アンジェル・ベルジュロンが資料のとおりなら、僕が人形扱いするまでもない
 しばらく様子を見なきゃマズイだろうけど、きっと役に立ってくれるさ
 ブランデン・ケミッシュ……彼女も喜ぶしね。それと、妖怪さんについては……」

『……まだ秘密、か?好きにしろ、どうせ大した苦労もしていないからな
 あの狼を捕らえていることを伝えたら素直に降伏したのだ、それと封印はしてあるが……』

「扱いには気をつけろ?大丈夫さ、機関にだってそういう施設の一つや2つはあるからね
 先ずは君の出番だろ、フレデリック。聖地を巡って、不正を正す。善も悪もない戦いだ
 僕は君の背を押すことしかしない……頑張ってね、応援してるから。」

『お前の手など借りずとも、と言いたい所だがな……まあ、好意を受け取らぬ理由は無い
 ダグラス、お前の動きも陰ながら応援している。そのマント≠焉c…上手く使えよ?』


【――以上のやり取りは、ちょうどその頃合いに、水の国のある屋敷で交わされた会話】
【もう誰が誰だかは言うまでもなかったし、それを確かめられる人材も居なかった】

【結果的に、任務は成功したのだ。教会諸派閥という権威はそれで満足していたし】
【ゼン=カイマもまた、前日に襲撃≠ェあったという体にしてしまえば】
【それはそれで人的被害も無く、美味しい話であった。得をしたのは教会――その人間だけだった】

【それでも、時は止まらない。誰かが何かの決意をしようが、誰かを救おうが、任務が一つ終わろうが】
【聖地の巡礼は既に開始の一歩手前――あと数時間もすれば人々は挙って都市を出て】
【そして夕暮れにはヴィンドの近郊に辿り着くだろう。全ては、始まりの前の序曲に過ぎない――誰かがそれを、言った気がした。】

/これにてイベントを完全に終了と致します。参加者の皆様、お疲れ様でしたー!
957 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 04:13:20.08 ID:AWNiyMlIo
/尚こちら↓が新スレとなりますです〜
/ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1394737955/
958 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/14(金) 04:45:16.32 ID:wOUHevAn0
初めてなので>>1-100から見てみます
959 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 15:34:13.85 ID:2rIlHPCQo
【漆黒色の館】

【陽光の見えない国の朝は曖昧だが、暖かさの無い事だけは確かだと謂えた】
【黒い暖炉に手を翳すと、今しがた目覚めたように炎が燻り、徐々に灯り始める】
【指を鳴らせば黒水晶製のシャンデリアが点き、黒い調度品に溢れた室内を照らす】
【最後に黒革のソファへ深く身を預け、今日の為に調えたある物を手に取った】

(……確信を持てないな、値に裏打ちされない贈物は)

【相談した相手が間違いだっただろうか。そも少ない知己のうちにそんな仲は皆無だ】
【ともなれば兄か弟になるが、女優の尻を追っ掛けているだけの兄は真っ先に候補から外す】
【最後に残った弟は、色街で女相手の男娼をしていた、謂わばその道の(汚い道だが)人間で】
【どれ位の値の品物を贈れば良いだろうかと尋ねて最初に返って来たのは、呆れた溜息だった】
【「買うた物を貰ったんか? 違うやろに、買うた物で返すんか? 面白ない男やな。死ね」】

(……、……駄目だったら、締めてやろう)

【常通りの装い、黒衣の祭服の袖の内で、軽く拳を握り締め】
【逡巡しても仕方が無い。掌に乗せていた青い小箱を、体と肘掛けの僅かな間に仕舞い込み】
【暖かくなりゆく室内で、結露し始める窓の外の景色を茫洋と眺めつ、主役の登場を待とう】

/予約です!
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 15:58:04.13 ID:B3lVB4iF0
>>959

【彼が立てる音以外はしんと吸い込まれていくような静寂の中、けれどすぐ傍に居ること、どんな言葉よりも感覚で感じさせる】
【朝ご飯を食べたと思ったら“読みかけの本が読みたい”なんて言って自室に篭ったのが何時間前の話だったろうか、新しい記憶】
【対して分厚くもない残り頁を思えば、そろそろ出てくるのが頃合のように思えた。それなら、ドアの軋む音。室内の暖まった頃に】

あ……暖炉着いてる、やった――。

【ぱたぱたという足音が静かな室内に響いて消えていく、嬉しげな声は緩く和やかな旋律を奏でて、平和の色合い】
【部屋だって暖まりだした頃に顔を出したならいいタイミングだったのだろう、嬉しそうにそのソファの方へ歩いたと思えば、】

夜のご飯、何がいい? なんでもいいよ、なんでも作ってあげる――、満漢全席以外は。

【ふわっと後ろから抱きつくようにするのだろう、隠された小箱なんて気付いていない顔、まるで考慮にも挙げていないようなら】
【昨年は放って置かれたというのがあるのかもしれない、そういうもの――として理解してしまったような、間違えたかたち】
【抱きつけたなら耳を擽る微かな吐息、緩く絡ませて腹のほうまで伸ばした手が、祭服を黒布をぎゅっと掴んで、】

…………――どーしたの?

【――それから感じ取ったのは何らかの差異だったのだろう、いつもと違うような“気がした”、何か、隠しているような】
【そうなってくると今日の日付をちょっぴりずつ意識しだしてしまう、ほんの僅か、瞳が煌いたような、そんな気がした――】

【いつも部屋着にしているワンピースの上にパーカーを羽織った恰好、それが彼女の今朝から変わらなくって】
【外に出る気があんまりないのだと窺わせていた、――下手に外出されないのは、彼にとっては良かったかもしれなくて】
【髪の毛を緩くもったりと持ち上げていたのがちょっぴり珍しい、あんまり髪を上げない子、だったから】
【袖に埋もれそうな指にきらきらと指輪が煌く、瞳に鮮やかな黄緑色を映して――二人の仲を、証明するように】
961 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 16:37:49.62 ID:2rIlHPCQo
>>960

今日は特に冷えるからね、そろそろ春めいても良いと思うのだけれど……、

【部屋へと入って来る姿に視線を遣って、小箱の上へ自然に腕を置き隠し込む】
【後ろへ回っていくのなら見えてしまわない事も無いが、されるがままで緩く微笑み】
【一年中夜の国に春が来た所でそう変わり映えもしないのだろうか、とも考えた】

そうだね……キドニーパイ以外なら、何でも。君の料理で、嫌いな物は無いよ

【何でも、と言われても作る方は困ってしまうのだろうけれど、生憎と気が付かない】
【抱き締められ、戯れのように掴まれた服にふと視線を落とし、これが喪服である事を思い返し】
【贈物をする日に着るべきでは無かった、と今更に。そんな折に問い掛けられれば、】

……、……君に。

【隠していた物を手に取り、見えるように差し出す。群青の細いリボンで閉じられた、青い小箱を】
【開けたなら、中に詰められていたのは、ベリーに似た小さな果実。特徴的なのは、淡く輝いている事】
【白に限りなく近い淡桃、言うなれば桜色の其れは、きっと相手の目にした事は無いだろう種類の物】
【果実の味は仄かな甘さで、そして通常と違うのは、僅かに体へ染みていく魔力を感じられるだろうこと】

とある森の奥に自生している希少種でね……、果実になる前の花が、特に美しい
森自体も美しいのだけれど、魔物が多い。それがなければ君にも、見せてあげたかった

【単身ならば入っていけるが、同行させるのは難しい。そんな、魔物の棲む森の奥で採集した物だった】
【要するに、彼自身の手で得たものという事。今までのような高価な買物ではなく、】
【その点でどうにも不安があった。受け取った相手の反応を伺うように、視線が向かう】
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 17:04:18.29 ID:B3lVB4iF0
>>961

ここじゃなければ春みたいな日も増えてきたんだよ、お日様が暖かくて、お花も咲き出して――、
……ここだとお日様はないし、お花はあんまり咲かないから。ちょっとね、分かりづらいかな。

【もふーと背後から優しく抱き締めた、じんわりと伝わって来る暖かさに緩く瞳を細めて、笑う刹那】
【隠されたものについては結局気付くことはなかったのだろう、ただ抱きつくことにだけ意識を向けて、いたから】
【――もうすぐここも春になるだろう、ただ気付ける要素が少ないだけ、他所の国ではそろそろ桜も咲く頃】
【今年も一緒に見に行けるだろうかと考える、あの大きな大きな桜の木を、一緒に見に行けたら、――嬉しいなって】

【(シャンプーの香りがする、精一杯に息をするごとに満たされていく、だいすきなだいすきな、彼の香りに)】
【(だから余計に機嫌が良くなる、そういうことをいつもしているなら、一緒に居れば大体上機嫌なのだろう)】
【(よっぽど拗ねた顔なんて滅多に見せやしない、ちょっとぐらいの不機嫌、彼の前には消し飛んでしまうのだから)】

ほんとう? じゃあ何にしようかな――、ふふふ、楽しみにしておいてね――、

【――なんでもいいという答え、普通ならば困ってしまうのに、彼に言われたなら、なんだかそれも嬉しくって】
【褒めるような言葉が付属していたというのもあったのかもしれない、今まで喜んで食べてくれたのも、考慮すれば】
【その言葉が嘘じゃないって分かるのは容易くて。――それに、彼が嘘を吐くなんて、思ってすらいなかった】

――わたしに?

【にこりと笑った表情がきょとんと変わる、元からまあるい瞳を余計にまぁるくして――瞬きが、ひとつ】
【差し出された小箱をちょんと両手で受け取って箱を眺める数秒間、……それから、ぱたりと足音をいくつか立てて】
【ソファの空いた場所、彼の隣に腰掛けるのだろう。リボンを解き始めるのは、それからだった】

わあ、……――きれい。

【――しゅるりと落とされたリボンが焦らすように手元に残る、それをせっせと退かして、やっと開けた蓋】
【その隙間から零れた光が細い指を緩やかに照らす、はじめて見た果実は、まるで宝石みたいに、綺麗だった】

【ふわぁと吐息交じりになる声、色の違う一対に果実の輝きを映し出して、じいっと見つめているのが良く分かる】
【そうしながら説明を聞いていた、――こんなに綺麗な果実を生らせる木、その花も、見てみたくなるけれど】
【彼が置いていってくれたのだ、それを分かれば、我侭を言いたいのもぐっと飲み込んで――そっと、】

【(それでも。ちょっぴり我侭な目をした、きっと見てみたいって気持ち、伝わってしまうかもしれないぐらいに)】

……おいしい。

【ひとつぶを優しく摘み上げて見つめるのは、本当に宝石の綺麗なのを前にしたときとよく似ていた仕草】
【けれど続く仕草は宝石とは違ったもの、――ぱくと食べて、仄かに甘いのと、じんわり溢れる魔力を味わえば】
【感嘆の中に驚きを混ぜ込んで笑う、“面白い”って言うような瞳があったなら、その普通とは違うところに、魅了されて】
【特に魔力に敏感な性質だ。見た目の美しさもさることながら、そう言う意味合いでも、彼女の気を惹くことが出来たらしい】
【――簡単に言ってしまえば喜んでいるようだった。子供らしい彼女のことだから、その表情に欠片も嘘はない】
963 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 17:28:32.88 ID:2rIlHPCQo
>>962

……あと、昨年にもう一人分貰っていた記憶があるのだけれど。
その彼女の分で、実はまだ迷っていてね……、……まあ、後で。

【今年も貰っていただろうか。鈴音に貰った事ばかりが記憶に強くあるのだった】
【お返しをしておかないと後々怖い予感がするのだが、下手な物でも後が怖い】
【何処か、彼女からは月彗と同じような強かさを感じていた。同じ匂いとも言うべき物】

……、……良かった。拙い物だけれど、喜んでくれて良かった
久々にケンタウロスとやり合った甲斐はあったかな……、楽しかったのだし。

【喜ぶ顔が見られるのならどれだけ高価な品でも良かったが、それでは逆効果だと】
【そう思い当たったのがつい最近の事、プレッシャーを与えてしまいかねないと知った】
【自分で作り出せる物を。残念ながら料理スキルは取得していないとなれば、別の得意分野で】
【文献を辿り、所在を把握し、状況を確認して、装備を調え、魔物を排し、目的の物を得た】
【ただし、別段苦労したという顔でないのは、最後の一言がはっきりと語っていたのだった】

そうだね……鈴音がもっと術や魔法を覚えて強くなれたら、連れて行ってあげようか。
自分の身を守れる程度では進めないからね、敵を斃して行かない限りは……辿り着けない

【ケンタウロスは群れで動き、弓矢を扱い、接近戦でもかなりの腕力と馬力を併せ持つ】
【攻撃を防げただけでは進めないし、一匹を倒しただけでは別の一匹に射抜かれてしまう】
【そう説明して、難しげに眉根を寄せて見せる。ならば彼は、一体どうやって進んだのだろうか】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 18:10:37.54 ID:B3lVB4iF0
>>963

音々ちゃんの? ……あの子にはね、かわいい小物がいいんだよ。だいすきなんだ、……ほんとうは。
誕生日にはね、猫のマグカップをあげたの。――喜んでくれたんだよ。

天音ちゃんには薔薇の花。はっきりした色の薔薇がだいすきなの。

【――先月の今日、後からすっかり忘れていたという風に持ち出してきた、チョコレート】
【どう見たって市販の、それも高くないもの、そんな義理以外の何にも見えないのをわざわざ選んだようなそれ】
【しかもふたりからの連名だった。ひとりは名すら明かさない怠惰、それなら本気のチョコレートであるはずがなく――】
【まあそんなのでも返してやるというなら。三倍なんてことはしないのをオススメしておく、明らかに釣り合わないのだから】

【かわいらしい小物と薔薇。そんな怠惰なのに、一応女の子らしいのが、ギャップというか――】
【(いちおう、嫁の前であまりきちんとしたのを選べなかったというのが実体だったのだけれど。選ぶ横に立つのは、抑止力としては十分すぎた)】

だって、わたしのために摘んできてくれたんでしょう? ……とってもね、嬉しいし、おいしいよ。

――ケンタウロス……? ……、怪我、してない? 危ないこと、してない?

【ふにと綻んだ笑顔、大変なところからわざわざ自分のために摘んできてくれたなら余計に嬉しいよう】
【宝石箱を眺めるようにして残りの果実を見つめていた、――それから告げられる魔物の名前、誰だって知っている有名なものなら】
【――今更ながら不安になってきたらしい、小箱を膝の上にちょんと載せて、そーっと伸ばしてみる手は】
【始めにその頬っぺに触れて、その後ついと首元まで落とそうとして――心配げな瞳で、そう尋ねるのだった】

【(昔の妻だったというひとに会って話を聞いた後なら。危ないことしたんじゃないかって、つい不安になってしまいそうで)】

【頷いてでもやれば満足するだろう、一緒に暮らす中で、よほどの怪我に気付けないほどではないだろうし】
【あったとしても些細なものだったならまだ一安心だ。ちょっぴり怒った顔ぐらいはするかもしれないけれど――すぐに機嫌も治る】

――いっしょに行きたい、お勉強するの、がんばるね。
わたし、……セシルみたいに強くないから、きっと、時間掛かっちゃうけど……、

【ぱぁと瞳がきらきらする、気持ちを察されたことに今更新鮮な驚きは無いけれど、確かに嬉しさを感じたから】
【分かっていてくれることがどれだけ支えになってきただろうか、いつだって寄りかかれて安心できる、素敵な止まり木】
【そんないつかの日をくれたのだって絶対に励みになるだろう、ただでさえよく頑張るお勉強を、もっと頑張る理由になるから】

【――両親から継いだ素質があった。白蛇に変貌させられた性質があった、それなら、魔術に対する才能は、人並以上でも】
【今まで自分の世界で自分の言葉で理解してきた分がある。それを、一般的な言葉や感覚に直すのに、いくらも時間が掛かって】
【それでも最近は初めよりずっといいのだ。もったいなく放置していた才能の蕾が、少しずつ綻ぶ気配が分かるぐらいには】

…………すごいね、そんなところ、行っちゃうんだ。

【――今の自分じゃ決してたどり着けない場所なのだろう彼の地は、空想するだけで精一杯で、行くなんてまだまだとんでもない】
【そんな場所に踏み込んでしまうのだから、とってもとっても及ばない。全然敵わなくって、びっくりするぐらいに力足らずな自分】
【ふと零した言葉は羨ましいような、憧れるような、そんな感情を灯して――そっと、身体の重みを預けようとするのは】
【彼の凄さをちょっぴりでも分けてもらいたがるようにも見えた、現実は――ただ甘えたくて寄りかかっただけ、なのだけれど】
965 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 18:47:33.53 ID:2rIlHPCQo
>>964

可愛らしい物……、……まあ、努力するよ。

【男の自分が見た所で分からないだろう、ならば自由に選んで貰える方が良いだろうかと考えつ】
【何となく二人の気遣いも感じ取っていた。去年とは何というか、誤差の範囲で微妙に違っていたのだし】
【そんな水面下での配慮があったなら、後から二人宛にと渡すのは、黒地に金文字の刻まれたカードだった】
【(Elysionのブランド物を選べる形の商品券だった。服やバッグや小物と、自由に選択出来る筈で)】

危ない事はしていないよ。殺すと後が怖いから、動けなくさせたり眠らせたり……ね。
何も正攻法で強くなる事も無いのだし、生き残れて尚且つ前へ進める選択肢を取れば良いと思う
私の場合は……、邪道を好んで使っているだけだからね。そういう意味では、鈴音には危ないかな

【伸ばされた手に手を添える。呪いは穴二つ、謂わば相手に作用するだけ自分にもフィードバックがある】
【そういう点で、同じ戦い方を鈴音に要求したいとは思わなかった。自分を刻むような手段など、とても】
【凄いと言っては貰えても、狡賢さで立ち回るやり口だった。其処は伏せて、静かに微笑む事でまとめる】

……尤も、無理に戦いをする必要も無いのだからね。必要な時に身を守れる程度でも十分だから
私だって楽しいからそうしているだけなのだし……、……ケンタウロスにしろ、和解すれば襲っては来ない
術者によっては手なづけて、己の配下にする事さえあるそうだ。そういう選択肢も、存在するんだよ

【ただ、鈴音に戦いの中での生き方を、なるべくならさせたくはないというのが本心だった】
【だからこそ自分が守れるならずっとそうしていたいけれど、ある程度自衛の手段も持っていて欲しい】
【そういう程度でしかなく、そも戦い自体、幾らでも避けられる術はあると。そう言って、寄り掛かる身体を受け止める】
966 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/03/14(金) 19:30:13.01 ID:D1cw59PGo
【――――――風の国・大聖宮ヴィンド】

【本日夕刻、その郊外には既に告知通りにゼン=カイマの信徒たちが押し寄せていた】
【その数およそ5,000。尚も追いつかない面々や、昨日の工作の後片付け】
【或いは手薄なれども都市の防衛に残ったものを合わせれば、総数は万に届くだろう】

【が、その目的はあくまでも聖地巡礼≠フ一言に尽きる。】

【5,000人の信徒の内、マトモに戦う軍隊としての機能を持った騎士団は――】
【僅かに1000名足らずである。それも全員が歴戦の猛者というわけではないのも確かであり】

【そもそもにして今回の行動を打ち上げたフレデリック率いる第三近衛騎士団】
【その精鋭たちですら50人にも及ばないのである。確かにずらりと並び、皆が規律を守り】
【誰もが過酷なはずの巡礼に従う様子は威容であり、驚異的にも見えていたが――】


数の上で不利なことは百も承知…。だが我々の目的は巡礼……そしてそれに伴い
 教会を食い物にするクズを燻り出すことに他ならない……―――。

 マリア、トマ、エル、そしてチップス……第三近衛騎士団はこの四名を基点に動け
 無論――『交戦状態になったならば』だが、な。期待しているぞ、お前たちの働きを。
 ……さて、では私は代表として挨拶にでも向かうとしようか―――?


【――武装に関しては地の利も合ってヴィンド側のほうが余程、といった具合であった】
【そしてこの後、過程は省く。理由は――余りに混沌としていて、とても描写はし切れない為だ】

【フレデリックは四名の騎士に声を掛け、率先してヴィンドの陣営に向かった】
【だが途中で、早まったヴィンドの一員に攻撃を受け、そこから先はなし崩し的に戦いが始まったと言って良い】

【また混乱の渦中、元よりそれを予期して作戦を指示されていた第三近衛騎士団は――】
【総員を持って外敵たる教会諸派閥の奥深くへ切り込み、フレデリックはそれに乗じて大聖宮へ侵入する】
【縦深作戦、と言えば聞こえはいいが――要するに特攻だ。精鋭たちはしばらく、己の持ち場で孤立することになるだろう】

【だが、元より戦って勝つこと、殺すことが目的ではない。振りかかる火の粉だけを払えば良いのだ】
【一方ではヴィンドの勢にも意地がある。依頼を受けた面々にも、仕事という以上は命を賭さねばならない時がある】
【様々な思惑が入り乱れた聖地にて、血なまぐさい巡礼の一幕が今―――切って落とされたのだった。】

/こちらはイベント開始文となります。攻撃側(騎士団員)の皆さんは投下文を
/他の方はそれぞれそちらにレスをして開始して下さい。

/また途中、主催が戦場の状況に応じて『号令』などを掛ける可能性がありますが
/あまり戦いそのものには関係のない演出ですので、『そういうのも有る』程度に思って頂ければ。
/では皆様、本日もよろしくお願いします!
967 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/14(金) 19:44:17.58 ID:hzd4Hi1n0
【大聖宮ヴィンド、石柱庭園】
【周囲を蔦に覆われた石柱で囲まれた庭園、中央にある噴水の水飛沫が美しい】
【数多くの花が咲き誇るこの庭園に、一人の男が居た】

【シルバーブロンドの長髪を前髪も集めて一本結びにし、瞳は海の様なターコイズブルー】
【鎧は着用していないが、赤いラインで縁取った、袖のある上質な白いマント】
【下には金のボタンの白い修道服、それらを纏う男は伸長180以上はある25歳前後の男】
【その腰には、鞘に納められた一本の白銀に輝くレイピアが差してあった】
【さらに男は足袋の上からグラディエーターサンダルを履いていて、その靴からは特別な雰囲気が感じられた】

【その男は噴水に腰掛けていて、ただじっとここの番をしている】
【時折あくびまで出るものの、隙がありそうでいて何処からも不意討ち出来そうにない気配が、そこにはあった】

【誰かがやって来たのならば、腰のレイピアを静かに抜き】
【マントを脱ぎ去って、こう答える】

我が名はエルヴェツィオ・サルヴァドーリ。
お前をここから先に通すわけにはいかないな、今すぐ立ち去れ。
そうすれば刺身だけは勘弁してやる。

【レイピアを敵へと向けて、クイクイと尖端を軽く回す】
【構えは一級の剣士のそれ、まずは敵を見定めている】

/エルヴェツィオです、ディハートの方、よろしくお願いします!
968 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/14(金) 19:46:36.60 ID:1xm8K26to
【風の国・大聖宮ヴィンド=z
【ゼン=カイマの教信徒が行っている聖地巡礼≠フ第一の目的地。普段ならば荘厳な雰囲気である此処は、既に争いの現場へと変貌していた】
【聞けばアチラ側≠フ信徒がこの巡礼の指揮者、第三近衛騎士団のフレデリック・シャリエール団長に刃を向けたことから始まったとか】
【―――その後どうなったかは省略するとして、もう既にヴィンドの入り口、その前にある階段、そして聖宮左右の庭園は既に制圧された】

【そして舞台は、件の階段。聖宮前大階段≠セ―――】


「――――――おーっし、制圧終了ーっとぉ……」

【大階段には、所々広間のような平地の空間が有る。多分それは、746段もの急で長い階段を登る者に与えられた休息地だろうが】
【その4つ目……丁度400段目の広間に、凡そ欠伸でもしそうな声のその男は佇んでいた】

【癖が強く所々跳ねた赤い髪に、赤い瞳で常に不敵な笑みを浮かべる顔。それだけでこの男の性格が分かってきそうなものだが】
【特に印象的なのは、このような場所には不似合いな程に着崩された衣服だ。顔と合わせて、粗暴なイメージを対面した相手に持たせるだろうか】
【それでいて足には白銀の膝当てと脚甲を装備していて。アンバランスな格好だが、それこそこの男が第三近衛騎士団所属ということを、暗に意味していた】

【教会諸派閥に雇われた者達が制圧されたこの地を取り返そうと登ってくるならば、男は広間の端―――400段より下を見下げるように移動し】
【その登ってくる者に顔を見せる。勿論その顔は不敵にニヤリと笑んでいて、かの者達を威圧するように大声で呼びかける事だろう】


「よーぉこそ、教会諸派閥に雇われたであろう皆さん。改め―――異端同然の野郎共ぉ。
 俺はチップス・ハマーフェルド。ゼン=カイマ、第三近衛騎士団の団員だぁ、これからよろしくなぁ。

 さぁーて、テメェらは此処を登ってくるだろうがぁ、俺は此処を守らなきゃいけねぇ……団長サマが今、聖宮内に入ってるところだろうからなぁ。
 守るっつっても、テメェらはバシバシ攻撃してくるだろうから俺も反撃しなくちゃなぁ。攻撃は最大の防御≠チてもんだぁ。
 だが……。他の団員は優しいかも知れねぇがぁ―――俺はそうは行かねぇ。


 元重犯罪者≠セからなぁ……覚悟しとけよ? 下手すりゃ死ぬぜ、テメェらぁ!」


【背中に掛けてあった弓を取り出した男、チップス。大きい―――男の身長ほども有る大弓だ。金ベースに、赤いラインが入っている】
【しかも弦は糸ではなかった。何か白い物が糸の役割をしている。どうやら普通の弓では無いようで】
【ともかくコレが男の得物と、そう断言できるだろう。攻撃の素振りはないが、何時でも攻撃できるような、そういったプレッシャーを発するチップス】
【―――戦闘の開始を告げるように、高い所で鳥が一羽、甲高く鳴いた】

/チップス・ハマーフェルドです! お二方、今日はよろしくお願いします!
969 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 19:50:19.69 ID:G5yHzFLT0
【騎士団の最前面で、フレデリックに声をかけられた4人の騎士の一人。】
【その女性はただ「御意のままに」とだけ答えると第三騎士団の先駆けとなって敵陣に駆けていく―――そこに恐れや後悔などはない】
【鋼の信仰心=\――神を、そして団長を信じて疑わない心。彼女を動かす原動力はそれだけであった。】


【大聖宮ヴィンド=\――回廊外縁=z

【ここは大聖宮の側面に位置する回廊であり、天井は多少高いが横幅が狭く侵攻には少々適さない場所である】
【勿論、教会諸派閥の兵たちも敷き詰めるようにしてこの場所に配備され、鼠すらも通さない鉄壁の守りを展開していた、しかし】

                    【 轟  ッ ッ ッ ! =z

【碧い爆炎≠ニ共に凄まじい衝撃波が発生し、そこにいた兵士たちはあるものは回廊から転落し庭へと落下、またあるものはゴロゴロと回廊を転げ落ちていく】
【その暴風ともいえるような一撃を放った人物は、自身を中心に円を描くように吹き飛んだ兵士たちを一瞥し―――得物を構え直して息を吐く。】
【パチパチと、碧い火花が周囲に舞っている―――。】

他愛ない………この程度の練度で我々を止めようなどと―――片腹痛いでござるな。
さて―――団長£Bはより奥へと進まれたようでござる、したらば拙者の任はここの防衛………事が終わるまでの時間稼ぎか。

【その人物とは―――】
【サラサラとした銀色のショートボブヘアに、狐の耳のような形をしたサークレット型アンテナ】
【眼には紫色のレンズの暗視ゴーグルを装着しており、胴は白銀の薄い装甲で覆われ白いローブがそれを包み込む】
【両手は茶色のグローブ、脚は胴と同じく白銀の装甲で覆われた、身長160cm程の細身の女性だ。】

【どこか奇天烈な装飾品も目立つが………女性の構える2m程の白いハルバート≠ゥら放たれる碧い火花≠サして闘気≠ェ彼女が武人である事を知らしめる。】

【女性は左側より見える庭園の方へと視線を落とし、落下させた兵たちが全員気絶しているのを確認するともう一度回廊へと向き直る。】
【その時―――頭部のサークレット型のアンテナが白く発光する―――それを感じ「来たか」と呟くと女性は階下へと視線を向け、ハルバートを構える】

敵の増援も存外素早いでござるな、数は―――2か?
何にせよ………団長の命によりここから先は一歩も通すわけにはござらん………来るが良い。

                第三近衛騎士団所属―――トマ・ベラール=c……参る。

【あくまでも冷静に―――敵の接近を感じ取ると柳のように静かにただ待つ………敵が眼前へと躍り出てくるのを―――。】

//トマ・ベラールです!よろしくお願いします!
970 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 19:50:44.78 ID:bFaEprRWo
>>967

【大聖宮ヴィンド―――石柱庭園=z

【緑美しいこの場所もまた、ゼン=カイマの騎士により占拠されていたが……そのまま捨て置かれる筈もなく】
【人影が一つ、庭園の向こうからやって来ていた。外部からの人員である事は、遠目にも明らかで】

――――どうも、他人様の所に無理矢理、土足で上がり込むのがよっぽど好きみたいだな、えぇ?
何が騎士だ、寝言は寝て言えよ。力振り翳して暴れてるだけじゃねえか。

【黒の軍服と制帽を着込んだ、男である。胸元には自警団所属を示すバッジが光って】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めに。もみあげの二房は長く垂らしたままにして】
【特徴的なのは、碧の目。色がどう、という話ではなく、強い怒り≠秘めた、そんな瞳】
【―――UNITED TRIGGER、ディハート・グリムジャック。身体の周囲に漂うのは無数のトランプで】

もうアンドレイのダチだとか関係ねえ……
俺はフレデリックの野郎に用事がある。死にたくなけりゃ……

―――――――道をあけやがれッッ!

【咆哮。それと同時、赤のスートのトランプが三枚、まるで打ち出されたかのように飛び出した】
【軌道は直線的、それぞれが頭部、胸部、脚部を狙いとして……】
【だがどう見ても紙製。しかし能力による影響か、硬度と速度が合わさって、その鋭さはまるで刃だ―――ッ!】

【……尚も、ディハートは歩む。次第に、双方の距離は縮まりつつあった】



/ディハート中身です、宜しくお願いしますー
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 20:02:28.34 ID:B3lVB4iF0
>>965

【それにしたって、黒猫の方はいい、時折メールなりしてくるし、顔も知っているし、声も知っているし】
【もうひとりの方が悉く謎だった。名前だけ出てくるのだが、顔も声も知らなければメールも来ない、】
【引き篭もり気質らしいのが彼女のたまに名前を出す会話から分かるのだけれど、――あんまり、人づき合いが得意でないらしかった】

【(それなのに連名というかたちで参加させられてるのが、他二人からの圧力というか――そんな、余談)】

【――後日。やっぱりというべきか黒猫のほうからだけメールが来て、礼と、他愛ない日常会話と、添えられていて】
【存外しっかりした礼だったという。三倍返しの範疇を超えていたのだし――そんな礼儀ぐらいは、きちんとしていたよう】

それならいいの、……危ないことしちゃ駄目だよ。ぜったいに、帰って来なきゃ駄目なんだから――、
――わたしまだまだ弱いけど、同じ道、歩いたって大丈夫なの。気持ちではね、ずっとそう思ってるんだよ。

【自分の知らない場所で危ないことをしているのが一番怖かった、気付かないうちに怪我をしていたら、ひどい目に遭っていたら、どうしようって】
【ふたりの間に繋がる感覚の糸だって総てを教えてくれるわけじゃない、もっとずっとちょっぴりだけを見せてくれるだけだったなら】
【もっとたくさんを知りたくなるけれど、きっとこれくらいがちょうどいいんだとも思えて、――少しだけの、成長の欠片】

【――我侭だって分かりながら我侭を言う、どんな邪道だって、彼と一緒なら素敵な道沿い、一緒に歩きたくて】
【力が足りないなら絶対的に迷惑を掛けるだけなのに――危なくないもんって言い切れるだけの強さがないのは、分かっていたのに】
【同じ道を隣で歩きたかった。やっぱりどうしようもない我侭で、――だからこそ、たくさん頑張らなくちゃって、思って】

【(魔力からモノを作り出す異能、宝玉の力を借りて水を操ること、それでもどちらも順調に上手にはなっていた)】
【(自分の世界と自分の言葉で理解してればそれでいい分野には存外強い性質らしい、それでも、)】
【(宝玉の持つもうひとつの力、“祟り”を引き出すのは専ら彼のほうが上手に出来ることだろう、彼女より、きっと)】

そうなの? ……わたしにも出来るかな、ケンタウロスとお話したことなんて、ないけど――。

【そもそも言葉が通じるのだろうかと思う刹那がある、それなら、そこいらでくねる蛇との方が会話できるよな気がして、】
【もちろんそれはそれで無理なのだが――、会話が出来るなら、どんなことを話せばいいのだろう、仲良くできるのだろう、分からないけれど】
【戦わなくていいならそれが一番だろう、それはきっと彼女だって分かっているようだった、呟いてみるのは、夢物語みたいな吐息】

……ねえ、その森のお話、もっと聞きたいな。どんなところなのかって、――とっても、気になるの。

あ、……でも、いつか一緒に行くんだもんね。それまで楽しみにしてたほうがいいかな……――。

【そっと預けた身体の重さ、自分のそれよりも高い位置にある肩に、そっと頭の重みを掛けて】
【そう尋ねる言葉があった。興味本位に知りたがる好奇心の色合い、ほんの少しだけ低い位置から、じっと見上げて】
【――それからふと気付いたように視線を落とす、膝の上に載せられたままの小箱を今度はじいと見つめて、数秒ほど】
【心変わりしたように言い出すのはそんなことだった。もう心の中では一緒に行くのは決定事項みたいなもので――だから、】
【それを楽しみにしていようかとも思って。ぱくりともう一粒を口にやる、じんわりとした優しい甘さに、自然と口元が綻んだ】

/すいません戻りましたー
972 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/14(金) 20:07:29.30 ID:R4Z42A7g0
>>968

【746もの階段がある大階段その359段目に上を見上げている人物がいた】
【多すぎる階段にあきれて一つ嘆息をついていると同時に大声が聞こえてくる】
【そのすべての発言を聞いてまた嘆息をついてから上にいる男に聞こえるような声で言う】

 重犯罪者が名誉があるらしい騎士団員とか、世も末ってやつですねぇ

【そのように言い返す人物は】
【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い】
【片腕には義腕をつけているが手の部分は黒の手袋をはめておりよく見ないと義椀だとわからないだろう】

 ま、異端だろうとなんだろうと神様なんぞ信じる気にはなりやせんがね
 死ぬ気もありやせんしね

【そのように言いつつ自分の能力を使って人形を召喚する】
【召喚された人形の名は〔トリガー〕道化師風の格好をしており、脚はキャタピラになっている】

 階段上るのも疲れたしこれに乗って行きやしょうか

【そのまま〔トリガー〕に備え付けられている取っ手をつかみ〔トリガー〕を動かす】
【そのスピードは速いがすぐさま400段目につくことはなさそうだ】

/高野中身ですお二人とも今日はよろしくお願いします
973 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/14(金) 20:08:05.10 ID:luIENGkX0
【大聖宮入口・大扉前――――】


【状況は混沌の一言に尽きた。ヴィンド側の誰かが早まって攻撃を始めた事で戦の火蓋が切って落とされた事を端緒に、戦闘の波は広がる】
【第三近衛騎士団長・フレデリック・シャリエール率いる精鋭と呼ぶに相応しい騎士団は大聖宮に切り込み、果たして制圧に成功。】
【団長フレデリックは大聖宮内部へと侵入出来た。少数精鋭が功を奏し雲霞のごとき軍に切り込めたのだ。――――が、これは同時にある事を意味する】

【――――御大将が不在の中、深く切り込んだ事により各々が孤立してしまったということだ。】

【……ただでさえ総数50に満たない騎士団はある4人を中心に独立して動いていたのだ、当然此処まで深く切り込めば軍が引き裂かれるのは目に見えていた】
【―――そう、只今4人を中心とした精鋭は各地の制圧の代償に孤軍奮闘を強いられているのだ。】

【彼女も、その一人……】


【マリンブルーの瞳は優しく澄み、ブロンドの長髪は頭に被った白い頭巾で隠れている。常に微笑みを湛え、右の目元には泣きぼくろ】
【ゆったりとした白いローブの上からも分かる大きく膨らんだ胸元、そこに乗るように青いペンダントが首から掛かっている】
【身長は一般的な成人女性と何ら変わらない。手には七色に光る大盾、其れを構えつつ共に付いて来た騎士団員をかばうようにして前に立ち】
【大扉前の制圧を終えて尚孤立。苦しい状況下にもかかわらず、彼女は絶望に打ちひしがれる事も困難に顔を歪める事もない。ただ微笑みだけを絶やさずに背後の団員を鼓舞する】


ここは抑えましたか……皆様、よく頑張りました!
あともう一踏ん張りで御座います、どうか気を強く持たれますよう!


【……少人数でこの後予見される教会側の攻撃を凌げるか。一抹の不安はあったが……マリアの意志は固い。自分が守り抜くと決めたのだ、絶対に守り抜く―――!】
【マリア含む騎士団員数名は石畳が広がる平面でただ敵を待つ。――――さあ、また戦いの始まるその時は近い】


誰が来ようと此処は通さない!いいですね!
私達には護るべき物がある……各員ゆめ忘れないように!


//すみません、遅くなりました!グリースさんの方、本日はよろしくお願いします!
974 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 20:22:36.45 ID:35RQ1/dVo
>>969

【どこかで何かと通信している音がする――】

「――こちら偵察隊のベイス姉妹、"大聖宮ヴィンド"に入りました」 「ええ、――はい、――ッ!」

【やがては見えてくるだろう、その正体はこちらに向けて歩いてきていたのだから】
【それは2人の女性だった、どちらも蒼色の短髪をしていて、白色を基調とした服は一般の者にも良く馴染める】
【腰には白色の鞘に入った剣が提げられていて、いつでも抜くことが出来そうである】 【鞘に刻まれた紋章は、どうやら聖都のとある派閥のモノの様だが】

「――前方に騎士団員と思わしき人物を発見、既に臨戦態勢……交戦は免れ無さそうです……ッ」

【蒼色の眼で真面目そうなその顔つきまでもがそっくりで、どうやら双子の姉妹――の様だが】
【全く区別がつかないわけではない、右利きと左利きという違いがあり、当然鞘の位置も異なる】

『良いかしら? ……そこ、通して貰うわよ』

【まずトマと眼が合うだろう存在は、駆けつけてきた左利きの女性の方――先程の凄まじい衝撃波により発生した轟音、吹き荒れる兵士】
【間違いなく只者ではない、そしてここの兵士に攻撃をする存在と言えば――】
【続いて、小型の通信機で連絡を取り合っていたが"連絡状態を保ったままで"右利きの女性も駆けつける】

「……はァ……僕たち、手荒な真似はしたくないのよね、戦うのが目的でもないし」
『まあ、でも、一歩も通すつもりがないみたいだから――』

「『――無理矢理通らせて貰うわ』」

【同時に言葉を放ち、同時に剣を抜く――息はピッタリ。】 【この剣、刀身は蒼色で金属光沢は殆ど無いが――何か、力を感じる】
【そう言えば、剣の鞘には文字も書いてあった、右利きの方は"Ayny Nullemotarg Bays"、左利きの方は"Ayby Emmouestarg Bays"】
【エイニィ=ヌルエモターグ・ベイス、エイビィ=エモエスターグ・ベイス――それが2人のそれぞれの名前なのだろう】

【エイビィは右手に持った剣を振るう、但し――どう考えてもトマに当たるだろう距離ではないのは確かだった】
【だが、ただの素振りなわけはなかった――剣の軌跡から生まれるのは圧縮海水のカッターで、それがトマに向けて飛来する!】
【切れ味は本物の刃に劣るだろうが、そこまで見劣りするものでもなく――】

【狙いはトマのハルバートを持つ腕――まずは武器をどうにかしようと考えたのだろう】

【現在の立ち位置――エイビィが前、エイニィが後ろ、互いの距離約2m】
975 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 20:23:28.92 ID:2rIlHPCQo
>>971

【もう一人、名前しか知らない彼女については黒猫の彼女以上に知り得ないのだから、どうしようもない】
【姿の見えないながらに良い人間であるらしいと会話から伝わってくる辺りが、何処か兄にも似ているよう】
【……と言ってしまうと彼女に非常に失礼なので口にはしなかったのだが、鈴音の良く出す名前であるのだから】
【大事にするのは黒猫の彼女と同じ事であって。メールの返信にも、彼女へよろしくと一言添えられていただろう】

……そうだね。私はまだ、娘として見てしまうのが、どうも抜けきっていないのかな
危険はなるべく避けて動くさ。君とも、約束したのだからね

【危ないことはするな、と以前自分が鈴音に言った事を思い出して、思わず苦笑が零れる】
【保護者としての目線で測り過ぎていた。後ろに庇われる存在でない、今は、隣を歩いてくれる人なのだから】

以前に、そんな能力者を見た事があってね。ビーストテイマーと言うのかな……
あまり良い関わりでは無いのだけれど。……嗚呼、悦那もある種の召喚物になるか
死者や精霊を使役する術者をサマナーとも呼称するようだね。どうせ喚ぶなら、まともな者にして欲しいが……

【冴えない男を喚んで何になるのやら。そんな雑言を零していたのだが、実際悪い感情のないのは見えていた】
【それから預けられる身体の方に意識を移して、こちらも鈴音の頭へ頬を寄せるようにした】

何時か。必ず、一緒に行こう

【目を合わせて言葉にする事は出来ないが、代わりにそれを閉じて微笑んでみせる】
【黙っていれば冷たい氷の彫像のような相貌も、その時ばかりは柔らかく変化するのだった】
【暖炉の炎が揺れる。未だ夜のままの窓の外も、幾らか明るくなっているように思えた】

/お帰りなさいませーでこちらリミットなもので此処辺りで……!
976 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/14(金) 20:26:05.58 ID:hzd4Hi1n0
>>970

土足だァ……?お前一体何言ってるんだ……?
あ、ああー、もしかしてアンジェルとかいう奴の友達か……?
そいつならとっくに居なくなったのによ、そう怒るんじゃねェよ。
……てことはお前はUTにでも入ってるわけか、そりゃあ無理は無いな。

だが、その後の台詞はいただけないな……
騎士が力を振り翳すだけだと?何も分かってねえんだな。
……お前らだって、機関の連中と最近まで仲良くしてたみたいじゃないか。
自分達を棚に上げて説教とは、随分と身勝手な正義だ。

……そういう奴には言葉は通じねえな、教会から送られてきたらしいし、どのみち戦わざるを得ない様だ……

【語り終えると同時か、三枚のトランプが打ち出される】
【しかしエルヴェツィオは避けようとはしない、その全てを……】

…………アイツに会いたいなら、お前こそ土足で聖なる地に足突っ込むな。
こっちは"護る"ために戦うんだよ、"守る"だけのお前らとは違う。

【その手に持つレイピアで瞬時に切り刻む!その速度は人間の反応を越えていて】
【トランプは三枚ともヒラヒラと宙を舞う紙吹雪になる、ダメージは当然無い】

【自らの業を見せたエルヴェツィオは、紙吹雪をレイピアで弄りながら】

その程度じゃあ団長には及ばないな、ちなみに今のは100%だ、お前には敢えて本気を見せた。
だが、強者は常に余裕を持つのが美なのだ、だからこれはとっておき。
……今度はこちらから行かせて貰おう……!

【脚に力を込め、ディハートまで一気に距離を積めようとする】
【目の前まで踏み込むと同時、ディハートの肩にレイピアを突き刺そうとするだろう】
【その速度は体感では弾丸と間違うほど、
正に神速の突き】
977 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/03/14(金) 20:32:37.14 ID:QBMkw95ho
>>968

【厳かな静寂も賛美歌も流れることはない。ステンドグラスの救世主はそれなのにただ、悲しげな表情を】
【天から降りるハシゴに向けているだけで、血を流して倒れた聖者には向けられることはなかった】
【かき分けるように、1人。乳香の煙に載せて、争いの中まっすぐに”聖なる宮”を目指す信者の姿が】

―――――あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量りが与えられるであろう。
なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって…………

【白い、聖職者の服を着、ローブのような外套を羽織り、フードを頭からすっぽりと被った聖職者のような男は手に聖書を持ち】
【それを小さくもなく、かと言って問うほど大きくもなくページを捲り、唱えている】
【それほど背の高い人物でもない、顔は伺えないが声は若くない年季の入った男性の声】

―――求めよ、さらば与えられん…尋ねよ、さらば見出さん……叩けよ、さらば開かれん
すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである…………

【階段を登っていく。段々と、距離が近づいていく。まるでそこに騎士団の人間が居ることに気がついて居ないかのように】
【聖職者が一つ目の踊り場に辿り着く頃には彼のディティールが詳細に見えてくる。そして、その歪さに気がつくだろう】
【服装は良くある教会のものなのに、胸に下げた十字架は見慣れない。珍しい形の金の十字と黒い金属の鉄の十字が2つ】
【そして足下は聖職者らしからぬミリタリーブーツ。もう既にわかりきった話、男は雇われた戦争屋だ】

―――狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。
命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。

【男は踊り場について、聖書を閉じて、そのフードを外した。ブラウンの髪を整髪料で固めた鷲鼻の青い目の男】
【だが熟練の兵士のような顔つきで、とてもやさしげな微笑よりも極微笑を向けている】

――にせ預言者を警戒せよ。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである。

……マタイの7章だ。……ご存知かな?

【脇に聖書を持ち、男はそう問いかければまた相手の言葉も聞かずに階段を登り始めようとするだろう】


/すみません遅くなりました。アイケです。御二方よろしくお願いします!
978 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 20:37:36.38 ID:ffaIyjHN0
>>973
【近寄る気配は隠されもしない。カツンカツンと響く足音が接近を告げており――――】
【何より、マリアであれば同時に強い“聖”が近寄っている事も直ぐに感知出来るであろう】
【あの混沌の中を潜ってきたのであろうにも関わらず、己の身には一つの飛沫も付いておらず】
【――――強いて言うならば、汗を一つ浮かべた女が大聖宮の前へと歩み…………止まった】


「人を傷付けてまで守りたいものがあるなんて…………第三近衛騎士団サマはご立派だね?
神様の為ならば血も致し方ない。神様の為ならば誰かが悲しもうと仕方ない。神様の為ならば――――――……………嗚呼、下らないや。もう言うのはやーめた」

【あろう事か、修道女の其れを纏いながら神を否定する女だ。金色の髪に、同じ色の双眸。聖を発しているのは……両手に握る銀の双銃か。それとも女か】
【…………きっと、マリアも彼のフレデリックから名を聞いたであろう女】
【死神だとか色々な名はあるけれど――――】


「マリア……だったかな。最も、団長サマの資料を見ただけで名前以外後はなーんにも分からないんだけど
グリース・イムリンパルス。団長サマにぎゃんぎゃん叫いて噛み付く小うるさい犬の名前だけど…………コレで分かってくれれば嬉しいな」

【当然、マリアの援護に訪れた者では無い。寧ろその逆である事は明々白々】
【双銃のグリップから手は離れず、同時一瞬だけ辺りに視線を巡らせれば状況の確認】
【――――最後にもう一度マリアへと視線を送ったならば、人懐っこい笑みを覗かせて】


「君達には守るべき場所がある。ボク達には突破しなきゃいけない場所がある
…………長話をしていても退屈だろうから、始めよっか。子供みたいな我が儘の通し合いでも……さ」

【それより先は一瞬の出来事だ。コンマの内に狙いを定めれば、騎士団の人数分だけ引き金が引かれる事となる】
【マリアを狙わず、最初に手駒を減らそうとでも言うのだろう。そのどれもが関節、延いては腱を撃ち抜くかの様に射出されたのだが】
【被弾したところで死にはしない。然れど、部位が部位なだけに動く事は難しくなるか】
【――――無論、相手だって最初から警戒していよう。全てが上手く行くとは思いがたいが…………】
【兎にも角にも、この場において薬莢が戦闘の開始を意味する事は間違い無いはずだ】

/グリース中身であります!宜しくお願いしますですよー!
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 20:52:44.87 ID:B3lVB4iF0
>>975

【微かにくすりと笑う声がした、どうしたのかと思って見てみれば――その顔に、僅かに笑みの色を浮かばせて】

……わたしもね、たまにね、お父さんって言いそうになるの。――たまにだよ? たまになんだけどね――……。

【「もう違うのにね」ともう一度笑う、――お互い未だに親子関係の抜け切らないのが、どうやら少しだけ面白かったよう】
【ぎゅうと身体を寄せる距離感は何にも変わってないようで少しだけ違う、親子という関係に縛られないなら、もっとずっと近いよう】
【その距離に慣れたと思えばふと口をついて“お父さん”なんて呼びそうになる間違い、そのたびに不思議なふたりの関係、思わずにいられなくって】

【守られるだけよりも守ってみたかった、今のままじゃ、頼りないかもしれないけれど】
【いつか頼ってもらえるようにといっそう強く頑張ろうと決めた、絶対に強くなって、おんなじ景色を見るんだって】
【とりあえず新しい魔道書を読み始めようと思った、せっかく家に素晴らしい先生が居るんだから、それを使わない手はないって】

そうなんだ、? ……仲良くしないと駄目だよ、――仲良くできるひとなら、ね。
……最近会ってない――な。ねえ、元気にしてるのかな。……よろしくって、言っておいて――?

【ビーストテイマー、サマナー、どちらも知らない名称なら、大人しく聞いているのが彼女の選択肢】
【こてんと首を傾げて頭を預けたまま聞いていた、ちょっぴり拗ねるような声をしたけれど、――まあ、誤差の範囲内で】
【召喚されたのだと言う義兄にはそんな反応だ。彼のそんな言葉も、悪意からじゃないとわかってるなら咎めることもないまま】
【そのうちに頬の寄せられる気配を感じれば。シャンプーの甘い香りでもするのだろうか。彼女のお気に入り、果物の甘い香り】

うん、ぜったい。強くなるから――待っててね。

【瞳を緩く閉じて脳内に描く、いつかふたりでその場所に立つ日のことを。きっとその頃には、今よりずっとずっと、強くなって】
【彼に守られるだけじゃない、邪魔するだけじゃなくて、隣に一緒に立って、同じ景色を見て、――それで、この果物でも食べて】
【何にも怖いことや辛いことを排除した夢物語みたいな空想、どんな場所なんだろうって考えるだけなら、今でも出来たから】

【(せっかく摘んできてくれた果実、大切に大切に仕舞いこんでしまいたかった。ぎゅっと、冷蔵庫の奥に隠してでも)】
【(でも一月前にちゃんと食べてねなんて言ったこともあるし、チョコレートよりも腐りやすい果実のことだから、食べないと)】
【(――いけないのは分かっていたのだけれど、どうしたってもったいなくて。うぐぐとなりながら食べている姿、きっと見たはず)】

【――そのままじーっと身体を預けたままだった。そっと黙り込んだ間は、けれど、きっと不愉快なものでないなら】
【彼がそれに気付くのはいつごろだろう、――いつの間にやら、夢の世界へ堕ちてしまっていたことに】
【すやすやと心地よさげに眠る顔はなぜだかとっても嬉しそうで、それなら、きっと、――二人で一緒にどこかに行く夢でも、見ているのだった】

/おつかれさまでしたー!
980 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 20:53:27.01 ID:G5yHzFLT0
>>974

【現れたのが女性二人とあって、一瞬だけ眉をピクリと動かすが―――それ以降は平静を保ったままである】
【ギュル…!ハルバートを握る手の力がさらに強まり、互いの緊張は一層に増す………!】
【衣服、鞘に視線を向ければ聖都≠フ派閥に所属していることをを示す紋章、これまでの雑兵とは違う。】

武人が通せと言われて通す訳がないで候。
暴虐や災厄が目的でないのはこちらも同じこと………だがそちらに使命があるようにこちらにも使命があるのでござる。

来るがいい聖都≠フ刺客よ―――かつての教会≠フ中核があった都市に身を置く者の力、見定めさせて貰う………!

【トマが闘気をさらに開放した瞬間、エイビィによって放たれた高圧の水のカッターがハルバートを握る手へと迫るッ!】
【それに対しトマは、身を翻しながらなんと簡単にハルバートを手放す。】
【―――直後、ハルバートはトマの手から離れた瞬間に碧い炎≠ニなって燃え上がって………消えた=z

【そして水のカッターはそのままトマの右肩を掠り、切裂く―――だがトマは既に姉妹へ向けて疾走を開始している―――!】

うむ―――通りたくばこのトマ・ベラールを打倒して行くがいいッッ―――!


―――ッ!ハ ァ ッ ! ! ! !

【そのままエイビィへと肉薄すると、その腹部に向けて右手の拳を放つ―――ッ!!その拳、女性と思って侮るなかれ】
、腕力強化の術式をかけ、さらに砂竜の革で作り上げ本人の力を更に引き出すよう魔術がかかっているたグローブによってその腕力はトロルにも匹敵するものとなっている】

【さらに砂竜の革によって作られたこのグローブは細かくささくれ立っており、たとえ掠っただけだとしても≪やすり≫のように皮を、下手すれば肉までそぎ落とす。】

【トマはそのままエイビィを吹き飛ばし、その後方にいるエイニィにぶつけてまとめて吹き飛ばすつもりだ―――!】
981 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/14(金) 20:54:42.08 ID:1xm8K26to
>>972

「ハッ―――何とでも言えよぉ。ウチは実力主義なもんでなぁ……。
 力が有れば、妖怪だろうが犯罪者だろうが騎士団に入れる……それがウチの……第三近衛騎士団のやり方だぁ……!」

【やっとまともな奴が来たかと、ため息もそこそこに言い返すチップス】
【やはり雇われた傭兵のようだ。それならば尚更……存分に守り通す℃魔ェできる】
【信徒なら少しはこの男のやる気を削ぐことが出来たかといえば、そうではないのだが―――それはともかく】

「……どうせソッチの教会に雇われて来たクチだろぉ?
 だったらテメェも異端も同じ事―――まぁ、今すぐ逃げるってんならぁ、神の名の下に許してやらねぇことはねぇぜぇ?」

【此処を制圧した以上、目的は振りかかる火の粉を払うこと―――故に、深追いなどはしなくても良い】
【ニヤニヤと笑みを浮かべながらも放ったその言葉に、偽りはなかった。彼が踵を返せば、男も同様にその構えを解くだろう】
【軽口を叩きながらも、彼の前に現れた人間―――いや、人形に目を惹かれる。アレが彼の能力かと】
【「ほーぅ」と顎を触りながら、そのキャタピラ人形を見下げる。明らかに他の信徒達と雰囲気が違うのだ、脅威には違いない。油断は禁物だろうと結論付けて】


>>977

「―――あぁ?」

【人形遣いらしき男の次に現れた、聖書の言葉らしきもの≠唱えながら進む聖職者のような服装の男】
【「らしきもの」なんて付け加えるのは、この男がその見た目通り、聖書の言葉など暗記しているわけがないからであるが……】
【聖書を開きながら登ってきている。最初こそ、一般の信徒かと思った男だったが―――違う。細かな服装が、そもそも信徒のそれではなかった】
【2つの十字架に、足に履くのはミリタリーブーツとか言うものだろうか。兎に角、彼も雇われの一員か】

「生憎、聖書の中身は暗記してないもんでなぁ―――ま、1回ぐらいなら聞いたことは有るだろうけどなぁ……。
 そのマタイだか真鯛だかで俺になにか諭そうってのかぁ? ククッ、これは笑いもんだなぁ……!

 ―――おいおい、射抜かれたくなかったらぁ……立ち止まったほうが良いかもだぜぇ?」

【耳を貸さずに登り始める彼は、男に若干の警戒心を煽った。何だ、この男は、と】
【しかし、こちらにも義があった。何としても此処を守りぬく。その為に、振りかかる火の粉は塵すら残さず払いのける―――】

>>972>>977

「さぁーって……先攻はコッチから行かせてもらうとするかぁ―――起動だぁ、『ネトアラープ』ゥ!!!」


【何方も油断ならない二人を相手にしても、男はその笑みを絶やさない。そして男がそう叫べば】
【本体に施された赤いラインが発光する―――コレがこの大弓、「ネトアラープ」の起動サインらしく】
【どこから現れたのか、淡く光る白い矢が自動的に装填される―――そしてチップスがそのまま弦を引き、指を離せば】
【番えられた白い矢は二つに分裂し、二人を同時に射抜こうと襲い掛かることだろう。何方も、二人の足を狙っていた。人形遣いの彼には、人形の足だ】
【だがやはり本物の矢ではないからか、避けられない速度ではないし……刺さったとしても、ただのかすり傷となるだろう】
【詰まる所、良く狙っていなかったのだ。まずは牽制か】
982 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/14(金) 20:59:50.27 ID:1xm8K26to
>>981
/すいません、訂正しますー……
/【だがやはり本物の矢ではないからか、避けられない速度ではないし……刺さったとしても、ただのかすり傷となるだろう】
/→【だがやはり本物の矢ではないからか、避けられない速度ではないし……避けられなかったとしても、ただのかすり傷となるだろう】
/小さな所ですが、よろしくお願い致します
983 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 21:00:52.52 ID:bFaEprRWo
>>976

【流石は彼の第三近衛騎士団の一員と言うべきか、目にも止まらぬ高速の剣閃】
【ハラリハラリと舞い散るトランプを見て、チッ、と舌打ち一つ】

居なくなろうが何だろうが、アイツがウチで暴れて、傷付けたのは事実だろうが!
――――いや、本当に居なくなったのかどうかも怪しいところだけどなぁ!

【刹那の接近。繰り出される突きを、ディハートは――――避けなかった】
【左肩に鋭い痛みが奔り、緋い滴が地へ落ちる。されど立てた眉はそのままに、】
【即座の反撃として、ディハートはすぐに動いていた】

ぐっ……てめえらは力を振り翳してるだけで騎士でも何でもない≠チて言ったんだバカ。
機関だの何だのと、―――――バカ過ぎて妄想と現実の区別が付かなくなったか、よ―――っ!

【震脚を踏み、繰り出すのは右の掌底。元より自警団としての活動の為に、身体はそれなりに鍛えている】
【そこに今回は、教会側より受けた魔法による、身体機能のブーストが加わり―――】

守る=Hいいや、違うな。俺は道を貫く∴ラに戦ってんだ。
泥臭い戦い方になろうが、それで成し遂げられるんだったら土腐の中でも突っ込んでいってやらぁ!

【腹部へと放った一撃、マトモに食らったなら、かなりの衝撃を受けることとなろう】
984 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 21:13:53.09 ID:35RQ1/dVo
/すみません、今更ですが、エイビィの剣を持ってる手は左でした

>>980

『――消えたッ!?』 「あのハルバート、どうやら能力で作っていたみたいね……ッ」

【おそらくはメインウェポンだと判断したそのハルバート、なんといともあっさり捨ててしまったではないか】
【理由はすぐに分かった、碧い炎になって消えたということは――能力やその類なのだろう】
【そして、トマは既に――エイビィに接近を始めていたッ!】

『……ッ、エイニィ、避けてッ!』

【エイビィの剣から発生する圧縮海水を盾にトマのその拳を受けるも、防ぎきれずに数mは吹き飛ばされる】
【盾とした海水は役目を終えれば"消滅"して――もし本来の圧に戻ったとすれば、辺りが水浸しになるところだっただろうか】

「エイビィッ! ……くッ」

【一方のエイニィは、エイビィの声掛けの意図をすぐに理解して右手に持った剣を地面に向けて振るう】
【そうして発生した圧縮海水を地面に吹きつけることで推進力を確保、高く跳躍――ギリギリで吹き飛ぶエイビィを避ける】
【横に避けるには少々狭い場所、だから"上"に避けたのだろう――】

「蒼対の双剣『グラゴニニヨル』――深海生まれのあなたの実力を見せてあげてッ!」

【もしこの跳躍によってトマの背後に回ることに成功したならば――】
【更に跳躍に用いたその圧縮海水をそのまま鞭のように用いて、トマの背中を打とうとする】
【強度・しなやかさ共に申し分なく、更に鋭いフチを持っていて先程の刃ほどではないが切断力も持たせているが――はたして、鎧に対してどれだけ通用するか】
985 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/14(金) 21:16:05.61 ID:R4Z42A7g0
>>977>>981

【聖書の言葉を唱えながら進む聖職者らしき男】
【その唱えている聖書の言葉はきっちりと彼にも聞こえている】
【そしてその存在を見て彼はこう聞こえるように大声を張り上げて言う】

 あんたもあっしと同じくちか?
 なら、よろしく頼むよ

【そのように言ってから彼は再び目の前の排除対象の方に向いた】
【そのとき男は彼に対してそのように言っている】

 おあいにく、こっちは契約金をもらっていてなぁ
 今更契約金もって逃げたらこっちの信用にひびが入っちまうもんでね

【契約は必ず守る――彼はそのようにしているのだ】
【それに付け加えて彼は神様を信じておらず神の名の下に許すといわれても引く気はない】

 ま、異端すらも寛容に受け入れられない神様なんぞ、信用する気もないがな
 神様信じたって何かしてくれるわけでもないのによぉ

【男の言葉に対して彼は鼻で笑い飛ばしてそのまま突き進む】

【すると男が武器の名前を叫ぶ、それを聞いて彼は攻撃がくるかと警戒する】
【その警戒は見事にあたりどこからか現れた白い矢が自動装填され――発射された】

【しかし避けられない速度ではなく――〔トリガー〕を操る糸を少し動かして横に矢を回避する】
【そして次はこちらの反撃、両の手のひらを男に合わせて――その中にあった仕込み銃を発射させた】
986 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/14(金) 21:23:53.28 ID:luIENGkX0
>>978

【―――来た。】
【響く足音は外敵の到来の証左。近寄る強い聖≠フ存在感は迫る敵の計り知れない力量の証左。】
【やがてかの者は姿を現す。混沌する戦場において傷一つ付いていないその姿が、彼女の力を雄弁に物語る】
【修道女の姿をして、金髪金眼、両手には銀の銃が二丁。―――間違いない、彼女の名は……】

【―――彼女は足を止め、口を開いた。その口で発する言葉はマリアにどう聞こえたか……それはマリアの反応を見れば明らか】


……その通り、全く以て貴女の仰る事は下らのうございます。
貴女は大きな勘違いをなされている。私は神の為に戦っているのでは……いや、こんな所で語り合っても仕方ありませんね。


【表情は尚も微笑んだまま。しかし纏う雰囲気が凛と張って、マリンブルーの瞳がすっと透き通り……グリースをじっと見つめる】
【―――グリースは違和感を覚えるかもしれない。このマリアという女性、恐らく今までグリースが対してきた所謂「悪」とは明確に何かが違う】
【何か子供を護る優しい母のような雰囲気を持つのだ。少なくとも奸佞邪智な者では決してあり得ない、真っ直ぐな瞳をしている】
【……彼女の纏う雰囲気を、グリースはどう感じるか。「敵は敵」と切り捨てられるならそれまでだが……】

私は、マリア・アレンス……神の下に集う方々の守護者。神の為に戦うのではなく、神を信ずる人々の為に戦う者。
貴女の名前は団長様よりよく聞いております。名前だけでは御座いません、出自も今までの業も……
犬だなんてご謙遜を……私は「[ピーーー]為に造られた忌むべき死神」と伺いましたが。ふふっ……死神も案外愛嬌がおありのようで。

【グリースの人懐っこい笑顔を見れば、マリアも優しく微笑み返す。出来ればこのまま笑いあっているだけで終わりたいが、そうは問屋が卸さない】

【――――一瞬のうちに、銃弾が放たれる】

――――ッ!!


【数人……正確には4人いた団員の関節を、呆れるほど正確に狙いを定めて打ち抜かんとする銃弾。しかし、その何れも団員を撃ち抜く事は無く】
【銃弾が放たれたとほぼ同じタイミングで、マリアが盾を構えて一人の団員の前に出た。と同時に……】

【サッカーボール大の光の球がマリアの両手から二つ、丁度二人の団員を狙った銃弾の軌道に重なるように放たれる。】
【銃弾が狙い通り光の球の中を通過したなら、「ジュッ」という音と共に銃弾は消失。跡には蒸気のようなものが残るだけ】
【残りの二つの銃弾のうち一つはマリアの盾によって、もう一つは警戒していた騎士団員自らによる回避で防がれる】

【そして、生み出された光の球はそのままグリースの方へと直線的に弾丸の如き高速で移動。グリースが回避しないのならその身を高温で焦がすことになるだろう】
【狙いは両手。動きは直線的であるが故に回避は難しくない。が……同時に騎士団員4名による援護射撃が斉射される】
【グリースほどではないにしろ、四人も精鋭。意匠返しとばかりに精確に両膝両肘を狙った射撃と手を焼かんと放たれた光球は、回避できるか……!】
987 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 21:29:20.78 ID:G5yHzFLT0
>>984

―――遅いでござるな、貴公らの信仰≠ニ決意≠ニはその程度でござるか?
いや、聖都≠守護する修道兵がその程度ではないでござろう………もっとだ、もっと血を滾らせよッ!

【拳を撃ち込んだ後―――一呼吸おいてから相手へと挑発にも思えるような言葉を口にする。】
【その姿はまさに武人、ただ武の道を進んできた騎士団の中の精鋭≠ニしての誇りを胸に抱いている姿だ。】

【………そして、背後に回り込んだエイニィによって放たれた水の鞭、それが背中の装甲に激突する瞬間に合わせるようにして素早く振り返る】
【ベチンッ!っと回転の力を使って鞭を弾くのが狙いだ、しかし機動性を重視した薄手の鎧はわずかに砕けてしまいその部位から少量の血が飛び散る】

【だが先ほどの攻撃で証明済みだが、この騎士はこの程度の傷では止まる事はない。正面に向き直った相手を静かに見つめると】


歯を喰いしばるで候―――ッ!!ハ ァ ッ ッ ! ! ! !


【そのまま再び右の拳で今度はアッパーカットを放つ、削ぐ℃魔ノ特化した素材を活かした削り取り≠フ攻撃だ。】
【勿論、拳自体の威力も先ほど見たとおりだ―――直撃すれば天井に叩きつけられるだけの威力は持っている―――ッ!】
988 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/14(金) 21:33:41.87 ID:hzd4Hi1n0
>>983

敵の言うことは信じられないか?なら直接にでも見せてやりたいが……
そんなに嫌だったなら、お前がそこに居て守ってやれば良かったんだよ。
……守れなかったのはお前にも落ち度があったからだ、違うか……!

【剣が肉を貫く感触が伝わる、鮮血は刃を伝いながら落ちて】
【しかしディハートも仲間のために戦っている、黙ってやられてはいない】
【剣が刺さっている内にカウンター攻撃、右からの渾身の掌底】
【更にそれは魔法によって強化され、エルヴェツィオの腹部に重い一撃が入った】

……!ぐ……ァ…………ッ……!

【すぐさま剣を抜き取り後退する、教会も唯送った訳では無いという事か】

……ッは、お前こそ目を覚ましたらどうだ?俺は仲間を信じている。
だがお前はどうだ、殺戮兵器を信じられるのか?信じるのか?
お前らは平和な考えだけで本当を見ようとしない、所詮は手製の偶像にすがっているに過ぎない。

だが俺は友の為に、皆を護るためにこの巡礼に参加した。
……腐り切ったアイツらには土下座なんかじゃ絶対に足りねェ……!

【教会への不満、怒りを見せつつエルヴェツィオは次の行動に出る】
【レイピアで宙を三回突いたかと思うと、そこには野球ボール程の雷の球が出現し】
【レイピアを横に凪ぎ払うのを合図に、それらは全てディハートの胸部に向けて発射された】
【スピードは先程のディハートのトランプと同じ位か、全て同じ部位に向けてなので動きは単純だった】
989 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 21:35:51.24 ID:QBMkw95ho
>>981

【相手の話に耳を傾ける様子もなく、自らの歩調を保ったまま階段を登っていく】

かの宗教改革頃、教会に独占されていた信仰というものを民主化するため
…我々が信ずるべきは主の教えであって、教会ではないという運動が起こった。
それに基づくのならば…守るべきものはこのような…絢爛な建物ではなく一冊の”教え”ではないか?
私はそう、考えるのだがね…。神の子も…その弟子も、教会には行っていない。此処にあるのは”信仰”ではなく”欲望”だ。

【手に聖書を持って、それを見せびらかすよなジェスチャをしながら教師のようにつらつらと語っている】
【彼が信者かどうかは定かではないが知識に関してはそこらの信徒と同じぐらいは持っているようで】
【だからこそ、この混乱の中も潜り抜けられるほど上手く司祭に化けれたというわけだ】
【数日に渡り潜入していたお陰で中々に情報を得られたというのはまた別の話で……】

よければ、この聖書を君に差し上げよう。…なに、ファンタジーとしても中々に出来は良い。
私はまあ、一度。折角だから聖宮を見てみたいだけだ…

【嘘か真かはその極微笑からは読み取ることは出来ない】
【『立ち止まれ』と段上の彼に言われると。男は素直に立ち止まった】

それは困った。……大人しくしているから、よく狙い給え

【肩をすくめ、指揮官が兵士に指示するようにはっきりとした口調で言った】

【飛んできた矢に男は腕を振りかぶる。持っていた本はシュシュと投げられて厚い装丁が貫かれる】
【直線的な矢の軌道に狙い定めて本をぶつけるのは容易かった。軌道が変わった矢は本に突き刺さって階段を転がり落ちる】

……良く狙えと言っただろう。これじゃあ、扇を撃ち落とすのは難しい

【外套の内側に片手を入れる。腰に巻きつけたベルトに下げられた両刃の短刀の柄に手をかけた】
【シュルリと抜けられたダガーは曇りのない銀の光を反射する。この男にしか見えないが刃には幾つもの文字のようなものが彫り込まれていた】
【男はまた、歩み始める。右手に銀のナイフをチラつかせて、ゆっくりと】

さあ、次だ…次は難しいぞ?フッフ…何、余計な芸よりも…殺す方が簡単だ。


>>985

さあ…少し違うと思うが…向かう先は同じ。短い旅路のようですが
此処であったのも何かの思し召し。…どうぞ、宜しく

【得意の極微笑を浮かべたまま、かけられた声に対してそう挨拶をする】
990 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/14(金) 21:59:58.12 ID:1xm8K26to
>>985

「ククッ、良いんだぜぇ? 神は寛容だ=\――すたこらさっさと逃げても、必ずや神は許してくださるだろう……」

【「なーんてなぁ」……などと付けて締めくくる所を見れば、その言葉の本気具合がわかるだろう】
【つまり、男も彼が簡単に逃げてくれるなどとは思っていないわけで。ならば、するべきことは一つだけだろう】
【退かないならば、力づくでも退かせるまで。それは、男のスタイルでも有った】

「ハッ、テメェは分かってねぇ……言っただろぉ? 俺は元犯罪者―――言うなれば元異端だぁ。
 だが俺は今現在この近衛騎士団へと入っている……なぜだか分かるかぁ、傭兵の兄ちゃんよぉ……。

 救われた≠だよぉ! 俺は神様になぁ!! この身で、実際に体験したことだぁ!!」

【元犯罪者であるこの男が捕まり、生きて出れないような年数の判決を出され―――そして救ってくれたのは、現騎士団長のフレデリックである】
【それを、この男は神の救いだという。本気だ。その眼は、「信じれば救いが有る」と物語っている】


「―――ッ!! 厄介な人形だぁ……!」

【仕込み銃が火を噴く。突如現れたそれに完全に反応できなかったか、銃弾は脇腹をかすめる。僅かに顔が歪んだ】
【回避されたことに関しては、何の問題もない。最初から織り込み済みだ。しかし問題は、次の人形のアクション】
【銃―――男にとって、一番当たりたくない相手である。銃と弓、何方が有利かは一目瞭然なのだから】
【しかし……それは普通の銃と普通の弓ならばの話だ。そして少なくとも、チップスの弓は普通のそれはとは明らかに違う】

>>989

「ククッ、テメェの御託は聞き飽きたぁ……要するにテメェ、俺に退けって言ってんだろぉ?

 だったらそれは無理な話だぁ……聖地巡礼を完遂させるためにはなぁ、此処を守りぬく必要がどうしてもあるんだからよぉ……!」

【この男、チップスは見た目通りに難しい話が大嫌いである。そんな性格で、良く信徒になれたと思うかは別として】
【それでも、言葉から相手の意図を見抜くのは難しくない。端的に掻い摘めば、その提案を一切突っぱねた】
【当たり前だ、男とて正義である。信念ゆえ、簡単に此処を渡す訳にはいかないのだ】

「それがテメェの得物かぁ? ハッ、聖職者のフリしやがって……最初からそうやって来なぁ!」

【と、強気な発言だが……その掴み所のない発言に、一種焦りさえ感じているチップス】
【今の矢はどうしようもないし、まだ彼が攻撃してこないから良い物の、あのダガーは明らかに、見せびらかしようのそれではないだろう】

>>985>>989

「んじゃぁリクエストにお応えしてぇ―――次は本気だぜ、テメェら」

【聖書を持っていた彼をちらりと見やると、男は不遜にそう告げて】
【またもや自動装填される白い矢。同じように番えて絞り手を離せば、またも分裂して彼らへと襲いかかるだろう】
【だがその速度は先ほどとは段違いだ。余程良い反射神経でなければ、完全に回避するのは難しいと思われる】
【そして―――分裂後の数は4本となっていた。先ほどの2倍、一人に対し二本ずつが飛んで行くだろう】
【さらに、今度は直線的ではない。左右から互いに交差するように迫ってくるのだ。これら全てが、男の扱う『ネトアラープ』の持つ能力であった】

【それを受けるか回避すれば、再び彼らの反撃が始まるだろうが―――気がつくだろうか。上空から聞こえる、鳥の鳴き声に】
【戦闘開始直前に鳴いていたあの鳥が、今や近くまで迫ってまた鳴いていることに】
991 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 22:00:30.98 ID:ffaIyjHN0
>>986
「ふぅん…………君も団長サマの部下にしては随分と…………だね?
怒りながら掴みかかって来るかと思ったけど、そうでも無いみたいだ
――――ねえ、マリア。ボクには分からないんだけど…………じゃあ君達は信徒以外はどう見てるのさ
目の前で今にも飢えて死にそうな子が居ても、神様を信じてなければ其れで終わりなのかな」

【意外、といった様子。今まで団長と何度か話した事があるが、どう見ても堅物にしか見えず】
【まさか笑みを返されるとも思って居なかったのだろう。僅かに銃を握る手が緩むが】
【――――今は、行く手を阻む壁だ。更には要の一つである此処を守る存在。気を引き締めねばいけない】

【ただの狂信者であるならば、殺りやすい。悪党であれば、撃ち抜きやすい。けれど】
【どうも女性の様な存在とは、“相性が悪い”】
【ただ、今回は殺す事が目的で無いと考えるとまだ気が楽か】
【元より自身が作られた意味は己の属する教会の中でも力無き子供や女性を守る剣として故だが――――余談だ。深く記す必要もあるまい】


「――――ああ。その通り。ボクは死神さ
何人殺してきたか数えるのだって、ずっとずっと前に止めた
で、今度は死神の鎌は君達の団長サマを狙ってるんだから…………キチンと首を守ってあげてないと、転がり落ちちゃうよ?」

【やはり最初の一手は防がれる…………が。其れだけに留まらない】
【なる程。非常に熱の高い光球によって遮られたかと確認すれば、また一手一手新たに先述でも組み上げて居るのだろう】

【その最中、自らに向かって放たれた同じ光球が複数】
【軌道を読み取ってみれば容易な事。だが、他の騎士団からも同じく放たれれば途端に回避の難易度があがる事となろう】


「――――っ……ぅ……。はは……正に多勢に無勢みたいだね
でもね……ボクにも意地があるんだから、易々とは終わらせない――――よッ!!」

【結果として、内一つが被弾。幸いにして関節部で無いが、左上腕の肉を一部焦がされて】
【戦闘の為に作られても、死神と名を与えられても。やはり痛覚はあるのか、苦痛の表情を浮かべるが…………それも長くは無い】

【4人を狙った分を、今度は騎士団の2人だけに集中させた。要は、浴びせる弾丸を増やすだけだ】
【――――しかし。異なった点を上げるとすれば、そのどれもばバーストショット染みた物。即ち、一つの点に対して弾丸が二つ放たれる事となる】
【的を減らした為に出来る業。それぞれの関節部に向かった一発を防ぎきった所で安心してしまえば…………続けて放たれた二発目が、関節を貫く事となろう】
992 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 22:00:32.09 ID:35RQ1/dVo
>>987

『この程度ですって? ふふ……そうね、こんな危険な仕事、――常人だったら引き受けないわよ?』

【素早く起き上がるエイビィ、削られた肉から流れる血は白い服をよく染めていて――減衰したおかげもあって意識までは持って行かれなかった様だ】
【口元から漏れる血を右手で一拭い。挑発と思わしきその言葉に、挑発的な笑みを返す】

『……エイニィ、圧縮海水で防いでも結構な威力よ――流石の実力、ってところね』

【ただ、そうは言ったものの相手の実力は本物だ――余裕をこいている暇はなく、認めざるをえない部分もあって】
【回転の力によって鞭は弾かれ壊れて、辺りに海水が散れて、本人は僅かにバランスを崩し――そして】

「ッ……!」

【迫るのはトマの拳――それこそ当たれば飛び上がれる様な、鋭いアッパーカットだった】
【先程のエイビィの様子を見ていれば大体の威力の察しは付く、――さて、どう対処するか】

【――?】 【先程エイビィが防いだ方法と同じだった、圧縮海水を盾にそれを受けるのだ】
【無論、その程度で防げるほどヤワな拳でなかった事くらいわかっているはずで――】

【案の定天井に向けて――激突こそはしないが吹き飛ぶエイニィ、だがこれは――】

「――こちら、……ベイス姉妹ッ」 「ここだけでも犠牲者は結構な数です、任務内容に含まれていませんが、……許可をッ!」

【――庭の様子がよく見えたのはあくまでも副産物。手に持ってはいなくとも、話せば通信状態を切っていない小型通信機に言葉くらい通る】
【エイニィは右手に持った剣を振るう、すると発生するのは三本の圧縮海水の槍――それはトマに向けて降ってくる】
【回避より上空からの攻撃をとったのだろう、厚さ1cm程度の普通の木の板程度なら軽々貫ける程度の威力はある】

【なお、攻撃が成功しても失敗しても、エイニィは庭の方に落下、先程の鞭を再び生成し、適当な柵に絡みつかせてぶら下がるだろう】

【そして、もう1つ狙いがある――】 【その攻撃と同時、エイビィも左手の剣を振るったのだ】
【発生するその圧縮海水はまるで小さな波のようで、これで足元のバランスを崩させて攻撃を当てやすくするのが目的だろう】
【なお、この攻撃の物理的な威力はそこまででなく、ただ圧縮されている以上普通の水よりも脚を取られやすいのは確かか】

【そう言えば、先程から使っているのは剣ばかりで――"剣の能力"は見せているものの、"己の能力"は見せていない】
【ただ隠しているだけなのか、それとも――本当に、能力なんて持ち合わせていないのか】
993 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 22:20:59.99 ID:cz+cRb0Po
>>988

【右手へと返る手応えは、攻撃が決まった事を確かな感覚として伝える】
【肩に埋まっていた刃が引き抜かれれば、流れ落ちる緋色はその量を増して。】
【俯いた顔、暗く落ちた影が隠して、表情は窺えず】

……俺に“落ち度”がある事なんざ、てめえに言われるまでもなくわかってんだよ……!
今回の事でUTの誰かが責任取らなきゃならねえなら、それはきっと俺だ。

―――アイツを、フレデリックを信じてみようだとか、そんな事思ってなけりゃ何とか出来たかもしれねえのに。
それが実際にはこのザマだ……終わってからああすりゃ良かった、こうすりゃ良かった≠チてな……

【切先が空に描く軌跡、そこに生まれ出るは雷光。―――数々の噂を耳にして、疑念を抱いていた筈の相手】
【しかし自分は、事が起きるまで疑いきる事ができなかった。胸に湧き上がるのは悔恨の念ばかりで―――】
【払いの一閃、飛来する雷球。上げた顔、その双の碧眼はエルヴェツィオを、そして、その向こうを見ていた】

だけど――――いくら後悔したって過去/これまで≠ヘ変わらねえ。
だったら俺は現在/今≠ニ、未来/これから≠ナその分を取り戻してやる!

【真横に振り抜いた左手、合わせる様に黒のカードが身体の前へと動き出す】
【重ね、並んで合計八枚。雷球がぶつかった端から砕けて落ちて】
【しかし、確実に雷球そのものも、食われていた。破砕の音が止んだなら、食いきれなかった分が胸へと飛び込んで】

あぁっ……、!く、ふぅ……気付けにゃ、丁度いいぜ……!

てめえが何の事を言ってんのか知らねえが、アンジェルは間違いなく俺の、俺達の仲間≠セ。
過去のアンジェル≠ェどんなやつだろうと、アンジェル≠チていう一人の女の子は、絶対にな――――!

てめえが仲間を信じるって言うなら俺だって同じ、外野に何言われようと、石投げられようと仲間を信じる――
――――――これが俺の、今貫くべき道だ。

【確かに雷球のダメージはあるはず。それなのに不敵な笑みを浮かべ、強がりを口にして】
【前方へ、エルヴェツィオへ向けて振り下ろした右手。それを合図に、カードが飛び出す】

【スートは赤。真っ直ぐに胴を狙う三枚に、左右それぞれに膨らんだ軌道で行くものが三枚ずつ】
【三方向から三枚ずつで都合九枚のトランプが、放たれる。切れ味は改めて言うまでもなく】
【先ほどの様に切り裂いてしまえばいい話だが、如何せん今度は数が多かった】
994 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 22:25:22.23 ID:G5yHzFLT0
>>992

―――そうだろうな、否、そうでなくては困るで候。
巡教≠ニは険しい道のりでなければならない………でなければ主≠ノ認められぬッ!

【アッパーカットを放った後、階下のエイビィへと視線を向けてその言葉に応えるように不敵に笑い返す。】
【その表情には、防衛任務だけでなく………この戦いへの愉悦≠烽ワた、生まれているようであった―――。】

【そしてエイニィが圧縮水の槍を生成した事を確認し、迎撃しようと構えるが………】

―――ッ!?足場崩しかッ!小癪な真似を………聖炎・エレア<b!………ガッ!

【そこへエイビィの放った圧縮海水の波が脚に直撃し、わずかだがグラリと上半身が揺らいで構えが解かれる】
【―――そして降り注ぐ3本の海水の槍、トマの両肩、そして右脚へと海水の槍は矢のように突き刺さり―――トマの顔が苦痛に歪む】
【だが即座に身体へ纏うように碧の炎≠出現させ、海水の槍を一気に蒸発させる!…それを終えれば一度荒い息を吐き出してエイビィを見る】

【スッと―――右手を後方に向ける………するとそこへ碧の炎≠ェ集まっていき―――。】


具現するでござる、斧槍・ランツクネヒト=\――そして我が敵を打ち払えッッ―――!!!


【再び出現する白いハルバート=Aそれを思い切り回廊へと叩きつけるッ!!ドスンッ!!っと一度回廊全体が大きく揺れ、】
【同時に碧の炎≠纏った強烈な衝撃波が先ほどの圧縮海水の波で水浸しになった回廊を吹き飛ばし、水を蒸発させながらエイビィへと迫るッ!】

【―――攻撃自体は直線だが、そのスピード、回廊を削りながら瓦礫を巻き込み進む衝撃波は直撃すれば危険だと一目で分かるだろう。】
【そして………強烈な一撃を受けた回廊も………どこか不安定に揺れだした―――。】
995 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/03/14(金) 22:37:08.93 ID:R4Z42A7g0
>>989>>990

【少し違う――それが何を示すのかは彼にはわからなかった】
【だが、そのようなことは彼にはどうでもよかった】

 何かの思し召しねぇ、そういうことにしとくかよ

【言葉少なくその言葉に応じつつも彼は男の行動を見る】
【矢を本にぶつけて防ぎ両刃のダガーを抜き出すそのような一連の行動をちらちらとではあるが見ていた】
【そのダガーだけで戦うのか?――そのような疑問をしたが何か仕込んでいるのだろうとそのように思った】

 へいへい、そりゃぁよかったですね
 だがな、救ったのは神様じゃなく誰かだろうが、な!

【神様が救ってくれた、彼はそれが本当のことではなかったと思った】
【だが、男の目は本気で神様を信じている目、彼にとっては神様が救ってくれたとそれをものが取るように】

 そう言う仕事だからなぁ、厄介なもんにもなるのさぁ

【そして男が再び攻撃してくる動作を彼は見た】
【こんどはどうしてくる――そのように警戒しながら彼は男をよく見た】
【そして矢が分裂してきた、だが今度の矢の速度は先ほどのものとは大違いであった】

 はぁ!んなもんあっしはリクエストしてねぇっての!
 
【そのように叫びながらも彼はすぐさま糸を引いた】
【急速に横に移動させた、が、両方の矢が両脇ばらを掠めていった】

 くそ!、あぶねぇな!

【叫び、そのままふたたび両手の照準を男に合わせて銃を二回連続して発射させた】

【だが、彼は仕込み銃の発射音によって気づけなかった】
【そう、それは戦闘開始前までにないていた鳥がここまで近づいてきたことに】 
996 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 22:49:44.19 ID:QBMkw95ho
>>990 >>995

もっと単純だ、諸君も諸君らも諸君らの信ずる聖者も聖書も教会も神も
全ては摩耶香しで、そんなものに取り憑かれて心身を預けた”人でなし”は
吾があるじに傅くか、さもなくば死ねと言ったのだよ。”異端”。

【攻めの戦闘は一切、もう一人の傭兵に預けて男は流暢に語る】
【神の寛容、救い、聖地巡礼。この男には……いや、この男の派閥からはすれば】
【全て滑稽な美しきジョークにしか見えない】
【金の十字。どの教派でも見られるもの。だが…繋がるか、その見慣れない形の十字と】
【鉄の国などで頻発した新興宗教団体のテロリズム―――】

――――<Sturmtiger>!!!

【ナイフを振り上げて男が何かを叫べば、彼を中心に突風がドン!と吹き荒れた】
【空気が揺らぐような突風で飛来する矢を弾き飛ばす。男の服の裾がはためいてすぐに収まった】
【尤も…この突風は精々半径数メートルといったところ、相手に辿り着く前に急速に弱まって微風ぐらいしか感じ取れないだろう】

”神の子”であるに関わらず”隷従の子”と共ににくだらん神を信仰されては、我々が秩序と平和を築くのに邪魔なんだ。
特に諸君のような急進的で野心家が居てはね、面倒なんだよ……これが”GIFT”からのメッセージだ。ククッ…団長様に、宜しく。

【GIFTとして完璧なまでにその曲がった思想で相手を煽る。表情を崩さずに、余裕の表情で】
【だが、もう一つの十字は何だ?金の十字の正体はわかったが黒い鉄の十字は…?――それは彼のもう一つの信仰先だ】

……では、此処からは”私”に戻ろう。司祭でもなく神の子でもない…

【そう言って、男はダガーを両手で握り、自らの方へと刃を向け――――心臓へと突き刺した】
【苦痛に顔を歪めながら、男は階段に両膝をついてナイフが刺さったまま階段にしがみつけば】
【ボウ!!と彼の全身から赤黒い炎が上がる!轟々と、地獄の業火のような火は彼の肉体を包んで見えなくなる】

【……一瞬だ。呆気にとられているぐらいのほんの数十秒ほどの出来事。火は収束して、人影が立っている】
【黒い、焼けて熱された金属のような骸骨。青白い光が両目と、心臓(のある部分)にモヤモヤと揺らめいている】
【ナイフは肋の間に刺さったままで、あとは何処からどう見ても人体標本で見た通りの人間の骸骨がその場に立っていた】


――――寒イナ。…何処ヘ征コウとモ…戦場ハ。


【ノイズの入ったような彼の声が片言で聴こえる】
【クラウチングスタートのようにしゃがみ込んだのなら…ドクロは階段を一直線に駆け上がりだした】
【それは人よりも獣に近い早さ。だが、2手3手攻撃する時間はありそうだ】
【ともあれ…そのこともあり、今はまだ彼はその”鳥”について気づきもしてはなかった】
997 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/03/14(金) 22:58:51.08 ID:35RQ1/dVo
>>994

「……ありがとうございます、ええ、この御礼は帰ったら絶対返しますので……はい、ええ――――」

【エイニィは通信に対してそう返答し―― 一体どのような返事が帰ってきていたのかはわからないが、予想は付く】

「主の為、あえて危険な道を進むのね……でも残念だけど、危険な芽は早めに摘んでおいた方が良いのよ――だから」
「『僕たちが、君の進むその道を"封鎖"させて貰うよ、――"聖都"の為に』」

【彼女らの目つきが更に真っ直ぐになった様な気がした――】


『厄介ね……グラゴニニヨルの出す海水が蒸発されてしまうと……普通の海水と違って塩も残さないしね』
「そうね、けれど、僕たちにはこれしかないのよ、だから――信じるしか、ないわ」

【槍の命中を確認できたのはエイビィのみ。エイニィはぶら下がっているため、上の様子はよく見えない】
【――エイビィが、海水の槍を碧炎で蒸発させられたのを見れば、少々厳しそうな表情を浮かべて呟く】

『……マズいわ、エイニィ、そのまま降りてッ!』

【エイニィとしては、兵士が倒れている庭を戦場にしたくないので戻ろうとしていた】
【だが、エイビィが確認したその衝撃波は回廊を削りながら迫っている、斧を叩きつけた時には揺れも感じた】
【――回廊自体も危ない、そんな予感が何となくしたのだ、だからエイニィに戻らせなかった】

【エイビィは己に迫るその衝撃波を回避すべく、左手の剣を振るって圧縮海水を噴射、その衝撃で斜め上に飛んで回避を試みる】
【だが、エイニィに声をかけていた分の遅れが痛かった、膝から下の部分に衝撃波が命中、右脚は血まみれ、左脚に至ってはどこかに行ってしまった】

『ぅああああッ』 「エイビィ!」 『……大丈夫よ、このくらい……大丈夫、だからッ』

【一方のエイニィは、そのまま庭に降りていた為衝撃波の影響はあまり受けなかった様だ】

【エイビィは圧縮海水の噴射をコントロールし、そのままトマの方へと接近する】
【それに成功すれば、胸部に向けて左手の剣を薙ぐようにして振るうだろう】

【その際、噴射していた圧縮海水は止まるが、代わりに刀身にそれが纏われる】
【それによって、切れ味・耐久等を増し、摩擦が減る分滑らかに深々と斬ることが可能となる】
【――剣自体で攻撃しなかったのはおそらく"分が悪い"から。その剣自体の切れ味は名刀レベルである】

【振るった後は反撃を容易くいれられる程度の隙を見せて――そのタイミングでなくとも、着地にはもちろん失敗するので隙だらけになる】

【エイニィはエイビィの支援に回るべく、圧縮海水の弾を数発顔に向けて放つ――】
【威力はそこそこだが、急所に直撃でもしなければ致命傷にはならないレベルで、速度もそこまでではない】
998 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage sage]:2014/03/14(金) 23:05:26.61 ID:hzd4Hi1n0
>>993

お前に未来など取り戻せはしない!だが俺達にはそれが出来る!
だからこそ俺はフレデリックを信じ、進むことを決めた!この聖地巡礼は必ず成功させ、見殺しにしかしない教会の連中をぶった斬ってやる!

【防ぎ切れなかった雷球がディハートに当たり、確かな手応えを感じる】
【が、やはりディハートの能力も厄介、全てではなかったにせよ、自分のあの雷球を防いで見せたのだから】

お前の心はそのアンジェルに囚われている、気にかけるばかりで何もしてやれない、そんな非力な奴に道など見えるものかッ!!

【笑みを浮かべるディハートに対して怒号で返すエルヴェツィオ】
【今度は数で攻める作戦か、エルヴェツィオに多くのトランプが迫る】
【今度もまた切り裂こうと試みて、剣撃によるラッシュで落としていく】
【しかし全ては流石に落としきれずに、2枚が右肩と左脇腹を掠めた】
【痛みに耐えながらも、まだ敵には切先を向けて立っている】
【それは彼の騎士としての誇りと、仲間達への誓いの表れだった】

ッ……、意地でも、団長、いや大司教の所には向かわせねェ!
テメエを此処で散らしてやる、本来の速度をお見せしよう……!

【ふと、彼の前の地面が砕け、破片がディハートへと飛んでいく】
【どれも切り揃えられたようなひし形で、速度も突き刺さるには十分だった】
【彼は何のモーションも見せていない、いや見えていなかったのか?】

叩っ斬るッ!!

【砕け飛ぶ破片と共に、もう一度ディハートに接近する】
【今度は腹部右下から胸部右上まで斬り上げる軌道】
【直撃すれば大ダメージは免れない攻撃だ】
999 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/03/14(金) 23:13:00.25 ID:luIENGkX0
>>991

……此処にいる面々は全て守るべき物のある方々。ただの多勢による数の暴力ではない、各々が強い意志を持っているのです。

【光の球のうち一つが左上腕部に命中。肉が焦げる匂いが広がったならば、マリアは一定のダメージを確信】
【数打ちゃ当たるという訳ではないが、これだけの数で射撃しておいて被弾したのがたった一つだけという辺り、敵の実力が垣間見える】
【――――手強い。生半可な覚悟では確実にやられる。マリアを始めとした騎士団の面々は改めて気を引き締めてかかることにした】
【……引き締めた筈なのだが。】

――――ッ!

【苦痛に顔が歪むのも一瞬、今度は二人に絞って狙われた銃弾。先程と同じようにマリアはそのうちの一人の前に立ち盾で防ぐ】
【―――が、もう片方が防ぎきれない。一発は先程と同じ要領でマリアの手によって放たれた光の球で防ぐのだが、二発目は防ぎきれず―――】


「―――ッガァ……ッ!!」

シンクレア様!!――――ッ……防ぎきれませんでしたか……!
痛みますか?後ろに下がっていなさい、死神だろうと悪魔だろうと、私が傍にいる限り命までは決して奪わせはしません!!

「……力及ばず申し訳御座いません、マリア様……!」


【関節とは行かないまでも左腿を打ち抜かれ倒れこむ団員。マリアは身を案ずるような大声で呼びかける。】
【生きていて呼びかけに応じる団員を見れば、安心したような表情を見せて後ろに下がるように命じ、団員は足を引きずりながらマリアの後ろに下がる】
【……やはり、この一連の会話を見ていてもマリアが「勝利の為なら他人の命も惜しくない」などと考える人物ではない事が容易に伺えるだろう】
【――――負傷した団員が無事自分の背後に下がったのを確認すれば、マリアはグリースをキッと睨みつける。】


先程貴女は、「目の前に神を信じぬ飢えて死にそうな子がいればどうするか」とお聞きになりましたね。
―――勿論、助けられるならば手を差し伸べますとも。神は其処に苦しむ者がいるのを無視してまで祈りを捧げる事など望まれない……

神など関係ありません。目の前に苦しんでいる人がいれば、それを助けるのは当然で御座いましょう?

ただ、私は神では御座いません。全ての苦しむ人々を助けるなんてことは出来ないでしょう……
そこを責めるのであれば、どうぞ責めて下さいませ。私にはどうしようも御座いません……



【――――此方も余談だが、マリアは度重なる戦争や困窮により身寄りを無くした子を集めて保護する施設を作り、運営している】
【その名はカランコエ=c…「貴方を護る」という花言葉を持つ花の名を借りたゼン=カイマ内のどこかに存在する施設。】
【今も子供達がマリアの帰りを待っている。……他ならぬマリア自身が、「飢えて死にそうな子」に手を差し伸べていたのだった。】

【……マリアはその事をこの場では一切口にしないが……】


【―――さて、目の前には当のマリアの仲間を害する敵がいる。やるべきことは一つ―――!】

【今度もまた、意匠返し。マリアと無傷の残り3人の団員は、グリース目がけてまたも光の球を放つ!】
【狙いは左腕全体。計四人の放った四つの光の球は、わずかの時間差で集中して左腕を襲う―――!】
【左腕を使えなくすれば、文字通り片手落ちの状態になる。厄介な連射も防げるかもしれない……さあ、回避は出来るか?】
1000 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/03/14(金) 23:20:47.07 ID:1xm8K26to
>>995

「その顔は、全く信じてねぇって顔だなぁ……まぁ良いさぁ、信じる者は救われる=A裏を返せば……

 信じねぇ奴は何時まで経っても救われねぇ≠チて事だからなぁ……!」

【要するに、「信じる信じないは勝手だが、それで後悔するのはお前だ」と、そう言いたいのだろう、男】
【彼になんと言われようと、男がその考えを曲げることはない。そんなヤワな思想で、近衛騎士団へと入ったのではない】
【不敵な笑み―――それはチップスという男の、信念の強さを表しているのかも知れなかった】

「ククッ、ソッチの兄ちゃんからのリクエストだぁ。てめぇにも受けてもらったぜぇ。
 こういうのはなんて言うんだけっかぁ……? あぁ、『連帯責任』って言うんだっけなぁ……!

 クッ……ソ!!!  やるじゃねぇかぁ……こうなりゃ俺も、燃えてくるってヤツよぉ……!!」

【同じ手は二度も食わない。仕込み銃の射撃に反応し、横へ転がって回避しようとするチップスだったが】
【ニ発目が腕に被弾。モロに喰らい、口から苦い声が漏れる。すぐに立ち上がり、腕を押さえた】
【腕の可動に支障はないが、ダメージはダメージだ。―――それでも男は、笑みを絶やさない。それどころか、笑みが濃くなったか】

>>996

「……ククッ、クククッ……そうかそうかぁ……!
 
 テメェ、あの;IFTとか言うテロ集団の手先かぁ―――ハハハッ! そんな奴が紛れ込んでいたかぁ!!!」

【彼が新興宗教、あるいはテロリスト集団であるGIFTの構成員だと分かった途端、男は大きく笑い始める】
【タダの信徒でもなければ、傭兵でもない。GIFTという、強大な組織の一員。それがわかった上で、男は笑う】

【―――元殺人犯であるこの男。第三近衛騎士団に配属されたと言っても、その身の奥深くに眠った害意は消えていない】
【要するに武人として、強い奴と戦えれば心が踊るのだ。そして目の前の二人は、まさに強い奴であった】

「テメェにとって俺が異端なら、テメェも俺にとっちゃ、タダの異端だぁ……!
 団長には伝えとくぜぇ……『GIFTはやっぱり、腐れ外道のテロ集団だ』ってなぁ!!」

【彼の姿の変わりようについて、男が驚くことはなかった。元々何かあると思っていたのだ。そして此処は、能力者の世界】
【しかし、警戒度がさらに増したのは事実。やはり、「あれ」を使わなければいけないかと決心した】

>>995>>996

「ククッ、やっぱテメェらは異端だぁ、故にブチのめすことにしたぁ……!

 だからコイツを紹介するぜぇ、俺の相棒だぁ――――――来い、『アドゥラーグ』ゥッ!」


【男の呼びかけに呼応し、上空から何かが降りてくる―――男の目の前まで来れば分かるだろう、それは赤銀の装甲を纏った「鳥」であった】
【鷹のような大型の猛禽類に似たその鳥。流れるようなその装甲から、この鳥が「マインド」だと分かるだろうか】
【体毛は上が黒、下が白とシンプルな毛色であり、その目つきはチップスとは反対に、射抜くような視線を与える鋭い瞳だ】

【その鳥――アドゥラーグの姿が一瞬にして変貌する。それは羽。チップスの周りに大量の羽が舞い踊り、やがて一点に収束していく】
【行き先はチップスが構えた矢の先だ。鏃に収束した羽は繋がり合い、気づけば通常時の数倍は有る巨大な鏃になっていた】
【矢の先だけが巨大なその矢をチップスが放てば、先ほどと同じように二つに分裂。先ほどとは違い、彼らの目の前へと着弾する】

【外れたかと侮ってはいけない。それが着弾した瞬間、その鏃から一斉にナイフほどの切れ味が有る羽が一気に射出されてくるのだから――――――】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

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1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
ここだけきのこたけのこ紛争 ホワイトデー戦役二戦目 @ 2014/03/14(金) 23:19:48.01 ID:FLVC5ywG0
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七宮「にーっはっ…こんなはしたない笑い方やめよ」 @ 2014/03/14(金) 23:18:26.07 ID:LJCp7y0w0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394806705/

提督「さようなら、あけぼの」 曙「!?」 @ 2014/03/14(金) 22:58:05.34 ID:lfi3BUCGo
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【六道輪廻】教師「六つの道が一つになる時、物語が動き出す」【安価】 @ 2014/03/14(金) 22:52:58.46 ID:iPUzDW4S0
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男「ふ〜ん、3億当たったんだ」幼馴染「う、うん」 @ 2014/03/14(金) 22:51:16.42 ID:Ooi7nPILO
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【目指せ転職!土方BBAが資格を活かす3】 @ 2014/03/14(金) 22:50:23.28 ID:KRnx7w7So
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【パワポケ】10主「ヤバいな…」12主「どうしよう」 @ 2014/03/14(金) 22:39:22.34 ID:V1OIA6CAO
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モバP「愛海とのこれまでとこれから」 @ 2014/03/14(金) 22:35:37.11 ID:oSX9MjaT0
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