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【泣いたり笑ったり】能力者スレ【できなくさせてやる】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/05(日) 03:40:26.70 ID:ZhN4ITL30
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
*この世界は「多様性のある世界」です。
*完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
*弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
*戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
*基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
*書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
*描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
*他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
*「コテハン」は禁止の方向で!
*基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
*スレチなネタは程々に。
*スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
*基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
*国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
*他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
*時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
*特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
*あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
*全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。
*勝手に世界を氷河期などにはしないように。
*能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。

【エロ描写について】
確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
なので、全面的な禁止はしていません。
ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1386594046/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714194866/

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

2 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 20:18:39.49 ID:oihRBVXJo
【廃屋】

【――それは、いやに生活感の残る家だった】

【往年流行りのキャラシールが隅に貼られたガラス棚の中に、】
【伏せて置かれた什器が、最後に使用されたのは何時であったか】
【流しと冷蔵庫の間、半畳程の隙間、其処に首を吊った女性の死体が有る】

【荒れた日本庭園とも呼べない程度の小さな庭、苔むした岩と、壺の中で泳ぐ水黽】
【使い込まれて飴色になった木戸が開かれ、同色の廊下に綺麗な斜陽が差していた】
【軒下には忘れられた鉄製の古めかしい風鈴と、首を吊った男性の死体が有る】

【悪戯な暴力による穴と落書きの跡が襖に残る、雑然とした和室】
【淀んだ色の砂壁にカラフルなピンで止められた子供の絵、クレヨンで描いた「かぞく」】
【二十の円を形取る蛍光灯が嵌められた電灯の下、首を吊った子供の死体が有る】

【台所から和室までを繋ぎ、庭が望める廊下の隅に蹲る人物だけが、静かに呼吸をしていた】

――僕が此処に立ち入った理由を一言で表すなら、「類似点」だった。
世界から阻害されていく僕と、時間から見捨てられていくこの家。
そんな同族感情にも似た思いで立ち入れば……其処にあった光景は、全く異質な物だった。

【其処にいたのは、灰色のパーカーにジーンズという出で立ちの、酷く薄い印象の青年】
【癖毛のグレーの髪、伏し目がちな紺青の目、靴は履き古したスニーカー。土足のままだった】

……通報しなければならない。咄嗟にそう思ったが、同時に恐怖を覚えた。
何者が……こんな惨状を作り出したのか。其処に在ったのは怨恨か、或いは無差別か。
後者の方が恐ろしいと思った。何故なら、其れは一歩間違えれば、僕にも及んでいたのだから。

【小説口調の青年は、よく見れば片手に携帯端末を持ってはいたが、指先が震えており】
【感情の読めない貌は、其れでも確かに怯えているようだった。気が付いてしまったからだった】

【建物は古い。新聞も壁掛けカレンダーも過去を指している】
【死体だけが、ついさっき死んだばかりのように、無い筈の風に揺れていた】
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 21:26:29.28 ID:pMKc/Odr0
【街外れ――銅像のある広場】
【傍を流れる川の音と、どこか遠くで鳥の鳴く声と、鈴の音が辺りへ響き】
【掠れて読めなくなった銅像の名前、いやに抽象的に謎めいた銅像の長い長い影が時計の針のようにどこかを指し示す】
【やがて立ち並ぶのは短針のような影。ゆらりと揺れて――ひとであるらしいと、静寂の中に教えていた】

ん……、……――こう、かな、

【――きらりと夜に零れて舞うのは桜色と黄緑色の混ざった燐光、遠目で見ればさながら妖精か何かの舞い下りたよう】
【ふわりと舞い下りた燐光のひとひらを掬い上げる仕草は欠片を細かく細かく崩し、空高くまで舞い上げた】

【真っ黒色の髪をした少女だった。腰までの髪にふわふわと鮮やかな桜色と黄緑色、纏わりつかせて】
【黒色と赤色の瞳に混ざり合った色合いを映しこめば、まあるい瞳はつやつやと光の色で艶めいて】
【紺に白のラインが走るデザインのワンピース、胸元と裾にひとつずつ飾った大きなリボンがワンポイントで風に揺れ】
【プリーツの刻まれたスカートから延びる足は安全靴のブーツに飾られて、足音を重く重く色づけていた】

あれ、……間違えたかな、えっと……――。

【きらきらと舞うのはひとつひとつが魔術式を構成する煌き、どうやらそれらを操る練習をしていたようだけれど、】
【ざあと夜風の吹きぬけたのに負けてしまったように一斉に失せた残滓、暗がりに瞳が追いつかないように瞬いて】
【理由も見当つかないとばかり、困ったように髪をかき上げれば、右耳だけに付けた宝玉をあしらったピアスが煌いた】

……ん――、休憩しよ、

【――鈴の音とよく似た声で呟けば、銅像の傍まで少女は歩み寄って】
【見ればとてもとても抽象的すぎる象の下にはコートと珈琲屋で買ってきたらしい飲み物が、置かれ】
【コートを着込みながらそっと傾ければ、――予想よりもずっと熱かったように、肩が跳ねた】
4 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 21:27:06.58 ID:0ZsCtF+1o
/>>1乙です!
/それと>>2の方、まだいらっしゃいますでしょうかー?
5 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 21:33:46.76 ID:oihRBVXJo
>>4
/こちらにー
6 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 21:38:13.30 ID:0ZsCtF+1o
>>2

【廃屋から、少し離れた場所。その中にいる青年がもしかしたら待ち望んでいたかもしれない人物が、偶然にも通りかかるだろうか】
【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧そうな印象の青年だ】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はデニムジーンズに膝丈ブーツという服装】
【腰や上半身、両太股にはポーチ付きのベルトが巻き付いており、左胸の上と腰の左右にはホルスターがあって】
【左胸には派手な金色をした大型拳銃が、腰の左右には既存のどんな銃器にも当てはまらない奇抜な外観の拳銃が二丁、それぞれ吊り下げられている】

(…………あ、あれ。迷ったか…………?)

【その青年はアナログな紙の地図を凝視し、顔をしかめながら通りを歩いてくる。眉間に寄った皺が、若いながらも苦労を感じさせて】
【戸惑ったような顔は少しばかり頼りない印象もあるが、シャツの左肩の部分には、確かに警察≠示すエンブレムが刺繍されている――――】
【青年はしばらく唸りながら、焦りの乗った歩調で進む。やがて、目の前の廃屋に辿り付くだろうか】

あの…………すみません、どなたかいらっしゃいますか?

【――――ここを通りかかったのは、単なる偶然。けれどその家の人にわざわざ道を聞こうと思ったのは、偶然ではない】
【このような廃屋に人がいる可能性は低いし、警官が道を訪ねるなんて情けない話だ、とも思ったのだが】
【勘としか表現できない、肌にまとわりつく妙な緊張感のようなものが――――青年の足を、その場に縫い止めた】
【青年は、もしインターホンが残っていればそれを押すだろうし、それが無ければ申し訳なさそうに敷地へ入って、扉をノックしながら声を掛けるだろう】
【庭側から見える怖気を催す光景には、まだ気づいていないようだが――――】


/よろしくお願いします!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 21:44:22.59 ID:pMKc/Odr0
//>>1乙忘れてましたっ
8 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 21:46:42.82 ID:oihRBVXJo
>>6

【相手の声に咄嗟に顔を上げるも、怯えの残る彼は動けないままだった】
【パーカーのフードを深く被ると更に膝を抱え込んで、踏み入ろうとする者に警戒している】
【――彼の周囲に、ひんやりとした冷気が漂い出す。それは廊下の先、台所の方へも漂って】

【インターホンはざらついたプラスチックの無機な質感を残しながら、既に機能は失われている】
【押しても音は鳴らない。なれば敷地へ踏み入るだろうか、錆びた門は半開きであって侵入は容易く】
【玄関扉も覗き窓の部分が割れ、鍵が外されている。開けて進めばすぐ、台所に辿り着くだろう】

【其処から奥への和室に行くには廊下を通らねばならず、廊下からは、件の冷気が漏れていた】
【蹲る彼は声こそ発さないが、かたかたと震えている】
【人の出す僅かな気配、衣擦れの音も、其処には確かに存在している】
9 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/06(月) 22:07:01.16 ID:3OtPdxHI0
【街外れ――教会】

【かつては多くの人がこの教会に来て祈っていたのだろう】
【だが今この教会はどこもかしこも壊れかけていた】
【信者を迎え入れたであろう扉は無残にも壊れている】
【外の外装は剥がれ落ちかけていて壁は穴が空けかけたり血痕が残っていたりした】

【聖堂は綺麗に並べてあっただろう椅子がむちゃくちゃに荒らされて】
【荘厳と輝いていた窓のガラスは割れているものもあれば割れてはいないがひびがあるガラスもあった】

【そのような場所で唯一荒らされもせずに残っていたイスに座る人物がいた】

 過去この場所には多くの信者が集まっていた
 …だが一つの悲劇が襲った

【そこにいるのは金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

 その悲劇とは別の神を信じる狂信者の襲撃であった
 その襲撃をした狂信者の目的は大いなるものの召還であった

【男は誰に聞かせるのでもなく一人語っていた】
【だれもいなく、だれもが恐れている場所で一人語っていた】

 なぜその狂信者が召還しようとしたかはわからない
 ……私個人としては知ってみたいが、大方自分が信じる神のためといいそうではあるな

【目を閉じそのように語りながらも自分の心情を言いながらも予想も同時に言った】
【震えもせず喜びもせずただこの壊れている教会で男はただこの場所にいる】 
10 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 22:07:48.88 ID:XasJHqwZo
>>1乙です!!


【路地裏】

【今日もここは陰鬱な空気の底に沈んでいる。建物の隙間から指す光が淡くこの場を照らし出す】
【狭く入り組んだ路地裏の中では、比較的広く開けた場所だった。円形になった広場のような空間】

【端の方に倒れたゴミ箱が一つ。汚れきった建物の壁に取り付けられた室外機と排水管は、何年も放置されたのかボロボロになっている】
【地面の石畳はあらゆるこの場に落とされるあらゆる穢れを吸って変色し、ところどころが砕けて破片を散らしている】

【饐えた臭いが立ち込め、空気すら澱んで感じられるこの場所に、響き渡る足音。二人分】


【どこから湧いて出たのか。闇の奥から現れたのは、身長2メートルを越えているであろう、大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、足には黒いゴム長靴】
【角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪。生気のない黒い瞳の両目は、義眼であった】

【大男の額、義眼の上には、額いっぱいを埋める形で巨大な一つ目が埋まっている】
【見れば両の耳も黒く歪んでおり、両手の親指もまた同様。およそ人とは思えぬ異形の姿】


【その大男の後に続いて現れたのは、くすんだ鉛色の瞳の少女だった】
【腰ほどまで伸びたストレートの銀髪。濃紺のスクールブレザーにグレーのチェック柄プリッツスカート。白いハイソックスに白い運動靴】

【その少女の肌は、路地裏の闇に溶ける青だった。顔面も首も四肢も、露出している肌全てが、真っ青。大男に劣らぬ異様】
【どこか不吉な気配を匂わせる、暗い青色の肌には、痛ましい傷跡がいくつも見て取れる】

【二人の異形の身体は、すでに返り血に染まっていた。路地裏の悪臭に、新鮮な血の臭いが加わった】


……当然ではあるが、我々の動きはトンネルを利用していた連中にも勘付かれているな
計画の障害になりかねない要素は、全て除いておかねばならん。今回のような小競り合いの際には、今後もお前たちに出張ってもらうことになるぞ

「わかっているとも、ボス……。更なる痛みをこの身に受けられるのだ、望むところさ。ああ、麗しの苦痛と共に……」

【恍惚とした表情で青い肌を上気させ、身体をくねらせる青肌の少女を、半ば呆れた様子で大男が見やる】
【そうしていながらも、両名とも周囲への警戒は怠ってはいない。安易に近付けば、存在を勘付かれることになるだろう】
11 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 22:16:15.16 ID:0ZsCtF+1o
>>8

……………僕は警察の者です、どなたかいらっしゃいませんか?

【ここは、何かがおかしい、と――――青年の下らない勘は、ここで奇妙な予感へと変わる】
【慎重に玄関扉を開け、身分を明かして呼びかけながら家に入る。和風のつくりだ、靴を脱ぐかどうか一瞬迷うも】
【結局、履いたままで床板を踏む。後で怒られるかもしれないという思いも沸かないほど、そこは不気味に思えた】

(なんだ…………冷たい…………?)

【背に氷を入れられたような感覚が、台所へ踏み入った青年を襲った。もはや勘でも予感でもなく、これは明らかに尋常ではない】
【右手を腰元へ、ホルスターの中の銃器を抜く。身体に感じるのとは違う重たくて冷たいグリップの感触が、青年の心を落ち着かせた】
【そうして構えられたのは、上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガンだ】
【黒いフレームを基調に白色の強化パーツを組み合わせ、各所にエネルギーラインの走る近未来的な外観をしている】
【名前だろうか、銃の側面には『Kibrit(キブリット)』という文字が刻まれていた】

――――なんっ…………だ、これは!?

【油断なく銃を構え、青年は廊下の手前の壁にもたれて一呼吸入れると、一気に廊下へ転がり出て、中腰で射撃体勢を取る】
【冷気が強まったように思え――――廊下の隅に、人影。そして、斜陽の落ちる庭と、奥の和室に――――】
【――――赤紫の瞳が瞠目し、動揺の声を上げる。光を受ける風鈴、古びた電灯。それらの隣に、風流さの欠片もない物体が釣られていたから】
【暫時、衝撃に打ちひしがれて。その後すぐに廊下にうずくまった青年に気づくと、慌てて駆け寄っていくだろうか】

君、君! 僕はアルフレド・フェリシアーノ、警察の人間です! 大丈夫ですか!?

【青年――――アルフレドは警察手帳を取り出して手早く刑事である事を証明すると、同じく青年の前に屈み込んで】
【怪我はないか、顔色はどうか、まずはそういった事を外見から伺おうとするだろうか。こちらの言葉に対する反応も、勿論待っているが】
12 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/06(月) 22:16:27.58 ID:3OtPdxHI0
/忘れていた>>1
13 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 22:23:44.00 ID:HiOCgvnJo
/*>>1乙ゥ*/
>>10
【二人の警戒に、いとも容易く――否、あえて気づかれるように接近した影が有る】
【影の動きは、迅速。そして足音のちいささから、少なくとも一般人ではないことが判断できるかもしれない】
【中々の健脚の持ち主だろう接近者は、効率的に距離をつめ、彼らの立つ路地と同じラインに現れ――瞬間】

「――やれやれ。ちょいと見まわりでも、と思ったらこういう奴らと出会っちまう」

【そんな、あきれ果てたような、自嘲気味の声色に混ざり――風切り音が路地裏に響いた】
【接近するそれは、投擲に特化した形状のダガーナイフ。数は2つ。歪な銀刃は寸分違う事なく、二人の足を狙うように飛翔する】
【――ちかり、電灯がチラついた。電灯に照らしだされたのは、一つの人影、一つの異質。――即ち、能力者だ】

「……話は潰した後に聞かせてもらうぜ。Hello――――」

【電灯の元のその人影は、人の形状を取っていた】
【薄闇で煌々と輝く蛍光グリーンの右目、そして周囲の空間を歪める不快なノイズを纏う左腕】
【服装自体は、何処にでも居るアウトドア系のファッションの青年であるが、纏う雰囲気はどう見ても堅気のそれではない】
【白い髪にちりちりとノイズが絡みつき――薄闇の中で青年は、己の異質を、異能を解き放つ】

「――――World!」

【右目が一瞬砕け散り、即座に再構成。左腕にも同じように一瞬失われ、再構成される】
【髪の色も、白骨の如き純白から、目に悪い蛍光色のグリーンへと染め上がる】
【全身から吹き上がるノイズ、僅かな狂気の気配を躰の内へと仕舞いこみ――路地裏への乱入者は一歩を踏み出した】
【右腕にはナイフが一本。投擲したそれとは違い、格闘戦に向いた厚手の刀身のものである】

「…………ッふ!!」

【駆けながら左手で刀身をなぞり――ノイズを纏わせて】
【そのまま一際強く踏み切ると、少女の胴に向けて横薙ぎに斬撃を振りぬかんとする】
【もし少女にその一撃が命中し、彼女が神経系によって肉体に命令を送り込んでいるのであれば、一時的に肉体の挙動にラグが起きるだろう】
【神経の情報伝達に衝突[コリジョン]が起きているような違和感が、その場合には感じられるはずである】
14 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 22:34:57.90 ID:oihRBVXJo
>>11

【――警察。その名前に、深く被っていたフードの下から紺青の視線が持ち上がる】
【台所の死体は気付かれにくい位置にあった。冷蔵庫と流しの僅かな間、死角にあって】
【銃を構え廊下へ躍り出る彼を、物言わぬ女性の死体は背中で見送った】

【そして廊下で蹲っていた彼は、相手が一気に廊下へ踏み入って来た事に酷く驚いた様子だったが】
【その後の呼び掛けの声で、見開かれていた目が、荒い息が徐々に鎮まっていく】
【相手が伺った彼の外見からは異常は見えず、顔色が悪いものの、怪我などはないようだった】

……、……警察の人間。証拠も有る。何より、その気迫が……証左でもあった。
僕は荒い心音を、鎮める事で精一杯であったが……先ず、心の底から、安堵した。「有難う」。

【妙な口調でこそあったが、確かな立場の相手が来てくれた事に感謝して、ゆっくりと立ち上がる】
【それから、言おうか言わまいか悩むようにしていたのだが、やがてフードを外して口を開く】

……近頃の僕は、廃墟の探索を趣味としていた。勿論それが違法性の有るものと知っていながら、
何処かで止められない、麻薬中毒にも似た面白さがあり――……、その強すぎた好奇心が、
僕に戒めとして、この光景を見せたのかも知れない。だが、それでもこの光景は、「異質」だと考える

【趣味の探索でとんでもないものを見つけた。だがまず、探索自体が不法侵入、違法性のあるもの】
【故に警察たる相手の前で言い辛くはあったが、彼は状況説明の手前、正直にそれを話した】

【それから「異質」として上げた点を、彼は独特の口調ながら確りと説明していく】
【台所、軒先、和室に死体が有ること――そしてそれらは、今しがた亡くなったばかりのように真新しいこと】
【調べたならそれらが事実であると把握できるだろう。もうひとつ、首を絞めている縄が“青藍色の植物”で有る事も】
15 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 22:41:42.48 ID:sHndcw8Z0
【櫻の国。とある山の奥地――――妖怪達が住む村がある何て噂されるその場所】
【花が散っていても尚見事な櫻の木の下で胡座を?くのは山伏の服を纏った少女…………否、少年であろうか】
【背に生えた漆黒の翼をゆったりと広げ、手には酒の入った一升瓶。謂わば、烏天狗が其処にいる訳だけれど】


「冬、かぁ…………うーん…………冬、かぁ
冬ねぇ…………」

【頬杖を突きながら、ただ冬、冬と呟くその姿】
【――――時折思い出したかの様に酒を呷るけれど、一口喉の奥に流したならば再び冬と呟くだけ】
【……一応は、この村の長。ならば当然重大な何かに悩んでいるのだろう――――と、妖怪達は思って居たが】


「このままじゃ美人な人達の湯浴みを覗き見出来なくなっちゃうなぁ…………
いや、冬には露天という事は分かるけれど…………でも態々こんな山奥に、それに妖怪が居るなんて人間達に噂されちゃってるとなれば更に人が…………
ん?ああ、良い所に来たね。こっちこっち!!」

【――――悩んでいたのは、冬が訪れ雪が積もれば人間達の湯浴みが覗き見できなくなるという何とも不埒な其れ】
【見守っていた妖怪達も呆れたのか、それぞれが溜息を吐きながら解散して…………少女とも少年とも見える天狗が、其処に残された】
【そんな妖怪達の気持ちを知る由も無く、この絶望的な状況を打開すべく思案していたが】
【…………もし、この場に誰かが訪れたならば。ふと気付いた様子でそちらを見遣って、やがてはチョイチョイと手招きをする事だろうか】







【月明かりと、其れを反射させる雪とで明るく照らされた森の中】
【枝々から垂れる氷柱や、凍った葉などが幻想的な景色を作り出していて】
【――――夏には夏の。冬には冬の妖が活発になる、なんて言うけれど…………今宵其処に居る妖は、そのどちらにも属さず】

【まだ足跡の無かった雪に、さくりさくりと自分だけの足跡を作って歩を進める姿が一つ】
【巫女装束に、特徴的な狐の尾と耳。所謂、妖狐と呼ばれる存在であるけれど】
【その妖気を辿ってか、真っ白な雪に刻まれた足跡を辿ってか。――――それとも、首に下げた翡翠の首飾りから発せられる神聖を感じ取ってか】
【何にしたって、白景色の中に浮かぶ紅白のその姿を見るのはそう難しくも無い】


「感謝状…………やっぱり、お姉ちゃん宛て…………ですよね…………
戻っていたなら…………少し位、顔を見せてくれても…………」

【大切そうに抱えるその書面は、果たしてどの様な意味合いがあるのかは分からないけれど】
【少女の零した姉に関わる事だけは確かか。元より困った様に、或いは自信なさげにハの字に曲げられていた眉が一層角度を増して】
【小さな吐息を漏らしたならば、その紙をさも大切そうに抱き留める事だろう】


「…………お姉ちゃんが居ない分…………私が、しっかり…………しなくてはいませんね…………
成長した、って言って貰える様に…………もっと、ちゃんと…………」

【まるで自分に言い聞かせるかの様な呟き。――――夜空を見上げたその最中】
【――――この場に訪れた新たな存在に気付いたか、一度ピクリと耳が動き。何処か不安げな表情を浮かべて、其方へと視線を移すけれど】
16 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 23:07:01.75 ID:0ZsCtF+1o
>>14

…………ええ。無事でしたなら、何よりです。
よければお名前を伺っても?

【青年の話し方にも、些か違和感はあったが。この場で優先すべきはそちらではないと判断して、アルフレドは話を進めた】
【軽い調子で名前を尋ねながら、立ち上がる。斜陽を切り取る首吊りの影は、何度見ても慣れるものではない】
【銃は――――仕舞おうとも思ったが、構えたまま。見た目からすれば自殺だが、警戒心は捨てられない】

廃墟探索、ですか…………申し訳ありませんが、二人もの人間が死んでいる以上、僕一人では処理し切れません。
今から応援を呼びます。貴方には第一発見者として事情聴取を受けて頂くことになると思いますが、どうかご協力を。

【青年の危険な趣味についても、今は咎めない。一通りの事情を聞くと、出来るだけ事務的にならないよう言葉を掛けて】
【特に青年が止めたりしなければ、端末取り出して仲間へ連絡を入れるだろうか。到着にはもう少し時間がかかりそうだが、後々応援がやってくるだろう】
【――――それを終えれば、アルフレドは眼鏡を中指で押し上げて。青年から受け取った情報を手帳に書き込んでメモを取ると、まずは台所へ移動する】

(少し、雰囲気に呑まれたか…………落ち着け、僕)

【焦りからか、死角にある首吊り死体に気づけなかった愚を悔いると――――手袋をして、簡単に死体の状態を確認するだろうか】
【そこには確かに、青年の情報通りの「異変」がある。ぴくりと顰めた眉根、頭の中に過ぎるのは能力≠フ二文字】
【それからアルフレドは、首元の索状痕が植物と一致するか、掌や周囲の状態などを見て、抵抗した跡があるかどうかなどを念入りに確認するだろう】
【即ち、自殺なのか他殺なのか。状況を見る限り死んでいるのは家族だろうか、ならば無理心中の類か。そうでないなら、何故殺されたのか】
【専用の機材も何もない状態では、確証も得られないが…………せめて、予想だけは付けておきたかった】
【そうして台所の死体を調べ終わると、軒下、和室の死体も同様に調べて回って。しばらくして、青年の所へ戻ってくる】

何か…………周囲で不審な人影などは、見ていませんか? もしくは、不審な物音とか…………。

【問いかけは、かなり緊張感のあるものだ。ベテランならこちらの感情など悟らせないのだろうが、生憎とこの青年はまだ若い】
【死体は新しかった――――もしも他殺であるなら、下手人がまだ近くにいる可能性もある。知らず、銃を握る手にも力が籠もって】
17 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 23:08:49.18 ID:XasJHqwZo
>>13
む……!?
「おっと……」

【当然ながら、彼の存在と接近に二人はいち早く勘付く。しかし、その認識を上回る速度】
【このような場所で、自分たちのような者たちに真正面から仕掛けてくることからも、その足音を殺した俊足からも】
【表れたのが、確かな実力の持ち主であることは、容易に察せられた】
【呟かれたその言葉と共に、風を切る鋭い音。飛び来る銀の刃。ダガーナイフ】

ぬ、ぐっ……!!
「あ、はああああああぁぁぁ……!!!」

【見た目通り、動きは鈍いらしい大男の足に、ナイフが突き刺さる。低い呻き】
【一方の少女は、自らそれを受けた。青い肌に新たな傷が刻まれる】
【その口から漏れ出るのは、苦鳴ではなく嬌声だった。整った顔を快楽に歪めるその姿、異形なのは見た目に留まらないらしい】


ぐ……いきなりご挨拶じゃあないか……!!
「く、ふうううぅぅぅぅぅ……!!! いいよ、ゾクゾクするぅ……!!!」

【完全に己の官能に浸っている少女を置き去りに、大男がその姿を単眼の内に捉える】
【明滅する電灯が示したその姿は、自分たちのそれとはまた違った異質を秘めていた】

【蛍光グリーンに輝く瞳、空間すら歪めるノイズを従えた左腕、鋭い気配】
【大男の単眼に、敵意の色が宿る。と、次の瞬間には、青年はすでに行動に移っていた】


(…………!!? なんだ、あの能力は……? 肉体の再構成……? それに、あのノイズ……)
問答無用、というわけかね……!!

「う、ふふふぅ……!!! 命知らずで好きだよ、君……!!!」

【表情を痛みに歪めながら、大男が足からダガーナイフを引き抜いた。と、彼には見えるだろうか。作業服の上からでもわかるほどの動き】
【傷口周辺の肉が蠢いて傷を覆い、出血を防いでいる。常人には不可能な動き。この大男も異能の持ち主だ】

【一方の少女も、大男に続いてダガーナイフを引き抜く。こちらは、足から流れ出る鮮血は止まらない。一応、色は赤だ】
【と、この少女の傷口にも変化が現れた。血の流れが停止したかと思うと、傷口が押し広げられるように膨らんだのだ】
【まるで、内部から何かが這い出ようとしているかのように】


【しかし、その動きが何かをする前に、ノイズと狂気の気配とをその内に秘めた青年の方が先に動いた】
【手にした厚い刃のナイフが、力強い踏み込みと共に振るわれる――!! 銀が一閃、闇と共に青い肌を切り裂く。飛び散る鮮血が闇を彩る】

「あぐ、はああああああ……!!! ……ん、んn? なん、dだこrれ、はh、ぁa……?」

【そこに、彼の能力が発動する。今までに感じた事のない違和感。肉体への伝達が上手くいかないような感覚】
【それ以上に、己の求める苦痛をうまく感じられない状態となり、困惑した少女はふらふらとバランスを崩す】

……私の手下から、離れてもらおう

【そこへ、大男の声が割り込んだ。いつの間にか作業服の袖が捲り上げられ、太い両腕が露出していた】
【と、その右腕が奇怪に蠢き、ボゴボゴッ、と耳障りな音を立てて膨れ上がり始めた】
【右腕はそのまま膨らんでいき、それに伴って青年の方へと右腕が伸びていく、いや、これはもはや腕の姿ではない。巨大な肉の塊だ】

【攻撃直後の隙を突かれれば、向かってくる肉塊と化した右腕に、腹部を殴打されることだろう】
【しかし、腕の伸びる速度はさほどでもない。冷静に対処すれば、回避も反撃も可能のはずだ】


……今までに会ったことはない、と思うが……どこかで見たような気もするな……
恐らく、情報収集の際に、何かの映像で……

それで、お前は何者だね? 名前くらい教えてくれてもいいだろう?

【攻撃の成否にかかわらず、大男の問いかけも飛ぶ。一つ目が細まり、青年へと無遠慮な視線が注がれる】
【彼の姿を見た時の既視感の正体を求めて、記憶の底を探っているらしいが、答えには辿りついていないようだ】
18 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 23:26:18.48 ID:oihRBVXJo
>>16

「君の冷えた亡骸に触れた夜、或いは淡い寂寥」。
……それが、僕の名前だった。一字一句漏らさず全て、戸籍上も、これが名前であった。

【名前を尋ねられれば、彼は至極真面目な表情で姓名の判断がしづらい二十四文字の名前を述べた】
【実際、住基等の社会的なデータへに照会を掛けたならば、間違いなくそれが名前である事が証明されるだろう】
【同行と聴取を求められると素直に彼は頷いた。ある程度覚悟はしていたことだったようで、応援を阻む事も無論無く】

【――索状痕は植物と一致する。だが抵抗した痕はない。死体は一瞬の強い牽引で首の骨を折られ、即死していた】
【首を吊っていた植物は明らかに通常のものではなく、能力によって召喚されたと思わしき物。微かに光属性の魔翌力を持っている】

【もうひとつ、もしも遺体の顔を見比べる余裕があったならば。両親かと思われた女性と男性に、子供の顔は全く似ていないのだ】
【和室の壁に掛けられた古い絵には、ふくよかな父、平均的体型の母、男の子が描かれていたのだが】
【死亡した男女はどちらも痩せ気味で、死んだ子供に至っては女の子だった】

【そして不審人物を見たかと問われれば、彼は少し考え込んだ後に、何かに思い当たったようだった】

此処に踏み入る前……僕は一応、侵入に際して通りの様子を伺った。
その際に、遠方で通りの奥へと去っていく喪服の人影を見た。その喪服は、櫻の物だった
一瞬であったために詳細は理解らなかったが……白い髪で、線の細い男性だったと、僕は記憶していた。

【特徴的な姿だったために、記憶に強く残っていたのだろう。だが人相までは距離もあって伺えなかったようで】
19 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/06(月) 23:26:34.41 ID:HiOCgvnJo
>>17
【眼前でなされる、異様な行動。容易く突き刺さったナイフを大男も少女も同じく抜き取ったのだ】
【青年の右目の内部構造が変貌し、複眼状態へと移行し、複眼の内一部をズームとして相手の足元へ向ける】
【傷口の変化をズームで確認し、一体何が起きているのかを細かく認識し、理解しようとした故の行動】

(――アレ、回復系の異能か?取り敢えず人間のたぐいじゃない――な。
刃物が効かないなら他の手段を高じるしかない。火薬はあるから――いざとなりゃ粉々に爆砕してやりゃいいか。
それで無力化出来ないなら、即効撤退、って所か)

【そして、確認からの思考は加速されたものであり――高速戦闘の阻害をすることはない】
【身体能力や直接戦闘の技量などは人の域を決して出ることの無い青年の、強み】
【その強みとは、異能により神経系の伝達速度を加速させ、また脳髄のスペックをマックスまで用いる事による、高速情報処理】
【それによって可能となる事が、高速戦闘での熟考=Bそして、不意の自体に対する落ち着いた対処≠ニいう2つの物事だ】
【それが、異形であろう二人に対する、未だ辛うじて人間たる青年が、食らいつくための武器となるだろう】

「――それは、効くか……ッ!!」

【己の斬撃。それに込めていたのは、アートマンの異能による莫大な情報】
【神経系に白刃を叩き込んだ直後に、情報を神経系に叩きこむことによる神経系へのDOSアタックを実行したのである】
【物理的な攻撃力は、ナイフによる横薙ぎ――それも、軍人でもなんでもない青年のそれに過ぎない】
【だが、その斬撃は確かに戦況に対するダメージ≠与える事が出来るそれ】
【腕を振りぬいたその直後、大男の声。そして、右目に収まる複眼の一部が大男の姿を捉え、変貌を認識する】

「……ッう、ォ!!」

【振りぬかれる腕の変貌、肉塊とかしたそれは伸びゆき青年を殴り飛ばそうとする】
【だが、その動作を青年は加速された思考によって対処を策定し、その対処を迅速に行動開始へとシフトしていこうとする】
【脳髄から発せられたそれは、アートマンによって加速され二本の足、及び感覚器官へと叩き込まれて脚部の駆動を発生させた】
【横に軽く飛び――脇腹を抉られながらも大きく距離を話さない少年は、そのまま肉塊に向けて回転しながらナイフを振るう】

「だっしゃァ!!」

【振るうのは浅いもの。しかしながら、肥大化した肉塊には当たりやすいかもしれない】
【ダメージこそ大きくないものの、肉塊に刃が食い込めば先ほどの少女とは違いに膨大なデータが激痛≠ニして送り込まれるはずだ】
【全身をやすりで削られるような痛み。それは、刃が食い込み離れるまでの一瞬では有り、肉体的なダメージはないもの】
【それが当たるにしろ当たらないにしろ、転がるように後ろへと移動して、青年は眼を細めながら二人の様子を確認し、思考を回転させるだろう】

「――フリージャーナリスト、谷山基樹」

【一言。己の名乗りを上げて――ベルトポーチからダガーナイフを引き抜き左手に握る】
【振り上げた左腕は、相手の行動に即応し、ナイフの投擲を放つためのもの。そして、――ナイフにはノイズが纏わりついていた】
20 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 23:35:20.23 ID:evQ+HvOio
>>15
/まだいますか?
21 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 23:36:54.95 ID:qWVqlQJno
【街中】

【からん、ころん。人通りの少ない道に響くは下駄の音、其れを奏でるは一人の男。着物の上に淡藍のインバネス・コートという古風な格好には下駄が良く似合う】
【とは言うものの、やはり今では滅多に効かない「からん、ころん」という足音は耳に残るのだろう。色々お洒落な靴が揃う中、しかも冬。その中で響くのだから余計に際立つのだ】
【―――だが際立っているのは音だけではなかった。聴覚はおろか、視覚にまでその異質が現れていた。―――その下駄は、普通の下駄では無かったからである】

【……―――「一本下駄」。それも異常に歯(接地用の突起部)が長く、20cm近くもあるように見える。どう考えても立つことすら困難なほど不安定な筈なのだが―――】
【その下駄を履く男は、まるで普通の下駄を履いているかのように歩いていた。全くぐらつく様子もなく、からんころんと音を立てて歩いているのが、余計に奇妙だった】

……この鍛錬は流石に大通りでは出来ないよな。久しぶりに履いたが、何だか前よりも滑らかに歩ける……鍛錬の成果が出ている、ということか。
―――……190cmからの視界がこんなものか。いつもの風景とは全く別のモノに見える……いや、別に羨ましがってなどいないぞ、いないのだ……

【不安定な下駄を履きながら、全くその様子を感じさせずに歩いている―――本人もその事実に驚いていた。話しによればコレも鍛錬の一つらしい】
【人影が無いからかブツブツと独り言を零しながら夜の街をからんころんと彷徨く。心の中では誰にも会わず、怪しまれずに帰路に着けるように祈っている自分自身が存在していた】
【偶に夜風に揺れるインバネスコートの右肩部分には緋色の鷹の紋章が縫われており、そして彼の左腰にはその緋色に近い茜色の鞘に包まれた刀が佩かれていた】
22 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 23:55:55.00 ID:PTM/e73X0
>>21

―――――…『へぇ、凄い凄い』

【やや掠れ気味、ハスキーとでも言うべきか。そんな若い青年の声が一本下駄の男へ投げかけられる】
【その声は男からすればとても低い位置から聞こえただろう。やや前方、声と同時にある人物が立ち止った】

【だがしかし、その方向に居たのは声の特徴とは正反対の容姿をしていたのだ】


――――――…『随分と奇妙な格好だな、大道芸の類か何かか?』
『俺が記憶してる形状とは少し違うようだが、そのサンダル…下駄、っていうんだっけか?』


【グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカット】

【そんな「少女」の姿が見えることだろう。ちなみに彼女の周りにはそれ以外に声の主らしき人物はいない】
【続く疑問の声もまた少女の方から―――口を動かすことなく華奢な中指を喉に宛がっただけで、その男声を響かせるのだった】
23 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 23:56:02.53 ID:evQ+HvOio
>>21

【───ぷぅん、香しい匂いが、鼻を突く】
【いい匂いとはとても言えない、粘りつくような匂い。これは強い酒の匂いだ】

【匂いの方から近づいて来たのではない、男の歩く方向にそれがいた、ただそれだけ】
【酒の匂いに混じり、這い回る嫌な雰囲気、その手の人間にしかわからないそれに、気付く人間は雑踏にはいない】
【それは、そこにいる。ニヤニヤと嗤いながら、背中を壁に預けて、男を見ている】

【水色の着流し、下駄履き、白髪のポニーテール、前髪で左眼を隠した青年である】
【首に白いマフラーを巻き、腰には帯刀、刀に並べて瓢箪を吊り下げ、眠そうな半開きの目で口にはゲソの干物を咥えている】

【コツン、浪人紛いの男が背中を壁から離し、履いた下駄が軽く鳴る】
【歩き出した、青年は下駄の音を重ねながら、ゆらゆらと歩き出す、男へと向かって】
【彼の左手は、吊り下げた刀の鐺を撫でていて───】
24 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/06(月) 23:56:53.29 ID:evQ+HvOio
/被ったので>>23は取り消し
25 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/07(火) 00:04:31.05 ID:EaUxRCP2o
>>18

き、君の冷えた亡骸…………何だって?
…………し、失礼。

【青年の口調だけなら、違和感を募らせつつも敢えて看過できたアルフレドだったが――――流石に、面食らった様子で聞き返す】
【ふざけているのか、からかわれているのか。この青年の証言、どこまで信じていいものか】
【そういう疑念の感情だけは、ギリギリ眼鏡の下に押し込めて。また眼鏡を押し上げ、どうにか心を冷静に保つ】
【何にせよ、たった一人の証人だ。詳しいことは応援がくれば解る、今は疑いで関係を悪化させるべきではない】
【あくまで冷静沈着を装いつつ、アルフレドは手帳を取り出すと、得た情報を書き出していく】

(…………抵抗の痕はなかった。だが三人が別々の場所で死んでいた以上、心中自殺にしては不審だ。
 それに、あの植物…………やはり何かの能力か。だとすれば、他殺の可能性は高い…………。
 なら抵抗の痕が無かったのは、死因が窒息ではなく頸椎骨折による即死だったからか?
 いくら能力とは言え、誰にも気づかれる事なく、背後から一瞬で暗殺したとすれば…………)

【乱雑に思考を巡らせながら、その表情はどんどん厳しくなる。能力者犯罪という言葉が、苦々しい重みを伴ってのし掛かった】
【それは、警察にとって鬼門とも言える犯罪だ。能力者の能力は千差万別で、それこそあらゆるトリックが成立する可能性がある】
【逆に、ちゃんと種のあるトリックであっても、それが何かの能力であると言われればある程度説明が付いてしまう。捜査の攪乱は免れない】
【勿論、だからといって諦める訳には行かない――――青年はもう一度、死体や部屋の状況を調べに行くだろうか】

(…………親子、ではないのか…………!?)

【その過程で、和室を詳しく調べれば。壁の絵を見た瞬間、三人の顔の不一致にも気づいて】
【また、新聞やカレンダーの日付…………過去を指している事に気づけば、具体的にどの程度前なのかを確認しようとし】
【何にせよ、日付が過去で止まっているならば、たった今殺されたかのような死体の状態とは矛盾する。日付が人為的に細工されているのか?】
【もし日付が正しく、三人が別人であるならば、元々廃屋だった場所に呼び出して殺したとか、余所で殺した死体を持ってきたとか、そんな事も思い浮ぶ】

【…………アルフレドはその後、死体に他の外傷がないか等も調べつつ、個人を特定できる物を持っていないかないか探し】
【ついでに、この家の住人の個人情報が得られそうな物品がないかも、現場を荒らさない範囲で捜索した後――――廊下に戻ってくる】


櫻の国の喪服姿、白髪に痩身の男…………ですね、ありがとうございます。
他に何か気づいたことなどがあれば、是非お教え下さい。

【青年からの新しい情報も、逃さず手帳に書き込んで。青年が犯人でなければ、暫定的な容疑者はその男と言うことになるだろうか】
【発見から時間も経っているし、足で追うのは無理だろう。後ほど聞き込み捜査で地道に足取りを追うしかない】
【アルフレドは最後に、出来るだけにこやかな調子で、青年の更なる証言を促すだろうか。今は、どんな些細な手掛かりでも欲しい】
26 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 00:08:12.91 ID:avkWgJkho
>>19
【さすがに、青年の瞳の奥で何が起きているのかまでは、捉えきれない】
【そこへ流れ込んでいく情報。普段は観察し、値踏みする側である大男が、逆に覗き込まれている】

【その脳裏に高速で飛び交う情報。表からは見えない、青年の力】
【知らずの内に、晒した情報全てが青年に吸収され、勝利への布石となっていく】
【路地裏に集い、火花を散らす三人。果たして、これを人の領域にある戦いと呼んでいいものか】


「ああaぐgぐ……あ、gぐが…、ぎ…、……」

【見た目も中身も歪んではいるものの、身体構造そのものは人間とさほど変わりないらしく】
【神経系への攻撃は、見事に通った。膨大な情報の波に押し流され、少女の青い身体が危うく揺れる】
【傷はそう深くないものの、命のやり取りにおいては致命的。幸いだったのは、ニ対一だという事実か】


(今の攻撃をかわすか……反射的な動き、だけなのか……?)

【横合いからの一撃を回避され、いや正確には多少はかすったようだが。大男の顔が疑念に歪む】
【未知の領域たる青年の異能に、その思考が届くはずもなく。アートマンの補助を受けて駆け巡る電気尊号の速度に、大男の動きが追いつくはずもなく】

――――!!!!!!! ぐ、があ――――!!!!!

【回転と共に放たれた刃は、今や単なる的に成り下がった肉塊を切りつけた】
【そこに流し込まれる激痛≠フデータ。腕のみならず、その巨体全てを蹂躙する。声にすらならない悲鳴】
【ドシャ、重い音を立てて肉塊が地面に落ちた。一瞬とはいえ、その苦痛は耐えがたく。肉塊が無様に痙攣する】


谷山……基樹……思い出したぞ……三年前の夏、水の国で行われた大会の準優勝者だ……
大会の映像は未だあらゆる形で残っている……それを漁っていた時に見た顔だ……
大会で用いていたのは、アートマンだったはずだが……いや、それよりも

名乗っていたな、あの決勝戦で……Justiceと
「――なんだって?」

【痙攣する右腕が、引きずられるように移動し、大男の右腕へと戻っていく。その間に、大男の口から語られる既視感の正体】
【数多の強者たちを破り、準優勝の成績を収めた男。折りに触れて過去の情報を漁っていた大男は、その姿をそこで見たのだ】
【と、自分のボスの言葉を受けて、情報の海から解放されたらしい少女が割り込んだ】


「Justice……!! まだ残党が残っていたのか!! オーギュストとギュスターヴを死の一歩手前にまで追い込んだ、あの識槻 朔夜以外にも!!」
「きっと、きっと私に素晴らしい苦痛をくれるに違いない!! 先ほどボスに食らわせたのを、私にもやってくれないか!!!」

【鉛色の瞳を輝かせて、少女が青年、谷山の方へと一歩踏み込む。その口から洩れる名前に、彼は何を思うのか】
【ともあれ、今は命のやり取り。大男の方は、すぐには動けないらしい。先の激痛によって、能力で塞いだ傷から再び出血している】
【代わって、その配下を名乗る青い肌の少女が迫る。ナイフを構え、迎撃の用意をする青年へ】


「ん、んん……あぐ、はあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! さあ、君の痛みを私にくれええええええええ!!!!!」

【と、叫び声と共に、突然少女の青い肌が裂けた。先の傷口を含め、四肢すべての皮膚を押し破って、何かが少女の中から飛び出してきた】
【それは、赤い鎖だった。先端に鉤爪がついた赤い鎖。鉄臭い悪臭を発するそれらが、少女の異能。自身の血液を変形させて作り出した武器】


【それが、生き物のように蠢きながら谷山に向かっていく。計四本、それぞれ青年の四肢を外側から襲う軌道】
【この鎖の有する異能。奇しくも、先の谷山の攻撃と真逆の効果だ。すなわち、鉤爪が触れている部位の痛覚を奪うというもの】
【鉤爪に襲われても、痛みは感じない。本来発生するはずだった痛みは、鎖を通じて少女へと伝わる】


【しかし、それ故に鎖を食らった後の対処が遅れてしまえば、鉤爪付きの鎖は蛇のようにうねりながら、容赦なく谷山の肉体を抉り破壊しようとするだろう】
【痛みの喪失は一時的だ。気付いた後で鎖を取り除けば、わずかの間の後、本来感じるべきであった苦痛が、谷山を襲うことになる】
【情報を操る彼相手には相性の悪い能力かもしれないが、少女はただ苦痛を求めるばかりで、彼の能力にまで気がいっていない】

【鎖を突破できれば、少女も、その奥で回復を図る大男も、まとめて射程に捉えられるはずだ】
27 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 00:28:58.41 ID:9nDwFCyro
>>22

む……―――と、とと……。

【見られたくない姿を見られた、と言わんばかりにびくりと敏感に反応した。その瞬間だけ一瞬ぐらついたのだが、直ぐに体勢を整えまた直立不動へと戻る】
【その後濡羽色の双眸を先程の声の主、恐らく前方にいるだろう人物に対し向けるのだが―――……直後、再度彼の身体がぐらついた】
【視覚と聴覚でここまで得る情報に違いが出るのだろうか。その大きなズレが彼の重心もずらしてぐらついたのかも知れない】
【見た目は少女の、声は青年。―――男はまたもや何とか体勢を整えると、彼女を凝視しながら首を捻った。捻ることしか出来なかった】

【声の違いは勿論のこと、口が一切動かないその様子にも違和感を覚える。思わず顎に手を当てて考えこむが、質問されているのが此方であると気付くと口を開いた】

……下駄は下駄だが、鍛錬用の特注品だ。『一本下駄歩き』と言うが、俺の流派に代々伝わる鍛錬でな……重心が少しでもどちらかに傾くと崩れるようになっている。
普通の人は重心が右足か左足に偏ったり、両足に重心がかかったりしているがそれでは立てない。常に身体の軸を中心に、1本の線にしなければいけないということだ。

―――……あと、大道芸は君の方じゃないのか? ……その、声が口から出ているように見えなかったのでな。しかもその声も、見た目と全く合っていないときた。
一応聞くが、君の性別は女……でいいのか? 何か雑誌で見たぞ、最近は「女装男子」やら「男の娘」やらいう奇怪なモノが流行っているとかどうとか……

【ある程度の説明を加えて質問に返答すれば、少しの間を置いた後に此方からも問いかけた。彼自身が感じている強烈な違和感を彼女にぶつけたのだ】
【改めて彼女の容姿を濡羽色の瞳で上から見下ろし凝視する。だがやはり見た目は少女である。武人だからこそ、骨格でなんとなく性別の区別がつくのだが―――】
【―――やはり、女としか思えなかった。男を感じさせる部分は、その声色だけ】

/>>23の方
/すみません、また次の機会にでも……
28 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 00:30:03.24 ID:mOQr40CCo
>>25

【新聞や壁掛けカレンダーの日付は――二十年前、だ。まずこの子供が生まれてすらいない過去】
【それを示す周囲の状況も、錆びた門、壊れたインターホン、その他様々な物が立証してくれる】
【台所のガラス戸の隅に貼られたキャラシールもその当時に流行っていた物であり、時代を感じさせる】

他に気付いた事、と問われるも……――僕には残念ながら、其れ以上答えられる物が無かった。
普段から散策は趣味だったが、写真嫌いでカメラを持たない身であった事は、悔やまれる事項だろう。
万が一にでも、彼の者の姿を撮影出来ていれば……しかしこれは、机上の空論に過ぎない話だった。

【特異な人物だからといって、余程のことがない限り詳しくは覚えられないし、まして撮影などしない筈】
【それでも、彼はその人物について(疑いの時点だが)、これ以上情報が出せないことを悔やんでいた】

【――彼は相手のような正義心を元来持っていない方であった。犯罪なども、縁遠いものと思っていた】
【それが身近に起こった事で、彼の中で意識が変わりつつあり。この邂逅が、彼の新たな始まりともなっていく】
【相変わらず変な口調だけれど、聴取にも積極的に応じ、その後はこの件について独自に調査を始める意欲も見せた】

【(後の調査で判明するであろう事。この家の本当の住人は二十年前に家を残し蒸発、借金関係だったと近隣に噂が残る)】
【(一方で、死亡した人間も早い内に判明する。近隣に住んでいた、それぞれ違う家の主婦、主人、子供であると)】
【(それも皆、死亡推定時刻付近にこの家の前の通りを通過していた。近くの駅で丁度電車が通過した後の時間であって)】
【(他にも家の前を通った老婆や青年がいたが、恐らくはこの三人だけを「家族」に誂え向きな者達だとして選別したのだろう)】

【いずれにせよ――能力者による、凶悪な犯罪。それだけは確かなものであり】
【彼の述べた犯人像に酷似している人間が、その後も嘲笑うように、路地裏等で数件同類の犯行を重ねて行く】
【警察組織に発覚したことで、表沙汰には行えなくなったようではあるが――討つべき相手であるのは、間違いない】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でした!
29 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/07(火) 00:34:46.86 ID:Ce8Uplbvo
>>26
【肉塊への一閃。それは、肉体的ダメージという点では大したことのないものだ。浅くナイフが刻まれただけなのだから】
【その一撃の速度も、練度も凡庸そのもの。唯一光る点は――タイミング。速度も練度も凡庸ながらも、そのタイミングだけは狙いすましたかのように正確に放たれる】
【攻撃の付加効果。そして、その付加効果を確実に相手に押し付けるための戦闘スタイル】
【派手な攻撃力を保持しない顔色の悪い青年は、その実内には異能と複合した毒≠抱えてそこに居る】
【――ここで激痛と神経遅延という2つの手札を切り、その実現方法を身を持って知らせたのは、二人に警戒心を抱かせるため】
【警戒という眼に見えない楔を心に打ち込むことで、相手に己に対する疑心暗鬼を生み出させ――目に見えないアドバンテージを得ようとしたのだった】

「あれからどんだけ経ってると思ってんだ。そんなかび臭い経歴に、意味なんか無い。
……俺を知ってようがなんだろうがどうでも良い――例外なく俺の敵は潰すだけだッ!」

【己のことを知っている相手を前に、引くこと無く青年は眼を見開きノイズを放射する】
【目に見える不快なノイズ。これこそが、谷山のアートマンの残滓。相手が気や生命力に聡ければ、気がつくかもしれない】
【そこに居る青年の肉体の随所が――生身ではない事に、生命体のそれではない事に】
【谷山は捉える。視界の中で迫りゆく少女の姿を――四肢を押し破り飛び出す、鉤爪付きの鎖の群れを】

「このマゾアマが……ッ! 痛みがほしいなら勝手に自分の躰でも刻んでろやッ!!」

【左腕が最速、そして最適のタイミングでひらめき、ダガーナイフを接近する鎖へと投げ放つ】
【衝突する鎖と白刃。4つの内一つを弾き飛ばした谷山は、既に加速を開始していた】
【移動の軌跡にノイズを残し――左わき腹に鉤爪が接触した瞬間に、躰を捻り食い込んだ鉤爪を皮膚を引きちぎる事で抜け出し】
【残りの2つ――それを青年は、己の左腕で受け止めた】

「――――ッ」

【響いた音は――硝子の砕けるような音=z
【左腕を貫いた鉤爪。しかし、飛び散るのは血液ではなく、蛍光グリーンの目に痛いノイズの群れ、そしてワイヤーフレーム】
【腕の質感を持つテクスチャを貼り付けたアートマン体。それが、青年の左腕の正体だ】
【そして、アートマンへのダメージは、能力者へとフィードバックする。――全身に鉤爪が突き刺さるダメージを均等分配】
【そこら中に浅い裂傷を刻み――青年は、風にはためく左袖を従えて、全速力で少女に向かい――青年は左腕≠振りかぶろうとする】

【ちぎれ飛ぶ袖。そして、肩から先に本来有るはずの物体、左腕の不在を視界によって主張する】
【直後。左腕が有っただろう場所≠ノノイズが収束し――直後。人のそれとは全く異なる、無機質なワイヤーフレームによって構成された腕が現出】
【これが谷山基樹のアートマンHello World=Bかつては完全分離型と肉体融合型で分けて発動していたそれは、今や失われた体組織の代用として発現していた】

【Hello Worldの特徴は、膨大な情報を収めた結晶体≠ナ構成されていること。そして、その結晶体は極めて脆弱である】
【己の攻撃で自壊しない程度の強度はあるものの、破壊、負傷、殺害の意図を以て攻撃されたのならば容易く砕ける程度のもの】
【だがしかし、その反面として、素早い再構成と、その組成から来る応用力が強みであり、最大の武器であった】

「――――くれてやる……ッ!! Code-Pain!!」

【左腕を振りかぶると同時骨組みのみのワイヤーフレームの表面に、無機質なテクスチャ――人とは程遠いそれが貼り付けられる】
【それは単なる見た目だけのものではない。痛みというデータ≠テクスチャとして現出させたものであり、打撃であれど触れれば想定外の激痛を与えることだろう】
【しかし、威力はその脆弱な構成要素と相まってかなり低い。生身の打撃にも劣るだろうそれは、少女の肉体に対しては、大してのダメージとならないだろうそれだ】
【青年は、それを。――なんの躊躇いもなく、胴体に向かって振りぬく。ダメージにならないのならば、的の大きい所に打てば良い。なにせ、当たればよいのだから】

(――脇腹の傷。痛みを感じない。……神経系への干渉能力か?
どっちにしろ――危ない、な。視界だけじゃない、五感へもっと意識を裂かなきゃ――)

【複眼で大男の動向を確認しつつ。拳を振り抜くく青年は、思考を回し続けるのであった】
30 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 01:01:19.45 ID:6HJFU+c20
>>27

【体勢を崩した男を受け止めようと一旦身構えたが、持ち直したようなのでまた棒立ちに戻る】
【再度ぐらつく男をやや心配そうに見つめてはいたが、倒れることはなかったのでとりあえず安心して、首の後ろを掻いた】

【男の様子に合わせたかの如く、こちらも首を傾げてみせる。まるでその反応の意味が分からない、というように】
【―――無論、分かってはいるのだ。分かっている上で、そういった動作をわざと真似る辺り、性格の悪さが滲み出ていて】

―――――…『なるほどねぇ、見たところ剣士…のようだけれど武術にはそういった要素も必要なのか』
『体の軸――――武芸はよくわからないが、それをするとどういったことが出来るようになるんだ?』

『健康法でも有効そうだな…上級者向け過ぎるか。公衆向けではないな』

【どうやら気になったことは知りたがる、好奇心旺盛な少女のようで。無表情であった目を丸くさせて、そんな質問】
【自分で新しい方向性を探し出しては、自分で開拓を諦めて。自由な人間、とはこういう人間なのだろう】

――――…『失礼な、女だ女。女装じゃないし、女顔の男でもないし…というか流行ってるのか、そんなの』
『あと、大道芸でもない。タネもシカケもございません―――まあ、可愛い少女のイタズラだと思ってくれ』

―――――――――…『あーあーマイクテストマイクテストー。で、どうよ?こんな感じでしょ、違和感ない声ってさ』

【男声で、可愛らしい少女とか言われても気持悪いだけなのだが――― 一応女だという】
【雑誌のネタに関しては興味もなさげで、彼女のストライクゾーンではなかったらしい。怪訝そうな表情をして】

【細い首元で、レコードのように宛がっていた中指を人差し指に変えたなら―――また不思議なことに少女の声へと変貌する】
【「タネもシカケもございません」なんて言うが、実際のところはタネしかない。機械らしきものが見えないのならば、答えはきっと一つ】
31 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 01:08:38.39 ID:avkWgJkho
>>29
(先の一撃、痛みに惑わされかけたが、大した腕前とは思えなかった……)
(だが、的確に攻撃を加える瞬間を見極めていたことに限っては、正確……どうも、中身が見えないな……)
(現時点でわかるのは、激痛や行動封じといった効力を発揮させるには、直接攻撃が必要である、ということか……)

【単眼の奥で、大男の脳髄が思考を開始する。青年の速度には及ばぬ速さではあるが】
【異能≠ニ混ざり合った毒≠有する青年は、さらにその精神にまで罠を仕掛けてくる】
【なまじ、それなりに考えることを知る大男はその術中にはまる。高まりゆく警戒心。迂闊に近づけない、という認識】


ハハ、確かにな。今やかの組織は影も形もないのだからな
だが、自分からいきなり仕掛けておいて、俺の敵とは好き勝手なことを言ってくれるな
我々が、お前自身に何かしたのかね? 路地裏で人を殺したとて、日常茶飯事のことだろうに
まったく、元正義組織の人間とは思えぬ横暴だ……

(あの肉体……生気を感じない……どういうことだ? あれが、彼奴の能力に関わるものか……?)

【薄笑いを浮かべながら口走る言葉は、特に意味を込めて発せられたものではなかった】
【冷静を保ちながら、相手の動きを観察するため。相手の情報を発することで、動揺を誘うまでには至らなかったが】
【一方で、単眼はそのうちに取り込まれたアートマンの残り香、その気配を視界に収めていた】


「ああいいぞ、もっと私に罵声を浴びせろ!!! それが私を熱くする!!! ついでに言うと、自分の身体を刻むのはすでに日課だ!!」

【叫び返す少女の声の合間を縫って、飛び来るダガーが鎖の一本を弾き飛ばす】
【残りの三つのうち、一つがわき腹を抉り、残り二つが左腕を貫く。だが、確かに少女に伝わってきたのは、わき腹を抉った一本の痛みのみだった】

【その理由を示すは、路地裏に反響する音。生身の肉体から発生するはずのない音】
【異形どもの眼前に展開するは、先のノイズの正体。蛍光グリーン。ワイヤーフレーム。アートマン】


……なるほど、あのアートマンは今や肉体の代わりというわけか

「なんだ、残り二本からの痛みはいまいちだぞ!!」

【アートマンのダメージフィードバックを逆手にとってダメージを分散するという手口】
【その鮮やかさに大男は内心で舌を巻く。だが、そんなことを脳裏によぎらせる暇もなく、襲い来る高速戦闘術】
【振るわれた左腕が千切れ飛び、隻腕となった少年の肩口へ、再び集う情報の塊】


器用なことをするな……取ったりつけたり、ずいぶんあっさりと……

「Pain……ああ、何ていい響き……」

【体勢を立て直した大男を後目に、少女は振るわれるワイヤーフレームとテクスチャーの人ならざる腕の一撃を受け入れる】
【銅へと叩き込まれた瞬間、全身の神経を襲う激痛。少女の異常性が、それを快楽へと変換する】
【同時に、四肢から飛び出ていた鎖が千切れ、地面に落ちて砕け散り、ただの血液となって路地裏の地面をさらに汚した】


「んくっはああああああああああああああああああああああ!!!!! んああああああああああああああ!!!!!」
「いいよおおおおおおおおおおお!!!!! あああ、血、血が少し足りないいいいいいいいい!!!!!」

【痛みの快楽に身を委ねつつ、少女は身体に力を入れ、拳に殴り抜かれないよう踏ん張った】
【と、少女が両手の指を広げる。その手の十指全てが上下に開き、中から空の注射器が飛び出してきた】
【そのまま、少女は青年に接近しつつ、注射器の針を両側から、青年の首筋に突き立てようとする。成功すれば、首から彼の血液が吸い出され始めることになる】


さて、いい加減に戦線復帰といこう……!!!

【大男も動く。両腕を大きく広げる。すると、またしても膨れ上がる腕。双方とも】
【不細工な粘土細工のようになった両腕の先端がギチギチと裂け、そこに出現したのは口だった】
【肉塊の先に空いた口。ずらりと並んだ鋭い牙。B級ホラー映画のモンスターのような姿】

【肉塊が伸びる。地面を這うように。狙うは、青年の両足】
【少女の身体を避け、青年の足首のあたりに口腕で食らいつこうとしている。捕えられれば、抜け出すには少し苦労するか】
【軌道は単純、高速で思考する青年の感覚には容易に囚われるだろうが、果たして】
32 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/07(火) 01:24:38.60 ID:EaUxRCP2o
>>28

(二十年も前…………か。流石に古すぎる、だったらこの廃屋自体に意味はないのか?
 殺された三人が、何らかの事情でここに暮らしていたという可能性もないではないが…………あるいは)

【あくまで犯人の能力が被害者の殺害だけに留まっていて、この廃屋が単なる隠し場所、ないし舞台装置として使われていたと仮定すれば――――】
【――――見立て殺人、という言葉がアルフレドの頭に浮かぶ。家族に準えて、無関係の三人を殺した?】
【しかしそれも、三人に共通点が無ければの話だ。いくつもの可能性が、ぐるぐると頭の中を回って】
【流石にこれ以上は、より大がかりな調査が必要か…………そう思い始めた所に、タイミング良くパトカーのサイレンが聞こえてきた】

…………そうですか、いえ、お気になさらないで。
それよりこちらこそ、ショックな光景を見て貴方も動揺していらしたでしょうに、不躾にいろいろお尋ねして申し訳ありません。
どうやらちょうど、応援が到着したようです。さ、こちらへどうぞ…………。

【アルフレドは手帳を閉じて、逆に丁重に青年へ謝罪する。何とも礼儀正しい態度に、柔和な笑顔】
【だが覆い隠されたその裏側には、本格的な事情聴取を前に青年の心証を良くしておいて、より証言を引き出そうという打算がある】
【…………とはいえ。警察は疑うのが仕事だが、それは疑うのが好きという意味ではない。ちゃんとした本心も、そこには確かにあって】
【アルフレドは青年を誘導して玄関に出ると、到着した同僚達と一言二言交わし、まずは休憩が取れるよう手配する筈だ――――】

【――――そして、後日】
【あらかた詳しい事情も出揃って、怨恨ではなく無差別殺人の線が濃厚であることをアルフレドも知る事になる】
【無関係の近隣住民が三人も殺された、猟奇殺人事件。被害者遺族への通達、その後の地道な捜査…………暫くは、厳しい業務が続く】
【また、もし青年が拒んでいなければ――――事情聴取の終わり、アルフレドから連絡先が渡されているだろうか】
【「何か思い出した事や相談事があればいつでもご連絡下さい」「それと、あまり危険なことに首を突っ込みすぎないように」】
【などという、笑顔とお小言も添えて。何はともあれ、受け取ったなら小さな縁が両者を繋ぐ】
【アルフレドは刑事として、青年は自分の意志で、互いに調査を進める身。いつかこの縁が、調査を進展させる事もあるかも知れない――――】


――――すみません、警察の者ですが。少々お訪ねしたい事が…………。

【…………まあ、それもまだ可能性の話。実際はその後の事件も後手に回るばかりで、業務内容も被害者からの風当たりも依然厳しいまま】
【だがそれでも、決して諦めることはなく――――アルフレド・フェリシアーノは、今日も全力で業務に当たるのだった】


/お疲れさまでしたー!
33 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/07(火) 01:29:43.42 ID:Ce8Uplbvo
>>31
【振りぬく拳。その拳は、少女に命中したその直後に――テクスチャを拳へと収束させ、炸裂させる】
【炸裂するのは痛み。――通常であれば、その痛みを5度は食らわせれば大抵精神を耗弱させる事すら可能なもの】
【しかし、予想通りか。己の与えた激痛は、少女にとっては紛れもない快楽として受け止められたのだ】

「――ッ変態が!!」

【複眼により死角が歪に拡大されていることにより、広げた指の挙動が視界に入る】
【左目はアートマンとなっていない為、視界は人間域だが、右目は別。ほぼ真横までを視界とする事が出来る】
【また、右目で左目の死角までもを補っている為、やはり行動の殆どを視覚の元に捉えることが可能だった】
【とはいえど、高速戦闘での高速思考は、脳髄に慣れがあれど、精神には多大な負荷をかけ続けるものだ】
【この戦法、このスタイルを継続できる時間は、それほど長いわけではない。この精度を継続できる時間は、凡そ半分強失われていた】

【己の首筋に向かい襲いかかる10の注射針】
【それに対して、青年は全身にノイズを纏う事で返答と為す。ノイズは首元に収束していき、直後】
【皮膚の上にテクスチャを貼り付ける。――注射針との接触によって、容易く砕け散るテクスチャは、しかしながら生身にたどり着くまでのラグを産む】
【そのラグと同時に、足を駆動させて全力で後ろに飛ぶ。――皮膚に先端が食い込み、首に6つの裂傷を刻み鮮血を吹き出させるが、致命傷は避けられる】

【閃く左腕。左腕の表面の一部が砕け散り、即座にそれらが弾核として再構成】
【5発の情報弾は、激痛ではなく行動遅延の意図を以て放たれ、少女に襲いかかっていく】
【一つ一つの情報量は斬撃時に比べて多くは無いが、次は連射の効くもの。――数が重ねれば、じわりじわりとデータの毒が身を侵す】

「……ッ、は……ァッ!!」

【バックステップで後ろに引きながら、ベルトポーチに手を伸ばし、USBメモリを取り出した】
【通常の市販のものに比べて、堅牢さや記録できるデータ量が非常に優れたそれ。それを谷山は己の右の眼下に――押し込んだ】
【眼窩にUSBの端子が差し込まれ、アートマンの肉体にデータ≠ェ装填される。ベルトポーチに空になったメモリを押しこみ、視界の腕を捉える】

「が……ッ!!」

【左足はステップで避け――右足は、一瞬遅れてしまい、相手の牙に食らいつかれる】
【飛び散るのは鮮血。その痛みを青年はデータ≠ニして処理し、痛みとしては認識しないことにした】
【直後。――青年の右腕に未だ握られていたナイフの柄がぎちりと音を建てた】
【崩れ落ちる動作。不意のダメージに足を取られたようなその挙動――前へと倒れゆく肉体――】

「つかまえた……ッ」

【その挙動と混合しながら、倒れこむ加速を生かして――己の足に食らいつく腕へ深々とナイフを突き立てようとしたのだ】
【攻撃を受ける所、不意に倒れこむ所まで。全て、青年の思考の中で計算した、作戦から開始されたもの。有効であれば、己の肉体を容易く青年は犠牲にする】
【振り下ろすナイフには行動阻害のデータが有る。そして――相手の肉体に突き刺さったならば、阻害の直後に継続して苦痛のデータを流し続けようとするだろう】
【もし、相手がそのデータを受けたのならば、一瞬だけ感じることがあるかも知れない。濃厚な哲学者の卵≠フ気配というものを】

/*だいぶ眠いので、持ち越しお願いできますでしょうかー? 明日は無理ですが、今日は暇ですので何時でも大丈夫です*/
34 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 01:33:16.67 ID:avkWgJkho
>>33
/了解です、レスが遅くてすみません……
/明日は、帰りが夜9時半前後となってしまいますので、可能になり次第舞台裏にてお声かけします
/ひとまず、お疲れ様でした!!
35 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 01:33:58.52 ID:9nDwFCyro
>>30

【自分と同時に首を捻りおちょくる彼女に彼から苦笑いが溢れる。考えても考えてもよくわからない。自分だけではお手上げだ、と表情が物語っているようだ】
【なので性別や声のタネを彼女に問いかけてみるのではあったが、性別は見た目通り女、それで声には種も仕掛けも無いと語る彼女】
【「……地声?―――まさか。」と彼は眉を顰めるのだが】

うぉっ……!! っと、ととと、とぉ……ッ!! 

【直後、声が一変する。見た目相応の少女の声への変貌に、男はつい声を漏らし目を丸くして驚き―――そしてついに、彼が一本下駄の上から落ちた】
【ととと、などと言いながら左右前後へグラつき、ついに足の裏が冷たいアスファルトへとべたりと付く。履いていた白い足袋に染みこむ冷たい感触。……やはり不快だ】
【直ぐに履き直しまた一本下駄の上に乗れば、ようやく彼女へと言葉を投げかける。未だに唖然としている様子が見えるだろうか】

―――……す、凄いな……その声が本当の君の声ということ、なのか……? というか、それは―――能……力……?

【宛てがった指をまじまじと見つめても、全く理屈が解らない。本当にタネも仕掛けも無いようにみえる。説明不可能なモノならば、やはり―――能力】
【―――そのような結論に至るも未だ疑問半分の様子でゆっくりと言葉を漏らす。―――嗚呼。また驚くことに意識を持って行かれて返答を忘れていた】

……ま、まぁ立っているだけなら慣れと強靭な体幹があればなんとかふらつきながらも崩れないようには出来るだろうか……
だが歩くとなれば、完全に軸を1本にしなければならない。センスや肉体だけでは到底不可能だ。其処には「技」が必要になるが、詳細は流石に企業秘密にしておかねばならない。

―――まぁ大雑把に言うと、脱力と歩法にあるとだけ言っておこうか。軸が細ければ細いほど、1本の線に近付くほど速く技を繰り出せる。蹴りにしてもそうだ。
両足と胴体に重心が分散していたのならまず重心を一つに集め、倒れないようにバランスを取り、それから蹴らなければならず瞬時に繰り出せない。
軸が細ければ細いほど、重心を1つに集める時間が短い。つまりその分だけ速く蹴りを繰り出せる……というものなのだが……まぁ、君の芸に比べれば大したこと無いモノだ。

【知りたがっているようなので言える範囲の事は教えたつもりだ。流石に彼の流派特有の動きがある為か「技」の詳細までは語れなかったが、コレでもサービスした方なのだ】
36 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 02:06:48.04 ID:6HJFU+c20
>>35

【―――完全に体勢を崩した男に「わお」と声を上げるも無表情。反応が面白くて、久しぶりに楽しいと思っていたが表には出さず】
【「大丈夫?」とだけ男に尋ねてみる。助けるのには少し遅れてしまったので、尋ねるだけ】

―――――『そうそう、能力。私は、他人の声を“録音”出来るの。まあ、ただし条件付きで』
『そうだなー…名づけるなら『ボイスレコーダー』?…そういう能力。人差し指がこの声で、中指はさっきの声ね』
―――『なお、親指を使うとこのような渋めのオジサマになります』

――――――…『それと、私の地声は…企業秘密でっ』

【つまりは「当てた指によって他人の声を流す」能力らしい。親指をあてて『ダンディなおっさん』の声を一時だけ発して】
【最後、悪戯っぽく笑みを含んだ声を鳴らせば、男と同じように「企業秘密」の特権を使用する】

――――『重心が基本の武術、ってことかな。効率のいい運動法、っていう感じか』
『…知りたいけれど、企業秘密なら仕方ないか。その積み重ねた成果ってのは何となく見れば分かるしね』

【ある程度噛み砕いたが、理解はしたらしい。一般人らしい解釈といえばそうだろうか】
【状態を左側へグイッと傾けた彼女の視線の先には、緋色の鷹――成果というのは、きっとその紋章の意味を指すのだろう】

―――――…『努力から成る技術と、気がついたら出来ていた何か。どっちが凄いか聞かれたら、私は努力を選ぶけれど』
『私の“コレ”はただ声を変えるだけだしねぇ…ただの手品みたいなものだよ、正直。凄いっていうのは認めるけど!』

【男が最後、謙遜したかのような言葉に少し訝しげにそう言い放つ。何か思うところがあったのだろうか】
【それでも最後の付け足しだけはどうにも自信満々で、彼女の能力に対する自信を露わにするのだった】
37 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 02:42:50.43 ID:9nDwFCyro
>>36

これはまたユニークな能力だな……能力と聞くと戦闘向けのモノだと思い込んでいたが、そう言う訳でも無いのか……
うぉっ、完全に中年の声じゃないか……その外見でやられると凄い嫌な感じだ……。ボイスレコーダー、恐るべし……!

【「恐るべし」と、七色の声を感嘆する言葉。其れにしても、外見と全く違う声を聞かされることには慣れそうもない】
【声の変わり目には常に耳がびっくりしてしまう感覚があり、少しでも気を抜くとまた足袋で冷たいアスファルトを踏みしめてしまいそうになるのだ】
【……そういう意味も込めて、「ボイスレコーダー恐るべし」なのである。悪戯好きらしいこの少女が使うから余計に厄介なのかもしれない、と男は思った】

重心だけが基本ではないが、まぁ様々な要素を駆使して君が言った「効率のいい運動」を求める……という感じだな。
―――腕力や脚力。其れ等を持たずとも戦えるような剣術が我が流派、『一刀正伝唯刃流』。
単純な筋力に頼っていては何れは衰えるし、身体能力を擬似的に向上させるような能力者には敵わない。だからこそ技、即ち「武」を究めんとする。

【一本下駄に乗って190cm。という訳は彼自身の背丈は170弱。締まってはいるが腕が筋肉で膨れ上がっている訳ではない。足が速いわけでもない】
【其れでも「武」でカバーできる。打ち負けない為の握りが、腕や足の使い方がある。瞬時に身体を動かす重心の移動方法が、膝の抜きがある】
【―――全て彼が幼い頃から積み重ねてきたモノだ。彼女が言うように努力からなる技術だ。しかし―――】

……だが、努力すれば君にでも出来る。君の其れとは違う。君の「ボイスレコーダー」が能力である限り、俺がどんな努力をしても決して君のような事は出来ない。
―――能力者の能力が唯一無二であることとは対称的に、無能力者が出来る事は、やろうと思えば周りの人々も出来る事だ。

【……価値は彼女の方が上だと遠回しに告げた。彼が告げた通り、努力で追いつける領域なのだ。彼女の其れは「能力」。努力でも追いつけない領域―――】

/すみません、ここで一旦止めにして続きは置きレススレの方にしていただきたいのですがよろしいでしょうか? 遅レス本当にすみません……
38 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 02:46:34.40 ID:6HJFU+c20
>>37
/把握いたしました、レス速度は自分もなのでおきになさらず!
/返レスはあちらに返しておきます、では一旦、お疲れさまでしたー
39 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 03:39:52.57 ID:avkWgJkho
>>33
【異常な精神は、時として肉体の限界をも凌駕する。青肌の少女はまさにその状態だった】
【常人であれば、悶絶していてもおかしくない痛みを、完全に享受すべきものとしている】

「あはああああああああ!!!!! 痛い痛い気持ちいいいいいいいいいい!!!」

【もはや青年の罵声も耳には入らず、痛みという名の快楽を抱えて放たれる攻撃】
【高速思考、視野拡大、人間が持ちうる感覚を限界以上に引き延ばす彼の力は、それゆえその身に負荷をかける】
【だが、一方で異形たちも確かに消耗している。大男は無論のこと、少女とて精神は痛みを快楽にできても、肉体は受けた傷の影響を受ける】


「おっと、かわされてしまったか……鎖四本分、献血を頼みたかったのだが」
「それにしても、本当に面白い技を使うね……」

【快楽の残り香にまだ頬を蒸気させながら、砕けるテクスチャを鉛色の瞳で見つめる】
【注射針は刺さらず、素早く飛びのいた青年の反撃の一手。左腕を分解、情報の弾丸に】
【連射されるそれを、少女は咄嗟に飛び退いてかわそうとする。一つ。危ういところで二つ。しかし、そこまでだった】

「あ、がぐっ……まaぁらrこれgかkkああAあぁ……」

【三発の情報弾をその身に受けて、またも少女の動きが鈍る。先の足の傷からの出血も影響し、身体の力が抜け、尻餅をつく】
【どうにか立ち上がろうと抵抗するが、すぐには動けない】


USB……? この状況下で、何を……!?
ハッ、どうやらお前も我らに勝るとも劣らない異形らしいな……

(あれが、彼奴の攻撃に付加されている効果の種か……あれに何が入っているのか……)

【眼窩に埋め込まれるUSB。自分が人間型の情報端末か何かを相手取っているようにすら思えてくる】
【もはや人の範疇にない者同士の戦い。路地裏の静寂を切り裂いて、怪物たちが躍る】


【植え付けられた警戒心はそう簡単には消えない。目の前でデータ挿入がなされ、その場所もわかっているのに、迂闊な手出しが出来ない】
【今回のUSBには、何のデータが仕込まれているのか。未知への警戒が、思考を鈍らせる】

【だが、放った攻撃を止めることもしない。口腕が右の足を襲う。飛び散る鮮血。味わいなれた食感】
【だが、その痛みすら青年の能力が情報として処理してしまう。握りしめられるナイフの柄。青年が崩れ落ちて――】


ッッッぐがあああああああああああああああああ!!!!!

【単眼が見開かれ、路地裏に大男の絶叫が響き渡った。一瞬の判断、これこそ高速戦闘術の最大の強みだろう】
【大男の鈍い動きで対抗しうるはずもなく。突き立てられたナイフから流れ込む情報に、行動をさらに阻まれる】
【自分自身すら投げ出すがごとき所業。噛みつかれることすら、計算に入れて】
【行動すべてが布石として機能するその一撃は見事に通った。大男が巨躯を震わせて痛みにのたうつ】


ぐ、がぎ――――!!? き、さま、哲学者の卵≠っ……!? ぐ、うおおおおおおおおおお!!!
おのれ、放せえええええええええええええ!!!!!

【大男に苦痛と共に流れ込む、その気配。大男が身を置く組織がこの世界に送り出した脅威。哲学者の卵=z
【だが、その思考も絶えず送り込まれる痛みの情報の前にかき消されていく。激痛から逃れるべく、大男が反撃する】

【己の腕にナイフを突き立てている青年へ、かわされたほうの腕を振りかぶったのだ】
【膨れ上がったまま、口がついたままの肉塊が、青年から見て左方向から襲い掛かる】
【ただ肉塊の腕を振り上げ、重量に任せて振り下ろす単純な軌道。しかし、その質量はかなりのもの】
【青年の対抗が遅れれば、肉塊にその身を強かに打ち据えられることになるだろう】

/返しておきます
40 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/07(火) 12:01:08.06 ID:Ce8Uplbvo
>>39
「――それがどうしたッ。……どうなろうと、なんであろうと。
俺は――谷山基樹だ!」

【人ならざること、異質な力、哲学者の卵の狂気、悪意。変貌する自己の感覚】
【それらを受け入れた上で、それらを活かした戦いが出来るのは偏に青年の信念による所が大きい】
【なんであろうと己は谷山基樹である=B姿形が変わろうと、己が己である事さえ譲らなければ、青年にとってはなんの問題も有りはしない】
【闇の中で、有機の異形と無機の異形が交錯する。銀刃が振りぬかれ、肉塊が飛び交うその有り様は、人類の戦場とはとても思えない光景だ】

「ッふ……ッ!!」

【青年が己の肉体にUSBメモリを差し込んだのは、実を言うと単なるドーピングのたぐいである】
【その構成を膨大な情報によって作り上げているアートマンは、逆に考えれば情報量が強度、戦闘力に繋がるという事になる】
【要するに、青年の脳の駆動によって生成する以上の情報をアートマンに食らわせれば、一時的にアートマンの存在密度が上昇】
【アートマンの能力の、数分程度の底上げが可能となる。そして、大仰に眼窩にUSBメモリを差し込む動作は、相手に警戒を抱かせるための敢えてのもの】
【そして、己の想定通りに生まれた警戒が相手の思考に――異能のものでも、物理のものでもない毒――精神の毒を仕込んでいく】

「……ッ」

【足の肉が引きちぎれ、激痛が奔るものの――それと引き換えに、深々とナイフを突き刺すことに成功した】
【ナイフの刀身を伝って駆けるのは、激痛のデータ。これまで谷山が経験してきたことのあるあらゆる苦痛がないまぜになったそれを脳髄をオーバークロックしながら全力で送り込む】
【一瞬ではないそれは、ナイフが突き刺さり、谷山が異能を使い続ける限り続く。死刑にも等しい極刑じみた苦痛の拷問は、相手のあらゆる抵抗を削ぐ為に放たれる】
【逆立つ髪からはノイズが放射され、眼窩に収まるアートマン体の瞳は不規則に形を歪ませ、ぎちぎちと不気味な音響を響かせた】
【視界の端に、相手が振るう肉塊を捉える。倒れこんだままの谷山は――それをそのまま左に転がることで回避せんとする】
【当然、転がる際にナイフを振りぬき、一際強くデータを流しこむことで傷と痛みを最後の一押しとばかりに与えようとする事は忘れずに】

【左腕を急所にカバーさせるように配置し、転がる動作で肉塊の衝撃を僅かにでも減らそうとする】
【そして――左腕へと衝撃が襲いかかり、ぎしりとアートマン体にまんべんなく罅が入っていき――粉砕】
【そのまま砕けた腕を突き抜けて肉塊が襲いかかり、威力を減ずるものの青年の肉体に命中、衝撃を確かに伝えて吹き飛ばす】

「ッが――――ァ!!」

【ダメージ分散によって、どの部位も致命となることはなく、また激痛を背負えども動かなくなることは未だ無い】
【だが、全身からくまなく鮮血を撒き散らし、折れた歯を地面に吐き捨てながらゆらりと立ち上がるその様は、幽鬼の如き有り様であろう】
【右腕でUSBメモリを引き抜き、それを触媒にして高速でのアートマンの再精製。防御力は左程でもない青年は、しかしながら異様にしぶとくそこに立ち続ける】
【両目に宿るのは――狂気の如き正気に支えられた、悪意と善意を同居させた昏く輝く正義の信念。――正義のそれにしては、異質な歪】

「……っは……ぁ……ッ! 哲学者の卵を……、知っているようだな……!」

【にやり。口角を釣り上げて、咼んだ笑みを浮かべた青年は――地面を確りと踏みしめ、二人を睨みつける】
41 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/07(火) 12:01:38.27 ID:Ce8Uplbvo
>>40,41
【左手を幾度か開いて閉じ、その感覚を確かめるようにして。おもむろにベルトポーチへと手を突っ込み、引きぬいた手に握られているのは】
【――――哲 学 者 の 卵】
【相手はよく知っているだろう、災いの権化。正義が使うはずの無い、いや――まともであれば自発的に用いようとはしないそれが、有ろうことか元Justiceの青年の手に握られている】

(二体一が想定以上にキツい――。……聞かないよりはマシだが――、タフさも火力もあっちが上。
正攻法で戦い続けてりゃ――勝ち目は見えない。だったら)

「ウ゛ゥ……ォァアアァァァァ゛ア゛ア゛ァ゛――――――ッ゛ッ!!」

【左手に握る哲学者の卵に、ノイズを送り込んでいく青年】
【そのノイズに内包するデータは負の感情=Bこれまで三度哲学者の卵を肉体に埋め込まれた経験を持つ青年はそれをよく理解していた】
【そして、その経験を生かして――負の力たる哲学者の卵を一時的に制御に置き、人工孵化≠可能とした。それが、青年の奥の手】

「Hello――――」

【炸裂し、粉砕していく卵の殻――卵の内部に存在していた空虚からあふれるのは虚数の狂気】
【その膨大なエネルギーを、その無軌道な破滅の力を――望んで青年はアートマンの内に取り込み――左手を己の頭に押し付けて】
【己の敵を双眸に捉え、己の狂気を、己の悪意を、己の敵意を。封ずるのではなく、敵に対してその全てを向かわせるように指向性を持たせるように、自己洗脳を開始する】
【叫ぶ。狂気を餌にして生まれたアートマンに更なる狂気を食らわせ変貌させた――邪悪なる正義の力の名を】

「――――NEXT World!!!」

【直後――谷山基樹は人を越える。――神経系が粉砕し、人のそれより遥かな性能を持つアートマンの神経系へと全身のそれが移り変わる】
【表皮の上に極薄のテクスチャが貼り付けられ、外面は見た目では変わらないが、表皮の全てがアートマンに覆われた状態へと変貌】
【左腕が軋みをあげながら形を変え、ポリゴンで生成されたそれへと変貌。赤黒いノイズを内面に収束させていき――その存在感を数倍に増していく】
【上着の背を突き破りながら生えていくのは、ワイヤーフレームで作り上げられた結晶の群れ。右目もその侵食を増していき、眼の周囲の皮膚も複眼と化す】
【双眸に宿るのは、己の敵を屠るという強い意志が一つだけ。――静かに息を吸い、異形と化した左腕でダガーナイフを数本まとめて引き抜いていく】
【まとめて握るそれを――青年は構え――相手を睨みつけて、示威していく。――一瞬の間、均衡。これが崩れる時が、再度の衝突の時だろう】
/*返しておきます、分割スイマセン……!*/
42 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 19:55:38.15 ID:mOQr40CCo
【水の国・オフィス街――時計台広場】

【広場の草木に取り付けられた、季節を問わない白のイルミネーションは、】
【クリスマス用であったのか新年用なのか、或いはどちらも兼ねているのだろうか】
【何にせよ綺麗であるのは間違いなく、冬の時節には丁度似合う光景となっていた】

【そんな景色を照らす街灯の下、設置されたベンチに、腰掛ける人影がある】

っはー……疲れたッスね、新年早々……体痛ってー、マジ痛ってー
ま、正月休みも殆ど無かったようなもんスけど……つーか、あったッスかねー休みなんて。

【それは何処か軽い雰囲気のある、黒いスーツに星柄のネクタイを締めた青年だった】
【淡い茶髪の癖っ毛、怠そうな緑の目に、黒縁メガネを掛けている。彼はベンチに凭れ、】
【愚痴と共にネクタイを軽く緩めると、先に買っていた缶コーヒーを口に運んでから溜息を零し】

【そんな折、目の前を仲睦まじいカップルが通り過ぎて行き。ジト目で見遣って彼は再び溜息】

……見せられる側は寒いんスけどねー、ああいうの……っくしッ! ……あー寒い。

【家に帰っても一人。咳をしようがクシャミをしようが一人。結局何処にいようが一人身だ】
【まあどうする気も無いので、存分に独身を謳歌しよう。そう考えながら、彼は茫洋とした星空を見上げ】
43 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 22:24:25.93 ID:fd5fcELHo
【公園】

【ざく、ざく、という足音が一定間隔で響く。いつもと足音が違うのは、雪が積もっているからだ】
【冬も半ばの寒い夜。夜空と同じ色の厚い雲はどうやら、地上を白い絨毯にしていったらしい】

【それに気付いたのはアルバイトに勤しんでいた時のことで】
【終わって店を出た時にはもう、一面が真っ白になっていた】
【つまり、降り止んだのはついさっき。足跡が付いていないまっさらなところもまだまだ沢山ある】

【帰り道の公園を歩く影は、足から伝わる雪の感触を楽しむように、うきうきと歩いていた】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女】
【大きめのショルダーバッグを肩にかけ、手にはスケッチブック≠抱いている】


……。


【彼女は広場を横切ろうとして、ふとそのだだっ広い雪の地面を視界に収め、歩を止める】
【そして何を思ったのかそこへ足を踏み入れると、突然屈んで雪を掬い――】


【丸めると、それを転がし始めるのだろう。どうやら雪だるまを作ろうとしているらしい】
【夜の公園、ひとりで雪だるまを作るその姿は――いわずもがなである】
44 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 23:38:56.04 ID:avkWgJkho
>>40
ふ、ふ。折れない信念というやつか……そこだけは、それらしいじゃあないか

【己の内にあるものをすべて受け入れ、その上で自分は自分である、と声高に叫ぶことが出来る】
【誰にでも出来ることではない。異形となろうが、己が己であることを捨てない姿は、気高かった】


(彼奴の攻撃を受ければ、何が起きるかわかったものではない……かといって、手数と速度は向こうが圧倒的に上……)
(このままでは、後手に回らざるを得ない、か……)

【己の精神を毒が侵していくことに気が付かず、大男の思考が渦を巻く。差し込まれたUSBが、肉体強化だとは知らず】
【更なる情報を押し込まれ、その存在を膨らませていくアートマンに、大男自身の警戒が何の手出しも出来なくさせていた】
【あらゆる角度から情報を己の武器として操るその戦術、二人の異形はその術中に引きずり込まれていく】


【口腕が味覚に送り込む肉の味が、凄まじい痛みに上塗りされていく。青年の歴史とも言うべき痛み】
【青年の髪が逆立ち、ノイズが荒れ狂い、アートマンで出来た瞳が変形しながら不協和音を奏でる】
【その間中、全身を駆け巡り続けるあらゆる苦痛。脂汗を浮かべ、間断なく絶叫し続ける大男】

【しかし、それだけでは終わらない。振るう肉塊が逆襲の一撃となって青年を襲う】
【青年も、それをそのまま受けるだけのはずもない。左に回転。回避行動】
【その一瞬、ダメ押しの一手。最後に流し込まれた痛みは一際強く、同時にナイフに抉られた腕の傷からも出血】

ぬああああああああああああああああああああああ!!!!!
が、はっ……ぬぐ、お……

【肉塊と化した腕が青年に一撃を食らわせた感覚も、アートマンの左腕が砕け散る音も、全てが薄く感じられた】
【どうにか痛みから解放され、息を荒げながら両腕を引き戻して元の姿に戻していく。傷を受けた腕をもう片方で庇いつつ】
【地獄の拷問から解き放たれた直後、危うく膝をつき掛けるが、今そうすることは下手をすれば死を意味する】
【痛みの残滓にむせび泣く自身の巨大な肉体に鞭を打って、大男が顔を上げ単眼の先を見据えた】


ぐ……!?
(まだ立つか……あれほどの傷を受けて。なんという奴だ……)
(なんだ、あの目は……あれが正義を掲げる者の目か……? 歪で、混沌として、それでいて昏すぎる……)

が、は……知っている、とも……。何せ、私が所属する組織が作り出した代物だからな……

【青年の笑みに、大男は気味の悪そうな表情を返す。普段、大男がしているのと逆の立場だ】

/続きます
45 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/07(火) 23:39:06.94 ID:avkWgJkho
>>41
【続いて取り出されたその物体に、大男の単眼がさらに見開かれ、立ち直りつつあった青肌の少女すら驚きの表情を作る】
【凝縮された災厄そのものと言えるであろうそれが、確かにその青年の手に握られていた】
【自分たちですら、機関構成員としていくつか所有してはいるものの、積極的に使うのをい避けて来たというのに】

正義を標榜しているはずのものが、自らそれを持つとは驚きだ……
手段を選ばないタイプのものは見てきたが、お前はその中でも格別だな……

「がgぐgぐぐ、うkくふううhふ……。く、ふ。まったくだ、私たちから見ても異質だよ、君は」

【異形どもが立ち直る。が、ダメージは確かに蓄積している。ふらつきそうな身体に喝を入れ、悪意を秘めて青年を睨む】
【だが、そんな悪党どもをさらに容赦なく追い詰めるべく、青年が更なる攻勢に出るべく動き出す】


――――!!!
この気配……自分の手で、卵を孵化させた、のか……
哲学者の卵に対抗しうるものを作り出したものは知っているが、己の制御下に置こうといするものは初めてだよ……

「ハ、ハハ!! 素晴らしい!! 私たちに言われたくはないかもしれないが、もはや君は人間をやめているぞ!!」

【負の感情をデータとして送り込み、災厄の象徴を己の使役する道具と化す】
【さらには、それをアートマンで吸収し、自分の内側の悪≠敵を討つための刃と成す】
【悪を持って己の正義を成す。折れぬ信念に裏打ちされた悪の力が、異形どもの前に顕現した】


Hello NEXT World……。その異形の姿、その邪悪な力……自らの意志でそれをやってのけるとは……
私は、今まで他人に対してこの言葉を使ったことはないが……言わせてもらおう
貴様は狂っているよ、谷山基樹

「ハッハッハ、ボスに言われたのではお終いだな。今回ばかりは私も同意見だが」

【見えはしないが、テクスチャに覆われた表皮。赤黒いノイズを従えた左腕。この場を押しつぶさんばかりの存在感】
【さらには、背中から生えてくる結晶体。複眼が生やす右目周辺。引き抜かれるダガーナイフの刃さえも、殺意に満ち溢れている】
【異形と化した青年の視線を真正面から受けて、異形どもはしかし、引きはしなかった】


……そういえば、まだ名乗っていなかったな。ケリが付く前に名乗りを上げておこう
カノッサ傘下盗賊団『スクラップズ』首領、現No.29、カニバディール。貴様の敵の名だ、谷山基樹

「『スクラップズ』が一人、蓮華院 美鈴!! 最高の痛みをありがとう!!」

【異形どもが名乗りを上げる。次の瞬間、異形どもから均衡を崩した】
【両者同時に、地面を蹴る。異形となった青年へ接近していく。まずは、大男カニバディールが、全身の肉を膨張させながら迫る】
【作業服が悲鳴を上げ、巨大な身体がさらに密度を増していく。そのまま、谷山目がけて真正面から体当たりを仕掛けようとするだろう】

【本命は、その巨体の影に隠れて迫る、青肌の少女美鈴の方だ。谷山から見て左側から接近を試みる】
【ある程度の距離に近付けば、その胴体から一際大きな鉤爪突き鎖を飛び出させ、谷山の左腕を抉り潰そうとするだろう】
46 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 00:08:58.87 ID:JpG4A32Yo
>>44>>45
「誰かを救いたいのも、憎い悪を殺したいのも――全部ひっくるめて――谷山基樹。
なら、悪意に身を委ねる必要なんか無い、かといって抗う必要もない。狂気も正気も抱えて当然。
俺は、善人でも悪人でもなく――谷山基樹でありつづければ――それで、良いッ!
舐めるなカニバディール、舐めるな蓮華院ッ――狂気に関しちゃ、悪意に関しちゃ並の悪党よかよっぽど詳しいんだよッッッ!!」

【谷山基樹の保持する瞳の昏さ。――それは、もとより彼が持ち続け、抱き続けてきた、過去の闇】
【そして、ある時点で気がついた。その闇すらも、その悪意すらも己であることを】
【そして、その時に谷山は決定した。善と悪を抱えて正義を貫く≠ニいう己の道を、己の志向を】
【――清濁併せ呑み、善悪の線引すら無視してただ一人、谷山基樹という正義≠貫く様は、Justice――いや、そのほかの正義組織の全てとも違うもの】
【先の名乗りで組織を名乗らなかったのは、己がそれらを背負うべきではないと認識し、その上で孤独の正義を貫く為】

【だから、人を辞めようが、狂気の力をふるおうが、悪のそれを力としようが――許される】
【なぜなら善人ではないから、なぜなら悪人ではないから。そんな単純な色分けに、惑わされはしないから】
【谷山基樹の保持する基準は唯一つ。――己の正義の敵たるかどうか=z
【目の前の二人の名乗り、二人の凶行は。谷山基樹の正義の敵として、十二分に値した。故に――戦うことは当然の帰結】
【無数の刃がアートマンに侵食されていき、アートマン体と同化していく。ノイズの纏わり付く刃が、テクスチャを突き破って融け合い無数の鏃となってテクスチャから飛び出した】

「――――う……ッおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

【――相手の接近に対して、谷山が用いた行動は、加速】
【左腕がぼこりと形を変え――無数の鏃を炸裂させる。それらが含むのは――先ほどまでとは密度の違う情報量】
【それらは一つ一つが肉体の自由を奪い、肉体の駆動を神経の枷によって縛り付けていく、無効化能力】
【しかしながら、互いに限界を越えた今の時点では、それらの効果など気休めにしかなるまい】

【だが――それは谷山基樹の真骨頂では、無い】

【複眼は少女とカニバディールの行動を捉えきっている。――そして、己に迫る鎖を見て、動く】
【前傾する動作。鎖と肉体の交錯、ぶちりと肉の千切れる音。そして――金属音、肉体の再構成が行われる音】

「―――― ふ    は   は   へ  は」

【青年の頬を、赤い鉤爪が貫いていた。何をしたのか――それは単純明快な事】
【鉤爪の先端を、有ろうことか――口で捉えたのだ。鉤爪の先端は口腔の内側から皮膚を貫き膨大な血液をまき散らす】
【が――これによって、谷山は導線を確保できた。先ほど鉤爪によって与えられた傷によって相手が痛みを感じていた事を理解していたのだ】
【いつの間にか、歯が異形のそれへと変わっている谷山。そして、ノイズが口から吹き出した】
【――膨大な情報。それは――これまでのそれとは全く異なるそれ、哲学者の卵≠フ精神干渉を活かした心を叩き折る精神破壊の必殺技】
【その情報は絶望=Bもし鎖を駆け抜ける情報をまともに受けたのならば、感情を上書きしていく負のデータに一時的に精神を塗りつぶされたとて可笑しくはない】

【迫りゆくカニバディール。もはや蓮華院に届くかなど関係なく、頬の肉を引きちぎりながら鎖から離れた谷山は、それを前に嗤う】
【刃を拳に展開し――向かいゆくカニバディールに――カウンターとして拳を打ちはなたんと――振りかぶる】
【ノイズの群れは一点に収束。血みどろの悪意の具現は、正義の為にその狂気をふるおうと――対峙した】

「潰れろォァ――――ッ!!」

【歪な棘にまみれた拳――それは相手の体当たりの衝突と同時に――振りぬかれる】
【その拳に宿るのは、同じく精神粉砕の感情。己の幾度と無く砕かれ翻弄された哲学者の卵の精神汚染】
【当たれば戦闘続行は困難となるだろうそれ。少なくとも、暫くの間は心にトラウマを植え付け戦闘行動は困難となる程度の破壊力をそれは保持している】
【カノッサ機関の相手に用いるという意趣返しの結論を待つこと無く、粉砕したテクスチャにまみれて谷山は吹き飛んだ】

「……が……ァッ……!」

【路地の壁に背を叩きつけられ、結晶が砕け散る音が響き渡る】
【もはや全身から血を流していない所は無いとばかりのその姿で。唯一輝く双眸は、己の行動の帰結を視認しようとしていた】
47 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/08(水) 00:25:00.28 ID:mSLnU3oWo
【夜・海を望む崖の上】

【一人の人物がそこで絵を描いていた。彼は豪奢で厚手のマントを着込んでいるが】
【他に目立つような特徴もない若い金髪の男で、足元には画材やらを詰めてきたのだろう】
【それは大きなバッグが置いてあって――もっとも、見るべきは彼よりも絵の方だ】

【絵は崖から見たままの風景画。半月を描く湾を中央に据え、その終着点は】
【高さが際立つ峻険な山で区切られていて、左上――夜空には満月が照っていた】
【この満月に関しては実際の空には見えなかったが、海や山を含めても、最も上手く描けていて】
【全体としても写実的にまとまっていて、真に芸術的な作品、という具合だった】

【――ちなみに、キャンバスのサイズは縦1,5m、横1mの大きさ。結構なものであり】
【周囲を吹く寒風に筆を乾かし、絵の具を足し、それを繰り返す彼は当然立っていて】

【もう、絵も八割がたは完成している様子。一つ息を吐いたところを見れば、話しかけるのに億劫ということはないだろうか――。】
48 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/08(水) 01:07:04.18 ID:s4AI3FPSo
>>46
ク……ハ、ハハハハハ!! 言ってくれる!!!
相反するものすべてひっくるめて谷山基樹ただ一人とは、お前こそ混沌と呼ぶにふさわしい男だ!!!

【昏い瞳、その奥に抱え込まれる彼の闇。底すら知れない深淵】
【ただ一人、谷山基樹としてこの世界に立ち、孤独のままに己の正義のみに忠実に】
【ただその一本の軸だけが、彼を貫いて支えるものであった。それだけで彼には十分なのだろう】

【だから、この異形の姿も狂気の力も、全て彼が内包する要素。すべてが彼自身。それを谷山本人が誰より強く認識している】
【異形の盗賊どもも、このような人物には初めて会った。何者にも惑わされないその在り方は、あまりに孤高で強靭だった】
【だが、この二人もまた異形。それを前にして、引くことはなし】


があああああああああああああああああああああ!!!

【カニバディールの叫びが、谷山の叫びに呼応する。その眼前で、加速。さらには、アートマンに浸食された凶器の現出】
【さらには、炸裂。飛び来る鏃は少量ながらも神経に作用する枷を載せたもの】
【カニバディールの巨体がそれを吸収していく。わずかに動きが鈍るが、ついた勢いは止まらない】
【カニバディールの身体を盾に、美鈴がそれをかわしていく。いくつかはその青い肌に命中するが、こちらも止まらない】


「く、ははははぁ!!! おお、苦痛よ!!! 素晴らしきこの痛み――――!!?」

【己の動きが捉えきられていたのにも構わず、美鈴は鎖がもたらす痛みに身もだえようとする】
【だが、その求める苦痛の先。谷山の取った行動。鉤爪を噛んで止めるという荒業】
【抉られる口中から血液と共に、送られてくるモノ。異形の歯から伝わってくる。ノイズと共に】

「はあぐ……あ、あああああ――――!!!」

【美鈴の顔が、初めて歪んだ。絶望=Bその色に染まって。哲学者の卵≠フ持つ最も恐るべき効能が、谷山の手で武器となって襲い掛かる】
【咄嗟に胴体から伸びていた鎖を切り話す。絶望に浸食された鎖が、血液になって路地裏に散る】
【しかし、精神を塗り潰すほどの量の絶望≠ヘ、そう簡単には拭えない。心がへし折られそうになる。身体さえも痙攣し始める】
【美鈴の身体が、路地裏の地面に崩れ落ちていった】


【一方のカニバディール。巨体で風を切りながら、その動きは止まらない。裂けた口で笑う谷山に、こちらもまた敵意を宿した単眼で相対する】
【振るわれる拳。質量はこちらが上だろう。だが、そこに秘められたノイズの群れ。谷山を形成する要素の一つ。血塗れの悪意】

―――――!!!!!

【歪んだ棘が、拳と共に曲に叩き付けられる。突き刺さる棘。抉られる肉。そして、流れ込む精神の毒】
【絶望=B心を侵し、踏みにじり、砕き潰す、哲学者の卵の力。谷山の悪意】
【谷山を吹き飛ばしたのとほぼ同時、カニバディールもまた、カウンターを受けて後ろによろめき、崩れる】


…………か、あ

【単眼の醜いその顔に、確かな絶望の色が浮かんでいた。人の心を破壊し、精神を汚染する恐るべき一撃】
【確かに、カニバディールにそれは通っていた。カノッサ機関員を哲学者の卵の力を持って叩き潰す。これ以上ない意趣返し】
【巨躯がガクガクと痙攣する。表情がひきつる。精神を侵食されていく。やがて――――カニバディールは、破顔した】

/続きます
49 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/08(水) 01:08:25.51 ID:s4AI3FPSo
>>46
……ク、フ、フ、フ、フ……谷山、基樹……
舐めるな、とそう言ったな……そのまま返そう……我々を、並の悪党と等価に見てくれるなよ……

なるほど、恐るべき力だ……この異形の精神すら食らい尽くさんとする、恐るべき悪意だ……
だが、絶望≠フ味なら、私は知っている……物心ついた時から、味わい続けて来た……

【カニバディールが、ゆっくりと身を起こした。肉体を膨張させたがために、作業服のあちこちが破れ、筋肉質な身体がところどころ露出している】
【と、その肉が膨らみ始め――表面に顔が浮かび上がった。無数に。人間の顔、動物の顔、中には植物の葉や茎らしきものも見て取れる。そんなものが、無数に】
【大男の巨体から生える、いくつもの生物の顔がついた肉塊。路地裏の指す光に照らされたそれらの顔は、全てが絶望≠フ色に染まっていた】


『アアアアアアアアアアアアアアア……』
『イタイ……イタイ……』
『ダシテ……タベナイデ……』

【人間の顔が呻き始める。動物の顔も苦しげに鳴き始める。植物が声なき声で訴える。絶望≠】


私の能力は、食らい蓄えた分だけ、その限界量を増していく……
すなわち、私が食った生物は、全て私の血肉となるということだ……その絶望≠煌ワめて、全てがだ……
生まれてこの方、食った生物すべての絶望を私はこの身で味わい続けて来た……怨嗟の声を聞き続け、無念の思いを感じ続けて来た……
哲学者の卵のもたらす精神汚染は確かに強力だ……だが、これだけでは……私の身体に閉じ込められた、全ての命の絶望には至らないぞ……

【無数の顔が、徐々に身体に引き戻されていく。やがて、元の通りの異形となったカニバディールは、巨体をふらつかせながら歩き出した】
【絶望に囚われている配下の元へ。地面に倒れて呻く美鈴の前に立つと。その腹を思い切り蹴り飛ばし、さらに体重をかけて踏みにじった】


「クッッッッッハアアアアアアアアアアアア!!! ゲホッ!! ゲッホオ!!! あ、あああ!!! 気持ちいいいいいいいいいい!!!!!」

【美鈴が、身を捩じらせて叫ぶ。絶望が、快楽に上塗りされていく。苦痛への欲求が、絶望を侵食し返していく】
【彼らもまた、異形。人の範疇に留まらぬ者。哲学者の卵の精神汚染を、それぞれの異常性で持って、押し返したのだ】


……さて、とはいえ……まったくの無傷ともいかない……グ……心身ともに、回復にはしばし時間がいるな……
今宵は、ここまでとしようじゃあないか、谷山基樹……いずれ、また会おう……

【痛みに悶える美鈴を肩に担ぎあげると、カニバディールは立った。足元はおぼつかず、出血は続き、哲学者の卵に汚染された精神も、未だ揺らめいている】
【だが、彼らは正気を、いや狂気を保っていた。すぐに戦闘行動は不可能だが、後々まで残るトラウマとはなり得ないだろう】


【残った全力を注いで巨躯を翻すと、カニバディールは闇に溶けていった】
【新たな因縁を形成しつつも、異形どもの戦場は、ひとまずの終息を見るだろう――】

/この辺りで締め、でよろしいでしょうか? 二日に渡るお付き合いに感謝します!!
50 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 01:22:38.38 ID:JpG4A32Yo
>>48,49
「――は。冗談……ッ。
……そんなもん見せられたら――殺すしか、ねぇだろうが」

【荒い息をしながら、がくがくと震える足を駆動させて、壁を背にむりやり肉体を動かしていく】
【――双眸に宿るのは、確かな殺意。どうしようもない悪党であれば、迷いなく殺害するという絶対の決意】
【アートマン体が負荷によって粉砕していき、一時的に右目と左腕を失った状態になって尚、笑みを崩さぬまま】

「……眼には眼を、歯には歯を――。
化物みてぇなてめェらには――化物みてェな俺の力で叩き潰してやる。
――覚悟しとけ、顔も覚えた、名前も覚えた、力も覚えた、弱点も覚えた、強みも覚えた――ッ。
次会う時が、てめェらの――死地だ……!」

【去っていく二人を睨みつけながら、既に谷山はここで止めをさせるとは思わず、次≠考え始めていた】
【あの二人を屠るために必要な力は、有効な戦法は。その他に、これを報告するべき組織のリストを】
【軋む脳内で作戦を組み立てながら二人が消えるまで睨みつけて――、消えてから直後、崩れ落ちる】

「――――死ぬかと、思った……ッ。
……まず、救急車、だなこりゃ――」

【己の見た光景全ては、USBメモリにデータとして保存されている】
【僅かな異能の残滓によってスマートフォンを操作し、青年はその意識を落としていくのであった】

/*お疲れ様でしたー、楽しかったのですよう!!*/
51 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/08(水) 18:39:38.11 ID:8qlg4SBOo
【高架下】

【上部で通過していく車の音、落書きの多いコンクリートの壁、そしてエンジン音】
【其処には白を基調とした大型のバイクが路肩に停車しており、傍に人影が有る】

……――ええい、用事も言わず呼び付けておいて……腑抜けた男め。
其れでなくとも十年振りだと言うのに……ッ、まだ先の傷が痛むか……

【それは白いライダースーツを纏う、大柄かつ鍛え上げた体つきの女性だった】
【腰に届くウェーブの黒髪と、揺らぎを見せない深緑の目、額にはゴーグルを付け】
【バイクの両側部には白い斧が付属していた。柄には伸縮のギミックが有るようで】

【――彼女はアブサスで、ノヴァル城で、GIFT側として二度戦場に立った者】
【二度目の戦いで腹部を負傷し、服の上からは分かりにくいが、その部位を庇っていた】
【誰かを待っているようだったが、現れないようで。苛立たしげに白い端末を操作し、溜息】
52 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 20:33:01.84 ID:w31V+LOdo
>>51
/まだいらっしゃいますかー?
53 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/08(水) 20:33:30.37 ID:8qlg4SBOo
>>52
/こちらにー
54 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 20:41:17.43 ID:w31V+LOdo
>>51>>53
/了解です!

【響き続ける轟音は、コンクリートに包まれ反響し、その音色を深く染めていく】
【それは止まない豪雨が如く、アスファルトを叩く無機色な影が形を見据えるが如く】
【貴女のため息の白靄が形になる頃】

【竹を割ったかのような軽い、破裂音が響くだろう】


――――――Mors Principium Est


【間髪入れずに轟音が歪む、地響きのような跫音が響き渡ったなら】
【目の前の視界が揺れる、そう錯覚させるほどに空気がかき乱される】
【貴女の視界の前、落ちてくる無数のコンクリート片】

【それが貴女の上部に座していた高架≠フ物であると認識できたなら】
【高架を破壊した主が、貴女の目の前の地面に降り立つのだろう】
【砂煙が舞い上がる、晴れた頃合いには、破壊者の横顔が見通しの晴れた月光の下に浮かぶ】

【高くしなやかな身体を白皚皚とした甲冑に身を包んだ男】
【決して分厚いわけではない鎧は傷一つ無い純白であり、穢れ無き皚】
【背中になびく巨大なマントもまた、その身を包む鎧と同じ雪の如き白】
【顔には騎士然とした仮面が一つ、顔全体を覆うソレは真っ白で凹凸すらなく目すら開いていない】

【右の手に在るのは純白に染まりきった騎士の中に存在する白銀、柄すら純白の両手剣】
【その分厚い刃の切っ先は刀剣の如く鋭き剣閃を描いていた】
【そしてその切っ先は血だまりに浸したかのように、朱い鮮血に濡れているのだろう】


……失礼した、驚かせてしまったなら、詫びよう
何もなければ、見なかったものと、済ましてくれ


【漏れる声、語りかけるようなゆっくりとした旋律】
【それはまるで、誰かに向けるような言葉ではなく、もっと他の誰かへと語るかのよう】
【静かな声色が消えたなら、彼は右の手で両手剣を握り直し、切っ先を地面へと向けるのだろう】

【恐らくは何か別の獲物に対して、攻撃をしかけたのだろう、相手の詳細は分からないが】
【右手に持った両手剣一本で高架を切り落とす程の衝撃、その獲物とやらはきっと、骨も残るまい】
【彼としたなら、高架下に人が居たことは予想外であろう、取り繕う言葉が流れた】
55 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 20:59:59.81 ID:8qlg4SBOo
>>54

【破壊音、そして崩れ来る高架に、咄嗟に女は傍のバイクへ跨ると】
【急発進のエンジン音を響かせ、何とか瓦礫の下敷きになる事は免れる】
【車体を傾けて停車し、それから――崩壊した跡に立つ相手をじとりと見据えた】

……ふん。鎧の趣味が合うな。特別に恩赦をくれてやろう
光栄に思うが良い、普段ならば頭から叩き潰してやった所だ。
しかし……――装備を外して来た事を、少々後悔してしまう

【相手の白騎たる姿に何処か満足気に目を細め、女は喧しいエンジンを切ると】
【バイクから降り、視線を崩れた高架の全景へ向ける。凄まじい威力の跡を眺め】
【その後に再び相手を見据える。――と、その切っ先を伝う鮮血に気が付いた】

決闘か、若しくは……捕り物か? 後者ならば、ご苦労な事だな
貴様が義の者か、悪党かは知らぬが。今宵でなければ是非戦いたかった。
私も白が好きでな。鎧も武器も、好んで白を纏う。我が名も、白に関係するのだよ

【「同色で対比するというのは、実に見映えが良いだろう?」】
【そんな言葉を吐いてにたりと笑う女からは、戦闘狂の気配が強く溢れていたが】
【約束があって来たに過ぎず、自身も好調とは言いがたい――故に、挑まなかった】

【つらつらと話すのは待ち人が来ず手持ち無沙汰でもあった為だろう】
【特別相手を拒むでもない。ただ突然の登場の理由だけは確りと問うた】
56 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/08(水) 21:02:02.76 ID:5Y5LKYer0
【街外れ――教会】

【かつては多くの人がこの教会に来て祈っていたのだろう】
【だが今この教会はどこもかしこも壊れかけていた】
【信者を迎え入れたであろう扉は無残にも壊れている】
【外の外装は剥がれ落ちかけていて壁は穴が空けかけたり血痕が残っていたりした】

【聖堂は綺麗に並べてあっただろう椅子がむちゃくちゃに荒らされて】
【荘厳と輝いていた窓のガラスは割れているものもあれば割れてはいないがひびがあるガラスもあった】

【そのような場所で唯一荒らされもせずに残っていたイスに座る人物がいた】

過去この場所には多くの信者が集まっていた
 …だが一つの悲劇が襲った

【そこにいるのは金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

その悲劇とは別の神を信じる狂信者の襲撃であった
 その襲撃をした狂信者の目的は大いなるものの召還であった

【男は誰に聞かせるのでもなく一人語っていた】
【だれもいなく、だれもが恐れている場所で一人語っていた】

なぜその狂信者が召還しようとしたかはわからない
 ……私個人としては知ってみたいが、大方自分が信じる神のためといいそうではあるな

【目を閉じそのように語りながらも自分の心情を言いながらも予想も同時に言った】
【震えもせず喜びもせずただこの壊れている教会で男はただこの場所にいる】 
57 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 21:16:24.63 ID:w31V+LOdo
>>55

【純白の仮面越しでは、彼の視線は伺えない、それでも視られているという感覚はする筈だ】
【興味の色が混じるその視線の色合い、破壊者を目の当たりにしても尚、見据えるだけの胆力】
【佇まいに力を感じたなら、それは間違いじゃないと確信できるのだろう】


――――――白=ォaKU>――――――

私の名は白そのもの、類似しているのは認めよう
……だが例え其方が手負いでなくとも、私は無用の戦いは好まない
振りかかる火の粉を払う事はある、だが、無闇に力をふるうのは性に合わない

私のMors Principium Est≠ヘ、そのように軽い刃ではない


【紡いだ言葉、示される音律――――――白≠ニ名乗った彼は、正面の貴女を見据えるのだろう】
【身に纏う戦闘狂の気配、警戒とはまた違う、だがソレに似た感情が、心を濡らし、右手に握る両手剣を示す】
【白に染まった世界の中、映る貴女の色合いに興味を覚える】

【Mors Principium Est≠ニはその手に握る両手剣の事であろう】
【先程も紡いだその名は、先ほどの高架の破壊もまた、その両手剣一本でこなしたという事実】
【一体どれだけの腕力があれば、剣一本で橋を切り落とせるというのか】


決闘でも捕り物でもない、ただの粛清に過ぎない
白に映る穢れは、たとえ微小であっても、侵食を始める
穢れは祓わねばならない、それだけのことだ


【粛清、と彼は登場の理由をそう形容した、紡いだならそこに感慨も何も無く】
【月光に映る白は、貴女のライダースーツと同じく、また無垢な色合いを見せ】
【貴女の好みに対しては上手い言葉を返せないのか、そのまま静かに両手剣を手元に寄せる】

【コンクリート片の中、彼の後方に積まれた大量の瓦礫が静かに傾いたなら】
【彼が切っ先を僅かに揺らしてみせた、両手剣の剣閃が稲光の如く煌めく】
【次の刹那、粉塵が舞う、その一瞬で瓦礫を切り刻んでみせたのだ】

【能力か、はたまた技量か――――――いずれにせよ、並大抵の力ではこうはいかない】
58 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 21:35:24.35 ID:8qlg4SBOo
>>57

……ほう、それが名か。では私も、名乗ってやらねばなるまいな
我が名はフラズグズ・スヴァンフヴィード。姓名共に意味があってな、
「王冠に飾られた女戦士」、そして「白鳥のように白い」を意味し――

【不意に着信音が響く。音源は瓦礫の向こうで、女は一旦言葉を切ると】
【回避の際に落としたのだろう端末を取り戻す方法を僅かに思考した後、】
【バイクに積まれていた斧に手を伸ばしたのだが――揺れる切っ先に気が付いた】

……――ふむ。

【伸ばした手を止め、瓦礫へと向かって歩き出す。直後、それらが相手によって一瞬で散った】
【何にも遮られず、歩みを止めずに開かれた道を歩き、その先にあった端末を拾い上げると】
【女は元の場所へと戻り。ニヤリと意味ありげに相手を見れば、次に端末を見ながら再び口を開く】

――戦恋しさに夫を捨てた、戦乙女の名さ。長ければフラグドで良い
む……、噂をすれば、捨てた夫からか。……来れぬようだ。おのれ……――

【メールだったのだろう。待ち人である前夫が来れないとの事で、舌打ちをしたが】
【その先の文面に彼女の周囲の空気が一瞬止まった。暫しの後に、手早く端末を仕舞い】

……すまぬな、会話の途中に。何かをしながら対話するというのは、不義に当たる。
其れで……粛清、と言ったか。先の一撃、私程ではないが、確かに見事な技であったな
白を穢す者は排除する、と……尚良い。貴様は誠実な男だ。その面を見てみたくなったよ

【瓦礫を砕いた一撃といい、只者ではない相手に女は不敵に笑み掛けて】
【深い緑色の視線で、その仮面の奥に隠された表情を見極めるように見据えた】
59 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 21:47:47.54 ID:w31V+LOdo
>>58

【目の前の女戦士の名と、その名の意味する所を、彼は静かに聞くのだろう】
【表情は伺えない、けれども、仮面の下、水面に映るであろう表情はきっと】
【その奥の気高き戦士への敬意を示しているのだろう――――――】


……大丈夫だ、人の名を覚えるのは、不得手ではない
戦恋しさに夫を捨てた、随分と奇特な性の持ち主だ
そこまでして戦う意味が、何かあるのか――――――フラズグズ・スヴァンフヴィード


【戦乙女の紡ぐ詩に重ねるのは、未だ綴り終えぬ物語の一片】
【語りかける言葉は、父が娘に語る童話が如く、それでいて静かな沈黙にも似て】
【それでも言の葉の意味合いは、真っ直ぐ貴女を捉えているのであろうから】

【戦う意味を問う仮面の彼、皚装束が帷子のように身体を染め上げる】
【影すらも白く染まってしまいそうなほどに、その存在はまた異質で】
【月夜に浮かぶその輪郭を、歪ませないままであった】


止めた方が良い、この仮面は私の覚悟の表れに等しい
コレを剥ぐというのは、私の覚悟を剥ぐことだろう
そして、私を誠実とするなら、私の誠を以って、私はその行いを阻止しよう


【彼を只者でないと表現するなら、目の前の貴女もまた、隠すことの出来ぬ強者で】
【だからこそ、冗談かもしれない一言一句に対して、彼は誠実に釘を刺すのだろう】
【もし、実行されたなら、生半可な対応では足りないと理解しているから】
60 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 22:00:23.47 ID:8qlg4SBOo
>>59

……――正確には、一夜のみと契約した上での婚姻だったがな。
かつては魔獣討伐を生業としていたのさ。或る神殿に現れる獣の類を狩るのには、
夫婦でないと其処へ入れぬと知り、已む無く……だ。どっちにしろ捨てていただろうが、

【「それで正解だった」。何故かそう吐き捨てると、女は次の問いに暫し思考し】

戦う、意味……? 下らないな。其処に戦いがあるからだ
私の求めるものが其処にあるから、だ。特に悪党の側に付いて戦うのが趣味でな
そうすれば、正義に目を燃やした輩が歯向かって来るだろう? たまらんよ、本当に。

【くつくつと、大きな肩を揺らして女は笑う。バトルマニアとでも言うのだろうか、此れは】
【何処か儚げな、嫋やかな、優しげな相手とは異なっていた。無骨で、孤高で、獰猛な意志】

ふむ……なれば、無粋な真似はしないさ。他人の矜持を好き好んで汚しはしない
何か並々ならぬ思いが、其の仮面に凝縮されているのだろう? なればこそ、だ
もし剥がすならば――戦いの場にて、我が大剣で、中の顔ごと打ちのめしてやるよ。盛大にな

【何処までが軽口であるのか本気であるのか分からない程、至極真面目に女は言う】
【兎に角、この場で仮面の下を見る事はしないと宣言し。そうした以上、約束は違えない筈だ】
61 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 22:13:11.98 ID:w31V+LOdo
>>60

【――――――風が吹く、一陣の風が彼と彼女の間を吹き抜ける】
【木枯らしと呼ぶには乾いた旋風が果てたなら】
【剣閃の煌めいた残響だけが、そこに降り積もっていた】

【彼が右手に握った両手剣を振り抜き、その切っ先を貴女に向けたのだ】
【少なくとも5mは開いていた距離が一瞬にして詰められ、彼は両手剣を振るった】
【常人なら目で追うことすら出来なかったであろう速度、けれども貴女には十分見えていただろう】


――――――悪いが私の意見もその正義に目を燃やした輩≠ニ同意見だ
先程も言っただろう、私は無用な戦いを好まない、と
そして貴様がその無用な戦いを起こす火種であると、言うのであれば

私に火の粉が降りかかる前に、導火線ごと切り裂く


【語りかける言葉の口調は変わらない、けれどもそこにはハッキリとした彼の意思がある】
【そしてそこには清涼な殺意があった、白いただひたすらに皚い結晶の如き殺意が】
【身に纏う雰囲気は、研磨され尽くした刀剣そのもの、ただひたすらに研ぎ澄まされた切っ先が如く】

【戦うことそれ自体に意味を求める貴女とは正反対で、彼は意味があるからこそ戦う人間であるから】
【平行線上の意見は決して交錯する事無く、やがて衝突するのであろう】
【肩幅に開いた両足、甲冑のグリーヴに包まれた脚は強く地面を踏みしめていた】


其方にも分かるだろう、私の仮面と同じだけの意味を私は戦いに秘めている、と
そして其方の言葉がどれだけ私を愚弄しているのかも、分かるだろう

――――――それとも、私の仮面に秘めた思いと同等の意味を
戦いに感じているとでも言うつもりか、フラズグズ・スヴァンフヴィード


【声のトーンは変わらずとも、そこに在る彼の怒りは伝わってくるだろう】
【怒りとはまた違う、その白い感情は――――――発奮する意味を感じて】
【白騎士はただ、向けた刃を後悔しないよう、生き続ける】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 22:21:53.97 ID:aULHoM9C0
【街中――小高い丘の上の神社にて】
【切り取ったように半分のお月様が照らす境内の中はしんとした、どこか非日常の空気を満たし】
【木々や柱の後ろに神様や妖怪でも隠れていたっておかしくないような気配が溢れて、余計に冷たく思える錯覚】

――――、

【――そんな中にふわりと舞い下りてきたのは昼間の陽光みたいに暖かに煌く羽の一片】
【右往左往しながら地面に落ちたのを皮切りに、ひとつふたつみっつと、とめどなくあふれ出した】

――神様っ! 神様、あのね、あのね、お願い事ね、叶ったよー!

【ぱんと夜の静寂も神聖な景色もびりびりに破った声は幼く高く響くもの、そのまますっかり幼子の色を表して】
【かつりと降り立った足音が続いて境内の奥へと向かう、やがては賽銭箱の前に立って――】

これね、お礼なの! 叶えてくれてね、ありがとうございますーっ。

【お財布から紙幣を取り出して賽銭箱にひらりと落とす。ぺこーと下げた頭は声の通りに小さくって、儚げですらあった】

【せいぜいが5歳ぐらいに見える女の子。クリーム色の髪を元気そうなツインテールに結わえて、髪飾りがしゃらと揺れ】
【まぁるい瞳は夏の青空の色。右目の下には紫色の蝶の刺青が今にも羽ばたきそうに刻まれて――少しだけ、異質だが】
【冬空の下の雀のようにふかふかとした冬支度、厚手のコートの下にも着込んでいるのだろう、ふっくらと膨らんで】
【まるっこく延びた足の先には爪先のまあるいおでこ靴、ちょっぴり大人びて高いヒールがかつんと足音を鳴らした】

【舞い下りた羽で構成された翼を背中に貯えて舞い下りた、かと思えばその羽は全部抜け落ち、やがて消えてしまい】
【何かしらの異能らしいと察するのは容易いこと。こんな世界だから、幼子だって能力者でおかしくはないことで】
【夜に昼間を持ち込んだように空を飛ぶ姿はきっと遠くからでも見て取れた。誰かの視線を攫ったとしても、それもおかしくないこと】

【――テンションがやたらに高いだけで、やっていることと言えばまあ一般の参拝者とおんなじだ、と言えたけれど】
【月明かりの満ちる夜の世界に午後の陽だまりのような彼女はどこか不釣合いで、描く場面を間違えたかのように】
【「忘れてた」なんて言って鈴をがらがらりと鳴らして、「聞こえたかなぁ」なんて呟いた息が、真っ白に登って消えた】
63 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 22:35:18.66 ID:8qlg4SBOo
>>61

【――風が、吹き抜けた】
【波打つ黒髪が舞い上がり、其の一瞬に相手の切っ先が眼前に在る】
【僅かに目を見開けば、女は好戦的な笑みを浮かべ。口角が吊り上がる】

……何だ。言葉が出なくて剣が出たのか? 随分と唐突だな。
残念だが、我が大剣もそう“軽い刃”では無いのだよ。だから然と言って置こうか?
「一々こじつけねば戦えぬような日和見主義者を切り伏せる趣味は無い」。以上だ

【近い距離で両手剣の切っ先を向ける相手に、此方は何も持たずに鋭い視線を向ける】
【相手にも矜持がある。そして其れは、此方にも。譲れない物は、譲れないのだ】
【この戦闘に生きる女が“戦いたかった”のに“戦えない”と宣言した理由、其れは――】

戦いとは真剣勝負だ。命を賭けた神聖な儀式だ。其処には、曇りも汚れも赦されない
今の私はそも、戦う為に此処に来たのではない。そして其の通りに、愛剣も持ってはいない
格好からして戦いに際したものではない。普段の白鎧は外して来ている。だから残念だと言った

そして、腹を割かれた後のこの体では動きが鈍る。其れは戦いと、相手たる貴様に誠実で無い
この斧はただの護身用だが、其れでも良いから振るえと貴様は言うのか? ならば残酷な事だな
良いか? 命乞いがしたい訳でも何でもない。全ては相対する貴様と、私の矜持の為に、言った事だ

【――其れだけの覚悟を、この女は“戦い”に込めている】
【当然ながらまともな主張ではない。正論も何もかなぐり捨てた、戦闘狂の論理。正しいのは相手だ】
【だが、この女にとってはこれが正しい事だった。狂信者にも似て、自分の“戦い”のみを信望している】

それに――……私とて、意味の無い戦いは好まぬ。
力を持たない相手には、剣は振るわない。面白く無いからだ
誠実な、対等な、拮抗した戦いがしたい。蹂躙でなく、互いの力量の比べ合いをな

【最後にそう添えれば、女は熱くなった語気を沈めるように、深く息を吐いた】
64 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 22:58:49.20 ID:w31V+LOdo
>>63

【挑発が耳元へと流れこむ、伸びた切っ先は貴女の零す吐息を二つに分けるのだろう】
【表情は未だ映らない、仮面の下にはそこにどんな表情も無いようにも見える】
【けれどもそれは必ずしも正しいワケではなくて、むしろ――――――その下こそ、豊かな色を蓄えているのだろう】

【それはまるで彫像が如く、切っ先を突きつけたまま、彼は微動だにしない】
【貴女の向ける鋭い視線に対しても、相対するのは身体ではなく刃】
【純白の両手剣の正中線上に彼の仮面があった】


……野火だな、其方は、轟々と燃える野火だ
軍場でしか生きられない者の生き方だ、いずれその焔で身を焼き滅ぼす者の
理解も同情も協力も得られまい、そのような生き方

そして、やがては躯と化す、戦に破れ、朽ち果てた亡骸を野に晒す事となる
決して遠い未来ではない筈だ、その腹の傷が割かれたで終わらない結果となるのは
それでもまだ、其方は戦うとでも言うつもりか


【少し力を加えたなら、その素っ首を切り落とせるのだろう、それだけの力は在るはずだ】
【だが、目の前の貴女の覚悟は、問うまでもなく示されているが故】
【マントが靡く、翻る布の端に僅かな視線を曇らせて】


――――――それと勘違いしているようだが、これは忠告に過ぎない
私が其方を排除しようと考えていたなら、戦いにはきっと、ならない
そう、戦いではなく、殺し合いにしか、ならない


【貴女に切っ先を突きつけたのは宣戦布告というよりかは脅しの意味合いが強いのだろう】
【手段としてはあまり褒められたものではないが、彼の選択肢はあまり多いわけではなくて】
【言葉を述べても尚、切っ先を向けたままなのは、名残とするには少々無骨すぎるか】
65 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/08(水) 23:08:04.80 ID:s4AI3FPSo
【廃工場】

【路地裏の奥深く、打ち捨てられた工場。閉鎖前に機械や物資は持ち出されたらしく、広い空間がただ広がっている】
【天井から危なげにぶら下がる大きなフック、変色した床に転がるドラム缶、剥き出しになった頭上の鉄骨、全てがすっかり錆びついてしまっている】

【破れた窓から差し込む光が工場内部を照らし出す。吹き込む隙間風が鋭い音を奏でて、退廃的な雰囲気に水を差していた】


【そんな空間の端に、一人の男が座り込んでいた】
【身長2メートルを超えているであろう、大男だった。角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪。黒い瞳の両目は、義眼】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、足には黒いゴム長靴】

【その額には面積いっぱいを埋める巨大な一つ目が存在し、油断なく辺りを見回している】
【黒ずんで歪んだ両耳、同じくドス黒く細長い両手の親指。異形と形容すべき姿の大男は、疲労の色を見せる表情で座り込んでいる】


(まったく、先日の邂逅は不運だった……あんな男が、未だ存在していたとはな。とんだジャーナリストがいたものだ……)
(回復にはまだ時間がかかるが、あまり悠長に構えてもいられん……打てる手はすべて打つ)

(とにかく今は、オートマーダーの到着を待たねばなるまい……)

【苦しげに息をつく大男、遮蔽物の少ない廃工場では、その姿は目に付くだろう】
66 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/08(水) 23:12:25.16 ID:1vijkiX8o
【街中――UT事務所前】

【くわえた赤マルの煙が登っていく。変わりにと言っては少し違うがチラチラと雪も降る】
【寒気団が降りてきたせいらしい。アスファルトがアイスバーンで滑るほどじゃないからまだいいが】
【煙草を指に挟んでいても吐く息は白い。暗い夜にオレンジの明かり。それは赤い目を通して見ても同じだ】

…………寒っ

【今最もアツい正義、UNITEDTRIGGER――その看板の元、壁にもたれながらしゃがんでいる1人の人物】
【ボサボサの黒髪にとんがったような鼻で古ぼけたサングラスをかけた人物。煙草の煙を口から長く吐き出した】
【ウール地の汚れた水色のロングコートを襟を立てて羽織って、黒いジーンズにエンジニアブーツ。正義組織には不釣り合いな柄の悪さで】
【彼の横にはダンボールが2つほど重ねて置かれていて、ヒーター代わりにアイドリングしたままのネイキッドバイクが停まっていた】

つーかさぁ…誰か彼か店番置いとくもんじゃないのフツーは…

【ボヤきながら雪がちらつく空を見上げる。別に雇われた門番でも強請りのマフィアでもない】
【ちょっとばかし知り合いが居て、頼まれたものを持ってきただけなのにドアには鍵。そしてクローズの文字】
【気まぐれで来た此方にも問題はあるのだが誰も居ないのか気がつかない向こうにも腹が立っていた】
【下手に押し入って対機関のセキュリティにでも引っかかっては面倒だ。だからこうして待ってみるしかなかった】

…あーあ、クソッ降るなら降ってろ

【雪が強くなるのならバイクは置いて帰ろう。なら、どっかでビールが飲めるからそれはそれでいい】
【そうなると持ってきたレコードが邪魔だな…そんなことを考えていれば雪は深々と彼の頭に積もっていく…】
67 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/08(水) 23:14:07.94 ID:8qlg4SBOo
>>64

戦火で身を焼いて死ねるならば本望さ。どうせ血塗られた道だ

【女の屈強な首の筋肉であろうとも、刎ねるには容易い位置であり、現に相手には可能な筈だ】
【だが、其れを行うような相手では無い事を女は理解していた。そうされて死んだならば、ただの滑稽談】
【相手のこの行為を彼女はただの脅しだとは思っていなかった。刃と共に意志を向けていると認識しており】

私は、確固たる自分も持たないような量産型の人間を斬る程、腐ってはいない
……嗚呼、だが近頃そんな人間ばかり狙うような、卑劣な輩は居るらしいがな。
何でも奇妙な色の植物で、無差別に首を締めて殺すそうだ。戦えぬ奴ばかりを、だ

【「何が面白いか分からないが――」そう添えて、女は視線を相手から切っ先へと移した】
【潮時だろう。これ以上語る言葉も持ちあわせてはいないし、今は残念ながらこの刃を受けられない】
【何時か互いの信念を賭けて交えられるその時まで、触れたくはない――冷たい銀光が、愛おしくも思えた】

【す、と身を引けば、女は無言のままバイクへ跨り。荒廃した場所に再びエンジン音が響く】
【先の相手が起こした攻撃の余波で高架の上は今頃騒ぎとなっているだろうか、その音と、自然に交じり合う】

忠告は受け取った。私は貴様に誠実であろう。……次に会う時は、きっと戦場だ

【そう言い残せば、女はアクセルを踏み込んで、独特の重低音と共に走り去っていく】

【互いの譲れない思いを交錯させた夜、】
【来る筈だった来訪者が来なかった事は、或いは幸いだったのかも知れなかった】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でした!
68 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 23:24:39.89 ID:w31V+LOdo
>>67

【視界の端に映るであろう白騎士の姿、切っ先が溶けていく月光の下】
【両手剣が虚空へと消えたなら、残るのは白いその姿】
【月夜に浮かぶその輪郭だけを、ただひたすらにハッキリと写して】


……忠告と、受け取っておこう、もし出会うならばそのような運命なのだろう
フラズグズ・スヴァンフヴィード――――――其方の名前、覚えておく


【マントを翻したなら、白に消えていく、マントの端が彼の身体へと巻き付いていき】
【まるでその水面に溶けるように彼の姿が沈み込んでいくのだろう】
【翻ったマントが、捲れ上がり、そして一本の線へとねじれていく】

【虚空へと消える、その残像、後に残るのはただ静かな静寂だけ】
【白の消えた後には、ただの白しか残ってはいないのだから】


/お疲れ様でしたー!
69 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/08(水) 23:51:10.96 ID:UJoS8jxj0
>>65

≪ほう、まさかこのような場所に先客がいるとはな―――。≫

【不意に、そんな声が工場の入り口から聞こえてくるだろう―――。】
【そこへ視線を向ければいつしかそこには一人の人物が立っており、じっと大男の方へと顔を向けているのが分かる】
【そして、差し込んだ月光がその人物の姿を露わにする………それは】

≪どうやらタダの一般人ではないようだが………君はどちら≠フ人間だ………?フフ………唯の興味本位さ≫

【その人物は―――。】
【まず頭部は紫のバイザーのヘルメット型の灰色の仮面に覆われており表情はおろか人相も判別できない状態であり】
【全身は銀色の装甲服とその上に灰色の背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の男】

【その姿………何かのメディアで見たことがあるかもしれない―――鉄の国を揺るがしているGIFT≠フメンバー】
【W/ダブル=c……そう呼ばれている正体不明の仮面の男だ。】
【だがGIFTの鉄の国侵攻軍は先日の戦いで半ば壊滅したとも言われていたが………果たして事の真意はどうなのだろうか】
70 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 00:13:42.50 ID:Z7tX3RMQo
>>69
【声がしたと同時、疲労に悲鳴をあがる身体を無理矢理動かして立ち上がり、大男はそちらに単眼を向けた】
【飛び込んでくるのは月光の元、こちらに視線を向ける仮面の男。その長身をヘルメット型の仮面、装甲服、ロングコート、軍靴で固めたその姿】

【メディアで流される事件は可能な限りチェックしていた。故にその姿にも覚えがあった】


……こちらのセリフだ、まさかこのような場所でかのGIFT≠フメンバーに……
それも、短期間のうちに幾度も鉄の国に混乱を巻き起こした男に会うことになるとは

【警戒は解かれないが、大男はすぐに何か仕掛けるような様子はなかった】
【自身がすぐに戦闘が出来る状態でないのも確かだが、何より眼前の男の放つ気配が、短慮な行為を許さなかった】


どちら≠ニいうのが何を示すかによるだろうが、もしそれが世間一般で言うところの正義と悪だとするなら、後者ということになるだろう
……私の名はカニバディール。こういう者だ

【名乗ると同時、大男が顎を上げて喉を眼前の男に晒す。と、その喉肉が蠢き、左右に開いた。人間ではあり得ない動き】
【露わになった喉の内側の肉、その赤に刻まれているもの。五芒星のマークと、その内側にNo.29という文字】


……いつぞやの、アビス平原での一件では、私もおこぼれに預からせてもらったよ
しかし、その後そちらの鉄の国侵攻軍は、ノヴァル城での戦いで相当な被害を受けたと聞いている

そんな状況で、司令官たる男が一人で出歩いているとは。いささか不用心じゃあないかね?

【単眼で彼をじっと見つめ返し、探るような声色で問いを発する】
【W/ダブル=B鉄の国を執拗に狙い続ける彼の真意は、いったいどこにあるのか】
【警戒、興味、様々な感情がないまぜになった視線が、彼へと注がれる】
71 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/09(木) 00:42:34.24 ID:6XQsewVg0
>>70

≪フフ―――私の事は知っているようで何よりだ、紹介の手間が省けるな。
 鉄は熱いうちに叩けというからな………それに、突発的に起こした戦乱ではないのでな≫

【立ち上がったカニバディールに対してその場から一歩だけ歩を進めると、変声機で調整された声色で答える】
【その口ぶりからすれば相当に、長い年月をかけて考えられてきた計画であるという事が伺える―――】

【その長い年月をかけた事もあってか確かにこの男が鉄の国に与えたダメージはそれなりのモノと言えるだろう。】
【とはいえメディアによれば結局首都を狙ったミサイル攻撃は失敗し、件の弾道兵器も奪還されたのだが………。】

≪やはりか………カニバディール、何度か聞き及んだ事はある………昼の国では随分と派手な騒ぎを起こしたようだな
 流石は悪の代名詞、カノッサ機関のトップエージェントと言った所か―――。≫

≪中々に奇怪な身体だな―――まぁこれは私が言えた事ではないがな。≫

【名乗りに対して納得したように頷きながらまるで機械のように淡々と言葉を返していく―――。】
【どうやらこの人物も、何か人ならざる力≠その身に宿しているようだが………それならばGIFTの一人として名を轟かせているのも頷ける】

≪ほう、あの時は私もある事につきっきりで戦いの状況は把握していなかったが………≫

≪―――フフ、手厳しいな。だが確かに我々はノヴァル城で敗北し、弾道兵器は奪還された………だがな
 その結果が必ずしも鉄の国≠ノよい結果を齎すとは限らないのだよ………まぁこれはただの負け惜しみとして取ってもらって構わない≫

≪何はともあれ私はこうして健在だ………ならばまだ終わらない=\――。それに、不用心なのは君も同じではないのかね、カニバディール………?≫

≪どうだ………我々と君たちは言ってしまえば商売敵≠ニなる場合もある………ここでそのメンバーを一人、討ちとってみるかね?≫

【カニバディールの指摘に対しても落ち着いた様子で返答していき、どこか意味深な回答を残して一度言葉を区切る】
【そして―――ゆったりと両手を広げて挑発するようにカニバディールへとそのような言葉を送るが】
【未だ何か得物を取り出し戦闘態勢に入る様子はない………真意は不明だ、果たしてカニバディールはどう対応する?】
72 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 01:31:27.49 ID:Z7tX3RMQo
>>71
W/ダブル≠ニ言えば、GIFTでも特に頻繁に活動しているメンバーとして聞く名だ
ふふ、なるほどそれは確かだ。私としては耳が痛い言葉だがね

……ほう、以前から計画していたことだと。それも、あれほどの大規模な動きをこの短期間に、となると
長い時間をかけて練り上げた、壮大な計画とお見受けするが……さて、何を企んでいる?

【変声機越しの声と、重々しい低い声が、廃工場内部に反響する】
【その口から語られるのは、鉄の国に対する攻撃、その裏に潜む巨大な陰謀】
【軍事国家、鉄の国に多大な被害をもたらせしめたという時点で、只者であるはずもないが】
【それに留まらない何かを、眼前の男は感じさせた】


我々のような立場の者が、名を知られるのは本来は自慢出来る事ではないが
相手がW/ダブル≠ルどの男ともなると、光栄と言うべきだろうな

昼の国では確かに派手な花火を打ち上げたが、鉄の国でのそちらの活躍には遠く及ぶまい

ほほう、興味深いな。GIFTメンバーとして名を連ねている以上、強力な力の持ち主であることは間違いあるまいが
私の異形を言えたことではない、とはな……

【機械的とも言える声音、変声機越しであることを考慮しても、なお淡々と】
【大男の単眼では、その異能まで見透かすことは出来ないが、彼の内に潜む力の強大であることは疑いようもない】


いやいや、ただ火事場泥棒を働いていただけだ。それも、駆け付けたSCARLETのメンバーとその仲間に手ひどくやられてしまった
そちらのことをとやかく言えた立場ではないよ

……あれだけの計画を実行に移したほどだ、弾道兵器が奪還されただけで破綻するとも思えない
終わらない=Aそうだろうとも。私は、負け惜しみとは思えないね


いやいや、私はただでさえそう肝が太い方ではない。それに、先日は凶暴な正義の味方に遭遇して、まだ傷が癒えていないような状態でね
……そんな有様で一人で出歩くほど、私は勇敢ではないんだ

【すっ、っと右手がエプロンのポケットに差し込まれ、取り出されたのは携帯端末。細い親指が、コールボタンを押し込む】
【すると、廃工場の奥、カニバディールの背後から複数の足音がこだまし始め、しばしの間の後、その空間に異様な姿をした者たちが流れ込んだ】


【まず現れたのは、一つの身体に、二つの頭と四本の腕を有する二人の男。中央から向かって右が白、左が黒に色分けされたスーツに身を包んでいる】
【向かって右側の頭は、病的に青白い肌をしたほっそりとした顔つき。後ろで一つに束ねた白い長髪。落ちくぼんだ目。白濁した瞳】
【向かって左側の頭は、浅黒い肌に突き出た顎のがっしりとした顔つき。ボサボサに乱した黒い短髪。吊りあがった目。爛々と光る黒い瞳】
【スーツの両胸のポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ「No.50」と刺繍されている】

【続いて、鉛色の髪をオールバックにし、両耳と口元にピアスをつけた彫りの深い顔立ちの男】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒のベスト、迷彩柄のズボンに黒く厚い軍用ブーツ】
【鉛色の瞳で、驚いたような様子でW/ダブル≠ニカニバディールを交互に見る】


[ボス、この男……まさか、あのGIFTの……]

「このような場所で、こんな大物と遭遇するとはな……」
『ったく、ほんっとに俺らはこういう引きが悪いよなあ……』

【困惑の言葉やぼやきをもらしつつも、異形どもはW/ダブル≠ゥら視線を外さない。ゆっくりとカニバディールの周囲に展開していく】


……まあ待て、まだ何がどうなったわけでもないんだ。わざわざこちらの方から、GIFTと事を構えることもあるまい
確かに、商売敵になる可能性はある。だが、共犯者になれる可能性とてあるはずだ。違うかね? W/ダブル

【仲間を呼びつけるという示威行動をしておきながら、カニバディールはそんな言葉を吐いた】
【だが、その単眼は揺らぐことなくW/ダブル≠フ方を向いている】

【カニバディールも、現れた異形たちも、同じく戦闘態勢を取ることはない。警戒は解かないが】
【真意のわからぬ深淵を秘めた仮面の男。煽るように両手を広げる彼のいる方向へ、カニバディールもまた、一歩足を進めた】
73 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/09(木) 02:04:15.02 ID:6XQsewVg0
>>72

≪私が表で動けばそれだけ他のメンバーも水面下で活動がし易くなるからな
 何、ようは結果≠セ………戦乱を起こすにしろ最終的な結果が伴わなければ意味はない≫

≪いやいや………私は君たちのように世界へと歪みを齎すような計画は持ってはいないよ………ただ
 あの国の在りようを、欺瞞を全て焼き払い………そしてその鉄屑の上に能力者の為となる国を作りたいだけさ≫

       ≪―――尤も、その為には手段も、方法も選ぶつもりはないがね。≫

【W/ダブル≠フ話す計画の断片は………言ってしまえば良くある革命家の言葉のようにしか聞こえない。】
【かつてとある六罪王が企てた世界を死で包む計画などとは違い、ただ国の在りようを変えようというだけの考えだ】

【―――だが、それだからこそ現実的な脅威≠ニして鉄の国を脅かしているのもまた事実である。】
【そしてその計画を語る中には、鉄の国≠ノ対する並々ならぬ執着が感じられる―――何か因縁があるのだろうか。】

≪フフ、そう私を立てなくても良い………君も相当な野心家のようだしな。≫

≪先ほども言ったがようは結果だ、戦いを急ぐあまり私の方が先に滅びる可能性もあるのだからな≫

≪ああ、我が一族より受け継がれ賜ってきた力だ………愚民達にどう言われようと私はこの力≠ノ誇りを持っているよ≫

【仮面で顔を隠すのもその歪なる力≠フ為なのだろうか………言葉の端には迫害を受けてきた事も匂わせている】
【それが彼の計画とも関係があるのかは不明だが―――その仮面の奥には深い闇があるのだろう。】

≪SCARLET≠ゥ………彼らはやはり目下最大の障害でもあるな、組織としても纏まりも次第に完成されていっている≫

≪まぁ、それについては今後に期待して頂くしかないな………尤も、君が当事者の一員になる可能性もあるがな………フフフ。≫

≪ほう、やはり近頃はSCARLETを始めとして対犯罪・テロを目的として活動している能力者が多く存在しているようだが
 まさか君にそう言わしめる程も手練れも存在しているのか………。≫

【カニバディールの語る正義組織の人員の話に興味を持ったように声色を上げるのも束の間】
【工場の奥から現れた複数の異形、そちらへと視線を移し―――低く喉を鳴らして笑うと広げていた両手を降ろす】

≪これはこれは………君の軍勢もこの場にいたとは、これでは流石に分が悪かったな―――。≫

≪成程、確かにそれも一興だな………我が同胞のベアトリックス≠ヘ既にそちらの王≠ニもコンタクトを取ったと聞く
 ならば―――ここで君と私が手を取り合うというのも面白い―――。≫

      ≪では問おう、私と共犯関係になるとして………君は私に何を望むのだ、カニバディール?≫

【一歩歩み寄ってくるカニバディールに対して、W/ダブル≠烽ワた一歩進む………まはや互いの攻撃の間合いともいえる距離だ】
【カニバディールの言葉に興味を示したように、変わらぬ淡々として口調で、仮面の魔人は問いかけた。】
74 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 02:54:49.52 ID:Z7tX3RMQo
>>73
GIFTは、鉄の国の纏わる件以外ではあまり派手な動きは聞かないと思っていたが、陽動まで買って出ていたとはな
贅沢な人材の使い方をするものだな

その点については同意するよ。過去、いくつもの組織がその結果を手に出来なかったが故に消えていったのだからな


ふむ……貴方の狙いは鉄の国そのもの、というわけか。鉄屑呼ばわりとは、何かよほど深い因縁でもあるように思えるな
能力者のための国、という目的はGIFTの理念に沿ったものだろうが、その舞台に鉄の国を選んだのには……貴方自身に関係する理由でもあるのかね?
……いや、失敬。いらぬ詮索をしたね

言葉だけを聞けば、革命を歌う者にも聞こえるが、貴方は現実としてかの国を脅威にさらすという結果を示しているのだ
手段を選ばないという言葉も、重みが違うというものだよ

【過去、悪と呼ばれた多くの強大な者たちが、あるいは理想を掲げて、あるいは野心を抱いて、あるいは邪悪を持って、世界に脅威を振りまいてきた】
【魔縁の蛇王と呼ばれた男が、常夜の地で起こした死の計画などと比べれば、確かにそう大きくはないかもしれない】
【しかし、そこに潜む深淵の気配は、決して侮れるものではない】


ハハ、もったいないお言葉だよ
どれほど周到な計画があろうと、一寸先は闇だ。そうなる可能性も否定はできない
だが私は、早々に貴方が滅び去ることはない、という方に賭けるね

なるほど、一族に代々伝わってきた力、か……
血筋という点では下賤極まる我々から見ると、その誇りは実にまぶしい
……我々は、泥を啜り砂を噛み、地べたを這いずって生き永らえてきた
故に、その力を受け継いできた貴方の一族の並々ならぬものは、察せられるよ

【迫害の歴史を仄めかす彼に、形は違えど世界からはぐれて生きて来た自分たちの立場を持って、多少なりとも理解を示す】
【カニバディールの単眼が細まる。それは、言葉の通りにまぶしいものを目の当たりにした反応なのか】
【それとも、仮面の奥の闇を少しでも見通そうとしているが故か】


ああ、GIFTに対抗するため、という目的で設立されただけのことはある
SCARLETのメンバーには、我々も手を焼いているよ……平原で私の手下を打倒した中邑 瑛月は、中でも名が売れた男のようだ

ふ、ふ。ああ、大いに期待させてもらおう。当事者ともなれば、なおのこと楽しめそうだ

その男は、正直私の目から見ても、狂気を宿した危険な男だったがね……
元はJusticeにいたという、谷山基樹と言う男だ。知っているかね? 自身の正義に反する者には誰彼かまわずケンカを売っているらしいが
あるいは、そちらにもちょっかいをかけているかもしれないな

【相手に漏らす情報は、正義組織の者たちの名前。共通の敵についてともなれば、話すことがお互いに有益になるとの判断からだ】
【だが、仲間たちの登場が、彼の興味を上塗りするかのようなタイミングとなってしまった】


すまないね、小心ゆえの行動だ。どうか許していただきたい

ベアトリックス=c…思い出したぞ。水没都市アヴェロニア≠ナの戦いには、私とこの双子もその場にいたんだ
ということは、あの一件の首謀者……エインセル・アンバライト=Eゼラズニイと接触したということか
何とも、底が見えない方々だよ……

……共犯関係において望まれるものと言えば、まず力≠ェ挙げられるだろう
そちらの言う通り、結果がなければ意味はない。その結果のためには、力は不可欠だ。どのような形であれ、力なくして結果を得ることは出来ないだろう

互いが互いの目的に力を貸し合う。私が望むのは、そういうことだ

利害さえ一致していれば、そういったことも不可能ではあるまい? 少なくとも、私は鉄の国に下手な手出しをするつもりはない
貴方が、もし我らの微力を望むなら、可能な限り協力もしよう。平原の時のような横やりではなく、正式にな
代わりに、我々が動く時には、可能な限り手を貸してもらいたい。アヴァロニアの件でそちらがそうしたように

【互いの命に手が届く距離で、異質なる者たちの言の葉が交錯する】
【それに臆する様子もなく、単眼が仮面をじっと見据えて、魔人の問いに答えを発する】

【背後に控える異形どもは、ただ黙ってそれを見守っている。だが、この場に張りつめる緊張感はいささかも緩んではいない】
75 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/09(木) 03:28:12.04 ID:6XQsewVg0
>>74

≪君たちとは違い、我々はメンバーの中に明確な序列は存在しないからな………そうした動きも必要になってくる≫

≪さて、我々の結果≠ヘどうなるかは………まだ分からんがな≫

≪嗚呼―――これはいわば私のただの因縁の清算に過ぎない―――だが、一度燃え上がってしまったものは
 その火種となったモノを全て焼き払わなければ、収まりはしないと言う事だ。≫

【カニバディールの推測を半ば肯定するような言葉と共に頷くが、完全に認めたわけではない―――】
【だがその内に宿る焔は、いつか世界を焼きかねない程に巨大なモノなのかもしれない。】

≪さて、な………それこそ神のみが知ると言ったところか。≫

≪フ、確かに私はこの力に絶対の自信と誇りを持っているが………所詮は世界の中で畏怖≠ウれるような代物だ
 君たちがそうだったように、日陰の中で生きていくしかなかったが………それもじきに終わらせよう。≫

【同じく世界から弾かれた者同士、どこかダブルにも共感する部分があったのか一瞬、声色から緊迫感が薄れた】
【仮面の奥は変わらず漆黒だが………その中で少しばかりこの男の素顔が見え隠れし始めていた。】

≪中邑 瑛月=\――、クク………やはり立ちはだかるのはあの男か………面白い。≫

≪谷山基樹=c……その名も知っている。何を隠そう我々から弾道兵器を奪還した内の一人なのだからな
 やはり奴も無視できない―――真実を求めているようだが、彼には絶望という真実を知って貰わなければならないな≫


【その二人についてはやはりダブルも知っているようで、どこか二人が立ちはだかるのを愉しむようにも感じられる反応をする】
【愉悦の感情は果たしてどのような因縁によるものなのか………それは仮面の奥の表情を覗かなければ分からない】

≪構わない、何事にも万全に対策をとる者は嫌いではない。≫

≪ほう………それはそれは、尤もベアトリックスについては私も思惑が把握しきれていない部分もあるがな
 だが彼女の持つ技術はそちらにとっても有益になる事だろう。≫

≪―――面白い。その話、乗らせて頂こうか………互いの力を利用し互いの目的を成す、悪くはないな
 そうだな………鉄の国に手を出すのは構わないが、こちらの作戦に参加する以外では襲撃対象は軍用施設≠ノ限定して頂きたい≫

≪私から提示しする願いはその程度だ………そちらの作戦にも可能な限り協力させてもらおう。
 先ほど言ったように、GIFTの技術をある程度ならそちらに与える事も可能だ、兵器や武装の提供も任せておけ≫

【カニバディールの要求に、一度深く頷くと了承し………スッと右手を差し出して相手に握手を求めるだろう】
【良く見ればかなり血色の悪い肌色だ―――ともかくカニバディールが応じなくともそのままW/ダブル≠ヘ踵を返す】

≪では―――詳しい話はまたいずれ………今宵は予期せぬ邂逅であったし、そろそろ明け方だ………≫

      ≪日陰者の我々は陰に潜む頃合いだ―――それでは諸君、また会おう。≫

【それだけ言うとダブルはそのまま入り口から姿を消していく―――。】
【もし今何か、兵器や人員、情報など具体的な要求があるのなら言っておけば対応するだろう】

【なんにせよ、こうして異形の魔人同士の盟約は結ばれた―――だが、互いの腹の底は、まだ見せてはいないだろう。】
【怪物達は、再び世界の闇へと溶けていく。】

//長時間お疲れ様でした!
76 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 04:03:31.22 ID:Z7tX3RMQo
>>75
能力さえ有していれば、平等に扱うというGIFTの特性ゆえか……苦労はいろいろだな
ああ、先のことなど、誰にもわかることではあるまいよ

ふむ、そうかね……いやいや、まったくどれほど巨大な焔になることか、実に楽しみだよ
国一つの火種すべてを焼き払うとなれば、きっと鉄色の大きな火が見られることだろう

【カニバディールの単眼では、仮面の奥の闇を見通すにた至らなかった】
【しかし、認めはせずとも否定もしない、彼の言葉にはどこか陰を感じられた】


GIFTの理念でいうところの神かね。だが、神は知ってはいても、成すのはここにいる我々だ

世界の日陰には、そうして押し込められたものも多くいる。私は実際に見て来たよ
貴方がそれを終わらせる先駆けとなれば、確実に変化は起きるはずだ

【カニバディールの声音も、わずかながら張りつめたものが薄れた気配がしていた】
【卑劣非道な悪漢であることは間違いないが、カニバディールらも世界から弾き出された事も事実】
【互いに漆黒の鵜網を抱えつつ、この暗闇の中にその内側がわずかばかり晒された】


ほほう、中邑のみならず、谷山もすでに知っていたか。彼奴らめ、ずいぶんと精力的に動いているらしいな……
まさか、弾道兵器奪還にも関わっていたとは。フリージャーナリストを名乗っていたからな、真実を追い求めるのは彼奴の目的の一つなのだろう
絶望=Aか……ふ、ふ

【挙げた二人の名にダブルが反応するのを見れば、忌々しげに、同時にダブルと同じく愉悦の色も覗かせつつ】
【未知の因縁と、己の因縁に思いを馳せ、彼の言葉の最後、絶望という言葉に先日の谷山との邂逅を反芻する】


そういっていただけるとありがたい
ああ、彼女の戦いは失礼ながら遠目で覗かせてもらっていた
貴方でも掌握しきれていないとはな。この世界は底知れぬ者が多くて参るよ

感謝する。利害の一致しているうちは、互いにとって大いに利益になるだろう
軍用施設=c…了承した。条件から外れないよう、取り計らおう

ああ、よろしく頼むよ。我らからはそうだな……昼の国の地方都市に、ヴェンドゥラーというところがある
我々が事を成す予定の場所だ。我らが動くまで、そこには手出しせずにいてもらいたい
こちらからも、私の権限の範囲でなら、カノッサの有する力を提供できるだろう

【同じく、彼の要求にはしっかりと頷きを返す。利用し合う間柄、いつか路地裏であった蛇の瞳の男を、密かに脳裏に浮かび上がらせて】
【ダブルが求めた握手には、即座に応じて右手を出した。血色の悪い肌の右手に、異形の親指を持った無骨な右手が重なる】
【やがて、その手が離れれば、踵を返すダブルを異形どもが見送るだろう】


……ああ、ずいぶんと時間を取らせてしまったな。我らも、穴倉に帰るとするよ
わかった。またいずれ。次に会う機会を楽しみにしているよ

【廃工場の入り口から去っていくダブルに、異形どもが一礼して見送る】
【要求は、先に挙げたヴェンドゥラーについてのことのみに留まるだろう】

【互いにその深淵の深さは見えず。しかし、邪悪な者たちは密約を交わした】


[――――ブハッ!!! いや、不意打ちにも程がありますぜ……]

『まったくだ……だが、思いもかけない方向に転がったな、今回は』
「ああ、我らにとっても大きな利となる話だ。すべきことはまた増えたがな」

することがないよりいいじゃあないか。さて、我らも戻るとしよう。そろそろ、オートマーダーも戻る頃だろう

【カニバディールの言葉を皮切りに、異形どもが工場の奥へ、その地下に繋がる穴の中へと戻っていく】
【闇は、未だ底知れず。世界の脅威は、蠢き続ける――】

/遅くまでのお付き合い、感謝です!!
77 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 04:22:24.62 ID:LjhQh+veo
【櫻の国―――とある山奥】

【この近隣に、数週間前からある噂が立っていた。『鬼が移り住んできた』というものである】
【なんでも鬼は絶世の美女に化けていて、普段は屋敷に篭もりきりで何かをしている様子だが】
【時折山麓の村落に下りてきては、贄となる若者を求める――なんて噂だ】

【勿論、その真実は違う。例えば、もし周辺の知恵者が『折鶴愛し姫』の事を知っていれば】
【先年の討伐から程なく噂されるようになった、この鬼と関連付けることも出来たろうし】

【或いは山々に住む、人よりも自然に近いもの――妖怪ならば】
【その橋姫の話が、どうも本当であるらしいことは皆知っている事実であった】
【が、再度の討伐軍が組まれないのは、人からすれば所詮、噂でしか無いこともあり】

【一方で、妖怪はといえば折鶴愛し姫――折鶴童子に悪感情を抱くものは居ないと見え】
【つまり童子の事はこの一帯では噂でこそあるが、それ以上ではない。そういう存在になっていて――】


【―――そんな場所。人里から山を2つ3つ超えたところに、一人の女性が見えた】

【服は白に曙の丹頂柄で、艶やかな黒髪が雪に墨汁でも落としたかのように際立っており】
【唇はうっすらと赤いのが肌の淡白さに比べて目を引くのと、節目な睫毛が情を誘う】
【言うなればそう、絶世の美女であった。何故此処に居るのかは最早、言うまでも無いだろう】

【彼女が向かう先はやはり山のまた奥地。だけれども妙に道は整っていて、まるで街道の如くであり】
【その先には薄く霧のかかった高台が在り―――どうも人を寄せ付けない辺り、其処が屋敷なのだろうか】

【どちらにせよ、此処は人がそうそう立ち入れる場所ではない。それだけは全く確実なことであり】
【来るとすれば獣か、それとも――。どちらにしても、隻腕≠フ美女はゆっくりと歩を進めており】
【声をかけるのも、飛びかかるのも容易に見える。さて、一体誰がどう来るか――周囲の森までが耳を澄ませているかのようだった】
78 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 04:47:55.55 ID:RdYlItGz0
>>77
【そんな場所に、一つの小さな妖気が訪れて】
【其方を見遣れば、小柄な体格に其れを隠す紅白の纏い物が見えるだろうか】
【――――橋姫ならば分かるであろう。その妖気は、確かに妖狐が発する其れ。然れど、纏っている物が所謂巫女装束なのだから可笑しな話】
【妖でありながら、巫女の職に就いている何て】

【やがて姿がハッキリと見えるようになれば、その通りの姿をした少女が視界に収まることか】
【特徴的な耳に、一本だけの尾。おどおどと、自信なさげに辺りを見回す仕草はまるで人間の幼子が道に迷ったかのようにも思え】
【特別強い妖気を発している訳でも無い。そして、巫女装束を纏っていながらも妖を討ち滅ぼす為に訪れた風でも無い】
【では、何故そんな少女がこの場を訪れたのか。一つは天鬼としての使命。もう一つは、個人的に気になる事が存在したから】
【――――鬼。その単語一つが、どうにも気に掛かって仕方なかったのだ。ましてや、以前姉宛と思われる感謝状が贈られてきた事もある】

【思考が、止まった。と言うのも、漸くこの巫女も女性の存在に気付いたから】
【元より自身の無さ気であった表情は一層その色合いを濃くして――――言葉が詰まる事、数秒】


「あ……………あの、その…………すみません…………」

【月光に照らされる勾玉。神聖を放つ其れと、少女自身の妖気とが合わさって少なからず気配だけは巫女らしさが滲み出ているか】
【少しの間だけ迷った素振りを見せて…………やっと出す事が出来たか細い声】
【風が生じ、木々がざわめけば聞こえなかったであろう其れも、この刻ならば十分に通るであろう】
【元よりハの字に曲げられていた眉が、更に深く曲げられて】


「折鶴愛し姫さん…………ご存じ、ですか…………?
えっと…………鬼で…………その…………お姉さん、みたく…………とても綺麗な人、と…………聞いているのですが…………」

【その名は辺りの妖怪に聞いただけ。容姿も、大体は聞いて居る…………が。明確な人物像は掴めない】
【本人にその名を問うなんて何とも間の抜けた話だが、この少女なれば仕方ないのか】
【――――警戒が薄い。否、疑う事を知らないのか。数歩近づいた分だけの草履の音を響かせ、僅かに小首を傾げて問うた】
【もう少し、距離を詰めようとすればその道に躓き、慌てて体勢を立て直そうと努め】

【…………言ってしまえば妖力こそあってもただの子狐。此処まで鈍い上に、警戒も無く寄る姿は敵意を抱いていない事も明らか】
【さて…………小物、として無視して歩みを進めても、勿論良いのだろう。律儀にも、体勢を立て直せばその後を辿ってくるのだから】
【――――余計な言葉を挟むこと無く、ただ女性の返答待つのみ。加えるならば、時間が経てば経つほどに、少女の不安の色が濃くなる事位だろうか】
79 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 05:15:57.04 ID:LjhQh+veo
>>78

【最初は相手の妖力に応じたような、それはそれは小さな反応だった】
【冷たいとも、優しいともつかないその瞳。黒と白のハッキリしたそれが少女を捉える】

【――言ってしまえば、最初から最後まで反応はそれだけで】
【後は上から下までさらりと流し見るか、少女のか細い声に耳を傾けるか】
【或いは、風と木々の声でも取り入れるか。そういう反応を、女性はして】

『……ホ。これまた可笑しな輩が来たものよの……?
 お主、紛れも無く妖狐であろ。だというのに、その被服……
 ……アア、そういえば、居ったな。この間、同じものを来た覡の娘が。』

【独り言とも取れる言葉を零しつつ、ある方の腕をしゃなりと振るう】
【すると、躓いた少女を庇うように手助けする、一つ目の坊主が現れて】
【恐らくそれは橋姫の能力。けれども、普通の妖怪と寸分の狂いも無い妖力があり】
【それがもう質問の答のようなものだった。能力ですらこれならば――というわけで】

『うム、折鶴愛し姫なら知っておるよ。ただ、美しいと褒めるのは良いが
 事実であるとはいえ仮にも姫相手に「鬼を知らないか」はイカンな、子狐。』

『……それで、妾≠ノ何用かな?わざわざここまで来て、一体……?』

【クスリと笑ってそう伝えながら、橋姫はゆるりと、自分から少女に近づくと】
【もう支えもいるまいと見てから一つ目坊主を何処かへやって】
【よしよし、と娘をあやす母か、或いは妹を可愛がる姉か――】

【そんな風に、使える唯一の手を彼女の頭を撫でるために使うだろう】
【どうやら紛れも無く、彼女こそ折鶴その人らしい。妖怪に優しい、というのも真実と思われて――。】
80 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 05:55:22.08 ID:RdYlItGz0
>>79
【一つ目坊主が現れればビクリと尻尾を立たせた…………が、それだけ。体勢を保つ事が精一杯故に、仕方のない事】
【あわや強かに身を打つ事になるか。そう思った矢先、件の妖怪の助けによって免れれば、立っていた尾もゆっくりと先端を地に向ける事だろう】
【――――鈍い。全ての妖狐が、とは言わずとも稲荷神や天狐、空狐へと昇華出来る可能性を秘めた存在の一端にしては鋭さも何も無く。…………其れがかえって、人間くさくも思えるかも知れないが】


「…………可笑しな事、とは…………分かってるのですが…………でも…………?
同じ…………?私と同じ…………巫女、でしょうか…………?」

【可笑しな事とは、自覚している。妖怪と巫女なれば相反する存在。妖怪である自分が、巫女を務めているのだ…………可笑しくない筈が無い】
【でも――――その先を紡ぐ事は出来ず、俯いてしまって。しかし、然りと傾けていた耳は橋姫の言葉を拾っていた】
【ともなれば、当然“同じ物を着た”との言葉には敏感に反応するのだろう。顔を上げれば、何処か聞きたがる様な素振りも見せるけれど――――】
【それも、次の言葉には一転して、何処か慌てる様な其れへと変わる】


「そう、ですよね…………えっと…………それでは…………折鶴愛し姫さん、ご存じ――――
あ、その…………ご、ごめんなさい…………! 私、知らなくて…………あの、あの――――…………」

【探していた相手が、今目の前に立つ女性だと知れば。当然、慌て始め】
【先ずは非礼を詫びて、続けて言い訳を捻ろうとするがどうにも浮かばず】
【――――ごめんなさい。もう一度紡ごうとした刹那、頭に感じる暖かみ。撫でれば僅かに表情も解れ、其の尾と耳とが嬉しそうに小さく揺れる事だろう】

【乱れた呼吸を正し、心臓の拍動を落ち着かせ。ふ、と目を細くすればその手に甘えるかの様な姿に見えるか】
【少女にしては珍しく自ら頭を撫でさせる様にぐりぐりと動かし、ひょこひょこと動く耳も尾も、偽りでは無い嬉しさを表しているだろうか】


「ぎんぎん、みたく…………暖かくて、優しい…………です
…………特別な事は無いのですが…………天鬼の、巫女として…………その…………どんな妖怪さんなのかなって…………確かめに来ました…………
でも…………ごめんなさい…………とても、優しい人でしたね
本当だったら、ぎんぎんも…………あ、えっと…………私の、大事なお友達の…………狼さんと、一緒に来たかったのですが…………会えなくて…………それで、一人で会いに…………」

【天鬼。何時の日か依頼を受け、橋姫の前に現れた一人と同じ名字】
【そう多くも無い名であり、何より同じ巫女であり。…………異なる点と言えば、相対と思える様な性格と、妖怪である事位か】

【兎にも角にも、撫でられればそれだけ心も開くのだろう。其れは美点であって、同時に疑う事を知らないという汚点でもある】
【この場に訪れた理由。即ち、噂の妖怪が悪しき存在か否かを確かめる為に訪れた様だが――――どうにも、この少女一人では簡単に殺められてしまいそうである】
【今回は、相手が敵意を抱かなかったから救われた様なもの。本人も自覚しているのか、友達の妖怪と一緒に訪れたかった何て言うのだが】
【その妖怪、聞くに狼で。人見知りの少女が自ら誘いたいと言う程に、親しみを覚えている存在だと言うが】
81 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 06:22:18.07 ID:LjhQh+veo
>>80

【確かに鈍い。それに関しては、数多く妖怪を知り、己もまたそうである折鶴童子も思った】
【加えて言えば純粋過ぎる。少女の外見にしても、何百歳という輩も居るが――】

【ことこの少女に関しては人間とそう変わらないのだろう、という推察も出来て】
【同時に、巫女の服。そして話し口調に態度と、橋姫の中でイメージが固まっていく】
【それでもう、得心がいったらしい。眉の一つにも疑念があるような所は見当たらず】

『よしよし、良い良い……初い奴よの、気にするでないぞ?
 天鬼の巫女ともなれば食う気にもならぬ……あの姉は別じゃが』

『……そう、姉よのアレは?天鬼……櫻の妖怪なれば、その名が珍しい事位は周知の事。
 名はちゆりとか云うておったが、あれは大層出来た巫女だったのう
 些か気になる所もまァ、あったが…。ともあれ、立ち話も難であろ?』

【こっちへ――と、頭を撫でていた左手を差し出して。というよりも伸ばして】
【そのまま優しくも何処か強引な、むしろ自分が立ち話は嫌だというような態度で少女の手を取れば】

【――向かう先は霧の中の高台。遠いはずが、橋姫の一歩に道が縮んでいくかのよう】
【あっという間に門扉をくぐり抜ければ、広く大きな屋敷が広がっていて】
【奥から聞こえるのは機織り機の音やら、複数の妖かしが動く音やら――】

『……妾は独りが嫌いでな。常ではないが、時折、山や川の妖怪に好きに使わせておるのよ。』

『で、なあ……ぎんぎん、と言ったか。それも狼と来ておる……
 珍しいから、の。狼で銀=c…ひょっとせずともそれは「長尾銀狼」に他なるまい?
 そうだとすれば……天鬼も一枚岩ではないようだが、それとこれはまた別……さ、こっちに参れ』

【それに混じって、小さなうめき声。或いは唸り声とも聞こえるが、それこそ】
【まさに犬か狼のもの。桔梗の耳によっては――彼女のものと聞き分けもつくだろうか】
82 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 06:59:42.99 ID:RdYlItGz0
>>81
「…………やっぱり、お姉ちゃんと…………会ったのですか…………?
……私も、何時か…………お姉ちゃんみたく、立派になれれば…………良いのですが…………
…………あ、あの…………お姉ちゃん、食べちゃ…………嫌、です…………」

【姉の名が出れば、不意に表情が沈んだ。何故か、は分からない】
【そして――――“やっぱり”何て言葉を交えてしまう程には、推測も出来ていたのだろう】
【守女達に問うても、住まう妖怪達に問うてもその依頼に協力した者は居なかった。何より、自ら協力する存在と言えば、姉以外に知らず】

【ならば、橋姫との争いもあったと考えるに容易い。しかし、実際にこうして会ってみればどうであろう】
【どうしても襲うような悪しき妖怪に思えず、そして姉が自ら妖怪を襲うとも考えられない】
【――――そして、腕。人の形ならば対に生えている筈だろう。だが、自身の頭を撫でてくれたその他に存在している事も無く】
【……その争いによって生じた負傷だろうか。聞くにも、まだ踏み入っては聞けない。だから、そんな小さな呟きだけが漏らされたのだろう】

【自らに関わる存在以外に興味を抱かない強き巫女と、どの様な命にも優しさを向けてしまう弱き巫女と】
【果たしてどちらが“巫女”として相応しいのか――――結論なんて、出ないのだろうけれど】


【手を取られれば逆らうことも無く引かれる事だろう。――――否、縋ると表した方が正しいか】
【音が生ずる度に小動物の如くビクリと身を震わせ、握る手には弱々しい力が込められる】
【巫女が妖怪に驚くなんて、滑稽な話でもあるが】


「…………やっぱり、優しいんですね……。独りが嫌でも、自由に使わせるなんて…………子供の妖怪さんは、沢山遊びに来そうです…………

…………ぎんぎんの事、知っているのですか……?
えへへ…………ずっと、ぎんぎんと呼んでいたので…………でも、一枚岩ってどの様な…………―――――」

【自分も子供だから、何と無く他の妖怪の子供の気持ちも分かるつもりではいるが――――】
【まだ屋敷に入る前の会話。“姉は別”と言われた時には少し頬を膨らませていじける等、まだまだ子供】
【そして、銀狼を知っているともなればゆるりと笑みを浮かべ】
【促されるままに行く筈だったが…………耳が捕らえたのは、獣の呻き。其れだけならば、ただ心配そうに橋姫を見遣るだけだったのだろう】
【しかし、聞き覚えのある其れともなれば――――?果たして其処まで慕っている存在の発する音を聞き間違えるかと問われれば、答えは否】

【言葉は途中で途切れる。振り払う、までは行かずとも繋いでいた手を離して】
【聞き間違える事は無いであろうその声。橋姫を二歩三歩越した所で、迷った様に立ち止まるけれど】
【――――叶うならば、そのまま声のする方向へと忙しなく向かう事だろう】
【子供が母親に会う時の様な、嬉しそうな其れでは無い。寧ろ、珍しくも焦燥感が滲んでいる】
【…………其れもそうであろう。呻き声、唸り声なんて何時の日か雷神を名乗る妖怪討伐を依頼したその時にしか聞いて居ないのだから、尚不安を煽られる】

【果たして、少しの距離であっても少女の足で向かえるのかは分からないが――――仮にそうであるならば、制止の声を掛けられたとしても聞き入れず、その声のする場所へと向かうのだが】
83 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 07:37:53.33 ID:LjhQh+veo
>>82

【くすっ、という笑いはどうも橋姫のクセのようなものらしい。また、そのように笑った】
【恐らく面白がったのは姉に関する気遣いの、その不器用なところであろうか】
【決して馬鹿にしているのではなく、むしろ可愛がっているような風すら見て取れたが――】

【――ともあれ、今は少女の気持ちが大事。橋姫からしても、これはそうで】

『さて……妾は嫉妬狂いの橋姫とはいえ姫≠セからのう……?
 家来を囲うのは義務……優しいかどうかはまた、これも別の話よ。
 ……さ、行って来い。彼奴もお主が行くほうが喜ぶだろうし―――。』

【屋内に入り、少女が手を話して立ち止まれば、手で行くようにと促しもして】
【そのまま彼女が向かうことになるのは――ある襖で仕切られた一室】
【似たような構造の部屋が幾つか廊下の奥に見える辺り、談話室か何かなのだろう】
【囲炉裏の暖かさが襖越しに熱いほどで、奥には人影も見えていて――】

……む、むぅ…!こんな…う、ぐっ……馬鹿な……ッ!

――カッカッカッ!無駄じゃムダじゃ、オンシ程度の頭じゃア勝てぬがな!
 聞けば狼の妖怪は珍しいそうじゃが、だァからといって所詮は狼の頭よ!
 オンシが100歳なら鷲はもう500は超えとるでな!天狗に将棋で勝とうなんぞ、数百年速いわッ!

ぐぅ……その鼻をへし折ってやりたい所だのう、崋山天狗め……!
……むうぅ…!ダメじゃ!駄目じゃ!確かに負けたっ、お主の勝ちじゃ。持っていけ阿呆!

【――からりと襖を開けたなら、そこには2つの影が見えるだろう。ひとつは――言うまでもない、銀狼と】
【それからもうひとつは真っ赤な顔に長い鼻、そして蓑を纏った姿。天狗≠ナあった】

【両者が囲んでいた――そして今しがた終わったのが、見てみれば『将棋盤』であり】
【どうも、銀狼が負けたらしい。で、食事を賭けていたらしく、近くの盆に乗っていた銀狼の朝餉から】
【崋山天狗と呼ばれた彼が鮭を一尾取って食らうと、桔梗と入れ替わりに部屋から出て行った】

【とすると、だ。――あの呻き声やら唸り声やらは―――駒の動かし方に悩んだだけであったらしい】
【まあ、将棋が得意な天狗相手ではそうもなるか。ただ、拍子抜けも良い所だ】

【――かといって。それで安心してよいかというと、これもまたそうではなかった】
【まず、銀狼は上を何も着ていなかった。裸というわけではなく――包帯をサラシのように巻いていて】
【胸の中央に傷を負っているのだろう、その白い包帯も僅かに血が滲んでおり】

【また見るところを変えれば腕や腹、頬も傷をそこら中に負っているのがすぐに分かる】
【それも、妖怪の治癒力でも中々治らないと見える。一部は化膿すらもしているようで】
【そして傷の全ては、刃のもの。この時点で、まず姉と戦ったのだ、とは思わないはず】

【尻尾も傷を負って、だらりと床を這っていたが―――取り敢えず、これが全て】
【少女に取っては朗報とも、傷を負ったという悲報ともなるか。銀狼は未だ、将棋盤に意識を向けていて】
【桔梗には背を向けているから、気付いていない様子。パチッ、と、囲炉裏で火花が爆ぜた】
84 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 18:41:14.19 ID:DIAD6Jt6o
【水の国・オフィス街――時計台広場】

【広場の草木に取り付けられた、季節を問わない白のイルミネーションが煌々と灯る】
【クリスマス用であったのか新年用なのか、或いはどちらも兼ねているのだろうか】
【何にせよ綺麗であるのは間違いなく、冬の時節には丁度似合う光景となっていた】

【そんな景色の中、街灯の下に設置されたベンチに、疲れた風で腰掛ける人影がある】

っはー……年明け早々、仕事が詰まり過ぎッしょコレ……マジでブラックっスね
ま、分かってて働いてるんスけど……新年会とかやる空気じゃないしなーあの部署……

【それは何処か軽い雰囲気のある、黒いスーツに星柄のネクタイを締めた青年だった】
【淡い茶髪の癖っ毛、怠そうな緑の目に、黒縁メガネを掛けている。彼はベンチに凭れ、】
【愚痴と共にネクタイを軽く緩めると、先に買っていた缶コーヒーを口に運んでから溜息を零し】

【そんな折、目の前を仲睦まじいカップルが通り過ぎて行き。ジト目で見遣って彼は再び溜息】

……見せられる側は寒いんスけどねー、ああいうの……っくしッ! ……あー寒い。

【家に帰っても一人。咳をしようがクシャミをしようが一人。結局何処にいようが一人身だ】
【まあどうする気も無いので、存分に独身を謳歌しよう。そう考えながら、彼は澄んだ星空を見上げる】
85 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 19:07:38.11 ID:RdYlItGz0
>>83
【橋姫による促しも受ければ、もう迷うことも無い。パタパタパタ――――小さな小さな足音が響いて。さて、呻きが漏れたのは一体どの部屋かと視線を巡らせ】
【やがて一つの場所に留まれればそのまま部屋に入ろうとするけれど。…………襖に手を掛けようとした寸前、独りでに開いて】
【視界に収まる二つの姿。天狗と、狼。前者は距離が近かった事もあり、僅かに戸惑った様子を見せたが】
【橋姫の招いている妖怪だ。ならば、害だって及ばさないのだろう。そう思えば、戸惑っていたのも本当に少しの間だけ】

【襖の向こうに一歩足を踏み入れたとなれば、屋敷の中に居る妖怪達に飲まれ、消えていた小さな妖気も感じ取りやすくなり】
【――――然れど、振り向くよりも早く少女が駆け寄った】
【将棋が打てるほどには回復している様にも思えるが、痛々しい傷は感情を揺さぶるには十分で】
【本来ならば、少し距離を置いて話し掛けてから近寄るのだろうけれど…………少しでも悪い想像が過ぎった事と、其れが覆った安堵とでそんな事も忘れていて】
【何時かの夜に、銀狼が少女を勢い良く抱き留めた日があったが。今宵はその逆であって、少女が飛び込む事となる】

【完治していない傷口に触るだとかは全く頭に無く、其れこそ子供が母親に抱き付く時の様】
【――――膿んだ傷すらも持つ銀狼には、痛みを伴うかもしれないが】


「……ぎんぎん…………えっと、その…………」

【まるで銀狼の体温をじっくりと感じるかの様に背に顔を埋めること数秒】
【そのままの体勢で顔だけを上げれば何かを言いかけるが、果たして何を言って良いのかが分からない】
【――――言いたい事がありすぎる時に言葉に詰まってしまうのは少女の性。きっと、銀狼ならばよく分かる事】
【ぎゅうとそのままで居て――――何を語るか、と待っていたならばやっとの事微笑を浮かべる事だろう】


「…………あの…………お久しぶり…………です…………
言いたい事とか…………聞きたいこととか…………沢山、ありますが…………
その…………怪我、大丈夫…………ですか…………?」

【少女は姉の様に強くは無い。いや、弱すぎる。怪我はしていてもこうして無事だと言うのに、うっすらと涙さえ浮かべていて】
【其れを自覚しているからこそ、もう一度背に顔を埋めて隠してしまおうとするけれど――――背の関係から、包帯で覆う傷に触れてしまうと知ればやっと離れる事だろう】
【誤魔化すかの様に潤んだ瞳のままに微笑めば、後は反応を待つのみで】
86 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 20:04:27.34 ID:095ghqFGo
>>85

(どこで打つ手を間違ったものか……初手の辺りからマズったか……?)
(……ええい、狼頭と煽られても言い返せんのが苛立ちの元よ。いっそ――)

―――ひゃう、ッ…!?……ム、き、……桔梗、かや…?
お、お主どうしてこんな山奥に……いやそれより、なんでまた……っ、…!
…………、……いや。よう来たのう桔梗、わざわざっ…一人で、か?

【体勢としては、あぐらに近い立膝の姿勢。故に――急に抱きつかれても倒れはしない】
【ただ、弱かった。いつもなら直ぐに振り向いて、大手を開いて少女を受け止めようものだが――】

【――第一に、その接近にも気付かなかった。第二に、その肌が温かくもやや痩せていたこと】
【第三が、なめらかな肌の中で違和感を強調する包帯だ。その全てからうっすらと血が滲んで】
【自然、その血臭は銀狼自身の香りに加えて、桔梗の鼻腔を擽る事になるはずで】

【銀狼自身は――言うまでもなく、全身を鈍い痛みが襲う。下手に身を捩れない様子でもあって】
【それでも可愛がった彼女と分かれば痛みなんてないものとして、薄い脂汗をかきながらも振り返り】
【背に彼女を甘えさせながら、何とか右腕で少女の頭をゆっくりと撫でてやり】

うむ……怪我は、まあ、ちとよろしくないかな……。
どうも妖かしや……所謂魔≠払う類の槍でやられたようでの、治りが遅い。

幸いなのは儂が頑丈な妖怪であったこと、そして橋姫様が居ったことよ
一時はどうなることかと、儂自身も思ったが……時間をかければ、しっかりと治るらしい。
……ほれ、そこでそうしていては寒かろうて。囲炉裏もあるしの、こちらへおいで……桔梗。

【何とか囲炉裏の方に身体を向けるまでになると、取り敢えず、あぐらの姿勢を作り】
【そこに少女が座れる程度の隙間を作って、そこに座らないか、とあやしてみる】

【彼女が泣きそうになっているのは銀狼にも直ぐ分かった】
【それだけ自分を気遣い、それだけ心細かったのだろう、と言う事――手に取るように分かってしまい】
【ならそれを原因の自分自身が癒してやるしか無い。胸を背中まで貫通する傷を負っては居たが、少女の方が大事、と見えた】
87 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 20:24:06.37 ID:IQ/IO8c6o
【路地裏】

【表通りから少し離れた、薄汚い通り道】
【当然誰もきれいにしようとはせず、そこら中にごみ袋やガラスの破片などなどが散乱したままの場所だ】
【閉鎖的で、それでいて所々にある細い道や隙間からは、何かが出てきそうな予感さえさせることだろう】

【――そんな路地を、ひとつの人影が歩いていた】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】
【大きめのショルダーバッグを肩にかけ、なぜかスケッチブック≠大事そうに抱えている】


(寒くなってきたけど……もう少しだけ、続けましょうか……)


【周囲を警戒しながら、ゆっくりと歩を進める彼女】
【時折スケッチブックを確認しては、何かを探すように目を動かしていることだろう】
【表情に少しばかり浮かぶのは怯えの色か。路地裏に来ること自体、あまり慣れていないようで】

【――傍から見れば、完全に迷子か】
88 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 20:49:54.08 ID:RdYlItGz0
>>86
【妖怪であっても獣の血は引いている。犬科と言う事もあり、その臭いに気付けない訳が無い】
【普段は争いの場から遠く、血の臭いを嗅ぎ慣れていない少女ならば尚敏感に嗅ぎ取れる筈、だが。嫌な顔を一つも浮かべず】
【――――頭を撫でられれば漸く無事であると身を以て理解し、暫くはそのまま甘えている事であろう】
【橋姫も居た故に、心細かった訳では無いが…………元より、親しい仲が少ない少女。その相手が痛々しい姿で在れば、普段の振る舞いすらも彼方にやってしまうのも無理は無い】


「周りの、妖怪さん達から…………鬼が、居ると聞いて…………確かめに、来ました…………
本当は、ぎんぎんも…………誘って、来ようとしたのですが…………でも…………会えなくて…………それで………………………」

【天鬼の勤めは銀狼も知っていよう。そして、この少女の性格も理解して居よう】
【確かめて、悪しき存在為れば討伐…………という風でも無く。ただ、本当に確かめる為に訪れただけ。もし、人食いだとしたならば――――?なんて事、少しも頭に無かったのだろう】
【本当に悪い妖怪なんて居ないから、話せば全て分かってくれる。そんなあまい考えの持ち主故に一人で向かう何て大胆な事も出来る】

【触れていた身体の変化。即ち、薄くなった肉にも気付けばやはり心配そうな表情で見上げるけれど】
【…………自分がそんな表情ばっかり浮かべて居れば、気を遣わせてしまうしかえって心配させてしまう。そう思い直せば、目尻を拭って微笑みを浮かべた事だろう】


「魔を払う…………ですか…………?破魔の類、でしょうか…………?」

【魔を払うとなれば、少女が思い浮かぶのは退魔や破魔の類。外の国の事は全く分からず、故に聖を纏った其れをも知らない】
【何にしても、銀狼を傷付けた其れは少女に取っては“悪しき存在”に近い物であろう。例え、魔を払う力を持っていたとしてもだ】
【あの日、銀狼が件の大会で優勝したと聞いた。その銀狼が強がりも無く、具合は良くないとの言葉を聞けば余程の事だとこの少女でも察する事は出来る】
【――――それでも、何時もと変わらぬ優しい態度を向けられれば嬉しいもの】


「…………ぎんぎんが、こうして…………お話出来る位、回復していて…………良かった、です
……………でも、どうして…………ぎんぎんが…………?」

【こうして話して居る銀狼は、悪い存在で無い事は接して貰っている自分が良く知っている。寧ろ、所謂善である事も十分に承知している】
【では何故、そんな妖怪が傷付けられたのか。其れが分からず、口から漏れてしまうが――――最後まで紡ぐ前に、閉じるのだろう】
【自分の考えは異端である事は自覚していた。そして、妖怪全てを敵と見なす者達が居る事も知っていた、から。だから、それ以上は紡げず】
【――――代わりに血の滲む部位を包帯の上から指先でそっと撫でてやった。癒やしの力がある訳では無いが、心持ち妖力を注ぐ其れは、少しでも早く回復して欲しいからであろう】
【尤も、そんな事で回復が早くなるならば橋姫がとっくに施している筈。だけれど、ただ見ているだけも出来なくて…………無意味、と知りながらもそんな行動】


「橋姫様…………あの、私もさっき、会って…………ぎんぎんみたいに、とても優しい人で…………
…………あ……。後で、謝らなくちゃ…………いけません…………」

【橋姫の名が出れば、ひょこりと耳が動き。継いで、折角繋いで貰っていた手を離した事も思い出すのだろう】
【優しく接して貰ったのに、悪い事をしてしまったと思えば耳も垂れ下がって――――後で、謝らねばと零し】

【誘いの言葉にコクリと小さく頷けば、其方へと歩み寄る事だろう】
【その隙間へと座り、負担を掛けない程度に寄りかかって見上げれば――――温かさと、安心感と。両方得られた事で、幼い笑みを見せた】
89 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/09(木) 21:13:54.04 ID:hKytqhRL0
【街外れ――教会】

【かつては多くの人がこの教会に来て祈っていたのだろう】
【だが今この教会はどこもかしこも壊れかけていた】
【信者を迎え入れたであろう扉は無残にも壊れている】
【外の外装は剥がれ落ちかけていて壁は穴が空けかけたり血痕が残っていたりした】

【聖堂は綺麗に並べてあっただろう椅子がむちゃくちゃに荒らされて】
【荘厳と輝いていた窓のガラスは割れているものもあれば割れてはいないがひびがあるガラスもあった】

【そのような場所でどこに座るでもなくただ中央に立ち綺麗だったステンドグラスを眺めていた】

 ふむ、やはりというべきかここは例の騒動の現場だな
 来てみる物だな

【そこにいるのは金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

【なぜ男がここにいるのかそれは男の口から出た騒動のことであろう】
【いうなれば男が言った騒動、それを調べにきたのだろう】

 しかしまあ、よく取り壊さなかったものだな
 ふふ、もしかしたら呪われるという与太話を真実ていたのかもしれんな

【古く不思議な威厳を思わせるこの教会で男は調べる】
【だがなかなか目的にしていた物が見つからずに嘆息しイスに座わってしまう】
90 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 21:25:26.32 ID:IQ/IO8c6o
>>87
/あと30分ほど募集してみます…
91 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 21:37:02.55 ID:7xe5jlqG0
>>87

【――――ふと、少女は誰かの視線を感じるかもしれない】
【砂を踏む様な足音とともに、路地裏の奥、細道の闇に紛れた人影が一つ、少女を見据えていたのだ】

――――…『夜の路地裏を一人で彷徨う、ずいぶんと危険な行為だなお嬢さん』
『どうにも、命が惜しくないと見える…殺されても文句は言えまい』

【ややハスキーで威圧的な若い男の声は、どう考えてもその場にいる彼女へ向けられたもの】
【ここは路地裏、異常者の一人や二人は日常茶飯事。影の言葉は、あまりにもリアルな意味を内包していた】

【やや脅迫めいた青年の声が、静寂に消えかかったその時に―――声の主は闇から姿を現したのだった】


――――――『ま、私も人のことは言えないんだろうけれどね』
『それはさておき、こんなところで会うなんて奇遇だね、ブライト―――元気してたかい?』

【グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカットの少女】

【先刻とは一転して、冗談めいた声を路地裏に響かせたその人は、相手からみれば見知った人間だったか】
【気づけば枯れ気味の声は、可愛らしい少女の声へ変貌を遂げていた。喉に当てた人差し指は、さながらレコード針の如く】

/絡んでよかですか
92 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 22:00:20.93 ID:IQ/IO8c6o
>>91

【――威圧的な、かすれた男性の声が響くと、少女はぴたりと足を止める】
【さっと辺りを見渡してみるけれど、声の居場所を見つけることはできなくて】
【殺されても、なんて物騒な言葉が耳に入ると、彼女はその顔を青くさせるのだろう】

【……どこかで聞いたことがあるような声だと思ったけれど、それどころではない】
【ぷつりと言葉が途切れれば、どこからくるかわからない危険に、警戒を強めて】
【無意識的に能力を発動させたならば、首に青いリングが出現するだろう】

【さあ、何が来る。何が来ても、そう簡単にはやられまいと覚悟を決め――】


……!


【たのも束の間、見知った人物を――トーカーを見た瞬間、彼女は目を丸くさせるのだろう】
【そして吸い過ぎた空気を吐きだすみたいに、深い安堵のため息をつくと、いつものようにペンを取り出して】


『もう、びっくりさせないでください。寿命が縮むかと思いました!
 ええ、元気にしてましたよ。お久しぶりです。トーカーさん。』


【スケッチブックに筆先を落とすと、またたく間に文章を書き、見せるのだろう】
【怒っているような文面、だけどその表情は久しぶりに友人の顔を見れて笑顔を浮かべているはずだ】

/もっちろんですよー!
93 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 22:07:20.07 ID:095ghqFGo
>>88

なるほど、のう……しかし、やはり橋姫殿の事は噂になっていたか
妖怪だけということならばともかく、またあのようなことにならねばよいが……

……しかしな桔梗や。もしも橋姫様が噂に違わぬ人喰いだったならどうしたのじゃ?
儂も居らぬ、人も居らぬ、それでどうとなる相手でも無いであろうに。
……心配だからこそ言うのだぞ?も少しばかり、自分を大事にだのう……。

【そう語る銀狼の表情は――言うなれば、何処か不満気な様子であった】
【自分が少女に心配をかけたのもそうだが、彼女の大胆過ぎる行動が不安だったのである】
【妖怪を襲う妖怪、というのは中々いない。それでも巫女姿となれば話も変わってくるはずで】

【それこそ、告ぐ言葉は母が娘を叱るように。それでも煮え切らないのは弱いところか】
【桔梗がようやく微笑んだのを見てしまうと、言葉は尻切れトンボになってしまい】

うむ、破魔……ともまた少し違うように思った。純粋な正≠フ力とでも言おうか
櫻には無い、教会の力よ。……お主も気をつけるのだぞ、あやつらは妖怪とは違うのだから。

……さて。次は何故、だったか?それはの、ちくと心掛りがあるからよ――。

【やがて語り出すのはある昔話。炎の獅子、水を操る巨鳥――様々な怪物の話である】
【といっても、その全ては元は心根の優しい妖怪の遠縁で。それに、橋姫もその仲間なのだ、というようなことだった】
【ところが最近になって、その伝承の者達が悉く討伐され、橋姫もまた憂き目に遭いかけた】

【だが、橋姫は討伐の理由である『生贄の要求』などする存在でないことは古い妖怪ならみな知ったこと】
【それ故、元から不審に思っていた銀狼は居ても立ってもいられず駆けつけたのだ、といって】

橋姫様は長い時を生きたからか、嫌疑をかけられても弁明するのがお嫌いでの
言えば直ぐに収まったろうものを、あろうことか5人を相手に戦っておったよ
中にはお主の姉も居った。儂はそれより先に、フレデリックという男にしてやられてしまったのだが……

……ま、そういう訳でな……ちと難しかったかや?
桔梗が気にするほどのことでもないが……取り敢えず、橋姫様には礼を言わねば、の。

【少女が橋姫に申し訳無さを覚える一方で、銀狼は話し疲れたようにふぅ、と息をつく】
【僅かにだが気持ちを表すには十分な妖力を注がれ、囲炉裏の火と――】
【そして気遣いながらも微笑みを見せる少女へと、銀狼もまたにこりと笑って見せて】
94 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/09(木) 22:18:53.66 ID:E3yYUVGeo
>>89

【歩み寄る足音の可憐な音色、単音の中に響くのは無造作な指の繕い】
【黒鍵の上に歩みを寄せる一枚、少女の華奢な姿が瞼の裏に映るよう】
【沈みゆく宵月の欠片に見せる、その横顔が扉の成れの果てに在った】


……誰か……いるの、こんな、寂しい場所に、いるの
こういう場所ね、危ないから、近寄っちゃ、ダメなの
怪我してもね、ソニア、知らないの


【ステンドグラスの骸が宵闇に映り、淡光をしとしとと降らせるのなら】
【歩み寄る少女の姿はまた、在りし日の夢幻の万華鏡を思わせるほどに】
【荘厳たるかつての聖堂を思わせる、清き横顔をそこに秘めていた】

【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯、それでいて膨らんだ大きな胸】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【銀の十字架のロザリオを首につけて、その先端は膨らんだ胸元に乗って】
【スカートの下から伸びて、ふりふりと揺れるのは猫を模したやや長めの尻尾】
【両手で握るのは大きな大きなバイオリンケース、両手を伸ばしてふらふらと揺れた】

【甘い少女の香りが、ふんわりと鼻孔を擽って、その色合いが濃くなったなら】
【貴方の直ぐ側に近づいて、声をかけるのだろう】
【清涼なソプラノの音が風に揺れて、流れ込もうとする】
95 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 22:30:47.02 ID:7xe5jlqG0
>>92

【彼女の首のリングを見たなら、少し怪訝そうな表情をしたが――すぐに無へと顔を変える】
【そのような異常者に立ち向かえる力はあるようだと、まずは一安心した様子】
【スケッチブックに目を通して、口元を緩ませる。淡い笑みはどこか満足していたように見えるだろう】

―――…『いやー、ごめんごめん。久しぶりに会ったらつい驚かせてみたくなってさ』
『何にせよ、元気にしてたなら何よりだよ…改めて久しぶり、ブライト』

【口を動かさない彼女、トーカーから流れてくる声は悪戯っぽい笑みを内包した声色だった】


――――…『ところで、こんな暗い路地裏なんかで一体何してたのさ?』
『何か理由があるならいいけれど。ほんとにさっきみたいなヤツが出てきても、どうしようもないよ?』


【やや首を傾げて、彼女に気になったことを尋ねてみる。その声はやや心配しているような雰囲気で】
【さっきはあんな感じでおちゃらけてはいたけれど、心では危険な目にあってほしくないと思っているのだろう】

【何かを探していた、ということにはまだ気づいていないらしい】

/ありがとうございます!
96 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 22:31:28.73 ID:DIAD6Jt6o
/>>84で再募集します
97 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/09(木) 22:51:17.07 ID:hKytqhRL0
>>94

【可憐な足音が聞こえると男は聞こえた方向へと振り返る】
【そこにいたのは少女であった、男は少女が来たことにも驚くこともせず】

 おや、君のような少女こそここに来るべきではないと思うよ
 まあ、怪我をしたとしても私の自業自得で済むだけの話だ

【男は苦笑しつつもそのように返した】
【少女が来るのは男にとっては予想外だ、だがあまり気にしている様子もなく】
【近ずいてくる少女に男は警戒する様子もなくただただ自然と立っている】

 そうだね、一つだけ聞こう君は何をしにここへ?
 見たところバイオリンケースがあるが塾の帰りかな?

【わざとだろうか男はそのように聞いた】
【明らかに街外れにありこのように荒廃した教会にはだれもよりつかないことをわかったうえでだ】
【どのような返答をされても男はいたずらっぽい笑みを浮かべているだろう】
98 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 22:59:18.25 ID:RdYlItGz0
>>93
「…………私が、皆さんにちゃんとお話しますから…………だから、大丈夫だと…………思います…………
…………それに、悪い妖怪さんだって…………話せば、皆分かってくれる筈ですから…………だから、危ない事だって…………平気、です
ぎんぎんの…………子供さんから貰った、お守りだって…………ありますから…………」

【人に心配こそ向けても、自分に向けられる心配事には悉く疎い。其れが守女達を心配させる要因の一つでもあり】
【噂に対して憂う必要が無い事は判明したから、自分が其れを村人達に告げてくる。…………少女はそう言って、事実約束を果たすのだろうが。其れが何処まで効力を発揮するかは未知】
【そしてもし人食いだった場合はどうする気だったのだと問われれば、如何なる妖怪も話せば分かる。――――何とも的外れな答えを返した】
【お守りと称して大切そうに掌で握ったのは、翡翠の首飾り。銀狼自身が、一番知っているであろう物】

【よく手入れをされたのであろう毛並みと、其れに等しい髪。囲炉裏の仄かな光を反射させる姿は暖かくも在り】


「教会って…………他の国の、宗教…………ですか…………?
そんな人達が…………ぎんぎんを、傷付けるなんて…………

――――――…………でも、なんでそんな事をするのでしょう…………
みんな、良い人だったのに…………殺してしまうなんて…………」

【理解が出来ない。だが、出来なくて当然。宗教が異なれば考え方だって正反対になっていても不思議では無い。何より、少女は他の宗教に対しての知恵が無い】
【在るのは戸惑いだけで、其処から先には進めない。ただ、姉を通じた知り合いが一人居るのみだったが故に、推測も出来ず】
【――――聞かせて貰う昔の話には然りと耳を傾けて、脳裏にそれぞれの登場人物を描く事だろう】
【どうにも、まだ知識の乏しい少女には難しい話。しかし、嘘で無い事位は分かるし――――橋姫の事を聞かされれば、何と無く察していたにしてもやはり驚くのだろう】
【…………其処で傷を負わされたと聞いて、確信する。元より橋姫は悪い妖怪で無い事は解していたが、銀狼が守ろうとした事を聞けばその考えは明確な物となる】


「橋姫様も…………言っていましたが…………やっぱり、お姉ちゃんも…………居たのですね…………
でも、他の四人の方は…………?
あ、その…………橋姫様の、腕が一つ無いのは…………その時に…………?」

【探していた姉が、同じ櫻の国に居たと聞けばどうにも歯痒い思いをする】
【隣国でも無く、本当に同じ国に居たのだ。――――それでも文の一つも寄越さず姿を眩ませてしまったのだから、今となってはどうしようも無い】
【そんな事よりも、気になったのは橋姫の腕が一本無かった事。本人に聞くのは、憚られる。だが、銀狼にならば緊張する事も無く聞けて】

【元より一本だけの腕なのか、其れとも戦いの最中に失ってしまったのか。もしも姉が原因の一因だとしたら――――?そんな不安も過ぎったが故に、問うたのだろう】
【座高の差。丁度少女の耳の先端が、銀狼の頬等を擽る程度】
【恐る恐る辺りを見回して、本人に聞かれていないか確かめた上での発言であったが――――】
99 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 22:59:55.10 ID:IQ/IO8c6o
>>95

【段々と落ちついてきたのか、首の青い光の(書き忘れ)リングも薄れてゆく】
【そういえば、トーカーはまだ彼女の能力を知らなかったはずだ】
【でも、逃げるのではなく対処しようとしていたところを見る限り、ある程度戦闘はできるのだろう】

【からかうようなトーカーの言葉に、彼女は頬を膨らましてみせる】
【もちろん冗談だ。それに、彼女の顔立ちではそんなに迫力はないはずで】
【ともかくそれもすぐに止めると、お互い何ともなく再会できたことを喜ぶのだろう】


『それは……この子を探しにです。』


【書き終わると、すぐには見せず別のページに何かを書きこんで、それから最初に書いた文章を見せるだろう】
【それだけを読んでも、何を探しているのか全くわからないはずだ――しかし】
【読み終わるであろうタイミングで開かれた次のページには、とある張り紙が張られてあった】
【内容は、というと――】


【 探しています

   我が家で飼っている猫を探しています。
   ライガーという名前で、首輪にも書いてあります。
   ○○通りの路地裏付近で目撃されているので、見かけたら下記の連絡先までご一報ください。
   写真はないですが、ライガーは見ればすぐにわかると思います。

                                            ○○○-××××-□□□□  】


【――写真がないのにどう探すのか疑問ではあるが、とにかく行方不明の猫を探しているらしい】
【張り紙の横には、まだ文章があることだろう】


『ですが、全然見つからないのでそろそろ帰ろうかと思っていたところです。』


【そう簡単に迷い猫が見つかるはずもなく、難儀していたようだった】
100 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/09(木) 23:04:07.02 ID:E3yYUVGeo
>>97

【プラチナブロンドの前髪が透く、その奥の小さな表情がむぅと僅かに曇った】
【ところどころ穴の空いた聖堂の天井、月灯が照らすその柔らかな頬の形】
【少女扱いされるということはあまり気分の良いものじゃなくて、向けるマリンブルーがじとーっと濡れて】


……あるの、思い出……教会にはね、ソニア、思い出あるの
だから、ふらーっとね、来ちゃったの――――――
おにーさんもね、ふらふら、してる人?


【貴方と並んだならば、腕の辺りにあるであろう頭、それでも紡ぐ言の葉は一片一片確かめるように】
【指先で何度も、その輪郭をなぞって、そして漸く形になるぐらい】
【慣れてないのだろう、と感じるには十分なほど、イントネーションはまた、異国の雰囲気で】

【見上げる横顔、プラチナブロンドの包み込むのは新雪の如き柔な色合いの頬】
【大きなマリンブルーが長い睫毛に靡いて、美しい黒のラインが五月雨のように乱れる】
【握ったなら潰れてしまいそうな華奢な肩幅をそっと寄せて、しばらくステンドグラスの成れの果てを見ていた】


それにね、ソニアは……町の人、護る仕事、してるの
だからね、怪我とかも、よぼーしなきゃ、いけないの
危ないことしてるの、止めるのもね、ソニアががんばること、なの


【右の手が揺れた、バイオリンケースを左手で握ったまま、貴方の白衣の袖を掴もうとする】
【視線を傾けたなら、そちらを見上げる少女の小さな表情があるのだろう】
【どこか誇らしげなその表情、艶やかな目尻がじわりと頬に溶けるように蕩ける】

【視線をまた揺らしたなら見えるであろう、貴方の袖を握る彼女の掌】
【まるで小さな硝子細工の如く、繊細でありながら、また脆そうな指先】
【純白の指先がそっと白衣に溶けるように寄り添って】
101 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 23:25:04.64 ID:7xe5jlqG0
>>99

【ブライトの脹れっ面に思わず、笑みがこぼれた。先ほどのような淡い笑みでなく、自然な笑顔】
【はっ、としてトーカーは顔を元に戻し―――能力まで使って、咳払いして誤魔化した】

【スケッチブックを見ればその一文。一体何を、と聞こうか迷ったところでページが捲られた】
【目に飛び込んできたのはその張り紙で、トーカーは最初の二文を読んで大体の事情を把握する】

――――――…『なるほど、猫探し…見たら分かるって、どんな色モノの猫なのやら…ライガーちゃんねぇ』
『わざわざ探しに来る君も、何というか優しいというか…お人好し、というべきか』

【張り紙の情報不足にやや呆れ気味ではあったが、まじまじと食い入るように張り紙を見つめていた】
【個人的にはライガーという名前の響きに興味を持っていたりした。猫の名前にしてはかっこいいな、とか】
【読み終わればその張り紙の横にある彼女の一文を見つめて何かを考えていたのだが―――やがて、言葉を発する】

―――『そうだ。もしよければさ、私も手伝いたいんだけれど…どうかな?』
『一人より二人のが都合いいだろうし…飼い猫が居なくなるのって割と寂しいと思うし』

【数が多ければ、効率もいいかもしれない。少なくとも見つけやすいだろう、という彼女の案】
【二つ目は要するに、彼女自身の感情論。飼い主の心情を察して、寂しがりな彼女はそう思ったのだ】
【さっきまでブライトのことをお人好しとか言っていたが、彼女も相当なものかもしれない】
102 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/09(木) 23:39:50.97 ID:095ghqFGo
>>98

ふぅ、む……そのお守りのことを言われるとなんとも言い返せんなぁ……。

(……本当は、もう少し厳しく言っておきたくもあるのだが……)
(下手に言っても、桔梗の優しさという長所を潰してしまうだけ、だろうしの)
(仕方のない奴だのう、まったく……今後も無事であるのを祈るだけか――。)

【少女の言葉への返事もそこそこに、下手な説教はすまい、と話を終えて】
【囲炉裏の小さな火の輝きを反射して眼に入るのは、やはり翡翠の首飾り】
【その力の程を知る銀狼ではなかったが――せめてもと気持ちを込めるように】
【首飾りを握った少女の掌に、自分のそれも重ねて少しばかりの妖力を送る】

【――或いは、その行為は桔梗には怒られてしまうかもしれないが】
【銀狼からすれば大事な子を思うような物。嗜められても、ニヤリと笑うだけだろう】

そうなる。櫻の宗教は寛容だが、向こうはまた違う……特にあの男は。
だが宗教に厳格で、だからこそ妖怪を殺す――というよりも、何か別の目的があったのじゃないかと思う
そもそも、橋姫様を討伐するなんて話が持ち上がった時点で些か怪しいし、な……

……腕か。あれは確かにその戦いの時のものだが、お前の姉ではないよ
もう一人巫女が居たのだ。学生服を着ていたが、素養は相当なものだったな

生憎と朦朧としていたからか名前は聞き逃してしまったが……会ったら、よろしく言っておいてくれよ
橋姫殿も腕の一つや2つ、気にし続けるほど小さな方ではない。
それに、あの方には百鬼夜行がついている。腕が無くとも、本気を出せばきっと儂らも一捻りに出来るくらいには――

【『強い』のだと。そう締めくくって、狐の耳がくすぐったいのか、小さく笑った】

【話を進めていくとわかるが――どうも歳を経た妖怪。例えば銀狼は序の口だが】
【先の崋山天狗にせよ、橋姫にせよ、自分たちの存在が危ういはずなのに――些か、軽いというか】
【何か余裕のようなものがあった。それこそ人知の及ばぬ存在のあるべき姿、なのかも知れないが】

【それを思ってか意図せずか、銀狼は『あまり気にしすぎるのも良くないぞ』なんて付け足して】

……さて桔梗や、これからどうしようか。この山奥だが、帰れるか?
なんであれば橋姫様に頼んで、風呂なり飯なり用意してもらっても良いし……
儂でよければ、話しくらいには付き合ってやれるが。……ほれほれ、早く選ぶちや

【一段落ついたと見ればそんな事を訪ねつつ、茶化すように耳を擽る】
【銀狼も同じ器官を持っているからこそ分かるが、耳は敏感なところだ】
【何時迄も擽らせておく訳にも行かないが―――さて。どれを選んでも、それはそれで、という様子だった】
103 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/09(木) 23:59:41.31 ID:IQ/IO8c6o
>>101

【トーカーの言葉に、彼女は苦笑して見せるのだろう】
【こんなよくわからない張り紙を真に受けて、単身路地裏を捜索するなんて】
【一般人からすれば正気を疑われるに違いない。トーカーの反応も全うなものなのだろう】

【次の言葉を紡ごうとスケッチブックに向かおうとすると、トーカーが口を開いた】
【その魅力的な提案を聞いて、ブライトは喜色をいっぱいに浮かべるのだろう】


『いいのですか!? ではお願いします!
 見ればわかると書いてあるので、散歩しながらでお願いしますねっ。』


【さっきも言った/書いた通り、正直なところそろそろ帰ろうかと思っていた】
【しかしトーカーがそう言ってくれるのなら、続けない訳にはいかない】
【これからますます危険な時間帯になるだろうけれど――】
【過去に何度か、彼女の魔法を目の当たりにしていることだし大丈夫だろうと思い、甘えることにしたのだった】

【散歩しながら、と言った理由は本格的に捜索させるのは悪いな、と思ったのと――】
【探すのを二の次にして、トーカーと話をしたかったから、だったりする】


『こっちはもう見て回ったので、ここを真っ直ぐ歩きながら探しましょうか。』


【スケッチブックをくるりと回して、文字を示す】
【トーカーが目を通したならば、彼女は歩きだそうとするだろうか】
104 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/09(木) 23:59:58.90 ID:hKytqhRL0
>>100

【わずかに曇った少女の表情を見て男はクスッと静かに笑う】
【子供っぽいとそのように思いマリンブルーの瞳がぬれていることにきずき悪いことをしてしまったなとも思う】
【そのため頭をなでようとして腕を動かすがやめた、それも子ども扱いになると思ったからだ】

 思い出か……その思い出が言いか悪いかはわからぬが思い出があるのならば仕方がないな
 私か、そうだな研究にいきずまったときとかはふらふらとしているな、まあ今回は目的があってきたのだが

【確かめるように聞いてくる少女――ソニアにそのように答える】
【かわいらしいとそのような感想を男は胸のうちに隠して】
【まだ慣れていないなと男はソニアに対してそのように感じた】

【そっと寄せてきたソニアに対して男は拒否しなかった】

 人を守る仕事かそれならば自警団かUNITED TRIGGERかSCARLETかな
 君はそのどれかに所属しているのだろうな

【白衣の袖を掴もうとするソニアの動きを男は何もせずに白衣にソニアの右手で掴まれる】
【そして視線を傾ければそこにはどこか誇らしげな表情を見てまた静かに笑みを作った】

【そして視線を移せばソニアの繊細で脆そうな指先】
【がんばっているとその指先を見て思った】
105 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/10(金) 00:10:56.73 ID:kn1I/W3Po
>>104

【静かに微笑む男の横顔、不思議な雰囲気の男性だと彼女は心の中で感じる】
【白衣が乱れたなら、その奥のスーツが誠実そうなイメージを伝えて】
【傾く言葉が流れ込む、響きだけが小さく反芻していた】


……研究ってことはね、何か作ってる人、なの……?
ソニア知ってるの、白衣はね、お医者さんとか、何か作る人とかが、着るの

……でもね、こういう場所、そういうね、けんきゅーとかにね、使うもの、無いと、思うの


【首を傾げる少女の様子、見つめる瞳が不思議そうにまあるくなったなら、細い眉がくすむ】
【白雪が如く無垢な頬は体温を感じさせない冷たさで、でもその奥に静かな感情が燻っていて】
【ソプラノを奏でる細い首筋、頭から肩へと続くラインは、絹糸のように滑らかに】

【ブラウスに包まれた姫袖、零れ落ちる指先は、沿うように白衣に触れたまま】
【手の感触は、降り積もった深雪に落とした爪先の如く、ふわりとした雲みたいに】
【貴方の温もりを真っ直ぐに映すかのよう、彼女の素肌はとても冷たくて】


うん、UNITED TRIGGER――――――それが、ソニアの、居場所、なの
おにーさんもね、どこか、所属してるとこ、あるの?
けんきゅーする人だったらね、一人じゃできないと、思うの


【少動物のように純粋な視線を向けたなら、一端視線を逸らして、丸くする】
【ふわぁと零れたあくび、むにゃむにゃと口元を動かす様子は、おねむな少女そのもので】
【足元がふらーっとなって、貴方にそっと寄り添うようになって、慌てて元通り立ち直すだろう】
106 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 00:21:12.31 ID:0c9/4ZuB0
>>102
【握っていた手に重ねられるもう一つの手。少し驚いた様子を見せるも、拒む事は無い】
【無論、妖力を流し込んだ時も同じ事。――――元は、銀狼の子が拾ってきた其れなのだ。拒む理由なんて存在する筈も無く】
【普段少女が身に付け、溜めている妖力と今銀狼によって新たに加えられた妖力と。同じ其れで合っても、厳密には性質が異なる】
【――――どの様な意味合いを持つようになるのかは分からないけれど。少なくとも、少女にとっては一層耀きの増す宝物となった事に違いは無い】


「でも、そうですよね…………櫻の国でのお話なら、まだ分かりますが…………何で、他の国の…………それも、別な宗教の方が…………?

学生服の…………巫女、ですか…………?
…………何時か、会った時に…………お話を、聞いてみます…………」

【その場に居た姉に聞けば、或いは話す事が出来れば推測も聞けたのか。或いは姉の知人とやらに少女が口伝出来れば、その者が考える為の材料に成り得るか】
【――――今はまだ、それ以上は進まぬ話。だが、巡れば何者かの役に立つ事は間違い無い】
【何処ぞに居る姉か、修道女か…………或いは、また別な者か】

【そして腕を取った者が自分の姉と異なると聞けば、若干安心した様子も見せるが――――橋姫の腕が無くなっている事は事実】
【喜ぶことは出来ない。だが、銀狼の最後の言葉もあってか、そして先程接した橋姫本人の事も思い出してか、憂うことはせず】
【自分はまだ十七。その見た目と違わない――――否、其れよりも幾らか幼い印象を与えている事が多い】
【分からない事も多々あるし、長年生きている妖怪の事ならば一層――――そんな思考に沈んでいれば、不意に感じた耳のくすぐったさにビクリと身体を跳ねさせて】


「ひゃっ…………?!ぎんぎん、耳、は…………!駄目、です…………!」

【殊更擽りには弱い。問い掛けを聞いて居ても、反応できないほどに笑っていて】
【別な意味で涙を流せば、柔らかな身を捩って逃げだそうとするのだろう。ただ、それでは銀狼の傷に響くと思い出せば細い手を伸ばして――――】
【やっとの思いで掴んで止めさせる事だろう】
【乱れた呼吸と巫女装束とを正し、膨れっ面で見る事数秒。ゴシゴシと目を拭いて、上気した顔も元に戻れば深呼吸を一つ】


「耳は、触っちゃ…………嫌、です。意地悪なぎんぎんは…………嫌いです…………」

【嫌いだと言いながらも未だ膝の上から離れられぬ子供】
【それでもまだ怒っている事を伝えるために膨れっ面のまま、背を銀狼の前面に預けたならば迷う様な素振りを見せて】
【折角だ。一晩ぐらいならば良いであろう。ただ、その一晩であっても守女達に迷惑を掛けてしまう事になる】
【――――悩んで、悩んで。口を開き、出した答えは】


「今日だけ…………一緒に、お泊まりします…………ぎんぎんと、もっとお話したいですし…………橋姫様とも、まだ少ししかお話していませんから…………
守女達には、迷惑を掛けてしまいますが…………でも、今日だけ…………」

【珍しく、自分の気持ちを優先させる事】
【子供とは実に表情がコロコロと変わるもの。膨れっ面を見せていたかと思えば、今度は恥ずかしそうに笑いながら応えたのだ】
【耳は嫌だと言いながらも、掴んでいた手は自分の頭の上に乗せて】
【――――自分から橋姫に言うのは、何と無く気が退けてしまう。だから、出来るならば一緒に頼んで欲しいとの旨も伝える事だろう】
107 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 00:29:54.52 ID:bAaiz3410
>>103

【喜びの表情に、また淡いほほ笑みで返して】

――――『勿論…久しぶりに会ったんだしね、このくらいなら手伝うよ』
『それに、ブライトは私の、と―――――ん、いや、何でも、ない』

【何ともお姉さんぶって、かっこつけたようなセリフを言って見せるが、上手く決まることなく】
【本当は、「友達だから」と続けたかったのだが―――どうにも彼女は恥ずかしそうに、言葉を遮る】
【どうにもトーカーという人間は、『喋り屋』なんて名を持ちながらも、感情を露骨に表現するのが苦手なようだった】

【ともかく、嬉しそうな字面と反応を見て微笑ましく思った。散歩しながらの案に了承の意を示すように、トーカーは軽く頷く】
【こちらも、久しぶりに会話したかった所があるため、トーカーにとっては丁度良かったのだろう】

『りょーかいっ―――それじゃあ、いこっか』

【左手の指を喉に当て、余った右手で敬礼のポーズ。歩きだす彼女に合わせて、こちらも歩を進めることだろう】

――――…『そういえば、あの時の絵って完成したのかな』

【ふと切りだした言葉は、以前から彼女が気になっていたことで】
【遺跡の近くで再会した時に、描いていた絵のことだろう。それと同時に、トーカーは遺跡の出来事を思い出す】

【―――――思えばかつての遺跡に閉じ込められた時も油断していた、トーカーはそう思考する】
【それらの経験が彼女を奮い立てるのか、ブライトに危険が及ぶことのないよう、猫を探しつつ周りを見回していた】
【気付けばブライトの横には、妙に緊張感を持って周囲の確認をする彼女が居ることだろう―――やや落ち着きがない、とも見える】
108 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/10(金) 00:36:23.47 ID:o9IgnI0p0
>>105

【白衣が乱れる、男はその乱れを静かに早く直した】
【スーツが見えたとしてもある部分を見られなければあまり気にはしない】
【その部分が見られたのなら男とソニアはそこで敵対するかもしれないなぜならそれはカノッサ機関の逆五芒星だから】

 何か作っているのは当たっているね私は研究者だからね
 ふふ、たしかにここには使うものがないように見えるねけれどあるのさ、過去に破棄された魔道書がさ

【少女の疑問に軽くそのように答えた】
【過去に破棄された魔道書それがあったという情報を手に入れてやってきた】
【だが趣味できたのもあるであろう見つかろうと見つからまいと男は関係なく】

【不思議そうに見つめてくるソニアに男は静かに見て】
【そして白衣にふれたソニアの素肌は冷たいだが男はその冷たさを何もないかのように耐えて】

 そうか、UNITED TRIGGER所属しているのか
 そして居場所かいい仲間がいるのかななればその仲間を大切にするといい
 確かに所属していなければ研究はろくに進まんさ、私の所属はとある研究機関さ

【そのように答えたときにあくびがでたあとに口元を動かす様子は確かに少女に見えた】
【そしてふらっと体制を崩しかけてソニアを男は支える】
【静かなだが珍しいものを見れたとそのような意味合いもこめて微笑んでいた】
【そしてその微笑のまま「少女だね」とそのように言葉を作る】
109 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/10(金) 00:47:25.75 ID:kn1I/W3Po
>>108

【視界に映らないその逆五芒星は、貴方の正体を知るにはまだ早いと言われたみたいに】
【魔導書、との言葉に彼女はもう一度首を傾げる、彼女の本質はそういうところではなくて】
【よくわからないの、って言いたげな瞳を、貴方に向けるのだろう】


うん、大切にするの、ソニアね、UNITED TRIGGERの皆がね、大好きなの
だからね、おにーさんも、おにーさんの居場所をね、大切にしたら良いと、思うの
お帰りって言ってくれる人がね、居たら、とっても――――――嬉しいの


【頬の色が綻んだ、指先ですぅと微笑みを作ったかのように】
【白雪の笑みは少女の可憐な頬を染め上げて、歪む軽やかな漣を映す】
【浮かんだ微笑みの形、向ける先にいる貴方へと届けば良いから】

【そうして彼女はそろそろ帰ると言いたげに、ごしごしと目元をこすって】
【両手でバイオリンケースを握ったなら、一歩後ろに下がるのだろう】
【歩き出したならくるりと振り返って貴方へと視線を向ける】


ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフ、それがね、ソニアのお名前なの
バイバイ、おにーさん、またどこかで、あおーね


【ばいばいって手を振ったなら、そしてそのまま帰っていくように】
【ゆっくりとした歩みがずっと続けば良いって思うぐらいに――――――】
【静かな夜更けが明け星までずっと、伸びていった】


/この辺りでしょうか!お疲れ様でしたー!
110 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/10(金) 01:00:01.43 ID:o9IgnI0p0
>>109

 そうか、ではなソニア敵として会わないことを祈っているよ

【男はソニアが去ってゆく後ろからそのように言った】
【敵として会うのではなく今度もまたこのように会えればいいとそう思い】

 結局私の正体はばれずに済んだか
 ……これがよかったのか悪かったのかはだれにもわからぬか

【だれに言うわけでもなくただ一人そのようにつぶやく】
【そして男は自分に近ずいてくる存在を察知した】
【歩いてきた存在は和風甲冑を来て顔に顔に面頬をつけている】

 どうだ、見つかったかな花嵐
『いえ、探しましたが見つかりませんでした』
 そうか、ではこんどは深く探してみよう
『御意に』

【そして二人もここから自分達の場所へと帰っていった】
111 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/10(金) 01:00:54.79 ID:o9IgnI0p0
>>109>>110

/お疲れ様でした
112 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 01:02:33.31 ID:BbMPkD/io
>>106

何故櫻にまで来たのかはわからん。聞いたところによれば
以前に炎の獅子を倒した功績を買われて領主に呼ばれたということだったが……
……それでも奴は異常だった。儂の爪も、全く効いた様子が無かったしのう

ま、辛気臭い話はこの辺りにしておこうか。
折角桔梗と会えたというのに、血なまぐさい話ばかりでは勿体無いからのう?

【丁度話しの転換と耳を擽るのは同じようなタイミングだっただろうか】
【銀狼は元よりいたずら好きの狼だ。歳が少女と80以上離れていようが――】

【時として、おとなしい彼女よりも子供っぽいこともある。が、意地にならないのがいいところ】
【細くも温かい手ではっしと自分の手を掴まれてしまえば、それで意地悪も終わり】
【何より、少女が自分を気遣ってこうしたのだと直ぐに分かったから、尚更潔く】

フフッ、許せゆるせ。たまにはこうして遊ばぬと息苦しくて適わぬでな

――さ、そうと決まれば早速橋姫様にご挨拶に行こうではないか!
何、当人が居なくとも屋敷は好きにせえというような奇特なお姫様だからの
先の礼と、泊まらせてもらうというのと、ちゃんと伝えればそれで良いだろうて。

【やがて少女が悩んだ末に『泊まる』と決めれば、銀狼はゆっくりと立ち上がり】
【その時には桔梗も一緒に立つような具合に持ち上げて、共に行こうかと声をかける】

【――後は、然程困ったこともない。橋姫は奥の部屋で機織り機の前に座っていて】
【何かと伝えれば良いようにと言い、衣食住の全ての世話も様々な妖怪がしてくれることとなり】
【立派な露天風呂やら、そこから見える星空やら――或いは、山の幸にも与れるし】

【いざ眠るとなった時も、温かく高級な布団が待ち構えているといった歓待ぶりである】
【成程たしかに、これであれば妖怪に好かれるはずである。私欲がない、というのが橋姫の性格なのだろう】
【ともかく―――簡潔に一日をまとめるならこのような具合で。翌日ともなれば、銀狼も俄に元気を取り戻し】

【恐らくは朝、屋敷を出てある程度のところまでは一緒に歩いて行くことになるだろうか】
【そこから先はまさしく『一寸先は闇』だが――別れ際、少なくとも銀狼の表情は日差しのように明るかった】

/っと、時間の方もありますのでやや強引ですがこの辺りでっ!
/夜中から中断挟んでの丸一日、ありがとうございましたー!
113 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 01:07:05.13 ID:VNunGLXvo
>>107

【言葉を飲み込んでしまうトーカーに、彼女はなぜか笑顔を返す】
【と≠ワでわかれば――いや、わからなくとも、彼女もトーカーを友達と認識しているから】


【――夜の路地裏を行く二人】
【路地裏が汚いことを除けば、これといって変わったものもない】
【ただ、やはりこういう場所は何が来るか起こるか予測できない】
【隣に頼れる人がいるからと油断はできないが……】


『ええ、完成しましたよ。一枚はもうクイントさんという人のところに送ってしまいましたけれど
 遺跡が発動した時の絵は、お家に飾ってあります!』


【文字を書いている時は、警戒も何もあったものではない】
【そして書き終わると、ブライトはスケッチブックを手渡そうとするだろう】
【そうでないと読み難いのは彼女はよくわかっていたから】

【完成させた絵は自宅に飾ってあるらしい】
【文章には『もし家に来てくださればお見せしますよ』なんて続けられていて】
【読み終えたならばブライトはスケッチブックを受け取ろうとはせず、捲るようジェスチャーで伝えようとする】


『あの時は、本当にありがとうございました。
 トーカーさんは、しばらく見ない間何をされていたのですか?
 私は喫茶店のアルバイトとか、貯めたお金で、旅行してみたりとかしてましたけど……。』


【漠然とした、あたりさわりのない質問。そういえば、トーカーさんのこと、あんまり知らないななんて思考して】
【彼女たちの年齢で言えば学校に通っているのが普通か。それが出てこず、旅行しているあたり――】
【彼女もあまり、普通とは、言えない】

【だけど、トーカーは学校に通っているかもしれない】
【そうなら学校の話も聞けるし、そうでないならトーカーの生態(?)を知れるかな、なんて思ったのだろう】
114 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 01:41:30.96 ID:0c9/4ZuB0
>>112
【むう、と何処か納得のいかない拗ねた様子を見せては居たが。所詮其れも表面だけの事】
【其れが顕著に表れたのは、いざ挨拶に向かう時。危険が無い事は十分分かっては居るが、側に頼れる存在が居るならば縋ってしまうのが少女の性】
【橋姫の前に立てば怖ず怖ずとしながらも先の非礼を改めて述べ、後は銀狼の手を握ってその背に隠れる様にしていた事だろう】
【それだって非礼を増やすことになるのだが――――少女の性格ではどうにも出来ず】


【其処から先は久しぶりに楽しい一夜を過ごしていた事だろう。本家では結界を張っているのが常である】
【妖怪だって、人間と同じ様に一つ一つ性格が異なるのだから新たな交流ともなる】
【――――尤も、少女一人ではまともな会話を期待出来そうにも無かったが】
【妖怪であり巫女であれば良くも悪くも目立つかもしれないけれど、やはり本人は鈍いまま】


【翌朝を迎え、共に途中まで歩き。別れの時となれば最後にもう一度頭を撫でて欲しいと強請って】
【――――先の事なんて読めないし、分からないから。「身体に気を付けて、お元気で」微笑みながらそんな事を述べれば、後はそれぞれの道へと行くのだろう】


【其れから暫くした後の事。詰まりは、少女が無事に本家へと帰る事が出来た時の事】
【客が居ると聞いてその場に向かえば、この地には相応しくない姿――――要は、ゆるりと笑みを浮かべた修道女が其処に居た】


『――――や。ちょっと、ちゆりに用があって来たんだけどそう言えば此処には居ないんだったね
まあ……此処に寄る事自体久しぶりだし、偶には妹ちゃんとお話でもしておかなきゃ…………って、何そんなにビックリしてんのさ
…………はあ。確かにボクも教会の――――まっ、話したい事があるなら聞くよ。どうせボクも暇だし』

【教会に属する一人。教会と言えども、櫻の国の宗教の様に様々な宗派があるが――――少なくとも、聞きたい事は聞ける程度には通じているであろう】
【腰に提げた銀の双銃が何とも宗教家らしからぬ姿にも見えるけれど】
【銀狼を見舞うつもりが、甘えさせて貰って。そして、翌日には別な宗教に属する者に話を聞いて――――少女にとっては、とても充実した日であった】
【――――…………また、件の修道女にとっても新たな情報を得た一日となろう】


/了解しましたでありますっ!
/お疲れ様でした!こちらこそ、お相手して頂き有り難う御座いましたですよー!
115 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 01:42:19.08 ID:bAaiz3410
>>113

【笑顔を見た瞬間、少しだけ目を伏せて―――頬を少しだけ赤く染めた。言葉を悟られたことが恥ずかしかったのか】
【反面、友達であると認めているようなその笑顔を向けられたなら、嬉しくもあって】

【顔の熱を冷ましつつ、スケッチブックを受け取って、そのページの文章を読む】
【その途端、彼女の顔に嬉しそうな雰囲気が宿った。といってもやっぱり、淡い変化なのだが】

――――…『そう、完成したんだ。おめでとう!』
『そうか、嬉しいな。君の絵は私、好きだから…今度、時間が出来たらその時は寄らせてもらうよ』

【スケッチブックから目を離し、ブライトに視線を向けてそんな祝福らしき言葉をかける】
【遺跡の光、あの美しい景色がまた見れると言われれば無論見たくなる。それも好きな彼女の絵だ】
【お言葉に甘えて、あの時の絵を見に行くことを約束するのだろう】

【ジェスチャーに従い、スケッチブックを捲った。次のページの文章に気がついて】
【照れ臭そうな声色で「どういたしまして」とだけ伝えて、続きを読んでいくだろう】

―――…『私は、仕事をしていたかな。なんでも屋さん、みたいなところで今は働いてる』
『それ以外には…一度だけ、櫻の国に行ってみたりもしたよ、お茶菓子が美味しかったなぁ…お団子とか』

【仕事の内容については、自分のことであるはずなのに、そんなふわふわとした答えが返ってきた】
【とどのつまり彼女は学校には通っていないようだ。そのことも相まって、なんとも怪しい生態に見えるか】
【櫻の国にも仕事の一環で一度訪れたのだが、その中で印象に残ったのは食のことらしかった】

―――『君は、学校には行ってないの?私は、行ってないんだけれど…』

【そう、気になったことを尋ねてみる。あわよくばブライトのことも知りたい、と思ったのだろう】
【言葉と同時、スケッチブックをブライトへ差し出す】
116 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 02:16:20.79 ID:VNunGLXvo
>>115

【自分の絵が好きだと言われると、ブライトはひとしきり照れるのだろう】
【褒められるのは未だに慣れないし、そもそも趣味で描いているものだ】
【普段はあまり見せないが、あの絵だけは別だった。あの一時の冒険はいつまでも大事な思い出として残るのだろう】

【ぜひ寄っていってください、と言わんばかりに首を振れば、次の話題へ】


【そういえば、自己紹介をするとき、いくつかの候補から呼び方を選んだなと思い出す】
【確か『喋り屋』だったろうか。それと何でも屋は同じ――では、なさそうだ】
【いや、どちらもどんなことをしているのか、彼女には想像できない】

【この間、数秒。顎に手をあてて考え込むブライト】
【やがて猫を探すのもそっちのけで、目を閉じてそれらについて想像し始める】
【スケッチブックが返ってくると、それを受け取って、ペンを持つのだろう】


『なんでも屋さん、ですか……。どんなことをするのか、想像もできません。
 櫻の国には私もこの間お参りに行きましたよ! お団子もおまんじゅうも食べました!

 学校は、中学生までは通っていたんですけど、行けなくなってしまって……。
 今はさっき言った喫茶店のアルバイトをしています。
 トーカーさんは、その、なんでも屋さんをするために行かなかったのですか?』


【次にスケッチブックを渡した時、トーカーは文章だから一気に話せることをいいことに】
【話題が詰め込み放題となった文章を見ることだろう。……これでも彼女なりに抑えた方だったりする】

【学校には行けなくなった≠轤オかった。だから働いてお金を稼ぐほかない、ということだろうか】
【しかし、彼女のことはここまでで。あとは矢印をくるりと返したみたいに、トーカーの話へと移ろうとするのだろう】
117 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 02:49:38.42 ID:bAaiz3410
>>116

【家へと行く約束に、少し(しかない)胸を弾ませて。人の家に行くというのは正直、初めてだったから】
【うきうきとした気持でまたスケッチブックを受け取って、文章を読んでいく】

【最初の文を読み、少し考えてから】

―――…『本当に何でもだよ、依頼が来たら何でも。この前は魔術を教えてくれ、だとか言われたな』
『ってか櫻の国行ってたんだ…!美味しいよねぇ、お団子とか…桜餅とかもっ』

【キナ臭い仕事内容ではあるが、全容までは分からない。彼女含め、掴みどころがない】
【彼女が挙げた仕事の例だけ聞けば、人の為に何でもしてくれる仕事のように聞こえるかもしれないが】
【櫻の国に行っていたことを知れば、そんな風に話が傾くことだろう】

【そしてまた読み進めていくと、学校の話題。そこには何か隠されたものがありそうだと感じて】

―――――…『そう、行けなくなった、か』
『じゃあさ、どこの喫茶店でバイトしてるの?良かったら、遊びに行くからさ!』

―――…『なんというか、行く必要が無くなったとでも言うべきかな』
『それと、昔世話になった人が居て…その人に尽くすためにまずは働かなくちゃ、と思ってね』
『なりふり構ってらんなかったから、とりあえずそのなんでも屋さんに入って、今に至る感じで』

【それ以上はあまり、聞かない方がいいかと思ったらしく、こちらも話を変えて】
【しかし、変えた矛先が矛先だった。家に行く約束に合わせて、喫茶店にまで上がりこむつもりか】
【声には冗談めいた笑みが含まれていて、】

【行く必要が無くなった、とのこと。その言葉の先にはどういった事情があるのかは分からない】
【だが、学校に対しての未練は、彼女の言葉には感じないだろう】
【あとはなんでも屋さんに就いた成り行きを話す。ようは、金が効率的に欲しかったらしい】
118 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 03:26:17.86 ID:VNunGLXvo
>>117

【意外と外にいることが多いブライト。誰かを家に上げることなんてなかったなぁと思いつつ】
【呼ぶならば部屋をきれいにしておかないと、なんて、帰ってからすべきことを決めて】

【何でも、ということは何を依頼されるかわからない、ことの裏返しでもある】
【その都度柔軟に対処していかなければいけないのは容易に想像できた】
【もっと今までに受けた依頼とか、報酬はどう決めるのかとか、訊いてみたかったけれど】
【――それで読みにくくなってはいけない。スケッチブックは狭いのだから】

【その後、櫻の国の食べ物についても、楽しそうに相槌を打ち】
【そして行けなくなった≠ニ繰り返されると――神妙にブライトは頷くのだろう】
【表情は笑顔を浮かべていたが、その時ばかりは少し目を伏せて】

【――だが、次に遊びに行く≠ニ聞くと、晴れたように顔が明るくなることだろう】


『もちろん遊びに来てください! マスターも喜ぶと思います!
 場所はここから少し遠いですけど、また今度遊ぶ時にでも教えますねっ。

 そうなんですか。……確かトーカーさんは魔術を使っていたから、その師匠だったりするんでしょうか。』


【簡単に言っているように聞こえるけれど、学校生活を捨てる覚悟がなければできないことだ】
【それほどまでに大切で、長い間一緒にいたいと思える人―― 一体、どんな人物なのだろうか】
【とりあえずここまで書いて、そしてスケッチブックを渡そうとするだろう】


【――どれくらい歩いたのだろうか。それらしき猫も見つからず、ブライトもすっかりと目的を忘れた様子だった】
【しかし、ふいに廃屋のひとつからガタン!≠ニ何かが暴れる音が聞こえてくるだろう】
【すっかり油断していた彼女は飛び上がるように驚くはずだ】

【音がしたほうには、扉が。偶然か、それとも――】
119 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 03:54:31.28 ID:bAaiz3410
>>118

【ブライトの明るい顔を見たならば、良かった、という風に息を少しはいて】
【スケッチブックを受け取って、またそこに書かれた文章を黙読していく】

――――…『うん、ありがとう。マスターさんにもよろしくしなきゃだね』

【許可が取れたなら嬉しそうに礼の言葉を紡いで、ややぎこちないながらも、はにかんでみせる】
【マスターも、きっとこの子の勤務先なんだし、きっといい人なのだろう―――そう思うのは安直であろうか】
【仕事漬けの彼女に、やることが増えて、こんなにも楽しいのは久しぶりかもしれなかった】

―――――…『よく分かったね。その通り、その人は私のお師匠様だよ』
『私の為に色んなことを教えてくれてさ…良い人だったんだ、けれど…―――――っ!?』

【少しだけ目を見開いて、驚いた様子で顔をブライトの方へ。ブライトの予想は当たったのだ】
【まるで懐かしむように紡ぎだされる師匠とやらの話は、過去の言葉であるように聞こえた】

【続けられるはずだった会話は、どこからか聞こえてきた音によって阻害される】
【なんと言おうとしたのかは、今となってはトーカー自身しか分からない。彼女も既に音の方へ視線を向けていて】
【視線の先、廃屋の扉。ここを歩くきっかけとなった猫の存在と、現状が頭の中で繋がって】

―――――…『もしかして、ライガーちゃんかな』

【ぼそっと、そう呟いた言葉は、ブライトへの確認の意もあって】
【スケッチブックをブライトへと返したなら、扉へと歩いていく。何もなければそのまま、扉を開けるだろう】
120 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 04:30:08.74 ID:VNunGLXvo
>>119

【練習したお菓子を用意しておかなければと、はにかんだ顔を見て思う】
【どんどんとやるべきことが増えていくが、それが嬉しかった】
【きっとトーカーも疲れているだろうから、楽しい時間になればと思いをはせた】

【そして――どうやら当てずっぽうの予想は当たったらしい】
【トーカーの言葉は先程から過去を匂わせるようなものばかりで。もしやと考えてしまう】
【けれど――その先の言葉は、唐突に発生した騒音に掻き消された】


【緊張が走る。ブライトは何が起こってもいいように、トーカーの後ろで待機していることだろう】
【そして、ドアノブに手を掛けた――その、瞬間】


  【  ガシャァン!! 】


【扉の横、罅の入った窓ガラスを突き破って、とんでもない巨体が飛び出してくることだろう】
【重量が容易に悟れるような重い音を響かせて着地。ぱきぱきとガラスを踏みならしながら、】
【二人を一瞥するのは虎のような、ライオンのような動物だった】

【よく見れば――首輪をされていて。さらによく見れば、ぶらさがったタグに何か文字が書いてある】
【もしかしないでもこの猫(?)が――ライガー、なのだろうか】

【気が立っているのか唸りながら、ゆっくりと二人に近づこうとするだろう】
【ブライトがトーカーを引き攣った表情で見遣る。緊張でペンを動かす余裕すらなさそうだ】


【だがちょっと待って欲しい。そして、あの張り紙を思い出してほしい】
【確かあれには見つけたら≠イ一報くださいとだけ書いてあったはずだ】
【逃げてもいいが、そうしなくてもいい。最終的な決断はすぐに指示を出せるトーカーに委ねられるだろう】
121 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 17:05:05.08 ID:bAaiz3410
>>120

【緊張感からか、いきなりの登場に肩を大きくふるわせて扉から離れた】
【何かの割れた甲高い音と、重量感ある着地音が聞こえたので、素早くその方へと視線を向ける】


――――――――――――――ッ!?


【ガラスを突き破って出てきた巨大な影に、思わず目を疑う】
【今自分たちが何を探していたのか、再び思い出す―――そうだ、一匹の猫だ】
【では目の前に居るのは―――これが探し猫だとは信じたくない、どう見てもただの猛獣だ】
【だがしかし、あの獣の首元に見える首輪のタグだけは、飼い猫というべき特徴で、疑う余地がなかった】

―――――『成程、見つけたらご一報ください、か。道理だね、連れて帰るのは骨が折れそうだ…!』

【近づいてくる猫らしき獣に、やや気圧されつつ―――しかし、これを野放しにするのも危険だ】
【流石にこの猛獣を捕獲する、というのは無理がある。だからこそトーカーは飼い主に連絡をする方向へと考えを固めた】

――――『ブライト、あの張り紙に連絡先書いてあったよな?』
『連絡して、その間にあの“猫”を無力化する…ってのが一番いい作戦だと思うんだが、どうだ?』

【左手で連絡先の書かれた張り紙を催促しつつ、ブライトを猫から庇うように伸ばした】
【飼い主とのコンタクトが取れるまでライガーの動きを封じる、ということが言いたいらしい】
【下手に攻撃して逆鱗に触れるよりも、今はまだ様子を見て、猫の動向を窺うつもりだ】

【喉に当てられていた指はいつの間にか中指に変わり、最初の脅迫と同じ、青年の声が響く】
122 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 17:34:27.68 ID:VNunGLXvo
>>121

【グルル、と猫とは思えないような唸り声を発しながら、牙をむく猛獣、ライガー】
【これを野放しにさせていたら――いずれ誰かが被害を受けることになるかもしれない】

【連れて帰らず、飼い主に連絡して迎えが来るまで見張る、あるいは無力化がトーカーの判断か】
【横で何度かブライトが同意する。だが、ブライトだからこそ生じる問題がいくつかあった】

【まずひとつは、彼女が声を出せないこと。つまり、電話での連絡ができないことだ】
【もしトーカーがそれに気付けたのならば、連絡する≠ニいうことにおいては問題ないだろう】
【だがその間、必然的にブライトが見張りか応戦することになる。ひ弱な彼女にそれを任せるのは、少々不安か】

【そしてもうひとつは――】


――グァルルァ!!


【ブライトが襲いかかられた場合、まず会話ができないということだ】
【彼女がペンを取り、何かを伝えようとした瞬間――ライガーは一際大きく唸り、ブライトへと駆けるだろう】
【スケッチブックに目が向いていた彼女はそれに気付くことなく、まともに突撃を受けるはずだ】

【――飼い猫とはいえ、猛獣。いや、この文章もおかしい気がするが、ともかくそういうこと】
【重量も活かされた突撃は、彼女を後方へと軽く飛ばすほどの威力を持っていて】


……っ

(これ、ほんとに、抑えられるんでしょうか……)


【衝撃で痺れる身体を起こそうと、ブライトは試みるのだろう。追撃はなかった】
【代わりにまだ獰猛な視線が彼女に注がれていて――トーカーの方は、あまり見ていない様子】
【つまり、隙になっていることだろう】
123 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 18:09:28.14 ID:bAaiz3410
>>122

【突撃を食らったブライトに気付き、彼女に呼び掛けた。ふっ飛ばされた威力を見て、まだ時間があるわけではないと思考】
【早期に決着を付けなけれ、ば逆にやられてしまってもおかしくはないか】

―――――――――――――『ブライト…っ!』

【連絡できるのは自分一人、そして応戦する側の不足。厄介なことの連続に多少の焦りを見せる】
【だがしかし、無策というわけではないらしい。彼女がその声を切り替えたことこそ、その証拠だ】

【彼女が声を変えた理由は一つ―――彼女の魔術は声によって変わるからだ】
【無力化を提案したのは敵の無力化に適した手段を持っているということ。だからこそ『青年の声』を選んだ】
【一人での応戦では力不足ということ自体は理解していた―――その上で、彼女には策があったのだ】


――――――――――『神よ、我が声に自然の加護を!』


【青年の声がそう唱えたならば、トーカーの足元から生える二本の―――『土の腕』】
【それらがライガーの両前足を掴んで取り押さえようと―――地面を這うように伸びていくことだろう】
【ある程度の強さがある土の腕だが、所詮は二本と心許ない。しばらくすれば振り払われてしまうかもしれない】

――――『ブライト、大丈夫か!?』

【成功失敗に関わらず、トーカーは攻撃を受けたブライトの元へ駆け寄る】
【会話を潤滑にできるように、そして彼女をすぐに守れるように、その場に張り付いて】
【それと同時、すぐさまポケットから携帯端末を取り出して、連絡のための準備を終えた】
124 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 18:41:29.05 ID:VNunGLXvo
>>123

【トーカーの足元から伸びた腕は、見事ライガーの前足を掴むことに成功するだろう】
【ガウガウと鬱陶しそうに声を上げながら振りほどこうとするが、少しばかり時間がかかるようだ】

【大丈夫かと問われ、上体を起こしたままブライトは頷いて見せる。外傷は特に無いようだ】
【彼女は傍に来たトーカーに言葉を示そうと、ペンを握って――何かが無いことに気が付いた】
【さっきの衝撃で、彼女はショルダーバッグを落としてしまったらしい】
【だが、それは重要なことではないと結論付けると。ペンを握り直して】


『傷つけないでくださいと言おうと思ったのですが、問題なさそうですね。
 すみません、また足を引っ張ってしまって。でも大丈夫そうですね。
 もしあれを壊されたら、同じのをしてみてください。きっと、何とかなると思います。』


【書き終わると、いつものように言葉を示そうと、スケッチブックを渡すだろう】
【トーカーが出現させた土の腕は、かなり頑丈そうに見えた。これなら大丈夫だと、少し安堵して】
【うまく拘束できている間、飼い主と通話することも可能かもしれない】
【最後の文章は彼女にも何か策がある、ということなのだろうか】

【――そうこうしている内に、よく見れば土の腕がぽろぽろと崩れてきている、ような】


――ッ、ガァウ!!


【土の腕をぶち破ると、ライガーは一直線に二人へと襲いかかろうとするだろう】
【文章に目を通している時か、通話している時か、はたまた全てが完了した後か――それはわからないが】
【ともかく、跳びかかろうとするはずだ】
125 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 18:47:36.89 ID:/+11icago
【寂れた駅前通り】

【古く小さな駅へと続く、人もまばらなシャッター街。その、目立たない電柱の影で】
【黒い霞が湧き上がり、時空が歪められるような気配がした後――其処には、人の姿】

……全く、またカヨの悪戯かな。困ったものだね、退屈ならば息子達で遊べば良いのに。
で、これは……学生時代の姿、だね。……嗚呼良かった、カナメも一緒に飛ばされたんだ。

【一昔前の学生服姿の青年。学生帽に詰襟の学生服、上から黒のマントを羽織り】
【猫っ毛の黒髪、緩く細められた黒の目、傍らには小さな人型の紙が浮遊している】
【彼は長い独り言と共に自分の格好を確認したり、傍らの人型を確認したりと、不審で】

【さてどうしたものか、と学生服の青年は周囲を見渡し――隣で人型も同じ動作をしていた】


【所変わって――時計台広場】

【オフィス街の近くにある其処は、季節柄の白いイルミネーションで眩く飾られている】
【待ち合わせの場所などにも多用される時計台の傍で、自販機と対面する妙な人物がいた】

これ、は……ええと、此処へこの銭貨を投入して……後に、然るべき品を選ぶ……
……素晴らしいですね、温かい…… ――っッ!? 何と、礼を言う自動販賣機とは……!

【「毎度有難ウ御座イマシタ」という定型句にさえ一々感嘆する、結構恥ずかしいその人物は】
【濃灰色の和服に下駄を履いた青年。左腰には長ドスを差し、任侠者というような風貌】
【右目の隠れた長い黒髪に黒の穏やかそうな目、左手の薬指には黒い指輪を嵌めている】

【世間の常識に疎い、と言うよりは別の時代から来たようにさえ思える行動ではあったが】
【既に誰かに正しい使い方は教えられているようだった。其れでも一々反応が大きく、目立つ】

/どちらかご自由に、遅くまで対応可です
126 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 19:07:18.05 ID:bAaiz3410
>>124

【ライガーが土の腕を壊そうとしている様子を見れば、煽られる焦燥感】
【やはりあれだけだと心許ないか―――そう考えていた時にちょうど、スケッチブックを受け取った】

【張り紙の前に、スケッチブックの文章を閲覧。ブライトの謝罪文に、そんなことはないと思いつつも字面をなぞって】
【視線は最後の文へ。何を考えているのかは彼女には分からなかったが―――自分は、やるべきことをやるだけだ】

――――――――『りょーかい。構わないよ』

【そうとだけ呟いたなら、スケッチブックを捲って過去のページへ。張り紙を見つければ、そこで手を止めて】
【タッチパネルを親指で撫で、慣れた動作で張り紙の連絡先を端末に打ち込んでいく】
【繋がったなら確認することもなく、一方的に現在の状況を伝えようとするだろう】

――――…『もしもし、お宅のライガーちゃん見つけました!』
『○○通りの路地裏の、廃屋の近くなので―――――とりあえず、早く来てくれると助か…っ!?』

【とりあえず最低限のことだけ伝えて、飼い主の迎えを急かそうというところでライガーの接近に気付く】
【魔術の詠唱らしき言葉は無かったが、電話口で発している彼女の声は魔翌力へと変化し、先ほどと同じ魔術が発動】
【トーカーの足元から『土の腕』が真っすぐ伸びて―――飛びかかってきたライガーの胴を鷲掴みしようと宙を動く】
【――――しかし、少しだけ間に合わず、捕まえる前にトーカーの体は後方へと吹き飛ぶことになるだろう】
【携帯端末があらぬ方向へと転がっていったが、ある程度のことは伝わった―――だろうか】

―――――――――っ…!

【尻もちをついた彼女は、強打した背中を軽くさすって】
【ともかく、発動しなければならない魔術は仕掛け終わった――その場からライガーの様子を窺う】
127 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 19:22:40.02 ID:VNunGLXvo
>>126

【転がっていった携帯から、喚くように数回言葉が発せられる】
【やがて繋がらなくなったと悟られれば、静かになるのだろう。とりあえず今の状況は伝わった……はずだ】

【ブライトは自分と同じく、後方へと突き飛ばされたトーカーへと駆け寄ろうとする】
【怪我はないかと心配そうに見つめた後、大したことはなさそうだとわかると、ライガーの方を見て】
【そして、あることに気付くのだろう。それにはトーカーも気付けるはずだ】


『チャンスです!』


【残像すら残すような速さで文字を書くと、それだけをトーカーに伝えようとするだろう】
【なぜならライガーは――なぜか二人に背を向けているのだから】
【当然、魔術で捕まえるのにこれ以上の機会はない】
128 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 19:28:37.54 ID:VNunGLXvo
>>126
/すみません。ご飯食べてくるので次少し遅れます…!
129 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/10(金) 19:47:02.55 ID:/jlYPHIMo
【宵月の可憐な横顔、満ちた月の柔和な灯が煌々と降り注いで】
【寒さが痛みに変わってくる頃合い、冷えた夜風は素肌を蝕む焔が如く】
【白が夜闇に混じったかと思えば、雪が降りだして、周囲の人々が小さく歓声をあげる】

【――――――水の国の公園、まばらに散らばる人は、その誰も彼もが雪に浮かれて】
【その中に一つ、白百合のように静かに佇む少女が月光の下に照らしだされる】


わっ……雪、なの……今年になって、初めての雪なの
懐かしいの、このあたりね、雪全然降らないの


【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯、それでいて膨らんだ大きな胸】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【銀の十字架のロザリオを首につけて、その先端は膨らんだ胸元に乗って】
【スカートの下から伸びて、ふりふりと揺れるのは猫を模したやや長めの尻尾】
【両手で握るのは大きな大きなバイオリンケース、両手を伸ばしてふらふらと揺れた】

【少女はバイオリンケースを両手に握ったまま、雪の降り積もる公園を走り回っているのだろう】
【溶けた雪に脚をとられて、滑って転んだりしてもまだ、嬉しそうなその顔を崩さないで――――――】
130 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 19:52:49.30 ID:bAaiz3410
>>127-128

【―――途切れた電話を見て、これは早急に来てくれるなと、自嘲気味な思考をして】

【やがて、駆け寄ってくるブライトに気付いたなら、心配は掛けまいと奮起して】
【背中が痛むのを気にしながらも、いつも通りの淡い笑みを見せるのだろう】
【左手を地面について立ち上がるトーカー。すると、ブライトが何かを伝えようとしているのが見えた】

―――――――――…?

【「チャンス」の文字を見て、ライガーを見れば―――何故か、追ってくる様子もない】
【一体何をしたのか、なんとも不思議に思ったのだが――すぐに気持ちを切り替えて】

【中指を喉に当てて、ライガーを視認する。先ほどよりは落ち着いている、失敗することはないはず】


―――――『さて、遊んでやれるのはここまでだ…猫ちゃん』


【そうして言葉を紡いだならば、もう一度地面から生まれ出てくる二本の『土の腕』】
【腕は、こちらを向いていないライガーに素早く忍び寄るように地を這い、押さえつけるように抱きつこうとするだろう】
【その強度は最初と同じ、一度壊されたものだが効くのだろうか―――そう思いつつも土の腕を放った】

/了解しました
131 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/10(金) 19:58:05.44 ID:z6F/g9hB0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 市街地】

……取られた品物は、これで全部ですね……?
多少手古摺りましたけど……無事に、奪還しました……

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【停車しているトレーラーの横で、手に持ったスーツケースを男へと手渡している】
【男は素早く中身を検分すると、膨らんだ茶封筒を、交換するように少女へと手渡した】

……じゃあ、失礼します……
――――っっ、うぅ……もう、いい加減寒くなってきたかな……

【封筒を受け取るや、淡々とその場を後にして立ち去ろうとする少女だが、一陣の風が吹き抜けると、微かに身を震わせ着ているコートの袂をぐっと抑える】
【冬の風は、いよいよ冷たく体温を奪うものになっていた。それが少女を震わせたのだ】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

……ッ、……ッ!!

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女が】
【その場に蹲り、バラバラに切り裂かれた人間の死体を、かき込む様にして口へと運び、食いちぎり、咀嚼している】
【着ている全身を覆うローブは派手な返り血に染まり、辺りには徐々に異臭が立ち込めていく】

……2人とも、私が居なくてもちゃんとしてるかしら……?
久しぶりよね、私が1人で別行動なんて……

【ふと一息ついて、少女は顔を上げてポツリと独白をこぼす】
【微かに愉悦を湛えていた口元を腕でぐい、と拭い、口元を汚していた血を振り払う】
【――――口紅を引くのに失敗したように、少女の頬には赤い血のラインが尾を引いた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
132 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 20:29:30.09 ID:VNunGLXvo
>>130

【ライガーは――やはりこちらを振り向くつもりはないようで】
【しゅるりと伸びる土の腕は、容易く彼を捕まえるのだろう】

【あっけなく終わるかと思われたが、当然の如くまた暴れ始める】
【土が徐々に崩れてゆく。このままでは先程の二の舞だ――しかし、ライガーを包む土に変化が表れるだろう】


(耐えて――!)


【腕をうっすらと青い光が覆ってゆく。すると、崩れゆく土の腕がぴたりと止まるはずだ】
【まるで材質が変わったかのように、拘束は絶対のものだと確信できるほど頑丈になるだろう】
【それを施したのは、他でもないブライトだった。彼女の策はこれだったのだろう】
【再会した時の、青い光のリングを首のまわりに浮かび上がらせて、彼女は祈るように手を合わせていた】

【トーカーは声を力に変えるが、彼女の場合は願いを力とする】
【けれど、非常時出ない限りそれはあまり強い力じゃない。トーカーの助けは必須だった】
【最初に出来なかったのは――単に、反応できなかっただけだったりする】

【やがてスケッチブックを手に取ると、彼女は筆先を落として】


『これでたぶん大丈夫、ですね。あとは飼い主さんが来てくれるのを待つだけです。
 ちょっと探して連れていくつもりが、大変なことになっちゃいましたね……。』


【少しだけ疲れをにじませた表情で書けば、スケッチブックを手渡そうとする】
【そして――まだその下に文章は続いていて】


『あ、それともしかしてなんですが……こっちに来て頂けますか?』


【もし読み終えてブライトを見たのならば、彼女はライガーの前へと移動していることだろう】
【まだ懸命にもがくライガー。その下に、彼女が落としたショルダーバッグがあった】
【ブライトはそれの中からあるものを取り出すだろう。長細くて芳しい――チーズケーキを】

【そしてバッグにそれを乗っけると、恐る恐るライガーの口へと運ぼうとするのだろう】
【すると勢いよくかぶりつかれて――】

【もしかして:お腹が空いていた】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 20:46:16.47 ID:tyYrCICi0
>>125

【かつんとちいさな足音のしたのは古びた駅の傍、軒並み降りたシャッターの並ぶ町の中】
【半月より少しだけ肥えた月は蜜柑の房とよく似たかたち、ぴかぴかと光って、たくさんの影を引き伸ばしていた】
【――ひとかげの少ない場所のことだ。その姿を見つけ出すのはひどく容易かったが、それより先に、動き出している】

……、……――?

【かつんかつんと鳴らす足音は主の軽さを十分すぎるぐらいに教えて、性別と大まかな体型まで、予想させるもの】
【蛾が明かりに惹かれるよりはもう少し儚い風情でそちらを覗き見たのは少女がひとり、――そっと、首を傾げていて】
【不思議な気配に気を惹かれたのだろう、きょとんとした顔に、敵意や害意のようなものは窺えなかったけれど――】
【彼(ら)が周囲を見渡すというなら、その様子さえも視界に納めることは容易かっただろう。興味を持ったまあるい瞳を】

【――目が合ったなら、見てませんよとでも主張するように視線が逸れるのだが。それでも、少し怪しいのは】
【のっぺらと落書きすらない古びたシャッターを熱心に見つめているように見えてしまうから――】

【真っ黒色の髪の少女だった。華奢な身体に纏うように伸ばされた黒髪は、柔らかそうに体躯に沿って】
【黒と赤、まんまるく煌く瞳の色の違うのは先述のとおりに熱心にシャッターを見つめ。何しているのかを不明にして】
【胸元で遊ぶ指先がコートのボタンばかりを弄っていた。背面にフリルをあしらったショートコート、暖かそうなそれ】
【ボタンをきちり留めたなら押さえられた分だけふわりと拡がるスカートの裾、レースで飾ったデザインがそっと揺れ】
【すーっと落ちた足元をくるくるに包むのが厚手のタイツと、ヒールの高いブーツだった】

――――。

【逸らした視線の先、ちらちらとそちらを窺う気配がしたなら、自らが怪しいということを十分に自覚しているよう】
【ただでさえひとかげが疎らな中なら怪しいひとりは余計によく目立つ。やっぱり殺意のようなものは窺えないけれど】
【十分に彼(ら)の目に留まってしまうことだろう、胸元で遊ぶ左手で、きらりと黄緑色の目を持つ蛇が煌いていた】

/まだいらっしゃいましたらー
134 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 20:57:05.83 ID:n8X/gYdL0
>>129

【この冬一番の寒波が街にやってきた。新年早々の冬の白いプレゼントは、暗い夜を少しばかり白く染める】
【静かに降り注ぐ雪は瞬く間に街を白く染め、寒さに震えながら道行く人々の顔も初雪に綻ぶ】
【すっかり白くなった公園、此処を歩く女性もまたこの初雪にはしゃぐ者の一人だった……】
【白い息を吐きながら、足取りも軽やかに公園をスキップするように進み行く。まるで少女のように……】


珍しいじゃない、雪なんて!いやー、やけに寒いと思ったら初雪かぁ!
大人になっても雪は嬉しくなるのよねぇ……えへへ、子供みたい♪


【女性は、時折通り過ぎる寒風に鳶色の長髪を揺らし、優しそうなブラウン垂れ目は笑顔で更に目尻が下がり】
【身に纏うのは濃緑色のマフラーと若草色のコート、ロングスカートから覗く足は、新設をギュッと踏みしめる】
【女性にしてはやや背が高くスラっとした体躯を白く舞う雪の中に踊らせて、すっかりご機嫌のようで】
【時折吹く雪混じりの風に顔をしかめさせたり、雪に足を取られそうになったり、珍しい雪をしっかり堪能している様子】

【……と、雪を堪能しているのはこっちの少女のようにはしゃぐ女性だけではなく】
【あちらにもまた、雪を喜ぶ少女が一人。白い花のような彼女が白い公園を駆け回る姿は可憐そのもの】
【やがてツルッと転んで雪まみれになって、それでも笑顔は絶えず……なんだか自分の小さな頃を見ているようで】
【……先程までの自分の姿を思い返して、自分も子供の時とあんまり変わってないなぁ……なんて、苦笑い】
【そして、小さな頃の自分によく似た少女に微笑ましい親近感を覚えて、声をかけてみる】


こんばんはー!寒いですねー!雪、楽しいですかー!?


【雪のせいかちょっぴり静かになった公園に、女性の楽しそうな声が響く】
【果たして白い少女は、こちらに反応してくれるのか……無視されたりしなかったならば、女性は笑顔で其方へ駆け寄っていく】

//まだいらっしゃいますかー?
135 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 20:59:47.47 ID:/+11icago
>>133

場所は辛うじて記憶にあるのだけれどね……七十年も前では、流石に厳しいかな。
しかし店が減ってしまった、物悲しいよ……――おや。

【さびれた光景を見回していた青年の目に、無論の事相手は留まる。怪しいなら、尚更】
【それはこちらが言えたことでは無いのだけれど――兎も角、先に動いたのは人型だった】
【ふわと冬風に乗って一度回転すれば、そのままついっと相手の方へと滑るように飛んで】

“――、――”

【遊ぶように相手の周囲を二、三周回ってから、左袖にぺたりと張り付こうとするだろう】
【静電気で付着したような強度でしか無く、振り払うのも容易だし、材質は無論ただの紙だ】
【人型に悪意はなく、人懐こいだけの行動。と、相手の左手の黄緑色に惹かれたような――?】

……これは、カヨの思し召しなのかな? 彼女の息子達、奇書の一編たる力の片鱗とは。
兎も角……、私の式が失礼したね。もし良ければ、その“蛇”の事を伺っても良いかい?

【人型はどうやら式紙であり。それに遅れて、式神の主らしい青年が相手へと声を掛ける】
【何処か年に似合わない落ち着きを醸す青年は、自らの害意の無さを示すようににこりと笑い掛け】

/こちらにー!
136 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 21:03:58.40 ID:bAaiz3410
>>132

【不味い、崩れる――――念のため、次の魔術を使おうと喉に中指を当てた】
【そこで土の腕に変化が起こり始めたことに気づく―――見えた青い光に既視感を感じ、すぐブライトを見る】
【案の定、それは今日出会った時に見た、ブライトの首のリング。見えた光の雰囲気がそれに似ていて】

【無事捕獲に成功したライガーを確認すると、まずは一安心――といったところか】
【その後、手渡されたスケッチブックをすぐに確認し、彼女の文章を見つけ出した】

―――――…『今のは、君の能力か。そんなことが出来たんだ…助かったな』
『っていうか…こんなでかい子なんて聞いてないよ…!何が見れば分かるだよぉ…!』

『ともかく、なんとかなって良かったよ…怪我はないよね?』

【スケッチブックの文章を読みながら、先ほどのリングが、彼女の能力なのだと気付いて】
【一応、怪我はしていないと信じつつ、ブライトの怪我の有無を確認する】
【青く光るそれを見ても、全容は分からず、どんな能力なのかという疑問はまだあったのだが】
【とりあえずは、ここに居る者たちが全員無事だったことに安心して、ため息をついたのだった】

【文章の続きをよんだなら、やや不思議そうな顔をしてスケッチブックから顔を離す】
【ブライトが書いたとおり、動けないライガーの元へ歩いていくだろう】

――――…『チーズ、ケーキ?』

【ブライトが取り出したそれを見て、首を傾げた。何処をどう見ても変哲もないチーズケーキだ】
【そんなものを出して、一体どうするのか。そう尋ねようとしたところで、はっと気がついたように眉間にしわを寄せる】
【―――――いや、そんなことはない。そんな、空腹だったとか、そんなことがあるはずが―――あ、食べた】


――――――――――――…『マジかよ…』


【だとしたらあの突撃は、エサをくれと言っていたようなものだったのだろうか。スケッチブックをブライトに差し出し】
【思わず、呆れたような苦笑いを浮かべて―――しゃがみ込んで、ライガーに「うまいかー?」とか聞いてみたり】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 21:16:31.69 ID:tyYrCICi0
>>135

【元来子供ぽさのよく残る性質だ。気になったからと大いに視線を向けてしまうのも、そうだと言えて】
【だからこそ今気まずい思いをしているのだけれど――まさか後悔なんてするはずもない、黙り込んだきり】
【逃げ出すタイミングを窺っているようでもあった。ヒトガタの動いたのはそんな折で、それには気付けなかったなら】

ふぁっ……、な、なに……っ!

【くるくるとじゃれつくような仕草にも肩をびくうと跳ね上がらせるほどの驚き、鈴の音のような声はくるりとひっくり返り】
【元より耳に付きやすい高音はそうなってしまえば余計によく目立った。鄙びた夜に響かせて、――まあ、平和な光景だが】
【払おうとしているらしい手はそれでも力の篭められていないもの。左の袖にくっつかれて、いっそう困ったような表情を浮かべた】

……――、

【はく、と、微かな口の動き。未だに驚きと困惑の残る瞳が彼を見つめるのだろう。瞬きをいくつか重ねて】
【左の袖にヒトガタをくっつけたまま――その手をゆるゆるとそちらへ伸ばしたかと思えば、】

……いいの、何にもされてないから、――これ?

【ふらふらと中空で揺らす、取ってくれという風にも見えて、ただ、言葉にしないなら真意は不明であって】
【びっくりさせられはしたが、害になるようなことはされてない。きっと悪い子ではないのだろうという思考があるなら、この言葉】
【そうして手を差し伸べていたなら、薬指の蛇輪は余計によく目立った。――尋ねられれば、ぱちりともうひとつ瞬きを重ね】

セシルのこと、知ってるひと?

【――彼の言葉はそんな感じに思わせた。確認するように、相手の立場を探るように、尋ね返せばそっと首を傾げ】
【ざらと流れた髪が耳元を透かす、右耳だけの宝玉をあしらったピアスが覗いて、微かによく澄んだ水の気配を感じることが出来たか】
【にこりと笑みを向けられれば、少しだけ硬いが笑みを返す。あどけなさの残る顔つき、左手に指輪をするには、早いようにも見えたが――】
138 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/10(金) 21:17:51.00 ID:/jlYPHIMo
>>134

【マリンブルーの水面が跳ねた、飛沫に混じる睫毛のスラリとした影】
【陰影が白に染まっていく、柔肌はさながらふりゆく新雪にも似て、肌理細やかな皚が映り込む】
【雪化粧したかのような白い素肌、視線の先に映る貴女の姿を捉えて】


っ――――――!!……ん、ぇ、えっとね……うん、雪、綺麗、なの
でもね、雪でね、危ないもの、隠れてるかもしれないからね、点検してる、の
だからね、今はね、点検中、なの、はしゃいでるわけじゃ、ない、の


【耳元に流れ込む貴女の声、ぱっとそちらの方向へと向き直ったら、此方へと近づく女性が一つ】
【風呂上がりの湯気を纏った熱気が、夜の冷たさに溶けていくように、彼女の高翌揚も収まって】
【満開の花が咲き誇る後に在るのは切ない枯れ葉の季節――――――】

【雪国に暁が指す、それはさなが夕暮れみたいに、少女の小さな頬に紅潮の色が混じって】
【両手がぱたぱたと揺れた、慌てて両手を振って、否定する、意味する所は言葉と一緒】
【年頃の少女は、自分の行いを省みて、その意味合いを奥歯で噛みしめるみたいに】


……だからね、ソニアが転んだのもね、そういうの、なの
滑ったとか、そういうのじゃ、ないの


【抱きしめるバイオリンケース、両手いっぱいに収まるそのケースはシックな絵柄の高級そうなもの】
【視線が舞い上がる、背の高い貴女へとそっと向き上がる横顔にプラチナブロンドの長い髪がひらり】
【絡みつく白銀の色合いが宵月に染まる頬を濡らして、少女の目尻に煌めいて】

【焦がれるようなマリンブルーがじぃと見つめる先の貴方に、伝わったなら良いと思った】
139 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/10(金) 21:31:15.24 ID:z6F/g9hB0
/>>131取り消しでー
140 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 21:35:44.99 ID:/+11icago
>>137

今外すよ。カナメ、戻りなさい――……ふむ、あの彼はセシルと言うのだね。
興味がなければ知ろうとは思わない方でね、見た事は有るのだけれど。まだ6つの頃かな

【幼い“彼”を見た事が有ると言う青年は、精々が二十歳前、相手と同じ位の年に見えた】
【青年の命令を受けて式紙はぺらりと相手の袖から剥がれ落ち、ついと主の許へ戻っていく】
【少しだけ名残惜しそうにしていた。若しくは驚かせてしまった事を、申し訳ないと思っているようで】

カヨ……いや、君にはレイシーと言った方が早いのかな。記憶には有るかい?
僕は黒妙という者さ、突然失礼したね。もっとも今の姿は、本来よりも若返らされているのだけど。
そのセシルさんに関わるのを止めた彼女が、こうして悪戯をするんだ……旧来の知己の私にね。

【困ったようにくすくす笑うのは、或いは当て付けにも見えるだろうか。余程遠回しな嫌味、とでも言うもの】
【セシルと鈴音に干渉する事の無くなった亡霊。それが、手持ち無沙汰に知己である彼を弄ぶのだという】
【尤も、その表情は柔らかな笑み方以外の何物でもない。目に見えて不機嫌でもないなら、そのまま流れて】

……結婚しているのかい? まだ若い身空なのにね、ご愁傷様とまでは言わないよ。僕の時代は普通そうだった
其れだけの想いが“彼”にあったのだろう。何なら少し、その相手について、僕の知る範囲で教えてあげようか?

【6つの頃の“彼”、“彼”の能力とレイシーの関係性、興味を引くとすればそんな点だろうか】
【其れ以外で期待できる話はなさそうではあったが。興味が無いから名前も覚えない、そんな程度なのだし】
141 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 21:38:11.40 ID:VNunGLXvo
>>136

【機嫌が悪かったのはお腹が空いていたからなのだろう】
【そこへ二人が歩いてやってきて、そして偶然持ち歩いていたチーズケーキの匂いをかいで、飛び出した】
【……つまりはそんなところなのだろう】

【瞬間的にチーズケーキを平らげて、うまいかと言われれば「ガウ」と、猫にあるまじき声で返答して】
【ブライトもこれに苦笑しつつ、スケッチブックを受け取って】


『あはは、お腹が空いていたみたいですね。
 きっと、何日かご飯を食べてなかったんだと思います。

 怪我はありません。トーカーさんは、大丈夫ですか?』


【書き終えると裏返して、トーカーへと示す。相変わらずライガーはガウガウ言っているけれど】
【僅かに空腹が紛れてさっきよりもちょっとばかり、機嫌がよくなっているように、感じるかも、しれない】

【――ややあって、飼い主が駆け付けるのだろう】
【じゃらじゃらと宝石類を付けた、いかにもな貴婦人だったりしたのだが……それは、置いておくとして】
【ブライトは笑って引き渡すのだろうが、こんなことに付き合わされたトーカーは怒っていい。きっと】


【――それも終えると、後は元の通り、路地裏に二人だけが残されるだろうか】
【何とか一件落着して、落ち着いたように息を吐けば】


『さて、もっとお話ししたいですけれどもう夜も遅いですし、私は帰りますね。
 協力してくれてありがとうございました。あ、お家と喫茶店に来る約束、忘れてないですよね?
 また時間があれば寄ってください!』


【そう書くと、トーカーへとスケッチブックを示して】
【バッグから取り出したメモに二つの住所を書くと、それを渡そうとするだろう】
【やがて読み終わったことを確認すると、ぺこりとお辞儀をして、踵を返すのだが――】


『……やっぱり、表通りまで付いて行ってもいいですか?』


【急いで戻ってくれば、そんなことを言うのだろう】
【最初のトーカーの、あの脅迫じみた台詞でも思い出したのだろうか】
【そんなこんなで無事表通りへと出れたのならば、今度こそブライトは家路に就くのだろう――】


/ちょっと最後駆け足気味かな…?
/ともあれ二日間、お疲れ様でした。お付き合い頂きありがとうございましたっ
142 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 21:53:48.78 ID:n8X/gYdL0
>>138
【雪が降ってきてはしゃぐのは何も子供ばかりではない。大人だって楽しい気分になってしまうものだ】
【チラチラと舞うこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいの中、自分と同じように楽しげに駆け回る少女……それが先ほどの自分と似ていて、思わず声をかけた】
【思わず声をかけた後で、知らないお姉さんが声をかけても反応してくれるだろうかなんて一抹の不安を抱えもしたけど……】

【……その心配は杞憂に終わったみたい。元々白いのにさらに白雪まみれになった少女は、慌ててこちらに向き直る】
【プラチナブロンドの髪に付着している雪も、転倒した時のものか……雪中の少女は、ちょっぴりその白い肌を赤らめさせている】
【その赤さは寒さによるものか、それとも何か感情によるものなのか……その答えは、彼女の言葉で自ずと分かった】


――――そっかそっか、点検ね!そうねー……こんなに雪がいっぱい積もったら、どこに何があるか分からないですもんね!
……本当に、みーんな雪が隠しちゃいましたね。こんなこと、滅多にないんだけど……


【少女の紅く染まった顔と点検だなんて主張する言葉に、何か感じるものがあったのか……彼女は柔らかい笑みを浮かべると、うんうんと頷いて見せて】
【それから辺りをぐるりと見回してみせる。――――本当に点検が要りそうな程に、何もかもが見事に白く染まっている】
【その見事な美しい白さにひとしきり感心したように呟いた後、も一度少女の方にくるりと向き直る。……頬の赤らみも、ちょっとは収まったかな?】

【……そしてちょっぴり自分に素直になれない少女に向かって、ちょっぴり意地悪。彼女は少女のように微笑みながら、素直な自分をさらけ出してみせる】


―――私ははしゃいじゃいました!だって、雪なんて珍しいもの!
こんな時は子供の頃に戻っちゃうなー……転んだりして、ね♪
えへへ……もうコートも雪まみれです!


【さてさて……ちょっぴり素直じゃないこの少女に、自分の心に素直になって子どもの頃に戻っている彼女はどう映るのか……】
【ともかく先程の少女の言葉をすべて否定することなく、ただ少女の前で楽しそうに雪を見てニコニコ笑っている】
【……実は、一緒に雪の中で遊びたかったりもする。】


……どう?まだ「点検」します?えへへ……良かったら、私も一緒に……いいですか?


【自分よりやや低い位置にある少女の顔を覗き込むようにして、伺ってみる。この大きな少女は、白い少女と一緒に「点検」に行けるだろうか……】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 21:57:43.00 ID:tyYrCICi0
>>140

【ぺらりと剥がれ落ちる式紙、少しだけ尾を引くような態度に見えたのが、不思議といえば不思議に見えた】
【どう見たってただの紙ではないのだから。そういうこともあるのかもしれないけれど――ひとつ、瞬きをして】
【引っ込めようとした手をもう一度示してみせる、「おいで」とも、「来てもいいよ」とも言っているようで――】

むっつ……?

【――初めて出会ったのが去年の頃だ。言われてみたって、その頃合を想像してみせるのはどうにも難しくって】
【自分の本当の年齢を思ってから二歳ほど引いてみる。それだって何かの答えにはならず、諦めの箱へ投げ捨てられた】
【最終的には彼の言葉と見た目の不一致が取り残される、それだって、この世界だからと片付けられたなら、ただの平穏】

あんまり会ったことはないけど……少しお話したことならあるの。少しだけ、だけど――、
――あのひとが悪戯、するの? 知り合いだから? ……、?

【何か。よほど遠まわしな嫌味めいた言葉は、心のどこかに引っかかりこそはしたらしい】
【言葉のおしまいに僅かな疑問系の響きを混ぜながら、ただ、少しだけ訝しげな様子を見せただけに留まるのだろう】
【それでも癖めいて少し傾げてしまった首の動きがある。結局は、彼の笑みの陰に隠されてしまうのだろうけれど――】

――去年の暮れにね、貰ったの。凄く嬉しかった、……おそろいなんだよ、色違いなの。

――セシルが、むっつの頃の話? でも、……いいのかな、

【そっと引き戻した手、指輪を見つめれば笑みもほどけて、ようやくその顔から硬い異物めいた温度が消える】
【最愛の知り合いともなればただでさえ薄めの警戒も余計に薄くなるというもの。それでも、なにか、少し気になるけれど】
【「じだい、」と、そっとなぞった声があったけれど――少しだけ丸い瞳は、よほど不思議には思っていないのだろうから】

【――少し前なら何も思わずに食いついたのだろう。けれど、ここしばらくで彼女の心象は急速に復帰しつつあるなら】
【勝手に聞いてしまっていいのだろうかと悩むよな間が作られた。それでも、知りたがっている風はあったが】
【それは純粋な好奇心からのように思える。何もかも知っていなければ、と、強い強い思い込みとは、遠いよう】
144 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/10(金) 22:05:18.21 ID:/jlYPHIMo
>>142

【ぁぅ、と言葉に詰まった、鼻で笑い飛ばされたなら、それはそれで良かったのだけど】
【貴女の反応がまっすぐで、映った柔らかい笑みが、雪の結晶よりも眩く見えたから】
【月夜に映る女性の横顔は、彫像のように整った美しい形を描いていた】


……ぅぅ、ごめんなさい、なの……ソニアね、嘘、ついちゃったの
ソニアもね、おねーさんと一緒なの、雪を見てね、とっても、はしゃいじゃったの
……一緒だよ、ソニアもね、雪まみれ、なの


【バイオリンケースの横、沿えられた小さな頬がしゅんと萎んで】
【睫毛を水面に広げたなら、睡蓮みたいにふわりと花開く、そこに浮かぶのはごめんなさいの気持ち】
【意地を張って嘘をついちゃったことを後悔して、それでごめんね、と言って】

【顔をあげたら見あげるのは微笑み、綻んだ頬が雪解けを思わせる温もりを孕んで】
【大きな瞳が頬に沈み込んで、浮かぶ満面の微笑みが貴女に対して真っ直ぐ行くのだろう】
【プラチナブロンドの柔らかい毛先、擽ったそうに微笑む彼女を飾り立てて】


だからね、一緒にいくの、ソニアもね、おねーさんと一緒にね、雪で遊びたいの
ソニアの生まれた国ね、たーっくさん、雪がふるとこだったの
――――――だからね、だから、ソニア、雪、得意なの


【交錯する視線、目の前の貴女に左手を差し出したなら】
【雪よりも白いブラウスの姫袖から零れた指先が、貴女へと向かうだろう、真っ直ぐ前に踏み出して】
【貴女の右手を握れたなら、そこに体重を預けて、ふわりと羽毛のように軽やかに貴女の右手側に回り込もうとする】

【貴女の指先に感じるであろう体温、それは雪と同じくらいに冷たい、少女の温もり】
【視線を向けたなら、とても嬉しそうに微笑む少女の表情が在るのだろうか】
145 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 22:17:44.36 ID:bAaiz3410
>>141

【先ほどまで苦戦していたとはいえ、こうも動けなくなってしまえば、この猛獣も愛らしいと思えた】
【――――鳴き声を聞けば「やっぱりお前猫じゃないだろ」なんて思ったが、その言葉も飲み込んで】

―――――『ん、私も大丈夫だよ。健康そのもの』
『まぁ、エサとかここにはなさそうだし…それに飼い猫だもんなお前…認めたくないけど』

【裏返されたスケッチブックに気付くと、こちらも異常はないと返答】
【大人しくなったライガーを見て、やはり飼い猫なのだと心の中で結論づけた】

【―――ライガーの飼い主らしき貴婦人が現れたその時、本当は注意でもしようと思っていたのだが】
【怒りだとか恐怖だとかよりもまず、疲労感が勝ってしまって、結局大したことは言わないのだろう】
【不意に中指を喉に当て「帰ったらエサをたんまり与えてやれ」とか男声で言ってみたりと、許した様子ではなかったが】

【飼い主が来たところで土の腕が崩れて、ライガーを開放するのだろう】
【別れる時には、何故か名残惜しくもなって、ライガーに向かって軽く手を振ってみたりして】
【路地裏に残されたなら、また彼女に示されたスケッチブックの一ページを確認した】

『そうだね…私も、帰るとするかな。今日はなんだか、どっと疲れたよ』
『ふふっ、勿論覚えてるに決まってるじゃんか…今度、絵見せてもらうんだから』

【悪くない疲労感、というのはこういうものなのだろうか。今思えば、楽しい時間だった】
【渡されたメモを手にとって、一度中身を確認すると―――「またね」と手を振って見送って、その後携帯の元へと】

【先ほど飛んでいった携帯を拾う途中、戻ってきた彼女に気付いたトーカーは、忘れものか何かかと思ったが】
【その文章を見たならば、ちょっとだけ驚いたように表情を変えて、すぐに顔を綻ばせた】

――――――『…っくく、そうかそうか。分かったよ、表まで一緒に歩こうか』


【喉を鳴らすように笑う彼女は、何とも楽しそうな表情をしていて】
【冗談っぽく「しょうがないなぁ」とか言っては、ブライトと共に歩き始めるだろう】
【また、さっき路地裏を歩いた時のように世間話でも―――例えば櫻の国の食べ物の話でも、するのかもしれない】

/丁度いい感じだったんですぜ
/乙でした、長い時間ありがとうございましたー!
146 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 22:19:14.33 ID:/+11icago
>>143

【相手が示した手に、式紙は反応してくると踊ると、恐る恐る主の顔を伺った】
【黒妙が笑みつつ頷けば、途端にひゅんと相手の方へ飛ぼうとして――思い出したように、そろそろと】
【人魂めいたのろさで相手の傍にたどり着けば、目の前でくるりと回り、挨拶のように踊る】

【そのままの笑んだ顔で――穏やかな表情で、彼は口を開く】

――……6つの彼の話だね? そうだね……彼は、とても優しい子だったよ。誇って良い。
それは残酷な程に……拾い上げてはいけない命を、その手で救い上げてしまう程だった。

【名前は知らない。けれども、その行動だけは覚えていた。忘れることなど出来るはずもない事を】
【突然の落差に於いてなお、黒妙の表情は崩れない。懐かしい思い出を話すように、波のない様で】

僕はレイシーより先に彼を見ていたんだ。尤も……彼ではなく、その彼が拾い上げた物を。
我が故郷の血を引く、呪われた赤ん坊を見ていたのだけれどね。今は、月彗と名乗っているらしい。
もし君がセシルさんと幸せでいたいのならば、月彗からは離れた方が良い。あれは必ず、災いを齎す

【――リリアを館に連れてきたのも、元凶と言えたのは月彗だった】
【相手は其処までを知らないかも知れないのだが、断言する口調は重く、予言よりも強い表現】
【そんな主の言葉をよそに、式神の方はといえば、相手の服に再びくっついてみたりと呑気なもので】

【一先ず、其処まで話せば黒妙は言葉を切り。にこ、と笑んだ彼は、相手の反応を待っていた】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 22:38:54.61 ID:tyYrCICi0
>>146

【先ほどは唐突だったから驚いた。自ら呼んだ今では、当然驚くということのないまま、受け入れる】
【何か動物と遊ぶような態度を向けるのは式神や彼にしてみればどうなのだろう。ただ、それを素で行っていただけ】

……――、

【ぱぁと咲うような笑みが分かりやすかった。それは安堵するようでもありながら、再確認するようでもあって】
【自分だって拾われた。何もない、誰も居ない、暗闇の世界から、彼がその手で拾い上げてくれた、連れ出してくれた】
【だからこそ今こうして居られる。あの時、彼にさえも捨てられていたなら――きっと、彼女はこの世界から消え落ちていた】

【――けれど、続いた言葉にどこか表情が曇ったようだった。何か不穏を思わせる言葉に、子供みたいな笑顔は僅か、濁って】
【ぺたぺたと付いたり離れたりを繰り返す式神への反応が僅かに疎かになる、遊んでやるよな余裕を失って、言葉を待ったなら】

月彗が、? でも、……遊んでくれたよ、それに、……弟なんでしょう、だから、

【拾ってはいけない命とは。その言葉の意味を察しかねたように、少しだけ恐々と並べていく言葉たちは、】
【初めて会ったときに怒鳴りつけた、牙を向けた、それでもその後にある程度懐いていたことを示していて】
【遊んでくれたし、夫の身内なのだから。それはきっと自分の身内とも言って良くて、だから、すこし、困惑する】

呪われたって、どういうことなの――。

【――最愛の過去を聞くなら、当然その兄弟たる彼らの話を聞くことにもなるだろう。今更、それに気付いたような顔をして】
【同じ屋敷に住まっていた頃に彼の本当の姿を見た。呪われているというのはあれの話をしているのか、そう窺うような目付き】
【思考するようにしながら袖にへばりつく式神を撫でてやる。その指先ばっかりが優しくて、けれどひどく華奢で、】

【(――彼が呪われているなら、自分だってきっと呪われている。真っ白な蛇の神様に望まれて、呪われて、裏切った)】
【(普通の人間と違う気配をしていることもばれてしまうのかもしれない。ただの人間じゃないことは、確実だった)】
148 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 22:39:25.97 ID:n8X/gYdL0
>>144

【素直になれずに顔を赤らめていた少女も微笑ましくて可愛かったのだけれど、やっぱり素直な方が可愛いもの】
【「ごめんなさい」の一言に、ニッと少女に笑いかける。その表情を見れば、咎める気なんて毛頭ないこともきっと分かるだろう】
【とにかく、これでよし。やっぱり楽しい時は素直でなくちゃ!】


うふふ……いいんですよ!
でもね、お姉さんは楽しい時は「楽しいな!」でいいんじゃないかなって思うんです♪
だって、せっかく楽しいのに「楽しくない」なんて言っちゃったら、本当に楽しくなくなっちゃうでしょ?
―――そ、一緒!私と一緒ですよ!


【少しばかり申し訳なさそうにした表情は、彼女には似合わない。やっぱりさっきの笑顔が見たいなぁなんて思っていたら】
【―――少女が顔を上げれば、そこには可憐に咲いた白い花のような笑顔。その動きに合わせて、綺麗な髪がふわりと揺れる】
【漸く年相応の笑顔になってくれた少女、もといソニア。その表情が本当に楽しそうで、釣られてこちらまで笑顔になってしまう……】
【……きっとソニアと名乗ったこの少女には、こんな風にほかの人を笑顔にさせる力があるんだろうな……なんて】
【すっかりソニアの笑顔に魅了された彼女は、此方も少女のような明るい笑顔で応える。寒さに負けない太陽のように、パッと】


そっか、雪国の生まれかー……
私は雪なんて滅多に見たことないから、雪に関してはソニアちゃんが先輩ですね!
えへへ、じゃあ先輩!一緒に遊びましょー!
あ!私は皐月って言います!好きに呼んで下さいねー!

【やがてソニアの真っ白な腕がこちらに伸びてきて、同じく白い指先を彼女の指と絡めさせようとする】
【勿論それを拒むことはない。ソニアの柔らかい手のひらが彼女のほんのり暖かい手のひらと重なり合ったら】
【白い羽ののようにふわりと軽く舞い、彼女の右手に立っている。】
【……その体重が本当に軽かったのも、なんだかこの白い少女のイメージに合っている気がする】

【さて、もう隠すこともない。降り積もった雪を、二人で楽しむことにしよう!】


……よし!雪といえばまずこれです!雪だるま、作っちゃいましょう!
月並みなんて言わないでくださいね、雪が降れば雪だるまを作るのが定番なんです!
ソニアちゃんは、頭!……私は、特大の体作っちゃいますよー!!


【そう告げると、早速彼女は雪の中を駆け出して、積もった雪をかき集め出す】
【……戻ってくる頃合いになれば、ソニアの腰のあたりまでに達する雪玉が彼女の横に置いてあることだろう】
【彼女は自慢げに笑っている。雪玉は会心の出来らしい……】
149 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/10(金) 22:53:08.14 ID:/jlYPHIMo
>>148

【とくん、と貴女の言葉に胸の鼓動が一つ大きく響いた、反芻する音色に耳元が揺れる】
【楽しい時に、楽しいと言えること、目の前の貴女が簡単にやってしまうこと、彼女には中々できないこと】
【羨ましいななんて思うぐらいにずっと、貴女の言葉が凄く胸に伸し掛かっていた】


わ、わわ……え、えっと……分かったの……
皐月、皐月――――――……おねーちゃん……


【貴女の綴る愛の歌にも似た大量の言葉、それは一杯の華でコーティングされたケーキみたい】
【それに対して彼女は瞼をぱちくりとさせて、少し遅れて言葉を返すのだろう】
【太陽と表現できる貴女の笑顔、また同時に嵐のようだな、なんて感じてしまうぐらい】

【だから、彼女の言葉は少し遅く聞こえるだろう、どこか拙い言の葉と、それと】
【少し飲み込んで、頑張って絞りだす、言葉、だから――――――】
【名前につける敬称にしては、親しげになりすぎるかな、なんて思ったけど】

【頬に満ちる紅潮、最初と一緒だ、恥ずかしさからくる温もり】
【だけどそれが、雪の日に朝に飲むココアの甘さと暖かさにも似た】
【心地よい温もりなんだって、分かったから】


むぅ、待つ……の、今ね、ソニア……頑張って、作ってるの
うんしょ、よいしょ……わぁ……ぅ……ぅ――――――できた、の……!!


【皐月の雪玉を見て、彼女は焦ったようにぺたぺたと小さな両手で一杯に雪を集める】
【雪の側から見え隠れする掌は、赤子のように小さくて、握ったら直ぐに壊れそうなぐらい】
【硝子細工の指先を、少しずつ動かして必死に形作って――――――】

【漸くできた頭は、とても不細工≠ネ頭であろう】
【そもそも球体というよりかは楕円形に近く、顔の造形もいまいちだ】
【雪国で生まれた割には、作り慣れてないのか、あまり綺麗ではない】

【――――――それが分からないぐらいに、彼女は子どもではなくて】
【自分の作った頭を目の前にして、貴女に背を向けている彼女】
【普段よりまた小さくなった背中が、萎んでるんだと伝えるのだろうか】
150 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 23:04:26.73 ID:/+11icago
>>147

【相手の反応に、一つ頷けば黒妙は言葉を紡ぎだす。ほんの少し、暈しながらも】

――……望まれない命だったんだ。そして、生まれ出るに足る身体ではなかった。
つまりが、この世にあってはならない命だったんだよ。彼の……月彗の、全てがね。
その歪みが原因で、御仏の加護を得ながらも刹那の隙に人の命を奪い行く、不幸の種。

……元々彷徨い歩く性質だったけれど、近頃はもっと無差別に人を殺めているらしい。
君も気を付けた方が良い。身内でも、良い面を見せられていても。良くも悪くも“人は変わる”
命を奪うと、その者の魂は曇るんだよ。汚れ穢れて、いつか全ての報いを受ける。彼もきっと、そうなる

【其処まで語って言葉を切れば、やや黙り込んだ間があった後に、彼はくすと小さな笑みを零した】
【興味が無い故に人を案じるという事を余りした事がなかったが、気が付けば相手に警告を与えている】
【全ては争いの元を断つため。不毛な戦いを、奪われる命を、可能な限りで減らしたい、というだけの希望】

……――僕はね、英霊と呼ばれる類の存在なんだ。櫻の国で、七十年程前に兵士として死んだ身。
下らない争いの為に、愛する人も故郷も、全て触れられない場所に僕は散っていった。だから、……
ふふっ……すまないね、突然過ぎた。何もかも。思えばここまで含めて、僕はカヨに踊らされたのかな?

【だから、の先を告げないまま困ったように笑う彼は、けれどその話が冗談でも何でも無いことの証左のように】
【往時の時代を思わせる服装、今の時代にいることへの漠然とした違和感、それらが声無き声で語られていて】
【――張り付いていた式紙が、ふわと離れ。主の傍に寄り添うと、遊んでもらった礼のように鈴音にちいさく礼をした】
151 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/10(金) 23:30:14.13 ID:n8X/gYdL0
>>149
【さっきと同じように顔を赤らめ、さっきとほんのちょっぴり違う暖かな恥ずかしさを抱えて、小さな声で、】
【「お姉ちゃん」なんて言われれば、心も弾む。少女の鈴のような声が心地よく心に響く】
【……だって、自分でお姉ちゃんと自称はしたものの、いつも言われるのは「お母さん」「先生」……そして、運が悪ければ「おばさん」だもの】
【もう雪が降って一緒に遊んでいるってだけでもご機嫌なのに、「お姉ちゃん」の一言でさらにテンションは上がったようだ】


(おねえちゃんなんて……ソニアちゃんありがとう!なんていい子なの!)


【グッと心の中でソニアにサムズアップを決めると、「わーい!」なんて心の声が聞こえてきそうな勢いで駆け出す】
【モチベーションは最高潮。こうなりゃ雪玉作りにも気合いが入るというもので……お姉ちゃんは、体中雪まみれになりながら大きな雪玉を作り出す】
【我ながら大きくて綺麗にできた。年甲斐もなく気合を入れすぎたせいか、腰がちょっと痛いけど……】
【……同じ頃、ソニアも戻ってきた。小さな手で頑張って作った雪玉は、手作り感満載の楕円形】
【……確かにお世辞にも綺麗とは言えない。でも、それでいい。それなのにソニアは、後ろを向いている―――】
【そんなソニアの姿を見て、皐月は手元に雪をかき集めて……】


――――えい!


【背中を向けるソニアの頬にゆっくり近づいて、後ろから小さな雪の塊をそっと当てようとする】
【……雪の塊を当てられたなら、その冷たさに丸くなっている背中も伸びるだろうか。……そして、こちらを向いてくれるだろうか】
【こっちを向いてくれたなら、その目に飛び込んでくるのはさっきと変わらない皐月の明るい笑顔だろう】
【ソニアのマリンブルーの瞳を見ながら、そっと言葉を紡ぐ――――】


……隠さなくてもいいんです!
変な形って思った?でも、それでいいんですよ!機械が作るんじゃないんです、ちょっぴり歪んでいるのもソニアちゃんが作ったからなんです!
ここの出っ張りも、ここのちょっと凹んでるところも、ぜーんぶソニアちゃんが作ったから出来たんです!
綺麗な玉を作るのが目的じゃなくて、こうやって二人で楽しく雪だるまを作るのが目的でしょ?……なら、ソニアちゃんが作ったって分かるこの頭が一番です!
……ソニアちゃんが作った雪玉、ちょっと貸して?


【ソニアが作った頭を徐に持ち上げると、自分の作った雪玉の上に乗せる。―――――世界でたった一つの雪だるまの完成だ】
【実は頭を乗せる時にソニアには見えないようちょっとだけ細工を施した。……いびつな顔が、笑って見えるように】
【静かに雪が降りしきる中、個性あふれる雪だるまはソニアの方を向いて笑いかけていた――――】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 23:40:15.02 ID:tyYrCICi0
>>150

【――はじめは、もっと、軽い気持ちだったのだろう。ただ知ってみたいという好奇心から始まって】
【存外重たい話になってしまったことに一生懸命ついていこうとしている気配があった。ぐうと一度唸ったなら、】

それでも……、……――、そのこと、セシルは知ってるの、かな。
……知らないなら、わたしが……、わたしが、伝えておく、……。

…………それなら、わたしもいつか、報われるの。

【何かを言い返そうとした様子があった。叔父――違う、義弟になった彼への言葉を紡ごうとして、押し負けたかたち】
【同じ家に暮らしていた時期は、少しだけのこと。それで何度か会話をした程度で、彼女は彼のことを知らないのだから】
【ずっと知っているという眼前の彼が言うならばきっとそうなのだろう。無理繰りに納得したように、押し黙ったなら】
【少しの後のこと。――丸投げ、とも言ってしまえたのかもしれない。対応に困ったから、そのまま流すというような】
【――もちろん止めるというなら言いようによっては聞きもするだろう。若い少女を言いくるめるなんて、簡単なはず】

【(最後の言葉はひどく微かな声だった。何人屠ったかももう分からないぐらい、その手は、血みどろで――)】
【(死体ばかりが転がる悪夢のような世界から連れ去ってくれたひとが居た。違いなんて、きっと些細で大きな、その程度)】

【ぎゅうと左手ごと握り締めるようにして指輪に触れる。正しい答えを探そうとするように、しばしの沈黙】

【(それでも。――それでも、このしあわせだけは、毀されるわけに、いかないものだから、)】

……きっと、わたしね、知らないんだと思うの。みんなのこと、……セシルのことも、たくさん。
でも、それと同じぐらい、みんなもわたしのこと、きっと、知らない……、孤児院に居たんだ、でも、言ってない。

【彼の言葉を聞いて。やがて紡ぎだしたのは、彼からすれば或いは意味の分からないかもしれないことで】
【言いたいから言っている。自分の好きなようにしているだけの自分勝手、そもそも相手に聞かせる言葉ですらないのかも】
【――何にも知らないことを何度目だろう、思い知った。けれど昔よりも恐ろしく思わないのは、きっと、いいことだ】

月彗のことも知らない。全然知らない、でも、遊んでくれたし、お話してくれたのは、もう変われないことだから。
……やっぱり会ったらお話してみる。気をつけてって言うけど――わたしね、すぐ負けちゃうぐらい、弱くはないよ。

【何かを吹っ切ったようでもあった。素の高さを取り戻す語調は、彼に何の悪感情も持っていないのだと見え】
【少なくとも話し掛ける前に殺されるということもないだろうぐらいの自信はあった。いくらか楽観もあるが、】
【最終的に“もしも殺されたとしても”大丈夫だろうというのがあるのが、――彼女のいのちを、ずっと軽くしていた】

【――笑んでみせたのがどこまでも彼女の色合いだった。気を付けはする、でも。それが、彼女の答え】
153 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/10(金) 23:41:11.52 ID:0c9/4ZuB0
【誰が来る事も無く、廃れた神社。普段ならば風で生ずる音程度しか聞こえない其処だけれど、今宵ばかりは一つの歌声が響いていて】
【女性の物。確かに美しくはあるのだが、同時に悲しげでもあり】
【子供の笑い声一つ響かないというのに、奇しくも其れは童唄であった】


「かーごめかごめ、かーごのなかのとりは、いついつでやる
よあけのばんに、つるとかめがすべった、うしろのしょうめんだぁれ」

【たった一人、最早文字すらも読み取れない賽銭箱に腰を掛けて】
【浮いた足がぶらりぶらり、と揺らされる。着物を一つだけ着て、歯の削れた下駄を履いて】
【踵が古ぼけた賽銭箱に当たる度にトントンと小さな鼓音を発生させる】
【歌い終われば溜息が漏らされ、視線が割れた石畳へと向けられた】


「こうやって遊ぶ子も、もう居なくなってしまったけれど…………
皆、元気で居るならそれが一番ね……。何時までも子供では居られないのだから――――」

【こんな時間に、しかも訪れる者は疎か境内に住まう者すら居なくなった神社に居るのはどの様な存在であろうか】
【邪の気配は無く、寧ろ神聖にも近い存在だが――――】
【先まで唄っていた童唄だって、この時間ならば少し離れていても聞こえた筈で】
154 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/11(土) 00:05:53.15 ID:PshBOEdCo
>>151

【――――――自分が不器用なのは知っていた、だから、だからこそ皐月の雪だるまに比べて】
【自分の雪球じゃ、そこに相応しくないって、思えたから――――――】
【びくっと彼女の背筋が跳ねた、漏れる声が夜空を濡らしたなら】

【慌てて振り向く彼女の表面、映る貴女の表情が、眩しくて】


わっ……ぅ……皐月、おねーひゃん……っ……


【掌細工の彩が蜜空に溶ける前の一瞬、切り取られた表情に、もう言葉は必要なくて】
【肩に降り積もる雪の声、深々と重なる雪の重さが、肌に染み入ったなら】
【できた雪だるまがとても、綺麗な笑顔をしているように見えた】

【――――――でもきっと、そうじゃない、そう感じたのは心に一枚積もった新しい雪のおかげ】
【新雪を踏みしめる足音、響いて、届いて、やがて満ちるみたいに】
【ぎゅっと抱きしめようとするその両手が、貴女を求めて】

【二つの距離が零になったなら、間にはもう何も、残っていないから】
【貴女に近づいて、そしてそのままその胸で、涙をこぼすのだろう】
【それは不甲斐ない自分への涙でもあって、また同時に、優しい貴女への甘えでもあった】

155 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 00:09:03.49 ID:r61Aw5BLo
>>152

……そうかい。

【報われるという言葉にか、相手の過去の言葉にか。静かに聞いた彼は、一つ頷いた】
【それが投げ遣りでなかったのは、相手の答えに納得したからだろう。彼女の考えを尊重した】
【全て呑んで受け止めて、其れ故の言葉。知らせる事を其処で止めた彼は、静かに言葉を紡いでいく】

皆、君の全てを知っている訳ではないね。けれど、それに近付ける事はきっと出来るよ。
抱え込むのが苦しくなった時は――、その最愛の人に、全て打ち明ければ良いと思う。
まあ……君は、きちんと自分の意志を持っている子だから、私が言わずとも大丈夫だろうけれどね。

【子供のようだ。それでいて、ふとした瞬間に誰より大人びた色を見せるのが、相手だった】
【手元に戻した式紙を指先で撫でると、黒妙はふと足元に目をやり。其処から黒い霞が湧き上がる】

そろそろ……、時間が引き戻される頃合いかな。最後に、正しい姿は見せられそうだね

【確かに、あの女の黒い魔力だった。黒妙の姿が、学生から、黒い直垂と烏帽子姿の青年へ変わって】
【時空の震えにぴりぴりと震えていた式紙も、無事にその変調を耐え凌げばくるくると健在さを示した】
【十年程の時が過ぎたように見える“黒妙”は、相も変わらず笑みを浮かべたまま、やがて輪郭を暈していく】

……――ああ、そう言えば“彼女”からの伝言があったよ。「お幸せに」

【――“彼女”はもう、二人の前に姿を見せる気はないのだろう】
【今宵相手が会った黒妙という男は、或いはそんな彼女からのメッセンジャーだったのかも知れなくて】
【警告と、伝言。それを確かに相手に伝えれば、式紙使いの英霊は、静かにその姿を消していくのだった】

/短いかもですが……この辺りで失礼しますー、お疲れ様でした!
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 00:31:13.53 ID:qt316Lea0
>>155

【彼の言葉は聞き入れられた。聞き入れられたが、一部を意図的に無視されたかたちになる】
【最愛に最終的な判断を乞うこと、気をつけはするが避けはしないこと、改めてこの場で宣言してしまったなら】
【あと出来るのは、精一杯に殺されないように、毀されないように、することぐらいで――だから、】

……うん、今はね、まだ……思い出したくもない、……でも、思い出しても平気になったら、言うの。
隠しごとはしないって決めたんだ、言っても何にも変わらないかもしれないけど……、それでも、いつか。

【一生懸命考えていたことから解放されれば、いくらか元気さも増す。ふわぁと白い吐息が、口の隙間から零れて】
【いやなおもいでは何もひとつだけじゃない。だいすきなミルフィーユみたいに幾重にも重なって、面倒臭いけれど】
【昔よりも苛まれなくなった。何度も何度も繰り返し夢見るようなことがなくなった。その総てが、たったひとりのおかげ】

【いつか言う。それだけ頑なに決めてしまったなら、後はもう時間が来るのを待つだけ。――何に向けてか、頷いた】

…………そうかな。

【――そんな、少しだけ凛々しくもみえた顔はすぐに解けてしまうのだろう、きょとんと首を傾げた仕草に負けて】
【自分の中にちゃんと自分の意志があるのかどうか。それを分かりかねるというふうに、はてなを浮かべていたけれど】

【彼の足元からじわと滲み出す黒色の靄は確かに見覚えのあるものだった。そこでようやく、確信を得たように】

じゃあ……、わたしからも伝言があるの、“ありがとう”って。

【伝えられた言葉もきちんと受け取った。浮かべてみせた笑みはあどけなさを多分に含むもので、彼女によく似合うもの】
【言葉に対する礼を運んでくれと、消え行く姿に頼みながら。それとも、伝えるまでもなく見られているのかもしれないけれど】
【消え行く刹那に動いた唇が「ばいばい」と告げていた。やがて、彼の消えてしまった場に取り残されて――】


【――それから少し後のこと。帰宅した彼女は、残していた家事などを一通り終わらせて、】
【ひどくゆったりした場で今日知ったことを話題に上げる。つまり、あなたの弟が無差別にひとを殺して歩いているらしい、と】
【ほんの少しだけ恐々と反応を窺っているようだった。誰に聞いたのかを問われるなら、あっさりと「黒妙」、その名を吐いて】
【もうひとつ言うべきこと――けれど、いつかに先延ばしにしたこと。それはやはり触れずに、きっと夜は過ぎて行った】

/おつかれさまでした!
157 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 01:06:21.66 ID:nPl657ve0
>>154
【……笑いかける雪だるまと対照的に、ソニアの表情がすこし歪む】
【大きな瞳には今にも溢れそうな程に涙を湛え、小さな口から漏れるのは微かな声】
【放っておけばそのまま夜空に消えてしまいそうな、小さな小さな声】
【でも、その消えそうな声は、零れそうな涙は、全て皐月が受け止めた】
【否定も拒絶もせず、抱きつこうとするソニアの小さな体を、全てを受け入れるかのようにそっと両手で包み込み】
【雪の中、ソニアの小さな体を包むのは皐月の暖かい体。その暖かさは、果たして体温だけなのか、それとも――――】
【ソニアが涙を零しているであろう間は、皐月の方からその体を離すことはない。ただ抱いて、そっと言葉をかけるのみ……】


……いいんですよ、そうやって泣きたくなった時には泣けばいいんです。
涙は心の器から溢れてしまった感情です。苦しいこと、悲しいこと、痛いこと、嬉しいこと……それが一杯になっちゃったら、人間は泣いてしまうんです。
貴方が心に抱えて、抱え続けて、抱えきれなかった物……今日は私が全部受け止めてあげます。
……だから、気が済むまで泣いてくださいね。


【そう声を掛ければ、それ以上はもう言葉を紡ぐこともなく、ただソニアの気が済むまで小さな体を抱いていることだろう】
【ソニアの涙が皐月の服に染み込むのが感じられる】
【……皐月の胸の中にあるであろう泣き顔は、きっと周りには見えない。泣き顔を見られたくないなら、此処で涙を流しきってしまえばいい……】
【皐月はきっとそれを拒まない。泣き止むまで彼女を包み込んでいるだろう……】
【やがてその涙が枯れたなら、ポケットから白いハンカチを取り出す。まだ頬に残っている涙をそっと拭おうとするだろう】


……不格好な姿を見られたくない、情けない姿を見せたくない……そう思ううちに色々溜め込んじゃったんですか?
大丈夫!ソニアちゃん、人間なんてみーんな失敗するんです!私だって恥ずかしい失敗を数え切れない程積み重ねてきました!
でね、そんな不甲斐ない不格好な姿の積み重ねの上に人間は成長するんじゃないかなって……
ソニアちゃんは頑張り屋だから、いつかきっと皆に慕われる立派な人になれます!私が保障します!

……それで、もし失敗ばかりで泣きたくなったら……その時はまた、私が受け止めてあげます。
私じゃなくてもいいです、誰かソニアちゃんの涙を黙って受け止めてくれる人がいたら、その人に泣きつきなさい。
涙は我慢しなくていいんですよ……

//すみません、ちょっと意識が飛んで遅くなってしまって……
158 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 01:11:41.57 ID:DlVnXPtDo
>>153
/まだいらっしゃいますか?
159 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 01:21:58.51 ID:w1XtcdBf0
>>158
/長くは難しいかと思われますが、居りますよ!
160 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 02:00:06.31 ID:DlVnXPtDo
>>159

【独立した音は連ねられ合わさり纏まり、歌となる】
【冷えた空気はさぞその歌声を遠くに伝えるのだろう】

夜、寂れた神社、歌声……なんて心霊話でもあるまいし、でも逃げ場所には丁度良いかな

【結んだ白髪、首に巻いた荒いマフラーを靡かせながら揺れる人影はかの歌に誘われた】
【ゆらりゆらり、受けた傷を抑えながら危うくも確かに近づく……彼の傍ら右手の中にはひとつの刀】
【髑髏が擦れるような音は切先をだらしなく地面に垂らした為のもの】

……と、思ったけど先客か……あ?
なんだホントに幽霊?……冗談じゃない、折角体を休めようとしたってのに

【境内に入ればその場は清く、しかし彼はそれを知ってか賽銭箱に座る何者かを見て一歩立ち止まり怪訝な表情】
【色違いの双眼を細めてどうしたものかと思案する、互いに視界に入る範囲で童歌の主にも見えるだろう彼の姿は】
【満身創痍と言うに相応しく、刀は所々に罅入り戦闘用の衣服でさえも切り裂かれ血で重く染まる】

そっちがどうかは知らないけどこっちは危害とか加えるつもりはない
邪魔っていうなら出て行くから攻撃するのだけは勘弁して欲しいんだけども……

【疲れを隠す余裕もないのだろう少しの敵意を向けながら言葉を並べる彼は】
【どことなく雨に濡れた犬にも似て、恐れ混じえて視線を向けたままで歌の主の動向を伺うのだった】

/短くとも良いのでよろしくお願い致します!
161 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 02:24:53.65 ID:w1XtcdBf0
>>160
「――――珍しいな。こんな廃れた神社に人が来るなんて
幾日振りか…………数年振りかしら。ふふ、嫌ね…………歳を取るというのは。ずうっと前の事もつ最近の事もごちゃごちゃになってしまうのだから」

【そんな彼の姿を見る女性の表情は綻んでいた。刀には視線を注ぎこそするが、敵意を見せる事は無い】
【歳を取るのは嫌だ何て言うが、どう見たって年齢が二十の半ばが言う女の言う言葉には思えないだろうか】
【馬鹿にする風でも無く、ただこんな神社に人が訪れた嬉しさと可笑しさとでクスクスと笑い】


「幽霊、と言えば幽霊かしらね。でも、別に呪い殺すような類では無いから安心し為さいな…………
折角“私の”社に訪れてくれた人だもの。攻撃をする様な真似はしないわよ
だって、別に杉に釘を打ち付けに来た訳でも無く、休みに来たのでしょう?」

【本殿へと続く石畳は割れているし、その隙間からは雑草も生えている始末】
【長い間雨風に晒されてきたのであろう社務所なんて、所々の屋根が抜けていたり天井が崩れている程で在る】
【――――にも関わらず、女は“私の神社である”と言った。到底人が住めるような環境でも無いのに】


「お供え物だって無くて、在るのは精々湧き水程度だけれど。其れでも良いなら休んでいきなさいな
その傷だって、まだ痛むでしょう? …………まだ人が居た頃は、此処の湧き水も万病や怪我に効く何て言われていてね
ほら、何でそんな姿になったのかは聞かないから――――身体、清めると良いわ」

【賽銭箱から飛び降りれば、下駄の歯が石畳を叩く。だが、其の時に生ずるべき音は発生しない】
【青年に近づく歩みの時だって同じだ。下駄の鳴らす音は聞こえず、そして距離が近くなる程に神聖も強まる】
【――――ならば、この神社自体が神聖を放っているのでは無く、女自身が其れを放っているのだと察するのは簡単な事だ】

【促す先は件の湧き水。手水舎。申し訳程度に置かれた柄杓は錆びては居るが、幸い底が抜けていない事もあって難なく水を汲む事が出来よう】
【さて、其れで清めたならば…………もし、傷口に水が触れたならば。流石に直ぐは回復しないものの、痛みだって大分抑える事も出来るはずだ】
162 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 02:41:55.22 ID:DlVnXPtDo
>>161

―――――――化生の類?……でもまあそっちがそう言ってくれるなら何でもいいや
少しだけ場所を貸して貰うぜ、お参りの金は持ってないけどな

【人の手が入った気配はとうの昔といった風】
【ただ乱雑なままの境内はこの場が人の手から離れてしまったことを物語っているようだった】

……それとも、ここが人を見限ったか

【手水舎にゆっくりと向かいながらも社を見て呟く】
【人が神を不要としたか、神が人を見捨てたか……なんて水掛け論】
【栓のないことだと息を吐いて揺れる波紋を、沸き立つ水を覗きこむ】

(ひっどい顔……見せられたもんじゃねえなこんなの……)

【傍らに刀を立てかけ、女性へと礼を返しながら柄杓で水を掬い取る】
【いっそ頭から被ってしまいたいが仮にも神聖な場であった場所では躊躇われた】
【手を清め軽く口を濯いでここで漸く一息つく】

で、アンタは一体どういう人……人じゃないか
調子が悪いからかあんまりよく「視えない」んだけど……言えるのはお互いまともじゃないことくらいか?

【かたん、柄杓を正しい位置に戻し語りかける】
【妖しげな女性の在り方にしかし彼は慣れているのかなんの事もなく平素のまま続ける】

ん……なんだ、水?……巡り合わせにしたって幸運な
こりゃ後が恐いけど、取り敢えずアンタにお礼でも言っておけばいいのか?

【件の水に触れ、痛みが和らぐ……驚きつつも目の前の彼女による恩恵ならば然りといった風】
【再度の礼は畏怖を込めてのもの、それに同調してか傍らの刀が「かたり」と揺れるのだった】
163 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 03:05:50.61 ID:w1XtcdBf0
>>162
「金銭なんて私が使える物じゃ無いから必要ないわよ。食べなくても、飲まなくても生きていけるのだから
…………其れに、お金がお礼代わりだなんて、味気が無いものね。お参りでお礼をして貰った方が、神主は兎も角住み着いている方もよっぽど嬉しいものよ?」

【いつの間にか横に立っていた女も、然りと水には映っていた】
【化け物になっている事も無く、そのままの姿で映っては居るが…………だからといって違和感が消える事も無い】
【飲まず食わずで欲も無ければ解脱でもしていそうなものの、其処は神道。また別な話】


「人かと言われたら、迷ってしまうけど…………でも、依り代も無いから何とも言えないわね
ずっと、ずうっと此処に居た、と言えば良いのかしら。社が建てられる前から居て、気付けばこんな社を建てて貰って…………気付いたら、遊んでいた子達もお爺ちゃんお婆ちゃんになって、死んでしまって
気付いたら――――こうやって、また人が来ないかな、なんて待っていて。ふふふ…………そうね。まともじゃない、と言った方が早いのかもしれないわね」

【返事の代わりとして、そんな水掛け論を終わらせるような言葉は――――時が経ったから】
【子供と遊んでいたならば近場に村もあったのだろう。其れが消えて、訪れる者達も途絶えてしまった。…………遠方から訪れる者だって今は居ない】
【だから、数年振りとの言葉も漏れたのか。たった一人でこの境内に住まうのは人間ならば余程精神が強くなければいけないし、例え別な種族であっても同じ事だろう】
【また人が来るのを待っていた。そんな言葉を呟いたときには、過去を思い出したのか儚げな表情をしていたけれど】


「さあ、誰に礼を言うべきなのでしょうね。この地特有なのかも知れないし、私の境内に沸いているからなのかは分からないけど…………でも、そうね
お礼をしてくれるなら、あの鈴を鳴らしてちょっとでも拝んでくれた方が嬉しいわ
――――その不思議な一振りと一緒にね」

【何とも適当な女であるが、もし礼をしてくれるならば。そう指した先は先まで腰を掛けていた賽銭箱だ】
【丁度その前に拝殿がある事から、其れに対して言ってくれとでも伝えたいのだろう】
【…………序で、まるで同調するかの様に鳴った刀には、興味津々といった視線を向けているが】
164 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 03:25:45.78 ID:DlVnXPtDo
>>163

ずっと待ちぼうけって訳か……
持ってるスケールが違うから安易に同情なんか出来ないけど――――――――

【風が吹けば崩れてしまう、そんな儚さを得るにはどれだけの月日を消費すればよいのか】
【察するには未だ遠くだからこそ彼女と同調することなど彼には許せない】
【彼女が得た感情は彼女しか知り得ない、それを他人である自分が語るのは烏滸がましい】

人間も大概身勝手だ、好きに奉って飽きたら離れて廃れて
それでもただアンタは待ってるだけ……か、報われないねなんだか

【思うところはある、されど語ることは許されず】
【出来ることといえば精々拝む程度】

……出来ることをやる、それがオレのやり方だったっけ

【不意に浮かべた苛立ちは誰への物でもない】
【自分でも分からない胸の寂寞感、それを振り払うように拝殿へ足を進め鈴を鳴らし祈る】
【自分自身には何も望まず、少しでも可能性があるならば彼女が報われるようにと】
【いるかどうかも分からない天上のものへと頭を垂れる】

【小さく鳴いていた刀は清浄なモノに属する代物だったらしく】
【この僅かな時間の内に罅や欠損を癒やし始めていた、ならばその小さい鳴き声は彼女への礼か】
【ただモノは何かを語る術はなく、銀色に輝く己の身だけを誇らしげに光らせていた】
165 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 03:45:53.25 ID:w1XtcdBf0
>>164
「…………待つ、というのも中々に楽しいものよ。現に、待ってみればこうしてお前という参拝客が訪れてくれたじゃない
楽しい日々か続いてしまえば、有り難みなんて無くなってしまうけど
偶に味わうのは――――――こうして、本当に有り難いものなんだ、と実感できるもの」

【待たずに自ら人に歩み寄れ。――――否、出来ない。この地に生まれ、この地に縛られているモノ】
【境内が出来る前から、行動できる範囲は決まっていた。偶々、其処にこうして作って貰っただけだ】
【それだけでも、随分救われた。一時的――といっても、百は優に越すが――に訪れる人間も増えた】
【其れで良いのだ。何時かこんな風になるのは分かっていた事だったから。ただ…………今になれば、もう少し楽しんでいればと思うのも事実】


「本当は、ねぇ――――」

【始めて鳴らす、カランとした軽い音。下駄の歯が作る其れに他ならず】
【所謂実体化であろう。姿形も変わらないが、カランカランと鳴らす音は確かに女が現世に居る事を示している】
【――――後ろに立てば、「本当は」と呟いて。上げた白い手は…………】


「――――……本当は、お前の祈りも分かっているのよね。だって、あなたがそうやって願掛けしている相手は私だもの
こう見えても戦に勉学恋愛成就、色々と頼まれていたのだから少し位欲張ってくれても良いのに
でも…………有り難うね」

【叶うことならば、青年の頭に乗せられる事だろう。女から見れば子供。青年がどう思うかは分からないが――――優しく撫でる手は、正しく子供扱いの其れである】
【願いが実は読めている何て終えた後に言われれば恥ずかしく思う者の方が多いことだろう】
【青年自身の事ならば、特に口を挟むつもりは無かった。何と無くアドバイスをして、微笑ましく見守るつもりであったが】
【自分の事となれば、その優しさについつい悪戯心が芽生え。――――然れど、振り返れば嬉しそうに微笑んだ顔を見る事になるか】
166 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 04:28:46.28 ID:DlVnXPtDo
>>165

報われるべきものはきちんと報われるべきだと常々思ってる
でもそれが当たり前に行われない世の中ってのにいっつも腹が立つ

【そんな考えも所詮喚くことしか知らない子供だから思いつくのだろう】
【でもだからといってただ不条理に従ったままでいられる程大人しくはいたくなどない】
【だから、カミサマなんてルールは嫌いなんだ】

【自分ではなく誰かを祈る、或いはそれは「我」というものを見失っているからか】
【一歩間違えればそれはただの独善で、そして何よりも報われることはない】

【祈りを終えた横顔はそれを知ってか知らずか、変わらずの仏頂面だった】

アンタにそこまで思い入れがあるって程じゃないけどね、どうせ初対面だし
でもなんだろう……ちょっとばかし似ているヤツを知っててさソイツと被って……なんとも情けないけどね
いや、ホント……感情移入なんてガラでもないってのに

【泥沼に嵌る感覚、思考の坩堝】
【疲れているからだろう、現に触れた掌を退かす気力もない……今日はそういう日なのだ】
【でも、まあたまにはそういう日もあって良いのだろう代わりに得られるものもあるのだから】

一番に礼を言われるべきは間違いなくアンタだよ
ついでに欲張ったっていいとも思う、まあ都合上そうもいかないんだろうけど……。

【彼女の在り方は尊いものだと理解している】
【そしてそれは自分程度の言葉では覆せるものなどではない】

さて、長居は無用……いい加減手を降ろせよな、今日だけだぞ黙って撫でられといてやったのは
次はこう簡単にはいきゃあしないんだからな……まったく。

【敬意を払うにしても自分のやり方はスマートではないのだろう】
【それでも素直なままよりマシかと天邪鬼は小さく鼻を鳴らし微笑む】

……ま、時間があればだな――――――――

存外気に入ったし暇があったらまた会うよ、それじゃあな

【足を鳴らし刀の元へ、軽く振り払い構え無しに外へと歩き出す】
【かつかつかつ……何も言わずに、帰ろうと思ったけれど口は勝手に動いて告げる】
【傍迷惑な来客は肩を竦めてみせてから来た時とは逆に構えを新たに……「走り出す」】

/この辺りがよろしいでしょうか?
/一先ずですがお疲れ様でした!
167 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 05:01:10.19 ID:w1XtcdBf0
>>166
「私は報う側。捨て子でも、罪人でも…………救うべき存在は手を差し伸べるのよ
ふふ…………。そう。なら、その子と仲よくしてあげなさいな
誰でも一人で過ごす時間は退屈で詰まらないもの。限られた時間の中で一人で過ごすのも良いけれど…………きっと、誰かと過ごした方が素敵な時間になるわ」

【八百万。森羅万象に宿る一つの存在。女はその何に属するのかは分からないが――――一つの村の発展から終わりまでを見届ける以上には長く生きている事は確か】
【だから、どうしても殆どの生命と子供の様に接してしまう事も多い。…………何より其れが、子供好きである証ともなる】
【頭を撫でながら青年の反応を楽しんで、好い加減降ろせと言われた頃にやっとその手も下げて】


「残念ねぇ…………久しぶりだから、もう少し撫でていたかったのだけれど
――――ええ。何時でも待っているわ。誰も居ないのだから気軽にいらっしゃいな
また怪我をしない様に気を付けるのよ?」

【そんな背を見送りながら、もう一度賽銭箱の上へと座って】
【姿が見えなくなるまで視線を送っていれば、夜空を見上げる事だろう】
【木々は成長し、枯れ。景色は色々と変化してしまうけれど―――――この空だけは、昔のままだ。女と同じ様に、ずっと時が止まっている様にさえ思える】


「本当に何時振りかしらねぇ…………
欲張る、か。…………ねえ、何処かの神様?もし私のお願いを叶えてくれるなら、欲を叶えてくれるなら
昔の様に――――…………いえ。さっきの子みたいに、素敵な子を一時寄越して下さいな」

【見える人も居るし、見えない人も居る。曖昧で不思議な存在】
【祭られていた自分が他の存在に祈るなんて滑稽な話だけど――――偶にはそんな日があっても良いであろう】
【クツリ。一人笑えば夜空を見上げながら言葉を零し】
【トン、トン、トン。踵が賽銭箱を叩き、静かに静かに響く鼓音。ゆっくりと明ける夜空を見つめ、最後には過去を思い出すかのように目を瞑って、女は微笑んだ】

/そうですね!キリも良いのでこの辺りでっ!
/こちらこそ、お相手有り難う御座いましたですよ!お休みなさいませー!
168 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 19:10:20.03 ID:r61Aw5BLo
【水の国――時計台広場】

【オフィス街の近くにある其処は、季節柄の白いイルミネーションで眩く飾られている】
【待ち合わせの場所などにも多用される時計台の傍で、自販機と対面する妙な人物がいた】

これ、は……ええと、此処へこの銭貨を投入して……後に、然るべき品を選ぶ……
……素晴らしいですね、温かい…… ――っッ!? 何と、礼を言う自動販賣機とは……!

【「毎度有難ウ御座イマシタ」という定型句にさえ一々感嘆する、結構恥ずかしいその人物は】
【濃灰色の和服に下駄を履いた青年。左腰には長ドスを差し、任侠者というような風貌】
【右目の隠れた長い黒髪に黒の穏やかそうな目、左手の薬指には黒い指輪を嵌めている】

【世間の常識に疎い、と言うよりは別の時代から来たようにさえ思える行動ではあったが】
【既に誰かに正しい使い方は教えられているようだった。其れでも一々反応が大きく、目立つ】
169 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/11(土) 20:05:34.74 ID:VhOQ3fik0
【鉄の国―――白銀の都・イグナス=z

【ノヴァル城に潜伏していたGIFTの軍勢を倒してから約数週間………脅威を退けたと思い込んでいる鉄の国の人々は平穏な暮らしを謳歌していた】
【それはここ―――鉄の国の軍事産業の中核を担っているイグナス≠ノおいても変わりはなかった。】
【自国の軍事力にさらなる自信をつけた鉄の国は、より一層の軍事拡大方針を打ち立てており………その中核を担うこの都市はせわしなく動いていた】
【主に工場などが広がる上層≠ニ、人々が生活をしている下層≠アの二層構造で分けられており―――下層から明かりが消えても上層の工場は稼働している】
【この国のさらなる躍進の為に―――そうした人々の思いによって休まず工場は稼働する、その忙しさに少し前までこの国を騒がせていた事など、既に記憶の端へと追いやられていた】

【そんな工業都市に接近する物体が一つ存在していた―――。】

           ≪やぁ諸君―――夢から覚める用意はいいだろうか………?≫

【上空から飛来するそれは………黒いガンシップ=\――GIFTの侵攻において度々目撃されていた兵器だ】
【その襲来によって、人々の脳裏へと再び戦乱の記憶が蘇る………ッ!】

【ガンシップから聞こえる音声と共に発射される銃弾、砲弾―――工業都市は一瞬の内にして爆撃と焔が支配する戦場≠ヨと変貌した】
【鳴り響く警報―――街の至る所から姿を現すGIFTの兵………再び戦乱がこの国を包むのだろうか………?】


【だが鉄の国軍は、この事態に対して冷静であった………それもそうだ、GIFTは先日の事件で虎の子の弾道兵器を奪還され】
【さらには挑発してまでおびき寄せたアジトまで陥落しているのだ、もはやこれは苦し紛れに軍事工場へダメージを与えようと特攻したに過ぎない………と】

【―――そして即座に事前に声をかけておいた能力者や自警団関係者へと迎撃の指令を通達する―――。】
【何にせよ戦いは始まった、総力戦と言えるこの戦いが長きに渡る戦の終焉となるか、それとも………全ては能力者達に委ねられた】


                    【上層部兵器工場・中枢区画=z

【都市の上層部に存在する中央工場、戦車や起動兵器などの大型兵器の生産開発も行っているメインとなる工場だ】
【―――だが、その工場の隔壁は無残にも破壊され………侵攻を妨げる者は全て吹き飛ばしたかのように壮絶な破壊の跡≠ェあった】
【その破壊の跡は点々と進んでおり、それを追っていけばついには中枢区画へと到達するだろう―――。】

【中枢区画の中心、工場全体へエネルギー供給する炉心のような場所の上にある円状の大きなフロアの上】
【開発中の新型兵器が吊り人形のように鎖で吊るされる場所の前】
【今までと同じように、圧倒的な力によって破壊された自律兵器の瓦礫の山の中心に立っている人物が一人………。】


≪―――この程度か、つまらんな………所詮は鉄くずで組み上げたガラクタの山、私の焔≠止める事は叶わない、か≫

≪クク………そうだな、私の相手を出来るとしたら―――彼ら≠セろうが………果たして現れるか?≫


【―――その人物は。】
【まず頭部は紫のバイザーのヘルメット型の灰色の仮面に覆われており表情はおろか人相も判別できない状態であり】
【全身は銀色の装甲服とその上に灰色の背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の男】

【………そう、この国にいる者なら知らない者はほぼいないであろう………全ての元凶、GIFT鉄の国侵攻軍のリーダー・『W/ダブル』】
【アジト襲撃にすら姿を現さなかった首謀者が、ついに戦場へと姿を現した―――ともすればやはり軍の見立て通りGIFTも切迫した状況なのだろうか?】

                     【全ては―――この一戦で明らかになる。】

//それではイベントを開始します!投下は【BattleU】以外は襲撃側からお願いします!
//【BattleT】の方はこのレスに、【BattleU】はダンの方から投下をお願いいたします!
170 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/11(土) 20:18:26.28 ID:9L6EoCW90
【イグナス下層・中央広場】

【イグナスの下層に広がる広場、平常時は人々の憩いの場となっている】
【しかし今起こっているのは警報と爆破音と銃撃音であった】
【無残に破壊された噴水や建物の破壊瓦礫】
【そしてそのようなものにかまうこともなく瓦礫に腰掛けている人物が一人】

 飽きないもんだなここを襲撃するのも
 なにか恨みでもあるのかねえ
 ま、そんなもん知ったところでなんにもなんねえよな

【だるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】

【中央広場襲撃部隊担当ははこの男だ】
【そういうことはこの男を倒せば中央広場襲撃部隊は撤退していくことであろう】
171 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/11(土) 20:19:14.56 ID:PshBOEdCo
【鎮座する無数の鉄は、何一つ語らずその身を柱座したままにしているのだろう】
【今は息を潜めている兵器、ただひたすらに他者を殺傷することだけに特化された刃】
【指先が触れた、冷たい金属の質感は、皮膚の内部まで凍らせてしまいそうなほどに】

【――――――それでも尚、奥底に秘めたる熱は、生命を奪う武器故のもの】
【<イグナス下層・軍司令部>そこに入ってきた人影は、何をするわけではなく、周囲に置かれた兵器に触れていた】
【既に普段であれば内部に居る軍部の人間は避難を済ませており、彼のその行為を止める人間は居ない】

【視線が揺らめいた、顎を上げ、高い位置に積まれた銃器に視線を向ける様子は、絵画の一枚のよう】
【冷たき兵器と見間違えそうなほどに、その影の瞳は、冷たい色を含んでいた】


流石は軍需産業で名を上げた鉄の国≠ニ言うべきか、これだけの兵器を安定して生産できる技術は他国には無い
対抗できるとすれば精々水の国程度――――――否、彼処も以前と比べれば兵器の需要が減り停滞していると聞いている
世界的に見れば軍縮だからな、世論がそうある以上各国の意思もそう統一されるのだろう

……だからこそ個人が、組織が力を持つ機関∞D.R.U.G.S.=\―――――そしてGIFT
奴らに遅れるわけにはいかないLab≠フ革新の為にも、此処の技術はいただかなければならない


【セミロングの黒に近い茶髪、黒いシャツの上に赤いネクタイを締めて】
【シワ1つない清潔感のあふれた白衣をその上に纏う青年に見える男性が声を漏らす】
【整った顔たちには表情一つ映さず細身の眼鏡越しに漆黒の瞳を瞬かせる】

【首元を開けさせてネクタイを緩めている様子は、少々年上に見えなくもなく】
【彼の後方に座するのは2mはあろうかという巨大な十字架】
【GIFTのマークを模した黒色の十字架はその中心に白抜きでGIFTのマークを描いている】

【彼は独白を終えるとゆったりと司令部の中央部へと移動を始めるだろう】
【中央には今は電源の切れている大量のモニターと巨大なパソコンが存在しており】
【そのパソコン内部には大量の鉄の国≠フ兵器情報が入っているのだろう】

【一歩前へと踏み出す度に後方の巨大な十字架が追尾する、その技術は分からないが】
【何も邪魔が無ければ、そのままパソコンにアクセスし、情報を奪い取ろうとするだろう】
【少しずつ歩みを寄せる彼を邪魔するものは――――――果たして】
172 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/11(土) 20:19:23.43 ID:9L6EoCW90
>>170
/リヒト中身です、ヘケメト&アウのかたよろしくお願いします
173 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 20:26:55.30 ID:QCpoqhiHo
>>170

【あなたは不意に後部から何者かが迫る気配を感じるだろう――】
【少なくとも味方とは思われず、その理由は圧倒的スピード!】 【並大抵の者では到底到達できぬ程だ】

「ヘッキャアァーーッ!!」

【そして、轟くは耳をつんざくかのようなけたたましい叫び声】 【一応人の言語と思われるが――】
【――ともかく、様々な意味で感じるだろうモノは"危険"ということ!】
【もし、今腰かけている瓦礫から遠ざからないとすれば、あなたは後ろから迫る者の攻撃を受けてしまうだろう】

「戦いだァーーッ!!」

【振り向けば見えるだろうその姿、――】
【それはガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

【振るわれる攻撃は、"跳躍からの拳振り下ろし"――狙いは頭部であり、かなり攻めに来ているようだ】
【無論、ただのパンチといえども、この体系・あのパワーとスピードの者から繰り出されれば、結構な威力があるだろうことは想像に難くない】

【しかし、逆にうまくいなせれば――あなたはアドバンテージを少し得ることが出来るだろう】
174 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 20:39:17.46 ID:tAeD+OnLo
>>169

その声、その覇気……―――『W/ダブル』。
やはり現れると思っていた……そしてこの日の為に磨いてきた。―――貴様等が忌み嫌う無能力者の……『牙』。

【広がる、覇気。静かながらも秘めたる灼熱の意志が内包された―――戦う者にしか、否その中でも一握りしか出せない程の】
【―――そして其れは、『W/ダブル』自身も知っているのかも知れない。一度二人は出会っているのだから】

……最初から姿を見せるのは余裕が無い証拠か、GIFTよ。 ―――もう破らせはしない。いや、貴様等では決して貫けない。
―――緋色に輝くこの重厚な盾は、SCARLETは……決して貴様等何ぞに負けんッッ!!

【白い長着に黒い袴を履き、薄藍のインバネスコートを羽織った男。―――SCARLET所属、中邑瑛月。一度は『W/ダブル』に屈した男ではあるが、その面影を感じさせなかった】
【濡羽色の双眸が見開き、鋭く煌く。遠くから流れてきた爆風が黒髪とコートを揺らす。抜かれた銀色の牙が月光に反射し、瑛月は其れを両手で握り袈裟に構える】
【そして僅かに膝を緩め沈身すれば、隙の無い構えのまま近づき―――相手が何もアクションを起こさないのなら2人の間合いは10m程度になるだろう】

……―――工場をこれだけ派手に破壊できるのは貴様しかいない。其れに気付いた瞬間勝手に足が動き、中へと入っていた……そして、貴様を見付けた。
アンジェルの刃を止める程の実力は解っている……が、我が唯刃流とこの『御代櫻』が―――貴様の焔を、両断する。

……―――覚悟しろ『W/ダブル』。 ……―――覚悟しろGIFTッッッ……!!

【コートの右肩部分には、緋色の鷹。何故かその紋章が今日は一段と大きく見える。何故か170弱の男の姿が一段と大きく見える。―――「武」は進化していた】
【宿敵を睨んで構えるその姿、殺気刀身に満ちて寸毫微塵の隙も見当たらず。喩えるなら、「正義」そのものが牙を向いているようであった】

/瑛月中身です、宜しくお願いします!
175 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 20:44:20.98 ID:MoXgsRoAo
>>169

――――待ちな!!

【イグナス・兵器工場中枢部――――GIFTに蹂躙される工場の中を、時に部下に檄を飛ばし、時に自らも砲を交わしながら、その男は進撃した】
【筋肉質で背の高い体格に褐色肌、ボサボサで短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして】
【首からはドッグタグを下げ、右腰には何か巨大な円柱のようなものを抱えているだろうか】
【――――怖ましい破壊の跡を追い、ついにその場へ辿り付いたその男の名を、アサド・アル=アーデルと言った】

その身形、あんたが『W』で間違いないな。
俺はアサド・アル=アーデル…………何をしにきたかは言うまでもねえな?
ここ最近の、度重なる襲撃事件。ずいぶん暴れてくれたようだが、そろそろ幕引きの時間だ――――。

【獲物を前に血をたぎらせる獅子のよう、銀の瞳でその背を射抜き、アサドは右腰の得物≠向ける】
【それは黒色の特殊魔鋼をベースに要所を白い強化パーツで覆った、とんでもなく巨大な銃砲だ】
【金属光沢を放つ重厚なフォルム、円筒状の大口径、手で持つ為でなく脇に挟む為の銃把。そのどれもが、秘めた威力を誇示している】
【後は引き金一つで、砲撃を撃ち放てる体勢。大人しく投降してくれるだなんて、もちろん全く期待していない】
【銃砲の重みを感じながら、アサドは今までの襲撃事件を思い出す――――こう何度も連続で襲撃されては、鉄の国にだっていつか限界は来る】
【この国が本当の鉄クズに変わる事だけは、左胸の自警団のバッジと、腰のポーチにあるSCARLET≠フ紋章にかけて、必ず防がなければ】

――――そんじゃあ、とっとと始めるとしようぜ! 『W』さんよぉッ!!

【そして、何より。この男の部下には、自分の大事な部下も世話になったのだから。アサドは不敵に笑って、獲物を射抜いた】
【一瞬、周囲を見渡す。同じようにこの場に集った仲間達の顔を確認して、そこから先は一切の容赦を消す】
【次の瞬間――――短い爆発音が、アサドが引き金を引いた事を告げる。着弾地点で爆発を起こす橙色の魔弾が、『W』の足下へ飛翔する!】
【その砲声を合図として、この地に渦巻く悪意を終わらせる為の始まり≠ェ、今まさに齎された――――】


/アサド・アル=アーデルです! 【BattleT】の皆様、本日はよろしくお願いします!
176 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 20:45:03.96 ID:7k1W98KNo
>>171

【迷うことなく、その影は軍司令部の中央へと足を運ぶのだろう】
【それを止める者はいない。しかし――彼の歩みに合わせて揺れる白衣の端を、追いかける者がいた】

【彼がモニター室か、あるいはそれに近しい場所へと踏み込んで数分後、彼女≠ヘ追いつくのだろう】
【カツ、カツと控えめだが確かに響く靴音。誰かが来たことを知らせるには十分過ぎるそれ】
【部屋の入口で止まった足音の主は、彼の姿を見て息をのんだ】

【もしもパソコンにアクセスしようとしている人物が部屋の入り口を見たならば、そこには】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、雪のように白くつばのないファーハットをかぶり】
【白いコートと黒いロングブーツを着用している、そんな――温厚そうな顔つきの少女が、いることだろう】
【大きめのショルダーバッグを肩にかけ、手には相変わらずスケッチブック≠携えている】

【男性は以前彼女の姿を見たことがあはずだ。そう、つまりこれは、二度目の邂逅】
【彼女はやはり前と変わらず、筆談をするべくスケッチブックに目を落とすのだろう】


『あなたがいるとは思いませんでした。まだこんなことに力を貸しているのですね。
 ……そこで、何をしようとしているのでしょうか。』


【ペンの小気味良い音がいたずらに響く。書き終わればスケッチブックを裏返して文字を示すのだろう】
【部屋の中だから明るいだろうか。大きめに書かれた文字は、眼鏡越しに見る分には不自由ないだろう】
【彼女にしてはどこか棘を含む言葉。表情もいつもより張り詰めた、凛とした面持ちになっていて】

【彼女はただ、静かに、彼の――教授≠フ言葉を待つ】


/ブライトです。教授≠フ方よろしくお願いしますッ!
177 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 20:46:37.82 ID:jK2/CKAw0
>>169

【――――ローファーの軽い足音が響く。それもまた、防衛陣営の一人だという推測はしやすいか】
【機械を壊す音というのはなんとも耳障りだ―――雇われた「能力者」は頭の片隅でそんなことを考えながら】
【自分の持ち場へとその身を向かわせる。その時見えた惨状は、どうにも厄介そうな仕事だと思わせるのには十分だった】

――――――――――『ホントに愉快な連中だ、なぁ能力者主義者/サイキズムさんよぉ』

【中枢部へと運ばれる足の音、連なって聞こえたのは枯れ気味な青年の声だった】
【フロアの端、その他区画へと繋がる橋から歩いてきたのは響く声色とはまた違った容姿の人間で】
【自分で勝手に作った造語を並べては、やや苛立ちも孕んだ声を男へと投げかけるのだろう】

【声の主は、依然無表情。兵器だったモノを尻目にエリアへと足を踏み入れるそれは】
【――――グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカットの「少女」だ】

――――…『気をつけなさいと忠告されたその何日か後に、こうやって相見えるとは流石の俺も思わなかったが』
『結局のところ、ここまで来たなら無視することは出来んよなぁ…仕事にしても、俺自身の価値観としても!』

【面倒そうに、倦怠感の抜け切らないまま、右手の指の関節をポキポキと鳴らし】
【せめて気持の切りかえれるようにと、前口上を考えて―――】


―――――――『魔術師兼なんでも屋兼…『喋り屋』! 今宵は流離う“正義の味方”として、七色に声を紡ごうか』


【無表情という仮面を被り、眼前の男―――『W/ダブル』を見据えたなら舌の回りを確かめる上で、格好つけた宣戦布告】
【右手の中指は喉に当てられて―――口も動かさずに他人めいた声を出す姿はさながらそれはレコードの針に似ていただろうか】

/喋り屋です、みなさまよろしくお願いします
178 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 20:52:28.97 ID:6ppR4ItJo
>>169,174,175,177
【爆風。破壊の群れ――それを追い、一つの影は走る】
【予め提供されたマップと己の身体能力、その他五感から感じられる情報から最高のルートを選定】
【最高効率を以て、自己に許される最速の手段で、下手人の元に駆けつけんと――1人が、その二本の足を駆動させる】
【そして――円形のフロアの戸をくぐり抜け――その1人は、圧倒的なそれへと対峙する事を決定した】

「――Hello World」

【己の異能の名を口にしたのは一人の青年。白髪、オッドアイが良く目立つ外見だ】
【服装は、ミリタリージャケットにカーキ色のワークパンツ。腰に下げたベルトポーチからは幾つかの武装が見える】
【鉄の国軍から支給された回転拳銃Taurus Judge が一挺、シースナイフが2本外からは確認できるはずだ】
【靴は普通の革製のブーツに見えるだろうが、その実靴底とつま先に絶縁性の合金板を仕込んである安全靴だ】
【――何より目立つのは、意志の強さを表すような鋭い双眸だろう。正義であるのに悪性と善性を同居させるその混沌は、一際異質な存在感を漂わせる】

「いい加減この国から立ち退いてもらうぜ……GIFT――――ッッッ!!」

【己の意志。己の正義の敵であれば、善だろうが悪だろうが倒すという苛烈な規律】
【それを口に出し、青年の肉体は粉砕し、一度の死を経て――再誕する】
【左腕が砕けた、右目が砕けた。全身から蛍光グリーンのノイズが吹き上がり、一瞬濃厚な狂気のオーラが発露して】
【そのノイズが左腕の有った場所、右目の在った眼窩に収束。硝子に罅が入っていくような嫌な音を立てながら――異形の部位を形成】
【関節部を持たぬ歪なワイヤーフレームの左腕、実態を持たず異様なノイズに満たされたワイヤーフレームの右目が、ここに顕現】
【右手で引きぬいたUSBメモリに収めたデータを異能で補食し戦力の底上げを測り、己の知覚を、思考を加速していった】

「無能力者がどうとか、能力者がどうとか、誇りがどうとか――そんな御大層なこたァどうでも良い。
大切なのは――俺の正義とてめぇの正義が違うもので、俺の正義とてめぇの正義は相反するって事だ。
だから潰す。――――俺として、谷山基樹として。……往くぜ?」

【青年はGIFTの全てが悪とは思っていない。一部には理が有ると思うし、間違っていない主張も存在すると思う】
【そう、GIFTは正しいのだ。少なくとも、弾圧される能力者からすれば、選民意識を持つ能力者からすれば、だが】
【ならば、なぜ青年は敵対するのか? その解はシンプルだ。要するに、己の正義とぶつかる正義を掲げているから≠ニいう点にほかならない】
【善悪が問題ではない、正義が問題なのではない。――それが、己の敵であるかどうか。それのみが、今の青年の戦う理由となる】
【今宵はそれがGIFTであっただけ。もしSCARLETが、Justiceが青年の敵となるなら、青年は彼らと迷いなく事を構えてみせる】
【――他の者とはわずかに異なる視点を持った、中庸の正義の持ち主は――左腕にナイフを、右腕に拳銃を構えて――その思考を駆動させる】

「――し……ィッ!!」

【アサドの放つ魔弾に紛れるように――静かに左腕が跳ね上がる】
【放たれたのは細身のダガーナイフ。正確無比かつ、絶妙のタイミングで放たれたそれは、魔弾のコンマ数秒後にWの胴を狙う】
【纏うノイズは、情報量により神経系の許容量をパンクさせ、一時的にハングアップさせる効果を持つ】
【威力を持つものではないが、かすればそれだけで戦況を崩す。――この場における己の立ち位置を青年は支援を判断した】

「――――俺が隙を作る。瑛月とアサドと喋り屋。
攻撃は得意じゃないからよ、それ以外で力にならせてもらうッ! Code――Painッ!!」

【左腕でシースナイフを引き抜き、全身から狂気の気配の混ざるノイズを吹き出しながら――青年は己の立ち位置を宣言】
【その上で、青年は両足を動かす。軽快な音響、優れたバランス感覚はなめらかな加速を産み、十分な速度を持って鉄火場の中心へと青年を誘っていく】

/*谷山です、よろしくお願い致しますッ*/
179 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/11(土) 20:56:16.73 ID:9L6EoCW90
>>173

【不意に後部から感じた何者かが迫る気配】
【男は勢いよく後方を振り向くと圧倒的スピードで迫ってくる男を見た】
【そして耳をつんざくようなけたたましい叫び声におもわず瓦礫から飛びのいた】
【その飛びのくこういが襲撃してきた男の攻撃を結果的に回避できた】

 うおあ!、いきなり背後から叫んで来てんじゃねえ!

【瓦礫から飛びのいてさらに男から距離を開け襲撃してきた男に指をさしこのような声を上げる】
【だるそうな表情が怒りの表情に変わっていたりしていた】

 たく、人の迷惑を考え……いや俺も人のことはいえねえか

【相手に対してそのとおりにい言おうとして自分の失言に気がつく】
【自分たちも他人の迷惑以上のことをしているとそのように思い出し頭をぽりぽりとかく】
【そしてかき終ると新たな言葉が男からつむがれる】

 まあ、とりあえずだとっと帰ってもらおうか!

【その言葉と同時に男は襲撃してきた男に指を向ける】
【するとその指には光が一気に収束され――発射された】
180 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/11(土) 21:04:51.26 ID:PshBOEdCo
>>176

【――――――足音が響き渡った、室内に反芻するその音色は、静かにそれでいて高らかに奏でられる】
【キーボードへと伸びた指先が止まった、そしてそのままの状態でしばし静止するのだろう】
【声をかけられる訳でもなく、衣擦れの音に混じってペン先が白のキャンパスをはしる音がした】

【その音色はきっと、少女の声色以上に確かに彼へと言葉を投げかけるのだろう】
【文面も想像できた、彼の知る筆談≠使う少女ならきっと、こう彼に問いかけるのだろうから】
【白衣が翻る、レンズ越しの視線の先、佇むその姿は以前と変わりなく】


鉄の国≠ノ於ける兵器技術――――――掻い摘んで言えば現在軍部に配備されている兵装の情報及び設計図を頂いている
軍事技術の高い国だけあって、見事なものだ、日々絶え間なく研究を行い……いくつもの実験=\―――――いや実戦≠ニ言うべきか
それらで集めたデータは決して軽んじられるものでなく、我がGIFT≠ノとっても価値のあるデータになろう

……そんな事を聞きたいわけじゃないのだろう、最新の爆弾が一度にどれだけの面積を焼け野原にできるか、君が興味あるわけない


【凛とした声色、視線の先に映る少女の横顔は以前見た時と比べて、ずっと成長したように見える】
【その様子を目を細めて見てしまいそうになる、若い人間の成長は決して悪いものではない】
【それが才能に満ち溢れ正しい精神を兼ね備えている人間ならば、よほどだ】

【貴女から見えるだろう、既にUSBのようなデバイスがパソコンに刺さっている】
【データの転送にそう時間はかかるまい、データの流用を止める事はもう不可能だろう】
【ならば残された手段はデータの破壊≠サこに集約される】

【――――――おもむろにUSBを引き抜き、彼はそれを右手の中にしまい込む】


君は私が此処に居るとは思わなかった、と言ってくれたが、私はそうは思わなかったな
君が居ると思ったよ、正確には君みたいな人間が、と言うべきか
そしてそれは私にとっての幸運だ、データで推し量れる兵士が何万人居ようと私の探究心は満たされない

――――――君のような人間がいるからこそ、私が赴く価値ができるというものだ
行くぞホプス・ブライト、君も力を持つ者ならば、君の責務を果たしたまえ
私も力を持つ者として、私の責務を果たす

叩けAudioslave=\―――――優秀すぎる杭は一度打たれなければ理解しない


【右手を伸ばす、掌を開いたなら、そこにはUSBが存在しているだろう】
【隠すことはしない、彼なりの信念か、それとも余裕の現れか】
【左手でレンズのズレを直しながら、紡いだ言葉、それと同時に後方の十字架が姿を変える】

【<理論武装>Audioslave#゙の言葉に従い、変形し性質すらも変える彼の武器】
【十字架は2mほどの巨大なハンマーとなり、貴女の頭上へと一瞬で移動するだろう】
【ワープはそのハンマーの性質か、頭上に移動したなら間髪入れずに振り下ろされるだろう】

【かなりの質量を持つハンマーだ直撃したなら、ダメージは大きい】
181 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 21:09:01.11 ID:QCpoqhiHo
>>179

【どこから助走をつけていたのかはわからないが、相当な勢いがあったようで――】
【あなたが拳を回避すれば、――彼の拳は空を切り、瓦礫を砕き】 【そして顔を上げる】
【すると、己に向かい来るは"光"――すっと身体を下げ回避を試みるものの】
【それは彼の頭頂部を通り過ぎ、頭皮ごと髪の毛を持っていき――血が噴き出す】

「痛ェーッ!!」 「……ヘケケケ、多分このへんしっちゃかめっちゃかしたやつはあんただろォ〜?」

【――これくらいでは怯まないか、この冬に見合わぬ暑苦しさの男は】

「俺の名はヘケメト、なんか強い奴と戦えるうえにしっかちゃめっつぁかしたやつに勝ったら飯をたらふく食わせて貰えるからよォ〜」
「いっせきなんとかってやつなんだよ、――いッ、くぜェェエエーーーいッ!!」

【一応彼も国からの依頼を請け負った立場の様だが、正義には到底見えない――】
【いや、見えないからと言って既に押し売られた戦いはクーリングオフ不可能なのだが……】

【次に繰り出される攻撃は、左脚による跳び蹴りで――狙いは腹部】
【軽い助走をつけたとはいえ先ほどより勢いはない、とはいえ腕力と脚力の違いもあるだろうし、油断は禁物だ】

【――さて、彼を追い、慌ててこの場に駆け寄ってくる女性は、敵か味方か――まだ遠く、行動もない】
【姿は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】
182 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 21:12:55.02 ID:nPl657ve0
【イグナス上層・AMC社前――――――】
【軍事で成立するこの鉄の国に相応しく、鉄の国随一の兵器メーカーの本社ビルはただただ巨大の一言に尽きる】
【その誇るような威容はこれまた巨大な兵器工場と共にこの国の象徴でもあり、経済の源でもあった……】
【生産される物がたとえ兵を殺める武器だとしても、それを力として経済を回し、或いは自らを守る為の力と為していた】
【普段ならこのビルは昼夜を問わず人が出入りし、まさに眠らない建物であった。国の経済を推し進める原動力たるべく、日夜多くの人が働いていた】

【しかし今、眠らない筈のビルは眠っている。再び巻き起る闘いに備え、罪なき人々がせめて理不尽な災厄を被らないように避難したのだ】
【……避難指示を出したのは、UTのメンバーとのこと。隻腕長躯の大男が、GIFT兵第一波が来る直前にAMC社の関係者全員に指示をしたらしい】

【その男はビルの前で待機し、脅威が押し寄せるその時をただ待っていた】
【肩に掛かるか掛からないか程度のストレートの長髪、頭には黒いソフト帽。帽子の下から覗く目つきは鋭く、静かに前を見据える】
【偉丈夫とも呼ぶべき大男が纏うのは黒いコート。所々に汚れや傷が目立ち、かなり使い古されていることがよく分かる】
【……左の袖には通っているはずの腕が通っておらず、代わりに左肩の部分から金属質の鎧のようなものがコートの下から覗く】
【彼は黒いコートを夜の闇に溶かして、双眸だけを爛と光らせて、ビルの前に仁王立ちしている――――】


(―――――ビルの皆さんは無事に逃げ果せたのだろうか。)
(……この国最大の軍需企業だ、恐らく此処も襲撃されるに違いない。避難指示だけでも間に合って良かった―――)
(後は、我が身命を賭して戦うのみ、か。……私は、負けるわけにはいかない……!)


【今や、あらゆる場所で戦闘による物であろう轟音が響き渡っている。……恐らく此処も、直に戦いの波が押し寄せるのであろう】
【ならばこそ、人々が皆此処から避難できたのは何より。後は、脅威を排除するのみ――――!】


【さあ、もう“脅威”がやって来る頃合いだろうか】
【人々の命を、この国の経済を、民の生活を守るために―――――今、静かに敵と対峙する】

//デュアル兄弟の方、本日は宜しくお願いします!
183 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/11(土) 21:33:20.22 ID:VhOQ3fik0
>>174

≪―――来たか、中邑 瑛月………一度は折れかけた刃で良く立ち上がったものだな
 ほう、どうやらこの前とは纏う気≠焉c……そして鋭さ≠煦痰、か………面白い≫

【現れた人物にゆっくりと体を向けて、そしてヘルメットの変声機によって調整された声色で返答する】
【それは瑛月を真に敵と認め………そしてどこか敬意を払うかような口調だ。】

【ピリピリとした空気の痺れが、周囲の空間へも伝わり………そしてそのまま広がっていくのが分かる―――】

≪フフ、さて………どうだろうな、SCARLETのその意志―――果たして私の焔≠防ぎきれるか?≫

≪ならば見せてみろ………!無能力者/貴様≠フ力=c……そしてその身に宿る意志≠な…………!≫

【10mの間合いの中で、互いに一切の隙は存在しない―――その気になれば互いに直ぐにでも命を刈り取れる距離だ】
【SCARLETの、瑛月の気迫を受け止め………『W/ダブル』自身も全身から闘気を放出して相対する―――雌雄を決する時は来た】

>>175

≪―――む、≫

【瑛月との戦いの火ぶたを切ろうとした瞬間………そこへ新たな来訪者が現れる。】
【『W/ダブル』は振り上げようとした手を止めて、その声が響いた方向へと仮面で覆われた顔を向ける―――。】

≪如何にも―――アサド・アル=アーデル………SCARLETの戦士の一人か………まさかここに到達できる者がまだいたとはな
 幕引きか………さて、それは君たちの力℃汨謔ニいう事になるな。≫

≪せっかちな男だ………だがその素早い攻撃―――面白い………来い、Lucifer=

【返答もそこそこでアサドの放った砲撃の着弾点から後方にステップするように回避―――器用にクルリと着地をする】
【そして囁きと共にその両手に転送されるのは黒≠ニ白≠フ二挺拳銃だ………ダブルはその黒≠フ方をアサドへと向けると】
【まずはお返しとばかりに一撃―――素早い射撃で右肩を撃ちぬこうと銃撃する、精度も高いが回避できない速度ではない】

//続きます
184 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/11(土) 21:33:35.41 ID:VhOQ3fik0
>>177

≪………どうやら此度は随分と客≠フ多い日のようだな。≫

【現れた新たな戦士に対して顔を向ける―――声からして男と思っていたが、その姿は少女。】
【だがそれでもダブルは面を喰らった様子はなく………ただ一度「ほう」と声を鳴らして相手を出迎えた】

≪随分と面白い異能を持っているようだな………出来れば研究対象として持ち帰りたい所だが―――
 どうやらそう簡単≠ノはいきそうにもないな。≫

≪ようこそ―――『喋り屋』………では貴様の正義≠燻ヲしてもらおうか………シュライド・ドロウ=

【相手が少女であろうとも、ダブルの威圧に変わりはない―――素早く白≠フ拳銃を向けると、ためらうことなく引き金を引く】
【見えたのは一度トリガーを引く動作………だが発射された弾丸は3つ、それぞれ両肩と喉を狙って放たれている―――。】
【あまりに素早く、隙のない動作だが―――距離はそれなりに離れている………回避は可能だろう】

>>178

≪―――やはり貴様も来たか、谷山基樹………残念だがそれは出来ない相談というモノだ≫

【最後に現れた青年、谷山を一瞥すると―――ただ一言、おそらく想定していただろうが拒否の意思を示す】
【互いが互いを完全な障害として認識している………故にここで斃す、それのみが両者の中での共有であった】

【アサドと喋り屋へと銃撃を放った後の二挺拳銃の銃口が谷山へと向けられる―――】

≪クク………貴様はそれでいい、ああ………ならば私も私の正義に従って―――貴様を、潰す
 見せてやろう………貴様の求めていた、絶望という名の真実≠なッッ!!≫

                     ≪黒閃=窿bッ!

【谷山の正義論、それを肯定し認めるように返答し頷く―――だが互いの正義は相容れる事は絶対にない】
【放たれたダガーナイフ、それに対しダブルは左手に持った白≠フ拳銃を以て正確無比に射撃………それを弾いた】
【そしてお返しとばかりに向けられる黒≠フ銃口………そこから放たれるのは漆黒のレーザーだ】
【高速の熱線は谷山の胴を貫こうと一直線に兵器の残骸を難なく貫通し、迫るッ!】

>>ALL

        ≪役者は揃ったようだな―――では始めよう、戦争≠………!≫

    ≪GIFTメンバー≠ェ一人………鉄の国侵攻軍指揮官、W/ダブル=c……参るッッ―――!≫


【そして相対した四人へと、絶対な威圧を持つ覇気≠放ち、全身から灰色の闘気≠放出させて君臨する―――ッ!】
【今ここに、鉄の国を脅かす魔人との決戦の火ぶたは落とされたッッ!】
185 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/11(土) 21:40:27.92 ID:9L6EoCW90
>>181

 否定しないな、ここをむちゃくちゃにしたのは
 まあ、他の攻撃も混じってるっちゃ混じってるが

【男は襲撃してきた男の言動を否定はしなかった】
【自分で壊したのは紛れもに事実であり真実だからだ】
【少々いいわけじみた主張をしてはいるがあんまり気にするものでもないだろう】

 わざわざ名乗るのか、まあお前の勝手だからいいけどな
 しかし本当に単純な参加理由だな、聞けば聞くほど
 
【ヘケメト名乗った男にたいして男は単純なやつだなと思った】
【参加理由も至極単純だからこそ、そのように思ったのであろう】
【正義とは徹底見えないそのヘケメトに男は悪印象を抱くことはなかった】

 あと、お前が言おうとした言葉は一石二鳥って言うことわざだっと

【さらりとヘケメトがあいまいな言葉をなぜか教えた】
【気分というやつであろう、男がそのように言ったのは】

【そしてくるヘケメトのとび蹴りに左に軽く移動して回避した】
【とび蹴りしてきたヘケメトに対して回避したあとに思いっきり拳を作りヘケメトに叩き込もうとする】
【その拳は顔に向かっているが少々機動が遅いそのため回避は容易であろう】

【そして来る女に対して男はまだ気がつかない】
186 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 21:46:54.03 ID:7k1W98KNo
>>180

【見透かされている――というよりかは、わかりやすかったのだろうか】
【そう、この会話になんて大した意味はない。彼女が来た時点ですべきことはひとつなのだから】
【教授≠フ言葉がすべて終わった後、再び彼女は紙の上に筆を走らせる】

【それも頭上にハンマーが出現すれば中断されるのだろう】
【彼女の言の葉は、こんな些細なことですぐに塞き止められる】

【スケッチブックに目を向けていたが為に、反応が遅れる。とった行動はまず、能力の発動】
【首に青い光のリングが浮かび上がれば、前回と同じように空中に青い刃が現れるだろう】
【――大きく、厚みを持った刃。ハンマーが加速する前に、その軌道を遮ろうとする】

【その間に彼女は前へと移動し、攻撃から逃れるのだろう】
【刃は長くは持たない。交錯すれば、数秒と待たずに砕け散ってしまうが、それだけ時間を稼げれば十分だった】


『ここの兵器はすごい技術の賜物かもしれません。
 でも、あなたがそれを破壊のために使うとは思えないのです。
 ……外で起こっていることと、あなたが成そうとしていることのどこに共通点があるのですか?

 それとも、その探究心を満たすためだけに、破壊を行うのですか?
 とにかくそのデータは返して頂きます。抵抗するなら、痛いのを覚悟してくださいね。』


【隙を見つけてはペンを走らせる。そして、文字を示すのだろう】
【――きっとこれも、以前と変わらぬ押し問答で終わってしまうかもしれない】
【それでも、確かめなければならなかった。僅かな期待も、やっぱり心のどこかにあったから】

【彼女は宣言した通り動き出す。どっちにしろ奪われた情報は取り返さねば】
【右手を翳し、そこに青い光が収束してゆく。十分に集まればそれは弾けて、矢を形取るだろう】
【そしてそれを教授≠フ両脚へと放つはずだ】

【Audioslave≠ナ防がれることは承知している。だから、かなりの本数が放たれるだろう】
【おそらく防御の間は攻撃に転じることができないと踏んでの行動か】
【うまくいったならこう着状態を作れるが――】
187 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 21:47:16.61 ID:tAeD+OnLo
>>175 >>177-178 >>183-184

砂のアサド殿か……―――同じSCARLETとして頼りにしている。SCARLETは傭兵軍団のようなモノ、コンビネーションを上手く組むには難しいかも知れないが……
―――やるしかないさ。世界の盾は決して破れる訳にはいかない。いかないのだから……!

【自分と似た「正義」の覇気、そしてその名乗りを聞けば同じSCARLETである彼の存在を知る。自分と同様、凄まじい破壊の後に「脅威」の姿を見出したのだろう】
【―――そしてそれは瑛月自身とアサドだけではなく、他に2人。どちらも知っている顔だった】

心強いよ谷山、そして―――なッッ、いっこく……じゃなくて、『喋り屋』ッッ!? どうして、というか自ら危険に突っ込むなど……否、兎に角後だッ!!
―――谷山が隙を作り、その隙をこじ開けて攻撃を捩じ込む……!! 相手に余裕を作らせるな、解っていると思うが相手は格上だぞッッ……!!

【……『だが何故お前が居るんだ』。そう言いたげなトーンに瞳。一瞬心が乱れ直ぐにでも問い詰めたくなったが、そんな事は後だと思い留まり、視線を敵に戻す】
【―――気持ちを落ち着かせる効果もあるのだろうが、大まかな動きを呟き、周りに注意を促す。谷山と自分は知っている。相手がどれだけ強大であるかを】
【……だがアサドと「喋り屋」は知っているのだろうか。―――GIFTメンバーの圧倒的スペックの中でも、圧倒的な……この「W/ダブル」という人物の底知れぬ力を】
【もしその力を計れずに挑むのであれば、この工場のガラクタに埋もれてしまうだろうから―――瑛月は念には念を押して呼びかけた、という訳だった】

―――……疾ッッ!!

【周りが次々に攻撃を仕掛け―――瑛月も其れに続き、身体を前に倒し滑るような疾走を開始させた。正中線が一切ブレず、袴に足が隠れている為に滑っているかの動き】
【速度は出ない。だが、体感速度は実際よりも速く感じる筈だ。その特有の疾走は、動き出しを悟らせることを遅れさせる。最初の2,3歩は、感覚的には見えない程】
【その2,3歩の分だけ速く感じさせ、そして近付くことが出来れば刃が唸る。狙いはアンジェルの刃を止めた右腕―――相手が前のように刃を止めることを誘っていた】

(……止めに来い、「W/ダブル」……!! 御代櫻が持つ力を知られていない今なら―――)

【―――だが、瑛月には止められない自信があった。進化した斬撃のキレや威力もそうだが、自信の根源は刀そのものにあった】
【……『御代櫻』。この刀は魔翌力・能力を削る、つまり一定時間微々たる量だが弱体化させる力を備えている、別名「減魔刀」と言われる代物なのである】
【確かに放たれた覇気は物凄い。全身の毛穴が開き、一気に発汗している感覚がした。危険の塊に、死そのものに近づいている感覚は否めない】
【―――それでも、退かない。退けない。―――SCARLETの紋章を、自警団の看板を背負っている限り、恐怖に屈するわけにはいかなかった】
188 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 21:58:52.56 ID:QCpoqhiHo
>>185

「そォーだそォーだ、なんせきナンチョーってやつだよ、……んゥ?」

【――……単純な参加理由を持っていれば、その脳ミソも単純明快なアホだった】
【いわゆる脳ミソまで筋肉で出来ている種類の者なのだろう、だからこそ危険とも言えるが】
【跳び蹴りがかわされれば、行われるのは滑らかな受け身】 【重たい身体が受ける衝撃を十二分に放散させる】
【そして、やはりまた――流れるように、彼は身体をあなたに向けるのだ】

「おおっと、かわしたかァ」

【しかし、受け身行動の隙もあり拳を回避する余裕はなかった、故に防御せざるを得ない】
【右腕を前に出し、顔面をガード。常人に比べればだいぶ丈夫な身体つきとはいえ、ノーダメージではなく】 【ぎり、と、歯を食いしばった音が聞こえた】

「……ヘケケケ、なかなか良い感じの拳じゃアねェーか!」 『はァ……はァ……まったく、いつも通りどこかに消えたかと思いましたら……』

【そんなこんなで彼の近くまでたどり着いた彼女、二人並ぶと非常に貧相に見えるが――】

『前からではなく横からも攻めましょうか』 「さっき後ろから……」 『いえ、そういう意味ではなくですね』

【――このアホの使い方は心得ているようである】 【さて、彼はいきなり地面を左拳で叩く】
【すると――その部分の手前から2m程でその全てが"彼の髪の色と同じ緑色の棘"で構成された触手が一本生えて】
【それは、彼から見て右から左へ――つまり、あなたから見れば左から右へと薙がれる!】

【狙いは性質上脚になり、棘の強度は何かしらの攻撃を与えれば壊せる程度】
【また、棘の長さはまちまちだが――大体5〜30cmの間くらいだろうか】
【付け加えて。棘の先端の大体は触手の先端と逆向きであり、薙いだときに刺さる向きである】

【――女性の方はまだ動く様子はないが、男の行動に変化は見られた】
189 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/11(土) 22:10:48.23 ID:PshBOEdCo
>>186

【ハンマーの加速、それを遮ろうとする青い刃――――――このまま振り下ろしたとしてもダメージは与えられない】
【判断は一瞬、そして決断もまた、光すらも届かない速度で行われる】
【風の向きが変わる、視線を向けたなら、ハンマーが振り下ろされるのではなく空中で静止するだろう】

【振り下ろすのではなく振り上げる<nンマーは刃へ向かうのではく、司令部の天井≠゚がけ攻撃をしかける】
【鈍い振動が室内を包んだなら、直ぐ様轟音が響いた、中世の建物を改造して作られた室内は決して強度が十分というわけではない】
【天井が一部崩落し落下してくる、瓦礫は教授≠フ目の前に落ちてくるのだろう】

【瓦礫を彼は攻撃≠ナはなく防御≠ノ使う、天井を構成していた瓦礫はそれなりの厚みがあり】
【放たれた矢の大半を彼はその瓦礫で防御してみせるだろう、防御できない分ぐらいは彼の身体能力で回避できる】
【瓦礫が巻き上げる白煙、それが開けたなら、普段と変わらぬ無傷の彼が居るのだろう】


――――――それが私を評価しての言葉なら、君は私を買い被り過ぎている
私だって人間だ、誰よりも強い力を持ちたいと願い、そして強さに憧れる
探究心という綺麗な言葉ではなく純然たる破壊の為に使うことだって十分有り得るだろう

……だがしかし、それは本質ではない、君の観察力はやはり素晴らしい
私の興味は此処にはない、だが私の目的は此処にはある
兵器≠ノよって組織≠ェ力を持つ、そして力は強き光≠ニなる

さながら街灯に群れる蛾のように、まだ見ぬ才能が力に寄せられGIFT≠フ門を叩く
どうだ、納得のいく理論だろう?一つの国ぐらい滅ぼしても許されるぐらいに立派な論だ


【右手の中にUSBを仕舞いこんで白衣を整えるだろう、きれい好きなのか、舞い上がった煙に咳を一つ】
【眼鏡の奥の静かな視線は貴女を捉えたまま、返す言葉は静かに、それでいて確かに】
【他のGIFT≠フ構成員と彼=\―――――そこに本質的な違いはないと彼は言う】

【そしてそのためには国一つ滅ぼしても良い、と言う、多かれ少なかれ狂人の口にする台詞に大差ない】
【貴女が何かしらの変化を期待していたなら、それは期待外れに終わるかもしれない】
【結局のところ、筋道が違うだけであって、結論は一緒なのだから】


――――――……全く、反吐が出るくらい立派な理論だ
手が止まっているぞAudioslave≠ヌうした、彼女はまだ私の前に立っている
相応の理論をぶつけられたなら相応の理論で返すのがProfessor≠フ使命だろう?


【瓦礫による防御のためAudioslave≠ヘまだ上空にある】
【右手を伸ばしたなら、視線の高さから一気に振り下ろす、その動きに連動して、天井を叩いたハンマーが再び振り下ろされる】
【再び青い刃が迎撃に回るかもしれない、だが、彼もそこまで素直ではない】

【先ほどよりもハンマーの速度が早いだろう、その分大きさも小さくなっておりダメージは軽減される、が】
【返す言葉の隙間、そこに挟んだ、静かな憂いに気づくことはできるだろうか】
190 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 22:19:00.11 ID:jK2/CKAw0
>>175>>178>>187

【見知った声に、少しだけ目を見開いて】

――――『やれやれだぜ。まあそう考えるのは後で頼むよ瑛月!あとそれ以上は絶対に言うなよ、絶対だぞ!』
『俺がここに来た理由は全部、トーキングタイムが出来たら話してやる―――気が向いたらだが』

『―――それと、了解だ谷山!』

【冗談めいた台詞で、再会の挨拶を終わりにして―――続けて、彼女は人差し指に切り替えて】


――――『あーあと諸君!私は、魔術を使えるから無暗には近づかないんでそこんとこよろしく!』
『援護射撃に関しては任しといてよ―――――それでは、グッドラックっ!』


【先ほどは無かった、少女の声は、周りの注目を惹きやすいだろうか】
【詰まる所、彼女は遠距離からダメージを蓄積させていく要員らしい―――その旨を周りに伝えて】

>>184

―――――…『褒め言葉として受け取っておく…が、生憎と御触り厳禁なもので』

【冗談を言いつつも、銃の存在に気付き―――回避行動に思考を専念して】

【来る三発の銃弾――――左足を前に踏み込み、上体を低くずらして】
【それによって銃弾を避けるのだが、一発間に合わず――――右の頬を、肩を穿つはずだった弾丸が掠めた】
【―――驚くべきはその動作の正確さか。伝う自らの血に、吹けもしない口笛を吹きたい気分だった】

――――――――――――ッッ!!
『随分と女子にも容赦ないんだなぁ…っ! まぁ当然か…戦場には年齢性別如何、関係ないらしいしな!』
『じゃあ見せてやる、俺の正義を――――その目と耳、そして体でしかと“聴け”ッッ!!』

【体勢を元に戻し、相手の無駄のない動作に案外とヒヤヒヤしながらも、喋り屋は反撃へと】


―――――――――――『神よ、我が声に自然の加護を』


【そう唱えれば彼女の鳴らす「ハスキーな青年の声」は黄色く目で捉えられるように―――魔翌力へと、その姿を変えた】
【やがてその魔翌力が消費されたと分かる程に、綺麗に消えたなら、魔術師の力の片鱗が垣間見える】

【――――エリア中心の地面から、床の素材を無視して現れた、『土の刺』…『土の槍』と表現してもいい】
【それが一本だけ、地面から伸び―――ダブルの左脇腹を貫かんと勢いよく迫っていくだろう】
【しかし材質はたかが土、体に穴を開ける程の鋭利さはない―――無論、腹を殴られるよりは痛いが】

【とりあえずは、それで不意打ちが出来れば―――喋り屋はそう考えながら、その場で動向を観察する】
191 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 22:20:59.74 ID:THjLMN/7o
>>182
【一大軍事国家、鉄の国。その中でも、ここ白銀の都・イグナス≠ヘ、数多の兵器工場を有する、重要都市だ】
【そのイグナスに居を構える大手兵器メーカー・AMC社の本社ビルとなれば、鉄の国の心臓部の一つと言っても過言ではないだろう】

【その地に、GIFTの金十字が影を落とし、襲撃が開始されてしばし後】
【平時は休みなく動き続ける、眠らない地であるここは沈黙の内にあり、その前に守護者の如く佇む男が一人】
【夜の闇の中に使い古された黒コートとソフト帽、鋭い目つきと金属の鎧が浮かび上がる】

【彼の手によって人々はこの場から逃がされ、戦の音を遠くに臨むここは不気味なほど静かだった】


『チッ、んだよ、契約履行についてに火事場泥棒でもしていこうと思えば……まためんどくさそうなのがいやがる』
「いつものことだろう、向こうとてそう甘くはないということだ」

【静寂を破るは、一人分の足音と二人分の声。静かに来るべき脅威≠待つ彼の前に、それが現れる】

【そこにいたのは二人の男だった。しかし、立っているのは一つの身体だった。彼らは、一つの肉体を共有しているのだ】
【一人分の胴体に付いた、二つの頭と四本の腕。異形というべきその姿】

【向かって右側の頭は、ほっそりした顔つきに落ちくぼんだ目、白い瞳。長い白髪を後ろで一つに束ねている】
【向かって左側の頭は、がっしりした顔つきに吊り上がった目、爛々と光る黒い瞳。短い黒髪をボサボサに乱している】
【四つの袖口がついたスーツからは、本来の腕の位置からは青白く細い腕が伸び】
【脇の下あたりからは、浅黒く筋肉質な腕が伸びている】

【一つの身体を包むスーツは、中央から向かって右が白、左が黒に色分けされている】
【ネクタイやスーツにも同様の色分けが施され、二人の異様さをさらに際立たせる】
【極めつけは、スーツの両胸にあるポケット。そこには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で】
【それぞれ、No.50≠ニ刺繍されていた】


『ようそこの兄さんよ。こんなとこで何してやがる? 誰も残っちゃいねえだろうに、律儀に門衛の仕事か?』
「ここの連中が逃げ散ったのなら、わざわざ命を懸けて守ることもあるまい。一緒に非難したらどうだ?」

【答えの解り切った問いを、異形の双子は発した。その一つの身体には、すでに敵意が漲りつつある】
【守護者の前に、侵略者が立つ。民の生命を、鉄の国の豊かさを、彼らの日常を、踏みにじるために】

/大変遅くなりました、デュアル兄弟です!!
/ダン・ブラッグスの方、よろしくお願いします!!
192 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 22:27:01.06 ID:MoXgsRoAo
>>183 >>184

はん、二丁拳銃か。生憎、その手の武器は見慣れてるもんでなぁッ!!

【燃えるような灰色を滾らせる『W』の威容を吹き飛ばすように、アサドは勢いよく吼えた】
【向けられた黒の銃口に対して取る行動は、回避ではなく防御。右腕に力を込めて砲身を跳ね上げ、銃口に銃口を合わせる=z
【放たれた射撃は砲身の縁を掠め、軽い金属音を立てて軌道が逸れるだろうか。アサドは一歩も動かず、またダメージも負わなかった】

(さぁ、て――――『E』は装填済み。まずは、弾薬補充か)

【銃砲の上を、水色のエネルギーラインが走る。それはアサドの魔力と、そして闘志が、銃砲の内部へ正しく伝わっていることの証左だ】
【その光を受け、側面にある小さなモニターの上には『Al-H?di(アルハーディ)』という文字列が浮かぶ。恐らくこの銃砲の名前だろう】
【銃弾を銃で受けるなど、普通はあり得ない事だが――――この『アルハーディ』、どうやらそのまま盾として使える程に硬い≠謔、で】
【そして、一切動じず対応して見せたアサドの判断もまた、十二分に非凡。アサドがこの場に辿り付いたのは、決して偶然ではない――――】

よっ、と! 行ってこい!!

【アサドは距離を取るように後退しながら、連続で引き金を引く。その照準は、『W』には向けられていないが】
【『アルハーディ』に走るエネルギーラインに注目していたなら、最初の二発を撃つ際には水色、次の二発では橙色へ色が変わるのが見えるだろうか】
【連続発射された魔弾は、水色の球体が二つと橙色の球体が二つ。どちらもバスケットボール程度の大きさで】
【それらは銃口から飛び出した途端にぐにゃりと軌道を曲げ、橙色の二つはアサドの左右へ一づつ移動し、そこで静止】
【水色の二つは大きく迂回するような軌道を取りながら、『W』の上側へ移動し――――】

んじゃ、あんたの銃撃の腕前、見せて貰おうか!!

【その二つの水色の弾丸から、『W』の身体を貫かんと鋭い氷の槍が一発づつ射出されるだろう!】
【狙いは正面から胴体を狙って一発、背後から右肩を狙って一発。全く同時のタイミングで放たれる】
【氷の槍はそこまで大きい訳ではなく、例え直撃して身体に突き刺さっても即死する程のものではないが、危険なことに変わりはないか】
【そして、槍を放つ「砲台」としての機能を持ったこの水色の弾丸は、槍を撃った後も『W』の周囲を素早く旋回するように動き回っていて】
【破壊しない限り、それらは今後も周期的に氷の槍を撃ち放って来る筈だ。残しておけば厄介なのは目に見えている】
【アサドが遠隔操作しているのか、動きはかなり素早く複雑だが…………『W』の射撃能力が高ければ、捉えられるか】


>>178 >>187 >>190

(――――さぁて、とりあえず戦力確認、だな…………)

【『W』へ遠隔攻撃を行いつつ、アサド自身は更に後退しながらもう一度周囲を見回す。周囲に現れた三人の同志≠改めて確認し】
【彼らの装備や言動から、おおよそのバトルスタイルに目星をつける。前衛もいる、ガンナーの自分が無理をして前に出る必要はなさそうだ】

おう、谷山っつたか。俺も見ての通り遠距離型なんでね、同じく後方から支援させて貰うぜ!
そっちの『喋り屋』とやらの嬢ちゃんも、聞こえたな! こっちも最大限支援するが、敵はこの鉄の国でのGIFT℃膜盾フ首謀者だ、気ぃ付けろよ!!

んで…………そっちは、水の国の中邑瑛月だったか。あんたの武勇は聞いてる、頼もしい限りだ。
安心しろ、俺ぁ一応隊長≠ネんでな、誰かに合わせるのは慣れてる――――こっちが勝手に合わせっから、あんたも他の二人も、全力で掛かってくれ!

【谷山、『喋り屋』、瑛月――――アサドは連続で大音声を張って、それぞれに連続で言葉を掛けるだろうか】
【自身のポジショニングや敵の危険性を伝えつつ、最後は士気を挙げるように笑う。天性の性格と、長年の自警団勤めで染み着いた気質だった】
【アサドは喋りながらも移動し、やがて『W』から見て右斜め前方、十メートル程度の間合いを保って深く腰を据えるだろうか】
【この巨大な銃砲――――『アルハーディ』の力を一番引き出せる砲撃体勢だ。機動力は落ちるが、命中精度は非常に高まる】
193 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 22:34:30.26 ID:6ppR4ItJo
/*ちょっと分割しますスイマセン!*/
>>183,184,187,190,192
(――射撃は正確。んでもって白が実弾、黒が――――レーザーッ)

【もはや、互いに互いを話し合いで調停できるとは思っていないだろう。ならば、できる事は何か】
【必然。――それは、一つの行動に帰結する。そう、武力による、暴力による対象の無力化、である】
【手っ取り早い結論であるそれは、有史以前から人のみならぬあらゆる生物によって行われてきた行動】
【理性的であることを尊ぶ青年ではあったが、そうしなければならない時がある事を認識している。そして、今がその時だ】
【故に、躊躇わない。相手を傷つけることを、相手の目的を潰す事を、相手を己の意志で害する事を。決断した】

「悪ィが絶望はもう腹いっぱいなんだよッ」

【スロウになっていく視界。捉えられる銃口の黒の閃光。それがレーザーである事を発射と同時に認識】
【視界の情報から、その銃口の口径を認識、そして射角から着弾点を算定。最適なルートを決定していく】
【靴底が地面と擦れ甲高い音を響かせる。最高速は高くはないが、膝と重心を活かしたその挙動は小回りが効き、あまり速度を落とさないそれ】
【行動自体はそこまで高速ではないが、最速最適の行動開始≠ノよって脇腹を掠るのみで谷山は回避を完了】
【ノイズの混ざる鮮血をまき散らしながら、回避の動作を前方への一歩につなげて――身体のリミッターを一時的に解除、負担と出力のバランスを取り加速する】

「――――フ……ッ!!」

【息を吐き出しながら、接近と同時にアウトレンジから虚空に向かって青年は左腕のナイフを振るう】
【直後、ナイフの刀身から圧縮されたノイズが放出され、相手に向かって飛翔していく】
【物理的威力を欠片も含まないそれは、当たってもナイフに引き裂かれる苦痛という幻痛≠与えるのみのそれ】
【だがしかし、物理的な力を持たないそれを防ぐには、当たる前に何かで撃ち落とすか回避する他にない】
【数度、手首を返しながら幻の斬撃を放ち――相手の隙を伺っていく青年】
【相手の灰色の闘気。それに己の異能が通用するかどうかも――問題であったゆえに】

(――隙が出来れば上々。出来なくとも、他の連中が攻撃食らって実力見えれば上々。
あの闘気――どうも嫌な感じがする。……Hello Worldが届かなきゃ、QuadCoreも視野に入れなきゃならねぇか……?
兎も角。俺だけじゃない、俺以外の連中のためにも――見なければならねぇだろ。
……剣技は出来ない、砲撃は出来ない、魔法は出来ない。――できる事は、考える事。できる事を……やるだけだ……!)

【瑛月のような凄まじい剣技は使えない。アサドのような強力無比な砲撃は出来ない。喋り屋のような魔法は適性が無い】
【ならば何が出来るのか。それは、見ること。そして、見て――OSは微妙でもスペックだけは高い脳髄のクロックを回す事】
【眼耳鼻皮舌。それらの全てを総動員して、ダブルの挙動の隅々までを視界に捉え、ダブルの力のわずかでも脳髄に捉え込み】
【僅か。極僅かの勝機。その一縷を掴みとる為の一つの布石とならんために。――他の三人と違うできる事≠、する≠ニ決めた】

【己の弱さは、対象を倒すすべが人にできる事以上でも以下でもないこと。――銃撃は銃撃でしか無いし、斬撃は斬撃でしかない】
【ましてやそのどちらも、練度は心得を僅かに持つ程度。それでも渡り合えるのは、偏にタイミング≠フお陰では有るが】
【その己が、この強者揃いの戦場で戦いぬくには。いつも通りにする他ない。臆病に、そして強かにするほか、無い】
【即ち――己の強みを最高に生かし、己の弱みを覆い隠し、敵の強みを最低に貶め、敵の弱みを露見させる】
【そうして、彼我の戦力差という壁を崩し、その壁を乗り越える。それのみが、青年に赦された勝利のルートとなる。ならば、そうするだけ≠セ】
194 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 22:34:55.06 ID:6ppR4ItJo
>>183,184,187,190,192,193
【腰のベルトポーチに収まっている卵≠ヘ都合5つ。機関の一般兵を襲撃してコツコツ集めてきたものだ】
【一つでも精神に負荷、二つならば正気を失いかねないそれ。――幾つまで己が耐えられるか、何秒ならば使用できるか】
【脳内で思考を分割し、己の持つ手札とその有効性を高速で青年は思案し、思考の中で試考し始めていく】

「――目を」

【己の躰から吹き上がるノイズが凝固し、空中に4つの眼球を作り上げる】
【その眼球は空中でぐるぐると回転し、背後などの青年の死角をカバーする為に結合した感覚はその視覚を脳髄に送り込む】
【これは敵の行動を観察するため。そして、背後の後衛組の射線に入らず、連携を上手く取る為のもの】

「――悪いな。俺は前に出るタチだ……! 俺は前から引っ掻き回すから、お前さんは後ろから頼むぜ……!」

【ナイフを振って相手の警戒を誘いつつ、膝を駆使して相手の死角に潜り込もうとするその挙動】
【あくまで前線の火力は瑛月と割り切り瑛月の行動を有利にさせるために、すべての行動を牽制として瑛月と同じ距離に立っていた】
195 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/11(土) 22:41:33.38 ID:9L6EoCW90
>>188

 はっ、そいつあどうも

【ヘケメトのいい感じの拳という発言を賞賛と捕らえたのであろう】
【そのように返して近くまで来た女を見た後少々後方へと移動した】

 お前の仲間かその女子は
 なら、こういう単純なやつは目を離すべきじゃないな、すぐにどっかいっちまうから

【と、そのようにヘケメトと並んだ女性に言った】
【なんでこの男がこのように忠告などを言っているのかは不明だ】
【ただ単純な善意かもしれないが女性の反応はどうなのだろう】

【そしてくるヘケメトの行動に一瞬疑問に感じたがすぐにその行動の意味がわかった】
【触手が生えてきたのだ2mほどの触手が】

【そして薙いできた触手を回避しようとするものの間に合わずに棘が刺さる】
【一瞬顔を歪めるがすぐに対応する】
【まず光を集めて固定化し剣を作るそしてその剣で薙いできた触手に接近しその作り出した光の剣で右から左へと切りつける】
【それが成功しようとしまいと後方へと跳躍してゆくだろうそして動く様子を見せない女性とヘケメトの次の攻撃を警戒する】
196 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 22:51:06.27 ID:JEKKpLnyo
>>168
【カツ、と硬質の音が広場に響く。先端が金属の長杖を持った、長身の男がその様子を観察していた】
【全体的に色味の無い、どこか古ぼけた印象のその男は、厚手のコートと手袋など極端に露出が少ない】
【僅かに覗く顔の皮膚は褐色、髪は銀色であるようだ。】
【男は自販機と対話しながら飲み物を買う人物を見て、安心したように緩ませるとそれに近づく。】

自販機が珍しいみてェだな、…俺も最初はそうだッた。
機械なンかが珍しいとこで育ッたから最初は驚いたよ。

【自販機でホットココア(大甘)を注文する男は、どこか不自然な訛りがあるようだ。】
【じゃらりと取り出した小銭は様々な種類のものがあり、男はそれを慎重にしまっていた。】

俺は商売で来てンだが、そっちはどうなンだ?
いや何、身寄りのいねェ地なもンだから、少し話したくなッてな。

【どうやら風貌と行動から、異国出身だと思ったようだ。】
【男は缶を開けながら、自販機の横のベンチに腰掛ける。】
197 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 22:51:08.71 ID:7k1W98KNo
>>189

【轟音と共に崩れる天井。こんな風に防御するとは、全く予想すらしていなかった】
【瓦礫で押しつぶそうとしているのかと思い、咄嗟にスケッチブックと腕でガードしようと試みる】
【――が、当然降ってくるはずもなく、目が煙で潰れないように配慮しながら、教授≠見つめるのだろう】

【煙の向こう、薄いシルエットとなった彼の言葉に、ブライトは愕然とするのだろう】
【結局、得た力で何かを傷つけるだけの人なのか――今抱いた感情がまさしく、失望というものなのだろう】
【だが、それは教授≠フひとつの側面でしかない】

【力あるものを伸ばす――それも、きっと嘘ではないのだろう】


『残念です。ならば、もう言葉は必要ないですよね。
 覚悟してください。私はもう決めました。……あなたを打ち倒すと。』


【これが最後になるだろうか。ほんの短い間、ペンの走る音がして】
【そして、スケッチブックを裏返したならば、そこには確固たる決意が現れているのだろう】
【バッグを放り投げる――もう迷いはしない】


(―――っ、間に合わない!)


【速度が増したハンマーに反応できなかった】
【刃が空に生成されるものの、弱い。パリンと音を立てて割れれば、轟音が迫るのだろう】
【最後に出来るのは腕でガードすること。しかし、それごとハンマーは頭を捉えた】

【世界がひっくり返るような音がして視界が暗転する。気がつけば彼女は、地に伏せていることだろう】
【だが、負けはしない――血まみれの顔で立ち上がれば移動し、教授≠視界に捉えようとする】
【その間はかなりの隙になるだろう。しかし、もし彼女が教授を見つけられたならば】

【お返しと言わんばかりに青い刃を、頭上から肩へと落とそうとするはずだ】
【致命傷にはならないだろうが――つららのようなそれは、刺されば間違いなく痛い】
198 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 22:59:03.09 ID:axy3r73ko

【人のほとんどいない公園、ベンチに一人腰掛ける姿があった】

【風に靡く手入れの行き届いた金髪、澄んだ碧の眼】
【そして光沢のある切り揃えられた爪を持つ――――――――男であった】


【黒の軍服に黒の制帽、胸元には何処かの自警団のバッジ】
【長めの髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげの二房は長く垂らしたまま】
【香水でも使っているのか爽やかな香りを身に纏い、何やら手元に置いた紙を見ながら端末を操作していた】

――――あんまり有力な情報はない、か……
ま、相手が相手だからそんなに期待してなかったけど。

【溜め息を一つ吐いたなら、紙を折り畳んでポケットに仕舞い、軽く俯いて】
【そのまま瞼を閉じたその様子は、居眠りしている様にも見えなくはない、だろうか】

【しかし、本人は全く眠ってなどいないから、誰かが近付いて来たらそちらをチラリと見遣る事だろう】
199 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 22:59:46.16 ID:nPl657ve0
>>191
【―――――来た】
【足音が、声が、避難指示が出ており人が来る筈のない場所に近づいてきた。恐らく彼奴こそが脅威なのだ――――!!】
【臨戦態勢に入るべく身構えれば、其処にやって来たのは人――――いや、あれは人なのだろうか】

【その頭や四肢……と言うより六肢一つ一つは確かに人間のもの。しかし、その姿はとても常人と形容出来るものではなく】
【更には頭は二つ。何と言えば良いのだろうか……とにかく、まるで「二人分の人間を合体させたようなナニカ」が其処にいた】
【……普通の人間なら、此処で逃げるなり驚くなり何かしらのリアクションを取ることだろう。しかし、この男はそうではなかったらしく】
【修羅場を潜った男の肝は、こんな事で動じるはずもない。“其れ”が人々を脅かし、危機に至らしめるのならば……排除するのみ!】


――――此処を落とされては、人々の生活基盤が瓦解する。
貴様らとて無為に此処を訪れたわけでもあるまい?……ならば、我が身命を賭して排除するのみだ。
どうせ一度は死んだ身だ、この命が人々の役に立てるのなら……其れこそが私の生きる道!

いざ!信無き者にこの地を譲りはせん!!


【一喝を合図代わりに、今戦いの火蓋が切って落とされた】
【左肩の鎧に右手を添えると、ガシャッと鈍い音がビル前の静寂を切り裂き……完全な左腕の形となる】
【瞬間、コートの中の鎧が赤く閃いたかと思えば、左腕の鎧の手に握られるは紅蓮の閃光を伴う一本の光の槍】
【その穂先を彼らに向けてかざしたかと思えば――――】


―――――貫けッ!


【彼の声を合図に、ボウガンのように赤い閃光は彼ら目掛けて飛んでいく。真っ直ぐ、しかし矢のような速さで……】
【……この暗闇だ。いくら高速とは言え直線的に動き光を放つ槍を見切るのはそう難しいことではないだろうが】
【彼らはその矢の持つ熱に気付くだろうか。最小限の動きで回避しようとすれば、直撃は免れても火傷を負うことになる】
【勿論直撃すれば、その熱によって肉ごと焼かれてその体に穴を穿つことになるが――――】
200 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:02:33.03 ID:QCpoqhiHo
>>195

『……私の体格で彼を引き留めることが出来ると思いますか?』
『っと……私達は国からの依頼であなたを止め追い出す必要がありますので、遠慮なく彼にやらせて貰いますね』

【――体格の差は歴然。当然体力も。故に、目を離さなくてもどこかに行ってしまう】
【そんな含みを籠めているだろう言葉の後に――本来の目的を言うのだった、他力本願に】

「ニードルテンタコゥ!」 「うゥーん、アウ、俺はやっぱり直接殴る方が好みだぜェ」 『知ってます』

【棘の触手の強度は御世辞にも良いとは言えない。光の剣に斬り付けられれば――】
【――綺麗に、見事に、寸断されて棘一本一本レベルにバラバラになり、そして地面に散らばる】
【もし落ちている棘を素手で触ってしまうと怪我をする恐れがあるものの、あまり問題視する必要はなさそうだ】

『――とはいえ、私は"支援者"ですので、その役割はしっかり果たしましょう』

【構えられる杖、先端はあなたに向けられる】 【そこから発せられるのは、魔翌力の弾で、速度は子供の投げたボール程度】
【大きさは野球ボール程度のそれの狙いは胴胸部。当たってもふんわり握られた雪玉程度の衝撃しか受けないだろうが】
【――それに付加された効果が厄介なのだ】 【追加効果は"ほんの少しの間だけ目がかすむ"、ただそれだけだが】

「ヘッキャァァアアーーーッ!!」

【――その少しの間に、ヘケメトは迫り来る】 【その左腕には無数の緑色の棘。長さは5cm前後で、強度は先ほどの触手と同じ】
【その腕を用いて――何の変哲もない助走からのストレートパンチを腹部に向けて繰り出す!】
【棘の向きは、拳の軌道と同一であり、――つまりは指を伸ばした時の先端方向。ストレートに合わせた向きである】

【目が元に戻るころに来るか否か、距離をとった分が生きるか、どちらにせよ直線的な動きとはいえ――危険】
201 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/11(土) 23:04:07.58 ID:PshBOEdCo
>>197

【期待に応えられるような人間ではない、と彼自身も思っているのだろう】
【表情は映らない、薄氷を貼り付けたような仮面は、僅かな色合いすら濁らせず】
【ハンマーが捉えた感触、ガードされた事を感じ浅いか、と心の底で舌打ち一つ】

【だが手応えはあった、少しの逡巡も見せず、彼は手元へとAudioslave≠引き寄せるだろう】
【ハンマーは元の形へと戻り、十字架となり、彼の後方に座する】
【――――――が、その刹那、交錯する視線の形が、まだ貴女が生きているということを伝えた】


っ……違う、上か――――――ッAudioslave=\―――――チッ!!


【攻撃の判断に時間がかかった、貴女の変幻自在の攻撃の先が見えなかったから】
【故に彼が気づき上へと視線を上げた時、既に刃は落ちてきていた】
【加速度的に速度を上げる刃Audioslave≠ナガードしようにも、理論を語る時間はない】

【必然、肩へと突き刺さる細長い刃、肉を抉り、骨を穿いた其れは深く深く沈み込んだ】
【唇の橋を噛みしめる、無表情の水面に漸く痛みという表情が見えた】
【食いしばる彼の身体が揺れた、片膝をつき右手で傷を受けた左肩を抑える】


意外だな……先ほどの一撃で、まだ意識を持っている、とは……
やはり私の見立てに狂いは無い、君は……君は、我らと共にあるべき人間だ
強い意思も身体も能力も、それらは類稀なる才能であり、伸ばされるべき特権……ッ!!かはっ……!!

だから……だからこそだ、私はその意思を、完膚なきまでに潰さねばならない……!!
信念を折り砕いてこそ、新たな可能性に気づける……っぐっ……
そうだろう、敵対する相手に説得され寝返る人間に用など無い――――――!!

征けAudioslave$Vたな可能性を切り開き、見せてやれ


【立ち上がるとふらふらと身体を揺らし、後方のパソコンへともたれかかるだろう】
【荒い呼吸、決して身体能力が高いというわけではないのだろう】
【だからこそだ、そのようの人間が持つ兵器=\―――――それは決して侮れるものではない】

【Audioslave≠ヘ巨大な刀へと変化する2mほどあるその細くしなやかな刃はまずは一閃、その場で切り裂かれる】
【放たれるのは2mほどの薄い刃、胸元辺りの高さで真っ直ぐ貴女へと放たれるだろう】
【切断力は高いが、薄い、骨で止まるだろうが肉は容易に裂く一撃だ】
202 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/11(土) 23:06:52.89 ID:VhOQ3fik0
>>187

≪―――ほう、確かに前とは動きのキレが段違いだな………だが刃≠ヘどうだ?≫

【瑛月の流れるような動きに関心したように声を鳴らして、懐に肉薄する相手を眼前に捉える】
【―――そして、瑛月の狙い通り「W/ダブル」は右腕でその斬撃を受け止め、装甲と刃が激突するッッ!】
【バシュッ―――!そして『御代櫻』の力によって灰色の闘気は一時的に弱体化し、「W/ダブル」の装甲を貫くッ!】

【「W/ダブル」は流石に驚いたのかそのまま刃を振り払うようにして後退する―――その腕からは鮮血が滴り落ちる。】
【装甲本来の強度もあってか致命的なダメージを与える事は出来なかったが、それでも初撃にして「W/ダブル」に傷をつけたのだ】

≪フ………侮っていたよ、中々に面白い代物を扱っているようだな―――魔を断つ刀か。
 ならば―――それごと貴様の心を折ってやろう=

                      ≪白旋脚=窿bッ!!

【一度は驚愕したが、直ぐに平静を立て直し瑛月へと相対し―――そして再び踏み込むッ!】
【ドンッ!床が窪むほどに強烈な踏込によって生み出された爆発的な勢いで瑛月へと肉薄し、そのまま回転しながら右足を放つッ!】
【それはただの回し蹴りだ………だが、灰色の力によって強化されたそれはあまりに早く、そして途轍もない威力を持っていた。】

>>190

≪フフ、それは残念だ………だがその減らず口がいつまで持つかな?≫

【相手の軽い口調に応じるように喉を鳴らして笑いながら再び銃口を向けようとした、その矢先―――】
【床から突き出した土の槍、ダブルはそれを横に飛び退く事によって回避しようとしたが、わずかに間に合わず脇腹の装甲が砕ける】
【だが出血などは見られない、恐らく打撃によるダメージしか通っていないようだ。】
【しかし『御代櫻』の減魔効果が効いているのか、ダブルの防御能力はそれほど高い印象は受けない。】

≪当然だ、いくら少女といえどこれほどの魔術を操って見せるのだ………加減など出来ないさ
 ああ、聞かせて貰おう=\――貴様の意志を。≫

                       ≪焔札=

【体勢を立て直しながらクルリと拳銃を一度頭上に放り投げ、右手に灰色の闘気を集約させていく】
【そして出来るのは灰色の焔が形作った札のようなものだ、ダブルはそれを喋り屋に向けてマジシャンのように素早い動作で飛ばす】

【もしそれが体のどこか、または床や壁に当たった場合その瞬間に札は灰色の焔と共に小規模の爆発を起こすだろう】

//続きます
203 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/11(土) 23:07:04.55 ID:VhOQ3fik0
>>192

≪ほう、流石の腕前と言っておこうか………君の武勲は私の耳にも入っているよ。≫

              ≪では―――私も負けられないな。≫

【関心したようにアサドの腕前を賞賛する言葉を送ると、水色の球体から発射される氷の槍へ向けて素早く二挺で迎撃】
【胴を狙った槍は完全に破壊するが、右肩を狙っての一撃は背後という事もあり破壊しきれず、破片が右肩に突き刺さる】
【滴る鮮血―――だがそれはすぐに蒸発≠オた】
【ダブルの纏う灰色の闘気、それが熱を持ってまるで焔のように肥大していき、突き刺さった氷の破片も溶かし切る】

          ≪言われなくても………こちらも反撃といこうか―――灰焔弾=

【そしてダブルは白≠フ方を素早く取り回し、さらには床や壁を使った跳弾も用いて橙色と水色4つ全てへと弾丸を放つ】
【その一方で右手の黒≠ヘアサドの方へと向けられ、弾丸が発射される―――。】
【この弾丸は特殊だ、もしどこかへ当たればその周囲に灰色の焔を発生させ焼き払う………範囲攻撃を可能としている】

>>193>>194

≪そう言うな―――その心が完全に砕けるまで絶望を味わってもらう。≫

【谷山に対して深く、深く、深淵のような冷徹な気配を持ってそう言い放つと放たれたノイズの弾丸に視線を向ける】
【そしてそれを撃ち落とそうと右手の黒≠振り下ろすが―――弾く瞬間にわずかに触れた右手からダブルの体内へと侵入する】
【「ぐぅッ!」といううめき声を一度上げ、動きが止まるがそれも一瞬………直ぐに迫りくる谷山へと向き直る】

               ≪味な真似を―――吹き飛べッッ!!!≫

【そして再び右手を振り上げるとそこに凄まじい量の灰色の闘気を集中させ、それを谷山のいる方向へと強引に振るう】
【右腕を振るった瞬間に発生するのは凄まじい灰色の衝撃波=c……死角へ移動しようとする谷山に対して範囲攻撃で対処した】

【もしまともに受ければ強烈な打撃だけでなく後方へと吹き飛ばされ再び距離を離される事になってしまうだろう。】

>>ALL

            ≪―――クク、愉しませてくれる………ならばこれはどうだ?≫

                      ≪集え、灰爆魂=

【そのまま『W』は後方へとステップしながら左手の指をパチンと鳴らす、その瞬間―――。】
【4人それぞれの周囲に3つの灰色の揺らめく焔のようなソフトボール程の球体が出現し、付かず離れず追尾し周囲を浮遊するだろう】
【確実に何かある―――だがこのまま放置してもどうなるかは分からない………さて、4人はどう対応する?】
204 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 23:07:12.50 ID:r61Aw5BLo
>>196

――……おや、今晩は。いやはや、お恥ずかしい所をお見せしました……
私ですか? そうですね、流れの身ですが、今の住まいが此方に有るのです。
櫻とは何もかもが違って、苦労しましたが……同居人のお陰で、何とか。

【買った茶を取り出せば次を相手に譲り、身寄りのいないという相手に何処か】
【理解できるといったように頷き、その隣に腰掛ける。それから、缶で暫し手を温め】

ところで、商売と云いますと、どのような物を扱っておられるので?
見たところ、砂の出のように思われますが……そうなると、香辛料等でしょうか?
いや、旧い知識かも知れませんがね。何せ、他国には疎いもので……

【任侠風の容貌に反して酷く穏やかな物腰の彼は、其処まで話せば漸く缶を開けて】
【茶を啜り、ほうと一息付く。何処か老人臭い雰囲気もあるが、害意の類も見当たらない】
205 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:24:18.36 ID:tAeD+OnLo
>>190 >>192 >>193-194 >>202-203

【喋り屋からの返答には溜息混じりに、アサドからの返答には力強く頷きながらも自身も戦況を確認する】
【―――谷山は支援型、他の2人は遠距離の後方支援。……となれば、唯一の近距離戦闘型である自分の重要性は高まる】
【周りが恐らく相手の意識を引くだろう。―――自分から逸れたタイミングで死角から刃を入れれば理論上は勝てるが相手は「W」。そう簡単には許してくれない筈だ】
【それでも先程言ったように、やるしかない。谷山の力は知っている。アサドもSCARLETの中でも良く名前を聞く存在であり、実力は保証できる】
【……喋り屋は未知数だが、あの食わせ者は何かとんでもないことをやってくれそうな不思議な雰囲気を持っている。―――皆の力を総動員すれば行けると、男は信じた】

……済まない。ならば自分勝手に―――思うがままの、ありのままの唯刃流で……!!
―――奴の全てを、断ち切るッッ……!!

【―――勝手に合わせるとアサドに言われた。谷山も自分の斬撃をより確実なものにせんとし、「喋り屋」は一級品の魔法、アサドは強力な砲撃で遠くから攻めてくれる】
【ならば自分は好きに動かせて貰おう。最も鋭い軌跡で足を運び、最も鋭く相手が嫌がる角度から斬撃を繰りだそう】
【……唯刃流の真髄を、一般的な速さとは違う「真の速さ」を―――「W」のその身に刻ませんと。……濡羽色の瞳が、僅かに細まった】
【その中で繰り出した斬撃には、肉を裂いた感触が確かにあった。……傷は浅いがまず前回は超えた―――と想った矢先、直ぐ様反撃が飛んでくる……!!】

【しかも、ただの反撃ではない。―――初めて体験する、『六罪王』に匹敵するクラスの反撃……!!】

―――なぁッ………………ッグッッ!! 〜〜〜〜〜〜〜ッッグゥッ……!! 

【回し蹴り―――通常一旦相手から目を離し、回転して放つ為威力は高いが隙は多い。確かに瑛月は放つ前の予備動作に反応したが―――それでも、速すぎる】
【食らうはずも無い攻撃も、「W」が繰り出せば目にも留まらぬ凄まじい蹴撃。反応により剣の腹で受け止めるには受け止めたが―――鳴り響いた金属音が威力を物語る】
【受け止めたのだが、そのまま圧されて剣の腹が自分の鳩尾に衝突し、そして吹き飛び転がった。4〜5mくらいだろうか、転がって直ぐに立ち上がってみせるもぐらりと蹌踉めく】
【……直ぐに立てたのへ決してダメージが浅いからではない。足に食らっていないだけだ。腹筋はじんじんと痛み、受け止めた両腕が、手に痺れが奔る。それ程の一撃だった】

っぐ、こ、こんなモノで折れるか……―――っふゥッ!!

【強気な言葉を吐きながら、周囲を飛ぶ謎の球体3つを斬らんと息を吐きながら『御代櫻』を振るう。一閃振るうだけでも、ダメージの負った腹筋に強烈な痛みが走る】
【何も無ければ、三閃で両断。―――だがこの球体にも何か仕掛けはあるだろうと、沈身し膝を緩めて唯刃流の技により重心移動をスムーズにさせる準備を整えた】
206 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:33:37.93 ID:7k1W98KNo
>>201

【左腕でガードした。利き腕の右は生きている。……ギリギリ文字を書くくらいの余裕は、あるかもしれない】
【だとしても生まれるのは、形にならない言葉だろう。それほどまでにダメージは大きかった】

【いわゆる真空波のような、横薙ぎの一閃。当然横へと逃げることはできない】
【下は――だめだ。少しでも膝が折れようものなら、立てないかもしれない】
【ならば――!】


(避けられない……っ、なら、お願い、切り裂いて――!!)


【彼女は力を振り絞って右腕を掲げる。青い光を目いっぱい溜めると、それを思いきり振り下ろした】
【するとその軌道に沿って刃が現れ、放たれるだろう。相殺によって直撃だけは避けるのが狙いか】
【歩みは止めない。その先には、止めるべき敵がいる】

【おそらく、相手の刃を分断させることには成功するのだろう】
【だが分かれた刃の端がひとつずつ、両腕を刻んで――彼女の顔が、更なる苦痛に歪んだ】


(負けられない……。今度こそ、止めてみせる……!)


【もはや血まみれの幽霊のよう。しかし眼光だけは強く、そこに意志を宿らせていて】
【千切れそうな右腕を翳すと、再び生成するのは光の矢。それを、教授≠フ脚へと連続で放つだろう】

【――その間にも、彼女は前進するのだろう。距離を詰めてどうするつもりなのだろうか】
【それに、まだ両者の距離を半分も埋めれていない。歩くよりも遅く、しかし確実に差は縮まってゆく】
207 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:34:52.81 ID:JEKKpLnyo
>>204
櫻!さくらか!まだ商売のルートが無ェンだが、いつかは行ッてみてェトコだ。
金の産出が豊富と聞いたような。まぁ俺にはまだ扱えない品物だけどな。
同居人、か。羨ましい。どこかに落ち着くことも考えてるンだが…しッくりくる場、が見つからねェンだよ。

【少し諦めたように笑う。数年も一人で生きてると、こういう縁が妙に心地良い、と呟いた】

商売か、宝石商の真似事だよ。真似事ッてのは、つまり高価過ぎるもンは滅多に扱ッてねェからだ。
魔装なンかに仕込まれる適性のある安価な鉱石、宝石を運んでるンだよ。
少しばかりの利潤しかねェが、今はこれで十分だ。

【砂の出、と聞いて顔がほころぶ。そうそう、と頷いて】

砂だよ。だが商品は砂以外からも仕入れてくるンだ。
香辛料は、今じゃほとんどルートが独占されてらァな。持ッてるツテで勝負するしか無かッたンだ。
…他国に疎いのは、実は俺も一緒だよ。なンせ駆け出しだ、恥ずかしい事だが吸収の多い毎日だ。
興味があるのかい?魔の素養があるンなら掘り出し物もあるかもしれねェが…

【照れくさそうに笑った。静かにお茶を飲む話し相手のその姿に、櫻の心、のようなものを一瞬感じ取ったように思えて】
【やっぱりいつかは行ッてみてェ、と呟くと、まねをして姿勢を正してホットココアに口をつける。】
208 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:45:06.05 ID:jK2/CKAw0
>>202-203

【この声ではやや不利だろうか―――そう思いつつも、次の発声の準備】
【むしろ、思ったより効いていることに少女は少し驚いた様子で、ダブルの状況を視界に入れていた】
【恐らくは、誰かの何かによる効果の表れなのだろうが―――誰のかは分からない】

【―――――魔術発動の前に、彼女は少し深呼吸して、】
【あえてこの状況を楽しめ、そう自分に言い聞かせることで、自分の中の「楽観的な感情」を増幅させた】

―――――――『はははっ、楽しめそうで嬉しいよ!もっと僕の声を聞いておくれダブル…!!』

【――――喉に当てた指を小指に変えて、『喋り屋』のその声はまた色を変えた―――まるで「幼い少年」の声】
【その声が生み出したのは『風』属性の魔翌力。『喋り屋』の紡いだ声は赤く染まるように可視化、具現される】
【無論、声から抽出された魔翌力によって生まれたのは、一陣の風。焔札を中継して、風の刃がダブル目掛けて放たれた】

【――――『我流・声紋魔翌力抽出式』。それが彼女の扱う魔術の正式名称】
【声から魔翌力を生成し、其れを元に魔術を発動するというもので、魔翌力消費が少ない】
【喋った時の籠められた感情――今は楽しさなど――によって魔術が発動するため、詠唱も存在しない】
【故に、魔術としての正確さ、性能は高くない分―――タイムラグが少ない「速い魔術」だ】

【風の刃は、軌道こそ直線的ではあるが、速度はある。彼女の魔術発動の速度も考えれば回避はやや難しいものとなってくる】
【当たれば装甲でさえも軽く切り刻んでいくぐらいの代物だが、それでも内部へのダメージは少ないか】

【風の刃によって撃ち落とされた焔札は喋り屋の足元へと落ちていく】
【それを軽く回避しようと、バックステップをして地面を離れた喋り屋。だがしかし、そこで床に触れた札が爆ぜた】

――――――――――――――――――っつ…!?

【左足を巻き込まれ、重いやけどを追った。少しボロボロに焼け焦げたローファーが状況を物語っていたか】
【体勢を崩さぬよう、近くの壁に凭れて、ダブルの方にまた視線を向けた、その時―――異変に気付いた】


――――――…『あらあら、なんでしょうねこれは。あいつのことだから、何かあるんだろうけれど…!』


【人差し指を喉に当てた時の『少女の声』を響かせつつも確認したのは――周りを浮翌遊する焔の球体】
【今の札のことを考えて――――触れた時に爆発―――という可能性も考慮して。喋り屋は、今はまだ触れずにいた】

>>192>>193-194>>205

【良く見れば、周りにも四つの球体が見える―――喋り屋は少し、面倒そうに】

――――――『みんな、こいつ爆発するかもしんないから…気をつけて対処して』

【念のために、そんなことを全員に聞こえるように警告する】
【先ほどの攻撃を受けての、彼女の経験からの推測だが――信じる信じないは自由】
【要は「対処する時は気をつけろ」と言いたいらしい】
209 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/11(土) 23:47:08.84 ID:/8W/j2gxo
>>207
/ID変わりました、そして大変申し訳ないのですが
/続行が難しくなってしまったので、良ければ持ち越し願いたく……
/明日の午後にはこちら戻れるかと思います、次のお返事もその頃になります
210 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:51:34.69 ID:THjLMN/7o
>>199
【自分たちの異形の姿を認めても、表情にさざ波一つ立てはしない】
【ただ、人々に仇なす存在として、排除すべき敵として自分たちを見た。感じ取れる、強者の気配】


『ハッ、見も知らねえ連中の生活のためにってか。ご苦労なこったぜ』
「その通りだ、お前とは逆に、奪い、怖し、食い荒らすためにこの場に来た」
『一度死んだってんなら、遠慮はいらねえなあ。俺らが二度目の死をくれてやるよ』
「信無き者とは、言ってくれるな。ならば貴様は、貴様の掲げる信に殉じてこの地の土となるがいい」

【異形の双子の言葉を貫いて、響き渡る大喝一声。この場における死闘の始まりを告げる音】
【左肩の金属の鎧が、その姿を変じて本来あるべき腕の形となる】
【直後、さらなる変化。赤き閃光、紅蓮の槍の降臨。男の操る得物。主の意志に従い、容赦なく悪を討つべく走る】


『いかにもらしい、単純な動きだなぁ、舐めてんのかよ』
「油断するな、確実に回避を――――!?」

【ボウガンの矢の如く、一直線に流星となって飛ぶ赤い槍。双子の四つの瞳がそれを捉える】
【冷静に、二つの意志で一つの身体を動かし、回避行動。しかし、そこに秘められた高熱を察知するには、遅かった】


『ああっちいいいいいいいいいいいいい!!!?? んだこりゃあ!!? いかにも正々堂々って雰囲気出しといて、やることはこれかよ!!!』
「ぐぬっ……!!! 小賢しい真似を……!!!」

【放たれた槍は、双子の左わき腹に火傷を刻んだ。双方ともに、痛みに顔をしかめる。胴体はその感覚をも共有していることが、彼に伝わるだろうか】
【とはいえ、異形どもが苦痛に身をゆだねるのは一瞬の事。即座に、悲鳴を上げる身体に鞭打って、彼らも動く】

『今度はこっちの番だ!!』
「遠慮なく食らえ」

【四本の腕が持ち上がる。と、青白い方の手の平からは泥が、浅黒い方の手の平からは砂が、それぞれ噴き出した】
【それらが掌中で蠢いたかと思うと、泥は球体、砂は刃状となって顕現し、次の瞬間、眼前の男に向かって発射された】

【二つの泥の玉と、二つの砂の刃が、空中を駆けて男へ向かう。軌道は、先の槍と同じく単純。しかし、時間差を持って放たれている】
【砂の刃は、男の外側から両腕を狙う。速度は速いが、威力は低い。当たっても、肌が浅く切れる程度だろう】
【泥の玉は、上下に分かれて男の胴体と足元をそれぞれ狙う。当たれば鈍器による打撃に近い衝撃を受けるだろうが、速度は遅く見切りやすい】

【さらに飛来する驚異の奥に目をやれば、自分たちが放った遠距離攻撃の後を追うように、異形の双子が駆け出していた】
【攻撃に乗じて近づき、近距離戦に持ち込む腹積もりらしい。しかし、その動きも単に駆け寄るのみ】
【攻撃を見切れば、双子は再び射程圏内に入るはずだ】
211 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:51:44.12 ID:JEKKpLnyo
>>209
/承知しましたー!
212 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 23:53:07.45 ID:MoXgsRoAo
>>193 >>202 >>203 >>205 >>208

わかった、お前ら二人でそいつを抑えてくれ! 援護は俺とそこな嬢ちゃんに任せな!

【瑛月と共に前衛へ飛び込んだ谷山の背後へ、アサドは威勢良く吼える。これで前衛2に後衛2、バランスとしては上々だ】
【そして自らが放った攻撃も、正面をフェイントとして背後の一撃が直撃した。他の三人の攻撃も戦果を上げているようだ】
【数の上では有利…………しかし、やはり油断は出来ない。賞賛を返す余裕もなく、水色の弾丸は正確な射撃を受けて二発とも破壊されてしまう】
【アサドの周囲にある橙色の二発に関しては、距離が離れていた事もあって球体を移動させ、どうにか回避する、が――――】

っぐ…………ッ!!

【先程と同じと侮った訳ではない。ただ、『W』が攻勢に転じる速度が予想以上に早かった】
【黒の銃撃を再び『アルハーディ』で防御してしまったアサドは、沸き上がる炎によってに己の失策を悟り、瞬時に後方へ飛び退くが】
【灰色の炎の余波が、顔を庇った左腕を焼く。苦悶の声を上げつつも、アサドは地面を転がるようにしてどうにか体勢を立て直すだろう】

(ちっ、結構な痛手だなコリャ…………だがここは、一気に押し切る!)

【アサドは引き金を引き、水色の弾丸を一発補充するだろう。正式名称がそれなのか、側面のモニターには《E-hail》という文字が浮かび上がり】
【《E-hail》は再び『W』の周囲を旋回するように移動を始めるが――――アサドの左右で待機していた二つの橙の弾丸のうち一つが、その後を追った】
【橙と水、炎≠ニ氷≠フ属性を帯びた二つの砲弾は、歪に軌道を曲げながらそれぞれ『W』へ飛翔し――――】
【周囲を旋回してフェイントを交えつつ、水色の弾丸が氷の槍を左肩へ一発放つと同時、橙色の弾丸が真下から右膝へと突撃していくだろう!】

【氷の槍の威力は言わずもがな、新たに使われた橙色の弾丸は、一番初めの砲撃と同じく着弾地点で爆発する効果がある】
【このまま炸裂すれば、相応の威力を発するだろうが…………こちらも弾丸一発で破壊可能だ。身体に近づく前に撃ち落とせば安全に処理できるか】
【アサドとて、直撃までは望まない。ただ少しでも身体の近くで炸裂し、爆風で体勢を崩してくれれば、他の三人が攻撃を入れるチャンスが生まれる】
【直接攻撃ではなく、支援が目的の砲撃――――その成否に関わらず、アサドは再び引き金を引く】


何だか知らんが――――目には目を、だ!!

【エネルギーラインは橙色に、側面のモニターには《E-bit》という文字が浮かび上がる。それが正式名称なのだろう、橙色の球体が一発補充され】
【アサドはそこで、『W』が周囲に三つの灰色の球体を出現させたのを見るや否や、二つの《E-bit》を纏めて突撃させるだろう】
【橙色の球体は、灰色の球体にぶつかればやはり爆発を起こす。並の耐久度なら問題なく破壊できるだろう。その際に効果が判明すれば、重畳】
【しかし、例えこれがうまく行っても一つは残ってしまう計算だ。何故そこだけ手が回らなかったのか――――】

(『W』さんよ…………こいつは止めきれるかな?)

【――――同時、左手で握るサイドグリップに走っていたエネルギーラインの光が失われる。《E》の装備弾≠ヘ、これで弾切れ】
【アサドは左手でそのグリップを引き抜き、腰のポーチへすぐさま仕舞い込むと、根底に《D》という文字の刻まれた新しいグリップを装填し】
【最後に、本体に走る橙色のエネルギーラインが新しいグリップへと流れ込む。これらの動作の意図は、単純なものだ】
【即ち、カートリッジ機能を備えたグリップを換装する事による、砲撃の弾種変更――――次の攻撃への、布石】
213 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/11(土) 23:53:32.01 ID:9L6EoCW90
>>200

 ああ、うんそうかなら仕方ないか

【改めてヘケメトと女性を交互にみて納得したかのようにうなずく】
【たしかに二人の体格の差は歴然としているため仕方ないのだろう】
【失言をしたかと思ったが今そこらったへんはふれておかないことにする】

 はっはっは、殴り合い強そうだしな
 まあ、こっちには来てほしくなかったが

【そのようにヘケメトに向かって言うがこんなことをしているので他の人物がきただろう】

【そして支援者たる女性が攻撃を放ってきた】
【魔力の弾それは速度は遅く男はその弾を光の剣で切った】
【そして切ったことにより追加効果が発動する】

 ぬっ!

【ほんの少し目がかすんだ、だが普段であればまだ問題ないものであった、そう普段であれば】
【男がその効果で一時的に動けなくなったところに――ヘケメトのストレートパンチである】

 っ!、しまった!

【そう叫んだと同時にストレートパンチを受けた】

 ぐガッ!

【何の変哲の無いストレートパンチなれどヘケメトのような体格の人間のパンチは強烈で】
【さらにそこに棘までも追加されるのだ、ダメージは相当なものである】

【だがそのような攻撃を受けても倒れるようなやわの男ではない】

 はっ!、きくねえそのパンチ
 だがまだだ!

【最後の声が荒っぽくさけっぶと同時に腕を素早く動かして、ヘケメトの頭部を思いっきり肘で叩き付ける!】
【そして叩きつけるのが成功したらその反動を利用して一気に距離をとるために移動する】
【その際支援係の女性に向けて指をむけレーザービームを放つだろう】 
214 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/11(土) 23:53:38.71 ID:6ppR4ItJo
>>202,203,205,208,212
(――防御は案外厚くない。……だが、闘気の用途の多様性が厄介な所か。
炎になり、爆風となり、身体能力を強化させる。――厄介厄介、んでもって――俺にも来るか……ッ!!)

【己の視界に、白旋脚∞焔札∞灰焔弾≠捉えた谷山】
【それぞれの動作、それぞれの性質を脳内でまとめていき、その全てに対する最適な対処を思考していく】
【闘気の性質は、今のところ熱の発生と身体能力の上昇といった所。ダメージの減衰力はそれほど高くはない】
【現に、物理的破壊力を何一つ持たない青年のノイズ斬を受けて、一瞬だけでは有るが隙までもを見せたのだから】

「――――ッ、厄介な糞野郎だよてめェはッ!!」

【そして、脳内で仮定する。――相手の大技には、闘気を集中する必要が有ることを】
【眼前に迫る衝撃波だけではない。他の技も、闘気を収束して放たれた様子が見て取れる】
【右目のステータスを変更。生気やオーラを見抜く要素を強くし、相手の動作と、それに呼応するオーラの変化を確認していく】
【青年の予想が正しければ、この相手の一番の弱点は――攻撃をする瞬間である。そう、考えられた】

「うッオァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――ッッ!!」

【雄叫びを上げて、左腕を衝撃波に向けてかざす谷山。そして、全身からノイズを放射する】
【そして、有ろうことか谷山は――そのまま全力で衝撃波に向けて前進したのだ】
【左腕にノイズが収束され、直後に固定化。アートマンで出来た左腕を変形させ、薄く弱いシールドを作り出す】
【右腕の銃をホルスターに納め、取り出すはUSBメモリ。それの端子を左腕に叩き込み、一時的にデータ量をドーピング】

「ッ……グッゥゥゥウゥゥッ!!」

【獣のようなうめき声を上げる谷山。砕け散るアートマンの壁。――当然だ、青年のアートマンHello Worldは極めて脆弱な構成をしている】
【この衝撃波を受け止めきれるはずもない。そして、アートマンの粉砕は青年の肉体にダメージフィードバックし、全身に薄い傷を作り上げる】
【そして、砕け散った防壁を突き抜けた衝撃波は――防壁≠ノ阻まれた。そして、響くのは破砕音】
【都合13回の破砕音は、1秒の間に起こったもの。飛び散る鮮血は、無数の小さな裂傷が衝撃によって撒き散らしたものだ】
【13の防壁。それらはダメージの無効化すらできない卑小なもの。だがそれでも――――】

「ッ何をしてくるかは分からねぇが――――ッ!!」

【衝撃波の壁を突き抜けて、左腕をその向こうに届かせるには、十二分に過ぎるものであった】
【突き抜けた左腕は、所々シルエットを崩したもの。その突き出した左掌には既にノイズの弾丸が作り上げられていて】
【空気が軋む嫌な音と共に――ノイズの散弾がダブルを掃射する。速度はそれほどではないが、数と範囲が脅威となるそれ】
【その効果は、神経系に対する異常負荷。一発一発では、行動にコンマ数秒のラグが生じるそれであるが、積み重なっていけば――確実に相手の隙を生み出していくものとなる】

「だらぁッ!!」

【そして、左腕を突き抜けさせた衝撃波の間隙に躰を潜り込ませ、全身の骨格を軋ませながら――吹き飛ぶこと無く突き抜けた】
【服は千切れ、全身には薄い裂傷が走った醜いその姿。だが、それでも双眸だけは煌々と戦意を宿してそこに或る】
【己の周囲を囲む3の球体。それに対して、青年の動作は素早い。――最速の行動開始、最効率の挙動によって閃き放たれる3のダガー】
【喋り屋の助言と、己の目で確認した爆風。それらに懸念を抱いたそれは、僅かにタイミングをズラして放たれる。反応して爆発しても、爆発は一斉に起こることはないはずだ】
【球体の挙動を読み放たれたそれは、何もなければ球体を打ち貫く。だが、何かあると読んでいる青年は、思考のクロックを一段上げる】
【荒い息を整えながらも、何が有ろうと思考を揺らがさない体制へと移っていく。相手は、凶悪。――何をしてくるか、分かったものではないのだから】
215 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/11(土) 23:55:22.63 ID:jK2/CKAw0
>>208
/「四つ」を「三つ」に脳内変換してください…
216 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/11(土) 23:57:02.57 ID:PshBOEdCo
>>206

【分断される刃、ダメージは与えたものの本来とは比べ物にならないほどに軽減されている】
【――――――間違いは犯していない、詰将棋のようだと思う、一手一手着実に詰めていく】
【細かいダメージの蓄積は、やがて最後の段階で花開くのだろうと、感じている】

【けれども、この悪寒は何であろうか、状況的に見れば彼の優位は変わらない】
【どこをどう切り取ってもこのまま距離をとったまま攻撃をしかけたら、勝てる――――――】
【背筋をなぞる指先の感触、その不安の原因を、まだ知ることは出来なかった】


またその矢か、そろそろ手詰まりか、情けない
いくら潤沢な才能があれど、浪費していれば必ず枯渇する、そこに僅かな例外も存在しない
育ち方の問題とも言えよう、君の戦い方は、甘い――――――甘すぎる

その程度で一体何を止めようとでも言うのかね


【連続で放たれる光の矢、それを的確に刀で切り裂き弾いていくのだろう】
【剣閃が煌めく、光と交錯する切っ先がいくつかの花火のような光を映し出す】
【背中はパソコンにもたれかかったまま、機動力は大幅にそがれているものの、それを補って余りある防御力がある】

【Audioslave≠ヘ彼の目の前に鎮座するのだろう、刀の形状を崩さずに】
【それでもまだ、ゆっくりと幽鬼の如く歩みを進めるブライトの姿】
【理解ができなかった、一体どんな考えがあるのか、と】


――――――もうやめろ、君の役目は既に終了した
これ以上の戦いに何の意味がある、これ以上血を流すことに……一体、何の
ただ君が血を流すことで頭のネジが跳んだバカが喜ぶだけだ、たった、それだけの戦いだ

そこまでして、戦う意味が、君にはないだろう


【貴女が前進を続けるなら、彼がその行く手を遮る、唇の端を噛む端正な横顔】
【巨大な刀の切っ先が突きつけられるだろう、貴女の形の良い鼻につきつける形で】
【コレ以上の前進は許さないとそう言いたげに】

【戦いの意味、それを求めて、彼もまた、貴女に問いかけた】
217 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 00:13:23.52 ID:PcWb1GuDo
>>213

『――そう、私は支援をするだけです』 『単純な力はありませんがね』

【その表情は一貫して無。まるで機械の様に淡々と喋っており、しかし確かな感情はあるらしく】
【稀にその表情に感情が僅かに出てくることもあるようだ――例えば、今の後半の自虐の部分等に】

「ヘケケケ、見たか俺と……アウの技!」 「あれだけ受けても大したことはねェーけどな、今は俺が居る――ヘキャッ」

【なんて、技が決まったことに喜んでいる場合ではなかった、あなたの反撃が彼に迫る】
【元々力任せな攻撃を好む分、それが大振りになりがちという弱点もあるのだ、ある程度は身体能力で補えるとはいえ】
【肘が頭部に直撃し、へぶっ、と情けない声を上げつつバランスを崩して転倒】
【最初に受けた頭部の傷の出血が、衝撃によってその一瞬の間だけ勢いを増して】

『……不味いですね、"プロテクト・シールド"』

【女性の杖先から発せられる魔翌力は盾の形を成し、発せられたレーザーを受けるが】
【―― 一点に攻撃が連続的に集中した為か、ある程度防いだものの途中で砕けてしまい】
【彼女の右手を焼き、杖を落としてしまう】 【それはすぐに拾いにかかるが――隙である】

「……痛たたた……これ以上馬鹿になる気はねェーが、頭はやっぱし痛ェぜ」
「っと……アウに手出しはさせねェー」 『遅いですよ』 「これ以上、だァッ!」

【脳が衝撃を受けたためか、若干のふらつきが見られる彼――】 【その眼に赤い魔翌力が集まって行き】

「お返しだァーッ!」 「ヘケメト……ビィィーームッ!!」

【そして、ポーズをとりながら――眼からビームが勢いよく発せられる!】
【……はっきり言って、威力はあまり高くないが、このビームは物理攻撃の様なダメージをあなたに与えて】
【更に、彼の様に――刺々しく暑苦しい刺激をもたらす】 【狙いは頭部で、速度はそこそこあるので油断は禁物だ】
218 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 00:36:05.85 ID:XEHrPV2t0
>>205

≪貴様の秘剣はそんなものかッ!中邑 瑛月―――ッ!この程度では私に膝を付けることすら叶わないぞ!
 無能力者の可能性を、力を、私に示すのでなかったのかッッ!?≫

            ≪これで終わりなら………ここで朽ち果てろッッ!!≫

【まるで叱咤するような口調で中邑へと声を強くして叫ぶダブル―――それほどまでに相手を認めているという事だろうか】
【浮遊する球体は、斬りつければ簡単に破壊できる………だが破壊した瞬間に共鳴するように爆発の連鎖を発生させるだろう】
【だが回避の用意を周到に行っている中邑ならばこの爆炎を掻い潜る事がかのうだろう―――しかし】

≪口だけではなんとでも言えるぞ中邑………さて、折れるのはその刃が先か、貴様の心が先か―――。≫

【その爆炎を突き破るようにして、ダブルがとび蹴り≠放っているッッ!!】
【数m離れていたあの場所から一足にしてこの距離を詰めたという事か―――先ほどの回し蹴りを体感していれば分かるが、当然威力は凄まじい】

【だがとび蹴りは先ほどの回し蹴りよりさらに隙が大きい………リスクは高いがカウンターの成功率も同時に高いと言えるだろう】

>>208

≪聞けば聞くほどに珍妙な能力だな―――だがその声、いつまで持つかな=H≫

【再び声色を変える喋り屋に対して返答しながら意識だけをそちらへと向ける―――】
【そして構成される新しい魔術―――風の刃≠ノ対して、右腕に灰色の闘気を集中させ、受け止める】
【当然完全防御は叶わず、右腕には装甲を引き裂いて大きな裂傷が生まれるが………もはやその程度で動きを止める様子はない】

【―――この時点で気が付くかもしれないが、喋り屋の周囲を浮遊している灰色の球体が膨張≠オている】
【先ほどはソフトボール程だったが、今ではバレーボールほどまで巨大化し、ゆらゆらと不安定に揺れているのだ………そして】

≪ああ、何かあるとも………そしてそれは悪手だ、喋り屋よ………吹き飛ぶがいい。≫

【ドゴォッ!】【臨界に達した球体は膨張前に破壊した中邑の時の倍ほどの爆炎を発生させ、喋り屋へと迫るッ!】
【………だが、爆発の瞬間には灰色の球体はその場に停止し追尾しなくなる、膨張の段階で危険を察知し退避すれば回避もなんとか出来るだろう】

//続きます
219 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 00:36:21.89 ID:XEHrPV2t0
>>212

≪ハッ―――そう何度も攻撃を通すものかッ!!≫

【中邑に対してとび蹴りを放ち、そのまま着地した瞬間に放たれたアサドの攻撃に対して素早く両手の銃を構えて迎撃する】
【………だが流石に着地後では体勢が定まらず、完全には迎撃できずに氷の欠片が左腕に突き刺さり、爆風が左足を焦がした―――】

【そして灰色の球体は二つの《E-bit》の激突によって爆発を相殺され、空気の振動のみがアサドへと伝わるだろう】
【だが残った一つが喋り屋のものと同じように………臨界に達しようとしていた。】

≪………やるなッ!だがいつまでその重い銃を抱えて耐えきれるか―――?≫

【そして臨界に達した一つは、そのままアサドの目の前で大きな爆炎を引き起こす―――】
【だが、これも喋り屋のものと同様に爆発の瞬間は一時的に追尾を止めて停止する………つまりは回避行動は可能なのだ】

【尤も、現在行っている次の攻撃への布石………それを中断あるいは中止することを余儀なくされてしまうのだが。】

>>214

≪クッハハハハハッ!貴様がそれを言うか谷山ァッ―――!≫

【冷静沈着であったダブルも相当にヒートアップしているのか激情を露わにして谷山へと咆哮する】
【だが視線を向けた先には強引に衝撃波を突破して自身の目の前へと現れた谷山―――そして発射されるノイズの弾丸が直撃するッ!】

【さらにナイフが命中した灰色の球体は膨張しきる前に爆発、中邑の時と同じように小規模な爆発を連鎖的に起こす】
【だがこれだけ対処能力の高い谷山ならばこの小規模な爆発も回避することは可能だろう。】

≪ぐ、ううううううう………小賢しい………真似を………ッ!だがッッ!!≫

         ≪まだ終わらないぞ、谷山ァァァァァァッ!焔曲刃=\――ッッ!≫

【ヘルメット型の仮面を抑えて、身体をよろめかせながらノイズの起こす神経異常に苦しむが………隙を見せたのはわずかな時間】
【左脚に灰色の闘気を集中させると、それを谷山に向けて灰色の刃≠ニして腰を捻りつつ放つ―――ッ!】
【この一撃のいやらしい所は刃の中央付近が湾曲しており、それによりブーメランの要領で回避しても後方から再び襲い掛かるッ!】

【だが、状況把握能力に優れて前後左右に死角のない谷山ならばこの一撃も凌ぎ切る事は可能だろう。】

>>ALL


≪―――ハァ、ハァ………まさかこれほどとはな―――侮っていたよ貴様らを………だがここまでだッ!≫

       
          ≪黒≠ニ白≠諱c……混ざりつらなり、そして降り注げ、灰時雨=


【肩で息をしながら血を滴らせるダブル、四人の力によって相当に消耗している………このまま押し切れば、いける】
【だがこの男がこのままで終わる訳もない―――ダブルは両手の銃を頭上に掲げ―――そして黒≠ニ白≠フ閃光を発射する】

【その二つの相反する閃光は、全員の頭上で絡みあるようにして混ざり………灰色≠ヨと変貌する―――そして】

【ゾンッ!!という何かが弾ける音と共に灰色のエネルギーは無数の気の弾丸となって頭上から全員に対して降り注ぐッ!!】
【超広範囲、そして一つ一つの威力も無視できないレベルのダブルの必殺の一撃だ―――戦いは終わりへ向けて加速しようとしていた】
220 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 00:44:08.06 ID:Qrw5sX8Jo
>>216

【ブライトの足が止まる。進まないのではない進めない≠フだ】
【有無を言わさず斬ってしまえばいいのに――甘いのは、自分だけではないようだ】
【攻撃が来ないと感じたならば、彼女はペンを取るのだろう】


『意味くらいありますよ。……ただの、私のエゴかも、しれませんけれど。
 私は決めたんです。この力は、誰かの役に立つためだけに使うって。
 絶対に、これで誰かを傷つけたりしないって、ちいさい頃に。』


【たっぷりと時間をかけたならば、そう紡いだ】
【地が落ちたスケッチブックは汚くて、文字もしっかり形になっていないが、何とか読めるかもしれない】

【刃物を使っていて傷つけないなんておかしな話だが、誰かを守るための手段としてなら例外、なのだろうか】
【何について語っているかは――あまり、鮮明ではない。代わりに何故か首のリングが、その光を強めた、ような】
【それでも、彼女はその決意に従って動いているのがわかるだろう。なら、役目は終わってなどいない】



 【  ――だから、ここであなたを、倒します=@ 】



【ゆっくりと動いた唇は、無音で言葉を並べた。その表情は何故か、薄く笑みを湛えていて――】
【血を流しすぎて握力が失われた手から、筆記用具が落ちるのと同時に、ブライトは動く】


(言いましたよね、痛いのを覚悟してください、って。今がその時です!
 きっとこれが最後。お願い、壊して―――――!!)


【どっちでもいい、大きく腕を振るうと、突き付けられた刃を視界から退かそうとする】
【そして残った手にありったけの願い≠込めれば――次の瞬間、それはレーザーのような力の塊となって炸裂するだろう】
【狙いは右手。そう、記憶装置/USBの破壊が狙いだ。もし地面に落ちるなどすれば、何度か壊すことを試みるはずだ】
【集中した狙い、反応できれば避けるのも難しくないだろう。当たれば痛いで済まないのは確実な威力だ】

【さらに、ブライトは教授≠フ後ろにも狙いを絞る。そこにはパソコンがあることだろう】
【自分が倒れてもデータを持ちださせないように――徹底して破壊しようとするはずだ】
221 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 00:44:54.45 ID:4+cOWI2s0
>>210
【機先を制すべく放った槍は、矢の如く赤い糸を引くように輝きを放ち飛んでいく。まあ当たるに越したことはないが、きっと避けられるだろう】
【しかし狙いはそこにあるのではなく、むしろこの槍の持つ別の性質による物であって――――】

二人分の意識で一つの体を動かすか器用なものだ。しかし、回避はそれで充分かな……!?

【―――――果たして、狙い通りに事は運んだ】
【左脇を通過した槍は、その肉体を焼いて火傷を負わせることに成功。勿論これが決定打になる筈はないが、牽制には充分だ……!】
【これでこの槍は熱を持っているという事を意識付けられただろう。槍の間合いは見えない部分まで広がっている、と】
【如何に目が四つあったとしても、見えない部分にまで気を配るには意識を遣う必要がある筈だ。】


ハッハッハ!正々堂々じゃ人々の命は守れんよ、悪く思うな。
一人の命を守るのにも四苦八苦するんだ。多くの人を守るなら、正々堂々なんてやってられんよ!


【彼らの苦悶の表情と狡い攻撃への反応にニヤリと微笑む。バカ正直に正面から向かって勝てる程あのナンバーズは甘くないのは良く知っている】
【当然、此方の攻撃が止めば其方が攻撃を仕掛けることも分かっている。あんな火傷程度で動きが止まるはずなんてないのだから……!】
【槍が火傷を負わせた直後、彼らの腕が上がったのが見える。きっと攻撃の兆しだ……集中して見切らねば】
【見れば、その掌中には何物かが蠢いて……やがてそれぞれ二つの刃と二つの球体へと形を成して此方に飛来する】
【刃の方は動きが速い。直線的に両腕を狙っているようだが、左腕はもとより鎧。当たった所で右腕よりダメージは著しく低い筈】
【となれば優先すべきは右腕に向かってくる刃の回避。単純で直線的動き故、一つの刃に限定して回避するのは難しくない】

―――悪いけど、遠慮させてもらうよ!

【という訳で、即座に判断して刃を左にステップして回避。もう片方の刃は鎧に直撃するも、うっすらと傷を付けるのみ。……成程、刃の威力は高くないようだ】


【続いて球体が飛来する。二つの球体は上下に分かれて此方に向かうが、如何せん速度が低い。大きく右に避ければやり過ごすのも用意で】
【それよりも対応すべきは攻撃と同時に間合いを詰めようと駆け出した彼らの方だ。近距離に自信があるのか……?】
【ならばと、右に球体を避けた直後に牽制のためにもう一度先程と同じく槍を発射。当たる当たらないに関わらず、発射と同時に男は後ろに退く】
【とにかく彼らの近接攻撃の正体を知らない内は、簡単に近寄らせてはいけない。……注意せねば】
222 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/12(日) 00:51:00.17 ID:wFZQO51u0
>>217

 そうかい……きいたかよ……

【少々苦しそうな声で震える声でそのように言った】
【こちらもちゃんとダメージを与えているがこちらも厳しい】
【腹からも先ほどの棘の刺さったところから出血しているため厳しい】

 たく…厳しいもんだぜ

【自分の心中の言葉をそのように静かにそのよう暴露した】

 きくもんはきくらしいなあ……魔法っても限界はあるか

 今度は目からビームかよ、本当におかしいやつだな

【ビームから男は横に飛び出し前転をして回避する】
【そのような動きをしたからか口から血が流れたが致命傷でもないので大丈夫だ】
【だが腕にかすってしまい苦悶の表情を一瞬だけ作るがすぐに元に戻す】

 今度もその女子を狙わせてもらおうか!

【あえてそのように目標を明かしてビームを女性のほうに向かって発射する】
【が、本当の目標はヘケメトだあの厄介な接近戦担当を倒しておけばあとあと楽になるからだ】
【杖を一時的に落として隙が作ったところをかばうかもしれないかばわなくともとも女性に更なるダメージを負わせれるからいいとも思って】
【あまり効果が無い行動かもしれないがやってみるものだ】
223 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 01:00:57.90 ID:Eo67RuCJo
>>218 >>219

生憎とな、こいつは俺の身体の一部だ…………!! っっぐ、ぁあああッ!!!

【次への布石のため、対処しきれなかった弾丸が炸裂する――――アサドは咄嗟に真横へ回避するも、そこは『W』の言うとおり】
【巨大な銃砲は、アサドから機動力を奪い去っている。それでも『アルハーディ』を捨てなかった時点で、被弾は決まったようなものだ】
【真横からの爆裂を右半身で受け、アサドの身体はゴロゴロと転がっていく。ジャケットは焼け焦げ、褐色肌にも血が滲んで】

(まだだ、まだいける……………!!)

【その途中――――『アルハーディ』の上部に、スコープが装着されるだろうか。やはり、何かをやろうとしているようで】
【同時、『W』の周囲にあった《E-hail》が、背後から『W』の右足を狙って氷の槍を射出するだろうか】
【脅威度は相変わらず。機動力を落とすのが目的の、本日何度目かの貧弱な攻撃。だが、今のアサドにはそれが精一杯だった】

【空を――――灰色が埋め尽くす!!】


ちぃっ、避けられない奴は俺の近くに集まれ――――!!

【真上から迫る破壊の渦に対し、アサドは天を衝くような咆哮を上げた。重たい銃口を、真上に向け】
【《D》のカートリッジを《B》へ換装、引き金を引く――――アサドが過去幾千と反復してきたこの三つの動作は、数秒と掛からず終わった】
【エネルギーラインの水色の光が一気に光量を増し、大口径に氷結≠フ魔力が形成される。側面モニターに《B-splash》の文字が躍って】
【猛烈な爆音と共に射出された氷結弾が、天井から吊り下がる平気の一つに触れた、その瞬間。世界が、青色に染まる】
【すると、降り注ぐ気の弾丸の数が、アサドの周辺でだけ激減するだろうか――――】

ぐ――――お、おお――――――ッッ!!

【――――氷、だった。天井につり下がった多数の新型兵器の間を氷が纏めて覆い尽くし、氷の天蓋が出来上がっている!!】
【《B-splash》は、着弾地点を中心に広範囲を氷で閉ざす大威力砲撃だ。降り注がんとしていた弾丸は、分厚い氷に阻まれる事になるだろうか】
【ただし…………アサドの苦悶の声が物語るように、完璧ではない。この砲撃は大威力故、発射前に溜め≠ェ存在する】
【必然、砲撃が届く前に降り注いだものまでは受け止められない。その一つが、アサドの脇腹を掠めて血を流させていた】
【そもそも、所詮は氷。強力な気の弾丸に晒され続ければ破片も飛び散り、危険であることには変わりなく】
【例えアサドの周囲に集まってやり過ごしても、確かに回避しやすくはなったが、完全に回避できるかは本人達次第だ】
224 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/12(日) 01:07:05.95 ID:oLyT63vPo
>>220

【視界に映る文字、自分でも思う、その間にもその可憐な首を切り落としてしまえば良いと】
【それは甘さか、或いは、常日頃口にしている才能への期待か】
【いずれにせよGIFT≠フ人間として教授≠ニして、相応でない行為だと思ってしまう】

【少女の紡ぐ言の葉、不格好な文字でも、そこに込められた思いは変わらず】
【ならば、彼のすべきことはその言葉に対して、確かな道を示すことだろう】
【唇の端が濡れた、湿った言葉の辿る一滴の旋律が強く意味を持てばよかった】


……それだけの力を持って、他人の為か、悪いが納得はできない
方法はいくらでもある筈だGIFT≠ノ来ることによって、誰かの役に立つことも十分に可能だ
否、誰かではない、世界の全ての人間の為に為る″sいをできる

――――――……だが、他者を傷つけずに生きることは、できない


【言葉に乱れはない、眼鏡の奥の瞳は鋭くまた冷たく、それは以前変わらぬ氷の仮面の如く】
【けれども、其れは決して永久に凍り続ける仮面ではなく、むしろもっと薄い、薄氷の仮面】
【指先で剥がしたその下には、小さな彼の表情があった】

【硝子が砕け散る音、踵で鏡をバラバラに砕いたかのような淡い音色】
【彼の右手から落ちた破片の音、木っ端微塵になるまで破壊されたUSBが地面に落ちた】
【そして大きな爆発音、後方のパソコンがその役目を終えた音】

【ちらりと視線の端でその様子を見た、もうバックアップは不可能だろう】
【彼がアクセスして数分でブライトが来たからこそ別の媒体にバックアップを取ることが出来なかった】
【不運だと思う、けれどもまた、これも巡りあわせだと思う心も在った】


私の負け、だな……此処に来た目的を失ったなら、もう此処には用はない
君の思いは伝わった、だがそれで得た痛みは、肉体的な痛みでしかない
傷はやがて癒え、そこに痛みがあったことすら、忘れてしまう

他者の役に立つということは、このような傷を作る事で叶うもの、と本当に言えるのか
私の願いはかつても言ったように、素晴らしい才能を持つ者を正しく導く事だ
今この行いに意味は本当は無いかもしれない、けれども結果的に見れば、その手段ともなり得る

君がもう少し賢ければ、君はもっと強い力を手に入れられただろう
――――――それが正しくないということを、精々伝えて見せるが良い


【右の手から血が零れる、レーザーは彼の右手を貫き、内部のUSBを破壊したのだ】
【決して無視できるダメージではない、それでも尚彼の語る言葉は変わらず】
【Audioslave≠ェ姿を変える、紐状の形へとなったら、空いた天井へと伸びていく】

【左手でその紐を握ったなら、ゆっくりと上昇していくのだろう】
【研究者≠ニしての言葉ではないように思えるかもしれない、データに執着しない姿は研究者のそれではなく】
【教育者≠フそれと教育に執着する姿は類似している】

【――――――そのどちらもが教授≠セと、本人は言うかもしれないが】
【その場から退散したなら、後には盗まれなかったデータだけが残っているだろう】
【彼の言葉は抜きにして、防衛が成功したのは明確な事実だ】

【天井から漏れる荒涼たる風、傷口に静かに染みわたるのだろうか】


/この辺りでしょうか!お疲れ様でしたー!
225 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 01:09:55.04 ID:xYZw7YNlo
>>208 >>212 >>214 >>218

【正に自分がぶつかってきた壁と戦っているような感覚だった。「W」の先程の回し蹴り。正面からいきなり放つというのは技術的視点から見ると良いとはいえない】
【―――それでも、瑛月に大きなダメージを与えた。技術をカバーし、上回る程の強大な身体能力。自分にはないものであり、其れを一文字で表すなら「力」だ】
【……自分には「力」はない。無いから「武」を鍛え上げ、補おうとしている。……自分に「力」があれば。強靭な腕力、バネのある脚力があれば。誰よりも「力」を求めたのかも知れない】

【能力もない、力もない。あるのは血反吐を吐いて、今までの人生を全て費やして漸く掴んだこの「武」のみ。此処で折れては、自分の人生を自分で否定しているものだ―――】
【……罪なき民のため。同じく命を捨てる覚悟で戦っている仲間のためもある。しかし今だけは自分のプライドが何よりも優先された。自分の人生は間違っていないと証明したかった】

……―――「一刀正伝唯刃流」。其れは無能力者の剣であり弱者の剣……そして「武」……コレも弱者が理不尽な「力」に勝つために生まれた技……。
聞け「W」。聞け生粋の強者。……俺は―――俺は貴様を倒し!! GIFTから鉄の国を護り抜くことでッッッ……!!

                               <――― 『 最 強 の  弱 者  』 になるッッッ!!>

【―――痛みなど、自分が背負っているモノに比べればちっぽけだ。そう思うことで鈍く重い痛みを少しでも振り切らんとする。双眸に煌く熱き闘志の刃。其れはまるで、名刀の一振り】
【一層深さを見せる濡羽色は、球体が散り際に放った爆炎を捉え―――流水の足捌きが其れ等を掻い潜る。しかも後退するのではなく、前進を兼ねながら】
【……更にその奥に潜む、強大な力により繰り出された飛び蹴りも、『最強の弱者』になると誓った硬き瞳は見通して―――弱者の為の技、『武』で其れに対応せんとした】

                                 コレが弱者の技だ……―――雷(イカヅチ)<bッッ!!

【身体を大きく沈ませる勢いを利用しながら左側へ素早く転身し、その飛び蹴りを躱しながら「W」の右脇腹を流れるように刃を繰り出す―――!!】
【剣速は速いが、決して見切れない速さではない。大会に参加した他の剣豪に比べても劣る。しかし、彼の斬撃には「真の速さ」があった。其れは単純な速度よりも、恐ろしい】

/すみません、続きます
226 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 01:10:29.84 ID:xYZw7YNlo
>>208 >>212 >>214 >>218
/続きです

【「真の速さ」―――其れ即ち「最短工程」。刀を振り切るまでの動作を10工程とすれば、彼は7工程で其れを済ませる。……其れが真の速さの正体の「その一つ」】
【歩きにも見える通り余分な動作を極限にまでカットしていた。地面を強く蹴り出すことすら、隙を生む。察知されやすい予備動作は、全て省いた。其れが真の速さに繋がっている】
【―――スポーツに例えると、こういうことだ。投手が振りかぶって投げる150kmと、全くのノーモーションから放たれた130km。どちらが速く感じるか? 答えは後者だ】
【省くモノは其れだけでは無かった。動きそのものもそもそも他の流派とは異なっているのだ。足が地面に付き、腰を捻り、腕を伸ばし―――というものではない】
【其れ等を順番ではなく、同時に行う。全身を一体化させ、一拍子で動く。更に「人の脳は一部分の動きには敏感に反応するが、全体の動きとなると反応が遅れる」という視覚効果】
【此れを「無影」と言うが、それが即ち真の速さのもう一つの正体。―――此れこそが、唯刃流。……此れこそが、肉体では実現できない速さを「武」で補うということだった】

……ッフーッ、っぐ……ッ、っふぅッ………!! 全体攻撃か……ッッ〜〜!!

【そしてこの攻撃の成功してもせずとも、瑛月は「W」の繰り出した灰色の雨の対応を強いられる。腹筋は痛む。両手にも痺れはまだ残っている。肉体は疲弊している】
【―――だからこそ、武が生きる。力に頼らないということは、筋肉に大きく頼らないということ。つまり消耗しにくいという利点を持っており―――問題は「痛み」だけだった】
【……その痛みはだんだんと増すばかりだが、鋼の精神は其れに屈しない、屈する訳にはいかない。荒い呼吸の中、唇から血が滲む程噛み締めて耐え忍んだ】

【―――弱者の技を、奴に見せ付けるように。「どうだ強者、コレが弱者の技だ」と言わんばかりに。流れる足捌きによる回避は、痛みが遮って完璧なものではないが健在だった】
【其れでも完全回避は不可能であって。弾丸が床に落ち、飛び散った破片が肌に突き刺さり―――1発は右太腿を軽く抉る程で。グラつきを見せながらも、必死に接近を見せる】
【そして雨が打ち止んだのなら―――瑛月は不気味な雰囲気を辺りに拡散させて、構えを取り―――微かに笑った。コレが貴様を貫く、と言う挑発的な表情だった】
【右肘を畳んで右腕を内側に捻り相手に剣鋒を向けた状態で、左足を前に出し半身の状態になり、窮屈になった右腕を後ろに引いた。解るのは、恐らく「突き」の構えということだけ】

―――……貴様を倒す為に生まれた最終奥義。―――……「 龍 牙 崩 山 」。 この刃で終わらせ、証明する。―――無能力者の底力を……!!
227 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 01:14:25.27 ID:PcWb1GuDo
>>222

「これが俺の必殺技だぜェーッ!」

【――必殺技、と言うにはいささか威力が足りていないと思われるのだが、それはともかくとして】
【技後の隙は、身体をほとんど動かさないため少ないといえる――故に】

『そうですか、では――……間に合いますかね、リフレクト・シールド……!』

【彼女が杖先から盾を展開するのが間に合わないと思ったならば、すぐに身体が動く】
【先程の発言通り、彼は彼女が傷つくことを快く思っていないらしく――そう、狙い通り庇ってくれたのだ、彼は】
【脚の力をふんだんに籠めた跳躍からの庇い。そうなるとどうしても防御態勢が崩れがちになるため――】

「ッ、くゥ……」 『……まったく、毎回毎回無茶しないでください、治療するのは私なのですよ』

【背中へもろにビームを受けてしまうのだった】 【彼女を軸にずるりと崩れ落ちて】
【おそらく予想通り、タフネスはかなりのモノだが――底なしというわけではけしてないのだ】

『……しかし、彼なら大丈夫でしょう』 『それに、大丈夫でないと結構困りますしね――』

【だが、まだ彼は立ち上がることが出来る、彼女のその信頼通りに】
【もっとも、すぐに動こうとはせず――しかしながら、息を整えつつ両手の面を向かい合せて魔翌力を中央に集中させ――】

「ヘケケケ……バトルは好きだが、アウに攻撃する奴はみィーんな敵だ――トリプルニードルシェル!」

【放たれるは、3つの大き目な緑色の棘の弾――直径およそ1cm、長さはおよそ15cm】
【大きさの分、威力や強度は通常の棘より高めであり、速度はまあそこそこ。――狙いは腕の高さの位置に、左右と中央それぞれだ】
【――これだけならば凌ぐのはそこまで難しいことではなかっただろう、しかし】

『……あれだけでは少々スパイスが足りませんね』
『間に合う範囲となりますと……ヴェロシティ・エフェクトとダブル・エフェクトでもかけておきましょうか』

【ヘケメトが庇った隙に体勢を整えた彼女の杖先から放たれる魔翌力は、放たれた3つの棘に命中し】
【その途端、棘の速度が急に早くなったのだ】 【更に、もしもエフェクトがかかる前に棘に当たっていなければ気付けないことなのだが】
【明らかに威力が倍になっているのだ】 【――エフェクト。攻撃に効果を与える補助。この位大したことないだろうと思っていると、豆鉄砲を食らう】
228 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 01:16:56.60 ID:AM3faJqzo
>>221
『ああクソ、右のわき腹にも後で火傷入れなきゃならねえじゃねえかよ!! クソッたれが!!』
「まったく、人の大切な一対を、どいつもこいつも簡単に崩してくれる……」

【この姿でこのように生を受けて二十数年、二人で一つの身体を操る術は、しっかり身についているはずだった】
【だが、鉄火場においては事はそう簡単ではない。まして相手は恐らくは歴戦の猛者。完全な会費は容易ではなく】
【それでいて、最初に気にするのがその身の一対=B肉体のみならず、その精神までも異形】

【無論、火傷のダメージも小さくない。動きも自然、左わき腹をかばいつつのものとなる】


『カーッ!! 口の減らねえ野郎だ!!!』
「ああ、悪くは思うまい。こちらも、相応の対処をさせてもらうだけだ」

【笑みを見せる彼に、それぞれ怒りの表情を向ける双子。四つの瞳に宿る戦意は、衰えることはなく】
【走り寄る最中、相手の動きが見える。こちらが放った攻撃の行方が目に飛び込んでくる】
【まずは砂の刃。片方はかわされ、片方は鎧に防がれる。見た目通りの強度であることが、情報として双子に拾い上げられる】

【続く泥の玉。しかし、その意識はこちらに向いている。小手先の攻撃で意識が逸れるほど、甘くはない】
【だが、双子は構わず間合いを詰めていく。泥の玉が回避され、槍が放たれた直後】


「跳ぶぞ!!」
『おうよ、兄貴!!』

【白い頭の合図に黒い頭が従い、異形どもの足が地面を蹴った。身体能力は、少なくとも常人の域にはないらしい】
【直線軌道の槍を、助走の勢いをつけた跳躍で回避。そのまま、男の頭上を飛び越えようとするだろう】


「(あの動き、正面からのゴリ押しでは勝てぬ……ならば、範囲攻撃だ)」

【相手の頭上を飛び越えることに成功すれば、双子はその足に泥を纏わせて、男の背後にある本社ビルの玄関口】
【そのガラス窓を、蹴り破ろうとするだろう。成功し、ガラス片が散れば、今度は浅黒い方の腕が空中で振るわれる】
【巻き起こるは砂嵐。殺傷能力は皆無、狙いは散ったガラス片を周囲にまき散らすこと。これにより、男の周囲全てをガラス片の嵐で攻撃する算段だ】


【先制攻撃を受けた流れを変えるための、目くらましを兼ねた反撃の一手】
【飛び越えを防げば、この攻撃は阻止できるだろう。仮に範囲攻撃が成功したとしても、大したダメージにはならないはずだ】

【範囲攻撃が達成できれば、その成否にかかわらず、双子の身体はガラス窓の向こう、開けたエレベーターフロアに降り立つことになる】
229 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 01:22:49.68 ID:y1W+nBWX0
>>214>>218-219>>223>>225-226

【当たった感覚はあった、まだある程度、押し通せば勝てるだろうか。それは自分に耐久力があればの話だが】
【だがしかし「悪手」――――――そう言われ周りを見れば、膨張した球体。どうみてもこれは、危険だ】

――――――――――『やば、避け切れな…っ!』

【気付いたころにはもう遅い。後ろに下がって距離を取るも、三つの球体が既に破裂寸前】
【爆発に巻き込まれて、右肩や足に大火傷を負い、焦げた衣服の合間から裂傷したであろう肌が見えた】
【反動で体を吹き飛ばされつつも倒れることはなんとか防いだが、まだ壁を使わなければ歩くことは容易ではない】

【――――更に追い打ち、と言うべきダブルの一撃―――否、数撃かそれ以上】
【回避するのは間に合わないし足も酷使できる状態ではないか―――ならばここは、せめて軽減せねば】
【喉に中指をあてがい直して、降り注ぐ灰色の雨を視認するために喋り屋は無い空を仰いだ】

――――――――『動かざること山の如し、なんて言葉があるらしいが』
『どうにも俺はそんなタフガイな真似は出来んようで…一発や二発はいいの貰っちまうなこれは、無事じゃすまない』

【ハスキーな声色から、最初と同じ地属性の魔翌力を作り上げた】
【黄色の魔翌力が床に宿り―――そこから土が大量生成され頭上へと体積を伸ばしていく】
【主を守らんとするスライムのように、形状を大きく変えたそれは、攻撃を防ぐための壁となった】

【土の壁が、無数の弾丸を受けていく――――少しずつ壁が、その形を崩していき】
【いよいよ無数の弾丸に耐え切れなくなったって崩壊し、弾丸と共に喋り屋に降り注いだ―――結果を隠すかのような砂煙】


―――――――…『やっぱり俺は、動いてた方が性に合うかなぁっ!』


【砂煙の中から、喋り屋の声が響いたなら、砕けた土の壁がまたも集まり始めて、頭上へとその姿を現す】
【現れる巨大な―――『土の右腕』が、喋り屋の頭上で敵の方へと向けられていたのだ】
【怒らず、楽しまず、冷静沈着に魔翌力を籠めた。その『土の腕』は、ただの必殺技ではない】

――――…『ここまで来たなら、逃げるのは無しだぜW…!』

【煙の晴れたその場所には――――膝をつきながらも喉に手を当て、伏し目がちにエリア中央を見据える喋り屋の姿】
【人一人分を捕らえるのは余裕そうなその腕を見れば―――その術が動きを制限させるためのものだと、ダブルや他のメンバーは気付くかもしれない】
230 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 01:27:12.96 ID:isWPpCkOo
/*スイマセン、またまた分割致します*/
>>218,219.223,225,226,229
「――正解かッ」

【爆風に煽られる谷山。小規模な爆風の群れ、その起動の時間差と範囲を認識する】
【体捌きを持ってして、這うような挙動で爆発する直前の、一番最後にダガーを投擲した球体の下をくぐり抜ける】
【そして、そのくぐり抜けた先は――ダブルの居場所。先ほどから青年は、その行動のすべてを――前進に費やしていた】
【それは、己の行動を否が応でも相手に意識させるため。遠距離から様子見しているよりも、近くでナイフを振るわれる方が分かりやすい脅威となるから】
【己のような分割思考が出来ないのならば、少なくとも己を意識している分、相手には隙が生まれるだろうと踏んでいた】

「銃は趣味じゃねぇんだが――――!」

【眼前に襲い来る灰色の刃。それに対して青年の取った動作は、腰の拳銃――タウルス・ジャッジを引き抜くこと】
【装弾数5発の回転式拳銃であるそれは、通常のリボルバーには無い特徴を持つ】
【それは――散弾の装填≠ェ可能であるということ。青年は銃器の扱いに特段優れているわけではない】
【ましてや、特定の部位に対して狙い撃ちをしたり、襲い来る攻撃を撃ち落とすだなんてことは夢のまた夢】
【だが、これならば、別。一発一発の威力の低い散弾、それも拳銃の銃身ならば唯でさえ射程の短い散弾が更に短くなる】
【しかし、その代わりに。狙う必要がない≠フだ。――眼前に来たる刃に対して、必要なのは構えてトリガーを引くことだけ。そして、引いた】

【轟音。無数の鉛球が斬撃とぶつかり合い、鉛球は砕かれるものの――それによって威力を、速度を減衰】
【そうなれば迷うことはない。――斜め前に足を伸ばし、加速。脇腹を引き裂かれるが、転身によって急所を外す。鮮血が飛び散る】
【鮮血が弧線を画き、後ろへと転身した青年へと回転しながら迫り来る。トリガーを引く。そして、砕く】
【反動を生かしてそのまま再度転身し、ダブルとの彼我の距離は3mといった所。――拳を届かせるには、十分な距離だ】

【そして、青年の目前には――奥の手を解き放つダブルの姿が有る】
【防ぐ術は無い。己の防御は人並みでしか無い、そしてアートマン体は人体よりも脆弱である事実。しかし絶望は無い】
【ならば。奥の手で、必殺で来るというのならば。此方も虎の子を出すしかない。それだけだ。そしてその思考は行動と帰結する】
【ホルスターにジャッジを仕舞う。そして、ベルトポーチに両手を突っ込み、引きぬいた両手には――――】
231 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 01:27:42.20 ID:isWPpCkOo
>>218,219,223,225,226,229,230
「ぶちかます……ッ!」

【――――哲学者の卵≠ェ握られていた】
【凡そ善性のものが振るうべきではないどころか、悪性のものであっても正気であれば好んで用いようとはしないそれ】
【それを、握る。そして、それを――強く強く握り、突き出す。両手から吹き出すのは、膨大なノイズ。頭上で収束する閃光と共鳴するようにそれは総量を増していく】

「DualCore=\―――Over Clock=c………ッ!!」

【哲学者の卵を包むノイズは――谷山基樹の持つ悪意、狂気、絶望のデータ。それらは、卵を孵化させるに足る力】
【そう。狂気や悪意、絶望と相対する青年は――同じそれで、それらを打倒しようというのである】
【毒をもって毒を制す。目には目を歯には歯を。悪の力で正義を振りかざす、その異端、異常は――異形となって顕現する】
【青年の周囲の空間が、莫大な悪意、狂気に歪み、狂う。――そして、硝子が砕けるような破裂音の直後。谷山基樹は粉砕した】

「Hello――――――ッ」

【右目が砕ける。左腕が砕ける。神経系砕ける。精神が砕ける。谷山基樹が砕けていく】
【右目が生れる。左腕が生れる。神経が生れる。精神が生れる。谷山基樹が生れていく】
【――人のそれを、アートマンのものと変成して再誕するのは、悪意の担い手、狂気の担い手、正義≠フ担い手】
【絶望の翼のごとく背に吹き出すノイズを収束した結晶体を背負い込みながら――異形と化した青年は己の異能の名を、産声のごとくに叫んだ】

「――――NEXT Worldォォォオォォォオォォオッ!!!!」

【黒と蛍光緑の混ざる不気味なノイズ。そして、複眼と化した右目とその周囲の傷跡】
【背を突き抜け生えるノイズを放射する結晶体。左腕は延長され、鉤爪は狂気の気配を放出する】
【哲学者の卵の狂気を餌に、哲学者の卵によって発現した異能を強化する。そして、その悪の力を己の敵たる正義の打倒に正義として用いてみせる】
【孵化した卵の齎す強大な力と強大な狂気。それを一時とはいえど制御し、支配しているのだから並の神経では不可能な負荷がかかるだろう。だが、する】
【理性によって為される狂気的な正気の業。――瞳には、悪意敵意狂気絶望に塗りつぶされても闇の中で一点輝く理性と信念の光が在った】
【神経系すらもアートマンに作り替えた青年の知覚は、これまでの人間の脳髄の限界すら超えてみせる。そう、降り注ぐ無限の弾丸を見切る事すら――!】
【視界に映る無数の弾丸。それらを、聴覚による距離判断と皮膚で感じる風圧でより正確に着弾時間と着弾地点を算定していき、己の取るべきルートを決定していく】
【通常であれば発狂しかねないその思考加速であろうと、もはや人のそれを塗りつぶした異形の身であれば――不可能では、無い。そして、脳が引いたルートに、肉体が追従していく】
【そう、疾走だ。それしかない、それしか谷山基樹に生き延びる術は、次に繋げる術は……無い】

「ッ、おお――――――ッ!!」

【左腕を振りかぶり、強化された五感を持って無数の弾丸を回避しながら縫うように駆ける。その動作のすべてが、機械のように無機質かつ正確無比なもの】
【あらゆる不確定すらも予想し、あらゆる確定要素に対して確定的な対処を重ねていくその行動は、その肉体で可能な100%のパフォーマンスを発揮させ続ける】
【それでも肉を貫かれ、骨を砕かれ、鮮血をぶちまける。当然だ、谷山基樹の肉体に、全てを避けることが可能なスペックは、無いのだから】
【だが、青年はそれと同時に卵の持つ悪意と狂気を加速させて同時に力を引き出しつつ、二本の脚の駆動も加速させる。一時でも良い、相手に届くまでの1分弱を――持たせれば良いのだから】
【背のアートマン体がノイズを収束させて先ほどのように脆弱なる防壁を作るものの、そんなものは焼け石に水】
【わずかに威力を減衰し、着弾点をずらすことで致命傷は避けさせるものの、前進する青年の全身をずたずたにするには十二分な威力を喰らい続ける】
【魔弾の隙を縫いながら、ダブルに向かってノイズ弾を放ちながら、蛇行していく青年。狂気に飲まれていても、辛うじて冷静さを保っている様で】
【他の者が倒れぬと信じた上で、己の必殺を――己の狂気を信念を――仲間と共にぶつけてやろうと。そう考えていたようだ】
232 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 01:39:00.66 ID:Qrw5sX8Jo
>>224

【意識が薄れゆく。限界が近いのだろう。USBは破壊できただろうか】
【口の中が気持ち悪い。息を吐いているのか血を吐いているのか、区別がつかない】


(……いいえ、もし私がGIFTに入っても……どうせ誰かのために、力を使うでしょう
 なら、私は……平和な方に、身を落としていたい)


【他人のための力を否定するのに、他人のためにGIFTに入ることもできると言う】
【ならば、彼女は優しい方に居たかった。破壊や殺戮などせずに】
【教授≠フ言うことも正しいのは理解できる。誰も傷つけずに生きるなんて――】


【 ――嗚呼、なんてエゴ/自己満足なんだろうか 】


【でも、それでいいと思う。それが、自分の在り方なのだから】
【データは……どうやら破壊できたようだ。粉のようなものが落ちるのがわかった】
【教授≠ェ去ってゆくのをただ見送れば、近くの壁に腰を下ろし、もたれかかって】


(……ここで私が……食いとめたことで、兵器が……悪用されずに済む
 それで……十分じゃない……ですか)


【天井から風が入ってくる。きっとまだ、戦場の臭いを含んでいるのだろう】
【落ちついたら急に頭が痛みだした。脳みそが4つに割れてなければいいな、なんてよくわからないことを考えて】


(ここで……寝てたら……だれか、助けに……来てくれる……でしょうか……)


【やがてぷつりと意識は途切れる。やがて誰かが来て救助されるのだろう】
【それまで、彼女は泥のような眠りにつくのだろう。この地にまた、平和なひと時が訪れる夢でも見ながら――】


/お疲れ様でしたー!
233 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/12(日) 01:48:22.06 ID:wFZQO51u0
>>227

 大切な存在だったなやはり

【自分の予感が命中し相手が自分の狙い通りに動いて一時的な喜びが生まれる】
【だがそれをすぐにかみ殺しあいての出方を見る】

 なるほど、信頼されてるようだな
 しかも心配されているねなかなかいいコンビなもんだ

【二人の言動を聞き二人がそれぞれに信頼していると男はそのように判断した】
【そしてそれが厄介なところでもあり、コンビを崩すのは難しい】
【しかし相手もこちらと同じように消耗しているのは理解できた】

 もう少しってところか
 いや、まだ手は残ってるか

【魔力の集中、それを見た男はすぐさま警戒する】
【次にどのような技が来てもすぐさま対応できるように】

【そしてきた、先ほどの棘を弾にしてはなったきたのだ】
【十分に対応可能だとそのように心の中で思いすぐさま回避をしようとしたが】

 やっぱりそういうもんも持っているかよ!

【女性の補助技により威力と速度があがった棘を見て舌打ちを含んだそのように言った】
【だが言ったところで変わらないだからこそ防ぐ】
【速度が上がっている、そのため一つを光の剣で防ぎもう一発は体を左に動かし何とか回避】
【だが最後の一発は防ぐこともできずに左腕に突き刺さる】

 ッ!、…なんとか耐えられたがこれ以上わな

【そのように表情を曇らせたあとにそのようなことを口走る】
【いうなれば撤退するということだ】

 これ以上は受けきれねえよ、んじゃな

【そのようにいったあとに男はすべての光を集めて一気に発光させた】
【それは閃光、視力を一時的に奪うための強烈な閃光だその閃光が終わり視力が回復すれば男は撤退しているだろう】

/ここまで〆ますね
/お疲れ様でした
234 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 02:01:26.89 ID:XEHrPV2t0
>>223

≪ならばそのまま身体の一部を抱いたまま―――灰に飲まれ………朽ち果てるがいいッ!!≫

【頭上から灰色の弾丸を降らせながら、『W』はアサドへと怒鳴りつけるように返答するが】
【直後に後方から発射された氷の槍が右足に突き刺さり、貫通はしないもののガクンと膝から力が抜ける】
【―――だがそれでも尚、膝をつくことはない………この男の執念、それはもはや一種の異能のように肉体を強化していた】

≪―――まだ耐えるか………だがこれで終わりに………!≫

【氷の大防壁を創りだし、未だこの攻撃を耐え凌いだアサドに驚きと、そして賞賛とも取れる呟きをするが】
【それだからこそ冷徹に―――最後の一撃をアサドに振り下ろそうと右腕を振り上げた瞬間―――】

>>225>>226

≪―――ガッ!?………瑛月………貴様ァ………まだ動けるだと―――?≫

【アサドへと攻撃をする寸前で瑛月の斬撃がダブルの装甲を貫き、さらにその奥にある肉体をも切り裂いた―――】
【噴き出す鮮血………ここにきて、今までの戦いの中で最も大きいダメージがダブルを捉え………ついに大きな隙がその身に生まれる】
【ダブルはフラフラとよろめいてから手すりに手をかけて何とかその場で持ちこたえる。】

≪………面白い、ならば測らせて貰うぞ………貴様の全力を、無能力者の可能性≠ニいうものをな………!≫

               ≪―――来いッ!!中邑 瑛月ッッ!!!≫

【中邑が構える―――絶対の一撃をダブルに喰らいつかせるために。】
【それに対し、ダブルもそれに答えるように二挺拳銃を放り投げるようにして転送し………クイクイと右手で手招きする】

【―――まるで、全力の一撃を全て受け止めるとでも言いたげな様子だが………果たしてこの男の狙いは一体………?】

>>229

≪………これでようやく貴様の真の声≠ェ聞けそうだな、喋り屋よ―――≫

【壮絶な破壊を引き起こした後―――砂埃が晴れて未だ健在、未だ戦意を失っていない喋り屋に対してそう言葉を送る】
【ここにきて、ここまで追い詰められても尚………どこか余裕を持って相手を見据えている】

≪ああ、逃げないさ―――この場で全力で迎え撃たせて貰うとしようか………?≫

【土の腕、そしてそれを操る喋り屋自身を挑発するかのように佇みながらそう返答する―――。】

//続きます
235 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 02:01:38.85 ID:XEHrPV2t0
>>231

≪クハハハハハハハッッ―――!貴様もやはり壊れている≠諱A谷山。≫

≪だが、その狂気………その覚悟、面白い………ここで潰してやろう=\――。≫

【全身に自ら狂気の卵を浸食させ………己が正義を貫くために、狂気と融合する谷山を見て、ダブルは震える】
【恐怖からではない、自身の力を持って斃すに値する覚悟を持った敵が現れた事に対する武者震いのようなものである】

【迎え入れるように両手を広げ、谷山の狂気を、正義の意志を受け止める意志を示した―――】

          ≪さぁ来い、貴様の力≠、覚悟≠見せて見ろ谷山ッ―――!≫

【全てはそれを打ち砕くだけの自信が成すものだ………それを裏付けるだけのモノが、この男………W/ダブル≠ノはあった】

>>ALL


≪ならば受けてみろ………まさかこの場でこれ≠出すまで追い詰められるとは思ってもみなかったよ
 一言言わせて貰おう―――見事だ、貴様たちの力と意志は確かに届いた………だがな。≫

     ≪今から真の力≠見せてやる………出でよ、我が力=c……魔剣・ダモクレス=

【―――そう、ダブルが告げた瞬間。彼の正面の空間が裂けて―――そこから一本の剣が床へと突き刺さる。】
【それは、この世界のモノではない、魔界≠フ気配を持った灰色の魔剣………刀身を見るだけで魂まで吸い尽くされるような錯覚さえ感じる】

        【―――ダブルはそれを難なく引き抜くと、四人に向けてただ静かに………構える】


               ≪征くぞ―――受け切って見せろ、一の刃・陽炎=


【そして………静かに踏み込んで4人が並ぶ場所に向けて疾走する―――それはまさに灰色の雷のような凄まじい勢いと速度を持っている】
【その後はただ単純な、至って普通に―――すれ違いざまに全員を切りつける………だがそれはあまりにも速く、鋭すぎた。】

       【疾走した後の床は抉れ、砕け、この足場自体が不安定となる―――まさに空前絶後の一撃。】
      【………この灰色の魔人はここにきて、自身の力の底上げをした―――まさに怪物と言うしかない】

 【果たして、この魔剣の壮絶な一撃を、4人の力は受け切り………超える事が出来るのか………この戦いの終わりの時だ】
236 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 02:03:41.52 ID:4+cOWI2s0
>>228

……?右脇腹にも火傷を入れる?……もしかしてキミら……M?

【およそ(ごく一部の特殊な癖を持った人を除く)常人の思考からかけ離れたような発言が耳に飛び込み、首をかしげる】
【……まず気にするのは傷の痛みや治療ではないのか。それどころかもう一方にも火傷を付けるとは……正直、意味が分からない】
【――――まあ、別に分かりたくもないが】

【彼らの攻撃は難なく対処できた。特段強力な攻撃というわけでもなかった、きっとこれは小手調べに過ぎない筈……】
【とすれば、次に来るのは恐らくこちらに何かしらのダメージを負わせる為の攻撃だ。みすみす近寄らせては危ない】
【牽制で放った槍は、間合いを詰めさせないための物であった。しかし、彼らの動きは予想をはるかに超えていて―――――】


――――なッ……!?


【――――往々にして、人は予測とは違う動きを見せた物に対して反応が遅れるものだ。彼らの跳躍力もまた、予想を遥かに超えたものであって】
【一瞬、対応が出来なかった。恐らく初めから「これぐらい跳べる」と分かっていたら防げたであろう跳躍は、果たして防ぐことは出来ず】
【ガシャリとガラスの割れる音が大きく響けば、今度はガラスの破片が嵐となって此方に飛来する。……不味い】
【このままではモロに直撃だ。まずは防ぐべき部分を瞬時に判断、決定。小さな傷はこの際致し方あるまい、目をやられるのだけは防ぐべき!】


……ッ仕方あるまい!
フォルムチェンジ――――Defense!


【腕の鎧がまた緋色に光ったと思えば、そこに現れたのは槍と同じ光を伴う盾。と言っても即座の対応なので全身を覆ってしまえるほど大きなものではないが】
【それでも目を守るという意味では充分な大きさだ。――――間もなく小さな破片が身に突き刺さるのが感じられるが、何とか目潰しだけは回避した】
【とはいえ、結果的に目くらましという意味でも反撃という意味でもこの攻撃は大きかったようだ】
【小さな傷でも無数に負えば消耗するし、目を防いでいる間は行動が出来なかったので、その間彼らに息を付く暇を与えたということにもなる】


――――……ッテテテテ……ハッハッハ、これはまた……中々効いたぞ
ったく……ガラスも安くないんだ、モノは大事にしろって言われなかったか?


【軽口を叩いてはいるが、息が荒い。多少なりとも消耗しているのは見れば明らかで、これでイーブン以下に持ち込まれたといった所か】
【ならば、此方も攻撃に転じねばなるまい。左腕の鎧の形状を元に戻すと、もう一度赤い槍を生成して】
【其方に穂先を向けて、発射―――――】
【――――――しなかった。過去二回の槍の発射モーションと同じ動きをしておきながら、槍を発射せずに急に彼らに近づく】
【発射すると思って身構えてくれればしめたもの。虚を突いてそのまま一気に間を詰める事に成功すれば、今度こそ発射!】
【先程より両者の距離が近い分、攻撃の到達速度も威力も大きい。さて、このだましうちのような攻撃は成功するのか――――】
237 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 02:05:32.16 ID:PcWb1GuDo
>>233

「――ヘケケケ、アウならエフェクトかけてくると思ったぜ」 『それはよかったですね』

【彼女は一人で戦うにはあまりにも辛すぎる、逆に彼は一人でも十分やっていける】
【様々なベクトルが逆を向いた二人を組み合わせた時、その力は打ち消されるどころか高まり】
【彼の強さをより多く引き出すためには、彼女の支援と指示があってこそのことなのだ】
【力のない彼女が今日この時まで生きてこれたのは、彼が大切に庇護してきたからなのだ】
【そして、目に見える程に――互いが互いを信頼し合っている、互いの弱点を補っている】

【そう、どちらかを欠けさせるという行為は確かに正しかった――……ただ、彼の耐久が化け物級なだけであって】

「……あァ、くそォッ」 「"ディルムカプテスプ"でばっきばきに砕いてやろうかと思ったのにィッ!」

【不意に閃光がほとばしる、急なことだったため何かしらの防御といえば目を閉じることくらいしかできず】
【……晴れるころにはもうあなたの姿は消えていた、彼は小さく舌打ちをして】
【左手に籠められる魔翌力は、先程までに見せた魔翌力のどれとも何かが違っていて、禍々しい雰囲気を放っていた】

【――その後、ほんの一瞬だけ電力が不安定になり】
【また、とある電柱の下に電気色の欠片が落ちていて――それを触ったら熱と共に消えてしまった、という不思議な現象があったそうだ】

/お疲れ様でしたー
238 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 02:21:26.79 ID:xYZw7YNlo
>>223 >>229 >>230-231 >>234-235

【かつてフリードリヒを貫いた「裏・崩山」―――「龍牙崩山」が生まれる前の、最終奥義であった技である。名前から分かる通り「龍牙崩山」はその改良版―――否、究極】
【先程繰り出した一閃を、こう例えた筈だ。「ノーモーションからの130km」と。そして「裏・崩山」を喩えるなら、限界まで腰を捻ったトルネード投法からの160―――否、170km】
【足を大きく踏み出し、遅れて腰がうねり、溜めるに溜めたエネルギーが、背骨を含む全身27箇所の関節の回転により連結加速され、全ての力を右腕の刺突に一点集中】
【つまり鞭が撓るような動きによって音速を優に超える超音速が実現した技がこの「裏・崩山」であった。―――だが、撓る動きには弱点がある】

【―――撓るということは、何処かの部分が先に動き、どこかの部分が遅れて動くのだ。「裏・崩山」の場合だと腰が回り、遅れて腕が出る】
【……つまり、腰の動きで攻撃の始動が悟られてしまう。実際の速さを備えていても、唯刃流が求める「真の速さ」は此処には無い。―――なら、どうするか。どうしたか】

―――究極の速さが此処に在る。……2つの最速が此処に在る。―――喰らえ……此れが俺の全てッッッ!! 此れが一刀正伝唯刃流ッッッ!!
           ―――うぉおおおおおおおおおッッッッ!!! 一刀正伝唯刃流究極奥義ッッ……――――――――!!

                           龍   牙   崩   山   =@  ッ   ッ  ッ   !   !  !  

【窮屈な構えを維持し、剣先を相手に向けたまま流れるような疾走で接近―――そして、左足が大きく踏み出された。……―――龍が、唸る】
【その踏み出しと同時≠ノ、腰―――ではなく、腕が動いた。足→腰→腕という「裏・崩山」のメカニズムとは異なる。運動の常識を真っ向から否定する動作なのである】
【踏み出しと同時に末端部分の腕が回り―――その動きにピッタリと腰の回転、体幹の連動が付いてくる。―――この動きならば、撓らない。10工程の動きが、7工程になった】
【意識的には、末端部分だけを動かしていた。其れでも、長年染みた唯刃流の動きが、「無意識」に体幹の連動を引き起こしていた。そして「無意識」は究極の脱力である】
【その脱力が威力を底上げし、そして全身を一体化させた動作が破壊力を生む。まだギミックは他にも残っている。身体最重量部の頭部を振り、重さを突きに乗せ―――】
【肘、肩の脱力と共に重力でやや打ち下ろし気味に放つことで更に威力を上げる。そして最後に―――極端に腕を折り曲げた構えの理由が残っていた】
【其処から放たれる突きは「回転」の力を兼ね備え―――うねりながら、更に変則的な軌道による見切られにくさも兼ね備えていた】

/続きます
239 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 02:21:47.85 ID:xYZw7YNlo
>>223 >>229 >>230-231 >>234-235

【さて、「龍牙崩山」を例えると何か。―――答えを言おう。実際の速さと真の速さを兼ね備えた其れは―――「ノーモーションで放たれる180km/時」……!!】
【―――様々な工夫に寄る威力の底上げに、変則的な軌道に、「回転」の力。そして何よりも「2つの速さ」。「裏・崩山」の超音速を超える速さを持つ突きが、「W」の腹部に放たれた】
【だが勿論のこと、その究極奥義の代償は計り知れない。赤い蛇の大群が侵食したかのように、衝撃波による切り傷が右腕を襲い―――最早、肩より上に上がらない状態になるのだ】

……なっ……〜〜〜〜〜ッッ!! ―――これでもッッ……届かないのならぁぁぁッッ……!!

【当たったにしろ躱されたにしろ、「W」は立っている。陽炎≠繰り出さんとしている。―――「龍牙崩山」でも倒れないのか……などと絶望に片足を突っ込みかけた瞬間】
【―――残っている手があるじゃないかと、自分の身体が瑛月自身に呼びかけたような感覚がビリビリと身体を通った。直ぐ様瑛月は持ち替えるが―――激痛が全身を襲った】
【……筋肉を此処まで傷めつけたことはない。2発撃ったらどうなってしまうのだろう―――想像すら出来ない。だが、自分の身を心配している余裕など等になかった】

【―――「2つの最速」が合わされば、陽炎≠ノも間に合う。……そう信じるしか無かった。瑛月は右脚を前に出し、逆の腕で「龍牙崩山」の構えを取った】
【……濡羽色の双眸が怪物の疾走の予備動作を一瞬だけ微かに読み取れば、後は今迄の想いを込めた2発目の「龍牙崩山」がカウンターで腹に向かって唸るだけだった―――】

           ――――――う ぉ お お お お お お お お お お お お お お お お お ッ ッ ッ !!!!!
                               双  龍  牙  崩  山  =@ ッ  ッ  ッ  !  !  !

                     【此れが撃ち終われば、瑛月の両腕は完全停止する。―――全てを掛けた一閃であった】
240 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 02:41:26.90 ID:AM3faJqzo
>>236
「身内には真正のマゾヒスト女が一人いるが、我々は違うな。我らが求めるのは、一対≠セ」
『片側だけに火傷食らったらバランスが取れねえだろうがよ!! どうしてくれんだ、ええ!? そっくり同じ火傷作るのに、どれほど苦労すると思ってやがる!!』

【続けて飛び出すのは、ある意味マゾヒズム以上に常軌を逸した思考】
【シンメトリー、コントラスト、その他一対≠ニいう概念が当てはまるものに対して美を感じ、興奮を抱く異常性癖】
【どの道、理解したくもない思考だろうが、異形の双子にとっては最優先事項であるらしい】


【一つの身体を二人で操る技術、息さえ合えば、このような動きも可能とする】
【今度は、相手の虚を双子の方が突くことに成功。視界が反転し、肉体が宙を舞う】
【驚きの声を上げる相手を飛び越えて、その先へ。両足に、ガラスを突き破る感触と痛み。先の火傷に比べれば、どうということはない】

【攻撃を放った後は、体制を整えつつ着地。振り返って、攻撃の行方を確認する】


『槍の次は盾、ってか……いろいろ見せつけてくれるな、おい』
「(高熱を伴う光の槍、さらには光の盾の生成……シンプルだが、厄介だ。攻撃力・防御力とも、おそらく彼奴が上……)」

【飛び込んでくる光景は、新たな力。生み出される盾。即席のものらしく、無傷とはいかないようだったが】
【咄嗟に、目へのダメージを防ぐその判断力。さらには、目にしてきた彼の能力が、戦闘において強力なものであることは疑いようもない】
【眼前の敵が、紛れもない手練れであることを、肌身で感じさせられた。表に出さずとも、双子の身を緊張感が侵食していく】


『フン、致命的な傷はきっちり防いどいて、抜かしやがるぜ』
「生憎、生まれも育ちも泥の街なのでな。世間一般でいうところの常識には疎いのだ」

【同じく、軽口を返しつつもやはり双子の息も荒い。刻まれた火傷は、絶えず異形どもを苛み続ける】
【そこへ、相手の攻撃準備。赤い槍、三度出現。必然、双子の意識はそこへ向けられる】
【向けられる穂先、感じる熱量と殺気、双子は身構えて来る一撃に備え――――】


『んな!? 今度はフェイントかよ!! ぐ、あああ!!!』
「迂闊な……ぬううっ……!!!」

【彼の知略が、またもや双子の隙を突く。防御体勢を取ろうとした双子は、容易に接近を許す形となった】
【先ほどよりも近い距離で、解き放たれる槍。双子の取った行動は、今度は先ほどとは逆方向に身をよじることだった】
【より速く、より強い、赤き光が空間を駆け抜け、今度は右わき腹に一撃】


『クソが、あっちいい!!! だが、これで一対だぜええ!!』
「後で、火傷の範囲も調整せねばならんがな!!!」

【こんな時でも、意識が向くのは自分たちの欲求。もはや呆れるばかりの執念】
【だが、それに気を取られる間もないだろう。双子の口が、揃って大きく開いたのだ】
【双子の足がフロアの床を蹴り、再びその身が宙に躍る。と、次の瞬間】


「『あああああああああああああああああああ!!!!!』」

【聞くに堪えない濁った絶叫と共に、両者の口から多量の泥と砂が、流体で吐き出された】
【近くに来ているであろう、黒コートの男に向かって、泥砂を吐きつけたのだ】
【これ自体に攻撃力はほぼない。だが、まともに浴びれば視界を一瞬塞がれるだろう】


「(この勢いのまま、背後へ……!!)」

【だが、双子の狙いは目くらましではなかった。空中で泥砂を吐き出し、その勢いのまま後ろへと跳んで】
【その先にある、都市の下層部に繋がる大きなエスカレーターのところへ向かおうとしているのだ】

【足場が安定しているフロアよりも、エスカレーターの方が相手に優位を取られない、と判断した上での移動】
【成功すれば、そのままエスカレーターを数段降りて、いったん彼の視界から外れようとするだろう】
241 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 02:44:33.26 ID:y1W+nBWX0
>>223>>230-231>>234-235>>239

【剣―――なら自分には、全く関係がない。まだ大丈夫だ】
【そう思うのも束の間―――喋り屋の眼前には既に、かの「魔人」が居た】

―――――――――――――――かっ…ぁっ…!

【無論避けられるはずもなく―――腹部から肩にかけてを斬り裂かれ、大量の流血が舞う】
【声にならぬ叫びで、初めてかすかな声を上げた。文字通りの真の声とも言えるか】
【斬り付けられて、立つ力を失った瞬間―――彼女は地に伏した…しかし】

―――――『そんな力を、まだ…っ!速さが違い、過ぎるって、の…ッ!』
『まあいい、さ。まだ私は戦える、戦って見せる…!ここで死んだら、誰にも合わす顔がない…ッ!』

―――――――…『理不尽な力の差も、圧倒的な身分の違いも!』
『全部全部、とうの昔に嫌というほど知った――――いまさら、諦めてたまるか―――!』
『だから、『喋り屋』はまだ負けていない―――この“声”が潰れない限り!!』

【実力の差を見せつけられ、地に平伏しながらも、顔だけは前方に向けて】
【終始仮面の表情を持った彼女だが、その時だけは必死に生を掴もうと、眉間に皺を寄せ、彼方を睨んだ】

【まだ彼女は生きている。死にかけでも、まだ詭弁を垂れ流せるなら―――『喋り屋』は戦える】

――――――『紅に染まれ、赤く滾れ。それぞ正に、血のように、炎のように』
『怒りに任せて唱えたならば、激情を燃やせ。眼前の悪鬼に鉄槌を下せ!』

【感情のコントロールのため考えた前口上。奴を憎め、怒りに燃えろと脳に指令を出す】
【少女の声から湧き出たのは赤色の「炎」属性の魔翌力―――それらが、土の腕へと付着していく】
【魔術同士の融合、今の彼女の最強の内の一つ。完成したのは、『発火する土の腕』―――!】


――――――――――『これで、終わりだ…!』


【燃え盛る土の腕は、掌を大きくかっ開いて―――ダブルへと飛ぶ!更には、背中から握りしめんとするだろう】
【右手というには、拳二個分は大きすぎるそれは、纏う炎も相まって―――かなり強力だと分かる】
242 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 02:59:24.30 ID:Eo67RuCJo
>>234-235 >>238-239 >>241

(堪え、切ったか…………!)

【暴虐の雨が止む――――アサドは、天を閉ざした氷の下で膝を突く。脇腹からは、危険な量の血が溢れ出していた】
【周辺の地面も抉れて、瓦礫が足腰を打擲していた。降り注いだ氷片も身体を浅く切り裂き、満身創痍といっていい状態だ】
【そんな中。左の拳が、硬く握られる。耐えた、堪えた。まだ、戦える。その事実さえあれば、アサドにとっては十分だった】
【痛みに耐えて体勢を立て直し、カートリッジを《B》から《D》へ換装し直す。スコープも万全、これで策≠フ準備は整った――――】

【――――後は。今まさに、この世の物とは思えない魔剣を構える灰色の魔人≠フ一撃を受けきれるかに、掛かっていた】
【アサドは近くに落ちていた大きな瓦礫へ背中を預け、『アルハーディ』を両手で立てるようにして構える。そうして訪れるは、刹那の一瞬――――】


う――――――おぉおおおおおおおおおぉぉおおおおおおおおおぉぉぉッッッッ!!!?


【視界の全てが余すところなく攪拌され、世界が丸ごと両断される。そんな風にすら、錯覚した】
【疾風よりも疾く、迅雷よりも迅い。人智を越えた烈閃は、アサドの反応速度を大きく凌駕して、その身体を真っ二つに――――】

【――――どこまでも甲高い、金属音が響き渡った】


がっ、は、あぁ…………ッ!! さっすが、俺の相棒だぜ…………っぐ、ごほ…………!!

【耐え、た。爆発する地面の上に、アサド・アル=アーデルは、血を吐きながらも五体満足で立っていた】
【アサドを救ったのは単純明快、『アルハーディ』の大きさだ。攻撃を見切る必要などない、この巨大な銃砲は、ただ立てておくだけで防壁と化す】
【だが、何よりも驚異的なのは――――フレームに巨大な傷が刻まれたものの、『アルハーディ』のエネルギーラインが途切れていない事か】
【最高にして最硬の技術を用いて作られた、悪を撃ち抜く導き手(アル・ハーディ)≠フ杖。物言わぬ巨躯が、ただ偏にこの男の信念を体現していた】


さぁ…………終わりにしようぜ、『W』…………!!

【アサドはボロボロになった自分と相棒を引き連れて振り返ると、地面へと倒れ込む】
【力尽きたのでないことは、決して消えない不敵な笑みが証明している。それは寸分の狂いもなく、純粋な狙撃体勢≠ナあった】
【当然、完全に無防備な状態だ。このまま攻撃されればアサドの命は絶たれる。だが――――今は仲間たちが、守ってくれている】


/すみません、続きます
243 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 02:59:41.24 ID:Eo67RuCJo

(狙いは、ひとつ――――――――)

【かろうじて機能を保っているひび割れたレンズを、銀の視線が貫き通す。本来この程度の距離なら、そんなことをせずとも外すことなど無いのだが】
【さほど時間はかけず、しかし最大限慎重に、照準を絞っていく。ただその瞬間≠ェ来るのを、ひたすらに待って】
【血に塗れつつも勇猛に立ち向かう、同じ正義≠掲げた男が――――アサドには認識すら出来ない領域で、刀を振り抜く】
【反射的に引き金を引きそうになるが、まだ、まだ溜める。より確実に、より絶対的に、獲物の喉に食らいつくために】
【――――果たして、その瞬間≠ヘ。男が二の太刀に己が全てを乗せ、雄叫びを上げたその時にこそ、やってきた】

―――――――ッッ!!

【声は、ない。引き金が引かれ、発射音が響き渡り、橙色の魔弾が全ての意志を乗せて高速で射出される】
【アサド・アル=アーデルが最後の最後に、そして最大まで引き絞ったターゲットは――――瑛月の背中=I】
【側面のモニターに《D-Clash》の文字が浮かび上がるよりも早く、炎の魔弾は空気を引き裂いて、一分の狂いもなく飛翔していくだろう】

【――――誤射、などではない。瑛月の背中に隠れるように、『W』の視界から消えるように放たれた、その弾丸は】
【あわや味方の背を焼く、というその寸前――――四つの炎の牙≠ヨと、一瞬にして分裂するッ!!】


ブチ――――――抜けええええええええええええええええええええええーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!


【それらは瑛月の背を回り込むように、斜め四方向へ山なりの軌道を描き、その奥にいる『W』を捉えれば】
【左肩、右肩、左太股、右太股――――四カ所へ同時に、灼熱の力を帯びた鋭い先端を突き立てようとするだろう!】
【瑛月の背中と、沸き立つ渾身の闘気を隠れ蓑に。それは野獣のように狡猾でありながらも、人間の手で極限まで洗練された砲撃だった】
【『W』から見れば、二撃目を放とうとした瑛月の背から突如、炎の牙が現れたようにも見えるかもしれない】
【そして、それだけではない。トドメに、かろうじて残った《E-hail》が最後の力で背後へ回り込み、背中の中心へと氷の槍を撃ち放つ!!】
【五方向からの、渾身の同時攻撃。アサドの咆哮は、さながら獲物を追いつめる百獣の王≠フ如く響き渡るだろうか――――】

【この炎の牙、大きさは氷の槍と同程度だが、全てが炎の魔力によって高熱を帯びている。突き刺されば傷口を灼き、想像を絶する激痛を齎すだろう】
【…………だが、真の狙いはそこではない。アサドが狙い澄ました通りになれば、この一連の攻撃の直後、残る三人の最後の一撃が加わる形になるだろうか】
【そして、《D-clash》という名のこの弾丸。牙が刺さってから魔力が霧散して消えるまで、若干だがラグがある】
【――――つまり。もし突き刺されば、『W』を寸時その場に固定する。後続の攻撃を、回避させづらくする】
【逃げ場を徹底的に排除したこの攻撃は、アサド自身の必殺≠ナあると同時、仲間の必殺≠繋げるための攻撃という訳だ――――】


(頼む、ぜ…………!!)

【砲撃の反動を灼かれた右腕で受け取れば、アサドの意識は一時激痛の中で揺らぐ】
【果たして自分の砲撃は、届くのか否か。皆の一撃は、届くのか否か。その未来を、痛みの中に幻視して】
【祈る。自分と仲間への信頼を乗せて、ただ祈る。この終焉の先にあるものは、果たして男の望むものなのか、それとも――――】
244 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 03:00:44.88 ID:isWPpCkOo
/*分割しますッ*/
>>234,235,238,239,241,242,243
【魔弾の驟雨。それを駆け抜けることで避けきった青年は、荒い息を吐く】
【嘔吐。胃液と共に吐出される赤黒い液体は、血液。内臓の幾つかに傷が入っているようだ】
【痛みは異能で飛ばし、神経系に直接命令を叩き込むことで強引に全力駆動を可能としているが、許される時間はそう長くはない】

「壊れてる? 言うのが百年遅いな、テメェ。
上等、かかってこい――――相手をしてやる=v

【本来は挑みかかる立場であるだろう青年。明らかな格上、実力の隔絶した相手を前に、堂々と啖呵を切る】
【眼前に展開されるそれは、異質の力。ダブルの引きぬいた刀剣の力の圧に、狂気がざわりと首をもたげた】
【口元に笑みが浮かぶ。この程度で、このレベルの絶対性で――絶望するほど、生ぬるい筈がない、と】
【思考がスパークする、視界がスパークする、感覚全てに閃光が走り、新生し――加速する。ここから来る脅威に、脆弱性を用意してはならぬと万全の体制を作り上げて】

「雄叫べ。NEXT World――――ッ!!」

【背から生える結晶の群れ。その先端に一筋の歪なラインが入り、展開する】
【それら全てが、犬歯を持つ口。そして、その口から一斉に――――絶叫が響き渡った】
【口腔から耳を劈く絶叫と共に吐出されていく、ノイズの群れ。その密度も凶悪さも今までの比ではない】
【直後だ。眼前からダブルが消えたのは、そして――青年は己の左腕を――前へと翳す】

「ッガァァァァァアァァァ――――――――ッ!!」

【有ろうことか、谷山は捉えたのだ。――斬撃を、左手の五指で掴んでみせた】
【哲学者の卵によって出力の上昇したそれは、僅かでは有るが斬撃の鋭さを掴むことで軽減させる。そして、腕を縦に引き裂かせていく】
【そして、谷山基樹のアートマンの特徴である再精製=B砕かれようと容易くよみがえるその性質を生かして、引き裂かれるそばから再生させていく】
【当然。引き裂かれる度に全身に傷が入るが、全身に分散されるゆえに致命傷には全てが一歩届かない】
【コンマ数秒の攻防。己の肘すら引き裂かれた直後に、左腕を無理矢理に駆動。ノイズをまき散らしながら刃を弾き――軌道を極わずかに、ずらす】
【それが、生死を分かつ。――刃の軌道は首を狙っていたが、それが下へとずれる。そして、その切っ先は脇腹を切り裂くが――切っ先で済む】

「――――舐めんな……ッ。これで、潰れて、負けて――終わりだとか――認められねぇんだよ――――ッ!!
教えてやる――――ッ。この世の中はなァやったらやり返される≠謔、に出来てんだッッッ!!」

【飛び散る鮮血。幸いとして腹膜を一部裂かれたのみで、内臓が腹からこぼれ出るというようなことはあり得なかった】
【衝撃が全身を突き抜ける。あふれる嘔吐感、ぐらぐらと揺れる視界。――それら全てを、この数秒だけは持ってくれと、ねじ伏せる】
【脇腹の筋肉に指令を送り、無理矢理に筋肉で裂傷を塞ぎ、その上にアートマンのテクスチャを貼り付けて動作で内臓が零れないようにカバー】
245 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 03:01:10.34 ID:isWPpCkOo
【哲学者の卵から更なる力を引き出して、発狂の一歩手前――辛うじて意志と理性を保てるレベル、限界直前まで力を得て、アートマンを再生成】
【己の脇を駆け抜けた相手の背。コンマ数秒の後の隙に叩き込まんと――己の必殺を、奥の手を――解き放つ】


「Code―――――― Imitation  Saber =\―――――!!」


【――ノイズは左腕に収束され――握られていたのは魔剣・ダモクレス=B外見だけならば、本物と瓜二つなそれ】
【ただし、魔界の気配など欠片も感じさせず、有るのは膨大なノイズと悪意と絶望のデータのみ】
【架空の必殺。Imitation Saber。――己の身で受けた必殺を、己の異能で虚構の必殺として作り上げる、虚しい奥義】
【だがそれは、威力以外の全ての点で――オリジナルに限りなく近づく事ができる。1秒だけ赦された、反則技=z


「魔剣・ダモクレス――――、一の刃陽炎<bッッ!!」


【谷山の全身にテクスチャが貼り付けられる。アートマンを体の外に纏い外部から動かす事で、無理矢理に身体能力を補った】
【挙動は、先ほどから以上に加速されていた故にダブルの剣閃を己の躰を引き裂かれるその瞬間まで、一挙一動を認識していた】
【ならば――威力以外の全てを再現することは可能。――――威力を持たぬ架空の剣閃が――――狂気と信念を宿して、解き放たれる】


「届けやァアアァァァアァァァァアアアァァァ――――――――――ッ!!!!」


【敵の技によって敵を屠る意趣返しのようなその斬撃。外面だけを真似内面の異なる必殺の剣閃は、相手の背を狙って振りぬかれる】
【届くかはわからない。だが――相手の身に触れようが、その一閃は肉体を微塵も傷つけることはない。肉体は、だが】
【触れれば、これまでとは比較にすらならないだけの痛み∞絶望∞悪意≠フデータが神経系を駆け巡っていくはず】
【他者の必殺の殻を被り、己の異能を叩き込むそれは――当たれば心を引き裂き心を叩き折る為のもの】
【心を、精神を引き裂くそれは、逆に言えばそれ以外をすり抜けるという事。即ち――魔力であろうと、物理であろうと、異能であろうと】
【それらが心を持たない限り、全てをすり抜けて対象に届く。心を持つ命のみを狙い撃ちした――己の敵の心を倒す為の、必殺技】
【己の力の本質が、物理的破壊力にないことを認識した上の不殺の必殺=Bだが、それの齎す苦痛は文字通り死ぬ方がマシ≠ネ物であったろう】

【灰色とは異なる蛍光色の斬撃が――――――駆ける。意志を、意地を、正義を――――――――懸けて】
246 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 03:41:16.57 ID:4+cOWI2s0
>>240
(異常なまでに「対」を求めるか……これは面白い)
(世の中色んな人がいるもんだな……ま、アレが本当に人なのかどうかは分からんが……それはこの際気にしないでおこう)

【バランスの取れたものに美しさを感じるということ自体は分からないでもないが……そこまで拘る物なのか】
【一応頭の隅に彼らが対を固執するという情報を置いておく。……到底理解はできないが、利用は出来るかもや知れぬ】
【些細な情報も、戦いの中では意外なまでに大きく役に立つこともあるかもしれない……】


【さて、ガラスの嵐はこの身に無数の傷をつけていった。勿論痛くないといえば嘘になるが、動けなくなるほどのものではない……】
【それに、目は防ぎ切った。この程度の傷で済んだのなら、むしろ上々といった所だ。】
【ならばこの後に自分がすべきことは、反撃!彼らの虚を突くべくフェイント攻撃に出る!】

――――上出来!

【見事に彼の思惑通り間を詰めることに成功すると、近距離で槍を放つ。相応のダメージが見込めるはず!】
【――――が、この後彼は呆れるほどの拘りを見せ付けられることになる】


【首尾よく槍は発射された。どんな形であれ、相応のダメージは見込める手応えはあった。――――あったし、実際ダメージを与えることに成功したのだが】

……はぁ!?

【――――何か、根本的におかしい。間違いなく槍は彼らの身を焼いたはずなのだが、それでも彼らは傷が「一対」になったことを喜んでいる節がある】
【ここまで来れば大したものだ……なんて感心している暇はない。次の攻撃が来る!】
【先程と同じく跳躍が来る。先程は予測できなかったが故に隙が生まれたが、今度こそは予測できる!】
【ならば予測の元、跳躍を決めて宙に舞った瞬間攻撃すればいい。跳んでいる間なら威力の高い攻撃もできるまい!】
【……そうと決まれば攻撃準備。槍を構えて跳躍が最高点に達する瞬間に発射――――しようとしたのだが】


その手は食わないぞって、うわッ――――


【―――――跳躍の瞬間、何かとても聞けたもんじゃない声が聞こえてきた。それ単体でも精神攻撃になりそうな……】
【と同時にこちらに向かって何か吐いてきた。―――吐瀉物は土砂だったらしい、またも目くらましの攻撃を浴びてしまった……】
【今回はガラスと違ってただの砂と泥、食らった所で大したダメージもないのだが……彼らの狙いはダメージではなかったらしく】
【そのまま彼らは反対方向――――ちょうどエスカレーターの方へと走り去っていった】


(……ッチィ……汚ねぇな、泥まみれだ……血まみれよりゃマシか)
(いなくなったな、アイツら……大方反対側のエスカレーターにでも逃げたんだろうが)
(さーて、今度はエスカレーターか……彼らはビルが目的じゃなかったのか?)
(どちらにせよ、敵を目視出来ない状態で迂闊に近づくのは危険だ……――――)

【此方も恐らく彼らがいるであろうエスカレーターへと向かう。が、一度視界から外れた彼らに隙を突かれると非常に危険だ】
【……念には念を、だ。エレベーター下からの攻撃に即座に反応できるように意識しつつ、静かに静かに近づく】
【そしてエレベーターの一番上に辿り着くや否や、当てずっぽうの牽制で槍を一発放つ。勿論狙いもデタラメ、相手も見ずに打っているので当たるはずもないだろうが……】
247 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 03:42:25.89 ID:XEHrPV2t0
>>242>>243
【まるで瑛月の背中から生えた翼のようにして、炎の牙が四つ………ダブルへと喰らいつくッ!】
【煉獄の鎖のような炎の牙はダブルへと食い込んで離さない―――凄まじい炎がダブルの持つ灰色の闘気と激突する】
【ゴガァァァァッ―――!その凄まじいぶつかり合いによって、甚大な衝撃波が発生するが―――ダブルは尚も疾走する】

【その疾走の間に氷に槍が背中に突き刺さるが、もはや痛覚すらも超越したこの男は止まらない………!】
【その場に繋ぎとめると言うアサドの狙いに反して、自らさらに深く牙を飲み込むようにしてダブルは疾走を続けた】


>>238>>239

【そして直後に神速の一撃が放たれる―――もはやそれを目視する事すら常人には叶わないまさに神の領域に達した刃】
【変則的にうねる刃が『W』の胴を捉えようとするが、同時に凄まじい速度で駆けだしたダブルはそれを紙一重で回避する】
【とはいえもはやコンマ一秒の世界だ、回避したとしても剣圧でダブルの脇腹の装甲は吹き飛ばされ………先ほど受けた傷口がさらに広がる】

【だが、それですら『W』を止める事は叶わない………それほどまでの執念が、この男にもあったからだ】

≪まだ………終わらないぞ………―――ッ!≫

【そして陽炎によって瑛月を切り裂こうとした瞬間、まさにコンマ一秒の世界に新たな刃が割り込んできた。】
【限界を超えた究極の一撃―――まさにそれは『W』の斬撃の上を行き、胴の装甲を完全に砕き切り、その奥にある胴体を切り裂くッ!】


>>241

【だがそれでもダブルは止まらない、否止まれないのだ―――神速を超えた神速での打ち合いを超えて、尚駆け抜ける】
【喋り屋を切り裂き、さらに進もうとした瞬間に背後から炎を纏った土の腕がダブルを握りしめてボキゴキと全身を打ち砕こうとする】
【既に破壊された胴だけでなく、腕や脚の装甲も砕け散り………全身が露わになっていく】

≪―――しゃら………くさい………ッ!ガァァァァァァァァァァァァァッ―――!≫

【斬ッ―――!ダブルは全身の骨が粉々になる寸前で魔剣から灰色の闘気を放出し、土の腕を吹き飛ばしながら強引の脱出をする】
【途轍もない、もはや言葉にならない程の執念だが………その身にはくっきりと土の腕に握りつぶされかけた跡が残っておりダメージの大きさを感じさせる】

//続きます
248 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 03:43:44.41 ID:XEHrPV2t0
>>244>>245

【4人全員をすり抜けて―――その超速が失速しだした矢先………谷山の模倣したダモクレス≠ェダブルの背を切りつける】
【それは肉体を通過し………その奥に眠るダブルの精神を切り裂き―――絶望≠ェダブルの全てを浸食しようと―――だが】

【ダブルの精神を切り裂いた谷山は感じるだろう………既にこの男の精神は絶望≠ノよって塗りたくられた修羅≠ネのだと】

【絶望へ絶望の上乗せ………それは黒い絵の具にさらに黒い絵の具を追加するようなモノであり………それは】

>>ALL

≪―――………ごっ………ばぁぁッ!!ま………さか、ここにきて全員が私という壁≠超えるとはな………完敗だよ≫

【何にせよダブルはそのまま崩れ落ちるように床へと倒れる、当然だ………これほどの攻撃を一斉に喰らい、まだ生きている時点でおかしい=z
【ダブルはそのまま四つん這いになるようにして、ヘルメットの中で鮮血を吐きだしている】

【………ついに、魔人は膝をついた………そして口から出るのは敗北の意思表示―――魔剣ダモクレスはそのまま床に突き刺さっている】
【四人の全力はついにこの魔人を超えた―――そして、ダブルの纏っている装甲は全て砕け散り………それは被っている仮面型のヘルメットも例外ではない】

     【仮面は真っ二つに割れて、堕ちる―――ついに―――狂気の魔人W/ダブル≠フ素顔が明らかに………なる。】


  ≪見事だ―――アサド=アル・アーデル=c……谷山基樹=c……喋り屋=c……そして―――


【カラン】                             【割れた仮面は床へと転がった。】


                       
                        瑛月≠フ旦那。

         

         【その素顔は―――喋り屋は今回の仕事を受けるに当たって最初に面接した相手だろう】
        【谷山基樹は鉄の国の戦乱に参加する際において幾度となく司令部で顔を合わせているだろう】
       【アサド=アル・アーデルは実際に会話した経験はなくとも幾度か顔は合わせた事があるだろう】

    【そして中邑 瑛月は―――ある晩に互いの正義について、これからの戦いについて熱く語り合った仲間=z


     【少し量の多めのウェーブのかかった銀髪で、紫の瞳をした青年………そう、SCARLETのディック・ホワイトだった。】

//次で〆にしたいと思います。
249 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 04:03:05.43 ID:xYZw7YNlo
>>241 >>242-243 >>244-245 >>247-248

【逆の腕から放たれる龍牙崩山の勢いに両足は踏ん張れる程の力を持ち合わせていなかった。身体は不格好にも前方へと舞い、ぐしゃりと床に落ちた】
【両腕の感覚は薄かった。痛みすら感じない程に薄く、既に「御代櫻」は左手から力無く零れていた。初めて放つ左での龍牙崩山は、右よりも大きな負担があった】
【全身の筋肉も悲鳴を上げて限界に達したようで、起き上がることすらままならない。両腕は音速の代償の痕、即ち数多もの切り傷で真っ赤に染まっていた】

……かッ―――……ハァッ……ど―――う……なった……んだ……!!

【―――動くのは首くらいである。その首を懸命に動かし、事の結末へと双眸を向ける。盾は壊れたのか、若しくはその役目を果たし「W」を倒したのか―――】
【―――。確かに「W」は倒れていた。だが―――瑛月の双眸は、まるで信じられないものを見るかのように見開き―――口から、驚愕を表す言葉が漏れていた】

…………いや―――おかしいだろ……? 嘘だ……何故……!? 否……貴様はッッ!!
―――貴様は……誰だッッ……!? ディック・ホワイトの姿をした―――誰なんだッッッ!? なぁ……言えッ、言えよ……!!

「W」ッッ!! 貴様はアイツの顔をコピーでもしたのかッッ!? そんな能力を持っていたという訳か!? オイッ……!! 俺は認めないぞ……ッッ!!
貴様がディック・ホワイトなんて―――俺は認めない……!! ―――だって、あの時確かに……彼の正義は―――感じ取った、筈なの、に……!?

【―――此程までに取り乱したのは生まれて初めてかもしれない。それ程までに混乱していた。―――SCARLETの仲間が、其処にいたのだから】
【……一緒に命を張って護ると誓った仲間が。何故か―――「W」の姿をしている。……そういう能力だ、そういう能力であってくれ。そのような望みを瑛月は叫んだ】

何で……何で……ッッ!! あの日の誓いは―――ッッ!? 鉄の国を護るのは貴様じゃなかったのか……!? どうなんだ、オイ……ッッ!!
元から貴様はこの為に……SCARLETにいたのかッッ!? 答えろ、答えろッッ……答えろ!!

――― 答 え ろ ぉ ぉ お お ぉ ぉ お お お お お お お ッ ッ ! ! !

【―――悲しい咆哮が、崩れかけたこのフィールドに響き渡った】
250 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 04:06:46.85 ID:AM3faJqzo
>>246
【異形の双子の狂った価値観は、まず他者に理解しうるものではないだろう。異形揃いである彼らの仲間たちですら、互いの価値観は理解し得ないのだから】
【それを、戦闘に利用できるかもしれない、と心に留める程度にした彼の判断は、まったく正しいと言えるはずだ】


【ガラス片の攻撃は確かに彼に傷を負わせたが、明らかに受けたダメージは双子の方が大きい】
【痛みを乗り越えて、知略も織り交ぜて、放たれる反撃は狙い違わず双子を撃った】
【肉の焦げる臭いが、本社ビルの中に漂う。確かな傷を与えたのは間違いない。双子の動きが鈍っている】

【しかし、彼をして驚嘆せしめる双子の変質的な性癖。揃って吊り上がる口角】
【だが、驚きあきれる隙もほぼ与えぬまま、再びの跳躍。おぞましい声と汚らしい土砂を組み合わせて】

『ざまあみやがれ!! 愛用のコートが台無しだな!!』
「我らの特注スーツを焼いてくれた礼だ。まだ足りんがな」

【捨て台詞と共に、一時後退。エスカレーターへと双子が到達する】
【双子の狙いは、紛れもなくビルとその中の物資だったのだが、強敵に遭遇し、重傷を負った時点で】
【すでに、撤退を視野に入れた反撃の行動に出ていた。その意図は、いちいち口にすることもなく】


「(さて、無策で突っ込んでくるほど彼奴も無謀ではあるまい……どう出てくるか……)」

【エスカレーターの下で息を潜めつつ、双子が来るべき攻撃の機会を待つ】
【そこへ、音を殺して近づいてくる黒コートの男。短い、しかし張りつめた沈黙が流れ】
【放たれた牽制の槍がそれを破った】


『チイィッ!!』
「うぬっ……!!」

【姿が見えると同時、襲い掛かろうとしていた双子は、これに怯んで回避を優先】
【槍の攻撃範囲から逃れ、牽制の一撃を回避した。しかし、この時点で双子は彼の視界に捉えられたはずだ】


『おら、降りて来いよ槍男!!』
「その度胸があるならな!!」

【安い挑発を叫びつつ、白い手から泥が撃ち出される】
【泥は、大型エスカレーターの上に流体で飛び散る。泥が散った場所は一時的に滑りやすくなり、バランスを保つのが困難になるだろう】
【そこへ、またも砂の刃。二つ。下から上へ飛来する砂が、黒コートの男に迫る】
【狙うは右腕。両方が鎧の無い生身の腕に向かう。下段からの砂の刃は、先ほどとは違った軌道を描いて彼を襲うだろう】


【双子は攻撃の直後、その身を移動させる。接近してくる黒コートの男と付かず離れずの距離を取ろうとする】
【脳裏に描くは、決着の瞬間。足場を不安定にしたうえで、出来得る限りの一撃を叩き込む算段】
【そのために、四つの瞳が黒コートの男をしっかりと注視している。次の相手の行動を見逃さないため、この不利を覆して勝利をもぎ取らんがために】
251 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 04:12:36.94 ID:Eo67RuCJo
>>247 >>248 >>249

【――――時間にすればほんの数十秒程度だっただろう。だがアサドには、とてつもなく長く感じられた】
【一瞬吹き飛んだ意識を引き戻して、その先に見た物は――――全員の攻撃が直撃し、膝を突く『W』の姿】
【ズタボロの身体を引きずって、巨大な砲身を杖代わりにして、アサドは幾度も転びそうになりながら、ようやく立ち上がる】
【立つだけで精一杯で、歩くことなど出来はしなかった。だが、見届けるだけならそれで十分だった】

ったく、殺す気でやったってのに…………よく生きてたるなあんた。よく、生きててくれたな、お前。
…………これで終わりだ、『W』。生きてるんなら、大人しく――――、

【今度の戦い、引き金を引く指は最初から最後まで本気だった。命を取るつもりで、弾丸を放っていた】
【そうでなければこちらがとっくに死んでいる。間違いなく、そういう相手だった。故に、その事に後悔はない】
【ただ…………死んで欲しい訳ではなかった。全力で殴り合って、全力で殺し合って、それでもなお相手が生きていてくれるなら、それは何よりの僥倖だ】
【『W』の状態を見る限り、もう戦えはしないだろう。対するこちらは四人、全員ズタボロだが、どうにかならない事もない】
【工場内の暴動が鎮圧されれば、じき部下たちもやってくる。そうなれば、終わる――――死者が出ないという理想の形で、この場は収まる】
【相も変わらず、獲物を見る肉食獣のように過激な銀の瞳。口元に浮かぶ、強者の余裕を取り繕った不敵な笑顔】
【その全ての挙措に、わずかながら安堵が混じる。アサドは渾身の力を振り絞って足を一歩前に出し、『W』へと近づこうとして――――】


……………、…………………なっ………………お、前…………ッ!!
お前、ディック・ホワイト…………か…………!!?


【もう一度渾身の力を振り絞れば、もう一歩前に出ることが出来ただろう。だが――――それだけの気力を、アサドは一瞬にして奪われた】
【直接会ったことはない。だが、夜の国でのレギンとの戦いの時、一連の鉄の国での戦いの時、アサドはその存在を知り得ていた】
【顔を見たことだってある。必死な声を聞いたこともある。話したことは無くとも、彼もまた同じ緋色の鷹≠背負う者だと、思ったこともある】
【――――装甲が砕け、仮面が砕け、ここに虚飾は打ち砕かれた。アサドは何も言わず、そして何も言えず、紫の双眸を見据える】

…………冗談じゃないぜ、オイ……………。
話して――――くれんだろうな?

【驚愕に染まった銀色の瞳が…………怒り、悲しみ、混乱。複雑な感情を揺らがせて、ただその口から真実が語られるのを待つ】
【瑛月が上げる悲痛な叫びが、『アルハーディ』を握る腕に知らず力を籠もらせる。最後の一発ぐらいなら、と考えてしまう冷徹な自分がいる】
【アサドがどう判断して、どう動いて、どのような結果を見ることになるのか――――その全てが、いま、欺瞞の裏にいた目の前の男に託された】
252 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 04:16:59.47 ID:isWPpCkOo
>>247,248,251
「――っは……ッは……ァ!!」

【斬撃を振りぬいた直後。青年の肉体は砕け散っていく。神経系は人の物へと戻り、左腕と右目は空虚に消える】
【隻眼隻腕のジャーナリストは、がくがくと震える足を無理矢理に押さえつけ、辛うじて立ち続けることを可能とした】
【脳裏に流れ込んだ情報。濃厚、濃密な絶望の群れ――それを認識して、理解した――――】

「ディック・ホワイト――――!」

【善性を持ってして正義を振りかざす組織の中にこそ、悪性を持ってして正義を振りかざす者が居た事を】
【盲点だった。……灯台下暗し、あらゆる裏切りの可能性を考えていたが、まさかあの男が、と】
【そう思わざるを得なかった。だが、理解する。それだけの理由が、それだけの絶望が在ったことを】
【ならば、どうするべきだろうか。――そんな事は、決まっている。正義として、倒さなければならないのだ】

「――そうか。そういうことか――ッ。
だが……ッ、関係ないッ。新たにわかった事実は、SCARLETのディック・ホワイトがGIFTにも所属し、背信していたという事だけッ。
俺の――俺の正義の敵である事に、変わりはない。……だったら…………ッ、倒すだけッッ!!」

【装弾数残り3発。タウルスジャッジを引き抜き、震える手で引鉄に指をかける】
【狙いなどつけようがないが、散弾であれば届く。狙う必要など、無い】
【後は――真実を。それがもし絶望という真実≠ナあったとしても、知りたい。そう青年は思い、引鉄を引くのを、待った】

【思考を冷やす。狂気が時折引鉄を引きたがるが、それを抑えこんで】
【冷酷に、冷徹に。SCARLETの二人に比べて、つながりの薄い己はまだ躊躇いなく引鉄を引くことが出来るはず】
【何が有ろうと、即座に動けるように。隻眼を向けて、ディック・ホワイトを睨みつけた】
253 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 04:17:38.83 ID:y1W+nBWX0
>>244-245>>247-248>>249>>251

【炎に包まれた土の腕は崩れて、消滅していく―――尚も、魔人が諦めることなく進むのを見て】
【仲間たちの攻撃を受けてもなお、止まらぬ彼に―――底知れぬ恐怖を覚えた】

――――――――…『君はまだ、止まんないのか…!化け物、め…っ』

【恨めしそうに声を鳴らす喋り屋は、倒れこんだまま睨むことしか出来ず】
【だがしかし、奴はダメージをかなり蓄積させている――――例え動くことが出来ずとも、戦う算段で】
【喉に当てた人差し指を無意味に力ませて、ダブルの動向を窺い続けた】

【しかし、物語は終幕らしい。倒れたダブルの紡ぐ、降参らしき言葉を聞いて、安堵したなら】

――――…『さぁ、ダブ、ル…!どうする、つもりだ?』
『その体じゃいくら君と言えど、もうまともに戦えないだろ…覚悟しろよ、ダブ…』――――ッ!?

【警告と言わんばかりに、威圧的な言葉を投げかける彼女は、どこか滑稽だっただろうか】
【事実彼女はもう動けない。が、周りには仲間たちが居る、有利なのは自分たち】
【ただしその言葉は、意図せず閉ざされてしまうのだろう】

【何故なら見てしまったから。仮面の奥に潜んでいた彼を、W/ダブルの正体を、知ってしまったから】


―――――――『ちょ、っと、待て。…どういうことだよおい、君は、確か…!』


【その顔は最近見たことのある顔だ、喋り屋はまずそう思う。瞬時にその正体を理解した】
【―――――ディック・ホワイト。彼女はよく覚えているだろう、面接をした時の彼のことを】
【軟派な感じもしたがその分打ち解けやすく、話もしやすかったことを記憶している】
【だからこそ、だからこそ彼と先ほどまでの魔人が繋がらないのだ―――喋り屋は二人を、同一だと信じられなかった】
【お得意の詭弁も、今は発揮されないまま―――平伏した状態で、ディックの顔をただ見ていた】

【今はただ、彼の独白を待つばかりなのだろう。瑛月の咆哮が響く中、彼女は周りに全てを委ねた】
254 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 04:49:28.05 ID:4+cOWI2s0
>>250

ったく、本当だよ!折角の一張羅が台無しだ……こっちだって一着しかないのに

【愚痴を零しつつ、泥まみれの彼はエスカレーターへと向かう。……こうも泥まみれだと、きっと入念な洗濯が必要だろう】
【愚痴は零すも、気を抜く暇はない。少しでも隙を見せたら、確実にやられる……それが分かっているから、注意の上に注意】
【牽制の一発は、彼の最大限の用心の表れだった。―――これがなかなか有効だったらしく、不意打ちを逃れる結果となった】
【恐らく視界から外れたことを利用して奇襲する算段だったのだろう。……やはり、油断はならない相手のようだ】

【――――下から何か聞こえてくる。挑発……「降りて来い」とは何ともありきたりな台詞だが、それでも挑発に乗せられてはいけない】
【……もう一度肝に銘じておく。油断をすれば即ち、其れが負けになってしまう……と】


……ッハハハハハ!最初に言っただろう?正々堂々とか度胸なんて、私には無いと――――って、うわ―――ッ!


【挑発を笑い飛ばすと、刃が飛ばされてきた。今度は二発とも右腕を狙って、しかも先程とは立ち位置が異なるために違った軌道を描きながら……】
【避けなければ――――しかし足場は段差、しかも泥で滑りやすくなっている――――間に合わない!】


……ガァッ――――!


【一段目の刃を受けたところで、咄嗟に左腕で右腕を庇う。二段目の攻撃は何とか防いだものの、なかなかに深い傷を負ってしまった……】
【滴り落ちる生暖かい血の感触が気味悪い。痛みが半身を支配している。―――しかし、苦痛に顔を歪ませながらも、彼は笑っていた】


……ッ……ハハハ……!泥どころか血塗れじゃないか……ッ!ったく、こんなに大きな傷まで付けやがって……!
どうしてくれるんだ、全く……!


【笑って、彼らを見下ろしていた。まだ余裕があるかのように立ち上がっていた。……本当は余裕はないのだが】
【それを悟られないように笑顔を浮かべつつ、彼らに低く大きな声で叫んだ】


……この私は、貴様らが退くまで倒れん!問おう、今ここで退くか退かぬか!
退かぬのなら……全力で叩き切るのみ!


【大喝一声が夜のエレベーターをこだまし、左手に握られるのは先程とは比べ物にならない程に強い光と熱を放つ槍】
【彼らの答え次第では正真正銘、其れが彼らに応じる乾坤一擲の一撃となるのだろう。……今は、槍を構えつつ彼らの答えを訊くのみ】

//すみません、もう意識がとぎれとぎれの状態で書いていたのでかなり遅くなってしまいました……
//次レスの返事は昼ごろになるかもしれません……申し訳ないです
255 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 04:50:55.74 ID:XEHrPV2t0
>>249

【壁に手をかけながら穴だらけの身体のまま立ち上がる、これだけの傷でまだ立ち上がる気力がある】
【もはや分かるだろう………目の前にいる者は人間ではない=c……人ならざる怪物≠ネのだ―――。】
【『W』………いや、ディック・ホワイトはただ冷めた冷徹な瞳で相手を見下ろしている】 Dick White

何もおかしくはない………俺は、俺だ。
『W/ダブル=x………いや違う、俺はアンタの仲間だったDickW”ite≠セよ―――。

―――確かに、俺はSCARLETにいるときはそう振る舞った………自身の心にも仮面を付けたのさ。

言っただろ、おれは何かを変えられることを願ってヾCARLETに入ったってな
もしかすれば、アンタ達の仲間であればいつかこの心の奥に存在する焔≠ェ消えるんじゃないかってな。


だけど―――結局、何も変わらなかった≠

【それだけ言うと、口元から滴る鮮血を拭い―――もはや語り合った時の輝きを失った瞳で視線を送る。】

>>251

アンタとは一回ぐらい酒を飲みたかったぜアサド………まぁ今となっては何も叶わないんだがな
―――別に、話す事なんざないぜ………ただ、目の前にある通り………俺はGIFTの一員ってだけさ。

【瑛月からアサドへと視線を移し、どこか悲しげに苦笑をしながら肩を竦めてそう言い放つ―――。】
【その軽薄な雰囲気はまさしくディック・ホワイトのものであったが………今はそれがどうしようもなく不自然に感じる】

【思えば戦場にいる事は確認してもSCARLETの誰も彼が戦場≠ナ戦っている姿を見た者はいないのだ】

>>252

ここでやるか?谷山?らしくないな………今の状況では双方に利得など存在しないよ
アンタの分析能力、そして行動力は恐ろしかったぜ………仮面の奥まで見透かされている気がしてな。


―――どうだ?これがお前の臨んだ真実≠セ、満足したか?

【谷山へと両手を広げて語りかけ………時折咳と同時に血を吐きだしながら谷山を睨み付ける―――】
【思えば最初の国境要塞襲撃、その最後の時でさえディックはタイミングが良すぎた=c……丁度ダブルのガンシップが姿を消した辺りに現れた】

【当初からそうして何食わぬ顔で戦場を渡り歩いてきたのだろう。】

//続きます
256 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga !red_res]:2014/01/12(日) 04:52:29.76 ID:XEHrPV2t0
>>253

覚えててくれたのか喋り屋ちゃん、よろしければディナーにでも誘いたかったが………今はそうも言ってられない状況か
どうもこうも………これが俺の真の声≠セ―――。

他人の声ばかり真似ているといつか君も俺のようになってしまうぞ?

【喋り屋に向けて肩を竦めるような動作をしながら苦笑する―――それはまさしく面接のときのディックと同じだ】
【つまりは、これが全ての真実という訳だろう。】


>>ALL

さて、さっきも言った通り俺は戦いに負けた=c……それは認めるぜ
だがな―――戦争≠ノはまだ負けてない―――これで本当に跡がなくなった、奥の手≠使わせてもらうぜ。


【壁に寄りかかり、身動きが取れないディックのその言葉と同時に………中枢区画の天井が吹き飛ばされ―――夜空が剥き出しになり】
【そこからナニカが下りてくる―――アサドは以前に夜の国≠フ一件で遭遇したことがあるであろう、絶対的な気配=z

【全身を紅い装甲で覆って、蝙蝠のような翼を携え、頭上に光の輪を持った巨大なヒトガタ―――そう、始まりの巨人≠思い出させるような】

【そのヒトガタはディックの元へと細い腕を伸ばして掌に乗せると………そのまま再び浮上していく。】


じゃあな、いずれ俺は首都をもう一度………今度は完全に破壊する。
こいつ≠フ力はまさに戦の王だ―――すべてを焦土に変える兵器………巻き添えを食いたくなければさっさとこの国から手を引け



              お別れだ………SCARLETで過ごした日々は、悪くはなかったぜ。



【そういうとディックは巨人に身を任せて意識を失った―――そして巨人は夜空の先へと飛翔し、姿を消していく。】
【今回の戦いは終わった………さらなる戦いの火種を生み落して。】

【様々な事を整理するのに時間が必要だ………今はただ、休息するしかないのだから。】

//これにてイベントの〆とさせて頂きます!
//今回は異様に長引いて誠に申し訳ありません………長時間のご参加本当にありがとうございました!!
257 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 04:53:28.54 ID:AM3faJqzo
>>254
/こちらこそ、初動が遅くなったためにこのような時間までお付き合いいただくことになってしまい、申し訳ありません……
/次レスお昼頃、了解しました
258 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 04:58:37.47 ID:isWPpCkOo
>>255,256
「そうかい――そうかい。
……分かったさ、分かったとも――――させやしねぇよ。
絶望なんかしやしねえ――――まだ、聞いてねえからな、真実を。
……全部だ。洗いざらい戰場で聞かせてもらう。――取材させてもらうぞ、ディック・ホワイトッ」

【わかったことは、それだけだ。まだ聞かなければならないことが有る】
【なぜ、GIFTに属したのかを。――そして、真の目的を。聞かなければならない】
【取材だ。ジャーナリストとしての本分を果さんがため――谷山は絶望している暇など、無い】

「――――ッおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

【内心に渦巻く狂気を吐き出すように、飛翔していく巨人に向けて引鉄を引く】
【轟音が3度。その後は小さなかちりという音が虚しく響き続けるだけであった】
【――数分後。うつろな表情で崩れ落ちた谷山は、静かに眠りにつくように、気絶するのであった】

/*お疲れ様でしたー!*/
259 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 05:10:06.25 ID:xYZw7YNlo
>>251 >>252 >>253 >>255-256

【真実が語られる中、瑛月から声が飛ぶことはなかった。出なかった。驚愕の真実と輝きを失った瞳に、只々絶望していた】
【巨大なヒトガタに乗り浮上していくディック―――否、「W」の姿を見つめることしか出来ずにいたが、彼が気絶する刹那に、瑛月が震えた声を振り絞って―――】
【―――憎悪と哀しみ、その他様々な感情が入り混じり見せる混沌の双眸で「裏切り者」を睨み付けた。SCARLETを、自分を裏切った彼を―――】

…………[ピーーー]。殺してやる……ッッ!! あの日貴様に語り―――先程食らわせた「龍牙崩山」で……!!
―――今度は心の臓を……っっ、貫いてやるッッ……!! 許さん……―――許さんぞディック……いや、「W」……!!

―――俺の心を、SCARLETを……貴様を信頼していた鉄の国の人々の感情を踏み躙った罪を……ッッッ!! 俺は決して……ッッ、許さない。
                           ……絶対―――に―――許さ……ん……―――。

【この感情を一体何処にやれば良いのか。何処で処理すれば良いのか。解らずじまいのまま、瑛月は疲労と痛みに耐え切れず意識をシャットダウンさせた】

/皆様お疲れ様でしたー!
260 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 05:14:49.75 ID:y1W+nBWX0
>>255-256

――――――『何だよ、ソレ…!私が、君みたいに?…なって、たまるかよ…っ!』

【睨んだままの態度は、彼の本当の姿を見ても変わらない。動かぬ体が、本当に疎ましい】

【更に言葉を紡ごうとしたなら、それは突然の兵器登場に遮られることだろう】
【やがて駆動した超巨大兵器―――その巨人のような機械の姿を見て、冷や汗が流れた】
【あんなものを敵に回すのか、そう思ったなら―――震えが止まらなくて】

【目を伏せて、現実から目を逸らすように、巨体が空を飛ぶ轟音をただ聴いていた】

―――――…『くそ、くそ!…逃げるつもりはないって、言ったじゃ、ないかぁ…!』
『次もこの国を狙うつもりなんだろ、だったら…次は必ず…!』

【喋り屋のその言葉は、悔しそうな苦し紛れの子供に過ぎなかった】
【精いっぱい力を入れて、上体だけ起こし、体を引きずりながら壁の近くへと】
【壁に背を向けて寄りかかる。上を向いて、大きく息を吐いたなら―――眠るように、その双眸を閉じて】

【怪我の痛みから逃げるため、その意識を手放す―――次の目覚めはきっと、最悪なんだろうが】

/乙でしたーみなさんありがとうございました!
261 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/12(日) 05:41:33.91 ID:AM3faJqzo
>>254
【零れ落ちる愚痴に、返る言葉はすでにない。息を潜めて、敵を待ち受けるために】
【だが、慎重に慎重を重ねた彼の行動が、双子の奇襲を許さなかった】
【牽制の槍。待ち伏せのタイミングを潰され、またも対峙を余儀なくされる】

【陳腐な挑発のセリフは、双子に余裕がなくなっている証左だ】
【だが、戦場を移したが功を奏した。撒いた泥と段差が行く手を阻み、砂が今度は確かな傷を与えた】
【それでも、彼は笑って見せる苦痛を覆い隠して】

『人にこんな火傷を食らわしといて、よく言うぜ!! 痛み分けで、やっと一対だろうがよ!!』
「この期に及んでまだ笑うか。強情な男だ。その仮面、引き剥がしてくれる」

【大声で叫ぶ彼に、悪意に満ちた双子の視線が突き刺さる】
【お互い、傷を負った。体力も削られている。決着の時は近い】


『こっちも同じだ、てめえがぶっ倒れるまで退かねえよ!!』
「全力で貴様を叩き潰すのみだ。覚悟しろ」

【エスカレーターに、本社ビルに、響き渡る彼の大声。双子の腹の底にもそれは響き、その身を震わす】
【最大級の光と熱を帯びた槍が、その左手に握られれば】
【双子の四本腕がそれに相対すべく、身体の前で印を結んだ】


【印から湧き出す泥と砂が、練り合わせられて一つの球体となる】
【一瞬の重い沈黙を、双子が破る。解き放たれる、大きな球体。泥と砂、打撃と斬撃を掛け合わせた凶器】

【速度は泥以上、砂以下。しかし、その密度・攻撃範囲は圧倒的。まともに受ければ、その全身に打撃と斬撃を食らうことになる】
【これを凌げば、後は異形の双子までの障害は、何一つ残らなくなるだろう】
262 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 05:44:14.28 ID:Eo67RuCJo
>>255-256 >>258 >>259 >>260

…………そうかい。そりゃあ――――残念だ。

【ディックの力のない言葉に対し、アサドが返せたのもまた、そのような力のない言葉だった】
【自分の中の焔≠消そうとして、結局何も変えられなかったと彼は言う。その心中で燃え盛っているものが何かまでは、瞳から覗き見る事は出来なかった】
【そこはそれこそ、陽気な酒の席で、互いに胸襟を開いて、腹の内を全てさらけ出して。それでようやく見られる深淵なのだ】
【『アルハーディ』のエネルギーラインは、凛々と輝いたまま。後は照準を合わせて引き金を引くだけ。アサドの腕とこの距離なら、一撃で頭を吹き飛ばせる】
【――――出来る訳がなかった。まだ、何も終わってなどいなかったのだから。始まったばかりだったのだから】

よう、またテメェか、デカブツ――――。

【天井が吹き飛ぶ。夜空を塗り潰す巨大な紅色からは、あの日地獄の天頂で嗅いだのと同じ臭いがした】
【その威容に呑まれることも、吹き込む冷たい風に負けることもない。混乱と悲哀に沈んでいた銀色の双眸に、少しずつ炎≠ェ滾り始める】
【それはきっと、ディックが宿すのとは違う炎。例えるなら砂漠を焼く太陽のように、白熱として冷酷な、灼け滲むような気炎】
【ぐらり、と。アサドは強引に相棒≠持ち上げると、考えることは同じだなと谷山を見て、あの不敵な笑みを浮かべれば】
【ディックに撃つかもしれなかった最後の一発の引き金を、引く――――】

――――断る。
知ってるかよ、ディック・ホワイト。俺ぁそのでっけえの、一度倒してんだぜ?
だから、次も倒す。何度出てこようが、何度でも倒す。俺、いや、俺達には、その力がある。

そんで――――いつかテメェの首根っこひっ掴んで、ぶっ倒れるまで酒飲ませてやっからよ!! 精々今から覚悟しておけよッッ!!!

【ドゴン、という鈍い音と同時、射出された橙色の魔弾は…………飛び去ろうとする巨人を捉えることなく、空中で爆散した】
【それと同時に、アサドは吼えた。虚言にまみれた内容だ。決して一人で倒せた訳ではないし、この紅の巨人が本当に始まりの巨人≠ネのかすら解らない】
【少なくとも、ひとつだけ確かなことは――――これが、アサド・アル=アーデルからディック・ホワイトに贈る、宣戦布告であると言うことだった】

【やがて、世界には静寂が戻る。真上に微かに残った氷の天蓋が、ぴちゃぴちゃと水音を立てるだけになる】
【そこで本当に全ての力を使い果たして、アサドは地面へ倒れ伏すだろう。ガァン、という軽い金属音を立て、男の相棒もまた共に転がる】

…………俺だ。終わった。
いろいろ会ったが、事情は後で話す――――重傷人四名だ、とっとと迎えに来い、以上。

【寝転がったままの体勢で、アサドは無線を取り出して部下を呼ぶ。シンプルに内容だけを伝えると、無線機の奥が慌てたように騒がしくなる】
【前にもこんなことがあったな、などと考えながら、アサドは周囲を見渡す。重傷人…………心の傷が、一番厄介なのだが】
【何にせよ、休息が必要だ。アサド自身も限界ギリギリで、他の皆に掛けてやる言葉も見当たらなくて】
【しばらくすれば、自警団や軍の人間がこの場に駆けつけ、全員を救護してくれるだろう。つまり、今のアサドにもう出来ることはなかった】

【――――鉄の国の一角から、夜空を見る。戦闘の余波で砕けた壁や兵器が散らばる様は、なるほど確かに鉄クズの集まりに相違ない】
【だが…………見上げる空は、呆れるほど暢気に綺麗なままだった。守る理由≠ヘ、いつだってそれで十分だ】
【世界を駆ける砂漠の獅子≠焉B今はただ、瓦礫の海と思考の海を狭間を揺蕩って、ぼんやりと空を見上げ続ける――――】


/瑛月さんの方、喋り屋さんの方、谷山さんの方、そして主催者様、ありがとうございました!!
263 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 14:23:06.46 ID:4+cOWI2s0
>>261

仮面……?……フフッ……フハハハハ!これが私の素顔よ!
この程度の傷で四の五の言う程柔ではない!


【……お互い口には出さないが、既に相当のダメージを負っているのは言動を見れば明らか。限界は近い―――!】
【恐らくこれが最後の一撃となるのだろう。――――真紅の槍が放つ熱、光、殺気は、今までの物の比ではなく】
【対する彼らも砂を、泥を、大きく大きく練り上げる。其れは一つの塊となって、まさに今己を打ち砕かんとしている】
【これもまた、先程までの攻撃とは比べ物にならないのは明白。必殺の名に相応しい、圧倒的な物量だ】
【お互い正真正銘、これが決着を付ける一撃だ。―――――焦れるような静寂が場を支配して】
【刹那、沈黙が破られる。巨大な攻撃が、力の塊が、確実に押し寄せてくる――――!】
【――――この足場では、今の体力では、恐らく回避は叶うまい。ならば―――正面突破あるのみ!】


……ッラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!!!!


【――――球体に敢えて正面からぶつかりに行った。我が身を省みぬ捨て身の作戦か?――――否】
【その手に握られた槍で、球体をど真ん中から突き破りに行ったのだ】

【力と力がぶつかり合って生じる爆音が轟き――――容赦なく打撃と斬撃が身を削る】
【全身を衝撃が襲い、刃が服ごと身を斬る。痛みで揺らぎ消えかける意識を意地と気力で保ち、全身の痛みをこの一瞬のみ支配する】
【もう意地だけで動いている状態だ。しかし、圧倒的なエネルギーを持つ槍はその左手に未だ確りと握り締められている!】 

【―――――抜け―――た。砂と泥に覆われた視界は晴れた。満身創痍になりながら、球体をついに突き破った!】
【もはや己を妨げる物は無し。―――――いざ、参る!】


……我が信念よ――――奸悪を灼き尽くせ!


【動かぬ身を動かし、間合いを詰めて、詰めて、詰めて―――――紅蓮の閃光は猛るように輝きを増し、灼熱を放つ】
【瞬間、紅い煌きがこの場を支配し――――一閃、槍は放たれた】

【圧倒的な熱が、光が、闇夜を引き裂き彼らを目掛けて襲いかかる。灼熱の炎の化身となりて、すべてを灼き尽くさんとする】
【巻き上がる熱風。あらゆる物を焦がす光。己が信念と身命を賭けた一撃は、彼らを打ち破ることが出来るか―――】


【攻撃の成否に関わらず、最後の一撃を放った瞬間に彼は反動で後方に飛ばされ――――その後は恐らく、動くことも叶わぬだろう】

//大変遅くなりました!申し訳ありません!
264 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 19:30:24.86 ID:C9g0ohkwo
>>207

魔石、と言う事でしょうか……? 其れは面白そうな品ですね。
何でも武器に組み込んで新たに力を持たせる、とか。実に興味深いです。
私は刀に目がないのですがね、振るう事は少ないので、飾りばかりで……

【「お恥ずかしい」、と重ねて笑う。蒐集趣味とはいえ、強化にも関心があるようで】

何事も、初めの時が一番知識は少ないながら、意欲はとても高いものです。
その意欲の力で、足りない知識をも集めゆき、やがて大輪の花を成すでしょう。
……ところで、今、現物はお持ちで? 良ければ少しばかり、拝見したいのですが……
少しばかり特殊な用い方では有りますが、風の力を扱います。出来れば、其の類で。

【相手の話をきちんと聞いてはいたものの、矢張り関心は相手の扱う品の方に強く】
【うずうずといった様子で、そう問い掛け。つまり彼も魔の素養が有る、という事なのだろう】
【“風”と注文は付けたが、他の物でも十分に興味はあって。何処か目がキラキラしている】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/12(日) 21:35:49.74 ID:pT5ss8iG0
【夜の国――とある森の中、】
【月光を受ける真っ黒な葉っぱの木々、灰色の幹の長い影がつうと伸びて】
【ゆらり揺らめく水面に捕まってばらばらに砕ける、ぱちゃんと水飛沫の上がる音がして、静寂】

【――森の中、木々と地面ごとスプーンで抉り取ったように湧き上がる泉があって、場所はそのほとり】
【どこか遠くでふくろうか何かの鳴く声と、時折の水飛沫の音。そればっかりが、夜によく響いて抜けていた】

…………――、

【ちんまりと地面の際に座り込んでいるひとかげ。人目見て分かるほどに華奢なのは、どうやら少女らしいと見えて】
【真っ黒色の髪の毛と、黒赤色のオッドアイと、右耳にだけ付けられた宝玉をあしらったピアスがきらりと光り】
【黒色に赤色を塗した色合いのワンピースは裾がきちりとしたプリーツに折られて、濃紫色のタイツと、ショートブーツと】
【もうひとつ石ころを投げた左手、薬指には蛇を模った指輪が嵌められていて、月明かりにぴかりと煌いた】

――ごじゅっこ。

【遠くでぼちゃりと水の爆ぜる音、きっと世界でたったひとり数えていた数を唇に乗せて、ふわと微かな笑みひとつ】
【ゆっくりと立ち上がれば、ゆらゆら揺れる水面に映るちりぢりの影、ぐうと伸びをしたかたちが映しこまれる】

お花……、おうちに飾ろうかな――?

【黒緑色に生える下草を踏みつけて、そっと振り返る背後、見つめるのは足の先で――たくさんの花が咲いていた】
【お日様を知らない真っ白色のお花たち。ひとつ摘んだなら、ほんのしばし指先に捕まえたまま、そっと眺めて】
【ついと耳にかかる髪へ挿す、真っ黒な髪に真っ白な彩りを添えて、夜の中、どこか場違いな歌声すら聞こえた気がした】
266 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 00:10:49.27 ID:IGSkjir6o
>>263
『ほんっとうに口が減らねえなあ!!』
「それが素顔ならば、皮膚を剥いでやるとしよう!!」

【意地、執念、譲れない思い。何と呼ぶべきかはわからないが、もはや双方ともそういったものに由って立っている】
【互いに、残った全力を賭して放つ攻撃。必殺の破壊力を込めた、最後の一撃のぶつかり合いだ】
【その場に集う六つの瞳、全てに最後の力が宿る。ビル内部に満ちる静寂――破れる】


「『死ね――――!!!』」

【どこまでも重く暗い二人分の悪意に満ちた声が響き、解き放たれる混合の球体】
【対して、放たれる怒号。最大の攻撃に、正面から突撃。ともすれば、無謀な特攻とも映る行為】
【否。槍を持って球体を直接叩く一撃。球体の打撃と斬撃がその身を削ろうと止まることなく。やがて――】

「『な……!!!』」

【二重に響く、驚きの声。苦痛を真正面から受け止め、信念でダメージをねじ伏せ、それでいて槍は決して手放されず】
【ついに、球体が打ち破られる。自分たちの全力を注ぎ込んだ技が破れた。後は、異形の身まで一直線】


「ぬ、おおぉ……!!!」
『ち、ちくしょおおおおおおおおおおお!!!』

【間合いが詰められていく。紅蓮が迫ってくる。輝きが視界を埋め尽くし、灼熱がその身を苛んでいく】
【そして、紅色の煌めきが、異形どもの前に降臨した】

【槍が、双子の胴体の真ん中を、貫いた。双子の口から鮮血と泥砂が吐き出され、それすらも蒸発して消えていく】
【熱風に吹き飛ばされ、光に焦がされ、今度は自分たちの意志と関わりなく、異形どもの身が空中の住人となった】


【もはや、声もない。回転しながらエスカレーターの下へと、異形どもの身体が転落していき――――】
【下の暗闇から伸びて来た、巨大な何かがその身を受け止めた】

……負けたか。どうやら、GIFTも撤退したらしい。ここにいる理由も、もはやあるまい

【エスカレーターの最下部に近い位置に立つ、巨大な人影。双子を受け止めたのは、その人物の腕だった】
【いや、正確には右腕のあるべき位置から伸びた、太く長い肉塊と言うべきか】

【それは、身長2メートルを超えているであろう、大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴】
【角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪。生気のない黒い瞳の両目は義眼】

【額には、面積いっぱいを埋める巨大な一つ目。黒く歪んだ両耳。細長く黒ずんだ両の親指。双子に劣らない異形がそこに居た】


『がふっ……ク、ソが……』
「ぐがっ……お、のれ……」

声を出すな、オーギュスト。ギュスターヴ。傷は深いが、すぐに運べばどうにかなるだろう
さて、槍の男よ。お互いもはや満身創痍だ。この場での戦いは、ここで決着といかないか

……カノッサ機関傘下、盗賊団『スクラップズ』。首領のカニバディールだ。いずれ会うことがあれば、その時に今回の礼をさせてもらうとしよう

【一方的に、彼へと言葉を投げかけると、大男は異形の双子を抱えて踵を返す】
【エスカレーターを素早く降り切り、彼の視界から姿を消すだろう。ほとんど間を空けず、響く車のエンジン音。逃走手段も、しっかり用意していたらしい】

【車が、都市下層部を走り抜けていく音を最後に、脅威はこの場から消え去った】
【一人の男の信念が、その身に抱いた槍が、この場を守り抜いたのだ】

【イグナス上層・AMC社本社ビルでの戦い】
【勝者――ダン・ブラッグス】

/すっかり遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした……
/日を跨いでの長期のお付き合い、感謝いたします。ありがとうございました!!
267 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/13(月) 00:34:04.93 ID:aAIQL555o
>>265

―――……綺麗だね。


【その声は、全くの予兆無しに彼女の近くへと現れる。彼女も、一度聞いたことのある声だろう】
【彼女が声のする方へと視線を向ければ、其処にはやはり、彼女が一度合ったことの有るその青年が立っている】

【言うなれば、全身が白。首元まで伸びた髪も、身にまとうスーツも、薄い手袋も】
【一部―――ネクタイと細い金属フレームのメガネは黒色だったが、それが却って周囲の白さを引き出していた】
【もしかすればこの白も月光に反射しているかもしれないが、そんなことは、今の青年には関係がなかった】

暗闇の中で白い物はとても映える。……ま、僕が映えているかと言われればそれは疑問だけどね。


……久しいね。こんな所で何をしているんだい、鈴音ちゃん。
夜の国は何時も夜だから夜なのは仕方ないとして……こんな森の中で。

【彼女の足元で白に色づくその花達を見据えれば、出てくるのはそんな差し障りの無いこと】
【途中、そういえば自分の服装も白だったことに気づいてそう言い加えた。流石に自分が映えているなんて、言えるわけがないのだし】

【そして彼女へと口を開けば、出てくるのは確認の言葉。「何をしているのか」と、そういえばこの前も、そんなことを聞いた気がするが】
【それも、以前と変わらない微笑みで。嫌悪感は感じさせないが、それでもただただ変わらない笑みでそう問う】
【この青年―――彼女の前では「エイト」と名乗ったこの青年の表情は、全く変わっていなかった】

/よろしくお願い致しますっ!
268 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 00:37:09.64 ID:6qRWGbOE0
>>266
//はい、こちらこそ長々とお付き合い頂き有難うございましたー!
//返事は明日(今日?)までに改めて書きます、とりあえずこの場は返事だけということで!
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 00:48:23.01 ID:FiRNInLC0
>>267

【もうひとつ摘もうとしゃがみ込んだ折だ、まるでふっと落ちてきたように声のするのは、気配のするのは】
【驚いたような瞬きがひとつと、ふたつめに差し掛かったあたりで、ようやく現状を理解するところまで届いた】

あ……、――うん、綺麗。

【ぱちくりとした瞳が彼を見上げるのだろう、驚きを示した瞳はいつもよりいくらか丸く、宝石みたいに艶めいて】
【見知った顔だと分かれば態度は柔らかい。ふわぁと微笑ってみせた顔にはあどけなさがあって、余計に夜に浮くが】
【こうして夜に遊び歩いているのが不思議と似合うようでもあった。夜のしんとしたのに、不思議とよく似合っていた】

ここね、お気に入りなんだ……、……あっちの方に家があるの。歩いてもそんなに遠くないから。
……お月様と一緒に遊んでるみたいね、このお花――好きよ、たまに貰っていくの。

【膝をちょいと揃えていたのをほどいて立ち上がる、スカートのプリーツをさっと調えて、裾を揺らして】
【身体の前で両手を揃えるようにしながら紡いでいくのは、まあ至極平和的な理由であると言えただろう】
【家が傍にあるらしい。ちょっとしたお散歩に出てきたのだろう、いたく軽い気持ちしか抱いてないと楽に窺えて――】

【――ぽつぽつと咲く白い花は、まるで夜に浮かび上がるような存在感を持っているのだろう】
【涼しいを通り越した冷たい風に花弁が揺れる、互いにこすれあったなら、ほんの微かに音を奏でて】
【にっこり、とした笑顔の横、黒髪の中に挿されたそれもふわふわと夜風に揺れて、存在を示していた】

――エイトこそ、どうしたの? こんな森の中……、わるい動物が出ちゃうかもよ。

【にこりとした笑みがふと変わる、悪戯っぽく冴えて、がおーと指を爪のようにして両手を持ち上げたなら、】
【すぐに両手の影から顔を出してまたにこにこと笑うのだろう、こんなところで、という疑問はこちらからも同じこと】
【――けれど、少女がひとりで出歩いているのだ。あまり悪い動物は居そうになく、事実この場は平和そのものだった】
270 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/13(月) 01:14:17.31 ID:aAIQL555o
>>269

なるほどね、鈴音ちゃんの家の近くだったんだ、此処。
この森も、君には庭のようなものなのかい?

あはは、月と一緒に遊んでるみたい、か。
太陽を知らないからね、この花達は。もしかしたら、太陽を知ればこの花達も色づくかもね。

【こちらも、一度会った相手との再会はいくらか喜びの面があるようで】
【いつも微笑むこの青年も、その笑顔が少しだけ柔らかくなる。それでも笑んでいるのには、何の変わりもないのだが】

【森は深いが、この森の何処かに洋館でも佇んでいるのか、それともこの森を抜けた先に有るのか】
【何れにしても、彼女の家がこの近くに在るのは間違いないようで。軽く頷きながら、青年は彼女の元へと近づいていく】
【ある程度の距離を保って立ち止まれば、足元に咲く件の白い花を一つ摘んで、青年の目線の高さへと持っていくだろう】
【匂いを嗅いだり、軽く持ち上げて月光へと透かしてみたりと、ちょっとばかしこの花に興味が湧いたようで】

鈴音ちゃんみたいな女の子が居るのにそれはないさ。
ましてや鈴音ちゃん、君はこの森に慣れているんだろう? なら、尚更の事さ。

僕かい? 僕はちょっと夜の国を探検してたところかな。
ま、そんな大した意味は無いさ。ぶらぶらしてるだけだよ。放浪とも取れるね。

【彼女の悪戯めいた行動に、ふふ、と笑みからまた笑みを漏らして、そう的確にツッコミを入れれば】
【質問には、当てもなくただ歩いているだけとのこと。しかし、別にホームレスのような格好ではないし、逆にそのスーツは新品の様】
【放浪なんてのは誇張だろう。彼女と同じく、散歩というのが一番正しい表現なのかもしれない】
271 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/13(月) 01:26:51.82 ID:IdUwNwDbo
>>264
そうだ、魔石だ。…まァ専門のヤツに頼めば俺の品を使ッてそういう加工は出来るンだろうな、
ツテもまだ少ねェンだけど。魔石だけじゃなくて、魔導に理解が深ェヤツが魔翌力を込めなきゃいけねェンだ、
本当はそこまでやッた魔石を売りてェンだけどな。
刀も蒐集物としての価値が高ェ、俺もあの抜き身にはゾクッとするねェ。
凍てつくような刃…機能美の極まッた迫力みてェなのを感じるなァ。
能力を持たせるのは俺だけじゃ無理だが、装飾に使えるやつならいくつかアテはあるぜ?

【マニア、とでも言うのだろうか。相手の蒐集癖に気をよくした男はにこやかに話した。】

ああ、現物ならたくさんあるンだ、ちィと待ッてくれな、風の力なら…これか。

【男は懐から箱を取り出し、其の中に収められたいくつかの金色の鉱物の一つを手に取った。】
【琥珀だろうか。だが、中に細かいキラキラしたきらめきがあるように見える】

かさばるンでね、魔法で持ち歩いてンだ。この中に『入って』る。

【そういいながら、男は布を広げると、琥珀を真ん中に置いた。】
【そっと手を添えると、金色の鉱物は膨張し、霧のように拡散して】
【布の上に、緑色や白の鉱石が分けて入れられた箱が置かれていた】

宝石としてはコイツか。ヒスイ…ヒーリングや鎮魂、解呪と相性が良い。
エメラルド、トルマリンなンかも宝飾品としてあるが…あァ、コイツがあった。

『緑玉髄』を元にした結晶魔石だ。風の魔法を使うならコイツが俺の手持ちじゃ一番良い。

【くすんだがどこか透明な緑色の石である。魔石として加工してあるのか、荒いが幾何学的なカットが施されている】
【男は手を出すようにジェスチャーし、その石を持たせた。魔に素養があるなら、じんわりとした暖かさを感じるかもしれない】


272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 01:27:06.93 ID:FiRNInLC0
>>270

【なるほど、そう言われてみれば、彼女の姿はこの森の中によく溶け込んでいるよう】
【きっと分かっているのだろう、この森のルールとか、きまりごととか、そんなことを――】

そうだよ、そんなに遠くじゃないけど……、ん、これだけ夜じゃなかったら来ても良かったんだけど――。
……ごめんね、こんなに夜じゃきっと駄目だって言われちゃうの。だから、ここで……。

でも――お日様を浴びない方がきっと綺麗だよ、お日様を浴びて、いろんな色のお花は世界にいっぱいあるけど。
お日様を浴びたことがなくて、こんなにも真っ白で、……そんな花、ここにしかないでしょう?

【――少しだけ残念そうにした。時計の針がもう幾ばくか前の場所にあったなら、きっとお茶でも出せたのに、と】
【そろえた手をぎゅーっと握って、何かしらの感情を表現したなら、きっと、裏表なく残念がっているのだろう】
【けれど、ここでお話することならできる。息も真っ白になるぐらいに寒い中だけど、それも楽しそうなんて、ふと】

【浮かべた笑みがいくらか強くなる。紡いで見せた言葉は、この場所が、この花が好きなのだと分からせるには十分なほど】
【花を挿した髪の傍、耳に手を添えるようにすれば、月明かりにきらりと煌くものが、耳元にあって、見えただろうか?】
【月白色をした宝玉の欠片をあしらったピアス。お月様と同じ色が、月光を返してぴかぴかと揺れていた】

……こわい動物には会ったことないな、普通の動物なら、きっと負けないと思うけど――、
ちょっぴり普通じゃない動物もいるんだって、前に聞いたもの……。

【入れられたつっこみ、「バレた」とばかりにはにかんで見せた顔は悪戯っこと同じ色合い】
【熊ぐらいならば大丈夫だとなんてことなく言ってみせるのは、やはりこの世界の住人に相応しいようで】
【――続いた言葉は少しだけ不思議。“普通じゃない動物”なんて、きっと、珍しい言葉だから】

お散歩? この森って綺麗でしょう――水も綺麗だし、動物もたくさんいるし、退屈しないのっ!

【探検、放浪、それらの言葉を統括してしまえば、つまり“お散歩”と取られてしまう】
【けれど存外間違えた言葉でもないらしい、さくりと下草を踏んで数歩歩けば、生える木の一本へと辿りつく】
【日差しも知らないくせに立派にしゃんとした身体にそっと触れ。次いで抱き締めたと思えば、ぱぁあと笑みが濃くなる】
【――動物が好きで植物が好き。そんな性質を彼は知らないはずだけれど、透かしてみせるまでもなく、きっとばれてしまうから】
273 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/13(月) 01:54:43.56 ID:aAIQL555o
>>272

気にすることはないさ。元々何もないって思ってた散歩だから、君と出会えたのはこの散歩に意味をもたせるには十分すぎるくらいだよ。
……家には家族が居るのかい? まぁ、こんな夜遅くに変な男を連れ込むんだ、そう言われるに違いないね。

ふふ、全くだね。僕は白色が好きだけど、世の中に在る白い花の中でこの花が一番好きになりそうだ。
……それは、宝石……いや、宝玉、かい? とても綺麗なピアスだけど。

【しゅんとした彼女を慰める目的なのか、青年は「そんなことはない」と軽く手を振り微笑んでそう答える】
【青年の言うとおり、無味無臭を予期していたこの散歩で見知った彼女に出会った事というのは、どんなに小さくてもそれは刺激で】
【その笑顔は、何も起こらずして終わった散歩よりももっと良い笑顔なのだろう】

【この前の初対面時、この純粋な少女は果たして自分の家族のことを口に出しただろうか】
【それは思い出せないが、彼女がそう言うということは、家には誰かが居るのだろう。例えば両親、とか】

【チラリと見えたピアスに、青年の目が動いて。宝石と宝玉、何処で見分けたのかは分からないが、ともかく青年は当ててみせる】
【強大な力を持つと言われる宝玉が、欠片とはいえこんなに無垢な少女の耳に何もなく収まっている】
【それは、純粋とはいえ彼女の裏には何かが在るのだろうという実態の無い「何か」を青年に抱かせることになる】

普通じゃない動物、ね。凶暴だったり……違うかな、魔法を撃ってくる動物も居たりしてね。
安心して。少なくとも、僕が鈴音ちゃんと一緒に居る時には君が傷つくことは一度としてないからさ。

【やはり彼女も能力というものを持っているのだろうか、一般動物ならば負けないと豪語する彼女に少し苦笑して】
【しかし普通じゃないのも居るらしく、少し恐怖心を持っているのかなんて気を配れば、今度は青年がそう彼女へと言い放つ】
【相当な自信家なのか、それとも――――――】

本当にこの森が好きなんだ。鈴音ちゃんは。
好きなものは、有れば有るほど良い。何かがあった時に、それを守る事が力になるからね。

【彼女が樹の幹へ抱きつくと、彼女を追うように歩を進めた青年も、その幹へそっと手を添える】
【普通の樹だ。先ほどの白い花と同じような感覚は抱けない。しかし、少女は好きなのだろう。この変哲もない木が。もっと言えば、植物が】
【だから、そんなことを言った。きっと彼女なら、この森に何かが有っても木達をを守るべく動こうとするだろうから】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 02:10:55.82 ID:FiRNInLC0
>>273

……なら、良かった。わたしも出て来て良かった――久しぶりに会えるなんて、思ってなかったもの。
そうだよ、家には旦那さんがいるの……ふふ、結婚したんだ、ついこの間だけど――、

――この石のもう半分はね、そのひとが持ってるの。半分こしたんだよ、ふたりで、ね。

【無味無臭の彩りになれたなら。またも嬉しそうに笑んでみせた中に、ふわあとわずか、過去を回想するような色を混ぜて】
【吐き出した吐息が真っ白に渦巻いて消えていく、冬らしいさめざめとした気温の中の、ほんの偶然の邂逅】
【――にこりよりもいくらか蕩けたものへ笑みが変わるのだろう、寒さ以外の色を頬の赤らみに混ぜ込んで、紡げば】
【否定しなかったということは正解の証明になるだろう。宝玉を別った夫婦、というのも、ずいぶんと変わった話だが】

【清く水の力を湛えたそれは、やはりこの森がそうであるように彼女に不思議とよく似合っていて】
【それもそのはず、その力は彼女の血筋の源流でもあるのだけれど――そこまでは、まだ、おはなしするには少しだけ早い】

幻獣って言うんだって、……あんまり言いふらしたりしたら駄目だよ、わるいひとが来ちゃうから――。
……ほんとう? 守ってくれるのかしら、嬉しいな……、でも、ただ守られるだけよりは、強いよ、わたし。

【すりと木の幹のでこぼこした肌に頬を寄せる、しぃと立ててみた人差し指は、“ひみつ”だと言外に告げて】
【その話は誰に聞いたのだろう。家で待つという旦那か、それとも、どこか別の場所で聞いたものなのか】
【――どちらにせよ、あまり嘘を吐いているようには見えなかった。真偽はともかく、彼女として知っていることを言っている】
【くすくすと笑って見せた口元は、はじめからずっと笑いきりだ。楽しんでいるのだろう、こうして出会えたことを――】

うん、この国……、この場所、だいすき。

【そっと木から身体を離す、月明かりしか知らない木は、けれど、彼女ひとりぐらいじゃ揺らがないほどに頑丈で】
【当然のようにびくともせず、そのまましゃんとしたまま、彼女が自主的に離れるまでを、優しく受け止めていた】

【(なんにもないだれもいない世界から連れ出されて、はじめて見た場所がこの森の傍の、あの屋敷だった)】
【(小鳥がはじめて見たいきものを親だと思ってしまうように、はじめてみたこの場所を安堵するものだと刷り込まれ)】
【(実際この場所はその通りであり続けた。彼女にとって安心できる場所、それがこの森で、あの屋敷で、この国)】
275 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/13(月) 02:39:24.48 ID:aAIQL555o
>>274

……旦那さん? ……へぇ、結婚か。おめでとう、鈴音ちゃん。
鈴音ちゃんの旦那さんだったら、それは優しい人なんだろうね。今度また機会が有ったら、紹介してほしいな。

宝玉を二分、か。『それも有りかもしれないけど』……。
……いや、大事な結婚の証だから、大事にするといいよ。一生ものの宝になるだろう物だから。

【少女の口から出てきたのは、この幼い少女が発するとは思えないものだった。少女の顔を見ればそれが真実だとすぐに分かる】
【少し驚きの色を表情に出すものの、すぐにそれは微笑みへと修正される。言葉も、祝うものへと手直しされる】
【どうして、なんて問うのは無粋だろうということは、この青年にも分かりきっていることだから】

【少し言葉が淀んだ。けれど、と青年は言った。しかし、その次の言葉を口に出すことはなかった】
【この少女が掴んだ幸せに、少しでも傷を付けたくないと思ったから。なにか問うのは無粋だと、先ほど自分が思ったことだ】
【最終的に青年は当たり障りない言葉を選ぶのだが、其れを彼女が喜んでくれるかは分からない】

幻獣……うん、わかったよ。誰にもバラさないさ。鈴音ちゃんのお願いだからね。
……そうかい。まぁ一応、だよ。すぐに僕は居なくなっちゃうし、それに旦那さんも居るだろうしね。

【「秘密だね」と彼女に応えるように人差し指を口元に添え、幹の上を見やる】
【月光しか降り注がないこの森で、立派に成長した木。悪人の耳へと伝われば、忽ち幻獣共々焼かれるか切り倒されるかされるかもしれないから】
【この事はそっと、胸に閉まっておくのだろう】

だいすき、ね。
―――じゃあ鈴音ちゃん、質問だ。もしも『この国が無くなろうとしたら、どうする』?

【それは青年の登場と同じく、あまりにも唐突だった。あまりにもスケールの大きい、そんな質問】
【青年の表情は、相変わらず笑顔だった。この質問は冗談と、そう受け止められても何も可怪しくはない】
【実際、この質問は冗談で繰り出されたものだったのだけれども。それでも、余りに唐突なものだった】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 02:56:46.72 ID:FiRNInLC0
>>275

【くるりと笑みの色が変わる、どこか照れたような、恥ずかしいような、そんなものへと】
【それでいて確かに嬉しそうな、幸せそうな、――平和さだけをぎゅうっと詰め込んだような、平穏の色合い】

――ありがとう、とっても優しくって素敵なひとなんだよ。
指輪もピアスもおそろいだから……すぐに分かると思うな、とってもね、背が大きいの――、

…………うん。

【そのひとのことになると、どうにも蕩けてしまうようだった。甘たるく笑って、笑って、溶け出してしまいそうに】
【花を落とさないようにと髪をかき上げて耳を見せる、それから左手を見せるようにする、どこか自慢げに】

【(ウロボロスの蛇が石を抱くデザインと、指に巻きつく蛇のデザインと、どちらもが蛇をあしらったもの、だった)】

【――見た目だけで言うなら高校生かそこらで妥当、と言った見た目だろう。下手すればそれ以下にも見えかねない】
【ずいぶんとぎりぎりの年齢で婚姻を結んだように思えた、(それでも時折不思議と大人びた顔をするのだけれど)】
【言い澱んだ言葉に少しだけ不思議そうにはしたけれど、しあわせな空気に流してしまう。言及、出来ないままに】

ありがとう。この場所が毀れちゃうのは嫌だから……、
――大丈夫だよ、家はすぐだもの。居なくなっちゃった後だって、すぐに帰れる。

【――やっぱり家が近いから、という余裕があるのだろう。木からふらふらと離れながら紡ぐ言葉は】
【何かが起こりうることを想定していない、油断の色。こんなときこそ、危なかったりするものだけれど――】
【今宵この場で何かが起こるということはきっとないのだろう、月の綺麗なのを見上げて、吐息をひとつ】

【(この場所が毀れてしまう、それはつまり、住まう屋敷までも危うく触れられるということならば、)】
【(この森は好き。大好き。けれど、それよりも、――縄張りを侵されたくない動物みたいな、こころもあった)】

……――“いやだ”

【精一杯下草を踏まないように歩いていたのは、ほんのちょっぴりの遊び心みたいなもので、それがふと止まる】
【エイトのほうに振り返った顔は、未だに笑みのかたちを維持こそしていたが――どこか、冷たげに冴えて】
【それでも。まさか本気の問い掛けとも思わなかったのだろう、その態度はすぐにほどけて、元通り】

きっと、この場所がなくなっても行く場所はあるけど――それでも、やだ、な。

【そっと髪の黒さから抜き取ったらしい花がいつの間にか手の中にあった。人差し指と親指、そっとつまみあげて】
【泉の湖畔へと寄れば、そっと膝を折って花を水面へ浮かべる。つぅと滑っていく花は、水面の上でまるで輝くよう】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 03:01:20.11 ID:FiRNInLC0
>>275>>276
/そしてすいません、そろそろ眠気がひどくなってきたので……明日にしていただいて大丈夫でしょうか?
/一応明日は午後からでしたら空いてる予定です、適当な頃合に呼んでいただけたら対応できるかと思いますー
278 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sagesaga]:2014/01/13(月) 03:37:05.12 ID:aAIQL555o
>>276

蛇、ね。ありがとう、そういう人に出会ったら、話しかけてみることにするよ。
今から楽しみだよ、鈴音ちゃんが好きになった相手が、どんな人なのか……。

【蛇。思い出すのは、世界中を敵に回すカノッサ機関で"魔縁の蛇王"と呼ばれた男。けれど、それは関係ないだろう】
【幸せな時間に、戦いなど必要無いのは青年も分かっていることで。すぐにその思考は消して、彼女の伴侶へと思いを馳せた】
【少しでも長く彼女の幸福な時間が長く続きますようにと祈ったのは、純粋な本心だった】

【……それにしても、ずいぶん入れ込んでいるんだなと思ってしまう。彼女の言動は、それを一番象徴しているものだろう】
【青年には彼女の年齢がかなり下に思える。こんな彼女を好きになる旦那も、また彼女を愛しているのだろう。そんな当たり前のことを想えば】
【俄然その旦那に興味が湧いてくるのだった。ともすれば、先ほど見せた一面を消すほどに】

だよね。……ゴメンね、当たり前のことを聞いたりして。
でも、十分気をつけてね。多分何も起こらないだろうけど、一応、ね。

【青年が時折見せる苦笑の表情を、また彼女へと見せる。この青年の表情というのは、2つしか無いのではないかと思わせるほど】
【少し迷惑だったのではないかと思う。そして彼女への忠告もまた不必要の物なのかもしれない】
【それでも彼女に言ってしまうのは、老婆心というべきものからだろう。大事な友人は、やはり大事なのだから】

……鈴音ちゃんは、きっとそう答えると思ってた。
僕は、君がこれからもそうやって答えてくれたらいいなと思うね。

【今日一番――それでも、普段の笑みと余り変わらないのだが――を浮かべ、自分もまた持っていた白い花をそっと水の上へと放つ】
【彼女の浮かべた花を追いかけるようにして青年の花も滑っていく。花を滑らせる風は微風で、心地よかった】

【要するに、これからも話し相手で居てくれということだろう】
【森を愛し、自身のパートナーを想って頬を赤くするようなこの少女は、話しているととても気持ちが良くて】
【そんな彼女に出会った時に、気軽に話せるような――つまり今の状況を維持できたらどんなに良いかと、青年は思う】


じゃあ、鈴音ちゃん。ここらへんで僕はお暇するよ。
また有ったら、お話しよう。それじゃ、また――――――。

【そう言った瞬間には、もう青年の姿はなかった。まるで消えたかのように移動した青年は、空を飛んでいた】
【興味。それは青年の中でもっとも重要な事項だった。その興味がある男に向く。今しがた話した少女の旦那へと】
【しかしそれは悪意のある興味ではない。純粋な探究心だ。……最もそれ以外の興味に悪意がないかと問われれば、それは疑問だが】

/眠気が絶賛襲い掛かり中なので、ここらで〆させていただきます……!
/ロールお疲れ様でした! そして有り難うございました!
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 03:48:07.15 ID:FiRNInLC0
>>278

【「仲良くしてあげてね」と、声に出したのは、どちらにとってもおせっかいになるかもしれないこと】
【けれど。最愛のひとと、こうしてお話する友達と、そのふたりが仲良しであって欲しいと願ってしまうのはどうしようもなくて】
【だからこその言葉だったのだろう、もしも会ったなら――言うとおりにしてやれば、きっと喜ぶはずだった】

大丈夫だよ、……でもね、ちゃんと気をつける。

【そんなに心配しないで、と。言いたげな瞳は、どこかくすぐったいようにも見えて、数度瞬いたなら、】
【安心させるように声音を僅かに低くする、鈴の音とよく似た声が、少しだけ違う色合いで――響いて】

これからも同じだよ、明日も、明後日も、その先だって――きっと、わたしは、おんなじことを言うの。

【その先に続く言葉の“りん”としたのを余計に目立たせる、夜が裂けてしまうみたいに、しゃんとした声音が】
【真っ直ぐに、少しだけの濁りもなく、そう宣言してみせた。今日も、明日も、ずっと、この場所が好きでいようと】
【つぃと滑る二輪の花。けれど見失わないのは、闇の中の白色を月明かりが一生懸命に照らし出していたから――】

【ふたりの関係性だって変わりはしないだろう。きっと、いつかまた、彼は唐突に現れて、楽しいお話をして、また居なくなって、】
【場所も時間もばらばらだろうけれど、そんな未来が目蓋に浮かぶくらい、きっと“そう”なのだろうと、思えた】

……うん、ばいばい。気をつけて帰って――またね。

【家が近いこともあれば、掛けるのはその身を案じるもの。ゆらと振って見せた手を、きっと彼は見なかったのだろうけれど】
【消えてしまった姿を追いかけようとして見失う。数秒ばかり待ってみるような間、やがて動き出すなら、もういちど】
【流してしまった分を取り返すように花を一輪摘んで行く、家に帰れば、リビングの机の上に一輪だけ、水に活けて】
【腐ってしまうまでの数日だけの美しさ、今宵の会話を大事にするように、世話をしてやる姿があったという】

/おつかれさまでした!
280 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 15:13:13.24 ID:6qRWGbOE0
>>266

【正面突破で負ったダメージは既に限界を超えている。突き破ったとは言え削られた体力は計り知れず】
【もう自分でもなぜ体が動いているのか分からない。――――しかし、内より湧き出る衝動にも似た意志が己を突き動かすのだ】
【――――身命を、信念を、全てを賭けて、解き放つ一撃。燃ゆる思いは紅き槍となり、奸悪を打ち破らんと輝いて】


                 【――――今、彼らを貫いた】



【紅蓮の閃光が彼らを包んでその身を焦がす。灼熱の爆風が宙に飛ばされた彼らを蹂躙する。】
【同時に最早自立する力も残っていない彼も、反動の衝撃で後方へとその身を撥ね飛ばされ……そのまま倒れ伏し、動くことも叶わず】
【微かに漏れる呻き声と共に顔を上げ掠れる視界を凝らして前を見れば、為す術無くエレベーターを転落する彼らが見える】

【―――……あぁ、護り抜けたのだ……一抹の安堵が心を通り過ぎた次の瞬間――――】

【闇より突如現れた、巨大な人影。伸びる腕は人間の其れと形容出来るものではなく、その形状の異様さが目を引く】
【巨躯から放たれる異様な雰囲気は、暗闇の中でもはっきりとその存在を主張していた。……危険だ、と】
【此方はもう動けそうにもない。万事休すか――――】

(……ハ……ハハ……もう一人相手が居るなんて聞いてない……ぞ……)

【――――まあ、ビルと人々の生活を護りきっただけでも良しとするか――――半ば諦めにも似た心情が頭を埋め】
【その大男が此方に歩み寄り動くこともままならない己に止めを刺すのを、静かに待っていた……―――が、何時まで経っても大男は来ず】
【声だけが彼の耳に届く。……この場は退くとの事らしい。助かった……のだろうか……】


(『スクラップズ』のカニバディール、か……ああ、面識はなかったがその名前は知っているとも……)
(とすると、彼らはデュアル兄弟か……フフフ……ナンバーズか、“酷く懐かしい気がするよ”……)


【―――彼らは、以前にナンバーズのNo.21が突然抜けたことを知っていただろうか】
【己はある少年に感化され己の信じるべき道を見つけて、こうして何かを護るようになった。……それが正しい道なのかは、己がこうして人々を護り続けることで証明する】
【……車の去る音が響くと、もう其処には先ほどの異様な存在感が消えているのが分かる。ともあれ己は勝ち、彼らを退けられたらしい】
【もう意識を保つ体力も残っていない。彼は重い瞼をこじ開けて救援を要請すると、静かに意識を手放して――――暫く後、病院へと搬送された】


//こちらこそ長い間お付き合い頂き有難うございました!
281 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/13(月) 17:56:10.99 ID:M8prExxxo
【路地裏】

「……ちィ、面倒なことになァったな」

【いつも通り物騒なこの場所で、ちょっとしたごたごたが起きていた】
【その中心にいるモノは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【数人の自警団に囲まれており、どうやら様々な罪で指名手配されている悪魔にそっくりだとかなんだとか――】

「だァが生憎、人間如きに捕まる程まァでに俺様の力は失われていィねェー……」

【ガッ、と、己を囲む自警団の一人の顔面を右手で掴めば――手から噴き出すは邪悪な魔翌力】
                                                ,    ,
「そォーだ、確かに俺様が、超ォ強ェ悪魔の邪禍様よ――さァ、テェメェーらもYartsaTownの住民にしてやろうじゃアなァいかァァアア!」
「エルズペンタレグス共出ェてこい!」 「人間共を足止めしろォッ!」

【それと同時に近くに魔方陣が現れ、そこからいずる闇は"翼を持ち顎が異常発達した丸っこい不気味な生き物"x4となり、自警団を襲う】
【残る自警団は必死に応戦しているが、化け物には飛行能力もある為か少々厳しいようで――】
【このままでは、今ここにいる自警団の全てが悪魔の手の内に収まってしまうだろう】
282 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 20:50:11.67 ID:s8HLu95yo
【とある草原】

【それは郊外から少し歩いた場所にあり、街の灯りと遠くに山々を望め】
【涼風に吹かれ揺れる草は青白い月に照らされて、夜といえど明るく】
【草に混じって淡い光を零す白花が咲いており、それを摘む人影が在る】

【モノトーン調の緩い服装にストールを巻いた、白皙の青年】
【淡い茶色のソバージュに、何処か深い淀みのある紺碧の目】
【左手の薬指に、ルナトリウム製の黒い指輪を嵌めている】

【草原にしゃがみ数輪を摘んだ青年は、それらを見つめて顔を綻ばせ】

……兄さんに、持って帰ろうっと。喜んでくれるかな?
ふふ、ふふふっ……きっと喜ぶよね、僕の兄さんだもの。

【恍惚とした表情で、淡く輝く白花の向こうに、誰かの姿を想起していた】


【所変わって、夜市場】

【軒を連ねる屋台は煌々と明かりを灯し、活気付いた声が聞こえる】
【青果、鮮魚、穀物、宝石商、雑貨、その他軽食と、種類には事欠かないだろう程】
【だが、一部で不穏な輩がいたらしく、「宝石を盗られた」と怒声が響いた】

【そんな折、被害にあった屋台からそう遠くはない位置で】
【綺羅びやかな宝石をそっと懐に仕舞い、ほくほくとした表情の人物がいる】

【ゴシック調のワンピースの上にマントを羽織った、十歳程の小柄な少女】
【赤毛の髪をお団子に纏め、猫にも似た丸い紫の目に、薄く化粧を施している】

こりゃあ年の瀬から稼ぎ物だよっ、大体こういう所のは偽物ばっかなのにさ
馬鹿正直に本物並べちゃって、最近出店した店なのかねぇ? ま、ご愁傷様さねっ

【そんな事を小声で囁けば、浮かれた軽い足取りで、その場を離れようとしていた】

/どちらかご自由に、22時まで募集します
283 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 20:53:29.90 ID:s8HLu95yo
>>282
/下から4行目を訂正
/×年の瀬 ○年始
284 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/13(月) 22:31:33.38 ID:gFF/rY8w0
【鉄の国―――首都近郊都市=z

【ゴウン、と音を立てて首都の近郊に位置する比較的栄えたこの年の上空を一つの巨大な物体が通過していた】
【それは巨大な飛行空母だ………一体どれほどの資金を使って作られたのかは分からないが、圧倒的なスケールのそれは首都へと向けて飛行する】
【先日のGIFTの襲撃を受けてか、かなり大規模な部隊が一度首都へと召集されているらしい―――これも恐らくその一つだろう】
【その様子を………都市内に存在するビルの一つの屋上で、大きなパイプに背を預けながら眺めている人物が一人いた。】

………性懲りもなく軍備増強か、いくらそんなモノを増やしたところでアレ≠フ前ではただの鉄屑
まぁ、まとめて廃品回収できるってんなら余計な手間が省けて結構だがな―――。

さて、俺もいい加減切り替えていかねーと同調≠オきれないし力≠熕ァ御できないだろうな
―――もっと力が必要だ………でなければ奴らには勝てない、次こそはこっちの全てを貫かれちまうだろうな。

【その人物は―――。】
【少し量が多めのウェーブのかかった銀髪で、冷徹な雰囲気を持つ深い闇を落とした紫の鋭い瞳をしており 】
【黒いタートルネックの服の上に灰色で背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の青年だ】

【青年はそんな事を誰に言うでもなく呟くと、コートのポケットからあるものを取り出して眺める。】
【それは、緋色の鷹≠ェ描かれたワッペンであり………青年はそれをひとしきり眺めると視線を一度夜空へと上げた。】
285 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 22:51:52.37 ID:0qiLxfVSo
>>284
【どごん。一瞬、飛行空母の一部で爆風が生じ――そして爆風から何かの影が高速で落下していく】
【そのシルエットは、空から青年の元へと落下していき、パラシュートをすんでで開き、速度を落として更に近づいていく】
【シルエットの両腕が閃き、屋上の突起物に何かが巻きつき、小さい音響と同時にそこに向かってシルエットは導かれていく】
【数秒後。屋上という狭いスペースに落下したそれは、回転する事でダメージを減らしながら、屋上に着地する事に成功した】

「ッ、あぶねーッ、あぶねー!! 死ぬかと思った!!
糞ッ、クソ上層部ッ! まだ死んでないからって何時死ぬかわかんねーってのにッ!!」

【そこにいたのは、1人の女だ。無く荒んだ瞳を持つ、小柄な女】
【プラチナブロンドの髪をボブカットにし、アシメ気味にした前髪を流した髪型、比較的童顔のそれは笑えば愛嬌のあるタイプ】
【エメラルドグリーンの瞳は、薄汚れた人間性と何処と無く見え隠れするお人好しを同居させる】
【服装はアンダーアーマーにベスト、ホットパンツにタイツの黒ずくめ。腰のベルトには大量のナイフと斧が2振り】
【ナイフで背中で絡まったパラシュートを切り、外すと深く息を吸って吐き出し、地面にへたり込む】

「……単身空母に潜入は流石に無理筋だわなあ――。
……こっちコジマだ。取り敢えず潜入したはいいが、即効バレた。軍備も桁違い。
データ送っとくから、それ纏めとけ。OK? ……ん、あたしはちょいと休憩してB地点で一端寝る。
こりゃ、ここで戦争あってもあたし等の隊は下働きが精々っぽいかね。
取り敢えずできるだけ早くお前らも鉄の国から引いとけ、今この国に居て面倒起こすとあたしの評価が下がるからよぉ」

【おもむろに通信機を取り出し、おそらく部下だろう相手に向かい指示を飛ばす】
【そして、指示を出し終えてから、女はふぅ、と息を吐いてぐるりと向き直る。憔悴した顔ながらも、引きつった愛想笑いを浮かべて】

「いやァあはは、申し訳ないッス!
お見苦しい所をお見せしてしまいまして、糞無能力者の私が能力者様の休憩を邪魔してしまいマジ悪いッス!
サッサと消えちまうんで、もうホント勘弁してくれッス、ええ。あの、仕事はちゃんとやってきたんでええ!」

【揉み手に愛想笑いに自己否定。全てが、己の上位に対する謙り、自己保身から生まれる卑屈な行動】
【平均的なGIFTの無能力者の中でも底辺とされる戦闘兵の中でも、この女の媚び諂い方はあまりにも堂に入ったものだったろうか】
286 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 23:01:46.95 ID:WmEGk+2x0
【怪談話も立たなくなってしまった程に廃れてしまった神社】
【訪れる者なんて勿論居るはずも無く、ただただ時を経て風化していくだけの其処だったけれど】
【―――――清んだ童唄が響いていた。子供達が歌っているならば分かるけれど…………どう聞いても女性の発する声】


「――――そうねぇ。もう何時の事かしら
こうしてだーれも居なくなってしまったのは」

【こんな時間、こんな場所で声がするのが異常だと言うのに。更には、神聖染みた気配が漂っているのだから、人が疑問に思うには十分】
【…………しかし、近くに村がある訳でも無い。在ったとしても、嘗ては其処に村が存在していた名残程度】
【其れ故に、此処に訪れるとするならば偶然通った者に他ならないか】
【シンシンと降る雪に雑音も消され、先の童唄だって存外遠くにまで聞こえる筈で】


「巫女も神主も、遊びに来る子だって居なくなってしまったけれど…………
ふふ。あの子の子孫達が元気なら、其れで良いわね」

【此処だけ忘れ去られた時の中。気紛れに散歩でもしていれば、そんな不思議な女と会うことだって珍しくは無い】
【例え境内に入って声を掛けずとも――――来訪者の存在に気付けば、にこりと微笑みを向けて】









【路地裏――――カノッサからただの小悪党まで、数多くの“悪”が潜む其処】
【今宵も又、一つの悪がその場に生じて】

【漂うのは瘴気。その元凶の元へ近づけば近づく程に、身体に怠さや息苦しさを覚える者も居るかも知れない】
【やがて辿り着くのは一人の少女であろう。紅いドレスを纏い、よく目立つ耀きを放った金の髪を持つ其れ…………即ち、悪魔】
【足元に転がるまた別な少女は時折僅かな痙攣を繰り返している事から、まだ息が有る事を伝える】

【――――しかし、アスファルトに転がるその少女をよくよく見てみれば、外傷は一切見当たらず】
【更には口から垂れたと思われる血の跡は、自身の其れでは無いと分かるであろうか】
【何処か楽しげな表情を覗かせる悪魔の人差し指から滴り落ちる鮮血。悪魔が相手に血を飲ませる行為に含まれた意味。――――眷族を作り出す以外他ならず】


「願いを叶えられて良かったわね。これで貴女もずっとなりたかった私達悪魔の仲間入りよ?
――――ふふ。勿論、純粋な悪魔になれる訳じゃ無いけれど
たった数滴。でも、その数滴飲んでしまえばもう十分
一滴飲めば蜜の味。三滴飲めば死に至る――――…………私だって、貴女に毎回毎回血を分け与えてあげなきゃいけないのは面倒だもの」

【未だ滴り続ける鮮血を舌先で舐め取れば、足元に転がる少女へと視線を下して】
【やがて痙攣が治まった事を確認すれば、満足そうに小さな笑みを漏らすのだろう】
【起き上がる気配は無く、瞼も閉じられたままであるが…………しかし、“人間”から離れた存在へと変化した事は確かである】


「――――少なくても、貴女の身体が寿命を迎えるまではもう飲む必要も無くなった事でしょう
良かったわね。人間から変わる事が出来て。良かったわね。人間に嫌われる存在になる事が出来て

――――…………ねえ、あなたはどう思うかしら?」

【不意に振り返れば、この場へと訪れた存在に視線を移す事だろう】
【同じ“悪”ならば何か反応しても良いし――――“善”であるならば有無を言わさず斬りかかるのも良い】
【或いはそのどちらにも属さない所謂一般人が訪れた可能性もあって…………兎にも角にも、この場を訪れた者の行動次第で物語も大きく変わる事か】
287 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/13(月) 23:15:55.22 ID:gFF/rY8w0
>>285

―――あ?

【頭上で響く爆発音、そして屋上へと落下してくるシルエット―――青年はその様子を眺めながら眉を潜める】
【そして少し間をおいてから持っていたワッペンを再び懐へと仕舞い込むとパイプから背を話してパラシュートの方へと歩き出す】
【視線はどこか呆れたような感じで、へたり込んだ女を見下ろす。】

随分と派手にやったな、コジマ。
俺は諜報は頼んだがここまでやれとは言ってないが………他から追加命令でもでたのか?

理解していると思うが、お前には期待していない=\――手柄が欲しいのは分かるが弁えるんだな
それと………その判断は正解だ、俺はこのままこの国を焦土≠ノ変える、巻き添えが御免ならさっさと本部にでも戻れ

【冷徹な瞳をさらに睨み付けるようにしてそう言うと「はっ」っと一度鼻を鳴らしてから再び言葉を続ける。】
【以前、仮面をつけていた時よりさらに鋭さを増した威圧感………潜入の名目で入っていたスカーレットを離反したのが影響か?】

だがまぁ良くやった………それと、邪魔と理解しているのならさっさと立てよ、面倒くせぇな

【そこから一転、どこか穏やかな表情になるとコジマへと右手を差し出す―――立ち上がる手助けのつもりだろうか】
【どこか不安定な雰囲気を纏っているこの男………コジマがその手を取るかは自由だ。】
288 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 23:30:22.39 ID:0qiLxfVSo
>>287
「いやはは、ちょいと追っかけられたんで最後っ屁に指向性爆薬ぶち込んで爆風ごと外出てきたンスよ!
そりゃあもうあたし如き底辺無能力者が能力者様の期待に答えられるだなんて思ってないッスから、ええ本当生まれてきてスイマセンッス!!」

【ダブルの威圧感。それに対して、煤だらけ、血だらけの手を地面にへばり付けて、頭を下げる】
【とにかく怒られる前に全力で謝罪をしておく。これが、コジマの処世術である】
【ある意味で、ダブルの前であろうとなんだろうと、決してブレる事無く小物としての振る舞いを続けられるのは、大物なのかもしれない。小物だが】

「……いんやァ、どうせ本部命令でこういう所に送り込まれるのは決定みたいなもんスからねェ。
最低最悪最弱、不死身のコジマ隊。――単に死なない底辺のゴキブリ共が集まってるだけの掃き溜めなんスけど」

【この国を焦土に変えるという相手の言葉。それを受けて、コジマは諦めたような笑みを浮かべる】
【そう。他の、洗脳されたように能力者に従う他の戦闘兵と違う点が、この女には有る】
【それは、能力者となる事も、大きくなる事も、成長する事も。何もかもを諦めていること】
【ただ、その諦めに対して納得しきれていない鬱屈こそが、コジマの瞳の異様な淀みの源泉となっている】

「…………その、ッスね。マジで申し訳ないんスけど――大丈夫ッスか、ダブル様。
なんか、大分やられてるぽいと思うんスが――、イヤ、あの、何でもないなら今土下座しますッスよ!?」

【コジマの瞳が、一瞬細まる。普段の媚びへつらった色とは違う、何処と無く冷め切った瞳】
【そして、遠慮がちに女はダブルの手を取る。ここで逆に相手の厚意を受けないのは相手の機嫌を損ねると判断したのだ】
【全身爆風の影響でズタズタではあるのだが、不思議な事に致命傷だけ≠ヘ受けていない】
【顔を苦痛で歪めているのに口元には笑みを貼り付ける、筋金入りの愛想笑いを浮かべたまま、コジマはすっくと立ち上がる】
289 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/13(月) 23:33:56.45 ID:QRmAYa5mo
>>286

【陰鬱とした空気と瘴気に満ちた路地裏に広がるのは、薄闇と血の匂い】
【新たな来訪者がそこに齎したのは、緋の彩りであった】

――――別に、人間だとか人間でないだとか、そんな事に興味はありませんわ。
私の興味があるのはその人間≠ニいう枠の中。能力者かそうでないか、ですもの……

【黒のゴシックドレス、胸元には小さな銀の十字架が光って】
【指先から肘の近くまでは純白の手袋に包み、その手の中にはたくさんの彼岸花を抱えている】
【長い黒髪はツーサイドアップにし、脚には黒の編み上げブーツを履いた、そんな女】

……まあ、貴女にはそれを訊ねる必要も無さそうですけれど。
その口ぶり……貴女は私の“興味の外”の存在、そうでしょう?

【彼女と、その足下の少女に向けられるのは冷たい緋色の眼差しで】
【近くもなく、遠くもない。そんな距離に立ち、女の視線はやがて抱えた花の束へと向かう】
【顔の前へ持ち上げたなら、口元を埋めるように抱き締め、深く息を吸った】
290 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/13(月) 23:51:18.65 ID:gFF/rY8w0
>>288

………思い切りがいいのは構わないが、あまり無茶な事は慎め。
それと―――過剰な媚び諂いはかえって相手を不快にすることも覚えておくんだな。

【黒煙が立ち上り、恐らく内部では必死の消火活動が行われているだろう飛行空母を一瞥しながらそう告げる】
【最後は、わざと相手に嫌悪感を与えるようにさらに放つプレッシャーを強くして、吐き捨てるようにそう言う。】

【無能力者、そして能力者という単語に不快そうに一度眉を潜めたが―――それは直ぐに消え去っていた。】

所詮は使い捨てと言いたい訳か………まぁ実験材料≠ノでもなっていないだけ幸せだと思うがな
ああそうだ―――哲学者の卵≠ニやら………聞いたことはあるだろう?それを使ってみたらどうだ?

機関に知り合いがいないわけではない………必要であれば取り寄せるが?
もしかすれば成果が出るかもしれない―――その掃き溜めから脱出できるかもしれないぞ?

―――尤も、お前が憧れる能力者≠ニやらになって、さらに地獄≠見る可能性もあるがな。

【コジマの淀んだ瞳を見つめながら、そのような文字通りの悪魔の囁き≠告げる。】
【確かにGIFTの研究機関でもコジマたちの力は発言しなかったが、それと肩を並べる力を持つ機関の科学力】
【それを使えば力を引き出せるのでは………という事だ。】

余計な心配だな………確かに俺も先日の戦いで身体に風穴は幾つも空いたが
持ち前の身体≠ェ丈夫なんでな、GIFTの医療技術も合わせればすぐに戻るだろうよ………お前もな。

―――そういえば前回の褒美もまだだったか
丁度いい、ここで聞こう………お前は何が欲しい?力≠ゥ?金≠ゥ?それとも立場≠ゥ?

言ってみろ、出来うるかぎり叶えてやろう。

【―――恐らくダブルが負った深い傷は、外面ではなく内面なのだろうが………それは本人も自覚はしていない】
【そして次に話すのは前回のキャラバン襲撃の際の褒美―――恐らくこの男の立場ならよほどでなければある程度与えられるだろう】
291 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 00:01:14.88 ID:QKI/7ru10
>>289
【柔な人間で在れば噎せ返るほどに濃い瘴気。獣であれば、本能で避ける様な一角】
【――――其処に僅かな鮮血の香りも交じれば、正にちょっとした小さな小さな地獄】
【中心に立つのが角を生やした彼の存在や山羊の頭を持った彼の存在では無く、一人の少女なのだから可笑しな話】

【見た目こそただの人間。この時間に外を歩くには危なっかしい印象を与える程度には幼くも見える】
【けれどその実、此処に漂う瘴気の原因でもあって―――――】


「ふふ、結局は人間が対象なのね。面白い話、可笑しな話
――――貴女の言う興味の外が人間以外ならそうなるのかしら
能力者で無い事を指すならそうなるのかしら」

【つい、と細い指が虚空を撫でれば古めかしい本が一冊】
【適当なページが開かれれば中から小さな椅子とテーブルとが召喚され、こんな場所にも関わらずリラックスした様子で腰を掛ける事だろう】
【本の中へと手を伸ばしたならばクッキーを持った皿を取り出して、其れをテーブルの上へと置いた】


「――――それで。道に迷ってしまったならば帰りはその反対よ?
ここから先は進めば進む程、怖いお話になってしまうもの。めでたしめでたしで終わるお話を紡ぎたいなら、貴女のつま先を向ける場所は反対側
向こうに貴女の興味、が在るかは分からないけれど。その十字架も花束も紅く赤く染めてしまいたくないなら、反対側
…………私や、足元のその子が何かする訳でも無いけれど」

【さくり、と軽い音。一度クッキーを食めば暫しの間を置き、再び言葉を紡ぐ事だろう】
【小さく笑ったならば紅茶を啜り、最後の言葉を放って】
【何かする訳でも無い。即ち、攻撃を仕掛ける事は無い。その言葉は偽りでも無い様だけれど】
292 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 00:09:10.83 ID:Z8ZmaoMGo
>>290
「はいッ、了解したッス! ……いや、あのッスね?
昔から口調がこれで、敬語苦手ッスから、せめて下でに出ろってもうぼっこぼっこ殴られてたもんで。
これもう癖みたいなもんなんで、あんまり気にしないでくれると有難いッス……本当スイマセンッス」

【相手の不快そうな様子を、コジマは即座に感知した。この組織に居る以上、そこに何らかの感じる所は有るだろうとは認識している】
【だが、基本的に媚び諂い優越感に浸らせておけば簡単に機嫌を良くする普通の構成員と、目の前の相手が異なることだけは理解した】
【と言っても、骨身に染みた処世術はそうそう抜けるような物ではない為、ついつい己を卑下しつづけてしまうのだが】
【それでも、あまり媚びへつらう様子を見せはしなくなっただろう。不自然では有るが、先程までよりは自然体な様子だ】
【そして、相手に威圧、プレッシャーを掛けられても、内面の芯にそれが響いていない事が、分かったかもしれない】
【まるで、そのプレッシャーがあくまで威圧の為であって女に対して肉体的危険を与える意図の無いことを見ぬいたかのような、不自然さだ】

「――いや、止めとくッス。人には分ってもんが有るッス。
あと……死ぬ間際の自棄にでもならなきゃそんな命を無駄にする真似≠ナきないッスよ。
それに、掃き溜めから見える景色も案外悪くないんス。住めば都ってもんスかね……っへへ」

【向上心の無い馬鹿。だが、悪魔の囁きに乗らないだけの冷静さを持っている女】
【プライドや向上心を欠片も持たない女では有るが、己の分というものを弁える点については一つの才を持ち合わせていた】
【この女は、己の限界をよく知っている。故に、己に出来ないことは何をどうあがいても出来ないことを知っている】
【だからこそ、悪魔に囁かれようが、天使に手を差し伸べられようが。無理と理解していることに手を出すことはない】
【ある意味では、この女のあり方は聡明な愚者といえるかも知れない】

「いやァ……あの、躰じゃなくて……いや、なんでもないッスええ」

【一瞬口答えをしかけるが、女はそのまま言葉を尻すぼみに消していく】
【人を何人も殺し、窃盗をし、拉致監禁拷問上等の悪党であるのに、小悪党≠ゥら脱却できない小物】
【だからこそ見えるのだろうか。傷つく事に関しては、誰にも負けないだろう最弱部隊の部隊長にこそ見えるものが】

「……んーっと……じゃあ特別ボーナスと休暇で良いッス。
ウチの部隊連中も頑張ったんで、アイツらにはあたしからっての内緒で休暇とボーナスくれてやってくださいッス。
偉い地位は不相応、過ぎたる力は自滅するだけ。だったら、金ッス。
……金は金以上でも以下でも無い。人は裏切っても金は裏切らないッスから」

【力を望まず、立場を望まず。求めたものは即物的に過ぎる、金】
【これだからこそ、彼女は彼女なのだろう。不相応な物は必要ないと堂々と口にできる己に対する清々しいまでの割り切り】
【それは、徹底した奴隷という立場に対する適性の現れだろう。だが、奴隷という位置づけで力強く生きる様は、雑草の気高さに通じるものが有るだろうか】
293 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/14(火) 00:32:14.41 ID:IsLUWSDv0
>>292

―――面倒なやつだな、まぁいいそれがお前の強みなのかもしれないな
ただ………今のように全ての奴に通用しないという事は理解しておけよ………?

【少し和らいだとはいえ未だ下手に出るコジマの姿勢に目を伏せながらため息を吐くとそこで言葉を区切る】
【これ以上言っても無駄だろうし………そもそもコジマの本当の内面と言う物を理解していないからだろう】

【二重生活を送っていたこの男は、他者の心の在りようも良く観察するようになっていた―――。】

………そうだな、そんな事はよほどの狂人≠ナなければしようとはしないだろうな
確かに、掃き溜めから見える景色もある―――か、無理をして今の自分を変える事は無いという事だな

―――まぁそれとは別にしてもしカノッサ機関のNp.29カニバディール≠ノ会う事があれば
彼の行動に協力してやれ………こちらの作戦にも協力して頂いているからな

それに―――彼≠フ在り方はお前に繋がる部分もあるだろう。

【狂人=c……どこか心当たりがあるような口ぶりでそんな事を言う】
【そして自分自身を戒めるようにぽつりと呟くと一度夜空を見上げ………少しおいてから切りだすのは機関との協力関係について】

【あくまで参考程度だが、もし機会があればコンタクトを取るのもいいかもしれない。】

―――承った。
確かにそれが一番賢い選択だな、金≠ネらばそれほど己の現在を狂わす事はないだろう

【一度頷くと懐から携帯端末を取り出して何かの文章を打ち込んでそれをどこかへと送信するだろう】
【恐らく件のボーナスと休暇についての連絡だろうが、流石にこの男は仕事が早いようだ―――直ぐに金は振り込まれ、休暇も与えられるだろう】
294 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 00:41:11.68 ID:RDWxeB2Wo
>>291

【見たところ、この女は唯の人間。けれど、瘴気に噎せる様な事はなくて】
【目の前に展開された小さな地獄に動じないのは、自身がそういったものを“作り出す”側であるからで】

私が人間である以上、興味の対象が人間のみとなるのは極めて自然な事ではありません?

それと生憎、私とてそうそう柔な存在ではありませんのよ?
これでもGIFTの一人。力に自信が無い、なんて事は有り得ませんわ。

【能力者至上主義≠掲げる組織、GIFT。その一員である事を自ら明かして】
【細いながらも背は女性としては少し高いもので、腰掛けた彼女を見下ろす形となる】
【カツン――――と、足音が響く。それは帰っていくものではなく、更に踏み出していくもの】

この様な立場で生きている以上、そう平和的な事ばかりで済ませていけるだなどとは思っていませんわ……
それに、興味の外とはいえ人間でない存在なんて、頻繁にまみえるものではないでしょう?
このまま何もせずに帰る、というのも些か勿体無いですわ。

――――と言っても、別にこちらも殺し合おうという訳ではありませんが。

【一歩、また一歩と踏み出す度に、足下に緋色の花が現れる。きっとそれは女の能力なのだろう】
【帰る気もないが、戦う気もない。要するに少し、この場に留まるつもりで】
【口元に笑みを浮かべて、妖しく光る緋色の眼を彼女へと向けていた】
295 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 00:54:46.57 ID:Z8ZmaoMGo
>>293
「今の環境も、昔に比べりゃ天国みたいなもんスからねぇ。
少なくとも、給金入って飯食えて酒飲めて、煙草吸えれば十分ッスから、あたし」

【今の虐げられる環境を、天国とすら言ってのける女】
【そも、この女がこの世界に求める物自体、そう多くないのだ。日々の食事と晩酌と喫煙ができれば、それで十分】
【これが、もっと強欲であったならば。きっとこの女は既にこの世には居なかったろう】

「……うす、了解したッス。カニバディールサンッスね。
汚れ仕事でもなんでも有りの私の同類ッスか……? ……それでナンバーズなんて偉い人になれるなんて、すごいんスね」

【己に繋がるあり方で、ナンバーズになどなれるのか。そう女は感心した】
【ただ、それは己ではない。だから、女はそんな立場は望まないでおこうと思った。単純に感心したのみで、女は羨望を抱くことすら、無かった】
【女は血だらけの手を敬礼の形にして、了解の意志を示した】

「へへへ、取り敢えず給料が入ったら偶に良い店に連中連れてってやるッス。
部隊の福利厚生は士気を上げるにゃ良い手段ッスからねー。
……ありがとうございますッス。何時死ぬかわかんないッスからね、自由も金も有るに越したことはないッスから」

【夢があるわけではない。目的が有るわけではない。ならば、なんのために生きているのか】
【コジマは、生きるために生きている。そして、生きるために必要な物は、この人類社会においては命と金が有れば大丈夫だ】
【あとは、有意義だとかそんなどうでも良いことは気にせずに。この自堕落な底辺の人生を這いずるだけ】
【死と隣合わせの世界で呑気に生きる図太さ。目の前の強者はすごいと思う、だがそうはなれないのだから、そうなりたいとは思わない】

「――んじゃ、行くッス。休暇とボーナス、ありがとうございましたッス。
あと、良ければで良いんスけど。鉄の国滅ぼしたら、一回ダブル様と飲ませて欲しいッス。
…………怒られるかもしれないッスけど。命を無駄にする奴は、能力者だろうと無能力者だろうとクズッス。
生きていれば、チャンスはまた来るッスよ。もしダブル様が、命をかけてだとか、そういう事を考えているなら、よした方が良いッスよ。
……有終の美とか、死の美学とか、晩節を汚すとか知ったこっちゃないッス。世の中、生き残ったもん勝ちッス。死ななきゃ良いんス。
偉そうなこと言ってスイマセン。でも、生きることは、悪じゃないんス。…………たとえ、存在を赦されていない無能力者でも、ッス」

【かつん、と一歩を踏み出したコジマは、ふと振り向いて口を動かす】
【口から次いで出たのは、命の大切さを彼女なりに語ったもの。生きることは悪じゃない=z
【それを言い残して、コジマは姿を消す。数十階のビルから躊躇いなく飛び降りた彼女は、そのままワイヤーを駆使して路地の闇に飛び移り消えていくのであった】

/*お疲れ様でしたー!*/
296 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 01:03:03.99 ID:QKI/7ru10
>>294
【クツクツと笑えば自然な動作で紅茶を啜る事だろう】
【――――至極普通。その容姿に合った仕草。優雅とは言えずとも、不自然の欠片も無い】
【何も知らぬ者が訪れれば、ただの世間知らずの子供と思うほどには】


「GIFT……ふうん。何度かお話には聞いて居たけれど、やっぱり十字架なのね
私、十字架ってあまり好きじゃ無いのよね。でも、だいっ嫌いでも無いの。だって、何処かの救世主を張り付けにしたのでしょう?
ふふ。だから、嫌いじゃ無いの。たった二つの木の組み合わせで出来る其れが、今まで何人の命を奪ったのでしょうね」

【吸血鬼や悪魔は十字架が嫌いだ、なんて話は良くある事。当然、この悪魔もまた嫌いはするが】
【其れがダメージへと繋がる事は無い。手を伸ばすほどに好む訳でも無さそうだが、語る言葉はどうにも捻くれていて】
【教会の主たる存在を張り付けたから、好きだ。絶命するまで晒し者にしていたから、好きだ】
【――――好む理由が人の生命に関わっているのだから、やはり捻くれている】


「さあ、どうでしょうね。周りを見てみればもしかしたら人間じゃない存在だらけかも知れないわよ?
私が指を折って数えてみれば…………足りない位には、沢山知り合いが居るの
前に私の事を斬った子とか、帽子屋さんとか、お肉屋さんとか…………あら、いけないわね。お肉屋さんは人間だったわね」

【漸く、地べたで寝ていた少女が起き上がった】
【心此処に在らずといった様子。目の焦点も合わないままにフラリフラリと歩めば、やがては悪魔の側にペタリと座って】
【ぼう、と女性を見上げはするものの何かアクションを起こす訳でも無い。…………まるで人形。覚醒までには時間を要する】


「――――でも、お話ししたいと言ってくれるならば嬉しいわ
この子も暫くはまともにお話出来そうに無いのだから…………これから少し、退屈になりそうだったのだもの」

【近寄る事を拒みはしない。寧ろ、幼い笑みを零して】
【少女がじいっと向けて居た視線も失せれば、今度は砂遊びを始めた】
【外見から判断すれば、歳は十六か其処等であろう。目覚めてからというものの、それ以下のまだ未熟な年齢に見えるが】
297 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/14(火) 01:10:30.76 ID:IsLUWSDv0
>>295

それならいい………。
幸せなど人によって違うモノなのだからな―――。

【コジマの言葉に少し口の端を緩ませながら答える、それはどこか満足げな表情だった―――。】
【細めた瞳は、悲壮感すら感じる程に暗い闇を抱えたままであるが………コジマに対してのプレッシャーは和らいだ】

【―――彼が今の生活を幸せに思っているかは分からないが。】

まぁそんな所だ………容姿などは初見だと驚くかもしれんがな。
彼は強かだよ、お前と同じように自身の力量を上手く勘定に入れて行動、思考が出来るタイプさ。

一度会ってみて損はない―――。

【よほどその男を評価しているのか、この男にも何か通じる者があるのか………絶大の評価をしている】
【確かにカノッサ機関とGIFTでは組織の在り方も異なる―――もしかすればコジマに対しても何か変化をもたらすかもしれない】

………そうするがいい、特にお前たちのような兵はどのような過酷な任務を与えられるか分かったものではないからな
これによる一層の戦果を期待させてもらうとしよう。

―――嗚呼、そうだな………是非飲ませて貰うぜ、いい加減吐き出したい事も山々だしな
まぁお前もそれまで死なないように気を付けるこった………んじゃあな、コジマ………生き残れよ。

【………最後に、彼の本来の性格なのか、年相応のどこか軽薄な口調でコジマに答えると彼女を見送り】
【自身もまた―――闇の中へと姿を消していった。】

//お疲れ様でした!
298 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 01:36:01.23 ID:eSsRx3Iqo
>>296

……ええ。十字架をシンボルとしていますから。
ですが、そういった理由から、という事なら私達の考えとはあまり合わないでしょうか……
何せ、こちらは私達に能力を授けてくださった神≠信じるわけですもの。

――――聖戦や異端狩り、単に“宗教のシンボル”として見ても十分に血塗られている、と言えるでしょうね。
そして、十字架の奪った生命にはGIFTの活動によるものも含まれる、と。
そう考えると案外、機関よりも恐ろしい物なのかもしれませんわ……

【小さく笑い、そっと銀十字を純白の指先で撫でる。その様子はどこか虚ろでもあって】
【何事か思う事もあるのだろうが、吐息と共に捨て去っていく】

【歩みが止まった。近いとは言える距離だが、ギリギリ手は届かないような、そんな位置】
【どうにも壁を一つ置く様な、そんな振る舞いであった】

フフ……生憎、私は知り合いはそう多くありませんの。人見知り以前に、無能力者は殺してしまいますし。
どうやら、随分と貴女の方が顔が広い様ですわね……
それにしても、“そちら”に数えてしまうだなんて、変わった肉屋もいるのですのね?

――ですが、こう言っている私自身が、本当は人間ではなかった、なんて事も有り得なくはありませんわね。

【少女にはチラリと幾度か目を向ける事もあったが、やがて視線が他を向けばそれもなくなった】
【“知り合いが少ない”というのは、きっと先からの壁を作るような様子もあっての事なのだろう】
【人間――今回は相手は悪魔だが――に対して半ば無意識的に身構えてしまうような、そんな性格が垣間見えて】
299 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 01:53:58.46 ID:QKI/7ru10
>>298
「あら、能力が無くたってこの子みたいに後から能力を植え付ける事が出来るわよ
――――なーんて言わなくても、貴女達の方が其処は詳しそうだけれど
私はその場に居なかったから詳しくは分からないし、行きたくても中々行く機会も無いけれど
…………最近、面白いお友達が増えたのよ。その人の物から、貴女達やカノッサとかのしてる事は、ちょっぴりだけ分かってるつもりよ
ふふ。私や眷族達と会う事がよろしくね」

【後から能力を発現させる事が出来る――――きっと、その事はGIFTが良く分かっているのだろうか】
【そして、砂を弄る少女も又女性からすれば“元は”忌むべき存在だったなんて言葉】
【所詮は悪魔の与えた力だ。本人がより良い人生を送れる筈は無く、寧ろその逆の破滅をもたらすの事に違いは無い】
【小さな手が頭を撫でたって殆ど無反応。チラリと見上げはするが、何かを語る様子も無い】


「――――折角お話が出来そうだったのだけれど、“呼ばれて”しまったから行かなければいけないわね
貴女だって直ぐに死ぬつもりは無いでしょうし、又何時か会いましょう?
其れが何時になるのかは誰も分からないお話だけれど…………又、何時か」

【再び、指が虚空を撫でる。次に何が起きるかと思えば、召喚した時とは真逆の出来事】
【テーブルも椅子も消え、皿も失せる。釣られるかの様に本へと歩み出した少女も忽然と姿を消し】
【残った悪魔は、静かに微笑みかける事だろう。又何時か、時が来れば】
【そんな言葉を残せば自身も本へと手を伸ばし――――やがては、其れ事姿を消した】

/申し訳ないです……今日は早朝に起きなければならない故、早いですが失礼させて頂きたく……
/お相手、有り難う御座いましたですよ!おやすみなさいませー!
300 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 02:18:23.49 ID:f4w+2Ksso
>>299

ええ……方法はありますわ。ですが、それをしようともしない者が多すぎるのですわ……
そういった者が我が物顔で居座っているようではいけませんわ。力による支配を行うべきなのです。

ええ、わかりましたわ……と言っても、貴女はいいとしてもその眷属の方を見てそうとわかるか……
まあ、その時はその時で、対処しますわ。

【語る言葉はやはり、GIFTの思想に基づくもの。この女も、どこまでいってもGIFTの人間に変わりない――のだろうか】
【ただ、彼女に言われて少女に目を向けた際、ほんの少し、哀れむような感情がそこに見えた様な、そんな風にも見えた】

――――それでは私も戻ることとしますわ……
ええ、また、何時か……

【去り行く彼女達に薄く微笑み返したなら、踵を返してまた歩き出す】
【先ほどとは反対に、現れた花々は霧の様に消えていき、残ったのは手の中の花束だけ】
【しかし終にはその花束もまた、消え去って。路地裏にはまた、陰鬱とした黒々しい闇が広がっていった……】


/お疲れ様でしたー!
301 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 22:48:29.27 ID:QKI/7ru10
【路地裏。日々諍いが絶えない其処は、冷たいアスファルトの血が乾くことも早々無い】
【今宵もまた、一つの悲鳴と共に大量の鮮血が辺りを濡らして】


「わた、し…………私…………?
私が…………したの?」

【元は人間であったのだろう其の肉塊。名残は服と思われし布きれだけ】
【其れを前に呆然と立ち尽くすのは一人の少女だ。蒼色の髪と双眸を持った少女】
【手から滴る血は決して自傷の物では無い。得物を幾度となく叩き付け、抉り、裂いたが故の証】
【顔を朱の液体が汚すだとか、纏う物を濡らすだとか微塵も気にする事は無く、ただただ己が人を殺めたという事実だけを確かめていた】


「この人にも家族が居て、待ってる人が居て…………でも、私が…………?」

【臓物は辺りに飛び散り、肉片はアスファルトの欠けた部分を埋め。――――要は惨事】
【素手で此処まで出来る者など、人間ではそうは居まい。だが、事実この少女は獣人の特徴たる耳や、また別な種族を示す角等の特徴も無い】
【…………言うなれば、僅かに感じる瘴気だけが異質。ただ、僅かにでも感じ取れる其れが、決定的な物ともなろう】

【悪魔になりきれない悪魔。微弱な瘴気は元は人間であったのだろうと察するには容易いこと。詰まる所、人間が何らかの理由で悪魔に近い存在へと変化した事】
【ペタリと地面に尻を着けてしまえば、呆然と自身の手を見つめるのみ】

【この少女が何かに巻き込まれたか、其れともこの少女こそが犯人と見抜くか、また別な考えを抱くか】
【――――この場を訪れた者が何を思うかは、分からないけれど】









【怪談話も立たなくなってしまった程に廃れてしまった神社】
【訪れる者なんて勿論居るはずも無く、ただただ時を経て風化していくだけの其処だったけれど】
【―――――清んだ童唄が響いていた。子供達が歌っているならば分かるけれど…………どう聞いても女性の発する声】


「――――そうねぇ。もう何時の事かしら
こうしてだーれも居なくなってしまったのは」

【こんな時間、こんな場所で声がするのが異常だと言うのに。更には、神聖染みた気配が漂っているのだから、人が疑問に思うには十分】
【…………しかし、近くに村がある訳でも無い。在ったとしても、嘗ては其処に村が存在していた名残程度】
【其れ故に、此処に訪れるとするならば偶然通った者に他ならないか】
【シンシンと降る雪に雑音も消され、先の童唄だって存外遠くにまで聞こえる筈で】


「巫女も神主も、遊びに来る子だって居なくなってしまったけれど…………
ふふ。あの子の子孫達が元気なら、其れで良いわね」

【此処だけ忘れ去られた時の中。気紛れに散歩でもしていれば、そんな不思議な女と会うことだって珍しくは無い】
【例え境内に入って声を掛けずとも――――来訪者の存在に気付けば、にこりと微笑みを向けて】
302 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/14(火) 23:02:17.54 ID:XY7oM0jpo

【人のほとんどいない公園、ベンチに一人腰掛ける姿があった】

【風に靡く手入れの行き届いた金髪、澄んだ碧の眼】
【そして光沢のある切り揃えられた爪を持つ――――――――男であった】


【黒の軍服に黒の制帽、胸元には何処かの自警団のバッジ】
【長めの髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげの二房は長く垂らしたまま】
【香水でも使っているのか爽やかな香りを身に纏い、何やら手元に置いた紙を見ながら端末を操作していた】

――――あんまり有力な情報はない、か……
ま、相手が相手だからそんなに期待してなかったけど。

【溜め息を一つ吐いたなら、紙を折り畳んでポケットに仕舞い、軽く俯いて】
【そのまま瞼を閉じたその様子は、居眠りしている様にも見えなくはない、だろうか】

【しかし本人は全く眠ってなどいないから、誰かが近付いて来たらそちらをチラリと見遣る事だろう】
303 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/15(水) 02:22:40.91 ID:bmdRjRaOo
【とある草原】

【それは郊外から少し歩いた場所にあり、街の灯りと遠くに山々を望め】
【涼風に吹かれ揺れる草は青白い月に照らされて、夜といえど明るく】
【草に混じって淡い光を零す白花が咲いており、それを摘む人影が在る】

【モノトーン調の緩い服装にストールを巻いた、白皙の青年】
【淡い茶色のソバージュに、何処か深い淀みのある紺碧の目】
【左手の薬指に、ルナトリウム製の黒い指輪を嵌めている】

【草原にしゃがみ数輪を摘んだ青年は、それらを見つめて顔を綻ばせ】

……兄さんに、持って帰ろうっと。喜んでくれるかな?
ふふ、ふふふっ……きっと喜ぶよね、僕の兄さんだもの。

【恍惚とした表情で、淡く輝く白花の向こうに、誰かの姿を想起していた】


【所変わって、夜市場】

【軒を連ねる屋台は煌々と明かりを灯し、活気付いた声が聞こえる】
【青果、鮮魚、穀物、宝石商、雑貨、その他軽食と、種類には事欠かないだろう程】
【だが、一部で不穏な輩がいたらしく、「宝石を盗られた」と怒声が響いた】

【そんな折、被害にあった屋台からそう遠くはない位置で】
【綺羅びやかな宝石をそっと懐に仕舞い、ほくほくとした表情の人物がいる】

【ゴシック調のワンピースの上にマントを羽織った、十歳程の小柄な少女】
【赤毛の髪をお団子に纏め、猫にも似た丸い紫の目に、薄く化粧を施している】

こりゃあ年の瀬から稼ぎ物だよっ、大体こういう所のは偽物ばっかなのにさ
馬鹿正直に本物並べちゃって、最近出店した店なのかねぇ? ま、ご愁傷様さねっ

【そんな事を小声で囁けば、浮かれた軽い足取りで、その場を離れようとしていた】

/どちらかご自由に、リミット7時です
304 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/15(水) 19:25:10.77 ID:bmdRjRaOo
【とある草原】

【それは郊外から少し歩いた場所にあり、街の灯りと遠くに山々を望め】
【涼風に吹かれ揺れる草は青白い月に照らされて、夜といえど明るく】
【草に混じって淡い光を零す白花が咲いており、それを摘む人影が在る】

【民族調の黒いディアンドルを纏い、前髪で右目が隠れた気弱げな少女】
【腰までの緩く巻かれたローズブラウンの髪、左目はグリーンの大きな瞳】
【その傍には、鎧を纏った青年のケンタウロスが、少女を守るようにして佇む】

お屋敷に飾る分、ジュリアスにあげる分、……あ、あとリヒャルトさんにも。
――……どうしたの、ロナン? ……人の匂い? 誰かいたのかな……?

【ケンタウロスが周囲を見回した動作に気が付けば、少女はその言葉を読み取って】
【これから訪れるかも知れない人間の気配とは別で、先程まで誰かがいたらしく】

【少女は「まぁいいか」なんて零して、手元の花を輪に編み込む作業に集中し始める】
305 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/15(水) 20:20:23.11 ID:c21n2ojE0
【雷の国 路地裏】

――――僕の言えた言葉じゃないけど、とんだ化け物だな貴様ぁ!
いくら僕だって、人の死肉を喰らったりはしない……貴様も、あのカニバディールの類かぁ!?
「……ッ、クズの見た目してる割に……ッ、無駄にあがいて、何をするつもりなのよ!
さあ……黙って私に喰われなさい!」

【華奢ながらも筋肉の浮き出た色白な上半身を晒す様に、ワイシャツだけをボタンも留めずに羽織り】
【下半身はジーンズとスニーカーで固め、腰回りに大量のチェーン装飾を巻き付けた】
【くすんだ水色の髪を前髪ばかり長くした、身長170cm前後の青年と】

【身の丈に合わせて設えられたと思しき、ハードレザーとソフトレザーを組み合わせた黒いスーツで全身を覆っている】
【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女が】

【狭く暗い路地裏の中にあって、互いに殺意と攻撃をぶつけあいながら、激しく戦っている】

【少女は肩からジャッ――――という中低音を響かせながら、収束した光を青年へと向かって放つ】
【右手に、全体が銀色に輝くを握り締めた小刀を握り締めた青年は、その場に黒く溶ける様にして光を回避すると、再び身体の像を結び、黒い光弾を発射する】
【それを撃ち込まれた少女は、身体の前面に淡い光の膜の様なものを展開し、飛来する光弾を拡散させる――――】
【――――常人では有り得ないその戦いは、彼らが特別な力を身につけている事を、雄弁に物語っていた】

……未だにカノッサの連中が敵でしかないなんて、因果なものだねぇ……ッ!
「まともな生き方してる様にも見えないのに、同族嫌悪って奴かしら!?」

【両者の力はほとんど拮抗しており、故に戦闘は互いに大した有効打を与えられずにいる状況にある】
【何らかの形で介入する何かがあった時、彼らの戦況もまた動き始めるのだろう】
【その時、その『介入』は、どちらの背中を押す事になるのだろうか?】
306 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/15(水) 21:09:58.54 ID:NS5kWCG/0
>>305

【二人が激しく戦っている場所にふらりと歩いてくる足音が聞こえる】

 まったく、路地裏とはいえよくやるもんだ

【そのようにぼやきながら歩いてくる】
【だるそうな雰囲気の男性】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある】

 なっかなか双方攻め切れてないらしいな
 どちらも実力者ってことかな

【そのように言葉を作り戦っている二人のところへと歩く】
【とくにどちらかに肩入れをするわけでもなく二人の戦いを飛び火しない場所で見物している】
【二人が特別な力を身につけていても男はおびえるわけでもなくただその戦いを見学していた】

 よくまあ飽きずにやってんなあ

【男は不敵な笑みを浮かべながら戦っている二人に向かって言葉を言う】
【その言葉は少々挑発的なものであった】
307 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/15(水) 21:34:33.73 ID:c21n2ojE0
>>306

同族で結構さ……どの道、貴様が敵である事は変わらないよ!
「……いや、同じなはずはないよね……所詮、お前も負け犬のクズに堕ちるだけよ!
私は、負けてはやらない――――!?」
――――ッ……!!

【今度は真っ向から殴りかかる少女に、青年は手の中の小刀を逆手に持ち替えて、その拳を迎撃する】
【ガキィッ――――と、金属同士のぶつかり合う、鍔迫り合いの様な状態になり、2人はそのまま互いに相手を押し込めようと力を込めていった】
【そうして再び拮抗状態に陥る2人だったが、そこに更に別の人物が現われた事を悟ると、咄嗟に後方へと飛びのき、距離を開く】
【――――正体の分からない何者か。その姿を大まかにでも確認しなければ危険だと、敵対する2人の思考が一致したのだった】

……『GIFT』……?
「……っ、よりによってこんな時に……!」

【今まで戦っていた相手へと警戒の視線をチラチラ送りながら、やってきた男性の姿を確認し、それぞれに顔を顰める】
【エンブレムの意味は、争っていた双方共に知識として持っていたらしく、それだけである程度の人物像に察しがついたようだった】

……見世物じゃあないんだ……面白がるだけだったら、邪魔だよ……!
「……『目くそ鼻くそを笑う』って奴よね……そっちもまともじゃないわ……!」

【大抵、こうした場に顔を出して思う所があったのなら、まずは戦闘を止めさせるか、それでなければ自らも戦端へと飛び込んでくるものである】
【お節介な――――ニュアンスは違うが、これは2人の共通認識でもあった――――正義を語る能力者などなら、尚更その傾向が強い】
【あるいは、殺人狂やバトルマニアと言った類の人物と言う事なら、やはり戦闘そのものに対する反応は大なり小なり起こすもので】
【そのどちらでもないと言う事は――――自分たちの様を娯楽として受け取っていると考えるのは、それほど不自然でもないだろう】
【どういった事情があって、2人が争っていたのかは分からないが、ともかくそうした男性の態度が共に気に入らないと言うのは、リアクションとして表われていた】
【――――2人共に、睨みつけるような視線が男性へと向けられていたのが、その何よりの表れだろう】
308 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/15(水) 22:23:38.47 ID:NS5kWCG/0
>>307

【姿を確認され所属を言い当てられ自分のパーカーの袖口のGIFTのシンボル金十字架のエンブレムを確認するように見た】
【何気なくそのように確認してゆっくりと再び二人を見た】

 まあ、俺には見世物みたいなもんだよ
 黙って見てりゃあ後々敵対する相手の戦い方がわかるからな

【言った言葉はたしかに本音だ、とはいえ男は二人の戦いをほぼ見れなかったが】
【結局のところこの場に顔を出したのは興味であり特に理由があったわけではない】
【だれが戦っているのかそれに興味がわいたとはいえ男は戦闘狂ではない】

 べっつにあんたらカノッサを笑ったことはないんだがなあ
 笑えるようなこともしてないし

【少女が言った言葉をなかば認めるような発言をする男】
【深くGIFTの能力者至上主義を信じているものなら即座に少女の言葉を否定するだろう】
【だが男は少女の言葉を無条件に認めたのである】
【なぜそのように言うのか聞いてみれば答えるかもしれない】

 しかしまあ、二人ともそれなりに実力があるらしいね
 ああ、あの戦いを見ていればわかるもんさ

【二人が互角に戦っているところの一部始終を見ていた男はそのように言うだろう】
【その言葉には素直な賞賛が入っている】
309 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/15(水) 22:53:47.49 ID:c21n2ojE0
>>308

……そんな事を真っ向から言われて、まともに戦闘を続ける奴がどこにいる……!

【あっさりと敵意を露わにする男性に、青年は苦虫を噛み潰した様な表情で向かう】
【興味半分後学の為の観察半分といったところか。ともあれその様に面白がられる為に戦っている訳ではない】
【青年の苛立ちは、そうした男性の態度に対する物だと言うのが適切だろうか】

「……そうよね。大見得切って旗を上げた割には、大した事の出来てないお前たちこそ、笑われる立場って言うのが、普通よね……!?」

【鼻白む様にして言葉を返す少女。機関の一員として、やはり利害の対立する『GIFT』には良い感情を持っていないのだろう】
【元より、既存の秩序と相容れない立場であると言う事は共通しているのだが、それでも、結局のところ『敵』である事に変わりはない】
【多少の皮肉を織り交ぜながら、少女もまた男性に対して殺意を見せる】
【悪意を以って――――少なくとも、自分たちに不利益な目的で――――側にいる男性は、少女にとって邪魔以外の何物でもなかったのだ】

…………
「…………」

【チラリと、互いにもう一度視線を飛ばす2人。警戒と敵意が変わらず、その瞳に色を宿していたのだが】
【そこに微かに、意志を確認する様な表情が宿っていた。彼らも彼らで、状況を計りかねているのだろう】

「――――もっと基本的な事を考えておくべきなんじゃないの?
……戦場に、観客席なんて無いって事をね……ッ!!」
……………………ッッ!!

【わずかに身体を斜めに逸らして、少女は男性の方へと視線を向けると】
【その肩から、光が収束した光弾がビュン――――という中低音と共に、男性へと向けて1発発射される】
【更に、ほぼ同じタイミングで、青年の方も男性へと1発、黒い光弾を発射する】
【それが、再び状況が戦闘へと変化する合図だったのだろう。2人はそれを号砲として、再び構えを取る。だが、互いに向くのは正面ではなく、自分以外の2人を見据える角度――――】
【明確に、男性を『第三勢力』として見做したのだった】

【――――放たれた光弾は、青年の物は速くて威力が弱く、少女の物はそれよりは遅く威力はそこそこである】
【ほぼ同時発射された2発の弾だが、着弾には多少のラグがあるだろう】
310 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/15(水) 22:56:02.88 ID:yZJrl4DO0
【夜も遅くなったにも関わらず、賑やかな街】
【露店やら何やらが所狭しと並んでいて、眺めるだけでも楽しい気分にさせそうな其処】
【様々な人々が入り乱れるのだが、その中でも一際珍しい職の者――――教会に属する者が人混みを縫うように歩いていて】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも年明けに話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば去年も大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとする事だろう】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】








【路地裏。日々諍いが絶えない其処は、冷たいアスファルトの血が乾くことも早々無い】
【今宵もまた、一つの悲鳴と共に大量の鮮血が辺りを濡らして】


「わた、し…………私…………?
私が…………したの?」

【元は人間であったのだろう其の肉塊。名残は服と思われし布きれだけ】
【其れを前に呆然と立ち尽くすのは一人の少女だ。蒼色の髪と双眸を持った少女】
【手から滴る血は決して自傷の物では無い。得物を幾度となく叩き付け、抉り、裂いたが故の証】
【顔を朱の液体が汚すだとか、纏う物を濡らすだとか微塵も気にする事は無く、ただただ己が人を殺めたという事実だけを確かめていた】


「この人にも家族が居て、待ってる人が居て…………でも、私が…………?」

【臓物は辺りに飛び散り、肉片はアスファルトの欠けた部分を埋め。――――要は惨事】
【素手で此処まで出来る者など、人間ではそうは居まい。だが、事実この少女は獣人の特徴たる耳や、また別な種族を示す角等の特徴も無い】
【…………言うなれば、僅かに感じる瘴気だけが異質。ただ、僅かにでも感じ取れる其れが、決定的な物ともなろう】

【悪魔になりきれない悪魔。微弱な瘴気は元は人間であったのだろうと察するには容易いこと。詰まる所、人間が何らかの理由で悪魔に近い存在へと変化した事】
【ペタリと地面に尻を着けてしまえば、呆然と自身の手を見つめるのみ】

【この少女が何かに巻き込まれたか、其れともこの少女こそが犯人と見抜くか、また別な考えを抱くか】
【――――この場を訪れた者が何を思うかは、分からないけれど】
311 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/15(水) 23:47:48.38 ID:NS5kWCG/0
>>309

 ああ、だからわざといった

【青年の苛立ちその原因くらい男にはわかっている】
【自分の態度だ面白がっているように見える態度を取っているからだ】
【まあ、わざとやっているのだと思うが】

 おいおい、六罪王を失ったりして最近大きな動きもできないカノッサにゃあ言われたかねえよ

【その皮肉に対して男は怒った様子もないがそのように言った】
【怒る気は特にないのだがこのまま言われっぱなしのもしょうには会わない】
【だから言い返したあんまりやる気なさそうな声だったが】

【状況を図りかねている二人に男はあくびをしたが特になにもすることはなく】
【そして視線を向けられて男は何かしてくるのかと警戒して】
【攻撃をしてきた最初に少女が遅れて青年が光弾を撃ってきた】
【ちょっと油断していたのがあったが男はすぐさま回避する】

【まず早い光弾のほうをあわてて体を横に反らさせて回避をして】
【もう一方のはブリッジ方になって回避をした】
【そしてブリッジから後ろ回転して構えてきてこちらも見てくる二人】

 まあ、ここに来たんだ巻き込まれるわなあ
 じゃあ、ちょっとやってみるか

【そう言うと同時に二人に向けて指をさした】
【そしてその指に光が収束し発射されるそれはレーザービームというやつだ】
【威力は高いしかし少々レーザーの速さは遅い】
312 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/16(木) 00:17:05.65 ID:v0voVbBH0
>>311

…………ッ

【こうした挑発は、どうも腹に据えかねる――――そう言いたげな、表情は緩いままの舌打ちが漏れた】
【感情的になりきらないままに、それでも苛まれると言った態度だ】

「……確かにそうね。『トップが仕事しない』よりはマシだけど、いなくなるのも痛手よ」

【口元で笑みを作りながら――――その目は全く笑う事無く、少女は男性を見据える】
【機関は確かに最近は過渡期とも言うべき小康状態にある。それは少女も認める所なのだろう】
【だが、それに乗っかって。少女は『GIFT』を「上意下達の統率が取れない散発的な組織」だと、鼻で笑ってみせる】
【六罪王の欠員は、組織の在り方にまで損傷を与えていないと、軽い態度を交えて言い放った格好だ】

……流石に……
「……これで終わる様な賑やかしじゃ無いわよね……!」

【それぞれの牽制が回避されて、微かに表情が渋くなる2人】
【自ら好んで足を運んでいる時点で、言わずもがな事かもしれないが、そのまま死ぬような人物ではなかったのだろう】
【パワーバランスは妙な形で難しくなっている。それをはっきりと理解させられた】

「――――ッ、ここだッ!」
……っ、まず……ッ、ッグゥァ……ッ!

【男性の反撃を見据えて。少女は咄嗟にこの状況を『チャンス』と読んだ】
【どうしても男性へと意識を集中してしまうこの瞬間を狙い、少女は青年に対して自らもビームを発射したのだ】
【男性へと気を取られた青年は、少女のビームに対する反応がおろそかになり、回避し切る事が出来なかった】
【そうして隙を作ると、少女は男性のレーザーを悠々回避し、大きく後退する――――そのまま、闇の中へと紛れてしまうのに、時間は必要なかった】

ッ……ぁぁぁぁああああああッッ!!

【一方の青年は、少女のビームがクリーンヒットしてしまった事もあり、体勢を大きく崩していた】
【そこにレーザーは飛来し、青年の身体を掠めて更に痛めつけていく。一瞬の隙を突かれ、状況は完全に一変したのだ】
【だが、青年もそれでは終わらせない。痛みすらも吹き飛ばさんとする様にその場で慟哭とも取れる様な絶叫を放つと】
【その場に、黒く巨大な刃が形成され、男性目掛けて一直線に発射された】
【地面を割り裂きながら発射されるその刃は、人間を両断してしまいかねない程の大きさを誇っており】
【動きこそ一直線だが、そのスピードも侮りがたいものがある、青年の得意技の1つだった】

【――――そうして、その攻撃発射に紛れて、青年の身体が闇に――――自らの影に溶け込む様にして消えていく】
【状況の不利を悟って、早々に撤退に掛かった様だった。少女に横やりを入れられて劣勢に立った時から、既にそれを腹に決めていたのだろう】

【――――まるで幻だったのだろうかと思わせるほどに、彼らの行動は早く、その場から姿を消していた】

/すみませんが、そろそろ落ちなければならない上に、明日明後日来れるか微妙なので、これで〆とさせていただきます
/短いですが、乙でしたー!
313 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/16(木) 00:30:33.51 ID:WUSJS4bZ0
>>312

 おうおう、逃げ足速いなあ
 まあ、これでいいもんかなあ

【二人がそれぞれ自分の手段で撤退するところを男はとくにどうすることもなく】
【それ以上介入してもよくないと判断したのだろう】

 しかしまあ、めんどくさいな
 敵は増える、いやここに入ってから覚悟てるしいいか

【男は少々の考え事と言葉をつぶやきながら歩いていく】
【そして闇の中に消えていった】

/お疲れさまでした
314 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/16(木) 02:51:52.52 ID:aTXJ8vXGo

【夜の街、喧騒からは少し離れた広場】
【設置された自販機の前、片手をポケットに入れて立っているのは一人の男】

あと一人、か……だけどこいつが一番、情報も無いし大変そうだな……
黒髪で白い服着た子供なんて普通にいるからなぁ……

【疲れた様な溜め息を一つ、取り出し口から出したのは、温かいコーヒーの入った紙コップ】
【啜りながら歩く先にあるのは、誰も座っていないベンチ】

【黒の軍服に黒の制帽を緩く着崩して、その胸元には何処かの自警団のバッジが光る】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげの二房は長く垂らしたまま】
【コーヒーの薫りに混じるのは、爽やかな香水の香りで】

あとは……怯えていた僧侶≠ニプシー≠チてワードか……

――――ダメだ、何も思い付かねえ。虱潰しに探して回るしかないのか……

【手帳を開いて眺めてはぶつぶつと独り言が絶えない様子は、昼間ならきっと不審がられる程であって】
【ぶつぶつ、とは言ってもそれなりに声は出ているものだから、今も通りがかる者がいれば怪しく思うかもしれず】
315 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/16(木) 03:35:55.66 ID:+sCkEPMyo
>>314
【遠く聞こえる喧騒に混じって、繁華街の方角から、青年の居る広場へと近付いてくる足音が一つ】
【見れば、細長く紫煙を吐き出して、長身の男が一人、車止めを乗り越えるところだった】
【じりじりと燻る銜え煙草。目深に被った黒いソフト帽に隠れて、人相ははっきりとは見えないが】

【少なくとも、堅気の人間でない事は確かだろう。羽織ったコートのシルエットが所々崩れているのは、武装している証左だ】
【自警団の彼と入れ違いに自販機の前に立てば、男はポケットから出した硬貨をスリットに滑り込ませる】
【選んだ商品は、ホットココア。意外、というか──雰囲気に似合わず、子供っぽいチョイス】

(プシー? 確か、何処かで……)

……休憩中かい。考え事してるとこ失礼だけど、隣、空いてるかな?

【紙コップにココアが注がれるのを待つ傍ら、ちらり、手持ち無沙汰に自警団の彼の方を見やると】
【男は何となしに、そちらに声を掛けてみる。湯気立つ紙コップを手に取れば、怪しむどころか全く無警戒に】
【返事を待たず、ゆっくりとそちらへ歩み寄ってゆき】
316 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/16(木) 04:03:32.31 ID:JZGPNNCJo
>>315

【ふぅー、と長い息を一つ吐き出せば、ココアを待つ彼を見遣って】
【一瞬だけ鋭い目をしたが、すぐにそれも納まり、コーヒーを一啜り】

座るなり何なりお好きにどーぞ。
大歓迎、とは言わないけどな。女の子じゃねーし。

【ぶっきらぼうに返される言葉の内容は、どうも自警団員らしからぬもの】
【着崩した服装も相まって、かなり軟派な人間に見えるだろうか】

【しかしその一方、その表情は真剣なもので、まじまじと手帳を見つめていた】

――――なあ、あんたさ、ゼン=カイマの炎獅子騒ぎのことで何か知らないか?
そこにいたっていう子供を探してるんだけど、どうにも手掛かりが少なくってよ……

【少しの間の後、不意に口を開いたと思えば投げ掛けるのは一つの質問】
【一瞬生じていた眼差しの鋭さは彼の武装を見て取った故のもので、そこから何か関わっているかもしれない、と判断しての行動である】
【半ば無茶苦茶な行動ではあるが、男としても本当に手掛かりが無いのだろう】

【付け加える様に話す情報は、『黒髪』『白の洋服』『怯える僧侶』『プシー≠ニ口にしていた』といったもの】
【要するに、先程呟いていた内容であった。それから男は彼の返答を待ちながら、コーヒーを口に含んだ】
317 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/16(木) 05:03:49.60 ID:+sCkEPMyo
>>316
【相手に応じ会釈の代わりに空いた片手をひらりと振って、深くベンチに腰掛けると】
【半ばまで燃え尽きた吸い殻を足元に放り捨てて、レザースニーカーの靴底で踏み消す】

ん、どうも……だろうね。って言うか、むしろ歓迎されたら驚く。
何てえかこう、えっ、そっちの人ですか? みたいな感じで。

【帽子の鍔を押し上げてそちらの真剣な様子を眺めつつ、欠伸混じりに返答】
【背凭れに体を預けて空を仰ぐ姿は、端から見れば隣の彼に勝るとも劣らない不真面目さ加減だ】

【ココアを一口、猫舌らしく小さく「熱い」と溢して顔を顰め】

……ゼン・カイマ。ああ、あの……力になれなくて済まないが、俺は関わってないね。
知り合い伝いに冒険者ギルドから打診があったけど、結局依頼は請けなかったよ。

ただ……

【居住まいを正して質問を聞くと、しばし何かを思い出そうとするように間を置いてから、はっきりと断言する】
【態度や挙動には特に不審な点は見られない。少なくとも、嘘は言っていないように見受けられるが】
【しかし、何も知らないという訳でもないらしく。「手懸かり、という程のものでもないけど」と前置きして】

知っている事が無いわけじゃあない。話す用意もある。
けどその前に、何故その子供を探しているのか聞かせて欲しい。事情も知らずに手は貸せない。
別に君たちの内情を探ろうってんじゃあないから、無理にとは言わないけれど。

【目の前の彼を疑っている訳ではないのだろうが、何かキナ臭いものを感じ取ったのだろうか】
【男は飄々とした態度のまま、語調も表情も変えずにその目だけを鋭く細めて、そう問い返した】
318 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/16(木) 05:32:52.80 ID:R1jOxZ3eo
>>317

【『ポイ捨てすんなよー』なんて笑って冗談めかしたなら、草臥れた様に首をぐるりと回して】
【彼の言葉には軽く笑ってそれだけ、何を言う訳でもないから少しの静寂が生じた】

【パタン、とわざとらしく音を立て、手帳が閉じられる】
【ゆっくりと口に含んだコーヒーが飲みくだされていった】

……なるほどな。まあ、そういう気持ちは分からなくもねえよ。

――だけど、そんなに大した話じゃあないさ。“自警団として”動いてる訳でもないし。
これはあくまで俺個人でやってる事だ。

【自警団員とはいえ、今更ゼン=カイマでの一件のみを追っているなんて、疑われてもおかしくはないと、】
【男自身そう思っていた。だから、あくまでも“個人的な問題だ”と、こちらはそう前置きをして】

簡単な話だ。芸術家やってる知り合いが、あの騒ぎの時の絵を描きたいって言っててな。
それで討伐に参加した三人の能力者もその絵に描きたいんだが、どんな姿か見えなかったんだと。
そこでまあ、それなら俺が探し出してやるよと、そういう話になって、残すところその子供だけって感じでな。

――――どうだ?これでOKか?

【言っている内容は全くの事実。しかし問題は男の軽さだ】
【その話し方は、どうにも本当か嘘か判断しづらいようなもの】
【――だから、この話をどう受け止めるかは彼次第、なのだろう】
319 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/16(木) 13:36:55.75 ID:7JlHpkRHo
【某国・都市部の聖堂前】

下がれさがれ、今日はこの聖堂でのミサの予定は無いっ!
なに、内装を整えているだけの事……日曜には間に合おう。
その出来も期日も、このフレデリック・シャリエールが約束しよう……!

【一人の男が、大きな声で以て聖堂への立ち入りを禁じて居た。身長180cmほどの厳めしい人物だ】
【純白に光のようなラインが眩しいローブとマントを身に纏い、背には剛槍を負っている】

【どうやら、不審者ではない。言い分を聞けばむしろ納得、というような具合なのだが】
【果たしてそれで納得するなら良い。問題は人物そのもので、昨年ごろから名を広めた――】
【――『ゼン=カイマ第三近衛騎士団長』のフレデリック・シャリエール、だったのである】

【表向きの評価はすこぶる良い。敬虔で自分に厳しく、何より腕の立つ男というのが一般的なところか】
【実際の面が、或いは一部で燻る不審論がどうかはともかくとして、とにかく此処に居るのは彼であり】

【それでも少々おかしいのは、『大聖堂』でもない建物の改修に何故そんな彼が居るのかということか】
【それでなくても長身で目立つ男である。声も張り上げるとなれば往来の目を引くかも知れなかった】

/夕方ごろまでは置きレスになりますが、よろしければ〜
320 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/16(木) 18:40:27.26 ID:AaLVRJdXo
/>>304で22時まで募集しますー
321 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/17(金) 01:46:28.86 ID:G8Wm0CSao
>>318
【軽くたしなめられると、男は苦笑しながら紙コップを煽って】
【中身のココアを半分ほど嚥下してから、足元の吸い殻を拾い上げてゴミ箱に放り投げる】

ああ、成る程。てっきり何かの事件を追ってるもんだとばっかり思ってたよ。
悪いね。職業柄か、そういうものが目に留まるとどうしても身構えちゃってさ。

自警団に緋色の鷹、それとかの悪名高き五芒星に金十字。
何れが絡んでくるにしても、俺みたいなフリーランサーにはだいぶん厄介なもんで。

【自警団絡みの案件でないと知るや、安堵したように溜め息をこぼし、口許を綻ばせて】
【へらへらと気の抜けた笑みを浮かべながら、「厄介事は飯の種、それはそれで旨みもあるんだけれど」などと軽口を飛ばしつつ】

ふうん。自分の戦いが絵になるなんて、当事者からすればなんだかこっ恥ずかしい話だねえ。
そいで二人見つけて、最後の一人がその子ってわけだ。……OK、話すよ。そういう事なら納得できた。

炎獅子の案件からだいぶ経って……だいたい今から一ヶ月前くらいかな。
風の国の草原地帯奥地に棲み着いてる『凶水鳥』ってのの討伐依頼に、プシーって子が参加してたんだ。
小柄で、黒のゴシックロリータっぽい服装に、白い髪。フリルの付いた傘を持ってたね。あと、魔術を使う。
まあ、君の探してる子が口にしてたのが、本当に彼女の名前なのかどうかは知らないけれど、知人って線もなくはないと思うかな。

【相手の説明に納得したのか、一つ頷くと、知っている事を喋り始めるばかりか】
【「難儀してるんなら力を貸そうか」と、にこやかに協力を申し出さえする】
【どうやら、この件について、男は彼を全面的に信用する事にしたようだった】

ただ……残念な事に、彼女の所在は分からないんだ。依頼を終えたらすぐに何処かに行っちゃって、これといった話も聞けなかった。
けど、名のある魔獣の討伐依頼を片っ端から当たっていけば、きっとまた会えると思う。
これは勘だけど、たぶん彼女は俺と同業だ。一攫千金の儲け話に食いつかない筈がない。

//申し訳ありません、丸一日近く寝てました……! こんな時間ですが、一応返レスしておきます
322 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 02:03:26.62 ID:qlqHasyeo
>>319

【聖堂の前は、通り掛かっただけの人や諦めて帰ろうとする人、事態を知らずに向かって行く人など】
【都市部という事もあり多くの人がいるだろう。その中で一人、信者とは思えない男が聖堂の方へと歩いていた】

【黒の軍服に黒の制帽、緩く着崩していたその胸元には何処かの自警団のバッジ】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげの二房は長く垂らしたまま】
【爽やかな香水の香りを纏わせた、どうにも軽そうな、フレデリックと名乗る彼とは対照的な男である】

あー……あんたがフレデリック?何とか騎士団とやらの団長とかだったっけ?
最近の“活躍ぶり”はよく聞いてるぜ……櫻の方の問題にまで出てきたらしいじゃねえか。

【聞こえた彼の名を知っていた様で、ある程度近付いたところで男はペラペラと話し出した】
【どうやら聖堂内に入るつもりは無いようだが……しかしよく喋るもので】

今にしたってそうだが――――団長サマがあちこち出歩いてて、肝心のゼン=カイマは大丈夫なのか?
また突然、化け物が出てくるかもしれないぜ?

【口の端を片側だけ持ち上げ、ニヤリと笑いながら】
【先日会った人物に『気を付けろ』と言われたその相手。かと言って、いきなり疑心丸出しとはいかず】
【その結果、こうした皮肉めいた言葉を投げるというところに着地した、という訳であった】
323 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 02:35:54.48 ID:lvdGaWZ6o
>>322

【近付いたのなら分かるだろうことが2つ。一つ目は、フレデリックの体格についてだ】
【遠目に見ても長身だが、寄ると体つき――筋肉量も相当であることが見て取れる】
【それも、本来身体の線が見えないはずのローブの上からそれである。余程鍛えていると見え】

【またもうひとつは表情の厳しさだ。起こっているのではないが、引き合いに出すなら阿修羅≠ゥ】
【眦がキッと見開かれ、一分も無駄な肉のない厳格な顔付き――成程、近付き難くもある】

『第三近衛騎士団』だ、間違えるな。ゼン=カイマ唯一にして絶対の名を、な……。
……それで、貴様は何だ?見たところ信者でも無く、自警団は聖堂に用は無いはず
まさか私に話でもあるまい……櫻か。窮したものに助けを請われれば、征くのが我らだ。それだけだな

【――どうやら性格も見てその通りらしい。実に威圧的で、薄っすらと高慢も見て取れる】
【白いローブに、長く艶やかな黒の長髪も目立った。とにかく悪目立ちする男であり】
【しかし、話がゼン=カイマの防衛に及ぶと遂に小さくだがニヤリと笑って――】

ふン……生憎と、我が騎士団には副団長も居る。私が見出した逸材だ……
団員一人一人も決して弱くはない。……強いて言えば、UTやSCARLETにも劣らぬ力はあると自負している

……突然の化物か。いや、それはあるまい……なにせ神獣とも謳われるアリギエが死した地だ
如何に知性の低い連中とはいえ、二の舞いになるとも思えん。……それで?改めて、要件を聞こうか―――。

【副団長=\―言われてみれば、居ないはずもない。ただ、このフレデリックが信頼を置くとなると】
【新たに警戒の対象が増えた、とも言い得る。その詳細は知れないが、自信に満ちた彼はまた表情を戻し】
【一体何をしに来たのかと、通すつもりもないかのように尋ねかけた】

【―――ちなみに、この教会の改修を引き受けたのがとある画家である、というのは】
【周囲の道端でも囁かれていたことである。だから、自警団ともなればそれを知っていてもおかしくはないだろう】
324 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 02:44:15.52 ID:b7sZYmnWo
>>321

ま、そういう風に勘違いしてくれた方が有り難い時もあるんだけどな。
何かの捜査中だと思って色々話しやすくなるやつとかけっこう居るし、さ。

【何という事でしょう、自警団という立場とその証を利用しているではありませんか】
【――――全く以て、秩序や市民の安全を守る人間のものとは到底思えない発言である】

【とはいえこの様子、大した事はしていなさそうではあるが】

鳥……っつーと二番目の騒ぎか……
名前が情報と一致してる上に、そっちも子供と来た。何らかの関係がある可能性はかなり高いだろう。

でもやっぱり、どう見付けるかが問題なんだよなぁ……
範囲が絞れたとはいえ虱潰し、結局はそれしか無いか……
――――ああ、手伝ってくれるなら有り難い。デカブツの相手はどうも苦手だしな……

【閉じた手帳を再度開き、彼の口から語られる情報を書き留めていく】
【細かい部分まで漏らさず書き込んでいる様子からは、これまでとは違う、真面目さも窺えて】

【そして彼からの申し出は、軽く笑みを浮かべながらあっさりと受け入れる】
【その場ですぐに決断を下した辺り、個人的な問題という点は信憑性を増すだろうか】

そうだ、これ。俺の連絡先だ。
それと名前、まだだったな。俺はディハート・グリムジャック、本職は夜の国担当の自警団員だ。

【そう言った折、男のポケットから一枚のカードが飛び出した】
【見れば、どうやらトランプのカードの様だが――連絡先と思われるものがペンで書き込まれている】
【それが、誰が触れるでも、風が吹いた訳でもないのに、一人でに彼の方へと飛んでいくのである】
325 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 03:10:59.05 ID:TrfS2Vs0o
>>323

【『あぁ……何かこんな像見た事あるな……』というのは心の声。それから、】
【『友達にゃなれねえタイプだな』というのもまた同じく】
【兎に角、外見から受けた印象はそんなところ。しかし臆するような男ではなかった】

あーはいはい、別に騎士団の名前はどうだっていいんだわ。察しの通り聖堂“には”用事もないし。
そんでもってあんたに話は……ないって訳でもない。ちょいと訊きたい事があってな。

【彼の話を半ば受け流すような、余計に怒りを買いかねない受け答え】
【何も怒らせようとしてやっているのではない。ただそういう性格である、それだけなのだ】
【それでいて、碧の目は真っ直ぐに相手の目に向いているというのだから――よく分からない男である】

あー……そうかい、自信があるのはいい事だ。本人に自信が無いと守られる側も安心できないしな。
ま、それだけ言うんだったら俺はもう何も言わん。言わずに自分の用件に移るさ。

それで、さっき言った訊きたい事、だ。
ここ、何か画家先生がいるんだってな?もしかしたらそいつ、知り合いかなーと思ってんだよ。
ああ、俺の知り合いの芸術家、アンドレイ、っていうんだけどさ。もしそうだったらちょっと用事があるんだわ。

【騎士団に関する話もまた、適当に受け流した様にも見えるが――こう見えて、案外しっかりと頭に入っている】
【警戒対象たる相手の、その指揮下にある戦力の事だ。注意すべきものである事は同じなのである】

【それから自分の用件を伝えれば、『で、どうなの?』と急かす様に付け足して】
【一旦消えていた笑みも、再び浮かんで。腕を組んで男は相手の答えを待った】
326 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 03:39:14.00 ID:lvdGaWZ6o
>>325

…………、………………――――良かろう。

【ただ一言、全てへの返答はそれだけだった。聖堂や騎士団に関する全ての挑発も】
【或いはそれでいて真っ直ぐにフレデリックの黒い瞳を見据える碧への小さな苛立ちも】
【そしてなによりも、質問を受けて答えるかどうかという状況に対して『良かろう』と言ったのである】

【無論、その表情は一寸足りとも変わっていなかったが、思えば影が濃くなったようにも思え】
【それこそ胸像のような彫りの深さを一層強めながらも――ややして、口を開き】

……アンドレイ・ニキシビリチャチは確かに中だ。修繕と新たな壁画を任せている
ゼン=カイマでも時折仕事を頼んでいるのでな……まあ、それはいい。

そちらの意味合いでは何かと腕の立つ男だ、昨今では貴重な、な。
だからこそ私が警護している。貴様のような……自警団員であれば、通してもよかろう
……あまり騒ぐなよ、奴以外にも作業に徹している者は居るのだからな―――。

【そう告げると道を開け、取っ掛かり程度に潜り戸を開けてやる】
【入る瞬間までついてくる視線は嫌らしいが――背後で戸が閉まれば一先ず、世界が変わる】

【教会の内壁を修繕する、或いは絵を書き加えるという作業をどうやるか、知っているだろうか】
【答えは単純で、足場を作って天井にほど近い場所で作業をする。この一言に尽きるのだが】

【どうも此処の修繕は、余程大掛かりなものらしい。ふと見あげれば天井の辺りには10人近い人物が在り】
【また柱の周りを囲うように木の足場が組まれ、所々に画材だの、足場の素材だの、縄だのと――】
【とにかく、一般の人がイメージする『聖堂』とはかけ離れた『作業場』が広がっていて】

【中でも目立つのは一番奥、祭壇の背後に位置する壁の作業。一人で絵を書く男が見えた】
【ふわりとした金髪にジーンズと袖をまくったシャツ姿。手には大小の筆を持ち、一心不乱に絵を仕上げていく】
【周囲には完成予想図が見当たらないが――大方頭のなかにでも入っているに違いなく】
【白いシャツは跳ねた塗料でカラフルに染まり、さながら子供の遊びのようでもあったが】

【――書いているのは主と弟子達の晩餐の様子だろうか。簡潔に表すなら『上手い』の一言で】
【一人描き上げると、ようやく一息ついたらしい。筆をそこらに放って、ふと振り返り―――】
327 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 04:10:05.05 ID:XkL+4zwVo
>>326

【彼の簡潔過ぎる程の返答に返すのは、小さな笑い。余裕を見せる様な、気持ちを逆撫でする様な笑い】
【先からの言動で彼が苛立っているであろうと予測していながら、更に重ねてこれである】
【そこには、腹の底にある疑心が顕れていたのやも、しれず――――】

そういや、炎獅子の時もゼン=カイマにいたって言ってったな……

――騒ぐななんて、ガキじゃねーんだから言われなくても分かってるっつーの。
それじゃ、サンキューなー。

【フレデリックが道をあければ、組んでいた腕を解いて片方はポケットの中へ】
【そしてもう一方をひらひらと振りながら、戸を潜って――――戸が閉まるや、舌を少し『べー』と出して】
【こちらは子供の遊びどころか子供である。しかしすぐにそれも戻り、初めて見る光景をぐるりと眺め始めた】

【そんな中で、視線はある一人に留まる。見知った姿のその人物の方へと歩き出し、彼の手が止まるのを待って口を開いた】

――――よう、アンドレイ。ぶっ倒れてなくて何よりだ。
キャンバスもそうだが、こういうでっかいのを描いてるのも様になるじゃねえか。

ここの修復に画家が来てる、って聞いてな。もしかしたらと思って来てみたんだ。

【笑いながら、軽い調子で話し掛ける様子は正に友人≠ニいった具合で】
【しかし、本題と思われる事はまだ口にしない。ただ、お互いに連絡先を交換した仲だ】
【そちらに連絡を入れるのではなく、こうして直接会いに来たとなると、その目的は――――】
328 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 04:46:14.65 ID:lvdGaWZ6o
>>327

―――あれ、ディハートじゃないか。こんな場所までよく来たね
それと……画家としては、一言褒められると気持ちが大きくなるのはどうしようもなくてさ
もてなしが出来るってわけじゃないけど、ゆっくりしていってよ

……あぁ、そういえばよく入ってこれたね?君で来客は二人目でさ
表にはフレデリックが居るはずだから、なんだけど……どうだった?

【くしゃり、と髪にも塗料の一部を付けながらも、アンドレイもまた彼に言葉を返す】
【見つけて直ぐは、おそらく気分転換に最適の相手とでも思って居たのだろう】
【まず目を見開いて、それから笑顔を見せ、何処か照れるように頭に手をやったのだった】

【それから振る話題は、やはり此処に至るまでの関門≠フ事であり】
【小さく苦笑しているところを見ると、フレデリックのことはよく分かっているようで】

それから……そうそう、アリギエの件はどうなったかな、ディハート?
あの後、テナーだのなんだのって結構大掛かりな討伐隊が何度か組まれただろう?
それで、僕も創作意欲が湧いてきてね。まずは最初の炎獅子と勇者たちを描きたいと思っていた所だったんだ

確か、三人だったけど……そういえば、前にゼン=カイマに友人がいるって話、覚えてるかな
あれってまさにフレデリックのこと何だけど、彼ってば他人に興味を持つ持たないの差が激しくてさ

【結局憶えていたのは二人だけで、名前や素性は怪しい――と、そんな辺りで一度言葉を切った】
【わざわざ会いに来てくれた彼のことだ。アンドレイは話し続けるより、耳を傾ける方にまわり】
【果たして結果はどうだったのか、或いは何かあるのか――そんな事を思いながら、言葉を待って。】

/っと時間も時間ですので一度この辺りで凍結お願いしますです
/今日は昼過ぎから空いているので、折を見てまた開始できればー、なんて。
329 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 04:54:33.59 ID:jNctTgb+o
>>328
/了解ですー、こちらも割と空いてるので声掛けるなり掛けていただくなりで、と
/では一旦お疲れ様でしたー!
330 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 05:59:42.41 ID:m0k424Cbo
>>328

【髪が汚れるのもお構いなし、といった様子に、思わず笑いが零れる】
【長い付き合いではないし、それどころか寧ろ短い方であり、お互いの深くを理解している訳ではないけれど】
【その行動が、『彼らしい』と思える様なものだったから】

連絡も無しにいきなり来たんだから、もてなされたらビックリするって。

……ああ、あの堅そうな騎士団長さんね。ああいうタイプは揶揄い甲斐がありそうだが、キレるとやばそうだな、あれは。
だけど、『アンドレイに用事がある』って言ったらすぐだったぜ?
……まあ、このバッジのお陰、ってのもあるんだろうけど。

つーか、他にも通してもらえたやつがいたのか――そっちも知り合いか?

【身振りや手振りを交え、大袈裟なアクションを添えて繰り広げるは、この聖堂の門番≠フ話】
【しかしその内心では、アンドレイがフレデリックを親しげに呼んだ事が気にかかっていた】
【友人≠ニ呼ぶべき存在と、警戒し不信を抱いている存在。その両者の関係は如何なるものか、と】

ん、確か昔からの友達とかそんな感じだったか……――――あ、そうだったのか……ほー……

――――って、そうそう、アリギエの件だ。
三人の内、二人とはコンタクトが取れて、連絡先も聞いてるぜ。
ただ、あと一人……話によると子供らしいんだが、その一人だけどうも見付からねえんだ。
俺の持ってる情報は……黒い髪で白い洋服着てて、それから知り合いかもしれないやつがそのテナーの討伐にいた、って感じだな。

【ゼン=カイマに友人がいると聞いていたから、会った時にはフレデリックという人物に気を付けるように伝えるつもりだった】
【それがあろう事か、その友人こそがフレデリックその人であったというではないか】
【怪しみ、警戒している相手が、信用している友人のその友人――――】
【発しかけていた注意を促す言葉を、そのまま呑み込んだ】

【そしてここからが漸く本題。といっても一先ずはざっくりとした報告で】
【ポケットから取り出した手帳を開けば、そこに書かれた情報を伝えていった】
331 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/17(金) 17:06:46.35 ID:YckKYGH9o
【路地裏】

「……ちィ、まァーた面倒なことになァったな」

【いつも通り物騒なこの場所で、ちょっとしたごたごたが起きていた】
【その中心にいるモノは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【数人の自警団に囲まれており、どうやら様々な罪で指名手配されている悪魔にそっくりだとかなんだとか――】

「だァが生憎、人間如きに捕まる程まァでに俺様の力は失われていィねェー……」

【ガッ、と、己を囲む自警団の一人の顔面を右手で掴めば――手から噴き出すは邪悪な魔翌翌翌力】
                                                ,    ,
「そォーだ、確かに俺様が、超ォ強ェ悪魔の邪禍様よ――さァ、テェメェーらもYartsaTownの住民にしてやろうじゃアなァいかァァアア!」
「エルズペンタレグス共出ェてこい!」 「人間共を足止めしろォッ!」

【それと同時に近くに魔方陣が現れ、そこからいずる闇は"翼を持ち顎が異常発達した丸っこい不気味な生き物"x4となり、自警団を襲う】
【残る自警団は必死に応戦しているが、化け物には飛行能力もある為か少々厳しいようで――】
【このままでは、今ここにいる自警団の全てが悪魔の手の内に収まってしまうだろう】

/数時間くらいおいてみます
332 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 18:31:40.56 ID:lvdGaWZ6o
>>330

フレデリックは頑固って言葉を人間にしたような人だからね。
まあ、悪い奴じゃないんだ。良ければ仲良くしてよ、僕の友達同士、さ

あぁそうか、自警団だもんね。警備上どうの、っていうしがらみが無いわけだ
……もう一人かい?それならそこに居る、目立つ髪の子がそうだよ
といっても、実のところ単なるお手伝いさんでね。部外者じゃ君が初めてなのさ

【フレデリックへの反応に苦笑するのは、おそらく大方の予想がついていたからだろう】
【そして、それからふと指差すのはまた別の壁に向かうライトブルーの髪をした人物】
【後ろ姿しかわからないが、やや小柄で白衣を纏い、これもまた絵は上手な方で】
【中性的な感があったが女性だろうか。時折見える藤色の瞳が神秘的だった】

ああ、フレデリックと僕とはかれこれ20年近い付き合いになるかな
僕は宗教にはあまり興味が無いけど、子供の時から何かとゼン=カイマに関わることが多かったからね

それよりアリギエの三人の方……ん、そうか。一人だけ詳細が不明、ね……
……でも、テナー討伐に関わってた人の知り合いって言うことまで解ってるなら話は別さ
あの時は討伐の後、メンバーの多くが街に帰ってきてたからね。多分写真もあるはずだし……

それに、逆に言えば二人までは見つけてくれたんだろう?それって大手柄じゃないか、ディハート!
お礼は何が良いかな?大したものは持ってないけど、何か……―――。

【アリギエ討伐の三人について話を聞けば――これまた子供のように、嬉しげにして】
【もしディハートが手帳を持っていなければ手を取って喜びを表しそうな程だったが――】

【案外、しっかりしているというか、現金なのは直ぐにお礼について話が行ったところだろう】
【金銭か物品か、或いは――望めば、それ相応のモノは帰ってきそうな事が予測できる】

【――また最後の一人にしても、実を言えば誰のことだかは完全に判明しているのだが】
【手がかりはあるが全く知らない――そういう態度を、さも当然のように、自然にとっていて】
【ディハートには、何もおかしな点は見つからないハズだ。少なくとも、表面上不審な点は一切無いのだから。】
333 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 20:14:00.42 ID:YWILFZF6o
>>332

……うん、そんな感じなのは話してて伝わってきた。
仲良くできるように、まあ、心掛けるよ。

そうそう、本当に自警団か疑われる事も時々あるんだけど。
――ってああ、あの白衣の子?
(何かどこかで見た様な気がするが……ちゃんと顔が見えねえと分かんねえな)

【まさか『疑わしいからちょっと……』なんて言える筈がないので、曖昧な言葉で茶を濁す】
【そして指された方を見遣れば、その後ろ姿に覚えるのは既視感】
【しかしやはりと言うべきか、後ろ姿ばかりではどうにも分からず】
【結局は思い出そうとする事を諦め、視線もアンドレイの方へと戻るのだった】

あくまでそういう可能性が高い、ってだけだけどな。
そのテナーの方にいたやつは“プシー”って名前で、そっちも子供だったらしい。
ま、そっちにも情報があるんだったらもう俺が探すまでもないか

いやー、正直な話、運が良かったって感じなんだけどな。
たまたま病院で会ったやつの知り合いで、ちょうど見舞いに来るところだったり。
後は事件で呼ばれて行く途中に偶然出会したり。

お礼か……そうだな……ちょっと待ってくれよ……
――――あ、そうだ。手が空いた時でいいからさ、何か風景画でも描いてほしいなー、なんてのはダメか?
ほら、『絵画のある生活』って響きだけでも、いい男に磨きがかかりそうだろ?


【最後の一人を知っているなんて夢にも思っていない為、馬鹿正直に情報を付け加えて】

【それから礼の話になると、少しの間腕を組んで考え込む】
【いい男、なんて本気で言っているのか冗談なのかよくわからないが、別に断ったとしたって拗ねたり怒ったりする事はない】
【訊かずに提案されれば少し酒を奢る程度でも十分に満足する様な男であって】
334 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 20:42:52.03 ID:lvdGaWZ6o
>>333

可能性が高い、それで十分さ。まさかここまで早く見つかるとも思ってなかったし
駄目なら駄目で……不満ではあるけど、二人分だけでも描けば良い。
まあこっちも聞き込み次第だから、またあった時にでも結果を、ね?

……んー、それにしても……君って自警団より、探偵の方が向いてるんじゃない?
普通さ、いくらアリギエって珍しい共通ワードがあっても
中々そこに居た三人を探しだせ、って言われて二ヶ月かそこらで見つけられないよ

運が良かった、ってのも……ほら、『運も実力の内』って言うしね
天性の才能ってのじゃないかなあ。僕が美術に打ち込むのと似てるよ、うん

【にこりと笑いながら言うのは、上等な結果をもたらしてくれた友への賞賛】
【どうやらアリギエの絵画は早いうちに仕上がりそうな様子もあって、雰囲気は何処か喜色で溢れ】
【色とりどりの塗料で汚れた格好もあり、なんとも明るい印象が強まっていく】

【また一方で、お礼として風景画を、なんて言われると手を顎にやって、やや黙考】
【どういうものがいいかを考えているのだろう。NOというつもりはハナから無いらしい】

……風景画って言っても、色々ある。海、山、草原、町並み、他にも色々さ
それに朝か夜か、或いは夏か冬かでも全てが変わってくるんだ

君は何が好きかな、ディハート。荒れた海と断崖か、朝靄に包まれた山々か
はたまた喧騒とは無縁の静かな街の一角か……勿論、部屋の構成も大事だけど
何より絵は所有者によって輝くかどうかが決まるからね。『風景』と聞いて最初に浮かんだモノ、言ってみてよ

【――と、流石に美術家を自称し、時折ナルシズムすら垣間見せる程度の事はある】
【そんな感想を抱かせる言葉を彼に投げかけて、後はただ返事を待つだけ】
【言えば、おそらく最上の腕前を持ってアンドレイはそれを描き上げるだろうことは――言わずとも、もう分かるか】
335 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/17(金) 21:01:13.48 ID:/hQdiM0/o
【鉄の国 軍港】


【軍事国家たるこの国には、あらゆる場所に軍用施設が設けられている】
【大海原を望む港も、そのうちの一つだ。通常の港湾としての機能も充実しているが、それらを圧迫するほどの規模で軍用施設も存在していた】
【軍艦用のドック、巨大な弾薬庫、艦載機整備・訓練用の飛行場、兵舎など】
【鉄の国の名にふさわしいだけの、鋼鉄の群れが堂々と並び立っている】


【その軍港に、何の前触れもなく凄まじい爆音が連続して響き渡った】

【軍港を包み込んでいた闇を切り裂くは、蒼い閃光と爆炎。最大規模の弾薬庫と、軍艦用ドックの一つがその内に飲み込まれた】
【兵舎や建造物から次々に人々が飛び出す。慌ただしく走り出す者、茫然と立ちすくむ者。それらに構うことなく、黒々とした煙は宵闇を汚していく】
【消火活動が行われ始めているが、爆発の規模は相当に大きく、施設への打撃は免れないだろう】


【混乱の渦の中にある軍港を、少し離れた位置にある小高い丘から見下ろしている男が一人】
【身長2メートルを越えているであろう、大男だった。薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、足には黒いゴム長靴を履いている】
【角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪。黒い瞳の両目は生気がなく、動かない】

【その大男の額には、面積を埋め尽くす巨大な一つ目が存在していた。黒い瞳の単眼がギョロギョロと蠢いて、燃え上がる軍事施設を眺めている】
【両耳は黒く染まって形も歪み、両手の親指も黒ずんで他の指より細長い】
【異形の大男の無骨な右手には、携帯端末が握られていた。勘が良ければ、眼下の軍港を吹き飛ばした爆弾の起爆スイッチとなったのが、この携帯端末だとわかるだろうか】

【と、その携帯端末が着信音を奏でた。大男が細い親指で通話ボタンを押し、歪んだ耳に当てる】


私だ。……ああ、問題なく済んだよ。久々に、『RB-コバルト・ボマー』 を用いたが、やはり大した威力だ
イグナスの件でデュアルたちが敗北した分は、ひとまずこれで清算とさせてもらうとしよう
爆薬設置の際に失敬した弾薬と資材は、すでに本部に搬送させている

そちらも済んだか。ご苦労だった、スカーベッジ
いや、そのチンピラどもは生かしておく必要はない。他と同じように首だけ落として、残りは捨てて構わん
必要なのは、脳だけだ。防腐処理を終わらせたら、今日の作業は終了としよう

……ああ、わかった。すぐに戻る。ではな

【通話を切ると携帯端末をしまい込み、もう一度軍港へと目を向ける】
【己のもたらした破壊に、邪悪な喜悦がその単眼に宿るが、それも一瞬の事】
【すぐに踵を返し、この場から立ち去ろうとするだろう。遮蔽物のないこの丘では、その姿はすぐに目に留まるはずだ】
336 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 21:17:32.38 ID:qlqHasyeo
>>334

いやもう、本当に偶然が重なっただけだって。
……でも、それなら転職も考えてみるか……――なーんてな。

探偵じゃ……何か違うんだよ。俺もな、飯を食う、って理由だけでこの仕事やってる訳じゃないからさ。
俺なりの、こう……“正義”って言うか、そういうのがあって、自警団やってるんだ。

【賞賛を受ければ、照れる様に空いた手で頭を掻き、笑みを零した】
【その後、手を顎に当てて真剣に考える素振りを見せて――――結局振りだけで】
【どうやら自警団やそういった立場にこだわりの様なものを持っているらしい】
【笑いながら話してはいるけれど、“正義”を口にするその口調には、根底にあるのだろう真面目さが顔を覗かせていた】

【それから、ポケットから一枚のトランプを取り出す。そこに何やら書き込んでいって】
【アンドレイに差し出したなら、書いてあるのは件の二人の連絡先】

ああ、言われてみれば確かに、ざっくりし過ぎだったな……そうだな……

――――夜、静かな海が見える丘。空には街の中じゃ見えない様な星もいっぱい輝いてる。
何だろうな……今、そんな風景がパッと頭に浮かんできた。
そんな所に行った覚えは無いんだが……まるで思い出の場所みたいにハッキリ。

【再度腕を組み、目を閉じて暫しの沈黙。少しすると、目は閉じたまま口を開いて】
【まるで目の前にある景色を説明するような、そんな様子であった】
【それはきっと、それだけハッキリとその風景が思い浮かんでいるという証であって】

【記憶には無いけれど、明確に目に浮かぶ風景。それがディハートにとってどういう意味を持つのかは分からない】
【しかし、それも今は関係の無い事。今その風景の持つ意味はただ、そんな絵を描いてほしい、というそれだけ】
337 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/17(金) 21:27:20.21 ID:A6/cKFZco

『ば、番組の途中ですが、緊急速報をお届けします!!』

【その一言から始まった───突如切り替わるテレビ画面と、映し出された画像】
【空を飛ぶヘリコプターと、その中から顔を出し画面に映るレポーター、その向こうにある巨大なビルの煌びやかな輝き】
【レポーターののっぴきならない様子に、民衆は画面に釘付けとなる】

『───ここ、多用途総合ビルパールタワー≠ェ突如謎の一団に占拠されるという事件が起きました!』
『目的や所属は不明!今日はタワー上層のパーティホールにて著名人の立食パーティが開かれており、犯人はこれを狙った物と───』
『あ!只今情報が入りました!首謀者の要求です!要求は……』

『ここまで来い>氛氛氈I?』

【───これは、水の国で突如起きた、日常的なテロ風景】
【ある者は戦慄し、ある者は呆れ、ある者は昂ぶる。見慣れた事例】

【───場面は、少し後の地上へと移り変わる───】
【水の国都市部、パールタワー¢O】

「隊長!侵入ルートの確保完了!並びにパーティホール以外の奪還はほぼ完了しました!!」
「よし、残るはパーティホールだけだが……」

【ビルの玄関ホール前に、大量の車やテント、機材が並び、物々しい雰囲気の自警団員が集合していた】
【事件から数時間、既に自警団員達は総力を上げて事件解決に奮闘し、地上から各フロアと屋上エアポートの奪還を完了、順調に事は進んでいた、残すは───】

「パーティホールには恐らくまだ首謀者がいる筈だ、それと人質が多数……多くが役人様、か」
「はい、まだ相手が何人かもわからない以上、迂闊に突入は難しいかと……」
「ああ───だから、そこで君達の力が必要だ」

【隊長と呼ばれた、少し階級の高そうな人物は君達を振り返る、腰で腕を組み肩幅に立って、仰々しく君達を見渡した】
【自警団員達は有志の能力者達の協力を煽っていたのだ、自警団、UT、SCARLET、フリーなど立場は問わない、正義を志す者達に、『我こそは』という者達に協力を依頼した】

「今回、首謀者の声明は明らかなる我々への挑発だ、しかしその詳しい目的は分からない」
「誰を、何を、何故呼び込んでいるのかが分からないが、ここはあえて要求に乗って欲しい」
「作戦はこうだ───君達が首謀者の元へ赴き、気を引いている間に、私達は制圧したエアポート側から侵入、同フロアにて挟み撃ち、また人質の救助を行う」
「君達は正面からエレベーターを使い、そのままパーティホールへ直行してくれ、こちらは非常通路を使い裏回る」
「また、エアポートとパーティホールの間に敵がいないとも限らない為、直ぐに応援が来るとは期待しないでくれ、作戦は以上だ」

「質問が無ければ、案内訳の彼と共に正面ホールからエレベーターに乗ってくれ」

「幸運を祈る」

【隊長が目で指した先に待機している案内役について行けば、パーティホールへと直行出来るエレベーターに乗れる】
【事件そのものとは裏腹に、不気味な程に静かなビル、その頂に待つ者は一体───】

338 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 21:46:04.91 ID:lvdGaWZ6o
>>336

ふふっ……そう言うと思ったよ。君も僕も、そういう芯≠ェあるからね
譲れないものがある、だからこそ今の自分で居る……だろ?
分かってるさ。見ての通り、僕も似たような物を持って生きているから。

【くすっ、と溢れるように笑うと、ふと両手を広げて見よ≠ニばかりに内装を誇る】
【恐らくは――奥の内壁に限らず、天井も柱も全て、アンドレイの構想なのだろう】

【それを全て担うのは、ましてまともな計画書も作らずにと言うのは骨の折れる作業のはず】
【アンドレイも芸術家とはいえ期限もあるだろうに拘るのは――まさに己の正義≠フ為】
【――それを示すようにしてから一息つくと、例の二人の連絡先が載ったトランプを受け取り】

OK。言葉と絵は違うから、君の頭に浮かんだ物を完全に複写は出来ない
それでも僕なりに仕上げてみよう。出来上がり次第、君に連絡するよ

……心象風景≠ネんて言葉が在るけどさ、本来の意味とは別として
人間ってのは一人一つ、そういう風景を持って居るものなんだよね。
僕のは薄い雲に覆われた満月の空。そして君のは海が見える丘だ。

それは人の大切な深層心理を描きだしていたり、記憶の底に沈んでたりするものでね
もしかしたら、覚えが無くともそういう縁のある風景なのかもしれないよ?

……ま、薀蓄はこの辺りにしようか。とにかく、描こう。
君の方からは他に何かあるかい?無ければ、悪いんだけど絵に戻りたくてね
今日中に全体の下地を仕上げたいんだ。結構ノッててさ――。

【そんな事を語ると、僅かに首を傾げて――これまた、ディハートの返事を待ってみて。】
339 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/17(金) 21:56:09.29 ID:ZguOzxipo
>>337

うわぁ…今日もテロテロしてますなぁ…

【街中に有る巨大なモニターに映し出された煌びやかなビル】
【そして画面越しからも伝わる切り詰めた現場の様子】
【その光景に民衆は目を奪われ、少女もまた画面を注視していた】

って…何かすっごい豪華だねぇー…
それに私の幸せが一杯散らばってる予感っ

【画面越しから伝わってくる緊張や戦慄とは違った他の何かが少女に伝わる】
【言葉にはし難いそれは、少女の心を確実に動かしたようで――――】

早速報酬…じゃなくて。人助けにレッツゴーしてきます!

【言うや否や、少女はビル目指して一直線に向かっていった】



【―――それから少し後―――】

ふんふん。なるほどね
私達が囮になってる間に攻め込むわけだ。

うーん…これは限りなく命の危機…でも皆のためにあたし頑張るっ!!

な訳で、報酬は弾んでもらいますのでーっ!

【堅苦しい説明を聞き終わるや否や、早速報酬交渉に入った】
【しかも命の危機とか何とか言っている割には目が爛々と輝いている】
【本人は隠しているつもりらしいが、周りから見ればこの後の報酬の事を考えている、という事は一目瞭然である】

それじゃー!行って来るぜっ!

【ふざけた調子でピシッと敬礼を決めると、少女は足早にエレベーターへと乗り込んでいった】
340 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 21:57:58.66 ID:zQmJv9Pmo
>>337
……テロだと

【観光のために火の国からやってきて町を歩いていた、久々の休暇の日】
【突如テレビに映し出されたテロ現場、パールタワー】

休日返上で働かないといけないか……

【男はそう呟くと鞄の中に入れたあった制服であるコートを羽織る】
【そしてエムブレムの無い古びた軍帽を深く被ると男は鞄を持って即座にその現場へと向かった】
【そのコートの襟の部分、そこには警察組織を示すバッジがきらりとそこに鎮座していた】


……自警団か

【彼がそこについたとき、すでに自警団が動いていたのはある意味予想済みだ】
【警察と自警団を比べるわけではないが、やはりこういった事態の時にいち早く動けるのは自警団の特権か】
【彼自身は自警団に悪印象は無いが、警察内部にはやはりそういった不満を持つ人物もいるのは、やはりこういう風にお株を奪われがちだからか】

【男は到着し、兵装を整えている間に説明は終わり、そして隊長格の元へと向かう】

火の国所属警察、ヨーレレイ=スラーだ、今回の件において私個人から協力を申し出る

【そういって開いて見せる警察手帳、一見するとアナログな警察手帳だ】
【見せている部分には顔写真に『Jolerei=Sura』(ヨーレレイ=スラー)という名前、火の国所属であるということや階級などが記載されている】
【男の容姿は薄青色の髪に藍色の目をしており、背は高い】
【その身に火の国所属警察のコートをまとい、襟には警察所属を証明するバッジ、そして軽く古びたエムブレムの無い軍帽を、深く被っている】
【その下から覗くまなざしは冷たく、また腰には『何か』が入った鞘を刷いている】

【そして先ほどの『私個人から』、それは『警察』ではなく、『ヨーレレイ=スラー』として協力するということだ】
【貸し借りなしという意味に、気づくかどうかは別だが】

ついては質問がある、テロリストの使用する武器について何か見当は付かないだろうか

【壁に弾丸の後があれば銃、銃でもマシンガン、ピストル、ショットガン、弾の痕の位置によって判断もできる】
【爆発物であれ、刃であれ、痕跡があればテロリストはそれをふんだんに使用してくると思ったほうがいい】
【そう思ったゆえの、質問だ】

【そしていい解答が得られようと、得られまいと、男は案内役へと付いていくだろう】
341 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 22:04:56.39 ID:N3lGdiYio
>>337

(…………テロ、か…………)

【戦くでも、呆れるでも、昴ぶるでもなく。ただ赤紫の視線を冷たく揺らし、その青年は自警団の隊長の言葉を聞いていた】
【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年だ】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はデニムジーンズに膝丈ブーツという服装】
【身体の各所にはポーチ付きのベルトを装備しており、左胸の上と腰の左右にはホルスターがあり】
【左胸には派手な金色をした大型拳銃が、腰の左右には既存のどんな拳銃にも当てはまらない奇抜な外観の銃器が二丁、それぞれ吊り下げられている】
【彼が何者であるのか。それは、シャツの左肩部分の水の国警察≠示すエンブレムが、何よりも雄弁に語っているだろう】

僕は水の国警察出身の、アルフレド・フェリシアーノと申します。
皆さん…………よろしくお願いします。

【隊長の説明を聞き終えると、青年――――アルフレドは、同じ目的で周囲に集まった者達と案内役へ、警察手帳を提示して自己紹介をする】
【普段なら、非常に礼儀正しい好青年といった雰囲気なのだが。この時ばかりは、やや取っつきにくい印象を受けるかもしれない】
【…………怒りだ。抑えようとしても抑えきれない怒りが、今の彼の雰囲気には紛れ込んでいる】
【何に怒っているのかは、存外複雑である。もちろんテロに対する怒りが大半ではあるのだが――――】
【水の国警察のお膝元でこのような事件が起きた、屈辱。それに、解決の主導権を自警団に握られている現実】
【警察という組織に、そしていち警官としての自身のふがいなさに、アルフレドは怒っていた】

(それにしても、相手の要求が読めない…………慎重にいかないとな…………)

【アルフレドは思惟を巡らせながら、案内役の指示に従ってエレベーター内へと入っていくだろう】
【相手の要求の意味は不明だが…………「ここまで来い」という以上、多少なりとも交渉の余地があるかもしれない】
【それに相手が人質を盾にしてくる場合、下手に刺激するのもまずい。元々こちらは時間稼ぎの陽動だ、慎重な行動が必要だろう】
【熟慮の末にそう判断して、腰の銃器はまだ抜かなかった。といっても、いざとなればコンマ数秒で引き抜ける構えだが――――】

【…………ともあれ。渦巻く混沌と策謀の中へ、ひとつの若々しい正義≠ェ、いま足を踏み入れた】
342 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 22:10:48.59 ID:AQrcwLK5o
>>338

【気が合う、というべきなのだろうか。お互い、性格のタイプは異なるけれど】
【妙に波長が合う、そう思い、ディハートは小さく笑った】

――――わかってるなら言うな、っつーの。
……ほんっと、これだけ全部ってなると大変そうだ……俺なら三分考えたところで倒れる自信あるぜ。

――――絵はまあ、気長に待ってっからよ、本当に手が空いた時でいいぜ。

【手帳を仕舞い、改めて見渡してみればやはり、規模が大きい】
【それを一人で手掛けるなんて、夢の中でもやりたくない。思うのはそんな事】
【それ故に目の前にいる友人の才覚を再確認していた】

んー……そういうものなのかねぇ……
いつか、その辺がわかる日が来ればいいんだけどな……

――――っと、悪い、邪魔しちまったな
俺の方は大丈夫だ、用件はだいたい済んだし。
まあ、また何かあったら、その時は連絡すっから!じゃあまたな!

【伝えるべき事は――その中で伝えられる事は――全て伝えた。故に、これ以上引き留める理由もなく】
【何時までも邪魔をしたって仕方がない。言うだけ言って、手を振りながら来た方へと歩き出した】

【それからまた潜り戸を抜けたなら、そこにいるであろうフレデリックにはニッ、と笑いかけ】

あ、用事も済んだから帰るわ。サンキューな!

【と、入った時と同じような言葉をかけて、街の中へと消えていくのであった――――】



/お疲れ様でしたー!
343 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 22:12:31.38 ID:tH9wtdyeo
【街中の広場】

【年始から屋台が軒を連ね、人々が繰り出し、喧々囂々としたその影で】
【隅の方にあるベンチに腰掛け、いやに神妙な面持ちをした人影がある】

【喪装の黒い祭服を纏い、儀式刀を傍に立て掛けた、白皙の貌の若い男】
【腰に届く紅茶色の髪に、左右で瞳孔の開き幅が異なるオリーブ色の目】
【左耳には宝玉製のピアスを付け、左手薬指には、銀の指輪を嵌めている】

【男は涼やかな夜風に目を細めつつも、不意に眉を顰め、頭を軽く抑えた】

(――、飲み過ぎたな……)

【喧騒さえ鈍痛として響くのが煩わしく、出来れば早く帰りたいと内心ごちながらも】
【手にした端末を確認するが連絡は来る気配もない。そも来ずとも待つと言ったのは自分だが】
【帰ろうか。そんな事を考えつつも、暫し夜風に触れていようかとも考えて、夜空を仰ぐ】
344 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/17(金) 22:24:49.11 ID:8tjc4dH3o
>>337
ったく、まいッたな… あァ、あァ、解ッた、解りました。俺らが囮、あンたらが攻撃だね。
どこぞの暇人か知らねェが、人様の商談を邪魔するもンじゃない…

【褐色の肌に銀色の髪。くすんだ色の丈の長い服が、彼の体を覆っている】
【手には長杖を持ち、ぱっと見ればさすらいの旅人、というところだろう】
【彼は宝石の商売の為に近くに来ていたのだが、この騒ぎであえなく決まりかけた商談が先延ばしされてしまったのだ】

うン、それじゃ案内してくれな。
金の恨みは恐ろしいッて事をしッかり教えなきゃァな。

【口調は怒っているが、どこか優しげな声。】
【この場に充満する怒りの感情を感じ取り、どこかバランスをとっているようだ。】
【男はきらきらとした目を歪ませて笑っている。大人と子供が共存しているような、そんな印象だ】

>>341
警察さンか。どうぞよろしく。商人のフェインソリトです。
交渉ごとになるンなら多少は役に立つでしょう。

【特に強い怒りを放つアルフレドに近づき、覚えたての敬語で話しかける。】

(警察が一人の突入者として囮になる。…立派な個人だが、組織としては…)

【そういう怒り方もあるンだろうな、と彼は考えて。でも結局組織を作るのは個人個人なのだ】
【どこか彼を応援する気持ちを持ちながら、商人は黙ってエレベーターの階層表示を見た。】
345 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/17(金) 22:35:52.10 ID:A6/cKFZco
>>339

「……ああ、はっきりと言えば囮だ、命が危険なのは否定出来ない」
「報酬はその分はずむ、が……第一に、被害者が出ないことを先決してくれ、無論君自身もだ」

>>340
「君は───警察か」

【ヨーレレイ=スラー、彼の襟元に輝くそれを見た隊長は、その所属を確認するように呟いた】
【だが、こんな時に立場をどうというつもりは無い、彼も確かに、協力者だからだ】

「頼んだぞ、こちらも全力を尽くす」
「それと、武器についてだが───」

【首謀者自身の能力の有無や武器は不明、しかし戦闘員の大多数はシンプルなバトルライフルとコンバットナイフを装備しているという報告があった】
【恐らくは、軍事的な訓練を受けた者達だろう】

>>341
「君は、水の国警察の……ああ、頼むよ」
「……私が言うまでもないだろうが、無茶はするなよ」


>>all
【高層ビルの巨大エレベーター、ガラス張りの高級なそれは、驚く程に静かで、早くビルを駆け上る】
【みるみるうちに夜景の輝きは小さくなり、まるでテロ中とは思えない様な雰囲気で───】

「───つきました、ここを抜ければパーティホールです、気を付けて」

【エレベーターが止まり、静かにドアが開いて行く、エレベーターホールも遥かに広大で絢爛豪華な、正に金持ちのいる場所といった感じのフロアだ】
【ここにも敵はいない、フロアを抜けた大扉には既に自警団員が数人おり、案内役とアイコンタクトをしてから扉に体をつけた】

「今から作戦を開始します、私達も微力ながら援護しますので、皆さんはまず首謀者の確保を」
「───開いて下さい」

【案内役の合図で、自警団員達が扉をゆっくりと開く───内部からの不意打ちなどは無く、料理の乗ったままのテーブルと、大きなステージ】
【ステージ上には、何か沢山の───後ろ手に縛られた人間達が集められて、呻いていて】

「……敵は、いない、のか?」

【拍子抜けしたように、自警団員が一人呟き、足をゆっくりと踏み出した】
【その刹那、人質の一人が叫ぶ】

「だ、駄目だ!こっちに来ちゃ───!」
「え───?」

【迂闊に足を踏み入れた自警団員が、人質の叫びに気を取られ顔を上げる、次の瞬間───】
【けたたましい銃声、飛び散る血肉、肉塊へと人体が変わり行く壮絶な様】
【硝煙が上がるのは、テーブルクロスの向こう側から、哀れな自警団員が崩れ落ちるのと共に、奴らは姿を表した】

【人、人、人───マスクを被り、バトルライフルで武装した男達が次々にテーブルの向こうやテーブルクロスの中から這い出てくる】
【一体、どれだけの数だろうか───一瞬の内に、敵数は侵入者の数を遥かに上回る】

───いけねぇ〜なァァ〜!!ネタバレしちゃあサプライズの意味がねぇぜ!!
折角俺様が余興を用意してやったってのに台無しだ!なぁおい!!

【会場に響き渡る低い声、マイクで拡声された声を上げる大男は、ステージの脇からのしのしとステージ上へと上がり、姿を表す】
【彼がボス、首謀者だ───誰もが確信出来る、その容姿】

【金髪を獅子の鬣の様に立てた男だ。両耳には逆五芒星のピアス、右目の下には《No.16》という刺青が刻まれている】
【身に纏うワインレッドの分厚いロングファーコートの上からでも分かる、筋骨隆々で2m近い背丈、身体中に巻いた金のアクセサリーが下品な高級さを際立たせていた】

346 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 22:45:16.42 ID:lvdGaWZ6o
>>342

僕が美術に長けているように、君にも得意不得意がある
心象風景なんて理解できなくてもいいのさ、ただ存在を知っておけば良い
いつか……それが役に立つかもしれないからね。

……あぁ、いいんだ。わざわざ報告に来てくれてありがとうディハート
またあえる時を楽しみにしてるよ、その時はまた、ゆっくり話そう。

【友が手を振って出口へ向かうと、アンドレイもまた手を振ってそれを見送り】
【まだ彼の姿が消えるより早く筆を取って、壁に向かってしまうのだった】
【薄情というよりも、やはり芸術家。そちらのほうが全てよりも重い≠フだろう】

【やがて扉を潜って外に出たなら、当然フレデリックもまだそこに居て】

『……ふン。とっとと失せろ、警護の邪魔だ―――まったく。』

【多少友好的なディハートのそれとは違って、捨て台詞。まあ、らしいといえばらしいのだが】
【おそらくそれで別れだろう。雑踏に消える姿を、フレデリックもまた視界の隅に見送っていた。】

/お疲れ様でしたー!
347 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/17(金) 22:58:57.48 ID:ZguOzxipo
>>345

【パーティーホールの中は案の定豪華絢爛】
【金目の物が無いかななんて目ざとく探してみる】
【だけどそんな価値の有るものがわんさか落ちている訳も無く】


…まあ、あれだねー…
報酬に期待って感じで

【目ざとい物がないと把握した瞬間に、一気にテンションの下がる少女】
【焦げ茶色の髪の毛をクルクルと指で弄びながら小さく溜息をついた】


さーて…首謀者とっ捕まえてー
報酬…じゃなくて。町の安全の為に頑張るっ!!

【フッと息を吐いて、杖代わりの箒を召喚】
【その箒を誰も当たらない様に、小さく振り回した】


【――――そんな最中――】
【銃声が鳴り響き、一人が哀れな姿へと変貌した】


…あ。これは…えっと。

――――本気で行かないとね


【目の前の隊員が肉塊に変わったと同時に、場の空気が一気に冷たくなったのを感じた】
【少女の雰囲気が一瞬だけピリッと張り詰めたが、それは一瞬】
【即座にまたいつも通りの様子に戻って、箒を敵のいる方へと構えた】


とりあえず後方射撃は任せてもらうよーっ!!

『メルヘン・カース』!!!

【掛け声と同時に箒から射出される桃色の魔弾】
【威力はそこまで無い、だけど当たった物は物凄くファンシーでメルヘンな容貌へと変わるだろう】
【だから何だと言われれば意味は無い、ただ混乱させる事が目的なだけだ】


安全の為に――――とっ捕まえさせて頂きます!!

【一通り魔弾を射出し終えた後に、少女はビシッと首謀者の男へそう言い放った】







348 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 22:59:22.17 ID:zQmJv9Pmo
>>339>>341>>344
君達も今回の協力者か

【ふとエレベーター内で周囲を見渡す男】
【ここで一応名を名乗っておくべきだろうと思った】

私は火の国所属警察、ヨーレレイ=スラーだ、尤も今回は警察ではなく私個人として協力するのだがな
それと、管轄違いなのは偶然休暇でここを訪れていたのもある、警察ではなく私個人での協力なのもそのせいだ

【そういって開いて見せる警察手帳】
【見せている部分には顔写真に『Jolerei=Sura』(ヨーレレイ=スラー)という名前、火の国所属であるということや階級などが記載されている】
【男の容姿は薄青色の髪に藍色の目をしており、背は高い】
【その身に火の国所属警察のコートをまとい、襟には警察所属を証明するバッジ、そして軽く古びたエムブレムの無い軍帽を、深く被っている】
【その下から覗くまなざしは冷たく、また腰には『何か』が入った鞘を刷いている】

先ほど隊長殿から聞いた話だが、テロリストの戦闘員は最低でもバトルライフルとコンバットナイフを装備していることが確認されている
そのためテロリストは軍事訓練を受けている可能性が非常に高い
また首謀者の武器、また能力は不明、そこを注意してほしい

【そう、男は告げると深く頭にかぶった制服にはない軍帽を深く被りなおした】

>>345
【少し時間は戻り】

そうですか、情報提供感謝です
そちらもお気をつけて

【男はそう告げると右手を額に当て敬礼するとすぐにエレベーターへと向かった】

【そして現在へ】

……

【わざわざ敵に接近を知らせる必要は無い、無言でうなづく】
【静かなエレベーターホールを抜けパーティーホールにたどり着く】

【そして懐から一本の警棒を取り出した……かと思えば次の瞬間にはかすかな機械音と共にそれは槍へと変形する】
【自衛団員の言葉に無言でうなづきつつ、中の様子を伺う】
【だが、誰かが一歩進むのをとどめようとしたその瞬間、響く叫びと――銃声】

チッ、ばれてるか

【小さく舌打ちをしながら小声で呟く】
【それをかき消すような機械で肥大化させられた声】

……

【戦闘そのものはあまり得意じゃないのだがな、男はそう思いつつ槍をいつでも振るえるように構えた】
【その下品な男を、今回の首謀者と確信しつつ】

(問題は、周囲の環境、人質だ)

【彼はそう思いつつ、周囲にさっと目を走らせ、利用できるものがないかを探した】
349 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 23:00:36.84 ID:mhfOVppL0
>>343
【賑やかな広場は祭りの様相、屋台の並ぶ横を行き交う人々はなかなかに楽しそう】
【所謂B級グルメの美味しそうな香りが漂い、カラフルな景品夜の広場に彩りを添える】
【そんなよくある「祭り」の光景を初めて見る少女がここに一人――――】

【前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳】
【首元には燕の型を取ったペンダントを下げ、背には「薬」と書かれた大きな鉄の箱を負い】
【この寒いのに防寒着も着ず、纏うのはチャイナドレスに似たような燕の模様をあしらった緑色のワンピースだけ】

【そんな少女は、ごく普通の屋台を見て目を輝かせていた。まるで珍しい物でも見るかのように……】

(―――凄いネ……こんな簡単な構造のお店、見たことないヨ……!美味しそうな食べ物が一杯ネ……!)
(ど、どれを買うか迷うヨー……)

【右を見て、左を見て、キョロキョロと見回して……散々迷うような表情を見せた挙句焼きそばの屋台に目を定めて】
【とことこと駆け寄って焼きそばを3パックも贖えば、またまたキョロキョロと辺りを見回して】

(……一杯買ったけど、食べるスペースが無いネ……――――アッ!)

【暫く見回して隅の方にあるベンチを見つけると、今度はそちらへと駆け寄り―――】

……チョット横、失礼しまス……

【隣にいる男性に片言気味で声を掛け、ちょこんと腰を掛けると出来立ての焼きそばを頬張る】
【……焼きそばの香りが、喧騒さえも煩わしい彼の邪魔にならねば良いが……――――】
350 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 23:02:24.21 ID:N3lGdiYio
>>339

敵はテロリスト、それも集団です。
もしかすると余計なお世話かもしれませんが…………くれぐれも、油断しないで下さいね。

【軽く会釈をしつつ、危険な現場というのに陽気な態度でいる少女に、アルフレドはやや面食らった様子だったが】
【本当に普通の少女なら、こんな所にはいない。恐らく彼女も何かの能力者だろう、という推測を立てる】
【能力者の見た目や性格と戦闘能力が合致しないのは、現場で嫌と言うほど体感済みだ。むしろこういうタイプの方が、戦場では頼りになる事もある】
【いざとなったときに背中を預ける程度の信頼は、そちらに寄せているようだ】

>>340

ヨーレレイさんですね。それにしても、火の国の警察の方とは…………。
他国の警察の方と行動を共にするのは初めてですが…………心強いです。
どうか、よろしくお願いします。

【先ほど隊長へ挨拶していたのを見ていたのだろう、よもや他国の警察組織からこの事件に関わる者が居るとは思わず、アルフレドは驚いた様子だ】
【エレベーター内で改めて丁寧に挨拶をすると、ふと申し訳なさそうな表情を浮かべるのがわかるかもしれない】
【只でさえ自警団にお株を奪われている現状、自国の問題に他国の警官の手を借りるというのが、どうしても気が咎めるらしい】
【とはいえ、それも一瞬――――若いとは言え、そんな事に気を揉んでいる場合でない事ぐらい理解できる。すぐに、刑事の顔に戻るだろうか】

>>344

フェインソリトさん、ですね。
囮役とは言え、こちらの戦力は多くない…………もしそうなった場合は頼りにさせて頂きます。

【商人と名乗るフェインソリトにも、また丁寧な言葉を返す。職業柄建前を使うことも多いが、今回は本音だ】
【アルフレドも一応刑事だが、まだ若く経験も浅い。いざ交渉となればお堅い警察の言い草より、商人の口八丁の方が強い事もあるだろう】
【それに…………フェインソリトと話していると、どこか怒りを窘められているようで。アルフレドは自省し、滲む怒りも多少は和らぐだろうか】


>>345

…………! チィ、ッ!! 僕が先行します!!

【エレベーターを降り、自警団員がホールの扉を開け開く。アルフレドは扉の左側に張り付き、様子を伺おうとするが――――】
【止める間もなく、自警団員の身体が吹き飛ぶ。そこには交渉の余地など微塵も無く、ただ無慈悲な暴力だけが存在して】
【アルフレドはもはや一切躊躇せず、腰の銃器を引き抜いて周囲に一声掛けると、姿勢を低くしてホール内へ転がり込むだろう】
【その、二丁の拳銃は――――どちらも黒い特殊魔鋼をベースに白い強化パーツで覆われ、各所に緑色のエネルギーラインが走った近未来的な外観で】
【左手に持つのは、下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる回転式多砲身機関銃。ハンドサイズのガトリングガンのようだ】
【後部が護拳のように広がっており、その中にグリップが隠れている構造のため、まるで銃を直接左手に取り付けているようにも見える】
【逆の右手に持つのは、上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガンだ】

おおおおおおおッ!!!

【名前だろうか、銃の側面にはそれぞれ『Nara(ナール)』と『Kibrit(キブリット)』という文字が刻まれていていて】
【そしてアルフレドは、飛び込むと同時に左手の『ナール』、ガトリングガンの方の引き金を引くだろう】
【回転する四つの銃口から発射されるのは、緑色に光る小さな球体――――殺傷力の低い魔弾≠セ】
【風属性を帯びたこの弾丸は、高圧縮した空気を魔力製の弾殻に閉じこめたもの。着弾するなどして弾殻が割れた瞬間、中身の圧縮空気が解放される仕組みで】
【それはガトリングの連射力に乗り、一瞬にして数十数百という弾幕となって、ホールの全域へバラ撒かれるだろうか】
【といっても、一発一発の威力は小石の投擲レベルの威力しかない。全身に纏めて喰らいでもしない限りはそう脅威となる攻撃でもなく】
【つまり、これは牽制。弾幕でテロリスト達に回避動作を誘発し、後続がアクションを起こすための時間を稼ぐための行動であった】

お前、カノッサ機関員か…………!
答えろ、何が目的だ!!

【それを終えれば、アルフレドは最も近くにあったテーブルを蹴り倒して障壁代わりにし、その裏に隠れるだろう】
【その直前に逆五芒星≠掲げる人影の姿を捉えれば、ステージ上の首謀者≠ヨと疑問を叩き付けるだろうか】
351 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/17(金) 23:04:17.10 ID:8tjc4dH3o
>>345
へェ…こいつはすげェな、…こンなところで商談のテーブルを囲ンでみてェや。

【緊張感の無い声。だが、微笑む目の端で絶えず周りを観察している】
【だが、扉が開けられ、銃声が響いた瞬間にその態度は豹変した。】


交渉する気はさらッさらねェ、と。…どうやら商人としての俺はお呼びじゃねェみてェだ。

【倒れた自警団員を見つめて、ぽつりと呟く。】
【その無念に、苦痛に、共感する。共感して、溢れそうな感情を飲み込む。】
【必要なのはバランスだ。心は無くさず、それでいて冷静に目的を遂行する】
【だが、目的は心に左右されるものだ。例えば、そう、とりあえず、あのクソッタレなテロリスト達を】

…[ピーーー]、じゃァ芸がねェな。完膚なきまで叩きのめす。
変なファッションセンスのおめェを特に、な。

【逆五芒星に、引っかかるものを感じながらも。彼は、杖を構えて臆せず一歩を踏み出した。】
【そのまま身をかがめて、近くに隠れられる場所が無いかを探す。】
352 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/17(金) 23:05:42.92 ID:ZguOzxipo
>>341>>342>>344

あらあら…これはこれは心強い

【集まった三人の人物を見回して小さく会釈する】
【無論ただの社交辞令であるが】

えっと。私はミーア・モリリスです。
いろいろとブラブラして平和と愛と正義を守る美少女であるっ!
因みにお助け料金は要相談で…

【あっけらかんとそう言って、クスクスと微笑んだ】

まあ…えっと。そのね死なないように!
皆明るく楽しく帰りましょう!
ほら、帰るまでがテロですってよく言うしね

【難しい事は良く分からないからとりあえず明るく振舞っておく】
【相手の装備・能力なども考えれば考えるほど難しくなるだけ】

【だから少女はいつも通りに笑みを浮かべた】

/すみませんコピペミスでここだけ忘れてました!
353 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 23:06:29.64 ID:N3lGdiYio
>>350
/ちょ、ちょっと修正…………
/「ホールの全域へ」ではなく、「現れた男達の足下へ」でお願いします
354 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 23:09:16.73 ID:1zO1K4ev0
【寒さも厳しくなり始めた今日この頃。大通りに面した銭湯も実によく賑わっていて】
【親子連れや独り身、カップル等様々な客層が見られる事だろう】
【そんな中、掲げられた特徴的な暖簾の前で悩ましげに行き来する姿が一つあり】

【一切の乱れなく着こなした軍服に制帽。眼帯で右目を多い、軍刀を腰に提げている姿は容易に性格を連想させるだろうか】
【腕には“自警団”所属を示す腕章を通しており、更には其処に“SCARLET”所属を示すバッヂも付けてあって】


「…………悩むでありますね。日々のご褒美と称して温泉に浸かるのも良いでありますが、向こうでは同じ金額でパフェを食べられるであります
なら、向こうで何か食べた方が…………む、むむ…………迷うでありますよ」

【時折財布を確認すれば、銭湯の入口と、また直ぐ近くにあるレストランの入口とを見比べて】
【少しすれば再び歩き始めて、自分の煩悩と格闘するのだろう】
【温泉に入るべきか、それとも甘味でも食べるべきか。優柔不断な少女からすれば其れは中々に難しい選択】
【さて、その呟きを聞いた者が横から声を掛けたり、或いは顔見知りが誘うなりすればまた結果も異なるのだろうけれど――――】









【路地裏。日々諍いが絶えない其処は、冷たいアスファルトの血が乾くことも早々無い】
【今宵もまた、一つの悲鳴と共に大量の鮮血が辺りを濡らして】


「わた、し…………私…………?
私が…………したの?」

【元は人間であったのだろう其の肉塊。名残は服と思われし布きれだけ】
【其れを前に呆然と立ち尽くすのは一人の少女だ。蒼色の髪と双眸を持った少女】
【手から滴る血は決して自傷の物では無い。得物を幾度となく叩き付け、抉り、裂いたが故の証】
【顔を朱の液体が汚すだとか、纏う物を濡らすだとか微塵も気にする事は無く、ただただ己が人を殺めたという事実だけを確かめていた】


「この人にも家族が居て、待ってる人が居て…………でも、私が…………?」

【臓物は辺りに飛び散り、肉片はアスファルトの欠けた部分を埋め。――――要は惨事】
【素手で此処まで出来る者など、人間ではそうは居まい。だが、事実この少女は獣人の特徴たる耳や、また別な種族を示す角等の特徴も無い】
【…………言うなれば、僅かに感じる瘴気だけが異質。ただ、僅かにでも感じ取れる其れが、決定的な物ともなろう】

【悪魔になりきれない悪魔。微弱な瘴気は元は人間であったのだろうと察するには容易いこと。詰まる所、人間が何らかの理由で悪魔に近い存在へと変化した事】
【ペタリと地面に尻を着けてしまえば、呆然と自身の手を見つめるのみ】

【この少女が何かに巻き込まれたか、其れともこの少女こそが犯人と見抜くか、また別な考えを抱くか】
【――――この場を訪れた者が何を思うかは、分からないけれど】
355 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 23:10:43.02 ID:zQmJv9Pmo
//>>348の挨拶をしたあとということでお願いします

>>350
もっとも、今の私は火の国警察という立場ではなくヨーレレイという個人だ、そう気負うことは無い
……それと、これは私が警察でなかったとしても首を突っ込んでいた

【冷たく、だが若干の気遣いが感じられる声音で言った】

>>352
ミーア・モリリス、よろしく頼む

【小さく頭を下げる】
【本当なら格式ばった挨拶をするのだが、非常時だ、そうしている場合でもない】

帰るまでがテロというのは犯行側の話ではないか?

【そして、彼女の発言に一つ突っ込みを入れる程度には余裕があるようだ】
356 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/17(金) 23:15:16.36 ID:tH9wtdyeo
>>349

……ん、ああ。構わないよ、……

【片言気味な少女を一瞥して軽く頷いたが、隣にいれば嫌でもその芳香が漂ってくるもので】
【平常時ならば食欲をそそるものでも、気分の悪い時には余計苦しくさせるものであり】
【彼は困ったように再び視線を遣る。そんな折、彼女の背負う鉄の箱の文字に目が行った】

君は……薬売り、かい? もしそうならば、気付け薬を貰いたいのだけど……
然程飲めない酒を呷りすぎてしまって、ね。家に帰るにも、まだ所用が済んでいなくて

【だらと寄り掛かっていた姿勢を起こすと、彼は軽く首を傾げて、相手にそう問い掛けた】
【その際にざらりと流れた髪を紫色の爪が彩る手で掻き上げると、特異な両目が更に目立つ】
【オリーブ色の目には呪いのようなものが掛けられており、その為か視線を合わせようとはせず】

【「違ったならば申し訳ないけど」と添えて、長い爪先で少し控えめに、彼女の持つ焼きそばを指さす】
【それの香りがキツい、というのを言葉にはせずやんわりと指摘するが、果たして】
357 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/17(金) 23:40:00.29 ID:A6/cKFZco
>>347
【兵隊達が、構える。相手が構えたのに対応し、素早く引き金を引いた】
【が、その瞬間、彼等の持つライフルに魔弾が次々に命中、ゴツイ男達の手の中には可愛らしい鉄砲が収まる】

【余りにも似合わないその形に彼等は動揺、一部の兵隊の銃撃は止んだ】

>>348
おぉっとぉ?お前は警察かぁ!?そうかぁ、自警団は警察に頼ったかよ!
まぁ何だっていいや、てめぇら国の犬の立場ってのをわからせてやる!

【響く響く、下品な文句、まるでレスラーのマイクパフォーマンスのように指差し唾を飛ばして男は吼えている】

>>350
【アルフレドのガトリングによる掃射は、周囲の兵隊達を次々と撃ち抜いて行く】
【致命傷にはならないが、この弾丸の雨の中顔を出しっ放しにする奴はいない、テーブルをひっくり返し盾にするのが大半、極数人が打ち所悪くぶっ倒れる】

目的ぃ〜?んなもん決まってんだろ!見せしめだよ!
俺様の強さを世界に知らしめる為のなぁ!!

【───右手に持った兵隊をぶん投げながら、大男はマイクに吼える】
【空気の弾丸を一身に浴びた兵隊は、さながら石打ち刑が如く───】

>>351
おうおう!誰が変なファッションセンスだぁ!?
ま、てめぇら貧乏人にゃあこのファッションは理解出来ねぇか!!

【一通り文句を叫んだ男は、マイクを乱暴に投げ捨てると、右手を挙げる】

>>all
おいてめぇら!リング≠セ!!

【その叫びに兵隊達が素早く行動、次々にテーブルを動かし、侵入者達を囲み、巨大なリングをその場に作り出す】
【既に中には少女、アルフレド、ヨーレレイ、フェインソリトが中に入っていて】

赤コーナー!俺様!カノッサ機関きっての武闘派!!

獅子牙 迅皇ォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

【獅子牙 迅皇───自ら名乗りを上げたその男は、兵隊達の叫び声を一身に受けながら、悠々とステージからリングに降りてくる】
【その両手に嵌めたのは、獅子の頭部を模した黄金の籠手、打ち鳴らすと金属音が鳴る】

ラウンド無し、KOのみの4vs1だ!!てめぇら纏めてぶっ潰してやるぜ!!
そうして全ての正義をぶっ潰し!俺様が最強だってことを世界が理解するんだよ!俺様の力の下に世界が平伏すんだ!!
てめぇらはその踏み台も踏み台だ!適当に遊んでやっからかかって来いや!!

【リングに降り立ち、腕と首を回して解した───刹那、獅子牙は素早く動き始める】
【体制を低くしたスウェーで、会場の中心に転がり込んだアルフレドへと接近すると、右拳でのアッパーを放つ】
【非常に発達した筋肉が躍動し、放たれたパンチの威力は高い、その身に受ければ吹き飛ばされ、フェインソリトへと吹き飛ばされてしまうかもしれない】

【だが、狙われてない者からすれば、それは大きな隙だ】
358 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 00:00:07.53 ID:pamtP0730
>>356
【出来たての焼きそばをはふはふと美味しそうに食べる少女。立ち込めるソースの香りを遮る物は何もなく】
【恐らく隣の人にもその匂いが届いてしまっているだろうなぁというのは薄々分かっていたことなのだが】
【……それが彼を苛んでいるという事はまだ知る由もなく、生まれて初めての焼きそばを頬張る】

【―――やがて1パック目を平らげようとした所で、隣から声がかかる。振り向くと、彼の様相は心なしか苦しそうで】
【聞けば飲みすぎたということらしい。……では、気分が悪い彼に自分が食べていた焼きそばの匂いは迷惑だったのでは……!?】
【今更ながら迷惑を掛けていたことに気づいた彼女は、慌てて申し訳なさそうに頭を下げて謝罪する】
【漫画なら冷や汗マークが書かれていそうな程に申し訳なさそうにしているあたり、故意ではないのは伺えるとは思うが……】

も、申し訳ないデス!私、全然アナタの体調の事に気付かなくっテ……ホントすみませン!
確かに私は薬売りデス!お詫びと言っては何ですガ……えーっと……コレ、飲んでくださイ!

【急いで残りの焼きそば2パックを鉄の箱の中に仕舞うと、束の間ガサゴソと何かを探し……やがて取り出したのは何やら褐色の粉末】
【それを器に入れると公園の水飲み場で水を注ぐ。彼女が「ハッ!」と声を上げれば、一瞬器に赤い光が差して器からは湯気が上る】

【……その器をそのまま彼に手渡す。一口飲めばわかるとは思うが、渋みと苦みで構成される味覚はお世辞にもグイグイ飲めるものではなく】
【しかし効果はてきめん、飲みすぎた時特有のあの気分の悪さは立ちどころに取れるだろう。……全部飲めばの話だが】

【……彼が器に口を付ければ、少女はやや心配そうに彼の顔を見つめる。はたして彼は自分を許してくれるのか、薬を飲んでくれるのか……彼女の顔を曇らせているのはこの二つ】

【彼が湯呑み半分程の湯を飲み干してくれたなら、少女は尚も心配そうに横から声を掛ける】

……あノ……どう、でしょうカ……少しは気分が良くなったらいいのですガ……

/すみません、遅くなりました……
359 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 00:17:52.98 ID:ectQS3dao
>>348

さすが警察さん…武装がキッチリしてるねぇ
私が危なくなったら助けてよねっ

【一瞬にして警棒から槍へと変貌する武装】
【それを見てさすがは警察だなと内心感心しながら、魔弾を敵へと射出していた】

>>350

うわわわわ…こっちは更に物凄い…
もうあれだ。軍隊だ。

【警察の武装というには生易しすぎる武器に少女は度肝を抜かれる】

その内ロケランとか持って来る人出てきそうだよね。
国家財産てやっぱり凄い…

【少女は溢れる弾幕の中、一人小さくそう呟いたのであった】

>>351

まあ…確かに悪趣味だよね。装飾過多って言うの?
本人はオシャレだと思ってるみたいだし…

【獅子牙の姿をチラッと見て一瞬だけ嘲笑】

人それぞれだと思うよ

【心にも思ってない言葉は銃声の中で虚しく口にされた】

>>357

あらま…すっごいしょうもない団結力…
手作り間満載の即席リングに閉じ込められちったよ…

【魔弾を撃つ事に集中しすぎて、少女もまたリング内に囚われてしまった】
【無論安易に抜け出せるだろうとタカを括っているのだが】

カノッサ機関かぁ…悪い事は言わない。止めといた方が良いよ
あそこはだって結構ケチるんだ…じゃなくて、後戻りできなくなるよ!
平和が一番。ラブアンドピース!

【両手でピースを作りながら、一番近く似合ったテーブルに魔弾を射出】
【ぽわんと言う音と共にテーブルクロス共々姿を可愛らしい物に変えた】

そう簡単に攻撃は――――させないよっ!

【ブオンブオンと風を切る勢いで箒を大きく振り回す】
【すると先程能力にかかったテーブルクロスがフワフワと宙に浮き】

これでもくらえっ!

【テーブルクロスはある程度の速度で獅子牙の元へと向かっていく】
【目的は気を逸らす事と視界の妨害、可能であれば拘束しようとしているらしい】
【無論耐久力は元のテーブルクロスと同じく低いので壊す事は容易だ】
360 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 00:20:01.27 ID:FdiFqDqLo
>>358

いや、構わないよ。勝手に潰れている私の問題だから、ね……気にせず。
それで……此れが、薬。有り難く頂くよ、じゃあ……君の優しさに。乾杯

【相当酔っているのか、或いは何時もこんな調子なのか、相手を特段疑うような事も無く】
【受け取った温かい器を、感謝を示すように彼女に軽く掲げて見せてから、静かに口許へと運ぶ】
【苦味渋味は相当強いのだろうが、生来そういった味が苦手ではない性質であり、全てを飲み干し】

【暫しの後には、先までの辛そうな表情も全く無くなっていた。薬効が確かにあったようで】

……驚いたね、すっかり良くなった。素晴らしい薬売りなんだね、君は……
改めて、礼を言うよ。あのまま帰っていたら、妻を困らせてしまっただろうから。
それで、薬の代金は幾らになるかな。あと……あの水を温めた赤い光は、能力かい?

【気分の悪さも無くなり、深く息を吐いてから微かに笑んだ彼は、飲み干した器を置いてから】
【調子を取り戻した証左とも言えるだろうか、相手の薬代の精算と、ひとつの疑問を問い掛ける】
361 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 00:20:13.03 ID:bbt2fZcXo
>>357

見せしめ…………だと!?

【現状、相手に交渉の余地があるとは思えない。敵は無抵抗で踏み入った自警団員を、一切の警告もなく殺したのだから】
【最悪人質を盾にして、抵抗できないこちらを一方的に攻撃してくる可能性もある――――と、当初アルフレドはそう考え】
【ならば多少危険を冒してでも、先手を取って懐に飛び込むべき。そういう意図での、この突入であった】
【それは、仲間の安全を考えれば良手だが…………人質の安全を考えるなら悪手。目の前でひとり殺され、冷静さを欠いた面は否めない】
【…………だが、結果的にはそれが正解だったのだろう。囲われたステージの中で、アルフレドの中のまだ冷静な部分が深く思考を回す】

いいだろう、相手をしてやる――――だが人質は解放しろ!
お前のその強さとやら、小汚いやり方で証明できるものでもないだろう!? 本当に最強だと示したいなら、正々堂々と戦え!!

【アルフレドは盾にしていたテーブルを自ら押し退け、敢えて堂々と立ち上がると、真正面から吼え立てた】
【獅子牙と名乗ったこの男、強さ≠ノ拘る戦闘狂のようなタイプと見た。それを考慮し、掛けられるのは感情を煽る挑発の言葉】
【これで人質を解放してくれれば、それが一番良いのだが…………相手はカノッサ機関の人間だ。そう簡単に行かない場合も、想定しなければ――――】

…………っ、ぐぁッ…………!!

【そして放たれる鋭いアッパーに対し、アルフレドは大きく真横に飛び退くことで回避をはかるだろうか】
【だが、元々近距離戦の得意なタイプではない。避けきるには飛距離が足りず、右肩を籠手が掠めて鈍い痛みが走る】
【一時崩れかける体勢を、アルフレドは左足に全力を込め――――半ば無理矢理、前方へと一歩踏み出すだろうか】
【無茶な体勢で跳んだせいで、獅子牙の真横をすり抜けるその身体は、無様にもゴロゴロと地面を転がっていく】
【――――だが、その動作は作為的なもの。地面を転がることで多少なりとも距離を稼いだアルフレドは、作られたリングに身体をぶつけ】

喰らえッ!!

【その衝撃で一気に身体を起こすと、掲げた右の『キブリット』の銃口には、明らかに最初居上の高密度なエネルギーが纏われている――――】
【刹那、一切の迷いなく引き金は引かれ、獅子牙の左膝を狙って強烈な高圧縮空気弾が放たれるだろう!】
【先程机の陰に隠れている間に魔力をチャージし、威力を高めた一撃だ。威力は『ナール』の一発一発とは比較にならない】
【もし直撃した場合、膝の関節に強烈な負荷が加わり、一気に機動力が削がれる事になるだろうか】

【ただ、現在のアルフレドはリング際に背中を預けている。真後ろから兵隊に襲撃されれば、かなり危険な状態だが――――】
【少しでも人質に近い位置へ動き、かつ獅子牙が部下に手を出させるか否かを確かめる。この移動にはそういう狙いもある】
【危険は承知の上だが、周囲には仲間もいる。これ以上殺させないために、情報は少しでも多く欲しかった】
362 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 00:23:01.64 ID:dkIOf5szo
>>357
組織の犬だからといって犬自慢は辞めたらどうだ
奴隷の鎖自慢と同じ匂いがする

【唾を飛ばしている様を汚いと思いつつ、スッと目を眇める】
【力しか自信がないから、組織に所属していることだけが寄り辺だから】
【これまで警察内部でも見てきたそういう"ヤツ"に、似たそいつをスッとみる】

あとそれと、これは警察ではなく私個人での活動だ
相変わらず自警団と警察の仲は悪いよ

【あの隊長の微妙そうな表情が、忘れられない】
【本人は隠しているかもしれないが、そういう雰囲気のようなものを、感じ取った】
【自分の思い過ごしだといいが、そう思い呼吸を整える】

とりあえず、踏み台になる気は無い
(あいつはこのテロをただの売名行為、そして遊びだと思っている)

【なんともはた迷惑な話だ、そう思いつつ作られた人の生垣、リングの中で男は悩む】
【男は戦闘は得意ではない、だが、彼の能力を使うのはここでは戸惑われた】
【とりあえず、首謀者がとんでもなく悪趣味だということは分かった】

【あの少女の力で無力化したバトルライフル、だがまだナイフがある】
【いや、その気になれば歯の一本、指の一本で人を殺せるのだ、人質だけでも助け出したいが】

……
(無理か)

【彼にあの生垣を突き破る力は無い、ましてや人質達を無事に外に連れ出すことも一人では不可能】
【大きな隙、爆発が起きれば出来なくもないが、そんな都合よく爆発が起きるわけでもない】

(ならせめて)

【槍の石突をいじる、すると刃の部分に人を気絶させるのに充分な威力の電流が流れる】
【そして、足首を狙い、静かにその刃を振るった】

>>359
すまねぇな、あんなのじゃなくて

【ちらっとアルフレドのほうをみつつ槍を持つ】

私の兵装、いえ、この槍はかなり旧式化していてですね
コンパクトで持ち運びやすく、更に刃に電流が流せる
ただそれだけのシンプルな性能が気に入っていて使っているんですが……
それに私個人はそこまで強いわけではないので……まあ人一人を守るぐらいは出来ますが

【彼の本業は戦闘ではない、だから旧式化した兵装でも許される】
【だがこんなことになるなら最新式の兵装を借り受ければよかった、そう後悔】
363 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 00:24:46.34 ID:0CaLbePLo
>>348 (ヨーレレイ)

フェインソリト、しがない商人だ。よろしくお願いするよ。

【男はにっこりと笑って会釈した。】
【責任感がありそうだ、と彼は思う。自分の立場を一々気にするところとか】
【そういう人は修羅場でも揺らがない、と彼は思っている。】

バトルライフル、コンバットナイフ…どちらも得意だよ。
ただ、あからさまな軍服さんはちと怖いねェ
頼りにしてますよ。

【相手の装備に少し驚いたが、すぐに悪い笑みを浮かべた。】
【頼りにしているのは本音だろう。】


>>350 (アルフレド)

【叫び、ホールに爆風を撒き散らすその様に、一瞬まずいと思ったが】
【とっさにこれは時間稼ぎだと気付く。】
【大げさな攻撃だが威力が低い。ならばこの隙に】

ありがとよ、アルフレドさン!

【倒れたテーブルの陰に駆け込み、彼の周りに蜂蜜のような、蕩けた琥珀色の粘体が浮翌遊し始める】
【魔翌力を生成して作り出した彼の『琥珀魔法』の第二形態。それは彼の体を薄く覆っていた。】
【実在物質を生み出す魔法には顕現に時間がかかる。だが、アルフレドの撹乱がその時間を稼いでいた】

【琥珀のベールは、ゆっくりと彼の隠れるテーブルを皮膜のように覆っていく。】
【テーブルはまもなく琥珀色に飲み込まれるだろう】


>>352 (ミーア)

フェインソリトだ、よろしくなァ。

【こんな子がおとりで大丈夫なのか、と一瞬思ったが、怪我が無ければ良い、と思いなおす。】
【まぎれもない自由意志でここに居る彼女にそれを聞くのは野暮というものだ】

料金だッて?おいおい、俺は商人だぜ。
財布の口は誰よりも硬ェンだ、悪いねェ。

【くつくつと長身を折って笑った。】


----------------------
364 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 00:24:55.45 ID:0CaLbePLo
>>357

…リング!?
ンだ、そりゃァ…余裕だッてか。良いぜ、その蛮勇は後悔させてやらァ。

【言葉と同時に、彼の隠れていたテーブルが琥珀の粘体に飲み込まれた】

クリスタライズ
結 晶 化 。

【短い一言で、そのテーブルは収縮し、握れる大きさの琥珀の宝石に閉じ込められる。】
【どうやら一緒に数個のナイフやフォークも取り込んだようだ】


【アルフレドへの攻撃を見る。その動線が自分に向いていると知るや】
【即座にその方向へ走った。】


【アルフレドへの攻撃は、チャンスと見る】
【攻撃対象になっている、アルフレドの体を盾に距離を詰める。】
【銃を使うアルフレドは、あの攻撃を受け止めるタイプでは無いだろう。】
【恐らく避ける。ならば、そこに獅子牙の完全な隙が出来る。そして…】

良く避けたッ!

【アルフレドに叫ぶ。殴りぬいたその動作にあわせる様に肉薄し】
【選択した初手は、杖による急所攻撃】
【殴りぬいた瞬間の無防備な脇腹に沈み込ませるように、素早く杖の突きを放つ。】

悶絶しろ、そこは痛ェぞッと!

【当たっても、当たらなくても】
【彼はもう一度距離を取る。近い間合いは獅子牙の有利に働くからだ】
【いつ攻撃が来ても良いように、体の回りに更に蛇のように螺旋を描く琥珀の粘体が顕現する】
365 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/18(土) 00:51:42.40 ID:UHvu8PJpo
>>361
ははァッ!!人質を解放だぁ!?嫌だね!!
汚ぇだの!正々堂々だの!そういう言葉を出す時点で弱者なんだよ!!
いいか!力ってのはどんな形だろうと力だ!例え人質を取ろうと何しようとなあ!『卑怯だ』っつーのは弱い奴の言い訳なんだよ!!

【真横をすり抜けたアルフレドに振り向きながら、獅子牙は言い返す。彼にはやはり交渉は通じない】
【人質を取るというのもまた力の一つ───そんな風に、彼は言って】

うぉっと!!そんな豆鉄砲当たるかよォ!!

【アルフレドの放つ弾丸をサイドステップで回避、だがこれは次に繋がる確かな一歩】

>>364
背後は危険……だなぁっと!!

【背後から迫り来るフェインソリトの杖、それを左手の籠手で防ぎながら、獅子牙は振り向く】

痛ぇのは知ってんだよ!だからこそ狙いがわかんのさ!

>>362
それも読めてるぜ!機動力を削ぐのはきほ───

【ついで、ヨーレレイの槍が迫る、これに対し獅子牙は逆にカウンターを入れてやろうと、槍の動きを読みながら接近】
【───しようとした、が】

>>359
【ミーアの飛ばしたテーブルクロスが顔に被さり視界を覆う、それに気を取られて足取りが混乱、電撃の槍が右足首を切り裂く】

チィ……ィィィッ!!ウザってぇなオイ!!!

【一歩後退り、苛立ったようにテーブルクロスを引き裂きながら、再び足を踏み出す獅子牙、傷は浅く、動きはまだまだ健全らしい】

>>all
【兵隊達がテーブルを叩き、かぶり付きで怒号を撒き散らす、既にその場に立食パーティの優雅さは無い】

【獅子牙は再び踏み出した足で、その歩幅で一気にヨーレレイへと接近すると、右拳を振り上げてつき降ろす、重力加速を込めたテレフォンパンチだ】
【だが、僅かに届かない距離感───それをヨーレレイは見切れるか。見切れたならば、それが危険】
【拳が振り下ろされるその刹那、なんと籠手から二枚の鉤爪が飛び出した、鉤爪により伸びたリーチが、距離感を詰めてヨーレレイを切り裂かんとする】

【攻撃に成功しようがしまいが、獅子牙は素早くヨーレレイから離れ、今度はミーアへと向かっていく】
【拳を構えながら接近し、鉤爪の生えた左拳を振り上げて逆袈裟に切り上げようとするだろう】


【そして───気付くだろうか?獅子牙の変化に】
【攻撃をするたびに、獅子牙の体に下品な黄金色のオーラが纏われ、輝きを増していくのを】
366 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 00:58:49.62 ID:j6hQwJaVo
>>354
/まだいらっしゃいますかー?
367 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 01:05:18.65 ID:ectQS3dao
>>365

やったね!大成功だ!

【相手にテーブルクロスがぶつかり視界を妨げれた】
【それに加えて警察の攻撃も命中】
【まさしく気分上場、有頂天になりつつあった】

【だが、その気の抜け方が運の尽き】
【獅子牙が第二の標的に矛先を向けた、と思えば次は自分に向かってきている】

【自分には防御手段なんて無い、となればあの鉤爪をまともに食らってしまう】
【食らった先に待っているのは明らかな死】

こっち来ないでよぉっ!!

【考える事を放棄して魔弾を連射する少女】

【冷静になれば気づけるはずの変化にもまったく気付いていない】
368 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 01:12:38.64 ID:0CaLbePLo
>>365
…ッと、なるほど、ただの力馬鹿ッてわけじゃァねェらしいな

【振りぬいた脇腹を射抜く突き攻撃を、逆側の篭手で防ぐ。】
【言うだけあって相当な技術だ。素早く、精密で、攻撃翌力が高い。】
【なるほど、目の前にいるのは確かに武闘派だ。】

だが、俺の『力』も馬鹿にしねェで頂きてェな。

【再びフェインソリトは接近する】

クリスタライズ
結 晶 化、琥珀装甲

【走りながら、ピシピシ、パキ、と周りを漂う琥珀の粘体が明確な形を取って固形化し】
【フェインソリトの杖を持たない側の半身が琥珀色の装甲で覆われる。】

【同時に、彼の体の回りに粘体が更に浮翌遊する。まだ魔の力は残っているが】
【限りなく使えない力である以上、その量は必然的に少ない】

…なンだ、ありゃァ。…オーラ?…まずいな、リングのスタイル…

【オーラに気付いた彼は、接近しながら叫ぶ】

気をつけろ!なンかの能力か…ヤツにはオーラが蓄積されてる!
リングに関係があるかもしれねェ。

【そして、装甲を纏った半身で体重を乗せたエルボータックルをかます】
【ミーアへ向かい、切り上げるタイミング。彼は真っ向勝負など出来ない。】
【誰かが狙われた隙に、自分の行動を的確に選択する】
【…防御、反撃に備えて、残った粘体で何かを狙っているようだ】
369 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 01:17:08.59 ID:pamtP0730
>>360
【心配そうに少女が顔を見つめる中、男はあっさりその器の湯を全て飲み干す。……驚いた、相当苦い筈なのだがそんな表情を見せることもない】
【ポーカーフェイスなのか我慢強い性格のか……少なくとも自分の薬を嫌な顔一つせずに飲んだのは彼が初めてだ】
【勿論効果はどの薬も偽りない。しかし、その苦さ故に飲めないとクレームを付けられることも少なくない……】
【故に、見ず知らずの自分が差し出した苦い薬にどんな反応をされるか心配だったのだ。……しかし、それは杞憂だったらしい】

【それどころか「素晴らしい薬売りだ」なんて褒められれば、嬉しそうな恥ずかしそうな、少女らしいはにかんだ笑顔を見せて】
【照れながらも褒められたことが嬉しかったらしい。……先ほどの慌てた表情といい、心情がそのまま顔に現れる娘のようだ】

【照れ笑いを浮かべたまま、すっかり良くなった彼に言葉を返す。片言で紡がれる声色が嬉しそうに弾む……本当に分かりやすい少女だ】

エヘヘ……ありがとうございまス!私の薬はネ、飲めば絶対に効くんですヨ!……飲めば、ですけド……
アナタは苦いの平気なんですネ。私、ビックリしちゃいましタ♪
ア、お代は結構でス!……その、私、迷惑掛けちゃいましたカラ……お詫びだと思ってお代は取っておいて下さイ!

【お代に関しては手をブンブン振って要らないとアピールする。……気分悪い人に食べ物のキツイ匂いを浴びせたのが、薬師として自分を許せなかったらしい】
【彼女とて人を治す人だ。気分の優れない人へのストレスが如何に症状を悪化させるかは知っているだけに、自分の軽率な行動を反省している……】
【さて、話は能力の事へと移る。別に隠し立てするような事でもなく、彼女は笑顔で問いに応じる】

そうでス、あれは「気」と言いましテ……
この世の全ては流動的に運動してましテ、全ての事象が互いに関わりを持って作用を起こすんでス。
その流れそのものが気で、これを把握して行使するのが私の能力でス。
私の作る薬も、患者さんの気の流れを把握して、体調をおかしくさせている原因を排除して気の流れを整える……これが根本にありまス。

……こんなふうに言えば凄い人みたいですけド、私が薬以外で出来ることなんてさっきみたいに物を温めたりするぐらいです……エヘヘ
気の流れの把握までは出来るんですガ、それを使いこなすのは難しくっテ……

……えーっと、奥さんがいらっしゃるんですよネ?じゃあ折角だからこれ、プレゼントしてあげてくださイ!
遅くなった言い訳になるかもしれませんヨ?

【ひとしきり喋り終えると、またまた鉄の箱から何かを取り出す。……先ほどの焼きそばと、もう一つ何かの欠片のようなもの】
【赤褐色のその欠片は、嗅げば芳香がする。お香なんて、彼は見たことがあるだろうか……?】

これを焚けば、心が安らぐんでス!アロマとはまた違った感じですガ、奥さんが喜んでくれそうなものがこれしかなくっテ……
……奥さんはどんな方なんですカ?良ければ教えて欲しいデス。
……私もいつか結婚したいナァ……
370 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 01:35:22.03 ID:bbt2fZcXo
>>365 >>367 >>368

(やはり、無駄か…………!)

【卑怯な力も、また力である――――獅子牙に肩入れする気は一切無いが、その点だけはアルフレドも同意だ】
【正々堂々の闘いなど二の次。例え卑怯と罵られようが、被害者を出さない≠アとは警察官としての絶対条件なのだから】
【もし相手が強さを誇りとし、戦を好む武人≠フ類であったなら、まだ相手も楽だったのだが…………そううまくも行かない】
【こうなれば、人質を救出するには――――力尽くで獅子牙を取り押さえるか、それが出来ずとも時間を稼いで増援を待つかしかない】
【幸い、部下を動かして攻撃してくる様子はない。とはいえ卑劣な策を弄すのも厭わない相手だ、油断は出来ないが――――】

(ヤツは素早い近距離タイプ…………なんとしても足を止めないと!)

【渾身の弾丸も、あっさりと回避される。仲間達の追撃でダメージは与えられたが、単発で直撃させるのは難しいと判断】
【両銃のマガジンの側面にあるスイッチを素早く切り替えると、エネルギーラインの色が緑から黄色へと変わるのが見えるか】
【アルフレドは中腰になり、痛む右肩に構わず両手を突き出す。『キブリット』と『ナール』を目前でクロスさせるような構えだ】
【それは、両手の二丁拳銃を同時に撃ち放つ掃射≠フ体勢。アルフレドは人差し指に力を込め、最後に仲間に向けて叫んだ】

ミーアさん、落ち着いて! こちらは四人、冷静に対処すれば大丈夫です!
フェインソリトさん、ヨーレレイさん、僕が足止めします! その間に追撃を!!

【同時、両銃の引き金は強く引かれ――――数え切れない程の発砲音が、リングの中に満ち溢れ】
【ミーアへ向かう獅子牙の背中を狙い、フェインソリトに当たらないよう狙い澄まして、『ナール』の弾幕と『キブリット』の二連射が放たれる!】
【『ナール』の無数の弾丸は下半身を中心に、『キブリット』の二連射はそれを囮として、獅子牙の両肘へ飛翔するだろう】
【前者は一発の威力が低いが大量に飛散し、後者は単発だがゴム弾ほどの高威力を持っており、関節に直撃すれば拳の威力を削げるか】
【また、放たれる弾丸は全て黄色に染まっている――――マガジンによって属性変更を行った今回の弾丸は、雷属性の電撃弾≠ノ変化しているのだ】
【弾を喰らえば喰らっただけ体に電撃が通電していき、筋肉を麻痺させて一時的に動きを阻害するだろうか】

【二丁拳銃を生かしてバラ撒かれる多量の弾丸は、しかし欠点もある。仲間への誤射を恐れてか、弾幕の方は最初よりやや拡散率が低い】
【拡散率が低いと言うことは集弾率が高いと言うことで、当たると確かに厄介だが、回避の余地が無いわけではないだろう】
【また、蓄積されるオーラのことも念頭には置いているようだが…………今のところは、それに対してアクションを起こす余裕はなさそうだ】
371 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/18(土) 01:36:04.53 ID:ectQS3da0
/すみません。ID変わりましたがミーアの中身です
/PCの電源がつかなくなりロールの続行が難しいです。
/誠に僭越ですが戦線離脱として扱っていただけないでしょうか?
/突然のことで申し訳ないです
372 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 01:37:52.70 ID:dkIOf5szo
>>363
【少し前】

フェインソリトか、よろしく頼む

【そういって小さく礼】

私自身はあまり強くは無いのだがな

【そういって、帽子をそっと深くかぶった】

>>365
右足首に槍を向けてしまってな

【浅くだが、槍で傷つけられた】
【刃物が効く、これで傷つきさえしなかったら対抗手段が格段に減る】
【だが現実問題、効いた】
【しかし相手の力量は遥かに彼のポテンシャルを上回っていて】

なっ……!

【傷は浅いことは知っていたが、一気にこの距離をつめられるとは】
【あわてて槍の柄を盾のようにし篭手を受け止めようとした】
【それは確かに用を成した、だが】

ッガ!

【篭手から伸びる鉤爪、それは的確に彼の左肩に命中した】
【その衝撃で後ろに転がるヨーレレイ、右手で槍を手放さなかったのは矜持か、否か】

っ……

【着ていたコート、最先端の兵装の警察の制服であるコートはある程度の衝撃を吸収し鉤爪が貫通することは防いだ】
【だが、人が吹き飛ぶほどの衝撃を一点に受けた左肩が無事であるわけが無い】
【事実、彼の左腕はプランとぶら下がり、動く様子は無い】
【肩が砕けたわけではなさそうだが、それでも左腕が使えないようになる程度の衝撃はあったようだ】
【そして、槍というものは両手で扱う武器である】

……

【冷静に槍を小型化させ警棒に戻す】
【しかしリーチの短いこれで突っ込んだところで相手のリーチに入るだけだ】

……やるか

【そういうと彼は一つ深呼吸、そして立ち上がると】

『展開』

【そして、男の能力が発動した】

【男は能力で周囲の情報を事細かに入手しようとした】
【それは視覚に頼るものではなく、まさしく『精査』と呼べるようにこの空間そのものを解析する行為だった】
【それだけか?いいや違う……】
373 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 01:38:16.74 ID:dkIOf5szo
>>367>>368>>370
【彼の能力はそれだけではなかった】
【戦闘している三人に奇妙な感覚が襲うだろう】
【拒絶することもできるが、それは安心できるものだ】

【もし受け入れれば、自分が次どうすれば最善か、またどこから攻撃が来るか】
【どう回避するのがいいか、自分の見えない視点の部分などを補完するように情報が流れてくる】
【この戦場でどう動くべきかがわかる】

「聞こえますか、ヨーレレイです」

【そして頭の中に伝わる念話】

「これは私の能力です、簡単に言えば"次どう動くべきか"、"どこから攻撃が来るか"が『わかる』能力です」
「もちろん強制ではないので違う行動をして下さってもかまいません」

「あと、この能力を使用している間は私は一切行動できません……が、まあ左肩をやられてしまったのでろくな戦力にはなれません」

【確かに、ヨーレレイに視線を向ければ目を閉じて突っ立っているだけに見える】

「ですが、私にかまうことなく、あなた方は首謀者に集中してください」

【そうして、念話が途切れた】

【能力:管制塔が発動】
【能力の概要として周辺の環境や敵を解析し(Field)】
【味方の状況や挙動、得意分野や疲労状態などを自身とリンクさせ、管理する(Management)】
【また、能力の対象者たちは次にどう動けばいいか"解る"】
【だがこの能力使用中は一切の行動を取る事が不可能となり念話で指示を飛ばすことしか出来なくなる】


【状態:管制塔発動中:味方は攻撃がどこから来るか、どう行動するのが最善かが"解る"ようになる】
374 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 01:44:10.37 ID:WDSQ7f7B0
>>366
/申し訳無いです……こちらを見ていませんでした……
/一応、4〜5時まで居りますよー
375 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/18(土) 01:48:01.74 ID:UHvu8PJpo
>>367
ははっ!!オイオイ狙いが甘ェぞ!!

【右へ左へ、素早いスウェーを繰り返しながら接近する獅子牙に、乱射する魔力弾は当たらない】

おらぁ!喰らいな!!

【そのまま、ミーアに爪を振り上げようとした、が───】

>>368
グオッ!?

【刹那、フェインソリトが割り込み、エルボータックルをかました事で獅子牙の体制は崩れ、攻撃は不発】
【しかもそのせいでミーアの魔力弾が右耳のピアスに当たり、ピアスが可愛らしいうさぎちゃんのデザインに変化した】

この……野郎ッッ!!

【苛立ったように叫び、フェインソリトを蹴り飛ばそうとしながら、一歩下がる】

>>370
【そこを狙い、放たれる大量の弾幕、元々防御に乏しい獅子牙に、この弾幕は防ぎきれない、オマケに今は隙だらけの体制だ】

ぐッッ!……おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

【咄嗟に振り向き、両腕を交差させて頭部を守るが、それでも身体中に弾丸の雨を受ける】
【身体がデカイだけに的も大きい、万遍なく巻かれた弾丸が、身体中の筋肉に電流を送り込んでいく】

>>371
/はい、了解です、お疲れ様でした

/続きます
376 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/18(土) 01:48:24.36 ID:UHvu8PJpo

>>372>>373>>all


───あ″あ″あ″あ″あ″あ″ァ″ァ″ァ″ァ″ァ″ァ″ァ″ァ″!!!うっぜぇなてめぇら!!

【豪、と獅子牙の纏うオーラが強くなり、獅子牙が交差させている両手にオーラが集中する】
【そのまま腕を思い切り開くと同時に、獅子牙の両手から金色の波動が放出され、弾丸も含めた周囲の物を吹き飛ばした】

……おい野郎共!───サンドバッグ≠セ

【闘気を放った獅子牙の体から、オーラは消えている、リング側に下がりながら右手を挙げた獅子牙の指示に従い兵隊達が動き出した】
【兵隊が連れて来るのは、ステージから一人連れ出した人質───最初に危険を知らせた初老の男性だ】
【抵抗する男性を兵隊達は無理矢理連れ出し、獅子牙はその胸倉を掴み上げ、無理矢理リングへと引きずり出しながら、振り返る】

いい事を教えてやる!俺様の能力の種明かしだ!
俺様の能力《獅子獣心》はなぁ!攻撃すればする程に力が溜まる!!

こう言う風に……なッ!!

【……鈍い音がした、掴み上げた男性を鉤爪のついたままの拳でぶん殴り、床に叩き付けたのだ】
【そのまま、血を流す男性に詰め寄り、更に拳を振り下ろす】

ぶん殴って!ぶん殴って!俺様が殴る程に差は開いて逆転のチャンスは無くなるんだ!『諦めなければ勝てる』なんて馬鹿な考えは頭から叩き潰す!!
これこそがチャンプに相応しい力だ!王に相応しい在り方だ!そう思うだろ!?えぇ!?

【痛々しい音、惨たらしい絵面、何度も何度も、返り血を浴びながら何度もただの人間を殴り、その度にオーラが輝きを増す】
【そのうち、オーラがそれ以上に強化されなくなった、気付いた獅子牙は舌打ちしながら体制を直す】

……これくらいで死んじまったかよ、こりゃぁもう一人いるかぁ!?

……いぃや、十分か、てめぇらぶっ潰すにはなぁ!!

【足元に転がる肉の塊を踏み付けながら、大口を開いて獅子牙は笑う、罪も無い人を犠牲にして、力を得た愚かな王は、笑う】
【黄金に輝く男は、両手を合わせて開き、口を開いた獅子を象った構えを突き出しながら、吼えた】
【全ての力が集中し、凝縮されていく、その波動が狙うのは───全て】

纏めて吹き飛びな!!!!《獣王金剛牙砲》!!!!!

【獅子牙が咆哮を上げると、集まったエネルギーが一気に膨れ上がり、打ち出される】
【巨大で邪悪な獅子の形を象った黄金の闘気弾は、周囲の物を蹴散らしながら纏めて破壊せんと彼等に迫る】
【しかし、これを放った事により獅子牙のオーラは消え、強化はリセットされている。これを乗り切れば勝ちは間近に見えるだろう】
377 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 01:48:54.62 ID:FdiFqDqLo
>>369

嫌いではないかな……その代わりに、甘味のある類は全て苦手だけれどね。頭痛がするから
……そう、かい? なら、そうさせて貰うけれど……この恩は、何時か返すよ
こちらこそ、折角屋台の品を楽しんでいたようだのに、済まなかったね

【金は要らないと言われれば少しばかり戸惑うようにしながらも、最終的には受け入れる】
【それから相手の説明を聞けば、納得したように頷いた。気についての知識は少しなりともあるようで】
【更に「プレゼント」として出された焼きそばと赤褐色の香には、流石に驚いたような表情を見せた】

これは……貰って良いのかい? 薬といい、済まないね……良い香りがする。きっと、妻も喜ぶ
……妻の事かい? ふふっ、そうだね……とても優しくて、可愛らしくて、それでいて芯のある女性だよ
彼女がいなければ、今の私は無かっただろうね。この私を頼って、甘えてくれるのは、彼女位なものだから

【妻について問われれば、緩く目を細めて、左手薬指の銀の指輪を撫でながらそう語る】
【指輪の表面には黒い蛇の彫刻が有り、その目の部分で桜色の魔力が灯っていた】
【それは彼自身の持つ魔力とは違っていて、恐らくは、彼の妻のものなのだろうか】
【指輪を介した繋がりを辿るように、妻に関する様々な事を想起してか、知らず口許も緩んでいた】

……失礼、語り過ぎてしまったかな。君も何時か、そういう人に、きっと出逢えるさ
それでは……そろそろ失礼するよ、薬とプレゼント、本当に有難う。……一応、これだけは受け取って欲しい
私の所属する組織の店でね。各国の首都に店舗があるから、もし立ち寄る機会があれば、これを提示すると良い

【別れ際、そう言って彼が差し出したのは、黒地に金文字で「Elysion」と刻まれた一枚のカード】
【知名度は低いが、それは中々に高価なファッションブランドの特別商品券であり、もしもこの店に赴いたなら】
【魔獣の素材等を用いて作られた、そのまま装備にもなる服やジュエリーが一セット分、無償で提供されるだろう】

【頑丈な防具に匹敵する防御力を持ちながらデザイン性の在るコート、魔力を秘めた石を用いたペンダント等、】
【無理のない範囲で良いようにして貰って構わないし、勿論このカード自体を金に変える、という事も可能である】
【兎も角――それを今宵の礼として、彼は会釈を残せば、その場を立ち去っていくだろう】

/この辺りで失礼しますー、お疲れ様でした!
378 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 02:21:11.68 ID:j6hQwJaVo
>>354

【歩む足音は躊躇いない】
【先にあるものが血塗れの結末だとしても止まらない】
【あるがままにあり見るがままを見る、区別なく差別なく】

―――――――近頃はよくもまあこういった現場に出会うものですね

【染み入る声は物語の読み手のように抑揚がない】
【あくまで自分とは関係のない世界の物事を語るよう】

【彼女の背丈は一般的な女性のそれ】
【ロシアンハット、ポンチョコート、覗くストッキング、ロングブーツ】
【その全て一切が白色である彼女はその瞳も開かないで少女の背後で歩みを止める】
【悪意もなければ善意もない……されど亡霊ではない】

さて、まだ動物の方が血肉を有効活用するでしょうに
あなたもそう思いませんか?そこの血まみれのあなたですよ、聞こえていますか?

【言葉には彼女の行いを責めるような義憤めいたものは含まれていない】
【ただなんとなく誰へでもなく呟くそれに近く、だからこそ少女には深く突き刺さるやもしれなくて】

/自分もその時間までいられます
/よろしくお願い致します!
379 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 02:29:32.17 ID:0CaLbePLo
>>373
よし、やりィッ!

【タックルが成功し、フェインソリトは口元を歪ませた。体重差は歴然としているが】
【装甲の硬度はダメージを上乗せしているだろう】
【反撃の蹴りは受ける。覚悟の上だ。装甲は粉々に砕け、フェインソリトは勢いを殺さず転がって受身を取る】
【砕けた装甲を解除し、立ち上がって獅子牙と対峙した】

ッ、装甲アリでこの威力かよ、なンてこった。
…と、…なンだ?
…これ、は…?

【『管制塔』の配下に入り、奇妙な感覚が襲う。だが、それに敵性が無い事にも彼はすぐに気付いた】

…すげェ。視野が…なるほどな、あンたのおかげって訳だ。
ヨーレレイさンよ、助かるぜ。コレなら『タイミング』もバッチリだ。
さて、どう攻めるかねェ…ッて、おい、お前

【だが、獅子牙のその狂気に、フェインソリトは一瞬気おされた】
【サンドバッグって、と呟いたその時には、その意味をフェインソリトも理解した。】
【一撃目で、駄目だ、と解ってしまった。】

下種野郎。

【下を向いてボソ、と吐き捨てる。】

王であろうが無かろうがお前は最低なンだ。
とりあえずそのふざけた王座から引き摺り下ろしてやンよ。

【直後の全体攻撃。黄金の波は、すべてを飲み込まんと迫りくる】

アレは…受けちゃァ駄目なヤツじゃねェかッ、くそッ!

【だが、管制塔からの視界で、フェインソリトはすぐにやるべきことに気付いた。】

――避けるスペースさえも無い…ッ!?――今、取るべきは回避じゃねェ!

【瓦礫を巻き込んだ波動が直撃する前に、彼は顕現可能な粘体を間に合う限り作り出す。段階的な防御壁、そして最後に】

おらッ、金色熊さンはこれでも食ッてろッ!

【琥珀色の結晶を放り投げる】
【波動に触れ、砕ける琥珀の中から閉じ込められていた『テーブル』が瞬時に膨張して現れた】
【最初にフェインソリトの隠れていたテーブルは、再び壁となって波動の攻撃を抑えるが…】

ぐあ、ッ、やッぱり、受けちゃァ駄目なヤツじゃねェか

【波動はテーブルを破壊し、瓦礫とともに粘体の多重防護壁を食い尽くした】
【有る程度勢いを殺されたとはいえ、人間の頭大の瓦礫を受けて吹っ飛ぶのは早々やりたい事ではない】

だけどなァ、その大雑把な攻撃がお前の命取りになるンだよ。

【意識が途切れかけるが、『収穫』もあった。獅子牙のオーラが解除されている事を確認し、
【フェインソリトは吹き飛ばされた位置からもう一度獅子牙に向かう。速度は遅くなっている。】
【フェイントのキレも無い。恐らく的になるだろう。だが、それが良い。手には、防御壁となった粘体の結晶。
【その中には、波動が巻き込んできた『トップスピードの瓦礫』が『そのままの状態』で閉じ込められているのだ】

ヨーレレイ、…無事なら視界の援護を頼む!

【接近方法は、アルフレドの反対側を選ぶ】
【同時に二つ以上の攻撃に、獅子牙は今まで対応する技が無かった】
【打って打たれるのが彼のスタイルなら、打点の低い方は対処が後回しになるだろう】

(ふ、そンなに、上手く行くと良いンだけどな)

【淡い期待。だが、それにだってすがるのだ。チャンスが来たなら乗っかる。商人の考え方だ。】
【じわじわとフェインソリトは距離を詰める。アルフレドの逆側に立つことを意識して、進みすぎず、だが隙を逃さないよう】
380 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 02:31:55.99 ID:pamtP0730
>>377

【彼の妻を語る声色が、表情が、あまりにも優しいものだから、その女性への想いは赤の他人である少女にもしっかりと伝わって】
【いつか自分もそんな最上の幸せにたどり着きたいと夢見てみる。……彼氏はおろか親しい男性すらいないのでは、まだまだ先の話だが】
【この薬売りだって年頃の少女、甘い恋を夢見たりもするのだ。―――彼らはそんな少女の夢のような甘い物ではなかった事など、彼女には知る由もない】

……その奥さんがスッゴク素敵な人だって、私分かりまス。だって、アナタがそんなに魅力的に奥さんのことを語れるんだもノ……
自分のことをそんな風に言ってくれる男の人なんて、世界中探しても見つかるかどうカ……
きっと奥さんも、あなたの事をとても大事に思っているはずでス。だってそうでショ?こんなに大事にしてくれる人を好きにならないわけがなイ。
……私も、こんな風に大事に思ってくれる人と出会いたいナァ……

【遠くを見つめる彼女の目に映るのは未だ見ぬ未来の婿か、それとも花嫁姿の自分か……薬のエキスパート兼夢見る少女の未来は、果たして―――】


【―――愛する妻への思いを語り終えた彼は、一枚のカードを差し出す。フォントやデザインから漂う高価そうな雰囲気は、それが結構な価値のある物である事を示していた】
【……そういえば自分の持っている服は、今着ている物ともう一着同じ物だけ。これを期に何か買っておくのも悪くないか】
【ちょっとぐらいは自分だってお洒落したいし……】

あ、えーっと、ありがとうございまス!……その、私お洒落なんかした事無くって……嬉しいデス!
じゃあ、いつか使わせていただきますネー!
……エヘヘ……どんな服を買おうかナァ……

【有り難く受け取っておくと、此方もペコリとお礼をして……彼が去ってゆくのを見届けば、残った焼きそばの1パックを頬張ってから此方も公園を去った】

//はい、そちらこそお疲れ様でしたー!
381 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 02:41:31.41 ID:bbt2fZcXo
>>373 >>375 >>376 >>379

よし、このまま押し切…………っ!!?

【今度こそ自分の弾丸が敵を捉えたのを確認し、少なからず雷撃が獅子牙の体内を駆け巡ったことを確認すると】
【引き続き獅子牙をその場に拘束すべく、ひたすら雷撃弾を掃射し続ける。このまま行けば、物量で押し切ることだって可能――――】
【――――だが、その油断が祟ったか。黄金の奔流で弾かれた魔弾が自身へと返ってきて、アルフレドはそれを回避するために真後ろへ転がった】
【そして、その間隙が――――何よりも致命的だった】

なっ…………や、やめろ――――――――――ッ!!

【いくら叫ぼうと、もう間に合わない。体勢を立て直し、銃を構え、引き金を引く。そんな緩慢な行程では、救えなかった】
【獅子牙の能力のカラクリも、頭の中を素通りしていく。サンドバック≠ニいう残酷な言葉だけが、脳内で渦を巻く】
【二人目の犠牲が…………出てしまった。その意味を理性が咀嚼するのと同時、獅子≠フ闘気が場を満たしていって】

――――――――――――――!!!!!!!

【この瞬間――――アルフレドは、完全に冷静さを失った】
【鬼のような雄叫びを上げ、ただ内から湧き出る怒りのままに、何の策もなく獅子の顎へ飛び込もうとしていた】
【…………もしここに居たのがアルフレドひとりなら、ここで終わっていた。闘気に頭を砕かれ、冷たい死に心を喰われていただろう】

【だが、今この瞬間。同じ正義≠掲げる者が、アルフレドの暴走を見事に押し留めた】


(ッ!? な、なんだ、これは…………ヨーレレイさん…………!!?)

【――――アルフレド自身は能力者ではない。故に、これがどういった能力なのかなどわからない】
【だが…………全身を満たす透き通るような感覚とヨーレレイの声は、燃える怒りを一時でも鎮火するには十分】
【半ば呆然としたまま、アルフレドは管制塔≠受け入れる。彼の冷静な声色が理性を呼び戻し、最善を導き出す力が感情を制御させる】
【ふっと、赤紫の瞳から力が抜けていくだろう。迫る獅子に対する瞳は、獲物を睨む鷲のように冷徹だった】
【瞳の中には、確かに怒りが燃えている。だがそれは全てを燃やす炎ではなく、体を動かす燃料としての炎へと転換される】

…………行け、ます。後は任せて下さい、ヨーレレイさん。
先に行きます、ミーアさん、フェインソリトさん――――。

【ぼそりと呟き、それで十全。アルフレドは獅子が齎す暴虐の中へと、流れるようにその身を委ねた】
【――――破壊音の渦の中に、その姿は消える。咆哮を上げる獅子に、その身は確かに砕かれる筈だった】


/すみません、続きます…………
382 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 02:41:43.55 ID:bbt2fZcXo

【しかし…………破壊が全てを飲み込んで、黄金の光も止んだ時。打ち砕かれた内装やテーブルの破片が舞う中に、炎天の砂漠の如く黄の色彩が浮かび上がる】
【獅子牙には、見えたかもしれない――――巻き上がったテーブルや床板を紙一重のタイミングで盾にし、闘気の中を突き進んでくる影が】
【そしてその最中、『キブリット』と『ナール』を連結させ、新たに一つの銃が組み上げられるのを】
【血塗れになった青年は、全力で前へと突き進む。そして最後には、獅子牙の懐へと飛び込んで、言うだろうか――――】


僕は知っている。本当の獅子≠、本当の強さ≠。それを――――今、教えてやるッ!!

       ―――――――『デカディメント・ルッジード』ッッ!!!


【『ナール』を前部に、『キブリット』を後部に。二つのエネルギーラインを直結したその銃の側面には、『al-tinnin(アルティニン)』という文字が浮かび】
【引かれた引き金から雷撃の力が結集し、バレルが高速回転。溢れ出るような魔力の奔流が、砲弾≠ニして集結し】
【刹那――――本物の落雷にも劣らない莫大な電撃が、この至近距離で砲撃≠ニして撃ち放たれる――――ッ!!!】

【このまま直撃した場合、撃ち放たれた砲弾に押し込まれて数メートル吹き飛ばされた後、砲弾の弾殻≠ェ炸裂】
【内在する莫大な量の雷撃が一気に解放され、獅子牙の全身を容赦なく撃ち貫いていくだろうか】
【威力は言うまでもなく、先程の連射などとは比べものにならない。一撃で戦闘不能に追い込めるだけの威力はある】
【ただし、この砲撃…………ヨーレレイの能力で最大威力≠ニいう最善を導いた結果、至近距離という手段を取ったのだが】
【距離が近く威力が高い代わりに、電撃の余波は多少なりとも自分に返ってくる。乾坤一擲、まさしく捨て身の一撃だ】

【アルフレドは膝を突いて呻き、もうこの一撃の行く末を見守ることしか出来ない】
【もしこれで仕留め切れなければ、後はフェインソリトに全てを託すだけだ――――】
383 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 02:42:34.52 ID:WDSQ7f7B0
>>378
【人を殺めるには細すぎる。人を葬るには幼すぎる。――――然れど、事実呆然と血濡れの指を見つめる少女はその手で人間一人を肉塊へと変えている】
【実感が無い。特に恨みを抱いて居た相手でも無いし、何かを仕掛けられた訳でも無い。本当に衝動的だったのだ】
【ふと、生命を奪いたいとの欲求が心の隅で生じて――――抑えられないほどに大きくなったかと思った次には、意識はこの場面へと飛んでいた】

【その身形は至って普通の少女。友達を連れ出して夜に遊び呆けている事もあろう。だが、今宵此処に居る意味はそんな楽しげな事では無い】
【…………自身に向けられた声に気付けば、戸惑いながらも視線を上げた】
【何も知らない者ならば、本当にこの少女が人を殺めたのかと疑うほどに、純粋な眼】


「私…………?血まみれの、私…………?」

【人を殺める理由なんて様々。目的の遂行の為や、悦楽の為。この少女に至っては、気付いたら殺していました。そんな理由】
【姿形は勿論の事、最早性別すらも分からない。それ程まで、何度も何度も叩き付けた証左】
【フラリと立ち上がったその足取りは覚束無く、まるで子鹿の様だが。それでも一歩、一歩と白の女性へと近寄って】


「でも…………私、殺したくなんて…………
気がついたら、もうこうなってて…………だから、だから…………!!」

【この現場を作り出した本人が一番混乱しているのだろう】
【だから――――私は悪く無い。とでも言いたかったのだろうか】
【しかし殺めたのは事実。激しい自己嫌悪の最中に、女性の呟きが耳を通れば拍車が掛かる】
【…………自警団か否か、咄嗟に確認してしまった事にも】
【ジワリと浮かべた涙は嘘か真かは分からないけれど、取り敢えず今の所は危険は無いと考えても良いか】
【厄災の種と考えて間違いは無い少女。刈り取ってしまうも話を聞いてみるも、勿論自由であって】


/宜しくお願いしますですよー!
384 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 02:44:59.13 ID:dkIOf5szo
>>371
//お疲れ様でしたー

>>376
……

【彼は動けない、しかし状況だけは鮮明に】
【初老の男性が殴られ、叩きつけられ、殴られ殴られ殴られ殴られ……嬲られる】

【彼はボーっと立っているようにしか見えない】
【いや、目を閉じてずっと突っ立っているというだけではないのだが】

……

【黙したまま、だが危機は確実に迫ってきている】
【力を持ち、だが頭がそれについていっていない哀れな王は最も危険なものだ】
【男は、避けることも交わすこともしない】
【膨大なエネルギーは、闘気の弾丸となり……彼にも迫る】

……

【そして、闘気の弾丸に包まれた】

……

【だが、男は立っていた、なぜか?それは本人以外には分からないだろう】
【管制塔、その能力の使用者は無防備になる、リターンに対してリスクが大きすぎる、欠点だらけの能力】
【その欠点を補うものは何か?それは『管制塔』の正式名称を知らなければ理解は出来ないだろう】

……

【正式名称、『Aegis Field Managementer』】
【Aegis、イージス、神が戦争の女神に授けた無敵の盾】
【絶対なる防衛、それがこの能力の真髄】
【能力発動中、使用者に対し即死、致命的な攻撃が加えられたとき、それを大幅に軽減させる不可視の盾を発露させる】
【それと警察のコート、それがあって闘気の弾丸をほぼ無効化して見せた】
【無論、完全に無効化したわけではなく顔や手など露出した部分には深くはないがかなりの傷が出来ていおり、血がだらだらと流れている】
【またその盾も、一度発動すれば少なくともこの戦闘中に再び発露することは無い】

【だが、それでも彼は、『管制塔』の能力を発動し続けた】
【今解除するのは、完全に下策だ】

>>379
……

「能力はまだまだ展開し続けます、ですが二度目はありません、私も極力最善を計算します」
「ですので、極力早く、首謀者を無力化……しましょう」

【無力化、そう告げたあとに「殺すべきだろうが」と小さくつぶやいたのは聞こえたか否か】

【そして彼の宣言どおり、さっきよりもより解りやすくなっているだろう】
【この戦闘が】

【相手の情報もかなりでそろい、また彼自身も計算しているからか……】

>>381
「……正義とは、それを貫き通したものこそ語ってよい言葉である、とは、誰が言った言葉でしょうか」

【そう告げると、先ほどよりも格段に『管制塔』の精度が上がっているのがわかるだろう】
【敵の情報が出揃ったためか、それとも、なにかが琴線に触れたか】


【状態:管制塔発動中:味方は攻撃がどこから来るか、どう行動するのが最善かが"解る"ようになる】
385 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/18(土) 03:11:42.80 ID:UHvu8PJpo
>>379

何とでも言いやがれ!戦いっつーのはなぁ!!勝った方が正しいんだよ!!
何やったって勝ちゃいいんだよ勝ちゃあ!!

【暴君───それが相応しい呼び名だろう、こいつに王の器はあり得ない】
【ただただ暴力、力のままに全てを押し潰すしか考えない男の叫びは、まるで獣のように】

ハンッッ!!おいおいどうしたよ!?もうグロッキーかぁ!?
こちとらサンドバッグはまだまだあんだぜ!?もういっぱ───……つ───?

>>381
【獅子牙は目を疑った、まさか───まさか、あの中を真正面から現れる奴がいようか】
【何故だ、何故あの攻撃の隙間を縫って近付ける?可能だとしても、普通ならば恐れ≠ェ足を引っ張り出来る筈が無いのに】
【何故だ、奴は───恐く無いのか?】

───はっ!?

【硬直した、一瞬の事だ、本の一瞬だけ呆気に取られた、致命的なミス】
【格闘技の世界ではコンマですら気を抜いてはならない、その瞬間にKOなんてザラにある、それが戦いなら、尚更】

くッッッ───そおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!

【打ち出された砲弾───腹に減り込み巨体が浮く、吹き飛んだ獅子牙の腹で、砲弾が炸裂】
【二重の破壊による力で、思い切り吹き飛ばされた獅子牙は、リングの縁を破壊して、倒れた】

>>384>>ALL

【倒れた獅子牙は、立ち上がらない。あれ程の威力を受けて無事な者などいる筈がないだろう】
【こうして、一つの事件がここに幕を引い】








まだだ……!!

まだ……カウントは済んでねぇ……!!


/続きます
386 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 03:12:08.20 ID:j6hQwJaVo
>>383

気付いてしまったのならば、あなたはもう普通には戻れない……でしょう?
そして気付いたからこそあなたはわたしの素性を気にした、つまりわたしはあなたの敵であるか否か
そこまでの分別を無意識の内に出来るのならば……

【濁りの無い瞳はそれ故に危うい】
【純血の殺人鬼、どこぞで聞いたそんな言葉を思い出し】
【本当に存在するならば目の前の少女こそ相応しかろうと……静かに呼吸を整え】

あなたは立派な殺人鬼、いえまだ一人殺めただけですから……
そうですね……さしあたって殺人者止まりでしょうか?どちらにせよ後戻りが難しいのは言うまでもないですけどね

【人間の美意識をそのままカタチにしたような白い彼女に慈悲はない】
【少女の姿を感じたままに残酷に告げる、姿を単純に映すだけの鏡など比べる必要もない程に質が悪い】

で、どうしますか?いつまでもここにいるといつかあなたの敵が現れますよ?
逃げるならば早い内が良いでしょう、所詮それももはやただの肉塊……思い入れは無い筈ですが?

【人を人とも思わないとはこの事か】
【死んだ者にはもはや人権などという大層なものは適用されず】
【そればかりか白い彼女は少女に対し逃げる事さえも良しとする、踵を返し歩き始める白色】

【揺れる背中は付いて来いと告げて、数分すれば小さな廃墟ビルの中へと誘うだろう】
387 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [!red_res saga]:2014/01/18(土) 03:14:24.83 ID:UHvu8PJpo

くそ……ッ!やりやがったな……テメェら……!!
こうなりゃ奥の手を───

【大技の後に反撃を受け、獅子牙が受けたダメージは大きい、ふらつきながらリングに掴まり、何とか立ち上がる。まだ@ァち上がる】
【口ぶりからすれば、何か奥の手があるらしい、大口を叩きながらも最終的に頼るのは卑怯な手だ】
【合図を送ろうと獅子牙は振り向く───が】

「───やあ、ご苦労様、残念ですが良いところは頂きました」

【塊───兵隊達がひと固まりに纏められ、見えない何かに圧縮されたように団子になってもがいていた】
【その上に優雅に座り、獅子牙を見下ろす人物───】

【黒地に白いストライプ模様のドレスシャツ、左腕に水の国自警団の腕章を通したダークグレーのスーツと鍵盤模様のネクタイを組み合わせた服装の人物だ、男か女か判断し辛い中性的な顔立ちだが、胸は薄い】
【長い黒髪を後ろで纏め上げ、鋭い眼にはツーポイントの眼鏡をかけていて、指の出口部分に銀環の付いたデザインの指貫手袋を嵌めている】

なッ……!テメェ!人質は───!?
「救出済みです───一人、間に合わなかったのは反省点ですが」

【獅子牙が慌てて振り向く、目を向けたステージには既に人質はおらず、静かに侵入していた自警団員達が非常通路に連れ出していた】

他の部下は───!?
「こちら側は僕が、そっち側は貴方が自分で吹き飛ばしたでしょう?」

【辺りを見回す獅子牙、しかしそこに最早動ける味方は一人もいない】
【奥の手とやらも、これでは使えないのか】

「貴方達……協力に、感謝します」
「作戦は概ね成功、犠牲者は───全てこちらの責任です、貴方達に非は無い」

【兵隊達から、階段を降りるようにゆっくりと降りながら、惨状を改めて一瞥し、静かにそう語る】



くそ───糞があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!



【───包囲する立場は、最初とは最早真逆、自警団員達に完全に包囲された獅子牙は、先程迄とは打って変わって大人しく連行されて行く】
【駆け付けた自警団員達が事後処理をする中、最初に指令を下した隊長が君達に近寄って来るだろう】

「今回の協力、実に感謝する!」
「……被害者については……どうか、君たちは気に病まないで欲しい、やれるだけの事はやったんだ」

「治療班は用意しておいた───報酬もな、少ないが受け取ってくれ」
「後は我々に任せて欲しい、二度目になるが……協力、本当にありがとう」

【かくして、今宵一つの事件が解決した。正義を志す者は暴君を打ち滅ぼしたのだ】
【だが、光あれば影がある、殊更この世界の影は、簡単には消えない】


【───後日、囚人護送車が襲われたという事件は、その他の多数の事件の海に、埋れて消える】

/遅く迄お疲れ様でした、これにて突発テロ終了です
388 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 03:38:39.27 ID:dkIOf5szo
>>385>>387
……終わりましたか

【コートで顔の血を拭いつつ男は動き出す】
【ひりひりと痛むが、そこまで深い傷ではない、三十分程度安静にしていればとりあえず傷はふさがるだろう】
【左肩に関しても折れたり砕けたりしているわけではない、三日ほど動かしにくいかもしれないが大丈夫だ】
【男は自身のことをそう判断する】

いえ、人質を第一に行動すればこのような事態にはならなかったはずです

【顔を拭うコートをどければ、まだ赤身の残る顔に……暗い表情】
【だがなぜだろう、その表情は人質が殺されたものに対する"残念"だという思いからではない】
【むしろもっと重々しく、ドロドロとした"何か"を感じる】

そこは私の片手落ちです

【しかし次の瞬間には普段とまったく同じ表情、すなわち無表情に戻り、語る】

そんなことより、カノッサ機関といっていました
あのおとなしく連行されていく様を見ますと……おそらく脱走する手筈を整えているのでしょう

【そういうと男はそのままその場を去っていく】
【そして去り際に少し振り向くと隊長の方を半目で見やり】

それと、私は報酬はいりません、犠牲となった人質の方や自警団員の遺族の方へ送ってください

【そういうと再び深く軍帽を被り、男は再び観光へと戻っていくのだった】

//お疲れ様でした
389 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 03:41:10.37 ID:WDSQ7f7B0
>>386
「殺人者なんて、そんな…………そんな事…………ッ!!」

【無い、とは言えない。言える筈が無い。手を紅く染め、身を朱に汚し。どうして殺人者で無いと言えようか】
【ギリリと奥の歯を噛み締めるも、反論の言葉は絞り出せず】
【認めたくは無いが、自分が行った事に違いは無い。例え意識が無かったとしても、自分の手を汚した事に変わりは無いのだから】
【姿見で確認する訳で無く、第三者の言葉なのだから尚心を蝕む】

【――――知らず知らずの内に、僅かな瘴気が辺りをゆっくりと包み始めた】
【性格がどうであれ、姿が何で在れ。悪魔の血が混じっているのだから仕方の無い事】


「敵……?そんなの、居ないよッ!だって、私はまた今まで通りに学校に行って、みんなと一緒に遊んで…………それで――――…………」

【もう、其れが出来ないのだ。衝動を抑えられもしなければ学校なんかに行ける筈が無い】
【そして、“敵”との言葉には目を見開いて】
【――――これからは自分は追われる側。一般市民では無くなってしまった。テレビで活躍が報道される組織に助けを求める事は出来ないし、寧ろ今度は自分が打ち倒される側だ】
【漸くその事に気付けば、気分はより一層沈む…………が】


「思い入れは確かに無いけど、でも…………この人だって、私と同じ様に家族や友達が居るんだよ…………?
それなのに、ただの肉塊なんて言い方…………ま、待って!!」

【もしかしたら婚約した相手が居るかもしれない。もしかしたら帰りを待つ親が居るかもしれない。其れ等全ての希望を、自分が打ち砕いてしまった】
【暖かな鮮血はまだ死後間もない事を示している。だが、ただ其れだけだ。白の女性が言うように、最早肉塊の一つに変わりはない】
【それでも、そう思いたくは無かった。確かに殺めたのは自分だ。自分が殺さなければ、まだ生きていた。思い入れと表すよりも、後悔。自分が居なければ其れで全ては平和だったのになんて】

【――――やはり、取り残されるのは心細いのだろう。女性が踵を返したならば慌ててその背中を追おうとするが…………その時に、迷いが垣間見えて】
【本当に逃げてしまって良いのだろうか。自ら自警団や警察の所へ行って償った方が良いのでは無いか】
【葛藤。少しすれば「ごめんなさい」と小さく呟いて、結局その場を後にするのだが】

【やがてビルの中へと着いたならば。少しの間を作り、ゆっくりと口を開いて――――】
【「何でこんな所に」や「やっぱり自警団か何処かに」…………そんな事を呟いている事か】
390 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 03:41:43.35 ID:0CaLbePLo
>>387
【吹き飛ばされた獅子牙に近づいて行く。あれほどの威力だ。問題ないとは思うが、万が一を考えて。】

…くく、痛快じゃねェか。力のみを信じる王が、その圧倒的力で倒れたンだ。
リングの上だぜ、文句はねェはずだろ。

【だが、予想外に。獅子牙はまだ立ち上がる。】
【フェインソリトは琥珀の結晶を構えた。砕けば、いつでも金剛牙砲が巻き込んだ瓦礫の弾丸が獅子牙を襲う】
【隙を突かれるなどありえない。管制塔配下の彼の行動は、一瞬足りとて遅れることは無いだろう】
【そう、彼は―】

詰み、だ。獅子牙。力で負け、己の力に屈服する、それがおめェの運命だ。

【そして、『結末』が現れる。静かに部下を排除し、獅子牙のみを残した張本人。】
【覆された圧倒的な数の『力』に、獅子牙はなすすべなく連行された】

…非は無い、か。そりゃァ確かにな。

【フェインソリトは静かに呟く。確かに非は無いだろう。だが…】

せめて、祈らせてくれ。犠牲になった彼の、魂の平穏を。

【ひざをついて、彼の絶命した場所で、静かに祈る。次は助ける、そう心に刻んだ。】



――その後――

【報酬を受け取った彼は、そのまま花屋へと向かう。手向けの花を買い、大事に持ってもう一度、あの現場へと足を伸ばす。】
【今日の事は、忘れられない苦い思い出となるだろう。】
【同時に、自警団と警察、それぞれの心の在り様に感銘を受けた日でもある。】

……、苦ェな。

【諦めたように呟くと、彼はその日を己に刻みつけた。】
391 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 03:49:03.31 ID:bbt2fZcXo
>>385 >>387

…………ぐ、ふッ…………げほっ、まだ、立つか――――!

【砕けた眼鏡の奥、赤紫の双眸が瞠目する。確かに直撃したと思ったが、何らかの方法で軽減したか、それとも単にこの男がタフなのか】
【理由はどうであれ、絶対に負けるわけには行かない。闘気の余波で全身に傷を負い、もはや立ち上がることだって出来やしないが】
【…………発射の反動だけで気を失うかもしれない、その後無抵抗で殺されるかもしれない、けれど】
【腕を上げ、引き金を引く。ヨーレレイの最善≠導く能力だってある、たったそれだけなら、まだ自分にも出来る筈だ】
【『アルティニン』を解体し、『ナール』を床に置く。負傷した右肩の代わりに左手で『キブリット』を持ち、後は腕を上げるだけ――――】

が…………っぐ、あ……………………。

【――――兵隊達が一カ所に圧縮され、中性的な美貌の自警団員が獅子牙の前に立ち塞がったのが見えた】
【時間稼ぎには、成功したのだ…………それを認識した瞬間、一気に体から力が抜ける。管制塔≠フ能力なら一目瞭然、アルフレドの体は既に限界だ】
【『キブリット』も取り落とし、ばたりと地面に倒れる。急速に遠くなる意識の中で、獅子牙の咆哮とあの隊長の励ましが聞こえた】
【慰めにも、なりはしない。自分を責めるなと言ったって、不可能だ。アルフレド・フェリシアーノは、そういう男だ】
【だがその言葉の暖かみは、確かにアルフレドの心に届いた。自警団と共同で事に当たり、そして感謝を得られたのだと、それだけは誇りに思える】
【警察官として、完璧に職務をこなすことは出来なかったが――――得難い経験と絆を、アルフレドは手に入れた】

(…………次は、次はこそは、必ず…………救って、みせ…………)

【朧と消えゆく夢幻の世界の中でも、アルフレドはひたすらに理想を追求する。若く、そして輝かしい瞳で】
【そして最後に、今日の修羅場を共に潜り抜けた仲間達の話し声を少しだけ聴き届けると…………アルフレドはふと笑って、眠りに落ちるのだった】

【…………後日、自警団の元へアルフレドからの書状が届くかもしれない】
【そこにはヨーレレイと同じく、被害者遺族へのケアに使って欲しいとの文面と共に、報酬を全額返納する旨が記載されているだろうか】
【目指す夢の前途は、まだまだ長い。だが例えその果てへ辿り着いたとしても、アルフレドが今日の事を忘れることはないのだろう――――】


/主催者様、ミーアさんの方、ヨーレレイさんの方、フェインソリトさんの方、遅くまでお疲れさまでした!!
392 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 04:09:38.41 ID:j6hQwJaVo
>>389

さて、この辺りまで来れば幾らかは安全でしょうね
あなたを世に放ったままというのが世間でいうところの安全かどうかは疑問ですが
……まあだからこそ面白くあるのですよミスイレギュラー

【廃ビルといえどそこは閉ざされた空間で足音ひとつひとつは大きく反響する】
【ただその音に応える者はおらず、ただただ寂寞感が迫るのみだろう】
【月は向かいのビルの側へと隠れて見えずならば月明かりさえもここには届かない】

ところで自警団に行くのはやめたほうがよろしいかと思います
どこの世界に殺人者を手厚く保護する自警団があるのですか?
それにそんな瘴気を纏っていては……最悪保護という名のモルモットにされかねないかと

【窓際から外界を眺めながら白の人は続ける】
【すらり伸びた白磁の指先でサッシをなぞれば埃が絡みつき、ふうと息をかけて吹き飛ばす】
【硝煙を消すガンマンのような動作の後、人差し指を少女へと突きつけ】

申し遅れましたわたしの名は白妙と申します
あなたのお名前はなんというのでしょうか幼い殺人者さん?

【告げれば返すように名前を問う】
【白妙の姿はどうにも無防備だった、それこそまるでその白い首元は誘うように】
【或いは少女の本性を、根源を見定めるように……】
393 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 04:41:21.62 ID:WDSQ7f7B0
>>392
「だけど…………やっぱり、償いを出来るならしないと…………
罪も無い人を殺して、私だけ生き残って逃げる何て事…………」

【悪魔が償いだとか罪だとか言う様は何とも可笑しい。人を唆す立場に居るのに、たった一人殺してしまっただけで自分の人生を棒に振ったと考えて居るのだから】
【人間であったならば罪を犯した後に償うのは当然の事。しかし、彼女は悪魔だ。何を気に病む必要があろう】
【身体に付着していた血は乾き、擦ればパラパラと粉と化して落ち】
【自問自答。本当にこれで良いのだろうか。果たして、これで良かったのだろうか】


「私、私の名前は…………―――――――?」

【何故だろう。思い出そうとすれば頭がキリキリと痛む。私は私だ。では、私の名前は何だ?】
【…………思い出せない。酷く不快な気分。確かに名前があった筈だ。だが、思い出せない】
【何だ何だ何だ何だ。何故私は人間で無くなった。何時から私は人間では無くなった】
【まさか健忘症でもあるまい。昔の思いでは然りと全て浮かび上がる。…………いや。其処に浮かぶ人物の顔も名も思い出せない】
【――――簡単な問い掛けに対しても頭を抱え、必死に答えを導き出そうとしている姿は異様】


「私…………は……?」

【私は誰だ。いや、もうそんな事はどうでも良い。其れよりも目の前の女だ。壊す時にはどの様な悲鳴を聞かせてくれるのだろうか】
【先の男は汚らわしい音だった。だが、逆に其れが心地良い。必死に命乞いをして、身体の末端から骨ごと潰した行くときの表情が何とも楽しかった】
【この女はどうだ。この顔が歪むのか、喚くのか、一瞬の希望を与えて砕いたらどんな姿を見せてくれる。嗚呼、見たい。壊れていく様を、直ぐ目の前という特等席で眺めていたい】

【――――白妙が少女に視線を向けていたならば、変化に気付く事は容易であっただろう。そして、その次の動作も】
【瞳孔が狭まったかと思えば、双眸の色は紅く染まり始める。月の光すらも差さないこの場なら直ぐに分かる事】
【少女から漂っていた瘴気だって、下級の悪魔から中級の悪魔に等しいほどとなって】
【浮かべた表情は、既に苦悶では無く笑みであった。たった一歩だけで距離を縮めたなら、頬を殴りつける様にして腕で薙ぐ事だろう】

【人間一人を鈍器も使わず、素手のみで肉塊へと変える程の腕力だ。当たれば下手な得物よりも痛手を負うのは確か】
【しかし、魔術等を用いた訳でも無い単純な物理攻撃。――――故に、避ける事は実に簡単】
【豹変とは正にこの事か。結局名を告げる事も無く、目の焦点は合わず。それでいて楽しそうな笑みを向けて居るのだから】
394 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 04:54:38.98 ID:j6hQwJaVo
>>393

そもそも罪などというものは誰が最初に言い出したのでしょうかね

【それこそ栓のない話である】
【問うても答えの無いものなど考える意味もない】

【そんな有るか無いか分からぬモノよりも今は目の前の物が優先だ】


【とっておきのイレギュラー】
【迫るのは純粋な暴力、概念としての姿しかない力】

ほんと、可憐ですね……あなた

【漂う瘴気は、しかし白の彼女とは相容れない】
【或いはだからこそ惹かれるものがあるのだろう……バレリーナの踏み出す一歩のように柔らかく】
【迫る前に後方へと跳び避ける、流麗】

しかしその奔流、果たして本当のあなたの本能なのでしょうか
純粋ならば何からなにまで清くなければありません……暴力であるならば尚

証明してみていただきたいものですね

【跳ぶ間際、白妙の身体の周りに現れるは白無垢の剣達】
【都合九本のそれは持ち手が存在せずただ便宜的に「剣」と呼ぶに過ぎない代物であり】
【それを示すように表面には何時の時代の物かも分からない文字や記号の羅列が浮かんでは消えを繰り返す】

【さながら姫君を守護する騎士か、どこまでも追従するそれは白い軌跡を残し踊り】
【白妙がその掌を軽く薙げば3本が追従し少女の胴体へと振り抜かれる、三本それぞれ動作に乱れを加えて回避を難く】
【……工夫はあれど「剣」に刃は無く、ならば攻撃を受けたとしても打撃としてのダメージが残るに過ぎない】
395 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 05:33:43.35 ID:WDSQ7f7B0
>>394
【振った腕は虚空を斬った。轟の音は細腕からは想像出来ない程の力を秘めている証となろう】
【よく見れば少女が最初に踏み出した其処にもクッキリと後が出来ており、如何に力を秘めているのかが覗える】
【刀も要らず、銃も要らず。ただ素手で殆どの生き物を惨殺できる力】


「ふ、フフフ…………ハハハハ!!
良いよ良いよォ!全部全部砕いて、バラバラにして、白妙の血で此処を真っ赤に染めてあげる!!
朝も昼も夜も全部真っ赤!そして真ん中に白妙の首を置いておくの!きっとだぁーれも来てくれないけど、“私”だけは毎日見に来てあげるから
今日は目玉が転がり落ちたとか、今日は蛆が住み着いたとか日記を書いてね!アハハハハハハハハ!!」

【もしかしたら、元より悪しき才能はあったのかも知れない。悪魔の其れによって開花したのだろう。だが、その力に振り回されているといった印象を抱かせるか】
【きっと、今は少女自身の意識は無い。だから別人かと問われれば、そうでも無い。まるで多重人格者だ】
【些細な事が切っ掛けとなって、切り替わってしまう難儀な存在。そして、人間からすれば間違い無く厄介に存在】

【――――剣は見事悪魔の身体に叩き付けられたのだが…………止まらない】
【それ所か、与えられた痛みに対して喜びすら垣間見せているのである】
【戦闘狂だとかの部類に近いのだろうか。か弱い存在を嬲り殺すのも、反撃してくる得物を仕留めるのも好む】
【何かを救う様な動作をしたかと思えば、ビルに亀裂が生じ始める音。数秒もしない内に、その手を目掛けてコンクリート片等々が飛来する事だろう】
【当然、白妙の身体を貫いてでもその手に集おうとする物だって幾多も存在するのだが――――不意に、その現象が止まった】


『アリスの所から逃げ出したかと思えば、こんな所に居ましたか
君はまだ血が順応していないのだから大人しくしていなさいと言い聞かせていた筈ですが
私の連れが迷惑を掛けたようですみませんね』

【その理由。何処からか沸いた男が白妙が与えたダメージに重ねるかの様に腹部に蹴りを入れ、その一撃で意識を奪ったから】
【――――そんな事より、特筆すべきは男もまた悪魔特有の瘴気を纏っている事か】
【燕尾服に顔を見せない様に被ったシルクハット。口調こそは穏やかだが、その瘴気は少女とは比べものにならず】


『全く…………子供を育てるというのも中々大変ですねェ
お楽しみを邪魔をしたなら謝りましょう
どうです――――何処か帰る場所があるならば序でにお連れしますよ?白妙…………でしたか?』

【ならば、この男も悪魔と考えるのが自然か】
【謝るなんて要っては居るが、軽薄な態度は罪悪感も何も微塵も感じさせる事無く】
【崩れた少女を抱え上げれば白妙の近くへと歩み寄って、巫山戯た問い掛け】
【――――悪魔の言葉頷けば厄災が降り掛かるなんてありふれた話だ】
396 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 19:44:53.06 ID:j6hQwJaVo
>>395

(3つでは足りませんか……狂奔とはこれですね)

【全力ではないにしても人間一人くらいは吹き飛ばす事など造作もないこちらの攻撃】
【それを受けて尚も目の前の彼女は止まることを知らない、恐るべき存在】

【振り終えた「剣」を再度身元に置き身構える】

(加えて、これは異能ですか……なんともまあ)

【軋み割れる音、異能を発動させたのは言うまでもない】
【収斂、とでも言えば良いのだろうか破片は引力に吸われるが如く少女の掌へと集う】
【暫く眺めていたい程に興味深いが自身の身体を守らなければならない、構え「剣」を踊らせようとした、その時】

――――――そして、なんですかあなたは飼い主でしょうか

【その現象は止まり、現れたのはマッドハッター】
【怪訝な表情を浮かべつつしかし事が終わったのを理解したのか白妙は「剣」を収め】

どこから見ていたのか、あなた方が何者なのか問いたいこともありますが
……まあそれもいずれ分かるのでしょうね、いえ結構です提案はありがたいですが帰る場所はありませんので
ええ、気ままな渡り鳥なのです何物にも縛られない……ね

【倒れた少女を一瞥してから瘴気濃い男を見つめ、ふうと息を吐く】
【男の掌の中にいたようでいい気はしなかったのだろう、窓枠にあくまで優雅に腰を掛ける】
【その姿はどこか文句を言いたげでもあったとい】

/すいません寝落ちしてしまいました……
397 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 20:01:04.02 ID:zBz56DIvo
【森――小川のせせらぎが聞こえるその近くの拓けた場所にある、一つの影】

「…………」

【それは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげだが死んだようなな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「……っ」

【右手には、黒曜石のような未知の素材で出来た折り畳み式ナイフ。】
【それを目の前の木に何度も何度も突き立てていて、かれこれ数時間は経っただろうか、その位の刺し傷が木に付いていた】

「……やってやる、……やって、やる、…………ううん……」

【その表情は苦悩。無理矢理滲ませられる作られた殺意は、発散することが出来ず】
【結局は物言わぬ相手に向けるしかないようだが――表情の訳には、もう一つ】

「…………あぅぅ……」

【時折左手で頭を抱えて――おそらく頭痛でも起きているのだろう、それも表情の訳だったのだ】
398 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 20:45:35.98 ID:FdiFqDqLo
【とある草原】

【それは郊外から少し歩いた場所にあり、街の灯りと遠くに山々を望め】
【涼風に吹かれ揺れる草は青白い月に照らされて、夜といえど明るく】
【草に混じって淡い光を零す白花が咲いており、それを摘む人影が在る】

【モノトーン調の緩い服装にストールを巻いた、白皙の青年】
【淡い茶色のソバージュに、何処か深い淀みのある紺碧の目】
【左手の薬指に、ルナトリウム製の黒い指輪を嵌めている】

【草原にしゃがみ数輪を摘んだ青年は、それらを見つめて顔を綻ばせ】

……兄さんに、持って帰ろうっと。喜んでくれるかな?
ふふ、ふふふっ……きっと喜ぶよね、僕の兄さんだもの。

【恍惚とした表情で、淡く輝く白花の向こうに、誰かの姿を想起していた】
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 21:36:56.94 ID:ENXen1ka0
【街外れ――打ち捨てられた廃墟群】
【曖昧に丸い月が照らす灰色に鄙びた地面の色、茶色に枯れた草葉がしゃりしゃりと夜風に鳴いて】
【がらがらに崩れた瓦礫の影が地面につーっと長く延びていた、まるで神様が絵を描いたように】
【――そんな廃墟の群れは、けれど、今日ばかり、少しだけ不思議な景色に満たされていた】

…………――、

【半分以上が倒壊した家屋を突き刺すように生えた木があった。無骨な枝を精一杯に天へと伸ばして】
【枯れ果てた大地から生えたとは思えないぐらいにがっしりとした太い枝に、――なぜだか、いっぱいに花が咲いていた】

【桜の花。まるで違う種類の木に咲き誇るのは寄生じみた光景のおかしさ、微かに黄緑色を混ぜ込んだ色合いで咲き乱れ】
【黄緑に桜色の差す鮮やかさは御衣黄と呼ばれる品種の花によく似ていた。ざあと夜風に吹き上げられて、花ごと散るのも】
【色を亡くした世界を飾り立てるように、浮き立たせるように、異物めいた光景は鮮やかに夜へ咲き誇っていた】

【――そんな満開の花の中、ぽつんと枝に腰掛ける影は、あまり目立たないけれど、気付いてしまえばよく目立つ】
【真っ黒色の髪、黒と赤色の瞳、あどけない顔の少女のかたちで佇んで――そっと宝玉の気配を纏う、異質さを抱きながら】
【生成り色のブラウスと真紅色のワンピース、夜に紛れ込もうとするように黒色のケープで覆い隠して、揺らして】
【ヒールの高いブーツの足元が夜に投げ出されてふらふらと揺れていた、――それが、ふと、ひょいと持ち上げられて】

――うん、前より上手……、上手って言っていいよね――。

【枝の上にそっと立ち上がる、勢いに負けてぽたぽたと落ちる花のいくつかを気にする素振りを微塵も見せないまま】
【満開の花の中、そっと視線を巡らせれば――満足げに笑う声、鈴の音みたいな声質が夜によく響いていく】
【――やはりと言うべきか。この光景の元凶はそうして佇む少女のよう、嬉しそうに笑うのは、害意なんてまるでない色で】
【素直に自分の成したこと、成せたことに喜んでいるようで――実際、大した被害という被害もないのだろうけれど、】

【きっとこの光景はひどく遠くからでも見て取れた。魔力で作られた花たちは、淡く光るような性質があって】
【まるでライトアップされた桜の花のような風情。綺麗といえばそうだったが、この時期の中ではひどく異質な光景】
【誰かを引き寄せてしまうかもしれなかった。時計の針をぐるぐる進めたような、寂れたこの場所に】
400 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 22:15:18.69 ID:YCPdh13Ko
【フルーソ市民公園噴水広場=z

【季節は冬。この公園のシンボルとも言える噴水もこの時期は動きを止め、閑散とした風景は唯でさえ広い公園を更に広大に感じさせる】
【この時期に加え、今は夜。公園に人がいる方が不思議なのだが―――噴水周りを照らす街灯の暖かな明かりの下に、独りだけ。ベンチに腰掛けて本を開いている男が其処に居た】

―――ふゥッ……。 くっそ、簡単な魔法なら直ぐに出来ると思ったんだが……そう甘くはないってか?
「出来るようになったら次のページに行きましょう」って……出来ないから早くも此処で詰みなんですけどねェ……ハァ……。

【ばたんっ、と片手に開いていた本を少々乱暴に閉じて溜息を吐く。『貴方も魔法使い!やさしい魔法の使い方』というタイトルが閉じた本の表紙に大きく書かれていた】
【苦い顔で被っていた青のソフト帽を脱ぎ、露わになった茶髪を掻き毟る男、年齢は外見から見るに20代だろうか。白シャツに灰色のジレ、そしてジーンズの姿は冬にしては薄着である】
【その白シャツの右肩の部分には、緋色の鷹の紋章が貼り付けられており―――即ち、彼がSCARLETに属しているという証拠にもなった】

別に魔法なんていらねーんだけどよォ……魔翌力量とコントロールする力は要るっていう。……ったく、めんどくせーの。
なのに其れを鍛える方法としては魔法を使うってのも……ねェ。仕方ない気もするけどさぁ、変な話だと思うのは俺だけじゃねーだろォ?

【彼は魔法は使えない。だが彼は魔翌力量・魔翌力コントロールを高めようとしている。何も知らない人が耳にすると首を傾げても不思議ではない】
【何のために鍛えているのかが、見えないだろうが―――正答を言うと、『能力』の為。そして―――首からぶら下げている『ペンダント』の為である】
【更に詳しく分かりやすく言うと、彼の能力は魔翌力を浪費するから魔翌力を鍛えているのだ。ペンダントについては―――其処から発せられる怪しい魔翌力が教えてくれるだろう】

【解る人には解る筈だ。『銀の籠に閉じ込められた砂色の玉』のデザインをしたペンダントの、その玉が宝玉であるということが】
【そうでなくとも、危険で底知れぬ魔翌力であるということは容易に見抜ける。そしてその持ち主は、その底知れぬ魔翌力を操るだけの技術が無い。だからコントロールを鍛えようとしているのだ】
401 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 22:22:18.34 ID:4L/CFdpyo
【とある僻地・荒れ果てた神殿前】

【メイド服を着た小柄な女性が一人、崩れた脊柱に腰かけていた】
【周囲にはなにもない。彼女の紺色の髪と瞳は、まるで夜の闇に溶けるかのようであり】
【一方で無表情を貫く姿勢は、どこか鬼気迫る様子まであるようにも思える】

【まあ、一言で表すなら、不審だった。この神殿――といっても、何の物かも分からず】
【ただ年月に任せて朽ちるだけの、廃墟以下の場所――そこに居るのもおかしかったし】
【ぼうっとするでもなく、かといってはりつめるでもなくしているのまた、妙】

……そろそろですか……………――――。

【そんな呟きをこぼすだけでなにもしないところを見ると、待ち人だろうか】
【となればますます妙だった。密会か、或いはもっと質の悪いものか――】

【どちらにせよ、もし此処に誰かが迷いこむなり、踏み入るなりするのなら】
【すぐに彼女の紺色の瞳がそちらに向くのは間違いなく】
【また光景を見て、その人物が容易に何かしらの想像が出来る――というのもまた事実か】

【時はゆっくりと過ぎてゆく。丸から少し欠けた月が、草と瓦礫に包まれた空間を写し出していた】
402 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 22:53:13.04 ID:pamtP0730
>>399

【身を切るような寒風が吹きすさぶ。生き物たちは寒さを凌ぐために巣に篭り、草木はその葉を落とす。―――そう、今は冬】
【ならば、あの遠くに見える木は一体何だというのか。打ち捨てられた建家の屋根を突き破り、枝を広げている「あれ」は……】
【花、だろうか……今、この厳冬にはあるはずのない物が枝一杯に広がって、風にあおられては艶やかな花吹雪を散らしていた】
【街にいたある女性の目は、そんな一種異様と言える光景を捉えていた。―――生物学者として到底信じられない光景を】

【その女性は、時折通り過ぎる寒風に鳶色の長髪を揺らし、優しそうな垂れ目はあの木を驚きと疑問の眼差しでジッと見つめて】
【身に纏うのは濃緑色のマフラーと若草色のコート、ロングスカートから覗く足は、謎の木に向かって歩調も速く進んでいく】
【一体あの木は何なのか。桜……?しかし桜にしては明らかに幹や枝の形が違う。自分の知っている桜の木はあんな形ではない】
【何か別の木に桜の花だけを取って付けたようなちぐはぐな印象を受ける。まるで「作られた」ような……】
【もっと言えば、「自然のものではない」とその木から感じる違和感がが告げている。……疑問を晴らすには自分の目で確認するしかあるまい】

【足早にその木に歩を進めて暫く、一本の枝にまたもや妙な違和感を感じる。……形容しがたいが、異質といえば良いのだろうか】
【とにかく何かの存在感を見て取ったのだ。ますます怪しい……どうもあの木には謎が多すぎる】
【なぜこんな所に生えていて、こんな時期に花が咲いているのか……今の彼女には理解できない事ばかりだ】



【やがて彼女は木の傍まで辿り着く。―――やはり遠目に見た通り、幹や枝と花が「合わない」。花は確かに桜のようだが、決定的に幹の形が違う】
【しかも、光っている……?少なくとも自分は光る桜など知らない。近づけば近づくほどに違和感はどんどん膨らみ、彼女の頭を捻らせる】

【……疑問と謎に誘われてやって来たこの女性。彼女がまだその存在を認識していない枝の上の少女は、近づいてきた女性を何と思うか――――】
【少なくとも彼女は敵意や悪意は孕んでいない。表情から感じられるのは純粋な好奇心のみ……】

//まだいらっしゃいましたら!
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 23:08:54.65 ID:ENXen1ka0
>>402

【この場所が朽ちてしまってから、どれぐらいの時間が経ったのだろう。最早、ひとの気配ほど辿れぬほどに朽ちた場所】
【そんな場所で、そんな場所だからこそ、ごちゃごちゃと茂った草が、木々が、或いは人間なんかよりも強く育っていた】
【かつては人間が支配した場を、今は草木が支配する。そんな衰退と繁栄の歴史、そこに割り込んだ桜色の煌きの異常さ】

…………、――?

【――元はただの朽ちた家だったのだろう。そこに、鳥なりが運んで来た種が吹いて、こんなにも大きく育った】
【そこまでは考えられることで、納得できることで、そこから先、“こんな時期に関係のない木に桜が咲いている”】
【たったのそれだけが違和感だった。そして、元凶たる少女の視線が、ひとしれずついと振れて、誰かを捉えていた】

【(もしかしたら。見られているという気配を感じ取ることが出来たかもしれない、害意も悪意も何もない、視線を)】

【どうしようもなく朽ちた家だ。けれど、元々が頑丈に作られたものらしく、ちょっと歩くぐらいならば、不安もないほど】
【桜の花をもっとよく見ようとすればするほど、天井の抜けた二階へと足が向かうはず、そうすれば天井の変わりに桜の花】
【空の夜色を隠し込むぐらいに咲き誇った中に、――黒色のインクを垂らしてしまったような、黒髪がよく映えた】

――こんばんは、

【――気付けばまた座っている。太い枝の上に危うげなく腰掛けた少女は、にこりと笑んで女性を見下ろしていて】
【足をふらふらさせながら、務めて驚かせないようにと声を柔らかくした気配があった。けれど、あまりにも急だから】
【もしかしたら驚かせてしまうのかもしれない。その場合は、少しだけ申し訳なさそうに変わる表情があったことだろう】

【(気のせいだろうか。足元の女性から少女がよく見えるようにと、花がざわりと移動したような――?)】

お散歩にでも来たの?

【どうしてこんな寂れた場所に、と。そう考えるような間が少しだけあって、やがて女性へ尋ねるのはそんな言葉】
【自らの成したことがひとめを惹くという可能性にあまり意識の向いていないような彼女は緩やかに首を傾げてみせて――】

【――ぽたり。また花がひとつ散る、拾い上げてみたらば、やはりそれはどうしようもなく桜の花のかたちをしていて】
【黄緑色の地に差した桜色の赤らみのよく映えること。女性が桜に詳しいなら、御衣黄、という品種名すら浮かんだのかもしれない】
【首ごと落ちる特性まで似通っていた、なら、きっとそれを模倣したと思うのが手っ取り早くて、確実だろうから】

/こちらに!
404 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 23:21:18.86 ID:WDSQ7f7B0
>>396
「飼い主…………どうでしょう。私も又仕えていて飼われている身なので何とも言い難い関係ですね
まぁ――――便宜上この子の先輩だとか仲間だとか思っていて下さい」

【白の手袋にその身形にと、肌の露出は極端に少ない。唯一覗けそうな素顔だって帽子で上手く隠されており、更にはこの闇の中ならば尚見る事は難しい】
【適当な魔方陣を描いて一冊の本を召喚すれば、其れを片手で開き】
【食えないと言うべきか、何と例えるべきか。パラパラとページを捲りながらも、帽子の下に隠された双眸はきっと白妙へと向けられて居るのだろう】


「何者かと問われれば、答えは私はただの帽子屋ですよ。それ以外の何の存在でも無い
――――寓話や童話は好きですか?
不思議の国のアリス。その話にも帽子屋が出ていまして
彼と私とでどちらがその名に相応しいのか…………ふふ。年甲斐も無く一度お話出来れば、と昔から夢を抱いているのですよ」

【やがては目的のページを見つけたのか、捲る動作も止まり】
【少しの間を置いた後に出てきたのは転移陣。複雑な模様として描かれた其れは、単純に別な場所へと運ぶ機能以外の何かを秘めているのだろうか】
【その姿から何かを察したか、クツリと笑いながらも詫びは無く】


「根無し草ともまた違うようですね。――――私も縛られたくない方を無理に連れる事はしません
ただ、気を付けて下さい。悪魔が居れば必然的に対峙する存在も居る
時代が進めば世の中も物騒になりますねぇ…………神に仕える修道女が銃を二つ手にして歩く何て昔では考えられませんでしたよ
兎にも角にも、その方の起こす面倒事に巻き込まれたくなければ今の内に此処から遠ざかる事を勧めますよ」

【――――では。その言葉を最後に、男の姿は少女と共に消え去った】
【二丁の拳銃を持ち、更に修道女。何と無く、何時の日か会った血濡れの彼女を思い起こさせる様な特徴だが】
【その言葉に従って退くのも良し、興味で留まっているのも良し。それは、女性の考え方次第】


/時間も時間でしたから仕方ないのですよ!お気になさらず!
405 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 23:21:40.36 ID:bC3xcJ+Qo
/>>401は取り消させて頂きますです、申し訳ない!


>>400

―――ちょっとでも魔力を扱えるのなら、やり方を変えてみたらどうだい

【ふと、そんな声が緋色の鷹を掲げた彼にかけられる。声の方向を見てみれば――】
【広場の端にあるベンチに一人の男が座っていて、その手にはホットコーヒーの缶があり】
【ふとそれを持ち上げて見えやすいようにすると、缶の表面に結露≠ェ発生して】

何も魔術を使うことはない。火の玉を作るとか、小さな雷を起こすとか……
そういうのも立派な魔法の訓練だろうが、適正ってのがある

俺も魔術は使えなくてね。だが、魔力の持つ属性ってのは引き出せる
実に単純だよ。刀身を濡らすとか、燃やすとか、本当に属性を付加するだけだ
加減こそしなくちゃいけないが……これが案外簡単でさ。

……君、魔力の量とコントロールの力が欲しいんだろ?じゃあうってつけだと思うけどね
物体に魔力を適当に流して、そこに属性をイメージして、上手い事『乗せ』る。
それが出来りゃ、後は訓練でなんとでも……ホラ、これを使うと良い。

【ホットコーヒーに結露――中々見られるものではない。つまり、言葉の通りの属性付加だろうか】
【彼の手の内にあるその缶が、ふと白銀の円筒に変わる。――魔術のようにも思えたが】

【考える時間を与えるより早く、おそらく30代と思われる男性はその円筒を彼に向かって放り投げる】
【――服は黒のロングコートが目立つくらいで、持ち物は無し。髪は金色で、男にしては珍しく】
【おおよそ長さは1m以上。上手い事三つ編みにしていて、端は青いリボンで結んでいた】

【異様なのは、左目の眼帯――はっきり言って不審者だ。無視することも出来るだろう】
【が、それにしても円筒の動きは止められない。受け取るなり落とすなり、対処する必要があった】
406 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 23:41:30.03 ID:pamtP0730
>>403

【無残に朽ち果ててはいるが、造り主の腕が良かったらしい。なるほど、突き破られてなお建っていられるだけあって歩く事に難はない】
【床板を踏みしめるたびにぎぃと頼りなさげな音を立てるのがやや不安を募らせるが、それでも好奇心にはやる足を止めることはなく】
【もっと近くでその木を、花を、観察したい。そんな一念のみを心に持って、自ずと向かった先は二階】

【……遠目に見た通り、屋根は抜けていた。屋根の代わりに桜が夜空を覆って、時折はらりはらりと床にその花弁を落とす】
【同時にふと感じるのはだれかの視線。……こんな廃屋だ、あるいは霊の類のものが存在しているのかも……なんて、ちょっとナーバスにもなってみるが】
【―――不意に空から降ってきた鈴の音。否、鈴の音と錯覚した其れは少女の声。成る程、この少女が視線の主なのだろう……】
【特段驚いたような表情は見せない。ただ少女の存在を認識すれば、此方も「こんばんは」、と優しい母のような声で挨拶する】

【少女の纏う黒いケープが闇夜にその姿を隠しているが、どうしても少女の持つ異質さは隠しきれないらしい】
【一旦存在を認識すれば、もう目を瞑っても存在を確認できるほどに少女の姿を感じる。……その異質さが果たして何なのか、今の彼女には知る由もないが】

【……その少女が彼女に問うた。「散歩に来たのか?」……確かに、こんな所を訪れるような人間は滅多にいないだろうし、来たとしても散歩中の気まぐれがせいぜいだろう】
【しかし、彼女は違う。明確な目的、すなわち「この木は一体何なのか」を突き止めるために此処に来たのだ】


……そうですね……私は、この木が不思議だなって思ったから来たんです。
街から見えたこの木が、なんだか妙に目立っていたから……
あなたはこの木について、何かご存知ですか?良かったら私に教えて欲しいなって……
これは桜、かな?でもこんな冬に桜は咲かないでしょう……教えてくれますか?


【少女に返された彼女の声の色は、好奇心旺盛な女の子のそれに似ていた。目の前にある不思議を知りたい純粋な心を、少女は感じ取れるだろうか……】
【……もっとも、頭の中まで女の子のままではない。咲き乱れて落ちる花の数々が完璧なまでに桜であることを知っていたから、それが謎を解く糸口になるのでは?とも感じていた】
407 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 23:46:40.42 ID:j6hQwJaVo
>>404

寓話に関してはおおよそ存じておりますよ、ええ節操なく
狂っている話の登場人物を語るとは恐れ多いことをしますね、いつか化物に襲われ兼ねない行為です。

【信用ならない、そんな言葉をそのまま人の形にしたような男性】
【よくもここまで体現出来るものだと頭の中で感心しつつ上へ下へと眺める】
【尤もそんな行為で何が得られる訳でもないが……】

悪魔であろうと天使であろうとわたしにとっては瑣末も同じです
敵か味方かと同じように、大した意味も感じませんので……所詮は外側の方々ですし
わたしも一応は人類側ですが、そこまで介入するつもりもなく……さようなら帽子屋さん

【外での出来事など所詮は対岸の火事、ということだ】
【画面の向こう側の大事件などで心が傷む民衆などいないように彼女もまた同じ】
【愚かであると言うも良し、愚かである事を享受するのは義務である故】

【魔法陣に消える彼らへと小さく頷いて、別れる】
【残滓から後を辿るつもりも特にはなかった……それよりも彼が語った「修道女」】
【少しばかり心当たりがあって、来るか来ないかも分からないそれをなんとなく待つ事を選ぶ】

/すいません、本日もよろしくお願い致します
408 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/18(土) 23:58:39.54 ID:YCPdh13Ko
>>405

―――ん……アンタ、偉大なる魔術師様って所か―――っと……! 

【あらぬ方向から飛んできたアドバイスに顔を上げると、彼は横に置いてある本を素早く裏返した。あの初心者丸出しのタイトルが上になっており、それを見られたくなかったのだろう】
【その行為は無駄であることはなんとなく分かっていたが、反射的にその行動は取られていた。男が夜中の公園という場所で試行錯誤する理由も、恥ずかしさが原因らしい】
【男が掲げたホットコーヒーの缶に自然と紺碧の双眸が吸い寄せられれば、表面に起こった変化にも当然気付く】

……はぁ。物体に流して乗せる―――ねェ。「コレ」使っていいならいつもやってることなんだけどよォ……そうじゃないならやったことねぇし、出来る自信は……あんまり。

【首を傾げながら呟けば、台詞にも出てきた「コレ」を相手へと見せてみせた。両手に具現化する拳銃は右手が朱、左手が蒼。つまり彼の能力である】
【そしてすかさず左手の銃から地面に向かい発砲すると―――青く輝いた弾丸が地面に着弾し、着弾点に空へと伸びる大きな氷柱が生えた】

―――っと。ちょっと五月蝿かったならわりぃ。……ま、能力介してりゃある程度の量の魔翌力を籠めれば勝手に氷の弾丸に変換してくれるんだわ。
……ま、コレはイージーモードっつーか、属性なんてイメージする必要ないからなぁ。左の銃は勝手に氷属性に変換して「乗せて」くれる装置っつーか。

やっぱり地力でそこまでしないから魔翌力が全然伸びないっつーことなのかなぁ……解かんねぇや―――っとォ……!

【自身の能力にある程度の説明を加えれば、小さく溜息を吐く彼。そのタイミングで放り投げられた円筒に彼は一瞬慌てふためきながらも両手の銃を瞬時に消し、キャッチしようとするだろう】
409 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/18(土) 23:58:47.49 ID:FdiFqDqLo
【とある草原】

【それは郊外から少し歩いた場所にあり、街の灯りと遠くに山々を望め】
【涼風に吹かれ揺れる草は青白い月に照らされて、夜といえど明るく】
【草に混じって淡い光を零す白花が咲いており、それを摘む人影が在る】

【民族調の黒いディアンドルを纏い、前髪で右目が隠れた気弱げな少女】
【腰までの緩く巻かれたローズブラウンの髪、左目はグリーンの大きな瞳】
【その傍には、鎧を纏った青年のケンタウロスが、少女を守るようにしていた】

お屋敷に飾る分、ジュリアスにあげる分、……あ、あとリヒャルトさんにも。
――……どうしたの、ロナン? ……人の匂い? 誰かいたのかな……?

【ケンタウロスが周囲を見回した動作に気が付けば、少女はその言葉を読み取って】
【これから訪れるかも知れない人間の気配とは別で、先程まで誰かがいたらしく】

【少女は「まぁいいか」なんて零して、手元の花を輪に編み込む作業に集中し始める】
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 00:02:34.64 ID:1lCEEaeJ0
>>406

【ふらりふらりと揺らす足が、どこか気ままな子供のようで、いっとう彼女の少女らしさを強調するのだけれど】
【耳元で煌く月白色をした石――宝玉――の欠片が、どうしたって少女をただの女の子として認識させるのを拒むよう】
【実際、ただの少女が宝玉を欠片とは言え持ち歩きはしないだろう。或いは、桜の花よりも異質なのは彼女だったのかも――】

【「ああ、」と声がした。女性の言葉を聞いて、そのやってきた理由にようやく合点がいったような、微かな声】
【ふらりと女性から逸れた視線は支えにと捕まえる枝にたわわに実る花を見やって、数秒。女性へと戻された】

これ? これね、わたしがしたの――、……大丈夫だよ、崩しちゃえばなんにも残らないから。
魔力を操る練習なの、……まだ、セシルとかシーナみたいに上手には出来ないけど……上手に、なったんだから。

……あとね、冬に咲いちゃう桜もあるよ。ちょっぴりどじな子、知ってるの。

【空いていた手が別の枝を手繰り寄せる、ぎしぎしと木の撓る音がして、ばらばらと花が落ちていくのだけれど、】
【やっぱり気にしない彼女は、それどころかこそげるようにして花を手の中に落としていくのだろう、さも当然という風に】
【やがて掌を花でいっぱいにすれば、嬉しそうに――自らがしたのだと、ひどくあっさりねたばらししてしまう】
【立派な木だ。それをこんなにも花で飾るのは、少なくとも簡単ではないはずなのに。お遊びみたいに、してみせたのだと】

【――冬に咲いてしまう桜も時折ある。女性の言葉に少しだけ自慢げにして、それから僅かに首をかしげる、癖】

教えてもらってるんだ、魔術。……ねえ、これ、綺麗かな? 上手かな? ――教えて欲しいな、

【「セシルに、」――にっこりと笑って見せた色、あどけなさの残る顔立ちによく似合って、どこか子供ぽいそれ】
【掌に集めた花たちをぱっ!と宙に放れば、百点のテストを見せに来た子供みたいに、そう尋ねることだろう】
【足を揺らしながら女性の言葉を待つ、褒めてもらえると期待するような目付きが、きっと煌いていたはずだ】

411 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 00:12:28.17 ID:BNte0lDr0
>>407
【完全な静寂に包まれてから一体どれ程の時間が経っただろうか】
【――――コツコツコツ。硬質な床を歩く音が聞こえ、同時に一人の気配がする事だろう】
【瘴気やら神聖やらは無い。ただ、一人の人間の気配と同じ。それ以上でも、それ以下でも無い】


「全く…………ボクだって何時も何時も悪魔を殺したり魔物を殺したりしてる訳じゃ無いんだからさ
偶に友達と話してる時くらいは呼び出すのを止めて欲しいよね」

【口調こそ軽いものの、剣呑な空気は否めない】
【カチャリと特有な音は弾倉を変えた其れだろうか。未だ遠い距離。然れど、以前に一度言葉を交わして居た事を覚えているならば聞き覚えがある声か】
【対して修道女からは未だ白妙の姿は見えて居らず、それでも正確に銃口の向きを合わせているのはコレまで培ってきた経験から成せる業】


「だからといって逃がす気は無いけどね。まぁ、面倒なのは確かだけど…………其れがボク達の仕事な訳だし
さて、どうせなら死ぬ前にお祈りでも口ずさんでみたらどう?もしかしたら哀れに思った神様が――――…………ありゃ?白妙?
…………何でこんな所に居るのさ。迷子なら道でも案内するけど?」

【闇の中に目標を定め、引き金を引こうとしたその時――――その指が、トリガーから離される】
【僅かに差し込む月光に対して眩しそうに目を細めてみれば…………次には、きょとんとした表情に変わっている事だろう】
【グリップこそ握ったままだが、人差し指もまたグリップを握らせる其れへと変えれば不用心に近づいて】
【数歩手前で立ち止まれば、問い掛けと共に小首を傾げた】
412 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 00:16:50.34 ID:FdEoR0ZLo
>>408

偉大なる魔術師様?いやいや、ただの通りすがり……の、素敵なお兄さんさ。

……で、それは能力かい?……ん、あぁ成る程、そういうわけか
だったら普段から意識して使えば良い。『俺は氷の銃弾を撃つんだ』ってな具合にね
続ければ感覚が掴みやすくなるし、そうなりゃ後は銃以外のもので実践するだけだからな

銃声?いや、気にしないさ……聞き慣れてるんでね。ほら、やってみろよ

【ニヤりと笑ってみせるのは何に対してだろうか。どこと無く剽軽というか、つかみどころがない男だ】
【が。銃弾を撃ちはなったのを見ても動じないところや、氷の柱を即座に能力かと訝ったり】
【どこと無くその手の世界に世慣れた感じが強く、眼帯もそういう事柄の名残に思え】

【――円筒を受け取ったなら、内部に揺れるものを感じるだろう。勿論、コーヒーだ】
【つまり先程の缶を金属で覆っただけの筒。僅かに冷たい、即席の練習具というわけか】

なんなら片手に銃を持ってもいい。魔力を込めて撃つ、同じ要領で缶に魔力を流せ
右手と左手で同じことをやりゃいいのさ、決して難しいことじゃないと思うが……

……ほら、こんな具合だ。俺は氷までは使えないが、水は手慣れたもんでさ
炎や雷も良いが、手に持っているものに流すと良い気はしないし……とにかく、結露させてみろって。

【同じような金属製の筒を、彼は再度手のうちに出現させる。マジック――と言うより能力にも思えるが】
【説明もなく、むしろ煽るように言葉をかけながら筒を掲げてみせれば、たらたらと冷水が浮き出し、滴る】
【手慣れた様子だ。出来るかどうかは資質ややり方次第だが――当の彼はどうだろうか】
413 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 00:36:49.01 ID:MSX++Q/H0
>>410
【あの少女はどう見ても「少女」だ。視認できる情報の全てが、「少さな女の子」であることを告げている。……なのにどうして、こうも違和感を孕むのか】
【見れば、耳元の宝玉がともすれば少女の存在を凌駕するほどにその存在を主張している。成る程、この少女はただの少女ではないらしい……】
【しかし少女の声は、目は、悪意を帯びていない。むしろ純粋で可憐な少女そのもの……きっとこの身を害するようなことはないだろう】



……そっか、あなたが作ったんですねー……本当に立派な木ですね。
私は魔力とかそういうの、あんまり詳しくはないんだけれど……純粋に、凄いなって思います!

【――――返って来た答えは、薄々予想していた通りの物だった。やはりこの木は自然のものではなく、人が意図して作ったもの】
【ならば作為的に感じた花と幹枝の違和感にも合点がいく。実際、少女が作為したのだから……】
【……合点はいくのだが、少女の口ぶりがひどく軽い。巨木と呼んで差し支えない木に満開の桜……魔力を持つとは言え少女が作るにしては大きすぎる】
【それなのに、さも簡単そうに作ったと言ってのける。魔力関係でのいわゆる「天才」なのか、あるいはもっと別の何かなのか……それは分からないが】
【そんな他愛もないような台詞の端からも、少女がただものではない事が伺える。見た目は本当に可憐な少女以外の何者でもないのに……】


【しかしまあ謎は尽きないが、少なくとも会話していて不快感や悪意を感じることはない】
【元来子供が好きな彼女は不思議な少女とも仲良くなりたいので、普通の女の子と会話するときと変わらず優しく微笑んで会話に興じる】
【少女は嬉しそうに自慢げに、木のことを自慢している。「何かを作って、それが会心の出来だった」―――こんな時に褒めてあげれば少女は喜ぶというのを、娘を持つ彼女は知っている】
【そして、褒めた後で優しく改善点を指摘すれば、子供は素直に聞いてくれるというのもよく知っている】

【……それに、褒めているのも嘘ではない。褒める口ぶりがわざとらしくないのも、彼女が素直に感心しているから……】

―――うん、とっても綺麗です!魔術って、こんなに綺麗なものも作れるんですね!……もうちょっと枝や幹が灰色っぽくて滑らかな感じになれば、もっといいかなって思います。
こんな綺麗な花を作れる力があれば、誰かを喜ばせられるんじゃないかな?人を笑顔にさせられるんじゃないかな?
ちょっとお堅い話になるけど、私は力を持つ人はその力を人の笑顔になるように使うべきだと思うんです。あなたはどう?一生懸命練習したその魔術を、どう使いますか?
414 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 00:42:52.24 ID:Y9y81QzGo
>>412

……お、おう。 なんかスゲェ今まで修羅場乗り越えてきたっぽい雰囲気というか―――いや、何でも無いっすわ。
兎に角―――やってみるか……自信はねぇけど。言っとくけど俺銃撃に関すること以外はセンスの欠片もねェからな?

【ぱしっ、と両手の中にコーヒー缶が収まれば、言われた通りに片手に銃を出し、反対の手でコーヒー缶を握り締めた】
【自信の無い様子でマイナスな言葉を度々零しつつも、言われた通りにイメージを固めようとする。「属性をイメージして乗せる」という言葉を脳内で反芻する】
【―――が、あまりそのイメージはくっきりと浮かんでこない。戦闘のイメージや跳弾の軌道イメージなら何千何万もしてきた為に簡単だが、このようなイメージは全くしてこなかった】
【うーん、と小さく唸るような声を上げて苦戦しながらも、兎に角できるだけ鮮明にした氷のイメージを固める】
【左手に握られた缶をいつも魔翌力を送り込んでいる銃と思い込み―――感覚的には両手の銃の引き金を引いた。勿論鳴り響くのは1つの銃声ではあるが】

【―――右の紅い銃から発射された朱い弾丸は地面に当たると、垂直に昇る火柱を上げ3秒後に霧散した】
【……だがコッチはどうでもいい。問題は左手。結露は―――していない。彼は「やっぱりか」と苦笑いを浮かべながら溜息を吐く】

……―――その決して難しいことが出来ないんだから、やっぱりセンスねぇよなぁ……。
415 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 00:57:26.65 ID:FdEoR0ZLo
>>414

男は修羅場をくぐり抜けてナンボさ。困難は人を育てるんだ
……カッコつけてるわけじゃないぜ?今のアンタも、まさに同じ状況だって言いたいのさ

……まあ確かに、センスは無いみたいだな。魔術以前の問題だろう
だが、そこで『俺はセンスが無いからダメだ』と終わるなら……それまで。
自分で区切りをつけてやめちまうのも良い。得意の銃を極めりゃいいさ

【――そこから先は、敢えて何も言わないという様子だった。本来、良く有るお説教なら】
【『諦めたらそこで終わり』とか続くものだが、彼はそれを言わなかった】

【あくまでも道はいくつかあって、銃を選んで極めるならそれでもいいんじゃないか、と言ったのだ】
【見たところ、男は武器を持っていない。円筒のように物を出現させられるとしても――】
【少なくとも見る限りでは何かの達人、とも思えない。なんとも経験の滲んだことば端で】

……ふぅ。冷めちまったな、もう一本……いや、2本だな。コーヒー、買ってくるか
君も飲むだろ?努力祝いってことで奢ってやるよ……っと、忘れてた――

―――そういえば君、名前は?SCARLETは聞いてるが、構成員は知らなくてね
おっと安心しろよ、俺は機関やGIFTのメンバーじゃない……ただの暇人、一般市民だ

【『名を尋ねるならまず名乗れ』と言うのはまあ有名な台詞だが――彼はそうせず】
【コーヒーはいるかだの、名前は何だだの、質問するだけして立ち上がり、近くの自販機に向かった】

【――大きい。身長は190cm以上、2mには届かないといったところだろうか】
【長髪も目立つが、体付きもいい。鍛えていなければ30代で体格の維持は難しいはずだが――】
【かしゃん≠ニいう硬貨を入れる音が広場に響く。答えを待つように、男は右目を彼に向けた】
416 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 01:00:51.36 ID:jdSaRp8Xo
>>411

待ち人来たりですか……これもあちらの予測通りなのでしょうかね?

【閉じた瞳ながらも足音へと顔を向け待つ】
【一度出会った人間だ、人違いをするなどという事は自身の性質上あり得ない】
【先ず銃口が見えて次は……彼女】

お久しぶりですね、その様子だと元気なようで
迷子ではありませんのでご心配はなさらず……いえここで面白い方々と出会ったもので
あなたと縁のある方々かもしれませんし、少し待ってみた……というカタチですね

【ちょこんという言葉が合うように窓枠から腰を降ろし一歩近づく】
【傾げる彼女に対して薄らな笑みを浮かべたまま、白妙はここで起きた一部始終を彼女へと伝えるだろう】
【ただ起きた事実のみを客観的に、主観を一切混じえずの生の情報を……だ】
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 01:06:22.31 ID:1lCEEaeJ0
>>413

【ふわふわと夜風にケープの裾が揺れる、そのたびに彼女のシルエットが崩れてしまいそうな錯覚、抱かせるほど】
【彼女の身体自体は華奢で、或いは手折ることすら出来る気のするほどの細身、それなのに、ぎゅうと大きく思わせるのは】
【やはり宝玉の異質さが大きいのだろうけれど、――ほんの微かに、なにか、人間と違う気配がしたような、気がした】

あ……、……この子は違うよ、ここにずっと居る子なの。これからも、きっと、ここに居る子なの。

【褒められた。そのことに気分をよくするのかと思えば、ふわと変わる表情、重ねた否定は女性の誤解を解くように】
【木ばっかりは元からあったものだ。それまでも作れれば、もっと上手になったといえるのだろうけれど――残念ながら】
【既にある木を飾り立てただけ。だからこそ、枝と花の不一致が起こって、見た目をおかしくしていたのだから】

【(――実際、才能という目で見たなら、十分そう呼べるものを持っていたのだろう、これを簡単に成すぐらいには)】
【(けれど圧倒的な練習不足、ようやく最近練習らしい練習を始めたぐらいの、そんな、かわいらしい駆け出しだった)】

……そうかな、良かった――、

【それでも。たくさん褒めてもらえたなら、ふわぁと笑ってみせる顔の安心した色、ひどく嬉しそうに綻ばせて】
【本心から喜んでいるような様子を見れば分かるだろう、彼女は褒められてこそ伸びる性質であるらしい、と】
【足先までも嬉しそうに満たせばぴこぴこと爪先が動いていた。――そんな足先が、ふと止まって、】

わたし? わたしは……、……ずっと一緒に居るために、使うの。

【ぷかぷかと浮かれていた顔にそっと真面目な色合いが差す、緑色に差した桜色のように、まったく別の色合いで】
【胸の前に寄せた手をもう一方の手で撫でる、左手の薬指に触れているのを見れば、“だれと”なのか、分かるよう】

どんなわるいひとだって、どんな邪魔だって、わたしがぜーんぶ、溶かしちゃうのっ、
だからね、たくさん練習するの、あるかもしれない日に、弱いままなのは、赦されないもの。

……あとね、上手に出来たらセシルが褒めてくれるから――。

【ついっ、と、足先が空を裂く。見えない誰かを蹴っ飛ばすように、言葉通りに“やっつける”みたいに】
【高い場所に小鳥のように留まったままでは、いくらか言葉のつめたさも増して聞こえるのかもしれない、顔が良く見えないなら】
【せっせと磨ぐ刃はしあわせを守るため。派生すれば、誰かを守るための力ともなり得るものだろう】
【決して誰かを害そうとするものではない、――ただし、“自分たちの敵にならないなら”】

【――最後の言葉だけが元の温度を取り戻す、にへーと嬉しそうに笑ってみせる温度差は、あまりにも違いすぎて】
【幼い少女だ。華奢で、子供らしくて、ごく平凡な少女に見えるのに。宝玉が、言葉が、裏に隠したものをそっと覗かせるなら】
【やはりこんな世界の住人だといった風。街のほんの裏路地が恐ろしいように、彼女の裏も、きっと――】
418 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 01:23:00.42 ID:Y9y81QzGo
>>415

……元々センスねぇって解ってるんだよ。自分でもわかってんだけどさ、俺ってグチグチ言いながらも続けるめんどくせぇ奴だからよ……。
で、唯一センスがあった銃はもう伸びしろはねェ。コレ以上強くなるには此処は避けて通れないってのも『解ってる』。

【文句は言いながらも止める訳にはいかない。溜息を零しながら紺碧の視線を向けるが、先程のマイナスな言葉とは裏腹に諦めの悪さが光る瞳だった】
【右の銃を消し、隣に置いてあったソフト帽を深く被り直す。円筒を持ち替えて左の銃を具現化すればまた1発地面に打ち込み氷柱を生やす】
【―――つまり、一度氷の弾丸を打ち込む感覚を確かめた。そして直ぐに銃を消して感覚を忘れないうちに円筒を持ち替えた】

……サーセン。俺はまぁ、マーシャル・T・ロウっていうめんどくせぇガンマンだよ……大会にも出てたぜ?

【奢ってくれる男に対し小さく会釈をすれば、言われた通りに名前を告げた。マーシャル・T・ロウ。前大会3位だが、既に色々な事件があった今その記憶を薄れられているだろうか】
【―――相手は自分が一般市民だ、というがにわかにも信じられなかった。あの微かに見えた能力と思わしき現象―――円筒を出現させたこともあるが】
【まとっている雰囲気が少し異質であるというか、戦場に馴染むオーラというか。兎に角多くの場数を踏んでいることは間違いないのだろう。そうでなければその落ち着きは出せない】

……アンタみたいな奴が一般市民の国なら、カノッサもGIFTも攻めないだろうな。

【遠回しに「アンタ、一般人じゃないだろ」という言葉。疑いの視線を、自販機が吐き出した缶を拾う背中に投げかけた】
419 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 01:29:08.66 ID:BNte0lDr0
>>416
「ん、まぁ…………元気と言えば元気な方なのかな
良い様に使われて疲れてはいるけど、身体の丈夫さには自信があるしさ」

【チラリと辺りを見渡してみたり気配を探ってみたりするが】
【――――もう警戒は不要であると悟れば、手にしていた銃も仕舞い込む】
【どことなく緩い雰囲気を纏う女ではあるが、一人で手配させられる程には信頼されているのだろう】
【腰で光る二丁の銃は、その姿に似合わずキラリと鋭い光を放っていた】


「ボクと縁がある?
…………教会からは悪魔の知らせを聞いて此処に来てみたけど、居るのは白妙だけだったし――――
このまま帰るのも釈然としないし、良かったら少し話でも聞かせてよ」

【僅かに笑みを浮かべた事を認めれば、一層疑問の色が強くなる】
【――――どうせ元々は休日だ。多少私用で遅れた所で咎められる謂われは無い】
【横を過ぎれば、身軽な動作で先程まで白妙が座っていた窓枠へと腰を落ち着かせ、話を促すことだろう】


「――――なる程ね。もう居なくなっちゃったんじゃ追いようが無いし…………
そんな子ならまた何時かぽっと出てくるから躍起になって探す必要もなさそうかな
…………で、白妙の方は特に怪我は無いかな?
無いなら其れに越した事は無いし…………あったとしても、今なら特別このボクが無料で治癒してあげるよ」

【話を聞き終えれば、珍しくも小難しい表情で考え込むが】
【…………今となっては追う術は無い。そう判断したならば、何時も通りの表情へと戻り】
【もしも件の少女の話をすれば疑問の表情を浮かべたかもしれないが】

【間を置き、話題の転換。取り敢えずは痛む所が有るか否か】
【ウィンクと共に投げた問い掛けは巫山戯た様にも思えるけれど…………仮にも修道女。癒やす力はそれなりには有する】
420 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 01:38:10.08 ID:FdEoR0ZLo
>>418

安易に卵≠セの、ワケの分からんクスリに手を出すよりその方が良い。
ゲームに『経験値』ってあるだろ。俺、あれは実在すると思うんだよな

例えば君は銃の才能がある。だからその歳でカウントストップだ
だが、魔術の才能はない。だから経験値が恐ろしく溜まりづらい……
……でも溜まらないワケじゃない、なんせ、魔力は有るんだから素質は在る。

ま、あんまり気にしすぎるなよ……マーシャル・T・ロウ?
どっかで聞いた名前だな。大会じゃなく、それよりも前……何かやってたか?

【ちら、と右目で見たのは諦めの悪いその瞳。確かめると、にやっと笑って】
【やがてそのままコーヒーを買い求めながら、背に感じるのは慣れた視線】
【あからさまなまでの言葉を投げかけられると――丁度缶が2つ、転がり出て】

……フッ、そりゃ君、買いかぶりってもんだよ。おっさんからかってもコーヒーしか出ないぜ
それと俺は探りあいってのが嫌いだ、言いたいことが有るならハッキリ言うのが男、だろ?

……だが、まあそうだな……君にも名前を明かしてもらったし、言わないのはアンフェアだ
以前はカノッサ機関に居た。もう年単位で昔の事だが、そこそこいい立場に居たんだぜ?
中々格好いいあだ名なんかもあったが……悪いわるい、名前だったな

――――俺の名は長谷部紫炎だ。当時は『シェン・ロンド』って名乗ってたが……知った名かい?

【缶コーヒーの一本を彼に向かって放り渡す。今度は円筒と違ってひどく熱い】
【冷たいものを持っていたなら尚更だろうか、結露なんてしているはずもなく】
【男はといえば事も無げに缶を開けて、そして名を告げて――またベンチに腰掛けた】
421 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 01:48:47.42 ID:MSX++Q/H0
>>417
【……どうやら幹の方は元々そこにあるものだったらしい。勘違いに、少し恥ずかしくなる……】
【折角褒めてあげても、これじゃあ台無しだ。彼女の眉毛は少し申し訳なさそうにハの字に曲がって、しゅんとしていた】
【そんな彼女が救われたのは、すぐ後に少女が嬉しそうな表情を見せたから。純粋に心から喜んでいるのが分かったから。】
【こちらも安心したような表情を見せると、もう一度花の方に目を向けて……本当によく出来ているなぁと感心して唸る】
【作った分は完璧だった。これがあるべき幹に付いていたなら、きっと見分けが付かなかっただろう……】

【……これでまだ練習中というのなら、本当に末恐ろしいというべき才能だ。その才はどのような形になるかはわからないが、やがて大きな力となるだろう……】
【―――だからこそ、聞いておきたいことがあった。大きな力を持つ少女は、一体その力をどう使うのか……】
【持て余すのか、奸悪に使うのか、あるいは理を得るために使うのか……使い道は全て少女次第、力は何にもなりうるものだから】

【願わくば、力を持つ者は其れを人の為に使って欲しい……そんな彼女の願望もすこし覗かせつつ、問う。少女の答えは――――】

――――!

【――――「……ずっと一緒に居るために」使う、そう答えた彼女の声が心なしか鋭く聞こえたのは気のせいだろうか】
【悪い人をやっつける、そのこと自体は咎められることではない。でも、何か強く冷たい刃身のような心が覗いた気がした……】
【これがこの少女の本当の姿だろうか?……いや、先ほどのあどけない少女らしさが仮面であるとも思えない】
【……僅かばかりに顔を覗かせた少女の一面。それが危ういものであるかもしれないような気がして】
【投げかける言葉は否定でも非難でも批判でもなく、僅かばかりの注意。これが彼女の心に届くかは分からないが、彼女は言わずにはいられなかった】
【……静かに、諭すように言葉を紡ぐ。】


……大切な人を守るため、強くありたい……その強さで大切な人を護りたい……その心は大事です。―――でも……
……どうか、想うあまりに周りが見えなくなる事だけはないようにして下さい。
それが貴女の敵なのか、それが本当に邪魔なのか……どうか、行動する前に深く考えてください。

【言葉を紡ぎ終えるともう一度優しい笑顔を見せて、「お願いしますね」と付け加える】
【願わくば、強く想う心が彼女の笑顔を壊すことがないように。……それだけを願っての言葉だった】
422 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 02:00:26.45 ID:jdSaRp8Xo
>>419

出会った方々は先に述べた通りですが……敢えて伝えるならば

【表情は特に崩す様子はなく、しかし白妙は唐突に言葉を止める】
【かの少女の様子をその詳細を彼女に伝えて良いものか、と】
【或いは話す事によって物語の結末はあらぬ所へと収斂されるのではないかと】

【それも、良いか】

望まない力を与えられたように見えましたね
正気の時はただの年頃の少女かと……まあ今からまともな側に引き戻せるかは分かりませんし知りませんが
そちらの役職としてはどうにかしなければいけないのでは?

【ここからは白妙の主観、本来述べるものではないもの】
【先がどう転ぶかなど一切分からない、或いはデッドエンドか】
【微笑みの白妙にとってはどちらでも興味深い物に変わりない、面白ければそれで良い】

ああ、こちらに負傷はございません
突然現れた方にいい具合に邪魔をされましたので、ご覧の通り素敵に無傷です

【石膏地味たその指先をこれ見よがしに昇った月明かりに照らす】
【光をそのままに空き通しそうな造形、そうそれは造り物のようで】
【ひらり躍らせる様は戯曲に溺れる役者のよう】
423 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 02:04:59.06 ID:Y9y81QzGo
>>420

……『卵』か。今では代わりに『beyond2』があるから久しぶりにその名を聞いたぜ……で、それを知ってるってことはやっぱり一般人じゃない……と。
―――ま、魔翌力の方は地道に頑張るさ。バケツに収まらないくらいの文句吐き出しながらな!

……前には、まぁ―――ちょっくら正義組織を。とはいっても若さゆえの過ち?って奴だよ。

【自分に魔術の才能はない。―――と解ってはいるのだが、実際他人に言われると少し凹む。得意な事を続けることに比べて、苦手なことを続けることは何倍も苦しい】
【だから銃の修行は大変だが決して止めなかった。しかしそれが魔術となると、本当に芽が出るのかは解らない。『経験値』が本当に実在するかは解らない】
【―――この努力は無駄じゃないか。という不安に侵食されて心が折れることがないように、改めて気を引き締めた。彼には強くならないといけない理由がある】
【……―――だから、決して折れるわけにはいかない。折れてしまっても、直ぐに修復して立ち上がらければいけない】

【過去にも何回も折れた。昔カーネルという男に完膚なきまでに叩き潰され、右脚に重い傷を残し、過去に運営していた「青義同盟」の解散を強いられたこともあった】
【―――それでも立ち上がり、今がある。そんな彼が魔翌力の才能が無かったくらいで折れるわけにはいかない】

―――……いーや、俺探り合い大好き。互いに探り合ってる時のピリピリ感とかも心地よく感じちゃう人種なんだよねェ。
しかもよ、相手の能力なんて予測できねーし、探り合わなけりゃ俺は勝てねーんだよ。アンタみたいに恵まれた体格も無いし。

【にやりと笑みを浮かべながらそう零すのだが、その表情は直ぐに濁る。先程から怪しいと思っていた眼前の男の素性を知って、瞳がやや細まった】

……俺もアンタと同じ感想。どっかで聞いたことがある……が、世間に疎い俺が昔の名前を知ってるってことは結構なビッグネームなんじゃねーの?
―――元なら、何も言わねーよ。以前―――ってのは六罪王って存在が露わになった前くらいか……ってアッツイ!

【急いで受け取って缶をベンチに置けば、軽くシェンを睨みつけた。その名は彼でも知っていたが……知っているのは名前だけだった。昔のことだから忘れているのかも知れないが】
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 02:20:18.58 ID:1lCEEaeJ0
>>421

【ちらりと見えたほんのちょっぴりの裏側、けれど確かに少女の危うさである一面を、けれど女性は否定するでもなく】
【ただほんの少し釘を刺される、その感覚は、――今まで、あんまりなかったことなのかもしれない】

……、ちょっと退いてて、

【――さぁと吹き抜けた風を孕んで、ケープが、髪が、ひどく大きく膨らんでから揺れる】
【けれどそんな風音の中でもよく通る声は、とかくその場から離れることを要求していて、実際にそうしたなら、】
【ふわと宙に投げ出される身体、スカートがひらりと捲れ上がるが、中身はタイツの黒色、何を窺わせることもないまま】

【かァんとハイヒールの甲高い音が夜を貫く、両手を大きく広げて取ったバランス、やがてすっと立ち上がったなら】
【初めて女性と視線の高さが揃う。いくらかの身長差はあるだろうが、それでも樹上と地上では、大きく違うから】

――無駄なことはしないって約束したの。売って歩くようなのはやめよう、って……。

【ひどく軽い音だった。廃墟の床を僅かしか揺らさなかったなら、彼女の華奢な軽さを証明するみたいに】
【それでも少し軽すぎるような気がしたのだけれど――そこは、抱き上げでもしない限りは分からないことだろうから】

【(正真正銘子供ぐらいの体重しか少女は持っていなかった。おかしな軽さは、ただ、これでも重くなっている)】
【(少し前まではそれこそ猫程度の重さしかなかったのだから――やっぱり彼女は人間じゃなくて、おかしな存在)】

だからね、しないよ。そういうこと……、もう、やめたから。

【――明確に眼前の女性へ向けてにこりと笑んでみせた、“もう”と言う言葉の危うさ、鋭く尖った硝子片みたいでも】
【ぐるぐると包んで隠してしまった言葉があった。約束したんだと言うひとは、女性の抱いたのと同じ危惧を抱いたのか】
【そして彼女も律儀にその約束を守る心積もりであるらしい、――それなら、女性の言葉を守るのとも同義と言えて】

【まだ少しだけ危うい。けれど、――少しずつ、平穏へ向かって歩いているように、思えるだろうから】

――わたし、帰るね。あんまり遅くなっちゃうと、良くないし……。
褒めてくれたの嬉しかった、もっとたくさん練習しないと……まだまだ、全然、ちっともなの。

…………あ、そう、わたしね、鈴の音って書いて、りんねって言うの。苗字がシュトラウス。

【くうと伸ばした身体、ふぁと欠伸を零すのが、どうしようもなく平和な時間、そんな一面も確かに持って】
【それから紡ぐ言葉は、帰ることにする――と、少しだけ急にも思えるような気紛れの色合い】
【ふふーと笑ってみせれば、やはり先ほどのは嬉しかったのだと改めて告げ、言うのは、ただ悲観したものではない】
【もっとずっと前向きに、頑張ろうという気持ちの上での言葉。――褒められたのだから、頑張らない理由もないのだし、】

【――告げた名前は、名は体を表すというが、まさにそれ。鈴の音のような声は、きっとその名前によく似合っていた】
425 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 02:30:23.85 ID:BNte0lDr0
>>422
「――――ハハ。そうだね、ボク等の仕事にはそんな人達に対しての施しも含まれてるよ
文字通り救うにしても、殺める事によっての救済にしても其れはボク等の仕事だ
…………引き戻せるかどうかは、実際見てみないと何とも言えないけどさ。まっ、貴重な情報有り難う」

【もしも引き戻せなければ?――――殺すだけだ。情で生かしておいた所で悪魔が恩を返すとも思えない】
【僅かに表情が曇るものの、仕事は仕事だ】
【殺す事になろうとも、すべき事は変えられない。幼くても、それそこ赤子であろうと殺めなければならない】
【仕方ないと割り切ってしまえば、後は普段通り。感謝を述べれば、報告すべき事として頭の片隅にでも止めておくのだろう】


「悪魔憑きも厄介だけど…………血を飲ませられたりしたなら、もっと厄介だね
ちょっとの事じゃこっちに戻せないし…………戻った所で、直ぐに可笑しくなっちゃうし

しっかし、悪魔の癖に邪魔をするっていうのもねぇ…………いや、君に怪我が無いならそれで良かったんだけど」

【その口ぶりは、これまでに何度か経験しているのだろう。だからこそ、楽天家の修道女も表情を曇らせていたのだ】
【だが、今更考えたって仕方ない事。その先は捕らえてから考えれば良い。そう思い直せば、窓枠から飛び降りて】


「――――やっぱり良く分からない事だらけだ
取り敢えず、ボクはそろそろ戻るけど…………良かったら出口まで一緒に行こうっか
折角怪我もせずに済んだのに、荒れた床で滑るなんてドジをしてその身体を傷付けても…………ねえ」

【クツクツと笑いながら、表まで一緒に帰ろうと誘うことだろう】
【その誘いを受けてもう少し話ながら何処かへ向かうか――――まだ、この場に残るか。それは彼女次第】
426 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 02:33:18.17 ID:FdEoR0ZLo
>>423

『beyond2』……そうそう、それだ。最近は組織の動きくらいしか知らなくてね
実際に取り扱ってた時とは感覚が違って、一々覚えてもいられない
……正義組織?そりゃまたご大層な。じゃあJustice≠熬mってる、だろ?

【おぼろげな記憶を探ってみるが、大まかに正義と言っても思い当たるフシは無し】
【なにせ、ひどく昔だ。仕方ないかと寒空に一息吐いて、コーヒーを一口】

【飲み慣れているのか熱がる様子もない。実に美味そうに、安く満足を得たようで】

あーあーやだねぇ、俺は探りあいなんて大嫌いだ。
戦闘での駆け引きなんざ時の運、鍛えてぶつかって駄目ならそこまでさ。

……ま、もっと嫌いなのはドロドロしたやつだ。言葉の裏に真意を潜めたり
嫌だろうと分かっていて何かをさせようとしたり、さ。昔居たんだ、そういうのが機関にゴロゴロと。
おっと体格に恵まれてるってのは長所であり同時に短所なんだ、苦労だって多いんだぜ?

それと、だ……ビッグネームかと言われれば、当時は……当時は、だぞ?
そりゃまあ、今の六罪王みたいなこともしてたさ。色々あって今はこんな感じでね

君と違って何に燃えてるでもないし、強いて言えば機関に宿敵が一人居るが……
……この間、消えたらしいしな。リタイア組ってやつだよ、要するに
呑気にコーヒー飲んでまったり……そう睨むなよ、仲良くしようぜMr.ロウ?

【睨まれればどこか愉快そうに笑ってみせて、クイッと一挙に中身を飲み干した】
【見れば缶の周囲に結露。急激に冷やしたからこその芸当といえるが――その缶も近場のゴミ箱に放り込み】

……んじゃ、俺はこのへんで退散するかな。君の邪魔しちゃ悪いしさ
陰ながら応援してるぜマーシャル・T・ロウ――またな。

【ベンチから立ち上がり、三つ編みにした髪を払って両手をコートのポケットに突っ込めば】
【大した挨拶をするでもなく言葉だけかけて、彼はやがて、静かに街の暗がりに溶けていく】
【残されたのはロウに渡した円筒だけ。消える様子は無く――まるで言葉を形に、つまりは―――。】

/っと、時間も時間ですのでこの辺りで!お疲れ様でしたー!
427 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 02:45:52.79 ID:jdSaRp8Xo
>>425

私見ですが、アレは始末してしまった方が良いでしょう
あの年齢まで培ってきたであろう人格など元から存在する本性の前には無力です
さながら天災の前に佇む人の子らのように、ただ飲み込まれるだけかと……。

【少女の狂奔、その本能は近い種類の人間を用意し比べたとしても凡そ人の領域外のものであった】
【悪魔……と言っていたか、ならば人外であるのは必然そしてその領域に至る道は一方通行だ】
【戻ろうとしてもその根源的な欲求からは逃れられない】

【勿論彼女はそれを理解しているのだろう】
【でなければその両手に銃など握られる筈もない】

「血に順応していない……」などとその男は言っていました
となるとその厄介な事になっているのでしょう、いよいよもって普通には救えませんね?

そのような手段を用いるにしてもあなたの自由ですので、わたしは何も思いませんのでお気になさらず

【くつくつ、小さいが同じように声に出して嗤う】
【白妙にしては珍しい行動は何を思ってか】

いえいえ送りは結構ですよ少々思うところもありまして
そちらこそどうかお気をつけて、どこで悪魔が狙っているかも分かりませんし
仮にわたしが悪魔ならば敵対するものは早め早めに潰そうとしますから……ね?それではまた

【白妙はこの場に残ることを選ぶ、思う事が何かはやはり語らない】
【造り物の表情から思考を読み取る事は出来ない、物に心は宿らない】
【撃鉄の修道女を見送るように手を振って、ふと月を見上げる横顔はやはり何の感慨もないそれであった】
428 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 02:57:51.25 ID:Y9y81QzGo
>>426

そら勿論。多分Justiceの方が俺のこと覚えてるだろうな……嫌な奴として。
―――とはいっても、今はもうJusticeも影を潜めてる……。時の移り変わりってのは悲しいね、どうも

【自虐的な笑いを浮かべて呟く。過去、自分はjusticeを敵に回すような事をした。正義同士でいがみ合う原因を作る、愚かな行為を】
【自分の正義を、価値観を押し付けていた過去の自分は、正真正銘子供≠セった。自分と同じ考えの仲間が欲しくてたまらず、それ以外は認めたくなかった】
【理解できない考え方や価値観が世の中には山ほどあり、それをお互いに尊重していればいい、思想の孤独を恐れるべきではないこ気付いたのは、2年前】
【―――其れを知って、ようやく自分は子供から片足を抜け出せたのだと思う。……まぁ、そんないろいろあったjusticeも。正義といえば彼等だったが、今では見る影もない】

……もっと色々アドバイスしてくれんなら、仲良くしてやりますよ。リタイヤ組には、後継者を育成する義務ってモンがある。
アンタからは名コーチの匂いがプンプンするからよ、俺に限らず打倒機関に頑張ってる奴にはアドバイスしてやってくれや。

【少しずつ冷めていくコーヒーを握り締め、喉にゆっくりと流しこむ。シェンのように一気に飲み干すことは出来ないからゆっくり、ゆっくりと】

……おう。今日は大分経験値が得られたぜ、アンタのお陰でな。
ゲームで言えばアレだ、は◯れメタルを倒した的な。―――ま、見とけや。センスなくてもそこそこ扱えるようにはなってやんよ。

【コーヒーを飲み干した時には、シェンは消えていた。ロウは空になった缶を上に放り投げれば、片手に具現化した銃で缶の縁を狙い打つ】
【縁に掠って回転しながら弾かれた缶は―――シェンの缶と同じゴミ箱に吸い込まれていった】

……ったく、こっちのセンスは我ながら惚れ惚れするんだけどなぁ……。

/ありがとうございましたー!
429 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 03:06:18.83 ID:BNte0lDr0
>>427
「んー…………ボク等みたく教会の子でも無いみたいだし、対抗も出来そうに無いから確かに飲み込まれるだけかなぁ
完全に飲み込まれてくれればこっちとしても楽なんだけどね
中途半端に理性を残されてると色々と気が滅入るんだよねぇ…………」

【理性が残っているならば、結局は人間を殺す事に変わり無い】
【悪人だのであれば何かが変わる訳でも無いのだが、それがただの子供であれば――――やはり、殺める事に対して若干の戸惑いが生まれる】
【孤児院やら何やらと戸惑いが生まれる理由は多々あるが…………今は、関係の無い話か】


「…………ふうん。そうやって笑うんだ
……そっか――――じゃあ、白妙も気を付けて
ふふ。そう言えば此処には雪が無かったね。前は、次は雪の時に会おうって言ってたっけ
また何時か会えた時は…………そうだねえ。どうせなら、もうちょっと明るい所が良いかな?」

【その小さな笑いに対しては予想外だったのか、目をぱちくりとさせるも】
【無理に連れて行く理由も無い。何しろ、彼女自身が此処に残るというのだからその考えを尊重する】
【手を振って、その場から去って――――外に出た、そんな時】


「悪魔の血に悪魔憑きかぁ…………
グロリアの事もあるし、どうにか方法を考えてはおきたいけど――――…………ま、兎に角戻ってから考えようかな」

【小さな呟きは誰に聞こえる訳でも無く】
【――――最後の最後、白妙に別れを告げるかのようにビルの入口を一瞥すれば、やがては其処には人一人が残るだけとなろう】

/この辺りでしょうかっ!
/お疲れ様で有りました!お相手、有り難う御座いましたですよっ!
/また機会がありましたら是非是非お願い致しますです!
430 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 03:17:43.65 ID:MSX++Q/H0
>>424
【……少女は間違いなく優しいし、人を護り害を排する力を持ち得る才もあった。それ故に少女の覗かせた一面が、少し危ないもののように思えたから】
【微笑みと共に少女へ贈った言葉は、あくまで注意。……少女が幸せになる事を願っての、小さな注意。】
【紡いだ言葉が少女の耳に届けば、少女は彼女へ退くように声をかける。言われたままについと後ろに退けば、ひらりと枝から飛び降り】
【着地時に床が抜けるのではないかという彼女の杞憂をよそにヒールが床を打ち鳴らせば、見事に着地して立ち上がる】
【その姿があまりに身軽だったものだから、彼女が心の中で自分の鈍臭い日常を想起して苦笑いを浮かべたのは、内緒の話】

【……改めて少女の姿を見ると、本当に小さい。まさに少女という言葉が似合う背格好だ】
【しかし、ともすれば時折強く吹く風にも飛ばされるんじゃないかと思うような印象を受けたのは、その体の華奢さだけのせいではないだろう】
【最初に会った時から抱いている感情だが、本当に妙な印象を受ける不思議な少女だ。……これも繰り返しになるが、その原因が何なのかは彼女には知る由もない】


【そんな不思議な少女は、微笑んだ。冷たさを優しさでくるんで隠してしまうほどの素敵な笑顔を見せてくれた。】
【優しい笑顔を見せて、答えてくれた。――――そんなことはしない、と。】

【心からの笑顔というものはどうも伝染するものらしい。つられて彼女も思わず微笑むと、嬉しそうに言葉を返す】
【嬉しかったのだ。彼女は本当の強さ、優しさを知っていると分かったから。―――きっとこの少女なら、この先何があっても「大丈夫」だろう】
【きっと約束したのはその優しさを少女に教えた大切な人に違いない。その人と一緒にいれば、この少女は大丈夫だ……】


そうですか!……それなら、きっと大丈夫です。
では、あとは大切な人のことをずっと想ってあげて下さい。それだけで、あなたはきっとずっと一緒にいられますから。
あなたなら、きっと一緒にいる人を幸せにできます!


【強く自信を持った声で、少女の背中を押すような声でそう告げると、最後にもう大丈夫!と言いたげな笑顔を見せて】
【その小さな少女の幸せを願ったところで、そろそろお別れの時間だ。……こちらも家で愛する娘が待っている】

【褒められて嬉しかったという言葉に、彼女もまるで此方も褒められた少女のように嬉しそうに笑う】
【……彼女は、ありがとうとか嬉しかったよとか言われると、こんな少女っぽい笑顔を見せる】
【それはもちろん、相手の感情がよくわかるから。嬉しい感情や感謝の気持ちを感じて、こちらも嬉しくなるのだ】

【最後に名前だけ確認して、別れを告げることにしよう。もう遅いもの、少女も眠いだろうし……】

鈴音ちゃんですね、覚えました!
私は神谷皐月って名前です。五月生まれだから皐月!またどこかで会ったら、魔術の成果見せてくださいね!
それでは、また何処かでお会いしましょう!

【覚えて貰えるように明るく元気よく名乗ると、不思議な木と不思議な少女に手を振って……踵を返すと、街の方へと消えていった】
【――――後日新聞を見れば、彼女の名前が載っているかもしれない。自然に関するコラムの著者欄に、レイリス大教授・神谷皐月と……】

//ここで〆ということで、お付き合い頂き有難うございました!
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 03:31:12.92 ID:1lCEEaeJ0
>>430

【告げられた名前をそっとなぞる、「さつき」と呟いた声が、夜にそっと響いて】
【そっと手を振ってみせるのだろう、背中を向けた皐月に――それと、そっと投げられる声が、】

ばいばい――またね、

【――そう、再会を願って。顔を見やったなら、元気な相手とは少しだけ違った、大人しめの笑顔】
【その背中が見えなくなるまで見送って。誰も居なくなった廃墟、そっと天を見上げれば咲き誇る花と、夜空と、】

…………帰ろう。

【ついと向けた背中に無数の花が落ちてくる、ぱたぱたぱらと雨の降るような音、やがて音は疎らになり、消えて】
【足元でざわざわと崩れゆくのをひとつふたつと踏み潰す、桜と黄緑の混ざった色合い、だいすきなひとの魔力の色】
【――嬉しそうになぞった薬指で蛇を模った指輪が艶めく、その瞳には黄緑色が宿されて――そっと、煌いた】

【足元に無数に散る魔力が一陣きらりと立ち上る、するすると彼女の身体へ絡みつくようにして、やがて発動される魔術は、】
【彼女の練習の賜物ではないけれど――そっと彼女の身体を遠く遠く夜の中へ連れ去って。そうして、しんと無音】
【誰も居なくなった廃墟に満ちる魔力も、やがていつかは消えるから――誰かが居た痕跡すら、残らないほどに】

【(新聞をあまり読まない性質だった。それでもたまたま手に取った新聞で、その名前を見かけて)】
【(ふわぁと嬉しそうな顔をしてみせたのは、最愛と呼ぶひとだけが知っている、余談だった)】

/おつかれさまでした!
432 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 12:20:02.49 ID:BAy0V2SJo
【森――小川のせせらぎが聞こえるその近くの拓けた場所にある、一つの影】

「…………」

【それは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげだが死んだようなな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「……っ」

【右手には、黒曜石のような未知の素材で出来た折り畳み式ナイフ。】
【それを目の前の木に何度も何度も突き立てていて、かれこれ十数時間は経っただろうか、その位の刺し傷が木に付いていた】

「……やってやる、……やって、やる、…………ううん……やって、やらないと、……、……」

【その表情は苦悩。無理矢理滲ませられる作られた殺意は、発散することが出来ず】
【結局は物言わぬ相手に向けるしかないようだが――表情の訳には、もう一つ】

「…………あぅぅ……いたい……」

【時折左手で頭を抱えて――おそらく頭痛でも起きているのだろう、それも表情の訳だったのだ】
433 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/19(日) 14:49:15.32 ID:PJ60BecJ0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 商店街】

「あの……本当に良いんですか?」
構いません。私は特に、それほど必要ないですから……それに、この世界での戸籍とか、保護者とか……色々ないから、大変なんですよね?
私も前に、そう言う時にお世話になった事はあるし、今は逆の立場になっただけです。気にしないでください
「あ……ありがとうございます!」

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女と】

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女が】

【揃って両手に買い物袋をぶら下げながら、並んで歩いている】
【袋の中には、食品、日用雑貨、衣類と、バリエーションに富んだ購入品が詰め込まれていた】

【オッドアイの少女の身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

何か……手掛かりとかがあったら、私からも連絡を入れますから、今は焦らないでください
「はい……本当に色々、ありがとうございます……」
……戦うだけが、正義じゃないですから……多分、『UNITED TRIGGER』の中じゃ、そうなんでしょう……
……疲れたなら、どこかで休憩していきましょうか?
「い、いえ大丈夫です!」

【やや年下に映るオッドアイの少女が、虚ろな瞳のままながらもオレンジ色の髪の少女を気遣う様に言葉を掛けて】
【オレンジ色の髪の少女は、どこか神妙な態度でそれに付き従っていた】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

……あなたも分からない人ですね……あなたの孤児院の子供を数人、引き取りたいと言っているだけなのに、なぜそこまで固辞するのです?
彼らを新たな未来に導く……それを拒むのは、本来あなたではなく、子供たちなのではないですか?

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年が】
【1人の壮年の女性に詰め寄る様にして、壁際に追い詰めていく】
【震えながら、ただ背後の壁に身体をおしつける女性に対し、青年は一歩一歩、少しづつ距離を詰めながら作り笑いを浮かべた】

古い世界に取り縋り、意味の無い安寧に浸るのが正しいとでも考えてますか?
……自ら選ばれざる者の仲間入りをする事が、どれだけ愚かな事か、あなたは分かっていないようだ……

【一方的に、淡々とした言葉ながらも女性を追い詰める青年。その首元には、金十字のネックレスがキラリと光っていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

/16時まで受け付けますー
434 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 16:40:38.58 ID:jdSaRp8Xo
>>429

わたしも大概嘘つきなので、縁がつながれば雪も降ろうものですよ
ええ、いつかまたどこかで……明るい所は苦手ですが、それもいいでしょうね

【人に会うては偽りを述べる】
【ただ己のみ真実を知りながらそれは触れるべきではないと知り】
【刻む言葉はただ虚ろの中に、去る彼女には僅かばかりの想いを】


中途半端……欠陥品、ですかね

【彼女が去った後で小さく呟く】
【完成品ではない途上の製品、ならばそれの伸び代は未知数】
【恐るべき相手になるやもしれない……予感】

少しばかり指を伸ばしますか、ええこのお話も中々に興味深いのでね

【細長い指先で髪をつまみ一つ引き抜く】
【ただそれだけだというのに絹糸のようなそれは淡く淡く輝き、それは地に落ちて新雪のように一際放って消える】
【眩い光の後に現れるのは小さな白い女の子、白妙がそのままに幼くなった容姿をしたコピー】

狩場に戻る習性があるかは分かりませんが撒き餌はしておいても良いでしょうし、頼みますよ?
「…………並列化作業をしつつ情報はそちらに回す、よろしいか?」
ええ、それで十分です加えて潜伏時には他に悟られないように気を付けて下さい

【子をしつける母親のように前屈みになって自身の劣化複製品に指令を通達する】
【絵面は微笑ましくはあるがその実は強かな考えがあるのみ】

「……それでは、行動に入る」
それではわたしもいつも通りに流れるとします

【ビシィと手を上に命令を受け入れる様は神妙な面には似合わない】
【短い手足でとてとてと歩いて隅っこで丸くなる、猫か何かか】

【白妙本人は要件が終わればただその場から去る】
【軌跡はない、ここに居たのかさえも嘘のように……今宵は終わる】

/二度目の寝落ち、すいません!
/お疲れ様でした!
435 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 18:21:01.40 ID:bg6UyFMao
【路地裏】



(――――さて、と……。)



【彼女の手には、緑色の爪痕が三本刻まれた、缶のエナジードリンクがある。】
【揃えられた前髪と、長い黒髪を靡かせて、鉄製のヘアバンドのようにティアラを填めて、】
【釣り気味の目、色白の肌、肉付きのいい身体に忍装束を惑い、】
【太ももには3つクナイを納めたクナイ入れ、左の腰には忍刀、右の腰には缶のエナジードリンクを納めたホルスター、両手に手甲を填め】
【――とまぁ、攻撃重視の軽装備の、170cmほどの女性である。】



………一仕事、してくるか………。



【飲み終え空になったエナジードリンクの缶をくしゃりと潰して、】
【路地裏の闇の中を歩き始める。】
436 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 19:21:05.90 ID:nw26fuYao
【人気のない広場】

【街灯とベンチ、自販機、そんな最低限の要素のみの場所だが】
【周囲の木には的が取り付けられており、広場中央には人の影】

【それはOL風の黒いビジネススーツに身を包んだ、長身の女性】
【綺麗に揃えたボブカットの黒髪に、落ち着いた印象の黒い瞳】
【右手薬指には、何処か古めかしい金の指輪を嵌めている】

【彼女は手に何も持たない自然体のまま、一度深く息を吐き】
【僅かな静寂、直後に両袖からクナイを取り出し瞬時に跳躍】
【指の間に三本づつを持ち、空中で身を捻りつ、それらを投擲】

【クナイは、一見すれば的へと向かっては飛来していなかったが】
【飛ぶ間に他のクナイとぶつかり、弾かれて進路を的へと変えた】
【結果として、六本全てが木々の的を貫き、直後に女性が地に降りる】

……っと。もう少し複雑に投げられないかしらねぇ……練習あるのみ、かなぁ。
デスクワークばかりで鍛える時間も取れないんだけど、言ってても始まらないし。
通勤、昼休み、帰宅、休日使って修行……我ながら、色気が無いわよね……

【溜息を零しつつ、女性が両手指をくいと引けば、クナイは的から外れ手に戻る】
【街灯に照らされて僅かに光る、袖から伸びた糸がそれと結ばれていたようで】
【一旦ここで休憩を取るのだろう、近くの自販機へと、伸びをしつつ歩を進めていく】
437 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/19(日) 19:24:17.20 ID:BAy0V2SJo
>>435

【路地裏の闇の中、それを歩き少しすれば幾つかのモノが見えてくるだろう】

「さァて……今ォ日の材料集めはこォーんな所か」

【まず一つは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

『邪禍様、集め過ぎますと人口密度に問題が発生いたしますが……』 「問題ねェ、開拓すゥれば良ォいだけだからなァァアア」

【その者の両手に持たれたモノは、どうやら人間の様子。血まみれではあるものの、死んではいない】
【"材料"という言葉があることから、少なくともこの人間が今後無事で居られる保証はなさそうだ】
【そして、その者の会話相手は――執事のような恰好をした二足歩行の蝙蝠である】

「……ふゥむ、誰か来ゥるな」

【その者がにおいを数回嗅げば、彼女の存在に気が付いて――右手に持っていた人間を、その足元狙ってひょいっと投げる】
【少なくとも当たりに行かなければ当たらないそれは、おそらく相手がどのような立場なのかを見極めるための行為だったのだろう】

/まだいらっしゃいましたら、ぜひ
438 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/19(日) 22:50:34.05 ID:BNte0lDr0
【森の中――――其処に存在する、廃れた教会】
【外装はまるで廃墟と間違える程に荒れており、壁には蔦も這っていて】
【場所も場所故に、訪れる者が滅多に居ないそんな場所。然れど、教会内からはカツカツと足音が響いており】
【疑問に思って扉に手を掛けたならば――幸いか否かは分からないが――ギギと低い音と共に、開く事だろう】


「…………この時間にどうかしましたか?
……助けが必要でしたら、出来る限りお力にならせて頂きますが……」

【――――視界の中に映るであろう、一人の修道女。右手に聖書を携えている事から、恐らくは礼拝か何かの最中であったか】
【訪問者の存在に気付いたならばそちらへと視線を変えて、小首を傾げる事だろう】
【どの様な理由で、此処へ訪れたのか――――と】


「こんな森の中です――――もし、良ければお座り下さい」

【こんな森の中、歩き回るのは疲れたであろう。もし良ければ、適当な所にでも腰を掛ける様にと促して】
【…………座ろうと座らなかろうと、再び問うのは此処を訪れたその理由】
【珍しくてふらりと寄ったのか、宿を求めて訪れたのか――――はたまた、別な理由か】








【怪談話も立たなくなってしまった程に廃れてしまった神社】
【訪れる者なんて勿論居るはずも無く、ただただ時を経て風化していくだけの其処だったけれど】
【―――――清んだ童唄が響いていた。子供達が歌っているならば分かるけれど…………どう聞いても女性の発する声】


「――――そうねぇ。もう何時の事かしら
こうしてだーれも居なくなってしまったのは」

【こんな時間、こんな場所で声がするのが異常だと言うのに。更には、神聖染みた気配が漂っているのだから、人が疑問に思うには十分】
【…………しかし、近くに村がある訳でも無い。在ったとしても、嘗ては其処に村が存在していた名残程度】
【其れ故に、此処に訪れるとするならば偶然通った者に他ならないか】
【シンシンと降る雪に雑音も消され、先の童唄だって存外遠くにまで聞こえる筈で】


「巫女も神主も、遊びに来る子だって居なくなってしまったけれど…………
ふふ。あの子の子孫達が元気なら、其れで良いわね」

【此処だけ忘れ去られた時の中。気紛れに散歩でもしていれば、そんな不思議な女と会うことだって珍しくは無い】
【例え境内に入って声を掛けずとも――――来訪者の存在に気付けば、にこりと微笑みを向けて】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 20:15:12.57 ID:fUxA9ZHc0
【街中――児童公園、】
【地面に描かれたままの落書き、置き忘れられたスコップ、昼間の喧騒を窺わせる平和さの残滓と】
【しんと冷え切って降りてくる空気の冷たさ、真っ直ぐに差してくる月明かりの青さ、ひっそりと満ちた夜の静寂と】
【ふたつの間に挟まれた場所にひとつ鈴の音が響き渡って――そっと、誰かがいると教えてくれていた】

……買った、買った、買った――、……あれも買ったでしょ、あれも……、

……――全部買ったかな、買ったよね、……うん、買った。買ったことにする。

【ひとつふたつと指折り数えていく声、りんと響くのは鈴の音とよく似た声音、少女らしい高さは夜に良く響いて】
【こちらは本当の鈴の音だろうか。不定期的にりぃんと夜を抜ける音の涼やかさ、余計に夜の寒さを引き立てるように】
【見てみれば街灯に照らされるベンチにひとかげがあるようだった。そっと腰掛けて、何かを思い出すようにしながら――】

【真っ黒色の髪は三つ編みで飾ったハーフアップに、リボン飾りでそっと飾れば、その尾っぽがふわふわと揺れて】
【取り違えてしまったようなオッドアイは黒色と赤色。蛇みたいにまあるいかたちは折り曲げた指先へ、向いたきり】
【右の耳元で煌くのは片方だけのピアス、宝玉の欠片をあしらったもので――そっと、不思議な気配を辺りへ散らしながら】
【真紅を基調に黒を散らした色合いのワンピース、ふわふわしたスカートは座っていてもふわりとした丸みを帯びて】
【羽織っているのが暗く紫色のケープ、たくさんあしらったレースが下の服装を透かして、そっとビーズのちいさな煌き】
【投げ出すようにして座っている足先が底の厚いロングブーツだった。かろろと地面と擦れる音、夜を飾り立てるように】

…………、食べる?

【未だ顔にあどけなさを残すほどの少女が、夜更けに、ひとりで。何をしているかと思えば、飴玉の包み紙を破ったところで】
【ふと思いついたように勧めてみる先は、――淡く桜色の水で身体を構成した蛇が、どうやらそうであるらしい】
【飴玉を乗せた手をついと差し出されればこくこくと何度も頷いてみせる仕草、頭の中に浮かぶ銀色の鈴がりんりんと鳴いて】
【――やがてぱっくりと喰らいつく、口の中でじわじわと飴玉の溶けていくのを、世の中に晒しながら】

食べるんだ――、美味しい?

【ぼうと尋ねてみながらもうひとつを口の中に放り込む、それから蛇の巻きつく大きなキャリーケースを身体へ引き寄せて、】
【煙草の煙でも吐き出すようにゆっくりと――吐息を吐きながら、そっと、夜空に視線を向けた】
440 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 21:25:50.26 ID:siZPNYueo
【とある酒場】

【普段は荒くれ者だらけの其処は、今宵だけはどういう訳か人も少なく静まり返っていた】
【理由は簡単、今日が定期的な自警団の巡回日だからで、心当たりの有る者は来れず】
【かといって、こんな場所に来るのはそういう人間が殆どであり、結果として閑古鳥となる】

【唯一人のいるテーブルには、神父面した男が、行儀悪くも机に足を乗せて寛いでいた】

ったくよう、普段から清廉潔白な行いをしねえから、こんな情けねえ事になるんだろよい……
おういマスター、酒一瓶持って来てくれい。旨けりゃ何でも構わねえからよう、俺ぁな。

【それは紫黒の祭服を纏い、銀の逆十字を首から下げた、大柄な聖職者の男だった】
【アッシュグレイの長い髪で両の目が隠れているが、唯一覗く口許はにたりと笑っている】

【男の呼ぶ声に、奥でラジオを聴いていた店主が無愛想な顔で出て来て、赤ワインを棚から出し】
【それをトマトジュースの空瓶に入れ替えてから渡すと、すぐに奥へとラジオを聴きに戻っていく】
【「悪いねぃ」と片手を挙げれば、男はあたかも本物かの様にぐいと瓶の中身を呷るのだった】
441 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 21:37:47.47 ID:Fq4sUl2Ko
>>440
「――ん、なんか空いてるな」
442 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 21:38:13.07 ID:Fq4sUl2Ko
>>441
/*途中投稿です申し訳ない*/
443 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 21:48:25.13 ID:Fq4sUl2Ko
>>440
【酒場の入り口が、ガランと音を立てて勢い良く開く】
【そして、外気が店内に流れ込んでいくのだが――不自然に熱を孕んだそれであって】
【閑古鳥の店内に現れる闖入者は、染み付いた死と血と火の臭いと、熱気を従えてそこに立った】

「――なんか空いてるな! まあ込んでると直ぐ入れないからむしろいいんだが!」

【発せられる声は女性のもの。やたらとよく通る声は、人が少ない店内の隅々見まで響き渡る、喧しいもの】
【店内を覗く頭が、そのまま全身を店内へと延べていき、そのシルエットの全てを酒場の内へと表した】
【そこに居たのは、一言で言えば――鬼≠ニ言う他無かったろう】

【黄金を鋳溶かして作ったかのような金属光沢を持ち屹立する、二本の角は誇り高く天を指し】
【荒々しく振り乱された長髪は、その粗さと紅蓮の色彩も相まって炎自体が頭髪を構成しているかのような錯覚すら抱かせかねない】
【長めの前髪から覗く双眸は、爛々とした童女のような純粋性と猛獣の様な獰猛さの双方を宿しながらも悪意を欠片も抱かぬ不思議なそれ】
【袴と晒し。そして、その上に黒いロングコートを羽織っただけというシンプルな格好は、彼女の異質さを一際目立たせたろうか】

「……んーと……横文字のメニューは良く分からんな……。
なあ、そこの者。腹が減っているんだが、どれがオススメだ?」

【軽快な動作でカウンターに鎮座すると、眉間にシワを寄せながらメニューと数分にらめっこして】
【その末によく分からんと一言で切って捨てると、死臭を漂わせる鬼女は気さくに笑みながら聖職者に話しかけるのであった】
【なお、この女どう見ても化外の類なのだが、聖職者とわかっているのか分かっていないのか全くもって物怖じする様子は無い】
【マスターが出してくれた水を一口含むと、女は幸せそうに息を吐き出して、落ち着きなく店内を見回し続けていた】
444 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 22:05:56.14 ID:siZPNYueo
>>443

【夜、今の時節、それに似合わぬ熱気に、自称トマトジュースを呷っていた手が止まり】
【視線を相手へと向ければ、男はひゅうと口笛を吹いて、カウンターに座った鬼の少女に応じた】

んあ? んー、そうだねぃ……無難にクラブハウスサンドが良いんじゃねえかい?
腹にも溜まるし、それなりに旨いし、ラジオに夢中の店主がパッと手早く作れるからねい
飲めるんだったらバドワイザーも一緒に付けとけよい、酒場でただ飯食うのも寂しいだろい?

【よく来ているのだろうか、詳しい様子でそう勧めれば、男は再び瓶の中身を呷り、酒臭い息を吐く】
【相手を打ち倒すべき物として見ている様子は全く無く、そしてあやかしたる相手にならば感ぜられるか】
【この男には神聖さなど一切感じられず、下げているのも逆十字、おまけに戒律破りの飲酒中だ】

今日は自警団様が御用改めだとよい。どうせちょっと歩いて店覗いて終いだろうがねぇ
そんで普段馬鹿騒ぎしてる連中が腰が引けて来れないでいるのさあ、滑稽だねい
俺みたいな人間には無縁な話だがよう。ところで嬢ちゃん、格好良い角だねぇ?

【両の人指し指を立てて側頭部にあて、相手の角に似せて見せれば、男は茶目っ気のある笑いをし】
【やはり、相手を迫害するような事など無く、寧ろ好意的に接し、興味を持っているようだった】
445 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 22:18:47.44 ID:Fq4sUl2Ko
>>444
「ふむ……じゃあ、そのくらぶはうすなんたらを2人前!
ばどわいざーというのは……? むぅ、麦酒か……ものは試しだな、じゃあそれも!」

【男のアドバイスを聞き、迷うのが面倒なのか深く考えないタチなのか、即効で即決してみせる】
【酒はいけなくもない模様だが、どうやらビールの類はそこまで好まない模様】
【どちらにしろ、不良僧侶と純真な鬼とはなかなか皮肉の効いた組み合わせであったことだろう】
【神聖さなどはそも、この女にとってはさしたる意味を持つことではなく、戒律やルールというものも然程大きな意味を持たない】
【要するに、それらの要素は女の振る舞いを変える事には、なんら影響を及ぼすことはないということだ】

「ほう、自警団。この前何人か死人を出したばかりなんだが、同意の上だったから処理してくれているだろう。
もしバレたらその時は楽しく喧嘩でもすれば良い……な。……どういうのが来るか少し楽しみになってきたぞ!」

【自警団が見まわっているとの事をどうやら初めて知ったようで、きょとんとした顔をする女】
【そして、なんてことのない様子で殺人の告白をした後、もしバレたとしても喧嘩をすれば良いと言ってのける】
【それどころか、むしろ自警団にバレて荒事になることを望んでいるかのような言動は、この女の妖怪性という物を如実に物語る】

「ああ、この角か?
昔はもうちょっとちんちくりんだったんだがな、毎日確りご飯食べて確り鍛えて確り戦って確り寝たらこうなったぞ!
触ってみるか? 結構冬場は暖かいと評判でな、道行く童によく触りたがられるんだ」

【角を褒められて、ふふんと誇らしげにしつつ、無い胸を精一杯貼って自慢気に己の角を指さして】
【そのまま頭を下げて相手の方に角を付きだしてみせる。やたらと気さくな女の角は、もし触れば太陽のようなあたたかな熱を感じさせたか】
【触られようが触られまいが、クラブサンドとバドワイザーが出来たのを鼻孔で察知した女は、おもいっきり頭を上げて爛々とした瞳で食事を受け取るだろう】
【すんすんと鼻を鳴らして出来たてのクラブサンドの香りを吸い込む姿は、飢えた子供のような有り様だった】
446 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 22:34:56.80 ID:siZPNYueo
>>445

ハッ、暴れて来た後なのかよい? そらぁ度胸のある事だねい、畏れ入りますってよう
喧嘩ってのは楽しくやるのが一番だよい。また大会ってのが始まれば退屈しねえんだが……
ま、連中がちゃんと見回ってるならの話さあ。中には仕事しねえ担当の日もあるしねい

【咎める事も無く、相手の気勢に大仰に驚いて見せる素振りをし、男は肩を揺らした】
【彼は喧嘩という行為に重きを置く人間であり、その結果死する事には何も思わない方だった】
【それから角について話を聞けば、ほおと面白そうにして、足を降ろして相手に近づき、手を伸ばす】

へえ……これぁ良いねい、ポケットに手なんぞ突っ込まないで、これ掴んで歩けば良い訳だぁ
それじゃあちょっと滑稽な格好になるかねい? ハハ、まあ、珍しい物に触れて良かったよい
……っと、何だぁもう出来たのかよい。空気読んでゆっくり仕事しろって……聞いちゃあいねえ

【男が角から手を離した頃合いには、注文からそう時間を掛ける事も無く品が出来上がった】
【相手の食事を邪魔する事も無く手を引けば、彼は再び自席に座るが、妙に愉しげな顔付きで】
【二人前はかなりのボリュームになるだろう。それを相手が食べる様を、拝見しようという事か】
447 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 22:45:53.55 ID:Fq4sUl2Ko
>>446
「食事中は……静かにっ」

【爛々と目を輝かせつつ、すっ、と手の平を男の方に向けて、喋るなという意思表示】
【どうやら、大分腹が減っていたようでガチ食いモードに入るようで】
【ゆるりと手を合わせて、口を動かして食事の開始のゴングを鳴らした】

「……いただきまーっす!
……はぐ……っ、んむ……ッ。……んむんむ、ほむっ……。
んーむ、成る程……! 美味しいッ! 結構ボリューム有るし……んはぐっ……!」

【両手で大きなクラブサンドを掴んだ状態で、恥も外聞もなく大口を開けてサンドイッチを頬張っていく女】
【一口囓る毎にクラブサンドのシルエットが大きく欠けていき、確りと噛んでいるのに高速で無くなっていく、味わっている早食いの光景が現れた】
【複数の具材と、軽くトーストされたパンのハーモニーに、コロコロと表情が変わる女。食べることを心の底から楽しんでいる様子】

「んぐ……っ、んぐ…………んぐ………………ぷっはァ――――!」

【クラブサンド二人前を速攻で平らげると、ビールのジョッキに手を伸ばし、ぐい、と傾けていく】
【一息に大ジョッキの中身を飲み干せば、だん、とテーブルにジョッキを置いておもいっきり息を吐く】
【ぐでん、と背中を椅子の背もたれにあずけてふむふむと納得したように首を縦に振り、露出した引き締まった腹を掌で撫でて】

「うむ。美味しかった! というわけでこれ以外だと何が美味しい? 麦酒も違うの飲んでみたいんだが!」

【爛々と目を輝かせながら、ずずいと身を寄せてメニューを男に見せると、他の商品の説明をせがみ始めるのだった】
【どうやらまだまだ食べて飲むつもりのようだ。細身で小柄な肢体のどこに入るかは分からないが、そこは鬼。物理など知ったこっちゃないのだろう】
448 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/20(月) 22:48:17.54 ID:hxNbLr/lo
【水の国――その中でも端の端の方の街】

「……ほゥう、大した発展もしィていなければ、会社も下請けばかり、と」

【その道を歩くモノは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

『ですが、ヤーツァタウンからは非常に近場でございます』 「あァ、……2、30km離れてて近場って言ィうのもおかしいがよォ」

【その後ろに付く者は、執事のような恰好をした二足歩行の蝙蝠であり――】
【――ヤーツァタウン、様々な理由でそこに居られなくなった社会の敗走者たちが自然と集まり出来た街である】
【最近は何故か各種分野においてちらほら名前が上がるようになり、認知度も徐々に上昇しているが――まだまだマイナー】

「建物、コォンクリ製が多ォいからな……こォっちに飛ォばされる前に作ってあァった古代生物、"強岩晶龍"が良ォさそォーだ」
「っと、そォの前に――――本番前に"強"の付ゥいてねェ方でテェストだ」

【悪魔の目の前に現る魔方陣、そこからいずる闇は形を成して行き――そして、体長7m程でトカゲのような体系をした龍となる】
【それは岩のような鱗に覆われており、所々それが水晶化していて、特に上顎の水晶はサイの角の様で下顎のそれも鈍く尖っている】
【他、発達した指先の水晶は鋭く、尾の先端にもあって、胸部や腹部、背中等、多数の部分に水晶が見られる】

【龍は、一つあくびをすれば――足元の道路を、両顎のや足の爪で削りながらガリボリと食し始める】
【――今はまだ、大した被害ではないが……これにもし"強"が付いていたら?】 【付いていなくとも、もし個体数を増やされたら?】
449 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 23:04:59.91 ID:siZPNYueo
>>447

おおっとぉ、了解了解っと……

【口の前で指を立てて、しーとジェスチャーしてみせて、男はお手並み拝見とばかりに相手を見る】
【喰い方も飲み方も凄まじいその光景に、流石の彼も少し唖然とした後、徐ろに肩を揺らし始めて】
【やがて相手が食べ終えれば、我慢しきれないとばかりに笑い、降参といった様子で両手を挙げた】

ハハハっ! いやあまるで化物だねい、嬢ちゃん? ってえ鬼だったか。こいつぁ失礼、くくっ……
それ以外はそうだねい、本場の味にゃ似ても似つかないフィッシュアンドチップスなんぞ良いんじゃねえかあ?
ビールは……そんじゃあ、次はハイネケンかねい? さっきのよりか少し軽いが、その分飲みやすいだろうよい

【矢張り常連であったようで、店のメニューもひと通り食べているのか非常に詳しく、店主の説明いらずで】
【それだけで満足する相手でも無いだろう、次には七面鳥やらを大皿で頼んだりと、マスターが俄に忙しくなる】
【ラジオに集中出来ない為か無愛想ではあったが、売上0のはずの日だったのだから、彼にとっても幸運な事であり】
【それ以上に、美味しく食べてくれる客がいれば自然と力も入り、結局はいつも以上の料理を振る舞うこととなった】

【結果として、彼女らが食事を終える頃までに、自警団はこの店に立ち寄ることはなかった】
【近くを歩いただけで巡視を終えてしまったのだろう。それが幸いであったかは分からないが】
【何はともあれ、男は自分の食べた分を払うついでに、相手の分も支払いをする筈だ。曰く、良い物を見たからと】
【そして別れ際には、相手の名を尋ねる。次に会う時は戦ってみたいものだ、と笑う男は、名をレヴィと言った】

/ちょっと早いのですがこの辺りで失礼します、お疲れ様でしたー!
450 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/20(月) 23:08:34.24 ID:Fq4sUl2Ko
>>449
/*うぃ、お疲れ様でしたー!!*/
451 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/20(月) 23:40:29.98 ID:H26hJZZEo
>>439
【ガコン――――どこかから、微かにそんな音がした】

【昼の賑やかさと、この夜の静けさ、その狭間に存在するこの場は、どちらの時も平和と言える場所であっただろう】
【そこを土足で踏み荒らすかのように、邪な気配が漂ってきた。公園の草むらの向こう、地面の一部が持ち上がり、何かが顔を出す】

【ギョロリ、と辺りを見回す一つきりの目玉。視界の内に入る公園の景色。落書き、スコップ、遊具】
【しかし、宵闇に響く二つの鈴の音は地面の下にいるうちに聞き逃し、蛇と戯れる少女の姿は死角であった】
【彼女の存在に気が付かないまま、それは地面の下、草むらの中に隠された扉から這い出て来た】


【ぬうっと立ち上がったその姿、身長は2メートルを超えているだろう】
【薄汚れた灰色の作業着の上に着た黒いラバー地のエプロンと、足に履いた黒いゴム長靴が、その男を闇に溶かしている】
【角ばった顔付きに黒ずんで歪んだ両耳、同じく黒く染まって細長い両手の親指】
【何よりも、最初に公園を見渡した、額いっぱいを埋める一つ目。異形、というべき大男】

【首を一回転させてコキリと音を鳴らし、児童公園の敷地内へ一歩踏み出して、そこでベンチに腰を下ろす人影に気付く】
【素早くそちらに向き直り、一つ目がその姿を確認する。膨れ上がる警戒の意識はしかし、その正体を認めたと同時に、急速に萎んだ】


……鈴音、か?
このような場所で見知った顔に会うとはな……

【見知った顔であったためだ。味方ではない、だが敵対してもいない。暗闇の中で邂逅して以来の奇縁】
【夜目の効く一つ目が、鈴の音の少女とその足元の水で作られた蛇、飴玉を頬張る一人と一匹を正面から見やる】

……その蛇は、お前の友人かね? 水の蛇とは、また面白い動物がいたものだな

【視線と興味は足元の蛇へ。太い両脚はその場で固定。ベンチに座る彼女とは、互いの間合いに入るか入らないか、絶妙な距離を保っていた】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 00:02:12.09 ID:jP4rUqR10
>>451

【――ほわり、ふわり、真っ白な吐息は溢れる端から黒色に浸されて消えていく、最後にきらりと微かに煌いて】
【それが面白いという風に吐息ばかり吐いているようだった、時折飴玉の歯にぶつかる軽い音が響いて】
【貰った飴玉をせっせと体内で溶かしつつある蛇の鳴らす鈴の音だけが夜に響く、――ひどく平和だった光景に】

【紛れ込んだのは微かな異音、空耳かと聞き逃しかける刹那、“いちおう”という風についと向けてみた視線があって】
【色違いの一対がやがて捉えるのは、地面からにょっきりと生えてくるような姿――それも既知の――】
【さすがに驚いたと見える。ぱちくりと瞬いている間があったなら、初動はずいぶんと遅れて、数十秒後】

……久しぶりね、ごきげんよう。

【結局は彼が動き出したのと同じ頃に落ち着くだろう、口元に薄らと浮かべてみせたのは、悪戯ぽく釣り上がる笑みのかたち】
【ベンチについていた両手を自由にする素振りもない、ただ一度足を組んでみせたのが、仕草らしい仕草といえて――】
【――最早大した警戒も抱かないようになっている風だった。よほど気の許せる相手ではないが、緊張し続けるほどでもないと】
【そう判断しているのだろう、ひとりのときと変わらない鈴の音の声が、言葉以上の行動を見せずに、それを挨拶として】

ん――あなたがわたしにひどいことしようとしたら、あなたを溶かしちゃうのよ。

【「この子が」――いっとう強まる笑みで言うのは分かりやすく忠告するもの、黙り込んで察させるのではない、警告】
【話題に挙げられた蛇といえば、呑気なものだ。ふらりと頭を持ち上げたかと思えば、大分小さくなった飴を頬張ったままでいる】
【――彼女の異能は酸を司るものだと言う。そう報告されていたし、彼女だって口にしていて、ただ、実物を見せるのは初になるか】
【目も鱗もなく、ただ頭に鈴を抱くのっぺりとした水の蛇。見た目はそれだけだが、まさか今更触ってみようという気にもならないだろうから】

セシルに会ったんでしょう? 聞いたわ。
どんな話したのかな、――ちょっとだけね、気になるの。

【組んだ足をふらふらさせながら、そっと首を傾げてみせる。聞いているの、と、付け加えられる言葉もあったなら、】
【左手の薬指で煌く銀色の確かさを証明するようでもあって――ただ、浮かべている表情は純粋に好奇心と呼べるものだっただろう】
【もちろん、言いたくないと断ってしまう手もある。言葉だけ聞くなら、彼女はほんの僅かしか知らないようだし、秘することも容易と見えた】
453 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/21(火) 00:45:59.52 ID:qI9ev3mCo
>>452
【飴玉の香りを乗せて、吐息が夜の中へと溢れては消えていく。わずかな煌めきと共に】
【対するは、悪食な怪物の腐臭のする吐息。同じように白く、しかし似ても似つかない醜悪さだ】

【一つ目が少女を視界にいれれば、彼女のオッドアイも同様に。驚いたことも、互いに同じだったらしい】
【大男が声を発するまでにしばしの沈黙、さらにそれを経て少女の声は邂逅より数十秒の後】


ああ、久しぶりだな。路地裏以外で知人に会うのは、いつぶりだろうか……

【悪戯っぽい微笑み、組まれる足、少女の仕草と気配に、初めて会った日ほどの警戒は感じられない】
【大男も、彼女の笑みに対して薄く唇の端を上げて見せた。やはり、彼女との縁は実に奇妙だ】


ふ、ふ。それは恐ろしい、私の図体では溶けるまでに時間がかかって、ひどく苦しむことになりそうだ
その飴玉の後を追わずに済むなら、是非ともそうしたいね。お前に敵対する事情がなくて幸いだった

(酸性の液体に纏わる能力……あの蛇そのものが酸、か。そういえば、鈴音の能力を目にするのは初めてだな)

【太い両腕を軽く上げて、冗談めかした降参のポーズを取って見せつつ、彼女の親切なほどはっきりした警告に軽口を返す】
【その蛇の正体と彼女の秘める異能を、一つ目の奥で思考しながら、ゆっくりと両腕を降ろした】
【頭に乗せた鈴も、こうなるとどこか怪しげに見えて。さすがの大男も、触れようという気にはならなかった】


セシルさんとは、深夜の散歩中に迷い込んだ墓場で、たまたま出会ってね。初対面にも関わらず、会話に花が咲いたよ

そうだ、セシルさんと結婚したのだそうだな。幸い今のところは敵対することなく、互いに単なる知人だ
遅ればせながら、顔見知りの一人として祝福しておくとしよう。おめでとう、鈴音

【好奇心のままに問いを発する彼女に、まずは肯定の言葉。同時に、脳裏に交錯する日の光景は、まだ記憶に新しい】
【亡霊の墓に参る彼の姿。妻である鈴音に負けないくらい、奇妙な縁による邂逅】
【思い起こしつつ、まずはずいぶんと遅くなってしまった祝いの言葉を贈った。この時ばかりは声色に嘘はなく、本心からの祝福だった】


ああ、そのお揃いの指輪のおかげで、彼がそうだと気が付いてね
話したのは、月彗さんのことだよ。しばらく前から消息を絶ってしまったそうだな
セシルさんも心配されていたようだから、私の方でも探しているんだ。残念ながら、未だに会えていないがね

それから、彼の過去のことも、ほんの少しだけ。機関に組してテロに参加したことや、例のリリアに関すること
それに、レイシーという亡霊の話なども。そう詳しくは話していないがね


月彗さんのこと以外は、全て終わったことのようだがな
セシルさんとお前が末永く幸せであってほしいものだ。心情としても、私の都合としても

【語り合ったのは、セシルと大男との共通項。カノッサ、リリア、そして月彗。また、彼ら兄弟を縛っていた亡霊、レイシーのことも】
【最も、すでに綴られた後の物語を、上辺だけなぞったに過ぎなかったが】
【語る言葉に淀みはなく、声音に悪意が滲むこともなく。手放しで信頼できるわけでは決してないが、やはり敵とも断じきれない】
【鈴の音の少女の伴侶との縁も、また大男にとっては奇妙かつ貴重なもののようだ】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 01:15:46.86 ID:jP4rUqR10
>>453

【――かき、り、微かに響いたのは飴玉の噛み砕かれる音、ただ甘いばかりの何味とも呼べないのを、噛み切って】
【半分になってしまった欠片を口中でころころと転がす、甘いものは好きな性質だ。そっと瞳を細めて、喜んでいた】

大丈夫よ、みんな最後には骨も残らないから――残さないから。

【そんな表情のままで言ってしまえるのだから、彼女はやっぱりこの世界の、それも、闇の世界の住人と言えるようで】
【わざわざ物騒なように言いなおしすらする。その結果に至る途中にあるだろう、“死ぬほど苦しむ”工程をまるで無視し尽して】
【それでいて、眼前の相手と敵対せずに済むことについては同意見であるらしかった。軽く同意の声を漏らして、少しの間、】

でもね、――約束したの。危ないことをするのはもうやめようって。

【どうやら、いつの間にかそんな約束まで交わしていたようだった。当然、“だれと”なんて、明確なもので】
【何もなければ敵対することもない、いつしか彼女はそんな存在になっていて、少しだけ取った距離は、大人びたよう】
【冥い冥い血みどろの世界から、少しずつ離れていくようだった。“彼”に手を引いてもらって――ゆっくりと、明るい世界へと、】

…………、――ありがとう、

【――そして続いた彼の言葉には、少しだけ面食らったような顔をする。まさか彼に祝われるなんて、少しだけ、予想外で、】
【でも、嬉しくて。間を空けこそしたが、はにかんでみせた表情に嘘はなく、ほんとうに、こころから笑ってみせるのだろう】
【そうしていると本当にただの少女のようだった。そっと解いてみせた足元、石ころの擦れる音がざりざりと鳴いて――】

月彗のこと――? ……そう、いろいろ話したんだ。ちょっとは聞いてたんだ、あなたと会ったって。

……、言っていいのかな。月彗のことね、セシルにも言ったんだけど――新しいこと、ちょっとだけ、知ってるかもしれない。

【真っ先に挙げられた話題、そこに意識の向きやすいのは当然としても、いくらかそこに引き摺られたような気配があった】
【実際、その後の話題はどうにもおざなりで――なんだか、聞いている裏で思考でもしているような、そんな顔をする】
【にこ、と笑んでみせた朗らかなふりがほどける、むっと黙りこんだ数秒があって――それから、ちらりと言葉に出すのは、】
【とある青年から聞かされたことがあった。ひとつとふたつ、最愛の夫には伝えたこと、彼にも教えていいものか――と、沈黙】
455 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/21(火) 02:00:14.07 ID:qI9ev3mCo
>>454
【飴玉が少女の口の中で砕ける音、そんな微かな音もこの静寂の公園では確かに聞こえる】
【甘味に喜んで目を細める様などは、どこにでもいる少女のそれに思えた】

……そうだな、私ならどうせ溶けてしまうなら、骨の一片も残らないくらいがいいと思うよ
中途半端に残った遺骸は、おそらく二目と見られない有様になっているだろうからな

(やはり、まだこちらの匂いが消えてはいないな。かつてのカノッサ相手に生き延びてきただけはある)

【表情にさざ波一つ立てず、それでいて発せられる言葉は冗談などではない】
【己の意志で、骨も残さない。彼女もまた、闇の内にその身を置いてきた存在なのだ】
【彼女の軽い同意の声に、内心で溶けて死ぬ可能性が減ったことへの安堵などを抱いていた】


……約束が守られることと、お前たちが巻き込まれないことを願おう

【誰との約束、とは聞かなかった。聞かずともわかることだった】
【初めて裏町で会ったあの日から、どれほど経ったろうか。少女は、踏み出していた】
【暖かい光に包まれた世界の方へ。どこか大人びたような印象は、彼女の新たな物語の兆しか】
【わずかに、ほんのわずかに、大男の単眼が細くなった。自分にとってはあまりに眩しいものを見たかのように】


【祝福に対して面食らいつつも、はにかんで見せるその表情。ここにだけ、この一点だけは互いに真実であった】
【相も変わらず、醜悪な一つ目の形相ではあるが、大男も薄く笑みを浮かべ、柄にもなく彼らの幸せを内心で改めて祈ってもみる】


ああ、私にとっては月彗さんは恩人といっていいお方だ。彼が失踪したとなれば、他人事ではない

新しいこと――――? 是非とも聞きたいな
いつ果てるとも知れぬ身の上だ。私が地獄に落ちる前に、一度は彼と会って礼の一つも言っておきたい
どうか、教えてもらえないか

【彼女にとっても、確かな関心事だったらしい、喪服の男の話。今の彼女には、義弟という形になるのだろうか】
【大男も、その後の話題よりもそちらに強く引き寄せられた。数秒の思考、沈黙の後で、紡がれた言葉】

【月彗。大男にとっては、半魔に纏わる事件で多大な恩を感じている存在だった】
【邪悪な大男は、受けた屈辱は決して忘れないが、受けた恩もまた同様に忘れはしない】
【彼に纏わる一連の出来事が終息した今、会ってどうこう出来ることもないだろうが、一度は会っておきたかった】

【結局のところ、自分本位な思いに拠るところではあったが。大男は少女に、その事実を聞かせてくれるよう、頼んだ。単眼が、じっと彼女を見据えていた】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 02:06:07.50 ID:jP4rUqR10
>>455
/すいません、だいぶ眠気がひどくって……明日に引き継いでもらってもよろしいでしょうか?
/明日ですと夕方頃には待機できているかと思うのですが……
457 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/21(火) 02:21:57.89 ID:qI9ev3mCo
>>456
/了解しました、こちらも明日はそのくらいの時間には待機出来ると思います
/では、いったんお疲れ様でしたー
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 02:22:21.92 ID:jP4rUqR10
>>457
/ありがとうございますー、今日のところはひとまずお疲れ様でした!
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 17:08:23.65 ID:jP4rUqR10
>>455

【互いが背中に凶器を隠して話すような、そんな僅かな緊張感の中で、一点ほんとうのことばが混ざりこんだなら、】
【曇りの日にすっと差し込んだお日様の光みたいに、きっと暖かに浮かび上がって――なんだか少し、面白いように思えた】
【だからこそくすくす笑っていたのだけれど。話題が義弟と呼ぶべき男性のことへと移ろっていくなら、少しずつ変わる】

【そっと瞳を細めて、やはり言ってしまっていいものか悩んでいる素振りだったけれど――、彼の言葉に促されたなら】
【消えてしまったという彼と眼前の彼は何かしらの関わりがあるようだったし、最愛とも仲の悪いようでもないらしいのだし、】
【――それなら、と。ようやく決め込むまで、どうにも数秒ほど黙り込んでしまったけれど、それからしてみせたことは】
【彼へ向かってぽいと飴玉をひとつ放る、受け取るにしろ、叩き落とすにしろ、それを言葉のきっかけとして、話しだしていく】

……本当のことかは分からないの、セシルのこと、……月彗のこと、ずっと見てたってひとから、聞いただけで、
だから嘘かもしれないし、それだったら何にもなくていいんだけど、――いろんなひとのこと、殺して歩いてるって。

【あんまり信じきらないほうがいいのかもしれない、そう前置きしてみせるが、何も手がかりがないよりは、いいのかも】
【頭の中で飴玉を溶かしきってしまった蛇が頭を揺らしながら聞いていた。りーんりーんと鈴の音が、鈴の音のような声を彩って】
【ようやく告げた言葉は血みどろの色、けれどよほど思いつめて言うわけでもないのが、やっぱり彼女の一面を透かすようで――】

わたしが見たときはぬいぐるみだったけど、あのまま人間にしてるのかな――……、わたしは、見たこと、ないけど――

【ほわと口元で溢れる白色の煌きばっかりは初めと何にも変わらなくて、会話の内容と関係なしに夜へと立ち上っていく】
【そっと指先が自身の首筋を撫でた、――気付けば包帯も、痕も、なんにもないまっさらな白肌を、ついと描くようにして】

――ぎゅうーって首絞めて、吊るの。

【「見たことある?」と続く声、探し出す手がかりになるかもしれない言葉をひとつ載せて、そう尋ねれば首をかしげる】
【ぎゅうー、の辺りで自分の首を緩くだが絞めていたのは模倣してみせるよう、余談、ほんの幕間のお遊びみたいに】
【結局僅かな痕も残さず解放した手は膝に揃えて置かれる、けれどすぐに寒がるように絡ませて、彼の言葉を待った】

/おかえししておきますー
460 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/21(火) 19:48:36.28 ID:qI9ev3mCo
>>459
【何とも、大男の汚れ切った半生の中でも、これほど奇妙な間柄となった相手は、彼らだけだったように思える】
【公園に張りつめる空気は、決して緩んでなどいない。しかし、わずかばかりの真実がそこにあった】


【会話が及ぶ先が彼らの家族へと至る。細まる瞳、逡巡】
【またも、沈黙の時が訪れる。大男は、彼女が沈黙を破るまで待っていた】
【やがて、その時がやってきた。放り投げられる飴玉が、弧を描いて大男へと向かう】
【無骨な右手を上げて、大男は飴玉を受け止めた。わずかばかり面食らった様子もすぐに失せる】

……殺しまわっている? いろんな人、とは無差別に、ということか……?
ふむ……少なくとも、私が知る月彗さんは今までにそのような行動に出たことはなかった
信憑性に疑問が残る、とは言っても、月彗さんをよく知る人物の言となると……

(しかし、内容の割に気にした様子もないな……)

【彼女の言葉を聞いて、表情を怪訝そうなものに変えつつ、考え込む様子を見せた】
【確かに、月彗は一時期はカノッサに身を置き、テロに加担したこともあったと聞いている】
【亡霊レイシーが背後にいた頃は、平等なる不幸のために、殺人に手を染めたこともあったのかもしれない】

【だが、今の彼はそういった目的を失った状態のはず。それが、人々を殺して歩いている】
【彼に何が起きたのか。あるいは、いつか自分がセシルに口にしたように、目的を見失ったが故の暴走か】
【そんな疑問を渦巻かせつつ、単眼は彼女の姿を捉え続ける。口から零れ落ちる言葉は鮮血に染まって】
【しかし、それに対して特に思いつめた様子もなく。鈴の音のごとき声が、蛇の頭から流れ落ちる鈴の音と共鳴して響き渡る】

【投げ渡された飴玉を歪な指で弄びつつ、彼女の言葉を反芻した】


……いや、私が彼の戦闘を目にしたのは、半魔との最後の戦いの時だけだった
その時は、首を絞められるような相手ではなかったからな。月彗さんのやり口は初めて聞く

絞め殺して、吊し上げる、と……やはり、わからないな。今になって、なぜそんな形で殺しを始めておられるのか……

【宵闇を彩る吐息の色は、揺らめいて溶けて消える】
【今や、包帯も何もない、白磁のような肌を晒した指先が、彼女の首筋に這い、緩く軽く、蛇のように絞める】
【それにつられるかのように、大男の無骨な指が己の喉に触れ、すぐに離れた】


……それが本当だとすれば、いつまでも続くことでもあるまい。同じようなやり口で無差別に殺し続けているのなら、足が付くのにそう時間はかからないだろう
手がかりとしては十分だ。助かったよ、鈴音

【膝にそろえられた彼女の手、絡み合う指、こちらへと向いた視線、と単眼が眺めていく】
【脳裏には、今得た手がかりから、自身がすべきこと、その手段を組み立てつつ】


……そういえば、セシルさんとお前は今、どこで生活しているんだ? いや、もちろん正確な場所を知りたいわけではない
お前としても、そんな危険な真似は出来まい

ただ、お前やセシルさんと事を起こさないための予防として、教えておきたいことがある
昼の国の地方都市に、ヴェンドゥラーという場所がある。私は、いずれそこでちょっとした事を起こすつもりなんだ
やむを得ない事情などがなければ、そこには近づかないでいてくれないかね。お互いに、無用なリスクを背負わないためだ

【ふと、思い出したように付け加えるのは、今後の自身の悪しき計画。その舞台となるべき場所】
【彼らが、もし何らかの巡り合わせでそこに居合わせ、不本意な結果になることのないように】
【そう考えたうえでの言葉だった。普通に考えれば、ここから情報が漏れるリスクに目を向けるべきところだ】
【だが大男にとっては、鈴音やセシルをその場に巻き込むことのほうが、よりリスクが高いことであるらしかった】

/大変遅くなり、誠に申し訳ありません……
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 21:13:19.75 ID:jP4rUqR10
>>460

【飴玉は袋にファンシーな絵が描かれたもので、味というのもひたすらに甘いばかり、何の味というわけでもない】
【安っぽく付けられた何かフルーツの香料も曖昧なら、やっぱり砂糖味というのが一番相応しく表現出来る、そんな代物だった】

そうだって言ってた、無差別に殺して回ってるから、気をつけるようにって……、……。
……えっと、黒妙ってひと。櫻のほうの――古い恰好してて、紙の式神、連れてるの。

でも……、――あのひとも少し、怪しい、みたい……。

【そう、気をつけるようにといわれたこと。ここでようやく思い出したような目をして、彼へと視線を向けるなら】
【彼へもそうすることを促しているようだった。気をつけるだけなら簡単なことだろうし、と――無事であるように、と】
【――やはり奇妙な関係だ。怪我をすれば心配に思うだろうし、怪我をしてほしくないと思うのに、何かが違っている、おかしな、】

【自身にその言葉を授けたひとの名を挙げる、もしも出会ったときのためのように、そっと伝えて】
【口元に手をやって口元を隠すようにする、少しだけ言いづらいように――彼もどこか不思議だったのだと、独り言みたいに】
【それはただでさえ足りないように思える信憑性をさらに怪しくするもので、ただ、彼女自身は嘘は吐いていないから】

ぬいぐるみにはそうしてたの、でも……、家(うち)にいるときは、そんなことしてなかったし……もしかしたら、違うのかも。

【――知らないことだ。彼がその現場を見たことがないように、彼女だってその現場を見たことがないから】
【似たような現場から連想してみることしか出来ない、その結果がこれで、――ただ、よほど間違えているでもないようだった】
【それを彼や彼女は知らなかったけれど。そっと箱の蓋を閉めてしまったように、現実は隠れてしまっていた】

うん……、……うん? ――今はね、夜の国に住んでるの。前は水に住んでたこともあったけど……。

……――、そんなの言っちゃっていいの? わたしがUNITED TRIGGERとか、SCARLETとか、行ったら……どうするのかな、
そうしたらそんな計画無駄になっちゃうよ、わたし“たち”だけで秘密にしてるなんて、限らないじゃない。

【礼の言葉を言われれば言葉というよりも音でそう返す、――それが、すぐに疑問系のように釣りあがって】
【少しだけ考えるようにしてから口に出した正解、これぐらいまでなら本当のことを言ったところで問題はないだろうという、判断】
【――続いた言葉には言葉を少し詰まらせる、尋ねてみせたのは、自らをそんなに信用しているのかと窺うような視線もあって】
【昼の国。ヴェンドゥラー。ことを起こす――どうして教えてくれるのかと、ほんの僅かだが、疑っているようだった】
462 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 21:50:19.26 ID:Lg5Mg7ZFo
【人気のない広場】

【街灯とベンチ、自販機、そんな最低限の要素のみの場所だが】
【周囲の木には的が取り付けられており、広場中央には人の影】

【それはOL風の黒いビジネススーツに身を包んだ、長身の女性】
【綺麗に揃えたボブカットの黒髪に、落ち着いた印象の黒い瞳】
【右手薬指には、何処か古めかしい金の指輪を嵌めている】

【彼女は手に何も持たない自然体のまま、一度深く息を吐き】
【僅かな静寂、直後に両袖からクナイを取り出し瞬時に跳躍】
【指の間に三本づつを持ち、空中で身を捻りつ、それらを投擲】

【クナイは、一見すれば的へと向かっては飛来していなかったが】
【飛ぶ間に他のクナイとぶつかり、弾かれて進路を的へと変えた】
【結果として、六本全てが木々の的を貫き、直後に女性が地に降りる】

……っと。もう少し複雑に投げられないかしらねぇ……練習あるのみ、かなぁ。
デスクワークばかりで鍛える時間も取れないんだけど、言ってても始まらないし。
通勤、昼休み、帰宅、休日使って修行……我ながら、色気が無いわよね……

【溜息を零しつつ、女性が両手指をくいと引けば、クナイは的から外れ手に戻る】
【街灯に照らされて僅かに光る、袖から伸びた糸がそれと結ばれていたようで】
【一旦ここで休憩を取るのか近くの自販機へと、伸びをしつつ歩を進めていく】
463 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/21(火) 22:05:17.99 ID:qI9ev3mCo
>>461
【飴玉の袋、その絵をわずかばかり眺めた後、大男は包みを破って飴玉を口に放り込んだ】
【口中に広がる味、ただ甘いばかりのそれは、大男にとってはあまり口に合うものではなかったが、表には出さないまま、その味を貪った】

そうか……やはり、どうにも今までの彼からは考えにくい行動に思えるな
ああ、私も接触することがあれば、用心しておくことにするよ

黒妙……? 知らない名前だ。その人物が月彗さんのことをずっと見ていた、と?
それに、式神……口ぶりからするに、お前もよくは知らない人物なのか。信憑性に不安が残るのも無理からぬことか
その人物も、正体がわからないな。警戒するに越したことはあるまい

(月彗さんをずっと見ていた、となると、例の亡霊絡みか……?)

【奇妙ながらも、心配はされているようで。彼女の忠告は、素直に聞き入れる】
【月彗とは一度は共闘した間柄なれど、今はその内面を知り得ない相手となってしまっている】
【彼女の言葉の通りにするのが得策だ、とそう判断して】

【続いて告げられる、聞き覚えのない名前。月彗をずっと見ていた、となれば、心当たりはセシルから聞いた亡霊のことだけだった】
【式神、という言葉には、一瞬だけ眉を顰める。大男の敵対者の一人に式神を操る巫女がいたためだが、それはこの場には関わりのないことだろう】
【彼女がウソをついていないのはわかる。未だ確信の足りない話ではあるが、重要な情報に違いはなかっただろう】


ぬいぐるみに対する仕打ちと似通っていたことから、信憑性が薄くとも否定も出来ない、といったところか
そうだな、まだ決めつけるには早い段階だ

【この場の二人には、その真実を知る術はなかった。箱の中身を外から窺い知ることは出来ず】
【後に、大男は情報収集の最中で、ここで聞いた月彗のやり口にそっくりの殺人を行った者として】
【喪服姿の男性が指名手配されていることを知ることになる】

【もし、鈴音が同じように指名手配犯についての情報を得る事になれば。その喪服の男性以外に、眼前の大男の特徴に一致する人物が】
【何年か前の事件の犯人として、未だに捕まることなく、行方が知れていないということを知ることになるかもしれない】


夜の国か。真逆の位置にあるなら、巻き添えの心配はなさそうだな
水の国には、トラブルの種も多い。移住は正解かもしれないな。完全に安全な場所などないだろうがね

……いいや、そう簡単に無駄になりはしない。事前に嗅ぎ付けられたとしても、そう簡単に突き崩されることはない
だからこそ、こうして口に出しているんだ。計画にそれだけ自信がある、というだけではない
ヴェンドゥラーそのものに、そうなるだけの理由があるのさ。これ以上詳しくは、さすがに話せないがな

【続く自身の言葉に向けられた疑問は、当然の者と言えるだろう。部外者に話すようなことではない】
【にも関わらず、それを話した理由。彼女への信頼も確かにあるが、それ以上に何かの理由があるらしい】
【事前に情報が漏れても、計画の根幹が揺るがないという理由が。それを詳しく話すことはなかったが】
【そう語る大男の口の端が、わずかに悪意の形に歪む姿は、彼女にも見えるだろうか】
464 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 22:08:25.14 ID:wjT3guRDo
【路地裏】

【路面が朱に染まり、さも当然のように人が倒れている――そんな危険地帯が、此処だ】
【こと夜ともなれば一般市民が通るには危険過ぎる、それが路地裏という場所だろう】
【――で、今宵もまた、その『ありふれた光景』が、暗がりの一角に広がっていて】

【犠牲者は自警団の人間だった。二人、頭蓋を思い切り叩かれて既に絶命しており】
【下手人は無警戒にも未だ此処に居て――それは白衣を纏った、やや小柄な人物で】

フフ……ようやく。ようやく、ダグラス様からこの紋章≠身につける許可を頂いたのであります……!
もうしばらくして、時が来れば……お姉さまの様にナンバーズにもなれるはず……

……撒き餌≠ニしても上々であります。この調子で、次はUTと行きたいのでありますが――。

【女だ。が、成人はしては居らず、かといって少女でもない。10代なかばというところだろうか】
【タイトな戦闘服の上に白衣、という目立つ格好をしていて、その袖には逆五芒星≠フ印があり】
【その独白からも察するにカノッサ機関の関係者だろう。左手にはご丁寧にハンマーも握られている】

【―――二人の被害者から流れ出す血液が、路面の筋を這うようにして流れ、角を曲がる】
【血は路地裏ではよく見るものだ。それでも、新鮮な物となるとやはり珍しい】
【或いはその臭いを嗅ぎつけて、若しくは異変の様子を感じ取って。一体誰が、それを見つけることになるだろうか】
465 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/21(火) 22:21:08.27 ID:lejWNDQho
【裏通り――の自販機前】

【薄ら明るい月が雲の間からたまに見える。澄んだ空気、凍てついた夜】
【だいぶ昔は左右両向かいに店がひしめいていていつでも足元が見えるほど明るかった】
【…らしいが今は街灯は切れかかり、下りたシャッタにはグラフティアート。まあそれはそれでオツなもの】
【深夜には幾つかの飲み屋が空いているだけで居るのは酔っぱらいとパーカーを目深に被った者ばかり】
【そんなようなところだからこそ煌々と明るくて日々仕事を静かにこなすアイツの価値がわかるというものだが…】

【飲料と煙草の自販機が数台並ぶ街の角、辺りに店はなく元はタバコ屋だったここが深夜のオアシス】
【しかし、今日は数メートル離れていても見えていたウインドウの明かりが見えてこない】
【近づけば直ぐに分かった。金具は焼き切られ、割れてこじ開けられ破片を散らす無残な姿がそこにはあった】

今日からはたまには休みにするってさ……これ、あんまりウマい言い方じゃないね

【自販機が喋ったというわけではなく、その角の影でライターの火がボゥっと一瞬だけ強く上がった】
【ボサボサに伸びた黒い髪、とんがったような鼻で夜だというのにサングラスを掛けている背の高い男が居た】
【痩せた体躯に細身のスーツを合わせて、シャツは黒、ネクタイは白、おまけに白い編上げのブーツを履いている】
【余計なものを削ぎ落したようなネイキッドのバイクに跨っていて、煙草をくわえながら男はポケットにライターを仕舞った】

……先に言うけど、俺じゃないからね?…そんな面倒くさい上に安っぽいことしたかないって

【冗談めかして笑いながら男は少ししゃがれた声でそう言うが夜にサングラスをかけるような奴には言われたくない】
【けれどもバール的なものもバッグ的なものも見当たらないし第一逃げ出さない時点で……?】
466 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 22:24:09.25 ID:1BllH3mNo
>>464
「じゃあ、俺は次はお前さんと言えば良いのか?」

【そんな声が少女の頭上から響き――直後。頭上から、一つのシルエットが降ってくる】
【それは、人間のシルエットのそれ。逆五芒星≠フ意匠を施したペンダントを首にかけた、ナンバーズではない男だろう】
【全身から血を流し、両手両足の腱を切られ無力化された男が、少女の目の前の地面に叩きつけられて、うめき声を漏らしていた】

【それとコンマ数秒の間を置くと、銀刃が飛翔した】
【少女の隙を突くような、タイミングによる間隙の狙いは、少女への警告の意志を含めたもの】
【刃は急所を狙っているわけではないのだが、もし掠ったのならば一瞬だけ立ちくらみのような錯覚を覚えるはずである】

「……さて。すでに自警団と警察には通報しておいた。
後は連中が着くまでお前さんを貼り付けにしておけば良い」

【機関員、ダガーナイフと来て、降りてきたのは次は人だった】
【ビルとビルの隙間に、迷うこと無く躰を滑りこませ、室外機やダクトの出っ張りを利用して危なげなく地面へと舞い降りる】
【白い短髪が風に揺れた。夜闇の奥から覗く双眸、その右側の色彩は――目に悪い人工的なライムグリーンの光】
【ちかりと電灯が瞬く。照らしだされたのは、1人の小柄な青年だった】
【童顔気味ながらも、何処と無く研ぎ澄まされた雰囲気を纏い、小柄ながらも引き締まった体躯は動きやすいアウトドアルックに包まれている】
【腰から下げたベルトポーチはパンパンにふくれており、青年はそのベルトポーチへと右手を伸ばし、迷うこと無く厚手の刃を引き抜いた】

「――――聞かねぇのは分かっている。だが、一応言うぞ。
……おとなしくしときゃあ悪いようにはしねェ。おとなしくしなきゃ――下手すりゃ殺す」

【冷えきった視線、落ち着いた雰囲気。自警団の死体を前にしても動ずることのない青年は、少なくとも死は見慣れている事は間違いなく】
【ナイフの刀身に左手の指先を滑らせて、青年は腰を落として構えを取るのであった】
【青年の右目、左手から漏れる気配は少々不思議なもの。もしカノッサに属する少女がそれに――哲学者の卵≠ノ触れたことが有れば、近いものだと感じられるかもしれない】
467 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 22:36:54.02 ID:wjT3guRDo
>>466

(ッ……!! これは機関の、っ……上ですか……、っ…!?)

グ、ぅ……誰です!?この機関員の容態、先ず間違いなく再起は不可……
……下手人は貴方と推定致します。となれば、明確な敵対行為です
カノッサ機関を敵に回す事の愚かさは……どうやらご存知のようですが。

【ドサリ。機関員の男が地面に叩きつけられる。それと同時に、銀の刃が身を掠め】
【見事に気を引かれた彼女は、寸時のめまいをしっかりと感じた】

【それを押さえるためか空いた右手で顔を抑え――直ぐに復帰するが】
【ライトブルーの髪色と、整いすぎた顔立ち。それが覗くと、何か妙で】
【口調も合わせて、まるで不出来な人形のようにも思える。が、抵抗の意志は持つようで】

(……妙な感じがするのであります。何か、背筋が寒くなるような)
(魔力≠ナしょうか。私には、あまり適正の無いものですが……――。)

殺す、ですか……カノッサ機関も舐められたものであります。
これではお姉様方が出奔もする……。……その巫山戯た理解は、私が打ち崩します
今直ぐに武器と装備をお捨て下さい、でなければ―――お分かりですね?

【――めまいからは完全に立ち直った様子。どうも、バイタリティは高そうで】
【彼女はぎゅっと手の内のハンマーを握り直すと、右手の人差指で相手を指して、逆に降伏勧告】
【どうやら下るつもりはないらしい。先に仕掛けてこないのはあくまでも答えを待つということなのだろうが――】

【僅かに。パリッ≠ニいう電気的な爆ぜる音が、彼女のハンマーから響く】
【勘が良ければ『準備はできている』事は分かるだろう。既に、藤色の瞳は落ち着き払って彼を見据えていた】
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 22:40:38.21 ID:jP4rUqR10
>>463

【その飴玉は彼女と、その異能の権化たる蛇が食べていたもので、このふたりはどうやらその味を楽しんでいるようだった】
【口に合わないなんてことを露ほども思い知ることもなく、見るでもなしに一連の動作を見やっていたのだろう】

だからセシルのちいさい頃のことも知ってるんだって、……優しいひとだなんてね、もう分かってるのに――。
……うん、この前初めて会っただけなの、――そう、カヨ、……レイシーが悪戯してくるんだって、言ってたかな……。

【――その彼は最愛を優しいひとなんだと言っていた、それをふと思い出せば、つい緩んでしまう表情があって】
【指先がそっと頬を撫でる、笑んでしまった口の端に指先が触れたなら、ようやく気付いたように表情を元へと戻して】
【一度会ったきりのどこか怪しいひと。完全に信用してしまうには未だ足りない、不確定要素――彼女にとっては】

【そして口に出すのは、彼の思考に答えを出すもの。ふと思い出した、という風に口に出して、そっと首を傾げている】
【眉を顰めているのを見れば、いっそう不思議そうにもう一度首を傾げたりなんてして、なんだか平和に見えてしまう光景】
【何の意味がなくても首を傾げるような癖が彼女にはあった。気付かれていたかもしれないけれど、そんな、余談】

【――結局、彼女がそうした情報を得ることはなかった。そういった情報へとあまり気の向かなかったのがその理由で、】
【或いは張り紙でもあれば別だったかもしれないが、少なくとも彼女の目には入らなかった。だから、知りえないまま】
【義弟たる彼のしたことも、眼前の彼のしたことも、なんにも知らないままで、ただ、ぼうと心配をしているだけだった】

……近づかないように、とは言っておく。だから、それは大丈夫だと思うけど。
水に住んでた頃はね、とっても高いビルの上だったの。夜景と星空と、どっちも見えて綺麗だったけど……、
やっぱり夜のほうが好きかな、初めて連れて行ってくれたのが、そこだったから、――ううん、

……――いいよ、なんにも言わないでおいたげる、わたしも、……あのひとたち、あんまり近づきたくないし、……。

【その忠告は聞き遂げられる、少なくともこのふたりが巻き込まれるということは、きっとなくなるはずで】
【水に住まっていた頃も特に何かに巻き込まれるということがなかった。ゆえに、少しだけ他人事という風はあったけれど】
【今にも潰れてしまいそうに弱っていた彼女が、彼に手を引かれて、初めて降り立った場所。最愛とのはじまりの場所】
【思い出深いその場所に言及すれば、ふわと安堵するかのように緩む表情、――ただ、すぐに、首を振って話題を断って】

【――彼の唇が悪意に歪められていた、黙っておくと宣言してみせたのは、その表情を見てからあとのことで】
【まさかこの場で告げ口しに行くと宣言するわけがないのだけれど――それでも、どうやら、嘘を吐いてはいないように見えた】
【正義組織の人間とはあまり関わりたくない。そう思うのは、今までしてきたことがあるから、どうしたって怖く思えてしまって】
【それでも。きっとひとしにが出るだろうこと、こうして知らされて、無視するのは――少しだけ、おそろしいように思えて】

【(自分はそれを止めてしまいたいのか、そうでないのか、考えるように伏せる視線、黙りこむ間は不自然なもので)】
【(そうした間は彼にとってすれば不穏であると言えるだろう、ふたりだけが世界に居ればいいと思っていたはずなのに)】
【(今では少しずつ考えが変わっている気がした。どうしてこんなに引っかかるのか、自分の変化に戸惑うような、間でもあった)】
469 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 22:43:49.38 ID:zuUIvw3V0
【寒さも厳しくなり始めた今日この頃。大通りに面した銭湯も実によく賑わっていて】
【親子連れや独り身、カップル等様々な客層が見られる事だろう】
【そんな中、掲げられた特徴的な暖簾の前で悩ましげに行き来する姿が一つあり】

【一切の乱れなく着こなした軍服に制帽。眼帯で右目を多い、軍刀を腰に提げている姿は容易に性格を連想させるだろうか】
【腕には“自警団”所属を示す腕章を通しており、更には其処に“SCARLET”所属を示すバッヂも付けてあって】


「…………悩むでありますね。日々のご褒美と称して温泉に浸かるのも良いでありますが、向こうでは同じ金額でパフェを食べられるであります
なら、向こうで何か食べた方が…………む、むむ…………迷うでありますよ」

【時折財布を確認すれば、銭湯の入口と、また直ぐ近くにあるレストランの入口とを見比べて】
【少しすれば再び歩き始めて、自分の煩悩と格闘するのだろう】
【温泉に入るべきか、それとも甘味でも食べるべきか。優柔不断な少女からすれば其れは中々に難しい選択】
【さて、その呟きを聞いた者が横から声を掛けたり、或いは顔見知りが誘うなりすればまた結果も異なるのだろうけれど――――】










【夜も遅くなったにも関わらず、賑やかな街】
【露店やら何やらが所狭しと並んでいて、眺めるだけでも楽しい気分にさせそうな其処】
【様々な人々が入り乱れるのだが、その中でも一際珍しい職の者――――教会に属する者が人混みを縫うように歩いていて】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも年明けに話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば去年も大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとする事だろう】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】
470 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 22:52:52.24 ID:1BllH3mNo
>>467
【青年の瞳。右目の眼窩は、ガランドウで。そこに浮かぶのは、ワイヤーフレームで構成された無機質な質感の球体が一つ】
【そして、少女が雷をチャージしているのと同じタイミングで、青年の右目と左腕から、俄に空間の歪みが生じ始める】
【その歪みは、次第にテレビの砂嵐にライムグリーンを塗りつけたかのような現実味の無い不気味な存在と化し、こすれ合う砂嵐の音を周囲に響かせ始めた】
【濃厚な情報量が、視覚聴覚を侵犯する存在感を抱き、この世界に現出しているその現象。少女の感じる背筋の寒くなる気配も、より濃厚となり】

「ああ、分かってるさ。伊達に何度もお前らに殺され掛けてない」

【返答は短く、行動は迅速だった】
【ナイフが宙を飛んだ。行動の開始は、少女がハンマーを握り直し、体制を整えなおした、直後】
【心構えをする前でもなく、し終わった直後でも無く、その間隙のタイミング。整う前でもなく、整った後でもなく、その隙間を狙うタイミングの正確さ】
【厚手の刀身のそれは正確に投擲され、鋭い速度で少女の足を引き裂かんと迫っていく】

「――――っらァ!!」

【そして、右腕のナイフを振りぬいた勢いのままに躰を振り、己の左腕をベルトポーチへと伸ばす】
【ポーチから飛び出すグリップを握りしめ、引きぬいたそれのシルエットは、回転拳銃】
【狙いなどつけること無く、速射だけを目的に青年はそれの銃口を辛うじて少女に向け、銃爪を指でクリックした】
【装弾された銃弾は、激発し――数十≠フ弾丸と化して、少女を襲う】
【――この拳銃、名をタウルスジャッジと言う。この銃の特徴をわかりやすく言えば、一つ】
【散弾拳銃=z【それが、タウルスジャッジという拳銃の持つ、この世界においても数少ないジャンルの名前】
【殺傷力の低いそれは、しかしながらライフリングを刻まれているがゆえに近距離で爆発的に飛散し、散弾を近接距離で広範囲に撒き散らす】
【要するに、だ。素人であっても、狙う必要がないというのが、この拳銃の何よりもの強み】

【放たれるナイフと鉛弾。ナイフは当たれば傷を負う】
【散弾は、近距離向けのものでありなおかつバードショットという対人殺傷向けではない弾種である為、当たってもそれほど大きいダメージを追う事は無い】
【しかしながら、放たれる弾丸には右目と左腕から漏れるノイズがまとわりついており、もしその弾丸に命中したのならば】
【――――神経を直接鷲掴みにして引きちぎられるような激痛が、ごく一瞬の間だけ駆け抜ける事だろう】

「……抵抗の意思がなくなるまで痛めつけ続けてやる。
止めて欲しいと思ったら、その時には武器を捨てて投降しな」

【青年は殺すと言ったが、殺すのはあくまで最悪の話】
【できるだけ殺すこと無く、心だけを完膚なきまでに折り尽くして無力化する。それが、青年の基本のスタイル】
【それは優しいように見えるが、実際は違う。死に至るまでの致傷の激痛よりもはるかに多く、はるかに酷い激痛を食らったとて死ぬことを許されない=z
【それはある種、青年との戦いが拷問染みたものであることの証左であった】
471 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 23:16:05.33 ID:wjT3guRDo
>>470

(……この異様さ。魔術というよりも、明らかに能力……。)
(それも危険な……人の域を越えた力のように思えます。一体、この敵≠ヘ……ッ!)

――そうそう同じ手は食わないのであります!ミョルニル=cッッ!!!

【世界が変わる。それに一抹足りとも不安を抱かないほどの愚鈍ではない】
【それで、僅かに周囲を見回して分析するも――今の彼女には、その事象は理解できなかったが】
【警戒だけは怠っていなかった。流石に、戦闘服を着込んでいるだけは有る】

【まずは飛来するナイフへの対策だった。これはあまりに突飛だが単純なやり口】
【ハンマーを巨大化させた≠フである――それこそ、数百kgもありそうな、岩のようなサイズに】

【その巨大な鉄槌は彼女の足程度は容易に覆い隠し、カァン!≠ニナイフも弾き返す】
【直後にこちらに向くのは回転拳銃。武装には詳しいのだが、これも少女には見覚えがなく】
【それでも打たれればまずいというのは理解できて、彼女はすぐさま武装の第二の力≠発動させる】

【巨大化に引き続き発動するのはやはり電撃≠ナある。それも、猛烈な勢いで発生するソレは】
【一時的にだが両者の間に稲妻の壁を作り出し、弾丸の殆どを絡めとって、届かせない】

クッ、ぉ……!神経系に働く類の、銃弾……いえ、先ほどの目眩と言い……
……成る程、そうですか…!『そういう能力』ですか……理解しました、しかし……。

――――その程度ならまだ投降の可能性は微塵も生まれないのでありますよ、ッ―!!!

【それでも一部、弾丸は届いたらしい。悶えるような痛みが広がって、直ぐに波の如く引いていく】
【額には脂汗が浮いていた。だが実際の傷は浅い――今度は反撃と、相手を真っ直ぐに睨めつける――と】

【――不意に巨大化したハンマーがふわりと蹴上げられ、それに牽引される形で少女も上へ】
【やがて飛ばされるがまま、青年の頭上近く――ビルの壁に鉄塊を叩き混んで、電流をまき散らすと】

【彼女はそこで見かけによらない豪腕を発揮する。壁に足をつき、両腕で巨大なハンマーを引き抜き、振り回し】
【更に重力に任せて、上から青年を叩き潰さんと一挙に落ちてゆくのである】
【勿論、そこに至るまででで隙は多い。それは少女も承知のハズだが、敢えて上空からの攻撃を選ぶ】
【避けなければ、すなわちそれは死を意味するだろう。潰れて、電流で溶かされてしまうのが落ちである】

【また避けたとしても破砕する路面の破片と、そしてやはり電流には気を配らねばなるまい】
【――或いは、意識に余裕があったなら。先にめり込んだ壁のあたりに、人影を見留められるはずだが】
【少女はハンマーを握って共に落ちてきている。となれば新手か――そもそも気付かないか。】
472 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/21(火) 23:32:48.36 ID:qI9ev3mCo
>>468
【哀れ、飴玉は少女ではなく、醜悪な怪物の食すところとなっていく】
【鋭く尖った歯が飴玉を噛み砕き、細かい破片として咀嚼されていく】

彼ら兄弟すべてを見知っていたのか。ああ、話していても感じたが、きっといい夫なのだろうな
レイシー……彼ら兄弟を縛っていたという亡霊か。古い恰好、ということだったが、その人も亡霊なのかもしれんな……

(やはり、亡霊の関係か……呪縛から解き放たれたとはいっても、未だ墓にも参っていたほどだ。まだ未練もあるのかもしれん)

【思わず表情を緩めてしまう彼女からは、わずかに単眼の視線を逸らして思考にふけった】
【分かり得る情報は少ないが、あるいはその人物もまた、鬼籍に入った存在かもしれない、と推測を披露し】
【彼らの背後にあるのであろう、己の知らない物語の存在を感じていた。あるいは、亡霊たちと関わることもあり得るだろう】


【しきりに首をかしげてみせる彼女、それが癖なのだろうとは大男も気が付いていた】
【深夜の児童公園で、少女の異形が、少なくとも表面上は平穏に会話し、彼女の癖に目を向けたりなどしている】
【内心で、苦笑した。己の如き異形の悪党には、あまりに似合わない】

【彼女が、手配書の中の悪意の残滓を知ることがなかったのは、果たして吉と出るか凶と出るか、それは誰にもわからないことだった】


ああ、頼む。伝えておいてくれ

ビルか。景色のいい場所に居を構えられるのは羨ましいね。私にはあまり縁のない話だからな
想い出の土地、というわけか。ロマンチックじゃあないか

それはありがたい。知られないで済むに越したことはないからね
荒事から遠ざかりたいなら、近付かないでいるのは正解かもしれないな
関係者、というだけで付け狙うような輩もいるかもしれん

【常闇の国に思いを馳せる彼女、ふっとまたも単眼が細まる。先ほどより幾分はっきりと】
【ゆっくりと、しかし着実に、彼女は陽だまりの中へ歩みだしているのだと感じられた。自分には、永遠に行くことのかなわないところへ】
【それも、すぐに消える。彼らと事を構えることになりさえしなければ、それでよかった】


【それ以上に、やはりこの澱んだ世界は、大男の慣れ親しんだ場所でもあるのだ。それが証拠に、悪意の染み渡った笑みは、大男の醜悪に良く合っていた】
【どのみち、この場で密告するなどと言えないことは、大男も理解しているが、仮に情報が渡ったとしても】
【大男が彼女を恨むことはないだろう。それも覚悟の上で、話したのだから。嘘だと感じられなかったのも事実だが】


【しかし、彼女が正義組織に関わりたがらない理由が、身の安全以上に彼女自身の過去にも起因している、とまでは思考が至らず】
【自身の悪意を無視することに対し、彼女自身すらわからない逡巡に囚われていることに気が付くにも、至らなかった】
【大男からすれば、彼女は闇の住人と思えないほどに、明るい世界へ踏み出しているという印象が強くあったためだったのかもしれない】

【ただ、不自然に空く間に、今度はこちらが少しばかり首を傾げた。それだけだった】
【普段であれば、不穏と感じることもあったかもしれないが。少なくともこの場では、大男は彼女の変化を見逃すこととなった】


……いや、またも長く付き合わせてしまったな。セシルさんと会った日にも、彼のだいぶ時間をいただいてしまった
新婚の夫婦相手に、気が利かなくてすまないね

そろそろ、私は行くことにするよ。他に、何か話しておきたいことなどあるかね?

【ふと、夜空を見上げる。闇に包まれた空は、この場での邂逅から短くない時を経たことを示すように、その表情を変えていた】
【視線を戻せば、彼女へ問い掛ける。いつ地獄に落ちてもおかしくはない故に、今の機会に語れることは語れる時間のあるうちに、語り尽くすために】
473 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 23:34:16.88 ID:1BllH3mNo
>>471
「――厄介、だ。下手に小手先やって来るやつの一〇〇倍はなァ!」
(異能は巨大化。そして雷撃――ミョルニルは北欧神話の神トールの持つ槌、まさに名は体を表すって所か!)

【青年の弱点はいくつか有るが、その内の一つが身体能力=z
【人間並みでしかない青年は、その大質量を、その大質量を振りぬいて異様な挙動を見せる少女の動きも、出来はしない】
【出来るのは、判断の限りを尽くして今の己に出来る術を尽くして、尽くし尽くして一の答えを掴み続けることだけ】
【相手の武装。そして、その力を見た上で、その名を異能によって即座に検索開始。そして出てきた情報の表層だけを攫いわずかに己の情報の補強として】
【己の頭上から降り注ぐコンクリートの群れ、そして共に落下していく少女の姿。だが、青年は既に移動を開始している】

「――――おオオおッ!!」

【青年の移動は、特筆するような点は無い。確かにそこそこ健脚であってなかなかバランス感覚も良いが、逆に言えばそれだけ】
【秘伝の歩法だとかそんな事は決して無く、ただ必死に肉体を駆動させているというだけの何の変哲もない走り】
【ただ一つ、走りや技量とは別の点が人間離れをしていた。ルート選択≠セ】
【落下していくコンクリートの破片。それらが相互に干渉し合い軌道を変え落下していくそれも、少女の空中での体捌きなどから振り下ろされる場所の算定から】
【何までを全て予測しているかのような動き≠ナ走り続けているのだ。迷い一つ無く、恐れ一つ無く、だ】
【そして、青年の奔るルートは確かに一番安全なルート。コンクリートの相互干渉で眼前には比較的大きな破片が落ちることは無く、安全なルートでは最短で少女のハンマーから逃げることが出来る】

「Over Clock!!」

【地面に叩きつけられる少女の鉄槌。そしてその余波を受けて飛び散っていく無数の岩塊】
【それらすらも、最初から一番脅威の少ない位置取りをする事で負傷を最小とし――岩塊の波濤から、一つの岩塊を投げ返してすら見せた】
【派手なその衝撃の群れの中においての一石は、些細なそれにしか見えないもの。だがしかし――その石ころ一つは有ろうことか岩塊の隙間を縫いながら少女を狙う】
【そして、もし命中したのならば。――先の散弾など目ではない激痛、一秒ほど続くそれが少女を襲う】
【その痛みは、生爪を全て剥がされた傷口に粗塩を刷り込まれる程度ではない、本気の激痛。――痛みは身を傷つけないが、心は憔悴させる】
【幾度も。幾度も耐え難き痛みを与え続ける事は、人間であれば恐怖を抱いても可笑しくないそれ。恐怖を抱かせ心を折る。それが、青年の戦略だ】

「………………ッ」

【マウンテンパーカーをズタズタにされ、全身に通電し、鮮血と焦げ臭い匂いをまき散らしながら息を整える青年】
【だが、生きている。ましてや、四肢の全てがつながっている。そして、二本の足をしっかりと地面に張り付かせて、そこに居た】
【腰から右手で引き抜くのは、ダガーナイフ。そして、青年は目を細めて左手からノイズを僅かに漏出させて――頭上高くに小さな球体を生成しておいた】
【それはわずかで脆弱な存在感では有るが、目≠フ役割を果たすもの。先の一合に置いて、視界に収めた人影を探索するべく、己の視界を拡張したのである】
474 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/21(火) 23:57:40.19 ID:wjT3guRDo
>>473

【――少女の戦法は、その見かけに似合わぬ至って簡素で豪放な物】
【それはおそらく、この一回で理解出来ただろう。武器の性質もまた同様だ】
【巨大化と雷撃。強烈だが単純で、対個人戦、というより化物の討伐に向いている】

【そんなパワーファイターの相手として、緻密精細を第一とする青年の戦法はすこぶる相性が良い】

【攻撃を外したら終わり、だから範囲攻撃も加える。これが少女の戦い方だが】
【その範囲攻撃を見事に計算で避けられるとなると――勝機は遠退く】
【それでも、彼が傷を負ったのは人間である証左か。一方で少女はといえば――】

……中々、出来ますね。私の……ドクターの作ったミョルニル≠フ一撃を避けるとは。
それも反撃まで織り交ぜている……ですが、見たところSCARLETでも、自警団でもない
UT≠ネらばもっと……『違う』はず。何者です――いえ、答えは要りません。

【――言葉だけはしっかりとしていた。しかし、目を向ければお世辞にも状態は良くはなく】
【反撃の投擲が上手い事あたったらしく、額をぱっくりと切って顔を朱に染めており】

【更には猛烈な痛みからか、攻撃の反動からか、両手こそハンマーの柄を掴んでいたが】
【顔は次第にうなだれ、理想的な顔のラインを伝って汗がしとどに流れている】
【表面上を取り繕っているだけなのだ。ダメージは、大きい。それは両者とも同じことだが――】

…………降伏はしない。まだそのように受け取って、よろしいですね?
でしたら考えがあります。ドクターが与えてくれば、私の力≠ナ……

『―――捻じ伏せるまで。貴方がしたように、手足の腱を全て切るまでです。』

【それでもただひとつ違うのはその一点だった。少女は未だ能力を見せていなかった≠フである】
【そして――その能力とは、恐らく『分裂』。衣服から髪の一筋に至るまで、一切合切似通った――】

【そう、クローン≠セった。違うのは傷を負っていない点。彼女は、ビルの合間から飛び出した】
【となれば先ほどハンマーがめり込んだ折に分裂した≠フだろうか、人影は少女その人だったのである】

【――クローンは、項垂れる本体を一瞥すらせず、飛び出した勢いそのままに青年の前方へと迫り】
【着地するや、更に接近を図って、ある程度まで近付けば一挙に右腕をつきだして殴りかからんとするだろう】
【その膂力は鉄塊を振り回していた彼女≠ニ何ら変わらない。受けるよりは、避ける方に意識を裂くべきだが――】
475 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:03:25.23 ID:6aAnjmW2o
【路地裏】

【そこは行き止まりだった。コンクリート製のビルとビルに阻まれて、夜はブ厚い雲に包まれて息もできない。】
【ダクトから中華料理の匂いを混ぜた蒸気が上がる。室外機はこの静寂を埋める静かな騒音を立てていた。】
【どうしようもない。ここはアンダーグラウンド。黒よりも暗い灰色に包まれた袋小路だ】

【ダンッ!!と不意に銃声が上がった。何かがガラガラと倒れる音。そして誰かの怯えたような震えた叫び】
【射撃手の黒いブーツ。その足元には薬莢は落ちないということはリボルバー式の拳銃か。ただ、ひび割れたアスファルトがあるだけ】
【銃身に施された華美なエングレービング。朱に染まってその白銀の銃身に彩りを与えていた。】

―――『なあ!違うんだって!!違うんだってぇ!!全然全然違うんだって!!』

【青いゴミ箱をひっくり返してゴミのまみれになりながら必死に口を動かす男の叫び】
【壊れたレコードプレーヤのような乞いとは裏腹に、体は倒れたまま、壁にすがるように】

なぁにが違うんだよ。3人も”うたいやがって”。…みんな死んじまったよ。

『違う違うっ!!そうなるなんて思わないんだってっ!だって!』

知らねえよ。…いや、知ってんだって。全部。テメェ、1個の命で許してやるって
死ぬ時ぐらい黙ってろよ、ランブル・フィッシュ。……アダ名のセンスは好きだったぜ?

【しゃがれ声の男は目の前で喚く、男の額にその右手のリボルバーの先を合わせた。この銃口の延長線】
【そこにある消失点が、アイツの”消失点”バニシングポイントになるんだとそんなことを考える自分の冷静さに胃がムカついた】

【【ボサボサに伸びた黒い髪、とんがったような鼻で夜だというのにサングラスを掛けている。背の高い男。】
【痩せた体躯に細身のスーツを合わせて、シャツは黒、ネクタイは白、胸ポケットから赤いハンカチがキザに少しだけ出している】
【右手に銃を構えて、撃鉄は起きている。引き金を引くだけだがそう意識してしまうと反射的に躊躇してしまうというか怖くなるというか】

『やめてくれっ!!!やめろっ!!なんだよ!!殺しはやらないんじゃないのかよ!!なあロッソ!!助けてくれよぉ!!』

【さて、この場に出くわす奴が居るのならそれは今週一番のアンラッキーになることだろう】
【なぜなら、目の前で人が1人頭を吹っ飛ばされて息絶える瞬間を銃声のBGM付きで見ることになるのだから】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:05:17.54 ID:EJhbPjP/0
>>472

【がりがりと飴玉の噛み砕かれてゆく音がする。味覚の違いもそうだが、食べかただってふたりの中で大きく違っていて】
【ただ舐めて終わらせた蛇と、一度噛み砕いて後は舐めた少女と、最初から噛んでしまう彼と、三者三様の楽しみかた】
【面白いとでも思ったのか、少しだけ瞳が細められているようだった。或いは、もったいないなんて思っていたのかも――】

……、英霊なんだって、言ってた。

【――ちらちらと出してゆく情報、どうにも後出しが多いのは、本人だって自覚しつつあるようで】
【流石に少しぐらいは気まずそうにしていた、彼の推測が正しいのに丸を付けていくように、そう口に出したなら】
【彼がそうするのを真似るように、あの兄弟が記す物語をそっと考えてみたりもする、けれどすぐに分からないと放りだして】
【これから知ってゆけばいいと思えたのは、――どうしようもなく成長できたことの、その証明でもあった】

【彼が内心でした苦笑には気付かない、気付けるはずもない。彼女にこころを読み取ってみせる異能はないのだから、】
【けれど偶然にも似たようなことを考えていたりもした。こんなにもおかしな縁、不思議がってみせるように、そっと】

ん……それは嫌だな、巻き込まれたくないの、約束したし、決めたんだから――……。
普通にしたいな、うん、……わたしね、ずっと、こんな日が来るのを待ってた……。

【話題が話題だったなら、もっと前の住居のことも話せただろう。とっても綺麗な夜景とか、空が近いこととか、】
【或いはたくさんいるペットの話だって出来たかもしれない。今日の買出しだって、彼らの食事が主なのだから】
【けれど――ふるふると首を振って話すのは、とかく平穏を望むといった、そんな言葉。鈴の音は少しだけか弱くも聞こえて】

【(ちいさいころに平穏というものを剥奪されて、ずっと強く憧れて、いま、ようやくそれを手に入れることが出来た)】
【(はじめは父親だった男性がいつしか夫になったように、少女が女性になりつつあるように、世界は緩やかに回っていて)】
【(この手に入れたしあわせがどこか廻っていってしまうことが怖くてたまらない、だから、――そう、触れないようにしよう)】

【(彼が成すことも世界を構成する一端だと。そう思えば、少しだけ、こころも楽になるような気がした)】

…………気にしないで、月彗のことも言えたし……良かった。
……ううん、家だとずっと一緒だもの、ずっと、ずーっと――、いっしょに居てくれるの。隣にね、ずっと。

うん、……他には、だいじょうぶ。…………ばいばい。

【義弟のこと。気にしていないと言えば嘘になる、仮にも、少しの間だったとしても、いっしょに暮らしたひとなのだから】
【気にしてくれるひとがいるというのはきっと悪いことじゃない、――そう思うことが、或いは既に違う考えかもしれなくても】
【――それにしても。少し話しただけで、よほど好いているらしいというのが透けて見えていた。ふたりで居れば大丈夫だと】
【そう強く思わせるようで――最後に投げる言葉、がんばっては不相応に思えて、何も浮かばなくて、黙りこんでしまう】
【ようやく出てきた言葉は別れの色で、何もなければ――立ち去る背中を、見送ることになるのだろうか】
477 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:15:53.53 ID:wKwBokEqo
>>474

「ダグラス、ねえ。……確か噂の六罪王、だったか?
……気になってきたな。何、答えはいらねぇよ――――吐き出させてやるから」

【折れた奥歯を地面に吐き出して。血の混ざる痰も一緒に吐き、減らず口を叩いてみせる】
【青年も消耗しているが、少女もまた消耗している。少なくともこの状況では、五分】
【だがしかし、そこに第三者が来たれば話は別だった】

(――分身か、分裂かわからんが――この女の複製って事だきゃ間違いない)

【既に視界。三六〇度を俯瞰する異常拡張のその視界は、少女の行動を捉えていた】
【足の置き方、腕の関節の曲がり、股関節の開き、重心の置き方。それらを青年の双眸と天の眼が認識する】
【そして、それらの情報から青年は、少女がどこに向かって拳を振るうのかを予測≠キる】
【銃弾を撃たれてから避けるのは無理だが、銃を打つ前に当たらない場所に移動していれば銃弾は命中しない】
【それと同じことを、谷山は行っている。そう、それが人の身体能力で少女の異様な膂力、身体能力を前にしても致傷を追わなかった理由】

「…………す……ゥ」

【己へと駆け、近づいていく少女の動作一つ一つを、常人の数十倍の速度で処理されていく脳髄のクロック周波数を上げることで予測していく】
【そして、それらの予測と実際の行動の一致度をすりあわせていくことで、青年の予測は次第にその正確性を増していく】
【青年に肉薄した瞬間その時点であれば――予測率は九割五分】
【振るわれる拳に対する対処法は、既に数パターン予想してあった。後はその中で人並みの判断で有効そうな策を選ぶのみ】
【突き出される右拳。それに対して、青年は有ろうことか――己の左掌を持って出迎えた】

「――――――――Code Pain!!」

【響き渡ったのは、硝子の砕けるような音。――青年の左腕は、ガラス細工のようにもろく、容易く砕け去った】
【そして、そのまま振りぬかれる少女の拳。少女の右横に滑るように動き、青年は引きぬいた右腕ナイフを少女の脇腹、肋の隙間にねじ込み肺を引き裂こうとする】
【――そう。青年の左腕は実態のないハリボテ。アートマンによって生成された、虚構の腕にすぎないそれは、少女の膂力によって容易く崩れ去る物だった】
【砕け散る腕の破片は、膨大なノイズを纏って少女にその先端を向け降り注ぐ。それは、激痛の驟雨。――言うなればそれは、強酸の雨にも例えられよう脅威だったろうか】

【ナイフが通ろうが通るまいが、青年はそのまま隻腕と化してクローンの脇を通って駆け抜ける】
【左肩の断面部にノイズを収束させながら、アートマンのダメージフィードバックによる負傷で飛び散る鮮血を後に引き、青年は迷いなく駆動する】
【右腕には再度ダガーナイフ。それを牽制のように投擲していく青年、数は三。その内のどれかが掠ったならば、五秒弱の間肉体の挙動に鈍さ≠感じるかもしれない】
478 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:39:46.13 ID:dtNU0obPo
>>477

―――――……避けた、っ……!!?

【少女――クローンからすると、右腕を突き出した後の予測は3つあった】
【一つは回避。無難で、背後に下がればそれでいいだけの選択肢】
【そうなれば追いかけて攻撃するだけだが、それでないのは相手の挙動で直ぐ分かる】

【では第二――受けるのかと言えば、恐らくこれで想像していたに違いない】
【だからこそ、受けた左腕が破砕したのには流石に目を見開いて】

【そして同時にこれは第三の選択肢でもあった。別の何か≠セったのである】
【受けるのでもない、回避だけ、というわけでもない。そこにさらに攻めを織り交ぜる】
【予測出来たが、予測とは違った。それだけの話で――気付けば肺腑の奥に刃が突き刺さり】

【かふッ≠ニいう空気の抜けるような息を吐いて、それっきり。クローンは膝をついて倒れこむ】
【途轍もない量の痛み≠ェ脳の限界を越えたに違いない――それを加減していたとしても】
【恐らく。『生まれ』て間もないクローンは、脱皮したての生物とそう変わらないのだろう】
【圧倒的に脆いのだ。このまま放っておけば、衰弱して死んでしまうであろう程度には】

(……やられましたか。我が身ながら不甲斐ないですね、やはり……。)
(兎角このままではあまり良くない……まだ、殉じる訳には行かないのですから――)

【一方で本体はと言うと、こちらもまだ完全に復帰してはおらず、ハンマーを元のサイズに戻すと】
【やや重たげにそれを振るってダガーナイフを弾くが、2つは肩や腿を捉え、倦怠感を招き起こす】

【―――如何に機関員で能力者だろうが、まだ少女なのだ。それが決定的な敗因と言っていい】
【敗因=\―そう。その色が今、濃密になりつつあった。ふら、と後退する少女の表情も良くはない】


『―――――アッハハハハハハハハハッ!!!ナニやってるんだい?
 殺しかな?拷問かな?それとも生き地獄の形成かナ?イイネ!素敵だネ!
 僕も私も俺も混ぜてヨそこのナイスガイ!このグルクスス・シャリエール≠サ!』

【だからこそ、響く狂笑がより不気味なのだった。一体何処から入り込んだのか】
【少女の背後に、一つの巨体が見えた。身長は2mを超える――奇怪な人物だ】

【顔には常に笑顔の仮面を一つ。目は見開いたままな上、髪はバサバサと伸び放題で】
【服も異様。全身を丸く覆い隠すのはマントだが、その材質は間違いなく分厚いゴム製だ】
【恐ろしく重いはず、だがそれを気にも留めていない。そして何より、言動が元より狂っていた】


『……ア?アーアーアー、自己紹介が必要かナ?そうだろ?疑問だろ?
 コイツは誰?私はグルクスス。何処のドイツ?六罪王ダグラス君のお友達サ!
 このブランデン・ケミッシュお嬢ちゃんともお友達!君もお友達になるかい?嫌かい?あっそう!』

【――理解は、青年ならば追いつくか。どうやら増援らしいが――武装は見えない】
【マントの中に仕込みでもあるのか、能力か。どちらかわからないが、彼はその巨体を進め】
【少女が下がるのと入れ替わりに、青年の前に立ちはだかった。邪魔しに来た=\―それが似合いの相手だった】
479 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:42:53.86 ID:wKwBokEqo
>>478
/*申し訳ないです、大分眠いので一端中断お願いできますでしょうかー?*/
480 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:50:20.76 ID:dtNU0obPo
>>479
/OKですとも!こちらは平日なら夕方くらいから再開可能なので
/その辺りで、そちらに都合のいい時間に呼び出してもらえればと思いますですー
481 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/22(水) 00:50:53.17 ID:FDNpwY+1o
>>476
【甘味はあまり好みはしないが、食べないことはない。飴は、いつも噛み砕いて食べていた】
【少女と蛇と異形、三つの存在が同じ飴玉を違った形で味わっていく。返す返すも、物珍しい光景が展開されているものだ】

英霊、か……かつての戦争の時代となれば相当な昔となるだろうな
それが、未だに化けて出ているとは……まったく、何が起きても不思議ではないな、この世界は。なあ?

【気まずそうにして見せる彼女、それに対して情報を小出しにしていることを気にはしていない、と伝えるように】
【それを咎めることも、そんな様子を見せることもなく。今更のように、自分たちを取り巻くこの世界の果てしないことを再確認して見せる】
【三兄弟と亡霊が織りなしてゆく奇書と葬列の物語。少女もわからない、大男にわかるはずもなく】
【少女の成長もその物語の中に、何より彼女自身の物語の中に紡がれていくのだろう】

【大男もまた、異形ではあるが相手の心を読む力は持ち合わせてはいない】
【同じようなことを考えていた、それは知る由もないことだった】


……そうか。望みが叶って良かったじゃあないか
手にした日々を大事にするといい。お前もよく知っているとは思うが、この世界ではそんな日々は案外と貴重なものなのだから

【彼女の手にした平穏な生活、そこに話題が移ることはなかったが。異形には、やはり似合わぬ話ではあっただろう】
【夜空が近い彼らの住居、共に暮らすペットたち、今夜共に食べる食事の事。本当に他愛のない話】
【大男には、眩しすぎた。やはり、異形のいるべき場所は掃き溜めの暗闇だ】
【彼女の声がわずかに弱まれば、大男の声音もそれに合わせるように静かなものになる】

【世界は回り続ける。すべてを等しく乗せて。彼女らの元には、今は平穏がめぐってきていた】
【止まらない時間は、少女としての彼女に別れを告げつつある。彼女らの幸せは、どうだろうか。まだ、わからない】


ああ、私もお前と話せて良かったよ
そう言ってもらえるとありがたい。末永く幸せにな、鈴音

……では、失礼する。もし私が地獄に落ちる前にまだ縁があれば、また会おうじゃあないか

【彼女の言葉の端々から感じられる、深い愛情。セシルからも、同じものを感じた。彼らなら、共にある限り大丈夫だろう】
【人々を踏みにじってきたこの大男が、彼ら二人にはどういうわけかその平穏が続けばいい、などと】
【そんなことを思ってしまうほどに、この奇妙な縁には惹きつけられる力があった】

【少し黙り込んで、最後に別れの言葉を告げて見せる彼女に、大男はふっ、と薄く微笑んだ。今度は、悪意の色を含むことなく】
【別れの言葉を返したなら、巨体がゆっくりと踵を返す。ゴム長靴が重い足音を響かせて。その姿が、闇の奥へと、消えていった】

/この辺りで締めとさせていただきます。二日に渡るお付き合い、ありがとうございました!!
482 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:52:24.83 ID:wKwBokEqo
>>480
/*ありがとうございますッ、では一旦おやすみなさいー*/
483 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 00:54:06.16 ID:dtNU0obPo
>>482
/はーい!本日の所は一旦、お疲れ様でしたっ!
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 01:17:51.04 ID:EJhbPjP/0
>>481

でも……、そんな不思議がなかったら、わたしはセシルとも会えなかったの。……もちろん、あなたとも。
こんな世界だから、みんなに会えた……それはね、良かったって――思ってるよ。

【何が起こったって不思議なんかではないこの世界。だれもかれもが不思議と隣りあわせで、だからこそ出来る縁がある】
【彼女だってそんな縁に手を引かれたひとりで、だからこそこうしていろいろなひとと出会うことが出来た、話が出来た】

【だれだって平等に書き記していくひとりひとりのものがたり。安っぽい飴玉の甘味だって、それを飾り立てる一要因】
【ひとと関われば関わるほどにお話は分厚く面白いものになっていく、こんな奇妙な縁だって、もちろん記されて――】
【最期(おわり)のときに、いい話だったと思えるなら素敵。(そもそも、普通の最期が来るか、なんて分からなかったけれど)】

……うん。だれにもあげない、わたしのもの……わたしたちだけのもの。
だれにも毀させない、わたしが守るし、――きっと、セシルだって守ってくれる。

【――「がんばる」とでもいう風に蛇が頭を持ち上げて揺らした、りん!と響く音色は、さながら蛇の声のよう】
【そっと指先が右耳のピアスに触れる、言葉は願望でありながら、けれど確信に程近いもので、芯を通したように確かな声】
【眼を閉じれば、――見えない何かに祈っているようでもあった。白き石に祈るその意味を、明確に知るのは、最愛だけだったが】

【(そう、ずっと欲しかったものをやっと手に入れたのだから。手放すわけにはいかない、危うくするわけにもいかない)】

あるよ、きっと――……、またね。

【――きっと、次に会うときは、彼の成そうとしていることが終わった後だ。そっと再会を願うと同時、】
【――それを成した彼とどんな顔で会うのだろう、それが上手にイメージできなくて。僅かに視線が振れていた】

【それでも手を振って。背中をずっと見送れば、やがて公園に戻るのは始めのような沈黙、鈴の音と、無音と、】

……帰ろっか。待ってる。

【鈴の音色とよく似た声音。自らの能力のかたちに話しかけて、そっと引き寄せたキャリーケースごと、その姿がふつり、消えた】


【夜から夜へとその姿は消えて、真っ黒色の屋敷へと入れば、いつもみたいに出迎えてくれる、愛しい姿】
【ただいまと抱き締めて、抱き締められて、――そのうちに、今宵の出会いと、聞いた話を打ち明けた】
【昼の国、ヴェンドゥラー。しばらく近づかないほうがいいと告げて、いっそ近づかないでとお願いして、】

【(その身を案じる以上に、背負った重さを分け合うようであったという。知ってしまったことを、はんぶんこするように)】
【(いっそ彼が自警団なりに知らせてしまえば。ほんの僅かに過ぎった思考は、ただ、口に出さないまま思考の海へ沈んでいった)】

/おつかれさまでした、ありがとうございました!
485 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 19:42:45.71 ID:wMqVxgkuo
【深夜の植物園】

【ガラス張りの天蓋から月明かりが差し、白い芙蓉の花々を照らし出す】
【入口は施錠されておらず、一般に開放されている場所のようだった】
【その奥、芙蓉に囲まれたベンチに凭れ掛かり、虚ろに微笑む者が居る】

……ふふっ、とっくに死に絶えた一家だと思っていたのに。生き残りがいたんだ
でも、僕の犬にはなってくれなさそう……まあいいや。僕には、兄さんがいるものね

【それは中世から迷い込んだような貴族風の出で立ちをした、白皙の青年】
【淡い茶色のソバージュに、何処か深い淀みのある紺碧の目をうっとりと細め】
【撫ぜた芙蓉の一輪を直後に握り潰した左手の薬指には、ルナトリウムの指輪が輝く】

【暫し無言でいた彼は、徐ろに懐を探って、何か光る物を取り出した】
【それは非常に純度の高く大きな宝石の粒で、一つならず幾つも掌に乗せており】
【総額でどれ程になるのだろうか。少なくとも、一般人が持てる代物ではなく】

この格好も……この宝石も……それが示す全部が、もう僕には要らない物。
けれど……守り続けていかなければ、いけない物。じゃあ彼も、……?

【どうしようか、と小さく呟く。その掌で転がる様々な色の宝石が、月の光で色合いを変えて】
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 19:49:58.91 ID:EJhbPjP/0
【街中――表通りに面した喫茶店】
【暖色系の明かりを灯した暖かそうな見た目、北風のひるり吹きすさぶ外界から避難した人でいっぱいの店内は、】
【そろそろ相席の案内を始めるかというぐらいには混んでいて、それならと帰っていく人もちらほら見受けられる】
【――そんな店内で、二人掛けの席を一人で悠々と使っている人影があった。机にいくつかの私物を広げて、】

……ああ、そろそろバレンタインですか――あの子が慌てだす頃合ですのね。

【頬杖ついた姿勢でふうと溜息を吐いてみせる、右の手ではくるくると万年筆を弄んで、手遊びしながら】
【広げているのは分厚い手帳、付箋やらの多く貼ってあるもので、開かれたページ、カレンダーにも書き込みは多く】
【二月十四日。赤い字でバレンタインデーと書かれた日付を見て、――なぜだか、溜息をもう一つ繰り返す】

試行錯誤はいいですけれど、……去年は一年分かってぐらい食わされましたし……。
今年は少しぐらい軽めになりませんかしら、それだって怒られも何もしないと思うのですけれど――。

【――苦虫の子供を口に含んだように顰められる眉は、嫌がるというよりか気が重たいような色を示して、】
【誰にでもなく洩らす愚痴を聞いた人間が居たなら、誰かに多量のチョコレートを摂取させられたらしいと分かるだろうか】
【希望的願望を口に出してみたりもするが、きっと駄目だろうと既に分かっている。覚悟を決めるように、コーヒーを一口】

……――まあ。数少ないお友達ですもの、大切にしませんと……旦那さんに殺されそうですし、

【ソーサーにカップを戻す甲高い音、二月十四日の日付に書き込む文字は、「結果発表」の四文字】
【書き終わればぐうと背伸びして――机に乗せていた携帯電話を手繰り寄せて弄りだす、店の混みようなど知らぬとばかり】

【――肩ほどまでの髪は黒猫のような髪質、さらさらしながらも細こくふわふわとしたもので、流されたまま】
【グリーンアップル色の瞳は猫みたいにつったアーモンド形、誰に向けてでもなく笑んだ顔は、淡く化粧で彩られて】
【黒色のワイシャツは胸元がぴったりと張っていて、あまり主張しないけれど、ペンダントがそっと下げられている】
【組んだ足元はすっとした形のジーンズ、ふらふらと揺らしている脚には、高いヒールのパンプスを履いていて】
【トップコートだけ塗った指先で緩く髪をかき上げたのは、――女が一人。どうやら、連れも居なければ待ち合わせでもないようだから】
【相席として店員が案内する席がここになるだろうか、その場合――私物を自分側に引き寄せて、愛想よく笑ってみせるはずだった】
487 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/22(水) 20:10:07.99 ID:XioXxN+3o
>>486

【赤橙色の室内、指先で掬って広げたみたいに滲む熱の色】
【そんな温室の中、ひらりと舞い込んだ一枚の雪の結晶――――――】
【今にも溶けそうな色合いを、両手の掌で優しく包み込んだみたいに】


――――――Это может сесть


【それはさながら、ラジオから流れる異国の音の葉が如く】
【何を言ってるのか分からなくても、その心地良い旋律に気を惹かれるには十分なほど】
【ソプラノの唄う意味合いを辿ってみたら、小さな歌姫がそこに佇んでいて】

【仄かに金色の混じったプラチナブロンドの長い髪、大きなマリンブルーの瞳】
【透き通るような素肌に女性としてはやや小柄で華奢な体躯、それでいて膨らんだ大きな胸】
【ゴシック調の紅いミニシルクハットと同じくゴシック調の白いブラウス、首元には紅のリボンタイ】
【紅いチェックのミニスカートの上から黒いコルセットで細いウェストを締め上げ】
【編み上げブーツに黒いニーソックスの雪のように儚い印象の少女】

【銀の十字架のロザリオを首につけて、その先端は膨らんだ胸元に乗って】
【スカートの下から伸びて、ふりふりと揺れるのは猫を模したやや長めの尻尾】
【両手で握るのは大きな大きなバイオリンケース、両手を伸ばしてふらふらと揺れた】


わっ……ぇっと、違うの、あ――――――ぅ……なんて、言うの
一緒のね、席、お願いする、の……ここね、もう、全部埋まってる、の
ダメ、かな、おねーさん……


【音量をそっと爪先で弄ったみたい、声のトーンが沈んだなら、そこにひらひらと舞う一片】
【両手で握ったバイオリンケースをひらひらと揺らして、じぃと見上げるマリンブルーの双眸】
【しっとりと潤んだ色合いを大きく広げたなら、その奥に映る貴女の姿を見つめているのだろう】

【黒髪の貴女へと、乞うプラチナブランドの少女の憂い】
【不安げな色合いがアイスクリームのような頬に渦巻いたら、心配げに傾いて】
【言い直した言葉の意味、相席したいって言いたいのだろうと、察することは可能だろうか】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 21:01:59.45 ID:EJhbPjP/0
>>487

【――どこか遠くでジャズの旋律が響いていた、誰もがそれを聞くでなく、けれど確かに場を彩って】
【そんな中にふっと混ざり込む異国の言葉、音楽の中に組み込まれた歌詞の流れるように、不思議とよく場に似合う】

……――ええ、どうぞ。すいません、わたくしの場所でもないのに――。

【始めは自分に向けられての言葉だと思っていなかった、携帯電話へと落ちていた意識では、とても聞き取れなくて】
【真面目に聞いたところで意味を理解など出来なかったことには、終ぞ気付いたよな素振りもなく――やっと、】
【分かる言葉で話しかけられたことで意識は誰かへと向く、先述のとおりに彼女は人懐こい笑顔を浮かべて見せて】
【携帯電話を手元に置いてから私物を纏め上げていく、手帳、シール、付箋、色とりどりに散らした宝石のように】
【それから足元へ置いていた鞄に詰め込んでしまえば、二人掛けの机はようやく正しい広さを取り戻して、平穏の色】

【机に残されたのは、彼女の頼んだコーヒーのカップと、いつかに頼んで放置されたぎりのサンドイッチの一欠けら】
【そっと口に押し込んでしまえば空いた皿を隅に寄せる、やがて訪れる店員がきっとそれを片付けていくのだろう】
【何か頼むならそのときがきっと適期だった。こちらも愛想のいい笑みを浮かべた店員は、一礼をしてから立ち去っていくから】

こんばんは、ここ最近はずいぶんと寒くて滅入ってしまいますわね……、早く春になればいいのに、なんて――。
……この辺りは始めてかしら。少し……不慣れなように、見受けられますけれど。

【タマゴとレタスの挟まれたパンの端っこ、食べ終えてしまうまでの沈黙と、食べ終えた後に話しかける言葉の流れ】
【相席という言葉が出てこなかったこともある、なんだか見た目よりも選ぶ言葉が幼いような気がして、少しだけ不思議に思うなら】
【あまりこの辺りの言葉に慣れてない風に思わせた。穏やかに笑んだままの表情で、そう尋ねたなら、いたく穏やかな声色で】

【――相席と言う縁を繋ごうとしているようだった。単に、無言のままでは気まずいというものだったのかもしれないけれど――】
【それでも会話することになんら支障はない、どんな真意も透かさない笑顔は、ただ、ひどく自然に似合っていて、ほんものに見えた】

/気付くのが遅れました……すいません
489 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/22(水) 21:14:31.59 ID:XioXxN+3o
>>488

【言の葉が流れた、華奢な肩を強ばらせて、返事を待つ少女の表情がほっとしたように綻んだ】
【視線の先に在るのは女性の人懐っこい笑顔、整った顔たちの作る笑みの色は、緊張感を溶かしていく】
【雪銀のように澄んだ頬に体温の橙が混ざって、それでようやく、透明色の白が真っ白になる】

【とは言え、ちょこんと椅子に座った彼女は、借りてきた子猫のように肩を狭める】
【スラリと細長い眉尻をとろんと目尻に溶かしたみたいに歪ませてみたら、困ったような顔をして】
【相席なんて数えるほどしかしてなくて、緊張するのも、無理はないみたいに】


わ……ぇ、ぅん……ソニア、あんまり、此方の言葉ね、慣れてないの……
ぅー……でもね、でも……此方に来たのね、そんなに最近じゃ、ないの
だからね、ちょっと……しょんぼり、全然此方の言葉、慣れてない、から……難しいの


【それは見た目よりもずっと可憐で幼い言葉、辿々しい喋りは一歩一歩雪原を踏みしめるみたい】
【貴女の言葉を噛み砕いて、漸く返す言葉は、それでもどうして、時間がかかってしまうから】
【――――――それでも、目の前には貴女の落ち着いた笑みがあって、あんまり怖い気はしなかった】

【不慣れであるのは分かっている、けれども、此方に来てからそう短い訳ではないから】
【未だに上達しない自身の語学力に若干のショックを受けてるようにも見えて】
【しょぼん、と落ち込んだように視線を落とした少女は、注文のタイミングも、逃しちゃって】


……さっきね、おねーさん、何か、見てたの
わーって、一杯紙のついたね、手帳、ひらげてね、ため息、ついてたの
何か、やな事でも……あるの?


【少女の顔がそちらへと向く、両手をお膝の上にちょこんと置いて、視線を向ける】
【大きなマリンブルーの瞳がくりくりと揺れて、興味の色をそこに溶かすのだろうか】
【疑問符の代わりに小首をかしげたならプラチナブロンドの長い髪が頬にすぅと流れこむ】

【足元に置いたバイオリンケース、静かに佇むその様子が少女の静けさをかき消すみたいに】
490 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 21:16:26.62 ID:6aAnjmW2o
【路地裏】

【そこは行き止まりだった。コンクリート製のビルとビルに阻まれて、夜はブ厚い雲に包まれて息もできない。】
【ダクトから中華料理の匂いを混ぜた蒸気が上がる。室外機はこの静寂を埋める静かな騒音を立てていた。】
【どうしようもない。ここはアンダーグラウンド。黒よりも暗い灰色に包まれた袋小路だ】

【ダンッ!!と不意に銃声が上がった。何かがガラガラと倒れる音。そして誰かの怯えたような震えた叫び】
【射撃手の黒いブーツ。その足元には薬莢は落ちないということはリボルバー式の拳銃か。ただ、ひび割れたアスファルトがあるだけ】
【銃身に施された華美なエングレービング。朱に染まってその白銀の銃身に彩りを与えていた。】

―――『なあ!違うんだって!!違うんだってぇ!!全然全然違うんだって!!』

【青いゴミ箱をひっくり返してゴミのまみれになりながら必死に口を動かす男の叫び】
【壊れたレコードプレーヤのような乞いとは裏腹に、体は倒れたまま、壁にすがるように】

なぁにが違うんだよ。3人も”うたいやがって”。…みんな死んじまったよ。

『違う違うっ!!そうなるなんて思わないんだってっ!だって!』

知らねえよ。…いや、知ってんだって。全部。テメェ、1個の命で許してやるって
死ぬ時ぐらい黙ってろよ、ランブル・フィッシュ。……アダ名のセンスは好きだったぜ?

【しゃがれ声の男は目の前で喚く、男の額にその右手のリボルバーの先を合わせた。この銃口の延長線】
【そこにある消失点が、アイツの”消失点”バニシングポイントになるんだとそんなことを考える自分の冷静さに胃がムカついた】

【グリースで固めたオールバックの黒い髪、とんがったような鼻で夜だというのにサングラスを掛けている。背の高い男。】
【痩せた体躯に細身のスーツを合わせて、シャツは黒、ネクタイは白、胸ポケットから赤いハンカチがキザに少しだけ出している】
【右手に銃を構えて、撃鉄は起きている。引き金を引くだけだがそう意識してしまうと反射的に躊躇してしまうというか怖くなるというか】

『やめてくれっ!!!やめろっ!!なんだよ!!殺しはやらないんじゃないのかよ!!なあロッソ!!助けてくれよぉ!!』

【さて、この場に出くわす奴が居るのならそれは今週一番のアンラッキーになることだろう】
【なぜなら、目の前で人が1人頭を吹っ飛ばされて息絶える瞬間を銃声のBGM付きで見ることになるのだから】
491 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 21:32:03.59 ID:wKwBokEqo
>>478
「流石に俺も三人分の死体を持って帰るのは――ちぃと骨が折れそうだわなァ」

【眼前に現れた狂人が1人。この手の手合は、まともな会話が通じないと相場は決まっている】
【そして、その衣装を見る限り、青年の攻撃では物理的にダメージを与える術は存在していないと言っても良い】
【眼を細めながら青年は己の思考をまとめていき、するりと右手でベルトポーチからUSBメモリを引き抜いた】

「――――名乗るかよ。
騎士でもなけりゃあ武士でもない俺がなんでお前さんに名乗らなきゃならねぇ。
友達になれるかどうかは俺の正義℃汨謔セが。
――お前さん、グルクススがブランデン・ケミッシュを庇い立てするって言うなら、手を出さなきゃならねぇだろう」

【軽口を叩きつつ、青年は――己の左腕の切断面にUSBの接続端子をえぐり込むように刺し込んだ】
【ぶちりと鈍い音を立てながら皮膚を突き破り、肉体に直接接続されるUSBメモリ】
【直後、メモリは破砕しそれと同時に空間を歪めるノイズが顕現。即座に収束したそれは、アートマン体の左腕を作り上げる】
【素早く左腕をポーチへと伸ばし、引きぬいた手に握られていたのは】

【哲学者の卵】

「Over ClockSingle Core=\―――――」

【狂気の塊であり、数多の人間の人生を狂わせたカノッサ機関の兵器の一つ。それを有ろうことか、カノッサ機関に敵対するものが用いてみせるその異常】
【あふれだすノイズに含まれる情報は――狂気、悪意、絶望、憎悪、嫌悪。ありとあらゆる負の感情を詰め込んだマイナスの感情カクテルの群れ】
【空間を歪める程の悪意で構成された砂嵐のノイズ。それが左手に握られる卵に収束していき、びきりと罅の入る音を響かせる】

「――――――――ッオオオオオオオァアァァァァァアアアアアアアアアアアァッッッッ!!」

【卵が砕け散る。――孵化である】
【意図的に卵を付加させ、覚醒直後の不安定な感情増幅による狂気を双眸に宿し、歯をぎしりと軋ませながら青年は相手を睨みつける】
【全身をノイズと火花が舐めていき、その皮膚を、その神経を、その存在を――破砕し人ならざるそれ、アートマンへと置き換えていく】
【皮膚の上にアートマンのテクスチャを貼り付け、神経系をアートマンに最適化したものへと組み換え、眼は複眼と化した】
【人の皮の内にあふれるのは、負の感情。狂気に相対する為、青年は狂気の刃を引き抜いた。目には目を歯には歯をである】

「どうでも良いんだよ。――ああそうだ、お前らが何をヤッたかとか何をしたいだとか、そんな事はどうでも良い。
死ねよ。――俺の敵なら死ね。――――死なないなら殺してやる。死ななくても死ぬより酷い事をしてやるよ。
俺は、俺の正義のためならどんな外道も非道も悪行もやってみせる。――――――狂気如きで俺の正気を潰せると思うな」

【瞳に宿るのは、徹底した正気。透徹した双眸は、悪意と狂気と殺意と戦意と絶望と嫌悪と憎悪と希望と真摯と本気と――――理性が宿る】
【狂気的正気。通常なら気が狂っても可笑しくない、気が狂えば楽になれるような状況で迷うこと無く正気で居られるという狂気】
【狂気的なまでに理性的な正気の人非人が――そこに居た】【両手には引きぬかれたダガーナイフ。青年は眼を細めて、相手の出方を待っていた】

/*おまたせしましたー!*/
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 21:36:50.89 ID:EJhbPjP/0
>>489

【目の前に座った少女はまるで子猫のよう、びくびくと体を縮めるのは、放っておいたら死んでしまいそうに】
【そんな様子を対面から眺めている女は大人の猫のようだった。人間に良く慣れた、大人の野良猫みたいに】
【既に冷めてしまっているコーヒーを緩やかに口に運びながら、――ただ、時折ふっと視線を逸らしてやる間もあって】

そう……、ですが、慣れ親しんだ言葉から離れて別の言葉を覚えるのは難しいと言いますし、
……あんまり気負いすることでもないと思いますわ、わたくしだって、そんなことしろと言われましても……、

【「覚えられるかどうか――」、投げかけるのは、何も少女が悪いわけじゃないと、そっと教えるよう】
【今更新しい言語を覚えろと言われて、自分は出来るだろうか。きっと、元の言葉ほど上手に覚えられないだろうから】
【きっと少女と同じようになってしまう。それが仕事なら仕方なくやるだろうけれど――なるだけ、お断りしたい事案だった】

【コーヒーに砂糖を入れるように、緩やかに思考していることがあった、ちっとも見せはしなかったけれど】
【――簡単な言葉を選んだ方がいいのかしら、と。なるべく善処するようにしようと決めて、コーヒーを飲み干したなら】

……いえ、嫌というわけでは……ないのですが。もうすぐバレンタインデーですから、ね。友達がね、焦りだす頃なんです――。
“だいすきなひとにあげる”って言って、たくさん作ってみせるのを、全部味見する役なんですの。
その子と、わたくしと、もう一人の友達とで――ええ、とってもたくさん……。

【嫌というわけではない。ただ少し気が重いだけ――】
【少女が訪れたことで遠くへ行っていた溜息がまた戻ってくる、ふうと吐いたのは、外ではないから無色に溶けて】
【要するに毒見係だった。どんな風に作れば美味しいかの実験台、台所を提供して、ひたすらにチョコ菓子を食べる仕事】
【誰も居ない頃からにこやかだったのが刹那に薄くなる、僅かに遠い目をしてみせたのは、彼女には実は珍しいことで、】

…………何か頼みます? 新しくコーヒーを頼もうと思うのですけれど。

【思い出したように取り戻した笑顔が一瞬哀愁らしきを背負っているようにみえた。けれど、すぐにそんな残滓は薄れてしまって】
【メニューを取りながらそう尋ねてみせる言葉があった。一緒に頼んでしまうから、ということらしく】
【差し出したメニュー。写真付きのものなら、多少単語が分からなくても分かりやすいだろうか――?】
493 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/22(水) 21:51:57.99 ID:XioXxN+3o
>>492

【睫毛がすぅと網膜を撫でた、景色に映る貴女の姿に、僅かな憂いが混じったように見えたから】
【木漏れ日のような貴女の笑み、涼し気でそれでいて眩いその笑顔が、曇る姿は木枯らしのように吹き抜ける、から】
【何か、嫌なことがあるのかな――――――って思案する道順は、間違っては居ないのだろう】


……いいの、バレンタインデー……ソニアにね、関係ないもの、なの
おねーさんの、友達、羨ましいの、あげる人居るのね、とっても、良いことなの
おねーさんはね、いないの?……一緒に作ったら、楽しいと、思うの


【彼女の母国のバレンタインはそれこそ熱々なカップルのためのイベントであって、義理チョコ等という文化も無くて】
【だからこそ神聖たるイベントなのだろう、羨ましげに頬をふくらませる様子は、少し拗ねたみたいに】
【良いことなのって言って祝福する様子、頬に生まれた綻びは、笑みの形を描いて】

【うっとりと瞼を白百合のようなほっぺたに溶かした、少女の思うロマンチックなバレンタインデーの様子】
【そうして気づいたように瞼を開いたなら大きなマリンブルーの瞳を、貴女へと添えて】
【おねーさんには居ないの?と聞く様子は、近所の女の子とそう区別はない】

【近所に住んでいる綺麗なお姉さんの、恋の行方がきになるのは、少女特有の病気みたいなもの、だから】


ぁ……ぇっとね、うんと……ソニア、甘いもの、飲みたいの……
でもね、ここ、何が美味しいか、分かんないの
だから、おねーさん、頼んで良いの、おねーさんの勧めるもの、ソニア、飲むの


【差し出されたメニューを受け取ったなら、自分の前に開いて、両手を机の端に置く】
【じーっとメニューを見ても、よくわからないのか、首を傾げてうんうん唸る】
【頭の上にはてなマークが三個ぐらい出たなら、諦めて、貴女に助けを求めるのだろう】
494 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/22(水) 22:06:25.73 ID:X4W2y3Yeo
>>490
/まだ募集してますか?
495 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 22:10:05.18 ID:6aAnjmW2o
>>494
/おりますよー!
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 22:12:52.12 ID:EJhbPjP/0
>>493

【気が重たいのは、その友人がいつも、いつだって、その場の誰よりも幸せそう、だというのもあったのかもしれない】
【一人だけ先に抜け駆けた。それだけだって少しぐらいは羨ましいのに、笑う表情が、本当に幸せそうでしかないから】
【自分にはそんな相手は居ないし、きっと出来やしない。そう思っているなら、やっぱり、気が重たくもなるようで】

【(それに。彼女を笑わせることは、自分達では終ぞ叶わなかったのだから)】
【(あっさりと成し遂げてみせたあの男が少しだけ羨ま憎らしくて、――爆発しろという気持ちになるのも、仕方ないこと)】

……わたくしには居ません、そんな方――いらっしゃったらいいのですけれど、ねえ。
残念ながら今年もスケジュールは真っ白ですの、まるで雪原のように……どなたか新雪を踏んでくださりませんかしら?

ええ、一緒に作ります。はじめの数日だけですけどね、そのあとはひたすらに食べるのがお仕事になりますから。

【――そんな女性の年頃は二十歳かそこらに見えた。浮いた話のひとつふたつあるのが、普通な頃合で】
【けれど彼女にはそんな話が存在しないなら、ごく普通に退屈であることを嘆く女の子みたいに、そう口にして】

【(本当はとっくに踏み荒らされ尽されて茶色くなってしまった雪。純白の美しさなんて、もうどこにもないのだけれど)】

【机の上で指先を絡めるようにしていた。そうする指先はすらっとしていて、無駄のないような造形】
【やがて飲み終えたカップを隅っこに寄せて――終えれば、今度は、そっと頬に添えてみせた】

甘いもの……、それでしたら、ココアとか、抹茶オレとか……、その辺りなんて、如何でしょう?

……――そう、ここは確かホットミルクが変わっていて――キャラメルが落としてあるのでしたっけ、

【それから。少女がすっかりとお手上げしてしまえば、そっとメニューを貸すように、手で求めて】
【渡してやれば少女の方から見えるように机に置く。そうして指差すのは、ココアと抹茶オレ】
【どちらも生クリームの乗った小さなお皿がついていて、飲めばきっと暖かでほんのり甘いだろうから】
【――その二つを勧めて、どちらか選んでという間が空いた。だが、ふと、何か思い出したように指先が浮かんで】

【新たに指してみせるのはオリジナルホットミルクなんて題される代物。ホットミルクにオリジナルも何もないだろうに、】
【なーんて思ってみれば実際オリジナル要素、キャラメルが混ぜられていて、ちょっぴり始めての味わいがする】
【どれを選んだって彼女は頷いてみせるだろう、そうして店員を呼んで、ブラックコーヒーと、少女の選んだものを注文する】
497 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/22(水) 22:25:26.72 ID:XioXxN+3o
>>496

【不思議だな、なんて少女は考えたりする、目の前の貴女は少女でも分かるぐらいに綺麗だから】
【艶やかな黒髪に、嫋やかな物腰、気怠げに伏せてみせる視線など、銀幕の女優ですら裸足で逃げ出すぐらい】
【眩い太陽は眩しすぎて、直視するのを躊躇ってしまうから、そんな理由をつけてしまうのは、簡単だけど】

【――――――問いかけに胸がとくんとなったのは、きっと間違いじゃない】


ソニアがね、男の人だったらね、おねーさんみたいな綺麗な人、ほっとかないの
一緒にね、この前のクリスマス過ごしてね、一緒に色んなとこ、行きたいの

むぅ……羨ましいの、お腹いっぱい、甘いの、食べるの……羨ましいの


【彼女にとってのクリスマスがつい先週のことだなんて、余談にしか過ぎない】
【風に靡くプラチナブロンドの長い髪、右の手で抑えたなら、指先でくるくると回して】
【それでね、なんて言葉をつなげる様子はおままごとをしている少女みたい】

【お世辞なんて言える程立派な人間ではない、溢れる言葉は本心からの賛辞】
【そうして最後に見せるのは、羨ましげな少女の横顔、ぷくぅと膨らんだほっぺたが雪原を膨らませる】
【ロマンチックな想像の後は現実的な考え方、甘いものが好きなのは女の子の理由の一つ】


きゃ……ぁ……める……――――――ソニアね!キャラメル大好きなの!
演習でね、雪原を歩くの、重い荷物背負って、一杯歩くの、一日中歩いて、訓練するの
疲れてね、汚れてね、倒れそうになるの、でもね、最後に、キャラメルがね、一個だけ貰えるの
それをね、夜の間中ずっとね、舐めてるの、そしたら疲れが全部、消えるの、それで、明日も頑張ろうって――――――


【がたっと椅子が揺れた、思わず身を乗り出した少女が、立ち上がって両手をテーブルについたから】
【両手を合わせて頬の直ぐ側に持ってくる、笑みがくしゃっと綻んだ、そこに浮かぶのは白銀の雪が舞い散る結晶のよう】
【微笑み色の白をその見渡すかぎりの皚に写したなら、咲き誇るのは少女の色】

【語るのは少女の口から漏れるとは思えないぐらいにハードな内容であろう、それこそ夢物語のよう】
【喋り終えたなら、われに戻って――――――きゅーっとほっぺたを赤くして、ちょこんと座る】
【普段の彼女より小さくなった姿は、気を抜いたら、見逃してしまいそうなぐらい――――――】

【小さく残った言葉の端、少しだけ懐かしむような寂しげな声色】
498 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/22(水) 22:34:15.52 ID:X4W2y3Yeo
>>490

【酷いノイズだ───雑踏のざわめきよりも、騒がしい動物よりも、酷い音───人の命が奪われる音】
【肌寒い空気に乗り、冷たいコンクリートに乱反射して響く音は、確かに彼女には届いたのだ】

【届いたのだが、浮かんだのは笑みであった───ただ、歩きながら食べていたハンバーガーを食べるスピードは変わらなかったが】
【音が近いと思った彼女は、音の方向へと急がずに向かった、急ぐ必要もないし、もう遅いからだ】

───そうだそうだー、殺しはしないんじゃなかったのかー?

【現れるやいなや、ハンバーガーの最後の一口を食べながら、火を煽る風のように緩い台詞が投げ掛けられる】
【それ≠見ても、何を見ても、何にも動じず、どうでもよく】

【蜘蛛の巣が這い回る黒いパーカーを黄色いノースリーブシャツの上に着て、黄色色チェック柄のミニスカートと黒いスパッツ】
【黒いセミロングの髪の上に被る、白いニット帽に黒いゴーグルを被せた様は髑髏を被ったようにも見えて、オーバーニーソックスと黄色・黒の縞模様スニーカーがいかにも活発だと主張する少女だ】
【また、パーカーは腋の部分が空いた風通しのいい作りで、袖先は指貫手袋と一体化したような閉じた作りとなっている】
499 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 22:42:42.41 ID:0VG3oxJOo
>>491

【青年がUSBメモリを取り出し、その身に差し込む一連の流れ―――】
【ともすれば彼が武器を引き抜くにも等しい行為を、グルクススは眺めているだけだった】
【仮面で飾り立てた笑み一色の表情もそのままに、彼の狂気の汚染を見ている――】

【――その間に、背後のケミッシュは傷を押さえつつ路地の奥へと逃げんとする】
【足は遅いが十分だろう。グルクススという壁は厚い。直ぐに退ければ別かもしれない、が】

『フーン フ フン フン フン フーン♪ フーン フ フーン フーン フーン ――♪』

『……アハッ。怖いネ、恐怖だネ。僕も彼女もキミのことなんてなぁ〜ンにも知らないけどネ?
 狂気なんてそれを見るものが狂気と見るかどうかの違いだヨ?違う?違わない――ダロ?』

【ガチャガチャ≠ニいう音――さも当然のごとくゴム製の分厚いマントの内から取り出したのは】
【その名を『MINIMI軽機関銃』という、人を殺す兵器。さほど使い込まれていないと見えた】

【グルクススはまず、標準装備の二脚を引きちぎる。素手で、粘土でも捻るかのように。】
【次いでジャラリと音を鳴らす弾丸を装填してレバーを引き、引き金を引くだけに仕上げる】
【――ここで分かるが、腕や手もゴム製の装備で固めていた。耐物理もそうだが、異様に徹底している――】

『僕は死なないヨ。僕は殺せないト。……僕は狂ってないヨ、ちゃんと僕を見てよキミ、君……僕ヲ。
 ……そんな問答どうでもイイ?シカタナイね、ヒドイ事するなら僕も身を守らないト
 トコロで――爪でも剥がす?皮を剥く?狂気?何だろうネ、意味がゼンゼン分からないな、ァ――?』

『ゴメンごめん―――――お待たせ、じゃア死のうカ♪』

【何処か、彷徨っている≠謔、な問答だった。狂気はある。が、純粋には思えない】
【青年のそれが卵による正当な狂気なら、このグルクススのものは――上塗りされた狂気】
【まるで画板に上塗りされたような意識。乾いてひび割れて下地が見えた、ボロボロの非理性】

【―――軽機関銃が構えられた。直後に引き金を引く動きをして、口径の大きな弾丸が吐出される】
【威力は、まっすぐそのまま立っていたなら5秒と待たずグズグズのスポンジケーキになれるようなもの】
【その弾道に狂気も正気も無い。風の吹かない路地裏では、機関銃の狙いはそうそうブレることもない】

【逆に言えば、グルクススがやったのはただそれだけだった。銃を構えて撃つだけである】
【動かない、対策を取らない、怯えない。それは、機関銃で青年が死ぬと確信しているからか――?】

【まさか。そんなはずはない。となればなにか裏があるが、彼がそこに気付けるか、だ】
【ともかく――分厚いゴムで身を包んだ怪人は、大きい。青年が俊敏に動けさえすれば良い的だ】
【ダガーナイフでは奥までは届かないだろうが――アドバンテージは青年にある。それは確かだった】

/本日もよろしくですー!
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 22:48:11.37 ID:EJhbPjP/0
>>497

【――言っていないことがあった。この場で言う必要なんて欠片もないことで、ただ、ひどく重要なこと】
【ぐちゃぐちゃの雪を好んで踏みたがる人なんて居ないように、彼女はとっくに踏み荒らされた無惨な雪】
【或いは眼前の少女とも関わってはいけないぐらいに、汚してしまいそうなのに、こうして関わっているのは】
【好奇心は猫を殺す。けれどその好奇心に負けてしまった猫の、確かに罪深い幕間】

あら、本当ですの? わたくしもね、あなたさまが男でしたら、放っておきませんの。
バレンタインだって、クリスマスだって、誕生日だって、いつだって呼ばれれば一緒に出かけたいぐらい……、
いえ、呼ばれなくたって。どこかに行こうって、きっと誘っていますわ。

【さぞ嬉しそうに笑みが濃いものになる、そうっと豊かな胸元の前で合わせる両手、ぴったりと指先まで合わせて】
【トップコートの艶めきがぴかぴかと天井の明かりを映しこむ、指先を光でそっと彩ったなら、余計に華奢に見えて】
【つんとした造形の顔を精一杯に破顔させて、少女の言葉を喜んでいる。おんなじような言葉を返して、

そう思えたら、いいんですけれど――。
……まあ、でも。幸せそうにしているのを見るのは、とっても楽しいですから――。

【おやつにチョコレート菓子。素敵な午後だろう、けれど、問題は段々と食事にまで侵食してくること】
【そうでもなければ食べ終わらない。どうしてこんなに作れたと思うほどのチョコレート地獄、分けてあげたくなるぐらいに】
【それでも断ってしまわないのは、結局言葉の通りなのだろう。そんな友達を見ているのが、どうしようもなく、嬉しかったから】

……――そう、じゃあ、これにしましょう。

【演習。拙い少女の口から零れるにはあまりにも不似合いな言葉の色、一瞬言葉に詰まったようにも見えたけれど】
【それなら、と最終的な決定を下せば、すいませんと呼びかける声、猫を優しく呼ぶような声が店の中に響いていく】
【やがてやってきた店員に先ほど決めた内容を決めて、その背中を見送ったなら、空っぽの机を一度見やった間、】

演習……、どこかにいらっしゃいましたの? 少しね、聞きなれない言葉ですから――……。

【足元のバイオリンケースを視線が一度撫でた、習い事の練習のことを指すには、少しだけ意味合いはずれたように思えるから】
【別の意味合いを思い返す、そうしてみれば、――やっぱり、その言葉は少女の口から伝えられるには、不釣合いなよう】
【結局は判断しかねてそう尋ねるのだろう、思い浮かんだのは消防とか、軍隊とか、なんだか、そんな場所】
501 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 22:57:42.11 ID:7EzK4sb30
【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】








【路地裏。街灯の光も届かず、ただ月の明かりのみに照らし出される其処】
【銀の光に浮かび上がるのは一人の少女の姿で、その身体はこの場所に馴染むかの様に朱の液体で汚されていた】
【少し視線を移動させれば、心臓を抉り取られた男女の姿】
【―――――何が起きたのか、誰が殺したのか。結論に至るのは容易な事】


「これから、私…………どうすれば良いんだろう…………」

【シリアルキラーでも無く、戦闘狂でも無く。照らされているのはただの少女だけだ】
【衣服に朱の飛沫さえ染みこませていなければ、何かの迷いで路地裏へと訪れてしまったのかと勘違いしてしまう程に】
【――――然れど、現実は違う。この少女は確かに今し方人間二人を殺め、その心臓を冷たいコンクリートへと叩き付けたのだ】
【何故こんな事が起こったのは、本人にも分かっていないのだろう。何かが衝動的に湧き出て、気付けばこんな惨事になっていた】
【もう冷たくなった二人がそれぞれの得物を手にしている所を見ると、反撃しようとしていたのか――――それとも、相手から仕掛けてきたのか。今となっては分からない事だけれど】


「…………ずっとこのまま、なのかな……」

【明るい青の髪に、其れと同じ双眸の色。纏っている衣服は何処かの学園の其れだろうか】
【そんな容姿に似合わず、漂うのは禍々しい瘴気なのだけれど】
【――――広い世界。一介の少女が人を殺めるなんて珍しくも無い事。だが、悪魔を思わせる様な気配を漂わせているともなれば気を惹くには十分】
【果たして、この場を訪れた者が何を思うかは分からないけれど…………来訪者の存在に気付けば、少女は其方へと今にも泣きそうな表情を向ける筈で】
502 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/22(水) 22:59:02.07 ID:XioXxN+3o
>>500

【夕凪の景色は慕情に濡れた、悲しくも美しいありのままの世界】
【貴女の心の奥底に広がるその色を覗くことはできなくて、ただ美しいという表現しかできないけど】
【――――――首を傾げたのは何となく、でもそれは何も無いわけではないから】


嬉しいの、おねーさんに言ってもらえて、とっても……嬉しいの
そしたらね、ソニア、喜んでついてくの、おねーさんのね、好きなとこ、一緒に回るの
それでね、美味しいもの食べてね、一緒に美味しいねって、言って、遊びたいの

おねーさんのことね、もっと、もっと知りたいの


【それは今からでもできること、今からでもすればいいこと】
【気づいているかは分からない、それでも、貴女の言葉にぱぁと笑みを輝かせて声を響かせる】
【ソプラノが響いたなら、歌姫が零すのは無垢としか表現できない旋律】

【貴女の言葉を聞いて、とてもやさしい人なんだなと思った、友人の料理に付き合う様子】
【それはきっと惰性とかそういうものじゃない、それ以外の楽しみを感じているから】
【だからそんな貴女が、とても綺麗に見えたのだろう】


ん……ぅ……いたよ、ソニア……軍隊に、いたの……
ううん、いたんじゃないの、軍隊で、暮らしてたの、子どもの頃からね、ずっと
だから、ソニア羨ましいの、お菓子作りとかね、したことない、から……


【身の丈に合わない銃器の形、なぞる金属質の質感が少女の手には無骨すぎるくらい】
【想像するのもアンバランス、でもそれが言葉に落とし込まれて、響くから】
【曇った表情に映る表情はとても、悲しげな色】
503 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 23:14:47.30 ID:wKwBokEqo
>>499
「――――おうそうかい。じゃあ殺してやるさ」

【怪人のその安定しない揺れ動くような口調。不自然な狂気、それを見て――思考する】
【誰かによってそうされたとしたら、と。それは、かわいそうな被害者を救う為ではなく、眼前の敵を屠るための考慮としての思考】
【おそらく、だが。六罪王が彼らの上司であるならば、彼がそれをそうしたのだろう、とは考えられる】
【しかし、それ以上でも以下でもない。そして、彼を屠る術を持たない以上は――勝利を第一目的にすることを諦めることも考えなければならない】
【ここで取り逃がせば確かに被害は拡大するが、ここで死ねば己が捉えられるはずの悪党が増えてしまう】
【ならば、ギリギリの引き際まで踏みとどまり――徹底的に観察し尽くすことで、今後への収穫とすることも視野に入れた】
【視界が歪む。それは異能によって変貌していく神経系に、脳髄の処理が次第に最適化されていく証拠】

「ふ……ッ」

【銃爪を引く前に青年は動いていた】
【一秒前までに居た場所を鉛弾が打つ。そして、見る、見る、見る】
【銃弾すらスローに見える、感覚の異常真価。それは、マズルフラッシュのさなかで放出される弾丸の癖、反動の大きさ、それをどのように使用者が受け止めているかまでを認識する】
【弾丸の群れ。それを前に、動く。穿たれる前に穿たれる地点から足を外し続けるその回避は、それ以外に策は存在しないものの非常に危ない状況だ】
【一発避けるごとに針の穴に糸を通すような精妙な動作が求められる。だがそれを少なくとも200回避ければれば、相手の弾丸は尽きる】
【秒間約12発。最大装弾数であるベルト給弾の200発であろうと、フルオートで打ち続ければ弾丸は17秒弱で切れる計算。そこまでを一歩を終え二歩目を踏み出す時点で弾き出す】

(――200発あろうが200回避けなきゃいけないわけじゃない。200回まるっきり違う場所に撃てる訳じゃない。
一秒に12発なら大体予測で50cm圏内に5発は弾丸が集中する。ならば俺は一秒に3回弱避ければ良い。
――良いさ。通し続けてやる、細い細い道であろうと――なァ!)
【青年の挙動は、単純。相手の肘の曲がらない方向、射撃の反動で向けづらい方向に対して重点的に回避を行う】
【それでも幾つかの弾丸は脇腹を抉る。だが、風という不確定要素の無いこの状況における正確な射撃のおかげで青年の予測の正確性は大分高く】
【そこら中に赤い痕跡を残しながらも、5秒。人をミンチにするには十分な時間を生き延び――途端、両腕が閃く】

「しッ!!」

【螺旋回転を加えて投擲されるダガーナイフ、二つ】
【それらにはノイズが乗っており、一発は弾丸を受けて弾かれるがナイフが弾いた弾丸が他の弾丸を弾き、弾かれたナイフが他の弾丸を更に弾く】
【そうやって出来た鋼の暴風の隙間[ルート]を縫い、威力の低い悪意の銀刃が夜闇を走った】
【――触れた所で本体にダメージを与えられはしないだろう。だが、データに実態はない】
【相手の肉体に食い込んだならば、ダガーナイフに含まれた悪意のノイズは分厚いゴムすらを浸潤し、侵犯し――心を侵す】
【神経系を審判するだろうそのノイズは、精神に対してもその影響を発揮する。なにせそれは、哲学者の卵から抽出されたものだからだ】
【理性によって調整され支配された狂気の及ぼす精神への影響は――恐怖=z
【激痛と恐怖を関連付ける事で、青年の武装や力に対するトラウマを植え付け、今後の戦闘行動に影響を及ぼそうとしたのである】

【これで狂気が通用するようであればこの作戦を続行。それが通らないのであれば、また別の手段を講ずるしか無い】
【打撃は通じない。刃物であのゴムを引き裂いて致命傷を与える技量は保持しない】
【持ちうるすべは、物理防御をすり抜けるノイズによる精神汚染と神経干渉のみ。それらを駆使して、どこまで食らいつけるか】
【鋼の嵐の隙間を縫いながら、荒い息を必死に整えてジャッジを引き抜きながら――青年は雄叫びを上げる】

「ウゥゥゥウゥゥォォオォォォォオォァァアァァアッァア――――――――ッッッ!!!」

【びりびりと周囲の空気を震わせるそれは、アートマンによる助力を得たもの】
【わずかにノイズの混ざるその音波がコンマ以下5桁秒の一瞬だけ銃弾と拮抗。その隙間で銃爪を引く】
【はじけ飛ぶ都合40のバードショット。ばら撒かれる鉛弾とぶつかり合いながら軌道を変え、出来た僅かな隙間に脇腹や腕を貫かれながら身をねじ込む】
【弾切れまでの残りの時間は――数秒か】
504 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 23:16:01.84 ID:6aAnjmW2o
>>798

【だらりと、銃を握った腕を下ろした。銃口と同じように額が――いや、その内側】
【偏頭痛のようにひどい頭痛と視界が揺らぐ感じがした。二日酔いよりも慣れない嫌な副作用だ】
【コンクリートに血をバケツでひっくり返したように跳ね回して、ゴミの上に埋もれるように奴は死んだ】
【頭の中で鉛球が跳ねまわるその直前までなにかわめいていたが、何故こんなにも静になるのもなんだろうか】

【彼は腰のベルトに拳銃をホルスターにしまうかのように銃身を突き刺して片付ければ】
【ジャケットのポケットから赤マルとオイルライターを取り出して、手をかざしながら、それに火をつけた】
【くわえながら火を灯す。数時間ぶりの煙草だったがうまくも不味くもない。ただのマルボロの味だ】
【しかし、麻薬というものは優秀なものでとっちらかった思考も神経も新しいものにすげ替えたかのようにクリアになる】
【ここに押し込んで、始末したのは計画通りだ。忘れていたそのプランを思い返して、脳内のリストにチェックを付ける】

……けれど、生かしておくわけにもいかない。

【誰かはわからない、少女のあどけない言葉に姿を見ることもなく答えた】
【指にタバコを摘んで煙を吐き出して、死体を放って踵を返して何処かへ立ち去ろうとした】
【見られたところで困ることはない。アイツも死んで俺は殺して、それを見ちまって三者三様にlose-loseな関係なだけ】
505 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 23:17:33.85 ID:6aAnjmW2o
>>504>>498さん宛です
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 23:19:12.24 ID:EJhbPjP/0
>>502

【首を傾げたその仕草、追いかけるようにゆるく傾けられる首、ふわりと髪の毛が揺れて】
【さらさらした手触りが触れずとも分かるようだった。それと一緒に、きっと柔らかにしなやかなのだろうことも】

ええ、……それでしたら、今度、機会があればどこかへ行きましょうか。
食事でも、映画でも――あなたさまの好きなところが、わたくしの好きなところですわ、?

……それでしたら、まずはわたくしの名を名乗るところから始めましょうか。
二谷音々子と申します、お好きに呼んでくださいな――、あなたさまは?

【妙案という風に手を叩いてみせる、今度どこかへ行こうと誘ってみせたのは、余計に罪の色を塗り重ねるようでも】
【にこにことした笑みの形からはそんなこと、ちっとも窺わせない。そんな罪深さ、存在すらしないかのように】
【どこでもいい。最善を探るようで、その実丸投げな言葉、けれど、この国に不慣れなら連れまわしてしまうより、】
【少女の好きな場所へ行ったほうがきっと落ち着いて過ごせるだろうから――そのほうが、いいように思えた】

【――それから告げるのは自らの名前、好きなようにと結果を委ねて、それから少女の名前を問いかける】
【先ほどよりもはっきりと首を傾げれば、これから零れる言葉の端っこをしっかりと捕まえようとするようで】

――軍隊。

【きっと――これが、今宵女が始めて見せた、素の色だった。つんとつった宝石みたいな眼を、ぐうと丸くして】
【そうすれば鮮やかな緑色の艶めきが余計によく目立つ、黒色と不思議によく似合う、目に眩い緑色の宝石】
【眼前の少女と軍隊という単語が結びつかない、言葉を知らないようなら、何かと間違えてるんじゃないかと思うほどに】

それなら……、――これからいくらでもやってみればいいんです、そういった本もたくさん出てますし……。
仲良しの人と作ればきっと楽しいですの、“あなた”さまには仲良しの方は、いらっしゃるのかしら?

【――けれど、そんな色合いは長続きしない。何か失敗した猫が精一杯に毛繕いしてみせるみたいに、そっと隠されて】
【上擦ったようだった声の調子も戻される。そうして紡いでいくのは、それこそこれから始めればいいだろう、と】
【自分がそうであるように友達――仲良しの人とやれば、きっと、一人でやるよりも楽しいから。そう、尋ねて】
【名前を名乗ってくれたなら、その名で呼ぶだろう。友人にするような、柔らかな声音で、そっと】

【そんな折だ。店員が注文した品を持って、やってくるのは】
【どちらがどっちという会話が少しあって、やがて少女の前にかたんと置かれるのは、可愛らしいカップが一つ】
【暖かなミルクの上にはふんわりと泡立てたミルク、さらにその上にはキャラメルソースの格子模様が描かれていて、】
【口を付ければキャラメルが入っていることもあってほんのりと甘い。少女にとっては、微かに過去を想起させる味のはず】

【――音々子が頼んだのは何の変哲もないブラックコーヒー。面白みも何もなく、熱いのをひたすら冷ましているのが、余談だった】
507 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/22(水) 23:29:18.26 ID:XioXxN+3o
>>506

【――――――誘われた指先をぎゅっと掴むみたいに】
【返す言葉に嬉しさが満ちていたなら、そこにずっとゆくことが出来るのだろう】


ソニア、ソニア=エカチェリーナ=ドラグノフ
ん……好きなように、呼ぶの、だったらね、音々子おねーさんって呼ぶの
それがね、ソニアの一番好きな、呼び方なの

大好きなおねーさんを、そうやって、呼びたいの


【言葉に嘘はない、貴女の誘いに否定の言葉を述べるわけがなく、乗って行く】
【そしてできたらそのまま、貴女に射止められていたかった】
【そんな気持ち、きっと測るのは難しくない、から】


うんとね、セリーナとか、ユウトとか、ごーたろーも仲良しだし、ベイゼもアンジェルも、ソニアのお友達、なの
それにね、音々子おねーさんも、ソニアにとっては、仲良しなの
だからね、色々教えて欲しいの、ソニアの知らないこと、ソニアの、知らなかったこと、たくさん!


【言葉が弾んだ、少女の声色を響かせる、細やかな喉が、静かに揺れて】
【溢れる言の葉に手繰り寄せたなら、あとはもうその先は言わずともいいぐらいに】
【染まる微笑みの色合いがどこまでも、真っ直ぐな形をして】

【飲み物がきても、お話を続けるのだろう、それはやがて夜がふけるまで】
【いつまでもこの夜が、微睡みの中で見続ける夢みたいに、覚めなきゃ良いって思えるぐらいに、ずっと】


/ごめんなさい!明日早いのでこの辺りで……お疲れ様でした!
508 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/22(水) 23:37:04.04 ID:X4W2y3Yeo
>>504
キっザだね〜、超キザ、マジCOOL、かっけーっすよ旦那

【まるで猫のそれのような丸まった口元から紡がれる、人をバカにしきった褒め言葉の弾丸】
【横に転がる死体を最早気にもせず、パタパタとわざとらしい足取りで近付きながら、ポイすてたゴミは死体の頭に花を添える】

目撃者だよー?目撃者デスヨー?見ちゃうよー超見ちゃうよー?
写真撮っちゃうよー?拡散しちゃうよー?いいのかにゃー?

……あ、わっちフォロワー五人しかいなかったわ、あちゃー

【───煽りよる】
【何の目的もなく、しかし後々に何がどうなるかも気にせず、寧ろそれを待つかのように、男の後ろにピッタリと着き歩きながら、話はやめない】
【取り出したスマートフォンのシャッター音と、フラッシュが死体を照らす、今時の少女らしいが、何処か歪】
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 23:45:57.87 ID:EJhbPjP/0
>>507

【どこと言われたらどこにでも着いていくつもりだった。それぐらいならお安い御用だし、慣れているのだから】
【こちらに決定権のないデートなんて腐るほどしてきた、それと似ているような、けれど確かに違う今宵の約束は、】
【罪深い猫にそっと差し出された手のような、――ほんの少しだけ、暖かな世界に触れたような、そんな錯覚】

ええ、……それがいいなら、そうお呼びくださいな。

【それ以外でも別にいい。何と呼ばれたって、自分のことを指していると分かれば返事するのだし、と――】
【会話を楽しむ心は確かにある中で、ただ、どこかがすっと褪めているような、ずっとそんな気持ちがある】
【表向きばかりはいつだってにこにこしているから余計に性質が悪い。そんなところを、気取られたくないとふと思って、】

【苦い苦いコーヒーを飲んでみる――選んだ飲み物の味の違いだって、住んでいる世界の違いを示すようだった】

セリーナ……、ああ、あの……、聞いたことありますわ、他の方は分かりませんけれど、
……そういえば。ソニアさまも、大会に出ていらして? それでしたらね、わたくしはあなたさまを知っていました――。

【挙げられていく名前たち、きっと少女と仲良しの人たちの名前で、知らないものばかりだったけれど、暖かな音律が】
【彼らのことをきっと本当に好きなのだろうと教えてくれる、そんな名前の中に、ふと引っかかるものがあった】
【どちらか片方だけでは思い出さなかっただろう、二つの名前が揃ってようやく思い出す、それを聞いた場所に関わる単語】
【よほど大掛かりにやっていたのだから耳にだって入るだろう、きっと、そんな風な話題も出していくなら、】

【気付いたころには時計の針も大分進んでいる。なるだけ早めに帰ったほうがいいなんて、大人みたいな顔で促して】
【それから別れて、――大通りの隅っこ、ふと立ち止まったなら、寝起きの猫みたいにぐうと背伸びをひとつ】
【慣れないことをしたなんて考えて、ただ、嫌な時間ではなかったと。――そんな風に思いながら、家へと向かった】

/おつかれさまでした!
510 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/22(水) 23:52:15.13 ID:0VG3oxJOo
>>503

【弾丸の雨が降りしきる中、怪人は動かない。故に2本のナイフは容易に届く】
【だがやはり分厚いゴム製だ。奥にまでは届かなかったと見え、銃撃は止まらない】

『――アハッ♪心地良いネ、最高だネェ!哲学者の卵ォ……?
 ソンナもの僕に使ってどうしようっていうんだい!?!
 無駄だよ無駄無駄無駄無駄無駄――ムダムダムダムダムダムダムダァー!!』

『アッハハハハハハハハハっ!まるでハチミツだね、シロップだネ!
 さながら僕はパンケーキ!甘露な生卵をかけてさあ召し上がれェ―オっと―――』

【この分ではおそらく、心へのダメージもあるまい。むしろ狂気を増長させたように思える】
【それでも――心地いいと言いながらも、あまり好ましい感覚ではなかったに違いない】
【怪人はナイフの刺さったゴムのマントを留める、襟首の留め金をガチリッ、と外した】

【見える。マントの裏側、そこには無数の武装が括りつけてあった】
【鎖刃の錆びた二枚刃の大型チェーンソーが二振り、マチェットが三本は有るだろうか】
【軽機関銃は手にしたものと、ベルトタイプの予備が5本は見える。相当な重さのはずだが――】

【それでも挙動を可能にしてしまうのが足の装備だろう。何か、大道芸に使うような補力機だった】
【身長も偽物だったのだ。その機材を利用しているから、2mを超える長身に思えてしまっただけに過ぎず】

【またグルクスス自体も決して大柄ではなかった。衣服は――汚れたワイシャツと作業着】
【何より目を引くのがところどころ破れた箇所から覗く歯車≠ナあろうか。肘の関節や、胸部など】
【そこかしこに人体と融合するようにして機械的なものが見えていた。人造人間――とも違うように思えるが】

【兎にも角にも。グルクススである彼は、さほど太くも無い右腕一本でMINIMIを構えて乱射を続けるまま】
【落ちゆくマントから左手でチェーンソーを手にとって、そのエンジンを仮面越しに口でONにし】


『―――――YYYYYEEEEEEEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHH―― !!!!』


【人を裂くよりもえぐるために用いられるような大ぶりのチェーンソーは、火花を散らしながらガタガタの刃を回し始め】

【やがて一挙に攻勢に移る。景気付けとばかりに、自前のMINIMIを真っ二つに叩き落とすと】
【例の足の装備を使って、まるで獣のハンティングのように――数mを一瞬で詰め寄らんと試みて】
【そのまま左手の巨大なチェーンソーで青年をも。それも頭から叩き切ろうとするだろう】

【直撃しても――無論場所によるが、例えば腕なら骨で止まる。このチェーンソーは恐ろしく斬れ味が悪い】
【だからこそ痛みが有る。だからこそ狂者が使うにふさわしい。これもまた、受けるわけには行くまいが――】


【――またその途中で、グルクススはバードショットをしっかりと身に受ける。故に、シャツも真っ赤に染まり】
【その流血が、決して完全な機械ではないのだということを悟らせるだろう。そして何より――】

【仮面が割れる。紺色の瞳、髪は黒。肌は色白で、その表情さえ落ち着いていれば見れる顔だ】
【けれども今は違っていた。仮面の狂笑とはまったく違って、面持ちは悲哀と困難に満ちていた】
【こんなことはしたくないと。何かに悩まされていると、言わずとも告げるような様相。――刃は、その間にも青年に迫っていく】
511 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/22(水) 23:54:08.02 ID:6aAnjmW2o
>>508
/すみません!初めてすぐにではありますがちょっとPCが不調気味で
/よろしければ明日続きをさせていただきたいのですがよろしいですか?
512 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/23(木) 00:06:33.01 ID:yEDfNDFGo
>>511
/申し訳ないのですが日曜日迄は夜に来る事ができないんですよねー…
/このまま去った事にするか置きレスでどうでしょう
513 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 00:22:03.73 ID:mn6Txt8so
>>510
「……舐めるなよオイ。
効かないなら他をぶちかますだけの事――ッ温い、温い温い温いッ!! 死ぬかよ……!
この程度で、これぐらいで――死んでたらもう100回は死んでるッ!!」

【銃弾の群れ。それらを縫う青年の肉体は、穴だらけだ。盲管銃創、貫通銃創。その他様々な負傷で衣服は血で重くなって】
【それでも無理やり肉体に命令を叩き込み、そして生き残り続ける。激痛をくらおうとも、銃弾が身を貫こうとも、だ】
【目は相手から決して外れることはない。天上に設置した広範囲を見定めるその第三の目もまた、俯瞰の視点で情報を補完してくれる】
【完全に避ける必要など無い、完全に防ぐ必要など無い。死ななければ良い、負けなければ良い。勝つ必要など無い、負けなければそれで良いのだ】
【そして、完全ではなく必要十分を目標にした時点で、青年の挙動は自由度を増す。最高ではなく最良の選択肢を選び続ける事が許されるからだ】
【回避、回避、着弾、回避、着弾、防御、着弾、回避、着弾、防御、着弾、回避、回避、着弾、着弾、回避】
【刹那の判断。無数のそれらをこなしながらも更に分割されて4つにスレッディングされた思考は、相手の観察と作戦の策定も平行して行っていた】

(ミニミが複数。チェーンソー2つ、マチェット3つ。
……なんだこいつ、戦争でもしに行くつもりかよオイ。人は心臓か頭に鉛弾一発ブチ込みゃ死ぬってのに、過剰にも程があるぜ……。
弾切れを待つのは無理だな。流石にあと1000発避けきる自信はない、その前にたたきにされちまう。
…………なら、やるしか無い。倒すか、逃げるか。二つに一つ――決定、倒しに行って無理ならケツまくって逃げて情報リークだ)

【青年は、鉛弾を回避しつつ怪人のその武装を確認して、絶望的な状況を認識する】
【ミニミの予備が5つ。そして、予備のベルトが存在していたのなら、残りの弾数は1000ではきかないだろう】
【撃ち尽くさせてしまえば良いと考えていたが、1000発以上有るというならば話は別。流石に凌ぎきる前に肉塊になってしまう】
【そして、チェーンソーとマチェットという比較的重量級の近接武器を見て、遠距離も近距離もイケるのかと嫌な気分になる】
【単純な暴力こそが、青年にとっての何よりもの弱点。物量と破壊力は、青年のようなタイプの者にとっては決定的に相性が悪かった】

「――――取材の時間だなァオイ」

【ぎしりと躰を軋ませながら、チェーンソを引き抜き駆動音を響かせる相手を見て――苦笑を零す】
【腰のベルトポーチに手を伸ばし――一気に引き出せば、ケースに収められた3つの哲学者の卵がそこには有る】
【あふれだすノイズ。そして、チェーンソーとの咬合の瞬間に――破裂音が響き渡る】

「Over Clock Quad Core=\―――」

  <<観測情報を元にデータ結晶体を精製>>
     <<結晶体の結合構造を調整し足りないためデータを補完開始します>>
  <<外部データ再現開始テクスチャ展開>>
     <<身体スペックが完全再現に必要なスペック要件に足りません>>
  <<身体を破砕しアートマンによって再構成します>>
     <<システムオールグリーン>>

【脳裏に組み上げていくのは、ロジック。――観測したそれを完全に再現するための、それ】
【雷撃など扱えないが、それの感覚だけを再現することは可能だ。同じく、その衝撃も苦痛もだ】
【――青年の双眸が開く。あふれだすライムグリーンのノイズの群れは、砂嵐となって駆動音と衝突する】

「――――Imitation Saverミョルニル<bッッ!!!」

【空間を突き抜ける轟音。振りぬかれるのは――巨大な槌。……ただし、それは外見だけは一緒でも中身は全くの別物であるのだが】
【ばちりばちりと空間を駆け抜ける雷撃の甲高い音響を響かせながら――迫る相手を頭上から叩き潰さんと振り下ろされていく】
【重量は存在しない。だが、命中したのならば本物のミョルニルが当たったかのような衝撃と苦痛と感電≠ェ与えられる】
【それは実態の無いダメージ。だがしかし、その虚構のダメージの存在感はリアルと錯覚しかねない程に精緻に作り上げられたそれ】
【それと同時に、哲学者の卵4つ分の精神汚染を応用した――アートマンHello Worldによる精神と神経に対する干渉が発動する】
【精神に与える干渉は鎮静=B神経に与える干渉は四肢に対する命令の中断≠セ】

【相手の与えられた狂気を何らかの形で剥ぎ取ることが出来れば、六罪王やカノッサについての情報が得られるかもしれない】
【そう考えた青年は、相手を生け捕りで捕縛するために、その一撃を振るうことにしたのである】
514 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 00:50:46.43 ID:/qDTNFjNo
>>513

【―――グルクスス・シャリエール≠ヘ、チェーンソーを振り落とした。そう錯覚した】
【そう、正確には――取り落とした≠フである。何故か。叩き潰されたから、というのが答えだ】

【実に簡潔で分かりやすい回答だろう。グルクススは――成る程、確かに恐ろしい敵だ】
【ゴム製の装備は物理は勿論、一部の属性にも強い。それを使用する程度の膂力も有るのだろう】
【まして装備については語るまでもなかった。実際、場所によれば数百人は殺せる武装なのだ】
【オマケにパワーアーマーじみた物まで身につけているのだから堪らない。化物――それがふさわしい】

【――そう、化物だ。では化物退治にふさわしいもので真っ先に思いつくものは何か】
【ブランデン・ケミッシュの戦い方≠ェまさにそうではなかったか。だとすれば――】


『あ……ガ、ふ、ウげ、ぁ……!!きさ、貴様貴貴きききっっっっっっっk――、……よくも。』


               『よくも僕の作品を壊したな=x


【最後のそれは――声ではない。録音のように思えた。恐らく回路がショートすると同時に】
【つまり一部が機械仕掛のグルクスス・シャリエール≠ェ止まると同時に流れる仕組みになっていたのだろう】

【その後に証拠隠滅用の爆破が有るとか、そういうことも全くなく】
【僅かに手足が意志と反してばたばたと動いていたが、やがてピンで留められた虫のように静まり返り】
【仮面とも先の表情とも違う、極度の疲労からくる昏睡のような――そういう表情で、完全に停止した】

【―――時を同じくして、路地裏の一方から駆け寄る足音が聞こえ】

UNITED TRIGGER≠フアンジェル・ベルジュロンよッ!双方動かなッ、って……あら?
……ええと、もしかしてちょっとだけ……遅かったかしら―――?

【朱い髪。それと対照的な真っ白な将校服と外套に身を包んだ若い女性が足音の主であった】
【警察でも自警団でもないが、恐らく騒ぎを聞きつけたのだろう。手には刀も握られていて】
【しかし何処か拍子抜けした様子なのは、既に一人が、より危険そうな一人を倒していたからだろう】

【――ブランデン・ケミッシュの姿は既に無かった。グルクススという壁を利用して、うまく逃げおおせたようだった】
515 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 01:03:10.68 ID:mn6Txt8so
>>514
【轟音。そして、砕け散る硝子のような音】
【振りぬいた体制のまま、血だらけの青年はその双眸を戦意、殺意にぎらつかせて――己の行動の帰結を見送る】
【観測した結論は、一つ】

「…………ッ通したァ――!!」

【腕に確かに伝わる衝撃、手応え。異形を屠るのにふさわしい力を己が持たないのならば、用意すれば良い】
【その思考が功を奏した。あまりにも負担が大きいそれは、少なくとも連続して扱えるものでは決して無いのだから】
【即ち、作戦成功。ただし、ブランデン・ケミッシュは逃してしまったようだが、二兎を追って二兎を逃すよりはまだマシだったろう】
【砕け散る虚構の槌の欠片の降り注ぐ中で、青年は片膝を付いて地面に崩れ落ちる】

「――――知るか。誰かは誰かの物じゃない。そいつはそいつのものだ。返してやりな」

【かつて誰かのもの≠ナ作られたもの≠ナあった青年は、吐き捨てるようにそうつぶやいて】
【2つの死体と気絶した2人のカノッサ機関構成員の居る、血だらけ瓦礫だらけの中で、1人意識を保って佇む】
【右の眼球が負荷によって粉砕し、左腕もその形を維持できずにくだけていき、隻腕隻眼へとなる青年】
【作り替えられていた肉体があるべき形に戻り、負荷によって全身には絶え間ない疼痛が襲い来る】

「……っぐ……ぅぉ……ぇ」

【地面にびちゃりびちゃりと血と折れた歯の混ざる吐瀉物を吐き捨てて、青ざめた顔で青年は深呼吸を繰り返す】
【足元には、哲学者の卵≠ェ4つ。それにてを伸ばし、青年は己のベルトポーチにしまい込み】
【漸く来たUNITED TRIGGERの構成員に視線を向けて、僅かに嗤う】

「…………遅ぇよ、死ぬかと思ったし殺しかけたぜ?
――カノッサ機関構成員。片方は名前不明、一方はグルクスス・シャリエールと言う名称。
もう一名居たブランデン・ケミッシュは残念ながら取り逃したが、この二人の捕縛を依頼する。
この件についての情報はフリージャーナリスト谷山基樹が各種機関に提供することを約束するから――悪ィが、作業終わったら肩貸してくれ」

【つらつらと己の立ち位置を口にしつつ、地面を這いずりながら壁に背を預けて死体と機関員の回収を依頼した】
【アンジェルの作業が終わるまで、青年は目を瞑りわずかでも体力の消耗を避けようと休息を始めることだろう】
516 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 01:25:01.00 ID:/qDTNFjNo
>>515

む……悪かったわね!これでも通報を受けてないのに一番乗りなのよ?
むしろこんなに可愛い救援が来てくれて感謝でしょ、感謝っ!

……っと。機関なのね?最近はGIFTの方が活発なイメージがあったし
てっきり沈静化してるかと思ったけど……犠牲者は二人、乃至三人って所かしら
ブランデン・ケミッシュが逃亡……OK、そっちはちゃんと他の人にも伝えとくわ

でも気になるのが……今シャリエール≠チて言ったわよね?
グルクスス・シャリエール、って……。……あの騎士団長と同じ名字。

【駆けつけたばかりのアンジェルからすれば、ここでの戦いは想像もできない】
【ただ、青年の傷がヒドイものなのは分かった。――それでも下手に喚いて気遣ったりしないのは】
【流石に慣れたものだからか、それとも彼が話せるから大丈夫だ、と判断したからか】

【どちらにせよ、些かのつぶやきがあったものの大声を上げるようなこともなく】
【そういう点では青年は目を瞑って、ある程度はゆっくりと休息を取ることが出来るだろう】

【その間に一人、また一人と自警団やら警察やらが駆けつけてきて】
【アンジェルが代理で状況を説明し、倒れ伏した『元』グルクススを病院へと運ばせて】
【そうして五分ほども経っただろうか。或いは十分かも知れないが――】

……ふぅ。取り敢えず、言われたとおりに捕縛の依頼……検問とか、その辺りお願いしといたわ
倒れてた彼も一先ず病院送りだけど拘束されるはず。よくあんなの倒したわね?

それと……手、貸しましょうか?病院までならおぶって行ってあげてもいいわよ?

【彼女はそんな事を伝えながら、ふと手を差し出した。それを取るならば、また良し】
【アンジェルは言葉の通り、望むならしっかりと担いで病院や、或いは何処か希望したところまで連れて行くだろうし】
【そうでなければ、力になれる範囲でなんなりと。どちらにせよ――戦いは終わったと、そう判断して差し支えないはずで――。】
517 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 01:29:44.24 ID:mn6Txt8so
>>516
「――……ふぅ……。
……悪いな、おぶさろうにも腕がないからよ。
肩だけ借りさせてもらう。……にしてもUTにSCARLETか。
旅してる内にJusticeも青義同盟も対機関連合もどっか行っちまった、か。
……傷治ったら今度そっちのアジト取材行かせてもらって良いか? 戻ってきてからその手の組織の取材してないからさ」

【隻腕の青年は、少女の背におぶさるのはなかなか困難と言えて】
【少女の手を取った青年は、そのまま少女の肩を借りれば、満身創痍だというのに取材のアポ取りをしつつ、おとなしく病院まで治療に向かうことだろう】
518 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 01:41:36.28 ID:mn6Txt8so
>>516
/*うごご、半端でなく眠いのでここらで病院行って別れたことにして頂ければ……乙でしたー*/
519 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 01:45:46.26 ID:/qDTNFjNo
>>517>>518
/っと了解です!お疲れ様でした&二日間ありがとうございましたー!
520 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/23(木) 08:11:18.27 ID:qSCyKFtso
>>512
/では長引かせては申し訳ないので別れたということで…
/本当にすみません、またどこかで埋め合わせができればうれしいです!
521 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 18:18:32.07 ID:wjiW1Nv9o
【路地裏】

【主に身寄りのない者達の生活区域となっている場所を進む、一人の男がいた】
【彼は隅に座る浮浪者の男達と親しげに挨拶を交わしてから、再び歩き始める】

……成程な、地道に稼ぐのが一番安泰か……一気に金が入ると一気に使うからな
しかし、ビッグイシュー配って歩こうにも、この顔じゃどうしようもないか……ったく

【よれた黒のスーツに黒いネクタイを締めた喪服姿の、酷く血色が悪い男】
【癖のある黒髪、鋭い灰色の目、右頬に「牛の生首が載った皿」の刺青がある】

【不意に男は立ち止まった。見上げる曇天から降りゆく雪が、狭い此処にも落ちて来る】

雪、か……

【舞う白を視界に入れてさめざめと浮かぶ記憶は全て真っ赤な血の色、幼い命乞いの声】
【この脳天を貫かれたのも雪の日だった。あの裏切りも全て、自業自得に過ぎない事】

【空を見上げ、茫と佇んだままの男は、通ろうとする者があれば邪魔になる立ち位置にいた】
522 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/23(木) 22:00:37.85 ID:rP6/CucTo
【――――――いくつもの建造物がひしめく水の国】
【その中に於いて一際目を引く建物があった】
【一見すると中世の大聖堂を思わせる巨大なゴシック様式の建物】

【白を基調としたその外壁は月夜に浮かぶ白き幻想が如く】
【中から溢れる淡やかな光がその建物がまだ開館していることを伝えるのだろう】
【そう、開館――――――この建物はつまり図書館≠ナあるのだ】

【王立国共図書館∴スる王によって作られた、いくつもの国によって経営されているその図書館】
【またの名をDrowing Pool≠サの名に示される通り、中に踏み入れたなら天井まで届きそうなほどの高さにまで本棚が連なっている】
【中には術式によって移動式の床が備え付けられており、人々は皆、それを使い思い思いの蔵書に目を奔らせていて】

【そんなどこか不思議でどこか荘厳な空間の中、響き渡る轟音が一つ】
【何事か、と目を向けてみたならばある一帯で本の山ができているではないか】
【本棚から零れた大量の本、人ひとり位なら十分埋まってしまいそうなほどに】

【――――――現にどうやら、その本の山下敷きになっている何者かがいるようで】
【くぐもった声が、微かに聞こえてくる気が、しないでもない】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 22:09:07.82 ID:A4/fUCEX0
【街中――児童公園】
【朝から続く暗雲が空を真っ黒に隠す、そこから降り続ける雪は世界中を真っ白に隠して】
【街灯の明かりが白い雪に乱反射すれば、まるで夢の中のように不思議とぼんやり夜中は明るく】
【音までも白さの中に吸い込まれてしまったなら、しっとりとした静寂が、そっと辺りに満ちていた】

……――出来た。

【――そんな中に響くざくりとした音、もくもくの雪を踏みつける足音に聞こえて、続く声があったなら】
【どうやら公園内に誰かが居るらしいと周囲に知らせていて、雪降る中だって、その姿はきっと窺うことが出来た】

【真っ黒色の髪を自然のままに流した少女。臙脂色のリボンカチューシャが動きに合わせてふわりと揺れて】
【黒色と赤色の取り違えたようなオッドアイ、まあるい眼窩にはめ込んだなら、まるで蛇のように艶めくよう】
【黒色のワンピースは裏布が赤い色をしていて、姫袖の中や、アシンメトリースカートの中に、赤色をそっと飾り】
【レースや刺繍で飾ったマントがふわふわした洋服をそっと隠し込む、白色の侵食から、優しく守ってやるように】
【膝までのロングブーツは底の厚いがっしりとしたもの。雪の中だってぶれないぐらい、しっかりとしていた】

あとは目と……手と……、……口?
枝とか石は――……、でも、埋まってるし……、ううん、

【――見れば、雪だるまがひとつ、出来上がったところらしい。少女の腰ほどまである、可愛らしい雪だるま】
【少しだけ頭でっかちなバランスはデフォルメしたようでもあって、けれど、いまだに顔も手もないのっぺらぼう】
【腰に手をやりながら悩むように声をあげる、――見渡した先は一面の白銀世界、石も枝も、見えないのだから】

【少しだけ離れた位置に置いてあった傘を取り上げて差す、髪や肩に積もった雪をそっと落としながら】
【髪を払った仕草で見えた耳元、右だけにピアスが付けられていた。宝玉の欠片をあしらったもの、一度煌いて】

何か持ってたかな――……。

【肩から提げていた鞄を漁ってみる間。けれど冷えた手では難儀しているようで、どうにももたもたとしている】
【そんな平和な景色は、ただ、夜の中で少しだけ目立っていたよう。耳元の宝玉のせいもある、誰かを呼び寄せるかも、しれなくて――】
524 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/23(木) 22:57:05.97 ID:ANwQ2YWq0
【夜も遅くなったにも関わらず、賑やかな街】
【露店やら何やらが所狭しと並んでいて、眺めるだけでも楽しい気分にさせそうな其処】
【様々な人々が入り乱れるのだが、その中でも一際珍しい職の者――――教会に属する者が人混みを縫うように歩いていて】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば去年も大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとする事だろう】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】









【月明かりが差し込むけれど――――妖気漂う、不気味な森の中】
【ドシン。――――大地を小さく揺らしたのは、そんな音】
【見れば、一人の巫女と、地に横たわる巨大な妖怪が一体居て】


「殺す気は毛頭ありません。元より、あなたを殺せなんて指示は一つもありませんでしたから
…………ただ、少しばかり被害を出し過ぎた様ですね。ほとぼりが冷めるまで、天鬼家の方で大人しくしていて下さい」

【札を一振り。其れに応じるかのように倒れていた妖怪が仄かな光を放ち始め――――件の札の中へと吸い込まれていった】
【所謂封印だとか、そんな類であろう。妖怪を閉じ込めた札を懐に仕舞えば、漆黒の双眸は夜空へと向けられて】
【――――能面の様な表情からは何を考えているのか読み取れないけど。溜息の如く僅かに吐かれた白い吐息が、微かな感情を表している様でもあって】


「まあ、私は一緒に行けませんが。…………さて、運動して小腹が空きましたね
食事処でも探すとしましょうか」

【僅かに乱れた装束を正し、視線は腹の虫が鳴く其処へと下され】
【――――妖気を辿ったか、先程の轟音を聞き付けたか。或いは、また別な何かかもしれないけれど…………】
【この場に訪れる者が居たならば、そんな巫女の姿が視界に入るだろうか】
525 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/24(金) 01:08:42.57 ID:b4vWBFXio
>>324
【男は不思議そうに小首を傾げて、飛来するカードを手に取り、矯めつ眇めつ眺めてみる】
【仕掛けの跡が見当たらないので、クロースアップ・マジックの類いではない。ならば能力か何かだろうと一人合点】
【胸ポケットから取り出した名刺入れにそれをしまうと、自分の名刺をそちらに放ってよこした】

……カイ。しがないフリーの何でも屋さんだよ。今の事務所は水の国だけど、御用向きとあらばこの通り、どこへでもさ。
ああ、念のため言っておくけれど、今回はロハでいいよ?
この業界は信用が命だからね。初回はお試しって事で、サービスするようにしてるんだ。

【「どうぞ、ご贔屓に」】
【剽軽な笑みにほんの僅か、覗かせた下心──あわよくば自警団とのコネクションを、という思惑を──隠しもせずに】
【下手なウインクを一つして、よっこらしょ、と、年寄りじみた掛け声と共に立ち上がると】

こう見えて化け物相手は得意でね、大船に乗ったつもりで任せておくれよ。
次に会う時には、必ず良い報せを持ってくるからさ! じゃあまた、今度ね──!

【ひらり、後ろ手に手を振って、相手に別れを告げる。男の去ったあとのベンチには、ひしゃげた空のスチール缶】
【横でなく縦方向にプレスされたその残骸は、細身に似合わぬ万力めいた腕力の産物だった】
【耳が良ければ、彼が立ち去る直前に、機械の駆動音にも似た音が響いたのを聞き取れるだろう】
【どうやら、完全な生身の人間ではないらしい。巨大な魔獣を相手にするのが得意というのも、頷ける話だ】

【ともあれ、そんな事より重要なのは、男が先程の忠告を無視して、またもゴミを置き去りにしたという度し難い事実だ】
【人の座るベンチに無造作に放置している分、ただのポイ捨てよりも性質が悪い】
【これはもう、次回会ったら一自警団員としてきつくお灸を据えてやるべきだろう】

【ゴミはゴミ箱へ。幾らタフガイを気取ろうが、駄目なものは駄目なのである……】
//〆のレスを投下させていただきました。遅くなって申し訳ありません、決断的に研修行ってきます……!
526 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 02:51:20.35 ID:pFej4DUpo
>>525

【彼の想像通り、これは男の能力に依るもの。トランプを扱う辺りキザで似合いだとか言われもしたもので】
【――それはともかく、男はやはり、格好つけた仕草で名刺を受け取るのであった】

オーケー、カイだな。
ま、タダってんならお言葉に甘えるとして宜しく頼むぜ。
――――おう、それじゃあまたな!

……って、まーたゴミ放っていきやがって……もう行っちまったし。
ついさっき言ったところじゃねえか、全く……

【ちらりと見えた下心も、特に気に留める様子もなく。ただへらりとした笑いを浮かべるばかり】
【結局、そんな様子のまま去り行く彼を見送って。すっと、手を伸ばす先にあるのは件の缶】
【――――引き寄せた缶を眺める碧の双眸は、何事かを思案している様にも見えたが】

……潰す手間が省けたよー、なんてな。
しっかし、半機械仕掛けの何でも屋、ってか――――色々いるもんだなぁ……

……――――あ、そういやあの忍者についても調べておくんだった。あー、何か情報、見付かるかねえ……

【少しして、大きく伸びと欠伸を一つずつ、立ち上がって歩き出したらひしゃげた缶はゴミ箱へとシュート】
【缶が描く放物線は、少しゴールから逸れていた。しかしそれを、一枚のトランプが『カツン』と修正して】

【それから、広場の外へ向かう途中で何か思い出した様子で、これまた大きく溜め息一つ】
【「プライベートでもこれってどうなんだ……」とぼやいた声が妙に響いた、そんな夜であった――――】



/いえいえー、お疲れ様でしたー!
527 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 20:00:52.78 ID:qz3vcvqSo
【海に臨む丘陵】

【さして道が有るわけでもなく、眺望が良いわけでもない。そんな丘の上に、人影があった】
【髪は金。ふわりと柔らかな髪質らしいのが一目で分かり、また背は180cmもあるだろうか】
【豪奢なマントを羽織っていたが、ほかは至って質素な身なり。唯一、そして最大の特徴は――】

【その仮面≠ナあろうか。小説の中で、社交パーティーに使われるような物だ】
【両目だけが覗いているが、危険な輝きはない。あくまで顔を隠すためだけのアイテムのようで】

……ここも違う、かな。そもそも断崖絶壁ってイメージとは違うし、低いし
それに今夜は曇りがちで月も見えない……来て損したかな
せめてケミッシュ君なり、話し相手でも連れてくれば……―――。

【そんなボヤキを潮風に乗せながら、彼は茫洋と佇んでいた】
【空には冬独特の重い雲。周囲を照らすのは、やや遠くの街の明かりと、灯台のそれ】

【周期的にこの丘陵までを照らす灯台の明かりが、奇妙に哀愁に人口色を混ぜている】
【――と言えば聞こえは良いが、実質、一人の奇妙な男が立ち尽くしているだけであり】
【強いて言えば、金髪とマントの刺繍。これが時折輝いて、遠くからでも目を引くかもしれなかった】
528 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/24(金) 20:52:52.38 ID:aVnCgZfeo
>>527

【丘の直ぐ側、右手の方向10mほど行った場所】
【海に臨むその小高い丘の先端ギリギリに立つ、少女の姿が目に入るであろうか】
【灯台の灯火に照らされる髪の色――――――紫苑色のそれは、あまり見ない色合いで】

【仄かに赤みの混じったその彩りは、日本画の絵師が嘆息の声を漏らしてしまうほどに】
【断崖に咲く一輪の紫苑の花、夜風を浴びるその様子は、どこか儚げな色合いに満ちて】

【腰まで届くような紫苑色の長い髪を白いリボンで一本に結って】
【純白のブラウスの上に臙脂色のケープを羽織って、胸元には大きなリボンをあしらう】
【同系色の短いスカートとニーソックス、しなやかな脚のラインをくっきりと示す】

【特徴的な紫苑色の瞳は彼女の童顔に似合っており艶やかに映る】
【純白の素肌はやや弱々しげだが、知的な印象と幼気な印象を与えるスラリとした体躯の少女】
【小さな手を包む白磁のような手袋がその手にピッタリとあっている】


――――――あっ……!!


【少女の華奢な身体が風に吹かれた、背中をぽんと押されたように急に強く吹いた風に急かされる】
【踏み外す足元、声が漏れるのは一瞬、少女の体が宙空に浮いたなら、そのまま落下するのだろう】
【――――――刹那、どうやってか手袋に包まれた右の手が崖のギリギリを掴む】

【だが、少女の身体を支えるにはどうして小さすぎる掌、このままでは落下するのは時間の問題か】
【険しいとはいえない丘陵ではあろうが、落ちたらまず怪我では済まない】
【そんな少女の様子を、見ることはきっと可能であろうが――――――】
529 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 21:11:04.88 ID:qz3vcvqSo
>>528

……ん……―――――?

【周囲には動物はおろか、まともな大木も無い。ふと周囲を見れば、少女が見え】
【自分以外に誰かが居たこともそうだったが――男にっとての第一印象が美しい≠ナあれば】
【意識をひかれるのも、まあ当然の事。誰が知るでもないが、彼はそういうものに敏感で】

(近くに街があったけど、そこの子かな。だとしたら……惜しいなぁ)
(画材さえ持ってきてれば絵の一枚でも描いたんだけ、ど――――って)

【声にこそ出さなかったが『絵になりそうだ』とか、そういうことを思っていた折――】
【ふと吹いた風に、その背が押される。生憎と男には、彼女を即座に救う術は無いようで】

【――だが、その後すぐであればまた違うらしい。ふと周囲の空気が変わるのが分かるだろうか】
【どこと無く空気が篭ったような。まるで屋内の――そう、劇場に居るような空気に。】
【見れば周囲の雑草が、まるで観衆になったつもりのように、尽く少女の方を眺めていて】

(……僕の力じゃ引っ張りあげられないからね。あまり能力は使いたくないけど……
(此処は素敵な騎士様に登場してもらおうか……さあ、本日の主役のお出ましだ――。)

―――――彼≠フ手に掴まると良いよ。大丈夫、僕よりは頼りになるから

【男が少女に声をかける。そして、ふと崖の淵を掴んだ彼女に影がかかり――】
【見上げれば、其処に居るのは一人の騎士。重鎧を身につけ、兜と鉄仮面まで装着していて】
【何処にも肌色は見えなかったが、如何にも理想的な戦士というふうで】

【その騎士は跪き、大きな手を少女の方へと差し出した。掴まれ、ということなのだろう】
【或いはその余力も無いようであれば、崖に掴まった方の手首を掴んで引っ張りあげんとすることになる】
【膂力は――少女が平均的な体重なのなら、問題なく持ち上げてしまう程度。――生気は感じられなかった】
530 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/24(金) 21:23:44.65 ID:YeG9jomN0
【鉄の国―――地方都市・飛行船停泊所=z

【鉄の国の北部山岳地帯にある地方都市、山の谷間に作られたそこは飛行船の一時停泊の場所としても使われている】
【その中の一つ、今さっき新たな飛行船が到着したばかりで人々でごった返している停泊ドック】
【予約していた宿に向かう者、観光地に向かう者………皆が思い思いに立ち去っていく中で柵にもたれかかって景色を見ている人物が一人】

―――この程度の術式で偽装できるとは、国際指名手配と言っても存外甘いんだな
いや、近代化ばかり先駆けて魔術などに対しする認識を疎かにしたこの国の弊害とも言えるか。

何にせよ………ある程度動けることは出来そうだな。

【その人物は―――。】
【少し量が多めのウェーブのかかった銀髪をオールバックにして、冷徹な雰囲気を持つ深い闇を落とした紫の鋭い瞳をしており 】
【黒いタートルネックの服の上に灰色で背に金十字≠フエンブレムが入ったロングコートを纏って白い軍靴を履いた長身の青年だ】

【人がまばらになったドックの中で、ポツリと独り言を呟きながら風景をどこか寂しげな瞳で見つめている。】
531 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/24(金) 21:26:49.87 ID:aVnCgZfeo
>>529

【打ち付ける風の厳しさ、それはさながら折檻にも似て、花弁のような紫苑の瞳が曇る】
【小さな口元が震える、噛み締めて漸くその残影が消えて見えるぐらいに】
【それでも彼女の小さな掌じゃ、足りないみたいに、崖から手が離れて】

【――――――そのまま落ちていく前に、騎士に手首を掴まれるのだろう】
【分厚い鎧に包まれたその体躯、岩のように大きな手で握ったなら砕けてしまいそうなぐらいに細い手首】
【掴まれたなら、引っ張りあげられる筈だ、平均的な体重より、ずっと軽いから】


はぁ……はぁ……た、助かりました……はぅぅ……もう、ダメかと……
わっ、とと……有り難うございました、勇敢な騎士様にまずは礼を
何分不慣れな土地ですので……海風に当たるのも良い療養になると、聞いたものでして――――――


【引っ張りあげられて丘に立ち尽くす、両手でぱんぱんと短いスカートの汚れを払って身だしなみを整える】
【一つに結った長い髪の尾っぽが揺れたなら、深々と礼をその騎士≠フ方にするのだろう】
【見上げる紫苑色の双眸、平均より少し低いぐらいの背丈は、随分角度を急にして見上げなきゃいけないのだろう】

【声色は落ち着いたソプラノ、凛とした響きは、彼女の聡明さを感じさせるかもしれない――――――が】
【言葉の途中できょとん、と目を真ん丸にするだろう、目の前の相手に生気を感じない、から】
【きょろきょろと周囲を見渡して、その術者を見つけるのに、少しばかり時間がかかる】


ぁ……えっと……もしかして、貴方がこの、騎士様を操っている、ということでしょうか……


【男の方に向き直ったなら、右の手が頬を描いた、白百合のような頬に紅が混じる】
【感じさせる羞恥の色合いは、先程までの形式ばった礼を恥じる形で】
【きゅううと染まる頬の色合いを隠すように何度か指先が頬をなぞった】

【そして、少女の大きな瞳が、好奇の色を見せて、ぱちくりと貴方をなぞる】
【仮面を付けたその大柄な姿は、彼女の興味を惹くには十分すぎて――――――】
532 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 21:41:08.50 ID:qz3vcvqSo
>>531

【鉄の騎士は少女を引っ張りあげると、また風で落ちたりしないような場所まで】
【彼女を移してから手を離し、やがて礼をされれば右腕を曲げて、礼を返す】
【まるで小説の中の存在。凛々しく礼儀正しい、英雄/ヒーロー≠ナあった】

(……近くの街の子じゃあない、のか。療養とはまた――。)

――かくして麗らかなお嬢様は、物言わぬ騎士によって命を救われたのでした……。
お終いおしまい、ってね。無事で何よりだよ、いくらなんでも見殺しは気が引けるから

【一方でやや離れた位置にいる仮面の男が何事か呟くと、騎士はふぅ、と風に吹かれて消えてしまい】
【周囲の観衆地味た雑草達が頭を垂れるのは、可憐な華のような少女一人になって】

操っているっていうのは間違いかな。正確には監督している≠だ
空気がさっきとは違うとは思わない?周りの生命が、君という女優に注目している感覚は?
或いは……さっきの騎士があまりに完璧過ぎる、とは思わなかった?

……いやゴメンゴメン正解なんだけどね。とにかく、さっきのは僕の能力さ
それじゃ逆に質問、君は誰?病弱なのに近くの街の子でもない、操っていると直ぐに分かるそのセンス……

【『僕は頭脳プレイは得意じゃないけどさ』という前置きをして、彼は小さく首をかしげて見せた】
【仮面。表情は見えないが、口ぶりからすると変人狂人、或いは所謂「怖い人」ではないらしい】
【また、背は高かったが線は細い。運動よりも美術、というようなタイプに思えた】
533 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/24(金) 21:42:24.43 ID:jCqkLWcho
【数多の群集が目指す場所へと右往左往している中】
【その群集の山を一直線に進む人物が一人居た】
【どうやらその人物も目的地へと足を進めているらしく、足取りに一切の迷いがない】

す…すいませぇん……退いてください

【人の波に飲み込まれると時折聞こえてくるその声から察するに、その人物は女性なのだろう】
【今にも消えそうな声を上げながら群衆の中を突き進んでいた】


ふぅ…なんとか人が疎らに…

【人が疎らになると同時に、その人物の姿も明らかになった】
【腰まで長く伸ばされたクリーム色の髪に、安そうな質素なカチューシャ】
【GIFT ACADEMIAの制服を着こなした如何にも気の弱そうな少女であった】


あ…居た。
えーっと………――――おーいっ!

【策にもたれ掛かる青年を見るや否や手を振って駆け寄っていく少女】
【とりあえず声をかけて見ようという考えの上で取った行動は酷く馴れ馴れしい物だった】

534 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 21:46:22.24 ID:ohaDO4udo

【街の一角にある、とあるカフェテラス】
【満席という訳ではないがそれなりに客は入っている状況で、四人席に一人で腰掛ける男は少し目立っていた】

……――――――――。

【白い燕尾服に身を包み、同じく真っ白な髪をオールバックに撫で付けた、壮年】
【その顔にあまり皺は無く、恐らく白い髪も生まれ持っての色なのだろう】

【そんな男が新聞の束を持って席に着いたのは、もう一時間半以上も前の事。未だに立つ気配はなく】

――――ああ、そこの君。コーヒーをもう一杯、お願いするよ。

【それどころか、新しく一杯おかわりし始める始末。どうやらまだ居座るつもりの様子】
【片方だけ白い手袋をした左手が、読み終えて畳んだ新聞をテーブルに置いた】
【――――と同時に右手が新たな新聞を取り出していて。見れば、読み終えたものもまだのものも、幾部かずつ重なっていて】
【そしてどうやら、目を通しているのは機関やGIFTなど、世間を騒がせている様な話の記事ばかり】

【――――それはそうとして、このテーブルはまだ、三席空いている訳で】
【客が増え始めている今、その席で相席とされる可能性も十分に考えられるのである……】
535 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/24(金) 21:54:55.26 ID:aVnCgZfeo
>>532

【言われて気づく、貴方の言葉に拐かされたかのように、彼女は周囲をキョロキョロと見るのだろう】
【ケープが包む柔らかな肩の形、大きなリボンが幼さを強調しつつも、横顔はどこか大人びた雰囲気】
【確かに雰囲気が変わったように思える、貴方の言葉の全景は分からずとも】

【手のひらサイズの視界に映るその一握の景色だけは分かったつもりでいたかった】


確かに、完璧すぎる……とは思いました、けど……ごめんなさい、浅学なもので、良く分かりません
ただ何かしらの能力というのは、貴方が仰るとおりです、兎にも角にも、助けていただいたのは事実です
――――――何だか物語のお姫様になった気分でした、ふふ、悪い気はしませんでしたよ


【クスリと微笑んでみせたなら、柔らかなほっぺたが優しげな笑みの形を彩る】
【横髪が溶けたなら、その抜群の頬のラインを描くのだろうか】
【見上げる形、仮面を付けた相手ではあったが、悪い気はしなかった――――――その言葉の通り】

【質問されて小首をかしげた、長い髪が肩に寄り添って、彼女は右の手でそれを丁寧に解す】
【手袋がくっきりと貴方の視界に入るだろうか、分厚いものではない、寒いのは寒いが、手を温めるためのものではなさそうで】
【少しの時間をかけて、言の葉を揺らすだろう】


……誰、と言われましても……今はそんな名乗る肩書などもありません
単なる司書さんです、本とココアだけが友達の寂しい女の子なんですから
それに、質問させてもらうのは私の方じゃないでしょうか

その仮面に、先ほどの能力――――――私なんかよりよっぽど、不思議です――――――


【言葉の尾尻を濁すように、一回、二回と大きく咳き込むだろう、両手で口元を抑えて】
【掌から溢れる紫苑色の瞳の切れ端、苦しそうに歪む様子は、痛々しくもまた、儚さを飾り立てて】
【すいませんと声を一つ返したなら、微笑みをそこに何とか浮かべるのだろう】
536 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/24(金) 22:05:29.28 ID:YeG9jomN0
>>533

さて………俺も動くと………ん?

【一息を付くと青年は柵から背を放して一度首をゴキゴキと鳴らすと出口へと向かおうとしたところで】
【そこでこちらへ向けて手を振って走ってくる少女の姿。一度訝しげに眉を潜ませるが、直ぐに合点がいったように頷く】
【そのまま少女の方へとヒラヒラと右手を挙げながら近づいていく。】

―――よぉ、久しぶり≠セなシズエ。
まぁ尤も、この姿、この肩書だと初めましてだけどな………ハハ。

そんなに急いで何か用か?………てかあんまりデカい声を出すなよ、俺は指名手配犯だぞ。

【青年はどこか軽い調子で少女へと挨拶をする、どこか深い闇を孕んだ雰囲気は相変わらずだが】
【久しぶり=\――そう、二人は一度会っている………以前は青年の方が敵≠ニいう立ち位置だったのだが】

【恐らく前回の邂逅の際も青年の方は気づいていたのだろう。】
537 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 22:08:06.64 ID:cqXo1TUI0
>>530

【長旅も一段落、飛行船はようやく地に降りた】
【同じ船で空の旅を満喫した人々も、ここから先はそれぞれの目的池に向かう為に歩みを進める】
【そのせいで、停泊所には一時的にごった返す人の波が出来る。そんな中、波に流されまいと少女は必死に人を掻き分けて前へ進む……】


―――初めての空の旅は良かったネ!良かったケド……なんですカこの人並みハ!
進むのも、精一杯じゃ、ない、ですカ……!―――おっとっと、そこ通りまス!


【少女は前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳】
【首元には燕の型を取ったペンダントを下げ、背には「薬」と書かれた大きな鉄の箱を負ってる】
【この寒いのに防寒着も着てない。……持ってないから。着ているのはチャイナドレスに似たような燕の模様をあしらった緑色のワンピースだけ】

【そんな彼女は人の波をようやく脱出すると、目的地へと続く道を探すべく辺りを見回す。―――と、そこに居たのは見覚えのある男】

【……彼は、この少女に見覚えがあるだろうか。―――変わってしまった彼は覚えていなくても、少女は彼のことを覚えている】
【彼はいつか、路地裏で自分を助けてくれた。暴漢に囲まれていたところを、颯爽と駆けつけてくれた。……少女はしっかり覚えている】
【何だかあの時とは変わったような気がする。でも、あそこにいるのはあの時の彼に違いない―――】

【―――彼女は彼に何があったかは知らない。でも、もう一度話をしたい。……あの時のお礼もしていないのだから】
【……彼は拒むだろうか?分からない。しかし、構わない。一声、挨拶だけでも―――】

―――こんばんハ。私を、覚えていますカ?
538 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 22:14:47.01 ID:qz3vcvqSo
>>535

ふふ……面白いね、君。人間観察って結構好きなんだけど、君は中々だよ
物語のお姫様になった気分、っていうのも悪くないね。実に悪くない……

……僕は、僕の能力は劇場を作り出すことなんだ。観客は誰でもいい
マネキンかも知れないし、民衆かも知れないし、或いは雑草かもしれない
僕は監督として舞台の外に居る。君や、さっきの騎士のような演者が舞台に居る…。

【『それが全てだよ』――なんて言いはしたが、ひどく断片的だ。まあ、解説する義理も無いのも確か】
【逆にこれで仮面の人物がどういう人間か、なんとなくでこそあるがわかったのではないだろうか】
【演劇の監督だけと言わず、絵を描いたり、詩を読んだりするような雰囲気すら有るのだから、尚更だ】

へえ、司書……生憎と本は読むより書く方だから、図書館には縁が無いけど
でも……うん。そんな感じ≠ェするね、似合ってると思うよ、司書。

――不思議かな?わけあって顔を隠してるだけで、後は何処も繕って無いよ、僕。
仮面だって、別に外したって……――――大丈夫?
無理しない方がいいよ、僕もお世辞にも体は強いほうじゃないから、その辺の事は分かる……

……冷えるし、風も強いしさ。良ければそこの街まで、送って行こうか。

【男は言葉を並べ立てながら――ジィ、っと。上から下まで、睨めつけるように少女を見ていた】
【その視線は、強い。と言っても不埒な色は見えず、むしろ興味津々というソレ】
【芸術家と言うのは大概、どこかおかしいものだ。或いはこの人物もそうなのかもしれず】

【やがて最後に手袋を見遣ってから、咳き込んだ少女を気遣うように声をかけて】
【パチン!と指を鳴らすと周囲が単なる丘陵に元戻り。男は歩み寄ると、背を軽く曲げて、尋ねかけたのだった】
539 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/24(金) 22:15:32.44 ID:jCqkLWcho
>>536

はいっ…?!あ。はいお久しぶり…です

【自分のとった馴れ馴れしい行動で相手が気分を害していないようでとりあえず一安心】
【そして手を上げて向こうから近寄ってくれるのを見て二安心】
【だけど唯一つだけ、相手のことをど忘れしてしまっていると言うのが不安だった】


そうなんです。貴方は指名手配なんです…

だからそのお手伝いに行ってくれみたいな事言われまして……
それで…ここまできたんですけど

【考えながら言葉を発している為、いつもより言葉がもじもじとしていた】
【勿論本人は饒舌に話しているつもりらしいが】

なにか…その。お手伝いするような事って…

【いつも通り気の弱そうな、押したら折れそうな雰囲気を醸し出しているのでいかにも役に立たなそうだ】
【だけど何気に国際指名手配犯を見つけ出すと言った事をやってのけている分、もしかしたら腕は立つのかもしれない】


540 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/24(金) 22:17:51.67 ID:Pxjdl9sIo
【とある市街地】

【ラッシュに捕まってしまった自動車の群れがテールランプを光らせて喚いている】
【この街のメインストリートの交差点、この時間帯はいつもこんな感じだ。ドライバーの怒りは信号の赤よりもお熱のようで】
【治安も品もまあ多少は悪いけど気をつけて歩いて、余計なことをしないでタコスでも食ってりゃ楽しい街――】

<BOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!>

【っと不意に爆発だ。雑居ビルの3階の窓が盛大に枠ごと吹き飛んで炎と煙を勢い良く吐き出した】
【クラクションが止んだことは嬉しいけど次は悲鳴。それ以上にうるさくて嫌になってしまう】
【人々はその場から離れようと次々と走って逃げ出す。クルマも走りだすがすぐに交差点でクラッシュして乗り捨てる】
【店は客を出した後はシャッタをすぐに下ろす。皆、慣れている――ま、そういう街だ】

……ビールまだ飲んでねえのに…チクショウ、何処のどいつだ

【タコスの屋台で1人黙々と食っていたサングラスの男はしゃがれた声で愚痴を漏らす】
【既に背後の歩道じゃ皆バタバタと走って逃げていて、店主も既に居ない】
【右手に握っていたタコスを無理やり口に押し込んでコーヒーで流し込めば、じゃあそろそろと席を立った】
【黒いスーツの上に安っぽいカーキのミリタリーコートを合わせた痩せた長身の男は】
【マイペースにトコトコ歩いてすぐ近くの路肩に止めてあったネイキッドのバイクに跨った】

<BOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!>

【また、何処かの何かがぶっ飛んだらしい。近所の店が吹っ飛ぶ前に早いとこ退散しよう】
【バイクにタンデムシートは装備されているから便乗も可能だ。スターターを蹴ればエンジンが唸る】
541 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/24(金) 22:22:17.19 ID:YeG9jomN0
>>537>>539
//こちらは複数でも問題ないのですがいかがでしょうか
//もしくは私のみ双方と会話しているというシチュエーションでも構いません。
542 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/24(金) 22:24:01.78 ID:aVnCgZfeo
>>538

【狐にほっぺたを摘まれたみたい、柔らかそうな百合色の頬がぷにぷにとする】
【劇場=\―――――彼女の想像するよりもずっと、もっと難解そうな能力】
【けれども、能力が何でもありなのは知っているから、深い驚きは無かった】


劇場……ですか、それはまた、珍しい能力ですね
通りでご自身の事を監督と、そう仰られたのでしょう

……それとですね、年頃の女の子捕まえて面白い≠セとか中々≠ニかは如何なものかと
見たところ芸術家さんっぽい感じがしますが……そういう人こそキチンとした常識が――――――


【腕を組む少女の様子、先程までとはまた違った様相をそこに見せるのだろう】
【冷静な言葉、声色は可愛らしいながらも、放つ内容は知性を感じさせる音】
【真面目、なのだろうか紡ぐ言の葉が慄然とした委員長風を吹かせて】

【けれども最後の言葉に詰まった、似合ってると言われて、耳の端まで顔を真っ赤にする】
【あ、ありがとうございます、と返す言葉は少し照れた色が混じっているのだろう】
【続く貴方の言葉が来るまで、しばし返答が遅れた】


い、いえ……大丈夫です、身体より……多分、心の問題なので
それに病弱歴で言えば貴方よりずっと長い自信があるんですよ、上手い咳の方法とか知ってますから

あ、そうです、まだお名前、聞いていませんでしたね


【ぱんと両手を合わせた、白い手袋がすぅと夜に見える】
【気遣うようにかけられた声、それを受け取ったなら、返すのは気丈な言葉】
【頬に溢れる笑みは先ほどと比べたら、やっぱりどこか無理してるみたいに】

【少し強引に話を変えているのだろう、それでも付き合って欲しいと言いたげで】
543 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 22:25:27.67 ID:cqXo1TUI0
>>541
//安価が掛かってなかったのでまだ絡んでいないと思ってしまって……すみません
//私は複数OKですが、もう一方の方がダメなら退きます……
544 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/24(金) 22:26:35.23 ID:jCqkLWcho
>>541>>539
//私は複数でも大丈夫です
545 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 22:43:30.13 ID:qz3vcvqSo
>>542

ああ、僕も他の能力者なんて数えるくらいしか知らないからさ
結構珍しいとは自負してるよ。ついでに、之ほど僕に向いた能力もない、ってね。

……、……―――?なにが駄目なのさ、面白いものは面白い。だろ?
それに褒めて……あぁ、アレかな。もう少し詩的に褒めたほうが良かった?
可憐な一輪とも見紛う君は、しかし確かな芯を秘めた……ん?おやおや、そうかい?

【――放っておけば、一人でも話していそうだ。ややネジが足りないのは間違いない】
【だが分かってからかっているような様子もあって、何処かつかめない雲のよう】
【真面目な彼女からしたら尚更小言も言いたくなるだろうが、それを言わせず口を開き】

……いや、病弱なのは誇ることじゃないんだけどさ。それくらい分かるよ、僕だって
それに咳にだって上手いも下手も……ま、いいや。大丈夫なら、それでさ。
あぁそう……僕、思ったことは言う人間でね。無理するところも結構かわいいよね、君――

――――名乗り?じゃあ、今はダグラス・マックスウッド≠ニ呼んで欲しいな。

【仮面の裏でニヤリと笑っていそうなのがすぐに分かるだろう――名を名乗ると、小さな礼も付け加えた】
【それでも何処か不思議なのは言葉の端に幾つもある。突っ込むもよし、もしくは――】
【『美術家独特の言い回し』と受け入れてしまうか。『――君は?』と尋ね返す彼は、特に裏表が有るようには思えなかった】
546 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/24(金) 22:43:46.63 ID:YeG9jomN0
>>543>>544
//では複数でお願いします!基本的にこちらが双方に話をする感じでいこうと思います!

>>537

あ?………君は―――。

【もう一人、青年は誰かと話していたようだが丁度青年の身体が壁となって姿は良く見えないだろう】
【声をかけられると青年は呆けたような表情で首だけを振り返らせるが、直ぐにその表情はこう着する。】
【どこか戸惑うように視線を泳がせてから身体を反転させて向かい合う。】

ああ、もちろん覚えてるぜ春燕ちゃん=\――あれからどうしてるんだ?
まだ色々と旅をしてたりするのか?

………まだこんだけ観光客がいるが………今はこの国あんまり治安が良くないぞ?

【どこか作ったような笑顔を浮かべて春燕に対して強引に世間話をするように言葉をかける 】
【そしてどこか遠まわしに探りをいれるように出される話題、飛行船内でも多少は耳にしたかもしれない】
【―――現在のこの国の情勢について。】

>>539

お前はなんで敬語なんだよ………一応、位としては同じメンバーだろ。

【シズエに背を向けて新たに来た人物と一度会話を始めたディック、しかもシズエに対してとはあきらかに声色が違う】
【顔だけ僅かにシズエに向けるようにして小声でそんな事を囁く。】
【今の状況をシズエが上手く読み取れるか否かで今後起こりうる事も変わってくるだろうが、果たして。】

―――ッチ、また上のおせっかいか?コジマの件といい余計な事を………。
いや、特にはないんだが………まぁお前のその性格だと工作や襲撃も苦手そうな感じがするし

国全体の軍や自警団の動向チェック辺りか………?

【ボソボソとシズエにのみ聞き取れる程度の小声でそんな事を舌打ち交じりに話す。】
【どうやら彼自身が要請した事ではないようだが―――とにかく襲撃や工作も実は得意、というなら速く申し出た方がいいだろう】
547 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/24(金) 22:54:03.78 ID:aVnCgZfeo
>>545

【――――――そういうの、得意じゃないみたいで】
【ぁぅ、と小さく吐息が漏れた、それこそシロップのように甘く蕩けるような貴方の表現】
【台詞回しに酔わされる、自分に酔う人間は多かれど、他人すらも酔わせるのは少ない】

【語る声のトーン、独特の間、唄うような声色に、すっかり飲み込まれてしまうみたいに】


か、からかうのやめて下さい……!!もぅ……そんなの、言われたら……
ぅん……ぇっと……照れちゃいます――――――……


【しゅるる、と華奢な肩幅がもっと狭まって、それで、小さくなってしまいそうなみたいに】
【もじもじとその身を捩らせていたなら、貴方の言葉尻に混じる殺し文句にやられて】
【すっかりほっぺたが真っ赤な色に染まった頃、ぶんぶんと頭を振って元に戻る】

【こほんと咳払い一つ、彼女の言う上手な咳には程遠く】
【礼をされて律儀に彼女も返す辺りに、妙なおかしさを感じながらも】
【取り繕ったならそこにあるのは、年相応の背伸びをした落ち着きにも似て】


シオン=エルミオール=オルテンシア
シオン、で良いですよ、そちらは……ダグラス、とお呼びしましょうか
それとも時期とか場所によって呼び方が変わるのでしょうか、今は、とおっしゃっていましたが……


【生真面目な雰囲気はそのままに、司書という職業にもぴったりなのだろう】
【返す言葉は少しズレた、それでいて彼女にとっては真っ直ぐな言葉】
548 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/24(金) 22:58:13.32 ID:jCqkLWcho
>>537

…あ。

【突然現れた姿に少しだけ驚くが、すぐにニコッと笑みを浮かべてみせる】
【喋りかけるとまでには行かなかったが、軽く頭を下げて会釈はした】

>>546

ふぇ…そうです…――――

【もし一人ならいつも通り卑屈な言葉で自分を否定して敬語で話すのを続行していた】
【だけどもう一人誰かがディックの前に現れた】
【もちろんそれだけならいつも通りで行くのだが、どうやらディックにとっては都合が悪いらしい】

もう〜私が敬語なんて使っちゃうわけないです〜
長年お友達の私たちなのにぃ〜。やだぁーおっかしい〜

【となれば自分も相手に合わせて、声色を変えて演じるしかない】
【即座にそれを理解して演技を始めたのはさすがと言うところだろう】
【演技が物凄くあざといという点を除いてはだが】

得意ですよぉっ。
襲撃はともかく工作だったら上手くできますぅっ

【小声のディックに対して、こちらもボソっと小声で返した】

/了解です!
549 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 23:12:11.21 ID:cqXo1TUI0
>>546>>548

【……遠目に見えた彼は、確かに何か雰囲気が違っていた。助けてくれたあの時の感じとは確実に何かが違っていた。】
【表情や些細な仕草から病気を見分けられる彼女だから、彼の違いにも敏感に気づいていた。……何が変わったのかは知らないけど】
【それだって話せば分かるかも知れない。ならば、会話する他に無い……!】

【前へ前へ、彼の方へ歩みを進めて、やがて彼のすぐ近くにたどり着いて。漸く会話ができる距離になったなら、勇気を出して口を開いた】
【―――振り返った彼は、拒否することなく応えてくれた。あの時と似ているようで違う笑顔を見せてくれた。……仮面を付けているような、そんな印象】
【応えてくれても目は合わせてくれない。会話しても行き交うのは声だけ。……あの時の彼とは違い、何もかもが作り物のような気がした】

【しかし、それでも。今感じている違和感だって気のせいかも知れない。私の思いすごしかも知れない。……彼女はまだ、あの時助けてくれた彼を信じている】
【純粋な彼女は信じて、会話を続ける。他愛もない会話から、また笑顔が見られるかもしれないから……】


……はイ、ずっと旅でス!今回は初めて飛行船なるものに乗りましテ……空を飛ぶというのは不思議なものですネ。
ココの治安が悪いのは知ってまス。……むしろ、治安が悪いから来たんデス。
なんだか争い事が起きてるらしいですネ。怪我人も一杯いるデショウ……だかラ、私の出番なんでス。
ディックさんはその争い事を鎮めるためにここにいるんですよネ?またあの時みたいに、誰かを助けるんですカ?


【……願いにも似た質問は、彼が今もあの時と変わらぬ正義の味方である事を信じてのもの。何も知らない彼女は、彼に訊くことしか出来ない……】
【きっと彼の隣にいる人も仲間なのだろうと、今は思っている。……そうに違いない。】

【……彼女が此処に来たのは、治安悪化で多発した怪我人の治療の為。彼女の目的は、未だ彼女が知らぬ彼の行っている行動の正反対に位置するのだ】
550 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/24(金) 23:17:06.00 ID:qz3vcvqSo
>>547

女性は恥じらってこそ美しいんだ、好きなだけ照れると良いさ
その方が映えるよ?花が咲くのを恥ずかしがったら終わりなのと一緒でね
……ふふっ、これだけ言えば芸術家っぽく思えてきたんじゃないかな。

名前かい?いや、実は本名は今の二倍くらい長くてさ
言ってる間に舌を噛みそうになるから……ってことで、納得してもらえるかな

【からかい半分、或いは大真面目に『照れたほうが良い』なんていうのは】
【やはり普通の感性の男性が言うことではない。――芸術家なら言うのかといえば、違う気もするが】

【やがて名前について触れられれば、ひとまずはそれらしい説明をするものの――】
【やはり最後にはどこかはぐらかすような言い回しが混じっていて】
【それが癖なのか、人間性なのか、本当は別の理由があるのかは――少々、掴むに難く】

【――ふっ、と指す灯台の光に、堪らないといったようにダグラスが下を向く】
【ついでに時計を確認して―ちなみに安そうな、塗料の汚れが目立つ時計だ―また少女に双眸を向け】

……さてと。それじゃあ僕はそろそろ失礼しようかな、描かないといけないものがあってね。
本当は有る景色を探してたりするんだけど、どうも此処でもないみたいだし……
それに、君も……シオンも大丈夫なんだろう?だったら気兼ねすることもない。

――――そんなわけで失礼するよ。また合うときは……ま、その時次第でさ。

【いくつか言葉を並べ立てると、ダグラスは軽く手を振って――そして、そのまま立ち去っていく】
【向かう先は明かりの見える街。ある程度行くと仮面を取るのが見えるだろうか、顔は暗がりで見えず――】
【結局、そのまま別れとなるだろう。ダグラス・マックスウッドは、灯台の明かりも届かぬ闇へと消えていた】

/ちょっと強引ですが、明日朝から用事があるので申し訳ないですがこれにてっ!
/それでは、お疲れ様でしたー!
551 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/24(金) 23:23:54.86 ID:aVnCgZfeo
>>550

【芝居のようであった、能力よりよっぽど――――――貴方の方が芝居がかっていた】
【歯の浮くような台詞、一蹴されても仕方ないが、そこに潜む意味合いは確かで】
【悪い気はしなかった、むしろ、どこか心地よい響きを、そこに秘めていて】


……もう、恥ずかしい言葉、禁止にしますよ……
でも……悪い気は、しません――――――そう言って、もらえて
それで納得しとくことにします、できたらまた、本当の名前、教えてもらいます


【風が吹き抜ける、海風にも似た、涼し気な香りに、そっと目を閉じて】
【ずっとこのまま、貴方と話していたい、なんて思うのは少しの我侭で】
【それでもその我侭を聞いてほしいだなんて、思ってしまうのだろう】


――――――ええ、さようなら、できればまた会いましょう
私はもう少しだけ、此処に居ますから……それじゃ、また


【夜風を浴びる少女の横顔、夜に浮かぶ白の輪郭がうっすらと滲んで】
【シオンの名を冠した髪の色が、柔和な風を吹き荒ぶように】
【ただひたすらに、満ちていた――――――】


/お疲れ様でしたー!楽しかったです!
552 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/24(金) 23:31:05.48 ID:YeG9jomN0
>>548

ハ、ハハハ………全く長い付き合いでもお前の考えは分からないぜ………。
(そういう意味で言ったわけではないんだが、まぁ辻褄合わせには上手く使えそうか。)

【あざとい演技に対して眉をピクピクと動かし何か言いたげだがそこを堪えるように言葉を合わせる。】
【ディックとしては今後組織内で会った時も対等の立場として接して欲しいようだが、それをシズエが汲み取るかは別の話である】
【身体は現れた少女に向けたまま、横目でシズエを見ながら軽く頷く。 】

「それなら国の状態を見つつ軍の支部や兵器関連の施設に妨害工作を仕掛けろ
兵や武装が必要ならある程度貸し出す、何か今後の作戦の上で必要な物はあるか………?」

「それと、GIFTとは別件で頼みたい事もある。」

【ボソボソと囁くようにして素早くシズエの言葉へと返答していく………その姿は少し滑稽である。】
【春燕から見れば奇妙な二人に見える事だろう―――。 】

>>549

―――そいつは、凄いな。
そう思っても行動に起こせる人間は少ない、大したもんだな君は………。

ああそうだ、GIFT≠チていう悪い組織の連中がこの国のあちこちでテロを行っている。
………!それ、は………。

【少女を褒めると頭を撫でようと手を伸ばすが―――その手は触れる事はない。】
【「嗚呼、随分と遠くなっちまった。」………そう震える右手を見つめながら青年は思った。】
【自警団の仲間も、友人も、自分を慕ってくれているこの少女も………随分と遠い場所へと行ってしまったような疎外感】

【元より工作が目的だったにも関わらず、何時しか居心地が良くなってしまったのだろうか】
【正義≠振るう自分に酔いしれてしまったのだろうか………今はもう分からない―――だがこのままでは】
【こんな半端な気持ちでは、未だ未練を捨てきれない心では―――戦争には、勝てない=z

【そう思い立った時には既に顔は仮面を捨て去り、冷酷なテロリストの顔とへと戻っていた。】


―――残念だが、違う=B
             いや………むしろ………その逆≠セな。


【そう、少女の期待を打ち砕くように非情に満ちた回答を少女へと送る。】
【同時に一同の背後にある大きなモニターに流れるニュースに一つの画像が映し出される。】

【国際指名手配、鉄の国襲撃の首謀者GIFTメンバー:ディック・ホワイト=z
【そう、テロップが出ると共に鉄の国の各地の惨状とレポーターの悲惨な報告が流れていく、そこに映っている指名手配犯は間違いなく。】
【今少女の目の前にいる青年、ディックホワイトである。】
553 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/24(金) 23:43:08.16 ID:jCqkLWcho
>>549>>552

も…もうっ。ディックったら〜…。何年付き合ってきたと思ってるのよ〜

【少女は完全にディックの意思を違った方向で汲み取ってしまっていた】
【馬鹿なのかそれとも抜けているのか、とにかく真意に気付くのはもう少し先だろう】
【いまはただこのあざとくて恥ずかしい演技を続けるので精一杯である】


その時は…お願いします。こちらも出来るだけ早く決行するようにしますからぁ
えっとぉ…その時になればまた連絡します、こちらもまだ計画段階ですから

【仕事の話になったその一瞬だけ、オドオドとした雰囲気が完全に消え去った少女】
【言葉や喋り方はそこまで変わってはいない、ただ一瞬だけ瞳が鋭く冷たいものに変わっていた】

別件…ですかぁ?別に良いですけどぉ

【そこまで言った瞬間モニターから非情なニュースが流れた】
【もう一人の少女とディックの関係は自分には分からない】
【一つ確かに分かるとすれば何かマズイのかも知れないという曖昧な事だけ】


―――――……

【下手に言葉を挟まない方がいい、そう察して下を向いて黙り込んだ】
554 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 00:10:09.45 ID:X2dz/YJd0
>>552>>553

エヘヘ、ありがとうございまス!きっと小さな私も誰かの役に立つんじゃないかッテ……そう思ってココにきたんデス。
だからディックさんも、頑張って――――?

【凄いと言われたのが余程嬉しかったのか、少女の顔はまさに満面の笑みと言った所。……彼女だってまだ子供、褒められたら嬉しいのだ】
【きっとあの時に助けてくれた正義の味方が褒めてくれるのなら、私は正しいのだ。……そう、信じていた】

【伸びた手がもし彼女の頭に触れたなら、きっと彼女はどこまでも純粋な笑顔で彼の顔を見ただろう】
【きっと誰よりも人懐っこそうな笑顔を見せて、彼の手のぬくもりを感じていたのだろう。……しかし、ついにその手が彼女を撫でることはなく】

<<―――残念だが、違う=B
             いや………むしろ………その逆≠セな。 >>


<<ニュースをお伝えします。連続テロ事件の実行犯とされる人物が、先日国際指名手配されました。―――――>>


【―――代わりに彼女に突きつけられたのは……酷く冷たくて、重くて、痛くて、悲しい、現実。】

――――……!
……エ!?――――ウ、ソ……



――――嘘ダ!!そんな――――――――


【虚に響く彼の声が、現実を受け止められない彼女の頭の中で何度も何度もこだまする。背後に映るニュースの映像が色彩を失って彼女の網膜に映し出される】
【突きつけられた非情な現実を受け止めるには、彼女は余りにも純粋過ぎた。彼女の小さな小さな心の器は、瞬く間に溢れかえっていった】
【正義の味方は、惨禍の主だった。目の前の彼は全てを裏切って世界を壊していたのだ。……突然突きつけられたこんな現実を、彼女が受け止めきれるはずがない】

【……往々にして、人は受け止めきれない程の痛みやショックを抱えると気を失う。それは彼女も例外ではなかった……】
【余りにも冷たすぎる現実を前に彼女の視界は歪み、暗くなり―――――やがてその場に崩れ落ちると、頬に一条の涙の筋を描いて……あとはそのまま】
【最早彼の敵は全ての人だ。……人を助けるためにはるばるやって来たこの小さな少女すら、彼の敵なのだ】
【……再びこの少女が目を覚ましたら、二度と彼に笑顔を向けることはない。】
555 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/25(土) 00:30:43.97 ID:npFjgwjL0
>>553

―――おいシズエ、もうアホみてぇな三文芝居はしなくていいぞ
こいつのお蔭で………ようやく俺の中でわだかまっていた未練≠ニやらとケリを付けることが出来た

【そう、先ほどまでの軽い雰囲気は消え去り冷徹な瞳でシズエを見ながらそんな事を口にする。】
【彼の心中で何が起きたのかは分からないが、もはやこの場を取り繕う必要はなくなったという事だろう】

【一線を越えた=c……そう表現できるほどに、ディックの中で何かが変わった=z

了解した………あまり派手な事はするなよ?最後にデカい花火でこの国を吹き飛ばすのは俺なんだからな
まぁお前が自身で進めている計画があるのならそちらを優先して構わない。

ああ、カノッサ機関のNo.29カニバディール≠ニコンタクトを取る機会があれば奴に協力してやれ
機関とは商売敵みたいなもんだが、奴とは個人的に協定を結んでいる………組織というデカい意志に流されない強かな奴だ
こちらの情報を横流しにすることはないだろう、もしかすればお前の行動にも良い結果を招くかもしれない。

―――それと、ずらかる用意をしておけ。

【無感情な冷えた瞳でシズエに視線を送りながら、話すのはこの国での計画と機関のナンバーズとの協力関係だ】
【もはや堂々と、周囲にも聞こえるのではないかという程の声量でそんな事を口にしていく。】

【そして逃走する準備についても告げる、どうやら長居する気はないようだ。】

>>554

悪いが真実≠セ、絶望したか?だがこれがこの世界の真実なんだよ………。
それを見たくなければ………他人に善意なんて振りまかず生きていく事だ、そうすれば傷つかない=B

俺はGIFTメンバーの一人にして鉄の国方面部隊の指揮官………ディック・ホワイト………いやW/ダブル≠セ…!
こいつは同じくGIFTメンバーのシズエだ、どうだ?お前と同じ年齢でもこうして戦場で戦っている奴もいるんだぜ?

―――っと、気絶したか………まぁいずれ誰かが通るだろう。
おい、行くぞシズエ―――騒ぎを聞きつけた警備員が来ると面倒だからな。

【一切の光が消えうせた闇を孕んだ瞳で見下ろしながら、冷徹に非情な現実を突きつける―――。】
【もはや少女が出会った少し抜けているが正義感の強い青年はどこにも存在しない、代わりにいるのはこの暴君だけ】

【気を失った少女を抱きとめると、近場にあるベンチへと運んでそっと寝かす】
【そして警備員によって少女が発見されて医務室に運ばれ眼を覚ました時には………もはや二人の影も形もない】

【だが少女の服のポケットには一枚の紙切れと一つのワッペンが入っていた………紙切れにはこう書いてある】


『死にたくなければこの国からさっさと出ていけ、だがそれでもまだ何かしたいのならSCARLET≠竡ゥ警団を訪ねろ
 それと、SCARLETの中邑 瑛月、オラークル・スティンガー、アサド・アル=アーデルの内の誰かに会ったら
 そのワッペンを返しといてくれ―――じゃあ達者でな。』


【一緒に挟まれていたワッペンは―――緋色の鷹≠ェ描かれた………SCARLET≠フ象徴だった。】
【もはや彼はSCARLET≠ニは断絶した、その明確な意思表示にも感じられるが、文章にはまだどこかあの頃≠フ面影を感じさせた】

【しかしもう彼≠ヘいない………問い詰める事など出来ないのだ。】

//この辺りでしょうか!お二方ありがとうございました!
556 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 00:48:58.70 ID:GadAR9jio
>>554>>555

――――意外と楽しかったですよぉ。三文芝居
…もうちょっと続けても全然よかったんですけど…辞めろって言われたみたいだし。

【冷徹な瞳を身に受けながら小さく残念そうに溜息をついた】
【違う自分を演じていた事が余程楽しかったのだろう】

だ…だ…駄目ですよぉ!そんな事。

私達がするのは愚かな一般人の抹消。及び惨殺
崇高な能力者様たちまで傷つける可能性があるだなんて――――

――――ゴミに味方する能力者は例外ですけど

【ディックに負けず劣らない冷徹な視線で相手を射抜くように見つめる】

そう…ですかぁ…。良い人だったら協力しますっ
同志が増えるのは私にとっても嬉しくて嬉しすぎることですからぁ

【両手を組み合わせてニッコリと微笑んだ】
【その顔には何の邪気もない、物凄く幸せそうな感情だけが込められていた】


あぁ。もう出来てますよぉ

【組み合わせた手からシュルシュルと半透明の糸が伸び出ている】
【それは器用にも遥か後方の柱や、天井の照明などに結びついたようで】


それでは名前も知らない女の子さん。さようならです
また会う日まで。お達者で居て下さいねっ

【去っていくディックの後をトテトテと追っていく少女】
【後々やってくるであろう警備員を察知する為の糸だけがその場に残された】

【その糸が自然と無くなる時、少女もディックと同じく夢の様に姿を消すのだろう】

//お疲れ様でした!お二方お疲れ様です!
//機会があればまたよろしくお願いします

557 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 01:24:32.24 ID:zkFntpNDo
【水の国――その中でも端の端の方の街】

「……ほゥう、大した発展もしィていなければ、会社も下請けばかり、と」

【その道を歩くモノは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

『ですが、ヤーツァタウンからは非常に近場でございますし、下請けというのは基盤でございますので――崩すメリットは大きいでしょう』
「あァ、そォーだなァ……2、30km離れてて近場って言ィうのもおかしいがよォ」

【その後ろに付く者は、執事のような恰好をした二足歩行の蝙蝠であり――】
【――ヤーツァタウン、様々な理由でそこに居られなくなった社会の敗走者たちが自然と集まり出来た街である】
【最近は何故か各種分野においてちらほら名前が上がるようになり、認知度も徐々に上昇しているが――まだまだマイナー】

「建物、コォンクリ製が多ォいからな……こォっちに飛ォばされる前に作ってあァった古代生物、"強岩晶龍"が良ォさそォーだ」
「っと、そォの前に――――本番前に"強"の付ゥいてねェ方でテェストだ」

【悪魔の目の前に現る魔方陣、そこからいずる闇は形を成して行き――そして、体長7m程でトカゲのような体系をした龍となる】
【それは岩のような鱗に覆われており、所々それが水晶化していて、特に上顎の水晶はサイの角の様で下顎のそれも鈍く尖っている】
【他、発達した指先の水晶は鋭く、尾の先端にもあって、胸部や腹部、背中等、多数の部分に水晶が見られる】

【龍は、一つあくびをすれば――足元の道路を、両顎のや足の爪で削りながらガリボリと食し始める】
【――今はまだ、大した被害ではないが……これにもし"強"が付いていたら?】 【付いていなくとも、もし個体数を増やされたら?】


/持越or置きレススレ移行前提ですが、よろしければ
558 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 01:27:04.76 ID:X2dz/YJd0
>>555-556

【――――気を失ったあと、彼女は夢を見ていた。“彼”によって裏切られた少女の心の裏に、ひとつの映像がこびり付いて離れない】
【優しく颯爽と助けてくれた筈の彼が―――いや、もはやあの時の彼とは全くの別人だが……――――全てを破壊してして回るのだ】
【建物を、人々を、秩序を。そして、私をも。何もかもを壊していく。そんな映像が延々と脳内を駆け巡っているのだ】
【一体何のために。彼はこの世界を壊した先に何を見据えているのだ。――――そんな事、彼女には分かるはずもない】
【この世界を破壊できたとして、その先には一体何がある?絶望の先に見出すものなどあるのか?】



―――――ココ、は……

【――――やがて、彼女は目を覚ました。ここは医務室、だろうか……もう其処には彼らの姿はなく】
【代わりに、ポケットに入っていたのはひとつの紙切れ。……それと、彼女の彼に対する憧れの象徴でもあった赤いワッペン】

【全てを答えることなく、彼は去っていった。問い質したい事は山ほどあるのに、全てを無視して消えた】
【答えの代わりは、彼女のポケットに入っていた紙切れに書かれている文字。……それは、彼の意思をハッキリと示したものであって】
【それが同時に、少女の意思を固めることにもなった。……小さな薬売りは今、あることを心に決めたのだ】


(ディックさん、いや……W……アナタが何を思って、何をしようとしているのか私には分かりませン。
 アナタの目は何処を見据えていますカ?アナタは何処へ行くつもりですカ?

 ――――ワタシが出来ることハ、やっぱり人を助けることでス。それしか出来ませン。
 アナタが100人傷つけるなら、ワタシは100人助けまス。……それが、正しいと思うかラ。
 皆が傷つき苦しんでいるなら、それは間違ってル。ワタシはそう思うんデス。

 そしていつかアナタの首根っこ捕まえて、その口から真実を全部訊きまス。……首洗って待っててやがれデス。)


【……ポケットの中の紙切れを握りつぶして元気よく立ち上がると、驚く看護師を尻目にもう大丈夫と告げて医務室から足を踏み出し】
【当初の目的地、即ち戦いの跡地へ足早に向かった。―――傷ついた人を一人でも多く助ける為、そして彼の目的を見据える為に】
【彼女の心の中には、一つの大きな目標ができた。Wの目的を見定め、彼を止める。傷ついた人を救う。……これが全てだ】

達者でな―――ですカ。何を抜かしやがるんでス、私はアナタを逃がさないですヨ……!
このワッペンは返しませン。……アナタが人を助けないのなら、ワタシが助けまス!!

【道を違えた二人。彼らと少女が再び邂逅するのは、何処になるのだろうか―――――】

//はい、お疲れ様でしたー!
559 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/25(土) 12:34:15.93 ID:fYJYVMA30
久しぶりの旅行だわくわくするな

【男が空港の地図をちらちらと確認しながらあるいている】
560 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 12:36:09.83 ID:Dq83ahRNo
【深夜の植物園】

【ガラス張りの天蓋から月明かりが差し、白い芙蓉の花々を照らし出す】
【入口は施錠されておらず、一般に開放されている場所のようだった】
【その奥、芙蓉に囲まれたベンチに凭れ掛かり、虚ろに微笑む者が居る】

……ふふっ、とっくに死に絶えた一家だと思っていたのに。生き残りがいたんだ
でも、僕の犬にはなってくれなさそう……まあいいや。僕には、兄さんがいるものね

【それは中世から迷い込んだような貴族風の出で立ちをした、白皙の青年】
【淡い茶色のソバージュに、何処か深い淀みのある紺碧の目をうっとりと細め】
【撫ぜた芙蓉の一輪を直後に握り潰した左手の薬指には、ルナトリウムの指輪が輝く】

【暫し無言でいた彼は、徐ろに懐を探って、何か光る物を取り出した】
【それは非常に純度の高く大きな宝石の粒で、一つならず幾つも掌に乗せており】
【総額でどれ程になるのだろうか。少なくとも、一般人が持てる代物ではなく】

この格好も……この宝石も……それが示す全部が、もう僕には要らない物。
けれど……守り続けていかなければ、いけない物。じゃあ彼も、……?

【どうしようか、と小さく呟く。その掌で転がる様々な色の宝石が、月の光で色合いを変えた】


【所変わって、路地裏】

【主に身寄りのない者達の生活区域となっている場所を進む、一人の男がいた】
【彼は隅に座る浮浪者の男達と親しげに挨拶を交わしてから、再び歩き始める】

……成程な、地道に稼ぐのが一番安泰か……一気に金が入ると一気に使うからな
しかし、ビッグイシュー配って歩こうにも、この顔じゃどうしようもないか……ったく

【よれた黒のスーツに黒いネクタイを締めた喪服姿の、酷く血色が悪い男】
【癖のある黒髪、鋭い灰色の目、右頬に「牛の生首が載った皿」の刺青がある】

【不意に男は立ち止まった。見上げる曇天から降りゆく雪が、狭い此処にも落ちて来る】

雪、か……

【舞う白を視界に入れてさめざめと浮かぶ記憶は全て真っ赤な血の色、幼い命乞いの声】
【この脳天を貫かれたのも雪の日だった。あの裏切りも全て、自業自得に過ぎない事】

【空を見上げ、茫と佇んだままの男は、通ろうとする者があれば邪魔になる立ち位置にいた】
561 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/25(土) 14:26:25.76 ID:fYJYVMA30
さあて

【周りを見渡すと何人もの警官が銃を構え辺りを取り囲んでいる】

チャージしといてよかった

【男が手をかざすと男がいた場所に空のコンテナが現れた】

チャージ!

【男の周りに強大な赤い円が現れた】
【警官たちが警戒しながらコンテナに近づいていく】

サモン!

【上から降る大量の瓦礫】
【一瞬の間の後静寂がすべてを包む】

562 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 14:28:46.29 ID:GadAR9jio
【人で賑わうショッピングモール】

【休日の日という事もあるためか、いつもより賑やかしいショッピングモール】
【様々なお店が軒を連ね、数多の人達は色んな商品の入った袋をぶら下げながら自由に動き回っている】
【だがある一角だけは人がまったく近寄っていなかった】

うぅっ…重い…重過ぎる。こんなに買うんじゃなかったよ
いやでも喜んでくれるから買っちゃったけど。それにしても重い

【馬鹿みたいな量の袋を抱えて右往左往しているブラウスとケープを羽織った少女】
【袋によって顔は隠れているが、袋を抱えながらプルプル震える腕と、時折漏らす溜息が少女の状態を物語っている】

はいはいはい!退いてくださーい!!危ないですよー!

【群集をどかしながらヨタヨタと出口方面へと歩いていく】
【それを群集たちは物凄く不安そうに見ているが、誰一人近寄ろうとはしていない】


…―――――あ。

【そして案の定少女の限界が訪れた】
【一瞬にして宙に舞う数多の袋、そしてそれを何も出来ずに見つめる少女】
【ドサドサと地面に落ちていき、新たに山を作る袋たち。】


…はぁ。やっちゃったよ…

【そう小さく呟くと、ションボリとした様子で荷物を拾い始めた】
563 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/25(土) 14:34:12.00 ID:fYJYVMA30
>>562
手伝いましょうかお嬢さん

【胡散臭い雰囲気の青年が少女に近づいてくる】
564 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 14:58:00.64 ID:GadAR9jio
>>563

あ…えっ?すっごい助かります!

【荷物を拾い集めている最中に聞こえてきた一つの声】
【それは今の彼女にとって救いの光のような物で】

ほんっとにありがとうございます!
いやー…お恥ずかしながらドジっちゃいましてですね…

【照れくさいのを隠す為か、ニマっと笑って言葉を濁した】

このままだとちょっと…ううん、大分困る事になるなーって思ってたんですよ

【荷物を拾い集めながら相手に対してへの謝辞の言葉を口にする】
【無論照れくさいようで顔を上げようとはしないが】

565 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/25(土) 15:29:02.08 ID:fYJYVMA30
>>564
【男も固定されたような笑顔でそれを拾う】

この後少々お時間をいただけませんか

【周囲に気づかれぬように男がつぶやくように言った】
【喋りながらも作業の手を止めない】

無理にとは言いませんが
566 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 15:38:05.07 ID:GadAR9jio
>>565

んんっ?お時間?別に大丈夫だけど……
というよりさ、よかったらお茶でも奢らせてよっ。拾ってもらったお礼もしたいし

【ある程度荷物を拾い上げて立ち上がり、青年の誘いを快諾した】

いやいや、ほんとうに助かったよ。
これだけの荷物一人で集めるのは心が折れてたと思うしね

【もう一度お礼の言葉をちゃんと言って頭だけを軽く下げる】
【荷物を持った少女にとってはこれが最大限のお辞儀なのだろう】


…で?お時間頂いて何するの?

【時間は有るけどこれから何をするのか?少女はそんな問いを相手にぶつけた】
567 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/25(土) 18:09:13.36 ID:fYJYVMA30
>>566
この辺にいいお店があるならそこに行きましょう
私はこの辺の人間ではないので

【お決まりのパターンがあるかのようにすらすらと言葉をつないでいく】

よろしければお名前をお聞きしても?
568 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 19:25:54.30 ID:1ATgpBc6o
【時刻は昼、砂の国南部――――】

【真っ白な太陽は決して怒りを収める事なく、この地は永久に燃え続ける。焼き尽くされた大地が砂だけになろうとも、それに終わりはない】
【吹き荒ぶ熱風が、幌付き竜車の側面を叩いた。竜車≠ニいう聞き慣れない名の由来は、荷車を引く「ハーダスフィリア」という恐竜じみた姿の爬虫類だ】
【このイウサール大砂漠=B巻き上がる風と砂塵は、国内でも特に厳しい。その只中を歩むには、彼らのように砂漠に棲む者≠ナなければ――――】

「――――全員、聞こえてるな! 俺は『ヘイダル』の隊長、アサド・アル=アーデルだ!」

【荷車の中に設置された通信機から、勇壮な声が響き渡る。獅子(ヘイダル)≠フ長を名乗ったその男もまた、砂漠に棲む者のひとりであった】
【外を見渡せば、豪快に砂塵を巻き上げる三台の大型バギーカーがこの竜車と併走している。座席や荷台には、十余名の屈強な戦士たちが搭乗していて】
【そこに居る誰もが、SCARLET≠ニいう新たな正義の元に集った者達。砂の国自警団内の精鋭を中心に構成される、世界を渡る獅子の群れだ】

「知ってると思うが、今年はかなりの大物だ。バカでけぇ巨体が今も体をうねらせて、地面の下から俺達を狙ってる――――。
 だが、ビビるこたぁねえ! 目ン球黄色くなるまで砂漠を歩いたお前らなら、図体だけのミミズ野郎なんざ相手にもならんッ!!
 もし心が折れたときは、遠慮なく後ろを振り返れ! お祭り騒ぎのバカどもが、俺達の帰りを待ってるぜ!!」

【それは、若々しくも猛々しい轟き。群れを統率する百獣の王≠フ咆哮。落ち着きがあるとは言えないが、この灼熱の大地にはまさにそれこそ相応しい】
【もしも言われたとおりに後ろを振り返ったなら、陽炎に覆われた地平の向こうで、小さく旗が棚引いているのが見えるだろうか】
【ちょうど一時間ほど前に出発した、巨大なオアシス街『マイヤ』。街の門にあたる高い柱を横断し、心強い激励の言葉が掲げられていて】
【出発時の、パレードじみた見送りが思い出される。白熱する人々の歓声は蜃気楼の如く、距離の隔絶を越えて甲高く地面を揺らしているかのよう】

【――――その時。比喩ではなく、地面が脈動するように揺れ始めるだろうか】


/続きます
569 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 19:26:05.04 ID:1ATgpBc6o

『こ、こちらはオペレーターのイスラ・シャルディです!
 間もなく作戦区域に到着、直下に巨大な反応があります! 強襲班、それに助っ人の皆さん、戦闘準備を!』

【イスラ、と名乗ったオペレーターの声が、通信機に割り込んでくる。いささか緊張した可愛らしい声色が、地面の揺れの正体を告げる】
【彼女が言った助っ人というのがまさに、今この荷車に居る6人の精鋭たちの事だ。その出番も、どうやら近いらしかった】
【やがて6人も、この大きな振動を感じるだろうか――――地面の中を滑走する、ナニカの気配と共に。そして刹那、近くの地面が爆裂する――――!!】


                 <――――――――ォォォォオオオォォオオオオ!!!!!>


【豪快に巻き上がった砂が、水しぶきのように弾ける。洞穴に響く風音のような不気味な咆哮が、周囲の砂の一粒一粒を攪拌してゆく】
【四階建ての家屋にも相当する、全長十メートルもの巨体――――これこそが、サンドワーム。砂漠に棲んで、砂漠を荒らすもの】
【その十メートルというのは、あくまでも地面から出ている部分の話。通常固体の常識が当てはまるなら、地面の下にはもう十メートル分の体躯が埋まっている】
【太さは四メートルほどで、体はミミズのような複数の体節で構成される。その全身は堅い甲殻で覆われているが、隙間には無数に孔の空いた柔らかい肉が覗く】
【何よりも不気味なのが、その口。円状の口に鋭い牙が幾重にも並んだヒルのような外見で、人間など文字通り歯牙にもかけず丸呑みにしてしまいそうだ】

【天を衝くように伸び上がったサンドワームは、一度ぶるりと体を震わせ――――甲殻の隙間の肉の部分から、大量の砂煙を噴出するだろうか】
【それを終えればゆらりと体を曲げて、牙の生え揃った円口をこちらに向ける。長い時間の中で退化した瞳が、矮小な人間たちを睥睨する】

『健闘を、祈ります…………!』

【同時、荷車は止まる。バギーカーが一台近くに来て強襲班と呼ばれた隊員達を降ろせば、眼前の巨体を十余名の人員が取り囲む陣形となるだろう】
【その戦列に加わるか、あるいは再び走り出そうとするバギーカーに乗せてもらうか。つまりは近距離か遠距離か、その初期配置は6人の自由で】
【相対するは、どうしようもない自然の威容をその身に宿した怪物――――最後に通信機から、哮けり立つ砂漠の獅子≠フ雄叫びが響き渡る】


『よっしゃ、待たせたな野郎ども! 硬いシートでそろそろケツが痛くなってきた頃だったろ! 荷車の6人も、暇すぎて寝ちまってねぇな!?

                   さあ、お待ちかね――――――――祭りの、始まりだ!!!』


      【「――――――――――ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」】

【空を引き裂くような、鬨の声が上がる。それと同時、獲物を前に舌なめずりする獅子の郡体が、こぞって砂地を疾駆してゆく】
【焼け落ちるような太陽の下、燃え滾るような闘志を胸に――――天に轟く戦士の叫びが、いま砂漠の祭宴≠フ始まりを告げる!!】


/本日のイベント開始文です、参加者様はこちらにレスをお願いします!
570 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 19:52:52.76 ID:Neyxkv6ho
>>568-569

(――凄いメンバーよね。UTにはない、兵力≠チていうか……熱い物を感じるわ)
(『SCARLET』か……街の人にも大人気だったし、結構ヒーロー色が強いのかしら?)
(此処の人たちは、多分特別でしょうけど……それにしても、髪がジャリジャリするのは――)

――――……いただけないわね。

【助っ人と言われた六人のうちの一人。ボソリと呟いたのは、若い女性であった】
【名はアンジェル・ベルジュロン――UNITED TRIGGER所属の人物である】

【衣服は砂塵の中でも目立つ真白の将校服。マントは常備していたが】
【それでも砂煙が堪らない。そういうわけで、本日は先に街でゴーグルも買って、装備している】
【武装は刀一本、髪はこれもまた目立つ朱。『ヘイダル』の長であるアサドの声が聞こえれば】

【彼に従う猛者たちの声も合わせて、耳を傾け――何処か、血が滾るような物を感じ】
【その折であった。地面が波打つようにして、本日の討伐対象が姿を表し――!】

ッ……!来たわね、遂に――ちょっと大きすぎじゃない……?
む、ぅ……まあいいわ!輪切りにして……とにかく、倒せばいいんでしょ!

―――――このバズーカ砲、貰ってくわよッ!

【そのあまりの巨大さ、雄大さ――或いは不気味さに、彼女は全身が総毛立つのを感じ】
【ツインテールにした髪ごとふるふると頭を振って恐怖を払えば、服の胸元に手を伸ばす】
【在るのは数枚のバッジ。触れると光が周囲に満ちて――直後、アンジェルの姿が変貌する】

【背には翼、両足は鉤爪へと変わるのだ。彼女の能力を応用した、ハゲワシ≠ニの融合であった】
【つまり彼女は空から攻めるということだろう、荷台にあったバズーカ砲と予備の弾頭を一つを取るや、空へ高々と舞い上がり】

【巨大なサンドワームよりも更に上、上空20m地点まで行くと、ワームを中心に旋回を始め】
【まずは試すようにバズーカ砲を構えて、肉体同様に大きなその口に撃ち込もうと引き金を引く】
【これがただの低知能な生き物なら大打撃、のはずだが――果たして、サンドワームはどうか】
【アンジェルからすれば初めての相手。加減はしないが、攻めあぐねているのも事実であった】

/アンジェル・ベルジュロンです、本日はよろしくお願いします!
571 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 19:54:37.67 ID:+E5sMtHjo
>>568>>569

【荷台に乗る6人の助っ人、その内一人は静かに状況を見ていた】
【その者は奇妙な姿をした大柄な老人であった】

【身長の頃190cmに差し掛かる程度であろうか】
【紺色のゆったりと全身を包むローブに、長い三角帽子】
【胸下まで伸びた髭と皺だらけの顔、そして手に持った螺旋の金飾りのついた木杖と】
【些か肉厚な身体をしているものの、誰が見ても"魔法使い"であると思わせる容姿であった】

【老魔法使いは言葉も発することなく――否】


「む〜!喧しすぎて耳がキンキンするぞ!」
「全く、これだから脳みそまで筋肉で出来ておる者は好かんのだ!」


【声を発さず、肩口から生えた漫画のフキダシを思わせる形状のボードに】
【黒い文字のようなものをうぞうぞと変化させて"セリフ"を表していた】
【セリフは両面に書かれており、前後から読み取ることが出来るようになっている】


【天を衝くような巨大なサンドワームの咆哮と漢達の叫び】
【それらに対し片手で耳を押さえて煩わしげな仕草を取りながら】
【老魔法使いは外見には似合わぬ身軽な仕草で荷車から飛び降りた】


「さて、今日も私の英雄譚を始めるとするかの!]
「最近は停滞気味であったが、この任務を達成すればきっと今までの失敗など帳消しなのだ!」

「ククク……報酬もがっぽり貰って名声も得られる!これぞ一石二鳥というもの!」


【老魔法使いは口元を笑みで歪めながら、酷く俗物臭いセリフをボードに表示する】
【外見だけみたならば老練とした術師であるのだが、中身とどうにも噛み合っていない節があった】



「さあ、砂に棲まう魔物よ!今日が年貢の納め時なのだ!」
「畜生如きに私の術は些か過ぎたものであろうが、冥土の土産に貰っていくがよい!」


【そんな台詞をボードに映し出した後、老魔法使いはその場で砂を杖でトントンと叩いた】
【瞬間、老魔法使いを基点とした小範囲の地形が変化】
【表層が崩れ、後方へ河のような"流れ"が発生した】

【その流れに身を任せるようにして、老魔法使いは己の身体を滑るようにして後方へと離脱させる】
【足ではなく地面を流して身体を動かすという奇怪な移動法】
【これを見たならば、この魔法使いが"地"に通じる術師であると察せられるだろうか】

【位置は"中距離"。丁度バギーに乗るであろう"遠距離"と、前線の"近距離"との中間程度の位置】
【術師であれば距離があればそれだけ有利が取れそうではあるが、何らかの意図があってのことであろうか】
【老魔法使い――シーナは、その場で杖を足元に突き立てて、状況の動きに視線を送っていた】

/シーナです、よろしくお願いします!
572 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 19:57:53.74 ID:zkFntpNDo
>>568-569

「(あァ、居ィ心地は最悪だ――正義共のにおいが臭ェの何の)」
「(……そォれに……人間共がどォーなろォーが知ったこっちゃアねェが、素ォ材の為だ)」
「(丁ォ度時ィ間の空ァいてた蛇2匹と予め融合しておけば、召ォ喚能力のせいでバレはしねェだろォーよ)」

【結構周りとの距離をとり脚を組んで座っていたのは、身長2mを超える謎の怪しげな者だった、少し人ならざる禍々しさを持っている】
【頭部には白蛇をモチーフにした被り物をしており、その被り物は羽毛に覆われていて、】
【両耳の位置からそれぞれが小さな羽が生えており、額からは一本のルビーのような赤い角】 【手袋は鱗製で青色、運動靴も同一だ】
【その他の装備品は、首に巻いた紫色の毛のマフラーと、白褌のみ。被り物のふちはマフラーに埋もれていてわからないが――】

【――この者がこの討伐隊に申し込む際、言った名前は"横島 真賀樹"、しかし調べるとわかってしまうのは"そんな奴はいない"こと】
【本当の顔は、軽〜重まで様々な罪の数々で指名手配された悪魔、邪禍――はたして、声まで変わっていて、気付くものはいるのかどうか】

「――俺様の準備はバァッチリだ、あァ……一応言ィっておォいてやァるよ」

「俺様の名は――じゃ、……えェーっと……"横島 真賀樹"、だァァアア」
「能ォ力は、そォーだな……今ォ日は、……いィやいィつもだァが"輝く太陽と風、そして豊穣"――」
「まァ、――"北風と太陽"の舞ゥ台と同じこォの場ァ所にはピッタリだろォ?」 「んゥ? 豊ォ穣は余ォ計かァ?」

【額の角は、既に日光を十二分に浴びていて――輝きを帯びていた、どうやらこれは能力に使うものらしい】

「(……長さはおォそらく四蛇共と同じくらい、だァがそォれより太い、と)」 「っと、"風の能ォ力"を使って"翼"出ァさせてもらうぜ」

【悪魔の背から生えるのは、銀色の鱗粉を纏った白い翼で――それを生やせば】
【まずは、サンドワームに接近――およそ10m程の距離から、翼をはためかせれば発射されるのは羽根】
【およそ数十枚の羽根は何枚かづつで集まり固まり、結果、長さ20〜30cmで5枚ほどの羽根の塊となる】
【そしてそれは、サンドワームの――首とみられる位置、そこに向けて飛翔する】

【まずは牽制、だろうか――羽根は刃の様に鋭いが、さて図体の大きい相手にどの程度通用するか】
573 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 20:02:39.33 ID:ywdYQ2bY0
>>568-569

――――『眠いっていうか、暑い。太陽が殺しにかかってるよこれは…』

【―――砂漠の熱と荷車の揺れにうなされる様に顔を軽くしかめた助っ人の一人は、通信機の声に耳を傾ける】
【そういえば鉄の国での戦いの際に、そういった人物と共闘したかもしれない。思い出して、ああ、と呟く】
【どうにも、熱い場所には熱い人種が多いらしい。少女は一人苦笑いともとれるように口角を釣り上げて】
【心が折れたわけでなくともちらりと後ろを視認した時、目に見えたのはお祭り騒ぎと呼ぶに相応しい連中】

【熱すぎるとはいえ、彼女のモチベーションは上がったようで。そんな自分を流されやすいと自嘲したりもするのだが】
【―――そこでどうやら祭りの「ゴング」が響いた。割込音声を聞くや否や、討伐対象によるらしき揺れに目を細めて】

【荷車から軽々しく降りる。砂だらけの大地を踏みしめる音と共に、巨大生物を目の当たりにした】

――――…『まさに驚きのサイズって感じだね…規格外とは聞いてたけれど、これほどとは…!』
『お祭り騒ぎってもんじゃないだろうに…き、気持悪い…!』

【口を開けることはなく、腹話術のような独特な会話方法を使用してひとまずは単純な感想を述べるのは】

【グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカットという容姿の少女】

【さて、戦うにしてもまずはどの場所を陣取るか―――魔術師でもある彼女は辺りを見渡す】
【すぐにバギーカーの存在を発見して、今日の配置を決めるのだった。まさに好都合】
【笑みともとれるようなそうでもないような、何ともいえぬ表情の中、サンドワームを見据えて宣告】


―――――…『巨大ミミズさんや、今すぐこの『喋り屋』さんが土に還してやりますよー…色んな意味で!』


【挑発じみてはいたものの―――サンドワームのところには行かず、まずはバギーカーの元へ向かう】
【「邪魔するよ」とだけ告げたなら――――走行し始めようとするバギーカーに身を投じませるだろう】

/喋り屋です、よろしくお願いします
574 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 20:09:44.93 ID:X2dz/YJd0
>>568-569

【地が揺れ、砂が舞う。怪物の唸りのような地鳴りが辺り一面の音をかき消すかのように轟き渡り、化物の気配が接近する……!】
【……ここに来て、まるで生まれて初めて学校に行く時の子供のように緊張している少女が一人。ただならぬ雰囲気に顔もこわばっている】

【少女は前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳】
【首元には燕の型を取ったペンダントを下げ、背には「薬」と書かれた大きな鉄の箱を負ってる。……平然と鉄の箱を背負っているあたり、力はあるらしい】
【身に纏うのはチャイナドレスに似たような燕の模様をあしらった緑色のワンピース。袖のない服は、熱いどころの騒ぎではないこの地には合っているのかもしれない】】

【屈強な兵士や圧倒的な強さを持つ能力者達に混じっている彼女が纏う雰囲気は手練の其れではなく、むしろ戦闘に関しては素人……】
【そんな彼女が何故此処にいるのか。……それは、とても単純なことだった。放っておけば間違いなく死傷者が出る化物から人々を救うため、だ】
【あの時心の中で決めた一つの目標。―――人を救わなくなってしまった“W”の代わりに私が脅威から人を救う。それを今、初めて実行するのだ】
【怖い。本当は今にも泣き出しそうな程に、緊張している。……でも、一度決めたことは貫く決心が、弱い心を押さえつけてくれる】
【やると決めたんだ。――――やってやる。】


(―――――来タ――――――!)

【もう一度強く言い聞かせるように拳をギュッと握り締めた所で、そんな彼女を現実に引き戻すかのように可愛い声が化物の到来を告げる】
【地が揺れる。砂が弾ける。……化物の咆哮が、彼女たちを威嚇するように響き渡る。―――――砂埃が晴れたなら、そこに姿を現したのは大きな大きな殻で覆われた体】
【如何にも硬そうな殻は、恐らくまともな攻撃を通すことは叶わなさそう。砲弾の類も効くのかどうか分からない……】
【口はもうおぞましいの一言。円形に並んだ牙が化物の不気味さを倍加させる……恐らくアレにかかれば人などひとたまりもない】
【容易に近づくのは愚策。さりとて遠くから攻撃してダメージを与えられるほど生半可な代物でもない。……ならば選択肢はひとつ】
【「大胆な勇気と細心の注意を持って、近づく。」……それだけだ!】


――――黄春燕……出まス!

【勢いよくバギーから飛び出すと、手に鉄製の扇を持ち広げる。……扇が仄かに赤く光ったかと思えば、身の丈程にまで大きくなって】
【その巨大な扇を地に向かってひと煽ぎすると、ごうと突風が吹き、彼女の身が宙に舞う。……やがて怪物の口と同じ高さまで身を持っていけば】


……ヤッ!

【彼女の左手から全身紅の炎を纏った燕が飛び立つ。空を飛び、まるで意志を持ったかのように怪物の口目掛けて一直線に突き進む燕の形をした炎】
【これが狙い通り怪物の口に飛び込めば硬い甲羅で覆われた表面から攻撃するより余程ダメージはあるだろうが、果たして……】

【攻撃の成否に関わらず、春燕は怪物から距離を取って着地する。……連続攻撃はないということだ】
575 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/25(土) 20:14:31.03 ID:GLUtDA7a0
>>569

『んん〜♪ ナツメヤシ、初めて食べたんだけど……結構、美味しいわねぇ〜♪』
「……………。」
『ちょっと、たこやき君? そのジュースはどうなのぉ〜?』
「…………うまい。」
『ふぅ〜ん……帰りに、まとめ買いするのもアリねぇ〜♪』


【―――これから始まるのは、生命を賭けた戦い。ガタンゴトンとバギーが揺れる度に、車中に走る緊張感が増して行く。】
【其れは、"間もなく"を知らせるオペレーターの声が聞こえても尚、飲食を続ける二人を無視出来る程で―――。】


『ん……アナタ、これ、食べたいのぉ〜? いいわよ、ほら、ア〜ンして♪』
『あら、恥ずかしがっちゃってぇ……アタシは、皆の天使なの、気にしなくてもいいのよぉ〜♪』
『うふふ……可愛いわねぇ〜……。あ、でも、たこやき君はもっとかわいいわよ、愛してるわぁ〜♪ ……キャアッ!』


【突如響くは、轟音―――! 運転手に絡んでいたふぉんてーぬは体勢を崩し、そのまま頭を強打した。】
【『うふぅん……』と痛そうに擦りながら、体を起こし、砂漠の獅子≠フ全容を確認する。―――……。】
【半泣きのふぉんてーぬは、走り出そうとするバギーカーに乗せてもらう。………たこやき君は車を降り、後部へと移動した。】
【グレネードランチャーを取り出すと、軽々と持ち上げ、そのまま左手に装備。前線に走って向かっていった。】

【砂埃と紫外線を遮断するゴーグルをしっかりと装着。レンズに写っているのは勿論、目の前の巨体―――サンドワームだった。】


/ふぉんてーぬ&たこやきです! よろしくお願いしますー!
576 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 20:23:37.45 ID:zkFntpNDo
>>572
/物凄くどうでもよい訂正
/白褌→黒褌
577 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 20:40:05.08 ID:1ATgpBc6o
>>570 >>572 >>573 >>575

【バギーに近づいた三人がバズーカ砲を取りにバギーへ近づくと、まず運転席のドライバーが無言のサムズアップで迎えるだろうか】
【助手席には何か大きな機材が載せられているが…………それが何かを説明する前に、アンジェルはバズーカを受け取って能力≠発動させ】
【同じく少し遠くで、横島――――もとい邪禍が翼をはためかせる。その正体を探る余裕は、流石に今はない】

あら、また随分奇抜なメンツが…………とぉ!? いきなり二人とも空って、大胆な奴らねぇ…………。
あたしはミドナ、そっちは『喋り屋』ちゃんと…………資料だとふぉんてーぬちゃんだっけ?
まぁいいわ、よろしくね! そっちのお兄さんも、よろしくー!!

【そしてその際、『喋り屋』とふぉんてーぬも乗ることになるであろう後部の荷台から、四人へと女が大声で話し掛けるだろう】
【褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、やたら露出度の高い服装をした女だ】
【間もなく、バギーは敵の周囲を周る様に走り出す。女は荷台から四本のバズーカを探し当てると、取り出したバズーカを全て構える】

よっしゃ、んじゃあたしも続くわよッ――――!!

【そう――――全て、である。ミドナと名乗ったこの女性には、まるで阿修羅のように、腕が六本も生えていた】
【よく見れば、中段の二本はちゃんと人間の腕で、残る四本は朱色の光で構成されたエネルギー体の腕のようだ】
【自身の両足に加え、下段の両腕で荷台の縁を掴んで体をがっしりと固定。ミドナは最後に二人へ大声で吼えると、無遠慮に四つの引き金を引いた】

<………………オォォォォオオオオオオオオ…………!!>

【二人の攻撃は、全て敵の口付近へ。まずはアンジェルの砲撃、口内へ向けて放たれた弾頭を、サンドワームは首を振って甲殻で防御してみせる】
【何が危険であるのか、はっきりの認識しているようだ――――どれほどのものかは不明だが、こいつには知能≠ェあるということか】
【次いで放たれた邪禍の攻撃も同じ甲殻で防ぐが、衝撃でヒビが入る。これだけ口のガードを固めるということは、恐らく…………】
【そして最後に、ミドナの弾頭――――二発はアンジェルと邪禍の軌道を追い上部へ、もう二発はサンドワームの体の中心付近へ殺到し】
【アンジェルに気を取られたこともあって、サンドワームは回避できない。狙いは大雑把で、殆どは甲殻に阻まれたが…………】
【首元の甲殻が破損して肉が晒された上、サンドワームの体中央の甲殻にも僅かにひびが入るだろうか】

【サンドワームの上部は、見ての通り素早く動き回る。口内に攻撃を叩き込めれば確かに有効だが、回避される公算の大きいか】
【もっと弱らせれば動きも鈍るか。いま確実に攻撃を入れたいのなら、動けない根元付近の肉を狙うのがいいかもしれない】


>>571 >>574 >>575

【シーナの移動を阻むものは何もない。あの巨体だ、細かい動きには対応できないのだろう。周囲の隊員が少し驚いた様子でそちらを見る程度で】
【次いで春燕の攻撃にもサンドワームは首を振り、ちょうどアンジェルと邪禍、ミドナが狙った位置へ被弾。甲殻のヒビが更に大きく広がる。あと一息で破壊できそうだ】
【最後にたこやき君の持ち出したグレネードランチャーだが、これは単発式だ。威力は高いが弾薬の補充の必要があるだろう】

【そして、各々サンドワームへ干渉を仕掛けていく3人の後を追って、小さな影がついて行くだろうか】
【砂地をものともしない、驚異的な速さ。両手に爆薬を握って、砂煙に紛れるように3人の中間地点に疾駆する】
【――――少女だ。濃鼠色の髪を黒い大きなリボンで纏め、腰に長い刀を佩いた、どこか忍者じみた格好をした小さな女の子だ】

シーナに、ちゅんいぇん、たこやきだな! わたしは、よるなぎレラという!
ともあれすけっと≠ニやらのじつりょく、たよりにしているぞ!

【小さな身長から、3人へ向けて放たれる言葉。何故だか上から目線だが、幼い語調のせいでそれも逆に可愛らしい】
【「夜凪レラ」と名乗る少女の服の左胸には、燦然とSCARLET≠フ紋章が輝いている。どうやら友軍で間違いないようだ】
【ともかく、これだけの足があればバギーカーから装備を取って戻ってくることも可能だろう。弾薬等、必要なものがあれば彼女に言うのがいいか】


/続きます
578 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 20:42:35.61 ID:1ATgpBc6o

>>ALL

「前に出れる奴はそいつの注意を引きつけろ! 遠距離武器のある者は後ろから支援を! 衛生斑、東側で待機しておけ!」
『弱点は甲殻の間の肉ですが、注意して下さい! そいつは肉に空いた孔から砂や酸を吐き出す習性があります!』

【指揮官車に乗ったアサドとイスラが、拡声器を使って交互に叫ぶ。その間にも、戦線は動き続けるだろうか】
【飛び出す6人の後に続いて、サンドワームを囲い込んだアサドの部下達も銃器を使って攻撃する。それほど攻撃力はないが、注意を引くには十分】
【指揮を執っているアサドもまた、巨大な銃砲のようなもので遠距離から支援砲撃を行う。橙色の魔弾が肉の部位へと炸裂し、複数の孔を弾き飛ばす】
【まさしく、全方位からの一斉攻撃――――あの巨体だ、完全に倒すにはまだ掛かりそうだが、ダメージは確実に通っていて】


「…………! 来るぞ、伏せろぉッ――――!!」

<ォォォオオオオオオォォォオオオオオ………………!!>

【と、その時。弾けるような警告が、拡声器から全域に発せられる。全てのバギーカーが慌てて距離を取り始めるだろうか】
【そして、地の底から響くようなうなり声。サンドワームが鬱陶しそうに、巨大な体躯をゆらりと持ち上げた。地中から、長い体が更に引き出される】
【一瞬の、静寂――――そして次の瞬間、猛烈な暴風と砂塵を引き連れて、その巨体が鞭のように周囲一帯の地面を薙ぎ払う!】
【身体を振り回しての大雑把な円周攻撃だが、とにかく範囲がとんでもない。サンドワームを中心に半径十五メートル以内の圏内はすべて危険域だ】
【地面スレスレを勢いよく通り過ぎる体躯は、避けきれなかった数名の隊員をはね飛ばしながら、レラと共にいる三人に迫る!!】

【轢かれてしまった隊員達は全員、遠くの地面に叩きつけられて動かなくなる。たったの一撃で戦闘不能――――威力も相当のものなのは間違いない】
【迫り来る巨体、防御するにはやや難度が高いかもしれない。ならば四メートルの高さを飛び越えるか、アサドの言うとおり伏せて凌ぐか】
【幸いにも周囲は砂漠で、決して平坦な地形ではない。小高い砂丘や窪んだ場所を使えば、そのどちらも可能であるだろう】

【またバギーの方も、アクセル全開でギリギリ範囲自体からは離脱するものの、暴風と砂塵はバギー上の二人を振り落とさんと容赦なく襲い来て】
【空中の二人も、飛んでいる以上はこの風と無関係ではいられないだろう。風圧で体制を崩して落下すれば、いくら下が砂でも危ない】
579 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 20:52:50.74 ID:1ATgpBc6o
>>577
/最初の一行、「バギーに近づいた三人が」ではなく「アンジェルが」でした、失礼……
580 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/25(土) 21:03:50.16 ID:+E5sMtHjo
>>577>>578

「ククク……大船に乗ったつもりでおるがよい!」
「御主こそ足を引っ張るでないぞ?」


【シーナはレラからの言葉に対してそう返事をする】
【こちらも随分と上から目線である……きっと性格的な相性はよろしくない】


「ふんっ――原始的な畜生如きが……」
「地の理に於いてこの私の足元にも及べると思うでないのだ!」


【迫り来る巨体、まともに受けたならばその被害は致命的なものであろう】
【だがその行動を見てシーナは不敵に口元を吊り上げるだけであった】

【シーナは杖の先端で円を書くように砂をなぞる】
【すると、地面を通し周囲の地形に魔力が円状に大きく広がっていき】
【次の瞬間、周辺の地形は変動した】

【地面が隆起。サンドワームの巨体を遮るように、巨大な砂の山が出現する】
【それは3人を巻き込む直前の位置】
【砂といえども魔力で干渉し、密度を高めた其れは岩盤に匹敵する硬度を誇る】
【破壊的な威力を完全に防ぐことは敵わないだろうが】
【砂の壁を介することでその勢いを幾分か抑えることは出来るであろうか】


「――煩い虫め、大人しくしておるがよい!」


【だが本来の狙いは"防御"ではない】
【シーナが己に定めた役割は"支援"であり"妨害"】
【その為に場に干渉し易い"中距離"を選択していたのだった】
【もしサンドワームの身体がそのまま砂の壁を破壊し通過した場合】
【壁の役割を果たしていた膨大な砂がそのまま水のようにその巨体に絡みつき】
【駆動部に取り付くことによって"動きを鈍化"させようとするだろう】

【そして、同時にシーナは自身の足元を深く陥没させる事によって、サンドワームの攻撃範囲から離脱し回避する】
【頭上を通り過ぎる死の風に帽子を飛ばされそうになりながらも】
【シーナは地面を介して、場の状況を把握しようと魔力のネットワークを網のように張り巡らせ始めた】
581 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 21:14:12.78 ID:Neyxkv6ho
>>577>>578

くっ……デカい成りの割にウネウネと元気に動くじゃないの……!
でもこれでアンタがどういう奴なのかはよく分かったわッ!
あの硬い甲殻にしてもバズーカ数発で砕くことは出来る…!

(……とはいえ、砕いた所で弾が尽きちゃ意味が無いわ。)
(砕いてから撃たないとイケない……予備の方は一旦、温存するのが得策ね)

【口内めがけて放ったバズーカ砲が、首を降るという一動作によって防がれる】
【これでサンドワームにどれほどの知性があるのかも――甲殻の強度も分かった】
【恐らく、武装がなければ討伐は難しいだろう。暑さとは別に、汗が頬を伝ってマントに染みる】

【――アンジェルは予備の弾頭をバズーカ砲に装填し、そのままバズーカを身に括りつけた】
【一時、火器の取り扱いはストップだ。これは切り札としてとっておく、ということなのだろう】

【そこでまた攻めあぐねる。相手は巨体、肉の見える場所もあり、注意も足下から聞こえてくる】
【しかし――だからこそどう攻めるかに困るのだ。グレネードランチャーを拾いに戻るか】
【それとも、別に何かするか。そんな折、腰元の刀がチャキ、と鳴って――アンジェルはニヤリと笑い】

―――っ、わっ……!…この、アブナイでしょ―――!!

【直後、身をぐるりと回すだけの――暴力を具現化したような一撃が直ぐ下を通過する】
【空を舞うアンジェルには直接の被害は無いものの、強烈な風が吹き荒れて】
【元より鳥を真似して飛ぶだけの彼女からすれば、それは体勢を崩すには十分すぎ――】

【バタバタと翼を鳴らしながら、徐々に高度を下げる。しかしそれも考えの内とでも言うように】
【彼女は腰の刀を抜き放った――流れるような波紋は、妖刀≠ニいう言葉を彷彿とさせ】

どうせ落ちるなら砂の上よりアンタの上に落ちてやるわ、デカミミズ君ッ!
それと、そうね。先に言っておくわ……頂きます≠チてね――!

【落ちる勢いを何とか制動し、アンジェルは――サンドワームの節に覗く肉へと迫っていき】
【そのままならば打つかるだけであろうものを、鉤爪とかした両足で肉に齧り付き】

【そして、アンジェルは妖刀を思い切りサンドワームの身に突き立てようとするだろう】
【成功すれば痛みこそ少ないだろうが――この妖刀には力がある。血を吸う≠ニいうものだ】
【人間が本来の対象だが、血ならそれでいい。吸えば吸うほど強くなるのが妖刀の特性――大きな図体は、良い餌になるはずで】
582 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 21:22:18.20 ID:zkFntpNDo
>>577-578

「ふゥむ、流ァ石に一筋縄ではいィかねェか――良ォい、良ォいぞ、そォれでこそ良ォい"素ォ材"だ!」

【悪魔がニヤリと微笑む、少なくとも"破壊・ヒビ"に対する笑みではない――もっと、邪悪なもの】
【といっても、被り物をしているため表情が外部に漏れることはないと思われるが――】

「――しィかし、口ォ部への攻撃は的確に避ァけていると、ヒャハハ」
「おォっと、そォんなに悠ゥ長にしィてる場ァ合じゃアねェーか」

【元々攻撃の為のはためきという事もあり、高さ自体は大したことはない――が、】
【相手の攻撃は地面近くへの薙ぎ、つまり今いる高さは逆に危ない――だが急降下による回避はリスクが高く、しかし離れる気は無い】

「遠心力っつゥーのは、遠くの方が強ェもォンだ、そォれに風圧を考えると――なァら」

【悪魔の身体から発生する乱気流、いや、乱れていたのは最初だけで――吹く方向はすぐにサンドワームの方へと変わる】
【その気流に乗ってサンドワームの方に迫る――そう、悪魔はあえて"近づく"という選択肢を取ったのだ】
【更に書けば、近づく場所はサンドワームの回転の支点近く。――ただ、この場所が安全という保障はないが】

「ケツァルの野郎の翼でも飛ォびの感覚は変ァわんねェな、こォのまま――こォーだッ!」

【だが、元々風の力を持っている為、ある程度の風圧ならば耐えられる――】
【薙ぎがおとなしくなったと見えると同時に、回避と移動に使った気流の向きを変えて】
【手袋の中から取り出すのは――植物の種?】 【直径はおよそ1cm未満で、とても攻撃には使えなさそうだが】

「豊ォ穣を運ぶのは――"風"ッ!」 「さァー、こォの俺様特製の砂ァ漠適正持ヤドリギでもがき苦しむがよォいッ!」

【――狙うは、甲殻の破損した首元、一気に数mまで近づき――まずは、口部から銀色の鱗粉を持った風の尖った弾を一つ吐き出す】
【それに植物の種を籠めて、一気にサンドワームの首元目掛けて発射!】
【もしこの攻撃か、あるいは他の攻撃で傷がついた場合、その種は傷口に入り込もうとし――入り込んでしまえば】

「ヤァドリギをベースにサァボテンを混ァぜ、そォの他色々やァって作ったこォいつを―― 一気に発芽させてやるッ!」

【銀色の鱗粉の効果だ、種が発芽して一気に成長を始めるのだ】
【大きな図体な為、小さな種から蔓延ろうとする根は最初は大したことがないかもしれない】
【しかし、豊穣の力によって成長が恐ろしく早くなったそれは――放置すれば、蔓延る根と栄養吸収でじわじわと体力と動きを奪われかねない】

【早い段階ならば強引に引きちぎったり振り切ったりすることもできるだろうし、酸等で破壊も可能と思われるが――】

【成功失敗問わず、他の攻撃にあたらない様にすぐさま距離を離すだろう】
583 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 21:25:13.06 ID:zkFntpNDo
>>582
/ちょっと補足です
/近づく際に、高さも一端10m程まで上昇しています(その後、接近の為降下)
584 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 21:28:19.05 ID:ywdYQ2bY0
>>577-578>>575

【空を飛ぶ周りの人間たちを見て「その手があったか」とか呟いたが、彼女の飛行方法は戦闘ではあまり使えず】
【回した思考を放って、同じくバギーに乗っている彼女らを見て、今回手を組むであろうメンバーだと悟った】

――――『ミドナさんと、ふぉんてーぬさん…ねよろしくよろしく。奇抜って褒め言葉として受け取っておくよ』
『というか私は他と比べれば奇抜じゃない!…奇抜じゃないハズ…!私はただの『喋り屋』だから』

【人差し指を喉に当てれば、まるで他人の音声のように可愛らしい少女の声が代弁する。当の本人は無表情】
【そんな腹話術じみたことしながら何を言うのか。十分奇抜な少女は、バギーに乗ったメンツを見て顔を記憶した】

―――『ははっ、何と言うべきか…豪快の一言に尽きるよホント!』
『そんでもって見えたね鎧の奥…あの部位を貫けばどれだけダメージが入るのかなっと…』

【文字通り、全てのバズーカを操るミドナの姿に軽く圧倒されつつも、サンドワームが負傷した部位を彼女は見逃さなかった】
【空中戦をしている他の助っ人たちに当たらないタイミングを見計らい、軌道を考える】
【攻撃準備――まだ荷台の武器は取らず、まずは自身の魔術で小手調べと言ったところだろうが―――】


――――――――…『神よ、我が声に自然の加護を!』


【――――喉に右手の親指を当てる、『喋り屋』の少女らしかったその声は色を変え―――まるで壮年のような紳士的な声】
【その声から水属性の魔翌力が生まれた。『喋り屋』の紡いだ声が青く染まるように可視化、具現】
【声から抽出された魔翌力によって生み出されたのは「水で模られた刃」―――それも、三発だ】
【放った全てが破損したであろう首元目掛けて飛ぶその刃は威力十分―――だがしかし、図体を考えれば非力かもしれない。一先ずの試し撃ちである】

【―――そのついで、サンドワームの行動についても推察。どうやらある程度賢い怪物のようで】
【巨体で弱点を守る行動、というのは矢張り厄介か―――口内を開けさせる方法を思考しつつ】

【先程撃った「水の刃」が成功したかはともかく―――サンドワームの薙ぎ払いによる衝撃が迫りくる】

―――――――…『うがぁーっ!?もう、これだから育ちすぎた化け物はキライなんだッ!』
『あんな巨体の鞭、モロに当たったら一溜まりもないじゃんかぁ!』

【とにかくは、近距離戦でなくてよかった―――と思うのも束の間、軽い体が飛ばされそうになり】
【危うく落ちかけた体を支える様に荷台の縁を掴んで、投げ出されるのを防いだ】

【それよりも辛いのは砂塵。目に入った砂が彼女の視界を奪う。完全に見えなくなったわけではないが】
【少なくとも、狙いを定めるような攻撃はすぐに撃てない―――目を覆い、少し舌打ちして】
585 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 21:30:42.49 ID:GLUtDA7a0
>>577-578


『あらぁ〜♪ ミドナちゃんね、よろしくお願いするわぁ〜♪』
『みんな、頑張ってるわね……うふふ、アタシも妖精さんでも召喚しちゃお、……ゾクゾクするわぁ〜♪』


【と言いながら何やら見定めているのは、腰の辺り。色とりどりの宝石の様な粒が取り付けられている部分である。】
【その中から一つ。青色の物を取り出すと、それを地面に放り投げた―――やがて露となるのは、凡そ170cmの"氷の妖精"。】
【碧い目に、蒼い髪―――そして、ミドナに勝るとも劣らずの露出っぷりの彼女。足が30cm程浮かんでいるのは、妖精たる所以か。】


『さっきの、とぉっても痛かったわよっ〜! 乙女をイジメるだなんて、ダメダメじゃないのっ!』
『という訳で、あいすちゃん! やっちゃってちょうだいっ! あれよ、氷投げつけるやつよっ!』


【"あいす"の名の妖精は、彼の仰せのままに、呪文の詠唱を開始する。やがて彼女の胸の辺りに直径約2m程の氷の塊が形成され、】
【それをサンドワーム目掛け投擲。軌道はバギーから討伐対象までの直進、速度は丁度車ぐらい、時速60kmといった所だろう。】

【大量の砂埃と、立つ事さえ困難な程の強い風が襲うのは、それから間もない事。妖精は外的要因には影響されない様だったが、】
【ふぉんてーぬの方は別。轟音を立てて荒れる風に耐え切れず、吹き飛ばされ―――再び、灼熱の砂浜に頭を打ってしまった。】
【ゆっくりと起き上がり、歩いて行く―――否、戻って行く。どうやら、彼自身は戦意喪失、バギーの中で召喚獣を指揮する様だ。】


【一方、たこやき。手にとったグレネードランチャーを裏返しながら表、裏と形状を確認し、使用方法を把握する。】
【―――連射が出来るタイプでは無い様だ。扱いに"慣れている"とはいえ、それでも矢張り、装填に十数秒はかかってしまう。】
【兎に角一発が、極めて重要になる事は自明だった。となれば、先ずは近接戦―――サンドワームの全容を確かめるべく、跳躍を試みる。】

【―――それが巨体を撓らせるその攻撃の回避に繋がったのは偶然、だった。それ故風圧の対応は出来ず、バランスを崩した。】
【とは言え、空中で一回転。自分の軸を確かにした所で、何とか着地に成功する。―――降り注ぐ砂埃が、肌と擦れて僅かに痛い。】
【轢かれた隊員、其の動かなくなった姿を見、対象の強靭さを知る。少しズレたゴーグルをはめ直し、少年は立ち上がった。】

【どうするべきか―――取り敢えず周囲を把握、味方の遠距離射撃の軌道を記憶し、"近接戦"が狙える場所へと移動する。】
【そして再び跳躍、先程の爆撃で範囲の広がった肉の部位に目掛け―――回転のベクトルが備わった蹴りを放つ……!】
【勿論、先程拡散されていた習性を聞いていない訳では無かった。其れでも尚、この行動を選んだのは―――………。】

586 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 21:36:57.19 ID:X2dz/YJd0
>>577-578
【砂埃で姿がよく見えない内は警戒していたが、その警戒心は彼女の姿のお陰ですぐに解かれる。……左胸の紋章もそうだが、小さくて可愛らしい姿だったのがその一因だろう】
【(……春燕も彼女のことを言えない程に小さな少女ではあるが)】
【ともかく、頼りにしていると言われて悪い気分はしない。小さな彼女の期待に違わぬようにしなければ!】

レラちゃんネ!……ウン、一緒に頑張ろウ!
ゼッタイにアレを倒して皆を守るヨ!!

――――

【罵声にも似た勢いの良い声と可愛いが必死さの伝わる高い声が、交互に戦場を飛び交う。春燕ら6人も各々戦っているが、SCARLETの隊員も必死なのだ】
【銃弾と、橙色の一閃と、炸薬の爆裂と。頼れる後方支援の攻撃は、確実に怪物の体力を削っていく――――】

【――――その時。】


【此方に、いやこの場にいる全員に向けて警告が飛ぶ。「伏せろ!」……と】
【その声がこちらに届いた次の瞬間、再び地鳴りのような化物の鳴き声が轟く。地がまた揺れ、小さな人間を蹂躙し、……化物は、さらにその身を露わにした】
【鳴き声の残響が収まり、一瞬不気味な程の静寂が場を支配し――――瞬間、轟音と共にその身を此方に薙ぎ払うかのように動かしてきた】
【屈強な隊員数名が次々と跳ね飛ばされる。当たれば華奢な彼女はまずひとたまりもないだろう。―――避けなければ!】

【周囲に窪みが見当たらない。無いなら作るまでとばかりに扇を地面に向かって全力で扇ぐと、突風により砂が吹き飛ばされ舞い上がる】
【強引に作った穴は屈んだ少女一人の身を隠すには充分な大きさ。急いで作った穴に入ると、なるべく低い姿勢になるように伏せ、次の瞬間】
【入ったのとほぼ同時に巨体が頭上スレスレを掠めて通過する。化物が巻き込んだ砂が春燕にかかり、哀れ彼女は砂まみれ……】

【……しかし、砂を被ったぐらいで四の五の言っている場合ではない。砂なんて体を洗えばどうにでもなる、それより怪物を何とかしなければ……】

【怪物はあれだけ大きく身を捻らせたのだ。きっと大きな隙が出来ていることだろう……ならば、その隙を利用して、叩く!】
【頭上を通り過ぎた瞬間春燕は窪みを飛び出し、先程と同じように鉄の扇で突風を巻き起こして宙を舞う。高く、高く……!】
【彼女の限界まで高く飛ぶと手に持った鉄扇を閉じて、重力に任せて落とす。落下目標は―――――一斉攻撃を浴びて崩れかけの甲殻だ】


……――――行っケェ!!


【重力を味方につけてグングン扇は加速。罅割れた巨体に近づいて行って――――――そのまま閉じた身の丈ほどの大きさの扇を罅割れた殻にに叩き込む】
【ただでさえ重い上に重力で加速した扇は、殻を破ることができるか――――】

【扇は攻撃の成否に関わらず、怪物及び地面接した瞬間開いて、着地した春燕の手に舞い戻る】
587 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 21:43:13.78 ID:Dq83ahRNo
【路地裏】

【十数人の走る足音と、間断無く鳴り響く発砲音、怒号。自警団による捕り物のようだが】
【其れ等が突然、無音になった。しんとした静寂の中、やがて下駄の足音が聞こえ出す】

嗚呼五月蝿い、まだ耳が痛むわ……
通行の邪魔して飽き足らず、がたがた言わしよって。阿呆らし

【現れたのは、黒の紋付羽織に袴姿という、櫻式の喪服に身を包んだ線の細い男】
【肩口で切り揃えた白髪に漆黒の彼岸花を差し、切れ長な目は深い葡萄色】

【がしゃん、と銃の落ちる音がした。上を見れば、無残に首を吊られた自警団員達の姿】
【彼らは皆、廃ビルの上階部分に根ざした、青藍色の植物の蔦で高い位置に吊られている】
【植物はこの世のものとは異なる造形であり、燐光を放ち神聖な気配すら漂わせていた】

【そして、その青藍色の魔力を引き連れているのが、冷え切った目をした件の男】
【彼は己の作り出した光景を一瞥すらせず、何事も無かったように路地の奥へと歩んでいく】
588 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 21:57:31.65 ID:1ATgpBc6o
>>580 >>585 >>586

【迫り来た巨体は、いとも容易くシーナの張った障壁を破壊してしまう。流石にこれだけの大きさ、岩盤程度では強度が足りないらしく】
【だがシーナの真の目的にまでは、畜生如き≠ナはやはり気づけない。破壊した砂がサンドワームの上部付近の甲殻の隙間を埋め尽くし、首の可動域を狭めた】
【そしてほぼ同時、春燕の扇が甲殻を打ち砕いて破片を散らし、はらはらと破片が散る。周囲の隊員が、歓声を上げるのが聞こえるか】
【直後、たこやきの蹴りも肉にめり込む。ただ、怪物が体を起こしたこともあって流石に上部の肉には届かない――――下部の肉へと突き刺さるか】

ぶじか、ちゅんれい、たこやき!
…………む。おおぐち≠たたくだけあって、少しはやるようだな…………!

【巨体が去った後――――レラはがばりと起き上がって全員に声を掛けた後、即座にシーナへ憎まれ口を叩く。相性はやはりよろしくない】
【大量の砂を被っているが、彼女にも特に怪我はなさそうだ。その両手には鉤爪≠ェ取り付けられていて】
【恐らく春燕と同じ回避方法。それで地面を掘った後、小さな体躯を駆使してそこに潜り込んでいたのだろう】

ついげきする…………!

【レラは次に腰元の刀を勢いよく抜刀し、同時に月色の瞳が輝く。その瞬間、両手の鉤爪がどこぞへ掻き消えて】
【たこやこの攻撃の後を追うように、弾けるような疾駆。彼の攻撃した近場の肉へと、勢いよく刀を突き立てるだろうか】
【そのまま小さな体の全体重を刀へ押しつけると、みちみち、という嫌な音と共に、肉が縦方向へ裂けてゆくだろう】
【レラが刀を引き抜いて素早く後退すると、噴出する大量の血液の奥に、グロテスクな内臓の一部らしきものが見える】
【隣のたこやきの攻撃が深く肉を突いていたお陰で、レラの刃が表皮を引き裂くに至ったのだ。ここへ直接攻撃できれば――――】


>>581 >>582 >>584 >>585

うっわ…………げっほ、げほっ!  ちょっと、大丈夫だった!? ふぉんてーぬ…………って何、この妖精みたいの? あいす?
そっちの二人も、平気ーーーっ!?

【サンドワームの不気味な口が、ぎりぎりの所を通過していく。一瞬遅れて、強烈な風砂がバギーを煽った】
【ミドナは咄嗟にしゃがみ込んで姿勢を低くし、縁を掴む下段二本の腕に全力を込めてどうにかやり過ごす。砂煙が晴れれば、心配そうに四人の姿を探す】
【三人は未だ壮健、ふぉんてーぬは前線からは引いたものの妖精を残した。やっぱり奇抜な連中だな、と、自分もその一員であると気づかず思って】
【ともあれ全員の無事を確認すると不敵に笑い、六本腕に新しい武器と弾薬を取ると、被った砂を乱雑に払いのける】

<――――ぉ、ォォオ、ォォオオオオオ…………!?>

【『喋り屋』とふぉんてーぬの攻撃は、シーナの妨害工作によって回避能力が落ちた怪物には回避できなかった】
【水の刃は春燕が砕いた甲殻を今度こそ完璧に破砕し、広範囲に肉が晒される。氷の礫は中腹部の甲殻の中央へ飛来し、みちりと嫌な音を立てて表面に傷をつけた】
【そして、敢えて近づくことを選んだ二人――――その勇気を、止める術もまたない】
【アンジェルの妖刀は傷口からみるみる血を吸い、邪禍の放った種も剥がれた甲殻の下に発芽、逞しい根が肉の間を這い回って養分を吸い取っていく】

ひゅーっ、やるじゃない! 奇抜ってのは褒め言葉よ褒め言葉っ♪
んじゃこっちも――――フルバーストよぉッ!!!

【――――四人それぞれ、己の力を遺憾なく発揮して戦っていた。ミドナはその実力と、何より怯まない勇気を口笛を吹いて賞賛し】
【それに続くように、上段と下段の四本腕にグレネードランチャーを構え、反動をものともせず連続でトリガーを引く!】
【更に、残った自身の両腕で素早くリロードを繰り返し、サンドワームの中腹部を爆薬の雨が間断なく覆い尽くしていく。まさしく一斉射撃だ】
【相変わらず狙いは大雑把で、肉には殆ど当たらなかったが…………ふぉんてーぬの攻撃もあり、数カ所の甲殻に大きな亀裂が入るだろうか】

<ヴ、ォ、ォォォオオオオオオ…………!?>

【そして――――グレネードの内の一発が、偶然口の中に入り込んで炸裂する。サンドワームが、大きく体を揺らすのがわかるだろう】
【やはり、体内からの攻撃に弱いのは間違いない。動き回る頭をピンポイントで攻撃するのは難しいが、その分特に有効打となる筈だ】
589 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 22:00:29.32 ID:1ATgpBc6o
>>ALL

「衛生斑、負傷者を回収して救護車へ! マスラド、後退を支援しろ!」

【あの巨体から繰り出される反撃は、確かに厄介だ。だがしかし、火力は圧倒的にこちらが上】
【アサドも忙しなく指示を飛ばしながら、合間合間で砲撃支援を入れている。動ける者もまだ多い、優位は完全にこちらにあった】
【部隊員達の間にも、余裕が広がる。今年も、無事に終わりそうだ――――と】

『――――うそでしょ…………!? 地下に反応…………に、二体目が近くにいますッ!!』

【イスラの悲鳴じみた叫びが、戦場に響き渡った、その直後だった】
【地面が揺れる。何か大きなものが地中を這い回っているような、そんな感覚がこの場の全員に伝わるだろうか】
【やがてほんの一瞬、揺れが止まって――――直後、現在地から四十メートルほど離れた場所で、大量の砂が爆発する!!】


<…………ォォオオオオオオオオオォォオオオオオ!!>


【咆哮は、やや小さい。体をうねらせ、全身から吐き出される砂の量も、先程より少なく見える】
【どうやら、あちらは突然変異種ではなく通常個体のようだ。勿論、だからといって脅威である事には変わりないが】
【そいつは鎌首をこちらに向け、今目の前にいる巨大サンドワームを見据えるような動作をするだろうか。つがいか、あるいは子供か――――】

「ちぃっ――――合流されちゃ敵わん! アルフレド、暫くこっちの指揮を任せる!!
 竜車をこっちへ、二斑は俺と共に来い! 幸いヤツは小さい、速攻で撃退するぞ!!」

【アサドの決断は早かった。すぐさま竜車を呼び寄せ、有無を言わさず最低限必要な通信機器類と共にそちらへ飛び移ると】
【すぐ近くで二丁拳銃を手に支援を行っていた、アルフレドと呼ばれた眼鏡を掛けた怜悧そうな青年へ一言声を掛け、即座に進路を反転させる】
【彼の指示に従い、サンドワームを囲んでいた部隊員のうち半数程度が竜車へ飛び込んでいき、その後を追っていくだろうか】


『ッ――――さ、サンドワームから離れて下さい! 強酸を吐き出してきます!!』

【――――休む暇もない。新しい拡声器を受け取ったイスラが、即座に警告を叫んだ】
【目の前のサンドワームの巨体が空へと伸び上がり、ぶるりと震える。近くにいれば、肉に空いている孔が一斉に拡張するが見える筈だ】

<ォ――――ォォオオオオオオオオオ!!!!>

【そして刹那、深緑色のヘドロじみた液体が全身から一気に放出、周囲一体へまとめてバラ撒かれる――――!!】
【竜などの巨大生物に巻き付いて攻撃する際に使われる、強酸性の体液だ。もし浴びれば、その部位に焼けるような激痛を感じるだろう】
【酸はサンドワームの体から遠い場所ではバレーボール大の雫が多量ランダムに降り注ぐ形となり、近い所では殆ど濁流と化して襲い来る】
【多少飛沫を浴びる程度なら死にはしない為、雫の方はまだマシだが…………濁流の方は非常に危険だ。一気に浸かるほど浴びれば、痛いでは済まない】
【近距離に居ればいるほど危険という訳だ。またこれにより、邪禍の根とシーナの妨害もドロドロに溶かされ、無効化されてしまうだろうか……】

【またバギーの方も、降り注ぐ雫を出来る限り避けるため、右へ左へと次々に蛇行する。振り落とされないよう、これまで以上に踏ん張る必要があるだろう】
【だがそれだけやっても、酸の雨の全ては防ぎきれない――――荷台の上へ、雫が数発降り注いでくるだろうか。近場に着弾して飛び散る飛沫も危険だ】
【…………こんな状況では、さすがにアンカーガンを使うのは不可能だ。今は他の手で耐え凌ぐしかない】
590 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/25(土) 22:24:29.53 ID:+E5sMtHjo
「よいぞ、貴様が望むならばあとで"さいん"の一つでもくれてやろう!」


【憎まれ口に対しては飽く迄も上から目線な返事】
【山のように高い自信はそうした言葉でも好意的に解釈してしまう】
【戦闘も佳境に入った今、これ以上のやり取りは難しいだろうが……】


「さて、思ったよりも呆気なく終わりそうなのだ」
「此の儘縫い止めてさっさと片付けて――――」


【怒涛の攻勢により、サンドワームの身体には無数の傷が刻まれた】
【その内幾つかはそう時間を掛けず致命へと到達するだろうと思われた】
【しかし次の瞬間――場面は激変した】
【2体目のサンドワームの出現……そして、広大な範囲を持つ強酸だ】
【前者は他に任せても問題はないだろうかと判断】
【シーナは繰り出された酸に対して即座に行動を開始した】


「無闇に大地を汚すでないわ馬鹿者がッ――!!」


【杖を一層強く足元の地面へと突き立て、深く魔力を浸透させる】
【先ほど張り巡らせた魔力ネットワークを通し】
【知覚範囲内の"地面と定義した地点"に干渉――地形を変化させ】
【同時に杖を持つ反対の手で懐から無数の小石のようなものを取り出し周辺にばらまいた】


【シーナの行使した術は2つ】
【サンドワームの周辺の地形を隆起させ、砂の壁を形成する】
【硬度は先ほどより密度が薄く、脆弱ではあるが】
【その分砂によって酸を"吸収"する作用を強めたものである】
【成功した場合、酸を取り込み泥状になった砂が崩れて地中深くに潜っていくだろうか】
【また、成功したとしても濁流のごとく流れる酸を全て取り込むほどの作用は期待できないだろう】

【もう一つは――簡易ゴーレム生成】
【ばら撒いた小石……ゴーレムコアを中心として数秒と経たぬ内に】
【大雑把なデザインの鎧騎士のような砂人形が15体程度形成される】
【数を重視したため戦闘力は低い雑兵に過ぎないが】
【"使い捨ての盾"として使用する分には支障はない】

【ゴーレム達の足元の砂がジャンプ台のように跳ね上がり】
【無数の人形たちが砂の身体を降り注ぐ雫へとぶつけていこうとする】
【もし命中した場合、雫の幾つかを叩き落とすことが出来るだろうか】
【行動の成否を問わず、ゴーレムは酸で破壊されるか地面に叩きつけられて崩れる】


【そして――これだけの術を一度に行使したため一つ"穴"が出来てしまう】
【己の安全を度外視してしまったのだ】
【若干の焦りが混ざっていたのか、一度に魔力を使いすぎて即座に次の術を繰り出すことは出来ない】


「ぬっ――――!?」


【故に――シーナは己の上に降り注ぐ、強酸の雫を防ぐことが出来なかった】
【バシャリ……と大きな雫が老魔法使いの身体に直撃し、その場に叩きつけられた】
【まともな人体であれば、致命傷にもなりうる当たり方であるが――】
591 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/25(土) 22:25:44.55 ID:+E5sMtHjo
>>590
/安価と1行目の文章がコピペミス……訂正です!

>>588>>589

「ククク……!少しはこの天才魔術師シーナ様の実力が理解できたようだな!」
592 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 22:36:17.08 ID:zkFntpNDo
>>588-589

「ほォう、俺様特製のヤドリギを溶ォかすとは――さァて、離れておいて正解って奴だな、ヒャハッ」
「酸――しィかもかァなりの強さと見ィた、――良ォいぞ良ォいぞ!」

【距離を離したといえども、まだまだ近いと言える範囲内だった、複数の酸球が悪魔に迫る】
【悪魔といっても今は半分ほど人であり、肉体を持っているとなれば酸の脅威からは免れられない】
【翼が酸で焼かれるのを嫌ってか、まずは地面に降り立ちつつ翼を仕舞い――その目の前に風の渦を作りだし】

「竜巻は効ィきそォーにねェーし、酸もだァが――防御も兼ァねて、だ」

【風の渦は時間経過とともにどんどん大きく強くなって行き、そして――高さ10m程、最大直径50cm程の竜巻となる】
【この竜巻に酸を巻き込むことで、自分へ来るそれを防御――ただ、飛沫はどうしても受けてしまい、身体に無数の赤い点が生まれる】
【また、竜巻に巻き込み切れなかった酸球の一つが悪魔の右腕に命中、手袋ごとそれを焼き溶かす】
【――どうやら、ほとんど右腕が使用不可となったようだ】 【見える鋭く赤い爪は、おおよそ人のモノとは思えず――】

「……グゥルルルル」 「良ォいだろう……竜巻で切ィり刻んでくれるッ!」

【そして、酸を巻き込んだ竜巻は移動を始め――サンドワームに迫り来る】
【狙いは上半身(特に、頭部)だが、攻撃の性質上相手の位置に左右されやすいためそこまで狙いを定められるわけでもなく】

【迫る速度はそこまで早くないが、竜巻は刃が無数に回転しているような鋭さを持っており、更に砂も巻き込み丈夫さを増す】
【また、効くかは別だが酸も巻き込んでいる】 【――大きく見えやすい為、攻撃等で破壊・減衰はしやすいだろう】
【そして、命中してから数秒すれば竜巻は消えて――巻き込んでいたものもすべて落とす】

【……竜巻は無差別的で砂埃も巻き上げるため、他の者に被害が出る可能性もあるが――悪魔が気にするはずもなく】

「さァて――日光もかァなり貯まった、近づいて一気に放ォ出しィてやろう」

【竜巻の後ろを通るようにして、しかし酸や砂埃等の被害が殆どでない程度に距離を取りつつ――サンドワームに向けて歩く】
593 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 22:40:52.01 ID:GLUtDA7a0
>>588-589

「…………っ!」

【たこやきがすかさず構えたのは、グレネードランチャー。レラが引き裂いた丁度同じ部分、狙いは寸分違わず発射する。】
【其れが命中するかどうかは分からないが―――サンドワームから放出された体液、その濁流を回避する事には成功した。】
【ランチャーを発射させる際に発生する、爆風を利用したのである。それは、少年と対象を隔てる距離をも生み出し―――。】

【……然し、その量―――殆どゼロ距離であった以上、完全に回避する事は不可能で―――砂埃の次は、サンドワームの体液だった。】
【飛沫が右頬を掠り、左足にはヘドロがベタッリとくっ付いた。綿密に編まれた布も、強酸には抗えず、浸透を許す―――。】
【鋭い痛みが少年を襲う。涼し気だった表情が僅かに歪み、一度屈み込んでしまった。……どうやら、剥がれそうに無い。】

【このまま行くしか無い―――少年は痛みを耐えながら、そのまま、グレネードランチャーの装填に取り掛かった。】
【数十秒、熟れた手つきであるとは言え、その間無防備である事には変わりはない。―――全ては、運。】


『ちょーっとぉ……何で休ましてくれないのよぉ……』
『きゃあっ! こっち、こっち来たわよっ! 気持ちわる……いったぁーい! 何よ!もう!』


【バギーから発せられるは、雄々しい叫び声。彼は右へ左へ移動する車体に振り飛ばされまいと、何とかしがみつき対応していた。】
【……逆に言えば、其れに必死だった。降り注ぐ雫に対応する事は出来ず―――とは言え、運良くも右手の甲に飛沫が付着する程度だった、が。】
【持って来ていた水筒を直ぐ様取り出し、大量の水をかけ、酸の威力を消去しようと試みている。処置が早かった為か、大事は至らなかった。】


『ああんもぉー……1体でも大変なのに、2体目もでちゃったのぉ〜?』
『戦力は、大丈夫かしら……あ、あいすちゃんに、指令しとかないとねぇ……』
『あいすちゃん! あの子の動き、止めちゃってちょうだぁ〜い! もう、なんでもイイわ!』


【初めに出ていた大きい方の1体目は他に任せ……ふぉんてーぬは2体目を確実に仕留めようという判断らしい。】
【"あいす"が詠唱を開始する。数秒後、小さい方のサンドワームの足元から、矢張り氷が、丸でしがみつかんとばかりに湧き出してくるだろうか。】
【ふぉんてーぬの言う通り、目標の動きを制限し、アサドの"即効で撃退する"という作戦を、より確実な物にするという目的であるが、果たして―――?】
594 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 22:42:46.52 ID:lMGOX10to
【とある市街地】

【ラッシュに捕まってしまった自動車の群れがテールランプを光らせて喚いている】
【この街のメインストリートの交差点、この時間帯はいつもこんな感じだ。ドライバーの怒りは信号の赤よりもお熱のようで】
【治安も品もまあ多少は悪いけど、気をつけて歩いて余計なことをしないでタコスでも食ってりゃ楽しい街――】

<BOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!>

【っと不意に爆発だ。雑居ビルの3階の窓が盛大に枠ごと吹き飛んで炎と煙を勢い良く吐き出した】
【クラクションが止んだことは嬉しいけど次は悲鳴。それ以上にうるさくて嫌になってしまう】
【人々はその場から離れようと次々と走って逃げ出す。クルマも走りだすがすぐに交差点でクラッシュして乗り捨てる】
【店は客を出した後はシャッタをすぐに下ろす。皆、慣れている――ま、そういう街だ】
【気をつけろってのはスリと通り魔とマフィアの抗争の銃弾とと不意の爆発に気をつけなさいって意味】

……ビールまだ飲んでねえのに…チクショウ、何処のどいつだ

【タコスの屋台で1人黙々と食っていたサングラスの男はしゃがれた声で愚痴を漏らす】
【既に背後の歩道じゃ皆バタバタと走って逃げていて、店主も既に居ない。ラジオだけ陽気にレゲエがかかっている】
【右手に握っていたタコスを無理やり口に押し込んでコーヒーで流し込めば、じゃあそろそろと席を立った】
【黒いスーツの上に安っぽいカーキのミリタリーコートを合わせた痩せた長身の男は】
【マイペースにトコトコ歩いてすぐ近くの路肩に止めてあったネイキッドのバイクに跨った】

<BOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!>

【おっと、また何処かの何かがぶっ飛んだらしい。近所の店が吹っ飛ぶ前に早いとこ退散しよう】
【バイクにタンデムシートは装備されているから便乗も可能だ。スターターを踏み込めばうぉんとエンジンが唸る】
595 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 22:43:14.64 ID:ywdYQ2bY0
>>588-589

【振動に耐えつつ目に入った砂を取り除きながら、轟音の最中にあるミドナの問い掛けに耳を澄まし】

―――――『目が見えないけど大丈夫と言えば、大丈夫かなぁ!』
『心配ない、すぐに復帰するから――――全力で、ぶっ放してっ!』

【現状報告と共に、内容とは裏腹に余裕そうな声色で告げる】
【指での会話を終わらせたなら喉から手を離し―――サムズアップ】

【グレネードランチャーの爆撃音、それを聞いていればまだ人類の優勢なのだとも思ってしまうが】
【しかしそれと同時に聞こえるのはバッドニュース。比べれば小柄、とはいえ状況の悪化に変わりはなく】

――――『見えない、けれどマズい状況っぽいね…!二体目なんて聞いてないっつーの!』
『報酬上乗せでも構わないんじゃないのぉ!?ただのジョークなんだけど、さ―――――!』

【今のところ、こちら側が相手をする雰囲気ではなさそうだが、念のための警戒を忘れずに】
【次にサンドワームからの攻撃―――通信から聞こえた単語は恐怖心を駆り立てるのには十分で】

――――『きょ、強酸だってぇ?冗談じゃないっての…っ!』
『乙女のお肌が荒れちゃうじゃないか…いや、砂漠でそれを言うのは遅いか…!』

【無表情ながら、まだ冗談を言うような余裕はあるらしい。多少の怪我は承知、ということか】
【どちらかと言えば今は、バギーカーの勢いに振り回されないようにする方が難しいようで】
【縁に掴まりつつも、酸から逃げるために多彩な動きをするバギーによって―――軽く体勢を崩して、尻もちをつく】
【しかしまだバギーに掴まっている、吹き飛ばされずに済んだようだが、次は強酸による洗礼が待ち受けていた】

――――――――――――ッッ!!!

【強酸から身を守るために現れたかのような、赤黒い翼のようなもの。喋り屋の背中から一対だけ出現したそれは彼女の体を覆う】
【それでもある程度水滴を逃してしまったようで―――服を溶かして染み付いたそれによる激痛が彼女を襲った】

【砂で閉じられつつあった双眸を薄く開き、うっすらとサンドワームの姿を視認したなら】
【盾代わりであったその赤黒い翼が霧散し、サンドワームの頭部へと放たれるだろう】
【翼であったそれの本質は「闇属性の魔翌力」――――ダメージこそないが、光を消し視界を奪おうとする】

【視界潰しが成功するか否か、そもそもサンドワームは何を持ってして自分たちを認識するのかは知らないが】
【こちらは逆に、視界が良好としてきた―――次こそ一撃を放つ準備を…!】
596 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 23:04:34.58 ID:Neyxkv6ho
>>588-589

【アンジェルはニヤリという笑いを大きくした。妖刀は凄まじい勢いで血を吸い上げる】
【しかし追いつかない。それ程に大きい相手だというのを再認識しながら――】
【アンジェルは来るべき時≠ノ警戒を払っていた。それというのは、つまり】

―――想像通り、ってね!酸が出るなんてさっきから言ってたじゃない
そんな場当たり的なことしか出来ないんじゃ……って、ちょっとこれは、量……ッ!!?

【そう、酸を吐く時。警告は受けていたのだから、それに余念はなかった】
【しかしながら――予想していたからこそ、深追いはしなかったがその量までは推しきれず】

【結果的に目に見える範囲では頬をジュウ、と焼き、ブーツやマントの一分にも酸を受け】
【刀を引き抜き、緊急離脱に近い形でまた空へとその身をおどらせる】
【――痛みは強い。しかしそれでも、今までの様々な経験に比べれば、と】

【アンジェルは自身を叱咤しながら妖刀に意識を走らせる。血は十分すぎるほど吸っていた】
【ならば、と――彼女はそろそろ限界の見え始めたハゲワシの翼に力を込め】

っ……ッ!二体目なんて冗談じゃないっ、だったら此処で一か八か……!
お肉が柔らかいのはわかってるんだから……バターみたいに斬ってあえげるわ、ミミズ君ッ!!
彼女だかママだかパパだか知らないけど、精々看取ってもらうのね―――!!

――――でェエエエエエエエエエエエエやァアアアアアアアア――ッ!!!

【サンドワームとほぼ同等の位置まで飛び上がると翼が消失。アンジェルは落下を始めるが】
【それと時を同じくしてかの妖刀が巨大化。形としては、青龍刀のイメージに近いか】
【問題はその刃の長さ。サンドワームの肉体を縦に両断するにも難しくないようなサイズであり】
【――或いは。うまく直撃させられれば、その身を切り裂く一撃をしかけんとするのである】

【二体同時に相手をするのは難しい。だから、無理をしてでも片方を潰す必要がある、と考えた】
【無茶は承知だ。アンジェルは切り裂くうちに落下が弱まり、着地も出来るだろうと思っているが】
【失敗すれば地面に落ちるだけ。――大博打。果たしてその結果は、いかなるものにつながるだろうか】
597 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/25(土) 23:14:49.74 ID:GadAR9jio
>>567
この辺のいいお店かー…んーっと―――

【全てを一任されて少しだけ黙々と考え込んでみる】
【とりあえず安価な値段の近くの喫茶店やファミレス。その程度しか浮かんでは来ないのだが】

えーっとね。じゃああそこ行こ。あそこのプリンは美味しいんだよーっ
それに値段も安いし、ドリンク飲み放題だし

【キラッと頭の上に電球を浮かべた少女が指差したのは近くの喫茶店】
【人入りもあり結構繁盛してそうな佇まいである】

私の名前はミーア。君の名前は?

【相手の顔を見つめながら自分の名前を簡潔に口にした】
【次はそっちだよ。といわんばかりに歩みを止めて相手のほうに向き直った】

/遅れてすみませんっ!
598 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/25(土) 23:17:33.99 ID:X2dz/YJd0
>>588-590

【春燕の放った一撃は、甲殻を破るに至ったらしい。周囲から上がる歓声とバリッと硬い殻を破砕する尖った音が響き、中の肉を晒させる】
【……これでかなりの体力をだろうし、そこを攻撃すれば効率よく削れるだろう。……実際、直後に氷の刃が砕けた甲殻を完全に突き破った】
【何とも肉感あふれる嫌な音を立てながら、猛者達の攻撃は次々と怪物の体に突き刺さる。確実に怪物の傷は増えていき、体力を削っている!】
【怪物の表皮は裂け、甲殻は破れ、ついでに体から何か得体の知れない芽が出ている。その痛々しい姿に確かな手応えを感じていたのは春燕だけではあるまい】

【追い打ちをかけるように、爆薬の雨が降り注ぎ炸裂。あれだけの射撃を間髪を入れずに出来るとは、一体どんな体の鍛え方をしているのだろうか……】
【……と、偶然か否かは判らないがそのうちの一発が口に入り込む。中で炸裂した爆薬はこれ以上ない程に怪物を悶えさせる。……やはり、弱点は……】

【――――次の攻撃の組立を考えていた瞬間。指令というより悲鳴に近い叫びが響く……――――二体目、出現と】
【脳を緊張と焦燥が支配する。押しているとはいえ巨大な怪物に手一杯の現状で、もう一体を相手にする余裕などないのに!!】
【……しかし、あちらは戦闘慣れしているSCARLETの隊員が即座に対処している。頼む、何とかしてくれ――――春燕は彼らがもう一体を抑える事を願うしかなかった】


【―――が、願う暇もないらしい。拡声器からまたもや警告が飛ぶ……今度は強酸!】
【あの巨体がぐいと伸び上がる。照りつける太陽が不気味に伸びた影を映し出して、屹立した体が震えて、体腔がこれまた不気味に一斉に開いて、怪物が吠えて――――】
【――――穴という穴からヘドロのような強酸が流れ出る。まるで氾濫した川のように緑の液が逃げる春燕目掛けて襲いかかってくる!】


(―――――間に合わなイ!イチかバチか、賭けに出るヨ!!)


【岩をも溶かし流れ出る濁流。人が浴びれば即座に強酸の餌食となってしまうだろう……同じ体液が降り注ぐ中宙を舞うのは危険だが、濁流に飲み込まれるよりはマシだ】
【痛みを恐ると死ぬ!迷う余地はない!――――飛べ!】


――――………ァァァァァアアアアアアアア!!!!


【気を具現化した燕に掴まり、強酸の雨が降る中その身を宙へと躍らせる。可能な限り大きく開いた鉄扇で身を隠して雫を出来る限り防いで、飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ――――】
【ジュッと嫌な音がして鉄扇は見る見る内に溶けていく。鉄扇でも防ぎきれなかった飛沫が春燕の肌を焼き、服を溶かし、悲鳴を上げさせる。】
【それでも彼女は耐える。痛みを耐えて忍んで、全力で逃げて――――】
【――――ついに飛沫の掛からない範囲まで逃げ切ると、春燕は力なくその場にしゃがみこむ。被服は至る所が溶けて、体の彼方此方に火傷のような傷を負っていた】


【……しかし、こんな時こそ薬師の腕の見せ所。こんな時に使わずして何のための薬箱だ――――背負った箱を下ろすと中から生薬を取り出し、傷に塗る】
【勿論瞬く間に完治するはずはない。が、痛みはかなり抑えられる……!ついでに早めに治療することで治った時に傷跡が綺麗に消える!】
【己の傷の応急処置を終えると、春燕は再び立ち上がる。自分の体力もかなり消耗しており、長引くと不味い……】
【先程の酸の所為で迂闊に近づくことも出来ない。……こうなったら、全力で遠くから攻撃するしかない!】

【酸で無残に溶けた扇を右手に持つと、ありったけの気を込める。……すると扇を中心に橙色の光はその強さを増して、灼熱を帯びる】
【尚も光は大きく強くなって、やがて何かを形造る……。光が収まると、其処には燕が三羽。先程までの燕とは明らかに孕む熱が段違いに高い―――】
【体力が消耗した状態で三羽同時に使役するのはかなりリスキーだ。―――しかし、やるしかない!】


――――さあ、そのノロマな頭で三羽同時に捌けますカ!?


【三羽の燕は一斉に春燕の元を飛び立つと怪物の方へと向かう。……一羽は怪物の動きを翻弄するかのごとく鼻先をグルグルと飛び回り】
【一羽は近づいては離れを繰り返してフェイントを掛けて……――――――最後の一羽は怪物の動きが混乱して止まった瞬間を狙って、口の中へ飛び込まんとする】
【口腔内に入り込むことに成功したなら燕は灼熱を伴って炸裂し、内部からその怪物を焦がすだろう。そして、続けざまにもう二羽も……】
【―――ー成功しなければ、それまで。もはや体力も残り少ない。三羽同時に操れる時間は長くなく、この奇襲に失敗したなら三羽とも雲散するだろう……】
599 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 23:33:14.45 ID:1ATgpBc6o
>>590 >>593 >>598


<ゥ、オ、オオオオオオ――――!!!>
ぐぅ……………っ!!

【たこやきのゼロ距離射撃が内臓に直接突き刺さると――――サンドワームが、大きく悲鳴を上げた。口でなくとも体内に直接叩き込めれば、やはり有効だ】
【一方、酸の濁流を目前にしてレラは素早く後退。間に合わないと思った瞬間、背後で砂が隆起し、酸を押し留めてくれて】
【レラの瞳が、月色に輝く。手に持っていた刀が鞘に戻り、その両手に春燕のものと似た鉄扇≠ェ装備されるだろうか】
【残る雨の直撃は足で回避し、飛沫はそれで防いでいく。避けきれない雫に皮膚を焼かれるが、その程度で済んだのは偏にシーナのゴーレムのお陰だ】
【たこやきの方も、シーナの支援のお陰で多少ダメージが緩和されるかもしれない。酸の放水はもうすぐ止む、そこまで耐えられれば――――】

<ィ、アァ、ア――アアアアアアアアア――――――!!>

【直後。強大な攻撃後の隙――――そこを突き、春燕の放った燕がサンドワームを完全に撹乱し、意識をそちらへ向けさせ】
【三羽はすべて口の中へと入り込み、喉の肉を焼き焦がす。サンドワームは悲鳴を上げて仰け反り、口から煙を上げるだろうか】

おまえがてんさいまじゅつし≠ネら、わたしはてんさいにんじゃ≠セ…………!
ちゅんいぇん、このまま一気におしきるぞ! たこやき、いまいくっ!!

【そしてレラは、シーナと張り合うように全員へ吼え、疾走――――たこやきの居る場所へ突撃すると、鉄扇で飛沫を防いでリロード動作をフォローし】
【それを終えればまた瞳を輝かせ、両手の鉄扇と爆薬が交換される。そのまま一気に右方向へ回り込み、ゼロ距離で二発の爆薬を炸裂させる!】
【多少彼女も余波を浴びたが、肉の近場を狙ったお陰で甲殻が剥がれ落ち、また肉があらわになって――――】

む…………これは――――ッ! シーナ!!

【その肉の中央あたりを見て、レラが顔をしかめる。酸や砂を吐き出す為の孔とは明らかに違う、別の巨大な孔≠ェそこにはあった】
【孔は大きく、全員から見えるだろう。また何か特別な器官なら、新たな弱点にもなり得る…………が、レラの意識は酸を浴びたシーナの方へ向き、何であるのかは不明だ】


>>592 >>595 >>596

『喋り屋』ちゃん、平気っ!!? 空の二人も、あんま無茶しないでよ!?

【迫る雫に対し、ミドナは左腕でグレネードランチャーへ引き続きリロードを行いつつ、残る右手で腰元からナイフを一本抜刀する】
【ナイフと言うより、獣の牙を削りだしたようなそれ――――そして次の瞬間、コートの袖が炎を発し】
【その炎がナイフに纏われれば、瞬間的に巨大な炎の剣≠ェ形成される。それで雫を打ち払い、飛び散る飛沫を蒸発させていくだろうか】

っち、鬱陶しいっての…………!

【もちろんその傍ら、未だグレネードランチャーを構えたままの残る四本を遊ばせたままには勿論しない。ミドナは下段の武器を捨て、上段の引き金を引く】
【下段二本でバギーに掴まり、残る三本で斉射を続ける。効率はかなり落ちたがお構いなし、二つの銃口は発射とリロードを次々繰り返して】
【雫を避ける為に車体は激しく揺れ、命中率は先程より更に悪いが…………偶然にもいくつかの弾が中腹部の甲殻へと着弾し、また肉を晒させるだろう】

【そして最後に、邪禍の竜巻がサンドワームの全身を覆う。砂嵐――――それは小規模ながら、砂漠に住まう者にとって最悪の天災を生み出した】

<ォ、オオ、ォオオオオオ…………!!!>

【サンドワームが、戦く…………自身の身の丈に迫るサイズの砂塵と、何よりも目の前の者もまた怪物≠ナあると感づいて】
【そこへ重なったのが、『喋り屋』の闇属性だ。地中に住むサンドワームは聴覚と嗅覚で他者を認識する、目は退化してしまっているのだが…………】
【視覚の代わりに発達した他の感覚は、闇≠ニいう概念を敏感に感じ取ってしまう。その威容が邪禍の威容と重なって、刹那】

<ぎ、ァ、ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!>

【砂嵐に体を刻まれ、そちらに気を取られた一瞬――――アンジェルを見失ったサンドワームは、口元から剥げた肉までを一気に引き裂かれる!】
【肉を引き裂く音と絶叫が、天に響き渡った。ドス黒い血が噴出し、地面を汚していく。分断され士気の落ちた隊員達が、大きく歓声を上げるだろう】
【サンドワームが邪禍に怯えて退いていたせいで完全に直撃とは行かなかったが、それでも巨大なダメージが入ったのは間違いなく――――そして】
600 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 23:35:46.83 ID:1ATgpBc6o
>>593

「おお、ふぉんてーぬっつったか、やるな…………!
 けどこっちはこれで十分だ! あのアルフレドって奴、一応ウチの副隊長なんだが、まだまだツメが甘くてな。
 あいつを補助してやってくれ――――頼むぜ!!」

【一方、小型のサンドワームの方へ氷がまとわりつき、その動きを止める。ただ、あの突然変異種と比べれば確かに小さいが、それでも十分巨体だ】
【有効打ではあるが、動作を止められるのは一時的。だがアサドはそれを見て賞賛の声を上げると、あちらの支援へ戻るよう伝えるだろうか】
【浅黒い肌に高い背、何より鋭い眼光。流石にこの男には隊長≠フ風格がある――――周囲の隊員達も、一様に頷いて】

【――――たった今アンジェルが大ダメージを入れたのにも関わらず…………アサドの目は「まだ終わっていない」と告げている】
【こちらはアサド達に任せてしまって大丈夫だろう。それより戦力の分かたれた今、あの巨体を駆逐するのには少しでも強い戦力が必要だ――――】


/変なとこで途切れて申し訳ない、もう一つ続きます……
601 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/25(土) 23:39:55.23 ID:1ATgpBc6o
>>ALL

「くっ…………隊長から指揮権を預かりました、アルフレドです! あちらは必ず隊長が食い止めてくれます、今は目の前の敵に集中を!
 強襲班は総員、支援に集中して下さい!」

【隊長の不在に一瞬戸惑い、重圧に顔を強張らせていたアルフレドだったが――――構わずサンドワームに抗い続ける六人を見て、覚悟を決めたか】
【残った隊員達へ指示を飛ばすと、残りの隊員達が陣形が変化する。レラを初めとする数名の支援要員を前線に残し、残る隊員は散らばりながら後退】
【各々が銃器を乱射して気を引き、それは六人のためにターゲットを分散させるような動きであって――――】
【アサドが抜けた動揺も無い訳ではない。故に、今この場で最も強い力を発揮する六人を軸に立て直しを図るのが最善。アルフレドはそう判断した】

<ォ、ォオオオオオオオ…………>

『え!? に、逃げた……?』

【――――と、その時。六人によって強大な手傷を負わされたサンドワームが、突如唸り声を上げて地中へと消えていくだろう】
【体をうねらせ、巨体は地面へと潜り込んでいく。イスラが呆然とした言葉を漏らし、その声に少しだけ安堵が混じるのが解るだろうか】
【サンドワームが潜り切った穴には、重力に従って周囲から大量の砂が流入していく。それに飲まれないよう気をつけていれば、特に脅威はない】

【地中を響き渡る潜行音もどんどん小さくなって、やがて完全に収まる。周囲の隊員達も、少しづつ警戒を解き始めて――――少しの間、静寂が訪れる】



「………ッ! 油断しないで下さい、まだ来ます!!」

【――――続く脅威は、時間にして二分ほど経過した後。周囲へ広がり始めていた安堵の感情に、拡声器越しのアルフレドの声が冷や水を浴びせかけた】
【直後、地面の真下から伝わってくる音と振動が、とんでもないスピードで近づいてくる≠フが感知できる筈だ――――】


<ォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!>


【地獄から吹く風音のように、醜い叫び声が響き渡る――――そして、爆発。地面が、砂と共に爆発する!】
【それも、二箇所同時にだ。一箇所は先程の穴のすぐ近く、出現と同時に巻き上がった大量の砂流が、前線に居る三人を生き埋めにしようと降り注ぐだろうか】
【また、邪禍とアンジェルも同様。砂を浴びて墜落するのも危険だが、万が一突き上がるサンドワームの巨体に巻き込まれた場合…………命の保障は出来ない】

【更にもう一箇所は、最悪なことにバギーの『直下』。こちらは砂の波どころではなく、サンドワームの本体がバギーを掠めるように突き上げるだろう】
【バギーは空中へ吹き飛ばされて二転三転し、最後は運良くタイヤから着地するも…………そこに人が居たのなら、ただでは済むまい】
【だがその直前、ミドナが「飛び降りて!」と慌てて叫ぶ筈だ。もしそれに従っていれば、後から押し寄せる砂を防ぐ事だけに集中できるか】
【なお、バギーはまだ壊れてはいないようだが…………ドライバーが振り落とされ、砂流に巻き込まれて遠くへ流されてしまったようだ】
【アンカー弾だけなら問題ないが、もしまたバギーを走らせるのなら、ミドナに頼むか自分で運転するか、どちらかの手を取らなければなるまい】


『さ、三体目――――いや、あっちは尻尾!? サンドワームってこんな頭のいい生物じゃ…………!?』
「いや、それより何故、あいつは…………」

【――――イスラが戦く。敵は巨体を十二分に利用し、前衛の方には頭を、バギーの方には尻尾を、同時に突き出して攻撃してきたのだ】
【そもそも、一度逃走したように見せかけた後で襲ってくるなんて――――このような戦略、普通の固体では到底有り得ない事だった】
【体だけでなく、頭脳の方にも突然変異の影響が出ているのかもしれない。アルフレドが、何か考え事をしているようだが…………?】

<ォ、オ、ォオオオオ――――――>

【なお、再び姿を現したサンドワーム。先程より地面から出している体の長さが短く、今まで見えていた根元付近が隠れてしまっているものの】
【甲殻の裂け目や裂けた肉など、ここまで作った重要な弱点部位は幸いながら見えている。噴出する血も多い、負っているダメージは確実に大きい】
【――――そして今、サンドワームは天を仰ぎ見るようにして動きを止めている。チャンスではあるが、断続的に上がる唸り声は、何かの前触れのようにも見えて】
602 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/26(日) 00:05:15.06 ID:5zjz/Kb2o
>>599-601

「むーっ――全く……折角苦労して作ったというのに台無しだ!」
「皺の所など特に時間をかけたというのに……絶対に許さんのだ!」


【ボンッ!と、"シーナ"の倒れた場所で砂が爆発する】
【もし其の地点に目をやる事があったならば、先ほどまで"老魔法使い"が立っていた場所に居る】
【小柄な人影を見ることが出来るだろうか】

【裾に金糸の装飾が施された純白のローブで身を包む身長140cm程度の人物】
【顔は鼻下までをスッポリと深くフードを被って隠している】
【肩からは先程同様に漫画のフキダシのようなボードが生えており】
【手には端が僅かに溶けた螺旋飾りの木杖を握りしめていた】

【先ほどの酸の攻撃により"外装"は破壊されたが】
【"中に存在した術師"は、ローブの一部が溶けた以外に損傷は無い】
【老魔法使い……の姿をしたゴーレムの破片は】
【損壊し虚ろな目をしたまま未だ砂に戻らず周囲に転がっていた】


【サンドワームの大地を割るかのような豪快な一撃】
【吹き上がる砂流が小柄なシーナに向かい降り注ぐが……】


「ふんっ――この程度、ちょちょいのちょいなのだ!」


【大地に通じ操作するシーナにとって、ただの砂の奔流などは障害にならない】
【流石に全てをカバーする余裕はないが】
【自身を中心とした中範囲の砂を支配し、己に届く範囲のモノはその場でただの砂地に還す】
【シーナから距離があればあるほど支配は弱まり、砂の勢いを止める力は失われる】


「さて、ここまでも随分と好き放題暴れてくれおったが……どうやらもう一波乱ありそうだの?」
「最後の悪足掻きだとは思うが、手負いの獣ほど恐ろしいものはないからのぅ」

「ここは一つ、備えておくとするのだ!」
「ククク……ここで冷静な判断ができる私はやはり天才の中の天才だの!」


【シーナは、口元を吊り上げて笑みを浮かべると】
【木杖で足元の砂をぐるぐるとかき混ぜて魔力を練り上げ始める】
【同時に、ローブの中に仕込んだ無数のゴーレムコアを周囲に散布し】
【コアとコアを魔力のラインで繋げるように組み上げる】

【相手側の強力な一撃に備えるには即席の術では足りない】
【砂地という地形がシーナにとって最適であっても、純粋な質量が違いすぎるため】
【小さな一人の人間に過ぎないシーナが対抗するには相応の準備が必要となる】

【先程のようにゴーレムが代わりに攻撃を受けることは出来ない】
【もし失敗したならば、今度は華奢で小さな己の身で破壊的な攻撃を受け止めなければならない】
【言葉や態度は自身に満ち溢れているようであったが……シーナの頬を微かに、汗が一筋流れ落ちていった】
603 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 00:13:21.51 ID:5Z/ilxcso
>>599-601

【チェーンソーで大木を切り倒したような、強烈な手応えがアンジェルにはあった】
【どこまで斬っただろうか。残念ながら両断こそできなかったが、大ダメージには違いなく】
【またその攻撃が成功したことによって自由落下も防ぐことが出来、何とか砂漠に足を下ろす】

【直後、サンドワームが地中へと逃げて。ほど近いアンジェルも砂に飲まれそうになるが】
【履いていた靴が良かったのだろう。ブーツが上手い事足下の砂を掴み】
【必死に後退することによってなんとか無事で――寸時、息を整える時を得る】

はぁ…!はァ…!……っ、もう何なのよ、メチャクチャねあのミミズ……!
いくら大きいって言っても限度があるでしょ、ホントに……!

……、……さっき妙な孔が……他のとは違うのが一瞬だけど見えたわね
あの調子じゃもう何回か切りつけないと倒せないし……狙ってみる……?
……確かバギーにアンカーガンがあったはず。あれで動きを封じれば……あぁもう、服が――!

【服が、血で汚れていた。それだけのことだ、接近して切りつけたのだから当然だが】
【まあふとした余裕に見せる女性らしさといったところか。それはともかくとして――】

【――アンジェルは、決してこれで終わりではないと確信していた。まさか、逃げて終わりのはずがない】
【如何に知能があるとはいえ動物なのだ。絶対に復讐しに来る――卑小な人類¢且閧ネら尚更だ】

【そしてその予想は当たる。幸いなのは、アンジェル・ベルジュロンの妖刀が相当量の血を吸っていて】
【彼女がそれを自在に操れたこと――多量の土砂が降り注ぐが、彼女は件の血でドーム作って身を守り】
【蒸し暑さに息苦しさを覚えながらも何とかそこを這い出て見れば――バギーが空を舞っていて】

……とんでもないわね、ホント。でもアンカーは無事っ……!
それなら、アンタになんかさせるより早くぶちかましてやるだけ、ってね――!!

【アンジェルは胸元のバッジに触れると再度融合。今度はバッタとのそれで、下肢に緑の鎧を纏い】
【元居た場所からふわりと高々跳び上がれば、アンカーガンの場所まで向かい】
【その照準を呻くサンドワームに向けて―――その動きを封じんと、アンカーを射出した】
604 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 00:15:55.27 ID:PA1Vt3bVo
>>599-601
                            .. .. . .
「――ほォう、運が良ォい奴だ……そォして、気ィ付いたな?」
「まァ構わん、――俺様が欲しいのは人間共の安全じゃアなく、テメェー自ィ身だからなァァアア、人間共を誤ォ魔化せりゃア十ゥ分!」

【あちこちから音がするこの場で、一人が叫んだ程度ではただのノイズでしかないはずだ】
【――だが、もしも聞こえた者がいるとすれば、それはその者に不信感を抱かせるのには十分で】

「……おォっと、逃ィがさんぞ?」 「――いィや、こォの"におい"……来ゥるかッ!」

【悪魔は逃げるサンドワームを追いかけようと、元居た場所に向けて駆けようとするが――何か感じるものでもあったのだろうか】
【それともただ単に危険だからだろうか、とにかく駆けるのは止めて――代わりに、角を天に向けて光を浴びる】

【そうしている間にその穴から現るサンドワーム】 【近づいていた悪魔にとって、それは驚異的】
【幸い巨体が命中することはない位置だった、だが砂流はかなり近い位置から迫る――どうするか】

「――ちィ、今更飛ォぶには間ァに合わねェ、グランヴェイト召ォ喚して掘ォらせる時ィ間もねェ」
「竜巻でどうにかなるレベルでもねェ――仕ィ方がねェ、……やァるしかねェな」

【悪魔の左腕に魔翌力が集まって行く、禍々しいようでそうでもなく、邪悪かと言えばそうでもない――不思議な魔翌力】
【勿論、移動しなければそのまま砂の中に埋もれておさらば。――だが、悪魔は移動しなかった】
【砂に飲み込まれる悪魔、しかし不思議なことが起こった――砂の一部の運動方向が"反転"したのだ】
【勿論全てではない、だが――その砂はサンドワームに襲い掛かる】 【威力的にはそこまで高いわけではないだろう】

「"ディルム・アーデクレスプ"――こォんなミィミズ如きに使わせられるとはなァァアア」

【そして、上方向への風で砂を一気に――ではないが、それで吹き飛ばして出てくる砂塗れな悪魔】
【先程の技で迫る砂の量を減らしたことによって、飲み込まれても一応助かったのだ――】
【酸で焼けた右腕は砂がはりつき擦られ血まみれで、他の傷口もだいぶ広がっている】
【左腕は、まるで何かに蝕まれたかのようにボロボロになっており――"邪"な力が滲み出ていて――手袋は無事でも、はっきり分かる】

「"運動"エネルギーなァんざ、"魂"エネルギーの足許にィも及ばん、ヒャハハハ――さァて」
「――"北風が諦めると、今度は太陽が挑戦しィました"だァったかなァァアア」

【再び翼を生やし、数m程飛び上がると――サンドワームの方に移動を試みつつそれに被り物の角を向けて】
【そこから発せられるのは――"太陽光線"】 【勿論、砂漠に照りつけるそれよりもずっと"強力"】
【流石に鉄を溶かすほどまでには強くなく、速度も高速だが光速でないそれは、――サンドワームの口内に向けて一直線に飛ぶ!】
【直径およそ30cm、照射時間推定2〜3秒――但し何かしらの要因で遮られた場合はそれより短くなる】

【移動は口部を正面から捉えられる位置を目指すのだろうが、他の攻撃やサンドワームの動き等によってはそうでなくなる可能性もある】
【また、どちらにしても――かなり危険な位置取りなことには変わりなく】
605 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 00:28:17.10 ID:qvrfgiY/0
>>599-601

【瞳を試しにぱちくりと―――確認動作をしたのち、もう一度ミドナに向けてサムズアップ。目は治ったらしい】

――――『よーし、視界良好。砂漠の太陽がこうも愛しく思えるなんて、ね』
『目が見えることの有難さをイヤってほど思い知ったよ…あーやれやれ』

【先程暑さゆえに恨んだ天体でさえ、今はとても優しく見える。暗闇の後に見たそれは眩しすぎるようにも感じたが】
【ともかく今は見える。先ほどよりも明確に狙いをつけて放つことが出来るのは大きなアドバンテージか】

――――――――『ったくさっきはよーくやってくれたなこの巨大芋虫…!』
『肉を削いで切り刻んで、火炎魔術で炒めて砂漠の珍味にしてやるから覚悟しなよ!』

【物騒かつ悪趣味な文句を吐いて、ようやく見えるようになった目でサンドワームを睨む】
【なにはともあれ、目暗まし(?)は上手くいったらしい。ここからちゃんとした加勢をする算段で】

――――――――――――――――…『逃げ、た…?ちょっと、どういうこと―――っ!?』

【消えたサンドワーム、突然の事態に少し訝しげな表情を作る―――直後、通信からの声】
【何かが来る、まずい。地響きに軽い焦燥感を覚えつつも、バギーに掴まったままで】

【先程の威勢も空しく、サンドワームの強烈な一撃が突き抜けてくる――― 一瞬の出来事】
【ミドナの叫んだ言葉の意味を瞬時に理解し、バギーカーから手を離して飛び降りる―――赤黒い翼をまた生やして、砂を避けつつ】
【翼で落下の勢いを和らげて、着地と同時に回転。その勢いでまた体勢を立て直し、ちゃんと地に足をつけてサンドワームを見据える】

【それ以上の攻撃は来ないようで、まずは一安心。すぐに追撃へと思考を切り替えて】
【唸るサンドワームに気がつけば、何らかの違和感や嵐の前の静けさと言うべきものを感じた。が…】

―――――――――――…『だがしかし、これはチャンスとも言えるかな…!』
『攻撃をするなら今…宣言通り、怒りの炎にその身を焼かれろ――――ッ!!』

【バギーに乗り直すことはもはや諦めた、ここからは砂漠での大乱闘になるだろう】
【あてがわれた人差し指、紡がれる少女の副音声は赤い炎の魔翌力として顕現する】
【更には声に怒りの感情を乗せるよう自身の心をコントロール、文字通りの怒りの炎はやがてその姿を象っていく】
【煌々と燃える鳥のような姿はまさに「不死鳥」と呼んで違わない、美しい魔術―――それが大きな翼をはためかせる】

【甲殻の殺げた首元付近を目掛けて飛翔するその火の鳥は、威力だけなら絶大な代物―――!】
606 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 00:30:05.79 ID:bIjagPQX0
>>599-601


『うふふ〜♪ イケメンに褒められちゃったわぁ〜♪』
『了解よぉ〜……頑張ってちょうだぁ〜い! 応援してるわぁ〜♪』
『……あ、後で星空が綺麗に見えるいいお店、予約しておくわぁ〜♪ デートってこ………ッ!』


【―――未だ、腑抜けた声だった。アピールを続けていたふぉんてーぬは、元々の身体能力の低さも有り、瞬時にバギーから離れる事が出来ず、】
【そのまま空中へ放たれる。落下しながら急いで取り出すのはオレンジ色の宝石、ポイっと空へ投げ捨てると、矢張り光を放ち―――。】
【そこに現れたのは、―――全長2m程はある、相応の体格を持った大鷲。瞬時に状況を理解したのか、ひょいとふぉんてーぬを拾って。】
【ドライバーは……彼よりも早く、落ちてしまったらしい。残念ながら、砂流の中、今から救い出すのは、逆に危険であると判断するに至った。】

【『もう少し上がってちょうだい、』の指示通り、ふぉんてーぬを載せた鷲はぐっと高度を引き上げる。】
【ワームの位置が変わった為に、戦況をもう一度確認し直す必要があった―――然し俯瞰すれば、それも直ぐに見て取れる。】
【これからどうすべきか、大空の中で一人決め兼ねていたが―――矢張りアサドの指示通り、大型の方を攻めるべきだと判断し―――、】


『あいすちゃ〜ん! 今のところ、いい感じよぉ〜! あともう1歩、頑張ってくれるかしらぁ〜!』
『あいすちゃんの魔力、全部使っちゃってちょうだぁ〜い! あのダメダメなワームに総攻撃よぉ〜!』

『たこやき君は、えーっと………あ、あそこにいるわね……んー大丈夫そう、……あんまり見えないんだけどね。』


【矢張り、呪文の詠唱。彼女の最後の攻撃は、無数の氷の刺を降らせるという物だった。―――サンドワームの尻尾はその範囲にすっかりハマっていて。】
【とは言え、その強力さ故に―――、"あいす"はそのまま青色の光の粒となり―――、やがて跡形も無く消える事だろう。】
【そしてふぉんてーぬは、空中を飛んでいる為か、安全地帯に居るという認識で安心していた。……もっと言えば、油断していた。】


【一方たこやきは、レナの援護に目で感謝を伝えると、再びワームに向かって走りだしていた。】
【―――今までの対象の動きは、全て記憶している。矢張り根本的な部分は同じ、生物は内部へ攻撃される事に弱い……!】
【確信だった。目の前にある大きな孔は、やはり体内へと続く何かであり、勿論、其処も弱点の一つである、と―――。】

【すかさず軽い跳躍、穴の真ん中を捉えんとグレネードランチャーを構え―――発射。】
【矢張り爆風は、彼とサンドワームとの距離を稼ぐ事に働く。そして2度目の今回は、何事も無く着地した筈……だった。】
【……轟音に加え、視界が徐々に暗くなっていく。―――考えられるのは、矢張り、大量の砂流が自分の身に押し寄せている事であって。】

【先ずは空間的な"音"で砂の流れを理解する。辺りを見回し、砂の凹凸を含め避け得る最短ルートを導き出し―――其の一歩を踏み出した。】
【グレネードランチャーを手放したのは、丁度その頃の事。サンドワームの体液がこびり付いた左足が上手く動かない故の、苦渋の決断である。】
【―――犠牲は大きいが、その分得たものも、勿論大きかった……とは言え、今のたこやきには、"近接戦"という選択肢しか残っておらず、】
【さらに言えば、その近接戦が今回の戦いにおいて、圧倒的に不利である事は、火を見るよりも明らかといった状況で―――。】
【矢張り、どうしようかと悩んでいる。サンドワームの様子を窺いつつ、左足を引きずりながら距離を取っていた。】


607 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 00:33:42.62 ID:BqXnYoWX0
>>599-601
【三羽が三羽各々独自の動きを繰り広げ、サンドワームの動きを完全に混乱させる。ゼロ距離射撃が叩き込まれた瞬間、一瞬の隙を見逃さず】
【放った燕がサンドワームの口腔内に入り込み、炸裂――――口腔内の肉をその灼熱で焼き焦がし、黒煙を上げさせる。全てが上手く運び果せた……】
【怪物の悲鳴が轟く。加虐趣味はないが、上手く事が運んだためか気分は悪くない。レラの言うとおり、このまま押し切れるか!?】
【追撃とばかりにレラの放った爆薬が炸裂。これも怪物の身を揺らし、殻を剥がすに至る。……行ける、このままあの怪物を倒せる!】

【尚も巨大な砂嵐が巻き起こり、サンドワームを襲う。砂漠において一番の驚異たるそれは、あの怪物さえ怯えさせる物であった】
【そこに、一閃。大きな刀が怪物の巨体をまるごと両断せんと引き裂いて―――――怪物の絶叫が空気を切り裂き、おぞましい色の血が砂色の砂漠を汚していく】


【多くの攻撃が有効打となり、怪物の身を文字通り削っていく。全てが上手く行っている―――――かのように見えた】


ン?―――――アレ?
いなくなっタ……?

【深手を負った怪物は唸り声を上げて地中へと潜行。その存在感はどんどん遠くなっていく……逃げた……のだろうか?】
【先程まで轟いていた鳴き声や火器の音がまるで嘘のように、辺りを静寂が覆う。張り詰めていた緊張の糸が緩み出す……――――】
【――――怪物はそれを狙っていたのだろうか。拡声器から声が飛ぶや否や、ありえない程のスピードで怪物が近づき、近づき、一瞬にして……】

なッ……――――ウワァァァアァアアァアアァァアアアアァァアアア!!?

【―――――爆発。この世の物と思えないような声と聞いたこともないような轟音が響き、砂が天高く舞い上がり高波のように降り注ぐ!】
【ダメだ、このままでは飲み込まれる――――ええい、ままよ!至る所が溶けた鉄扇を無理矢理広げると、天に向けて思い切り扇ぐ!】
【降りかかる砂を払う為に無我夢中で行った悪足掻きは、思わぬ形で功を成した。風を起こす性質が活きていたのだ】
【―――――突風が天に向かって昇ると、降り注ぐ砂をピンポイントで吹き飛ばした。僅かに出来た脱出への糸口を掴み、扇の風の力を借りて何とか難を逃れる……!】


き、九死に一生を得たネ……
……ン?―――――なんであのデカブツは、あんな格好をしてるノ……?

【見れば、サンドワームは静止している。あんなに猛り狂っていた化け物がその動きを止めたということ自体、不気味で仕方がないのだが……】
【……それ以上に、今までの行動が気に掛かる。余りにも知性的過ぎる――――そんな気がしてならないのだ】


【……しかし、静止しているなら攻撃しない手はない。何をするのか分からない不気味さ故に、不断の準備を怠らないようにしつつ】
【動かぬ的を狙うのは容易とばかりにあらわとなった肉の裂け目を目掛けて燕を飛ばす。そのまま動かぬなら間違いなく肉の内部を焼くだろう】
608 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/26(日) 00:54:55.85 ID:8nWH6cFto
>>602 >>606 >>607

む、むぅ…………しんぱいさせおって! まぎらわしいぞ!!

【老魔導師の外殻が破壊され、シーナの姿は自身と殆ど背格好の変わらない子供になる。レラはしばし目を瞬いていたが】
【何かひどく騙された気になり、口を膨らませて怒る。道理で気は合わないが、波長は合っていた訳だ――――などと、のんきに構えている暇はない】

ぬ、ぅ…………!!

【レラは曲がりなりにも忍≠セ――――逃げたと見せかけての卑劣な奇襲は、彼女自身が頻繁に行う手でもあって】
【それ故に油断することなく、レラは潜行攻撃に対応する。とはいっても範囲が広すぎて、完全に回避することは叶わなかったが】
【先ほどレラを救った地中への逃避路も、サンドワーム自体が地中から来るとあっては意味を成さない。レラはただ全力で走って爆心地から離れ】
【強烈な砂の爆散に巻き上げられて空中へ吹き飛ばされ、衝撃を全身に受けて顔をしかめるも、最後は猫のように危なげなく着地するだろうか】

<ォォ、グ、オ…………オォオオオ…………!!!>

【次いで、たこやきの射撃と春燕の燕が、時間差で新たに生まれた穴を撃ち貫く。サンドワームは弱弱しい悲鳴を上げ、首を仰け反らせた】
【やはりこの穴=A相当に重要な器官だったようだ。強烈なダメージを叩き込まれた穴の中から、今まで以上の大量の血が勢いよく噴出するだろうか】
【周囲の肉を激しく痙攣し、奥から肉の焼ける臭いがする。戦闘も佳境に入ったこの局面で、有効な弱点≠発見することが出来たのは大きい】
【そして――――】

こちらに、このあな≠ェ、あるということは…………!
みな、こちらもねらえっ!!

【その光景を見て、レラはふと何かを思いついたように、全力でその部位の逆方向へと走り抜ける。その両手には再び爆薬が現れ】
【元々、誰かの攻撃で甲殻にヒビが入っていたようだ。投げつけられた爆薬はその甲殻を見事破壊し――――先ほどと全く同じ穴≠ェ、また空気に晒される】
【この器官、人間の目や耳のように左右一対であったらしい。これでまた大きな弱点が晒されたことになる。レラが大きく叫び、三人を呼ぶ、が…………】


>>603 >>604 >>605 >>606

っぐ、痛っあ…………ぜ、全員無事…………!? あんのニョロニョロ、やってくれんじゃないの!!

【近場の砂の中から、六本の腕が勢いよく飛び出てくる。間を置かずミドナが上体を起こし、近場にあるバギーと『喋り屋』の姿を確認するだろう】
【吹き飛ばされた際に着地に失敗してしまったのか、その右足は痛々しく腫れ上がっている。折れてはいなさそうだが、その表情には色濃い苦痛が浮かんで】

――――アンジェル、撃つのね?
りょーかい、しっかり当てなさいよ――――!!

【六本腕で這うようにバギーへ戻ると、そこにはアンカーガンを構えたアンジェルの姿がある。ミドナはバズーカを一門引き寄せ、隣に座るだろう】
【足を負傷して踏ん張れない状況では、もう大火力の連発は不可能――――どころか、次の攻撃を回避できるかどうかも怪しかった】
【ならば、最後まで。アンジェルに『喋り屋』、そして戻ってきたふぉんてーぬと妖精たち。もちろん邪禍にも、少しでも手を貸さねば――――】

ぶっ――――飛べッ!!

<ぉ、グ、オオオオオオオオオオオ…………!!!?>

【使える四肢を全力で荷車に叩きつけ、ミドナは鷹のような金色の瞳で狙いを研ぎ澄まし――――最後の引き金を、引いた】
【照準はやはり芯を外していたが、サンドワームの注意を引くには十分。爆発に気を取られた直後、サンドワームの体にアンカーが突き刺さる!】

<ゥ、オォ、オオオオオ――――オォ、ギ、ィイイイ!!!!>

【しばらくは抵抗していたサンドワームだが、続く『喋り屋』の不死鳥と邪禍の太陽光線に首元を強く焼き貫かれ、完全に動きを止めるだろうか】
【まだ生きてはいるが、しかし。茫洋と空を仰ぎ、息も絶え絶えといった様子。しかし…………やはりこいつには高い知能≠ェある】
【ぼごんと地面が隆起し、サンドワームの首が伸びる。口側はもう駄目と見るや、最後に放たれたふぉんてーぬの氷の槍から、尻尾を庇った】
【――――それで、最後。サンドワームの口側は、アンカーに縫い付けられて完全に停止するだろう。それは間違いなく、限界であって】
【だが頭を潰した筈なのに、尻尾≠ェまだ稼動している――――!】
609 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/26(日) 00:59:46.10 ID:8nWH6cFto
>>ALL

<ォ、オ、オオ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオ…………>

【サンドワームは六人を筆頭とした総攻撃を受けて体中から血を噴出しながらも、天を仰ぐような格好のまま】
【深淵の洞窟を抜ける風音のような唸り声だけが、緩やかに大きさを増していく――――】
【…………耳を澄ませば、音源が二つあることに気づくだろうか。それは口≠ニ、突き出した尻尾の先=z
【近場に居る者なら、ざざざざざざざざ――――という不快な音が、サンドワームの体内から響いてくるのもわかるだろう】

『な、何、この音…………!? こんなの、サンドワームにあり得る動作じゃ――――ッ!!』
「総員退避ッ!! マスラドさん、急いでフォローに――――!!」

【センサーでその音を捉えた二人が、必死に叫ぶ。それは砂漠の住人であれば、砂嵐≠ニいう天災を否が応にも思い出させる音だったから】
【――――暫時、一切の音が消失する。微動していたサンドワームが静止し、たっぷり三秒ほどの静寂が場を支配して】
【一時後退しようとする隊員達をあざ笑うように、がぱり、とサンドワームの尾先と円口が開いた――――】


<ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーー!!!!!!>


【それは正しく、吐き出される砂の暴虐。激烈な咆哮と同時、口と尾先から同時に、極太の砂のブレス≠ェ放射される――――ッ!!】
【ただの砂と侮るなかれ、噴射される砂の激流はまともに浴びれば一瞬にして全身の骨を打ち砕かれ、そのまま砂中へ土葬されてしまうだろう】
【しかも狡猾なことに、サンドワームはブレスを吐きながら、尻尾をゆっくりと右側へ動かしてゆく】
【これによって、放たれた殺人的な砂のブレスは、フィールドの大半を一切の容赦なく薙ぎ払っていく――――】

【…………だが、ここで五人の総攻撃と、アンジェルの撃ち込んだアンカーが効いた】
【体を固定された上に口内を焼かれていたことで、口から放たれたブレスはたった数秒で放射を終了する。回避の余地は、確実にある】
【アンカー弾を撃ったお陰でバギーは地面に固定され、もう稼動不能。だが尻尾側のブレスがバギーに到達するまでに逃げる時間ぐらいはあって】
【また近場にいた者も、巨大な体躯が生み出す大きな射角の関係で、サンドワームの体に近い位置はブレスの死角になっている】
【どちらにしても完全回避は難しく、砂の余波を少なからず浴びることにはなるだろうが…………これさえ耐えれば希望≠ェ見えてくる筈だ】


「冬眠時期のサンドワームは、音を感知できない。だというのに、先程潜行攻撃を行えたということは…………。
 ――――レラ、ミドナ、『音撃鈴』を! ヤツの耳を塞いでいた甲殻が剥がれている筈です!!」

【アルフレドが叫ぶ。彼の言う耳≠ニいうのは他でもない、先程レラの攻撃で露出した大きな二つの孔のことだ――――】
【彼の必死の指示を受け、その時ちょうどサンドワームの近くにいたレラと、バギーの上にいるミドナが動いた】
【ミドナが助手席の機材を強引に引っ剥がし、レラの瞳が光を発してその掌の上で次々にパーツが組み上がっていく】
【そして現れるのは、バスケットボール大の青銅の鈴――――『音撃鈴』。二人はすぐさま内部機構を起動させると】
【レラは全身の力で、ミドナは六本腕を駆使して軽々と、それを耳に最も近い位置にいるたこやきと春燕へ、それぞれ放るだろうか】

【後五秒ほど経てば、装置は自動で音波を発する。やや重みはあるが、両手を使えば例え女子供でも十分運べる程度だ】
【後はそれを、どれだけ耳の近くで聴かせられるかに掛かっている――――】

『あ、相手も疲弊しています! 皆さん、もう少しだけ、もう少しだけ耐えて下さい…………っ!』

【イスラが必死で激励の言葉を飛ばす。この局面で彼女に出来ることは、もうそれぐらいしかなかった】
【六人も傷だらけで、砂の猛威から逃れきれずに生き埋めになった隊員も大勢。こちらの被害も、相当のものになりつつある】
【だがイスラの言うとおり、人智を越えた巨体の怪物も無敵ではない。今もブレスと一緒に、全身の傷から血をだくだくと噴出している】
【激闘の行方は今まさに、佳境を迎えた。これさえ耐えればきっと切り札≠ェ作動し、決定的なチャンスを掴める筈――――!!】
610 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/26(日) 01:26:21.44 ID:5zjz/Kb2o
>>608>>609

「ククク……この場で他人の心配をするなど御主も随分とお人好しだの?」
「心配など不要なのだ、あの程度の攻撃でこのシーナ様に傷をつけられるものか」


【砂が舞い上がる中見えるかは分からないが】
【レラの声にシーナは不敵な笑みを浮かべながらそう応えた】
【相も変わらず根拠があるのかどうかよく分からない自信である】



「はっ――そんなことだろうと思ったのだ!」
「やはり畜生は畜生、単純な思考じゃの!」


【サンドワームの暴威――フィールドをなぎ払う極大のブレス】
【中距離に存在するシーナはその範囲の内に在り】
【直撃したならば華奢なその身体では到底耐え切れる訳もない】

【しかし飽く迄も強気な台詞を辞めることはなく】
【シーナは杖を掻き混ぜた砂の地面へと突き立てると】
【腕を大きく開き――パァン!と強く掌を打ち合わせた】

【其れに呼応して、シーナの前方の地形が著しく隆起し始める】
【先ほど生み出した砂の山より更に大きく盛り上がったその"物体"……人間の形をしていた】
【体高約10mに達するであろうか、岩山をそのまま切り出してきたかのようなその造形は】
【鋼のように鍛え上げられた肉体を持つ男性の上半身】
【複数のコアを骨格のように組み上げて生成した巨大ゴーレムである】
【まともな戦闘では条件が厳しく生み出す隙がない代物であるが】
【地形の利に加え、前衛の能力者がいることで作り出すだけの時間を練る事が出来た】


「その程度でのぅ――――」


【巨大ゴーレムは、周囲の大気を震わせながらブレスに対して拳をフックのように振るった】
【如何に固くに作り上げられようとも、サンドワームの砂ブレスに耐えうるだけの強度はない】
【ゴーレムは半身をガリガリと破壊され吹き飛ばされながらも】
【ブレスの勢いを殺すために、その軌道を少しでも逸らすために死力を振るい】


「――――"砂使い"を気取ろうなどと、一億万年早いのだ――!!」


【半身が完全に砕け散ると同時に、もう半身を竜巻のように捻り】
【勢いのままに残った巨大な拳を大砲の如き速度でサンドワームに向かい"射出"した】
【もし一連の動きが全て成功した場合、ブレスの被害をある程度抑えた上で】
【他の者が"切り札"を放つまでの時間を稼ぐことが出来るだろうか】



「ぬ〜〜〜〜〜わ〜〜〜〜〜っ!!」


【前述の行動の成否に問わず、シーナはブレスの余波によって吹き飛ばされ砂地をコロコロと転がっていく】
【見たところ今度は大きなダメージになるようなことはなさそうではあるが】
【今のゴーレムで保有魔力のほとんどを消費してしまったため、戦闘が継続する場合シーナはこの時点で戦線離脱となる】
611 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 01:33:51.53 ID:PA1Vt3bVo
>>608-609

「――ヒャハハハ、良ォい声だ」 「もォっとも、俺様は人間共の喚きの方が好みだがなァ!」

【照りつける太陽を背に、サンドワームの口部付近を飛んでいた悪魔――】
【その悪魔にとって、砂のブレスの放射は非常に良く当たる、回避するべきだろうが】
【――?】 【悪魔は何故かその場に留まったまま――しかし、角の輝きだけは増して行き】
【そのまま砂のブレスに飲み込まれる――はずだった、だが違っていた】

「ヒャァァアアーーーハッハッハッハッハァァアアーーーッ!」 「――両腕分は返して貰うぜェェエエーーッ!!」

【乱気流を生み出しブレスの到達・勢いをほんの少しだが弱めつつ――】
【全身から眩いばかりの太陽光が放出される、――それはまるで本物の様にも見えてしまうほど】
【――先程放出した太陽光線は、今まで貯めていた太陽光の一部だったのだ、だからまだ使える】

【そして、出力は――先程よりも、強い。本物には遠く及ばずとも】

【目的は一つ、迫る砂を逆に利用してやろうという魂胆――ようするに張り合っているだけ】
【砂に呑まれながらも、放出する光がそれを温めて行き――そして】

「砂も岩も大きさ以外に違いはねェ……んで、溶岩っつゥーのは漢字の通りだ――なァ、サンドワームよォ!」

【――"溶かす"】 【砂のブレスを溶かし、"溶岩化"――それをサンドワームに降らせて攻撃するつもりのようだ】
【先程発生させた"乱気流"によって、溶岩は口部以外の位置にも飛んでいくが――無論、"周りは知らない"のが悪魔である】
【砂のブレス全てを溶岩にしたわけではなく、溶けてない砂の方が多い――溶けずとも高熱の砂より、そうでない物が多いのもまた事実】
【また、溶岩自体は"数秒ほど"で固体に戻るだろうか】

「さァて、……結局翼は駄ァ目になァっちまったが……こォのまま堕ォちて――逆に近づいて、念の為今の内に身ィを貰っておォこう」

【―― 一部を溶かしたところでブレスを喰らったのには変わりない、悪魔はそのままサンドワームの上に墜ちる】
【翼はどちらも複数へし折れ羽根も多く抜け落ちていて、被り物や手袋・靴もボロボロで、全身から邪悪な魔翌力を持った血を流している】
【しかし……幾ら弱めたとはいえ、あれを受けて死んでいないというのは――この者が人ならざる存在であることの証明か】
612 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 01:37:44.34 ID:5Z/ilxcso
>>608-609

―――どんなもんよこのデカミミズ!様ァ見なさい、次は完全に黙らせてあげるわ!!

【アンカーガンは命中した。アンジェルも思わずガッツポーズまで決めて】
【そして歓喜の声を上げながら、頭の内ではまだ戦いのことを考えていた】
【まだ固定しただけだ。何やらミドナが武装―音撃鈴―を用意して他の面々に渡していたが】

【それを見るに、恐らくもう口の方に自分が意識を向ける必要もないだろう】
【息も絶え絶え、そして最終兵器らしきものもある。となれば――まずはこの怪音に対処せねばなるまい】

ミドナッ!このバギーもあのブレスじゃもうダメみたいだし、此処のバズーカは貰って行くわよ!
私は上からアイツを撃つわ。……自分の身は自分で、大丈夫よね?それじゃっ―――!

【砂のブレス。それを目に入れると、極限の環境下で研ぎ澄まされた頭が次の行動を試算する】
【バギーは駄目、ならば武装は生かさねばならない。持てるだけのバズーカだの、ランチャーだの】
【そういったものをアンジェルは拾い上げ、近くに居た味方であるミドナに声をかけて】

【挑発するようにニヤリと笑ってから――彼女はバッタの鎧のちからを使い、また跳躍する】
【とはいえ翼のようには行かない。途中で砂のブレスに飲まれかけるのだが】

【――それが強烈過ぎたのが生還の理由だ。アンジェルは、自らのマントを壁にして】
【叩きつけられる砂のブレスを一時的に防ぎ、更には押し付けられるのを足場≠ニして利用した】
【ただの砂なら足場にしようもないが、布一枚あるだけでそれほど違う。何とかブレスの範囲を上に抜け出せば――】

【ガチャッ!≠ニ武装を構えた。浮遊時間はそう長くない。早速尻尾へと狙いを定めれば】

【まず、バズーカを一発。相手が怯むのを狙ってか、こちらに意識を向けるようにするためか】
【その後にも撃つ余裕はあるというのに続けない。あくまでもこれは序章――武装はまだ、いくらでもあった】
613 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 01:47:53.85 ID:bIjagPQX0
>>608-609

『……ちょ、ちょっとぉ! 何よアレ……! アタシしがみついてるわ! 逃げてちょうだいっ!』


【戦闘において、ふぉんてーぬがしている事は―――何かを召喚し、彼らに指示を与える、たったそれだけ。】
【飼い主は丸で油断していたというのに、其れでも尚、砂の激流を避ける事が出来たのは――― 一体何故だろうか?】
【……ともあれ、命からがら、に相応しい状態ではあるが、何とか乗り切った。全身が砂まみれである事は、最早言うまでもない。】

【そして二人は地上へと降りていく―――全生命を使った、と言った所であろう。大鷲も"あいす"同様、オレンジ色の光の粒となってやがて消えていった。】
【……とすれば、もう、持てる戦闘方法は全て使い果たした。出来る事と言えば……戦闘以外の、サポートに回る、ぐらいだろうか。】
【思い出した様に歩を進める、壊れかけたバギーへと向かっていた。エンジンが掛かる事にホッとすると、取り敢えずと前線の方へハンドルを切った。】


「…………ッ!?」


【一方たこやきは、一足早くサンドワームの異変に気づいていた。体内に響く、気味の悪い音―――ただ其れが何の予兆なのか、】
【その肝心な部分が分からず、後退りで距離を取る事しか出来なかった。……そして此方に怒濤の勢いで迫り来る、砂の暴虐―――!】
【否然し、それでも冷静さを失うことはない―――グレネードランチャーを取る際に、存在を確認していたアンカーが発射される音を、】
【耳を劈く様な轟音の中聞き分け、少年は確かに感じ取っていたからである。直ぐ様砂流の動きを目で確認、軌道を予測しつつ―――矢張り最短ルートを導く。】
【……とは言え、今回は今までと比べ物にならない程の難易度であった。サンドワームとの距離が近い事、否何より、長時間の戦闘における疲弊具合が原因である。】

【足場は極めて悪く、通常の半分の速度を出すのが精一杯という所であった、故―――後少し、僅かの所で砂に飲み込まれる事となる。】
【砂流に奪われたのは、少年の両足。下半身はほぼ砂に埋まってしまっている為に、使えるのは上半身のみ、であった。】
【その頃『音撃鈴』がたこやきの元へと放り込まれる。手繰り寄せて其れを取り、一旦右肩を2度回して、―――投擲。】
【コントロールには自信があった。……その自信に見合って、音撃鈴の軌道は美しい程の曲線を描き、正に巨大な孔の中心を捉えんと投げ込まれていた。】
【然し問題は、其の到達距離。助走も付けず、増してや上半身だけ―――その条件でどれだけ対象に近づける事が出来るか、其処に不安があった。】

614 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 01:55:02.16 ID:BqXnYoWX0
>>608-609
【静止したサンドワーム目掛けて、一直線に燕が飛ぶ。ボンと炎とともに炸裂する音が聞こえると、呻き声と共に大量の血が噴き出す】
【なぜ静止したのかは判らないが、ともかくダメージを与えられた。謎は残るが攻撃が当たるに越したことはない】
【続けざまにサンドワームの体にアンカーが突き刺さる。完全に体を固定された口側は、もはや微塵も動かない】
【……なのに、尾が不気味に動く。これだけ攻撃しても未だ動きを止めない尾。それが、春燕にとっては凶兆に思えて仕方なくて――――】

【―――――予感は的中してしまう。さざめきのような雑音はみるみる内にその大きさを増し、やがて吹き荒ぶ嵐のような音になり】
【口と尾から発生する音が極大に達した次の瞬間―――――すべての音が消え失せて虚が世界を包みこみ、そして】


―――――――!!!


【砂の激流が、決壊したダムから溢れる濁流の如く押し寄せる。褐色の暴力は全てを飲み込み、薙ぎ払い、打ち砕く】
【最早一寸先も見えぬ程の砂埃と、全ての音をかき消す程の轟音と、何もかもを押し流す砂流。圧倒的な力が容赦無く皆を襲う……!】

【――――しかし、春燕は「不断の準備」をしていた。静止した怪物を注視し、何が起こっても対応できるようにしていたのだ】
【何も分からぬままに不意を突かれていたならば、間違いなく彼女は濁流に飲み込まれて命を落としていたであろう。―――しかし】
【怪物の動きを注視していた彼女は、ブレスが放たれた瞬間サンドワームの懐に飛び込んでいた。一瞬の判断が、身を救う結果となった……】

【とはいえ、この圧倒的な砂の暴威は想定を超えている。死角にも関わらず容赦無く襲う砂嵐の所為で、またも彼女は砂塗れとなってしまう】
【薬で誤魔化してはいるが、傷も軽くはない。もうこれ以上戦いが長引くのは御免だ……此方だってそろそろ限界が近い】


【―――と、そこに(少女の体格からすると)一抱えほどの鈴が飛んでくる。これは、鈴……?―――!そういえば、この怪物と同種の生き物は特定の波長に弱いと事前の情報にあった!】
【鈴を見て思い出した。ならばこれはその特定の音波を発する鈴なのだろう。……では、やるべき事は一つに決まっている!】

【ここで、今までの春燕の行動を思い出して欲しい。彼女は鉄の箱を背負ったまま走ったり跳んだりしていて、しかも鉄扇を軽々と扱っていた……】
【そう、彼女は見た目に似合わず怪力の持ち主なのだ。女子供でも運べる重さなら、彼女にとっては片手で扱える重さなのであって―――――】

―――――ッラアアアアアア!!!

【―――「運ぶ」どころか、鈴を怪物の耳目掛けて渾身の力でぶん投げた。バスケットボール大の鈴が矢のように飛んで行き――――怪物が避けでもしない限り耳に叩き込まれるだろう】
【もっとも、固定された怪物が避けられるかどうか……少なくとも春燕は避けないと確信している】
615 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 01:56:37.48 ID:qvrfgiY/0
>>608

【周りを見渡す。最初に声をかけたミドナを始め、どうやら全員無事なようで―――安堵に息を漏らす】

―――――…『ミドナ、そっちもあんまり無理しないでっ!足とはいえ、素肌に傷はダメなんだから』

【冗談っぽく笑みを含んだ声を響かせたなら、余裕を見せた淡い微笑みを浮かべて】

―――――――――…『おいおいおいおいぃ…賢すぎやしませんかねこの虫ぃ…!』

【ややうろたえた様な声色に頬を伝う冷や汗。しかしここまできて負けるわけにもいかない】
【諦めるその前に―――オアシス街『マイヤ』の連中が頭をよぎった。あの場所を壊すわけには、いかないのだ】
【そしてお礼の言葉も聞かずに息絶えるわけにもいかない―――その意思が喋り屋の体を動かした】

【渦巻く砂の嵐。前方から、後方から―――迫りくるサンドワームの咆哮から逃げるように走り出す】

―――――…『ま、にあえぇぇぇぇぇっ!!!』

【小指を喉に当てて紡がれるのはとても幼い男の子の声―――生成するは風の魔翌力】
【サンドワームのブレスを掻い潜るように砂上を駆け抜けると同時、魔翌力が起こす突風が彼女の勢いを後押しした】
【丁度触れるか否か寸前のラインで『喋り屋』の体はサンドワームの近くへと、彼女の風によって吹っ飛ぶ】
【背中を飛び交う砂に持って行かれ、引きずったような傷を負った以外に負傷した部位はない】
【ぎりぎり回避に成功した、というところだろうか―――今は彼女に出来ることはもうないだろうか…否】

【―――砂を撒き散らして滑り込み、勢い余って転倒。もう一度討伐対象を確認しようと、頭上を見やる】
【風の魔術に使った魔翌力はまだ彼女の回りを淡く漂っていた―――まだこの魔術は“活きて”いる―――!】

【『音撃翌鈴』が二つとも投擲されたことを確認したなら、彼女は陰ながら行動に移るだろう】


―――――…『さて、これで終わりらしいよ怪物君…!』


【残る魔翌力を全て消費し彼女が行ったのは「風の魔術による軌道調整」―――!】
【それこそまさに気持ち程度の補正ではあったのだが、微力ながらも『音撃翌鈴』が耳孔に届くように風を吹かせる】
【これ以上周りが傷つかぬよう、神にそう祈るように――――】
616 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/26(日) 02:10:56.75 ID:8nWH6cFto
>>611 >>612 >>613

【…………体中の砂を全て吐き出しきったのか、フィールドの中央を横断するように巨大な砂丘を作り上げた所でブレスの放射は止まるだろう】
【砂塵の先で、サンドワームが見たものは――――正真正銘の、悪魔、であった】

<ォ、ォオオォ、オオ…………――――!!>

【恐れ戦くように、ボロボロの首を擡げてサンドワームが吼える――――怪物≠ェ発する光が、とっくに退化したはずの視覚を恐怖で刺激する】
【直後、必殺の攻撃の一部が溶岩によって飛び散る。削がれたとはいえ甲殻が全て無くなった訳ではなく、それほど大きなダメージではないというのに】
【サンドワームは恐慌を起こすかのように、僅かに溶岩を浴びただけの尻尾を慌てて引っ込める――――両者の差≠ヘ、ここに来て決定的だった】

ったく、可愛い顔してキッツイわね、あんた…………!
ふぉんてーぬ! 後の事――――任せるわよっ!!

【一方ミドナはアンジェルに向けて吼えると、転がるようにバギーから落ち、六本腕を乱雑にバギーの下へ叩き込んで――――】
【阿修羅≠フ名を冠する全身全霊の腕力が…………ベギリ、と。バギーを固定していた杭を、根元から強引に破壊するだろう】
【それを終えるとミドナはまた荷台へ転がり込み、体を伏せて砂の余波をやり過ごす。足を怪我して動けない彼女には、これが精一杯の抵抗だった】
【やり過ごすなどと言っても…………余波が晴れたバギーの有様は最悪。荷台には山のように砂が積もり、ふぉんてーぬも多量の砂を被ることになるか】
【完全に生き埋め状態にしか見えないが、果たしてミドナは無事であるのか――――?】


>>610 >>613 >>614 >>615

ぐ…………っ、たのんだ、ぞ…………!!

【――――切り札を全力で投擲しながら、レラは最後に二人へと叫ぶだろうか】
【この『音撃鈴』という装置、レラの小さな体には少し重すぎる。放擲に全身のバネを使い切ったレラは――――無念にも失速する】
【襲い来る砂の脅威に為すすべなく、少女は残る全てを六人へと託し、砂の中へと飲み込まれていくだろう】
【奇しくも、というべきなのか。シーナと全く同じタイミングで、レラもまた戦線から離脱する――――】

<…………ゴ、ォ…………!!>

【そして。『喋り屋』の後押しを受け、春燕とたこやきの放った二つの『音撃鈴』は、最も勝利≠ノ近い場所へと配置され】
【サンドワームがその意味を理解するよりも先に――――それは、起こった】
617 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/26(日) 02:13:31.61 ID:8nWH6cFto
>>ALL

<オ――――――ォォオオオオ!! オ、ゴゴゴゴオォォ…………!!!!?>

【耳の良いものなら、その瞬間、キィィィン≠ニいう非常に高い音波が僅かでも聞き取れたかもしれない】
【春燕とたこやきが内耳に直接打ち込んだ『音撃鈴』が効果を発揮し、特別に調律された超音波が、サンドワームの本能に刻まれた何か≠大きく揺さぶった】
【吐血するように口と尾先から酸を噴き出しながら、サンドワームは滅茶苦茶に体をくねらせ、しばらくの間悶え苦しむだろうか】
【その際、周囲には風や砂や酸が大量に吹き荒ぶが――――あらゆる辛苦を越えてこの砂漠に立つ勇士達ならば、耐えられない訳がない!】


<ォォ…………ォ…………オ、ゴ、オオォォォ………………>


【サンドワームは最後にびくりと大きく体を緊張させ、その身を天へ伸ばす。あるいは空へでも、逃げようとしたのかもしれない――――】
【しかし、悪足掻きもそこまで。サンドワームはそこで力尽き、轟音と多量の砂塵を上げながら地面へ倒れ込むだろう】
【崩れ落ちたサンドワームは痙攣し、口からは無様に酸を垂れ流す…………だが、全身から吹き出していた血は止まっていた】
【筋肉がまだ力を失っていないのだ。まだ、こいつは生きている。放っておけばまた立ち上がり――――生きる為に、闘おうとするだろう】

「強襲班、動ける者は全員衛生班の支援に回れ! マスラドさん、一刻も早く転移魔法で救助を!!
 そして、残った者は――――」

【アルフレドはボロボロになった指揮官車の上からあちこちに指示を飛ばし、最後にサンドワームを睨んだ】
【砂を制し、風を制し、太陽を制し、そして他者を制する者のみが、生き残る。それが、この砂漠を支配する唯一にして絶対の掟】
【弱肉強食なんてものは、世界のどこにだって転がっている――――その中で、この怪物がただ蹂躙されるだけの存在ではなかった事だけは、確かだ】
【――――故に。アルフレドは情けも容赦も一切掛けず、吼えるように最後の言葉を撃ち放つ】


「総員、一斉攻撃!! そいつに全身全霊を叩き込めッッ!!!」


【さあ…………長い闘いの終わりの時が、いよいよやってきた】
【サンドワームに抵抗の術はない。剥がれた甲殻、剥き出しになった肉、今まで付けた傷跡、そして無防備に開け放たれた口内=z
【どこを狙ってもいい。どんな攻撃でもいい。ただ己が心と身体の全てを乗せて、この灼熱の激闘に幕を引け――――――!!】


/次で〆としたいと思います!
618 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 02:42:17.82 ID:bIjagPQX0
>>616-617

『ちょ、ちょっとぉ!? やり過ごすって、大丈夫なの!? が、頑張って、避けてみるわ……』


【……素人のドライブテクニックである。迫り来る余波とは言え、避ける事は極めて難しく―――ふぉんてーぬは大量の砂を浴びる。】
【運転席でコレなら……とそっと荷台を確認……其処には、山の様に積もった大量の砂があった。】
【『み、ミドナちゃんっ!?』と思わずエンジンを切り、運転席から降りて荷台へと駆け寄る。】
【砂を両手で払おうとしているのだ―――無謀であるのは分かっている、それでも、出来る事はやりたかった。】
【『あ、アタシのせいで…』と、目を赤くしながら。ミドナが伏せていたであろう場所を、必死になって掻き分け、生きている事を願っていた。】


「………きつ………。」


【何より、埋もれた両足が重い。物静かだった少年も、極度の疲弊感からか、思わず今の感情が声となって出てきてしまった。】
【―――然し、長かった闘いも、あと一息。とすれば、力を振り絞り、少年は腕の力だけで何とか此処から出ようと試みる。】
【……初めは丸で動かなかった両足。然し、時間が経過すれば、徐々に動き出す様になり―――随分と時間は掛かったが、砂から開放される事となった。】

【後は、最後の仕上げ―――パタパタと残った砂を落とし、2,3度ジャンプ。首を右、左に傾け、腕をゆっくり回せば、準備完了。】
【少年は閃光をも彷彿とさせる走行でサンドワームとの距離を一気に縮め―――、寸前で僅かに跳躍、矢張り同じ部位に狙いを定め、空中で回転。】
【軸を保ったまま放ったのは―――初めと同じ、蹴りであった。然し今回の其れは、今後を一切として視野に入れず、ただ威力だけを重視した物。】
【着地に失敗して気絶しようか、そんなのどうだって良い……そう言わんばかりの蹴りが今、砂漠の獅子≠ノ強烈なインパクトを与える―――!】
619 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 02:42:43.73 ID:5Z/ilxcso
>>616>>617

【不思議と頭がスッキリしていた。眼下に埋もれかけたバギーが見えるが――】
【――先ほど声をかけた彼女の安否は、気になりつつも。何か別の所に意識があった】

【手の内のグレネードランチャー。予備の弾薬を括りつけて、バズーカの砲も持っている】
【軍事用のアイテムというのは、元自警団の見習いで、現UTのアンジェルには縁がない】
【そのはずだったが、自分でも思いがけないほどしっかり、それらを使いこなせている】
【アンカーガンにしても特殊な機構だったが、どうも悩みなく撃てていた用に思え――】

(……上は静かね。砂漠って怖いところだけど、人が居るのもうなずけるわ)
(言葉に出来ない郷愁みたいな物がある。だからこそ――――)

―――――彼らの平穏を邪魔するアンタには消えてもらうわ。

【第一に放つのは、グレネードランチャー。ボンッ!≠ニいう音と共に発射されたそれが狙うのは】
【まず尻尾。弾倉の全てがなくなるまで、一丁目は全て尻尾に向けて撃ち放つ】
【容赦はない。続けてバズーカ砲を構えて撃ち放てば、それはさながら空爆にも似た様相を呈し】

【更に予備弾倉をそれぞれに手際よく叩き込んで、次第に落下を始めながらもまた砲を構え】
【次に撃つのは本体だ。それもだらりと開いた口に向けて、これでも喰らえ≠ニばかりに爆薬を打ち込む】

【後は――特別に描写することもない。彼女は冷静に、落ちきるまでに全ての弾薬を使うだけ】
【ランチャーだろうがバズーカだろうが――撃って、装填して、また撃って。繰り返して、繰り返して】

【やがて全てを撃ち尽くすと、焼けつく銃身も投げ捨てて、最後に引き抜くのはかの妖刀】
【名は秋雨と云った。多量の血を吸って露に濡れた刀身は、泣くかのように戦慄いて】
【アンジェルはそれをまっすぐ構えて――最も近い、尻尾の方に刃先を向け】

【落ちきるその勢いを利用して、ただ縦に一筋、一閃――真っ直ぐまっすぐ、振り下ろす】
【いうなれば兜割りの要領。少々高さやらがおかしかったが、まあその表現が良いだろう】

【アレだけのことが出来る尻尾だ、きっと本体同様に特殊な器官でもあるのだろう、と】
【アンジェルはその重要性を思案しての行動だった。或いは、それが外れていても】
【きっと本体の方は他のみんなが何とかしてくれるという――期待。悪く言えば甘えが、彼女にはあり】

【あくまでもアンジェル・ベルジュロンは、絶え間ない空爆の後に、尻尾の方を切り裂こうとする】
【成否関わらず彼女はその後後退し、鎧の装備を解除して、バギーのあった方向へ向かうだろう】
【声をかけた彼女が無事か、気にならないわけがなかった。酸で負った全身の傷は、既に痛みなど忘れていた】
620 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 02:48:12.65 ID:qvrfgiY/0
>>616-617

【高く響く音が耳に届いた―――恐らくは『音撃翌鈴』が発動した音だろうか?詳しくは分からないが】
【ただ、それより豪快な重低音を響かせて倒れこむ怪物を見たなら、成功したと少女は確信した】

―――――――――――――『よぉおっしッッ!!』

【『音撃翌鈴』の成功に、思わずガッツポーズを作って叫んだ】
【さてここからが彼女の出番――――ただ言葉を紡いで、一方的に蹂躙するだけの簡単なお仕事】
【弱り果てたサンドワームを仕留めるために、一度まぶたを閉じて魔術に必要な感情をコントロール―――この間約数秒】
【文字通り、心の準備を終えた『喋り屋』は左手を軽く伸ばすように力を抜いて―――眼前に構える】

――――――『回り回る運命のように、万物流転の風とならん…ってね』
『さぁ風の刃!弱り果てた丸裸の虫を――――切り刻めッ!!!』

【子供のような幼い声から、緑色の魔翌力が抽出されていく―――彼女の魔術は声から魔翌力を抽出してそれを媒体に発動する】
【魔翌力の蓄積や詠唱のいらない魔術という性質上、必殺の発動に使う溜めの時間は異様に短い】
【勝利が目前であることの喜びによって、魔翌力に必要な感情を最大限に昂ぶらせたなら―――全身全霊の一撃は、準備を終えた】


―――――――――『お、らぁあああああああああああああああああああああああああッッ!!』


【また小指を喉に当てたならば、同じように風の魔術が形成されていく―――幼く高いながらに、よく響く慟哭】
【それは先程のように勢いを後押しする風でなければ、水の刃のように柔な魔術でもなかった】

【右手は喉に、左手をワームに沿うように真っすぐ振るったなら―――それに従うように風が吹いた】
【生成した魔翌力を全て消費―――サンドワームを縦に線を引くような軌道で、巨大な「真空の刃」が飛ぶ】
【どんな武器よりも鋭く尖るその風、威力、侮ることなかれ――――!】
621 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/26(日) 02:49:16.41 ID:5zjz/Kb2o
>>616>>617

「ふぅ……私は疲れたのだ」
「役目は果たしただろう、後はゆるりと経過を見守るとしようか」


【降り注ぐ酸や砂などを周囲の砂を薄く操作して膜のようにして防ぎながら】
【体制を立て直したシーナは、その場で座り込んだ】


「残ったのは地脈に張り巡らせたこのラインのみか」
「やれやれ、散々に荒らしおって……こうも穢れては浄化しきれんかもしれんが」

「最後に一仕事して、今宵の祭りを締めくくるとしようかの!」


【シーナは、座った姿勢のまま杖を両手で握りしめて】
【地を流れる龍脈に微かな魔力と共にアクセス――先に地面に張り巡らせた魔力ネットワークを通し】
【それらのラインを構成していた魔力を操作し、解き放った】

【それによって起こった現象は2つ】
【1つは、砂に埋もれた人間を掘り起こす事】
【覆い被さる砂が潮が引くようにスゥ……と横に流れていき救助の手助けをする】

【もう一つは周辺の"浄化"】
【サンドワームによって掘り起こされ、酸や体液で穢された大地】
【乱れた龍脈を正し、飛び散った穢れを徐々に砂と混ぜて地に還していく】
【他の能力者たちの止めによって、サンドワームが朽ち果てるまでこの作用は続くことになるだろう】
 
【シーナは、一仕事を終えると長い戦いの決着を見届けようと視線を送る】
【誰も彼もが死力を尽くし、巨大な魔物に立ち向かう姿】
【……それは間違いなく"英雄"の姿と呼べるものであっただろう】


「………………」


【今ある魔力は帰るため、そして護身用に残しておいたものだ】
【それは理解していた。いた、のだが】
【シーナはその場で何やらむず痒そうにその場で身体をもぞもぞとさせると】


「――……ええい!ここで何もしないのはどうにもむずむずするのだ!」
「どれ、少しばかり奮発してお膳立てでもしてやろうかの!」


【シーナはそうボードに表示すると、周囲で壊れていた老魔法使いのゴーレムを分解】
【砂状に変化させた後、再構築し槍の形状へと組み替え地面を"跳ねさせる"事でサンドワームに向かい射出した】
【狙いはサンドワームの傷口の一つ。命中した場合、その場で構成していた砂が爆弾のように破裂しダメージを与えるだろう】

【恐らくここで加わらなくとも、戦況は何も変わらないだろう】
【ただの自己満足に過ぎない一撃だ。しかし――】


「英雄ならば、黙って見ているだけは駄目なのだ……むきゅぅ……」


【――"英雄"を目指す上で、こうするべきだと思ってしまった】
【シーナは座っている力もなくなったのか、その場でペタンと寝転がった】
622 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 03:02:41.57 ID:BqXnYoWX0
>>616-617

【渾身の力を込めて怪物の耳に叩き込んだ鈴は、間髪を置かずに耳鳴りのような音を立てる。人にはあまり聞き取れない音も、怪物にとっては叫喚よりも聞くに耐えぬ音だったらしく】
【果たしてサンドワームはその身をもがき苦しむように歪ませて、あの強酸を撒き散らし、砂煙を巻き上げていく。――――その姿は、もう果てる直前のものに違いない。】
【しかし、怪物の最後の悪足掻きも侮れない。巨体が死力を尽くしてもがいているだけあって巻き上がる砂や体液の量は尋常ではなく、ともすれば全てを薙ぎ払ってしまいそうな程】
【……しかし、それでも。此処で息絶える訳には行かなかい。――――自分はこれから“W”の代わりに人々を護り、傷を癒すのだ。だから、こんな所で倒れるわけには行かない!】

(耐えてくレ、私の扇!今一度の辛抱ダ、私を助けてくレ―――――!!)

【溶け、傷つき、歪んだ扇。身代わりに酸を浴び、砂を被り、それでもなお何とか形を留めているのは、彼女の強い心が乗り移ったからだろうか――――】
【扇は怪物の最後の抵抗から主人の身を守り――――そして、怪物の最後の抵抗は終焉を迎える。びくりと痙攣したが最後、もはやその身が大きく暴れだすことはなく、力なく地に倒れ伏した……】


【……抵抗が止んだ途端、春燕は急にあの怪物の事が哀れになってきた。あの怪物には悪意があった訳ではない。ただ、己を攻撃するものを排除して生きようとしただけなのだ】
【それなのにこんな風に苦しみ、もがき、今息絶えようとしている―――――そんな怪物の姿が、何故か不憫で仕方がないような気がしたのだ】

【――――いや、攻撃して倒した側の哀れみは寧ろ冒涜だ。倒さなければ人が死んだだろう。……人間だって、生きるために戦ったのだ】
【ならば、怪物にかけるべきは哀れみではない。せめて直ぐに息の根を止めてやるのが、自分たちの為すべき事であろう――――!】

【言い聞かせるように頬を叩くと、もう一度前を向いて、ありったけの気を込めて怪物に解き放つ】

――――せめてもの手向けでス。行ケ―――――!!

【形は燕?――――いや、違う。全身全霊の力を込めて生まれた紅色の光は、朱雀の形を成して空へと舞い上がった】

【燃え盛る炎よりも熱く、曙光より美しい光を纏い、全てを灼く炎は朱雀の姿を借りて空を疾駆し、怪物の体を燐光を伴って焦がし尽くす】
【――――見れば、他の人達も総攻撃を仕掛けている。きっとあの怪物もひとたまりもあるまい――――戦いは、もう終わりを告げるのだろう】
623 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 03:08:22.61 ID:PA1Vt3bVo
>>616-617

「――、……うゥるせェ鈴だ、だァが……こォれでこォのまま堕ォちるわけにはいィかなくなった」
「召喚すゥるのも良ォいが――蛇共、にょォろにょろ対決には負ァけたかねェーだろォ?」

【攻撃後、自由落下をしていた悪魔――このまま落下すれば、荒れ狂うサンドワームに弾き飛ばされかねない】
【だが、翼はもう使い物にならなくなっている――つまり、軌道は変えることが出来ないのだ】 【ならばどうするか。】

【――悪魔から尾が生える、それは銀色の羽毛を纏った蛇の尾のようで、先端は8の羽毛の集まりに分かれて伸びている】
【更に尾の先端自体は――被り物の角と同じ素材で出来ていた】

「直径見ィ積約4m――と、なァると……周は12と半くゥれェか――十ゥ分だな」

【――そして、太さは、根本は悪魔の胴幅、最大50cm程で……しかもその長さは19m弱もあるのだ】
【幾らなんでも"自称した能力"で補いきれるようなものではないが、疑問を抱かせる余裕は今はないはずだ】
【生やした長い尾をサンドワームの胴体に巻き付ければ、当然振り回されるが――弾き飛ばされるよりはマシだと判断したのだろう】
【そして、近くにいれば――万が一正体がばれた場合でも、素材だけは持って行ける可能性が高いという考えもあったのだ】


「――――もォー、遅い……脱出不可能って奴だ」

【悪魔が不敵な笑みを浮かべる、もっとも被り物の中でだが――ボロボロな為、眼が良ければ穴から僅かに見える、かもしれない】
【まるで蛇が木を歩くのように悪魔がサンドワームを尾で歩く、重力を考慮し酸を避けつつ――】

「"対価取引"は悪魔の得意技ッ!」 「――つゥまりは、"やァられたら、やァりかえす"って事だよッ!!」
「安心しな……テメェーから素ォ材が取ォれなくなァるまでやァるつもりはねェ……素ォ材目的なら"支ィ配"の必要もねェ……」

「――太陽とォーッ、北風がコォンビを組ゥんでッ!」

「当ァたって死ィねッ!」 「"白と青の豪波動砲"――発射ァァアアーーッ!!」

【被り物――精巧過ぎるその口部に魔翌力が、日光が、溜まって行って――】 【そして―― 一気に、発射ッ!】
【先程の太陽光線より太く、更に肉を刻まんとする鋭い風が纏わりついていて】 【銀色の鱗粉は光を反射し光線をより輝かせていた】

【肉を焼き刻む光線。――銀色の鱗粉に特に意味はない、特に植物や毛の成長を促進するため緑化には役立つかもしれないが】

【――ただ、一つ……位置取り自体は人の少ない方に背を向けているとはいえ、攻撃の余波を受けないとも限らず……】
624 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/26(日) 03:15:06.74 ID:8nWH6cFto
>>618 >>619 >>620 >>621 >>622 >>623


「――――デカディメント・ウラガーノッ!!!」

【遠くの指揮官車で――――アルフレドの両腕が光る。二丁拳銃からひとつの銃砲へと姿を変えた彼の武器が、緑色の砲弾≠解き放った】
【だが狙いはサンドワームではなく、先程の攻撃で出来上がった砂山――――風属性を帯びた魔弾は、着弾と同時に周囲へ烈風を撒き散らして】
【砂の大半が風圧で吹き飛び、埋まっていた隊員達の姿が露になる。同時、彼らの真下に魔法陣のようなものが浮かび、どこかへと消えていく】
【流石に対応が早い、これなら巻き込まれた者達が助かる見込みもかなり高まる筈…………そして同時、シーナの救助の手も伸びる】
【先程の拳に、今。いや振り返れば今日一日、ずっと彼女には助けられてばかりだ、と――――】

…………ぐ、ぅ…………。

【砂の中からぐったりと顔を出したレラは――――最後にそう思わざるを得なかった】


――――っぷはぁッ! 死ぬかと思った!!

【そしてこちらにも、もう一人。ずぼりと荷台の上の砂山から四本の腕が飛び出し、強引に砂を押しのける姿があるだろうか】
【…………だが、無事ではない。彼女の腕は四本≠オかない。上段の二本は、圧し掛かる砂の重みで破損して消えてしまっていた】
【ミドナの腕を増やす能力は、増えた腕にも痛覚が通う。両腕が生きたままへし折れる痛みを味わい、ミドナは精神的にも肉体的にも限界だ】
【故に――――】


そんのデカブツ、あたしの代わりにブッ飛ばしちゃって――――――――ッ!!!


【――――吼える。痛みに涙を浮かべた瞳で、勇壮で獰猛に吼える。ただ、この戦いの勝利を願って叫ぶ。それしか、もう出来ない】
【だがそれは、この場に居る隊員達全員の代弁だ。彼女の叫びに呼応して、衛生班に回収された負傷兵達からも次々に激励の言葉が飛び交って】
【本当に、どんな一撃だって構わない。ただ今日この日、共に怪物に立ち向かった者の意思が、そこに乗っているのならば――――】
625 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/26(日) 03:28:38.20 ID:8nWH6cFto
>>ALL


       <ォ、オオ、オオオオオオ、オ…………オオ、ォ………………………………>


【――――そして、崩れる。悲鳴を上げる巨躯は最後に体をうねらせて首だけで天を仰ぎ、そして全てを失って崩れ落ちる】
【たこやきの蹴撃が心臓を叩き壊し、アンジェルの爆撃と剣戟が本体と尻尾を引き裂き、『喋り屋』の真空の刃が表皮を切り開いて】
【シーナの砂の槍が臓腑を破砕し、春燕の朱雀が甲殻を焼き払い、邪禍の太陽光線が全身を撃ち貫いていく――――】

【全ての攻撃が一様に、この雄大な命に引導を渡した――――勇士達は砂漠を駆ける巨躯の猛威から、見事に街を守ってみせたのだ】


『せ…………生体反応途絶! や、やった! やりました!! やりましたよぉ!!』
「よっしゃあ――――あっ、し、失礼しました。動ける者は全員、負傷者の救護に回って下さい!」

【イスラの涙ぐんだ歓声が拡声器をハウリングさせ、凱歌代わりのノイズが戦場に響き渡るだろうか――――】
【アルフレドも思わず叫びかけたが、車の上で小躍りするイスラのはしゃぎ様を見て逆に冷静になったようで】
【すぐに指揮官の顔に戻ると、イスラをサンドワームの死骸の前で降ろして最終確認を促し、自身は被害状況の確認に向かった】

【また、戦場の隅の方では、全身をローブで覆っ身長二メートル越えの大男が杖を構え、次々に魔術らしきものを発動させており】
【近くに広げられた即席の治療台の上へ、砂の中に閉じ込められていた隊員達が次々に転送されていくのが見えるだろうか】
【その中には――――同じく負傷者として回収されたミドナに抱き締められ、非常に迷惑そうな顔をしているレラの姿もある】

『…………こちらアサドだ! こっちは終わった、そっちは――――どうやら、無事片がついたみてぇだな』
「隊長! はい、負傷者多数…………ですが死傷者はゼロです! それで、そちらの方は…………」
『同じく、死傷者ゼロだ。よくやってくれたぜアル! 後で武勇伝、聞かせてくれよ?』

【――――ほぼ同時。イスラが使っていた通信機から、アサドの声が聞こえてくる。安心感のある声色は、拡声器越しに全域へ伝わるだろう】
【遠くの方を見れば、まるで先程のふぉんてーぬの攻撃を引き継いだかのように、サンドワームの死骸が全身氷付けで残されている】
【そこから土煙を上げて、二頭のハーダスフィリアの嘶きがこちらに迫ってくるだろうか。竜車から顔を出し、アサドと隊員達が手を振っている】
【そして、最後に――――唐突な賞賛を受けて照れるアルフレドの慌て声をバックに、砂漠の獅子≠ェ勢いよく吼える】


『よし、負傷者を竜車に! 残りの奴はバギーに乗り込め!!
 野郎ども、今日は本当にご苦労だった! 助っ人の六人も、最高の出来だったぜ!!
 さぁ、手土産は二頭のサンドワーム――――今日の俺達は、間違いなく英雄≠セ!! ド派手に凱旋と行こうぜ――――ッ!!!』


 【「―――――――――ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」】

【隊員達の雄叫びが、連なる咆哮となって響き渡った。自分の足で立つ者、仲間の肩を借りる者、その全てが天に歓喜を轟かせ】
【やがて全員が搭乗したのを確認すると、竜車とバギーは走り出す。シーナの浄化≠ニ邪禍の鱗粉のせいか、血塗れた砂漠は何故か緑に溢れていて】
【怪物の血は砂漠の糧となり、彼らの勇気は街人の礎となった。勇士達は激戦の記憶を胸に、総力を以て守り抜いた、あの街の旗印に向けて帰っていく…………】

【――――『マイヤ』に到着すれば、アサドの言ったとおり全員が英雄扱いで迎えられるだろう。街の人々の笑顔は、輝かしい】
【その後六人には指定の報酬が手渡され、更に『マイヤ』の一部施設を無料で利用可能になる。暫くこの街に逗留するのも一興か】
【もしそうしたなら、六人は今回の戦いの一番の功労者として、より一層の歓待を受けることになるが――――それもまた、今日の激闘の報酬か】

【こうして、いつにない混迷と危機を孕んだ今年の砂漠の祭宴≠ヘ、獅子達と六人の勇士によって新たな始まりを迎えた】
【街を包む祭宴の火は、そして彼らが守り通した人々の笑顔は、砂漠の太陽よりもずっと激しく燃え盛る――――】


/これにて本日のイベントは終了です。報酬の詳細などは後ほど発表いたします!
/参加者の皆様、本日はお付き合い頂きありがとうございましたー!!
626 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 03:30:05.60 ID:5zjz/Kb2o
>>625
/長時間お疲れ様でしたー!
627 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 04:04:30.64 ID:PA1Vt3bVo
>>624-625

「ククク……ヒャハハハ……ヒャァァアアーーハッハッハッハッハァァアアーーッ!」
「……っと、"素ォ材"は傷んでねェだろうな――焼ァいた俺様が言うのもなんだがよォォオオ」

【生体反応が失われたと言われるよりも早く、悪魔はそれに気づいていた――エネルギーの変化によって】
【だから、叫ぶ、哂う】 【とはいえ、先程の砂のブレスで"肉体"はかなりの痛手を負っているのだ】

「……ふゥむ、"肉体"がだァいぶ傷んでいるな……かァといって蛇尾で移ィ動すゥるわけにもいィかねェ」
「脚はまァだ動かせるな――あァっちの冷ェ凍漬けも気ィになるところだ、報ォ酬まで歩きで我ァ慢だ」

【痛みを堪えつつ、降りる前にサンドワームの柔らかい部分の肉に頭部を近づけて――】
【――どうやらこの被り物も、融合した蛇達を元に作っていたある意味"本物"だったようで、】
【一時的に口部の融合のみを解除、自身の口部によって肉を一口分齧り取る】

「骨折り損は大嫌いだァからな――ばァれてはなさそうだが、万が一だ」
「本当は全部持ォっていきてェとォころだが、こォの状ォ態じゃア魔ァ力不ゥ足か、いィやそォれ以前に今度は俺様に牙が向ゥいて面倒だ」

【その後被り物の状態を戻し長い尾が仕舞われ、地面に降り立つ悪魔――翼も同様に仕舞って】
【砂の中から左手で新しい手袋を出すとその手袋を右手にはめて――赤い爪を隠す】
【齧り取った直後や手袋を出す際に、僅かに放出されるのは"邪悪な魔翌力"――少なくとも、手袋は砂の中で召喚したのだろう】

「そォーだ、つゥいでにこォいつも……ぶッふォアアアーーーッ!!」

【傷の応急処置は己の邪悪な魔翌力で行い、ひとまず出血だけは抑えてからバギーに乗り込んで】
【――マイヤに着き悪魔がそこに降りた後、竜車の方に近づいて――いや、ハーダスフィリアに接近して】
【……何か逆鱗にでも触れたのだろうか、後足で力いっぱい思いっきり蹴られて血を吐いていたそうだ】

「(ちィ、何ァ故人間共は混沌を嫌う、護りに入るッ! 前に進む気ィはねェのか糞が)」
「(そォーいう歓声は、俺様の理ィ想郷で上ァげて貰いてェーぜ)」

【悪魔はマイヤに長居はしない、今回は人の為ではなく自分の欲望の為に居たのだ――】
【そもそも指名手配されている身で長居をするにはリスクがあるし、我が家の布団で寝た方が傷も治る】

【よって、悪魔は報酬を受け取ればすぐさまマイヤを離れて――】
【誰も見ていないところで転移の魔方陣を生成し、我が家に帰っていくのだった】

/お疲れ様でしたー
628 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 04:08:25.31 ID:qvrfgiY/0
>>624-625

【少しだけ荒げた息を整える様に、息絶えたサンドワームを見下ろす。勝った、のだろうか】
【サンドワームの死亡確認の声。間違いなく討伐成功の合図となりうる歓声を通信越しに聞いたなら、彼女は安堵して】
【ラストスパートで使い切った気力。力が全身から抜けていくのを感じ、喋り屋は一人砂上に膝をついた】

【疲労でやや朦朧とする意識を、頬を手で叩くことで無理やり起こして、周りの現状を確認した】
【負傷者が救助されていく中で、先程まで状況を掴めなかったミドナの姿も見えたので一安心か】
【助っ人も六人欠けることなくこの砂漠で立っている―――死傷者ゼロの音声を聞けば、自然と顔がにやけた】

【――――だからこその、その場にいた彼らの咆哮。空気を揺るがしたそれに軽く驚きながらも】

――――――――『ホント、元気な奴らだよ。こちとら今すぐベッドにぶっ倒れたいってのに』
『はしゃぎたいって気持ちも分かると言えば分かるんだけどさ…なんていうか、呆れる』

【人差し指をあてがった少女の声。言葉を全て紡ぎ切った後に、やれやれと言うように軽いお手上げのポーズ】
【よくもそこまで気力が持つものだと―――呆れるよりはもう、尊敬の念を抱いていた】
【それに満更でもない昂揚感を感じてしまうのは、人間の性というものだろうか】

【そう言いつつも嬉しいのは彼女も一緒で、いっそこの雄叫びに紛れて、久々に「声」を出して叫ぼうかとも思った】
【結局喋り屋には、そんな勇気は微塵もなくて――――何も言わずに右手を掲げて、浮き立つ勝利の雰囲気を味わうのだろう】


【そして『マイヤ』到着後――――輝かしい笑顔の数々に圧倒されつつも、喋り屋はそれに応えよと本当に淡い笑みを浮かべて】
【この街はまだ平和でいる、そのことこそ彼女の原動力だったのだから、やはり諦めないで正解だったのだろう】
【このまま朝まで飲み明かすのかもしれないし、明るすぎる雰囲気に耐えられなくなるのかもしれないけど】

――――――…『やっぱり、眩しすぎるのは苦手だ…直視できないっつーか、見てらんないや』

【――――『マイヤ』に滞在した最初の宿で、慣れない様子で一人そんなことを呟いたとか】
【熱すぎる太陽は、笑顔は、彼女のキャパシティをゆうに超えるものだったらしい】

/乙でしたーありがとうございましたー!
629 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 04:20:07.37 ID:5Z/ilxcso
>>624-625

ふぅ……終わった、わね…。とんでもないサイズだったり、実は二匹居たり
ミミズのくせにとんでもなく頭が良かったことといい……百聞は一見に如かず≠チてやつね
サンドワームについてどれだけ調べても、いざ戦うのとでは話が違うし……

……とにかく、帰りましょっ!せっかく勝ったんだもの、凱旋するまでが勝負よ!!

【敵が倒れ、もう一方の懸念材料――アサドの方も、どうやら上手いこといったらしい】
【ミドナも無事、他に死傷者もないと聞こえた。これ以上ない成果ではないか】

【ともなれば――アンジェルがニッ、と笑うのも当然の事。元気に自分の足で歩いて行き】
【バギーにも手助け要らずで乗り込んで、やがて『マイヤ』へと向かうのだった】
【――頬だの肩だの、酸で重度の火傷を負い、痛みがぶり返して騒ぐのもその道中の事である】

【それでも、やがて『マイヤ』にたどり着けば。凱旋とそれを迎える人々の笑顔に触発され】
【少々引きつった笑顔ながらも、彼らの声に答えて手を振るところまではしていた、とか】


【後日――彼女はもう数日ばかりこの街に滞在する。砂漠の民についての勉強、という触れだったが】
【実際はお土産だの、食べ物だの、この地独特のものを存分に楽しんでいたと言い】
【ついぞ街を離れる日には、満面の笑み。そして少しの郷愁を味わいながら、帰っていくのだった――。】

/深夜までありがとうございました!お疲れ様でしたー!
630 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 04:29:18.92 ID:BqXnYoWX0
>>624-625
【――――ついに、終わった。ありとあらゆる攻撃を一身に受け、崩れ落ちた怪物はもう二度と動くことはないだろう】
【自分達は、暴威から人々を護りきったのだ。砂を被り、酸を受け、ボロボロになりながらも己の手で人々を救ったのだ】
【緊張の糸が切れた瞬間、全身を強烈な疲労感と痛みが襲う。成る程、人を守るとはこうも痛みを伴うものなのか―――】
【――――しかし、この痛みもまた得難いものなのだろう。……初めて作った傷跡がまるで勲章のように思えて、地面にへたりこみながら自然と笑みがこぼれる】


へへへ……――――私、やりきったネ……!


【初めて人を護る為に戦った春燕。この経験はきっと、彼女の今後に大きく生かされることだろう……が、今はそんな話は横に置いて】
【そんなことより今は皆が無事とは言わないまでも生きて帰れたこと、あの怪物を倒せたことを素直に喜ぶとしよう!】
【隊員たちの歓喜の輪の中に、小さな少女も加わる。「ウオオオオオオオオ!」なんて叫ぶような柄ではないが、喜びを共有するのが何よりも嬉しい】

【揺れるバギーの中勝利の喜びを噛み締めて、やがて隊列は街へと凱旋。そこでの出迎えもまた、盛大なものであった】
【街の人々の笑顔を見れば、春燕も漸く自分のした事の大きさを理解する。―――そうか、これが人を護るという事か】
【彼女にとって賞賛よりも、報酬よりも、何より嬉しかったのは人々の笑顔。喜びと安堵に満ちた人々の表情が、何よりも彼女の心を弾ませた】



【――――さて。喜びも一段落した所で、彼女にはもう一つやるべき事があった。バギーを降りると、怪我人の治療を行うべく竜車に乗り込み】
【困惑する隊員たちをよそに、薬を作ったりして治療の手伝いをしたらしい。……彼女曰く、怪物との戦闘で次々と怪我をする隊員を放っておけなかった、と】
【彼女の出した薬はよく効いたらしい。打撲程度なら一晩経てばそれはもう綺麗さっぱり消えてしまう程に――――】

【それから、彼女はマイヤの街を十分過ぎるほどに堪能した。……行く先々で怪我人や病人に薬を作って回ったらしいが】
【結局彼女は英雄として賞賛されるよりも、喜ぶ笑顔を見たかったということだ。……これもまた、生き方の一つなのかもしれない】


――――あ、大丈夫ですカ!?任せてくださイ、私の薬で治しちゃいまス!!
――――いえいえ、お構いなク!私はこうしてる方が性に合ってるんでス!

//長時間お疲れさまでした&有難うございました!
631 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 09:11:32.23 ID:kIYUIWq5o
【路地裏】

【慌ただしく走る足音と、間断無く鳴り響く発砲音、怒号。自警団による捕り物のようだが】
【其れ等が突然、無音になった。しんとした静寂の中、やがて下駄の足音が聞こえ出す】

嗚呼五月蝿い、まだ耳が痛むわ……
通行の邪魔して飽き足らず、がたがた言わしよって。阿呆らし

【現れたのは、黒の紋付羽織に袴姿という、櫻式の喪服に身を包んだ線の細い男】
【肩口で切り揃えた白髪に漆黒の彼岸花を差し、切れ長な目は深い葡萄色】

【がしゃん、と銃の落ちる音がした。上を見れば、無残に首を吊られた自警団員達の姿】
【彼らは皆、廃ビルの上階部分に根ざした、青藍色の植物の蔦で高い位置に吊られている】
【植物はこの世のものとは異なる造形であり、燐光を放ち神聖な気配すら漂わせていた】

【そして、その青藍色の魔力を引き連れているのが、冷え切った目をした件の男】
【彼は己の作り出した光景を一瞥すらせず、何事も無かったように路地の奥へと歩んでいく】
632 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 12:47:50.02 ID:bIjagPQX0
>>624-625


【―――蹴った際の感触に、今までとは丸で違う物があった。初めての経験、何と形容すれば良いか……ただ其れが、余り心地良い物ではなかったのは、事実。】
【空中で着地も構わず放った蹴打は、少年の体軸をブレさせ―――そのまま、灼熱の砂に身体を打ち付けてしまった。】
【然し感じられるのは、全身に広がる痛みでも、肌の焼ける感覚でも無く―――"勝利"への確かな手応え。噛み締めながら、少年は一旦目を瞑った。】
【……後で聞いた事には、何故か少年が執拗に狙っていた部分、其処は丁度、心臓を捉えていたのだという。……無表情を貫く少年も、流石に苦笑いを見せた事か。】


「……………―――――。」


【恐らく討伐に参加した誰よりも近い位置に、たきやきは居たのだろう……倒れた体勢ながら、一瞬ゴーグルを外し、ワームが崩れ行く様を眺める。】
【『アイツは一体"何故"生まれ、そして"何故"、死ぬのか―――』……発生する砂埃に再びゴーグルを装着すれば、少年はそのまま立ち上がって。】
【色々と傷ついた両足は、ここまで乗ってきたバギーへ。凱旋を喜ぶ訳でも、その後の振る舞いに期待する訳でもなく―――矢張り無言で乗り込んだ。】
【荷台に腰掛け、揺れる車体に身を預ける。ただ、既に座り込んだ傷だらけの猛者達が、笑顔を見せながら歓談している様は……何故か、懐かしい感じがしていた。】


『あぁんもう、疲れちゃったわぁ〜……早くマイヤに帰って、イケメンの補充しなくっちゃ……掘り深い顔もイイわよねぇ、うふ、うふふふ……♡』


【そして恐らく最も気味の悪い顔で笑うのは、ふぉんてーぬ。……不純な動機の元、此方は凱旋と歓待に胸を弾ませていた。】
【―――残念ながら彼の望みはやがて叶う事となる、この街を救ってくれたのだからと、困惑しつつも接待する男二人の姿が其処にあるだろう。】

【そして、自らの命を賭けて守った街―――そのまま直ぐ去るにしては、愛着が湧き過ぎてしまっていた。】
【特産品がこれでもかと言う程並べられたバザール、広大な砂漠の中に点々と存在するオアシス……砂の国を嘗め尽くそうと思えば、気が付くと3日も経っていて。】
【『うふぅ〜ん♪』と満足したと言わんばかりに食材を買い占めた隣、たこやきはと言えば、すっかりゴーグルが気に入ってしまった様で―――2,3個購入していた。】
【思い思いの品を手にしたのなら、二人はやがて、この地を後にするのだろう。それは丁度、照りつける猛烈な日差しにも、段々と慣れ始めた頃の話―――。】


/お疲れ様でした!! ありがとうございました〜!
633 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 15:02:27.34 ID:kIYUIWq5o
【路地裏】

【時間帯もあって然程暗くはない場所、車一台が通れる程度の広さの道】
【煉瓦の壁に無造作に貼られた、指名手配犯の一覧を眺める人影が在った】

……馬鹿な事を。自ら敵を作ればどうなるか、あの半魔で思い知った筈だのに
一体何がしたいのやら……いや、何も考えてはいないのだろうね、このザマでは。

【それは喪装の黒い祭服を纏い、儀式用刀剣を手にした、白皙の貌の若い男】
【腰に届く紅茶色の髪に、左右で瞳孔の開き幅が異なるオリーブ色の目をして】
【左耳には宝玉製のピアスを付け、左手薬指には、銀の指輪を嵌めている】

【彼は暫し指名手配犯の情報を読み取る事に集中しており、動く気配は無く】
634 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 16:25:16.93 ID:o2TlsrRM0
>>633
動くな

【薄暗がりからスーツ姿の男が現れて拳銃を向ける】
【齢は20を越えたばかりといったところであろうか】

能力者か? 所属、国籍、氏名を教えてもらえるかな
戦闘の意思が有るなら相手をさせてもらう
635 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 16:43:32.08 ID:kIYUIWq5o
>>634

……確かに、能力者だが。
所属は魔獣討伐ギルド『Elysion』、国籍は夜の国。
名はセシル・シュトラウス……戦闘? 望まないよ

【そちらを一瞥し、言われたまま動かずに答える】
【手にしている刀は古く、儀式用で戦闘には向かない物だ】

/気付くのが遅れました……!
636 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 17:15:35.11 ID:PA1Vt3bVo
【魔海近くの泉のほとり――】
【禍々しく趣味の悪い掘っ立て小屋の隣、椅子に座り水面を見る一つの影】

「久々に戻ったが……やァはりこォこは空ゥ気が良ォい」
「……ちィ、ばァれずに済ゥんだは良ォいが、……蹴ェられ損じゃアねェーか糞ッ」
「俺様としィたことがッ……錯乱して根ェこそぎ貰うのを忘れちまってた」 「……い、いィや錯乱はしィてねェ、わァざとだわざと!」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【どこかで怪我でもしたのだろうか、服はボロボロで全身傷だらけであり――特に腹部や右腕が酷く、左腕も結構である】

「あァ、――今なら内蔵吐ァき出せそォーだ」 「どォーせこォいつは殻なんだ、問題ねェ」

【等と、常人ではありえない発言をしたかと思えば――"有限実行"】
【なんと、内科医が喜ぶ程にぷりぷりな腸や内臓が口から出てきたではないか】
【いや、主に腹部にあるそれらは物理的に結構傷んでいて邪悪な血液に塗れているようだが――それを差し引いても、綺麗】

「うゥーむ、……いィつも思うが……わァざわざ内臓作りこむ意ィ味ってあァんのかなァ?」 「まァー良ォいか」

【……なんて内臓の品評会をしている場合ではない、口が塞がっているのに依然変わらず喋っているのもそうだが、色んな意味でこいつは危険である】
637 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 17:24:46.44 ID:o2TlsrRM0
>>635

そうか、で、目的は何だ?
どうしてここにいる

【拳銃を下ろさず笑みを浮かべる】
【引き金を引いたかと思うと次の瞬間銃から水が放たれた】
638 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 17:34:31.93 ID:kIYUIWq5o
>>637

目的かい? 弟を探していてね……ッ、何を……!

【引き金を引く動作を見て、咄嗟に刀剣を払うように振る】
【その軌跡に黄緑色の燐光が舞い、放たれた水を弾いた】

……お遊びなら余所でして貰いたいのだがね。
君こそ何故此処に? というより、君の名は教えて貰えないのかな。

【馬鹿にされていると感じてか、不機嫌なジト目で相手を見遣る】
639 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 18:13:41.88 ID:o2TlsrRM0
>>638

名前は……そこに書いてある

【指名手配犯の張り紙の中の一枚を指さす】

そう邪険にするなって
遊び心を忘れたら人間おしまいですよ
その剣が能力に関係してるのか?

【男が唇をわずかに動かすとその手に日本刀があらわれる】

後、その魔獣ってのは何なんだい?
640 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 18:21:21.83 ID:o2TlsrRM0
>>638
/名前はムトーってことにしといてください
641 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 18:24:32.93 ID:kIYUIWq5o
>>639

……、其れは失礼。

【まさか今まで見ていた物に記載されていた人物とは露知らず、】
【不意を突かれて律儀に詫びる辺りが、どうにも滑稽な人間だった】
【彼は示された張り紙に目を遣って、相手の名前を拾おうとし】

これは……ただの、媒介だよ。本当は、扱い慣れた儀式刀が在ったのだがね
能力は呪術、攻撃には向かないが、攻撃を跳ね返す事には長けている
……各地に現れる化物を狩る仕事でね。近年は特に、多いようだ

【彼はそう答え、相手の顕現させた刀に視線を遣った】
642 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 18:24:55.48 ID:kIYUIWq5o
>>640
/了解しましたー
643 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 18:44:25.80 ID:o2TlsrRM0
>>641
珍しいか?
職人の魂がこもった芸術品さ
欲しけりゃやるよ

【黒い鞘の日本刀を相手に投げる】

おれは珍しいものが好きで旅してる
できるならその化け物について詳しく知りたい
644 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga !red_res]:2014/01/26(日) 18:55:18.44 ID:owCE7pL5o
【――――祭りの空気も醒めやらぬ『マイヤ』の街の夜。こんな街外れの場所であっても、その熱気は止まる所を知らない】
【そこは地元住民も知る人ぞ知る、小さな酒場だった。客足は十人に満たないが、これでも普段の二倍は繁盛している方である】
【その喧噪のド真ん中――――どう見てもこんな酒場には似つかわしくない、インテリそうな眼鏡の青年が居心地悪そうに座っている】

「オラ飲め、アルよぉ! 今日の主役はお前だ!!」

ちょっ、そんなに飲めませんって!
それに主役というのなら、たったの一撃であのサンドワームを仕留めてみせた隊長の方が…………。

【アルフレド。昨日の戦いでは副隊長の役目を見事果たし、巨大サンドワームを駆逐した立役者のひとりだ】
【そして、萎縮するアルフレドの肩をバンバン叩き、何とも機嫌良さそうに酒を煽るもうひとりの男は…………】
【アサド。砂の国自警団小隊長にして、『ヘイダル』という一個の部隊を纏め上げる若き部隊長】

【アルフレドが他の隊員達から聞いたところによると、彼はいくら小さいとはいえあのサンドワームを、殆ど一撃で倒して見せたという】
【アサドの砲撃が強力なのもあるが、何より急所を的確に貫いたのが大きい。部下への的確な指示と状況判断力、そして絶対の狙撃技術――――】
【その全てが、この男にはある。確かに自分も頑張ったとは思うが…………まだまだ、及ばない。アルフレドは強くそう思わざるを得ず】

『あーもう、まどろっこしいわねぇ!
 ホントはやられた連中の復帰を待ってから祝勝パーティってところを、アサドはわざわざあんたの為だけにこうして酒奢ってんのよ?
 そんだけ今回のあんたの功績がデカかったってこと! わかったらほら、飲め!! 黙ってあたしの酒を飲め!!』

「ちょ、ミドっごぼぼっ!! ぼ、僕は警察として節度ある行動ごぼぼぼぼ…………」

【だが生憎…………そうして悔しさやら何やらを噛みしめる時間すら与えてくれない暴走女が、この場にはいた】
【ミドナ。バギーの上から銃火器を思うさまぶっ放し、支援というにはあまりに派手すぎる支援を行っていた女だ】
【目の前の娯楽に全力を注ぐ遊び人で、しかもとんでもなく酒癖が悪い。今まさにアルフレドの口に二本目のボトルが突っ込まれた】
【彼女はアルフレドとは違い、細かいことになど拘泥しない。自身の欠点などまるで意に介さず、自由≠ノ生きている】
【…………散々苦労している身としては正直認めたくないが、そのスタンスも時に美点と成り得る。そう、あのときの事件のように――――】

(や、やばい…………頭が…………)

【「お前を呼んだ覚えはないんだがなぁ」『細かいことは気にしないっ♪』…………などという会話が遠くなっていく】
【ミドナはともかく。いつか廃れた警察組織を復活させる為にも、自分はもっとこの『ヘイダル』から学ばなければ――――と】
【アルフレドは急速に酩酊していく意識の中で、無意識に大きく手を伸ばす。それはまだ何にも届くことはなく、アルフレドの意識は酒気の海へと消えた】



――――――……………………。

【その手の、先に。このときアルフレドが本当に掴むべきなのは、未来の夢などではなかった】
【アルフレドは刑事なのだから。だから掴むべきだったのは、今ここにいる犯罪者の姿であったのに】
【ぎぃ、と。酒場の扉が独りでに開いて、そして閉じる。人の目には映らない、決して感知できない何か≠ェ、今この場を去っていった】
【最後まで、誰も気付けなかった。気付こうとすることすらも出来なかった。だがそれは何も、アルフレドや周囲の人間だけの責任ではない】
【姿、気配、存在――――完璧なる消失。それはあまりにも精緻すぎる『擬態』だった。全員が万全の状態でも、果たして感づけたかどうか】

アサド・アル=アーデル…………。
種≠ヘ撒いた。残るは後のお楽しみってなぁ!ひひ、ひゃはははは…………!!

【酒場から完全に離れた場所で、それはバチバチと光を散らしながら、ゆっくりと全貌を現した】
【長い前髪が垂れ下がった、黄丹色の髪。かつてどこかで轟かせた卑劣な笑い声を漏らし、それは闇の中へ消えていく】
【自分がいま、濁った青色の瞳に射抜かれている事を――――アサドは未だ、知り得ない】

【祭の裏に蠢く陰謀が発芽の時を迎えるのは、まだもう少しだけ、先の話だ――――】


/これにて今回のイベントは全て終了となります、皆様改めてありがとうございました!!
645 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 19:02:01.73 ID:kIYUIWq5o
>>643

……これは、どうも。

【空いた手で黒鞘の刀を受け取れば、其れを鑑別するように眺め】
【物体を喚び出す能力なのだろうか、と頭の片隅で思考した】

様々な国にいるようだ。化物の発生自体は突発的なものであったり、或いは
長年迷惑を被ってきた人間の訴えで表面化したり……と、いった所かな
その際には自警団等から呼び掛けが有る筈だから、是非名乗りを上げると良い

【そこまで告げてから、セシルは受け取った刀を持ち替えて】
【懐から何かを取り出せば、相手へと投げ渡すだろう】

……刀の礼に、私のギルドで討伐した幻獣の素材を加工した物さ
状態異常を緩和させる力がある。売っても、幾らかにはなる筈だ
ムトー、と言うのだね。覚えておくよ、悪戯好きかつ親切な、指名手配犯。

【特殊な金属で造られた、聖人を刻んだメダイのペンダント】
【微かに聖なる気配を持ち、毒や麻痺などを受けた際に和らげる力がある】

【其れを渡せば、彼は刀を軽く上げ別れの挨拶とし、大通りの方へと去っていくだろう】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でしたー
646 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/26(日) 19:18:24.63 ID:o2TlsrRM0
>>645

ふーん、アクセサリー
かっこいいじゃない

【うれしそうに首に下げる】

ギルドねえ
犯罪者をを受け入れてくれるのかわからないけどね
まぁ無理やり入り込めばいいだけの話か

【指を鳴らすと黒い車とがあらわれる】
【車の運転席から、大柄な黒人が下りてくる】

よくもまぁ上司をひっぱりまわしてくれるものだな

お互いこれを含めての仕事です

【鳴り響くサイレンを置き去りにして、猛スピードで車は大通りに出た】

/こちらこそありがとうございました

647 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 20:39:39.19 ID:PA1Vt3bVo
>>636
/ちょっと時間帯的にあまり長くはいられません(打切or持越or置きレス移行の可能性高)が再投下
648 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 21:48:32.41 ID:ftpLbDSDo
【酒場】

【ここはとある街の外れにある人気の酒場なのだが、ちょいと今はトラブル中だ】
【酒の入った客同士数人がにらみ合いの怒鳴り合いの大喧嘩中。客も早いうちに逃げて殆ど居ない】
【店主も何処か自警団か何かに電話をかけている。懸命な判断だ。早いとこ処理しないともっと酷いことになる】
【ヤッパぶん回す位ならいいかもしれないけど拳銃の撃ち合いとかになったら流石に面倒だ】
【怒号の喧騒にまみれて誰も気がつかないだろうがピリピリと携帯の着信音が窓際の端席から聞こえた】

あー…今?飲み屋で、チンピラ同士のパーティ見てる。ああー…まあーそんな感じ

【テーブルに足を乗せて携帯電話で電話をしている古臭いサングラスをかけた男が居る】
【黒のスーツに白シャツ黒ネクタイのシンプルな出で立ちで煙草を指の間に挟んでいる】
【煙草を灰皿に押し付けて長くはないが量の多い黒い髪を困ったように掻き、電話口の相手と話す】

まだあんま飲んでねえからどうすっかなーってとこでさ…まあ、あn――

【がしゃん!ばりん!とグラスや酒瓶が宙を待って割れる。第一ラウンドが開戦したようだ】

――あー…聴こえた?ま、そんな感じ…まあ、適当によろしくってことで

【電話を切って、テーブルのビールに手を伸ばすと椅子が飛んできて隣のガラスが派手に割れた】
【今更立つのも面倒、もうすぐ自警団あたりも来るだろうし…とそんなことを考えながら】
【怒り心頭の店主とごちゃごちゃしたチンピラと、この男と同じ思いだろう残った客を見回した】
【テーブルの下で自分のベルトに挟んだリボルバーを取り出した。いざって時はみんなこうするだろう。まあ、そういう場所だ…】
649 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/26(日) 22:08:00.69 ID:7t5T4Lhao

──────………

【───夜の国、首都ルルーメン】

【───中央区、連邦タワー頂上】

【克つて、この場で大きな戦いがあった】
【沢山の命と運命を賭けた戦いがあった】
【悪魔のような男と、世界を賭けた戦いがあった】

【もう、あの時の夜明けは終わり、また夜が来た、いつ明けるかもわからない夜が来た】
【彼≠ヘそんな夜街を見詰める、夜空の星にも負けない夜景の輝きを見詰めて、風を受ける】

あア───……

【紅き人型───獣と混じった人間のような形をした、不定形の何か】
【夜風を受けて、体を形成する物質が流れては散って行く、それでも、不安定ながら彼は確かにここに在った】

【かつての戦いを思い出して、何を思う、何かを思う】
【誰か、いるか。世界を見詰める彼を見る者は、誰かいるのだろうか】
650 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 22:46:59.15 ID:owCE7pL5o
>>649

…………綺麗だなぁ、この国は。

【ぼそりと呟かれた言葉は、別段誰かに向けられたものではない。ただ永遠に広がる夜を見据えて、意味もなく溶けていく】
【連邦タワーの下層…………その長い階段を、窓の外を眺めながらゆっくり歩いていく影がある】
【流行りもののシャツの上に青系のカーディガンを合わせ、胸にはシルバーのアクセサリー、下は深緑色のカーゴパンツを履いて】
【髪は染料で染めた茶色で、ワックスを使って前髪を上げている、いかにも今時≠ニいった容貌の少年だ】
【どう見たって、こんな大きな施設に縁のある人間には見えない。実際、縁なんて全くない。単なる観光であって】

屋上…………出てみようかな?

【何のことはない、ちょっとした気まぐれで――――少年はそんな事を考える。一番上に立ってみたら、もっといい景色が見えそうだなと】
【少年は近場のエレベーターに乗り込み、屋上階を目指す。屋上階が一般に開放されているのならそのまま何事もなく着くだろうし】
【そうでなかった場合も、少年はとにかくエレベーターで出来るだけ屋上の近くまで行く。もし途中で警備に見つかりそうになれば】
【少年は近場のトイレに入り込み…………徐に窓から身を踊らせるだろう。そして落下に伴う風ではなく、下から上へ吹き上げる風が少年の体を包み込む】
【少年の体は暴風によってタワーの側面に沿う形で一気に屋上まで運ばれ、屋上に到達するはずだ】

…………?

【道筋はどうあれ。少年はとにかく、屋上へ辿り着いて――――そこで、それ≠見る筈だ】
【紅色の、何か形容しがたいモノ。まともでなことだけは確かだった。少年は首を傾げ、とりあえず一歩踏み出す】
【十分に警戒したまま、少年はそれ≠ゥら少し離れた程度の位置まで近づくと、そこで一度止まって】
【――――ざわり、と空気が変わる。それ≠ェ受けている風に、妖気と呼ばれる力が混じるのが感じられるだろうか】
【少年は相手がこの風にどう反応するかで、次の対応を計ろうとしているようだ――――】
651 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 22:49:08.08 ID:PA1Vt3bVo
>>649

【頂上よりさらに高い宵闇の中、1つの影がもう一つの影を乗せて飛んでいて――それらはそこに降り立った】

「……ほォう、気ィ紛れに"ペルドキア"で飛ォび回ってみィれば」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【どこかで怪我でもしたのだろうか、服はボロボロで全身傷だらけであり――特に腹部や右腕が酷く、左腕も結構である】

【また、この者を乗せていたのは――全長3〜4m程で小型の赤い飛龍……"ワイバーン"だった】

「こォれまた面白いモノを見ィつけたぞ……ククヒャハハ……」

【龍から降り、彼に近づけば――右手を伸ばし、腹部の辺りに触れようとするだろう】
【何か悪い術をかけようとはしていない、ただ"物理的に触れるかどうか"を確かめてみたいだけの様だ】

【――この者の発する雰囲気は確かに人、しかし何か邪悪なモノを感じるかもしれない】 【例えば……そう、"比喩"ではない――】
652 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 22:49:56.13 ID:PA1Vt3bVo
>>651
/おっと、被ってしまったので引きます
653 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 23:08:21.06 ID:c9HB5ZhE0
【路地裏。街灯の光も届かず、ただ月の明かりのみに照らし出される其処】
【銀の光に浮かび上がるのは一人の少女の姿で、その身体はこの場所に馴染むかの様に朱の液体で汚されていた】
【少し視線を移動させれば、心臓を抉り取られた男女の姿】
【―――――何が起きたのか、誰が殺したのか。結論に至るのは容易な事】


「これから、私…………どうすれば良いんだろう…………」

【シリアルキラーでも無く、戦闘狂でも無く。照らされているのはただの少女だけだ】
【衣服に朱の飛沫さえ染みこませていなければ、何かの迷いで路地裏へと訪れてしまったのかと勘違いしてしまう程に】
【――――然れど、現実は違う。この少女は確かに今し方人間二人を殺め、その心臓を冷たいコンクリートへと叩き付けたのだ】
【何故こんな事が起こったのは、本人にも分かっていないのだろう。何かが衝動的に湧き出て、気付けばこんな惨事になっていた】
【もう冷たくなった二人がそれぞれの得物を手にしている所を見ると、反撃しようとしていたのか――――それとも、相手から仕掛けてきたのか。今となっては分からない事だけれど】


「…………ずっとこのまま、なのかな……」

【明るい青の髪に、其れと同じ双眸の色。纏っている衣服は何処かの学園の其れだろうか】
【そんな容姿に似合わず、漂うのは禍々しい瘴気なのだけれど】
【――――広い世界。一介の少女が人を殺めるなんて珍しくも無い事。だが、悪魔を思わせる様な気配を漂わせているともなれば気を惹くには十分】
【果たして、この場を訪れた者が何を思うかは分からないけれど…………来訪者の存在に気付けば、少女は其方へと今にも泣きそうな表情を向ける筈で】







【月明かりと、其れを反射させる雪とで明るく照らされた森の中】
【枝々から垂れる氷柱や、凍った葉などが幻想的な景色を作り出していて】
【――――夏には夏の。冬には冬の妖が活発になる、なんて言うけれど…………今宵其処に居る妖は、そのどちらにも属さず】

【まだ足跡の無かった雪に、さくりさくりと自分だけの足跡を作って歩を進める姿が一つ】
【巫女装束に、特徴的な狐の尾と耳。所謂、妖狐と呼ばれる存在であるけれど】
【その妖気を辿ってか、真っ白な雪に刻まれた足跡を辿ってか。――――それとも、首に下げた翡翠の首飾りから発せられる神聖を感じ取ってか】
【何にしたって、白景色の中に浮かぶ紅白のその姿を見るのはそう難しくも無い】


「…………今日は、危ない事が何も無くて…………妖怪さん達と人間が傷付け合わなくて…………とても、良い日…………です
ずっと、こんな日が…………続けば良いのですが…………」

【その巫女装束も飾りでは無いのだろう。ポツリと漏らした呟きと、何処か嬉しそうな表情はこの少女の性格を実によく表していて】
【然れど――――この場に訪れた新たな存在に気付いたか、一度ピクリと耳が動き。嬉しそうな其れを不安げな表情へと変えれば、其方へと視線を移すけれど】
654 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/26(日) 23:09:26.10 ID:7t5T4Lhao
>>650

───ハッ……

【背中───多分背中であろう───を向けたまま、地上を見下ろしていた彼は、静かに笑った】
【妖気を感じ取ったからか、もしくはただの気配からか、少年の存在を感じ取って、確かに気付いた】

オレが化物か何かダと思ったか?───思うだろウな

【予測したか、しないか、彼は存外饒舌に語った。諦めたような、息を吐く口調で、重なり合うような声で】
【振り向いた彼は、みる程に異様で、物体というよりは半ばエネルギーの塊のようでもある】

……何もしちゃイねえし、何も起きてはイない
何か用カ?ガキんチョ

【見た目に違わず、語り口は穏やかで、気怠げで】
【向き合う彼に、大きな動きは未だ無い】

>>651
/申し訳ありません、ではまた
655 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 23:23:03.27 ID:AXtxWJ0oo
>>653
【唐突。上空から紅の軌跡を描き舞い降りるシルエットが一つ。地面に音なく降りたそれは、冷たい夜を熱と血臭で朱く染める】
【落下の勢いで荒れる紅蓮の長髪は、首を振る動作で一気に後ろに流されて、現れた何かの顔を顕とする】

「――――ん? もう終わってるとはちょっと混ざるのが遅かったかな?」

【足元の死体を見下ろし、何処と無く残念そうにはにかむのは一人の女だった】
【頭から天に向って屹立する一対の黄金色の角は、月明かりを浴びてぎらぎらとその存在感を主張して】
【サラシだけに覆われ惜しげも無く肌を晒した上半身には、背から両腕にかけて炎を思わせるような紅の紋様が浮かび、うぞうぞと蠢く】
【ローライズのダメージジーンズは所々が固まった血の痕で赤黒く汚れている事が分かるだろう】

「なんだ、泣きそうな顔をして。腹でも減ったのか?」

【にかり、とこの惨劇の舞台に降り立った一人の鬼は気さくに笑いかけつつ、背負ったズタ袋からおもむろにおにぎりを取り出して差し出した】
【この死地に置いて泣きながら立つ少女を前にしても動じすらしない女の有り様は、一種異様だったろうか】
【なお、鬼の女は足元の死体をちらちらと見ては、幾度か舌なめずりをしていた。食べるつもりなのかもしれない】

/*1時くらいで一端中断でもよろしければ……!*/
656 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 23:25:45.47 ID:owCE7pL5o
>>654

【体が不定形なら、心も不定形だろう。そんな事を想定していた少年だが、それは見事に裏切られて】
【振り返った異形の姿に一瞬大きく体を震わせ、少年はどこにでもいる一般人のように怯えを見せる、が…………】

すみません、正直そう思いました。
でもよかった、ちゃんと喋れるんですね?

【存外はっきりした語り口が耳に届き、話の通じる相手とわかるや否や、一瞬にして平静な態度に戻るだろうか】
【少年は冗談でも述べるようにあっさり白状して苦笑いを浮かべると、不気味な姿にも物怖じせずそちらに話しかけていく】
【先程見せた怯えはどこへやら――――やたらと心の切り替えが早い少年だった】

あなたと会ったのは偶然ですよ。ぼくはただ、ここに景色を見に来ただけです。
…………そういうあなたは、どうしてここに?

【少年は放っていた妖気≠完全に引っ込めると、一歩ずつそちらへ近づいていき】
【その隣に立つと、屋上の縁から街を見下ろすだろうか。上には星の光が、下には街の光が、それぞれ満ち溢れていて】
【「やっぱり綺麗だなぁ」などと暢気な言葉を呟いた後、非常に軽い口調を引っ提げ、黒色の瞳をそちらへ向けた】
【誰にでも好かれる人懐っこい笑顔は、それ故に隙がない。そんな少年は、敢えてまだ「何者か」とは問わず】
657 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/26(日) 23:33:19.22 ID:I9WK1zr9o
【鉄の国 軍港】


【軍事国家たるこの国には、あらゆる場所に軍用施設が設けられている】
【大海原を望むこの港も、そのうちの一つだ。通常の港湾としての機能も充実しているが、それらを圧迫するほどの規模で軍用施設も存在していた】
【軍艦用のドック、巨大な弾薬庫、艦載機整備・訓練用の飛行場、兵舎など】
【鉄の国の名にふさわしいだけの、鋼鉄の群れが堂々と並び立っている】


【その軍港に、何の前触れもなく凄まじい爆音が連続して響き渡った】

【軍港を包み込んでいた闇を切り裂くは、蒼い閃光と爆炎。最大規模の弾薬庫と、軍艦用ドックの一つがその内に飲み込まれた】
【兵舎や建造物から次々に人々が飛び出す。慌ただしく走り出す者、茫然と立ちすくむ者。それらに構うことなく、黒々とした煙は宵闇を汚していく】
【消火活動が行われ始めているが、爆発の規模は相当に大きく、施設への打撃は免れないだろう】


【混乱の渦の中にある軍港を、少し離れた位置にある小高い丘から見下ろしている男が一人】
【身長2メートルを越えているであろう、大男だった。薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、足には黒いゴム長靴を履いている】
【角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪。黒い瞳の両目は生気がなく、動かない】

【その大男の額には、面積を埋め尽くす巨大な一つ目が存在していた。黒い瞳の単眼がギョロギョロと蠢いて、燃え上がる軍事施設を眺めている】
【両耳は黒く染まって形も歪み、両手の親指も黒ずんで他の指より細長い】
【異形の大男の無骨な右手には、携帯端末が握られていた。勘が良ければ、眼下の軍港を吹き飛ばした爆弾の起爆スイッチとなったのが、この携帯端末だとわかるだろうか】

【と、その携帯端末が着信音を奏でた。大男が細い親指で通話ボタンを押し、歪んだ耳に当てる】


私だ。……ああ、問題なく済んだよ。地下通路と、ソロモンさんの『鳥』のおかげで、ずいぶんとスムーズにいった
連中も、動物にはそれほど警戒がなかったらしいな

イグナスの件でデュアルたちが敗北した分は、ひとまずこれで清算とさせてもらうとしよう
爆薬設置の際に失敬した弾薬と資材は、すでにオールドベビーと兵らに言って本部に搬送させている

そちらも済んだか。ご苦労だった、スカーベッジ
いや、そのチンピラどもは生かしておく必要はない。他と同じように首を落として、残りは『肥料』に流用するとしよう
首の防腐処理を終わらせたら、今日の作業は終了だ

……ああ、わかった。すぐに戻る。ではな

【通話を切ると携帯端末をしまい込み、もう一度軍港へと目を向ける】
【己のもたらした破壊に、邪悪な喜悦がその単眼に宿るが、それも一瞬の事】
【すぐに踵を返し、この場から立ち去ろうとするだろう。遮蔽物のないこの丘では、その姿はすぐに目に留まるはずだ】
658 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/26(日) 23:43:45.09 ID:7t5T4Lhao
>>656
───ハッ

【また、彼は笑う───全てを諦めたような笑いを吐く】

そうだな、まだ$l間ノ頭は残ってるらしい
まだ、な……

【右手の人差し指、爪の生え揃ったそれが、トントンと自分の頭を突つく】
【きっと、タイミングが良かったのだ───どちらが、とは言わないが】

【少年がそうするのと同じ様に、彼もまた顔を上に挙げる───向かう先は、満天の星空】

……この国はずっと夜だ、だけドな、一回だけ夜明けが来た事がアる
オレはそレを見た、すぐ近くデ太陽の光を浴びたんだ、それを思い出しテいた

……お前は知ってルか?ここで何があったか───

【───記憶に新しい者もいるだろう、ルルーメンで起きた事件、ルルーメンで終わった事件】
【それが《創世戦団》から続く戦いだと知る者は更に少なくなるだろうか、この地で長き戦いを経て、一人の六罪王が消えたのだ】
【その場面に、まるで立ち会わせたかのような言い振りをする彼は、空を見上げたまま、静かに語る】
659 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 23:48:28.41 ID:c9HB5ZhE0
>>655
【ポタリポタリと指先から滴る朱の雫はその容姿に似付かわしい筈も無く】
【己への嫌悪か、それとも殺めた者達への罪悪感か。若しくはそのどちらもを心の内に秘めているのかもしれないけれど】
【――――――ボトリ。ピチャリ。汚らしい音を立てて少女の手から滑り落ちた肉塊。其れと鬼の登場とは、ほぼ同時であった事だろう】

【殺傷は罪。此処まで行った少女がその鬼の姿を見て襲いかかるのでは無く、後ずさりをするのだから異様とも思えるか】
【そのまま逃げてしまおうと無言のままに踵を返すが――――…………“差し出す”その動作を攻撃と誤認したのか、ビクリと身体を跳ねさせたならば防御の構えに移行する】
【――――無論、備えていた衝撃や痛みが来るはずも無い。大体にして、その鬼は攻撃を行った訳では無いのだから】


「ふぇ…………?あ、あの………………」

【だからこそ、間抜けな声が漏れる。今までは自警団が攻撃をしてきたり、捕らえようと数人掛かりで襲いかかってきたから。今回もまた同じ軌跡を辿るのだと思っていたから】
【暫し呆然として、“泣きそうな”との指摘を受けたならば漸く目尻に溜まった涙も拭い去られるのだろう】
【手を伸ばすべきか否かと迷うのも数秒の間だけ。やがては怖ず怖ずとその握り飯に向かって、まだ血の乾ききらない手を伸ばす】


「お腹は、あんまり減ってない…………けど
――…………私を捕まえようとか、殺そうとか…………しないの?」

【私を殺さないの。十代半ばの少女がするには余りにも歪んだ問い掛け。だが、そんな問い掛けがされる背景も何と無く察せようか】
【完全で無いにしても、この少女は確かに悪魔だ。そして、悪魔なれば人間の敵だ。敵ならば問答無用で攻撃されようとも文句は吐けない】
【いや、目の前の“鬼”は人間では無いからこそ、こうして接してくれるのか】

【掴んだお握りには、当然少女の手に付着していた鮮血がべっとりと付く事になるけれど】
【そんな握り飯も何処か大切そうに両手で持ちながら、後は鬼の反応を待つのみで】

/了解ですよー
/ただ、明日は来れるか微妙な所なのです……凍結の際は置きレスか或いは明後日に持ち込んで頂けると有り難いであります!
660 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/26(日) 23:57:12.71 ID:C3CD3fxTo
>>657

―――――――派手にやるものだな、機関員?

【丘の向こう、軍港の側から来た男が言ったのが、その言葉だった】
【挑発とも取れるし、なにか影を持った言葉にも思える。その男の容姿は――】

【――まず、白いローブ。それに三角の光る線があしらわれた上等な一枚を着込み、長身】
【背には三メートルもあろうかという剛槍を負っているて、見あった剛体ながらも、長髪は艶やかな黒色であり】
【口許には不適な笑みも浮かんでいて、どこか"キレる"男という印象がするだろう】

フフッ……まあそう焦って帰るなよ。話があるのだからな……
もっとも、用件があるのは私ではない――『―僕だよ、僕。』

【ところが、敵では無いらしい。それどころか対話を持ちかけ、もう一人、ローブ姿の影から顔をのぞかせた】

【こちらも背は高い。だが細身で髪も金色と対照的であり、衣服も実に質素極まっていた】
【唯一、羽織ったマントだけは豪奢であり――顔を隠す舞踏会のマスクも、目を引くと言えばそうだろう】

【――はて、単眼の大男の見知った人物に彼らがいるかどうか。恐らく、いないはずだ】
【強いて言えば黒髪の強面の方は、新聞を読んでいれば知っているかもしれない】
【ある都市の騎士団長で、怪物退治で名を馳せたフレデリック・シャリエール――まさにその人なのだった】
661 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 00:01:41.73 ID:6MSK4we2o
>>659
「あー、泣くな泣くなもー!
はいはい、とりあえずご飯食べると悪いこととか忘れられるから! な!」

【肉塊にちらりちらりと、不快感とは異なる視線や反応を示しつつ、オロオロと少女の様子を心配そうに見守る女】
【どう考えてもまともではないというのに、何処と無くお人好しな気配を感じさせるその振る舞いは不思議なものだったろうか】
【どちらにしろ、少女にはおにぎりを押し付けて、女はすんすんと鼻を鳴らして血の匂いを肺いっぱいに吸い込んだ】
【そして、少女の言葉を投げかけられて、きょとんとした顔を浮かべた後に、朗らかな笑みを浮かべて口を動かす】

「そうだなぁ――私がそうしたい≠ニ思えばそうするな。
別に殺すのが悪いことなんて、殺すのが悪いと思っている奴の言い分だろう?
私は別に悪いこととは思ってないから、別に君が人殺しだろうが詐欺師だろうが人間だろうがそうじゃなかろうがそれでどうこうする積りはないってだけだ」

【女の論理は、鬼だからだとか人だからだとかそういう事とは別の所にあるものだった】
【そも、善悪だとかそういうもので図れる価値観を、この女は保持していない。だからこそ、この場に於いても揺らがぬ有り様で居られるのであって】
【殺人を悪とは思わず、種族性別年齢関係なしに戦い続ける、ある意味平等な戦闘狂故に、この女は目の前の悪魔に朗らかであれたようだ】

「あ、でも君が私に襲いかかってきたりだとか、私が君と殺しあいたいと思えばそりゃあ当然殺そうとするぞ?
ただ、君はそれを望んでないように見えるしな。
私は覚悟のできてない奴は殺さないんだ。だから、君が私を殺そうとするか私が君と殺しあいたいと思わなきゃ殺さない。
そして、私は君のことを悪いと思ってないから当然君を捕まえもしない、って所だな?」

【女の言い分を総括してしまえば、少女が敵意を見せたり、女が少女に挑むに足る目的を得ない限りは敵対行動を取りはしない様だ】
【ある意味では、殺し殺される覚悟を持ったもの以外は殺さぬのだから、殺人者ではあってもこの女は理不尽な殺人鬼では決して無い】
【足元の死体をつま先で突いて様子をみつつ、肉の一欠片を素手で容易くちぎり取ると、手から生じた炎で一瞬焼き、ぽいと口に放り込む】
【顎を幾度か動かし咀嚼してそれを嚥下すると、なんとも言えない表情になってはぁ、と溜息をつき】

「うん、不味い。……やっぱり死合った相手でないと不味いなあ……」

【足元の死体をじゃまにならないように壁に寄せつつ、ズタ袋から口直しのおにぎりを取り出して】
【こんな非日常の場で、女は大口を開けておにぎりを食べ始めるのであった】

/*了解ですー!*/
662 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 00:08:35.69 ID:6QTXyJemo
【魔海近くの泉のほとり――】
【禍々しく趣味の悪い掘っ立て小屋の隣、椅子に座り水面を見る一つの影】

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【どこかで怪我でもしたのだろうか、服はボロボロで全身傷だらけであり――特に腹部や右腕が酷く、左腕も結構である】

「――しィかし、昨日使ってみて改めて思ったが……あァれのせェいでだァいぶ……衰えたな」

【右手に持たれているのは、どこにでもある普通のたいまつ】 【そのたいまつの炎に左手を近づけ――掴む】
【――おおよそ火傷するのがオチである、しかしそうではなかった】 【火傷するどころか、たいまつ本体の先端付近を凍らせてしまっていたのだ】

「特に、こォれがよォ――糞が、"力"の補充が面倒だ」 「まッ、そォれでも俺様が超ォ強ェ事には変ァわりねェがなッ」

【但し。左手が火傷しなかった代わりに、何かに蝕まれたかのようにボロボロに――いや、元からだったが、とにかくそうなっていた】
【それは、生身も服もどちらも。】 【――結構痛いらしく、それは表情からも読み取れるだろうか】

/持越し等になりそうですが
663 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 00:09:42.19 ID:m0kiHRzvo
>>658

…………まだ?

【この少年も、一応能力者の端くれだ。彼のような異形と会ったこともあるし、そこそこ経験は豊富であるのだが】
【――――その奇妙な物言いは、いつになく頭に引っかかった。どういう意味なのかまでは、流石にまだ察せられなくて】

へぇ、この国にも朝が来た日があったんですか…………?

【最初は軽い調子で、少年はその言葉に乗る。ただ好奇心から、興味深そうに相打ちを打って】
【ただ、彼の言葉端に滲む何か重たいものを感じ取ると、すぐにその表情から笑顔は消えて、思案顔になるだろうか】
【太陽の、すぐ近く…………その言葉に、少年はふと地面を見る。天まで届きそうな高さを持つこの連邦タワーのことを、思わず連想する】

ここは――――この連邦タワーは確か、少し前に六罪王レギンが討ち取られた場所だと聞いています。
結果的に討伐されはしたけど、あの日…………この夜の国は、一夜にして地獄に変わったと。

【問いかけに対して少年が真っ先に思い浮かべたのは、一連の事件の最期の一幕だった】
【カノッサ機関による、ルルーメンへの大規模襲撃。単なる物理的被害に留まらず、レギンの作り出した孔≠ェ多くの人々の生命を吸い取っていった】
【それ以前にも色々と活動していた、ということは知ってはいるものの、詳しいことまでは知らないようだ】
【ただ…………彼がその生涯で作り出した混沌の数がどれだけ多かったのか。その重大さだけは、十二分に伝わっている】
664 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 00:21:57.03 ID:GynfBERQo
>>660
【踏み出しかけていた大男の足が、止まった。警戒に満ちた表情で、即座に振り返る】
【自分のような異形に、それもたった今眼下で大惨事が起きているというのに、声をかけてくる。およそ、まともな者であるはずはない】
【さらに、声の下のは軍港の側から。予想より早く追っ手がかけられたか、と苦い思いを心中に抱えつつ、単眼で相手を捉える】

【目に飛び込んできたのは、自分の図体すら超える大きさの剛槍を背負い、それにふさわしい肉体を誇る男だった】
【艶やかな黒髪に、不敵な笑み。一目で伝わってくる、強者の気配。"キレる"男】


……これは珍しい。私のような者に、自ら対話を望むような人間がいようとは。それも、機関員だとわかった上で……

【疑問の言葉を発した瞬間、その疑問はさらに深まる。用件がある、というもう一人の人物の出現】
【細見、長身、金髪、質素な衣服に見合わぬマント。加えて、舞踏会のマスク】
【単眼が細まる。記憶を探っても、このような相手に会った覚えはなかった。だが、記憶は代わりに、もう一人の男の方を引っ張り出した】


……そちらの御仁は、かのゼン=カイマの騎士団長殿とお見受けするが
ますます不可解だ……その騎士団長の連れが、機関員に何の用件があると?

(まさか、このような形であのフレデリック・シャリエールに接触することがあろうとは……何が目的だ……?)

【困惑。大男の表情は、今その色に染まっている。フレデリック・シャリエールの事は知っていた。新聞でも姿を目にしたが】
【配下を参加させた櫻の国の妖怪退治にて、配下の装備していたカメラ越しに、その姿を捉えていた】
【その行動に不可解さを感じ、いずれ情報を引き出すべく接触しようとさえ目論んでいた。それが、このような状況で向こうから来るとは】

【まだ一定の距離を保ったまま、まずは生じた疑問をそのまま眼前の二人にぶつけた】
665 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 00:32:02.42 ID:8hB4dtfG0
>>661
【それなりの覚悟を秘めた者を相手としか殺し合わない。そんな高貴な意思を持つ鬼に対し――――果たして、この悪魔はどうか】
【此処まで出来るならば、骨の一本二本折って逃がす事も出来た筈だ。いや、軽くあしらってそのまま何処かに逃亡できる事だって簡単だっただろう】
【暗がりの中、骸達の表情を覗けたならば恐怖一色に染まっている事も確認出来たかも知れないが…………少女に気を取られている今、其れに気付けるかどうか】
【――――兎にも角にも、そんなのは過ぎた事。過ぎた事ではあるが、未だに引き摺るのは悪魔らしくも無い】


「…………別に、泣いてないもん」

【意地っ張りな所は歳相応の少女。目尻一杯に涙を溜めていたというのに、指摘されれば泣いてなんかいないなんて】
【暫しの間無言ではあったが、お握りを小さく頬張れば咀嚼】
【腹は減ってないとの言葉も偽りだったか、そのまま頬張りつつその理論を耳に入れ】


「私は…………やだよ。殺したり殺されたりするのなんか嫌い
だって、死んじゃったら何も無くなっちゃうんだよ。待ってる人だって、その人が死んじゃった事も知らないままずっと待ってる事になるんだよ
覚悟が出来てたって、私はやだ。私は――――…………」

【ちらりと死体へと視線を移す。綺麗事を並べたって、自分は人を殺めている。殺すのは嫌いだと言いながら、此処に骸を重ねている】
【――――何の意味も無い信条だ。衝動を抑える事が出来ずに殺したくないなんてどの口が言うのか】
【自嘲。鼻で笑えば、もう一度ジワリと涙が滲み――――見られてしまわないようにと慌てて拭うが、今更遅い】


「それに、貴女とは絶対嫌
こうやって、仲間以外の人が話してくれる事なんて…………久しぶりで…………人間の時以来だし…………
白妙も話してくれたけど、でも…………その後、私が……―――――」

【“人間の時以来”その言葉が本当ならば、この少女は元人間。故に禍々しくも、まだ濃い瘴気を漂わせる事が出来ない事に納得は行くか】
【人間であればまだ学校で友達と楽しくやっている時期であろうに、何らかの理由で悪魔と化してしまったが故其れすらも出来なくて】
【“仲間”は居ても、あまり良い感情を向けて居ないのは明白。だからこそ、そんな呟きが漏らされた】


「――――不味いって、人間は食べ物じゃ無いから当たり前だよ
って言うか…………幾ら死んでるからって、食べないであげてよ」

【先の言葉は、最後まで紡がれる事は無い。代わりに、批難するかの様なジットリとした視線を向ける事だろう】
【貰ったお握りを食べ終えたならば、指に付くご飯粒も全て摘み落とし】
【口直しとばかりにおにぎりを頬張り始めた鬼に対しては呆れた溜息を吐きながらも――――僅かに、クスリと笑った】
【少しではあるが、本来の明るさでも取り戻し始めたか。ともなれば、気配は兎も角外見だけならば路地裏に相応しくない一人の少女】
666 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/27(月) 00:33:36.33 ID:sF2MfeT8o
>>663

一度だけ、日が昇ッたんだ
綺麗だったぜ、他のドの国の太陽よりモ

【夜の国の、長い長い夜が明けた後の朝日、それはどんな太陽よりも、どんな宝石よりも美しかった】
【あの激しい戦いの後に見上げた太陽は、祝福の光を、朝を知らない国に降らせたのだ】

───アイつは、糞ムカつく野郎だったぜ、あの最後の最後までな……
アイツはあれじゃきっと終わりしねぇさ、蛇っつーのはしつけぇんだ

ま、それがいつかはわからねぇが、その時にオレはもういねぇわな

【自嘲するように、彼は笑う───表情らしい表情は見えないが、きっと苦笑いでも浮かべているのだろう】

……こんな月並みな事をいきなり効くのはキャラじゃねぇんだけどよ
お前、どっかの組織に所属してるか?

667 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 00:34:48.63 ID:rBMk+Neoo
>>664

私も……知っているだろう?聖職に就く者なのでな……
貴様からは濃密な死臭が漂っている。本来ならば即座に殺す……おっと
神の元へ導く≠フだが……、……生憎と、今日は友の護衛だ。その顔は潰すわけにもいくまいて

フン、っ……困惑しているな?無理もない……だから言っただろうダグラス
貴様は趣味にかまけ過ぎなのだ、もっと立場を考えねば――『あぁ、うん、ハイハイ。』

【くすり、とかの騎士団長は笑った。その明確な表情は、無言の肯定だ】
【堂々とした出で立ち、自信に満ちた言動、それを辱めない身なりと芯の強さ】
【――確かに背後の連れ、と。マントの彼がそう言われても仕方が無い程度の迫力はある】

【だが今、その騎士団長はなんと言ったか――『ダグラス』?その名なら、聞き覚えもあるはずだ】
【もう昨年の事になる。六罪王が立て続けに減った折、新たに二人の王が増えた】
【一人はエインセル・アンバライト=Eゼラズニイにほかならない。では、もう一人は――】

『さて、と……騎士団長サマの連れのダグラス・マックスウッド≠チて云うものだけど…。
 ……君はカニバディール≠ナ間違いないだろう?機関員で、最近元気な、あの肉屋。

 まあそうでなかったら困るんだけどさ。今日わざわざ遠くに見かけて追いかけたのは他でもない
 挨拶に来たんだ、それもまったく手土産も悪巧みも無しに、顔合わせ程度にさ。
 だって数多いながらも大切な仲間≠セし、人は顔を合わせないと色々分からないものだから、ね?』

【また小さな笑いがこぼれた、フレデリックだ。ハッキリとしない、しかし答えの明確な話し方が面白かったらしい】
【前に出た細身の、仮面の男――ダグラス≠ヘそれを気にも留めず、大男に小さく礼をした】
【若い。『仮面は表と裏のスイッチみたいな物でさ』と語る口調はあっけらかんとして――少し、重みに欠けていた、が――。】
668 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 00:51:57.80 ID:6MSK4we2o
>>665
「奇遇だな。私も殺すのは好きじゃない。
あくまでも――殺し合いが好きなんだ。そして、死はその結果にすぎないし、死自体はなんの意味も持たない。
何も無くなるなんて事は当然そうに決まっている。なぜなら人も悪魔も鬼も全て、死ねばただの肉に成り下がるからだ。
そしてそれを覚悟しているからこそ――なりふり構わず互いの全てをぶつけ合う事ができる」

【殺しに対して、あまり良い思いを持っていない少女に対して、女が並べる言葉は熱情に溢れたもの】
【殺すことが好きなのではなく、殺し合いというその過程に意味を見出しているのが、この鬼であり】
【一貫して、善悪ではなく己がそうしたい己が好きだからというだけで己の立ち位置を定めている女のあり方は、少女の行動を肯定も否定もしないものだ】
【少女を肯定する程優しくはなく、少女を否定する程善良でもない。だからこそ、鬼の女は少女を思いやってここに立てているのだろうか】

「……ああもう泣くな泣くな。
私は殺すというだけで、君は君のしたいようにすれば良いだろうに。
殺して後悔するなら殺さなきゃいい。私は後悔しないから殺しているだけなんだからさ」

【滲んだ涙を認めれば、女は静かに右手を伸ばし指で少女の涙を拭うだろう】
【ゆるやかなその挙動は、気品のあるものであってただの猪武者とはまた違う存在感を表出させる】

「安心しておけ。君が嫌と言う限りは私が君と殺し合う気はあんまりない。
君が嫌がっても関係ないくらい私が君と切り結びたくなればまた別なんだが――問答無用じゃあないんだ、基本的に。
それに昔、妹分がいてな。どうも、君を見ているとあの子を思い出す。……まあ、なんというか世話やくの好きなんだ、私」

【少女の鬱屈とした言葉を聞きつつ、女はのんびりと言葉を並べていく】
【少なくとも、少女が女と戦う覚悟を決めない限りは、女は少女に向かって襲いかかることは決して無い】
【はにかんだ笑みを浮かべつつ、昔居た大切な親友、妹分の話を少しだけして見せて、照れたように表情を変えた】

「はは、人じゃないからなー。人肉くらい食べるぞ?
……あ、ちなみに私も元人間だ。こう言っちゃあれだが――この道に関しちゃ先輩だから相談なら乗るぞー?」

【段々口調から凛とした気配が消えて、ゆるさと馬鹿っぽさが漏れ始めてきた鬼が一匹】
【少女のジト目に対しては、なんとも明快に人でないから人くらい食うだろうと単純明快に切って捨てて見せて】
【おにぎりを食べ終えればズタ袋にまた手を突っ込み、取り出したのは水筒。水筒に口を付けて中身を一気に煽ると、少女に向かってそれを振って飲むかと問いかけた】
【もし飲めば、それは何の変哲もないただの麦茶だった事がわかるだろう】

/*では一旦中断で! 続きは置きレススレにてよろしくお願い致します!*/
669 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 00:52:52.85 ID:8hB4dtfG0
>>668
/了解ですよー
/お疲れ様でした!
670 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 00:54:56.61 ID:m0kiHRzvo
>>666

…………この夜の国の人にとって、朝日≠チていうのはどれだけ綺麗に映るんでしょうね。

【この少年は普段、夜の国とはかけ離れた場所で暮らしている。朝日が毎日登ってくる場所に、生きている】
【もしも暗闇の中を生きてきた者が、天を衝くようなこの場所から陽光を見上げられたとしたら。それはどれだけ、美麗に映るのだろうか――――】
【…………暗闇に注ぐ祝福。少年は僅かに瞳を歪め、諦めるような表情で。それは幸せだなと、ただ素直に思った】
【夜の闇というのは、何も空だけでなく、人の心にだって掛かるものなのだから…………】

さっきから…………寂しい言い方をしますね。
まるで、自分が消えちゃうような…………。

【彼の言うとおり、蛇≠ェまた甦るというのなら、それは本当に大変なことなのだろうが】
【それ以上に、少年にはその言い草が気掛かりだった。黒い双眸をそちらへ向け、少年は読めない表情をどうにか覗き込もうとする】
【相手は人とも獣ともわからないモノ≠ナ、しかも面識があるわけでもない。だから気に掛ける必要などないのかもしれないが】
【――――どこか霞みゆくような雰囲気を、少年の心は不思議と無視できなかった】

…………いえ、どこにも。単なる学生ですよ、今は。

【少年の表情は、きっと変わりなかっただろう――――別に嘘は付いていない。同様に、真実も語ってはいないが】
【ポケットに差し入れていた手が、何にも悟られぬよう鉄色の十字の感触を確かめるだろうか】
【それは己の目的のため、卑劣に笑う金十字≠ヨ誓った忠誠の証――――】
671 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 01:04:46.33 ID:GynfBERQo
>>667
……命拾いをしたらしい。貴方を相手にして、生き延びられる自信はあまりない
どの道、私の穢れ切った魂を神が受け入れてくれるかは甚だ疑問だが

(立場……? 今、ダグラス≠ニ……!?)
(……予期せず、大物と遭遇するのは何度目だ……どうも、私はこういうことに縁があるのかね……)

【その笑い、背後の剛槍もさることながら、全身から立ち上る気迫、出で立ち、言動、強靭な芯】
【それが、本来なら戒律の下に自分を抹殺するはずだったという。大男は内心で肝を冷やした】

【だが、続く言葉は、それを上回る驚きをもたらした。もともと顔と名前を知っていたこともあるが、騎士団長のあまりの存在感の前に】
【図らずも添え物のように扱ったもう一人の男。その男の方が、まさか己がいる組織の遥か上に君臨する存在だったとは】


……知らなかった事とはいえ、大変なご無礼を致しました
どうかお許しを、六罪王ダグラス・マックスウッド様、騎士団長フレデリック・シャリエール様……

確かに、私はNo.29、カニバディールで間違いありません
ご拝謁の栄に賜り、恐悦至極。それも、マックスウッド様御自らに来ていただけるとは、この身に余ることです

(名は聞いていたが、この判然としない、それでいて明確にこちらに意図を伝えてくる語り口……)
(新たな六罪王は、またも読み切れないお方のようだな……)

【大男は即座に姿勢を正し、巨躯を折り曲げて深々と礼をした。以外にも、見た目に寄らない無駄のない動作だった】
【どこかおぼろげで、かつ確かな意図を持って紡がれるダグラスの言葉。内心で、彼への遠慮のない印象を渦巻かせながら】
【表と裏、今、自分に接しているということは、仮面の姿は裏の顔、ということなのだろう。重みに欠ける言葉、しかしそこに底の見えない深淵を、大男は見出した】


……しかし、マックスウッド様とシャリエール様がご友人だとは
ここ最近、頻発している巨大生物の騒動は、何らかの意図を持ってマックスウッド様が主導なされたこと、ということでしょうか……?

以前、私の配下の者が、この巨大事件について調べてみるよう、あるメイドに勧められたことがあったのですが
それも、マックスウッド様のご意向でのことだったのですか?

【当然、ここに二人が揃い、かつ友として通じ合っているとなれば、大男の興味はここに向いた。騎士団長フレデリックが幾度となく関わり、その名を響かせる原因となった事件】
【すなわち、頻発する巨大生物の暴走。機関の六罪王がここに絡んでいたとは。櫻の国の一件で、背後に大物の影を見た大男の勘は当たっていたらしい】

【言葉のうちに、間接的に接触したあるメイドのことも織り交ぜつつ。大男は更なる疑問を投げかけた】
【会ったばかりの、それも遥か格上に君臨する存在たちを相手に、単眼を逸らすことなく疑問をぶつける。大男も、腐っても機関員たる度胸は備えているらしい】
672 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 01:10:16.11 ID:GynfBERQo
>>671
/訂正です

この巨大事件について→この巨大生物事件について
673 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/27(月) 01:15:34.60 ID:sF2MfeT8o
>>670
───消えるんだよ、そのうちにきっとな
不思議な事じゃねぇ、人間はいつか死ぬのが決まってんだ、その形が俺は違うだけ……

【少年が、魔力を感じ取る事が出来るなら、彼の存在がどういうものかも気付いている筈だ】
【彼の形を成すのは殆どが魔力、不安定な揺らぎを持つ、強い魔力だ】

学生か、懐かしいぜ、俺もガキの頃はもっと馬鹿やってたんだけどな
……一つ言っておくぜ───

【足音は無い、物質的な形がないから、跡も残さない、だが、彼は確かに、ゆっくりと少年に歩み寄る】
【何かをしようというのではない、ただ近付ければ、軽く握った右拳を、少年の胸に当てようとするだろう】

この先お前がどうしようと俺には関係無いし、俺がなにか言う筋合いもない、だから聞き流しても構わねえ
───仕方なく≠ニか、何かをする為≠ニか、そういった理由で組織に関わったりはやめとけ
それと、自分には正直に生きるのが一番だぜ、テメェが嫌だと思ったんなら、例え上司の命令にも逆らえ

ま、その先がどうなっても自己責任だけどな。俺は自分のやりたい事をするまでに大分時間がかかっちまったし、最終的にこうなっちまったが
……後悔はしてねぇ
674 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 01:20:49.71 ID:rBMk+Neoo
>>671

……ここで講釈をたれても良いが、よしておこう。だが神は……
主はありとあらゆるものを受け入れる。少なくとも、私の信じる掟の内ではな…。

『……堅苦しいけど無視して良いから。』―――なにか言ったか、ダグラス?

【ダグラスはともかく――この遣り取りを見れば、フレデリックの人となりはもう分かるだろう】
【聡い彼なら尚更そのはずだ。厳格、峻烈――そしてダグラスとは、宛ら友人】
【いや、或いは本当に親友なのかもしれない。そも、騎士団長が護衛とは相当のことだ】
【かの都市の長に近い相手ならともかく、六罪王と知ってその身を守るのだから、恐らくは――】

『あんまり堅苦しくしなくていいよ。苦手でさ、こういう儀礼とか階級に捕らわれるの。
 気になるっていうなら……気にするな、っていう命令を受けたってことで、ね?

 まあそんなわけでよろしく、カニバディール。……あぁ、呼び捨ても癖だから。』

【至って軽い振る舞い、言動。呼び捨ても≠ニ言ったのは、奇行がもう一つあるからだ】
【それは相手をジィっと上から下まで、食い入るように見回すこと。品定め、とも違うが――】
【良い気のする時間ではないはず。それを気にする様子もなく、やがて一人で勝手に頷くと】

『巨大生物事件、か……ふふっ、ようやく気付いてくれる人が出てきて嬉しいよ。
 
 ――いかにもその通り。宗教都市ゼン=カイマのアリギエに始まり……
 風の国のテナー、砂の国のハビギスという砂竜、前回は櫻の国の……巨大じゃないけど、橋姫。
 全部僕らが仕組んだのさ。詳しい説明はちょっと長くなるけど、知りたいなら言わないでもない。

 メイドに関しては……それが小柄で無愛想な人なら、そうだね。
 僕の屋敷を綺麗にするのと、次の。そして最後の討伐依頼で主役を務める予定だよ
 口も固いから、信用できるやつにしか話さないでくれって言ったんだけど、正解だったみたいだね』

【カニバディールの投げかける質問に、一つ一つ、しっかりと答えを返していく】
【また巨大生物の件に関してはちょっとした前置きと、詳細をどうするかというのを付け加える】
【次で最後、というのが肝か。全五種の多様な生物を討つ理由も――聞けば教える、という様子だった】
675 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 01:38:00.92 ID:m0kiHRzvo
>>673

………………。

【少年は、魔力を扱える人種ではない。ただ似たような力を使う者として、漠然とだが感じてはいた】
【この男は、少なくとも物質を超越したところにいる。何か大きな力の塊に、その心を載せているようだと】
【詳しいことはわからない、だから言葉も意味も正しくは理解できない。ただ…………】
【人は、簡単に死ぬ。無慈悲に、あっけなく、何の意味も残せず死ぬ。それだけは身に染みて知っていたから、ただ押し黙って聞いていた】

…………ええ。もしいつか大きな枠組みに入って、その時ぼくにとって一番嫌なことを誰かにされた時は――――そのつもりです。

【少年は突きつけられた拳を受け止めつつ、努めて真面目な顔を装う。その心中では、苦笑いを浮かべて】
【――――本当に耳が痛い。まさに彼の言ったとおり、自分は仕方なく∞何かを成す為に≠アの十字架を握ったのだ】
【それが間違っているとは思わないが、しかし人間を捨てた男から発せられる言葉には、不思議な説得力がある。無視できる重みでは、無い】
【ただ、自分にとって一番嫌なこと――――それをされそうになった時は、決して容赦しない。その点に於いては、男と少年の意見は同じだった】

ここで、あなたに何があったのかはわかりませんけど。その姿になって、後悔していない、ですか…………。
――――ぼくの名前は、鳴子一颯と言います。良かったらあなたの名前を、教えてもらえませんか?
それと…………。

【異形の男の最後の言葉に、何を感じたのか。少年はふと笑って、唐突に自分の名を告げるだろうか】
【突き出された拳を握手代わりに軽く握って、そちらの名前を問う。例え人でなくなっても、名ぐらい残っているだろうと】

【そして――――少年は冗談なのか真面目なのかわからない、わからせない表情で、おかしな質問を付け加えた】

あなたは、生まれてきて幸せでしたか?
そしていま…………幸せですか?
676 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 02:02:13.63 ID:GynfBERQo
>>674
……貴方の神のことは詳しく存じ上げませんが、私のような者すらも受け入れて下さるとは
少なくとも、私が今まで目にしてきた宗教の教義では、そのすべてに置いて私は死後の安寧など望めぬ立場でしたよ

(騎士団長殿の信仰心は、本物らしいな……厳格にして峻烈、確かな筋金の通った精神の持ち主と見た)
(しかし、この慣れた様子のやり取り……友人、というのも誇張でも比喩でもないように見える)
(宗教都市の騎士団長が、六罪王の親友にして護衛とは……誰が考え付こうか。ともすれば、六罪王就任以前からの繋がり、か……?)

【今のところ、中身が見えてこないところのあるダグラスに対して、フレデリックの人格は確かな形で伝わってくる】
【見た目通りの豪傑というべき人物。でありながら、世界最悪の組織の大幹部と知った上で、ダグラスと親友の間柄】
【己の知らない物語の存在をそこに垣間見つつ、続くダグラスの言葉を脳裏に流し込む】


む……ご命令とあらば。平素通りに振る舞わせていただくとしよう
呼び捨てを気になさる必要はないよ、マックスウッドさん。こちらこそ、よろしく

(……私の方が、見られる側になるとはな)

【彼の軽い振る舞いや言動からは、やはりその中身を見通すのは至難だった。ただ、彼の命令≠受けて、態度を普段のものに近くする】
【そうしつつも、声音や立ち居振る舞いの端々に、どこかしら畏敬の念は含まれたままだった。自分以外の強大な存在には、この大男は敏感らしい】

【彼のもう一つの奇行の前に晒される。奇しくも、この点に限っては、カニバディールとダグラスは共通しているらしい】
【初対面の相手に無遠慮な視線を送るのは、カニバディールの習慣でもあった。自分より立場が上の相手に対しては、別だが】
【したがって、この場ではただ、彼の視線に晒されるがままだった。自分の明らかな品定めの視線とは、また違った色をそこに感じた】


やはり、一連の事件全ては、貴方がたの仕業だったのか……背後に何かいて、シャリエール殿が関わっている、というところまでしかわからなかったがね
今まで長く人間と共存してきた生物が突然の暴走、ということだったから、人為的なものを感じてはいたが……

ついこの間、砂の国で起きたサンドワームの事件は、また別件かね?
出された依頼を見た時はもしやと思ったが、調べたところこれまでの生物とはどこか違うと見えたのでね

ああ、望めるならぜひ詳細をお伺いしたい。あの出来事が一体何を意味しているのか……興味が尽きないところだ
次で最後、ということは、事を起こす時も近いのだろう? 是非とも知っておきたいところだ


橋姫の一件については、メイドからの情報をもとに私も手下を一人派遣していた
シャリエール殿なら見かけられたやもしれないが、両目が塞がったマインダーの女がそうだ
あの一件で、私にとっても有益なものを報酬として得られた。こちらが勝手にしたことだが、この件については御礼申し上げよう

だが、その配下の話に寄ると、橋姫の件では疑念を抱いた者も多かったようだ……途中、大会優勝者の妖怪が横槍を入れたこともあってな
シャリエール殿の槍を受けた以上、その妖怪の生死はわからないが


それなら恐らく間違いない。接触した手下は、能面のような表情の小さな女だった、とそう話していた
しかし、マックスウッドさんにも雇われていたとは。悪魔にも雇用されていたというし、とんでもないメイドもいたものだよ……
彼女が、今度は討伐の主役か。どんな戦いを見せてくれるか、楽しみだ……

【丁寧に返されていく疑問の答え。やはり、あの巨大生物の暴走は、背後に黒幕が居たのだ】
【詳細については、一も二もなく飛びついた。知り得ることは、出来る限り知っておきたい。カニバディールのスタンスだ】
【聞けば最後の時も近いという。何が起きようとしているのか。先に知っておくことは、マイナスにはなり得ない、と考えているらしい】
677 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/01/27(月) 02:12:33.99 ID:sF2MfeT8o
>>675
───……そうかい、ならいいさ
……その時にはもう間に合わなくなってた、なんて事にはなるなよ

【彼の語る口調は、とても優しい、何かを察しているようでもある】
【少年がいつ、どういう理由でどんな組織に関わったのか、それはわからないが、きっと何かがあると】
【だから、何かを分かったように彼は語る、昔の自分を省みた言葉を少年に語る】

ああ、後悔はしてねぇ───あのムカつく野郎の顔面ぶっ飛ばしてやれたからな

【少年の手が、手に触れる───魔力の塊だが、なんだか物体のような硬さを持つ手だ、どこか毛皮のような感触】


……ああ、幸せさ、とてもな
糞ムカつく野郎をぶっ飛ばして、人の事こきつかう上司からも解放された、こんなに幸せな事はねぇさ

【少し考えてから、しかし嘘はない風に彼は答える、『幸せだ』と頷く】
【きっと表情は笑顔で、鳴子から離れた後に、鳴子の手の中に何かが残されているだろう】
【それは丸く、小さく、そして硬い───『宝玉』だ】

……『アイツ』の真似事をしてみたが、案外難しいな、こいつは

【紅く、鈍い光を放つその宝玉からは、彼と同じ力を感じる───いや、少しだけ、異なる力】
【だが、この時点では強い力は宝玉には無い、寧ろこのままでは力そのものはとても弱々しい】

餞別だ、いつか自分の自由に生きたい時、足りなきゃそいつを足しにしな

【風が吹いた───強い風がごうと吹き、冷たい空気が二人を揺らす】

……ああ、名前だったな……なんだったかな……
……そう、俺の名前は───

【いつの間にか、彼の姿は消えていた、魔力の残滓と宝玉を残して、彼は跡形も無く消えた】
【だが、確かに響いたその名前、あの声で、あの口調のままで】



───ラッシュ・ワンスドッグだ───……


/お疲れ様でした
678 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 02:33:32.48 ID:rBMk+Neoo
>>676

【――カニバディールを見る、仮面の奥の瞳。ダグラスのそれは、どこか満足気なものだった】
【一方でフレデリックのそれは未だ僅かな敵意を拭えていない。といっても――】
【これは信仰故の物に違いない。一先ず、両者は和解を見たと言っていいだろうか】

……こいつの本名は、アンドレイ・ニキシビリチャチ・ル・ダグラス・マックスウッド=\。
長いが……前半分の方は表の顔だ。新進気鋭の芸術家で、教会の内装も手掛ける技巧派

まあ、そういう触れ込みになっている。少なくともその才は本物……今回の一件もだが
こいつの根幹には芸術≠ニいうのがある。私も人の心の美醜は見るが……
……こいつは何でもできる。悪く言えば節操が無い。こうして人を見るのも、絵のモデル程度に見ているのだ

『んー、まあ……そんな感じでさ。人の絵を描くのは勿論、彫刻や文章にもする。
 六罪王になったのも大概そんな感じの事が理由にあるんだけど……さて、話そうか。』

【『何故僕が例の事件を引き起こしたのかを』―――相手から目を離しながら、口を開く】
【疲れたように目元を手で覆い、冷たい空気を何度か吸ってから――邪魔そうに仮面を外した】
【特段傷もなければ締りもない。貴公子然とした、若い男の素顔が明らかになり】

『――こんなお伽話がある。美を愛でる神が、究極の美とは何かを追い求めたお話だ
 彼は獅子の荒々しさや、鳥の唄声、竜の忠実さや姫の貌、最後は機械にも手を出した。
 しかし、最後には人の心という真の美を愛で、お話は終わり―――覚えのある面々だろ?

 ある古文書に寄ると、この神はともかくとして……獅子や鳥は実在の存在らしい
 そしてそれが何かを突き止めた僕は、一人じゃ無理だとギルドに依頼を出した

 獅子は、冬眠を妨げて激怒させた。フレデリックが行ったら我を忘れてね、簡単だったよ
 鳥に関しては寄生虫を用いたんだ。これも友人だけど……医学に詳しいのが居るからね
 そして砂竜。これは舞台をまるごとでっち上げた。ブランデン・ケミッシュ≠ェその主犯さ
 
 ただ、橋姫に関しては色々と予想外だった。そもそも悪さなんてしてない、が……
 まさか言い訳をしないとも思わなかった、お陰で仕留め損ねたが、きっともう岩戸の奥さ
 そして最後の機械――これはヴァルゴ≠ニいう兵器。例のメイドが乗り込む予定で、もう準備してある
 人の純粋な意志が込められた攻撃じゃないと壊れないんだ、つまり僕らじゃ無理だから――ね?

 ――さて。その全てを、神の寵愛を受けた美の傑作たちを全て消したらどうなるだろう
 あぁ、神は人を見るだろう。では人の中から誰を見る?最も祈りを捧げる人物か?違うね
 
 彼は美を愛でる……僕は芸術家だ。僕は神に認められたい、神に見初められたい。
 そのためには尋常の美術じゃ足りないんだ……悪の極地にでも立たなきゃ、とても…。

 ……長くなったけど、当面の僕の目的はそんなところさ。勿論、それで終わるつもりはない
 僕には世界征服も、復讐も、明確な信念も無い。やりたいことをやる、今は神に……それだけのことでね。』

/続きます
679 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 02:33:49.01 ID:rBMk+Neoo
【――ここまで、呼吸を幾度か挟んで一挙に話した。ところどころ芝居がかった話し口調は】
【さながら舞台で劇を演じるかのようでもある。自分に酔っている――そんな所も間々あった】
【生粋のナルシスト、と取ることも出来るだろうが、とてつもない野心家だ、とも――なんとでも思える、最後の言葉は】
【果たしてカニバディールという人物の興味を引けるかは分からなかったが、ダグラスは何事も気にしない風であり】

……サンドワームは別だ。アレも巨大だそうだが、砂の国のハビギスは既に死んでいるからな。
しかしあの時のガキが貴様の手下だったとはな……中々、いい動きをしていたと記憶している

それと疑念の件だが、それでいい≠フだ。私の名は今や、以前と比べればよく知れ渡っただろう
厳格な騎士団長として、或いは疑いの的として、もしくは……また別の者として。
見方などどうでも良い。私が目立ち、気を引き、そしてダグラスは裏で事を進めることが出来れば……問題はない。

そうそう、それと長尾銀狼≠ニかいったか。死んでいるとは思うが……もしも生きていれば、殺せ。
これはダグラスからの命令でも、私からの脅しでもない。だが、生きていられても邪魔なだけだからな―――。

【――また一度、此処で話は終わり。どうやら言動からするに、フレデリックの友を思う気持ちは余程強いらしい】
【となれば六罪王就任以前からの仲であろう。ダグラスが教会の内装を、と言っていたあたりがポイントだろうか】
680 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 02:57:12.27 ID:m0kiHRzvo
>>677

【結局のところ、その男がどんな人生を歩んで、どのような最期を迎えたのかはわからない】
【ただ重たく圧し掛かる言葉から、僅かに血と闘いの匂いが香っている。何かに縛られていた過去が垣間見える】
【そしていま――――目の前の男は、その何かから解き放たれて、自由≠ノなっているのだということも】

――――そうですか。それは…………、
良かったです。

【後悔はなく、後腐れもなく、最期に幸福を掴んだ。少年はぽろりと零れ掛けた偽らざる本音をギリギリの所で誤魔化して、笑う】
【羨望と諦観を込めて発せられる二つの瞳の奥には、形容しがたい混沌が眠る。黒々とした闇が、運命のように廻っている】
【形は違えど。この少年もまた、きっとかつての男と同じように、血と闘いの匂う場所にいる――――】

これは…………?

【――――ならば、たったいま手渡されたその『宝玉』も、きっといつか必要になる時が来るのだろう】
【その未来を直感して…………という訳ではないだろうが、少年はその球体を、不思議そうにしながらも確かに受け取った】
【少年は『宝玉』など見たこともない。故に籠められた力の意味も読めないが、強い何か≠そこからは感じて】

【――――今宵、少年が男と話を続けてきたのは、見た目も雰囲気も言葉も全てが異質なこの男が、何故だか尊敬できると思ったからだ】
【少年の理屈で言えば――――友達≠ノなれるかもしれない。そう思ったからに他ならない】
【故に少年は、もっと話をしたいと思った。この球体についてももっと聞きたいし、何があったのか語って聞かせて欲しいと思った】
【…………だが】

…………え…………?
ラッシュ………さん…………?

【その純粋な願いは、叶わず消える。まだ何も語り合えず、ただ心だけを僅かに交わして、今宵の邂逅は掻き消える】
【少年は咄嗟に、吹き荒れる風に妖気を混ぜ込んで気配を探すが――――決して抗えない隔絶を、少年は悟った】
【ラッシュ・ワンスドッグは、鳴子一颯の前から消滅したのだ。少年にひとつの力≠託して】

…………仕方ない、なぁ――――。

【繋がり掛けた絆を失い…………少年は獣を撫でたような掌の感触を思い返し、紅い宝玉を握り締める】
【窘められたばかりの言葉が示すのは、自分自身への自嘲。先程零れ掛けた本音が、一抹の寂しさと共に胸中を席巻する】
【――――羨ましいな、なんていう。その、さながら死の欲動のような本音をしばし切り捨てずにおきながら、少年は悼むように天を仰いだ】


/お疲れ様でしたー!
681 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 03:17:37.89 ID:GynfBERQo
>>678>>679
【カニバディールの単眼は、満足気な様子が見て取れるダグラスの瞳に向いていた】
【しかし、意識はフレデリックの方に向けられたもののほうが比重が重かった。彼から向けられる敵意の残滓は、感じ取っていた】
【彼の気質からして、己の信仰に反する者を許容するのは簡単なことではないのだろう。だが、今の立場なら、すぐに敵対することは避けられそうだ】

仮面を外し、市井に出れば、芸術家アンドレイというわけか。かの宗教都市で内装まで任されるとは、芸術家としての腕前は一流かそれ以上らしいな
私はそういった芸術には疎いが、こう見えて鑑賞するのは嫌いではない。一度、マックスウッドさん、いやアンドレイさんの作品を拝見したいものだ

なるほど、行動の全ては芸術に繋がっている、と……
絵画、彫刻、文章……通常、そういった芸術家は一芸に特化する者だと思っていたが、貴方は例外らしいね

六罪王に名を連ねたのも、一連の事件も、全てその芸術のため、か……

(己の芸術のためなら、悪に身を落とすのも厭わない……それで六罪王にまでなったというのだから、とんでもないな……)

【心中で、感嘆や恐れが混じり合った思考を展開しながら、カニバディールは彼らの話を咀嚼していく】
【仮面が外され、貴公子というべき端正な顔が露わになる。そして、紡がれる物語。始まりは、ある神についてのおとぎ話】

【そこから、カニバディールは相槌を適度に交えつつ、ダグラスの話を一字一句漏らさぬように己の内に落とし込んでいった】
【おとぎ話では、神は真の美を愛でるに至った。だが、現実にはどうであろう。今まさに登場した生物たちは、現実にどうなっていったのか】

【古文書、ギルドへの依頼、ブランデン・ケミッシュ=A医学に詳しい友人、そして、ヴァルゴ=z
【話の流れとその随所のキーワードを、己の奥底に刻み付けていく。聞きなれぬ人名、これまでの事件の裏、彼の人脈の広さ】
【だが、何よりも印象的だったのは――――】


(神に認められたい……そのためだけに、これほどのことを……六罪王の座など、そのための手段か)
(これだけでも途方もない話だというのに……今の時点での当面の目的だと? 神に認められる領域に立つことが?)
(それすら、単なる通過点にすぎず、野心でも復讐心でも信念でもなく、己の赴くままに……)
(……なるほど。六罪王の座を頂くだけのことはある。尋常の人物ではない)

【己に酔いしれるかの如き語り口。確かにそうともとれる。生粋のナルシストなのだと】
【だが、カニバディールはそこに興味と共に深い深い深淵を見出した。恐ろしい存在は幾度となく見てきた。底の見えない者たちも】
【アンドレイ・ニキシビリチャチ・ル・ダグラス・マックスウッド≠ヘ、カニバディールのその記憶に、新たに名を連ねた】
【神に見初められることすら、彼にとっては当面の目的に過ぎないというのだ。これが、尋常であるはずもない】

【ともすれば、表に出かねない震えを、カニバディールは一切表に出すことなく抑えつけ】
【「お話いただいて感謝する」と、礼を述べた】

/続きます
682 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 03:18:04.94 ID:GynfBERQo
ブランデン・ケミッシュ、とは聞かない名前だが、マックスウッドさんのお仲間か、あるいは新顔の機関員かね?
砂竜討伐の舞台をでっち上げられるほどの腕前だ。一度お会いしてみたいものだよ

そうか……サンドワームも、今までにない巨大さの怪物だったと聞いていたので、これにも裏に何かしらの思惑があるかと考えていたのだが
この場では置いておくとしよう

シャリエール殿にそういっていただけるとは、私としてもあれを拾った甲斐があったよ


ああ、騎士団長フレデリック・シャリエールと言えば、巨大生物の話題では欠かせない人物として語り草だよ
貴方があえて矢面に立つことで、マックスウッドさんの暗躍を助けているというわけか
事実、非常に効果的のようだ。私の知る限りでも、貴方に疑惑を向ける者はいても、マックスウッドさんに向ける者はいなかった


ああ、長尾銀狼=Bその名で間違いない
無論のことだとも。あの様子では、機関にとっても煩わしい存在となり得る可能性は十分にある
まだ生存していると知れたら、私の方でも手を打っておくよ

【一度、話を区切る。フレデリックの友情に厚いことも、認識の内に数えつつ】
【何せ、自身の信仰の象徴の一つともいえるであろう、教会の内装を任せるほどだ。その信頼の強さ、想像に難くはなかった】


……貴方がたの方からは、何か? 同じ組織にいるとはいえ、図らずも互いの利害を侵害してしまうこともあり得る
そちらに聞いておきたいことがあれば、可能な限りは答えよう

【単眼を二人に向けて、そう問いかけた。彼らの目指すところ、その概略はわかった】
【黒幕が同じ機関の者だと知れた以上、自分たちへの被害はそう心配せずとも済みそうだ】
【最も、彼も自分と同じく、自らの目的のために機関に身を置く存在ではあるが】
【続いて、カニバディールからも話す姿勢を見せる。今のうちに、歩み寄りは可能な限りしておこうという魂胆らしい】
683 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 03:50:40.42 ID:rBMk+Neoo
>>681-682

         【――――――――――――――――――――――――】


      【―――――――――――――――】


 【―――――――。】


『……僕は唯一、音楽は駄目なんだけどね。他だったら、誰にも負けない自信があるよ
 何なら似顔絵でも描いて送ろうか?君、中々絵にしたら映えると思うけど――』

―――……こいつの才能はさておき、話の次第は大体察したという様子だな。
その罪はともかくとして、理解が早いのは助かる。手下が優秀なら頭も優秀というわけだ
今後もその調子で願いたいものだな……まあ、今の話も直に世間に顕になるだろう

今、こちらで如何に戦線を繰り広げるかの談義を重ねている。
ヴァルゴ≠フ駆動と同時にするか否か、場所はどうするか……――
それまでは私という名の盾がある。それ以降は、貴様を筆頭とした機関員が刃となってもらうからな…?

【カニバディールがしっかりと考えをまとめていく様子を、フレデリックは悟ったらしい】
【そういう点ではお互い、理知的という共通点がある。協力に関しては恐らく問題は起こるまい】

【強いて言えば当のダグラスがやや王≠ニしては頼りないものの――欲は十分だ】
【底知れぬ探究心、そしてある意味では裏表のない性格。知謀もそこそこ長けていると見え】
【一先ず長い話を終えて礼を受ければ、また仮面をつけて目元以外をすっぽりと覆い隠し】

『ケミッシュくんは拾い物だよ。……君は人間を兵器として転用する実験があったことを?
 有名所だと、かのベイゼ・べケンプフェンなんかが被験体だったそうなんだけど……

 ケミッシュ君……彼女はその完成形でね?機関への絶対の忠誠を持った素敵な兵士さ
 そのうちナンバーズになってもらうから、仲良くしてあげてよ。結構世間知らずなお嬢さんだから。
 そうそう、兵器繋がりで言えば……件のベイゼと、UTのアンジェル、それに――』

【『――アーライン・アオスガングっていうのが姉妹≠轤オいよ』と。他人事のように、ダグラスは言った】
【ケミッシュ、そしてアオスガング。この二人はともかくとして――残りの彼女らはそうそうたる面子だ】
【ベイゼの強さは知っていよう。アンジェルも、方々の戦闘で名を挙げた古強者――】

【――とすれば、その系譜を引き継いでいるケミッシュのポテンシャルにも期待は出来そうなもので】

ふむ……こちらからは、他には特に無いだろう。例の長尾銀狼の件と、それから……
可能であれば作戦遂行時の協力を仰ぐこと……平時の情報交換を蜜にすること…。

『……――――後は月≠落とさないでくれればそれでいいよ。
 僕からも特には無し。むしろそっちはどうなんだい、カニバディール?』

【また不思議を秘めた言葉を返しながら、ダグラスは小さく首を傾げる。瞳の色は、間違いなく正気だ】
【フレデリックを見れば――これも小さく、笑っていた。月≠ニいうワードに意味があるのだろうか】
【或いは本当に、そのままの意味なのか。途方もしれなかったが――とにかく、特別留意することは無いようだった】

/申し訳ない、ちょっと眠気がキツイので一時凍結とか大丈夫でしょうか…?
684 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 03:53:00.97 ID:GynfBERQo
>>683
/了解しました
/明日は時間が空いていますので、また舞台裏でお声かけ頂ければと思います
685 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 03:59:52.19 ID:rBMk+Neoo
>>684
/ありがとうございます、こちらも明日は一日空いてるので
/そちらの都合の良い時に返して頂いて、時間が合い次第、と思いますです
/それではお先にすみません。一旦、お疲れ様でしたっ!
686 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 16:18:34.82 ID:GynfBERQo
>>683
【途方もない彼の目的が語り終えられる。神域の美芸求道者=Aまさにその名の通りの目的】
【恐らく、誰もが想像だにしていない目的であっただろう】

(……だが、その神が一体なんであるのか、肝心の点が明らかになっていない。今までの美の傑作≠ェあのような形で実在したのなら、美を愛でる神とは……?)
(何らかの生物なのか、あるいは超常的な存在か……あるいは、真の神ということも、あり得るか。何しろ、悪魔も化け物も平然と存在する世界だ……)

【カノッサ機関という同じ組織の中にいるとはいえ、腹に抱えているものは個々人で違う】
【気になるところではあったが、これ以上彼らの深淵に迂闊に立ち寄ることをカニバディールは避けた】


私などを絵にしても、怪奇画か抽象画に間違われそうな気もするが……
しかし、お願いしてみたいね。自分の似顔絵など、描いてもらえる機会があるとは思えなかったのでね

ああ、大筋は理解した。お褒めの言葉、光栄だよシャリエール殿
顕になった時には、すでに神の寵愛がマックスウッドさんに向く時が目前、といったところかね

いよいよ最後のターゲットだ、慎重になるのは当然だろうな
もちろんだ。六罪王の行動に協力できるんだ、こちらからお願いしたいくらいだとも

【苛烈なまでの信者でありながら、理性と知性も持ち合わせている。騎士団長の座を張るだけのことはある】
【カニバディールの方も、障害なく協力関係が結べるなら、願ったりだろう】

【ダグラスの方は、確かにかつての、現在の、他の王≠スちの圧倒的存在感や実力と並べると、わすかながら頼りなく見えるかもしれない】
【だが、カニバディールの単眼には、その裏に秘める欲望、探究のために悪にすら身を落とす行動力、裏表がなく接しやすい性格、深慮遠謀】
【それらの要素が、ダグラスを王≠スらしめているということが、はっきりと映っていた】
【端正な顔が、再び仮面に覆い隠されると、カニバディールも思考を中断して向き直る】


人間を兵器に……? ……なるほど、ベケンプフェン様がおしゃられていた……
ベケンプフェン様とは、半魔の一件で共闘したこともあり、その能力の確かなことはよく存じている
その完成系、となれば、ポテンシャルの高さは折り紙付きというわけだ

ああ、こちらとしても、是非ともよろしくお願いしたいね。いずれ会う機会があれば、挨拶しておかねばな

――――アンジェル。アンジェル・ベルジュロンか。まさか、かの高名なベルジュロンまでもその姉妹の一人だったとは……
あの実力も納得というものだ。どんな人物がその実験に携わっていたかは知らないが、相当な腕利きであったことは疑いようもないな

(機関そのものへの絶対の忠誠心……ベケンプフェン様と同じ。この忠誠もまた、兵器としての機能の一環、か……)
(アーライン・アオスガングとは聞かない名前だが……あれほどの力の持ち主がもう一人……?)

【語られるは、ブランデン・ケミッシュの素性。人間兵器として作り出された存在】
【かつて、己が同盟を結び、共に戦い、今や行方の知れない相手と同じ実験から生み出された少女。わずかな驚きは、内に封じる】
【現在、当のベイゼは生死不明のままだが……カニバディールは知っていた。ある銀行強盗から、その生存を聞いた】
【加えて、その所在に繋がり得る情報までも。だが、カニバディールはそれを機関の誰にも話してはいなかった。この場でも、話すつもりはないらしい】

【表には出さなかったが、ベイゼ以外に三人もの兵器≠ェ姉妹として存在していたという事実に、驚きも感じていた。しかも一人は、機関の代表的な敵対者の一人】
【最後の一人、アオスガング……それがまさか、もう二度と会うこともないだろう己が仇敵と子を成した存在だとは、知る由もなかった】

/続きます
687 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 16:19:11.73 ID:GynfBERQo
……作戦遂行の協力については、可能な限りさせていただこう。情報交換についても、了承した

月=c…? それが何を指すのかはわからないが、恐らく私の行動の上でそうなることは、ないだろうな

【月=B引っかかる言葉ではあった。単眼の視界に飛び込む、正気の色をしたダグラスの瞳と、フレデリックの小さな笑み】
【それが何を意味するのか。だが、本当に自分が月を落とす、という行為をし兼ねないと判断すれば、頭の回る彼らのことだ。具体的に警告してくるはず】
【ならば、特別気に留めることもないだろう。そう判断しつつ、その言葉だけは記憶に刻み付けた】


……そうだな。では一つ願うとすれば。昼の国と地方都市にヴェンドゥラーというところがある
それなりの規模を持つ、商業都市のような場所なのだが……出来れば、そこには手出ししないでおいていただきたい
いずれ、あそこを舞台にちょっとした騒動を起こすつもりなのでね

後は、そうだな……携帯端末か何か、通信手段を教えておいてもらえないか。情報交換をするうえでは、必要だろう?
そちらが望むなら後日、今の時点で提供できる情報を送信しておこう

【カニバディールの方からは、要求が一つ。すでに見時からが定めている獲物を、そのままにしておいてほしい、ということ】
【この異形の大男もまた、何かを企んでいるらしい。が、彼らなら自分たちのそれに比べれば、その企みが小さく俗っぽいものであることの察しはつくだろうか】

【続けて、カニバディールが口にするのは、フレデリックの言う情報交換についての事】
【カニバディールとその配下、盗賊団『スクラップズ』。この異形どもが活動してきたうえで得た、敵対者や協力者となり得る者、それらの動きといった情報】
【彼らが望むなら、可能な限りそれを提供するだろう。こちらから要求することもあるだろうが】

/すっかり遅くなったうえに、またも分割となってしまい、誠に申し訳ありません……
688 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 17:56:24.79 ID:7H9+t1fko
>>686-689

『美術を制限する法律はない。怪奇画、抽象画……大いに結構じゃないか
もうキミのことはしっかりと覚えたからね。後日、しっかり描き上げて送るとするよ』

ふン……事実を言葉にしたまでのことよ。しかし貴様は中々勘も良いようだ
今言った通り、予定では恐らく……後一度か二度、事を起こせば終わる。
奴らがダグラス・マックスウッドを認識した時にはもう、止めることなど適わぬのよ

……もっともそれが全ての終わりではないのは言った通り。
ダグラスとしては、その時≠自己紹介に使いたいのだそうだ……目立ちたがりだからな。

【それだけいうと、フレデリックはローブの内から一枚の紙束を取り出し、差し出した】
【見れば分かるが――例の人間兵器≠フ資料だ。『極秘』のマークもあったが】
【六罪王ならば問題もない。まして日付を見ると、およそ5年、10年前の物も散在していて】

【要点をまとめればこうだ。『投薬のみで人を能力者にするにはどうすべきか、また――』】
【『――その能力者を、同時に機関への忠誠と兵器としての適性を身に付けさせるにはどうすべきか』】

……我々もその古い資料と伝聞でしか詳細は知らん。そもそもの話し……
これを我々が知る切っ掛けになったケミッシュすら、長期睡眠から目覚めた時には施設は廃墟同然だったそうだからな
どういった次第で今に至るのか、誰がどうやって研究を続けていたのか……

『全ては闇の中ってね。さっき言った、医学に詳しい僕の友人が調べてはいるけどさ
 まあ深く考えず、そういう連中も居るっていうのを知っておけば……大丈夫じゃない?多分、だけどね』

【と、二人で交互に知っている情報をカニバディールへと伝える。やはり詳細は不明らしいが】
【手がかりがあるとすれば――彼の知る、一人の女性がキーだろう。気になるのなら、だ】

【それから次の話題となると月≠セったが、これはどちらの人物も言及しなかった】
【お楽しみ≠ニでも云うところか。やや子供っぽかったが、カニバディールに利のない事ではないはず】
【となれば、それは素直に受け入れるしか無いだろうか。彼の言葉に、フレデリックも良しと頷いて】

ヴェンドゥラーか……分かった、そちらには出来る限り手を出さないようにしておこう
騒動の際は一声かけろ。私は無理だが、このダグラスなり、ケミッシュなりを派遣できるはずだからな

『さて、と……ん、携帯?なら僕が持ってるから、ソッチのほうで交換しようか
 僕、これでも自警団の知り合いなんかも居るからさ。結構いい具合に取引できると思うよ、情報。
 ……他には、コッチは特に無いし、そっちも多分そうだろう?なら、後はこの端末で、ってことでどうだい?』

【ダグラスが携帯端末を取り出し、連絡先を交換し――そうすれば、一先ず用件は終わりだろうか】
【自警団の知り合いが居る――表の顔をチラつかせながらも、ダグラスはやり終えた、とでも言うように息を吐き】
【フレデリックもまた、カニバディールから何かあるか。それを尋ねるように視線を向けていた】

/いえいえ、こちらも遅くなって申し訳ないです!終盤近いですが、よろしくです〜
689 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 19:00:52.06 ID:GynfBERQo
>>688
ふ、ふ。芸術家は言うことが違うね
ああ、楽しみにしておくよ

表の顔のみを知っているものも多くいるだろう
それがマックスウッドさんを認識し、さらに事態が取り返しのつかないところまで来ていたとなれば……
彼らがどんな顔をするのか見ものだな

いいことじゃあないか、芸術家が目立つのは悪いことではあるまい?
どれほど派手な自己紹介になるか、私もぜひ見てみたいね

【言いつつ、単眼がフレデリックの取り出した紙束へと向く。差し出されたそれを、無骨な右手で受け取った】
【『極秘』のマークが、六罪王の力を示している。ざっと目を通せば、5年、10年も前からこの実験が行われていたことが分かる】

(投薬のみでの、能力者の生成……さらには、機関に忠誠を誓う心ある戦闘兵器へ……)
(私が言うのもなんだが、狂気だな……しかも、実際にこれをやってのけたというのだから……)

ふむ……すでに施設が廃墟同前だったというのに、そのケミッシュは眠り続けていたのか
さらに、実験がこれだけの期間に渡っているとなれば……なるほど、何者かが研究を続けていた、と

世界の闇たるカノッサの中で、更なる闇とはな
いや、私や貴方がたの不利益にならなければ、今は気に留めておくだけで充分、か

【二人が提供する情報に深く頷きつつ、脳裏に渦巻くは電話番号】
【だが、彼らですら、その詳細は知らないという。深い深い闇の底。そこに手を伸ばしうるものが、今、手中にある】
【カニバディールは、そのことについては、やはり話さなかった】


【月=B機関員とはいえ、余人に知られてはならないことなのか、それとも単に子供じみた理由か】
【ダグラスの様子を見ると、後者らしいが……ここは、おそらく知ろうとして知れることではなさそうだ】
【カニバディールは、そこに言及することはない。配下と共に、およそ月≠連想するものに、なるべく影響しないように留意はするだろうが】

ああ、そうしていただけるとありがたい
これは嬉しいね。味方は一人でも多い方がいい。増して。六罪王とその仲間ともなれば、頼もしい限りだ
その時は、機関全体に向けて一報入れるつもりだ。チェックしておいていただきたい

ああ、頼むよ。自警団にも知った顔がいるとなれば、有益な情報も多いだろう。ありがたい
無論、こちらからも出来得る限りは情報を提供しよう

ふむ、そうだな……残りのことは、端末で……いや
一つ、忘れていた

【携帯端末での情報交換を終え、今回の邂逅は互いに得るものはあったといえるだろう】
【表の顔でも人脈は広いらしい、ダグラスの抜け目なさに舌を巻きつつ。息をついた彼に軽く頭を下げて感謝を示す】
【フレデリックの尋ねるような視線に対し、単眼が向き直る。もう一つ。そう発した直後、大男はエプロンの内側に右手を突っ込むと】
【大型の拳銃を一丁、取り出した】


【彼らなら、驚くことはないだろう。恐らくは、彼らも気付いていたはずだ。接近していた者たちに】
【カニバディールが素早く振り向き、立て続けに発砲した。撃発、撃発、撃発。乾いた銃声、悲鳴、倒れ伏す音】
【丘に通ずる道、向こう側にある木々の中に身を潜めてこちらをライフルで狙っていた、鉄の国軍の偵察兵たちだった。軍港からの追っ手が、この付近にも手を伸ばし始めていたらしい】

今の連中が戻らなければ、ここにも鉄の国軍がやってくるだろう
私もそろそろ退散させていただくとしよう。近くに足を待機させているが、乗っていくかね?

【単眼が彼らに向く。言葉の通り、軍港の騒ぎが収まってきている】
【彼らが望むなら、用意した大型車両で彼らを望む場所まで送るだろう。どうするにせよ、これを最後にカニバディールはここを立ち去ることになる】
690 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 19:15:18.59 ID:7H9+t1fko
>>689

【あらかたの話で決着がつくと、ダグラスは端末をしまう。全て終わり、というわけだ】
【だが――フレデリックは違っていた。ゆっくりとローブの内で手を背後に回し】
【その剛槍に手をかけると、まさにその瞬間に銃声が高々と連続したのだった】

『………………………あー、ええと……?』

下の騒ぎの犯人を探しに来た連中だ、ダグラス……やはり気付いていなかったか。
……カニバディール、見ての通りこいつは夢と趣味の世界に生きる人間だ
あくまでも戦闘は不得意……女相手の殴り合いでも勝てるかわからぬ

……私が居ない時は頼んだぞ。その腕、しっかりと見届けさせてもらったからな。

【――フレデリックが槍に手を伸ばしたのは、カニバディールと同じ理由だろう】
【気付いては居たが、やや出遅れた。そして結果的に、目の前の単眼の大男の腕を知る】

【射撃の腕ではない。相手を感知する力、そして対処する判断力――】
【お眼鏡に叶う≠ニいう言い方をするとあまり良いように思えないかもしれないが、どうやらそんな様子だった】


【――――あとは、フレデリックがダグラスをひっぱっていくような形で提案に乗るだけ】
【頷き一つを返せば案内されるがまま、件の車両へと向かい、乗り込み――別れる事になるだろう】
【フレデリックとてまだ身分を証す訳にはいかない。決断はこちらも早いものだった】
691 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/27(月) 19:16:22.51 ID:iJ8h/K5t0
ここがギルドか
能力者がうじゃうじゃ
いるなら潰し甲斐がある

【騒然となる周囲を無視して男はカウンターに進んでいく】
【手が届く範囲にいる人間を日本刀の峰で殴り倒しながらゆっくりと歩みを進める】

【銃弾やら能力者の放った火やら雷やらが降り注ぐ】
【かと思うと男にいた場所に巨大な箱が現れた】

絶対防御ボックス(特注)だぜ
能力が50kgから100kgに3m3から6m3に成長したからなぁ
もう何でもできますわ

【数秒後、何事もなかったかのように男がスナック菓子をほおばりながら出て来る】
【カウンターを飛び越えると中にある資料を勝手に漁り出した】
【片っ端から引出しをあけていき、周囲に書類の山が出来上がる】

これかなぁ
例のマモノってやつらの情報は……
ねぇそこの人

【受付をしていた女性がおびえながら答える】

は、はい

これエクセルで作ってるみたいだけど元のデータはある?

あります……

じゃあもらってって問題ないか

【男が指を鳴らすと、手元にカバンが現れる】
【資料をまとめて詰め込むと男はまたカウンターを超えて建物から出ていった】

【もはや誰も彼に手を出すものはいない】

あんまり相手してくれないのね
692 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 19:50:08.21 ID:GynfBERQo
>>690
【騎士団長の反応はさすがだったが、ダグラスは動かなかった】
【どうやら、戦闘は得意分野ではないらしい。驚くには値しない。むしろ、それで六罪王にいる時点で、その秘めたる力は察するに余りある】

失礼した、マックスウッドさん。何しろ、火急のことだったのでね

それだけ、芸術に自己を傾けているということだろう
戦闘面を補うために、貴方が護衛についている、というわけか

……最善を尽くそう

【どちらも、己の分野における超一流であることを、カニバディールも目の当たりにした】
【先に反応できたのは、自分が眼下の惨劇の犯人であるが故、警戒を怠らずにいられたという点が最大だろう】
【だが、過程はどうあれ、自分の腕前がフレデリックにもある程度認められたらしいことは、カニバディールには大きな利だった】


【フレデリックは提案に乗れば、手早く彼らを先導して隠していた車両に辿り着く】
【運転席に機関兵、後部の席に彼らを案内し、自身は助手席に乗る】
【そのまま、彼らを望みの場所へと連れていき、辿りつけば別れの言葉を告げて、その場から走り去っていった】
【新たな繋がりが生じ、世界はまたも流転していく。この日の騒動は、ひとまずの収束を見た――】



【後日 カノッサ機関本部】

【自室にて、カニバディールは携帯端末を見つめていた。傍らには、番号が書かれたメモ】
【部屋には、誰もいない。ただ、単眼の怪物が一人いるばかり。配下たちにも休みを与え、ここに訪れる者はしばしいないだろう】
【やがて、太い右手の指が、メモに記された番号を叩き始める】

【コール音が響く。もし、相手がそれに応じれば。重々しい声が、相手の元へと流れ出すことだろう】


……BB様ですか?
ロッソに会いました

【まずは、確認のため。相手が本当に、目的の人物であるかどうかの】
【相手が本人ならば、この二言と重々しい声音で、相手が自分であると察せられるはずだ】
【カニバディールはそのまま、相手の返答を待った】
693 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/27(月) 19:51:16.67 ID:kOLGHhrOo
>>691
/ごめんなさい、もしかして新規の方ですか?
/でしたら一度舞台裏の方に顔を出す事をオススメしますよ!
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 20:01:58.94 ID:67f2XsZH0
【自然公園――広く芝生の広がるエリア】
【ぽつぽつと立つ木の影が月明かりに伸ばされて粘土細工のよう、どこまでも伸びていく錯覚】
【冷ややかな空気がそんな光景を彩って飾る、――その中に、きらきらと混ざり込む煌き、花の咲うように】

あ、うーんと……、こう、――こうかな……、

【夜にそびえ立つ木の一本、太い幹をくるくる踊るように回るのは、桜色に黄緑色の混じった魔力の煌きの光】
【やがて幹にぶつかってぱちゅん!と弾けて消える、その刹那にそっと夜を輝かせて、夜を綺麗に飾り立てるように】
【そんな煌きのすぐ傍にひとかげがあった。ぶちぶちと何か呟きながら、手を動かし、身体を動かし、時折足までも動かして――】

【――真っ黒色をした髪を持つ少女だった。夜の中に浮かぶシルエットは服の上からでも分かる華奢なもので】
【ころりと丸い瞳は左右で色の違うオッドアイ、左が黒色、右が赤色、蛇みたいに暗がりに丸く艶めいて、時折瞬いては】
【もひとつ瞬くように煌くものがあった。耳元に付けられたピアス、月白色をした宝玉の欠片をあしらった、とくべつなもの】
【淡く桃色を基調にふわふわとしたフリルで飾ったワンピース、たっぷりのレースをあしらった袖はひらりと揺れる姫袖で】
【羽織るケープは途中をレースで透かしたもの、胸元で縛ったリボンがひらりと夜風に揺れて、翻り】
【短い靴下とストラップシューズ。寒そうに露出した足はまるで日を知らないかのように、真っ白だったという】

…………、……もー!

【心得のあるひとが見れば分かっただろう、何か魔術の練習をしているらしいこと、それにどうも詰まっているらしいこと】
【いろいろな仕草でたくさんのことを試していたのだけれど、どうやらついに短気を起こしたように、甲高く挙げた声は】
【存外夜の中へ響いていって、どこか反響までする始末。それに気付けば、気恥ずかしいように顔を手で覆って――耳が、少し赤かった】

【そんな手元で煌く光。見れば、左手の薬指に嵌められた指輪、蛇を模ったかたちの輪っかが、控えめに存在を主張していて――】

どうしたら上手く出来るんだろ――……。

【傍のベンチに置いていた私物、といってもどこか珈琲屋で買ってきた飲み物ぐらいのものだけれど、】
【ぼすんと腰掛けながら手にとって飲む、――ふわりと広がる甘さに、ようやく少しだけ笑みが零れたようだった】
695 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 20:07:39.25 ID:7H9+t1fko
>>692

【――付け加えがひとつ。それはカニバディールの部屋に関してだ】
【恐らくこの時より少し前に届け物がある。それは、布に包まれた長方形の物体で】
【何かと布を退けてみれば、あるのは一枚の肖像画――無論、カニバディールがモデルだ】

【正面からの彼を写実的に描き出し、反面、背景の部分は全て真っ黒に、何重にも塗りつぶされている】
【暗さがあるのに何処か凄惨なまでの一枚だ。有り体に言ってしまえばそれは、上手い】
【それからメモが一枚。『先日はありがとう』という、ダグラスのサインが付いたものだった】


【―――――さて。電話をかけたなら、しばらくのコールの後にぷつりと音がして】
【僅かな環境音が流れだす。つながったのだ。そして数秒もすると――】

『……、……カニバディールか?ロッソのやつ、良く見つけ出したモンだな
 それとその呼び方は……何処かで資料でも見たか?それとも、あのケミッシュとか云うガキか?』

【声は女性のものだった。以前と変わらない、何処かの荒くれのような雑な話し方だ】
【その声色には驚きも何も無く、いずれかかってくることを予期していた様子が伺える】
【またBB≠ニいう呼び方にも反応していた。単なる略称だが、そう呼ぶ人間は生きている人間ではまず居ない】

【――あの資料。アレには全四名、AA―アーライン・アオスガングから始まって】
【ABのアンジェル・ベルジュロン、そしてベイゼ、最後にBCのブランデン・ケミッシュと載っていた】
【ベイゼはその実験内容を知っている、とも推察できる。どちらにせよ、電波はしっかりとつながっているようだった】
696 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 20:32:02.33 ID:GynfBERQo
>>695
【届いた肖像画。自室に入った時、カニバディールはその布をどけて、それを目の当たりにした】
【写実主義、自身の異形をそのまま写し取ったかのような精緻な絵。幾重にも塗り潰された背景】
【暗く、それでいて凄惨ともいえる。美術に疎いカニバディールでも、その腕前の素晴らしさは確かに伝わってきた】

【メモとサインに視線を移し、薄く微笑すると、メモをしまい込んで肖像画を奥の壁に飾り付けた】


【コール音が続く。短いが、深い沈黙。やがて、途切れる】
【向こう側から繋がる、僅かな環境音。自身が声を送り出し、その数秒後。返答がなされた】

ええ。お久しぶりです、ベケンプフェン様
ロッソには、年明けに路地裏でばったりと会いましてね。彼が騒動を起こして、路地裏に駆け込んできたところに居合わせたのです

……ケミッシュさん本人には、まだ会っていません。古い資料を偶然手に入れましてね
まかり間違って本人以外に繋がった時を考えて、このような手段を取らせていただきました。失礼をお許しください

【いつか聞いたあの声、あの口調と変わらなかった。相手が、確かにベイゼ・ベケンプフェン本人である、と認識する】
【言葉は少なかった。確かに、仲間ではあった。だが、今はわからないのだ】
【まずは、自身がダグラスから受け取った資料の情報から、相手を確かめた。しかし、さすがは明晰な頭脳も持ち合わせるベイゼ・ベケンプフェンだ】
【その呼称にもしっかりと反応し、事情を看破してくる。味方の時は頼もしかった。だが、今は――――】


……消息を絶たれた時の状況から、最悪の事態も考えておりましたが……
ロッソに番号を渡せたことから見ても、捕らわれているというわけでもないようですな

しかし、機関に戻られないところを見ると、深刻なダメージを負われた。そういうことでしょうか?


……失敬。余計な詮索でした。ともあれ、もう一度こうして話す機会を得られたことは、嬉しく思います
しかし、ロッソを通じて連絡先を私に届けたのは、何かご用件が?
可能な限りなら、対応いたしますよ

【カニバディールの声音には、以前と変わらぬ畏敬が込められていた】
【かつての彼女やケミッシュと違い、カニバディールは機関に忠誠を誓っているわけではない。機関員には一定の敬意を払ってもいるが】
【故に、この畏敬は彼女自身へのものであった。声音には、どこか気遣うような様子も聞き取れるだろうか】

【心中では、手にした資料の事を聞いてみたいという邪悪な欲求もあったが】
【まずは、相手に番号を渡した意図があるのか。それを問うた。自身や機関の大きな不利益にならないことなら、それに応えるつもりでもあった】
697 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 21:02:45.81 ID:7H9+t1fko
>>696

『成る程……今度アイツに会ったら、なにかしら礼をしないとな…。
 それにしても、お前の慎重さは相変わらずだなカニバディール
 お陰で大丈夫だ、ちゃんと俺に繋がった。周りにも誰も居ないし存分に話そうじゃないか』

【非礼がどうの、と咎める性格ではない。ダグラスの気楽さとは違っているが】
【その点も昔のまま。まず間違いなく当人であると分かるだろうか】

【――ベイゼは今、とあるビルの屋上に居た。周りには誰も居ない、というのは】
【おそらくカニバディールもそうだろうし、自分もそうだからという意味を含む。】
【しばらくは、ベイゼが聞き手。口を挟むでもなく、まず聞くだけ聞いてから答えを返し――】

お察しの通り、今じゃ立派な怪我人だな。肺をヤラれたせいでマトモに走れもしない
当然、戦いなんて……マインドを使えば別だが、一撃もらうだけでダウンじゃあ、な。

そんなナリでNo.3を務めるわけには行かないだろう?
忠誠心だってあったが、戦えないんじゃダメだ……そういう訳で、戻ってない。
そういうお前は最近どうなんだ?聞くところに寄ると、また派手にやってるそうだが

【まだ前座。単なる世間話のように――それこそ機関員でなくてもするような遣り取りをして】
【問題はそこからだった。切り口は、機関にとって不倶戴天の敵――】

――俺は今、UNITED TRIGGERに居る。所属はしてないが、部屋を借りるのと、事務の手伝いと……
まあそんな感じの毎日だ。ハッキリ言ってな、兵器として生きてた俺にとっちゃぬるま湯みてェな環境だよ

……傷を負った時、いっそ死ねばよかったと時々思う程度にはな。
だが、その一方で敵だった俺を受け入れた連中にも恩義は感じてる
板挟みってやつだな。かと言って、このまま死ぬまでぬるま湯に浸かっていたくはない

言っちまえば、死に場所≠探してるんだが……心当たりはあるか、と思ってな。

【――更にその後、ベイゼはある事実を告げた。『元々余命が長くはない』という物だった】
【薬物の多量投与による人体改造、能力開花――その影響を、彼女なりに調べたのだろう】
【確かに影響がない方がおかしかった。そして、計画自体が頓挫した状況で、それを知るのは】

【その『終わり』を見届け、自覚していたベイゼ一人というわけだ。恐らく、この余命というのは】
【他の姉妹≠ノも同様のことが言えるのだろう。――その上での、自嘲じみた質問だった】
698 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 21:06:49.87 ID:VqZunYcao

【街の一角にある、とあるカフェテラス】
【満席という訳ではないがそれなりに客は入っている状況で、四人席に一人で腰掛ける男は少し目立っていた】

……――――――――。

【白い燕尾服に身を包み、同じく真っ白な髪をオールバックに撫で付けた、壮年】
【その顔にあまり皺は無く、恐らく白い髪も生まれ持っての色なのだろう】

【そんな男が新聞の束を持って席に着いたのは、もう一時間半以上も前の事。未だに立つ気配はなく】

――――ああ、そこの君。コーヒーをもう一杯、お願いするよ。

【それどころか、新しく一杯おかわりし始める始末。どうやらまだ居座るつもりの様子】
【片方だけ白い手袋をした左手が、読み終えて畳んだ新聞をテーブルに置いた】
【――――と同時に右手が新たな新聞を取り出していて。見れば、読み終えたものもまだのものも、幾部かずつ重なっていて】
【そしてどうやら、目を通しているのは機関やGIFTなど、世間を騒がせている様な話の記事ばかり】

【――――それはそうとして、このテーブルはまだ、三席空いている訳で】
【客が増え始めている今、その席で相席とされる可能性も十分に考えられるのである……】
699 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 21:49:27.04 ID:sFXXCBnYo
/テス
700 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 21:59:14.29 ID:yzAoJ26Co
【酒場】

【ここはとある街の外れにある人気の酒場なのだが、ちょいと今はトラブル中だ】
【酒の入った客同士数人がにらみ合いの怒鳴り合いの大喧嘩中。客も早いうちに逃げて殆ど居ない】
【店主も何処か自警団か何かに電話をかけている。懸命な判断だ。早いとこ処理しないともっと酷いことになる】
【ヤッパぶん回す位ならいいかもしれないけど拳銃の撃ち合いとかになったら流石に面倒だ】
【怒号の喧騒にまみれて誰も気がつかないだろうがピリピリと携帯の着信音が窓際の端席から聞こえた】

あー…今?飲み屋で、チンピラ同士のパーティ見てる。ああー…まあーそんな感じ

【テーブルに足を乗せて携帯電話で電話をしている古臭いサングラスをかけた男が居る】
【黒のスーツに白シャツ黒ネクタイのシンプルな出で立ちで煙草を指の間に挟んでいる】
【煙草を灰皿に押し付けて長くはないが量の多い黒い髪を困ったように掻き、電話口の相手と話す】

まだあんま飲んでねえからどうすっかなーってとこでさ…まあ、あn――

【がしゃん!ばりん!とグラスや酒瓶が宙を待って割れる。第一ラウンドが開戦したようだ】

――あー…聴こえた?ま、そんな感じ…まあ、適当によろしくってことで

【電話を切って暫し、今更立つのも面倒、もうすぐ自警団あたりも来るだろうし…とそんなことを考えながら】
【怒り心頭の店主とごちゃごちゃしたチンピラと、この男と同じ思いだろう残った客を見回した】
【そうしたらビュン!と椅子が彼の方に飛んできた。誰がやったか知らないが慌てた拍子に椅子から転げ落ちる】
【テーブルの下に潜り込めばガッシャンガッシャン背後の窓ガラスが割れて破片があられのように飛び散った】

クソッタレ、ついてねえよ。いつだって…

【テーブルの下で雨宿りしながら、彼も懐のリボルバー拳銃の準備を始める。まあ、ここはそういう場所だ】
701 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 22:04:08.56 ID:GynfBERQo
>>697
彼も活発に動いているようです。会う機会も少なくはないでしょう

性分でしてね……こちらも人払いは済ませてあります
……ええ、時間の許す限り

【権威を嫌い、自身も立場を鼻にかけるようなことは決してなかった彼女の性格は、そのままだった】
【紛れもなくベイゼ本人である、と確信する】

【カニバディールも、ビルの屋上で夜景を見下ろしているであろうベイゼと同じく、今は余人が混じり得ない状態であることを示す】
【静かな、会話が始まる。まずは、自身のぶつけた疑問に、答えが返る】

……そうでしたか
兵器としての力を失ったが故、と……貴女ほどの方がこのような形で機関を去られたのは、残念です

……以前からの計画を、実行に移し始めているのですよ
極めて利己的な目的のもとに。未だ、準備段階で手こずっている有様ではありますが

【同じく、声音も口調も、ごく一般的な会話であるかのように、語っていく】
【その後から。本題が、耳に飛び込んでくる】

UNITED TRIGGER……彼女≠フ伝手ですか
……正直なところ、おっしゃられる通り、貴女には似合わない生活に思えますよ

……無理もありません。敵ではありますがそれ故に、UNITED TRIGGERがどういう者たちかは、私もある程度は知っています

――――死に場所=c…ですか

【思わず、オウム返しになってしまった。声も性格も変わらずとも、彼女はどこか弱ってしまったような、そんな印象を受けた】
【加えて、告げられる事実。余命わずか。考えてみれば、十分にあり得ることだった】
【薬物を投与し、人体を改造し、能力を人工的に開花させ、平気としての忠誠心を育てる】
【それが尋常のものであるはずはない。ならば、その影響の重さも推して知るべしだ】

【計画の結果、彼女ら姉妹の運命が、ここに提示された。普通の人間であれば、どうするであろう】
【居心地悪くするか。涙ぐむか。その手を取って、慰めの言葉を探すか】
【だが、カニバディールは、悪党であった。そして、かつてのベイゼの同志であった】
【自嘲じみた彼女の質問を受けたカニバディールは、しばしの間の後、重々しく口を開いた】

/続きます
702 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 22:04:20.28 ID:GynfBERQo
……もし、その事実をUNITED TRIGGERの者らが知れば。恐らくは、全力で貴女の寿命を延ばす方法を模索するのでしょう
ならば、貴女の『このまま死ぬまでぬるま湯に浸かっていたくはない』という思いを受けて、死に場所≠提示するのは、私が負うべき役目でしょうな


……まずは、鉄の国。GIFTメンバーの『W/ダブル』という男――SCARLETに潜り込んで鉄の国の自警団を統括していた、ディック・ホワイトという男が、その正体であったそうですが
私の知る限り、今現在特に活発な活動を見せているのが、この男です
一度、対面する機会がありましてね。彼奴には、事情は知りませんが並々ならぬ執念があります
今後も、彼奴の鉄の国への攻勢は続くでしょう。いずれ、もう一度か二度は、騒動が起きることになるかと

続いては……エインセル・アンバライト=Eゼラズニイという名をご存知ですか?
去年、新たに就任した六罪王です。彼女も、一度水没都市アヴェロニア≠ノて、事件を引き起こしています
私も、まだ彼女についてはよくは知りませんが……いずれ、再び何らかの行動を起こす可能性は高いと見ています。この名前が出る場所には、いずれ争いが起きる事でしょう

……私自身も、いずれ昼の国にて事を起こすつもりでいます。昼の国の地方都市ヴェンドゥラーという場所で
UNITED TRIGGERに伝えて下さっても、構いません。それなりに、派手な事態にする予定です。貴女の死に場所に相応しいとは、はっきりとは申せませんが……

……最後に。ベケンプフェン様もご存じやもしれませんが、近頃巨大生物が突如、暴走するという事件が頻発しています
どうやらこの件に、あの忌々しい半魔との決戦にも関わっていたメイド……エリザベス・カーライルが関わっているようなのです。私の配下が、彼女と接触しましてね
このカーライルがもし表舞台に現れるようなことがあれば……その周辺で、また何事か起きる可能性は高いと見ています

私が持ち得る情報は、こんなところでしょうか

【時折呼吸を整えつつ、カニバディールは並べ立てた。彼女に、死に場所≠フ候補となり得る情報を提示した】
【国、都市、あるいは人名。カニバディールが知り得た情報から、特に確実性の高い戦の臭いのする情報だ】
【自身が協力関係にある者、そして自分たち『スクラップズ』の深い事情にまでは、言及せぬように気を付けつつ。提示しても問題ないと判断したものを】

【その声音は、淡々としていた。彼女への同情心などは、決して出さなかった。恐らく、彼女はそれを望まないだろう、と】
【唯一、半魔≠ニいうワードにだけは、苦い色が混じったものの、それ以外は平坦に。彼女に、戦場での死をもたらし得る情報を、述べていった】
【言葉が切られる。カニバディールは、ベイゼの反応を待った】

/遅くなりました、すみません……
703 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 22:28:41.83 ID:HTp1s2R4o

【石畳の広場――――疎らながらも人影は絶えず】
【騒がしくはない。けれど、静寂があるわけでもなく】
【心地良い、程よい夜の空気がその場を満たしていた】

「――――分かってるってば、それくらい。」

【さて、その中で一組、些か奇妙なペアがいた。男と女、というのは至って普通なのだが――――】
【その女というのは、黒く真っ直ぐな長髪に黒い瞳、真っ白なワンピースの上に黒いダウンを羽織って】
【革表紙の厚い古書を手にした――――10代前半の、正に“少女”という言葉が似合う様な幼さのある人物で】

分かってんなら別にいいんだよ。ただの確認だ確認。
んで――――そろそろ頃合い、かァ?

【対する男、こちらは幼い少女とは不釣り合いな、“チャラい”とでも言うのが合いそうな見た目の男】
【黒の軍服と制帽を緩く着崩して、その胸元には何処かの自警団のバッジが光る】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めに、もみあげの二房は長く垂らしたまま】
【そのバッジに反して、どうにも自警団“らしくない”男であった】

【夜に出歩いている少女と、注意をしている自警団員――――パッと見は、そんな光景】
【しかし……その会話。決して小さい声ではなかったが、どうにも帰宅を促している様には思えない】
【はて、それでは何の話であろうか。それはともかくとして、この二人が少し目立っているのは事実であった】
704 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 22:36:07.21 ID:7H9+t1fko
>>701-702

俺も機関を辞めざるを得なかったのは、正直言って今でも惜しいよ
洗脳の自覚があったとはいえ忠誠を誓った、そして性分にあった場所だったからな。
コッチでも色々と新しい体験は出来てるが……根腐れしそうでね

利己的な計画、至って結構じゃねェか。出来れば力を貸したいが……
……そうだ。知り合いにD.R.U.G.S.¥椛ョの奴が居る。
名前はビスク・フランコ――例の半魔、リリアの時にも協力した奴だ

生憎と機関とD.R.U.G.S.はあまり良い仲じゃあないだろうが
奴も大人だ。金を間に挟めば、かなり強力な味方になると思うぜ……一応、な。伝えとく

【――話の詳細を、或いはカニバディールがその男について調べたのならの話だが】
【彼のファミリーと、それから事務所は裏の情報網で調べればすぐに分かる】
【加えて、ベイゼの名前と契約という方式を持ち出せば話はすんなりと行くだろう】
 
                                      【まあ、あくまでそうしたのなら、の話だが】
……なんだ、知ってンのか。あぁそうだよ、アイツの伝手だ。
絵本まで読んでやってるんだぜ、らしくないだろ?

まあ、なんだ……、…分かるだろ。複雑なんだよ。生きたいだの、死にたいだの
どうせ見えきった未来なら、俺は安穏の中で流されていたくはない。

【わずかに沈黙が在った。溜息のような、小さな音もした。それでも声には確固とした意志が篭っていた】
【ベイゼは再度、カニバディールの言葉に耳を傾ける――全ての戦地を頭に入れる】
【そこに行くべきか、だとすればどの立場で、一体どうやって動きべきなのか】

【――電話の向こう、彼の淡々とした言葉は、ベイゼにとっては実にありがたかった】
【下手に感情を込めない、悪党らしさ。ある意味では、それはこの上ない優しさ≠ネのかもしれないが】

……悪いな。俺の手持ちじゃ、ちょっとその情報の報酬は払えそうにない
感謝してるよカニバディール、やっぱりお前、いい男じゃねェか。

―――ちょっと考えさせてくれるか?場所も人も組織も分かったが、直ぐには決められそうにない
誰に相談するわけでもないが……大事なことだからな。
GIFTか、機関……そのエインセルって六罪王か、お前か、或いは……あのメイドか。

……お前の方からは何か無いのか?……いや、俺も最近は世間にも疎くなっちまったし―――。

【あまり役には立てないか、と短く紡ぐ。全体で見ても言葉数は少なくなったように思える】
【ましてふたりきりで雑音もなく話しているせいか、何か哀愁とも言い難いものがあり】
【しかし一方で、確かな感謝の気持ちも垣間見える。平坦な言葉がむしろ、ありがたかったのだろう】
【その言葉も交えて――まず満足したように彼女からの質問は、終わったように思えた】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 22:52:12.98 ID:67f2XsZH0
>>703

【――かつん、と。広場に響く控えめな足音、ふたりの会話に割り込むのは、誰かが通りがかると知らせるもの】
【見れば、暗がりの中を少女がひとり。どこか疲れた風の顔立ちで歩いていて、僅かに足を引き摺るような足音が目立つ】
【けれど怪我をしたりしているわけではなさそうだった。それなら荒事とは無関係、自警団の出るような幕ではなかった、はずなのに】

……――あ、

【少女は会話している風のふたりの傍をついと通りがかる、そのときに無意識的に向けられる視線はふたりを見つめて】
【その途中で見つけてしまったもの、それが彼の胸元で光る自警団のバッチで、それがいっそう煌いたように見えたのは、】

【(ちょっとどころじゃなくやましいことがあるから以外に他ならない。出来れば出会いたくない人種、まさしくそういえた)】

【――僅かに漏れた声があった。「げっ」とか「しまった」という風に瞬く瞳があった。刹那だけ止まりかける足があった、】
【次の瞬間にはおすまし顔でつんとしている、一瞬の不自然に気付いてしまえば、そこにあるのはどうしようもない不審で】
【疲れているからといってする類の行為でもない。そことこれはきっと無関係で、彼女自身に何かが、あるようだった】

【夜よりも暗く真っ直ぐな髪が腰までの長さ、ぱちくり瞬く瞳は左右で取り違えたようなオッドアイで、黒色と赤色】
【右耳だけに付けられたピアスは月白色の石――宝玉の欠片――をあしらったもので、時折不思議な気配を零している】
【桃色を基調にしたワンピースはリボンモチーフの多いもので、随所にたくさんのレースが縫いつけられて、飾られて】
【黒色のケープは途中がレースで透かされたもの、ひらひらと腰ほどまで覆って、続く足元は黒色のストラップシューズ】

…………――、

【「ごくろうさまです」と口の動きだけで伝える幕間があった。怪しいのを少し自覚したみたいに、それをごまかすみたいに】
【そのまま踏み出した足音が「かつん!」と夜に良く響く、力の加減を間違えたように、甲高く抜けて――いくつか、続く】
【彼らへ向けた背中はひどく華奢で、怪しいと声を掛けるなら、きっと一時停止したようにぴったりと止まってみせるはずだった】
706 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 23:20:27.24 ID:AKjxxHmjo
>>705

「もうそろそろ、ってところなんじゃない?ま、アンタこそ変な事して――――」

【ふと、会話が途切れる。そのまま通り過ぎると思っていた足音の主が、妙な反応を見せたから】
【二人の間にあった空気が、微妙な変化を見せた。少しばかり取り繕った様な、そんなものになって】

「……天下の自警団サマ的に、あれをスルーしちゃうのはよくないんじゃなぁい?」

……うっせェな……あとその上目遣い止めろ、ガキがしたって気色悪ィだけだ。

【『へい、そこのお嬢さん』なんて声が飛んだのは、一つ咳払いをした後の事】
【自然な声ではあったが、会話していた時の声とは明らかに質の違う、馴れ馴れしい声であった】

あー……その、何だ……――「ナンパだって。」
――――ちげェよバカ。話をややこしくすんじゃねえ。

……で、まあその……もしかして、何かあったのかなー、って思って、さ。
何て言うか、そう……何となーく、なんだけど、そんな気がして。

【呼び止めたはいいものの、何と言うのが最善か。『今変な反応しただろ』はダイレクト過ぎる】
【では何か取り繕う言葉はないか――――と考える男に、少女が茶々を入れたりしつつ】
【結局、辿りついたのは彼女の歩き方。言葉はどこまでも濁しつつ、軽く首を傾げて足下を指さして見せた】
707 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/27(月) 23:23:09.50 ID:GynfBERQo
>>704
……兵器となったこと自体は違っても、その在り方で機関で生きておられたのは
紛れもない貴女の意志だったということなのでしょう

……ビスク・フランコ。D.R.U.G.S.≠フマフィアですか……
半魔の件に、D.R.U.G.S.≠煌嘯でいたとは、存じませんでした

おっしゃる通り、機関とD.R.U.G.S.は敵対関係にあります。が、私個人はD.R.U.G.S.と事を構えたことはありません
大いに役に立つ情報です。感謝しますよ

【カニバディールは、この後ビスクという男とその関わった事件の詳細について、可能な限りの情報を集めるだろう】
【ファミリーの名前と、事務所の所在は知れることとなる。契約に必要な資金も、用意はできるはずだ】
【しばしの後。彼らの事務所のドアを、単眼の大男が叩くことになるだろうが、それは今は別の話だ】


……彼女とは一度、路地裏で顔を合わせていますからね。ベケンプフェン様にも参加していただいた、グランツの市街戦では
手下の一人が、彼女にこっぴどくやられていますし……いや、これは余計な事でした

絵本とは、何とも……確かに、新鮮な体験でしょうな

……お察ししますよ。生き死にが単純だとは思っていません
増して、貴女のような立場ならば

【かける言葉は最低限だった。やはり、カニバディール重苦しい声に必要以上の感情はこもらない】
【彼女の沈黙、溜め息らしき音、そのうちに秘める確固たる意志。全てを心に留めたうえで】

【情報を伝えた時、かのじょが どういった立場でそれに参加するのか、それを考えないではなかった】
【だが、それでもカニバディールは話した。その結果がどうなろうと、話すことを選んだ】
【それが悪党であるが故だったのか、あるいは優しさ≠ネのか……カニバディール自身にすら、わからなかった】
【だが、やはり彼女が兵器としての生の中に未だあるように、カニバディールもどこまでも邪悪であるのは確かのはずだ】


……構いません。貴女とこうして話が出来ただけで充分です
勿体ないお言葉ですよ。こちらこそ、感謝しています

無論の事です。死に場所となれば、簡単に決められることであるはずもないでしょう
その結果がどうなろうと、私は貴女に話したことを後悔はしませんよ

ふむ……そうですね……

【少しの沈黙が訪れた。どこか言葉も少なくなった彼女の声の余韻が耳に残る】
【これをなんと形容すべきなのだろう。哀愁というのも、どこか違うかもしれない】
【カニバディールの方も、淡々とした言葉の中で、感謝の言葉を述べた時だけは、確かな思いがそこに聞き取れただろう】


……まずひとつ。私の知人に、セシル・シュトラウスと鈴音という新婚の夫婦がいます
以前には闇の世界に身を置いていたらしいのですが、結婚を機に平穏な暮らしを望んで、今は夜の国に住まっているそうなのです
もし、可能ならば。この二人に戦火が及ぶようなことは、つまり貴女の死に場所に彼らの居場所は選ばずにいてはもらえませんか
友人、とはとても言い難い間柄なのですが……どういうわけか、彼らの平穏は壊したくないと。そう思ってしまったのです

……それから、月彗さんのことです。今挙げたセシルという男は、どうやら月彗さんの兄らしいのです。三人兄弟、なのだとか
その月彗さんが、今行方を眩ませて、各地で無差別殺人を起こしているらしく……

一般人を絞め殺しては、その死体を吊るし上げているのだそうです。すでに指名手配も行われているようです
私も救えぬ悪党です。彼の所業をどうこう言うつもりはありません。しかし、私にとっては彼は恩人というべき存在です
もし、月彗さんに会うようなことがあれば。セシルさんと鈴音さんが心配していた、と伝えてはもらえませんか

【紡がれるのは、また違う物語。奇書と葬列の物語だった】
【恐らくは、ベイゼにも関わりのあるだろう話だ。まさか、彼女の今の腕を作り出した相手が、自分が挙げた女性と同一人物だとは、知らなかったが】
【これも、やはり声音は淡々としてはいたが。月彗と、その兄夫婦のことを、珍しく気にかけているらしい様子が伺えた】
708 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/27(月) 23:23:27.35 ID:iJ8h/K5t0
>>693
すんませんww
セリフのつもりでしたwwww
709 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/27(月) 23:31:46.28 ID:kOLGHhrOo
>>708
/あ、いえ、あんまりスレに慣れてないように見えたので……
/差し出がましいかもしれませんが一度舞台裏に来ていただけたら色々アドバイスができるので、どうでしょう?
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 23:36:06.27 ID:67f2XsZH0
>>706

【ぴくり、華奢な背中――骨ばったというには少しだけ足りない小さなそこが、僅かに跳ねたようだった】
【苦い虫を噛んだように僅かに歪む表情は、ただ、そちらのふたりからは見えないもの。見えなくて良かったとも言えて】
【ゆっくりと振り返って見せた頃には、そんな表情はうかがわせなくて――ただ、きょとん、としてみせた】

えっと……、ナンパならお断りするの、わたし、旦那さん居るから……、……。

……ちょっとね、魔術の練習してて。それで、疲れてるかも――、

【馴れ馴れしい声、少女の言葉、ふたつの要素が合わされば確かにそうとも思えて、少しだけ困り顔】
【そういった反応というものを予期していなかったのだろう、少しだけ面食らったよな顔をして、返す言葉は】
【そっと左手を見せるのと一緒に行われる。――見れば、薬指できらりと煌くのは間違いなく“それ”であって】

【何かあったのかと問われれば。嘘ではない言葉をあっさりと吐いて、それじゃないか――なんて、僅かに笑む】
【あどけなさの残る顔立ちは夜の中では少しだけ浮く。少しだけ警戒したような色がどうしたって窺えて、】
【指差された足元、こんこんと爪先で地面を叩いてみせた。「大丈夫だよ」と口に出す変わりの、ちっちゃな仕草】

自警団のひとだなって思ったの……お仕事してるんだなぁって。

【口元に添える手、何も塗られていない素の爪先がきっと柔らかい唇に触れて、笑みのかたちをそっと強調する】
【やはり嘘は吐いていない。ただ隠し事をしているだけ――或いは追われる身であるのを、黙っているだけ】
【吐息をふわふわと揺らしながら口に出した言葉。ほんの僅かに褪めた目をして、その仕事ぶりに触れた】

ふたりは、……――ナンパ?

【――やがて少女が言葉にするのは、彼らの関係性。同じように声を掛けられたひとなのか、それにしては親しげに見えるか】
【けれど声を掛けてきた風を思い返してみれば、相手の少女が言ってみたように、そんな関係性にも見えてきて――曖昧】
【ちょんと首を傾げていた。その瞳には、「こんな夜に何をしていたのか」気にする色があって、純粋に好奇心のような、色合い】

【(ついでに自分のことから話を逸らせたら、なんて。ちょっとだけずるい考えが、裏にあったのだけれど)】
711 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/27(月) 23:51:36.33 ID:7H9+t1fko
>>707

【カニバディールの重い――いっそ重厚なまでの声に、明確な返事は無い】
【だが、僅かな抵抗や反論や、妙な付け加えもない。それで全て良い、構わない――】

【そういうようなニュアンスの沈黙がまた流れる。以前、機関員の時は無かったものだ】
【自覚しているという『根腐れ』、それが否が応でも感じられて、同時にそれを察した彼へと】
【ベイゼは改めて『ありがとよ』と短く、ようやく返事をした。追い詰められているのとも違った、が――。】

【―――ただ、続けてカニバディールからの話を聞くと、少し様子は違ってきて】

あぁ、そのことなら知ってる。と言うより、本人から聞いてるからな
新婦……鈴音の方が、「私」の数少ない友人でね。この間、詳しく聞いたんだ
夜の国に住んでいるってことまではどうだったか忘れたが……分かった、気をつけよう。

……と言うより、その二人はお前の知り合いか?
友人じゃない、っていうとまた奇妙な関係みたいだが……まあ良い、それより――

【「――月彗か」というつぶやきじみた言葉が漏れる。知り合い、というレベルではない】
【一度は死の淵から救われた相手であり、鈴音の以前に義腕を用意してくれた相手であり】
【お互いに親密なわけではなかったが、軽口を叩きあえる、これまた数少ない相手だった】

何やってんだアイツは……去年、クリスマスの前に会ったが……。
……まあ、月彗に関しちゃ俺も浅からぬ仲ってやつだ、探しとくよ

はぁ……俺の方も、ちょいとアイツに恩を受けすぎてるからな
それを返したいところでもある……居るとしたらやっぱり、路地裏だろうが……
……もし先に見つけたら、俺の連絡先、教えといてくれよ。

【話しに出た三人の内、二人は特別に知った人。まさか電話の相手の言葉を拒否するはずもなく】
【唯々諾々とそれを受けて、電話の前で頷きながら、茫洋とした都市の明かりに目を落とす】
【この何処かでまた誰かの首を括っているのか――そんな思いのまま、一つだけ彼に頼みを伝えて】

【――それから先、ベイゼから特別、何かを伝えようという様子は伝わってこない】
【死に場所≠フ話が、恐らく全てだったのだろう。話し相手が欲しかった――きっと本当の答えは、そんな所だったに違いなかった】
712 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/28(火) 00:04:27.54 ID:Rxq8VM/D0
【街中、大通り。ある程度人気のある夜の道に佇むは一人の人間】
【容姿の彩りは余りにも夜の闇に溶け込んでいて、今にも消えてしまいそうだった――のだが】
【生憎と、普段とは違い今宵の彼女は『ある事情』が原因で、いつも以上に人目を引いていたのだった】

―――――…『初散歩、って感じで連れ出してはみたものの、やっぱり目立つよなぁ』
『それにお前としてはお日様が当たる方が好みだったり?砂漠育ちだとそっちの方が慣れてるのかな』

――――――…『いやけど目立つかな、今以上に。世の中には猛獣を猫と言い張る人間が居るし、別にいいと思うけど…』

【グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカットの少女】

【―――人差し指を喉に当てれば、口を動かさずとも奏でられる可愛らしい声。それだけでもかなり異常と言えたが】
【この時だけは、通行人が見ていたのは少女ではなく、少女の“連れ”の方だった】

【その少女の傍に居たもう一人―――否、もう一頭と言うべきか】
【全身にビッシリと角が生え揃った凶暴そうな外見―――前足が小さいので恐竜にも似ている】
【背中には特に大きな角が二本生えていて、その間に専用の黒い鞍が装着されている、そんな大型の爬虫類】

――――…『おまえはあれだな、よく見ると本当に可愛いカオしてるよな』
『最初は肉食だとか思ってたけど、サボテンとか食べるらしいし…割とゆるふわなタイプ?』

「――――――――――――ぐるる」

【生物としての正式名称はハーダスフィリア――――愛称としてハーダなど、ここではなく砂漠の地で親しまれている生物】
【だからこそそれを連れて歩いている少女は、他の通行人より数倍は目立っていたのだった】
713 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 00:16:26.41 ID:XyezFHK2o
>>710

【確かに、彼女の表情は見えていなかった。けれど、先ほどの反応に加え、跳ねた様なリアクション】
【二つ合わさって、奇妙な違和感が胸中に生じていくのが、感じられた】
【――――だが、男もまた、それを見せない。至って変わらぬ表情と声。少女はそもそも、ずっと笑っていた】

「だって。残念だったわねぇ?」

だから違う、っつってんだろうが……
しかし、魔術の練習ねェ……旦那がいるんだったら、そんなに疲れるまでやんねえ方がいいんじゃねェの?

「そういうの、余計なお世話って言うのよ、ディハート。ほら、大丈夫そうだし。」

【実際にナンパと思わせるのは、男の外見もあるだろう。女性慣れしていそうな、そんな見た目なのである】
【ただし、本人が言う様に今回はそうではない。そもそもこんな少女と共にナンパするバカがどこにいようか】

【そして少女が言う様に、男―ディハートというのだろう―は余計なお世話な言葉を投げた】
【どうも先から、踏み込もう、という様子が見えない。それは彼女にとっては幸いかもしれない】
【しかし、この男の立場を考えるとどうだろう。どこか、形式的にやっておく、という様にも見えて】

……ああ、今は仕事中じゃねェよ、仕事終わり。
んで、ちょっと話してたってだけだ。

「それに、こっちもナンパじゃないわ。こんなのにナンパされてたらいつまでも此処にいないし。」

そもそも俺だって、こんなガキをナンパしようとは思わねー、っての。

【それ故か、彼女の目論見通りに話題は逸れていく。どうやらナンパではない様だが】
【それでもどういう関係性なのかは、明言しない。言う必要が無いと思ったのか、それとも言いたくないのか――――】
【ただ、恐らくは以前からの知り合いなのだろう事は分かって。そこから踏み込むかどうかは、彼女次第】
714 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/28(火) 00:29:23.37 ID:ZRdScTr0o
>>711
【カニバディールの方からも、それ以上の明確な言葉はなかった】
【全て、それでいい。この沈黙に、カニバディールはその意図を見出した】
【ただ、彼女がもはや機関に戻ることはない、という事実。それを改めて内心で惜しんだ】
【彼女の根腐れ、迫りくる運命、だが、彼女の言葉は追い詰められてのそれとは違った】
【『どういたしまして』、と。カニバディールの返答もまた、短かった】

本人から……?
……なんと、それは奇遇な。鈴音が貴女の友人だったとは……
夜の国に死んでいるということは、鈴音本人に聞いたことなので、間違いないかと

……ええ、何と申せばよいのか、私や彼女たちにとっても、奇妙な縁なのですよ
最初は、機関員と機関に悪感情を抱く者として出会い、緊迫した中で言葉を交わしたのですが……
一度、二度と会ううちに、互いに敵対するでもなく、ただ話すだけの仲となりましてね……

【シュトラウス夫婦との縁については、カニバディール自身にとっても奇妙な事柄であった】
【それについては、言葉少なに。共通する間柄としては、やはりもう一つの方だろう】

……正直なところ、彼の意図は私にもわかりかねます
ただ、セシルさんから話を聞く限り、半魔を含めた彼の目的と言える事柄全てに、決着がついてしまったようなのです
あるいは、それによって目的を見失ったことが、要因の一つとなっているのかもしれません……

ええ、お願いします。指名手配を受けている現状、おそらくは路地裏かそれに準ずるところにいるかと
……承りました。接触する機会があれば、貴女のことも併せて伝えておきますよ

【彼女が頼みを受け入れれば、感謝を述べつつ彼女の頼みもまた受け入れる】
【双方にとって、月彗は知り合いという以上の存在であった】
【カニバディールも自室の天井に単眼の視線を漂わせながら、今もどこかで彷徨っているのであろう、喪服の男のことを思う】


【そして、彼女がそれ以上の会話をする様子がなかったことを感じ取る】
【最初に気にした用件。死に場所のこと以上に、ただ話したかった。きっと、そういうことだったのだろう】

……もし、今後何かしらの情報が入ることがあれば、また連絡させていただいてもよろしいですか?
私も、所詮は明日をも知れぬ身ではありますが……

――――お話出来てよかったですよ、ベイゼさん
また機会があれば……あるいは、死後などというものがあれば。またお会いしましょう

【最後に、初めて彼女をその名で呼ぶと。カニバディールも言葉を打ち切った】
【彼女から、何らかの返答を得られれば。それを受けて、最後に別れの言葉を告げた後、通話は切られるだろう】


(……思えば、彼女との縁も奇妙なものだ。このような感情を抱くとは……私も焼きが回ったか)

【端末を耳から離して、カニバディールは自室の空間に視線を滑らせながら、一息ついた】
【ベイゼ・ベケンプフェン。彼女の生は、これからどのような展開を見せるのか。カニバディールにも、彼女自身にも、まだわからないことだったのだろう】
【所詮、この異形の大男は悪党である。あらゆる行動の根幹には、自らの都合が差し挟まる】
【だが、今回は幸いにして、彼女の意志に添うことと、自身の利益とが、一致していた。カニバディールは、再び端末を操作する】

……オーギュスト。すぐに、『スクラップズ』を全員集めてくれ。ヴェンドゥラーでの計画について、もう一度全体を練り直す

……詳しいことは、その場で話すとも。どのみち、必要なことだろう?
ああ、そうだ。例の地下クラブ……『ファニー・ゲーム・クラブ』への攻撃もなるべく急ぎたい
あそこを攻略すれば、ヴェンドゥラーは目前だ……そうだ、そのことについても、有利な伝手を得られるかもしれない。それについても、詳細を話す
……わかった。では、いつもの場所で頼む

(D.R.U.G.S.の……ビスク・フランコとの契約を得られれば、『ファニー・ゲーム・クラブ』の後始末も、その後の展開も、格段にスムーズになるはずだ)
(いずれ、彼とも接触を図らねば……)

【通話が切られる。カニバディールはわずかの間を空けた後、立ち上がった】
【異形は、歩き出す。己の欲望に向かって。己の邪悪を胸に秘めて。この男は、悪党であるのだから】
【ドアが開き、すぐに閉じた。去っていく部屋の主を、壁に掛けられた肖像画が見つめていた】

/この辺りで締め、でよろしいでしょうか? 二日間、ありがとうございました!!
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 00:34:35.45 ID:vsg2Bj5q0
>>713

【そうして見れば、ころころと態度の変わる少女はやはりおかしいと言えた。態度の変わるよな要因など、なかったのだから】
【始めはぎくりとして、背中まで跳ねさせて、今ではひと懐っこい風に笑ってみせている。ただ、先ほどの褪めたひとみ】
【ただ夜更けに出歩いているだけの悪い少女Aというだけではない何かが、きっと少女にはあるように思えたって、おかしくない】

でもね、いっぱい頑張ると褒めてくれるんだよ――よくやったねって、頭撫でてくれるの。
そのひとに教わってるんだ、いろいろなこと……、帰って寝たら、明日には元気になってるから。だいじょうぶ。

【くたくたになるまで頑張ること、その理由は至極簡単で、褒めてもらえたら嬉しいから頑張る、ただそれだけのこと】
【そう話す表情は今宵初めてなぐらいに柔らかく、本当に心からの言葉なのだろう、と察することは容易いぐらいに】
【少女の言葉に被せるような言葉は大丈夫なんだと余計に主張するように。実際、話している分には大丈夫らしいと窺わせた】

【とりあえずやっておこうという風な彼の態度、仕事ぶりとしては悪いのかもしれないけれど、彼女にとってはそれが良かった】
【かつて別の自警団員に突かれていたい目を見たことがあったから。ただ、彼女が報告も何もしていなかったこと、そっと感謝して】

そうなの、……でも仲良さそうに見えたみたい。そうじゃなかったらお友達かなって――……。

【ナンパじゃない。だとしたら知り合いや友達だろうか。そう移ろう思考は、どこか安堵したように朗らかな色】
【眼前の彼らはちょっとした違和感を探って探って本心までたどり着いてこない。そう思えたゆえに、僅かに素が覗きつつあって】
【口元で両手の指を絡ませながら、ほうと白い吐息を吐く。細めた瞳はどこか悪戯っぽく、からかうように笑んで――】

……ほら、仲良さそうだもの。

【あどけなさの残る顔に彩る悪戯色の花、彼らのその様子を示して、「お友達なんだ、」なんて勝手に決め付けてしまう】
【ただの知り合いというには気心が知れているように見えるから。くすくすと笑う声、違うならば違うと言ってやるのがいいだろう】
716 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 01:06:23.62 ID:Qmm3Z/vro
>>714

俺も色々と……お前がロッソと知り合いだったみたいに、顔は広くてな。
ともあれ夜の国には何かしらの出来事が無いようにするっていうのと……
それから月彗は……見つけ次第良いだろ。指名手配されようと、捕まるタマじゃあない

……しかしどうしちまったんだかな。前から妙なやつだったが、感じが違う
お前が言うように決着がついた、ってことなら……分からないでもないんだが。

【溜息が漏れた。まず浮かんだのはアナスタシアとしての、もう一人の自分と知り合った少女】
【先日、ベイゼという自身としても友になったが――思いがけない相手との話に出てきたものだ】
【ただ最初に出会った時のことを思えば、なんとなくカニバディールと鈴音の間柄は察せられて】

【その可笑しさとは反対に、自分でも形容しきれない感情が巻き起こるのが月彗のこと】
【心配とも違うが気にかかる。偶然電話の向こうで彼がそうしたように、ベイゼのまた上を眺め】

連絡を取れるならコッチとしても願ったり叶ったりだよ、カニバディール
生憎とUTのスパイが出来るほどの情報は無いが……お前は恩人だからな
力になれることがあれば言ってくれ。その時まだ死んでなかったら、だけどな?

っ……、……あァ。……馬鹿言ってないで生きろよ、お前は。
健闘を祈ってるぜ、ヴェンドゥラーの件……それじゃあな―――。

【思えばそう呼ばれるのは初めてか。場合によっては最後の会話だというのに】
【そこでようやく、というのは――ひどく、惜しいような気がした。けれども通話はもう、切れていて】
【言葉を飲み込みながら端末を仕舞いこむと、独りの屋上に姿を見せるのは黒い鎧】

……さーて、何処で死のうかべギーアデン。お前の事でもあるんだぜ、考えろよ
本当は自我持ちのくせに、狂気の肉屋の方が愛想があるってのはどうなんだ?

……ま、能力の所有者に似るんじゃしょうがないか。さてと、次はアイツのところに―――。

【意志を持ったマインドは闇に溶ける色合いながら、しっかりと己が存在を示しつつ】
【ベイゼはそれに語りかけて、答えのないのを知っていて――また端末を取り出した】

【掛ける相手はあるマフィア。既に夜更けだったが関係ないとばかりに、遠慮もせずにコールする】
【用件は決まっている。短くそれを伝えるとまた切って――彼女はゆっくりと、その場を後にしたのだった】

/ですねー!二日間、二場面に渡っての絡み、本当にありがとうございましたー!
717 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 01:10:05.41 ID:Q6RtCXPso
>>715

【幸せそうに語る彼女。最初に見せた妙な態度は、どこかに消えて見えた】
【違和感は変わらずあるのだけれど、それを突き付ける点が見当たらない】
【故に、胸に秘めたまま。そのまま二人は話を続ける】

「あーあー、幸せそうで何よりで。疲れが溜まって体壊しても知らないけど。」

――――ま、自分たちがそれでいい、ってんだったら俺は何にも言わねえさ。
エリーも、『余計なお世話』、だろ?

【『“アイツ”だったらどうか分かんねえけど』と小さく呟いたのは、消えてしまいそうな声で】
【一体誰の事を言っているのかは分からないけれど。その一方、彼女とは対照的に少女の方は些か表情が曇っていた】
【他人の惚気にどうこう、という風でもない。男を見据える冷たい目はただ、男の何かが気にかかったという様子】

【――――彼女は知る由もないだろうが、この男、見掛けに似合わず仕事は真面目にやる、という男で】
【それが何故か、この有様。まるで、そう――――別人の様であった】

友達……まあ、友達っちゃ友達だが――――

「……何を考えてるか知らないけど、そういうのじゃないわよ。」

ん……――――あァ、ちげェぞ。こんなクソガキに興味なんざねえし、んなロリコンでもねえ。
つーか、6歳とか7歳の頃から知ってる相手にそんな気持ち出ねーだろ。

【何やら意味あり気な彼女の言葉に、少女は呆れたような――所謂ジト目】
【男は男で、少しばかり面倒そうに否定の言葉を紡ぐ】
【言われてみれば男は20代半ばほど、少女は10代前半。ざっと見積もって10は年齢が離れているわけで】

【それから――――ゴツ、と鈍い音。少女が男の脛を蹴りつけていた。『誰がクソガキよ』と低い声】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 01:34:36.30 ID:vsg2Bj5q0
>>717

【そんな疑念を抱かれていることを少女は分かっているのだろうか、否、きっと分かっていないはず】
【“上手くやった”ようなつもり。そんな部分が少しだけ詰めの甘いところと言えて、ただ、今は平和】

そしたら看病してもらう。……あ、でも、ご飯とか作らないとだから――、……、

……あいつ?

【体調を崩したって万事オーケー。続く言葉は前もって用意してあったぐらいに順調で、当たり前のように】
【ああでもと続いていくのは、少しだけ困ったような声音だったというが――まあ、その話もここでおしまいだ】
【終わったお話のかわり、少女が気を留めたのは彼の言葉。“あいつ”と示される誰かを、少女は当然知らないから】
【この場で示される“あいつ”とは誰なのだろう、と。薄ら疑問系で言葉を飾って、そっと首をかしげてみせた】

そう、……わたしもね、ちいさい頃からのお友達、居るよ。八つの頃と、十の頃かな……、会ったのは、
……ずっと会ってなかったけど、最近会えたんだ。去年の冬頃……もう一年も前になるかな。

でも、そうやって話せるお友達が居るのは、いいことだと思うから……。

【お友達。やはり予想は合っていたのだといわれれば、少しだけご機嫌めいてはにかむ色合い】
【そうして話すのは自分のことで、どうやら彼女にも昔なじみの友達が居るよう。そっと、回想するようにしたなら】
【数年越しに再会したらしいことを口にする、眼前のふたりとは違った、友達との軌跡の一端、そっと教えて】
【――足元から響く鈍い音には、少しだけ驚いたような顔をした。少しだけ心配するような顔をしてから、】

……――あふ。ううん……、ごめん、やっぱり疲れてるみたい……、
今日はもう帰るね、急なんだけど……、

…………そう、わたしね、りんねって言うの。鈴の音って書いて、鈴音。苗字が、シュトラウス。

【急に零れる欠伸、咄嗟に口を手で隠すけれど、ほんの端っこ、おおきなくちがちらりと覗いてしまって】
【ぐしと目を擦るうちにももうひとつ欠伸が零れ落ちる。こころは元気なつもりでも、やはりからだは疲れていたよう】
【少しだけ考える素振りを見せたが、結局は帰路に着くことを決める。そもそも、ここが帰路の途中だったのだけれど、】

【――思い出したように告げる名前があった。最後にふたりの名を聞くようにすれば、それから少女は立ち去るだろうか】
【はじめにどこかへ向かおうとしたように、ふたりに背中を向けて――視界から消える間際に、黄緑色が煌いた気がした】


【(――二、三年前をピークに連続的に起こっていた事件があった。一連の総てが同一犯だろうとされていたもので、)】
【(簡単に言ってしまえばひと死にだ。何が異常だったかと言えばその方法で、全員が骨までも溶かされて殺されるということ)】
【(狙われたのは男ばかり。それも眼鏡だとか、白衣だとか、黒髪だとか、どうにも似通った人間ばかりで、女には興味がなく)】
【(そうして生き残った人間は一様に犯人は少女だと告げた。“赤と黒の瞳をした少女”が、“泣き叫びながらそうする”のだと)】
【(けれどそれらは去年の冬を区切りにぱったりと途絶えていて、ほんの少しだけ、路地裏の闇が平和になった)】

【(どうしようもなく血塗れたこころとからだで生きていた。本当は、こんなしあわせに生きることなど赦されないはずなのに)】
【(たまたまばれなかったというだけで、それらのことは自警団の記録に残っていることだろう。ただ、彼女に繋がらないだけ)】
【(それを繋げた自警団員が過去にいた。見逃してもらっただけで、泳がされているだけで、そんな、危ういしあわせの上に生きていく)】

/おつかれさまでした!
719 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 02:21:22.02 ID:5nkQ2gTfo
>>718

ああ、聞こえてたか。それなら――――気にするな。

【親しげに話し掛けた時の声とは全く違う、冷たい声。二人だけで話していた時の声が、それに近いだろうか】
【表情だってそうだ。口の端に笑みが浮かんでいる事が多かったが、真剣な表情で】

【一方の少女は、『言わんこっちゃない』とでも言いたげな顔でため息を一つ】

「ま、ここまで来ると友達っていうより家族に近いけど。何であれ、話相手がいるのといないのじゃ大違いよね」

……っふぅ……まあ、何だ……っ……そういう繋がりは……っ……大事にしろよ……

【しゃがみ込みはしないものの、けっこう蹴りは堪えた様子。男の言葉はところどころ詰まり気味】
【少女は何事も無かったかの様に涼しい顔をして、彼女に話すのだから何とも両極端】

「そう、鈴音、ね。名前は……――まあ、エリーゼでいいわ。」

俺はディハート……あー……ディハート・グリムジャックだ。知っての通り自警団。
まあ何だ、気を付けて帰れよ。夜ってのは――――

【『何が潜んでるか分かんねえからな』】
【去り行く背中に掛ける言葉。忠告の様であり、しかし意味深長なもの】

【いや、それ以前にこの男、何故、自分の名を名乗るのに悩む様な間があったのだろう】
【少女の方だって、『エリーゼ“でいい”』というのは一体どういう……?】

【しかしそれも、確かめる者はいない。彼女はもう、行ってしまったのだから】

「全く……気抜きすぎ。“アイツ”とか口に出してどうするのよ。」

仕方無えだろォが、つい出ちまったんだからよ。
つーか、わざわざ“アイツ”の振りしないといけない状況にしたのはテメーだろうが、あァ?

「あーもう、何でもいいけど、大事なところでそういうミスしてマスターの邪魔になる、なんて事はしないでよね。」

ハイハイ、っと……そろそろ俺も裏ァ引っ込むから、さっさと戻れよ。

「わーかってるわよ、じゃあまた、何かあったらこっちにも連絡入れなさいよ?」

【広場に残った二人、繰り広げるのは不思議な会話。ただ、断片的な言葉では真実には繋がらない】
【やがてエリーゼも何処かに消えたら、ディハートの纏う空気が、変わる】
【親しげに話していた時も、二人で話している時も、どこか棘があった。それが、刹那にして消え失せたのだ】
【演技だとか、そんなものをする必要はないはず。ならばこれは――まるで、別人】

――――ん……ああ……また飛んでた、か……

【だがそんな彼もまた、歩き出していく。また明日、その明日を迎える為に】
【無駄に艶のある金の髪が闇夜に消えていったら、いつの間にか広場にいた人は皆、いなくなっていた】




/お疲れ様でしたー!
720 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/28(火) 03:07:58.37 ID:ZRdScTr0o
>>714
/すみません、今更ながらひどすぎな誤字なので訂正します……
/夜の国に死んでいるということは→夜の国に住んでいるということは
721 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/28(火) 07:57:40.76 ID:5vm+5fHC0
>>709
/わかりました
/色々ご迷惑をかけます
722 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 21:00:42.58 ID:gCxlmVq8o

【夜中の路地裏──。月明かりが僅かに差し込む闇の世界で二つの影がぶつかり合っていた】


追い詰めましたよ、悪業怪人!正義のトランプ攻撃を喰らえ!

【深々とシルクハットを被る酷く目付きの悪い男が3枚のトランプを投擲する】

【彼は漆黒のスーツを身に纏い、星柄のモノクロマントを羽織る。黒尽くめ、故に両手の手に】
【付けられた白い革手袋は良く映えた。肩には奇妙な鋼色の翼を持つ雀が止まっていた】


『げっへっへっへ!この俺様をここまで追い詰めるとは見上げた人間だが、こんな蝿の止まりそうな攻撃、避けるまでも無いが一応避けといてやろう!』

【素早く投擲されたそれらを軽やかにジャンプで回避するのは、彼とはまた別の意味で全身を黒く染め上げた異形の者】
【全身バッタ人間──というか、二足歩行する巨大化した黒いバッタとしか言いようの無い不気味な怪人であった】

【高く飛び上がったバッタ怪人が飛び蹴りの姿勢を取った瞬間、3方向から鎖が伸び、怪人を拘束した】


『ギギギ、喰らえ、バッ………。──ッ!おのれぇ!こしゃくなまねをぉぉおおッ!』

ふッ、闇雲にトランプを投げたと見せかけ、均等な距離の三箇所にトランプを設置していたのです!!
設置したトランプから鎖を生やすことにより、相手を全方向から拘束する、その名も必殺────────。必殺……。

【男のテンションも最高潮を迎え、戦いも大詰めだったはずだが、何があったか、ここで男の動きが止まってしまう】


え──必殺……。鎖だからチェーン……。じゃなくてトラ、トラ……いあんぐる……。

【何かを捻り出すように手袋を強く噛みながら俯きながら男は考えこんでしまう】
【なんだかよく分からないが、拘束されつつも怪人は暴れており、鎖は解けそうであった!】

723 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 21:00:50.52 ID:gBcYR76Lo
【路地裏】

【慌ただしく走る足音と、間断無く鳴り響く発砲音、怒号。自警団による捕り物のようだが】
【其れ等が突然、無音になった。しんとした静寂の中、やがて下駄の足音が聞こえ出す】

嗚呼五月蝿い、まだ耳が痛むわ……
通行の邪魔して飽き足らず、がたがた言わしよって。阿呆らし

【現れたのは、黒の紋付羽織に袴姿という、櫻式の喪服に身を包んだ線の細い男】
【肩口で切り揃えた白髪に漆黒の彼岸花を差し、切れ長な目は深い葡萄色】

【がしゃん、と銃の落ちる音がした。上を見れば、無残に首を吊られた自警団員達の姿】
【彼らは皆、廃ビルの上階部分に根ざした、青藍色の植物の蔦で高い位置に吊られている】
【植物はこの世のものとは異なる造形であり、燐光を放ち神聖な気配すら漂わせていた】

【そして、その青藍色の魔力を引き連れているのが、冷え切った目をした件の男】
【彼は己の作り出した光景を一瞥すらせず、何事も無かったように路地の奥へと歩んでいく】
724 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/28(火) 21:47:37.38 ID:LgE4gmz0o
【波止場】

【昼夜を問わず照らされた大きな工場がごうごうと稼働続けている】
【その対岸であるここは潮風で錆びた倉庫とコンテナ群に囲まれた一種の廃墟だ】
【横付けされた巨大な貨物船とクレーンが不気味な壁のようにくすんだ潮風を浴びている】
【夜の湾港は映画のワンシーンのように目も耳も静かで優雅なものじゃない】

【ヘッドライトが光っている。一台の高級車と一台の古いロングノーズのツーシータ】
【二人の人間がその間に居て、ボンネットの上でアタッシェケースを広げていた】
【行き交うのは宝石類。そして現金の束が山のように。単なる宝石商とトレーダーでは無いだろう】
【宝石を持ち込んだ男はサングラスをかけている痩せた背の高い男だ。黒髪で黒いスーツ姿だが】
【細身のモッズスタイルには小奇麗も高級も似合わない。彼のくわえている煙草の香りとドブの匂いだ】

『――どれもいいものだな。』
ああ、イメルダの家から盗んできた。…ヤツはマニアだ。
『どおりで…じゃ、次も頼むよ。ミスタ、ロッソ。』
…お互い、死ぬかパクられるか無けりゃな。

【宝石商の男は金の入ったケースをサングラスの男に渡すと、高級車に乗って走り去った】
【ここはそういう奴らが何かするにはうってつけの場所だったということだ。残された男はカバンを車に投げ込んで】
【暫くタバコを吸っていた。撤収するにも時間を明けた方がいい。こっちもあっちも追われている身】
【着けられているかもしれない。慎重に物事を進める。車に腰掛けながら煙草の煙を吐き出した】
725 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/28(火) 22:10:07.17 ID:E4XNE14Oo
>>722

【――――――コーン、と響く音、路地裏に反芻するどこか間抜けな音色】
【うつむき考える男の後方、振り返ったなら怪人の頭に振り下ろされる分厚い本】
【それは最早鈍器と形容されるべきハードカバーの本を思い切り、その怪人の頭に振り下ろそうとするのだろう】


ハァ……ハァ……何やら叫び声が聞こえたから、かけつけてみれば……
悪人退治も結構ですが、トドメはきっちり刺してくださいね
この方も、今にも鎖を解いて逃げ出してしまいそうでしたよ

そしたらどうするんですか、ついうっかりじゃ、すまないんですからね


【響き渡るのは凛とした少女の声色、ソプラノは弦楽器のように張り詰めた清涼な音色で】
【視線を傾けてみれば、ハードカバーの本を抱きしめる形で胸元に抱える少女が一つ】
【月光を浴びる可憐な姿を、そこに曝け出しているのだろう】

【腰まで届くような紫苑色の長い髪を白いリボンで一本に結って】
【純白のブラウスの上に臙脂色のケープを羽織って、胸元には大きなリボンをあしらう】
【同系色の短いスカートとニーソックス、しなやかな脚のラインをくっきりと示す】

【特徴的な紫苑色の瞳は彼女の童顔に似合っており艶やかに映る】
【純白の素肌はやや弱々しげだが、知的な印象と幼気な印象を与えるスラリとした体躯の少女】
【小さな手を包む白磁のような手袋がその手にピッタリとあっている】

【まったく、と言いたげにため息を一つついたなら、こほこほと咳き込む仕草を見せるのだろう】
726 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 22:38:18.10 ID:gCxlmVq8o
>>725

【その凶刃な足腰と頑強な装甲!そして背中の羽の振動をもってすればどんな鎖だろうと長くは持たない】
【怪人にまとわり付いていた鎖は一本、また一本と外れていき、そして最後の一本が、破壊されようとしていた──】


『ギギギ……ッ!戦闘中によそ見をするとは、この大間抜けがぁああああああッッ!天国で己の愚かさを悔やめぇ!バッ────』

【拘束が解かれ、飛び立とうとした、まさにその瞬間であった──本来の用途を忘れてしまうほどに凶悪な武器とかした鈍器≠ェその頭を叩き砕いた】


『ぐげェ────z______ッッ!!書籍を武器にするという背徳!不意打ち……それも、横槍だとォ……ッ!そんな、悪事≠……この俺様以外の奴がぁ──ッ!許せんッ!』

【怪人は頭から血を吹き出しながらよろよろと壁際に向かって倒れこんだ。既に激戦を繰り広げていたのだろう。満身創痍である】


『こ、これまでか……ギギギ……だが、この世にその悪の心がある限り……!ブラック・バッド・パワー≠ェある限り、
俺様は何度でも蘇るぞあああああああああああああああああああああああ』あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!

【──爆発!怪人は跡形も無く消え去った。それにしても叫びが長い気がする。ここで、数秒巻き戻る】

……。

(鎖だから、チェーン……三角形だからトライアングルは外せない……だが、これじゃそのままじゃないですか!相手を倒していない以上、必殺とはいえない……!)
(攻撃を加えないと……トライアングル……チェーン……攻撃……正義の鉄槌……聖なる……ディバイン……アタック……!これだ!)

必殺!トライアングル・チェーン・ディバイン・アタック!TCDA!トランプを投げて相手を撹乱しつつ、鎖で拘束して動きを止める!そして、最後はディバインエンド!正義の鉄槌でトドメを指す、まさに必殺の一撃!
喰らえ、怪人!ディバイーン、エエエエエエエエエエエエエエン……。

【ド。と言い切る前に、状況がまったく変わってしまっている事にようやく気がついた。怪人はいつの間にか鎖から抜け。知らない少女と頭から血を流しながら話してこっちを見ちゃいない】
【しかも、その数秒後──爆発!──────】

うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!

【と、まあこんな感じで、怪人の最後の叫びを延長する様に男が少女を指さしながら叫んでいたのであった】
【なんて事を!と絶句した表情で、怪人に叩きこむために振り上げた右腕が地に向けて下ろされると、ガクリと彼もまたうなだれてしまった】

727 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/28(火) 22:41:34.06 ID:zuKzUwPZo
>>723
【路地の闇へ消えんとする背中へと、不意に細い声が投げかけられた】
【詩でも吟ずるような奇妙な抑揚を伴った、透き通るような声だ】

「志半ばにして、このような……あな悲しや、恨めしや」

【夜更けとはいえ丑三つ刻まではまだ間がある。化けて出るにしても、随分と早い】
【またその声色は、立ち去ろうとする彼が殺めたのであろう団員の何れとも違っていた】
【喋る暇も与えず縊り殺したのであれば、無論、知る由も無いだろうが】

「この未練、晴らさでおくべきか?」

【くつくつと喉を鳴らして、朗々と声は謳う】
【もし男が振り向けばその後方、乱立する建造物に区切られた空に浮かぶ月を背にして】
【亡霊めいて希薄な気配の、和装を着流した人影が、佇んでいる】
728 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/28(火) 22:48:10.66 ID:E4XNE14Oo
>>726

【――――――鳩が豆鉄砲喰らった、どころかマシンガンで豆を掃射されたが如く】
【ぽっかりと口を開けて、唖然、な表情の彼女、大きな紫苑色の瞳がぱちくりと呼吸をして】
【目の前で爆発し、消えていった怪人の叫び声が、きんきん、と耳の奥にまだ響いたままの頃】


もう!人をそんな風に指ささないでください!あと煩いです!あぁ……もぅ……
さっきの変な人も、こっちの変な人も、声大きいんですよ……うぅ、耳がまだ痛いです
ハァ……もう、変な人と関わっちゃったなぁ……


【変な人を三連打、此方を指さす男に、少しだけむっと表情をしかめさせて】
【長い髪の尾っぽが揺れたなら、真っ直ぐに視線を向け言葉を返すのだろう】
【一輪、月の下に咲く花のように凛と咲き誇る頬の様子、意思の強そうな紫苑色の瞳】

【それでも尚、可憐な声色や背格好が、少女の刺を薄くしていくのだろう】
【困ったように視線を逸らしてため息を付く様子は、苦労人っぽい色合いで】
【睫にかかる前髪を、白い手袋に包まれた指先で、そっと逸らせてみせた】


大体ですね、正義の味方が油断しちゃってどうするんですか
戦闘中に相手から目を離すだなんて言語道断!呆れて物も言えません
何やら知りませんけどJustice≠語るならそれぐらいの意気込みは――――――


【くどくどと口上を述べる少女、それこそまるで講義をするがごとく、少し上向きの目線で述べる】
【ソプラノが形を作ったなら、言の葉の輪郭は、指で触る度にチクリとその先に血溜まりを作るぐらい】
【ガクリと項垂れた貴方を追撃するかのように、早口で捲し立てて】

【――――――もう一つ、大きく少女の、小さな背中が跳ねた】
【華奢な背筋を猫背にして、丸まったなら、ごほごほと何度か大きく咳き込む】
【苦しそうに歪む視線の端、長い睫毛が少女の頬の白さを強めた】
729 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 22:51:23.09 ID:gBcYR76Lo
>>727

【音も無く立ち止まり、振り返る。紫色の双眸が、其の人影を穿つ】
【その視線は怪訝な色をしていた。今迄此処には居なかった筈の声に、訝しげに】

……未練? そないなもの、知った事や無い。
寧ろ……いや、ええわ。 ……誰や、そっちは

【男は和装の人物に問い掛けつつ、その掌中に青藍色の燐光を結束していく】
【そう間もなくして出来上がるのは、鋭く硬質な花弁で構成される一輪の蓮】
【作り上げた時点で止めて、まだ其れより先の動きは見せない】
730 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 22:52:28.00 ID:cVOmRvcM0
【寒さも厳しくなり始めた今日この頃。大通りに面した銭湯も実によく賑わっていて】
【親子連れや独り身、カップル等様々な客層が見られる事だろう】
【そんな中、掲げられた特徴的な暖簾の前で悩ましげに行き来する姿が一つあり】

【一切の乱れなく着こなした軍服に制帽。眼帯で右目を多い、軍刀を腰に提げている姿は容易に性格を連想させるだろうか】
【腕には“自警団”所属を示す腕章を通しており、更には其処に“SCARLET”所属を示すバッヂも付けてあって】


「…………悩むでありますね。日々のご褒美と称して温泉に浸かるのも良いでありますが、向こうでは同じ金額でパフェを食べられるであります
なら、向こうで何か食べた方が…………む、むむ…………迷うでありますよ」

【時折財布を確認すれば、銭湯の入口と、また直ぐ近くにあるレストランの入口とを見比べて】
【少しすれば再び歩き始めて、自分の煩悩と格闘するのだろう】
【温泉に入るべきか、それとも甘味でも食べるべきか。優柔不断な少女からすれば其れは中々に難しい選択】
【さて、その呟きを聞いた者が横から声を掛けたり、或いは顔見知りが誘うなりすればまた結果も異なるのだろうけれど――――】







【夜も遅くなったにも関わらず、賑やかな街】
【露店やら何やらが所狭しと並んでいて、眺めるだけでも楽しい気分にさせそうな其処】
【様々な人々が入り乱れるのだが、その中でも一際珍しい職の者――――教会に属する者が人混みを縫うように歩いていて】


「――――これだけ有れば良いかな?
駄目だったとしても…………まあ、急いで焼き足せば良さそうだし。その時にはグロリアを無理にでも引っ張ってくれば解決、かな」

【ぶつかりそうな人物が前から来れば、器用にも避けて。その紙袋の中から適当なパンを取れば食みながら歩みを進める】
【修道服を纏うべき者らしからぬその行動であるが――――例え好奇の眼差しを向けられても、本人は意にも介せず】
【マイペースと言うべきか、其れを纏う者らしく無いと言うべきか。何にせよ、本人はそのパンを美味しく食べている事だけは確かである】


「ちゆりも話があるなんて言ってたし――――あーあ。遊ぶとしたら今の内かな…………って
思い返してみれば去年も大分遊んでいた気がするけど――――っと…………?!」

【上の空で歩いていれば、咥えていたパンが口から落ちて】
【慌てて其れを拾おうと前屈みになれば――――当然足も止まり】
【ともなれば、誰かがぶつかっても不思議では無い話。これより先は仮の話だが】
【ぶつかったとなればその体勢も災いして、前後にふらりふらりと蹌踉めき、バランスを保とうとする事だろう】
【救いの手を差し伸べるも良し、尻餅を着いたまま結末を見るも良し。或いはちょっと押して止めの一撃を与える手もある】
【どの様な話に転ぶのか。其れは相手に委ねられていると表しても過言では無く――――】

731 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 23:12:39.15 ID:gCxlmVq8o
>>728

わ、私が……トドメを指すはずだったのに。

【最初に出てきた言葉は、歳相応とはいえない、子供じみた文句であった】
【見た目、年齢としては20代前半といった所だろうか……少女≠相手に言うには情けなさすぎる】

 【変な人】 うッ。
        【変な人】 ウグッ!
 【変な人】 ぐはぁ!

【変な人を連呼(内一つは怪人宛)されて、のけぞりつつも。最後のお楽しみを奪われた男の怒りは収まらない】
【だが、反論しようと、何か言おうとするものの、言葉に詰まってしまう】

────うっ……ううッ。

【それもそのはず彼女のお説教には何も言い返せなかった。というか、怪人が既に拘束を解かれていたという事は】
【一応、男は、少女に助けられた──という事になるのだろうか、これ以上つっかかるのは正義としても男としても、恥の上塗りにしかならない】


……いや、まあ、それに関しては……マジ、すいませんって、言うか、どうも、ありがとうございました、というか……。

【小さくなっていく男。彼の肩に止まった鋼色の翼の雀が、「しっかりしてくだせぇ兄貴……」と言わんばかりに悲しげな鳴き声でチュンと鳴いた、いや泣いた】
【お辞儀をスルようにだらんと頭を垂れていた彼はゴホンと咳をする少女をバツが悪そうに見ると、】


ああ、もう。良いじゃないですか!終わった事は!大体、こんな時間にこんな場所を女性が出歩くもんじゃないですよ。
正義の活動に忙しい私ならともかく、──なんでまた、こんな場所に来るんですか、危ないでしょう!関心しませんね!寒いですしね!夜!風邪ひきますよ!

【と、少女を気遣う素振りをして話を逸そうとする男であった──】

732 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/28(火) 23:21:22.49 ID:E4XNE14Oo
>>731

【割りかし弁は立つ様子で、少し得意気に貴方を見ていた、が】
【口に反比例してあまり身体は強くないのか、寒空の下、冷たい夜風に静かに身を寄せる】
【ケープに身をそっと沈めて、吐く息の白に、頬の色が溶けていくみたい】


そりゃあれだけ騒がしくしてたら、興味の一つだって持ちますよ
一応お仕事も一段落していた所だったので、興味を惹くにはちょうど良かったんです
……それに、まだ、未練だって――――――


【くすっ、と少女のほっぺたが緩んだ、綻んだ頬から溢れる微笑みの声色】
【透き通る鈴の音のよう、夜風に乗って流れこむ響きはどこか人懐っこい笑みにも似て】
【白百合のような柔肌に長い睫毛を溶かしてみせたなら、そこに浮かぶのは可憐な微笑】

【彼女の言葉通り、貴方の怪人との熱戦はだいぶ騒がしかったようで】
【次の日になって、周囲の町の人のちょっとした話題の種になったのは、また別の話】
【微笑みの残照がどこか霞むみたいに、少しだけ濁らせて、指先でかき消した】


ところで……先ほどの変な人、は……一体何だったのでしょうか
正義の活動に忙しい貴方なら、知っていても、おかしくないと思いますが


【分厚い本を近くの荷物の上に置いたなら、少女の両手が空っぽになって】
【白い手袋に包まれた小さな手を口元に持ってきて息を吐く】
【雪の中に溶けた涙みたいに、潤いに満ちた瞳が、貴方へと問いた】
733 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/28(火) 23:34:30.73 ID:zuKzUwPZo
>>729
【月明かりに目が慣れたならば、訝る視線の先に浮かび上がるのは、中性的な背格好をした女の姿だ】
【白皙、青みを帯びた黒髪。着流した群青色の紬の上から外套を羽織り、腰には大小を差しており】
【当然ながら、足もある。やはり亡霊ではないらしい。足袋に雪駄を履いている】

そっちが知らなくたってこっちが知ってる。だいぶん前、手配書で読んだのと同じ手口だ。
老婆心から言わせてもらうが、派手好きは長生きしないよ。やり過ぎだ。

【からからと鈴の声で笑いながら、そう忠告する女。余裕とも親しみとも付かない態度のまま、ゆるり】
【流れるような足取りで、一歩、また一歩、彼我の距離を詰めてゆく。まだ、事を起こす様子はない】
【歩きながら、男の掌中に蓮が萌え出るのを一瞥】
【「蓮は泥より出でて泥に染まらず、か──とてもそうは見えないが」と、暗に相手を皮肉った】
734 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 23:39:30.27 ID:gCxlmVq8o
>>732

【夜風に震える少女に、「ああ、もうほら」と、周囲にハートのトランプカードをばら撒き指をパチンと鳴らせば】
【男と少女の周囲をジンワリと温めていく、カードが発熱しているのだろうか、ぼんやりと赤く光っている】


ま、祭り事に気が引かれる気持ちは分かりますがね。
私なんてそれだけを楽しみに生きている様なものですからね!

【その人生はいかがなものだろうか……。】


あの怪物はバッド・ホッパーと呼ばれる怪人の一種ですね!3、4年程前に各地を騒がせていたのですが、
ここ数年は出現の情報は聞かなかったんですがね────。奴らの動力は人の悪や正義のココロ……らしいですよ?

【確かに死に際に、その様な事を言っていた。彼はヤツら、というからにはあの一体だけではないのだろう────】
【そういえば、この世界も少し前、ずいぶんと静かだった時期があった。怪人が姿を表さなかったのはその影響があるのかもしれない】
【しかし、ここ数年、再び世界は良くも悪くも賑わいだし、正義と悪の争いも激化しつつある────。それにともない、怪人も再び現れた。それはつまり───】


良からぬこと≠ェ、おきつつあるのかもしれませんねぇっ。

【ンフフ、と実に男は楽しそうに笑った。善良な市民(多分)を前に不安を煽るような事をウキウキとながら】
【悪の怪人を倒す一方で、善人とは少し外れた感覚を持つ彼は、正義に熱いというよりは、正義の格好良さ≠ノ熱い男なのである】
【悪と戦うという行為はヒーローショーに乱入するような気分なのだろう、実に子供っぽい】

735 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/28(火) 23:49:41.65 ID:gBcYR76Lo
>>733

……嗚呼、変なの。可笑しい話……何でやろ?

【相手の忠告の後にぽつりと呟いたのは、前後に脈絡のない言葉だった】
【刀を差し、手練に見える女、その証左に淀みない足取り――なのに、だ】

【掌中の蓮の花が、そよ風に吹かれるようにして霧散していく】
【その一片が術者たる男の細指をぴりと裂いたが、切り口は血さえ零さない】
【其れどころか、映像を巻き戻す様にも似て、傷口は塞がっていく】

【何れにせよ、今の男は何も持たない】
【少なからず強者であろう相手を見て、故意に武装を棄てたという事になる】
【それにどう応じるかは相手次第であろう。間を詰められて尚、】
【男は再度何かをする構えは見せなかったが――、不意に口を開いて】

……派手、か? どう思う? 此れ、見て。
心の其処から安らげる光景やて、思わへんか?

【――どう思うも何も、死体の吊り下がる光景でしか無い】
【それがどうもこの男にとっては違う意味を示すようだった。月の欠ける様に似て、口角が上がる】
736 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/28(火) 23:49:59.18 ID:E4XNE14Oo
>>734

【視界を彩るトランプの絵柄、疑問に思うよりも早く、それらが発光する】
【響き渡る温もり、寒さを和らげて、心地よい温もりをそこに演出するのだろうか】
【少女は感嘆の声を漏らすのだろう、温もりに包まれて、頬を緩ませながらも】


これは……能力でしょうか、トランプの能力……珍しい能力です
何だか、貴方らしい能力だと思います、見た目とか言動とかが、ピッタリな
ハートの絵柄が熱なら、他の絵柄だったら別の能力だったりするんでしょうか


【興味に目を真ん丸にしながら、少ししゃがみこんで、周囲のトランプカードに視線を向ける】
【真面目そうな言動と同じく、好奇心旺盛なのだろう、じぃと覗きこむ横顔はとても集中していて】
【真剣そうにトランプを眺める姿は、どこかの研究者のように静かで】

【祭り事を楽しむ貴方の様子に苦笑を浮かべながら、そちらへと振り向いて】
【続く貴方の言葉に、少し表情を曇らせる――――――そのバッド・ホッパーの噂に】
【正義と悪=\―――――その響きに、どこか気になることがあったのか】


……良からぬ事、ですか……嫌ですよ、もう戦いは……
敵味方も無く、誰かが傷ついて、誰かを傷つける、そんな繰り返しはやです
それでも貴方は、戦うつもり、だったりするんですか?


【しゃがみこんだまま視線をあげた、見上げる紫苑色の瞳が、じぃと貴方へと溶ける】
【大きな瞳は幼さと同時に、どこか痛々しさを秘めて、弱々しい身体を飾り立てる】
【口から零れた旋律は、貴方のウキウキとした気分に水を差すように】

【戦うこと、それ自体を嫌っているのだろう、その気持ちは無理もない】
【――――――その割には、慣れているようにも見えるだろうか】
【躊躇なくえいや、と本を振り下ろした姿などは、それこそ手慣れた様子で】
737 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 00:08:18.35 ID:kljpDX3oo
【小高い丘――近くにはぐれ街が見えるその場所に、一つの影】

「どォれ……」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【その者が抱えているのは、人の頭部ほどの大きさでどこか神秘的な蓋付きの"ツボ"だ】
【まるで貝のようなその蓋が独りでに空いたと思えば――中に入っているのは、"深い深い混沌と深淵"】
【その中から、"虹色に渦巻く、エネルギーと思わしきもの"を右手で掬い出すと】

「……良ォい、良ォいぞ――、質・濃ォ度共に"旨ェ"――"奴"の機ィ械も、中々良ォい働きを見ィせてくれた」
「…………だァが、もォー少し何かを"ブゥレンド"しィたいところ、……うゥーむ、どォーするか……」

【――それを口に運び、飲み込んだ】 【そして邪悪な笑みを静かに浮かべたかと思えば】
【ツボの蓋がやはり独りでに閉まり、その者は頭をひねり始めるのだった】
738 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 00:11:48.52 ID:X1DrISlqo
>>736

【ザンネンながら、いくらトランプを見てもその種は何も分かる事は無いだろう】
【魔力の反応も無ければ、科学的な反応も見られない。なのにトランプは発光しながら熱を放っている=z
【その種も仕掛けも分からない。何故なら、種も仕掛けもない手品、それが彼の能力なのだから──】


おや、能力に興味がおありか、──?残念ながら私の能力は明かせません、明けられません。
何故ならば、──私の名は、夕闇の世界を照らす銀の閃光の奇術師!リロード・ザ・マジシャンだからですッ!!

【両手を大きく広げてから、交差するポーズをビシィ!と、決めながら、名を名乗るリロード】


ほう、争いはお嫌いか?まあ、そうでしょう。だが、私は能力者≠セ、戦う力のみを持った者だ。
それが争わずして傷つけずして、守らずして──存在の価値はない。
己の価値を見出せない場所に立つ価値はない。戦わずして何処に居場所があるというのでしょう。

【争いの歴史は能力者に存在価値を与える。そして、その中でしか能力者は、自分≠ヘ生きる価値はない──ソレが彼の持論である】
【争いを好まぬ人間が居る一方。その中でしか生きられない者達も居る。──あのバッド・ホッパーもそうだろう】
【ある意味、あの怪物はそういった者達の鏡の様な存在なのかもしれない】


人はどんなものであれ、その才を力を、その振るいどころを探しているのです……貴女は違うのかな?

【戦いの場にしか存在価値が存在しない。虚しい価値観だが、彼はソレが大好きなのだ】
【故に、そんな言葉も心躍る様にいうし、水を指すような彼女の争いを好まぬ言葉も──】
【他者と自分の差は違えば違うだけアイデンティティーとなる。──高揚させるだけのものになるのだ】

【最後に口にした彼女への問いかけは、優しげなものだったが、──『お前も怪人に力を下ろしただろう』という裏の意味が透かして見せてある】

739 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 00:25:47.88 ID:sWKbiljjo
>>735
【相手の不可解な笑みに、今度は女が怪訝な顔をする番だった。警戒は解かず、歩みだけを止める】
【間合いは二間もない。それなりに練れた剣客なら、一足で詰まる距離】
【男がちらとでも妙な様子を見せたなら、即座に叩けるだろう距離だ】

何が、可笑しいんだか。

【舞い散る刃の蓮。塞がる傷口。徒手の男。投降──にしては些か妙だと感じた女は、先ず真っ先に奇襲を疑った】
【相手の挙動や周囲の環境に不審な点が無いか、探るように辺りをねめつけながら】
【疑問とも呆れともつかない呟きを洩らすと、眉根を寄せ】

手口の話だ。同じ手口で何人も何人も縊り殺せば、嫌が応にも目立つ。

それに……どうもこうも、只の死体だろう。それ。放っておきゃあれこれ垂れ流すし、そのうち腐る。
そんな場所で何がどう安らぐって言うんだ、お前。

【事もなげに、男の問いに否定を返した。慣れているのか、はたまた無関心なだけか】
【恨み辛みがどうのとのたまう割には、随分あっさりしたものだ】
740 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/29(水) 00:26:27.08 ID:utWD05d2o
>>738

【貴方の思惑通り、彼女に貴方の能力の種≠見破る事は出来ないのだろう】
【けれども、トランプの発光する輝きは、夜空に一粒細工を施したかのような美しさで】
【肌に触れる温もりと共に、彼女は十分満足するのだろう】


り、理由になってないですよ!能力を明かせない理由に!全然!
……リロードさん、ですね、私は、シオンです、シオン=エルミオール=オルテンシア
シオンで良いです、えっと、図書館の司書とかしてます


【あわわ、と少し慌てた様子を見せるのだろう、ポーズを決める貴方に対して、彼女は少し驚いて】
【あーえっと、と少しバツの悪そうな表情をして、深呼吸、自分のペースになったら改めて名乗る】
【どうやら常識人みたいなようで、そういうノリは苦手、みたい】

【あはは、と苦笑をそこに浮かべていたけれども、続く貴方の言葉にその表情が固まった】
【――――――声のトーンが一つ、沈んだように思えた、目の前のリロードに色が纏わりつく】
【単なるお茶目な人間だなんて思っていた自分が、恥ずかしいぐらいには】


……能力が戦う力の為のもの、というのは、視野が狭い考え方だと思います
現に貴方の能力は、私に温もり≠授けてくれています
私の能力も同じです、私は、この力をもう、戦う為にふるうつもりは、ないです

同じように力を使うのなら、誰かの為に使います、それが私の力を振るう場所です
……でも、それが、戦う場だったら――――――まだ、それは……分からない、です


【少しだけ視線を逸らした、考えこむように、紫苑色が目を伏せたなら、立ち上がり視線を上げる】
【見上げる形になったなら、そっと、その横顔が緩やかな曲線を描いて、貴方へと沿う】
【返す言葉はキチンとした反論だろうか、少なくとも確かな芯を、そこに秘めて】

【最後に言葉を濁した、確かに言葉を返せないのは、貴方の言葉の裏の意味を感じ取ったからか】
【指先に残る感触、誰かを傷つけたという感覚は乾いた血液のように白い手袋を染めて、落ちない、よう】
741 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 00:55:29.14 ID:X1DrISlqo
>>740

はい、高貴の瞳を持ちし知恵の泉の守り手──シオンさんですか。どうもよろしく。

【はい、名乗りあったら、よろしくお願いします。──勝手に二つ名的な者を合わせられた!】
【高貴の瞳というのは、紫色の持つイメージの事だろう】


──優しいものの考え方ですね。実に羨ましいし、面白い。
だが、我々を温めているこの温もり≠ニいう奴は他者を傷つけるために得とくした技術の一つです。──いや。

【なんて、言った後に、何を思うか少し目をとじると】
【彼はマントを翻し、背を向け、その際にはもう一枚、ハートのカードをクルクルと軽い回転を掛けてシオンの手元に投げつけた】


ふッ──まあ、ここで議論を交わすつもりはありませんよ。一つの考え方です。
貴女のソレ≠燻け止めましょう。柔軟なものの考えが出来なければ、おじさんになってしまいますからね……。


【最後の言葉は少しどんよりとした声色になっていた。最近、そういった扱いを受けたのだろうか……】


ま、確かにそんな力でも、年端も行かない少女を寒空から守る騎士にくらいはなってくれるでしょう。

【一応、少しは折れたのだろうか────。大人げなく彼女に反論する必要も無かったのだろう】
【こんな世界である以上その時≠ヘ必ずやってくる、もしもその場に、彼女が居たのならそういう事≠ネのだ】


では、今宵はこれでさようならです。正義の味方は忙しいのでね、レディを送る騎士はそのカードに任せるとしました。
さようなら、シオンさん──また会う日が、どんな時かは、分かりませんが──ね。

【こうして、彼は闇の中にまた一人(と一羽)、帰っていくのであった──】

//眠気が凄い事になって来たので、この辺りで!お疲れ様でした。

742 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/29(水) 01:06:42.77 ID:utWD05d2o
>>741

【勝手に付けられた二つ名に、は、はぁ、と取り敢えずな返事を返すのだろう】
【呆れた様子、と思いきやあんまり嫌じゃないようで、ほっぺたにほんの少し赤色を滲ませて】
【えへへ、なんて小さく微笑んでみせた様子を、あんまり辿られたくなかった】


……だから私は、使い方次第なんじゃないかって思うのです
リロードさんがその力を傷つけない為に使えるようにって――――――

わっ……ぇ、ぇっと、私は別に、そんな、リロードさんをおじさん、だなんて、思ってません、よ、多分
確かに変な人だとか、不思議な人だとか、変わってる人だとかは思いました、けども
自分でも、甘い考えだって分かってます、でも……

一人ぐらい、そう信じ続けたって、良いじゃないですか――――――


【フォローは苦手みたい、どんよりとした貴方に対して、気の利いた言葉一つ言えず】
【視線を逸しつつ、かける言葉はフォローというよりかは追撃の一手】
【盤面をぐちゃぐちゃにかき乱したなら、少しだけ真剣味溢れる表情になって】

【両手を一つに合わせて、胸のリボンを抑えた、白い手袋は清楚さを演出して】
【返す言葉に見上げる視線、じぃと貴方へと向けられる紫苑色の双眸】
【その奥底にどこまでも悲しげなロゼの色合いを浮かべていたなら】


ええ、さようなら、またどこかで会えたなら、きっと……
リロード・ザ・マジシャン……変わった人だったけど、悪い人じゃ、ないのかな

――――――正義の味方、か……


【手を振って、闇に溶けていく貴方を見送るのだろう、伸びた影が闇夜に掻き消えるが如く】
【嵐が去ったなら残るのは静けさ、太陽のように強い存在感が去った後に月が暗澹とした灯を零す】
【一人残された少女の独白、誰に聞かれる訳でもないけど】

【ちょこん、と路地裏の隅っこに座り込んだなら、掌に受け取ったカードを広げて】
【じんわりとした温もりの欠片を、大切そうに握りしめた】


/お疲れ様でしたー!
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 10:30:46.44 ID:pGZFB66l0
【街外れ――草に覆われた廃墟群】
【ずっと昔に地図から消えた町、誰も来なくなって久しく、相応に廃れた一角に】
【そっと立つのは煉瓦のおうち、崩れてしまいそうなのを、一生懸命にアイビーの蔦が支えているよう】
【きらきらと木漏れ日の差し込む室内に、そっと動く影と気配があったなら、どうやら誰か紛れ込んでいるようだった】

ふぁ……あったかい――。

【ぎしりと古い木の軋む音がする、そうっと覗いてみたならば、その姿を認めることはひどく簡単なもので】
【髪の黒い少女だ。それだけは、特に簡単に分かるだろう、鈴と似た声の高さも、その判定を余計に容易くさせて】

【――子供部屋だろうか。取り残された家具や玩具は、幼い子らの好むようなものが多く】
【その総てに覆いかぶさる年月という重さ。きっと落書きのひとつふたつあっただろう壁は蔦に侵食されて】
【果てには天井までがない。だからこそ、木漏れ日が差し、ひどく暖かなことになっているのだけれど――】

【真っ黒い髪はひとつ三つ編みに編まれて、大き目のヘッドドレスは薔薇を縫い取ったレースで飾られていた】
【黒色と赤色のオッドアイは蛇みたいに丸みを持って瞬いて、陽光にきらり光るのが、宝玉をあしらった右耳のピアス】
【黒地のワンピースには赤糸で薔薇の花が細かに刺繍されていて、ヘッドドレスと同じレースが、ふわふわと彩っていて】
【膝ほどまであるマントも。かわいらしく装飾のなされたもので、ただ今は床へ投げ出され、円を描いていた】

練習しなきゃ……、練習……、――でも、ちょっとだけ、お昼寝しても……。
あったかい……眠い――うう、

【――天井の抜けたぽっかりとした穴の下、木漏れ日として差す光の輪の真ん中、少女はそっと座り込んでいて】
【華奢な足を三角に折って、膝の上に頭を乗せている。こくこくと頭の揺れるのは、ひどく平和な時を示す色】
【何か目的があって出てきたようだけれど――お日様の暖かさにどうしたって勝てずに、怠惰な時を過ごしているようだった】
744 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 10:52:18.46 ID:o2ywAzpdo
>>743

【ざり、ざり、――】 【この廃墟群に居るのは、どうやら一人だけではなかったらしく】
【――聞こえる、結構な大きさの何かが歩く音が】 【その者の目的は定かでないが――】

「傷も癒ィえた事だ、素ォ材探しとでも行ィこうと思ったが……ふゥむ、こォこには何も無ァさそうだな」

【ただ、姿だけはいずれ見えてくる――それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長2m超の筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【――どうやら何か不確定なモノを探しているうちにここに迷い込んできたようである】
【その者がふと何かのにおいに気付く、――少女か、それも何か……"力"を持っている】

「……どォれ」

【この辺りだろうか、そんな目星をつければ――右の手を握り、拳を作って】
【常人よりは強い力を持った腕――それを用いて、子供部屋と思わしきその部屋のとある壁に向けて、拳を思いっきり振り下ろすッ!】
【もし入れる程度に壁が壊れたならばそこから入るだろうし、ただ拳を痛めるだけに終わったならば素直に入口から入ってくるはずだ】

「…………ふゥむ、やァはり少女――だァが、普ゥ通はこォんな所に来ォないはずだ」
「ヒャハッ、……だァが、どォこかで嗅ァいだことのあァる様な気ィもすゥる……うゥーむ、……あァ、忘れた」

【どうやら少女に良からぬ興味を持ったようで、その怪しげな者はゆっくりと少女に接近を始めて――】
【日光を浴びればそれは殆ど反射せず、何者にも染められぬ黒はその中でより一層引き立たせられていた】
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 11:14:18.04 ID:pGZFB66l0
>>744

【――最後に一度頷くように頭を下げた、その仕草を最後に、少女の呟きは聞こえなくなる】
【ぎゅうと膝を抱え込んで木漏れ日の中で眠るのはさぞかし気持ちがいいのだろう、僅かに見える寝顔は穏やかで】
【放っておけば陽の傾くまでも眠っていそうだった――故に、というべきか。誰かの気配に気付くことは終ぞなかったのだが、】

【どがりと壁が壊される、古びた建物が僅かに――けれど確実に嫌なように揺れて、ようやくむずがるような仕草、声がある】
【ただでさえ古い建物がずっと雨風に曝されていたのだ。当然脆くなっているし、崩れなくて良かったというぐらいに――】
【ううとかああとか意味もなく唸りながら顔を上げる、噛み締めた欠伸に溢れた涙をぐしぐしと拭って、あたりを見渡して】

誰か居るの……、……? ふあぁ――。

【眠たげな声が虚空に尋ねる、いまだにその姿を見つけ出さないまま、眠たげな欠伸がもうひとつあふれ出して】
【ぐうと身体を伸ばせばようやく意識がはっきりしてくる、先ほどの揺れの方角へ視線を向ければ、ビンゴ】
【よほど隠れたりしていない限りはその姿を見出すだろう、きらきらとした木漏れ日の中に不似合いな、その姿を】

……――、誰? 何しに、来たの。

【――少しだけ、嫌な感じがした。それは直感によく似て、きっと理由を尋ねられたって説明なんて出来ないのだけれど】
【座っていた姿勢からお尻を浮かす、爪先でぎゅうと地面を踏むようにして、いつでも立ち上がれる姿勢になれば】
【きっと向ける視線が鋭く尖る、蛇のようにまん丸な瞳――真っ直ぐに相手を射抜いて、強い警戒を宿していた】

【――きっと彼女からは良く澄んだ水の気配を感じることだろう。それは右耳のピアスから零れだすが、彼女にも宿されている】
【ただの人間にしてはその総量も多い。ひたひたと水源から水の溢れ出すように、絶えず流れる水の力を、彼女は湛えていて】
【おもむろに向けた左の手。きらりと煌くのは桜色の魔力だが、そこに別の――黄緑色の魔力が、混ざりこんでいる】

【――とかく現状はいいと言えないだろう。警戒など似合わない陽光の中で向ける、鋭い警戒の色合い】
【誤解ならば解いてやればいい。そうでないなら――さて、行動の行方は相手へと預けられている】

【(そして薬指に嵌められた指輪。蛇を模ったかたち、その目元で煌くのも、黄緑の色合い)】
【(その色合い、におい、或いは心当たりがあるのかもしれなかった。紅茶色の髪をした男の、ものなのだから)】
746 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 13:46:39.74 ID:ydAYIf6Yo
【―――UNITED TRIGGER】
【時に正義の旗頭とも言われるその組織、本部は案外庶民的な事で知られている】
【というのも、内装が完全に酒場と変わらないからだ。今でこそ昼、人はほぼ居ないものの】

奥の席でゴソゴソと……賭けだか飲み比べだか知らないけど
もう少し遅い時間か、場所を変えてやってほしいわよね……。

【そうボヤくのは一人の女性だ。髪は朱く、ロングツインテールが目を引くだろうか】
【衣服はといえば――有り体に言えば今どきの、と言った感じ】

【ブーツに黒のストッキング、やや温かいからかチェック柄のフレアスカート姿】
【上はもっと単純でセーターを着ていた。その中で異様なのは、一本の刀だろう】
【彼女は入り口からすぐのカウンター席にいるのだが、足元にそれが立てかけてあって】

……うん、出来た。最近は戦いばっかりで酷使してたし
たまにはこうやって手入れしてあげないと……大事なコレクションでもあるし。
……いっそこのまま、使わないで済むような日々がくればいいんだけどなあ――。

【何をしているかといえば――バッジの手入れだ。色とりどり、形も様々なバッジをカウンターに広げ】
【それを1つずつ丁寧に磨いていく。見る人が見れば、バッジに力≠感じるだろうか】

【――さて。UTの本拠である此処でくつろぐ、若い女性。その慣れた様子からするに同組織のメンバーに違いない】
【誰かが此処を訪れる理由は幾つかあるが――昼は軽食程度なら食べられる場所でもある】
【或いは早々から飲みに来る者も居るかもしれないし、兎に角オープンなのがこの、UNITED TRIGGERだった】
747 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 13:48:00.47 ID:SMjBDsU7o
>>739

……雑魚を踏み散らすんは、大好きなんになぁ
そうでないのは……そういう気に、ならへんのや

【男の挙動、周囲の環境、共に動きを見せている点は無い】
【死体の首を吊っている植物は消え去った訳でない、という事位か】
【弱い者だけ殺したいとのたまう彼は、詰められた距離さえ意に介さない】

【見上げれば、揺れる死体はまだ死亡直後のそのままだ】
【だが何れは相手の言葉通りになる。遠くない先、間違いなく見苦しい光景になる】
【それの実感がどうも薄いようだった。少しぼんやりと考えた後、彼は薄い唇を開く】

首を並べて死んで居る、その光景が、堪らなく愛おしゅうて
羨ましい、のかも知れんな……嗚呼、だから、か?

【彼は勝手に納得すれば、またも口角で哂う】
【迫る死に両手を開く、死の傍に居たがる、それら二つが示す物は――?】

――……遊んだろうか?

【首を傾げた、揺れる髪に差した漆黒色の彼岸花が、青藍色の魔力を零し】
748 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/29(水) 13:53:19.19 ID:x/+P73qM0
【ゴシックの教会の床で男が仰向けに寝転がっている】
【教徒や観光客の姿は見えず、巨大な空間の中でぽつんとその男の呼吸や寝返りの音だけがやたらと大きく響いていた】

【いつもと変わらぬスーツ姿にぼさぼさに伸びた髪】
【ステンドグラスから降る色のついた光を手に映して弄ぶ】

【だらしなく涎を垂らしながらまどろむこの時間が彼にとっての至福らしい】

あー

あー

【反響を面白がって、無意味に声を出し続ける】



749 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/29(水) 13:54:45.09 ID:ktxFIyDDO
>>745「ヒャハッ、良ォい音だ……そォして、"脆い骨を圧ェし折る"かァの様な感触、良ォい」【壁を壊せば、それが大変爽快だったようで――拳に刺さった瓦礫を振り払いつつも】
【その表情は喜。――その者は、爽やかさとは真逆の笑みを浮かべていた】「やァはり……俺様の嗅ゥ覚は当ァたっていたか、確かに居ィた」【壊した壁に頭を通し、続いて肩、胴体と――順々に入れて行って、中にへと侵入】
【途中で尻が引っ掛かったようだが、半ば無理矢理に通して事なきを得た……のだろうか?】「――俺様は……ヒャハハハ、"素ォ材探し"で迷い込んだだァけだ、そォーだな"宝ォ玉"なァんかは俺様の好ォ物だなァァアア」【――その者の持つ邪悪さは"殻"の中に居ても十分滲み出ていて、しかし隠そうともせず】
【例え警戒されていようとお構いなし。――それは欲望の塊だ、欲しいものを手に入れる為には己すら捨てる程に】
【とはいえ、今はまだ様子見の段階なのだろう――"今は"まだ手を出してくる気配はない】「あァ……そォーだ、こォの"におい"、"力"、――"あァいつ"か――」【――幾らか前、とある男に出合った、"夢魔"を混ぜた、逃げられた――その後、彼がどうなったかまでは知らず】
【その男の"におい"がしたのだ――それも、"ただの接触"だけで付くモノでは無いほどに】 「……ヒャハハハ、俺様を撃ゥつ気かァ?」 「やァめておきな、……俺様が退くのは"聖"だァけだ」
「そォう、――例え"夢ゥ魔"だァろォーと、俺様の手ェにかかれば全てが俺様のモノ」【聖以外で退く気はない――とは言っているものの、その両手には魔翌力が溜められていく】
【"生命と変化の、混沌の魔翌力"――もし攻撃されたとしても、迎撃できるようにと備える】 「まァー、俺様は喧嘩っ早くねェ……"何でも"渡せば引ィく――かァもな!」【それと同時に、一つ試すことにした――右肩に生成されるのは魔方陣、そこから闇が生えて】
【――成すものは、夢魔の右腕】 【出したのは一部だけ、しかし――発する"におい"は、あの時のモノと"同一"】
750 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/29(水) 13:59:24.29 ID:ktxFIyDDO
>>745

「ヒャハッ、良ォい音だ……そォして、"脆い骨を圧ェし折る"かァの様な感触、良ォい」

【壁を壊せば、それが大変爽快だったようで――拳に刺さった瓦礫を振り払いつつも】
【その表情は喜。――その者は、爽やかさとは真逆の笑みを浮かべていた】

「やァはり……俺様の嗅ゥ覚は当ァたっていたか、確かに居ィた」

【壊した壁に頭を通し、続いて肩、胴体と――順々に入れて行って、中にへと侵入】
【途中で尻が引っ掛かったようだが、半ば無理矢理に通して事なきを得た……のだろうか?】

「――俺様は……ヒャハハハ、"素ォ材探し"で迷い込んだだァけだ、そォーだな"宝ォ玉"なァんかは俺様の好ォ物だなァァアア」

【――その者の持つ邪悪さは"殻"の中に居ても十分滲み出ていて、しかし隠そうともせず】
【例え警戒されていようとお構いなし。――それは欲望の塊だ、欲しいものを手に入れる為には己すら捨てる程に】
【とはいえ、今はまだ様子見の段階なのだろう――"今は"まだ手を出してくる気配はない】

「あァ……そォーだ、こォの"におい"、"力"、――"あァいつ"か――」

【――幾らか前、とある男に出合った、"夢魔"を混ぜた、逃げられた――その後、彼がどうなったかまでは知らず】
【その男の"におい"がしたのだ――それも、"ただの接触"だけで付くモノでは無いほどに】

「……ヒャハハハ、俺様を撃ゥつ気かァ?」 「やァめておきな、……俺様が退くのは"聖"だァけだ」
「そォう、――例え"夢ゥ魔"だァろォーと、俺様の手ェにかかれば全てが俺様のモノ」

【聖以外で退く気はない――とは言っているものの、その両手には魔翌力が溜められていく】
【"生命と変化の、混沌の魔翌力"――もし攻撃されたとしても、迎撃できるようにと備える】

「まァー、俺様は喧嘩っ早くねェ……"何でも"渡せば引ィく――かァもな!」

【それと同時に、一つ試すことにした――右肩に生成されるのは魔方陣、そこから闇が生えて】
【――成すものは、夢魔の右腕】 【出したのは一部だけ、しかし――発する"におい"は、あの時のモノと"同一"】

/すみません、改行がおかしくなっていたのでもう一度書きます
751 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 14:09:40.89 ID:614anNneo
>>746

…ここがUNITED TRIGGER。
思って以上に…。というより私は来る場所を間違えたのでしょうか…

【分厚い書類を手にして入ってくるのは一人の少女】
【明らかに場違いな黒を基調としたゴシックドレスに頭頂部で存在感を主張するヘッドドレス】
【しかもそんな出で立ちにも関わらず、顔にはまったく表情が宿っていない】

受付とか…無いみたいですね。
正確に言うとカウンターはあるみたいですけれど

【かけている眼鏡をクイっと押し上げながら、もう一度酒場内をぐるっと見回す】

まあ良いでしょう…人様の組織をとやかく言う身分ではありませんし…
ここがUNITED TRIGGERと言うなら、職務を遂行するまでです

【ボソッと一人呟いて、静かな足取りでカウンター席の女性の方へと向かっていく】

お忙しい所申し訳ございません。私SCARLETからやってきたマリフィネスと申します

【どうしてバッジを磨いていて忙しそうな彼女に声をかけたのか】
【それは一番自分から近い場所に居たから、そんな理由である】

其方はUNITED TRIGGERの隊員のお方でよろしいですか?

【まるで機械のような口調と表情で喋っているが、緊張しているわけでも悪意が有るわけではない】
【これこそが少女にとっての一番普通の振る舞いなのだ】

752 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 14:19:36.89 ID:ydAYIf6Yo
>>751

ん……いらっしゃい。お客さん……、…って感じじゃないわね?

【またバッジの一つを磨き終わってカウンターに置いた折、新たな人の気配がして】
【ふと女性が顔を上げると――そこに居たのは少女。となれば酒ではないだろう】
【かといって御飯、という様子でもないのを見て、彼女は一先ずバッジを片付け始め】

(……ちょっと無愛想な感じね。たまに居るけど、読めない相手は苦手…、……?)

――SCARLETから?それは、また……ええ、UTのアンジェル・ベルジュロンよ
ごめんなさい、此処一応事務所なんだけど、うちってほら……らしくないでしょ?
まあリーダーがリーダーだから、会ってもらえれば納得出来るとは思うんだけど……

……っと、それで、何のご用件でSCARLETの貴女が?
そっちの人だと瑛月さんとか、この間なら……あのディック・ホワイトとか、知ってるけど

【『情報提供とか?』と続ける彼女――当初こそ、少女の様子に怪訝そうだったが】
【SCARLETと聞くと対応が変わって、カウンター席からも立ち上がって、相手に向き直る】
【言葉の最後はやや悩ましいものが混じっていたが――取り敢えず、UTのメンバーだと簡単に自己紹介も添えて。】
753 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 14:19:54.08 ID:SMjBDsU7o
>>747
/付記忘れ、昨晩は大変失礼しました。以後無いように気を付けます
/こちら今日明日はいつでもいられますし、置きレス移行でも大丈夫です
754 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 14:20:36.68 ID:SMjBDsU7o
/>>747>>739宛です
755 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 14:21:53.29 ID:SMjBDsU7o
/ひーすいません>>753>>739宛です!
756 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 14:35:05.77 ID:sFbcXMITo
>>752

素敵な事務所だと思いますよ。
こういう大衆的な内装の方がチーム内がアットホームな感じになり、円滑な人間関係が築けると読んだ事があります
それに其方のリーダーのお話は時々耳にしますし

【相変わらず無愛想な様子でつらつらと言葉を重ねていく】
【ウソや冗談の類は言っていないのに、抑揚が無い分言葉に重みが無かった】

いいえ。今回はそういった類の物ではありません…
勿論ディック・ホワイトの件は私も独自で捜査していますが…

【そこまで言って小さく溜息をつく姿を見るからにして、まだ有用な情報は得れていないのだろう】

ですが、今日はこちらの方をお届けに参りました

【そういって女に渡そうとしたのは、大事そうに抱えている書類の束である】
【表紙には物々しく『重要』と赤字で書かれており、近寄りがたい雰囲気をぷんぷん醸し出していた】

その分今後テロが起こりそうな場所を独自で捜査して纏めて見ました。
製作に割いている時間が少なかったので少ない量になってしまいましたが…

【渡された書類の中には地名や狙われそうな時間帯など、とにかく細かい字が羅列されているだろう】


757 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 14:45:17.76 ID:ydAYIf6Yo
>>756

そう言ってもらえると嬉しいんだけど……あ、はは
まあリーダーに関しては、まさに百聞は一見にしかずな人なのよ
今は出かけてるけど……今度会えたら、言ってる意味もわかると思うわ

ディックに関してはホント、知り合いだっただけになんとも言えないけど……
SCARLETとしては彼のこと、正当な処分≠チて感じで扱うのかしら?

【無愛想な様子にか、それともリーダーの話は聞いている、ということにか】
【アンジェルは苦笑いしながら、ふと話題の件のディック・ホワイトへと移す】
【格別の意味合いはない。ただ一時でも味方として時を過ごした相手の扱いが気になったまで、なのだが】

【――それから、マリフィネスが今日の目的だという書類を差し出すとそれを受け取り】

テロ、か……最近はまた、向こうの勢力も活発になってきてるものね
機関の六罪王やナンバーズもそうだし、GIFTも……無所属の悪人も大勢居るし
……マリフィネス、だっけ。貴女もやっぱり、現場に出たりするの?

【残念そうに呟きながら、或いは語りかけながら、アンジェルはパラパラと書類をめくる】
【見ているだけでも頭痛がしそうだ、とばかり――預かると、取り敢えず表紙を戻し】
【空色の瞳を目の前の少女に向けてまた質問。これも好奇心からのもののようだった】
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 14:56:39.92 ID:pGZFB66l0
>>750

【宝玉――出された名前に、ぴくりと肩が跳ねたのは、きっと気のせいでもなんでもなくて】
【右手がそっと耳に触れる、――それは隠すというよりも守るように。そんな相手に、見せたくないという風に】

なあに、……あげないわ、わたしたちの神様だもの。

【踏みしめた爪先でじゃりと砂の音がして、つんと立ち上がる姿は、百六十センチの高さを持って】
【見ればその宝玉は半分に割られていた。“たちの”ということは、どうやら誰かと分け合ったように思えて】
【神様というのも謎が残る。宝玉そのものを信仰しているのか、それとも何か、別の事柄があるのか――?】

……退きたくなっちゃうぐらい溶かしてあげる、わたしの水は綺麗過ぎて綺麗過ぎて猛毒なのよ?

【――悪戯よりも残酷に笑みが釣り上がる、最終的に眼前を敵だと認識した思考、もう優しさも見せず】
【こうなってしまうと他にどうしようもないようだった。力でねじ伏せた方が勝ち、そんな世界のきまりごと】

【そろりと立ち上がるものがあった。床からちょうど三匹、それはどうやら蛇のようなかたちをしていて】
【けれど違うのは身体が水で出来ていたこと。頭の中に銀色の鈴が浮かんでいたこと。時折、りんと鈴が鳴くなら】
【淡い桜色の水ということもある、言葉のこともある。触ってやるにはあまりにも危険な賭け、能力の発露】

“あいつ”って誰……、……わたしの何ひとつもあげるものか。
髪の先から爪の先まで、こころもからだもぜーんぶ――……わたしの何もかも、セシルにあげたのだから。

【誰のことを指しているのだろう。鋭い目付きで尋ねたなら、続く言葉はどこか笑い声の混じる語調】
【何を言っているのか――そう言外の意味をたっぷり含んで、ほんのひとかけらだってあげるわけがないなんて】

【――そんな彼女の表情が僅かに変わる。あふれ出した闇からまろび出た右腕、そのにおい、“嗅いだことがある”】
【どこで、なんて考えるまでもない。あの頃はまだ父親だった“彼”から。結局何も聞かせてはくれなかったけれど――】
【おんなじ匂いだって。気付いたなら、不可解というような。表情を強張らせて、攻撃するではないようだった】
759 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 14:57:16.14 ID:sFbcXMITo
>>757

そんな愉快なリーダーだなんて、是非お会いしたいですね
今までそんな人に出会ったことは数回しかありませんから

ええ…外部的にはそう言う扱いで事を片付けるのでしょうが
正直な所、離反と言う扱いの方が正しいかもしれませんね。
それにまだ自体の大きさを飲み込めてない隊員も居るでしょうし

【正直な所、SCARLETの隊員とその話をする事事態少ないので自分自身も良く分かっていない】
【これにはSCARLET隊員同士の交流が少ないと言うのもあるのだろう】
【なのでこの話は個人的な考察が所々入り混じっている】

ええ…時々ですけど。私も戦いますよ。
と言っても私の力は戦闘向きじゃないので、皆さんの足を引っ張ってばかりですけど

それに…本当はこう言うの言っては駄目だと思うんですけど…
戦うのが怖いんです

【目の前の女の質問にこれまたつらつらと言葉を投げかけていく】
【能力ゆえに戦いが向いていない事、それでも戦う事があること】
【そして何より戦うのが怖くなる事があるという事。】
760 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 15:07:00.01 ID:ydAYIf6Yo
>>759

ふふっ、楽しみにしておくといいわ。きっとその数回で一番愉快になるはずよ
セリーナ・ザ・キッド……ちょっと変でもあるけどね、良い人だし。

……うん、やっぱりそうなんだろうなあとは思ってた、けど……。
難しい話しよね。昨日までの味方が、ある日突然大きな敵になる、って
同じ正義を謳う組織のメンバーとして。…少し、思うところがあるのよ

【リーダー――セリーナという女性についての批評は、またずいぶんと適当らしい】
【いい人と言ったり、変と言ったり、愉快と言ったり。まあ私的な評価だ】
【それよりも気にすべきは後者に違いない。といっても、これも後の祭り――】

【いまさらどうできるわけでもなく――話はまた変わり、少女自身の事へ】
【そして『戦うのが怖い』というのを聞くと、アンジェルの眉がわずかに動き】

ん……そっか。……ねえ、失礼じゃなければ、もう少し聞いてもいいかしら
と言うよりも提案ね。……戦うのが怖いなら、戦わなくてもいいんじゃないか、って。

だって、能力があっても、戦う技能があっても、そうしない人はたくさん居るもの。
それこそSCARLETでも事務作業とか、裏方で助けられる部分は在るはず……
……よければ、戦うのが怖いっていうの……詳しく聞かせてもらっても……――?

【これも難しい問題に違いない。アンジェルからすれば、戦うことは怖くない】
【能力も戦闘向き、戦う力もある、場数も踏んでいる――だからこそ、怖くないのだ】
【そんな彼女だからこそ、余計に最後の言葉が気になったのだろう】
761 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 15:22:08.94 ID:sFbcXMITo
>>760

そのセリーナ様がいらっしゃる時にでもここを尋ねる事にします。
前々から機会があったら会って見たいと思ってますから

でも組織自体が人の集まりですから、全員が全員思考を共通させるのは無理な話…
中にはやましい動機がある人や野望のある人だって居る…
だからこういう事が起こるのは時間の問題だったのかもしれませんね…

【言葉ではやたら理屈っぽく並べ立てている物の、その表情は何処か寂しげだった】
【もしかすると少女自身ももしかすると事実を受け止め切れてない一人なのかもしれない】

…私、戦わないように何も信じないように生きてきたんです
勿論自分の事だけ考えて、自分の未来だけ考えて
でもある日SCARLETに入って気づいたんです、自分の世界ばかり見ていては駄目って事に

【ポツポツと紡がれていく言葉、それはきっと『聞いてもいい』その表明なのだろう】

勿論自分が出来る事務作業はこなしていますし、捜査活動も行っています
だけど絶対に戦場へ出ないといけない時って少なからずあるんです。

それでその最中に、死にたくないな…なんて思ってしまうんですよ
ここに入るまではそんな感情無かったのに。

それなのに最近は事件の話を聞くたびに体の芯が凍りつくような…そんな感覚に陥ってしまうんです

【少女が怖いと思っているのは『死』と言う、この手の職業にはある種常に付きまとう物だった】
【弱い少女だからこそ心に根付いたこの感触、そして戦いから遠ざけようとする原因】
【機械のような少女は紛れも無く一人の少女としての心情を吐露していた】
762 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 15:25:27.50 ID:m52ekupTo

【公園、噴水前】
【昼間はやはり、夜に比べて人が多く、様々な音で溢れ返っていた】

――――――――ああ、向こうも元気そうで何よりだ。

【その中で一人、明らかに“浮いた”存在。誰かと電話をしているその人物は――】

【白い燕尾服に、真っ白なオールバックの髪。左手にも白い手袋をして】
【少しばかり細身の、スラリとした体型をした壮年の男、なのだが】
【顔、特に目元。仮面舞踏会をイメージさせる様な形状の、青いマスクがあった】

【そのマスクと白ばかりの服装は、どうにも目立ってしまい、先述の通り“浮い”ている、という訳である】

……ああ、ああ。
では、そろそろ切るよ。次の公演に向けて、皆も準備を整えておくよう伝えてくれ。
――――では、また後で会おう……エリーゼ。

【通話を終えて静まった携帯端末。ポケットに収めたら、手を抜き出す際に何かが零れ落ちる】
【何であろうか。銀色の、短い棒状の何か。その何かが、幾度か地面にぶつかり跳ねて】
【男から少し離れた場所へと、カツン、カツン、コロコロ……と転がっていった】



【所変わって、廃屋。ガラスの無くなった窓辺】
【奇しくも、そこに立つ人影もまた、誰かと電話をしているようであった】

はあ……飼い猫が何処かに行ってしまった、と……
それは他所に頼んでほしいで御座るな……そういうのは拙者、専門外で御座るから……

【カナリヤ色を三つ編みハーフアップにした頭部は低く、150cmも無いほどの身長――小さい】
【黒い袖無しヘソ出しの上衣には女性らしい膨らみはなく、そのバスト――小さい】
【黒いスパッツに重ねた、タイトなミニスカートに浮き出るライン、要するにヒップもやはり――小さい】

【黒いアームウォーマーやニーハイ、など黒の多い中に一つ、首元の紅いスカーフが彩りを加えて】
【しかし本人はどうにも、眠そうな眼のままでいた。昼も過ぎたというのに。】

――――それから、なるべく依頼は夜にする様に言った筈で……
へ?夜の国在住だからいっつも夜……?……――――拙者の知った事ではないで御座るな。……あ、切れた。

【大きな欠伸をしたら、通話が切られた電話を放り出して。左腰に二振の短刀をセット】
【そこから何をする、というわけでもないのだが、人のいない筈の廃屋。】
【もし先ほどの声を誰かが聞いていたら?もし窓辺に立つ姿を誰かが見ていたら……?】


/上側でも下側でもどちらでもー
763 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 15:34:45.97 ID:ydAYIf6Yo
>>761

(戦わないように、何も信じないように、か……分からないでもない)
(人間、誰だって一番大事なのは自分だもの。それが自然なことだわ)

【――ぽつり、ぽつりと語り始めたマリフィネスの言葉を、アンジェルは頭のなかで反芻していく】
【思わず自分の事とも照らしあわせた。といっても、やはり人は千差万別だ】
【言葉に出しもせず、態度にも明らかにしなかったが――彼女は自然≠ニは違う方の人間で】

……気にすることなんてないわよ、きっと。みんな死ぬのは怖いもの

私ね、これでもかれこれ一年か二年か……割りと長いこと、悪い奴らと戦ってるの
勿論何度も死にかけたわ。今、此処で話してるのだって奇跡じゃないかと思う。

それだけ嫌な経験をしても、今でも死ぬのは怖い。嫌に決まってるわ、そんなの
……でも、戦いから逃げようとは思わないの。だって、困ってる人が其処に居るんだもの
悪いことをする奴らだって許せない……単純な理由だけど、それが私の戦う理由≠

マリフィネス、貴女ももう気付いてるんじゃないかしら……?
『自分の世界ばかり見ていては駄目』、そう思っているのなら―――。

【『どうして他の世界を見ようと思ったのか』――続ける言葉はそれだけだ】
【敢えてアンジェルは皆まで言わなかった。何故他を見ようと、SCARLETに入ろうと思ったのか】
【その信念を思い返せば、或いは――死という絶対的な恐怖にも、打ち勝てるのではと。】
764 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 15:40:20.47 ID:o2ywAzpdo
>>758

「ほォう……だァが、残念なァがら俺様には関係ねェな」

【この者には――そう、この悪魔には遠慮という言葉なんてなかった、……魔翌力が高まる】
【ふと床から何かが現る気配がした――形的には"蛇"なのだろうか――だがしかし】
【この様な蛇が自然界に存在するとは考え難い、となれば現れた理由は自ずと絞られてくる】

「そォの上……"神"となァれば、そォれが"地方神"だァとしても力の強さは俺様もよォーく知ィっている」
「……まァすます退ィく気にはならねェな、例え"ジュンスイ"だァろォーとな」

【――"能力"】 【ほぼ間違いなく、この目の前に居る者がつくり出したであろうモノ、という理由にだ】
【放置するにはリスクがある、しかし迂闊に攻撃するにもリスクがある、どちらのリスクを取るか――】

「やァはり、……たァだの知ィり合いでェはない……"あァいつ"――クククヒャハハ、間ァ違いなくテメェーが良ォく知ィる奴だろォーよ」
「そォーだな、セシルとかいう男に伝えておきな……"夢ゥ魔代は割賦と一括のどォっちでも構わん"となァァアア」
「まァ、何で払うかは前に聞ィいたよォーな気ィがするが、催促は大事だからな……」

【おそらく出した夢魔の右腕は、関係性を確かめたかっただけだったのだろう――意味深な言葉を発しつつ】
【予想通りの関係性を言葉と反応で確信すれば、それは再び闇となり魔方陣内へ吸い込まれて】
【代わりに現れるのは――体長2m程でターコイズブルーの蛇だった、……蛇には蛇、なのだろうか】
【……しかし、安全策を作ったとはいえ気になるのだろう、右手の魔翌力の雰囲気が一気に変わった】

「シューダ!」 「……出ァしたはよォいが、やァはり……気ィになる!」

【――……まずは、現れた蛇の内の一匹に手を伸ばし、掴もうとするだろう】
【相手の能力がなんであるかもわかっていない今、この行為は無謀、間違いなく】
【しかし、何もせずにただ触るだけではなかった――悪魔自身が持つ能力をもって、行うのだ】

「ディルム・カプテスプッ!」 「ぶゥっ砕くッ!」

【"エネルギーの破壊"――世の中にはさまざまなエネルギーが存在する、運動、電気、熱――等】
【それに加えてこの悪魔の場合は――"魔翌力・生命力"等、何かをする"可能性"を持つ"物質でないモノ"もエネルギーとして扱うようで】
【――今、悪魔の右手は様々なエネルギーを破壊する状態にある、この状態で触れればどうなるかは定かでないが……】
【ただ一つ言えることは――下手に喰らえば、当たり所が悪ければ、……"魂"すらも破壊されかねない危険な技であるということ】

【なお、もし何かしらのエネルギーを破壊した場合、そのエネルギーが周りに欠片状になって散らばるだろう】
【その欠片に何かしらのエネルギーを与えればそのエネルギーの足しになる性質を持つが、そよ風の足しになる程非常に"不安定"】

【……ともかく、"一匹"にターゲットを絞り、"掴む"という比較的隙の多い行動をとろうとしているのだ】
【この隙にどのようにしてつけこむか、……――】
765 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 15:48:30.43 ID:sFbcXMITo
>>763

きっと…まだ私には覚悟が足りないんでしょうね…
自分の世界ばかりに目を向けないようにしていたつもりが…結局は出来てなかった
私は守るべきもの。それを違えている

【何事も冷静に機械的にこなしているように見えて、結局は自分を最優先にしていた】
【戦う事によって自分の世界が失われるのが怖い、そして死ぬのが怖い】
【そんな恐怖ゆえに守るべきものに対して盲目になっていた】

守るべきものは自分じゃなく…か弱い人たち
理不尽な力に抵抗できないそんな人たちにこそ私は目を向けないといけない

【今までも何となくぼんやりとそんな考えに行き着いたことがある】
【だけど結局はそれが見えないフリをして、淡々とここまで進んできた】

SCARLETに入って望みが叶ってしまい、私は臆病になっていたんでしょうね
…だからその状態を守る為に保身に入った

【目の前の女の言葉のお陰で、自分がSCARLETに入った理由を改めて思い出した】
【自分を必要として信じてくれる人たちを裏切ってはいけない】
【そして何より自分の助けを待っている人たちを見捨ててはいけない】

【そんな大切な事を今まで『死』と言う大きな霧のせいで見失ってしまっていたのだった】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 16:05:40.33 ID:pGZFB66l0
>>764

【ぴくりと表情に鋭さが増す、とげとげに凍りついた氷みたいに、だんだんと鋭く尖っていく】
【関係ない、なら、こちらからだってそちらの都合なんて、関係なくなって、しまうから】

あ、げ、な、い、わ――あげるわけが、ないじゃないッ!

【低く低く紡がれる声、鈴の音によく似た声に呼応するように、異能に作られた蛇が牙を剥く】
【かァと牙を剥いてもあるのは水の牙、鋭くなんてないけれど――触っていいものじゃない、それだけは確実】

【(その直後に手を伸ばされることになるとは、未だ、思ってすら見ないことだから)】

……ヤよ、なんでわたしがお前みたいな奴の言うことを聞いてあげなきゃいけないの。
わたしに“なんだって”言うこと聞かせられるのは世界にひとりだけで、それは、“お前じゃない”。

【ぞろろと新たに表れた蛇、ターコイズの青さが美しい蛇は、まだこちらの蛇より現実味を抱く造形をしていて】
【けれどここでただの蛇というわけもないだろう。互いに向き合った蛇と蛇、こちらのほうが些か細身のようだったが】

【――酸。それが彼女の司る水の力、蛇を形作る水の正体。肌を肉を総て焼き尽くす、神の持つ毒】
【彼女の信仰する神は、彼女の祖先たる蛇は、水を酸へ変える力を持っていた。そうして、彼女はそれを引き継いだ】
【触れた瞬間、水は相手の肌を焼くことになるだろう。容赦のないダメージを、或いは負わされてしまうのだろうか】
【けれど。びしりと皹の入るのは頭にあった銀色の鈴、直後にぱしりと砕け散り――まるでただの水になって、落ちる】
【鈴さえなければ酸性を持てない上に、形も作れないようだった。明確な弱点が、今ひとつ明らかになる】

……――わたしたちの何にも触らせない、触らせなんかしない、大人しく謝って帰るなら今のうち!

【しゃァと蛇が鳴いたような気がした。直後飛びかかっていく速度はそれなりに早く、向かう先は彼の腕と身体】
【噛み付くようにして抱きつこうとするだろう。受け入れてしまえば、熱く熱く蕩けるような接吻、ふたつも喰らうことになる】
【それを見もしない彼女の手元で煌く光があった。さらさらと花弁のような残滓を零しながら、やがて形作っていくものは】
【一振りの刀。魔力と同じ色をした刀身は美しく煌いて――ただ、蛇を作るのと同じ色した液体が包んでいるのが、不穏だった】
767 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 16:11:08.01 ID:ydAYIf6Yo
>>765

【すぐに答えが出たわけではない。だが、ぽつりと自問自答する少女を見て】
【アンジェルはニヤッ、と笑い、そして言葉に応じて小さく頷く】

……そう。私のと似てるわね、貴女が戦う理由。

気分は……どうかしら。死を恐れるな、戦うな、とは言わないわ。
全てを受け入れた上で、それでも自分の信念がSCARLETに居ることを望むなら……
それなら、怖くても頑張るしかない。そうでしょ、マリフィネス…?

【そして彼女が答えに辿り着いたなら――アンジェルはふと、カウンターの向こうに移り】
【グラスを取って、何事か用意して。ややもして少女の前にコトン、と置くのは――】

まだお酒、ってわけには行かないけど……どうぞ、お茶よ。
何の変哲もないお茶だけど、きっと飲めば落ち着くから……ね。
……今日は、まだ仕事とかあるのかしら?無いのなら、ゆっくりしていかない?
768 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 16:22:35.96 ID:sFbcXMITo
>>767

気分ですか…?そうですね。少しだけ軽くなったみたいです
それに…なんだか霧が晴れたみたいにすっきりしました
見失ってはいけない物も再度見つけ出す事ができましたし…

【カウンターの方へ移った女をじっと見つめながらそんなことを口にする】
【気付かれるかどうかは分からないが、少女はほんの一瞬だけニッコリと微笑んでいた】


お気遣いありがとうございます…
初対面のはずなのに一方的に話し込んでしまってすみません

【コトンと置かれたお茶に口を付け、今まで声を出していた喉を潤す】

それではお言葉に甘えさせて頂きます…
同系統の職業、それに加えて同じ性別の人とゆっくり話す機会なんて早々ありませんからね

【意外と同性の人と話す機会のない少女にとっては彼女の誘いは嬉しい物だった】
【だからなのか不思議と抑揚の無い声色にも、嬉々とした色が見え隠れしていた】
769 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 16:41:20.38 ID:ydAYIf6Yo
>>768

気分は……そう?なら良かったわ、私ってそれ、口下手だから。
上手いこと言えないし、気の利いこと思いつかないし……
役に立てたなら、ホント、良かったわ。まあ、取り敢えず座って?

【なんてはにかみながら言い連ね、ゆっくりというからにはと席を勧め】
【彼女がお茶を取れば、それもそれで、アンジェルも嬉しそうに微笑んだ】

うーん、そうね。確かにこういうことやってる女の人って少ないかも……
UTだとセリーナに、ソニアに……あ、この二人、前の大会で一位と二位を掻っ攫ったのよ
どっちも綺麗だったり可愛かったり、あと胸とか……うぅん、なんでもないっ!

それより、SCARLETはどんな感じ?UTとは違って色々細かい仕事もあるでしょうけど
所属してるメンバーもそこそこ居る、ってイメージがあって――――……。

【さて、そこから始まるのは共通の話題も含めた――所謂ガールズトーク、だろうか】
【年頃の二人が話すにはちょっと無骨だったり、物騒だったりしないでもないが】
【マリフィネスの声色に喜色が混ざり始めるように、アンジェルも楽しげにそれに付き合って】

【―――しばらくすると、日も暮れかけ。常連らしい男たちが少しずつ入ってくる】
【純粋な酒場としても機能しているのだろう、周囲の声がチョットずつ大きくなってきて―――。】
770 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 16:57:03.80 ID:sFbcXMITo
>>769

そんなことありませんよ…ベルジュロン様のお陰で大分緩和されましたから
こういうのが話せると言う時点で十分気が利いていますよ

【謙遜する相手をまるでフォローするかのような言葉を口にして、勧められた席にゆっくりと腰を下ろす】

そうですね…やはりこういう仕事は男性の物と言うのが根付いているのでしょうか…
ベルジュロン様やセリーナ様の様に綺麗な人も居ると言うのに…
どうしても男の人たちにスポットライトが当たってしまいますよね…

【『胸』と言う単語を聞いた瞬間一瞬だけ無表情に磨きが掛かったのは気のせいではないだろう】
【原因。それはきっと―――――】

SCARLETは団員同士の交流がないので、正確な人数が分からないんです…

それに事件の無い日ごろは書類整理にボランティア。はたまた地域の子供達に人形劇…
私の居る支部はそんな感じです。

【平和だと言うのはとても良い事なのだが、業務内容は警察と言うより役所の様だ】
【それに事務作業が苦手な人が多いので必然的に作業が増えるなんて愚痴も零す】


【常連客のような男達が増えるに連れ、どこかソワソワし始める少女】
【実の所、職場以外で血気盛んな異性が沢山居る場所に居る事がないので少し緊張しているのだ】
771 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 17:12:49.37 ID:ydAYIf6Yo
>>770

そう言ってもらえると嬉しいわ。ありがとね、マリフィネス

まあ、やっぱり昔から戦争とか……争い事って男の人がするものだしね
力があるのも大体そうだし、仕方ないといえば……へ?アタシ?綺麗…?
……い、いやいや!そんな事言ったらマリフィネスの方が百倍綺麗よ!?

私と違って静かだし、ドレスとか似合ってるし、お人形さんみたいだし!
SCARLETの野郎たちもすぐ近くに貴女が居るのに、眼が節穴なのかしら……!

【――どうやら、あまり褒められるのには慣れていないらしい】
【恥ずかしげにというか頬を染めてむやみに否定しつつ、むしろ少女を褒めちぎり】
【誰にでもない、照れ隠しの怒りを『SCARLETの男性陣』といううやむやな物に向けたりもして】

……ん、やっぱりそうよね。組織、って言っても私達と違って体制が出来てるし。
でも思ってたのと違うなあ……結構、福祉っぽいこともしてるのね

UTはこれでも一応、お金を稼ぐという名目もあるから……何でも屋風、かな
この間も砂の国のでっかいサンドワームを倒しに行って、その報酬を収めたりね。

……っと、少し話し込みすぎたかしら。外に出ましょうか、マリフィネス
あのオッサンたち、酔っ払ったらきっと貴女のことほっとかないしね
あんまり遅くなって暗い夜道を帰らせるのも忍びないし……ねっ?

【気兼ねすることもなく話を続け、やがて日が暮れる頃、少女の様子に気づくと】
【アンジェルは外にでるという提案をしてカウンターの向こうから戻ってきて】
【そして、少女の手を取ろうとし――彼女が応じるにせよ、しないにせよ、外に向かって行くことになるだろう】
772 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 17:23:13.34 ID:sFbcXMITo
>>771

ベルジュロン様は十分綺麗だと思います。
戦う女って言えばもっと筋骨隆々のアマゾネスみたいなのを想像する人が多いというのに
その予想を遥かに超えるその姿は凄く綺麗だと思います

【とどのつまり少女の中の戦う女のイメージからすると十分綺麗で可愛いのだ】

違うんです…静か過ぎてこの前なんてマネキンに間違えられたんです
路地裏をパトロールしてれば幽霊騒ぎが起こるし

【少女にも実は少女なりの悩みはあるのだろう】
【それにもしかすると今もけったいな能力で人形が動かされているな程度にしか思われてないかもしれない】
【さすがにそれはそれで結構来る物があるが】

そうなんです、自分の居る部署は基本的に平和ですので
まあ平和なのが一番なんですけど…。

かといってそんな風に猛獣倒したりする仕事は回ってこないですし
仮に回ってきても…虫とか実の所苦手ですし…

【意外と少女らしい弱点を露見しつつ、お茶をクイっと飲み干す】

え…あ…ああ。そうですね。酔っ払いは怖いですしね
そこまで気を遣わせて本当に申し訳ないです…

【手を掴まれながらも謝辞の言葉をつらつら淡々と口にする】
【正直緊張から開放されそうでホッとしているのだが、生憎なのか感情には出ていなかった】

/すみません!次の返信は九時過ぎになりそうです!/
/申し訳ないです/
773 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 19:43:57.68 ID:ydAYIf6Yo
>>772

う、うぅ……!そんな事ないわよ、マリの方が……もうっ!
おだててもお茶の一杯しか出てこないんだからねッ!

……も、もっと日の当たるところとかパトロールしてみたらどうかしら?

【ふんっ、と褒められるに連れて赤らむ顔を反らし、ただ内心満更でもなく】
【一方でマネキンに間違われただの、幽霊と見紛われただのと】
【そういう話を聞くと、こうして話している分では自分より綺麗、と思っている相手だけに】
【最後の最後で下手な気遣いのような言葉をかけてみたりもして】

まあ、猛獣とか化物倒すのは私達もギルドを介したり……
直接UTに依頼に来るのは、あまりよく有ることではないわね

あら、虫嫌いなの?良いじゃない虫、私コレクションしてるんだけど…。
さっき拭いてたバッジとか、アレ私の能力で虫や獣を封じ込めたものだし……
でっかいムカデとか、カマキリとか、セミとか……子供の頃手で捕ったりしなかった?

……っと。いいのよ、気にしないで?私も気を遣うなんてあまり意識してないしね
正義の味方なら当然!ってところかしら。……ふぅ、結構冷えるわね、外。

【色々とオープンになってきたのは、短いながらも共感するところの多い話をしたからだろうか】
【実は先程から『マリ』などと勝手に略して読んでいたりもして――結構、馴々しいというか、人懐こいというか】
【――さて、外は最早薄暗い。帰るか、或いはまた場所を移すか。決めるのは少女の方となるだろうか】
774 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/29(水) 20:05:45.65 ID:fTBgvwB80
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――夜の国 路地裏】

【苦悶に満ちた、男性の物と思われる絶叫が響いたのは、あまりに唐突だった】

「あっ……目玉、潰しちゃった……!」
あら、残念……まぁ、私はこっちが無事なら別に良いけどね……あぁ、そろそろ死ぬかしら?

【艶のある黒髪を肩ほどに垂らして、茜色の瞳を鈍く輝かせた、東洋系と分かる顔立ちに特徴がある】
【左手に、逆五芒星のプリントがされたハンドグローブをはめている、身長150cm前後の少女と】

【ブロンド色のさらさらした髪を短く切り揃え、炭団の様に濁った灰色の瞳をした】
【首筋に、逆五芒星の刻印を刻みつけている、身長130cm前後の少年が】

【足元に倒れている1組の男女を、それぞれ足で踏みつけながら冷めた表情で見下ろしている】
【少年に踏みつけられている男性は、両目とその手を血に濡らしながらピクピクと痙攣し】
【少女に踏みつけられている女性は、そんな有様を顔を引き攣らせながら見ていた】
【どうも男性は、自らその目を抉りだしてしまったらしく、尚も己の顔に力なく爪を立てていた】

【それぞれに、身の丈に合わせて設えられたと思しき、ハードレザーとソフトレザーを組み合わせた黒いスーツで全身を覆っている】

脳まで掻き毟りたくなるほどの強烈な痒みに悶絶するって、あんたも怖い事考えついたもんねぇ……みんな泡吹きながら狂い死にしていくわよ?
「……なにが、面白いか、分からない……」
ま、正直私もそれはね……ともあれ、次はこっち……

【そんな男性の死に様が気に入らなかったのか、少年はややぶっきらぼうな言動を見せ、動かなくなった男性を睨みつけている】
【少女はそれに肩をすくめながらも、足元の女性を見下ろして口元を歪める。何とか逃げ出そうと、女性はもがき始めていた】
【――――単に暴力に晒されるだけではない、無残な死に方を突きつけられている。それを拒むには、女性はあまりにも無力だった】



【――――所変わって、水の国 広場】

……流れる水は美しくとも、こうして人の手が入る水は……興ざめですわね……
……本当にその美しさを昇華できる人間なんて、本当にわずかで、稀有な存在なのでしょう……

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性が】
【広場の中、噴水を楽しむ為に据えられているとおぼしきベンチに身体を預けながら、どこか遠い目で噴水を見つめている】
【その瞳は、あまり興に乗っているとは感じられない、どこか冷めたものだった】

……本当に、人の欲は果てないものですわ……目を開いて周りを見てみれば、それが良く分かる……
この美しささえも、そうなのでしょう……

【はぁ、と詠嘆のため息を漏らす女性。じっと心を鎮める様に瞑目し、自らの内へと意識を向けようとする】
【――――その首には、金の十字架のネックレスが静かに掛けられていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
775 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/29(水) 21:04:16.81 ID:fTBgvwB80
/>>774取り消しで
776 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 21:52:35.90 ID:c3iqp273o

【公園、噴水前】
【夜と言えども近くの喧騒などが絶える事はなく、それなりの騒がしさがあって】

――――――――ああ、向こうも元気そうで何よりだ。

【その中で一人、明らかに“浮いた”存在。誰かと電話をしているその人物は――】

【白い燕尾服に、真っ白なオールバックの髪。左手にも白い手袋をして】
【少しばかり細身の、スラリとした体型をした壮年の男、なのだが】
【顔、特に目元。仮面舞踏会をイメージさせる様な形状の、青いマスクがあった】

【そのマスクと白ばかりの服装は、どうにも目立ってしまい、先述の通り“浮い”ている、という訳である】

……ああ、ああ。
では、そろそろ切るよ。次の公演に向けて、皆も準備を整えておくよう伝えてくれ。
――――では、また後で会おう……エリーゼ。

【通話を終えて静まった携帯端末。ポケットに収めたら、手を抜き出す際に何かが落下した】
【何であろうか。銀色の、短い棒状の何か。その何かが、幾度か地面にぶつかり跳ねて】
【男から少し離れた場所へと、カツン、カツン、コロコロ……と転がっていった】



【所変わって、廃屋。ガラスの無くなった窓辺】
【奇しくも、そこに立つ人影もまた、誰かと電話をしているようであった】

はあ……飼い猫が何処かに行ってしまった、と……
それは他所に頼んでほしいで御座るな……そういうのは拙者、専門外で御座るから……

【カナリヤ色を三つ編みハーフアップにした頭部は低く、150cmも無いほどの身長――小さい】
【黒い袖無しヘソ出しの上衣には女性らしい膨らみはなく、そのバスト――小さい】
【黒いスパッツに重ねた、タイトなミニスカートに浮き出るライン、要するにヒップもやはり――小さい】

【黒いアームウォーマーやニーハイなど、黒の多い中に一つ、首元の紅いスカーフが彩りを加えて】
【窓枠に凭れる様に背中を向けて、外から見れば彼女の明るい髪色がよく目立つ、だろうか】

――――そういえば、昼間にも電話があったようで御座るが。
拙者に依頼するなら夜に、と言った筈で――――え?夜の国にいるから?
……知った事ではないで御座るな。……あ、切られた。

【大きな欠伸をしたら、通話が切られた電話を放り出して。左腰に二振の短刀をセット】
【そこから何をする、というわけでもないのだが、ここは人のいない筈の廃屋。】
【もし先ほどの声を誰かが聞いていたら?もし窓辺に立つ姿を誰かが見ていたら……?】


/上側でも下側でもどちらでもー
777 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 21:56:01.28 ID:tgnCK6FOo
>>773

褒められてお茶を出すなんて…優しい人なんですね。

それも確かに。一回日に当たる場所をパトロールしてみます
通報されたら元も子もないですけど…

【日のあたる場所と聞いて、確かにと心の中で相槌を打つ】
【これで幽霊と間違われなかったら、個人的には物凄い進歩である】
【そんなところも含め、今日は目の前の女性にいろいろ助けられているなんて】

ギルドですか…今度一回当たって見ましょう
戦闘力を少しでも磨いておかないと…

虫が…好き?…
すみません。私その感情はどうやっても理解できません
そんなムカ…。口に出すのも忌々しいと言うのに…。少し見直しました

【連ねられる昆虫の名前を聞いて少しだけクラッとくる】
【だけど目の前の女性がそんなものをコレクションしているだなんて凄い、素直にそう思っている面もあり】


そう…ですね。
でも本当に今日はありがとうございました、いろいろとお話を聞いていただいて

【少女は女性の方にクルッと向き直り深々とお辞儀した】

私はまだやっておきたい仕事がありますので…この辺で。
よければまた会いたいです。其方のご都合が良ければなんですけど…

良かったらこれからもいい協力関係を続けて下さい

【『協力関係』それは少女なりに『友達』と言っているのだろう】
【勿論相手がどう解釈するかなんて考えても居ないが】

【去る間際に少女はもう一度深々とお辞儀をして、夜の闇へ消えていった】

/夜遅くまで着き合せるのもいけないので、この辺でお疲れ様でした!/
/機会があればまた絡んであげてください!/
778 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/29(水) 22:22:19.43 ID:b/k7FPG/o
【酒場】

【通りに面した人気の酒場。いつだって賑わって五月蝿くってかなわないが】
【その方がかえって人に話を聞かれなくて済むし、テロリストが居ても気づかれないだろうし】
【そういうがちゃがちゃしている方が落ち着くっていうのもある。店主からBGMまでウエスタンな内装は何かと好きだし】
【何時だってダーツ、ポーカー、ルーレットとギャンブルの相手が何時でも居るってのは悪くない】
【自警団が喧嘩を止めに来て、ついでに飲んで、喧嘩して別のやつに止められるっていうのも見れるのはここだけだろう】

【そんなとっ散らかった店内のあるテーブル席にこの男は居た】
【ひょろ長い体に黒いスーツ、真っ赤なシャツ、黒いネクタイそれにサングラス】
【テーブルに空き瓶空き缶を幾つも並べ、灰皿には吸い殻が山となっている】

【それと一番に目につくのがテーブルの上の真っ赤なギター。丸っこい大きなエレキギターだ。『6120』と刻印がある】
【男はニッパー片手にハンドルみたいなやつをグルグル回している。弦を張り替えているらしい】
【尤も、興味のない人間には何をやっているかなんてわからないだろう】
【狂った調律を合わせようと耳を近づけるが、こんなやかましい場所じゃ聴こえるはずもない】

……さっみぃな。……BABY、冬ももういいだろ

【彼はドアを開けて、通りに面したテラスに出た。こんなクソ寒い日に出るやつなんか誰もいない】
【夜のテラスといってもゴッホの絵のような美しさはない。ここは飲み屋で人も車もごちゃごちゃした街だ】
【彼が腰掛けて奏でるのも調子はずれの出来損ないのジャズギター。これじゃあ、ジルバの1つも踊れない】
779 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/29(水) 22:42:31.83 ID:ydAYIf6Yo
>>777

戦闘力を磨くって点なら、それこそ知り合いと模擬試合とかどうかしら?
痛いのは当然だけど……でも死んだりしないし、お互い協力できそうだし……?

ふふっ、まあいいわ!私がどうこう言っても、結局決めるのはマリだしね
今日は私の方こそ、考え方を改める機会になったし……ありがとっ。
気を付けて帰るのよ。また会った時、元気じゃなかったら怒るからね――!

【少女がまだ仕事が、というとアンジェルはやや残念そうな顔をしたが、直ぐに気を取り直し】
【お辞儀をした彼女に軽く手を振って、その背が消えるまで見送りを続け】

……さて、っと。戻ってお店の手伝いでも……ぁ、その前にあの書類仕舞わないと。
飲んだくれでも一般市民、下手に心配させたくないものねっ!

【やがてアンジェル自身も夜の闇へ――ではなく、UTの明かりの中へ】
【重要書類と、自分のバッジを確かめるのを優先に歩みを進めていったのだった】

/遅れながら、お疲れ様でしたー!
780 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 00:19:53.00 ID:8vj8stibo
>>766

「ヒャハッ、まッ、そォー簡単に渡す気はねェーみィたいだな」

【鋭く剥けた感情が己を刺す、その程度で怖気づいていたのならば悪魔なんぞは務まらない】
【むしろそれすらも喰らう気概を持ってこそなのだ、――無謀なほどの欲を持つ為には】
【――悪魔の表情は今はまだ崩れない、欲に塗れた汚い笑みのまま、ずっと】

「ほォう……まァ良ォい、俺様もあァまり派ァ手な動きが取ォれなかったからな、単利複利、単位等を適当に纏めて待ァっておォいてやァろう」
「安心しな、俺様はテメェーらの領ォ域に踏ゥみ入れるつもりはねェ……"混沌"を流し込むくゥれェはすゥるかもしィれねェーがな」

【踏み入れるつもりはなく、しかし混沌を流す、どこか矛盾を抱えているような言動をしつつ――】
【謝って帰る、勿論この悪魔はまず"謝る"の"あ"の字すら見せず、むしろ行動はどんどんヒートアップするのだった】

「……ヒャハハハ、俺様を帰らせたけりゃア、土ィ産を持ォたせるんだな!」

「――こォいつは……"酸"ッ……!」 「ちィ、……少ォ々迂ゥ闊過ゥぎたか、右腕は少し前に別の酸を受ゥけたばァかりといィうのに」

【人の殻を被ったその悪魔には酸が通用するようだ、蛇に触れた右手が焼ける、爛れる】
【――勿論、痛くない訳がない、グルルルと小さく唸りつつ見せるのはしかめっ面】
【"酸"、――ならば、何が適任か】 【作り、作り、増えた部下の誰を呼び出すべきなのか】

「……グゥルルル、よォし、……出ェてこい、"アルトレス"ッ!」

【――先程の魔方陣からまた闇がいずる、地に降りて形を成す――】
【それは、身長1m程で灰褐色の生物だ、素材は木と思われる】 【やや上の方に空いた"うろ"の中には一つの丸く赤い眼】
【上部は口の様で、穴の上下に木の牙の様なものが見られる】 【腕や脚は一対ずつもっており、指は二本】

「酸を打ゥち消すには何が必要か、言ィわずもがなって奴だッ!」 「…………ちィ……少し召ォ喚が遅かったか」

【木の生物の口部から吐き出されるのは灰色の粉末――というより灰そのものである】 【灰は辺りに振り撒かれて――】
【ただ出足が遅かった、腕に向かう方は何とか避けたようだが、胴体に向かう方は避けきれず――命中】
【灰によって受ける酸を中和しつつ、しかし無効化とまではいかず――胸部の服ごと身を焼く】

「あァ……糞が、熱ィ!」 「幾ら俺様と言ィえどもッ!」 「人の肉体を持ォっている以ィ上は熱いッ!」
「えェい、――アルトレスッ!」 「アルカリの灰以外にもなァーんか出ェ来ただろ、やれェーい!」

【木の生物の口部から再び何かが吐き出された、今度は灰ではない――特別な性質も何もないただの木の枝の弾】
【長さ5m、幅5mm程の弾が三つ吐き出されれば、彼女の両腕と腹部に向けて飛んで行く】
【―― 一方、こちらの召喚した蛇はまだ動きを見せないが、口元に熱が籠っているような、そんな気がした】
781 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 00:22:52.43 ID:bbKTC4iqo
【とある僻地・荒れ果てた神殿前】

【メイド服を着た小柄な女性が一人、崩れた脊柱に腰かけていた】
【周囲にはなにもない。彼女の紺色の髪と瞳は、まるで夜の闇に溶けるかのようであり】
【一方で無表情を貫く姿勢は、どこか鬼気迫る様子まであるようにも思える】

【まあ、一言で表すなら、不審だった。この神殿――といっても、何の物かも分からず】
【ただ年月に任せて朽ちるだけの、廃墟以下の場所――そこに居るのもおかしかったし】
【ぼうっとするでもなく、かといってはりつめるでもなくしているのまた、妙】

……そろそろですか……………――――。

【そんな呟きをこぼすだけでなにもしないところを見ると、待ち人だろうか】
【となればますます妙だった。密会か、或いはもっと質の悪いものか――】

【どちらにせよ、もし此処に誰かが迷いこむなり、踏み入るなりするのなら】
【すぐに彼女の紺色の瞳がそちらに向くのは間違いなく】
【また光景を見て、その人物が容易に何かしらの想像が出来る――というのもまた事実か】

【時はゆっくりと過ぎてゆく。丸から少し欠けた月が、草と瓦礫に包まれた空間を写し出していた】

/再利用で三時間程度で凍結確定ですがよろしければ〜
782 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/30(木) 00:23:35.94 ID:iJ/0XAIXo
>>747
【無感動に外界を見据える瞳の中に、剣呑な蒼い灯が揺らいでは消える】
【取るに足りないものをせせこましく突き回して、何が愉しい。そう言わんばかりに吐き出した溜め息一つ】
【油断なく辺りに視線を巡らせながら、不遜な仏頂面のまま、重ねて問う】

弱い者苛めが好きで堪らない、って面には見えないが──言うに事欠いて、あれが救いだとでも?

【答えは、待たない。男が一人合点したのと同じように、女もまた、彼の言動を自分勝手に解釈する】
【潜在的な自殺志願者の感傷。自らの欲望を他者に押し付ける、下らない自慰行為】
【どこまでも傲岸に、この殺人をそうした物だとして一蹴。嗤う彼とは対照的に、いつしか女の口許は固く引き結ばれ】

そんなに羨ましいのなら、お前も一つやってみたらどうだ。上の奴らも言ってるよ。

【左腰の刀に掛けた手が、音もなく小太刀の鯉口を切った。発条仕掛けめいて力強く、その足が前方へ踏み込む】
【透徹した冬の夜気が、びりりと震える。不吉な震動の根源は、小太刀を引き抜くと見せて翻る女の右手】
【フェイントを織り交ぜて男の鳩尾へ打ち込まれる右掌底には、陽炎のような力場が纏わりついている】
【何らかの接触を受ければ力場は爆ぜ、触れたものを強い指向性を持つ衝撃の波で打ち据えるだろう】

道連れが欲しいとさ!

【直撃したならば鳩尾からやや上傾きに横隔膜へと突き抜ける衝撃によって、ほんの束の間、相手の呼吸の自由を奪うのだろう打撃】
【それは次の手に備え、相手に隙を作る事を主眼に置いた牽制の一手だ】
//遅くなりましたが只今帰りました、いらっしゃいましたら本日もよろしくおねがいします
//昨日のことはどうぞお気になさらず。私はこんなんですし、実際お互い様です
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 00:43:49.66 ID:MWzSog770
>>780

【そうそう簡単に渡すわけがない、そもそも渡すつもりがない、ひどく当然のこととして】
【それこそ毛先のほんの少しだってくれてやるようなつもりなどなかった、そこも総て、“彼のもの”だから】

【酸が肌を焼いたのを見て浮かべられる笑みの色合い、あどけなさの残る顔つきには似合わない色合いをしていたはずなのに】
【不思議と少女の顔にはそれがよく似合う。白い歯の尖ったのを見せるぐらいに、薄く三日月のように笑んでみせた】

――、わたしたちに関わろうとするから、ッ、……そうなるんだから!

【手に作り出した刃が翻る、飛んできた弾、腹部を狙ったものを切り落として、そのままの仕草でひとつを叩き落しつつ】
【最後のひとつ――左腕を狙ったものは、すっと手を引くことで避ける、かつりと硬い硬い足音がひとつ鳴らして】

【水蛇の頭の中にあった鈴がかつんと音をたてて落ちた。役目を成して身体を保てなくなれば、残るのは酸に濡れた相手の身体だけ】

……それ、で。わたしのセシルとおまえはどんな関係があるの、あのひとに何をしたの。

【刃を持ち上げれば陽光に雫が煌いて踊る、きちりと寸分違わず相手の心臓を示してみせた切っ先、けれど突き出されることもなく】
【素直に吐けば赦されるような仕組みだった。もちろん、少女がひとりでそう定めただけで、付き合ってやる義理も義務もないもの】
【丸い瞳は半月のように伏せられて、穏やかじゃない色に染まっている。わざわざ言葉を投げてみせたのは、】

…………。

【召喚士らしい相手の挙動にひどく警戒している様子があったから。様子見ということだろう、手を出すのを躊躇っている】
【少なくとも相手が何かしらの言葉を発するまでは大人しくしていることだろう、ほんの束の間、瞬きで終わってしまいそうな幕間】

【(いろいろなことを彼から教わった。けれど、まだ始めたばっかりなら、実戦で使ってみせろというのも難しいお話)】
【(結局上手に扱えるのは自分の能力からの派生である刀ぐらいなもの。それだってまだ慣れないなら、手数で負ける)】
【(分の悪い戦い――と言えるだろうか。それでも、酸が効いてくれるなら、まだ、未来はあるのだけれど)】
784 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 01:19:10.70 ID:8vj8stibo
>>783

「――クヒャハッ、こォんな酸くゥれェで俺様はくゥたばらねェ」

【――右手は結果的に自ら焼いた、胸部は中和しきれず焼かれた、……】
【もしかしたらそれは強がりなのかもしれないし、しかし少しの痛みだけで落ちる相手でもなさそうで】


「ほォう……奴との関係、奴に何をしィたか、――簡単な話だ、"望み通り"力を与えた、"夢ゥ魔"のな……たァだそォれだけだ」

【一度は失った笑みを再び見せる悪魔、――問われれば、隠す理由なんてこちらにはない、故に答えるだけ】
【だがその言葉が本当か否かを証明するには材料が少なすぎる、しかし先程の夢魔は間違いなくあの時の"におい"を持っていた】
【――少なくとも、セシルに何かしらの手を出した犯人であることには、間違いないようだが】

「で、……ヒャハッ、俺様の心臓をぶゥッ貫くつゥもりか、――」
「肉体に固ォ執する気はねェーが、俺様の素ゥん晴らしいボォディを殺されるのは面倒だからな」

【――肉体が[ピーーー]ば普通はもうこの世に留まることが出来ない、幽霊化はともかく。それをこの悪魔は"面倒"の一言だけで済ましてのけて】
【そう言いつつも殺されないに越したことはないと、まずはバックステップを一つとれば】
【左手にシューダを巻き付けさせて、口部に炎を発生させつつ、それを彼女の首元に向けて――】

「シューダ!」 「――さァ、四蛇の武ゥ器として作られたそォの力でじゅゥくじゅくに焼ァいてしまえッ!!」

【"その刀を突き出すならば、こちらは炎の弾を発射する"――おそらくでもなく、そういう事】
【もし突き出さなかったとしても、――結局は、言葉を終えると同時に容赦なく発射されるのだが】

【橙色に揺らめく炎の弾の大きさは野球ボール程度で、性質は炎そのモノ。――炎を消せる方法があればそれが通用するだろうし】
【そもそも何かに当たって数秒もすれば消えてしまう儚い弾である、とはいえ炎が危ないことには変わりない】
785 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 01:25:17.70 ID:tgjfKDqE0
>>781
【――――不意に感じるであろう人の気配。とは言え、この場であれば容易にその姿も探し出せよう】
【月光に照らされる中、少しずつ姿が露わになるのは修道服に身を包んだ女】
【聖職者ならば嘗ての死者を慰める為に訪れたり、或いは祈りを捧げるために訪れる事も珍しくは無い…………が。その金色の髪を持った修道女は何処か妙で】
【銀の双銃と、身体を汚す深紅の飛沫。乾ききらない其れが聖職者らしからぬ“荒事”を終えたばかりなのだと告げようか】


「何がそろそろ、なのかな?
……まだ寒いんだから、何かを待つなら喫茶店が何処かに居れば良いのに
――――そっちの方が君みたいな女性一人で待つには安心できると思うよ」

【カツーン。排出した二つ分のマガジンが大地を叩く、乾いた音】
【つま先で隅っこへと軽く蹴り飛ばせば二丁の銃もホルスターに仕舞い込んで】
【その姿だけを見れば敵意が無いと思える。然れど、警戒していないのかと問われれば話は別】
【緩んだ笑みを浮かべつつ近寄るも、一定の距離を空けて止まるのが何よりの証左】


「嗚呼――――……………それとも、そんな公の場では会えないとか出来ないとか?
それならボクと同じだ。教会だって色々やらかしたりはするけど、まさか修道女が血塗れでしたーなんて洒落にもならないからさ
ふふ…………急にごめんね。一仕事終えてちょっと散歩してた矢先に君の姿を見つけたからさ
やっぱり、こんな場所にメイドが一人なんて不自然でしょ?で、さ――――」

【「何してるのさ」ゆるりと小首を傾げ、改めてそんな問い掛け】
【不審な女が、不審な女へと問う。そんな光景は絵面としてみれば滑稽とも思えるか】

【たった今、何かの命を奪ってきたばかり。そして未だ、その得物は手にしている】
【それなのに殺気が無く、寧ろ微笑すら浮かべているこの女。胡散臭いと警戒するか――――或いは、また別な思惑を抱かせるか】

/もしまだいらっしゃいましたらー!
786 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 01:44:45.46 ID:bbKTC4iqo
>>785

【紺色の瞳が、やはりしっかりと修道女――と思しき女性を捉えた】
【何を考えているのかわからない、そこに色をつけただけのガラス球のような双眸は】
【まず双銃を捉え、次に血のものと思われる汚れを捉え、最後にその顔を捉えて】

―――私が貴女様に何か一つでも答える義理や義務は存在いたしません。

それと……雑談がしたいと言うのなら、是非その喫茶店に行かれることをオススメします
生憎と貴方様と違い、私はこれからお仕事でして……暇ではありませんので
またお気遣いにも感謝は致しますが、自分の身一つ程度は守れる自身もございます。

【「全てに於いて結構です」―――と。酷い突き放し方から会話はスタートした】
【徹底的な拒否。『此処から失せろ、さもなくば。』そう言い出しそうな様子すら伺える】

【当然それは敵意か疑念を生じさせるはずであり、メイドの達観した様子からして】
【その行動による結果も影響も理解しているように思えたが――尚も、動かない】
【此処に居てなにか悪いのか。能面でも被ったかのような冷徹な表情はそれを物語る】

……メイドが荷物を持って一人で居ることよりも、世間的には
修道女様が銃を両手に血塗れで人里離れた場所に居るほうが些か不自然かと。
名を尋ねるには己から名乗る、これは鉄則……何処の世界においてもです

例えそれが名前でなくても……何かを尋ねるなら、自問自答してみては如何です?

【――此処は、遺跡だ。奥は洞窟のようになっていて、もっと大きな目線で見れば山につづいている】
【その入口でメイド、確かに奇怪。しかし血塗れのシスターもどうなのだ、そういうことをふと返す】
【口は達者なようだった。オマケに彼女、石柱の影に古ぼけたトランクケースを置いているのだが】

【その更に影、鈍い色が見えた。黄銅の煌きは―――恐らく刃物に違いなかった】

/はいはい居りましたっ!よろしくです〜
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 01:45:25.49 ID:MWzSog770
>>784

【――ぱたり、ぱたり、刃から雫が滴っては地面を焼いていく、古びた床材には穴すら空きつつあり】
【たまたまそこに落ちていた古びたペンなど、既に真っ二つにされてしまった。――もう平和など、どこかへ消えて】

ふうん、そう、……でも知らないわ、そんなの。

【そっと刃がずらされる、数センチばかり下へと向けられて、ただ、そちらに向いていることには変わりがない】
【聞いておきながら知らないの一言で片付けてしまう態度、どうにも信用していないような色があって――ただ、】

聞いてないもの。

【――瞬いたその一瞬、瞳に何らかの感情が過ぎったようだった。実際、声にもそれは僅かに現れていて】
【ただそれを追いかけさせない。そもそも、この場で追いかけてやる必要なんてないもの、流れていってしまうもの】

……あっ、そう!

【恐ろしいとか、怖いとか、死ぬことは相手が言うにはそうじゃなくて、面倒臭いことだと言う】
【“人間じゃない”少女は心中でそれをそっと同意して、ただ――素直に表してくれるほど、無警戒でもない】

【(人間とは違う身体の仕組みだった。魔力さえあれば死すら超える、けれどひどく魔力に依存した生き方)】
【(或いは。総てとはいえなくとも、少しぐらい察されている可能性がある。純な人間でないこと、魔力で生きるモノだと言うこと)】

【――いつの間にだろう、刀が持ち帰られていた。くるりと逆手に、切っ先を背中の側へと流して】
【言葉のおしまいと合わせるように行われたのは投擲、――そう、得物である刃を少女はあっさりと手放してみせる】
【ひゅんと風切り相手へと向かうのは、顔。狙いは正確だが、如何せん真っ直ぐすぎる攻撃、避けるのも容易いが】
【何しろ視覚的に恐ろしい。刃が顔に迫ってくる状況というのは、日常の中には絶対にない事柄だから】

【刀と刃はちょうど入れ違いになるだろうか。「きゃ、」と微かな声、咄嗟に後退する甲高い足音、ひとつふたつと刻んで】
【けれど避けきることが叶わないのは、寸前に槍投げよろしく刀なぞ投げていた仕草が尾を引いているからで――】
【――めらと燃え滾るのが移ったのがスカートの裾だった。冬の乾燥した中では、あっという間に橙が燃え上がって、】

ッ、! ――――っ!

【このままじゃ絶対にいけないこと、熱いこと、怖いこと、焔のぱっと燃え上がるように湧き上がる、様々な感情と】
【咄嗟に火を払おうとした手が炙られる、余計に後退した足、やがては壁にぶつかって、炎ばかりが大きくなって】
【ようやく能力を発動できたのがその頃だった。ゆらりと立ち上がる水の蛇、おっきなおっきなそいつを身体へぶつけて、】
【全身が濡れるけれどそれでようやく消火が出来る。ぱたりと雫を落としながら佇むのは、ただ、ひどく大きな隙】

【(スカート、袖、マントの一部。それが焼け落ちた部分で、下に覗く肌には真っ赤に焼けた火傷が浮かぶ)】
【(スカートの焼けたせいで下着までもが見えてしまっていた。ついと靴下を吊ったガーターベルトの焦げたのとか、)】
【(怖かったらしい表情の乱れとか、そういった趣味の人間ならば喜びそうなもの。こうしてしまえば、確かにただの少女みたいだった)】
788 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 02:14:40.97 ID:tgjfKDqE0
>>786
「ん〜……まあ、確かにそうかもしれないね。救うべき手をボクはこんなに赤くしちゃってるんだから本末転倒だ
ただ、こうやって赤くしないと救えない命だって結構あるもんねぇ
ほら、最近はGIFTとかカノッサとかも活発でしょ?それに加えて魔物や悪魔。みんな話したって分からないからこうでもしないとね」

【“不自然”に対する答えだろうか。殺めねば救えぬ命も有るとでも告げるけれど、果たして其れは正しいのか】
【突き放す様な言葉には「ありゃりゃ」なんて苦笑と共に頭を搔くも、其れで退く事も無く】
【――――ふう、と小さな吐息。少しの間に言葉を捻り、どうするべきかを考えて】


「まるでボクが不審者みたいな言い方だね。…………いや、違っては無いのかな
さてさて、こんな場所に無愛想なメイドさんが一人。この自信がある、何て言葉は嘘じゃ無さそうだけど
――――じゃあ、用心棒でも無く態々こんな辺鄙な場所に居るのは変だよね。それこそ、ボクがこんな形をしてこんな場所に居る位」

【クスリと笑ったならば、朽ちて倒れた柱にでも腰を掛けて】
【笑み故か、それとも月の光が眩しいのか。目を細くしたならば、更に言葉を連ねる】


「いや、どうせ名前なんて聞いたってボクは馬鹿だから直ぐに忘れちゃうんだよ。それこそ、ちょっと歩いてちょっと引き金を引いただけで、ついさっきの人達の名前も思い出せなくなっちゃった
そんな事より、だ。君の言葉に幾つか付け加えようか
メイドが荷物を持っているだけなら、そりゃ不自然じゃ無いさ。その言い方ならね
でも、こんな遺跡でしかも夜中にメイドが荷物を持って一人で居る。こうやって正しく言い換えたらボクと同じ位君も不自然になっちゃうね
ボクと違ってこれからお仕事、だっけ?そして、その荷物と来たら…………」

【白い指が指した先。その場に置いた彼女自身がよく分かって居るであろう物】
【暫しの沈黙。視線を注げば、何で在るかを認識して】


「剣か何か、なのかな?ボクは歴史とかに詳しくないから何とも言えないけど…………
それが君の得物?それとも、これからする“お仕事”に必要な道具?
そうだねぇ…………自問自答した結果は得物なら肌身離さず持ってるだろうから後者なんだけど。答え合わせ、させてくれないかな」

【刃物ならば得物か?いや、しかし得物なら直ぐ様手に取れる様にするのでは無いか】
【――――所々の単語をそのまま用いれば、示していた指も降ろして】
789 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 02:37:23.85 ID:bbKTC4iqo
>>788

【メイドは――返事をしなかった。修道女の答えには絶対に納得しているはずだ】
【どういうことをしてきて、そして彼女がどういう人間なのかも理解したに違いない】
【僅かに見る目が変わった気がした。何が、どういう具合に――言い表せないほど、僅かに】

【そして相手は言葉を重ね、メイドは何も言わずにそれを聞く。聞き流しているとは思えなかった】
【瞳は時折夜空に向いたり、足元の雑草に向いたりした。眼が泳いでいるわけではなかった】

【―――ようやく行動を開始するのは修道女がメイドの言葉を訂正した辺りか】

【彼女はふと手を伸ばしてトランクケースを取った。小さな、書類サイズの物だ】
【ぱっと見る限りでは何の変哲もない入れ物。黄銅の煌きは見えない側に在る】

【――で、彼女が何をしたのか。まずトランクケースを高々と掲げたのだった】
【座ったままで、何より彼女自身小柄だったからさほど高くもないが――眼は引くだろう】
【それで、片手でケースを持ったまま、もう一方の手でケースの留め金を弾き】

【次の瞬間、勢い良く中の物が音を立てて落ち始める。奇怪なのはその音≠ナある】
【ジャラジャラッ!≠ニいうのが混じっていた。見れば入っていたのは――】

【――小さく古い読書用とみられる丸メガネ、それからボロボロの文庫本と――】
【『大量の金銭』が主だった。金貨、銀貨。銅貨は存在せず、代わりに幾らかの札束と宝飾品】
【相当な額になるはずだったが、彼女はそれを惜しげも無く地面にぶちまけ、トランクケースから手を離す】


   答えは護身用の刃物です。満足なさったなら今すぐ立ち上がって此処をお立去り下さいませ
   
   ……………――――これ以上の警告は致しませんよ。


【直後、彼女は言葉を発しながら剣を構えていた。落ちかけるケースの影、括ってあったのを抜いたのだ】
【それは小さな大剣だった。誤謬はない。刃の幅は横30cm、縦も同様で、刃の淵が黄銅に輝き】
【刀身の真中が存在せず――そして恐らくは絡繰り仕掛けなのだろう。その刃はズぁラリと伸びて】

【―――修道女がさほど離れた場所に居ないのなら、その切っ先が顔につきつけられる程に伸長する】
【メイドは立っていた。身長は150cm程度、大剣との大きさが実にミスマッチだったが――】

【その声色に偽りはなかった。風が札束の一部を攫っていく中、剣はきぃん、と不気味に鳴り】
【そして――こちらは聞こえるかどうか。まだ遠いが、確実に迫る足音がひとつ、在ったのだ】
【今すぐ立ち去れば足音の主には会わずに済むだろう。選択肢は僅かに2つっきり――いや、決まっているような物か。】
790 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 03:10:03.04 ID:tgjfKDqE0
>>789
【自分の膝の上で頬杖を付いて、流れ落ちる其れ等を見て】
【もしもその時の衝撃で貨幣が転がってきたならば、不遜にも靴の底で踏みつけて止める】
【――――巧みにケースを用いて、隠した状態で剣を抜かれたのなら。勿論、反応は出来ない】
【だが自身の額を貫かれていないならばまだ行動は出来る。首を後屈させ、切っ先から顔を反らしたならば立ち上がり】


「答えは欲しかったけど、警告を欲しいとは言ってないよ
まだボクの散歩は終わってないし、何より知りたがりだからさ
――――……後悔先に立たずなんて言葉があるけど、ボクの場合は何回体験しても忘れちゃうんだよね」

【今日初めて会った相手だ。殺してしまおうが、関係は無い。ついさっき言葉を交わしただけの相手だ。戸惑う必要も無い】
【修道女にあるまじき考え。銃を取り出し、スライドさせ――――準備は其れで十分だ】
【福音の名を模した其れが銃身には刻まれ、例え殺す為に作られた道具だとしても銀の光に照らされる双銃は美しくも見えよう】
【風に煽られ、顔に張り付こうとする札を避け。一歩、二歩。それから数歩分の距離を稼ぎ】


「態々其処までして遠ざけたい理由があるんだよね
そんな疑問が出来たから、“満足”出来そうにも無い
ボクは自警団でも警察でもSCARLETでも無い、ただのシスターさ。ちょっと可笑しいだけの、ね

だから別に何処かに連れていく事も無いけど――――君が刃を向けるなら、仕方ないよね」

【続いて一発分の銃声。先の立ち振る舞いを見るに、戦闘に自身を持って居る事は確かだ】
【直接狙った所で上手く弾丸を当てる事も出来ないだろう。だから、朽ちた遺跡の柱を用いた】

【柱の端を弾丸で抉り、着弾し破壊した破片をメイドへとぶち当てる。無論、其れのみでは大した攻撃力は期待出来ない】
【だから、続けてもう一発。右の銃の弾丸を左腕部に目掛けて放った。何故当たる事が難しいと分かっていながら撃つのか】
【それはその弾丸の性質故だ。“魔力を吸い取る”からこそ、直接当てねば意味が無い】

【無力化と、そして魔力を有するのかを確かめる為の一撃。だが、同時に放たれている訳でも無いので避ける事は出来よう】
【一発目の謂わば目眩ましを浴びたとしても――――怯まずに動けば、被弾を免れる事も出来る】
【辺りを探り、何か使える物は無いかと探している最中。ふと足音に気付けば警戒も高まって】

【銃口は、未だメイドに向けたまま。だが、一瞬逸れた気は確かな隙】
【――――修道女が足音に気付ける。ならば、其れよりも遙かに大きな発砲音は当然今此処に向かう者にも聞こえようか】
791 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 03:40:17.02 ID:bbKTC4iqo
>>790


――――……強情なのですね、後悔しますよ。


【一言彼女はそう言うと、後は口をつぐんで大剣を握り、先手を取らずに後を待った】
【今になってみればこのメイド、ロングスカートの洒落たメイド服を着ている割に】
【その足元を見ればこれまた古いミリタリータイプのブーツなんぞを履いていて】

【ザッ、と札束を踏み躙る。大事でもなんでもない、そういう風に見えて】

【――直後、戦局が動く。シスターの放った弾丸の一つがすぐ側の石柱を抉り取ったのだ】
【それによる破片を――メイドは大剣を事も無げに振るって、あろうことか】
【破片を柱ごと打ち壊す℃魔ノよって、完全に防御しきってみせた】

【シスターの視力の程度によるが、破壊の過程は単純。黄銅の刃が柱、破片にあたった瞬間】
【両者はその瞬間に凄まじい速度で微細動し、やがて耐え切れず崩壊して、それを剣が払ったのである】
【まず間違いなく能力だ。更にその次、左腕を狙った一発もしっかりと大剣で弾いてみせる】

【『デキる』というのが率直なところだろうか。この大剣、刃しかないだけに恐ろしく軽いと見え】
【オマケに奇怪な能力つき、そしてメイドとも思えない身体能力と戦いのセンスは――存在自体が不審であり】

【ただそれでも人間なのだと分かるのは、弾丸が左腕部の服と表皮をかすめていたこと】
【つぅ、と血が滴る程度だが痛いはず。表情は変わらずも――完璧な挙動ではなかったのだ】

【それと魔力に関してだが、かろうじて在った。ただし極端に魔力量が少ないというよりは】
【まるでマンホールから蒸気が染み出すように、何か蓋≠ナもされているような魔力の具合】
【そこまで推し量れるかはシスターの才覚次第なのだが、それ以上はなんとも言えず】


【――さて次はメイドの攻勢。彼女が大剣を握ると、剣の真芯が無いそれは俄に震え始め】
【宛ら音叉のように共鳴音を響かせ―それを振り上げて、下ろす。ただそれだけの動作を彼女は成した】

【無論、振るって届く距離ではない。では一体何をどうしたというのか、察せられなければ後が危うい】
【メイドが――彼女がやったのは衝撃波≠飛ばすというわずか一動作に過ぎなかった】
【触れても切れることはない。ただし濃厚に空気を凝縮してあって、当たれば数メートルはふっ飛ばされかねない不可視の一撃だ】

【他に接近を測るだとか、そういうことはない。あくまでも距離は離したままで、彼女は動かなかった】

【また近づく足音にも銃声は聞こえたはずだが、これは歩を早めることもなく】
【しかし着々と距離は近付いてきていて、もう数秒もするとシスターの背後辺りに辿り着く様子だった】

/申し訳ないっ、そろそろ中断お願いしたく思います!
/こちら次に来れるのが金曜夜なのでその時か、でなければ置きレスでお願いできないかなぁと
792 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 03:44:54.50 ID:tgjfKDqE0
>>791
/了解でありますよ!
/それでは、恐らくこちらの方は何時も通りの10時半以降になってしまうかと思われますが金曜日の夜に再開出来ればと思いまするっ!
793 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 03:47:02.62 ID:bbKTC4iqo
>>792
/でしたら金曜夜でお願い致します!それまでは置きレス風味になるかとっ
/では今日のあたりはこれにてっ…一旦、お疲れ様でした〜!
794 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 04:17:56.28 ID:XcwAGjL/o
>>782

【既に回避出来る距離では無い。切り付けられると理解して尚、男は動かない】
【だが、実際には刃は抜かれない。その差異に気付いた時にはもう、陽炎が躍る】

……ッ、……!

【右掌底を鳩尾に喰らった男の痩身が、衝撃に揺らいで一瞬呼吸の自由を失い】
【次いで雨の滴る様に静かに落ちて来るのは、高く吊られた死体の群れだった】

【植物使役の術を維持出来なくなったのが理由か。或いは故意かは分からない】
【総数にして十三体、二階程度の高さから成人男性が落下して来る事になるが】
【事前に位置把握は出来ている筈、最低限の回避があれば、抱擁を交わす事も無い】

【蹈鞴を踏む男の上からも、一体が足から落下してくる。これも避ける術は無かった】
【その前に相手の剣戟が光るが速いかは分からないが、これだけは確かな事】
【落下後に男へ寄り掛かる死骸は、本人の意思に依らず位置的には男の楯となる】

【意図せず間近に見る事となるその無念の顔に、男の顔から薄笑いが消えた】

【一方、両壁に根差した植物は消え去った訳ではなく、吊っていたものを手放して暴れ】
【その幹が急速に太く、狂暴な大きさへと成長していく。現世に在らざる御仏の樹木は】
【遊ぶ、それを通り越した巨大な規模へと発達してゆくが、未だ上空での事に過ぎない】
795 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 13:22:12.95 ID:EKyJi/9Uo
>>787

「ククク……そォーだ、テメェーは知ィらないだけ――俺様がこォーやって、混ァぜたのはな」

【左手にはいつの間にか野球ボールが握られていた、それに蛇が炎をかければ】
【同時に吹き荒れる魔翌力――それが晴れれば見えるのは、野球ボール程の大きさで2つの眼を持った火の玉だった】
【まだ悪魔に対する忠誠心は持っていないようで、生まれた後は辺りを浮翌遊しつつ、可燃物を身体で喰らう】

「(うゥむ、あァの糞共のせェいで嗅ゥ覚の調ォ子がいィまいちだァからな……まァー良ォい、いィずれわァかる)」

【確かに何か違いは嗅ぎ取っていたようだ、――この悪魔の持つ"嗅覚"は犬より優れる、色々な意味で】
【それがどのような存在であるか、あるいはどこに何が有るか、様々な事柄を嗅ぎ取ってしまう――が】
【どうやら"何か"が原因でその驚異的嗅覚は"衰えた"ようで――故に、少女が純粋な人で無いか否かに確信は持てない】
【また、今それを問い確かめる気は無かった――それよりも、目の前に迫る切っ先をどうするかが先だ】

「おォそらく……いィや、間違いなくあァれにも酸がある」
「刀に加えて酸まァで喰ゥらってちゃア、……ってとォころか――ッ!」

【体外はまだしも体内からまで酸に焼かれていては、それこそどうなるのかわかったものではない】
【しかし今は攻撃体勢の直後だ、人の姿でこの状況、さて――取れた行為は"頭部をずらす"】
【無論、それだけでどうにかなる程悪魔の頭は小さくない、左眼の脇――こめかみの部分を深く斬られてしまう】

「グゥゥオオ……眼がァッ」 「なァんだアルトレス、テメェーは関係ねェーだろいィや有ァるか灰寄ォ越せェッ」

【酸が眼に向けて侵食する、他の周辺にもそうなのだが――木の生物が悪魔の足を手でつつく、とりあえず怒鳴る、】
【しかしすぐに意図に気が付いた――その生物の口部に手を突っ込み、慌てるそれを後目に灰を取り出せば】
【先程の斬られた部分に灰を塗す――はたしてそれに効果あったのか否かはわからないが、少なくともこんな効果は得られた】

「ガァァアアーーッ、眼がァーッ!」 「灰も灰で沁ィみるわ糞がァァアアーーッ!」

【……傷口に塩を塗ったらしい効果が。】
                         . . . .. . .
「グゥルルル……ほォう、そォの動き……慣ァれてないな」 「そォれはそれで好ォ都合!」

【無理矢理冷静さを見せれば、木の生物の口部から吐き出されるのは"灰"の塊――彼女の頭部目掛けて放物線を描く】
【濡れた身体に炎を浴びせるより、灰をはりつかせた方が効果があると見込んだのだろう――威力はともかくとして】
【塊の大きさは最初は"平均直径15cm"程だが、飛ぶにつれて灰が辺りに散れて少しずつ小さくなる】

【目的は、動きの抑制及び視界妨害等――塊の状態をなるべく維持しようとしているからか、速度は控えめだ】
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 16:27:06.60 ID:MWzSog770
>>795

【はあ、と。大きくなった吐息がひとつ漏れる、炎を消せたことでようやく安堵してみせたような、それ】
【やはり怖かったのだろう、自然と自らを抱き締めるような両手の位置、ぎゅうと身体を縮こめ、強張らせて】
【相手の言葉を聞いている余裕などまるでなかった。ようやく意識が復活してくる頃には、】

――ひ、ぅッ!

【――ぼふり、と。顔にぶつかる灰の塊、華奢な声が驚いたように昼間を劈いて、ただすぐに掻き消える】
【変わりに唇から零れだすのは舞い散ったのを吸い込んでしまったのだろう無惨な咳で、噎せれば噎せるだけひどくなる】
【ぎゅうとおなかを抱き締めて――げほげほと咳き込む姿、或いは先ほどよりも大きな隙を見せ付けて、居たなら】

【(あんまり戦いに向いていないようにも見えたのかもしれない。戦火の中に生きるのが似合うとは、いえなくて)】

【灰交じりの雫がぽたぽたと垂れる、べっとりと顔に付着した灰をなんとか手で拭い取って、払い捨て】
【無理繰りに飲み込んで整えた息、ぎりと噛み締めるように睨み付けた色合いばかりが、いやに鋭くて】
【憎いという風に睨んでいた。やがて持ち上がる手、火傷に引きつる右の手を、そっとそちらへ差し向けたなら、】

――――*******

【ぞろりと這いずるようにあふれ出す声の低さ、まるで怨嗟をそのまま吐き出したように空間を揺らして】
【同時。手から弾かれるように溢れて飛ぶのは、主に黄緑色を固めた蛇のかたち、大きく大きく牙を剥いた造形が】
【始めにそうしたように相手に襲い掛かろうとするのだろう、ただ、今までとは違って、“魔術”】

【相手の能力を一時的に下げるものだという。そう教わったなら、他者にそれを向けるのは初めてだったけれど】
【上手に出来ていた。そんなこと相手には関係ないこと――ただ、どうやら、それは囮としての発動のようだった】
【――見れば、魔術の向こう側でその姿が煌きだしていた。黄緑色の魔力の粒子に飾られて、その姿が消えつつあった】

【転移の魔術――やがてしゅんと消えた姿、残したのは燃えた服の残骸と、僅かな体温の残滓と、ほんの少しの焦げ臭さ】


…………、――、

【降り立ったのは夜の中、陽光の変わりに降り注ぐものはない、新月の夜の中】
【庭先の水道で顔を、髪を、洗って。ほんの少し悔しかったが、きっと泣いてしまうほどではなかったなら】
【目元が濡れているのは顔を洗ったから。結局家に帰る頃には、全身からぽたぽたと水の雫を垂らし垂らし】
【しょんぼりと下がりきったテンションで――きっと、傷口の手当をしてもらうのだった】

/おつかれさまでした!
797 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 18:14:02.81 ID:LtRcavqGo
【櫻の国――森の中】


【時刻はお昼過ぎ。寒い日が続いているけれど、この時間帯はまだあったかい】
【日光を遮る雲も今日はない。太陽の光が大地に降り注いでいるが、今は生憎とそれを受けるべき緑もなく】
【代わりに積もった雪がそれを反射して、辺り一面、眩しいほどの白が輝いていることだろう】


必殺―――ッ

銀猫こめっとぱ――――――んちッ!!


【ふいに気合のこもった叫び声が轟く。声の質からして、かなり若い女だろうか】
【何かの技を放ったようで、爆発音や破裂音に似た音と共にメキメキと何かが倒れる音が続くはずだ】

【この森はそんなに木の密度も高くなく、場所は林道のすぐ近く】
【おまけに緑が少なく――要するに、ここを通るなら彼女の姿を見れるだろう】
【そこにいるのは――】

【デニム生地のホットパンツ、薄い緑のシャツを着て、足には運動靴という服装に】
【嘘か真か、背中に伸びる黒いしっぽと、アーモンド形の大きな黒い瞳】
【そして目を引くくらいにくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えている】
【そんな、精悍な顔立ちの少女だ】


ふいー、櫻の国に来たら強くなれるかもって思ったけど……なんか、あんまりいつもと変わらないにゃ
妖怪パワーも感じられないし……寒いし


【倒れた木を見つめながら、彼女は少しばかり肩を落とす】
【ふぅ、と息を吐けば白い息が空に昇っていって。急に寒さを思い出したように手を擦り始めた】
【シャツ一枚という薄着は季節感が全くなく、耳も手も、先まで真っ赤になっていることだろう】
798 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 20:18:36.09 ID:LtRcavqGo
>>797
/まだいたりします。もうしばし募集しますー
799 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 21:10:59.52 ID:NeAl5Lr6o
【酒場】

【通りに面した人気の酒場。いつだって賑わって五月蝿くってかなわないが】
【その方がかえって人に話を聞かれなくて済むし、テロリストが居ても気づかれないだろうし】
【そういうがちゃがちゃしている方が落ち着くっていうのもある。店主からBGMまでウエスタンな内装は何かと好きだし】
【何時だってダーツ、ポーカー、ルーレットとギャンブルの相手が何時でも居るってのは悪くない】
【自警団が喧嘩を止めに来て、ついでに飲んで、喧嘩して別のやつに止められるっていうのも見れるのはここだけだろう】

【そんなとっ散らかった店内、隅の丸い木のテーブル席にこの男は居た】
【ひょろ長い体に黒いスーツ、真っ赤なシャツ、黒いネクタイそれにサングラス】
【テーブルに空き瓶空き缶を幾つも並べ、灰皿には吸い殻が山となっている】

【それと一番に目につくのがテーブルの上の真っ赤なギター。丸っこい大きなエレキギターだ。『6120』と刻印がある】
【男はニッパー片手にハンドルみたいなやつをグルグル回している。弦を張り替えているらしい】
【尤も、興味のない人間には何をやっているかなんてわからないだろう】
【狂った調律を合わせようと耳を近づけるが、こんなやかましい場所じゃ聴こえるはずもない】

……さっみぃな。……BABY、冬ももういいだろ

【彼はドアを開けて、通りに面したテラスに出た。こんなクソ寒い日に出るやつなんか誰もいない】
【夜のテラスといってもゴッホの絵のような美しさはない。ここは飲み屋で人も車もごちゃごちゃした街だ】
【彼が腰掛けて奏でるのも調子はずれの出来損ないのジャズギター。これじゃあ、ジルバの1つも踊れない】
800 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 21:21:03.74 ID:OyPv1zeho
>>797
/まだいらっしゃいますでしょうかー?
801 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 21:22:52.50 ID:LtRcavqGo
>>800
/Yes!いますよ!
802 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 21:26:35.79 ID:OyPv1zeho
>>797

――――うーん。やっぱり、この時期の櫻の国の景色も中々だね。
やっぱり写真ぐらい撮って帰ってあげようかな……?

【しゃくしゃくと、雪を踏みしめる音が響く。革のブーツで足跡を刻みながら、林道の中を歩いてくる人影があるだろうか】
【黒いダウンジャケットを着込んで、旅行用らしき大きめのリュックを背負い、雪化粧で着飾った枯れ木の群れを楽しそうに眺める、そんな人物――――】
【流行りもののシャツの上に青系のカーディガンを合わせ、胸にはシルバーのアクセサリー、下は深緑色のカーゴパンツを履いた服装に】
【髪は染料で染めた茶色で、ワックスを使って前髪を上げている。その正体は、いかにも今時≠ニいった容貌の少年であるだろうか】

【少年はふと思い立ったように、リュックからカメラを取り出す。何か風情のある絵は撮れないものかと、辺りを見渡して…………】

うわっ!? な、何か不穏な音が…………。
…………ん? 女の子?

【林の奥の方から突如として響いた異音に驚いて、はずみでシャッターを押してしまう。ふいに切り取られた景色の中には、少女の姿が写っていて】
【そして身構えた拍子に、うっかり自身の力=\―――この櫻の国では妖気≠ニ呼ばれるそれを漏らしてしまうだろう】
【少年がそちらに気づくのは、シャッター音が響いて不穏な力が流れ出した後になる。少女が敏感なら、気づくのはそちらが先かもしれない】

ねぇ、そこのきみ! こんなところで何やってるんだい?

【何はともあれ。少女に気づいた――――特にその寒そうな格好に気づいた少年は、林道から外れてそちらへ歩み寄って】
【警戒されないよう、努めて穏やかな調子で話しかけるだろう。その際、猫耳の方へと一瞬興味の視線が行くが…………】


/よろしくお願いします!


803 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 21:54:38.37 ID:LtRcavqGo
>>802

【響いたシャッターの音。耳がいい彼女がそれに気付かないはずはなかった】
【それだけならば大して気にも留めなかっただろう。だけど、直後に感じ取ったのは、何とも言えぬ感覚】
【不思議に思い、彼女は少年の方を向くだろう】

【歩み寄る少年に対しては何のリアクションも見せない】
【猫耳を見つめられると、反射的にかぴこぴことそれが動いた】
【動きも見た目もかなりリアルであることだろう。耳もしっぽも、偽物には見えないはずだ】


にゃ? あたいは修行してるんだにゃ
って言っても岩を砕いたり木を折ったりしてるだけだけど
……ちゃんとした修行の仕方とか知らないしね


【言葉を紡ぎながら、倒れた木を顎で指す猫少女。どうやら修行をしていたらしい】
【単なる自然破壊にも聞こえるかもしれない。修行=何かをぶっ壊す、という式ができているあたり、】
【頭はあまりよろしくなさそうで】

【寒さから背を丸めつつ、彼女は少年のあったかそうな上着を羨ましそうに見つめる】
【それも一瞬のことで、すぐに彼女はにやりと表情を変えると、少年へと一歩近づいて】


そ、れ、よ、り、も――今の何かにゃ? 何か不思議な力を感じたにゃ


【そう問いかけるだろう。ゆらゆらとしっぽが揺れる】
【今の彼女はすごくやっかいな表情をしていることだろう】
【特に目は獲物を捉える時のように細められて。――きっと答えるまで、逃がすまいとでも考えているのだろう】

/お願いしますっ
804 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 22:26:47.39 ID:OyPv1zeho
>>803

ああ、修行だったんだ。
確かにちょっと乱暴な方法ではあるけど…………ぼくも人の事言えないなあ。
同じようなことやってるし…………。

【少女の近くまで踏み入れば、少年は少女の周囲の惨状にも気づく。強引にへし折れた木を、苦笑いを浮かべて眺め】
【見た目からして徒手空拳、武器を構えている様子もなく。素手で叩き割ったのならとんでもないなと、自然と拳に目が行った】
【そのイメージが、可愛らしい猫耳や尻尾に重なって…………「猫パンチ」というには、ちょっとばかし笑えそうにない】

【そんな事を考えている間に、少女の足取りは近づく。大きな瞳に気圧されるように、少年は一歩下がるだろうか】
【しかし、爛々と輝く視線に根負けしたように。少年は観念したように姿勢を正すと、「仕方ないなぁ」と苦笑いで呟いて】

…………あー、うん。これは妖気≠チて言うんだ。名前そのまんま、妖怪の力だよ。

【――――ごぅ、と風が巻き起こる。明らかに自然の風ではない、ごく薄い銀色≠帯びたつむじ風が、少女の頬を撫でるだろうか】
【その風の中には、少女の感じた奇妙な感覚が凝縮されている筈だ。これが少年の、風を操る妖気≠ナあった】
【ごく簡潔な説明を真に受けるなら、この少年もまた妖怪ということなのだが。見た目には猫耳も無ければ尻尾もない、ごく普通の人間であって】
【それはさておき、少年はリュックを下ろしてジャケットを脱ぐだろう。今更ながらに少女の羨むような視線に気づいたのか――――】
【…………が、何故かそれを渡す直前、少年は考え込むように止まる。しばし、少女の顔と自分を交互に見比べて】
【それから苦笑いを浮かべると、ひとつ提案するだろうか】

ねぇ、きみって修行中だったんだよね?
――――ぼくでよければだけど、ちょっと付き合おうか?

【少年は、にこりと何気なしに笑って。ごく軽い調子で、しかし物騒なニュアンスを含んだ言葉を紡ぐ】
【その手からは暖かそうなジャケットが差し出されている。が、それはどう見ても戦闘≠ノは邪魔な一品であって】
【この提案を受けるか否か――――このジャケットを受け取るか否かは、少女の自由である】
805 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/30(木) 22:32:15.55 ID:3NThbZVWo

【月明かりに照らされた、夜の草原】
【夜の薄闇の中、銀色に光を反射して、真っ白な毛並みの馬が草を食んでいた】

あぁ……――――

【空を見上げる人影。高く結った銀の髪が風に揺れて】
【服装は赤を基調としたドレスと西洋鎧を組み合わせた様な――所謂、鎧ドレス】
【背には長短一振ずつの双剣を負っていて、その少女が一般人ではない事を示していた】

――――やっぱり……も…………かしら……?

【小さな声で漏らす呟きは風に流され――――左眼に感じた違和、そっと指先で目の下を撫でる】
【勝気そうな蒼い瞳。その左の瞳孔が、縦に裂けていた。純粋な人のものとは思えない、そんな形で】

【一瞬薄くなった影が、再び形を取り戻していく。雲一つ無い空、月は一切の妨げなく地上を照らしているというのに】
【人とも獣とも妖怪とも、どのようにも感じられる気配が周囲に漂って。草がザワザワと音を立てていた】
806 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 22:56:02.19 ID:8vj8stibo
>>796

「ヒャハハ、こォれが本物の"シンデレラ"って奴だ!」

【灰の塊の命中によって隙が出来たと見たや否や、――右足が踏み出される】
【一気に駆けて接近し、――至近距離から攻撃を叩き込み、一気にケリをつけようという魂胆だったのだろう】
【――その行為はあえなく失敗に終わるのだが】 【向けられる右手から発せられたモノによって】

「――ちィ、撃ゥってくるかッ」

【先程迂闊に水の蛇を触って右手を焼かれたのだ、――形は違えど、何か危険なにおいがした】
【下手に強行突破して手痛いダメージを再び受けるのは得策でない、急ブレーキをかければ】

「ポーソン・……ディルム・カプテスプッ!」

【左腕に巻きつく蛇が顔の方に上りつつ、見せるのは最初に蛇に向けて放った技――"エネルギーの破壊"】
【但し。――先程のモノは手で触れて発動していた、しかし今は違っていた、それを手から"放出"していたのだ】

【――目に見えてわかるものである、直に触れて発動した方が強力に砕けることくらいは】
【"咄嗟に""遠距離へ"発動したそれは、黄緑色の蛇を完全に破壊することは叶わず。――良い当たりだ】

「グゥルルル……しィまった、逃ィげられたかッ!」

【力がますます衰えていくのが感覚でわかる、しかも気づけば少女の姿はどこにもない――】
【ただ一つ、"人ならざる何か"――戦ってみて、持てなかった確信を少しだけ固められた、それだけ】
【結局今日は素材は手に入らなかった、傷も負った、奪おうとしたモノはもうない、どうするか】

「……ちィ、今ォ日のとォころは見ィ逃してやる」

【負け惜しみに近いような、というよりそのものの様な――そんな言葉を呟きつつ、足許に生成される魔方陣】
【己の身体が闇と化すれば、その魔方陣に吸い込まれていった――使ったのは、転移術】
【原理は違えど効果は大体同じ。―― 一体それはどこに続いているのだろうか、混沌の残り香を残し魔方陣は消えて】

【深い深い混沌の中、悪魔はそれをもって傷を癒していて】 【――呟きは、誰にも届かぬ】

「…………あァ、糞……肉体っつゥーのは不便だ」

/お疲れ様でした、二日間ありがとうございました
807 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 23:04:31.21 ID:LtRcavqGo
>>804

【体格は華奢で、一見猫耳としっぽが付いたただの少女に見えるかもしれない】
【けれど彼女が能力か、素の力かで木をへし折った事実は変わらない】
【ともかく、ただの少女ではないことはわかるだろう】


おにーさんも修行とかするのかにゃ? ……あんまり強そうには見えないけど


【……物腰が柔らかいからそう判断したのだろうか。もの凄く失礼なことをストレートに言い放った】
【悪気があるようには見えないだろう。どうやら思ったことが口に出る性格のようで】

【妖力≠ニ聞くと、彼女は眼をより一層輝かせるのだろう】
【そしてつむじ風が発生すれば、さらに眼からビームが出そうなほどになって】
【それについて詳しく訊きたかったが、どうやらタイミングを逃したようだった】


いいのかにゃ? にゃは、やっぱ相手がいないとつまんないと思ってたとこにゃ!
模擬戦でいいかにゃ? 怪我するのが嫌だったら、別のでもいいけど


【代わりに修行に付き合ってくれるらしい】
【差し出されたジャケットを受け取りそうになったが、その提案を聞くとぴたりと手が止まった】
【――修行に付き合ってくれる人ができたからか、彼女の笑みが強くなった】
【よほど相手になってくれるのが嬉しいらしい】
808 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/30(木) 23:38:55.97 ID:OyPv1zeho
>>807

はは、やっぱりそう見えるかな…………。
耳が痛いな、風格がないっていうのはよく言われるよ。

【率直過ぎる少女の感想を、少年はさして気にした様子もなく苦笑いで受け止める。強さに拘りのあるタイプではないらしい】
【腹の内では、むしろその方が初見の相手に油断してもらえる――――なんて、狡いことを考えているのだが】
【少年は少女とは裏腹に、笑顔で全てを覆い隠して腹芸で場を切り抜けるような人間である。だから痛いのは耳だけでなく、純粋な視線もだった】
【それから逃げるように、少年はリュックから木製の鞘に収まった小太刀を取り出すと、遠くの方の木にリュックとジャケットを引っ掛けに行って】

ああ、模擬戦で大丈夫だ。実はぼくの方もちょっと試したいものがあってさ、こっちも助かるよ。
それと一応、お互い怪我しないように言っておくけど…………これでも一応GIFT≠フ連中とやり合ったりとかした事もあるし、それなりに場数は踏んでる。
――――そこそこ強い、ぐらいには思っててくれていい。遠慮はしなくて大丈夫だよ?

【そこから戻ってくると――――少年は感情の読めない笑顔を浮かべ、一切言い淀むこともなくそんな台詞を言ってのけるだろうか】
【同時。まるでその言葉を証明するように、先程の薄い色合いとは比べ物にならない、鱗粉じみて濃厚な銀色の風≠ェ少年の周りに渦巻き始める】
【挑発や慢心を言うような性格ではない。あくまで事実≠ニして、公平に模擬戦を行うための前提条件を提示したつもりのようだ】
【それに少女が圧倒されるか、それとも逆に闘志に火をつけるかは、少年の預かり知るところではないが――――】

じゃ、始めようか。妖気云々はまあ、浴びればわかるよ。
ああ、そうだ。最後に、ぼくの名前は鳴子一颯だ――――よろしく、ね!

【最後に少年は、自身を「鳴子一颯」と名乗ると、小太刀を鞘から抜刀。右手に刀を、左手に鞘を、それぞれ逆手で構え】
【――――同時、少年の右膝付近に銀色の風が一瞬集合。次の瞬間、纏まった風が銀色の帯≠ニ化して少女の右肩へ射出される!】
【先程の風が少女の頬を軽く撫でたのと同じように、これも右肩の表面を浅く撫でるような軌道だ】
【勿論、単なる風ではない。銀色の妖気によって斬撃≠フ属性を帯びた風は、直撃すれば右肩の表面を鋭く切り裂くだろう】
【触れれば切れる風の一閃、威力はそこそこだが…………まず風が集合し、その後発射という二段階の攻撃ゆえ、出の遅さという欠点は否めず】
【回避も防御もそう難しくはない、まだまだ小手調べということか――――】

809 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 00:10:31.83 ID:VqSf6v0jo
>>808

【油断を誘うのなら、きっとこの少女には予想以上に効いていることだろう】
【見た目からして単細胞な彼女だ。疑うこともなく、印象で相手の力量をはかったのだろう】
【――だからといって手加減するような性格ではないのだが。隙は生まれるかもしれない】


じゃあ、手加減しなくてもいいよね?
大丈夫、ちゃんと痛いところは外すから安心するにゃ


【全力で戦える相手――これ以上に模擬戦に相応しい相手はいない】
【ましてや、少年は場数を踏んでいる。彼女は世に疎いためGIFT≠ネどはさっぱりだが】
【それでも実践経験があるという事実はわかった。ならば少年の言う通り、遠慮はいらないのだろう】

【渦巻く銀色の風、辺りの雪景色と相まって、それはとても美しく見えるのだろう】
【どんな力なのかは、まだ風のようなものとしかわかっていない。未知の相手】
【先が読めない故に、背に冷たい感覚が伝う。だが、だからこそ油断ならないと闘志が湧き起こる】


にゃは、よろしくだにゃ
あたいはシルバーキャット――銀猫だよ!


【名乗り返せば、拳を構えるだろう。何の変哲もないファイティングポーズだ】
【膝へと集まる銀色の風。肉体を強化するものかと思ったが、射出されれば眼を見開いて】
【同時に彼女――銀猫は駆けだした。銀色の帯の軌道を見切ったのか、姿勢は少し低い】
【そのまま一直線に一颯へと接近しようと試みる】

【そのスピードはまさに風に乗っているかのよう。雪の地面で少し落ちているとはいえ、かなり速い】
【接近できればボディーブローを放つだろう。パワーも成人男性のそれをゆうに超える。膂力は高い】
【だがその代わり、狙いもわかりやすく単純である。動きさえ見切れれば、対処はできるだろう】
810 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 00:44:23.31 ID:+mkIrJdKo
>>809

(流石に、早いなぁ…………!)

【武器を持たない徒手空拳から想像できた通り、少女――――銀猫の動きは素早い。出の遅い遠隔攻撃で攻めたのでは歯が立たない、と判断し】
【雪を物ともせず肉薄する銀猫、突き込まれるボディーブロー。一颯の黒色の瞳が雪の反射光を受け、猫の瞳のように緑色に輝くのが見えるか】
【距離があった事も大きいが、一颯の双眸は銀猫の動作を見事に捉え切る。迫り来る拳に左の鞘を合わせ、それを受け止めるだろう】

っ――――やっぱ、重いね!

【予想通り…………いや予想以上に、その一撃には重量がある。一颯は顔を歪めつつ、決して引かぬよう必死に足を踏ん張って耐える】
【この木製の鞘も、元々防御用として堅く作られているから良かったが、そうでなければ今頃はきっと真っ二つだっただろう】
【だが重たいとわかっていて、敢えて回避ではなく防御を選んだのには理由があった。拳を受け止めたと同時、周囲の風が一気にざわつき始め】
【遠距離でダメなら、近距離で攻める。単純だが当然の帰結だ――――】


――――風切<b!!


【刹那、吹き荒れる強風が銀猫と一颯の間に集中し、小型の竜巻≠ェ完成――――妖気の風が渦を成して銀猫に襲い掛かる!】
【この竜巻にも勿論斬撃≠フ効果はある。いわばこれは先程の銀色の帯≠ェ螺旋状に積み重なり、しかも猛烈な回転力を帯びている状態だ】
【このまま近場にいて竜巻に飲み込まれた場合…………威力は先程の非ではない。全身をまとめて引き裂かれてしまうだろう】
【模擬戦用に多少威力は落としているが、それでも脅威には違いない。技の出も先程より早い、一颯の風は自分に近ければ近いほど操作性が上がるのだ】
【ただ、風と妖気の流れが変わる前兆≠ワでは流石に消せはしない。それを見て素早い判断を下せるかが、回避への鍵となるだろう】

【――――そして、これも意図的なものか。銀猫が例え回避したとしても、この竜巻はまだその場に残り続ける】
811 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 01:12:24.90 ID:VqSf6v0jo
>>810

【拳に伝わるのは肉の感触ではなく、もっと違うもの。防御されたならば、空いた拳で追撃するのみ】
【――だったのだが、それは一颯が生みだした竜巻により遮られてしまうのだろう】
【凄まじい回転を伴う銀色の竜巻。直撃すればどうなるかわかったものではない】


にゃは、あたいをナメてもらっちゃ困るにゃ!
これでも最強を目指してるんだからね――ッ


【竜巻が出来上がってしまう前に、銀猫は跳躍する。狙いは――頭上に伸びるの木の枝だ】
【頭が下になるよう空中で姿勢を変えればそれを蹴って、一颯の後ろへと着地しようとするだろう】
【おそらく竜巻で自分の動きを制限されないよう取った行動か】

【しかし、完全に避けれたわけでもないようで、寒い空気にさらされた足に赤い線がいくつか刻まれていた】
【戦闘に支障が出ない程のごく薄い傷ではあるが、攻撃を受けたことには変わりなく】


……勝敗は気絶するか勝ち確定の状態になったら、でオッケーかにゃ?


【向き直ると同時に足払いを仕掛けつつ、言葉を紡ぐだろう】
【最初に攻撃を受けた方が負けでは自分の負けになってしまう】
【ルールを決めてなかったことをいいことに、自分に都合のいいことを提案する】
【……中々に負けず嫌いな性格のようで】

【足払いが成功したならば立ち上がり、一颯の腹を蹴るか踏みつけるかするのだろう】
【もし阻害されたなら、距離を取って相手の出方を窺うはずだ】
812 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 01:44:57.06 ID:+mkIrJdKo
>>811

最強≠ゥ、また随分大きな目標だね…………!
銀猫はどうして最強≠ノなりたいの?

【――――これでもまだ、速度が足りないか。一颯は内心歯噛みしつつ、ひとつだけ問いを投げかけ】
【素早く動く銀猫の姿を見失わないよう、動体視力に全精力を注いでその後を追う。瞳の中に、人間にあるまじき横長の瞳孔が見えるかもしれない】
【妖気を扱えるということは、妖怪≠ナあるということ。先程までは確かに人間であったのに、一颯はだんだんと妖怪に近づいているようにも見える】

【風と斬撃を操る妖怪。銀猫が多少なりとも妖怪の事を知っていれば、その中でも比較的有名な鎌鼬≠ニいう妖怪が思い浮かぶだろうか――――】
【異形の瞳は、獲物を追うイタチさながらだ。それによって銀猫の姿を捉え、一颯は後ろに着地した銀猫へ振り返るが】

っぐあッ…………そうだね、それでいいよ…………!

【向き直りざま、銀猫の体が沈む。体術の腕で言えば銀猫の方が上、素早く繰り出された足払いを、一颯は避けられなかった】
【あえなく転倒し、続いて銀猫の蹴撃が体を襲う。地面に固定されては不味いと踏み付けの回避にだけ徹し、蹴りに関しては腕で防御するだろうか】
【もちろん、常軌を逸した筋力を持つ銀猫の蹴りをまともに受けて無事で済む訳もなく、一颯は雪の上をゴロゴロと転がっていくだろう】
【…………が、そこで終わりではない。一颯がどうにか上体を起こしたのと同時、両者の間にある竜巻が変質≠キる――――】

もっとも、終わりにはまだ早いけどね!!

【見た目には何ら変わりはない。一颯が変化させたのは、竜巻の回転方法≠ナあった】
【ただ下から上へ螺旋状に渦巻いていたものが、内側から外側へ、空気を弾き出すような回転に変化する。するとどうなるか】
【次の瞬間、雪と土、それに枯れ葉…………竜巻に巻き上げられ斬撃で切り刻まれた細かい塵の塊が、周囲一帯へ一気に撒き散らされるだろう!】
【範囲が無差別なせいで一颯自身にも影響はあるものの、妖怪化して強化された視力があれば、その後の本命≠問題なく放つ程度は可能――――】
【目眩ましが発動するのと全く同時、銀猫から見て左上と右下の二箇所に風が集合。二つの銀色の帯≠ェ、一斉に銀猫の両太腿を狙って飛翔する!】
【言うまでもなく、ここまで一颯の攻撃をすべて回避してきた、銀猫の厄介な機動力を削ぎ落とすのが目的の攻撃だ】
813 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 01:47:38.92 ID:+mkIrJdKo
>>812
/すみません、一行抜けてました……以下を最後に追加でお願いします
/【また、竜巻の方はこの目眩ましから数秒経つと通常の回転に戻り、不気味にもまだその場に残り続けるだろう――――】
814 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 02:21:31.68 ID:VqSf6v0jo
>>812

【一颯の眼が変化する様を、銀猫の眼は捉えた】
【実は見た目で疑っていたが、やっぱり妖力を持つ者は人間ではないらしい】
【彼は妖怪であることを確認。ならばきっと、強いはずと、勝手に決め込んでいた】


もし――いつかまた、大切な人を見つけられた時、その人を守るためにゃ
だからあたいは亜人……じゃなかった、妖怪になったんだにゃ
守られるだけっていうのは、もうごめんだからね!


【――眼が変貌するにつれ、一颯の反応速度も上がっているように感じた】
【本気を出しつつある、ということか。だけど、自分の目標に懸けて負けるわけにはいかない】
【今はこちらが優勢。このまま押し切るべく、ぐっと拳を作ったのなら、銀猫は駆ける】


にゃっ!? やっば――ッ


【その矢先に目眩ましが発動する――! 咄嗟に腕で顔をガードしたが、視界は完全に封じられて】
【そこへ銀色の帯が飛来。当然避けられるはずもなく、狙い通りそれは太ももを裂くのだろう】
【かくん、と膝を突きそうになる――が】


にゃは、あたいもまだ終わらせ……ない、にゃっ!!


【指で地面を掴んで体勢を立て直し、再び駆けだすだろう】
【なぜかずっと残っている竜巻を不思議に思いつつも、それを迂回して一颯へと接近しようとする】
【先程までの速度はない。足に伝う血が、確実に彼女の機動力を奪っていた】
【加えて竜巻を迂回したことにより、一颯へと到達するには余計に時間がかかるはずで】

【――それでも拳の届く範囲に来れたならば、今度は一颯の右肩へと拳を放つだろう】

/お風呂入ってきますね…!
815 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/31(金) 02:57:46.33 ID:+mkIrJdKo
>>814

大切な人を守るため、か。なるほど、じゃあぼくと同じだね…………!
最もぼくは、半分だけしか妖怪じゃないけど!!

【返ってきた答えに、一颯は少し楽しそうに笑った。竜巻の効力が収まり、また回転が元に戻って】
【――――半妖=B人間とも妖怪ともつかない半端者。一颯はこの櫻の国で、そう定義されている存在である】
【故に普段は人間だが、妖気を使い続けるにつれて次第に妖怪に近づき、身体機能が上がっていく。風だけでなく一颯自身も出が遅い≠ニいう訳だ】
【もっとも、だからといって受けるダメージは変わらない。銀猫の強靱な攻撃は、一颯の骨身に鈍痛の杭を打ち込んだままだ】
【銀猫も妖怪であるというのなら、何故妖気を知らなかったのか――――そんな些細な疑問も浮かび上がるものの、既に問い返す余裕はない】

う…………あぁッ!?

【機動力を落とされたのは一颯も同じだ。先程の足払いで右足首を痛め、それ程自由には歩き回れない】
【そして…………繰り出される拳を右の小太刀の腹を合わせて受けるが、もう最初のように踏ん張る力も出せなかった】
【今度は受けきれず、大きく仰け反って体勢を崩す。それは銀猫にとって逃しがたい隙であるが、同時に一颯の攻撃も発動するだろう】

くっ――――風薙=I!

【一颯が吼えるのに呼応し、彼の周囲に風が纏わりついていって――――妖気が轟と唸りを上げ、暴風の結界≠ェ一颯の周囲を覆い尽くす!】
【それは、大量の銀色の帯≠自身を中心に無差別回転させて作り上げたものだ。一颯に近ければ近いほど、舞い飛ぶ斬撃の勢いは強まり】
【また、同時に強烈な風圧≠熹ュ生する。下手に近づいていた場合、切り刻まれた挙げ句風圧で吹き飛ばされ――――】
【…………いつの間にか銀猫の後方付近へ移動していた竜巻の中へ、叩き込まれてしまうだろうか】

【ただし、これらの攻撃。銀猫にとって大きなピンチでもあるが、逆にチャンスでもある】
【この暴風の結界、確かに近づくほどに危険だが…………一颯のいる中心部だけはいわゆる台風の目≠ノなっており、完全な無風なのだ】
【もし銀猫が吹き荒ぶ斬風にも決して臆さず、一颯の懐まで迷わず突き進めば、ダメージを軽減しつつゼロ距離で攻撃を加えられるだろう】
【無論そんなハイリスクハイリターンな賭けには乗らず、結界の前兆を見た時点で素直に横へ回避すれば、ダメージを軽減することだけは確実に可能だ】
【果たして銀猫は、一颯の領域まで突き進んでくるか否か――――?】

【…………なお竜巻の方は、銀猫が竜巻に叩き込まれてしまった場合、その全身を数秒間切り裂いた後で掻き消え】
【そうでなかった場合は、変わらずその場に残り続けるはずだ。この場面でもまだ執拗に残し続ける意図は、何かの布石なのか】
【また、それとは別に――――苦悶の表情を浮かべる目の前の一颯の懐が、僅かだが紅い光を発しているのが見えるかもしれない】
816 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 03:31:37.05 ID:VqSf6v0jo
>>815

【奇しくも抱く願いは同じ、なのだろうか。妙な親近感を、銀猫は覚えて】
【半分だけ妖怪という存在も、彼女は初めて耳にする事柄だった。とても興味がある】
【だけど、それを全部訊くにはこの状況では時間が足りない。いや、それよりもこの勝負に集中すべきのはずで】


にゃはっ、これで勝ち確――!?


【辛くも拳は届き、そして相手の体勢を崩すことに成功する。その隙を銀猫は逃さなかった】
【だが勝負を決めようと彼女が踏み出した瞬間――それは発動したのだろう】

【銀色の風が、周囲にあるもの全てを巻き上げ、切り刻んでゆく】
【まるで景色が一変してしまったかのよう。それほどまでに凄まじい技だ】
【模擬戦であるからきっと全力ではないのだろう。本気を出せば一体どれほどまでの威力なのか――想像もつかない】


―――――ッ!


【一颯と自分との間には、僅かに距離があった。少なくともゼロ距離ではない】
【彼女はこの暴風の結界に呑み込まれるのだろう。衣服がズタズタになり、裂傷が次から次へと刻まれてゆく】
【それでも――彼女は後退しなかった。倒れれば負け、そう言ったのは自分だから】


ああああああああああッ!!


【銀猫が吼える。闘志を全身に漲らせ、吹き飛ばされそうになるのを右足が踏ん張って堪えた。そして、左足を前に出す】
【次の瞬間、全ての力を振り絞って、前方へと飛び出すだろう】

【ゼロ距離――銀猫が立つ場所はそう呼べる位置、一颯のすぐ目の前のはずだ】
【ぜいぜいと呼吸を乱しながら、彼女はにぃ、と笑う。このまま拳を突き出せば勝ち確定――そんな状況が故に】
【しかし彼女は気付いた。一颯の懐の光に。それは、紛れもなく彼がまだ勝負を諦めていないということで】

【ならば殴り伏せるまでと、銀猫の右腕が動くだろう。それまでに、かなりの間があった】
【加えて今の彼女は無防備――切り札があるならば、それを狂いなく撃ちこめるはずだ】
817 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/31(金) 04:11:07.58 ID:+mkIrJdKo
>>816

(さ、て…………まずい、けど、そろそろ≠ゥな)

【大きく体勢を崩してしまった一颯だったが、しかしその隙を狙われることだけは防げた】
【だが…………目の前には、吹き荒ぶ結界の洗礼に見事耐えきった戦士≠ェ一人。足首の痛みのせいで、回避することもままならず】
【また、先程受け切れなかった拳のせいで、手首にも何か異常を感じる。次は受けきれないどころか、防御ごと貫通されてしまうかもしれない】
【そして最悪なのが、このゼロ距離。いくら自分の妖怪変化が進んでいるとは言え、この状態で彼女と力比べをすれば負けるのは自分だ】
【ならば――――やはり。切り札≠切るのは、ここしかあり得ない】

使わせて、貰いますね…………!!

【一颯は銀猫を見据えたまま、何事かを呟く。そして、自身の懐に手を翳すと――――】
【――――まるで、一颯の体を焼き尽くすかのように。翳した手の下から、明らかに妖気とは違う紅色の力≠ェ溢れ出し、全身を覆っていくだろう!】
【最初に一颯が試したかったと言っていたのが、まさにこれだ。『紅獣の宝玉』というアイテムが生み出す、受けたダメージ分だけ力を蓄積する叛逆≠フ力】
【満ち溢れるエネルギーは、使用する一颯自身の背筋を冷たくする程に荒々しい。全身を満たす獣の如き力が、一颯の中の鎌鼬≠ノ自然と咆哮を促した】


――――う、ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!


【どう使えばいいか、まだわからない――――それ故に。一颯は本能に従い、自身の中の妖怪を、鼬≠解放した】
【紅色の力が一颯の銀色の妖気に混ざり込み、一気に活性化させる。目の前の銀猫には、一颯の変化がよく見えるはずだ】
【眼光はより鋭く、牙と爪が鋭く伸長し、手足には白銀の毛並みが生え始める。そして最後に、臀部からしなやかな尻尾≠ェ伸び上がる!】
【紅色の力は、一颯の無意識に従って妖怪変化の増強≠ノ使用された。目の前の一颯は、もはや完全に妖怪(バケモノ)≠セ――――】

【そこから先の行動は、ごく単純。銀猫の右拳に合わせ、一颯もまたカウンターの要領で、右拳を振るった】
【とは言っても、一颯に体術の心得は殆どない。カウンターと言うには雑すぎる動作のお陰で、銀猫の一撃も顔面に貰ってしまうのだが】
【だが、代わりに――――妖怪と化した一颯の拳もまた、人知を越えた膂力を以て、銀猫の胸の中央へ叩き込まれんとするだろう!!】
【未だ体に纏り付く紅色のエネルギーもそこには集約され、少女ひとり行動不能に追い込むのには十分過ぎる威力だ――――】


…………っはぁ、はぁ…………ぼくにはちょっと、じゃじゃ馬すぎるよこれ…………。
し、仕方ない≠ネぁ……………まったく…………。

【…………ただ。これだけ人間を逸脱したにも関わらず、全く暴走する気配もなく平常でいる一颯の精神構造が一番、人知を越えていると言えなくもないが】
【この攻撃を終えれば、どうやら強力な力を使いこなせず逆に翻弄されてしまったようで、一颯は完全にグロッキーの状態で尻餅をつくだろうか】
【迸る妖気のせいで一瞬痛みが飛んでいたと言うだけで、傷も消えたわけではない。足首も手首も、更に痛みが増している】
【これ以上の戦闘続行は、精神的にも肉体的にも不可能。銀猫がまだ立っていれば、勝負はそちらの勝ちとなるだろうが、果たして――――】
818 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 04:43:55.62 ID:VqSf6v0jo
>>817

【それは、明らかに今までの一颯とは違う力だった。獰猛で、そして喰らいつかんとするような叛逆≠フ力】
【宝玉の魔翌力だろうか、それを受けて変貌を遂げてゆく彼に銀猫は圧倒された】
【滅多に感じることのない恐怖を味わったのだろう。全身が総毛立ち、血が抜かれたような感覚が走った】

【こんなものを受けて、まず立っていられるわけがない】
【胸を突かれ、そしてその強烈な息苦しさと共に彼女は吹き飛んでゆく】
【そして手足を放り出し、雪に埋もれるのだろう。動く気配は全くない】

【――どうやら意識も手放したようで、しばらくすれば咽るようにせき込みながら眼を覚ますだろう】
【起き上がりたかったが、ぴくりとも身体が動かなかった】


……あー、また負けたにゃ……。あたいだって、いっぱい修行してる、つもり、なんだけどにゃ……


【「何が悪いんだろ」なんて続ければ、それ以上何も言わず黙るのだろう】
【一颯が起こしに来てくれるまで彼女は、雲ひとつない青空を眺め続けるはずだ】
【雪の冷たさが身にしみる。火照った身体が雪を溶かして、このまま沈んでいきそうな気分だった】

【まあ、そんなことはないのだろうけど】
【寒くなってくればきっと、「動けないから起こしてほしいにゃー」なんて呟きが聞こえてくるはずで】
819 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/31(金) 05:18:05.30 ID:+mkIrJdKo
>>818

ぼく…………勝ったんだね、一応。

【一颯にとっても予測を越えた最後の力のせいで、あまり素直に実感も出来なかったが、一颯はぽつりと呟く】
【銀猫が無事である事だけを真っ先に確認すると、一颯も真後ろに倒れ込んで雪の冷たさを感じる】
【彼女が意識を失っている間、一抹の嬉しさと今後の課題を綯い交ぜにした苦笑いのまま天を仰いでいるのだろう】
【しばらくして銀猫が目を覚まし、小さな呟きを聞き届けると、右足を引きずってその隣まで移動する】

…………まぁぼくの方も、いっぱい修行してたからね。きみと同じで、大切な人を守るために。
どうしてぼくが勝ったのかとか、勝敗を分けたのは何だったのかとか、そういうのはぼくにはわからないけどさ。
少なくとも…………きみは強いよ、銀猫。

【一颯は小太刀を鞘に仕舞って近場に置くと、言われるまま銀猫を抱き起こすだろうか】
【その体には未だに妖気が満ち満ち、双眸も人外のままであるが…………篭もった視線の色は、優しいままだ】
【――――銀猫は強かった。一颯はそれを、確信を持って伝える。全身に残る痛みが、それを何よりも確固たる事実としている】
【彼女は、確かに強い。だが強いからといっていつも勝てるとは限らない。では勝つための、本当の条件とは――――それは一颯にも、わからない】

【未だに残ったままの尻尾がゆらゆらと揺れ、銀猫を抱える腕は毛のせいで随分柔らかく、そして暖かに感じるだろうか】
【ざわりと妖気がそよぎ、遠くの木に旋風が巻き起こる。妖気を極端に押さえてほぼ風だけにし、その風圧でジャケットをここまで運ぶ】
【一颯は黙って、銀猫にそれを着せようとするだろう。勝ち負けの理屈はわからないが――――全力で戦った相手を称えるぐらい、しても良い筈だ】

【彼なりの気遣いか。一颯は銀猫を抱えたままの状態で、しばらく黙っているだろう――――】
820 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 05:50:15.99 ID:VqSf6v0jo
>>819

【そうは言われても、素直に納得することができなかった。だって、現にこうして負けたのだから】
【だけど内心では一颯と互角か、少し及ばないくらいの力ではないかと感じていた】
【では何故納得できなかったか――きっと彼女もよくわかってないのだろう】
【その正体は弱い自分が悔しい≠ゥら、だったりする】


じゃあ今度は勝てるようにもっともっと修行するにゃ
櫻の国の妖怪パワーもいっぱい吸収するにゃ!


【自分を包む腕が、随分とあたたかく感じられた】
【シャツがボロボロで色気の欠片もないような身体の所々が見えそうになったりして危なかったが】
【ジャケットのおかげでその心配も無くなるのだろう】

【彼女が目指す最強≠ヘまだまだ遠い。たったの二文字の目標が、これほどまでに遠いとは】
【八攫やフリッツ、銀狼、そして一颯――幾人もの強者と戦って敗れ、それを実感した】
【そうやって闘い続けていれば、いつか勝つための本当の条件が見えてくるのだろうか――】


あ、そうだ。一颯は元々人間だったのかにゃ?
さっき半分妖怪みたいなこと言ってたけど……


【と、言葉を終えてからしばらくして、彼女は思い出したように沈黙を破るだろう】
【あわよくばどこでその力を手に入れたか訊き出そうという魂胆のようだ】

/まだ続きそうな気配…今更ではありますが、辛ければ言ってくださいね…!
821 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/31(金) 06:32:25.93 ID:+mkIrJdKo
>>820

妖怪パワーかぁ…………そんな良いもんじゃないよ?
ぼくは何だかんだで助かったけど、妖怪に取り憑かれた人間って大体…………まともな死に方しないらしいし。

【元気を取り戻した銀猫の言葉に、一颯は冗談めかした答えを返すだろうか】
【銀猫の肩を支える一颯の手からは、徐々に爪が短くなり、毛も少しづつ消えていっている】
【妖気の使用を止めたことで、体が妖怪から人間に戻り始めたようだ。一颯の場合、一度妖怪になってもまた人間に戻ってこれる様子だが】
【…………口調と裏腹に、その言葉はやたら重い。内容も多少誇張はあるが、八割方事実であった】
【最強≠ニ引き替えに邪道に堕ちては何の意味もない。一颯も、この元気な少女がそうなるのは見たくなかった】

うん、そうだよ。普通半妖≠チて言うと、妖怪と人間の子供のことなんだけどね。
ぼくの場合は――――子供の頃、妖怪に取り憑つかれた上退治にも失敗して、その妖怪の妖気≠セけが体に固着しちゃったんだ。
まぁ、殆ど不幸な事故みたいなものだよ? 真似した所でうまくは行かないだろうし…………。
もし失敗したら、そうだなぁ、銀猫だったら化け猫に変化して二度と戻れなくなったりするかも!

【一颯の力の由来は、ほぼ偶然のものだ。幼少の頃、偶然に偶然が重なった結果、運悪く後天的な半妖となった】
【――――運悪く、なのだ。確かに力として役立ってはいるが、それでも不幸と一颯は言い切る。その表情には、微妙に影が差している】
【最後は脅かすような台詞を笑いながら吐くと、未だに生えっぱなしの尻尾で銀猫をくすぐりに掛かるだろうか】
【あからさまに誤魔化しているが…………それだけ、妖怪の力を直接取り込むということがリスクの高い行為であるということだろう】

【それから――――ふと、一颯は何か思いついた様子で。代わりに、と前置きして】

だったらさ、何か特別な武具の類を捜してみたらどう?
銀猫の場合は格闘系だし、籠手とか脛当てとかを探すのがいいかもだけど。
ぼくのこの小太刀だって、特別な力とかは無いけど…………特別堅く作って貰った特注品なんだ。
足りない力は武器で補う! …………これって意外と名案じゃない?

【実力は同程度、なのに勝てない――――だったらその差は、自分以外の力で埋めてしまえばいい】
【小太刀を掲げて説明する一颯の提案は、非常にシンプルだが利には叶っているだろうか】
【実際一颯が最後に使った『紅獣の宝玉』も、一颯自身のものではなく、ある人物から譲り受けた他人の力≠セ】
【ましてこの櫻の国、妖刀やら呪われた武器やらの類の噂には事欠かない。別の国へ出て行っても、魔剣だとかの噂は少なからずある】
【そうでなくとも、優秀な鍛治師に頼んで作って貰うのもいい。お金がなければ、とりあえず間に合わせで質の良い市販品を揃えおくだけでも違う】
【とにかく、勝利への最後の一手として武具≠使う。銀猫がこれからも勝ちに、最強≠ノ拘るのなら、意外といい手かも知れない――――】
【――――というような事を、一颯は言いたいようだ。妖怪関連の危険から銀猫の注意を逸らしたい心もあるが、言っている事は割と真っ当に聞こえる】
822 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 07:25:31.57 ID:VqSf6v0jo
>>821

【それを聞くと銀猫はうへぇと顔をしかめて見せるのだろう】
【彼女の場合死に方と言えば真っ先に餓死か衰弱死が思い浮かぶのだが――それは、置いておくとして】
【それ以外なら交通事故で手足が千切れてとかだろうか、なんて勝手に想像するのだった】


え、何、その死にかけたみたいな言い方……妖怪ってそんな酷いものなのかにゃ?
あたいは多分そうやって憑いたり出来そうもないけどにゃ……
でもそれじゃあ、妖怪パワーを吸収するのは止めた方がよさそうだね

化け猫になるくらいなら……普通の猫に戻った方がいいかにゃ
あ、ちなみにあたい元々は猫だよ。一回死んでこの姿になったんだにゃ

――って、にゃは、ちょ、くすぐった、にゃはっ、痛いってにゃははははっ


【――取り憑かれた、ということは妖怪になりかけたのと同じなのだろうか】
【どうも単に死にかけたのとはまた違うようで、表情が曇るのを見れば、よほどの災難だったことが窺える】
【いずれにせよ、あんまりいい結果に終わりそうにないのならば、止めておいたほうがいいのだろう】
【さらっと自分が妖怪らしいことを仄めかしつつ、妖怪パワーを得ることは諦めたらしかった】

【もしかしてやなこと思い出させちゃったかな、という思考も、くすぐり攻撃によって掻き消されるのだろう】
【この手の攻撃には弱いらしく、動かせないはずの身体を捩って終始笑い転げる――もとい、笑い暴れる】
【傷が広がってちょっぴり痛がったが、大したことはない様子だった】


うーん、武器とかそういうの使うの、あたいあんまり好きじゃないんだけどにゃ
何て言うか、己の肉体で掴み取った勝利こそ至高! って感じがするんだにゃ

でも、そうだね。たまには使ってみるのもいいかもだにゃ


【「ありがとにゃ」なんて素直に礼を言えば、銀猫はあまり知らない武具に思いを馳せるのだろう】
【実際、かなりの名案だった。防具ならば、防御を捨てたような今の戦闘スタイルを変えられるかもしれない】
【のしかかってくるのは金銭面の問題だが――野良の身でそんな物をつけられるのだろうかと思考したりして】
【どんなのが似合うかなー、なんて呟きも聞こえてくるあたり、結構楽しみにしているようだった】

【――そろそろ彼女の体力も回復してくる頃だろうか。少しずつではあるが、身体を動かせるようになったみたいで】
【しばらくすれば立てるようにはなるだろう。すっかり一颯に甘えている様子だが、降ろしても支障はないはずだ】
823 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 13:31:11.81 ID:UteiMCdMo
>>822

妖怪っていうのはまぁ、一般的には邪≠フ存在だからね。
ぼくの故郷じゃ酷いもんだったよ? 人間を頭から貪り喰う奴とか、針を突き刺して体液を全部吸い出しちゃう奴とか…………。
そういう奴らが居るせいで、ぼくみたいな無害なのまでいわゆる『退魔師』って呼ばれる人たちに睨まれる事もあるんだよね。

【一颯は続けて、滔々と語る。もちろん無害なものもいるが、妖怪の中には人間をエサとしか思っていない類の連中も多い】
【憑き[ピーーー]とか呪い[ピーーー]とかに留まらず、物理的な脅威を振り翳して襲ってくる者もいた。妖怪に狙われた人間に、まともな最期はまずない】
【発狂して自害したり、重い病魔をうつされて苦しみながら死んだり、生きたまま捕食されたり内臓だけを引き摺り出されたり…………】
【実際に現場を見た時の事は、あまり思い出したくない…………流石に脅かしすぎかとこれらは言わなかったが、一颯にとっての妖怪とはそういうものでもある】

…………え? じゃあ、銀猫も本当に妖怪なのか。そういうパターンもあるんだ…………。
なんにしても、櫻の国に留まるなら気をつけたほうがいいよ。中には妖怪を毛嫌いして、こっちの話も聞かずに無条件で殺しに掛かってくる人もいるから。

【一度死んで妖怪として蘇ったという銀猫の話に、一颯はかなり関心を示すだろうか。自身も妖怪の端くれとして、同族の生い立ちには興味があるようだ】
【見た目には猫系の獣人に見えていたが、妙に生々しい耳と尻尾は本物の猫由来だったか。ぴょこぴょこ揺れるそれらを、一颯は楽しそうに注視し】
【それから、またひとつ警告を発するだろうか。退魔師と呼ばれる人々について――――妖怪を滅することに特化した者たちについてだ】
【一颯や銀猫にとってはまさしく天敵だ。普通にしていればまず大丈夫だろうし、勿論話の通じる者もいるが、積極的に関わりを持つのも危険だろう】


いやぁ、何ていうか…………野生の人だね、銀猫は。
ぼくは勝てればいいってタイプの人間だから、その辺の機微はわからないけど…………。

あ、そういえばさ。銀猫には能力≠チて無いの? その桁外れな身体能力だけかい?

【銀猫と違い、一颯は武術にこだわりのあるタイプではない。先程の戦闘でも小賢しい目眩ましを使用したりと、あまり手段を選ばない人間だ】
【だからこそ、正攻法で攻めてくる銀猫に対して相性が良かったというのもあるが――――その銀猫が防具の類を装備していれば、どうであったか】
【銀猫の武器は機動力、防御力もそうだが何より足回りを阻害しないのが大事だ。とするとやはり、威力増強の面も含めて籠手や脛当ての類が妥当か】
【他には何が合うかなぁ…………と一颯は思惟を巡らせ、ふと気づいたように素朴な疑問を問いかけるだろうか】
【一颯の持つ力が、妖怪化による身体能力増強と風≠フ二つであるように。銀猫もまた、身体能力以外に何か特殊な力を持っているのでは、と】

【――――そんなやり取りの傍ら、一颯は銀猫の体力が回復したのを見て、彼女が降りたそうにすれば降ろしてやるだろう。甘えられて悪い気はしなかったが】
【一颯の体の方も、伸びていた爪や牙は殆ど元に戻り、一番大きな特徴だった尻尾もだんだんと短くなっている。完全に人間に戻るのも時間の問題だろう】

824 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 16:21:56.64 ID:VqSf6v0jo
>>823

【一颯の話を信じていない訳ではないが、銀猫は半信半疑だった】
【自分は大概雑食だが、さすがに人を食べたりしない。憑けないし、内臓を出させようとも思わない】
【彼女は一応妖怪に分類されるものの、見た目も考え方もかなり人間に近いのだろう】


あ、退魔師って聞いたことあるにゃ。妖怪を退治する人なんだよね
一颯の話を聞いてると何でそんなことするのかわかった気がするにゃ
妖怪って怖いんだね……


【幸運にもまだ銀猫は退魔師に襲われたことはない】
【そんな人いないんじゃないかと思い始めていたが――】
【恐ろしい妖怪が沢山いるならば、やはりどこかに住んでいるのだろう】


うーん、正直あたいもわからないんだにゃ
銀狼さんっていう狼の妖怪がいて、その人も狼から人の姿になったみたいなんだにゃ
あたいみたいに一回死んだ訳じゃないけど……自分のことを妖怪って呼んでたから
あたいも妖怪ってことにしたんだにゃ

でもわかった、気をつけるにゃ。あたいだってまた死にたくないしね!


【彼女自身、自分がどういった存在なのか把握できていないようだ】
【それは彼女の知識不足のせいでもあるが、確かに彼女は少しばかり特殊なのかもしれなかった】


大したことじゃないにゃ。あたいが勝手にそう思ってるだけだしね
能力はあるよ。あんまり普段使わないけど。あたいの能力は視る@ヘ。猫はすっごくいい眼を持ってるんだにゃ
遠くまで見れたり、透けて見れたり、幽霊なんかも見れるし、あたいが見切れない攻撃なんてほとんどないにゃ

猫だった時は人の感情も見れたけど……何でかあんまりわかんなくなっちゃったにゃ


【千里眼、というやつなのかもしれない。いずれも猫に備わっているとされている能力で】
【人の形になった時、僅かに力が失われたのかもしれないが、それでも十分に高性能な眼だ】
【戦闘においてもそれは遺憾なく発揮される。……対処できなければどうしようもないが】

【だけど武器すら使わない彼女のことだ、物陰から相手を観察し隙を突くなんて戦い方をきっと嫌うのだろう】
【防具についてやっぱり詳しくないようで、「コテ?」と首を傾げて見せた】

【身体は回復しつつあるが――銀猫はまだ降りようとはしない】
【相手への配慮に欠ける性格もあるが、あともう少しだけこのままでいるつもりのようだ】
825 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 17:11:13.80 ID:UteiMCdMo
>>824

そ、怖いんだよ妖怪って。人を脅かして楽しむ、ぐらいの可愛い内容で済めばいいけどね…………。
銀猫の実力なら、そう簡単にやられる事もないだろうけど――――本当に、気をつけてよ?

【恐れられてこそ妖怪、という面もある。一颯や銀猫は違うだろうが、中には人の畏れ≠ェなければ存在を保てない者もいる】
【銀猫の言う狼の妖怪はどうだかわからないが、恐らくはこちら側か。長く生きた動物が妖怪に化ける、というケースは一颯も聞いたことがある】
【その点、一颯も大概だが、銀猫も銀猫で特殊だ。一度死んで、気がついたら蘇っていたというなら、自分の正体がわからなくとも仕方ない】
【自分の正体もわからないまま、何も知らずに殺されるなんて事になったら…………それは、とても悲しい。一颯は念を押すように告げた】

眼≠ゥぁ。単に見切りだけじゃなくて、千里眼に透視、それに見鬼。結構すごい能力かもよ、それ。
でも、人の感情――――それは無くなって正解じゃないかな? 人間の心なんて、あんまりいい物でもないからさ。

【猫の性質を備えた眼≠フ話を聞けば、一颯はそれを素直に賞賛するだろうか】
【籍を置いている学校の関係で一颯も能力の種類には詳しいが、中でもそれは相当上等なものに思える。格闘戦を好む銀猫との相性もいい】
【もし自分であれば、只管弱点を見切って嫌がらせのような攻撃をしまくるだろうが…………銀猫はいまのままがいいな、と一颯は内心で苦笑いする】
【戦いだけが全てではない。銀猫の素直で快活な性格は、いまの一颯がそうであるように、人に癒しを与えるものだ――――】
【――――最後に付け加える言葉に、感情は篭っていない。全ての人間が銀猫のような心でいたならと、一颯は叶わぬ仮定を切り捨てて¥ホう】


さて、と…………銀猫、この後はどうする?
実はぼく、櫻の国にはちょっとした旅行で来ててさ、いまは近場の街に逗留してるんだ。
お互い怪我してるし、何ならそこまで送っていこうか?

【仕切りなおすように天を仰ぎ、一颯は銀猫に提案するだろうか。そちらを見る黒色の瞳は、既に人間のものに戻っている】
【多少妖気は香っているが、牙も爪も尻尾もなくなって、見た目上は人間と変わらない。これなら人里に下りても騒がれないだろう】
【もし銀猫が提案に乗ったなら、病院や宿なんかも一通り揃った小さな街まで、一颯と共に降りていく形になるか】
【互いに怪我の程度は同じなのに、一颯が送っていくというのもおかしな話だが…………そこは男の子の意地という奴で】
826 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 17:48:44.98 ID:VqSf6v0jo
>>825

【念を押され、銀猫はこくりこくりと頷く。もっとも、自分の願いが叶うまで死ぬつもりは毛頭ない】
【だが彼女は好戦的な性格だ。意地になって取り返しのつかないことにもなりかねないが――】
【さすがに命の危険を感じれば逃げることだろう】


そうかにゃ……あたいは一颯の能力の方がすごいと思うけどにゃ
あたいもこう、色んなものをばーっと持ち上げたり投げたりしたかったにゃ

うーん、無くなってもあんまり気にしてないからよかったのかも
代わりに喋れるようになったし


【要するにもっと攻撃的な能力が欲しかったのだろう】
【別に羨ましいわけではなかったが―― 一颯のような派手な技を使ってみたい気持ちはあった】
【でも彼女の性格からして今が一番合っているのかもしれない】


にゃ、そんなの考えてなかったにゃ
送ってくれるのかにゃ? じゃあお願いするにゃ!


【行き当たりばったり、その言葉がよく似合うだろう。計画性なんてない】
【一颯さえよければその言葉に甘えて、人里まで送ってもらうのだろう】
【結局、最後まで降りる気配はない。彼の怪我の具合も考えてあげてほしいが、お喋りに夢中で】

【道中で疲れるか彼女が気が付くかすれば、きっと降りるだろうが、きっとそれまでこのままのはず】
【到着するまでの間彼女は怪我と疲労そっちのけで喋るのだろう】
【妖怪パワーが目的だったとはいえ、旅行に来ているようなものだから話すことはいっぱいあった】
【食べ物とか、衣服のこととか、櫻はいつ咲くかとか――きっと、そんなことを】

【そして無事についたのならば、そこで別れることになるだろう】
【病院で手当てを受ければ衣服を調達して、それからまたどこかで修行にでも励むのだろう――】


/ではではこのあたりで〆ます!
/長時間お疲れ様でしたっ。楽しかったです!
827 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 18:00:12.59 ID:/oJyDeCSo
【墓場――既に薄暗くなっており、肝試しの時期は関係なく不気味】
【墓参り等の目的が無ければ立ち入る理由はないと思われるその場所に、そうでない者が一つ】

「混ァぜるモノ……うゥーむ……何味が足ァりねェんだ…………」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「はぁーんひゃおーな(何だろうな)……」

【誰のかも知らぬ墓の縁に腰かけ、何かを悩んでいる様子で――】
【かと思えば、ふと、ひょいと虚空を掴み――その掴んだものを口に運び、噛み千切る動作と食べる動作を交互に行う】
【―― 一体何をしたのだろうか、傍からみたら恐ろしく意味のない無駄な行動である】

【――さて、霊感がある程度あるならば、この不可解な行動の謎はいとも容易く解ける】
【先程掴んだものは虚空ではない、――白くぼんやりとするナニカ、……そう、幽霊、それを掴んでいたのだった】
【口に運んだものは虚空ではない、――"幽霊"だった、そう、この者は幽霊をツマミに物事を考えていたのだった】

/作業しながらなので、少し返レス速度が不安定になると思います
828 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 18:20:03.67 ID:UteiMCdMo
>>826

ぼくのも根本的に風を回転させる≠セけの力だから、そんなに応用は利かないよ?
物を運んだりするのも、出来るようになるまでに大分掛かったしね…………。

【力を得たのが幼少の頃だったというのが、あるいは現在の一颯の強さの一端を形成しているのかもしれない】
【十年近くこの「竜巻を作る力」に触れ、制御するための練習を繰り返してきた。あの帯≠竍結界≠ネんかの応用技はそこで編み出したものだ】
【ただ、風の余波でズタズタになった周囲の地面を見ればわかるが、この力は加減が効き辛い――――全ての場所で使える力ではない】
【結局のところ、自分に合っているかどうかが重要なのだろう。派手に暴れ回る銀猫の姿は、戦闘力以上に見ている仲間に力を湧かせてくれる筈だ】


うん、それじゃあ…………ちょ、ちょっと銀猫?
…………わかったよ。街まではこのまま負ぶっていってあげるから。
まったく――――、

【――――仕方ない≠ネぁ、と。一颯は台詞の割に楽しそうな様子で、いつもの口癖と苦笑いを浮かべると】
【提案を受け入れてくれた銀猫を背中に担いだまま、荷物を回収すると、林道沿いにゆっくりと歩き出す。街まではそう遠くもない】
【体中が痛むが、女の子ひとりぐらいはと無理やり歩き続ける。何でもかんでも仕方ない≠ニ割り切る性格だ、痛みを割り切るくらいのことは出来る】
【もちろん、道中の話も弾む。何せここは他ならぬ一颯の故郷だ。銀猫の質問にも一通り答えられただろうし、他愛ない思い出話もしただろう】
【妖怪だとか人間だとか、猫だとか鼬だとか。そんな事は全く関係なく、ただ純粋に友達≠ニして―――― 一颯は、銀猫に話しかけ続けた】

【やがて街に着いて、銀猫と別れた後。宿に戻った一颯は、つまらない意地の代償を払って情けなく倒れ伏すことになる】
【体はボロボロで、しかし心は満ち足りて。最後に銀猫の眩しい笑顔を思い返しながら、一颯は成すすべも無く眠りに落ちてゆく――――】


/お疲れ様でした! こちらこそ楽しかったですよー!
829 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 19:19:17.98 ID:/oJyDeCSo
>>827
/追記:作業が終わったので、レス速度が安定しそうになりました
830 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/31(金) 21:54:52.45 ID:RRIh3e4Yo
【薄墨色の空に降り注ぐ月明かり、灯籠が如く煌めく星屑】
【澄んだ夜空の光景は見惚れてしまいそうなぐらいに整っていて】
【歩む人波が口々に夜への賞賛を告げる、そんな休日前の夜の光景】

【――――――そんな中、一つ浮かぶ人影が、ふらふらと今にも絡みそうな脚を見せて】


……っとと……これは流石に……多すぎ、ましたか……っ


【本の山が動いている、分厚い文献がいくつも重なって、山を作ったと思えば】
【夜風に揺らされて右に左、ぐらぐらと動く山は、どうやら誰かが運んでいる、と分かるだろう】
【山の高さは1m少し、その山の奥の人影の頭のてっぺんが、少しだけ見えるぐらい】

【腰まで届くような紫苑色の長い髪を白いリボンで一本に結って】
【純白のブラウスの上に臙脂色のケープを羽織って、胸元には大きなリボンをあしらう】
【同系色の短いスカートとニーソックス、しなやかな脚のラインをくっきりと示す】

【特徴的な紫苑色の瞳は彼女の童顔に似合っており艶やかに映る】
【純白の素肌はやや弱々しげだが、知的な印象と幼気な印象を与えるスラリとした体躯の少女が山の奥に居て】
【小さな手を包む白磁のような手袋がその手にピッタリとあっている】

【ふらふらと足取り悪く進む少女、今にももつれて、転んでしまいそうなぐらいに――――――】
831 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/31(金) 22:08:48.82 ID:7swKqU+u0
>>830

……っ、はぁ…………
流石に疲れた…………今日は……

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【コートの裾をずるずると地面に引き摺りながら、とぼとぼと言う表現が似合う様な、人波の中に消え入りそうな足取りで歩いている】
【力なく地面に向けられた視線は、わずかに足元より前方をゆっくりとなぞっていて】
【覇気を感じさせず、疲れ切った表情を見せながら、往来の中を進んでいった】

【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

……少し、ゆっくりさせてもらおう……最近、寒いし…………――――っ、あっ……!

【下を向きながら、疲れた体を引きずってゆるゆると歩いていた事が、災いしたのだろう――――眼前まで迫っていた人物の姿に気づくのが遅れて】
【更に悪い事に、避けようと身体を捻ったことでもつれた足が、引き摺っていたコートの裾をひっかけてしまい】
【踏ん張りを効かせる事も叶わず、逆に、眼前の少女へとよろめく様にしてぶつかってしまう】
832 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/31(金) 22:14:50.28 ID:RRIh3e4Yo
>>831

【交錯する少女の身体、彼女の口元から気の抜けた声が漏れて】
【押し倒される形で崩れ落ちる彼女の華奢な体、響き渡るのはたくさんの本が落ちる音】
【しかも不運な事に、彼女の手元から離れた本達は、直ぐ側の溝へと、落ちていくのだろう】


――――――っ……たた……もう、一体どなたが……!!
わっ……え、えっと、大丈夫、ですか、お怪我は?


【尻もちをついて、片目を閉じたなら、強く打ち付けた腰の辺りを片手でさすって】
【気がついたなら、彼女に倒れかかる体勢であろう少女に気づくだろう】
【声色が跳ねた、ソプラノが上ずったなら、かける声は心配そうな色合い】

【紫苑色の瞳が開けた、大きな真ん丸の瞳はその色を深めて、少女の姿をなぞる】
【美しいオッドアイ、そして身の丈に合わないボロボロのコート、興味が惹かれたも、それより先】
【自分のことよりも先、貴女に怪我が無いかどうか心配するのだろう】

【溝に落ちた本の事には気づいてない様子、幼く見える童顔が長い眉毛を潜めた】
833 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/31(金) 22:30:56.08 ID:7swKqU+u0
>>832

きゃあっ!

【足が引っ掛かり、更にぶつかった相手を巻き込む形で転んでしまう】
【オッドアイの少女は、普段の彼女なら似合わない様な小さな悲鳴を漏らしながら、その場に倒れ込んでしまった】

す、すみません!
ふらふら歩いていたものですから…………ッ、……!?

【とんでもない事をしてしまった。オッドアイの少女はすぐにそれに気付き、のしかかった形となった身体を起こし、ぶつかってしまった相手に謝罪の言葉を向ける】
【そしてそのまま、相手の姿を確認しようとして――――その一瞬、ピクリと動きが止まった】

あ……っ……!?
…………あの、どこかで会った事、ありませんか……?

【数瞬、戸惑う――――と言うよりも、躊躇う様な仕草を見せて後、オッドアイの少女はおずおずと、紫苑色の髪の少女に問う】
【どこか、記憶の中に近しい人物の姿がちらついているのかもしれない】
【だが、それに確証が持てない様で。それ故、そう問いかける事に躊躇いを感じたのだろう】

…………っ、そうだ……大変だ……!

【そうしてしばし、ぼぅっと紫苑色の少女の瞳を覗き込んでいたが、すぐに相手の荷物をぶちまけてしまった事を思い出す】
【慌てて紫苑色の髪の少女から身体を引くと、辺りに散らばった本を拾い集めようとするだろう】
834 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/31(金) 22:35:06.28 ID:4wdGVY3vo

【夜、公園】
【夜の空気はひんやりと澄んで、昼間とは異なる表情を見せる】
【そんな空気の中では、誰かが奏でるフルートの音色もまた、澄んだ響きを広げていた】


【――――ベンチに座り、その音色を聴く者が一人。壮年の男、だろうか】
【オールバックにした真っ白な髪に、その体躯を包む白い燕尾服。左手にした手袋も白で】
【強い輝きを秘めた瞳を夜空へ向けたまま、背もたれに体を預けて佇んでいた】

今宵はいい夜だ……こうも澄んだ夜が一体、年に幾度あるだろう……
いつもこうであってほしい、と思うのは強欲なのだろうか……――――

【零した呟きは、響くような低い声で。しかしそれでいて、決してフルートの響きを妨げる事はなく】
【男の声と、夜の旋律。互いに絡み合うようにして、夜の中を駆け抜けていった】
835 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/31(金) 22:41:43.05 ID:RRIh3e4Yo
>>833

【見上げる貴女の表情、記憶の中に映るのは僅かな欠片の景色】
【けれどもその輪郭すらもくっきりと映るほどに、彼女の精神は雄弁に説いた】
【――――――声が漏れた、こぼれ落ちるソプラノが、机の上に波を広げる】


ラベンダァイス……さん……?
うん、間違いありません!レイドさん達と一緒に居た、あの――――――
ぇ、大変って何が……わっ……わわ!ほ、本が……!!


【両手がぽんと一つになった、少女の眉が緩んで、頬が綻んだ】
【歓喜の色がその以前と変わらない幼い顔に浮かんだなら、紡ぐ声も澄んで】
【奏でる音律が溶ける一枚、どこまでも柔らかな少女みたいに】

【三つ編みを解いて、簡単に一つにまとめるだけにした髪が揺れた】
【大変、との言葉に視線を向けてみれば、溝に落ちた大量の本が】
【彼女が起き上がるより早く、貴女が本を全て拾い集めてしまうのだろう】


……はぅ、助かりました……でも、そんな慌てなくても、私が拾いましたのに
汚れた、でしょう、どうぞ此方へ、本と手を、差し出してくださいな

――――――Dead Memories


【立ち上がったなら、既に貴女が本を拾い集めていて、ほっと胸をひと無で】
【そして同時に、苦言を一つ、溝へと落ちた以上、本は泥だらけになっているだろう】
【必然、それを拾い上げた貴女の手も汚れているに違いない】

【彼女は、と言えば、そんな貴女の泥だらけの手を取って、同時に本ももう一方の手で触れる】
【その名を呟いた刹那、貴女の手と本が淡い光に包まれて、元の綺麗な状態に戻るだろう】
【汚れを洗い落とした、というよりかは、汚れる前の状態に戻したような、そんな状態に】
836 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/31(金) 22:50:19.59 ID:xzGm9mXa0
>>791
【柱を打ち壊した所を見れば考えられるのは幾つか。能力、腕力、魔術】
【しかし奪った物が微量ともなれば、最後の選択肢は消える。ならば腕力だろうか】
【否、剣を見た限りでは其れは無い。残るはただ一つ、能力だ。細腕でも柱一つを壊せるだけの力】
【――――狙った部位に当てる事は出来ずとも、情報だけは幾らか読み取れた。処刑人だとか、死神だとか教会に相応しくない異名を持つ女】
【そして、其の名を冠するだけの戦闘は行っている。だからこそ、その魔力の異常性にも気付きはしたが】


「後悔するだとかしないだとか、ボクが決めるよ
――――それにさ、何でも悪い結果が出たから後悔だなんて決める生き方しててもつまなんいでしょ?」

【…………何の為の一振りだ?再び刃を伸ばすつもりだったのか】
【僅かな間に疑問が生まれるが、其れも直ぐに打ち消された。地面へと落とした視線が、こちらへと向かってくる変化に気付いたからだ】
【地面は抉れていない。割れても居ない。先の剣のブレ具合からして空気の層でも揺らしたか】
【ならば対処は避けるか、受けるか。――――修道女はそのどちらでも無く、自ら巻き込まれる事を選択して】

【身体の力を抜いたならば、その衝撃波に弾かれて後方へと飛ばされる事だろう】
【飛ばされている間は時折爪先で床を弾いたり、掌で軽く押す等をして調節を行い、最終的には三点着地によって勢いを殺す】
【柱や壁にぶつかる事も無く、肉体的なダメージは低いけれど流石に脳が揺れる事等は防げず立ち上がるのに若干時間を要するが】


「…………ふふ。気になる事が色々と増えて来ちゃうね
ただ、ボクはあんまり悠長にもしてられない感じだね
櫻の国ではこんな時、待ち人来たれりとでも表しそうだけど――――君が其処のメイドと待ち合わせか何かする人だったのかな
それとも、主だとか…………。まっ、ただの迷子なら早く何処かに行った方が良いと思うけど、そんな訳でも無さそうだし」

【立ち上がったならば、二つの銃を前後それぞれに向ける事だろう】
【視線は未だにメイドへと向けられたまま。然れど、同時に自分の背後へと注意を払っているのも確か】
837 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 22:56:49.24 ID:XZbY8KcUo
【市街地】

【ラッシュに捕まってしまった自動車の群れがテールランプを光らせて喚いている】
【この街のメインストリートの交差点、この時間帯はいつもこんな感じだ。ドライバーの怒りは信号の赤よりもお熱のようで】
【治安も品もまあ多少は悪いけど、気をつけて歩いて余計なことをしないでタコスでも食ってりゃ楽しい街――】

<BOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!>

【っと不意に爆発だ。雑居ビルの3階の窓が盛大に枠ごと吹き飛んで炎と煙を勢い良く吐き出した】
【クラクションが止んだことは嬉しいけど次は悲鳴。それ以上にうるさくて嫌になってしまう】
【人々はその場から離れようと次々と走って逃げ出す。クルマも走りだすがすぐに交差点でクラッシュして乗り捨てる】
【店は客を出した後はシャッタをすぐに下ろす。皆、慣れている――ま、そういう街だ】
【気をつけろってのはスリと通り魔とマフィアの抗争の銃弾と不意の爆発に気をつけなさいって意味なんだ】

……ビールまだ飲んでねえのに…チクショウ、何処のどいつだ

【タコスの屋台で1人黙々と食っていたサングラスの男はしゃがれた声で愚痴を漏らす】
【既に背後の歩道じゃ皆バタバタと走って逃げていて、店主も既に居ない。ラジオだけ陽気にレゲエがかかっている】
【右手に握っていたタコスを無理やり口に押し込んでコーヒーで流し込めば、じゃあそろそろと席を立った】
【黒いスーツの上に安っぽいカーキのミリタリーコートを合わせた痩せた長身の男は】
【マイペースにトコトコ歩いてすぐ近くの路肩に止めてあったネイキッドのバイクに跨った】

<BOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!>

【おっと、また何処かの何かがぶっ飛んだらしい。近所の店が吹っ飛ぶ前に早いとこ退散しよう】
【バイクにタンデムシートは装備されているから便乗も可能だ。スターターを踏み込めばうぉんとエンジンが唸る】

/予約有りです
838 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/31(金) 22:57:55.33 ID:7swKqU+u0
>>835

……そう、そうだ…………やっぱりそうだ……ッ!
シオンさん……シオンさんですよね……!

【朧な記憶を手繰り寄せながら、相手が自分を知っているかどうか、その反応を待って】
【そして返ってきた、確かな答え――――「レイドさん達と一緒に居た」。その一言で、ようやく記憶の手綱を手繰り切る】
【――――かつて『Justice』で共に肩を並べていた仲間、シオンその人だったと、オッドアイの少女――――ラベンダァイスは思いだしたのだ】

……本当に、すみません……もう、3年近くにもなるんですね……
……今まで、何の連絡もしなくて……久しぶりに会ったのに、こんな形になっちゃって……

【思いだすのは『哲学者の卵』を破壊する為の、かつての実験。そこで2人は他の仲間たちと力を合わせ、それを実現へと導いた】
【この世に生を受けてから、まだ何年も経っていないラベンダァイスにとってみれば、それは遠い昔の事に思えた】
【――――遠い日を追憶するのは、決して彼女の時間感覚が、幼い故の相対的な長さを感じさせていただけではないのだが】

【そんな仲間と久方ぶりに再会したのに、その邂逅はぶつかると言うお粗末なものとなってしまい】
【3年前のラベンダァイスには無かった、ボロボロのコートとどこか虚ろな瞳を伴いながら、急いで本を拾い集める】

これで、全部ですよね……確認してもらえれば……――――?

【自分が汚れる事については委細構わず、むしろ、シオンの本を汚してしまった事実を気にしながら、ラベンダァイスは本を集めきって差し出す】
【言われるがまま、申し訳なさを伴いながらそれを差し出すのだが、シオンの触れた手から立ち上る光に、その表情は訝しげに曇り――――】

ぁ――――!

【そして次の瞬間には、すっかり綺麗になった本と自分の手が、光の中から現われた】
【ラベンダァイス自身も、色々と人外の力を身に宿している故に、そこまで驚く事はしなかったが、それでも心を動かされるものが、その光にはあったのだろう】
839 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/31(金) 23:09:38.89 ID:RRIh3e4Yo
>>838

【綺麗になった貴女の手と本、その一方で彼女の手袋は、本と手に触れた時に汚れたままだ】
【それを彼女は気にする事無く、微笑みをその表情に浮かべているのだろう】
【記憶≠司る彼女の能力、その一片が其処にはあった】


気にしなくて良いですよ、私だって……逃げるように、居なくなったわけですから
それにしても懐かしい響きですね――――――Justice
一時期平和な時期が続いたので、殆ど活動は無かったのですが……それでも

ふふ、つもる話も道端でしていてはつまらないでしょう
直ぐそこに公園があるので、移動しませんか?


【逃げるように居なくなった、彼女の言葉通りJustice≠ェ活動しなくなる少し以前】
【彼女はまるで雲隠れしたかのように音信不通になり、消えてしまっていた】
【それを語る横顔はどこか申し訳無さそうな、そんな色合いで】

【大きなリボンのついたケープを片手で握ったなら、紫苑色の瞳で公園の位置を指し示すだろう】
【どうでしょう、と首を傾げたなら、少動物のような仕草がよく似合っているのだろう】
【頬を緩ませて笑う微笑みの顔は、以前と変わらず幼い色合いを強くしていて】


……そうですね、もう3年……時が経つのって、とっても早いですね
ラベンダァアイスちゃんは成長したように見えるのに、私はまだまだ子どものまんまで、困ってしまいます


【苦笑したなら白い頬が緩むのだろう、百合の花のように潤んだ白】
【紫苑色を溶かしこんだなら、長い睫毛がささやかな吐息をそこに重ねる】
【前髪がそっとおでこを撫でたならくすぐったそうに目尻をとろん、と蕩かす】

【彼女の言葉通り、彼女は3年前とはちっとも変わっておらず、むしろもっと幼くなったように見えるかもしれない】
【元々、幼く見える方ではあったが、それにしても、どこか不自然さを与えるかもしれない】
【――――――その様子を裏付けるように、彼女は大きな声で咳き込むだろう】
840 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/31(金) 23:14:29.31 ID:/+UmZHJ00
【もはや空は黒に染め上がりそしてその中で星が綺麗に輝やいている】
【そしてその空には雲は一つもなく空で輝いている星を見るのは絶好の機械である】
【人々はそのように輝いている星を見ながら歩んでいる】

【だがそのような夜空に興味も示さない存在もいたりはするもので】

 ……今日は晴れか、ここ最近連続して晴れているな
 …まあ、雨や雪よりも晴れのほうがいいいか

【一人心地につぶやきながら綺麗な夜空の元を歩く男】
【キャップ帽をかぶっており】
【長袖の赤い服を着ており黒の長ズボンをはいている】

【男の片手には購入したと思われる食べ物が入ったレジ袋がある】
【男が食べるための食料だろう】

【だが男はどこか無警戒でぼんやりと歩いている】
【注意散漫状態でありもしかしたら誰かとぶつかるかもしれない】
841 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 23:16:55.55 ID:23jFLUao0
>>837

―――――『ストップ!ストーップ!』

【爆発音に紛れて、逃げまどう足音たち―――中には一つ、男の方へ近づいてくるように、大きくなっていくものがあって】
【軽い音を立ててタンデムシートに飛び乗るであろう一人。勢い良すぎて男の背中に反動があるかもしれない】
【無論それを阻害することも出来れば、受け入れることも出来る。全ては男の判断のままに】

【いずれにせよその不躾な人間は、成功失敗に関わらず、いつも通りの会話法で言葉を紡ぐのだろう】

―――――『ひゃー、危なっかしいねぇ。逃げるつもりなら私も乗せてってよ』
『ほら、こんな可愛い子置いてくなんて男じゃないでしょう?』

【人差し指の当てられた喉、まだ艶のある唇の代わりに奏でられる他人の声は聞いたことがあるかもしれないか】
【場合によっては許可云々の前に既に乗っている状態での交渉なのだから、随分とタチが悪い】

【グレーのフリルブラウスと黒いカーディガン、黒のジーンズと茶色ローファー】
【腰には細い革ベルト。黒く光の無い、だがそれでいて素直な瞳。背丈は160cm程か】
【大きめなライトブラウンのキャスケットを被った金髪ショートカットの少女】

【無表情ながらも、首を傾げてあどけなく―――とぼけた様子の少女は悪びれた雰囲気もない】
842 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/01/31(金) 23:22:15.10 ID:W82k3X5Yo
>>836

【修道女が敢えて後方に飛ばされるをよしとしても、メイドは続く行動を取らなかった】
【殺すとまでは言わない。振りかかる火の粉は払う、そういうスタンスか】
【それもどうやら筋金入りらしく、改めて銃を向けられても構えはおろか表情も崩さず】

『―――待ち合わせェ言うのは正ェ解。主ィ言うのは不正ェ解。
 そういうアンタは……見たところ御同業の、裏方はんでっしゃろ?』

【背後から現れた人物が、張り詰めた沈黙とメイドの言葉も含めて、代表的な音になった】
【独特の訛りがある。知っていれば分かるが――櫻≠フ出身に違いなく】

【そして語る内容と衣服を見ればお里も知れた。彼の衣服は簡素に表せばローブなのだ】
【前掛けや襷など、些かアレンジが加えられていたが、教会のそれに間違いない】
【問題は頭部。白無垢に欠かせない鬼隠し≠付けているのが、大きさ故にも目を引くだろうか】

【彼はその下の、きらりとひかる栗色の瞳を女性に向けた。――武装は無い、が】

『グリース・イムリンパルスはん……恐水鳥の討伐に貢献しはったとか
 ……黒いィ噂も聞いてます。色々と、まあ……団長はん≠ゥら。
 申し遅れましたァが、あっしの名前ェは加賀屋 善助=\―以後、よろしゅう。』

『ほんで、グリースはんは……何してはるんですかァ――ね?
 困るんですわ。銃を向けたり、此処でお散歩してはると……化物も悪人も、居やァしませんよ。』

【クスリと、彼――加賀屋は笑った。その肌の色は黒とも褐色とも言い難い、濃色】
【敢えて言えば目と同じ栗色だ、人の色ではない。そしてその加賀屋善助という名前は――】

【きっと彼女も聞いたことがあるだろう。何処で――言うまでもない、ゼン=カイマだ】
【その第三近衛騎士団の団長はかのフレデリック。そして副団長が――彼、というわけで】
【――噂は多い。謎も多い。若いが、『半袖』に近い格好をしているのはそれだけが理由ではあるまい】
【覗く腕もまた太く、血管が浮かぶほどに鍛え上げられている。聖書を読む手、とも思えぬ荒くれの様相が見える】

【それでも唐突に襲い掛かってきたりしないだけ、まだあの血気盛んな団長よりマシだろう】
【もっとも距離は離れていたが、善助は徐々に歩みを進めている。銃を恐れる様子は無かった】
843 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/31(金) 23:29:26.30 ID:7swKqU+u0
>>839

(……柔らかい……そんな、暖かさみたいな……)

【本と手に付いた汚れを取り除いたその光を見ながら、ふと感想が心の中に浮かび上がる】
【事物を清らかにするこの光を見て、誰でもが似たような思いを抱くのだろう。それはラベンダァイスもまた、例外ではなかった】

……私だって、似たようなものです……結局、しばらくの間、勝手に戦い続けて、今は……全く違う所でお世話になっているんですから……
いつまでもその名前を背負っていく事が出来なかったのは、私も同じですから

【実を言えば、ラベンダァイス自身は最初から最後まで、『Justice』の正式なメンバーとはなっていなかった】
【ただ、力になれればと戦い続け、そして結局倒れた旗と共に流浪の身になり――――そして今では、全く違う居場所を見つけている】
【姿を消したと言うなら、それは五十歩百歩なのだろう。ある意味「鞍替えした」と言えない事も無いのだから】

そうですね……今丁度、要件を済ませてきた所ですから、是非……

【シオンの誘いを受けて、ラベンダァイスも静かに追随する】
【こんな風に懐かしい仲間と出会って、ただ挨拶だけで終わらせるのはもったいないと、ラベンダァイスも感じているのだろう】
【――――どこか、白々しさすら感じさせるような虚ろな瞳のまま、アンバランスに安らいだ様な笑みを浮かべて、頷いてみせる】

……言うほど、成長なんてしてません……
私もここ最近、ずっと立ってるのは戦場です。戦う事ぐらいしか、してませんから……

【追憶の彼方にある時は、ラベンダァイスにも懐かしい過去だが、自分が成長したとはいまいち感じられなかった】
【――――今は口に出す様な事はしないが、むしろ彼女の精神性で言うなら、ずっと後退、もしくは荒廃したものになってしまっている】
【ただ、戦いの中で先鋭化され、それに耐えられるだけの逞しさを得られた。それを成長と呼べるのは、かろうじて当たっているのかもしれない】

……!?
……シオンさん、もしかして、身体の具合でも悪いんですか……っ?

【そうして、かつての楽しかった日々を思い返しそうになるラベンダァイスだったが、シオンの咳き込む様子に、少し慌ててその背中に手を伸ばし、撫でようとする】
【この様に呼吸を乱すのは、あまり『彼女らしくない』と――――そう表現できるほど、長い時間を共に過ごしてきた訳ではないのだが――――思えたのだ】
【ラベンダァイスにとっても、心配に思えてくる。咳が収まる様に、呼吸が整えられる様に、ゆっくりとシオンの背中をさすって】

(…………服装も、良く見たら前と、大分違う……)

【『彼女らしくない』――――そんな印象を反芻させている内に、ラベンダァイスはその違和感のもう1つ先に行きつく】
【最初にシオンに会った時、咄嗟に思い出す事が出来なかったのは、長い時間が経っていたからというのもあるだろうが】
【そうした『雰囲気』と言うものが、あの頃とどこか違っていたからではないのか――――そんな答えが浮かんできていた】
844 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/31(金) 23:42:29.32 ID:RRIh3e4Yo
>>843

【彼女の目がキラキラと輝いた、ピクッとまるで子猫が耳をたてるみたいに貴女の言葉に反応する】
【視線を向けたなら、紫苑色の双眸、その表面に興味津々な色合いを強めて、映す】
【長い髪がふわりと揺れて、柔らかそうな毛先をふわふわと浮かべた】


ということは、ラベンダァアイスちゃんは、今別の組織にお世話になってる、ってことですか?
わぁ、良ければそのお話、もっと聞かせていただけませんか?
最近は機関≠ニか……そういう活動も活発なので、気になってたんです


【公園に入ったならベンチに腰掛けて直ぐ側の貴女へと話しかけるのだろう】
【唄うようなソプラノの声、一流のピアニストですら奏でられない整った声の音】
【それでも人懐っこい旋律をそこに奏でたなら、ニコニコと微笑んで見せて】

【小さな耳が横髪からこぼれて、淡い形を浮かべる、月光に照らされて柔らかい輪郭を見せて】
【彼女は頬にかかった横髪をかきあげて、髪の毛の乱れを直すのだろう】
【首筋の細いラインが照らしだされる一瞬、呼吸が止まりそうなぐらいに集中して】


っ……ご、ごめんなさい……うん、もう、大丈夫ですから……っ
そうですか、まだ、戦っていらっしゃるんですね――――――

怪我とか病気とか、気をつけてくださいね無理をなさらないように
ラベンダァアイスちゃんは割りと無茶しちゃうほうだと思うので、釘刺しときます


【背中を撫でられる、掌で収まってしまいそうな彼女の華奢な背中は、小さく見えるだろうか】
【気丈に振る舞って微笑んで見せたなら、貴女とは逆方向に重ねた本の山に持たれこむように身体を預ける】
【冗談交じりの言葉、心配に嘘はないけれども、その言葉はどこか――――――】

【彼女にとって、正義とは彼女が行使するのもではなく、誰かに行使してもらうものになっている、そう思わせる言葉】
【つまるところ、彼女はもう正義の一員ではなく、戦うのではなく守られる一般市民である】
【そんな一歩距離を置いた言葉の響き、それを意味しているのだろう】
845 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/01/31(金) 23:48:06.69 ID:XZbY8KcUo
>>841

【グイッとシートが揺れる。バイクの振動かと最初は思ったが】
【サスは硬めにしてあるからそんなはずもな……まあ、余計な台詞回しはやめよう】
【背中の感触というか耳が既に何事か理解していたのだから】

…………。

【首だけそちらに回して、じっと無言で(サングラスだが)睨むようにしている】
【何も言わないのは寡黙な男なんじゃなくて、口にまだタコスがいっぱいだからだ】
【飲み込めば何も言わず前を向いてアクセルをぐおんと吹かした】

4ブロック先のメインストリートまでだからな?…俺は飯を食いっぱぐれたままなんだよ

【それだけ、しゃがれた声でやっつけに言えば、急加速。渋滞にハマった車の間を縦横無尽に】
【爆発が起きてもなんとも驚かないということは街の住人。そこらのライダーよりは腕が立つようだが】
【スピードマックスで飛ばしてなんともない通りも赤信号も無視して突っ込むセッカチで命知らずな運転で】
【タンデムシートのそちらは大分、落ち着かない事だろうと思われる】

……まあ、ついたけど。…この街に慣れてないなら、俺のバイクにも乗らないほうがいいってことさ
………爆発と同じぐらい、ぶっ飛んでるって事さ。…自分で言うのも何だけど

【急加速と急ブレーキを繰り返して、また通りの路肩にバイクを止めた】
【しがみついていればすぐについたことだろう。せいぜい信号4,5ぐらいしか離れていないのにここは平和だ】
【爆発もなかったかのようにそれまでと同じ町並みや人通りが続いている。他の街からみたら不気味だろう】
【彼はバイクを降りて、煙草をくわえ火を付けた後、そんなことを言った】

さて…俺は晩飯の続きをするから。……そこの中華、中々いけるんだよ。
まあ、そんなこった…帰るなり、どっか行くなり……気をつけて。

【淡白なやつだが、よく言えば相手のプライベートに立ち入らない紳士的なやつ】
【簡単な挨拶をして煙草をくわえたまま、目の前のレストランに入ろうとしていた】
846 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/01/31(金) 23:59:24.89 ID:7swKqU+u0
>>844

あ……はい。今は『UNITED TRIGGER』に、お世話になってます……
セリーナ・ザ・"キッド"さんの率いる、あの組織です……あそこが、私のやりたい事に一番近かったから……無理を言って、仲間に入れてもらいました
……今は、櫻の国で居候させてもらいながら、そうやって戦ってるんです……

【『Justice』を後にしたラベンダァイスが身を置くのは、やはり誰かを守るために戦う場所だった】
【どこの公権力にも属しない、有志の集まりが元となった一種の傭兵団の様なものだが、その目的はもっぱら『悪との戦い』にあり】
【やはりかつての『Justice』と近しい所で、彼女は戦っているのだと、伝わるだろうか】

夜の国で……やっぱり機関の……敵と戦ったりして……
それに、セリーナさんも賑やかな人で……とても豪快な秘密基地を作ったりしてましたね……
……『UNITED TRIGGER』に参加する前にも、『D.R.U.G.S.』と言う組織との戦いもあって……

【ラベンダァイスはそうして、自分の知っている『UNITED TRIGGER』としての活動や、リーダーであるセリーナについて、取り留めなく語り始める】
【かつての六罪王、レギンが起こした戦乱に参加した事や、セリーナの人となり】
【そして、『UNITED TRIEER』に参加する前からの、戦いの概略など、関係しそうな事を――――それこそ『取り留めなく』語っていく】
【どこにシオンが興味を抱くのか、それが分からなかったので、手当たりしだいに話してみようと言うのだろう】

……本当に、大丈夫なんですか……?

【気のせいとも思えない――――かつてのシオンに比べて、その身体は小さく見えた】
【何か、良くない事情を抱えているのかもしれない。ラベンダァイスは思わず表情を曇らせる】
【久しぶりに会った故知の相手が、こうも弱々しくなっている事実には、流石に心を痛めざるを得なかったのだ】

…………っ…………!
……そうですね……私には、戦う事ぐらいしか出来ませんから……無茶を、しちゃってますね……
みんな、死んだり……居なくなっちゃったりしちゃってますから、私にできる事は、他に無い様な気もしてるんですが……

【その言葉に潜むニュアンスを、上手く斟酌しきれた訳ではない。それに気づくには、あまりにシオンそのものの様子に意識を囚われ過ぎていた】
【それでも、どこかで気付かぬうちに、それを拾い上げていたのかもしれない。一瞬ラベンダァイスは言葉を詰まらせた】
【もう、シオンは戦える状態に無い――――かつての仲間が、そうして力を失っている、その事実】
【――――『Justice』時代から、失われた絆の数々が去来するのを、ラベンダァイスは押しとどめる事が出来なかった】
【無理をして震える表情を押さえ、体裁を取り繕って返事を返す。虚勢を張っている事も、恐らくは隠し切れていないだろう】

【――――『戦う事しか出来ない』どころではない。今は正に『死地を求めて戦っている』のだから】
847 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 00:00:43.58 ID:gipp6EnQ0
>>842
「――――ボクは一度も名前を言った覚えは無いんだけどな。彼処のメイドにも、君にも
其れとも、背中に名前を書かれた紙でも貼られてたかな?なら、悪戯で貼った事を探し出して叱らなきゃね」

【追撃が無いとなれば、次に注意を向けるべきは後ろの存在だ】
【構えはそのまま。金色の視線のみを動かせばジッとその姿を見遣って】
【不審な動きをすれば、反射的に人差し指が引かれる筈であった。だが、相手が攻撃する事も無くただ話して居るとなれば――――その姿勢を保持するに留まり】


「…………で。何でボクの名前を知ってるのかな。生き延びた人から聞いたのかな?それとも、教会の資料でも漁ってた?
嗚呼。なる程ね。団長――――か」

【団長なんて呼称は限られる。そして、自分が接触した人物なんて一人だけだ。だから、直ぐに誰であるかを弾き出すのかは簡単な事】
【加えてその名。善助の名は弾き出した物を答えと確信させるには十分な材料】
【――――同業者であれ、警戒が解かれる事は無かった。否、寧ろ増したであろうか】
【何せ、男性の続けた言葉が、明らかな疑問を生んだからだ】


「団長サマから何を聞いて居るのか知らないけど…………ボクに纏わり付いた黒い噂なんて数え切れない位だから分からないな
そんな事よりも、化け物も悪人も居ないなら何で君とあの子が此処に居るのかな?
まさか特別一人にだけ説教をするにはどうにも寂しい場所だし…………そんな君が聖書を開いてたら一頁捲る度に聖書の枚数が一枚足りなくなりそうだ」

【暗に“不審だ”と言っているのだろう。第三近衛騎士団となれば、フレデリックを見る限り戦闘に長けている様にも思える】
【そして男性の腕を見れば、膂力も相当な物であると推測できる。悪魔や悪人が居る訳でも無い所に何故訪れる必要があるのだろうか】
【何故、そんな場所で“待ち合わせ”をする必要があるのだろう――――近づかれるからと言って、離れる事は無い。ただ、銃口の先だけはしっかりと額の位置を捉え続けていた】


「黒い噂の中にはこんなのが無かったかな?
あの女は神父や司祭も殺している…………何てのをさ
上からの指示だけど、実際に殺したのはボク
まあ、神父を装った悪人だったとか色々と事情もあるけど――――少なくとも、その噂は真実さ
…………此処で死体が一つ二つ増えたところで誰も気にしないと思うけど。それで、彼の副団長サマが何処かのメイドと二人っきりで人目を避ける様に待ち合わせなんてどういう了見かな」

【からかう様に“不純交際はいけないよ?”なんて最後に付け加えて】
【言葉も表情も緩んでは居るが、その身のこなしは曲者。威嚇等も無い故、先制は無いが――――銃を下ろしはしない】
【メイドの戦闘能力は高かった。なればこの男性も同等か、それ以上と考えるのが正しいのだろうか】
【未だ、銃口の先は男性を捉えて居るけれど】
848 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/01(土) 00:02:02.34 ID:glMEEnUFo
>>846
/ごめんなさい……そろそろ時間なので、置きレスにもちこし、お願いできますか?
849 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/01(土) 00:07:30.62 ID:4DTQaHyM0
>>848
/了解です。今日明日はこちらも大丈夫なので
/それでは、一旦お疲れ様でしたー!
850 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/01(土) 00:10:59.93 ID:glMEEnUFo
>>849
/お疲れ様でしたー!
851 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 00:26:20.08 ID:dXq5Q8qz0
>>845

【一貫して無表情。了承の意だけを確認出来たならまた自身の喉元へと右手を動かし】
【声色だけは笑むように、可愛らしいその偽りの声を響かせるのだった】

―――――『あら奇遇、私も丁度外食しようかなって思ってたところでね。結果があのザマだよ』
『それだけでも十分ですよホント、ありがとうござ』―――――ッッ!?

【調子のいい言葉に続くはずの礼は途切れる。何故なら、加速した反動で腕が喉元を離れてしまったから】
【体にかかる風圧から逃れるために縮こまって―――振り下ろされないために、少し抱きつくような形】
【両手がふさがってしまえば、詭弁だらけの少女も無言を貫く。あらぶるバイク走行にて、少女は異常なほど静かだった】

【気がつけば男が宣言した通りの場所についていた。しがみついていた手を離して、バイクから降りる】
【なんとも地に足がつかないような浮翌遊感を覚えたが、それも束の間。数秒すれば元の地面に慣れていて】

―――――『いやー、遊園地の絶叫モノみたいな感じで楽しかったよ。こんなに早く着くもんなんだね』
『流石に信号無視ってのはどうかとも思うけれど…いつもこんな感じなの?』

【語句の反面、伏し目がちになりながら。それはきっと激しいバイク二人乗りによる疲れ】
【いつもがこの暴走っぷりなら、彼の生活はさぞ刺激の強いことだろう。ぶっ飛んでる、なんて言葉にもうなずける】

【とりあえずは、爆発音が鳴り響くような場所でなくなったと確認する。同時、去り際の男に気付き】
【それに同行するように、小さい歩幅を分かりやすいぐらいに大きく開いて歩く】

『良かったら奢らせてよ。二人乗りのお礼ってのもあるけれど…』
『酔った人の、えっと、介抱?…みたいなのに、あんだけの謝礼金ってのは釣り合わないと思うのよ』

【さっきまで勝手に他人のバイクに乗っていた人間の放つ台詞ではないのだが】
【どうにも妙な責任感や罪悪感は持っているようで―――レストランへ入る彼へ、そんな提案】
【最近は仕事の御蔭で持ち合わせも十分だった。こうなったらいつもより行動的になる少女。男とは対照的、とも言えるか】

【兎にも角にも、レストランへ入っていくのだろう―――ついで、美味しい中華とやらも味わいたいし】
852 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 00:28:32.18 ID:taj4+S+6o
>>847

『そォです、団長……知ってはるでしょ?フレデリックの団長さん。
 あっし、あの人には恩義ィが有りますねん――それは深ァい、恩義が。
 せやからこうして……おっと。何でも無い、気にせんといて下さい、グリースはん――。』

【くすくすと、まるでわざとそうしてしまった≠ゥのように善助は笑った】
【肌の色、言葉の訛り、不敵な笑みとあくまでも堂々とした態度――】

【――フレデリック・シャリエールの補佐にピッタリの逸材だと言わざるをえない】
【銃を向けられて尚のこの様子なのだ。しかも、相手が誰かを知っての行動】
【彼女の推察通り、相当な力を持つのは確からしく――まだ、足も止めていない】

『酷いなァ、あっしは聖書なら一から終まで暗唱できるくらい読み込んでるのに
 神様ァ信じてるっていう度合いなら、アネさんにも負けへん自信が……あァ。

 ……知りたいですか。なァんであっしが、そんでソッチのメイドはんが此処に居るのか
 何も無いはずの遺跡で、こんな夜更けに二人っきりで……勿論逢瀬でもなァんでもなく
 何故ェ待ち合わせをしているのか……。知りたい、ならァ―――』

『―――――ちィとあっしに拘束されて下さい、アネさん……ッ!!』

【そして言葉の直後、善助は急に身を屈めてグリースへと突進するように迫っていく】
【ある程度まで近付けばそのまま例の豪腕を振るって、殴るような攻撃を足元に仕掛けようとするだろう】

【問題はそこなのだ。もしも攻撃を喰らえば、打撃の痛みはない。それどころか物理的な接触もないのである】
【代わりに善助の肉体と交差した箇所が石に包まれ≠驍アとになる――能力に違いない】
【例えば両手首を善助の腕が透過したら――それはつまり、石の手錠がはめられるのと同義であり】

【また同じタイミングでメイドの大剣も振るわれる。先ほどと同じ、空気の塊を飛ばす技だ】
【飛ばされるか、その場で身動き取れずに立ち尽くすか。強いはずの拳銃が、些か心もとなくも思える両者の業であった】
853 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 01:03:32.18 ID:XYUSvuEwo
>>851

…俺の運転の方?それともこのへんの治安の話?
まあ、どちらもイエスさ。この辺りはテロか襲撃かなんかでやられちまった後
ドロボウとかそういうのが住み着いて……その頃よりは良くなったらしいけどね
…この辺りはマフィアが仕切ってるから。彼処よりは大分マシなんだよ。
そんなわけで、スピード違反でキップを切る奴も居ないからアクセル前回ってわけ
夜中なんか、待ってたら強盗とかにやられちまうしね

【煙草をくわえながら、そんな説明をポツポツと話した】
【カノッサや似たような組織が大小幾つもある世の中。こういう街も珍しくは無いだろうか】
【自警団もところどころに見られるが、お飾り程度で実権は別のところにあるというわけだ】
【彼自体、随分と詳しいようだが…スーツというだけでマフィアと断定するのは流石に早いか】

うっ……あー……そう?……いや…逆に、こっちが奢るぐらいじゃないと吊り合わないってんで
払わされるんじゃないかと大人しくしてたんだが……まあ、それならそれで

【変に余所余所しかったのはそういうセコい邪な考えがあったからだった】
【ただ、かなり年下におごられる事もなんら遠慮もしないのは些か面子もプライドも無いにも程がある】
【とは言え、彼も持ってないわけじゃない。ギャンブルで大分無くなってはいるがもう何回か負けれる程はある】

なんだっていいけど…食事ならもっと安全な場所でいいんじゃないの?
ブラックマーケットに用事があるような仕事をしているんなら別だけれど…そんな風には見えないね

【中華風に赤と金と変な龍とかパンダで装飾された雑多な店内。陽気な曲がかかる中】
【彼は適当な席について、メニューを眺めながらそんなことを問いかけた】
【そして彼はなんだか辛そうな麺(しかもさらに辛くと付け加え)と空芯菜とかいう惣菜とビールを注文した】
854 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 01:09:52.35 ID:gipp6EnQ0
>>852
「悪いね――――ボクは神様なんか信じちゃいないよ
宗教やっている人こそ、神様何て居ないって心の隅で理解しちゃうのは悲しい事だけど
万軍の主何て言うのに、信仰深い人がこうしている間にも殺されてるんだから…………ねえ
どれだけ人生を犠牲にして祈りを捧げたって、天からパンの一つも落ちて来ないんだし」

【確かに目の前に居るのは修道女だ。教会に従う者だ】
【では、その言葉は何だ。神を信じないとはあるまじき発言――――神を信じずに、教会の下に居る。大きな矛盾】
【神を信じない。天国も地獄も在りはしない。現世の業は関係無い。そんな考えだから、何も考えずにコレを纏いながら、そして聖書を捲る指で引き金を引いて来られた】


「団長サマに恩義ねぇ…………あの面倒臭い性格の人に助けて貰ったら、ずっと説教させられそうでヤだな
さて、ボクとしてもただ突っ立ってやられるだけなのも癪だ
――――ヨハネによる福音…………いや、やっぱりいいや。解除」

【団長の恩義とは何ぞや。正義感かは分からないが、件の団長は人一倍信仰が強い事は分かる。団長と自分とが相反発する性格だからこそ、“面倒臭い性格の人”何て皮肉を漏らすのだが】
【教会からすれば、修道女こそ紛う事無き問題人物。其れでも尚除名されずに残り続ける事が出来ているのは、それなりの理由を持つのだろう】
【――――団長。副団長。メイド。其れ等全てに関わる事か。いや、その“恩義”は別件として考えた方が良いか】

【男性が動き、メイドが大剣を振るった時と同じく女は福音書の名を告げ始める】
【其れと同時、銃に変化が訪れて――――右の手で握っていた物が、槍の柄へと変わる事だろう】
【放たれているのは強い聖。悪魔には勿論の事、その聖は人間にも害を及ぼすほどに強かったが…………完全に具現化される前に、再び銃へと戻り】
【ならば位置を変えて直線上に居る男性にその衝撃派を当てさせる様にするのかと思えば、そうでも無く】


「良いよ。拘束されてあげるさ
下手にしてボクが死んだり、君やメイドが死んじゃったりすれば答えが聞けないもんねぇ
――――あのメイドと君とじゃ二対一で分が悪いし、ボクはまだ死にたくないからね」

【空気の塊に対しては跳躍を用いて回避して、それでも爪先を掠めたならば宙で猫の様にぐるりと回転して着地する】
【そして――――あろう事か、男性の攻撃を避ける素振りを見せなかったのだ】
【ともなれば、その腕に石の枷が付く事となろうが…………流石にこれは意外だったのか、目を丸くして】
【ただ、銃を握れなくなったとなれば取り敢えずは危険は無くなったか】
855 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 01:41:16.18 ID:dXq5Q8qz0
>>853

――――『まぁ、両方?』
『君の運転も中々過激だし、急に爆発するお店近辺ってのはもっと過激だし…それとも今日だけなのかな』
『マフィアによって町の平穏が守られる…なんとも皮肉なことで、表だけかもしんないけどね』

『にしても随分と詳しいね君、この世の中でそう珍しいわけでもないけど…そういうクチなの?』
『勿論、だからどうってワケでもないんだけれど…』

【右手を喉に、左手は「やれやれ」という風にわざとらしくポーズを取って見せて】
【男が犯罪者だとか、普通の人だとかは至極気になることではなかったが、話題の一つとして聞いてみたり】

――――――…『ふーん、こちらとしては払わせる意味が分かんないね』
『じゃ、決まりね。さあさ、なんなりと頼みなさいな』

【男の言葉には、心から首を傾げる。少女の様子からみるに要らぬ心配だったのだろうか】
【そうと決まれば話は早い―――席に座って、上からっぽく物を言う。本当に調子がいいというべきか】

『まぁ晩御飯食べるだけならそっちの方がいいんだけど…そう、ちょっと用事があったんだよ』
『ブラックマーケットだとかマフィアだとか、そういう裏の世界っぽい用事ではないんだけれどさ』
『仕事、ってのは大体あってるかな…今回のクライアントがこの近くだったもんで、帰りに適当に、ね』

『あー、私はチンジャオロースとか、かなぁ…あと、この酸辣湯ってヤツも』

【メニューに目を通しながらも、ピンと来た料理を指示していく少女。】
【クライアントという言い回しは弁護士のような職を連想させるが、そういった依頼があるような場所でないことは分かるはず】
【ともかく仕事終わりに近場で腹ごしらえでもするつもりだったらしい。そのためか、メニューを見る様子はとても楽しそうで】
856 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 01:41:55.76 ID:taj4+S+6o
>>854

『それやァ良くない、実に良くない。神様は……そりゃ、居ない。
 でもねェアネさん。あっしは思うんですよ、信じる者は救われる――ありゃ真理ィだと。
 或いはこォいう解釈もできる。ヒトが人を殺すのは罪、それもまた運命……
 神様ァはその運命を歪めることはしない、全ての生死は元より決まっている。

 ……アハハッ!堅苦しィのは苦手そォですなあ、アネさん!
 あっしも元は苦手でね、でも団長さんに諭されて、まあ今じゃこの通りィですんで。』

【――言葉が砕けていようが、そのお固い根本は団長譲りらしい】
【グリースの銃が変形するのを見つつも語り、笑い、そしてまたニィ、と口元を歪める】

【どうやら性格は奔放ながら、そこに宗教という枠をきっちりと持っているらしい】
【腐っても宗教都市を護る要の二番手。嘘偽りはないと見えた】
【また一方で武装が聖槍の如きものに変わるに連れ、笑みは何処か固くもなり】

『あっしは加賀屋ァ善助……加賀屋ァは、櫻の国で代々石屋の家系を継いどります者でしてェね。
 重いでしょ?便利ィですよ、暴れる牛でも手枷の石は壊せませんから
 ゼン=カイマじゃァ時々異端審問なんかにも使うたりするんですわ……』

『……あれ、いィんですかアネさん?そいならあっしも殴ったり殺したりせんでええし
 ついでに銃も渡してくれると助かるんですけどもォねえ……どないです?』

【相手の腕に石の枷が付いたのを確かめると、善助は空気の塊が風となる中を立ち尽くし】
【角隠しを押さえながら、グリースに武装の解除までを求めて、あくまで追撃はしなかった】
【当然といえば当然の措置。従うか否かによって、メイドの持つ大剣が上がるか下がるかも決まるだろう】
857 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 02:09:56.78 ID:gipp6EnQ0
>>856
「そりゃ救われたと勘違いしたくもなるさ。自分がどれだけの時間を無駄にしたのかを後になって気付けばね
ボクにもそんな知り合いは居るけど…………あそこまで突き抜けてれば逆に良いのかもしれないけどさ
どーせたった一回の命なら、神様とかに縛られるよりも楽しく生きたい様な気もするけど
――――元より決まってる、ね。それならこの先、ボクがどれだけ赤く染まっても気にする必要は無さそうだ」

【石の枷を柱でコンコンと叩いてみたり、腕を上下に動かして重さを確かめてみたり】
【紛い物で無い事を確かめたならば、果たしてその顔の下で何を考えているのか】
【僅かの時間言葉を返す事は無かったが、やがては銃を床に置いて爪先で男性の方へと送り】


「ほら、ボクはこんなだし。お察しの通り堅苦しいのは嫌いかなぁ
――――別に良いけどさ。大事な物なんだから手荒にしないでよ?
出来れば手で持って丁寧に丁寧に扱って欲しいんだけど

しっかし石屋っていうのはあれだねぇ…………こんな可憐な女の子に対しても、審問に使うような無骨な石を着けるんだ
どうせなら石彫りでもして綺麗な腕輪にして欲しいけどさ」

【もう一度ツンと突けば、更に距離を縮めさせて】
【手で持って大切に扱って欲しい何て言う本人が一番ぞんざいに扱っているが――――まあ、性格から考えれば何となく分かるであろう】
【容易には壊せないであろう石の重さも加われば、先の様に素早くは動けなくなっている故の判断か反撃の様子は無い】
【其処に疑問を抱くかは二人次第であるが――――取り敢えずは、武装は解除された状態か】
858 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 02:13:26.57 ID:XYUSvuEwo
>>855
本当の意味での表なら、この国の警察と自警団が治安維持してることになってる
裏の”表”ならそれであってる。……いっとき、手に負えなくなってから地元の自警団が
比較的穏健な富嶽会っつーヤクザにこの辺りを任せたんだ…数ブロック先に行けば
勢力も変わってくるけどさ……ま、実際、裏の”裏”はどうなってるかは…知らねえけど
裏の裏は表…それか裏には裏も表も無いのかもしれないからね

【事情をペラペラと話して、持っていた煙草を灰皿に置いた】
【大分、込み入った話だがこの辺りの人間なら皆知っているのだろうか】

まあ……この街…いや、こういう世界で生きてくには何かと情報が大事さ
…情報だってカネになる。マフィアからSCARLETまで相手にしてるもんでね

【詳しくは話さなかったが、かなり黒に近いグレーの仕事をしているようだ】
【情報屋か武器商人か…相手を選ばない傭兵っていう線もある…まあ美容師っていう可能性もあるけれど】

【無愛想な店員が持ってきた辛そうなヤツにさらに胡椒を足して、割り箸を割って食べ始める】
【少女と同じぐらい表情に乏しい彼は自ら好んで頼んだぐらいだから平然と食べ進めた】

へえ……まあ、この辺りでイリーガルな仕事じゃないっていうなら大した稼ぎにも
ならないだろ?……なったのなら、何かの悪い仕事に一枚噛まされるんだろうさ
……大したことじゃない。そうだとしても”善意の第三者”だ
…ブローカーかトレーダーか?…そっちの仕事は…さ。…ボディガードには見えないね

【テーブルの端でビール瓶の王冠を飛ばして、グラスに注いだ】
【グイッと大きくあおれば一息ついて、また粛々と食べ進め始めた】
859 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 02:34:50.48 ID:taj4+S+6o
>>857

『悪魔ァだって元をたどれば神の使い、天使のお仲間なのは知っての通りですわ。
 だとすれば、信者非信者人非人、どれに限らず死をもたらすアネさんは
 そういう意味合いでの神の使いかも知れませんなァ……運命の代理遂行者ってトコですわな

 それとソレ、壊れませンよ。牛はその角で岩をも砕くが、足かせとなると壊せない
 そんな理屈と一緒でね、協力者でも居ないと、そうそう壊せんのです』

【にこりと笑って見せてから、グリースが銃を素直に手放したのに一つ頷き】
【送られてきた双銃を手にとって、下手な仕掛けが無いかと一応、確かめる】

【と言っても詠唱で形を変えてみせた銃だ。あくまで物理的な仕掛けがあるかを確かめるだけ】
【呪文やその方面になると、個人の武装はやすやすと手を出せる代物ではない事は分かっているようだった】
【やがて何もないのならまた頷くし、そうでなければ不安点を解除しようともして】

『――大丈夫ですよォ、それこそアネさん扱うみたいに大事にしときますんで。
 あぁそォそう、アネさんはこんな言葉知ってはります?人は皆平等≠「う
 そりゃまあ素晴らしい考え方ですねんけども、あっしはあれホンマに好きで――ね?

 罪人も修道女も差別しないのがあっしら騎士団の決まりみたいなもんですわ
 ……魔物は別ですけどもォね。団長さんとか、この間も色々やってはりましたし……』

『さァて……そろそろ行きましょか。知りたいこと、一目で分かりますよアネさん。きっと、ねェ――。』

【善助は言うだけ言うと、グリースをメイドに預けて先に遺跡の方へと向かっていく】
【メイドはといえば、先に散らばしたものの中から丸メガネと古本だけを取ってしまい、金は足蹴にして剣を短くし】
【それで背後から脅すようにして、修道女にも遺跡へ向かうようにと仕向けるのだった】


【―――後はしばし、古い道を進む。まず閉じていた巨大な石扉を、善助が両手で押し開く】
【何百kgもありそうなそれをこじ開ける膂力は、やはり単純な男性のものとはかけ離れており】

【次いであるのは法力の結界。これを善助が一から十までしっかり詠唱を続けて解除する】
【一定の額もある。そこまで理解した辺りでまた壁があり、これは副団長が手を翳すことで開かれた】
【どうやらセキュリティは相当に厳重らしい。ようやく何もなくなると、またしばらく歩いて――場所は山中、文字通り土の内部を掘った神殿】

【そこにあるのは――大きな鎧甲冑。靴一つでも人間数人を踏み潰せるサイズの、西洋鎧であった】
【まっすぐ立てば身長は50mかそれ以上にもなるだろう。ひたすらに大きく、そして古びて居るのが見て取れて】
【その端に刻まれた古い聖文字が読めるのなら――ヴァルゴ≠ニいう名前らしいものが理解できるはずだ】
860 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 02:47:46.04 ID:dXq5Q8qz0
>>858

―――…『成程ね、世間一般的にはマフィアは表立ってるわけじゃない。まあそうか』
『形振り構わない正義程、手に負えないものもないとおもうけれど…所謂、諸刃の剣?』
『本末転倒にならないことをせいぜい祈ってるよ…手遅れだったとしてもね』

【近辺の住人でない彼女にとっては、とても興味深い話題であった。正義がマフィアに頼る状況は何ともいえぬ不条理さがあって】
【皮肉めいた台詞は留まることを知らず、態々毒を吐くように少女はかく語る】

『確かに…仰る通り情報ってのは時として金にも、武器にもなりうる。すると君は情報屋か何かかな?』
『ともあれ、その情報網はホントに広いんだろうな。マフィアはともかく、SCARLETの情報力は伊達じゃないらしいし』

―――…『うわ、写真で見るより辛そうだね。私にはとても食えそうにないな』

【男の言いようからは、彼女はそういう風に解釈できた。結局推測の枠を出るものではないが】
【裏から表から、情報量で言えばかなりのものだろう。かのSCARLETに所属する最大の利点こそ情報、という人もいる】
【話を聞く途中、男が平然と食べているその辛味に、眉をひそめて呟く。彼女は、辛いのは元々好きではないようで】

『まーね、その上で面倒な仕事も多い…それは依頼によるんだけれどさぁ。あぁ、ブローカーなんて大層なものじゃないよ』
『何でも屋、ってところかな…分かりやすく言うとさ。仕事上稼ぎになんなくてもやんなきゃだし』
『やろうと思えば名の通り本当に何でも…ボディガードでもしっかりとやってみせるさ』

『まぁ今回は、ただのトレード…大したことない品を運んだだけだけど…んっ、熱っ』

【片手で行儀悪く、割り箸を使いこなし作りたての料理を口へと運んだ】
【口で発声する必要もないのだから食べながらでも潤滑な会話が出来る―――中途半端に便利な能力で】
【冷ますのを忘れて、食べてる途中、というより口に運んだ最初の一口で舌を火傷する羽目になったが気を取り直して二口目へと】
861 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 03:18:02.10 ID:gipp6EnQ0
>>859
「まーね。どうせボクも真人間じゃ無いけど…………神様を信じてないのに神の使いって言われるのは何かくすぐったいな
協力者なら居ない事も無いけど、別に今はどうだって良いや。本当に手伝ってくれるかはまだ分からないし。何もしなければ外してくれるんでしょ?
――――それと、そうやって慎重に確かめなくても大丈夫だよ。どうせなら、一発二発撃ってみる?
逆方向にズドン、とはならないと思うけど」

【特に変な点は見当たらないであろう。カスタマイズこそされていても、他者が触ったから不幸が起きる訳でも無い】
【試しに撃ってみれば驚くほど正確な推進力を持っている事も分かるだろうし、ピッタリと掌に収まるグリップが大きく手ぶれを無くす上等な一品】
【あくまで手荒に扱わないようにとジッと見る視線は余程大切にしているのだと男性に思わせるか】


「まるでボクと罪人とを掛け合わせたような言い方だね
いや、ボクと修道女かな。…………確かにあの団長サマなら何か高らかに言いながら魔物を惨殺してる姿を簡単に想像出来ちゃうけど
――――ふふ。案外、君の言う恩義とかは人間じゃ無いけど団長サマに助けて貰ったから…………だったりしてね。櫻の国ならよーかいってやつなのかな
まっ、何にしてもそれは直接聞くなり又君に聞いてみるなりしようか。話し込んでて夜が明けて、誰かが通ってきたら大変だ」

【何処までが冗談で何処までが本気なのか。或いは鎌を掛けただけなのかもしれない】
【散らばったままの金に対しては勿体ないなぁ、と呟きながらも拾う事はせず】

【道中に関しては、時折珍しそうに辺りを見回していた事だろう】
【遺跡が珍しいからというよりも、この場が厳重に施されて居る事が珍しいから】
【そして、男性が全てを順調に解除して行く事が出来ているからか】
【やがて辿り着いたその神殿では「ほへぇ」なんて間抜けな声を漏らしてその全容を眺め】


「随分とでっかいねぇ…………コレ、ゴーレムみたいに動いたりするの?
乙女座――――乙女を名乗るにしては格好良すぎる気もするけどさ
…………今までのを全部君が解除してたから、君が大きく関係してる事は分かった
でも、だったらこのメイドは居らなかったんじゃない?全部君一人で出来てたし…………ボクと同じ修道女って訳でも無さそうだし
しっかし…………これで魔界でも破壊しに行くつもり?」

【刻まれた名から連想したのは乙女座であろう。首を一杯に後屈させて頭まで見れば、もう一度下げて】
【――――問う事は幾つか。メイドの存在理由と、此処にこの巨大な甲冑を収めていた理由】
【後者は、ゼン=カイマでの以前の事を考えれば戦力拡大とも取れるが…………前者は分からない】
【メイドは自分の後に居て監視こそしていたものの、結界の解除等に関わっていた様には見えなかった――――それ故の言葉】
862 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 03:34:50.89 ID:XYUSvuEwo
>>860
それは私設の正義組織にも言えることだ。幾ら権利があるにせよ個人の裁量で
やってるんだ。エスカレートすれば危険極まりない。ヤクザの前身だって、元は自警団さ
…だったら、やり方の知ってるベテランに任せた方がいい

【過ちは繰り返される。どれも同じと言いたげな口ぶりだった】
【そういった世界を見てきた嘲笑よりも冷たい彼の諦観が伺える】

…近いね。情報を売るんじゃなくて、俺は買う側さ。基本はアンタと同じ
何でもやって、コネクションを得る。それを使って、金儲けさ……ようは、投資家みたいなもんだ
例えば、カノッサと友だちになって次は何処を襲うか知ってれば得だろ?…ま、そんな感じ
……陰と陽のボーダーを歩く。そういう奴さ…

【彼は大体三分の二を話した。本来の、彼の一番有名な代表的な仕事は強盗団のリーダーだ】
【けれどそれは裏の顔に箔をつけるためというのが今は大きい。その名前で情報を得て、仕事をして、投資をする】
【裏の顔も持ちつつ表とも接触する余りにも危険なことを彼は生業としていた】

SCARLETはな。あれは国同士の作った名ばかりの同盟…情報もカネもそこらと比べ物にならない。
けれど、そういう体質なだけに問題もある。…まあ、それは俺の知ったこっちゃない。
もう既に問題も出てきてるし…大概、同盟は裏切られて終わるんだ…歴史上ではね
……ああ、辛いけどねウマイよ。美味くて辛い。辛いだけなら唐辛子でもかじってた方が経済的だ

【ビールを飲みながら、スープまで飲む彼は舌が馬鹿なのか胃が強いのかそれとも頭がイッちゃってるのか】
【どれか、どれもかはわからないが非常に満足気に暑そうな顔をしながらたいらげたのだった】

何でも屋なら、仕事ぐらい選ぶとイイ。こんなところに宅配を頼むんだから……
そうでなくても客は選ばないと命がないぜ。後ろ盾を探しておくのが一番手っ取り早い
わかりやすく言えば……善につくか、悪につくかって…こと。苦労するよ俺みたいなのは

【火の消えた煙草に再度、オイルライターで火をつけて、食後の一服】
【残りのビールをハイペースで開けながら、非常に無愛想同士楽しく談笑するのだった】
863 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 03:47:37.63 ID:taj4+S+6o
>>861

『ホンマにええ銃ですなあ、あっしはその辺り詳しくないけども……
 この手に吸い付くような握りに、ある程度の重さが安定感を醸し出しはりますわ
 まさに神使にぴったりの一丁、と……アハハッ、ええ勘しとりますなァ、アネさん。』

【――拳銃をローブの腰辺りに軽く括り、グリースに笑いかけながら、ふと】
【善助はその頭を隠す布を――角隠しを手にとった。見えるのは、2つの突起】
【額から突き出す角を斬り落とした痕だった。もうそれだけで、正体はあっさりと分かろうもので】

『折角なんで自己紹介しときますわ。あっしは加賀屋善助、元は石屋。
 しかしその正ォ体は石鬼≠「う妖怪に他なりませンのや
 
 先日の櫻ァで起きた橋姫討伐の一件……あっしもあんな具合にヤラれた折
 フレデリックの団長さんに諭されて心を入れ替えたんですわ。
 無知無学のあっしにとっては、宗教いうのは恐ッろしく上等なモンでしてェ、ね。』

【ご丁寧に説明を終えると、また善助は角隠しを被り、巨大な鎧へと向き直る】
【その身は妖かし。ともすれば聖書など持つだけで手が焼けそうなものだが、そうでもない様子】
【となれば何かしらで封印でもしているのかもしれないが――まあ、それはともかく】

『もうどうせ見てしまったんやから言ィますけども、これァ特殊な兵器なんですわ
 大昔に、あっしらの知る神様とは別の……物語に出てくるのが作ったァいう、古い戦車=B

 ……アネさん、物知りですなァ。知っての通りこれは乙女座ァを意味しとります
 せやから、乙女しか乗れない。純血を保った強い女性しか動かせんのですわ
 そんでェ、勘違いが一つあるんは……別にあっしらはこれを使いたいンと違うんです。

 ――ぶっ壊してしまいたい≠ですわ。これ一つで、もっと大きなァ物の封印、軛になっとります
 だけどもォ、流石に古いだけあって特別……純粋な心の持ち主で無ェと傷もつけられない
 
 ……アネさんはこの世ェ界で人が純粋な気持ちを持つのは何時だと思います?
 あっしらが出した結論はね、正義感に燃えて戦う時、ってやつなんですわ。
 もうお分かりなんと違いますか?これはね、死地に投じてぶっ壊す為の大事な前段階……――。』

【『そのための密会なんですわ』――善助はそう語ると、メイドに目配せして一つ頷いた】
【メイドの方も答えて首を縦に振ると、反対側の足から伸びる足場を登って行く】

【おそらく起動させるつもりなのだろう。それと、全てを話したのはこの後も開放する気が無いからに違いない】
【グリースがどこまで勘付けるか、どこまで何をする気になるか。そこで対応は変わってくる】
【幸いにして今、善助は鎧の方を向いている。双銃はその腰にあり、或いは枷も不意を突く武器には最適だが――さて。】
864 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 04:21:35.78 ID:gipp6EnQ0
>>863
「別にあんな扉を一人で動かす君には必要の無い物だよ
――――ああ、そういえばちゆりが言ってたねぇ…………櫻の国で大きな一悶着が起きてたって
諭されてるというより利用されてるだけにも見えるけど、ボクの主観だし
信じる者は救われる、だっけ?相手は神様じゃなくて団長サマだけど、良いんじゃない。ボクからすればまっぴらごめんだけどね」

【甲冑を眺めている最中、男性が角隠しを外した事に気付けばそちらへと視線を移し僅かに唇の端を吊り上げて見せた】
【詳細はまだ知らずとも、何が起こったのかは把握している。一見すれば流している様に思えても、その実しっかりと耳に入れており】


「なーんで櫻の事情に教会が干渉したのかは分からないけどさ
退魔師とか巫女とか沢山居るんでしょ?なのに、態々教会が出しゃばらなくても終わった気がするんだけど

――――ある程度は無理矢理教え込まされてるからね。だから、余計に勉強だとかそういうのは嫌いだよ
で、馬鹿に馬鹿になったボクは考える訳だ。副団長である君が何で態々コレを壊して欲しいと言うんだろうって
となると、当然団長のフレデリックも関わってるんでしょ?
何の封印を解くのかは知らないけどさ…………何だか色々と物騒な話だよね」

【さて――――必要な情報は大体仕入れた。これ以上得ようとするのは難しいであろう】
【後は此処から出るだけだが、未だに手枷が邪魔をしている。ならば、外すための“協力者”をそろそろ使う頃合いか】


「何だか臭いなぁ…………純粋な信仰心とやらで壊しちゃっても良いんじゃ無いの
まっ、何処か疚しい心があるならそりゃ無理だろうけど。何にしても考える材料は大分集まったし、そろそろボクは帰らせて貰おうかな
――――……ルカによる福音書」

【銃の位置は――――腰か。再び槍にしても“目的”を実行できるかは分からない】
【だから、又別な福音書の名を告げた。当然、其れに応じて双銃も形を変えるが…………今度は、二振りの短剣である】
【刃こそ刺さらない物の、強烈な“聖”はまるで炎。聖者であってもその身を焦がすような痛みを与えるだろうし――――もしも単純な魔物ならば、言わずもがな】

【結果は何だって良い。男性に驚きの声か、或いは呻きを漏らして貰えば良いのだ】
【続いて、メイドが少し上った頃を見計らってその背に追いついた】
【――――手枷を用いた一撃をその背に浴びせるつもりか】

【これより先は、今までの行動が成功すればの話】
【ダメージでは無く声を上げさせる事を重視ししたのはメイドに攻撃の予兆を悟らせる為。態々数段上った所を狙ったのは、行動を限定させるため】
【大剣を下から振り上げるか、若しくは振り下ろすかの二択とさせる為だ】
【あの剣の性能を大体は把握した。そして、幾ら朽ちていようとも柱を易々と倒せる一振りである。実際は攻撃では無く、その刃の力を以て手枷を破壊しようというのだろう】
【だから、確実に反撃を行わせる余地を残していたが】
【――――全て順調に成功したならば、後は自分の手元に双銃を転送させるだけだ】
865 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 04:36:32.23 ID:taj4+S+6o
>>864
/申し訳ないっ、眠気で頭がうまく回らないのでまた凍結お願いしてもよろしいでしょうか…!
/明日はちょっと来れないので、明後日の夜11時とか、それ以降になってしまうのですが……
866 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 04:41:40.41 ID:gipp6EnQ0
>>865
/勿論大丈夫であります!と言うよりも、お返しするのが遅くて申し訳無い次第であります……
/お時間と日にちの方了解致しました!
/置きレス等々でも大丈夫ですので、是非是非リアルの方を優先にして頂ければ……!
867 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 04:44:11.21 ID:taj4+S+6o
>>866
/いえいえ、こちらも遅い&長いですし、お互い様ということで気になさらず!
/時間はそのようにして、返せる時には置きレス扱いで続けるということでお願いしますっ
/ではすみません、お先に失礼致します。お疲れ様でしたー!
868 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 11:14:05.91 ID:dXq5Q8qz0
>>862

『独裁的な正義、ってのも確かに危険だとは思う。たられば、の話であってもね』
『まぁそいつらの元々が自警団だってのも驚きだけれど、平穏であればそれで良しとするのかな』

【諦めのニュアンスが垣間見える男。今までどんな景色を見てきたのかは知らないが】
【到底、彼女が理解するのは難しい話なのだろう…適当に話を切って】

『ふうん、危険だよねその仕事。いや、この辺りで危険じゃないところもそうそうないのか』
『いまいち全容は掴めないけれど、どこから刺されても文句の言えない感じがスリル感満載だよね』
『ジョークだけれど…そこまで深く介入するような仕事ではないだろうし』

【場合によっては彼女よりは数段危険な仕事。】
【危険度、というのはどこも同じか…死ぬ可能性なんてものはいくらでもあるわけで】

『裏切り、か…合ってるのかもしれないね、私は何とも言えないけどさ』
『せめて簡単に終わらないでほしいね…彼らの奮闘は中々だ、と私は思ってるし』

『うわぁ、スープまで飲むんだ…よく大丈夫だよね、私はしばらく悶絶する自信があるわ』
『辛味なんて痛覚の一種じゃん、ピリ辛までは美味しいけれどさ…美味しいんだろうけど理解に苦しむよ』
『いくら経済的でも健康的ではないよ、唐辛子かじるのは…食事にまで刺激は求めたくないなぁ』

【裏切りという言葉に思うところがあった。正しくその状況をこの目で見てしまったからだ】
【彼女も関係者になりきれるわけではないが、その時の回りの反応に、痛烈な思いを抱いたのは事実】
【故に、親身にことを考えてしまうのだろうか。立場上では、悪い癖になりうるものだが】

【スープを飲んで満足そうな男、ある意味で彼女は尊敬の念を覚えていた】
【苦笑い交じりの声を響かせたなら、無表情のマスクの上に薄い笑みを描いて】

――――…『いや、形はどうであれ、人の為に動くのが信条なんだ』
『善だろうと悪だろうとね…それに、仕事を選ぶのは私じゃないから』
『もう後戻りのしようがない段階なのかな…ああ、だから苦労はもうしてるし問題ない』

【社畜という言葉がお似合いだろうか、何でも屋と言えど個人経営ではないらしい】
【上に何人かが居て、それに従い彼女は動く。それだけ抜き出せば普通の会社員と変わらないが】

【少女はまだ食べている、ゆっくりと喋りながら中華を味わっていく。彼の言った通り中々に美味しい】
【そこで男が食べ終わっていることに気付いて、ちょっとだけペースを早めるのだった】
869 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 14:20:13.36 ID:qGTTCAMIo
【日中ですらなお日の明かりが差し込むことなく、汚穢に塗れたコンクリートの谷の隙間】
【あらゆる人々の様々な思惑が交差するこの世界における危険地帯、いわゆる路地裏と呼ばれるそこに、一人が立っていた】
【足元にはうめき声を上げてうずくまる数人の人々、そして飛び散る肉片と鮮血をみれば、ここがどういう場であるかは理解できただろう】

「あーあー、ゴミ掃除も面倒なんスけどねェー。負けは負けだからさっさと死んどけッス」

【眼下の黒服が転がる拳銃へと手を伸ばすのをみて、冷たく嗤う女は腕を振りぬいて】
【コンクリートには脳漿が飛び散り、伸ばされた手はぴくぴくと痙攣して、やがて止まった】
【背中のバックパックからゴミ袋を取り出すと、女は黒服たちの死体を蹴り飛ばしながら奥へと歩いて行き、ひとつの肉塊をそれに収めて】
【路地裏の片方を塞ぐトラックへとそれを放り込み、他の死体の処理をトラックに乗り込んでいた者に任せて女はポケットから煙草を取り出す】

「……あ゛ーダルい、ねむい、まじツれぇー。
これで今日のお仕事は終わり――だからさっさと終わらせな。
ぱぱっと終わったけど適当に時間水増しして残業代請求しとくからよ、サッサと休憩したいだろ?」

【くしゃくしゃのシケモクに、百円ライターで火を付けて、不味い安煙草の紫煙をコンクリートの隙間に切り取られた空に伸ばしていく】
【女の部下だろう者達を尻目に、女はもう片方の塞いでいない路地の入り口へと視線を向け、警戒を崩さず立っている】

(……あ゛ー……、負けるとは思っちゃいないが、GIFTが滅びたら身の振りどーしよ……。
カノッサってガラでもねーしなー、こいつら連れて独立も有りだけどー)

【耳元で揺れるピアスには、GIFTを示す紋章が刻まれていて】
【GIFT内での通称最低最弱最悪の部隊長は、ぼんやりと思案に耽るのであった】

/*予約ロールです*/
870 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 14:20:24.88 ID:qGTTCAMIo
【日中ですらなお日の明かりが差し込むことなく、汚穢に塗れたコンクリートの谷の隙間】
【あらゆる人々の様々な思惑が交差するこの世界における危険地帯、いわゆる路地裏と呼ばれるそこに、一人が立っていた】
【足元にはうめき声を上げてうずくまる数人の人々、そして飛び散る肉片と鮮血をみれば、ここがどういう場であるかは理解できただろう】

「あーあー、ゴミ掃除も面倒なんスけどねェー。負けは負けだからさっさと死んどけッス」

【眼下の黒服が転がる拳銃へと手を伸ばすのをみて、冷たく嗤う女は腕を振りぬいて】
【コンクリートには脳漿が飛び散り、伸ばされた手はぴくぴくと痙攣して、やがて止まった】
【背中のバックパックからゴミ袋を取り出すと、女は黒服たちの死体を蹴り飛ばしながら奥へと歩いて行き、ひとつの肉塊をそれに収めて】
【路地裏の片方を塞ぐトラックへとそれを放り込み、他の死体の処理をトラックに乗り込んでいた者に任せて女はポケットから煙草を取り出す】

「……あ゛ーダルい、ねむい、まじツれぇー。
これで今日のお仕事は終わり――だからさっさと終わらせな。
ぱぱっと終わったけど適当に時間水増しして残業代請求しとくからよ、サッサと休憩したいだろ?」

【くしゃくしゃのシケモクに、百円ライターで火を付けて、不味い安煙草の紫煙をコンクリートの隙間に切り取られた空に伸ばしていく】
【女の部下だろう者達を尻目に、女はもう片方の塞いでいない路地の入り口へと視線を向け、警戒を崩さず立っている】

(……あ゛ー……、負けるとは思っちゃいないが、GIFTが滅びたら身の振りどーしよ……。
カノッサってガラでもねーしなー、こいつら連れて独立も有りだけどー)

【耳元で揺れるピアスには、GIFTを示す紋章が刻まれていて】
【GIFT内での通称最低最弱最悪の部隊長は、ぼんやりと思案に耽るのであった】

/*予約ロールです*/
871 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 14:40:33.68 ID:XYUSvuEwo
>>868
力のない正義でも意味ないけれどね。警察なんて見てみろ、今じゃ道案内ぐらいにしか役に立ってない
皮肉なもんで、この平穏はカノッサだのなんだのが強大だから

…まあね。探りを入れ過ぎて額に風穴あきそうになることはたまにあるけど…
殺し屋に追っかけまわされないかわりに、ホームパーティにも誘われない…それぐらいさ

【実際は彼の身分である強盗で指名手配中。おまけにギャングだのカルテルだのそっちも狙ったもんだから】
【非合法の懸賞金がタップリとかけられている。死が向こうからやって来るのに向かっている状態だ】
【けれどもそういう話を限りなく用心して話さずにカモフラージュして何とか生き延びているのであった】

…だといいけどね。どちらも頑張りすぎないで適度にバランスを取ってもらえれば、此方としても安心だ

まあ、慣れだよ。煙草とか酒と一緒で最初は少しでも段々と量が増えてって気がついたらあれ?って
なんだろ……説明出来ない何か…習性と言うか…好みなんてそんなもんじゃない?なんとなく好きみたいな…
それに、煙草とビールを飲んでる奴に健康を問うのは大きな過ちだと俺はおもうね

【煙草の煙を吐き出して、そんなことを口走る。言われてみればまあ確かにそうだ】
【アルコールとニコチンと唐辛子で頭から何もかも麻痺してるんだろう。ニヤけて自慢げだ】

なら、プライベートの相手ぐらいは選んでおきなよ、カノッサの友達なんても悪くないかもな
…まあ、一つ目の大男みたいなのしか居ないから、逆の立場をおすすめする

【煙草を吸いながら、足を組んで何気なしに窓の外の通りを見ていた】
【本当は店内の曲に耳を傾けつつ別のことを考えていたのだがそれは他愛もない事】

……気にせず食べなよ。急いだところで時間には追いつけない
だったら、ついでに甘いもんでも食べていたほうが良いと思わない?
872 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/01(土) 14:42:39.08 ID:vgdobVet0
>>869

「はあ・・・いい天気と反比例する僕の財布・・・」

【変わらぬ日常、今日も稼ぎ口を求めて次から次へと日雇いのバイトを探す日々】
【夜に活躍しそうなお仕事の人に頭を下げて仕事を求める身寄りのない少年がここにいた】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年 】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせるまるで短髪の雪女のようにも見える】
【灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような彼だが、今日も町を歩いて―――】



【―――そのコロシアイの後、血まみれの現場を見てしまった】

「うッ、うわああああああああッ!!!」

【少年は決して遠くはない距離、女性の前方にある路地裏の入り口、そこからみていた】
【こみ上げるのは吐き気、退いていく血の気】
【ただでさえ薄い自分の色が、さらに薄くなる】

「あ・・・そ、それは・・・」

【見るのは初めてではないが、決して快いものではない】
【命と命の奪い合い、この世界の常識だと分かっていても、胸にくるものがある】
【そして、その鮮血の海に立つ女性を見て、尻餅をついてしまう】

「え・・・・っと、その・・・・ッ!」

【まともに言葉も発せられないのか、詰まったような声しか出ない】
【蛇に睨まれた蛙――――、というよりも子犬のような少年はその女性を見てガタガタ震えてしまった】
【純粋な、恐怖で】
873 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 14:51:38.97 ID:qGTTCAMIo
>>872
【眼前。現れる少年、そして尻もちをついて怯えながらこちらを見ているそれを見て、きょとんとした表情を浮かべ】
【眉間にシワを寄せながら、女は紫煙を吐き出して頭を振る】
【なんとも言えない、しいて言えば面倒くさそうな表情を浮かべつつ、背後の部下に視線を向けて】

「――――あー、っちゃ。
おいおめーら、人払いきっちりやっとけつったろーがボケ。
とにかくテメーらあとで処分な、減給は確実だから」

【部下の尻を蹴り飛ばしながら、作業を早く進めろと怒り、叱咤する女】
【この現場を見られたことを、然程気にしていないのか、それとも馬鹿なのか】
【1分もしないウチに死体はトラックに積み込まれ、部下から去り際に拳銃を受け取って、トラックは走り去って行く】
【残ったのは、女と少年と血痕だけ。――そして、女は二本目のシケモクに火を付けて、ゆっくりと歩いて行く】

「……オイ」

【低く、荒んだ声だ。青い双眸は細められ、冷たい意志を宿して少年を睨みつける】
【じゃかり】【拳銃の初弾を送り込み、少年に向けて女は迷うことなく拳銃を構えていて】
【脅しの意志を見せる、黒鉄で出来た鉛弾の発射機構をかざしながら、二言目を口にする】

「金で口を噤むタイプか? なら金を積んでチャラにしてやる。
だが、これを口外するなら余裕で殺す。――おめーの見た肉みたいに、な」

【どうやら、即座に始末するつもりは無いようで、出来れば金で解決をしたい様子の女】
【怠そうな態度で、面倒事は避けたいというような雰囲気が、僅か以上ににじみ出ていることが分かるかもしれない】
【少なくとも、問答無用で荒事に出る様子は、なさそうだ】
874 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 15:12:12.02 ID:vgdobVet0
>>873
「ひゃ、ひゃいッ!」

【呼びかけられた声に思わず飛び跳ねるように、本当に5センチくらいは飛び跳ねただろう、裏返った声で答える】
【これが表で生きていた人間なのか、本当にこの荒事の世界を知らないように見える】
【少なくとも、自分が殺されるという状況が初めてなのだろう】

【向けられた銃口にその心臓がさらに波打つ】
【口どころか、全身の骨を砕くよう勢いの鼓動が振動する】

【死の恐怖か、その銃口の先がその自分の顔だと分かったのか、本能か】
【その頭を守るように、怯えたように、その尻餅した状態で両腕を自分の前でクロスさせる】
【そして、枯葉よりも弱弱しくつぶやく】

「えッ・・・・と、僕は、そんなお金は・・・・その!」

【それでも、守りたいのか】
【圧倒的な武力を前に、あまりに弱弱しい存在でも】

「こういう・・・悪いことも・・・い、いけないと・・・」

【まっすぐ貫く信念だけは、この少年にはあるのか――――】
【たとえ弱くても、その意志は】
【この世界では何の意味もない、無知で無価値な正義感なのだろう】

【彼女の目には見えないかも知れない】

【少年を守る唯一無二の奇跡「風圧装甲(アウフダクト)」】

【その腕と脚を覆う無色の装甲が、脆弱な少年の意思をを守ろうとしていることに】
875 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 15:25:00.66 ID:qGTTCAMIo
>>874
【女は、黙々と少年の話を聞いていた。冷め切った瞳で、侮蔑の感情すらを込めて】
【呟きが終われば、女は紫煙と共にため息を吐いて――返答となる言葉を返してみせる】

「――で、おめーはもし私が悪いことをしていたとして、なにか出来るのか?
出来るならこうして尻もちしてビビてねぇよなあ? なあオイ?
文句を言って良いのは文句を通せるヤツだけだ。――金が要らない、口を噤むつもりも無いなら、答えは速いぞ?」

【口から垂れ流されるのは、無慈悲な現実をつきつけるだけの言葉】
【怯える相手に銃を突きつけているこの状況なのだ、このような言葉は出てきて当然とすら言える】
【女は話し合う余地無しと判断したのか、構える拳銃のトリガーにかけられた指に僅かな力を加えていく】
【女は、そのまま銃爪を引いた】

「は――能力者サマッスか……!」

【響く金属音。はじけ飛ぶ銃弾に己の右頬を切り裂かれながら、口元に咼んだ笑みを浮かべてみせる】
【細まる瞳、先程までの威圧とは異なる、何処と無く媚びた印象を与える口調、即座の転身】
【加速する撤退の動作は、5m後ろへの後退としてその結果となし、残弾である11発の銃弾を少年の四肢に打ち込む事を実行させた】

――防御系。物質生成系か何かッスかねー?
とにかく厄介、無能力者だってのに能力者サマに楯突くのはアレッスけどねー……。
ま、しゃーなしッス。私はGIFTでGIFTに逆らうのは能力者だろうと敵で制裁の対象ッスからね、悪いが死んでくれッスよ。

【右手には拳銃。左手でズルリとハンドアックスを抜き、構えを取る女】
【無能力者と己を蔑み、相手が能力者とわかった途端に口調や態度すら変わる歪な女は、しかし殺意を宿している】
【敵意は無い。敵意などなくとも、殺意があれば人を殺すことが出来る。女は、そういう人種であった】
876 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 15:25:26.35 ID:dXq5Q8qz0
>>871

『やれやれ、せめて両方衰退してけばいいのにね。警察が機能しない代わりに悪もはびこり切れないぐらいにさ』
『危ないなぁ、いつかみたいに二日酔いして気付いたら死んでました、そうなったら目も当てらんないよ?』
『ふふっ、じゃあ精々頑張りなよ…間違ってもマフィアのパーティに招待されて、弾丸のシャワーを!なんてないようにね』

【それもどうかとは思うが―――少なくとも、人死にはあまり出ないかもしれない】
【罪状も何も彼女の知ったものではないが、まあ危ないことにはなってるのは予想出来て】

【から回るのが一番危険なんだろう―――目を細めて頷いたなら、苦笑交じりに窓の外を見て】

『成程ねぇ…怖いもんだね人の適応力ってのはさ。そのうち何でも食えるようになるんじゃないか』
『まあ好きに理由なんてないってのは分かるけれど、嫌いと違ってさ…』
『ビールや煙草はともかく、唐辛子は齧るものじゃない、はず。だからどうしたって話だけど』

【一理ある、といえばそうなる。だからと言って、彼女が辛い物を食べたりするようになるわけでもないが】
【人の好みにとやかく言うつもりはないし、個人の自由だろう。危ないなんて言ったらキリがないのだろう、彼の場合】

『それってプライベートになるのかしらね?少なくとも、君ぐらいにオンオフ切り替えてくれればいいか』
『一つ目の大男さんってのも…いいじゃない、飲茶する相手としてはちょっと向いてないかもしんないけれど』

『甘いもの、中華で甘いものってぱっと思い浮かばないな…何かあったっけ』
『ま、急いでも急がなくても、もう食べ終わっちゃうんだけど…美味しいねぇ』

【命を散らしたりテロしたりはせめて余所でやってほしいものだ。多分彼らもTPOは弁えるだろうが】
【例として挙げられた一つ目さんには失礼だろうが、思った通りの主観的意見を述べて】

【酸辣湯を最後まで飲んだなら、途中ペースを上げたためか食べるものは残っておらず】
877 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 15:48:07.23 ID:vgdobVet0
>>874
「っ・・・、はぁ!」

【この装甲を信じて正解だった】
【道端で追い剥ぎに会った時に、鉄パイプは大丈夫だったがまさか銃弾まで耐えれるとは】
【賭けに他ならない行為だったが、その行為で相手の次の行動を誘発してしまう】

「ま、待ってください!穏便にしましょうよっ!」

【彼女の装備は間違いなく[ピーーー]ためのもの】
【みね打ちみたいな不殺なんて逆にどうやってするのか考えさせられるような装備だ】
【つまり、じっとしてたら殺される】
【尻餅なんてついてはいられなかった】

「事情は分かりません・・・でもそんな武力でなんて・・・」

【立ち上がって、震える脚に力を込めて】
【その赤い目で彼女を、視る】

【きっと、お互いに分かり合えない】
【限度はあるにしても、この世界で暴力は一種の潤滑油だ】
【力がモノを動かす、それで生きる人がいる】
【彼女はきっとその世界の人間だが、彼は違うのか】
【暴力らしい暴力をしらない、お坊ちゃまだろうか】

「僕たちに、命を奪うに値することなんて・・・あるとは思えないの・・・ですが・・・」

【とんだ甘ちゃんだろう】
【彼女はその台詞に呆れ以上のものを感じるかもしれない】
【だが、その両足をしっかり地面に押し付けて】
【右腕を前に出し、左腕を胸の辺りに持ってきている】

【その体勢は、決して逃げるものではなかった】
878 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 16:01:27.33 ID:qGTTCAMIo
>>877
「穏便にッスかー、難しいッスね。
……だって黙るつもり無いんスよね? だったら殺すか喉と両手潰して何も伝えられないようにするくらいしかないッスからねえ」

【穏便に、との言葉を聞いて、女は嘲るような表情を浮かべながら難しいという】
【女の論調は唯一つ。沈黙しないならば力で沈黙をさせる、それ以上でも以下でもなく、それを躊躇わず行う精神を併せ持っている】
【無能力者で有り、また戦闘者としても一定以上の練度は持つものの突出した力を持ちはしないが、少なくとも女は素人ではない】
【殺すと決めて殺す事に関して、なんら躊躇うことは必要ないのである】

「――あるッスよ?」

【即座の両断。少年の甘い言葉を、現実の重みで即座に切断してみせる冷たい言の刃】
【態度を見て、既に話し合いは無用とも思う。少なくとも、女にとって目の前の相手は沈黙しない限りは、敵であるのだし】

「気に食わない、そいつの財布が欲しい、仕事だからとか――。
まあ、その程度のことで人を殺せる奴らなんてこの世にはごまんといるんスよ。私もッス」

【エメラルドグリーンの双眸には、透徹した感情とどろりと渦巻く意志が存在】
【能力者に対する羨望、嫉妬。そして、己を虐げ絶対者として君臨しているそれを敵だからと屠れる昏い喜び】
【能力者至上主義の場で育ってきた女の歪な殺意は、淀みきったままにまっすぐに少年に向けられて】
【ホルスターに拳銃をしまった女は、両手に一本ずつ斧を持ち構えを取った。細腕で扱うことを前提とした二振りの斧】
【重心バランスを調整されて作られたオーダーメイドのそれは、然るべき速度と角度でしかるべき所に当てれば、四肢の1,2本は落としてみせるだろう】

「見たものについて口外しなきゃ殺さないッス。それを保証できないなら――――殺すッス。
……正直言質取るのがメインなんで、口だけでも言ってくれないッスかねー? 顔とかはもう分かってるんで、口にしたらどっちにしろ狙われるッスし」

【斧を手元で軽く回しつつ、最後通牒を投げかける】
【断ればダルそうな表面と昏い喜びの深層心理を宿して駆け、承諾すれば面倒を避けられた事に感謝しつつ刃を引くだろう】
879 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 16:27:57.33 ID:vgdobVet0
>>878
「・・・・・・・」

【自分に彼女を倒せるとは思えない】
【この装甲も、決して使いこなせてるとは言えない】
【戦えば負ける、自分にはとても立ち入れない領域――――】

「・・・言いません。この事は」

【これが、この世界】
【暴力とそれによって行使された歪んだ倫理】
【弱いものは、黙っているのが鉄則】
【少年は、この事実に唇を噛んで答える】

【つい1ヶ月前まで、世間のあらゆることから隔離された生活を送り、理想とされる虚言ばかりを耳にしていたから】
【目を背けたくなる現実が、目の前の彼女だった】

「でも、僕は認めません・・・あなたの暴力を」
「あなたの過去を、あなたの昔話を・・・僕は知りません。でもどんな理由があっても・・・」

【だからこそ、少年は彼女を視る】
【人を動かすのは力でなく、心】
【昔、そう教えてくれた人がいた】
【その言葉に浸り、現実から目を背けていた卑怯者だけど】

【その言葉を伝えたいから、少年はその弱弱しい口調でそう言った】

「僕は、貴女にそんな生き方をしてほしくありません」

【ぶらん、と力を抜いた世間知らずの少年はそのちっぽけな正義を彼女に告げたのだった】
880 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 16:42:47.05 ID:qGTTCAMIo
>>879
「おーおー、協力ありがとうございますッスー。
あ、もう帰って良いッスよー。言質は録音してあるッスし、顔もこっそり撮っといたンで」

【にへら、と媚びているのか馬鹿にしているのか分からない笑顔を浮かべる女】
【ひらひらと手を振りつつ、即座に身を翻して歩きさろうとする、が】

「は?」

【後ろから投げかけられた言葉に、敵意≠宿した視線を向けて、振り向いた】
【両手の斧の握り手がギシリと軋む。そして、エメラルドグリーンの双眸は、目で殺すとばかりの意志が見える】
【先ほどまでのそれは、理由なき殺意だった。少なくとも、女は己の自由意志の殺意を抱いてはいなかった】
【だが、今の女のそれは、女の意志から生まれる敵意を持った殺意。ちっぽけな正義に対する、激昂だ】

「は? で? それで? どうすんの? なあ? オイ?
そんな生き方をしてほしくないなんて何回言われてきて何回そういう思い上がった愚図ども殺してると思ってんの?
言っとくけどクズはクズでクズにはクズに相応しいクズらしいクズの人生が有るんスよ。
でもって私はクズなの。クズだからこうしないと生きてらんないしクズだからこんな生き方しかできないの、わかる? わかるかな? オイわかるか?
てめーみたいに能力なんか持ってないし? 金も地位も無いし? 頭も悪いし才能も無いし? どれだけ頑張ってもこれが限界なんだよ?
深海魚は深海でしか生きられないし、ゴキブリはゴミ漁って人に潰されるいきものなの。私も同じ、同じヒエラルキーのクズなの」

【垂れ流される言葉は、刻み込まれた莫大なコンプレックスが生み出す、劣等感と嫉妬の塊のような言葉】
【どろりどろりと吐き出されていく、重苦しい諦めと絶望の言葉は、女の力の原動力となるものだ】
【クズにはクズの生き方しかできず、己はクズである。それが女の思考であり、女の生き方だ】
【ゆっくりと、子供に言い聞かせるような口調は、かえって女の怒りを、歪みを強調することとなっただろうか】

「――――そんなクズにお前さんが言葉だけを投げかけた所で何が出来る? なにも出来ないなら口にするなよ。
私は殆ど何にもできないからできる事しか出来ると言わない。
出来ないことを出来ると言わないから言ってやる、これ以外の生き方はできませーん! 無理でーす!
はい、終わり。これで満足か、ガキ。お前がどう思おうが無理だから無理、じゃあ帰ってね、じゃーね」

【徹底して、正義すら通じず現実の底辺を這いずるものの、ゴキブリの意地のような頑なさを見せて】
【さっさと消えろと言い残すと、女はまた踵を返して歩き出した】
881 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 16:58:58.71 ID:XYUSvuEwo
>>876

つまりそれは、惑星ごと滅亡ってことか?…案外キツイこと言うもんだな嬢ちゃん
……まあいいさ、みんな仲良く平等に死ぬなら中々のハッピーエンドじゃないか
俺はしぶといよ。こういうふらついた奴は一周回って長生きするもんだ

【そこはかとない自信を滲ませてニヤリと笑う。が、その自信を裏付けるものは殆ど無い】
【ただ、死なない気がするってな細くヨレヨレの運命がクッキリと見えている気がしているだけだ】

テーブルにタバスコぶち撒けて軽く焼けば、案外食っちまうかもな。言うだろ
かの国の奴は椅子と机以外の四本足は何でも食っちまうって……古いジョークだ

【短くなった煙草を灰皿におしつけて、口の端からゆっくりと、細く煙を吐き出す】
【残りのビールをグラスに注いで、「未だに、生魚だけは食えん」と自嘲気味に付け足した】

どっちの肩を持つか、それがわかってりゃ楽だってだけだよ。嬉しい事に世の中はわかりやすく二分化してるんだ
間でフラフラしてるよりどっちか片方とつるんでる方がお友達も出来るってだけ。……俺はそういうの嫌いだけどね

……なんかあるだろ?甘いやつ……まあ、いい。…じゃあ、俺はそろそろ帰る
明日も仕事だ。自営業だと休みがなくてね……その分自由だけど

【男は立ち上がるとあまりの気の抜けたビールを飲み干して、ポケットに手を突っ込んで】
【クシャクシャの紙幣をポンと机の上に投げた。額は当人もわからないが少ないということは無いだろう】

それじゃ、まあ、夜道には気をつけな……またどっかで会うだろうし…それまで死なないように
…こういう世界じゃみんなアホみたいにバタバタ死んでくんだよ。望んでるみたいにさ

【それだけ言い残せば、臭みのないキザな振る舞いで飄々と立ち去っていくだろう】
【すぐに、また先程のバイクのエンジン音。急加速するような音だけ残して…】


/遅くなりましたがこの辺りで〆させて頂きます
/お付き合いいただいてありがとうございました!
882 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 17:05:01.14 ID:vgdobVet0
>>880
「うっ・・・」

【彼女の闇を軽く見ていたわけじゃない】
【ただ自分にあるちっぽけな正義が少しでも彼女のためになればと、そう思った言葉が一瞬で解けていく】
【これが、この世界なのだと、自分が今まで知らなかった世界なのだと再認識させる】
【自分の無知を、本当に呪う】

【きっと、今の自分では彼女に声を掛けるなんてできない】
【自分は金も地位も確かにあった、それ相応の知識を得ることもできた。】
【彼女の持ちたかったその全てを、かつて自分は持っていた】

【今は何もないなんて、言い訳にならない】
【どんな綺麗事も、彼女には上流階級の妄言でしかなく】
【彼女を苦しめる、剣にしかならない】

「僕はなにもしりません・・・でも! それは貴女の逃げてる言い訳でしかありません!!」

【彼女の背に、その声をぶつけた】
【聞いてもらえるとは思っていない、それでも最後の悪あがきだった】

「その現実に、抗ってください・・・」

【深呼吸、息を整えて見据える】
【貫きたいのだ、この意思を】

「岸織詩織・・・僕は貴女に抗います。だから・・・!」

【詩織と名乗る少年は、彼女の背を睨みつけていた】
【威嚇や、脅迫とは違う。別の意志で】
883 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 17:26:28.40 ID:qGTTCAMIo
>>882
「GIFT所属。『最弱最低最悪』――――『不死身のコジマ隊』隊長、コジマ。苗字は無い。
面倒だよ、岸織詩織。面倒なんだ、抗うってのは。もう出来ない、疲れたからな。
最弱最低最悪なら、もう何も失わない。逃げて何が悪い、諦めて何が悪い。
確かに私は強くない、私は気高くない、私は弱い、私は馬鹿だ。甘えてるかもしれない。だけどな――――思い上がるなよ、偽善者。」

【後ろを向いたまま、女は言葉を垂れ流していく。抗わないという事を、諦めの意志を】
【だがしかし、女が先ほどから崩さない姿勢が有る。己がクズであり、底辺である事を認めた上で、それを貫く意志だ】
【ある種の開き直りとも言えるそれは、偽悪的な振る舞いを生み出す。そして、歪んだ矜持を、クズのプライド≠抱かせている】

「私はクズとして生きることだけは私の意志で選んだんだ。踏みにじられるのも陵辱されるのも奪われるのも殴られるのも全部覚悟の上でだ。
抗わない事だって、諦める事だって――勇気がいる。その勇気を、同じクズでもないお前に否定されるいわれはないッ!!
私の隊は全てがクズだ、皆無能力者で皆馬鹿で皆アカデミアでは最低クラス。――だが生き残り続けてる。
……クズを、ゴミカスを底辺を、雑草を――舐めるなよ。お前が哀れんでいる私等は、必死こいて現実で足掻いてんだ」

【勝手に己が、クズだから悪人だから可哀想と言われること。それが女にとっては我慢ならなかった】
【GIFTの中では最底辺の無能力者も、アカデミアに置いては一般の兵士としての教育を経て兵士とされる】
【その無能力者の中においても更に下の下。名前すら与えられないゴミ集積場染みた使い捨ての底辺部隊】
【それをどのような死地からも生き延びる不死身の最弱部隊へと押し上げた女だからこそ、クズが足掻いていないとでも言う相手の言い分が気に食わなかったのだ】

「現実見ろよ――――世間知らず」

【吐き捨てる言葉は、辛辣な要素を多分に含んでいただろうか】
【手首のワイヤー射出機から伸びるワイヤーを電柱に巻きつけ飛び上がる女は、冷め切った瞳を相手にちらりと向けて】
【実戦で鍛えぬかれた動作を持って、路地裏の隙間に消えていくのであった】

/*お疲れ様でしたー!!*/
884 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 17:37:59.04 ID:dXq5Q8qz0
>>881

『そうね、愛する人と[ピーーー]るなら本望ってやつ…お相手が居ないからまだ私は[ピーーー]ないけれど』
『のらりくらりと生きてれば死ににくい…だったら私は一生死なないね、多分』

【寂しいことを言いつつも、自嘲気味な笑んだ声。白馬の王子様は一度しか見たことがないからしょうがない】
【言うならば、ふらふらした生き方ならこちらにも分がある。勝ってどうなるのかは知らないが】

『タバスコもそこまで万能だとは思わないけれど、この世界だとやりかねない奴もいるから困るね』
『私が聞いたのだと、こたつは“あたる”から食えないんだっけか…』

『生魚って…それこそタバスコぶっかけて食いなさいよ。合うかどうかは保証しないけど』

【ジョークがジョークに成りえない世界であることも、たまに忘れてしまいそうになる。それもまた人の慣れ故】
【あまりにも無茶ぶりが過ぎるジョークを返したなら、本日二度目かの微笑みを浮かべるのだろうか】

――――『そりゃあ、世間はね…けど私自身をどちらかに傾けるのは思ったより難しいよ』
『未だに私は自分の立ち位置が分かんないし…いっそのこと善悪二元論なんて捨てちゃえばいい、そうすれば私は楽だね』

『中華ってあんまり食べないからね、最近は櫻の方のにハマってたから…アイスでも食べるかな』
『忙しそうで何より、暇よりはいいんじゃないの…主観だけれど。商売繁盛願ったり叶ったりだよ』
『まぁお疲れ様、過労にだけはお気をつけて…そんなヤワじゃないのかもしんないけど』

【自分も人のことは言えないのだろうが―――ぶっ倒れるつもりは毛頭ない】
【置かれた紙幣を横目に、また確認するようにメニューを眺め始めて―――】

『さっきも言ったように、勿論死ぬつもりはないよ。世界が滅んでも生きる積り』

【「そっちこそ」と、それだけ言って手を振ったなら男を見送って―――ふと何かに気付く】


―――――…『いや待ておかしいだろ疑問を持てよ喋り屋、奢るつもりじゃなかったのか』
『はぁーっ…まぁいいや、追う気力も残ってるわけでないしさ…そろそろ私も帰りましょうかね』


【そういえば、当初の目的を忘れていたか。これではただ中華を楽しみに来ただけではないか】
【バイクのエンジンが稼働する音を聞けば―――あのスピードは追えないな、と先程のシートでの記憶が蘇る】

【帰るその前に、デザートで適当なアイスでも頼むのだった。満腹ではあったが、女性曰く―――甘いものは別腹だとか】

/乙でしたーありがとうございました!
885 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/01(土) 18:30:36.79 ID:WgSuDZyjo
【墓場――既に薄暗くなっており、肝試しの時期は関係なく不気味】
【墓参り等の目的が無ければ立ち入る理由はないと思われるその場所に、そうでない者が一つ】

「混ァぜるモノ……うゥーむ……何味が足ァりねェんだ…………」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「はぁーんひゃおーな(何だろうな)……」

【誰のかも知らぬ墓の縁に腰かけ、何かを悩んでいる様子で――】
【かと思えば、ふと、ひょいと虚空を掴み――その掴んだものを口に運び、噛み千切る動作と食べる動作を交互に行う】
【―― 一体何をしたのだろうか、傍からみたら恐ろしく意味のない無駄な行動である】

【――さて、霊感がある程度あるならば、この不可解な行動の謎はいとも容易く解ける】
【先程掴んだものは虚空ではない、――白くぼんやりとするナニカ、……そう、幽霊、それを掴んでいたのだった】
【口に運んだものは虚空ではない、――"幽霊"だった、そう、この者は幽霊をツマミに物事を考えていたのだった】

「……不ァ味ッ!」 「なァんだこォいつは、糞が、あァもう……」

【……先程食べた幽霊は酷く不味かったようで、現れる魔方陣に闇となり吸い込まれて、また新たなツマミを掴む】
886 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/01(土) 19:22:31.36 ID:X4dXMn7e0
【もはや空は黒に染め上がりそしてその中で星が綺麗に輝やいている】
【そしてその空には雲は一つもなく空で輝いている星を見るには絶好の機会である】
【人々はそのように輝いている星を見ながら歩んでいる】

【――だがそのような夜空に興味も示さない存在もいたりはするもので】

……今日は晴れか、ここ最近連続して晴れているな
 …まあ、雨や雪よりも晴れのほうがいいいか

【一人心地につぶやきながら綺麗な夜空の元を歩く男】
【キャップ帽をかぶっており】
【長袖の赤い服を着ており黒の長ズボンをはいている】

【男の片手には購入したと思われる食べ物が入ったレジ袋がある】
【男が食べるための食料だろう】
【だがそのレジ袋をもつ手に力はわずかにしかかかってなく】

【だが男はどこか無警戒でぼんやりと歩いている】
【注意散漫状態でありもしかしたら誰かとぶつかるかもしれない】
【もしぶつかったのならレジ袋がぶつかったのと同時に手から落としてしまう】
887 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 20:30:59.85 ID:2SiwAQJto

【夜、公園】
【夜の空気はひんやりと澄んで、昼間とは異なる表情を見せる】
【そんな空気の中では、誰かが奏でるフルートの音色もまた、澄んだ響きを広げていた】


【――――ベンチに座り、その音色を聴く者が一人。壮年の男である】
【オールバックにした真っ白な髪に、その体躯を包む白い燕尾服。左手にした手袋も白で】
【強い輝きを秘めた瞳を夜空へ向けたまま、背もたれに体を預けて佇んでいた】

今宵はいい夜だ……こうも澄んだ夜が一体、年に幾度あるだろう……
いつもこうであってほしい、と思うのは強欲なのだろうか……――――

【零した呟きは、響くような低い声で。しかしそれでいて、決してフルートの響きを妨げる事はなく】
【男の声と、夜の旋律。互いに絡み合うようにして、夜の中を駆け抜けていった】
888 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/01(土) 23:28:52.08 ID:O38rUCHh0
>>887

【夜の公園】


【都会の喧騒から少し離れた公園。他に比べれば緑も多い、だからこそ、かどうかは分からないが、どうやら空気はヒンヤリしている様だった。】
【加えて、人通りは少ない。まあ、ジョギングコースがある訳でも無いし、勿論遊びに来る様な事も一切ない、当然の事、なのだろう。】
【……そしてそんな澄んだ空間に一つ響いているのは、フルートの調べ。良く見える星空に少しずつ溶けていけば、幻想的な雰囲気へと様変わりするだろうか。】

【さて、足音も無ければ、或いは両手に提げているビニール袋の擦れる音一つ立てることも無く。只、その"存在だけ"が認識出来るのは、たった一人の少年。】
【夜と言っても、別段暗い訳では無い。公園の街灯にでも照らされれば、目線を低くトボトボと歩くその姿が、断続的に露わとなるか―――、】

【少し短い黒髪に、何処か虚ろで黒い目。耳には黒縁の眼鏡をかけて、首筋をワインレッドのマフラーで埋めて。】
【6つの木製のトグルが目立つネイビー色のダッフルコート、インナーには白と黒のボーダー柄のシャツ。】
【落ち着いたベージュ色のチノパンに、白を基調として所々に青色と赤色のストライプが入ったスニーカー。】
【肩からは真っ黒のベルト。大きな白いアルファベットがプリントされた水色のショルダーバッグが斜めに掛けられている。】
【全体的に落ち着いた服装。又、166cm程の身長と顔付きから"16歳"位であろう推測出来るが、其れは極めて正しい、が―――】

【……矢張り、"虚ろ"というキーワードだ。彼位の年齢ならば持っている筈の、"光"が欠けている―――其れは、誰が見ても明らかであって、】
【然し全くとして音を立てる事無く歩く少年、解釈の仕方によっては、即席のコンサートを邪魔しないように、とも取れる動きであった。】


――――…………


【心地良い旋律に調和するかの様、低く響く声。そのハーモニーの良し悪しは別として、少年はスッと立ち止まる。】
【―――夜の公園で一人、ポツンと言葉を紡いだ目の前の男性に対して少々不信に思っている、まあそんな所だろう。】
【一般的に考えて、である。"怪しい人物ではないか"―――先ずはその懸念が、彼を立ち止まらせるに至った、と言う事らしい、が―――?】


/よろしくお願いします!
889 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 00:00:01.25 ID:C0p8uKmco
>>888

【空へと視線が向いていても、捉える世界は空だけではない。視界というのは線ではないのだから】
【故に、一切の音を表さぬ彼の姿も、光を受ければ確かに、藍色の瞳が映す世界に存在していた】

【――――旋律は尚も止まず。ただ静かに、その邂逅を演出するかのように、夜に響いていく】
【奏者がいるのは、二人から少し離れた位置。影にいるその人物の顔を認識するのは、恐らく至難であろう】

【ゆっくりと、男の視線が地上へと戻る。彼がそのまま過ぎ去ったのなら、そうはならなかっただろうが】

やあ、突然立ち止まってどうしたね?少年。
――――ああ、私かい?私はこの、またとなく美しい夜を満喫していたところでね。

【多少なりとも自分の事を訝しんでいる者に対し、こうも躊躇い無く話し掛けるのは逆効果ともなりそうな事】
【しかし男はそんなことを気にする様子もなく、微笑みを浮かべまでして言葉を紡ぐ】
【その内容もまた、不審と言えば不審なもの。本人はただ、事実を述べただけなのだが――――】

しかし――――どうだね、少年。
君は今宵のような夜は、美しく素晴らしいとは思わないかね?

【共感を求めるかのように問いを投げ掛けて、男は目を細めた】
【見定めるような、笑みに似た表情。ひどく温和なようにも見えるけれど――――】

【いつの間にか、この場の主役はフルートではなく、男と彼、その二人になっていた】
890 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 00:18:16.90 ID:8d/dwpmFo
【廃倉庫】

『本部から各位!犯人は依然、行方不明!手の空いているものは各個捜索に当たれ!』

【ある都市の有名な大企業。地下の金庫の重厚な扉は爆破されて真っ赤な回転灯に照らされていた】
【警察や自警団の無線には繰り返し警察本部からの混乱した声がひっきりなしに入っていた】
【街中は検問と銃声と雪のように紙幣と企業の違法行為を暴露したビラがバラ撒かれていた】

『おい!出たぞ!アングラの懸賞金は桁違いだぜ?!まだ居るかも知れねえ![ピーーー]ぞ』

【ギャングや賞金稼ぎなど裏の人間たちが口々に得物を持って言った。獲物はヘッドの首だ】
【街に集まったソイツらと警察が小競り合いを繰り広げる。ニュースは既に強盗より、そっちを伝えていた】

【その混乱した街からすこし離れ、工場と倉庫ばかりの地帯。そこの長らく使われていない廃倉庫に】
【真新しい車の轍が倉庫に向かってぬかるんだ土に残っている。錆びたドアの前に一台、ライトバンが停まっていた】
【中は使われなくなった鉄骨などの廃材、重機などが置かれていて、薄暗く蛍光灯がついている。その奥からテレビの音と人の気配がしていた】

2人やられたか…まあ、上出来だ。こっから半分逃げれりゃマシな方だ
とっとと俺も逃げるだけ……あー、クソ…クソッタレだ

【黒いボストンバッグをそこらに投げ出して床においた小型のラップトップPCがテレビを流していた】
【そこに1人の背の高い男が居て、それを見つつ、革手袋のままの手でペットボトルの水を飲んでいる】
【黒い普通のスーツに白いシャツ、黒の細身のネクタイ。ニットキャップを深くかぶっていて、首にバンダナを巻いている】
【顔を隠すためにつけていたものだろう。そして、白眼が赤で、瞳が黒黒とした不思議な目の奇妙な男だった】
【指名手配犯に詳しいものならそれが手配中の男の特徴と一致するとわかるだろう】
【此処に現れるは敵か味方か正義か悪か、戦闘か平和か……全ては不確定なままである】
891 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 00:33:02.32 ID:c/gTAYQz0
>>889

【一つ一つ、老成した男性が織り成す声を聞いて。"美しい夜"、とは―――この少年には、良く理解出来ない表現だった。】
【ならば、暫しの沈黙。然し、二人の間に浮かび上がる気不味さを掻き消す様、美しいフルートの演奏は流れ続けて。】
【……よく見れば、満月。徐々に徐々にと位置を変えて行き、丁度、天辺に来たかという頃、少年はマフラーを埋め直し、その中で口を開く。】


――――………どれも、おんなじやん………


【紡いだ言葉は、否定だった。『どれも同じ』―――公園でフルートの演奏と共に過ごす夜だろうが、修羅場の呻き声を聞きながら明かす夜だろうが、】
【其処に差異はない、極端な言い方をすれば、そういう事である。……感受性の圧倒的欠如、少年の出で立ちを見ても、其れは読み取れるだろうか。】

【少年はふっと男性の顔へと視線を移す。何かを試すその目、然し表情は温和そのもの―――ならば初めの懸念は、何処か遠くへ消えて行く事になる。】
【然し次に考え出すのは、彼の目の真意、……その答えを見つけ出そうとしているのか、矢張り何処かボヤッとした瞳で、少年は今、彼を見つめている。】

【突如ひゅうと吹く空っ風に、少年が纏うワインレッドのマフラーと、艶を失わない黒髪が靡く。……然し少年の視点は、僅かに揺れもしない。】
【客観的に考えて、今度は何方が怪しい人物であるのか、なんて考えること無く―――再び少年が生み出した空虚な時間が、流れ始めるだろうか。】

892 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 01:06:27.77 ID:hD90mja4o
>>891

【苦笑にも似た笑いが零れる。そこに落胆の色はなく、否定される事を予期していたようでもあって】
【大きく一つ、呼吸をしたならチラリと奏者の方に一瞥をくれ、改めて口を開いた】

ああ……――――知り合いにも以前、同じ事を言われたよ。
これ程までに澄んだ夜は、とても美しいと私は思うのだが……共感してくれる人もそう多くなくてね。

仕事柄、そういった表現の仕方であったり、人の感情に関して考える事は多いのだが……
――――なかなかどうして、難しいものだよ。

【男は、彼が感受性に乏しい、などとは考えなかった。そもそも情に依る事だ、同様に感じる方が珍しい】
【故に、己を否定した言葉を肯定するかのように、告げていく。人前で語るその口ぶりも、スラスラと滑らかに】

【そしてそんな男の言葉を聞けば、先ほどの目もそういった、感情に関する事、と考えられるかもしれない】
【だが、男はそれに関して何も語らない。そして、表情ももはやただの笑みとなれば、想像で推し量る他、術は無かった】

……ところで君は、こんな時間に買い物かね?随分と荷物があるようだが。

【その言葉は、彼が両手に持った袋を焦点としている。しかし男の目は、彼を、その顔をジッと見据えて】
【要するに、聞きたいのは彼の行動に関する事ではないのだ。ただ、彼自身の事、であった】

【BGMの様に続くフルートの演奏。素人の練習、というには多少腕がありすぎるようで】
893 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 01:40:13.34 ID:c/gTAYQz0
>>892

【少年の眼が、極僅かに、見開いた事に気づけただろうか―――限りなく0に近い、然し決して0ではない、感情の起伏。】
【自分の話す言葉をある程度予測され、さらに彼とは反する自分を受け入れてくれた事に、純粋に驚いたのである。】
【自分よりも一枚も二枚も上手だった、ならば、少し位なら話してみても良い、……そう考えたかどうかは、この少年にしか分からないが―――、】


――――………お店の……食材……買ってきて、………言われた……やつ………


【ぽつん、ぽつんと、其れは他人に話しかけているのかと疑われる程、小さな声で。然しこの少年が自分から口を開いたというのは、歴とした事実。】
【初めは懐疑的でも在ったその瞳も、徐々に対話の色を強め始めて。少しずつ、打ち解けている―――そう考えても、可怪しくは無い。】

【さて、言葉の内容。少年は今、どうやら"お使い"で帰る途中らしい。さらに、"お店の"という言葉から、彼が働いているのだという事も分かる。】
【……確かに食材で一杯になったビニール袋、焦点に当てたのなら、先ずワインボトルが、そしてチーズの入ったパックが透けて見えるだろうか。】
【相応の値段のする物である。となれば、彼が勤めているお店も、それなりの質。最も、そういった筋に詳しければ分かる事である、が―――。】

【先程から聞こえて来る、フルート。演奏の、精密な上手い下手は分からないが、それが素人の物ではないという事ぐらいは分かったのだろう、】
【否、或いは、目の前の男性が一瞥したからなのか、―――少年は、自身の意識を少しだけ、その演奏へと向けたりしてみる。】
【……目線を変える事も無い、彼の振舞いに違いが生まれる事も無い。故に、其れに気づかれる事は、無いのだが―――。】
894 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 01:52:24.55 ID:bCfDDOz0o
>>864

『あっしが入るより前ェから、第三近衛騎士団は退魔の仕事を請け負ってはるんですわ
 まして当時、フレデリックの団長さんは就任したばっかりだったそうでなァ
 世界の果ての櫻ァの国だろうと、力を示すためには必要やったんでしょうよ

 ……アハハ、やっぱりアネさん賢い方や。そうですよ、団長さんの指示です
 あっし自身はあの人が何を誰のためにどうしてやろうとしてるのか、なァんにも知りません。
 
 でもね、恩義は恩義ですわ。鬼いうてもそれを重んじるのが櫻ァの生き物。
 ……そうそう。団長さん、アネさんのことを気にかけてはりましたよ
 アイツは危険だが問題はないとか、聖書を頭に叩き込みたいとか。いや、ホンマにね
 それとなんであっしがここまで話すのか……社会的地位ィ云うモンって、信用に関わりますよねェ――』

【『アネさん?』――と言った所で、双銃が形を変えて宛ら炎のように鬼の肌を焼く】
【が、何かしら仕掛けてくるのは予測していたのだろう。彼は直ぐに双銃を放り投げ】
【同時に石で全体を固定しようとするものの――転送ができるのなら全てにおいて問題はないだろう】

【そして彼は、加賀屋善助はしっかりと声をあげていた。人が熱した鏝を当てられるのと同じなのだ】
【だから――メイドもそれに気付いた。そして恐らくは振り向きざま、グリースの意図にも気付いたに違いない】

【僅かな時間があった。しかし、結局大剣は振るわれ――その手元の石枷だけ≠切り落とすだろう】
【―――さらに言えば、彼女は双銃の危険性にも気付いていたのかもしれない】
【大剣を振りぬくとすぐに踵を返し、更に上へ。巨大な機兵の肩を目指して行こうとするだろう】
【とはいえ、背後から銃弾を浴びせるのは難しくない構図。どうするかは修道女次第、となる】

【そして出入口も未だ塞がってはいない。善助は下手に深追いせず、逃さじともしなかった】
【好きにしろ、フレデリックとお前のどちらを世界が信じるか――それを告げた最後の笑みが、癇に障るだろうか】
895 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 02:16:56.99 ID:B1KYqlZ+o
>>893

【しっかりと彼の姿を見ていた瞳、藍色の光は微細な変化をも見逃さなかった】
【本人が言ったように、仕事柄=Aなのだろうか。何にせよ、彼の心の動きに気付いて尚、男はその事を見せなかった】
【浮かべた笑みだって、先ほどから続いているもの。しかも相槌を打つかのように深くも浅くもなっていたのなら、尚のこと】

店、か……――――広さは、どの程度だね?

――――ああ何、ちょっとしたサーカス団のようなものの、団長を勤めていてね。
食事などでメンバーを楽しませるのも、仕事の1つ、という訳なんだよ。

【ぼそり、と呟いてから、袋へと目が向く。少しの思案の後、尋ねるのは彼の言う『お店』の事】
【中に入っている物の質を確かめて、それで飲食店であろう『お店』が気になった様子。となるとそれなりに持っている、という訳か】

【――――さて、彼が自分の事を話してくれたからか、男も己の事を少し、口にした】
【しかし、サーカス。燕尾服という男の服装には些か似つかわしくないだろうか】
【だが、男は嘘をついている様には見えない。ならば事実、なのだろう】

――――いや。やはり私自身の目と舌で、確かめる事としようか。
案内……頼めるかね?

【再び奏者の方へ顔を向ければ、何やら手で合図を出して徐ろに立ち上がる】
【そして、店が閉まっている、という事でもなければ、男は店へ帰る彼に付いていくだろう】

【暫し、フルートの音色が途切れた。しかしまた、演奏は再開されて】
【男と奏者は知り合いのようだが、あちらはここに留まる、という事なのだろう】
896 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 03:03:46.87 ID:c/gTAYQz0
>>895

―――――…………ええよ、………


【矢張り、その声は呟く様に。口元はマフラーで埋まっているが然し、……極僅かな笑みが、零れた様にも見えた。】
【少年は先に一歩を踏み出す。―――両手に提げたビニール袋、今度は歩き初めに少し揺れて、擦れた音も僅かに立てていた。】

【5分程も経てば、白地にピンクのハートが装飾された、やたら派手なキャンピングカーが見えて来るだろう。】
【ドアにぶら下げられた看板には、"Buon'appetito:準備中よぉ〜♪"の文字が刻まれて―――ここが、少年の店の入口らしく。】
【その店名に見覚えがあるなら、中々のグルメである。至る所で話題沸騰の創作料理、何でも開店2年目で、3つ星を獲得した……と、雑誌に書いてあった。】

【ドアをスッと開けば、其処に広がるのは、至って小綺麗な、普通の料理店。然しその広さ、入った筈のキャンピングカーの2倍、3倍のレベルで、】
【違和感を感じたのなら、其れは勿論、間違いなく正しい反応である。……まあ少年は、普段通りの様子で店内へと足を踏み入れるのだが。】

【客からも見える厨房に立っている一人の男性の姿。―――否、もし真っ赤な口紅を付けている故、女性である、と判断するのも、それは自由だ。】


『あ、お帰りなさぁい、ちょっと遅かっ……あらぁ、たこやき君、お友達、連れて来ちゃったのかしらぁ〜? 珍しいわねぇ……うふふ』
『こんばんわぁ〜、ここのシェフの、ふぉんてーぬよ、よろしくお願いするわぁ〜♪ えっと、この子はたこやき……ウェイターちゃんねぇ〜。』

『それで、……あの、ごめんなさぁい、今、準備中なのよぉ、買ってきてくれた食材で、っていう感じになっちゃうんだけどぉ……』


【優雅に流れるBGMの中、店内に響くのは野太い声。女性に似せようと思っているのか、……と疑わしい程のそれである。】
【『とりあえず適当に座って頂けるかしらぁ〜?』の声。完全なコース料理は出来ないが、有り合わせの食材とワインで何とか、という事らしい。】
【一方たこやきと紹介された少年は、ふぉんてーぬの前にビニール袋2つを置くと、そのまま奥の方へと姿を消して行った。】

【『……あらぁ、ホントに全部買ってきてくれてるわぁ……』とやたら大きな独り言を呟きながら中身を取り出していけば、何かを思い付いたらしく。】
【流しでサッと手を通して、色鮮やかなアスパラガスを食べやすい大きさに切り分け始めた、という事は―――どうやら、簡単な一品料理に取り掛かった様子。】


/すみません! 明日もありますので、この辺で凍結させて頂いてよろしいでしょうか!
/明日は夕方〜夜にはおります〜! 申゙じ訳゙あ゙り゙ま゙ぜん゙ッ゙!

897 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 03:06:15.59 ID:w0QQu6Qbo
>>896
/うス!了解ス!ではまた明日!
898 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 04:36:37.11 ID:sFl9tUKqo
>>896

【男はただ、彼の後ろを付いていく。フルートの音色も遠く聞こえなくなっていって】
【そして辿り着いた目的地。夜目にも目立つそのキャンピングカーへ、白尽くめの男が入っていく――――】
【どう考えても、奇妙な光景である。準備中、という表記も、気に止めず。】

……ほう。これはまた――――――――

【思った以上に広い店内。残念ながら男はこの店の事は知らなかったが、グルリと内部を見渡し――】
【――動きが止まる。40年程生きてきたが、このタイプの人間と、こうして直接関わる事はそうそうなかった】
【しかも、不意打ち。だが、極めて落ち着いたもので、その硬直とてほんの数瞬であった】

――ああ、これはどうも。準備中だったとは、失礼。
たこやき、そしてふぉんてーぬ、か……私は――――ジェイル、ジェイル・クライムだ。

……いや、それで構わないさ。私が営業時間外に来てしまったのだから。

【まるで何事も無かったかの様に、表情一つ変える事はない。そのままふぉんてーぬの言葉に従えば、】
【手近の一席に腰を下ろし、調理を進める様子や手際をその視界に納めていく】

【藍色の瞳はまたしても、何かを見定めようとするように細められていた――――】
899 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 15:08:17.70 ID:1DFtdv9qo
【水の国・オフィス街――時計台広場】

【広場の草木に取り付けられた、季節を問わない白のイルミネーションが煌々と灯る】
【クリスマス用であったのか新年用なのか、或いはどちらも兼ねているのだろうか】
【何にせよ綺麗であるのは間違いなく、冬の時節には丁度似合う光景となっていた】

【そんな景色の中、街灯の下に設置されたベンチに、疲れた風で腰掛ける人影がある】

っはー……年明け早々、仕事が詰まり過ぎッしょコレ……マジでブラックっスね
ま、分かってて働いてるんスけど……新年会とかやる空気じゃないしなーあの部署……

【それは何処か軽い雰囲気のある、黒いスーツに星柄のネクタイを締めた青年だった】
【淡い茶髪の癖っ毛、怠そうな緑の目に、黒縁メガネを掛けている。彼はベンチに凭れ、】
【愚痴と共にネクタイを軽く緩めると、先に買っていた缶コーヒーを口に運んでから溜息を零し】

【そんな折、目の前を仲睦まじいカップルが通り過ぎて行き。ジト目で見遣って彼は再び溜息】

……見せられる側は寒いんスけどねー、ああいうの……っくしッ! ……あー寒い。

【家に帰っても一人。咳をしようがクシャミをしようが一人。結局何処にいようが一人身だ】
【まあどうする気も無いので、存分に独身を謳歌しよう。そう考えながら、彼は澄んだ星空を見上げる】
900 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 15:37:21.44 ID:8d/dwpmFo
>>899

【見惚れるようなイルミネーション。静かな彩りは恋人たちを包み】
【肌寒い季節すら暖かく感じ――――そこに、割れんばかりの大音量の騒音が響き渡った】

オーーーーラィ!!イヤッッッハァア!!!

【周りの人達は一瞬でその震源地に釘付けになるイルミネーションの前でギラギラとスピーカーから】
【トゲついた歪んだ音で真っ赤なエレキギターを振り回す黒のライダースジャケットの女が叫んでいる】
【これがアコースティックでラヴソングだったらどんなに良かっただろう。だが実際は粗製のハードコアだ】
【ジーンズをサスペンダーで吊って、黒髪をぶん回す彼女はみかん箱2つ分ぐらいのアンプから怪音を響かせ】
【白いロングブーツで力強く地面を踏みしめながら騒音でカップルをぶん殴っているのであった】


【程なく】


なに?!何処がダメだって言うのさ!ここはそういうのイイって場所ってかいてあんじゃん!

【警察数人に囲まれて中断させられた彼女は未だ噛み付いていた。ハーモニカのジーさんは良くて】
【こっちはなんでダメなんだって屁理屈こねても連行されるって言われたら折れるしか無い】

……ファック。何さ、未だにパンクは受け入れられないのかってーの

【こってり説教を食らった後、ふてくされつつアンプにギターを立てかけて地べたに座り込んでいた】
901 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 15:57:51.95 ID:1DFtdv9qo
>>900

篝さんはどーも指輪的に彼氏いるっぽいしなー……いや別に彼女欲しいとかじゃなくて?
ちょっとご飯一緒に食べれる程度で遊べる女の子で良いんスけどねぇ、頭軽そうな子で。
……って、うわッ! 何スか!? 突発ライブ!? あっでもあの子知らないっスね!!

【ベンチに寝転びそうな程脱力しきっていた青年だったが、突如響いた爆音に慌てて飛び起きる】
【嫌いな方ではないし、寧ろ暖かムードに糞喰らえと思っていた所だ。故に順応は意外と早かった】
【力強い演奏を見せる彼女に、青年は両手を叩いてノってみせ、若者特有のノリで一人盛り上がり】

うぇーい!! ひゃっほー!! ってヘドバンすんのそろそろ辛いっスーッ!!

【――程なく。警官に囲まれた彼女と別枠で、少し離れた場所で注意を受ける青年の姿があった】

ハイ……ハイ、会社にバレるのだけは本当勘弁して貰いたいッス……
若気の至りで……ハイ……さーせんッした……しあーッス……

【此方は相手に比べて凄絶に抗う意思が感じられない、俗世に塗れた遣り取りの後に解放されて】
【ばつが悪そうな顔をしつつ、警官達が去っていくのを見届けてから、そっと相手の傍へと寄っていく】

あのー……俺は好きッスよ、あんたの音楽。つーかぶっちゃけ最高っしたッ!

【徐にそう声を掛けてから、一礼と共に相手に勢い良く右手を差し出す。握手して欲しいらしい】
【青年は相手が誰なのかは全く知らないのだが、もし有名人だった時のあわよくば精神もあったりする】
902 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 16:20:38.84 ID:8d/dwpmFo
>>901

あーあ…都会ってのは狭いねー全く。心も土地も狭いから
自由に音楽を楽しむ暇もないって?

【ブツブツと文句を言っているが決して都会が冷たいわけじゃなくて】
【キンキンの歪んだサウンドは公共の場所に適さないだけだ】
【すぐ向かいのアコースティックでフォークを歌う青年には人だかりが出来ている】

【ふてくされていたら知らない青年がやって来た。褒めてくれているが今はそんな気分じゃない】

あーそう?そりゃあアリガト。これでサイコーってんだったら、もっと色んなの聴いたほうが良いと思うけどねーアタシは
……まあ、でも褒めてくれるのは悪い気しないよ。半地下のシェルターみたいなライブハウス以外で言われたのは初めてだ

【癖のあるハスキーボイスで、ニィっと笑いながら握手に応じる】
【力強く握りしめるその手は女性らしさとは程遠い、激しいギタープレイで擦り傷だらけ痣だらけだ】

んじゃ、ファンなら片付け手伝ってよ。そっちのアンプ積んじゃって。

【ファンとハサミは使いようという感じで、ヒラヒラと手を振って急かす】
【小型のアンプといえどそれなりに重量はある。キャリーカートがあるからそこに載せろと言うんだろう】
【彼女の方はギターを担いで背に回して、ケーブル類をヒモか何かでまとめているのだった】
903 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 16:35:13.20 ID:1DFtdv9qo
>>902

あざーっす! ……そっスか? まー確かに俺、流行の曲位しか知らないっスけど……
聴いていーなと思ったら良いんスよ! 音楽ってとりま、そういうモンじゃないっスかね?

【力強い握手を交わせば、自然と手にも目が行き。ド素人の彼からすればそれはプロの証左に見えた】
【割と凄い人なのかも知れない、と打算的な考えが回れば、是非ともこの縁を気にお近づきになりたくて】

ハイっス! いやー俺、体力には自信があって!! 何でもするっスよハイ!!
っッと何コレ重……ッ!? あっいやイケる! 大丈夫っス!! マジ楽勝……ッ

【言葉だけは立派だったが、ひょろい体では大層な言葉通りにはいかず、冷や汗ながらも】
【やっとの思いで落とす事だけはせずに何とかアンプをキャリーカートへ載せ、一息吐いた】

こ、これで終わりっスよね……、ハハ……他には無いっスか?
無いならこう、打ち上げ的な、軽くどっかでお茶とかッてか休憩を…… (腰ヤベえ……)

【見栄を張った際に若干腰にキていたのだが、冷や汗を拭って平気なように笑って見せる】
【提案したのはそんな事。機材を何処かまで運ぶというならば、それにも付き合うだろう】
904 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 16:54:37.85 ID:8d/dwpmFo
>>903

さぁーね、コイツは音楽であって、音楽じゃない。音楽を使った何かだよ
……未だに何なのかわかんないけどねー

【汚れたボストンバッグにケーブルやなんやら道具を詰め込んで】
【キャリーカートに載せられたアンプの上にどっかり乗せた。重量はさらに増える】
【真っ赤なギターはストラップで背負ったまま、生身でブラブラさせていた】

おーやおや、流石、ホワイトカラーでも男の人だねー。うん、オッケーオッケー

【ニヘラニヘラと笑っているので、彼が重いものに慣れていないってのは察しているよう】
【疲れている彼のところに近寄っていって無理やり肩を組んでニヤニヤしながら】

おっと、打ち上げっていった?いいねー、イッシッシ…ならアタシ焼き肉とか食べたいんだけど。
いやーこういうシゴトだと中々食えなくてさー。いや、流石、ネクタイ下げてるだけはあるねーオニーサン

【声を[ピーーー]ように笑っていた。ハイと言わないと肩を組んでいたのが徐々にヘッドロックになりそうだ】
【ハスキーボイスは先程のギターサウンド並みに尖っている。革ジャンの鋲も物理的に尖っている】

【相手の言葉を人質に散々たかるつもりみたいだ、言いたいこといえばパッと開放して彼女は先に行くだろう】
【ちなみにアンプは彼の元に置いてあるままだ。さあ早く、と言いたげに手を振っている】
905 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 17:12:19.59 ID:1DFtdv9qo
>>904

あッちょ荷物……いや何でもないっスよ!? 楽勝っスからマジで!!

【どっかり乗ったボストンバッグに一瞬待ったを掛けそうになったが、取り繕い】
【肩を組まれれば腰が若干痛むのだが相手は有名人(多分)、へへ、と嬉しげにした】
【だが流石に続いた言葉にはその笑顔も引き攣って、視線がしどろもどろになっていく】

えっ……!? いやーちょっと給料前でッ、あーいやッ、焼き肉良いっスね!! 肉ッ!!
行きましょう焼き肉!! 全然余裕っスからホント!! はは、は……はァ……って早ッ!

【渋っていたらヘッドロックの予兆があったので慌ててイエスと答えて、脳内で有り金を計算】
【相手は女の子だが、嫌な予感がする。食べそうだ。だが項垂れている間にも、相手は先に行く】
【急いでキャリーカートを腰を入れて押せばまたも痛い所に響き、情けない声が出た】

【――夜の時間帯だし店が開いていないという事は無いだろう、辿り着くまでの少しの間】
【軽い上り坂に差し掛かり、ひいふう言いながらも荷物を押していきながら、ふと青年は口を開く】

……っあの、そういやッ、今更なんスけどッ、まだ名前聞いてなかったなーッて……
あ、俺はッ、スターダスト・シューティングスって言うんスけど……ッ、あんたは……?

【音楽に疎い自分でも、もしかしたら知っている名かも知れない、そう思いつつ尋ねる】
【彼の方はと言えば当然著名人な訳も無く、見た目は、普通のサラリーマンである】
906 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 17:20:52.38 ID:/4KtGgoto
【墓場――既に薄暗くなっており、肝試しの時期は関係なく不気味】
【墓参り等の目的が無ければ立ち入る理由はないと思われるその場所に、そうでない者が一つ】

「混ァぜるモノ……うゥーむ……何味が足ァりねェんだ…………混沌……進化……可ァ能性…………後は…………」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「はぁーんひゃおーな(何だろうな)……」

【誰のかも知らぬ墓の縁に腰かけ、何かを悩んでいる様子で――】
【かと思えば、ふと、ひょいと虚空を掴み――その掴んだものを口に運び、噛み千切る動作と食べる動作を交互に行う】
【―― 一体何をしたのだろうか、傍からみたら恐ろしく意味のない無駄な行動である】

【――さて、霊感がある程度あるならば、この不可解な行動の謎はいとも容易く解ける】
【先程掴んだものは虚空ではない、――白くぼんやりとするナニカ、……そう、幽霊、それを掴んでいたのだった】
【口に運んだものは虚空ではない、――"幽霊"だった、そう、この者は幽霊をツマミに物事を考えていたのだった】

「……不ァ味ッ!」 「なァんだこォいつは、糞が、あァもう……」

【……先程食べた幽霊は酷く不味かったようで、現れる魔方陣に闇となり吸い込まれて、また新たなツマミを掴む】
907 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 17:37:05.68 ID:/4KtGgoto
【墓場――既に薄暗くなっており、肝試しの時期は関係なく不気味】
【墓参り等の目的が無ければ立ち入る理由はないと思われるその場所に、そうでない者が一つ】

「混ァぜるモノ……うゥーむ……何味が足ァりねェんだ…………混沌……進化……可ァ能性…………後は…………」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「はぁーんひゃおーな(何だろうな)……」

【誰のかも知らぬ墓の縁に腰かけ、何かを悩んでいる様子で――】
【かと思えば、ふと、ひょいと虚空を掴み――その掴んだものを口に運び、噛み千切る動作と食べる動作を交互に行う】
【―― 一体何をしたのだろうか、傍からみたら恐ろしく意味のない無駄な行動である】

【――さて、霊感がある程度あるならば、この不可解な行動の謎はいとも容易く解ける】
【先程掴んだものは虚空ではない、――白くぼんやりとするナニカ、……そう、幽霊、それを掴んでいたのだった】
【口に運んだものは虚空ではない、――"幽霊"だった、そう、この者は幽霊をツマミに物事を考えていたのだった】

「……不ァ味ッ!」 「なァんだこォいつは、糞が、あァもう……」

【……先程食べた幽霊は酷く不味かったようで、現れる魔方陣に闇となり吸い込まれて、また新たなツマミを掴む】
908 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 17:41:29.90 ID:KsNDAzMqo
>>906

【薄靄に包まれる墓場の雰囲気は、湿気の多い暗澹とした様相で】
【呼吸する度に肺の奥へと、ずっしりと重圧が落ちてきそうな位に】
【歩み寄る足音が一つ怯えた風に身悶えたなら、宵闇に浮かぶ一つの横顔】


っ……!!ゅ……ゆ、幽霊――――――!!
きゃぁ!!出た!出た!!幽霊が出てる!!
わ、わわぁ、私!ダメなんです!幽霊!もう!すっごく!ダメ!!


【尻もちをつく少女の小さな身体、両手を腰の側についたなら、ブルブルと身体を震わせて】
【視線の先には幽霊、そして視線がその幽霊の行く先を追ったなら、消えていくそれ】
【瞼をぱちくり、大きな瞳を向けたなら、そこにはまた不可思議な者がいて】

【――――――これが現実なのかどうかって、確かめるようにぽっかりと口を明けた】

【腰まで届くような紫苑色の長い髪を白いリボンで一本に結って】
【純白のブラウスの上に臙脂色のケープを羽織って、胸元には大きなリボンをあしらう】
【同系色の短いスカートとニーソックス、しなやかな脚のラインをくっきりと示す】

【特徴的な紫苑色の瞳は彼女の童顔に似合っており艶やかに映る】
【純白の素肌はやや弱々しげだが、知的な印象と幼気な印象を与えるスラリとした体躯の少女】
【小さな手を包む白磁のような手袋がその手にピッタリとあっている】
909 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 17:48:22.52 ID:8d/dwpmFo
>>905

いやー!アリガトね!この辺に来たばっかりでさー電車賃だけで
もうお金もなくてね。あれじゃあオヒネリも期待できそうにないしさー

【そう言いながら先を歩く赤いギターの女。ボロボロのギターに街灯が映る】
【足取りは軽い。まあ、物理的に軽いというのもあるが、幸先の良さも感じていた】

【しばらくして、宣言どおり「ここでいいや」と適当に見つけた店に入っていく】
【運が良かったのは高級店でなく大衆的な場所であったことだろう。元々、彼女が】
【高級そうな場所は毛嫌いしているのもあるので間違ってもそんな場所に入ることは無いのだが】

あーアタシ?グロリア・ニューローズ・コールドスチール…まあ、芸名ね。グローリアでもローズでもコールでも好きに呼んで
いろいろさ、色んなとこでギター弾いてるの。あんまり女でこういうのやってるのってあんまいないから結構イケてんだよ?

【店内にずかずか入り込んで自己紹介をする。まあ、聞きなれないだろう】
【地元で一枚インディーズを出したぐらいでマニアでも聞いたことがあるというぐらいだ】
【何処かのライブハウスかパブでライブした時にもしかしたら見たトコがあるかもしれない…その程度だ】

【席について、ニコニコと勝手に注文する。質より量。ここでも見た目通りだろうか】

あーその、大丈夫だって!素寒貧になるまで奢ってもらおうとは思ってないから…
悪いとは思ってんだけど…まー背に腹は変えられないっていうかー…ここらで自警団か
どっかの加勢の募集があればあればいいんだけど…

【どうも話を聞いていけばギターで食ってるというより討伐やら防衛やらそういう荒っぽい】
【事ばかりを副業にしているようだ。得物の類は見当たらない。となれば能力の類だろうか】
910 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 18:00:34.09 ID:/4KtGgoto
>>908

「うゥーむ……ほォう、こォっちはまァずまずってとォころだな」

【掴まれた幽霊は逃げようとしても逃げられず――食べるその者が幾ら悩んでも答えは出てこず、腹ばかりが膨れる】
【その行為さえなければ、ただの墓場で悩む変人で済んだのだろうか――】
【――悩む集中力が少し途切れた時、いや、途切れた理由はにおいがしたのだ、何者かの――そこへと顔を向けて】

「――ほォう、見ィられてしィまったか」

【その様子を見るからに、おおかた自分が幽霊を喰らっていたところでも見たのだろう】
【だからといって、そんな"些細なこと"を秘密にしている意味などない、ジャガーが殺した生命の肉を喰らうのと同じ感覚】
【幽霊を掴むって時点でおかしいか、まあ良い――そういえば、何か怯えるような声が先程からしていたな、なんて思えば――】

「ヒャハハハ、幽霊なァんざたァだの"エェネルギーの塊"……ほォーれ、ほォーれ」

【墓の縁から立ち上がり、齧りかけの幽霊――幽霊なのに魂が抜けたような表情、というのもおかしいが、そんな表情をしている】
【そんな、死んでいるけど死んだ表情の幽霊を――少女に近づきつつ、ほれほれとしたり顔で見せつけて】
911 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 18:11:15.19 ID:KsNDAzMqo
>>910

【涙が瞳の切れ端を飾り立てる、声にならない声が、その口元から零れていく】
【絹のように柔らかな喉元を震わせたなら、そこに浮かぶのは泣きじゃくってしまいそうな音】
【紫苑色の髪が揺れる軌跡、靡く髪色は宵闇に映える色合い】


きゃぁっ!!やめ、ひゃめ、やめてください!!
っち!ぁっち!!あっちいってくらはぃ!!


【鈴の音を転がすような可憐な喉が引き裂かれそうな程に歪む】
【それでも尚耳にキンキンと響くような音ではなく、清涼な旋律で】
【近づく貴方に対して恐怖で怯える声を漏らして後方へと下がっていく】

【どん、と背中がぶつかった、慌てて後方へと向いてみれば、墓石が一つ】
【見開かれた瞳は、今にも泣き出しそうに濡れて、向き直ったら、近づく男の姿】
【腰も抜けてしまったらしく、鳶座りのままガクガクと震えて】

【――――――不意に雲間から宵月が顔を出して、くっきりと貴方を写した】


っ……エルフの……耳……?貴方は、もしかして……人間じゃないの、ですか……?


【そもそも幽霊を食べている時点で人外ではあろうが、恐怖の中に一抹の好奇心が溢れて】
【振り絞った声は、怯えるように肩を抱いた姿から発せられる涙の音】
【首筋を上へと傾けて、見上げる横顔は恋焦がれる少女みたいに純真で】

【そもそも、こんな墓場に一人で来るような子には思えない、そんな幼さを感じさせるだろうか】
912 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 18:16:46.32 ID:NGcXTo3mo
>>909

えー、此処で良いんスか? ……あっ、いや此処で良いっスね! うん!!

【まだこの歳の会社員ならほっとしそうな店であるというのに、一瞬彼は慣れない様な顔をした】
【直後にこちらの方が財布に優しいと思い至ったのか、慌てて肯定して一緒に店に入っていく】
【店内の雰囲気にも妙になれない様子だった。余程焼肉にありつけないような生活、とはやや様子が違う】

ええっと……じゃあ、コールさんって呼ぶっスね。 (聞いた事無いな……)
あ、どーぞ注文入れちゃって……ッて安いなー……あっ今は高いッ、いや何でも!

【メニューの表記にこれまた驚いた様子を見せたが、驚くというよりどういう訳か眉根を寄せていた】
【それから相手の話を聞けば、彼は少し頬の辺りを掻いたあとで、徐ろにぽつりと語り出す】

……前の仕事は収入良かったんスけどね。割と大手で、多分名前言えば分かると思うっスけど
親父の七光りで入ったモンだから、その親父が不祥事やっちゃって、俺も巻き添え食らってクビになって。
自分の力で食ってくって、大変っスよね……何か今更分かって来たっス。恥ずかしいなー……

自警団っスか……いやー、自分、縁遠いから良く分からないんスけどねー、治安維持の依頼とか
そういうので結構賞金が良いのはたまに見るっスねー。戦闘込みとかハイリスクっぽいスけど……

【これまではボンボン生活で、こんな所では食べた事が無かったのだ。収入は減り急に生活環境が変わったようで】
【彼はまだそれに適応できていないようだった。ブランド名のない肉なんて久々に見る、というほど】
【それから話していく内容も若干世間知らずであったりして、手を焼くかも知れない。ついでに焼き方も下手だ】

【ただ、前の会社と今の仕事について、彼は上手くはぐらかしてしまい答える事はないだろう】
【自警団とは縁遠い、とも言っていた。どうにもアングラな空気はあったが、傍目にはただの会社員そのもの】
【それは会計時も同じで、結局現金が足らずカードで決済、小さい声で親父名義にだのと言っていたのだった】

/遅くなりましたーとID変わりました
/そしてこの辺りで失礼します、お疲れ様でした!
913 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 18:32:19.70 ID:/4KtGgoto
>>911

「ヒャハハハ、良ォい声だ……!」

【少女の声が響く、――悲鳴はこの者の大好物なのだ、だから"わざと近づけた"】
【相手にどう思われようと、もとより悪い噂ばかりが流れる"この姿"、問題なんてない】
【――やり過ぎたか、そんな遠慮を持ち合わせているわけもなく、むしろ逆】
【もっと怯えさせようと、それはそれはもう楽しそうで邪悪が漏れる笑みを浮かべて、下がる少女に迫る】

「……んゥ?」 「さァっきまで後ずさっていィたかと思えば……眼ェの付ゥけ所がシャープとォいうかなァんというかよ」

【――そういえば、悪魔が指名手配されていた】 【そうされたところで効果があるのかはともかくとして】
【もし指名手配の情報を見ていたならば、その悪魔にとてもよく似た身体的特徴をしているのだ――】

「ヒャハッ、……おォっと……俺様が"人ならざる存在"といィう事だァけは認めてやァろうッ!」

【勢いよく言うと同時に、無意識的に手に力が入ってしまった、幽霊がその力を痛がって暴れる】
【――鬱陶しいが、中々の味のこいつを逃がすわけにはいかないと、手に魔方陣を生成してそれを闇にして吸い込ませる】
914 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 18:54:09.33 ID:KsNDAzMqo
>>913

【仕事柄指名手配の紙を見ることは多い、それ故、目の前の姿に見覚えがあって】
【人ではないという言葉と、記述された特徴が一致するのは確かだ】
【唇の端を噛みしめる、貴方がその手配書の賞金首であることを確信できたから】

【音を飲み込む、ジメジメとした空気の中、喉元を通りすぎて夜風に体温を下げる】
【瞳から涙が零れ落ちたなら、潤いだけをそこに浮かべたまま、で】
【――――――高鳴る心臓の鼓動を辿られないよう望み続けた】


邪禍=c…確か、そういう名でしたっけ、第一級の手配犯
テロ、強盗、その他諸々の犯罪を犯した凶悪犯、と認識しています
そんな犯罪者が夜の墓場で幽霊を襲うだなんて、非現実的過ぎて泣けてきますね


【身に纏う雰囲気が変わる、見下ろしてみたならば、座り込む少女の視線が鋭く】
【凛とした風は吹き抜ける夜風をかき消して、彼女の存在を強く飾り立てる】
【大きな瞳が強い意志を感じさせる形へと姿を変えたなら、紫苑色の瞳の奥に紅を見せて】

【手配書に書いていた内容を諳んじてみれば、彼女の高い記憶力を見せつけることができるだろうか】
【少なくとも彼女自身は目の前の貴方を、その手配書にかかれていた邪禍≠ニ認識し】
【そして紡ぐ言葉に強い意味をもたせようとした】


……悪い事は言いませんから、自首してはいかがでしょう
手配書に描かれているという事は大量の能力者や自警団の人が、貴方を知っているという事です
どれだけ力に自信があろうとひとたまりもな――――――ゲホッ!!ゴホッ!!


【冷静に言い放つ少女の言の葉、理知的な音律は聡明さを感じさせるだろうか】
【紫苑色の横髪が照らし就ける柔和な頬、一滴揺れてみせたなら、咳き込む音が響く】
【肺を思いきり叩きつけられたかのような衝撃、苦しげに目を閉じて、細く開ける】

【口だけは達者だが、身体は弱い、そんな印象をあたえるかもしれない】
915 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 19:18:19.26 ID:/4KtGgoto
>>914

「……ほォう、指名手配されているのはあァくまでも悪魔だ……俺様がそォーとでもいィうのか」

【ぎろり、夜の闇が深まる中でもその眼光は衰えることなく、鋭いそれで相手を突き刺す】
【――あくまでもシラを切るつもりなのだろうか、いや違う……むしろ逆、とことん"黒"の道を突き進むのみ】

「――――ヒャハハ、ごォ名答といィったところだな、そォーよ、俺様こォそ!」
「泣ァく子を余ォ計に泣ァかせる、超ォ強ェ素ゥん晴らしい悪魔、邪禍様よッ!」

【驚くほどあっさり白状したのだった、その者は――己が指名手配されている悪魔と同一であることを】
【何か意図があってのことだろうか、いや"ない"】 【――それはただのナルシスト。大丈夫だという自身しかないのだ】

「ククヒャハハ……テメェー、面白い事を言ィうじゃアねェか」
「"素ゥ直に"、"自ィ首する"、悪魔とかそォりゃアたァだの魔が差ァした"善良魔だ"……"邪ァ悪魔"の俺様に自ィ首なんて単語はねェ」
「そォれに、俺様はChaosそォのもの――本気を出ァせばこォの世界なんざあァっという間に乗ォっ取れる程にな……」

【よほど己に自信があるというか、――はたしてその自信に力が伴っているのかはわからないが】
【目の前で咳き込む少女を見て、その悪魔は更に調子に乗って――顔を近づけ、笑みを強めるのだった】
916 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 19:31:54.79 ID:KsNDAzMqo
>>915

【口元を手で抑えたまま、視線を覗かせる、見上げる紫苑色がその色を淡く伸ばす】
【高らかに声を上げる目の前の悪魔=\―――――その存在は凶悪犯と呼ぶに相応しい存在で】
【見逃して、おけなかった、今の自分は既に戦いに適した身ではないにしても】

【悪を目の前にして目を瞑る程、彼女の正義は褪せてはいないのだから】


自首の単語が無いのであれば、私の手で突き出すまでです
そして看守に向けて、その浮ついた妄言を戯れていなさい!

邪悪なる悪魔の言葉に、これ以上貸す耳などありません!
――――――Dead Memories=I!


【腰の直ぐ側の地面についていた左手を振り上げる、瞬間、夜闇の中に一陣の閃光が弾ける】
【糸のような見た目のワイヤー≠ナある、細く鋭い白銀の繊維が左手には握られていて】
【振り上げたその手を彼女が後方へと引いたならその動きに連動してワイヤーが貴方へと向かう】

【鋭いその先端はまるで意思を持っているかのようにうねり、貴方の身体に巻き付こうとするだろう】
【両手を身体に密着させる形で縛り上げるような軌道、動きは早く、気を抜いたなら巻き取られる】
【成功したなら近くの墓石へと思い切り叩きつけようとするだろう】

【行動の成否に関わらず彼女は立ち上がり、後方の墓石へと背中を預ける】
【細身の両足は弱々しく震えていて、それでも尚踏ん張るように地面を踏みしめ】
【一滴で乱れた呼吸を何とか正常な形へと戻そうとする】
917 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 19:48:34.71 ID:/4KtGgoto
>>916

「ヒャハハ……身体が弱ェならおォとなしく逃ィげた方が得策だぞォ?」
「俺様を捕ォらえられるのは天使の糞共だけ、いィずれはそォいつらすらも手ェにおえなくなるがな」

【――調子に乗っていられるのも今の内だった、閃光が現れた、――油断していた】
【身体に巻きつくのは――ワイヤー、間違いなく能力によるもの】 【やはりただの少女ではなかったか】
【ちィッ、と舌打ちを一つしている間に、近くの墓石にその身体は叩きつけられた】
【肉体がある以上、物理的な損害は免れない――ぺっ、と血を吐くと、こちらもまた力を発動させた】

「……ふゥ〜、今ので右肩が折ォれたかもなァ、普ゥ通の人間なァら気ィ絶しィていたかもなァ」
「だァが、俺様はそォんな人間共とは違ェ!」 「でェてこい、ハボフレテン!」

【悪魔の目の前に現る魔方陣、そこからいずる闇が成すものは――火の玉だった】
【身長1m程、幅は最大でその半分、色は青――縦長の円の眼が二つと、口が一つある】

「ルディラ・バレット……発射ァッ!」

【心霊現象でもなんでもない火の玉の口部に熱気が集まっていき――発射!】
【発射されるのは、野球ボール程度の大きさの火の玉。狙いは左腕】
【炎属性のエネルギーで構成されたその火の玉は、何かに当たれば数秒ほどで消えるだろう】
918 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 20:04:18.01 ID:KsNDAzMqo
>>917

【貴方を墓石へと叩きつけたなら、間髪入れずにワイヤーが外れるだろう】
【このまま縛り続けていたとしても、純粋な力では貴方には及ばない】
【一撃翌離脱だと言いたげに外れたワイヤーは彼女の手元へと収縮して行き――――――】

【少女の身体が舞った、背を墓石から離し、一歩前に出たなら、その場で身を翻す】
【貴方へと背を向ける形で回転したなら、右足を前に出し支えとして、体勢を少し低くする】
【その動きに連動し、ワイヤーが踊る、彼女の周囲を一回転大きくなぞるように舞う】

【発射された火の玉が弾けるだろう、暗闇に一瞬、眩しい光が光った】
【ストロボが如き浮かび上がった白黒の世界、彼女の周囲に舞ったワイヤーで火の玉をかき消したのだ】
【彼女の周囲に展開した状態でワイヤーを高速で回転させる、切断力だけで言えば、かなりのものだろう】


っ……随分と頑丈な、身体の持ち主ですね……流石は悪魔、と言うべきでしょうか……っ
ですが、無敵の、不死身の、存在なんて、この世には居ないんです
こんなか弱い存在でも、貴方に傷を負わせる意味は、十分にあるんですよ


【背中を向けたまま、立ち上がる、左手を下ろしたなら、手袋に包まれた指先が僅かに煌めく】
【銀の閃光は夜空に瞬く星が如く、世界の中幾重もの星座を描き、作り出していく】
【生きているかのようなワイヤーの動き、それこそが彼女の能力の本領であろう】

【強く握りしめられた左の手のひら、それが少し貯めて開かれるだろう】
【そしてその手を一つ、二つと銀の閃光が瞬いたなら、貴方の耳元へと風を切る音が聞こえるはずだ】
【常人であればその音を聞き取るのは困難に違いない、だが貴方であれば苦も無く掴めるだろう】

【――――――後方だ、距離の空いた貴方の後方から、その音がする】


貴方の見下すその人間の強さ、見せてさしあげますよ!!
Dead Memories=I!


【後方から襲いかかるワイヤー、貴方の両脚へと絡み付こうと低い軌道で這う】
【砂埃が巻き上げられる、銀閃が描く淫らな景色は夜の中を艶やかに飾り付ける】
【貴方の足へと絡みつけたなら、そのまま後方へと引かれ、貴方を前のめりに倒そうとする】

【左手から零れ落ちたワイヤーは彼女の後ろの墓石を伝って、大きく外回りの軌道で後方から襲いかかったのだ】
【暗い墓場と大量の墓石、その途中までの軌道を追うのは中々に困難を極める】
【だが軌道は低い、察せたなら回避することも十分可能である】
919 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 20:30:17.12 ID:/4KtGgoto
>>918

「ヒャハッ、火の玉は防いだか――だァが、俺様の手ェはそォの程度で終ォわらねェ」
「――確かに俺様の"肉体"は不ゥ死身じゃアねェかもしィれねェ、が」

【風切り音が聞こえる、――後ろか、……今度は後ろからワイヤーが迫っている】
【このままの位置に居てはまた先程の様に叩きつけられたり等をするだけだろう――分かり切ったこと】
【――ならばかわすしかない、のに】 【おかしい、微動だにしないのだ、この悪魔は】
【動かなければワイヤーに絡みつかれて、そのまま前のめりに倒されるだけ――事実、そうなった】

【おそらく鼻の骨でも負ったのだろう、ゆらりと立ち上がるそれの血の流れをみれば一目瞭然】
【こんな普通は取らない行動をするならば、間違いなく裏がある――】

「うばッ!」 「――人間の持ォつ可ァ能性は確かに強い、だァが肉体がそォれに見ィ合ってねェ」

【――あえて無抵抗で居ることで、召喚から攻撃までのプロセスに集中できたのだ】
【倒される前、悪魔の隣に闇がいずれば形を成していた――月明かりが僅かでもあればすぐに認識できる】
【それは、僅かに青を持つ水晶のようなモノで身体を構成している150cm程の人型だった】
【心臓部にはコア。身体のあちこちには血管のようなものがあり、擬似的な眼の正体もそれ。色は全て青っぽい透明】

【人型の右手が少女の方を向く、発射されるのは――身体と同じ素材の結晶だった】
【長さは5cm、数は3つ】 【先端の鋭いそれは、少女の両脚と腹部それぞれに向けて飛んで行く】
【結晶自体は物質であり、完全に消滅させなければ何らかの形でどこかに残るだろう】
920 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 20:50:26.61 ID:KsNDAzMqo
>>919

【ゾクリ、と悪寒が背筋を奔った、微動だにしない悪魔の姿に畏れを覚えた】
【彼女の目論見は成功した、だが、与えたダメージにも関わらず安心はできなかった】
【ワイヤーを直ぐ様解除し、襲いかかったコースを通す形で手元に引き寄せる】


(……手配書には、召喚術の類を使うと書かれていた筈、無抵抗の意味は……!!)

っ……これは、人型……そして、水晶――――――ッ!!
くっ……ぁっ……!!ぅぅ……


【目の前に映るのは幻想的な人型、宵月に照らされて輝く水晶の煌めき】
【加えて血管の色合いは、どこかグロテスクであり、どこか神秘的であった】
【3つの結晶が彼女へと発射される、先ほどと違い質量を持った結晶】

【地面に落ちる結晶の美しい表面に鮮血が舞った、左足を狙った結晶は右に飛ぶことで回避したが】
【残った二つの結晶が直撃は避けたが、一つが彼女の右足を、もう一つが腹部を、抉るように貫通した】
【ブラウスとニーソックスに血が滲んだ、苦しそうに漏れる声が少女を染める】

【苦しそうに紫苑色の瞳が閉じた、荒く揺れる呼吸、動く度に激痛がはしる】
【元々病弱な身体である、元々の体力的にもダメージは決して軽くない】
【それでもよろよろと立ち尽くして、貴方へと顔を向ける】


確かに、人間の肉体は……貴方に比べれば、脆いかもしれません
けれども、人間の強さは、肉体にだけ、あるものじゃ……ない、です

受け継がれる記憶という名の意思、それこそが人間の強さです!
私はそれを紡ぎ辿る!それが私の能力――――――Dead Memories=I!


【傷ついても尚、傷めつけられても尚、紫苑色の瞳はその奥に朱い煌めきを残して】
【右の手が近くの墓石に触れた、閉じられた両目は、きっと、心の中での謝罪を示す】
【刹那、彼女の手元の墓石が消えた≠ワるで、墓石など、最初から無かったかのように】

【そして間髪入れずに彼女は右手で何かを投げる、貴方の動体視力なら見えるだろう、それが小さな石であることに】
【石の狙いは貴方の頭上だ、貴方の頭上へと放り投げられたなら】
【その小さな石が空中で墓石≠ヨと変化し、貴方の頭へと落ちてくる筈だ】

【――――――重量は十分、直撃したならばダメージは大きいだろう】
921 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 21:00:58.18 ID:c/gTAYQz0
>>898


『あらぁ! イイお魚ちゃんじゃなぁい?……あの子、食べ物選ぶセンスも上がって来たわね……うふふ……』

【なんて発せられるのは矢張り、やたら大きな独り言。……まな板、包丁と必要最低限の道具と共に取り出すのは、】
【比較的手頃なサイズの鯛、トレイから取り出せば手際良く処理を済ませ、食べやすい大きさにカットする。】
【フライパンにバターを放り色が変わり始めた所で、鯛の切り身を皮面が下になるように並べ、熱を通して行く。】

【その間、もう1つの小鍋にバルサミコ酢を入れ火にかける。半分程の量になったら白ワイン、アルコールを飛ばし今度は醤油、柚子胡椒の順で合わせて、】
【簡単なソースが完成すれば、今度は先程の切り身をひっくり返す作業へと続く。塩・黒胡椒を振って、両面良く焼けたなら出来上がり―――。】
【炒めたアスパラガスと香味野菜を彩りに、作ったソース、曲線を描きながら2,3度掛けて盛り付ければ完成。数分で出来る、鯛のポワレである。】

【布で包んだナイフ・フォークと共に、ふぉんてーぬ自らサーブする。『お口に合うかしらぁ……』と言いながらも笑みが浮かんでいるのは、】
【どうやら自信のある様子。―――今作ったのは、最も基本な、と言っても過言ではない料理。だからこそ、なのだろう、が―――?】

【それとほぼ同時に、店の奥へと入っていたたこやきも姿を現す。黒いベストにネクタイ、ワイシャツと一人前のウェイター姿。】
【街で見かけた、比較的カジュアルな格好とは、丸で正反対の―――そう、この少年の、新たな顔を見る事となっただろうか。】


『――――……この店、どれくらい、大きく出来るん。』

「……え? あ、そうねぇ……30人ぐらいかしら? ぎゅうぎゅう詰めでイイなら、40人は、入れるわね……」

『………らしいで。』


【今の店内なら、まあ15人が限界かと言う程。然し彼によると、その更に2倍以上、最大で40人の収容人数となり得るらしい。】
【そもそも、店の広さが変わるという事自体、可怪しい話―――、魔力による物なのだろうと咄嗟に閃けば、そんな憂慮さえ浮かばないのだが。】
【否、今はそんな事よりも。目の前の皿、ふぉんてーぬの知恵と技術の凝縮が、彼のお眼鏡に叶う物であるかどうか。重要なのは、その一点であって―――、】

922 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 21:01:39.63 ID:8d/dwpmFo
>>912

【そういう相手の細かい表情には気がつくような性格じゃない】
【何を言おうがお構いなしに目の前のご馳走で頭がいっぱいだ】

うん、じゃあそれでいいよ。イッシシ…それじゃあご馳走様です!

【どうぞどうぞと言われれば次から次へと食べていく。余程、飢えていたのか】
【元々、がめついタイプの性格なのか…まあ、今は両方という感じだろう】

ふーん……でもまあ良かったんじゃない?オヤジさんの力でご飯食べてたんでしょ?
だったら気を使わなくちゃいけないだろうけど自分でなら好き勝手出来るじゃない?
……あの、でも、今はちゃんと、アタシはちゃんと気を使ってるつもりだから…うん!

【食事に夢中で話半分で聴いていたが、取ってつけたような相槌を入れつつこう話す】
【すぐにまた肉に食らいつくため、それが精一杯の気遣いというわけなんだろう】
【彼とは反対にこちらの方は肉ならなんでもいいような庶民中の庶民なのであった】

そそ、それなりに腕は自信があるからね。まー切り込み隊長ぐらいはやれるの
音楽やってくにはバイトばっかりしてられないし…それぐらいやんなきゃね

【そう言って、肉を頬張る。その姿、ギターの姿を見れば何となく頷ける話だ】
【その有り余るようなエネルギーを使えば何もかもなぎ倒していくようなイメージが浮かぶ】

【そのように、対して深い話もすることもなく放っておけば勝手に食べて警察の悪口でも言っていることだろう】
【相手のアングラもこちらの身の上もどっかに投げて、今は会計の心配だけすればいい】


/すみません遅くなりました!おつかれ様でした
/お付き合いいただいてありがとうございました!
923 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 21:17:40.79 ID:/4KtGgoto
>>920

「岩晶の地魔……岩晶龍かァら採集した、たァだの岩晶やァら魔岩晶やァらで作ってみィたが、まァーまァってとォころだな」

【鼻の下を左の人差し指で拭い、血を拭き飛ばせば――飛ばずに付着したままのそれを舐めて】
【自分もダメージを負ったが、召喚に成功しその攻撃も通せた、まあまあの等価交換といったところだろう】
【とはいえ、先程の攻撃だけで致命傷に出来るとはあまり考えておらず――】
【むしろ、予想以上にダメージを負っているようにみえることに、これは良い流れだ――なんて思っていた】

「ヒャハハハ……俺様は言ィっただろう、おォとなしく逃ィげた方が良ォいとな」

「――テメェーらの強みは俺様がよォーくと知ィっている、さァっき食ゥったしな……だァからこそ器が悪ィんだ」
「煮ィえたぎる溶ォ岩をたァだの木ィの箱に詰ゥめ込んでいィて、強みが活かせる訳がねェ――せェいぜい頑張るんだな、そォの力で」

【人型の右腕が再び向けられて、発射されるのは――いや、そうする前に】
【相手が小さな石を投げてきたのだ、本来ならばスルーすべきもの――しかし】
                                            . . .. . ...
「(……たァだの石を投ァげている余ォ裕はねェはずだ、そォれに墓石はどォこに行ィった?)」

【――警戒せざるを得なかった、相手の能力がワイヤーだけと断言はできなかった為に】
【その警戒は正しかった、――頭上から降るのは先程までの小石ではない、墓石だった】
【幾らなんでもまともに受けては肉体がどうなってしまうか、容易く予想できる――ならば】
【一旦とった攻撃体勢を、迎撃態勢にせざるを得ない――人型が墓石の方に向き、両手も向けて】

「糞ッ!」

【――発射!】 【そうして墓石に迫る複数の結晶で、それを砕き――ダメージを減らそうと考えた】
【幾らか砕けたは良いものの、ノーダメージまで抑えることは出来ず……】
【火の玉はさりげなく回避したが、悪魔や人型の頭部に降り注ぎ、かち割ったり砕いたり】
【――気づけるだろうか、人型が受けたダメージの一部を悪魔も負っていることに――人型の傷は徐々に癒えても、悪魔はそうでない】

【砕いたことによって範囲が意図せずとも広がった、少女にも破片の幾つかが降ってくるかもしれず――しかし、相手に隙が出来ている】
924 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 21:35:41.67 ID:KsNDAzMqo
>>923

【彼女にとって墓石≠ヘ、死者を弔う為の大切な物体であり、心優しい少女は人一倍それを気にする】
【だからこそそれを武器にしたのは、それだけ追い詰められている証拠であった】
【同時に、胸を締め付けるのは深い罪悪感、ごめんなさい、心の中で謝り続けても、足りないぐらいに】

【邪禍の指摘に彼女は一瞬ドキリとした、単なる快楽殺人者のような思考とはまた違う、それ】
【正論であると思えるぐらいには筋が通っており、それ故に疑問符がついた】
【何故それほどの知能がありながら、無秩序な破壊活動をするのか、と】


……っ逃げるわけには、いきません、貴方の行いで、誰かが傷つくかもしれないんです
貴方が可能性を紡ぐのなら、それを止めるのは、可能性の無い者の使命です

ご安心を、私の中には煮えたぎる溶岩のような激情など存在しません
冷たく静かに燃える闘志だけ、残って居れば良いんですっ!!


【浅い、と直感的に感じた、そして同時に早い、とその迎撃に感嘆の声を漏らしそうになる】
【それは高い知能を思わせると共に、戦いの才能を彼女に感じ取らせたのだろう】
【読まれていた、と自分の心を疑うぐらいに、その迎撃は見事であった】

【傷つく人型と悪魔を彼女は見逃しはしなかった、能力と身体のリンク、戦ってきた能力者の中にも、多かった】
【組み立てられる次の戦法=\―――――だがそれより早く、攻撃の余波が来る】
【砕かれる墓石、その破片が彼女へも降り注ぐのだ】

【紫苑色の視界を覆う、無数の灰色、回避する時間も空間も無い、なら】


間に合って……!!Dead Memories=\―――――!!


【降り注ぐ破片の一部を、彼女はなんと手袋で包まれた左手で掴んで見せた】
【メリッと枝を折るような軽い音が漏れた、そしてめり込むような嫌な音も同時に響く】
【少女の表情が曇る、華奢な身体にはあまりにも大きなダメージ】

【それでも弱音は吐かない、泣き出しそうな口を必死に噛んで、声を絞る】
【握った破片を自身の前に出したなら刹那、墓石が出現し彼女の目の前で盾となる】
【これで彼女の能力の一端が明らかになるだろう】

【物体を過去の状態に戻す=\―――――ワイヤーの動きなどまだ不明瞭な所はあるが、大体はこれだ】

【破片が収まったなら、墓石が消えて、座り込んでいる少女が見えるだろう】
【鳶座りの少女は、右の手を抑えていた、指の骨が何本か折れて、折れてはいけない方向に折れているのが伺える】
【熱を持った掌、まるで焼け石を当てられているかのよう、吐く息も絶え絶えに、目の前の貴方を見据える】
925 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 21:40:21.66 ID:GAyy/e1io
【公園】

…………ええ、はい。先ほど用事は終わりました。今は公園の方に。
はい、ではお願いします…………。

【ここは近隣では一番大きな公園と言うこともあって、普段から賑わいのある場所だ。特にこの夕暮れ時の時間帯、学校帰りの学生の姿が多い】
【――――彼もまたその一人だろう。中央の噴水広場に向かって、電話をしながら歩いてくる人影がある】

【黒いブレザーに赤いネクタイという学生服に身を包んだ、瀟洒で落ち着いた雰囲気の少年だ】
【流れるような水色の髪はやや巻き毛気味ではあるものの、一本一本にまでしっかりと手入れが行き届いていて、育ちの良さが伺える】
【挙措の一つ一つは優雅で美しく、ある種の風格すら漂う。緩く浮かんだ微笑みも、まるで絵画から出てきたかのようで】
【服装と左手に持った学生鞄のお陰でかろうじて高校生に見えるが、その浮き世離れした存在感は到底隠し切れるものでもなかった】

さて…………。

【少年は電話を終えると、ふと立ち止まって広場全体を流し見る。宝石のような赤色の瞳に浮かぶのは、純粋な期待と好奇心だ】
【恐らく暇になってしまったのだろう。何か時間を潰せるものはないか、あるいは何か話し相手になってくれる人物はいないか、それを探している】
【場所は遮蔽物も殆どない広場の中心である。もし少年の周囲にその何か≠ェあれば、すぐに発見できるだろうし――――】
【その容姿と雰囲気は、公園という庶民の場所からは些か浮いてしまっている。逆にその何か≠ェ少年を発見することも、簡単であるはずだ】
926 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 21:49:25.98 ID:8Pjlb+FTo
>>921

【漂う香ばしい香り。流石にプロというべきか、手際よく調理は進んでいく】
【そうして、ふぉんてーぬによりポワレが眼前に運ばれたなら『ありがとう』と軽い会釈】
【ナイフとフォークを手に取り、まず鯛を一口分、音を立てる事もなく切って口へと運ぶ】

――――ふむ……素晴らしい。
半ば即興で作ってこれならば、十二分に期待できそうだ。

しかし君、なかなか様になっているじゃないか――――見違えたよ。

【その自信はやはり、世間的にも高い評価を得ている事もあるのだろうか。】
【そして男もまた、料理へと、そしてふぉんてーぬの腕前へと高い評価を送る】
【それから、再度現れたたこやきの姿に対して言葉を紡いでまた一口】
【この様子ならば最早、懸念する必要もないだろう。ならば次は収容人数だが――――】

―――ああ、それだけ広くなる≠ネら大丈夫だろう。
それどころか、正規のメンバー≠セけなら今のままでも十分に入れるくらいだよ。

……ところで、だが。この店にはどういう仕掛けがあるんだね?
今だってやはり、何かあるように感じるのだが。

【――どうやら、人数も問題はないようで。これで二つの問題はクリアされた】
【そこで話題が向いたのは、『大きくできる』という言葉と、店の外観と内部の間にある奇妙な違和】
【深い意味は無い、世間話に近い感覚での、問い掛け。その間も男の手は進んでいて】
927 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 21:51:30.57 ID:MZL0siLlo
>>925
【自販機の前で、ジュースを啜りながら空を見上げる青年が一人居た】
【そこに居たのは、少年とは全く異なる意味で公園という安寧の場からは浮いた印象を与えるモノ】
【逆立てた短い白髪に、右の目の周囲には醜い傷跡が目立つ。右はライムグリーン、左は鉄色の不自然なオッドアイ】
【服装は昨今の外見重視のセレオリのものではなく、確りとしたアウトドアメーカーのマウンテンパーカーとカーゴパンツ】
【ブーツは良く手入れされた革のものだが、その実つま先と足裏には合金板の仕込まれた特注のもの】
【腰に巻いたベルトポーチはパンパンに膨らんだその服装、外見は物々しいと言っても過言ではなかったろう】
【そして、そんな青年はちびりちびりと缶コーヒー――やたら甘いことで有名なそれ――を大切そうに啜って】

「所持金残り80円……か……、カードの再発行は時間掛かるし……どうするかねェ」

【しみじみと、なんとも言えない表情を浮かべながら手元の小銭をちゃらちゃらと鳴らして、思案に耽るのであった】
【どうやら、所持金は先程まで200円だったのだが、なけなしの200円を缶コーヒーに使い80円にしてしまったようだ】
【ちびりちびりと缶コーヒーを貧乏臭くすする姿は煤けた背中と妙な親和性を発揮して、ここに青年を佇ませていた】
928 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 22:03:38.67 ID:/4KtGgoto
>>924

「誰かが傷付ゥこォーと知ィらねェーな……俺様は人間共に"混沌"を与える活動をしィているだァけだ」
「ククク……そォれに俺様は"アァフターケア"を怠らない性ァ質でねェ……むゥしろ感謝しィて貰いてェな、"材料"となァることに!」
「あァ、そォーだな、――可能性のねェ天使の屑共は俺様を狙っているな、機械みィてェーによ、ククク……」

「――ヒャハハハッ!」 「冷ィえても木ィは脆くなァり砕けるモォノ! ――人間如きに俺様は止ォめられんッ!!」

【確かに墓石の攻撃は防げた、だがその破片までは防げなかったのだ――】
【人型の方はあまりダメージを気にしていないようで、しかし悪魔はその人型の分の一部も余計に受けている】
【頭の複数の箇所から血が流れている、眼の上まで来たそれを左手で拭い取って――】
【――破片が少女に飛ぶだろうことまで意識した行為ではなかったものの、結果オーライ】

「ほォう……墓石を掴み取ォって……!」

【攻撃に繋がったと同時に、相手の能力が見えてきたのだから――墓石が一時的とはいえ元の姿を見せたのだ】
【それを盾代わりとして防いだ、――なるほど、応用が利く厄介な能力である】
【しかしその盾を作り出す過程でダメージを負っている――先程の事も考えると、防御力が低いのだろう】
                   ボディ
「……ヒャハッ、俺様が新しい"身体"を提供しィてやァろォーか?」 「そォんな柔い奴よォりずゥっと良ォい奴をな……」

【挑発的な調子で語りかける悪魔。――勿論、相手が乗ってくるとは到底思っておらず】
【――そういえば、火の玉は悪魔の受けたダメージを負っていない、それを考えると―― リンクではなく、一方的なフィードバックなのだろうか】

【そんな火の玉が突進を仕掛けてきたのだ――狙いは少女の腹部】
【直線的で見切りやすいといえばそうかもしれないが、突進から来る衝撃も有る上に、その体温は火の玉らしくかなりのモノ】
【暖炉やバーベキュー等の火の代わりに使われる生き物でもある――触れるだけで火傷しかねないし、長時間触れていればどうなることか】
【だが、おそらくこの火の玉を攻撃してもその"一部"は悪魔も受けると予想は付く――どちらを狙うか】
929 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 22:06:27.81 ID:/4KtGgoto
>>928
/相変わらず言っていることがコロコロ変わってますが、ちょっと繋げたいので付けたし
/「……ヒャハッ、俺様が新しい"身体"を〜」→「……ヒャハッ、そォーだな、そォれとも俺様が新しい"身体"を〜」
930 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/02(日) 22:11:24.11 ID:SReP6F1q0
【もはや空は黒に染め上がりそしてその中で星が綺麗に輝やいている】
【そしてその空には雲は一つもなく空で輝いている星を見るには絶好の機会である】
【人々はそのように輝いている星を見ながら歩んでいる】

【――だがそのような夜空に興味も示さない存在もいたりはするもので】

……今日は晴れか、ここ最近連続して晴れているな
  …まあ、雨や雪よりも晴れのほうがいいいか

【一人心地につぶやきながら綺麗な夜空の元を歩く男】
【キャップ帽をかぶっており】
【長袖の赤い服を着ており黒の長ズボンをはいている】

【男の片手には購入したと思われる食べ物が入ったレジ袋がある】
【男が食べるための食料だろう】
【だがそのレジ袋をもつ手に力はわずかにしかかかってなく】

【だが男はどこか無警戒でぼんやりと歩いている】
【注意散漫状態でありもしかしたら誰かとぶつかるかもしれない】
【もしぶつかったのならレジ袋がぶつかったのと同時に手から落としてしまう】
931 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 22:22:57.70 ID:KsNDAzMqo
>>928

【それはさながら嵐が如く、絶え間ない破壊をまき散らすかのよう】
【存在そのものが災害≠サんな表現がピッタリだと、彼女は心の底で考えた】
【だからこそだ、ここで何とかして食い止めなければならない、と強く思う】

【食い縛る小さな表情、傷だらけの身体が今にも悲鳴を上げて、倒れこんでしまいそう】
【右の手はもう使い物にならない、少し動かしただけで痛み、強く歪む】
【状況的には圧倒的に不利だ、怖い――――――そんな感情が奥底から沸き上がる】


――――――材料≠チて……一体、どういう意味……ですか
っ……くぅ……ぁ……そんな、理由にもならない事で、他人を、キズつけて……ッ……!!


【材料@れた邪禍の言葉に嫌な予感がした、物事の裏を推し量るような直感】
【想像は妄想を産み、悪い方向へと傾いていく、頭を振って何とかそれを払拭したい】
【けれども休んでいる暇はない、流石悪魔、と言えるほどのタフさに彼女は焦りを覚える】

【右足、腹部、右手、ダメージはそれぞれ深く、立っているのもやっとのこと】
【呼吸する度に、全身が痛み、痛みを和らげようと呼吸する度にまた痛む、悪循環】
【冷たい汗が頬を伝ったなら、濡れた横顔がどこまでも静かに】

【――――――そして、一瞬、固まった】


っ……ぐぅ……ぁ……!!んぅ……きゅぅ……っ……!!


【身体≠提供するとの言葉に彼女が一瞬惑わされた、その甘言に滴り落ちた】
【誰かを護ることに、また、彼女の身体のことに、新しい身体、強い身体――――――その響きは甘すぎた】
【突進が彼女の腹部へと突き刺さる、小さな口から声にならない音が漏れた、内臓が大きく揺れ、歪まされる】

【そして高い温度が彼女の腹部を焼く、ブラウス越しに皮膚の灼ける嫌な音と臭いが染み行く】
【引き剥がそうにも彼女の右手は使い物にならず、左手で掴もうとするも、力が入らない、指先が引っ掻く事ぐらいしか、できず】
【ぺたんとその場に座り込む、火の玉を抱きかかえるようにして、何とか引き剥がそうと苦心する】

【段々とその動きが弱々しくなっていくだろう、強い意思を宿していた紫苑色の瞳が霞んでいく】
【やがて、左手が火の玉から離れて、地面に落ちる、落ちていた結晶を握る力も無く】
【呼吸音だけが静かに響いていた】

932 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 22:27:02.19 ID:GAyy/e1io
>>927

…………おや?

【いかにも温室育ちといった風体の少年にとって、青年のような物々しい雰囲気の人間は珍しく映るのかも知れない】
【真紅の双眸は、自販機前の寂れた背中をすぐに目に留めるだろう。そして少年は何のためらいもなく、そちらへ近付いていく――――】

【自販機の前にたどり着いた少年は、まず学生鞄から財布を取り出すだろうか。そこから現れるのは、なんと一万もの大金!】
【…………かといって、それを無償で青年に渡すほど世間知らずでもなかったらしい。少年はそれを自販機へ挿入した】
【しかし、たかだか缶ジュースひとつに大金を突っ込まれて萎縮したかのように、自販機は金を突き返す。勿論、実際は単に対応していなかっただけだが】
【少年は一瞬不思議そうにした後、ようやく気づいて小銭を投入。普通ならあり得ないような手間を掛け、ようやく青年と同じ缶コーヒーを買った】

…………すみません、お恥ずかしい所を。
ボク、こういったものには縁がなくて…………。

【恐らくこの一部始終を見ていただろう青年に向け、少年は照れ隠しのように笑いかけるだろうか】
【買った缶コーヒーを一口飲むと、想定外の甘さに一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに機嫌良さげな表情になってごくごくと飲み進めていく】
【先程の青年の呟きは聞こえていなかった様子だが、それにしたって金欠の人間を目の前にしてこの一連の動作…………嫌味なのか、単に間が悪いのか】
【少なくとも、その表情から邪気は感じれられない筈だが…………】
933 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga]:2014/02/02(日) 22:30:03.55 ID:alB0UgR+o

───ケッ!あーイライラするぜ!!

【寒い冬の夜の闇に、甲高い音と低い怒号が響いた】
【がらんどうの空洞となった廃倉庫を反射する高い音は、空き缶が動きを止めるのと同じくして消えて行く】
【空き缶を放り投げた男は、苛立った様子で吼え、引き連れた部下に怒りの表情を向けつつ、続ける】

どーして俺様がこんなジメジメした場所にいねぇとならねえんだ!?あぁん!?

【吼えているのは金髪を獅子の鬣の様に立てた男だ。両耳には逆五芒星のピアス、右目の下には《No.16》という刺青が刻まれている】
【身に纏うワインレッドの分厚いロングファーコートの上からでも分かる、筋骨隆々で2m近い背丈、身体中に巻いた金のアクセサリーが下品な高級さを際立たせていた】

「そ、そう言われましても……」
「あまり公にならないように始末するにはここが一番でしたし……」

【恐れを隠せない様子で、男に回答する部下達に舌打ちを返した男は、再び振り向き足元のそれを足で転がす】
【重たい感触がごろりと転がり、それに着けられていた自警団の腕章が空気に晒された。それを見た男はまた忌々しげに舌打ちすると、強くそれを蹴り転がす】

……まーいいぜ、次はもっとど派手にやるぞてめえら
今日の所は帰るとしようや、デボラが腹空かして待ってっからよ

【男は三度振り向くと、部下達の間を悠然と抜けながら歩き出した。広い構内がその声をよく響かせて増幅させているのは言うまでもない】
934 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 22:41:47.71 ID:MZL0siLlo
>>932
「うわブルジョア……」

【缶コーヒーをちびちびと口に含む青年は、横目で自販機と格闘する少年を見て、思わずそうつぶやく】
【青年が学生でなくなってからそう時間は立っていないが、彼の場合は奨学金と副業で生活費と学費を稼ぐいわゆる苦学生であった】
【そんな彼からすると、学生がそのような大金を持ち歩いているというのが、何となく違和感として見えたのである】
【とはいえ、世の中にはそういう層が有るということを知らないわけではないこの青年。そして、卑しくそれにすがるようなことをしない程度の常識も在った】
【一万円札を戻されている少年を見て、表示を確認しろよ――と心のなかで思いつつ、10分掛けて半分に減らした珈琲の甘さを口で転がして】

「……ああいや、別に気にしねえよ?
再発行まで3日……、パンの耳と弁当の廃棄狙うっきゃねーな……。
……事務所の買い置きは無い、インスタントコーヒーと砂糖とコーヒーフレッシュだけ、か――水は止まってねぇしイケる……か?」

【普段なら己だってそうしたいところだ。そう思いつつ目の前で珈琲を一気飲みする少年を見て、僅かに半眼になる青年】
【眉間にシワを寄せながら、カードの再発行までの3日間をどうやって生き延びるかを頭で考え始めた】
【事務所がどうこうという呟きからして、この外見ながらも何らかの知識労働者であるだろう事がわかるかもしれない】
【少なくとも青年は少年に対しては、変わった子だなとは思うものの、警戒の様子などは見せては居ない】

「甘いだろ、それ。物好きでもねーとあんまり飲まねーよそれ、俺大好きだけどさ」

【なにせ、それはコーヒーに練乳と大量の砂糖をぶちこんだ、コーヒーというのもおこがましい代物だ】
【血糖値爆上げ間違いなしのその代物を、あまつさえ大好きとさえ言うこの男、この物々しい外見ながら間違いなく甘党だった】
935 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 22:44:12.40 ID:c/gTAYQz0
>>926

『あら、良かったわぁ〜♪ たこやき君、美味しかったんだってよぉ〜!』

「………聞こえとるで」

『イヤん、嬉しいからつい言っちゃったのよぉ〜♪ そんなに怒らないでちょうだぁ〜い♡』

「………別に、キレてへんし………あ、………」
「……ありがとう、……ございます……」

『そうでしょ、……ジェイルさんとは、違うベクトル何だけどぉ〜……アタシ、たこやき君もイケちゃうわぁ〜♪』
『……ちょっと、たこやき君? どこ行くのよぉ〜……こっち来て、お話しま―――……あら、やるじゃなぁ〜い!』


【容姿を褒められた事が嬉しかったのか、それとも只単に、ウェイターとしての仕事を果たしただけ、なのか―――、】
【ワインボトルにグラス2個、……黙って差し出す割には、相応に良い赤である事がラベルから分かるか。】
【加えて、少し大きめの皿に、各種様々なチーズの盛り合わせ、クラッカーと小さめのパンも用意されていて。】
【……トレー一つ、片手で持って来るのだ。それも丸でブレる事無く、あたかも何も乗っていないかの様に。】

【ふぉんてーぬの驚き具合から察するに、普段たこやきが"気を利かせて"という行動は取らないという事が読み取れるだろうか。】
【だとすれば―――。勿論その真意は、彼自身しか知らない、否、彼自身も、分かっていないのかも知れない、が、少なくとも、】
【そのままそそくさと調理場の方へ行ってしまったというのは事実。……水の流れる音が聞こえてくれば、どうやら洗い物をしているらしかった。】


『ああ、別に怪しい物じゃないわぁ、ただアタシ、魔法使えちゃうのよねぇ〜……ほら、キャンピングカーのままじゃ、狭いでしょ?』
『空間を拡張するって言っても、そんなに難しい事じゃないのよぉ。……そうね、ホントに、料理の片手間で、出来ちゃう位。』

『……あ、そうそう、ご予約、だったかしらぁ? 大体、3日前から承ってるわよぉ〜♡』


【ソムリエナイフを取り出してきては、矢張り器用にコルクをスッと抜いて、2つのグラスへ赤ワインを注ぎながら話すのはそんな事。】
【この店は、どうやら、魔法を使っているらしい。その道に長けていないのなら、今のは回答になっていない回答と言わざるを得ないのだろうが、】
【それより詳細な説明は逆に無意味である以上、まあどうしようもない、のだろう。】
936 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 22:53:04.14 ID:/4KtGgoto
>>931

「ヒャハッ、――文ォ字通ォーりだ、"0"から車は作れねェってこォと」

【――この悪魔の使役している魔物、少なくとも今のニ体はこの世界に居ないと思われる】
【いないならどうやって手に入れたのか、――"作る"か、別の世界から"召喚"するか】
【材料が必要な方法と言えば、無論前者で――言動からもそちらの筋が高そうだ】
【――そう、もしかすれば、その嫌な予感の通りなのかもしれない――わざわざアフターケアなんて言っているのだから】

「ほォう……ヒャハッ、なァーに……"欲"は原動力だ、俺様を襲ったのも人を護りたいといィう欲!」
「――どォれ」

【今、この悪魔は油断している――まだ息はあれど、戦闘を続行できないだろうと判断したのだ】
【火の玉が少女から離れれば、悪魔の左肩に乗っかって――先程の温度を考えれば火傷は免れないはずなのだが】
【この悪魔は火傷していない、……もし今触ればわかるはずだ、火傷しない程度に体温を下げている事に】
【――そして、悪魔はしゃがみこんで少女の顔を覗き込むような体勢を取れば】

「ククッ、良ォい顔だ――」 「そォ、……人の身ァ体は損なォんだよ、可ァ能性を活かしきれねェからな」
「だァから俺様が"材料"にしィてやってんだよ、――人の姿に固ォ執する必要なァんてねェからな……」
「まッ、俺様のツマミやァら実験台やァら何やらになァる奴も、大ォ勢いィるけどよ!」

「さァて、邪ァ魔な正義を減ェらすのは大事だ――俺様もそォろそろ帰って布団に入りてェとォころでな……血ィを出ァし過ぎたかァらよ……!」

【流れる血をまた左手で拭う、そして頭部の一番深いだろう傷に左手を当てて――】
【その血には邪悪な魔翌力の存在が感じ取れた、つまり血の流出は魔翌力の流出といってもよいだろうか】
【また、しゃがむときに少しふらついていたのもわかる、――表に出していないだけで、ダメージは結構通っているはずだ】
937 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 23:10:51.62 ID:GAyy/e1io
>>934

【少年は話を聞きながら、青年の十分間にたったの五秒で追い付くと、ハンカチで行儀よく口元を拭った】
【その表情は相も変わらぬ綺麗な微笑。別に青年のことを馬鹿にしている訳ではなく、どうやらこの表情が少年にとって平素のものであるらしかった】
【それは少年が、常に人当たり≠気にして生活している証拠――――学生に間違いはなさそうだが、かといって普通でもないのは見ての通り】
【親に相当厳しくしつけられているのかもしれない。ただ単に育ちがいい、という訳でもなさそうだ】

なにやら大変そうですね…………。
お仕事の方は何をされていらっしゃるのですか?

【パンの耳に弁当の廃棄、なんていう貧困極まりない生活ぶりを想像できなかったのか、少年はどこか不思議そうな表情をして問い返す】
【表情も語調も柔和そのもので、単なる好奇心からの質問だとわかるだろう。例え青年が答えずとも、きっと追求はしない筈だ】
【ここまでの態度然り、この唐突な質問然り、少年の方も青年を警戒してはいない――――ように、見える】

あぁ、でしたらボクもその物好き≠轤オいですね。
実は甘いもの、好きなんですよ。

【少年は可笑しそうに笑うと、残りのコーヒーを一気に飲み干す。どうやら、甘党なのはこちらも同じのようで】
【――――端正な顔立ちに浮かぶ微笑みは、完璧に整っているが故に、隙≠ニいうものがまるでない】
【細かい感情のブレが極端に抑えられていて、心中がかなり読み取りづらい印象だ。あるいはこれも、上流階級としての嗜みなのだろうか】
【それはさておき…………普段口にしない味なだけに、少年はこのコーヒーを相当気に入った様子だった。迷わず小銭を投入し、もう一本購入して封を開ける】
938 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 23:11:03.56 ID:KsNDAzMqo
>>936

【言葉で確信を持った、邪禍の行っている行為がどういうものであるのか、というのを】
【赦せなかった、赦すわけには、いかなかった――――――どうしても、止めなければ、いけない】
【けれども、身体が泥のように重い、少し指を動かすことすらも、躊躇われる、ほどに】

【覗きこむ邪禍の顔、楽しげに紡ぐのは、あまりにも残酷な現実】
【それが真実であるならば、それが真実であるから、彼女の思いが強く煌めく】
【唇の端を噛みしめる、大きな紫苑色の瞳が、ゆっくり、貴方を見た】


ハァ……ハァ……ッ……!!赦し……ません……っ!!
自分……勝手な都合で……人を、他者を……キズつけて……!!
挙句の果てに……!!自分の、欲望の、道具に……する……!!

受け取り……ッ……なさい……!!自分の、傷つけた者の、痛みを!!

――――――刻めDead Memories=I!


【地面に落ちた左手に力を入れた、手元に落ちていた岩晶を拾い上げたなら】
【身体の節々が悲鳴を上げる、脳内に響き渡る警笛を無視し、貴方の顔の前へと放り投げる】
【見上げる彼女の瞳、そこに怯えも憂いも無く、ただ強い意思を感じさせ、凛とした表情を浮かべた】

【張り上げた声が唄う、彼女の最後に残された唯一の力を振り絞った詩を】
【邪禍の言葉によれば、この岩晶は本来、岩晶龍という生物から採取されたものである】
【彼女はその可能性にかけた、彼女の能力は過去の状態≠ヨとあらゆる物を戻す】

【眩い閃光が夜闇を切り裂いた、唸る地響きはそれほどの力がそこに秘められているからか】

【貴方の身体を弾き飛ばす軌道で、彼女は岩晶を岩晶龍≠ヨと戻し、召喚しようと試みる】
【過去の状態に戻すと言っても、無生物を生物にするような事はできない、出現するのは形だけ取り繕った抜け殻だ】
【だがそれらの質量や中身がそれ相応である、というのは、先ほどの墓石がそうであったように分かるだろう】

【それだけの質量を持った物体が直撃したならば、大ダメージは必至であろう、それだけの威力は有る】
【正真正銘最後の力を振り絞った一撃だ、攻撃の成否に関わらず、彼女は座り込んだまま、しばらく立ち上がれないだろう】
【薄れゆく意識の中、その攻撃の行く先を、最後まで見ようとした】
939 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 23:22:53.03 ID:ppruUT9Bo
>>935

【ジェイルとは違うベクトル“だが”たこやき“も”イケる。言葉の意味は……深く考えない事にしよう】

【いかにもウェイター、という服装で片手にトレイを持てば、また一段と“らしさ”が出るもの】
【穏やかな笑みを浮かべ、静かに食事をしつつ彼を目で追っていく】

――――フフ……あれくらいの年頃は、なかなか難しいものだ。

彼より少し上のメンバーがいてね、今は随分と落ち着い―――てはいない、な……マシになった、というべきか……
とにかく、数年前は色々と大変だったものさ。血は繋がらなくとも、家族の様なものだから……

【外見から判断すれば、たこやきくらいの年齢というのは丁度、扱いの難しい年頃だろう】
【子を持つ親の様な、そんな顔をして語る男。とはいえ、別に彼の考えが分かる訳でもないのだが】

【男は暫しワインのラベルを眺めて、ナイフとフォークを静かに置いた。】

ああ。しかし、皆を連れて来られるのは次の興行の後になるだろうから……少し先になるだろう。
また、近くなったら連絡させてもらうよ。

……魔法、か。うちにも使える人間はいるが――拡張の類は、レパートリーには無かった、かな。
だが、料理に加えて魔法も、か……私はどちらも自分でするのは得意ではないな。

【『―――やはり周りに支えられてばかりだな、私は……』】
【誰に言うでもなく、独りごちた言葉。どこか自嘲する様なところすら感じさせるだろうか】
【ふっ、と短い吐息。グラスを手に取れば、軽く掲げて中身を少し、口に含んだ】
940 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/02(日) 23:24:45.18 ID:MZL0siLlo
>>937
【少年のその一貫した育ちの良さを見て、徹底しているな、と青年は思う】
【もともと育ちのあまり良くない青年からすれば、それはなかなか持ち合わせられないものであり、身につけられれば役立つだろうとは思うもの】
【しかしながら、人当たりを気にするようなその振る舞いは、青年としては息苦しいだろうとも感じられた】
【青年の振る舞いは、少年のそれとは全く異なるそれ。表情も態度も何もかも、人間臭いがどこか張り詰めたそれ】
【無意識の緊張感とでも言うべきそれが、一貫してこの青年の物々しい雰囲気を作り上げていた】

「仕事? ……あー、フリーのジャーナリストみたいなもんだ。
世界中飛び回ってな、色々取材してネットで配信するなりマスコミに売るなりして金もらってな。
……ま、要するに人の不幸で飯食う嫌われ者ってヤツさ」

【案外気さくなタチなのか、少年の問いかけに対して青年は早口ながらも聞き取りやすい口調で返答と為す】
【ジャーナリスト、それがこの青年の職業だった。己の仕事に対する批判を自虐的に口にしつつも、表情は真面目そのもの】
【己の職業に対して、一定の誇りを持っている人間であることが、その振る舞いから見て取れるだろうか】

「……へえ。こういう大雑把な味、お前さんみたいなのは苦手そうだけどなあ。
なんかこう――あれだ、おしゃれに紅茶とかエスプレッソとか飲んでそうな感じだ」

【歯に衣着せずに、そんな事を言ってみせる青年。その表情は、あまり動かない】
【少年が微笑みを貼り付けてそれ以外を覆い隠すならば、青年は微笑みを貼り付けることなくそれすらも表出させないそれ】
【表情や声色があまり揺れないその振る舞いは、上流階級故のそれよりかはもっと剣呑な経験で磨かれたものだろう】
【そして、目の前で悠々と浪費を続けてみせる少年を見て、僅かに目線をずらしてコーヒーを啜って空の月を見上げてみて】
941 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/02(日) 23:34:31.82 ID:/4KtGgoto
>>938

「ほォう……悪魔が欲望で生ィきていて何が悪い!」
「ヒャハハ、――さァーて、どォー調ォ理してやァろうかな、正義とかいィう奴らはいィッつも俺様の邪ァ魔ばかりしィやがって」

【右腕は初っ端に使えなくなっている、故に左腕を構えて――その掌を少女に向ける】
【集まりゆく邪悪な魔翌力、――このままそれが発せられた時、何が起こるかは未知数だ】
【――あと少しで発せられようとしていた、――が、油断は時に致命傷を齎すというモノ】

「岩晶を掴んだか……そォれ位くゥれてやる、枕代ァわりにでもどォーぞ――墓の中でだァがな!」

「――ッ!」

【――何か嫌な"におい"がした、力を感じる、何かが起こる、それもとんでもない奴が!】

【岩晶龍――別世界の古の時代、生物の上位に居た龍で敵は少なかったとされている】
【鉱物を喰らうその龍の鱗はまるで岩の様だった――そして、一部の鱗は結晶化していた、その結晶が"岩晶"である】
【その体長は――個体によっては、"高層ビルに頭を乗せられるくらい"あったと言われている、それは事実ということがいずれ明らかになるのだが】

【――はたしてそこまでの大きさを再現できたのかはともかくとして、しかしそうでなくとも】
【"岩"の龍なのだ、ある程度の大きさだったとしてもその重量は計り知れない――】
【――まともに受けていては生きて帰れないかもしれない、かといってかわすのは厳しい、となれば】

「く、糞ッ……記ィ憶が残ってやがった!」 「さァっきの墓石とは訳が違ェ……ちィッ!」

【……魔方陣が足許に現れたかと思えば、悪魔とその部下2匹が闇となり吸い込まれて、そして魔方陣も消える】
【逃げるしかなかった、今の力でこの龍の形を対処することができなかったのだ】
【――残されるのは岩晶の欠片と、幾らかの墓石の犠牲のみ。墓場は再び静けさを取り戻して】
【心なしか、食われなかった幽霊たちが感謝の意を伝えているような気がした――】

/お疲れ様でしたー
942 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/02(日) 23:46:07.79 ID:KsNDAzMqo
>>941

【――――――切れた、再生の途中で、その岩晶の中に込められた記憶に足りなかった】
【それでも、その岩晶龍≠フ強大さを知っている相手には、十分すぎるはったりであったのだろう】
【消えていく邪禍、並の相手であったならば、その強大さに気づくことすらできなかった筈だ】

【強い、と思った、それ以上に手強い相手でもあった、いずれまた、戦うことになったとしても】
【完全に力では負けていた、悔しさが心の中に飛来した、強くなりたい、そうは思うけど】
【見上げる空の景色、周囲に散らばったいくつもの破片が戦いの激しさを伝える】


……取り敢えず今は……全部、元通りに、しないといけませんね……


【右足と腹部と、右手と、ボロボロの状態であったが、それより先に墓石を直さなければならない】
【元々彼女の能力は、こういう場合の為の能力なのだ、と一人で思ってたりしていたのだろう】


/お疲れ様でしたー!
943 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 00:02:46.46 ID:UVpS6x0o0
>>939


『あ、ああ……、……そうね、思春期は色々と、大変よねぇ……』
『たこやき君はちょっと、他の子とはちょっと違うコトで悩んでるんだけど……まあ、本質は変わらないわね。』

『アタシ達もそうだけど、でもそれ以上に、キツい思いをしてるのは、……本人なのよねぇ、』
『でも、それを見守ってあげるコトしか出来ない。……のが、歯がゆい所なのよぉ……』
『あ、でも、逆に食べモノみたいに、自在に操れちゃうのも、楽しくないわねぇ……うふふ。』


【ふぉんてーぬも又、注ぐ視線は丸で母……父親の様だった。身を以て経験した事、故に色々と良く分かっている、そんな口振りだった。】
【……まあ、たこやきの場合は、他とは少々異なる状況、自己同一性が確立していない故の不安から生じている……という訳では無い様で、】
【どうやら何か複雑な事情―――初めジェイルがこの話題に触れた際、少々気不味そうな態度を取った事が、其れを顕著に示していたか。】

【一口、適当なチーズをつまむ。『ふふふ……』と零れる様な笑い、そっとワインで流し込めば、徐々にアルコールが回り始めたのか、】
【『あ、そう、代金は、気にしないでちょうだいねぇ、』と満足した様子。どうやら本当に有名店、中々に儲かっている様で。】


『あら、しばらくなのねぇ……あ、それじゃあ、お店の名刺、渡しとくわねぇ、いつでも、お電話してちょうだい♡』
『あ、出来たらその男の子も、連れて来て欲しいわぁ、……たこやき君と歳、近いなら、色々と、ね、………うふふ、ふふ……』

『……そうそう、お店、ずっとここにあるワケじゃないから、注意してちょうだい、』
『やっぱり、電話してくれると助かるわ……あ、食材の準備もしなくちゃイケないし、……そうね、よろしくお願いするわぁ〜♡』


【不敵な笑みを浮かべながら、ふぉんてーぬは会計近くに置いてある名刺を取り出し、ジェイルの目の前に差し出す。】
【濃いピンクと薄いピンクのハートで装飾された小さな紙、下手すれば他人から何かと勘違いされるかも知れないが、まあそれは仕方が無い。】
【然し其処には確かに、店の連絡先が記されてある。店の位置は不定だが、電話を掛ければ必ず連絡を取る事が出来るだろう。】

944 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 00:03:09.27 ID:Xnluv5D9o
>>940

へえ、ジャーナリストですか! 嫌われ者だなんてとんでもない、民衆に真実を伝える尊い仕事でしょう?
それにしても…………世界中を回れるのは羨ましいです。ボクは国外はおろか、家の外にすら無断では出歩けないもので…………。
今までどんな場所を訪ねられたのですか?

【少年はコーヒーを一口飲むと、すっかり興味を惹かれた様子で青年の話に耳を傾けた】
【青年の真面目な表情から何かしらを読み取ったのか、少年はその自虐的な言葉も真っ向から否定して笑ってみせ】
【どころか、かなり羨ましそうな様子である。ふと空を仰ぎ見る双眸は、未だ知り得ぬ異国の情緒を空想しているのだろうか】
【だがその横顔にあるのはやはり、芸術品のように計算し尽くされた微笑。そこに寂しさや悲しさの色合いは伺えず】
【例え本当はそう感じているのだとしても、それは殆ど完璧に覆い隠して、少年はまた無邪気な質問を青年へ送る】

そうですね…………普段はそういったものを嗜んでいますが。
けれどだからこそ、こういった物に新鮮な驚きを感じられるのですよ。

【青年の推測は正しい。だがどれだけ贅沢な物でも毎日続けば普通になり、いつかは飽きが来るということだろう】
【少年は楽しげにそう答えた後、またコーヒーを飲み進めていく。さすがに先程のような一気飲みではないが、今度はその分味わって飲んでいるようだ】

【――――その傍ら、少年は月を眺める青年の横顔を流し見る。その表情や言動が、自分と似ているようで違うものだと気付いたのかもしれない】
【少年が小綺麗に研磨された宝石なら、青年は岩肌から露出した原石の結晶とでも言おうか。美しいと言えば前者であるのかもしれないが】
【自然の生命力というか、つまりは人間らしさのようなものを感じるのは、明らかに後者であって――――】
【それに羨望を抱いたのか、それとも別の何かを抱いたのか。相変わらず少年の表情は、人形のように変化に乏しい】
945 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 00:17:00.58 ID:lx3rlpfsO
>>944
/*すいません……!無線ルータが死んだくさいのでPCがネットにつながらなくなりました
いつ復旧するかも怪しいので、適当に会話して帰った事にしていただければさいわいです
本当に申し訳ございません*/
946 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/03(月) 00:32:38.59 ID:Xnluv5D90
>>945
/oh……了解しました〜
/もしもすぐ復旧するような事があれば一応再開も出来ますので、その場合はお伝え下さい!
/とりあえず、お疲れ様でしたー!
947 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 00:41:57.35 ID:1RU0Ieqc0
>>894
「態々団長サマ直々に気に掛けて貰えるなんてボクは幸せ者だなぁ…………全部、遠慮するけどね
信用なんて落とし切っちゃえば後は上る事を目指すだけだし何も心配要らないよ
――――――しっかしねぇ…………乙女の肌に石枷なんかを着けた罪は深いよ?」

【再び手中に収まった愛銃。視線こそ男性へと向けたままだが、注意はメイドへと向けられて居た】
【即ち、メイドの動き・気配に注意を払っていた】
【今此処で起動されてしまえば面倒だ。殺める事は出来なくとも、一時的にその腕や足だけを撃ち抜いて止める事が出来れば良い】
【――――結局は一瞥もしないまま、銃弾は放たれて。狙ったのは手首と足首。その狙いは確かに正確だが…………動きを目で確かめていないとなれば、当たる保証も無い】
【……幸いにして逃げ道は開いたままだ。万が一の時はそのまま逃走すれば良い】


「…………ボクはねぇ。信用された事なんて少ないんだ。だから、例え世界が信じなくても其れで良い
だって、其れがボクにとっての平常なんだから
誰かに告げてただの嘘つきだと後ろ指を指されたとしても、ボクは堂々と歩いてられるよ。何にも知らない人達のそんな言葉なんてボクには風の音と同じ位どうでも良い
君の言う団長サマがボクの事を気に掛けてくれるなら、何時か直接聞こうかな

別に神様が何だ十戒が何だとか難しい話は嫌いだから、単純明快に何を考えているんだ。ってね
――――さて、じゃあボクは世界に嘘吐き呼ばわれされに行くから通して貰おうかな
あの鳥を討伐したときと、櫻の妖怪を襲ったときと…………其処に居た人達に会えれば、先ずはその人達に笑われにさ」

【クスリ―――ー最後の言葉には笑って返した】
【ひねくれ者。そんな言葉がピッタリな女は本当に修道女らしからず】
【救いの手なんかは差し伸べない。命じられたままに殺し、自由奔放に生きるだけ】

【その足は確実に出口へと向かっていた】
【もしメイドに傷を負わせる事が出来なければそろそろ起動する頃であろうし、そうでなくても長居は好ましく無い】
【…………何にしたって、もう終わりも近いか】
948 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 00:45:21.58 ID:GcIlsEJ2o
>>943

【男もまた、同じ様につまんで、またワインを口にしていく。しかし態度の不変さは、ここでも発揮される】
【―――単純に酒に強いだけなのだろうが、トーンも表情も、変わらない。言ってしまえば、それだけの事】

……――――喉元過ぎれば、というやつだ。
乗り越えてしまえば、いつか思い出として語れる時が来るものさ……

―――いや、それは私の気が済まない。
そうだな……これを代わり、と言うのは傲慢かもしれないが……

【話が代金の事に及べば、不意に懐から取り出したのは名刺のような紙が、二枚】
【ただし、名刺ではない。表面は黒く、そこに白字で書かれているのはMasQuerade≠ニいう文字】
【裏面は白地に黒いペンで、男の手書きと思われる署名が一面に】

【―――もしかしたら、どこかでMasQuerade≠ニいう団体について聞いた事があるかもしれない】
【最近少しずつ知名度を上げつつある、『能力で人を魅せる』という、能力者によるサーカス団。】
【確か、その組織の名がそんなものだった筈。しかし規模は大きくないし、誰もが知る、という程でもない訳で……】

もし私達の興行に出会したなら、仮面を着けている人間にこれを見せるといい。
これを持っている人は優先して案内するように伝えてあるから――――尤も、興味があれば、の話だがね。

―――ああ、それなりに人数もいる、連絡もせずに来ようなどとは思わないさ。
それに、私達とて夜を歩く者。こちらも一点に留まらないのでね。案外、その時には近くにいるかもしれない。

それと――――さっき話したメンバーだが、私の話し方が悪かったかな、男ではないんだ。
まあ、少し女性らしさに欠けてはいるのだが……

【受け取った名刺は懐へと収めて。苦笑を浮かべながらふぉんてーぬの誤解を解いていく】
【思春期の問題、しかもたこやきの話から派生したのなら、男の事だと思って当然であろう】
【しかも、その本人も男っぽい性格であるなら―――いや、そこは知らない事か】

【何にせよ、言い終えれば男は立ち上がる。器用にも、これだけ話しながら飲食はきっちり済ませていた】

ああ……済まない、そろそろ行くよ。少し、用事があるものでね……
949 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 01:16:24.75 ID:UVpS6x0o0
>>948

『ジェイルさんって、お酒に強いのかしらぁ、……何ていうのかしら、落ち着いてる、……って、やだ私、何言ってるのかしら…‥』
『……でも、そうよね、……たこやき君のコトも、そんな風に、話せる時が来るはず……あら、それじゃ頂くわねぇ。』

『MasQuerade……聞き覚えがあるわね、どこで聞いたのかしら―――………あら、ああ……あの子が話してたのは遊園地のコトよね………。』
『あ、優待券ってヤツなのね、これ! アタシ、こういうの初めてなのよ……! たこやき君と、絶対見に行くわね、ふふ……』

【その名刺らしき2枚の紙で、彼のサーカスが観られる―――ふぉんてーぬのその表情からも、純粋に喜んでいる事が見て取れるだろうか。】
【『たこやきくぅ〜ん! チケット貰っちゃったわよぉ〜!』と奥で作業をしている少年に声をかければ、直ぐに2人の元に戻ってきて、】
【ペコリとお辞儀。此方も又、頂いた物に対する、或いは彼の心遣いに対する、純粋な感謝に他ならなかった。】

『……あ、ごめんなさぁい、そうよね、男の子って、1度も言ってなかったわよね、』
『たこやき君のイメージが強くって、……つい、思い込んじゃったみたい、ふふふ……』

【流石に『どうしても男の子のコトに意識が行っちゃって……』とまで説明する事は無かったが、然しそれも誤解の原因の一つ。】
【……何の話をしていたのか、その脈絡を知らないたこやきは、頭に疑問符を浮かべていた。が、それも彼が帰るとなればスッと消え去る事となって。】

『はぁい、それじゃあ、また会いましょうね、……ご来店頂きまして、ありがとうございました♪』
「―――……ありがとう、ございました……」

『ちょっとたこやきくぅん、もうちょっと、元気な声で言えないのかしらぁ?』
「…………、………」

『ごめんなさぁい、いつも、こんな感じなのよ、……あ、この話は、したばっかりね、うふふ……』
950 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 01:17:40.37 ID:UVpS6x0o0
/あ、〆ですね! 
/お疲れ様でしたですよ! 
/ありがとうございましたですよ!
951 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 01:22:04.29 ID:mjzYintVo
>>947

【背後からメイドに放たれた弾丸はどうやら命中したらしく、そこかしこに血潮が舞った】
【ただ、それが果たして掠めただけなのか撃ち貫いたのか――それは分からない】

【どちらにせよ、当たったにしても彼女は更に上へと進むことが出来たし】
【そのまま鎧の内部に身を躍らせたのも事実。ややもすると、起動音のようなものが周囲に響き】
【しかしそれも――また加賀屋善助も、グリースの歩みを止めるには及ばない】

【いや、後者にしてみればそもそも邪魔をする気が無いようだった】
【彼は鎧から少し離れて、出口であり入り口であるそこの端に立っていて、魔力の篭った札を手にしており】

『――ァー、そうですよォ団長さん。今ね、そのグリースはんが逃げる所ですわ
 えェ、ヴァルゴは起動してますし、別に問題はないかと思ってるンですけども……はい?

 あぁ、ああ……声を聞こえるようにすればエエんですか?はいハイ――どうぞォ、団長さん』

【察するに連絡用の術式でも込められた物か。まるで電話でもするかのように善助は言葉を紡ぎ】
【やがてその札に手をかざすと――僅かなノイズがこの広い空間に響き、きっとそれは】
【グリースの元にも届くだろう。最初に聞こえたのは『フフッ』という馬鹿にしたような含み笑いで】


「……久方ぶりじゃあないか、グリース・イムリンパルス……日曜の礼拝には行っていないようだな?
 なあに、構わん構わん。貴様が不信心なのはチョッと調べただけですぐに分かった
 
 さて……どうだ、山奥の散策は楽しめたか?中々の見世物を用意したつもりだったが……
 精々気に入った事を世界中に言いふらして回るが良い。私はそれを邪魔しない
 宗教は弾圧するものではないからなぁ……貴様がそれを真実として信じるなら、そうしたまえよ

 もっとも、カガヤからも話はあったろうが……誰が貴様を信じると?
 世界中の教会に草の根運動か?それとも、UTやSCARLETの連中に口説いてまわるか?
 どちらにせよ、なァ……私は私だ。逃げも隠れもしないとも、ゼン=カイマで待っているだけだ。
 
 フフッ…!弾劾裁判でも異端審問でも開いてみせろ、或いは能力者の一団をけしかけてみせろ
 全て≠セ――貴様だろうが、世界だろうが……全て私は、正面から受け止めてやる――。


   あァそうそう――――――気を付けて帰れよ、シスター・グリース?」


【札が燃え、善助の小さな笑みの表情が照らしだされて、そして消えた。次に見えるのは――】

                          【月≠セ】

【――山は2つに割れていた。鎧の動きと連動して、そうなるのが道理だとでも言うように】
【宛らかつての預言者が海を割ったかのように、山一つを砕くより早く、そして音もなく、華麗に拓いていた】
【鎧がその割れ目から、丁度グリースの目指す出入口とは反対の方向から外へと向かう】

【一歩一歩がまるで小さな地震だった。ガラガラと積もった小石を振り落として動く、その姿は】
【皮肉なことに、月光によって黄銅と白金と、そして黒鉄の絶妙な色合いを――美しく′ゥせ付けていたのだった】
952 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 01:37:45.51 ID:CZfdLqTPo
>>949

ああ、こちらこそ、今夜は有難う。
またいつか、会おう――――――

【『次も主客の関係とは限らないが』と小さく呟いた声は、開いたドアから風に乗り、遠く夜空へ消えていく】
【暫く室内にいて、更にアルコールも入った身体は、冬の夜風で一息に冷やされる】
【そして男が向かったのは、先の公園―――そこには焦げ茶色の蓬髪の男がいた】

「……―――おや、マスター。もう良いのですか?」

ああ……練習は終わったのか?サビア。
放って行ってしまったんだ、まだやるのなら付き合うぞ?

【サビア、と呼ばれた男。彼こそが、フルートの奏者。特徴的なのは目元を覆う白いマスク】
【それはまるで仮面舞踏会をイメージさせる物。言うなれば――――そう、Masquerade】

「いえ……ワタクシはもう結構。しかしあの少年……以前“彼”が接触していたUTの少年に似ていたような……
 まあ、だから何だ、という話かもしれませんが……」

フ……まあ、そうならそうで構わないさ。私達のする事は変わらない。いや、変えさせない。
……戻ろう。あまり冷えても良くない。

「――――はい。ワタクシも、アナタに付いていく。そこに変わりはありません……」

【二人の男の姿は、不意に消える。その合図となるのは足下に現れた魔法陣】
【そこから放たれた光が二人を隠し、消える頃には姿もなく。奇妙な余韻が、夜の中に残るだけ……】



/お疲れ様でしたー!
953 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 02:15:19.95 ID:1RU0Ieqc0
>>951
【上から僅かに飛沫してきた朱の液が、乾いていた纏い物を再び濡らし】
【それでも尚止まらないとなれば舌打ち一つ行うが…………十分に逃げ切れると判断すれば追撃は無い】
【ともすれば、次は男性が何を行ってくるのか警戒する必要があるが其れも杞憂に終わり】
【札を用いた攻撃でもするのかと引き金を引こうとしたその最中――――聞き覚えのある声に、指が止まって】


「おや、ボクの知ってる団長サマはもっと筋骨隆々だったけど、暫く会わない間にぺらっペラの紙みたいになったんだね
それにさ、折角の日曜日をそんな退屈な事に費やしたくないよ。ボクってば、こんな風に見えても結構忙しいんだよ?」

【その笑い声には、皮肉を込めた言葉を返して】
【“忙しい”の意味は彼なら、そして副団長ならば知っていよう。単に遊んだり寝ていたりして過ごしている訳では無い】
【裏切り者、悪魔、害を為す存在。それら全てを葬る為に動くから“忙しい”】
【何時もの通り、緩んだその表情で言うのだから尚更憎い…………が。顔の見えない彼には意味の無い話だ】


「ん?あぁ――――…………何処かのメイドに剣で吹っ飛ばして貰って、手枷付けられて聖書みたいな囚人体験、極めつけは大型のアトラクションと楽しませて貰ったよ
何より色んな事が分かったしね
…………弾劾裁判も何も起こさないよ。ボクで気付けたんだ。時間が経てば勝手にみんなも気付いていくだろうさ
その頃には教会の信用もがた落ちだろうけど…………ボクの仕事には支障がないからね

――――心配有り難う。でも、今日はこんなにも月が明るいから転んだりする心配はなさそうだ
まさか、ボクが殺されるから…………何て思って言った言葉でも無いでしょ?
それと、団長サマ。どうせずっとゼン=カイマに籠もっているなら大聖堂に棺桶一つでも準備して居なよ
出来るだけフカフカで寝やすいヤツ。…………きっとこれから君は忙しくなるだろうから、倒れた後位はゆっくりする権利があるよ」

【その言葉を最後に男性が消えて、鎧も何処へと去って】
【どちらも一人で止める事が出来るなんて到底思えやしない。一先ずの危機が無くなったと判断したならば銃を収め、天を仰ぎ】


「…………そっ。山も開くし手枷も付けられたしまるで出エジプト記。石で叩き殺す事は出来なかったけどね
まーしかし、ちゆりは織り姫。ヴィーガ…………だっけ?そして今回は鎧で…………ヴァルゴ。星座、ねえ
で、団長サマと何時も居るアンドレイ。前に色々と話したっけ。…………騎士、か。偶然にしては出来すぎた話だね。今回は騎士討伐の勇者達でも描くつもりかい?
何にしたって、先ずは色々聞いたり話したりしなきゃいけない訳だけど。自警団にUTにSCARLETに…………あー…………面倒がらずに友達作っておけば良かった

――――アルテミスかフレイアか、そこら辺はぜーんぜん分からないけど。裏側を見せてくれない月なんて、ボクは嫌いさ
太陽が無ければ君達だって耀きやしないのに私が一番美しいーって顔してるんだもん。そのまま細くなって消えちゃえば良いよ」

【団長も出てきた。そして気になるのは――――あの画家だ。これまでの事件を振り返れば全て其れ等の生物が出てきている】
【そして、あの時は未だ討伐されなかった存在も今や討伐されている】
【――――極めつけは団長と繋がっている事だ。まさか、友人思いの団長が絵を描かせるために其れ等を引き起こしたのだとは考えられまい】
【副団長が言っていた封印を解くためで間違いは無いであろう。その封印が解かれた時に放たれるのは何か】
【――途中で思考を放棄すれば、月に対して悪態を吐き。これからどの様な立ち振る舞いをすべきか思案しつつ、女の姿も消える事だろう】

/この辺りでしょうか……!
/お疲れ様でありましたですよー!
954 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 03:00:35.73 ID:mjzYintVo
>>953

【――場所は変わり、宗教都市ゼン=カイマの大聖堂。無数の長椅子、ステンドグラス】
【そして彫刻に内壁の絵画と、何より最奥に位置する巨大な十字が目を引く礼拝の場】

【居るのはわずか二人であった。深夜だから当然といえば当然だが――】
【言うまでもなくそれは第三近衛騎士団のトップと、ナンバー2に他ならない】
【各々最前列の席を、通路を挟んで座っている形だ。無論、明かりは月だけである】

「……成る程な。やはりあの女、神を信じぬのも許せんが……そうか、そういう役割か。
 必要ないものとまではいわんが汚れ役……理解する知性は有ろうものを…。」

『アネさんなら分かってはると思いますよ、団長さん。それッぽかったですしなァ
 そうするンを良しとしてはるのか、それとも何か訳ありかは知りませんケドも……
 ……まあ確かなのは強いっちゅう事でっしゃろ。あっしとは相性、悪そうなヒトですわ』

「なに、いずれ殺す。棺桶も用意しろと言っていたからな……奴のために取っておいてやろうじゃないか
 寝心地の悪い鉄の棺桶が良かろう。薄板では、グールにでもなられた時に困るからな…。」

【――両者の間には小さなテーブルがあった。上には幾つかの色がついた駒がある】
【獅子、鳥、竜、姫、そして機兵。それらが丸い球体を取り囲んでいるという構図だ】
【しかし機兵以外は倒れていた。正確には姫はヨソを向いていて――】

「……そろそろ、勘の良い能力者共が気付くだろう。あの騎士団長が怪しい、と
 或いはアンドレイ……ダグラスにも疑念が行くかもしれないが、奴はまだ無名の男だ
 六罪王ダグラス・マックスウッドは未だ不世出……知り得る者すら、そうそうは居らん。

 カガヤ。お前は次の任務、そのダグラスの側に居ろ。奴はヴァルゴを間近で見たいそうだが……
 
 ……如何せん、あれは危険だ。人はおろか、街すらも一日で壊滅させられるだろう
 だからこそあのメイドのような……愚直な存在が必要だった。躊躇なくそれを成せる者が、な。
 怖気づかれては困る。それにその危険性、まさか正義を騙る連中が見逃そうはずもない

 ――必然的にヴァルゴが破壊され、神は奴を見る。搭乗者も無事では済むまい
 だからこそあの機兵に貴様を乗せなかったというのもある――カガヤ、お前は私の右腕だからな
 何より都合がいいのだ、ああいう手合は……ダグラスの元に居たのは、全く神のめぐり合わせとしか言い様がない…。」

【黒い艶髪を月光に覗かせながら、峻厳な騎士団長は滔々と物語りを続けていく】
【伸ばした右手は機兵に乗せて、くるりくるくると手遊びを続け――その一方で】

【角隠しを被った鬼面の副団長は、その人ならざる手を尚も倒れていない姫の駒に乗せ】

『そら、構いまへんけども……折鶴のアネさんはどないしはるんです?
 隠居言うても生きてはりますし、きっと見知ったヴァルゴが話題になれば出てくるに違いィない。
 
 あっしも、仮にも鬼やから知ってますケドも……あのヒト、恐ろしく強いですよ団長さん
 二人でかかっても本気出されたら、どうなるんか分からん言うのが本当の―――』

「―――だから頭を使うんだ、人間というのは。何のためにあの狼≠……
 わざわざ騎士団の半数を裂いて殺さずに生け捕りにしたと思っている?
 飼うためでもなければ恨み言を聞くためでもない。……お優しいのだろう、折鶴童子とかいうあの女は―――?」

『……なら、あっしから言うことはありせんなァ。
 でも、ねェ団長さん……あっしら、本当ォにこれで、機関なんかと手ェ繋いでて――あ、ッ…!!』

「ヒトになるなら、下手な疑念は抱かないことだなカガヤ。神は高潔な精神を尊ぶぞ
 そこに一念の曇りも無いのなら、それこそ最も崇高な信念足りうる……忘れるな、副団長。」

【―――カタン、と全ての駒が倒れた。同時にこれは偶然か、月に雲がかかったようで】
【真っ暗になった大聖堂の中、暗闇よりもっと悍ましいものが蠢いていた】

/ですかねっ!お疲れ様でしたー!
955 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/03(月) 11:41:02.11 ID:7U5E4ZI/0
【きっと身近な何処かの町】
【人々の出会いと別れがこの港町を照らしている】
【人々の豊かな声がこの町の特色の一つだろう】

「えーっと・・・この区画を右に抜けて・・・
この十字路を左に行けばいいのかな・・・?」

【通りずぎる馬車の荷台に乗せられた国々の特産物】
【それはこの場にいるだけで世界を巡れると錯覚される】
【地図を逆さまに持っている少年は活気あふれる市場に飲み込まれていた】

「あれ?・・・この先、海しかないぞ・・・? 」

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【年中無休で灰色のコートを身に纏い、フードを被って日の光から逃げているような少年だ】

「あれっ?ここどこ? 全然地図と違・・・」

【ここは人が行きかう港町、流れる人ごみに少年は道に迷ったようだ】
【辺りを見回し、逆さまの地図を見ながら歩き出す】
【目的地も現在地も何処かもわからぬ放浪旅】
【そんな調子では地図に目を取られ、道行く誰かにぶつかってしまうだろう】
956 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 17:09:36.90 ID:JnmnEvD30
//次スレです!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1391414846/
957 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/03(月) 20:35:19.45 ID:Hwt/iKeco
【小高い丘――最も近い国は水の国、しかしその端からすらも20〜30kmは離れている】
【その丘からは町が見える、はぐれ町だ、そこそこ発展しているようだが治安はそこそこ悪いようである】
【町の名は"ヤーツァタウン"――はぐれ者の巣窟。最近になって急に各種分野で活躍し始めているらしい】

「あァ……糞、こォの辺の悪霊共全部食ゥっちまって居ィねェーから、俺様は墓場行ィったんだよ」
「そォしたら、糞、……面倒な事になァりやがって、……まァ良い、別のレェストランを探すとすゥるか」

『相変わらず邪禍様は御元気そうで何よりでございます』

【その丘に体育座りをしている者は、黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【その背後に居るのは、執事の様な格好をした二足歩行の蝙蝠で、眼はレンズになっている】

「結局足ァりねェモンはわァッかんねェかったしィよォ」

【それは何かに悩んでいるようで、人の頭部サイズのツボを抱えて頭を捻りまくっている】
958 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 21:29:50.40 ID:qxsmjHDBo
>>957

【――――突如、クェーッ!と空から甲高い鳥の鳴き声が響き渡る。やがて翼のはためきが耳に入るだろう】
【目を遣れば、近付いてくる大きな「鳥」と思しき影が一つ。しかしそれは、鳥に似て、鳥の形をしていなかった】
【或いは見覚えのある姿だったかもしれない。それは鳥の特徴を随所に持つ、奇妙な「バイク」の姿だったのだから】


「クェェ――――!!」


【ダレかに譲った鳥バイク――“バークド”という名の生物は、頻りに鳴きつつ何かを背に載せて運んできているようだった】
【近付くにつれて見えてくるのは人影、聞こえてくるのは女の声だ。どことなく焦りの色を含んでいるようにも思える声音だが】
【どうやら丘に居座る二人へと向かってきているらしい。そうして間もなく、その正体は徐々に明らかになっていく】


…………もっ、ちょ、ちょっと! 言うこと聞きなさい、ったらぁ!!


【青紫の長髪の毛先だけをリボンで纏めた、黄色の双眸を持つ長身の女】

【丈の短い華美なドレスが、メリハリのあるグラマーな身体を包み込み】

【片手には、柄が螺旋状に捻れた身の丈ほどのハルバードを携えている】
【胸元を大きく露出し、馨しい香水の匂いと妖艶な雰囲気を身に纏うが】

【ドレスの裾からすらりと伸びるのはヒトでなく――「ウマ」の両脚で】

【見るからにバークドを制御することが出来ていない女は、体育座りをする者、執事然とした者の双方を見つけると】
【強張った笑顔を張り付けて、今にも空中へと振り落とされそうになるのをどうにか抑えながら――――】


お、おねがーーい! このコを止めてーっ!!


【――――二人に助けを求めてきた。進路は直進、猪突猛進の勢いでやってくるが――!】


/まだいらっしゃいますでしょうか?
959 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/03(月) 21:56:47.95 ID:Hwt/iKeco
>>958

「さァて、早く考えねェと……いィや、豆まきしィながら考えるか……」
「うゥむ、悩むか悩まないかで悩むって、そォりゃアたァだの時ィ間の無ゥ駄だァよな……」
『悩むか悩まないかで悩む事に悩むというのは大丈夫なのでございますか』

【悩むに悩んで、しかし結論にまでは至らず――時々手でツボを撫でたりしていて】
【――どこかから不穏な音が聞こえる、こんな辺境に誰かが迷い込んできたのだろうか】
【しかし"におい"がする、……とりあえず自分たちにも危険が及んでいる、というそれが】
【さて、……これに対して悩む必要なんてどこにもない――ツボを頭に乗せれば、何故か安定して】

「……バークド、だァとォ?」 「最近使ってねェからと言ィって、俺様は放し飼いにしィた覚えなんてねェし……」
「うゥむ、確かに譲った記ィ憶はあァるが……そォいつと色々一致しィねェのは気ィのせいか」
『とにかく邪禍様、この場を凌ぐのでございます』 「うゥるせェ、元俺様の飼ァってた奴ならこォっちだ――"破ァ!"」

【悪魔はツボを頭に乗せたまま立ち上がり、両掌を迫るモノに向けて――混沌とした真っ黒な魔翌力を発射!】
【――もし、それが誰かに譲ったバークドと同一の個体であったとするならば、その魔翌力は"止まれ"という命令を与えたに等しい】
【といっても、そうだとすれば手元から離れて結構経っているはずだ、完全に支配していたあの時とは勝手が違うはず】
【……100%効果のある命令とは言い切れないが、ともかく、こいつ的には回避・迎撃するよりスタイリッシュだと考えたのだろう】

【まともに被ると煙たくて仕方のないその魔翌力――衝突前に命令を下すことに成功すれば止められるだろうし、――】
【失敗すれば、……悪魔"だけ"と衝突事故。別に死にはしないが結構吹っ飛んでいく】 【結果的には止まるのかもしれないが……】

/まだいますん
960 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 22:20:06.01 ID:qxsmjHDBo
>>959

「グぇえッ…………!?」


【地面へと降り立つその瞬間、迫り来る「停止命令」の漆黒の魔力がバークドの顔面にクリティカルヒットする】
【バークドは煙たさに咳き込みながら、悪魔の手前数メートルにて急ブレーキを掛け、危うく衝突を免れる――が】
【問題は乗車していた女である。しがみつくようにしていたとは言え、バイクが急停止すれば果たしてどうなるか】


――――うにゃっ!!!


【想像には難くないだろう。要するに二次被害の発生である。女は勢いをそのままに前方へと投げ出されたのだ】
【情けない叫び声をこぼしながら、女は剥き出しの得物と共に空中を一回転しつつ、悪魔の方へぽーんと飛んでいく】
【何をするにも比較的容易いハズだ。しかし対処が遅れれば、壮絶な踵落としならぬ馬の「蹄落とし」が待っている】

【さて、バークドだが命令を与えられてからは大人しくその場で待機している。かつて譲渡したものと同一個体であるようだ】
【表情は変わらないものの、なんとなく上機嫌そうに見えるのは悪魔に懐かしさを感じているからなのか……定かではない】
【……とかく、女との衝突がどのような形かで終わりを迎えると、一次的喧騒は一先ず終焉を迎えるだろう】


/早速ですみませんが風呂のため少し時間が掛かるかもしれません! よろしくお願いします!
961 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/03(月) 22:45:08.42 ID:Hwt/iKeco
>>960

「ヒャハッ、やァはり……外に出ェた個ォ体は俺様が支ィ配しィていた奴だけ」
『邪禍様、乗車していらっしゃったお嬢様が投げ出されております』 「あァ? ……ブフォアァッ!」

【……止めたは良いが、慣性を考慮するのを忘れていた、ヤバいと思った時には既に遅かった】
【障害物の少ないこの地に、――そういえば、近くに巨大な岩山の様なものがあるが、それくらいか】
【ともかく、クリーンヒットの音が……それはそれはもう、ゲームの効果音としても十分なくらいに響くのだった】

【悪魔はその衝撃で後ろに倒れるが、それに釣られて倒れたとしても悪魔をクッションに出来る……したらしたで三次の被害が出るのだが】
【結果がどうであれ、倒れたままの体勢で悪魔は叫ぶのだった――額から血を流しながら】
【……そんな悪魔が何度かダメージを受ける直前、ツボから魔翌力の翼が現れそれで飛び、さりげなく回避していたり】

「テ、テメェーッ、何しやがるッ!!」 『邪禍様が急にお止めになったのも……』 「うゥるせェー、先手が悪い!」

「……グゥルルル、まァ良い、"嬢ォちゃん"……どォこの馬の骨だァか知ィらねェーが」 『う』 「狙ってねェ」 『まだ何も申しておりません』
「とォにかく、……そォの鳥バイク、"バークド"……命令が効ィくなら生ゥみ出したのは間ァ違いなく俺様だ、……」
「……何ァ故持ォっていィるのかが気ィになるとォころだ」 「外にやァった個体数なァんて片手で十ゥ分だァからな……」

【――額を抑えながら、問いかける】 【その途中、どこからか固形燃料を出し――バークドに投げ食わせようとし】
【バークドの所持者が変わったから怒っているという訳ではなさそうだ、そもそも怒ってもおらず口調はまあまあ落ち着いている】
【おそらく、単純に気になっただけなのだろう――自分が把握していない動きが】

/了解ですー
962 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 22:50:26.23 ID:mjzYintVo
【――某都市・郊外】

【キキッ!≠ニいう音を立てて、一台のジープが公園の外に停車した】
【乗っているのは、クリーム色のスーツを着た壮年の男だ。夜なのに、サングラスをかけていて】
【他に目立つのは金のネックレス、腕時計、そして中折れ帽と――宛らマフィアの出で立ちであり】

―――アーッハッハッッハッハッ!ザマァ見やがれってんだあのチンピラ共め!
人がしばらく静かにしてりゃゴミのような品でこっちのシェアを奪うわ
うちの組の若い連中そそのかして引っ張り込もうとするだの……―――

D.R.U.G.S.≠フスペーツィエ・ファミリー≠甘く見るから「こう」なるのさ
あァまったく以って良いザマだ、今頃こんがりレアテイストか?ハッハッ!

【夜、そして場所柄誰も居ないと思っての言葉だろう。鬱憤を吐き出すようにそう叫ぶ】
【些か――いや、恐ろしく物騒な言動だ。ところで今夜、市街地でこんな事件があった】

【新興暴力組織の事務所襲撃≠ニいう――まあ、背景のわかりやすそうな一件】
【手口は簡単。幾つかの事務所に手製の強烈な爆薬を放り込んで吹っ飛ばす、それだけだった】
【奇遇だが、彼の乗るジープの後部座席にはダイナマイトが積んであって】

【――声は公園内からでも聞こえるだろうし、爆薬は路面から覗きこめば見えるだろうし】
【ちょっとばかり物騒だったが、マフィア風の男は葉巻に火をつけ始め、ご満悦の様子だった】
963 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 22:51:13.52 ID:1RU0Ieqc0

【怪談話も立たなくなってしまった程に廃れてしまった神社】
【訪れる者なんて勿論居るはずも無く、ただただ時を経て風化していくだけの其処だったけれど】
【―――――清んだ童唄が響いていた。子供達が歌っているならば分かるけれど…………どう聞いても女性の発する声】


「――――そうねぇ。もう何時の事かしら
こうしてだーれも居なくなってしまったのは」

【こんな時間、こんな場所で声がするのが異常だと言うのに。更には、神聖染みた気配が漂っているのだから、人が疑問に思うには十分】
【…………しかし、近くに村がある訳でも無い。在ったとしても、嘗ては其処に村が存在していた名残程度】
【其れ故に、此処に訪れるとするならば偶然通った者に他ならないか】
【シンシンと降る雪に雑音も消され、先の童唄だって存外遠くにまで聞こえる筈で】


「巫女も神主も、遊びに来る子だって居なくなってしまったけれど…………
ふふ。あの子の子孫達が元気なら、其れで良いわね」

【此処だけ忘れ去られた時の中。気紛れに散歩でもしていれば、そんな不思議な女と会うことだって珍しくは無い】
【例え境内に入って声を掛けずとも――――来訪者の存在に気付けば、にこりと微笑みを向けて】







【寒さも厳しくなり始めた今日この頃。大通りに面した銭湯も実によく賑わっていて】
【親子連れや独り身、カップル等様々な客層が見られる事だろう】
【そんな中、掲げられた特徴的な暖簾の前で悩ましげに行き来する姿が一つあり】

【一切の乱れなく着こなした軍服に制帽。眼帯で右目を多い、軍刀を腰に提げている姿は容易に性格を連想させるだろうか】
【腕には“自警団”所属を示す腕章を通しており、更には其処に“SCARLET”所属を示すバッヂも付けてあって】


「…………悩むでありますね。日々のご褒美と称して温泉に浸かるのも良いでありますが、向こうでは同じ金額でパフェを食べられるであります
なら、向こうで何か食べた方が…………む、むむ…………迷うでありますよ」

【時折財布を確認すれば、銭湯の入口と、また直ぐ近くにあるレストランの入口とを見比べて】
【少しすれば再び歩き始めて、自分の煩悩と格闘するのだろう】
【温泉に入るべきか、それとも甘味でも食べるべきか。優柔不断な少女からすれば其れは中々に難しい選択】
【さて、その呟きを聞いた者が横から声を掛けたり、或いは顔見知りが誘うなりすればまた結果も異なるのだろうけれど――――】
964 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/03(月) 22:59:03.85 ID:cSKBAq0Ho
【路地裏】

【雑居ビルの屋上に2人、男が木箱の上にカバンを広げて話していた】

『――――これで仕舞いだミスター、ロッソ…いや、今は違うか』
……個人貿易商の、ミスターレディランド。パスポートにはそう書いてあるぜ

【パスポートを革のアタッシェケースに投げ入れる。他には新聞と替えのシャツ】
【そして帯封のついた札束が幾つかあり、それを木箱の上に並べてカバンの金具を閉じる】

フェイクなら何でも一級だな。まあ、いい。次、会うときは別の顔かもしれない。気づけよ

【男はケースを持って、錆びついた非常階段を1段1段気をつけながら降り始めた】
【革靴に有名ブランドのスーツ、そしてウール地ダブルのロングコートの男。グリーンがかったレンズのサングラスをしていて】
【その右頬や首筋には大きな火傷痕が残されている。寒い風が吹くがスーツもコートもボタンはしめて居ない】

【下まで降りきった。そこは明かりもそこそこの不気味な路地裏の中。室外機が静けさをかき消していた】
【彼はポケットから煙草の箱を取り出して、何気なし一本に火をつける。煙は夜に溶けていく】
【どっちへ歩こうか、どちらも薄暗がり。煙草をくわえながら適当な方へ歩き始めた】
965 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/03(月) 23:22:50.41 ID:ZfT8/+Cd0
>>963

【もはや人がいなくなり時を経て風化してゆくこの場所に】
【一人ふらりふらりと歩いてくる男がいる】

【茶色いコートに白く袖の長いワイシャツ、ベルトつきの裾の長いズボン】
【髪は少々長い】
【片腕には義腕をつけているが手の部分は黒の手袋をはめておりよく見ないと義椀だとわからないだろう】

 たまにはこう仕事を休んで一人旅をするのもいっきょうなもんで

【一人そのようにつぶやきながら歩いてゆく】
【どこも目的地とせずにどこに行こうとも思わずに】

【そして目的もなく歩いていた男に聞こえてくるのは童唄】
【その童唄を聞き、聞こえたほうを見てみるとそこには廃れてしまった神社があった】
【だれかいると男は思い神社のほうへと歩を進める】

【そして境内まで階段を上ってゆき境内に到着すると女が見えた】
【この女が童唄を歌っていたのだろうとも思いなぜここにいるのかと疑問にも思った】
【すると女はこちらにきずいてにこりと微笑んできたそれに対して男は女に一礼して】

 あーと、あんたがさっき歌ってた人でいいよな

【ちょっと気まずそうながらも女に対してそう聞いた】
966 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 23:39:47.61 ID:qxsmjHDBo
>>961

【「蹄落とし」を食らった悪魔が転倒すると同時、受け身叶わず女もどすんと悪魔の上に倒れ込んだ】
【相手をクッションにしたことで衝撃が和らぎ、ぐうと軽く呻くのみ。因みに彼女、結構な重量がある】
【甘い芳香がいっそう強く鼻腔を擽り――そこに混ざる、魔のものに近い“におい”を感じ取れるだろうか】


…………あっはは、ごめんごめん、ごめんなさい! 止めてくれてありがとぉ
でもでも仕方ないのよ、だって乗ってみたら急に暴れ出しちゃってんだモン


【全く悪びれることなく笑顔を咲かせながら、女は悪魔から退きつつハルバードを支えに立ち上がる】
【幸い手にした得物は地面すらも傷付けなかった。シャボン玉のように絶えず色合いを移り変わらせていて】
【そこに立てば、彼女は視線をキョロキョロさせる。悪魔と、壺と、それから執事の順番に目を遣ると】


あぁ、あの鳥ちゃん……バークドちゃん?って、キミのものだったんだぁ、へぇ!
なんか飼い主が居ないみたいだったからー、ちゃぁんと見つかって良かったかも!
なんで持ってるのかって聞かれたら、まぁ、話は長くなるんだけどネー…………


【最後に投げられた固形燃料に食い付くバークドへと視線を移し、勿体ぶったように語尾を間延びさせた】
【「飼い主が居ないみたい」――気になるワードではあったが、女はすぐには答えず髪の毛を指先で弄る】
【それから結った毛先を持ち上げ、結んでいたリボンをするりと解き、それを掲げて悪魔らに見せるだろう】


…………えっとねぇ、“これ”を拾ったとこに、バークドちゃんが来たってワケね。


【よく見ればそれは、リボンではなく“ループタイ”だった】

【眼球を模したカメオは何かに貫かれたように罅割れて、そこから“桜色の燐光”が花びらのようにちらちらと舞っている】
【桜色のそれは何かの残滓に違いない。ループタイも、記憶にあればバークドの元々の所有者のものであることが分かるハズだ】
【何があったのかは未だ語られないが――それでも、元所有者の身に「何かがあったこと」だけは確かだった】


/お待たせしました!
967 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/03(月) 23:41:19.19 ID:1RU0Ieqc0
>>965
【人間だとか魔物だとか、この世界では様々な種族が存在しているけれど】
【――――どうにも、女には其れ等に通ずる様な“生気”が無い。確かに居る。姿も見える。でも、居ない。そんな矛盾した存在だ】
【声も在り姿も在るが、だけれど生命特有の物が無いのだ。だから悪魔の化身かと問われれば、襲いかかる所か愛想の良い微笑を浮かべているのだからそうでも無く】
【まるで神聖だけが固められ、姿を成したような存在】


「ええ、そうね…………ご名答、と言っておこうかしら
ずうっと昔の名残でついつい口ずさんでしまうのよ。今はこんな場所だけれど、昔は良く子供達が遊んでいたから――――
こうして唄ってみると、その時の光景が瞼の裏に浮かぶの」

【幾ら朽ちて居ようとも、賽銭箱に腰を掛けるのは無礼だとか思う者も居るかも知れない】
【否、それ以前に二十代前半の容姿をしていながら“ずうっと昔”なんて言葉を放つ事に疑問を持つかもしれない】
【カラン、と下駄の歯が石畳を鳴らす音。無論、女が座っていた賽銭箱から飛び降りたから生ずる音】


「それで…………貴方はそんな童唄に誘われて来た迷い人かしら?
此処は不思議な世界、という訳でも無いから振り向いて歩けば直ぐ帰れるのだけれど――――
ふふ。こんな所に訪れる人なんて、あの子振りね」

【気まずさを露わにする男性に対しても、まるで気にするなといった風】
【達観とまでは行かずとも人とは掛け離れている事は確かであって】
【――――何よりも、“あの子振り”との言葉が引っ掛かるであろうか。まるで、この朽ちた神社に住まう様な口振り】
968 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 00:16:01.05 ID:sra7py/So
>>966

「グゥェッ!」 「……グゥルルル……速くどォけィッ!」 「……そォれに、、見ィての通ォーりそォいつは鳥ィ!」
「"手ァ綱"を持ォっていィなければ"慣ァらして"もいィねェ奴がいィきなり乗ォったらパァニくるだァろォーがッ」

【……バークドの件についてはともかく、こちらの件については多少怒っているようだが】
【見た目からも人間で無さそうなことは察しが付く、においがすれば更にわかる――それに、あまり怒るのは身体に良くない】
【人間には色々と厳しいが、そうでなければ"良くも悪くも"気まぐれ。……欲しければ手に入れようとするが】

「そォーよ、そォいつの"種ゥ族名"は、"バークド"だ」 「んゥ、ほォう……誰かの飼ァってたバァイク拾ったと……」
「別にブリーダーに持ォっていく必要はねェーと思うが、偶ゥ然だァろォーしそォれは別に良ォい」

【飛んでいたツボが再び悪魔の頭の上に乗る、……そのポジション、気に入っているのだろうか】
【――見せられたそのリボン、否、ループタイには見覚えがあった、昔に嗅いだことのあるにおいがした】

「……なァるほど、俺様特製のこォのバークドをやァった"あァいつ"になァんかあァったってとォころか」
「あァ、……安心しィな、やァった奴の顔を忘れる様ォーな薄情な奴じゃアねェからな……」

【――嗅いだことのあるにおいが一つだったとは言っていない】

「ヒャハッ、そォれに……犯人の顔も見ィえるなァーッ、俺様の取ォり逃がした"獲ェ物"のよォォオオ!」
「……まァー、そォれがわァかったとォころで今場ァ所が分ァかる訳でもねェーがな!」

【桜色の燐光。――記憶が正しければそっちのにおいもどこかで嗅いだことがある、そんな覚えがあったのだ】
969 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/04(火) 00:26:11.18 ID:7AnY/ySB0
>>967

【この女には生気がない、最も男にはあまりそのようなことは関係がなく】
【神聖だろうとなんだろうと男が目の前に捉えているのは女である】
【それかそのようなところにきずいていないだけなのかもしれない】

 へえ、ここには子供が来ていたんですか
 まあ、子供が遊ぶにはちょうどいい面積もありやすね
 ――昔の名残?、ここに住んでいたので?

【昔の名残、男はそこに当然のように疑問を持った】
【目の前にいるのは女二十代前半の容姿をしているのにそのような発言が飛び出ることに】
【人外の種族とそのように疑問を抱きつつも確信できずに】

 まあ、なんでしょうね
 旅をしていたんですよちょいと思い悩むことがありましてね
 で、その思い悩むのを吹き飛ばそうと

【自分がここに来た理由を男は女に話す】
【思い悩むことそれは自分の故郷に帰るべきかどうかということだ】

 あっし以外にもここにね
 なかなかどうして変わり者はいるもんでさあ
 いや、あっしもかなあ

【その台詞とともに静かに一人で笑い顔を作る】
【人とはかけ離れていたとしても男は女に対するへんけんはもたない】
970 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 00:27:01.56 ID:GsJLEfJVo
>>962

【彼の葉巻に万遍なく火が通って高級な香りが調度良く立ち始めた頃】
【ヘッドライトのオレンジが通りの角を曲がって来た、通過せずに少し行った先で停車した】
【曇り一つ無いツヤのある黒塗りのセダン。ガラスのスモークで内装は見えないがメーカーのロゴで高級なのが分かる】
【エンジンはアイドリングしたままチカチカと停車中のライトが点滅してる。バタン、とドアが明けば運転席から】

精が出ますね。あんな事務所1つ相手に、何キロの火薬を仕入れたんですか?
爆煙しか見ておられないのなら残念。現場は凄惨たる、の一言でした。

【丁寧な、それでいて冬の風のような冷たい女性の声だ。彼女はマフィアにも怖気づく様子はない】
【長い黒髪を髪留めでポニーテイルのようにした、切れ長の目の薄化粧の女。銀縁のメガネをかけ】
【黒いシックなパンツスタイルのスーツに身を包み、腰に2つ、朱塗りの鞘の刀を下げていた】
【彼女を知らずとも業界のものならば彼女が上着の襟につけているバッチを見れば分かるはずだ。】
【金色の四つ割菱。D.R.U.G.S.唯一の穏健派、武闘派。富嶽会の”代紋”だ】

失礼、挨拶が遅れました。富嶽会の秘書をしております。霧崎と申します。

【ヤクザで秘書は違和感を感じるだろう。本当に秘書かどうかはとるに足らないことだ】
【知っておくと良いのは彼女の異名、苗字をもじった”斬り裂き”の方であろうか】
971 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 00:51:32.41 ID:+jkK6CcSo
>>970

【スパッ、と――まさしく葉巻の香りを楽しみ始めた折、新たに車が視界に入る】
【警察ではない、ふっ飛ばしたチンピラが乗るような安い車でも断じて無い】

じゃああ誰かと思ってみれば、こりゃ以外……あぁ、三キロ程度だ
といっても一部はまだ後ろに積んであるし、事務所吹き飛ばすには十分過ぎたろう?

私はね、お嬢さん。これでも自分のファミリーには誇りを持ってるんだ……
落ち目だろうが、何だろうが……それを汚し、ばかにする連中は許さない。
それに盛大な方が好きでね?他の連中も、これに懲りてしばらくは黙るだろうさ

【相手が姿を見せて、声を発せば、マフィアの男もまたそれに答えた】
【現場は凄惨と言われれば満足気に髭もじゃの口元を歪めてみせるし】
【一方で己のポリシーだか、やり口だか――それを語れば、どっかりと背もたれに体重を預け】

……アンタがあの富嶽会の。話には聞いてる、ソッチも大変らしいじゃないか
俺はキマイラ・ファミリー傘下の「スペーツィエ・ファミリー」……ビスク・フランコ≠セ。

まあ、好きに呼んでくれたまえ。ところでどうだね、大変なところ同士仲良くってのは?
君の所がクスリを扱うなら縄張りの折衝をしてもいいし、武力提携でも良い。
ウチはボスがまだ年少でね?事務一切の仕切りは俺なんだ、つまり……話は速いほうがいい、違うかね?
972 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 00:55:08.13 ID:KxBWgXwX0
>>969
「住んでいた…………と言うより、存在していた。が、正しいのかも知れないわね
私はあまり遠くへは行けないの。だから、ずっとずっと一人で時の流れを見ていたのだけれど…………
気付いた頃には近くに村が出来て居て、そのままお社まで建てて貰って
――――昔は沢山子供達も居たし、お祭りだってしていたのよ?ふふ……今は、もう偶に動物や貴方みたいな迷い人が来るだけになってしまったけど」

【何処か懐かしむ様に彼方へと視線を送る表情はからかっている様にも思えない】
【最低でも一つの村の繁栄から衰退を見届ける程の年齢。苗木から大樹に生長するにも等しい程の時間だ】
【そんな中を生きて、衰退した後も生き続ける。そして、誰も訪れない神社で一人住まい続ける】
【人間であればとうの昔に気が狂っていようが、この女は正しく人外。こうして言葉のやり取りを出来る程に理性を保っていた】


「旅、ねぇ。私にとっては敷地が全ての世界だからとっても羨ましいわね
悩みが有るのも、其れを解決する為の手段を探すのも楽しそう
――――どちらかと言えば、私は常に悩み事を解決するお手伝いをしてきた側だもの」

【ならば賽銭箱も本殿も頷け様。ただ、祭られる側としては人間に対してとても友好的な存在】
【話を聞けば子供達と遊んでいた事も分かるし、自ら嘗て此処で行われていた祭りに姿を現していた事も分かる】
【気さく、とでも言えば良いか。姿を見せる事を渋る事無く、神社に行けば会えるような存在だ】


「良いんじゃ無いかしら。変わり者の方がきっと楽しいわよ
皆が皆同じだと詰まらないものねぇ…………どうせなら、少し違った生き方の方が見栄えも良いわ
宝物の箱だって、全部同じ物だけじゃ味気が無いのだからきっと其れと同じ事よ
――――嗚呼、そうそう。だけどみんな何時か命が尽きてしまうから
だから、帰った方が良いわよ。多分、そっちの方が悔いが残らないもの」

【クスリ、と小さな笑みを返して】
【最後に付け加えたのは男が吐いた悩み事に対する答えだ】
【――――“解決”を手伝う側。何と無く、そんな理由も分かろう】
973 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 01:11:33.06 ID:v0p6CPuro
>>968

……むむむむむっ、ふーんだ、どうせ自分のペットも躾けられないような牝馬ですよーだ!
怒らせたくてひどいことしたんじゃないもん、ただ仲良くなりたかっただけなんだもん……!


【その言葉に女は、ワザとらしく頬を膨らませて不満そうな顔をしつつ、幼い子供のように拗ねてみせた】
【「そんなに怒らなくてもいいじゃんねー!」と同意を求めながら、盾にするよう蝙蝠の後ろに立とうとする】
【悪魔に対しベーッと舌を出しイーッと歯を剥く姿は、場合によっては引っ叩かれても文句は言えないだろう】
【それでも、これ以上反論してこないということは――悪魔の言葉は正論で、とにかく図星のようだった】


……そのバークドをやった“あいつ”って、まさかまさかの、“こいつ”のことだったりして?


【罅割れたカメオを指差して、問うように首を傾ける。意識して嗅げば、更にもう一つの“におい”がすることが分かるだろう】
【本当に極めて微かではあるものの、血肉や腐敗臭に混じる“あいつ”――件の『キョウゾウ』のにおいが、そこにはあったのだ】
【生き物を取り扱う悪魔ならば、恐らくは鮮明に判別することが出来るであろう。これぞ彼奴の“正体”である、ということを】


えっとねー……実はね、霊香ちゃんの躾けられなかったペットっていうのがこのコのことなのよネ
それでそれで、見つけたときには時スデに遅し……って感じでヤラレちゃってた、ってワケ!
で、傷だらけの女の子が倒れてたからー、なんとなく気分で手当てしてあげたんだけどぉ……


【経緯をつらつらマイペースに語る女――『霊香』という名前らしい――は、ふと押し黙って思考を巡らせる】
【そうしてポツリと「取り逃がした獲物ね」と呟けば、実に愉快げに、楽しげに、ニッコリ笑うだろう】
【それは決して黒いものではない。例えるならば、子供が遊び道具を見つけたときのものと似た笑顔で】


……ふふ――ねーえ、悪魔さん。 その獲物、取り逃がしたんなら……もっかい捕まえたいと、思うよね?


【女は悪魔に、悪戯っぽく問い掛ける。キズもののループタイをくるくると振り回し始める】
【先程はこれがペットだとか何とか言っていたが、ヤラレても寂しがっている様子が一切無い】
【つまり未練が無いのだろう。何にしろ、“このコ”は一つのキッカケに過ぎないのである】


/時間かかって申し訳ないです、リミットなどがございましたらいつでもお申し付けいただければ
974 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 01:35:29.23 ID:GsJLEfJVo
>>971

貴方のファミリーのメンツというものも重々承知しております。
それに、あのようなチンピラ上がりの半グレを1つ2つどうしようと構いません。
が…同じ”D.R.U.G.S.”である以上、全くの無関係というわけにはいきません。
裏の事なら影から出ない程度にしていただきたい。ただでさえ苦しい現状…警察の締め付けが厳しくなれば
お互いのビジネスにも影響が出ますでしょう?…何なら、ウチで処理しましたのに。

【口を開けば丁寧なものいいではあるものの内容は苦言を呈するといった様子】
【穏健派の立場上、こういうのは当たり前なのだがD.R.U.G.S.の関与が疑われれば】
【D.R.U.G.S.全体に何かしらの影響が出る事は必至だろう】

【それと、もし富嶽会に任せていたとなればその腰の刀が振るわれていたのだろうか】
【どういったことをするのかは推測できないがきっとダイナマイトで吹っ飛ぶほうが幸せなはずだ】
【元々、武闘派の組織だ。刀を使う理由が欲しくてたまらないのかもしれない】

ええ、まあ、昔ほどには影響力も無くなってしまいましたけど食うに困るほどでは…
……まあ、その程度です。力が落ちたのはお互い様でしょうけれど。
存じ上げております。どうも、今後ともよろしくお願いします。

【D.R.U.G.S.内の立場としては向こうが上になる。彼女は秘書らしい手本の通りの礼をした】

…ええ。悪い話じゃありません。丁度、内部でもどこかと繋がっておくべきと思っていたところです。
しかし……ウチにとってのメリットが気になるところです。ウチは麻薬は扱っておりません。シマは既に
D.R.U.G.S.内全体に一部割譲して麻薬の売買を許可していますし、武力の方もすぐにやられるほどではない。
一体、何の為の提携か、リスクとメリットをハッキリさせて頂かないと。考慮のしようもありません。

【予想通りかもしれないがそう簡単には動かない組織である。カネはないが意地はあるというステレオタイプのヤクザだ】
【余程切迫した事態か、利益になるプランを用意しないと彼女の刃のような眼光はイエスと言わなさそうだ】
975 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/04(火) 01:35:36.24 ID:7AnY/ySB0
>>972

 なるほどな、あんたは神様とかいや土地神ってところかね――だってお社立てられているし
 ずっと一人でねすごいもんで、あっしにゃあ無理だなそんなことは――そんな長い時間生きてりゃ退屈が増えちまう

【女が語った自分の人生とどこか懐かしむようにかなたへと送る表情】
【それで男は女が人外であることに確信してそしてここまで理性を保っていることに敬意を持つ】
【この神は寂しくないのだろうかと思いつつもそれは愚問だと判断して】

 そうですかい、その子供たちは笑顔だったんでしょうね、あんたのような神様がいたんだから
 
 旅つってもそこまでたいそうなもんでもないですよ
 ――まあ手段といってもそこまで大きな手段を探してるわけでもねえですし
 手伝いですか、まあ悩みを聞いてくれる存在は貴重なもんですからね

【この気さくな女は人間がすきなのだろう】
【子供達と遊んだり祭りに遊びにいったりしているからそうだと思った】
【まったくもってこの女とめぐり合えたのは幸運かなと心の中で思う】

 まあ、同じいのはつまらないだっていうのはあっしも大賛成ですよ
 ……ま、あっしの人生なんかに見栄えっていうやつがあるかどうかはわかりやせんが

 ――悔いがのこらねえか
 あっしの故郷には縁を切ったとかそんな勝手しておきやしたからねえ
 悔いなんてもんはねえとそう、思っていたんですがねえ

【悔いが残るとそう女に言われたけど、縁を切って、それでもう悔いは残ってないはずなのに】
【そういわれるとなんだかもやっとした感情が生まれてしまって】
【それは男の表情にも現れているようで】
976 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 01:53:20.69 ID:sra7py/So
>>973

「ヒャハッ、俺様のよォーに"支ィ配力"を持ォってねェーなら、躾はしィっかりな!」

【元々張り合うタイプというかなんというか、追い打ちをかけるようにそう言って――】
【一方、盾代わりにされた蝙蝠は……『ワタクシ、邪禍様の執事で御座いますので……』等と言いながら戸惑っている様子】
【とりあえず、引っ掻いて来たり等――物理的な攻撃はしてこない様子】 【……支配力の意味が違うのはさておいて】

「――そォーよ、"あァいつ"で"こォいつ"……んゥ?」
「ふゥーむ、……なァーんか違ィ和感あると思ってたが……"混ァざってた"のか」

【――やはり、間違いない】 【ただ、一つ……今まで二つのにおいがごっちゃになっていたようだが、今はもう問題ない】

「ヒャハハハ、俺様の部ゥ下も眼ェ離した隙にいィつの間にか死ィんでるぜ、結構」 『ワタクシの仲間も犠牲になりました』
「まッ、俺様なァらば部ゥ下の治ィ療なんざ朝飯前だァから問題ねェがな……ククヒャハッ」

【その笑みは、倫理を遠い遠いどこかに投げ捨てた暁に手に入るような黒いモノだった】
【――悪魔の耳がぴくり、と動いた】 【取り逃がした獲物、収支がマイナスのまま終わる様な優しさはない】
【あの時感じたのだ、奴の"力"は使えると――あの時思ったのだ、"前払い"の分はきっちり返すと】

「……ほォう、嬢ちゃん、……そォんな分ァかり切ィったことを問ォうか、こォの俺様に」
「欲ォしいからと"四蛇と母"を得ェるたァめにこォの世ェ界を何年何十年と探し求め、」
「強さを求めて"ヨルムンガンド"をめェッちゃくちゃな歳月を費やし育てた、こォの邪禍様が……"NO"という訳がねェだァろう?」

【どす黒い笑みが更に染まる、悪しき闇に――ツボが溢れ出た感情を喰らい、眼の部分が妖しく光る】
【答えはYES一択だった、――そう、この悪魔は彼女の話に今乗っかろうとしている】 【とはいえ、まだどうなるかはわからない――】

/特に予定などは無いので大丈夫ですが、寝落ちの恐れがあるので続きは明日に回していただきたいかなーっと思います、すみません
977 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 01:55:57.12 ID:+jkK6CcSo
>>974

ビジネスに影響出るから慎んで、と……至極まっとうなご意見をどうもレディ。
で、それは君の腰にある刀が代わりに言ったのか、それとも御好意からかね?

……なに、心配は要らない。これでも私はかれこれ30年近くこの世界に居るんだ
単なる手違いで爆薬を余らせるほど、ウチも金には余裕が無い
ジープだって実のところ借り物でね?いや、持ち主にはヒトコトも断っちゃいないが……

【――男は、ビスク・フランコは車を居りた。しかしその直前、いささか奇妙な行動もとっていた】
【まず車を動かした。すぐ側の公園に車の先頭を向けて改めて停車したのである】
【そしてギアはそのまま――自然、車はゆるゆると公園の奥、大きな池の方へと走りだし】

さて何の話だったかな、提携のリスクとメリット?そりゃ、君が考えるんだ
世の中は誰かと誰かの手の取り合いだ、俺が出したてを君が取るかは自由だし
そこで手酷く横っ面を叩くか共にダンスを踊れるかは……君の選択次第、違うかね?

……では本題に戻ろう。クスリがだめ、武力は問題なし、ではウチで提供できるのは
―――そうだな、海運≠セ。元々ウチはソッチのほうで大きくなった経緯がある

だから、武器や……それに関わらず、何かしらの輸送、或いは密輸が大得意。
その手の伝手も多いし、一応一隻ばかりだが豪華客船も在る。
そういったものをウチは出せる。……単純な防衛協定でも大歓迎だがね

【ビスクが懐に手を伸ばすと、取り出されるのは巨大な拳銃―名をM500というソレが、構えられ】
【狙う先は最早ぶくぶくと池に半身を沈めるジープの背面。ジリジリと焦点を定めて――】

――君のような女性なら、本当は分かっているんじゃないかね?
正義面した連中の間で機関とGIFTの話題はあっても、そこにD.R.U.G.S.が無いのは何故か

もしその状況が続けば、そこに形ばかりでも所属する我々がどうなるのか
手を取り合って仲良くしましょうとは言わない、が…。
是非よくよく考えてもらいたいね、其処のところを。私は意地で食う飯は冷たいと思うがね

【――撃った。瞬間、空気が凝縮されるような音があって、巨大な爆発が巻き起こる】
【池の水はことごとく宙に撒き散らかされ、ジープは単なる鉄くずと化してしまい】
【はらはらと降り始める水滴の中――壮年のマフィアは帽子を押さえて、そう言った】
978 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 01:59:58.44 ID:sra7py/So
>>976
/ちょっとだけ修正
/"前払い"の分はきっちり返す→"ツケ"の分はしっかり払って貰う
979 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 02:00:17.47 ID:KxBWgXwX0
>>975
「後から湧いて来るから悔いなのよ
その時じゃ分からないの。思い出になって、偶に思い出して――――あの時ああしていれば、って思うことがあるでしょう?
其れが、悔い。時間を遡る事なんて出来ないのだから、そうなってからでは遅いわよ」

【ならば、この女も沢山の悔いがあるのだろう】
【有限である時間をもっと活用出来なかった事も、もっと多くの人々とふれあえなかった事も。そして、救えなかった命も】
【思い出なんて言葉はただ綺麗に見せただけだ。悔いの無い人生を送る事なんて出来やしない。ただ、其れが少ない人生ならば少なからずも可能であろうと漏らして】


「貴方の目が見える内に見て来なさい。貴方の耳が聞こえる内に聞いてきなさい
大事な物なんて失った時に気付くのだから、今の内に多くを大事な物として抱えていなさい
良い事も悪い事も全て抱えていれば、きっと楽しく生きていけるわよ
貴方は何処までも歩けるのだもの。――――ほうら、そんな顔をする暇があるならば腹を括りなさいな?」

【だから、他の人には悔いが残るよう生きて欲しくは無い。取り戻せない時間を怨めしく思って欲しくは無い】
【刻も経ち、後幾らかすれば日が昇る】
【――――分かれも近いだろうから、長く生きた者としての考えを伝えて】
980 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 02:02:46.06 ID:v0p6CPuro
>>976
/了解しました、こちらは夕方ごろには戻れるかと思います
/それではまた明日、よろしくお願いしますね!夜遅くまでありがとうございました!
981 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [saga sage]:2014/02/04(火) 02:19:09.52 ID:7AnY/ySB0
>>979

 ……そんな…もんですかねえ…
 悔いっていうのはそういうもんですか

【長く――自分の生きている人生よりも長い人生を送っている女の言葉は重く】
【その思い言葉をきいて男もまた自分の思い出というやつを思い出して】
【また後悔という言葉が自分のなかに来て】

 はあ、そんじゃま腹くくって見せましょうかね
 ――ありがとうございますよ、あっしの悩みを聞いてくださって

【そのように目の前にいる女に対して感謝をする】
【目の前にいる女のおかげでなにやらつっかえていたもんが落ちたような気がして】

 ああそうだ、あんたの名前を聞いておいても
 
 あっしの名前は高野正和というもんで

【男は女の名前を聞きそして聞いた後に男は自分の名前を名乗る】
【そして階段の前へと行くと再び女に対して礼をして階段を下りていく】
【――悩みも吹っ切れたあとは故郷に帰るかとそのように思いながら】

/ここらったへんでしょうか
/長時間お付き合いありがとうございました 
982 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 02:43:33.43 ID:KxBWgXwX0
>>981
「其れが私のお仕事だもの。お礼なんて必要ないのよ?

名前は…………蔓――――まだ、人が居た頃はそう呼ばれていたわ
ええ。まだ寒いから気を付けて行きなさいな」

【名字といった物は存在しないから、ただ名だけを告げて】
【男が去る事を告げたならばその場から背を見送る事だろう】
【もし、振り向いたならば小さく手を振っていた事が分かるかもしれないけれど】

【――――男が去ってしまえば、再び訪れる静寂。ただ一人、悠久を生きる女は明るみ始めた空を見上げ】
【そっと、もう一度童唄を紡ぎ始めたのだった】

/そうですね……時間も丁度良い感じなので、此処等で〆にしましょう!
/お疲れ様でありますよー!
983 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 02:51:22.54 ID:GsJLEfJVo
>>977

ええ、貴方には腰に刀が無いようでしたので。

これはとんだご無礼。過ぎたことを言ってしまい。申し訳ありません。
ウチは手がすぐに出る方が多いものでして、その反動でつい口が多くて。

【静かに非礼を詫びるように礼をした。先輩に余計な口を出したのは素直に反省する】
【もしこれが富嶽会内のチンピラだったなら2,3発鳩尾に鉄拳を食らっていたところだ】

その通り、その通りですがミスタ、フランコ。貴方がまず、仰ったものは取るに足らない。当たり前の程度。
撒き餌をいくらまこうと針金のような竿ではカジキを釣り上げることは出来ない。わかりませんか、貴方は
ジルバを弾き始めたつもりでも、私から見ればダンスフロアすら存在していなかったのですよ?
魅力的な何かがなければ、ビジネスだって女性を口説くときだって……失礼、また口が過ぎました。

【彼女は品の良い柔らかな笑みを浮かべていた。背後に何百という富嶽会の強者を背負いながら】
【丁寧な物言いで彼女ははっきりと目の前のスペーツィエ・ファミリーを煽っていた】

成る程…国を渡れるなら相当な技術ですね。武器の買い付けも可能ですか?成る程
では、こちらとしてはウチのヒトや取引先への輸送はお任せするようにしましょう。
これでリスクを被る程のメリットが生じました。防衛協定に不可侵もつけていただけるなら飲みましょう。

【税率の高い国には密貿易は後を絶たない。古いコネクションが多い富嶽会と手を組んで】
【間の輸送を一手に引き受ければそれなりに利益になるだろう。それと武器だ。武闘派の富嶽会なら】
【それなりに買ってくれるはず。細かい数字は後々、書類にて決まることだろう】

では、貴方はダイナマイトでは飽きたらずに核ミサイルを爆発させて世界中の目を向けたいとでも?
確かに悪の代名詞たるマフィアは既に銀幕の中にしか存在していません。しかし、社会は存在している。
現代の自由な消費社会、自由競争の市場、資本主義の中では人々の欲は留まることを知らない。
その欲望から利益を生み出すのが我々なのでは?機関やGIFTと違うベクトルの悪であるはずでしょう。
影から社会を成り立たせ、影から利益を配分し、法の矛盾を力で解決させる。全てを破壊する彼らとは違います。

【朗々と話すその長台詞を区切るかのように彼女は上着のポケットを漁った】
【キチリとビスクの銃弾が放たれる前、彼女は重い両切りの煙草を加えていた。】
【そして、爆発の中。身を震わせるようなこともなく偽の雨に見を濡らしながら、手で覆いつつ火をつけて】
【黒いツヤのある長い髪の毛が頬に水で張り付きながらも煙草の煙を吐き出して目の前のビスクに微笑みかける】

フフッ……ミスタ、フランコ。……我々は、正義なんです。…本当の。

【彼女の背中には刺青がある。モチーフは見返り美人図のような女と刀と蛇だ】
【今の彼女の笑み、その目はまるでその蛇が出たかのような静かに狂気が這いずっていた】
984 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 03:05:29.85 ID:GsJLEfJVo
>>983
/wikiとの矛盾を発見したので最後の2行を少し変えますが内容に変化はありません。

前:【彼女の背中には刺青がある。モチーフは見返り美人図のような女と刀と蛇だ】
   【今の彼女の笑み、その目はまるでその蛇が出たかのような静かに狂気が這いずっていた】

後:【彼女の背中には刺青がある。モチーフは見返り美人図のような女と刀と龍だ】
   【だが、今の彼女の笑みの目は気高い龍ではなく彷徨う蛇のように、静かに狂気が這いずっていた】
985 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 03:15:42.57 ID:+jkK6CcSo
>>983-984

【葉巻の火がしゅう、と消えた。それもこれも、ビスク自身が引き起こした爆発と】
【それによる一時的な雨≠ノよるものなのだが――苦い表情を見せつつ、それを捨て】
【銃身が冷え始めた巨大な拳銃を仕舞いこむと、彼は話し相手に向き直り】

……正義には力が必要だ。自警団、UNITED TRIGGER、そしてSCARLET
彼らが何故、全世界に向けて正義面なんて物を恥ずかしげもなく出来るのか……

そして何故、世界はそれを認めるのか。それは力に他ならない、違うかね?

UTは構成員こそ少ないが、かの大会じゃ同時に一位と二位を掻っ攫ってる
機関あたりとの衝突でも名前が出る辺り、実力は疑う余地も無い。
自警団、こりゃ無能力者ばかりだが、数と組織の力が在る
仮に私でも、銃を構えた連中に囲まれちゃお手上げ……そういう力だ

SCARLETはもう言うまでもない、そうだろう?能力者が居て、組織の力もある。
世界の正義≠ヘ力≠持っている。では君のいう正義はどうなのか……
私には老いぼれが啖呵を切るようにしか見えんね。いや失礼、これも老いぼれの戯言だった

【ふぅ、と男は言葉を区切って息を吐いた。壮年なりのアピールのような、露骨な疲れ具合だ】
【もっとも表情は笑みのまま変わっていないのだから、先ずお疲れではないようで】

影から、影から…。そりゃ、社会の影で在るのが私達なのは認めよう
だが影はその持ち主と光によって濃さを、そして大きさを増してゆくものだ

君は……眠れる獅子という言葉を?あぁ、私はまさにD.R.U.G.S.こそソレだと思っているんだよ
余裕があるから動かないのではなく、実は死に体だから動けない……
そうあるべきだから目立っていないのではなく、そうあれないから目立てない。

……取引ってのは金もさることながら名も大事だ。『あのD.R.U.G.S.が動くのか』と
その一言を世界中の人間が言うようになったなら……実に商売は円滑になるだろう

霧崎嬢。私の好きな……もう一つ、好きな言葉が在る。
『優しい言葉だけよりも、優しい言葉と銃の方がより多くの物を手に入れられる』――……。
ある偉大なマフィアの親玉がそう言った。私は、それが準ずるべきやり口だと思う

―――さて、難しい話は終わりだ。武器の輸出、これをメインに据えてビジネスと行こう
不可侵協定ももちろんだ、仲間内でドンパチなんて馬鹿どころか阿呆でもやらない、違うかね?
細かいところの詰めは後日書面で、或いは会談でも結構。そちらから他に希望が無いなら……―――。

【ビスク・フランコという男は――D.R.U.G.S.内において、こう呼ばれることが在る――狂犬≠ニ】
【戦闘面での評価もあるが、一方でマフィアとしてのやり口の過激さ、狡猾さ、大胆で行動的な一面。】

【その評価が妥当であろうという、先ほどと然程変わりないはずの笑みが今、むき出しになった】
【彼女が凍てつく狂気なら、ビスクのそれは荒々しい熱気の狂気。覗く金歯がキラリと光る】
【――それと、言葉の最後は告げなかった。此処は郊外とはいえ、爆音と銃声――目立つから、というのは言うまでも無かったからだった】
986 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 04:23:15.45 ID:v0p6CPuro
>>976

【追い打ちを掛けられれば歯噛みして悔しがるものの、最早ぐうの音も出ない様子である】
【口を尖らせつつ八つ当たりするように蝙蝠をジト目で睨むと、一旦深く屈んで高く跳躍】
【蝙蝠の頭上を飛び越え、闇色に笑む悪魔の前へと躍り出る。上目使いで、相手を見遣る】


ふうーん……てことはじゃあ、そーゆートコは意外と似た者同士なのかもネ、わたし達!
“ペット”も“部下”も星の数だけ居るんだし、よっぽど珍しくなければ未練も無いかもー、なーんて
それにしたってイイなイイなー、悪魔さんみたいに直せれば手に入れたモノを失くさなくて済むのに!


【牝馬は悪魔を羨ましがった。欲するモノを手中に収め、損なえば繕う力が有るということを羨んだ】
【捨てることを惜しまない上、自分本位な欲深さが言動に垣間見えたが、それでも純粋な意思らしく】
【倫理観など欠片も存在しないこの場所で、女は白い歯を覗かせ、心の底から楽しそうに笑っていた】


――あははははっ! 欲しいから! 強くなりたいから……! ええ、そうよねきっとそう、それが真理よね!
だってだって、仕方なくない? 欲しくて欲しくて堪らないんだもん、どうしても手に入れなきゃ気が済まないもの!
欲しいモノに逃げられちゃったら追いかけるしかないでしょ? この手で掴めないなら力尽くで捕まえるまででしょう!

……わたしねえ、“楽しい”のが欲しいの。楽しければどんな手でも尽くしてあげる
今この瞬間だって楽しいから好きだし、邪禍ちゃんの強欲さも面白いからだぁい好き
何てったってこの霊香・アステリスク、“不純”を司る気高き『バイコーン』だもの!


【二角獣『バイコーン』の霊香は高らかに名乗りを上げる。ハルバードの柄尻でカツンと地面を叩く】
【邪禍の言葉に同調しつつその顔は熱を帯びて僅かに上気している。余程楽しいと感じているようだ】
【ここまで来れば話が纏まったも同然と考えるべきだろうか――彼女は既にそのように考えていて】


だから霊香ちゃんに“捕獲”のお手伝いをさせてほしいのね、テキトーに因縁なんか付けちゃってさ!
どう? 悪い話じゃないと思うんだけど。あとはバークドちゃんを新しくペットに迎えたいなー、みたいな?


【「是非協力したい」と申し出る――までは良かったものの、二言目にはこの図々しさである。因みに誰も得しないウインク付きである】
【「ペットは飼い主に似る」とはよく言ったものだが。バークドも餌の追加を要求しているようで、強ち間違いではないのかもしれなかった】


/先に返しておきますねー
987 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 04:32:31.38 ID:GsJLEfJVo
>>985

【こちらの紙巻きの煙草は彼女の女性らしい指の間で煙を立てていた】
【うまく水滴には当たらなかったようだ。ただそれだけのことなのにジリジリとその手が熱く感じる】
【灰をはたき落とす時、きちりと刀が小擦れ合った】

ええ、そうです。有効な正義は須らく力を持っています。迎えうる悪と対抗できなければ
意味がありません。……しかし、力だけが必須条件なわけではないでしょう?
銃が人を[ピーーー]のではなく、人が人を[ピーーー]のだ…そんな言葉もあるように銃を持つものが
正義となるか悪となるかベクトルの方向を決める倫理観を、私は仁義と呼びます。
あくまでも、彼らは、力で人心を掌握している。彼らが正義にカテゴライズされてされているのではなく
彼らによって正義そのものが再定義されている。そうは思えませんか?

…我々は、影であって闇でないのなら、光が私達の主人ということです。
光が存在するならば必然的に影も生じます。そうならないのは理想の中だけ。
猟犬は立派に成果を上げれば上げるほど、主人は恐怖することでしょうね。

【一旦、回り過ぎる口を落ち着けるために話を元の方へと戻すために彼女はタバコを吸った】
【ギアが入りすぎたのがニュートラルに戻ってくる。その作用で凍てついた目つきも溶けていくようだ】

D.R.U.G.S.がチカラをつけることは反対していません。私らだけでなく全体がそうあるべきです。
我々が影の支配者であるならば敵は何なのか。それがD.R.U.G.S.内で定まらないうちは大きく動くべきでないかと。
…貴方の言うことは理想です。……貴方は陰と陽を入れ替えようとしている。

【彼女はビスクの野望の一部分の感情を垣間見た気がした。未だ、理解し難い。相容れることはないように思えた】
【少なくとも彼女は陰と陽は同等で欠けることの出来ない1つのものと思っている。だが彼はまるで弱者と強者のヒエラルキィのよう】

『銃剣で王座を作ることはできる。だが長くは座っていられない。』…なら、私は政治家の言葉でも使わせて頂きますね。
まあ、何にせよ…暫くは大きな行動に打って出るにも難しいでしょうし、締結前から仲間割れなんで御免です。
不可侵は一応、武力行使はないでしょう。それよりお互いにお互いのことには口を出さない。そういう再確認です。
D.R.U.G.S.内だけでなくカノッサや自警団と手を結ぶなんて事もあるかもしれませんので……まあ、どうだか。

私としても以上です。…こっちは会長に話を通さないとならないので、もしかしたらなかったことに……まあ、それはないでしょうけど。
それから、ウチで書類を用意させて頂いて。会計のものに任せますので、何かあれば。

【煙草を指で挟んだまま、キュッと踵を返した。ポケットからキーを取り出すとスターターでエンジンを入れる】

…お車を紛失されたご様子でしたので、何処までかお送りしましょうか?手配が回っているようなら
ウチの若い衆に逃げ道を用意させますが…

【それだけ聞けば、車の準備をするかどこかに電話をかけるだろう】
【相手が申し出を断ったなら「失礼しますと」静かに礼をして、元の黒塗りの高級車で帰っていくだけだ】
【かくして、銃も剣も抜かないこれらは単なる交渉だったのだろうか。私には生臭い戦場の臭いがするのである】


/すみません遅くなりました…そろそろ限界なのでここらで〆にさせて頂きました
/遅くまでお疲れ様でした。返信は一眠りなさってからでも大丈夫ですから…
988 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 05:03:52.02 ID:+jkK6CcSo
>>987

フ、フッ……流石に秘書。お嬢さん、君は中々弁の回る人のようだ

確かに正義を再定義したのは今の彼ら。以前なら……時と場所さえ違えば
我々の先代先々代もまた正義だった。君らのところは、特にそうだろう?
その辺りが私達の思想の差だよ、こっちの元を辿ると商業に行き着く――それだけの事だ。

【富嶽会とスペーツィエ・ファミリーの大いなる差――穏健派と過激派の違い】
【単純に言えばそれだけ。そして、その両者を代表する二人の違いにもなるのは必然の事】
【見方を変えれば、或いは他者にはこの会話は言い争い、思想の押し付け合いにも思えるかもしれないが】

【少なくともビスク・フランコはそうは思っていなかった。相手が馬鹿ではないと分かっているからだ】
【―――サングラスをかけ直す。あいも変わらず、奥の双眸は一瞬も覗けなくて】

私はね霧崎嬢、この歳になって……もう40も半ばを過ぎるが
安寧な暮らしなんぞ求めちゃ居ないんだ。むしろ粉骨砕身をモットーに生きたいくらいでね

それに……言わせてもらうなら、ファミリーは政治じゃない。
私も、マルコ坊っちゃんも玉座には座らない。商業という軸を持った家族だからだ
君らだって、仁義を元に集った同士のハズ……無論、武力が全てとは言わないがね?

ともあれ、だ……君が言う事で、正論も多い。下手に打って出る真似はしないさ
あったとしても精々一施設の襲撃程度。ご忠告はしっかりと頭に刻みつけておくとしよう

……そう、それと女性の申し出は命にかかわらない限り受ける主義でね
逃げ道までは心配要らんよ、ある場所まで行ってもらえれば、それで―――。

【話の最後にほんの小さな吐息を漏らすと、後は相手の申し出に乗らせてもらうだけ】
【指定の場所まで送り届けてもらえれば『またよろしく。』と挨拶をして、それで別れとなるだろう】
【去り際、ビスクは懐に手を入れていた。果たして見えるかわからないが、その手には残った一本の爆筒が在った】

/お疲れ様でしたー!
989 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 18:10:20.77 ID:sra7py/So
>>986

「ククッ、良ォい欲だ……確かにそォーかもな、何か似ィた"におい"を感じる」 『…………』

【――部下的にはどうなのだろうか、と言われれば……それは、蝙蝠の表情を見れば少しはわかる】
【元々感情を表に出すタイプではないようだった、だがこの時は何となく複雑そうな表情をしていた】
【確かに部下を支配はしている、"力"で――だが、完全に支配しているわけではなさそうだ、自分の考えを持っている】

「そォーよ、間違いねェ真理だ……欲が全ての原動力といィうこォとがな」 「嫌う奴らの、抑える奴らの、……気ィが知ィれねェ」
「欲ォしいモンは欲ォしいんだよ、そォれにやァられっぱなしで居ィられる俺様じゃアねェ――だァから、追ォいかけるしかねェな」

【その言動から負けず嫌いな一面も見えるかもしれない――やられっぱなしでいられない、の言葉に少し力が入っていた】
【――それも、全て自分が中心にあるからこそ。自分が良ければ良い、だから欲に歯止めをかけない】

「ヒャハハ、一本が純潔、二本が不純、三本が帽子、……」
「まッ、そォーんなどォーでも良ォい事は置ォいておこう……さァ、楽しくやァろうじゃアないか、"バイコーンの嬢ちゃん"」

【ここで少し間を取りつつキザっぽく髪をかきあげて、それから鋭い眼光を彼女に向ければ】

「そォのバークドは"前金"としてくゥれてやる――ヒャハッ、良ォい感じに手ェ伝ってくれよォ?」

【ひとまず、"交渉の"話は纏まったとみて間違いない――】
【――欲の塊のようなこいつだが、それでも何かをするならばそれに見合う"対価"が必要だと考えている】
【それ故に、"手伝ってもらう"と言うならば、図々しく請求されても応じない訳がなく――右手から魔翌力が発せられる】
【それは手綱。――バークドの頭に向けて発せられたそれは、支配権を"元の持ち主"から"霊香"に移す働きがある……当たれば、だが】
【放った結果がどうであれ……内心、このバークドこんな奴だったかなんて思いつつ、それに先程とは味の違う固形燃料を投げて与えようとし】

「ヒィーヤッハッハァーッ!」 「因縁でも難癖でもなァんでもつゥけちまおうじゃアないかッ!」
「……奴の場ァ所さえわァかれば今すぐ乗ォり込んでも良ォい、だァがそォの場ァ所はわァからねェ」 「術で転移されたからな」
「あァ、そォーいや……そォっちに姿情報はあァんのかァ?」 「まッ、渡せるのは俺様の記ィ憶だァけだァがな!」
990 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 19:30:09.87 ID:v0p6CPuro
>>989

【――霊香は何処となく複雑そうな表情を浮かべる蝙蝠を、今度はにこにこ微笑みながら見つめていた】
【それは励ましでも嘲りでもなく、一見無感情そうな執事が何を考えているのかと単なる好奇心で眺めているだけ】
【けれど特に拘泥も執着もしない彼女のことだから、すぐに視線は逸らされる。あのコは自分のモノじゃないから、と】

【とは言え、「楽しそうな話」となれば別である。邪禍の手によってバークドの支配権を移される様を輝く眼で観察し、】
【新たな固形燃料の餌に勢いよく食い付くペットの姿を見ながら、おお、と感嘆めいた溜息さえこぼす始末であった】


……うふふ、ダメもとでお願いしてみたつもりだったんだけどー、悪魔さんったらそう見えて結構律儀なんだぁ
それじゃっバークドちゃんも新しくペットになったことだし、イイ感じに霊香ちゃん張り切っちゃうんだからね!

そのことなら心配ご無用よ、人柄とか能力とかは全然分かんないけど、あのコのお顔ならハッキリくっきり覚えてるモン
ちょーっとだけ死に際のこのコから記憶を読み取らせてもらったからね、ホラ、再現することだってばっちり出来ちゃったりして!


【アハハと呑気に笑声を漏らしてループタイを振り回しつつ、容姿のことなら大丈夫だと言ってハルバードを掲げてみせる】
【その先端から『ピンク色の靄』が湧き出し、そこに留まり、辺りに微かな甘い香りを漂わせながら、何らかの姿を形作っていく】
【そして瞬く間に現れるのは件の“少女”の姿だ。細部こそ若干は異なれど、その風貌は邪禍の記憶にあるものと概ね一致することだろう】

【ハルバードに詰まっているピンク色の靄は即ち『夢幻の魔力』で、その魔力であらゆる「幻」を操るのが霊香の持つ能力だった】


そうだなぁ、あとは、じゃあ……“こっち”は個人的に楽しかったお礼として悪魔さんにあげる


【それから、霊香はそんなことを言って。おもむろに振り回していたループタイから手を離し、邪禍の頭上にあるツボに投げ入れようとする】
【狙いはそこそこ確実だが、ソレをどうするかは悪魔の自由だ。受け取らなくてもいいし煮ても焼いてもいい、何なら喰っても問題は無い】
【死んではいても霊香の傍に在ったことで鮮度は保たれている、牝馬は悪魔が一体どんな行動を取るのか期待の眼差しを向けている】


/失礼、お待たせしました……! 今夜もよろしくお願いします
991 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 20:13:21.08 ID:sra7py/So
>>990

『……?』

【執事の頭に疑問符が一つ浮かんだ、何故微笑みを向けられていたのかわからなかったのだ】
【主人である邪禍の行動だったなら、考えている事を直接見てみれば良いだけなので問題なかったのだが――】
【意図を考えている間に既に視線は違う方を向いていた、……まあいいか、といった感じで遠くへ疑問符を投げ捨てた】

「ヒャハハ、物事には対価っつゥーもんが必要だァからな、そォの辺は悪魔の取引の鉄則よ」
「まッ、俺様の場ァ合は……何がそォれに見ィ合うかなァんて気ィ分で決ィめてるがァな!」

【気まぐれとはいえ、払うものは払うし受け取るものは受け取る、そういうスタンスのようで――】
【"それにバークドくらい、バイクと鳥があれば幾らでも作れる"……と付け足しつつ】
【この固形燃料はわりと良し……の様な形で蝙蝠がメモを取っていた、どうやら新作のテストも兼ねていたらしい】
【ちなみに、使用しているメモ帳やペン、……人間からするととてつもなく悪趣味なデザインである】

「ほォう、……なァかなかの再現だ、俺様の怒りも再現でェきる位にな……!」

【においも一致していた、姿も一致している、……間違いない、逃がした"あいつ"に】
【……その"怒り"に個人的な逆恨みも混ざっていたりするのだが、この悪魔にとっては"だからなんだ"といった感じである】

「ククッ、においに間違いはなかったようだな」
「……俺様の嗅ゥ覚は天使の糞共のせいでだァいぶ衰えたからな、さァっきまで確信はしていなかった、だァが今は違う」

「――――俺様は、貰えるモノは病気だろォーと何だろォーと貰う主ゥ義でな……"アビスゲート"、手ェを伸ばせ!」

【物騒な名前の付けられたそのツボの蓋が開き、中から伸びるのは魔翌力で出来た二本の腕】
【それでループタイを掴み受け取ろうとし、一旦取りこぼすも慌てて再捕獲。……中に入られると色々不味いのだろうか?】
【――もし可能であるならば、ツボの腕の魔翌力はループタイの"傷だけ"を治そうとでもする】
【"生命エネルギー"まではそそがない、土器を石膏や樹脂で修復するのと同じ感覚だ――様子見、の段階なのだろう】

「あァ、そォーだ……なァーんかあァったらこォいつに頼むぜ、俺様のテェレパシーは届かねェだァろォーからな」

【悪魔の掌の魔方陣から現れた闇は、眼がレンズの蝙蝠だった、彼女に近づいてくる――それは、今執事の姿をしているそれと同じ生き物】
【"メディアット(媒体蝙蝠)"――時にはスマートフォンとして、時にはカメラとして、時にはメモ係として、様々なメディアの形を取れる】
992 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 21:12:31.99 ID:v0p6CPuro
>>991


ふうんなーるほどネ、そーんな法則すらもスデにブチ壊しちゃってるのかと思ってたぁ
気分ってトコでもうブチ壊してるよーなモンだろうけどー……ま、その方が悪魔さんらしいから別にいっか!

でー、凄いでしょ凄いでしょ? 霊香ちゃん自慢の一品だもんね、そこらのマボロシ使いには負けないんだからっ
いずれ気が向いたら悪魔さんの怒りから欲深さから何から何まで再現しちゃうかもー、…………なんてネ冗談よ


【褒められて上機嫌のようだ、実に分かりやすく表情に現れるのは、やはり女が子供のような性格をしているからなのだろう】
【冗句を述べつつループタイの修復されていく様子を興味深げにじっと眺めながら、時々ツボ――アビスゲートへと視線が向かう】
【好奇心の塊のような女のことだ、恐らくはあのツボの中身は何だろう、だなんて下らないことを考えているのかもしれない】

【一方でループタイの傷は問題なく綺麗に治すことが出来るだろう、既に息絶えているお陰で微動だにしないが元は人でなしの化物だ】
【カメオのような装甲は硬く・艶を帯び、ヒモのような触手もまだしなやかさを残しているため、何かの媒体などに使えそうではある】
【因みに、霊香によればソレは“ギャザー”だとかいうモノらしく、生物の身体を乗っ取り擬態して生活する悪戯好きな魔物であるという】


…………あっ、この蝙蝠ちゃん、まさかまさかのそこの執事さんとおんなじヤツなんだぁ?
こんなにカワイイのも貰っちゃって霊香ちゃんうれしーい、邪禍ちゃんありがとねーぇ
そーだなぁ、そっちは執事さんだからこっちはメイドさんとか面白そーかなー……ねね、出来るよね? 出来たら楽しいんだけど!


【やっぱメイドさんだなー!とか呟いて一人で勝手に盛り上がっているが、流石にそこまでしてやる義理もないだろうから放置でいいだろう】
【近付いてくる蝙蝠を受け取ると、これでもかというほど撫でまくる。可愛いモノ好きは女の性だろうか、とにかく撫でている】
【撫でて撫でて撫で撫で撫で――撫でるのもそこそこに、ハルバードで先程作り出した幻影に触れれば元のピンク色の靄へと戻り】
【霊香はクルリと踵を返して、満腹により大人しくなったバークドの背へと跨る。その勢いで鳥頭がグェ、と曖気を一つ吐き出して】


じゃあじゃあ、わたしはこれからバークドちゃんの手綱をとる練習するからー、今日はこれでね!
……あ、そうそう、今晩のことだけど例の女の子にはヒミツにしてね? まずは仲良くなりたいもん


【邪禍へとそう釘を刺しつつ、返答も待たずにバークドを空へと駆けさせた。大きな翼のはためきが音を増し、中空に浮かび上がり】
【やがて彼女らはピンク色の靄の中に突っ込んでいく。姿を隠すと一層強い風が夜の丘を駆け抜けて、それごと浚っていったなら――】
【――そこにはもう誰も居ない。さながら幻影だったかのように瞬く間に消え失せ、“甘い霊香”だけが女の存在の証左を示していた】


/こちらはここで〆とさせていただきます、二日間ありがとうございました!
993 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 22:36:55.68 ID:sra7py/So
>>992

「ヒャハハハ、やァられたらやァりかえす、やァられなくてもやァりかえす、ってとォころよ」

「ほォう、俺様を再現と――ヒャハッ、狂っちまうぞォ?」
「俺様が嬢ちゃんを作る事なァらでェきるがな!」 「ヒャハハハハッ」

【冗談っぽく笑いながら返す悪魔、やはり負けず嫌いなのか冗談には冗談、である】
【ツボの中からは混沌としたエネルギーが漏れ出している――ツボが吸い込んでいるのか、あまり遠くまで飛んではいない】
【中を覗くのにも何か危険が伴いそうなにおいのするツボだ、もし覗いたら覗き返されるのではないか――】

【傷の部分を治したのはやはり"気分"だったようで、しかし"素材"としては悪くない――】
【悪魔がツボの入り口部分に魔方陣を生成すれば、そのギャザーと呼ばれる魔物の死体はそこに闇となり吸い込まれて】
【そして魔方陣が消えれば、ツボが作り出していた両腕はその中にへと入っていき、そして貝の様な蓋が閉められる】

「そォーだ、そォの蝙蝠は後ろの執事と同じ」 「メディアット――何かと何かを繋ぐ"媒体"だ」
「まッ、支ィ配権は設定してある、多ァ分意のままに動かせるだァろォーよ、多ァ分な!」

「……メェイド、……うゥーむ、そォの注文はメディアットに頼んでくれ」
「メェディアっつゥーのは決ィまった形がねェからな、やァった事はねェーが、頑張らせればでェきんじゃアねェか?」

【変身能力の強さがあるためメイドになれなくもないらしいが、――出来るかは扱い方次第、のようだ】
【……実演なのだろうか、執事の姿をハンディカムカメラ(蝙蝠カラー・蝙蝠羽付)にして左手に装着し……ちゃんと使えるらしい】

「――安心しなァ、俺様があァいつと再会しィたら、まァず殴りに行ィくだァろォーからな、ばァらす気ィはねェ」

【返答している間に霊香とバークドは空へと、そして桃色の靄の中にへと消えて行った】
【……本当に大丈夫なのか少し不安になるも、いつまでも不安をのさばらせておく性格ではない――また、考え事を再開した】

【メディアットは、カメラ、TV、ラジオ、PC等――様々なメディアに変身することが出来る。メディアではないが人型も例外的に可能】
【勿論実際に使用することが可能で、斜視を利用しない3D撮影機能等、進歩した技術とかも付けたりできる優れもの。餌は果実類。】
【そして、携帯電話やスマートフォンといったものに変身すれば、電話帳にしっかり邪禍の情報が載っていて、連絡が取れる】
【色々便利だが、戦闘では殆ど役に立たない。火力も守備も弱いのだ。高い移動速度を活かした錯乱程度なら可能だろうか――】

/すみません、全体更新でなぜかここが更新されずレス遅れました
/二日間ありがとうございました! メディアットなどについて何か質問がありましたら、なんなりとお願いします
994 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/04(火) 22:40:56.62 ID:sra7py/So
>>993
/すみません、ちょっと書き忘れがありました
/【変身状態でも羽があれば飛んで移動可能】
995 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/04(火) 23:18:49.99 ID:3SlwBaAao
【街を少し外れた、とある一角】
【喧騒から一歩離れたそこは、静かな住宅街と眩い都会の丁度狭間の境界線】

「いつもすみませんねぇ……お忙しいでしょうに、こんな事をしていただいて。」

いやいや、気にしなくていいぜ。どうせこの辺りもパトロールするんだし、さ。
――――えーっと、家、ここだったよな?じゃあ俺はここまで、って事で!戸締りはきちんとなー!

「あっ……ちょっとお兄さん――――!」

【一件の家の前、年配の女性と、若い男。どうやら男は、女性の荷物を運んでいた様子で】
【その家こそが目的地、女性の家だったのか、運んでいた荷物を玄関に置いて、ニコリと笑顔】
【だが、引き留めようとする女性を残して男はすぐに走り出していく。女性は結局、諦めたように家に入っていくのだが】

……――諦めた……よな?あの人の話、捕まると長えからなぁ……フゥー、良かった……

【建物の陰、ホッと一息ついているその男は、黒い軍服と制帽と、それから胸元に自警団のバッジを身に付けていた】
【長めの金髪はヘアゴムで一纏めにし、もみあげの二房は長く垂らしたまま】
【きっちりとした服装ではあったが、どことなく軽そうな空気を纏った、そんな人物である】

【そんな男はやがて、眩く騒がしい方へと歩き出していく。カツン、カツンと一歩毎、】
【ミリタリーブーツが路面にぶつかり、硬い音を響かせていた】
996 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage]:2014/02/05(水) 16:36:42.45 ID:EhMMWctjo
【路地裏】

「……よし、きょうこそ…………」

【路地裏をふらつくのは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【死んだ眼で、服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「わるいやつは……ころすっ!」

【右手には、黒曜石の様な未知の素材で出来た折り畳み式ナイフ――】
【――この男は、あなたを見付けると……背後からいきなり飛びかかり、刺そうとするッ!】
【気配、物音、かわす材料は十分。但し、殺気が不十分なところは気になるか】 【実際、回避しなくとも左肩の上の方を怪我するだけだ】

/ちょっと特殊な感じの投下ですが……
/戦闘になった場合、こっちフルボッコ→覚醒みたいな、いじめられっこにありがちなベタな展開になりますので予めご了承ください
997 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 17:59:53.46 ID:vBt+XX0D0
>>996

【路地裏】


――――……………


【こちらも路地裏を歩いているのは、艶のある黒髪に、然し何処か濁った様な、或いは虚ろな目の16歳程の少年。】
【耳には黒縁の眼鏡。首筋はワインレッドのマフラーで埋まっており。6つの木製のトグルが目立つネイビー色のダッフルコート、】
【インナーには白と黒のボーダー柄のシャツ。落ち着いたベージュ色のチノパンに、白を基調として所々に青色と赤色のストライプが入ったスニーカー。】
【左手にはビニール袋、肩からは真っ黒のベルト。大きな白いアルファベットがプリントされた水色のショルダーバッグが斜めに掛けられていて。】
【全体的に落ち着いた服装……まあ、少なくとも、路地裏を通る様な物ではない事は確か、そんな所である。】


――――…………ッ………!

【歴戦を潜り抜けた……尤も、今その記憶は失っているのだが、それでも突然の事態に対し最善の行動を取ることが出来たのは、その証拠と成り得るのだろう。】
【この少年、自分の左肩を狙って振りかざされたその手首を、握る事で静止しようと試みるのだ。出来る事なら、相応に強い握力で彼の血流を止め、】
【ナイフを落とさせる、其処まで試みる筈だ。……一切の手加減は無い、少年は只管"悪"を睨み、次なる行動さえ模索している―――!】

【然しこの少年の身体、顔、………―――その全てに、見覚えがある筈だ。】
【一度は目の前の青年を、"UNITED TRIGGER"の事務所へと連れて行った、あの少年に他ならない。―――"見た目"、は。】

/まだいらっしゃいますか〜!
998 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 18:37:40.22 ID:EhMMWctjo
>>997

「きる、さす、きる、……わるいやつぜんぶ」

【人を殺すなんて今までできなかった、その甘さ故に――そして、今も】
【だから、焦っていたのだ……路地裏に居る者全てを悪と見るくらいには】
【そうしたところで、能力も使えないただの若者が力のあるモノに立ち向かえるわけもなく――】

「……ッ」

【――軽々と手首を掴まれたのだった、睨む、そして抵抗しても抜け出すことは出来ず】
【カラン――ついに、ナイフは地面に落ちる】 【慌てて拾おうとするも、片手首を掴まれた状態からは不可能だった】

「うぅ……"てんしさま"……お力を……!」

【――唯一の武器はついさっき失った、ならばどうするか、――武器がないなら拳一つで勝負するしかない】
【何とかして左の拳を振るおうとする――が、それは途中で止まる】 【まさか最近のことまで忘れる程重傷ではない】

「――……あれ、……?」 「お兄、ちゃん……?」 「ねこやま……お兄ちゃん……?」

【見覚えが無いわけがない、忘れるわけがない、自分を居場所に連れてってくれた恩人を――けれど、】
【――何か、違和感を覚えた、――何かが違うような、――だから、謝罪の言葉が咄嗟に出てこなかった】
【今、この男は間抜け面で戸惑っている――煮るにしても焼くにしても、十二分な隙があるくらいには】

/いませんよー
999 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 19:08:39.51 ID:VUZtDU5f0
>>998

………何と勘違いしとるんか分からんけど、………


【途中まで振りぬかれた左腕、その軌道を予測しつつ、ボクシングの其れと殆ど変わらぬ必要最小限の動きでスッと避けたなら、】
【透かさず狙うは右ボディ。回避の分身体には速度が帯びており、更に鳩尾の丁度中心を捉えていた事も相俟って、それはかなりの威力を誇る。】
【―――喰らったのなら、一般的な男性なら再起不能、痛みに悶えるか、或いは気絶さえし得る、まあそんな所だろう。】

【然し、だ。相手の拳が自発的に静止したのを横目で見て取れば、話は別。少年もほぼ同時、腹の寸前で止める事となる。】
【圧倒的に不利な状況を一瞬にして逆転させたとなれば、恐らく、力の差は圧倒的。相手に此れ以上の意志が無いのなら、という事だった。】
【硬く握り締められた拳を解き、低く取られた体勢は元に戻される。少し距離を取る形となったが、其処に敵意は感じられないだろう。】

【―――青年に対して、この少年の症状は。自分の名前を指摘されれば思い出せるといった程、軽くは無い所か寧ろ、想像以上に酷い物。】
【故に、目の前の青年に抱く感情は、矢張り懐疑以外の何物でもない。人をナイフで斬り付けておいて、兄呼ばわりとは……、そんな所である。】


……俺、近道やったから、ココ、通っただけなんよ………何か、悪いコトしたんやったら、謝る、……せやから、通してな。


【だとすれば、言動が不可解に"思える"彼は放っておいて、自分の成すべき事をしようという考えに至るのは、至極当然であって。】
【此処が彼の縄張りか何かで、その中に自分が足を踏み入れた故に斬り付けられたのだ、とそう無理に解釈し、謝罪の意を表する。】
【何事も無ければ、其の侭通り過ぎ、彼に背を向ける事となるだろう。本当に、何にも気付く事が、出来ないまま―――。】


1000 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga]:2014/02/05(水) 19:10:24.34 ID:VUZtDU5f0
/あ、ご飯時なので次の返信遅れるかも知れませぬ!
/始まったばかりですが、ごめんなさい!

/……あれ、私、誰に話しかけてるんだろう……
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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「アイドルの集う喫茶『アイドル』」 @ 2014/02/05(水) 19:10:23.55 ID:yxTRm8fd0
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