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【誓い立てる間もなく】能力者スレ【この身を投げ出せ】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/12(水) 17:23:30.99 ID:nkbXxiFuo
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1411302033/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/12(水) 21:31:19.37 ID:ySF6T16L0
>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/13(木) 18:38:49.18 ID:I9DEBJHRo
ゴミ溜め民のシャーロットさんチョリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/13(木) 19:22:29.26 ID:I9DEBJHRo
                                 /\
                                 \ |
  ∩∩ ぼ く ら が ゴ ミ 溜 め 民 だ  ! !  V∩
  (7ヌ)                              (/ /
 / /                 ∧_∧            ||
/ /  ∧_∧     ∧_∧  _(´∀` )   ∧_∧   ||
\ \( ´∀`)―--( ´∀` ) ̄      ⌒ヽ(´∀` ) //
  \       /⌒   ⌒ ̄ヽ、シェン/~⌒    ⌒ /
   |      |ー、      / ̄|    //`i 鈴音  /
    | 谷山 | |シャーロット/  (ミ   ミ) |     |
   |    | |     | /      \ |    |
   |    |  )    /   /\   \|       ヽ
   /   ノ | /  ヽ ヽ、_/)  (\    ) ゝ  |
   |  |  | /   /|   / レ   \`ー ' |  |  /
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/13(木) 21:48:36.63 ID:WBOKrv7g0
>>1立て乙
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/13(木) 21:49:06.91 ID:aGzJl/tro
>>1立て乙デチ
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/13(木) 21:50:12.34 ID:4tc9en1+o
>>1乙です!
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/13(木) 22:02:12.79 ID:EPfPgIZU0
>>1乙です!

【夜の空。明かりが一つ。蛍光が点滅をしながら照らすのは、少年と女】
【手入れがされていないと判断できる錆びた倉庫。海に面した湾岸。まるで刑事物の一場面かという程に、それは誰もが視界の隅には入れた事がある風景】

【女は少年の頭を撫でて笑みを浮かべる。紅い髪、グレーの瞳、ボロボロの学生服……のような物、夜目に慣れていればそれが見えるだろう】
【問題と言えば、それが人通りの少ない、裏側≠セからと謂えど、夜に混ざれる時間と言えど、明確に世界と隔たりをもっている事だ】


【――血の匂い、鉄のような鉛が鼻を刺激すれば、その状況を理解できるものもいるのではないか】
【死体、死体、死体――散乱している死体の山。辺りに飛び散る惨状の証明。見れば気づくだろう、狂っていると。見慣れれば分かるだろう、歓迎の鐘は鳴っている】


【しかし、その状況に異を示す物は誰もいない。(この状況では、見た所二人しかいないが)少年も目も輝きを放ち、しかしその瞳は活気に満ちて、血まみれの服は意にも留めず、唯その抱擁を受け入れる】
【夜の中でも映えるその瞳は、活気づいたような、生の喜びを孕んだように、暖かで、寒い夜の下だからこそ余計に目立って見える】
 
よくやった。――そうだ、一生懸命だった。

【ふと――女が悲しそうな笑みを浮かべたと思えば、目の前の少年がその場から、消えた】
【錯覚だったのではないか、という程に綺麗さっぱり、そこには何もない】
【まるで、瞬間的に場所を移されたかのような――】

――とは言ったけども、どう処理すんだろうなこれ。

【夜に消えてく一声は、酷く長閑な日常に染まっていた。それが当たり前だと、女は呆とオブジェと同じようにしかソレを見ていない】
【そこにあるのは、目の前に広がる赤の世界の処理の仕方。単純にそれだけだった】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/11/13(木) 22:15:44.44 ID:/Qzq6oSzo
/>>1乙です! 前スレ>>999で絡み待ち継続中ですー
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/13(木) 22:31:53.44 ID:aGzJl/tro
>>8

面白い見世物だった。何て感想は必要かい?かっ

【短く祓う様な笑い声を漏らした誰か】
【月明かりの当たる場所に、極自然に居るその者】
【いつからか、貴女達を見ていた“誰か”】
【視線さえ、視界さえ、その目さえ正常であれば見えるだろう】

【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠した】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性の姿】

……いやいや、言っておくが本心からの言葉だってぇの。
突然人が消えた事もだが、どんな方法で此処まで人を殺しきれるのかって興味もある

【胡散臭さすら隠そうともせず死体のひとつひとつを確認する様に顔ごと向けて見ながら其方へ歩いて行き】
【ある程度歩けば。其方と話し易い場所にまで行けばその人物は立ち止まるのだが】
【死体の確認を終えると1つ、安心した様に息を漏らして】

ま、問題が有るとすればだ………此処が臭すぎて手前(てまえ)さんとお話する気にならねェって事位なんじゃねーぇの?かーっ!

【提案でもする様に、右手を軽く上げて人差し指で空を指し。その問題を口にした】
【とは言え、鼻すら覆わず死体に怖気づきもしない…糞便と、血の混じったその凄惨な世界に慣れている様で】
【その癖立ち振る舞いは一般人とさほど変わらぬからこそ…この男の不気味さは際立っている】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/11/13(木) 22:40:07.64 ID:1uuwouNG0
>>8
【寂れた倉庫。映画でよく銃撃戦が繰り広げられるように、現実でも危険な場所】
【麻薬密売、違法取引、悪いことは何時もこういうところで起こる】
【故に旨のワッペンが示す『SCARLET』に所属する、銀髪の痩せた小柄な少女はパトロールのため倉庫に向かっていた】

【到着。夜目を効かせて辺りを確認し、最初に確認できたのは男女二人】
【少年を撫でる女。兄弟か何かだろうかと、そう思えたのは刹那、赤に思考は吹き飛ばされる】
【辺りを染める赤、紅、赤。男女二人に近づくほどに香る鉛の臭い、それが血であると理解するのに時間は要らなかった】

【何があったのか、それを考える前に少女は駆ける】

君達大丈夫!?
ここでなにがあった・・・・・・の?

【女の眼前に立ち、二人の安否を確認する】
【が、居たはずの少年がそこには居なかった。白昼夢か何かのようにあっさりと、ふわりと消えてうせていて】
【自分がいままで見ていたものがなんだったのかも分からなくなる】

【そして女の雰囲気が異常だった】
【これだけの惨劇の中心に居て、徹底的に無感情に見えた】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/13(木) 22:40:34.59 ID:4tc9en1+o
【音を殺せ】【感情を殺せ】【心を殺せ】【己を殺せ】【そして悪を殺せ】
【思考は既に凍結し】【流れる血潮は罪の色】【花を散らすは魅せるため】【今宵も殺人機械となろう】
【我は正義に非ず】【悪を裁く悪で在るために】【此の身を咎で染め上げろ】

【夜。交叉の国旧市街、路地裏――――――――静けさを打ち破るように、必死に駆ける一人の男がいた】
【年齢は五十代後半から六十代前半といったところだろう、身なりから上流階級の人間であろうことが見て取れる】
【ポマードをベッタリと付けた髪。肥えた肉体。身に付ける物はいずれも高級品ばかりだが、着こなしておらず品が無いと言わざるを得ないだろう】
【彼は走っていた。額から汗の粒を垂れ流し、息切れしながらもひたすらに足を前に踏み出す】
【時折後ろを確認するかのように振り返り、そしていないと見るや勝ち誇ったような笑みを浮かべ】
【そして足元に置かれていた石に気付かず、盛大に舗装されていない地面へと飛び込んでいく】
【慣れない痛みに顔をしかめながらゆっくりを顔を上げると――――目の前に、其れはいた】

『ひ、ひぃっ!?』

【闇に溶けるような、後ろで一つに結われた長い黒髪】【顔の半分を覆った狐面の奥から覗く、血の色の瞳】
【レイリスフィード学園のブレザーの上から黒いコートを羽織り、腰には太い革のベルトを巻いていた】
【ベルトに差し込まれた黒い鞘――――そして其処に納められているのは、禍々しい一振りの刃】

『な、なんなんだオマエはぁ!! わたしが一体なにをしたって言うんだ!!』

【一切の光を取り除いた瞳が、男を視る。其の視線は酷く冷めていて、まるで抜身の刀身のようだ】
【彼女は視線を一度切ると、懐からゆっくりと何かを取り出す――何十枚かの、紙の束】
【真一文字に結ばれていた口をゆっくりと開く。場違いな凛とした声が、路地裏に小さく響いた】

「…………アーノルド・ダレイニー。48歳。製薬会社ウェイストンパーソン役員」
「他者を蹴落とすことに躊躇いを持たない其のやり口で瞬く間に出世、そして現在に至る」
「金儲けのためには手段を選ばず、自分のために他人の人生を破滅させたことは一度や二度程度では済まない」
「今は貧民街での薬物の密売と人身売買に尽力している――――と、これで満足かしら」

【どうやら紙面に印刷されているのは倒れている男の情報らしい、彼女は其れを適当に抜き出していく】
【本来ならば隠されている情報すら、声の主は知っている。男は青ざめていき、ズルズルと後ろに少しずつ下がっていこうとした】
【瞬間、場に異変が起きる――威圧、其れも並ではない物理的な圧力が僅かに男に身体にかけられた】
【其れこそが彼女の奥義である剣気≠フ末端の力だが、男はそんなことは知るよしもなく――――】

『たったすけてく――――――――』
「助けないし、お金を幾ら払われても結果は変わらない」
「調子に乗って自分で下見になんて来るんじゃ無かったわね」
「たくさんのお金を手に入れて、自分が強くなったと勘違いでもしたのかしら」

【持っていた紙をばら撒き、一歩前に踏み出す。そして右手で柄に触れ、握り締めた――――なけなしの命乞いは妨げられ、最後まで言うことさえ許されない】
【お金は力になるかもしれない。けれどそれは、本当の窮地に追い詰められた時には何の役にも立たない、外面だけの一時的なものだ】
【だから今こうしてこうなっている。逃げれないし逃がさない。悪を殺す――――それだけが、彼女の存在理由だから】
【殺せ。殺せ。殺せ。そうすることでしか前には進めない。此処で止まれば、今まで斬ってきた意味が無くなってしまうから】
【再び口を結ぶと、右足に体重をかけ、刀を抜いた――――――――赤い花が咲くまで、後刹那】

//凍結を挟む可能性があります……!!
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/11/13(木) 22:41:39.18 ID:1uuwouNG0
>>11
//更新できてませんでした!!
//すいません、こちらの投下は取り消させていただきます・・・・・・
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/11/13(木) 22:59:53.30 ID:1uuwouNG0
>>12
【夜の街、住宅街の屋根を銀が駆ける】
【光線のようにきらめき走る閃の正体は一人の少女】
【月色の癖っ毛を箒星のようにはためかせ、流星のような速度で少女は走っていた】

(お願い・・・・・・間に合って・・・・・・)

【小太りの男と帯刀した少女を確認したのはつい先ほど、パトロール中のことだった】
【男がなぜ逃げていたのか、少女がなぜ男を追うのか、それは分かりやしなかったが】
【自分は緋色の盾『SCARLET』 死にそうな人をほうっておけない】

【少女が刀を握った瞬間、屋根の上から路地裏へ銀は降り立った】
【腰まで銀髪を伸ばし、ブレザーを着た痩せて小柄な少女】
【とても戦えそうには見えないが、その胸には緋色の盾のワッペン】
【世界を守る盾の証明が貼り付けられていた】

あと・・・・・・少しっ!!

【少女が刀を抜き、振り払った刀は赤を散らした】
【少女の頬にべとりと生ぬるいものが付着し、花が咲いたことを感じさせるだろう】
【―――ただし、その花の種はあの男ではなかったが】

よし、間に合った!!

【いままで男がいた場所には何も無く、今は埃が舞っているだけ】
【ブレザーの背中、そこに真っ赤な花を咲かせた少女が男を担いでいた】
【刀を抜き、振るう。その刹那に少女は男を抱きかかえ、その場から逃がしたのであった】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/13(木) 23:01:38.39 ID:FwuDy+5w0
【――――深夜の繁華街、となれば治安も悪くなり。所々で客引きの声やら罵声が聞こえたりとするのだけれど】
【その中でも一際目立つ騒動が路地裏入口付近で起きていて】
【見遣れば柄の悪い男達に囲まれる青年が一人。その身形と気配とは軍人を連想させるもので】
【何よりも顔の左半分に傷跡が走っている事が特徴か。瞼が閉じられたままである事から、開かないのだと知れるけど】


「俺は金を持っていない…………と何度も言っている筈だが
縦んば持って居たとしてもお前達数人で奪えるとは到底思えないけどな」

【その言葉に逆上したのか、男達が一斉に襲いかかるも――――それぞれが拳の一撃で沈められ】
【残った一人が叫びながら飛びかかってくるが後ろ襟首を掴んで地面へと叩き落として】

【所詮は命の取り合いもした事の無い者達。強い痛みを味わえば蜘蛛の子を散らす様にして逃げ】


「全く、俺も舐められたもんだな―――――
さて、当初の目的通り飯でも食いたいが…………金も残り少ないし、どうしたもんか」

【大した障害でも無かったとばかりに溜息を吐けば辺りを見渡すが――――】
【先の出来事もあり、必然的に人集りが出来ているのだから遠目からでもよく目立つ】
【当の本人は周りでヒソヒソと声が交わされている事も気にせず辺りの店を見ているのだから、更に目立ち】










【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/13(木) 23:18:26.73 ID:4tc9en1+o
>>14

【彼女の刃は一撃にて死を齎す断頭台――――故に男も、死んだと気付く間もなく死ぬはずだった】
【だが手応えがない。外した? いいや、そんなはずがない。あの男があの状況から避けれる筈がない】
【よって考えられる可能性はたった一つ、第三者の介入である――銀髪の少女に、視線を向ける】
【狐面の奥にある淀んだ瞳からは、何の感情の色も見て取れない】

「…………」

【見れば男は全くの無傷で、男を助けた少女のみが傷を負っていた】
【正義の味方だろうか。そうだろう、そうでなければ此のような行動を取る意味が分からない】
【男に向けられいたはずの威圧が、少女へと牙を向く――――気を威に変換する技術を用いているため、精神で負けなければなんら実害は無いだろう】

「………………ねぇ、あなた――――――――なに?」
「その男は私が殺さないといけない相手なのだけれど…………邪魔をするのは、貴方が正義の味方だから?」

【何があろうと悪は断つ。其の意志に揺らぎはなく、此の状況でなお彼女は男の殺害を一切諦めていなかった】
【其の殺意は男に、そして男に限りなく近い少女にも同様に向けられていた】
【そして少女が正義であると言い切ったならば、彼女は少女に向けて先ほどバラ撒いた紙の一枚を拾い上げ丸めて放り投げるだろう】
【広げて内容を見れば、その男が犯した罪の一部が理解できるはずだ】
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/13(木) 23:21:39.06 ID:EPfPgIZU0
>>8
【――静寂】
【新たに加わる男の声に、喜色を多少は見せて興味の幾つかを見せて】
【しかし、加わるにはまたしても一癖加えられた人物。黒い猫のお面。その様子に後退もなければ、停止もない】

見世物にするつもりはなかったんだけどなあ。
大体、見世物にするならするで入場料だってかけるし、まずこんな人の少ない場所ではじめないっての。
知る人ぞ知る有名な――なんて気取るつもりはねえしよ。

【女も一歩ずつ近寄るとするだろう】
【死体の山、鼻の曲がりそうな異臭。嘔吐しそうな闇と病みの感情の中】
【同じく顔色一つ変えない。それ所か冗談じみた皮肉すらいい始める始末】

――ん、で、だ。
それはデートのお誘いって事でいいんだよな?
話す気にならねえのにわざわざアンタが口を開いてくれたって事は、そう解釈したって構わないんだろう?
エスコート頼むぜ色男。ミステリー性はバッチリだ。その猫のお面が最高にこの場で浮いてやがる。
女の子の大好きな不思議感はバッチリだな。私が保証するんだから胸張っときな。
場所は何処だ、夜の街か直球勝負か、殊勝な心掛けで後日改めて――それとも。

――――閻魔様に謝罪会見ってか?

【男の周りをぐるぐると歩きながら、開いた言葉は随分と軽い調子から始まる】
【一度開けばつっかえる事なく、最後にぴたりと正面に帰ってくれば、男を上目づかいで見上げ】
【にっ、と挑発的な笑みを返す。その身振り一つ一つが、この風景を滅茶苦茶に崩す程だと……感じるかもしれない】
【それ程に女の言葉は日常味にありふれていて、この場を掻き乱す】


/ごめんなさいごめんなさいごめんなさい気づくの遅れましたこんなんでも絡んでくれるならお願いします本当にごめんなあい
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/13(木) 23:41:23.02 ID:1uuwouNG0
>>16
あたしは―――

【答える前に飛んできた紙】
【中身は男の罪状だった。一言も言わずに、担いだ男が青ざめていくことも気づかずにそれを読んでいき】
【顔が真っ赤に、怒りの色へ染まっていく】
【人身売買―――その四文字が一際目を引いた】
【売ったのだろうか。いたいけな子供達を、悪へ。外道へ。】

・・・・・・あたしも、こんな奴は死んでもいいと思う

【握った拳からぐっと音が漏れ、歯軋りが鳴る】
【どう考えてもこの男は外道で、屑で、死んでしまえばいいと思ってしまうような存在だ】

でも、それでも、殺しちゃだめなの・・・・・・

【喉の奥から無理やり搾り出したような声】
【少女は今、男に対して殺意すら湧いていた】
【でも、それでも、少女は男を殺さない。殺せない。決めているから】

あたしは『SCARLET』だけど、だから殺しちゃだめっていうんじゃないの
悪は、殺すだけじゃ駄目なの。殺すだけじゃ、解決にはならないから
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/13(木) 23:57:54.83 ID:4tc9en1+o
>>18

【紙に目を通した少女の表情は、見るからに怒りの色へと染まっていった――それも、過剰と言ってもいい程に】
【彼女は少女が情報を読み取り、そして口を開くまで待つ。正義組織に目をつけられたら、今後の仕事に間違いなく支障が出るからだ】
【出方を見つつ、そして殺す。幸いにも顔はまだ見られていなければ、名前も割れていない】
【今此の時まで、彼女の思考回路は殺意の海の中にありながらも、まだ冷静さを保っていた――少女の言葉を聞き終えるまでは】

「…………じゃあ、どうするの? 殺さないなら、あなたはどうしたいの?」
「私は此れ≠オか知らないの――――――――ねぇ、教えてよ。正義の味方さん」

【自然と語気が強くなっていた。悪を裁く悪と成る――――故に正義は、彼女と最も相容れない存在だから】
【正義が本当に正しいのなら、殺す以外の方法があるのなら、どうして此の世界から悪は消えないのか】
【正義が完全に機能していれば、死刑執行人なんて必要無いのに】
【誰よりも正しさを求めているのは間違いなく彼女で、誰よりも悪を憎み正義を求めているのもまた彼女だから】

「たとえ私に悪を裁く権利がなかったとしても――――私には、其れしか無いの」
「だからねぇ、教えて」

【悪を殺すだけでは解決しない。確かにその通りだろう、彼女自身悪ならば殺していいという道理が通るとは思っていない】
【だが他に策を知らず、そして其れのみに縋って生きてきた以上、彼女は其れを実行することでしか存在意義を見いだせない】
【少女の言葉は彼女の生の否定だ。其の人生に価値はなく、お前に存在価値など無いと言っているのと同じで――――】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/13(木) 23:58:03.42 ID:aGzJl/tro
>>17

かーっ、そいつは失礼したってもんよぉ
つっても俺っち今現在無一文でなぁ……どっちにせよこの愛らし〜ぃいお顔に免じて許して貰うしかなかったってーの

【そう言って自分の顔…と言うよりお面を指差して】
【楽しげに彼の口元の笑みは一層深くなる、満月の下で、赤い三日月が浮かぶ様に】
【嗚呼実際楽しいのだ、他人との関わりが。垣間見れる他人の生き様が】
【幸も不幸も自身より傍から眺める方が夢見れると言わんばかりに】

かっ、お姫様を迎えにくるにしちゃ最悪のシチュエーションだってぇの
いや、真赤なヴァージンロードと考えりゃ最高かも知れねえなぁオイ

【参ったなと言わんばかりに後頭部を掻いてからお面を被り直す様に其処へ手を置いて】

まぁ生憎と俺っちは野次馬に過ぎねえんだってぇの
変わったモノが有ったから覗きに来て、変わった事が有ったから聞きに来て、自分の見知った顔が此処に居ないか気になって。ってな

【恐れた様子も何も無い。貴女からの熱烈な死刑宣告(ラブコール)にも男のお面は無機質な瞳のまま……】

なぁに、心配せずとも俺っちはさっきまでこの場に居た誰よりも弱いだろうさ
放っておいても閻魔翌様のトコにゃすぐ行くってーの

…だからこそ、土産話に。だ。
ただ話を聞きたい、愚痴を聞きたい、生き様を知りたい。
暗い昏い暗いこの場所で、君がした事も、君達の殺し方を。何をしたか、何をしなかったか

ただただ、手前(てまえ)さんに興味が有るってぇ。それだけの事よ





かーっ!、重い男は嫌いかなぁオイ?

【冗談めかす様に受け流す、楽しげに。他人の幸を、不幸を知ろうとする】
【いや逆に…彼女の差し出す異常の中の日常を受け入れる様にも見えるかも知れない】

//うごごごご、申し訳ありませんが此方のお時間がもう無く
//またの機会にお時間が合えば宜しくお願いしますー
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/14(金) 00:24:32.49 ID:eHDwUVPp0
>>19
【どうすればいいなんて、分かれば苦労するものか】
【教えてと迫る視線から逃げるように少女はうつむきがちになっていく】
【悪に復習するだけじゃだめなんだと思った。だから悪は殺さないと決めた】
【けれど、少女は湧き出る怒りの行き場も、原因を解決する方法もなにも分からなかった】

・・・・・・

【少女は俯き、黙る】
【大人に怒られて、言い訳すら思いつかない子供のように、惨めに黙る】
【無理も無い。ただでさえ幼いのに、少女の中身はそれ以上に幼く小さい】
【戦いを経験し、覚悟は決まっていても、自分の考えはまだまとまりきっていない】

わからないの・・・・・・

【帰ってくるのはそんななさけない台詞】
【誰よりも悪を憎み正義を求める彼女に対して、もはや侮辱とも取れる】
【相手の生を否定しておいて、それで答えることもできないのだから】

【少女に担がれた男は今も、懇願するような瞳で彼女を見上げていた】
【まるで死刑台に上る犯罪者のように。】
【そして首だけを前方に向けるその体制は、断頭台の死刑囚に良く似ていて】
【少女が俯いている今、死刑執行を邪魔するものは何も無く―――】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/14(金) 00:40:39.18 ID:SHQuWznYo
>>21

【殺さなくてもいい正解が在るならば、其れに一番縋りたいのはきっと彼女自身なのだろう】
【そんな答え在るはずないと諦めて、それでも求めてしまうのは彼女がまだ歳相応の少女だからに他ならず】
【僅かに揺れ動く瞳で少女を見つめ、そして少女の言葉に目を伏せた】

「……………そう」

【一歩、前に踏み出す。殺さないで、そう願うような少女の瞳から目を逸らすように瞳を男に向け】
【唇を噛み締め、そしてまた一歩少女へと近づいた――――ここで殺さなかったら、今まで殺された人達は何のために死んだのか】
【罪人の首を切り落とし続けなければ、彼女は本当にただの人殺しになってしまう】
【殺された人々は断罪を受けたのではなく、其の死が本当にただの無駄死になってしまう】

「――――――――ごめんなさい」

【それは誰に向けた言葉だったのか――囁くような、耳を澄まさなければ聞き取れないような声で懺悔し】
【同時に、彼女の刃は寸分の狂いなく放たれていた――――少女が動かなければ、恐ろしいほどに呆気無く男の首が地面に落ちるだろう】
【彼女の殺人技術はまさしく達人だ、男は殺されたことに気付くことすら出来ないだろうし、少女に此れ以上一切の傷を負わせる事も無い】
【ただ斬り落とした後から血液が吹き出し、地面に叩き付けられる音だけが辺りに響き渡る――】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/14(金) 01:06:34.94 ID:eHDwUVPp0
>>22
【呟かれた二文字は重く、重く少女の頭にのしかかる】
【彼女だって、罪人を殺すことを苦しんでいたんだと気づいたとき、答えられなかった自分が情けなくて仕方がなくなる】
【もしあそこで、自分が答えを出せたならば彼女も救えたかもしれないのに・・・・・・】

【ごとっ】【その音は唐突にあっけなくなってしまう】

【のしかかる二文字にさらに俯き、真下を見た両目が捉えたのは、捉えてしまったのは】
【何がおきたのか分からぬままに、青ざめて、死の恐怖が固定されたままの男の頭部が】
【少女の足元に転がり落ちていた】

・・・・・・

【何が起きたかわからず、一瞬の沈黙。その後】

あぁ・・・・・・あ、ああ、ああああああああああああ!!

【悲痛な叫びが路地裏を揺らし、壊れた蛇口のように漏れる血が少女のブレザーを染め上げていき】
【肌に張り付く血の感触が現実から逃げることすら許してくれない】
【そして少女の誇りであった緋色の盾は鮮血に沈み、まるで凶器のよう】


24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/14(金) 01:16:43.00 ID:SHQuWznYo
>>23

【仕事は終わった。けれどいつもどおり達成感など欠片もなく、むしろ胸の内側にドロドロとした何かが蠢いていた】
【彼女は正義の味方ではない。だから叫ぶ少女を救うことなど当然出来ず、暗い瞳で少女を見て】

「…………」

【自分には何も出来ない。殺すことしか学んでこなかったから、どうすればいいか分からない】
【少女は悪ではない。正義である。よって殺すなどという選択肢は除かれて、ならば手元には一体何が残る?】
【問いかけ、数秒。悩んだ挙句に、彼女は刀を地面に突き立てると、鞘を腰から引き抜いた】

「…………」

【そして少女が抵抗しなければ、彼女は其れを少女の首元めがけて振るおうとするだろう】
【傷つける意図はなく、少女が妙な動きをしたりしなければ、意識を失うことになる筈だ】
【そういった技に長けているのか、痛みや外傷も殆ど残らない丁寧な一撃だった】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/14(金) 01:38:36.88 ID:eHDwUVPp0
>>24
ああぁ・・・・・・

【叫び続けて、もはや声も出ない】
【ぐったりと地に伏す首なしの死体を眺めて、あんぐりと口をあけて】
【無情に、少女は虚空を眺めていた】

【彼女が刀を振るうならば、少女はなんの抵抗もせずにそれを受け入れる】
【否、抵抗などできなかった】
【今、目の前に”二人”も守れなかった人が居る。そのショックに幼い少女は耐え切れなかった】
【殺させてしまった。自分が答えられなかったために。自分が馬鹿だったために】
【少女は一生、頭の中でこれを復唱し続けるのだろう】
【守れなかった。殺させてしまった。守れなかった。殺させてしまった。守れなかった―――】
【消える意識、少女の頭の中はこの二つだけで埋め尽くされていて】

//キリがいいのでこの当たりで、おつかれさまでしたー!
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/14(金) 01:46:45.65 ID:SHQuWznYo
>>25

【少女が気絶すると、彼女は地面に倒れる前にその体を鞘を持っていない片腕で受け止める】
【どうすることも出来ないが、放置することも出来まい。救うのは彼女の仕事ではなく、正義の味方の仕事だ】
【彼女はただ終わらせるのみ。それしか出来ないし、それだけをやってきた】

「…………先に、この子を気絶させてからやるべきだったわね」

【彼女は数百人を殺した殺人鬼だが、人間の情が無いというわけではない】
【最後に少女が見せた表情、思い出しただけでも胸が苦しくなる――――頭を振って、余計な思考を振り払い】
【刀を鞘に納め、彼女は血に濡れた少女の体をなんとか背負うと、その場を後にした】

【その後少女は、其の近くにあった公園のベンチで目を覚ますだろう】
【体にかけられていたのは、狐面の殺人鬼が身につけていた黒コート――――少女の血も、ある程度拭われていた】
【そして目を覚ました時、もしかしたら見ることが出来たかもしれない】
【少女が目を覚ますまでの間、怪しい虫が寄り付かないように遠くから見ていたポニーテールの高校生の姿が】

//絡み乙でした!
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/14(金) 17:41:28.69 ID:YAs6aSVt0
前スレ>>958

【彼が話をしている間ずっと待っていたのはよく分かった。きっと話し易いようにそうしてくれたんだなって分かって】
【そんな優しさに触れれば、尚更彼の腕の中が心地良く思えた。もうずっと知っている、彼は優しいって……でも、】
【何度だってその優しさに触れられるのが嬉しい。そう思えるから、きっと……私はこの人を選んだのだろう】
【―――ほら。今だって話の返事より先に、私の傷を癒してくれるもの……】

【軽々と抱き上げられる。あの巨大な槍を棒切れのように振るう彼には、マリアの体重なんて大したこと無いのだろうか】
【―――そうやって抱かれて彼の腕の中で掛けられた言葉一つに、マリアは心から柔らかい笑顔を見せる―――だって】
【何よりも嬉しかったのだ。今までの疲れや痛みを吹き飛ばす程に……掛け替えのないと、そう言って貰えたことが】

―――貴方……!ええ、―――私はいつまでも、貴方の横におりますよ。

【彼が自分に掛け替えのないと言ってくれたのと同じように、自分にとっても彼はたった一人、誰よりも大切な人だ】
【……何度も言ったけれど。それでも、何度だって言いたい―――どんな時だって、いつまでも貴方の横にいる、と】

【彼が封印を掛け終えれば、二人で家に戻る。……と言っても、マリアは抱き抱えられていただけだけれど】
【その間、一度だって下ろす事も疲れたと零すことも無かった。強靱な力を持つとはいえ、大変だっただろうに】
【その上傷が癒えるまでの暫くの間なんて、大司教の激務の間に看護もしてくれたのだから―――その優しさに、マリアは惚れ直したり】
【子供達も、家事が出来ないマリアに代わって色々手伝ってくれた。家族の優しさに触れられて、怪我をしたというのに少し幸せな数日間だった――】

―――

【……数日後に届いた手紙を持ってまだ癒え切っていない傷を庇いながら自室に戻る。】
【書かれていた内容は先日の霊廟での事だった。ああ、あの時の少女はマウスと言うのか……そう言えば、名前を聞きそびれていた】
【描かれる、事実と可能性に基づいた様々な推論。どれも可能性があり、そしてどれも好ましくない状況……】
【そして、最後の一枚。推論とは別に私信として綴られた文に、秘めるのは小さな決意―――】

(……非常に危険な存在……―――ええ、分かっておりますとも。)
(―――でも。もし、かの大司教が暴れるようなことがあっても……私が、幸せを護って見せます。)

【―――これで、この一件は暫く落ち着きを見せる。】
【自分の傍で笑顔を見せてくれる子供達や、何度も看護に来てくれる夫……家族に囲まれて、平和な日々は幸せと共に流れる―――】

//遅くなりましたが、改めてお疲れ様でした!
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/14(金) 18:51:58.78 ID:iG6F0g52o
【水の国の端の街――オフィス街、時刻は20時頃といったところか】
【定時組が去った今、外を歩く者は殆どおらず……静かな時が流れる、筈だった。】
【それを打ち破る可能性を持った存在がいた、2つの影だった。】 【けれども、今は誰も気づいておらず】

「ククク……テェストだ……前もやァったが、テェェストは沢山やァっておォいて損はねェ……今ォ日はこォこで……」
「まァずこォれがこォーなって……ほォう、材質は悪くねェーみィてェだな」

【影の1つは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【そしてもう1つは……体長7m程のトカゲやワニのような体系をした4足歩行の"龍"だった】
【それは岩のような鱗に覆われており、所々それが水晶化していて、特に上顎の水晶はサイの角の様で下顎のそれも鈍く尖っている】
【他、発達した指先の水晶は鋭く、尾の先端にもあって、胸部や腹部、背中等、多数の部分に水晶が見られる】

【龍は何をしているのか、――それは、足元の道路を、両顎のや足の爪で削りながらガリボリと食す事。】
【……これだけなら大したことはないが、道路を食せるということは……このコンクリートの街全てを喰らえるという事!】
【人間と思わしき者は、指名手配されている悪魔"邪禍"と非常によく似た顔をしており、このまま放置しておいて大丈夫である保証はないが……】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/14(金) 19:47:45.35 ID:R+j5ZpO/o
【夜の国、とある墓場にて】

【灰色の幹に黒い葉を繁らす木々に囲まれたその場所は死の静寂に支配されていた】
【生ける者の気配など何一つとしてない。ならば、黒き墓標の前に立つ姿は何者なのか】

……、……

【頭から足元まで全てを覆い隠す黒のローブ、手には黒く着色された薔薇の花束】
【背格好からして男であろうその人物は、物言わぬまま其処に立ち尽くしていた】

【地中深くから、妙な唸りにも似た振動が響く】
【異世界でまことしやかに囁かれる、正体不明の終末の音。それに酷似していた】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/14(金) 20:39:35.89 ID:SGHGUL0+o
【路地裏】

……オイよせって、な? ステイステイステーイ……。変に罪重ねるもんじゃねぇって……いやマジ。窃盗だけじゃまだ軽い方だからよぉ……ここで――――
『うるせぇッッ……お前状況分かってんのかよ……!! その銃口こっちに向けようとしてみろ……撃つぞ、ぶち殺すからなぁ……ッッ!!』

【路地裏、相対する2人。――――両手で確りと銃のグリップを握り締めて、震える銃口を相手に向けるは金髪の若者】
【背負ったバックはぱんぱんに膨れ上がり、僅かな隙間からは宝石の輝きが見える。つまりこの男、宝石泥棒。そしてこの泥棒の銃口の先を辿れば、もう一人の男】
【青いソフト帽が印象的な、白シャツに灰色のジレに群青のジーンズの男。彼の左手には青い銃が握られているが、その銃口は下に向いている】
【ソフト帽の男が着ているシャツの右胸には緋色の鷹、つまりSCARLETの紋章。ある程度の実力が保障されている筈なのだが――――この状況、明らかに不利】

何処の宝石店だ? 何分くらい前だ? そろそろ警察や自警団が――――

『黙れって言ってるだろぉぉッ!! ……そうだ、お前を人質にすればいい……!』
『……SCARLETも銃口向けられちゃ太刀打ち出来ねぇだろ、ならこのまま人質にした方が……いける、いけるんだ……!!』
『――――よし、動くなよ……動いたら撃つからな……』

【ソフト帽の男が質問を重ねても、金髪の男は其れを拒み、瞳を大きく開きながらゆっくりと彼に迫る。銃口は彼の頭に向けた状態をキープしつつ、段々と距離を縮めて行く】
【銃口を向けられている現状、下手に動けば直ぐに銃弾が飛んでくる。ソフト帽の男からすれば絶対絶命に思えたが、当の本人はハァ、と気怠い息を吐いて――――】
【――――銃口を一切動かさず、トリガーにかかった指だけを動かし、地面に発砲した。其れに反応して金髪の男もトリガーを引くが、弾丸は『氷の壁』に防がれていた】

【金髪の男が狼狽の表情を浮かべるも束の間、ソフト帽の男は横に大きく飛び跳ねながら発砲。弾丸は両手で握られた拳銃を弾き飛ばし――――状況は逆転する】
【ソフト帽の男が放った初撃は地面に当たった瞬間、彼の身体が隠れる程の巨大な氷柱をその場に展開され相手の弾丸を防ぐ盾となり】
【反射で放たれた弾丸を氷の盾が受け止めれば盾から飛び出しながら相手の得物を無効化。結果ソフト帽の男が丸腰の男に銃口を突きつける形となった】

っふー……おら、形成逆転だ。ここいらで諦めろっつーの……銃ぶっぱなしたことは無かったことにしてやるからさ……。
『……っぐぅ……ッ〜〜〜〜!! んだよそれ……ざっけんな……!!』

【映る光景は銃口を突きつけるソフト帽の男に、両手を上げ降参のポーズを取る金髪の男。もし誰かがこの現場を見てるなら、どう認識するだろうか】
【視覚だけで、どっちが悪でどっちが正義かを把握できるのだろうか。強盗があったことを知っていたり、男のバッグを見れば正しい判断が出来るかもしれないが……】
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/11/14(金) 21:29:35.55 ID:V8T4Zkzyo
【櫻の国、深夜市街地】

【『人斬り』とは実に分かり易く、実に簡潔で、実に身も蓋も無い】
【突発的な犯行も、政治的な犯行も、何もかも一緒くたにしてしまうのだから、ある意味では質の悪いとも言えるような、そんな可笑しな言葉である】

【此処に『人斬り』が二人いる】

【一人の『人斬り』は少女の体をしていた。襟詰制服の上に二重回しを被り、白い手袋を身に着けた黒い髪の少女】
【両腰には二本の刀の鞘、黒と朱の鞘を携え、両手には其処に納められていたと思わしき二本の太刀が握られていて】
【無論それはただ握られている訳が無く、振るった形跡が。残っていた。ぬらりと、朱い血と脂が月光を浴びて、怪しく煌めいていた】
【両目にかかるほどの前髪の下、左眼は正常に黒い瞳孔をしていながら、右眼は異様な白い瞳孔となっていて、その視線の先に在るのは】
【着流しに身を包み、もう一人の、『人斬り』は、中途から折れた刀を握り締め乍ら、腹部から多量の血を流して、どっと其処へと倒れ込む】

『……子飼いの、人斬りめ。藩に、飼われて……貴様は……人斬りですら無い……崇高な、目的も持たぬ……』

【そんな口走りを、確固たる意志が見えるその言葉を、少女はまともには聞いていなかった。興味が無かった、と言う訳では無い】
【その双眸、モノトーンの両の瞳孔に宿るそれは明らかな『殺人の衝動』。相対してみれば、傍らから見るだけでも分かるだろうが】
【ただただ、対象を『斬殺』したい、という意が駆け巡るだけで、例えば道徳心や何かと言ったそれらは、蓋をされるようにその下へと滑り込んでいた】
【故に彼女が示すのは、ただただ[ピーーー]気、唯一つ。一歩足を踏み出すと、かりっ、と右手に握った刀の剣先が地面を引っ掻いて、線を引いて見せた】

「何言っとるだ。んなもん、人を斬りゃあ誰だって人斬りだわ。この御時世、刀持ってなくても人斬りって言われるし。
 うちはただ、斬りたいから『斬』っとる。別にこのまま逮捕したっていいけどうちが斬りたいからお前を斬る。

 ほら、うちも人斬りだら?目的何かどうでもいいんだわ、過程があればそれで十分、それじゃあ、お前、[ピーーー]わ」

【『人斬り』とは実に分かり易く、実に簡潔で、実に身も蓋も無い】
【突発的な犯行も、政治的な犯行も、衝動的な殺戮も、何もかも一緒くたにしてしまうのだから、ある意味では質の悪いとも言えるような、そんな可笑しな言葉である】

【ただ斬りたいだけの刃とは、なんとも救いようの無い物で―――――― ガリガリと剣先が地面を引っ掻いて、振るわれるまであと数刻】
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga  sage]:2014/11/14(金) 21:35:20.31 ID:dOKKJjiDO


【とある町の広場。普段ならば穏やかな雰囲気に包まれている筈のその場所は物々しい空気に包まれていた】
【その空気の発信源は、何人かの男女。彼らは何かを取り囲み、皆一様に麺棒だのパン切り包丁だのといった物騒な物を手にしている】

【そして、彼らが取り囲んでいたのは、一人の少女】
【ハニーブロンドの髪にワインレッドの瞳。生成色のブラウスに青のリボンタイに赤紫色のフード付きパーカー。紫色のスカートと白いニーハイに赤茶色のショートブーツという出で立ちをした十代前半程の少女】

「とうとう追いつめたぞ、餓鬼め! 」
「このアマどうしてくれようか」
「取り敢えずとっちめて市中引き回しの上ふん縛って晒し者にしてやろう」

あ……あのさ、おじさん達、食い逃げくらいでオーバーじゃない? 
【穏やかではない様子で自分を睨みつける人々を見て少女は冷や汗を浮かべる】

ふ……普通市中引き回しとかしないしおじさん達が手にしてるの何か物騒だよ? 
そ……それに今の状況、おじさん達が悪人みたいだし……さ? 
【少女は引きつった笑みを浮かべながら大人達を宥めようとする】
【だが、少女の言葉も虚しく人々は凶器を手に彼女に近付いていく】

うわぁぁぁ!! ごめんなさいごめんなさい宿代払わなかったうえに食い逃げしてごめんなさいお金無いの忘れてただけなんです初犯なんです許してくださいぃぃぃぃ!!! 
【身の危険を感じた少女はワインレッドの瞳に涙を浮かべ必死に謝罪するが、人々は聞き入れようとはせず更に近付く】
【そして、一人の男が手にしていた棒を振り上げた】




33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/14(金) 21:58:32.05 ID:VqMOUcr9o
/>>29で引き続き募集します
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/14(金) 22:30:46.98 ID:OStjjZMDO
>>32

   ────まぁったぁあああぁああああ!


   【 ず ──── だ 、 ん っ ! 】


【それは、唐突な出来事だった】
【少女の元に、小さな黒い影が降ってきたのだ】
【布を遅れてはためかせ、影は少女を守るかのように、彼女の腰へと手を回す】

    【 ぐ、──── 】


【それは、唐突な出来事だった】
【地面が、波を打つかのように小刻みに震えたのだ】
【民衆の動きは止まるはずだ。もしかしたら、転倒する者だっているだろう】
【しかし、大きな怪我人は出ない程度の、揺れだった】

【振動は、数十秒もすれば止む】
【──震源地はもちろん、先ほど降ってきた、小さな影】
【夜色の長髪に、夜色の瞳。ロングコートを纏う「彼女」は、齢18ほどだろうか】
【彼女の背には、布を巻き付けられた刀剣らしきものが背負われている】

【空から降ってくる系ヒロイン──.そう、それは一時期の流行りだった】
【だが、いくらなんでも、これは、やりすぎだ──!】

/まだいらっしゃいますかー!?
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/14(金) 22:54:23.65 ID:OlLt2sYO0
>>29

【ーーそっと、ローブの人物の後ろに、同じくローブ姿の者が現れた】
【墓参りにしては、花も供え物も持っていない】
【ならば散歩か。まさかーーここは、そんな場所ではあるまい】


……お墓、参りですか?
薔薇の花束なんて、珍しい、ですね


【「あぁーーーー」】
【女の、声だった。ひどく落ち着いた、女の、声】
【「せっかくの場所なのに……煩わしい、音」】
【女は続けて、そう言った。静寂を望むかのような、独り言だった】

/慣れない端末からなので遅いとは思いますが、それでもよろしければお願いします
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/14(金) 23:03:36.59 ID:VqMOUcr9o
>>35

……ああ。薔薇が好きな女性だったから
ただし、黒色でないと……酷く叱られてね

【相手にさしたる警戒心は抱いていないようだった。僅かに顔を其方へと向ける】
【ローブのフードから長い赤毛が一束溢れるも、男の顔の全貌までは伺えない】
【落ち着いたバリトンの声色。年の頃は、三十代か】

けれど……私が現れたこと自体が、どうも彼女の気に触ったようだ
酷い地鳴りだろう? 此処を離れた方が良いのかも知れないね……

……まあ、行く宛など。何処にも無いのだけれど

【アポカリプティックサウンド、俗に言う終末の音】
【微細な振動と共に低く重苦しく響く音は、確かに地獄からの呪詛のようだった】

/よろしくお願いします
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/14(金) 23:15:36.59 ID:OlLt2sYO0
>>36

【ふふ、と女は笑った。声には出さず、喉の奥で笑った】
【女の顔は、暗くてよく見えない】
【ただ、顔の右半分が爛れていた。手酷い火傷だった】

……あら、せっかくきてくださったのに、ひどい方なのですね
黒い薔薇なんて、見つけることすら、大変でしょうに
ふふ、私でしたら……きっと、とても嬉しいですわ

【ローブの隙間から、ウェーブのかかったプラチナブロンドが覗く】
【そういえば、小柄な女だった。成人しているかどうかも、危ぶまれるほどに】

ふ、ふ……なら、ここから離れましょうか
手でも繋いで、出ましょうか
そうなれば……薔薇の彼女は、嫉妬にでも狂うかも、しれませんけれど

【そう言って、彼女は男の手をそっと握ろうとする】
【落ち着いてはいるが、声は愉悦を孕みつつあった】
【男とここを離れて会話をすることも、地鳴りからなにかが訪れることも】
【ーー何があっても、愉しめる。女の声は、そう言っていた】
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/14(金) 23:21:10.59 ID:7JUYLUo1O


>>34

【突如聞こえた少女の声】
【取り囲んでいた人々の視線は当然のごとくそち らに向か……うより先に起きた小さな振動により踏鞴を踏み明後日の方へ】

ふぇぁっ!? 
【少女は突然の乱入者によって腰に手を回された事に驚いたのかおかしな悲鳴をあげる】

「な……何モンだアンタ! 」
「怪我したくなかったらその餓鬼を離せ!! 」
【震動から数十秒、なんとか調子を取り戻したらしき人々はこれまた悪人のテンプレート的な台詞を少女に投げかける】


/遅れましたすみません!
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/14(金) 23:28:51.94 ID:OStjjZMDO
>>38

私か?私はリーべ!リーべ・エスパス!
怪我などしないし、もちろんさせない!
この子も──お前たちも、だ!
ふふふん、もちろん、かすり傷ぐらいはするだろうが唾でもつけておくんだな!


【ぎゅうっ──。少女に安心を与えるように、夜色の彼女は更に腕に力を込める】


とりあえず、お前たち落ち着いたらどうだ?
こんな女の子をそんなもので殴りいたぶろうとするなんて、ひどい奴らだな!

盗んだ、悪いことをした、逃げた──まぁ、それはいい
だが問題はそのあとだ……何故お前たち、この子を正さない!

それが、 大人の、 することか ── !


   【 號──! 】


【少女が、吼える】
【怒りの矛先は、取り巻きの大人たち】
【びり、びりと──少女の声で大気が震えた】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/14(金) 23:28:57.15 ID:VqMOUcr9o
>>37

【相手が笑うと、男も微かに口角を上げて微笑んだ】
【爛れた相手の表情にも思う所は無かったようだった。男の顔にも、僅かな差異がある】
【暗いグリーン系統の双眸は、左右で瞳孔の開き幅が大きく異なっていた】

……そうだね。そうしようか、レディ
もう、彼女には懲り懲りでね……嫉妬でもなんでも、勝手にすれば良いのさ

【取られた手を振り解くことはせず、引かれるままに繋いだ】
【その瞬間、一層地の声は強く震えた。態とらしく男は肩を竦めてくつりと笑い】

キミの、想像通りのようだね……怖い怖い
さて、何処へ行こうか。私には何も無いから、キミにお任せしよう

【先程もそう言っていたが、それの示す意図は明らかにしないままで】
【男は相手の行くがままに任せ、ついていく。此方も、何が起ころうと構わないというようだった】
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/14(金) 23:37:56.07 ID:ThaZN9pZo
【路地裏】

【薄暗い路地の奥から銃声が響き渡る。此処みたいな治安の悪い場所の人気のない場所では】
【珍しいことじゃないと思われるが、こんなにも撃ちまくっているのは珍しい。ライフルやショットガンの銃声だ】

『――――やったか?』 「クソッ、逃げられたな。…追うぞ まだ、此処から出ちゃ居ねえよ」

【外した弾丸はビルの壁に蜂の巣のような痕を残し、ネオン看板を粉々にして、硝煙の臭いを充満させる】
【軍用ライフルを構えた男と、ショットガンを構えた二人組みはあたりを警戒しながら路地を進む】

『早く見つけちまわないと警察がくるぞ』「わーってるって。こんだけ撃ちまくってりゃだれだってトンで来るぜ――」

【二人組みはそう話しながら路地の奥へと進んでいく。暫くして、ガタリと物音と影。上からパイプをつたって誰かが降りてくる】

っと……何処のどいつだ馬鹿野郎。…繊細さの欠片もない…オーバーキルになるところだ

【現れた背の高い男は疲れきったようにため息をつく。薄暗い路地でも濃いレンズのサングラスをしていた。服装はダブルのライダースジャケットに】
【黒いシャツ、白いネクタイ。ジーンズの裾はエンジニアブーツに押し込んで、腰には気怠そうにガンベルトと2丁のリボルバーが収められていた】

【男は乱雑に積み上げられた木箱の一つに腰掛けて、ポケットから取り出した煙草に火をつけた。あたりは銃痕に破片が散らばって居る現場だ】
【いつ自警団や警察が来てもおかしくない状況だが、あの二人組みが戻って来そうな気配はない。男は煙を大きく吐き出した】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/14(金) 23:38:57.15 ID:OlLt2sYO0
>>40

エル……エル、ですわ。そう、呼んでくださいませ
ふふ、勝手にすればいいと言う割には……
随分と薔薇の彼女のことを気にかけているよう、ですけれど?

【そっと、柔らかく、彼女は男の手を握る】
【指輪の痕も、武器を握った痕も、ペンの痕も、何もない】
【それはまるで、作り物のような、ひどく綺麗な指だった】

ふふ……そうは言っても、私にも行く宛なんてございません
そう、ですわね。夜の国には、遺跡が多くあると聞きます
なので、どうでしょう……近くの遺跡で、深夜の語らいでも

【そこまで言えば、女はしずしずと歩き出す】
【向かう先は、宣言通り近くの遺跡】
【ここまで、彼女が奇妙なことをする気配はない】
【おそらく本当に興味本位で、話しかけたのだろう】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/14(金) 23:52:32.40 ID:VqMOUcr9o
>>42

機嫌を損ねると、後が恐ろしいからね……流石にもう、呪われたくない
けれどあの様子では……もう、縒りを戻す見込みも無い

エル。……私は、セシルと言うよ

【骨張った男物の手は冷たく、生気に欠けた感覚を齎すだろう】
【魔翌力に敏いならば感じ取れるかも知れない。この男、通常の人間ならば持ち得る微細な魔翌力が欠片も無い】
【死体でさえもう少し肉体に残存する力があるだろうに、あろう事か彼にはそれすらもないのだ】

遺跡……嗚呼、良いね。こんな夜には、ちょうど良い
ふふ、それにしても、キミも行く宛の無い仲間だったとはね……エル
拠り所が無いというのは、酷く心細いものだから。……何か、理由でも?

【男の方からも、別段妙な動きをする様子はない】
【繋ぐ手も、離されない限りはそのままに彼女の隣を歩いていく】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/14(金) 23:58:33.81 ID:7JUYLUo1O

>>39

【突然現れ、名乗りをあげた少女──リーベに少女は戸惑ったように彼女を見るが、自分を傷付けさせはしないという言葉を聞くと共に腕に込められた力を感じ、味方だと分かったのだろう、安心したような表情を浮かべる】

「お、おい餓鬼! 何ホッとして……」
【その表情を見咎めた民衆の一人が少女を睨みつけ怒鳴りかけるが、リーベに酷い奴らと言われ鼻白む】

「う……うるせぇ! そんなのこっちの勝手だろ!? 」
「そうだそうだ! 」
【大体食い逃げする此奴が悪い、と民衆の一人が言いかけるが渇を入れられ思わず言いよどむ】

「た……正すってもなぁ嬢ちゃん、こういう輩は一度でも痛い目にあわなきゃまた同じ事するんだよ! 」
「そ、そうだ! 痛い目見せてもう二度と変な気起こさせないようにしなきゃ意味ねえだろうが!? 」
【民衆達はリーベの怒号に一瞬たじろぐが、すぐさま反論してくる】


45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 00:02:52.94 ID:d+GPulBA0
>>43

セシル様……ふふ、素敵な、お名前
でも、そんなことを言うだなんて……

【「呪いと深い、ご縁でも?」】
【ふふ。彼女はまた笑った】

【魔力ーーそれを感知するほどの力は、女にはなかった】
【だから残念なことに、男に違和感を覚えることはない】
【ただ、ひどく冷たい手には、疑問を抱く】
【だがそれを口にすることはなく……握る手に、力を込めた】

……星の夜が、好きですわ
星は変わりません。そう、数千年程度であれば
夜がある限り……私はひとりぼっちじゃありません

みんな、みんな、変わってしまいますから

【答えは、ひどく曖昧なものだった】
【そこから得られるものは、とても少ない】
【分かることといえば……彼女の孤独の理由が、“変化”に基づくこと、だろうか】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/15(土) 00:14:36.95 ID:YOl8o2pEo
>>45

元はね、呪いを扱う身だった。いつしか呪われて、呪いを解くために別の呪いに溺れた
そうして呪詛ばかりが重ねられて……何時しか、私は私でなくなっていたんだ

エル、キミも気を付けて。自分を失うこと程、恐ろしいものは無いから

【忠告のようなその言葉は、彼の手の冷たさへのある種の回答とも取れた】
【壊れ物に触れるように、相手の指に自身のそれを絡めて緩く目を細める】

星が……? ふふ、成程。人は瞬きの合間にもうつろい行くものだからね
私など、何度移ろい壊れた事やら。きっとこういう性分、なのかな
そして……それ故に、居場所を無くしてしまったのだけれど

【彼の側の理由は、言わば相手とは対になるものだった】
【もっとも、理由は対であれ。今こうして同じ孤独を分かち合っているのだけれど】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 00:18:52.30 ID:ZHmHU5/DO
>>44

食い逃げが悪い……?
痛い目を合わせる……?

──なら、なぜ食い逃げをするか考えたことはあるか!
なぜ彼女が餓えるかわかるか!
お前たちは、彼女に助けの手を差し伸べたことは、あるのか──!


【だ、ん────っ!】
【少女が大きく地面を踏む。また──ず、ん。地が震える】
【リーべは怒っていた。盗人の彼女ではなく、周囲の大人たちに】
【悪を弾劾するだけで、満足したつもりになっている、大人たちに】


……考えてみたことは、あるか
何故人は、悪いことをするのか
何故人は、罪を為すのか
そこにはきっと、理由がある──私は、彼らの話が聞きたいんだ!

だからな──この際私はお前たちの話も聞いていきたい
なぜ武器を持つのか、なぜ少女をなぶるのか
だがしかぁし!それは次の機会にとっておく!

よし行くぞお前っ!
まずはパンを盗まない方法を教えてやろう!


【びり、びり──リーべが叫ぶたび、大気が揺れる】
【しかし話すだけ話すと、彼女は満足したのだろうか】
【責められていた少女をぎゅうと抱きしめ──】


   ──痛い目見せずにすむなら、それが一番だろう?


   【 だ 、 ん ──── ! 】


【また、地を踏む。しかしそれは震わせるための動作ではなく──】

   【────ど、っ!】
   【跳躍──ッ!】

【まるでヒーローのように、少女は、リーべは跳ぶ】
【どういう手品か、あるいは能力なのか】
【とにかくリーべは少女を抱え、夜空高くに跳躍し──】
【すぐ近くのビルの屋上へと、すたりと着地することだろう】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/15(土) 00:27:43.84 ID:+84j8Od0O
騒ぎ起こして引退するとか言っておきながら鈴音捨ててのうのうと復帰するセシルさんちーっすwwwwwwwwwwwww
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 00:30:55.94 ID:d+GPulBA0
>>46

……まぁ、そんなこと、が
それはきっと……とても、哀しいお話、ですわね

【紡がれた言葉は、同情からだった】
【そして与えられた忠告には、ただただそっと、笑みを浮かべるだけだった】

……移ろい壊れるもの
私はそれが、何よりも恐ろしい
居場所なんて、いりませんわーーただ、私がいれば、それだけで十分

【「それでも……恋しくなるときは、ありますけれど」】
【そう言って彼女は、また笑うのだ】
【だがそれはきっと、哀しげな色を秘めていた】

【そして、2人は小さな遺跡に辿り着く】
【壊れかけ、雑草にまみれた、廃墟のような遺跡】
【ここを選んだのはーー人に忘れられた場所だから、なのだろうか】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/15(土) 00:33:03.70 ID:yrtMGYrH0

【曾て戦場とされていた地。今となっては只の野原となっており、土を掘り返せば偶に骨が見つかる事が名残とされる程度】
【そんな場所に佇む人物が一人。――――傍らには、魔物達の亡骸が転がっていて】


「お前等にも言葉が通じるなら話し合いで無駄に死ぬ事も無かっただろうが…………まあ、今更言っても遅いか
悪いが、空腹の連中に自分の身を差し出してまで満腹にさせる慈悲は俺には備わって無くてな
悪戯に苦痛を長引かせた訳でも無し、それで勘弁してくれ」

【そのどれもが首が切り落とされた以外に外傷は無く、青年の実力を示す事にもなろう】
【――――かといって、無傷で済んだ訳でも無く。腕を切りつけられたか、血が流れるけれど本人は気にした様子も無い】
【軽装の鎧、風貌からして軍人の様にも思えるか】

【外見から判断するに、歳は大凡二十代。蒼髪であり、暗い朱の瞳を持った隻眼の人物】
【手にした剣の切っ先から滴る鮮血を振り払ったなら古びた布を巻き、腰に提げ】
【――――顔の左に走る傷跡。瞼が閉じられたままである事から、開かない事が知れるか】


「しかし、何だ…………流石に連日野宿ともなると疲労も蓄積するな……
もう少し歩いて宿でも探すか、その時間を惜しんで此処を今日の寝床とするか……いや、流石に此処は血生臭いな」

【特に建物だとかも無い此処は見通しが良い。故に、遠くからであっても青年の姿は容易に発見が可能で】
【――血の臭いに気付いてか、それともこの時間に居る事を不思議に思ってか。何であれもしも近づくのならば数瞬早く気付いた青年が視線を向けるけれど】








【街の中に存在する巨大な図書館。昼夜問わずに何時も門が開かれている其処は、書架が多彩な事もあって学者だとかが良く訪れ居るらしく】
【――――外の天気は雨。故に珍しく閑散としているのだが、木製の長テーブルの一角に山積みにされた本があれば流石に目立つか】
【見遣れば其処に居るのは緑色のローブを纏った一人の女だ。うーん、と唸りながら頁を捲り、目的の物が無いと知れば新たに山の側に置いて】


「やっぱり無い、かぁ……。やっぱり図書館じゃ無くて古書がある場所を探った方が良いのかなぁ……」

【溜息を漏らせば蓄積した目の疲労を癒やすが如く瞼を閉じ】
【――――表題には『曾ての栄光』『過去の遺産』等々記されており、頁が開いたままの本を見れば専門書である事も知れよう】
【これだけの本を探った所で、女の捜し物が無いというのも中々の話だが】


「教会の書庫は貸して貰えないだろうし……もうちょっと自分で調べなきゃ駄目かな……」

【目を瞑ったまま漏らしたのは憂鬱気な言葉】
【……この女、無意識に通行の邪魔になってしまう様な形で椅子を引いており】
【通ろうとした者がその事に気付かず、椅子の脚にぶつかってしまう可能性は大いに有りうる】

【或いは探していた本が山積みの一角にあっただとか、単に見知った顔だから等も有り得るのだが――――】
【何にせよ、目を閉じて思案を巡らせていた所に何かアクションを起こされれば大いに驚く事は間違い無く】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/15(土) 00:36:25.50 ID:+84j8Od0O
鈴音の方へ
状況回復につきましてはこちらにまとめさせて頂きます

・セシルについては、元から掛けられていた呪いによって「存在していた証すべて」消失
・館や指輪、幻獣達など、彼の残した物全てについても同様
・彼の消息を知るものはいない、関係者(同PLのキャラ)とは連絡が一切つかない

ロールについてですが、やはりスレにこれ以上ご迷惑を掛けられないことを鑑みて
書き込み共々これを持って最後とさせて頂きます、さようなら

結局口だけのセシルさんちーっすwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/15(土) 00:45:30.00 ID:P+4ytM0sO

>>47

「そ……それは……」
【民衆はリーベの言葉にたじろぐ。】
【が、一方の少女もまた気まずそうな表情を浮かべていた。それもその筈だ】

(……言えない。自分で無計画にお金使っちゃって金欠になっちゃったとか……言えない)
【別に深刻な理由で飢えていた訳じゃなかったのだから】

【若い娘に諭される中年達。おぉ……などと小さく感心の声をあげている者までいる】

あ……あのー……リーベさん? もうそろそろそれぐらいにした方が……
【これは逆に自分が居辛いというか、もう何というか私ボロ雑巾の刑で良いですからと謝ってしまいたいというか。そのような気まずい気持ちになった少女が思わず民衆をフォローしかけた瞬間】
【少女の身体は抱きかかえられ、リーベと共にビルの屋上へ】

「え……えぇぇ……?」
「いっちまった……」
「あの子……能力者かぁ」
【広場には二人の少女が飛んでいった方向を見つめぽかんとする民衆がいた】

あ……あの、リーベ……さん? 助けて頂いたのは有り難いんですが……
【ビルの屋上。少女は困惑した表情を浮かべる】

53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/15(土) 00:47:10.46 ID:YOl8o2pEo
>>49

……確かに。傍から見れば、酷く恐ろしいものなのかも知れないね
私はね、変わらないものが恐ろしいんだ。変化することのないものが、怖い
これだけ失って、今なお……私という存在が此処に居る事も、ある意味とても恐ろしい

【辿り着いた先、遺跡の中に腰掛けられそうな場所を探すと、彼はローブを外し其処へ敷く】
【それから、相手にその上へ座るようにと促すだろう。応じたなら、彼はその隣に座り】
【ローブの下は確かに術士然とした出で立ちで、腰までの赤毛が黒服に映えていた】

キミは……エルは、ずっと変わらないままで居られるのかな
それは、とても難しい事だと思う。やがては淘汰されてしまう種族のように
残酷なことを言うけれど……変われない人間に、未来は開かれない

【静かに語り掛ける言葉は、相手を否定するもの】
【だが、悪意のそれで無い事は感じ取れるかも知れない】
【彼は丁寧に言葉を選びながら、一言づつ話していく。まるで、自分への言葉であるかのように】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 00:54:58.04 ID:ZHmHU5/DO
>>52

【屋上につけば、少女から手を離してうぅんと一伸び】
【それもそのはずだ。人一人抱えて跳べば、疲れるに決まっている】
【さらに疲れを落とすかのようにとん、とんと軽くジャンプして】


──んっ?
そうだな、お礼は大事だな、どういたしまして!
だが私はお前がまっとうに生きることが何よりも嬉しい!

そうそう、自己紹介が遅れたな!
私はリーべ!リーべ・エスパス!
こみいった話は苦手なんだ!まぁそれはどうでもいいとして……
──ほら、名前。大事だろう?お互いを知るのは


【困惑した少女を差し置いて、またもリーべは喋る喋る喋る】
【誰かを理解するとかお互いを知るとか言っているくせに、それが一番足りていないのはこいつなのではないだろうか】

【ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら──】
【ひとしきり喋ったところで、やっと一息つくリーべ】
【その顔には、すっかり満足したような笑みが浮かべられていた】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/15(土) 00:57:51.19 ID:uKQtLNd6o
>>50

悩み事ですか、お姉さん……?

【清流に似た澄んだ声がふと耳に響く】
【微かな風の流れは椅子の背後に誰かが居る証左、背もたれにそうっと両手が掛けられ】
【言葉の後にクスクスと笑みが続く】

学ぶでも悩むでも良いのですが少し自分の姿勢に気を使って……あら

【流れる真白き髪は腰元へと広がり】
【うっすらと伸びた眉も睫毛もその肌も、纏っている季節外れのワンピースも一切の白】
【出来過ぎた統一感に何を思うかは対する人間の感性次第だが、凡そまともとは遠いのは確か】

【並ぶ書籍、その表題を覗き見て感心したように柔らかく頷く】

ほう……『曾ての栄光』……『過去の遺産』
考古学者の方でしたか、果て無き過去に手を伸ばしされど掴む物は無し……
あらゆるものに云える事ですが、その来歴の一切を手繰り寄せるのは難しいですからね、で一体何をお探しで?

【す―――と伸びた指先で本を撫で】
【少し首を上げた興味をそのままに、ふわりと笑みでも浮かべて尋ねる白無垢は】
【どういう訳は妖艶で、或いはその紫白の瞳によるものか……】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/15(土) 01:08:10.53 ID:d+GPulBA0
>>53

【変わらないものが、恐ろしい】
【それを聞いて、彼女は首を傾げた。まるで、理解できないとでもいうかのように】

【座ることを促されれば、彼女はそれに従うーー断る理由はなかった】

……それは、分かりませんわ
もしかしたら変わるかもしれませんし、このままかもしれません
ただ……今は、このままでいるでしょうね
そうしたい、気分ですから
後、5年?10年?それとも……100年でしょうか

……未来なんて、何もかも、変わってしまうのに
私は……ふふ、やはり、望めませんわ

【彼の言葉は、ゆっくりと夜の大気に染み込んでいく】
【けれどもそれは、彼女の心にまで染み入ることはなかった】
【初対面だからか、それとも他に理由があるのか】
【ともかく彼女は、彼に心を開こうとはしていない】
【それでも……浮かべられた笑みは】
【彼の言葉を嬉しいと、そう思っているからだった】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/15(土) 01:20:25.61 ID:YOl8o2pEo
>>56

……、……そっか。なら、仕方ないね

【相手の出した結論に、暫し黙考してから負けたとばかりに笑う表情は何処か幼くもあった】
【其処に悪い感情が無いのは、少なくとも気持ちだけはある程度伝わったと感じたからだろう】
【遠くの星を見上げる様に視線を上へ向ければ、男は緩く目を細め】

私も、今はこのまま……こうしていたい気分なんだ
もっと早くエルに会えていたら、とさえ思うよ
そうしたら、変わってばかりの自分を省みれていたかも知れない。なんて、結局人任せか

【愉快げにくつくつ喉を鳴らして、それから少しの間沈黙があった】
【夜の空気の冷たさがすり抜けていく、そんな些細な幕間】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/15(土) 01:20:31.40 ID:P+4ytM0sO

>>54

……へっ!? あ、そのぅ……全う……えぇ……? 

えっ、あっ……大人達に話すの聞こえてました……はい……リーベ、さん……
う、わ……私はサフィア・エレファリスといいまして……その……
【少女はリーベのマシンガントークに圧倒されつつやっとの事で自分の名前を述べる】
【が、彼女の話が一息つくと意を決したように一度深呼吸して】

ご……ごめんなさいッ!!! 
【先程名乗った時より幾分か声を大きくして頭を深々と下げる】

あの……っ、私……さっき貴女がいってた様な退っ引きならない事情で飢えてた訳じゃなくて……っ! 
その、ただ無計画に路銀使っちゃって無一文になっちゃってッ!! 
しかもその事すっかり忘れて普通に宿泊と食事してただけで……その、えっと……
要するに私ただの無計画な馬鹿なだけだったんです! 自業自得だったんです本当にごめんなさい!!!
【一言口にすれば後は堰を切ったように語り、少女はまた深々と頭を下げる】



59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/15(土) 01:22:14.92 ID:yrtMGYrH0
>>55
【自分の持つ知識を全て導入した中での捜し物】
【目に入るのは活字活字活字――――活字ばかりを負っていれば目だけでは無く精神的な疲労も蓄積が始まる】
【「どうしよう……」なんて呟きは殆ど放心状態の中で行われていて…………そんな中、近場の気配に気付いたならば猫の其れの如く大きく身体が跳ねるのだろう】


「ひゃっ?!ごごごご、ごめんなさい……!邪魔、でしたか……?」

【悩み事、と答えを返すだけの余裕も無く。慌てて椅子を退いて通りやすくする――――が。話し掛けてきた相手が通路では無く自分に用があるのだと知れば向き直り】
【頬に朱が差し込んだのは失態を見られた事に対する恥ずかしさか。改めて謝罪をして、ふと顔を上げたならば】

【穢れ無い白、とは美しい物。純白だとか新雪の様なだとか、白という色一つに対しても様々な言葉があることから人間が関心を持っていると知れるか】
【そして、この女もまた白の彼女を美しい存在、として認識したのだろう。――――其れが人から外れた様に感じたのは、コレまでに様々な遺物に携わった故か】
【無論、今は口に出すことは無く】


「えへへ……考古学者、なんて偉い存在じゃ無いけどね。でも……うん。遺跡だとか、そういうのは好き、かな」

【ただ単に趣味としている、とは述べるものの積まれた本は趣味の範囲から大きく離れており】
【何を探しているのか、と問われれば近場に置いていた一冊の魔導書を彼女の目の前にそっと置き】
【表題すら掠れて読めなくなってしまった物。頁を捲れど捲れど終わりは無く、まるで質量を無視したかのように無限に増える頁】
【全ての頁に様々な事が書かれていた。失われた魔術について、或いは魔物の生態。下らない料理等、統一性が見られず】


「…………其れ、ずうっと昔に見つけたんだけど……まだ、今一分からなくてね
どんな魔術が施されて居るのかとか、色々知りたいんだけど――――何処にも、載って無くて…………」

【――――遺物を感知出来る力があるならば、其れには数多くの魔術が施されて居る事が知れよう】
【曾ての魔術師が作ったのか、難解な術式が幾多も張り巡らされた其れは解く事を殆ど不可能と思わせる様】
【まるで、魔導書の本性を暴かれるのを拒むが如く】

【尤も、女本人はその事についてはまだ知らず。ならば取り敢えずは、と告げるのも或いは先ずは好きな様に触れるのも手】
【追記するならば、其れはネットの検索に等しい。適当な事を思い浮かべれば、思い浮かべた事に関連した事が記された頁が開かれるのだから】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 01:32:23.95 ID:k1Wb3CmS0
>>57

……なら、少しだけ。もう少しだけ、こうしていましょう
少しだけ……少し、だけ……
今は、そうしたい気分、なんです
なので……そう。そう、星が、見えなくなるまで

【星を見上げた、男】
【それに寄り添うかのように、彼女は彼に身を預けようとする】
【夜は変わらないと、彼女は言っていた】
【そんな夜の下で、変わったことをしたくなったのはーー】
【それはきっと、人肌が、恋しくなったから】

【目を、閉じる。そっと、微笑む】
【そうして、そのまま。彼の気配を感じながら、彼女はしばしの時を過ごすのだろう】
【去ると言えば、彼女はそれを許す。彼女だって、夜明けには去るつもりでいた】
【ーーちりん。彼女の服の中で、コインの擦れる音が、した】

/きりがいいので、この辺りでっ
/絡み、ありがとうございました!
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/15(土) 01:46:18.95 ID:YOl8o2pEo
>>60

……ああ、そうしよう。私も、それを望むから

【身を預けられればそっと手を回し、相手の頭を撫でようとするだろう】
【人肌が恋しいのは彼も同じだという。受け止めた相手の体温に、ゆるゆると双眸を閉じ】
【そして、小さく微笑んだのだった】

/了解です、絡みありがとうございました!
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/15(土) 01:49:20.69 ID:uKQtLNd6o
>>59

いえお気になさらず今や興味は別の所に移りましたので……
さてさて、魔導書……ですかこれは?

【掠れた表紙、そのタイトルにそうっと触れる】
【覗きこむような姿勢はそのまま白い髪を幾本か垂らして揺れる】
【純白のベールはどこか亡霊の纏う装束にも見えてしまう】

捲っても捲っても一向に減らないページ……
これは遺跡探索の折にでも見つけたのでしょうか、それとも先祖の手に因るのでしょうか

【白い人、その指先で捲る先には星々の記述が多かった】
【特に夜の空を支配する黄金の球体、即ち月についての記述は群を抜く】

【遥か昔の物語にかぐや姫なる物があったというが……】

さて――――――どちらにせよ、なかなかの厄ネタかと思われます
触れた限りでは詳しく分かりませんが「拒絶」の類の力を感じます、何かしらが封じられているのは……
いえ、持ち主である貴方ならば理解はしているのでしょうけれど……

【すぅ……と見つめて言葉を返す】

やはり気になるのは来歴ですね……
一体どこぞの誰がこのような物を作り上げたというのか、さながらエルダーレコードです

【パタリと閉じられる本、星々の物語は閉じられて】
【細めた瞳は腫れ物でも見るように、されど僅かに含まれる念は郷愁、本を作りし造物主のその想い】

【暴かれるを拒む物を無理に抉じ開ける事が良いとは思えない】
【お手上げとばかりに首を傾げる様はお人形のように】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 01:49:34.01 ID:ZHmHU5/DO
>>58

サフィア──サフィア、か
うんっ、いい名前だ!よろし、──、…………ん?


【名前を告げられると、嬉しそうにリーべは笑って、】
【笑って──ぴたり。笑顔のまま、フリーズ】
【フリーズ。固まったまま。しばしの硬直。そして──】


   えぇええええぇえぇええぇえ ──── ッ !?


なんだ、なんだその理由はっ!
無計画にって、無一文って、なんだ、なんだ、なんなんだその理由──っ!


【びり──大気が、震える】
【また彼女は、怒るだろうか。また、吼え声をあげるだろうか】
【びり、びり──震えた、大気が】


────ッ、あは、あははははは!
面白いなお前!バカだな、最高のバカだ!
でもなんだ?記憶喪失にでもなったのか?
じゃあ今度からは、絶対に盗みとかはやらないな?
それと、な────


【──返ってきたのは、笑いだった。しかも、大爆笑の類いだった】
【真面目に考えていた自分自身が、バカらしくなったというわけではない】
【多分、きっと、恐らく、コレは本当に、ウケている──!】

【ある程度笑って、笑って、笑い終われば】
【彼女はすっと、サフィアと目を合わせ──静かに、言った】


──ごめんなさいは、私にじゃない……だろう?

街の人たちと、無銭飲食その他をやった先だ
ちゃんと事情を説明して、そうだな、皿洗いをするとかして、罪を償う
それで、2度とこんなことはしないことだ
いいな──?


【それは決して、責めるような口調ではなかった】
【子供をあやすかのような、それは優しい言葉だった】
【きっとリーべは、頼めば一緒に謝ってくれることだろう──そういう人間だ】
【静かな、静かな言葉。それでも、口元は笑っていた】

/遅くなってごめんなさい!
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/15(土) 02:10:14.80 ID:yrtMGYrH0
>>62
「ちょっと遺跡の中を探索してたときに見つけて……其処自体は特に危険、でも無かったんだけど…………」

【遺跡の深部に眠っていた曾ての物。聞けば難度の高い場所では無かったが、どの本にも記されていない程古い場所に眠っていただとか】
【その話が真ならば禁忌の物。或いは、伝える者が居らず朽ちて居た物を発見した事になる】
【無限に増える中で自分の探していた頁を開けるだけの物。――――無論、万物について全てが記されている、とかそんな物でも無いけれど】

【――――或いは、白の彼女に対して鎌を掛けてたのだろうか】
【彼女の得た答えを一つ一つ聞き、やがては頷いて見せ】



「―――本当はね、作った人は分かってるんだけど…………
…………でも、“作った人”に聞いても何で作ったのか、どうやって作ったのかも教えて貰えなくて――――
だから、この本だけじゃ無くてその人についても知れればと思ってたんだけどね……」

【聞き間違えで無ければこの作り手を知っているし、問うた事もある、と】
【其れが事実なればコレを作り出した物は果たしてどれ程の時を生きているのか】
【何万頁にも記された物。文字すら掠れて読めぬ其れを作った者がまだ居るのだ――――そんな言葉】

【首を傾げた様子を見れば、少し戸惑って見せた】
【其れは果たして彼女に教えても良いのだろうか、と迷っている様でもあり】
【やがて横から手を伸ばせば開かれたのは一頁を全て使った転移の陣】
【――――他のと異なるのは、肉体では無く“精神のみ”を何処かへと転移させる術式である事】



「人嫌い、と言う訳でも無いみたいなんだけど…………自分に関心のない事はとことん無関心な人で…………

……あ、ごめんね。つい、自分の話ばっかりで――――折角だから……
私はスイ=アルカ。さっきの通り、学者でも無くて……うーん…………趣味で遺跡の探索とかをしてる人……かな?
ねえ、良かったら…………貴女のお名前、教えて貰っても良いかな」

【言葉が示すのは、その先にコレを作り出した者が居ると】
【――――尤も、その本人が教えてくれないのだからこうして調べるはめになったらしく。或いは興味があるならば転移陣に触れて作り出した者とやらに会うのも一興かも知れないが】

【ふと紡いだのは、自身の名前。折角こうして会ったのだ、貴女だけで通すのも何だか哀しく思ったのだろう】
【良ければ、と前置きをしつつ名を問うてはみるけれど】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/15(土) 02:11:44.23 ID:yrtMGYrH0
>>62
/っと、そして開始早々申し訳無いのです……!
/もう少ししたら色々準備を始めます故、持ち越し或いは置きレス移動させて頂けると有り難く……!
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/15(土) 02:15:48.62 ID:P+4ytM0sO


>>63

【笑顔のまま固まってしまったリーベを見て、サフィアはびくりと体を震わせ俯く】
【絶対に怒られる。助けるんじゃなかったと言われるかもしれない、そんな予感が胸を過ぎりつつも自業自得だよねなどと自分に言い聞かせる】
【その直後、震えた大気。嗚呼やっぱり怒られるんだ、当たり前だよね、などと思案した矢先──】

【聞こえてきたのは大きな笑い声】

……へ? 
【すっかり怒られると思っていた少女は気の抜けた声と共に顔を上げて】

ば……馬鹿なのは自分でも分かってますよ! 
私、昔から向こう見ずで計画性とかあんまなくて……こう……思い立ったら即行動というか……
それでいつも後から反省ばっかで……
【サフィアは苦笑し頬をぽりぽりと掻く】

そ……そりゃ勿論やりませんよ! それに盗みじゃなくて食い逃げだし……
【ぼそり、と訂正。別にどうでも良いところである】
【が、和やかな時間もお終い。けじめをつける時が来たようで】

…………はい
でも……分かってくれるでしょうか? リーベさんは笑ってくれたけど町の人はそうはいかないんじゃないかな……
きっと、馬鹿にしやがってって怒られちゃいます……
【何だかんだいって先程自分の身に起きた事が怖かったのだろう。少女は目を伏せスカートの裾をぎゅっと握り締める】


67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/15(土) 02:21:48.90 ID:uKQtLNd6o
>>65
/了解いたしました!それでは置きレスにて!
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 02:30:46.09 ID:ZHmHU5/DO
>>66

──なるほど。確かにそうだ
程度はあるが、きっと怒られるだろうな。間違いない。

だけどな──だけどな、サフィア
そうやって、誤解されたままだとお前はずぅっと、このままだ
街に出たら、追いかけ回されて、今度こそ殴られるかもしれない

私はな、まだお前と少ししか話していない
でも、なんか分かる。お前はいいやつなんだ
向こう見ずで無計画で無鉄砲だけど──それでも、いいやつだ
そうじゃないとな、ちゃんと自分のしたことを正直に言って、謝るだなんてことできない

私はな────いやなんだ
お前が……サフィアが、サフィア・エレファリスが!
いいやつであるはずのお前が、誤解されたままなのが!

怖いのは当然だ!だから、な────
────.一緒に、謝りにいこう


【サフィアを慰めるかのように──励ますかの、ように】
【リーべは、サフィアに言葉をかけ続けた】
【そして────】
【────「一緒に、謝りにいこう」】
【そう、告げれば。リーべは正面から、サフィアを抱きしめようとする】
【怖がるサフィアを、落ち着かせるかのように】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/15(土) 02:58:53.06 ID:P+4ytM0sO


>>68
……そう、ですよね……そのうちに去る町だとしても誤解は解かなきゃいけない。分かってはいるんですが……

い……良い奴じゃないですよ
正直に言ったのだって、悲惨な事情がある子だって誤解されてるのがなんかすまなかったというか……
【サフィアは目を伏せたままもごもごと言う】
【しかし、一緒に謝ろうという相手の言葉に驚いたように顔をあげる】

……一緒に、行って──
【一緒に行ってくれるのか、と言いかけた問いの答えは、抱きしめる事】
【サフィアはその行為を肯定と受け取ったのか、謝りに行こうという相手の呼び掛けにこくり、と頷く】

【おそらく二人は一緒に町の人達に謝りに行くのだろう】
【そして、過程はどうあれきっと許してもらえたのだろう】
【その過程は、神のみぞ知る】



/若干強引な気もしますが遅いのでこんなところでしめます! 
/絡んでいただいてありがとうございました! 

70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 03:00:41.99 ID:ZHmHU5/DO
>>69
/いえいえ、とんでもないです!
/しっちゃかめっちゃかでしたが楽しかったです!ありがとうございましたー!
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2014/11/15(土) 18:56:49.25 ID:gj4qeBWGo
【廃寺】

【冷え込む夜の風に吹き晒され、荒れ果てた寺の庭先には奇怪な光景が広がっていた】
【月明かりに照らされ、青藍色の燐光を纏った蓮が咲き乱れており】
【その中心、石灯籠に背を預けた、一人の若い男がいた】

【葡萄色の双眸、肩口で切り揃えた白髪に黒い彼岸花を指し、黒の和服に身を包んだ男は】
【何をするでもなく、茫洋と頭上に広がる星空、そして輝く月を見据えていた】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 20:42:25.46 ID:cFNZHAcK0
【風の国――UNITED TRIGGERの事務所兼酒場】
【明るい光が窓から零れていた、通りすがりにでも覗き込めば、いかにも賑やかそうな店内が窺え】
【ほんのりと聞こえてくる談笑やら馬鹿騒ぎの声も、まあ、楽しげな店だというのを思わせて】

――そう、だから、セリーナって何してれば暇とかってあるのかな……。
お仕事してたら忙しそうだし、お酒飲んでたらそれはそれで邪魔しづらいし――。

【もし踏み込めば、出入り口に一番近い席の傍。立ったままで席の客と話す、給仕の姿が真っ先に見えたろうか】
【ちょっと困りがちに笑っては客に相談でもしているらしい、だけれど、まあ、よっぽど重大そうなことでもないなら】
【もし誰かが外から来たなら、いらっしゃいませ、なんて声が掛かるし。店内に居た誰かが呼ぶなら、軽めの返事を返すし】

【髪の黒いオッドアイの少女。右目が赤で左目が黒、高い位置で結い上げたポニーテールは、動くたびにふわふわ揺れ】
【服装はといえば、少しだけ動きづらそうな和装メイドというような格好。動きづらそう、というのは、かっちりしてるのではなく】
【むしろ逆にふわふわしすぎて、お尻とかの布地でテーブルを引っ掛けそう……とかそんな意味合い。足元は、編み上げのブーツで】
【右耳にだけ付けたピアスは宝玉の欠片をあしらったもの、それが、電気の明かりにきらきらと輝くのが印象的で】

ちょっと、言いづらいの――セリーナだし、って言ったら、駄目かもだけど……。
…………うん、ゆっくりして行ってね、今日は酔いつぶれちゃだめだよ。

【ほんの数言の会話を終えれば、ふらりと彼女は店の中へ足を向ける。誰かが呼ぶようなら、そちらに向かうだろうし】
【そうでもないなら、今日はまだ残っているカウンターの空き席になんて腰掛けて――給仕らしからぬ、態度だったが】
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2014/11/15(土) 21:06:14.41 ID:gj4qeBWGo
/>>71で引き続き募集します
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/15(土) 21:21:48.21 ID:kdPufffoo
>>72

【ぎぃ、と軋む音を立てて扉が開き、夜の冷えた空気が流れ込む。入ってきたのは、酒場には似つかわしくない姿の男】
【白い長着、黒袴――――そして羽織った薄藍のインバネスに左腰に佩かれた大小の刀。所謂「櫻の国のサムライ」のような姿は、酒場とはミスマッチ】
【男はゆっくりと扉を閉め、濡羽色の双眸は空席を探すのだが――――その過程で見付けたのは彼女の後ろ姿。……この姿、見たことがある】

……――――ああ、そうだった。完全に忘れていた……此処には君が居るんだったな、鈴音。

【彼女と出会ったのは、川で野草を洗っている時だったか。その時は確か彼女から、UTでご飯を作ったりしているとかなんとか聞いた気もする】
【仕事で風の国に来たついでに、UTに籍を置きながらUTとして活動できてないこととか色々を謝罪しようと思って今回訪れたのだが、セリーナはどうやらいないらしく】
【その代わり鈴音の後ろ姿を見た瞬間、あの時に交わした約束がぱっと脳裏に浮かび上がった。櫻の国の事を話す――――のだったか、確か……】

疑ってた訳ではないが、本当だったのか……。それでセリーナ殿は――――いない……と。

【カウンターの空いた席に座り込めば、あたりをきょろきょろと見回すのだが、やはりUTのトップであるセリーナの姿は見えず】
【いないのならしょうがないと、メニュー表へと目を通す。食事を頼むなら彼女が作るのか、少々不安だな――――などと、失礼なことを心に秘めながら】


75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 21:36:22.71 ID:d1tOD9l5o
【水の国、路地裏】

【誰かが捨てた薄汚れた地図を広げるのは、一人の少女。竜胆の瞳は、ぼんやりとその上をなぞって】
【埃に汚れた髪は、腰まである空色。手入れさえすれば美しいのであろうその色も、今は傷みに紛れるばかり】

………………現在の座標は……ここですか。

【バサリ、地図が地に落ちる音。さぞ冷えるであろう薄手のワンピースを翻し、少女の爪先が向く先は街の方角】
【一歩、また一歩。裸足の柔らかい足音が進み始める。賑やかな光が射す、その方へ】

…………幾分か差異が見られる故、新たな主を見付けた後に更新し直す必要があると、そう判断できます――――

【ぺたり、ペタリ。裏側から表へ、静寂から喧騒へ。】
【ゆらゆらと歩く少女の頭上、夜空にカラスの声が響いた】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 21:44:26.75 ID:cFNZHAcK0
>>74

【ぎいと扉のきしむ音がして、店内に、この国らしさの象徴でもある風が吹き込んでくる、それは、】
【くるくると暖まって渦巻く店内の空気を劈くようでもあって――彼女は僅かに身体を縮めるが、同時に】
【誰か来たというのを寒さと同時に感じ取って。たった今腰掛けた椅子から、再び立ち上がり】

いらっしゃ――――あ、お侍さん。こんばんは、ほんとうに来てくれたの?

【誰かを認めればすぐ、営業用の笑顔とも少しだけ違う色合いが顔でほころぶ、嬉しそうに笑ったなら】
【床板をとことこ鳴らしながら入り口まで出迎える、きっと空気の冷える入り口付近、少しだけ寒そうにして】

お外寒かったでしょ、暖かい飲み物もあるよ、食べ物もあるし――。
――あ、うん、セリーナ、今日はこっちでは見てないの。奥になら居るかもしれないけど……。

【まあまあ暖かいほうへ、というように店内へと招き入れる。そして、空き席へと案内してやって】
【自分はカウンターの中に入っていくのだろう、それは、新しく来たお客さんに、すぐに飲み物など提供できるよう】
【それでいて交わす軽めの会話は、今日は見てないとのことだった。お店を放れないなら、確かめも出来ないと、曖昧にぼかし】

セリーナに用事? ……あ、今日はね、おいしそうなごぼうがあったから、きんぴらとか作ってみたの――。
他のものも大体あるよ、メニューにないものでも、作れそうなら作るし、……ゆっくりしていってね。

そ、れ、に、……約束覚えてるよね? わたしまだ櫻行ってないよ、行くってことにはなったんだけど――。

【とりあえず、飲み物でも頼めば、すぐに出してくれるだろう。ただ、それは、分かりやすい注文の場合で】
【彼女はワインの種類とか日本酒の種類とか良く分かってない。だから、そういうものになると、反応はいくらも遅れ】
【どんなのがいいかなんて聞こうものならしばらく悩んだあとに「わかんない」なんて帰ってくるレベルだ、とは余談だが】

【(お酒はもう一人の給仕さん担当。彼女は料理専門である、分かるお酒なんて、甘い梅酒と甘くない梅酒くらい)】

【まあ彼の不安なんて気付かないなら、のほんと料理についてそんな説明をして――それからとん、と、カウンターに手をつくと】
【僅かに身体を乗り出すようにしながら……、なんだかもう今にも仕事放り投げそうな笑顔が、そこにある】

【今宵は店も目が回るほど忙しい、ということもなさそうだった。それなら、彼女も手すき気味】
【彼がちゃんと約束を覚えていてくれるのなら――話してやったほうが、サービスとかしてもらえるのかも】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/15(土) 22:09:45.18 ID:kdPufffoo
>>76

……別にお前に会いに来たわけじゃないぞ、偶々仕事でこの国に来たからセリーナ殿に謝罪を……と思って来たのだ。
前にも言ったろう、彼女には申し訳ない気持ちで一杯だ――――と。

【ツ○デレ風味の言葉を漏らしつつメニュー表を険しい顔で見つめる彼。こういう所に来ると毎回頼むまでに30分かかる。要するに変な所で優柔不断なのだ】
【――――うーん、と唸りながら眉間に皺を寄せてメニュー表の端から端まで読み込んだ所で男は小さく息を吐き、顔を上げれば】

……――――そのきんぴらごぼうはオススメということなんだな? ならば全てお任せで行こう。
今鈴音が作れる中で一番おすすめというか、得意な料理――――……と、ミネラルウォーターで頼む。

【結局他人に委ねるということに。「わたしのご飯おいしいんだよ」などと言っていたな……と思い出したらしく、それが嘘か真実かを一番良く見抜ける方法を取ったのだ】
【――――料理に関してはかなりうるさい。何せ一人暮らしであり、健康オタクである故に健康を作る最重要要素の食事には人一倍気を使っているのだから】
【前回自家製の酵素ドリンクを作る為に野草を取って洗っていたことからも、彼の健康への情熱は伝わってくる。食事内容もそうだが、味にも妙にうるさい】

……ああ、覚えているとも。料理を食べながらじっくりと話そうと思うが――――フフ、その話も鈴音の料理の出来次第で変わってくるからな……?

【正確には先程思い出したのだがギリギリセーフだろうと思い覚えていると言い切った】
【しかしながら瑛月もニヤリと微笑んで言うは、どの程度引き出せるかは君の料理の腕次第だ――――ということ。このサムライ、中々に良い性格をしていた】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/15(土) 22:15:05.70 ID:RxrPWfQJ0
>>75
――ちょい、ちょいちょい

【少女に話しかける声、喧騒へ向かう足とを止めるのは、愉快気な涼しい一言】
【路地裏から歩いてくる女は、紅い髪、グレーの瞳……ボロボロな何処かの学校の服のようなものを着ているが】
【使い込んでそうなっているのが伺える。何せ埃だとかカビだとか、そういうのが見える訳でもないし】
【更に言えば女は路地裏の埃臭さを持ち合わせていなかった。香水の匂いがする程だ】

アンタ、そっちが何処か分かってんのか?
いや、行きたいってなら止めはしねぇけどよ。忠告の一つくらいさせてほしいんだよ。
それとも、そういう商売だったかい? だったら野暮で悪かったよ。

【薄手のワンピース、埃に汚れた髪。そこから判断したのは貧困層の類だろうという事】
【そんな見た目の女が表に立てば、さてどんな迫害や冷たい目線を貰う事やら】
【もし、そういう身体を使う仕事なら悪かったと、ある種皮肉めいた返しなのだが、本人にそんなつもりはなく】
【声と同じく少し楽しげ、そんな喜色を表情に含んだまま、少女へと駆け寄る】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/15(土) 22:15:11.30 ID:zRjDC1Yko

【―――ボウ。紅い輝きが、漆黒の夜空に彩を翳した。】
【浮かんだ火の粉が、少しだけ強くなった冬の風に押されて舞い上がり、ちりちりと音を鳴らす。】
【その下では、パチパチと音を鳴らして、蒔きと化した小さな木々が、燃え上がっていた。丁度、焚き火でもするかのように―――。】


 えぇ〜……こほん。わたくし、霧野梨花(きりの りか)は此処に宣言します。いや、誓います。
 ……。どの神様に誓っていいのかはわからないけれど……
 じゃあ、まあとりあえずゼウス、……知ってるのがゼウスくらいしかいないから、
 ゼウスに誓って、わたくしは、この"クソ忌々しい"、"もう二度と見たくない"、"この世から消え去るべき"、"最低最悪の"―――……




 ――― "参考書"という名の、この悪の経典を、燃やしつくし、金輪際二度と頼りにしない事を此処に誓います。



【夜の公園。子供は愚かジジイやババアすらも居なくなった、寂しい遊具に囲まれて。】
【ぽつんと置かれた違和感アリアリのドラム缶の中に"これでもか"というほどの大量の火をたきながら】
【独りの少女―――制服らしき物を着込んでいる事から恐らく学生、17歳前後の歳にみえるが―――は、怒り狂った表情で】
【手にした「現代文」「数学U」「物理」「化学」「保健体育」等と書かれた参考書、そう教科書を勢い良くそのドラム缶の中に―――放った。】



 ぜんっっっっっっっっっっっぜん!!役に立たないじゃないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜!!
 これならまだオマルの方がよっぽど便利だわ、この資源の無駄使いがッ!!文部科学省○ねッ!!ピーねッ!!
 誰がテストなんて制度作ったのよ!?おかげでこっちは留年スレスレよ、このヘタレの紙クズが!!燃えてなくなれ!全て!!


【凄まじい剣幕で、呪詛の言葉を吐き出しながら参考書をビリビリに引き裂きつつドラム缶へと放る少女。怖い。はっきり言って怖い。】


 ―――あ〜っはははははは!ざまあないわね、やったぜ。
 みんなみぃぃんな火の粉と化して宙に舞うが良いわ、そして私の心を暖めなさい!!
 その方が幾らか有効活用よ、試験前にアンタ達無能な紙屑を信用した私がバカだったわよこの便所紙以下のピーピーピー。!!


 ……はぁ。疲れた。何が「この問題○○で見たことある!」よ……
 ふざけんじゃないわ、問題なんてそもそもどれもおんなじに見えて役に立たないっての。
 あの漫画も詐欺よ詐欺、この……成績表……ああもう、またソーンにぐちぐちぐちぐち言われるじゃないの……!!

 いっそ成績表も……いや、それをやったらもっと色々言われるか……ええい、何もかもが忌々しい……ッ!
 今日はダウナーって気分じゃないわね、アッパーなのキメてここで一晩騒いでようからしら……はぁ。


【―――状況を鑑みるに、どうやら彼女は学生で、テスト直後で、その成績は残念ながら悲惨なものであって】
【その恨みつらみをあろうことか参考書相手にぶつけて、公園で焚き火して勝手に暴れまわっている、という所だろう。怖い。】
【ちょっと頭が可笑しいかもしれないのは後半のダウナー、だとかアッパーだとかいうクソ不穏な単語のおかげでわかろうものだが】
【それにしても分厚い参考書を素手で易々と引き千切る……その腕力はどこか、普通の少女からは離れていて。妖しい、とも思えるか。】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/15(土) 22:25:09.24 ID:kCt9tXSuo
>>79

【そんな暴走娘を神父服の少年――薄いブロンド、胸元には十字架、150前後の低い背丈――が見ていた。見てしまった】
【何故か。夜の公園でもくもくと煙が上がっているわ叫び声が聞こえるわで、何事かと思って来てみたのだ】
【案の定、えらいことになっていた。この神父も叫ぶのは好きだが、ドン引きである】

【さて、少女の恨みつらみを受けた参考書たちは地獄の業火()に焼かれて灰と化しているわけだが】
【この少年神父にそういった経験はない。何せ学校には行っていないのだ。一般参考書とは初対面だ】
【がしかし、その様子をぼんやりと遠い目をして眺めていた少年は、ふと、思い返してみた】

 (そういやぁ……俺も聖書の内容を覚えろだの解読しろだの言われたときはキレそうだったっけなぁ……)

【脳裏に浮かぶのは太っていて偉そうな司祭や笑顔が張り付いた神父やシスターたち。今思い返してもイラッとする】
【当時は力関係がはっきりしていたせいで、悪態をつくのがやっとだった。聖書をぶつけるなんてもってのほかだった】
【そんなことを怒りと懐かしさと共に思い返していた少年神父はもう一つ、あることに気がつく】
【――ちょうど今、俺は聖書を持っているぞ、と】

 ――……死に晒せブタどもがぁああああああああああああああ!!

【気づいたと途端に体が動き、少年神父は持っていた聖書を夜空高くへと放り投げた!】
【そしてそれは夜闇の中へと消えていき……しばらくして戻ってきて……】
【バコンッ! と小気味いい音と共に参考書が火葬されているドラム缶の中に吸い込まれていった】

 ぃよっしゃぁああ!! ハーハーハーだ!! ざまぁみろ腐れ司祭どもめ!!
 人を救済する前にてめえらはまず自分の脂肪を何とかしやがれってんだぁああ!!

【もう、大喜びである。口から文句もだだ漏れである。おおよそ聖職者ではない。ないのだ】
【凄い投擲技術も訓練の賜物ではあるが、完全に無駄遣いだ】
【こうして公園には暴れる奴が一人増えてしまった……】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 22:25:26.17 ID:cFNZHAcK0
>>77

でも来てくれたじゃない――。

【若干のツンデレ風味。対して気にせず返すのは、きっと、そういった知識があんまりないのだろうか】
【くすくすと吐息を抜くようにしながら笑う。ちなみに、彼が凝視するメニューは、いかにも手書き風だ】
【まるっこい文字で書かれていて女の子らしい。ただ、難しめの漢字の場所になると、妙に丁寧になるあたり】
【彼女の性格というのが少し分かるようで――多分、そこだけ、すごく真剣に書いたのだろうとうかがわせるのだ】

うん、ちょっと変わったのも作ってみたの、ベーコンとか入れるんだけど……、あ、普通のもあるよ。
それ両方出してあげるね、あとは……お任せ? ……えっと、いいけど、――――。

【ちょっと変わったものを、と。そう言う瞬間はどこかドヤ顔風味である。少しだけ自慢げ、薄い胸を張り】
【普通のきんぴらと挑戦してみたきんぴらがあるという。それを両方出すといえば、食べ比べみたいなものをさせるつもりか】
【――お任せといわれれば少し悩むような顔をしたのが印象的だっただろう。彼が優柔不断なら、彼女は不安症である】
【出来れば自分で決めてもらえたほうが楽なんだけど――なんて思いながら、ただ、お客様だし、いえないし、なんて悩み】

【結局はことんとお水を出しながら、「考えるから、ちょっと待って……」なんてことを言い出すのだった】

…………え、そうなの?

【そんなことろに追い討ちである。彼の悪戯ぽいというか、なんというか、そんな態度は気弱になりかけた心に突き刺さり】
【口元に手を添えるようにしながら、視線があっちに逸れたりこっちに逸れたりする――どうしよう、なんて様子で】
【それからとりあえず出すのはきんぴら二種類。その時点でなんかもう審査員に見られる番号いくつの少女みたいで】
【かたん、――と控えめな音で差し出される二つの小さめだが深い器。中には、宣言どおりの食べ物がよそってあり】

【ひとつは、一般的なきんぴらだ。ちょっと太めに切ったごぼうとか、にんじんとか、ちょっとぶあつめのれんこんとか】
【金ごまが振ってあって彩りもなんとなくよろしい。――歯ごたえが好きなのだろう、全体的にそれを強調したもので】
【だけど、太さとか分厚さにしてはよく味がしみている。時間をかけたのだろう、それが、よく窺えて】

【もうひとつは、これもまた、見た目だけなら普通のものに似るが。こっちは、もっと、素材の形がごろごろとしている】
【一応食べやすく一口サイズにそろえてある根菜類の中に混ざるベーコン、食べてみれば、それが脂的なおいしさを添え】
【味付けも少し違う。ベーコンの脂のせいもあるだろうけど――まあ、よほどきんぴらの範疇を飛び越えたものではなかった】

【どちらにせよ、神がかり的だとかはないけれど、家庭的なレベルでおいしいものだ。おいしい家庭のご飯――という感じ】
【ちなみに、これから出さねばならないおすすめについてはまだうんうん唸っている。冷蔵庫を何度も開けたり閉めたりして】

【――メニューにあるものじゃいけない、とでも思っているらしい。あるもので、できるものを、必死に考えているようだった】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/15(土) 22:28:59.08 ID:OQH5NjGQo
【酒場前】

どーいう、こっちゃ……

【辞書の例に乗せれそうなほどのスタンダードな絶句をしてしまう。持っていたバイクのキーが】
【手からするりと落ちてアスファルトにメロディアスに落ちてその音にハッと我に返るほどだ】

【歓楽街から二、三本裏通りに入ってまた裏通りを進んだ先にある店。ボロくて狭くて看板もチカチカして】
【チープさだけが取り柄みたいなところだった。過去形なのは正しい。久しぶりに来てみたらダイナマイトか】
【ロケットランチャーでブッとばされたような廃墟になってた。その前で男は絶句した後、落とした鍵を拾い上げる】

【サングラスをかけた革ジャンの背の高い男。細い三つボタンの黒いスーツ。シャツもネクタイも揃いで黒。おまけに髪も黒】
【そいつは店の柱にある張り紙を見つけて、近寄って眺める。メッセージは短くひとつのことだけ書かれている】

『馬鹿をシメるまで休業』

【男はため息を付いてポケットを漁り、潰れた煙草の箱とオイルライターを取り出す】

そんなに治安悪かったっけ……まあ良くは無いけど……。頑張ってくれマスター
やる気のないヌルいギネスが置いてある店はここらじゃここだけなんだから…

【愚痴とささやかなエールを送りつつ。男は適当な瓦礫に腰掛けて煙草に火をつけた】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/15(土) 22:41:50.98 ID:zRjDC1Yko
>>80

【嗚呼、参考書が燃えていく。誰にも止められる事無く。嗚呼、灰と化していく―――。】
【ただ、それはどうやら独りきりの火葬ではなかったようだ。新たな死骸がドラム缶の炎獄に加わった。】
【飛来するは一冊の聖書、神と人とを繋ぐ架け橋、現代におけるたった一つの神聖なバイブルが―――ボウ。良く燃える。】


 はっははっはッ!! いいわ、もっと燃えなさい、さあもっともっ――――――――!?
 なっ……!? なにっ、一体これ……っ!?


【良く良く考えれば全部ただの紙である。神ではない、これは紙である(迫真)。】
【火に当てればあら不思議、10秒と立たないうちにもくもく煙を上げて次々に焼け崩れていく。】
【中に書いてあることが数式だろうとエロ本だろうと神の啓示であろうと等しく、炎の前に神は無力、貧弱ッ!!】

【―――などと感心している場合ではなかった様だ。】
【少女―――当人が先程名乗った名前を借りるのであれば、"梨花"という彼女は】
【急に飛来してきた聖書には流石に驚いて、ブン投げた当人がいるであろう方向へと素早く、振り返る。】

【其れもそのはず、まず火を炊いている所に向かって燃料を放り投げてくるなんてそもそもおかしいし】
【なにより自分は今ストレス発散を兼ねて滅茶苦茶に暴走中、正直こんな姿他の人には見られて溜まった物じゃない。】
【だからわざわざ一通りが少ない(気がしたけどどうやら見当違いの)公園を選んで日頃の鬱憤を晴らしていたというのに―――……。】

 (み、みみみみっみ見られてるーっ!? いや、ていうかアンタ誰!? なに、なに叫んでんのコイツ!? イミワカンナイ!)
 (今吹っ飛んできたのって、……せ、聖書!? あれ、アイツ神父の格好してない!? 神父!? 神父があんな事叫んでるの!?)

 ……やっべ〜……私以上にヘンな奴が来るなんて……


【いやお前も相当だよ。だからもう、これは類友だょ☆とかそういうのは置いておいて。】
【まあ流石にファンキー過ぎる神父には梨花自身も半分ドン引き(自分の事は棚に上げて)の模様で】
【遠めに(やべぇよやべぇよ……)とか呟きながらその様子を観察していた、のだが。かと言ってスルーというのも頂けない。】

 ……いや。むしろ、ここで引いたら負けだ。

【そう、梨花は自分以上のファンキー神父の登場で威圧されていた事を恥じる。】
【わたしだって負けていられない―――梨花は燃え上がった、まさにドラム缶の中の火の様に!!】

 (―――そう、私は霧野梨花ッ!! ヤク厨の高校生でカノッサのナンバーズッ!!)
 (こんなところで見たこともないよくわからん神父ごときにキャラクターの濃さで負けてたまるかーッ!!!!!)

 ふっ、ふふふっ……やるじゃない、アンノウン・神父ッ!! だけどそこまでよッ!!
 私なら―――むしろ、こうしてやるわッ!!

【直後、「どっせーい!!」の女子高校生らしからぬ奇声とともに梨花は着ていた制服のブレザーを―――】
【バサッ!と無駄にスタイリッシュに脱ぎ去ればあれよあれよという間にドラム缶の中へとDive in!!瞬間、メラメラ燃え上がる!】

 学校なんてクソ喰らえじゃぁぁぁぁぁぁぁっぁぁああああああああああああああッ!!

【そっちがその気なら―――いいぜ。乗ってやるよ。その不法放火勝負、この霧野梨花全身全霊を持ってお前を打倒しt(ry】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 22:48:12.78 ID:d1tOD9l5o
>>78

――――此方側は市街であると、そう認識していますが。

【平坦な声。背中越しに返したならば、足もまた、ひたりとそこで止まる】
【ゆるりと振り返れば、竜胆の双眸に映るのは駆け寄って来る彼女の姿。少しばかり、見上げる高さであり】

市街へ向かうという手段が、現在に於ける最適であるとユーニは判断致しましたが。
加えて、商売というのはどういった意味でしょうか。

【話す言葉は妙に事務的。楽しげな彼女の様子とは正に対照――彼女の判断からすれば、これは大きな違和を感じるか】
【路地裏に生まれ育ったような人間ならば、言葉遣いは寧ろ、荒くなりそうなものであろう】

【それから、商売≠ニいう彼女の言葉。これは本当に理解していない、といった様子で】


【それから、一呼吸の後。少女は彼女の目を見詰めながら、小さく首を傾げていた】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/15(土) 22:48:35.02 ID:kdPufffoo
>>81

……言っておくが俺は食に関しては容赦なしだからな。作った相手が誰であろうと正直な感想を言う……。
前に職場でだな、同僚から「作りすぎちゃったんで」とおすそ分けを戴いたんだが……粉っぽいとかみりんが足りないとか言ってたら泣かせてしまったこともあるくらいだ。
――――まあそれっきりその同僚は俺に一切口を聞いてくれなくなったのだが……兎に角俺は俺の舌に正直だからな?

【動揺する彼女の様子が面白いのか、笑みまで悪戯っぽくなりながら言葉を続ける】
【要はもし彼女が不味い料理を作れば容赦なく不味いと切り捨てると言いたいらしいが、そのことを最悪のエピソードを重ねて言うのはどうなのか】
【ふふふ、と小さく笑い声を漏らしながら腕を組み、上から目線で「お前の実力を見せてもらう」と言わんばかりの表情。完全に審査員気取り、気分は○原雄山のよう】

【そこに出てくるきんぴらごぼう、2種類。まずは凝視してから割り箸を取り、慣れた手つきで綺麗に割れば――――】

……――――いただきます。 ……――――。 ふむ…………うん。 ――――いいな、うん……どちらも。いい。

【小さく礼をしていただきますと告げた後、きんぴらごぼうを口に運ぶ。両方ともゆっくり、しっかりと噛み締めて、ゆっくりとその味を確かめる】
【美味しい、などとのリアクションはまだせず、ただ「ふむふむ」と審査員気取りで呟いたり頷いたり。その後溜めるに溜めて零した言葉は――――いいな、と一言】
【リアクション、表情、箸の進み具合から言って満足していることは十分に伝わるだろう。何というか、背伸びしてない味と言うか。兎に角、食べていて安心する味だと思った】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/15(土) 22:55:53.32 ID:kCt9tXSuo
>>83
【聖書が燃えていく。神の紙が燃えていくのである。冗談ではない】
【実際のところ彼が燃やしたかったのは聖書というよりそれを押し付けてきた人間ではあるが】
【八つ当たりとしては上々の成果で、少年神父は気分良く爆笑していた】


 だぁーっはっはっはっはっ!! ――あれ?


【ふと気がついたら勝負になっていた。おかしいな】
【神父的にはそんな気さらさらなかったのだが、どうも宣戦布告として受け取られてしまったようだ】
【もうなんか、明らかにこっちを意識した行動としてブレザーが燃え上がっていく。エコじゃない】
【すっかり闘志を燃え上がらせている謎の少女に対して神父はというと――】


 え、なに、ストリップか……?
 脱いでくれるんならそれに越したこたぁねえけどよ……ここでやんのか?


【 冷 静 だ っ た 】
【いや、妙な勘違いをしてはいるものの、闘志が燃え上がってるとかそういうことはなかった】
【違うものを燃やしていれば違ったかもしれないが、女の子が服を脱ぐというのがこいつ相手には良くなかった】
【更にいうと対抗するならもっと凄いもの、少なくとも服を燃やさなくてはならないが、流石にそれは経済的によろしくない】
【諸々の事情で、この勝負は少女の不戦勝ということで……】
【なお、少年神父は非常に怪訝というか、怪しいものを見る目で見ている。酷い】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 22:57:21.39 ID:ZHmHU5/DO
>>82


────ひどいな。これはひどい

私も似たようなことは何度も、何度も、それこそ数えきれないぐらいやった覚えはある
だがそれにしても、これはひどい
何がひどいって、やったやつが「ごめんなさい」も「すみませんでした」もなさそうなことだ


【──がらん。散らばった瓦礫を、蹴り飛ばす音がした】
【店目当ての客だろうか。いや、それにしては、ずいぶんと声が若い】
【がり、がり。声の主が、そこらの石ころを踏み転がす】


──また会ったな、ドロボウのお兄さん!
前は結局名前を聞きそびれたんだったっけ
で……何なんだ?この惨状は


【──声の主が、振りかえる】
【夜色の瞳に、夜色の長髪──前回と違うところは、困ったような笑みを浮かべていることだろうか】
【布で包まれた刀剣らしきものを、背に負って】
【彼女……リーべ・エスパスは男を見た】
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 23:03:09.28 ID:cFNZHAcK0
>>85

【そして彼の言葉から最悪に近いお話が紡がれていく、あわわとか言い出しこそしないものの】
【まさに“そんな感じ”の表情を浮かべる彼女、顔色が少し悪い気すらして、カウンターという壁の向こう】
【この壁は自分を護ってくれるものじゃないと本能的に理解する。それどころか、これは、そう、舞台のような】
【自分がこれからこのひとにめっちゃくちゃされるためにあるとしか思えない空間、その中で後ろに引いてみても】
【何からも逃れることは出来ず――後は、出してしまったきんぴらの評価を、待つしか出来なくって】

【なんだかもうかわいそうに震えてすらいるように見えた。幻覚かもしれないけど、きっと、心中では小鹿のように震えていた】
【彼女好みの歯ごたえたっぷりのきんぴら。噛めば噛むほどじっとりと染み出す味わいは、ただ、濃くもなく薄くもなく】
【きちんとごぼうやらにんじんの味を味わってもらおうという気概がある。そして、また、その野菜もなかなかに味がしっかりしていて】
【どうでもいいような安ものではない――というのがなんとなく伝わるだろうか。野菜も、また、こだわっているらしい】

……ほ、ほんとう? ほんとう――?

【気付けばカウンターの遠い場所で小さくなっていた彼女。彼の反応を見れば、捕食される寸前の小鹿はぱちくり瞬き】
【餌を差し出された兎みたいにとことことカウンターのほうまで戻ってくる――そして、不安そうに何度か確かめるのだ】
【まずいものを作ったつもりはない。だけどどうしても不安だった。……まして、この場でみりんが足りないとか言われたら】
【泣きながら鍋にみりんを大量投入しかねない気持ちになりそうだったから。安堵したのだろう、秒読みで緩む表情】

よ、よかったぁ――――。

【なんだかもうこれだけで泣きそうだった。頬に両の手を添え、ほころんだ笑顔は、やっと、捕食される側でなくなり】

お侍さんは、何食べたい? 和食とか、洋食とか、……。

【それでやっと緊張も解けたと見える。一人でうんうん唸っていた「おすすめ」を、大雑把な方向性だけ決めてもらおうとして】
【この分だとよっぽどまずいものは出てはこなさそう、見れば、周りの客もおいしそうに彼女の料理を味わっており】
【まあ、店の調理を任されるくらいの腕前はあるらしい。――それだのに、自信が不安定なのは、問題といえたかもしれないけど】

【(ちなみに、彼女の料理は櫻の国のものが多い。それなら、きっと、異国であるこの国では、物珍しさも加わって)】
【(なんかよく分からないけどおいしい、とかそういうことも時たまあり、それなら、)】
【(櫻の国の食べ物を良く知る人物。たとえば、瑛月みたいなひとが来てしまうと)】
【(彼女の本当の調理スキルがばれる。――いや、もちろん、まずいというわけでは、ないのだけれど)】

【彼女の料理は、基本的にそうである。一流シェフには遠く及ばないけど、食べていて、安心できて、――そういう、味】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/15(土) 23:04:42.45 ID:RxrPWfQJ0
>>84
いや、そう返されたらその通りって返すしかないんだが……どうしたもんかね。
マジ≠ゥキ印≠ゥ判断つかねえんだよなぁ、ここだと。

【事務的な、機械がしてきそうな方向性の違う返答に顔の側面に手を当てて、少し顔を顰める】
【キ印というのはその名の通り頭のトンだ人なのだが、この世界にはどうも路地裏出身もドン引きのとんでも科学や経歴持ちが多数なようで】
【この返答で浮かぶ答えが絞れない事に僅かに顔を顰めて、はてどうしたものかと考える次第】

商売っつーのはだな……いや、そこじゃねえか。
あれだ。それがキャラ作りじゃないって前提で話すからな。まあそうだったとしても話だけは真面目に聞いておけ。
その服装で外に出るだろ? あー…ユーニっつったか。
ユーニがその服装で外を出るとな、今のボロボロな様子は異質な訳だ。変に扱われちまう。
んで、商売っつーのは、アレだアレ。保険の授業――あー、聞いた事ねえのか!
もういいか……セックスだよセックス。お前身体売って稼ぐつもりなのかって事。

【あれこれ四苦八苦と、さてどうしたものかと言葉を詰まらせながらなのはご覧の通り】
【この女はまあ路地裏生まれなせいで、口調がその割には柔らかいのがある種利点】
【喧嘩っ早くないのもなのだが、それは常識の話なので置いておくとして】
【さっきとは打って変わって皮肉無しに一から十まで、結局言葉が浮かばず直球勝負。これじゃあセクハラと変わらない、が】
【路地裏に法はないようで、残念ながら不快に思っても罰を与える何かはいないようだ。渋った様子も見える。本意ではなかったんだと理解していただくと女も多少は気まずさを払えていいだろう】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/15(土) 23:07:55.56 ID:zRjDC1Yko
>>86

【燃えろよ燃えろよ。炎よ燃えろ。火の粉を巻き上げ、天まで焦がせ。いや、其れは流石にやりすぎだろ。】
【幼少期にずっとそんなツッコミを入れていたことを思い出す。自分はなんてつまらない捻くれた子供だったんだろう。】
【そしてこれが、その成長した姿である。凄い。凄いぞ田舎娘。制服燃やしちまったよ、でもまあいいか。ソーンに後で頼もーっと。】

 ―――……ふっ、流石に神父。
 どうやら根は悪い人間では無かった様ね……
 矢張り、さしもの変人神父も神父服までは焼けなかったか……!

 悪いけどこの勝負、私の勝ちと言う事で終わりに――――――――――――――――――。


 ――――――――――――……は? 


【白いシャツが、炎に照り返されて眩しい。赤いリボンは純白の花畑に咲いた一輪の花か(クソみたいな詩的表現)】
【ともあれ彼女は寒空のした、ブレザーを脱ぎ捨ててクッソ寒い格好で見てるだけで辛くなってくる様な状態に置かれていた。】
【いやまあ、ドラム缶あるし火点いてるし今はまだ大丈夫だけど、そういえば帰りは原付だったなあとか、これすげえ寒そうじゃん、とか】

【―――そういう、まあ、後悔の念、みたいのが一気に襲ってきたのだった。】
【どうしよう。つーか、なにやってんだろう。わたし、これ傍目にはキチガイ?変な人?】
【神父さんも心なしか引いてない?あれ?でもアンタさっき聖書ブン投げてアッシュトゥアッシュしてなかったっけ?あれ?】


 ……クスリ、キメ過ぎたかな……。

【日頃の行いが祟ったか。梨花は急に冷静になって、静かにドラム缶の火を見つめていた。】
【あーもうだめ、ブレザー焦げ焦げ。こりゃ、もうダメだわ。今更救出とかムリだわ。これって誰のせいよ。】

【―――神父のせいね。きっとそう。】


 ―――――お前も燃えろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!


【奔った。梨花は走った。飛びついた。梨花は飛びついた。神父に飛び掛ったのだ。】
【そしてそのまま、少女とは思えない怪力で、どうしようもないほどの"パワー"を以って彼の身体を引っつかみ】
【ドラム缶へとDIVE IN !! させようとするだろう。逃げた方がイイ。マジで今のこの半ギレ状態の彼女はそういうことしかねない。】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/15(土) 23:17:17.54 ID:kdPufffoo
>>88

……萎縮させるようなことを言って済まなかったな。――――……うむ、美味しいよ。
家庭的で、落ち着くというか……そう、安心するような。やれやれ、これは俺も色々話さないといけなくなってしまった……。

【ようやく零れる「美味しい」という言葉。カウンターを挟んだ奥から不安の塊がひしひしと肌に伝わってきたことから、大分萎縮させてしまったのだろう】
【そう思い少し反省の念を込めて謝罪――――その後に美味しいという、彼女の料理を褒める言葉を付け加える。感じたものを、全て言葉にする】

うーむ、やはり和食かなあ。……きんぴらごぼうを食べてる途中に洋食というのもどうかと思うし、じゃあ和食で頼む。
――――……内容は先程と同じでおまかせだ。言っておくが今のきんぴらでハードルが少々上がったぞ?

【済まないと謝っておきながらもまたしてもプレッシャーを浴びせるのは、今くらいしか此方から彼女に意地悪じみたことを出来るチャンスが無いと思ったからである】
【しゃくしゃくと音を立ててきんぴらを口に運びながら、次の料理を「審査」せんと待った。こちらが約束を果たすのは、メインを食べながらということになるだろうか――】


92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/15(土) 23:21:43.23 ID:kCt9tXSuo
>>90

【少女がやっと我に返った頃には神父の視線は怪しむとかを通り越して心配の域に入っていた】
【こいつ、大丈夫か、寒くないのか、とかそんな感じだ。寒けりゃどうするとかももう決まってた】
【一方は白いシャツで一方は黒い神父服。夜に視線を交差させる二人はまるで対照的(クソみたいな詩的表現)】

【――そんなことを言っている場合ではなかった】


 ……って、何でこっち来てんだよぉおお!?


【絶叫の内容もこっちに向かってきてることも彼には意味不明だった。当たり前だ】
【確かにこの少年神父は近距離戦が得意だ、訓練もよく積んでる……だからってこんな状況に応対できるわけじゃないのだ!!】
【そこには少女の力なら別にいいだろっていう油断もあった――そう、油断だった】


 おぉおおおおおおわぁあああああああああ!?


【がっしり掴まれたと思ったら想像してなかった力で放り投げられたのだ。ドラム缶に最後に向かったのは神父であった】
【こうなってしまっては普通の人間にはどうしようもない】
【 しんぷは しんでしまった 】

【……となっては困る。それに彼も一応、普通の人間ではない】
【神父の側から空気の破裂音が響いた。空中で彼の体は何かに押されたように位置がずれて……べしゃっと地面に激突した】
【丸焼けにならなかったものの、痛い、とても痛い。そりゃあ怪力で投げられりゃ誰だって痛い】
【むくりと起き上がり、少年神父は涙目で少女を睨みつけると――】


 ……な・に・し・や・が・る、このクソガキガァあああああああああ!!


【大激怒である。烈火のごとく怒っている。それこそそこのドラム缶の中で燃えているブレザーのように】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 23:33:04.56 ID:d1tOD9l5o
>>89

【己の反応のせいで彼女が困っている様を、眉一つ動かさず見据えるのはやはり異常。】
【キの付くタイプの人種とも、本気の世間知らずとも判断し難い少女の態度は、異常≠ニしか評価できまい】

――――はい。ユーニの呼称はユーニに違いありません。

…………なるほど、性交の事でしたか。
生憎、性交や売春を行う事は目的行動に含まれない、非合理的な行いであるため有り得ません。

【さんざ彼女に苦労させておいて、返事はこれである。淡白、平坦、無機質――】
【言ってしまえば人間らしさが薄いわけで。ただ、現状においては不快さすら見えない為プラスでもあるかもしれないが。】
【しかし、それだけ一息に言った後、自らの出で立ちをマジマジと見返す少女の姿が見られるだろう】
【それは恐らく、「異質」という彼女の言葉を受けてのもので】

……確かに、価値基準に因っては異常であると判断される可能性もあるかと判断できます。
――――が、現状、最優先とすべき事項があります故……

【「改善は急務ではないと判断致します」――そんな言葉が繋がった】
【ハッキリ言って、頭はかなり硬そうである】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/15(土) 23:36:12.57 ID:OQH5NjGQo
>>87

【たまに向かいの通りを過ぎるパーカーを被った若者や赤ら顔の中年が崩れた山をちらりと見るが】
【殆ど気にしていない。まあ、吹っ飛ぶってのはレアだけど吹っ飛ぶ可能性が無いわけじゃないからミラクルではないわけだ】
【俺自身も同じで行きつけではあるが世界中、数ある中の一つでしかなくて400m行けばベストでは無くともベターな店はある】
【タバコを吸ってエンジンが冷えきる前に此処を出てしまいたい。氷の国ほどじゃないが此処もこの時期は随分と冷える】

そういう奴は「やってやったぜ、イィイイハハァ」なんて言ってると思うぜ、「ファッキンオーマイグッドネス!」も追加でな
…まあ、今頃警察か自警団か店主の握ったライフルに向かって辞書に載ってる謝罪をAから言ってることを祈るぜ

【書けられた声に、やれやれという口調とジェスチャで返す。たっぷりの皮肉めいたユーモアを乗せて】

あー…と。…名前は……っとどれがいいんだ?…まあ、泥棒っつ―ことは……ロッソの方でいいか
…マイネイムイズ、ロッソ。アンダスタン?…オーラィ。

んで、俺が何でも知ってるっていう予測は良くないね。知ってるのは馬鹿が1人以上居て、店主はキレてて、店は閉まってるってことだけだ

【煙草の挟んだ指で一言だけの張り紙を差す】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/15(土) 23:37:18.17 ID:cFNZHAcK0
>>91

【まん丸の瞳がぱちくりと瞬く、回数がやけに多いのは、やっぱり不安がっていたせいなのだろう】
【それでもそんな様子はだんだんと落ち着いていく、おいしいって言ってもらえるのは――やっぱりとっても嬉しいらしい】
【というよりも。どっちかといえば自信のない彼女にとって、そうやって褒めてもらえることは、相当テンションが上がる出来事】
【褒めてもらえるとがんばる性質だった。それなら、こういう、給仕とか……もしかしたら、向いているのかも】

【(まあ、これでも、自信のなさは昔よりずっとまし。性格とか個性で片付くくらいに、なったのだから)】

そう、じゃあ、もう少しだけ待って――――……、え゛っ、

【和食でと示されると、また少しだけ元気が出る。彼女が犬か何かの獣人だったなら、さぞ耳がぴんとしたことだろう】
【もちろんそんなものないので幻視するしかないのだが、――そんな態度が、ぎくりと強張る、というより凍りつく】
【ハードルが上がった。もちろん原因はその言葉である、ぎぎぎっと錆びたロボットみたいに振り向く様子で】
【口を微妙にへの字にして、瑛月を見つめる数秒――だけど、続く言葉は、思ったよりも】

……が、がんばるっ。

【元気なのだった。闘争心に火がついたのか、それとも、櫻のいい話をいっぱい聞きたいのか】
【多分どちらもだけど、がんばってくれるなら良しだろう。彼女は胸の傍で両手をぎゅっと握ると】
【和装メイド服のエプロンを改めてきゅっと締め、調理へ向かう――その背中は、戦場に赴く戦士と似ていたという】

【――そして、数分後。戻ってきた彼女が料理を差し出すのだろう、それは、いわゆる丼ものという感じであって】
【ひき肉をあんかけにしたものをご飯にたっぷり載せた――この時間にしてはがっつりめの、ただ、そこまでくどくはない】
【食べてもなんか太らない“気がする”系の夜食である。見れば、ひき肉に混じってころころとしているのは、れんこんやきのこらしく】
【ふんわかあったかいご飯と、にんにくとちょっぴりしょうがを利かせたあん。野菜すぎず肉すぎず、上に散らされたねぎが彩りを添え】

【あんまり脂っぽいものだと怒られそうだと思った。なんでかは分からないけど、怒られる気がしたのである】
【だけど男のひとだし、お肉のほうが点数が高い気もして。それなら、ひき肉という妥協点――ご飯とあわせれば】
【緩めのあんがご飯に染み込んでいく。それでもころころした具がきちんとあるので、食べ応えもしっかりしていて】
【さらっと食べようと思えば結構食べられる、しっかり噛めばいろんな歯ごたえが楽しめる、そんな――仕上がりである】

…………ど、う、かな……。

【――さっきおいしいと言ってもらえたからなのか、初めよりはあんまり不安そうではない、それでも】
【胸元のリボンをいじくるようにしてもじもじしているのは、やっぱり、不安なのだろうというのが見て取れ】
【この機会にと思い切りからからかわれているのは多分気付いていない。そういうところが――妙に、素直だったりして】

【ちなみに、しょうがは外が寒かったからである。少しでも温まるかしら――なんて、思って】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/15(土) 23:38:54.14 ID:zRjDC1Yko
>>92

【いい詩的表現だと思う(上から目線)ともあれ、梨花は哀れみの視線で此方を見つめる謎神父をブン投げた。】
【聖書とどっちが良く飛ぶかな―――流石にさっきのあのグレートシュートには敵わないか。あれは本当に見事だった。】
【バスケならブザービート、野球なら満塁逆転ホームラン、車で言えばセルシオくらいのナイス・シュートだった。どうでもいい。】

【―――これでお終い。大体、知った事じゃない。人を[ピーーー]のが仕事みたいな物なのだ。】
【今更独り二人死亡する人間が増えた所でとくに問題はなかろう、それも焼けるのは変態神父だ。】
【聖書を焼いてしまう破戒僧だ、梨花が悔いる昼用は無い。そう思って暖かい帰宅の方法を考えようとした時―――……】


 はぁ……、どうしようかな。これじゃ原付で基地に帰るまでに凍えて死んじゃうんじゃ……ほわっ!?


【空中。中空。綺麗な放物線を描いていた筈の神父の身体ががこん!と壁にぶつかったかの様に】
【軌道を大幅に修正した状態で地面へと激突。可笑しい―――……いや、単純に距離が足らなかったか?】
【それにしたって今の空気の破裂音は―――……瞬間、梨花は一瞬にして視線を鋭くした。コイツまさか―――……】


 (能、力者……いや、そんな事は……考えすぎか、確証もないし……それに。)
 (今日はそういう気分じゃない……ま、もしそうだとしたらやっぱり能力者にはロクな奴が居ないって事で、いいし。)
 
 ―――フン。クソガキ? 言ってくれるじゃないの、この不信信者のガッデム・プリーストが。
 アンタ本当に司祭なの? 聖書はブン投げる、夜に公園で下品な言葉を叫ぶ、オマケに今度はクソガキと来たわ。
 だいたい、アンタが勢い良く私を"ノセ"たから、私が大事な大事な制服を焼く羽目になったんじゃない、責任取りなさいよ聖職者。

【大事な大事な(大嘘)制服という表現はさておき、この小娘、今度は死んだような眼で酷い事を言い始めた。】
【曰く、お前が悪い。お前が変。まあ、私も変だけどおかげで寒くなった、どうしてくれる。要約するとそんな内容である。】
【放り投げて燃やそうとした事に関しては悪びれもせず、ただ薄い茶髪をした、セミロングのストレート・ヘアを指でくるくると巻いた。】

 まいいわ、とにかく寒いから火が消えないようなんか燃やし続けないと。
 そこら辺にある木とか拾ってきてくれない? 私は嫌よ、手が汚れるしさっきもう嫌って程拾ったから。
 次はアンタの番よ神父さん、温まりたいなら木を拾うか私と同じ様に服を燃やして燃料を投下するかどっちかなさいな。

【それにしても酷い口調である。高校生くらいの筈だが、外見と口調があっていない。】
【どこか大人びているというか、辛らつというかなんというか。梨花は言うだけ言ってベンチに座ると】
【やたらと重そうなスクールバッグの中からペットボトルに入った妖しげな液体を喉に一気に―――流し込んで行った。】
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/15(土) 23:50:16.43 ID:ZHmHU5/DO
>>94

……出来ればこうなる前にここにきたかったものだな
だったら頑張って犯人捕まえて──えぇと


【──そこまで言って、ぴたりとリーべは黙りこむ】

【「犯人捕まえて」──それから?】
【少なくとも彼女は犯人を捕まえる気満々だった。しかし、「能力の加減」がうまくいく自信が、なかった】
【むしろ加減がうまくいった試しなんてそんなにない】
【最悪──惨劇の瞬間にこの店に居合わせたとしても、店の運命は変わらなかったかも、しれない】

【……そこまで考えると、ふるふると頭を振ってからいつもの笑顔】
【ロッソ、と名乗られると、浮かべた笑みはますます嬉しそうなものとなる】
【──彼女は、人と知り合いになることに喜びを感じるタイプの人種なのだ】


ロッソ、ロッソか……いい名前だな!
改めてよろしくな!ふふん、前回は私ばかり名乗ってしまったから!

ところで────


【ひゅう。冷たい、冬の風が吹く】
【こんな深夜。一体彼女は何をしていたのだろうか】
【以前彼女と話した時──彼女は正義の話をしていたような気がする】
【ひどく子供染みた、理想の正義の話だった】
【そこから考えれば、どうせパトロールでもしていたのだろう】


────寒いな


【パトロールの帰りに、少し暖をとるために、ここへ】
【十分に、考えられる話だった】
【──ひゅう。風が吹く】
【今日の風は、ひときわ冷たいようだった】
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/15(土) 23:52:27.10 ID:kCt9tXSuo
>>96

【責任を取れ、ときた。もう完全な責任転嫁……とまではいかないが、主な責任がこちらにあるとは考え難い】
【少なくとも彼当人にとってはそうだが、それはさておき】


 てめえが勝手に始めて勝手に服を燃やしたんだろぉがぁああ!!
 その責任をこっちになすりつけてんじゃねえよこのクソビッ◯がぁ!!


【聖書を投げる、下品な言葉、クソガキ、それに更にもう一言追加されてしまった】
【少女の言い分に少年神父はもうすっかりカンカンだ。責任転嫁の上に労働まで要求してきた】
【状況がちょっとでも違えばむしろ2、3発ぶん殴ってるところだ、たとえ女だろうとなんだろうと】
【しかし……彼女の言い分に少し理を感じていないわけでもなかった】
【普通なら感じないことかもしれないが、この少年は“そういう見方もあるか”と思ってしまうと頷いてしまう性質だった】

【「あの女ぁ……」とかブツクサ言いながら自分の上着を脱ぐとベンチにいる少女に向かって放り投げる】


 燃やすんじゃねえぞ!!


【そう、一言告げてから、周囲を散策して枯れ木をせっせと集めてはドラム缶の中に放り投げ始める】
【得意なのかなんなのか、かなり遠くから放り投げても入れている。やっぱり技術の無駄遣いである】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/15(土) 23:53:12.34 ID:RxrPWfQJ0
>>93
……ああ、そう。
もういいわ、アンタはそういう奴な、そういう事にしておく。
それ作ってんなら相当だからなマジで。あれだあれ。黄色い救急車レベルだから。

【がっくし、と項垂れるように息を吐いてもうそれでいいやと、余りに淡白な返しに一周回って疲れが溜まる】
【まあ、ここで頬を染められた反応を返された方が困った訳で、そう考えればこの反応も有難い】
【そして自らの風貌をまじまじと見つめる少女になんだかなぁ、と物憂げな視線を投げて】

だーかーらー! 待てっていってんだろアンタ!
ったく、これでも一桁なんだから突っ込み役に回らすなってーの。

【一桁、というのはこっちの事情。思わず滑らせたにしては随分と大きな一言ではあるが】
【相手の肩へと思わず手を乗せて、アンタ勝手にどっかいくなよ? フリじゃねーからな? と確認まで取る始末】

どうしてそこまでして外に行きたがるんだよ。
アンタ無駄死にって言葉知ってるか、直線は好きだけどよ、障害物だらけだろうが。

【結局我慢できず溜息を零し、なんだこの堅物AIみたいな奴は、と頭で思いながら】
【こいつに付き合っていては話が進まない、と結論を出して相手のしたい事に乗りながら進める事にする】
【――それに、ここで止まっていては、話しかけた意味もなくなってしまうのだから】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/16(日) 00:00:17.69 ID:eIAuO6dIo
>>95

ふふふ、審査はまだ終わってはいないぞ鈴音ー。 俺の舌はだな、美味しいモノを食べると良く回る様に出来ているんだ。
――――この調子なら一杯櫻の国の事を話せると思うが、万が一のことがあれば……いや、これ以上苛めるのはやめとこう。

……まあ変に気負うことなく、な。きんぴらごぼうが美味しく作れるなら、恐らく他の料理もそこまで苦じゃないだろう。

【妙に関節の固い動きで振り返った彼女を見て何だか余計に楽しくなってしまったのか、にやぁと意地悪い笑みがまた顔を出して】
【彼女の小さな身体にプレッシャーの重りを遠慮なしに乗せるような言葉を零しながらも、流石にこれ以上はと思ったのか途中で言葉を切る】
【――――変に気負うな、と言うのだが、それもそれでプレッシャーになったりもする。その事をこの男は理解して言っている訳ではないのではあるが】

――――うむ、頑張れ頑張れ。

【彼女も見た目も相まって、何だか親戚の娘を見守るかのような感覚。小さな背中から迸る焔が濡羽色の瞳に見えて、より一層期待は膨らむばかり】
【きんぴらごぼうをしゃくしゃくと咀嚼しながら待っていると、トン、と目の前に何かが置かれた】

……ほう、意外だな。こういう料理で勝負してくるとは――――では、いただきます。
――――うん……ふむ……。――――……。

【いただきますの後は、余り言葉を発さずに料理を口へと運ぶ。……長い咀嚼の後ようやく飲み込んで、水で口の中を潤してから――――】

――――……うむ、文句なしだ。特に生姜……生姜だろう? それがいい味を利かせている……美味しい。参りました……ということだな。

【柔らかな微笑みを彼女に向けてから、参りましたの敗北宣言。美味しかったと、正直な感想を告げる。内心ここまで女子力が高いとは思っていなかった】

101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/16(日) 00:09:07.44 ID:hrYZI9pko
>>97

捕まえてから考えりゃいい。そんな先の事を考えたって無駄さ。道を示すのはアンタじゃない
道を歩くのは己の意志だったとしても、その道を示すのは神の御業さ…運命ってやつだよ

【短くなったタバコを瓦礫に押し付けてもみ消して男は立ち上がる】
【彼女が一喜一憂、表情を変化させてもあんまり気にしないかのような。まあ本人が喜怒哀楽薄いので】
【他人の感情に対してもそうとう鈍感に出来ているだけのようだが】

改めて……改めて、ナイストゥミーチュー、アゲイン

【凍える彼女の前を通りすぎてスッと彼は行ってしまう】
【店の前に停められたネイキッドのバイクに跨り、キーを回す】
【スターターを蹴りあげるとエンジンは目覚める。冷えきってなくて一発でかかった】
【スロットルを捻るとエンジンは唸る。延びるマフラーはブレる。男はポケットの革手袋をはめると】

…ん?あれ…?乗らないの?…乗りなよ。すぐそこだから
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/16(日) 00:12:09.23 ID:mImHeTaP0
>>100

【彼女は基本的に不安症である。ついでに怖がりだし、弱虫だし、さらに言ってしまえば泣き虫でもある】
【だけど、なぜだか妙にがんばり屋さんなところもあって、自分で決めたことはやりたがる、頑固なところも】
【彼女にとって現状は確かに不安でおっかない。だけど、それと同時に、やる気がたぎるのである――燃えてきた、というやつで】

【背中から溢れる闘気はありもしない翼を幻視させるよう。それなら、飛んでいく先は、調理場という戦場】
【プレッシャーに負けてへまでもやらかしそうな予感が僅かにあったが――大丈夫だったと知るのは、少し後のことだ】
【期待半分不安半分という顔で提供したひき肉あんかけ丼(仮称)。というか改めてみると、結構なボリューム】
【だけど、身体を日常的に動かす男性になら――ぺろっといけてしまう量だろうか。実際それを見越したので、】
【実はこれで小食でしたーなんていわれると彼女は困ってしまうのだが……、そのときは、たぶん、また困り果てる】

………………。

【なんだかもう、審査員と審査される側である。多分それで合っているといえば合っているのだけれど】
【祈るような手で食べるところをじっと見ているとなると、いささかやりづらい――という感じがあるのは確かで】
【そこを言われれば、一応視線は逸らしてくれるから、気になるなら言ってみればいい。……ちらちらとは見られるけれど】

……――そうなの、さっき、お外がすっごい寒かったから……、そうしたら、温まるかなあって思って――。

【そうして、感想を言ってもらう段になる――こっそり仕込んだ、細かいみじん切りの生姜。そこに気付いてもらえると】
【彼女の表情はぱっと明るくなる。きゃあきゃあ言い出しこそしないものの、テンションはそれくらいに上がる勢いで】
【嬉しそうに表情を綻ばせて笑う、そうすると、顔があどけないのが余計によく目立って――子供みたい、は失礼だけれど】
【これだけ料理が出来るっぽさはあんまりないのは確かだった。作るより食べる専という感じがする、……錯覚だとしても】

良かったあ、…………――。あ、じゃあ、櫻の国のお話……聞かせてくれるっ?

【胸を撫で下ろす。ふわあと安堵の吐息を吐くと、なんだかそれで、もう今日のミッションが終わってしまったような思い込み】
【しばらくぽけーっとした後のことだ。はっと思い出して尋ねるのは、ちゃんと約束は守ってもらえるのかということ】

た、食べ終わってからでもいいけど――。

【ちょっと待ちきれないみたいなのだが、いちおう、食事中を邪魔するのは悪いのではないか、という思いがあるらしい】
【結局は急かすような態度で、ゆっくりでいいと告げて、……わざとらしく既に乾いているグラスなんて拭きだす】
【テンションの上がり下がりがちょっとおかしい。からかわれて、翻弄されて、――ちょっと、混乱しているみたい(?)】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/16(日) 00:12:16.64 ID:/1QfhYeto
>>98

【ビッチ。ビッチと言ったか。今ビッチと言ったかこの神父。コレ神父か本当に。】
【そう疑いたくなる程に滅茶苦茶な男との邂逅、毒舌で通っている梨花も端正な顔立ちに青筋が立った。】
【なんだとコラ。勝手に本ぶち込んどいてなんて言い様だコラ。ふざけんなコノヤロー、舌引っこ抜かれてえかバカヤロー。】

 (……ダメだ、これに応答して私まで汚い言葉を使い始めたら公園が完全にアウトレイ○状態じゃない。)
 (ていうか何よ子の状況、火は点いてるわ、なのに寒いわ、神父はキレてるわ、私は逆切れしてるわ……なにこれ?)

 ―――ふん。責任ですって? それじゃ、アンタの方こそ勝手に本をぶち込んだじゃないの。
 これ、言っとくけど私が自分で火を起こして温まる為に用意した物なのに、アンタが勝手にそこに本を入れたんだからね。
 むしろ金払って欲しいくらいよ、本一冊につき2千円くらい、あと温まるのに1秒につき100円くらい、ショバ台も取ってあげようかしら?

【飲み干したペットボトルもドラム缶の中に放り投げる。ダイオキシン?知るか。】
【そもそも「燃えないゴミ」って何よ。燃やしてはいけないゴミ、なら判るけど燃えないゴミなんて元々ないわ。】
【どんな物体だってマグマに突っ込めば熔けるし、太陽にぶつけりゃ火が点くのよ。全く若者の日本語離れは嘆かわしいわね。】

【―――そんなくだらない事を考えて毒を吐いていたら、あろうことか。】
【神父から返って来た言葉は以外にも、―――怒りのそれではなくて、むしろ優しい物であって。】
【ベンチに放り投げられたのは―――……神父服か。これは、なんだろう。燃やせってこと? では、ないらしいけれど……。】

 ―――ふぅん? 意外ね、口が悪いから拳が飛んでくると思ったけど……
 殊勝な心がけね、ありがとう外道神父さん。蒔きはそうね―――あんまり太いのはやめてよ?
 火が弱まりかけてるから、直ぐに燃え移るようにちょっと小さいのから集めて頂戴、そしたらショバ代はチャラにしたげるわ。

 (……なによ、あんだけ吼えておいて。もしかしてヘンなこと考えてる? ……ありえそう。いや、ないか。)
 (ていうか自画自賛も甚だしいわねこれ、私みたいなのに欲情するなんてそんなことあるわけないし。考えすぎだわ。)

 ……まあ、でも。悪くないけどさ。

【神父服をぎゅーっ、と掻き抱いて。その温度を感じつつ、彼女はぽつりぽつりと語り始めた。】


 ……嫌になっちゃったのよねえ、色々。アンタもそういうことってない?
 さっきの様子見てる限りじゃ、相当溜まってそうだったけど。どうよ、神父さん。 
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/16(日) 00:20:33.53 ID:KuJYPSxDO
>>101

……ふふっ
捕まえてから考えればいい、か。確かにその通りだな!
それにしてもお前、言うことなんかカッコいいな!まるでスパイ映画みたいだ!


【ロッソの言葉に、またもリーべは笑う】
【彼とは違い、彼女はずいぶんと感情表現が豊かなようだった】
【……とはいえ、先ほどからずぅっと、見せ続けているのは笑顔なわけだが】

【そして、すぅと前を通りすぎたロッソを目で負って──】
【「あぁ、さよならの時間か。もう夜だものな、寒いし」】
【そんなことを思っていた時。声が唐突にかけられる】
【この間ずっと、未だにリーべは足の先で石ころをいじくりまわしていたわけで】


──え、んあっ!?わ、私か、私のことかっ?
なんだ、どこか行くのかっ、乗る乗る乗る乗る!


【一瞬、自分にかけられた声とは分からなかったのだろう】
【ぅえっ、とカエルが踏まれたような、ひっくりかえった声をだし】
【慌ててしまったのか、ロッソの方に行こうとすれば石ころを踏んでおっとっと】
【すったもんだがあってから、なんやかんやで彼女はバイクの後ろに乗るはずだ】

【──最も、バイクの相乗りには慣れていないらしい】
【「こうか、こんな感じか?」なんて、年相応の態度を取ると】
【どことなくぎこちない姿勢で、彼のバイクに乗り込んだ】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/16(日) 00:21:24.95 ID:3dzQhL4to
>>99

【「一桁とは―――」どういう意味か、と紡ぎかけた言葉は、その半ばで止まる。視線の先は肩の上、乗せられた手】
【それからもう一度、彼女の顔へと竜胆が向く。ヒュウ、と吹き抜ける風に、魔力が滲んでいく】

市街へ向かう理由、即ちユーニの行動目的はただ一つ。
この身は他者に仕える為の物――――それ故、仕えるべき新たな主を探し出す事、です。
主のいない状態では、ユーニは死んでいるも同然。故に――無駄死にという言葉は不適であると判断できます。

――――さて、あまり悠長に話をするのも合理的ではありませんので。

【意味深長な言葉達。事務的な言葉遣いも合わされば、少しずつ、少女の事もわかるだろうか】
【……しかし、ここに来て少女は、肩に置かれた手を退けて、街の方へと歩き出す】
【ぺたぺたという足音――――そこに混ざるのは、街の側から近付いてくる、足音と口笛】
【その主は、すぐに現れた。それと同時、二人をペンライトの光が照らし出して】

「……ん?何やってんの、お前ら。」

【一纏めにした長めの金髪に、黒い軍服と制帽。胸元には何処かの自警団のバッジが光って】
【何だか軽そうな男ではあるのだが、恐らくはパトロール中の自警団員】
【となれば、面倒なのは妙な誤解をされる事。或いは、彼女の身分次第ではこの遭遇自体が面倒な事か――――】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 00:23:14.19 ID:ghIFq1nE0
【きっとそれは、濡れるような夜と言うのだろう】
【《夜の国》。常世にあって常夜を顕す、北端の国】

【そこに、重ねて夜を塗り込めるような、鬱々とした声が空気に混じる】

「ですから――私は貴方を殺します」


【馬鹿にしているほど丁寧な死刑宣告だった。言われている方――金髪、前を開いたシャツにピアスの十代半ば程度の少年――からしたら、唐突すぎで冗談かと思うほどに】
【少年は辺りを見回す。路地裏とはいえ、無くはなかった人気も今や絶無】
【もしかしてこれは現実なのか――?そんな思いが脳裏をかすめる】
【逃げよう、逃げよう、逃げなければならない。しかし体が動かない】
【自分は何かをされた。それは判る。しかし、それがなぜかも、目の前の相手が自分を殺すなどと言ってのけた理由も思い出せない】
【尻餅をつき、浅い呼吸を繰り返す少年にそれ以上の思考は許されなかった】
【それよりも優先すべき事実として、目の前の相手がまた一言を発したのだ】
【怖い、怖い。それ以外のものは圧倒的な恐怖に塗りつぶされた】

「故に」

【歩み寄ってくる靴の音。首にかかる手のひら。】
【段々と持ち上げられていく感覚。万力のように締め上げられる喉の苦しさに】
【助けを呼ぶ声を上げようとするも、それは掠れた呻きとしてしか口を旅立っていかない。】

『――っか、はァ―――』

「さようなら」

【少年が意識を手放す刹那見たものそれは】
【彼を締め上げる男の射干玉の髪、その背後のビルの上から見下ろす何かの存在。視線を下げてみればそこには】
【――どろりと濁った黄金の瞳。それが、彼に恐怖を与えたのだということを思い出していた。】

【現在の状況。夜の路地裏、締め上げられている少年、締め上げている方はブツブツと何事かを呟いている】
【そして、少年の首がごきりと音を立てるまでもってあと――数秒】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/16(日) 00:23:33.74 ID:BGRoxpnlo
>>103

【ショバ代だのなんだのと随分と怪しい話になってきたが】
【それを聞きながらも少年神父はせっせと小枝を拾っては投げ拾っては投げ、と働いていた】
【太いのはやめろ、と言われれば舌打ちしながらもちゃんと従うのだった。働き者だ】


 ……別に俺が本を投げたのは俺の勝手だからな、それについちゃ何も言わねえよ、バカ


【ある程度燃料を補給させてから、少年神父は少女やドラム缶から付かず離れずの地面に座った】
【わざわざ枝集めの際に小走りしていたせいで額に汗が滲んでいた。それを腕で拭う】


 ったく、偉い目にあったぜ。で、溜まってるかって?
 生憎と発散相手には困らねえから別に溜まっちゃいねえが……


【ふぅ、と一息ついてから少女が漏らした言葉に返事をする。するのだが……】
【何か、意味を履き違えている】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/16(日) 00:31:04.05 ID:eIAuO6dIo
>>102

いや、もう……完璧だな。そのような配慮からなる料理と言うのは、身体だけではなく心まで温めてくれるものだ――――。
料理が上手だというのはもう認めるしかない。流石UTにいるだけはある……。

【ズバズバ言う方の彼が完璧と言い切ったというのは、それだけ本心で認めている証拠である。尊敬に近い感情まで持ちそうになる程だ】
【正直最初の方は、見た目から想像したのか包丁を握らせてはいけない部類かと思っており料理が出来そうには見えなかったが、蓋を開ければ見事】
【勝手に料理下手のイメージを沸かせていた自分が少しだけ申し訳なくなるくらい、味と生姜の意図には驚かされたというわけである】

……ああ、勿論。……と言っても何を話そうか――――食べながら考えるとしよう。
というか鈴音は何について聞きたいんだ? 生まれは櫻の国の端っこ、田舎故何でも知っているとはいかないが……。
時間が許す限り話そうかと思っている。……まぁ、食べてからだ。食べながら話すのは行儀が悪い――――。

【侍が約束を破るなんてとんでもないと言わんばかりに「勿論」と即答するが、何を話そうかはまだ考えてなかったらしい】
【今度はこちらが話のメニューを提供する番。故に彼は「どんな話が聞きたい?」と彼女に聞いて――――】
【彼女がそれに応えれば、まずは飯を食べてからと箸を進める。がつがつとかきこんでいる訳でもないのに、どんどんと丼の中身は減って――――】
【きんぴらごぼうとほぼ同時に丼も感触。水を飲み干して完全フィニッシュ。瑛月は小さく、ふぅと息を吐いた。満足そうな深い息だった】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/16(日) 00:34:25.54 ID:/1QfhYeto
>>107

【―――凄い。此処まで言われて普通に働くのは普通に感心する、凄い。】
【本来なら「なんだとコノヤロー、てめーも拾えコノヤロー、大体太いとか細いとか下ネタかコノヤロー」とか】
【アウ○レイジ的な展開になるのも吝かではないし、いやむしろそうなって然るべき暴言の数々だったのだが―――なんと敬虔な神父か】

 ……当たり前でしょ、びっくりしたんだから。
 突然あらぬ方向から分厚い聖書がぴゅーって。アンタ分かる?
 そんな目にあったこと、ないでしょ。まあ、良く燃えてたからいいんだけどさ。


【なーんて思ってたらこれだ。下ネタじゃねーよ!!!】
【でも聞き方も悪かった気がする、梨花はキョトン、とした表情で―――】

 ……ハイ? なによ、発散相手って。ストレスを発散する相手がいるってk……


【―――寸刻後に、梨花は彼の真意を理解した。瞬間、顔を真っ赤にして―――炎に照らされてるから、ではなさそう。】

 ちょっ……!? あ、アンタバカぁ!? ちがっ……ちがうわよ、何考えてんのよ!?
 ていうか神父でしょ、どこでなにを発散させてんのよしかも定期的に!! 信じらんない、一瞬でも優しいのかな?
 とか疑った私がバカだったわ、いやアンタがバカな方よ!! ……あぁ、もう最悪。雰囲気ぶち壊しじゃない!! どうしてくれるわけ!?

【伝家の宝刀あんたばかぁ?を発動して、梨花は顔を真っ赤にして反論する。そうじゃないよ、と。】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/16(日) 00:40:27.63 ID:BGRoxpnlo
>>109

【顔を赤くしてまくし立ててる少女に対して少年神父はきょとんとした顔だ】
【とはいえ、別にその本意が分かってないわけでもない。ただこういった反応が当人が好きというのもあるし】
【単に、本当どっちかな、と思ったということも、まぁ、ある】


 ――あっはっはっはっ! お前いい反応するじゃねえか!


【でまぁ、反応を見れば大笑いだ。ご満悦である】


 ……で、ストレスの発散だって?
 そりゃあ生きてりゃストレスなんざ溜まりまくりだぜ
 今日だってよく分かんねえ女に絡まれてだりぃなぁって思ってるぐらいだからな


【そう言って、にやり、と皮肉った笑みを浮かべてみせる】
【しかしこれは単なる冗談だ。この少年は一期一会をかなり重視する、相手がどうであれ、あまり嫌がることはない】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/16(日) 00:46:40.97 ID:mImHeTaP0
>>108

お料理はたくさん練習したの、だって、わたし、おいしいの食べたかったし……。
あとは――お母さんが教えてくれたんだ、ううん、それは、簡単なのばっかりだったけど……。

そのおかげでいろいろ作れるようになったの、わたしにもお料理、できるんだって、思ったの。

【褒められると調子に乗るタイプ……というか、機嫌が良くなるタイプらしかった。完璧とまで言われると、】
【表情がどんどん変わっていって見ていて面白い。よく表情の変わる子である――同時に、子供っぽいとも言い換えられ】
【おいしいの食べたい。原動力は簡単である、三大欲求の一つ、食欲……満たしたかったのである、思いっきり】
【でもそれも幼少期に母親が教えてくれたおかげ。簡単な料理で、自信を持たせてくれたおかげ】

【あとは。いろいろと……(店の裏のごみ箱とかで)さまざまな料理を食べたりして、味を覚えたのも、理由のひとつか】

【とにかく。食に対する欲求が結構あったのである。それに、母親の教育が重なって――追求した結果、こうなって、】
【それでお仕事なんて出来ているのだから、がんばってよかったねと言える。こういうのも、多分、自信に繋がる】

セリーナにも褒めてもらったんだよ、たまにお昼ご飯とか作ってあげるの……、ほっといたら、お酒ばっかり飲みそうだもん。
ちゃんと身体にいいものも食べなくっちゃ、――正義の味方が栄養失調なんて、格好悪いでしょ。

【UTに……なんていわれると、今度は恥ずかしそうだ。恥ずかしいのをごまかすみたいに、話題に出すのはセリーナのこと】
【なんだかいいことを言っている、もちろんそれも本音ではあるのだけれど――おいしいって言われたくて、作っている】
【彼女って基本的にそうだ。褒められたくてがんばるタイプ、褒められるともっとがんばるタイプ、……扱いやすい】

わたし……わたし、何でもいい、なんでもいいの、えっと――、なんだろう、たとえば……、その、
街の雰囲気、とか……、……だって、ほら、櫻って、木のお家が多いんでしょう? こっちは、煉瓦とかだし……。

ああ、えっと、……お侍さんがおすすめしたいところが聞きたい、どういうところが好きかって――そういうのがいいな。

【何を聞きたいのか。それを言われると彼女は困ってしまう、何が聞きたいんだろう――なんでも、聞きたいって】
【悩んだり迷ったりすれば、やけに仕草が増える。ほっぺたに手を当てたり、首筋に触れたり、両手を合わせたり】
【そうやって挙げてみたのは……街の景観、みたいな話だろうか。とりあえず、ぱっと浮かんだのがそれらしいけれど】
【他にも、住んでいるひとの持つ気質とか、どんなお店が多いかとか、そういうのも雰囲気になる。――結局は、】
【さっきの仕返しみたいにおすすめ希望で返してしまうのだが。とにかく、何を話してやったって、彼女は喜ぶはずだ】

【遥か昔に櫻の血を継ぐ少女。これが愛国心なのかはちょっと微妙なところだけれど――】
【櫻に憧れる外国人、というのは、案外珍しくないらしいなら、よっぽど空回りしているというわけでもない】

【ちなみに、食事中に喋るのはマナーが悪いというのは完全に同意である。同意なのだけれど、】
【なんだかもうそわそわわくわくとして待っているのを見ると……なんだか、やっぱり、子供みたいだ】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/16(日) 00:52:12.16 ID:hrYZI9pko
>>104

スパイ映画ね……あんまり好きじゃないけどな。気取り過ぎてて
いや、気取ってるのはいいんだよ。ボギーだってマーロン・ブランドだって
もっと…何だろ…。……まあ、いいか

【華やかなタキシード姿よりもヨレヨレのトレンチコートのほうが好みってだけで深い話じゃない】
【いや、この男からすれば世界の命運とかよりもどの映画俳優が一番かっこいいかのほうが重大なことだ】

【男は軽く、首を回して背中に彼女が乗ったのを確認すると】

手は離さない。けど、身体は固くしないで合わせる。あと、喋らない…舌噛むよ
……オーラィ、Baby

【それだけ言って、アクセルとハンドルをぶん回して急加速、からの急回転】
【180度のタイヤ痕をくっきり残して車線を変えて、走りだす】
【彼の運転は4ブロック程度の短いものだった。普通に走っても短いのにこれはもっと短い】
【加速のGはかかるし、カーブでは吹っ飛びそうだし、そもそも制限速度も信号も気にしていない】
【でも妙に運転は慣れているのか無駄のないスマートな走りであったことは…気づく間もない】

……っと。此処は量が少ないんだよな店主がケチ臭くて……
ああ、着いたよ

【男は平然と降りる。今日はタンデムだったから軽めに走ったなという気分。この間で違反は3つはありそうだったが】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/16(日) 00:54:09.06 ID:/1QfhYeto
>>110

【分かってないわけではない、というのなら尚更の事イイ性格をしていると言わざるをえない。】
【だって神父ですよ、神父。いや、最初の時点で聖書燃やしてる訳だから普通の人間とは思っていないが】
【見てください、今だって怒ってるって言うのにいい反応するなあ、とか抜かしてる訳です。お前の方がイイ性格してるよ。】

 い、いい反応じゃないわよ全然っ!? 怒ってるの、ていうか文句言ってるのよ文句!!
 あのねぇ……いや、別にアレよ? k、こういう話が嫌いだとか、慣れてないだとか、そういうんじゃなくって……!
 あ、アンタみたいな格好してる人からそういう言葉が自然とひり出す様に出てきた事に驚いただけなんだからね!?
 ちょっと、笑ってんじゃないわよ!! ……もういい、話を戻すわ。そう、ストレスよストレス。下じゃなくてむしろ上よ、上。

 頭と言うか胸と言うか―――……そういう場所に溜まった物の話で……って。
 あら、言ってくれるじゃない? それなら私の台詞よ、絡んできたのはアンタのほうじゃない、この妖怪聖書燃やし。
 で、妖怪聖書燃やしにも分かるように小学生並の言葉で説明するなら―――……まあ、アレよ。イラッときたのよ、イラッと。

【神父服に半ば顔を埋める様にして。つまらなそうに、燃え滾るドラム缶を見つめながら、梨花は続けた。】

 
 ―――学校は嫌い。先生も嫌い。生徒も嫌い。校舎が嫌い。校庭が嫌い。屋上が嫌い。嫌い、嫌い。大嫌い。
 嫌いなものだらけの中に、それでも私はいなくちゃいけない。それが苦痛。テストも嫌い。なのにやらされる。
 ただそれをやらなくちゃいけない理由っていうのはよく分かってるし―――勉学に勤しむのが最終的に重要なのも、知ってる。

 ……けど、空虚だと思わない? 机を見てても。黒板を見てても。ノートを見てても。
 此処に私の現実はないんだな、って思うと―――……寂しくなるの。どうしようもなく、寒くなるの。
 そうして本当にしたい事が、段々とボヤけていくの。目標も、夢も、理想も、全部……ぬるま湯の中で。

 霧に揉まれる様にして……私が、私じゃなくなってくみたいに。
 でもそれを、「あの人」は強要する……その理由はよくわかってる。
 それが夢への近道なのも分かってる、分かっててもなんだか―――怖くて。

 ……火が見たくなった。それだけ。そんなところ―――わかる?わからないでしょうね、アンタみたいなヤツには。

【それだけ言うと。人のものだというにも関わらず。彼女は服の中に、顔をすっぽり埋めてしまった。】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 00:55:53.21 ID:bSSwkHdu0
>>105
――使える新たな誰か、か。
……なる程、そいつがいねえとユーニは死んじまうのか。

【――それだ】
【何故話しかけたのか】【何故こうも付き合ったか】
【単純な話だった。それはお人よしな心でもないし、興味本位とも少し違った】
【――この、突如現れた異質な物が、何をするのか気になったのだ】

――そうだよな、生き残る為に戦うんだ。それが普通だ。
その為にその状態でも、なんら躊躇いなく動くのか――くくく、良いじゃねえか。気に入った。
なぁ、ユーニ――――

【照らし出されれば、少し光を塗しそうに目を顰め、】

――見てわかんねぇのかよ、家に帰る所だってーの。
ほら、帰った帰った。自警団にお世話になる程の事じゃねーっての。

【――アンタの主になるには、何を示せばいい?】
【恐らく、パトロールに現れた青年には聞こえなかっただろう】
【だが、目の前の少女――ユーニにははっきりと聞こえた筈だ】
【しっし、と払いのけてあっちへ行けと敵意に似た物を隠す事もなく向けながら】
【今の所は好戦の意思はないようではある、が……?】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/16(日) 01:02:23.39 ID:KuJYPSxDO
>>112

【少しばかりの注意事項を受けて、どこか緊張気味な彼女】
【無理もない──自分で空を跳んだことはあるが、他人のバイクに乗ったことなんてないのだ】
【いつも浮かべる笑みだって、今この瞬間ばかりは舌を噛まないよう、きゅっとへの字に結ばれる】
【ぴったり相手と身体を合わせれば、バイクとロッソ、ふたつの熱がほんわか伝わってきて────】


   ──────!?! 〜〜〜〜〜っ、 ッっ、 ────!!!!!


【──たった数秒か、数分か。それだけのドライブを終えた後】
【理想の正義を語る少女は──目を回していた】
【普段だったら確実に、間違いなく「悪いことはいけない」「ちゃんとルール守れ」なんて】
【そんな、口うるさいお説教のひとつやふたつは、飛んできていたはず、なのだが】


ふ、ふ、ふははは、も、もう、ついたのか
はは、ははははは、さ、さすがに、早い、な、ふ、ふ……


   【 もう、ばてっばてである 】

【着いたと言われればふらふらとバイクから降り】
【更に店まで誘導されればやっぱりふらふらと後をついていくのだろうが──】
【まぁ、きっと、しばらくしたら大丈夫になるだろう、うん】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/16(日) 01:13:23.18 ID:eIAuO6dIo
>>111

ほう、成程……だからこその家庭的な味と言うか、安心するような料理なのかも知れない。
この味は鈴音の母親の味――――ということなのかもな。

【彼女の料理を食べて一番驚いたのがその部分であった。少女の見た目にはそぐわない母親の味】
【食堂で出てくるのがピッタリかもしれないその味を彼女が作っているという部分が、酒場に和服の男がいるかの如く不自然で意外だったのだ】
【その理由が母親というのなら、その不自然さもいとも簡単に消え失せるのではあるのだが】

……ああ、確かに。その点ではロウも同じだな……アイツは年中酒場でポテトとか食べてるから毎回しつこく注意するのだが聞いてもらえない。
――――だから腹がぷにぷになんだと言うとキレるし……闘う者が食に気を遣わなくてどうすると俺も思うぞ。

【確かにセリーナは酒豪と聞くし、彼女と会ったこともあるが確かに食事を事細かにチェックしてるとは思えない性格だと思う】
【そればSCARLETの方のガンマン、ロウも同じであり――――瑛月は彼への愚痴を軽く零した】

好きな所……というと、俺は栄えている天ノ原よりも生まれ育った田舎の方が落ち着いていて好きだな。
春は満開の桜で村が覆われるし、夏秋冬と四季によって見せる姿がまるで違う。その中でも俺は――――東風(こち)の滝かなぁ、一番気に入っているのは。
凄い大きな滝でな、恐らく唯一生まれ育った故郷で観光スポットとなってるであろう場所だ。春なんかは、桜の花弁が混じった水流が一気に落ちるのだが……

その光景が俺が一番見ていて好きだ。……後はなんだ、よく滝行を其処でしていたものだから馴染み深いということもあるだろうな。

【うーむ、と少々考え込んでから口を開き話し始める。首都天ノ原は今ではかなり栄えてはいるが、其処よりも落ち着いた田舎の方が彼の性に合っている】
【若者には余り支持を得られないような場所ではあるかもしれないが、その美しい四季の風景やのどかな雰囲気が何よりも好きだった】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/16(日) 01:22:39.54 ID:BGRoxpnlo
>>113

 誰が妖怪聖書燃やしだ、ブレザー燃やしめ……

【妙なあだ名(?)にはちょっとジト目で睨みつけるも、それからは黙って聞いていた】
【少しの時間でいかに神父らしくないかを示してしまったが、しかしそれでも全く神父でないわけではない】
【何か人が抱えているものを吐き出すとき、彼は常にそれに耳を傾ける。誰が相手であってもだ】

【その内容は、残念なことにディックが共感しやすいものではなかった。二度になるが、彼は学校に行ってない】
【勿論、神学校のようなものには居た。が、聖書を燃やしたりはしたくなるが、それ自体が嫌だったわけではなかった】
【だからこれは中々、厄介な話だった】


 ――ん、中々厄介なこと言い出すなぁ、お前……
 ま、あれだ、確かにお前の言う通り、俺にはちっとも分かんねえな


【まず、いつも通り、思ったことをそのまま伝えた。ここを妙に誤魔化そうとすると後になって信用を失うからだ】
【もちろん、そこに幻滅される可能性もある。しかしそうなったときは、仕方ないことだと覚悟していた】
【……困ったことに、今回は中々いい答えが本当に見つからなかった。ヒントも何も】
【苦悶の表情から一転、何かを決めたように立ち上がった】


 よし――俺を殴れ!
 俺にはお前の悩みの本質が全く捉えられなかった。後なら何とかなるかもしれねえが、今日は少なくとも無理だった!!
 だがストレスの発散ならいくらか付き合えるだろう、殴っていいぞ!


【半ば破れかぶれに近い気分ではあった。何せ自分を放り投げるような力だ、殴られてはたまらない】
【だがこれは一種の謝罪、いや“贖罪”でもあった。相手に相談をした気はなかったかもしれないが、彼からすればこれは相談のようなもの】
【それに対して何一つ、何かヒントなり気分が軽くなるものを何も提示できないことは彼にとって……はっきり言って重罪だった】
【それぐらい彼は自分が“聖職者”であることに責任を持っていた。“何か困っている人間に対して必ず何かを示さなくてはならないのは当然だ”と】
【それができないなら、死ぬほど痛いぐらいは構わなかった。流石に死ぬのは嫌だが】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/16(日) 01:31:59.87 ID:3dzQhL4to
>>114

「へーぇ……でも、何にも無いならさっさと帰った方がいいぜ?
 何せ、最近この辺りは変な事が起きてるからな……」

【『ま、気を付けるんだな』――――擦れ違い様に、男はそう言って。次第にライトが、遠ざかっていく】
【十分に光が離れたならば、少女は一度、振り返る。瞳には、これまでより少し、力が篭っているように見えた】


――――ユーニの、主になろうと?


【ほんの少し、起伏の増した声。夜に、確かに響かせて】


それならば……――――――――


【ザリ、と音がした。突風が、砂埃を巻き上げる】


――――――力=Aでしょうか。


【そんな声が聞こえた時には、少女の姿はそこにはもう、無い】
【どこへ、どうやって、いつの間に――――そう疑問したって。答えはどこにも、ありはしなかった】




/すみません!無理矢理ですが一旦ここで〆とさせてください!
/お疲れ様でした!
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/16(日) 01:35:06.46 ID:mImHeTaP0
>>116

【――だけど、いま、彼女には、母親が居ない。彼女の母親は、彼女が八つのときに死んでしまった……父親もだ】
【家族を喪って、孤児院に送られて、……そこからも逃げ出して。それで、数年ほど放浪していたのだけれど】
【母親が作った料理の基礎、そして、放浪時代に食べた(廃棄とかの)食べ物。それで、いろんな味を覚えていって】
【基本は家庭的。だけどたまにおしゃれなものを作ることもある。……そんな、今の料理スタイルにたどり着いた】

【ちなみに、彼女もなかなか不思議である。こう、荒くれもの……みたいなお客さんの多い中】
【ふわふわの多い服というのはどうも浮く。浮くのだが、この店だと、不思議に受け入れられていて】
【さらに言うと、ふわふわのくせにかっちりした家庭の味なんて作れるからもっと不思議。……なんだか、】
【子供っぽいんだか大人っぽいんだか、とかとか、いろいろと――彼女は、正反対みたいな要素が多いようだった】

でもポテトっておいしいからついつい食べちゃうの、分かるよ――、わたしもね、あったら食べちゃうもん。
だからあんまり買わないようにしてるの、それより、野菜のゆでたのとか食べたいな――。

練りごまをね、ポン酢で伸ばして、かつおぶしを入れた、たれなんだけど――それがね、お野菜にとっても合うんだよ。

【ちなみに彼女、ポテトとか与えたらいつまでも食べてるようなタイプである。ああいうの、指が止まらないなら】
【そもそも食べないという覚悟。――多分最後のは言い訳というか強がりというか、そんな何かである】
【どうせたんまり食べるなら野菜のほうがいい(はず)。というか、良くなかったら、悲しいというか――なんというか】
【「ロウもそういうの食べたらいいのに」なんて、大した他意もなく零した。それから、自分の分の飲み物を用意しだし】

ふわぁ――――、

【それから、自分の飲み物(ホットココア)を用意して、彼女はカウンターの向こうに座る。ちょっと高めの椅子なら】
【座ってもその顔とかを見るのには困らない。それで、両手で持ったカップをふうふう吹きながら――それはもう、】
【目をきらきらさせて聞いているのだ。東風、こち、……聞きなれない単語が聞こえると、彼女はつたなく鸚鵡返しをして】

こち、? ……滝なんだ、おっきい滝――、桜の花びら……。

【“こち”が何かは多分理解しなかったけど、滝だというのは分かったらしい。納得した顔で頷けば、脳裏に浮かべてみる】
【滝って良く見たことがなかった。それなら、多分にイメージ図という感じになるけど……まあ、だいたい合っているだろう】
【とにかく浮かべるのは大きい滝だ。大きい滝、それと、流れる花びら。水しぶきと一緒に、花びらが爆ぜて】
【大きい滝なら、音も大きいのだろうか。傍に立てば冷たいだろうか、そういうことを考えて――意識がどっか行っている】

ねえ、そこ、今ぐらいの時期でも、綺麗――? 見てみたい、おっきい滝って、わたし、見たことないの!
ミハエルにお願いして連れてってもらおうかな……、あ、でも、遠いかな――、わたしが行くのね、**のほうだから……。

【しばらく置いとくと意識は戻ってくる。それから尋ねてくるのは、なんだかもうめっちゃ心惹かれている、半ば決定の問い】
【桜が散ってたら尚綺麗だろうとは思うのだが。大きい滝というのをそもそも見たことがない彼女にとっては、そうでなくても】
【行きたくなる場所――だったのだろう。わくわくしたように呟く、その名前は、彼と同じ。UTに所属する人物のもの】
【――まあそれはともかく、彼女が行くと言った地名は。彼の言った場所からはあんまり遠くない……はずだ。近くもないが】
【どうせ旅行に行くなら一緒に行ってしまえる距離と言えるだろう。それなら、おすすめするのもいいのかもしれない】

……ねえ、ねえ、もっと。もっと聞かせて、いっぱい知りたいの、綺麗なところとか――素敵なところ――。

【どこからか取り出したメモ用紙。電話の近くにあったのを思うと、多分、本職もメモ用紙だろう、彼女はそれを破くと】
【かりかりとボールペンでメモ書きする。覗き込めば、「こちのたき」とオールひらがなで書かれた文字列が踊って】
【――いや、正しくは、さんずいべんまで書かれた後に斜線で消されて、ひらがなに書き直されている。ひどいありさまだ】

【だけど彼女はそんなの気にせず、もっともっととおねだりするのだろう。好奇心で、顔をきらきらに飾り付けて】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/16(日) 01:36:38.23 ID:hrYZI9pko
>>115

まぁでも2速の入りが甘かったな…クラッチもう駄目になったのかな

【そんな愚痴を言いながら、彼は店へ先に入っていく】
【やはり、吹っ飛ばされた店の二軒目に選ぶわけで高級でもおしゃれでも無く】
【寂れたカウンターに店主。化粧の濃いウェイトレス。ポーカーに勤しむ客とまあなんというか】
【THE場末である。ただまあ、ぼったくったり喧嘩をふっかけるような事は無い……はずであるが】

『あっ!テメエ!この前の借り返してもらうからな!』

あっ……いや、仮も何もギャンブルで俺が勝っ『うるせえ!勝ち逃げしやがって!来い!』

いや、あー……あー…っ!っと!俺、帰るわ!なんかほら…あれとか…あれ…だしさ!
じゃ!…その…ま、どっかでまた

【カードゲームをしていた客の一人がノシノシとやってくる。見るからに腕っ節が強そうだ】
【それを見て、男は直ぐに飄々とした態度は吹っ飛んで慌てだして挙句にUターンで帰っていく】
【少女を一人残して構わずに、慌てて追いかけても既にバイクはタイヤ痕だけになっているだろう】

『あのやろ…!ん?お嬢ちゃん?アイツの連れか?…まあいいや、ポーカーのメンツが足りないんだ』
『ご飯ぐらいならおじさんがごちそうしてあげるから。ま、ま、ちょっとだけだからよ』

【そういってギャンブルへと誘うだろう。まあ、ルールと癖さえ見抜けば負けることは無いだろうけど…】


/そろそろ眠くなってきましたのでここらで〆にさせていただきます
/お付き合いいただいてありがとうございましたー!
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 01:42:15.40 ID:bSSwkHdu0
>>118
起きる前に返るからよ、ごくろーさん、じゃーな。

【節穴だなあ、と内心で思いつつ、変に睨まれる事になっても困る】
【挨拶をそれなりに返してから、再度少女の瞳を見つめる】
【見つめて――消えるまでの時間は、ほんのわずかだった】

――私と同じ類か?
いや、そりゃいいんだが――っつうか、私も欲しいよ、それ。

【声に幾ばくかの哀愁を乗せて、見えぬ事に、居ぬ事に何も抱かず】
【取り残された女は一人、何もなかったかのように、その場から立ち去る】

//途中遅れてごめんなさい! ありがとうございました!!
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/16(日) 01:43:17.60 ID:/1QfhYeto
>>117

【―――意外にも。きっつい言葉とか、お叱りのメールだとか、そういう物は返ってこず。】
【今までの彼の流れからすると、バッサリと悩みをブッタ斬り、「うるせえ学生は黙って勉強しろハゲ」】
【くらいは言ってきそうな物だったが、梨花の言葉に黙ってうなづいて、良く分からないだとか、悩んだりとかしている所を見ると―――】


 (……? あれ、なによ。こいつ、もしかして意外と真面目な神父?)
 (なになに、私のくだらない悩みに真剣になって親身になって答えてくれようってわけ?)
 (……ぷっ。背もちっちゃいし、聖書焼いちゃうようなヤツがなにを悩んでいるんだか……ほんっと、わけわかんないわね。)

 そう、そうでしょ。アンタには分からないし、私にもよく分からないし、それでいいのよきっと……。

【多分、誰に答えが出せると言うものでもない。モラトリアムの憂鬱。良くある話で、だからこそ難しい。】
【悩みの本質がどうだとか、そんなに深く考えなくても本当はいい位なもの。適当に返事しておけばいいんだ。】
【それなのに真剣に考えた挙句、立ち上がりかけた梨花にかけられた言葉はなんと、想定外のものであって―――!?】


 ……は? え、ちょ。いや、いやいや、いやいやいやいやいやいや!?
 な、なに言ってんのよアンタ、ほ、ほんとにバカになっちゃったの!? なによいきなり殴れって!?
 聖書燃やしたら今度は殴れですって!? いい加減にしなさいよ、私の中の神父像がどんどん崩壊してくんですけど!!

 人がしっぽり語ってると思ったら「何も言い返せないから殴れ」ですってぇ!?
 あのねぇ……いや、一つ言っておくけど、アンタそれ、アンタしか納得できない終わり方じゃない。
 いい? この場合ね、殴られてスッキリするのはアンタのほう、罪滅ぼしが出来るから。じゃ、私はどうなの?

 ―――気持ち良いわけないでしょ。
 人に愚痴零して、その上相手が何も言えなかったら、腹いせに殴るて。厨ニ病か!
 あのねえ、アンタ私をどうしたいわけ? 悪者にしたてあげるのが目的? これじゃ、まるで私酷い女じゃないの!

【殴る、訳がなかった。非常識と言う点では他の追随を赦さないこの不良少女も】
【流石にこの状況で殴ってくれどうぞ、いいよこいよと言われても殴れるわけが無い。】

 ……アンタは悪い事してない。むしろ、謝るならこっちの方よ。
 変な話を聞かせて悪かったわね、ただ―――ああもう、その、あれよあれ!!
 ……だから、わかる!? ……愚痴って、聞いてもらえるだけでも嬉しいし、その―――……

 へ、変な感じになっちゃったけど、それでもアンタはアンタなりに、私をどうにかようと真剣だった訳で……ああもう!
 まどろっこしいからハッキリ言うけど、結構心配されてるみたいで若干嬉しかったわよ! だから凹まない、いい!?わかった!?

【―――二度目の赤面。それだけ言うと、梨花は神父服をこれでもかというくらいにぎゅーーーーっと丸めて。】
【そして神父へとぼんっ! と投げ返すだろう。ありがとう、という言葉もほんの少しだけ、小さく小さく、呟いた上で。】
 
 ……なんとなく、気が晴れたわ。制服は燃えちゃったけどね。
 それじゃ、そろそろお暇しようかしら。つき合わせて悪かったわね、神父さ―――そうだ。
 アンタ、名前は? 私は……梨花。霧野 梨花っていうの。まあ、リカとでも読んでよ。アンタの事は? 何て呼べばいいのかしら。

【流石に、妖怪ドM殴られたいマンだとか、妖怪聖書燃やしだとか、妖怪薪拾いだとかは呼べない。】
【だから梨花は最後に彼に名前を聞いて―――そしてベンチから立ち上がると、原付のキーを取り出した。】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/16(日) 01:47:31.11 ID:KuJYPSxDO
>>120

【ふらふらの頭で酒場に入ってみれば、あれよあれよというまに修羅場おぶ修羅場】
【何がなんだか理解する前に、ロッソは消えて残されたのはリーべと最初からいたお客たち】
【そのまま成り行きでギャンブルをするはめになったのだが──】
【もちろん、半分車酔いの状態では普段働く頭も満足に働いてはくれないのだ】


ぽ、ポーカーか……
ホールデム、か?……オマハ?……ハイロウ?
スタッドなのかトリプルドローなのかバドゥギなのか……
いや、いや、パイナップルはさすがに、マイナー、だろう……で、どれ、だ?


【──しかしこの少女。酒場に出入りしているだけあってルールはばっちり】
【後は酔いが覚め、頭さえ正常に働けばたぶん、なんとかなっているはずなのだ】
【──彼らが負けた後、ロッソが再びこの酒場を訪れた時。彼は勝負の結末を知ることになるのだった】


/勝手に勝ったことにしてよかったですかね?
/こちらこそありがとうございました、楽しかったです!
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 02:02:33.25 ID:bSSwkHdu0
>>106
ま、まだいらっしゃいますかー……
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 02:06:12.85 ID:ghIFq1nE0
>>124
/おりますよー 半分諦めておりましたが……
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 02:10:06.83 ID:bSSwkHdu0
>>106
――うっわ、随分とエグいなおい。

【そのある意味処刑現場とも思える広場に通った声は】
【恐ろしいほど日常感あふれた、間の抜けたような物だった】

おいアンタ、死にたくないんだろ?
なら頑張れって、人間案外死なないもんだぜ? 全力だせば超えられるモンだ、ってな。

【その現場に現れる、紅い髪、グレーの瞳の女】
【ボロボロな何処かの学校服みたいなものを着ているが】
【使い込んでそうなっているのが伺える。何せ埃だとかカビだとか、そういうのが見える訳でもないし】
【更に言えば女は路地裏の埃臭さを持ち合わせていなかった。香水の匂いがする程だ】 】

あぁ――アンタもとめねーよ、好きにしな。野暮ったい事する気分じゃねーし。

【しかし、声を翔けて現れたかと思えば、あまりに無責任じみた応援一つ】
【その様を眺めるのはある意味狂気じみているか、と思える程に】

/それならお願いしますね! よろしくお願いします!!!
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/16(日) 02:14:39.62 ID:eIAuO6dIo
>>119

うむ、殊勝な心がけだ……サラダや茹でた野菜とかならばいくら食べても文句は言わないのになぁ。
酒場ならせめて野菜スティックとか……ロウにも是非見習ってほしい限りだ。
しかしながらサラダならドレッシングが不健康だったりする、故に俺はエゴマ油のドレッシングを推したい。
エゴマ油は調理油としては使ってはならないが、そのまま食べると従来自然食で摂取しにくいオメガ3脂肪酸、
即ち必須脂肪酸多く摂れる為――――……っと……こういう話は分からないだろうしつまらないな、済まない……つい好きな話題となると、な。

【どうせたんまり食べるなら――――という彼女の考えは強ち間違いではなく、ロウも見習ってほしいと彼女の呟きに対して瑛月は頷く】
【そこからどうも健康オタクとしてのスイッチが入ったらしくマニアックな話題へと会話の列車が暴走しそうになるが、なんとか寸前でブレーキを踏めたようで】
【脱線&暴走しかけた話題を、何とか自力で戻し――――また、彼女が求めた櫻の国の話に向かって運転再開と行くだろう】

今の時期だと……桜の代わりに真っ赤な紅葉が流れているんじゃないか? ああ、確か近くの寺で滝行体験もやっているが……いや、流石に勧めるべきではないな。
最近は大分寒くなってきたが、滝壺周りは水煙のせいか更に寒いし……む、**ならそこまで遠くないから覗いてみるのもいいんじゃないか。
そのミハエル君とやらに連れてってもらうと良い……。紅葉が枯れる前に行ったほうが良いから、なるべく急いだ方がいいかもな、はは。

【**なら案外近い。そうならば、やはり東風の迫力ある大瀑布は見て欲しい。美しさと豪快さを兼ね備えたその景色は、中々見れたものではないと思うから】
【東風の滝は春の櫻流れが一番美しいが、時点で秋の紅葉流れだ。冬になると川が凍ったりするかもしれないため、豪快な滝の姿は見れないかもしれない】
【故に、なるべく行くなら早い方がいい、と焦らせるような言葉を続ける。――――もっともっと、と言われ瑛月が再度唸れば、零れるは――――】

……**近くなら、松月園という庭園――――の冬景色。もうすぐ冬も近いからな。松月園はどの季節でも綺麗だが、俺は冬が一番好きだ。
雪吊りといってな、雪の重さで木が折れないように縄で枝を吊るんだ。一番大きな木だと800本くらいだったか……そこに雪が積もっているのも中々に綺麗だ。
雪化粧のかかった庭園も綺麗なのだが、夜はライトアップするからもっと綺麗だぞ。後庭園の近くの餡蜜が凄く美味しかったのは覚えている。
――――はは、俺も花より団子ということだな……

後は――――……む、済まない。そろそろ宿に戻らなければならない時間だ。明日の仕事の為の打ち合わせがあってだな。
正直もっと語らなければいけないと思っているのだが今回は勘弁してくれ。お題は此処に置いておく、それでは――――もし行くなら、是非東風の滝を……な!

【景色が好きなのか、またしても絶景スポットを勧める瑛月。あとは――――ともう一つ紹介しようとする彼の目に、ふと時計の針が映り込む】
【その瞬間彼の身体が一瞬固まり、行かなくてはと直ぐに席を立ちあがった。結構ギリギリらしく、やや慌てた様子でお代を払う】
【勘弁してくれ、と申し訳なさそうに両手を合わせるとドアを開けて行ってしまった。小走りで寒空の下を駆けながら、今度はもっと話してやろうと密かに心内で彼は誓った】

/これで〆とさせてください、ありがとうございましたとても充実したロールでしたー!
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/16(日) 02:20:09.35 ID:BGRoxpnlo
>>122

【――当人的には、もう殴られる気満々だった】
【先ほどもいった通り、求められたときに役割を果たすことが義務なのだから】
【しかしこの少年神父は失念していた。そう考えているのは当然、自分だけだということを】


 え、いや、お前……別に俺ぁお前を悪人にする気なんざねえよ!
 俺は神父なんだから、答えられねえならせめて、できる形でお前を……その……


【少女の言い分は尤もだった。彼も言われてやっと気がついた。確かに、これではまるで悪者だ】
【一応言い訳のようなものを返そうとするが、どんどん語気が弱まっていってしまう】
【行動が裏目に出てしまったことは、正直、ショックだった。心の中で自分を責める声が聞こえる】
【――が、そこに更に少女の言葉が続いた】


 お、お前……


【今度の今度こそ少年神父は驚いた顔をした。自分が何かに関して慰められる側に回ったことなどなかった】
【それは本来はやはり悔いるべき状況だ。彼はそうされる立場ではなくそうする立場なのだから】
【けれど……少女の慰めは少し気恥ずかしく、そして何だかとても嬉しかった】
【投げ返された服を受け取ると、少し、視線を彷徨わせた。経験のない感情が、彼から言葉を見失わせた】


 な、名前か………………ディックだ


【どこか申し訳なさそうに少し顔を伏せて、彼はとても言いにくそうに名前を答えた】
【いつもならば喜ぶ状況。しかし今回に限っては答えることが躊躇われた。せめて、彼女が意味を知らないことを願った】


 ……ありがとう、バカなこと言っちまったが、おかげで助かった
 その……次こそは……ちゃんと助けになるように頑張るよ


【最後の最後にこれだけは伝えたかった。お礼と、それでもやはりちゃんとした助けになりたいということを】
【ある意味で、彼は頑固だった。普通なら愚痴を聞いてくれてありがとう、と言われたらそれで納得するだろう】
【それでは、納得がいなかった。けど失敗した以上、言い切ることもできなかった】
【結局なんだが頼りない台詞になってしまっていた】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 02:29:00.75 ID:ghIFq1nE0
>>126
【声。泡を吹く少年越しに見えた背格好は女のようだった。】
【しかし幸い、羅卒の類ではないらしい。幸いにもその行為を妨げる気はないようで】

【枯れ枝を折るような音ではない】
【肉に包まれているからなのか、わずかに湿った音を立てた。――ごぎり。】
【か、とだけ間抜けな声を上げたそれは、それきり動かなくなった。】

「ああ、ああ」

【それはなんとも言えない声だった。慟哭のようであり、喜悦に漏れた笑いのような】
【右手を振り、痙攣する屍体を投げた。路地のさらに奥。自分を挟んで女の逆方向】

【数秒うつむいて声を上げていた殺人者―――ユーリは一転、何事もなかったように】
【なんの感情をも映さない、すでに濁ってはいない瞳を向けて喋り出した】

「私に何か御用でしょうか。私は幾分これから一刻も早く行方を眩ませたいのです」
「今にも警察の方々が押し寄せてくるやもしれないのですから」

【正常な思考である。自分が犯したのは罪であると理解し、それが治安組織を動かすという帰結も受け入れている】

「ですので――手短に」
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/16(日) 02:31:08.25 ID:mImHeTaP0
>>127

【野菜おいしい、とか、そう言う話のときはまだ理解していた。だけど、話が進んでいって】
【おめがしぼうさん(???)なるものが出てきた辺りから、彼女は、たぶん、九十九割ほど理解しておらず】
【最終的には「そうなんだ」なんて言うけど、棒読みだったとか余談だろうか。感想といえば、えごま油、すごいらしい、とか】
【とりあえずそれが分かれば、今度何かするときに思い出すかもしれない。一見無駄話でも、本当の無駄話なんて、あんまりない(はず)】

もみじも好き、綺麗だもん、真っ赤で……、秋の葉っぱって好きなの、いちょうとか、いっぱい積もってるところに行って……。
いっぱい蹴り上げると、少しだけ甘い匂い――するでしょう? あの匂いが好きなの。なんだか、優しくって――。

そっか、もみじかあ、……もみじもいいな。――うん、決めた、見に行ってみる、こちの滝……だよね。
こち……、……なんて字、書くの?

【焦らされればなんだかすっごく見たくなる。せっかく行くのだもの、いろいろなところが見たいと思うし】
【せっかくなら綺麗なところとかにたくさん行きたい。脳内メモリにめっちゃ保存である、こちのたき、絶対行こうって】
【ついでにいちょうのいっぱいあるところ……とも思ったけど、いちょうはこちらにもあるし、いいや、だなんて思い直す】
【ちなみにいちょうって仲間が居ないらしい。ずっと、ずっと、昔から――進化もせずに、あのままで居るらしい、余談だが】
【――最後にはこちってどうやって書くのかを尋ねる。ひがしのかぜだと聞けば、どうやって読むのか、不思議そうにしていたが】
【まあそこは納得してもらうとして――、――滝は書けなかったけど、東風は書けたらしい。もっともっと、余談だけど】

松月園……、あ、雪吊りって知ってる、テレビとかでたまに見るの。あと、わらで巻いたりするやつとか……。
そっか、松月園も……、……あ、でも、雪の時期に行かなきゃ、駄目だよね? ……どうしよ、雪ともみじ、一緒は無理だし……。
――ん。じゃあ、松月園ってところは、今度、別に行ってみる……、え、わたし、あんみつ大好き――。

【そして、また、ひらがなでメモ書きする。言われたとおりに書いて、雪吊りとやらは記憶のどこかにあったらしい】
【知ってるだなんて嬉しそうにして、自分で書いたメモ書きを改めて見る――そこも、行き先に付け足そうとしたのだけど】
【時期が合ってないことに気付いて愕然としているのだった。……最終的には、また行こう、なんて結論になるのだが】
【――ちなみに彼女もあんみつ好きである。ぎゅうひとかずっともちもちしていたいぐらい。……花も、好きだけど】

あ…………そっか、うん、いいよ――、また今度聞かせてね、多分、その頃には、行ってると思うけど――。
そしたら感想聞かせてあげる、東風の滝と、松月園――だよね。うん、ちゃんと覚えたの。

【いつの間にか、カウンターにかなり前のめりになるみたいにして聞いていた。帰る――と急に聞かされれば】
【えーなんて不満げたっぷりな顔をしたのだが。そこは流石に二十一歳、くしゅっと苦笑気味に笑って、あきらめてくれる】
【それでもまだ満足していないのは確かで、それなら、続きを要求するのだけど――そのときにはきっと、東風の滝の感想を教えられる】
【また会えるのを楽しみにしているみたいに彼女は笑うと、彼の立ち上がるのにあわせて、がたりと立ち上がり】

また来てね!

【だなんて、その背中に声を投げるのだ。そして、また、扉がぎいと軋んで――冷たい空気が流れ込む、身体を小さく震わせ】
【カウンターを片付けだす、……他の客は彼女の手が空くのを待っていたらしい。酒やら、食べ物やらを、一度に頼まれて】
【ぷちぱにっくみたいになってあわあわしたというのは――まあ、どうでもいい、後日談でしかなかった】

/おつかれさまでしたー!
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/16(日) 02:33:38.61 ID:/1QfhYeto
>>128

【なんとなく、だが。言いたかった事も分かってくれたようだし、それに。】
【予想していた通り、矢張り彼は梨花に対しベストな言葉をかけられなかった事を】
【悔いていると言うか悲しく思っていたようで―――よかった。これで、励ませただろうか。】

【滅茶苦茶な邂逅ではあったが、なんとなく梨花は笑みを浮かべていて。】
【まったく、もう―――アンタ、本当なんなのよ。なんて憎まれ口を叩きながらも】
【これまでにあまり感じた事の無いような、充足感的な何かを感じていたのだった。】

【多分、それはそう―――。】


 (……だって。心配されるって……同年代の誰かに、話を聞いて貰えるって。)

 (すっごく……、すっごく、久しぶりだったんだもん。)


【―――口下手で過激な彼女に、初めて出来た友達、だったのかもしれないから。】
【ともあれ、納得したように梨花は頷くと、ディックと名乗った彼の頭に対して、ぽん、と手を載せて。】


 助けになるように? はん。いいのよ、別に。
 そんなこと意識なんてしなくたって……堅苦しいのが好きならね、最初から盛って話してるわ。
 けど、私がそうしないで本音を語ったのは、……ありのままを見せられる、そんな相手がいればいいな、って。
 そう思った部分がどっかにあったから。多分そう。きっとそう。そういうことにしておきなさい、いいわね?


 ―――ディック。覚えたわよ、破天荒神父のディック。
 どこの教会に居るのかは知らないけれど―――また、会えたらいいわね。
 其れこそ今度はそう―――……教科書じゃなくって、普通に何かを燃やして、その火でマシュマロでも焼きながら、さ。


【「また会いましょう」、そういって、彼女は公園の外に泊めてある50ccの原動機付き自転車に跨ると】
【軽快なエンジンを響かせながら走って行ってしまった。あれ、メットしてたっけ。まあいいや、不良少女だし。】
【そんなこんなでハチャメチャな初邂逅は幕を閉じる。不思議な神父と荒れた少女、二人の奇妙な出会いが紡ぐのは―――。】

【―――光か。はたまた、闇か。】

/おつかれさまでしたー!!!くっそたのしかったです!!
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 02:41:45.57 ID:bSSwkHdu0
>>129
考え無しかよ……ま、そんな奴ばかりだけどよ、ここは。
今更驚く事でもねーか。

【一連の、人の命が消える様、その様子を見ても女は如何様にも思わなかった】
【当たり前の結果だ。路地の裏、光の届かぬ場所の同然の帰結。そこに当たり前と当然は存在しない】

何常人ぶってんだよお前、人を殺しておいて今更誰か来るかも、逃げるなんって面白い事言わないでくれ。
思わず笑っちまいそうになるだろうが。

【その言葉は真実で、男の返答の後にふっと小さく口から笑いを零して】
【それを抑える為に顔の辺りに手を当てて、数秒】

あー……いや、長くならねーとは思うんだが、あれだ。
私はこういう事する奴にとりあえず話をする事に決めてるんだよ。


――――何で殺した?


【それは正義を語る物の言葉の重さではない】
【怒りを込めて剣を首へと詰める訳でも、殺気を放つ訳でもなく】
【ただ単純に、理由を尋ねているだけ――その至って感情を出さないようにしているように見える態度と】
【漏れ出た意味深な声、それに女は興味を向けている】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/16(日) 02:53:13.68 ID:BGRoxpnlo
>>131

【頭に手を乗せられる。普段だったらそりゃもう罵詈雑言の嵐。背の低さを気にしているからだ】
【けどやっぱり今日は別だった。手を乗せられたまま、どこか照れ臭そうに目を逸らす】


 ……バカ野郎


【何となく、出てきた悪態もこの程度。呟くように言ったせいで棘なんかどこにもない】
【何ともいえない気持ちのまま、梨花がいなくなるのを見送って、公園に残ったのはたった一人】
【あまり、感じたことのない感情だった。けど悪くない気分ではあった】
【そのまま帰路についた。神父服を着なおす、少し暖かい。そして1分かそこらも歩けば、頭が冷えてきた】
【――自分の頬を自分で叩いた。渇いた音と共に、溢れかけていた別の自分が引っ込み、いつもの自分が戻ってきた】


 なぁにやってんだか……全く、ダサいったらありゃしねえぜ……ちくしょうめ
 慰められてどうすんだよ、クソ……


【独り言は相変わらず自責の念ばかりだった】
【彼女とのやりとりの中、自分が感じたものがなんだったのか、彼はあえて考えないことにした】
【――きっとそれは、神父には要らないものだ】


//お疲れ様っした!! むっちゃ楽しかったです!!
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 03:06:15.95 ID:ghIFq1nE0
>>132
「なぜ――そんなものは決まっているではないですか」
「私は幸せになりたいのです」

【押し殺したような声。それを信じなければ耐えられないとでも言うような、依存したような】
【なぜこんな事も知らないのかとでも言いたげに、ユーリは言葉を吐いた。】

【そして、彼はその女の挙動を訝しむ】
【正常な人間ならば、この場面を目の前にして何をするだろうか。】
【逃亡、通報、蛮勇と形容される人間ならば制圧を試みることもあるだろう】
【それをしない、寧ろ楽しむような節すらある】
【髪を後ろになでつけて、夜気を吸い込んだ】

「自分は人間ではないのですから、こうでもせねば」

【告げた言葉は一言、しかも可笑しさ極まる一言だった】
【彼の見た目は完全に人間のそれである】
【牙も爪も鱗も毛も尻尾もない、さりとて人間の特徴を持つ人ならざるもの――例えば吸血鬼であるとかでもない】

「こうでもせねば――!」

【悔しさか、怒りか、兎角そういった感情を撒き散らしながら、唇の端を噛む。】
【こうでもせねば、幸せは手に入れられないという言葉を飲み込む。】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 03:17:45.70 ID:bSSwkHdu0
>>134
――っく、く、くくく――こいつぁ驚いた。
幸せになりたいか、ああ随分と必死じゃねえか。アンタの幸せが何かなんてしらねえけどよ。
それで、お前は誰かの幸せを奪ってでもそれを成し遂げたいってか。

【――その様子は、女からすればあまりに滑稽だった】
【返ってくる答えが楽しいからという異常者でもない、許せなかったという自分勝手な正義でもない】
【かと思えば自らの予想した幾つかの変化球でもない。いっそ名前をつけてやりたい程、清々しいストライクだ】

まあ、責める訳じゃないけどな。それに――ああ、とっても気に入ったぜアンタ。
そう怒るなよ。それで、幸せか――幸せになりたいんだろ?
アンタのソレがどうなれば叶うのかはわからねえけどさ。とりあえずそうしてれば成れるのか?
どうなりたいんだ? 答えてみてくれよ。返答次第じゃあよ。

――私が連れてってやるよ。アンタが幸福に成れる場所に。

【人間ではない、これまた可笑しなことを言う。どう見ても人ではないか】
【かと思えば鬼と揶揄される人斬りには見えない。修羅といわれる剣豪にも見えない。ではなぜか】
【見ようと思えば見れるのかもしれない、が――無粋に感じられた。その口からきかせて貰おうじゃないか】

【楽しんでいる節――いや、実際女はこの状況を楽しんでいる】
【釣り上げた口の端、その表情は獲物を見つけた狩人そのもの。一歩ずつ近寄る。その手が人を屠る魔の手であろうとも】
【それを今見たばかりだとしても。女にとってそれは些細な事でしかなかった】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 03:37:17.57 ID:ghIFq1nE0
>>135
「こうしていればなれるのです」
「そうでなれなければならない」

「そうだ、道理が通らない……」
【自分でも確認するように呟く】
【実のところ、彼は人の幸せを奪うということをしない】
【自らが幸福を希求するのに、他人の幸せを奪うなどということはしない】
【金髪の少年だったものを、ちらりと見る】
【彼は不幸せそうだった。悪態をついては物に当たっていた】
【それを咎めたのではない。ただ人を殺すという道において幸福を辿らんとする彼にとっては至高の獲物だっただけ】
【獲物を前に獣が躊躇う道理はなかった】

【にじりよる女。これは餌かという『声』を押さえつける】

「どうなりたいか――わかりきったことです。幸せ、愛、希望なんでもいい―――それらを手にいれることを私は願う」
「何処ですか、そんな場所が本当にあるのですか」

【すがるような声だった。】
【その場所が何でも構わない、というような】

【地獄の入り口、悪魔の口先。帰れるかもしれない。犬になれる機会を狼は失う】
【餓狼は餓狼であるままに】
【幸福と逆方向へ歩いて行くのか】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 03:54:29.99 ID:bSSwkHdu0
>>136
――オーケイ、それならそういう事にするか。
アンタはここで人を斬る。誰でもなく自分の為に、そうすればなれるんだろう? アンタのいう幸福とやらに。
――いいぜ、来いよ。全部整えてやる。だからアンタは潰しな、奪いな、そして最後に望んでみろよ。

【その是非を問うつもりはない。女は目の前の男が居た堪れなくなって声をかける訳ではないのだから】
【語りに来た訳ではないのだから。目の前の男の生き方などどうでもいい。何を目標にしているかも】
【――ただ、全力で、必死に足掻いている。それだけで十分だった】

なぁ、人ってどうすれば輝けると思う?
それは全力で生きる事だ。何でもいい。自分の全てをかけて生きる事だ。
アンタの幸せが人を斬る事なら――幸せに浸る人を斬れば、分かるかもしれないよな?
そんなちんけな物じゃなくてよ、もっとだ。もっと濃くて、人の死を見て、実感して、辿って、更に求めて。
――失った奴が手に入れた幸福。それがアンタの糧になるとは思わないか?

【その手を伸ばす。頬へと触れようと】
【手は温かさに満ちていた。表面上の温もりは合格といった所だろう。それ位の体温はある】
【微笑みかける仕草は妖艶に、しかしそれは騙している訳でもない。何故なら、自らも幸福をたどる為に、これはしなければならない事だと思っているのだから】

――世界を混乱に陥れる。全てを巻き込んだ、全世界の全力の戦争だ。
それを私が起こす。その為に働いてくれ。そしてその戦争で自らを振るえ。

【犬から堕ちるか狼よ。飢えし心を満たせぬままに】
【幸とは何かを知らぬまま。其れがそれだと信ずるか】
【研いだ牙を見せる事なく、忠義を尽くすと願うのか】【――何のために? 迷える子羊】
【女は思った。存外、犬よりも見栄がいいと】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 04:17:06.18 ID:ghIFq1nE0
>>137
「ちがう…人を斬ることが幸福では―なかった―はず―なのに」

【いいかけて気づく。】
【非道なことをすればその分近づいてくる幸福。これは今も信じている。】
【では何故自分は遠慮などしていたというのか】
【その答えは嫉妬である。幸せな人間を殺してしまえば、それは幸福でない自分の嫉妬が人を殺したということになる】
【それを心の奥底で、しまいこんで、獣にならぬよう、知らないうちに抑えてきたのに】
【だからダメだ、今回も、なぜかはわからないがそんなことはできないと口を開こうとした所に】

【頬に体温】
【久しいどころか初めてなのではないだろうか】
【鋼でもない、怪しげな注射針でもない】
【肉の感触。それが、悪意なく自分のからだに触れている】

【人間が幸せそうに手をつないでいるときの温度は、こんなものなのだろうか】
【では、これはきっと幸せに近づいていく行為なんだろう】

「全力で」

【頬に触れている相手の手に、自分の手をかさねてみる。それは怯えているような速度で】
【きっとそれは、契約のしるしだ】

「その先に幸福があるというのなら」
「私は――」
【違う】
「いや、俺は」
「貴方のために斬ろう」

【犬よりも剛く、疾く、卑しく、賢い】
【狼になろう】

【魔女に使われる 愚直な狼に】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 04:40:09.51 ID:bSSwkHdu0
>>138
――カノッサ機関、No.6 穢土宮――穢土宮 入間
それが私の名前だ。
今日からアンタは、私の為に動いて貰う。
――なに、心配すんなよ、硬くなられたって困る。たまーにお願いするだけだからよ。

【手を握られれば、それが契約の証――言葉を交わしたわけではないが、それは分かった】
【名乗りし名前はまだしも、その機関くらいは聞いた事があるだろう】
【カノッサ機関――未だに全貌が明らかにならない、謎に包まれた世界を騒がせる組織】
【そのナンバーズの一桁――それが、穢土宮という女だった】

次はアンタの名前だ。
教えたくないなら教えなくてもいいけどよ。ずーっとアンタって呼ぶのもアレだろ?

それに――私の為でもいいけどよ、自分の為にやりな。
手下とか部下とか、あんま好きじゃねーんだよな。

【手を引いて、ニッと笑う女の姿は、戦争を起こすといった物に比べれば偉く軽い物で】
【さ、アンタの番だと名前を請う。私とアンタは同士だと――ただ、自らがしたい事をなすだけの】
【利害が一致しただけの同士だと。だから遠慮も無しだと】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 05:02:59.83 ID:ghIFq1nE0
>>139
「俺の名前 はユーリ。ユーリ・ハセ」

【です―といいかけ、言葉を止めた】
【カノッサ機関。聞いたことはあった。興味はなかったが】
【そうか、自分が知っているその組織がまさか自分の幸福への道だったとは】
【知っていたのに識らなかった、これほど悔しいことはあるまい】

「勿論」
「貴方の為が俺の為にもなるのです」

【餓狼は孤狼、群れを持たぬ狼は、新たな群れに合流するのか】
【獣と思い込んでいた人間は、いよいよもってその心の形すらも狼へと変えていく】

「エドミヤ。なぜ戦争を求めるのですか」

【世界の混乱を求める彼女は、何を得る手段として戦争を求めるのか】
【幸福を求めて人を殺す自分と同士だという女の、目的を知っておきたかった】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 05:28:13.67 ID:bSSwkHdu0
>>140
ユーリな。それじゃあこれからユーリって呼ばせて貰うよ

【名前を出しても引かれない、のを見るとやはり抵抗はないのか】
【――と、思いながら、相手の濁り泣き俺の為という言葉を聞いて、そうか……と。それ以上は問わなかった】

……私が戦争を求める理由か。
――私はよ、ここ出身なんだよ――ああ、ここって、この都市って意味じゃねえよ?
こういう場所出身、って事な。

【隠す程も事でもないか、と少し考えてから口を開く。――ここというのは路地裏の、つまりはスラム街に近い場所の出身、という事】
【途中それを訂正する為に慌てて言葉を挟んだが、それが終われば再度説明を開始する】

あいつらはさ、どう生きてるかどうかとか、迷惑とかは無しに、一生懸命なんだよな。
――そうやって、全力で生きてる奴らってのが凄い綺麗に見えてさ――。
もっとそういう奴らがいればいいのに――そうしたら……。

【……そうしたら、その先の言葉は聞き取れなかった】
【僅かに顔を俯いて、濁したようにも見える。ただ言わなかっただけなのかもしれない】
【陰りを顔に、ほんの少し乗せながら、それ以上を語ろうとはしなかった。恐らく、聞いても返ってこないだろう】

――ま、つまりはそういう奴が見たいって事。
……あー、流石にここにいるとまずいな。マジで警察来るかもしんねーし

【短く引き止める、という約束なのを思い出し、想えば長々と引き止めていたような気もする】
【目撃者のいない場所で殺しただけ、なのだがもし見つかれば折角の同士も失う事になる】
【そういうのは避けたい――と、思い】

ひとまず先にお暇させて貰うぜ――じゃあな、ユーリ。

【その惨状、死体の転がる場所には似合わない手振りをしてからのさようなら】
【忙しない行動だが、思い立ったが――というような行動スタイルなのだろう。それが伺える】

用があったら呼ぶからよ――そうだ、定期的にここ来てくれよ。
私も来るようにするからさ。

【そして――ふと、突然に、その場から姿を消す、だろう】
【何の音もなく、初めからなかったみたいに】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 05:34:26.78 ID:bSSwkHdu0
>>141
//追記忘れ!眠気が酷いので、強引ですが〆の方へと……絡みありがとうございました!!!
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 05:50:08.03 ID:ghIFq1nE0
>>141
「つまり――」
「俺もエドミヤも、人間が好きということですか」

【人間の輝きが見たい、より強く、幸せになる為に足掻く姿が見たい】
【つまり―彼女はその過程が好きで、自分はその先に得た幸福という結果が好きなのだ】
【ああ、これは、いよいよもって同士らしくなってきた】

「まだしばらくは来ないようです―この国で赤色灯は目立つのですから」

【そう、ビルの上にて待機している『目』が告げている】
【かといって、長居はしたくないのも事実だ】

【髪を後ろになでつけ、上を見あげる】
【星、月。それらはこの明かりの少ない路地裏においてはより鮮明に見える】
【獣としての自覚を得た自分には、この光景は似つかわしい。】

【いつの間にか、穢土宮の姿は消えていた】

【そして、屍体を一瞥】
「喰っていいぞ」

【auhwoooooooooooooooon――――】
【歓喜に叫ぶ狼の遠吠えが、二重に響き渡る】
【明けない夜のことだった。】
【餓狼は自分の行く道を見つけ、機狼はその腹を満たした。】

//これで〆―でよろしかったでしょうか?
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/16(日) 05:52:08.06 ID:bSSwkHdu0
>>143
/はい、ありがとうございました!!!おやすみなさいです!
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2014/11/16(日) 08:38:00.17 ID:PnFHAPWLo
/>>71で再度募集します
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2014/11/16(日) 14:28:10.40 ID:XOdsqaVNo
【廃寺】

【長い年月を経て荒れ果てた寺の庭先には、青藍色の燐光を纏った奇妙な蓮が咲き乱れていた】
【その光景を一望する縁側には、和服姿で腰掛ける若い男と、野良と思しき一匹の三毛猫】
【膝の上に丸まって寝息を立てる猫の背を、男は時折緩く撫でており】

……阿呆らしゅうなる程、呑気なもんやな
戦いも何もない……退屈で仕方無い。つまらん……

【葡萄色の双眸、肩口で切り揃えた白髪に黒い彼岸花を指し、黒の和服に身を包んだ男は】
【そう独りごちれば、戯れに猫の顎を撫ぜる。若隠居、そんな言葉が似合う佇まいであった】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/16(日) 16:59:40.34 ID:37Baga7Eo
【スラム街】

「さァーて、今ォ日も素ォ材集めだ」
「こォーいう所の人間共は、"社ァ会の歯ァ車"になァっちまった人間共よォり"魂"が良ォ質な事が結構あァるかァらな……ククク」

【そこを歩く者は黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「――ヒャハッ、そォれに自ら望んで素ォ材になァりに来ゥる奴もいィる!」
「そォい! 良ォい事だ――さァーて、能ォォ力者も捕えてェとォころだァが……」

【何やら色々言いながらこの者によってきてグッドマークを出してきた浮浪者らしき人物は】
【この者がその人物の足元に生成した魔法陣の中にへと、闇になって吸い込まれた】
【……一体何をどうするつもりなのかは定かでないが、少なくとも人攫いである事には間違いない】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/16(日) 17:09:02.66 ID:jALGveiI0
優蛾の時には意味不明な自演をし、ウェスカでは機関設定を破壊してまわる
セシルではメンヘラ女と固定化しリアルでも関係を持ち挙句相手を発狂させる
そしてスレが瀕死の今再び帰ってきて何をするつもりだ?折角だからレッツリも呼んで4人で楽しめ
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/16(日) 17:35:28.62 ID:jALGveiI0
ディックが赤木だったのか…すまないちゃんと下半身直結メンヘラ四人衆は揃っていたんだな
150 :セシル中身 [sage saga]:2014/11/16(日) 18:22:01.53 ID:0j0yO4VZo
/リアルでの接触等は全くの誤解です。かつて私の引退騒ぎの時に晒したアドレスに鈴音の方からメールを頂いて、
/以降一年程鈴音の方とPL間でのメールのやり取りはありましたが、そちらが噂なさっているような事実はありません
/そのやり取りの過程で諸事情あり、PLとして嫌気がさしたため、縁切りかつ注意喚起でアカウントを無断で公開したことは事実です
/その他についてはもっともな事ですので、出ていけと仰られるならその通りに致します。セシルに関してはキャラロスと言う形にします
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/16(日) 20:38:09.85 ID:eIAuO6dIo
【公園】

【風切り音にしては鈍く、大きく、長い。音にすればヒュン、ではなくぶぉぉん、などと表現できるモノであり、それが夜の公園に響き渡っていた】
【――――長さにして約5尺の長尺木刀。薄藍のインバネスに身を包む黒髪の男が、額から大粒の汗を流しながら懸命に其れで何度も何度も面を振り下ろす】
【その格好、そして左腰に佩いた大小の刀。所謂櫻の国の「サムライ」のような――――そんな印象がする男である】

ふぅ……ッッ!! ――――っふ……ッ……!! ……あと……3回……ッ……!!

【その風切り音、そしてその長さ。視覚と聴覚両方から木刀の重さを訴えかけているかのようで。そしてそれを扱う男の苦しそうな表情、歯軋り、漏れた声――――】
【それらが更にその訓練の苦しさを強調させていた。伝う汗は顎先で雫を作り、そして公園の砂へと吸い込まれていく】
【――――重い風切り音が2回。最後の1回を前に暫しの沈黙が走る。納得のいかない表情は少しだけ物騒というか、尖ったモノであり】

っは……ッハァッ……まだ完璧とは遠い……もっと剣の重みに全てを預けないと――――。力で振ろうとする意志がきっと何処かにある筈だ……!! 
その邪念を……っふぅっ……断ち切らないと……!!

【肩を上下させ、自分に言い聞かせるような言葉。薄藍のインバネス、その右胸に張り付けられた緋色の鷹――――確かにそれは、SCARLETを示す紋章であり】
【同時にその紋章が示すは、余りにも大きな木刀を振り回すという奇妙で厳しい特訓をしているこの男が、平和を乱す脅威に立ち向かう「世界の盾」であるということだった】




【路地裏】

……オイよせって、な? ステイステイステーイ……。変に罪重ねるもんじゃねぇって……いやマジ。窃盗だけじゃまだ軽い方だからよぉ……ここで――――
『うるせぇッッ……お前状況分かってんのかよ……!! その銃こっちに向けようとしてみろ……撃つぞ、ぶち殺すからなぁ……ッッ!!』

【路地裏、相対する2人。――――両手で確りと銃のグリップを握り締めて、震える銃口を相手に向けるは金髪の若者】
【背負ったバックはぱんぱんに膨れ上がり、僅かな隙間からは宝石の輝きが見える。つまりこの男、宝石泥棒。そしてこの泥棒の銃口の先を辿れば、もう一人の男】
【青いソフト帽が印象的な、白シャツに灰色のジレに群青のジーンズの男。彼の左手には青い銃が握られているが、その銃口は下に向いている】
【ソフト帽の男が着ているシャツの右胸には緋色の鷹、つまりSCARLETの紋章。ある程度の実力が保障されている筈なのだが――――この状況、明らかに不利】

何処の宝石店だ? 何分くらい前だ? そろそろ警察や自警団が――――

『黙れって言ってるだろぉぉッ!! ……そうだ、お前を人質にすればいい……!』
『……SCARLETも銃口向けられちゃ太刀打ち出来ねぇだろ、ならこのまま人質にした方が……いける、いけるんだ……!!』
『――――よし、動くなよ……動いたら撃つからな……』

――――ちょ、マジかっ……オイオイオイオイSCARLETが人質とか勘弁してくれよぉっ……・・!

【ソフト帽の男が質問を重ねても、金髪の男は其れを拒み、瞳を大きく開きながらゆっくりと彼に迫る。銃口は彼の頭に向けた状態をキープしつつ、段々と距離を縮めて行く】
【銃口を向けられている現状、下手に動けば直ぐに銃弾が飛んでくる。こちらからの攻撃が許されないというのは、この男にとって絶体絶命しかなかった】

/どちらかお好きな方と絡んでいただければ!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga sage]:2014/11/16(日) 22:35:32.47 ID:uPIlMHRro
【路地裏】

【】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga sage]:2014/11/16(日) 22:56:44.80 ID:uPIlMHRro
【路地裏】

【激しい戦闘音が先程まで響いていたそこには、今は静寂と荒い息遣いが残るのみだった】
【地面や壁には幾つものクレーターが残り、辺りには火薬のような残香が立ち込めている】
【地に倒れ伏し動かないゴロツキ風の男と、もう一人、壁に寄り掛かり右腕を抑える人物がいた】

……は、っ……何だってのか、本当に……げほ、ッ
まあ……死んではいない、か……早めに立ち去るべき、なんだがなぁ……っ、

【背の中程まで伸びた黒髪、灰色の瞳に赤縁のメガネを掛けた、スーツ姿の人影は今ひとつその性別を曖昧にさせる】
【背は高いが華奢であり、声は平坦で、それはバストの辺りにも同じく……顔はといえば、やはり曖昧】
【そんな奇妙な人物は壁を支えに立ち上がるも、唐突に咳き込み、路地の傍らに何かを吐き出した】

っかは、けほッ……、はあ……クソが、ッ!

【それは、種類の異なる花々の額から先だった。足元に転がって来た牡丹の花を、忌々しげに踏み潰し】
【花数輪を丸々吐き出せば、人影は舌打ちと共に路地裏を去ろうとする】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/17(月) 01:15:56.81 ID:b8S+U/K90
>>150
ま、出ていくのが賢明だろうな
もしなりきりやりたきゃ類似のトコにいけばいいし、もう鈴音の粘着に怯える事もないぞ
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/17(月) 18:26:28.88 ID:+NfOns4eo
【スラム街】

「さァーて、今ォ日も素ォ材集めだ」
「こォーいう所の人間共は、"社ァ会の歯ァ車"になァっちまった人間共よォり"魂"が良ォ質な事が結構あァるかァらな……」

【そこを歩く者は黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「――ヒャハッ、そォれに自ら望んで素ォ材になァりに来ゥる奴もいィる!」
「そォい! ……ククッ、良ォい事だ――さァーて、能ォォ力者も捕えてェとォころだァが……」(キョロキョロ)

【何やら色々言いながらこの者に寄って来てグッドマークを出した浮浪者らしき人物は】
【この者がその浮浪者の足元に生成した魔法陣の中にへと、闇になって吸い込まれた】
【……一体何をどうするつもりなのかは定かでないが、少なくとも人攫いである事には間違いない】

/あんまり長くは居れません
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2014/11/17(月) 19:39:06.35 ID:F8dP7dlyO
セシル、鈴音、谷山、下半身赤木が関わらなければここも荒れないのに
セシルとか止める止める詐欺何回目だよ
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/17(月) 20:25:47.89 ID:Cb/nEmKA0
【―――昼の国・ゼン=カイマ】

【かつて大きな戦いの場となり深刻な損壊を受けたこの宗教都市も、半年が過ぎて徐々に大司教を中心とした復興も進み】
【天高い秋の青空の下に真新しい建物や教会が建ち並び、此処に住む人々も徐々に活気を取り戻しつつある】
【空を見上げれば沈まぬ太陽が輝き、活気を取り戻した街並みと人々を煌々と照らし出す―――】


【そんな街の一角にある公園のベンチには、一人の女性の姿が。どうやら散歩中に休憩しているらしい……】

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は優しく澄み、口元の笑窪や右の目元の泣きぼくろが整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【ベージュのトレンチコートは季節に合わせて厚手の温かそうなもの、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【コートの下はグレーのシックなトップス。コートの色と合わせて落ち着いた大人な雰囲気の色合い】
【黒色のスキニーパンツは、すらりと長い脚のシルエットを際立たせる。足元はブラウンのブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。―――外見はこんな感じ。】
【どうやら肩と腕を負傷しているらしい。コートを着ているので包帯などは見えないが、左腕は動かず固定されているのが分かる】

【柔らかい日差しを浴びてゆっくり寛いでいる所に―――不意に、びゅうと吹き付ける一陣の風】
【落ち葉を巻き上げて、木を揺らし、……そんな風は、彼女にも悪戯を仕掛ける。ふわりと髪を揺らして】

―――あ、……っ……

【―――そして、彼女の愛用するキャスケットを飛ばしてしまった。飛んでいったのは公園の先の小道、ぽすっと落ちて】
【取りに行こうと慌てて立ち上がろうとするが、その瞬間顔をしかめる。……まだ傷が治っておらず急な動きは出来ないらしい】
【痛みも残る体では十分に走ることも出来ない。もたもたしていたら更に遠くに飛んで行ってしまいそう】
【……もし小道を歩く人がいたなら。拾い上げてくれるだろうか?秋の気まぐれな風は、どんな邂逅を齎すのか―――】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/17(月) 22:46:27.19 ID:/cOHabVn0
【――――路地裏。様々な悪党が巣くう場所として有名で有り、好き好んで通る者も居まい】
【そんな場所にて聞こえるのは数人分の呻き声か。見遣れば全員場所は異なれど掌で押さえ、倒れ伏す男達が数人】
【唯一立っているのは何処かの企業の正装を纏った女。――――と、純白のローブを纏った一人の少女か】


「礼は必要在りません。イリニはイリニの務めを果たしただけなのですから
――――其れでは気を付けて帰ると良いとイリニは告げます。次にまた同じ様な事が起きても救う事が出来るとは限らないのですから」

【大凡、女が暴漢に襲われそうになった所を白の少女が救ったのだろう】
【その少女、年齢はまだ十代の前半にも思えるけれど其れ相応の実力を持ち合わせているのか】
【頻りに頭を下げる女に対し、感情の含まれない双眸を向けたならばこれまた抑揚の無い声質で告げて】

【女がその場から去って行く姿を確かめた後に倒れ伏す男達を一瞥】


「コレが我々教会の勤めです。害を為す者を排除し、死から救う事。イリニはそう教わりました
――――貴方達は処刑を行う程ではありません。その痛みにて罪の重さを認識すると良い、イリニはそう考えます」

【治療をするでも無く、ただ呟いたならば少女もまたその場を後にするのだろう】
【戦闘の際には其れなりに大きな音が響いていたし、何より罵声等もあったのだから場所を特定するのは容易】
【戦闘自体を見る事は叶わないだろうが、倒れ伏す男達と何食わぬ表情でその場から離れようとする少女しか居ないのだから双方の関係は誰にでも理解出来よう】

【この場所、悪人は勿論の事自警団だとかの善人も訪れる。不本意ながらの迷い人も居るか】
【何で有れ、少女の白髪はこの闇の中よく目立ち――――もし誰かが訪れれば、ピタリと脚を止めて「何かご用ですか」の言葉と共に視線が向けられるのだけれど】









【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/18(火) 00:16:49.38 ID:DJ/be32/o
【夜――――フルーソ第一メガフロート、閉鎖エリア】

【廃墟同然の立ち入り禁止区域にて、一人建物の上に佇む少女の姿が在った】
【幼さは抜けきっていないものの顔立ちは整っており、瞳は切れ長で紅色】
【艶やかな黒髪を後ろで一つに結っており、肌は白磁の様にきめ細かや】
【学校指定の黒いブレザーに身を包んでおり首元には薄桃色のマフラー、足元は黒タイツと編み上げのブーツを着用している】
【背中にはスクールバッグと特注の大きめな竹刀袋を背負っており、一見すれば部活帰りの女子高生といったところだろうか】

「はぁ…………さむ」

【空に浮かぶ月をぼーっと見つめながら、肌を撫ぜる寒風に思わず呟き白い息を吐き出す】
【此の地は立ち入り禁止区域とうたわれてはいるが、政府が撤去費用を渋るような地に警備員などいるはずもなく】
【入り口のバツ印を平然と無視した彼女は、コンビニの物と思しき白い袋を揺らしながら容易に侵入を果たしていた】

【何か理由があって此のような場所に訪れたのか――――残念ながら、語るべき深い事情が在った訳ではない】
【ただ単に人が居ない場所が好きだから、人の居ない方向へと歩いていたら此の場所についていた、それだけの話である】
【この場所には殺すべき対象も、避けるべき他者も居ない。それが彼女にとってどれほど気の休まることなのか、他人には理解し得ないだろう】

「…………はむ」

【一番背の高い建物にせっせと足を運ぶと、腰掛け荷物を降ろした】
【袋から購入したメロンパンとまだなんとか温かいペットボトルのお茶を取り出すと、メロンパンの包装を開け】
【一口齧る。さくさくとした外側とふんわりとした中身――――コンビニの食べ物も、中々に侮れない】
【口の中に残る甘さをお茶で流し、ふぅと一息。一人の時間は彼女にとって、数少ない心休まる一時だった】

//凍結になるかもしれません
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/18(火) 21:18:13.74 ID:Ti5zXkF3o

【響くは轟音、鈍い炸裂音に続き、金属薬莢が床を穿つ甲高いソプラノが木霊する。】
【狭い廃墟ビルの空間内で、幾数人が駆ける足音と銃声、悲鳴、破壊音、その他諸々が混ざり合った】
【断末魔の叫びが絶える事無く轟く、轟く、轟く―――。崩壊したブロックの欠片が吹き飛ばされ、乾いた音を響かせた。】

 『こちらチーム・ブラヴォー!繰り返す、こちらブラヴォー!本部、聞こえるか!?
 部隊は壊滅、作戦は失敗!!残された隊員達の数は少ない、至急救援を要請する!
 負傷者の数は多数、武器弾薬も残り少な―――来たぞッ!!撃ち殺せッ!!クソッ、時間を稼ぐんだ!』

 『弾が足りない、誰か……ッ!!』

 『ちくしょうッ……おのれ、"能力者"ッ!!』

【―――どこの国の、何処の軍隊で、どこの所属かは分からぬ物の。】
【最新装備に身を包み、訓練された動きで、自分達を追い立てる"標的"を駆逐せんと】
【必死の抵抗を続ける彼等は正しく―――"特殊部隊"の、隊員達であった。何かの、作戦行動中だろうか。】

【事情は分からぬ物の、隊は完全に疲弊していた。大勢の仲間が殺され、作戦は失敗に終わり】
【現在は救援を求めて回収地点まで撤退中、という所だろう。ただ―――それすら、なかなか容易に行かない。】
【何故なら彼等にとって"敵"となる追跡者が執拗に、そして過剰に攻撃を加え続けていたからだ―――逃走劇はなおも、続く。】

 『化け物め……ッ!!何処へ行きやがった、クソッ!!』

 『冷静になれ、相手はたかが一人の"能力者"だ!!此処を凌げば必ず、救援が……ッ!』

 『冗談じゃねえぜ、このままじゃ俺たちは此処で全滅だ!どうしろッてんだよ、オイ!
  大体聞いてねえぞ、今夜の任務は交戦予定のあるモノじゃなかった、どうし―――』

 『―――避けろ、ウィーバー!!』


【―――瞬間、叫んでいた一人の隊員の首が、勢い良く真横へと"弾け"飛び、真っ赤な色の液体を振りまいた。】
【そのまま管制塔を失った身体がゆっくりと膝から崩れ落ちて、"切断面"より次々に血液をブチ撒け続ける―――……。】


 『うっ、あ、ああああ……あああッ!!』

 『っ、怯むなッ!!撃て、撃て撃て撃て撃てぇぇぇぇッ!!』

 『―――おおおおおおおおおおおおおおッ!!』

【放たれた弾丸が"標的"を射る事はない。黒い影は全ての弾丸を回避し切って、揚々と彼等の背後へ回り込む。】
【その速さたるやチーターやジャッカルにも近しいほど、人間の形をしていてもその"動き"はヒトの持つ身体能力を超越していて】
【素早く、月明かりに照らされた刃を振りかざし―――銀光を唸らせると、次なる犠牲者の腕が"落ち"、握っていた銃毎真っ赤に染まった】

 『あっ、ひ、いぎいいいいいいいいいぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 『ジョセフッ!……クソッ、クソッ、クソッ!!』

【慌てて銃を向けた別の隊員に凄まじい速度で"拳"を打ち込み、首の骨を"あらぬ方向"へと容易くへし曲げると】
【残った二人の兵士に急接近、弾丸の雨霰を物ともせず懐に入り込むと、握り締めていた"大型回転式拳銃"を突きつけ】
【躊躇なく引き金を引き絞る―――拳銃にあるまじき爆裂音の直後、隊員二人の身体は一斉に吹き飛び、中空でバラバラになった。】

 『……き、さま……ッ!!』

【腕を切り落とされた兵士が、残った腕で自分の両断された腕からライフルを剥ぎ取ると】
【片手でそれを握り締め、果敢にもトリガーを引き絞る―――よりも前に、銃を蹴り飛ばされてしまった。】
【そして次こそは首に"刃"―――襲撃者の肘辺りから伸びた、生物的なフォルムのそれを宛がわれる。ジ・エンドだ。】

 『……おのれ、う、ぐうっ……なにを、たくらんでいる……あの、プラントで何を、生成していたッ……!?』

 ―――教える必要は無いわ。知った所で、貴方は此処で死ぬんだから。

【異形―――そうとしか形容出来ない。それが月明かりに照らされた"影"、襲撃者の正体だった。】
【昆虫の様な、全身を包む外骨格と関節、そして頭部の特徴的な黒い複眼に、そこから地面へ伸びた触覚。】
【ヒトとムシとを"合成"したならば、こんな化け物が生まれるだろうか―――怪物は意外にも女性らしき声を発すると】
【刃を勢い良く、振り下ろそうとするだろう―――!!】
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/18(火) 21:23:30.59 ID:Ht2+EyHQo
【遊具の少ない公園で】
【長閑さ位しか特筆すべき点の無いその場所は程々に自殺の名所として有名で】
【夜ともなれば「出る」と噂され、人も寄り付こうとしない】
【しかし、今。未だ日の高い今は珍しく人影が在った】

パラパラ〜っと

【公園の隅に炒った塩を小さな山にして盛っている1人の少女である】
【少女は短い黒髪を襟元で切り揃え、前髪も額を隠す様に横一文字に切り揃えており】
【また縁の無い眼鏡から覗くのは髪と同じ黒の瞳で、少し視線を下げれば白いシャツの襟を細く赤いリボンで締めているのがよく目立つ】

……よし。依頼完了っと

【チェックのスカートをパン。と叩きながら立ち上がり。左腰に差した刀と脇差の位置を確かめ】
【しゃがんでいて固まった身体を解す様に伸びをした】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/18(火) 21:41:53.61 ID:SOVSiQF9o
>>161

 塩まきなんてどこの誰が頼むんだぁ?


【遊具――いわゆるジャングルジム――の上から声だ】
【薄いブロンドに神父服に十字架。いつぞやあったびしょ濡れ神父が遊具の上であぐらをかいている】


 よぉ、親戚は見つかったか?


【ひらひら、と手を振る少年神父。こっちは頼まれたことができてないのはご存知の通り】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/18(火) 21:43:27.50 ID:SOVSiQF9o
//面目無い、次ちょっと遅れますです
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/18(火) 21:57:24.82 ID:Ht2+EyHQo
>>162

この土地の管理者…要は御国となりますね
……あ、と。こんにちは

【気付いていたのか特段驚いた様な様子も無く答え、振り返る】
【それから一度浅く頭を下げると、忘れず挨拶し】

生憎と、ツチノコ並の目撃情報しか有りません
元より長丁場となる事は予想して居ましたが………

【探し人は未だ見つからず…しかし焦っている様子は無い】
【それでもポーズとしては一応溜息なんて吐いて見せて】

まぁあの人も良い大人ですので
飢死と凍死と事故死と借金を作ってコンクリを抱いて沈められる事以外……………あ、ダメですね。やっぱり心配です

【顎に手を当てて、むむ…と首を傾げる様に唸って。今度は本気の溜息を吐くと】

えーっと、デ…ダー……大工さんこそ、こんな場所で何を?

【未だディックと言う発音に慣れて居ないのか、一番音が近いものを選んで其方を呼び尋ねて】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/11/18(火) 22:06:34.83 ID:2kl6liQVO
まーた下半身直結ですかぁ?
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/18(火) 22:15:58.52 ID:SOVSiQF9o
>>164

 おいおい、マジかよ。国自体がその……なんだ?
 あー、あれだろ、それ。いわゆるゴースト対策だろ?
 そんなのを依頼……ちょっと待て、お前、国から依頼を請け負うのか?


【その短い答えを聞いてディックは怪訝な顔をした】
【まず最初に引っかかったのは国という大きなものが依頼主で、内容がこれ】
【てっきり公園に良くくる爺さん婆さんの依頼だと思っていたが、違っていた】
【そして次に、よくよく考えてみれば国の依頼を受けるというのも、ずいぶんと派手な話だ】
【勘違いでなければ凄いことだが、彼としては半信半疑な感じだ】


 ツチノコって……お前それ殆ど居ねえじゃねえか
 それに、大工じゃねえよディックだ。なんだ大工って!
 俺はー、あれだ……ちょっと考え事をな。見ての通り、ここは誰もいなくって静かだからな
 ちょうどいいんだよ


【やたらと丁寧に一つ一つツッコミ(?)を入れてから質問に答える】
【閑散としていてお化けが出そうなぐらいな場所もそういった活用方法がある、というわけだ】


 あー、聞くか? 俺の考え事


【と、彼から提案】
【これは実は彼にとっては非常に稀なことなのだが、それだけ今抱えてる悩みが厄介なのだ】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/18(火) 22:43:02.38 ID:5sQ2DH2r0

【曾て戦場とされていた地。今となっては只の野原となっており、土を掘り返せば偶に骨が見つかる事が名残とされる程度】
【そんな場所に佇む人物が一人。――――傍らには、魔物達の亡骸が転がっていて】


「お前等にも言葉が通じるなら話し合いで無駄に死ぬ事も無かっただろうが…………まあ、今更言っても遅いか
悪いが、空腹の連中に自分の身を差し出してまで満腹にさせる慈悲は俺には備わって無くてな
悪戯に苦痛を長引かせた訳でも無し、それで勘弁してくれ」

【そのどれもが首が切り落とされた以外に外傷は無く、青年の実力を示す事にもなろう】
【――――かといって、無傷で済んだ訳でも無く。腕を切りつけられたか、血が流れるけれど本人は気にした様子も無い】
【軽装の鎧、風貌からして軍人の様にも思えるか】

【外見から判断するに、歳は大凡二十代。蒼髪であり、暗い朱の瞳を持った隻眼の人物】
【手にした剣の切っ先から滴る鮮血を振り払ったなら古びた布を巻き、腰に提げ】
【――――顔の左に走る傷跡。瞼が閉じられたままである事から、開かない事が知れるか】


「しかし、何だ…………流石に連日野宿ともなると疲労も蓄積するな……
もう少し歩いて宿でも探すか、その時間を惜しんで此処を今日の寝床とするか……いや、流石に此処は血生臭い」

【特に建物だとかも無い此処は見通しが良い。故に、遠くからであっても青年の姿は容易に発見が可能で】
【――血の臭いに気付いてか、それともこの時間に居る事を不思議に思ってか。何であれもしも近づくのならば数瞬早く気付いた青年が視線を向けるけれど】











【人が殆ど通る事の無い山道。その、中腹にて】
【其処は何やら湯気の立ち上る場所があり、同時に硫黄の匂いも辺りに漂っていた。となれば、秘湯以外の何でも無く】
【普通ならば獣すらも浸りに来ないであろう其処に、今宵ばかりは一人の存在があって】
【――――“妖気”を感じ取れる者ならばそれが所謂妖怪であると分かるだろうし、そうで無い者だとしても人間とは異なる違和感を覚えるであろうか】


「……さて。桔梗の怪我の具合も大分良くなった事じゃ。ならば後はあの悪狐をどの様にして葬るかを考えるべきじゃが
――――こればかりは琴音達と話さねばどうにも出来んな」

【さて、覗いてみれば温湯に足を浸している少女の姿】
【腰程までに延ばされた鋭い銀色の髪。纏うのは鮮やかな着物であって、側には一振りの刀】
【……小さな吐息をしながら足で湯を掻けば、ゆったりと広がる水紋】
【満天の星空にあるその秘湯は、何とも幻想的な場所とも思えるか】


「我は彼奴等の手助けをするのみ。なれば彼奴等に決めさせるのが一番であろうの」

【懐から羊羹を取り出せば、小さく囓って】
【古くさい喋り方とは対照的に、甘い物を食べれば外見相応に表情も緩むのだから可笑しな話だ】
【――――確かに此処は人目には付かない場所だけれど、今宵は光量も十分で且つ妖怪も居るのだから誰が訪れたって不思議な話では無くて】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/18(火) 22:43:25.99 ID:Ht2+EyHQo
>>166

はい。とは言え公共事業の一部…みたいなものですね。
この国も根無し草は多い様ですし

【分かりやすく言えば日雇いのバイトみたいなものである】
【勿論バックレなんて出来ない様に(されても痛く無い様に)給金は後払い…しかも薄給である】
【顔繋ぎに利用する者も居るっちゃ居るが大抵は生活に行き詰った人間が受けるか軽い小遣い稼ぎが主】

…スイマセン。前に会った時に気付いたかも知れませんが、その……西方訛りは苦手でして
こう、ぬるっとした様な響きは特に………は、発音の練習はしてるんですよ?

【ディーをデーと言ってしまうのは故郷の癖である】
【その努力が実るかはこれから次第なのだが……】

…………え?
――――――――あ、すいません。続けて下さい

【「誰も居ない」 そう言われた時思わず疑問形の声が出た】
【夜になれば「出る」と言うが昼には単に見えないだけと言う可能性も有るのだが……】
【まあ敢えてそこには触れず彼に話の続きを促し】

いy…………男の子ならウジウジせずバサッと言って下さい
私が御役に立てる事なら力でも知恵でもお貸ししますし…

【聞くか?と言われた時思わず「いや結構です」と言いかけたのは気のせいであろうか】
【正直まだ出会って仲が良くなったとも言い切れぬ距離感である事もだが…】
【真向からの真直ぐな言葉こそ宗徹の好む所と言うのも大きいだろう】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/18(火) 22:53:47.56 ID:5sQ2DH2r0
/っと、急用故に>>167の方を取り消させて頂きます
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/18(火) 23:00:42.82 ID:SOVSiQF9o
>>168

 あー、なるほどな。公共事業……って、これがか
 よく分かんねえがまぁいいか……

【不思議に思ってはいたものの、タネは案外ありふれたものだった】
【興味がなくなったのか、うん、と一度唸るとそれきりだった】


 あー、めんどくせえやつだな……
 それならお前の方で呼びやすい呼び名でも考えるんだな、“どうせ作り物だ”


【遊具から飛び降りると、ディックは彼女の近くの地面に座り込んだ】
【それから少しだけ彼女の顔を伺った……聞きたがっていない話をするのは好きじゃないからだ】
【だが相手は聞くと答えた。言った以上はそれを信じることにした】


 お前、学生か? ……どっちでもいいんだが
 こう、なんだ……学校行ってる奴らの中には、そういった“決められたコト”をやるのが嫌だってのもいるらしいな?
 勉強は大事だってのは分かってるがしたくない、学校みたいなところでカリキュラムをこなしてると自分じゃない感じがする
 とかなんとかつってよ……でも学校をやめるわけにはいかねえだろ?
 そういうやつが居たんだが、どう答えたものか悩んでなぁ。俺ぁ学校行ってねえし、そういうこと思ったことねえからよ


【つらつらと、悩んでいたことを語り始める】
【内容はよくある話。学校に行ってた人間や、たまに仕事をしている人間が陥る思考】
【“ここは自分の居場所じゃない、これは自分のしたいことじゃない”――という感覚だ】

【よくある話ではあるが、ことディックは陥ったことのない思考だった。そのせいで悩んでいるようだ】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/18(火) 23:23:41.02 ID:3UdyfXuDO
>>160


   ──── う、 ぉおおぉおおおぉおお ──── っ !!


【聞こえたのは、獣とも思えるような咆哮】
【煌めいたのは、夜とよく似たふたつの瞳】

【がご……! と文字通り壁を破壊してこのフィールドに乱入してきた、ひとつの影】
【兵士の後方から突如として現れた「侵入者」は、壁の破壊による自分へのダメージを一切感じさせることなく】


   【だん────びし、……!】


【一度だけ、着地のために大きく床を踏む。その衝撃か、踏まれた場所に亀裂が入った】
【そしてそのままの勢いで──その影は、「兵士の方に向けて」拳を突き出す】


   ────動くんじゃあ、ないぞっ……!


   【 ────ず、 】


【兵士の返答は、待たなかった。待つ猶予は残されていなかった】
【──兵士はきっと、自らの身体の中を「何か」が移動する感覚に見舞われるだろう】
【だが、それも刹那の出来事。異形の刃が、兵士を斬り裂こうとした、その瞬間】

【どッ!──兵士の身体から、衝撃波が放たれるッ!】


【彼には分かるはずだ。放たれた衝撃波の大元が、後ろにいる「侵入者」であることに】
【しかしその波は兵士自身を傷つけることはない──そう、まるで】
【まるで、衝撃波が兵士を「すり抜けた」かのように……!】

【──ばさり。月明かりが、侵入者をも照らす】
【夜色の長髪に、夜色の瞳をした……女】
【背には布に包まれた、刀剣らしきものを背負った、齢18程の少女だった】
【ばさり──彼女の纏う、黒のロングコートが、はためく】

【────兵士を経由し放たれた衝撃が、異形の女へ襲いかかる!】


/ま、まだいらっしゃいますか……!
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/18(火) 23:33:32.74 ID:Ht2+EyHQo
>>170

根無し草が無くなった所で誰も気に留めませんから
……まぁ自国民が危険に晒されるよりは、と考えると健全かと

【割かし命の値段を安めに見積もる系】

な…む、むむ……か、必ず発音できる様になりますので
非常に、非常に魅力的な提案なのですが…件の父兄に渾名を付ける、と言う行為を禁止されておりまして

【一瞬だけ、ほんの一瞬だけ彼女の顔に喜色が映ったがそれもすぐに曇る】
【彼女は過去にどんな過ちを犯したのか…渾名禁止令が出ているそうで】


はい、一応学生です。学はつけておけと勧められましたので
………自分が、自分では無い?

【彼の悩み…と言うより彼の知り合いの悩みであろうか?】
【それを聞いて顎に手を置いて何度か左右に首を傾げて悩む様にしてから……】

……では、その人の“本当にしたい事”とはなんでしょうか?

【では、その人は持っているのだろうか…“本当の自分”のビジョンを】
【確固たるそれが有るならば、本当に学校へ行く必要が有るのだろうか】
【確固たるモノを持つ少女は不思議そうに尋ねて】
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/18(火) 23:43:12.81 ID:SOVSiQF9o
>>172

 アダ名つけるのが禁止って……お前何したんだよ
 ま、俺の名前の由来でも聞いてみれば、そいつらも考えを変えそうだが……


【そんな変わった禁止令にディックは呆れ顔だ】
【どうせひどいアダ名でもつけたのだろう……と考えれば、多分自分は許されるだろう】
【何せ既にひどい名前だ!】


 さぁな、そこまで聞いちゃいねえよ
 けど察するに、とにかくそいつは学校に居なきゃならねえ。そうでなきゃこんな悩みは出てこねえからな
 本当にしたいことってやつがある上で悩んでるのか、ないけど悩んでるのか……
 どっちにしろ、悩んでることに変わりはねえからな


【そう話す彼の表情は真剣そのものだった。まるで自分の悩みであるかのように】
【ディックの答えは情報不足とも取れるが、彼当人はあまり問題にしている様子はない】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/19(水) 00:02:33.11 ID:D5mC1eIwo
>>173

それが理由を聞いても教えてくれなくて……
何でも原型をとどめて無いとか言われましたが

【そう言えばどんな渾名をあの時は付けたのだったか…と少し記憶を探る】
【なお無理につけさせようとしたらディックは「腰蓑」になる予定だった】


……それってもう答え出てませんか?

【とりあえず学校で過ごす他ない】
【ならそれで納得しとく他無いだろう。理由はどうあれ、自分の選んだ道なのだろうから】

父兄の言葉ですが「納得すると言うのは大事だ」との事ですので
納得がいかぬと言うなら…陶芸家の失敗作みたく、叩き壊してでも作り直す他無いかと

【本当に変わりたいと願うなら勇気が必要だ】
【誰しも持てるものでは無いが、それでも。変わるならば今までを…自分自身すら壊す覚悟が必要だ】
【変わる事への恐怖が大きいなら、今の悩み等…その程度だと納得すれば良い】
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/19(水) 00:13:14.49 ID:xPVT7b0no
>>174

 ……ワガママで悪ぃんだが、どうにかしてそいつが苦しまずに学校に居られるようにしてえんだよ
 苦痛な状況に居続けることほど、恐ろしいことはねえからな……


【確かに、彼女の言う通りだとは思った。居る必要があるならそうするだけだ】
【だがそれでは自分が納得いかなかった。どうにかして、何とかしたかった】
【――何故だかディックはそれを、“恐ろしいこと”だと言った】


 うーん……まぁそう簡単な話じゃねえよなぁ
 ともかく聞いてくれてありがとよ。他のやつから考えが聞けるってのは中々ねえからな
 じゃ、もう遅いし、またな。次に会うときまでには俺の名前、言えるようにしとけよな


【立ち上がって服についた砂を払うと、公園の外へと向かう。すっかり暗くなってしまっていた】
【何度か手を振ってから、彼は姿を消したのだった】


//お疲れ様っす!
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/19(水) 11:09:00.81 ID:sgUw7Eyd0
>>171

/うおおおお、申し訳ないです、兵士よろしく死んでましたごめんなさいorz
よければ今夜なども時間は空いてますので、宜しければ是非是非お相手いただきたく……っ
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/19(水) 11:27:30.37 ID:5aNe6D/DO
>>176
/ちょっとこちらが絡んだ時間帯が遅すぎましたね、ごめんなさい
/こちらも今夜は空いてるので、そちらがよろしければ続きをお願いしたいです!
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/19(水) 13:02:17.22 ID:sgUw7Eyd0
>>177
/了解いたしました、それでは時間等の打ち合わせは雑談の方に移動しましょう!絡んでくださり有難うございますね!
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/19(水) 18:48:25.89 ID:ba8FrbRr0
【路地裏――食べ物屋の裏手】
【がらん、と鈍い音がした。それに続くのは高く短い悲鳴、そして、どすりと鈍い音】
【子供の声で罵倒らしきが聞こえるが暴行沙汰でもない。どこかへ駆け抜けていく足音は、ひとつきり】

いたた……、怒らせちゃった――、……一緒にご飯食べに行こうよって、怪しかったかな……。

【もしも誰かが覗き込んだなら、そこに居るのは華奢な人影、髪の長さと声の高さを見るに、少女と窺え】
【多分思い切り突き飛ばされたりしたのだろう。横から見たらM字みたいな感じで、お尻と、両手足を地面にくっつけ】
【それからゆっくりと両手についた砂などを払いだす――ううんと苦虫を噛み潰す、とまでは行かないが、顔は苦く】

【腰まで届く黒髪の少女。顔の横に右側だけ細くリボンを編みこんだ三つ編みを垂らして、平たい胸に乗せ】
【黒と赤のオッドアイは蛇の目のように丸い。――右耳にだけ付けたピアスは、宝玉の欠片をあしらったそれで】
【濃い灰色のワイシャツに、鮮やかじゃない赤を基調にしたジャンパースカート。左右の裾の長さが極端に違う、アシンメトリーで】
【素のままだと何もかも見える長さは、ただ、ペチコートとパニエによって隠されて、ふわふわに変わり】
【編み上げのロングブーツはヒールが高くも低くもないもの、長い靴下のおしまいは、スカートに隠れて見えず】

【なんだかもうぶちまけたように広がっているマント、彼女が身体を起こせば、ずるりと追随して――】

なんだろ、コンビニとかで買ってきたほうが食べてくれるかな……、そっちのほうが、怪しいかって思うんだけど……。
ううん――。

【立ち上がって、今度はふわふわスカートのお尻をはたく。愚痴めに呟いて、はあとため息がひとつ】

【ごみ箱を漁っていた孤児に食事のお誘いをしたものの、フラれる。それが、彼女のこの数分のあらすじ】
【とりあえず孤児の子がひっくり返していったごみ箱を起こして、零れた生ゴミを足で集めて――まだ、失敗について悩んでいるようだった】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/19(水) 19:32:15.70 ID:c9jR3Bogo
>>171

【刃がキラリと怪しい光を反射させ、新たな犠牲者を生み出そうとした、その刹那であった。】
【三度轟く轟音は、去れど先程までのそれとは少し違い、―――猛る様な吠え声と共に、崩壊の音色を奏でた。】
【破壊された壁の破片が降りかかり、粉々になったブロックが白い欠片をそこかしこに散らして―――救世主の到来を告げる。】


 『―――――――――ッ!? なん、だ、このっ、感覚はっぁ―――!?』

  チィッ……邪魔立てをッ!!


【"どん"―――という、酷く原始的な音に次いで、侵入者の足元が踏みならされると同時か、一瞬遅れて】
【放たれた何か―――"波"の様な何かが、兵士の身体を"透過"し、驚くべき事に彼を害する事無く異能者へと命中、】
【咄嗟に防ごうと、振り上げた"怪物"の刃に衝突すれば、"ギィィン"という、強烈な音を響かせた―――これは、衝撃波か。】


 『ふ、うぐ……、なにが、おきて……ッ!?』

  ……こっちが聞きたい位よ、こんな人気の少ない所にまで現れるなんて……まったく。
  本当に物好きみたいねぇ? "せーぎのみかた" サン。それとも、猪突猛進ガール、とでも呼びましょうか?
  まあ、名前なんてどうでも良いし、アンタが何者であっても知ったこっちゃないのよ。ただ―――私の邪魔、するのなら。


【強烈な衝撃波に吹き飛ばされるも、素早く姿勢を立てなおし着地すると、兵士との間に"距離"が生まれた怪物は】
【相も変わらずに高圧的で、威圧的で、そして獰猛な言葉を吐き出すと、乱入してきた少女を挑発する様に、嘲笑うだろう。】
【そして、左手に握り締めた大型フレームの大口径44マグナムリボルバーをくるん、と一回転させると、其の銃口を少女へと向けて】


 ―――――――――――容赦はしないわ。
 

【躊躇なく、引き金に指を掛け発砲―――放たれるは超強烈なマグナム弾丸、だが単に強烈なだけではない。】
【少女が銃火器に詳しいか、若しくは相対した事があれば気が付くだろうか―――これは、拳銃で発揮可能な威力の弾丸では、ないと。】


 丁度良かったのよ、歩いて喋るだけの泥人形を鱠切りにするのも飽き飽きしてたし、何より―――
 アンタ、アンタ……ふふっ、うふふっ……"能力者"……! ねえ、そうなんでしょう……能力者なんでしょう、だったら―――ッ!!
 

 ―――殺すッ!! 殺す、殺す、殺すッ!! 滅多切りにしてッ!! バラバラに撃ち砕いてッ!! 脳髄をブチ撒けて、生き絶えろッ!!


【放たれた弾丸は彼女の―――"怪物"の異形と化した能力により通常の弾丸では無くなっていた。】
【其の破壊力は対物狙撃ライフルの一撃か、もしくはそれ以上、つまりは"非常に"強力、人間が当れば一溜まりもないモノ】
【何より恐ろしいのは、そんな銃を何の反動もなくガウン、と銃声のみを響かせて撃ち放つその怪力と驚異的な"殺意"、という所だろうか。】

【能力者である―――という、その状況に歓喜する様な、いやむしろ激怒する様な、狂った姿勢を見せて怪物は吠える。】
【もはや兵士などどうでも良い、といった風な体で。標的は完全に、目の前の"彼女"に変わったのだろう、怪物は身体を翻す。】
【その身を包むように着込んだ、濃い紺色のマントには―――"カノッサ"機関の刻印と、"7"という数字。そう、彼女はナンバーズ。】

【戦闘員にして闇の仕置き人、昆虫を操る能力を持つNo.7<Nemesis>―――呪詛の様な言葉を吐き出し、白銀の夜に死闘の幕が下りた。】   

/お返事させて頂きます。今夜は宜しくお願いします
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/19(水) 19:59:55.64 ID:5aNe6D/DO
>>180


   ──リーべ。リーべ・エスパス!


【叫ぶように宙に放たれた言葉。それが少女の名前】
【「名前なんてどうでもよい」──そう嘲笑った相手への、彼女なりの返答だった】
【相手を吹き飛ばしたと見るや、リーべは拳を広げて兵士の襟を問答無用で引っ付かみ】
【ぐン──ッ! ほぼ、力任せではあったが、自ら壁に開けた大穴へと、兵士を掴み投げる】
【鍛えてでも、いるのだろう。大人1人を投げ飛ばすなど、並大抵の腕力ではない……!】


──そこから逃げろ!せめて、お前だけでもっ!!


【兵士にかけられた言葉は、「逃走」を奨めるものだった】
【確かに今、この瞬間であれば彼は逃げ出せる──彼女の開けた、壁の穴から】
【「時間は稼ぐ」──そう、リーべは言いたかったけれど、目の前の相手はそれを許してくれそうになかった】
【──「早く!」せいぜい、それを告げることしかできず。リーべは左腕に力を込める】


カノッサ機関だったか──だが残念だったな!
殺させないし、殺されてもやらない……!
それに…………

   ────女の子は、もっとおしとやかにした方がいいぞっ!


   【 ────ず、…………が、が、がががががががががッ!! 】


【再び放たれる衝撃波──しかしそれは相手に対して向けられたものではなく】
【リーべに襲いかかる、弾丸と殺意に対し放たれたものだった】
【ぎゃルん──大気が歪み、凶弾を真正面から向かい討つ】
【「爆破」「燃焼」「雷撃」──そのような特殊な性質を持たぬ限り、相手の放った弾丸は】
【リーべ・エスパスに毛ほどの傷をつけることなく、弾きとばされる──!】

【だんッ──再び響く、鈍い音】
【拳を奮った直後、すぐさま彼女は攻撃へと移る】
【深く深く、床を踏みしめ──そのまま、ロケットの如き勢いで相手へと迫り】
【近付けたのであれば、躊躇なく相手の顔面を殴ろうとする】
【──「おしとやか」が、何だって──!?】


/よろしくお願いいたします!
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/19(水) 20:07:02.89 ID:6+dkGtDdo
【スラム街】

「さァーて、今ォ日も素ォ材集めだ」
「こォーいう所の人間共は、"社ァ会の歯ァ車"になァっちまった人間共よォり"魂"が良ォ質な事が結構あァるかァらな……」

【そこを歩く者は黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「――ヒャハッ、御ォ託はいィいから離せって顔しィてんなァーッ!」
「おォとなしくしィィなァァアア、こォーんな所よォりめェーっちゃ良ォい所、連ゥれてってやァるよ」

【その者が両腕でがっちりホールドしているのは、一人の男。30代程だろうか】
【必死に抵抗するも、栄養状態の悪い彼の力では到底叶わない程に、その者の力はあった】
【――このまま放置しておくと、男がどうなるかはわからないが……スラム街の凡男一人見捨てたところで何か問題あるのかと言われると、】
【……はっきり言って何もない、――"人道"以外は。】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/19(水) 20:17:52.08 ID:c9jR3Bogo
>>181

【―――既に、彼女の視界からはその存在が消えていた、と言っても過言ではないが】
【"ある意味"とても手厚い形で保護を受けたその特殊部隊所属の兵士は、彼女が先程穿った】
【壁の大穴から這い出すようにして逃走、切り裂かれた腕を止血する様抑えていた所を見る限り、死にはしないだろう。】

【―――ただし、アレほど執拗に攻撃を加えていた、決して"どうでもいい"筈ではない標的をあっさり見逃し】
【その上乱入者との戦闘に嬉々として応じる辺りが矢張り、"怪物"―――No.7の趣向を伺わせるだろう。それは即ち】
【強者との戦闘、いや、もっと言うならば能力者に対する憎悪、自らもまた"異能"を持つと言うのに―――彼女は、"彼女"に応えた】


 "せめて"……? ふふッ……面白い娘ね、アンタ。
 それじゃあまるで、最初から自分は犠牲になってやるって、そう言ってる様なモンじゃない。
 それとも本気でそう思ってるのかしら。ま、仮にそうだったとしても、そうじゃなかったとしても、私のやる事は一切変らないわ。

 ―――リーベ。気に入らない名前ね、リーベ、リーベ、リーベッ!! 聞き届けたわッ!! だけどッ!!
 能力者の名前なんぞ、頭に刻むだけで虫唾が走るって〜のよッ!! ソッコー殺して、忘れ去ってやるッ!!

【―――しかし。弾丸は再び"アノ"衝撃波によって無力化され、―――強化された弾丸までも、が?】
【Nemesisの脳内にノイズが奔る。なる程、どうやらただの野良犬に噛み付かれたという訳ではないらしい。】
【その反応速度、能力の射程、驚異的なパワー、どれをとっても侮れない。―――けれども、それは相手に限った事ではない。】

 フッ……少しは出来る様じゃない、"エスパ"―――……なんだったかしら、"アスパラ"ちゃんだっけ。
 まあいいわ、アスパラガス。それよりアンタ―――近接戦闘で、この私を殺ろうって?


【リボルバーを持つ左腕とは逆の、右腕を翳し―――】
【丁度、凄まじい勢いで迫り来るリーベの拳に対し全く動じる事無く拳を " あ わ せ " 】
【―――そう、なんとパンチに、パンチをぶつけるようにして、怪力と猛速の拳(ナックル)を、ぶつけるだろうッ!!】


 ―――どうにも。お互いお洒落やスイーツとは縁遠いタイプの女に、見受けられるけど? "アスパラ"ッ!!


【ガツンッ、余りにも強烈な衝撃がビルを揺らす。拳と拳が重なり合い、ビリビリとした衝撃が古くなった柱を揺らした。】
【Nemesisはそのまま、拳を素早く左に"振りぬき"、身体を180度回転させながら鋭い勢いの"回転蹴り"を繰り出すだろうッ!】
【無論、これもまたタダのキックではない―――少なくとも、コイツにはリーベの拳を相殺できるだけの怪力と、俊敏性が備わっているッ!】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/19(水) 20:41:34.36 ID:5aNe6D/DO
>>183

【No.7──彼女の言葉に、リーべは答えた】
【口角を吊り上げ、唇を歪め、喉元を鳴らして】
【粉塵と殺意に溢れる、この場所で──信じがたいことに、彼女は笑っていた】


──だれが、犠牲になると言った?
私は「殺させ」も「殺され」てもやらないと言った
この場では、もう誰も死なせない……!

あぁ──楽しいか、そうか、そうか!
だがな……殺すことよりもっともっと楽しいことを、お前に教えてやる!
まずは私の名前を覚えることからだ──っ、……!?


【──ご……! 相手が放った回転蹴りは、呆気ないまでにリーべを直撃する】
【否──直撃のその瞬間。空いていた右手を脇腹に寄せ】
【「蹴り」を受け止める「緩衝材」代わりに使ったのだ!】
【相手の蹴りを受け止めた、リーべの右手──Nemesisは、分かるだろうか】
【右手が、「震えて」いる──!?】
【恐怖による震えでも、戦いによる武者震えでもない】
【恐らくはこの震えこそが、衝撃波の正体か……?】

【──ず、ずずずずずっ!】
【蹴りを受け、リーべは耐えきれずに後ろへと退いた】
【だが、ただ後退したわけではない──それは、今しがたの「右手」の「震え」ッ】
【リーべは右手から、衝撃波ともまた違う、微細な振動を発生させ】
【その振動を、短期間でNemesisの足にぶつけることで、片足を「痺れ」させようとしたのだ──!】


あぁ────アスパラじゃない、エスパス、だ!
ちなみに私はおしゃれは苦手だが、甘いものは大好きだぞ!
お母さんの作るケーキは、たまに焦げるが絶品だ!


【──ぐぐ。まるでゲームでもしている時のように、リーべは笑った】
【びり……ぱら、ら。衝撃を、何度も与えているからか】
【天井からは、ぱらぱらと破片が零れ落ちてくる】
【だ、ん──自らを鼓舞するかのように、一度だけ大きく、床を踏みしめた】
【びし……気合いの入りすぎか。また床に、ヒビがはいる】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/19(水) 20:49:52.59 ID:x9hGX9mso
【路地裏】

はい、はい……ええ、承知しておりますとも!
何時ものように貴方様にご満足頂ける"商品"をお届け致しますので、はい!

【薄暗く陰鬱な雰囲気の漂う夜の路地裏。その一角から何やら話し声が響いていた】
【其処にいたのは一人の男。電話を手に媚びたような笑みを浮かべながら、ペコペコと何度も頭を下げている】

【身長は160cm程度であろうか。茶色の短髪に垂れ目の猿顔をした男だ】
【黒地に白のストライプが刻まれたスーツを身に纏い、その胸にはカノッサの証である逆五芒が刺繍されていた】
【腰には得物であろうか、全長40cm程の朱塗りの棒が括りつけられている】
【猫背気味の姿勢が更に身長を低くみせ、面立ちも合わせて卑小な雰囲気を醸し出していた】

では三日以内に――はい、はい、ではまたお会いしましょう!

……さて、"商品"の詰め込みを急いでくださいねえ
グダグダと時間をかけていると、いらない邪魔が入りかねませんからね――

【電話を切り胸ポケットに仕舞いこんだ男は、傍らで作業をする部下に対して指示を出す】
【部下――140cm程の小柄な体躯に黒装束、顔に猿の能面を装着した異様な"影"が二人】
【ズルズルと闇の中何かを引きずり、大型の荷車に詰め込んでいっていた】

【夜目が利くならばその"商品"の正体をすぐさま見破ることも可能だろう――それは、紛れもなく人間であった】
【気絶しているのか力なく横たわっており、手足を縄で縛らえ目と口を布で覆い隠されている】
【人数は5人、年の頃は10代後半から20代前半の若い男女であった】
【「人身売買」……違法と言われる商売の中でも取り分け悪質とされる其れが、今行われようとしていた】


【――】


【街中】

…………

(……ここ最近、何やら妙な視線を感じる気がするのじゃ)
(始めはカノッサ辺りの間者かと思うたが――これは、どうやら違うようじゃな)

【未だ人気の多い夜の街中。噴水のある中央広場から少し離れた電信柱に背を凭れかけさせている一人の少女がいた】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げており】
【肩付近には手に乗るほどの小さな白い"折り鶴"が、何かの異能かふよふよと浮かんでいた】

【視線を感じ始めたのは数日前。最初は敵対組織の人間かと考えていたが】
【何度かそれを認識した上での結論は「ただの民衆」であり、視線を感じる度に別人の気配であった】
【無名の自分がこのように"恐れ"混じりの注視を受けるはずもない】
【ならば民衆の間で"SCARLET"に対して何かしらの変化が――】

……考えても仕方のないことかの。
何にせよ相手が其れでは、実害が出るまで手を出すわけにもいかんのじゃ

もう少し休んだら……んん〜……パトロールの続きをするのじゃ

【――少女は、大きく背伸びをして欠伸を一つ。目元に滲んだ涙を袖で拭うと】
【一度周囲を見渡し異常がないかと確認したあと、その場から動き出そうとするだろう】

【もし胸に括りつけられた所属組織を示すワッペンや、浮かぶ折り鶴などを見つけたならば興味を惹く事もあるだろうか】
【また、近くで何らかの事件があったならば少女は反応を示すことだろう】

/1時になったら持ち越しでお願いします!
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/19(水) 20:53:31.39 ID:ee91ZZimo
【路地裏】


ほうほう。人の切り口はこうなっているのか――。


【その男性、歳は30ほどか――】
【シルクハットにインバネス、口許には木製パイプ】
【両手は黒い手袋で覆われ、右手には血塗られた小刀が握られている】
【――足元には腕を切られた男性がもがき悲鳴をあげていて…】


ああ、ああ、黙りたまえ、私が観察しているのに紛らわしい。どれ、ちょっとこの切り口部分をふんずけてみよう。恐らく血がさらに滲み出るだろうが私はそれを実際に見てみたいのだ…。


【悲鳴をあげる男の口を地面に繋ぎ止めるように刀で頬を貫き、】
【述べる内容通りに、足元の男の片腕を足で軽くふんずけてみる】
【血がどばどばとにじみ出てきて、それを眺める顔は不思議にもあっけとしていて】


あまり面白いものではないな、全く持って予想通りだ…ああすまない、私は殺生は好まないのでこのまま放置させてもらうよ


【ずぷり。刀を引き抜く。血塗られた刃を軽くハンカチでぬぐった】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/19(水) 20:56:31.57 ID:BNV5NMc6o
>>182

【そう、“人道”以外は何も問題はない。見捨てたところで、何も】
【だからこの場には誰も来ない。人道というものを重視する人間以外は誰も】
【──“助ける”ことが目的ならば】

【薄汚れたスラムを照らし出すものがあった。それは光ではなく、紅蓮の炎】
【炎は何かの力に押さえつけられたように、塊となったままうねり、荒れ狂っていた】
【その強烈な熱と光の向こうで、男の姿が映し出された。赤黒いコート、黒い短髪】

【彼が、怪物に向かって叫んだ】


 そうだな、こんなつまらない場所よりももっと良い場所に送ってやろう……


   ────天国というやつに、二人ともなぁ!!


【力の抑圧から解放された炎は、凄まじい勢いで二人に向かって真っ直ぐに噴出した】
【魔翌力により形成されたそれは、直線的とはいえ、瞬間的に作られたものとは思えないほどの規模だ】

【──共にいた人間を巻き込むように攻撃を、躊躇なく放つこの男は、間違いなく人道なんてものはない】
【ここに、“助け”など現れなかった】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/19(水) 21:00:41.74 ID:c9jR3Bogo
>>184

【笑っている―――この少女、笑っているのか。信じ難い事だが、どうやら嘘ではないらしい。】
【今まで大勢の能力者を相手取ってきた、中には自分を小馬鹿にしたように嘲笑うヤツも確かに、居たが。】
【これはそういう類の何かではない。もっともっと強烈なインパクトを残す、言わば"楽"の意味での"笑み"―――。】

 (……っ!? こ、コイツ……笑ってるの……!?)
 (ふざけないでよ、死ぬか死なすか、そういう局面で何で―――チイィッ!! 嗚呼忌々しいッ!!)

 誰も死なせない、ですって……? はっ、それがアンタの"セイギ"ってワケ。
 それこそ哂わせるわ、生きてる人間が居れば死ぬ人間だっているのよ、丁度5分後のアンタの様に、ねッ!!
 

【もっと愉しい事を―――そんな言葉がほんの少し、彼女の判断を鈍らせた。コイツ、何を言っているんだ?】
【Nemesisには理解が追いつかなかった、まさかとは思うが―――戦闘中に、相手を気遣って説教でも始める気か。】
【いや、今まで自分の在り方をそれとなく否定する人間は確かに、存在した。だが―――それをこの状況で、尚も続けるとは。】

 (……忌々しい……忌々しい、五月蝿い、五月蝿い五月蝿い黙れ黙れ黙れッ!!)

【振動、衝撃波、その正体―――注意深く観察をしていれば、其れを見破る事も可能だったか。】
【だが今の彼女は、目の前に現れた自分の理解の範疇を大きく逸脱した存在に怒りと、そして焦りを抱いていた。】
【だから、そんな何かに気が付くことは出来ない。ただ、この蹴りが受け止められ、然したるダメージを与えていない事だけ理解し。】

 ―――……見りゃわかるわよ。お洒落にしちゃその"背中"のヤツは物騒すぎる。
 でも残念ね、その美味しくて堪らないママのケーキとやらの味も、もうあと一度しか味わえないわ。

 ―――死の直前にそれを回想して、後悔して、涙を流しながら、ケーキよりも甘い自分の思考回路を呪いなさいッ!!

【追撃、しょうと後退した彼女に接近を試みる、が―――痺れが此処で、襲ってくる、】
【一瞬の隙、振動で攻撃を行う彼女の能力の正体さえ見破れていれば、ここで違和感にも気付けたろうに】
【Nemesis、ナンバー7にそれは敵わない。リーベに対して踏み出した一歩がグラつき、踏ん張りが利ききっていない状態で】


 ―――!? ち、いッ!!

【大きく振りかぶった拳を振り下ろす―――狙いは頭部だ、尤も脚の踏ん張りがないせいで】
【その破壊力は先程から幾分か落ちているし、なにより今は隙のある状態―――迎撃も回避も十分に、可能だ!】

【だが―――不思議なのは痛みに対して鈍感過ぎるきらいがあるところ、だろうか。】
【いくらなんでも自分の脚が痺れている事に気が付かないなど、あり得るとは思えないが―――。】
【ドクン。Nemesisの鼓動が弱まる。嗚呼、足りない。もっと。もっと。もっと"アレ"がないと―――痛みが、襲ってきてしまう。】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/19(水) 21:12:16.63 ID:ba8FrbRr0
>>185

【――かつん、と足音がした。見れば、暗い暗い細道の向こう側にひとつ、まっすぐに立つ影があって】
【華奢なこと、髪の長いこと、足音がヒールのように聞こえたこと……から、その性別を推測するのは容易く】
【暗闇の中に混じる僅かな光に、動物みたいに瞳が光る――右の瞳だけが、真っ赤に、爛々と煌き】

【そちらを見ている、というのだけはすぐに分かっただろう。敵意はまだ見えない、何をしているのか、まだ、察していない】
【だけれど――ビー玉のようにまん丸な瞳がやがて細められていく、伏せられていく、瞳がかたちを変えていくたびに】
【じわり。地面の隙間から染み出す水のように溢れてくるのは、――今度こそ、明確に、敵意に近いそれを湛えて】

……――今すぐそのひとたちから手を離しなさいッ!

【夜目は効かないほうではない。野生動物のように見通す力はないと流石に思うけれど、“それ”が】
【影――がずるずると運んでいるものが人間であるのを見抜く程度の視力は、確保できていた。それなら、】

【軽い足音はいつの間にか鋭く尖り、常なら鈴を指先で鳴らすように涼しげな声は、金属を引っかくような不協和音を思わせる】
【まずは距離を詰めようとするのだろう。そして、ぱっと広げてそちらへ伸ばす手のひらには、桜色/紫色の魔力が踊り】
【言うことを聞かないなら――というのを言外に示すのだろう。魔力の光で照らされる顔は、あどけなさの残る、少女のもの】

【腰まで届く黒髪の少女だ。顔の傍に添う髪だけを細い三つ編みに編みこんで、身体に垂らし】
【黒と赤のオッドアイは蛇の目のようにまん丸。右耳にだけ付けているのは、宝玉の欠片をあしらったピアスで】
【灰色のワイシャツと、地味めの赤色のジャンパースカート。右側だけが布の極端に短い、アシンメトリーデザインで】
【ふわふわのペチコートとパニエで必要以上の身体の露出を防いでいる、そんな格好。足元は、編み上げのロングブーツ】
【羽織っているのは長めのマント。それが風になびいて彼女のシルエットをごまかすが――中身は、ひどい、華奢な少女だ】

……もう一度言ってあげる、そのひとたちを置いて、今すぐどっかに行きなさい。
でないと……、――。

【――怒っている、らしかった。あどけなさを多分に残す顔は、今では、威嚇する猫みたいに表情をゆがめて】
【距離はまだ遠い、けれど、さっきより近い。だけど、お互いに手出ししあうには、まだまだ遠いといえる距離感】
【しかし当然、得物の類によっては手出しすることも出来る距離だ。――彼女は、まだ、手を出しては来ないようだが】
【きらきらと桜色/紫色の魔力で威嚇する、――これで言うことを聞いてくれるなんて、ちっとも思っていないなら】
【睨みつける瞳は、常の彼女と思えないぐらいに激昂している。真っ白な頬を、興奮に赤くして――】

【彼らの邪魔をしようとしているのは、少女がたった一人だった。それも、冷静さすら欠いた、――だけど、能力者らしい】
【容易い障害と見るかはひとによるだろう。見た目だけなら、彼女は、――お世辞にも強そう、には、見えなくて】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/19(水) 21:20:22.44 ID:5aNe6D/DO
>>188

──そうだ。誰も、死なせない
少なくとも、今は誰も、死なせない

   「まだ」──この刀は抜かない

私はまだ、お前のことをよく知らないし……それはきっと、お前もそうだ
出来れば刃は、抜きたくないところだな──?


【とん、とん──死闘の最中、僅かに生まれた空白の時間】
【それを攻撃ではなく、対話に使ってしまったリーべ。そこからでも、彼女の性格は窺えようか】
【彼女の本分は、争いではなく……お互いを理解しようとする会話にある】
【だがそれを為せない相手は────】


   【 無理矢理黙らせて── 】   【 ──話を、聞かせるッ! 】


【ぐ────Nemesisの拳が、襲ってくる】
【だがその「遅さ」に、「鈍さ」に、「軽さ」に、彼女は違和感を覚えた】


(なんだ……あまりに、──なん、だ……?)


【しかしここで、「何もしない」ほど彼女は甘くはなかった】
【振りかぶられた拳。これに対し、リーべは先ほどのお返しとばかり──】
【これまた真正面から、拳を拳で迎え討つッ!】
【さらに彼女は容赦なくNemesisの脚に対してしたように、拳にも振動を送り込もうとする】
【気付けば回避できる一撃──だが、どうか……ッ!】


────お前。痛くないのか


【投げかけられた、言葉は】
【とろりとしたクリームのように、暗い廃墟に溶け込んでいく】
【先ほどから「痛い」なんて言葉を、リーべは聞いていなかった】
【だからか──相手を知りたいかのように、彼女は問いかける】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/19(水) 21:25:57.02 ID:6+dkGtDdo
>>187

「おォいおい、何を迷う必要があァる?」
「テメェーみィてェーな落ォちこぼれに居ィ場所をやァるって言ィってるだァァアアけじゃアねェーか!」

【ギリギリ、と男を掴む力を上げるその者――"まッ、幾ら抵抗しても無駄だがな"と耳元で囁き】

「……ちィ、邪ァ魔が入ったか――まァー良い、選択を渋って俺様の時ィ間を奪った……そォの対価を支ィィ払ってもらおうッ!」

【――迫る炎、その者は回避する動作を一切見せず、ただ体だけを"男と共に"向けて】
【後は言うまでもないだろう、攻撃を防ぐ為に男を盾にしたのだ―― 一切の躊躇なく、まるで当たり前であるかのように。】
【ただでさえ弱った状態だった男、炎を浴びればもがき苦しみ、その者がホールドを解除すれば地面でのたうち回る、――"生"を求める】
【……この男は放っておけばもう長くはなさそうだ、しかし"盾にした側"は……防ぎきれなかった足や肩等が焼けているものの、健在。】

「ククッ……良ォォい眼をしィていィるな――だァが!」
「俺様はやァられたらやァァり返す質でなァ〜〜ッ、――でェて来い、"翠晶の水魔"ッ!」

【その者の足の下を中心に生成された魔法陣から現れる闇――それはその者の目の前で形を成して行き】
【出来上がるのは……透き通ったエメラルドグリーン色の結晶で構成された身体で、150cm程の人型だった】
【薄水色で淡く光る眼を持ち、心臓部には、眼と同じ色のコアの様なモノがうっすらと見える】

「天国なァーんざ"もォー二度と"帰る気は全くもってねェェエエーーーんでなァァアアーーーッ!!」

【人型は男の両腕に向けて、それぞれ2つずつ"長さ7〜8cm・太さ1.5cm程で先端が鋭く尖った、水属性を持つ結晶"を発射する】
【速度・威力はまあそれなりで破壊もそこそこ容易といったところだが……どうやら様子見も兼ねているらしく、その者は攻撃中に後方へと歩き距離を取る】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/19(水) 21:40:29.16 ID:BNV5NMc6o
>>191

【炎の潮流をまともに受けた男は当然、大火傷を負って絶命するだろう】
【だがそれを放った当人は……その魔術師は、笑っていた】


 くっ、はははははははは!! 我ながら良い威力だ!
 人間一人を屠るのには些か派手過ぎるが、やはり炎というのは一度使えば病みつきだな!


【ただただ魔術師の男は自分が作り上げた死体を一瞥して、その“出来前”に感嘆していた】
【当初の狙いはどちらだったのか、これでは分からない。そう、初めからこの男は何かが焼け焦げればそれで良かったのだ】
【そしてひとしきり笑うと、目の前の怪物を見る。その者が褒めた、暗い瞳で】


 ほぉ、それがお前の能力……いや、魔術か? ともかく召喚とは良い趣味をしているな!
 さぁ来い! やられたらやり返す質なら俺と同じぐらいのことはしてみせろ!!


【パン! と両手を一度叩くと、腕を広げてただ待った。召喚をしている最中に、攻撃も防御もしない】
【そしてそのまま、両腕に結晶を打ち込まれた。その勢いで少し後ろへとよろける】
【黙って攻撃を受けたのだ。何故か? 作戦かといえば──違う】


 お、おぉ……! 属性のある結晶か、並の魔術師ならたまったものじゃないな!
 はははは! 見た目に似合わず面白いコトをするじゃあないか、気に入ったぞ!


【──答えは、ただ面白そうだから】
【敵の攻撃はそれが何なのかを“身をもって知る”ことがこの男の楽しみだった】
【その苦痛を、効力を、正体を、知ることが自体が目的。ダメージを避けるという発想がない】


 だがな、俺の攻撃と比べてお前のそれはあまりに地味だ! つまらん!
 俺が正しい“攻撃”というものを教えてやるッ!!


【結晶の突き刺さったままの腕を無理やり動かし、両手を前に向ける。苦痛に一瞬だけ顔を歪めるが、すぐに笑みに消える】
【男の眼前に魔翌力が集い、炎へと変わっていく。それは両腕に打ち込まれた結晶によって阻まれ、霧散しかけた】
【しかしまたすぐに集い始めた。苦痛によって阻害されないのは男の技量によるものか、精神力によるものか】

【形作られたのは巨大な火球。男の身長と同じ程度の直径だ】
【軽い爆発音と共に、それは人型の召喚物、さらには後ろへと距離を取っている怪物を狙って放たれた!】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/19(水) 21:45:37.37 ID:x9hGX9mso
>>189

――――でないと……どうするのですかねえ?


【少女の怒りに対して、返ってきた声は不自然なまでに平静であった】
【其処に恐れは微塵もなくただ当然の疑問を声に出したような口調】
【ご丁寧に首を傾げて、手を横にひらひらとさせる仕草まで見せて「判らない」ことをアピールした】


ええ、ええ、愛らしい御嬢様――貴方の怒りは実に尤もなものです!
こうして誰かが悪人に攫われそうになっており? それを目にして?
そして御嬢様はきっと、この状況を覆すに足る"力"をお持ちの事でしょう……ならば放っておくのは人道に反している!

ああ素晴らしきかな人間愛! なんて尊く美しい感情なのでしょう!
しかし……――誠に残念ながら、それではまだ言う事を聞いて差し上げる訳には参りませんねえ


【大げさな手振りを混ぜた、道化じみたモーションと共に演劇の如く朗々と台詞を読み上げる】
【まるでこの場が喜劇の一場面であるかのように】
【にやにやと媚びたような笑みを崩さないまま、少女を溝のように濁った視線で見つめて】
【最後に残念、という感情を表現するために掌で己の顔を覆って天を仰いで見せながら】


"悪"を力で跳ね除けるのならば、もっとはっきりと意志を口にするとよろしい
貴方のように見目麗しい御嬢様ならば尚の事、私(わたくし)めを怯ませるだけのインパクトが必要でしょう

――それで、私がこの"商品"を手放さなかった場合どうなさるおつもりで?
私としましても"これ"は大事な取引材料でしてねえ、"痛めつける"……などと生半可な覚悟に対して退いて差し上げることは出来ません

"力"で状況を覆すならば揺るぎない殺意とそれに足る暴力を――
"言葉"で変えたいと願うのならば、その怒りを鎮めてその意志を示して頂きたく願います


【「――如何でしょうか?」と、まるで状況を楽しむかのような声色で少女に語りかけた】
【どうやら、すぐに攻撃する意志はなく――ある程度交渉に応じる気持ちも存在するらしい】

【何にせよ確かなのは、男は少女の警告を受けても"商品"を手放す気配がなく】
【現状彼女に対して譲歩する意志も持ち合わせては居ないという事だ】
【今のまま幾ら警告を重ねたところで無意味だろう――攻撃をするか、話し合い被害を抑えるよう心がけるか】
【それを決めるのは少女の一存、その判断に委ねられた】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/19(水) 22:08:02.16 ID:c9jR3Bogo
/テストですの
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/19(水) 22:08:50.31 ID:c9jR3Bogo
>>190

【矢張り―――相性の良くない、そういう相手であった様だ。Nemesisは心底自分の不運を恨んだ。】
【あと一人、あと一人と言う所でこんな少女の乱入を赦すとは―――いや、だが彼女は待ちに待った能力者。】
【そも、今回の任務は気の乗らない物であった。能力者ではない一般人の殺害、彼女としては気分が良くないミッション。】

【それを覆す事の出来る、この内に秘めた怒りと傷を癒す事の出来る、そういう相手が現れたのだ。】
【だが、現実は違った。どうやら彼女<リーベ>は能力者であっても、Nemesisの思う様な正義の味方ではない。】
【もっと単純に自分を否定し、罵倒し、攻撃を繰り返すだけの存在であれば良いのに―――それなら、もっと簡単に殺せるのに。】

【刀は"抜かない"? "まだ"? "良く知らない"? ―――コイツ。】
【コイツ、ふざけているのか。いや、この眼は本気の目だ。先程の言動も合わさって】
【Nemesisはようやっと理解する―――嗚呼、これは自分の 最も苦手なタイプの相手ではないか、と。】


 ―――知るモンですか。能力者なんて……アンタ達なんて、みんなみんなみぃぃぃんな、同じ存在よッ!!
 生まれ持った力がどんなモノかなんて考えた事が無い……ただの危険な、人間不発弾よッ!!
 力があるから争いが起こる……争いが起こるから人が死ぬ……人が死ぬから、哀しみが生まれる!!

 ―――お前も、"お前も"、『お前も』、お前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前も、お前もッ!!
 能力者に違いなんて……ある筈が無いッ!!


【ならば、その能力者である自分もまた―――きっと、そうなのだろう。】
【だから、Nemesisは想う。知る必要なんて、語る必要なんてないのだ、と。】
【何故ならもう、自分は良く知っているから。自分と、相手と、この世界の正体を。】

【―――能力者なら、死ぬべき。それが、彼女の見つけた唯一にして絶対の、答え。】
【頭の中に声が響く。頭の中に語りかける。頭の中に悲鳴が聞こえる。誰の?自分の?昔の?】
【わからない。わからない。わからない。わからないなら殺してしまえばいい。そうだ、殺そう。殺そう。殺そう。】

 殺して、やっ――――!!

【拳と拳は、再度の邂逅を果たす。再びの衝撃波が周囲を襲う。だが、Nemesisは一歩も退かず。】
【ただもう一度、拳を振り上げようとして、その動きは止まった。殺さなくては。そう想っても、身体が止まった。】
【それは何故か―――多分、初めて聴いた言葉だったからだろう。『痛くないのか』。いや、戦闘中でなければ聞いた事はあった。】

【だが今は戦闘中で、相手は敵で、自分もまた相手にとっての敵だ。なのに、何故。】
【いや、痛いに決まっている。なら何故聞く。―――ああ、そうか。痛くないからか。痛くないのだった。】
【そういえば今、自分は痛くないのだった。コレのおかげで。アレのおかげで。痛くないのだった、そんなことも忘れるくらい―――。】

【クスリが欲しい。クスリが欲しい。だめだ。この言葉に答えるな。】
【Nemesisは自分を気遣うような聴きたくなかった言葉に怒りをあらわにし、―――滅茶苦茶に、攻撃を始めた。】

 ……だまれ、だま……黙れ、黙れ、喋るな、黙れ黙れ黙れッ!! 痛いもんか、痛くなんてないッ!!

【振り上げた拳をたたきつける。ガードされようと、されまいと。もはや知った事か。】
【何度も何度も拳を、両方の拳を交互に、凄まじい勢いで連打、連打、連打―――ッ!!】
【そして肘から伸びる鋭利な"刃"で斬り付け、斬り付け、斬り付け、真っ二つにしてやろうとする!!】

 ―――痛くないッ!!痛くない、痛くない、黙れ、喋るな、殺せッ!!戦えッ!!死ねぇぇえぇッ!!
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/19(水) 22:10:44.92 ID:6+dkGtDdo
>>192

『上手に焼けましたー♪』 『……以上、カタリナ・レーションでした』

「さァて、カタリナは放ゥっといて……ククク、そォーいう"燃ォえ盛る魂"、」
「気ィに入った、後で俺様の素ォ材になァりな」

【"勿論、やることやってからな"、と言いつつ邪悪さを持った眼で相手を捉えて】
【――そう言えば、後方に下がる時……焼け焦げた男を足で雑に運んでいたが、何か意図でもあるのか、それともなんとなくか】
【どちらにせよ男は既にぐったりとしており、ただただされるがままに運ばれていた】

「ヒャハハ、"炎狂い"め――派ァ手に連発しィてくゥれるじゃアないの」 「水魔ッ! 俺様を護りな……ッ!」

【人型は地面をドンと一発叩く】 【すると、そのすぐ前から無数の結晶の柱が生えてきて……】
【更に、結晶からは水飛沫が数秒ほど吹き荒れる】 【結晶による物理的な遮断、水による消火効果――】
【――いかんせん規模が大きい、水飛沫はすぐに蒸発してしまうので大した効果はなかったようだが】
【結晶による防御はある程度効果があった様で、ひとまず後ろの者へ向かう炎は小さくなり簡単にかわされる】

【人型は結晶で防ぎきれなかった炎をある程度受けダメージを負う。見た目はあまり変わらないが煤がついている頭部や腕がそう】
【――気付くか否か、そのダメージを負った部分と同じ箇所に、その者も火傷を負っているようだ(ダメージは人型のそれより少なそうだが)】

「残念なァがら! 今は派ァ手に攻撃する理由はねェーんでな――まァ、そォーしたら人っ子が何人消ィえるか……ククク」

【身体に突き刺さっている結晶から水が発生し始め……そして、強力な水流ジェットがそこから数秒ほど発射される】
【方向は突き刺さっている先端から真っ直ぐ。おそらく傷口を酷く抉るのが目的だろう】
【なお、水の発生からジェット発射までは少しタイムラグが有る、対策するならその時がベストだが――水流は破壊しない限り発射される】

【その者の足から発生する混沌の魔翌力が男を包みはじめている……】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/19(水) 22:19:48.02 ID:ba8FrbRr0
>>193

【彼女は怒っている、だけど、彼は、きっとなんとも思っていない。その温度差に、彼女は尚不機嫌だというように眉を吊り上げ】

……言わなくたって、分かるでしょう?

【蛇が飛び掛ってくる前のようだ。視線は一瞬たりとも彼らから逸れない、もし、“影”が】
【人間を運搬するのをやめないようなら、まるで威嚇するようにこぼす魔力が多くなる。手のひらどころか、全身から】
【じわりとにじみでるようにあふれ出すのは、魔力か、敵意か、――或いは殺意なのか。黒髪が、魔力のたゆたうに揺らされ】

【――だけど。彼が言葉を紡ぐたびに、これが、ただの……ただの路地裏で見かけるくだらない人間とは、違うと】
【昂ぶった頭ですら理解させられていく感覚があった。ああいうひとたちなら、もっと違う、違うことをしてくるのに】
【その差異で、ほんの少しだけ。全うな思考が戻ってくる、――冷静とは違うかもしれないけれど、思考せねばという、予感が】

【ほんの僅かだけれど、足を引かせた。ほんの数センチの誤差、だけど、それは確かに気圧されたようでもあって】
【良く分からない相手の出方を窺っている。それでも、ぐと引き締められた口元は、やっぱり、不満なような色を示して】

……わたしは、お前らたいなやつが嫌い。人間を売ったり買ったりするような、やつが、大ッ嫌いなの。
だから邪魔する、邪魔してやる、……赦さないんだから、絶対に、……、――。

【――彼女には誰かを言い負かせられるような言葉はなかった。それに、突飛した、誰かを従わせるほどの力もない】
【そのどちらを手に入れるにも、彼女は幼かった。だから、できるのは、――自分がどう思うか、なんて、たったそれを告げるだけ】
【或いは子供が我侭するみたいに。自分が嫌だからやめろ、だなんて、幼い命令だ。赦さない――と言うけど】
【そもそも彼女に赦されるいわれなんてないだろう。まして、彼に直接何かひどいことをされたみたいな態度をとる、彼女に】

【(いつか。商品として扱われたことがあった、誰にも買ってもらえず、ひどい虐待を受けたことがあった)】
【(逆恨みとも八つ当たりとも言える感情が心の中でぐるぐるとめぐる。とにかく――人売りに人買いは赦せない、赦したくない)】

……今すぐそのひとたちを置いてどこかに行きなさい。そして、電話の向こうの誰かと一緒に地獄に堕ちて。

【問答無用に襲い掛かるだけの勇気はない。だけど、言い負かしてやるほどの言葉もない。必ず勝てるだけの、力も、きっと】
【出来るのは、本当に、我侭する子供みたいに警告を繰り返すことだった。きっと、どこかで、無意味だと理解りながらも】

【彼女が案外臆病らしい、というのはすぐに察せただろう。そして、同時に、妙に頑固なところがあることも】
【存外子供っぽい性格をしているようなのだった。それなら――或いは扱いやすいとも言えるかもしれないが、とにかく、】

そうしないなら……、……そうしなかったことを、後悔させてやる。

【上手く扱おうにも、こんなに敵意むき出しでは無理というものだ。するりと動く手、空中には魔力の軌跡がついと引かれ】
【最終的にぐっと掴むようにすると、それが――するすると端っこのほうから刃のような煌きを模倣する、やがて生まれるのは】
【一振りの刀だ。僅かに桜色がかる刃にはうっすらと水が纏わりつくような――在り来たりとは違うらしい、特別のやいば】

【たぶん、そろそろ、我慢の限界というやつで――】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/19(水) 22:30:15.73 ID:BNV5NMc6o
>>196

【やはりか──そう、魔術師は思った】
【既に炎の攻撃を見せている。そして結晶から感じる魔力。これだけ揃えば防がれるのは当然だ】
【息巻いた割にはあっさりと対処されてしまったことに、男は軽々しい笑みを浮かべた】


 はっ、これじゃあかっこはつかねえな。見本は見本でも悪い見本になっちまった


【そんな最中、彼はしっかりと視界に捉えていた。敵と人形の、その共通点に】
【煤。僅かなヒントではあるが男はすぐに理解した。“ダメージは共通である”と】
【──にやりと、笑った。防がれると思って攻撃しなくては、この情報は得られなかった】
【やはり“行動”以上に素晴らしい手段などないのだと】


 ははっ! ダメージの共有があるなら気をつけるんだな!
 何せ俺は……――うおっ!?


【お喋りが災いしたか、その変化に気がつくのが遅れた】
【音、そして強烈な痛み。腕のあちこちに刺さった結晶から出る水流は、いくつもの傷を大きく広げた】
【流石のこの魔術師もそのダメージは嫌ったのか、それらの結晶はすぐに破壊された──どうやって?】

【一瞬の風切り音と、男の外套がはためいたのに気がついただろうか。結晶を破壊したのは風圧だった】
【身体の表面に薄い空気の膜を作り、その圧力をさらに魔力で利用して破壊したのだ】
【相当に細かい技術だ。ただの派手好きではない、ということか】


 ……くそ、らしくねえことしちまったぜ
 中々に芸が細かいじゃないか。いいぞ、次は何をする!?


【似合わないことをしたという自覚はあるのか、この状況下でも苦笑いをして、さらに挑発を続ける】
【結晶を破壊したとはいえ、両腕のダメージは大きい……開かれた傷口から流れ出る大量の血が、袖や腕を赤く染め上げている】
【だが、男は自然な動きで両腕をあげ、手を前に出した。その最中に、苦痛の声を一瞬だけ漏らした】

【前に差し出した手には炎が灯り、それはすぐに消えて黄金の杯へと変わった】
【杯からは魔力が溢れ出ていた。単なる一つの魔力ではなく、様々な属性の魔力が】
【攻撃をしないのはもちろん、相手の出方を待つためだ】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/19(水) 22:33:55.88 ID:0FL9QLTk0
【――――深夜の繁華街、となれば治安も悪くなり。所々で客引きの声やら罵声が聞こえたりとするのだけれど】
【その中でも一際目立つ騒動が路地裏入口付近で起きていて】
【見遣れば柄の悪い男達に囲まれる青年が一人。その身形と気配とは軍人を連想させるもので】
【何よりも顔の左半分に傷跡が走っている事が特徴か。瞼が閉じられたままである事から、開かないのだと知れるけど】


「俺は金を持っていない…………と何度も言っている筈だが
縦んば持って居たとしてもお前達数人で奪えるとは到底思えないけどな」

【その言葉に逆上したのか、男達が一斉に襲いかかるも――――それぞれが拳の一撃で沈められ】
【残った一人が叫びながら飛びかかってくるが後ろ襟首を掴んで地面へと叩き落として】

【所詮は命の取り合いもした事の無い者達。強い痛みを味わえば蜘蛛の子を散らす様にして逃げ】


「全く、俺も舐められたもんだな―――――
さて、当初の目的通り飯でも食いたいが…………金も残り少ないし、どうしたもんか」

【大した障害でも無かったとばかりに溜息を吐けば辺りを見渡すが――――】
【先の出来事もあり、必然的に人集りが出来ているのだから遠目からでもよく目立つ】
【当の本人は周りでヒソヒソと声が交わされている事も気にせず辺りの店を見ているのだから、更に目立ち】











【人が余り近寄る事も無い険しい山道。精々旅の道や修行を目的とした者が訪れる程度で】
【今宵月明かりに照らされる其処を歩くのは一人の少年】
【纏っているのは何処かの軍服であろうか。布に巻かれた長物を肩に掛けながら歩みを進め、中腹に存在する秘湯へと辿り着けば担いでいた荷物だとかを下ろし】


「うーん……疲れた…………山を越えるにはまだ時間が掛かりそうだし…………ちょっとの休憩位良いよ……ね?」

【例えこの時期であっても長い時間山を歩けば流石に汗ばむ】
【更には直ぐ其処に温泉があれば疲れを癒やすのに打って付け。キョロキョロと辺りを見渡し、魔物だとかが居ない事を確認したなら脚を捲り湯に浸からせて】

【これまでの疲労を取るかの様に大きく伸びをすれば謂わば至福の時にも等しく】
【――――十代前半の子供が年寄り臭く湯の中で下腿をマッサージしたりとしている様は中々に滑稽かもしれないが】


【何はともあれ、殆ど人が訪れる事も無いこの場では水の音さえ良く響く】
【況してや硫黄の臭いに気付いたならば此処に辿り着くのも容易な事】
【仮にその場に寄るのなら丁度子供の背後から近寄る形となり――――その先は訪れた者次第、か】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/19(水) 22:38:29.56 ID:5aNe6D/DO
>>195


   ──違う……違うッ!

みんな一緒なんかじゃあないっ!
能力に怯えるやつ、そんな力を発現させた自分を恨むやつ!
力に溺れたり、道を違えるやつだっているだろう
でも、それはみんな、みんな、ちゃんと正しいことを教えてやれば、正しい力の使い方をしてくれる!

能力は、素晴らしいものだ!
私はこの力をくれたお父さんとお母さんに、感謝している!!
力があるから争いを止めれる!争いを止めれるから人は救える!
────救えるから、幸せに、なれるッ!

私はみんなを幸せにする!
悪事は叩き潰さず改善させる!
悪人は否定し殺さず改心させる!
私は────みんなが笑っている世界がほしいんだ!

そのため、に、も────ッ


   【 「 今は 、 お前を 、 倒す ──── !! 」 】


【今の状態では、話なんて出来ない。もっと、彼女のことを知りたい】
【彼女の思想を、心理を、感情を、感覚を、──痛みを!】

【どしゃ降りのように、拳が降りかかってくる】
【だがその拳を、リーべは「避けない」──!】
【腕による防御、防御、防御──しかし次第に、勢いに負けてジリジリと後退し始める】
【防御する腕には振動を這わせ──防御による攻撃を目論むも、焼け石に水】
【ぐぐ──浮かべていた笑みに、苦痛の陰が差すも】


────ウソだ!!
お前は痛いはずだ!黙らないぞ!何度でも言ってやる!!
私の拳を受けて、「揺らぎ」を受けて、痛くないはずがない──!


   だから────痛いって、言わせてやる!!


【リーべが、叫ぶ。獣のように、咆哮する】
【声にすら、僅かな「揺れ」や「衝撃」が紛れ込んでいるのか】
【びりりりり──建物が、大気が、夜が、揺れる】
【そして、Nemesisが刃で斬りつけようとした、その瞬間──リーべは軽く、後ろへ跳んだ、その時】


   【 ず ────  が、しゃああぁあぁああぁぁああああ !! 】


【リーべとNemesisの間の床が、唐突に崩れ落ちる……!】
【「唐突」──? 否……!】
【鼓舞するように踏みつけた床。空白の時間に軽くタップされていた、床】
【そして今の今まで──ずっと、同じ場所にいた、彼女】
【もし彼女が、床にずっと振動を送り続けていたとしたら?】
【もし彼女が、敢えて床を踏み、構造を脆くしていたとしたら?】
【──ぼろぼろになっていた床を崩すには、最早特別な力は必要ない】
【ただ──「跳躍」するための力を、下に送り込んでさえやれば】
【あまりに呆気なく──紙の床を破り捨てるかのように、コンクリートのソレは崩壊するッ!】

【一度崩れ始めた足元の支えは、止まることなくがらがらと階下に破片を落としていく】
【Nemesis──彼女も、無理に攻撃を続けようとすれば……!】

/ぎゃああああ遅くってごめんなさいいいい!
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/19(水) 22:54:41.19 ID:6+dkGtDdo
>>198

「ククク……俺様の弱点は俺様自ィ身が一番よォーくと知ィっている、釈迦に説法って奴だな」

【ダメージフィードバックの存在、それはこの者の弱点の一つであり、だからこそ対策を……】
【……しているのかは分からないが、ともかく余裕たっぷりの表情で堂々と言葉を放つのだった】

「ほォう、炎以外も扱えるのか、そォしてそォれもまァーまァの技ィ術、と――さァて、なァらば俺様も増ゥやそうか」

【一度水を放出した結晶は破壊されれば……破片は地面に落ちる。もう水属性の"魔翌力は感じない"】
【そう言えば、先程水飛沫を上げつつ盾になった結晶も……やはり、"魔翌力を感じない"】

「エルズペンタレグス!」

【もう一度自分の足元に魔法陣を生成し、やはり闇がいずれば形を成す――今度は何が現れるのか】
【それは、――まるで半円に脚をつけたかのようなフォルムの"化け物"だった、体長は50cm程度である】
【正面には蛇のような人のような顔、蛇のような牙、頭部と胴体部の区別は非常にわかりにくく、象のような短い足を4つ持っていて】
【大きな翼を持ち羽毛を生やし鱗の皮膚を持ち、そして、下顎が脚のように発達しており、地面にその底面をつけていた】

【化け物が翼を大きく羽ばたかせれば、巻き起こるは局所的な風。強さはそよ風なんてもんじゃあない、――これは"強風"だ、それだけならまあただの風だったのだが】
【一方、人型の魔物は……身体から水を滲ませ煤を取りつつ、両腕に魔翌力を充填し始める】
【それと同時に何をしたか、眼の前にあった結晶を蹴り飛ばしたのだ――熱によって弱っていたそれは簡単に"壊れて砕けて"】
【――そして、風に乗せられて勢い良く飛んでゆくッ!】

【風の吹く先は勿論男の方。(魔翌力を持たない)結晶の乗った風は、男を切り刻もうと襲いかかる!】
【必ずしも尖った部分が当たるとは限らないし、大きい破片もあれば当たってもかすり傷で済みそうな小さな破片もある、どうなるかは運も若干絡みそうだ】

【――男を包んでいた魔翌力が無くなった、今は何かが起こる様子はないが……】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/19(水) 22:56:27.10 ID:x9hGX9mso
>>197

――なるほど、大体傾向は掴めました。
ええ、ええ……どうやら何かお嬢様のトラウマを刺激してしまったようで

ならば、冷静になれというのは酷なものでしょう
憎い相手を前にして、頭を冷やして語り合おうなどと何処の聖人君子が出来ようものですか


【「――困りましたねえ」と最後に続けて、額の辺りを指でグリグリと弄ってみせる】
【どれだけ怒りをぶつけられようが、ある種の"余裕"が消えていない】
【相も変わらずおどけた様な、一見丁寧にみせてその実馬鹿にするかのような言葉が紡がれていき】


――いいでしょう! 本来私は無駄な戦いに興奮や達成感を覚える趣味はないのですが
御嬢様のその心に秘めた甘美な憎しみに免じて、今宵一幕遊戯に付き合って差し上げます!

私を戦闘不能にする
もしくはこの口から"参った"という言葉を、これ以降吐き出させることが出来たならば
大人しく彼らを解放しましょう! ええ、ええ、私はこれでも約束事は守る質ですのでご安心を!


【ルールは決まったとばかりに、白い歯を覗かせながらパンパンと手を叩いてみせる】
【……この道化じみた相手の言葉だ、どれだけ信用に足るかは甚だ疑問ではあるが】
【もし本当だとするならば、この男に力を示すことで少女は目的を達成することが出来るだろう】

【男は口元を大きく吊り上げながら、片手をスっと上げて――】


――まずは、前座からです。貴方様が人を救うに足る人物であるかどうか確かめさせて頂きます
力なき者の抵抗ほど惨めで、下らないものはありませんからねえ

その覚悟が、その憎しみがただの子供の我儘ではないということを
どうかこの猿めにお見せ下さいませ――キキキキッ!!


【――下ろす。同時に、人を掴んだまま止まって経過を見守っていた"影"が即座に反応し動き出した】

【数は左右に並んで二体。全身を覆う黒の装束が闇に溶け込み】
【顔に装着した猿の能面だけが不気味に浮かび上がったように見えるだろうか】

【先ずは右の"影"。音も気配もなく、地を滑るような異様に低い姿勢で少女に向かって駆ける】

【その途中で手首を捻ると両腕に装着した漆黒の手甲のギミックが起動し】
【上部に備えられたスリットから、手の甲に沿うようにして全長30cm程度の白刃が弾き出るようにして現れた】

【もし接近することに成功できたならば】
【その"影"は下から掬い上げるようにして右腕を振り、その刃で少女の腹を大きく切り裂こうとするだろう】

【もう一体の"影"は、今は攻撃することはない】
【ただ、攻撃を仕掛けた影の後ろを一糸乱れぬ動きでピタリと追走し経過を窺っている】
【恐らくは、最初の影と少女の対応の結果に合わせて相手の隙を突こうと狙っているのだろう】

【対応を誤れば即座にこの"影"が第二の刃となって首を刈り取る】
【前に走る影は"盾"であり"囮"――この意図を見抜けたならば、それを見越した上で相応の対処を取ることも可能であろうか】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/19(水) 22:58:43.44 ID:TZw1TWsf0
>>199

【男が路地裏入り口で騒動を起こす前】
【路地裏の入り口から奥、その場所で二人の男が話していた】

 依頼の商品はこれでよろしいのですね?、お買い上げありがとう御座います
 では指定された銀行にお金を振り込んでおいてください、それが確認され次第、注文された品をお届けにまいります

【人があまり来ないこの場所で、商談をおこなっていたのだろう】
【一人の男黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットで20代後半に見えアタッシェケースを持ち歩いている】
【その真っ黒黒な男こそが商売人で、もう一人の男が購入者なのだろう】
【そして、また購入者の方の男が一言を言って入り口とは反対側に走っていった】
【商売人の男も入り口の方に向かって行く】

【路地裏入り口、そこに近くなっていくとそこには辺りを見回している男】
【そしてあたりに人が集まっていて、騒動が起こっていたのだと容易に推測できた】

 おやおや、どうやらなかなかにさわがしくなっているようで
 この騒動の中心に居られるのはあなたですかな?

【騒動の中心にいる男にそう呼びかけて彼は入り口の前に止まった】

 あー、あとそこどいてもらえませんか?、ここから出られませんから

【とまったのはどうやら男が入り口にいるため出られないかららしい】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/19(水) 23:01:14.51 ID:KLEfkepro
【夜――――フルーソ第一メガフロート、閉鎖エリア】

【廃墟同然の立ち入り禁止区域にて、一人建物の上に佇む少女の姿が在った】
【幼さは抜けきっていないものの顔立ちは整っており、瞳は切れ長で紅色】
【艶やかな黒髪を後ろで一つに結っており、肌は白磁の様にきめ細かや】
【学校指定の黒いブレザーに身を包んでおり首元には薄桃色のマフラー、足元は黒タイツと編み上げのブーツを着用している】
【背中にはスクールバッグと特注の大きめな竹刀袋を背負っており、一見すれば部活帰りの女子高生といったところだろうか】

「はぁ…………さむ」

【空に浮かぶ月をぼーっと見つめながら、肌を撫ぜる寒風に思わず呟き白い息を吐き出す】
【此の地は立ち入り禁止区域とうたわれてはいるが、政府が撤去費用を渋るような地に警備員などいるはずもなく】
【入り口のバツ印を平然と無視した彼女は、コンビニの物と思しき白い袋を揺らしながら容易に侵入を果たしていた】

【何か理由があって此のような場所に訪れたのか――――残念ながら、語るべき深い事情が在った訳ではない】
【ただ単に人が居ない場所が好きだから、人の居ない方向へと歩いていたら此の場所についていた、それだけの話である】
【この場所には殺すべき対象も、避けるべき他者も居ない。それが彼女にとってどれほど気の休まることなのか、他人には理解し得ないだろう】

「…………はむ」

【一番背の高い建物にせっせと足を運ぶと、腰掛け荷物を降ろした】
【袋から購入したメロンパンとまだなんとか温かいペットボトルのお茶を取り出すと、メロンパンの包装を開け】
【一口齧る。さくさくとした外側とふんわりとした中身――――コンビニの食べ物も、中々に侮れない】
【口の中に残る甘さをお茶で流し、ふぅと一息。一人の時間は彼女にとって、数少ない心休まる一時だった】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/19(水) 23:09:56.79 ID:c9jR3Bogo
>>200

【どうにかなるのなら、きっと其れが一番よかったのだろう。】
【言って分かるのなら、きっと其れが一番効率的だったのだろう。】
【手を差し伸べて救えるのなら―――其れが一番、暖かかったのだろう。】

【だがそのどれもが彼女に相応しくなく、そのどれもが彼女を傷つけた。】
【いや、今更か。もうずっと、彼女は傷ついてきた。今更傷が一つ二つ、増えた所で。】
【もう痛いだとか、苦しいだとか、そういった何かすらもどこかへ置いてきてしまっていたのだ。だから。】

 ―――分からない……分からない。アンタが……さっきから、何を言って居るのか。

 能力者が、素晴らしい……? 能力が良い物……? 人が皆違う……? ―――"りょう、しん"。

 ……おとう、さ……あ、あ、ああああ、ああああああああああああああああああああああああああああッ!!

【紡がれた言葉が脳裏と胸中に深く深く深く突き刺さっていく。両親。お前の親は何処だ。】
【地獄か。天国か。其れは分からないけれど。愛を受けた彼女と彼はもういない。もういないのだ。】
【感謝などできるか。出来るわけが無い、もういないのだから。謝る事も、許しを請う事も、もう出来ないのだ。】

【黙れ。黙れ。親の名を口にするな。黙れ。黙れ。笑うな。世界は笑うことなど無い。】
【拳を、もっと拳を。振り上げた腕を振り下ろし、翳した刃を突きつける。もっと、もっと強い"痛み"をコイツに。】
【喋らせるな。これ以上、この女を話させるな。NemesisはNemesisでなくなる。梨花は梨花でなくなる。私が、私で―――なくなる。】


 やめろ、やめろやめろ、やめ――――――――――――――――――――っ。


【崩壊。崩れた足場に、意識が回る事など無い。ただ―――彼女は、崩落する。堕ちていく。】
【崩れたブロックが、コンクリートが階下の床を穿ち、その雨霰の中に彼女の姿を、多い尽くしてしまうだろう。】

【―――死んだ、か?】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/19(水) 23:18:23.88 ID:BNV5NMc6o
>>201

 ははっ、そいつぁ悪かった……そりゃあそうだ
 俺も自分の弱点を指摘されたらイラっとしそうだぜ


【他愛のない会話だった。ダメージはこちらの方が圧倒的だというのに、そうする余裕があった】
【この男もまた、おかしな自信のある人間だった。この状況であっても、真剣味が殆ど感じられない】

【強風が身体を軽く押しのけた。片足を下げることでその風に耐える】
【黄金の杯から溢れていた魔力は彼の身体に纏わりついた。まるで霧のように、あるいは泥のように】
【役目を終えた杯は、炎と化して消えた】


 おいおい、つまらないことをするなよな
 待ってやったというのに、出てきたのがそんなものか……

 ──“俺相手”にまだそんなことをする余裕があるのか?


【両手を目の前へと広げる。その手の間に小さな火が灯った】


 炎はうねり、混ざり、彼方へと駆ける


【男に纏わりついていた魔力が小さな火へと移り──弾けた】
【それは怪物を狙った初撃と同じ、直線的な火炎放射。問題はその甚大な規模だ】
【炎は前方に噴出するとすぐに縦横へと広範囲に膨張した。それはまるで巨大な壁、あるいは津波となって迫り来る】

【更に、気づけるだろうか──それは単なる炎ではなく、風の魔力を含有していることに】
【単に風を吹かせ炎の勢いを増大させているわけではない。男へと向かった細かな破片は、炎の熱によって溶かされるだろう】
【しかし──大きな破片の一部は溶かされる直前、壁か何かに衝突したかのように弾かれた後、融解した】

【そう、この炎は熱を持つと“同時に”風としての性質、物理的圧力を持っている──!】
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/19(水) 23:22:50.69 ID:5aNe6D/DO
>>205

【リーべが思っていた以上に、彼女の言葉はNemesisを苦しめていた】
【だがリーべはそれを悔いたりはしない──むしろ、必要なことだと思っていた】
【叫び、叫び、叫び──「お父さん」】
【その言葉が聞けて、安心すらしていたかもしれない】
【“変化には苦痛が伴う”──それが、リーべの持論だったから】

【ず、ん──滅多打ちにされた腕が、今さらながら悲鳴をあげ始める】
【だが、リーべはここで行動を止める訳にはいかなかった】
【彼女を──Nemesisを、死なせるわけには、いかなかったから】


──おい……おい!
大丈夫か──生きているか!?


【がらん──1人になったフロアに、リーべの声が静かに響く】
【わぁんとどこかで声が反響し、小さな唸りをあげた】
【「少しやり過ぎた」──そう、リーべは思う】


……いつも、こうだ。やり過ぎる


【──浮かべた表情は、どこか苦々しげなものだった】
【だが、ここでぼんやりしているわけにはいかなかった】
【こうしている間にも、もしかしたらNemesisは死にかけているかもしれないのだから】

【──がらり。慎重に、階下に飛び降りる】
【油断させておいて、襲ってくるかもしれない。そのことを、頭の隅に置き】
【がらら──コンクリートの山に降り立ち、Nemesisの捜索を始めようとしていた】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/19(水) 23:24:28.65 ID:ba8FrbRr0
>>202

【――ぎり、と、歯をかみ締めるような音がする、錯覚。トラウマという単語に、あの時の記憶が蘇る】
【商品として扱われた頃の嘘みたいな甘やかしと、そこから転落したときの、手のひら返し】
【売れなかったのは自分のせいだろうか。――だけど、それすらも、“やつら”への憎しみに変わっていって】

【相手が余裕であるのが気に食わなかった。ただのありがちなチンピラみたいに、殴りかかってでもくればいいのに】
【そうしたら、――そうしたら、何も思わず殴り返せる。だけど、こういう態度をとる人間は、あんまり見たことがなかった】
【彼が強いのか弱いのか、それすらも上手く掴めない。乗せられていると言ってもいいはずだ、その言葉に】

……――嘘吐いたら、針よりひどいもの飲ませてあげる。

【きらりと手のひらの中に生れ落ちた刃が煌く、それは、ただの鋼だけとは違って――水が屈折させる、複雑な煌きを見せ】
【まさかただ水浸しの刃ということもあるまい。だとしたら、それが、何なのか。これこそ、飲ませてやるべき“ひどいもの”】
【つまるところ、この世のものを等しく害する強酸、なのだが――あくまで、彼女はその力を借りているだけに過ぎないなら】
【それは万物を害する毒ではない。ただ、……人間の肉を時間をかけて溶かす、くらいの芸当は出来る、毒だ】

【――奇妙なやつだと思った。彼本人もだが、そこに従う、二つの影も】
【するりと地面を滑るような仕草はなんとなく気色が悪い。かたんと引かれる右足は、ただ、】
【間合いを取るようでもあり――、同時に、地面に魔力色の波紋を生み出す。それは、水面に何かを落としたような】
【――地中に彼女の魔力の気配がする。それは確かに不穏な感じがするだろう、何か仕込まれたと、すぐに分かる】

――自分で戦いなさい、そうしたら、その足も、手も、使い物にならないぐらい――ッ!

【がぎゃりと嫌な音がする。地面に突き立てるようにした刃は、振るわれる腕の側、身体よりも外側に添って】
【振るわれる刃を受け止める――のだが、見ての通りの細腕だ。何秒も持つとは思えないし……実際、腕は震えて】
【しかし刀が吹き飛ぶ前に身体は動く。刀を支える両手に体重を預け、突き出すのは左足だ。いわゆる、ケンカキックのような】
【そのまま、お帰りください――なんて言葉はないけど、刃を振るった影を蹴りッ飛ばそうとしている、さらに悪いことに】
【彼女はヒールの靴をはいているから――ただの靴よりもいくらもダメージは増すだろうか。もちろん、命中すればの話】

【――だけれど、そう、その行為は。あくまで一匹目の影にのみの動作だ。二匹目に対しては、何を出来るでもなく】
【確かに隙であるなら――二匹目がそこに居る意味があるというものだろう。しかし、彼女の仕込みはそれよりいくらか早く】
【地面からばっと生えて来るのは、蛇だ。身体が水で出来た蛇、頭の中に銀色の鈴をひとつだけ浮かばせた、――水蛇】
【咄嗟に発動させたものだから実際の毒性は弱く、肌を焼くには物足りない。だけど、その蛇が牙を剥くのが見えるなら】
【うかつに飛び掛ってくる体当たりを食らうのは“いかにも”よくなさそうで――】

【しかし、影が警戒心すら無視できるなら。その攻撃は、確かに彼女の柔肌を捕らえることができるだろう】
【相手の警戒心に頼りきった、攻撃力のほとんどない攻撃。蹴りはともかく、呼び出された水蛇は、そんな見かけ倒しだった】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/19(水) 23:50:46.58 ID:c9jR3Bogo
>>207

【「おはよう」―――そんな言葉が、先ず耳に入った。】
【「いい天気だね、今日はお友達と遊びに行くの?」―――母の声か。】
【「夕飯までには帰って来なさい、最近この辺りは物騒な事も多いから」―――これは父。】

【懐かしい、これは"あの"日の朝の出来事だ。そう、確か私は村から離れた場所へ探検に出ていた。】
【まだ幼く、冒険心の強かった私は、日に日にその行動範囲を広めていて、遂には隣村との境界付近まで】
【自らの足を進めていたのだった。そう、"あの日"私は村には居なかったのだ。だから、今私は此処に居る。】

【―――全てが火に飲まれていく。家も。人も。悲鳴も。苦痛も。生も。死も。みんな、みんな、みんな。】


 ―――――――――――……。


【目を瞑る度に思い出す。眠る度に見る悪夢。もはや悪夢でもなかった。】
【脳裏から離れない"炎獄"の光景を胸に抱き―――思わず、声が出そうになる。】
【苦しい。思い出したくない。もう見慣れているはずなのに。なのに。いやだ。こわい。失いたくない。】


【―――静寂。瓦礫の山が動く事は無い。下敷きになったNemesisは確かに、居る筈なのだが―――。】
【しかしあの強烈な身体能力の怪物がこの程度のダメージで死ぬとも思えない。ならばなぜ、声を出す事は愚か】
【反応一つ見せないというのか―――疑問は不安へと変り、そして自体は急転する。小さな小さな、一匹の虫によって。】


【しゅるしゅる、しゅる―――音もなく這い出た一匹のムカデが、リーベの足元付近に近付いていって。】
【コンクリート片の隙間から現れたその昆虫は、瞬く間に自らの肉体を巨大化、脱皮を繰り返すようにして瞬時に成長】
【1秒か、2秒か、ともかく瞬間的な間に"物音一つ立てず"に―――数メートルの大きさに進化すると、その影をゆっくりと、リーベに落とす】

【―――刹那。ムカデは彼女の背後から襲いかかるだろう。全身をくねらせ、触手のように操り、】
【丁度の彼女の身体を足首から"巻き込む"ような形で締め上げようと、腹部、胸部は真ん中から絞り上げる様に、】
【そして首筋に絡み付こうとして―――強烈な怪力で、一気に襲い掛かる。勿論、回避する事は可能だろう。だが、引き剥がすのは難しい】

【流石に大きいというだけあって、ムカデのパワーは圧倒的である。力勝負となれば、相当な時間を要する。】
【上に、このムカデの脚部は―――そう、無数の脚は一本一本が驚異的なまでに鋭利であって、絡みつかれたのならば】
【動きを封じる事は愚か、そのまま触れた部分を次々引き裂こうとしてくるだろう―――ッ! 放っておけば、ダメージは必須、である。】


【―――そうして、そのムカデとリーベから少しだけ離れた位置から、ブロックを破砕して】
【瓦礫の生き埋め状態からNemesisが復活する―――腕に持っているのは、何か"注射器"にも似たモノで―――これは、まさか。】



 きえない・・・・頭の、なかから、きえない、きえない、こえ、きえない、いや、もう、いや・・・きき、きき、たくな―――。



【震える身体を無理やり押さえつけるように、怪物は幾本もの注射器を腕に―――突き刺した。】
【皮膚を貫き、関節の隙間から針が侵入し、体内に毒を撒き散らす。そう。それは余りに甘い毒。全てを消す、甘い毒。】
【彼女を幸せに出来る唯一の存在、痛みも、過去も、悲鳴も、記憶も、人生も、未来も、希望も、―――全てを奪う、幸福の薬であった。】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/19(水) 23:50:53.42 ID:mXcoJabF0
>>204
/まだ絡み待ち中ですか?
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/19(水) 23:55:15.00 ID:x9hGX9mso
>>208

「――――っ!」


【ガギン、と金属にぶつかる音と若干の衝撃が少女を襲うことになろうか】
【刃を振るった"影"は、反対の腕に備えた刃を盾のように構えることで、少女の繰り出したヒールによる蹴撃を受け止める】

【しかし、見た目通り体重が軽いのかただの蹴りでもそれなりに効力はあるようで】
【僅かに後退し体勢が崩れ……即座に追撃することが適わなくなった】


「…………」


【二匹目の"影"は、蹴りを放った隙を狙い攻撃を仕掛けようとするも】
【その直前で奇妙な水の蛇の姿が視界に映る】
【この影が狂戦士であれば構わず攻撃を敢行し、少女に痛打を与えることも出来たかもしれないが】
【飽く迄も"暗殺者"であり、慎重かつ計画的に相手を[ピーーー]ことを優先する思考を持っている】

【故に正体不明の蛇が必殺の罠である可能性を否定できず】
【懐に飛び込むことを愚と判断し、その場から飛び退り中距離程度まで移動する】
【少女の思惑は見事に成功――必殺の布陣を打ち破ることに成功した】


「…………」
「………………」


【だが、当然ながらこれで諦めるほど甘い相手ではない。二人の"影"は即座に次の行動プランを練る】
【近距離で蹴りを受け止めた影はその場から身軽なバク転で離脱し、先に移動した影の隣に並ぶと】
【突然片方の影が大きく腕を振り上げ――少女の方へと思い切り"何か"を飛ばした】

【それは漆黒の塗装が施された「鎖分銅」。先端に小型の重りが取り付けられた細い鎖である】
【恐らく衣装の内部に仕込んでいた暗器の類だろう。其れは恰も闇を舞う"蛇"であるかのように】
【ジャラジャラと音を鳴らしながら高速で少女の"右腕"に向けて襲いかかり、行動が通った場合腕を雁字搦めに固定しようとするだろう】

【それと同時に、もう片方の影が行動を開始する。懐から数本の黒い物体を指の間に挟むようにして取り出した】
【先程の鎖分銅同様に漆黒の塗装が施された「スローイングナイフ」。それが全部で三本、少女目掛けて投擲される】

【拘束により動きをその場に留めた上での、ナイフによる遠距離攻撃】
【蛇を見たことで接近することを危険と判断し、距離をとって確実に仕留める方向へと移行したようだ】

【臨機応変にして、以心伝心の連携攻撃】
【このコンビネーションを何らかの手段で崩すことが出来たならば、勝利を一気に近づけることも可能であろうか】
【この影を嗾けた男はあいも変わらず何が可笑しいのかにやにやと、締りのない笑みを浮かべたまま高みの見物と洒落こんでいた】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/19(水) 23:55:34.91 ID:KLEfkepro
>>210
//はい、まだ募集してます!
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/19(水) 23:57:04.93 ID:6+dkGtDdo
>>206
                            .  . . . .
「だァからさァっきも言ィっただろう?」 「――理ィ由がねェ、ってなァ!」

【自身を持った口調で放たれる言葉、それは暗に"本気出す必要ない"と言っているのかもしれない】
【――もっとも、本当に本気を出していないのかを証明する手段もないので、単なる負け惜しみの可能性も有るのだが】

「……ほォう、吹ゥき飛ばした結晶を溶ォかしきるか」

【その者の眼は僅かに細くなった。】 【――そして、足元に魔法陣が生成されたかと思えば】
【…………今どうなっているのだろうか、炎の波の大きさ故に確認が出来なくなると思われる】

【――さて、波が通り過ぎた頃の状態を確認してみよう】
【まず、召喚されていたはずの2体の魔物は"姿が見えない"、そう死骸すらないのだ――】
【次に、その者の姿が"変化している"――先程、結晶の人型の魔物を召喚していたが、それと色と魔翌力以外は似ているのだ】
【身長は変わらず2m超えだが、その全身を覆うのは山吹色に光る模様を持った朱色の結晶。まるで鎧のようである】
【内部にコアは見られないが、黒色の身体の様なモノは見える。おそらくこれが中身だ】

「"剛朱晶の強炎魔"――ククッ、宝ォ玉の欠ァ片を失っても力は衰えず、か」
「全身がビィリビリすゥるぜェ、こォれが間ァに合ァわなかったら灰が残ったかも怪しいとォころだ」

【位置は先程のそれより10mは優に離れていて、炎津波に流されてダメージを負ったのは間違いない――動きが鈍っているのだから】

「――喰ゥゥらえッ!」

【魔物の死骸はない、けれど焼け焦げるどころか燃え盛る男の死体は残っていた――何故か】
【その者は一気に死体に近づき、そして……男に向けて蹴り飛ばす】 【……これがただの死体であるならば、ちょっとした隙を作れるか否かで終わっていた】

【しかし、それはもう"死体ではなかった"】 【……この死体、動く!】
【炎を纏ったその"元"男の死体は……炎を無作為に撒き散らしながら、男に向けて山なりに飛んでゆく】
【もし当たってしまった場合、男(10kg未満)が抱きつこうとしてくるだろう。その行為は、急に吹き飛ばされたので着地点を掴みました程度の、反射的行為に過ぎない】

【その行為の後、右腕の結晶を刃状に変形させ、そして男に向けて急接近! 接近に成功すればその刃でこちらからみて右上から左下にかけて胴体を斬ろうとする】
【通常の刀剣には劣るものの切れ味は十分。但し、火傷を負っている為か、接近速度・攻撃速度、どちらも意外と大したことない。】 
【前の行動を対処してからでも十分対応可能だろう】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/20(木) 00:21:54.48 ID:eYyTIx/DO
>>209
/改行しすぎで消えたorz
/もう少々お待ちを…
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/20(木) 00:26:08.19 ID:mjAOG0Wpo
>>213

【放った魔術は魔術師の最も得意なもの。派手好きな彼に相応しい、眼前のもの全てを飲み込む業火だ】
【しかし──炎が消えれば残ったのはなんだ。灰と化しているべきものが何もない】
【残っているのは術者と、燃え盛る単なる人間の死体だけ──男の顔が歪んだ】


 ……なるほどな、やっていることや見た目と違って、戦い方が俺とは違うってわけだ
 派手なことは期待できそうにないな……


【魔術師の男は明らかにつまらなさそうだった。期待していたものはもっと、分かりやすい強大さだった】
【だが、これはこれで良い。派手だろうと弱くては面白くない。地味であっても、自分の術に耐えるならそれでいい】
【いいだろう……そう思い、もう一度笑った】


 弱くないのは認めてやろう……だが!
 それでは俺には勝てんぞ!!


【手を下から上へと払う。その瞬間、大きな爆発音。蹴り飛ばされた死体は上へと吹き出す風によって弾かれた】
【そして右手を開き、槍を召喚する──刃が二つ合わさったような、独特の矛先を持つ槍を】
【常に狙うのは防御ではなく攻撃。回避行動も取らず、その槍を向かってくる怪物へと突き出す!】

【突き刺さろうがそうでなかろうが、命中さえすれば至近距離の穂先から前方に向かって小規模な爆発が起こる】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 00:28:16.51 ID:H5evuGcA0
>>211

【蹴りが確かに命中する鈍い感覚。だけど、それは柔らかい肉を捕らえた感覚ではなく、足の隙間から見える光景は、】
【自らを切り裂こうとした刃でその身体を守る姿。半分成功、半分失敗、――だけど、それに追撃することは出来ない】
【それよりも自分のほうが追撃される危機にある。幸いにも、影は水蛇を警戒してくれたから――かろうじて、助かったけれど】

【きしゃあと音もなく牙を剥いた蛇は、虚空に躍り出た身体を、最終的には地面で弾けさせる。何の他愛もなく、水の塊みたいに】
【後に残るのは銀色の鈴だけ。だけど、それも、何とか体験とか言う間違い探しみたいに、ゆっくりと消えていくなら】
【夜に溶け込むようだった少女の髪が闇から浮き上がるように落ちて来る、そうして、その身体にそっと寄り添い――】

――――きゃっ、!

【ひゅんと空気を裂く音。漆黒色に塗られた武器は、ほんの一瞬だけ、少女の視界から掻き消えた】
【投げる瞬間までは見えていた、次に見えたのは――腕に絡みつく瞬間。まるで蛇が喰らいつくような、その瞬間】
【咄嗟に腕を動かしてはみたものの、その頃には既に自由はない。よっぽどひどく絡まれてこそいないが、】
【特に手首の辺りをがっちりとつかまれて――さらに悪いことに、利き手を封じられる、という結果になる】

あ…………、――、このッ、

【ぐいと手を引っ張ってみる、だけど、望むような動きは返ってこない。きっと、影はその鎖を手放さないだろうし】
【そもそも少女は怪物じみた怪力を持つわけではない。華奢な身体にしては、強い力を持っているが――常識的な範囲でしかなく】
【暴れれば暴れるほど、骨にまで痛みが染みていく。影が鎖を引くというなら、その体勢も、大きく揺らぎ】

桜花っ――、ぐ、う、

【だけど、刀だけが彼女の得物じゃなかった。振るう左手、ぶわっと広がって煌く魔力は、空中でくるくると渦巻き】
【瞬きの間に幾匹もの蛇の姿をとる。さっきと同じだ、水の蛇――頭の中に銀の鈴を宿す、強酸の蛇】
【今度こそ攻撃のための毒性を持ったそれらは、まるで矢のように影らへ突進するだろう。合計で、五匹】
【しかし、速度はそれなりだが軌跡がまっすぐで狙いも甘い。さらに言えば、魔力のために薄らと発光するため、位置も分かりやすく】
【三匹が鎖分銅を持つ影へ、もう二匹がナイフを投げた影へ、向かい――その入れ違いのように、ナイフは少女を捉える】
【ひとつは少女の柔らかそうな頬を裂き、ひとつは、少女の薄っぺらい腹部に突き立ち、もうひとつは――足の、太ももを裂き】

【頬と太ももは大した傷でないように見えた。だけど問題は腹部のそれ、元から赤い服に、刺さったナイフを中心に黒がにじむ】
【痛みがつんと脳に突き刺さる感覚はやっぱり慣れない、不愉快だし、――だけど、それよりも、】

――――ッッ!

【――後ろで笑っている彼のほうが気に障った。それは八つ当たりみたいなものだったろう、本来なら、そんな余裕はないのに】
【地面に突き立てたままだった刀を左手だけで抜く、そして、――思いっきり、影を超えて、男へとぶん投げようとするのだ】
【投げナイフの真似事をするようで、実際は少し違う。宙へ投げ出された刀は――途中で、それこそ手品のように水蛇へ姿を変え】
【影たちへ襲い掛かったのとまったく似た性質でもって男へ攻撃を……咬み付こうと、するのだろう】

【しかし、この水蛇たち。元が水のせいか、防御力らしい防御力を持たないという特徴があって】
【ひどく簡単に壊すことができる。問題があるとすれば――やっぱり水のせいか、壊し方によっては飛沫が散ることがあり】
【その場合、飛沫も強酸性を持つため、余計に回避しづらい攻撃に変化するという特性が、あるのだった】

【ただ、どちらにせよ。ただちに肉が解け落ちる――というほどの酸性ではない。もちろん、長く放っておけば危険だろうが】
【長く放っておけば危険なのは少女も同じこと。腹が薄っぺらいだけ、大事な内部にもぐりこんでいるようだったから】
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/20(木) 00:31:02.95 ID:X7LTDlv+0
>>204 >>212

【再開発事業が滞り、灰色の沈黙が垂れ込める浮島の廃墟】
【孤独を求めてこの場所へと駆け込んだあなたにとっては、いささか不本意なことかもしれないが】
【彼女が寛ごうとして高台に腰を下ろしたすぐ後に、小さな足音が聞こえてくる】
【程なくして闇の中から顔を出すのは――あなたと大して変わらない歳頃と思われる、ひとりの少女だった】

おやっ? もしかして、そこに誰かいらっしゃいます?

【訝しむような声音で、彼女は出会い頭にそう尋ねるだろう】
【ぼんやりとした月影の中で明らかになるその顔には、ちょっとオーバーな狼狽が浮かんでいた】

ここはルネのパーソナルスペースだと思っていたのですが、今日は違うみたいなのです。
立ち入り禁止区域に入ってくるような「あうとろー」が他にいるなんて……ルネ、びっくりなのです。

【銀色の髪を所在なさげに指先でくるくると弄りながら、一人称で「ルネ」と名乗った少女は言葉を続ける】
【絶えず手を動かし、もじもじと足踏みする様子からして、こういった遭遇は全く想定外だったらしい】

もしかして、ルネの居場所を嗅ぎつけて追い出しに来たのでしょうか……?

【あまりに突然だったせいか――何か、勘違いが生じているようにも見える。それを正すかは、あなたの自由だ】

/では、よろしければ絡みをお願いします!
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/20(木) 00:37:38.13 ID:eYyTIx/DO
>>209

【がら、がら──コンクリートの塊を、ひっくり返し、山の下に落とす】
【Nemesisを、探しているのだ】
【リーべの表情に、もはや笑みは浮かんでいなかった。あるのはただ、悲痛な表情】
【がら──また、塊をひっくり返す】
【「お願いだから……生きててくれ──」──そう、思った瞬間だった】


   ────な……っ!?


【──ぎゅるん。唐突に、身体が宙に浮く】
【ぞわりとした寒気は、後から遅れてやってきた】
【ぎし──間接が、悲鳴をあげる】
【びり──纏っているコートが、破かれていく】
【何が起きたか咄嗟には分からず、背にある刃を抜こうとするも】
【彼女を磔刑にしている何かは、それを許してくれなかった】
【ようやっと、何が起きているか分かる──ムカデのような、無数の足が視界に入り】
【ぶち──皮膚がゆっくりと、斬り裂かれていく】

【徐々にリーべの表情が、苦痛で満たされていく】
【だが皮肉にも──再び現れたNemesisが、その表情を妨げた】
【「生きて──」一瞬。だが、ほんの一瞬だけだった。リーべの表情が安堵に染まったのは】


   ────おい、何を……

   【──銀色に光る、針】

   や、め────……

   【透明で、何がに充たされている筒】


   や────やめ……やめろぉおぉおぉおぉお──ッッッ!

   【 號 ──── ッ ! 】


【ほえる、吠える、吼える──!】
【それは怒りだった。Nemesisを「そう」させてしまったものに対しての、怒り】
【じ、じ、じ──周囲の大気が、急に熱を帯び始めた】
【まさか──「振動」……大気を震わせて、熱を、産み出しているのか──!?】

【ぐ、ぐ、ぐ──彼女の周囲が、震える】
【リーべを拘束しているムカデは、彼女に触れている部分が激しく振動していることが分かるはずだ】
【このまま彼女を拘束しておけば、接触箇所からムカデの身体が崩壊するという、ことだって──!】

/書き直しましたが何ヵ所か書き忘れあって雑かもしれません!ごめんなさい!
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/20(木) 00:50:48.58 ID:vi8wIvRJo
>>218

【音もなく、甘美な感覚が全身に広がっていくのを感じる。】
【同時に、その身体が償う事の出来ない猛毒に犯されていくのも―――】
【だがもう、其れで良かった。縋るモノがあるだけで。自分を助けてくれる何かがあるだけで。】

 ぁ……、ふっ……んっ、んんっ……、う、ぁ……はぁ、うぅ………、


 ―――きもち、いい。

【血液が滾る。全身の水分が発熱する様な、猛烈な感覚がNemesisを襲う。】
【これだ。これを待っていた。痛みが消えていく。哀しみが消えていく。声が消えていく。】
【全部全部、嫌なものがなくなって、タダ残るのは快感のみ―――嗚呼、これだ。私はコレを求めていた。】

【Nemesisは全身を震わせながら、先程までのダメージをまるで感じさせない機敏な動きを取り戻す。】
【もはや眼前の敵が吼えようが、止めようと叫ぶまいが、おかまいなしだ。知った事か、そんなもの、こんな状況。】
【どうとでもなってしまえ、そのムカデももはや要らない。発熱?熱い……でもどうでもいい。どうせ、全てなくなっていくんだから。】


 ……もっと、ほしい……ひ、ひひ、いひひひひひひひひイヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ……!!
 寄越せ、寄越せっ、寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ寄越せッ!!お前の命を寄越せッ!!

【ムカデの締め付けがより強固なものになる。Nemesisが叫ぶのと同時に、連動するように。】
【だがその身体はもはや限界が来ていた、これ以上くっついていれば―――体の節々から血が吹き出る。】
【あと数秒、もって10秒かそこら、ムカデは死を覚悟していた。だが怖くは無い、自分はNemesisの使役する仲間である。】

【―――主の攻撃の、その一瞬を生み出せれば。どうなっても構わない。拘束を強める。】
【その間に、Nemesisは奇声を挙げながら、ムカデに蒔き付かれた状態のリーベへと突撃し】
【全力のとび蹴りをお見舞いしようとするだろう―――そう、ムカデごと、容赦無く、始末しようと。】


 ―――――――――――消え、ろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!


【もし、この攻撃が当たった場合、ムカデとリンクする彼女の感覚に強烈なダメージが向かう。】
【だが知った事ではない、なんせその感覚とやらも全部、今の彼女には幻に過ぎないのだから……。】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 00:54:37.69 ID:3xgEb1Tio
>>217

【メロンパンの甘さにうつつを抜かしていたのが原因か、彼女は銀髪の少女の接近に直前まで気付かなかった】
【仕事の際は異様なまでに鋭い感覚を振りかざしているものの、普段の彼女は常人となんら変わらない――――いいや、それどころかはっきり言って抜けていると言ってもいい程だ】
【更に此の場所はあまり人が立ち寄らない。彼女は完全に油断し切っていた】
【もう一度パンを齧り、甘い。幸せ。なんて酷く幼稚な思考で表情筋を緩めていると――――声】

「――――――――っ!?」

【咄嗟に振り返る。おそらく月明かりに照らされた彼女の緩んだ顔を、少女は見ることが出来ただろう】
【というか振り返っても緩みっぱなしだった。普段無表情で澄まし顔を保っているからか、こういった表情は慣れていないのである】
【メロンパンを持っていない片手で口元を隠し、頬を上気させながら彼女は急いで口の中に残っていた其れを飲み込む】

「えっ、えと……………」

【あまりに突然の出来事だったため、言葉が出てこない。普段から会話らしい会話をしないのが原因だろう】
【見たところ相手は自分を追い出しに来た人間というわけではないらしい、というか口ぶりからして相手も自分と似たような認識を自分に抱いているようだ】
【頬を隠すように薄桃色のマフラーを少しずり上げ、落ち着くために一度深呼吸し】

「…………大丈夫、私はただここでご飯を食べてただけだから」
「それにアウトローでも無いわ。ただの女子高生――――ちょっと、静かな場所が好きなだけのね」

【そう、彼女はアウトローではない。おそらく其れ等よりも、もっと悪質な存在だ】
【数多の人間を殺害し、そしてなんでもないかのように平然と日常世界に入り込む――――きっとそれは、普通の人からすればとても恐ろしいことで】
【普通の女子高生、だなんて自分で言っているが、其れは自嘲的な意味合いも含まれていた】
【それに一見すれば確かに変わった点は見られないが、もし少女の感覚が鋭ければ気付くことが出来るかもしれない】
【彼女の傍らに置かれた竹刀袋、其処から僅かに感じる薄ら寒さ――――罪人の首を斬り落とし、血をスイ魂を喰らい続けた結果地獄を内包するに至った、禍の呪刀】
【竹刀袋に納められ、鞘から抜かれずとも其の存在感は異質だった――が、少女自身どこか独特な雰囲気と人目を引く容姿をしているため、そちらに目が行かない可能性も十分にあるだろう】

//よろしくお願いします!
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/20(木) 00:59:29.03 ID:nUEy6z/ho
>>215

【男の死体は弾かれればその内その辺の地面に落下、灰の様に崩れ落ちる】 【いつの間にか炎がなくなっているので燃え尽きていたのだろう】

「ククク、―― 一つだァけ言ィィっておこうか」 「――俺様は超ォォ強ェ悪魔、邪禍様だ!」
「テメェー如きが偉そうに勝ァァてないとォか言ィって良ォい存在じゃアねェんだよなァァアア〜〜アァッ?」

【――この者、よほど己に自信が有り余っているようだ。表情からも滲み出る傲慢な雰囲気は隠そうともせず】
【"邪禍"……と言えば、様々な罪によって指名手配されている悪魔だったか。だが、その姿は黒い毛に覆われ赤い角を持ったまさしく悪魔の姿だったはず】
【少なくとも、先程までのような人間染みた姿はしていなかった――が、そもそも指名手配犯についての知識が無ければ分かり得ないだろう】

「ちィッ、近距離も対応可能かッ」

【ダメージにより反応が遅れた、槍はその悪魔の胴体に命中。結晶による威力減衰効果で深々とは突き刺さらないだろうが】
【槍によって結晶が剥がれている、その身へ起きた小規模な爆発は中の黒い身体のような部分を抉り、血飛沫を散らす】
【どうやら黒く見えていたのはジャージが変質したものだったらしく、その中には普通の血肉があった――邪悪な魔翌力を持つ以外は】

「――問ォおうか、テメェーは今何を望むかをなァァアアッ!」
「もォーっとも、何を言ィィおうと俺様に捕ォらえられるのには変ァわりないがなッ! ヒャハハハッ!」

【少々余裕が無くなってきた雰囲気のあるその言葉を発しつつ、後方へ数歩下がる――というより、ダメージでよろめいただけか】
【――悪魔の足元から2本のラインが迸る。2本は男を中心線とする扇型の配置で十数m程伸びて途切れる】
【そして伸び終えたライン内部から生えるのは朱色の結晶群!】 【もしその場に居たとすれば、それらに突き上げられたり突き刺されたりする可能性がある】
【ラインの迸る速度はかなり速く、しかし予備動作には変わりない】 【なお、結晶群は高さ10〜50cm程で、炎属性の魔翌力を持ち、悪魔の近くから生える】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 01:04:17.77 ID:iJbIvV03o
>>216

「…………――!」


【ナイフを投げた方の"影"は、数が少なく軌道が直線的であったためか】
【衣装の端を微かに掠らせ、酸により表皮に焼けるような痛みを覚えながらも最小限の被害に留める】

【が、鎖分銅の方はそうはいかない。少女を拘束すると同時に、それを操る自分自身も行動が限られているのだ】
【幾らわかりやすい攻撃とはいえ、その状態で――しかも三匹となれば回避出来るものではない】

【咄嗟に身を捩るも、三匹のうち二匹をその身に受ける結果となった"影"は】
【全身を焼かれる激痛に甲高い叫び声を上げながらその場に蹲る】
【同時に少女に対しての拘束力は失われ、簡単に鎖を外すことが出来るようになるだろう】


いやはや、随分とせっかちなお嬢様ですねえ! 部下を通り越して私めを討ち果たそうなどと!

ええ、ええ、実に効率的な行動ではありましょう!
まったく、この猿めは目から鱗がこぼれ落ちそうな気持ちですよ!


【自身に向けて飛来する水の蛇。少女の行動選択に対して、賞賛とも取れる言葉を告げると】
【腰に下げていた40cm程の短い"棒"を引き抜き片手で構え】
【軽く左方にサイドステップしながらも、その腹付近を横合いから棒で打ち叩いた】

【飛び散る飛沫。本来ならば回避が最善手なのだろうが】
【未だ少女の術の性質を完全に把握した訳ではない為、それを選び取ることは出来ず】
【水の蛇を打ち壊した際に宙を舞った酸の粒が、無数に男に身体に付着した】

【スーツの表面の塗装がみるみる内に剥げ、各所に穴が空いていく】
【最も被害が大きかったのは、棒を握っていた手と露出していた顔であろう】

【頬に散った飛沫が肌を焼き、瞬く間に赤く変色させ鋭い痛みを走らせて】
【特に多量に掛かった手は、そのダメージにより細かく痙攣し……この戦闘中には最早まともに動かすことも適うまい】
【男は、頬と腕にかかった酸を服で拭う応急処置を施しながらも――】


成程成程、これは面白い! 液体というものは実に対処が難しいですからねえ!
もしこれが目に入っていましたらと考えるだけでゾッとする話です!

さてさて、次はどのような芸を見せてくださりますかねえ?
液体は変幻自在が売りのはず――是非ともこの私を楽しませてくださませ!


【――嗤う。自分の受けたダメージをも喜劇の演出の一つであるかのように】
【同時に残っていたもう一匹の"影"が行動を再開し、手負いの少女に向かって襲いかかった】

【行動選択は再び"近接戦闘"。腕をだらりと下げ、這いよる蜥蜴のような極度に低い姿勢で】
【音も立てず少女の元に接近を図り――ある程度の距離まで近づいたならば】
【足の指先で強く地面を蹴り付けその場で"跳躍"】
【少女から見て左方の建物の壁に激突するかのように、高速で飛び移ると】
【空中で姿勢を反転し、足で壁を蹴りつけて更に勢いを乗せながら手甲から伸びる刃で切りかかろうとするだろう】

【正面から急激に軌道を変えた、左方からの変則的な飛び掛り攻撃】
【失敗した時の隙も大きいものの、意表を突かれてしまったならば非常に大きいダメージを受けてしまう可能性もある】
【片割れを倒し、連携もなくなった今――恐らくこれを退ければ男の部下を退けることが出来るだろうか】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 01:06:14.64 ID:iJbIvV03o
/そろそろ限界なので、持ち越しよろしいでしょうか!
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 01:07:20.17 ID:H5evuGcA0
>>223
/大丈夫ですよ! 明日は7時ごろには普通に待機していられるかと思いますですっ
/今夜中にレスは返しておきますので、ひとまずお疲れ様でした!
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/20(木) 01:08:00.42 ID:eYyTIx/DO
>>219

【──ぎり。締め付けがまた強くなる】
【リーべの身体からも、どろりと血液が零れ、夜色のコートを紅に染めていく】
【痛い、痛い、痛い──】
【何が、痛いのだろう】
【締め上げられている、胴体だろうか】
【ぎりぎりと音をあげている、両の腕だろうか】
【──違う。……違う!】
【ぎりり──奥歯が、軋んだ】

【目の前で、誰かが苦しんでいる。それがリーべにとっては、何よりも苦痛だった】
【苦しむだれかを、助けられない。それはリーべにとっては、身を裂かれるよりもつらかった】
【ぎりり──奥の歯を、噛み締める】
【腕は動かない。足も使えない。刃は、抜けない】
【──それでも諦めないのが、リーべ・エスパスという人間だった】

【すう、と息を吸う。本当ならば、怒りに任せてむちゃくちゃにしたかった】
【すう──肺に空気を、送り込む。身体が動かないならば、仕方ない】
【すう──限界まで、身体に空気を、溜め込んで】


   ふ ざ け る な よ ぉ お お ぉ お お ぉ お ────── ッッッ !!


   【 ──── 咆 哮 ッ ! 】


【びりびりびりびりびりびりびりびり────!】
【雷でも落ちたかのような衝撃が、大気を満たす】
【身体を動かすことのできない彼女──だが、まだ「声」が使えた。だから】
【だから、喉を限界まで振動させ、声を限界まで振動させ】
【今まさにリーべを始末せんとするNemesisに対し、その衝撃をぶつけようとしたのだ】
【「声」による反撃──それはまさに「声帯砲」ッ!!】
【リーべの「声」も伴ったその衝撃──】
【真正面から喰らえば……最悪、脳まで揺さぶられることになるッ!】
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/20(木) 01:15:55.30 ID:mjAOG0Wpo
>>221

【爆発の衝撃は魔術師の腕へと伝わり──彼は苦悶の表情で唸り声をあげた】
【穴だらけの腕でそれに耐えられるはずもなく、槍を手放して落としてしまう】
【右腕は力なくだらりと下がり、衝撃の影響か、いくつか血を滴らせていた】


 悪魔……か。実在してるとはこれまた面白い……
 お前らに苦痛を与えたらどうなるかも知りたいところだな……くっ……!


【びりびりと痺れるような痛みが右腕全体に襲いかかり、いつまで経っても引かない】
【だが止まっている余裕はない。謎の予備動作からの正体は、待ちに待った範囲攻撃】
【期待通りとはいえないが、多少は“派手な”攻撃にほくそ笑むが、時間は少なかった】

【ぐっ、と屈んだ姿勢から跳躍。風の魔術の力を借りて高く飛び、空中で静止した】
【単純な浮遊の魔術だ。これもまた地味だが、敵の攻撃を避けるのには役立つ】
【破片の変化を警戒して、十数mという破片に対しては高い位置に止まっている】


 ……ははっ! 望みなら色々あるが、最近欲しいものとしては混沌だな……ちょうど、祭りの準備もしてるところだ
 お前も中々の自信家のようだし、気が合いそうだ
 どうだ、一つ派手なことを手伝わないか?


【ひたすらに攻撃を続けてきた魔術師はここで初めて、その行動を止めた】
【少し前にカノッサ機関のナンバーズと始めた計画。それに参加する人間は多ければ多いほどいい】
【これだけ自分と渡り合えるのなら、その気質も相まって丁度いい。そう思っての言葉だ】
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/20(木) 01:19:44.46 ID:X7LTDlv+0
>>220

【ルネの眼ははじめこそ怯えを映していたが、弁解するあなたの顔を見つめるにつれ警戒は解けていった】
【決め手となったのは、その緩んだ表情であることは言うまでもない】
【――食べ物を美味しそうに食べる人は、だいたい良い人なのだ。飽くまでだいたい、だが】

それなら別に良いのです。生きていれば、静かな場所で一人でいたい時もあるのです。

……となると、もしかしてルネは邪魔かもです?

【ほっと胸を撫で下ろしたかと思いきや、今度は口元に指を当てながら俯いて】
【くるくると変わる表情に豊かな身振り手振りが伴うその様子は、何ともあどけない】
【そんな稚いルネが、夜更けの廃墟に一人でやって来て】
【あまつさえ、「居場所を嗅ぎつけて追い出される」ことを恐れているのは奇妙なことだが――】

【何はともあれ、落ち着きを取り戻したルネはあなたの返答を待ちながら、その姿を検分するだろう】
【制服を堅めに着こなしながらも、ブーツや愛らしいマフラーでお洒落を主張する。なるほど、普通の女子高生】

【そして、彼女が背負っている『異常』についてだが――ルネは、殊更にそうとわかる反応を見せない】
【だが本当に分からなかったというよりは、ある種の気遣いなのだろう】
【小さな瞳が竹刀袋に向けられる時間は、食べかけのメロンパンや制服のそれよりも僅かに長かった】
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/20(木) 01:27:13.00 ID:vi8wIvRJo
>>225

【――――――――――――――――何度目になるか。衝撃と衝撃とがぶつかり合い。】
【爆風の様な破壊力が充満し、脆いビルの中を揺らし続ける。轟音。爆発。風圧。空気が振動し、建物が震えた。】
【蹴りを放った直後の梨花と、声帯砲による一撃を撃ち放ったリーベのそれぞれが衝突し、ぶつかり合い、壮絶な破壊が生まれて―――】

【Nemesis、リーベの双方を、強烈なインパクトが襲うだろう。】

【―――直後、"その階層"が粉々に砕け散った。】
【崩壊する床と柱、それにあわせて天井が崩落し、全てが瓦礫に消えていく。】
【Nemesisは―――見えない。少なくともムカデは―――絶命していた。だが、声の一撃は直撃していた筈。】

【吹き抜けだらけとなったビルの中は、崩れたコンクリートの破片と粉末が飛沫し、視界が遮られる。】
【どこにNemesisが居るのかはわからないだろう、そしてそれはNemesisから見たリーベもまた、等しく。】
【だがもはや索敵の必要は無かった。―――吹き飛ばされていたのか、奥の方から呻き声が聞こえるだろう。】


 ―――が、ふッ……!! あ、う、がっ……くっ、んっ……ああっ、あ、は、あ、はぁぁぁぁぁ……っ!!
 あぅぅ、うううぅ、ううううううぅぅ……っ、から、だが、・・・・・・・………・・・さけ、る……っ!!

【横たわったその姿は既に、"怪物"の其れではなくなっていて。】
【現れたのは独りの少女。年の頃は17,8といった所だろうか。リーベとそう、変らない。】
【驚くべきは身につけた学生服と、そして破損してはいるが、頭部を隠すために付けていたのであろう、機械性のバイザー。】

【―――学生。学生が、カノッサに身を置いている。しかも、その正体を隠すようにして。】
【そして今、全身を小刻みに震わせながら、呻き、苦しみ、血走らせた目をぎゅうっ、と瞑って。】
【時折嗚咽を漏らしながら、空っぽになった注射器に手を伸ばし、そして何度も何度も何度も―――】
【針の無くなったそれで、身体を突く。薬。薬が欲しい。痛みが消えない。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。】

 はぁっ、はっ、はぁっ、ぁっ、あっ、あああ……ッ! ん、んんっ、んぁっ……ああッ・・・…!

【―――だが。やがてその身体は気絶するように動かなくなる。】
【力を使い果たしたか。想像を絶する痛みに耐えかねて気を失ったか。】
【本当の所は分からなかったが、Nemesisは沈黙した、のだが―――ぶぅん、という羽音が木霊した。】

【コンクリート片を吹き飛ばし、埃と塵とを巻き上げながら、横たわった彼女の元に現れたのは一匹の小さなトンボ。】
【それが見る見るうちに巨大化し―――翼長にして10m以上はありそうな、人を乗せられるだけの大きさへと進化して。】
【Nemesisの身体を大切そうに包むと、一度だけリーベの方を見るようにして、そして直後に天空へと勢い翼飛び立っていく。】

【―――後に残ったのは、一本の壊れた注射器と、そして破けた彼女のマントのみであった。】

/眠気もきついのでこの辺りで撤退させて頂きますっ
ありがとうございましたー!!
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 01:39:52.62 ID:3xgEb1Tio
>>227

【邪魔か。少女の其の問に、彼女はすこしばかり逡巡する――】
【一人でいたいがためにこんな場所にまでわざわざ足を運んだ。ならば邪魔だと判断するのが妥当だろう】
【殺す対象も居なければ、避けるべき他人も居ない。此の世界に自分が一人だと錯覚出来る事は、彼女にとって幸せなことで】
【けれど本当にたった一人になりたいのかと言われれば――――――視線を小さく逸し、口を開く】

「…………いいえ、構わないわ」

【そもそも考えたところで、初対面の人間にお前邪魔だから消えろ、なんて言える度胸は彼女には無かった】
【考えるだけ無駄だったらしい、自分の口から出た言葉にほんの少しだけ苦笑しながら、彼女は身体をずらし横にスペースを作り、刀を其の反対方向に据える】
【どうやら座る場所をわざわざ作ってくれたらしいが、其れを口には出さないため伝わるかどうかは分からない】

「ところでパーソナルスペースとか言っていたけれど、しょっちゅう此の場所に来るのかしら」
「私が言うのもなんだけれど、あなたみたいな子がこんな時間にこんな場所に来るのは少し危ない気もするわ」

【人のことを言えた立場ではないのだが、見た目は同年齢ぐらいに見えるが相手の態度や素振り、表情などのせいか少女は自分より年下のように感じられた】
【其れに自分と違って、相手からは擦れた雰囲気が感じられない――これに関しては、表面上しか見ていないから何とも言えないが】
【どこか幼くも柔らかい態度に、初対面の相手の言葉を受けいられる素直さ。此等の要素は所謂世間の裏との繋がりを感じさせないモノだった】
【そしてだからこそ引っかかる――――居場所を嗅ぎつけて追い出しに来た?】
【この場所は政府に放棄された場所だ。故に警備などもおらず、自分は簡単に此の場所に入ることが出来た】
【何かに追われているのだろうか――だとしたら何故。思考は巡るが、出てくる言葉は無難な其れで】
【自分が血でひどく汚れているからこそ、他人とは一定の距離を置く。彼女は半ば無意識に、他人の深い領域には踏み入らない様にしていた】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/20(木) 01:42:14.58 ID:nUEy6z/ho
>>226

「ククッ、与えたきゃア与えてみィるんだな――命が惜ォしくねェなら、問題ねェぞ?」

【と、余裕綽々な雰囲気を醸し出しながら挑発する悪魔。勿論そこまで余裕があるわけではない】
【先程の傷口を結晶で埋めて誤魔化しているようだが、それでダメージが打ち消された訳ではないのだから――】


「――ほォう、テメェーは"混沌"を望むか」

【 ――瞬間、悪魔の眼が妖しくギラついた。 】

【背中に生えるはいかにもな悪魔の翼。黒色で、翼膜は紫、爪は赤――】
【その翼を使い男の方へ接近、今度は右腕の結晶を鋭い円錐状に変形させて、男の顎下目掛けておもいっきりアッパー的に突き出すッ!】
【……まともに当たれば脳味噌まで貫かれそうな雰囲気はあるものの、これは動かなければ"寸止め"に終わるだろう】

「良ォいだろう、俺様は混沌そォのものだァからなァッ! ぶッ貫くのは話を聞ィいてからにしィてやる」

【――悪魔だけあって混沌を好むようだ。そして、それ故に"そういった祭"は大好物】
【話し次第だが、もしかしたら"祭"を手伝う者になるかもしれないし――ならないかもしれないし。】

「祭の手ェ伝いは何度もやァってきィたかァらな……ククク」
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 01:46:54.91 ID:H5evuGcA0
>>222

【自分の力が他者を害すること。いつかの自分ならなんとも思わなかったはずだ、――いつかの自分なら】
【子供じゃないといいけれどなんて少しだけ思ってしまう。自分はその酸に焼かれたことはないけれど、きっと、痛いから】

【――やっと腕が解放される。じゃらと鎖を解いて落とせば、手には真っ赤な鎖の痕が残り、それこそ蛇に締め上げられたよう】
【痛みはまだじくじくと手首に残っているから、元のように動かすというのも、今宵のうちには無理だと思われて】

ふう、……ふ、っ……。

【それより。腹部の傷が問題だろう、痛いのか、不快なのか、短く浅くなる息は――嫌そうに、腹部を見下ろして】
【多分こういう場では抜くのは正しくない選択なのだが。知識がないのか、それとも、毒か何かを警戒するのか。それを】
【せめて動くほうの左手でもって抜き取る。何か水っぽいあんまり聞いていたくないような音と、痛みと、それを生贄に、ナイフを投げ捨て】
【ためしに傷跡に触れてみた手はあっさりと赤く生暖かい液体でぬめることになる。……彼女はそれをスカートでぬぐい】

…………ふふ、わたしなら、その、“いやな”声さえ残さず、お前を、消し去れる――のよ。
お前がしてきたこと以外の、ぜんぶ……なにもかも。

【いつの間にか、ぐつぐつと煮えたぎるような怒りは消えていた。というより――三人を相手にして、それだけの余裕がなかった】
【言い方を返れば、その状況に、怒りを納められたということでもある。よっぽど命知らずでは、ないようだったが】
【――彼もこれで自分の異能に気付いただろうと思えば、そう宣言する……声も残さないのに、死体なんて残すはずがない、と】

【その罪以外何もかも残さず消し去れる――それを伝えて、いまさら、怯むわけがないともどこかで思いながら】

【痛みと血の赤とが、さっきまでとは違う方向に意識を高揚させる。あどけない顔に浮かぶのは、どこか異常とも言える、笑み】
【誰かを殺すことを知っている顔だ。誰かの命を踏みにじって遊んだことのある、“悪い子”が浮かべるような、表情】
【もう誰も殺したくないと思った。誰も殺さず、今まで殺した人間の分だけ、誰かを助けたいと思った。――だけど】

【(こういう人間相手には、殺しても、いいんじゃないかって――思ってしまう自分が、確かに、居て)】

――――っ!

【だけれど、その笑みはすぐに消える。音すら聞こえないその接近に、ぐうと鋭いものに取って変わられ】
【まだ終わってないことを思い出させる。けれど、咄嗟に動こうとした足が、ぴきりと痛みに強張って、上手く動かない】
【腹に意識を取られていた。足にも傷をもらったことを一瞬理解できなくて、苦虫を噛んだような表情――その前で、影が消える】

――あ、

【いけないって思った。見失ってはいけない、そうしたら、“ころされる”】
【視界のごく端っこで動くものが見えた。それならそちらだと脳は理解しても、身体の反応は遅れ】
【次の瞬間――身体を撫でたのは、痛みよりも熱さだった。まるで炎になぞられたよう。そして、世界が遅くなる】

【斬られたことを理解する。ここで倒れたら殺されるとも思った。“ここで死にたくない”とも、強く思った】
【それなら――できることは。そこまでを、思考とも言えないものが駆け抜ける。時間にすれば、ほんの、一瞬にも満たないような】

【――膨大な魔力が溢れて、ばきりとラップ音のように空気が鳴る。音源は彼女のたった今裂かれた、胸の大きな傷から】
【裸の胸を通り越して見えてはいけないところまで見えている傷。けれどすぐにそこは桜色/紫色で埋め尽くされる、魔力の色で】
【川の氾濫するように噴出した魔力は、咄嗟に木の幹と、枝のような形を作り出す。一本太く突き出し、先端は無数に枝分かれする】
【その先端はすべて等しく針か刃のように鋭く尖り――それが、血の噴出すような速度で迫るのだ。見事に彼女を切り裂いた、影へ】

【彼女の身体は魔力で出来ている。だから、彼女にとって、血は魔力だし、魔力は血。それなら、こんな芸当だって出来た】
【だけど――それはその後のことを考えないカウンター。ほんの一瞬の抵抗が終われば、その枯れ枝のような攻撃は、】
【それこそ血色にくすんで、びしゃびしゃと地面に落ちて爆ぜる――その数瞬遅れて、彼女も、崩れ落ちるはずだ】

【影は倒せたのかもしれない。だけど、彼女は、――男を倒せなかった。それだけの力は、彼女に、なかった】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/20(木) 01:52:05.90 ID:mjAOG0Wpo
>>230

【姿が変わったことに魔術師は驚きを隠さなかった】
【それはまさしく悪魔そのもの。色々と見てきたこの男も、見るのは初めてだった】
【急接近と放たれた攻撃には無防備なまま──理由は分からない。だが攻撃は止まった】


 予想通り、話が分かるじゃないか……!
 何、中身は簡単だ。俺たちは体良く人間たちを混乱に貶める
 能力者ってものぐらい知ってるな? そしてそうでない連中がいることも。この二種類の人間たちを争わせるんだ
 そうすりゃ各地で争いが一気に広がるだろう。無能力者が能力者を、能力者同士は正義だの悪だので分裂。三つ巴ってわけだ
 どうだ、楽しそうだろう?


【彼は自身の計画を、かなり手短に話した】
【今ある争いの形に更に、無能力者対能力者、という構図を加える。そうすればもっと楽しくなる】
【非常に、単純な話だった】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/20(木) 01:53:09.16 ID:eYyTIx/DO
>>228

   【 ────────ッ! 】


【悲鳴が聞こえた】
【それが、Nemesisのものだったのか、自分のものだったのか】
【──あるいは、幻聴だったのかは、わからない】

【喉が、焼けるように痛かった】
【身体も、今は満足に動かせる自信がなかった】
【試しに、身体を動かす。血が今まで止まりでもしていたのか、妙に痺れていた】
【次に、声を出そうとしてみた。──ひゅうと、枯れた風だけが喉から漏れた】

【破壊の衝撃で、頭がくらくらする】
【だが、探さなくては──Nemesis】
【ふらりと、軋む身体に鞭打って、彼女の姿を探そうとした、その時】
【「────」聞こえたのは、幻聴ではなかった】
【間違いなく、それは「彼女」の声】
【ずず──身体を、声の聞こえた場所まで引き摺っていき、目にした、光景は】


────っ、…………!


【自分と歳の変わらない、女の子】
【学校にも行っているのな──カノッサにいて。苦しんでいる】
【力の入らないはずの身体が、かっと熱くなった】
【思わず握りしめた拳──彼女の爪が自らの皮膚を破るまで、そう時間はかからなかった】

【彼女に声をかけようと、さらに近付こうとしたその時】
【──ぶぅん。聞こえたのは、蟲の音】
【「増援か」──そう思ったが、彼女に戦うだけの力はもう残っていない】
【一瞬。一瞬だけ、躊躇った。余力を振り絞ることが、できなかった】
【──その、一瞬のうちに、現れた蟲が、Nemesisを包み込んで】


   ────、て……っ、っ、げほっ……が、ぁ……!


【「待て」──発したかった言葉は、虚しい風の音にしかならなかった】
【喉が無理な収縮に耐えきれず、血の味のする咳をひりださせる】

【──ぼた、た……握られた拳から、鮮紅が溢れ出す】
【「助け、られなかった」……ひゅうと、喉がなった】
【ふと──床に視線がいった。……注射器と、破けたマント】
【「──、……」 リーべは、それを大切そうに、拾い上げ】


(────次は。助ける)


【そう、静かに決意を顕にした】

/こんな時間になってしまい申し訳ない!
/こちらこそありがとうございましたー!
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/20(木) 02:08:44.81 ID:X7LTDlv+0
>>229

では、お言葉に甘えさせてもらうのです。
ルネも一人が好きなのですが、たまにはお話したいと思っていたし、ちょうどいいのです。

【お互いに居場所を脅かす心配がないと分かれば、ルネはあなたの隣の空隙にすっと滑りこむ】
【ぷらぷらと足を前後に揺らす楽しげな仕草。彼女に、地下世界との繋がりを見出すのは難しい】

はい。ルネはしばしばここにやって来るのです。
それもここ何週間かの話なので、ずっといるわけではないのですが。
何というか……人のいない高台で「ぬぼーっ」としていると、心が不思議と休まるのですっ。

【不意に、ルネは天を仰いだ。つられて同じようにしてみれば、秋の星座がいつもよりきれいに見えるだろう】
【民家やビルの灯が消えたこの場所では、外より幾分か空が澄んでいる】
【風が死滅都市の埃を捲き揚げて鬱陶しいことを除けば、なかなか風情のある所と言えた】

……それに、別に危なくないですから。
今日はあなたが悪い人だったら不覚を取っていましたが、いつもは誰も来なくて安全なのです。

【悪人すら寄り付かないから安全、という理屈らしい】
【それでも、わざわざここまで来なくて良いんじゃないか――】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/20(木) 02:21:56.91 ID:nUEy6z/ho
>>232

「ふゥむ、第三勢力を生ゥみ出し混乱さァせる、か」
「確かに、悪くはねェ――勢力が増ゥえりゃア、当ォー然話がやァやこしくなって混沌を齎すだァろうな」

【ニィッ、と悪どい笑みを浮かべる悪魔――これはすんなり話が通りそうだ】
【――悪魔はその後に"だが"を付け加えた。後方へバックジャンプ(の様な軌道で飛翔)すれば】

「俺様かァら見ィたら、能ォ力の有ゥ無に関わらず人間は人間だ」
「まァー、確かに能ォ力あァった方が素ォ材としては優ゥ秀だが、無ァくとも良ォい素ォ材になァる」

【先程、男の死体は炎を撒き散らす"生命"になっていた。今は燃え尽きて灰になり、"再び死んだ"ように見えるが……】
【ともかく能力があろうとなかろうと、この悪魔にとっては新たな生命を生み出すための素材に過ぎない、そういうことらしい】

「……俺様が見ィているのは、混沌の味ィ方かそォーでなァいかだァけ」
「無ゥ能力者で一緒くたにした勢力じゃア、そォのうち内部分裂すゥると思うぞ? ――そォれも面白そうだがなァ」

「――おォっと、話が飛ォんだな」
「"混沌寄りの"無ゥ能力者共を動かすのは手ェ伝おう、……対価は要ィらねェ、混沌によォって"輝く魂"を見ィる、そォれだけで十ゥ分だ」
「まッそォーでねェ奴らも、俺様がそォーなる様に"心身共に"改造すゥるから実質全員だァがな……ククク」
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 02:28:20.90 ID:3xgEb1Tio
>>234

【先程の引っ掛かりはただの考え過ぎだと思える程度には、少女から異常は全く感じ取れない】
【そう、ただの考え過ぎだ。だから余計な思考は放棄して――――たまには、こうして会話に勤しむのも悪くはないだろう】

「そうね……私も、よく誰も来ないような場所でぼーっとするわ」
「何も考えない、考える必要がないっていうのは気楽だもの」

【少女につられて視線を空へと向ける。雲もあまりなく人工的な光が排除されているため、夜空は透き通っていた】
【雑音すら排斥されて、ただ風が吹き抜ける音が耳に心地良い――ほんの少しの寂しさも、今は紛れて】

「あら――――もしかしたら、私が悪人かもしれないわよ?」

【少なくともこんな場所で黄昏れているような人間は普通ではない、其の具合が変わっている程度なのか異常と評すべき域なのかはともかくとして】
【少女はもう疑ってすらいないようだが、彼女が極悪人の可能性は未だ十分に残されているのだ――――実際、彼女は唾棄すべき殺人鬼なのだから】
【視線を下――捨てられ廃れた廃墟群へと向けた。マフラーが僅かに下がり、自嘲的に歪む口元が覗く】

「――――なんてね。そうね、ここは悪人すら来ないぐらい寂れてるもの」
「ここに来るのはよっぽどの暇人か、物好きぐらい……そうでしょ?」

【なんて、雑談にもならないような言葉を投げながら、彼女はメロンパンを包装へと収め横に置き、袋を漁って何かを取り出した】
【赤いパッケージに白い文字で商品名が刻まれた箱――――印刷されている写真から察するに、チョコレートのようだ】
【どうやらメロンパンと一緒に購入したものらしい、其れを開封すると少女に向かってどうぞ?という一言と共に差し出した】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/20(木) 02:31:29.62 ID:mjAOG0Wpo
>>235

【武器を突きつけられた状態で、魔術師は答えをじっと待った】
【受けるかどうかは──知ったことではなかった。どちらでもいい。もしも断るなら、もう一度殺し合うだけだ】
【悪魔の答えは、彼に笑みをもたらした】


 いい答えだ。ここで俺たちが単に殺し合いをしたっていいが、やるなら派手な方がいいからなぁ
 お前はお前で思うところがあるなら好きなように動けばいい。ただ、俺のようなやつが居て準備してるってことを知っていればいい
 特に無能力者を動かしてくれるっていうのなら、これ以上はねえな


【この計画はそれなりに壮大になる予定だ。だからこそ、協力者はどんな形であれ多い方がいい】
【仮にそれが邪魔するものになろうとも、それはそれ。不確定要素になろうとも、この男にとって良いことに変わりはない】
【ともかく、無能力者の扇動が増えるのは喜ばしいことだった】


 混沌をもたらすって部分は共通だ、上手くやってくれよ?
 俺の名前はアインだ。お前は確か邪禍だったな
 “準備のための祭典”を開くときにはお前も呼んでやる……せいぜいかき回してくれ!

【名を名乗り、ぱちん、と指を鳴らすと彼の姿が炎に包まれる。そして次の瞬間、それと共に姿を消した】
【これでまた一人、“混沌の祭典”に関わる者が増えたのだった】


//夜遅くまでありがとうございます。お疲れ様でした
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/20(木) 02:49:03.04 ID:nUEy6z/ho
>>237

「ククク……俺様は色んな所の集ゥ落等を支ィ配しィている」
「少なくともそォいつらは、まァー動かせるだァろう」

【そういえば、最近一部の村等の様子がおかしくなった(好戦的過ぎるとか)という噂がたまーに流れたりしていたが】
【もしかすると、この悪魔が意図的に行っていた事実……なのかもしれない】
【もっとも、その状態になっていた一部の村等は、能力者の介入があった後村ごと無くなっていた事もあるらしいので本当に頼れるかは不明だ】

「アイン、か――まァー気ィが向いたら覚えといてやァるよ」
「あァ、かァァき回そうじゃアないか……混沌の為になァッ!」



【――そしてアインと名乗った男が眼の前からいなくなった後、わざとらしくこう言った】

「おォっと、言ィうの忘れてた――俺様が手ェを出ァすと、無ゥ能力者が無ゥ事"無ゥ能力者の人間"でいられるかの保ォ証はなァくなるって言ィうのをなァ」


『邪禍様、あまり長く留まると"力"が……』 「なァんだいィきなり現れたと思ったらメディアットか、そォだな今日はこォの位にしィて帰るか」

【悪魔はその場に魔法陣を生成すると、その中に闇となって吸い込まれていった――元・男の死体である灰と共に。】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/20(木) 02:58:06.90 ID:X7LTDlv+0
>>236

一人で、何も考えないでいると気楽――なんとなく、わかるのです。

【静寂に身を投げ出して、夜の水面に漂う。思考を空っぽにしてしばし佇む】
【そんな瞬間に幸せを感じるなんて、率直に言って枯れているけど――でも、確かにそうなのだ】
【こくりと頷くルネの横顔は、隣にあなたがいるのに淋しげだった】

はいっ。ルネとあなたは物好き仲間なのです。
それに、こうやって落ち着いた時間を過ごせるあなたが悪い人だとは、ルネには思えません。
悪人に休息なし――の、裏っ返しなのです。

【チョコレートを受け取ると包装を丁寧に剥いで、板を割らずハムスターのように頬張り始めた】

【ルネが傍らの少女に大して抱く信頼は、メロンパンの甘さに頬を緩めるあの様子に依拠している】
【背中から刺されるくらいにやましいことがあれば、味を楽しむことなどできない。それがルネの持論だ】

【そして、舌が優しい甘みよりも、ずんと響く苦味を多く拾う度に――自分の獰悪さを呪う】
【目の前の彼女は、何か逃れがたい運命のために、あの忌まわしい剣を背負っているのかもしれない】
【だけれどルネは違う。彼女が誰かを殺すのは、己の意志によってなのだから】

【胸のうちに暗闇を隠しながらも、慰め合うようなおしゃべりは続く】
【気付けば、ルネもまた眼下に広がる都市の遺構に視線を移していた。まるで、引きずられるように】
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 03:19:10.93 ID:3xgEb1Tio
>>239

【自分もチョコレートを一欠片放り込み、口の中で溶かしながら甘さを享受する】
【普段は出身が櫻の国ということもあって、和菓子を食べることのほうが多いのだが、洋菓子も嫌いじゃない】
【チョコレートの甘さはなんとなく寒さを和らげてくれるようで、少し頬が緩んで其れを見られない様にまたマフラーをずり上げた】

「…………そうね、私もあなたが悪人だとは思えないし」

【少女の道理で行けば自分は悪人ではなく、そして同じ時をこうして過ごしている少女もまた悪人ではないということになる】
【苦しい。口の中は甘いけれど、胸の奥には苦く重い何かが泥のように渦巻いていた】
【違う。私は悪人だ。決して少女が思うような善人ではない。少女を騙しているようで、自分に嫌気が差す】
【いいや、騙しているのだ。常識と善人の皮を被り、あたかも自分はまともだと思わせるかのような態度をこうして取っている】
【事実は数百人の首を斬り落とした、血と罪で汚れきった咎人なのに――――少女と話していると、自分が正常であるかのように錯覚しかけてしまう】

「……………………さむ」
「……あぁ、そういえば。あなた、名前は?」

【チョコが溶けてなくなる。肌を撫ぜる風が冷たく、思わず小さな声で呟いた】
【そしてそこでようやく気づく、こうして喋っているがまだ名前を聞いていないなと】

「私は山城桃子、レイリスフィード学園高等部普通科の一年よ」
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/20(木) 03:36:15.11 ID:X7LTDlv+0
>>240

【ルネは、乙女の行いにしては端ないくらいの勢いでチョコレートにがっつく】
【そうしたのは、もしかするとこれ以上深く考えを巡らせたくなかったからかもしれない】
【桃子は優しい人。見ず知らずの自分にお菓子までくれた。それでいい】

【その先を見てしまえば――きっと、お互いに後戻りはできなくなってしまう】
【心の奥でひらめいた直感が、少女たちを核心を突く言葉から遠ざけた】

名前? ルネはルネなのですよ。……ああ、フルネームということですか。
「ルネ・アスフォデル」といいます。よろしくなのです、桃子ちゃん。

【同じくらいの背格好だと言うのに、ルネは自分の学校などは名乗らなかった】
【この世界では珍しいことでもないが――もしかしたら、気になる事項かもしれない】

……ふるるっ、確かに寒くなってきましたね。月頭には、まだ一晩中長居できたのですが。
こんなに風が冷たいのなら、そろそろルネも帰ろうと思うのです。
桃子ちゃんも、あまり夜更かししていると赤点を取るのですよ?
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 03:51:10.03 ID:3xgEb1Tio
>>241

【自分は汚れている。自分は悪人である。自分は裁かれるべきだ】
【自分、自分、自分。追い詰められている人間だからこそ、彼女は他者の奥底を深く読む余裕が無い】
【だから少女は気付きかけて、そして其の思考を放棄していた。少女は、自分とは本来交じり合うことのない善人なのだと】

「ルネ・アスフォデル……呼び辛いからルネさんでいいかしら」

【馴れ馴れしいと思われるのも嫌だから本当は苗字で呼びたい所だが、名前に反して呼び辛い苗字を聞いて名前で妥協する】
【自分と違い少女は年齢や身分等は話さなかったが、聞かれたくないこともあるだろうと少女は其れ以上追求はしなかった】
【自分も表の身分ならばいいが、裏の立場については絶対に他の人には話したくない】

「ええ、私もそう思っていたところよ。流石にマフラーだけだと辛い寒さだもの」
「…………赤点なんて取らないわよ、ええ。私を誰だと思っているの」

【赤点、其の言葉を聞いた少女の口ぶりはどこか重く、言っていることもなんだか良く分からない】
【どうやら触れてほしくなかったところらしい。彼女は見た目が整っており真面目な雰囲気のため勉強が出来るように見えるのだが】
【実際は勉強がとても苦手で、高校1年生の今から卒業どころか進級できるか心配されるレベルなのだ】
【勉強、赤点、其れ等の言葉を聞くだけで頭が痛くなる――――風邪かな。きっと違うけれど】

「――――――――…………それじゃあ、帰りましょうか」

【住んでいる場所は分からないが、きっと閉鎖エリアの出口ぐらいまでは同じ道程だろう】
【彼女は此処ら一帯に住んでいるわけではなく、学園のある交叉の街周辺に住んでいるため歩いて帰るとすこしばかり遠い】
【その上此の場所に辿り着いたのも、此処を目的にして歩いてきたわけではなく、人が居ない方へと歩いてきただけのため、正確な帰り道も分かっていない】
【つまり半分迷子のようなモノなのだが――――――――まあ、大丈夫だろう。そんな楽観的な考えで、立ち上がった】
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/20(木) 04:15:42.21 ID:X7LTDlv+0
>>242

桃子ちゃんが誰かといえば、普通の女子高生なのです。普通なら赤点は取らないのです。
……もしどうしてもダメならば、ルネが教えてあげてもいいのですよ。

【赤点、というワードに強く反応した桃子を見て、ルネはからかうように笑う】
【その言を信じるならば、頭のゆるそうな口調に反して高校生程度の学力はあるらしい。ますます謎だ】

はいっ。今日は桃子ちゃんと一緒に帰るのです。
何度か出入りしているので、地理は任せろ、なのです。

【そう言う彼女についていけば、十数分後にはフルーソの郊外に出て来れる】
【ほど近くには駅があり、終電を逃さなければアトラヴェルにも戻ることは可能だろう】
【桃子がレイリスフィードの生徒と知って、ルネが帰りやすいルートを選別したのだ】

ルネはフルーソの真ん中に戻るので、ここでお別れですね。
今度はお昼に、ゆっくりお話できるような場所で会いたいのです。

【惜別の念は嘘ではない。が、相手には見せられない顔がある】
【桃子からすると、「お昼」という些細な一言を、ルネがいやに強調しているように聞こえるかもしれない】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 04:34:13.10 ID:3xgEb1Tio
>>243

「だっ、だから赤点なんて取らないって言ってるじゃないっ!」

【先ほどまでとは打って変わって必死な様子、おそらくは彼女の成績があまり良くないことを察することが出来るだろう】
【勉強は苦手だし、その上仕事≠行うのが夜なため、活動時間が夜に偏ってしまう】
【そして授業中の居眠りなども多くなり、結果的にそれが成績に如実に現れてしまっているというわけだ】

「そうね、夜は寒いし……あの場所も、嫌いじゃないけれど」
「道案内ありがと。おかげで無事に帰れそうだわ」

【静かな場所が好きな彼女にとって、閉鎖エリアは相当の穴場だったのだが】
【どうやら少女はあの場所がお気に召さないらしい――いや、どちらかと言うと場所というよりは時間帯だろうか】
【冬の夜は冷える為、昼という選択は正しいだろう。踏み込むな、彼女の思考は無理矢理嫌な方へと向かないように捻じ曲げられていた】

【運動は苦手ではないし、散歩が趣味なため歩くのも嫌いじゃないが、地理的に離れている場所に歩いて帰るとなると相当の時間がかかる】
【その上彼女は方向音痴のきらいがあるため、下手をすれば日が出ても家につかない可能性すらあった】
【勿論そんなことは関係なしに日常は流れ、いつもどおり学校も始まる――――学生の辛いところである】

「じゃあ、また」

【礼を述べた後、スクールバッグと竹刀袋を背負い直すと、彼女は駅へと向かって歩き始める】
【事実はともかくとして明るい少女との邂逅は、彼女にとってよくも悪くも良い時間となった】
【独りが好きだ。けれどずっと独りは寂しくて】
【自分は汚れている。だから少女の様な綺麗な存在と出会うと、自分がもっと汚く見えて】
【自分同様相手にも見せられない顔があるとは考えないようにして、彼女はなんとか終電に乗り込む事が出来た】
【揺れる電車で寝ない様に必死に耐えていたものの、結局睡魔に負け――――終点まで行ってしまい、結局遠くから歩いて帰ったのは、また別の話だ】

//こんなかんじで〆でしょうか……こんな時間までお付き合いいただきありがとうございました!
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 19:22:24.14 ID:iJbIvV03o
>>231

「――――――ッ!」


【大振りな動作で刃を振り抜き、狙い通りに少女を切り裂く事の出来た"影"だが】
【幾ら身軽といえど、接地してすぐに体勢を立て直し離脱することは不可能であった】
【枝状の魔翌力は"影"の背中に深々と突き刺さり、枝分かれした刃達がその肉をズタズタに引き裂いた】

【先程の酸とは比べ物にならない地獄の痛苦に、声にならない絶叫を面の中で響かせて】
【一度ビクン――と大きく痙攣した後、その場に力なくドサリと倒れ込んだ】
【これで男の配下二人を完全に無力化出来たことになるが……】


いやあ、素晴らしい健闘でしたねえ御嬢様!

自慢の下僕を二人揃って下し、その上私にこれだけの手傷を負わせたのです!
正直のところ此処まで善戦出来るとは思っておりませんでしたよ!


【肝心の男は、片手を使えなくなっただけで未だ健在であった】
【酸を浴びた時に取り落とした棒を、足で器用に蹴り上げて反対の手に持ち直すと】
【相も変わらぬ不快感を与えるような声を、崩れ落ちた少女に向かって放っていた】


しかし約束は約束です……私を倒せなかった以上、あの方々を解放する訳にはいきません

いやはや、本当に世の中ままならないものです!
御嬢様のような愛らしい正義の御人がこうして倒れ、粛清されるべき下賎な悪党の私がこうして立って笑っている!
理不尽とはこのことでしょう! ――全てが絵物語のように、救いがあるならばきっと世界は素敵なのでしょうがねえ!


【男はその場でしゃがみ込み、倒れ込んだ少女に視線を送りながら芝居がかった台詞を吐き出す】
【ニヤニヤと締りのない笑顔に見えるが、その濁った瞳には何か"値踏み"をするような意志が灯っており】
【言葉とは裏腹に未だ警戒心は解いていないのか、距離を詰めることもなくその場から彼女に語りかけ続け】


――――そこで、です。まだ意識を保っておいででしたら、私と簡単な取引をしませんか?
貴方様の意志次第で……貴女を、あの方々を、この"理不尽"から救って差し上げる事が出来るかもしれませんよ


【最後にそんな事を、彼女に対して持ちかけた】
【真っ当に見たならば取引も何も無いような状況だ。わざわざこんな話を振って男に得があるとは到底考えづらい】
【故に、恐らくはロクな事ではあるまい。しかし、男の言を信じるならばこの状況を覆せる可能性を秘めているかもしれない】
【この突然の申し出に対して、少女はどの様に応えるだろうか――】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 19:49:03.90 ID:H5evuGcA0
>>245

【血液として変化させている魔力を強制的に元に戻す。そして、そのまま武器に転用する、その行為は】
【そもそも大量に血液が噴出しているような状況じゃないと扱えない、それ以上に、どうしようもなく大量や魔力を消費する】
【ひっきりなしに脳に届く痛みの信号と混じれば、その消耗はどうしようもならないレベルになる、即ち、】
【立っていられなくなって、数秒小鹿みたいに震えた足は――あっさりと崩れる、膝から落ちて、最後は顔と地面とで接吻することになり】

っ……、――う、ううぅ、……、

【子供が愚図るみたいな声だった。それはきっと痛みに対する不満だとか、勝てなかった悔しさとかを、表して】
【両手で地面を引っかいては力を篭めるが起き上がれはしない。顔だけが辛うじて男のほうを向いて、にらむけれど】
【その瞳ははじめと比べてか弱いものだ。手負いの獣こそ恐ろしいとは言うものの、近づかれなければ咬み付けもできない】

【――そう、もう、異能を繰ることとか出来そうにないのだった。顔なんて、秒速で蒼褪めていって】

……――っ、

【だのに、彼の言葉にかぁと熱くなった気がする。約束は約束だって――分かっていたはずなのに、その言葉が】
【自分じゃ足りなかったことをどうしようもないくらいに分からせて、せめて、もう少し、がんばれたら、なんて思うのに】
【辛うじて傷口に魔力を集めては不完全な止血を施してみることしか出来やしない。……見れば、その目は僅かに潤んで】
【改めて敵意を宿して表情を歪めるけれど、このまま放っておいたら死にそうな命だ。なんてことなく、恐ろしくもなく】

…………――なに、それ、

【――そんな表情が、ふと変わった。それは自分が助かりたいという話じゃない、別に、よっぽど死にたいわけでもないけれど】
【あのひとたちを助けてくれる、? 血の抜けてぼんやりとしだす頭には甘美に聞こえた、怪しいと思いながらも】
【聞くだけならいいんじゃないか――なんて思ってしまう。もし自分に出来ることだったら、あのひとたちを助けられるかも、しれないなら】

【(売られていった子供たちはどこへ行ったのだろう。生きているのだろうか、それとも、もう、死んでしまったのか)】
【(売られた先で何があるのかなんて知らないし分からない。だけど、誰も戻ってこなかった――“生きたままでは”)】

う、つ……、――聞いて、あげる、……特別に……。

【だから、できるなら、助けてあげたかった。出来ることなら――、――それなら、返した言葉は】
【まだ会話できるだけの血は残っていそうだった。せめても強い態度を取るのが、最期の抵抗のようでいじらしく】
【必死なように壁のほうへ這うと、壁を支えに身体を起こす。まだ大丈夫だと言い張るみたいに、それで、また、彼を睨み】
【――胸の傷には魔力がかき集められていた。だから、なんだか、血みどろの中に花でも咲いたような光景にも見え】
【蒼褪めた顔――だけど、きっと近いだろう死に恐れ戦いてパニックを起こすようなことだけは、ないようなのだった】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/20(木) 20:26:47.11 ID:5ZnCUsnuo
【公園】

【風切り音にしては鈍く、大きく、長い。音にすればヒュン、ではなくぶぉぉん、などと表現できるモノであり、それが夜の公園に響き渡っていた】
【――――長さにして約5尺の長尺木刀。薄藍のインバネスに身を包む黒髪の男が、額から大粒の汗を流しながら懸命に其れで何度も何度も面を振り下ろす】
【その格好、そして左腰に佩いた大小の刀。所謂櫻の国の「サムライ」のような――――そんな印象がする男である】

ふぅ……ッッ!! ――――っふ……ッ……!! ……あと……3回……ッ……!!

【その風切り音、そしてその長さ。視覚と聴覚両方から木刀の重さを訴えかけているかのようで。そしてそれを扱う男の苦しそうな表情、歯軋り、漏れた声――――】
【それらが更にその訓練の苦しさを強調させていた。伝う汗は顎先で雫を作り、そして公園の砂へと吸い込まれていく】
【――――重い風切り音が2回。最後の1回を前に暫しの沈黙が走る。納得のいかない表情は少しだけ物騒というか、尖ったモノであり】

っは……ッハァッ……まだ完璧とは遠い……もっと剣の重みに全てを預けないと――――。力で振ろうとする意志がきっと何処かにある筈だ……!! 
その邪念を……っふぅっ……断ち切らないと……!!

【肩を上下させ、自分に言い聞かせるような言葉。薄藍のインバネス、その右胸に張り付けられた緋色の鷹――――確かにそれは、SCARLETを示す紋章であり】
【同時にその紋章が示すは、余りにも大きな木刀を振り回すという奇妙で厳しい特訓をしているこの男が、平和を乱す脅威に立ち向かう「世界の盾」であるということだった】




【路地裏】

……オイよせって、な? ステイステイステーイ……。変に罪重ねるもんじゃねぇって……いやマジ。窃盗だけじゃまだ軽い方だからよぉ……ここで――――
『うるせぇッッ……お前状況分かってんのかよ……!! その銃口こっちに向けようとしてみろ……撃つぞ、ぶち殺すからなぁ……ッッ!!』

【路地裏、相対する2人。――――両手で確りと銃のグリップを握り締めて、震える銃口を相手に向けるは金髪の若者】
【背負ったバックはぱんぱんに膨れ上がり、僅かな隙間からは宝石の輝きが見える。つまりこの男、宝石泥棒。そしてこの泥棒の銃口の先を辿れば、もう一人の男】
【青いソフト帽が印象的な、白シャツに灰色のジレに群青のジーンズの男。彼の左手には青い銃が握られているが、その銃口は下に向いている】
【ソフト帽の男が着ているシャツの右胸には緋色の鷹、つまりSCARLETの紋章。ある程度の実力が保障されている筈なのだが――――この状況、明らかに不利】

何処の宝石店だ? 何分くらい前だ? そろそろ警察や自警団が――――

『黙れって言ってるだろぉぉッ!! ……そうだ、お前を人質にすればいい……!』
『……SCARLETも銃口向けられちゃ太刀打ち出来ねぇだろ、ならこのまま人質にした方が……いける、いけるんだ……!!』
『――――よし、動くなよ……動いたら撃つからな……』

――――ちょ、マジかよっ……オイオイオイオイSCARLETが人質とか勘弁してくれよ……

【ソフト帽の男が質問を重ねても、金髪の男は其れを拒み、瞳を大きく開きながらゆっくりと彼に迫る。銃口は彼の頭に向けた状態をキープしつつ、段々と距離を縮めて行く】
【銃口を向けられている現状、下手に動けば直ぐに銃弾が飛んでくる。こちらからの攻撃が許されないというのは、この男にとって絶体絶命しかなかった】

/どちらかお好きな方で!
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 20:28:52.09 ID:PzgdQClgo
【路地裏】

【薄暗い路地の奥から銃声が響き渡る。此処みたいな治安の悪い場所の人気のない場所では】
【珍しいことじゃないと思われるが、ライフルやショットガンが乱れ飛んでいる様なレベルは珍しいだろう】

『――――やったか?』 「クソッ、逃げられたな。…追うぞ まだ、此処から出ちゃ居ねえよ」

【外した弾丸はビルの壁に蜂の巣のような痕を残し、ネオン看板を粉々にして、硝煙の臭いを充満させる】
【軍用ライフルを構えた男と、ショットガンを構えた二人組みはあたりを警戒しながら路地を進む】
【彼らは制帽に制服―その地域の自警団のお定まりの装備をしていた】

『早く見つけちまわないと誰かくるぞ』「わーってるって。こんだけ撃ちまくってりゃだれだってトンで来るぜ――」

【二人組みはそう話しながら路地の奥へと進んでいく。暫くして、ガタリと物音と影。上からパイプをつたって誰かが降りてくる】

っと……何処のどいつだ馬鹿野郎。…繊細さの欠片もない…オーバーキルになるところだ

【現れた背の高い男は疲れきったようにため息をつく。そいつは薄暗い路地でも濃いレンズのサングラスをしていた】
【高そうなブランドの黒いスーツに濃い青のシャツ。シンプルに白い細身のネクタイ。それと右手にリボルバー式拳銃】

【男は乱雑に積み上げられた木箱の一つに腰掛けて、ポケットから取り出した煙草に火をつけた。だが、あたりは銃痕に破片が散らばって居る現場だ】
【いつ自警団や警察が来てもおかしくない状況だが、あの二人組みが戻って来そうな気配はない。男は煙を大きく吐き出した】
         
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 21:07:38.63 ID:iJbIvV03o
>>246

キキッ――ありがとうございます!
いやいや、実際のところ取引といえるほど複雑な物ではないのですがね
本当に簡単で、実に判りやすい"二択"を貴方様に差し上げようと思いついた次第でして――


【彼女からの返事を聞くと、男は喜色満面といった……少々気味の悪い笑みを浮かべ】
【首を傾げて――これから先紡がれる"二択"に対して、少女が如何なる反応を示すか見逃さないように】
【ギョロリとした両の眼で、満身創痍のその姿を視界に留めながら】


――これから貴方様には二つの道を提示します。

一つは、「貴方様一人が助かる代わりにあの方々の事を諦めるか」
もう一つは「貴方様一人が"犠牲に"なる代わりに、あの方々をお助けになるか」……です

ええ、ええ……物語の中では手垢のついた、本当に理解しやすい選択でしょう!
大方予想もついていたのではないでしょうかねえ?


【実にタチ悪い二択を、その悪辣な口から吐き出した】
【少女に選べと言っているのだ。自分が助かるか、助けるはずだった囚われの民間人を助けるかを】
【しかし、台詞はそこで終わらない。続いてその内容の"説明"が紡がれ出す】


前者を選択した場合は、これから貴方様に簡単な治療を施した後に、私はこの場を後にしましょう
当然――あの方々を連れて行かせて頂きますがね
彼らを救えはしませんが……代わりに今にも尽きそうに見える貴方様の命は確実に保証いたします
何なら表通りまで送り届けて差し上げてもいいですよ? ……その身体では、暴漢から身を守ることも難しいでしょうしねえ


後者を選択した場合は、返事を頂いたその時に私と"契約"を結んでいただきます
私及び、私の手の者が彼らに今後一切の手出しをする事を許さない代わりに――貴方様には私に隷属する事になります
御嬢様お一人が犠牲になる代わりに、あそこの5名の命は保証されると言う訳ですねえ


【其処まで説明を終えると、男は手に持っていた棒を腰に括り直し】
【腕をそのまま横にブゥン――と勢いよく振った】
【すると、掌から10cm程離れた位置の空間が歪み、小さな亀裂が出現し……そこからひらりと一枚の紙が出現した】
【もしその紙をよく見ることが出来たならば、それが何らかの"契約書"であることが察せられるだろうか】
【"契約"――此れを用いたものならば恐らく尋常ならざる力が働くはずだ。……そう、ただの約束事とは違う強制力が】


よく、お考え下さいませ――果たしてこの者達は本当に貴方様が命を賭してまで救うべき存在であるかどうか

ここには私達と、後は何も知らず気を失った犠牲者達しかいません
つまりは御嬢様がこの者達を見捨てたとしても、誰一人として咎める者はいないということです
そしてこの方々は貴方様とは見ず知らずの他人――それも、路地裏の住人です
つまりは私同様に汚れた手をした"犯罪者"の可能性が高い……言うなればこれは"共食い"と呼んで差し支えのない行為

――ご自分の命と、そんな誰ともしれない方が方々の命……果たして天秤は釣り合うのでしょうか?
それでも尚……御自分の全てを差し出してでも一人でも多くの命を救いたいと願うのならば――きっとそれは何よりも尊く気高い感情でしょう

さて、"当たり前の自己愛"か……それとも"聖人君子の如き自己犠牲"か
御嬢様が選び取るとしたらどちらになるのでしょう――私、とても気になります……キ、キハハハハハッ!


【まるで誘導するような趣味の悪い説明を終えると、男は堪えきれないとばかりに腹を抱えて笑い出す】
【果たして男の示した悪辣なる"取り引き"に対して、少女は如何なる決断を下すだろうか――】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 21:41:00.99 ID:H5evuGcA0
>>249

【――たぶん、ほんの少しでも、期待してしまったのが間違いだった。そこが、きっと、少女の未熟なところだった】
【ただでさえ苦しげに歪む表情が、もっと悲しげに――辛そうに歪む。自分の命か、五人の人間の、未来を選ぶか】
【結局自分は死にはしても本当に死ねはしないのを思えば、差し出してしまおうかとも思った。だったのに】

れいぞく…………、

【最初はあんなにも鋭かった声も、今では、ただ鈴をかすかに鳴らすようだ。気迫のようなものは、まるで抜け落ちて】
【その言葉の意味を分かりかねるように――なぞってみる、そして、なんとなくの意味を察してしまえば】
【初めて気弱げな表情をする。泣いてしまいそうなそれだ、まあるい瞳を俯かせ、――さっきじわっと浮いた涙が、そっと煌き】

わたしは、

【何人も殺した。いくつもの未来を奪ってきた、ただ――自分が壊れたくなかっただけの、それこそ、自己愛で】
【いろんなひとと出会って、もうしたくないと思った。誰かを苦しめただけ、誰かを助けてあげたいと思った、償いたいと】
【助ける相手が殺人者だって……多分、あんまり、気にしない。それを言ったら、自分だって、この手は血みどろなのだから】

【――だけど、男の言いなりになるのは嫌だった。ただ単純に命を投げろというなら、或いは、従ったかもしれない彼女でも】
【平気で人間を売ったりするような人間に、そんな人間に、頭を垂れて。従えというのか、従わないと、いけないのか】
【きっとそうしたら、自分がしたいことも出来なくなる。昔の自分みたいな子供に。行くあてのない子供を。助けてやることも】
【思考がぐちゃぐちゃになる。血が足りない、ふっと寒さに気付いてしまえば、かたかた震える指先をぎゅっと抱きしめて】

【彼の下に就いたら。きっと夢は叶わなくなる、それどころか、絶対にしたくないことを、きっと、することになる】
【だったら。それだったら、ほんの五人くらい――誤差じゃないのか、と、思ってしまう。何十人も殺してきたのだから】
【いまさら五人見捨てたところでどうなるのかって。……そんな思考に、自己嫌悪してしまう。重たい油をたくさん飲んだみたいに】
【死んでもいい。従いたくはない。助けたい。でも、助けられなくたって――(ほかにはだれも、これをみてない)】

――――う、ああああああぁあぁ!!

【――唐突だった。叫び慣れていない喉から上がる、ひっくり返ってしまった、無様な声】
【落ちていた小さな石。ほんの三センチほどのそれを、拾い上げて、彼へと投げる――だけど、右腕は、ろくに動かないなら】
【方向性を見失った石は逸れに逸れてどこかへ落ちる。彼は“ひやり”ともしないはずだ、当たるはずのない軌道】

赦さない……赦さない、ぜったいに、おまえみたいなやつは、絶対に――!
わたしが神だったら罰を当てるのに、地獄よりも非道いところに、堕としてやるのにッ!

【叫ぶと傷が痛んだ。胸を大きく裂かれたのだからそれは当然だろう、そもそも、病院でなくとも大人しくしているべき重症だ】
【だのに叫べば、それは――つまり、拒絶だった。助けたい、でも、受け入れられない。他人のために、自分を諦められない】
【だから気に食わなくて叫ぶ、子供みたいに。子供が我侭するのと何も変わらない、――ただのヒト紛いでしかないことを憎んでも】

【ぎゅっと身体を――というより傷を抱きしめて、またしても少女は顔から地面に頽れる。今度こそ、限界を迎えたように】
【――結局、選んだのは、自分の命と、自分の未来だった。叶えたい夢とか、やりたいこととか、そういうのを、彼女は選んだ】
【寒いのか震える身体は秒速で弱っていく。「ごめんなさい――」小さく聞こえた声は、幻聴だったかもしれないけれど】
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/20(木) 22:12:47.98 ID:5ZnCUsnuo
//>>247ですがまだ募集中っすー
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 22:12:54.55 ID:PzgdQClgo
【街中】

【百貨店なんかはもう既にクリスマスのバーゲンの告知を始め、ケーキの予約なんかもしちゃったりして】
【オマケにニューイヤー用の飾りやら何やらもひっくるめて売られていて師走が来たともうはやに感じられる】

【そんな街中にビルの間の路地からぶわわーんと何かが吹っ飛んでくる。ぶっ飛んでくる。そいつは路肩に】
【停めてあるクルマにぶつかって、揺らす。衝撃で防犯アラームが鳴り響く。その『何か』は人だ。若い男二名】
【緑のパーカーに緑のバンダナでギャング映画に刺激された”インスパイア”系のギャング…主に車上荒らしをするタイプとわかる】

はぁ〜…マジ、ウッザ。何処の路地裏にも居るとかネズミかっつーの、マジで

【路地裏から出てくるのは金髪の女子高生。何で断定できたかと言えば服装が学校の制服だからだ】
【それは某有名な中高一貫のお嬢様学校のブレザースタイル。首に巻いたマフラーはブランドもの】
【後はショッキングピンクのニットキャップを被ってホワイトのヘッドフォンを首に下げて、それとフライト用のゴーグル】

【まあ制服だとかブランドだとか金髪は地毛じゃなくて染色だとかは注目すべきモストな部分じゃなくて】
【プライマリに気にすべきなのは手にはめた黒いグローブと足に履いたシルバーのゴツいローラースケートと】
【肘から先と膝から先まで覆っているシルバーの中世の甲冑の様なものの方がリアルに気にすべきサムシングなはずだ】

つーか、自警団とかまだ来てないわけ?連絡したじゃん。あーマジないわ…マジでジャスティス感じない

……あ、すいませーん。誰か警察とか呼んでください。恐喝未遂の現行犯ってことで

【キュイキュイあたりにうるさくアラームは響く。野次馬は軽く出来て、女子高生は苦笑い。ギャングはか細く呻いている】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 22:13:17.82 ID:iJbIvV03o
>>250

ククッ――キキ、キキキキ――!

嗚呼、嗚呼――いいですよぉその表情! その絶叫! その怨念!
やはり女性はそのように泣き叫んでいる姿が一番……何よりも美しいですよねえ?

ええ、ええ、承知しましたとも……約束に従い、貴方様の安全は保証しましょう!
死の恐怖にも怯えることはなく、明日には何時も通り平和な日常を送れる事でしょうねえ!


【"それが見たかった"――とばかりに喜色満面の、輝くばかりに笑みを浮かべながら】
【実に楽しそうに、嬉しそうに、手が無事ならば拍手すらしたかもしれないそんな調子である】

【男の言葉が響くと同時に、隣接する建物の屋上から新たな"影"が二体】
【鈎付きロープで体を支えながらシュルシュルと地面へと舞い降りてきて】
【その内一体が、医療箱のようなものを持って少女へと近づいてくるだろう】

【もしその行動を妨げることがなかったならば】
【胸の傷口には非常に強い鎮痛と止血効果を持つ薬を塗りつけて】
【其処と腹に包帯を巻きつけ、血の流れを調節しながらナイフを引き抜き迅速に処置していこうとする】

【それが終われば、その影は少女から数m離れた位置に留まり】
【面の奥からジッと――感情を灯さない瞳で彼女を視界に入れ続けるだろう】
【この"影"はここに留まり続け、もし体調が回復して動き出したならば】
【少女の後方に音もなく追従して――表通りまで親切に護衛しようとする。どうやら、約束を違えるつもりはないようだった】


ええ、いずれ私は地獄に落ちるでしょう! それだけの罪を重ねた自覚はありますのでねえ!

ですが其れは今でもなければ――恐らく、貴方様によって堕とされる訳でもありません
これだけの痛みを受けて、これだけの屈辱を浴びて……私の前で一度屈服した貴方様が、果たして再び立ち向かうことが出来ますかねえ?

最初私に啖呵を切ったように、剣を握って勇敢に戦うことが――出来ますかねえ?


【小馬鹿のしたような、煽り立てる言葉のチョイス。しかし別の見方をすれば反骨心を強めるような】
【――この男は、何が目的だったのだろうか。少女を助ける理由はなかったはずだ】
【選択肢など出さず、命に関わる重症を負った彼女など放ってさっさと被害者たちを連れて行けばよかったのだ】
【そして、先程の質問の最後の述べた一連の台詞――"見捨てる選択肢"に誘導するような其れと、先の満面の笑み】
【きっとこの男は――】


では、ごきげんよう小さな勇者様――折角拾った命です、大事にお使いなさいね

それと……くれぐれもお忘れなきよう。
貴方様はこの場面に於いて他者の命よりも自分の命を優先いたしました――
ええ、ええ、人としては当たり前の感情ですが……それでも貴方様は"選んでしまった"のです

一度覚えてしまえば、それは心の奥底に黒いシミのようにして刻まれます。
拭い取ろうとしても決して取ることは出来ない、深い深い澱みが生まれたことでしょう
……次また、このような状況になった時も……貴方様が"賢い判断"を下せるよう、期待させていただくとしましょうかねえ


【――穢したかったのだ。誰かを救いたいという美しい正義の心を】
【趣味が悪い、という範疇では言い表せない異常と称して差し支えのない思考だ】
【男は最後に、耳を劈く猿のような高笑いを残して】
【もう一人の"影"に、戦闘不能になった二匹を回収させながら――人々を積んだ荷車を引いてその場を後にしていく】

【カラカラ……カラカラ……と、車輪の音がいつまでも、路地裏に染み付いて離れないようだった】

/お疲れ様でしたー!
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/20(木) 22:39:37.82 ID:H5evuGcA0
>>253

【――やがて、蹲って見えないけれど、小さな嗚咽が聞こえてくる。いくら押し殺しても隠せない、ちいさなちいさな声は】
【きっといろんな感情に塗れていて、何よりも目立つのは、“この身体が動くならば”――そんな、殺意だっただろう】

【助けたかった。助けられなかった。それはきっと自分が弱いからで、それは、きっと、自分が駄目な子だからで】
【こんなに弱かったら夢なんて叶わない。強くならなきゃいけないと思考で繰り返す、――霞みだす視界で、彼を睨みつけ】
【その姿を忘れないようにするみたいに。呪いをかけてやるように、ただ、ただ、じっと……じっと】
【――手当てされている間も、態度がかわいくなることはなかった。助かったと喜ぶでもなければ、殺してくれと喚くでもなく】
【意識の半分ほどを既に取り落として――ただ、ぼろぼろと涙を落としていた。悔しいのか、苦しいのか、もう分からないけど】

【(五人くらい、誤差だって)】
【(なんてことを考えてしまったのかって、それが、……すごく、すごく、いやだった)】

【――起きているのか、眠っているのか、分からないような状態だった。耳は確かに聞いているのに、目はほとんど見えていなくて】
【男の言葉と、車輪の音。ただただこびりついて――何度も何度も反響する、そういった拷問みたいに、何度も繰り返す】
【ただ一人こちらを見つめてくる影以外が居なくなった路地裏で、初めて、声を上げて泣いた。ごめんなさい、そう何度も呟いて】
【そのうちに声が小さくなっていって――死んだ、わけではない。眠ってしまったのだろう、寒空の下、それはそれで死にそうな夜】

【だけど。別段人通りの場所まで運んでいったりする必要はない、なぜなら、十数分も置いておけば、現れる人影があるから】
【鮮やかな紫色の髪を引きずるほどまで伸ばした少女だ。瞳も、また、髪と同じように透き通るような紫色をしていて】
【保護者だからとか何とか言って意識のない少女を引きずっていく。――ちなみに本当に保護者なので、そこは心配する必要がなく】

「今度は胸? キミはこういうのが好きだね」

【だなんて、本人らでしか分からないような言葉を、置き去りに。二人の姿は、転移魔術によって消えるのだという】
【最後に紫色から「お疲れ様」なんて言葉があるのを見るに、よっぽど少女の味方でもないのかもしれないが――まあ、】
【いちおう――残っていた影の仕事も、それで終わりということになるだろうか。後は、紫色がどうにかするだろう】
【彼女は病院が嫌いだから、入れないけれど。……静かに寝かせておけば、それが一番いいと、知っている人物だから】

/おつかれさまでしたー!
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/20(木) 22:42:18.03 ID:5ZnCUsnuo
>>252

【帰路に着いていた最中、ふと響く耳障りな音。キュイキュイと鳴るそれは今でも心臓をきゅっと締め上げるようであり、躰が反応し音の方向へと振り向く】
【視界に広がる不自然な人だかりが嫌な予感を高め、男は左腰に佩いた刀の濃口を切りながら走り野次馬をかき分けて行くのだが、見えた光景は――――】
【その嫌な予感とは、大分かけ離れていたというか。女子高生にシメられた悪そうな男2人……?という、少し首を捻りたくもなる絵が目の前にあって】

……あー、水の国自警団の中邑という者だ。 ――――この現場は……その、君が? 
……一応何がどうなってこうなったのかを説明してくれるとありがたいのだが。

【彼女視点に立てば、着物に薄藍のインバネスを羽織った黒髪の男が現れ、襟元のバッジを指さしながら自警団だと彼女に向かって言葉を飛ばす】
【バッジは本物であり尚且つインバネスコートにはSCARLETの紋章まであることから、強ち男の発言は嘘ではない様子】
【この男、本来この時間は非番……というか、ほんの1時間前に出番を終えた故の帰宅。従って彼女が通報したということも知らない】
【そのせいかこの状況をまだイマイチ把握し切れていないという印象が、その言葉からも分かるだろうか――――】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/20(木) 22:48:31.33 ID:5ZnCUsnuo
>>251
//すみませんナシでおねがいします!
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/20(木) 23:09:06.92 ID:PzgdQClgo
>>255

【女子高生はブレザーのポケットからショッキングレッドなカラーのガムを取り出して口の中に放り込む】
【警察か自警団かなにか来るまでそれを膨らませたりして時間を潰していた】

あ、お疲れ様でーす。はいー。私がとっ捕まえました。こいつらがー超か弱いJKに絡んできて
んまぁ、元々シバくつもりだったんだけど。あ、これおとり捜査に入る?まーいいよね、私、警察じゃないし
まぁ、いいや。説明もめんどくさ。要はギャング見っけてラッキーと思ってシバいてとっ捕まえました。以上!

【にへら〜と自慢気に笑って、ビシッとピースサイン。ピースサインがサタニックサインに見える気がしないでもない】
【彼女は現れた男を上から下まで眺めて】

おっ……っとぉ?SCARLET?やった。ラッキー。エリートじゃん。お努めご苦労さまです
コイツラは任せるんで…あ、一発かましただけで外傷も無いと思うんで。 つーわけで…

【彼女はニヘラ笑みで近づいてきて、パッと手を出す。平の方を上に。なおグローブにはメカメカしい金属が幾つも取り付けられていて】
【一体何の道具か装備か分かりかねるがまあそれは重要な事じゃなくて次のセリフでサッパリ忘れてしまうだろう】

…はい、お金ちょーだい?

勇気ある市民に対してその危険を試みない勇敢な行動に…ほにゃららとかそのへんの理由でさ
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/20(木) 23:19:02.25 ID:knRGidgn0


【――――路地裏。様々な悪党が巣くう場所として有名で有り、好き好んで通る者も居まい】
【そんな場所にて聞こえるのは数人分の呻き声か。見遣れば全員場所は異なれど掌で押さえ、倒れ伏す男達が数人】
【唯一立っているのは何処かの企業の正装を纏った女。――――と、純白のローブを纏った一人の少女か】


「礼は必要在りません。イリニはイリニの務めを果たしただけなのですから
――――其れでは気を付けて帰ると良いとイリニは告げます。次にまた同じ様な事が起きても救う事が出来るとは限らないのですから」

【大凡、女が暴漢に襲われそうになった所を白の少女が救ったのだろう】
【その少女、年齢はまだ十代の前半にも思えるけれど其れ相応の実力を持ち合わせているのか】
【頻りに頭を下げる女に対し、感情の含まれない双眸を向けたならばこれまた抑揚の無い声質で告げて】

【女がその場から去って行く姿を確かめた後に倒れ伏す男達を一瞥】


「コレが我々教会の勤めです。害を為す者を排除し、死から救う事。イリニはそう教わりました
――――貴方達は処刑を行う程ではありません。その痛みにて罪の重さを認識すると良い、イリニはそう考えます」

【治療をするでも無く、ただ呟いたならば少女もまたその場を後にするのだろう】
【戦闘の際には其れなりに大きな音が響いていたし、何より罵声等もあったのだから場所を特定するのは容易】
【戦闘自体を見る事は叶わないだろうが、倒れ伏す男達と何食わぬ表情でその場から離れようとする少女しか居ないのだから双方の関係は誰にでも理解出来よう】

【この場所、悪人は勿論の事自警団だとかの善人も訪れる。不本意ながらの迷い人も居るか】
【何で有れ、少女の白髪はこの闇の中よく目立ち――――もし誰かが訪れれば、ピタリと脚を止めて「何かご用ですか」の言葉と共に視線が向けられるのだけれど】








【――――死酷ノ原】
【曾て妖怪と人間の大規模な争いによって穢れた地と化した其処。長い時を経た現在ですらも忌み嫌われた地とされていて】
【普段ならば妖怪すらも寄りつかぬ場所だけれど、今宵は其処に一人の姿】

【悪狐が作り出した扉の前で佇むのは――――巫女装束を纏った妖狐、であろうか】
【纏う妖気は勿論の事、何よりも其の尾と耳とが少女の種族を示す物となろう】
【何をする訳でも無くただジッと見つめて居るだけ。やがて視線を外せば、何処か不安げな表情で俯いて】


「お姉ちゃん……大丈夫でしょうか…………
あの日から、もうずっと…………」

【誰に聞かせる訳でも呟かれた其れは、不安に潰されそうになる自分を無意識に守ろうとする本能か】
【ぎゅ、と握った小さな拳。弱気になってはいけないと分かっているのだけれど、自分とはそう簡単に変えられるものでも無く】

【――――普段は何者も居ない場所。だからこそ、例え遠くからであろうと少女の存在は容易く認識出来る】
【其処に居るのは危険だと忠告するためか――其れとも、少女の事を知って居てか。或いは、こんな場所ならば“獲物”と認識されても可笑しくは無い】
【近寄るならば、敏感にその気配を察知して怯えるように其方を向くのだけれど】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/20(木) 23:32:50.26 ID:5ZnCUsnuo
>>257

【誰かがこの女子高生を助けて男共を倒した?――――いや違う。女子高生の態度を見れば其れは歴然】
【というかこの態度はどう見ても助けられたモノとは思えない。……ならば答えは――――やはり彼女自身が彼らを撃退した、ということなのだろう】
【訝しげな視線は彼女とギャングを何度も往復し、その結論へ至ると同時に彼女がピース?サインと共に真相を語る】

……あ、ああ。つまり君が彼らに襲われた……所を撃退した。ということだな……?
良く2人相手に圧倒出来たモノだ、凄いな。この2人は此方で何とかするし……まぁ、このうるさい音も此方で何とかする。
面倒なことは此方で処理するから君は安心して帰宅して構わないぞ。

【自分が櫻の厳しい家庭に生まれたせいか、このような態度の女性は苦手だ。女子高生がそんな服装はあるかと今すぐにでも指摘したい程である】
【――――いや、というかその銀色の……ソレはなんだ。制服から浮いているとかもうそんな次元じゃないだろう――――とこっちの方が指摘したい】
【しかしながら何年か自警団をやっていて分かったのは、この年頃の女は指摘すると逆効果だということ。ここは……スルーだ、うん、スルー】

【迅速に処理して終わりだと思ったのだが、彼女が何を思ったかずい、と一歩前に来て手を開く。メカメカしい手を見せた彼女に男は困り顔を浮かべるしかない】
【この時本人は「このグローブを自慢したいのか? 何か感想を言うべきか?」と困惑していたのだが、彼女の口から放たれた一言はまさかの内容】

……む、何やら凄そうなグロ――――は……? ……あ、あのだな、自警団にはそのようなシステムは無くてだな……
この連中がもし指名手配されていれば警察の方から懸賞金が貰えるだろうが、自警団からそういうのは……。

【あまりにも突拍子もない内容に、彼は狼狽しながらも返答することしか出来なかった】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/21(金) 00:18:55.54 ID:S+E8baI/o
>>259

そそ、そんな感じ。オッケーオッケー

ま、コレもあるしー…というかコレのおかげだし?充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かないってわけ
クラークの三法則ね。知ってる?アーサー・C・クラーク。知らなくてもいいけどねー別に

あ、ちょい待って。…………おりゃっ!

【彼女は彼を静止して、ローラースケートのつま先でクルマのサイドを蹴っ飛ばす】
【ノーマルの人間ではあり得ない音が鳴って車体が揺れてアラートは静かになった】

【キシキシと腕を動かすと何か機械的な音がウィウィ鳴る。ローラースケートからも常にモーターの作動音がする】
【どうみても単なるファッションでは無いわけだが……まあ、それは重要な事じゃないと何度言うのだ】

………は?……いやいやいやいや。自警団こそそのシステム無くてどうするの?あのね、警察だって捜査協力費っての
あるの。…まー、よく裏金になってるやつ。でもま、くれるの。つーか、他の自警団はくれたんだけど?

【引くわけがない。笑みは眉間に寄せられたシワに変わり、ピースサインは人差し指を向けて詰め寄るのに使われる】

あのね、お金ってのは天下の周りものなの。経済は市場の原理で動いてるの。その市場を私は守ってやってんのよ?
その利潤を還元されてしかるべきなのよ。……あーもう。面倒くさい。色々お金かかってるんだから頂戴よ、ケチ
何もチンピラ2人で大金寄越せって言ってるんじゃないのよ?チャンスの均衡と結果の平等はロールズにも書いてあるでしょ?

【この年頃の女は面倒くさいというのはあたり。プラス面倒くさい性格でもある。同時に、そこそこ学もありそうで理屈も構築されている】
【そもそも怒りというものはものすごい理性的なエネルギーで支離滅裂であれ、理論が伴っているものである】
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/21(金) 00:39:53.98 ID:F5wxzZvSo
>>260

【重い音が車から奏でられ、一瞬辺りの大気が揺れたように思えた。唐突なその振動に彼の身体もびくつきを見せ、その後ぱちくりと瞳を丸くする】
【――――これが科学の力か、と驚嘆するリアクションなのは、彼が櫻の国――それも辺境の昔ながらの文化が残った土地生まれだからこそより大きかった】
【しかしながら同時に危惧するものもある。闘う身体を作り技術を身に付けていく中で人は精神性も鍛え上げられる、そう彼は考えている】

うぉ……っ、……す、凄いな。からくりの力がこれまでとは……――――言え、簡単に力を得られるというのもどうかと思うが……。

【肉体を苛め抜き、技を身に付ける際に何度も同じ作業を繰り返す。その行為が忍耐力や屈強な意思を作っていくものだと、そうも彼は考えており、そして――――】
【――――科学により身に付けた戦闘力というのは、その作業がないのでは?と彼は危惧し、素直に口から零した】
【そして金をせびる彼女の傲慢な態度と言うのは、力を身に付けていく「正しい過程」が無い故のモノなのではないか――――とも密かに思うのであった】

ろーるずもくらあくも良く分からないが、自警団にそのような決まりはない。
他の自警団はくれたとしても、俺にはその決まりを曲げることは出来ないし、曲げようとは思わない。

【そもそもその態度は強者としてどうなのか――――まで言おうかと思ったのだが、何とか喉元で押しとどめた】
【よくある対処の仕方である――――ルールですので、といういなし方。揺れのない平坦な声で冷静に、真っ直ぐな瞳を向け、常識を淡々と言うかの如く口調で中邑は語る】




262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 01:14:47.11 ID:0wQ1O792o
【深夜・路地裏】

【冷えきった空気に混じって、濃いアルコールと血臭が漂っていた】
【出元は死体。格好から察するに、30代程度の男性――海賊であろうか】
【シミターが手に握られている辺り抵抗はしたらしいが、功は奏さなかったらしく】

これで既に13人目……あの海賊の規模を思えば、そろそろ当たってもいいと思うけど。
……流石に女海賊ともなると、生き残る術は身につけてる訳だ

だろ、パルヴィ海賊団の航海士クン?優秀な船長で良かったじゃないか
いずれ君たちと合流できるように、死体は海底に沈めてあげるよ
ボクに出来る"せめてもの手向け"って奴だからね……さて…――。

【下手人は、まだ其処に居た。全身を黄金の装甲鎧で覆った、恐らくは男性】
【同色の鉄仮面が顔を隠している為に確定は出来ないが、見た目に反して柔らかな語り口や】
【何より、所作。腕を組んだり、武器を邪魔そうに蹴飛ばして男を担ぎあげたり】

【そういった動きからするに、女性ではないはず。――さて、彼は死体を苦もなく担ぎあげると】
【独り事の通りにでもするのか、ガシャ、と足音を立ててその場を立ち去ろうとし――。】
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/21(金) 01:16:55.15 ID:S+E8baI/o
>>261

科学技術の発展は人類を比較的…基本的に幸福にするってなもんよ
能力者とそうでない人の間を埋める事で平等に近づくわけ。…まあこれはオーバーテクノロジだけどねー
つーか、私だって何にも努力してないわけじゃないし。ルックスで決め付けるのは良くないねぇ〜スカーレットさん?
見た瞬間にスマホが使えるかって言ったらそうじゃないでしょ?要はバランスよバランス。…ね?

【ローラースケートを回転させてその場で回ってみせる。アイススケートのスピンのようなハイスピード2回転】
【からの指でピストル。BANG!とジェスチャとともにニヘラ笑いで言ってみせる】

【遠心力でかかるGやそのメカの重量等、機械の補助があるにしろ扱うにはそれなりの筋力がなければならないと言うもの】
【また便利な機械であってもそれを100%引き出すにはそれ用の訓練が相応に必要になるものだ】

は?うっそ。正義論読んでないの?それで正義の味方でいるわけ?…ま、どうせテロリスト探してとっ捕まえるだけだからいいのかな?
まあ、でも、正義ってのは色んな定義があるって知っといたほうがいいよ?不確定なもんなんだから。
悪者とっ捕まえてるだけじゃそれは悪のカウンターでしか無いわけ……アホらしー、こんなこと言っても仕方ないや

【口をつーんと尖らしてわざとらしく敬礼して見せて】

はいはい、わかりましたよ。そいじゃーお勤めお疲れ様です。後はお任せして私は帰りますよー
明日もガッコあるしね。あ、ガッコには内緒ね。それぐらいの融通は利かせてくれないと女子に嫌われちゃうって

それじゃ、私はこれからもジャスティスってくんで。また会ったらよろしくね

【彼女が何か腕の機械を操作するとキィィィィっとモータがうるさく周波数を上げる】
【直ぐにガガガと歩道と擦れて、彼女は走り去る。車道に跳んでクルマよりも速い。直ぐに消えていった】


/夜も深くなってまいりましたのでこんなところで失礼させていただきます
/お付き合いいただいてありがとうございましたー
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/21(金) 01:32:07.87 ID:AQbNZFOe0
>>262
【その道を遮るように現れたのは一人の姿】
【現れた――――と表すよりも、空から降りてきたと記すのが正しいか】
【背に生やすのは純白の翼。然れど手にしている其れは平和とは程遠く、“聖”を発した一振りの剣であって】


「今の時期海なんかに沈められたらたまったもんじゃ無いとボクは思うけどね
――――況してや海は広いんだから、合流できる可能性だって殆ど無いと思うよ?」

【纏うのは修道女の其れだ。ならばこの人物もまた教会に関係する者、とも知れるが】
【何で有れ此処を通す気が無いのは明白。空気こそ正義の徒が抱く物とは異なるけれど、敵意に近い物を感じているのも確かで】
【トン、と軽い音を一つ。その脚をしっかりと冷たいコンクリートに着ければ緩んだ笑みを向け】


「ボクは自警団だ警察だSCARLETだとは違うけど…………仮にも命を守る側の人間さ
で、キミは命を刈り取る側の人間。お互い仲良く出来なさそうだね

――――さて。死者は死者として丁重に扱うよ。罪人は罪人としてボク等が裁く
見たところ、キミの担ぐ其れも真っ当な人間じゃ無いみたいだけど…………それでも、ね
ボクが出来る“せめてもの手向け”はキミを始末する事だ。これ以上犠牲者が増えたらまた面倒事が起きるからさ
まあ、既に半分脚を突っ込んでるんだけど…………」

【金の双眸は相手を射貫く様。チラリと一瞬向けた先は、最早尽きた骸】
【仏教だとかとは異なるけれど、其れでも死者は死者らしく弔ってやるべき。何より、この人物を放っておけば――――】

【先手を打つ事は無く、先ずは出方を窺うのだろう】
【数多くの経験が告げるのは、一筋縄では行かぬ相手だと言う事。故に、一挙一動も慎重になるのは仕方なし】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 01:45:03.65 ID:0wQ1O792o
>>264

おやおや、こんな薄汚れた場所に天使様のご登場だ
いや、それとも剣を持っているから戦乙女と呼んだほうが?

……どっちにしろ、キミはそういう呼び方は嫌いそうだけどね。

【聖の空気が夜霧を裂く。自然と装甲の男も足を止めて、声を返し】
【おもむろに死体を壁際に下ろすと、腕組みして彼女と対峙する】
【逃げる気も、弁明する気もないという飄々とした態度。――単なるお調子者、でも無さそうだが】

仲良くなれない、か……そうかな?ボクはそう思わないよ
キミは使命があって、それを果たしてる。そして実のところ、ボクも然りだ。
ちょっと方向性が違ってるけど、使命を持つ者同士仲良く……ってのは、無理かな?

……まあ、いいさ。どれそれ構わず"お友達になりましょう"ってガラでもないんだ
それと1つ付け加えておくなら、これ以上の犠牲者は二人しか出ないはずさ
彼と彼女が何事も喋らず、何処かで寒さに震えていてくれるならだけど…――


ところで―――……双銃を使うのは止めたのかい?


【言葉を言い切るが早いか、男は一挙にその場から"跳躍"する】
【真っ直ぐに女性をめがけて進む最中、両腕の外側に大きなブレードを展開すると】
【ぶつかる寸前でその刃を下方から振り上げ、彼女を4つの肉塊にせんとする】

【刃は手首から肘まで届く巨大なモノ。切れ味は言うまでもなく、ひどく優れていて】
【次いで、接近の速度も人外じみて早かった。鈍重な見かけはむしろ、対戦相手を騙す為の物と思える程に。】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/21(金) 01:50:10.12 ID:F5wxzZvSo
>>263

……確かにそうだ。科学技術の発展が人々の生活水準を向上させ、沢山の便利な道具を生み出してきた。
しかしその便利が人からある力を奪っていることも事実だ。例えば……そう、我々が今立っているこの整備された道路。
昔は凸凹の大地が殆どで、人々は常に不安定な大地の上を駆けていた。それが綺麗に舗装された結果、人々からバランス感覚を奪い去った。
それだけじゃない、そのような凸凹な道を走っている中で自然と古来の人々には身体操作法がある程度身についていたが今では消え失せている。

……――――纏めると科学技術の全てが良いものではないということ。確かに今では必要不可欠だが、それが人々の身体に備わる筈の力を奪っている。

【道は綺麗に舗装され、人は車と云う移動手段を得た。暖を取るにはエアコンやこたつがあるし、調理も電子レンジやIHがある】
【便利な世の中になったものだが、道はバランス感覚を、車は運動の機会を、こたつや電子レンジから出る電磁波はゆっくりと人の身体を蝕んでいる】
【進化していくこの世界の流れを止めることは到底出来ないしするべきではないだろうが、中邑はそのような発展にも危機感を抱いている、そう語った】

……それも、そうだが――――……。

【確かに彼女の言う通りかもしれないと思うのだが、どこかに納得できていない自分がいる。機械を引き出す力の養成。扱いに慣れる努力。それも分かる】
【でも、それでも。――――これは驕りであり持つべきではない感情かも知れないが。無能力者中邑瑛月はいけないと分かっていながらこう思ってしまった】
【――――「その努力も機械なしに比べれば、自分が能力者と渡り合う為にしてきた努力に比べれば劣るのではないか」と】
【自分の努力が機械にカバーされることが不服なのかも知れない。自分が何故そう思ったのかも理解できない。でも、そう思ってしまう。無論、口には出せない】

……それくらいは俺でも分かるさ。だからと言って俺の対応が変わる訳でもない。定義が幾らあろうと俺の正義は俺のモノで変わらない。
偉い人が何と言おうと、その正義は――――……おい話の途中だぞっ、待たないか……っ!?

【敬礼をする彼女に向けるは凛とした濡羽色の双眸。真っ直ぐな光を湛えた、曇りのない、そして刃の切っ先の如き鋭さを秘めたそんな両眼】
【その真っ直ぐさを示すかのような、静かながらも強さを秘めた口調。そのまま言葉を続けようとしたところでまた異音、直後の爆走――――】
【待てと言う彼の言葉も速度に追いつけず、その姿は急激に小さくなり消えてしまった。すれ違いに来た自警団員達を見て、彼は一つ大きな溜息を零した】

/ありがとうございましたー!
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/21(金) 02:08:18.86 ID:AQbNZFOe0
>>265
「ふぅん、随分とボクに詳しいんだね。キミみたいなファンが居てくれてた覚えは無いんだけど
確かにボクは天使何かよりもほど遠い存在だよ。何せ、キミみたいな人達でも殺してる事に違いは無いんだから
…………ま。教会の殺し屋さんだよ。キミの様な存在を裏で消していく死神さ」

【ふぅ、と溜息。其処等の機関の様に簡単に終わらない事は明白】
【けれども無視を出来る相手でも無い。中々に難儀な事だ――――と自分を慰める様な其れ】
【数々の血を吸ったのであろう其の一振りも、未だ白銀の耀きを放ち。軽口を返す間にも、半歩下がって既に身構えは終えて】



「悪いけど、友達は選ぶようにって昔から言われてるからねぇ。幾ら水と油を混ぜても混ざらないのと同じ事だよ

――――なる程ね。じゃあその二人を守りきるかキミを殺しちゃえばボクの勝ちって訳だ
勝つ為の条件が二つあるのは悪く無い…………けど。今は手っ取り早い方を試してみようかな」

【流石に多くの修羅場を潜った事が在るだけに直ぐに肉塊と化すことも無く。その場から数歩下がり、刃の軌道から逸れる様に身体を動かせば額を斬らせるに留め】
【其れで今までの考えが確信へと至る。やはり容易に終わらないし、この場で殺せるかも分からない】
【けれど、試す価値は十分。最悪、痛手を負わせて次の機会を狙えば良いのだから】


「しっかし、本当にキミは詳しいね。でも、ボクの獲物は色々と形を変えられる上にキミみたいなのには銃弾よりもコッチの方が確実さ
斬った手応えも分かるし、動きの一つ一つも分かる
何より…………アレはとっておきの場面で、ってね。額に穴を空けたくなかったら気を付けなよ?」

【後に踏み込めば反動を利用するかのように一気に近寄る事となろう。力こそは無いけれど、素早さを利用したその一撃】
【狙うのは首であり、その一振りで切り離してしまおうとでも考えたのだろう】
【成否に関わらずそのまま横を抜ければ、丁度背後数歩分先に止まる事となり】

【とっておき、との言葉も嘘では無いのだろう。ヴァルゴの装甲を利用すれば或いは何とかなるとも推測するが】
【同時に、効果が無ければ窮地に立たされる可能性を視野に入れ―――――先ずは、弱体化させる事を優先したか】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 02:22:59.26 ID:0wQ1O792o
>>267

勝ち、か……まあ、そうだね。
小さな局面を見れば、その条件を満たせばキミの勝ちで良い。

……それに、その二人を殺すっていうのが中々捗らなくてね?
一人はこの間取り逃がしたし、もう一人も見事に逃げ回れててさ
まるで鼠だよ。キミ、鼠を追い回したことは?アレは中々、捕まらなくてね…――!

【刃が浅く肌を切る感触。見事に回避されるのを見届ければ】
【今度は即座に反撃へ転じた敵の刃を、肩を上げて首を傾げ】
【ちょうど装甲の固さを証明するように、一撃を防ぎきってみせる】

【とはいえ、流石に無傷ではない。黄金色には綺麗に一筋の後が残っていたし】
【鉄仮面は僅かながらも凹んでいた。――が、果たして銃撃で抜けるかどうか】

お恥ずかしながら、ボクはキミのファンでね。
大まかではあるけど武器が変形することや、見事な聖の術を使うことも知ってるよ。

……あぁ、でもストーカーじゃないから。自警団に届け出の必要は無しさ
悪魔でも化け物でもないから、教会に告げ口して誰かを呼ぶ事もない。
さて……キミの勝利条件は確認した。今度はボクの番だね、グリース…――?

【対応する勝利条件など確認するまでもない。件の二人か、目の前の女性を殺せば良い】

【それを証明するように、背後に降り立った彼女へと振り返りざまに腕をふるえば】
【右腕のブレードが射出され、ブーメランのように回転しながら彼女の"首"を狙い】

【更に一拍置いて、男の方も飛びかかる。当然ながら、左腕の刃を振りかざして】
【こちらの狙いは胴を横薙ぎに一閃。どうやら機動性能に優れた装甲らしい、が――】
【少々単調、ともいえる。早さに慣れてしまえば、一つ一つを処理する事はそう難しい事ではない、か――!】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/21(金) 02:45:39.37 ID:AQbNZFOe0
>>268
「何もボクは目の前の罪人だけを斬ってる訳じゃ無いさ
追い込んで巣ごと破壊する事もあれば一匹一匹炙り出す事もあるけど、慣れてくると中々に楽しいよ?
何時も業者に依頼してるなら偶には自分で身体を動かすと良いんじゃないかな

――――それにしても二人に随分とご執着みたいだ。自分の首が取れればそれ所じゃ無いのにね、っと」

【剣は肉を斬った感覚では無く、鎧に当たった感覚を伝えてきた】
【果たして自分で壊せる程の硬度か否かまではその一撃では分からなかったが…………傷が残った所を見れば、やり方次第ではと踏んだか】
【――――いや、鎧を壊さなくても良い方法が一つ】



「じゃあ、これはボクのファンサービスって事にしておこうっか。触れ合う時間も大切だろうからね
告げ口なんて今は勿体ない。最初にボク一人だけで楽しんでから、その後は考えるさ」

【射出された其れに関しては剣で弾き、遅れて襲いかかる本体には同じ様に剣で防ぐ事で対応する】
【然れど切っ先は胴を裂く――――が。苦悶の表情を浮かべて居るかと言えばそうでも無く】



「…………早いだけの芸当でボクを殺せると思ってるんだとしたら考えを変えた方が良いよ
アンジェルや団長サマの方が数百倍も苦労したからね。後者に至っては何度も殺され掛けたけど――――

キミはそんな人達以上にボクを追い詰めてくれるのかな?
…………悪いけど、ご自慢の鎧を汚させて貰うよッ!!」

【曾て騎士団長と戦った時の事に比べれば、まだ対応出来る。ニィ、と笑みを見せたならば思い切り蹴りつけて】
【――――其れは攻撃では無く、ただ距離を作る為の行動。本命はその先であり】

【鎧を壊す事が難しいならば、直接内部に響かせる――――。体格からして、以前死闘を繰り広げた彼の様な頑丈さでは無いと踏んだか】
【再度横を抜けると共に、剣の腹が狙うのは側頭。斬撃ダメージは皆無に等しいが、鎧次第では直接振るわせる事も出来るのではと考えたその一撃】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 03:06:31.73 ID:0wQ1O792o
>>269

あぁ、ご執心もご執心。ボクは気になるとのめり込むタイプでさ
それこそ飽きるまでは三度の飯より、って具合でね。
……オマケにこれは飽きが来ない使命だから、困ったものさ

ボクの首を取る……言葉と行動は別物だろう?
言うは易し行うは難しってね。口より先に手を動かしたらどうだい、っと――!

【今度の感触は悪くない。目や耳よりも先に純粋な反応でそれを感じ取る】
【そして、今度は視認しようとする。――笑みが見えたのは、ちょうどその時】

【数瞬置いて響くのは"ガゴッ!"という、内に空洞を秘めた金属の音】
【想像は正解なのだろう。内側にいる人間は、少なくとも剛力無双の雄ではない】
【数歩押されるように後退し、体勢を立て直すのもそこそこに】
【更なる追撃を側頭部に受けると、同じような――しかしもっと鈍い音が周囲に響き】
【ぐら、と蹌踉めく姿を見れば、推測は確信に変わるだろう。打撃が有効なのだ】

【そして、内部の人間は決して肉弾戦に慣れては居ない。――が、油断は大敵だということを忘れては行けない】
【鎧は彼が体勢を崩し、鉄仮面の端から赤い雫を垂らすと同時に背面から蒸気を噴出させ】

やってくれるじゃないか、グリース……!
戦いに慣れた奴ってのはすぐに弱点を見抜くから怖いね、実に…――!

……だが、ボクはボク個人の才能でキミや他のやつに勝てるとは一厘も思っちゃいない。
其処のところを忘れないで貰おうかな……身体に刻めば、忘れないだろう?

【横を抜けようとするグリースに突如として襲い掛かるのは、黄金色の"龍の手"であった】
【出処は装甲の、その背部。或いは翼とも取れるが、体積を無視して出現したそれは】

【先端に3つの鋭い爪を兼ね備え、掌の大きさはちょうどグリースの上半身ほどもあるだろうか】
【横をすり抜ける魚を捕らえる網のごとく。使用者はダメージと隙を晒しながらも】
【その鎧は歪に変形し、修道女を切り裂かんと襲いかかった】
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/21(金) 03:32:49.05 ID:AQbNZFOe0
>>270
「――――顔も見せない相手に名前を気軽に呼ばせる程ボクは寛大じゃ無い。次はその顔を割らせて貰うよ
首を落とすのはその次さ。生きたまま顔を見ないと詰まらないもん、ねぇ…………?」

【読みは当たった。だが、一度に何度も打ち込める程鈍い相手では無い】
【攻撃の後の隙を見出して着実に削って行く事に変えた――――その刹那】

【正しく不意打ちであろう。痛みが先に身体を走り、遅れて血が流れ】
【然れど立ち止まれば更に深手を負う事は明白。身体を刻ませながらも走り抜け、止まった頃には修道着が血を吸い始めた頃】
【確認出来るのは、抉られたと表せる傷が三つ。脚を傷付けられた訳では無い故に機動性に問題は無くとも、流石に無視出来る程でも無い】
【今や翼もまだら模様に紅く染まっているが――――だが、まだ続けられる。握り直した柄が、何よりの証であり】



「困っちゃうなぁ…………乙女の柔肌に刻む何て言っちゃ
それにしても、なる程ね。便利な機能が盛りだくさんみたいで羨ましいよ
次は何が出てくるのかお楽しみのびっくり箱で遊んでみたいけど…………ボク自身が死んだら意味も無いし

…………どうやらキミはボクの事をよく知っているみたいだし、ならコレが何かも直ぐに分かるよね?」

【取りだしたのは小型のポータル。呼び出すのは――――一本の槍】
【彼ならば其れが石鬼の槍である事も知れよう。そして、その槍が持つ能力も】

【石化の力は最も警戒すべきだが…………果たして切れ味の鈍い其れが鎧を貫く事が出来るのかと問われれば疑問】
【其れにも関わらず、駆け出して】

【――――狙いは腹部。その槍の切っ先に注意を向けさせていたならば、計画通りと言った所か】
【“本命”は石突きの部分だ。元より石化を目的としたのでは無く、其れを用いて打撃を通す事が目的】
【腹部目掛けて貫く…………その寸前。槍自体をクルリと回せば遠心力等々を使い仮面を叩き割らんとするだろうか】

【勿論、隙が生じることとなる。少なくとも石突きと言う限られた部位で、更に変則的な動きで顔面を狙うには多少動きも鈍くなり】
【加えて先程負った傷の事もある。幾分、遅く】


/遅れてしまって申し訳無いのです……!
/宜しければそろそろ持ち越しの方可能でしょうか!
/自分は恐らく本日午後の10時から10時半辺りには来られるかなと思うのですが……!
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 03:37:49.41 ID:0wQ1O792o
>>271
//持ち越し了解です!ちょうど次のこちらのお返事で言おうかと思っていたので……。
//こちらは今夜だと場合によっては帰宅が24時近くなってしまうかもしれないです。
//ですので、戻ってこれれば一度お呼びかけしてみて……ということで如何でしょうか?
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/21(金) 03:43:09.80 ID:AQbNZFOe0
/お時間の方了解しましたですよ!
/それでは一度呼び掛けてみて……と言った体でお願いします!
/何はともあれ、自分は三連休の日曜以外は暇です故にこちらの事はお気になさらずともっ!
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 03:45:16.46 ID:0wQ1O792o
>>273
//ありがたいです、では明日の夜以降お呼びかけしますのでっ!
//今夜の所はまずここまで、ということで。お疲れ様でしたー!
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/21(金) 20:07:40.54 ID:TewLawKP0
【―――昼の国・ゼン=カイマ】

【かつて大きな戦いの場となり深刻な損壊を受けたこの宗教都市も、半年が過ぎて徐々に大司教を中心とした復興も進み】
【天高い秋の青空の下に真新しい建物や教会が建ち並び、此処に住む人々も徐々に活気を取り戻しつつある】
【空を見上げれば沈まぬ太陽が輝き、活気を取り戻した街並みと人々を煌々と照らし出す―――】


【そんな街の一角にある公園のベンチには、一人の女性の姿が。どうやら散歩中に休憩しているらしい……】

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は優しく澄み、口元の笑窪や右の目元の泣きぼくろが整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【ベージュのトレンチコートは季節に合わせて厚手の温かそうなもの、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【コートの下はグレーのシックなトップス。コートの色と合わせて落ち着いた大人な雰囲気の色合い】
【黒色のスキニーパンツは、すらりと長い脚のシルエットを際立たせる。足元はブラウンのブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。―――外見はこんな感じ。】
【どうやら肩と腕を負傷しているらしい。コートを着ているので包帯などは見えないが、左腕は動かず固定されているのが分かる】

【柔らかい日差しを浴びてゆっくり寛いでいる所に―――不意に、びゅうと吹き付ける一陣の風】
【落ち葉を巻き上げて、木を揺らし、……そんな風は、彼女にも悪戯を仕掛ける。ふわりと髪を揺らして】

―――あ、……っ……

【―――そして、彼女の愛用するキャスケットを飛ばしてしまった。飛んでいったのは公園の先の小道、ぽすっと落ちて】
【取りに行こうと慌てて立ち上がろうとするが、その瞬間顔をしかめる。……まだ傷が治っておらず急な動きは出来ないらしい】
【痛みも残る体では十分に走ることも出来ない。もたもたしていたら更に遠くに飛んで行ってしまいそう】
【……もし小道を歩く人がいたなら。拾い上げてくれるだろうか?秋の気まぐれな風は、どんな邂逅を齎すのか―――】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 22:47:22.54 ID:0wQ1O792o
>>271

【手翼、とでも言えばいいのか。敵の血を吸った変形装甲は徐々に定形を持ち】
【更にもう一翼、ちょうど左右から男を囲うように展開する】

……またまた。キミの治癒能力は術抜きでも優れたものだろう?
ボクがキミより優れているものなんて言ったら、それこそこの装甲と
それから……フフッ、これを言ったら面白く無いかな。

【石鬼の槍。特殊な力を持ったその武装が振るわれると、翼が腹部を覆うものの】
【防御の体勢とは違った場所に矛先が向かうとまでは想像出来なかったのだろう】

【"知っていたからこそ"の失態だったとも言えるか】
【穂先とは逆の部分で鉄仮面を叩くと、強烈な金属音が響き】
【たたらを踏んで、倒れこそしない。だがぽたぽたと滴る血だまりに、黄金の一片が落ち】

っ、く……ふ、ふふっ……!痛いじゃないか、グリース……。
ボクの弱さは御存知の通りだろう?手加減くらい……してほしいものだけど、ね

【ふわりとした金の髪。色白で、整ったと形容できる貴公子然とした面立ち】
【確か、名はひどく長かったか。かつて月を落とし、しかし自らは一切戦わなかった男――】

【――ダグラス。六罪王の一角が、側頭と額から血を流しつつも笑って其処に立っていた】
【左腕のブレードは収納し、腕を組んで。背後からの両翼はその間にも動きを続け】
【ちょうど龍が目の前の獲物を嬲るように左右から手翼が伸び、修道女を千々に裂かんと再度襲いかかっていって】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/21(金) 23:07:36.54 ID:AQbNZFOe0
>>276
「散々殺して弱いだなんて面白くも無い冗談だよダグラス。――――キミ相手に手加減出来る程ボクも強い訳じゃ無い
本当に一介の芸術家だったなら、手加減所かやられたフリのサービスまでしてあげるけどね

久しぶりだね、ダグラス。キミの絵画は素直に凄いとは思うけど…………武器を選ぶセンスは今一みたいだ」

【全てを晒した訳で無いにしても、今まで数度会った事のある相手。更に六罪王となれば、全体を見なくとも相手が誰だかは察しがついた】
【確かに彼自身の戦闘力は脅威では無いのかもしれないが――――月を用いて都を一つ滅ぼす相手。ならば尚の事警戒を強めなければなるまい】
【能力とてまだ未知。槍をポータルに戻せば、その手には先と同じ剣が収まり】


「あんまり派手にしてると団長サマに怒られるんじゃ無い?…………いや、逆に見過ごすのかな
本当に不思議だよね。敵だけどボクからすれば敵らしく無いと言うか――――何でも良いっか

キミはボクを殺したいし、ボクはキミを殺したい。今は其れだけで」

【目障りなのは背に生えたようなアレだ。まだ武装が存在するとすれば、身動きが取れなくなる前に潰して行かねばなるまい】
【現状、彼は件の鎧で大幅に強化されている。一撃で屠る事も戦闘不能に追い込む事は出来まい。少しずつ削るか、耐えきれなくなるまで痛めなければ】

【二つ、となれば避けるのも難しくなり。一つは避けてももう一つが身体を切り裂く――――けれど】
【ただ前進あるのみ。痛みに声を漏らすが、その一歩一歩は着実に近づく手段となろうか】
【――――今度は鎧の“一部を破壊”せんと、剣が振られる事となる】
【狙いは肩口か或いはその近く。斜めに振り下ろす其れは、僅かにでも肉体を露出させんと】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/21(金) 23:32:45.74 ID:0wQ1O792o
>>277

フフッ……戦いのセンスの無さは、我ながら呆れ返る程でさ
キミや他の能力者、特に戦い慣れた連中には苦戦続きだよ
便利な部下も今はちょっと……ほら、アンジェルの一件で……役に立たなくてね。

……それと、フレデリックとボクはもう友達でも何でもない
お陰で一人ぼっちさ。慣れたけど、中々寂しい毎日でね、っと…――!

【にや、と笑いつつ言葉を返し、一方で戦いは継続する】
【手翼の攻撃はまず成功だ。が、止まらず進まれると早さが足りず】

【本人の戦闘に関するスキルが足りないのは、まさにその当人が認める通り】
【剣が振り下ろされると避けきれず、ゴリっ、と鎧には傷が付き】
【それを補うように手翼が装甲に絡み付いて、両肩と胴をより堅固に防護し】

……昔なじみだからさ、今のうちに一つだけ警告しておくよ、グリース。
もっともキミの答えは分かっているけど……降伏しない?

なにも、形式的に聞いてるわけじゃないんだよ?ボクには"奥の手"がある
いわゆる虎の子ってやつさ。これは龍の鎧だから……っていうのは今は無し。
悪いようにはしないよ?武器を捨ててくれれば、それでいいんだ

【そう言いながら二、三歩後退し、不意にかざすのは右手であった】
【待て、を意味するような格好。しかし僅かに耳をすませば、蒸気の"シュウ"という音がして】
【不吉な思いがしないでもない――だが、答えねばならない義理も無く】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/21(金) 23:52:18.36 ID:AQbNZFOe0
>>278
「答えが分かってるなら態々聞く必要も無いと思うけど
キミが余り嘘を吐かない事は分かってるつもり――――でもね。武器を捨てろと言われればそりゃ嫌だよ
キミからすれば悪い様にしてないつもりかもしれないけど、ボクからすれば最悪以外の何でも無いかもしれないしさ」

【答えはNO。尤も、其れは彼も分かりきっていた事だろうか】
【一度大きく羽ばたかせた翼は未だ失われていない戦意の表れ】
【――――異音を認めたか。蒸気の音に関して警戒を示せど、未だ正体は掴めず】

【彼自身が奥の手、と言うからには相応の存在なのだろう。果たして今までの様に避ける事が出来るかも分からない】
【……それでも、降伏するという選択肢だけは無かった。今までもこれからも、それだけは変わらない事】
【善側の人間には色々と応じる事が在っても、悪には応じる事も滅多に無い、と】


「――――で。降伏勧告は破綻しちゃったけどどうしようか
キミの奥の手とやらにも少し興味がある。痛いのはあんまり好きじゃ無いけど…………意味も無く降伏するよりはずっとマシさ」

【人質を取られた訳でも、ヴァルゴの様にその場面を利用して偵察する訳でも無いならば――――……】
【今は攻撃よりも、防御と回避に意識を移す事となり。……否、負傷している今は回避と同時に攻撃に転ずる難しさもあるが】

【死なない保証は無い。だが、死ぬ未来が固められている訳でも無し。神経は辺りに集中させられ、或いはこの場からの撤退も選択に含み】
【さあどうぞ、と言わんばかりに傾げられた小首。握られた獲物は――――今や、双銃と戻すが其れが意味を成すかも分からず】
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 00:09:02.53 ID:/jxNw3XQ0
【物の潰れる音】【それは何個かあるし、その時の響く音で何が割れたかある程度は予想できる】
【響けば響くほどあまり聞きたくない類の音で、今みたいに――ぐちゃり、と鈍い音は聞いただけでも、何かわからずとも嫌悪感を示す筈だ】
【人の頭の、潰れる音】

――――あー、止めろっつったのに。
大体路地裏で死んだ所で何になるっていうんだよ。ったく。

【音のする方は路地の裏。時折点滅を繰り返す電灯が僅かに照らすばかりで、カビでも生えていそうな濁った床に】
【争いの後の血液。今では壁に模様としてつく位に経過している】
【潰れた頭。炸裂する中身。それを見下ろす一人の女――紅い髪に、何処かの学校の学生服】
【その顔は乾いたように、何も感じていない。強いて言えば少し声に落胆が乗り、表情の裏にもそれがある程で】
【それは決して人が一人死んだ時に思うような薄い感情ではない】
【手に持っているのは、光る硬化。円形の手軽な物の中でも一番の値段になる物】
【路地の奥――女の後ろにいる、浮浪者を一瞥してから、考える】

どうすっかなー、これ。

【空へと翳せば、僅かに輝き反射する】
【頭の潰れた、違和感だらけの音――それに駆けつける人物がいるかもしれないのに、本人は至って焦る様子もなく】
【まさに、何事もなかった、という様子で……】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 00:15:58.07 ID:T/oodf2fo
>>279

……そう。なら残念だよ、グリース。今の降伏にはちゃんと意味があった
キミが傷付かない、死なないという利点がね
だが断ってしまった以上…――使わざるを得ないね、"コイツ"をさ。

【パカッ、とかざした掌の装甲が外れて、黒い穴が姿を見せる】
【立ち上る蒸気、或いは炎熱。一秒も立たずにそこから吐き出されるのは、龍の吐息】

【――いや、そう形容するのがピッタリの、轟音を伴った巨大な衝撃波であった】
【掌の穴というサイズからは想像もつかない程の、路地裏を端から端まで覆い尽くすリーチを誇り】
【なおかつ、威力も多大であった。アスファルトは衝撃"だけ"でもヒビ割れて、左右の壁は潰れるように砕け】
【空間を全て押し流す奔流の如く、上下左右の逃げ道ごとグリースへと迫ってゆく】

【加えて凶悪なのは――その衝撃波に、焦熱の属性が含まれていたことだ】
【砕けた建材の割れ目からは燃料もないのに火が噴き出し、路面を黒く焦がす灼熱の波でもある、ということか】
【射程、範囲、何より威力。常識を超えた龍の息吹が、全てを灼き尽くさんと燃え広がってゆくのである】


【こと、回避については難しいか。単純に避けるというのでは、まずその道がないのだから。】
【だが流石に反動も強いらしい。尚も"蒸気の音"をさせながら、ダグラスは灼熱の向こうで同じ場所に同じ体勢で立っており】
【もし一撃を凌いで行動に移れれば、付け入る隙は多いように見える、が――。】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 00:35:42.40 ID:H9TjdTLJo
>>280

【暗がりから、足音が聞こえる。それはゆっくりと、惨劇の場所へと近づいていく】
【軽やかな音などではない。どこか重々しく、不吉な雰囲気を纏って、その音の正体は到着した】
【薄い電灯の頼りない光の元に姿を現したのは、血のような赤黒い外套を着た、黒い短髪の男】

【その男は気怠げに辺りへと視線を這わせた。何となく来てみれば、中々面白い状態ではないか】
【女に視線を固定すると、男は首を傾げた。この女がこの状況の犯人なのか、と】
【そしてゆっくりと、女を……いや、女の服を指差した】


 ……学生服、ってことはお前は学生か?
 “ならば”お前はこの状況をきっと説明できるな? 一体ここは何があった場所なんだ?
 お前がやったのだとしたら、俺にとって面白い状況なんだがな……


【男は意味深に笑った。それは肉食獣が獲物を見つけたような、好奇心旺盛な子供が玩具を見つけたような】
【そんな、不気味な笑みだった。もしもそうなら、争いと謀略を好むこの男にとってこの状況は面白くなる】
【彼には確信があった、学生服をきてこの状況にいるという時点で、ただの人間ではない、と】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/22(土) 00:46:21.13 ID:hCd8Q0020
>>281
(不味ったかな――――……いや、まだ)

【事態を直ぐに理解したのだろう。そして、事の不味さもまた同じ】
【先ずは空へと飛翔する事も考えたが――――直ぐにでも到達するであろう其れから逃げるには、時間が無い】
【ならば水を操って相殺する事も考えるが十分な水量も無い】
【至る答えは単純だ。原始的な力比べ。僅かにでも相殺できれば、それで良い】

【その羽ばたきは暴風を表すに相応しく、巨漢すらも薙ぎ倒すほど――――だが。流石に龍の息吹に等しい物に対抗できるだけの力は無い】
【鈍い音が路地裏の奥から聞こえたならば、其れは修道女が叩き付けられた音。肉の爆ぜる様な音が聞こえたならば、其れは修道女が灼かれた音】
【痛みに呻く時間も叫ぶ時間も無い。ただ其れを身体一つで受けるには、余りにも脆い存在】


【黒煙が晴れた頃、プスプスと身体を燻らせながら倒れ伏す姿が確認出来るだろうか】
【翼も今や焼け落ち、無残な姿。皮膚も焼け爛れ、ピクリとも動く事は無く】
【――――死ぬのも当然だ。勢い良く全身を打ち付け、更には身体全体を灼かれても尚生き延びる者は居まい】
【…………そう、“常人”ならば】


「――――……ッ!!」

【僅かに上下する胸。次に起こる事は、一瞬】
【銃の片方だけを逃げれば、照準は虚空へと向けられる。血迷った――――訳で無い事は、直ぐに知れよう】
【放った銃弾の向かう先は転移陣。そして転移陣が吐き出す先は…………今まで攻撃した鎧の部位】

【たった一発――――だけれど、ヴァルゴの力を利用した一発。魔法を無力化するその一発を、直に撃ち込もうとしたのだろう】
【無論、全ての魔力を代償とする故にリスクの方が大きい。そも、彼の纏う鎧自体に魔力が関係しているかも分からない事】
【悪足掻きにも等しい行為であり――――その一発のもたらす意味を確認する事も無く、再び身体もまだ熱を持つアスファルトに崩れて】
【風前の灯火。まだ浅く呼吸をしているのだから、生きているのだろうけれど】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 00:46:48.97 ID:/jxNw3XQ0
>>282
――――ん?

【気怠そうに、その声は呑気で、日常の匂いがした】
【辺りが見えていないのか、狂っている程のマイペースか、それが当たり前の世界だったか】
【第三者の登場に、僅かに表情を緩めて、風貌を確認する。続けて口から出る言葉】
【どうやら、正義の味方ではないらしい】

これしか着る物が無かったんだ。別に学生って訳じゃねーよ。
ま、何があったか教えてもいいんだが。別に隠す事でもないし、多分憶測は正解だよ。

【翳した円形の硬化をポケットへと仕舞う】
【男はこの死体に興味があるだろうか……そう思考を練って死体から離れる】
【様子は脳天直撃、頭か堕ちて一発といった様子だ。故に他の部位に損傷は見られない】
【ただ、服装はどうみても裕福ではなく、すり切れた草鞋のような靴を履いている為、どういう身分だったかは容易に想像がつく筈だ】

ただよ、面白い状況ってのはなんだよ。先にそれを教えてくれ。
場合によっちゃ私は今すぐ逃げなくちゃいけないかもしれない。インテリアになるのはごめんなんだ。
ただ、酒の肴にするっていうんなら分かるんだけどよ。ここに酒なんかねーけど。

【それを吐露すれば意味は無くなってくるのだが、にっと釣り上げた口などの様子から挑発じみた返しなのだと予想できる】
【ただ、敵意があるようには見えない。狂った隣人。ようこそ日常へ。異常世界での挨拶のようなものだろう、と】
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 01:01:02.51 ID:H9TjdTLJo
>>284

【ほう、と男は女の返答に相槌を打った──状況が見えない】
【学生でない、それはいい。死んでいるのはただのゴミだ。価値はない】
【ならば殺しに愉悦を感じる人間か。その割にはあまりに無感動だ】

【となると、恐らくは何か、殺戮や非日常を“普通”と捉えている人間なのだろう】
【男の思考はひとまずの答えを得て、そしてすぐにそれを投げ捨てた。こんなものに意味はない】
【会話か、殺し合いか、どちらかで見定めれば良いだけのこと──】


 そうだなぁ……その死体は少しばかり興味を引く形になっちゃいるからなぁ
 どんな手段か、魔術か能力か。お前が普通の人間でないのなら、それを知ることが俺の喜びというわけだ
 どうやってかといえば話してか……あるいは、だ


【獰猛な笑みはそのままに、彼は指を鳴らした】
【その瞬間、死体は炎に包まれた。彼が得意であり生き甲斐としている魔術というやつだ】
【恫喝のように見えるが、男は選択肢を譲った気でいる。どちらでもいいのだ。どちらに転ぼうとも、面白いのだ】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 01:03:48.25 ID:T/oodf2fo
>>283

【灼熱が具現化された後の路地裏で、ダグラスは左腕をあげていた】
【先程は右手からの攻撃だった。となれば、恐らく反対もあるのだろう】
【純然たる攻撃そのもの――それを放出する、人の技術とは思えない鎧】

【――それを魔法や魔術に関する逸品であると見抜いたのは、流石と言うより他にない】

【放たれた弾丸は鎧の肩口を打ち抜き、そこから一挙に装甲が剥がれ落ち】
【ボロボロと黄金色が小山と重なれば、其処に居るのは一人の男性】
【シャツとジーンズの簡素な格好。この時期ともなれば何とも寒たげで】
【なにより目を引くのは、シャツに滲む血。胴を端から端まで切り裂かれた傷のようで】

クっ……!だから言ったじゃないか……ボクは、戦いが苦手でね……!
"八攫"って言ったかな……腕の立つ剣士にバッサリさ…――。

その場は逃れたけど、流石に身体の下半分がなくちゃ生きていけない
能力での代用も限界があった……だから頼った力だったのに……
……ふ、フフッ…。最後にぶち壊してくれるんだから、困ったシスターだよ……!

【膝を付いて倒れこむ。直ぐに能力を発動させたのか、ドレス姿の女性が隣に出現し】
【なんとかその手を借りて起き上がるものの――ダメージは奇しくも、五分に近く】

さて、ッ……喋れるか知らないけど、一つだけ質問しておこうか……。
キミは"生きたい"のか、それとも"死にたい"のかだ…――。
今のキミなら……この状態のボクでも、能力のストックをいくらか使えば殺せるからね

……といっても、時間は無いんだ。出来れば……簡潔に、答えを聞きたいね……?
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 01:15:25.04 ID:/jxNw3XQ0
>>285
――おーけい、選択肢をどうも。いい悪徳業者だよアンタ。
トばされないだけマシって思っておくよ。とりあえず話し合いな。私は原始人未満の結論はだせねーんだ。

【両手を軽く上げて降伏を示すが、にしては口は減らない所か増えている】
【馬鹿にしているのか、そういう生まれか、何であれ女は話し合いをご所望の様子】

とりあえずだ。見ての通り私は普通だよ。魔術も使えない、能力もろくにない。
少なくとも指一つで種無し手品で死体消去なんてできないね。
にしても――ああ、可愛そうに。まさか暖を取る薪の代わりに使われるとはねえ。

【まずは自分の説明。逆らうだけの力はないからどうか見逃してくれと言う合図だが】
【矢張り、どこか落ち着いている。悟ったとは別の雰囲気で、目の前の男が行動を起こさない確信でもあるか】
【切り抜けられる方法でもあるのだろう。そんな無力の証明もすぐさま終われば、ろくに思ってもいない感想を向ける】
【――それほどまでに、この女も死体については感情を抱いていない】

んじゃ、どうやって、の話をするか――なあ、アンタ。

【そういい、ポケットから出すのは、円形の硬化】
【この地域では、札を使わない上で一番値打ちのある物――つまり、五百円玉】

路地裏でのお金の価値って、どれくらいかわかるよな?
つっても、一円とか、十円とか、そういう塵も積もればって訳じゃなくても

【それを、男へと投げる、宙で回転しながら、特に狙いがそれる事もなく男の胸元へと飛んでいくだろう】

だから、こういうお金の価値――あれだ。一から十まで説明しないと、命が無さそうなんでね。
導入から付き合って貰うよ。とりあえず、このお金の価値はここではどんなものかって、話。
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/22(土) 01:26:59.18 ID:hCd8Q0020
>>286
【答えは無く、返って来るのは荒い息遣いのみ。如何に優れた回復能力を有していても、一瞬にて傷を治す何て事は先ず不可能】
【軽口を返すだけの余力も無く、魔力を使い果たした今何かを出来る訳でも無く】
【――――それでも、立ち上がった。軽く押せば倒れてしまいそうな程に不安定。だが、然りとその場に立っていた】

【天使、と称するには余りにも酷い姿。悪魔、と例えた方が余程らしい姿だ】
【やはり答えが言葉で返される事は無い。何時もは片手で持つ銃すら今はとてつもなく重く感じるけれど】
【両手で構えれば、銃口は青年の額へと向けられるのだろう。確かに、口角が吊り上がった】
【満身創痍。瀕死。――――この状況でも僅かな笑みを見せるのは、戦う為に作られた存在故。狂犬にも等しく】


「――――……」

【声帯すらも半分やかれた今、言葉は殆ど空気が擦れ漏れる音。だが、「死ぬつもりは無いさ」と答えたことが、或いは理解出来るか】
【尤も、その言葉を聞き取れなかった場合――――銃口を向けるこの状況を“生きたい”と取るか“死にたい”と取るかは青年の自由】
【鎧が剥がれた今、銃弾を放てば“もしかしたら”があるのかもしれない。だが、現実には引き金を引くだけの余力すら無く】
【生への執着。それとも、殺める使命を全うするだけの意思。何が立たせるのかは分からないけれど…………其れでも、確かにまだ銃口を向けている】
【殆ど無言の答え。金色の双眸が向けられるだけ。然れど其れこそが答え】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 01:28:42.32 ID:H9TjdTLJo
>>287

【女の返答に男は肩を竦めて見せた。さも残念だと言わんばかりにだ】
【それからは黙って女の話を聞いていた。落ち着いた妙な雰囲気は、互いの間に流れていた】


 ここでなら、それらの価値は膨大だろうな
 それこそ誰が見ても、人の命よりは大きいだろう


【相槌がてら返事をして、話の続きを促す。今は自分があれこれ話す番ではない】
【何を話してくれるのかが、楽しみだ】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 01:37:01.51 ID:T/oodf2fo
>>288

【音としてのやりとりは殆ど無い。だが、腐れ縁に近い仲】
【お互いの考えくらいは、所作の1つでも有れば察せるということか】

【ダグラスはにや、と笑うと自らの作品の手を借りて、彼女に背を向ける】
【立ち去るということか。足下の鎧の残骸は、如何にも魔法の品らしく】
【一度発光すると姿を消して、残るのは地獄のような光景だけとなり】

ひとつ……これは貸しだよ、グリース・イムリンパルス……。
僕から君への強引な押し貸しだ。……これでもボクは、六罪王だからね
少しくらい、そういう事をしたって許されるだろう?

ッ……!それじゃあ、悪いねシスター……次に会う時は、終わりだよ
どうせ他の連中の口も塞げそうにないんだから……教えておこうか

ボクはね、グリース。カスケード海淵という場所の、とある島……
霧に包まれた島に、拠点を構えてる。いや……アトリエって、呼んでくれ。
……また、悪いことをするつもりさ…――止めたければ、お友達も一緒にね?

【それじゃ――と一言残して、ダグラスは立ち去ろうとする】

【作品の、ドレスの女性がそばにいるとはいえ、その背中はあまりにも無防備で】
【銃が撃てるのなら、その頭部すらも容易に打ち抜ける状態だった】
【――或いは、そうするのも選択肢の1つか。放っておけば育つ芽を、今摘むことも出来るはずで】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 01:39:46.30 ID:/jxNw3XQ0
>>289
ま、そうなるよな。……私もこっちから出てきた口だからよ、これの価値はわかるんだ。
それで、どうすればこれが手に入るかも、まあわかってる。
だから――さっきまではあそこにいたんだが。居なくなっちまったか。

【路地の奥へと目をやれば、そこにいた筈の一人がいなくなっていた】
【目の前で死体が燃やされれば、流石に逃げるか。至って普通な発想だ】

私はあそこにいた奴と、この死んじまった奴に聞いたんだよ。
――お金が欲しいかって。
まあ二人は軽く頷く位だったけどよ、ここではそれが了解の合図だ。
そりゃ欲しがるよな。お金を恵んでくれるんだから。
んで――あー、こっから少し話変えるんだがよ。
もっかい意見聞くから、返事くれよ。

【話しのは中にはある程度のジェスチャー、もとい手振りが加えられていた】
【少しわかりやすくはなっただろう。勿論意図的に加えている訳じゃなく、無意識のうちに手が動いたってだけの話だが】
【手癖が悪いともいうか。日蔭の生まれ、というのも多少は説明がつくかもしれない】

表通りで生きてる人達をさ、アンタはどう思う? いや、漠然としてるよな。つまりはこういう事だよ。
――表と裏。そこで生きてる奴の意識の差だよ。
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 01:44:46.72 ID:H9TjdTLJo
>>291

 意識の差だと? そんなもの並べていたら日が暮れるどころか朝日が昇るぞ
 だがそうだな……簡潔に言うならば命に対する価値観の差は、あるんじゃないか?


【未だに女の話の結末が見えない。が、ともかく質問には返事をする】
【こう言ってはみたものの、あまり表だの裏だのを気にしたことがないせいか、答えがやや雑だ】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 01:55:39.96 ID:/jxNw3XQ0
>>292
ま、そうなるよな――命の価値、そこの差が絶対的なんだよ。
あいつらは自分の命が明日突然亡くなるかも、なんて考えないんだよ。
でもここは違う、今すら怪しい。ギリギリの世界で生きてる。
意識の差ってのはそうじゃないかもしれないんだがよ――つまりだ。


今に全力かどうか、って事。


【ちゃらけた雰囲気が流れる。静かな風が温度を奪い、死体に灯す火を弱めてから、勢いを増させる】
【その流れを作ったのは、敗北宣言をした筈の女だ】

――だから、聞いたんだよ。
五百円やる。だから殺せって。――んな事行っちまったらよ、そんな事できない、っていう訳だ。
じゃあ向こうの奴にやるって言った。理不尽だって言われたからよ。今更だろ? って返したんだ。
後はこんな繰り返しだな。そんなことして貰えない、でもあいつに渡されるのは嫌だ。そういってるから最後にこう言ったんだよ。
でもアンタ、あいつにお金渡したら、そいつ殺すだろ? って

――そういったらよ、いきなりどっかに走って逃げたかって思えばさ。

【そういい、指差すのは目前のビル】
【窓から明かり一つついてない、廃ビルか、それとも営業が終了したのか、何であれ無尽の高台】

そっからぐちゃり、ってな。
――んで、この話はアンタの興味を潤す事はできたのかい?
できない、次はお前の番だなんて、勘弁してくれよ?
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/22(土) 02:03:31.88 ID:hCd8Q0020
>>290
【その背に向けて銃弾が放たれる――――事も無く】
【虚勢故に最早何かを出来るだけの力も無い。僅かにでも体力があれば、後ろから首を刈る事も出来たのかも知れないが…………現実は、其処まで上手く行かない】
【代わりとして硬質な音を立てて落ちる銃。詰まる所、彼は害を与えられる事無くその場を後にする事が出来る事だろう】

【意識は鮮明では無い。それでも、彼の拠点が存在する場だけは頭の中に留めておく】
【――――嘘を余り吐かない事は分かっている。だから、その情報も混乱させる為の物で無い事だと理解するのも早い】
【後は死神たる自分が“借りを返すだけ”だ。自警団やSCARLET、UNITEDTRIGGERと彼の敵は多いのだから】



【続けて倒れる音。殺し合う相手も居なくなった今、後は回復を計るのみ】
【動くにしても何をするにしても、先ずはある程度身体を動かせるまでどうにも出来ず】

「はは…………参った、な…………
今はあんまり……考えたく無いや…………」

【冷えてきたアスファルトが、今や何処か心地よく感じる】
【兎にも角にも、脅威が去ったのならば最早虚勢を張る必要も無い】
【後に何事も無ければ、水晶を手元に転がして夜を明かす事となろう】
【悔しさだとかよりも、後にどの様な行動を取るかと朦朧とする意識の中で考えながら】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 02:09:41.42 ID:H9TjdTLJo
>>293

【惨状の原因は、意外なことに自殺だった。能力でも、何でもない】
【もっと言うなら惨状ですらなかった。人によっては罪悪感か何かによる自己犠牲とさえ思うかもしれない】
【──全くもって、興醒めだった。すっかり外套の男は肩を落とし、つまらなさそうな顔をした】


 ……はぁ、何かと思って期待をすればそんなものか
 これは確かにお前を新しい暖炉に作り変えてやった方が楽しいかもしれんなぁ


【とはいうものの、覇気が全くない。それはそうだ、言っているだけでやる気は全くない】
【この男は気分屋でもある。気が乗ればするし、乗らなければしない。すっかり戦う気も失せてしまっていた】
【このまま軽く燃やしてやるか、それとも別の場所に行くか、とさえ考えていたとき、彼に新たな疑問が浮かんだ】


 まぁいい。素直に事情を説明したんだから、見逃してやろう……と言いたいところだが
 何故、そんなことをした? 何故殺し合いを仕向けたんだ?


【話にはまだ疑問点が残されていた。状況を作り出したのは彼女だが、何故なのかという理由だ】
【新たな疑問への好奇心が、萎えていた気分を少し復活させた】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 02:13:57.25 ID:T/oodf2fo
>>294

【銃弾が、どころか声もかからないと有れば、ダグラスは足を引きずり立ち去るのみ】
【少しもすれば足音はおろか物音もせず、周囲を灼いた火も灯火へと変わり】
【グリースはそのまま、何者にも邪魔されずに伏す事が出来るだろう】

【――ただ1つ、強いて言えば来客に近いような存在はあった】

【彼は喪服を着込み、黒と灰を混ぜたような色合いの髪をした人物で】
【何も言わず、表情は微笑でこそあったが、何処か陰湿であり】
【ただ一束の紙切れをグリースの手元に置くと、そのまま呆気なく姿を消す】

【その場でか、それとも翌朝か、もっと先か。件の紙に目を通せば】
【例の海淵の場所をご丁寧に記した古地図であることが分かるだろう】
【島の名は"ドラクレア"――数百年前の文献を漁りでもすれば】
【穢れた土地だとか、忌地だとか。曖昧だが、好ましくないことが載っている――そういう島だった】

/それでは、この辺りでっ。二日間に渡り、お疲れ様でしたー!
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 02:29:38.39 ID:/jxNw3XQ0
>>295
――っはは、冗談やめてくれよ。
っていいたいが、どうもマジみたいだなアンタ……勘弁してもらいたいんだがなあ。

【なんともこの場に似合わない、少し和やかとも思える雰囲気が流れる】
【数分前に殺すぞ、勘弁してくれ、といった会話をしていた二人とは思えない緩い空気】
【今では脅し染みた、実行に移す気でもあったであろう言葉もなんだか脅威に感じない。女の口の軽そうな様子などは、相変わらずではあるのだが】

――如何して、か。
アンタ、カノッサ機関って知ってるよな?

【ただ、すぐさま空気が変わるの。逆も然り】
【突然、神妙な冷めた空気だって訪れる。空間から萎え切ったソレを弾き飛ばし、新たに吹き込むのは、冷たい熱】

世界を混乱に陥れる、だったか……悪い、あんま覚えてないんだけどよ。つまりはそういう事をする場所でな。
そこの関係者なんだよ、私は。
――つまり、今までのが私としての話。どうしてそれをしたのかっていうのは、私の在り方に関係する話になる。
そうなると、今まで通り話せはしないんだよな。

【言葉の調子は変わらない。それは何気ない日常であるかのように】
【ただ当然であるかのように、しかしそれの意味するところは、この異常がただの偶然ではなく、必然であった事を意味する】
【ぬるま湯の温度を一瞬で変える。冷めたか、温まったかは別の話だが】

――っていうか、私が他のメンバー知らないからどうともいえないんだけどよ。
アンタが私より偉かったらマジで火あぶりかもしれないけどな。それは置いておくとして
こっから話す事は、カノッサ機関の――No.6としての話になっちまう訳だ。
それでも聞くっていうんなら答えるけどよ。今までの私の口よりは、幾らか重いぜ?
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/22(土) 02:33:44.36 ID:hCd8Q0020
>>296
【――――束の間の休息。何者かの気配があっても、害意が無いと知れば好きにさせて】
【様々な事が記された紙の存在に気付いたのは翌日】
【果たして其れが信用出来る物かも今は分からないが、後に調べれば直ぐに判明する事だ】

【助けが来たのは紙に気付いてから少しした頃。片目に大きな傷跡を残し隻眼となった蒼髪の青年と、全てが白に包まれた少女の二人】
【一人は教会の関係者、と言うよりも軍人に似た風貌で】
【倒れている修道女を担ぎ上げれば、そのまま教会へと運んで行くのだろう】


【――――そして治療所。とは言え、実際にはグリースの再生能力を活発される術が施された部屋だが】
【山積みになった書物は、どれも様々な地について記された物。漸く目的の地について記された頁を見つければ地図の裏にでも書き記し】
【多くを知る事は出来なかったが、場所を知れただけでも大きな一歩だ。果たして穢れた土地等が何を意味するのか今はまだ分からぬ事】
【然れど…………借りを返す。その決意だけは、決して変わる事無く】
【何かを企んでいるのならば阻止をするまで。次こそは必ず仕留める――――と】

/了解ですっ!お相手頂き有り難う御座いましたですよー!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 02:53:17.46 ID:H9TjdTLJo
>>297

【カノッサ機関。その名が出たとき、外套の男はにやりと微笑んだ】


 ははは、なんだお前あそこの人間か! いい場所にいるじゃないか!
 あそこのナンバーズだか機関員だかは、俺の“祭事”の協力者でなぁ!


【カノッサの機関員と名乗ったあの男──マシラとの邂逅はこの男にとって良い1日だった】
【世界をより大きな混沌に貶めるための同志。彼の巨大な計画のための足がかりだ】
【そんな人間が所属している組織のこととなれば、この男の喜ぶ話ではある】


 なぁにそう気にするな。重いときは、“俺が開かせて”やるとも


【わざとらしい温和な口調で、今度こそ間違いなく、恫喝を口にする】
【どの程度話すかは不明瞭ではあったが、ともかくこの話の続きは聞かなくては気がすまない】
300 :300 [300]:2014/11/22(土) 02:56:46.36 ID:16joEv5AO
300
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 03:16:56.15 ID:/jxNw3XQ0
>>299
うぉ、アンタもそっち側だったか……。
祭事? ってーのは、まあ後で聞くとして――つまり、OKって事だな?

【調子のよくなった返事に少し怯み、もとい違うイメージを受けた】
【どうも上昇志向の人でないと思っていたのだが、というのが第一印象で、そうまで喜びの感情をぶつけられるとは】
【だが、なんであれ――話を受けるっていうのなら、それ以上は求めまい】






――表の人間ってのはさ、流れるように生きてるだろ?
明日がる、だから今日がある。昨日がこうだった、だから明日もこうなる。
皆そうやって生きてる。それに間違いはないのかもしれないし、当然なんだと思う。
自分には明日が無い、そんな考え抱きながら生きてる方が希少だし、まず人とズレちまうからな。
だから表の奴はそうは考えない、明日があるなんて、簡単な考えをする。


――じゃあ、こっちはどうだ?
明日はあるかわからない。昨日すら偶然だ。今だって消えちまうかもしれない。
極限状態の中、表の当たり前を至高とする人達。 ――じゃあ、そんな奴らが生きるためにはどうする?
全力になる事だ。今を明日を、昨日を未来を。
――私は、必死になってる人が好きなんだ。今を全力で考える人。明日なくなるかもしれない。それが嫌だからって、自分を残そうとする人が。



――全力で生きてる人ってのが見たいんだよ。
今日を全力で生きる人、明日を必死に願う人、昨日に感謝を惜しまない人。
明日が必然だとか抜かす、何も考えずとも生きられる人間なんかじゃ、新しい世界は望めないんだよ。
そんな世界が嫌なんだ。だから――けしかけた。アンタらは全力なのかって。
こんな極限まで生きて、全力になれない、嘘をつく、くだらない虚勢を張る奴なんか、私にはどうでもいい。
だから、聞いた。壊れたのはあの人の勝手だろう。だから、私にはどうでもない。


……今度こそ、興味のなんとやら、が満たされればいいんだがな。
ま、こういう訳だ。だから私にも、ここでやりたい事がある。その為に今頑張ってるって訳だ。
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 03:39:10.15 ID:H9TjdTLJo
>>301
//すいません、眠気が半端なくなってしまいました……
//明日に持ち越しか、ご都合が悪ければこの後何か適当いって別れたってことで……
//明日なら、多分、8時とかには居るかと思いますんで。お先に失礼します
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 03:42:21.18 ID:/jxNw3XQ0
>>302
//それでは明日でお願いします!お休みなさいませっ
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 13:01:40.77 ID:1Kw9HCaWo
>>301

【好奇心は予想していたよりもはっきりと、満たされた。少ししか話さないと思っていた】
【全力で生きる人が好き──なるほど、と思う。それならこの行動の理由も説明がつく】
【納得はいった。だが気に入る答えかといえば、全く違っていた】


 ……下らん、下らんぞお前!
 世界に混沌をもたらす、などと嘯いているカノッサ機関の構成員の思想が、たかがそんなものか!?
 地味にも程があるぞ!!


【腕を大袈裟に振りながら、男は不満をあらわにした。期待していたものと違いすぎるのだ】
【直接面識のある機関員はマシラだけ。確かにやつは自分と非常に価値観が近かった。だがいくらなんでもこいつは──】
【そう考えたとき、彼の思考が憤る心を諌めた。怒る理由は別にある、と】


 ──違う。お前が良くないのは思想じゃないな?
 行動だ、行動が良くないんだ。思想はいいが、カノッサの機関員がやることが、路地裏の浮浪者を相手するなど
 あまりにも……勿体無い! お前がその思想に傾倒するだけの意思と、そして実行するだけの力があるならば!

 もっと! ──でかいコトをやりたくないか?


【男の批判の対象は、思想から今日の行動へと変わる。それこそが機関員のすることじゃない、と】
【そして彼は早口にまくし立てた。先ほどと同じように大袈裟に腕を振りながら、そうではないのだと叫んだ】
【カノッサの名を冠するのであれば、欲望があるのであれば──我が“祭事”に興味はないか、そう扇動した】

//8時と言ったな、あれは嘘だった
//中途半端な時間ですがお返しします! もうこの時間から居ますので!
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 20:35:56.22 ID:ovRkEOGH0
【街中――特に栄えた大通り】
【大きな道を挟むように立ち並ぶ店は、古着屋からブランドの店まで、ちょっとした軽食屋から、おしゃれなバーまで】
【とにかくいろんな程度の店が立ち並ぶ場所だ。そのせいか、歩いている人たちも、ごった煮という感じがして】
【聞こえてくる会話もビジネスから昨日彼氏が何を言ってウザかったとか、そういう、なんでもありと言えるような場所】

…………――――ぁ、

【そんな通りのどこか。壁に鏡で文様をあしらった店の前、ぴったりと足を止めるのは、ひどく華奢で小さな影】
【こんな時間に出歩くにはちょっと幼さの見える少女。胸に抱くようにしていたのは、近所の図書館の貸し出し用の袋で】
【あまりにも急に足を止めるものだから、誰かの邪魔になるかもしれない。少しすれば歩きだすかと思えば、そうでもないなら】
【もし誰かが顔を覗き込むなりすれば、気付くだろうか。――見る見る間に蒼褪めていく、顔色の悪さ】

【くしゅっとした癖毛の金髪、毛先に向かうにしたがってピンクをまぶしたような色になる、特徴的な髪色と】
【とにかく何か気に食わないような顔。あどけなさをいくらか残すが、特に勿忘草色の釣った眼がすべてを台無しにするようで】
【白を基調にしたワンピース。寒いのか羽織ったケープのフードを目深にかぶって、スカートの裾は、引きずるよな長さ】
【底の低いパンプスを履いているなら、素の身長――百四十二センチ――がよく目立って、通行人より頭の位置がうんと低い】

――――。

【そんな彼女の目は鏡に縫い付けられていた。何か映ってはいけないものを見たような顔で、鏡だけ見つめる少女は】
【数十秒後には周囲の人間ががらっと入れ替わるようなこの場でも目立っていたし、何より、歩道の真ん中。ひどく邪魔で】
【ただ怯えるように、何冊か本が詰まっているらしい袋をぎゅっと抱きしめて――小さく、吐息の音がした】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/22(土) 20:43:28.01 ID:FDz1V5Aoo
【とある街外れ】

はぁ〜…………うわぁ、もう息が白くなってる……
そろそろ冬物の服とか……出してこないといけないかなぁ……


【人通りが少なく、閑散した雰囲気の漂う何処かの街外れ】
【その一角に建つ小さな店の前で、自分の手に白い息を吹きかける少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【不意に吹き抜けた冷たい風に一度身体をぶるりと震わせながら】
【日に日に下がる気温に冬の近づきを感じて、何やら一人で呟いていた】


うぅん……暖房みたいな魔道具作ってたら……冬に売れないかな?

でも、それこそ機械とかで何とかなっちゃいそうだし……
もし作るなら部屋置きじゃなくて……ホッカイロみたいな大きさで全身があったかいみたいな……


【冬への備えと、それに向けての商品開発】
【小さな"店長"は、寒空の下うんうんと悩む声を漏らしながらその場に佇んでいた】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【本日もマイペースに営業中であった】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/22(土) 21:06:00.57 ID:Oz4wD/w9o
>>306

【帰路に着く中でふと瞳に飛び込んだのは、どこかで見たような言葉。頭に疑問符が浮かぶと同時に足が立ち止り、思い出したかのように財布の中を漁る】
【――――中に入っていたのは名刺。名刺に書いてあった店名と看板を何度も交互に見てから、男は足を進める方向を変えた】

一か月ぶりか、ジョシュア。偶々歩いていたら君の店を見付けたから寄ってみたんだが……義肢に魔銃、か。
……正直自分とは縁が無いモノなのだが、それ以外の商品はどういうのがあるんだ?

【顔見せの意味が大きいのだが、何か面白そうなものがあれば折角だから買おうか――――などと軽い気持ちながら来店する】
【着物にインバネスという昔ながらの櫻の格好からも分かる通り、魔術とか工学などには縁もゆかりもないのだが――――】
【魔工……なんとかという凄そうな名前の資格を持っているのだ、と心の片隅にワクワクを抱え、ジョシュアと視線が合うやいなや言葉をかける】

……ああ、剣の修行は続けていたりするのか? 基本だけだが教えただろう……まぁ、この季節は億劫になるかも知れないが。

【そういえば教えた基本は続けているのだろうか――――などと言葉を続ける瑛月。彼に剣を教えた関係なのだから、そう思うのも自然な流れだろうか】
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/22(土) 21:26:20.58 ID:FDz1V5Aoo
>>307

…………? あっ……――――


【耳に届いた何処かで聞き覚えのある声、少年――ジョシュアはゆっくりとそちらの方へと振り向き】
【その顔が見知った存在……剣の師匠でもある瑛月であると気づくと】
【パァ……と嬉しそうに微笑みを浮かべて、彼の傍までテテテ、と駆け寄った】


お、お久しぶりです中邑さん、来てくれたんですね……

えと、その……商品は色々扱っていますけれど、口で説明するのはちょっと難しいので……
今日は冷え込むことですし……中でゆっくりお話、してもよろしいでしょうか?


【ジョシュアはちょっと緊張したような、辿たどしい口調で瑛月を店内に誘う】
【やはり一月程度でこの照れ屋で口下手な性格は変わらないようで】
【彼の承諾を得られたならば、一度小さくぺこりと頭を下げた後に店の方へと案内して行こうとするだろう】


はい……毎日ちゃんと続けてます……。

その、お店のこととか……魔術の研究とかもありますので
一日一時間くらいしか出来なくて……上達したか……というとちょっと微妙ですけれど……


【少し恥ずかしそうに、顔を俯け頬を掻きながら彼の問いかけにそう返す】
【教わったことは忠実に守っているようだが、やはりまだ上達したとは言えないらしく】
【本格的に時間を取れない申し訳なさも含めて、一度彼から目を逸らした】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 21:43:06.45 ID:/jxNw3XQ0
>>304
――はぁ!?

【いきなりの不満の爆発、それに加え腕を振りながらの様子から察すれば、相当頭に来たのが分かる】
【つまらない――等と言われれば、流石に驚いてしまった】
【――おかしい、更に怒らせてしまった、か……?】

……っつってもなあ。これは私が単純にしたかった事だし。

【却って冷めてしまう。どうしてこう、そこまで熱くなっているのか】
【とりあえず、相手の怒っている理由はわかった。不満の理由もどうもこちらに対する怒りとしては別の類のようで、困ったな、と頭を手で掻いて】

……でかい、事?

【――しかし、その一言には、とても心を煽られた】
【ぴくり、と前よりもいい反応を示し、その意味は――】

…続けてくれ。つまり、何をするっていうんだ?

【ニヤリと頬を上げて笑う。その欲は、見事に食らいついた】


//わあああああああああごめんなさいごめんなさい今気づきましたお返ししますごめんなさい!!!
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/22(土) 21:46:26.69 ID:Oz4wD/w9o
>>308

うむ、俺も多分説明じゃ理解できなさそうだ。あー、第二種一級魔工技師……と書いてあったなコレに。
所謂「あなろぐ人間」の俺にそういうのは言葉じゃ把握できないだろう、是非案内を頼む。

【着物にインバネスと中々の厚着をしている彼でも、風が吹けばぞくりと震える寒さ。ジョシュアの言葉に頷けば、彼の後を付いていくだろう】
【「お店に案内します」との言葉がジョシュアの口から放たれていることで、「本当に店主なのだなあ」とここでようやく実感が湧いた】
【名刺の時点でほぼ疑う余地は無いのだが、それでも彼のような華奢な少年が店を持っているということに違和感はあったのだ】

おお凄いじゃないか……しかも一時間。十分過ぎるくらいだよ。5分でも継続していれば上出来だと思っていたさ。
それが一時間も出来ているのなら、時が経てば結果も勝手に付いてくる……武道の世界は才能より努力。
武術的な動きは才能じゃあない、どれだけ試行錯誤したか、その経験値だけがモノを言うと俺は思っているからな。

【軽く目を見開いて驚きの声を上げれば、嬉しそうに「凄いじゃないか」と彼を褒め称えた】
【継続さえ出来ていれば5分でもよい、そのような考え。自己の成長が見えにくい中で一時間単調な作業を継続することはかなり難しい】
【ジョシュアは努力できる人間だ。そしてそのような人間にこそ「武」は微笑む――――そう、柔らかい笑顔を浮かべて言葉を零した】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 22:00:30.61 ID:1Kw9HCaWo
>>309

【──食いついた。そうだ、カノッサの機関員ならばこうでなくては面白くない】
【長々と思想を聞いた甲斐があるというものだ。主導権が自分に移った感覚に、ほくそ笑んだ】


 簡単なことだ……もっと大勢の人間が、生きることに全力を出せる場を用意してやればいい
 つまり、それこそカノッサ機関が掲げているものである、混沌というやつだ……!
 そこじゃ全部が平等だ。貧富の差も、生まれの差もない!

 唯一差があるとしたら──闘争の中で明日を望む意思だけだ


【大袈裟な身振り手振りは何も変わらない。気分の高揚を隠すことなど、するはずもない】
【ただ違うのは語り方。早口に、熱を入れて、最後の肝心な部分のみを重々しく語る】
【この男が思う、相手にとってもっとも重要であろう一言だけを、しっかりと】


 だからこそ、俺やお前でそういう混沌を生み出してやろうじゃないか!
 具体的な方法もまた簡単だ。この世界に大勢いる無能力者たち……お前が大好きな路地裏の住民どもをメインにしてもいいだろう
 そいつらに対して教えてやればいい、能力者こそが諸悪の根源だと。お前たちから明日を奪う恐ろしい敵なのだと
 そうすれば彼らはその意思はそのままに、何をすれば明日を獲得できるかを悟る!
 俺たちと、正義の味方どもと、無能力者どもの三つ巴による混沌の誕生だ!!
 ……それが、お前がやるべきことだと、俺は思うがね? それともそうやって地味な仕事をちまちま続けてるのがお似合いか?


【ばっ! と両腕を広げて天を仰ぐ。そして静かに、女をその暗い双眸に捉えた】
【どうする、と。このまま小さなことをし続けるのか、それとも巨大なものに参加するのか、と】
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/22(土) 22:07:03.45 ID:FDz1V5Aoo
>>310

あはは……僕もその、武術の技とか……刀の事とかぜんぜん判りませんし……
こういうのはやっぱり専門の知識がないと、言葉だけじゃ難しいかなって思います……

今は他にお客様もいませんので……ゆっくりと見ていってくださいね


【専門的な知識など、その道を歩んでいるか、よほど好きで情報を集めていなければ判らないものだ】
【彼の言葉を聴いても特に面倒がる様子などはなく】
【ふわ……と当たり前のように微笑みかけて、取っ手に手を添えて入口の扉を開いた】


そう……なんでしょうか? 
僕、武術家の人って……一日中修行しているイメージがありまして……

これじゃ上手くなれないんじゃないかなって……ちょっと不安だったので
そう言って頂けると……えと、すごく……嬉しいです――


【瑛月の語る内容が予想外だったのか、少し目を丸くして】
【褒められた嬉しさから頬に薄く朱を宿しながら、彼にその気持ちを口に出して伝えた】
【他者から褒められること――特に武術のように体を使う分野では少なく】
【慣れていないためかどうしても気恥ずかしく、くすぐったい気持ちから自然と照れ笑いの様な表情を見せていた】

【もし何事もなく店内に入ったならば、普通の店舗では見られないような光景が映るだろうか】

【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか、人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】

【ジョシュアは、瑛月の前を小さな歩幅でテクテクと歩き】
【何か質問があればその都度足を止めて、商品の前で説明していくことになる】
【もしこの時点で語りかけられることがなければ、そのまま奥のカウンター席まで誘導して】
【テーブルの前にある椅子の一つを引いて「どうぞ」、と彼に着席を促すことだろう】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 22:22:46.21 ID:OLsqjlix0
>>305
//まだいらっしゃいますかー?
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/22(土) 22:26:10.78 ID:Oz4wD/w9o
>>312

まあ俺も自警団の仕事やらSCARLETとして戦場に向かったりやらあるからな……
流石に一日中は厳しいが、何とか継続はしているよ。しかし武の修行は量ではなく質……一振り一振りに全力を注ぐことが大事だ。

【平日は2時間程度が限界でありジョシュアに比べてあまりにも多い量をこなしているとは言えないが――――綿密に練られた2時間ではある】
【最新のジムでのトレーニングや、古くから伝わる鍛錬法。新旧交え、自分に最適なメニューを与えられた時間の中で全うする】
【そのことを常に意識した上での鍛錬となれば――――効率は急激に向上するのである】

【扉が開き店内へと踏み入れれば、見たこともないような機械やアイテムに覆われた空間。思わず口を開けながら周りをぐるりと見回す】
【良く分からない道具ばかりで、何から聞けばいいかすらも分からない一種のパニックに近いような状況。……人体模型がなんであるのだろう、とか】

お、おぉ……銃……に腕、足……あと良く分からないようなものが色々……これを君が取り扱ってるのか……。
――――と、兎に角その――――俺にオススメの……とはいっても難しいか? 俺でも使えそうな――――そんなものとかがあれば是非頼むが……。

【武術家には見えないようなギクシャクとした動作で椅子に腰かける。ここまでの動作もずっと口を開けたままであった】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 22:27:05.76 ID:/jxNw3XQ0
>>311
【大勢の人を巻き込む】
【――それはつまり、戦争だ】

……戦争。

【その瞬間、脳裏に浮かぶ派スラムでの日常だ】
【戦争と呼ぶ程に、その惨状が酷かったわけではないが、その光景は紛争地域に似ていた、らしい】
【……そして、その光景には必死と全力が混ざっていた、毎日、明日を願う為に、明日に縋る為に、自分を捨てて、ありのままで】
【ただ純粋に、命を願っていた】

――成程な。

【不思議と、声は震えたような、含むようになっていた】
【それは怯えでもなく、恐怖でもなく、武者震いに近い物】
【脳裏に浮かんだ光景は、参事に近い物であった。銃を持ち戦う子供、眼を血走らせ、目の敵のように手を振るう】
【だが、その状況は全てが必死で、全力で生きる世界。誰もが昨日を敬い、明日に尽くし、今日に命を張る】

【安寧と発展の隣りあわせの世界】


……いいじゃねえか。イカれてるね。恐怖の対象か――ああ、いいよ。最っ高だね。
乗った! やろうじゃないかその話。私は世界に教え込む。平和はないって。その世界に発展はないって。
そして、皆は気づく、今にすべてを尽くす事の意味を――

【その瞳の奥にあるのは、静かな闘志と、黒い狂気、そして純粋な白】
【正に混沌、全てを孕んで、矛盾していて、しかしかみ合っている。女は、混沌を受け入れた=z

――で、具体的に何すりゃいいわけだよ。それと――アンタ、名前は?
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 22:27:41.09 ID:ovRkEOGH0
>>313
/いましたっ
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 22:34:52.48 ID:1Kw9HCaWo
>>315

【これでまた一人、協力者が増えた。外套の男は大きく、獰猛に笑った】


 そうだそうだ、それでいい……! やはり人間はこうでなくてはな!
 具体的にだと? さっき言っただろうが! お前は、お前の大好きな連中を焚き付ければいいんだ!
 つまり、路地裏の連中をだ。お前が、彼らを導いてやればいい、彼らが輝く場所にな

 俺の名はアインだ。今日からお前も、我が祭事のための協力者だ!


【そう言って興奮した様子でアインは片手を差し出した】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 22:51:56.11 ID:/jxNw3XQ0
>>317
だーから、どう焚きつけろってんだ。
私は言葉上手くねえんだって。動いてはいるけどよ。成果ない辺りで察してくれよな。

【まあ、いいやと――とりあえず、人を集めて焚きつければいいのだろう】
【そう曖昧に考えて、今はこの胸の高鳴りに自らの行動の行方を任せるとしよう】
【手を差し出されれば、少し歩いて距離を詰め、確かにその手を握る】

穢土宮――穢土宮 入間。さっきもいった通り、ナンバーは6.。
それなりに偉い方だから、まあアンタとも縁があるはずだ――よろしく頼むぜ、アイン。
私は祭事とやらを盛り上げる舞台を作る。アンタはそれを上手に料理してくれ
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/22(土) 22:52:16.11 ID:FDz1V5Aoo
>>314

そうですよね……中邑さんにも、世界を守るっていう大変なお仕事があるんですし

僕も頑張って色々勉強して……もっと効率良く出来るようにしなきゃ……ですね。
えと……その前にまず、基本くらいはちゃんと覚えないと……ですけど


【「あはは……」と小さく苦笑混じりに彼に返事をする】
【瑛月のように効率的なトレーニングをする前に、まずは基本をこなせる様になるのが先決であった】
【今ジョシュアに出来ることはただ、基礎の反復を真剣に繰り返していくだけだろう】


は、はい……僕の専門分野は"魔工"、の中でも魔銃の方に偏ってまして……
原理が似ている"義肢"の方も含めて職人ギルドで資格を取って……扱うことを許されています

こっちの方もまだまだ未熟で……勉強することも多いですけれど……
武術と一緒に頑張って上手くなれたらなって、思ってます


【興味を持って貰えたことが嬉しかったのか、殊更嬉しそうな声色で語る】
【やはり、自分が長年取り組んできた分野なだけあって仕事にかける情熱もあるのだろう】
【語る言葉に嘘はなく、将来を見据えながら瑛月に声を返した】
【銃と義肢の原理が似ている――というのは真っ当な常識からすると奇妙に聞こえるかもしれないが】


中邑さんにオススメ……となると……刀剣とか、そのお着物みたいな物がいいのでしょうけれど
どちらも僕の専門じゃないので……お仕事の事も考えたら、ちょっと難しいかもです


【ジョシュアはテーブルの向かい側に座り、カウンター越しに彼の言葉を聞く】

【瑛月の姿や人となりから見て、想像できるのはやはりその辺であった】
【やはり鉄砲を撃つ姿や、仕込み義肢を装着して戦う姿などは中々イメージが浮かばないようで】
【数秒の間うんうんと悩む仕草を見せた後】


ですので、アクセサリー……などは如何でしょうか?

指輪だと……刀を振るうとき邪魔になるかもしれませんので
ネックレスとか……アンクレット……なんていうのも加工出来ます

その、当店で扱っている物だと……このカタログに載っているような効力がありまして
素材を持ち込んで頂ける場合はオーダーメイドで……素材の"特性"を生かしたアイテムに仕上げることも出来ます……


【そう言って、カウンターの後ろの棚から一冊のカタログを取り出すと彼の前に置く】
【それを受け取って開いたならば、其処には様々な色の鉱石と組み合わせた、無数のデザインの装飾品が写真付きで載せられている】

【効力はサークレットならば"視力強化"、ブレスレットならば"腕力強化"、アンクレットならば"脚力強化"と】
【強化系統ならば身につけることで約10%の上昇補正を付与することが出来】
【その他にも一度だけ発動するバリアや、各属性のブースト効果など……効果だけ見れば劇的なものではないが、種類は多岐に渡っていた】
【リクエストがあれば「こういうものはあるか」といった意味の質問をすれば応えることも出来るだろうか】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 22:52:24.48 ID:OLsqjlix0
>>305
【腰まで伸びた銀髪を揺らして、ミニスカートをひらひらはためかせ】
【今日は給料日、胸に大量の食べ物を抱えて痩せた少女が道を歩いていた】
【ブレザーの胸についていたワッペンが示すのは緋色の盾『SCARLET』だが、今日はパトロールおやすみ】
【けれどもみちのど真ん中に、なにやらおびえた顔をした少女が入ればほうって置ける性格じゃない】

【袋をぎゅっと抱きしめる少女の肩に手を置いて、】

大丈夫?
なにか悪いものでも見たの?

【と声をかける】
【少女の身長は150ほど。目の前の少女ほどではないが中々に小柄で。】
【顔立ちのほうも瞳が大きく、どこか間の抜けていてやけに幼げ。威圧感とかは与えないはず】

えーっと、あたしは『SCARLET』だから、何でも気軽に話してよ

【青ざめた顔の少女に面と向かうと、心配はさらに大きくなり】
【こんな風に自分は頼もしいんだぞ、なんて印象を与えようとしてみる】

//持ち越しに為るかもしれませんがよろしくですー
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/22(土) 22:56:25.60 ID:1Kw9HCaWo
>>318

 それならそれで、一人一人に対して能力者は危険だと言えばいい。それだけで十分だ
 お前がやれそうな手段でやれそうなことをやればいい。出来ないことをしろとは言わねえよ
 それじゃあ、上手くやってくれよ? 良い場面になったら呼んでやる


【握手をした後、相手の肩をぱん、と軽く叩いて彼は出てきた通り、路地裏の暗闇へと消えていった】
【方法をそれなりに示した上で、残りは全て相手に任せて】


//二日間、お疲れ様でした
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 23:03:10.39 ID:ovRkEOGH0
>>320

【歩道のど真ん中で立ち止まる少女。誰もが迷惑そうに避けていくのに、彼女はそれを気にする素振りも見せず】
【世界のことなんて忘れてしまったみたいに固まってしまっているのだった、彼女の世界にあるのは、鏡に映る自分だけ】
【それなら行き過ぎたナルシストか何かにも見えるが――そういう生き物なら、まず、こんな反応はしないだろう】

【それなら。触れられた肩、ひどく大げさに跳ねるのを見れば、まったく、まったく、世界のことなんて忘れていた証明】
【ひッと喉から聞こえた〆られる鳥みたいな悲鳴。だけれど、それは、ひどく驚かせたとしても――鏡から視線を逸らさせて】
【勿忘草色の瞳がやっと鏡から逸れる、そうして、銀髪の少女を見つめ…………て、ないのかもしれない】

【キツい造形の顔を怯えで満たしたなら違和感、かたかたと震える指先みたいに、視線も、びくびくと落ち着かず】
【しばらく「あ……」とか何か言っていたようだったが。それでもさらに時間をかければ――、】

――――いや、その、なんでも、ない、……、……。

【なんて言葉が返ってくる程度には回復するのだった。格好といえばまだ本をぎゅうと抱きしめたままだし】
【顔色は全盛期よりマシ程度であって、未だに死にかけみたいに蒼褪めている。唇なんて、もう、真っ青だ】
【華奢で小柄な少女がそうして震えていると画になる――と思いきや、顔が鋭すぎるため、それも、まあ、絶望的だとは余談だが】

……悪いね。

【――そのまま少女は立ち去ろうとしてしまうのだった。一度ふるりと首を振ると、触れないでと言うみたいに】
【だけど――振り返って歩き出そうとした一歩目で通りすがりの他人と正面衝突、今度は地面にしりもちをついて】

【……なんだかもう駄目という感じだった。少なくとも冷静ではなく、それなら、放っておくのも危険そう】
【SCARLETの少女にしてみれば放っておけない、かもしれない。幸いにも、ここは大通り、入りやすい喫茶店の類も多く】
【それなら、落ち着くくらいまで、どっかでお茶――とか言うのも十分にアリなのかもしれない。もちろん、】
【それは強制ではないが。銀髪の少女に何か考えがあるというなら、提案してみればいい――はずだ】

【まあ、とりあえず、――どうするにしろ、思い切りしりもちをついた彼女を、起こしてやるのが先かもしれないけれど】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 23:10:59.77 ID:/jxNw3XQ0
>>321
……はいはい、アンタの手腕次第だよ。
私は私のやれる事をやる。アンタの言う通りそうさせて貰うとするよ。

【最初の頃とは随分と違う、親しみやすい……馴れ馴れしいよう? な様子の相手に肩を叩かれ、そのまま相手が出ていくのを呆然と眺めながら】
【――その後に、周りを見て、未だに警察が呼ばれるな気もせず、歩いて帰ろうとして】

――あ、五百円返してもらってねえ。


//はい!二日間ありがとうございました! 楽しかったです!
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 23:24:00.69 ID:OLsqjlix0
>>322
【びくりと、震えて返された視線。いきなり触れるのはだめだったかと反省】
【そこから返ってきた言葉はなんでもない。どうみても、そんなことはないのに】
【ほら、まだ指先も震えて視線もおぼつかないし、これでどうしてなんでもないのか】
【そんなことは無いでしょうと言おうと思ったけどその前に、少女は悪いねと歩き出した】
【触れないで、なんて雰囲気を出しながら】

【どうしよう。明らかに大丈夫じゃないし、けれどもこうも拒否されてしまったらどうすればいいのか分からない】
【うー・・・・・・と唸って頭を抱えたその時、どしんと音を立てて少女がしりもちをついた】
【・・・・・・考えるのは後にしよう。今はほうっておけそうにない】

ふらふらしてる。とりあえずどこかで休もう?

【なんて提案して、少女に手を差し伸べた。いや、差し伸べたのではなく少し強引に手を引っ張って、おこして】
【たまたま目に付いた喫茶店へ連れて行こうと】
【少女がいやだいやだと言わなければ、喫茶店まで歩く途中で胸に抱えていたお菓子を一つ、食べる?なんて聞いてみたり】
【とにかく少女は自分に対する警戒心を解こうとしているらしい】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/22(土) 23:24:36.91 ID:Oz4wD/w9o
>>319

魔工……確かに義肢や魔銃を扱うと書いてあったな……。
君が武術について分からないように、俺には君の分野はサッパリだ……ハハ。

そんな俺でも唯一分かることと言えば、武術と同じで努力の継続が必要なのだろうということくらいだろうか……。

【魔工、魔銃、義肢、職人ギルド――――自分と全く関係性が無い言葉が並べられ、苦笑いを浮かべながら小さく息を吐いた】
【彼の若さで店を経営することはそう簡単には許されない。1時間の鍛錬のような積み重ねが何層も何層も積み重なってようやく手に入れた資格なのだろうか】

【兎に角今回は真逆のケース。次は此方がジョシュアに教えを乞う番になりそうだ――――】

……うーむ、やはり難しいか――――ふむ、あくせさりー……装飾品。なるほど、それにも魔力が備わっている……ということでいいのか?
出来れば余り派手ではない、和服にも合うような……そのようなモノがあればいいのだが――――。

む、これは凄いな……アクセサリーで運動能力を向上させたりもできると。属性のブースト……一応「聖」の魔力を持つ刀なら此処にあるんだが……。
この白鞘の「聖」の魔力を持った刀――――名を庭常白光というのだが、どうもこの聖の魔力を活かすことが出来ない。魔法を扱えないからな。
悪魔などの邪悪な存在には協力なのだが……あまりにも限定的と言うか、もっとこの魔力を活かせる場が欲しい。……そんなものは――――いや、厳しそうか。

【アクセサリーならどうか、という提示に瑛月は小さく唸りながら、置かれたカタログをぺらぺらとめくり始める】
【紙をめくる音が暫し続けば、そのリズムは途中で止む。止まったページは属性のブースト。一旦カタログから手を放し、左腰の大小の刀の「小」を机の上に置く】
【しゃらりと鞘を抜けば、真っ白に輝く独特の刃が露わになり――――聖の濃厚な魔力が部屋中を満たす。この魔力を活かす術はないか、ということらしいが……】

326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/22(土) 23:32:41.55 ID:ovRkEOGH0
>>324

【そうしてしりもちをついた当人は目を白黒とさせていた。転んだことすら理解しなかったらしい、流石に】
【数秒もすれば理解するのだが――その頃にはぶつかった相手もいない。僅かに眉を寄せて息を吐く、ため息がちに】
【それからゆっくりと起き上がろうとすれば……その手を少女に取られ、さらに、引っ張り上げられる】

【百四十二センチの体躯。体重は三十かそこらだろう、対して背の違わない少女にだって、起こせない重さではなく】
【意識がある人間相手なら、無意識めいて力の入れ方を操作する。それなら、思ったよりも――ひょい、という感じに彼女は起き上がり】

いや、別に――、

【――ちなみに、彼女の声は元からかすれているようだった。それは古書をめくったときの音みたい】
【どこか埃っぽくて、古びて、少しだけかび臭いような……そんな光景を連想させる声だ。少なくとも、少女らしくはない】

【まあそんな余談はさておいて。彼女は腕を引かれるように歩かれると、よっぽどではないが嫌がるような素振りを見せ】
【だけれどきちんとついては来る。渡されたお菓子はしばらく見つめたが、結局、その場で食べることはなく】
【だけどまあ貰う気はあるようだった。個包装されているものであれば、図書館の貸し出し袋に放り込んで】

【そして喫茶店に入れば、彼女は少女の座ろうとした席に大人しくついていくだろう。そうして、ちょこんと座り込み】
【なんだか眉間に皺が入っているように見えるのは気のせいだ。よっぽど嫌なら、振り払ってでも帰ればいいはずだし――】
【そう、きっと、困っているのだ。人見知りなのかもしれない、それとも、まだ、具合が悪いのかもしれないし】
【……失礼にも無言のままの彼女に、少女は話しかけるネタがたくさんあるはずだった。とりあえず――】

…………温かいココア。

【最低限欲しいものを言えるぐらいなら、最低限の会話くらいは、できるはずだから】

【(ちなみに、警戒心は……まだまだといったところ。なんとなく野良ねこみたい)】
【(噛み付いたり威嚇したりはしてこないけれど――あんまり近づきたがらない、そんな感じだ)】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/22(土) 23:54:45.53 ID:FDz1V5Aoo
>>325

わぁ……――魔剣、刀だと"妖刀"の方が正しいのでしょうか……
抜いただけでこれだけの魔翌力が溢れてくるなんて……凄い業物、ですね


【鞘から抜かれた「庭常白光」より溢れ出す魔翌力】
【魔術師であるジョシュアにはこの持つ力と価値が、それだけで十二分に理解する事が出来た】
【その"美しさ"に思わず、見蕩れるように熱の篭った息を吐いてしまった】


いえ……実は、そういった補助は難しくはないですよ
元々僕の扱っている魔銃や魔工義肢も……魔翌力を操れない方でも扱えるように作ってありますので

一般的な"増幅"のような効果ではなく……補助具……
中邑さんに代わって力の方向性を導き出せるようにすれば……要望にお答えすることは可能です


【ジョシュアの扱う商品の内"義肢"は、誰でも装着できなければ非常に限定的な代物になってしまう】
【故に少年は"魔翌力を扱えない人間でも使えるよう"仕上げる事には長けていた】
【本人が魔翌力を操作出来ないならば、それを代行する効果を付与すればいい。ジョシュアとしてはそういった考えであった】


「刀身の延長」、「切れ味の向上」……「硬度強化」や「刀身の浄化」……あとは「斬撃を飛ばす」……でしょうか
思いつく限りではこれくらいの機能を付ける事は出来ると思います……。

えと、何でも出来るように……は難しいので、付けられる効果はこの中の一つだけになりますけれど
中邑さんの意志次第で、そういった働きが生じるように仕上げてみようかなって思うのですが――いかがでしょうか?


【ジョシュアが例に出した"魔翌力の使い道"は5つ。説明によればこの内一つを付与することが可能なようだ】
【勿論、これ以外の効果を所望ならば其方を優先し検討することだろう】
【どちらかといえば、この少年が悩んでいるのはこちらの方ではなく……】


……そ、それで……こんな事をお聞きするのはどうかなって思うんですけれど
和服に似合うアクセサリーって……どういうのがいいんでしょうか……

本来なら僕が最適の品物をチョイスする所なのですが……
櫻の国のファッションって凄く独特で……僕が考えたら違和感が出ちゃいそうでして……


【……どんなアクセサリーにするのが適しているか、という方が重大な問題のようであった】
【ジョシュアは和服に身を通したことがないため、いまいち実感が湧かないようだ】
【それ以上に、"剣士として"どういった物が邪魔にならないかという問題もあるのだが――】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 23:58:12.08 ID:pj06fKSs0
【――アトラヴェル】
【それは、水の国と地の国をつなぐ交通の要衝に位置し、この数十年で爆発的な成長を遂げた都市の名である】
【長きに渡り辣腕を振るう現市長の経済政策は、わずか四半世紀の間にこの街を商工業のメッカに変えた】

【だが、発展の動力源である大企業の進出や出稼ぎ労働者の流入は、アトラヴェルに混沌をもたらした】
【それを端的に象徴する場所が、この旧市街】
【苛烈な商戦の落伍者や夢破れた地方出身者から、泥の街から出張ってきたマフィアまで】
【雲の上の栄華に与ることのできないありとあらゆる人種のゆりかごとなった此処では、常にどす黒い陰謀が蟠っている――】


【時に、打ち捨てられた商店街のアーケードで事件は起きていた】
【廃店を背に追い詰められたひとりの男。それを取り巻く、いくつかの人影】
【道端に乗り捨てられた黒いバンの轍には、血の赤が混じる。つんと鼻を刺す錆の匂いに、かすかな腐臭】

【そして、シャッターに押し付けられるようにして拘束された件の男の前には、小さな影が立っていた】
【聖職者めいたローブで身を固め、フードを目深に被っているが、察しが良ければ『少女』であると遠目にもわかるかもしれない】

「待てっ! な、何が狙いだ!? 金なら幾らでもやる、職だって与えてやる! 身内が切られたってなら――」

『……どれもいらないのです。
 ルネが欲しいのはひとつだけ。あなたそのもの――どくどくと脈打つ、その命なのです』

【ルネ、と名乗った彼女は、紫色の宝珠が突端に埋め込まれた杖を男の胸に押し付け、何かを唱え始める】
【合わせて、ぎりぃ、と。――太った四肢を拘束する力も強まる】
【恐怖に抗弁する気力も絶えたか、彼の額には脂ぎった汗と、引きつった皺が浮かぶだけだった】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 00:09:43.67 ID:zCULX2wr0
>>326
【嫌がるような顔をされるとやっぱり少し心が痛む】
【さて、どうしたものか。結局どうやって話そうかの考えはまとまってない】
【渡したお貸しも受け取ってはくれたものの食べてくれるかどうか分からない】

【なんて考えてるうちに喫茶店に到着。席について少女と向かい合う】
【沈黙。気まずい。皺よってるし、なんか顔怖いし】
【話す内容に困って居た所、沈黙を切ったのは以外にも少女】

あ、じゃあ私もそれで

【自分も同じものを注文し、飲み物だからそれはすぐに届いた】
【が、結局話すネタは見つからずに沈黙。きまずい。やっぱり怖いし】

え、えーっと・・・・・・具合、わるいの?
顔色悪いけど・・・・・・
あ、あとあなたは鏡をずっと見てどうしてたの?

【とりあえず、食い気味になるがわからないことを聞いてみることにした】
【がっつく感じはするが、話をすこしでも聞ければ少女のことがつかめるかもしれない】

//すいません遅れましたぁ!!
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 00:21:42.55 ID:jHeQCsWx0
>>329

【そしてすぐに運ばれてくるホットココア。たっぷりと乗った生クリームに、チョコレートソースであみあみが描かれたもので】
【かわいいカップも、ソーサーの柄も、ただ、今この場では――ちょっと空気と剥離している感覚はあった。とりあえず、】
【彼女は借りてきたのだろう本を空いている席に大事そうに置いて、俯きがちに……ぎゅっとスカートの裾を握り締めている】
【口をつけないあたりを見るに、猫舌だろうか。――まあ、あんまり、元から食の太いほうではなさそうなのだが】

……いや、別に、悪くはない。悪いね、持病だから――、……鏡が見られない。

【話題を振られると、しばらくの間。相変わらず眉間に皺のよったような表情で、彼女は黙ったいたのだけれど】
【三十秒ほど、だろうか。待っている少女にしてみればさぞ居心地の悪かったことだろう。彼女が口を開くのは、それだけの間のあと】
【ソーサーをつまむように引きずり寄せながら言葉を紡ぐ。具合は悪くないらしい、――まだ顔色は悪かったのだが】
【持病なのだと自称して、その後に告げるのは、ああなってしまった原因……なのだが】

六つのときから。

【――鏡が見られない病気、なのか。だけれどそんなの滅多に聞かないなら、癖のようなものなのかもしれない】
【正式な病気ではないように思う。彼女は冥く視線を伏せると、それから、ようやくココアへと口をつけ】
【(熱かったのかほとんど飲まずにソーサーへ戻した。唇についたクリームを、一度舌でぬぐい)】

放っておけば調子も良くなる。放っておいてもらって、構わんよ。

【調子が悪いという自覚はあるらしいのだった。それなら、今までが強がりだったのだと知れて】
【なんとなく性格が――少しぐらいは掴めてきているような気がする。常時機嫌の悪さマックスみたいな顔もあいまって】
【あんまり人懐こくなく、どちらかといえば気難しいほう……らしい。それでも、心配してくれる相手を無碍にすることはなく】
【少なくともこのココアのあるうちは。よっぽどでなければここに居る――そんな感じが、確かにした】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/23(日) 00:33:41.57 ID:eQ8dRaxvo
>>327

……一度滅びた宗教都市、ゼン=カイマから出土した旧い聖剣を名の知れた刀匠が打ち直した代物だ。
魔力感度が凡人の自分でも分かるのだから、相当な魔力が込められているのだろう。

【僅かであるが精神浄化作用を秘めた聖刀。精神にまで影響を及ぼすほどの濃密な「聖」光。白鞘で光を閉じ込めれば僅かに感じされた暖かさも姿を消す】
【そのような大きな魔力を秘めた品を持っておきながらも、それを活かしきれてないのは勿体ないということを瑛月が話すと、ジョシュアが答える】
【――――魔力の素質が無い彼でも扱えるように「補助」をするアイテムとしてのアクセサリーが可能かもしれない、と】

――――ほ、本当か……!? 確かに補助具――――だな、俺に必要なモノは。
もし俺でもこの聖の魔力を扱えるというのであれば、かなり戦略は広がるかもしれない……――――頼むジョシュア、其れをお願いしたい……!!

【期待が膨らんでいることが直ぐにわかるような、少し上ずった嬉しそうな声で驚けば、今度は真剣な表情と力強い声で懇願する】
【少しでも強くなれるならお金は問わない。無能力者が簡単に力を付けられる機会など僅かだ。この機会は逃さんと、瞳が大きく見開いた】

――――……うーむ、どっちだ……うーむ、むむ……。 ――――よし、刀身の延長でお願いしたい。
斬撃を飛ばすか悩んだが、遠距離で出来ることがあると甘えてしまう……気がする。その「便利」さが本来の闘い方を鈍らせる可能性があると思ったのだ。

【提示された4択。自分の運命を決める選択にもなり兼ねないからか、瑛月は頭を両手で抱えて本気の本気で悩み出した】
【色々な自分をイメージする。斬撃を飛ばす自分、刀身を伸ばして不意を突く自分、鉄をも切り裂く自分――――……いや、どれもいい】
【しかし全部は無理だと言い聞かせ――――悩みに悩んで出した答えが刀身を伸ばすことだった。片方が吹き飛ばされても不利なく闘える。それを選んだ】

うーむ、シンプルで落ち着いたデザインなら何でもいいと思ってはいるのだが。ブレスレット……鎖のようなじゃらじゃらなるのはやめてほしいな。
――――なんだろうか、金属の板を丸めたようなタイプの……いや、専門用語を知らないから何とも説明しがたいな……。

【自分でもファッションには詳しくないため余り事細かに語ることは出来ないが、手で形を作ったりしながら「こう……」と表現した】

332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 00:35:31.29 ID:/S9q7vQm0
「Modern talking, modern walking in the streets――」

【――自らの富と権力を全て抱合したかのような男の腹が、迫る確実な死への恐怖に震えている時。機嫌のよい声色が、古びた街に響く。】
【うら若い女のそれであった。淑やかに弾むその音色は、人生を謳歌する生命の力に満ち溢れていた。】
【晴れやかなそれは、死んだ街には似合わなかった。故にあまりにも異質であり、あまりにもイレギュラァであった。】

「New desire……よっ、ちょっと退いてくださいな――」

【何らかの感情を以って男と少女を取り巻く人影が、この異質な女に応じたのならば――】
【超重量の「何か」が空中を裂く風圧の後、ずるりと音を立てて、その頭は全てずり落ちていく。】

「――どうも、こんにちは」

【そして、静かに息を漏らして嗤いながら、彼女はそう語りかけるのだ。】
【黒いシルクハットが落とす影の下で穏やかな笑顔を浮かべた、妙齢の女性である。】
【身体を包むのは赤黒い軍服。腰まで伸びたのはプラチナブロンドに煌く長髪。】
【もはや物言わぬ人影から噴き出た鮮血が、それらを全て紅く染めていく――が、畢竟女性は何も変わらなかった。】
【――右手に握られているのは、彼女の身の丈ほどもある剣である。鉄板を幾重にも組み合わせて長剣を形作っているそれは、やはり紅い血に染まっていた。】

/新規ですが、まだいらっしゃったらー……
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 00:36:41.28 ID:/S9q7vQm0
/>>332>>328宛てです……。
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 00:56:36.06 ID:97mXZVpjo
【路地】

【人気のないビルとビルとの間に生まれてしまう、都会の影である路地裏】
【赤いレンガのビルの壁のシルバーのダクトからは白い煙のように生ぬるい風が排出されている】
【その下。街頭のオレンジの明かりに照らされた所にそいつはビール瓶を握りしめて倒れている】

なら、殺してくれ……………ん?………何だここ

【呟くように呻く。…後にもぞもぞ動く。寒空の下、寝ていてやっと起きたという所だ】
【黒髪、黒いレンズのサングラス。黒いスーツ、黒いシャツ。シルバー製の聖母のネックレス】
【酔いつぶれていてもまあ納得できる風貌の奴は壁にしがみつきながら上半身を起こすと】
【ポケットから紙巻きの安タバコを取り出してくわえる。そして、ワサワサ身体を探ってライターを探す】

……うえ…火ぃ無いじゃんか…クソッ

【男は火のついていない煙草をくわえたままズリズリと背を擦りながら地面に再び倒れ込む】
【男は立ち上がりたくなかった。寒いが動く気になれない。どうにでもなりゃいいって思い始めている】
【肘があたってビール瓶が悲しげな音を奏でながらアスファルトを転がった】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 00:58:31.53 ID:8nQQKKGbo
>>331

成程、あのゼン=カイマの……僕は"あの事件"とは全然関係なかったのですが
何だか……あの土地の物とちょっとだけ縁がある気がしますね

【彼の説明を受けてジョシュアは納得の色を示す】
【あの地で起こった戦争と呼んでもいい大騒動については、ニュースで伝えられた程度にしか知らないが】
【以前も別の客からその事件に関わったある素材を持ち込まれ、一丁の魔銃を作り上げた事があった】
【そんな縁があって、何だか自分も英雄達の物語に関われた気がして少しだけ……誇らしいような気持ちが芽生えていた】


便利さに甘えてしまう……ですか? ふふっ……すごく、中邑さんらしい考え方だと思います……。

判りました。オーダーメイドで一から仕上げることになりますので
うぅん……そうですね、調整も含めて一週間ほどお時間を頂けましたら嬉しいです

あ、あと……一度魔翌力の波長を覚えたいので……"庭常白光"の刀身に触れてもいいですか?
すぐに終わりますので……お待たせするようなことはないと……思うのですが


【瑛月の語る"理由"に、確かに彼らしいとジョシュアはふわり……と口元に手を添え、少女のような表情を浮かべて微笑む】
【まだ2度しか会っていない相手だが、それでも十分すぎるほどに彼の真面目すぎるほどの性格は伝わっていた】

【それに続いて、ジョシュアは瑛月に対して刀身に触れさせて欲しいと告げる】
【幼げな容姿からして危険なようにも見えるが、少年も一応は"プロ"の端くれ。きっと手を切るようなことはないだろう】


それでしたら……そうですね、「バングル」がいいかもしれません
なるべく面積や重量を控えめにして……装飾も最小限にして機能的に仕上げたほうがいいですよね?

色とか……模様とかもリクエストがあればお聞きしますが
その、特にないのでしたら……僕の自由で作っちゃいますけれど――


【ジョシュアは、恐らく注文する上で最後の質問を瑛月に向けて投げかけた】
【模様や色などはどんなものでも特に性能には影響しない。ここは趣味に走ってしまっても構わないだろうか】
【もし何も要望がないならば、"お任せ"で非常にシンプルな製品として完成後手渡されることになろう】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/23(日) 01:17:40.59 ID:eQ8dRaxvo
>>335

俺らしい――――なるほど、確かにそうだ……。何しろ生まれは櫻の国の辺境、便利な電子機器とは縁のない生活を過ごしてきたからな。
道はがたがた、今のように舗装された道なんてどこにもない。……しかしその凸凹の道がバランス感覚を鍛えたり何かしら良い面で出ているのも事実。
そんなこともあったからか、便利すぎる現代生活には危機感を抱いてもいる。何事も楽をし過ぎると何かを知らず知らずの内に失っている――――と、そう思う。

――――ああ、構わない。……一応気を付けてくれ、櫻の刀の鋭さは包丁とは格が違う。軽く触れただけで皮膚が簡単に避けるからな……。

【確かになどと言いながら微笑と共に頷いて語るは、便利とは程遠い生活を送ってきたという過去。しかしながらその便利が、人々の身体能力を落としているという】
【故に便利と言うのも考え物だ――――という、そのストイックな思考が出た選択が其れでもあった】

【庭常白光を再度テーブルに置き、鞘からまた聖なる輝きと僅かな温かみが放たれた。その白い刃に触れたのであれば、柔らかながら濃密な聖が感じられるか】

ああ……ばんぐる! 確かそのような名前だったな……。そういう名前には見た目通り疎いんだよ、ハハハ。
うむ、機能最重視で……色はそうだな、やはり金属となれば……一般的な刀の色が、銀のような色が落ち着く。

【バングルという名前を聞いて靄が晴れたかのようなリアクションを見せれば、後はジョシュアの質問に答える】
【シンプルで、刀の色のような――――そんなバングル。それが良いかも知れない、と瑛月は彼に告げた】
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 01:20:53.47 ID:fOuCXpEt0
>>332

【女が「何か」を振るわんとする刹那、男を囲う人影のひとつが振り向いた】
【――白濁した瞳と、よだれかけのように首もとを染める血。あなたが見ることになるのは、生者の面ではなかった】

【旋律に乗って吹き荒れた鋼の風が、しめて三人――否、三体の屍を引き裂く】
【まるでだるま落とし。胴と首はあっけなく泣き別れとなり、脳漿が路地のタイルにぶちまけられる】

【従って、男の拘束が解けた――が、胸には杖が押し付けられたままだ】
【下手に動くな。そう言いたげな冷酷な視線を送り、彼のうかつな動きを戒める】


『こんにちは、軍人さん。
 お勤めご苦労様なのですが、あいにくこの場はルネ一人の手で間に合っているのですよ』


【大剣の闖入者に臆する事無く言い放つと、ルネは懐から一枚のカードを取り出す】
【それはこの街に存在するとある製薬企業の役員証であり、表面には命の危機に立つ男の顔写真が貼られていた】


『彼はヒュギエイア社役員、アーヴィン・ルッツルング。現社長、ロニ・ルッツルングのどら息子なのです。
 かねてよりカノッサ機関との裏取引を噂されていたものの、明確な証拠はありませんでした。
 ……ルネが、あそこにある黒いバンを見つけるまでは』


【よく観察していれば、男の顔が図星を指されたように歪んだのを捉えることができるだろう】
【それが少女を信じる材料になるかは兎も角として、彼には何か、やましい所がある】


『警邏や司法に委ねるための証拠が欲しいなら、好きにどうぞなのです。
 ……でも、この人の穢れた命だけは譲れないのです』


【利害が対立すれば、その瞬間に反撃する。言外にそんな意図を滲ませながら――少女は女の動きを待つだろう】
【なぜこうも殺害に執着するのかは毫も知れないが、杖を強く握る手にはほとんど狂気と言っていい意志がにじみ出ていた】
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/23(日) 01:41:51.67 ID:BbmiLLuU0
【街外れ】

 いやはや、すっかりこんな時間だよ
 なぁ、花嵐
『ほぼ遅れたのはマスターのせいでは』

【昼の間でも人通りが少ない、さらに夜となれば人はもはやいなくなっているはずである】
【だが、時には例外もあるもので一人の男と甲冑をきて、顔に面頬をつけている男か女かわからない存在】
【その二人組みが歩いていた】

【金髪を少々伸ばしていて白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【左腕にカノッサ機関の証、逆五芒星が隠すことなく刻まれていた】

 ふぅむ、時間と遊びをかけずにやったつもりなのだがね?
『……捜索に時間をかけすぎです』
 いやはや仕方なかろう事前情報があまり回ってこなかったのだから
 ホルスをだそうにもちょうど修理中であったし
『修理と託けて改造していたでしょうに…はぁ』

【あきれている甲冑人物をよそに彼はマイペースに先に進む】
【それに対して甲冑人物もまたそんな彼についていく】

【黙々と二人は歩いていく、彼のほうは人と鉢合わせするのに期待して】
【甲冑人物は誰かと鉢合わせしないように願いながら】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 01:52:58.43 ID:8nQQKKGbo
>>336

櫻の国……僕は行ったことないですけれど、風情のある国ですよね
自然の中で昔ながらの伝統的な暮らしをしてるっていうか……

僕はその、"便利すぎる世界"に慣れてしまってますから
きっとあの国に行ったら見るもの全てにビックリしちゃいそうです……一度は、観光してみたいですね


【耳に届けられる、現代社会とはかけ離れた伝統的な生活】
【生まれてからずっと舗装された地面と文明の利器に囲まれてきたジョシュアとは真逆と言ってもいい生活だ】
【想像することすら難しい櫻の国のそんな光景をぼんやりと頭に浮かべながら】
【あの国で見聞を深めたならば、創作の刺激になるんじゃないか……などと思いを馳せていた】


はい、大丈夫です……確かに刀は専門外ですけれど……

作品によっては……知り合いの刀匠の方と共同作業もしますから……
こうやって剣に"潜る"のにも……結構慣れてるんです――


【安心させるように彼に微笑みかけると、ジョシュアは刀の腹を愛でるように白く細い指を這わせていく】
【そして意識を集中するために、ふっ――息を洩らした後に両目を閉ざし】
【"Dive"――と小さく呟くと、周囲に微かに無色の魔翌力が流れ、刀身の表面が波紋のように波打つ】

【魔工技師のスキルの一つ、魔翌力を持つ物質に自身の魔翌力を"潜行"させ波長や特性などを知る為の技術であった】
【時間にして数秒、極度の集中により額に一筋の汗を流しながらも作業を済ませると】
【「ありがとうございます……」と一礼し、刀身を再び鞘で覆い隠して、瑛月の方へとスッと差し出した】


銀色のバングル……ですね。はい、確かに承りました……。
では、そのように仕上げますので――――


【要望を確かに聞き入れ、ジョシュアはペンと紙を取り出してサラサラと慣れた手つきで文字を記していく】
【これで注文は終了。料金などは後日受け取る際に改めて請求されることだろう】

【一通りの工程を済ませた少年は、椅子の背凭れに体重を掛けながら胸を抑えて大きくはぁ〜……と息を吐いた】
【何だか、少しだけ疲れたような様子に見えるだろうか】


あはは……その……なんだかすごく緊張しちゃいました……。

中邑さんは僕の剣のお師匠様で……僕の憧れの人ですから
変なこと言っちゃわないかって……失礼にならないかなって……実は結構、ドキドキしてたんです……。


【照れくさそうに頬を薄らと紅く染めながら、そんなことを告げる】
【技術はあるがまだまだ少年に過ぎないジョシュアには、精神的に不慣れなことは多い】
【今回は"師匠"であり"男として憧れている"相手だったから余計に、大きな緊張に襲われていたのだろう】


中邑さんは……これからまた忙しいのでしょうか?
えと、お時間があるのなら……今日はいきなり仕事の話に入って、まだ全然おもてなしも出来ていませんし
もっとゆっくりお話できたらなって……思うのですが――


【そして、おずおずとした様子でそんな事を訊ねる】
【勿論、それなりに時間は経過しているため今日はここまでという選択肢も十分あり得る】
【ジョシュアもどうしても引き止めたいわけではない。その時はきっぱりと諦めて、ここで別れる事になるだろう】
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 01:55:38.10 ID:0dk21KbxO
>>337

「んぅ、私は軍人じゃないわよ。ただの気まぐれな一市民、とでも言っておくけれど」

【自らが首を刎ねた人影がすでに「死んで」いても、彼女は特に動じることはない。】
【慣れ親しんだ茶飲み友達と下らない世間話をするような調子で、静かな微笑を湛えるだけ。】
【そして少女が一枚のカード――醜く震える男の身分を表すもの――を突き出せば、納得の行ったような声でかく語る。】

「あァ、通りで欲望に忠実な身体をしていること――
 この不味そうな腐りものよりも、余程『美味しそう』ねェ」

【生肉の弾力を失い、ぐちゃぐちゃに腐った足元の肉塊を赤黒いロングブーツの靴底で踏み潰しながら、彼女は至極穏やかに笑った。】
【一切の理由は不明であった。しかし、彼女は何かしらの手段でこの男を「喰らおう」としていた。】
【その証拠とも言えようか。彼女は粘つく唾液の乗った紅い舌を自らの唇に這わせて、ゆったりと舐めずる。】
【少女が止めないのならば――ひたりひたりと水っぽい足音を鳴らしながら、やおら男へと歩み寄り。】
【そしてその顎を空いた片手で鷲掴みに引き寄せ、恐怖に震える顔面を自らの微笑みと付き合わせるだろう。】

「まあ、脂っこくて全部食べたら凭れてしまいそうだし――
 そうね、よかったら私にも『お裾分け』してくれる?」

【殺気を見せる少女。やれやれ困ったものだ、とでも言いたげに、彼女は苦笑して。やおら振り向きながら、一つの案を少女に示す。】
【つまり彼女は、全く話の通じない狂人ではないようだった。交渉の上で自ら妥協を行う程度に、常識を知っていた――しかし、彼女はこう続ける。】

「――それが嫌だったら、『取り合い』になるけれど……そうね、貴女も美味しそうだし、どうしましょうか?」

【こうして選択権を少女へと与えた女性は、相も変わらず微笑んでいるのだった。】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 02:22:58.97 ID:fOuCXpEt0
>>340


「な、なんなんだお前は……助けてくれるんじゃねェのかよ……ッ!」


【常軌を逸した言動を繰り返す女に迫られ、アーヴィンは期待を裏切られたとばかりにだみ声で叫ぶ】
【救世主だと思った相手は悪魔だった。余りのことに身体が震え、口元にはやけっぱちな笑み】
【彼の関心は、どうすれば生き長らえるかではなく、どっちが楽に殺してくれるかに移りつつあった】


『ふぅむ――ルネとしては、彼の魂に用があるだけなのです。
 残された身体は、どうなろうと文句はないのです』


【そして結局のところ、そんな後ろ向きの期待に先に応えたのは少女の方だった】
【目を閉じ、現用の言語で表現することのできない、何やら奇怪なチャントを数節詠唱すると】
【男の身体から紫色のもやが生じ、宝珠の中に吸い込まれていく】

【太った肢体が動きだすことは二度となかった。生命の真髄、精神の源泉を奪われ、アーヴィン・ルッツルングは死んだ】
【抜け殻となった肉体は脱力し、少女が操っていた屍者の上に折り重なった】


『その上で、あなたに尋ねるのです。
 ……食べる、とはどう意味なのですか?』


【用事は済んだ。しかし、引っかかるファクターが一つ残っている】
【人を見て美味しそう≠ニ評し、どこか正気の箍が無いようにも思える振る舞いをする目の前の女】
【「気まぐれな一市民」を自称しているが、到底そうは思えない】
【だからルネも、不用意に背を向ける気にはなれなくて――杖でそれとなく身構えながら、ひとつ尋ねるだろう】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/23(日) 02:25:05.02 ID:eQ8dRaxvo
>>339

はは、伝統的な暮らしは今では本当に辺境にしか見られないさ。栄えている所はフルーソに匹敵する程発展しているくらいだし……。
辺境も観光しても景色以外には何もない――――まぁ、その景色は素晴らしいモノがあるとは思うけどな。 む、潜る……――――? 

【瑛月の地元は田舎の中のド田舎。今では珍しくなってしまった程の文明の低さで、未だに家では井戸から水を汲んでいるとかいないとか】
【多少自虐を交えながらも、広がる自然だけは誇るものがある、と少しだけ嬉しそうな表情を浮かべて口を開いた】
【その後話は変わり、ジョシュアが刀に触れる様子を少しだけ不安そうに見つめたのだが――――】

【魔力の才能もなく修行もしていない彼には、その無色の魔力も感じられない。ただジョシュアが目を瞑り、刀の鼓動を指で感じているかのような光景が広がる】
【ある程度の静寂に瑛月は思わず唾を飲み込む。研ぎ澄まされた雰囲気ならば、敏感だから】

……終わったのか。 ――――俺には良く分からないが、それが「潜る」ということなようだな……。
ああ、銀色でお願いする。金額の方は……正直、一人暮らしで使う事も無いし――――金に糸目をつけない、強くなれるなら……!

【刀を受け取り左腰に仕舞う。穏やかな少年に見えた研ぎ澄まされた真剣な雰囲気は、やはり彼が若くても職人であるということをはっきりと分からせるようだった】
【その雰囲気もジョシュアが息を漏らすと霧散するのではあるが、元の彼が直ぐに戻ってくると、瑛月の胸にはどことなく安心感が広がっていた】

……いやいや、憧れだなんて。剣しか能のない不器用な男だよ……。ジョシュアだって凄いじゃあないか、努力家で店まで持って、俺を強くしてくれる。
――――俺はまだ君を強くさせられていないんだ、その点なら君の方がある意味俺の師匠かもな、ハハ。

む……そうだな、済まない。明日は少し早くてね……この辺でおいとまさせてもらうとするよ。
次話す機会があればゆっくりと。その時可能ならまた剣について力になるよ。ではまた――――。

【憧れ――――そんな言葉に少しだけ照れ臭そうに反応する彼。その後に照れ隠しも込めて否定の言葉を並べ、そしてある意味では君の方が師匠だ、なんて告げて】
【師匠は弟子の力を付けるもの。と考えれば、恐らく瑛月の方が早く力を付けるだろう。一週間程度で便利なアイテムが手に入るのだから】
【武の道は険しく長い。幾ら続けていても結果はそう簡単には現れない。故に武は難しく尊いのでもある】
【――――そんな武についての話も、剣の指導もまた次の機会にしなければ。などと思いながらも「済まない」と言って席を立ち上がった】
【ジョシュアに小さく会釈してからインバネスを翻し振り返って、中邑瑛月は店を去った。ドアが開いて締まるまでに入り込んだ夜風は、身を凍らせる程冷たかった】

/ありがとうございましたー!






343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 02:57:12.96 ID:8nQQKKGbo
>>342

あはは……僕なんて、まだ全然ですよ……。

お店だって、沢山の人に支えてもらってようやく形になっているだけですし……
僕のこの力だって元々は――


【其処で一度ジョシュアの声は途切れ、自分の手を開いてじっと見つめる。随分と自虐的な言葉だ】
【この歳で経営をするならば誰かの力を借りるのは当たり前の事であり】
【技師としての地位を築いたのは術の研鑽の賜物であろう】

【しかし――もしその"力"さえも誰かから与えられたモノだったとしたら】
【自らが望まず手に入れた"力"だったとしたら――】
【少年は欲しかった。"自分で築き上げた力"が。本当の意味で強くなるために、今度こそは――ない為に】

【だからこそ瑛月のような一本の剣のように鍛え上げられた存在は眩しく】
【彼のようになりたいと……ジョシュアは、純粋に憧れの感情を抱いていた】


そう、なんですか……残念ですけど、中邑さんは忙しいですもんね

その……また、お暇があったら遊びに来てくれると嬉しいです……。
はい、今度は仕事の話じゃなくて……お茶でも飲みながらゆっくりと色々なお話をできたらなって思います
剣の練習も……見て頂きたいですしね。


【彼の言葉を聞いて少し寂しそうな表情を見せるが、引き止めることはしない】
【殆ど趣味の小さな店を経営しているだけの自分と違い、瑛月は世界の為に日夜戦う剣士だ】
【かの名高きSCARLETの隊員となれば、その仕事が苛烈を極めることは想像に難くない】

【もう会えないわけではないのだ。だから、今日はこれまでと割り切り】
【寂しさを笑顔で隠して、「今日はありがとうございました――」と告げてその背中を見送った】


【――】


【それから一週間後、事務所宛に一つの小包みが届くだろう】
【中を開けばそこには、注文通りの銀色をしたシンプルなバングルが収められている】

【効果は"刀身の延長"――伸びる刀身をイメージすることにより発動し、魔力で構築された純白の刃を生み出す】
【その長さは最大で元の2倍。その範囲ならば自在に伸縮可能で、消えろと念じることで刀身を消すことも出来る】
【延長した分の刀身は硬度が並の刀程度と心許無いが】
【破壊されたとしても"庭常白光"に宿る魔力が尽きない限りは、1レスのクールタイムの後に再構築可能という性能である】

【料金に関しては、何やらねこのゆるキャラめいた絵に添えて「次いらっしゃった時にお願いします」と】
【「25000」というオーダーメイドのマジックアイテムにしては破格の値段の請求書が添えられていたという】

/お疲れ様でしたー!
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 03:01:45.11 ID:0dk21KbxO
>>341

「あらあら、それなら話が早いわ……じゃあ全部、頂かせてもらうわね」

【震えながら笑い、そして喚き立てる男には目もくれず、彼女は少女との交渉が成立したことに喜ぶ。】
【結局のところ、双方が要求したものには食い違いがあった。彼女は肉体を求め、少女は精神を求めた。】
【然らば、仲の良い「分け合い」ができるのも、当然の成り行きなのだと言える。】
【物言わぬ男の襟首を掴んで引き起こし、首筋に散々に浮かんだ玉のような汗をべろりと舐め取れば、彼女は殊更満足気に唇を吊り上げた。】
【そして顎が外れんばかりの勢いで口を開き、男の首筋に牙を立て――生暖かい鮮血が弾け、音を立てて女性を濡らしていく。】

「んー? そのままの意味よ。貴女も、お腹が空いたらご飯は食べるでしょう?
 それと同じこと……ただ私は、より美味しい『ご飯』が食べたいだけ、よ」

【頸動脈に穴を開けた彼女は、自らの全身が血塗れになることも厭わずに、そのまま首筋の肉を引き千切る。】
【そこからは早いものだった。男の肥えた肉は、強靭すぎる顎筋を持つ彼女が喰らうには、あまりにも柔らかい。】
【瞬く間に首の肉は喪われ、恐怖を残したままの表情も、その下の筋肉も頭蓋骨も脂ぎった髪も彼女は咀嚼した。
【前頭骨に穴を開けて脳髄を啜り、そして残った頭蓋骨を半ば丸呑みにして。首無し死体を作り上げれば、次は残りの肉体だった。
【脊髄は骨ごと噛み砕かれる。柔らかい腹の贅肉に牙を立て、そして瞬く間に凡ゆる内臓を骨ごと食い荒らしていく。】

「ただ、こう脂っこいものだけ食べるのは、『何となく』ヤなのよねぇ……
 ……デザートが、欲しいかな」

【そうやって、アーヴィン・ルッツルングは解体された。頭を喰われ首を喰われ腑を喰われ足を喰われ腕を喰われ、残るのは彼女が倒れないように支えていた右手首から上のみ。】
【名残惜しそうに女はそれを丁寧にしゃぶり、口の中に放り投げた。ごくん、と喉が、大きく蠢く。】

「――ねェ、貴女」

【食事を終えた彼女は? 少女へと向き直るのだ。その全身を赤黒く染め上げながら。足元に骨片一つ残さずに血溜まりを作りながら。】

「私の『デザート』に、なってくれるかしら?」

【――彼女は、また嗤う。】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 03:28:29.25 ID:fOuCXpEt0
>>344

【食肉へと貶められたアーヴィンの骸は、一欠片も残すことなく女の胃袋に消える】
【その地獄絵図を、ルネは眉ひとつ動かさず見つめていた】
【食屍鬼の暴虐に対して抱く恐怖は、この小さな屍術師の胸からは既に枯れ果てて久しい】
【ましてや犠牲者への同情など、抱くことすらも許されない】


まず、現場のお掃除に感謝するのです。


【口直しを求める女に、ルネは小さく一礼し――】


しかしながらその提案に賛同することはできないのです。
ルネが死ねば、ここで奪った命も無駄になるのですから。


――痩せぎすのルネの代わりに、よく熟したお肉をごちそうするのです。


【――杖をもたげ、ためらいもなく忌まわしき術の詠唱を行った】
【ぞわり、と。悪寒を催すような黒い魔力がルネの周囲で膨れ上がり】
【先ほど首を吹き飛ばされたはずの三体の屍者が、ぎこちない動きで身を起こす】

【一番最初に姿勢を立て直した一体、崩れかけの鼻にピアスをつけた青年のゾンビが、まずあなたに襲いかかるだろう】
【理性も本能のフェイルセーフも無いそれは、外見以上の膂力を発揮し】
【自らの破損をも厭わず、顎を殴りつけようとする】

【そして残りの二体は、ルネの傍らで護りを固める】
【彼女の唇は絶えず動き続けていて、どうやら既に次の術を唱え始めているようだった】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 03:30:43.11 ID:fOuCXpEt0
/あーごめんなさい、首が飛ばされてるの忘れてました!
/殴りかかったゾンビの一体は【汚れた緑色のジャケットを着た青年】ということにしてください
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 04:07:53.30 ID:0dk21KbxO
>>345

「――あら、それは残念ね。
 まあでも、逃げる獣を追うのも……狩猟の楽しみ、かな?」

【鮮血に染まった顔面を、彼女は懐から取り出した白いハンカチで拭き取って――貼り付けたように変わらない笑顔が、再びはっきりと現れた。】
【少女の拒絶。それに伴って放たれた、邪悪の奔流。自らと相反するそれをはっきりと感じたか、彼女の笑みは初めて少しだけ毅然を露わとして。】
【そして三つの首無し死体は制御機構を少女として、よろめきながら立ち上がる――】
【だが、彼女は徐に歩き始めた。先程よりも強くなった、水っぽい足音を響かせながら。】

「熟しすぎは腐りすぎ、よ――もう、そんなにぎとぎとしたものは食べたくないの。
 だ、か、ら……ね?」

【何の悪意も、何の抵抗もない。単純な歩行だった。強いて言うならば、今から喫茶店にでも向かうつもりの足取りだった。】
【つまり彼女は、無防備だった。そして、その好機を少女と死体が逃すはずもない。】
【死体の、文字通り「手加減」を知らない一撃は、女性の顎を狙って――鈍い音が響き何かが砕け、彼女の身体が大きく後方によろめく。】

「――んー、結構痛いのねー……まあでも、ちょっと拍子抜けかな?」

【――だが、彼女は倒れなかった。片手で頭を「押し込んで」、外れた頚椎を元に戻す。】
【生きていた。致命傷であるはずだった。しかし彼女は、生きていた。微笑みが、消えた。】

「もう貴方は用済みよ――早く去って頂戴、邪魔だから」

【――そして彼女は首を嵌めた左手を拳として、風を切る勢いで一つの応酬を極めようとする。】
【狙うのは、腹――当たれば容赦無く肉を抉って貫通、勢いのままに死体の身体を吹き飛ばすだろう。】
【彼女の口から、だらりと血が零れる――少女と視線が合えば、また女性は笑った。】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 04:11:14.40 ID:fOuCXpEt0
>>347
/申し訳ありません、さすがに眠くなってきたのでロールを明日に延長させてもらえないでしょうか
/起き次第レスしますが、それ以降は夜7時頃から安定したレスポンスができるようになります
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 04:17:55.35 ID:0dk21KbxO
>>348
/承知しました。では、続きはまた明日ということでお願いします。
/こちらも夜7時頃からならお返しできそうです。ただ途中で飯落ち風呂落ちするかもしれませんので、ご了承ください……。

/こんな夜遅くまでお相手いただき、ありがとうございました!
/お疲れさまです、お休みなさい……。
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 14:15:20.16 ID:jIUcsUoao
【路地裏】

【闇に関する様々な形容詞を与えられている路地裏も、昼間は流石に明るい】
【だが人通りがあるわけではなかった。人気のない場所を利用するのは、やはり裏の人間ばかりだ】
【その場に居たのはたったの二人。茶色の外套に身を隠した少年と、いたって普通な格好の男】


 昼間だってのに割増料金がつくのはこれぐらいだな……あんまり見られたくねえから、時間指定は勘弁してくれよ

『十分な金は払っているんだ、文句を言ってくれるな』


【外套の少年は、布に包まれた何かを男に引き渡していた。布の隙間から覗いているのは、子供の顔だった】
【それと引き換えに、男は少年に封筒を渡す。少年はすぐにその中身の──金を確認した】
【行われていたのは紛れもなく人身売買だった。それも売られたのは小さな、恐らくは5歳かそこらの子供だ】


『しかし、神父様も大変だな。教会の運営に人身売買が必要だったとは知らなかったぜ』

 バカ言ってんじゃねえぞ、教会の運営にこんな大金要るわけねえだろ!
 神父はちっとも儲かりゃしねえんでな……ヘヘ


【男の軽口に少年は下品な笑みを浮かべながら返して、大金を懐にしまい込んだ】
【少年の頭を覆っている頭巾の隙間から、薄いブロンドの髪が顔を覗かせていた】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 14:57:05.14 ID:97mXZVpjo
>>350

ガキがガキ売る世の中ったぁ、末も末だね、ガッデムガッデム

【何処からか声がする。若い女性の冷笑と侮蔑の込められたトゲのある声】
【直ぐにその主はやって来る。上から。降りてくるというか落ちてくる。アスファルトを踵で叩いて着地する】

さてさて、上から全部見させてもらったよ。最近は現行犯つっても証拠がないと面倒くさいんだよね〜
でもま、現代は相互監視社会だしね。スマートフォンってのは便利便利。でしょ?

【そう言って持っていた紙パックのジュースをずぞぞぞぞーっとすすってゴミはポイっと捨てる】

ああ、後で拾うから。つーわけで、アンタらまとめて誘拐でシバいてとっ捕まえて警察に引き渡すんで宜しくね?

【ニンマリ笑みで笑うのは金髪ロングの女子高生。彼女がスクールガールであると断定できる所以は彼女が某有名女子校のブレザー】
【に身を包んでいるからだ。ショッキングピンクのニットキャップを被り、フライトゴーグルを額に付けている】

【また、手には骨格のようなメカ的なものが取り付けられたグローブ、腕にはそれに繋がるシルバーのガントレットのようなメカ】
【腕には小型の銛のような槍のようなものが射出機ごと取り付けられている】
【足はゴツイローラースケートのようなものを履いていて、これも膝までシルバーのメカメカしい防具を装備していた】

もっとさぁちゃんとしたワルもん捕まえないとコッチも今月ピンチなんだよねー
ちゃちゃっと終わらしたいんで抵抗しないでヨロシク。

【彼女はゴーグルを目にセットし、グローブを軽く握りこむと軽く青白い火花を散らして何かしらの作動音がする】
【またそれと同時にローラースケートからもモーターが回転するような音が生じ出した】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 15:05:57.84 ID:jIUcsUoao
>>351

【声が聞こえた瞬間、受取人の男は慌てて周囲を見回し始めたが、少年の方はただがっくりと肩を落とした】


 ちっ、だから昼間はよせっつったんだよ! ……何とかするのは俺なんだぞ

『だからその分の金は支払ってるって言ってるだろうが!』


【女が降り立てば二人は素早く動いた。男は後ずさり、少年が彼を庇うように前に出る】


 時間は稼いでやるからとっとと行け

『わ、わかった』


【少年の指示に従って、男は近くの扉から建物の中へと退避する】
【少年はそれを見届けた後、一度だけため息をついて、女に向き合った】


 ……まぁ、“警察に引き渡す”なら、抵抗もそんなにしなくていいんだが
 念の為、だな


【独り言をぽつりと漏らし、少年はただ静かに構えを取った】
【拳を握りしめ、左半身を前へ。拳法とかによくありそうな、普通の構えだ】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 15:44:46.26 ID:97mXZVpjo
>>352

ふぅん……

【彼女は少年の独り言を漏らすこと無く聞き取ってにへらと笑う】

なら、スカーレットに直接護送してもらって直で裁判所行く?
アンタが何処のどいつで何処にお友達が居るのかしんないけど
増加傾向にある犯罪に対応するべくある程度の治安維持は民間に委託されてると言っても
私はこの国の政府と契約してっからさ。自然権的なね。アイフォートザロウならぬアイフォートウィズロウアンドオンザロウ的な

【べらべらとニヤつきながら講釈を述べて、まあめんどくさくなったという感じで彼女も構える】

まーいいや。ブッ飛ばしちゃえ

【ローラースケートのモーターが回転する。アスファルトを踵のタイヤが削る。3,2,1…声に出さないカウントを刻む】

【Go! 彼女はアクセル全開で、スピードスケートの選手のように腰をかがめて、ぶっ飛んでくる。ローラーが加速する】
【トップスピードに乗るのは速い。一息で目の前までに詰め寄れるぐらいだ】

ううううぅぅぅ!……らっ!!

【体をねじり拳を引いて、ストレートを撃ちだすか…と見せかけてまずは右足のハイキック】
【ローラーが逆回転でギャリギャリとブレーキを掛け、顎を狙って、スピードの慣性と金属の重しを乗せて顎目掛けて打ちはなった】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 16:01:56.64 ID:jIUcsUoao
>>353

 どこへとなり連れて行けって。スカーレットでもUTでも好きにしろ
 ……流石に、そのへんはちょっと手間取りそうだが


【女の講釈に対しても、少年は怯えることなく答えた。明らかに、何かしらの“抜け道”を持っている】
【その正体は、女の予想通り、予め用意しておいた人員でもあるが……その中でも最たるものが自身の口だった】
【誰が相手であれ、どのような状況であれ、隙のある人間を見つけては説得ができる。それが自信の正体だ】

【ローラースケートを使った急接近。しかし彼は動かない。目の前まで詰め寄られてもなお】
【一瞬で詰め寄るほどのスピードを乗せ、更にはフェイントまで入れた攻撃だったが──】
【彼は単に、身体を少し後ろに傾けるという、最小の動きでそれを避けた】


 ……接近戦は、やめとけ


【後ろに引いた反動を利用して、構えていた右の拳を、ハイキック後の隙めがけて突き出す】
【単純な動作に、単純な攻撃。しかしまともに当たればそれとは思えないほどの衝撃が襲いかかる】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 16:24:13.82 ID:97mXZVpjo
>>354

何回でも連れってあげる。その度にアンタのお友達と抜け道も塞いでやってさ
疑わしきは被告人の利益にって知ってる?私は民主主義者だから
正義ってそういうもんなんだよね。憎いからってぶっ[ピーーー]のはジャスティス感じないわ

【この世のほとんどの国は法律があり裁判のある法治国家だ。まどろっこしく思えてもそれが最善なんだ】
【法の抜け穴をかいくぐって、内部が共謀して犯罪が横行しているのは法と人間の不備で民主主義はそれを改善できる】
【だから、何でもかんでも自警団やらUTやらが現場の判断で裁いてしまうのは……彼女は嫌いなんだ】

【ぎゅりりりとローラーが回転する。ベアリングの振動がダイレクトに感じられる。しかしキックの手応えは無い】
【マジか!っと彼女は思うがニンマリ笑っている自分もいる】

WOW! ナイス判断〜!

【体重を後ろに倒し、ぎゅららららっと軸足のローラーを回転させてバックする。片足をあげたままでも移動に支障はない】
【普通ではあり得ない動きだが、ローラーを履いた少女には出来る。人間の常識外での動きはメンタルにもインパクトを与えるか】
【拳は曲げた脛のレッグガード的な金属に当たるが後方への回避と金属の剛性で手応えは得られないだろう】

私、バレエやってたんだよねっ!

【必要のないことを喋りたがる年頃。動きはバレエというよりもフィギュアスケートに近い】
【次の一手はぐんと軸足をチェンジし、低く身体を縮ませて、足払い。足の踵がアスファルトをこすり火花を上げる】
【ローラーの回転が足を払うだけじゃ済まさない。スピンは3回転。高速回転で隙を埋める。執拗に脛を狩りに行く】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 16:30:30.98 ID:jIUcsUoao
>>355

【攻撃後の隙を突いた反撃を回避されて、判断が早いと感嘆はするが驚きはしない】
【少なくとも、自分も同じことをしている以上、それにいちいち驚いているわけにはいかない】
【だが、この次の攻撃は厄介だった】


 ちっ、足か……!


【バンッ! と大きな音を立てて跳躍。常人ではありえないほどの高さを跳んだ】
【空中で、外套の中から何かを取り出して左手に握りしめる。指の間から、刃が突如として現れた】
【それらを少年は真下で回転している女に向けて投擲。三つの柄の小さい剣が、回転しながら向かっていく】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 16:39:56.01 ID:fOuCXpEt0
>>347

【大振りなテレフォンパンチを凌がれたゾンビには、相応の大きな隙が生じた】
【女の豪打は過たずガスで膨らんだ腹を貫き、命なき身体が腐汁をまき散らしながら吹き飛ぶ】
【そのまま壁に叩きつけられれば、もう骨はグチャグチャだ】
【これでは這いずり回るにも不足。肉人形として用を為さなくなった「それ」を、ルネは放棄した】

    ・ ・
すこし目眩でもしてもらって、その間に逃げるつもりだったのですが……いやはや、驚いたのです。
痛い目に遭わないと、この狩りが時間の無駄だとは分かっていただけないのですね。


【機先を制したはずの攻撃。だが、それは呆気無く受け止められた。女は回避を試みなかった】
【つまるところ、彼女は途方も無い力で繰り出される屍の暴力すらも、脅威とはしないということ】
【だが、大量のゾンビを放って物量戦に持ち込むには、現状のリソースは充分でない】


ルネはおねーさんのデザートにはならないのです。
この身体を捧げる相手は――とっくの昔に、決めているのですから。


満たせ=@接ぎ、足せ=@ 新たな皮を
『螻ア譴ィ逵』 『ヲ縲∝アア譴ィ』 『〒縲∵険繧願セシ』――――!!


【ルネの選択は、僅かな戦力を「時間稼ぎ」ではなく「決定的な勝利」のために束ねることだった】
【おぞましく響く神代の言語で、少女が命じる。残された二体の屍は組み合い、融け合い、一つの異形を成していく】
【見よ。鱗状に変容した脚の皮を、二面四臂の奇相を、腕で鞭のように揺れる肉の管を】
【2メートル半におよぶ巨躯、そのつま先から頭頂までもが、人間という存在を冒涜する――怪物が生まれ落ちた】


【つぎはぎの化け物は、うつろな四つの眼で女の動きを待つだろう】
【ルネは女が腐乱死体には興味が無いと決め打って、それに自分を守らせ続け、逃亡の隙を伺うつもりなのだ】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/23(日) 17:10:03.35 ID:97mXZVpjo
>>356

【回してもヒットしない。オッケー回避したな。じゃあ、ウェアー 何処行った?奥?ノン。後ろ?ノン。上、ビンゴ】
【けど、こっから跳んじゃ間に合わない。ガッデーム。ナイフか。ノンプログレム問題ない】

【彼女は回転を止めない、と言うより高めていく。回転数をあげて、スケートの高速スピンに近づく、綺麗に円を描く様に】
【回転しながら立ち上がると、両腕を頭の上で構えて防御に徹する。回転と金属の曲線が刃の雨から守ってくれるはずだ】

うぉぉぉぉおおおっっ!!らっ!!っとぉお!

【弾き飛ばすことが出来たのなら、彼女は回転を落として、気合を入れなおす声とともにガシンと止まる】
【足元には円を描いてタイヤの轍が残る。ふぅぅうぅ〜と息を長く吐いて整える】

一発、カマして………は?何?

【これからって時に左足のモーターの音が安定しなくなる。ガッデーム。回転の上限で共鳴しちゃったかな】
【持つと思うけど、正直、命あってのことだし、命かけてないし。そういう時は引くに限る。】

あー、もーう!これじゃあいつまでたってもロクな……仕方ない。 
んじゃ、今回のはナシってゆーことで。次会ったら覚えてろよ〜って何か逆だけど!

【こういう年頃ってのは心変わりが速い。感情的なのにドライなものだ。というわけで、軽く手を振って】
【彼女は撤退するだろう。ローラースケートの機動で退くのも物凄く速い。器用にバックで交代して】
【最初にぶん投げてった自分のゴミを回収して直ぐに居なくなっていくだろう。モーターの音も直ぐに聞こえなくなる】


/すみませんがちょっと外出の用事ができたのでここで〆にさせていだきます
/お付き合いいただいてありがとうございました
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 17:15:03.39 ID:jIUcsUoao
>>358

【投げたはいいものの、防御されるというのは何となく感じていた。そして実際その通りとなった】
【狙ってくるとしたら着地の瞬間、そう意識を集中させながら自然落下していくが、何もしてこない】
【無事に着地した後見えたのは、何やら様子のおかしい相手】


 ……は、何!?


【相手の急な変化に戸惑っている間に、女はたったと居なくなってしまった】
【残されたのはぽかーんとしている少年ただ一人】


 ……まぁ、いいか。元々、逃げる気ではあったしな
 あの証拠写真も、どうせ俺の顔が写ってないか、写ってたとしてもどこに持っていくやら、だしな……


【外套の乱れを直して、彼女によってはじき飛ばされてしまった剣を回収】
【どこか釈然としない顔をして、裏通りへと入っていった】

//お疲れ様でした
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 19:01:44.38 ID:/S9q7vQm0
>>357
【彼女が貫いた死体の肚。綺麗に穴の空いたそこから溢れるは瓦斯、続いて腐敗液。】
【緩慢に歩いていたはずの彼女は、しかしそれらにだけは反応して飛び退く。結果、彼女の体躯は穢れない。】
【着地し左拳を空に大きく振り抜けば、付着した腐肉も風圧に引き剥がされた。熟れきったレッド・オーレを地面に叩き付けたような不快な水音と共に、地面が穢れる。】
【「折角の素敵な服、汚さないでほしいわ――」物憂げな淑女としてそんな表情を浮かべる彼女であったが、しかし少女の言葉を聞けば、再び爛々とした破顔を見せた。】

「うふふ、良いでしょうこの身体……あげないわよ?
 まァ、幾ら『痛い目』に強いとはいえ、流石に『何度』も壊されたくはないけれど……」

【確かに「それ」は、少女にある種の魅力を感じさせるかもしれない。女性としても、死霊術師としても。】
【精巧な仏蘭西人形をも凌ぐ目鼻立ちに煌びやかな白金の長髪、峻厳な軍服の下からでも解る艶やかな肉体美。】
【顎骨をへし折っても脊椎を外しても――既に、砕かれた骨は再生しつつある――修復され、それでいて強靭さと異常なまでの筋力を併せ持つ身体。】

「あら、そうなの……ふふっ、思い人かしら?
 まァ、私には関係のない話、ね」

【――しかし、彼女は自らが持つ魅力も剛力も膂力も、総てを「食事」へと捧げる。】
【差し詰め、少女がその華奢な肢体と聡明な頭脳と湿った唇を総て死霊術に捧げるのと同様であった。】
【少女の忌むべき詠唱から生まれ出ずるのは、屍肉の異形。人間を素として造られた、人間でない怪物。】【同じく化け物の彼女はそれに向き直り、右手に握っていた奇怪な大剣を両手にて構え直す。】

「はー……腐れものは腐れものでいいけれど、こんなに粗末にしないでほしいわ。
 これだから屍術師は困るのよね……一体、誰にどんな薫陶を受けたのかしら?」

【彼女の両脚が、関節で曲がる。爆ぜさせるべき力を溜め込むため。目前の怪異に死を齎すため。その向こう側の少女を、喰らうため。】
【虚ろに動かぬ独活の大木が沈黙を守ったならば、いや守らなくても――大気が、揺れた。

「――退きなさい」

【彼女は跳ねた。前方に、自らの得物と共に。細い両腕が信じがたい速度で動き、余りにも巨大な刃を振り抜こうとする。】
【それは横振りであった。彼女の背丈ほどもある射程距離に物を言わせれば、精々人二人程度の巨大な肉塊など容易く両断できる。】
【矢鱈に長い直線の刃が狙うのは、合成された屍の太腿。脚を失えば遺されるのは腕のみ、這いずることのみ。】
【仮に斬撃を躱されたとしても、彼女は勢いのままに少女へと迫ることができた。】

【然れども、鉄塊とも呼ぶべき剣を持って跳ねた彼女は決して疾くはなく、またあまりにも猪突猛進。】
【少女の目で捉えることは容易であり、ならば彼女の「盾」――否、「剣」を動かすことは更に容易であった。】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 19:31:56.45 ID:fOuCXpEt0
>>360


粗末? ――いえ、ルネは奪った命を無駄にしたことなど無いのです。
むしろ、使えるところをぜんぶ℃gうために、いつも苦心しているのです。


【ネクロマンサーとしての呪われた所業を自嘲するかのように、ルネは神妙な顔つきで語る】
【女の柔らかな笑みとは裏腹に、この少女はほとんど表情を変えることがない】
【厳粛な振る舞いが、せめてもの贖罪であると言わんばかりに】


……蜘蛛の巣に自ら飛び込むとは、結構なことなのです。


【幾つの胴を一度に断てるか、考えるのも阿呆らしいほどの大雑把な剣が異形の前に迫った】
【ルネは即座に判断する。脚は装甲化されているが、あれを防ぎ切る目は無いと見ていい】
【そう思考した瞬間――巨躯はルネを抱え上げながら、後方に飛び退いた】

【初撃を外した女が追撃を加えようとするなら、異形は四本ある腕の一本を向け】
【にゅるり。手首から『血管』だったものを飛び出させ、高圧で血を噴き出すだろう】
【狙いは顔面――目に入れば視界を潰し、鼻や口に入れば呼吸を阻害する】
【まさしく、生者の不便さをあざ笑う死者の業であったが――果たして】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 20:08:28.07 ID:/S9q7vQm0
>>361

「いいえ。『食べ物』は『食べ物』。
 食べること以外に使うなんて、酷い悪ふざけ……よ?」

【躱された一撃。しかし、彼女は止まらない。それが自らの宿命であると言わんばかりに、駆ける。漸く乾き始めた靴裏が、地面に幾度となく衝撃を与えた。】
【再び風が揺らぎ、大気は彼女の速度によって震動させられようとする。しかし、先に動いたのは動死体。】
【異臭と共に噴出する、どす黒い血液。その奔流は真っ直ぐに、駆けようとする彼女を狙い撃った。】

「――あァ、『不味い』わね」

【動きが止まる。彼女が立ち止まる。そして、一瞬だけよろめいた。彼女の目も鼻も口も、汚物のような血が覆っていた。】
【だが――ごくり、と喉の蠢く音。】

「……腐った血は、飲みたくないんだけれど……」

【ごくり、ごくり。詰まる所、彼女は「深呼吸」していた。馬鹿げた筋力を誇る彼女は、当然ながら肺活量も尋常ではない。】
【呼吸を取り戻せば、彼女は左手を持ち上げる――人差し指と中指の立った、それはピースサインであった。】

「半端に壊れたモノは、いっその事挿げ替えた方がいいのよ――ね、ッ」

【――そして彼女は、それを自らの双眸に「突き刺した」。】
【紅く鮮やかな血が、噴水のように溢れる。そのまま彼女は眼孔を掻き回し、視神経を無理矢理摘み出し引き千切り、それを口の中に入れる。】
【一通りの応急処置が終われば、再び彼女は歩き始めた。今度はゆっくりと、足裏の感触で足元を確かめるかのように。】
【それでも彼女の瞳は、既に再生しつつある。作りかけの白目が、血涙を流す眼窩を隠し始めている。】
【――しかし、その速度は先程よりも幾分か「遅い」。】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 20:42:59.77 ID:fOuCXpEt0
>>362


……屍術師をドン引きさせるなんて、おねーさんの才能には恐れ入るばかりなのです。


【一撃を加える度に、女は組織を復活させる。死を操る者と死に克った者が、相対する】
【自らもぎ取った眼球を新生させんとする敵対者を前にして、ルネは自嘲混じりにぼやいた】

【回復を試みられているとはいえ、ここが好機であることには変わりない】
【視界が完全に修復される前に更なる負傷を加える。そして、敗北を認めさせるのだ】


おねーさんにとって、生は替えが効くのですね。
羨ましい限りなのです――ルネの研究は、未だその境地に達していないのです。
……機会があれば、ゆっくりと調べたいものなのです。


【だが今は、追うものと追われるものの関係だ。手心など加えている余裕はない】
【地面に降りたルネが杖を一振りすると、異形は腐臭を振りまきながら吶喊していく】
【間合いを詰めることができれば――爛れた拳を振り上げ、女の額に思い切り叩きつけんとするだろう】
【もちろん、残されたもう二本の腕は、相手の反撃を警戒したままに】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 20:48:59.52 ID:zCULX2wr0
>>330
【すぐに運ばれてきたココア。それを待つ時間は静かで苦痛だったからありがたいのだけど】
【ココアが運ばれてきても少女はきゅっと口を閉じて、ココアに触れもしない】
【結局続く沈黙。気まずい。やっぱり怖い顔してるし】
【それから三十秒後ぐらいか。その時間は少女にとっては何分にも感じられたが】
【やっと口を開いてくれた。持病で、鏡が見られないらしい】
【が、鏡が見られない病気なんて聞いたこともない。】

・・・・・・鏡に、何かいやなことでも有ったの?

【トラウマか何かが有って、鏡を見られなくなったのか。そう推測して聞いてみる】
【先ほどからずかずか聞きすぎてる気がするけど、話すことで楽になる事だってあるかもしれないし】

大丈夫?・・・・・・そうは見えないけど

【繭をへの字に、心配そうに送る視線】
【頼んだココアに口もつけず、ただ只管に少女のことを心配しているようだった】
【あまり人懐こくない少女からすれば、おせっかいで、鬱陶しく感じるかもしれないけど】
【そういう性分なのだ。仕方が無い】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 20:50:46.22 ID:gVeF495DO
【街中──路地裏近く】


ん、ん”〜〜、あー、あ、あー
う、むぅ……まだ調子が戻らないか……あ”〜〜〜


【ぴゅうぴゅうと、冬の風が吹き始めた夜の街】
【そこに、奇妙な声を出しながら歩く少女がいた】
【夜色の長髪に夜色の瞳──年の頃は、18ほどだろうか】
【彼女の背中には、布に包まれた刀剣のようなものが負われている】

【そして手持ちのものと言えば、がさがさとなるビニール袋】
【中身はといえば──────】

【のど飴(レモン)のど飴(ミント)のど飴(ハチミツ)のど飴(金柑)のど飴(黒糖)】
【のど飴(葡萄)のど飴(イチゴ)のど飴(アセロラ)のど飴(蜜柑)のど飴(ライチ)】
【のど飴(キシリトール)のど飴(グレープフルーツ)のど飴(カルピス)のど飴(梅)】

【……とにかく、ありとあらゆる種類ののど飴が、袋の中にぎっちりとつまっていた】
【ちなみにこの直前。近隣ののど飴取扱店に存在するのど飴は、全品品切れとなったとか】
【のど飴品切れ事件──その主犯は、間違いなくこの、夜色の少女だ】

【だが──彼女は何かを探してでもいるのだろうか】
【のど飴のひとつを口に放り込んだかと思えば、きょろきょろと周囲を見渡す素振り】
【──もし近くで何らかの騒ぎでもあれば、真っ先にそこへと駆けつけるはずだ】
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 21:00:27.63 ID:jHeQCsWx0
>>364

【皿に戻したココアの水面が揺れる、浮き島のような生クリームの山も、ゆらゆらと揺れて】
【それがなんとなく気に食わなかったのか、それとも、ただの、退屈つぶしなのか――彼女の指先は】
【ソーサーに添えられていたスプーンを手に取ったと思うと、山を、ざくざくと貫くようにしながら沈めていく】
【そのうち、浮かんでいたクリームの山はばらばらにばらけて、茶色い水面にぷかぷか浮かんで――大災害の後のよう】

………………鏡には、別に、

【その最中だった。ぽつりとこぼした言葉は、なんだか今ばっかりは敵意も気力も何もかも薄い瞳がココアの水面に落ちてる最中のこと】
【手元ではクリームが蹂躙されていて、口では、鏡自体は悪くないのだけれど、なんて、そんな風に言葉を返し】
【――だけど言葉が少ないとでも思ったのだろうか。それとも、少女が、話さない限り、解放してくれないとでも思ったのか】

六つのときに姉が死んでね。一卵性双生児だった、違うのは能力くらいで、それ以外は全部同じだった。
……あの日から、――――、鏡に映る自分が姉に見える。……それだけだよ、つまらんだろう。

【別にそれ自体はトラウマでもなんでもないというに話すのだった。姉が死んだのだと――そして、鏡も見られなくなったのだと】
【常識的に考えれば、鏡の中にいるのが自分だとは分かるはず。だから、きっと、彼女も分かっているのだろうけれど】
【同じ顔をした姉妹だった。何もかも一緒、何をするでも一緒、いつでも鏡と遊んでいるみたいだった】

【だけど、あの日、その鏡は割れてしまって。残ったのは、話もしない、遊んでもくれない、本当に“ただの”鏡だけ】

だから家中の鏡は割ってしまったのだが。外のものは、割れないから――。

【不意に遭遇した鏡への対処がまだ出来ないらしいのだった。見つめてしまったら最後、“あんな”状態になってしまう】
【死んだ姉の幻覚が責めてくる。どうして助けてくれなかったのと、どうして助けられなかったのと、だって】

【(自分の能力が、もっと、ちゃんと、“確か”だったなら――――助けられたかもしれないのだから)】

【何もかも分かり合った姉妹だった。それなら。責めるような声すら――幻覚や幻聴だとしても、分かる気がして】

【――それだけ言うと彼女はまたココアを啜る。蜂蜜の甘さと温かさがじんわりと染み入る、おいしいココア】
【これは余談だけれど、彼女は普段まともな食事を摂らないから――すっごくおいしく思えた、だなんて】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/23(日) 21:19:20.03 ID:/S9q7vQm0
>>363

「ふふっ、当たり前のことをやっているだけよ。
 使い物にならなくなったら直すのは、貴女も一緒でしょう?」

【彼女がそう言い終える頃、その右目には既に瞳が形作られており――しかしまだ駆け出さないのは、視界が完全に回復していない故か。】
【否、最早彼女は失明の余韻すら味わっているのかもしれない――にこり、と歯を見せて笑えば、彼女自身の視神経が歯間に挟まっていた。】

「ええ、でも、もちろん限界はあるわ――
 誰かを『食べないと』、この力も喪われてしまうから」

【執拗に少女を付け狙うのは、屍人ではその食欲を満たせないからなのだろう。】
【右目は完全に形成され終わる。左目も瞳孔まで再生されていた。だが、その巨体を以って突撃する異形への反応は遅れて。】
【彼女が剣を構えるのと、異形が腐敗した拳を振り下ろすのは、ほぼ同時であった――。】

「――いい加減、貴方はうざったいわ。黙っていて頂戴」

【そして――何かが、「脈動」した。】
【人間の拍動音だった。それが周囲に響き、大気を鳴らした。血の池に、波紋が浮かんだ。】
【――彼女の剣が、鼓動の中心にあった。幾何学的に張り合わされた鉄板の一つ一つが、心臓の様に蠢いた。】
【にたり。彼女は嗤う。それは彼女が先程まで浮かべていた、穏やかなものではない。唇を醜く歪め唾液が糸を引く音を残す、品のない欲望の笑い。】

「嗚呼――この感じ、堪らない……!」

【彼女は剣を振り下ろす――それと同時に刀身が変形し、「伸びてゆく」。組み合わされた刃と刃の間には、筋組織が形成されていた。】
【そして伸び切った鉄塊は、異形の身の丈を悠に凌ぐ長さとなって振り下ろされる――それが届くのが先か、異形の拳が彼女を叩き潰すのが先か。】
【何れにせよ、彼女は明らかに「生命力」を消耗していた。彼女の細い指先から、僅かに血が噴き出ていた。】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 21:29:32.84 ID:zCULX2wr0
>>366
【なんでもないように、さっきと変わらない表情のまま少女は話すけど】
【本当はああなってしまうぐらい、家中の鏡を割ってしまうぐらいのことなのだろう】
【つまらないとか、そんなことを思うはずも無い。】

【深刻な顔をして、少女は考え込み始めた】
【少女はおせっかいだから、今日始めて会った少女でもほっとけないし】
【その子の悩みを自分のことのように思って、こうやって黙って考えこんじゃうし】

【不意に少女は顔を上げて、何かを思いついたらしい】

じゃあ、さ。あたし友達になろうよ!
それでね、ずっと一緒にいてあげる。鏡なんて見えないようにしたげる!

【じゃあ、なんて言葉から続く割には唐突で、ばかげた提案。】
【けれども少女は本気。少女は幼いから、一見ふざけたように聞こえる台詞も本気でいえてしまう】

あたしは強いから、絶対死んだりしないの!
・・・・・・だめ、かな

【にこっと少女に笑いかけて】
【その笑顔に含みは何も無い】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/23(日) 21:34:49.67 ID:eQ8dRaxvo
>>365

【やや遠くから響く喧噪、幾つもの人の声が混じり合ったような其れが彼女の耳に微かに伝わるだろうか】
【前方から聞こえるその音に彼女が近づいたのならば、小さな人だかりが路地裏付近にできており、パトカーや警官の姿もそこに見られる】

『……んだよ、売り切れてなけりゃキレてねぇんだよ……!! だっておかしいだろうがよォッ!!』
『どこの行ってもねぇしよォ……意地になってここら辺のコンビニ全部回っても無いんだぜそりゃキレるだろうがッッ!!」

――――……奇妙な事ではあるが暴れ狂うお前の方がよっぽどおかしいに決まってるだろうッ! というか何故諦めなかったんだ……。

【小さな野次馬をかき分けて行けば――マスクをした若者がガラガラ声で怒鳴り暴れようとするのを、和服に薄藍のインバネスを羽織った男が抑えつける姿があり】
【警察も遅れてその若者を抑えつけると、2人がかりでパトカーの中へと強引に押し込んでいく。どうやらコンビニで暴れている若者を和服の男が取り押さえたらしい】
【ばたんとパトカーの扉が閉まれば野次馬は段々と消えていくのであるが、野次馬だった主婦2人組の話を盗み聞きすれば――――】
【「風邪気味だった若者がのど飴を買いに行ったのだが、どこに行っても購入できず、10件目のコンビニでブチ切れて商品棚を滅茶苦茶にした」とか】

――――……ふぅ。一体何なんだ全く……アイツも、誰かによるのど飴大量購入も……。

【野次馬が居なくなり、パトカーも消え、残ったのは和服の男一人。左腰には大小の刀を引っ提げていることからも、所謂侍の部類に属する男】
【そしてインバネスの右胸部分には緋色の鷹――――所謂SCARLETの紋章が付いていることからも、カノッサなどの悪と戦う正義側の人間なのだろう】
【その彼は路地裏の壁にもたれかかり小さく息を吐いて愚痴を漏らすのだが――――こんなことになった原因がまさか、彼女であるとはもちろん知る筈も無かった】

370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 21:49:12.27 ID:fOuCXpEt0
>>367

【捕食者の愉悦と、心なき死者の暴威。対照的な――されど、等しく忌まわしい力が交錯する】
【黒鉄の大鉈、その受けようもない一撃は、異形を切り株のように両断してしまった】
【――――だが、死者は痛みによって動きを止めることがない】


 離れよ=@ 剥ぎ取れ
『謠先。医r蟾ョ』 『ゥ縺セ縺ァ蟷』


【古の呪言を囁けば、怪物の半身の片割れは骨格を歪め、隻腕の屍人へと姿を変えた】
【切り分けられたとて、命の無い――喰らわれることのない者にとっては些細なこと】
【それは死肉ではなく、腐肉。牙を剥く者に牙を剥く、最も厄介な存在】


……使い物にならなくなったら直す。全くそのとおりなのですよ。
そしてルネの魔術では、直すことは壊すことと区別できないのです。


【杖による指図を受けて、屍人は今度こそあなたの額を激しく殴りつけようとするだろう】
【さすがに動きは緩慢なものとなっているが、鎚のように振りかかる拳はやはり強烈で】
【女を殺すまでには至らないが――消耗した状態でまともに喰らえば、ルネに逃走の機会を与えることになる可能性が高い】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 21:52:26.50 ID:jHeQCsWx0
>>368

【それでも、数年は我慢した。親が、――そう、両親が、せめても近くにいてくれたときは大丈夫だった】
【その頃から鏡が苦手だったという記憶はあるけれど……そう、こうまで、ひどくなかったように思う】

【――親が、死んだ姉を生き返らせる方法を探しに旅に出て、きっと、彼女は、おかしくなってしまったのだ】

【十のときに彼女は家中の、ほんの小さな鏡までも割った。そして、庭に埋めた。封印するみたいに、もう見えないように】
【彼女の両親は娘の死を認めなかったから、正式な墓もない。あるのは、庭に、自分たちで葬っただけの簡易の墓】
【その墓の隣に埋めた。姉の幻覚を、そうやって、埋めることで、――弔おうとしたけれど】

……それだけだよ、他には何もない。鏡を見なければ問題もないのだし、まあ、別に。

【実際はこうだ。街中とかで鏡を見つめてしまうたびにしばらく固まってしまう、それぐらいに、病的めいて彼女に影響を与え】

………………――、

【そうして彼女はココアを啜っていた。やっぱり猫舌らしく、ちょっとずつしか飲んでいなかったのだけれど】
【クリームを掬って食べたりしているのを見るに、甘いものが嫌いではないらしい。心中では久しぶりの糖分をそれなりに楽しんで】

死なない人間など気持ち悪いだけだろう、死んで生き返る人間は、もっと気持ち悪いが――、

【そんなところに聞こえてくる、少女の言葉。あまりにも真っ直ぐに言われてしまうと、彼女はぴくりと眉を僅かにひそめ】
【全うに好意を受け取るのが苦手な性質だった。それなら重箱の隅を突くよう、そんなのは気持ち悪いだなんて言い放ち】

父も母も姉を生き返らせようとしてどこかへ行ってしまったよ。金だけは届くから、生きているのだろうが……。
……どうしてそんなことをしようとするのだろう、そんな、……そんな姉など、要らないのに。

【死なないのも嫌だし死人が生き返るのも嫌だ。ある種全うな感覚でもって、彼女が呟くのは、ほんの吐露みたいなひとかけら】
【姉が生きていたらと思う。だけどそれは死ななかったらというIFであって、生き返るだなんて化け物めいた話じゃない】
【彼らは“あなたのためだ”なんて言うけど、きっと、――】

――――自分たちが救われたいだけなのだろうね。

【――結局、友達になるのかどうかには言及しなかった。からりからりとティーカップの中をスプーンでかき回し】
【思ったよりは話してくれる。だけど、思ったよりは、懐いてくれない。――十七歳、の意地なのかは知らないけれど】
【年上ならともかく、年下みたいな少女に――頼る、というのは、なおさら慣れていない行為なのかもしれない】

【(だけれど、呟いた言葉は、どこか本当に分からないからと答えを探すようでもあった)】
【(彼らは娘が死人として蘇ったとしてもいいのだろうか。本当に、それで、いいのだろうか)】
【(――嫌だと思う自分のほうが薄情なのかもしれないと、少しだけ、自分を責めながら)】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 21:58:57.02 ID:gVeF495DO
>>369

────う、ん?


【事件か。突如湧き出した騒ぎを聞きつけて、少女は足早に現場へと近付いて】
【から──がり。すでに飴は舐め終わったのか。次の飴を、口元、へ……】


……、……売り切れ────


【レモン味ののど飴を口に入れる直前、その手が止まる】
【がさがさがさがさ……風の中で、のど飴ぎっしり袋が、はっきりと自己を主張した】
【「売り切れ、売り切れ──」がさがさがさがさ】
【「のど飴」「風邪気味」がさがさ「購入」がさ「できず」がさがさ】
【「10件目」がさがさがさがさ「────、…………」】


   ────、…………ああ”ぁああぁあぁ”あぁあ”!!!!


   【 心 当 た り が あ り す ぎ た ! 】


【もう、それはそれは真っ青になって、非常によく響く叫び声をあげる少女】
【ぴりぴりとわずかに震える大気。ぴしりとヒビの入るコンクリート】
【普段とは違い、少しばかり、いや、わりと少女の声はしゃがれていたが】
【まぁ、それを和風の男が知ることは、ない。多分】


おい!おいおいおいおいおいおいおいお前ぇええぇえ!
さっき!さっきのやつ!男だ男!風邪気味のッ!!
どこっ!どこ行っ、行った!!
あれか、最寄りか、最寄り刑務所か、いや、警察署か!?
とにかく教えろ!早く!
お前は今非常に大事な場面に出くわしている!人一人の人生を変える重大な事件だ!

   私は 、 彼に 、 謝らなきゃ 、 いけないんだ ──── !


【そうしてだみ声のまま、少女はとりあえず不幸にも近くにいた男へと詰め寄る】
【ぶっちゃけこんなに矢継ぎ早に話されては事情などさっぱりわからないだろうが──】
【彼女の手元には、マニアかと思えるほどに溢れかえる、のど飴袋】
【なにやらだいぶ必死な様子だが──】
【それだけ捲し立てれば、げへごほとつらそうに少女は咳き込んだ】
【このまま喋らせ続ければ、更なるのど飴買い占めがおこる可能性が十分にある!】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 22:03:26.32 ID:jIUcsUoao
【路地裏】

【暗がりの中、少年と男の話し声が聞こえる。男はイカつい風貌のスーツ姿。少年は神父服に十字架、薄いブロンドで背が低い】
【二人は布に包まれた大きな荷物を挟んで立っていた】

『で、どうなったんだよ?』

 どっか行っちまったよ。証拠握られてるらしいからどうなるか知らねえけどな

【男の方は何かを心配そうに尋ね、少年はそれに少し苛立ったように答えていた】
【その内容は不透明ではあるが、路地裏という場所とそれに付随する空気が、彼らを只者には見えなくしていた】
【何よりも彼らの足元の荷物は、血で汚れていた。さらにはその隙間からは──】

【人の顔が、覗いていた】


『こっちに迷惑はかけるなよな。そら、代金だ』

 当たり前だ、お前らにまで睨まれてたまるかよ……どうも


【男は少年に封筒を渡し、彼はすぐに中身を確認する。彼が受け取ったのは現金だった】
【単なる死体の受け渡しか、もしくは暗殺か。いずれにせよ、まともなやり取りでないことは確かだ】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/23(日) 22:10:34.77 ID:MRm7+aAB0

【秋も深まるある日の事……手違いが無ければ、例によってとある教会に一通の封筒が舞い込む】
【……もうサインや宛先を見なくても誰から誰に宛てた手紙か分かるかもしれないが、封筒にはマリア≠ニ書かれたサイン】
【「一緒にお茶でもいかがですか?」というお誘い。―――追伸に、「知らせておきたいことがあります」とも加えられている】
【待ち合わせ場所はゼン=カイマの公園。マリアの自宅の近くの割と開けた場所にあるので、探すのは難しくないだろう】


【―――昼の国・ゼン=カイマ】

【かつて大きな戦いの場となり深刻な損壊を受けたこの宗教都市も、半年が過ぎて徐々に大司教を中心とした復興も進み】
【天高い秋の青空の下に真新しい建物や教会が建ち並び、此処に住む人々も徐々に活気を取り戻しつつある】
【空を見上げれば沈まぬ太陽が輝き、活気を取り戻した街並みと人々を煌々と照らし出す―――】
【そんな街の一角にある公園のベンチには、一人の女性の姿が。どうやら誰かを待っているらしい……】

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は優しく澄み、口元の笑窪や右の目元の泣きぼくろが整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【ベージュのトレンチコートは季節に合わせて厚手の温かそうなもの、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【コートの下はグレーのシックなトップス。コートの色と合わせて落ち着いた大人な雰囲気の色合い】
【黒色のスキニーパンツは、すらりと長い脚のシルエットを際立たせる。足元はブラウンのブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。―――外見はこんな感じ。】
【どうやら肩と腕を負傷しているらしい。コートを着ているので包帯などは見えないが、左腕は動かず固定されているのが分かる】

【柔らかい日差しを浴びてゆっくり寛いでいる所に―――不意に、びゅうと吹き付ける一陣の風】
【落ち葉を巻き上げて、木を揺らし、……そんな風は、彼女にも悪戯を仕掛ける。ふわりと髪を揺らして】

―――あ、……っ……

【―――そして、彼女の愛用するキャスケットを飛ばしてしまった。飛んでいったのは公園の先の小道、ぽすっと落ちて】
【取りに行こうと慌てて立ち上がろうとするが、その瞬間顔をしかめる。……まだ傷が治っておらず急な動きは出来ないらしい】
【痛みも残る体では十分に走ることも出来ない。もたもたしていたら更に遠くに飛んで行ってしまいそう】
【……丁度、約束の時間の頃か。タイミング良く友人が現れてもおかしくない頃だが……果たして。】

//すみません、予約です!
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 22:18:09.61 ID:/S9q7vQm0
>>370

「ふふっ、やっぱりあなたは屍術師なのね――その肉、益々食べてみたい」

【両断を終えた大剣はそのまま舗装された地面に振り下ろされ、コンクリートを破砕する。】
【相反するも本質的には似通った、線対称のような双者。故に彼女は、ここまでの執着を見せるのか。】
【圧倒的質量と破壊力は、僅かながらも地鳴りを産んでなお余りあるもので――彼女は「食材」の元へと、駆けようとした。】

「はァ、しつこい――本当に面倒ね、貴方たち」

【しかし彼女の足は、再び止まる――止めさせられる。】
【異形はやはり異形であった。片腕を失ってなお拳を振るう死体という狂戦士に、彼女はいい加減うんざりしたようだった。】
【彼女は剣から左手を離した。そしてそれを振り回し、異形の拳と正面から打つけ合いを挑む。】
【もしそれが当たったならば、異形の腕は弾けて吹き飛ぶだろう。――彼女の腕も、同様に。】
【そして激しく血を噴く左肩部は、先程までの瞬間的な再生力を失っているようだった。】
【――それだけではない。彼女の右腕、首筋、顔面両目両鼻唇両耳頭部、彼女の肌が見えている凡ゆる部分から、彼女の鮮血が滲み出ていた。】

「――この代償は、高くつく……かも、ね?」

【化物の彼女から、化物としての再生能力は失われつつあった。それは単純な生命力の枯渇か、人を喰らえぬフラストレーション故か。】
【何れにせよ彼女は再び駆け出す。最早面倒な雑魚には構わない、それらを総括する統御機関を潰せばよいとばかりに。
【左腕の存在した部分は、一層激しく紅い噴水の如く。自らの噴く血に濡れながら、彼女はまた嗤う。】
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 22:20:47.08 ID:zCULX2wr0
>>371
【元気よく言ってみたいいはけど、帰ってきたのは気持ち悪いなんて言葉】
【でも、言葉の割にはいやじゃなかった。本気で気持ち悪いと思われてるわけじゃないのが分かったから】
【しかし友達になろうと言って、それに返事が返ってこないと少し寂しいし、恥ずかしい】
【ほんのりと頬を染めてうつむいていたところに、聞こえてくる少女の言葉】
【『父も母もいない』『そんな姉など、要らないのに』】
【なんとなくだけど、言葉から少女の気持ちが伝わってくる気がする】

・・・・・・誰だって、救われたいと思ってるの。多分。
でも、それに素直になれないから、いいわけを探しちゃうの・・・・・・多分。

【見た目に似合わない、悟ったような台詞】
【見た目以上に少女は幼いけど、送ってきた人生は見た目以上に過酷なもので】
【少女はすこーしだけ、大人な部分も持っていたりする】

難しい話はあたしよくわかんないの・・・・・・あたまぐるぐるしちゃう・・・・・・・

【けれどもやっぱり子供。色々言おうとしていたけど、結局言葉はまとまらずぐるぐる】
【頭を抱えて唸ってしまう】

あ、そうだ

【ひょこっと顔を上げて、唐突に】

友達の前に名前、聞いてなかったの。
あたしはネモ。ネモ・アーネストって言うの。
・・・・・・あたしのこと、嫌いじゃなかったら覚えて欲しいの
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/23(日) 22:23:36.41 ID:eQ8dRaxvo
>>372

うぉっ……なんだ、またか――――!?

【「あああああああああああ!!!」という叫び声に男が敏感な反応を見せたのは、先程捕まった男もそのような枯れた叫びを上げていたからで】
【和服の男は「また事件なのか?」と一瞬だけ嫌な顔をしてから急いで声の方向に顔を向け、誰が叫んだのかを確認したのだが――――】
【直後、こちらも「ああああああ!!!」と叫びたくなる衝動に駆られることになる。なんとかそれは抑えたのだが、見開いた目はぎっしり詰まったアレへと向いて】

お――――ッッっとおっ!? か、彼は最寄りの警察署に行ったッッ! というかお前かお前だろいやお前だッッ!!
お前が謎ののど飴買占めマンか……!! 確かに彼が捕まったのはお前の行動が原因だが――――お前が謝っても彼への処置は変わらんぞ!!

【「お前か」と言おうと空気を吸った瞬間に、「おい」という言葉の波が彼へと襲い掛かる。行き成り詰め寄られたのだが、その理由はなんとなく分かった】
【先程の男を捕まえたからこそこんなに一気にまくし立てられても伝わる話。彼女の焦りと袋に詰まったアレが、先程の男の事件をマッチしすぎているのだから】
【彼女の勢いに大分押されていたが、途中からは逆にこっちが押さんと声を荒げて一歩ずい、と前に出てモノを言う】

兎に角一旦落ち着けっ、さっきの男もだが君も大分喉が辛そうじゃないか。……だからのど飴なんだろうが、こんなに買うのは意味が分からんぞ。
別に君は犯罪を犯したわけじゃない、まあ迷惑行為では……あるのか? 少なくともあの男にとっては相当な嫌がらせに結果的になったのは間違いないが。
多分謝っても逆効果と言うか……相当彼の神経を逆撫でする気がするぞ。彼の怒りが10件のコンビニから一気に君へと向けられることになるのだから。

【お前から君へと彼女の呼び方が変わったのは、彼自身も少し落ち着きを見せた証拠。両手を出すハンドシグナル付きで彼女に「落ち着け」との言葉】
【大量ののど飴が詰まったビニール袋をじっと見つめながら、謝るのはやめた方がいいと男は自身の考えを示すが――――】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 22:30:19.43 ID:jHeQCsWx0
>>376

【親しい人が死ぬのは嫌だ。だけれど、親しい人が、たとえば頭とか切り落とされたとして、それでも生きていたなら】
【そのまま死んでしまったとして、しばらくすればまた生き返ってきたりするなら――それは、気持ち悪いと、彼女は思う】
【あくまで彼女の言う気持ち悪いは、そういう次元に達してからということになる。強いから、誰にも負けない、とか】
【そう言う意味合いでなら、別に、“気持ち悪くない”……彼女の言葉が足りなかったのが、まず、悪かっただろう】

ローゼが生き返りたいと思ってるなんて限らない。

【――声が、ほんの少しだけ、いつもより鋭いように思えた。見れば、彼女のあどけなさの残る顔は、常よりキツくなり】
【苛立っている……らしかった。“両親よりも自分のほうが姉を知っている”。その想いだけが、焦げ付くように】
【だけどそれは十年以上も前に途切れてしまった絆。幻覚や幻聴が苛むぐらい、彼女たちの絆は、毀れているのに、】
【そこには絶対的なものがあると信じているらしい。――そう、ちなみに、その名は姉のものだった】

…………。

【そういう顔をしていると、ひどい話だけど彼女には良く似合った。なんせ、いつだって何かに拗ねたみたいな顔だから】
【怒っていたりするほうが彼女らしく思える、――これでも、家族がきちんとしていた頃には、違っていたのだけれど】
【頭を抱える少女に掛けてやる言葉は彼女にも分からなかった。だから、またココアを飲んで……それで、ごまかす】

――アンネリーゼ、

【それから、また、少しの間が空く。少女の名を聞いて、自分の名を求められて、最終的には教えてくれるのだが】
【それなら嫌いじゃないということだろうか。――多分それで合っているだろう、不愉快なら、その場で立ち去りそうな子だ】

【――さっき、彼女は姉のことをローゼと呼んだ。それなら、姉の名は、……双子には似た名をつけることもままあるし】
【それなら、“アンネローゼ”なのかもしれない。どちらも、名前としておかしくはないものならば、ただの予測だけれど】

【(苗字を教えてくれなかったのは、そもそも、彼女が両親を嫌っているから、だったりした)】
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/23(日) 22:36:05.32 ID:BbmiLLuU0
【街外れ】

 いやはや、すっかりこんな時間だよ
 なぁ、花嵐
『ほぼ遅れたのはマスターのせいでは』

【昼の間でも人通りが少ない、さらに夜となれば人はもはやいなくなっているはずである】
【だが、時には例外もあるもので一人の男と甲冑をきて、顔に面頬をつけている男か女かわからない存在】
【その二人組みが歩いていた】

【金髪を少々伸ばしていて白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】
【左腕にカノッサ機関の証、逆五芒星が隠すことなく刻まれていた】

 ふぅむ、時間と遊びをかけずにやったつもりなのだがね?
『……捜索に時間をかけすぎです』
 いやはや仕方なかろう事前情報があまり回ってこなかったのだから
 ホルスをだそうにもちょうど修理中であったし
『修理と託けて改造していたでしょうに…はぁ』

【あきれている甲冑人物をよそに彼はマイペースに先に進む】
【それに対して甲冑人物もまたそんな彼についていく】

【黙々と二人は歩いていく、彼のほうは人と鉢合わせするのに期待して】
【甲冑人物は誰かと鉢合わせしないように願いながら】
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 22:37:02.77 ID:gVeF495DO
>>377

ぐっ────っ、おぇ……
ま、待て!私は落ち着いている!むしろ冷静過ぎて怖いくらいだ!
こんなにたくさんのど飴買ったのはのどが痛いからだ当たり前だ!……っ、げほ
むしろのど痛くなくてのど飴なんか買わないだろういい加減にしろ!!


それにお前!スカーレットは聞いたことあるぞ治安維持組織だろう!
そんなお前が何でこんな重大な事実に気づかないんだ!
いいか、きっと善良な一市民であった彼は今回のことで社会に対する怨み辛みを深めたかもしれない!
その結果!もしかしたら彼は社会を憎んで重大なテロリストになるかもしれない!
つらそうな彼にのど飴ひとつ差し出してやらなかった民衆を怨み、殺人を置かすかもしれない!
いや、私はさっぱり彼を疑うつもりはないが、そう言う可能性だってあるんだ
私に怒りが向く分には一向に構わない!だがそれ以外はだいぶまずい!

たったひとつののど飴が、社会を変えるかもしれないんだ────っ!


【げほげほげほげほ、うっえ、ごほっ、ぇええぇ、ご、ほん】

【喋りすぎた当然の代償だろう。ラストシャウトをキメた彼女は、一際大きく咳き込んだ】
【咳、咳、嘔吐感、咳、嘔吐感、咳咳咳】
【むしろ今までよく喋れてたなと思えるくらいに咳をして】
【その後、落ち着くようにふうと深呼吸。おまけにさっき舐め損ねた、レモン味を口にぽい】
【──どうも話を聞いている限りでは、被害妄想たくましい頭の緩い少女、なのかもしれない】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 22:39:13.10 ID:dDjYUUB7o
【風の国、UNITED TRIGGER】

【正義の組織、その代表格の一つ。UTの事務所の、酒場店舗部分は今夜も営業中】
【そんな中、カウンター席に腰掛ける1人の男。頬にガーゼを貼ってあるのが目に付くか】

いってぇ…………あのオヤジども、暴れ過ぎだ、っつーの……!

【堅い印象を与える黒い軍服に、同じく黒の制帽。それを緩く着崩した姿は寧ろ軽く見えて】
【ヘアゴムで一纏めにした長めの金髪は、手入れがよく為されているのか妙に艶がある】
【胸元には何処かの自警団のバッジが見えるが――――今は仕事終わりか】

【グラスを傾けて酒を一口流し込めば、次に手にするのは小さな氷嚢。】
【それを運ぶ先はガーゼとは反対側、左の頬。見れば、少し腫れがあるようで】

あーあ、まーた年末に向けてこき使われるんだろうなー、っと。

【伸びをする男は、椅子に思い切り背を預けて。軽く尖らせた口先は、不貞腐れた様な、そんな風で】

【――――――そういえば少し前、近くで酔っ払いの喧嘩騒ぎがあったそうな……】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/23(日) 22:59:57.54 ID:Jomj83Eg0
>>374

【そのキャスケットの行方を追っていたならばやがてはその視界に何者かの姿が映る事となろうか】
【ひょい、と事も無げに拾い上げる者の纏うのは修道着。パンパン、と二度三度叩いて埃を落としたならばそちらへと近寄って】


「マリアも戦いから離れて少し鈍ったんじゃ無いの?…………なーんてね
キミは戦うよりも子供の側に居てあげる方が一番良さそうだけど
――――はい、これ。次は気を付けなよ?」

【詳細を記す必要も無いであろう。何せ、笑みを浮かべながら手渡してきたのは手紙を向けた人物なのだから】
【ただ、何時もより少し異なる所を記すとすれば――――身体の所々に包帯が巻かれている事】
【斬られた、よりも焼かれた様な跡。まだ完治していないのか、血が滲む箇所も見えて】

【…………然れど、本人は余り気にした様子も見せず】
【何より戦う為に生まれた存在なのだから当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけれど】
【否、状況を知る者が見れば驚異的な回復力とも言えるか】


「いや、悪いね。怪我を治してから行った方が良いかなと思ったけど、知らせたい事とも書いてあったし早い方が良いかなと思ってさ
…………って。キミも怪我してるの?まさか団長サマが傷付けたとも思えないけど――――知らせたい事、には其れについても含まれてるのかな」

【「失礼するねー」なんて緩い言葉と共に隣に腰を掛け、今一度視線を送った頃に漸く友人の怪我に気付いたか】
【少なくとも、自分の知る限りでは此処での揉め事も終わった筈だが――――と、一瞬ばかりの思案】
【彼とは何度も死闘を繰り広げ、それ故に何と無く人物像も分かっている。ならば、誰が傷を付けたのかと】
【ふと過ぎるのは追伸の内容。或いは若しかしたらと問うたのは、内容について】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 23:00:10.21 ID:fOuCXpEt0
>>375

【二本の腕がかち合い、互い違いにはじけ飛ぶ。突然の衝撃に、屍人はたまらず転げた】
【千切れた肉からは、割れた二本の腕骨が覗く――到底、立ち上がることはできなかった】


代償なんてものは踏み倒させてもらうのです。それが屍術師の流儀なのです。
それに……ルネは、おねーさんのものではないと言っているのです。


【淡々と憎まれ口を叩き続けるルネにも、趨勢が女に傾きつつあることは理解できた】
【手駒は機能不全に追い込まれ、向こうも標的を完全に本丸一本に定めている】
【召喚は間に合わない。詠唱の間に刃はルネの喉元を貫き、黙らせるに違いない】
【かと言って、この場にはもう動かせる死体など――!!】


   満たせ=@目覚めよ
……『螻ア譴ィ逵』 『帶ァ縺ッ驥崎』…………!


【――ルネは、乗り捨てられた黒いバンへと、縋るように杖を振るった】
【女がじりじりと、一歩一歩にじり寄る中】
【スモークガラスを嵌められた扉が乱暴に開け放たれ、中から屈強な人影が現れる】
【それは、黒服のシークレット・サーヴィス】
【アーヴィンを捕える前に殺しておいた、機関と企業のパイプ役だった】


【おそらくこれが調達し得る最後の手駒。彼を手元に引き寄せながら、ルネは嘲笑う女をじっと睨む】
【なおも戦うつもりなのか。死のリスクを背負う狩猟に意味はあるのか、と】
【少女の冷酷な視線は、女の狂気と生存本能の天秤に問うているかのようだった】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 23:03:59.05 ID:zCULX2wr0
>>378
【地雷を踏んでしまったようだった。余計なことを言ってしまったかもしれない】
【睨む視線は何時もより鋭く、本気らしかった】
【とっても彼女は姉を、ローゼを慕っていたのだろう。私なんかが、触れて許されるところじゃない】
【それでも、触れずには居られない。】
【姉の幻影に、自分が作った姉の幻影に取り作られているように見えて仕方なくて】

リーゼ。覚えたの
・・・・・・ごめんなさい。その、勝手なこと言っちゃって。
でも、えと、リーゼがそうやって辛くなるのは、お姉さんも望んでないと思うの

【しどろもどろ、おぼつかぬ言葉】

だから、その・・・・・・

【言いたいことはあっても、それが声になって出てこない】
【なんていえばいいのだろう。なんて、いえば】
【視線もきょろきょろとして落ち着かず、見ていてさらにいらだつかもしれないほど】
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/23(日) 23:05:19.80 ID:eQ8dRaxvo
>>380

沢山と言っても限度があるだろう限度が、この量を全部消費するとか舌が酷使され過ぎて死ぬぞ!?
一回痛めたら直るまでお前はずっと舐めてるつもりなのか! 喰う寝る以外はずっと舐めるとでも言うのか極端すぎるんだいい加減にしろ!

【反省する部分が違うだろうが――――そう言わんばかりの反論。のど飴大量購入の時点で怪しかったが、この時点で彼は完全に察する】
【……ちょっとこの子変だぞ?と。変なのは声だけじゃないようだ、と。――――更に彼女が続けて喉を酷使するのだが】

じゃあお前が遠慮してのど飴何袋か残しておけと言うんだ!! 自分と同じく喉がやられている人を思って買占めを避けるべきだったろうがッッ!!
そもそもかもしれない、かもしれないと言うのなら何だって犯罪に繋がってしまうだろッッ、被害妄想も甚だしい……!!

――――まあいい、まず明日にでも刑務所に連れていかれるだろうし……そこから処置を決めるまで何日か彼は牢屋の中だ。
会いたいなら明日大量ののど飴を持って謝りにでも行けばいい。どういう反応されるかは知らないがな。もしかしたら彼に恨まれて殺されるかも知れないが――――
ってオイ……大丈夫か大分重症らしいが……やはり喉が治ってからだな、もし面会するのであれば。

【ラストシャウトも彼の反応は――――「何言ってんだこいつ」的なモノで、そこからまたターン制であるかのようにこちらが再度熱くなる】
【流石にテロの可能性まで考慮するのは馬鹿馬鹿し過ぎるだろう――――ということ。それを考慮するならば彼女自身が男に恨まれ刺される可能性の方が大分高いと】
【強い口調を続け高まる男だが、彼女が一気に咳き込むと流石に心配するような言葉を見せる。血でも吐きそうなほどの咳き込みなのだ、そりゃあ心配もするだろうと】


386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 23:18:22.22 ID:jHeQCsWx0
>>384

【自分だったら、嫌だった。そうまでして生き返りたいと思うものなのだろうか、死んだ人間というのは】
【私は嫌だ。だから、姉も嫌に決まっている。――そう決め付けていた、もうとっくに居ない人間の感情を】
【いつも一緒だった。何でも同じだった。だのに決定的に違えてしまった、なのに、それなのに、】

【――まだ、ぴったり同じでないといけないと思っている。そう、自分を決め付けている、きっと】

…………いい。

【苛立っているのは、ネモ相手にではない。ここに居ない両親に、死んでしまった姉に、取り残された自分に、】
【つまり――自分の家族関係のことで苛立っている。それを自分だけで押さえ込めないのは、彼女の確かな未熟さで】
【それをどこかで分かっているのだろう。それなら、今度は、気まずいように視線を伏せて――またココアを飲む、飲んで】
【――いつの間にかだいぶ減っていた。それだけ、彼女が、何かをごまかしたり気まずかったりした、証明でもあるけど】

姉が死んだのは私のせいだもの、少なくとも、キミのせいじゃない。
両親がどこかへ行ったのもキミのせいじゃない、キミは何も悪くない。

【ココアを減らしてしまって、久しぶり――でもないけど、鏡まで見てしまった。なんだか気疲れしたような気がして】
【それまでずっと陰鬱げに座っていた彼女だったが、机に両手をつくようにして――口元を埋める、そんな仕草をする】
【そして――きっと一生懸命言葉を考えてくれている、彼女に、そんな言葉を投げるのだった。考えなくていい、そう言うみたいに】

私の力は生き物に触れない。だから落ちる姉を掴めなかった。……それだけだもの。

【――だからって、結局、自分のせいだと、自分を責めるのはどうなのか、という感じはするけれど】
【彼女の視線がメニューのところに並べておいてある塩の入れ物を見つめる、退屈げに――そうすると】
【ふわふわと塩の周りに現れるのは勿忘草色のもやだ。それが魔力によるものだと、気付ける人ならすぐに気付けて】

【ふわり、と、それが浮かび上がるのだ。すっ、と、まるで“見えない手が持ち上げたみたいに”】
【きっとそれが彼女の異能なのだろう。宙に浮いた塩は、彼女の視線に付き添って、ネモの手元に置かれ】
【入れ物から離れた“もや”は、今度は、少女の手を掴もうとするようにまとわりついてくるだろう――しかし、】
【彼女の言葉通りだ。たとえ触れられたとしても何の感覚もなく、もちろん、視線をいくら動かそうが】
【その手を自由に動かすことなんて出来やしない――それが、この少女の異能の限界だった】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/23(日) 23:22:09.31 ID:gVeF495DO
>>385

大丈夫だ!問題ない!


【──それはもう、お手本にしたいくらいにきれいな笑顔だった】
【ぐっと親指をあげてキメる、渾身のポーズ付き】
【なんだかもう、この時点で頭おかしい子確定してもいいくらいであった】


……そう、それだ!そう、ごほっ
──……うん、反省している。次同じことがあれば、少し残す
残して、10件じゃなくて20件くらいから少しずつ買う


【──どうも、彼女にとっては必殺のシャウトだったらしく】
【男にいろいろと注意を受ければ、反省したように頭を下げる】
【言葉の端々で咳き込んでいるところを見ると──】
【むしろのど飴よりも病院を進めた方がいいレベルかもしれなかった】
【それでもさらにしつこく、大量ののど飴にこだわる様子を少女は見せる】
【────やはり、アホの子か】


ま、まぁなんだ。少し喉を酷使しすぎただけ、だ
ふふ、ははは──あー、カラオケ。カラオケのしすぎみたいなものと思ってくれてもいい
とりあえずのど飴の彼には後から面会に行こう
私が謝らなくてはいけないという事実は変わらないからな


ところでお前──スカーレット、だよな
ちょうどいい。少し、聞きたいことがある


【男の説得?が功を成したのか。先ほどと比べると、だいぶ落ち着いた口調となる少女】
【枯れた声に、少し間をあけた喋り方──まだ無理をしている感じはあるものの】
【激しく咳き込んだ時よりは、容態はかなり安定してきていた】

【自分の現状を笑うかのように、彼女は口元をひきつらせるも】
【ふと──す、と真面目な表情となり、少女は男に問いかける】


カノッサ機関No.7──蟲遣いの少女
探している。名前だけでも、知らないか……?


【──こんな少女が、カノッサ機関に、なんの用があるというのか】
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 23:33:18.69 ID:/S9q7vQm0
>>383

「あら、貴女が『そうする』なら――私も、『こうさせて』もらうわよ?」

【くすくすと楽しそうな笑い声を漏らしながら、彼女は少女へと駆け寄って行く。】
【基本的に、屍術師は近接格闘を極端に嫌う。自らが非力であるからこそ、戦場で屍を操るのだ。
【故に女性のその微笑みは、勝利を確信し食欲を抑えきれないためものであった――だが。】

「はァ――また面倒なのが、出てきたわね」

【最後の切り札とでも言おうか。少女が呼び出した新たな死体に彼女は足を止め、深く憂鬱な溜息を吐いた。】
【腕は一本。傷は深く、出血多量――満身創痍の彼女にとって、五体満足で限界を知らぬ怪物との勝負は、余りにも狂気じみていた。】
【よって女性には、二つの選択肢があった――自らの命を繋ぎ獲物を逃すか、死とのワルツを踊りながら獲物を喰らうか。】

「……小手調べ、と行きましょうか?」

【そして彼女は、自らの流儀に従うことを選んだ。】
【三たび、彼女は駆ける。一歩一歩大地を踏み鳴らす度に、全身からの出血は激しさを増していった。】
【黒服まで、あと数歩。その近距離まで近付けたのならば、彼女は片手で剣を振りかぶり、そして――】

「――あああああァァァァァぁァァッッッ!!!!!」

【風を切る音がした。そして、大きく地面が弾ける音がした。】
【彼女は、飛び退いた。空中に鮮血を撒き散らしながら、自ら黒服から距離を取った――その右手に、剣はない。】
【それは既に「放り投げられて」いた。四十五度に傾いて、さながら回転鋸のように宙を突き進んでいた――狙うのは、無論黒服の死体。】
【至近距離から放たれたこれを躱せなかったのならば、黒服の死体は容赦無く斬り刻まれるだろう。肉を抉られ骨を折られ四肢を吹き飛ばされ、最早原型さえも留めない。】
【されどこれを躱したのならば、もはや女性に残された選択肢はあまりにも不利な肉弾戦のみ。全身からの出血は留まることを知らず、このまま戦い続けるだけでも彼女は長くなかった。】
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 23:45:00.71 ID:zCULX2wr0
>>386
うん・・・・・・

【と、力なく】
【考えなくてもいい、そういうようにキミは悪くないというのだろうけど】
【私のせいだと少女が言えば、それは違うといいたくなって、また言葉を捜してしまう】

【すうっと、もやに持ち上げられる塩。】
【わわっと驚いていればそれは自分の手元に置かれ】
【今度はもやが自分の手を掴もうとする。が】
【触れられた感覚は無い。少女の言うとおり”掴めない”ようだった】

で、できないことなら仕方ないと思うの
だから・・・・・・自分のせいだなんて、言わないでも・・・・・・

【口から出るのはありきたりで、つまらない言葉】
【やっぱり考えがうまく言葉になってくれない。】
【身振り手振りであたふたする様子は、必死に少女を励まそうとする意思は伝えてくれるかもしれないが】
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/23(日) 23:46:36.84 ID:MRm7+aAB0
>>382

【出かける時にはいつも被るお気に入りの帽子。飛んでいった先に見えたのは、見慣れた姿の女性……待ち人たる友人その人】
【今さら説明する必要もあるまい。マリアにとって最も気心の知れた友人だもの、彼女の事はよく知っている――】

【拾ってくれたのを見れば、安心したように表情を和らげる。どうやらこの帽子、相当大切な物のようだが……】

むぅ……子供達の傍に居て護る為にも、鈍る訳にはいかないのですが……いてて。
ともあれ、ありがとうございます。この帽子は、あの子達が母の日にプレゼントしてくれたもので……失くしたら大変でした!

【手渡されれば「ありがとうございます」と一言、それから再びキュッと頭に被り直す。】
【……やっぱり右手しか動かせないらしく、片手で被ることになる。帽子を片手だけで被るのは、案外難しい……】

【そういえば、今日の彼女は少し様子がおかしい。彼女の特性――傷の治りが常人より遥かに速いという其れを知っているだけに】
【傷を負った姿を見るのは珍しい。戦場でもない、何処かで大規模な事件が起きた訳でもない……それなのに、どうして?】
【……同じことを、彼女もまた思っているようだった。此処での戦いは終わった筈なのに、どうして傷を負っているのかと】
【すでに騎士も引退して、子供や夫と穏やかに暮らしている筈だ。傷を負うような場面など無いのではないか、と―――】

……ええ。この傷を負った時の事こそが、貴女に知らせておきたかった事です―――
―――でも。まずは、お茶にしましょう!折角久し振りに貴方に会えたのですもの、楽しい時間を過ごしたいです!
最近知り合いが始めた洋菓子店が近くにあるんです、一緒に行きませんか?件のお話も、其処で致しましょう。
さ、付いて来て下さいな。ここから歩いて数分です!

【―――彼女の想定は概ね正しい。今回話したかった事とは、この傷に大いに関連する……その事を、マリアは肯定する】
【けれど、まずはお茶にしようという提案。こんな場所で長話するよりも一緒にお茶しながらお話しよう、と】
【付いて来てくれるおなら、言葉通り店はすぐそこ。さて、どうする?】

【付いて来てくれれば、二人道なりに進んだ先にある店の前で立ち止まることになる。】
【木造のシックで落ち着いた雰囲気の店構え。ショーウィンドウには見るからにおいしそうなケーキやお菓子の数々が並ぶ……】
【ドアを開ければ―――其処には見慣れた小さな赤毛の店員さんが受付をしているだろう。二人の来訪に、少し驚いたような顔をして】

いらっしゃいませ!……あ、グリースさん!おかあさんも!
こんにちは!えと、なににしますか?ほんじつのおすすめは、さつまいものタルトです!

【……どうやら今日の人助け≠ヘお店のお手伝いらしい。小さな店員さんは、頑張って応対するようだ……】
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/23(日) 23:47:50.33 ID:pHjQ6EUCo
【水の国、街より少し離れ鬱蒼と茂る森林】
【寒さと静寂が支配した土地は淡い月明かりを受けて幻想的に輝いている】
【時間も時間、人の気配は無い……ただの一人を除いては】

寂滅……と、我が骨子に乱れ無く
濯ぐ流れを力とし集い纏めて奔流、か――――――――

【少しだけ開けた場所、その中央に佇む人がいる】
【長身痩躯、腰まで伸びる荒んだ銀の髪から察するに年齢的には30代程度になるのだろう】
【されど静かと構える姿、歴戦を思わせる傷は幾多と、備える筋肉は強く靭やかで衰えは感じさせない】

【静かに虚空を見据える瞳は深い深い海の色】
【そして眉間に刻んだ皺は同じく深い苦悩の証】

是非も無し、たまの休みにやる事が鍛錬しか見つからない人間など
なんともまあ哀れな物だろうか……。

【握る拳を緩めずこんな場所にまで来て鍛錬を重ねるだけの自分を嘲笑う】
【息を吐き、すう……と吸い込むその数秒後彼を中心と僅か湧き上がるのは「力」】
【波動、或いは奔流とも云える純然たる力が表れては天に上り散華する】

【赤い奔流は血の蒸気のようにも見えて、ならば男は月に吠える怪物か】
【その証左として、近くの樹の枝に掛けられた黒のトレンチコートにはかの機関の紋章が刻まれていた】
【今は誰を打ち倒すでも無く、されどその人は今日が過ぎれば明日には誰かを手に掛ける】
【刻む紋章の意味はつまりはそういうことだろう、ならば刃に逆らう別の刃も必要となるやもしれず……】

【今はただ一人と静かに拳を構え、月を睨む】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/23(日) 23:53:53.23 ID:8Z+FVUnao
【森――秘湯】
【人里からは離れすぎていて、他の知的生命体の集落もない……本当に隠れた場所である】
【それ故に全く整備されていないこの湯は、白くて湯気の出ている水たまりのようにも見える】

「ふゥむ……良ォい湯ゥだ……」 『全くその通りで御座います』

【どこからか湧きだした白色の温泉に浸かっているそれは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【……服を着たまま温泉に入っているが、本人的にはどうでもよさそうだ】

【また、執事のような姿で眼がレンズな二足歩行のコウモリも隣におり、……こいつらは服を脱いで入ろうとは思わないのかと思わせる】

「もォ幾つか有ァるが……持ォち帰るとすゥるか、士ィ気は大事だァからな、ヒャハハッ!」
『部下の数が大変多いで御座いますからね、幾らありましても問題御座いませんでしょう』

【どこからともなく現れた物体、それは――"小瓶"】
【小瓶に湯を入れるその者、一体持ち帰って何をするつもりなのだろうか――?】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/23(日) 23:56:00.03 ID:eQ8dRaxvo
>>387

あー……もういい、さっきの男が大分好き勝手暴れてたせいでこちらも元気が無い。
まあ次は――――というか、次もそういう事例が……のど飴が無くてブチ切れる例があるかは分からないが。
兎に角買占めと言う行為はあまり――――……な。あれだ、業者から直接買うとかネットで箱で買っておけ今のうちに……。

【片手で髪をわしゃわしゃと掻き毟り、眉間に皺を寄せて「もういい」と降参。その後自分でも何を言っているのか良く分からない状態なのだが――――】
【兎に角、次はこんなことが無いように言いたいことだけ伝わればいいのだが。彼もまた通院という手段を忘れ飴に囚われていたりもして】

確かにSCARLETだが――――……済まない、まだ蟲使いのその、No.7……とは遭遇していない。
寧ろこちらがその情報を欲しいくらいだ。……カノッサ機関なら闘うことになるだろうからな、事前に何をしてくるかが分かればリスクを大分減らせる。

――――ということで済まないが……今彼女について持っている情報を聞かせて欲しい。もし聞かせて貰えれば今後SCARLET全体で捜査が出来る。
そこで新たな情報が得られたら君にも伝える――――というのはどうだろうか。……いや、そもそも。……何故君はカノッサを追っているのだ?

【彼女の質問に対し、申し訳なさそうな顔を浮かべながら首を横に振った。SCARLETなのは間違いではないが、まだ全てのナンバーズと遭遇したわけではない】
【カノッサ機関。確かに名前は世界の隅々まで広がってはいるが、未だ多くが謎に包まれており不気味。突然の襲撃に防戦一方と言う現状である】
【故にこちらもカノッサの情報がのどから手が出る程欲しいらしく、軽い交渉を彼女に持ち掛けるのだが――――】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/23(日) 23:57:33.13 ID:jHeQCsWx0
>>389

私が。

【励まそうとする言葉が聞こえてくる。そして、少女の――ネモの気持ちも伝わってくる、分かってしまう、それが、】
【自分のことを気にしてくれていること。普段彼女は人間とあんまり関わらないけれど、人の気持ちが分からないわけではない】
【たくさんの本を読んできた彼女は、むしろ、人の感情というのをいろいろ知っていたのかもしれない。だけど、それだけど】
【人と関わってこなかったから――知っている知識をどうしていいのかは知らなかった。知識の使い方を、知らなかったから】

私の能力(ちから)が、もっと、強かったら……。

【彼女の手が僅かに動いて、緩く、目から下を隠しこむ。伏せた視線はどこか悲痛で、それをどこまでも悔やむようで】
【見れば――ほんのりと目元が潤んでいる気すらした。勿忘草色がどこかきらきらと煌いて、瞬きが多くなる】

【きっと何度も悔やんだり自分を責めたりしたのだろう。だけど、どれだけ頑張っても、その力が】
【生き物を捉えることは一度たりともなかった。鏡を粉々に砕くことは出来ても、ただ、落ちる家族の手は掴めなかった】
【無力な手。それなら、見えないままに、消えてしまえばよかったのにとも思って――だけど、ここにあるなら】

【――他人にこんな話をしたのは初めてだった。ずっと隠していた……わけでもないけれど、あんまり、人には言わなかった】
【だけどもう言ってはいけないと思う自分がいる。今からでも口を噤むべきだと、思う自分が、確かにどこかにいる】
【(これ以上話したりしたら、泣いてしまうって――それを、どこかで、無意識に、意識しはじめていた)】

……――もう大丈夫だから、帰るよ。悪かったね、心配掛けて。

【置いてあったカップに手をかける。中身の冷めつつあるココアを一気に喉に流し込んで、彼女は立ち上がるのだろう】
【それから紙幣の中で一番価値のない奴を取り出すと、机にそっと置いて――きっと、有無も言わせる前に、歩き出す】
【ネモが捕まえるなりをしなければ、間違いなくほんの数分もせずにいなくなる。それなら、どうするかは――少女に委ねられ】
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 00:00:08.64 ID:fOuCXpEt0
>>388


【沸き立つ血の滾りのままに女が放った剣は、巨大なブーメランのように黒服へと襲い掛かる】
【ルネの操作は間に合わなかった。――この一撃は、練達の屍術師を驚愕せしめ、対応を完全に遅らせたのだ】
【唯一できたことは、刃がそのまま自分の身体を挽き潰さないよう、微かに身を逸らすことだけ】

【ふわり――余りの風圧に、法衣のフードがめくれ上がり】
【冷酷な殺人者とは思えないほどあどけない少女の顔と、首元にまで這った邪法の刻印が露わになった】


……まったく、杖での殴り合いは極力したくないのですよ。
傷をもらって帰ってくると、――――あの娘≠ノ言い訳できなくなってしまうのです。


【今度こそ、全ての手勢が消えた。腹を括ったように、杖を槍の要領で構えつつ、少しずつバンの方へと後ずさっていく】
【誘っているのだ。その手際は確かだが、見ての通りルネは小柄な少女】
【魔術以外には、特殊な能力も持っていない――後はもう、どれだけ相手の消耗に漬け込めるかの勝負だった】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/24(月) 00:07:58.18 ID:pP/2tXRoO

【公園】

【遊具で遊ぶ子供達も、ベンチで眠るサボリの会社員も、井戸端会議に花を咲かせる主婦も、友人達とだべる学生も、皆家路につき今頃は一家団欒を楽しんでいる頃か眠りについている頃なのだろう。誰もいない、そんな空間】

【その誰もいない筈の公園で遊具のギィ、と軋む音が聞こえた】

【軋んでいるのはスプリング遊具、とでもいうのだろうか? 動物を象ったオブジェの下にバネがついていて揺れる遊具。その中の一つ、元は丸い目をした可愛らしいウサギだったのに今や塗装が所々剥げ赤い下地がちらほら見える上に目の塗装も剥がれて白目になっているという昼間に見ても恐ろしいだろうそれだった】

【無人の公園、軋み揺れる夢に出そうな怖いウサギのスプリング遊具。晩秋のちょっとしたホラーか】
【──と思いきやそれにはちゃんと人間が乗っていた】

【ハニーブロンドのセミロングヘアに赤紫色のフード付きパーカー、紫色のスカートと黒のニーハイに赤茶色のショートブーツ。羽織って着ているパーカーの下は生成色のブラウスと青いリボンタイ。そんな出で立ちの少女が横座りで遊具に揺られているのだった】

……うぅむ、やっぱりチェックインの時間遅かったか、こうも宿が決まらないとは……
【眉間にシワを寄せ呟きながら足をぷらぷらと揺らす少女の足元には紺色のボストンバッグ。ぱっと見、家出少女である】






397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 00:14:15.04 ID:wJJGWpmY0
>>390
【重なった出来事は偶然か否か。其れはこの先にならねば分からぬ話】
【早くパズルを完成させる事が出来れば其れだけ対応も早まる――――然れど、同時に危険も迫るジレンマ】
【まあ、今は良いかと自身を納得させる様に頷いて】


「なる程ね。其れは風に奪われたままだと大変だ――――ま、ボクが居る限り其れは無いんだけどさ
大丈夫だって。鈍ってもあの堅物が一緒なんだから。それにほら、他の騎士団の面々と連絡を取れなくなった訳でも無いんでしょ?
んー……いや、不味いのかな…………」

【自分が生きている間に真の平和が訪れない事は分かっている。然れど、それでも守る事が出来る範疇は全て守り通す】
【戦闘に関しては確かな実力を持って居ると表しても過言では無い死神。傷の一つや二つでは無く全身に及ぶものならば相手も相応に強大】

【知らない内に何処かで何かが起きているのは確かなのだろう】
【不変なんて存在しない。それでも、悪い方向に動いているとなれば――……】


「やっぱり、ねぇ……。守る事に秀でたキミが傷を負うとなると穏やかでも無さそうだけど
――――そうだね。其れには賛成しようかな
最近はゲンナリしそうな仕事の量だったからボクだって偶には息抜きくらいしたいしさ。其処までお供しますよお嬢さま、っと」

【裏では色々と考えが浮かんでは消えて。若かし言葉は茶化すよう】
【後ろに着いて行けばやがて辿り着くであろうその店。良い雰囲気の場所だねぇ、の言葉と共に入店すれば】


「ん……?おっ、久しぶりだね。前会った時よりも大分大きくなった?
やっぱり子供は成長するのが早いねー…………。あ、じゃあボクはオススメの其れで。マリアも同じで良いかな?」

【意外、だったのだろう。ただ相手が誰だか直ぐに理解すれば笑みを向けて】
【頭を撫でようかとふと思うも、今は職務の最中。下手に邪魔をするのも悪いかと思い直し】
【注文はお勧めの品。後に、友人に対して同じ物で良いだろうかと問い】

【――――良い、との答えが返って来たならば紅茶を二つ分追加で頼むのだろう】
【子供達でお金が掛かっているだろうかから支払いは自分が、とマリアが何かを言う前に済ませてしまう筈で】
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/24(月) 00:19:40.63 ID:EjTjQvuDO
>>393


────そう、か。それは残念だな
スカーレットなら、もしやと思ったのだが


【のど飴については、「ああ、その手があったか」と新たな発見に感動するも】
【彼女の意識はすでに、追っているという機関員の方へと移っていた】

【No.7の情報が得られなかったことに対して、彼女は失望を隠さない】
【眉尻を下げ、口をきゅっと結び、手をあごに当ててから少しのため息をつく】
【それでも、続いた男の言葉は、その失望を打ち消すには十分すぎるものだった】


……銃を使ってくる。通常よりは口径は大きかったな
格闘スキル──いや、純粋に、パワーが凄まじかった
蟲も、おそらくは巨大化させたものを使役しているのだろう
それと──戦闘時は、蟲と合体したような姿になる
パワー、スピード……どれも、気を付けた方がいい

……私と、同い年くらいだった。彼女のことは、まだこれだけしか知らない


【この語り口──まさか、いや、確実に、No.7と戦闘を行なっている……!】
【彼女が生きているところを見るに、完全な敗北はしていないはずだ】
【この少女がどうやって生き延びたか──だが彼女はそれを、語らない】


──私はリーべ。リーべ・エスパス
もし彼女を見かけたら、情報が入れば、ぜひ教えて欲しい
それと────、……絶対に、殺さないでくれ
彼女はきっと、助けることができる。──幸せに、できる


【──何故、カノッサを追うのか。それに対して、彼女は明確には答えなかった】
【それでも、求める機関員の情報を告げるあたり、交渉に応じる気はあるらしく】
【「たったひとつ」のことを除き、彼女は男に機関員のことを話す】

【──すべてを話し終えれば、彼女は彼に携帯番号を教え】
【「No.7を殺すな」──それを念押しし、その場から去るだろう】
【もちろん、男の名前を聞くことは忘れなかった】

【「絶対に、殺すな」────】
【彼女は、最後まで、そう言っていた】

/ごめんなさい、明日早いのでこのあたりで!
/絡み、ありがとうございました!
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/24(月) 00:24:38.78 ID:hcS/UI/30
>>395
【完全に肉塊と化した黒服の死骸を踏み潰しながら、彼女は少女へとにじり寄っていく――もはや、全力で走る体力もない。】
【吹き飛んだ剣は電柱に突き刺さり、今の彼女に引き抜いている余裕はなかった。ひたりひたりと、全身から紅い生命の素を垂れ流しながら、一歩ずつ少女に近寄るだけ。】

「んふふっ、随分と可愛い顔をしているのね……
 どんな風に、歪むのかしら……? 私に、見せて頂戴……」

【だが寧ろ、彼女の興奮は――自らが死に近付いていく度に、高まっていくようでもあった。】
【大口を開け犬のように舌を見せ、粘つく真っ赤な唾液を舌先から垂らしながら、彼女は息を荒げる。】

「あァ、想い人がいるのね――
 ふふっ、でも私はもう傷だらけなのよ……?」

【あと十歩。彼女はそこまで近付くだろう。澄んだ碧色の美しい瞳が、真っ直ぐに少女を射抜く。】
【あと五歩。彼女は更に近付くだろう。荒く血腥い彼女の吐息が、少女へと吹き付けられられる。】
【あと三歩。彼女はもう一度近付くだろう。とめどなく噴き出す彼女の鮮血が、少女をその熱気で灼かんとする。そして、】

「そうね、責任――片腕ぐらいは、取ってもらわないと、ねぇ?」

【――彼女は、その華奢でか細い腕を無茶苦茶に振り回しながら、少女へと飛びかかった。】
【飛び散る血は目潰しになるだろうか。握られた拳が狙うのは、少女の杖――先ずはそれをへし折ろうと、握る手元に紅い塊が迫る。】
【しかし、それは本命ではない――獣のように唇をこじ開けた彼女の、赤黒く汚れて肉と神経がこびりついた鋭利な歯は、真っ直ぐに少女の胸元へと――】
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 00:34:30.33 ID:2tgGzPY10
>>394
【不機嫌そうな彼女の顔が、気づくと崩れてきていて】
【隠された目の下、ちらりと見えたそこはぬれて、潤んでいて】
【抱えていた思いを外に出したから、涙まで出てきてしまったみたいだった】
【これ以上話していれば泣き出してしまいそう】
【少女はそれをごまかすように帰るよと背を向ける。引き止めるべきか、迷ったけど】
【少女が取った行動は―――】

【ぎゅっと、歩き出した少女の手を握り自分も隣を歩き出した】

友達になろうって言ったのに、返事をまだもらえてないの
だからもう、あたしが勝手に友達だと思うことにするの!

【泣いてしまわないように、姉の話題にはもう触れない。】
【その代わりに、にこっと笑いかけて、少女を友達だといった。】
【ぎゅっと握った手はココアの熱が移って暖かいから、少しぐらいは安心感があるだろうか】
【少女がその手を振りほどかないなら、その手を握ったまま少女を家まで送っていくだろう】
【時たま抱えたおやつを差し出して、食べる?なんて聞きながら】

//この辺で〆でよろしいでしょうか?
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/24(月) 00:45:33.57 ID:x5lL2f420
>>400

【帰ると言って背中を向けた。彼女の中では、その時点で、この邂逅は終わる……はずだった】
【手を握られて、隣を歩かれて、一瞬驚いたようにその歩みが止まる。そうして、彼女はネモを数秒見つめ】

……好きにすればいい。

【だなんて、視線を逸らしていうのだ。だけどそれは、やっぱり、絶対的な拒絶ではないのだけは確実であって】
【乗り気ではないのかもしれないけれど――最初から突っぱねられるより、ずっと可能性がある。それだけは確かで】

【会計を済ませて店を出る。そうして少し歩けば、なんとなーく……彼女の側から、やんわりと手は解かれるはずで】
【だけど隣を歩くのは拒絶しない。とりあえず手を繋ぐのだけは、なんだか嫌だと、それだけの意思表示をして】
【やがてたどり着くのは、街外れの――川沿いにある、一軒の洋館だ】

【「図書館をやっているから、本が借りたければくればいい」】
【最後に告げた言葉は、実は、現在の彼女にとって――結構好感度高めの台詞だったのだけれど】
【初対面ならそれも良く分からないだろう。とにかく、本が読みたければ、ここに遊びにくればいいらしい】
【「裏の家に住んでいるから――」なんて言って、彼女の姿は洋館の裏側に消えていく。「またね」も「気をつけて」もないけれど】

【家に来て――だなんて、再会を願う以外の何の意味を持つだろう。とにかく、彼女は最後まで素直ではなかったけれど】
【ネモのことは、嫌い――ではないようだった。それなら、きっと、またいつか、本でも読みにくれば喜ぶはず】

【(ちなみに、差し出されたおやつは、今度は食べたらしい。歩きながら食べるとか、少し行儀が悪かったけれど)】
【(餌付けが出来るくらいには慣れてくれた――と見るべきか。とにかく、そんな感じに、初対面は終わるのだった)】

/おつかれさまでした!
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/24(月) 00:53:40.19 ID:Yl2JeAU3o
>>398

……SCARLETは警察や自警団、軍と情報共有をしている。それでもカノッサを丸裸にすることなど到底できやしない。
――――ただの悪党の集まりじゃない。闇に潜む蝙蝠のように、姿を隠し背後から襲い掛かる。だからカノッサは脅威なのだ。

【何度襲撃されただろうか。果たして完全に準備してカノッサの襲撃に対抗できた闘いがあったかどうか。――――奴らは全てを超越してくる】
【SCARLETに初期メンバーであり、その前からも自警団員として奴等と相対してきた彼の口から漏れたその言葉は、決して軽くはない】
【少しでもその脅威に対抗できるように。その一心で情報を求めた彼。に対し彼女は彼が求めるモノをその口から零す。小さく彼は頭を下げた】

え……――――闘ったのか……!? ということは君はナンバーズと闘って生きている、と……。――――ただのアホじゃなかった……。
あー、ごほん。戦闘時の情報まで得られるとは思っていなかった……ありがとう、恩に着る。それにしても蟲に銃に格闘もできる――――のか。
厄介かも知れないな、その情報をSCARLETやUTで共有し、対策を立てたいが――――……。

【想像していたモノと情報の質が違った。てっきり服装などの外見についての情報だと思ったのだが、内容は想像より大きく踏み込んでいて】
【少々前のめりになり話に良い食いつきを見せるのだが、勢いで思ったことが脳内検閲を受けずにするっと漏れる。彼女に比べてわざとらし過ぎる咳で誤魔化す】
【感謝の言葉の後、彼は顎を撫でながら「うーむ」と早速与えられた情報からシミュレーションしてみるのだが、まだイメージは朧。それでも十分過ぎる進歩なのだが】
【シミュレーション。勿論どうやって倒すかである。そして倒す――――というのはほぼ「殺す」と同義である。カノッサ相手に殺さないように配慮などそんな余裕はない】
【――――いや、知り合いに余裕がないくせにそうしようとする青臭い馬鹿もいるが、自分はそこまで甘くはない】

……――――ああ、分かった。本来なら危険な目に会わせたくはないが、君がナンバーズと闘って生き伸びられる実力を持っているのなら別だ。
情報を入手すれば間違いなく伝える。俺は中邑瑛月……水の国自警団でありSCARLET。リーベ、君の名は確りと覚えておくよ。
(……久しぶりに見たのだから忘れるものか。ロウのような甘い大馬鹿者をな――――)

【暫しの静寂の後、小さく頷く瑛月。絶対に殺すな――――というその言葉が、静寂を作り出した原因。……悩んだ挙句、分かったと言ったが――――違う】
【このリスクは無視できない。カノッサのナンバーズ、それも一桁。テロも十分考えられる。この「かも知れない」は、重い】
【――――故に彼女の願いは申し訳ないが無視する。返事はしたが、実際は考慮すらしない。それが平和に繋がるのなら、個人の意思はなるべく尊重するべきではない】

……ああ、絶対に殺さないよ。

【――――姿も声も何もかも違うのに、あの不殺の男が目の前にいるかのようだった。念を押されて瑛月もそれに答えたが、平坦な声はどこか不自然でもあった】
【済まない――――。そう心の中で何度も唱えながら瑛月も彼女と連絡先を交換し立ち去る。正義の為の嘘だ、許してくれ――――彼女の背中を見て、心内で呟いた】

/ありがとうございましたー!
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 00:54:38.85 ID:gakULQ/30
>>399

【血まみれの女。その接近を咎める術は、もはや無い】
【射竦める視線が、焼け付く吐息が、灼熱の血が、目の前にまで迫ってくる】
【そして――命を賭けた刹那のやり取りが、今まさに始まった】


業務妨害をしておいて、責任もヘチマもないのです……ッ!!


【能力者の戦いは、常人には認識できない程の複雑な工程を、刹那の打ち合いに閉じ込めて行われる】
【振りかざされた腕に、ルネは敢えて自らの杖を添わせた】
【そして下側からかち上げるようにして杖を振るい、女の拳打を脇へと逸らす】
【後はもうとっさに腕を引き、間近にある心の臓へと――アーヴィンの命を奪った宝珠を当てるだけ】

【――ルネが勝利を確信した瞬間、その胸に鋭い痛みが走った】
【ああ、理解ってしまう。これは牙だ。自分が不死者にそうさせるように、あの女は噛み付いてきたのだ】
【分厚いローブが血に染まり、穢されていく屈辱がルネの心を満たしていく】

【だが、あちらとて致命的な状況に置かれているはずだ。既に杖は不気味な紫苑の光を放ち、相手の生命力を吸い上げ始めている】
【本来であれば能力者や魔術師を殺すには悠長すぎる術だが――今は話が違う】

【生きて帰りたい。あの娘の元へ。お願いだから退いてくれ――】
【殺人者のそれとしてはあまりにも甘く、女々しい願いを抱きながら】
【ルネは、最後の根比べに打って出たのだった】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 01:00:57.73 ID:G9Sk4pfq0
>>397

―――じゃ、行きましょうか!

【冗談めかすような彼女の言葉に、くすりと小さく笑って……それから一緒に喫茶店まで向かう事になる】

【……彼女はこんな風に笑い飛ばすが、その裏でどれだけ戦っているのだろう。どれだけ傷ついているのだろう】
【ふと彼女の傷を見れば、そんな事を思わずにはいられなかった。……友人の心理としては、出来る事なら傷つかずにいて欲しいのだが】
【口には出さない。それを言ってしまうのは、きっと傷ついても戦い続ける彼女に失礼だから―――ただ、これからもこうして会えることを願う】

「はい、おひさしぶりです!わたし、大きくなってますか?えへへ……なんたって、もくひょうはグリースさんみたいなスタイルのいい人ですから!
 えっと、それではさつまいものタルトと紅茶が二つですね?おかあさんもそれでいいですか?」

 ええ、私もそれでお願いしますね。ふふっ……しっかり応対出来てようで、お母さん感心です!
 それじゃ、引き続きお手伝い頑張って下さいな。

【さて、ところ変わって店内。出迎えた小さな店員は、グリースの向けてくれた笑顔に嬉しそうに笑ってみせて】
【注文を承ると、厨房の中にいるであろうお店の人に伝える。元気一杯の可愛らしい声が店の中に響き、彩を添える――】

……あれ?グリース、もしかして貴女、お勘定を……?すみません、私の分まで……

【いつの間にか支払いを終えていたグリースに申し訳なさそうにするマリア。自分で誘っておいて、金だけ払わせるなんて……失礼ではないだろうか】
【……此処は親友の厚意に甘える方が良いのだろうか。気を遣わせてしまって申し訳ないけれど……】


【それから二人は空いている席に座ることになるだろう。幸い店内は混んでおらず、程度に空席もあるから着席に苦労する事は無い筈で】
【適当な席を見繕って座り、数分待つことになるが……その間もティアの元気な声が向こうから聞こえてくる。あまり暇を弄ぶことは無いだろう】
【マリアが終始ニコニコしているのはきっと気のせいではない。我が子の元気に成長している姿を見るのは、誰だって嬉しいもの】

【この数分の間、何を話す?例えば、ティアがお手伝いしている理由なんかを訊くのも良いかもしれない―――】
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 01:22:26.19 ID:wJJGWpmY0
>>404
「なに、別に気にする事でも無いよ。ボクはお金をあんまり使う事が無いから有り余ってるしさ
それにほら、育ち盛りの子達も多くて大変でしょ?
偶にはお母さんも労ってあげないとね」

【当然の事、と言わんばかり。実際に金の使い道は武器の手入れ等々で残りは教会に還元したり知人に寄付したりする程には余って居る】
【――――或いは路地裏で迷う子供を救う基金としての利用。独り身であり贅沢をするつもりも無いのだから必然と消費する場面も限られてくる】

【席に座れば改めて店内を見渡して】
【最中に聞こえて来る声には僅かに笑みを零すのだろう。多くを殺めるけれど其れは与えられた役割だからこそ】
【元々は気さくな性格。それでも、教会の裏を担っているのは確かな事】

【椅子を引いて先に彼女を座らせれば、次に自分が向かい側に座り】


「それにしても、ティアも頑張ってるねー…………ふふ、実は家計を担う一人だったりして
あの子は…………やっぱり家でも率先して手伝ってくれるのかな」

【彼女が多くの人の助けとなる存在になったのならば、自分としても嬉しいものだ】
【助けの方向性とは自分とは異なった道を辿って欲しいのが本望。危険も無く、それでいて誰からも恨まれる事の無い明るい道】

【活発にも見えるティアについて問うたのは正に其れ。手伝っている理由と――――近況であろう。無論、その中にはマリア自身の事も含め】
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/24(月) 01:28:18.60 ID:Q1OqIAu5O
>>403

「――嗚呼、美味しい」

【彼女は、艶やかな声で囁く。その言葉の前に、凡ゆる彼女の犠牲は無意味であった。】
【つまるところ自らの拳が逸らされたことにも彼女は無頓着であり、自らの生命が吸われていることにも彼女は無頓着であった。】
【自らの食欲を満たすことができるのならば、彼女は如何なる犠牲をも払うのだ。】
【ずるり、じゅるるるっ。ちゅる、ごくん――そんな汚らしい音を立てながら、彼女は少女が垂らした血液を残さず舐め取り吸い上げていくだろう。】

「くすっ……血だけでこんなに美味しかったのは――久しぶり、よ?」

【あはあっ、と悦びの嬌声を上げれば、彼女は漸く少女から身を離す――少女の左横をすり抜けるようにして、その牙にて少女の左腕を噛みちぎろうとしながら。】
【少女の呪術によって奪われたのと同等――否、それ以上の生命力を、彼女は少女の血を啜ることで手に入れられた。】
【そして潰れた彼女の左腕は、不気味な脈動と共に再生しようとしており――しかし。】

「んふふふ、いっぺんに食べてしまうのは勿体無いわぁ……
 ――今日は、これで終わりにしてあげる」

【飽くまで悠々とそう語る女性は、飛び退いて少女から距離を取った後、電柱に刺さった自らの獲物を引き抜く。】
【――もし、少女が女性の牙をまともに食らっているのならば。片手間に剣を引き抜きながら、恍惚とした目線で奪った少女の左腕を眺め、丹念に舌先で味わっていることだろう。】

「覚えておきなさい。私はクラリス。クラリス・アクア=Eトファーニア――『レディ・レッド』でも構わないわ。
 今度貴女と会った時には――その肉も骨も脳髄も、全て喰らい尽くしてあげる」

【女性――クラリス或いはレディ・レッドは、満足げな声色と優しげな微笑みで自己紹介を終えた。そして少女への「予約」も、忘れずに。】
【もし少女が女性を追わなければ、彼女は未だ溢れ出る鮮血を足跡として、死んだアーケード街の闇へと消えていくだろう。】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 01:57:45.69 ID:G9Sk4pfq0
>>405

【こうして気遣ってくれる、その心が嬉しい。まるで当然の事のように言ってのけるけれど……その分思い遣りは余計に伝わって】
【それなら、きっと申し訳ないと思うよりありがとうと思う方が良い。感謝の気持ちを、素直に述べる―――】

ふふっ……それじゃあ貴女の厚意に甘えて、ありがとうとだけ言わせて下さいな。

全く……本当に、みんな私のことを思ってくれるのですから。旦那様も、グリースも、子供達も……
……感謝しなければなりませんね。これが、どんなに幸せな事か―――

【―――思えば、本当に良い人間関係に恵まれたものだ。】
【思い思いの夢を秘め活発に育つ子供達、誰よりも己を理解してくれる夫、どんな時でも自然体で接することが出来る友……】
【―――だからこそ、この何にも勝る宝物を護っていきたい。掛け替えのない日常を、母として、妻として、友として、護りたい。】


【腕を動かせない自分を思ってだろう、椅子を引いてくれたグリースにありがとうと一言。それから椅子に座って】
【そのグリースも向かいに座れば、暫くタルトを待つことになる。……その時間、問われたのはティアの事と、最近の様子】
【勿論グリースに隠す事など無い。問われれば笑顔で話し出す事だろう―――】

流石に我が子が頑張って貰ったお小遣いを家計の当てには出来ませんよ。貰ったお小遣いはティアが頑張った証拠ですから、全部ティアの物です!

……あの子は何でも挑戦したがる子ですから。家でも外でも色んな所でお手伝いして色んなことに挑戦して、そして色んなことを学んでくるんです。
あの子ね、今でも貴方との約束を守って「街の皆を助けるの!」って言って色んな所にお手伝いに行くんですよ!
時には失敗する事だってありますが……きっと、それも経験なんだと思います。私は母として、失敗を叱るのではなく失敗から学ばせたいと思うんです!
色んなことを経験して、これからどんな人になるのか―――親としてこれほど楽しみなことはありません!

【―――話し込むうちに、タルトも到着する頃合いか。持ってくるのもやっぱりティア、二つのカップとお皿をお盆に載せて二人の元へやってくる】

「―――お待たせしました!」
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 02:07:07.47 ID:gakULQ/30
>>406

【零れ落ちる命の雫を舐め取られ、貪られ、生暖かい吐息を身体の内側で受ける】
【最愛の人にだけ許した身体を、好きなように嬲られて】
【――ルネの冷めた思考に、小さな罅が幾つも入っていく】
【それは憤慨。それは恥辱。それは恐怖、それは憎悪】
【殺めるために殺したあらゆる感情が、胸の奥底で渦巻き――】


ああっ! ひぎぃッ! ――■■■■■ぁぁ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!


【やがて、ぶつりと言う音を立てて、少女の左腕は肩から切り取られた】
【人形のような白磁の肌には、しかし、新鮮な体温が残され、溢れ出る血は冷えた大気の中で湯気を生じるほど】
【鉄面皮を貫いていたルネの顔が苦痛に歪み、書き表せないほどの絶叫がゴーストタウンに響き渡った】


 【無くなった、ルネの腕が。ルネの腕が盗まれた】
 【あの娘を撫でてきた手が。おゆはんを作ってあげた手が、一番大事な所さえも探り当てた手が】
 【痛い。苦しい。でもそれ以上に――奪われた≠アとが許せない】
 【ルネの罪と、あたたかい記憶。その全てが詰まった『手』をもぎ取られたことが、許せない、許せない、許せない――――――】


ルネは、ルネなのです……。――ルネ・アスフォデル=B
今度あった時は、おねーさんの命を吸い尽くして……盗まれたものを、取り戻してやるのです……ッ!


【頭を煮え立たせるほどの怒りと痛みの中で、ルネは去りゆくクラリスを睨め付けた】
【そして、その幼稚な負けず嫌いと狂った決意の限りを尽くして、名乗りを返した】

【追いすがる余力などない。こうしている間にも血は失われていく】
【大きく開かれた傷をどうしたものか。ルネは取り落とした杖を拾い上げ――】


          来たれ=@ 接ぎ、足せ
――――――『ゅi縺九§繧』  『ヲ縲∝アア譴ィ』……!!


【詠唱の十数秒後、地べたに這いつくばる少女の目の前には】
【――状態のよい一本の『腕』が、まるで新たな主を待つかのようにして鎮座しているのだった】


/こんなところでしょうか。お疲れ様でした!
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 02:24:44.54 ID:wJJGWpmY0
>>407
「カタッ苦しいなぁ――――……どういたしまして
全く不思議だねぇ。元々はキミもボクも敵同士だったのにさ」

【苦笑と共にその言葉に対する反応】
【最初は敵同士で傷付け合う中。今では、その真逆――――極端な関係が何と無く可笑しくなって】
【先の出来事なんて誰にも分からない事。それでも、その中でも取り分け珍しい出来事】
【何時の頃かを思い出したなら、一人で小さな笑いを零して】



「――――ん。有り難ね
今ね、マリアがキミの事を良く褒めてたよ?とっても優しい子だって
…………これからも頑張ってね、ティア」

【やがて運ばれて来た其れを受け止めれば、その頭に手を乗せて優しく撫でてやるのだろう】
【紡いだ言葉はきっと嘘では無い。何時かはこの子も自分の歳を越して行くのだろう。そして其れは時の流れから外れた者の使命でもあり】

【――――膝に乗せてやろうかとも思った。然れど、次に訊ねようとした其れをこの子に聞かせるのは相応しくない】
【血生臭い其れなど似合う筈が無い――――。故、また適当な注文でもすれば厨房へと戻るように促し】



「さて……さっきも言った通り、ボクも手負い状態でさ
――――この状態にした相手が奇しくもキミの夫と知り合いなんだよね。尤も、既に関係は無くなってるみたいだけど
キミの其れも料理をドジして負うような怪我じゃ無さそうだ。…………良かったら、話を聞きたい所かな」

【狙い通りに戻ったのならば、やがて紡ぎ始めたのはこの火傷を負うまでの経過】
【元団長の知り合いであり、今となっては関係を切った者――――と言えば彼女ならば或いは察しがつくだろうか】
【……その先を続ける事は無く、代わりとして問うたのは何故ギプスを嵌める程の怪我を負うことになったのかと言う事】
【関連性があるかも分からない。ただ、再び何か良からぬ事が起きようとしているのならば――――】
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 03:11:51.83 ID:G9Sk4pfq0
>>409

「ほんとですか!えへへ……これからもがんばります!グリースさんと約束しましたもん、ね!
 ……あ、次のお客さん!―――それでは、グリースさんもおかあさんもごゆっくりどうぞ!」

 ありがとう。お手伝い、頑張って下さいな!

【撫でられれば嬉しそうに目を細めるティア。血や闇なんて似合わない無邪気な笑顔が、グリースに向けられて】
【……この子はきっと闇を知らずに生きていく。きっとそれが幸せだし、そうあって欲しいと皆が望んでいる】
【このまま皆の笑顔に囲まれて優しく育てば、それが一番―――】
【やがて新たな客が来れば、ティアは二人に挨拶をしてぱたぱたと向こうに行ってしまう。】

【―――さて、美味しいタルトを齧りながら話は本題……お互いの傷の話へと移る。】
【互いに戦いに於ける技術はお世辞抜きで生半可の物では無い。生半可な事ではこんな大怪我を負う事なんてない筈】
【自分の知らない場所でも何や良からぬことが起こっている、そんな予感がする。……―――その予感は、すぐに当たることとなった】
【彼女の火傷は―――やはり、ただの火傷ではなかったということだ】

―――彼≠フ仕業、ですね……
彼が動き出したという事は、また何処かで良からぬことが起きようとしている……違いますか?

っと、その前に私のお話ですね。ええ、今日貴女をお呼びしたのは他でもないこの事です―――

……古の大司教が、復活しようとしているのです。
―――ゼン=カイマの近くにある霊廟には、アーグという名のかつての大司教が眠っていました。
その大司教は高い名声を血の代償と共に手に入れ、新しい術式を異教の方々を生贄に編み出した……端的に言えば「裏の顔がある」大司教なのです。
彼は最後に自身の命と引き換えに「永遠の命と絶対的な力」を欲しました。ですが、霊廟に封印されてその欲望は今に至るまで遂げられる事は無く……
その大司教が……封印を解き、復活を遂げようとしていました。百年の眠りを引き替えに、永遠の命と力を得る為に―――

……この傷は、霊廟に立ち入って不穏な動きを調べていた時に負ったものです。
現在既に霊廟は強い闇の力で埋め尽くされ、恐らく例の大司教の復活も時間の問題でしょう……

【……此処までは事情を端的に話す。この話で分かる事があるとすれば、それは「ゼン=カイマ」が再び戦いに巻き込まれるかもしれないと言う事】
【―――ここで、マリアは意を決したように澄んだ瞳でグリースを見つめる。静かに紡ぐ、彼女への願いは―――】

……もし、また此処が戦いの場となったら……
お願いします―――どうか、共に戦ってくれませんか。大切なモノを護る為に、力を貸して下さい―――
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 03:42:01.68 ID:wJJGWpmY0
>>410
「全く……此処の大司教は問題児ばかりだ。って言ったらキミが怒っちゃうかな
なる程ね。下手をしたらもう復活しちゃってる可能性がある訳だ
――――ダグラスとの事も関係してるなら両方いっぺんにどうにか出来そうだけど、もしそうじゃ無いとしたら…………

今の大司教サマの為に、だったらあんまり気がすすまないけど。キミの為なら協力するよ
大体にしてボクは頭を使うよりも身体を使う方が性に向いてるんだしさ
それに教会は違うけど今まで散々此処に関わって来たからこれも腐れ縁だと思ってね

下手をすれば前よりももっと大規模になる可能性だってあるのかもしれないけど…………
――それに、前も言ったでしょ。キミとボクは友達なんだから、そんな風に頼む必要は無いって。もう、マリアは忘れっぽいんだから」

【やはり様々な事が起き始めているのだと、その言葉で確信したのだろう】
【また嵐が来るのだろうが――――自分がする事は一つだけ。其れを滅する事以外、何も無い】
【聖者でありながらも悪人以上に悪党な存在。彼の願いが実現するならば、それだけ被害も大きくなる】

【――――其れを止める事が出来るかは分からない。だが、やらねばならぬ事】
【その後に笑えば、マリアの額を一度軽く押すのだろう。その時に浮かべる表情は、以前の似た状況と同じで】



「さて、後はキミに今の大司教サマに伝えて欲しい事が一つ
“カスケード海淵にある島でキミの友人が悪巧みをしてる”ってね
海淵の場所と島はこの地図に載ってるよ。"ドラクレア"――――何でも忌み嫌われた場所らしいけど

まあ、仮にも前まで友人だった人の所に団長サマが殴り込みに行くかは分からないけど無視をしていたらまた月を落としたあの日の様に多くの人が死ぬのは殆ど確かな事だと思う
いや……もしかしたら団長サマ本人は既に知ってる事なのかもしれないけど、一応ね

――――嗚呼。UTの方にはボクから連絡を入れておくよ。SCARLETとか他の知り合いが居たら、そっちの方からお願いするけどさ
幸い彼処の酔っ払いとは面識があるし……何より団長サマが彼処でしでかした事がコトだ。彼処のリーダーは仲間に関しては根に持ちやすそうだし
何にも無いときは眺めてるのも楽しそうだけど、色々と起きてる今は新しい火種を作らない様にしないと、ね」

【テーブルに置いたのは古地図をコピーした物。其処には件の島や海淵が描かれていて】
【――――食べて居たタルトが無くなれば、丁度その頃に水晶に連絡が入るのだろう。現場の者では手に負えない状況に出会したから至急戻ってきて欲しい、と】

【ふう、と頭を掻きながら溜息を吐けば立ち上がり】
【即ち、別れの時も近いのだろうけれど――――……】
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 03:46:08.18 ID:G9Sk4pfq0
>>411
//っと、もう次で〆になると言う所ですが済みません……ちょっともう起きてられないレベルで眠気が襲ってきてます
//明日の夜までには此方の〆となるレスはお返ししていると思うので、好きな時に締めて頂ければ!
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 03:51:59.91 ID:G9Sk4pfq0
>>412
//あ、明日じゃなくて今日でした……
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 04:07:24.82 ID:wJJGWpmY0
>>412
/了解しましたですよっ!お休みなさいませっ!
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/11/24(月) 07:25:52.98 ID:Q1OqIAu5O
>>408
/二日間の絡み、お疲れ様でした! 楽しかったです。
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 15:53:30.63 ID:G9Sk4pfq0
>>411

―――友達だから、ですか。ふふっ……やっぱりグリースはそう言ってくれるのですね。あの時と同じです―――
ありがとう、グリース……貴女のような人が友達でいてくれて、私は本当に幸せ者です。

――では、改めて……貴女の力を頼らせて下さいね。友人として心から信頼しています!

【張りつめた表情は、グリースの一言でふっと柔らかい笑顔に変わる。―――ああ、やっぱりそう言ってくれるんだな、と】
【打算も損得勘定も抜きで、「友達だから」の一言で、こんな深刻な頼み事すらいつもの軽い笑顔と共に応じてくれる】
【本当に、何物にも代え難い良い友人を得たものだ。―――ああ、大丈夫。自分にはこんなにも頼りになる友がいるのだ】
【彼女と一緒なら、きっとどんな苦境だって乗り越えられる。再び襲うかもしれない嵐から、大切なモノを護る事が出来る。】
【押された額に、マリアは前を向く。その表情にもはや張りつめた深刻さは無く、代わりに心からの信頼に満ちていた―――】


【話題の主は代わり、次はグリースがマリアに事を伝える。テーブルに古地図が広げられ、彼女が出くわした事件について説明がなされる……】

――此処が、その島ですか。……随分とまた辺鄙な場所に居るのですね。こんな所で何をしようと言うのでしょうか……
……貴女の言う通り、放置しておけば大きな被害が出るのも確かでしょう……この事は、主人によく伝えておきます。

―――あの人は、きっと止めに行くと思います。私の旦那様は、グリースが思っているよりずっと強くて優しいのですよ!
……本当の「強さ」というのは腕っ節の強さでは無くて、誰かを護る力だと思うのです。――あの人は今、家族やこの街の人々と数えきれないくらいの物を護っていますから。


いずれ、UTの方々にも会う事になると思いますが―――今度こそあの人は間違わないと、私は信じています。
謝って罪が消える訳ではありませんが……犯した罪を誤魔化さずに、UTの方々にちゃんと向き合って謝ると―――そう、信じています。

【言葉の端々から滲み出る、夫への信頼。―――もう進む道を間違わずに、正しい道を歩んでいけると信じている】
【争いの火種になるかもしれないから、今は避けるが……いつかきっと、避けずにちゃんと向き合って――本当の意味で謝る日が来ると、信じている。】

【タルトを食べ終えると、グリースは立ち上がる……きっと急用が入ったのだろう。もっと話したい気分ではあるが、続きはまた今度】
【……立ち上がった彼女に、声を掛ける。別れ際、最後に友達として言いたい事を告げる為に―――】

……もう行かねばならないのですね?
グリース。……もし助けが必要になったら、いつでも私に言って下さいな。
―――私も貴女の友達ですもの、ね?貴女の為ならば、いつでも力を貸しましょう!

それでは、また会いましょう。これからきっと厳しい戦いに赴くのでしょうが……くれぐれもご無事でいて下さいね。
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/24(月) 18:13:26.07 ID:hULi1NJbo
【森――秘湯】
【人里からは離れすぎていて、他の知的生命体の集落もない……本当に隠れた場所である】
【それ故に全く整備されていないこの湯は、白くて湯気の出ている水たまりのようにも見える】

「ふゥむ……良ォい湯ゥだ……」 『全くその通りで御座います』

【どこからか湧きだした白色の温泉に浸かっているそれは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【……服を着たまま温泉に入っているが、本人的にはどうでもよさそうだ】

【また、執事のような姿で眼がレンズな二足歩行のコウモリも隣におり、……こいつらは服を脱いで入ろうとは思わないのかと思わせる】

「もォ幾つか有ァるが……"持ォち帰る"とすゥるか、士ィ気は大事だァからな、ヒャハハッ!」
『部下の数が大変多いで御座いますからね、幾らありましても問題御座いませんでしょう』

【どこからともなく現れた物体、それは――"小瓶"】
【小瓶に湯を入れるその者、一体持ち帰って何をするつもりなのだろうか――?】 【……持ち帰るにしては量が少なすぎるし】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 19:22:47.16 ID:wJJGWpmY0
>>416

「――――ま。そうしてくれる事を願ってるよ
何れその内大司教サマもUTの面々と会うんだろうからさ」

【肩を竦めて見せれば後は現場へと向かう事となる】
【何時もと同じ事だ。与えられた役割を果たすだけ】
【――店を出ようとしたその最中に声を掛けられれば顔だけを其方に向け、笑みを見せ】


「…………そうだね。必要な場面が来たら頼らせて貰うよ
それじゃ、また今度。その時までキミの方こそ、それ以上怪我をしない様にしておくんだよ?」

【果たしてそれは便宜上の言葉かも今は分からない。もしかすれば
【然れど、頷いて見せれば後は店の外に出て】
【純白の翼も、今は所々が汚れて居るが――――飛ぶ事に支障は無いのか、直ぐにその姿も見えなくなるだろうか】
【それでもヒラリ、と舞い落ちるのは白い羽。死神の異名を持つ者が持つには似合わない色】


/っと、二日間お相手頂き有り難う御座いましたー!
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/24(月) 20:59:35.68 ID:x5lL2f420
【夜の国――街の中央にある広場】
【少し高台にあって、万全ではないが、夜景が望める場所。時刻的にも夜となれば】
【ちょっと小洒落たデートとして出て来るカップルもちらちらと居るような場所だ、人通りは多く】
【――だからこそ、ベンチのひとつを占領して座る人影――少女――が、悪い方向に目立っているのだった】

……だいじょうぶだよ、ちょっと、お散歩だし――、ここからなら、一人でも、帰れるもの。
ね、ちゃんと帰るから……、少しだけ夜風にあたりたいの、……うん、ずっと、夜だけど……。

【黒い髪の少女だった。長い髪は梳かしただけでおろしたストレートヘア、真っ白な肌とよく映えて】
【黒と赤のオッドアイは丸みのある釣り目、右の耳にだけ付けているのは、宝石――宝玉の欠片――をあしらった、ピアスで】
【着ているのものは魔術師めいたローブ。暗すぎない紫の色合いのそれには、どうやら魔術でも掛けてある気配があり】
【足元はヒールの低いロングブーツ、適当に伸ばした先の爪先には、――紫色の羽根の、一羽の鳥が止まっていて】
【どうやらこの少女はその鳥に話しかけているらしいのだった。そっと手を伸ばせば、鳥はちょんとその手に移動し】

だから先に帰ってて、――うん、後でね。

【その手を振り上げることで、少女は鳥を羽ばたかせる――思惑通り飛んだ鳥に、彼女はそんな言葉を掛けてやると】
【鳥のほうも言葉を理解しているみたいに、ばさばさと街外れのほうへ飛んでいく。……そうなれば、彼女は一人になって】

はあ、……、……――助けられなかったな、わたし、あのひとたちのこと、……。
……もう売られちゃったかな。まだ生きてるかな……、……、――そっか、わたし、たすけられなかったんだ――。

【近くの珈琲店ででも買ってきたらしい紙コップに入った飲み物、ちょっと飲めば、吐息はあっという間に真っ白になって】
【呟く言葉は鈴の音みたいな声のせいでよく響く、――悲痛げに伏せた瞳、それから胸を撫で下ろせば、ほんの僅かに引きつる感覚】

強くなりたいなぁ――、……。

【そう呟いて、彼女は大きめのため息を吐く。デートスポットで一人なせいもあり、彼女の姿は、少しだけ目立っているようだった】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/24(月) 21:30:28.43 ID:G9Sk4pfq0
>>418

ええ!貴女や大切な皆を心配させてはいけませんものね。
それではまた今度。お元気で!

【此方も何時ものように柔らかく微笑むと、これがお別れの合図。店を出ていつものように見送る】

【あの時と同じように空へと舞い上がる彼女を見上げれば、ふわりと純白の羽根が舞い落ちて】
【そっと拾い上げてポケットに仕舞い込むと、空の彼方に舞う小さくなった彼女の姿を見つめる。顔に小さく微笑みを湛えて】
【―――嬉しかったのだ。こうしてまた、大切な友達の想いに触れられたから―――】

【やがて彼女のそれも見えなくなれば、マリアも愛する家族の待つ家に向かって歩き出した……】

//はい、此方こそ有難う御座いました!
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/24(月) 23:00:56.05 ID:d+uh3B+wo
【路地】

【人気のないビルとビルとの間に生まれてしまう、都会の影である路地裏】
【赤いレンガのビルの壁のシルバーのダクトからは白い煙のように生ぬるい風が排出されている】
【その下。街頭のオレンジの明かりに照らされた所にそいつはビール瓶を握りしめて倒れている】

………………ん?………何だここ…

【呟くように呻く。…後にもぞもぞ動く。寒空の下、寝ていてやっと起きたという所だ】
【黒髪、黒いレンズのサングラス。黒いスーツ、黒いシャツ。シルバー製の聖母のネックレス】
【酔いつぶれていてもまあ納得できる風貌の奴は壁にしがみつきながら上半身を起こすと】
【ポケットから紙巻きの安タバコを取り出してくわえる。そして、ワサワサ身体を探ってライターを探す】

……うえ…火ぃ無いじゃんか…クソッ

【男は火のついていない煙草をくわえたままズリズリと背を擦りながら地面に再び倒れ込む】
【男は立ち上がりたくなかった。寒いが動く気になれない。どうにでもなりゃいいって思い始めている】
【肘があたってビール瓶が悲しげな音を奏でながらアスファルトを転がった】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 00:53:05.87 ID:hmm+aqGoo
【夜、すっかり人気の無くなった公園にて】

【うっすらと雲が散見するものの、星の綺麗な夜だった】
【昼間ならば子供連れの姿が幾らか見られたであろう此の場所も、日が沈んだ後は静けさに包まれる】
【そして街灯と自販機、そして煌めく星が照らすその公園の中心に、少女は居た】

「…………」

【幼さは抜けきっていないものの顔立ちは整っており、瞳は切れ長で紅色】
【艶やかな黒髪を後ろで一つに結っており、肌は白磁の様にきめ細かや】
【学校指定の黒いブレザーに身を包んでおり、足元は黒タイツと編み上げのブーツを着用している】
【いつも背負っているスクールバッグと竹刀袋は近くのベンチに立て掛けられており】
【代わりにどこにでも売っているような新品の木刀を上段に構え、ひたすらに集中力を高める】

「…………」

【彼女の扱う技術は剣術に非ず――此れは決して其のような清廉なモノでは無い】
【殺せ。殺せ。殺せ。思考を一色に染め上げる。彼女の技術は闘うためではなく、殺すために在った】
【ギロチンの刃が刀へとすり替わっただけで、やることは断頭台と相違無く】
【咎人が一切の苦しみを得る前に其の生を断ち切るために、彼女は殺人技術を今宵も高める】

「――――――――っ」

【そして殺気が一定まで高まった瞬間、彼女は仮想敵として設定した公園の木を真っ直ぐ見つめ】
【同時に身体を倒れる寸前にまで傾ける――――反射的に前に出る足、そして其れを繰り返すことで限界の速度で疾走する】
【所謂縮地と呼ばれる技術である。彼女は其れにより一気に距離を詰め、大木に向かって全力で木刀を振り下ろした】
【無音の斬撃。一切の音もなく其れは振るわれ、そして交叉したと同時――――大きな衝突音と共に、折れた木刀が吹き飛ぶ】
【木へと視線を向けると、彼女の一撃によって一部分が大きく抉れていた。そして其の視線を木刀を握っていた手へと向け】

「…………痛い」

【木刀が真剣で、木が切断出来たならばまだ良かっただろう。だが木刀に斬撃は出来ず、衝撃は総て自らの手に帰って来る】
【見れば手のひらは真っ赤になっており、集中力が途切れた途端その痛みが彼女を襲い始めていた】
【少し涙目になりながらも、ため息をつく――――さて、木刀を折ったのはこれで何本目だっただろうか】
【彼女の持つ刀は一度抜けば殺人衝動が雪崩れ込んでくる。其のような刀で鍛錬など出来るはずもなく】
【仕方なく木刀でいつも鍛錬をこなすのだが、其のたびにこのザマだ――正直、笑えない】

//凍結になる可能性が高いです
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/25(火) 01:16:46.20 ID:rVNY62Q00
>>422
【心は熱く】【思考は凍らせ】【己の剣を見定めろ】
【そんな言葉を馬鹿正直に呟いていたのは、一体何時の頃までだっただろう】

【すでに秋から冬への移り変わりが始まり、立ち止まっていると夜の寒さが身に染みる】
【学園指定の制服――彼女は都合によりセーラー服を着用している――の上にカーディガンを羽織り、吐息は白くならずに虚空へ溶ける】
【剣道部の手伝い兼稽古の相手を務めさせられていた所為で時間も更け、一緒に下校した友人とも先程の十字路で分かれて少し】
【いつも通る道とは違い、少しだけ遠回りをすれば通りかかれる公園が一つ。遊具などもいくつかあるが、やはり彼女が小さかったころよりも少ない】
【そのため昼間こそ人が集まる公園だが、今は時間も時間、昼間の人は見る影も無く】【いつもと変わらぬ日常を浪費する筈≠セった】


(…………何?)

【――――――殺気】
【ゾクリ、音がした。】【通りがかった公園の方向から現れる異物感=B思考の汚染される様な濃密な殺意】
【ジワリ、汗が滲む。】【心に沈殿する感情は怯え、湧きあがるは歓喜。それを異常とみなす脳神経は徒然と】
【ズサリ、後ずさる。】【これに踏み込めば何処かが外れる。関ってはならないと鳴るサイレンを無視して】
【ザクリ、歩を進む。】【其処にあるのは好奇心か、猫をも[ピーーー]驚きか】【見えぬ視界に目を凝らす】

【――――――爆音】
【感じていた殺気が限界まで高まったと同時に鳴り響く破裂音に、一瞬びくりと肩をすくめる】
【歩みを進める事既に公園の範囲へと足を進めており、声なき悲鳴は一瞬の物。咄嗟に口元に手を当てるが、あまり意味は無く】
【気を取り直してもう一歩】【抉れた木屑が視界の隅に、先に居るのは幼き少女と溢れる殺意】【明らかなソレ≠ノ顔を顰めて】
【同年代だと思われる――――制服が彼女のものと似ていた、つまり同じ学園の生徒である―――少女に、一言声を掛けた】
【勿論、何時もの様に】【変わらぬ様に】【剣≠ノ見ないフリをして――――】

「やっほ。同じ学園の子――――――かな?」

【背中に背負う竹刀袋が、金属音をカチャリと鳴らす。】


//すぐに凍結をお願いしてしまうかもしれませんが……
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 01:54:07.39 ID:hmm+aqGoo
>>423

【高まる集中力とは裏腹に沈んでいく意識、一点に極められた其れは鍛えあげられた刃の如く鋭利なものだったが】
【其の領域にまで高めることは難しく、霧散するのは一瞬である。維持をするのが難しいのは言うまでもないだろう】
【一撃=\―――其れこそが彼女の本質のため、逆に言えば維持をする必要が無いのだ】
【よって彼女の集中力は木刀が叩き折れた時点で途切れかけており、そして残ったなけなしの其れは唐突な声によって崩れることとなる】

「――――…………っ」

【何者かを殺す際、他に意識を向ける余裕など無い。鍛錬でも其れは同じであり、彼女の意識は仮想敵である木と、そして己自身に総て向けられていた】
【己と敵、それだけが存在する世界に見を投じていた為、彼女は少女の接近に一切気づいていなかったらしく】
【咄嗟に振り返り、そして息を詰まらせた――――制服、しかも見たところ同じ学校の生徒】
【別に隠しているわけではないが、裏の仕事を知られるのはひどく面倒くさい――余計な騒ぎになって目立つのは、嫌だ】
【とはいえ櫻の国では殿様お抱えの首斬り役人として名前が少しばかり売れてしまっているため、調べれば彼女が殺人者だなんて事は簡単に分かってしまうのだけれど】
【どう返すべきか言葉に詰まり、今更意味もないだろうが右手に持った、折れた木刀の柄をそっと後ろに回して隠し】

「…………ええ、そうみたい」

【まずは無難に同意を。そこからどうするかは、まだ考えてない――人と関わるのは、苦手だから】
【見れば相手は竹刀袋を背負っている。まさか自分のように仕事道具の真剣を持ち歩いているなんて事は普通に考えて有り得ない――】
【どうやら集中の世界に没頭していたせいか頭が上手く回っておらず、僅かに聞こえた金属音すら聞き漏らしているようだ】
【――ならば剣道部と考えるのが順当だ。もし剣道部の人間に今の光景を見られていたとしたら、少しばかり厄介な事になったと言えた】
【何も知らない人間ならば適当に誤魔化せばいいが、其の道の人間を誤魔化せるほど彼女は饒舌ではない】
【どう見ても新品の木刀をたった一撃で叩き折る、なんて行為はあまりに一般的な女子高生像からはかけ離れているし】
【さて、ここからどうやって自分が普通の女子高生であることを証明すべきだろうか――――まずは、自分の話題にしないように心掛けるべきか】

「えぇっと、あなたは……ごめんなさい、あまり人のことは覚えていなくて」
「私は普通科一年の山城桃子。…………あなたは?」

【彼女は極端に人との関わりを避けているため、はっきり言ってクラスメイトの人間すら全員顔と名前が一致しない】
【彼女が相手のことを知っている、だなんて事はありえないのだ――――もしかしたら、廊下ですれ違う程度のことはしているかもしれないが】
【まず同じ学年なのかどうか、それすらも分からない。自らのコミュニケーション能力を恨みながら、申し訳無さそうな表情をうっすらと浮かべて、名前を尋ねた】
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 02:26:36.85 ID:rVNY62Q00
>>424

【確か、何処かで見たような気がする】

『―――――――』

【少女の回答に「やっぱり」と言葉を一つ。吃驚したような顔をするのはまぁ、当然の反応と言ったところだろう】
【誰だって集中しているところに声を掛けられれば驚いてしまう。それは彼女も以前経験したことで、そこから見て取れるのは焦り≠ニ困惑=z
【見返してみれば抉れた大木に散らばる木屑。加えて今しがた少女の隠した木刀と同じ材質の欠片が足元に散らばっている】
【どう考えても少女が何かしたことは確実で、さらに言えばその一部始終を目撃している彼女にとってはすぐにばれる誤魔化しでしかない】

【が、彼女はあえてその当たり――――少女がどうやって*リ刀と大木を破壊したのか―――については触れようとしない】
【それを視た′フの配慮であり、奥底に沈む普通≠ヨのコンプレックスから発生した要らぬ世話が】【気遣い≠ニ言う形になって表れる】

「―――ああ、いいよいいよ気にしないで」
「普通の女子高生*レ指してるから記憶に残らないのも無理ないって!」

「あかり。黒羽 灯燈(くろは あかり)」
「所属は普通科の一年だから…………年齢的には一緒かな?」

「黒羽でも灯燈でも何でも好きに呼んでいいよ、私は桃子って呼ばせてもらうし」

【ひらひらと片手を振りながらあいさつとし、飄々とした態度をあえて崩さない=z【あれ程の殺気を間近で見た後なので、僅かに背中は湿っているが】
【それ以外は目立った外傷も無く、流れてくるベンチのソレ≠ウえ含めなければ気分は上々と言ったところ】【会話をする程度なら造作も無い】

「桃子……桃子………どっかで聞いたことがあるんだけど…………何処だっけか」
「ああ思い出した! 男子に人気の山城さん」

【そうだ思い出した。確か――――クラスの男共が噂してた名前にそんな名前があったっけ】
【さっきは暗いせいであんまり顔が見えなかったけど、よく見れば綺麗な顔と身体つき】【僅かに拳を握ってしまうが、それは関係ないと手を緩める】
【思わず自分にはないある部分へと目を見やるが――――必死で堪えた】【いや、普通に負けてたけども】【ええ、負けていましたとも】


―――――

「――――で、アレ≠ヌうしたの?」

【見ればわかる、見なくても分かる】【あの殺気は間違いなく本物で、少女に満ちるそれもまた殺気】
【だがそれではないものが一つある】【人の理に在らざる者、それでいて理に縛られる物】
【少女のいる場所を指すのではなく、少女の私物が置いてあるベンチ≠指して】【其処に居座るアレ≠ヘ何だと】【剣姫は正す】

【放たれる殺気はいい、それで壊れる木刀も】【それを行う少女の体がどうなっているのか%凾態々問い詰めるなど野暮である】
【だが、アレは何だ】【形としては竹刀袋で、恐らく中身は竹刀だろう?】【違う違う、すでに中身は割れている】


【アレは殺意】【アレは悪意】

                  【アレは善意】【アレは真意】

                                           【アレは狂気】【アレは供犠】

                            【アレは怪奇】【アレは皆既】 

                                                          【アレは神気】【アレは新奇】
【――――――アレは、剣か?】
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 02:54:55.65 ID:hmm+aqGoo
>>425

【運動部にしては華奢な体躯、少なくとも自分から見て整った容姿、非常に軽いものの馴れ馴れしさは感じさせない口調】
【態度から察するに、自分の様子は見られていなかったのだろう。そうでなければ、こんな態度取れる筈がない】
【彼女の殺気は常人の其れを遥かに凌駕している。威へと成る気など、常人が当てられたら話しかける気になどならないだろう】
【其れを踏まえて、彼女の相手への評価はまさしく普通――――と、なる筈だった】

『普通の女子高生*レ指してるから記憶に残らないのも無理ないって!』

【普通とは目指すものではなく、ただそう在る物――――普通を目指すという言葉は、自らが異常であるということの告白に他ならない】
【ただの気のせいだろう、言葉の綾に違いない。けれど彼女の中で其の言葉はどうしても引っかかって】

「……そう、じゃあ黒羽さん、って呼ばせてもらうわね」
「えっと…………そんなことは、無いと思うけれど」

【妙に距離感の近い相手に対し、やはり一定の距離を保とうとする桃子――――それはただ単に人付き合いが苦手、という理由だけではなかった】
【女子高生という表の身分、其れとは異なる裏の身分を彼女は持つ】
【死刑執行人。首斬り役人。罪人を裁くといえば聞こえはいいが、所詮はただの人殺しであり、彼女に罪人を裁く権利など在るはずがない】
【自分は血で汚れているから、誰かと仲良くなんてなっちゃいけない】【誰かと触れ合えば、其の人まで汚れてしまう】【本当に裁かれるべきは、きっと己自身だから】
【だから少女は彼女にとっては非常にやりづらい相手で、そして今までに関わったことのないタイプの人間だった】

【男子に人気、だなんて言葉を聞いて苦笑で返す。こんな根暗で愛想の悪い女が、人気に成るはずもない】
【自分より可愛くて明るい子なんて幾らでもいる――――そう、例えば黒羽灯燈などまさしくいい例だろう】
【だからそんなのはほんの冗談だと斬り捨てて、なんとか誤魔化せそうだなと安堵して】

「――――――――――――――――」

【言葉を失った。表情に出ないようにしたけれど、それももう遅い】
【アレ、とはきっとあの竹刀袋、其の中身の事を指しているのだろう。其れ以外に、あの場所に気になるモノなど無い】
【何故だ。確かに近づけば常人でも薄ら寒さ程度は感じるだろうが、鞘から抜かれてない上に此れだけの距離があって、どうしてアレに疑問を持つ】
【――――――――いいや、焦りすぎだ。おそらく相手は剣道部、ならば剣道部でもないのに竹刀袋を持ち歩いている自分がおかしく見えるのは当然だ】
【どうやって誤魔化す。考えろ。あんな物に関われば碌な事にならない――――小さく、下手な作り笑いをして】

「…………あら、黒羽さんは剣道部だと思ったのだけれど」
「竹刀袋に何が入っているかなんて、考えるまでもないでしょう?」

【部活にも所属していない自分がどうして其れを持っているのか、そんな疑問を無理矢理すっ飛ばして】
【答えをはぐらかし、中身についていうこと無く、竹刀袋の中には当然竹刀が入っているという固定概念を押し付けた】
【しかし少女の予測はどうしようもなく当たっていて、其の上竹刀袋の話を振られた瞬間の彼女の表情】
【明らかに不慣れな作り笑いを見れば、其れが嘘だと誰でも理解出来るだろう】
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 03:32:19.91 ID:rVNY62Q00
>>426

【自らが本当に人気があるのか理解しているか否か、見分ける方法が一つある。それは表情=z
【どれだけ気を付けていようともそれは表に出てくるもので、逆に気を付けていなければ容易く露呈する。】
【そういう人間は笑みまたはそれに連なるナニカを浮かべ謙遜とする】【そんな思ってもみない言葉で仮面を隠し、本来の巣を塗りつぶす】
【目の前の少女にはそれを感じない。さらに言えばあまり人付き合いが得意そうでは無い(というと少女に失礼ではあるが)所を見ると】
【単純にそう思っていない≠ニ彼女が納得するに至った】【別に、ぼろを出さないかと見ていたわけじゃない、其の奥≠ノ、少し興味が出てきただけ】

「…………恥ずかしながら、竹刀袋(こんなもの)持っておきながら剣道部ってわけでもないのよね」
「時たまに練習に付き合わされる時もあるけど、基本的には帰宅部なんだ」

【無理に問いただす必要はない、その表情から、その感覚から、その怯え≠ゥら】【内にあるものを理解する】
【言葉には余裕を、溢れる汗には冷や水を】【先ほどより強くなった―――違う、彼女の感覚が鋭くなっただけだ――――違和感を受付け、軽く呼吸】
【そう、彼女の中に入っているのは紛れも無い真剣。少女の持つモノとはまた少し違うが、命を奪う武器としての役割は酷似している】
【痴漢用や不審者用のものなら竹刀で良い筈だし、常日頃から真剣を持ち歩く女など常軌を逸している】【それは恐らく少女も似たようなものだろう】
【薄々中身に感付いてきている。というか私が分かるのだからアレでしかない≠ニ言うクソッタレな推測が歯痒いが、それでも真実はそれが一番近付いていて】
【じゃあ何故問いただす?】【じゃあ何故口を噤まない?】【それは何故だろう=H】

【多分、体質に引っ張られてしまった≠フかもしれない】
【剣姫の血は剣を求む】【啜り啜られ軛を叩き、斬刀無常の世を笑う】
【加えて感じる血≠フ匂い】【恐れと怖気の入り混じる】【有象無象の怨念機構】
【纏う少女は殺意の使徒で】【対する私は普通の剣姫】【ついつい】【縋って′ゥたくなるのは――――悪いだろうか?】


――――


「――――じゃあ、確かめてみる?」

【肩に下げていた竹刀袋を手元に落とし、その際に漏れる金属音≠響かせる】
【紛れも無く鉄=z【紛れも無く刃=z【紛れも無く剣=z【紛れも無き死=z
【他者を殺傷するために存在する武器であり、彼女が普段より護身用及び安定剤用≠ナ持ち歩いている刀剣がこの竹刀袋の中身】
【刀や西洋剣とも勝手の違う中途半端な武器で、故に中途半端な彼女に最もふさわしい】【無論、普通になるにはいらない物で、彼女はそれを想わない】

【これは賭けにもなっていない彼女の愚行】【竹刀袋の上部分、ジッパーによって閉められた場所に手を伸ばし、言葉とともに問いかける】
【少女が言外に言う当たり前≠ノ、彼女は反応してしまった】【何より普通≠ナありたい彼女は、今ここで少女に普通ではない事≠バラすよりも】
【付近から漏れる殺気の塊に重きを置いてしまっている】【違う、単純に知りたい≠ニ言う好奇心が勝ったに過ぎない】
【普通であれば引くところ、普通でなくても引くところ】【だがしかし、自称普通は道を往く】【僅かに別れるジッパーが、ジジジと金切り声を一つ】

【意味としては普通≠フ否定。彼女がしないを持っているわけではないという事実を明白にすることで、相対する少女の隠したい事≠ノ焦点を当てようとする】
【普段の彼女としてはらしくない″s動だと頭の片隅で叫ぶ声は頭痛に変わり】【脂汗が額に滲む】

【――――――頭が】
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 03:57:36.01 ID:rVNY62Q00
>>426
//申し訳ないですがそろそろ眠気が…………凍結よろしいでしょうか?
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 04:04:40.78 ID:hmm+aqGoo
>>427

【竹刀袋には当然竹刀が入っている。ああそうだろう、そうでなくてはならない――――其れは、其のために作られたものだろう】
【相手が普通だと思ったから、違和感を無視して常識を押し付けたのに、其れを崩したのは自分ではなく少女だった】
【竹刀袋から鳴り響く金属音=\―――ああ、聞き覚えが在る。微妙に差異こそあれど、疑問を抱くことすら無く確信に至った】
【なにせ彼女が幼少より触れてきたものだ。彼女が生まれ彼女が育った国の象徴の一つと言ってもいい】
【音のズレから形状はもしかしたら微妙に異なるかも知れないが、其の音一つで彼女はこんなもの
の正体を見破っていた】

「聞き間違いだったかしら…………、『普通を目指している』って、言ってたわよね」
「普通はそんなもの持ち歩かないし――――あんなもの≠ノ、興味なんて持たないわ」

【普通が何かなんて、もう自分でもあまり分かっていないけれど、刀を持ち歩く学生が普通かと言われたらきっと違うだろう】
【なにせ自分がそうなのだ。普通では無い自分と同じということは異常ということ、無茶苦茶だが理屈としては間違っていない筈だ】
【ならばどうする。相手はどうするつもりだ。分からないが、相手は得物を持っていて、自分は刀身の無い木刀が手元にあるだけ】
【相手の技量など関係なしに、刀身のない刀では彼女の技術は発揮されない――――なにより、あれを使えば相手は死ぬ】
【闘うための技術ではない。殺すための技術なのだ。生憎彼女には其れ以外無く、相手が戦闘を持ちかければ現状では殺すしか無い】
【殺さないなんて器用な真似が出来る筈がないのだ。人間は脆すぎる。殺せば死んでしまうのだ、殺さないほうが難しい】
【ならばどうするか――――――――なんて、考えるまでもなく決まっていて】
【半ば無意識に練り上げていた殺気をほどくと、不自然な作り笑いも解き、光の感じられない濁った視線を相手に向けた】

「ねぇ…………本当に、知りたいの? ――――――――アレ≠フ、中身」

【相手が常識から外れているのは分かった。ならば最終確認だ、本当にあんなもの≠ェ見たいのかと、問いかける】
【世の中知らないほうがいいこともあるし、見ないほうがいい物もある。そしてアレは其れ等に分類される呪い≠セ】
【知らない方がいい】【見ない方がいい】【認識したということも忘却した方がいい】【山城桃子と関わったという事実も、今ならまだ無かったということに出来るから】
【それでも此方に踏み込んでこようというならば――――――――これ以上止めはしないし、出来ない】
【これは最終確認であり、最終警告だ。自分のような人間にはもう金輪際関わらない方がいい、彼女の瞳は暗にそう語っていた】

>>428
//凍結了解です!
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/25(火) 21:15:50.42 ID:dVWuxT3/o
【路地裏】

【激しい足音が夜の路地裏に響いていた。息を切らして走る男からだ】
【中年かそこらの歳。スーツ姿の動きにくそうな服装だというのに、汗まみれになるほど、必死に走っていた】
【時折、後ろを振り返りながら──何かが追ってはこないかと、確認しながら】


 『はぁ……はぁ……クソッ!! なんでこんなことに……!
  金をちょっと誤魔化して、あとはどっかで豪遊して暮らすって予定だったってのに!!』


【恐怖、後悔、怒り、それらが入り混じった形相で、彼はもう一度後ろを振り返った。そこには何もない】
【そのことが彼の心にほんの僅かな安心と油断をもたらした。身体は既に悲鳴をあげていて、心臓は破裂しそうなぐらいだ】
【もう“誰も”来ないだろう、休もう──そう、考えてしまい、足を止めた】

【袖で額の汗を拭い、シャツのボタンを一つ開けて火照った身体に冷えた空気を通す。何度か深呼吸をして、息を整えた】
【それから、落ち着いてもう一度走ってきた道を振り返る。やはり誰も居ない。なら、脅威は去ったのか──】
【そう考えて、しかしこの場所が路地裏だということを思い出す。危険であることには変わらない、早く移動しよう】


【そう思って歩き始めた瞬間────音もなく、目の前に影が降り立った】


【茶色の外套に身を包んでいるせいで背丈が150程度であること以外、身体の造形が分からない。頭もローブに包まれていて、薄いブロンドの髪が隙間から覗いている】
【顔は真っ白な仮面で覆っている。その仮面には黒い穴が二つと、三日月型の真っ黒な切れ目が一つ】
【まるで笑っている人の顔のような、恐ろしい造形をしていた】


 『ひっ……! た、助けてくれ、誰かぁ!!』


【中年の男は恐怖に引きつった表情で、助けを求めて大声で叫んだ。仮面の何者かは無言のまま、男へと近づいていく】
【じりじりと引き下がる中年の男に迫り、袖の中から柄の小さい剣を、指に挟んだ状態で取り出した】
【それを見て中年の男はもう一度、大声で叫んだ。それは路地裏の静寂を引き裂いて響き渡った──】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:02:12.17 ID:rVNY62Q00
>>429

【お互いがお互いに違和感≠持つが、あえてそれを無視して普通≠ノ生きる。関わらず、近付かず、普通を求めるのであればそれが正しいだろう】
【無意識に、若しくは意図的に行った少女の行動は何一つ間違っていない。どちらがと問われるのなら彼女の行動が間違っている。】
【彼女は普通でありたい、なりたいと願うものの。その本質は全くの逆。例えるのなら―――剣に狂った異形の末裔。】
【剣を振るうだけに存在し、剣を振るう事で存在価値を確定させる精神異常者≠ナあり。根本的な面から見れば少女よりもはるかに明らかに異常≠セ】
【だからこそ―――気になる。それが破滅の道だったとしても、彼女は見ないフリをすることなんて出来なかった】
【結局はいつもそうだ。なんだってそう、普通普通と言いつつも、所詮は異常にしか浸れない。自ら其れに首どころか全身を浸していく】
【でも、これは何時もの異常とは違う、明らかな殺意と悪意。それに伴うプレッシャーは既に体に圧し掛かり、たかがアレ≠ノ全身の自由すら半分束縛されている。】
【何故断らないのか自分でもわからない。いうなれば本当になんとなく≠ニ言うべきか、此処で聞いておいた方がいい、関わらなくてはならない】
【という確信めいた直感が、今の彼女を突き動かしていた。ずかずかと、人の心に入り込む様は正直不躾′セわれてみればそうかもしれないな。】


―――――――

【僅かな沈黙】


「…………なんて、ね」
「――――やっとホントの顔=Aしてくれた」

「なんとなくわかるのよね、貼り付けた♀轤チて奴?」

【あと一歩踏み込めばいい所で、歩みを止める】【それは、目の前の少女から放たれる殺気が柔らいだからか、それともアレ≠ェ緩んだから】
【彼女にしてはらしくない行動を続けていたのは紛れも無くその所為で、刀が竹刀袋から見える寸前】【踏み込んでほしくない領域<Mリギリ、半歩突っ込んだ状態で停止する】
【ニヤリ】【してやったりとでも言いたげな表情は酷く憎らしく、少女にとってはとても嫌なものに見えるかもしれない】【多分、そう思われてしまうだろう】
【あのままであれば確実に彼女はアレ≠ノ触れていた】【十中八九その先に待つのは得体のしれない最悪だろうし、少女はそれを止めている】【だが、好奇心は揺るがない】
【ドクリドクリと心臓は脈を打ち、その危険性を伝えている。何故少女がこんな得体のしれない物を持っているのか、何故それを隠そうとするのか――後半についてはおおよその察しが付く】
【アレが何なのか気になっていたのは本当で、今発したセリフも嘘はない。どちらもをとることは不可能で、彼女にはその器≠ェまだないだろう】
【だから、そういう事にする=B逃げと言い換えてもいい、彼女は一歩引いた】【その顔に浮かぶ表情が、まるで諦め@p途でもするかのように映るその瞳が】
【――――――少し前と重なって】

「…………多分、言いたくない物なんでしょ? そのセリフから大体の察しは付くし」
「知りたくないかと言われれば嘘になるけど、桃子の意思を無視してまで見たいわけじゃない」

【くるりと竹刀袋の中身を回し、肩からおろしたそれを再度右肩へと背負い直す】

「アレ≠フ事も、桃子の事も、取敢えず全部ひっくるめて」
「――――――今日から友達になりませんか?」
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 22:07:17.73 ID:lIWqJvmOo
>>430

【――――絶叫が響く路地の真上を、鼠が走り抜けるように小さな闇が駆け抜けていく】
【足音も気配もほとんど消し、人並みはずれた敏捷性と小柄な体格を駆使して最短距離を駆け抜け、その影は跳んだ】

【その現場≠フ真上――――真横の建物の屋上から飛び降りた何かが、一瞬だけ月影を遮るのがわかるだろう】
【それに気づくのは果たして、中年の男が先か仮面の何者かが先か。どちらにしても、闇色の影は二者の中間の位置へ着地するはずだ】


…………止まれ。


【発せられる声は、いやに高い。現れたのは仮面の人物よりもさらに一回り小さな、幼い少女であった】
【濃鼠色の髪を黒い大きなリボンで縛った髪型で、黒馬の尻尾のような髪束が肩口まで柔らかく広がっている】
【服装は袖を七分で絞った丈の短い和服の上に真っ黒なベストを着込んだもので、露出した腕には包帯が何重にも巻かれていた】
【その他にも、手には鉄板で補強した革手袋、脚にはニーハイブーツ、僅かに覗く太股にも黒いタイツ。首元には暗い赤色をしたロングマフラー】
【全身から執拗なまでに肌の露出を無くした、徹底して闇に紛れるための服装が、少女の体を覆っている】


わたしはじけいだん≠フものだ。
おまえ、この男をどうするつもりだ?


【淡黄色の大きな瞳で仮面を睨みつつ、幼い語調ながらも両者に聞こえるよう、少女はマフラーの首元を差してそう言うだろう】
【黒ずくめの怪しい格好や小さな外見には似つかわしくないけれど、そこには確かに自警団≠フエンブレムの描かれたバッジがある】
【それを両者が信じるか信じないかは勝手だ。けれど少女が、この路地裏の一幕へ介入する意志を見せたことだけは、紛れもなく本当であり――――】


/もしまだいらっしゃれば!
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/25(火) 22:10:04.96 ID:hwg7bujSo
>>432
//いますが、食事をとるので少しお待ちを!
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 22:15:10.48 ID:ztKKyNDM0
>>430

【それは御機嫌な口笛であった。】
【男の後ろから、もう一つの足音が聞こえてくる。四分の三拍子で響く硬質な足音が、律動を刻む。】
【それに則って奏でられる甲高い口笛は、幾度も変調を繰り返し、規則的な音階を黙殺していた。】
【故に御機嫌でありながら、何処か焦燥としていた。かつ何処か呑気でもあり、そして何より――何処か、不気味であった。】
【仄かに漂ってくる乾き切った血の香りと、共に沈んでいく腐肉の臭いが、それらの先決的な印象に拍車を掛けるのは、云うまでもない。】

「アら――欲の臭いが、来るわね」

【止んだ口笛の代わりに響くのは、婦人然とした至極穏やかな女声であった。】
【されどその主の容貌は、身体付き以外はあまり落ち着いた婦人然とはしていなかった。喩えるなら、知恵遅れのハイカラ娘が選んだ衣装のようであった。】
【赤黒いシルクハット、赤黒い軍服、赤黒いロングブーツ。沈みかけの夕日に溶ける影法師が、そのままぬるりと立ち上がったかのようでもある。】
【すらりと伸びる長身に通った鼻柱、目元は柔く口元は緩む。透き通らんとばかりに、肌は白。白金の髪は腰でたなびく。】
【背中には、背丈ほどもある何かが背負われていた。それに巻かれた襤褸布には、幾分かの紅い染み。】

「――あァ、こんばんは」

【それまで男を見ていた彼女は、その後ろの影に気付いた。ひらり、と片手を上げながら、彼女は仮面の何かへと挨拶を一つ。】
【柔和な笑みと優しげな声色は、男が詰められた状況にも仮面の何かが詰めた状況にも、あまりにも無遠慮で不釣り合いであった。】

/まだいらっしゃればー……。
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/25(火) 22:17:37.47 ID:ztKKyNDM0
>>434
/あー、被っちゃったので取り下げます。
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/25(火) 22:49:21.06 ID:oDpwjGjb0
【冷たい風の吹く森の中。其処に響くのは澄んだ音色が紡ぐ古の旋律】
【音の主を探したならば、やがては一つの岩へと視線が留まる事となるだろうか】
【月光に照らされる其処に座るのは純白のローブを纏った少女。髪も肌も同じ様に全てが白なのだから、人間とは異なる生き物の様にも思えて】

【――――手にしているのは木から作り出されたオカリナか】
【その場所も合わさり、どことなく神秘的な雰囲気が漂って居るのだから多少離れていようともオカリナを奏でるその者の存在に気付くのは容易で】


「――――……。
今日ならば大丈夫かと思ったのですが、イリニの思い違いでしたか」

【やがて旋律も終われば、小さく吐かれるのは溜息】
【或いは何かを期待して奏でたのかもしれないがそれは叶わなかったといった所か】
【暫しの間、月を見上げたまま動く事も無く―――――】

【仮にこの場に近づく者が居るならば、辺りに数多く散らばる小枝に気を付けねばなるまい】
【もし少しでも音を立てたならば、視線がそちらへと向けられるのだから】







【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/25(火) 23:07:38.03 ID:jvVZBO1/O

【夜が更け、次第に眠りにつき始めた街の通り】
【ほんの数時間前までは少し早めのイルミネーションに彩られていた、今は所々で地味な色の点がぽつぽつと闇に浮かび上がっているだけの広い道を少し外れた所。濃く暗く不気味な灰色の細道】
【そんな空間に潜むのは、迷い込んでしまった“日の当たる世界の人々”を甚振り苛み嬲り弄ぶのが何よりも好きな残忍な“闇の住人”達】
【そして、その灰色が支配する空間には今宵も哀れな獲物が一匹迷い込んでいたのだった】

【ハニーブロンドの髪に赤紫色のフードが付いたパーカーと紫色のスカート。少しだけ開けたパーカーから見えるのは生成色のブラウスの襟と青のリボンタイの一部分。紺色のボストンバッグを肩に提げ取っ手を強く握り締めている十代前半位の一人の少女】
【彼女はどうも道に迷ってしまったらしく不安げな表情で辺りを見回しながら歩いている】

【──ぐちり】

【不意に少女の赤茶色のショートブーツが何かを踏みつけ、汚らしく暗い赤色を白いニーハイソックスに跳ねさせる】
【少女はその違和感の先にあるものにワインレッドの双眸を向け──そして、大きく見開いた】
【そこに“在った”のは闇のモノの毒牙にでもかかったのだろう、黒くなり始めた朱と自らの中身を灰色の空間に撒き散らした“オンナだったモノ”】


きゃああああああああッ!!
【今までこのような状況に陥った事がないのだろう、少女は声の限りに悲鳴をあげる】
【路地裏に響いた少女の声にひかれてやってくるのは味方か、はたまた獲物を見つけた殺人者か】





438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 23:12:07.09 ID:9ey+ebi3o
【風の国・繁華街】

【夜間の常として、その一角でちょっとした諍いが起きていた】
【だが、しばらくすると問題の中心だろう若者たちが一斉に街中を駆け抜けてゆき】
【あとに残った、トラブルの元のもう一方を見れば――其処には、一人の巨漢が居り】

ふン……相手が誰かも見極めず、なんとも口汚い連中だ……。
ああいう者共こそ、神学校に放り込むべきなのだが……
……いや、子供たちに悪影響が出るか。まあいい、そんな事よりも、だ

UNITED TRIGGER=c――さて、どちらだったか……?

【身長は180cm余り。聖職者らしく、白のローブと豪奢なマント姿をし】
【そして、そういった服の上からでも分かる程に鍛え上げられた肉体をした男であった】

【顔つきは厳しく、如何にも口うるさく頭の固そうな人物で】
【繁華街に居ると嫌でも目立つのだが――トラブルの事など、忘れたとばかりに周りを見回し】
【ふと口にするのは、近くに拠点を構えるとある組織の名前。誰かの耳に入れば、気を引くかもしれないが――?】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/25(火) 23:20:19.24 ID:dVWuxT3/o
>>432

【少しずつ、だが確実に距離が詰まっていく。恐怖に足が竦みきった男は尻餅をついて倒れてしまう】
【もう、彼は動けなかった。手足が全く言うことを聞かず、ただ目の前の“死”が、自分を捉えるのを待つばかりだった】
【仮面の追跡者は刃を振りかざした。月光が反射して輝き──一瞬、影を帯びた】


 『ひ、ひぃいいい!!』


【乱入者が現れて、男は錯乱したままに声をあげた。だがその少女が話すにつれて、顔から恐怖が引いていった】
【動けないことに変わりはないらしく、逃げることもせずに不安そうな表情でやり取りを見ている】
【一方で仮面の追跡者は微動だにしなかった。少女の質問にも答えず、仮面の暗い双眸と薄笑いだけが彼女を見つめていた】

【追跡者は、まず振りかざした刃を下げた。少女を目の前にして逃げもせず、襲いもしない】
【ただじっと動かずにいるのは、逡巡しているようにも、少女を見定めているようにも見えた】

【だがそれはほんの僅かなこと。数秒もすれば、追跡者の方から動いた】
【下ろした腕を左右へと振るい、指で挟んでいた剣を少女に向けて投擲する】
【剣は高速で回転しながら迫っていく。当然彼女の後ろには──狙われていた男が床に尻餅をついたままだ】


//お待たせしました!
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 23:22:37.23 ID:hmm+aqGoo
>>431

【言ってみれば拍子抜け、そして彼女からすれば安心すべきなのだろう――得物は姿を見せず、互いの異常に踏み込む寸前で歩みは止まる】
【けれど空気は間違いなく劣勢、まるで心の奥底まで見抜かれているかのような感覚に陥り、冷や汗が一筋頬を伝う】
【仕事をする時ですらこんなに緊張しないのに――――息苦しくて、逃げ出したい】

【表情を作っていたのは本当。此方が素なのかと言われれば、きっとそうなんだろう】
【人との関わりを極度に避けていたから、どんな表情を浮かべればいいのかなんて本当は分からない】
【そうだ、分からない。分からないことだらけだ――どうしてわざわざ、こんな醜い姿を引き出させたの】
【分からない。目の前の少女は、彼女の理解の範疇からあまりに外れすぎている――――返す言葉も、見つからなくて】
【どう返すのが正しいのか、どうすればいいのか分からなくなっていた彼女に、少女の言葉は更なる混乱を与えた】

「――――――――え?」

【まず耳を疑って、頭を疑って、そして少女を疑った。漏れた声は実に間抜けで、鏡を見ればきっと抜けた表情が写っているはずだ】
【今までのやりとりから、自分が明らかに普通では無いことは分かったはずだ】
【ならば自分と関わるということが、彼女の目指す普通から外れることになるだなんて考えなくても分かるだろう】
【なのに、どうして。普通でいたいなら、自分となんて関わらないほうが絶対にいい。そうに決まっている】
【そう自分で分かっているのだったら、返す言葉も決まっているだろう――――『それは出来ない』と】

「……………なんで」

【しかし口から紡がれた言葉は意識した其れとは全く違うもので】
【自分でも其れに気づきながら、それでも口は止まらず――――――――】

「……分かるでしょ、私普通じゃないの。あなた、最初に言ってたじゃない、普通を目指してるって」
「…………だったら関わらないでよ。近づかないでよ。今なら引き返せるから、私のことなんて忘れてよ」

【拒絶するような言葉。あえて口に出さなかった其れ等が総て、少女に向かって刃となり放たれていく】
【そう思うならなんで自分から離れていかないのか】【本当に近づいてほしくないのなら、自分から離れていけばいいのに】【そんなことにも気付け無いほど、彼女は馬鹿なのか】
【いいや、違う。気づいている。彼女は勉強は出来ないが、だからといって能無しの馬鹿という訳ではない】
【そして気付いているからこそ、もどかしくて苦しいのだ――――独りにはもう慣れたって、そう思っていたのに】

【数百人を殺した殺人鬼】【呪われた妖刀を持つ首斬り姫】【その正体はどこにでもいるような、普通の少女】
【独りは寂しい。それは当たり前のことで、そして彼女にとっては独りでいることが当然だった】
【友達が欲しくないわけじゃない。自分だって普通に、誰かと笑い合って生きていきたい】
【けれど其れは駄目なのだ――――――――――――――――何故か】

「――――私、人殺しなのよ。それも一人とか二人とかじゃなくて、何百人も殺してるの」
「ねぇ、そんな人間と友達になってどうするの? もしかしたら殺されるかもしれないわよ?」
「こんな頭のおかしい殺人鬼のことは忘れた方がいい――――あなただって、そう思うでしょ?」

【たとえ彼女がただの少女だとしても、常識という隠れ蓑で取り繕ったとして、人殺しという事実は変わらないからだ】
【そんな自分が普通に生きていい筈がなく、幸せになっていい訳がない――――最も裁かれるべきは、自分自身なのだから】
【たとえ声が震えていても、たとえ縋るように瞳を潤ませていても、所詮はただの殺人鬼。斬って棄てるのが一番正しいのは明らかで】
【自分でも其れを分かっていて、それでも自分から完全に突き放せないのは――――――――】

//遅れました、お返しします……!
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/25(火) 23:43:31.32 ID:K8wtO2YX0
>>438

【大きな背のひとが居ると、つい視線で追いかけてしまう癖がいつの間にかついていた。まして、】
【聖職者みたいな格好のひとが騒ぎの真ん中に居るとなると、余計に、余計に、目だって――だから】
【ふらりと吸い寄せられた足。ほんの少しだけ離れたところから見ていたのだけれど……呟きに気付いたなら、】

あの……、あっち、です、

【こつこつと小さな足音で寄って来る人影。さっきまで騒ぎを起こしていた人間でも全く気にしない態度の“少女”は】
【ちょっと控えめな様子で声を掛けてくるのだった。振り向いてみれば、その華奢な指先は、道の向こうのほうを指していて】
【彼女の言葉を信じるなら、そっちのほうに目当ての店があるらしい――嘘を吐くメリットもないだろうから、きっと本当のこと】

【見れば彼女は手に近所のスーパーの袋を提げていて。見れば中にはおつまみの類、よっぱらいの好みそうなちょっとしたもの】
【もし視線を向けるなら――別に向けなくても、続く言葉で、彼女の立場が分かるのだろう】

あ――その、わたし、UTでお仕事してるの。今は怪我してるから、ちょっと、お休みなんだけど……。
お客さんがおなか空かせてるかなぁと思って、差し入れを――――。

【怪しいものじゃないです、という風な仕草をして、袋を両手で持ち上げた彼女は、ちいちゃく首をかしげ】
【くしゅっと小さく苦笑気味に笑う、――あんまり、強いような性格はしていないことが窺え】

【黒髪の少女だ。頭の横に垂らした三つ編みは、下ろせば腰ほどまであるはずで――フードを目深に被って、】
【黒色と赤色のオッドアイは丸みを帯びた釣り目。右耳にだけしているピアスには、宝玉の欠片なんてものがあしらわれ】
【服は魔術師めいた濃紫色のローブ。見る者が見れば分かるのは、それには、強い反射の術式が篭められていることで】
【(或いは、それが、外から守るのでなく、内のものを出さないように、であることにも気付けるかもしれず)】
【足元はヒールの低めなロングブーツ。それから、気付いたように彼女はフードをふわりと脱ぎ】

――良かったら、お店まで送ります。

【だなんて、にっこりと笑うのだ。――道が分からないというなら、これに、従ってみるのもいいかもしれないけど――】
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/25(火) 23:56:12.39 ID:lIWqJvmOo
>>439

【恥も外聞もなく恐怖の声を上げる中年を、少女は一顧だにすることなく仮面を見据え続けるだろうか】
【目の前の白面から感じる得体の知れない何かが、少女から振り返るという選択肢を奪っていた。皮膚が密かに粟立つのを、自覚する】
【嘲笑うかのように存在する三日月に苛つきを覚えつつ、彼女は次に懐から無線を取り出すだろう。通信先は大体予想がつくはずだ】
【小声かつ暗号交じりの会話だけれど、何かしらの指示が発せられたと察するのもまた容易か。一瞬、少女は真後ろの男へ気を逸らし――――】


――――まっすぐ走れっ!!


【男へ言おうとした言葉は極限まで要点を絞られて、叫び声の形で発せられることとなった。注意を前方へ引き戻すと、少女は右腕を突き出す】
【もし男が少女の言うとおり、この路地をまっすぐ走って行ったなら――――その先では二名ほどの自警団員が待ち構え、男を保護しようとするはずだ】
【……もっとも。男が何をして仮面に追われていたのかによっては、保護ではなく逮捕≠ニいう形に変わるかもしれないけれど】

【――――さて。投擲された剣に対して少女が突き出した右手、そこから黒い物体が同じように投擲される】
【中空で剣とぶつかり合ってその勢いを殺すのは、ちょうど今しがた使っていた無線機。衝撃で壊れたソレは使い物にならなくなってしまうが、】


だれだか知らないが………話を聞かせてもらおうか!


【いま正に始まってしまった暗闘を前に、そんな些事を気にする少女ではない。剣の軌道を潜るように体を沈めると――――手を伸ばし、その柄を掴む=z
【無線機を投げつけて勢いを殺しておいたとはいえ、相当の反射神経と技量がなければ出来ない芸当。少女は仮面に啖呵を切るなり、掴んだ剣を投げ返すだろう】
【狙いは仮面の右太腿。脚を狙って機動力を落とす、常套手段とも言える手だ。おまけにこういった攻撃に慣れているのか、投擲速度もそこそこ早い】

443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 00:00:57.24 ID:siWFuIB40
>>440

【『数百人を殺した』などと普通の人間が訊けば、まず疑うのが常だろう。事実、彼女もこの状況と自身の体質が無ければ鼻で笑っていたに違いない】
【だが、それをもしかしたら≠ニ信じられる素材が至る所に存在し。且つ、彼女はそれを感じ取る℃魔ェ出来てしまったいた】
【普通の人間よりもはるかに高い感知能力と、剣に対する感応能力】【それら二つが明確にもしかしたら≠ニ訴える】
【信じたくはない、が信じることができる。理解自体はしたくないが、理解することができる。】
【矛盾とも言えぬ分割思考に業を煮やして、深呼吸を一つ。】

「――――――そうね。」


【一呼吸】

「――――――それが桃子自身≠チて言うのなら、忘れたほうがいいかも知れない」
「殺すのが好きな殺人鬼、快楽目的の殺人犯、復讐気取りの虐殺鬼。普通を目指すのなら、確かにいらないよね」


【一呼吸】


「でも、私はそうは思わない。まだ出会って少ししか経ってないけど、だからこそわかる」
「初めて会った人の事を其処まで心配してくれる子≠ェ、さ――――」

「――――少なくとも私は、桃子が頭がおかしい殺人鬼≠ニは、思えないんだ」

【言ってしまえば、少女が人を殺していて、彼女は誰も殺めていない】【その構図は簡単故に、実のところ容易く崩れてしまう】
【彼女の起源は剣の舞姫《ぶき》。ただひたすらに殺し、殺し、殺し尽くす殺人機械の一部であり、確かに彼女はその血液を引いている】
【故に、現在の構図においてもその事柄を頭に入れれば随分と分かりやすくなるだろう。つまり、彼女は僅かながら自分≠重ねているのだ】
【表情や仕草を見れば誰にだって少女の言っていることが逆≠ネのは明白。探さないでは探してくれの意味と同じで、うるんだ瞳が言外の言葉を語っているのもまた明らか】

「…………それに、普通≠チて言うのが見ないフリ≠して生きるっていう事なら、私は普通じゃなくてもいい」
「涙目の女の子に「それじゃあ」ってバイバイするような普通なんて――――――いらないでしょ?」

【少し自慢気ではあるが、其処に虚偽の色は無く】
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 00:04:28.11 ID:4N2MiN3go
>>441
//申し訳ない、今気付きました……!
//時間も時間だったので、今日はダメかと思っていたところでして……
//あまり遅くまでも居られないので、また次の機会にお願いしたく思います
//絡んでいただいたのに本当にすみません……。
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 00:20:30.57 ID:c4mnrDRc0
>>444
/はい、了解ですー
/こっちも遅かったのでお気になさらずですっ
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/26(水) 00:22:03.77 ID:x+ba3hC8o
>>442

【少女の、叫びと化した言葉に男は一瞬、身体を震わせた】
【その後彼は言われた道を見た。暗く口を開けた、路地の道を】
【──彼の視界には、白い仮面の追跡者も映っていた】


 『で、できねえよ! 殺されちまう!!』


【中年の男は少女に向かって年甲斐もなく叫んだ。それは決して恐怖だけによるものではなかった】
【確かに追跡者は恐ろしい。だがそれよりもこのまま助かったとして、その先の人生は暗い】
【そんな中途半端な打算が、指示に従うことを拒絶していた】

【右大腿を狙った、一種奇抜な攻撃方法。スピードと正確性がなければできない攻撃だ】
【しかし──敵の武器であることが災いしたか。柄を掴んだ瞬間か、その直後か。剣の刀身は唐突に消えた】
【結果、仮面の追跡者に命中したのは柄の部分だけ。当然、ダメージなど与えようもない】

【右大腿に命中した柄を手早く回収すると、一瞬、袖の中に手を引っ込める。出てきた手には既に柄の部分はない】
【その後に追跡者は構えを取った。少し腰を落とし、拳を作った右手を引き、左腕を前に出し、前腕部を地面と垂直にする】
【左半身が前に、右半身が後ろに。拳法か何かでよくある、一般的な構えだ】

【だが、その動きは常人のそれとは遥かに違った】
【前に既に出ている左足で、一歩強く踏み込む。それだけでは通常であれば彼我の距離は詰まらない】
【にも関わらず──まるで地上を滑るかのように、彼はその態勢のまま、少女との距離を一瞬で詰め切った】

【至近距離に詰め寄り、さらにもう一歩、今度は引いてある右足で踏み込む】
【それと同時に腰をひねり、引いていた右の拳を少女の腹部めがけて突き出す。これもよくある、教科書的な打撃だ】
【しかし、当たってしまえば単なる打撃ではない何か“別の力”が加わっているような衝撃が襲いかかる】
【何よりも厄介なのは速さだった。少女が剣を投擲してから接近、打撃まで殆ど隙間なく動いている】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 00:35:04.48 ID:dw8zG1Jno
>>443

【ここで少女が山城桃子という人間を否定し、総ての意見を肯定してくれたならどれだけ楽だっただろう】
【きっと今この瞬間は辛いだろうけれど、結局そんなものだと納得し、いつもどおりに人を殺し、そしていつかはどこかで無様に野垂れ死ぬ】
【諦観と停滞で構成された人生は酷く虚ろで、けれど其れに浸かり過ぎて慣れてしまっていた自分がいて】
【真実を晒せばどうせ相手も何処かに消える――いいや、消えてくれと、そう思っていたのに】

「やめてよ…………私を肯定しないでよ…………」

【殺人鬼であることの否定、そして彼女という人間の肯定】【少女の態度、言動、行動総てが精神を抉り取る】
【彼女は殺人鬼である己を肯定し、普通である自分を否定した】【そうでなければ、精神をまともに保っていられなかったからだ】
【自分は悍ましい人殺し。死ぬ其の瞬間まで咎人を断罪し、最後には自分が裁かれる】
【そうしなければ、今までに殺してきた人達の死が無駄になる――――だから殺人鬼であり続けようと、ひたすらにそれだけを考えてきたのに】

【俯いて、覚束ない足取りで一歩前に踏み出した――――駄目だ、いけない。このままでは壊れる】
【今まで積み上げてきた砂の城よりなお脆い、殺人鬼としての自分が崩されてしまう】
【いや、すでにきっと壊れかけているんだろう】【必死に作ってきたくだらない仮面が、もうこんなにもボロボロなんだから】
【もう一歩踏み出したところで、崩れ落ちた。精神の状態が身体に影響を及ぼしたのか、其の姿はとても頼りなく】
【なけなしの力で相手の制服を掴み、膝をついた状態で少女を見上げ――――】

「お願い……もうやめて………………」

【地面に零れ落ちる雫、弱々しい言葉は少女に届くかどうかわからないほどか細く力無い】
【其れは死を迎える直前の遺言にも似ていて】【其の姿は死を待つ死刑囚の様だった】
【助けてなんて今更言えない。友達になりたいだなんて、言えるわけない。けれど突き放すことも出来なくて】
【誰よりも弱い独りぼっちは、殺して(たすけて)と少女に縋る――――】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/26(水) 00:57:33.70 ID:KvMJo2Lzo
>>446


ちっ………! このままここにいた方がきけん≠ネのが、なぜわからん!!
いいから行け、この先でなかま≠ェ待っている! それができないのなら、せめてはなれていろ………!!


【マフラーに埋もれた小さな口元が、真後ろから飛んでくる声を受けて強い苛立ちに歪んだ】
【少女とて自警団員を名乗る以上、自身の実力に自身はあるけれど……手の内の読めない敵を相手にしつつ男を完璧に守りきるだけの自信は、ない】
【甲高く幼い声で必死に男を脅し立てつつ、少女の注意は周囲全域へと向けられるだろう。周囲に伏兵がいないかどうか、できる範囲で気配を探るのだ】
【普段から闇に紛れての任務が多いため、少女は『人の気配を読み取る』ことに長けている。近場に別の敵がいれば気づく可能性は高いだろうか】


(刃が、消えた? あれがやつの力か………?)


【その気配探知の結果がどうあれ、少女は自らの投擲攻撃の結末を見届けてわずかに目を見開く】
【この分だと敵の武器を奪って攻撃するのは悪手らしい。バックステップで軽く距離を取りつつ、少女は警戒をさらに強めて】
【――――この次の攻撃に反応できたのはこの行動のお陰というのが大きかった。この偶然がなければ少女は恐らく、沈んでいただろう】


…………な、っっ!
こい、つ、何――――!!?


【仮面が構えたまでは解ったが、少女にはその後がまるで理解できない。これが異能なのか技術なのかを判別する経験≠ェ彼女にはない】
【理解不能な動きで一瞬にして距離を詰められ、踏み込まれる。だが事前に取った距離のお陰で、踏み込みの瞬間をギリギリ視認できたのは幸い】
【瞬時に繰り出される右拳に対し、少女は全力で地を蹴った。打突が腹を貫く瞬間、自ら真後ろに飛ぶことで威力を軽減しようとしたのだ】
【さらに――――少女の腹へ打ち込まれた仮面の右拳には、鉄板を殴ったような手応えが返ってくるはずだ。恐らく服の下に何か仕込んでいるのだろう】

【腹に突き刺さる拳は鉄板に阻まれ、さらに真後ろに跳んで直撃も避けた。だがそれだけやってなお、少女の顔には苦悶が浮かぶ】
【打撃力以外の何かに腹を抉られるような、妙な感覚……それへの畏怖と戦況判断が合わさって、少女は着地よりも反撃≠選択した】


くっ………!!


【打突の勢いで弾き飛ばされながら、少女は空中で両腕を振るう。この瞬間、彼女の瞳がわずかに光を発したのに気づくだろうか――――】
【ついさっきまで何も握られていなかった少女の両手に突如として何か≠ェ現れかと思えば、同時にそれらが仮面の両足めがけて投擲されるだろう】
【左右二枚ずつ、合計四枚のそれは手裏剣≠セ。しかも嫌らしいことに、ツヤ一つ残さず漆黒に塗りたくって視認を難しくする工夫がなされている】

【両足へ迫る四つの刃は、剣より軽い分威力は劣るが速度が早い。黒塗りの工夫と相まって、常人なら投げられたことに気づくことすら難しいか】
【飛翔の最中、ほんの微かにひゅんっ≠ニいう風切音が響きはするけれど、軌道を読むヒントはそれだけ。対処できるかは、仮面の技量と経験次第だ】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 01:01:37.12 ID:siWFuIB40
>>443

【―――――っと。参ったな】
【同じ性別であるというのは理解しているものの、やはり少女の涙というのは人の心を叩くものがありまして】
【加えて縋りついて泣かれるという経験があるわけで無く、これが初めての事であったのも災いし、彼女は大いに困惑した】
【零れ落ちるその涙も偽物とは思えず、縋りつかれるがままにおろおろと両手を右往左往させる】【少し、軽率過ぎたのだろうか】
【だが、それほどまでに思いつめて≠「たというのもまたここから見出せる真実もあるわけで。多分、彼女の思っているより多くを見てきたんだろう】
【経験してきたんだろう。想像を絶する―――そういえば些か陳腐に過ぎるが、もとより語彙は少ないもので、その分真実へと近い】


「あはは…………どうにも困った」
「やめないけど泣き止んで―――――って言うのは少し酷かな」

【困り顔で、まるで小さな子供をあやすみたいだな―――そんな感想は言葉に出さず。軽く、背中に手を回す】
【多分、これは私の我儘でしかない。自らの好奇心で一人の少女を泣かせて、傷付けて、それでもなお傷付けようとしている】
【周りから見れば、周りから見なくとも私は部外者だ。少なくとも、一学生如きが同年代相手に説教を垂れて良いわけがない】
【でも、そうだとして今°モ「ているのを――泣かせたのは彼女だが――泣かせたままにしておける≠フは、彼女だけだ】

「私を拒絶したいなら、それでもいい」
「私が嫌いになったなら、それでもいい」


「でも、今だけは涙をぶつける対象≠ニして――――見てくれると嬉しいな」

【少女を泣かせた責任。では無く、ただ単純にそうしたい≠セけ】
【勿論その感情が完全に無いとは言えないけれど、目の前の少女をこのまま放っておくには少し、気がかりで】
【少なくとも泣ける℃桙ノは、涙を流していたほうがいい】【涙が出る内は、まだ普通の人間なんだから】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/26(水) 01:21:20.67 ID:x+ba3hC8o
>>448

【少女の忠告・指示は尤もだった。それが分からないのはこの男だけだ】
【周囲に敵の気配こそないものの、この場が危険地帯だというのは変わらない】
【それだというのに、中年の男は首を左右に振った】


 『わ、悪いが動けないんだ! 上手く戦ってくれ!』


【ついには指示をし返すほど、精神的には回復したというのに、今度は打算が大きくなってやはり動こうとしない】
【自警団に捕まるか、追っ手に殺されるか。どちらも回避する方法は、もう共倒れしかなかった】
【この男は愚かにも、それに賭けていたのだ】


【打撃直後の隙に襲いかかる反撃、暗闇に紛れる見えざる四つの刃】
【少女を弾き飛ばした直後を狙った、しかも弾き飛んでいる最中の動きともなれば、反応は難しいか】
【それらは全て、追跡者の両足にそれぞれ命中した。だが膝を折ることさえしない】
【これもまた常人の反応とは違う、能力か、はたまた別の何かか──】


【少女が空中にいる間に、追跡者は手早く追撃を行った】
【一瞬だけ袖の中に両手を隠す。もう一度出したとき、その両手には最初の投擲と同じ小さな柄が指に挟まっていた】
【片手に三本ずつ、計六本。次の瞬間に、それらから刀身が、生えるように姿を現した】
【そして両手を左右へと振るい、追跡者は全ての剣を投擲した。三本は宙を舞うくノ一へ、残りの三本は後ろにいる中年の男へ】
【自身が跳躍した状態で、放物線を描いて二つのものへと接近する投擲物を全て撃ち落とすだけの技能は果たしてあるだろうか──?】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 01:31:09.55 ID:dw8zG1Jno
>>449

【ありがちな表現だが、一度決壊してしまったダムがもう元には戻らないように、一度涙が溢れてしまえば止めたくても止まらなかった】
【もしかしたら、止めるつもりも無かったのかもしれない。彼女にとって、少女の言葉はあまりに眩しくて、そして温かすぎたから】
【ここで拒絶出来なかったら、この先もっと辛い葛藤が待っているに違いない】
【ここで嫌いになれなかったら、殺人鬼としての自分は壊れてしまうに違いない】
【だから己を貫き通すならば、少女の言葉に頷いてはいけない。けれど――――】

【今だけは=\―そんな甘い言葉に負けて、少女は言葉もなくその身体を少女の方へと傾けた】
【離れよう、少女が血で汚れてしまうから】【このままだと後戻り出来なくなる】【殺人鬼がそう囁くも、身体は動かず】
【人斬りという存在で無理矢理固めていた彼女の存在はあえなく瓦解し、今までひた隠しにしてきた本来の彼女が僅かに露わになる】
【人殺しというにはあまりに弱く、殺人鬼というにはあまりに儚く、罪人というにはあまりに清廉で】
【声を殺そうという努力も空しく、夜の公園に幼い泣き声が響き渡っていた】

――――――――――――――――

【それからどれぐらいの時が経っただろうか。彼女の体感ではそんなに経っていなかったが、数十分はおそらくそうしていたに違いない】
【途中からは泣きつかれたのかただ抱きついているだけのようなモノだったし、彼女自身離れるタイミングを見失ってしまったのだろう】
【…………いや、単純にくっついていると暖かったからというのもあるのだが】
【ともかく彼女は長時間ひっついていた末にようやく離れると、真っ赤に腫れた目を制服の袖で何度か拭い、伏し目がちに少女へと視線を向けた】

「…………ごめんなさい」

【其れは何に対しての謝罪だったのだろう。長い間くっついていた事に対してか、それとも先ほどぶつけた色々な言葉に対してか】
【或いは自分のような存在に関わらせてしまったことについてか――きっと、全部ひっくるめての謝罪なのだろう】

「あんなこと、言われたの…………その、初めてだったから」
「えぇと、これ…………」

【両親の死後、彼女の本性を知りながら優しい言葉をかけてくれた人間は、当然だが皆無である】
【自分を受け入れてくれるような人間はいないし、いたとしても縋ってはいけない。そう思って生きてきた】
【それが少女にちょっと優しくされただけでこれである。自分の精神の弱さに辟易すると同時に、少女に対しての申し訳無さが更に肥大化し】
【とりあえず自分の涙やら何やらでぐしょぐしょになってしまった制服を拭くように、ポケットから水色のハンカチを取り出し相手に差し出した】
【ひゅるり――――――――この季節の夜風の冷たさを、思い出す】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/26(水) 02:00:47.24 ID:x+ba3hC8o
>>448
//すいません、眠気がもうまずいことになってきたので、凍結か終了をお願いしたいです……
//終了の場合は、単にこちらが撤退したということにして頂ければと思います
//ごめんなさい……
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 02:02:11.67 ID:siWFuIB40
>>451

【時間は過ぎゆくもので、それは頼んでも止まってくれるものでは無い】
【当然ながら彼女や、今彼女に抱き着いて泣いている少女の時間も過ぎていく。夜が、更に更け】
【時折軽く背中をほんの少し叩いたりと、彼女なりにいろいろ気を使ってはいたらしい】
【曰く女の涙には勝てない=z【どこかの誰かも同じような事を言ってたっけ】

――――――――――

「気にしないで――――って言うのは多分難しいだろうけど、桃子が少しでもスッキリしたのなら良かった」

「私も女の子に胸の中で泣かれたのは初めてだな―――――って、別にそれが悪い事じゃないからね!?」

【離れる際、感じていた体温が離れていくのが少し寂しい。人の体温というのは図らずとも心地いもので、彼女もそれは例外では無い】
【少女と同じような思考を共有していた(本人は気づいていないが)彼女は、目の前に立つ少女の赤く腫れた目を見て安堵≠キる】
【正確にいえば、これも逃げの一つに入るだろう】【泣かせてしまってよかった∞一歩踏み込んでよかった=z【という感情の羅列】
【少女からすれば迷惑だったかもしれないし、それを望んでいなかったのかもしれない】【だからこれはあくまで彼女が無理に強いたこと】
【安堵することも、逃げをすることも、本来は許されていない。だが、少しだけ良かった≠ニ思うのは―――悪だろうか?】

【「ありがと」そう言って少女が差し出した水色のハンカチを受け取り、制服に付いた汚れを表面だけ軽く拭き取る】
【本来ならば受け取らずに自分のハンカチか何かで拭こうとも考えていたが、先ほどまで泣いていた少女にされると叶わないらしく】
【あくまで最低限の使用―――汚れが選択した後も残らない程度――に留めた】【「洗って返すから」と言葉に出しておくことも忘れない】

「…………さむっ」

【触れている体温が無くなったせいか、すっかり忘れていた寒さ≠ェ体を突き抜け、ぶるりと身体を震わせる】
【そういえば今夜は冷えるんだった――――そろそろ本格的に体には悪い温度かも知れない】

―――――

「色々話したい事もあるけど、今夜はもう遅いから――――帰ろっか」

【少女が何かを言おうとしない限り、彼女が次に発する言葉は恐らくこれであり。少しの合間を持って帰宅≠ニしての行動を始める】
【少し言葉がタンパクにも聞こえるのは、彼女も彼女なりに気が動転しているという事】【流石に、未経験な事が重なれば気付かれもするし、動揺もする】
【それに今日は冷えるから、そんなあやふやな理由がぐるぐるとまわっている。表情だけは努めて冷静に―――多分、ばれていない】


454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/26(水) 02:07:47.02 ID:KvMJo2Lzo
>>450

【どうやら幸いにも、当座の敵は目の前の仮面一人らしい。このレベルの敵に囲まれては、男どころか少女の命も危ぶまれただろう】
【かといって――――それで安堵するには、少女は仮面の実力を目の当たりにし過ぎていたけれど】
【男の身勝手な指示に対する返答はなく、ただ「ぎりっ」という歯軋りだけが聞こえるだろうか。言葉を余裕すら、いまの少女にはないのだ】


(効いていない………!?)


【手裏剣は確かにすべて直撃した。一発一発の威力が低いとはいえ、四枚もの刃が同時に肉を引き裂けば、普通の人間なら動きを止めるはずで】
【それが、まったく怯まない。痛みを感じないのか、それとも元からヒトではない何かなのか、いずれにしてもあまりに異質すぎる】
【その正体を考える暇もなく仮面は動き出す――――けれど、今度は動揺こそすれ、先ほどの一打のように冷静さを欠くことはなかった】
【自らも手裏剣のような暗器を扱うためか、少女は袖の中へ敵の両手が消えた時点で次の攻撃を察知。再び、少女の両目が月光色の輝きを宿す――――】

【――――ここで少女は、仮面の実力を『自らより上』だと認識し、それを覚悟と共に受け入れて、幼い精神を今度こそ忍≠フそれへと切り変えた】
【最初の行動は一瞬前のものと同じだ。何もなかったはずの右掌に手裏剣が三枚補充され、少女はそれを腰を捻りと右腕の力のみで器用に投擲する】
【狙いは男を狙う三本。飛翔する三枚の黒刃は正確に剣の腹を叩き、打ち落とすとは行かないまでも軌道を逸らしてみせるだろう】


はぁっ―――――!!


【だが男を守ることを優先した以上、当然ながら残りの三本への対応は遅れてしまう。着地よりも仮面の剣速の方が速い、けれど――――】
【その瞬間、もう一度両目が輝いたかと思えば。少女の左手に何の予兆も無く曲刀≠ェ補充され、眼前に鋭い軌跡を描いて振り翳される!】
【鋭い金属音と共に三本の剣は弾き飛ばされた。うち一本は逸らしきれずに肩を浅く裂くいていくものの、致命傷だけは見事に避けきって】


――――答えろ! おまえは何ものだ!?


【着地した少女は、すぐさま叫びながら地面を蹴るだろう。まともな答えが返ってくるかはわからないけれど、】
【別に答えなくてもいい。少女は開いた距離を埋めるべく疾走しながら、少女は途中で体を一回転。両足を大きく振ったダンスのような動きだ】
【一見すれば撹乱のための動きにも見えるが――――瞳の光を見逃さなければ、両足の振りと同時にまた手裏剣が投擲されたことに気づけるか】

【枚数は二枚、今度の狙いは両肩だ。ただ先ほどと大きく違うのは、刃の部分に毒≠ェ塗られていることか】
【突き刺されば周囲の筋肉に浸透・麻痺させ、しばらくの間肩の動きを妨害するだろう。殺すための毒ではないが効果は高い】
【……相手が人間なら、だが。逆にいえば、毒が一切効かなければ人外の可能性もある。これは仮面の正体を少しでも探るための手でもあった】


/>>452 遅レス申し訳ないorz
/了解いたしました、では凍結ということでお願いします!
/明日の夜に再開ということでよろしいでしょうか、不都合がありましたらまた舞台裏で連絡して下さい〜
/お疲れさまでした、おやすみなさい!
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 02:24:19.03 ID:dw8zG1Jno
>>453

【スッキリはした。最後に感情を爆発させたのはいつだっただろう、きっと記憶が曖昧なぐらい幼い時に違いない】
【彼女の家は元々由緒正しい家系であり、幼いころより厳しい殺人の鍛錬を両親によって積まされてきた】
【其の頃からもう泣き言等言えなかったし、泣くこともあまり無かったように思える】
【が、それとこの申し訳無さは別問題である――――先ほど謝罪はしたけれど、また頭を下げた】

「…………本当にごめんなさい」

【今度の謝罪は申し訳無さが八割、そして後の二割は羞恥心である。今更になって、なんだか恥ずかしくなってきたらしい】
【人前で、声を上げて、其の上胸を――――お世辞にも大きいとはいえなかったけれど借りて、普通に考えて恥ずかしい状況である】
【頬を朱色に染め上げながら、帰ろっかという一言に頷いて、小走りでかばんと竹刀袋を取りに行く】
【折れた木刀はどうしようか――…………少し考えて、持って帰る事にした】
【スクールバッグを背負い直し、竹刀袋をしっかりと密封した上でこれまた背負い、少女の元へと小さく駆けていく】

「えと…………黒羽さん、帰り道はどっちかしら」

【いつの間にか落としていた木刀の柄と折れた刀身を拾いながら、少女に向かって尋ねる】
【彼女の家は公園と学校から少しばかり離れた場所にある、安い賃貸アパートである】
【人殺しで得たお金で生活するわけにはいかないと、僅かな仕送りと少々のアルバイトでなんとか生活出来る場所に住んでいるのだが】
【安さを求めるとやはり郊外になってしまうらしく、街の中心地からは離れていた】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 02:38:15.08 ID:siWFuIB40
>>455

【小走りで走る姿を見ながら可愛いなぁと思ってしまうあたり、もしかしたら自分には其方の気があるのかもしれない】
【…………いやいや多分それは先ほどの出来事のお蔭で少し気が動転しているだけで、吊り橋効果とかそんな感じだろう】【そう出会ってほしい】
【まさかこんなところで思わぬ自らの一面を垣間見てしまうことになるとは―――――駄目だ、動揺している。】

――――

「えっと…………こっち?」

【補足の説明をするならば、彼女の家は此処からもう少しだけ離れた一軒家であり。此処から郊外に至る手前辺りに位置していた】
【そういうことになると巧く説明できない自分がもどかしいが、簡単に「此処から結構近い」という事だけを言っておく】
【恐らく――――別れるのは彼女の家の近くと言ったところか】

――――【このまま帰宅の場合】――――


【帰り道、僅かに残る涙の冷たさが胸元に染みて、どことなく気恥しく。ぎこちないとまではいかない程度の沈黙が続くだろう】
【時折少し会話をして、そしてまた歩く。地味だけれど、普通と言えば普通に近い下校≠フ風景】
【でも、多分それは気まずい沈黙とかじゃなくて――――――】


「――――――じゃあ、また明日学園≠ナ」
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 02:56:48.72 ID:dw8zG1Jno
>>456

【少女の示した方向は、微妙に自分の帰り道とはズレていた――が、途中までは同じ道程を辿る事になりそうだ】
【距離的には自分の家のほうが離れているようだし、自分が少女を家まで送り届けるような形になるだろうか】

「そう……途中までは一緒みたいね」

【其れ以降言葉はなく、気まずい訳ではない奇妙な沈黙とともに帰路につく】
【互いに竹刀袋を背負っている辺り、傍目から見れば剣道部の練習の帰り道にでも見えるのだろうか】
【そして少女と別れる辺りにまでやってきて、一旦足を止め】

「…………ええ、また明日」

【そんななんてこと無い言葉をかけて、ほんの少しの間だけまだ立ち止まる】
【考えていた。きっと泣いている時も、ずっと頭の片隅では考えていた――――まだ、答えは出ていないけれど】
【少しの間だけでも自分を受け止めてくれた少女に対し、不誠実なのは嫌だったから】
【去り行く少女、その左腕の袖をそっと掴んで】

「…………あの」
「友達になりたいって…………言ってくれて。その、とっても、嬉しかったわ」
「今はまだ、返事は出来ないけれど…………いつか、絶対にちゃんと返すから」

【本当は喜んでって言いたかったけれど、其れを言うには今の自分はあまりに汚れすぎている】
【今のままでは少女のともだちになる資格なんて無い――――だから、今はまだしっかりとした返事は言えないけれど】
【絶対にちゃんと返事をする、それだけを言い残すと彼女は全力疾走でその場を後にした】
【顔が暑いのはなんでだろう――――――ああ、夜風が気持ちいいな】

//こんなかんじで〆で……絡み乙でした!楽しかったです!
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 03:05:45.35 ID:siWFuIB40
>>457

//お疲れ様でしたっ! 此方もすごく楽しかったです!
//機会ばあればまたぜひとも!
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 13:31:46.39 ID:c4mnrDRc0
【風の国――UNITED TRIGGERの店舗内】
【さしもの酔っ払いたちも、流石にこの時間に飲んだくれては居ない店内は、すっきりというかがらん、というか】
【なんとも寂しげなものがあるのだが、それが、かえって、そこで待つばっかりの彼女にとっては好都合だったりする】
【――そう、カウンター席の端っこに人影があった。一週間ほど前に、“大怪我したから休みをくれ”と連絡してきた、“彼女”】

…………――、

【見ればココアでも飲んでいるのか、ふうふうと手元のカップを吹く様子などあって、ひどく静かな午後の様子】
【黒髪をひとつの三つ編みにまとめて、服装は珍しく魔術師的なローブだ。ふりふりもレースも一切ない、かわいげのない服は】
【彼女らしくないと言えば彼女らしくない。紫色――というのも、彼女があんまり着ている印象のない服で、物珍しく】
【魔術の類に敏感なら、何か掛けられていることに気付く。詳しければ――それが、強い反射の魔術だと、気付く】

【店の奥、入り口、どこで音がしても彼女は反応できる場所に居た。それなら、何か、反応できる瞬間を待っているよう】
【音がすれば振り向くし、それが、もし、望んでいた人間相手なら――】

あ――、お姉ちゃん、……その、いま、だいじょうぶ――? えっと……、その、“おはなし”がある、の、……。

【少し慌てたように椅子を蹴っ飛ばしながら立ち上がるのだ。その顔は、何かを決意したようにも、来てしまったというようでもあって】
【胸の辺りで自分の手で手を握り締める。――もし尋ねていたなら、彼女がしたという大怪我、胸と腹が原因だと知らされたはずで】
【なんでも胸を切られておなかにナイフが刺さったとか。そんな大怪我の割には、案外元気そうだけど――まだ、すこし、】

【――いや、いつもより気弱げなのは、怪我のせいでもないのかも。これから話そうとしていること……それが、どこか、憂鬱で】
【厳密に言えば何から話せばいいのかも良く分からない。話したいことも増えてしまった、――頭の中がぐちゃぐちゃだけど】
【いつか話すと約束した。話さないといけないと思う。――お願いしたいこともある、だから、頑張ろうって、自分を鼓舞する】

いま、だいじょうぶなら――聞いて、欲しいな。

【二つ目の言葉は、さっきよりも少し強かった。鈴の音みたいな声が、りんと響いて、眉が心なしかきっとする】
【そして、相手の言葉を待つのだ――少しだけ、どきどきしながら、じっと】
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 13:59:15.37 ID:6U2NE2rq0
>>459

【―――この時間、実は彼女にとってはある意味で至福の時でもあったりする。】
【朝は朝で仕事の電話と苦情と新聞記者の取材予約取り付けが鳴り止まず、夜は夜で酔っ払いの相手をして】
【時たまどこかで戦闘をして、そうして気が付けば一日が終わっている、そんな彼女にとって昼間の静かな時間は一種のオアシス。】

【そんな色々もあって、彼女は密かに楽しみにしていた、近隣に出来たばかりの"ドーナツ屋"へと駆け込み】
【ストレスやら披露やら何やらを晴らす為に袋一杯の菓子を買いこみ、意気揚々と店内に戻ってきた、のだが―――。】
【どうにも、騒がしいお客の代わりに、もっと深刻なお話もある様で。静けさと不安が支配する店内に入ってきた彼女―――そう。】

【白いシャツに土気色のベスト、頭には特徴的なテンガロン・ハットを被ったその女性、セリーナ・ザ・"キッド"は困惑していた。】

 
 ……ふむ。何時に無く深刻そうな表情だね。そういうカオは、鈴音ちゃんには似合わないよ。
 それにウチのお店の取り柄は、"残念な事にいつも賑やかで騒々しい、けど笑顔が溢れてる"―――って点だ。
 店員さんが元気無さそうじゃ、お店もうまく回らない、ってね。オーライ、鈴音ちゃん。今は丁度手隙だったから、話そうか。

 ―――まずは、怪我と休養の話から。おっと、お給料は心配しないで! 有給扱いできちんと出すからさ。
 それにしても、いきなり"大怪我"って言うから、結構心配したんだよ? そっちの方は―――……大丈夫そうかい?
 寝ている方が楽、って事だったら"下"に移動するけど……どうにも、元気が無いのは怪我が原因、ってワケでもなさそうだ。

【困惑した様な表情、セリーナも何処から斬り込んで良い物か分からないと言った所か。】
【ただ、まずは雇い主として、怪我と身体の心配から始めるだろう。今こうして話は出来ているが】
【傷口が開いたり、そもそも癒えていなかったりしたら大変である。給料について言及する辺りは、彼女らしいが。】

【ただ矢張り、一組織の党首として機微には敏感なのであろう。】
【単に怪我のせいで、鈴音の元気が無い訳ではない様に見える―――そんな風に指摘をして。】
【精神的な話と言う事であれば、此方も聞く姿勢をしっかり整えなくてはいけない。セリーナは鈴音の傍に寄って。】

 とりあえず、お茶にしようか。ココア、御代りを用意してあげるよ。
 それにドーナツも―――知ってる? 最近出来たばかりの、"クリスプ・ガーデン"ってお店!
 実はさっき行ってきたばかりなんだ、結構並んでさ。良かったらお茶菓子にどうぞ、沢山買ったから遠慮なく!

【ともあれ、堅苦しくては話す事も話せまい。一端リラックスしようと、提案して。】
【慣れた手つきでココアを用意し始めると、ドーナツが大量に入った紙袋から幾つか皿に分けて、差し出すだろう。】 
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 14:37:26.78 ID:c4mnrDRc0
>>460

【――セリーナがこの時間を至福とする一方、彼女にとってこの時間は、まだまだ起きたばっかりの朝の感覚】
【正午近くまで寝ているせいなのだが、一方に直すつもりもないらしく、まして、夜をメインに働いていれば】
【仕方ないよねーなんて言い訳のせいで、余計に朝が遅くなる。――ここ数日は寝てばっかりいたから】
【そう言う意味では、今日はちょっと早起きしたのだが……それでも、十時とか、そんな時間で】

――へ、変かな、その……、でも、わたし、怖がりなの……、――今も、すっごい、どきどきしてて……。

え、っと。でも、急にお休みだったし……、その。それも、ごめんなさい。いきなりだったから――、
ううん、もうほとんど大丈夫なの、まだ、少し、跡は残ったりしてるけど……もう、あんまり、痛くない。

【深刻そう。似合わないといわれたなら、変かななんて言い出す、――胸にそっと指先を添えると、そこが】
【どきどきというかびくびくというか、していることを告げ。緊張とか、しているらしいのだった。これから話すことについて】
【有給扱いだといわれれば少し申し訳なさそうにする。いきなり休んだことについて、ぺこりと頭を下げたと思えば】
【大怪我だと言っていた割にはずいぶんな回復速度だ。「もう少し掛かるみたいだけど――」なんてつけたしながらも】

あ――ありがとうございます、――ドーナツ屋さんは知ってる、今度行ってみようと思ってて……ほんと?
わあ、嬉しい、じゃあいただきます……、甘いもの好きなの、ドーナツも好き、あんまり、普段は食べないけど――、

【ちょうどココアはあと少しだった。それでも半分近くは残っていて、彼女はそれを慌てて飲み干してしまうと】
【ちょっと熱かったような顔をしつつも……空っぽのカップを渡して、ココアの用意をしてもらう】
【差し出されたドーナツに彼女は嬉しそうな顔をする。今日はじめてのプラスな表情だ、きらきらを目を輝かせ】
【傍のテーブルの上にかたんと置く。とりあえず、そこでお話――ということになるだろうか。もちろん、】
【彼女は平気だと言ったけれど、下のほうがセリーナにとって都合がいい、とかいうお話なら従うだろうし】
【そういったことが何もないなら――彼女はとりあえずドーナツを一口かじって、至福という顔をするのだろう】

【――だけど、セリーナが席について、いざという場面になれば。至福も醒めて、真面目な様子を取り戻すのだが】
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/26(水) 14:39:30.57 ID:ZPL44Tfxo
>>454

【仮面の追跡者は何も答えない。ただ機械のように黙して動き続けるだけだ】

【肩を狙った二つの手裏剣はただでさえ見えづらい上に、大げさな動きに隠れて放たれた。通常は回避は困難だ】
【だがそれを追跡者は、軽く屈んだだけで避けた。感知したのか、それとも音で判断したか、瞳の光か──】


【避けると同時にこちらも地を蹴って駆け出す。彼我の距離を詰めるために】
【数歩進んだところで、上半身で構えを取りつつ、ダンッ!と強く踏み込む。初めのときと同じように、地を滑る移動法だ】
【スタートダッシュが通常の接近と同じだったのはフェイントか。瞬間的なスピードアップは“これぐらいで接敵する”、“今はこれぐらいの距離”】
【こういった計算や感覚を一瞬だけ狂わせる。至近距離戦闘においては、その一瞬が命取りだ】

【構えは同じ。左半身が前、右半身は後ろ。打突をしたときと全く同じ】
【腰をひねり、右の拳を前に出す。これも全く同じ。違うのは──拳は一瞬、ほんの少ししか前に出さない。二つ目のフェイントだ】

【本命は足元。前に踏み込むかと思った右足で、少女の足を蹴り払う。姿勢を崩させるために】
【そして蹴った後の右足で改めて踏み込み、打突を放つ──!】
【余分な動作を加えた分、一度目の打撃よりいくらか威力は劣る。だがそうであっても衝撃は相当に強い】


//レスしておきますね
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 14:57:20.97 ID:6U2NE2rq0
>>461

【はて―――そう言えば、詳しく聞く機会が無かったが、鈴音も"能力"を有していたか。】
【バイト志望と言う事で、面接時に戦闘能力の有無について深く突っ込まなかったのを思い出した。】
【だがよくよく考えれば―――この怪我の治りもそうだし、格好もまさに"魔術師"と言った様な物であって。】

 (……あんまり痛くない、ね。なら、良いんだけど―――無理はしないで欲しいところだ。)

  ……銃と火薬が相棒のアタシが言うとイマイチ、説得力が無い所だけど―――。
  鈴音ちゃん、君は可愛い女の子で、そしてまだまだ若い。なんたって素敵な旦那さんもいる。
  心配してくれる仲間も、大切な人も。だから―――……そうだね、傷が残るような"戦い方"は、しちゃダメだ。

  ……顔や"胸"に傷が残ると……結構、ツライものだよ。

【苦い思い出があるのだろうか―――恐らくは、そうなのだろう。】
【傷が残るかも、という鈴音の発言には、同情と心配と、そして戒めの言葉をかけて。】
【勿論、それもこれも"自分の様になって欲しくない"という、鈴音を大切に想う心があるからこそ、だが。】

 ……ふふっ。ま、でも気に入って貰えてよかったよ! アタシもさっき、歩きながら食べてみたけど
 これは結構な"アタリ"だね、疲れがぜーんぶ、吹っ飛ぶ味だ。ただ……あんまり食べ過ぎると、後が怖い、かな……。

【そう言って、背後の食器棚に移った自分の身体をチラ、と覗きこむ。】
【鈴音ちゃんは細いなぁ。なんて言葉をもらしつつ、年を重ねる事と消化能力の低下の恐ろしさを呪った。】
【いや、もちろん未だ大丈夫だ。だがそれは、"まだ"という言葉が付く限定的な物であって、両手放しの"大丈夫"ではないのが聊かry】

 ―――直接、繋がっている事かどうかは分からないけれど。
 その怪我も、休んだ事も、そしてアタシに相談したい事も。
 ちょっとずつ繋がっているモノ―――そんな風に見える。
 
 ……まずは、誰に何をされて、結果どうなったのか。
 一つずつ、ゆっくり話していこうか。大丈夫、怖くないよ。此処にはアタシがいるから。

【まあ、そんなふざけた話を交えつつも、セリーナは真剣な目をせずに】
【出来るだけ砕けた様な、話しやすい雰囲気を作ろうと心掛けるだろう。】
【自分も一つ、わっかになった揚げ菓子を手に取ると、美味しそうに頬張った】  
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 15:30:55.09 ID:c4mnrDRc0
>>463

【そう、彼女も、能力持ちだった。だけれど――こうして着ている服とかを用意してくれたのは、別のひとで】
【知り合いだ。多分、友達ではない。昔に知り合ったはずのひとが、なぜだか、自分のことをやけに心配してくれて――】
【――なんとなく甘えている。魔術を教えてもらったり、本を貸してもらったり、そんな風な、“かおみしり”】

【(ちなみに、彼女の魔術の腕はまだまだへたっぴである。頑張ってはいるのだけど――とは、余談)】

…………うん、気をつける。

【この傷は、きっと、放っておけば治るものだ。そういう身体で生きてきた、だけど、セリーナの】
【心配してくれる言葉は、確かに嬉しくて……だけど笑った顔は少しだけ悲しげ、その理由は、きっと、】
【――もう、きっと、セリーナの言うところの「素敵な――」は、もう居ない、ということから来るはずで】

【だけど、だからって、自分を無駄にするわけはない。だって、大切な友達も居る、セリーナみたいな、仲間も居る】
【それなら。もう無駄にしたくないって思うのだ、だから――気をつける。その言葉は、思っているよりはあっさりと出て】

【はむと齧れば、甘いふわふわの味わい。カロリーの恐ろしさは確かに感じるのだが、そんなのどうでもよくなるほど】
【甘みと柔らかさが脳に溶けていく。まさに至福の表情で、彼女はドーナツを一口、二口、――視力検査のアレみたいにして】
【ちょっぴり甘さを控えたココアを飲めば、口の中の甘さは適度に流されて、また、一口食べたくなる……、……いや、がまん】

えっと……、……怪我をしたのは、一週間ぐらい前。路地裏で、おなか空かせてる子に、ご飯あげられないかなって思って……。
うろうろしてたら、カノッサのひとに会ったの。そのひとは、……そう、電話、してて。その後ろで、“ひと”が運ばれてて……。

……商品って言ってたから。邪魔しようって、思ったの、――わたし、……わたし、そういうのは、嫌い、だから、

【せめて最後にココアを一口飲んで、彼女は両手を膝に置く。きゅっと握り締めて、身体に少しだけ、力を篭めて】
【話し出すのは、促されたとおりに怪我をした原因の話だ。――人身売買、その現場ではないけれど、それに近しい場に】
【行き会ってしまって――そして、それを妨害しようとした……そんな、お話】

…………わたし、ね、子供の頃、“そう”だったの。売られる側だった、……商品、だった、ずっと。
お母さんもお父さんも死んじゃって、孤児院に居たの。だけど、そこは、――子供を集めて、売る場所で。

だから、許せなかった、そういうの……、……だけど、負けちゃった、わたし、負けて……。

――助けられなかった、あのひとたちのこと、……助けたかった、のに……。

【それから、少しだけ……自分の過去に触れる。自分がどんな子供時代を過ごしたか、全部ではないけれど】
【商品だった――それである程度分かってしまう。とりあえず、楽しい/しあわせな子供時代でなかったのだけは、確かなようで】
【――そして、彼女は、少しだけ泣きそうな目で笑った。自嘲とか、そういう感情をたっぷり篭めて。――負けちゃった、と、】
【への字になった口元から零れる声は少しだけ震えている。だけど、まだ、泣き出すには届かなくて】
【自分でも泣いたらいけないと思っているのか、ごまかすようにココアを飲む。――実際は、熱くて飲めずにふうふう吹くだけ】

【殺されこそしなかったが、助けられなかった。――それどころか、自分は、あのひとたちを、――――】
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 15:53:02.61 ID:6U2NE2rq0

>>464

【ドーナツの味が甘い。だが、何故だろう。身体に広がるのは、幸福の感覚ばかりではない。】
【答えは非常に単純で、分かり切っている物だった。仲間の傷ついた経緯を話して貰う、嬉しい話ではない。】
【身体の話ではない、もっと精神的な、奥底の部分での"敗北"を味わった仲間の話を、セリーナはただ聞くしか出来ないのだ】

【目の前にその敵がいるなら。あいつだよ、あいつが悪い奴。そう言ってくれるなら。】
【指さしてくれるなら、きっと簡単な話だったし、直ぐにでも彼女は動けただろう。けれど、事情は違う。】
【きっと鈴音が負けたのは、その機関員にではない。もっともっと、大きくて暗い、この世界が抱える"闇"そのもの―――。】

 
 ―――助けたかった相手を助けられず。
 自分だけは生き残って、怪我は負ったけれどもなんとか無事で、帰ってきて。
 そんな無力な自分が悔しくて、辛くて、寝ても起きても"救えなかった"人の顔が離れない―――。

 そうだね、君の負けだ。鈴音ちゃんは、勝てなかった。


【半分に欠けたドーナツを更に置いて、セリーナはもぐもぐするのを止めると】
【半ば残酷に―――もう自覚はしているであろう、一番悔しいのは鈴音本人であろうに】
【それでも事実を突きつける様に、冷たく言葉を紡ぐだろう。確かに、それは"敗北"だね、と】

【だけど、その後にとった彼女の行動は半ば、"唐突"なものであって―――。】
【椅子を立った彼女が向かうのは、鈴音の背後。ココアを抱き締め、温かさを感じる様に小さくなった彼女の背に】
【セリーナはしなだれかかる様に―――そう、優しく両手で包み込む様に、彼女の身体を後ろから抱き締めるだろう。その肩に、顔を埋め。】

【―――ぎゅっ、と。抱きしめるだろう。そして、耳元で呟いた。】

 ……今、此処にはアタシ以外、誰もいないよ。
 雇い主にすら、弱みを見せないなんて。ズルイじゃないか、鈴音ちゃん。

 ……悔しい。辛い。なら、泣いていいんだよ。
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/26(水) 16:20:50.54 ID:c4mnrDRc0
>>465

【への字でぎゅっと咬んだ唇が少しだけ震えているようだった、ふるふると、泣きじゃくる前の子供みたいに】
【だけど泣いちゃいけないと分かって我慢している子供みたいに。見れば目には、小さな涙の粒が拵えられ】
【長いまつげに掴まって、辛うじて落ちないでいるような――そんな状態。そこから、さらに、開く口から零れる言葉は】

ううん、わたし、あのひとに手当てされたんだ、わたしが、わたしが、……わたしが、わたしを、選んだから、
手当てまでされて、だけど、助けられなくて、助けてあげられなくて、でも、でもっ……、

“五人くらい助けられなくても”“どうせ何十人も殺してるのに”とか、思って、思っちゃって、っ……!

【もっと――突きつけられた現実よりも、悔しくて、辛くて、嫌だった。もっとひどい。負けた現実なんかよりも】
【ぎゅっと抱きしめられれば、身体は余計に小さくなる。それは、暖かさを、遠ざけるようでもあったけれど】
【きっとそんな子供みたいな抵抗だけじゃセリーナは許してくれない。それなら、彼女はココアを机に戻し】
【抱きしめてくれる腕を、抱きしめるようにしながら――……、くすん、と、その言葉に小さく鼻を鳴らす】

……わたしね、わたし、聞かれたの、“あのひとたち”を助けるのか、“じぶん”を助けるのか、って……。
あのひとたちを助けるなら、変わりに、これからずっと言うことを聞けって、じぶんを、助けるなら――。

――わたしはどうにもならない変わりに、あのひとたちは連れて行くって、言われて。

わたし、……いやだ、って、思ったの、
カノッサのひとの、ひとを売るようなひとの、言うことを聞くなんて、嫌だって、絶対嫌だって……。

【表情がどんどん変わっていく。泣きそうな方向で変わっていく表情は、あっという間に、目に大粒の涙を溜めるまでになって】

…………わたし、わたしが、見捨てたんだ、みんな、あのひとたちのこと、わたし、が……。

【そうなってしまえば、後は早かった。元々泣き虫な気質だ、ぼろっと落ちた涙は、ついと頬を伝っていって】
【その後を追うように何粒もの涙が落ちていく。ぐすぐすと、泣いているとき特有の嗚咽が、言葉に混じりだし】

セリーナ、わたしね、人殺しなの。何人も、何十人も、殺したの。
悪いひとも、悪くないひとも、たくさん、……、……――。
――もうしたくないって言っても、したことは消えないの。分かってる、分かってる、けど……。

もうしたくない、だから、あのひとたちも、助けたかった。……わたしが、今まで、殺した分――、
誰かを、助けてあげたいの。そんなのダメって言われるかもしれないけど、わたし、……それしか、分からないの。

いっぱい考えたの、どうしたらいいのかって、どうしたら、わたしがしたこと、ごめんなさいって、できるかって。
誰の名前も分からない、家も分からない、……だから、家の裏にお墓を作ったの、嫌だって言うかもしれないけど――。
……その分だけ、誰かを助けるって決めたの。昔のわたしみたいな子が、せめて、間違えないように、してあげたいの……。

【ほんとうは、もっと、ぐちゃぐちゃな声だった。座っている足を、ぎゅっと身体に寄せたり、離したりしては】
【前には隠していたことを、少しずつ、話していく――そう、自分が、人殺しだって。ひどい、わるいこ、なんだって】
【きっともうしないと誓った。だけどそれは自分の中だけのこと、それを、分かってもらうにはどうしたらいいのか、悩むなら】
【いっぱい考えたこと、お墓を作ってみたこと、その分誰かを助けたいと思っていること――全部、口に出して】

ごめんなさい、隠してて、ごめんなさい、でも、わたし、わたし――――、

【ぐすぐすと泣きじゃくりながら振り向けば、きっと、すぐ傍で目が合う。シャンプーの甘い香りが、少しだけ場には不釣合いで】
【どうするのかと思えば――セリーナに抱きつこうとするのだろう。抱きしめられるだけじゃなくて、抱きつこうとする】
【抱きしめられたい。抱きしめたい。甘えたい。それは彼女の基本的な欲求、――或いは、“甘やかされたい”も】

【だけど、彼女は、ただ甘やかすには悪い子だ。望みどおり甘やかしてやるのも、或いは、叱ってやるのも】
【違う選択肢もあるかもしれない。それは、きっと、セリーナの判断に委ねられて】
【とりあえず分かるのは、怒鳴りつけたりするのは、彼女にとって逆効果になるだろう――そういう予感がする、ことだった】
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/26(水) 17:10:25.33 ID:e97pZaNIO
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468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/26(水) 17:10:54.53 ID:e97pZaNIO
誤爆しました。
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/26(水) 18:58:31.28 ID:KvMJo2Lzo
>>462

【返答がないことは織り込み済みであったが、不意打ち気味に放った手裏剣が回避されてしまったのは少女の予想を超えていた】
【闇色の刃にもう慣れたか、あるいはこちらの能力≠フ秘密に感づいたか――――厳しい面差しで仮面を睨みつける】

【だが『完全に見切られる』ことは予想外でも、敵が回避動作を取ることぐらいは予測済みだ。仮面が屈んだ瞬間、少女は更に脚に力を込める】
【相手が同じように踏み込んできたことで、彼我の距離は一気にゼロへと近づくだろう。大きく見開いた瞳はまたも光を宿し、その一挙手一投足を見据えた】


――――ッ!!


【これを見るのも二度目だ――――例の地を滑る移動法に関しては、一層強く踏み込む動作から事前に察知することに成功したけれど】
【見切れることと反応できることはイコールではない。わかっていても対処が難しい驚異的な瞬発力を前にして、幼い顔立ちに焦燥が張り付いた】
【もはや誰何を問う余裕もなく、少女は左手に構えた曲刀を突き出して防御体勢を取るだろう。そして、同時――――右手がほんの少し、上向いて】

【タイミングはちょうど、仮面が足払いを放つ直前。ばすん≠ニいう気の抜けた破裂音のようなものが響き渡るだろうか】
【少女の瞳は光らない。いままでは能力≠フ発生と同時に攻撃していただけで、攻撃の瞬間に瞳が光る、といった力ではないのだ】
【こちらもまた、わざとワンテンポ遅らせてのフェイント。予め一切の予備動作なく右手に収めておいたのは、黒塗りの小型拳銃であった】

【掌にすっぽりと収まるサイズで判別しがたく、不意打ちに特化した護身・暗殺用の拳銃。いわゆるデリンジャーと呼ばれるものだ】
【音も無く引かれた引き金は、手裏剣よりもさらに鋭く早く、仮面の頭部へ音速の弾丸を送り込む――――!】



が、っ…………!?


【――――だが、この攻撃の結果に関わらず。少女は一度目のフェイントに揺さぶられ、二度目のフェイントで裏をかかれてしまうことになる】
【発砲の後に足払いをもろに食らって体勢を崩し、仮面の打突はかろうじて構えていた曲刀の上から少女の胸部を打ち据えるだろう】
【その矮躯は衝撃によって大きく弾き飛ばされ、地面を転がることになる。痛々しいうめき声が数度、路地の壁に小さく吸収され】

【まだ心は折れていないのだろう、少女はすぐさま体勢を立て直して膝立ちの状態を取った。……が、息遣いは荒い。貰ったダメージは大きいようだ】
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/26(水) 19:35:24.52 ID:UlUAEjpuo
【墓地】
【昔作られたその場所は、誰も参る者がおらず……肝試しスポットとしてのみ知られる】
【霊感が強いのであれば、……まあ、大体イメージ通りの風景が広がっているだろう】

「……ちィッ」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「あァの野ァ郎共……手ェこずらせやァァがって」 「まァー良ォい、勝ァてば良ォいんだよ勝ァてばなァ……!」

【頭から血を流しており、服もボロボロだし――とても傷だらけである】

「おオっと……くそッ、……むゥ、いィつの間にかこォんな所に来ィていたのか……"丁ォ度良い"」

【よろけたかと思えば、がっ、と近くの墓石を掴み転ぶのを阻止――ふと、斜め上の方を見たかと思えば、そこに手を伸ばし"何かを掴む"】
【何かとは? ……見える人には見える、"アレ"である】 【それを掴めるとは、只者ではなさそうだが……?】
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/26(水) 20:16:48.86 ID:ZPL44Tfxo
>>469

【足払いの直前、タイミングは完璧だ。既に攻撃の動作に入っている以上、見切るも何もない】
【それはどれだけの達人であったとしても避けられない攻撃だ】
【これだけの速度と間合いの行動の中で、少女が瞬間的にそれだけの行動をするという予想は、追跡者にもなかった】


【ガン! と甲高い音が響く。銃弾は仮面に見事に命中した──が、貫通には至らなかった】
【仮面に大きくヒビが入り、目にあたる部分が崩れた。仮面の裏の素顔、その目が初めて表に出てきた】
【追跡者は少女をしっかりと見ていた。だがその瞳が何かを語りかけることはなかった】


 ……チッ


【地面を転がる少女を、追跡者は追撃しなかった】
【ただ一度だけ、舌打ちの音が響いた。追跡者が見せた、唯一人間らしい何かだった】

【軽く身を屈めてから、跳躍。近くにあった、建物の非常階段に着地すると、もう一度跳躍。建物の上へと姿を消した】
【──つまり、撤退したのだった】
【いつの間にか、中年の男も姿を消していた。戦いの最中、隙を見つけて逃げ出したのだろう】


【──中年の男の死体が自警団によって発見されたのは、後日のことであった】


//お疲れ様でした。二日間ありがとうございました!
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/26(水) 20:35:26.79 ID:mBZZPT+Vo
【路地】

【人気のないビルとビルとの間に生まれてしまう、都会の影である路地裏】
【赤いレンガのビルの壁のシルバーのダクトからは白い煙のように生ぬるい風が排出されている】
【その薄暗い路地裏の数少ない街灯の下でそいつはビール瓶を握りしめたまま行き倒れている】

………………ん?………何だここ…

【呟くように呻く。…後にもぞもぞ動く。寒空の下、寝ていてやっと起きたという所だ】
【黒髪、黒いレンズのサングラス。黒いスーツ、黒いシャツ。シルバー製の聖母のネックレス】
【酔いつぶれていてもまあ納得できる風貌の奴は壁にしがみつきながら上半身を起こすと】
【ポケットから紙巻きの安タバコを取り出してくわえる。そして、ワサワサ身体を探ってライターを探す】

……うえ…火ぃ無いじゃんか…クソッ

【男は火のついていない煙草をくわえたままズリズリと背を擦りながら地面に再び倒れ込む】
【男は立ち上がりたくなかった。寒いが動く気になれない。どうにでもなりゃいいって思い始めている】
【肘があたってビール瓶が悲しげな音を奏でながらアスファルトを転がった】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/26(水) 20:37:04.10 ID:KvMJo2Lzo
>>471

【少女がデリンジャーで顔を狙ったのは、殺そうと思っての事ではなかった。無論、殺意がまったく無かったとは、言えないけれど――――】
【弾丸は仮面に阻まれて、恐らく致命傷にはならないだろうと踏んだ上での攻撃だ。そしてあの仮面が、少なからず損傷するだろうと】


…………つめたい、目だな。おまえ。


【吐き捨てるように、あるいは畏れるように、少女はぽつりと呟く。月のような双眸で仮面の下の瞳を強く睨みつけたままに】
【その瞳に感情は篭っていなかった。だからこれは、この少女の主観だ。仮面に伝える為のものではない、思わず漏らした感想だった】

【直後、建物の上へ消えていく仮面。それを同じ軌道で跳躍して追いかけはするが、傷を負ったこの状態では追いつけないだろうと自覚はしていた】
【建物の欄干に器用に立ち竦み、少女は無駄とわかっていながら謎の暗殺者の姿を探すだろう。不規則に息を吐き、荒ぶる敵愾心を心に燻らせて】
【――――アレがまた凶行を繰り返すのなら、また合見えることになるだろう。正義に捧げたこの身もまた、忍という暗殺者≠ノ変わりないのだから】


【その後少女は路地に降り、中年の男の姿が無いことに気づけばすぐ捜索に向かうけれど、傷の事もあり残念ながら成果は出ず】
【無惨に転がる死体の前で顔を歪め、誰ぞの凶刃が正義の網を引き千切ってこの男の命を奪ったのだと、後日強く心に留めることになる――――】


/お疲れさまでしたー!
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/26(水) 22:30:00.86 ID:ZPL44Tfxo
【路地裏】

【バタリ、と人が倒れた】
【冷えた路地裏の床に二つの死体が出来上がっていた。そばには若い男が一人と、奇妙な格好の人間が一人】
【若い男の方はこれといって特徴のある見た目ではない。染めている髪が、やや不良じみて見えるぐらいだ】

【一方で奇妙な格好をしている方は──時代錯誤ともいえた】
【茶色の外套で姿形は分からず、150程度の背丈のせいで性別も不明。フードの隙間から薄いブロンドの髪が見えるだけ】
【何よりも顔を覆い隠す仮面が妙なデザインだ。白色の上に真っ黒な穴が二つ、切れ目が一つ】
【まるで薄笑いを浮かべているドクロのような、そんな恐ろしい形状だ】


 『ひえぇ、助かったッスよ……もうちょっとで捕まっちまうところッス!』

 別に手間じゃねえからいいけどよ、もうちょっと気をつけたらどうだぁ?


【若い男の方がまず礼を言い、仮面をつけた方がそれに答える──声からしてこちらも男だ】
【どうやら何者かに襲われたところを仮面の男が助けた、ということだろう。そう、それだけなら不思議ではない】
【だがこの恐ろしい形相が、ただの善人には彼を見せていなかった。そしてこの出来事の詳細を推し量るヒントもあった】

【二人の足元にある二つの死体。彼らをよく見れば分かるだろう──彼らが自警団員だということが】
【これは、襲われた可哀想な人間を善人がたまたま助けた場面ではなく、悪人を捕まえようとした自警団員が、また別の悪人に殺された場面だった】
【無垢な住民を助ける善人がいるならば、悪行を生業とするものを助ける別の者もいる、ということだ──】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/26(水) 22:36:24.33 ID:YFAR3Ei/0
【路地裏】

【夜が深まり、月が明るく空を照らしているのだが、生憎と雲がかかって月の光を遮断している】
【そのためか、いつもより暗い路地裏には悪党やそれを捕らえようとする者たちによる、日常が発生していた】

 あー、やだやだ、なんでこんな雑魚たちを相手にしなきゃいけなぇんだよ

【そんな、追いかけっこの日常での場所で刀を肩で担いでいる人物がいた】
【半袖の服に黒のジャケットを着てい、下に少々長めのズボンを着用】
【ろくに髪を気にしていないのかぼさぼさである】
【特に隠す気もなく服にカノッサ機関の証である逆五芒星刻まれている】

 あーあーあー、あいつらも喧嘩するなら相手を見ろよな

【めんどくさそうに頭を搔きながら彼は後ろを振り向く】
【そこには数人の男たちが事切れたように倒れていた】
【いや実際に事切れているのだろう、それを証明するかのように血の池が作られているのだから】

 しかし、あいつら綺麗に不意打ちかましてきやがったな
 どっかの組織の構成員か雇われの殺し屋か?、俺が考えたところで意味ないが

【嘆息を一つしてこの場所から去ろうと再び死体たちに背を向けて去ろうとするが】
【うう…といううめき声に気がつき、再び死体のほうへと振り向く】

 ちっ、仕留めそこなったやつがいるか……めんどくせぇ適当に爆破するか

【死体のもとへと彼は刀を投げつけて、そのまま後ろへと下がっていく】
【そして、後ろに下がっていった直後、大きく爆音がしたいがあった方面から聞こえた】
【その爆音を聞いてから彼はもう終わったと、再び後ろを向いてこの場所から去ろうとする】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/26(水) 22:39:04.63 ID:XOO9dRhZ0

【――――表通りの光も届かぬ路地裏】
【修道着を纏った一人の女が其処を歩いているのだけれど、悪人が徘徊する其処に修道女が一人とはどうにも似付かわしくなく】


「全く……カスケード海淵、ねぇ…………其処に本当にダグラスが居るならちゃっちゃと攻めたい所
まぁ、ボク一人で勇み足踏んでも碌な事にならないよねぇ…………。UTかSCARLETにでもある程度情報を渡せれば良いけど」

【腰に提げるのは二丁の銃。なれば、この女も荒事には慣れていると知れるか】
【悪人巣くうこの場でも特に警戒する事も無く。不意に立ち止まれば、手にするのは何処かの地が記された紙切れ一枚】
【――――漏らした独り言からして、悪巧みをする者では無いのだろう。寧ろ、挙げた組織の事を考えればその逆に位置する者】

【何であれ、聖職者たる彼女が小難しい表情を浮かべて紙切れを眺める姿は中々に異様で】
【此処を訪れる者が善か悪かも分からないが――――直ぐ目に留まるのは間違い無く】






【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/26(水) 23:03:45.14 ID:ZPL44Tfxo
>>476
//私>>474だけど絡みに行ってもよいですか?
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/27(木) 00:00:15.30 ID:MNEgvTJ5o
//いらっしゃらないようですので、>>477は取り下げます
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/27(木) 00:09:22.58 ID:0TumK1Sdo
>>466

【聞いているだけで胸が苦しくなってくる。これはある意味で懺悔であり、そして告白でもあるのだろう。】
【罪の告白。自分への嫌悪。勝てなかった事への憤怒。救いを求めて、その結果守るべき人を捨てた事への後悔。】
【全てが鈴音にとって重苦しく、そして辛い物であるのに違いは無いだろう。セリーナにはその気持ちは、痛いほどよく分かった。】

【経験が全く無い、という訳でもない。自分の命と他人の命、其れを天秤にかけると言う事。】
【セリーナはまだ、その天秤を自分の方に傾けた事は、無かった。だがしかし―――何度か、問われた事はある。】
【その度に悩んだ。自分だって大切だ。だが、今自分はそもそも何の為に戦っているのか―――……考えれば考えるほど、苦しくて。】

 ―――……、鈴音、ちゃん……。

【言葉が出てこない。甘い言葉をかけるだけなら出来るが、それに何の意味があるというのか。】
【彼女の選択は、重い。とても褒められたモノではない。少なくとも、UTに職を受ける者としては、有ってはいけない。】
【自分の命を差し出してでも、守るべきものは守らなくてはいけない―――言葉には出さずとも、それを根底で共有するのが正義の士。】

【自分が助かる為に、その信念を曲げてしまったなんて―――、考えただけで、ゾッとする。】
【仲間にどう見られるか。敵にどう言われるか。だが、一番怖いのはそこではない、誰でもない、そう。】
【自分に嘘をつく事になるのだ。それはきっと、どうしようもなく辛くて、痛くて、悔しくて―――自分で自分が、赦せない。】

 ……。

【―――だから、そう。間違った選択肢を選んだ事に気付いている彼女こそが、きっと。】
【最も苦しんでいて、そして最も辛いのだ。仲間がこんなに、大粒の涙を流して悔しがっている。】
【それを、責めてどうする。そも、彼女は戦士ではない。人を救いたい、そんな漠然とした願いと、過去への後悔はあっても】

【彼女はまだ若く、むしろ幼いと言っても良いほどの存在。重すぎる、彼女が背負った罪は。】
【こんな小さな背中に、背負って良いほどの重さではなかった。架せられた十字架が、彼女を戒めるのなら。】
【それを少し、軽くしてあげるのがきっと―――年上で、そして彼女の雇い主である自分こそががすべき事に違いはあるまい。】


 ……言えない事も、ある。癒えない傷がある様に。
 救えない人だって、きっといる。どうにもならない事だって。

 ―――鈴音ちゃんは失敗したかもしれない。
 君のしたことを、尊い事だと迎合するのは、正義を掲げる組織の長として、不可能だ。
 けれど―――そういう何かを、一度取り払って聞いて欲しい。UTのリーダーじゃなく、セリーナっていう人間として、聞いて欲しい。

 ……大切だよ。自分の命は、とっても大切だ。死ぬのは怖い。傷つくのは怖い。
 そう想う事がどうして恥ずかしいのか。どうして悔しいのか。どうしていけないのか。
 いけない筈ない。自分だって大切なんだ。相手が大切である様に、自分だって生きていたいんだ。
 どうしても―――……簡単に、命は差し出せないんだ。

【其れは肯定の言葉。セリーナは生きようとした鈴音を、認めるだろう。】
【UTのリーダーとしてではなく、たった一人の人間として。恥ずべき事ではない、と。】
【そう想ってしまう事を、悪い事だと想ってはいけない、と。そう、いつかの"神父"に言われたように―――。】

 ……正義、ってモノを追いかけてるとね。傍から見ると、すっごく不器用に生きてる様、見えるそうだよ。
 どうしてそんなに自分を犠牲に出来るのか、って。この間、ある"神父"さんにもそんな風に説教されちゃったんだ。
 犠牲っていい言葉に聞こえるけど―――崇高だと認めてしまうには、少し危険だよね。それはきっと、鈴音ちゃんも分かってる筈。

 ……そんなに簡単じゃ、ないんだ。自分を捨ててでも、守りたい人の命を選ぶって言うのは。
 自分を犠牲にするっていうのは、甘い気持ちでやっていいものじゃない。悩むくらいなら、するべきじゃない。
 だって、貴女が助かった事で安堵している人も、きっといるんだから。鈴音ちゃん、"失ったもの"だけを見ちゃダメだよ。

 ―――それは、君の選択肢を台無しにしてしまう甘い毒だ。本当に悔しいのなら。
 本当にどうにかしたいのなら。君は此処で、君が選んだ選択肢を悔やむより―――その責を果たさなきゃ行けない。
 ……一つだけ、聞かせて欲しいんだ。今でもまだ……まだ、助けたいと想うかい。鈴音ちゃん、彼等を今でも、守りたいかい。
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/27(木) 00:25:47.27 ID:y6z+/qPho
>>438

【――――ぴたり、と彼の足が止まった。別に脹脛がつったとか忘れ物に気が付いたとか、そんなことではなく】
【職業上聞き逃せない言葉が、彼の耳に鮮明に響いたから――――ということもあるのだろうが、それだけではなかった】
【耳に響いたその声が、身体を微かにぞわりとさせた。同時に緊張感の無かった瞳が鋭く形を変え、紺碧の双眸の奥に勝手に熱き光が湛えられて――――】

【身体が勝手に声の方向へと振り返り、膝が軽く沈んで身構える。本能で身構えた――このことはつまり、躰がコイツを敵だと認識していたということだった】
【瞳で確認する。その肉体、その雰囲気――――その顔。知っている。そう、コイツは――――】

――――フレデリック・シャリエール……!! まさかこんな所でアンタを見かけるとは思わなかったぜ……オイ。
聞いたぜさっきの。UNITED TRIGGER≠フ事務所に行きたいんだろ、なんせ俺は地獄耳なんでね――――しっかり聞こえたよ。しかもアンタの声だ、余計にな。

【青いソフト帽に白シャツ、灰色のジレに腰に巻かれた二丁拳銃用のガンベルト、其処に収まったリボルバー2丁。首にはペンダントとして幽幻の宝玉】
【こちらは覚えていたらしいが、あちらが覚えているかどうかは分からない。かつて敵同士だったこの、マーシャル・T・ロウという銃士を】
【ロウの中のフレデリック像というのは、尊大で傲慢な――――所謂「クソヤロウ」。故に本能がその声を敵だと認識して、戦闘中のような素早い振り向きを見せた】
【しかしながら噂も聞いている。あのフレデリックが、ゼンカイマ復興へ向けて歩み出しているとか、孤児を救うための基金をしているとか】

【鋭さを持って向けられた紺碧の視線。微かに疑いの混じった其れは、フレデリックの心の奥底を見破ろうと懸命になっているかのような、そんな視線だった】

481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 00:41:08.40 ID:hS1c0D1no
>>480

【敵対、と取って良い動作でこちらを捉えた男とは違い】
【巨漢――フレデリックの方は、ひどく悠然とそちらに振り返った】
【視線だけは猛禽類のように鋭かったが、目に見える武装は無く】
【特に、巨大な宝槍がその背に無いことが気になるかもしれない】

貴様は……確かロウ、とか言ったか?
そう構えずとも良いではないか。撃ちたければ……まあ、止めないが。
その時はその時で、相応の対処というものをさせて貰うまでだ

……――それで?貴様のその口ぶりからすると
"UT"の場所を知っているのだろう?案内するのか、それともしないのかだ。
おっと、そうだ……案内料が必要かどうかも聞いておこうか、銃士。

【おおよそだが――ロウの、フレデリックに対する印象は変わらないだろう】
【高圧的で、尊大、そして傲慢。だが、強いて言えば表情は些か柔らかくなっていて】
【フッ、と笑いながら冗句のようなことを言う辺りも、細かくも変わった点であった】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 00:54:15.63 ID:ZhcRw6Vu0
>>479

【ただ死ねといわれるだけなら、きっと、自分は死ねたと思う。いつか治る身体ひとつで、五人救えるなら】
【だけど――求められたものは違った。隷属――その単語を、彼女はよく知らなかったけど、なんとなくの意味は分かって】
【帰ってから調べてみた。付き従って言いなりになること、手下、部下、……そんな単語ばかりが並んでいたなら】

【きゅうと心臓がつかまれるような気持ちだった。彼が自分にしようとしたこと、自分が、何を嫌って彼らを見捨てたのか、理解して】
【あんな奴に頭を垂れるなんて嫌だった。だけど、みんな、助けたかった。だけど、そのどちらも叶えるだけの力は、彼女になかった】
【身体を治すためだと掛けられた術の帳の中、夢と現の世界でずっと考えていた。どうすればよかったのか、どうするのが、よかったのか】

わたしがっ、……わたしが、もっと、強かったなら、わたしが、……わたしが、かみさま、だったなら、
きっとあのひとたちを助けてあげられた、きっと、きっと、あんなやつを地獄に堕としてやれた……っ!

だけど、だけど、わたし、よわくて……、よわいだけなのに、かみさまなんて、なれない……。

【いつか。彼女はそうなってしまうのを怖いと言った、怖いものだと、考えていたはずだった】
【だのに、今は――今は、それを。たとえ少しだって望んでしまっている気配があった、もし、そうだったなら】
【きっと自分はあいつを裁いてやって――――ああ、きっと、その先は、なんにも考えていないのだけれど】

【ぽたぽたと落ちる涙は止まらないし、きっと、止まれない。もし許されていたなら、セリーナの身体にぎゅっと抱きついて】
【その肩や背中に大粒の涙をぱたぱたと落として、痕にする。強くなりたい。強くなって、強くなって――こんなことのないように】
【助けたいと思ったひとを助けられるように、なりたかった。見捨てないでいいように、見なかったふりも、しなくていいように】

【だけど、それには、力が足りなくて――それなら、強くならないといけない。誰かのために、いつかは、自分のために】
【だけど、今の自分にも出来ることがあるはずだって、考えていた。怪我をする前から、ぼんやりと考えていたことがあった】
【それなら、】

――助けて、あげたい、人殺しだったわたしみたいなひとも、そんなひとに、殺されそうなひとも、
お家も、帰るところも、食べるものもないような子たちも――、商品、に、されてる、ひとたちも……、

つらいって、分かるから。いやだって、分かるから……、むかしの、わたしみたいなひとを、助けてあげたい……――。

【――結局、彼女は、きっと、未熟だった。未熟だから、自分が経験してきたようなこと――そうじゃないと】
【それがどれくらい辛いのか、痛いのか、悲しいのか、分かれない気がして――或いは、それが、彼女の臆病さなのだけど】

【自分は間違えたって分かるし、間違えたから苦しいし、辛いけど。ここでやめたら、きっと、自分は】
【なんでもない誰かにしかなれないと思った。誰かにとっての勇者になりたい、この大きな世界なんて、きっと、救えないけど】
【だれかのちっちゃな世界を、ひとつでも、ふたつでも、救えたら――それは、とっても、嬉しいだろうなって思うから】

…………お姉ちゃん、聞いて欲しいことがあるの。わたしひとりで考えたから、きっと、変なところ、だめなところ、あるけど。
わたしが出来ること、わたしに出来ること、考えたの。……それは、お姉ちゃんが“うん”って言わなきゃ、出来ないこと、だから。

【ぐしっと目元をぬぐって涙を落とす。甘えたさを我慢して身体を離せば、ひどい泣き顔がそこにあるけど】
【時折ぐすんぐすんしながら紡ぐ声は、ただ、しっかりしていた。泣いて、甘えたい、そんな子供とは少し違っていて】
【一生懸命きっぱりした顔をしようとしているが、まあ、それは失敗――だなんて余談だけれど。とにかく、】

【涙の後でぐしゅぐしゅしているけれど、その目だけは、真っ直ぐにセリーナを見つめていて――返事を、待った】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/27(木) 01:08:55.42 ID:y6z+/qPho
>>481

【その声、その笑み。やはり何処かだが神経を刺激するものがあるのはかつての経験があったからであり、加えてこの男が「臆病」なことも影響していた】
【フレデリックのような強靭で骨格に恵まれた身体を持たず、逃げ足も速い訳ではない。銃技はあれど、そのような中で生きていくには「臆病さ」が必須だったから】
【常に警戒し、常に想定し、常に工夫する。馬力のある肉体ではないが、そのような「臆病さ」が、「生き抜く仕組み」が肉体に染みついていた。故の、身構え】

【悠然としたその立ち姿は、まさにフレデリック特有のものにロウからは見えていた。警戒の色を見せるロウの視線が、あることに気付く】

撃たねぇよ。性分で警戒しちまうが、そこで撃っちまう程尖ってねぇ……。
にしてもあのでっけぇ得物はどうした、俺がもしトリガー引いてたんなら防ぐ道具が無ェだろーが。

……そういうこった。俺はSCARLETだぜ? 同じ正義組織にも交流ってもんがあんのよ。
――――にしても相変わらずの上からだな、オイ。ま、それはいいとして……案内するかしないかは案内料次第――――ってわけじゃねぇ、乞食じゃねーんだよ。
しかーし、だからと言ってタダで案内する訳でもねぇ……要するにあれだ、理由を聞かせて貰おうかってことさ。

【膝を沈めて警戒する体勢を解き、両手を上げる。降伏した時に「抵抗はしない」とアピールするそのポーズをやってのけて言うは「撃つ気はない」とのこと】
【その両手を頭の後ろで組んで軽く背中を伸ばしながら、フレデリックの高圧的な態度に対し苦笑いを浮かべた】
【組んだ手を解き、右手で白シャツの右胸部分についた緋色の鷹をパン、と叩きながら「自分はSCARLETだ」とアピール。どうやら事務所の場所は知っているらしく】
【そしてそれを教えるかは――――理由次第、と。ロウの心にある疑いをそのまま相手にぶつける様な言葉を送り、返答を待った】

あ、あと――――これにも答えてもらおうか。……お前今、どういうことやってんの? 

【先程書いたように噂は聞いている。ゼンカイマ復興とか、基金がどうのこうのとか。話だけ聞くと聖人だ。が――――あくまで噂は噂だ、と】
【本人の口から真実を聞き出して、そして判断しよう。コイツはUTに関わらせてもいい人間か、と。つまりこの男、勝手に守護者気取りという訳だ】



484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/11/27(木) 01:27:37.15 ID:0TumK1Sdo

>>482

【―――強くなりたい。そう、強くなれさえすれば、どうにでも出来た。】
【力があれば。全てを制する力さえあれば。屈する事無く、悪を駆逐できる。】
【救いたい人を救う事が出来る。そう、それもこれも"力"のみが、なし得る物なのだ。】

【だが―――ソレは決して簡単な事ではないし、なにより危険な考え方だ。】
【よくよく考えれば、神はそもそも自ら怒りを表し裁きを下す事は無い。人の世のあり方に対し】
【神が取った答えは常に"沈黙"だ。なぜならソレは、圧倒的な"力"の存在によって、全てが変ってしまうから。】

【神が君臨すれば、人はもう法も秩序も持たなくなる。だが神がいないからこそ。】
【人は人の中で力を制することを覚えて行った。尤も、その結果がこの悲劇である、とも言えたが】
【だがセリーナは想う。まだ、悲劇で終わらせていい話ではないのだ、と。これから、ハッピーエンドに書き換える事も出来る、と。】


 ―――弱いか強いかは、そんなに大事なコトじゃない。
 神様になれれば、どうにかできたかもしれない。けれど、残念なことに、
 人間は人間であって、アタシはアタシであって―――そして、鈴音ちゃんは鈴音ちゃんだ。

 いいかい、鈴音ちゃん。君に今必要なのは単なる腕力じゃあ、ない。
 武力でもない。もっともっと大きくて強い、どんな敵も倒すことの出来る無敵の"力"。
 ―――それは人が人故に持ち得た、とっても強くて、そして優しい力だ。神様には、ない力だ。


【ぎゅうっ、と抱き締めてくる小さな腕に、セリーナは合わせる様にして顔を肩に預けた。】
【ふわり、と髪の香りが鼻腔に広がっていく。優しい香りだ。これを失って欲しくない。この温かみを。】
【力を求め。敗北を嫌い。自分を恨み。そういう悲しい―――悲しい、戦闘機械にだけは、させてはいけない。】

 それでも、助けたい。そうなったなら―――やっぱり、君が取るべき行動は一つだけだ。

【恐らく、それをきっと鈴音も分かっているのだろう。セリーナは彼女がこれから紡ごうとする言葉に、しっかりと耳を傾けて。】


 ―――言ってご覧。おねーちゃんはどこにも行かないよ。最後まで、鈴音ちゃんの話を聞いてあげる。
 貴女の決めたことを聞いてあげる。絶対に笑わないし、茶化したりもしない。だから、全部話して欲しい。

【瞳と瞳が重なり合う。強い意志を感じる―――セリーナは、静かに息を呑んだ。】

/申し訳ないですっ、今夜はここで一旦落ちますので
明日の夜から再び再開させていただければ……っ!
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 01:29:05.23 ID:hS1c0D1no
>>483

……フッ、周りくどい言い方をする男だな。
だが、まあいいだろう。SCARLETは、確かUTと肩を並べる存在だったか
そうと有れば……私は前科持ちでも有るわけだ、話してやろう。

それと、だが…――槍は盗られた。場所は分かっているが、今は手が出せん
こうしてUTに向かおうとしているのもそれが関係している。
加えて言うなら、銃弾の1つや2つで死ぬ気もない……道具なぞ、この手足で十分よ

【不敵な笑みを見せ、立場を理解してもなお堂々とした様子は】
【いっそ、清々しく思える程。自惚れと自信がよほど強いに違いなく】

【また槍についても簡潔に答えたが――ひゅう、と風が吹くと】
【捲れたローブの裾から覗くのは、黒鉄で出来た右腕と、左足】
【それに気付けたなら、確かにただの銃弾では死にそうも無いと思えるだろうか】

さて、UTに向かう理由だったな……簡単だ、救援要請と注意勧告。
この二点に尽きる。1つは我が槍に、そしてゼン=カイマの過去に関わる事

そしてもう一つは……かつての友、六罪王ダグラスについて。
どうやらまた何事かを成さんとしているらしい。妻が、友人からそう聞いたと言っていた
……奴は、やる時はやる男だ。こと興味をもった事柄への執着は、私よりも強いからな。

それで…――今、か。ゼン=カイマの大司教として、日々忙殺されているさ
家々を立て直し、布教も進めねばならん。孤児を救済するための基金も立ち上げた
それについては妻……マリアが主導しているが、他には子供たちの世話も時折な。

血は繋がっていないが、中々どうして、その育つ姿を見るのは面白い。

【『他に何か聞きたいことでも?』――と聞く姿は、なんというかひどく真っ直ぐで】
【表裏がないぶん、変に真実味があった。小さくだが破顔するのも、言葉を裏付けているようで】
【曰く大司教であり、父であり、大工の真似や孤児を救う慈善もしている、ということだった】
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/27(木) 01:58:03.65 ID:y6z+/qPho
>>485

へっ……話ながら自分でもそう思った。まあアンタが理解してる通り、こっちからしたら面倒なことをしてくれた前科者だ。
UTトップのセリーナならこんな警戒することないんだろうけど……生憎俺はアイツみたいにでっけぇ器は持ってねぇ。
だからこそセリーナは組織のトップとしてUTを引っ張っていけるんだろうけど……――――ああ、話が逸れちまった。

――……兎に角自信たっぷりの理由は分かったよ。元々自信ありげなんだろうけど……義手に義足ってわけね。

【苦笑いと軽い自虐を混ぜながら言葉を続けるロウ。微かに瞳に映った義肢を見て、小さく「ひゅう」と口笛を鳴らし、自身の根源を理解する】
【にしても内心意外だった。言葉にはしなかったが、あの実力者フレデリックが槍を奪われるとは。今見ても、強者の雰囲気は健在なのに――などと思う】
【そう思っている所で、フレデリックが口を開きロウが求めた理由を話し始める。直ぐに瞳を細め、一字一句聞き逃さないように神経を集中させた】

……――――六罪王ダグラス。……アイツか。友と言ったが……どうするんだ? もしアンタがダグラスとまた会う機会があれば何という?
あー、また周りくどくなっちまった……――――要するにだ! お前は味方なのか敵なのか。お前の口から、はっきりと聞かせてくれよ。聞きたいんだ。

【何となく解っていた。この後はっきりと本人の口から零れるのだが、噂は本当なのだと。もうフレデリックは敵ではないのだろう、と】
【それでも本人の口から聞きたい。そう思う理由は自分でも上手く表現できないが――――兎に角、そうだった】

……――――嘘付いてるフウには思えねぇしマジなんだな。 ゼン=カイマ復活させようと頑張ってるって噂も、孤児を救う基金立ち上げたってのも。
そんで――――その結婚したってことも……って結婚んんんん!? ちょ……おいマジかお前結婚してんの!? けっこ……ええ……っ!?

【フレデリックの力強い瞳を確かめれば、嘘ではないと納得するまでに1秒も要らなかった。やはりこいつは、変わったのか】
【――――かつてカノッサに並ぶ悪組織のボスに完敗し、自らの正義を勝手に押し付けた過去を見直した自分のように】
【だが、その落ち着いた声も、真っ直ぐな瞳で確かめながら零した言葉も――――「ケッコン」という言葉で急に消え失せたのではあるが】

【マーシャル・T・ロウ26歳、戦場で生きる身。故に明日の命の保証もなく――――偶に卑屈になって、結婚も出来ずに死んでいきそうだな……とか思うらしく】
【そのような焦りというかなんというか、そのマイナスな感情が嫉妬と動揺に化けていた。フレデリックへの印象が良くなっていた所でのコレだった】



487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 02:09:57.74 ID:hS1c0D1no
>>486

奴と会ったら、か?殴る≠ウ、この右腕で正面から殴ってやる
かつての友……親友として、そうしてやるのが私の責務だ
……もっとも、そんなことをしたら死んでしまうからな。加減はするさ

【ニヤ、と笑って、今度は握った黒鉄の拳を見せるのだった】
【コイツで殴って目を覚まさせる――随分とシンプルな答えだが】

【だからこそ、フレデリックの立場は非常に明瞭なモノだと分かるだろう】
【以前は形の歪んだ窮屈な正義を振りかざしていたが、今は違うと。】
【人柄までは変わらずとも、根は悪党ではない――それはしっかりと理解できるはずで】

……む?あぁ、結婚している。かつての部下であったマリア・アレンスとな
もっとも今はマリア・シャリエールだが……一応、式も挙げた。
かれこれ五ヶ月になるか。ようやく子供たちとも打ち解けて来た所だよ
まあ、私としてもそういった縁は考えて居なかったがな……悪くないものだ

ところで……いや、それで?他に何もなければ、今度は私が質問する番だな
お前にとって、私はUTに連れて行くに足る人物なのか否かを……な。

【――正直というか、愚直なのか。人の心を推し量るのは、どうやら苦手らしい】
【ロウが焦る様子を気に留めることもなく、あっさりと表情も変えずに色々と言ってのけ】

【極めつけには、ほれ、と左手を見せるのだった。無論、薬指にはキラリと光る物があり】
【オマケにそんな事はいいだろうと言わんばかりに、ロウの答えを聞き出そうとするのだった】
【無神経とも言えるかもしれない――悪意の無い悪というのも、世には存在するのだろう】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 02:14:34.52 ID:ZhcRw6Vu0
>>484

【「でも、わたしが、つよければ――」】
【零れた言葉は、ただ、いまさらどうにもならない話だ。あの時、彼女には、力が足りなかった】
【足りなかったから、助けられなかった。――もう終わった話をしている、きっと、過去のことを考えている】
【そう言う子だった。昔に囚われやすい、未来を見るのが苦手で、どちらかといえば、うじうじしているのが好きな性質】

【だけど、そんな彼女が、頑張って未来のことを考えてみた。いっぱい、いっぱい、考えてみて、決めたことがあった】
【視線がきっかりと噛みあう、見つめて、見つめられて、――少し、怖気づくような間があったのは、確かだけれど】
【すぐに、現れるのは……なんだろう、覚悟みたいな、滾るやる気みたいな、そんな、強い感情だ。だって、自分で決めたこと】
【やりたいと決めたことはやりたい性質でもある。それなら――ついに宣言するのだから、涙も引っ込んでしまう】

あのね、……わたし、ちゃんとしたご飯を食べられないひとたちに、ご飯を、作ってあげたいの。
夏に腐りかけたものを食べるんじゃなくて、冬に冷たいごみ箱を漁るんじゃなくて、温かくて、おいしいご飯……、
――ちゃんとした、“ふつうのひと”が食べるみたいな、ごはん、用意してあげたいの。

でもね、きっと、わたしが“やろう”って決めても、わたしの家で、そういうことやっても、きっと――きっと、
誰も来てくれないって思うの。そんなの……誰も、わたしのこと、信用してくれないって思うの。“わたしなら信用しないから”。

だけど――、だけど、たとえば、それが、UNITED TRIGGER(ここ)みたいな場所だったら、信じてくれるかもしれない。
信じてくれて、行ってみようかなって思ってくれるかもしれない。だから……、

わたし、そういうひとたちのために、ご飯を作ってあげたい。

【はじめに小さな深呼吸。言うって改めて決めて、ずっと考えていたことを、言葉で整理する。少しの間】
【それから紡いでいく言葉たちは、思ったよりはしっかりと形に出来たように思う。個人的な感想、だけれど】
【セリーナにしてみればどうだろう。ちゃんと伝わっているだろうか、怒られてしまうだろうか、――僅かに不安になって】
【視線を少しだけ伏せてしまう。窺うような目をしてしまう。だけど、すぐに、……また、セリーナのことを見つめ】

だから。……セリーナ、みんなが信じてくれるだけの名前と、みんなが、温かいご飯を食べられるだけの、場所を――、
わたしに、ここの名前と、場所を、貸してください。

【――自分ひとりで決められることじゃなかった。考え付いたときも、言っていいものか、しばらく悩んだものだし】
【だけど――自分に出来ることは何かって考えたときに、“これ”だって思った。セリーナも褒めてくれた、“料理”】

【おいしいものを食べられないって、存外辛いことだった。夏は腐敗に怯えて、冬は、凍りかけたようなご飯】
【拾って集めた小銭で食べた“ちゃんとした”食事はとっても嬉しいものだった。――安い店の、一番安いメニューとかでも】
【だから、そういったものを提供できたらと思う。あそこに行けば温かいご飯が食べられる――そんな風に、なれれば】

あのひとたちは、助けられなかったけど……、今のわたしに出来るのは、きっと、“これ”なの――。

【――だけど、もちろん、問題もある。お金はどうするのかとか、それは、自分で考えたときにも思い浮かんだ】
【お金を取るのか取らないのか、彼女的には取りたくないが、それなら、材料費とかはどうするのか】
【もらったお給金を全部使えば足りるかとも思うが、足りない気もする。家にならお金はあるが、あれは家のだし――】
【金銭感覚という点で彼女は結構駄目だった。小さい頃に両親は他界、ホームレスで放浪、仕事といえばバイト程度、玉の輿】
【なるだけ安いもので今晩のお店の食事とおつまみを、とかそういうのは辛うじてできるのだけど――あんまり、それ以上となると】

【だけど、頷いてもらえるなら、自分でどうにかする気ではあった。名前も場所も、お金も、だなんて――ちょっと、“ださい”し】

【――それ以外にも問題点はきっとあるだろう。それなら、きっと、言ってやればいい】
【駄目なところを言われる覚悟はしてあるはずだ。――気付けば、言葉の最中に涙もきっぱり止まってしまって】
【まだちょっと涙の後の顔はしているけれど……助けられなかったという悲痛さは残っていたけれど、さっきよりも、強い】
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 02:20:03.06 ID:ZhcRw6Vu0
>>484
/了解ですっ
/明日は夕方ごろには普通に待機してられると思いますので
/そちらの手が空いた頃に呼んでいただければ、反応できるかと思います!
/ひとまずお疲れ様でした、また明日お願いしますー
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/27(木) 02:33:47.33 ID:y6z+/qPho
>>487

殴る、か……回りくどくないシンプルな答え。いいじゃねーかオイ。殺さないように配慮してるとこも地味にポイント稼いでるぜ。
じゃあ俺は――――アンタが殴りやすいように、ダグラスの足ぶち抜いて機動力削いどくわ。だからアレだ、死なないけどくっそ痛ェようにやってくれや。

【フレデリックの笑みに合わせてこちらもニヤァ、と何かたくらむような笑み。どちらかと言うと悪役に似合うようなそんな印象のスマイルを見せながら――――】
【――――俺もダグラスを「目を覚まさせる」ことに協力させてくれ、ということを告げる。何というかこのロウの発言には、初めてフレデリックに対して信頼を含んでいた】
【ゼン=カイマの復興に全力を注ぎ、孤児を救わんとし、そして六罪王へと立ち向かう。ようやくはっきり言える。この男は「善」だと】

部下……部下かぁ……。SCARLETはさぁ、システム上仕方ねぇんだけどさ、そんなにメンバー同士の交流とか無いのよ……。
俺も死ぬ前に式とか挙げてみてぇよマジで……んだよリア充かよ……。つーかいちいち言い方がもう煽ってんだろそれェ!

「もっとも今はマリア・シャリエールだが……」って完全に煽りだろテメェおいッッ!!
その後の「……悪くないものだ」ってのも合わせてボディブロー2発決めてくるとかコイツ言葉で殺しに来たぞ……!!
――――ああ分かったよ連れてってやんよ、十分分かったからお前が幸せなのは!!

【しょぼくれた声で俯きながら泣き言を零すのだが、その情けない瞳はトレードマークであるソフト帽が隠してくれていた】
【ぼそぼそ。段々と語尾に近づくに連れてボリュームが小さくなっていく――――のだが、悪意のないボディブローが突き刺さると同時に音声のつまみが反対に捻られた】
【最後はやけになりながらの承諾。まぁコイツが悪い奴ではないと分かったし案内はしよう、ただしリア充なのは気に食わないぞという態度だった】

……――――ぐはぁっっ!! 幸せが顎に、顎にモロクリーンヒットしやがったこの野郎……!!

【薬指の光が何故か彼の顎をかち上げ、勝手に背中を大きく反らしてから顎を痛そうに片手で抑えた。幸せアッパーの威力は尋常じゃない。そう思い知るこの男】

491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 02:49:11.53 ID:7J6gdoKi0
 【静寂の夜を貫く怒号、光の声の届かぬ闇】
 【寒気すら漂わせた風に、ひたすらに吹く向かい風。それは自然の伝える僅かばかりのやさしさであったか】
 【甘い露を啜れという誘惑であったか、その異様な空気に当てられたか】
 【怒号の先、そこにあるのはいつも通りの絶望的情景であった】

……はいよ、アンタの番だ。
後は殺せばいい。その首をそのナイフで切り落とせば、アンタは強くなれる。

 【声の主は冷淡だった。それは流れ作業だ。ただの作業に感情を込める必要はない】
 【学生服という異様な風貌の、まだ新しい血の付着した姿。路地の裏に転がるボロボロの少女。追加で一つは、布きれだけを着た、見るからに浮浪者な少年】
 【その少年にナイフを渡そうとする、女、それを怯えた目で見上げる子供】

……ああ、そうだよな。私もそれくらいの年はそうだったよ。
――だから苦労した。アンタはこれから、こいつみたいな奴と何度も会うし、殺し合う羽目になる。
あまりいいたくない言葉だけどよ。覚悟って奴だ。それができなきゃ意味がない。

 【ボロボロ――具体的には、その姿は一般人の類で、体はすり切れ、出血過多、肩が上がる程に息をして、立ち上がる事すらできない状態】
 【何故こうなったか――端的に一言で表そう、貧民層を見下した。それだけだ】

こいつ、能力者か……丁度いいや、もっといい自信になる。
アンタはこういう奴がいるから、ここに居るんだ。アンタの仇だぞ? そう思えばやれるだろ

 【……怯えを様子はあるが、逃げる様子はない。それはつまり、少年がそれに対し嫌悪を示す以上に、欲求を示していたから】
 【置かれたナイフを手に取り、眼を倒れた少女に向けようとしていた】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 02:54:58.70 ID:hS1c0D1no
>>490

ふむ……共に式を挙げる相手というのは、案外近くに居るものかも知れんぞ。
かくいう私も、彼女にそうと言われるまで今のようなことは思ってもみなかったものだ

……しかし、煽りなどという言葉は不適切ではないか?
事実は事実だ。マリアは私の、唯一にして自慢の妻だからな
いくらか過ぎたもの、とも思うが……まあ、お前の為にもこの話は終いにしようか、銃士。

【相手のことを中々話のわかる男、とでも決めたのだろうか。寡黙そうな見た目にしては】
【また随分と――こう、口が滑る。フフッ、という不敵な笑みも再び見せると】
【少し意地悪そうな所が有るのだとも分かって――それをどう取るかは、聞き手次第であり】

ともかく、だ……UTの拠点まで案内してもらおうか。
……なんなら回復の魔術をかけてやっても構わんぞ?代金には丁度良いだろう

それと、SCARLETの現状も聞いてみたいものだな。ゼン=カイマに居ると情報が入らん。
貴様自身の事も最低限の事しか知らん……道すがら、話してみろ。

【――いや、煽っている。それは間違いないが、根っからバカにしているのとは違い】
【石頭が少しは人間的な冗談を言えるようになった、そんな印象を受けるかも知れず】
【また、自分の事を話したのだからそちらも、と尋ねかけたのだった】
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 03:16:40.02 ID:nHSbFhpfo
>>491

【世界は汚れに満ちている。齢十五歳の少女の考えではなかったが、ともかく彼女はそのことをよく知っていた】
【身なりの問題では無い。綺麗に着飾ったところで汚い人間は汚く、美しい人間はボロキレを纏っていようが美しい】
【要は中身の問題だ。そして彼女は中身が汚れきった人間を数百の単位で見てきたし、同時に殺してきた】
【だから知っているのだ。世界は汚れに満ちている――――そして自分が、その一部であることも】

「首を落とせば強くなる――――――――へぇ。それって、本当?」

【彼女達の背後より凛と響く声音、しかし熱は感じられず、夜風よりなお冷たさを感じる音色だった】
【振り返れば、其処に立っているのは一人の少女。この場に実に不釣り合いな、見た目平凡な女子高生だった】
【幼さは抜けきっていないものの顔立ちは整っており、瞳は切れ長で紅色】
【艶やかな黒髪を後ろで一つに結っており、肌は白磁の様にきめ細かや】
【学校指定の黒いブレザーに身を包んでおり、足元は黒タイツと編み上げのブーツを着用している】
【背中にはスクールバッグと特注の大きめな竹刀袋を背負っており、一見すれば部活帰りの女子高生といったところだろう】

「だとしたら、私はあの頃からどれ位強くなったのかしら…………」
「ねぇ、そこのあなた――――――――教えてくれない?」

【竹刀袋のジッパーを下ろし、中にあるものを取り出す――中に入っているのが竹刀だと想像していたならば、おそらく意表を突かれることになるだろう】
【取り出されたのはたった一振りの日本刀。少女が扱いには少々大振りだが、外見≠ノ可笑しな点は見られなかった】
【特筆すべきは見た目ではなく、その在り方――――たとえその道の者が見なくても分かる程に、其れは異常な空気を孕んでいた】
【罪人の血を血を吸い続けた結果、魂を喰らう性質を得た呪刀。内包する魂は千の単位を遥かに超えており、その存在はまさしく刀の形をした地獄≠ナある】
【そんなものを持つ人間が正常な筈がない――冷たい目をした少女は、感情の揺れを隠して女を見る】

「…………そこのあなたも、悪い大人にそそのかされちゃ駄目じゃないの」
「殺しても強くなんてなれないわ。そう勘違いするだけで、殺し続けても感覚が麻痺するだけよ」

【彼女は正義の味方ではない。此れはあくまで先達からの助言――――殺し続けた人間からの、真実】
【この場で悪人が増えれば、殺すべき対象が増える。彼女は快楽殺人者ではない為、多くの人間を殺すことを是としない】
【だからやめておけ、と。今この場で殺せば、いずれあなたも殺すことになるから】

「……一応確認をとっておくけれど、あなたは悪い人よね?」
「私、罪人の首を落とす仕事をしているの――――――――ねぇ、あなたはどっち=H」

【こんなものに意味は無い。何故なら女がどう答えたところで、彼女は女を斬るつもりだったからだ】
【少年はまだ分からない。いや、今のところは悪人とは言えないだろう――――だが、女はおそらく違う】
【人に殺人を促すような奴はまともじゃない。だから斬る。斬り殺す――――其れが彼女の役目ゆえに】

【思考は既に凍結し】【流れる血潮は罪の色】【花を散らすは魅せるため】【今宵も殺人機械となろう】
【我は正義に非ず】【悪を裁く悪で在るために】【此の身を咎で染め上げろ】

//速攻で凍結になりそうですがよろしければ……!
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/27(木) 03:35:09.48 ID:y6z+/qPho
>>492

いいですねぇ大司教様はどうやらラブラブやっていらっしゃるようで……。
はぁ……俺も言ってみてぇよマジで……――――私の、唯一にして自慢の妻だ(どやぁ)ってさぁ!

【フレデリックからのアドバイスも、勝者の余裕を漂わせているようにしか聞こえず――――皮肉っぽく敬語なんか使ってみたりして】
【兎に角その不敵な笑みが憎らしい。内心こんな嫉妬をしてあーだこーだ文句を言ってるからモテないんじゃないかと真理に気付き始めているのだが認めれば負けだ】

今のは煽りっすよねェ大司教さんよォ!? オイ確実に今のは煽りだよなぁ!? 
あー、まあいい……さっさと連れてけばいいんだこの幸せゼンカイ=マッチョマンを……!!

【先程までは悪意なき煽りだと内心理解していた上でのあのリアクションだったのだが、明らかに今回のは性質が違うだろうと声を荒げるロウ。流石にイラッときた】
【そのせいかどうか分からないが思ったことを口に出すべきかどうかを検査する段階を省略して言葉が口から漏れる。まぁ何が漏れたかと言うと駄洒落なのだが】
【幸せ全開マッチョマンという謎の言葉に含まれた「ゼン=カイマ」。ある意味フレデリック相手くらいにしか使えない親父ギャグを言い放つ。いや言い放ってしまった】

お? SCARLETの現状だ? 正義組織は苦しんでるよ、UTも多分な! GIFTあるだろ? あれがウォレンシス占拠したから大分状況キツイんだよ。
SCARLET上層部……上層部ってのは俺らみたいに実際に闘う奴等に指示だしたり招集命令出したりする奴等なんだけど、上層部も大分困ってる。
俺らが止め切れなかったんだよ、GIFTの勢いを……ったく我ながら情けねぇぜマジで。まぁGIFT見張りながら奪還の機会練ってるって感じか。

あ、なんだ……これはあくまで噂に過ぎねぇけど上層部のメンツも変わるとかどーのとか。いやこれは全然関係ねぇな……ま、そんなとこ。

【ギャグを言い放ち数秒、やらかした過ちに気付いたらしく――――ロウは一気に事務所へ向かって早歩き。誤魔化そうという算段なのは言うまでもない】
【ギャグに突っ込む暇も与えないぞ、と早歩きに加え早口でSCARLETの現状を一呼吸で一気に語る。内容は要するに中々のピンチだということ】
【水の国の古都ウォレンシスへのGIFTの襲撃。其れを食い止めることが出来ず古都は金十字に落ちた。となれば容易に他の水の国の都市へと侵攻が可能】

……ハイ、とうちゃ〜く。……じ、じゃあ次会うときはアレだ、ダグラスぶん殴る時だぜ!? 奥さんにも宜しく頼む、お幸せにド畜生!!

【故に一瞬たりとも気の抜けない状況が続いている――――とのこと。そう話している間にも事務所の目の前に到着するか。そう、相当近かったのだ】
【着くや否や「じゃあ」とやや狼狽しながら言葉を続け、そのまますたこらさっさと小走りに去って行った。自滅でもあるがなんだか完敗した気分だった】

/ここで〆にさせてもらいます、ありがとうございました楽しかったです!



495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 03:43:09.73 ID:7J6gdoKi0
 【――凛、凛、凛】
 【鈴の音が 何処から何処へ 響きを乗せて 冷たさを孕む涼しげな】
 【白く細やかな鈴の音よ 澄んだ色を耳へと残して――それは、悪の権化へ舞い降りた】
 【黒く、真っ白な鈴】

――何いってんだよお嬢さん。学生はさっさと帰る時間だ。
こんな時間まで遊ぶより、本を読むほうが楽しいって。私が言うんだから――

 【竹刀袋を持った、ただの学生には見えない少女。何故見えないのか、それは女がそう感じ取ったからだ】
 【自らの勘が告げていると――果たして、それは的中する。驚愕を持って】
 【取り出されるは竹刀ではなく、日本刀。しかしそこへ向けた意識はすぐさま霧散する】
 【在り方だ。その闇へと身を落とした在り方。刀に不釣合いだ。刹那の間に浮かんだ思考は、最早それを拒絶する。何故可笑しいと思ったと、は思考結果は反転し】
 【それに気づいた時、改めて――目の前の少女がどれだけの闇を溜めこんでいるのか、大凡の、自らの生まれからの判断を立てる事が出来た】

……なるほど、これは経験者は語る、って奴か?
悪かったよ、不良学生の類じゃなかったな。

 【手をひらひらと顔の横へともっていき、悪かった、悪かったと軽く謝って形だけの誠意を見せる】
 【ならば――と、女も明確に、この少女と対峙≠オなければならない】

なあ、アンタ――……

 【向けられる殺意、それに女は怯まない。残念な事に、それに常に晒されていたからだ】
 【浮かぶは疑問、この場だけ見れば確かにそうだ。事実、この生者が何かをした訳じゃない。例えしたとして、これは過剰防衛だ】
 【だが――女は口を続ける】

――アンタは、悪を斬りたいのか。納得できない奴を斬りたいのか、どっちなんだ?

 【その異常性。それはどうもただの正義とは違って見えた】
 【――闇を知っている。それだけで十分だ。僅かに頬をゆがめた女は、唯の問いを投げる】
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 03:45:32.02 ID:7J6gdoKi0
>>495>>493宛なのと

最後の文に
 【構えをとっておらず、女の周りは隙だらけに見える。いつでも踏み込めそうだが……?】

と、一文を加えてください……orz
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 03:58:43.80 ID:nHSbFhpfo
>>495

【向けられた問に答えは帰ってこない。或いは解答を持ち合わせていなかったのか】
【軽い態度は先日出会った同じ学校の少女を思い出すが、どうも女の其れは少女の軽さとはまた違った印象を憶える】
【女の軽さは――――あくまで推測だが、経験や境遇から来る余裕。そんなふうに思えた】
【刀を抜いていないため、まだ全力の殺気は放っていないが、それでも微弱な殺気ですら常人ならば怯ませることが出来る】
【悪かどうかはともかく、其れをなんでもないかのように流せるだけの体験や経験があるのは間違いないだろう】

「…………あら、質問に質問で返すなんてマナー違反じゃ無いかしら」

【悪を斬りたいのか、それとも納得出来ない奴を斬りたいのか――――本音を語るならば、何方も的を射ているといった所だろうか】
【そもそもの問題として、彼女は人を斬ること、そして人を殺すことを自らの中で容認した事は無い】
【其のような家系に生まれたから、そうして生きている。簡単に言ってしまえば、流されて此処まで来てしまっただけだ】
【だからといって己の罪から目を背けるつもりはなく、あえて答えを其の二つから選ぶならば――――】

「悪よ。私の納得だなんて、そんなモノで私は殺す対象は選ばない」
「罪人の首を斬り落とす――――――――其れが私の役目だから」

【斬る対象に彼女の意志は介入せず、謂わば指示されたことを成すだけの木偶人形と言っても過言ではない】
【斬ることしか出来ない殺人機械。機械は勝手に動けない。故に其処に正義など存在せず、ただ悪を裁く悪だけが存在する】
【納得で殺人対象を語るならば、彼女は誰も殺さないし殺せない】
【自分に悪を裁く権利など無く、人が人の命を奪っていい道理など無いのだから――そしてなお殺すから、彼女自身もまた悪なのだ】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 04:19:44.41 ID:7J6gdoKi0
>>497
そりゃあ失礼。
――じゃ、アンタは私は悪じゃない、と否定すれば助けてくれるのか?
それとも悪だって言えばやりやすいか? アンタの後腐れない方の答えで構わねーよ。

 【ここまで殺気を向けて、生かして返すつもりがあるのか】
 【だとすれば断頭台に首を置いた罪人に、助かる方法を尋ねるのと同じだ】
 【随分と――酷い。そしてそれは当然だ。罪は罰せられるべきだ。どれだけ重いのか、それを理解させなければならない】
 【少女が斬る為に刀を抜いたのはわかった。脅しではない。故に、この答えは結局、無い物と同じだろう】

役目――悪――ああ、そう来たか。
いいなぁアンタ。随分とキ≠ソまってるな。そんな事をしなくちゃならない境遇に同情するぜ。
いっその事、しなければ殺される位終わってればよかったのにな――中途半端だからいけねえんだ。どこの世界も。

 【それを役目だと言った。それはつまり、自らの意思が介入していなくて】
 【納得は存在しないと言った。それはつまり、自ら望んでいないという事で】
 【そして、感覚が麻痺するまで殺して、心を壊し続けたというのならば――】

まあ待ってくれよ。なら死ぬ前の最後の一言だと思って聞いてくれ。

 【わざわざここで話してくれるんだ。もう少し位は聞いてくれるんだろう?――そういいながら、今度はしっかりと瞳を合わせた】
 【ただの瞳だ。視線を感じるだけの双眸。……少なくとも、今はそうだった=z

それを嫌だと思った事はないか?
 
そうしなくちゃいけない、自分の世界を恨んだ事はないか?

 【――瞳から流れるのは、欲。女はその瞳で射抜かんとばかりに、瞳の中にドス黒い物が生まれる】
 【瞳を逸らさなければ、中身まで見せてしまう――そう、直感できるだろう。自らの、見られたくない部分を、こいつに覗かれると】

どうして、私だけ――こんなに必死なのに。他の人はのうのうと生きているのか。
考えた事ないか? ……羨ましいって、思った事はないか?

           
               なぁ、教えてくれよ。


 
 【今、瞳を逸らさなければ――言い様のないぐちゃぐちゃとした嫌悪感を覚えながら、間違いなく、自らの中を、この女に、見られる】
 【反らさなくてもいい。明確に拒否すれば逃げられるかも、しれない】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 04:25:25.45 ID:hS1c0D1no
>>494

……フッ。今度、暇な時で構わん……お前、ゼン=カイマに来い。
あそこにはお前のような男が必要でな。子供たちも喜ぶだろう

しかし、そうか……やはり手一杯、というのが現状か
私も世情に詳しいわけではないが何となく想像は付く。……考えものだな
まあ、お陰で分かった。UTの者と話す際に、少し参考にしてみよう

生憎とGIFTという連中にも縁は無い……が、おおよそどういった相手かも理解出来た
……もし出会うことがあれば、貴様の代わりに制裁を下して置いてやろう

【話す中で少しは打ち解けたか、見れば厳しい顔は微笑に変わっており】
【SCARLETの事、UTについての予測、GIFTという存在】
【そしてその脅威も頭に刻みつけて――ふと前を見れば、それらしい建物が目に入り】

あぁ、ダグラスの居場所も掴めている。……奴からバラした以上、不安要素は大きすぎるくらいだがな
その時が来れば……期待させてもらうぞ、銃士。マリアにも良く伝えておくとも……さらばだ。

【軽く言葉を交わしてからロウが立ち去れば、その勢いにふと可笑しみを覚えたらしく】
【目で彼を見送ってから、UTの事務所――酒場じみた、その前に立ち】
【そして、そこで魔術を使って姿を消した。場所は覚えたから、また来ようという事らしかった】

/了解です!こんな時間までお付き合い頂き、こちらこそありがとうございましたー!
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 05:02:59.14 ID:nHSbFhpfo
>>498

「…………さあ。何方にしろ、あなたが罪人なら殺すし、そうじゃないなら殺さない」
「そして私は善悪の判断もつかない子供に殺人を犯させるような人間を、いい人間だとは思わないわ」

【つまり相手が悪なのかそうでないか、結局のところ判断基準はあくまで彼女であり、相手に尋ねたのは形式にすぎない】
【いや、相手の答え自体が判断材料の一つなのだ。行動、態度、言動の節々を見て、そして斬るかどうかを判断する】
【上≠ゥらの指示が在れば其れさえせずに斬り殺すが、こうして偶然居合わせてしまった場合基準は彼女に委ねられるのだ】
【だが上からは、疑わしきは殺せとも言われており――――わざわざこうして判断材料を集めているのは、彼女の少ない良心が歯止めをかけているのである】

「…………別に。私より不幸な人なんて幾らでもいるでしょう」
「境遇に駄々をこねるなんて、そんなことしても何も変わらないわ」

【諦観。すでに諦めきっていたから、自分が不幸だとも思わないし、自分だけが苦しいだなんて思わない】
【だから悪人の同情などいらないと切って棄てる――――少なくとも、表面上はそう取り繕っている】
【根底はどうだろうか】【本心は?】【答えは彼女しか知らない】【いいや、或いは――――彼女自身、自分を理解出来ていないのかもしれない】

「……懺悔の言葉かしら。生憎聖職者とはかけ離れているけれど、私でいいなら――――」

【違和感。女の視線を、真っ向から受け止める。殺すならばその事実から目を逸らさない、そう決めていたからこそ、少女は真っ直ぐに相手を見つめていた】
【そして逸そうともしないだろう。自らの罪から目を逸らすということは、自らの罪から逃げるということになる】
【自分に悪を裁く権利など無いけれど、やるならば其の宿命からせめて逃げないように――――己に課した罰】
【其れがまさか裏手に出ると一切思っていないのは、彼女が死刑執行人としては一流でも人間としてはひどく未熟な証拠だった】

「――――――――――――――――え?」

【先ず感じたのは、目眩。脳を、心臓を、体全身を駆け巡り掻き毟るかのような、吐き気を催す嫌悪感】
【だが目が逸らせなかった。逸らせる筈がなかった。罪から目を逸らす事は、自分が殺した人々から目を逸らすということになる】
【殺した以上背負う、そう決めたのに――――――――ああ、だからこそ彼女は女から逃げられない】

「あ、ぁ…………そんな……私は…………っ!!」

【そんなこと無い、本当にそう言い切れるのか。思考回路がズタズタに引き裂かれ、右手で胸を抑える】
【女には視えるだろう。目を断じて逸らさないと決めていて、なおかつ女の術を振り解けるほどの精神力も、押し退ける事が出来る能力も持っていないのだから】
【自ら嵌まりに行ったような物だ。相性としては最悪と言ってもいいだろう。一度発動してしまえば、絶対に少女は逃げられない】

「そんな、こと……うらやまし、く…………なんてぇ…………――――――――」

【必死の抵抗も空しく、少女の脳裏を、胸中を、或いは心境を女は垣間見る事が出来るだろう】
【抵抗出来るはずもない。年頃とそう変わらない精神力で、自らの境遇に必死に堪え、擦り切れかけていたのだ――僅かに抵抗出来ただけでも、奇跡といえる】
【全身を犯す嫌悪感――――其れに勝るとも劣らない少女の総てを、女は覗くことが出来る筈だ】

//分けます……!
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 05:03:59.76 ID:nHSbFhpfo
>>500

【幼少時代、物心ついた時にはもう刀を握っていた】【当時は人を殺す技術だなんて実感は無くて、ただ厳しい両親が怖かった】
【逃げるなんて出来ない】【宿命だと諦め始めたのは、まだ小学校に入る前だっただろうか】【けれどこの頃には、まだちゃんと希望があった】
【彼女には双子の兄がいた】【全てにおいて自分より優れている兄】【もちろん殺人術も自分なんかより、ずっと早く上達して】
【家の皆が、次の当主は兄だと言っていた】【自分もそう思っていたし、兄も多分そう思っていただろう】【兄に全部押し付けて、私は逃げようと思っていた】
【でも残念、現実はそんなに甘くなかった】【転機は十一歳の頃】【両親が、何者かの手によって殺された】
【いつも怖かったお父さん】【いつも厳しかったお父さん】【でも、両親が死んで悲しくない訳がなかった】
【悲しくて】【でも私の家柄上、こんな終わり方でも仕方がないのかなって、そう思って】【遺言の通り、次の家の当主は兄になった】【筈だった】
【歴代当主が受け継ぐはずの呪刀】【其れが何故か兄を認めなかった】【代わりに選ばれたのは私で】
【家の誰もが不思議に思った】【けれどそうなった以上仕方がない】【遺言通り兄は当主に、そして本来兄が受け継ぐべき刀と罪人を裁く仕事だけは、私に】
【そして十二歳の誕生日】【兄は笑顔で私に誕生日プレゼントをくれた】【拘束された、死刑囚だった】
【初めての執行】【なんでこの人は死なないといけないんだろう】【私なんかにそんな権利あるのかな】
【怖い】【怖くて仕方がなかった】【手が震えた】【けれど兄から刀を奪ってしまったんだ】【私は刃を抜いて――――】
【そして、失敗した】【震える手でまともに首が落とせる訳がなかった】【事切れる其の寸前まで、死刑囚の男は苦しそうだった】
【今でも鮮明に覚えてる】【脳裏に焼き付いてしまっている】【だから私は】【一撃で苦しませずに殺せるように】【ひたすらに技を磨いた】
【普通が羨ましくない訳がない】【私も普通に生きたい】【そんな思いを全部無視して、ひたすらに鍛錬を重ねた】
【本当は殺したくなんて無い】【そんな思いとは裏腹に】【私の殺人技術はどんどん強くなって】
【殺した】【殺し続けた】【指示された人を、皆皆殺した】【命乞いされたも】【逃げられても】【誰であろうと殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】【殺した】
【殺した】【殺した】【殺した】【罪のある人も殺した】【罪のない人も殺した】【殺せと言われたら皆殺した】
【男を殺した】【女を殺した】【老人を殺した】【子供を殺した】【殺して殺して殺し尽くして】【それでも足りないとまだ殺して】
【ごめんなさい】【ごめんなさい】【ごめんなさい】【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】
【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】
【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】
【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】
【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】
【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】
【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい】

【殺した人の顔も、表情も、名前も、斬った時の感触も、全部全部覚えてる】
【六百四十二人――――――――――――十二歳からこの瞬間までに、私が殺した人数】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 05:35:18.56 ID:7J6gdoKi0
>>500
 【流れ込んでくる人の怨念――憎悪――怒り悲しみ焦り喜び――憎、しみ】
 【それが一人の人間の物であるなら、どれだけ軽かった事だろう。それが誰かの唯の想い<いのり>であったなら、どれだけよかったか】
 【――その数は、まさに呪いで、地獄であった。】

――っが、ぐ――。

 【呻いた。それは殆ど反射的で、脳が何が入ってきたか、理解するより速く、本能が示した】
 【その波に。連鎖する地獄の波に、体中を掻きめぐらされるような、病みと闇とに重なる已みなき止み】
 【人の背負えるものではない。只々広がる殺意の呪縛。刹那に巡る千の言霊】
 【これか、これが――あの異常な空気を持ち、何故耐えられる――?何故堪えていける――?】

っぐ、がっ――――

 【――少女の初めてを見た。もがく男を見た】
 【その瞳を見た、吸い込まれるような、恐怖と怒りと、諦観の混じった――ああ、そうだ。知っている】


 【私は この眼を 知っている】





――っく、はは――はははははは!!!!
           は―――ははは――は―はは!!!
                   ―――――――は――――は――――は――――!!





 【息と行との間に続く、途切れ途切れの狂気の歓喜】【額を抑えるようにして、頭を上に掲げれば、その頭に入った第三者視点が、段々と形を引いて、一人称と、二人称とを混ぜ合わせて】
 【謂わばその視点に置いて女は神の第三者だった。それを見る、感じる事ができる。しかし決して狂わない。それを体験した訳ではないから】
 【だから、知った気でいられる。誰よりもそれを知った気で、近くにいる気で、本質には届かない】【つまりは自己満足染みた】【理解したというつもりの思い込み】
 【質の悪い事に、それは下手な知り合いよりも、偽善よりも、本質に近い事であった】

 【断罪、断罪、断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪】【謝罪、謝罪謝罪】【拒否、強制】
 【――捨てられないのか、心を……。人だから=z
 【そして、その狂気がつつむ路地の裏、とうとう少年は、金切り声をあげ逃げた】



 【そうだ】

 【母さんは、こんな目をして】【何かを恨みながら】【諦めて、死んだんだっけ】



//同じく、分けます……!
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 05:38:07.50 ID:7J6gdoKi0

……まさかな、とんだパンドラボックスだ。
いや、もうダメだな。アンタに舐めた態度はとれないな。私だったらとっくに狂ってる。
――なあ、12の時、私は何をしてたと思う?

 【返答など要らない。答えを尋ねるにはあまりに短い間の後に、女は言葉を続けた】

人を殺した、人生三人目だ。どうしてか? 殺さなきゃ私が死ぬからだ。
本当は嫌だった。今じゃ慣れたけど――そうだな、麻痺しちまったよ。

 【最初に少女がいった、殺せば麻痺する】
 【てっきり自分が背負いすぎてそうなのかと思った――違った】
 【少女は殺せば殺す程、それに敏感になる】【重ねれば重ねる程、更に恐怖が上に乗る】
 【女はそう感じた。実のところはわからない。みたつもりで本質の総てを知らないから】
 【女はそういう事にして、言葉を綴る】

アンタは違った――なあ、あれだけ殺して、それでもまだ、嫌だって言えるんだ。
わかるだろ? これからアンタはまだ殺す。既に壊れちまいそうなのに。それでもアンタは殺さなくちゃいけない。
もう充分なんだよ。これ以上背負って何になる? 誰もそれを当然としてしか受け取らない。
必死な、泣きそうなアンタを知らないんだ――こんな世界、腐ってると思わないか?

 【必死で全力な人間だけが苦労する】【馬鹿はのうのうと生きられる】
 【文句を垂れるのは一丁前で、それに従わないと殺される】【不平等で、不条理で、不完全】
 【手を伸ばす、その手には憎しみはない】【誉れと、慈悲】

私が六百四十三人目になっても、桃子は、変わらない。
私と変えてみないか、世界を。

 【垣間見た記憶の中での名前――それを知った風な口で】【本人はそれに気づくことなく】
 【口にして、誘惑するのだ】

――路地の裏で生きている。満足に飯も食べれない奴らはどうしてこうなる?
日々に必死で生きてるのに、何故報われない?
どうしてそんな必死な奴を、ここにいる馬鹿h笑うんだ?

 【何故、ああなったのか――それが理由だった】
 【必死を笑う無努力。全力を笑う当然。ただの一欠けらの恩恵も渡さない。手も取らない】
 【だから――女は、世界を変えようとしていた。必死で全力な、全てを賭けれる人だけの、世界に】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 06:01:15.26 ID:nHSbFhpfo
>>502-503

【悪夢よりなお悲惨で凄惨な現実、血に染まりきった記憶が彼女自身を蹂躙する】
【息が苦しい。立っているだけでも辛い。今すぐにでも倒れこみたい。死んだほうが、きっと楽なんだろう】

「はぁっ…………はぁっ…………」

【少女が一人目を殺した時、女は三人目を殺していた。感覚が麻痺するほどに殺すには、一体何人殺せばいいのだろう】
【分からない。何故なら彼女の感覚がまだ麻痺していないから。殺すことは今でも怖いし、仕事の前は手が震える】
【夜も眠れない。寝たら夢を見るからだ。ひたすらに殺す夢、そしてただ殺した人達に見つめられる夢を】

【そうだ。世界は腐っている。いくら殺しても悪人はいなくならない。人がいる限り、罪人は消えない】
【きっと死ぬまで殺し続けるのだろう。殺して殺して殺し尽くして、最後に自分を殺さない限り彼女の仕事は無くならないのだろう】
【幾ら頑張っても無駄なんだ――そう言われているようで、女の言葉は少女の心に噎せ返るような甘さと共に溶けていった】

「世界、を……変える…………?」

【蠱惑的な響き。斬らなければいけないはずの女の存在が、まるで自分を救ってくれる存在のように見えて】
【殺し続けても変わらない、そんな当たり前の言葉に心臓が大きく跳ねた】
【変わらない世界。変わらない自分。このままこうして死ぬ其の瞬間まで、誰かの首を撥ね続けるのか】
【そんなのは、嫌だ。嫌なんだ。自らの過去を女を通して改めて見つめ、そして思いは確信に至る】
【世界が変わるのなら。ああ、いや違う。変革を待っているのは凡愚のすることで、所詮其の程度の思いでは世界は変わらない】

「変え、られるの…………?」

【問いかけは切実だった。只の人間が、世界を変えられるのか。小さな存在が、大きな枠組を壊せるのか】
【頑張っているのに報われない。生まれた時から未来を宿命付けられて、廻る歯車の一つとなる】

「私、人を殺すことしか出来ないのに……こんな私でも、世界は変えられるの…………?」

【差し伸べられた手を、そして女の目を弱々しい瞳で見つめ――そして尋ねる】
【大言壮語、虚言戯言と本来ならば切り捨てるべき言葉でも、運命に嬲られ続けた少女の耳には蜜より甘く響いてしまう】
【身体に傷を負うならばまだ良かった。物理的な反撃を喰らい、血を流すならばきっと耐えられた】
【支えのない彼女に、甚振られ続けた十代の精神に、抗う術など無く――――――――】

//申し訳ないのですが、凍結をお願いしたく……!!
//都合が悪いようでしたら切ってしまっても構わないので……!
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 06:08:53.44 ID:7J6gdoKi0
>>504
/それでは凍結でお願いします!今日の夜ごろならいるので大丈夫かと!
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 15:56:39.37 ID:KILK3zA00

>>488

【前を向け、なんて簡単に言う人がいるが、そんなに直ぐ前を向けるなら、塞ぎ込む筈が無い。】
【そういう事を云う人間に限って、後ろを振り向いた事すら無くて、それがどんなに甘美な物かも、知らない。】
【だが矢張り、視線を伏せ、口を紡ぎ、後ろを向いているのは気持ち良くても、いつかどこかで止めねばならない物なのだ。】

【もうかなり前の事になるが、セリーナにもそんな時期があった。不貞腐れて、正義をバカにして。】
【ただただ金銭のみに価値を見出し、その為には手段を厭わない冷酷な賞金稼ぎの銭ゲバ。それがかつての彼女。】
【だが、彼女も遂にそこから一歩を踏み出した。簡単な事ではなかったが、それでも踏み出した。きっと、鈴音も同じだろう。】

【―――どんなに辛くとも。踏み出すのを、歩み出すのを止めてはいけない。鈴音の勇気の一歩を、セリーナはしっかりと聞き届けた。】


 ……つまるところ。
 ボランティアでもいいから―――
 鈴音ちゃんは、"みんな"に料理を振舞いたい、と。


【明日食べる物にすらも在り付けない、路地裏に潜んだ人々。この国の、この世界の抱える小さな闇。】
【金塊と資本主義が産み落とした不幸の象徴、幸福の背景に落ちる黒い影、食い物にされた哀れな子供たち。】
【無論、その存在を知ってはいる。セリーナとて、かつては"そういった"類の身分より出身した過去を持つのだ。】

【だが明確な救済の手を差し伸べるにはまだ、時間が足りないと考えていた所に―――彼女の、提案だ。】
【これは最終的な救済にはならないかもしれない。根本的な問題の解決には至らないかもしれない。だが、だがしかし。】
【動く事の出来ない誰かに代わって、出来る事をしようとするこの姿勢を。少女の決意を。彼女の覚悟を。無駄にしていい筈も無い。】


 ……。なるほど。一杯考えて、自分で決めた事。それに間違いは無いようだね? 鈴音ちゃん。
 今まで見てきた中で、一番しっかりとした"意思"を感じる、少なくともアタシには―――ああ、そうさ。
 そういう眼をしている様に見えるよ、鈴音ちゃん。正直な所を言うなら、貴女からそういう言葉が出てくると、思わなかった。

 ……"あの"経験が君にこの選択をさせたというなら、アタシにそれを止める権利なんて、ないさ。
 許可を求める必要だって、最初から無いんだよ。君はもっと、もっと強く言って良い。UTの仲間として。
 "セリーナ、アンタの名前と、そして厨房をかしてくれ!"―――ってね。だって、それも君の仕事の一環だもの。


【試す様に鈴音の瞳をしっかりと捉えていたセリーナの瞳に、安堵の色が浮かんでいく。】

/続きますっ
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 15:57:13.08 ID:KILK3zA00
>>488

 ただ単に、給仕をして貰う為だけに君を雇うと思うかい。
 それならもうとっくに、バイトを何人も雇ってるさ。そうだろう?
 けど―――鈴音ちゃん、君はアタシに、確かにこう言った。覚えているかい。

 『わたしが助けてもらえたみたいに、
  わたしの世界が救われたみたいに、
  だれかの世界を救ってあげられるなら……
  それは、とっても“いいな”って、思う―――。』

 鈴音ちゃんはそう言って、アタシの仕事を引き受けてくれたんだよ。
 武器を手にとって、悪い奴と戦うのとは少し違うけれど、君の其れも立派な"正義"だ。
 ご飯を作る事。温かさを知らない誰かに、暖かいご飯を作る事。美味しいって言って貰う事。良いじゃないか。

 誰も傷つける事無く。
 誰一人武器を手に取る事無く。
 世界を変えて行こうとしている―――

 それが、今の君だ。
 それが、鈴音ちゃんだ。
 これを支援せずして、何が正義の味方か。

【セリーナは立ち上がると肩を落として呆れた様に息を吐き出す。】
【ああ、まったくもう。―――この娘はなんて、真直ぐなんだろう。】


 ……帳簿を弄る手間が増えちゃったなぁ。赤字経営からは脱出した所だったけど―――ふふっ。
 こりゃ、ベイゼにはもっともっと働いて貰わないとだね。会社経理はアタシの担当だったけど、
 少し手伝って貰う羽目になりそうだ。さて……今の内に節約できる所を節約しておこうか。

 ―――鈴音ちゃん。ドーナツの買い溜めは、きっと今日でお終いだ。
 これからは月一回くらいの御褒美、って事にしよう。削れる所は、削っていくよ〜?
 なんたって―――その"開放レストラン"の完全無料配給化の為に、費用削減を実施してかなきゃだから、さ。


【ふふっ。とセリーナは悪戯ぽく笑って。詰まる所―――場所と、それからお金に関しては心配するな、と。】
【力強い声でそう伝えるだろう。そして、決意を固めた彼女の背中をぽん、と叩いて。その背を少しだけ、後押しする。】
【ただし、セリーナにも一応考えがある様で。どうやら、この"開放レストラン"(通称)を開くにあたって、条件が二つ程ある、らしい。】

【ココアでドーナツを流し込みながら、セリーナは指を二本立てて、一つずつ、その説明を始めようとするだろう。】
【条件を飲めるか、飲めないかは非常に重要だ―――。】
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/27(木) 17:02:22.82 ID:KCnUoeWi0
>>477
/申し訳無いです。少し問題が発生したために席を外して居りました
/また機会がありましたらその時お願いします
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 17:15:51.65 ID:ZhcRw6Vu0
>>507

【自分が言ったこと。セリーナが覚えていてくれたことに、きっと、彼女は、どこか嬉しいような顔をしたはずだ】
【それでいてどこか照れたように唇を噛んで。――そう、ちょっとだけ、恥ずかしかった。だけど】
【その気持ちは嘘じゃないし、今も変わっていない。自分がもらった“暖かいもの”を、誰かに、あげたい】

【そうして、見つけた答えが、これだった。自分にも出来ること、自分が得意なこと、あんまりないけど】
【これなら得意だって言えると思う。誰かに振舞って、恥ずかしくないと思う。――気付けば、自信の持てる特技になっていた】
【そして、それは、セリーナの……UNITED TRIGGERのおかげでもあって。ここで働けたから、自信は、いっそう強くなった】

! じゃあ――――、

【ぱっ、と、どこかきりっとしていた顔が笑う。雨上がりの滴がお日様で煌くみたいに、睫毛に取り残された滴が一粒揺れ】
【ため息――みたいなセリーナの様子をきらきらした目で見ていた。自分の夢――を叶えるための、きっと、第一歩】
【叶うかもしれないって、嬉しそうにして――続いたセリーナの言葉には、元気いっぱいな様子で】

わたしに出来ることならなんだってします、……帳簿とかも、良く分からないけど、その、
やりかた聞けば、きっとできるって思うし――、節約だってっ、……頑張る!

……ドーナツも、その分みんなのためにお金が使えるなら――、

――――かんぜん、

【魔法の言葉である。“頑張る”と彼女は宣言して、――とにかく、この様子なら“頑張って”くれそうだ】
【やる気は十分、気合も元気もきっと十分。……そういう類の仕事を彼女に任せるのは、少し、不安な気もするなら】
【きっと家事とかそういう方面の仕事を頑張らせてやればきっといい。ドーナツだって、そのためなら、我慢するし――】

【――なんなら、作ってしまえばいいとも思うのだ。お菓子作りはちょっと苦手だけど……どうにかなる、って】
【(ちなみに、UTの地下台所とかにたまに置いてある“ごじゆうにどうぞ”の手作りお菓子、犯人は彼女である)】

【そんなことを考えていたら、セリーナの言葉。完全、無料、……少しだけきょとんとしてしまうのは】
【セリーナにこれをお願いするので、気にしていたこと。(だってセリーナってお金のことには、少し、うるさそうだって)】
【あまりにもあっさり突破してしまって、驚いていたのだろう、――微妙に失礼な話だから、口にはしないまま】

【きらきらぴかぴかとご機嫌よさそうだったのが、また少し、真面目な風を取り戻す。立てられる指を、じっと見つめ】
【出来ることならなんだってする――宣言したし、そのつもりだ。だけど、とっても大切なものを借りるという自覚はあるなら】
【どんなことが“条件”になるのかって……、……或いはさっきよりも緊張してるかもしれない素振りで、説明を待った】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/27(木) 17:37:37.35 ID:lOeHpFlaO
【路地裏】

『リアル・ゴールド』

【赤い髪に長身細身の青年がいる。】
【──口に出すのは自身のアートマンの名】
【顕現する黄金の装飾が施された人形の其は──】

【その場に居合わせるもう一方の男性をタコ殴りにしていた。】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/27(木) 17:40:18.55 ID:raqyo0gpo
【公園】

【カンッ】 【カッ】
【そんな音が間を開けて何度も響く】
【音の正体は割られた薪に突き刺さるナイフのせいであろう】
【無論、そのナイフを突き刺す…いや、投げる人物も近くに居る訳で】

かーっ……んー?

【唸る声を上げるのは祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠した男だ】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをしており、短い黒髪を左手で掻いている】

良い音がしてないが……やっぱりなー、かーっ

【ナイフを引き抜き、先端を確認してから溜息らしきものを吐く】
【その後、すぐ傍に有る桶と砥石の傍に行きナイフの先端を砥いで、も一度薪へと投げて溜息を吐いて……と、コレを何度も何度も繰り返していて】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 18:25:41.33 ID:ZhcRw6Vu0
>>506

……うん、誰かと取り合ったり、奪い合ったり、しなくて良くて。
腐ってるとか、凍ってるとか、生ごみと混じってるとか……そんなの、気にしなくていい、

“ふつうのひと”が食べてるような、“ふつうのごはん”。――作って、あげたい。

【ごみ箱の食事というのは大体不親切だった。だって、そもそも、人間が漁ることを想定していない】
【まず温かいものは食べられないし、それに、“きちんと”料理のかたちをしたものは食べられない、まさか】
【きちんと皿に盛り付けたものをそのまま捨てるなんてことはないのだから。そんな“食事”、月に一度あればいいほうだった】

【――だから、きっと普通を知らない、或いは、普通から外れてしまった子達に。せめて食事だけでも、普通を教えてあげたい】
【どんなひとにだって“おいしいもの”を食べる権利はあると思う。どんな重罪人だって、食事くらい、おいしく食べたいと思うはず】
【誰だっておなかはすく。おなかはすくし、おなかがすいていると、悲しくなる。――普通のひとが知らないくらい、悲しくなるのだ】

わたしは、お金、欲しくない。そんなひとたちからもお金を取るのは、……少し、違うと、思うの。
そのまま来れば食べられるようにしてあげたい。おなかが空いたなあって来れば、温かいご飯が食べられるような――。
――食べたくてもお金がなくて食べられないなら、意味ない。お金が欲しくて、喧嘩したりするなら……もっと意味ない。

【――だけど、それは、彼女だけの話だ。組織としてのことを考えていない、あくまで個人的な意見】
【自分はそうしたい。だけど、組織の長として――セリーナはどう思うのか。駄目だって、怒られてしまうだろうか】
【そうだとしても、そこは譲りたくなかった。弱虫な彼女が珍しく奮起して、……一生懸命に、言葉を紡ぐ】

わたしが“やる”せいで喧嘩とか、起こるかもしれない。だけど、できるだけ、減らしたいの。
強いひとが全部持って行っちゃうような早いもの勝ちじゃなくて、弱いひとも、怖がりのひとにも、ちゃんと……。
ちゃんと、順番が回ってくるような、ことがしたい。ちゃんと、――みんなに、届けてあげたい。

【小さかった頃、家もなくて放浪していた頃、何度もあった。やっと見つけた廃棄のパンを、年上の孤児に取られたこととか】
【それはすっごく悲しかった。そういうことを起こしてはいけないと思う、――早いもの勝ちになるのは、嫌だった】
【だから、お金とか、量とか、“つよいひと”が勝つルールではないようにしたかった。お金がなくても、後から来ても、いいように】

――――、うん、いっぱい考えて、決めたの。

【病み上がりの喉が少しだけ掠れる。よく考えればほとんど数日寝たきりみたいなものだったわけで、――ココアを飲んでごまかし】
【ずっと漠然と考えていた。一週間前に、ひとを助けられなくて、自分を選んでしまって、それをきっかけに、もっと考えた】
【誰かを助けたい。だけど自分には誰かを助けるだけのいわゆる“ちから”はなかった。戦うのは、……不得手だと思うし】
【それなら出来ることってなんだろうって。自分にも出来ること、自分にできること、――】

【そうして、見つけた答えが、これだった。自分にも出来ること、自分が得意なこと、あんまりないけど】
【これなら得意だって言えると思う。誰かに振舞って、恥ずかしくないと思う。――気付けば、自信の持てる特技になっていた】
【そして、それは、セリーナの……UNITED TRIGGERのおかげでもあって。ここで働けたから、自信は、いっそう強くなった】

/つづきますっ
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 18:26:18.20 ID:ZhcRw6Vu0
>>506>>507>>512

【――いつかに自分が言った言葉だ。覚えていてくれたことが嬉しいようで、どこか気恥ずかしいようで、少し照れる】
【唇を噛むようにしながらも――だけど、その気持ちは変わらないし、嘘にもなっていない、それを改めて噛み締めて】
【自分がもらった“あたたかいもの”を誰かにもあげたかった。そうして、自分が“誰かの世界”をたくさん壊した変わりに】
【誰かの世界を、今度は、救いたかった。――冥い場所で泣いてる子を、こちらの世界に、連れてきてあげたかった】

! じゃあ――……、

【ぱっ、と、彼女の表情が明るくなる。ため息しているセリーナのことを、きらきらした瞳でじっと見つめ】
【自分と同じ境遇の子を救ってやりたいなんて曖昧な夢。だけど、きっと、――これで、一歩、進めるはずだから】

わたしに出来ることならなんだってする、節約……も頑張るし、お掃除とかだって、――。
……帳簿、とかは良く分からないから、ベイゼのほうがいいと思うけど……、
……でも、やり方教えてくれるなら、他のことでも。……わたし、頑張る――!

【魔法の言葉“がんばる”。このやる気の見せようだと、確かにいろいろと頑張ってくれるだろう予感はして】
【だけど、まあ、この少女に帳簿の類を任せるのは少し不安な気がするなら。確かに、“彼女”に任せたほうが安心そう】
【一応やったことのない仕事にも意欲的ではある。――実際、やれといわれればなんでもやりそうな勢いがあって】

――――え、

…………完全、無料、って。

【――――そんな風にしていた彼女の空気が一瞬静止した。ぱちくり、と、まん丸の瞳を一度瞬かせ】

――いいの? ほんとに……、――ほんとに?

【それからすぐに、くしゅっと破顔してしまう。気のせいか、また目が潤んだようにも見え――口元を、両手で覆い】

ドーナツくらい、わたしがいくらでも作るの。セリーナが食べたいときでも、食べたくないときでも……!

【食べたくないときにも食わせる気満々なのが気になったが。とにかく、ドーナツの供給が絶たれることはなさそうで、安心(?)】
【ちなみにUTの地下キッチンにたまにおいてある“ごじゆうにどうぞ”な手作り菓子は、彼女の仕業で】
【味もごく普通においしいなら、――流石にプロには負けるだろうけれど、楽しめそうだ】
【――自分のやりたいことを聞いてくれた。お菓子を作る宣言なんかじゃ足りないぐらい、とっても嬉しくて】

【だけど、すぐ、条件――の話になれば。また緊張した顔になる。わずかに浮き足立った感じは残っていたけど】
【ちゃんと膝に手を置いて、背筋をしゃんとして、条件を聞こうとしている。――緊張と、わくわくと、綯い交ぜにした表情がそこにあった】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/27(木) 20:52:42.64 ID:V/wxDWyYo
【酒場】

【飲み屋で喧嘩なんて珍しいもんじゃない。反論する奴は多分】
【小綺麗な町の通りにある飲み屋かホテルの最上階のBARにしか行ったことがないんだろう】
【ここみたいな歓楽街の外れにあるチープな安酒場では悪いアルコールのせいで殴り合いも珍しくない】
【その度に周りの客が止めるか、キレた店主が自警団を呼ぶまで一種のゲリラ的なイベントみたいなもんだ】

【今日も何かの理由とバーボンがきっかけでつかみ合いの大立ち回りが起きる。椅子が倒れて周りの客はサッと退く】

まあ、いいじゃん……俺だって何度も負けつ――――

【そいつは背の高い男。サングラスをかけた黒髪。シングルのライダースジャケットに縦線の入ったシャツ。ジーンズにエンジニアブーツ】
【ツバの広いハットの彼はテーブルを立って止めに入る。原因はそこでのカードゲームのギャンブルのせいのようだ】
【瞬間、そいつは喧嘩中の男にビールを勢い良くぶっかけられて、同じく刹那的にキレる。喧嘩の輪に飛び込んで適当にどっちかをぶん殴る】

この野郎ッッ!!負けたぐらいでキレ―――

【もう仲裁なんかどうでもいい、クソッタレ。もう片方もぶっ飛ばしてやろうかと胸ぐら掴んだ時にさっきぶん殴った奴にぶん殴られる】
【オマケに胸ぐら掴んだ奴に掴み返されて、テーブルに投げられる。サングラスの男はとても弱かった。テーブルをひっくり返しながら床に転がる】

【喧嘩は邪魔者が居なくなって再スタート。そこそこいい試合が繰り広げられている。場外に飛ばされたサングラスの男は仰向けになって天井を見上げていた】

……あー……何やってんだ…俺
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/27(木) 21:29:30.14 ID:qNEJiP/Go
>>514

【血だか涎だかわからない汚物が地面を汚し、剣呑な叫び声が鼓膜を汚す】
【そんな低俗極まりない空間にも、この女はとっくの昔に慣れきっていたはずだったし、その自覚も十二分にあった】
【――――けれど、今日だけは、間が悪い。仮初めの秩序を守ろうとしたサングラス男が吹っ飛ばされたのをきっかけに、女の中で何かが切れた】


……………あぁーーーもうッ!!
いい大人がぎゃーぎゃーガキみたいに喚いてんじゃないわよ!!!


【叫び声はちょうど、サングラスの男の隣あたりから聞こえてくるだろうか】
【四、五人は座れる大テーブルを臆面もなくひとりで独占していたその女は椅子を蹴倒し、ヒステリックに立ち上がる】
【しかし運の悪いことに、ソレは単なるヒス女では終わらなかった――――ぶぉ、という乱暴な風が、サングラスの男の顔を撫でるかもしれない】

【おもむろに、女はひっくり返ったテーブルを掴んだ。その瞬間、女の右腕に朱色の輝きが宿ったように見えて、そして、】
【――――片腕でやすやすと持ち上げられたテーブルが、殴り合う二者めがけて投げつけられるのだった】

【このままいけば、テーブルは二人ともを巻き込んでぶち当たることになるだろう】
【直撃しても死ぬほどではないけれど、少なくとも喧嘩の続行を不可能にする程度の威力はある】


ったく、人が気持ちよく飲んでるってのにサイッアクだわ!!
ちょっとあんた、………。


【宙を舞ったテーブルがどういう結果をもたらすにせよ、女はサングラスの男の方に視線をやって】
【大丈夫か、と一瞬声をかけようとするが――――何故か途中で口ごもり、ただ黙って手を差し伸べるに留まる】

【……褐色の肌によく映える赤味を帯びた白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の二十代。女の外見はそんなところだ】
【髪型は肩口ほどのセミロングだが、長い後ろ髪がたてがみのようにハネているせいで、清楚な印象は微塵もなく】
【服装も、上は暗い赤色のチューブトップと白色で丈の短いファー付きコートを合わせたヘソ出しの出で立ちで】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツという露出度の高いもの。まあ、いかにもこういう酒場に寄りつく女といったところか】
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/27(木) 21:55:13.41 ID:7RNnP0J0o
【墓地】
【昔作られたその場所は、誰も参る者がおらず……肝試しスポットとしてのみ知られる】
【霊感が強いのであれば、……まあ、大体イメージ通りの風景が広がっているだろう】

「……ちィッ」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「あァの野ァ郎共……手ェこずらせやァァがって」 「まァー良ォい、勝ァてば良ォいんだよ勝ァてばなァ……!」

【頭から血を流しており、服もボロボロだし――とても傷だらけである】

「おオっと……くそッ、……むゥ、いィつの間にかこォんな所に来ィていたのか……」
「ククッ、いィや……"必然的に"、"引ィき寄せられた"とでェも言ィうべきだな……!」

【よろけたかと思えば、がっ、と近くの墓石を掴み転ぶのを阻止――ふと、斜め上の方を見たかと思えば、そこに手を伸ばし"何かを掴む"】
【何かとは? ……見える人には見える、"アレ"である】 【それを掴めるとは、只者ではなさそうだが……?】
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/27(木) 22:00:50.56 ID:V/wxDWyYo
>>515

【ヒステリックぐらいじゃアルコールに当てられた男たちは止まらないのだが】
【流石にテーブルがぶっ飛んできたら否が応でも止めざる負えない】
【そこそこ腕に自信のあるヤツラだったからか本能でなのか、彼らは胸ぐらつかみ合ったまま】
【仲良くしゃがんでテーブルを避けて、その場に尻餅をついて呆然としていた。テーブルは壁に直撃だ】

【暫く店内に……沈黙が流れた後、バツが悪くなった両者は仲良くそそくさと出て行った】
【シンとした店内。店主の咳払いを皮切りに元の何時もの喧騒に戻っていく。倒れたテーブル、割れたグラスは】
【店主がやれやれといった顔で片付けていく。請求する相手はもう居ない。停めてもらった手前彼女には言えないし】

【ところで、吹っ飛ばされたサングラスの男は仰向けになったままポケットからタバコを取り出して一服しようとしていた】
【まーもうどうだっていいや、煙草でも吸ってる間に勝手にしてくれ…といった気分だったが、火をつけるよりも早くに片がつく】

ん……ああ……どうも

【差し出された手を掴んで、起き上がる。立てばそいつが無駄に背が高いとわかるだろう。見上げていた顔を彼はこんどは見下ろして】

……あー……火ぃ持ってない?火…

【火のついていないタバコをくわえて、気の抜けた笑みを浮かべる】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/27(木) 22:18:54.28 ID:qNEJiP/Go
>>517

【女は店内に静寂が訪れたのを感じ取れば、ふん、とまったく悪びれることなく鼻を鳴らすだろう】
【むしろ避けられたことに思い切り舌打ちまでかます始末だ。止める側ではなく殴り合う側のほうがよっぽど似合う立ち姿】
【片付けに取り掛かる哀れな店主も完全に無視し、女は男の手を引いてやる】


火? あぁ、はいはい。
盛大にぶっ飛ばされた割にずいぶん暢気じゃない。


【女も背は高いほうだが、あくまで「女性としては」の範疇だ。適当な印象と反した体格に若干驚きはするけれど】
【なにせキレてテーブルぶん投げるようなじゃじゃ馬である。身長差程度で怯むわけもなく、不機嫌そうな視線がサングラスに向けられるだろう】
【そして、女がタバコの先端に手を――正確にはベルスリーブ状になったコートの袖を――翳すと、さも当然のようにそこから火が飛び出す】
【ちょうどライター程度の小さな火だ。着火したのを確認したなら、女は手近な椅子を引き寄せて乱暴に座るだろう】


………しっかし、勢い付いて止めに入った割にあっさりやられたわねぇ、あんた。
単なるバカ? それともお人よしなわけ?


【ふと、何かを引き寄せるような動作――――だが残念ながら、さっきまで飲んでいた大ジョッキはテーブルごとオジャンになっていて】
【結果として目の前の男に差し向けられるのは、八つ当たり以外の何者でもない辛辣な言葉であった】

519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/27(木) 22:42:04.60 ID:V/wxDWyYo
>>518

【男は火を貰って、満足気に煙を吐き出すと同じく適当な椅子に脚を組んで座る】
【足長で背は高いがそれにともなって体格が良いとはまた違って、首や袖から見える手首は細く】
【そのリーチを持ってしても二人組みに一発でやられたのは納得できるというもの】

……いいね…そーいう能力…俺もそういう使えるヤツが欲しい。…後は、綺麗なロックアイスが
作れりゃ…バーボンをロックで飲むときに氷を削らなくて済むね

【そんなことを呟く。しょうもない、くだらない、中身の無い話。気の抜けたビールと同じだ】
【サングラスで目は見えないが、確実に何処か取り留めもないところを見ていた】

…そうだ、ビールでも頼もう。……ついでにテーブルと灰皿も

【男は不意に立ち上がって何処かへと。客達とテーブルを運ばされて、灰皿を置き、ビールをちゃんと2つ頼む】
【ただ、ひとつ文句があるとすれば冷えたジョッキに生ビールじゃなくて、ヌルいスタウトビールを1パイント】
【男はそんなぬるいビールを楽しそうに飲んで】

……いやぁ、アイツは珍しく…フィッシュ…ようはカモだったから。なんか、悪いかなぁって…
まあ、でも…腹立って…何だこの野郎って…さ

【男は苦笑い。流石にバカだなあと自分でも思う。ようは単なるバカだというわけだ】

………あれ、…そういや俺のハット何処いった?
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/27(木) 22:47:00.80 ID:KCnUoeWi0
【某繁華街。眠らない街、と称される事もある其処】
【実に様々な店が建ち並ぶ故に老若男女問わず常に人々で賑わって居り】

【――――今宵は其処に少しばかり浮いた存在が一人。少女、ではあるのだけれど】
【片目を覆う眼帯。藍色の髪を纏める様に制帽を被り、軍服を一切の乱れなく纏う姿からその者の性格も何と無く知れよう】
【腕には自警団所属を示す腕章を通し、更に其れに“SCARLET”の所属を示すバッヂも付けて】


「久しぶりに仕事が一つも無い休日であります。……とは言え、特にする事も無いのが寂しいでありますね
趣味の一つや二つを持って居れば良かったのでありますが、今更見つけた所で普段出来るかも分からないであります…………
むう。いざ休暇、自分の無さが悲しくなるのであります…………」

【休暇を与えられた、けれどコレといってする事が無い】
【外見から判断するに17、18の歳。幾ら遊んでも遊び足りない位の年頃であろうに、結局は何時もと変わらず見回りにも似た事をしているのだから自身でも虚しく感じて】

【発見するのは悪人か善人か、或いはただの通行人か。其れとも苦笑と共に漏らした呟きを聞いた者か】
【繁華街、という場所である故に揉め事に巻き込まれる可能性も否定できないが――――】










【街の中――――商店街の一角、其処に存在するカフェにて】
【最早温くなり始めたコーヒーをテーブルに放置したまま小難しい表情で古書を読む女が一人】
【手入れの施された金色の髪はよく目立つだろうし、何よりもその女が纏っている物。詰まりは、修道着が何よりも存在を際立たせているか】

【やがて溜息を吐いたならば古書を閉じ、コーヒーを一啜り】
【「不味っ……」なんて失礼な言葉を呟けば憂鬱そうに表紙でも指先で撫でるのだろう】


「あーあ……全く、解読はボクの仕事じゃ無いと思うんだけど…………
大体にして教会に其れ専門の人も居るんだからソッチに任せれば良いのに……」

【ブツブツと紡がれる文句は果たして誰宛の物かは分からないけれど】
【その古書、見る者が見れば櫻の物である事も知れよう。内容は――――何処かの伝承か】

【この場に似付かわしくない修道女は嫌でも目立つ存在であり、現に何人かの者達が視界の隅で観察していたりもするのが現状】
【店員に対して愛想を向ける程度の事は出来る性格の様でもあって】
【そんな女に興味を抱いてか、古書に惹かれてか――――或いは、腰に提げた双銃を疑問に思ってか】
【何にしても、話し掛けようと近寄ったならば同時にそちらへと視線が送られるのだけれど】
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/27(木) 23:10:44.93 ID:qNEJiP/Go
>>519

【タバコ慣れしているのか、女はゆらめく紫煙を特に気にする様子もなかった。同じく、男が近くに座ることも】
【女はきつい眼差しを若干窄め、男の全身を――――その戦闘能力をさりげなく探る。それは意図してというより癖のようなものだ】
【因みにやはりというべきか、女の身体は肉感的なものを保ちつつもやや筋肉質だ。荒事慣れしているのはもはや疑いようがない】


タバコと防寒ぐらいにしか使えないマジックよ、こんなの。
ロックアイスどころか、ちょっと気を抜くと酒瓶の方を粉々にしかねないしね。


【「それにあたし、タバコ吸わないし」と適当に付け加えながら、女も気まぐれに会話に乗っかった】
【火だか怪力だかの異能、今はあまり誇る気分でもない様子だったけれど、男が自分の分のビールを頼んでくれたのを見ると少しだけ機嫌を良くして】
【アルコール入りでそこそこ美味くて程よく我を忘れられればなんでもいい、どうも女はそういうタイプのようだ】
【生ぬるさもあまり気にせず、女は黒々しい液体に嬉々として口を付けるだろう】


……カモった相手に罪悪感? んで結局ムカついて喧嘩売ったって?
ぷっ、何ソレ! わけわかんないんだけど!


【男の苦笑いとは正反対に、女の浮かべた笑いはそこそこ本気のものだった。嘲笑ではなく、何だか本気でツボに入ったかのように】
【とりあえず、ふてぶてしい一人飲みを邪魔された分の不機嫌は回復したようだった。女はしばらくクスクス笑い続けるだろう】
【「ハット? そういやなんか被ってたわね」といって周囲をキョロキョロ見回し始める辺り、この女も素面はそこそこお人よしらしい】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/27(木) 23:34:27.71 ID:V/wxDWyYo
>>521

【タバコを指に挟んで肘をついて、ダルそうに身体を傾ける。外れた調子が】
【中々戻んないといった感じだ。煙草の味で簡単に戻るほどぶん投げられたショックは小さくない】
【まあ、基本的に何処か気を抜けてダルそうにタバコをくわえているスタンスであるから】
【調子はずれが何時もの調子というのが正しい】

……俺はピストルぶっ放すだけだよ。じゃなかったらこんなに簡単にやられちゃいないはずだ
ま、基本的に…荒事は向いてないんだよ俺は……。……ピストルもあんまし
神様は適当に能力を振り分けすぎだ。多少は、意向を踏んでもらいたいもんだね

【不意に口を開く。依然ダルそうに煙草を吸っているだけだが、サングラスの下の目は鋭く相手を見抜いて居たのだろうか】
【それとも会話の流れの偶然だろうか…それを確かめる術は今のところは無いだろう】

………俺より弱いやつ、久しぶりに見たからさ…つい、な。…いや、ギャンブルなんてそんなもんなんだけど
…あーもう、なんだっていいだろうが。人間なんて破綻してるもんなんだよ。ムカつくのもぶん殴るもの一瞬だ一瞬

【それで一瞬でやり返されたのだが、そういう奴なんだから関係ない。やり返されることを考慮にいれる時間はない】
【クソッタレ。と吐き捨てるように呟いて、ビールを飲み干す。酔いが回ってきた、二杯目に移る。ついでに何処からかマッチももらってくる】
【一度吸い出したらずっと吸い続ける彼はヘヴィを通り越してチェインスモーカーだ。その為、また一々、火をもらっていては面倒くさい】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/27(木) 23:59:56.22 ID:qNEJiP/Go
>>522

【本来の女の性格は、同じように適当な面はあるものの、常に溌剌として騒がしいものなのだが――――】
【男のダルそうな様子に引き摺られたのか、はたまたブチキレた拍子で疲れたのか、今日は随分と大人しかった】


ふーん、銃使いか。まぁ見た目通りって感じよね。
無駄に図体だけはデカいんだから、鍛えたらちょっとは上向くんじゃない?


【とはいっても、歯に衣着せないずけずけとした言い回しが弱まるわけでもなく。女は頬杖をついて男の上体を見つめる】
【本気で思っているのかそうでないのか、なんとも投げやりな口調はアドバイスにすらならず、ただ戯言として消えて】
【サングラス越しの瞳を見ることは叶わない。どのみち少しぐらい剣呑な視線を浴びたところで、女にはきっと涼風のようなものなのだけれど】


ごめんごめん、あんたのその破綻っぷりが面白くってつい。……まあ破綻って意味じゃ、あたしも人の事言えないけどさ。
神様ってのはどうも、あんたやあたしみたいなのはお嫌いらしいわ。


【ひとしきり笑うと、女は一気にビールを煽って空にする。ぷはー、と大仰な動作で仰け反ってみせたのは店主へのアピールだ】
【しばらくして女も二杯目に移る。悪酔いすると手が付けられなくなりそうなタイプだが、幸いにもまだまだ限界には程遠いようだった】
【男を嘲るように、同時に自分を嘲るように、女はごちた。男のように口汚く悪態は付かなかった代わり、やけくそ気味にビールが減っていく】


524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/28(金) 00:24:59.85 ID:pHyqJJX7o
>>523

【男は相も変わらず煙草をくわえて、長く、その煙を吐き出すと】

……いや、なんで今更…鍛えてなんからんないよ。第一、撃たれてしまえば一緒だ
ライフルを弾き返せるってんなら幾らでも……まあ、やんないけど
…得意な奴に任せときゃいいんだよ。ほら言うだろ?…………何は何屋に…みたいな

【撃たれるか撃たれないかという真理にも近いことを言っているがよく考えて見れば体力とか】
【そういう面の向上を……まあ、要は面倒くさい訳だから何を言っても言い訳が帰るだけだ】

【餅は餅屋も出てこないぐらい気の抜けた男は何をどう言われても怒りそうな様子はない】
【器がでかいのか、センサーが故障しているのか…さっきの出来事で懲りたのか】

破綻してんのがいいんだよ。…人間は神様の模倣なんだけど、不完全だって言うけど
…俺は神様も不完全なんだと思うね……その破綻してる不完全さが…言い換えりゃ、ハートなんだよ

世の中ってのは運命と意志とで出来てるんだ。神様に愛されてなきゃ、俺らが愛してやればいいんだ……何かを
……まあ、よくわかんないけど…そんな気がする

【灰皿にタバコを押し付けて火をもみ消して、ビールの残りを飲み干した】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/28(金) 00:53:09.56 ID:/BvTvjlto
>>524

【撃たれる前に撃てば、それで終わり――――女も銃を使うことはあるけれど、基本的には血みどろの殴り合いが身に染みている】
【ガンマンなんて気質では確実にありえない。自分からは絶対に出てこない発想に、女は「そういうもん?」と首を傾げた】
【そもそも、鍛えてどうにかというのが既に得意な奴≠フ発想だ。鉛弾ひとつで済ませる静かなやり口など、女にはきっと一生無理で】


………ふぅん、ニヒリストかと思ったら案外クサいこと言うのねぇ。
けど、神様も不完全ってのは同意かしら。……案外、向こうは正しい運命≠チて奴を提供してる気なのかもよ?

たぶん、人間のハートってやつと、神様のハートってやつは決定的に違うんでしょうね。
雲の上でこっちを見てるご高尚な連中が何を考えてるのか、あたし達にはさっぱり理解できやしない。
おかげでこっちは、意思ひとつ突き通すのもままならないわ………。


【垂れ流される副流煙も意に介さないあたり、こういう安い酒場には通いなれているようだ】
【むしろヤニ臭さよりも、男の発した台詞の臭さの方が気に掛かったようで――――わざとらしく顔を顰めてからかってみせる】
【けれど、頭ごなしに囃し立てるほど野暮でもなかった。むしろ逆に興が乗ったように、女は妙に感情の籠もった言葉を返すだろう】
【……いや、返すというより、後半は独白に近かったか。こんな場末の酒場に来る輩など大概、『そういうモノ』を持っているものだけれど】


っていうか……何かって、何よ。
んな甲斐性があるようにも見えないけど、もしかしてオンナでもいるわけ?


【女も途中で熱が籠もり過ぎていたことに気づいたのか、誤魔化すようにビールを飲み干す】
【やたら辛辣な台詞もまた取り繕うような響きではあったが、いくらかは楽しげだ。やはりこんなでも女は女なのか、こういう話題は好きらしい】
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 00:54:53.15 ID:mJEecxZq0
>>504
 【人は誰も彼もを好きになれない。それは人である限り逃れる事のできない宿命で】
 【だからこそ人は法を敷く。その上に安寧を招く】
 【その裏で、生きられない人がいる。それの総てを救えとは言わない。それの総てに光をとは言わない】
 【――ただ、何故人は自らより下を笑うのか】
 【明日を思う事は、そんなにも愚かな事なのか?】【明日が必ず来ると、何故そう思ってそれが常識になる?】【必然になる?】

――違う、アンタだから変えられるんだよ。
人の命の重さも知らないで、上に座っている奴なんかよりも、アンタは命一つ一つの意味を解ってる。
どれだけ大切で、命に価値があるかをしっているんだ。

 【その甘い蜜は、どれだけ美味な物なのだろう】
 【否定がない。傍から見れば怪しくて仕方のない事だろう】【近づいていく、ゆっくりと一歩ずつ】
 【もっと啜れよ――自ら赴き、目の前へと】【それは逃がさない、と狙いを定めた蜘蛛にも似ていた】

私は、努力する人間が報われる世界が欲しい。
明日が来ると喜べる人間は、明日の為に必死に生きてきた人間にあるべきだ。そうじゃないか?

 【そのまま足を動かし続ければ、やがて少女の目の前までたどり着くだろう】
 【それは刀の間合いの中、先程よりも斬るのが容易い必殺の中だ】【しかし、それでも女に怯えはない、恐怖もない】
 【女は言った。世界を変えると――少なくとも、女はそれが自分の一番したい事、しなければならない事と思い込んでいる】
 【自らの間違いに気づいてい居ない――が、それは別の時、か】

……もしかしたら、またお前には人を斬って貰うかもしれない。
ただ、それでも世界は変えられる――だから、『私の為に、その剣を振るってくれないか?』

 【その弱弱しさを、声を――問題ないと微笑み、最後の問いを投げかけた】

527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/28(金) 01:21:11.35 ID:BZr7boZHo
>>526

【命の重さについて、考えない日などなかった。処刑人になってなお葛藤を捨てきれず、余計な思考を未だ放棄出来ない】
【仕事人としては失格なのだろう。いずれは其の甘さがズレを生じさせ、呆気無く命を落としてしまうに違いない】
【だから此れは自分の欠点だとそう思っていた――――其の部分を、女は肯定する】

「…………そうね。こんな世界、要らない」

【正義が本当に正義を全うすれば、自分は誰も殺さずに済むのに】
【悪なんてものが存在しなければ、自分は誰も殺さずに済むのに】
【誰も彼もが自分勝手で、其のくせ其の役割すら禄にこなせない】

【本当に正義の味方がいるのなら、誰か私を救い出してよ――――誰も助けてくれない、こんな世界に救いなんて無い】
【なら変えるしか無いじゃないか。明日を求めた人間が、より良い未来を手に入れられる世界を】
【もう誰も殺さなくていい世界が欲しい。そうじゃないと――――――――】
【少女は最後の問いかけにあえて答えず、瞳に僅かな輝きを宿して女の目を見る】

「…………あなた、名前は?」

【先ほどまでの怯えていた表情は消え、ほんの少しだけ口角をつり上げる】
【間合いにいる女を斬る様子はなく、少女の雰囲気はどこか柔らかい。少なくとも、敵対者に向ける其れではなかった】
【崩れ落ちるまでは後秒読み――少女は自分から更に距離を半歩、触れ合う寸前にまで近づいて】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/28(金) 01:34:33.89 ID:pHyqJJX7o
>>525

不完全だからいいんだろ。…全部。そういうもんじゃない?
自由で居るって事は…そいういう運命だとか他の意志を蹴っ飛ばして
自分のハートでねじ込んで行くことなんだから……そうじゃなきゃつまんないだろ?
……ん?何の話だコレ…まー…要は、そういうことだ

【安い酒場の安いアルコールは余計なことを話させるし、それを支離滅裂にもさせる】
【なんだか哲学チックな事をカッコつけて言った気もするが殆どノイズだらけの電波みたいなものだ】
【結局言いたいことは何だったか?もうそれは覚えちゃいない。口からでまかせ言うしか無いんだ】

何かって……何かだよ。……世界?…自分?…いや、何か違うけど
……オンナは…あー……居るのか…?…あー…半年近く会ってねえと何かあやふやになってくる
今何やってんだろ。………まあ、その……愛っつー意志はハートから出てくる最もデカいエネルギーなんだよ

……やっぱヤベーかな…

【何かを手でジェスチャして、マルがハジケたりモワモワしたりしてるがそれが何を意味するかはわかりかねる】
【彼としては不文律であるにしろ確定的な関係な女性を長らく放置していたことを思い出したことにやっと気づいて動揺していた】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/11/28(金) 02:00:04.07 ID:/BvTvjlto
>>528


……ったく、何言ってんのかぜんぜんわかんないわよ。カッコつけんなら最後まで頑張りなさい。
ま……神様相手にハートをねじ込むなんてのは、難しいけど。
こうして安酒煽りながら、どこぞのバカに愚痴ぶちまけるぐらいの自由は、まだあたしにも残されてるってことなのかしらね。


【どれが要点なんだか判然としない、アルコール漬けの信義――――女は思わず、ふっ、と軽く笑った】
【まるで本物の神様でも見てきたような口調。自然と浮かべるのは、諦めたような、満足したような、そんな苦笑い】
【片手で頬杖を付いたままもう片方の手を伸ばし、女は楽しそうに男へデコピンをかまそうとするだろう。可愛い奴だ、とでも思ったのか】
【……当たり前だけれど、あのテーブルをオシャカにした例の怪力は今は発揮されていない。弾いたのはただの、どこにでもいる女の指で】


半年ってあんた、そりゃあ流石にヤベーんじゃないの?
あたしだったら即家まで乗り込んでぶん殴ってるわね……会えないなら会えないで、せめて何やってるのかぐらい把握しておきなさいよ。

はぁ……あんた、名前は? あとそのオンナの名前は?


【そう、色々と特殊ではあれど根本的に普通の女の面を持っているからこそ、女は思わず頬杖から頬を落として危うくテーブルに激突しかけた】
【呆れ顔の半目で男を見やって、今まで以上に厳しい言葉が飛ぶ。この場合の『ぶん殴る』はたぶん、あのテーブルより酷いことになること受け合いだ】

【女はそうして、まるで出来の悪い弟でも見るような表情で、やれやれと首を振ると――――唐突に、二人分の名を問うだろう】
【こちらも酒が回っているせいか。恐らく悪気はないのだろうけれど些か不躾な感が否めない質問だ。正直に答えるも黙秘するも、男の自由】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 02:29:20.28 ID:mJEecxZq0
>>527

――入間、穢土宮 入間。 私が唯一、母さんから貰った物だ。
私は殺す事に躊躇えない。だけどアンタは――桃子は躊躇える。
私のできない事をできるって事だ。桃子じゃないと、できない事が。

 【――それは名前、たった一つ、親がくれた確かな物】
 【それが、彼女の親が悪い親ではなかったという一つの証】
 【どんな時も、スラムにいたとしても気にかけてくれて、名前に意味まで込めて――】

カノッサ機関 No.6 ――って肩書きはあるけど、まあ無いような物だな。
私の知り合いって言えば、他の奴にも話は通じるんじゃないか?

 【交友関係は狭いが、これでも一桁――話の通じる奴位はいるだろう】
 【それは脅しにだって使えるだろうし――カノッサ機関としての行動も可能という事】
 【――逆に言えば、世界を覆そうとする、混乱に陥れようとする組織の一桁、つまりは重役に等しい身分】
 【もし、この提案を蹴るとすればここが最後だ。これを受け入れるという事は世界に悪と認知される事=z
 【――その僅かながらの平穏を、完璧に捨て去る事になる】

そうだな、私はそっちの表情の方がいい。
女ってのは笑ってる方が可愛いし。笑ってればどうにかなるもんだ。
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/28(金) 02:56:12.53 ID:pHyqJJX7o
>>529

【なんだよ。なんて言いながら大人しくデコピンされる。そんな微笑ましさというか】
【まだカッコつけもギリギリ出来ていたのがここまでで、そこからは完全にダメだった】

う……しまったなぁ…いや、俺だって仕事が……あー、これよくある言い訳だ
あー、クソッ!でもしかたねーだろ?毎日毎日あっちこっち行ってんだから
各国で追われてみろって……あークソ

【男は一瞬立ち上がって、また座る。そして、大人しく煙草に火をつける】
【ここで慌てても仕方ない。煙草を吸って本日二度目の正気を取り戻そうとする】

俺は……ヒライ。……アイツは……あ、言っていいのかな?……まあ、いいか。ベイゼって言うんだけど

……あの…あのな。先に言っておくが、俺をぶっ飛ばすのは勘弁してくれ。あのな、本人にぶっ飛ばされる
だろうし、飲み屋で会ったばかりの奴に、しかも今日は二回もやられる事になっちまう
そしたら本人に辿り着く前に病院行きだ…ついても病院だ

【男は立ち上がって、逃げる時間稼ぎをするためか今日1番の早口で話す。こういう風にも喋れるのかと思うほどだろう】
【センサーの鈍った男でも命の危機は気づくらしい、そりゃあテーブルを投げつけられちゃたまったもんじゃ無い】

つーわけで、俺は帰る。あー…マジでどうしよう……なんとかしなくちゃな……
ジャストファッキンドゥ・イット……なんにも思いつかねーけど……

【一旦座ったがまた立ち上がって、せわしない。もう、ここには居ない方がいいし、何とかしたほうが良さそうだ】
【男はどっかに落っことしたハットも忘れて、頭を抱えて店から出て行くだろう。酔いも冷め、二日酔いがもう来たような顔で】


/眠気でそうとうやばくなってきましたのでここらで失礼させていただきます
/遅くまでお付き合いいただいてありがとうございました!
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/28(金) 03:03:58.22 ID:BZr7boZHo
>>530

「穢土宮入間……そう、入間ね」

【確認する様に呟く。母親からもらった唯一の贈り物、彼女が自分の想像を超える様な人生を歩んできたことが伺えた】
【悪人が最初から悪だったのか。きっと其のような人物もいるのだろうけど、大抵はそうではなくて】
【環境や経験、何かしらの原因があって悪に堕ちる――――きっと彼女は、其の典型のような人物なのだろう】
【自分を救ってくれない正義は憎いし、人を殺さなくちゃいけなくなるから悪は嫌いだ】
【けれど正義が努力をしているのも知っていて、悪が最初から悪じゃないことを彼女は知っている】
【だから憎いけど憎みきれなくて――――――――自分はやっぱり中途半端なんだと苦笑して】

「そうね――――泣き顔ばかり、見せてられないわ」
「ねぇ、入間。私ね――――――――あなたに、言わなくちゃいけない事があるの」

【花のような笑顔を浮かべ、自分より少しばかり背の高い女を上目遣いで見る】
【彼女は悪い人だけれど、ただ悪いというだけじゃないのだろう。善と悪、其の両方を持ち合わせているのは人間として当然のことで】
【少女は刀を手から落とすと、両手で優しく女の頬に触れた――――そして、口火を切る】

「ありがとう――――――――――――――――そして、ごめんなさい」

【礼を述べると同時、ゆっくりとその手が下がっていき、そのまま少女は女の胸ぐらを強引に掴み取ろうとするだろう】
【そして掴むことに成功すれば、左足を強く地面に踏み込み――――――――女の鼻っ柱に、頭突きを繰りだそうとするはずだ】
【ただの頭突きである。痛みこそあれど、致命傷には決して成り得ない】
【だが其れは完全に不意をつくように放たれたため、身体能力が優れているとはいえない女には、回避は少しばかり難しいかもしれない】

「数日前の私なら、多分あなたの言葉に頷いていたわ――――ええ、少し前の私なら」
「ねぇ、あなたの能力って悪い記憶しか覗けないんでしょう?」

【女が見た少女のトラウマは総てが隠しようもない事実で、少女の心が壊れかけていたのは間違いなかった】
【悍ましい殺人鬼の記憶。救いようのない少女の運命――――救いを待っていたのは、嘘ではない】
【だが当然な話、人間にはトラウマ以外の記憶がある。少女だって勿論其の類から漏れない】
【女が覗けなかった記憶――――数日前、彼女は同じ学園に通う一人の少女との邂逅で、ある心境の変化を感じていた】
【其れはトラウマではなかった。絶対に忘れたくない、彼女にとっての大切な記憶】
【少女の真意は未だに分からないけれど、あの子は友達になりたいと言ってくれた】
【頷きたいけれど、人殺しの自分には其れが出来なくて――――それでも、あの子の言葉に応えたくて】

「悩んでいたの――――どうすれば、あの子の友達になれるんだろうって」
「殺人鬼の私なんかが、友達になる方法なんて無いんじゃないか、って」

「――――でも、そんなのはただの逃げだった。そうでしょう?」
「だってあなたが言ってくれたんだもの。世界は変えられるって――――世界を変えられるなら、自分だって変えられる」
「救いを待ってても仕方がない。変革を待っているようじゃ、何も変わらない――――だから私は、自分を変える」

【自分に何もしてくれない正義が憎い? 殺さなくちゃいけない悪が憎い? そんなのは、全部ただの逃げだった】
【現状に不満がありながら、変わることを恐れていただけだ。殺人鬼であることを言い訳にしていただけだ。女は其れに気付かせてくれた】
【普段は絶対に浮かべないような勝ち気な笑みを浮かべながら、殺意とはまた違った熱のある気を女へと向け】

「もう誰も殺したくない。これは私の本音…………だから、私は殺さなくてもいい世界を作る」
「正義だなんて柄じゃないけれど――――――――たくさん殺した私だからこそ変えられる、変えなくちゃいけないのよ」

【その程度で殺してきた人間に償えるなんて思わないけれど、それでも何もやらずにただ殺し続けるだけよりきっといい筈だ】
【殺してきた人の死を無駄にしないために殺し続ける、其れはただの思考停止に過ぎず終焉へと向かう道化にしかなれない】
【最初の一歩に、一番勇気が必要だ。けれどその勇気はもう貰っていて――――後は、自分が選ぶだけだった】
【だから女には礼を言わなければならないだろう。自分と似たような思考回路を持っていたからこそ、彼女を見て少女は自分を見通すことが出来た】

「ねぇ、入間――――――――あなたは、いつまでそうしているつもりなの?」
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/28(金) 03:16:33.44 ID:/BvTvjlto
>>531

【落ち着かない様子で言い訳を始める男を、しばらく女は嫌らしい半笑いの表情で見つめていたけれど】
【途中で我慢できなくなったか、そのうちお腹を抱えて笑い出すだろう。いつの間にやら注文していた三杯目を楽しそうに流し込む】


そのとーりよ。あんたをマジにぶっ飛ばすかどうかは、そのほっとかれた娘が決めるでしょ。
あたしが今ここでダメ男に天誅を加えるのは勘弁してあげるから安心しなさい。

それより、ヒライ、ね。半年も会えないって言うにはなんか事情があるんでしょ?
だから、もしあたしがベイゼって娘に会うことがあったら、あんたがこの酒場でしょうもない喧嘩してボコられてたって話しといてやるわよ。


【……本当はこんなこと、言えた義理ではないし言える場合でもないのだけれど――――煙の臭いとアルコールの魔力が、女にこんなことを言わせた】
【結局、お人好しなのは女の方だったようだ。本人はそれに気づかないまま、面白いように慌てだした男をニヤニヤと笑いながら観察して】
【それでも男が慌てて立ち去ろうとする頃にはどうにか笑いを納めて、その背中にこんな台詞を放つだろう】


じゃーねー、ヒライ。あたしは―――――、

………あたしは、エイダ、よ。
こんなとこで飲んだくれてばっかいないで、彼女は大事にしなさいよねー!


【その瞬間――――少しだけ我に返ったかのような様子があった。だが去り際を取り繕う程度の理性はまだ、女にも残っていた】
【暢気にヒラヒラと手を振って、男……ヒライが酒場から逃げ出したのを見届けると、女は残った酒をゆっくりと飲み干していく】
【存外冷たく感じられた安酒を空にしたなら、どこか思い詰めたような表情を浮かべて、彼女もまた酒場から去っていくのだった】

【――――「今更何やってんだか、あたしは」。冷たい夜風の中に、誰に聞かせるでもない自虐が瞬いて、そして消えた】


/お疲れさまでしたー!
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 03:31:46.57 ID:mJEecxZq0
>>532
だから、私の為に――――いや、そんなのは後でいいか?
言いたい事、って――。

 【女は確かに戦闘の経験はある】 
 【どうすればいいか、それはそこらの一般人よりも喧嘩慣れしているというだけであって】
 【今みたいな状況で、しかも刀まで落とされれば油断して回避等できない】
 【身体能力も高い訳ではない――つまり、クリーンヒット】

――――っつ〜〜〜〜〜〜っ!?

 【何故、どうして――?】
 【今――目の前の少女は――桃子は】【受け入れたんじゃ、ない、のか?】
 
 【繰り出される頭突き、ぐわんと頭が一度揺れ、くらりと直撃を貰った箇所を紅くさせる】
 【それが理解できたのはその一瞬後――ごめんなさいという言葉が、頭突きの後に意味を為した】

……とも、だち?

 【――何だ、それは】【女にはそんな人は一人もいなかった】
 【だから、そう言われても分からなかった】【未知の回答に頭を働かせる、段々と理解が追い付いてきた】

 【つまり】 【つまり】 【つまり】

 【あの子は自らを否定して】【自らの持っていない物を持っていて】
 【私は何も手に入れられなくて】【なぁ、なんでだよ】【どうして受け入れてくれないんだ】
 【……何で、だよ】 【何でだよ!!!!】

……ァ――。


 【何時までそうしているつもり?】【何時までそうしているつもり?】【何時までそうしているつもり?】
 【何のことだよ?】 【知っている】
 【まるで私が桃子みたいじゃないか】【その通りだろ】
 【私は、世界を変えたくて】【本当に?】
 【羨ましくなんか】【欲しい】【違う】【欲しい】【明日を持つべき人が、持っている世界にするだけで】【憎い】
 【……欲しいよ――憎いよ】【――――凄く、憎い】


――――そうかよ。
そうやって、私を否定するのか。
心を壊された気分だよ、ぐちゃぐちゃだ。アンタの気持ちがようやく、分かってきたかもしれない。

 【否定された訳じゃない】【しかし、それを理解したら】【入間はは入間でなくなってしまう】
 【それを隠す為に、拒否する為に、思考を深く沈ませて】
 【ただ受け入れて貰えなかったという結果だけを、受け入れた】

桃子、私はあんたが憎い<うらやましい>よ。

 【――空気が変わる】
 【魔術の片鱗、隠す気のない奔流は、僅かにでもそれに感づけば全てわかる程だ】
 【未だに胸倉は掴まれたままだが、その表情に怯えはない】【ただ――例え魔術がわからなくても】
 【違和感は拭えない】【むしろ増していくそれは、明確に誰から発せられているかわかった】

アンタの事、好きになれそうだったのに。

 【この距離は危険か、それとも安全か――時間的猶予は恐らくない】
 【逃げる事も可能だろう、迎え撃つことも可能だろう】【しかし、相手はカノッサ機関のNo.6】
 【その名乗りに偽りがないのであれば、間違いなく――強敵】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/28(金) 03:55:04.96 ID:BZr7boZHo
>>534

【頭突きは直撃、おそらく女は少女と違って武術系統の戦闘は得手としていない事が分かる】
【落ちた刀を拾い上げながら、改めて視線を女へと戻す。不意打ちなんてするつもりはない、殺すつもりなら先の一撃で刀を抜いている】
【殺すのは簡単だ。首を落とせばいい。そうすれば大抵の生き物は死ぬ。人体がいかに脆いか、彼女はよく知っているのだ】
【殺さないほうが難しい。けれど殺すだけでは解決しない。だから今まで逃げてきた】
【いい人がいて、悪人がいる。けれどいい人にも悪い所があって、悪い人にも良いところがある】
【此の世界は善と悪だけではないのだ。殺す事が最良の選択である時もあるけれど、其れはあくまで最終手段に過ぎず】
【違う可能性を模索したい。そうしなければ変われない】

「そう…………そうね、そう言われても仕方がないわ」

【騙すような事を……いいや、違う。騙したのだ。彼女はそんなつもりはなかったが、女からすればそういうふうにしか見えなかっただろう】
【残念だが憎まれるのは慣れている。慣れているけれど、だからといって其れを受け流せるほど彼女は大人じゃなくて】
【少し表情に影を差して、それでも一歩も退くまいと足に力を込めた】

「今からでも遅くはないわ――――ねぇ、そうは思わない?」

【言いようのない感覚、味わったことのない未知。女の力の片鱗を、彼女は肌で感じ取っていた】
【殺すのではなく、戦う。怖くないといえば嘘になる。怖くて仕方がない。少しでも気を緩めれば、全身が震えだしてしまいそうだ】
【唾を飲み込み、大きく息を吸う。少しだけ気分が落ち着くも、やはり恐怖は拭いきれなくて】
【カノッサ機関の6、其れが本当ならば女は間違いなく強い。はっきり言って、勝つ確率より殺される確率のほうが高いだろう】
【だけど、もう決めた。逃げない。自分からも、そして相手からも――――】
【右手で鞘を握り、左手で柄に触れる。逃げないなら、そして殺さないなら、一番最初の壁は此の刀だ】
【一度抜けば恐ろしいほどの殺人衝動が流れ込んでくる呪刀、其れに呑まれないことが第一条件――――勝てるか? いや、そんな弱気では負けてしまう】
【勝つ。そう固く誓い、少女は刀を引き抜いた――――――――刀の形をした地獄が、総てに牙を剥く】

//何度も申し訳ないのですが、よければ凍結をお願いしたいです……!
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 03:58:51.96 ID:mJEecxZq0
>>535
//はい、今夜こそ!今夜こそ多分早く返事返せるので……その時にお願いしますね!
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 15:54:18.18 ID:zyGl3zS80
>>512-513

【本来ならば―――セリーナ・ザ・"キッド"の口から、『完全無料』等と言う言葉が出てくる筈が無い。】
【なんといってもこの強欲ガンマン、嫌いな物は『タダ働き』と『低賃金』で、口癖は『薄給はファッキュー』(激寒)。】
【命と酒の次にお金を愛する彼女としては、お金を取らずに"何か"をしようなんて正直信じられない位の発言ではあったのだが―――。】

 ……アタシはね、『取れる所』からは、きちんとお金を『取る』タイプだ。
 それだけの事をしている、っていう自信はあるし、金を貰わずに仕事をしようなんていうのは、
 ハッキリ言わせてもらえば"キレイゴト"だよ。お金を貰う事で責が発生し、それを負う代わりに報酬が受取れるんだから。
 
 大事なのは幾ら貰ったかじゃない―――なんて風に経営を語る人もいるけれど。
 安い金で出来るのは安い仕事だけだし、もしそれ以上を望むなら、お互いがお互いを"信頼"する為にも
 きちんと対価を払わなくちゃ、関係性が成り立たない。単に必要経費の問題じゃなく、お金はそういう信頼を現す"目安"でもあるんだ。
 
 そしてそういう安易な考えは、安請け合いと最終的な失敗に繋がっていく。
 お金が発生しない仕事程、信用の出来ない物は存在しない位には、ね。

 けどね。鈴音ちゃん。
 アタシは安請け合いは嫌いでも、"ボランティア"ってのは嫌いじゃない。
 賃金の一切発生しない慈善事業、結構な事だ。なんでかって言えば、それはもう、"仕事"では、ないから。

 逆に言えば、慈善で在る以上、それは仕事であってはいけないし。
 出せない人間から取ろうなんてのは真っ当な企業の考える事じゃない、そして何より。
 ウチは現状そ〜んなに、追い詰められても、いない。勿論、裕福って程じゃないのも確かだけど―――……ふふっ。

 人を幸せにしたかったら、まずは自分が幸福を知る事、ってね。
 余裕の無い人間に他人を心配する事が出来ない、って言葉を知ってるかい?
 それと一緒で、ウチはウチで慈善に手を出すだけの"リソース"をきちんと、持ってる。

/続きます
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 15:55:10.38 ID:zyGl3zS80
>>512-513

【これはセリーナの根幹にある考えの一つだが、基本的に他人の幸福を考えようと思う時】
【まず自分がその幸福の価値、もっと言うなら真価を理解していなくてはダメだ、と言う事らしい。】
【医者は怪我をした事があっても、人を救う時には怪我を負ったままではいけない―――考えれば当たり前の事。】

【依頼と言う形であればお金は取るが、それが救助活動や社会福祉、そして慈善となれば話は別だ。】
【セリーナは虐げられる人間の辛さを知っている。銃で撃たれる痛さも、剣で切られる怖さも、沢山知っている。】
【だからこそ、助けようと思える。全力で、そこに賃金は発生しなくていいのだ。そして、きっと鈴音もそれは、同じであろう。】
 
 君が今からやろうとしてる事は、もう仕事じゃあない。コイツは"慈善"だ。
 確かにお金は"かかる"けれど、お金を"要求"する事だけはやっちゃいけない。そうだろう?
 だから―――無料。完全なる、無料! お金が好きなアタシだからこそ。そこに嘘はつけない―――ってね。

【無料、ではあっても。一応ブレちゃいないぜ! と長々かけて自己弁護をしつつ。】
【どうやら覚悟を決めたらしい鈴音には宜しい、と提示した二つの条件について説明を始めた。】

 まず一つ目。これは今説明した事が大きく関わってくるけれど―――これは、慈善だ。
 このレストランに関して、資材・場所の提供と安全の保証はさせて貰うけど、それ以上の事は、アタシに出来ない。
 つまるところ、給料はバイトの時と違って出せなくなる、っていう事だ。勿論、ウチの給仕中の分はしっかり出すから、安心して欲しい。

【残酷な話かもしれないが、お金以外は何でも用意できるが、お金だけは渡せないよ、と真剣な目で語りかけるだろう。】
【そして、それに続く二つ目の条件は更に、過酷な物かもしれない―――。】

 週に一回、いや月に一回でも良い。
 君に―――"戦い方"って言う物を教える。これが二つ目の条件だ。
 悪いけれど、これから君が相手にする事になる人間は、"フツー"の人達じゃあ、ない。

 新鮮でおいしい食べ物を前にして、何が起こるかは正直想像がつかない。 
 其処に関しては君も言っていた通り、ひょっとしたら喧嘩になる事だって、あるだろう。
 そうなった時、場を収めるだけの能力と強さ、もっと言うなら見を護るだけの術を、きちんと身に着けていて欲しい。

 ―――路地裏の悲劇を、もう繰り返さない為にも、ね。

【―――誰が、とまでは言わないが。セリーナは鈴音に、強烈な条件を叩きつけるだろう。】 
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/28(金) 17:08:07.71 ID:2qyKh/O+0
>>537

【きゅ、と、口を結んで、彼女は意識をセリーナの言葉にすべて向ける。少しでも、聞き逃すまいとするように】
【獣っぽい耳でもあればさぞそっちに向いていたことだろうが……まあそれは余談だ。とにかく彼女は、】
【膝に手、少し身体を乗り出して、――そんな態度でセリーナの話を聞いているのだった。じっと】

――――、

【お金のこと。正直言えば、あんまり、考えたことがなかったかもしれない。少なくとも、セリーナが今語ったような】
【そう言う方向性で考えた記憶は――残念ながらというべきか。今まで生きてきた中で、そんな覚えはないぐらい】
【一番高価い硬貨で殺し合いになることがあるのは知っていても。――だけど、それでも、一生懸命理解しようとして】
【なんだかすっごく妙な顔をしてしまっていたが。頑張っているのだけは見て分かる、という感じ――】

【結局、彼女に出来たのは、言葉が終わったときに。「ほぇ」なんて少し気の抜けた吐息をこぼすことだけ】
【だけどすぐに表情を引き締めて、ごまか――せてないけど――して、また、意識的に背中をしゃんとさせる】

【――きっと、いつか、セリーナの言葉も分かるようになる日が来るだろう。今は、まだ、少し……難しいかもしれないけど】
【忘れないでおいて、いつかでも、少しずつでも、理解していく。いっぺんにやろうとすると間違える、それを、理解り出しているなら】
【まあとりあえず、これが長い自己弁護だとは気付いていないようだった。どうしてそれが分かるかって、】
【視線がなんとなくカッコいい年上に対する憧れ……みたいな色を帯びているからだった。なんだか、こう、きらきらとして】

……お金は要らない。その分は、みんなのために使ってあげて欲しいの。
その分のお金で、お米も、パンも、買えるもの。……わたしは、“お店”の分で、十分だから――。

【条件の一つ目。それなら、最初から、要らないというつもりだった。自分がやりたいこと、やらせてもらうのだから】
【――我侭を聞いてもらうのだから、という意識がある。慈善がどうとかはよく分からないけど、やらせてもらえるだけで】
【彼女としては嬉しいし満足だ。――なんて考えだから、もしかしたら、怒られてしまったりとか、あるのかもしれないけれど】
【だけど、夜に働く分はもらえないと……ちょっと困るかなと思うなら。セリーナの言葉に、少し安堵した色も見せたのだろう】

…………――、うん。

【だけど、二つ目。その条件に、彼女の吐息すら一瞬途切れるよう。――戦い方を教える、その言葉】
【たぶん、すっごい、……厳しいし、過酷だと、今からですら分かる。多分、セリーナは、そこを甘やかしてくれないし】
【今の今まで上手な戦い方なんてろくに習わずにやってきたから、すごい大変だろうことも、今から分かる】

【(さらに言えば銃は苦手だ。ここで働くようになるまでは、見ただけで目が潤むこともあったくらい)】
【(最近、流石に見慣れてきたのだが――未だに、銃声は苦手だ。心臓が、きっと、一瞬止まったと思えるぐらい)】
【(“ぎゅっ”としてしまう。……だけど、これも、きっと、頑張って、乗り越えないといけないことだとは、分かっている)】

【だけど/(なら)】

わたし、やる。“このこと”でお金は要らないし、ちゃんと、“毎週”――セリーナに、教えてもらう。
他にもやらなきゃいけないことが出来たら頑張るし、やったほうがいいことを見つけても、いっぱい頑張る。

わたし、いままで、いっぱい、みんなに甘えてた。……だから、これからは、頑張るの。
“誰かが居なきゃいけない”のをやめる、“ひとりでもだいじょうぶ”になる、……――ううん、

みんなが居るから、ひとりじゃない、かな……、だけど、あの、……えっと。

【――答えは、一瞬びびったわりにはきっぱりしていた。セリーナの挙げた条件、そのどちらも――それでいい、と】
【特に後者にいたっては、週一のほうを選ぶほどだ。さらに言えば、その後に出てくる諸々のことだって、頑張ると宣言し】

【がんばらなきゃいけない。漠然と思っていた、だけど、誰かの暖かさに寄りかかるのは、とっても気持ちよくて】
【そのまま眠ってしまえたら最高に心地よかった。……でも、そろそろ、まどろみからは起きる時間だと思う】
【言葉は上手く見つからないようだけど、自立しようと頑張っているのだ。大人になろうと、もがいている】

【まだまだ時間は掛かるだろうけれど――いい傾向では、あるのだろう】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/28(金) 17:35:29.48 ID:Ec4m6XBBO
【路地裏】

『リアル・ゴールド』

【赤い髪に長身細身の青年がいる。】
【──口に出すのは自身のアートマンの名】
【顕現する黄金の装飾が施された人形の其は──】

【その場に居合わせるもう一方の男性をタコ殴りにしていた。】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/28(金) 20:56:35.81 ID:aDFoDmBno
【公園】

【風切り音にしては鈍く、大きく、長い。音にすればヒュン、ではなくぶぉぉん、などと表現できるモノであり、それが夜の公園に響き渡っていた】
【――――長さにして約5尺の長尺木刀。薄藍のインバネスに身を包む黒髪の男が、額から大粒の汗を流しながら懸命に其れで何度も何度も面を振り下ろす】
【その格好、そして左腰に佩いた大小の刀。所謂櫻の国の「サムライ」のような男であり、インバネスコートの右胸部分には緋色の鷹の紋章が存在感を示していた】

ふぅ……ッッ!! ――――っふ……ッ……!! ……あと……3回……ッ……!!

【その風切り音、そしてその長さ。視覚と聴覚両方から木刀の重さを訴えかけているかのようで。そしてそれを扱う男の苦しそうな表情、歯軋り、漏れた声――――】
【それらが更にその訓練の苦しさを強調させていた。伝う汗は顎先で雫を作り、そして公園の砂へと吸い込まれていく】
【――――重い風切り音が2回。最後の1回を前に暫しの沈黙が走る。納得のいかない表情は少しだけ物騒というか、尖ったモノであり】

っは……ッハァッ……まだ完璧とは遠い……もっと剣の重みに全てを預けないと――――。力で振ろうとする意志がきっと何処かにある筈だ……!! 
その邪念を……っふぅっ……断ち切らないと……!!

【荒い息を零しながら自分に言い聞かせるような言葉を紡ぐ。重く長い得物を刀の握りで振り回す行為はかなりの全身運動であり、そして筋力だけで出来る行為でもない】
【腕の力だけなら持ち上げて面を振り下ろすことはできても、振り下ろした木刀をピタリと振り切った瞬間に静止させることは出来ない】
【振り下ろした勢いに流され地面に木刀が衝突してしまうものなのだが――――この男の先程の面は、振り下ろした瞬間「ほぼ」静止していた】
【――――しかしその「ほぼ」が気に入らない。完全に静止していないということは、全身の筋肉から放たれる力を完全に1つにまとめ切れていない証拠だ、と】

【短く鋭い息を吐き、男はゆっくりと木刀を持ち上げ――振り下ろす。最後の1回となった面、その風切り音は今までと全く異なる音色だった】
【ひゅん、とまるで真剣を振ったような其れ。その音に男は一瞬目を見開けば――――微かに、そして確かに笑った】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 23:50:28.30 ID:mJEecxZq0
>>535
 【事実、この女は少女の事を信用していた】
 【だからこそ、必殺の間合いに入った。それは私はアンタを信用している、という表れを行動でも示したというだけだが】
 【それが猶の事、自らとの繋がりを強固にする――筈だった】
 【――俯いていた顔を上げる。そこにあるのは人殺しの目だ。カノッサ機関の――世界の悪の瞳】

……だったらよ


 【気のせいだろうか――――】
 

私が今、これをやめたらよ――


 【――――気のせいだろうか】


母さんは、帰って――くるのかよっ!!!!!


 【その瞳が、潤んでいるように見えたのは】【しかし、既にそこにあるのは殺意。そしてそれを込めた瞳】
 【けれども、それが女の】【入間の心からの声だったのは――言うまでもないか】

       明日を謳い、今日を願う。昨日に幸を、過去に別れを。

 【――詠唱、開始】

       永久(とわ)を捨てる。刹那を欲せ、目前に広がる世界を壊せ。

 【それは隙だらけに見えるだろうか】

       満たせよ心、満たされよ私。去れど心は満たされぬ、結末を見て想い(むねん)を知る。
 
 【全く、隙の内容に見えるか】
 
      手繰り寄せるは我が心。集い集める無念(おもい)の欠片。私よ私。これが願い。私が私である為に。
 
 【しかし、紡ぐ言葉が増える程、それの威力は増す――】


       ――――未来に祝福を

 【やがて、魔術の気などない物でも、理解できるほどに】

       ――――世界よ、廻れ。

 【初撃は――――少女の後方から、現れた】【鉤爪を振るい、背中を切り裂かんとするする主は】
 【デッサン人形のような、能面の身体】【新党は140cm程で】【その手から伸びる両手の爪が、異様なまでに発達し、伸びている】
 【異形の生物――それを女は召喚したのだ】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 00:16:50.28 ID:9mfrqWbv0

【路地裏】

【薄暗い路地を駆ける一人の幼い少女。その目には涙が浮かび、何処かで転んだのか服には砂埃がついている】

【彼女は後ろをちらちらと気にしながらも必死に駆けていたが、やがて疲れたのかその足も止まってしまう。更に悪い事には行き止まりにたどり着いてしまった】

【どうしよう、と立ち往生する幼い少女。その耳に聞きたくなかった音が聞こえる】
【コツコツという靴の音、そして──】

ああ……やっと追いついたよ……そんな逃げなくても良いのに
【どこか呆れたような声色の、若い──下手をすれば二十歳にも満たない女性の声】
【幼い少女がその声にビクリと肩を震わせ、声の方へと振り向くと、其処には一人の若い女……否、十代前半程の少女が立っていた】

【ハニーブロンドの髪に白いブラウスと赤いスカート、赤紫色のフード付きパーカーを羽織った何処にでもいそうな女の子】
【しかし幼い少女の表情は、彼女にとってこの少女が恐ろしい存在なのだという事を物語っていた】

「い、嫌……くる……な……っ」
【少女が一歩、また一歩と距離を縮めていくにつれて幼い少女の表情が強張っていく】

「来るな……来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな……!! 化け物……来るなってば……来るなって言ってるでしょ……!? 来ないでよぉ!!!」
【幼い少女は目に涙を浮かべ少女を拒絶する。しかし少女は微かな笑みすら浮かべながら幼い少女に近付いていく】

……あははっ、大丈夫だよ? お姉ちゃんは、ぜーんぜん、怖くなんかないからねー? 
【少女はにこりと笑みを浮かべ、怯えた表情を浮かべる幼い少女にその手を伸ばす】


544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 00:30:37.02 ID:NBAABCCbo
>>543

 おい! ……ソイツをどうするつもりだ?


【ハニーブロンドの少女がもっと幼い女の子に手を伸ばした瞬間、真上から男の声が聞こえた】
【隣接するビルの非常階段に彼はいた。茶色の外套に身を包んだ150cm程度の身長の男だ】
【顔には白い仮面を──真っ黒な眼孔が二つ、薄笑いのような黒い切れ目が一つ入った、恐ろしい形相の仮面をつけている】

【彼は真上から二人の様子を見ながら、非常階段の手すりの上に座って、足を子供のように揺らしていた】


 こんな時間にこんなところで幼女を追い掛け回してるんじゃ、“どっち”なのか分かんねえからな
 重度のロリコンなのかどうか教えてくれよ


【仮面に反して彼の声色は明るく、何より粗暴な口調だった】
【少し挑発するような、そんな言葉を選んでさらに続けて話した】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 00:34:30.99 ID:QhTaXH0mo
>>542

「…………そんなの、あなたが一番わかってるでしょ」

【二度と帰ってこないから、代わりに持っているものから奪おうとしている。けれどそんなのは、ただの八つ当たりだ】
【前を見るのが怖いから、変わっていくことに耐えられないから、其れを受け入れてしまえば今までの自分を否定することになるから】
【ああ、そうだ。そんなことは少女もよく分かっている。皆当たり前のように前に進んでいくけれど、其れはとても怖い事なんだ】

【でも、見えた。やっと見えた気がした。上辺だけの、他者を泥沼に引きずり込むためのものじゃない、穢土宮入間という人間の言葉を】
【悪い人だけど、悪い人じゃない。其れが分かっただけでも十分だ――もう逃げないし、見捨てない】
【殺すのは最終手段。どうしようもない人間ならばそうするしか無いのかもしれないけど、彼女はそうじゃないとせめて自分だけは信じたい】
【だから――――戦おう。殺すのではなく、戦うんだ。やったことはないけれど、其れがやらない理由にはならない】

「………………っ」

【勇むことは出来ても、やはり恐怖は拭えない。殺したことは数多くあっても、戦ったことは数える程度しか無いのだ】
【詠唱、溢れる威力、明らかな異常。其れ等は少女の身を竦ませるにはあまりに十分で、逃げないように刀を握り締めるだけで精一杯だった】
【逃げるな。怖がるな。戦え。戦え。戦え。必死に自分に言い聞かせ、集中力を無理矢理高めていく】
【だが敵は女だけだと思い込んでいた。其れが戦闘経験の少ない、彼女が未熟な証拠だった】

「――――っ!!」

【反応出来たのは奇跡だった、鉤爪が風を切る音を僅かに少女の耳は捉えたのだ】
【だが反応出来、気付けたとうだけで回避が出来る訳ではない。動き出すのが一拍遅く、鉤爪が少女の背中を切り裂く】
【斬れる制服。入り込む風は冷たく、血が溢れだした傷口は酷く熱い】
【彼女の仕事は一撃で相手を殺す超先手必勝の技術によって成り立っていた。それはつまり、相手の攻撃を受け慣れていないということで】
【人生でもあまり感じたことのない痛みに思わず涙が溢れそうになるも、其れを堪えて横に跳躍する】
【召喚されたモノにも、女にも背後は向けられない――――痛みに歯を食いしばりながら、刀を構え】

「はぁッ!!」

【痛みを誤魔化すかのように召喚物へと向かって直進、その首元に向かって刀を振るう】
【一撃必殺、ただ首を落とす為の一閃――――直進の勢いも相まって、本来ならば驚異の威力を発揮出来る筈なのだが】
【痛みによって集中力が阻害されているため、その一撃に重さはあっても速度は無く、狙いも分かりやすい為回避は容易だろう】
【その上此の一撃が外れれば、彼女には大きな隙が出来る――――――女も、彼女が戦い慣れていないことに気付ける筈だ】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 00:52:54.99 ID:P8UwMgP80
>>545
――黙れよ、死ぬぞ。

 【一言一言が脳に痛い。心が疼く。理解しろと出される絶え間ない警告】
 【それにもし気づいた時、私はどうすればいい?】【理解してしまった時、何をすればとめられる?】
 【――考えるな、ダメだ、駄目だ駄目だ! 今は前を見て――私から奪ったアイツを、■さないと】
 
 【――■さ、ないと????】




はっ――そっちも慣れてないじゃねえか、桃子っ!
 
 【飛ぶのは笑い声、何処か声音が震えているようにも思えたが、果たしてどうだったか】
 【反撃の人太刀、それは容易に止められてしまう】
 【五本の爪が首の前に現れ、首を切り落とさんと狙う一撃を殺していた】
 【女は戦闘にあまり慣れていないが、この人形は違った】
 【意思があるかのように動き、その動きも卓越されている――見かけ通りの張りぼてではないらしい】
 【回避もできたのであろう。そしてそちらの方が攻撃に移りやすくもあったが――僅かな怯みを見せるだけで、人形は引かない】
 【敢えて、敢えて――受け止めたのだろう。僅かに顔を動かす人形。何処から見てもその形は同じだが、どうも少女の方を向いているように思える】【もしかしたら、笑っているのかもしれない】
 【ただの人形、手足が別段太い訳でもなく】【ポキリと折れそうなソレが――カノッサ機関としての、女の力なのだろう】


 【そのままの体勢ならば、爪を押し込んで、払うようにして刀を弾こうとする】
 【弾けたのなら、待っているのは空いた片手による爪撃――踏み込むようにして身を屈め、相手の腹へと向けて】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 00:54:51.13 ID:9mfrqWbv0

>>544
……え? 
【突如真上から聞こえた声に少女は其方を見上げ、仮面の男の姿を確認する】

あ……貴方誰ですか!? いつからそこにいたんですか!?
ど、どうする……って、安全な所に連れてくだけです……や、だよ? 
……うん? どっちだ? 
【はじめこそ仮面の男の姿に恐怖を抱いたのかおどおどとしていた少女。しかし、男のどことなく子供じみた行動(と、どうやら自分より小さいらしき背丈)に恐怖心が消えたのか同年代と話すような口調になってしまう】
【その間、幼い少女の方は仮面が怖かったのか一層涙目になっていたのだが】

……“どっち”、ってどういう“どっち”……? 
私はただこの子が路地裏の方に逃げてっちゃったから慌てて連れ戻しに来ただけで別にロリコンでもショタコンでもないよ? 
【少女は心外そうな表情を浮かべると男に答える】



548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 01:07:15.40 ID:NBAABCCbo
>>547

【困惑する少女と怖がっちゃった幼女をよそに、その男、というか青年は腹を抱えて笑い始めてしまった】


 げっひゃっひゃっひゃっ! やっぱりな!
 “どっち”ってそういう“どっち”のことだよ!
 お前が幼女を襲うようなド変態のロリコン女なのか、はたまたただ助けに来たやつなのかっていうな!


【笑いながら足を愉快そうにバタバタとばたつかせている。やはりどこか子供っぽい】
【ひとしきり笑い終えると、手すりに両手をついて前へと飛び出し──10m以上の高さを落ちた】
【しかし外套を翻しながら難なく着地すると、フードと仮面を外した。薄いブロンドの、どこにでもいるような青年だ】
【ちょっと、背が低いが】


 まーしかしだ。夜中にこんなところに迷い込むなんて、そのガキも不運なこった
 危ないぞ……? 普通だったらコイツみたいなロリコンにひでえ目に遭わされるか
 もしくは俺みたいなこわ〜いやつに食べられちまうぞー?


【二人のところへ近寄ると、女を指差してはロリコンと呼び、「俺みたいな」と言っては仮面を顔にあてがって幼女に見せる】
【近くに来ると外套の隙間から見えるだろうか。彼の服装が神父のものと同じであり、十字架も身につけていることが】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 01:11:28.27 ID:QhTaXH0mo
>>546

【渾身の一撃は、首と刀の間に割って入った鉤爪によって受け止められる】
【少女より小さく、力が強そうには見えなかった。だが現実、彼女の刀はあっさりと受け止められてしまっている】
【此れがカノッサ機関の一桁の力なのか、それもおそらく全力じゃなく、力の一端――――】
【少女は身体能力が高い訳ではない。むしろ呪刀の効果によって身体能力にも制約がかけられているため、剣士としてはかなり低い部類に入る】
【不味い。しかし拮抗状態を崩せず、人形の力に押し負け刀が振り払われる】
【同時、もう片手の爪による攻撃――――流れるような動作に、少女はなんとか反応しようとした】
【身体能力に制約がかけられているが、それでも動体視力は高い。おそらくは幼い頃からの鍛錬の成果なのだろう、相手の動き自体は視えているのだ】
【だが其れに身体がついてこない。腹部へと放たれる爪撃を、後ろに飛んで回避しようとするが――――】

「ぐっ…………!!」

【躱しきれず、脇腹に深く爪痕が刻まれる。思わず右手で腹部を抑えながら、漏れそうになる弱音を必死に殺した】
【彼我の実力差は明確。先ず不意を点かれたのが痛手だった――――けれど少女の瞳には、未だ闘志の炎が消えておらず】

「生憎、殺すのはともかく戦ったことはあんまり無いのよ」
「そんなことより――――制服、よくもボロボロにしてくれたわねっ!!」

【大きな声を出すのは自らを奮い立たせるため。傷を負って、恐怖は増していくばかりだった】
【横から、斜めから、上から、いずれにせよ線の攻撃では爪に防がれてしまう】
【ならばどうすれば――――考え、そして脇腹から右手を離し、再び柄を握り締める】
【柄が血に塗れるが、関係ない。呪われた刀なんだ、ちょっとの血ぐらいついていたところで問題ないだろう】
【構え直すと、再び駆ける。傷の所為か速度は先程より目に見えて落ちており、常人の全速力より少しばかり速いぐらいだった】
【だが構わない。勝てればいいんだ。勝てばいいんだ。そして接近が叶えば、少女は再び攻撃を繰りだそうとするだろう】
【首へと放つ線の攻撃ではなく、頭を狙った点の攻撃――――即ち、刺突を放とうとする】
【線の攻撃よりも防御されづらく、なおかつ助走の勢いを乗せやすい。そう考えた結果の攻撃だったが――――】
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 01:40:53.16 ID:9mfrqWbv0

>>548

ちょ……ちょっと! 何笑ってんの!? 
っていうかどう見たら私が変態女に見えるっていうのよ? 
【男が男なら少女も少女だ。突然笑い出した男にムッとしたかと思えば自分は良い人です! とアピールするかのごとく胸を張ってみせる姿は子供っぽい(実際子供なのだが)】

【かと思えば手摺から飛び降り見事に着地した青年に、うぉぉ……と小さな感嘆の声をあげながら小さく拍手などしてみたり】

だーかーらー、私はロリコンレズじゃありませんってば! 
私にもよく分かんないんだよ、この子……急に逃げ出したりなんかしてさ……
【何か余計な言葉がくっついた気がするが気にしてはいけない。それはともかく少女は不可解といった面持ちで幼い少女をちらりと見た】

「……私、子供を食べちゃうお化けさんの方がまだいいよ。だってこいつ、化け物なんだもん! 」
【幼い少女はぽつりと呟き、少女を指差す】
【少女は幼い少女に指を差され困ったように笑う。】
【少女のいう「急に逃げ出した」という言葉と幼い少女の「少女は化け物だ」という趣旨の発現。それから導き出されるのは──】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 01:51:43.61 ID:NBAABCCbo
>>550

 ははっ! ロリコンの上にレズまでつくんじゃ救いようがねえな!
 女同士がまぐわい合ってるのを見るのは嫌いじゃねえんだが、混じれねえんじゃ面白くねえな
 ……なに? 化け物?


【片手に持った仮面を器用にくるくると指で回しながら、今度は女の方を変態に断定】
【神父だというのにこっちもこっちで余計な欲望だか言葉だかが入ってるが、これはわざとだ】
【それはそれでケラケラ笑っていたが、「化け物」という言葉を聞くと、笑うのをやめた】


 んー……お前、何か能力ってやつを持ってるな?
 見せてみろ


【逃げ出した上に化け物という発言が事実で、この少女が善人だとするならば、その正体は能力だろう】
【そう考えてそれを確認するために指示しながら、彼は少女の顔を注視した──微妙な嘘などを見破るために】
【この青年はそういった観察眼に優れている。危険人物だとしたら、場合によっては戦わなくてはならない】
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 01:57:45.77 ID:P8UwMgP80
>>549
//ごめんなさい、ここで凍結させていただきたく……
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 01:59:23.51 ID:QhTaXH0mo
>>552
//了解です!
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 02:19:05.32 ID:9mfrqWbv0

>>551
あー、もう! ロリコンじゃないしレズでもない! 
……っていうか君、外套からちょっと見えてるけど聖職者……だよね? コスプレとかいうやつじゃないよね? 
【むくれつつもジトッとした目で青年を見る少女。完全に青年の玩具にされている。】

能力……? 確かに持ってるけ…………ああ、そういう事かぁ……
【少女は途中で何かに気付いたらしく渋い顔をする】

……これ、他の町の子達には結構ウケが良かったんだけどねぇ……
【ため息を吐きつつも少女は足元に落ちている紙屑を拾い上げ、青年に見えるように手を伸ばす。】
【すると少女が手に持っていた紙屑が静かに凍りついていく。光の反射で輝くそれは確かに子供受けはするかもしれない】
【が、少女の能力を見た幼い少女は表情を強張らせ、ほら! 見たでしょ!? これだよお化けさん! などとまくしたてている】
【どうやら彼女の中で青年は“お化けさん”になったらしい】


555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 02:30:25.08 ID:NBAABCCbo
>>554

 お前が自分から暴露したんだろうがロリコンレズめ
 なーに安心しろって。この時間は神様もおねんねしてる最中だから聞いてねえよ
 聖職者ってのは当たりだ


【外套を少し大きめに開いて中の姿を見せる。まごう事なきカソックに十字架だ】
【つまり聖職者なのにこんな酷いことを言っているのである!】


 ……うーん? これが化け物だぁ? いまいち納得いかねえな……
 あと俺はお化けじゃねえよロリっ娘め


【その能力──どこか幻想的な風景を作り出すそれを見て、尚もこの青年は首を傾げた】
【幻想的に見えるぐらいだから、青年にはどうも化け物という表現と合わないように思えたのだ】
【これと比べれば自分の方が余程怖かっただろう……お化けというのは否定したが】


//すいませんが凍結お願いします!
//明日は一日中居ますんで! おやすみなさい!
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 02:51:50.94 ID:9mfrqWbv0

>>555
してないしてない! 
そもそも私は最初からロリコンでもショタコンでもないって……もう良いや
【一々反論するのも面倒になったのだろう、少女はため息を吐くとその事には言及しないことにした】

あ、やっぱりあってた……良かった真面目に日曜日教会行ってて……
って、そうじゃない!! 良いのか!? 聖職者がロリコンレズとか子供に聞かせられないような単語バンバン口にして! 
【前言早くも撤回、結局蒸し返してしまった。しかもこの単語を先に言ったのは少女の方であるという事はすっかり忘れている】

「化け物だよ! だってこういうの、人をころす時に使うんだってママ達言ってたもん! 」
「物を凍らせる化け物は凍らせてからパリーンって壊したり凍らせたままほっといて殺すって! 」
【幼い少女は興奮したように反論する。彼女の発言からすると彼女が少女をすれば化け物よばわりする原因は恐らく彼女の周囲の大人、なのだろう】




/了解です、おやすみなさい!

557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/29(土) 03:39:19.02 ID:1Ppfp/F3o
【深淵と眠る森の中】
【生き物たちが深い眠りに落ちる時、周囲を明るく照らす篝火にあたる人影があった】
【火に枯れ枝が爆ぜる音、沸き立つように揺らめく火の粉、そして焦げた匂い】
【それは酷く原始的な人の営みの現れ】

――――――――……ん、やだ寝ちゃってた……?

【暖かさからうつらうつらと揺蕩んでいた】
【息を吐き、目を擦り背を伸ばす、煤けた色のローブがそれにつられてはためく】
【伸びる髪、瞳は錆色をしてどことなく刺々しいのだが微睡みに沈んでいるからか、歳相応の愛らしさが僅か残る】

んー……駄目ね、あたま回らないわーこれー……

【ぼんやりと揺れる炎を見つめ小さな欠伸をひとつ】
【さらりと髪が流れる首元には銀のプレートのペンダントが踊る、漏れだす魔翌力は浮かぶ月の色と同じもの】
【そしてそれとは別の、瘴気地味た魔翌力はどうやらこの女性由来の物らしくその在り方故に彼女の周りに自然生物は近寄らない】

【ほんとうにたった一人の為だけの篝火】
【旅に生きる者ならばその情景は当たり前の事、だけどそれは一幕の出来事に過ぎず】
【ならば瘴気宿す彼女にとっては死ぬまで続くかもしれない情景、くすんだ瞳は何を思うてか】

遺跡探索も箸にも棒にもかからないし、切り上げ時なのかもね……
夜中の行動は危ないし、せめて日が昇るまででも過ごすとして――――――――

【ぼうっと見上げる天上には薄らと浮かぶ金の天体がひとつ】
【欠けたりんごのようにも見えるそれはどことなく自分を嘲笑っているようにも見えて】
【なんてことはない一人の時間が長すぎる弊害なのだけど、気が滅入り天に唾するように「フン」と鼻を鳴らし】
【膝を抱えてつまらなさそうに俯く、ひとりぼっちとその影だけが揺れていた】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 03:54:06.41 ID:b/mvuJYEo
>>557

【――ぱきり、と枝を踏み砕く音がした。それも、1回だけではなくて】
【何度も何度も、徐々に大きくなるという具合にで】

【つまり誰かが無遠慮に近づいてきている証拠であり、しばしもすると】
【ぬうっ、という具合に木々の合間から姿を見せるのは、縦横奥のいずれにも幅のある、大男で】
【背は180cm程だが、ローブと豪奢なマントを着ても分かるほどの筋骨隆々とした肉体を備えており】
【かつ、表情は厳しい。峻烈そうな性格の男は、格好からするに聖職者に思え】

このような森の奥で篝火と、妙な魔力を感じてきてみれば……
……何処かで見たような、そうでないような……誰だ、貴様?

【そして聖職者らしからぬ態度と話し方で、そう尋ねかけたのである】
【"自分が侵入者であるにも関わらず"だ――それだけで、性格が伺えるだろう】

【傲慢、尊大、不遜で――多分石頭。だが、魔力のことが分かるらしいことと】
【もしかすると、女性も彼を知っているかもしれない事を加味すると】
【"静かな空間をぶち壊した男"という評価は、多少覆るかも知れなかった】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/29(土) 04:25:02.87 ID:1Ppfp/F3o
>>558

――――――ひゃぃ!?

【自分以外の者など現れないと思い込んでいた】
【だからその人の来訪は予想外、ついでに寝起きの冴えない頭ではご覧の通り】
【肩をビクンと震わせてわたわたと来訪者へと向き合う】

【向き合ってから、自分の手元に武器らしい武器がない事と】
【魔翌力の装填、その一切を忘れた事に気が付く】

…………なんだ、見境なく襲う類じゃないのね不幸中の幸いだわー

【熊、いや大男だった……なんともまあ聖職者らしからぬ体型をした……】
【人であるからには話は通じるだろうけど、果たして理性ある人と本能に従う熊どちらが御しやすいか】
【相手に敵意も無いだろうにそんな事を考えてしまう程度には、旅という物に慣れたのだろうかなんて】

でも、そうね……神様は躾がなってないわねー他人に名を尋ねるならばまず自分から晒すって教わらなかったのかしら?
ま、名前なんていつかは失われる物だし減るでもないからいいけれど……私はヒトツギ・カズネ、しがない旅人よ

【纏う装束を見るに聖職なのだろうから、若干の敵意を込めて煽ってみる】
【お遊び半分、相手の人間性を測る意味合い半分、座ったままというのにまるで下から見下ろすような瞳したり顔】

ん、なによ……アンタみたいな背高ノッポの知り合いなんて私には居ないけど……?
……お?……あー……なんだっけどこかの戦いで会ったかしら、石頭……ううん……なんだったっけなあ

【男に対して最初に浮かんだ印象が「石頭」だった】
【そして次には既視感と、ならば理由がそこには在るはずなので思い出そうとするのだけど】
【男を指す指先はどうにも振るわないのであった】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 04:40:54.39 ID:b/mvuJYEo
>>559

そういった類の警戒をするのであれば、結界でも張っておくべきだったな
……まあ、それはそれで探知できる人種を呼び寄せてしまうが。

それとひとつ教えてやろう、神は一個人の躾など教えるほど暇ではない
そういったことは親がするものだ……が、生憎私の両親は不出来でな
不躾なのは許せ……カズネ?やはり何処かで……あぁ、いや、そうか…――。

【フッ、と余裕を感じさせる笑み。どうやら多少の煽りは意味を成さないらしい】
【石頭――そういうワードが実にピッタリで。今一歩踏み出して、樹木に背を預ければ】
【そこで腕を組んで、篝火の灯りに全身を晒しながら腕を組む】

……お前、ゼン=カイマに居ただろう。大きな鬼だの、鎧だのが居た戦場だ
確か、貴様のような魔術師が居たように思う……名乗りが遅れたな

私の名はフレデリック・シャリエール、そのゼン=カイマの現大司教を務めている
いまいち寝付けないので散歩に出たら、というわけだが……
その歳で冒険者とは、また物好きなものだな。何か収穫物は無いのか?

【組んだ腕には――というか両手には、特徴があった。まず右手は、義手】
【黒鉄の手は本物の様に動いてはいるが、メタリックな光沢を放っており】

【また左手の薬指を見れば、其処には指輪がある。意味合いは言うまでもないだろうが】
【――さて、ゼン=カイマ。時を遡ること、もう半年以上も前の事だが】
【ヴァルゴ≠ニいうワードに彼女がいきつければ、思い出すのはそう難しくないハズだ、が――。】

//始まって早々で申し訳ないのですが、凍結or置きに以降でお願いしたくっ!
//こちらは土曜は来られないので、再開するなら日曜昼以降になるかと。
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/29(土) 04:43:10.57 ID:1Ppfp/F3o
>>560
/了解であります!
/置きレスにて対応しておきますので、おやすみなさいませ!
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 04:44:48.81 ID:b/mvuJYEo
>>561
//ありがとうございます!
/それでは、また置きレスにて。お休みなさいッ!
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 13:24:45.29 ID:llznVXJUo
>>556

 いちいち細けえ女だな。レズとか言い出したのはお前だろうが
 それになんだ? 聖職者はいつでもどこでもスーパー良い人とでも思ったか、バーカ!


【言葉の出処はしっかり指摘……したがそんなことは吹き飛ぶようなこの態度】
【罵倒の仕方がガキっぽい】


 あー……なるほどな、能力者嫌いか。最近、少し増えてきたって聞いたな


【少女の反論に困ったように苦笑いする青年】
【ここ最近、何故だか無能力者による能力者への批判やら何やらが増えてきている】
【細かい原因は分からなかったが、そのあたりかと、少女の境遇に納得した】


 とりあえず表に出ようぜ
 隣にいるのがロリコンだろうがそうでなかろうが、この場所が危険なことに変わりねえんだから


【そう言って青年は表通りの方を指差すと、二人に移動するよう促した】
【移動を始めれば、彼は二人の後ろについて、周囲に細かく気を配りながら護衛をするだろう】


//今日もよろしくお願いします
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 17:04:59.66 ID:9mfrqWbv0

>>563
……あれ、そうだったっけ? 
ま、まあどうでも良いじゃないか! うん! 
でもまあ君の言う事も一理あるよね、世界は広いんだもん。こんな聖職者の十人や百人いないわけないよね……馬鹿は余計だけど
【きょとんとした表情で首をひねると誤魔化すように笑う少女。青年の言葉にそれもそうかと頷く】

能力者嫌い……ねえ……
【少女は青年の言葉に眉を顰め、黙り込む】
【脳裏に浮かんだのは、自分を遠巻きに見ながらコソコソと話す人々】
【「うわ、能力者じゃん」「これヤバいんじゃないの? 」という偏見に満ちた囁き声】
【能力だとも知らずに能力を発動させてしまっていた自分に手を差し伸べようともしなかった人々】
【彼らがあの時自分に手を差し伸べたくなかったのも何となく分かる。今此処にいる幼い少女のように凍らされる、凍死させられると思ったのかもしれない。能力者絡みの厄介事に巻き込まれると思ったのかもしれない】
【けど、それでも──】

「うん、そうだよね、明るい所行った方いいよね」
【言うと同時にトテトテ、と表通りの方へと歩き出す幼い少女。少女も、あ……うん、と何処か上の空といった様子で歩き出す】
【やがて三人は明るい表通りにたどり着くだろう】
【そこには幼い少女を探していたのだろう、数人の大人がいる】
【幼い少女は自分の親を見つけたらしくママ、パパ!! と叫んで大人達の方へ駆けていく】


565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 17:24:39.30 ID:llznVXJUo
>>564

【かくして幼女は何だかよくわからない二人の大人(?)の手によって無事に親元に帰ったのだった】
【大人たちへ駆けていくその子を見て、青年は一瞬、複雑そうな表情をしたが】
【嬉しそうな声が聞こえると、やがてその表情は安心したような笑みに変わった】


 ……能力者が嫌いな連中に、何か思うところでもあんのか?
 今は気分が良いから、性倒錯者の懺悔や愚痴でも、聞いてやってもいいぜ?


【幼女たちから目を逸らし、少女の方に視線を移すと、彼はこう尋ねた】
【移動前の、自分の言葉に対する少女の反応が、彼には気がかりだった。何かあるような気がした】
【これも何かの縁、そう考えて聞いてみたくなったのだ。必要であれば、手助けも】
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/29(土) 19:24:10.59 ID:odgxqQyOo
【墓地】
【昔作られたその場所は、誰も参る者がおらず……肝試しスポットとしてのみ知られる】
【霊感が強いのであれば、……まあ、大体イメージ通りの風景が広がっているだろう】

「……ちィッ」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「あァの野ァ郎共……手ェこずらせやァァがって」 「まァー良ォい、勝ァてば良ォいんだよ勝ァてばなァ……!」

【頭から血を流しており、服もボロボロだし――とても傷だらけである】

「おオっと……くそッ、……むゥ、いィつの間にかこォんな所に来ィていたのか……」
「ククッ、いィや……"必然的に"、"引ィき寄せられた"とでェも言ィうべきだな……!」

【よろけたかと思えば、がっ、と近くの墓石を掴み転ぶのを阻止――ふと、斜め上の方を見たかと思えば、そこに手を伸ばし"何かを掴む"】
【何かとは? ……見える人には見える、"アレ"である】 【それを掴めるとは、只者ではなさそうだが……?】
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 20:26:56.20 ID:9mfrqWbv0

>>565

【幼い少女は両親や周囲の大人達に何があったのかを話しているようだ。大人達は青年と少女の方を時折見るが、青年には普通の目を、少女には冷たい目を向けている】
【そのうちに幼い少女は母親に手を引かれその場を去り、残った大人達は何やら話し合いを始めた】

【少女はやはり上の空といった様子で、大人達の元へ帰る幼い少女の方をぼんやり見ていたが大人達から冷たい視線が向けられる度に目を伏せる】

……あ……あはは……
【少女は青年から声をかけられてようやく我に返ったようでばつが悪そうに笑う】

……ちょっと、ね……
私、元々能力者じゃなかったんだけど最近能力に覚醒して……能力が覚醒してるとか気付かないから
寒いわ辺り凍るわで大変で……
困って蹲ってるのに皆遠巻きに見てるだけで助けてくれないし……
理解はしてるんだよ? 単に能力者絡みの厄介事に巻き込まれたくなかったんだろうなって事は
……でも、何でかな? 『能力者嫌い』って聞いたら……思い出しちゃったんだよ

……あの人達の偏見に満ちた目とか、囁く声とか
【少女ははじめこそ笑い話のように語っていたが、その声は段々と弱々しくなっていく】
【恐らく彼女は心の何処かで感じ取っていたのだろう】
【あの日自分を遠巻きに眺めていた人々にとって、無意識だったとはいえ能力を使っていた彼女は危険なモノで、関わりたくない存在で、忌むべき化け物だったのだと】
【そして、この町の人々やあの幼い少女にとっても能力者はそうなのだという事も】





568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 20:48:59.56 ID:llznVXJUo
>>567

【冷たい視線を送り続ける大人たち。彼らの方を見ながら、青年は少女の話を黙って聞き続けた】
【能力者に対する偏見、差別。この世界は能力者によって守られ、そして虐げられてきた。そう簡単な問題ではない】
【この青年自身も、そのあたりはよく理解していた。理解していたが──】


 ……お前たちはこいつに本来は礼を言うべき立場だ。それをしないならまだしも、その目はなんだ!
 経緯は知らないが、親が目を離したせいであの子は死ぬかもしれなかったんだぞ!
 それを助けたのはコイツだ、恥を知れ!!


【青年は遠巻きに見てくる大人たちに向けて大声で怒鳴った。少女が話し終えた直後に】
【確かに偏見や差別は仕方ない面もある。だが“子供から目を離した”という自分たちの失敗を棚に上げて】
【まるで悪人を見るかのような目を向けてくることに、彼は我慢できなかった】


 胸を張っとけ。お前が能力者だろうがそうでなかろうが、お前は良いことをしたんだ
 そんなお前に対して冷たくするあいつらの方が余程間違っているし……余程、“危険”だ


【バン!と激励するように少女の背中を思いっきり叩く】
【偏った思想による多人数による迫害の方が、一人の能力者よりもよっぽど危ない。青年の考えではそうだった】
【依然として真っ直ぐ大人たちの方を見ながら「バーカ」だの何だのと罵声を浴びせている】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/11/29(土) 21:47:10.54 ID:uUpFT2qp0
【水の国 路地裏】

……ッ、やってくれたな、ガキども、が……ッ

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年が】
【頬を赤く腫らし、口元から微かに血を滴らせながら、目を怒らせて仁王立ちしている】

……4人揃って、慣れた動きだ……。今まで何度も『こう』してきたんだな……!?

【――――足元には、粗末な服装の3人の少年の死体が転がっている。他に1人、かろうじて生きている少年もいるが――――その両足が、無残に砕かれている】
【3体の死体も、頭蓋骨が覗いていたり、胸板が完全に凹んでいたりと、圧倒的な力で殴り倒された様な有様だ】
【更にそのそばには、2mほどのロープが2本、そして重りを布で包んだ粗末な『ブラックジャック』が2つ、血だまりの中に転がっていた】

……まさかお前らの様な連中に殴り倒されるとは……油断があったか、まぁ良い……

【ぺっ、と血混じりの唾液を吐き捨てるその青年の衣服は、良く見ると所々に汚れが付いており】
【更に、一見見えにくいその首筋には、締め付けられた様な真新しい紐の跡がうっすらと浮かんでいる】
【――――状況から考えるに、青年は殴り倒されて首を絞められながらも、4人の少年――――恐らくは強盗を、返り討ちにしたと言う事なのだろう】

――――今更どこに行く。まさか「死にたくない」等と言うんじゃないだろうな……!?
何人も殴り倒した報いを受けるのは今だ。観念して見せたらどうだ……!?

【両足を砕かれた少年は、ただただ震えながら両手で這い進み、少しでもその場から遠ざかろうとする】
【だが、所詮その速度はナメクジの様なものだ。怒りと侮蔑の目でそれを見る青年は、右手を伸ばしてその少年へと歩み寄る】
【――――トドメを刺そうとしているのは、間違いないだろう。一方的とはいえ、これは『戦い』の結果である。何らかの外的要因がない限り、その結末は変わらない――――】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 22:06:14.84 ID:9mfrqWbv0

>>568
【大人達は少女に冷たい目を向けつつも何かを話し合っている。やがていつの間にか中座していたらしき大人が一人、紺色のボストンバッグを携えて戻ってくる】

【そんな折に突如自分達に投げかけられた叱責。大人達は驚いたように互いの顔を見合わせる】

ちょ……ちょっと! 急に何言い出すの? 
私、子供を助けたとかそんな大した事してないよ!? 
単に町中で転んで泣いてたあの子を慰めようとして能力使ったらあの子が逃げちゃっただけで……! 
それにこんな事言ったら君だって…………いだっ!?
【少女は慌てて青年をとがめるが、話している途中で背中を叩かれる】

……そうかな? 自分が良かれと思ってやった事で一人の子供を危険に晒しかけちゃったのに? 

……まあ、でも──
【庇ってくれて、ありがとう】
【そう言おうとした矢先、青年が大人達に罵声を浴びせているのを見て、ぶれないなあ……などと苦笑する】

【大人達は青年に叱責された事が余程気に障ったのか、はたまた失敗を棚にあげた事に少しだけ自責の念を感じたのか、苛立った様子で少女にボストンバッグを投げつけた】
【それを見た少女は慌ててそれをキャッチし、何も私の鞄にあたらなくても……とぼやく】

571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/29(土) 22:20:23.58 ID:llznVXJUo
>>570

 うん?そうだったか?
 まぁそんなことは些細なことだ、いちいち気にすんな!


【子供が逃げてしまった、という話をされても彼はちょっと首を傾げるだけ】


 ちっ、気に入らねえ態度だぜ。大人なら自分のやったことぐらい、省みてほしいもんだがな
 あんな連中に囲まれてるあのガキがちょっと不憫だが、それも運命か


【ボストンバッグを投げる様子を見て舌打ちを一度】
【苛立った様子なのは青年も同じことだった】


 さて、と。仕事帰りだったし、俺ぁそろそろ帰るぜ
 生き難いだろうが、自分を守るために能力を隠すってのも手だ。色々考えとけ
 じゃあな


【最後に助言を一つ残して、彼は何故だか路地裏へと消えていった】
【──そのとき、彼が居た場所に小さな紙が一枚落ちていた】
【それにはある場所の住所と、随分と高い金額だけが書かれていた】


//二日間お疲れ様でしたー!
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/11/29(土) 22:33:02.35 ID:uUpFT2qp0
/>>569取り消しでー
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/11/29(土) 22:58:39.68 ID:2cw4e97yO

>>571
……それ、ちょっとした事かなぁ……
【少女は青年の言葉に苦笑を浮かべる】

……まあまあ、手荒く扱われたっていっても荷物も一応は返してくれたし私は気にしてないから
【青年を宥めつつボストンバッグの中身を確認する少女。うわぁ一泊だけなのに一週間分取られてる……などとぼやき】

そう? じゃあね、聖職者さん
……確かに、これから能力者嫌いな人が増えないとは限らないもんね
子供をあやすのに能力使うのは自重するか
【少女はボストンバッグを肩にかけると小さく手を振る】

……結局名前は聞きそびれちゃったし路地裏の方行っちゃうし、謎の多い人だったなぁ……
【少女は路地裏に消えた青年を見送ると落ちていた紙に気付き拾い上げる】

……あの人のかな? 一応持っておこう……また会うかもしれないし
【少女は呟くと紙をボストンバッグにしまい、まだいるのかとばかりに自分を睨みつけている大人達に、はいはい今出てきますよーだ、なんて小さな声で言いながら町の出口に向かって歩き出すのだった】


/二日間ありがとうございました!

574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/29(土) 23:17:37.64 ID:ICfJ7i+Lo
【酒場】

【政府の裏、犯罪者の動向、悪組織の噂――――情報屋という職業に就く者は独自のネットワークを通じて知る筈もない情報を持っていたりすることも多い】
【そして彼等を頼りに情報を求める輩も少なくはなく、今日この酒場に訪れたこの青ソフト帽の男もそうなのだが――――】

……おいおい、いつも此処に居るって噂聞いて来たんだけどよォ……今日居ねぇのかよ、くっそ……。

【マスターに尋ねた所、今日はその『情報屋』が来ていないらしい。この酒場に良く姿を現すという情報屋はスバ抜けて優秀らしく、彼のように尋ねる輩も少なくない】
【男はがっかりと項垂れながらも、空いていたカウンター席にどさりと乱暴に座り込んだ。ジーンズに白シャツ、灰色のジレという格好だが、その胸元には一つの紋章】
【緋色の鷹――――と言えばSCARLET。軍や警察、自警団がバックにある故に情報は多く入ってくるのだが、それでも此処に訪れるということはそれだけ情報屋が優秀なのだろう】

あー注文注文……梅酒ロックとポテト盛り合わせと……軟骨のから揚げ。――――ったく、カノッサとかGIFTとかそんな情報ねーかな……って思ったのによぉ……。

【メニューを注文すれば青いソフト帽を取り茶髪を露わにしながら、人差し指で帽子をくるくると回し大きな溜め息を吐く】
【酒場は盛況、空席は彼の隣のみ。彼のように情報屋を求めて来た客も多ければ、単に飲みに来た客も多い。ここはバーではなく『酒場』。治安もそこまで良くは無かった】




【公園】

【風切り音にしては鈍く、大きく、長い。音にすればヒュン、ではなくぶぉぉん、などと表現できるモノであり、それが夜の公園に響き渡っていた】
【――――長さにして約5尺の長尺木刀。薄藍のインバネスに身を包む黒髪の男が、額から大粒の汗を流しながら懸命に其れで何度も何度も面を振り下ろす】
【その格好、そして左腰に佩いた大小の刀。所謂櫻の国の「サムライ」のような男であり、そのインバネスの右胸部分には緋色の鷹の紋章が存在感を示していた】

ふぅ……ッッ!! ――――っふ……ッ……!! ……あと……3回……ッ……!!

【その風切り音、そしてその長さ。視覚と聴覚両方から木刀の重さを訴えかけているかのようで。そしてそれを扱う男の苦しそうな表情、歯軋り、漏れた声――――】
【それらが更にその訓練の苦しさを強調させていた。伝う汗は顎先で雫を作り、そして公園の砂へと吸い込まれていく】
【――――重い風切り音が2回。最後の1回を前に暫しの沈黙が走る。納得のいかない表情は少しだけ物騒というか、尖ったモノであり】

っは……ッハァッ……まだ完璧とは遠い……もっと剣の重みに全てを預けないと――――。力で振ろうとする意志がきっと何処かにある筈だ……!! 
その邪念を……っふぅっ……断ち切らないと……!!

【荒い息を零しながら自分に言い聞かせるような言葉を紡ぐ。重く長い得物を刀の握りで振り回す行為はかなりの全身運動であり、そして筋力だけで出来る行為でもない】
【腕の力だけなら持ち上げて面を振り下ろすことはできても、振り下ろした木刀をピタリと振り切った瞬間に静止させることは出来ない】
【振り下ろした勢いに流され地面に木刀が衝突してしまうものなのだが――――この男の先程の面は、振り下ろした瞬間「ほぼ」静止していた】
【――――しかしその「ほぼ」が気に入らない。完全に静止していないということは、全身の筋肉から放たれる力を完全に1つにまとめ切れていない証拠】

【短く鋭い息を吐き、男はゆっくりと木刀を持ち上げ――振り下ろす。最後の1回となった面、その風切り音は今までと全く異なる音色だった】
【ひゅん、とまるで真剣を振ったような其れ。その音に男は一瞬目を見開けば――――微かに、そして確かに笑った】

/どちらかお好きな方で……
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/29(土) 23:56:39.74 ID:K7/4l2iAo
>>574
【とある酒場】
【軍服を着た赤目の女性が中に入る】
【背には剣を背負っており】

はーぁ、ようやく休暇だ。
ゲリラゲリラって何日休暇を削られたことか。
ようやく月に二三回あるかないかの楽しみがやってきたな。

【マスターの元へと行き注文をする】
【普段にはない楽しみなのかすごいうれしそうに】

マスター、ウォッカとプリッツェルで。
プリッツェルは黒こしょうで頼むよ。

【そう言ってマスターの元を離れる】
【空いた席がないかと周りを見回して】
【空いた席を見つけるとその場に行き】

隣、いいか?

【と青ニットの男性に声を掛けた】
/まだいらっしゃいますか?

576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 23:58:46.04 ID:ShMXpqe+0
>>574

【時間はもう少し後だ、彼が注文したもの――それらが彼の元へ届いた、ちょうど、そんな頃合】
【店内に入ってきたのは女が一人。それも、それなりにというか若さの目立つ年頃で、それならよく目立つ】
【彼女はきょろりと店内を一度見渡すと、空席がそこしかないらしいと見つけて――そちらに歩んでいくのだけれど】

【もし、彼女が空席に気付いた頃。隣り合う席の人間を眺めたときに、目でも合ったなら】
【にっこりと、さぞ、愛想のいいように微笑まれたりしたのだが――まあ、余談だ】

ごきげんよう、お隣、よろしくて?

【やがてこつりと高いヒールの音で彼女は彼の傍に立つ。頬を軽く撫でるように触れながら、小首をかしげるようにして】
【適当に了承してやれば、隣の席に座るはずだ。ふわりと漂うのは、甘いけれど甘すぎない、香水の香り――らしく】

【黒い髪の女だ。肩を少し越す程度の髪は、くしゅっと控えめにカールが入れられて】
【眼は猫の瞳と同じ形。アーモンド形と呼ばれるような形をしていて、その色合いは、宝石のような青林檎色】
【色白の肌にケバくない程度に化粧を載せているなら、まあ、――ちょっと地味めの今時、という感じがして】
【コートを脱げば下はタートルネックのセーターとミニスカート、足元は薄手のタイツと、件の高いヒール靴を履いて】
【セーターの裾を整えるように引けば、豊かよりいくらか豊かなのが窺え、――だから何というわけでもないけど】

あらおいしそう、普通のポテトかしら? それなら、私(わたくし)もそれと、あと、……まあ、ブラッディメアリーでも。

【年頃で見れば二十を迎えたばかりくらいに見える。だけど妙に場慣れした感じがあって、猫撫で声なのもよく目立つ】
【そんな彼女はまさに今届いたばかりの彼のポテトを見て、自分も、なんて思ったらしく。同じものを注文しながら】
【酒については妙に気に食わないけど妥協、みたいな声で注文するのだった。注文を終えれば、机の下で足を組み】

このお店にはよくいらっしゃいますの?
私は初めてですの、思ったより混んだ店ですのね、何度か前を通ったことはあるのですけれど――。

【にこにこ、と、やけに愛想のいい女だ。変わらず猫をなでなでするみたいな声で話しかけてくるのだろう】
【退屈――なのか、人懐こいのか。とりあえず害意は持たないらしいから、放っておいても問題はないだろうけれど】
【もし、彼も退屈だったりするのなら。――適当に話をする相手くらいには、なれるのかもしれない】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/29(土) 23:58:48.65 ID:oTTsZoCG0
>>574

【一人の青ソフト帽の男ががっくりとしている時に、酒場の扉が開いて一人の客が入ってきた】
【黒のショートヘアでパーカとジーンズを着た男はまずカウンターが埋まっているのに愕然とした】

 よぉ、マスターどっかあいてるところあるかい?

【すぐに気を取り直しマスターにどこか空いている席を訪ねるが、マスターには首を振られ】
【辺りを見回してみろといわれて見渡してみれば、席は多く埋まっていた】

 おいおい、マジかよ、なんでこういうときに限って……!

【ものすごくショックを受けて、膝を付きそうになるが何とかこらえて】
【でも淡い希望を求めて改めて見渡してみれば、あったのだ空席が】

【心の中でガッツポーズをしてからその空席の方へと向かって行って】
【先客の男に対して聞く】

 なぁ、隣失礼してもいいか?

【と言っても席が満席状態でありほぼこの言葉は儀礼的な意味しかないのだが】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/11/29(土) 23:59:25.31 ID:ShMXpqe+0
>>576
/被っちゃったので引きますっ
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/11/30(日) 00:00:05.53 ID:oTTsZoCG0
/>>577自分もかぶったので引きますね
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/30(日) 00:17:20.55 ID:JJIH1SY4o
>>575

【きぃ、と立てつけの悪い扉が開く音。空席が自分の隣しかないということも彼自身が把握していた為か、扉の音には多少敏感に反応した】
【紺碧の視線を軽くそちらに向ける。バーではなくここはあくまで酒場。そんな所に女性が来ることすら多少珍しいが――――軍人?】
【彼女の格好を見て「軍人だよな……?」などと思っている間に、ウェイトレスが頼んだメニューを順番に彼の前に並べていく】

……お、ウェイトレスさんどーもね。あ、伝票そこに置いて。……あのさ、いつもの情報屋――――ああ、やっぱいないのね……。
はぁ……いつも居るんじゃねーのかよぉ……。ったくよぉ……。

【ウェイトレスに軽く声をかけ、改めて情報屋が来ているかどうか聞いてみたのだが――――ウェイトレスはふるふると顔を横に振る】
【男は被っていた青のソフト帽を脱ぎ少々くせっ毛の茶髪を露わにすれば、大袈裟に落ち込むような仕草を見せた。そこに来たのが、彼女の「隣、いいか?」との声】

ん? あ……ま、そうだろな。ココしか空いてねーようだし、どぞどぞ。
……にしてもアンタもアレか? 此処に居るって噂の凄腕情報屋――――を求めてってヤツ? まあ俺がそれなんだけど……肝心のソイツがいないっていう。

【酒場には珍しい女性、そして軍服。ならばきっと彼女も自分と同じ、情報屋を求めてこの店に来店したのではないか――――との予想を彼女にぶつける
【男が着ている白シャツ、その胸元にはSCARLETの紋章。即ちこの男、カノッサやGIFTと闘う正義組織の一員であるということらしかった】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 00:27:00.19 ID:OU2wOr2vo
>>580

あぁ、失礼するぜ。

【会釈をしてから席に着く】
【彼の胸元には赤い鷹、すなわちSCARLETの紋章があることに気づく】

いやいや、情報屋に世話になることはないからな。
こんな職業柄だしさ。

【ハッハッハと笑いながら答える】
【主に戦闘の方が専門のため情報を得る必要はないためだ】

私は主に基地の警衛をしてる。
朝っぱらから武装集団だ−、深夜にはゲリラだー、ってね。

【おそらく服装で軍人と言うことは理解できているであろう】
【そして背にある剣でも】

今日は貴重な休暇でね。
酒はね、私の楽しみの一つなんだよ。
酒飲んで警衛とかやってられないだろ?

【再び笑いながら話しかける】
【それと時を同じくしてウェイターがウォッカとプリッツェルを持ってくる】

おぉ、ありがとな。
そんで、あんたはその「情報屋」に世話になりに来たってか?

【青いソフト帽の彼に質問を投げかけてみた】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/11/30(日) 00:29:46.79 ID:x8dXrnEFo

『―――――なお、昨夜発生しました銀行強盗事件はプロによる犯行とし警察は』
『国際的な連続強盗犯であるチンザノ・ロッソと想定していますが、現在声明はありません』
『捜査中であるとの発表です。また警備員4名と副支店長が軽傷であり現在治療中で――』

【そんなニュースが昨日の晩から流れていた。コレぐらいの事件ならエンターテイメントの一つだ】
【政治のつまらないニュースと目を背けたい機関の動向の合間に映画スターのスキャンダルと同じように流される】
【不幸な奴らが幸運な奴らの不幸を笑うくだらないニュース。ニュース自体まあそんなくだらないもんだ】

【人気のない街だ。夜は出歩く人間が少なくなる閑散とした郊外。薄暗い通りに捨てられたアパート群が並ぶ】
【そんな場所でブレーキの軋む音とタイヤの擦れる音、滑って、金属が削る音の不協和音が流れる】
【要は現場を見ればわかる。事故ってバイクが横転して街灯に突っ込んで、ドライバーは道に倒れてる】

【生きてるのか死んでるのかはわからない。フルフェイスで黒いスーツにベージュのコートを着ていた】
【彼のコートは左腕が真っ赤に血が滲んでいる。そして、何枚もの金。紙幣があたりに散らばっていた】

ハッ……クソッタレ……また、こんな目にあってやがる…

【ドライバーは右腕をポケットに突っ込んで、煙草の箱を握りしめる。生きてはいるようだった】
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/30(日) 00:45:26.15 ID:JJIH1SY4o
>>581

あぁー……ホントお互いご苦労様ですって感じか。俺らも悪が攻め込むトコには何処でも向かうんだからそりゃもう大変だ。
つーかそっちとウチも結構関係性あるからなー、アンタらと自警団と警察……の協力があって俺達SCARLETがあるんだし。

【軍服に背中の剣、加えてたくましさを感じさせるような男らしい口調。どうやらやはり彼女は軍人らしい。となれば、彼とも関係が深い】
【SCARLET――――というのは彼が言ったように、軍、自警団、警察が協力して作られた組織である。故にこの男、彼女に軽い親近感を持ったらしい】

休暇ねぇ……うちはそういう概念すらないっつーか。もし世界に悪が無ければ俺はただのニートのちゃらんぽらんさ。ま、それに越したことないけどな?
悪が攻め込んできたならその日は仕事、攻め込まなければ休みでパトロールくらいかなすることは。……ってことで今日は俺も休暇ー。

んで、俺も酒は楽しみの一つ……ま、見て分かる通り弱いけどな。アンタがウォッカ飲む横で梅酒ってちょい恥ずかしいぜオイ……

【ニヤリ、と男は微笑みながら軽く梅酒を口に含み飲み込めば、彼女の言葉に返答。どうやら異常に酒に弱いようで、飲んだ瞬間顔が僅かに赤くなっていた】

……ま、そういうこった。こっちもカノッサやGIFTには色々苦戦してるからなー……こうやって自分でも情報探す必要があんのよ。

【少しだけ眉間に皺を寄せて厳しい顔。それだけ悪の組織を敵対視している、という証拠でもあって、そして――自分から探さないといけない状況なほど追い込まれてもいた】

584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 00:54:30.26 ID:dzVBQAVY0
【人が余り近寄る事も無い険しい山道。精々旅の道や修行を目的とした者が訪れる程度で】
【今宵月明かりに照らされる其処を歩くのは一人の少年】
【纏っているのは何処かの軍服であろうか。布に巻かれた長物を肩に掛けながら歩みを進め、中腹に存在する秘湯へと辿り着けば担いでいた荷物だとかを下ろし】


「うーん……疲れた…………山を越えるにはまだ時間が掛かりそうだし…………ちょっとの休憩位良いよ……ね?」

【例えこの時期であっても長い時間山を歩けば流石に汗ばむ】
【更には直ぐ其処に温泉があれば疲れを癒やすのに打って付け。キョロキョロと辺りを見渡し、魔物だとかが居ない事を確認したなら脚を捲り湯に浸からせて】

【これまでの疲労を取るかの様に大きく伸びをすれば謂わば至福の時にも等しく】
【――――十代前半の子供が年寄り臭く湯の中で下腿をマッサージしたりとしている様は中々に滑稽かもしれないが】


【何はともあれ、殆ど人が訪れる事も無いこの場では水の音さえ良く響く】
【況してや硫黄の臭いに気付いたならば此処に辿り着くのも容易な事】
【仮にその場に寄るのなら丁度子供の背後から近寄る形となり――――その先は訪れた者次第、か】







【冷たい風の吹く森の中。其処に響くのは澄んだ音色が紡ぐ古の旋律】
【音の主を探したならば、やがては一つの岩へと視線が留まる事となるだろうか】
【月光に照らされる其処に座るのは純白のローブを纏った少女。髪も肌も同じ様に全てが白なのだから、人間とは異なる生き物の様にも思えて】

【――――手にしているのは木から作り出されたオカリナか】
【その場所も合わさり、どことなく神秘的な雰囲気が漂って居るのだから多少離れていようともオカリナを奏でるその者の存在に気付くのは容易で】


「――――……。
今日ならば大丈夫かと思ったのですが、イリニの思い違いでしたか」

【やがて旋律も終われば、小さく吐かれるのは溜息】
【或いは何かを期待して奏でたのかもしれないがそれは叶わなかったといった所か】
【暫しの間、月を見上げたまま動く事も無く―――――】

【仮にこの場に近づく者が居るならば、辺りに数多く散らばる小枝に気を付けねばなるまい】
【もし少しでも音を立てたならば、視線がそちらへと向けられるのだから】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 00:57:42.31 ID:OU2wOr2vo
>>583

あぁ、本当にご苦労様なこった。
軍もカノッサやGIFTあたりが出ないか警邏してるからな。
私も実際一回痛い目に遭ったからな。

【あの日の戦闘を思い出しながら話す】
【こちらの力不足と言うことが本当によくわかった】
【ただ警邏と言えども能力を持つ者でなければ行ってはならないのだが】

こっちも休暇の概念はほとんどないね。
なんてったって毎日あいつら来るしな。
よく飽きないもんだよなぁ、全く。

【基地の警衛に当たっている間は全く休暇がない】
【ごくまれにある悪人どもの休みが軍属の休みなのだ】

ははっ、いいじゃないか。
自分が好きな酒をのめば、さ。

【彼も酒好きと聞いて親近感を感じたのか楽しそうだ】
【ウォッカのふたを開けて早速飲み始める】
【時たまプリッツェルを口に入れながらだが】

ほぉ、タカでもそんなことがあるんだな。
てっきり最強の「盾」かと思ってたぜ。
ただ、私はその「盾」に問題があるとおもうが、な。

【突如真剣な顔つきになり「盾」に問題があると言った】
【これはSCERLETの弱点ともいえるであろう】
【市民を護ることができても自ら悪人どもを滅ぼすことができない】
【いくら有能な能力者の集いであっても、だ】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/30(日) 01:19:19.78 ID:JJIH1SY4o
>>585

俺は一回どころじゃねぇからなぁ……カノッサのナンバーズとも何度も闘ったし、GIFTなんてホントなら殺されてた所をなんかラッキーで生き延びたりもしたし。
そう思うと俺すげぇ人生送ってんな……あー、酒飲んでねぇとマジやってらんねぇぜ……。

でもまぁ、生き延びてんならお互い素晴らしいってね。そもそもアイツらと闘って生き残れる時点で相当な猛者かラッキーの持ち主ってことだろ?
俺は……――――まぁ両方。うへへへへ。伊達にSCARLETやってねぇっつの。

【あの日の戦闘どころではない。死にかけた場面が何度もポンポンと頭に思い浮かび、その度に背中にぞくりとしたものが走る】
【一瞬ブルッ、と身体を振るわせれば、直ぐに梅酒を口に流し込み、そして無理やりポジティブな方向に話を持っていってその震えを止めた】

あっちもあっちで大変なのかもなぁ……ま、俺らはその悪党共の大本をぶっ潰して、そいつらを無職にしてやらねーといけねぇんだが。
うぉっ、ウォッカがぶ飲み……いやー、俺がやったら間違いなく死ぬね、死ぬ。

【軟骨のから揚げとポテトを交互に口に放り込みながらも、目を大きく見開いて彼女の豪快な飲みっぷりに驚愕の表情を浮かべる】
【いいじゃないか、と笑いながら飲む男らしさは、実際に男である彼顔負け。彼女を見習ってウォッカを飲もうなら、きっと彼なら気絶してしまうに違いない】

……――――それは俺も思ってる。いじめられっ子は反撃しなけりゃ永遠にいじめられっ子だ。
でもこっちが一度攻めたのなら闘いは熾烈を極める。――――戦場がこの国になり、犠牲者も沢山出ちまうってこともある。
だからこそウチの上層部は踏み切れない……らしいぜ?

【ごくんと口に含んでいた軟骨のから揚げを飲み込めば、一転して真剣な表情。瞳は伏せられ、刃のような鋭さを見せる】
【放たれた声も、どこか落ち着いた重みのある性質。――――解っていながらも、決めるのは上。この問題は決して簡単に解決することではないらしかった】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 01:26:58.15 ID:OU2wOr2vo
>>586
/返信遅れます
/すいません
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/30(日) 01:29:46.94 ID:JJIH1SY4o
>>587
/おkですよ! もし辛ければ凍結も構いませんのでー!
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 02:51:50.65 ID:Ny3z8h0no
>>584

【旋律は遙か昔に、想いを音と変えた物やがて紡がれ今に蘇る音色と変わる】
【全ては変わりゆく世界に於いて変わらずに有る物など数える程しかない、その中の1つ】
【望郷の想いは凍える森に深々と響いていた】

――――――――……音

【それに触れたのはいつ以来だろうか、形が無いまでも人を感動させるモノ】
【もしかしらたそんな物に飢えていたのかもしれない、そう砂漠に浮かぶオアシスのように】
【縋るように導かれるように、もしかしらら蜃気楼とも分からない物へと歩みを進める】

【行くべきではないというのは、分かっていた筈だというのに】

(…………少女、―――――――)

【白は月明かりを受けて黄金に見えた】
【人の形をした少女、魅了された訳ではない重ねた鍛錬は魅了を弾き返す精神を鍛えた】
【それでも尚、木々の影から足を進めてしまった小枝の鳴る音はもう意識の外で】

――――――こんな所で一体何を……?

【人ならざる異形の姿でそれは問うていた】
【焼け爛れた色合いの黒鎧、戒律を守護する騎士を思わせる姿形】
【無論それは首から上があればという話、ソイツの首は失せていた】
【首から覗く中身は虚ろで俗にデュラハンなどと呼ばれる物と似通って、されど……それには理性があるか】

【敵意も殺意も無く、ただそこに在るだけの彫像のように少女の反応を待つ】
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/30(日) 03:09:12.76 ID:JJIH1SY4o
>>587
/すみません、僕もちょっと時間の都合上今日はここで失礼させていただきますねー!
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 03:13:26.40 ID:dzVBQAVY0
>>589
【抱くのは敵意でも驚きでも無い。謂わば、“無”であった】
【――――だからこそ、異常なのだ。現れた首無しの騎士に対し、ただただ視線を向けるだけというその反応は】
【歳にしてまだ十五も満たしていない。向けた視線に感じる事が出来るのは“冷たさ”か、それとも其れすらも感じ取れないか】

【相手は人とは遠い姿。何せ人として在るべき筈の首から上が無いのだから】
【それでも敵では無いと察すれば、向けて居た視線も手元の其れへと落とされる】


「イリニは精霊を呼ぼうとしていました。古来よりこの森を守護していた精霊と一度話そうと考えて居ました
――――ですが、今日は居ないようです。…………きっと、また今度会えるのだとイリニは信じています」

【時間を置き、紡いだ声は澄んでいて。落としていた視線はやがて月へ】
【誇示するかのようにバサリ、と広げられた翼は何処か機械の様にも見えるか。純白の羽を幾本も持つ天使の翼とはまた異なった物】

【白に対し、黒。然れど敵対する中でも無く】
【――――訪れたのは沈黙。ただ、何かを思い出したかの様にふと視線が向けられる事となり】


「貴方は此処で何をしていたのか、とイリニは問います
我々教会は人々に害を為す悪しき存在を排除するのが務め――――ですが、貴方は其れに該当しないとイリニは判断しました
……今は魔物も悪人も数人で固まっています。貴方は寒くは無いのですか」

【白の少女が属するのは教会。悪魔等の邪を討ち滅ぼす其処だが…………目の前の騎士は其れとは異なると考えたか】
【ならば、と同時に問うたのは何者か。何故、此処に居るのかと】
【――――寒くないのか、は寂しくないのかと問うている様にも取れるだろうか。寒ければ固まって暖を取る者も居る】
【だが、目の前の存在はただ一人で彷徨っている様にも思えたから】


【そして。“首が無い”と言う情報が以前の事を思い起こさせる。白の彼女から受け取ったあの兜】
【確か、同じ様に黒の色であったか――――何で有れ、もしもこの騎士が“そう”ならば……行う事はもう決まっている】
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/11/30(日) 03:21:44.37 ID:u7WcyH7B0

「―――――――――君たちに一つ教えて≠げよう」

【声。それは舞台に立つ役者の様に尊大で、聞くもの全てに少なからずの嫌悪感を齎すもの。】
【別段声色が可笑しいとか、反響している等と言ったわけでは無い。単純に気色が悪い¢カ在を声に具現化させたこのような生理的≠ネ嫌悪感。】
【関わってはならない、触れてはならない、見てはならない、聞いてはならない。思考が乱れること数秒、感じるのは絶望=B】
【殺される。死ぬ。死にたくない。其処まで飛躍することも無いが、間違っているわけでもなく。たかが声一つであるというのに歪≠連想させる。】
【】

【無理にして作られているわけでもない若い男の声が、殺伐とした雰囲気であった路地裏へと木霊し。静寂を肯定と称し言葉を紡ぐ。】

「狂気≠ニは」
「この世全ての生き物に須く存在しなければならない物であり」
「遍く生命体が自らの思考、思想、矮躯に内包しなければならない感覚であり」
「自らの狂気で世界を埋め尽くし、自らの狂気《りそう》で世界を塗り替える。いわゆる一つの小世界=v

「――――――まぁ、嘘ですが」

【男。】【それに相対するようにして存在するのは少女と二つの赤いキャンパス。】
【どちらもタンパク質≠ナあるという事は全く同じな物の、絶対的な相違点として動くか否か≠ニ言う事があげられる。】
【少女は何故だろうか震えており、この場合動いていないのは当然赤=B】【児戯によって塗りつぶされた塗り絵の様に―――その姿は紅々しい。】

「狂気≠ニは」
「必ずしも孕まなくてはならない物でなく、寧ろその存在自体を忌避されるもの」
「人間に潜む罪であり、人間に潜む悪であり、人間に潜む善足り得るもの」
「手繰る者によってはいくつもの絶望を撒き散らし、或いは唯一の箱舟を建造する礎にすらその身を変える」
「自らの狂気《しんねん》で世界の歴史を左右させる。いわゆる一つの開拓者=v

「――――――これも、嘘」

【ゆったりとした足取りで少女へと近づく足。この場において動くものは少女と男しかおらず、その片割れたる少女は恐怖に震え腰を地面に下ろしている。】
【必然的に動いているのは男という事になり、向けられている方向定められた道は紛れも無く少女へ続くもの。およそ十一歩と半歩に至る時間を、時間を掛けて消費していく】
【急ぐ必要がないのは、急ぐ必要が無いから。】【焦る必要がないのは、焦る要素が無いから。】
【躊躇う必要がないのは、躊躇う気が無いから。】【震える少女に近づくのは、その頬に触れたいから。】

「狂気≠ニは」
「人間にとってなくてはならない感情の集合体たるもの」
「思考に潜む歪みであり、心に潜む歪であり、体に巣食う異物たるもの」
「一つ間違えれば宿主を食い破って外界へとその身を曝し、人から人へと喚染する」
「自らの狂気《げんそう》で自らを食い殺す。いわゆる一つの自滅因子=v

「――――――またまた、嘘」

【触れる】【触れる】【攖れる】【觝れる】【少女へと近づき、頬に触れる】
【その動作は酷く優しく、酷く醜く】【加えてとても罪深い=z

「狂気≠ニは」





                                 「―――――――――――― は  て  、  何  だ  っ  た  か  な  ?  」




【白いページに、赤の絵の具を塗りたくる】
【子供の遊び】【蛋白(たんぱく)消ゆる】【その刹那―――――――――】


//凍結必至となりますが…………
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 03:38:22.85 ID:Ny3z8h0no
>>591

(この感覚……この少女、人ではない……?)

【こちらの内臓を魂を冷ややかに見つている】
【それは人間がして良い瞳の温度ではない、一歩と後ずさるのは恐れたからか】
【それともまた別の―――――――】

精霊……その存在など信じていると……?
否、愚問でしたか……――――――

【羽撃く翼はいよいよ以って少女が人ではないと示している】
【生物としての翼では無い、歪さは機械の持つ冷たさ故か】

此処で何を?……何をするでもありません、目的も無く彷徨っていただけ
偶々聞き慣れない音色に誘われてこうして現れた次第、本当にただそれだけ……。
寒いも何も、群れるべき群体ももうどこに有るとも分からない、寒い寒くない……其れ以前の話ですよ

【慧眼か、少女の瞳は騎士の背景を確りと捉えていた】
【寄り添う物も無い彷徨う者、空っぽなのは身体だけではなく】
【例え首が戻ろうと肉体が戻ろうと、器を満たすモノ無しに生きる事は……騎士という身分には重く】

【兜と鎧は元より2つで1つと作られた、その意匠は似通っており関連があると十分に分かるだろう】
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 03:59:51.71 ID:dzVBQAVY0
>>593
「イリニは元より精霊の力を使役する為に創られた存在です
――――例え精霊が存在しないとしても、イリニの創られた意味に変化はありません」

【人では無い、と感じたならば其れは大凡当たっているのだろう】
【精霊の力を扱う事は――――契約をする事は下手をすれば命にも関わる事だ】
【ならばより一層確実性を増すために、と創り出された存在】


「死も無く、生きる目的も無く。依る場所も無いならば、果たして其れは生きているのか――――とイリニは一度問われた事があります
そして、イリニは同じ事を貴方に問います。彷徨うだけしかない貴方は本当に世に存在していると称して良いのか、と」

【不意に現れたのは小さな転移陣。その中に細い腕を入れたならば、取りだしたのは――――恐らくは、騎士自身が一番見覚えのあるものだ】
【人の頭部にあたる其れを両手で抱えるようにしたならば座っていた岩からトン、と飛び降りて】
【近寄る意味は、ただ一つしか無い。元の主に戻す、それだけの事】


「――――それでも生きているとするならば、それはきっと寂しい話なのだとイリニは考えます
野を駆ける鼠でも帰る場所があり、孤高に生きる鳥でも然りと生きると言う目的を持っている
生憎、イリニは一般の其れとは感情が異なり、そもそも感情自体備わっているのかもイリニ自身には分かりませんが

…………これは恐らく貴方のモノでは無いか、とイリニは考えます
在るべき物は在るべき場所に。――――イリニは問います。これまでもこれからも一人彷徨い続けているのか、と」

【差し出す、と言うよりも抱えたまま近くに佇む】
【ただ、受け取りやすいように抱える腕を若干は前に出しているのだから…………きっと取るのにそう苦労する事もあるまい】
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 04:32:24.36 ID:Ny3z8h0no
>>594

精霊を使役、ですか?……私は武門の出、それ故その類の話一切に関わりはありませんが
されど人外との力を扱う術として生命を創りだすなどと……一体どういう考えを……

【絶句と少女を見つめる、人により創られた人などという常識外】
【精霊という力を使役する為の試み、ならば使役する理由がある一体何の為に】

その問いは……―――――――

【少女の言葉は刃のように騎士の心臓を貫く】
【かつて無双と謳われた騎士はただ強く、そしてただそれだけだった】
【心が砕けた経験の無い事実は遙かな時を経て毒と成る】

そう、ですね私は亡霊なのかもしれません……
剣も盾もない騎士など、仕えるべき主無き騎士など……亡霊と同じ……っ!?それは……!?

【ただの少女の言葉にここまで乱される狼狽える】
【現れた兜、自分の片割れ……出会わなければいいとさえ思ったそれが目の前に在る】
【面と向かってしまえばもう逃げる事は出来ない、現実は今騎士の首筋へと手を伸ばし】

……何故貴方がそれを持っているのかは問いません、知った所で何が在るでも無い

【差し出された兜に手を伸ばす、響く声に戸惑い指先は震える】
【兜を受け取り例え生身を取り戻したとして、拠り所が無いという事実は変わらない】
【在るべき物、本当に欲しかった物は場所は……もう遠くに消えてしまった、それは手を伸ばしても届かない想い出だ】
【兜を取ってしまえばそれを認めてしまうような気がして】

逃避でしかないのは分かっています、それでももう……ただ騎士として仕えるしか知らない私には
何を糧としてこの見慣れぬ世界を生き抜けるというのでしょうか、主なきこの世に……
一体どうして生きる意味など見い出せましょうか……私にはもう朽ち果てるまで彷徨うしか術は無いのです

【目的を亡くした道具に意味が無いと誰かが言った】
【震える指を無理矢理に抑えこみ兜を両手で掴み受け取る、鏡写しの自分と目が合う】
【背骨に氷柱でも刺さったような冷たさに抑えた筈の震えが蘇る】

【如何なる傷を受けても立ち続けた騎士は初めて自ら地面に膝を落とす】
【望郷と後悔、懺悔……様々と入り交じる想い、辿り着く答えは別離以外に無くならば結論は、彷徨うだけで……】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 04:59:51.70 ID:dzVBQAVY0
>>595
「――――如何に強くとも元が人間ならば結局は脆い存在。イリニはそう聞かされて居ます
ただ流される様に生きて、自分が朽ちるのを待つだけの日々。イリニは疑問に思います。予め生きる意味を持っていなければ今の世界を行きて行けないのか、と
ならば其れを達成してしまえば後は死を待つだけ。…………生きる中で見つけた物こそが真に価値があるのではないかとイリニは考えます」

【目標を掲げ、其れを達成した先に待つのは何か。最初は満足感、では次は――――?】
【なれば、生きる中で自分の目標を見つけ出す事こそが何よりも良いのでは無いだろうか、と】
【主従という鎖が断たれた今だからこそ出来る事。其れは、自分を見出す事】
【――――だが、仕える事こそがこの騎士らしさならば】

【腕の重みが消えたならその腕は何処に行くのでも無く】
【150にも届かないであろう小さな背。呼吸の音すらも消えず、少女自体が正に静寂】
【ただ、今はその小柄な人物が騎士を静かに見下ろしていて】


「――――……。貴方は主では無く人の為に刃を振るう事が出来るのですか
人を守るのが人で無くてはならないと言う規則は何処にもありません。もう一度イリニは問います。何かを守る為にその力を使う事が出来るのか、と

惰性で生きるならばその身を溶岩にでも投げてしまえば楽になる筈です
ですが、それをして居ないならばまだ期待を抱いているのでは無いか、とイリニは推測します
我々教会の中でも、人と異なる方達が人々を守る為に力を使っています
或いは、今この世に存在する善の組織の方達の中にも異なる種族の方が居るのでは無いかと考えます

生憎イリニはその面々と関わりが無いので紹介も何も出来ません
ですが、イリニにたった一つだけ出来る事があります
――――一度だけ、イリニは訊ねます。教会に属する気はあるかと」

【問うたのはその力を善の為に使う事が出来るか否か】
【そして続けたのは、白の少女の属する教会に身を寄せるか否か】

【教会、と聞いて抱く感情は十人十色。中には悪しきイメージを抱く者が居ても何ら不思議な話では無い】
【ただ――――誰かを誘い、上を納得させるだけの権限は持っているのだろう。だからこそ問うたのだ。教会に属するかどうかと】
【強制力は無く、本人もする気は無いのだろう。この先仕えるべき存在が見つかる可能性もあり――――何より、道は騎士自身が決める事なのだから】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 05:45:43.28 ID:Ny3z8h0no
>>596

【騎士の悲劇は自分が他の人々と変わらない人間であると分からなかった事】
【主に仕える以外を知らず知ろうともしなかった事、この身を剣と盾と鍛える事しかしなかった事】

【心の弱さに気が付けなかった事、誰一人としてその弱さに触れなかった事】

私の剣は主の為の物……されど主無き今、剣を捧げる者もない
向ける先の無い守るべき者の無い剣は鉄の塊に過ぎない、ただの力に意味は無い

【鈍い鉄の塊は昏く重く光る】
【主の為の剣と盾、王に仕える者……騎士に守る主がいるように王にも守るべきものがあった】
【王の元に生きる人々、力なき人々を照らし守る為に王は在った】

【主は、王は騎士から去った】
【されど王の愛した人々は時を重ね今を生きている】

今一度、剣を掲げ盾を携えるならば……あの人の守りたかった者達の為に
ですが確かな物は未だ分かりません、そしてこの身は虚ろです……そんな曖昧な者が
守る義務を果たせなかった者が居てもいいというのならば……

【希望は見出だせない開く瞳に光は視えない】
【しかしこの掌には剣の重みが未だ残っている、力がある】
【ならば今一度だけ剣の意味を探してみよう――――――――】

誰かが私を必要とするならば、一度折れた剣でも構わないというならば
……貴方の言う場所に、身を寄せそして再び剣を―――――――

【頷く、それに力強さはない】
【ただこのままでいることを恐れたという理由が大半】
【踏み出す一歩だってきっとよろめいて、いつかまた崩れてしまう可能性だってある】

【それでも、この身剣としたならば……】

/すいません眠気がMAXなので明日に持ち越させてください
/当方お昼ごろからおりますので!
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 05:49:02.59 ID:dzVBQAVY0
>>597
/了解であります!お昼頃に雑談の方で呼びかけて頂ければ恐らく反応出来るかとっ!お休みなさいませですよー!
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 06:19:42.94 ID:dzVBQAVY0
>>597
【言葉を聞けば、コクリと一度だけ頷いて見せた】
【曾てから今の時まで陰で人を守り続けてきた場所。暗躍を主としたその組織】
【――――教会の裏を知らぬ者の方が多いだろう。然れど、其れで良いのだ】


「今の世界は機関を始めとして悪が覆い世界
――――だからこそ、必要とする者も多いのだとイリニは思います

力が無ければ守れない。けれど、全ての者にそれだけの力が備わっている訳でも無い
我々教会は、その様な方達の盾となり剣となる存在です
意思さえあるならば、決めるのは貴方だとイリニは考えます」

【騎士が自らの意思で決めたならば、其れを答えとする】
【力の使い方に誤りなんて無い。例え悪事に使ったとしても、本人が正しいと思えば其れは間違い無い力】
【騎士が人々を救うためにその力を用いる事が正しいと思うならば――――それもまた、善】


「故に――――……貴方が教会に属するならば、我々は歓迎します
身が虚ろであっても、曾てを守れなかったとしても。其処に確かな貴方の意思があるならばその剣は貴方が思うままに振るえば良いのだと

――――先ずは教会に話を通します。不都合は無いか、とイリニは問いますが」

【ただ、何であれ先ずはその教会に話を通しておかねばなるまい】
【騎士の剣を盾を認めさせねばなるまい。展開された魔方陣】
【行き先は告げる事は無いけれど、話からして教会へ通じるのだろう】

【――――何か不備は無いか。本当に良いのか。問い掛けには、様々な意味が含まれて居て】


/寝る前にお返しだけしておきますっ!
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 13:25:25.60 ID:OU2wOr2vo
>>586

ほぉ、歴戦の戦士ってか。
まあ私は今も生きながらえて好きな酒が飲めるだけ幸運だ。
それも奴らとやり合って、な。

【そう言うとウォッカを口に流し込む】
【どうやら一瓶目はからになったようでもう一本注文した】

確かにその通りだ。
悪の大本営は将来的にだがつぶさなければならない。
お上どももそれを思って焦って空回りしているようだがな。

【基地を護るのでさえ精一杯なのに敵の大本営に侵攻なんてできるわけがない】
【現時点では、だが】

私は酒豪って呼ばれているからな。
ウォッカ3瓶飲んでも酔わないぜ?

【笑いながら話す】
【どうやら肝臓は本当に強いようだ】

そうだよな、やり返すだけの力はあるのに使わない。
まさに宝の持ち腐れ、ってね。
・・・、今の時点で市民の犠牲が多いくせにタカのお上は何を言ってるんだか。
私たちはもう「ウォーマインド」つって意思を固めちまっているんだがね。

【タカにできぬことは軍がやる】
【だが軍に所属する能力者はわずか数名】
【どうすればよいのか軍とSCERLETともに行き詰まっているようだった】

/返しておきますね
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 13:38:37.10 ID:Ny3z8h0no
>>599

【喪失から立ち直れたという訳ではない】
【失った物はきっと戻らないだからこの痛みも癒える事はきっと無い】

不都合など何も、問題などありません……

【心の拠り所は今や鍛えた身体とこの鎧だけ】
【兜を脇に抱え立ち上がる、思い金属が擦れる音だけは今も昔も変わらなかった】
【身体を心を鋼と変えた守護騎士】

(力を名残として剣を振るえば、かつてを思い出せる……)

【それは喪失を埋めようとする代償行為でしかない】
【ひび割れた器に只管水を流すような物だ、満ちる事はない】
【故にそこに正義らしい正義はなくならば騎士はただの剣でしかない、想い宿らぬ剣】

【果たしてそれでどれほどの物を切り伏せられようか】
【分からないままに少女へと首肯を返し、魔方陣の中へと歩みを進めるだろう】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 14:12:27.22 ID:dzVBQAVY0
>>601
【淡い光に包まれ、数瞬の間も無く気付けば巨大なステンドグラスの前に立っている事になるか】
【辺りを見渡せば修道着を着た者達が行ったり来たり。備え付けられた数多くの長椅子には老若男女様々な者達が座って談笑を楽しんで居て
【――――詰まる所、教会の内部。けれども現れた首無しの騎士に悲鳴を上げる者も居らず】


「自分が真に居るべき場所を見つけたならば何時でも教会を去れば良い、とイリニは考えます
――――騎士とは本来在るべき場所に在る事こそが誉れであると書物で読みました」

【一瞥をすればまるで着いて来い、と言わんばかりに教会の奥へと歩みを進める事になるだろうか】
【やがては一般の者達の姿も無くなり、代わりとして教徒のみが出入り出来る場所まで進む事となる】

【その最中に見えるのは希少な魔獣や聖の遺物。別の場所では教会らしからぬ近代的な設備で研究をしていたり何かを開発している光景も覗えよう】
【行き交う者達が皆白の少女に対し一度礼をしているのだから、その外見であってもこの教会内では相応の力を得ている事が知れようか】
【漸く立ち止まったのは一つの扉の前。ジ、と視線が騎士へと注がれて】


「イリニはこれより他の方達に話を通してきます。貴方には直接神堂様と話して貰います
予め概要は伝えたので、大した滞りも無く話を進める事が出来るとイリニは推測しますが」

【自分は他の者達に話を通す故に騎士にはこの先一人で向かって欲しい、と】
【その事だけ告げてしまえば踵を返し、これまで辿ってきた道を戻るようにして姿を消して】
【さて。目の前には何処か頼り無い様にも思える薄い扉が一枚。いざ開けてみれば中は事務所の様になっていて――――】
【椅子に座った男が柔和な笑みを浮かべて出迎える事になるだろうか。少女の言葉が真ならば、後はその男に話を通しさえすれば一先ずは終わりなのだろうけれど】


/っと、当方用事がありまして16時頃までしか居られません故に申し訳無いのですがもしかすれば凍結や切り上げ等々をお願いするかもしれません……!
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 14:49:13.06 ID:Ny3z8h0no
>>602

【淡い光は夢から醒める感覚に似ていた】
【拓く視界には荘厳なステンドグラスが掲げられ、数秒と言葉を失う】
【やっと我に返ってみれば人々の談笑が響いていた、不味いと思ったのも束の間】
【響く筈である悲鳴は聞こえない、一体どういう訳なのだろうと無い首を傾げ】

(私の知っている神の社とは随分と違う……)

【力なき者達の集う家、そこに含まれるのは悲痛さだけだと思っていた】
【されどここには人々の笑みが在る、歩みは進む】

(私の知っている教会……教会……?)

【魔獣、遺物、研究施設……祈りを捧げる場所とは遠い風景】
【時代の流れなのだろうか、慣れない感覚は所謂カルチャーショックというやつなのであった】
【それはさておき、この少女どうやら相応の身分らしいその年頃で周りからの礼を得るとはそういう事なのだろう】

(とんでもない者に拾われた物だ……)

神堂というのがここの長なのですね
来ていきなりとは些か不安になりますが、贅沢を言える身分ではありません……分かりました

【ひとつの社の支配人、それがこの薄い扉の向こうに居る】
【威圧感を受けてしまうというのも仕方の無い事、震えは無いにしても畏れはある】
【些か不安ではあるが越えねばならないなら心を決めよう】

【少女を一瞥した後、扉に手を掛けて部屋へと進む】
【果たしてどのような魍魎の類が居るのかと思えばその男は柔和な笑みを浮かべていた】

失礼致します、……こちらに来るようにと言われ参りました

【姿勢を正し声を張り上げる】
【騎士の礼などと自分の首を抱えた状態でやるとは思いもしなかった】
【なんともまあ滑稽な姿だろうか、と……男の顔を見つめたままに無言で思うのであった】

/了解いたしました!
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 15:14:34.13 ID:dzVBQAVY0
>>603
「態々此処まで脚を運ばせてしまって悪いね――――仮にも客人。本来は私から出向くべきだとは思ったのだが、今教会を空にする訳にもいかなくてね
しかし、イリニも顔くらい見せれば良いとは思うのだが…………

此処は軍隊じゃ無いのだからそう背筋を伸ばす必要も無い。楽にしてくれて構わないよ」

【荘厳だとか威厳だとかとは遠い様な人柄。確かに纏うのは主教の其れなのだけれど】
【客人を目の前まで案内はしても自身の顔を出さない部下に対しては苦笑を漏らして】
【其処の椅子にでも、と近場の椅子に着席を促せば改めて首の無い騎士の姿を見遣るのだろう】


「嗚呼、其れで――――イリニに連れられてきた古の騎士、だったね
全く、ある日首を持ってきたかと思えば暫くして首の持ち主を連れてくるのだから驚きだ
彼女から大体の話は聞いているよ。…………結論から言ってしまえば君が誰であろうと悪人で無いならばこの教会で住まう場所等々を揃える事が出来る
流石に生きる目的は自身で見つけて貰わなければいけないけどね

だが、まあ…………其れだけで終わり、では詰まらない
良ければ君の昔話でも私に聞かせてはくれないかい?何も面白可笑しく語って欲しい訳じゃ無い
君がまだ身体と首の繋がっていた頃の話を少しだけ聞いてみたいのだが――――」

【確かに威圧も何も無い。――――が、逆に言えば其れを完全に隠す事が可能なのか】
【武を極めれば気配を必要以上に醸す事も、逆に無と化す事も出来るとの話も存在する】
【なれば、笑みを浮かべて話を進めるこの男もまた“そう”であるのか】

【――――続けられたのは騎士自身についてだ。主を失い、目的も無く彷徨っていた事までは把握している】
【だが、其れに至までの経緯も知らず……そして、騎士自身を何て呼べば良いのかとも分からず】
【一つ話してみてはどうだろうか、と。無理に口を割らせる其れでは無く――――だけれど、どことなく強く促すようでもあり】
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 16:13:19.96 ID:dzVBQAVY0
>>603
/申し訳無いのですがそろそろ出なければいけなく……
/恐らく23時頃に帰宅となりますので、凍結がもしアレでしたら次に自分の方で〆させて頂きますっ!
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 16:16:00.53 ID:Ny3z8h0no
>>604

―――――――……失礼します

【促されるままに席へと腰を降ろす】
【そういえば文明的な物に触れたのは久方ぶりだった】
【木の温もりも今は感じられないまでも安心感に胸を撫で下ろして】

来る者を拒まず、という事ですか……

【膝元に兜を置いてため息を零す】
【本来ならばもっと雑な扱いであって良い筈なのに、どうにもやり辛い】
【柔和な表情の裏に在る何か、知らずの内に感じてか】

代償として私の過去を語れと……そうですね……ただ、主の為に戦場を駆け敵を討ち倒し続けただけの事
幾つと切り結びその果てに滅び呪われ死ぬ筈だった私はどういう訳か不完全なままで生き残り
時の流れを経て目覚めた――――――生身を失って、……というのでご満足いただけますか?

【騎士が紡ぐのは過去の話、遙か遙か遠くの場所でのひとつの国の興亡の話】
【お伽話の中にいた騎士の顛末はどうにも幸せにはなれなくって、今ここに居る】
【具体性が無いのは深くを語りたく無いから、己の惨めな姿など進んで語る者などいる筈もなく】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 16:18:46.62 ID:Ny3z8h0no
>>605
/了解いたしました!
/凍結していただいても返せるのは来週末になるので〆ていただければ幸いであります!
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/30(日) 16:43:58.16 ID:JJIH1SY4o
>>600

歴戦の戦士……ね。そこまでじゃねぇけどよ、カノッサとバチバチやり合ってる中だともう結構古株かもなぁ……。
幸運って言うくらいだ、アンタ嫌々やってるわけでもねぇんだな。……いるんだよ、度重なるテロで闘うことが怖くなっちまう人が。
……勿論俺はそいつを攻める気はねぇ。能力ぶんぶん振り回してくる奴が怖くないワケねーしよぉ。

ま、俺も幸せだね。この仕事くらいしか「自己表現」ってのができねーからな……うぉっ、マジか空にしやがったよオイ……。

【歴戦の戦士――との言葉は自分には似合わない、と小さく微笑みながら呟いた。加えたのは、ただ昔から奴等と闘っているだけとの訂正】
【白シャツやジーンズに隠れてはいるが、身体にはその闘争の歴史が疵として多く刻まれている。斬られた痕、撃たれた痕、皮膚が溶かされた痕に手術痕】
【満身創痍の身体になっても、彼はこの仕事を好き好んでいた。この仕事でなきゃ自分じゃない――――とその理由を抽象的にだが説明し、梅酒を口に運ぶ】

【自分がまだグラス1つ空にしていない中で、彼女は既にウォッカ2瓶目。どんな肝臓してるんだ、鋼鉄製なのか――と言いたげな引き笑いを零す男だった】

最悪落としきれなくてもいい、だから一度奴らに痛い目を見せなきゃなんねー。アイツらに「怖さ」を感じさせなけりゃ、どんどんちまちまとテロ仕掛けてくんだろ。
逆襲の予感――――ってのを漂わせるんだ。その為には軍だけでもSCARLETだけでも無理だ。各国が協力して、打倒カノッサGIFTに力を注がなきゃなんねー。
ま、もしこっちから行くとしたら……一番やりやすいのはウォレンシスだな。……現在GIFTの手に落ちた水の国の大都市。古都<Eォレンシスだよ。

【大きな犠牲を恐れた結果、小さな犠牲が日々積もっていく。その蓄積が恐れている「大きな犠牲」を上回ることも、遠い未来ではない】
【それなのに踏み切れない。批判を恐れてか、自らの地位を護る為なのか分からないが――――そのことに両者とも所属は違えど不満を持っていた】
【男は語る。もし盾が剣に姿を変えるなら――その切っ先はウォレンシスに向けられるべきだと】

……あ、そうだ。自己紹介まだだったな……俺はマーシャル・T・ロウ。SCARLETのガンマンさ。

【先程のセリフに付け加えるように男は自己紹介をする。腰に巻かれた二丁拳銃用のガンベルトと、そこに収まった二丁のリボルバー。故に男は自らをガンマンと名乗った】

/返しておきますー!

609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 16:48:22.13 ID:cz6IqNydo
【路地裏】

【夜は危険地帯の代名詞となっているこの場所も昼間は明るい】
【だからといって安全なわけでもなく、今日も何やら怪しいことが行われていた】


 『えぇ!? 20万ですかぁ!?』

 ええ、20万です。高いとお思いでしょう? ですがね──


【素っ頓狂な声をあげていたのは中年の男性。石ころを見ながら何か驚いている】
【石ころを見せているのは150cmぐらいの青年だ。薄いブロンドの髪に十字架、カソックを着ていることから聖職者だと分かる】
【その石ころは見た目何の変哲も無い石ころだ。ですがね、もなにもない。ただの石だ】

【ところが!】


 この炉端の石ころに高い金額をお支払いになることで、
 あなたは無価値なものに価値を与えるという偉業を成すことができるのです
 それは私に対する感謝の念を表すことにもなるし、信仰心の証にもなります
 これほど素晴らしい行いはないでしょう!


【──なんて、青年神父は中年の男性に告げるのだ】
【勿論、当人はこんなこと微塵も思ってない。そう、これはただの詐欺なのだ】
【中年の男性は神父に言われてるのもあって、ちょっと納得しかかっている。早く助けてあげないと詐欺られてしまう!】
【もしくは何だかカモにしやすそうという理由で、一緒に商談をするのもありだ!】
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 19:55:37.39 ID:G04N9dYDO
>>609

──なにぃっ!20万だと!?


【きっと、「彼女の声」さえ割って入らなければ、もう少しで商談は成立していたのだろう】
【しかし現実はそううまいこといかない。いくはずがない】

【声と共に通路の角から颯爽と現れたのは、18歳くらいの少女だった】
【夜色の長髪と夜色の瞳をした、ロングコートを纏う少女だ】
【背中に負った、布で包まれた刀剣らしき──「武器」、更にはこの「タイミング」】
【そう、彼女はまさに「正義」の炎を心に灯す────!!】


   高 す ぎ じ ゃ あ な い か !?


【ぎゅん──! 路地裏の角から彼らのいる地点まで、猛ダッシュからの急停止】
【忍者や暗殺者も真っ青な移動術、いや、これはまさか「素」──?】
【まあそんなことはどうでもいい。ともかく彼女は即座に彼らとの距離を詰め、ぐいっと神父に顔を近づけ……】


だがすごいな、すばらしい商売だ!
価値なきものに価値を!その発想はすごいと思うぞ神父!
でもな神父さすがに20万は吹っ掛けすぎだ私なら5万だむしろ最初は500からスタートすべきだ!
経済について私はよく知らないが、こんなどこにでもありそうなものに商機を見出だす!
それが商売というものだと誰かが言っていた気がするからな!
ところでそれは本当にただの石なのか?もしかしたら人工ダイヤモンドが入っていたりとか──


【ただの馬鹿だった────!】

【もう、カモがネギ背負ってくるレベル。もしかしたら鍋も持っているかもしれない】
【話ぶりから察するに、おもいっきり彼らの会話は聞こえていたはずなのだがこの騙されっぷり】
【こいつは絶対、部屋に空気清浄機とか浄水器とか仏像がわんさかあるタイプだそうだそうに違いない】

【ひとしきり喋りまくった後は、「商品」に興味を持ったご様子で】
【じっと石を眺めてから、それをひょいとつまみ上げようとするだろう】
【──つまみ上げてしまえば、力が余ったのか】
【ぱきんっときれいに割れてしまう石ころ様が拝めてしまうはずだ】

/ま、まだいらっしゃいますかね……?
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/11/30(日) 20:34:11.40 ID:aVtY7YQio
【路地裏】

「……ふゥーむ、たァだ色塗ゥっただァけとは面白くねェーな」

【路地裏を歩く者、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【その者の右手に摘まれているのは、……"赤いひよこ"?】
【そう言えば、近くで何かのお祭りがやっていたとかいないとか。となると、これは例の……】

「ククク……俺様が本当の"カラーひよこ"を見せてやァろうじゃア、ねェーかッ!」

【どこからとも無く左手に現れる赤唐辛子。それとひよこを接触させると同時!】
【――"生命と進化の、混沌の魔翌力"が、その2つを包み込むのだった】
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 21:03:48.41 ID:cz6IqNydo
>>610

【青年神父の剣幕に追われて、もう中年の男性は顔を傾け始めていた】
【勝ったッ!第3部完!と勝利を確信すると同時に、青年は手に入った金をどう使うか早くも考えていた】
【今日は奮発してあれを買おう、いやこれを買おう。頭の中は欲望だらけ。だがそれもいい気分だ】

【──ところで何か叫び声と足音が聞こえたような】
【気づいたときにはその邪魔者は目の前に来ていた。あまりに早い移動に青年もびっくり】
【「誰だお前は!?」と言う間もなく、相手が先に話し始めてしまった】


 ──お、おお!その通りです!
 いえ違います、値段が高くとも支払うことに意義があってですね……!


【こんな突然現れた邪魔者に20万を取られてなるものか、と青年神父も(口で)果敢に反撃!】
【直接話してないのにこっちの言い分を鵜呑みにしていて、ちょっとバカっぽいので簡単そうだ】
【こうなりゃこいつからもいくらか取ってやろう、なんて考えて、さてどうするかと思っていると──】


 ……あっ

 『あっ』


【 石 が 割 れ た 】
【今の今まで話しの中心に据えられていた、これから価値が与えられる予定だった石ころがなんと真っ二つ】
【それと同時に青年が思い描いていた欲望の解放も真っ二つ!】
【炉端の石ころから20万の価値を持つ石ころへとその石生を進める予定だった石ころは、哀れ、その前にその石生を終えてしまったのだった】

【あまりにもスピーディかつ(石にとって)惨たらしい展開に中年の男と青年は目を合わせて黙りこくっている】
【もちろんその後に二人の視線は乱入してきた少女に注がれる】
【片方は、どうしよう、的な視線を。もう片方は、石ころにつまづいて死ねむしろ殺す、という怨念の視線を】

//遅くなりまして……
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 21:21:47.44 ID:G04N9dYDO
>>612

────……、…………


【あぁ、だの、えぇと、だの】
【普通であれば、ここはごにょごにょと鳴き声じみた呻きをあげて言い訳をつらつらと述べ始めるところ】
【だが、少女は違った。この、崇高な志を胸に秘めた彼女は、そんな小物染みた真似はしないッ!】


   「     」


   【 なんと真っ白に燃え尽き、その姿、石の如く……! 】

【もう、ぱかんと石ころを割ったその体勢のまま、完全にフリーズしてしまっていた】
【夜色の目にあった星空のような輝きは消え失せ】
【天使の輪を思わせる髪の艶は、もうベタ塗りに襲われたかのよう】
【にっこにこな元気な笑顔も、凍りついてもう動きはしない】


……、…………懺悔だ


【──ぽつりと紡がれた言葉は、他ならぬ少女から】
【既に 状態異常:こおり は解除され、先ほどとはうってかわって真剣そのもの】
【だが、懺悔とは──?】


……、……懺悔!懺悔懺悔懺悔懺悔懺悔!
ごめんなさい!悪かったです!
お前神父だろう!懺悔するから教会の懺悔室に連れていけ!
こんなことチラシの裏に書いている場合じゃない!
うわあぁあああ本当にすまなかったいつもいつも加減を間違えるんだ────!


【自ら作り出した空気を、率先して破壊しにいく系少女……】
【新しいヒロイン像どころか、ただの迷惑千万な馬鹿であった】

/いらっしゃってよかった!
/よろしくお願いしますねー!
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/11/30(日) 21:23:40.37 ID:OU2wOr2vo
>>608

古株ねぇ・・・。私は中堅ってやつか?
あぁ、私もこの仕事を楽しんでる、基地の奴らもだ。
まぁ、ほとんどあきらめに近い感じだがね。

【ウォッカをぐびぐび飲んだのち話す】
【思えば二瓶目も半分程度になっており】

そんなに私の飲む量に驚くのか?
まぁ、基地での肝競いじゃいつも私しか残らないからな。

【笑いながら答える】
【その笑いは彼の引き笑いと違い、豪快に笑っていた】

まぁ、大本営を落とさずともテロを起こさせなければいいものな。
逆襲の予感ねぇ・・・、聞くだけでわくわくしてくるな。
水の国のウォレンシスか、そこもGIFTに占領されてんだな。

【はっきり言って私は地理にはあまり詳しくはない】
【とりあえず地名だけ覚えておくことにした】

マーシャル・T・ロウか。タカの二丁拳銃のガンマンね。
私は氷の国・陸軍所属のアルティミス・ネーヴェリエル少尉だ。
私はスラッシャーと言ったところか。よろしく頼む。

【肩にある階級章を見せてから背の剣を見せる】
【自らをスラッシャーと言って】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 21:30:14.13 ID:cz6IqNydo
>>613

【もうどうしてくれようかこのバカは。人の商売道具にして信仰心の証明を破壊しやがった】
【こうなったら詐欺はやめて恫喝に変更しよう。石ころ殺害の罪を神への捧げ物で償わせるのだ!】
【そこまで考え、意を決して口を開こうとした時、少女の異変に気がついた】


 お、おい……!


【なんと動かないではないか】
【さっき自分が願った通りに、まさか死んだか。そんなバカな】
【今度はこの青年も、どうしよう、という感じで中年の男性と目を合わせる。おっさんはすっかり置いてけぼりだ】

【そうこうしているうちに、少女の言葉が聞こえた。懺悔だ。おう、確かに俺の仕事だな──】
【それに続いたのは怒涛の言葉の濁流(クソみたいな比喩)まさに今、懺悔を始めているかのようだ】
【それにしても、懺悔する側のくせに何故そんなに偉そうなのだ──!!】


 ……す、すまないですみますか!
 貴方はこれから新しい石生を歩もうとしていた石の命を奪ったのですよ!?
 これは謝罪の言葉だけではすみません、ついては神の使徒たる私に寄付金を渡すことによって贖うのです!
 さもなければこの石の魂は救われませんよ!!


【だがしかし、ここで少女の雰囲気に飲まれてしまっては大金も見失ってしまう】
【負けてなるものか、と青年神父は予定していた言葉を次々に投げつけて反撃!】
【石の魂ってなんだ、当人もよく分かってないぞ!!】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 21:44:39.10 ID:G04N9dYDO
>>615

えぇいうるさいこんなところにいられるか!
神父!お前の教会はどっちだ案内しろそこでたくさん懺悔するから!
石ころのことはもちろんのど飴もだ!のど飴は謝罪に言ったが私はまだまだ懺悔したりないごめんなさい──!

【 の ど 飴 っ て 何 。 】

【まぁ、何はともあれ、彼女には本事案以外にもまだまだ懺悔することがあるらしい】
【石ころだけではもの足りず、まさか世界中ののど飴も真っ二つにしたというのか】
【詐欺現場に割って入ってきて、なんて逞しい正義の輩だと思えばところがどっこい……!】
【少女はのど飴無差別殺飴テロ及び石ころ殺石事件の犯人だった──!】


っていうかお前なに言ってんだ石ころに魂あるわけないだろ妖怪じゃあるまいし!

だが私が懺悔しなければならないことには変わりない
お前の教会はどこだ連れていけ──!


【なんだか正論らしきツッコミを路地裏に響き渡る大声で叫んだ後】
【懺悔懺悔懺悔懺悔とまだしつこく言いながら、少女は神父の手をがしりと掴み】
【「あれお前小さいな!」──なんて、どさくさに紛れ余計な一言】
【そして、騙されそうになっていたおっさんをおいて猛スピードでその場から走り去ろうとする】
【……もちろん、神父も一緒に】

【当然向かう先は教会なのだが、彼女が神父の所属する教会など知っているわけがない】
【適当に路地裏から脱出?してしまえば、「で、どっちだ!」とこれまた大声で叫ぶ羽目になるのだが】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/11/30(日) 21:50:36.84 ID:JJIH1SY4o
>>614

あきらめに近くてもいい、人生楽しんだモン勝ち的な部分あるからな!
きつい辛いって愚痴零すのも構わねぇが、その辛い事に対してもも何処かでプラス要素を抱いてなきゃなんねぇ……ってね。
そうでもなきゃやってらんねぇだろ? ま、お互いこの多忙な日々を出来るだけ楽しまなきゃ損なんだと俺は思うね。

【口いっぱいに含んだポテトを咀嚼し飲み込んでから、ニィッと男は白い歯を見せて笑った】
【ポテトを食べたばかりだからか、食べカスが口元にこびり付いて。その様子はいかにも子供らしいが、それは目いっぱい今を楽しんでいるようにも見えるだろうか】
【明日の命も保証できない日常は過酷だと言えるだろう。しかし男はその中で得られる幸せを精いっぱい満喫している――――と、言えるかも知れなかった】

そう、だから今回はカノッサもそうだが……GIFTについて詳しい情報を情報屋から持ってこれたらって思ってた。……ま、いないっていうね。
いないんなら長居は無用、丁度梅酒も空だしポテトも軟骨も食い切った。今回はこんなとこにしておこうかな……。

あー、すまねぇな。次は情報屋も囲んで酒と行きたいってところさ。な、スラッシャーのネーヴェリエル!それじゃ、また逢う日まで。

【皿に残った軟骨をぽい、と口に投げ入れて梅酒で流し込む。これで完食。ふぅ、と一旦息を吐けば男はトレードマークの青のソフト帽を被り直し、席を立った】
【勘定を済ませてから視線を彼女へと移し、二指の敬礼を軽く彼女に向かって決めてから彼は酒場の扉を開け、寒い外へと出て行った】
【扉が開いて締まるまでの間に流れ込んだ冷たい夜の空気が、アルコールと熱気に満ちた酒場をクールダウンさせているようだった】

/ここで〆とさせてください、ありがとうございましたー!

618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 22:07:21.38 ID:cz6IqNydo
>>616

 た、たくさん懺悔って……!
 いえ、ですから懺悔した程度で済む話ではなくて、これは誠意を見せてもらわなくては
 っていうかのど飴ってなんだ何どさくさに紛れて他のこともねじ込んでやがるてめぇえええええ!!


【少女のあまりにも凶悪な犯罪暦に思わず絶叫。嘘ですこれ以上青年神父は丁寧な口調を続けていられなかったのです】
【後半に見せた粗暴な口調こそ彼の本性。欲望のままに金を求める悪徳神父の正体である。そのままだ!】


 何今更正論吐いてやがるんだ!!
 とにかく邪魔すんじゃねえよ俺は今からこいつから20万を受け取っていい女を買ったりして
 ってちょっと待てぇええええええ!!


【このタイミングの正論はあまりにも酷い。惨い。卑怯だ】
【なりふり構わず、というか考える余裕がないせいで思いの丈をそれこそ思いっきり叫ぶ】
【だがそんな彼の願いもむなしく、腕を引っ張られて移動するはめになってしまった】

【遠のいていく金づる。そしていい女──夢とはかくも儚く破れるものか】
【ああ、さらば20万。ハローめんどくさい女】
【「誰がチビだぁああああ!」なんて叫び声が路地裏へと響き、おっさんが聞いた彼の最後の言葉であったのだった──】

【んで】


 あぁ……折角の商談がおじゃんだぜ……


【路地裏というパラダイスから引きずり出された青年神父は、迷子になってる少女をよそにがっくり肩を落としていた】
【20万を目前にした状況から、いきなり不良債権を抱えた。この圧倒的落差に彼の精神はもうズタボロ。財布も寂しい】
【顔を上げれば目の前にいるのは20万を奪った悪魔。気力と共に怒りがふつふつとこみ上げてくる】


 てめえ、よくもやりやがったな……神父の邪魔しやがって、焦熱地獄に落ちやがれ!!


【※それは違う地獄です】
【ともかく青年神父はカンカン、激おこぷんぷん丸だ。この怨念篭った視線で死ねばいいのに、とさえ思っている】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 22:21:39.88 ID:G04N9dYDO
>>618

【──斯くして少女は、詐欺にあいかけていたおっさんを見事救ってみせた】
【そう、彼女は愛と正義と石ころとのど飴の力でおっさんを救ってみせたのだ】
【愛は地球を救う。のかもしれない。これは偶然と思ってしまったのなら、それは妖怪の仕業だ!】

【──────】
【────】
【──】

【路地裏から出た少女は案の定迷子になっていた。神父が道を案内してくれないのだから仕方ない】
【「おい、道はどっちなんだ?」なんて彼をせっつけば──返ってきたのはまるで別人とも思えるセリフ】


……え、え、え──誰だお前は!
というか焦熱地獄ってなんだお前お坊さんなのか神父なのかはっきりしろ!
だいたいなんだその態度は!さてはお前なまぐさ神父だな!
将来はハゲでデブになるぞついでにぎらぎらの宝石とか趣味の悪い金の衣とか着る羽目になるぞ!
それでもいいのか!!


【──やっぱりこの少女、懺悔する気があるのかどうか疑わしい】
【むしろ懺悔懺悔と叫びまくったせいで懺悔に対する気力を使い果たしてしまったのではないだろうか】
【挙げ句の果てには悪徳神父を連想させる言葉のオンパレード】
【なんだかもう、これは慰謝料請求されてもおかしくないレベルだ】
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 22:28:27.82 ID:cz6IqNydo
>>619

 バカヤロウ、それはそのまんまだろうが!うちの教会じゃ司祭どもはその格好だ!


【ハゲ、デブ、宝石に金の衣は残念ながらその通りだった。余計に腹が立つ】
【これ以上叫んでも虚しいだけ。そのことに気がついた青年神父は、苛立った様子で地面に腰を下ろした】


 くそ、お前のせいで折角の労働が無駄になっちまった
 折角、助けてやった中年から金をふんだくってやろうと思ったってのによぉ
 どうしてくれんだよ、おい


【不機嫌な声そのままに、不平不満を言葉にして投げつける】
【そんなことをしても飛んで行った金は戻らないが、せめてそれぐらいやらないと気が済まない】
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 22:38:41.66 ID:G04N9dYDO
>>620

【「えぇ、そんなこと言われてもな」──そう言いたげな表情を浮かべる少女】
【どうも、やっと神父の不満げ指数が上昇していることに気付いたらしい】
【だが今の彼に、彼女がしてやれることはそう多くはない】
【出来るのは困った顔をして、神父の愚痴を聞くことぐらいだ】
【しかし────】


……詐欺は、いけないことなんだぞ。悪いこと、だからな
だいたい、なんで神父が詐欺なんてしていたんだ
悪いこととは真逆の立場にいるように見えるのだが……?


【彼女から次に漏れたのは、叱責にも似たものだった】
【神父──罪を赦す立場のものが、罪を犯すなど】
【今の彼女には、その理由が理解できなかったのだ】
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 22:50:47.87 ID:cz6IqNydo
>>621

【詐欺は悪いことだ、神父のすることじゃない──】
【少女の発言は至って正論で、一般的だ。それ故に、容易に予想される批判でもある】
【だが青年神父は返答するのに、少しばかり時間をかけた】


 ……あのおっさんが困っていたところを助けてやってな
 「お礼をさせてください!」なんて言ってきたから、その“自己満足”を満たしてやろうとしただけだ
 もちろんそれに20万は高いから、自己満足心だけじゃなく、信仰心も満たしてやることにした
 自己満足心と、信仰心と、俺への礼を合わせて20万。あれは詐欺じゃなくて単なる等価交換、商談だ


【青年神父は、普通は詭弁だと思うような、酷い論理を示した。理由の説明はしないままに】
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 23:01:18.84 ID:G04N9dYDO
>>622

……そう、か────


【──「そんなことはあるか、嘘に決まっている」】
【普通なら、きっとそう返す人が多数なのだろう】
【自己満足と信仰を満たすための、金銭の授与。そんな言い訳を、信じる者など──】


…………疑って、ごめんなさい!!


【信じる、者など────?】


いや、すまなかった。本当にすまない
路地裏で金銭のやり取り、しかも高額だなんて、つい悪い方向にしか想像が働かなかったんだ
だが、そういう事情があったのだな……


【斜め45°の、お手本にしたいぐらいのきれいな謝罪姿勢】
【信じたフリをして神父を──? いや、これは、「素」の、「本心」からだった】
【彼女は人をあまり疑わない。人の善意というものを、信仰の如く信じている】
【だからこその謝罪。それ故の言葉──「疑って、ごめんなさい」】

【すまなかったと、再度口にした後やっと少女は頭をあげる】
【そこに浮かべられていた表情は、心底申し訳なさそうなものだった】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/11/30(日) 23:04:42.51 ID:dzVBQAVY0
>>606

「うん――――なる程ね」

【何処か、何時の事か。深く踏み入れる事が無かったのは優しさ……では無く】
【騎士が上辺だけの嘘で誤魔化す為に此処を訪れたのか否かを見極める為であったのだろう】
【経緯ははっきりと掴む事は出来ずとも、騎士自身が嘘を語っている訳では無いと知る事が出来たならば其れで十分】


「改めてこの教会にようこそ。君が此処に来てくれた事を歓迎するよ
予め色々と教会について教えていた方が良いかもしれないが…………イリニの報告が正しければ、君は長い間一人で彷徨い続けて居たんだろう?
なら、何よりも先ずは休息を優先すべきかな。教会に関しては追々伝える様にさせるとして――――

まあ、実際の所信徒で無ければ知らなくても大して問題では無いのだけれどね。後々の君の行動等も踏まえた上で色々と検討してみるよ
もうじきイリニも戻って来るだろうから、そしたら彼女の後に着いて行けば良い
私には気が安らぐか否かは分からないけれど、部屋の方も用意させておくよ」

【長い間彷徨い続けたならば、その疲れも癒やさねばなるまい】
【教会でありながら教えわ説く事が無いのは――――それこそ強制するものでも無いからと考えて居る故】

【後は寛いでくれて良いとだけ残し、溜まった書類にでも目を移すのだろう】
【盗み見る事が出来たのだとしたら、そのどれもが教会らしからぬ内容。何処に救助を求めるだとか、直ぐにでも機関を退ける即戦力か欲しいだとか】
【――――気まずさ故に問いでも投げかけてみればきっと反応するだろうし、知りたい事について答えたはずだ】

【やがて小さなノックが数回。中に入ってきたのは先程の少女】
【騎士に対し、正式に教会に属する事が認められた旨だけを告げれば後は着いてこいと歩き出して】
【与えられるのは一室。好きな様に使っても良いし、門限等も設けていない。…………分からない事があれば何時でも聞いて欲しいとだけ残し、少女もその部屋から去る事だろう】

【――――それより先、何が起こるのかは騎士次第。もしかすれば死神と呼ばれる修道女に会うことがあったかも知れないし、無かったのかも知れない】
【何で有れ、抱いた感情は騎士のみが知る事】

/っと、これで〆としますねっ!お疲れ様でありましたー!
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 23:06:27.69 ID:cz6IqNydo
>>623

【さて、ここからどう説き伏せたものか。戦ってもいいがあまり得策ではない】
【既に表通りに出てしまった以上、自分が犯罪者だと暴露されては、周囲が敵になってしまう】
【そうなっては路地裏に逃げるしかないのだ──なんて考えていたら全然違う言葉が返ってきて、がくっとなった】


 お、おいっ!お前それでいいのか!
 さっきも俺のところに来ては石ころの話を鵜呑みにしてただろうが
 そんなんじゃ詐欺師の格好の餌食だぞお前!


【あまりにも愚直に信じる少女に、さしもの悪徳神父もつい正論を吐いてしまった】
【見てみれば少女の表情に嘘はない。彼は人を騙すことができる以上、人の嘘を見抜くこともできる】
【だからその表情が嘘でないことはすぐにわかった。このままではどこかの誰かに騙されてしまう!】
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 23:15:10.40 ID:G04N9dYDO
>>625

【神様に遣える、神聖な人たちを疑ってしまった──】
【そんなことを少女は考えていた】
【頭の中はもう、疑ってしまったことによる罪悪感でいっぱいだった】
【「赦してくれるだろうか」──少しばかり、不安がにじり寄ってきた、その時】


──……?

え、え、え……な、なんでお前怒っているんだ?
だ、だってお前、さっきのは、ちゃんとした理由なんだろう……?
それで、謝って……えぇと

その、私が言うのもなんだが──怒りの「ポイント」が違うと、思うのだが……?


【返ってきたのは、的外れの──少なくとも、少女にとっては、的外れの叱責】
【怒られるのであれば、「疑った」ことに対してなのだろうて思っていた】
【むしろ、そういう理由で怒られるのであれば、彼女も納得だった】
【けれども今怒られている理由はその真逆──「信じた」ことが理由】
【自分は一体、どうすればよかったのかと少女はぐいと首を傾げた】
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 23:29:00.91 ID:cz6IqNydo
>>626

【なんなんだこの女は。一般常識が頭に入っていないのか】
【違和感やら何やらで眉間にシワが寄っていく。決してそこに罪悪感なんてものはない】
【ただ──信じられる、という感覚は、彼にとって何故だか愉快なものではなかった】


 ちっ、いちいちやりづれえな……


【舌打ちをして乱暴に頭を掻く。不思議な苛立ちと、その正体が判然としない気持ち悪さだけがあった】
【自分は詐欺師で相手は自分の言葉を信じている。何も不利なことはない、目的は果たせている。だというのに──】
【思考は感情を捨て置き、彼女が勘違いをしているならそれで良い、と結論付けた】


 あー、もういい!
 懺悔なら付き合わねえぞ、てめえの懺悔なんかめんどくさくてやってらんねえ!


【地面から立ち上がると、青年神父は話題を露骨に変えた】
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 23:37:50.38 ID:G04N9dYDO
>>627

【やりづらいという言葉に、苛立っている相手の態度】
【それらはすべて、少女にとっては理解できないものだった】
【どうして苛立っているのか。どうして声を荒げているのか】
【それらを聞こうと思ったけれど──ばっさりと話題を変えられ、さすがに少女はショックを隠しきれなかった】


……!!!!!!!

な、な、な、なんでだ!どうしてだ!!
お前、それは職務放棄というやつなんじゃないのか!?
神父は懺悔聞くものだろう!なんでだー!


【……静かになったかと思えば、またぎゃあぎゃあと喚き散らす少女】
【神父同様、少女の不満げ指数は急上昇していっていた】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 23:46:56.01 ID:cz6IqNydo
>>628

 うるせえな、俺は金払わねえやつの相手はしねえんだよ
 お前、貧乏そうだし、商談の一つはパーにされるし
 こんだけ揃ってて、俺がお前の懺悔を聞く理由がどこにある!


【悪徳神父、ここに極まる、な返事だ。金がなければ仕事はしないのだ】
【そんな軽口を叩けば、気分がすっと落ち着いた。さっきまであった不愉快な感覚は波のように引いていった】
【今日の自分は詐欺師だ。その認識を確かめると不思議と安心した】


 ま、これも運命だと諦めるんだな。神様ってのは越えられない試練は与えないとか何とか言うぜ
 じゃあもう二度と俺の前に来るんじゃねえぞ!いいな!


【最後の最後に捨て台詞を置いて、青年神父は路地裏の方に走って逃げていった】
【──捨て台詞さえ、神父と思えないほど雑かつ乱暴であった】


//お疲れ様でしたー
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/11/30(日) 23:54:38.66 ID:G04N9dYDO
>>629

あ、ちょ、ちょっと待てっ……!
せめてもう少しぐらい──!


【そんな少女の叫び虚しく、路地裏へと消えていく神父】
【なんだかとても、不完全燃焼感がする──そう、少女は思っていた】
【石ころ壊したことはもちろん、つい先日のど飴を買い占めた結果迷惑をかけた人がいることや】
【──助けられなかった人が、いたことも】


……あ。
しまったな──聞いておけばよかった
でも……神父が知っているはず、ない、か──


【そっと、懐から少女は何かを取り出した】
【──ずいぶんとぼろぼろになったマントと、壊れた、注射器】
【「あの廃墟」で助けられなかった、女の子の、落とし物】
【──「また、会えるかな。あの子」】
【そっと紡いだ言葉は、静かに静かに、風に流されていった】

/お疲れさまでした、ありがとうございましたー!
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 00:17:14.17 ID:grNipNU10
>>549
 【爪を薙いだ姿勢で停止――どうも残身のつもりのようで、顔にかかる物を化粧とし】
 【ぎぎ、ぎ――とわざとやっているのかと思えるほどにぎこちないギチギチとした動きを見せて、顔を僅かに動かす】
 【どの角度から見ても、その能面の表情は伺えないが――何となく、やはり少女を見ているように思えた】
 【それはこの戦いを楽しんでいるようにすら思える――それ程までに、異質】
 【血を振り払うように、爪をぶん、と振るい、一度直立したかと思えば、再度屈み――】

ああ、どうやら――そうだったみたいだな。

 【脳裏にちらつく少女の記憶の欠片。それからも少女はただ首と落としていたのを思い出す】
 【――あまり良い光景ではない、故に思い出したくはない、が――いや、もっと他の理由か】

(コレじゃねぇのかよ……アンタを作ってる大元ってのはよ……!!)

 【理解、できなかったから】
 【どうして、ここまで自らが絶望的な場面に出くわしたというのに、まだ何かしようと思えるのか】
 【それがどうしてもわからなかった。ぐるぐると渦を巻く思考の片鱗は、未だに真を訴え続け】【それを拒否する残り殆どと嘘】
 
生憎、こいつはただの人形じゃなくてな――。

 【そら、その突きだ――一瞬の攻防の間に返せたのは上の部分だけで、後は内心での言葉】
 【刺突、今までのルーチンから外れた行動だからか、それを回避する事は適わず――突き出した爪と爪の間を潜り抜け、ずぼり、と何か空な物を】
 【もしかしたら、何百物の斬の感触の残るその記憶にあるかもしれないが、空洞のような何かを斬ったような気分で】

『―――――ー、――――−――_――_』

 【人形は一瞬動きを止めたかと思えば、すぐさま行動を再開】
 【この状況を隙と捉えたか、両の手を振るい、再度その血肉を引き裂かんと――――】
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/01(月) 00:20:26.74 ID:+jvFhwVGo
>>617
まぁ、人生は楽しまねぇとおもしろくないからな。
私も任務ばっかりだしさ、そのなかにも楽しいことはやっぱりある。
そんなもんだな。

【2瓶のウォッカを飲み干し「ウォトカうまかった」とボトルに貼り付ける】
【マスターへの感謝の念だ】

ま、私もちょうど席を立とうとしたところだ。
酒は任務までに冷ませ、だからな。
それじゃ、私もここで失礼するよ、それではな、タカのガンマンさんよ。

【支払いを終え基地への帰路につく】
【外は厳しい寒さだったが氷の国で生まれ育ったネーヴェリエルはどうともせず】
【あくびをしつつ帰って行った】

//ありがとうございました。
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/01(月) 00:24:31.96 ID:GjHKuwLkO
>>624

休息………ああ……

【彼の言葉を聞きそういえば長い事休む事を放棄していたと思い出す、夜に月に怯え過ごすばかりだった】
【冷たい身体に人の温もりは遠く今漸くと営みに近づいた、だがしかし冷たさに慣れてしまった分他人と触れ合う事自体に戸惑い疲労する】
【命令の通りに休もうと鎧を鳴らし席を立つ、酷く、重いからだ】

お言葉に甘えます……少々気分が優れないようなので……
尋ねたい事も幾つかありますがそれはまた後ほど私が十全と成った時に参ります、どうかその時に……

【盗み見た書類、時が流れても世界に戦いは満ちているということらしい、それが幸いか否かは別として】
【騎士の力は決して不要となってはいないのだろう何処かで必要とされているならば生きる理由も僅かながら有る】
【されども戦いに安らぎを求める自分は、どうにも情けなく騎士としての身分から程遠く思え】

【その最中背後から響くノックの音に我に還る】
【聞けば自分の扱いが確定したらしくいよいよ神の膝の元に下るようだった】
【彼女にだけ聞こえるような小ささで「ありがとうございます」と囁いて、さてとこの場より去ろうと彼に向かう】

それでは失礼致します……火急の用でしたら話は別ですが暫くは1人にさせて頂ければ幸いです
私も今の状況を整理したいので、我儘なのはわかっていますがどうかご理解を……では……

【仰々しく一礼をしてから部屋を後にする、彼と話す時間は短かったがどうにも苦手だと感じて】
【呼吸をするでもないが深く肩を撫で下ろす、それも僅かに少女に促されるままに部屋へと歩む、1人の部屋へと……】

先程耳に入ったと思いますが出来れば1人にして頂くようお願いします、休息をどうか…………

【自分だけの部屋は慣れ親しみもない今では何の想いも浮かばないが、ただ休めるとだけ分かれば緊張も解れる】
【適当な所に兜を置いて辺りを見渡しそして少女に1人にしてくれと短く告げる】

─────あ、すいません一つだけ頼みたい事が……
恥ずかしい話ですが今の私に武器はありません、粗製の物で構いませんので剣を一振り工面していただければ……
剣さえあればそちらの求める戦いに身を置くことも叶いますので、どうか……

【剣、騎士としての証を失くした事を思い出したのは気持ちに僅かの余裕が出来たからだろう】
【図々しいとは思うがどうか、と再び仰々しく頭を下げる少女が頷いてくれたのならば幸いだが……】

【そして彼女が去れば騎士は久方ぶりの安らぎを得る】
【冷たい身体、暖かい布団はどうにも違和感を覚えるが……拒む物ではない】


【それから暫くはこの社の見学と云い騎士は歩き回る、無論他人に迷惑をかけないような深夜に】
【或いはその時間に死神が現れるならば軽い自己紹介でもするのだろう、騎士はやはり多くは語らないのはどうか許して欲しい】

【折れた一振りの剣、再びと虚空を裂くのは果たしていつになるのか─────】

/お疲れ様でした!
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/01(月) 17:35:07.97 ID:yXwi9Mqao
【路地裏】

「……ふゥーむ、たァだ色塗ゥっただァけとは面白くねェーな」

【路地裏を歩く者、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【その者の右手に摘まれているのは、……"赤いひよこ"?】
【そう言えば、近くで何かのお祭りがやっていたとかいないとか。となると、これは例の……】

「ククク……俺様が本当の"カラーひよこ"を見せてやァろうじゃア、ねェーかッ!」

【どこからとも無く左手に現れる赤唐辛子。それとひよこを接触させると同時!】
【――"生命と進化の、混沌の魔翌翌翌力"が、その2つを包み込むのだった】

/22時頃までが限界です
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:04:21.54 ID:I4wuK9800
【ここ最近巷で噂になっている怪談がある】
【その通称は『幸せさん』と言い、裏路地で少人数でいると近寄ってきてこう聞くのだという。『あなたがたは幸せですか』、と】
【少し前に流行った、返答次第で殺されてしまう、あるいは悪くて殺し方が変わるというだけの怪談に聞こえるだろう】
【しかし『幸せさん』とその他の怪談とは確たる差がある】【それは】

【『幸せさん』の被害者は今20人を超えて、今や世間を騒がしつつあるという事だけだ】
【そして今夜もまた犠牲者が――】
「現場はいつもと同じ、人気のない路地裏か」
【そこにいる警官の一人が呟いた】【そして警官たちも、これ以上は居たくないと言わんばかりに路地裏から出て行く。】【それも、現場に来た警官の内で立場が上であろう人物の発言で解散となりそうだ】
「いつも通り、周囲に検問張っておけ」
「こんな事件、警察じゃなくてSCARLETの案件にすべきなんだよなぁ…」
【諦め半分、恐怖半分で現場では最低限の検証しかしない。】
【ゆえに】【今日も『幸せさん』は逃げ延びることとなる。】

【ざんばら黒髪、長い後ろ髪をひとまとめに】【黒いジャケットに白いシャツ】
【オレンジのパンツにはべったりとついた血】【そして、その瞳は濁った金色】

【入り組んだ路地はまるで】【蜘蛛の巣のように】【雄牛の化け物を封じた大迷宮のように】

「まだだ…今回も俺は幸せになれない」
「おかしい……これだけ殺した、幸せな人を」
「だから俺はそう、もう、幸せになっていなきゃあいけないのに――!」

【しかし迷路を逃げることを『幸せさん』はしなかった】【迷路ならば壁に登ろう】
【ここは現場から数百米離れたビルの屋上。彼方に見える赤色灯を見下ろしつつ支離滅裂な言葉を発する青年が、『幸せさん』の正体だ】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:52:45.87 ID:I4wuK9800
//くっ眠気が……一時間も経たないうちにすいませんが取り消しとさせていただきます…!
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/01(月) 23:22:19.93 ID:5tfcHRKNo
【夜の静けさが街を包み込んでいた】
【街中からは人気がすっかりと消えて街灯の頼りない光が道だけを照らしていた】
【通りに隣接している家々の窓からも明かりはなく、街のこの一角はすっかり眠り込んでいるかのようだった】

【その中で一箇所だけ明かりのついている場所があった。教会だ】
【すこし奥まった場所にあるそれは何の変哲もない外装だ。木製の大きめの扉に、上部に備え付けられた十字架】
【石畳のちょっとした道が表通りと入り口とを結んでいる】

【内装もまた至って普通だ。木製の床に壁、等間隔に並べられた長椅子に、壁際の中央に置かれた大きなオルガン】
【その手前には教卓が鎮座していて、両サイドの壁に電球がいくつか、それらしい装飾となって礼拝堂を照らしている】

【礼拝堂にいるのはたった一人。薄いブロンドの髪に、150cm程度の背丈。カソックと十字架を身につけた青年だ】
【教卓の上に聖書を開いて読みふけっている】


 ……長い描写ご苦労さん


【余計な御世話である】
【彼はここの神父で、“聖書を読む”という暇つぶしをしながら、誰かが来るのを待っている】
【誰かが礼拝堂の扉を開けば、非常に人の良さそうな笑顔と声で出迎えるだろう】
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 23:46:50.77 ID:JOzSDQNU0
>>637
【がちゃり、と。扉を開けて現るのは銀髪の少女】
【きちっとブレザーを着て、ミニスカートをはためかし、そこから覗く脚は肉が無く細い】
【腰まで伸びた跳ねた銀髪は灯りを映して煌くが、表情に光はまったく無く】
【目は暗く、口は固く結ばれて、死にそうな顔をしていた】

・・・・・・おじさん、いる?・・・・・・

【そんな少女を神父は覚えているだろうか】
【いつかの日に神父と出会い、話した少女であるが】
【胸も無いし、そもそも肉が無いし、神父の望む"少女"では明らかに無い。・・・・・・覚えているだろうか】

【非常に暗い顔をして、何か話したいことがあるらしいが?―――】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/01(月) 23:56:27.01 ID:5tfcHRKNo
>>638

【がちゃり。扉の開く音が聞こえると同時に神父は聖書から顔を上げた】
【全自動で顔が“人の良さそうな笑顔モード”に各パーツを配置して、声も高さが調節される】
【これぞ神父の神父による神父のための修行の賜物である。もう完璧に理想的な笑顔と声色だ】


 ようこそ、こんな夜更けに我が教会に……


【そこまで言って笑顔のまま神父はぴたっと止まった】
【それから“人の良さそうな何とかモード”は全解除され、“なんかめんどくさいモード”となって露骨にため息をついた】
【残念ながらこれが本性である。前もちょっと出たが】
【因みに表情は眉間にちょっとシワがよって、肩を軽く落として……まぁ要するになんかダルそうだ】


 なんだ、お前か……
 だからおじさんじゃねえって……あー、どうした?


【もう1ナノ秒でも早く追い出したくなったが、どうにも様子がおかしい】
【少女、しかも見知った相手にこういった顔をされて追い出せるほど、神父の調子は悪くなかった】
【何よりここは教会で、自分は神父なのだから。その職務は果たす】

【何か厄介ごとだろうかと、ちょっとした覚悟を決めて少女を手招きした】
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/02(火) 00:10:33.87 ID:+rGjjOtx0
>>639
【人の良さそうな神父さんが保てれていたのは約数秒】
【その後はあの日みたいなおじさんへ一気に墜ちて、だるそうな顔へ】
【けれども、少女にそれを見てむっとするほどの余裕もなく】


目の前で・・・・・・人を、殺させちゃったの・・・・・・


【おじさん云々に反応することもなく、すがるような重い声で】
【言葉は進むほどに湿り気を帯びて、最後の一文字を話す頃には目から雫が一筋】


守りたかったのに、あたしが・・・・・・迷ったから・・・・・・
あたし、どうすればいいか・・・・・・わからなかったの・・・・・・


【涙は言葉と共に溢れていき、声はどんどんぬれていき、最終的には泣きじゃくる】
【声は途切れ途切れ、語る内容も纏まっておらず、訳は分からないかもしれないけど】
【何かが有って、自分を責めていることは確かに伝わるはず】
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 00:18:23.21 ID:/JXdL2yAo
>>640

【少女が零した内容は、ちょっとした覚悟では全く足りないようなものだった】
【神父は瞬時にそのことを感じ取って、それこそ心を切り替えた】


 ……いいから、ちょっとこっち来い
 座って、ゆっくり話してみろ


【もう一度手招きをしながら、手近な長椅子に座る】
【難しい話ならば、よく聞かねばならない。腰を落ち着けて、ゆっくりとだ】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/02(火) 00:35:29.25 ID:+rGjjOtx0
>>641
【手招きの通りに動き出し、長椅子の、神父の隣に座る】
【溢れる涙を必死にぬぐって、こらえて、荒い息を抑えながら少女は懺悔する】

【ある少女に出会った。その少女は悪を殺す義務があったらしいこと】
【少女はそれを本気で望んでいるわけじゃなくて、だから殺しを止めようとした】
【―――のに、「殺すことが意義なのに、それをやめろと言うならば、私はどうすればいい」 そう問われて】
【答えられなくて、迷っていた隙に、少女に殺しをさせてしまったこと】

【それらを全部話し終えた頃には、ひくっ、ひくっと泣き声がしゃっくりになって、肩が震えている状態だった】
【悪をただ殺すのじゃ解決できない。そう聞いて、その言葉を胸に、必死にやってきたけど】
【何も上手くいかなくて。何も守れなくて。そんな思いを神父にぶちまけたのだった】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 00:54:26.78 ID:/JXdL2yAo
>>642

【話を聞いている間、神父は黙っていた】
【ときおり、続きを促すように頷いたり相槌を打つだけだった】


 ……なるほどな


【話の全てが終わって、神父は小さな声で呟いた】
【彼女の話は、やはり厄介なものだった。自分が言い出したことが原因であることが、胸に小さな棘となって刺さった】
【神父は少女への答えを求めて思考を働かせた。だが数秒で答えられるような話ではなかった】


 よく、話したな。泣いていいぞ


【優しげな声でそう語りかけて神父は少女の頭に手を乗せる。拒絶されなければ、優しく撫でるだろう】
【そうしながらも彼の思考は引き続き、何を言うべきか模索していた】
【原因となってしまった自分への小さな罪悪感が中途半端に邪魔してきて、少しイラついた】
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/02(火) 01:05:09.20 ID:+rGjjOtx0
>>643
【頭に乗せられた手は暖かく、それにないていい何て言われてしまえば】
【必死で押し込めたものが決壊して、あふれ出してしまう】
【ずっと一人で溜め込んでいたものが抑えきれなくなって、そういう時は思わず誰かの胸を借りてしまう】
【ぎゅっと、神父の胸に飛び込む。そしてそのまま神父がとがめなければ少女は涙が収まるまで、そこで泣き続ける】

・・・・・・ありがとう。一杯泣いたから・・・・・・ちょっとだけ、楽になったの。

【気が済むまで泣いたら少女は顔を上げる。】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 01:12:52.72 ID:/JXdL2yAo
>>644

【胸に飛び込んできた少女を神父は優しめに抱きしめる】
【そしてそのまま落ち着くまで、頭を撫で続けた】


 ん、そうか


【顔を上げた少女に一言だけ答える。神父はまだ撫で続けていた】
【そうしながら、少しだけ少女から目線を外す。礼拝堂をぼんやりと眺めながら改めて考えてみた】
【考えてはみたが、やはり簡単に何かが見つかるわけではなかった】


 お前は、どうしたかったんだ?
 そいつに殺させたくなかったのか、殺されたやつを助けたかったのか……
 それとも、別のことがしたかったか?


【目線を少女へと戻すと、神父は思いついた質問をしてみた】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/02(火) 01:22:42.73 ID:+rGjjOtx0
>>645
【涙は出し切ったからだろうか。頭の中がすっきりしてる】
【頭の上が暖かいからだろうか。辛い思いが今だけは抜けていく】

あたしは・・・・・・ちゃんと、悪いことは、やった人がつぐなって欲しいと思うの
死んだら、殺されたら、何も解決せずにおわっちゃうから……
でも、一番はたぶん、その子を助けたいの。

【だから、あの時はきっと答えられなかった質問も、今はすっと答えられる】

あの子、本当は・・・・・・誰かに止めて欲しかったの、かも。
あたしは答えられなかったから、できなかったけど・・・・・・
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 01:38:09.81 ID:/JXdL2yAo
>>646

【その答えに、彼は少しばかり驚いた】
【ここまで明確にちゃんとした答えが返ってくるとは思っていなかったからだ】


 ……お前は、偉いやつだな


【神父は微笑んでいた】
【少女が自分の願いや思いを正しく出せることがどこか喜ばしかった】
【そして彼女のことを過小評価していた自分が少し恥ずかしくもなった】
【そんな複雑さが少し含有された笑みだった】

【だが──事は厄介だった】
【この少女の願いを後押しすれば、それは戦いへと突き飛ばすことにもなるだろう】
【それが良いことか悪いことか、彼には分からなかった】


 ──これも、運命か


【神父の口から小さな呟きがこぼれ落ちた】
【その一言だけで、彼は自分のすべきことを決定した】


 お前がそうしたいなら、そうしてやればいい
 俺がしたように、お前もそいつの話を聞いてやれ。そんでもって、助けたいって伝えてやれ
 すぐに上手くいくわけじゃねえだろうが、きっと良いようになるさ


【言い終わると神父はまたゆっくりと少女の頭を撫で始めた】
【神父は少女の願いを後押しすることに決めた。それが自分と、彼女の運命だと信じて】
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/02(火) 01:51:45.18 ID:+rGjjOtx0
>>647
【小さくこぼれた声は、少女には届いていないようだった】
【けれど、届いてしまったとしてもあまり違いはない。】
【運命だとか、そんな難しいことは考えない。少女は精一杯にがんばるだけ】

【帰ってきた言葉は意外と単純なものだったけど、きっと、そういうことなのだろう】

・・・・・・うん。わかった!

【もう涙濡れの声じゃない。決心した、覚悟を決めた、まっすぐな声】

えへへ。やっぱりおじ・・・・・・おにいさんに話して。
なんか、お兄ちゃんって、いたらこんなのかな。えへへへ。

【撫でられながら、少女は猫のように唸り。自分を二度も助けてくれた神父に対して家族にも等しいような、そんな情を抱いてるようだった】
【嬉しそうに、楽しそうに少女は話すのだが―――話を聞く神父のほうは、複雑な気持ちであろうか】
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/02(火) 01:58:04.34 ID:12myTwolo
>>631

【人形の頭部に、刀が突き刺さる。獲った――そう思ったのも束の間、奇妙な手応えだけが手に残されていて】
【いや、違う。殺せていない。此の感触、まるで中身の詰まっていない空っぽな何かを斬ったかのような――――】
【攻撃はあたった。そこまでは良かった。彼女の反省すべき点は、相手を人間と同じだと思い込んでいたということ】
【頭を落とせば相手は死ぬ。人間相手にならば通じる常識も、人形化け物人外相手に通用するとは限らない】
【彼女は人間しか殺したことがなかった。だからそんな発想が出てこないのも当然といえば当然かも知れないが】
【其れが此の場において致命的な隙を生むことは間違いなく、刺突後の大きな隙に人形の二連爪撃が迫る】

「っ――――――――」

【目では追えている。攻撃が来るのは分かっている。彼女の動体視力は、確かに相手の動きについてこれている】
【だが彼女の戦い方が其れに適していない。一撃で終わらせる、そんな戦い方だからこそ回避の動作を今まで使ってこなかった】
【攻撃後の隙が大きくとも関係無かったのだ。何故なら隙を突く以前に、相手は其れで死んでいたのだから】
【戦うというのはこんなに難しいことなのか。殺さないというのは、こんなに大変なことなのか】
【避けれない。捉えていても、血を流しすぎた身体が言うことを着いてくれない】
【動け、そう強く念じてようやく少し。回避とは言い難い微動を得るも、爪を躱す事は叶わず】

「うっ……………ぁっ…………」

【殆ど直撃に近い形で爪が当たり、血が噴き出す――――倒れ込む身体、限界はとうに超えていた】
【まだ意識はあるのか、その瞳は人形――ではなく女、穢土宮入間に真っ直ぐ向けられていて】
【立ち上がろうとするも身体は震えるばかりで、溢れだす血液が血溜まりを形成し制服を濡らしていく】
【傷口は熱く疼き、対照的に身体は冷たくなって――――死ぬのかな、そんな思考が頭をよぎった】
【怖い。あたりまえだけど、死ぬのは怖くて。けれど今の彼女にとって、其れより怖いのは――――――――】

「いる、ま…………わたしは、あなたと――――――――」

【プツン、言葉が途切れる。度重なるダメージに出血、そして疲労が重なり彼女の意識は深く沈んでいった】
【とどめを刺すことは容易だろう。放っておいても時期に死ぬだろう。勝負とすら言えない蹂躙は、当然ながら女の勝利で帰結する形となる】
【悔しさすら感じる暇も無く、彼女に最後まで残っていた思いは唯一つ――――あなたと、分かり合いたかった】
【騙すつもりなんてなかった。なんて言っても、信じてもらえないかもしれないけど】
【仲良くなるのはまだこれからでも遅くない。それも嘘じゃなかった。確かに女は悪人だけれど、だからといって総てを否定するつもりなんて無くて】
【自分が前を向けたのだから、きっとあなたも――――――だが実力も、体力も、何もかもが足りなかった】
【呆気無い幕切れ。いずれどこかで野垂れ死んで終わりだ、なんて自分の言葉を思い出して――――…………】

//非常に遅れましたごめんなさい……もう終わりそうなんでこっちに返しておきます!
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 02:07:12.04 ID:/JXdL2yAo
>>648

【真っ直ぐな声──その声に神父は目を伏せ、彼女の選んだ道に思いを馳せた】
【きっと少女が選んだ道は困難なものだろう。幾度となく壁に阻まれ、ときに打ちのめされるだろう】
【自分はこの子を、この小さな子供をそんな道に立たせてしまった。もう、後戻りはきかない】

【ならば後は運命に任せるだけだ。どのような結果であろうとも、受け止めるだけだ】
【願わくば、自分の思慮の全てが杞憂に終わりますように──】
【胸中にうずくまった選択の失敗への微かな恐怖心が、そんな現実味のない願いを抱かせた】


 ……バーカ。兄貴にするならもっといい奴を選べよ


【嬉しそうな少女に神父は苦笑した】
【過酷な道に立たせてしまったことへの罪悪感、兄と呼ばれたことへの嬉しさ、自分はそれに似つかわしくないという卑下】
【三つの感情が織り交ざった結果として現れた、そんな表情だ】


 さ、もう遅いんだ、とっとと家に帰るんだな
 遠かったりするんなら、別にここのベッドを貸してやってもいいが……


【最後に一度だけくしゃくしゃと少し乱暴に少女の頭を撫でる】
【帰るか、それとも教会に泊まるかは少女の自由だ】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/02(火) 02:20:31.75 ID:+rGjjOtx0
>>650
【神父の頭に渦巻く思慮も、少女には分からないこと】
【でもきっと、それでいい。兄と妹とはそんなものだ】


じゃあ・・・・・・今日はお兄さんと一緒に寝るの!


【・・・・・・さらっと、とんでもないことをいえるのも幼さゆえ】
【兄と妹とはこういうものだ。たぶん、おそらく、きっと】

【一緒に寝るかどうかは別として、ここに泊る事を拒否しないなら】
【神父に案内を受けるまま、ベッドのほうまで歩いて行って】
【ふと、あることを思い出す】


―――ねぇ、名前・・・・・・聞いていい?


//おつかれさまでしたー!
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 02:30:59.34 ID:/JXdL2yAo
>>651

【一度終えた思考も、それに伴っていた感情は尾を引くものだ】
【だがそんなあれこれも、少女の言葉で軽く吹き飛んでいく】


 あぁ!? 俺と寝るのかお前!?
 ったく、しょうがねえな……


【驚きの声をあげる神父だったが、案外あっさりと受け入れたのだった】
【心のどこかで妹っぽく思ってるのもあるが、そのあたり無頓着なのだ。悪徳神父だし】
【決してロリコンなわけではない、決して】

【礼拝堂の灯を落として寝室へ案内して──】


 ああ、もちろんいいぜ


【ディック、という名前を名乗って、二人で眠りにつく】
【ベッドの中で、彼は優しく少女を抱きしめていた──】


//お疲れ様でした!
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/02(火) 02:33:27.28 ID:iTH2fr580
>>649
――――呆気、ないな。

 【爪撃が少女の体を捉え、それが決定打になった】
 【少女――桃子は人形を人だと頭の中で処理したのだろうか】 
 【だとすれば、そも人型の、デッサン人形じみたソレに被せるのは当然だし】
 【何百の屍を見た少女ならば――いや、どうだっていい】
 【ただ、この人形から言えば、どの部位に対しても意味はない。ただ攻撃する為の四肢と頭だ】
 【崩れ落ちる少女を見て、僅か数回重ねただけで終わる死合いは、何処かで見たいつもの光景なのだ
 【少女も力が足りなかった。その内の一人――さて殺そうかと、脳裏にチラついた時】

――っ……!

 【あなたと――、途切れる言葉、それが女の思考を酷く混乱させる】
 【違うだろ、違うだろ? お前は私を弄んで裏切ったんだ。あそこにいる、必死な人間を笑う平平凡凡と同じだ】
 【――でも、桃子は、私以上に、必死だったかも、しれ、なくて――】【じゃあ、あいつらとは違う?】
 【――違わない、自分より下を見て嘲笑っていただけだ。その報いだ。こういう奴がいるから】




       ――『いつまでそうしているつもり?』――




くそっ……! 何なんだよ、アンタ。
何で――何でこんなに乱すんだよ。

 【頭が酷く痛んだ。熱い。思わず片側の前頭部を手で抑え――気づけば、息も荒い】
 【如何してこうも掻き乱す? 殺せ、殺せ、殺せ――殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ】
 【殺せ、殺せばいい。こんな奴。殺せば考えなくてすむ。殺せば――二度と迷わないで済む】
 【――でも、私は――私、は】


あああああああああああああああっ!!!!!
くそっ! くそっ! くそっ!くそっ!くそっ!
何でだよ……何で、なんだよ。

 【――どうしても、アンタの事がわからねえよ】
 【発狂じみた声を上げて、つく悪態は誰に対してか】
 【相手を倒し鎮座していた人形もいつの間にか消え――】【結局、友情もない】【愛情も足りない】【ただ、仮初の優しさしかない女には】
 【それが酷く眩しく見えて】【手を伸ばせなかった】【ずっと、求めていたものなのに、否定してしまった】
 【……それにいつ気づくだろうか】



 【少女が目を醒ませば、恐らく病院の一室】
 【というのも、どうやら救急車を呼んだ人間がいるらしい】
 【それはつまり、女が少女を逃がしたか、邪魔が入ったという事だ】




 【――いや、或いはソレを呼んだのは――――……】


//こちらからはこれで〆で……どうで、しょうかっ!
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/02(火) 02:43:48.95 ID:12myTwolo
>>653

【目が覚めた時目の前に広がっていたのは、見覚えのない白い天井】
【きょろきょろと周りを見て、ここが病院だと理解出来た。意識が目覚めてくると、身体に幾つか刻まれた傷が痛み出す】
【カレンダーを見る。どうやらまる二日間は眠っていたらしい――――学校、無遅刻無欠席の皆勤賞だったのに】
【いや、そんなことよりも――――死んだと思っていたのに、こんな場所にいるということは】
【考えられる可能性は二つ。知らない誰かが助けてくれたのか、それとも】

「…………入間」

【道理が通っているのは前者だ。だけど信じたいのは後者で――――】
【色々考えていると、ようやく目を覚ましたからか医者が飛んで来て色々と説明を始めた】
【曰く傷は殆ど残らないけれど、治るまでは安静にすること。其れ以外にもなにか言っていた気がするけれど、よく覚えていない】
【医者が去って行って、ベッドに身体を沈めて、ゆっくりと息を吐いて】
【自分の変化を噛み締めて、そして決意する。このままでは終わらせない――――強くなって、なんとかしてやる、と】

//はい、これで〆でお願いします。絡み乙でした!
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/02(火) 20:37:45.70 ID:BLeXH6E60
【―――水の国のとある街、人通りの多い商店街の大通り】
【仕事も終わる時間という事もあってか道行く人々の足取りは心なしか軽い。或る人の顔は楽しげに綻び、或る人は千鳥足で顔を赤らめ】
【十人十色の表情が行き交う中で、ふわりと夜風が大通りを吹き抜ける。秋もそろそろ終わりを迎え、冬の気配が顔を覗かせるような冷たい風】
【空を見上げれば、紺碧の夜空が広がる。すっかり日が落ちるのが早くなった晩秋の夜空は高く澄み渡り、星たちがキラキラと瞬く】
【その一角、とある有名な洋菓子店の前。美味しそうな菓子の数々が並ぶショーウィンドウの前で、目を輝かせる少女がいた―――】

あー……これ美味しそう……ね、ね!おかあさん、これ買って!

「だめです、もうすぐ晩御飯でしょう?食べ過ぎるとお腹壊しますよ!」

うー……

【目を輝かす少女の後ろ―――母親らしき人物はブロンドの長髪にマリンブルーの瞳、右目元には泣きぼくろ。優しげな柔らかい微笑みが印象的な女性で】
【ベージュのトレンチコートをと黒いズボン、頭に白いキャスケットを被る。首には十字架のネックレスを掛けて、優しい笑顔を湛えつつねだる子を諭している】
【一方の娘らしき少女は母とは違った鮮やかな赤髪を持つ。幼さを残しつつも活発そうな印象を受ける10歳くらいの女の子で】
【ふわふわの白いセーターと黒いスカートを着て、その上に桜色のコートを羽織る。少女らしい可愛らしさを備えた顔は、今は不満そうに膨れている……】
【一見優しそうな笑顔を見せつつ、ねだる子供を諭す母親。駄々をこねつつ渋々母親についていく子。まあ、どこにでもあるような微笑ましい親子の光景だが】
【一つだけ気になる点を挙げるとすれば、母親と子供の年齢が不自然なくらいに近いと言う事か。子供は10歳程にもかかわらず、母親の見た目はまだ20代前半のようだ……】

むぅ……トリックオアトリート!お菓子暮れなきゃいたずらするぞー!!

「ハロウィンはもう終わったでしょ!……全く、仕方のない子ですね……分かりました、一個だけ食べて帰りましょうか。」

―――ほんと!?

【……とうとう母親の方が折れたらしく、一個だけ買ってあげるという事になったらしい】
【先程までの仏頂面も何処へやら、娘は目を輝かせて洋菓子店の方へとピョンピョンと跳ねるように駆け出す。ろくに前も見ずに……】
【……さて、これだけ賑やかな繁華街だ。前も見ずに子供が走れば、誰かにぶつかってしまうのは時間の問題か―――】

//10時過ぎまで待ちます!
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/02(火) 21:00:55.69 ID:6dt7AasJo
【砂浜】
【冬の海と言えば思い切り叫ぶものだと言う人が居るだろう】
【或いは足場の悪いそこだからこそ鍛練に向いていると言う人も居るだろう】
【若しかすれば寒中水泳に勤しむ風邪をひき難い人種が跋扈している可能性も有る】
【が――――】

かーっ 出来た出来た。会心の出来だってぇ

【寒空の下、1人で成人男性すら見上げる様な無駄に力の入った砂のお城を作り上げる馬鹿野郎はこの人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪のこの男性位だろう】

【寒々しい空の下、寒々しい恰好で一仕事終えた彼は満足気で】

…………さって、どうするかなぁコレ

【完成したはいいものの、その後の処分をどうするかと腕を組んで悩み出す】
【簡単に崩れない様に波の来ない場所で作ったのが失敗だったか】
【破壊の魔法でも使えればまた楽なのだろうが、生憎とその様な便利なモノは無く】
【男は困った様に城を見上げて「かーっ」と溜息にも似た声を漏らしていた】
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 21:01:23.16 ID:7lTZmnXfo
>>655

【子供の前方数メートルの位置。運悪く衝突の運命にある人物は──神父であった】
【150センチぐらいの背丈に、カソックに十字架、薄いブロンドの髪。ちょっと背が低い以外はぱっと見普通の神父だ】
【そもそも神父が神父服で歩いていること自体目立つが、それはともかく】

【神父自体はちゃんと前を向いて歩いていた。繁華街で人が多いともなれば当然だ】
【しかし彼の視界に子供が映っていなかった。何故なら、間を別の人間が横切っていたからだ】
【その人間が二人の間からどいた瞬間、視界に突如として現れる子供、「あ」と声をあげる間もなく激突!】


 ……ぐへぇ


【なんともしょーもないうめき声が神父が漏れ出た。どうやら腹部に子供のどっかがクリーンヒットしたらしい】
【それから明らかに──明らかに一瞬間をおいてから、神父は後ろに転がって倒れた。まるで巨漢にぶつかられたかのように】
【いくらチビとはいえ、子供にぶつかられたぐらいで後ろに吹っ飛ぶわけがない。わざとだ】


 あーいてててて!どこかの誰かの子供にぶつかられて胃か腸の消化器系が傷つきました!
 腕も折れましたー!!


【──なんて、わざとらしい声を出し始めたではないか。そんなに叫べるなら無事である】
【折れてるアピールのために右手で左腕を抑えている。因みに転がったときに下になっていたのは右腕だ、折りようがない】
【「痛い!」と叫びながら神父は子供に目を向ける。もちろん子供に用はなく、駆け寄ってくるであろう親を待っているのだ】
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 21:22:09.90 ID:0QzivyQDO
【街中】

   【「探し人──この子を見つけたらご連絡ください」】
   【「連絡先:×××-××××-×××× リーベ」】


【そんなチラシをペタペタと壁の空きスペースに貼り付けている少女がいた】
【夜色の長髪に夜色の瞳をした、18歳ぐらいの少女だ】
【ロングコートを身につけ、背中には布に包まれた刀剣らしきものを負っている】


──……うんっ!こんなものだろう!
我ながらだいぶ頑張ったっ!


【ぺたり──貼り付け作業が終わったのか、チラシから一歩離れて少女は一息つく】
【その表情はもう満面の笑み。超一大プロジェクトを成し遂げた顔だ】
【さて、肝心のチラシの「出来栄え」はといえば……】


【──「7」 でかでかと、7である。なんの数字だ】
【やたらとバランスの悪い「お星さま」マークと、それを囲うおっきな○】
【しかも○の中はやたらとカラフルなペイントが。これだけ見たら子供の塗り絵である】

【さらには最重要項目の「似顔絵」だが……】
【じゃがいものような輪郭(らしきもの)に毛糸のような髪の毛(と思えるもの)】
【いも輪郭の内側には、ぐるぐると念入りに描かれた小さなマルが3つ】
【∵←こんなふうに配置されたマルの下に、ぐいっと引かれたU字ライン】
【──もう、ここまでくれば芸術の域である。こんなものを公共の目に晒そうという、その神経が】
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/02(火) 21:27:31.56 ID:BLeXH6E60
>>657

【少女は母親に可愛らしい笑顔を見せて、踊るように駆け出した。澄んだ瞳をキラキラ輝かせて、見るからに幸せそうに。】
【目の前のお菓子が宝石のように輝いて見える。巷でも評判のスイーツを食べられるとあって、少女は有頂天だった。】
【つい最近雑誌で見かけて以来、憧れの的だったのだ。写真だけでも美味しそうなそのスイーツ、甘い物大好きな少女が憧れないワケはなく】
【事あるごとに食べたい食べたいと母親にねだっていたのだ。ようやく今念願叶ったといった所か……とにかくとても嬉しそう。】
【……往々にしてはしゃぐ子供というのは周りが見えていないもので、この元気な少女もまた、例に漏れず―――】


「――――ティア!前!!」

キャッ!?

【母親が前に現れた人影にいち早く気付いて警告するも、間に合わず。前方不注意、というより全方向不注意だった少女は誰かを避けることは出来ず―――】
【――――「ドンッ」と小さな衝撃と共に衝突、そして軽い悲鳴と転倒。転んだ娘とぶつかった人が心配で、慌てた表情で母親が二人のもとへと駆け寄る。】
【……幸い大したことはないようで、娘は服についた汚れを払いながらすぐに立ち上がった。けれど、ぶつかった方は……起き上がらない】


いてててて……ご、ごめんなさい!

「本当に申し訳ありません、うちの娘が……
 ―――まあ、腕と胃腸が!?……診せて下さい、私なら治せます―――!!」

【この女性は、優しそうな見た目通りの性格であるらしい。お人好しともいうべきか、兎に角娘が無事と分かった今は心配の目は神父に向けられていて】
【―――凛と澄んだ瞳は、真剣みを帯びて神父に向けられる。諂いも嘘も交じらない、真っ直ぐな視線――どうやら本気で治そうとしているようだ、嘘やハッタリを言っている気配はない――!】
【つまりそれは、彼女は傷の治癒に長けているという事を意味する。―――怪我をしているかどうかは、恐らく見ればバレる。】
【制止しないなら、次の瞬間には道の真ん中で治癒魔法が展開されることだろう。それも、かなり高度な―――ゼン=カイマに伝わる教会魔術を。】
【どうする?止めるか止めないか―――】
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 21:43:30.21 ID:7lTZmnXfo
>>659

【怪我した演技をしながらちらちら周囲を見ていると母親を発見】
【何だかお人好しそうだ、これなら金を結構取れるな、ぐふふ】
【強いて言うなら十字架っぽいもの付けてるのがあれだが、どうせただのオシャレだろう】

【そんな感じで金のことしか考えてなかった悪徳神父の計画は、次の言葉で木っ端微塵になった】


 えっ……えっ!?


【なんと治せるときた。思ってもみなかった反撃に痛がる演技もビタ止まりだ】
【これは非常にまずい。他の大体のことならごまかせるが治癒魔術はまずい】
【どうする、どうすればいい。神父はほんのわずかな間になんかもの凄いスピードで考え始めた】

【1、逃げる。2、素早く自分の腕を折る。3、現実は非情である】
【まず2はありえない。そもそもこんな至近距離で自傷したら頭のおかしいやつだと思われる】
【解決策は1だが、こんな程度のことで金ヅルを手放していたら生きていけない。いけないのだ!】

【余計なプライドが邪魔して自ら解決策を手放した神父は結局──】


 ま、待て待て待て待て!実は俺は治癒魔術アレルギーなんだ!
 治癒魔術を発動するときの魔力のあれこれが身体に毒なんだ、死ぬからやめろ!


【なんかよくありそうな言い訳を始めた。もちろん、こんな病気はない】
【ぴゃっ、と起き上がって治癒魔術を構えている女性に向かって両腕をぶんぶん振っている】
【腕を振っているのは静止のためだが、左腕も振っているぞ。折れたんじゃなかったのか】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/02(火) 22:04:31.19 ID:j06hQ5KHo
>>658
――――お姉さん、それなあに?
面白い絵ね。お姉さんが考えた子なの?

【人探しのチラシ、というには少々個性的なそれを壁に貼る少女、その背後から幼い子供の声がした】
【振り返ればそこに立っている一人の女の子――――だが、その姿は異様と言わざるを得ないものだった】

【その身を包むのは、白い拘束具。金具は外されているが、至る所に黒いベルトが取り付けられている。ベルトを締めれば、少女は身動ぎすら出来なくなるだろう】
【長い金髪を縦ロールにし、人形のように作りものめいた顔立ち。その幼気な表情を、その目が台無しにしていた】
【少女の目は黒い糸で縫い閉じられていた。幾重にも往復する黒線が、その瞳を閉ざしている】
【耳にはヘッドホンにようなものを着用しており、視覚・聴覚とも封じられているかのようだ】

【にも関わらず、少女は迷う様子もなく喋り歩いている。見れば、その首に巻かれた黒いチョーカーに、小さなカメラが仕込まれている】
【これが、少女の目と耳の代わりをしているらしい。奇怪な姿の少女は、己の不気味さなど気にも留めずに無邪気な笑顔を浮かべている】


塗り絵みたいねえ。そのお星さま、とっても素敵よ。ええと、その7って何の数字なの?
あ、お姉ちゃん素敵なもの背負ってるのね! かっこいいなあ、お姉ちゃん戦える人なの?

【子供らしく、ころころと興味の対象を変えながら少女は話し続ける】
【姿かたちを除けば、ただの子供であるかのようだ。それゆえに、一層不気味さが募るともいえるか】
【突如現れたこの少女、果たして彼女はどう反応するか】

/まだおられましたら、よろしければ
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/02(火) 22:10:47.96 ID:BLeXH6E60
>>660

【神父の表情が変わる。痛みの為?―――いや、そうではないような感じだが……何かあったのだろうか?】
【怪訝そうな表情で神父を見つめる、母親と思しき女性。此方としては、一刻も早く治したいのだが……そう思っていると、次の瞬間】
【……痛がっていたのも何処へやら、彼は起き上がる。元気そうだ。―――何というか、とても元気そうだ】
【此処まで来れば90%はバレるだろう。だって、怪我をしている筈の腕まで振っているのだから……しかし】
【この女性は違った。この期に及んで尚―――彼を心配しているのである。】


「ああ、動かしてはいけません!怪我には激しい動きは禁物です!
 ――治癒魔術が駄目でも、応急処置くらいなら出来ます。念の為……診せて下さいな。」


【……今、彼女は「念の為」と言った。そう―――本当は分かっているのだ、彼が怪我などしていない事は】
【それでも、全て分かった上でなお彼の言葉を信じる。彼がそう言っているのだから、そうかもしれないと】

【―――神父にも、彼女がどういう人間か分かって来ただろうか。彼女はそういう人間なのだ】
【優しいお人好しな人間は、つけ込みやすいタイプかもしれない。―――しかし、彼女の場合は違う】
【全て分かった上で、信じるという選択肢を取る。はじめっから疑って切り捨てる事は、決してしない】
【この心を金蔓ととるか、或いは―――】

【彼女は、再び彼の左手を取ろうとするだろう。あくまで彼の言葉を信じ、左腕の怪我を治す為に】
【その傍ではぶつかった少女も手伝おうとしている……子は親に似ると言うが、この少女も怪我の治療が得意なようだ】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2014/12/02(火) 22:12:19.95 ID:/HWsZHWJO
赤木君はそろそろ下半身で物事考えるの止めようか^^;
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 22:22:23.68 ID:0QzivyQDO
>>661

【「──お姉さんが考えた子なの?」】
【その言葉に、少女はひどく憤慨した。なんと言っても(少女にとっての)最高傑作である】
【それを創作上のキャラクターだと貶すなど、暴言以外の何物でもない。文句のひとつでも言ってやろうと……】


違うぞ!この子はカノッ……


【振り返る──言葉が、止まる。止まらない方がおかしい】
【目の前にいたのは、文字通り、人形のような少女だった】
【閉ざされた五感。それを気にも留めない幼子──何が、この子にあったのだろうか】
【夜色の少女は、基本的には善人に類する人種。このような光景を眼前にして、何も言わないはずがなかった】


……そう、そうだな。「7」は手がかりだ
この子はカノッサ機関のNo.7らしくって、な……
えっと──……戦う力は、あるが……その

──お前、その服と目……耳も。一体、どうしたんだ?
転んだりしたら、危ないし……何が、あったんだ?


【辛うじて。辛うじて、幼子の問いかけには答えた】
【だが動揺からか、言葉が少し震えていた】
【そして、次にかけられたのは──幼子を心配する言葉】
【浮かべる表情は、幼子とは対称的に悲痛なものだった】

【だが、事情を知らないことには幼子と落ち着いて話も出来ない】
【そう、判断したのだろう。少女は幼子の「容姿の理由」を、問いただしてきた】

/よろしくお願いしまっす!
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 22:26:55.02 ID:7lTZmnXfo
>>662

【治癒魔術を止めた次の瞬間、神父は己の失態に気がついた。左腕が動いている!】
【しまった──そう思ってももう時すでに遅し。もう撤回のしようがない】
【だらだらと急激に冷や汗が出始めたところで、二度目の思いがけない言葉が聞こえた。念の為、と】

【念の為。ならばこの女性は自分の嘘に気がついているというのか】
【相当てっきとーな演技とはいえ、気付いているのならばこの応対は何なのか。全く分からない】
【しかし、神父自身の観察眼が目の前の女性は何も取り繕っていないことを証明していた】


 う、ぐぐ……


【神父の顔が苦悶に歪む。演技ではなく心からだ】
【どうするか悩んでいるわけではなかった。ただ純粋に、人を騙す自分にとってこの女性は天敵だった】
【罪悪感なのか何なのかよく分からない感情が、彼の動きの全てを止めていた】


 ……分かったよ、勝手にしろ


【結局、神父は観念したように言うと、子供の母親であろう女性の前に一歩進み出た】
【当然、どこをどう調べても怪我などしていない。古傷ぐらいなら、いくつか見つかるだろうが】
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/02(火) 22:37:49.66 ID:j06hQ5KHo
>>664
【振り向きながら叫ぶ彼女に、少女は一瞬びっくりしたように身を竦ませる】
【しかし、自身を目にして固まるその反応を見れば、今度は可笑しそうに笑って見せた】
【己の姿に対する反応には慣れているということなのだろう。むしろ、期待通りだと嬉しそうな様子すら見せる】

カノッサ機関の、No.7……お姉さん、その人のこと探してるの?
へええ、お姉さん戦えるのね? カノッサの人、やっつけるために探してるの?
お姉さん、UTとかSCARLETの人なの? そうでないと、カノッサ機関の人を探すなんてないもんね!!


えへへ、素敵でしょ? ずっと前からこうなのよ。みんな、私に似合うって言ってくれるの!!
お父さんとお母さんが、私の能力を引き出すためにやったんだって。最初は上手くいかなかったけど、今は能力も使えるようになったの!!

それでね、あのね、ボスやみんなと一緒にいられるようになって、お父さんもお母さんもお兄ちゃん達もボスの仲間になってね
みんな一緒なのよ!! いいでしょー、えへへへ〜

【得意げに胸を張って見せながら、子供らしくあまり要領を得ない言葉を紡ぐ】
【彼女の悲痛な顔には気付いてすらいないかのようだ。当の本人には、やはり悲痛さの欠片も感じられない】

【言葉の端々から感じられるのは、何やら悪意の気配。家族にこの姿を施された。今はボス≠ネる人物と共にいる】
【不穏な気配を纏わりつかせ、されど少女自身はやはりどこまでも純粋に】

そうだ!! あのねお姉さん、カノッサの人を探してるなら、私役に立てるかもしれないわ!!
こっちこっち、ついてきてよ!!

【と、少女が明るい声で告げた言葉。カノッサ機関の構成員を探すのに、役に立てるという】
【そう言って、少女が指を差した先。それは、街中にその口を開ける路地裏へ通じる道だった】
【最悪の治安で知られる路地裏、その先の闇へと、少女は貴女を誘おうとしているのだ】

【先の言葉と併せても、明らかに怪しすぎる。だが、あるいは何かの手がかりになるかもしれない】
【いずれにせよ、このまま路地裏に赴くならばろくなことにならないのは確かだろう】
【この誘い、彼女は乗るか否か】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/02(火) 22:54:40.53 ID:BLeXH6E60
>>665

【苦しむ彼を静かに見つめる。嘲笑する訳でも非難する訳でもなく……ただ、静かに瞳を向けて】
【やがて彼が此方に進み出たなら、左腕がしっかりと見えるように袖を捲って腕の様子を診るだろう】
【―――そっと優しく、ほんのり温かい彼女の手が触れる。すらりと長い指、柔らかい手肌の感触も伝わるだろうか】
【腫れは無いか、傷は無いか、炎症はないか……触れる事によって分かる事は沢山ある。念入りに腕を診て】
【そして、何事も異常が無かったことを確認すれば―――】


「―――良かった、目立った怪我は無いようですね……あなたが無事で、安心しました。
 ……もう大丈夫ですか?他に痛みはありませんか?」


【―――彼が無事だった事を心の底から安心するように、柔らかく微笑むのだった。】
【嘘をついたことを非難するのでもなく、騙そうとして失敗したのを笑うのでもなく―――ただ純粋に、彼の無事を喜んでいた】
【……追求する素振りは無い。無事だったらならそれで良いと、柔和な表情が彼に告げている――】

【そして彼女は、袖を元に戻す。無事と分かればもう大丈夫、もう一度にこりと笑ってみせて】
【それからもう一度向き合って、今度は彼女の方から彼にある事を告げる―――】

「……娘が御迷惑をお掛けしましたね。お詫びと言っては何ですが……良かったら、一緒にケーキでも食べませんか?
 実は、今からお菓子屋さんに行く所だったんです!良ければご一緒にと思いまして……
 勿論、私が奢ります!お好きな物をお選びくださいな!」

【微笑みと共に告げるのは、洋菓子店へのお誘い。怪我は無かったとはいえ娘が迷惑をかけたのだ、お詫びも兼ねてどうだろうかと】
【……騙して貰う金もいいが、きっとこうやって素直な心で貰うケーキも美味しいのではないだろうか。さて、誘いを受けるかどうかは彼に懸かっている――】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 22:57:47.98 ID:0QzivyQDO
>>666

……似合う、似合う、か──
能力を引き出すために……、……


【幼子の言葉を聞き、少女はさらに表情を歪めた】
【能力を開花させるために、幼い子供の視力を、聴力を、自由を奪う】
【その行為を、少女は「悪いこと」だと、そう思った】
【だが、少女の表情の理由はそれだけではなかった】
【「目の前の幼子が、幸せそう」──その事実が、少女の思いを複雑にさせる】

【「──なんて、酷いことを」】
【少女は静かに、静かに、そう呟いた】

【だが話題がカノッサ機関の話になれば、今度ははっとした表情となる】
【今自分が探し求めているもの──その手がかりが入手できるかもしれないのだ】
【……拒絶どころか、迷うという選択肢すら、彼女にはなかった】


そう、そうだ……「彼女」──No.7を探している
だけどな、決して「やっつける」ために探しているんじゃあない
確かに初対面じゃあ戦ってお互い痛い目にあったけどな……
私は、また彼女と話してみたいんだ……彼女のことを、知りたい──理解したい

UTでもSCARLETでもない。私はどこにも属さない
が……それでも、私はまた彼女に会いたいんだ
ふふん、意外か?意外だろうそうだろう

あぁ──もちろん、私はお前のことも知りたいぞ?
手始めに自己紹介といこうか
私はリーベ。リーベ・エスパス
お前はなんて名前なんだ──?


【──僅かな躊躇いすら見せることなく、少女……リーベは幼子についていく】
【人を疑うことを知らないのか。あるいは己の実力に自信でもあるのか】
【あまりにあっさりすぎる程に、リーベはその誘いに乗ったのだ】

【──どこにあるのか分からぬ「目的地」までの道中で、リーベは機関員を探す理由を、語った】
【それは倒すだとか、殺すだとか、恨みを晴らすだとか──そんな理由とは、縁遠いものだった】
【「会いたい」「会って、話したい」「理解したい」──紡がれていく、平和的理由】
【幼子にとって、その言葉はどう聞こえるのだろうか】

【さらにリーベは、幼子に自己紹介を求める】
【きっと彼女は、本心から、幼子のことを「知りたい」のだ】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 23:13:16.67 ID:7lTZmnXfo
>>667

【女性の手が自らの腕に触れると神父の表情に翳りが差した】
【何故なのかは彼自身にも分からなかった。罪悪感なのか何なのか】
【ただはっきりしていたのは、それが居心地の悪さに似たものだということだけだった】

【腕を診られている間はそれこそ銅像と化したようにじっとしていた】
【他には、と女性に問われても「何も」と小さな声で答えるだけだ】
【袖を直してからも、どこかバツが悪そうにして黙っている神父に、またしても意外な言葉が】


 はぁ!?お前なぁ……!


【あまりにも意外な言葉に思わず変な声が出た。悪態の一つでもついてやろうかと口を開くが、言葉が続かない】
【どう考えても自分にとっては良い状況だ。詐欺は失敗したが追求されず、食料までもらえる】
【だというのに中途半端に跳ね除けようとしたということは、結局のところどこか悪いと思っているということだ】


 ……これも運命ってわけか
 いいぜ、詫びだ。洋菓子屋でもどこでも、好きなとこに連れていけよ!


【子供の激突、それを利用しようとした結果とこの状況。ある意味不運といえるその全てを“運命”という一言で受け入れた】
【降参だと言わんばかりに両腕を挙げて彼は誘いを受けることにした】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/02(火) 23:22:52.58 ID:j06hQ5KHo
>>668
【彼女がさらにその顔に落とす暗い色を濃くすれば、少女は不思議そうな顔をする】
【少女にとっては、それは当たり前のことなのだ。酷いことでもなんでもないことなのだ】
【それが、なおさら悲劇の根であるのだろうが。今は、それよりも彼女には優先すべきことがあったらしい】

【彼女が確かな興味を示したとわかれば、ますます嬉しそうに興奮した様子を幼子は見せる】


えへへへ、こっち、こっちよ!!

へええ、一度戦ったのに、その人のことを知りたいの? 変なの……ボスは、戦った相手は敵だっていってるわ
相手のことを探ったりはするけど、理解したいなんて、みんな言ったことないのよ

UTでもSCARLETでもないの? ふうん、お姉さん変わってるのね
お姉さん一人で、機関の人と戦って、戦った相手を探して、その人のこと知りたいー、だなんて
うん、意外だなあ。そんな人、見たことないわよ? ふうん……

えへへ、ほんと? 知りたい、知りたい?
私、ベティー!! ベティー・ザ・ブラインド!! ほんとの名前はベアトリングっていうんだけど、みんなベティーって呼ぶわ!!
よろしくね、リーベお姉さん!!

【そう言って、少女――――ベティーは名乗った。路地裏の闇の奥へと、リーベを誘いながら】
【あまりに平和的で、本心からとしか思えないその言葉の数々が、路地裏の闇の中に降る】
【幼子は、やはり不可思議そうな態度を隠そうともしない。彼女からしても、戦った相手に対するその理由の数々は】
【どうにも、理解の及び難いものであったらしい】


あ、ついたわ!! ここよ、ここにみんながいるのよ!!

【やがて、そこにたどり着く。路地裏の一角にたたずむ廃ビル。あちこちにヒビが入り、壁も汚れきっている】
【幼子は躊躇なくそこに入り込もうとするだろう。その先に、彼女の仲間たちがいるらしい】
【何が潜むかわからぬ路地裏の闇の奥底。リーベは、やはり躊躇うことなく入り込むのだろうか】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/02(火) 23:36:13.49 ID:DvEBQ6Yj0
【街中――それなりに栄えた通り】
【がしゃんと鳴る音は設置された自販機から、見れば、女の手が飲み物を救い出すところで】
【コーンスープの缶。スチールの硬いプルタブを押し上げて、流れ作業みたいに座るのは、設置された休憩用ベンチ】

……――はあ、寒すぎますわ、雪でも降るんじゃないの……。

【呟いてからコーンスープを飲む、と思えば、「あっつ」だなんて声が聞こえてくる辺り、なんだか雰囲気台無しで】
【ごまかすように足を組んで吐息を吐く。――気付けばすっかりとそれも真っ白くなる時期、明確に冬になっていて】
【なんかおしゃれな柱にくくりつける形で設置されたスピーカーからはクリスマスソング。彼女はそれにふと瞳を細めると、】

なんか温まるもの……鍋屋でも近所にあれば……。

【――黒猫と同じ色合いをした髪、くしゅっと緩く巻かれて、長さは肩に触れるよりちょっと長い、セミロング】
【アーモンド形の釣り目は宝石みたいな青林檎色をしていて、うっすらと化粧のされた顔の中でいっそうよく映え】
【セーターの布地で拵えたワンピースと、同じ素材の付け襟。羽織ったコートは分厚いもので】
【組んだ足元は厚めのストッキングとヒールのあるパンプス、組んだままで靴だけを器用にふらふらと揺らし】

どっかいいとこがあれば、天音さんでも呼んで……あつッ!

【ポケットから取り出した携帯電話を操作しながら。ふっと意識から完全に外れる、ベンチに置いたコーンスープの温度】
【ふわっと手で取ったときに気付けなかったなら、今度の声は、さっきの呟きよりも大きく、夜の中によく目立つ】
【もしその声で誰かが視線を向けるなら――解せぬというよな顔でコーンスープ缶と向き合う女の姿が、見られるはずだった】
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/02(火) 23:37:48.18 ID:BLeXH6E60
>>667

【本来ならば追求するところだろう。どうして嘘をついたのかと責め立てるのだって恐らく間違ってはいない】
【……でも、そうはしない。したくない。責めた所で得る物など何一つ無いのだから―――それなら】
【一緒にケーキでも食べた方が、よっぽど有意義だ。その方がきっと、自分には合っている】
【心を尖らせて責めるより、赦して優しさを分ける方がきっと良い。】
【冗談で言った訳ではない。わざとらしく恩を売っている訳でもない。―――そうしたいから、そうするだけだ】

「ええ、それでは御一緒に!ティア、行きますよ!今度は走って誰かにぶつからないようにね!」

はーい!

【彼が誘いを受けてくれたなら、娘と一緒にすぐ其処にある洋菓子店に向かう。】
【店の扉を開ければ、甘い香りがふわりと漂う。匂いだけでもきっと美味しいだろうと想起させるような、そんな香り】
【ショーケースには様々なケーキが並んでいる。オーソドックスなショートケーキから季節のベリーを使ったもの】
【モンブランやミルフィーユ、チーズケーキなんかもある。とにかくケーキに関しては何でもそろっていて】
【ティアと呼ばれた少女は、キラキラと目を輝かせて色とりどりのケーキを眺めている。「どれがいいかな!」なんて、母親に相談したりして】
【母親も少しワクワクしたような表情でケースの中のケーキを見つめて、彼に向かって声を掛ける】

「お好きな物を選んでくださいね!
 あなたはどんなケーキが好きですか?……私はモンブランです。栗のほろりと薫る甘みが堪らないです!」

【……言葉通り、何でも好きな物を選んで良い。彼女の財布の関係で沢山は頼めず、三人とも1個限定にはなってしまうが】
【頼みたいケーキが決まれば、一行は店内のテーブル席に座る事だろう。母親はケーキの注文と同時に三人分の紅茶も一緒に頼んで】
【――やはり、いつまで経っても彼女の微笑みから打算や悪意が覗くことは無い。見返りすら、求められる事は無く―――】


673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 23:41:30.80 ID:0QzivyQDO
>>670

【幼子の名前を聞くと──やっと、リーベは微笑んでみせた】
【普段ならばあまり消えることのないリーベの笑みだったが、今日は、すでに色んなことがありすぎた】
【「よろしくな、ベティー」──路地裏に、似つかわしくない明るい声が響いた】


──私は、戦った相手を敵だとは思わない
例え悪いことをしている奴がいても、もしかしたら戦うかもはしれないが、敵とは思わないな
人には絶対、行動を起こす「理由」がある。それが善行であれ、悪行であれ
その理由を知らずに、その人を批判したり、敵だと断じたりはできない


【意外だ、意外だと言われ──リーベは自ら、己の考えを明らかにする】
【もちろん、ベティに理解出来るとは思っていない。年齢的に無理な話だとすら考えている】
【それでも──なんとなく、話しておきたかったのだ】
【リーベなりの、モノの考え方を。大切な両親から学んだ、思想そのものを】


ふふ……理解したいと言ってはいるが、どうも私の考えが「理解される」ことは少ないみたいなんだ
ベティにはまだ、難しかったか……?


【最後に自虐的な笑みを浮かべて語られたことだって、紛れもなくリーベの本音だろう】
【彼女への賛同者は、そう多いものではない。対象が正義に加担するものであれば、尚更の話だ】
【──つい先日、賛同するものがいたが……それだって、完全な正義の使者ではなく、義賊の類い】
【不思議そうな態度を取るベティに、リーベは一言──「ごめんな?」と、そう告げて】


……なんだ、ずいぶんきったないとこだな!
今度掃除業者に仕事を頼んだ方がいいんじゃないか?


【──そんな、冗談混じりの言葉と共に】
【やはりリーベは、躊躇いなく闇へと足を踏み入れた】
【……迷いはない。だが、警戒はする】
【一歩一歩進むたび、彼女は自らの拳に力を入れることを、決して忘れなかった】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/02(火) 23:41:36.62 ID:mj8G2qnqo
【路地】

【人気のないビルとビルとの間に生まれてしまう、都会の影である路地裏】
【赤いレンガのビルの壁のシルバーのダクトからは白い煙のように生ぬるい風が排出されている】
【その薄暗い路地裏の数少ない街灯の下でそいつはビール瓶を握りしめたまま行き倒れている】

………………ん?………何だここ…

【呟くように呻く。…後にもぞもぞ動く。寒空の下、寝ていてやっと起きたという所だ】
【黒髪、黒いレンズのサングラス。黒いスーツ、黒いシャツ。シルバー製の聖母のネックレス】
【酔いつぶれていてもまあ納得できる風貌の奴は壁にしがみつきながら上半身を起こすと】
【ポケットから紙巻きの安タバコを取り出してくわえる。そして、ワサワサ身体を探ってライターを探す】

……うえ…火ぃ無いじゃんか…クソッ

【男は火のついていない煙草をくわえたままズリズリと背を擦りながら地面に再び倒れ込む】
【男は立ち上がりたくなかった。寒いが動く気になれない。どうにでもなりゃいいって思い始めている】
【肘があたってビール瓶が悲しげな音を奏でながらアスファルトを転がった】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/02(火) 23:54:12.69 ID:7lTZmnXfo
>>672

【店の中に入った後、神父は親子の少し後ろに立っていた】
【仲睦まじい様子の親子を見て彼はまた眉間にシワを寄せていた】
【明るい洋菓子店、目の前には仲良し親子、ショーケースにはケーキ。どれを取っても、自分には場違いだ】

【注文の段になると彼は何故だか目を閉じたまま指差しで──つまりランダムにケーキを決めた】
【それから席に座ると──】


 ……で、どういうつもりだよ
 お人好しにしたって行き過ぎだろお前、詐欺師を午後のお茶に誘うやつがどこにいる
 それとも最近の若奥様ってのは危機感と警戒心は全部旦那様に捧げちまってるのか?


【と、口を開くなり皮肉った笑みを浮かべる】
【どうにも相手の行動は妙な部分ばかりだ。重度のお人好しだというなら、それはそれで言いたいこともある】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/02(火) 23:56:12.10 ID:6dt7AasJo
>>671

かーっ、ドジっ娘だねぇお嬢さん

【貴女のすぐ前。本当ならば景色と一緒に通り過ぎる筈だった影がその足を止めた】
【止めた理由は勿論其方の出した少し大きめの声からだろう】

【見れば祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠した】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性が居る】
【作務衣の下にインナーなど無く、足元も雪駄と呼ばれるサンダルみたいな靴である。季節感皆無と言うか普通に寒そう】

かかっ、火傷ォなんかしてねぇかい?
……おっとぉ、警戒しないでくれよ?こちとら、ただの怪しいお兄さんだってーの。

【何処か軽薄とも見える笑みを口に浮かべながら心配する声をかけ】
【その後に、冗談めかして自己紹介(?)をする】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/03(水) 00:09:34.02 ID:FmBs48Nb0
>>676

【とりあえず大雑把な現在地の住所を入れて検索、ざっと出てくる店舗の中から、良さげなのを探して】
【たまには深夜に何か食べたりしたい気分だった。夕ごろに食べたといえば食べたが、強いて言えばそれだけだし】
【ただ一人で肥えるのは癪なので知人を誘う。ひどい話だが、世の中ってそういうものだ(?)】

【――まあそれはとにかく、彼女はすっかりと冷めた(つもりでいた)(そんなわけない)コーンスープに手痛い一撃を喰らい】
【なんともイラついたような、それでいて自分のせいだと分かっているような、視線を缶に向けていたのだが――声を掛けられると】

あら、こんばんは? 猫のお兄様、猫たちの集会のお帰りかしら?

【――――明らかに声が違った。さっきまでの独り言よりも数段高い声、そして、それは、猫をなでくり回すときの声にも似て】
【猫なで声……みたいな声だ。とりあえず甘ったるく響く、ついでに言えば甘い香水らしき香りもするので、なんだか全体的に甘い】

火傷は……ええ、まあ、少し――、

【それから問われたことに返すのだが。ついーっと視線が気まずいように逸れて、右手は缶を置いてから髪に触れる】
【毛束をつまんでチリチリとしていると、なんだか、猫がごまかすときに毛づくろいするみたいでもあって……】

ところで、怪しい――だなんて自称していますよ、通報されてしまいますわよ?

【――それから、今度こそ気を取り直したように、人懐こく笑ってみせるのだ。くすくすと冗談めかし、そんなことを言い】
【その言葉の陰でこっそりと足を組んでいたのも解いている。ストッキング越しに透ける素肌は、絶妙に白く】
【左手に持ったままだった携帯(スマホタイプ)をふらふらと揺らせば、にこりというかにやりというか、様子で笑い】
【もちろんその画面は電話番号を入力するものではないのだが。それどこか、近所の食べ物屋の検索結果が表示されていた】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/03(水) 00:20:57.07 ID:NrPwXjdu0
【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】







【街の中――――商店街の一角、其処に存在するカフェにて】
【最早温くなり始めたコーヒーをテーブルに放置したまま小難しい表情で古書を読む女が一人】
【手入れの施された金色の髪はよく目立つだろうし、何よりもその女が纏っている物。詰まりは、修道着が何よりも存在を際立たせているか】

【やがて溜息を吐いたならば古書を閉じ、コーヒーを一啜り】
【「不味っ……」なんて失礼な言葉を呟けば憂鬱そうに表紙でも指先で撫でるのだろう】


「あーあ……全く、解読はボクの仕事じゃ無いと思うんだけど…………
大体にして教会に其れ専門の人も居るんだからソッチに任せれば良いのに……」

【ブツブツと紡がれる文句は果たして誰宛の物かは分からないけれど】
【その古書、見る者が見れば櫻の物である事も知れよう。内容は――――何処かの伝承か】

【この場に似付かわしくない修道女は嫌でも目立つ存在であり、現に何人かの者達が視界の隅で観察していたりもするのが現状】
【店員に対して愛想を向ける程度の事は出来る性格の様でもあって】
【そんな女に興味を抱いてか、古書に惹かれてか――――或いは、腰に提げた双銃を疑問に思ってか】
【何にしても、話し掛けようと近寄ったならば同時にそちらへと視線が送られるのだけれど】
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/03(水) 00:23:36.85 ID:T7/vNI3Jo
>>673
【彼女の微笑みは、きっとこの場には眩しすぎるものであったのだろう】
【対面する幼子の異形の方が、まだ路地裏にマッチしているとすら思えるほどの】
【ともすれば、危ういと。そう言われかねないほどの】

ふうん……悪いことは許せないのね? でも、相手は敵だと思わないの?
理由……特に理由もなくひどいこと出来る人もいる、ってボスは言ってたんだけどなあ……
ボスは、そういう人をいっぱい見てきたんだって

でも、リーベお姉さんはそう思うのね? 自分の考えは大事にした方がいいって、ボスはそうも言ってたわ!!

【彼女の思いの深さは、やはりベティーには理解しきれるものではなかった。だが、それゆえにか、頭から否定しようともしなかった】
【彼女の両親がどんな人だったか、話しておきたいと思った彼女の思いがどんなものだったか、それもベティーにはわからないけれど】
【幼子の笑顔だけは、やはり無邪気なもののままだった】

そうねえ、私にはまだ難しいみたい……ボスやみんなの言ってることと違うもの……

【リーベの言葉には、「大丈夫よ」とにこりと笑ってそう返答し】
【その自虐的な笑みの裏側まで見通すにはあまりに幼すぎた。増して、彼女の裏にいるものが、悪意も持つものであったから、なおさら――】


私もそう思うんだけど、あまり綺麗にすると逆に目立つからって、ボスがね

【リーベの冗談に、至極まじめな様子で返しながら、ベティーが廃ビルへと踏み込んだ】
【薄暗い室内、汚れた柱、ビルのロビーがそこにあった。中央に放置されたソファーが複数】
【そこに、人影があった。二つ。ベティーが、警戒心を露わにするリーベを尻目に、人影たちに向かって駆け出した】

/続きます
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/03(水) 00:23:58.59 ID:T7/vNI3Jo
>>673
ボスボス!! デュアルさんたち!! お客さん連れてきた!!
リーベお姉ちゃんっていうのよ!! えっとねあのね、機関の7番の人を探してるんだって!!

【ざわり、と。人影たちの発する空気が変化した。影たちが立ち上がり、リーベの方へと向き直る】

『……客を連れてくんなら、連絡の一つもよこせよベティー。唐突に何事かと思うだろうが』
「だが、なかなか愉快な客人を引っ張ってきたようだな。No.7を……あの方を探していると?」

【人影の片方は、確かに一人分の人影だった。だが、そこにいたのは二人だった】
【そう、一つの身体に二つの頭と四本の腕を持つ、異形の男たちがそこにいたのだ】
【向かって右の頭は、病的に青白い肌にほっそりとした顔つき。落ちくぼんだ目に白く濁り切った瞳。長い白髪を後ろで一つに束ねている】
【向かって左の頭は、浅黒い肌に顎の突き出たがっしりした顔つき。つり上がった目に爛々と光る黒い瞳。短い黒髪をボサボサに乱している】

【本来の腕の位置から伸びる青白く細い腕。脇の下辺りから伸びる浅黒く太い腕。四つの袖を持つ、特注のスーツ】
【スーツは中心から向かって右側が白、左側が黒にカラーリングされており、両側にある胸ポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で】
【それぞれ「No.50」、と。そう刺繍されていた】


カヒュー……ベティー。お前は時折、反応に困るサプライズを仕掛けてくれるな……
お初にお目にかかる……私は、カニバディール。カノッサ機関No.29。そのベティーの今の保護者だ……

【そういって立ち上がったもう一つの影。それはもはや、人と呼んでいいものなのか】
【それは、人間の上半身をさらに半分にしたほどの大きさの肉塊だった。胸までほどしかない身体に、ボロ切れのような黒い布をしっかりと巻きつけている】

【左腕は付け根から消失し、露出した右腕と首、顔面には広範囲に渡る凄惨な火傷の跡がある。唯一、右顔面にのみ、ほとんど火傷が見られない】
【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が尻尾のように垂れ下がっている】
【脊椎の手前には、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本生えて、それが肉塊を支えていた】

【額には黒い瞳の巨大な一つ目。面積一杯を埋めている。本来の両目の位置には義眼。右が青、左が黒】
【口に装着されたマスク型の人工呼吸器からは、細い呼吸音が不気味に漏れていた】

それで……? No.7になんの御用かね? 内容次第によっては……取り次いでやってもいいぞ
相応の代償を、支払ってもらうことにはなるがな……カヒュー……

ボスボス、リーベお姉ちゃんは、7番さんとお話したいんだって!! 何も、戦うつもりなんてないのよ?

【どうやら、この肉の化け物がベティーのボスであるらしい。ベティーが取り繕うが、肉塊はリーベをじっとりと睨んだままだ】
【突如、眼前に出現した悪意の塊、カノッサ機関のナンバーズたち。まだ襲ってくるような様子は見せないが】
【彼女は、リーベは、この状況にどんな反応を見せるのだろうか――】

/遅くなりました……
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/03(水) 00:34:14.20 ID:yh2swr7oo
>>677

かーっ、期待させといて悪いがよぉ俺っちは砂遊びの帰りだってーの
詳しく話すのも吝かじゃあねえけど、その場合砂浜で1人遊ぶ俺っちの感動秘話を3時間…いや2時間50分はかけて語らなきゃならねえってなもんよ
勿論、話すなら損はさせねぇつもりだがその分御捻りも期待させて貰うってぇなもんよ

【それでも良ければお話しようと彼は言う】
【腕を組み、笑みを浮かべながら言う言葉は無駄に自信に溢れており】

かっ、熱いなら熱いで素直に耳たぶでも触ってるのをお勧めするってーの
手前(てまえ)さんがトチってるとこなんざ、しーっかり見てるんだから恥ずかしがる必要もねえだろ?

【あからさまに視線を外す女性に、何処か幼さを覚え】
【浮かんだままの口元の奥から思わず「かか」と笑い声が漏れて】

おっとぉ、なら訂正しと………しとくってーの
ついでにお嬢さん。この可愛らしいお面をした可愛らしいお兄さんのお願いを聞いて貰えないかい?

【一瞬‥と言うか明らかに迷ってから「可愛らしいお兄さん」へと自称を変更し】

……10秒で良いからその缶、握らせて貰えない?
いやホンット、寒くってよぉ!かーっ!

【腕を組んでいる様に見えるのは寒風を凌ぐ為】
【きっと男のお面の下は貴女のストッキング越しに見える白い足より青白いだろう】
【さっき自称を訂正するかも悩んだのも、いっそブタ箱のが暖かいんじゃね?と迷ったからだ】

ああ、勿論無料でとは言わねえよ。今なら……




土下座までならする


【ドンッ とでも効果音が付きそうな程堂々と言い切った】
【ただ、恥とか外聞とかプライドとかその辺全部よりも……ただ、寒かった。懐具合を含めて】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/03(水) 00:38:07.55 ID:5eM1azGr0
>>675

【座席に座ると、彼の言葉に応じる。皮肉を込めた笑みとは対照的に、彼女の笑顔は変わらず優しいもので】
【静かに口を開くと、彼女の思う所を紡ぐ―――責める事も罵る事もない、その理由を】

……確かに、私はあなたを嘘つきと責め立てる事も出来たでしょう。
でも―――「嘘つき」と口汚く罵った所で、何が生まれましょうか?あなたが嘘をついた理由もきっと分からず、心に残るのは嫌な感情ばかりです。
それならば……こうやってお茶でも飲みならが一緒にお話した方が、よっぽど何か貴方のことが分かるかと思いまして。

……勿論、警戒心を持っていない訳ではありませんよ。
舐めないで下さいな、私だって信じて良い人間かどうかくらいは様子を見れば分かります。
―――あなたが根っからの悪人でははない事も、ね。……あなたが救いようのない悪人なら、信じたりはしません。

現にあなたも、私の言葉に何か思う所はあったでしょう?ふふっ……ちゃんと見えてるんですよ、あなたの表情だって。
本当に心から悪に染まっているなら、あんな風にバツが悪そうになんてしません。悪いな、と思ったからあんな表情をしたのでしょう?

……あなたが悪いなと思えているのなら、もう責める理由なんて無いでしょう?私たちは何も損害を受けていないのですから、ね?

【―――澄んだ視線が、彼の目を貫く。信じるのは、危機感が欠落しているからではない―――彼が、信じてもいい人間だと思うから】
【……詐欺師≠ヘ、この言葉にどう応じるのか。馬鹿にして笑うなら、きっとそれでも良いのだろうけれど】
【彼を根っからの悪人ではないと言い、信じた彼女は……今も、彼の前で変わらぬ微笑みを湛えていた】

さ、丁度ケーキも来たことですしお茶でもしながらお話しましょうか!
あなたの事、色々教えて下さいな♪

【―――給仕がケーキを運んできた。偶然か、運命か、彼がランダムに選んだケーキは親子が注文したのと同じショートケーキだった】
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/03(水) 00:44:50.10 ID:FmBs48Nb0
>>681

あら、私(わたくし)の知り合いにも居ますのよ、砂遊びの好きな方……。
私は手が汚れるのでしませんけれど。ええ、ですが、いいと思いますの――クリエイティブなのは?

…………ふふ、?

【――奇遇だった。ついこの間も聞いた気がする、わざわざ寒い中海まで行って、砂の城を作ってきた話】
【残念ながら知人だし幼馴染だし同居してる人間だ。……別に悪いとは思わないけれど、マイナス感情は持たないけれど】
【「奇遇ですねえ」なんて呟いて女は朗らかに笑う。だからといって褒めてはいないのだが――まあ、ご愛嬌】
【それから彼女は目を細めて笑みの種類を変える。――明らかに「は?」的な目だ。そうまでは暴力的ではないけど】
【「何言ってます??」くらいの意味は篭めてありそうだった。そんなつもりは一切ない、だから、語らなくていいと言外に示し】

ええ、私、猫が好きなんですの。ですから、それがかわいいというのは認めますけれど――、
……お顔も見えない方のこと、“かわいい”かなんて、分かりませんわ? それならお顔を見せていただかないと……――。

【猫は好き。だからお面に対しても好印象。元々よっっぽどでなければ他人にどん引きとかしない性質なら、】
【多分これがカエルのお面とかでも対して反応は変わらなかったと思うけど――猫だってだけで、なんとなく好感度は上向き】
【立てた指で顎と頬の間辺りをつうと撫でる、それから、ゆったりと首を傾げれば……見せて欲しい、なんておねだりするよう】
【わざと声も甘く蕩かすなら、場所が場所ならもっと楽しめるだろうに、残念ながら道端。ついでに言えば寒空の下】

………………。

【さらに言えば、続く言葉に彼女はうっすら笑みを浮かべたまま、それでいて確かに(うわぁ)なんて色を視線に乗せ】
【土下座までならするといわれてもそのまましばらく固まっているのだった。固定された笑みが、余計に、寒々しく見え】

――茶くらいなら奢りますわ。

【結局経過したのはそのまま三十秒くらい。そのうち、女は、負けたというか諦めたように立ち上がると】
【さっき自分がコーンスープを買った自販機の前に立つ。それでもって、「どれに致します?」なんて問いかけを投げ】
【素直に従うというなら、指定したとおりの飲み物を購入して差し出すだろう。――冷えた手には熱いくらいの、ぬくもり】
【完璧にお恵みなのがアレだが、暖かさには変わりない。それでもって、きっと、土下座より恥ずかしくないなら――受け取っておくべきか】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 00:54:16.64 ID:+5hZTgdDO
>>679-680

【「許せない──わけじゃないな。正した方がいいと思ってるというのが正確だ」】
【「だって、痛いことや嫌なことするヤツがたくさんいたら、嫌だろう?」】
【「だから、嫌なことされないように、させないように、したいんだ」──】

【そう最後に紡いで、リーベはこの話を終わらせた。終わらせざるをえなかった】
【──閉鎖された空間に漂う、澱んだ空気。濁った気配。ざわめく直感】
【思わず、握りしめた拳に入れる力を、さらに強めてしまう】

【──はっきりとした、異形の姿。かつて廃墟でまみえた巨大なムカデよりも、恐ろしいモノ】
【腐臭がこの場にないのが不思議なくらい、彼らの姿は常軌を逸していた】

【──珍しく、リーベは迷っていた。彼らを、ヒトと呼んでいいのかを】
【いっそのこと、彼らがゾンビだとかキメラであった方が、彼女にとっては楽であったかもしれない】
【なまじっかヒトの姿をしており、ヒトの言葉を話す──それだけで、彼女の心は動揺していた】
【まだ18歳なのだ──ここまでショッキングな光景なんて、そんなに経験があるはずがない】


   ────リーベ。リーベ・エスパス


   【だが──怯んでいてはいられない】


【しっかりしろと、自らを鼓舞する】
【自分を送り出してくれた両親を、思い浮かべる】
【たかが見た目に惑わされるなと、父が言った】
【むしろチャームポイントの塊だと、母が笑った】

【ぎゅっと一度目を閉じ、すうっと息を吸い──彼女はしっかりとした目で、カニバディールを見据え返す】
【名乗られたら、名乗り返す。相手のことを、知る】
【──見た目に騙され、そんな初歩的な信念すら、忘れかけていた】
【やっと、リーベははっきりとした声で名乗りを返す。それが、彼女の流儀だった】


────No.7に会いたい。彼女を知りたい
用事はそれだけだ。戦うつもりはない!
最も……殴りかかられれば、無抵抗でいるつもりは更々ない!

ついでにお前!カニバディールと言ったか!
ベティーにこんな倒錯的な格好させるのをやめろ!

いいか!ぶっちゃければ 全 く も っ て 似 合 っ て な い ! !

私の見立てではベティーは赤いリボンと水色のワンピースが似合う!
ついでにクマの縫いぐるみでも抱かせれば最高だ!
こんな拘束まみれな格好、悪趣味極まりない──!


【一度話し出せば、もう止まらない】
【No.7に関する話のついでと言わんばかりに、ベティに対する文句クレームてんこ盛り】
【争いはしたくないと言っていたがこの少女】
【明らかに自分から、喧嘩を売りにいった──!】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 00:58:23.24 ID:ZunRrcBZo
>>682

【女性の答えを、神父は口を真っ直ぐに結んで聞いていた】
【自分が原因の気分の悪さをごまかすため。そんな子供っぽい理由の皮肉に、誠実な答えが返ってきた】
【彼女がしたのは、ただ愚直に信じるわけではなく、確かな考えと判断の元の行動だった。自分がしたことは何もかもが裏目だ】

【あらゆる側面において、彼の完敗だった】
【ただ、それでも──】


 ……俺が根っからの悪人じゃないとは、観察眼のねえ女だ
 てめえはただの馬鹿だぜ


【女性の澄んだ視線から逃げるように顔を逸らして、神父は小さな声で呟いた】
【こんな言葉は目の前の人間相手には無意味だ。そう分かっていても、彼は言うのを止められなかった】

【運ばれてきたケーキを見ると、神父は不機嫌そうに鼻を鳴らした】


 こんな詐欺師のことの何が知りたいっていうんだ?
 金を集める理由でも?毎朝通帳を見るのが趣味だとでも言えばいいか?


【彼は不満げな様子で答えるとミルクティーを一口】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/03(水) 01:12:43.91 ID:yh2swr7oo
>>683
おいおい楽しいんだぞ砂遊びってぇよぉ
夏場とか友達と一緒に海で遊んだりするだろ?ついでに砂浜でアレコレするのも楽しいってもんだろ?
多少の汚れなんて思い出の欠片ってもんよぉ! 尤も、今は冬だがな!かーっ!
………あ、友達が居ないとかなら素直に謝らせて貰うってーの?

【んな事無いよね?とでも言う様に小さく首を傾げてから】
【言外の言葉は承知したのだろう。彼の約半日かけて行われた砂の築城記録はきっと永遠に語られる事は無くなった様だ】

かーっ!嬉しい事言ってくれるねオイ!
…だが悪い。俺っちの素顔ってばイケメンすぎてなぁ。素顔を見せたが最後、相手が骨抜きになっちまうってもんでよ
ま、可愛らしいと思うならこのお面が素顔と思ってくれれば良いのさ。かっ!

【お面に相当思い入れが有るらしく、それが可愛いと言われると軽薄だった笑みが少し深くなり本気で嬉しそうな声を上げた】
【…しかし素顔はすぐには見せようとはしない。コレを外そうとしないおかげでロマンスもへったくれも起こり様が無いのは明らかであるが】
【甘い声に惑う様子はない…と言うより、何処か壁一枚を隔てて接している様な軽薄さ】
【直接話しているのに何処か間接的にも想える芝居がかった言葉と仕草】
【貴女に「本当」を見せるのは早過ぎると言わんばかりであろう】

【そして、30秒。寒空の下彼女の答えを待つようにジーッとそちら見ていた…が】

待て待て待て待て   待てってーの!
そいつはいけねぇなぁ。形に残る恩なんざ受ければ俺っちも形に残る様に返さなきゃいけなくなるってーの

【しかしそれは貴女の肩を掴もうとしながら固辞しようとする】
【ズレてこそいるもののこの男にも男なりの「道理」がある様で】

恥ずかしい限りだが、俺っち素寒貧ってなもんでよ
砥ぎ師っつー生業こそ有れ……あー、手前さんって刃物使いそうに無いしよぉ。かーっ

【少し変わった生業。鍛冶師と言うものの影に隠れがちな刃物の立役者】
【その技能以外持ち合わせは無いが、それで今回受けた恩を返せるかは解らない】
【そして恩を受けっ放しと言うのも男としては気に入らぬ様で我慢すっか・・・と小さく呟いた】
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/03(水) 01:21:35.55 ID:T7/vNI3Jo
>>684
【「正す、かあ……。リーベお姉さんは、そう思うのね? 嫌なことするヤツがいたら、嫌なのね?」】
【「ううん、でもボスも私も、人に嫌なことたくさんしてきたし、これからもすると思うんだけど、リーベお姉さんとは戦いたくないなあ」】

【彼女が話を中断しても、ベティーはペラペラとしゃべり続けた】
【言葉の端々に滲む異常性。彼女もまた、すでに悪事に加担してしまっているという事実】
【それも、この場の異様な気配の前に、雲散霧消していくのだろうか】


【異形どもが、リーベに対峙する。まるで観察するかのような視線が彼女に注がれる】
【自分たちの異形を前に、彼女がどうするのか。それをまずは確認しようというつもりらしい】

【やがて、リーベが己の動揺を抑え込み、はっきりとその名を名乗って見せる】
【動揺するのは当然、それでも彼女はこちらを見返した。二つ頭の男たちが、感心したように息を漏らす】
【肉塊男、カニバディールは単眼を細めてリーベを見た。この状況下で、まだ気概を損なわない。只者ではない、と認識したようだ】


「……オーギュスト・デュアル。カノッサ機関No.50だ」『同じく、ギュスターヴ・デュアルだ。ついでに覚えとけ』

カヒュー……あのお方を、ただ知りたい、と……?
――――その目は、本気のようだな。何があったかは知らないが、戦う気もなくただ会いたいとは
ずいぶんな変わり者もいたものだ……私に言われたくはないだろうがね。ヒューッハ、ヒュハ……

【二つ頭が名乗り、肉塊男が笑う。彼女の、リーベの言葉をその異形の身に受けて】
【無抵抗でいるつもりはない、そう宣言する彼女の背に負われた得物にも、抜け目なく視線を走らせつつ】
【カニバディールは、彼女の言葉を己の中で転がす。果たして、敵と判断すべきか。おそらくこの分では、機関の障害となることは確かか】


ええ!? そんな……ボス、これ私に似合ってないの……?

私はそうは思わないがね。その姿だからこそ、お前は『スクラップズ』の一員にふさわしいとも言える
お前は、お気に召さなかったようだな……? 生まれて間もない頃からの格好だ、ありのままのベティーを尊重しただけだよ。今、流行りの言葉なのだろう?
確かに、お前の言うような恰好も似合うだろうな。私が言うのもなんだが、ベティーはなかなかに愛らしい子だ
だが、我々『スクラップズ』の一員としては、やはりあの姿がふさわしい。それとも、お前があの子を我々から奪って、一から教育し直すかね?

【彼女が叩きつける挑戦状のごときクレームに、いちいち応対して見せるカニバディール】
【呼吸器をつけているにも関わらず、淀みのない声音で言葉が紡がれていく】
【『スクラップズ』という名前、カニバディール、デュアル兄弟という名前は、もし彼女が指名手配書を見ていたなら】
【凶悪な犯罪者として、指名手配されている者たちだと、気が付くかもしれない】


さて、無抵抗でいるつもりはないと言ったな……? だが、抵抗する気なら、引き合わせてはやれないぞ
お前が我々にこの場で捕えられること。それが、取次の条件だ……

【そういうと、カニバディールとデュアル兄弟が、一歩リーベに近づいた。その身から、悪意が立ち上り始める】
【傍らのベティーは、状況についていけていないのか、きょとんと立ったままだ。リーベの位置からなら、手が届くはず】

【背後には、彼女が入ってきた廃ビルの入り口。脱出しようと思えば、ここを戻ればいい】
【次のリーベの行動次第で、異形どものその次の一手が決まることになるだろう】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/03(水) 01:23:15.98 ID:5eM1azGr0
>>685

「ふふっ……私はね、人を見る目には自信があるんですよ♪」


【呟きに、軽口のような軽い口調で応える。……自慢ではないが、人を見る眼には自信がある】
【これまで様々な人に接してきた。騎士として多くの悪意や害意と接し、友や母として多くの善意と接し、】
【様々な人の心に触れて、その人の本当の心が分かるようになった。……悪に染まり切った者だって、何度も見た】
【だからこそ、分かるのだ。彼が本当に悪に染まった人物かどうかくらいは―――】

【運ばれたケーキは、母親と娘の前にも配られる。娘はそのつぶらな瞳を輝かせて魅惑の白いクリームを見つめて】
【「いただきます!」と一言、それからケーキを口いっぱいに頬張る。ふくれた頬が何だか子リスみたい】

【母親の方も、フォークで丁寧にケーキを崩すと、一片を口に運ぶ。……王道の味だが、やはり美味しい】
【口に広がる甘さに顔を綻ばせつつ、彼との会話も進める。不満げに答えた言葉に、綻んだ顔のまま応じる】


「そうですね……では、あなたの大切な人や思い入れのある人のお話を聞きたいです!
 今まで接してきた人で、どんな人があなたの心に関わっているのか……なんて、どうですか?」
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/03(水) 01:26:26.77 ID:FmBs48Nb0
>>686

あら、お友達は居ましてよ。同じ孤児院に居たところからの付き合いですの、ええと――、そうね、十年くらいですかしら。

【――この言い方だと、逆に、それ以外の友達は居ない。そうとも聞こえるのだが、とかく彼女はそんな返事をする】
【「幼馴染みたいなものですわね」みたいに言うが、脳内にあるのは二人分。……実際のところ、それ以外の友達は居らず】
【さぞ友達居ますみたいな顔しているが、準ぼっちみたいなものだ。だけど、まあ、親友が二人も居れば満足かな、とも】

【(少なくとも全うでないのを分かっていて傍に居てくれる人たち。――今度食事でも奢ってやるか、なんて、ふと思う)】

ふふ? そう、それなら、見せてくださる日を楽しみにしておきますわ、ちなみに……、

――生半可なイケメンくらいなら、見飽きてますのよ。

【――そちらに壁があるなら、こちらも、きっと、本当なんで見せていない。妙に浮かべたままの笑みは、それこそ仮面のよう】
【くすりとからかうように笑んで無駄にハードルを上げる、のだが、別によっぽど期待しているわけでもない、からかいの色】
【「楽しみですわぁ」なんてうそっぽい。そもそも彼女にとって、男は商売相手だが、恋愛相手には見えない――し】
【――――イケメンかどうかとか。別に興味ないというのが、本当のところだった。それより、金である。現ナマ】

これくらいならはした金ですわ、それとも、投げ捨てられたのを拾うほうがお好みでした……っ、と、

【ぎゅっと掴まれた肩は細い、が、細すぎはしない。近づけば甘い香水の香りがして、ただ、くどいほどではなく】
【なんか気持ち的にオフになっていたなら、そういった冗談も出てくるのだが――とかく、彼女は肩をつかまれればたたらを踏んで】
【その衝撃で財布から取り出した小銭が指から零れ落ちる。ちゃりーん、と軽い音。――彼女は一瞬、彼を見つめて】
【一瞬拾うのかどうかを確かめるような間が空いてしまうのだが。すぐに自分で拾い上げる、それから、しまって、】

そうですわね、包丁くらいしか使いませんし――うちのが鋏なら使うのですが。
「この砥石がどうこう」とか言ってお気にの砥石があるみたいですの、砥ぎ師は間に合ってますわねえ……。

【ため息がちに財布もしまいこむ。別にこれくらいのお金、募金するより気楽に奢っても良かったのだけれど】
【そうまでして阻止されるなら仕方ない。唇から零れた吐息は白く揺れて、青林檎色の瞳が数度瞬く、それから、】
【砥ぎ師に用事はない――ということだった。それはきっと彼の予想通りだし、ワンチャンあるかと思えば、そっちも何もなく】

包丁くらいなら皿の裏で済みますし。

【――けろっと言うのだけれど、なんだか、怒られそうでもあって】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 01:35:58.02 ID:ZunRrcBZo
>>688

【人を見る目がある、という彼女の言葉はきっと事実なのだろう。彼女の今までの言動がそれを裏付けている】
【それでも神父は自分の言葉を撤回しなかった──できなかったのだ】

【ふと気になって子供の方を見てみる。リスのように頬を膨れさせて食べる姿はさしもの神父も可愛らしく思う】
【それを見ていると自然と頬が緩んだ。母親がこの女性だから、という理由もあったが】


 はっ!いきなりそれかよ、頭お花畑の姉ちゃんはこれだから困るぜ
 期待を裏切って悪いが、その手の質問に答える用の人材が俺の人生には登場しなくってな
 そんなことより、そいつぁお前の……


【やっぱりどこか馬鹿にしたような答え方で、要約すると“居ない”と答える】
【その後すぐに話題を無理やり転換。会話の主導権をこの苦手な相手に握られてはたまったものではない】
【が、その内容が気になって一度言い淀む。そのへんの紙にペンで字を書いて、母親にしか見えないように見せる】
【『そのガキはお前の実子じゃなく孤児か何かだな』と、紙には書かれていた】
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 01:51:15.79 ID:+5hZTgdDO
>>687

──オーギュストにギュスターヴか
ふふん、濁点多くて噛みそうだな、だがいい名前だ


【──敵だとは、思っていない。だからこそ、名前だって誉められる】
【先ほどベティに語った言葉を、しっかりとリーベは実践していた】
【──口先だけの信念。彼女の正義は、そんなものではない】


そうだな、欲を言えば友達にすらなりたいと思っているぞ
なんたってNo.7はまだ学生の女の子!私と年はそう変わらないはずだ!
私だって女の子だからな!友達はやっぱり欲しいぞ!


【──これが、彼女の言う「正義」なのだろうか】
【悪人を、機関員を、普通の日常が送れるようにする──友達に、することが】
【だが生まれた疑念を否定する要素は、ひとつたりともなかった】
【「友達になりたい」……そう、言った時。確かにリーベは、心底楽しそうに、笑ったのだから】


──ベティ。似合ってない
私は、お前にもっと似合った格好があると思う
こんな暗い部屋にいるより、きれいでふわふわなベッドがある部屋がお前にはあってる
お前くらいの年頃の子たちは、自分の目と耳で世界を見てる

……私は、お前のことをまだ、よく知らないけどな
それでも──お前自身の瞳で私を見て、お前自身の声で、私の言葉を聞いてほしい
No.7も当然だが……お前とも、友達になりたいと私は思っているぞ?


【──カニバディールの言葉に対し、リーベはベティにそう言って聞かせる】
【「一から教育しなおすか」──その言葉を、肯定するかのような。そんな言動を見せたのだ】
【そしてそのまま、彼女はベティの手を、取ろうとして】


──デュアル兄弟にカニバディール。
どこかで聞いたことあると思ったら、やーっと思い出したぞ
お前たち指名手配犯だろう?
いや、だからと言って何をするつもりもないが……

──私にはすることがあるからな!
お前たちに拘束されてしまえば、日々の日課もできないしお気に入りの場所にもいけない
いや、そもそも何かに縛られるのが好きじゃなくてな
ふふん、それにこうもあっさりと探し人と再会してしまってはつまらんというものだ!
ゲームの抜け道はあんまり好きじゃないタイプなんだ私は
だから──今夜はここでおいとまさせてもらうぞ
いい子は寝る時間だからな……!


【途中から浮かべていた笑みは、失せる気配もなく】
【一触即発の空気であっても、愉快そうに彼女は話し続けていた】
【だが──もう、語ることも尽きたのか】
【彼らが近付いてきたのを見れば、ベティと一緒に……そう、「一緒に」ビルを出ようとする】
【最もベティが拒んでしまえば、彼女は悲しそうな表情で、1人でこの場を去るのだろうが】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/03(水) 01:52:32.94 ID:yh2swr7oo
>>689

かーっ、長いもんだねぇオイ。言うまでもねえだろうが大事にしなよ?
帰れる場所が有るのと無いのってのは違うもんさ……こうして寒い想いもしないしな!かっ!

【最後の言葉は本音の部分もあるが照れ隠しみたいな色も強く】
【何とも臭い台詞を言ってしまったと少し後悔し】

かかっ、「こちらこそ」とでも言えば良いかいレディ?
俺っちは食わず嫌いはしないどころか貪食な方なんだってーの

【此方も見せない、相手も見せない。そのポーカーゲームを楽しむ様に男の笑みは軽薄に戻る】
【ただ違うと言えば男の方は「知りたがり」と言う事か】
【楽しみだと言う嘘に、こちらこそと本心を。まずは此方のカードを少し見せた】

はした金どうこうじゃねーってーの
俺っちが「納得しない」から止めてほしいってだけなんだよ
……我儘だろ?かっ!

【ちゃりん、と音がして一度そちらを見た】
【拾おうか―――と一瞬だけ逡巡したのは自分のせいで落としたのだから自分が拾って渡すべきと思ったからだが…行動に移す前に彼女が自分で拾ってしまう】
【誇りこそあまりないが「道理」は持ち合わせているし「卑しく」在ろうとも思わない。そんなところか】

かっ、だろう?
態々砥石を使って砥いでるってえのは少し興味が有るが…まぁ置いといて、だ

………あー。やっぱそんなもんだよなぁ

【皿の裏で十分、との声に男は小さく溜息を漏らした】
【特段怒る様子はないのも砥ぎと言うのは斬れれば良いと言うのは道理だろうし】
【それ以上の、自分の想いややり方を押し付ける気もないのだ】
【…実際包丁1本でも任せられれば感動させれるだろうと言う位腕に自信は有るのだが】
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/03(水) 01:58:31.60 ID:5eM1azGr0
>>690
/すみません、ロールの途中ですがそろそろ一旦凍結で宜しいでしょうか……?
/明日なら19時以降1時までずっとおりますので!
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 02:00:08.98 ID:ZunRrcBZo
>>693
//勿論でございます
//ではまた明日、おやすみなさい!
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/03(水) 02:09:16.95 ID:FmBs48Nb0
>>692

まあ……そうですわね、ええ、大切にしますわ、一人は別にどうでもいいのですが……いえ。
……そう、そんな私の友達ですけれど、UTで働いてるそうですの、――もし行く機会でもあれば、
よろしくしてやってくださいませな、黒赤の瞳の子ですの、きっと見たら分かりますわ。

【彼女の脳内には二人浮かんでいる。だけれど、一人は、別にいいよなあなんて軽いノリで切り捨てかけて】
【まあと思い直して、ついでに話題を変える。そんな親友のうちの一人のこと、よろしくしてやって、だなんて笑うのは】
【なぜだか今回だけは妙に姉が妹に向けるみたいな色を宿していて、つまり、――嘘っぽくないのだった。本音めく】
【とりあえず大切に思っているらしいのだけは知れる。もう一人は……うん、多分、そちらも大切に思っているはず、だ、】

――――ま、お金を下さればその分だけ遊んで差し上げますわ、私、お金のある殿方が好きですの。イケメンよりもね。

【それでいてすぐに表情は移ろう。くすりと潜めた笑みは、こちらもカードを見せることになるだろうか、つまり、】
【“そういった”類の人間なのだろう。お金次第で――まあ、その時点で、眼前の彼は違うということになりかねないのだが】
【とりあえず彼女はそんなの気にした素振りもなく、ふわふわした髪を耳に掛ける、……寒かったらしく、すぐに戻し】

ま、そうまで言うならいいのですけれど。フラグは大事に回収しておくべきですわよ?

【また元のベンチに座るのだった。それから飲むコーンスープは、今度こそイイカンジに冷えていて】
【それはそれで少し気になるのだから乙女心のなんとやら。少しむっとした表情をしたのは、冷めていたからである】
【これはこれでいつもより素の見える軽口、本当なら――もう少し、違う態度をとりやすいのが彼女なのだけれど】
【そもそも初対面で何がフラグかという話なのだが。本人もふざけているようなので、あんまり、マジにするべきではなく】

草の汁で錆びるそうですわ。草ばっか育ててますの、そりゃもう草。強いて言えば薔薇ですけれど、……まあ、
綺麗なのは綺麗ですので。否定するほどでもありませんわね、ラフレシアをベランダ栽培とかなら張っ倒しますけれど。

……まあ。将来、刀趣味にでも目覚めたら――お願いしましょうかしら。

【草と薔薇じゃえらい違い……でもないのかもしれないけれど、とりあえず、ただの鋏、というわけではないらしい】
【同居人とはいえ他人の趣味、よっぽどかかわりもしないなら良く知らなくて、結果としては、――砥ぎ師、やっぱり要らないよう】
【落ち着いて考えればまずないだろうことを言う辺り、同情めいた感情はあるらしいのだけれど、だからといって】
【じゃあうちの包丁をお願いします、とならないあたり、茶は奢れても、そこまでの金は出したくないらしい】

【多分ちゃんと研いだら鶏肉とかも切れるのだろうな……とは思うのだが。なんだかんだ皿の裏でやり過ごせるものだから】
【頼んでみよう、という意識にあまりならないのだった。――それはそれで指とか切りそうで、ちょっと嫌だし】
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/03(水) 02:18:50.39 ID:T7/vNI3Jo
>>691
『ああ? いい名前だぁ……?』
「……その手の評価は、初めて承ったな」

【自分たちの異形の姿に嫌悪を抱くものは知れど、名前を褒めて見せるようなものなど初めてだった】
【異形の盗賊どもは、困惑した様子すら見せる。リーベの正義。彼女の信念を持って貫かれるそれは、異形どもには異物に見えた】

友達……? 相手が機関員だと知った上で、かね……?
確かに、年来は恐らくそうは変わるまいが……普通の女学生として、友人になりたいと?
……ヒューハ。よくもまあ、そこまで迷いなく笑えるものだ……

【盗賊どもの首領すら、一瞬毒気を抜かれたように立ち止まる】
【自身の宿敵たる、不殺のガンマンとも似て、だがどこか違う。眼前の少女は、いったい何者であるのか】
【異質な存在たるこの盗賊どもですら、彼女の正義に気圧される気配すらあった】


ええー、そっかなぁ……
綺麗とかふわふわとか、私あんまりよくわかんないんだけど……
私も、このカメラでちゃんと世界を見てるのよ? リーベお姉さんは、私のこのお目目の方が好きなの?

お友達……リーベお姉さん、だれとでもお友達になりたがるのね?

【幼子にとって、リーベのそのあり方は、あまりに鮮烈だった。正体のわからないものを見るような表情を浮かべて】
【それでも、リーベを見つめるのは瞳ではなくカメラのレンズ。きょとんとした幼子の手が、リーベの手の中に滑り込む】


カヒュー……そうだとも、ケチな盗賊として手配されている。……そうとわかった上でも、その態度か。ふ、ふふ……面白い女だ
ふむ……それは残念だ。交渉は決裂というわけか。個人的には、抜け道も時には必要だと思うがね……

――――帰れると思っているのか? リーベ

【高まり行く緊張感の中、それでも彼女は笑みを絶やさない。対して、悪党どもはその悪意を増大させていく】
【「あっ……」と戸惑いの声を上げて、ベティーがリーベに手を引かれていく。強く拒む様子は、すぐには見られなかった】

【そこへ、背後から異形どもが襲い掛かろうとして――――携帯端末の鳴る音。一回のみですぐに止む】
【何らかの合図だったらしい。異形どもが、攻撃を中止した。と、カニバディールの身体から、数本の肉の触手が伸びてベティーを掴んだ】


……そうだな、今宵はここまでだ。だが、そう簡単にベティーは渡せないね
我々は盗賊だ。盗賊から、何かを奪おうというのなら、相応の手順が必要だ
ベティーが欲しければ、我々を倒して奪え。それ以外に、ベティーをお前の友として側に置く手段はないぞ

『あーあー最初の時点でとっととぶっ潰しておきゃ良かったなあ、おい』
「ぼやくな、急ぐぞ。……次会うことがあれば、そうしてやればいい」

ええっと……ごめんねリーベお姉ちゃん、でも私、やっぱりボスの仲間なの……
あのね、またお話ししたいな! 殺し合うことになっても、戦いながらお話ししましょう!!

……機関の邪魔翌立てをすることがあれば、容赦はしない

【触手が引き戻され、ベティーがカニバディールの下へと引き寄せられていく】
【幼子が手を振り、異形どもが闇の奥に溶けて消えていく】

【音もなくその姿が消えれば、リーベに危害を加えるものはいないだろう】
【意外にも、荒事に達することなく終わった、新たな機関の先兵とリーベとの邂逅】
【しかしそれは同時に、新たな因縁の萌芽でもあった】

【果たして、彼女が異形どもと、そしてベティーと再会する時が来るのか、それはまだ誰にもわからない――――】


/ここで締め、でよろしいでしょうか? 遅くまでのお付き合いに感謝です!!
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 02:22:01.60 ID:+5hZTgdDO
>>696
/お疲れ様でした!
/なんかめっちゃ眠いので、〆は明日返しますね!
/こちらこそ遅くまでありがとうございましたー!
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/03(水) 02:33:03.81 ID:yh2swr7oo
>>695

おうとも!出来れば両方とも悪くはしねぇってーの。つっても俺っちが出来る事なんざ刃物の砥ぎ位だけどな。かーっ!
……あ、そうそう。ヨロシクするのは良いけどまず俺っちは手前さんの名前すら知らないんだが?

【と、思い出したように人差し指を立てて名前を尋ねる】
【噂の黒と赤の子に会ったとして胡散臭い人が言っていた、なんてコイツの口からは言われたくあるまいし・・・】

出来れば金なんかいらない位には仲良くなりたいもんだねぇ
具体的には夢の1つでも語って貰いたいもんさ………そもそも俺っち、素寒貧だしな。シャープナーとかこの世から無くなれってーの

【「かーっ」と漏れるのは溜息】
【彼の懐事情的にも、彼の持つ他人への興味的にも金云々と言う関係は望ましくない…それは本心で】
【……一瞬寒さで赤くなった彼女の耳を見て笑いかけ、強い息が漏れた。ギリで笑ってはいない】

かっ、俺っちからすりゃ他人の夢と生き方以外あんまり興味ないしなぁ
俺っち自身との関係なんて、それが分かる位に仲良くなれれば良いってもんよ…相手が善人でも悪人でもなァ

【夢を語り、苦楽を共有しえる程。ほどほどに深い仲の良さを彼は好む。コレは本心である】
【しかし相反し合う人間達すらも理解し、感応しようとする薄らとした「狂気」】
【中立では無い。共に喜び、泣こうとするのだから。正しさも悪しさも、共に愛そうとするコレは―――?】

あー、まぁその辺はキッチリ汁気を取るとか日々の手入れが大事だろうがなぁ…
……何か甘い匂いさせてっけど、その育ててる華から香水の1つでも作ってんのかぃ?

【普段嗅ぎ慣れぬ臭いがするからか、そんな事を尋ねてから】

かかっ、優しいねぇ手前さんは。
ま、その時は能力付加も合わせて本気で砥いでやるってーの。かーっ!
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/03(水) 02:57:37.45 ID:FmBs48Nb0
>>698

あら、そうでしたわね? 二谷音々子――覚えておいていただければ、光栄ですわ?

それで……あなた様のお名前は、教えていただけないのかしら?

【ねねこ。彼女の告げた名前はそれだった、……どこか猫っぽい彼女の名前がそうなのは、少しだけ面白くもあり】
【指摘したらなんとなく怒りそうな予感もしないでもない。とりあえず、追求される前に彼女は彼の名前を尋ね】
【ゆるりと首をかしげて問う。教えてやれば満足するのだろう、教えてやらない、というのも選択肢だが】

残念ですけれど、……夢を尋ねたいなら、他のお方を当たったほうが、早くてよ?
私はそう言ったもの、気にしませんから――、そうね、さっきの子にでも聞いたほうがいいはずですの。

最近、何かやりたいことを見つけたようですから……、……あんなに泣き虫でしたのに、ねぇ?

【そうやってまた缶を傾ける。軽く缶を叩いたのを見るに、大分量を減らしているらしい、そうしながら、】
【自分には夢なんてない――そんなことを言うのだった。そして推薦するのは、件の、オッドアイの子】
【ねぇなんて同意を求められても知らないなら答えようがないだろう。それなら、きっと、これは答えを期待したものではなく】

【笑われかけても大した反応はなかった。髪で耳を隠して、その辺りをしばらくフワフワ弄っていたものの】
【なんとなく手櫛でいいように整えてしまえば、それで終わり。……そもそも仕事する気はないし、もう、いいのだけど】

【――それなら彼女も似たようなものなのかもしれない。お金次第で愛してあげる、それ以外、相手のことはどうでもいい】
【善人だって悪人だって別にいい。殺されたりしなければという最低ラインで、――だから、彼女は曖昧に笑うだけで】
【夢とか生き方とか、自分には遠いことだと思っている。関係のないこと……他人になんて話す必要の、ないことだと】

あの人、変なところで適当なんですの。まあ、私は、花だとかには詳しくないので……――。
――ただの市販でしてよ、自分では作りませんわ。家にあるのは薔薇ばかりですの、切花にはしますけれど。

【妙なところを気にするくせに、妙なところで適当な人。彼女はその“誰か”にそんな評価を下していて】
【とりあえず都合が悪くなったら砥いでいる印象だった。とにかく、最終的には、“よく知らない”なんてことを言い】
【流石に香水は作ってないとのことだった。それから、ふと、すっかり暗転してしまった携帯の画面をもう一度たたき起こすと】

砥ぎ師を探している方が居たら紹介して差し上げますわ、せっかくのご縁ですし――ね。

……それじゃあ、私はそろそろ戻りますの。ごきげんよう――また、「  」

【時間を確認して、それなりの時間だと認識して、完璧に仕事する気はゼロになる。それよか、家でぬくぬくとしたくって】
【そうと決めると早かった。立ち上がると、缶の中身を一気に飲んでしまって……自販機の横のごみ箱にがたんっと入れ】
【そんな挨拶で立ち去ろうとする。――名前を教えてもらえていたなら、その名を、最後にさま付けで呼び】
【小さく会釈するとそそくさと帰るのだった。……その背中は、街明かりの向こう側に、ひどくあっさりと消えていって】

【後に残したのは、ほんのちょっぴりの香りの余韻だけ。だけど、それだけで、彼女が居た証明にはなるはずだから】

/申し訳ないです、眠気がひどいので、ここで……おつかれさまでした!
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/03(水) 03:07:29.10 ID:yh2swr7oo
>>699
音々子…なんとも、覚えやすい名前だってぇの。
っとと、先に名乗らせちまうとは俺っちとした事が……

俺っちは砥ぎ師の東。 飛鳥馬 東(あすま あずま) 気軽にアズにゃんとも呼んでくんな!

【勿論、名乗らぬ理由は無い】
【自分の愛称に自信が有るのか少し胸を張って、己の名を名乗り】

そうはいかねえさ。俺っちは手前さんのも知りたい
件の黒と赤の子の夢も勿論知りたい その子が泣き虫だった頃も、手前さんがどう関わって来たかもぜぇんぶさ

【貪欲なまでの「知りたがり」】
【その子も貴女も見知らぬ誰かも、色んな人の夢、生き様を知る為に彼は生きて居ると言っても良い】

有り難く!次会う時は手前さんの夢を聞かせてくれよってなぁ!

【一度大きく手を振ってから貴女を見送ると、すぐに寒さを思い出したように腕を組んで身を縮こまらせ】
【彼もまた、雑踏の景色の内へと消えていくのだった】

//こちらこそ、ありがとうございましたー
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/03(水) 13:59:44.58 ID:5eM1azGr0
>>690

―――そう、ですか。少し残念です……

【―――彼から返ってきた答えは、そんな存在は居ないという言葉。やはり彼女を馬鹿にするような口ぶりで】
【彼女は、少し残念そうにする。……好きなのだ、他の人がどんな人間関係を築き、どう思っているのかを聞くのが】
【大切な人への想いを聞けば、その人がどんな人か大体分かる。その想いは、きっと偽りの無い本物だから】
【……でも、居ないと突っぱねられるのなら仕方がない。―――話題は強引に次の話へと移される】



【何か言いかけた所で、彼は少し言葉に詰まる……言い淀んだ理由は何だろう。少し怪訝に思っていると】
【彼は何かを書いて寄越す。其処に書かれていたのは―――この子は血の繋がった子ではないのだろう≠ニいう問い掛け】

【言い淀んだのも、わざわざ子供には見えないように紙に書いたのも、今無邪気にケーキを食べている少女を傷つけない為だろう】
【―――ほら、やっぱり根っからの悪人ではないじゃないか。純粋無垢な子供を傷つけまいと、そう思えるのだから―――】

【……でも、彼が突きつけた血が繋がっていないと言う事実なんて、この親子には大した意味を成さないという事が】
【この後の彼女―母親の言葉できっと分かる筈だ――】


―――いいえ、この子はもう孤児では御座いませんよ。
だって、私がおりますもの。ううん……私だけでは御座いません、主人や街の方々、友達……本当に多くの人が、この子と繋がっていますもの。

……この子は確かに私の血は受け継いでいません。でもね、その代わりに心を受け継いでくれているのです。
まだ幼く未熟ですが、誰かを想える優しい子に育ってくれている……親として、これほど嬉しい事が御座いましょうか。
孤℃凾セなんて、そんな言葉はこの子には当て嵌まりません。この子は、間違いなく私が心から愛する娘です!

【彼女にとっては子供達は実の子同然。誰が何と言おうと子供達を独りにはさせないと、強く心に決めていて】
【だからこそ彼女は子供達を孤児と呼ばれるのを嫌う。あの子達は孤独なんかじゃない、私がいるんだ、って―――】

【親としての想いを語りつつ、横でケーキを頬張る愛娘の頭を優しく撫でる。―――その姿は、子を心から愛する母親の姿そのもので】
【娘の方も、撫でられて嬉しそうに無邪気な笑顔を彼女に向ける。子供が母親に向けるような、どこまでも彼女を母親として信頼しきった笑顔だ】
【血は繋がっていなくとも、本物の親子の絆は確かに其処にあった。実子かどうかなど、この親子には些細な問題なのだろう―――】

//時間が空いたので、お返ししておきます!
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 15:20:20.79 ID:+5hZTgdDO
>>696

ふふん、友達はいいものだぞ!
多ければ多いほど楽しい!
考えてもみろ!1人でとる食事より、2人で、
2人でとる食事より、3人でとる食事の方が楽しくはないか?
人が多ければ話題も広がる!思いもしなかった「楽しいこと」が見つかるかもしれないんだ!


【それはカニバディールに対しての言葉なのか。それとも、ベティに対しての言葉なのか】
【あるいは──双方に向けられた言葉なのだろう】
【相も変わらぬ楽しげな笑みは、なおも崩れることはない】

【──まぁでも、カニバディールとデュアル兄弟に対し直接「友達になろう」と言わないのは】
【もしかすると、いや、確実に見た目からくる問題がある。だって気持ち悪いもの】
【それに加え──ベティに関することだってあった。少なくとも今は、リーベは彼らにプラスの印象を持てていない】
【「彼らなりの、理由」──それさえ聞ければ】
【理由次第では、彼女は間違いなく彼らにだって手をさしのべる】
【リーベ・エスパスとは、そんな人間だった】


──カメラでみる世界。私にはその経験がないから、そこからどんな世界が見えているかはわからない
でもな、ベティ。私は、一度くらいは、自分の目で世界を見てほしい
私は、手袋越しに誰かに触れるよりも、直接誰かに触った方が好きだからな。どうしてもそう思ってしまう
一度、直接目で世界を見て、それでもカメラの方が好きだと言うんなら、私はそれでもいいと思う

──あぁ、そうだ!私も一度くらいはカメラ目線で世界を見るのも悪くはないな!
もしかしたら新しいことが見つかるかもしれない!


【そしてベティの疑問に対しは、笑わず真面目な表情で、そう返した】
【先ほどは似合っていないと断言はしたが──それでも】
【2つのモノの見方を知った上で、ベティが何らかの選択をしたらならば】
【間違いなく、リーベはそれを尊重するのだろう。決して、自分のやり方を押し付けることなく】

【だがまあ最後は冗談めいた笑い声をあげ、滑り込んできた小さな手をぎゅっと握りしめる】
【彼女のことだ。そのうち本気で「カメラ目線」を実行し、ベティと意見交換会でもやりそうである】
【ふふん、と笑って、彼女は出口へと──】

/続きます
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/03(水) 15:30:33.08 ID:lCYQbA9jO
【路地裏】

『リアル・ゴールド』

【赤い髪に長身細身の青年がいる。】
【──口に出すのは自身のアートマンの名】
【顕現する黄金の装飾が施された人形の其は──】

【その場に居合わせるもう一方の男性をタコ殴りにしていた。】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 15:33:09.09 ID:+5hZTgdDO
>>696

【──ここでベティを連れていければどんなによかったか】
【だが現実は、そううまくはいかない】
【迫りくる背後からの攻撃。視線だけを背後に送り──避け、ない!】
【「ぶぅン」……今一瞬、大気が震えた、ような?】
【そして鳴り響く音。手から離れていく幼子。中止された攻撃】
【──様々なことが、ほんの瞬き数回分の間に起きて】


──ふふん、ずいぶんとベティにご執心のようだな!
だが手段がひとつしかないのは気にいらない!
「隠しルート」でも「抜け道」でも見つけてやるぞ!
なんたってお前が言い出したことだからな!

ベティ!お前がそう言うんならまた会えるぞ!絶対だ!約束する!!
カニバディール!今度会ったときはパンチ一発覚悟しとけ!ムカつくからな!
オーギュストにギュスターヴ!兄弟仲がいいのは結構だがいい年してくっついてるのは恥ずかしいぞ!

【──消えていく彼らに、ありったけの言葉をぶつけていくリーベ】
【聞き取れたかどうかは、タイミング次第】
【それでもまだ言い足りないのか】
【暗闇に向かって「おぼえとけよ!!」なんて悪役染みたセリフを投げつける始末】

【そうして、わぁんという反響音が返ってくれば、満足でもしたのか】
【ふぅっ、とため息をついて、彼女は元来た道を帰ることだろう】


【後日。リーベの人探しのチラシの似顔絵で】
【No.7のイラストの横に、ぐるぐる金髪の似顔絵?らしきものが描かれていたのは、別の話である】

/連投エラーとか死ねばいいのに
/では、これにてお疲れ様でした!
/ありがとうございましたー!
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 17:27:17.35 ID:d3CmKAoXo
>>701

【問いかけへの返答は正直、予想通りだった。この女性が血の繋がりを気にするなんて初めから思っていない】
【会話の主導権を取りつつちょっとした疑問を解決する。ただそれだけのつもりだった】


 ……ぺらぺらと良く喋るぜ
 誰もそんな細かいところまで聞いてねえよ、全く


【神父は呆れたように言うと提示した紙切れをくしゃくしゃと丸めた】
【返答に意地悪く笑う彼であったが、内心では少し安堵していた。分かりきっていたとはいえ、その通りだったことに】
【この手の“欺瞞”を口にする人間は多く知っている。それこそ幼少期からずっと見てきている】

【思い返すのは子供の自分たちを取り囲む神父やシスター。顔には張り付けられた笑顔。口々に挙がるのは偽善の言葉】
【──彼らと比べて目の前の女性がどうであるかなど考えるまでもなかった】


 運の良いやつもいるもんだ、お前みたいなのに拾われるなんて宝くじに当たるより凄い確率だろうぜ
 俺も孤児だったが拾われた奴らの末路なんて酷いもんだったぜ


【懐かしそうに言いながらケーキや紅茶を口に運んでいく。どこか動きが機械的だ】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/03(水) 20:02:33.41 ID:5eM1azGr0
>>705

【聞かれなくても愛娘の話ならついつい口を衝いて出てしまう。子を愛する母親なんて、そんなもの。娘が大好きで仕方がないのだ】
【呆れたように笑われると、彼女は少し照れたような笑みを浮かべる。親馬鹿だったかな、なんて】

【ことこの女性に限っては、嘘や虚偽は一つとして無い。血は繋がらずとも、母親として子供達に注いだ愛は本物で】
【……だからなのだろう。親を喪い心に傷を負った筈の少女が、こうして再び子供らしい無邪気な笑顔を浮かべられるようになったのも】
【この少女の笑顔は、きっと造られた笑顔と虚偽の愛では取り戻すことが出来なかったに違いない―――】


【……そして、この話にはまだ続きがある。】
【拾われた孤児の末路が酷い―――その言葉に対して答えるように、ケーキを食べながら彼女は言葉を紡ぐ……】

……実を言うと、私も孤児だったのですよ。幼い頃に身寄りを亡くして、教会に預けられたのです。
―――その教会で、ある老シスターに出会いました。あの人は、私に母親のように接してくれました……
……きっと私も幸運だったのでしょう。独りだった筈の私は、いつも傍に居てくれたお母さん≠ゥら沢山の幸せを貰いました。
彼女は既に天寿を全うしこの世を去りましたが……亡くなるまで私の事を優しく抱いてくれたことを、今でも覚えています。

……これは、お母さん≠ヨの恩返しでもあるのです。
お母さん≠ェ心から私を愛してくれたように―――私も、この子達を愛したい。幸せになって欲しい。そう願って、この子達を育てています……

……なんて、またあなたに「聞いてない」なんて笑われてしまいますね。ふふっ……つい、喋り過ぎてしまいました。

【懐かしそうに、小さく笑う彼女。その表情には、確かに温かさに満ちていて―――きっと、彼女のお母さん≠焉Aこんな表情をしていたのだろう】
【―――血の繋がっていない子供達に注いでいる愛は、過去に血の繋がっていないお母さん≠ゥら彼女へ受け継がれていたものだった。】
【繰り返しになるが……やはり、血の繋がりなど彼女には大した意味を持たないのだろう。血の代わりに、愛を受け継いでいるから―――】

【ケーキも残りわずか。話もそろそろ終わりを迎える頃だろうか―――】

//すみません、少し遅くなりました!
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/03(水) 20:31:15.10 ID:d3CmKAoXo
>>706

【話の続きを神父はどこか遠い目をしながら聞いていた】
【孤児という境遇こそ同じ。しかし拾われた場所が違うだけで自分とこの女性との差は歴然だった】
【ただその一点の違いを──不幸だとは思わなかったが】


 ふーん……そういうこともあるもんだな
 いや、お茶に誘われた後で黙られても困るしな
 こういう場じゃ、そのお喋りな性分も合うんじゃねえの?


【神父の返事はなんだか気の抜けた、受け流すようなものだった】
【違いは一点だけ。それでもあまりにも差がありすぎて、おとぎ話か何かを聞いているような気分になってしまったからだ】
【遠すぎるものには憧憬さえも抱きようがない。それほどにこの女性は輝いて見えた】

【ケーキも紅茶も気づいたら無くなっていた。そろそろ話も終わりだ】
【最後に何か説教の一つでも──そんなことを考えてしまう。そういう性分だ】
【だが考えても何も出てこない。欠けたものが無いとは言わないが、少なくとも自分が教えるようなことは見つからなかった】


 いや、色々話ができて良かった
 おい、もう人にぶつかるんじゃねえぞ


【最後の言葉は結局、至極当たり障りのないものに。一応、女の子に注意を促しておく】
【それから彼は懐からいくつかの貨幣を取り出して代金として机に置いた】
【そして席を立ち上がると、無言のまま店から出て行くのであった】


//こんなところでしょうか。二日間お疲れ様でした
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/03(水) 21:00:02.86 ID:G13dbjE4o
【路地裏】

……オイよせって、な? ステイステイステーイ……。変に罪重ねるもんじゃねぇって……いやマジ。窃盗だけじゃまだ軽い方だからよぉ……ここで――――
『うるせぇッッ……お前状況分かってんのかよ……!! その銃口こっちに向けようとしてみろ……撃つぞ、ぶち殺すからなぁ……ッッ!!』

【路地裏、相対する2人。――――両手で確りと銃のグリップを握り締めて、震える銃口を相手に向けるは金髪の若者】
【背負ったバックはぱんぱんに膨れ上がり、僅かな隙間からは宝石の輝きが見える。つまりこの男、宝石泥棒。そしてこの泥棒の銃口の先を辿れば、もう一人の男】
【青いソフト帽が印象的な、白シャツに灰色のジレに群青のジーンズの男。彼の左手には青い銃が握られているが、その銃口は下に向いている】
【ソフト帽の男が着ているシャツの右胸には緋色の鷹、つまりSCARLETの紋章。ある程度の実力が保障されている筈なのだが――――この状況、明らかに不利】

何処の宝石店だ? 何分くらい前だ? そろそろ警察や自警団が――――

『黙れって言ってるだろぉぉッ!! ……そうだ、お前を人質にすればいい……!』
『……SCARLETも銃口向けられちゃ太刀打ち出来ねぇだろ、ならこのまま人質にした方が……いける、いけるんだ……!!』
『――――よし、動くなよ……動いたら撃つからな……』

――――ちょ、マジかよっ……オイオイオイオイSCARLETが人質とか勘弁してくれよ……

【ソフト帽の男が質問を重ねても、金髪の男は其れを拒み、瞳を大きく開きながらゆっくりと彼に迫る。銃口は彼の頭に向けた状態をキープしつつ、段々と距離を縮めて行く】
【銃口を向けられている現状、下手に動けば直ぐに銃弾が飛んでくる。こちらからの攻撃が許されないというのは、この男にとって絶体絶命しかなかった】




【山奥 滝にて】

【岩から圧倒的な水量が流れ落ち、どうどうと地響きを打たせて轟く。滝壺周りは純白の水煙に包まれぼやけてはいるが、その中心には人影が見えており】
【もし注視したならば、白装束に身を包む黒髪の男が凛とした顔を少しも崩すことないまま滝に打たれている姿が見えるだろうか――――】

っふ……――――。臨……兵……闘……者――――!!

【首の後ろ辺りで水の衝撃を受けながら、両手で印を組み九字を唱え出す。一文字一文字力強く、そして尚且つ丁寧に――――。それにしても、何とも古風な鍛錬】
【夜の水は身を凍らせる程冷たく、滝から流れてくる濃い霧のようなひんやりと湿った空気が辺り一帯を占め、まるでここだけ極寒のような寒さ】
【滝壺近くの大岩の上には、男の衣服と思われる和服と大小の刀が置かれている。綺麗に畳まれた和服は、緋色の鷹の紋章が上になるようにして置かれていた】

――――皆、陣、列、在……前ッッ……!!

【両手を複雑な形に組み換え印を結ぶと共に九字を唱え、心身を大自然の中に溶け込ませていく。この滝は街から近い場所にあり、自然を感じられるスポットなのだが――】
【まさかそのスポットで、しかもこの時間この時期そしてこの時代に「滝行」をする男がいるとは誰が思うだろうか。男は滝を浴びながら、更に精神を研ぎ澄まさんとしていた】

/どちらかお好きな方と……
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/03(水) 21:30:58.11 ID:qgSt18P80
>>708

【――――路地裏の一触即発の状況。普通に考えて、その状況に踏み入っていくのは、危険に自らを晒す行為に他ならない】
【「君子危うきに近寄らず」と言う言葉すらある。恐らく大抵の人間は、積極的な介入をしようとは思わないだろう】
【――――だが、物事には必ず『例外』と言うものが存在する。この場合も、状況に踏み入ってくる人間は正にその『例外』であって】

――――『シャドウキャプチャー』!!

【突如、路地裏の中に第三者のものと思しき怒号が響き渡る。全く唐突なその叫び声は、ともすれば場違いな響きに聞こえるかもしれないが】
【あるいはそれに気を取られる事は、次に起こる事態の急変を助ける事にも繋がるのかもしれない】

【――――銃を突き出し、構えている若者の足元から、突如として何本もの『黒い腕』が伸び、突き出している腕を取り、その身体を押さえこみ】
【そうして若者を無力化したうえで、その場に組み伏せようとしている】
【その力は、1本1本が人間のもの。いくら脚力より腕力は弱いとは言え、10本近くの腕に絡みつかれれば、流石に脱出は困難だろう】
【それが、強盗犯の不意を突く事に成功したのなら尚更の事。謎のおぞましい腕は、銃を突きつけられた男を守ろうとしていた】

――――久しぶりだねぇ、『半端者』……去年の夏に会った以来だったかい?
随分と情けない状況だったじゃないか……?

【強盗犯をそうして謎の腕が取り押さえようとする中、先ほどの叫びと同じ声が、落ち着いた様子で再び響く】
【同時に――――2人のそばの地面から、まるで舞台装置か何かの如く、人間の姿が地面から生える様にゆっくりと伸びあがり、その場に立ち上がった】

【華奢ながらも筋肉の浮き出た色白な上半身を晒す様に、ワイシャツだけをボタンも留めずに羽織り】
【下半身はジーンズとスニーカーで固め、腰回りに大量のチェーン装飾を巻き付けた】
【くすんだ水色の髪を前髪ばかり長くした、身長170cm前後の青年】

【既に遠い記憶と化しているかもしれないが、この青年と男――――かつて一度だけ邂逅した事がある】
【あの時には、青年はどこか穏やかならぬ気配を満身に湛えていたのだが、今の青年は文字通り『憑きものが落ちた様』に立ち振る舞いが尋常に近くなっていた】
【尤も、この『闇』を操る力は、男としても初めて目にするものであろう。そこには混乱が生じるかもしれない】

……へぇ、随分欲張ったもんだね……そんなに時間を掛けなきゃ、こんな事にもならなかったかもしれないのに、さぁ……

【チラリと視線を強盗犯のバッグに移し、フッと嘲笑を見せる】
【その様子を見れば、この謎の黒い腕も、この青年が発生させている現象なのだと言う事が分かるだろう】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/03(水) 21:36:44.98 ID:5eM1azGr0
>>707

えへへ……ごめんなさいね、長話に付き合わせてしまって……

【受け流されて、軽い苦笑いで応じる。見ず知らずだった彼にこんなにお話に付き合わせて、少し悪かったかなと】
【―――普段は此処までお喋りではないのだけれど。……子供の話になれば、ついつい饒舌になってしまうのだ】
【さて、ケーキもあと一口。そっと口に運んで―――】

―――今日はお話に付き合って下さってありがとうございました。ふふっ、私も色々お話出来て楽しかったです!

「えへへ……こんどは、きをつけます!」

【ケーキの最後の一かけらを食べ終えれば、そろそろこの場もお開きか。親子も脱いでいたコートを着て帰り支度をして】
【彼女はお話に付き合ってくれたことに感謝して軽くお辞儀をする。顔には優しげな微笑みを湛えて】
【少女も彼の言葉にパッと明るく笑顔を浮かべて応じる。注意にこくりと頷いて、気を付けるとお約束して】

【やがて去っていく彼を見送れば、二人も家路に就く。家族へのお土産も買って、手を繋いで……二人の足元に魔方陣が浮かび上がれば】
【次の瞬間には二人は家のある昼の国へと転移する。暖かな光の残渣だけを夜の商店街に残して―――】


//はい、其方こそお疲れ様でした!
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/03(水) 21:57:05.10 ID:G13dbjE4o
>>709

【響く第三者の声。突如現れる不気味な黒腕。死角から伸びてきた其れに、興奮状態の男が対応できる筈もなく】
【半ばパニック状態で発砲した弾丸も、激しい音を鳴らし明後日の方向へと飛ぶだけ。腕を取られ、足を取られ――――いつの間にか、組み伏せられていた】

『……ッッ!? なんだよこれぇっ!? テメェ等……クソ、組んでやがったのかよぉ……ッッ!?』

【驚愕していたのは金髪の男だけではなかった。このソフト帽の男も紺碧の瞳を見開いて、そしてこの展開に困惑していた】
【――その後路地裏に響く、彼へと掛けられた言葉。その声色、そして『半端者』と自分を呼ぶことから脳裏に浮かぶは一人の人物】
【金髪の男は『組んでやがったのか』などというが、とんでもない。この男とソフト帽の男とでは――――あまりにも思想が真逆すぎたのだから】

……わりぃ、助かった。情けない状況ね……――――流石に今回は否定できねぇよ。……にしてもなんだ、今のがテメェの能力か?
いやそれよりも――――お前が俺を助ける、なんて思わなかったんだが。

【一斉に脳内に押し寄せてくる疑問の数々に頭が痛くなりながらも、兎に角この男が自分を助けたことには変わりはない。助かった、などと礼をまず零す】
【お互いの台詞から分かる通り、この2人は前に1度会っている。ソフト帽の男、マーシャル・T・ロウが貫かんとする不殺をこの男は否定した。そのような覚えがロウにはあった】
【つまり仲は険悪に近いものがある。少なくともあちらは自分を嫌っているだろう、とロウ自身は思っていたのだから、この助け舟には特に疑問が生じていた】

【うつぶせで組み伏せられた時の衝撃か、バッグに押し込められた宝石が幾つか音を立てて零れた。路地裏には似合わない色彩豊かな輝きが、そこから放たれていた】

712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/03(水) 22:01:43.35 ID:NITFb6mro
【酒場】

【通りから一歩外れた場末のチープな飲み屋、板張りの床、壊れたジュークボックス】
【ポーカーに興じる客…まあ、後は各人の想像に任せよう。まあ、週の半ばは流石に空いていて】
【そんな日に飲みに来ているんだから客も何だかダラケてるというか何というか駄目な雰囲気だ】

あー…どぉーすっかなあ…

【そう言ってくわえていた煙草の煙を吐き出してたっぷりの吸い殻が既に入った灰皿に投げ込んだ】
【背の高い男、やたらに長い足をテーブルの上に投げ出して、椅子に深く座り込むサングラスの男】
【黒いスーツ姿で黒いシャツ、開けた首元にジャラジャラ十字架だとか聖母だとかのアクセサリをぶらさげる】

【手元にはリボルバー式の拳銃。テーブルの上には煙草とビールの他に汚れた布だとか何かしらのクリーニングキット】
【眠そうにあくびをして気怠そうに拳銃を磨く。大口径の拳銃。テーブルにもう一丁あって黒と白で対になっている用だ】
【そして、どちらも飾っている方が向いているような模様がエングレービングされている。見たこともないような美しさ、同時に不気味さもある】
【その複雑さと芸術さに感性の鋭いものなら見とれてしまうかもしれないが、この持ち主は興味もなく磨き終わったらテーブルにぶん投げる】

あー……どうすっかなぁ……

【テーブルのビールの残りを飲み干して、テーブルの上にあるダーツの矢を手に取る。壁にかかった的へ狙いを定める】
【しかしそれを放っても、中心から外れて下から2番ぐらいに小さい点数しか取れないようなところにしか刺さらなかった】
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/03(水) 22:18:10.69 ID:qgSt18P80
>>711

――――悪い冗談さ。僕はただの通行人その1だよ?
ただ、お前みたいなのを放っておく道理が無かったって、それだけの話さ……!

【組み伏せた強盗犯に対して、一瞬キロリと冷たい目を向けて、冷徹な否定を言葉にする。後は強盗犯の拳銃を蹴り飛ばせば、彼の無力化は完了したも同然だろう】
【尤も、この様な大がかりな能力を発動して「通行人その1」も無いだろうが……】

……武器持ちの相手に丸腰なんて、「好きにしてくれ」と言ってる様なものじゃないか……
お前には、多分お仲間が居るんだろうが……その荷物になる事ぐらい、なるべくに避けるのが義理って物なんじゃ無いのかい?
危ない橋を渡るなら、せめて保険ぐらい打っておくんだね……

【多少皮肉めいた言葉を織り交ぜながら、青年は男――――ロウへと言葉を返す】
【そうした所には、まだ青年のロウに対する率直な感情――――あまり気に入らないと言った類の――――が表われている】
【以前「その偽善、いつか戮する」とまで言ってのけた所から考えるならば、それでもまだ穏やかなレベルなのだろうが】

……あぁ。今のが僕の能力さ。1度全てを失った事で、手に入れた……僕の力さ

【青年の足元で蠢いていた『闇』が散っていく。そこにはしっかりと大地を踏みしめる、青年自身の足があった】
【それを口にする時、わずかに青年に神妙な表情がよぎる――――やはり前に話していた『嫌な過去』の事でも、思いだしているのかもしれない】

…………この1年間で、状況は色々と変わったのさ。それはもう『色々』と、ね……
コーネリアスの討伐を成してから、僕には大きな転機があった…………それで少しばかり、スタンスを変えざるを得なかったと言うだけの話さ……
まぁ、意外なのは分かるよ…………僕としても、再会がこんな形になるなんて、思ってもいなかったんだからさ

【ロウの言う通り、むしろ以前の青年ならば、状況に介入する様な事は無く、良くて事態を傍観しているだけだっただろう】
【一番考えられる事としては――――ロウが囚われるのを待って、そこから諸共殺害する――――ぐらいの事は企んだかもしれない】
【しかし――――六罪王の1人の討伐を成し、彼にも色々と状況が変わったらしい】
【先ほどから、以前の様な『歪さ』がなりを潜めている立ち振る舞いも、恐らくはその期間に何かがあった事が原因なのだろう】

…………はぁ、全く…………
――――さあ、ここからはお前の仕事だろう? 僕に「持って行かれてしまう」前に、この盗人を逮捕しちゃえば良いじゃないかい?

【散らばった貴金属類を見下ろし、ため息と共にそれを拾い上げる青年。そうして拾った分をロウに差し出しながら、そんな事を口にする】
【「持って行く」とはつまり『殺す』と言う事なのだろうが、どこか洒落のめす様なその口調は、恐らくは本気ではないと言う事の表われなのだろう】
【――――この印象の変化、一言で言うなら『丸くなった』とでも言うのだろうか?】
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/03(水) 22:44:44.24 ID:G13dbjE4o
>>713

ま、丸腰じゃねーよ。銃口向けようと思ったら先に向けられて動けなくなったってだけだ。
――――言っておくけどよぉ、あの状況からでも俺何とか凌げたからな!

【強盗犯の手から銃が弾き飛ばされ、青年がロウに対して苦言を呈する。それに対してロウは負け惜しみのような、子供の言い訳に近い言葉を被せた】
【このようなピンチになった原因はロウの不注意さ――――でもあるが、その前に「甘さ」があった。出来る限り銃を抜かずに無力化しよう、などと考えていたのだ】
【その結果結局抜かざるを得ない羽目になり、そして抜く前に銃口を先に突きつけられた。故にロウにはまともに返す言葉など無かったのである】

スタンスを変えざるを……ねぇ。そうだ、コーネリアスを倒したメンバーの一人がお前って知った時なんか心底驚いたぜ……。
俺にはテメェが良く分かんねーよ、結局なんだ、立場的には俺らの味方なのか。六罪王を倒したんだからカノッサとは敵対なんだろうよ。じゃあGIFTとかは?

ま、つまり――――テメェはこれからどうしていくつもりなんだ。其れを聞かせてくれよ。

【コーネリアスを討伐したメンバーの一人であることは自警団にあるデータなどから知った。六罪王を倒した、それだけを見ればまさに正義の味方である】
【……のだが。ロウはこの男を知っているからこそ、そのメンバーの中に彼が居たという事実にも目を見開き、困惑もした】
【そこらへんのモヤモヤを、今一気に晴らそうと――――ロウは目の前の青年に向かって、疑問をぶつける。――――お前は一体なんなんだ、などと】

……――――俺の記憶なら、テメェはつべこべ言わずに勝手に殺してそうなヤツだったんだけどな。……いや、それが一番困るんだけど。

【訝しげな視線を青年に送りながらも、手錠足錠を強盗犯にかける。青年の能力のおかげで暴れることなく、スムーズに拘束が完了された】
【なんというか――――違和感。前と同じく『嫌な奴』感が無い訳ではないが、なんというか以前とは何か違う。そのことも加えて、彼を混乱させていた】

715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/03(水) 23:09:44.86 ID:qgSt18P80
>>714

……へぇ、そいつは面白い……なら、次は同じ状況から始めてみてくれないか?
それで凌いで見せたら、余計なお世話だったって、言わせてもらうからさ?

【それが負け惜しみじみている事は、青年にも感じ取れたのだろう。ニッと口元に笑みを浮かべると、恐らくはいじわるのつもりで口を開く】
【銃を構えていない状況から銃を突きつけられて、状況を切り抜ける――――それが出来る事を証明すれば、無礼を詫びよう――――と】
【まぁ、これは所詮単なる仮定の話であって、青年自身、そんな都合のよい状況が何度も現われるとは思っていない様だが】

……僕は僕さ。前に話しただろう? 『生きる価値のある命』がより輝く為に、『生きる価値の無い命』を粛清するんだ、ってね……
……いや、まぁ……それも今は、って話なんだが…………ともあれ、どこかの大きな勢力に味方をするつもりがある訳じゃないよ

【青年が以前に語っていた、戦う理由――――それはある種の粛清だった。人間をより良くするべきだと言う、たった1人の戦い】
【それを反芻して見せるが――――やはりそこにも、彼自身と同じくして、何らかの変化があるらしく、言葉尻が細くなる】

……別にカノッサとも敵対した心算は無いさ。ただ『コーネリアス個人』が気に入らなかっただけの話……
まぁ、『GIFT』に対して言うならば、アレは間違いなく僕にも敵だね……あんな乱暴な選民思想…………僕は絶対に認めないよ…………恐らくは…………

【相変わらず、青年には青年自身の透徹されたルールがあり、行動方針がある。機関自体に敵意を持っている訳ではないと、やはり難解な事を口にする一方で】
【『GIFT』に話が及ぶと、暗い目で冷徹な言葉を口にする。その存在は、彼の琴線にも触れるものだった様だ】
【だが――――その言葉の隅に、奇妙な引っ掛かりを青年は残していた】

…………前に話しただろう? コーネリアスを討つために、盟約を結んだ相手が居るってね…………
『彼女』の願いがあったから、僕は『無駄な人死に』を避けて、あの時お前と戦う事もしなかった……
……コーネリアスを共に倒して、僕と彼女は決着をつけるはずだった。だけど、僕は彼女の尊さ、魂の気高さ、命の輝きに触れたんだ……

――――アレを見てハッキリと悟ったよ。彼女と僕とでは、理想とする世界は正反対。だけど、その魂の輝きでは、僕では到底敵わないとね……
……だから、彼女と決着しようと言う時に、僕は自ら腹を裂いて死のうとした。どっちかが死ぬべきなら、それは彼女じゃ無くて僕だ、ってね

だけど……そこで彼女に救われてしまったんだ
……無駄な死は、1つだって増やしたくない。そう言って……僕の為に涙すら流して見せたんだよ……一緒にコーネリアスにトドメを刺した、彼女がね

……今の僕は、彼女の魂、彼女の意志に殉じる為に生きている……彼女が何を『敵』と見定めているのか、なんとなくだけど、僕には分かるから……
彼女が精一杯に命を輝かせて、この下らない世界を精一杯に良くしようとしている。その意志に殉じて、手助けがしたい――――今の僕は、そう考えてる
……こう答えれば、お前の疑問に答えた事になるのかな?

【結局、青年は一体『何なのか』――――その、根本的にして基本的な事を問われて、青年は己の思いの丈を紡ぎ出した】
【コーネリアスを共に倒した『彼女』。その因縁の相手と紆余曲折があり、和解した事】
【そして、恐らくはその人物を『尊敬』するに至ったのだろう。そしてその為に、今の青年は生き、何かを成そうとしている】
【――――恐らくは歪だった青年の正義を、より好ましい方向へと変えたのは、その女性の存在が大きい事は、間違いない】

……分かるだろう。お前に突き出してしまえば済む相手を殺すと、彼女が心を痛めるのさ。殺すしかない相手じゃないんだからね

【強盗犯を穏便に取り押さえたのも、恐らくは青年が『変わった』一環なのだろう。殺さずに済むならそれで良い――――と】
【拘束が完了した事を受けて、闇の腕も散るように消えていく。これで強盗犯は、文字通り完全に無力化されるに至った】
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/03(水) 23:47:49.39 ID:G13dbjE4o
>>715

お、おうよしてやんよ……次そんな機会があればな、あれば!
無駄に死線は潜り抜けてんだ、んなもん朝飯前だっつの。俺を例えるならあれだ、毎回ランナーは背負うけど無失点で切り抜けるピッチャー的な。
だから一見もうダメだみたいな状況なんてアホほど乗り越えて来たんだって。

【一瞬たじろぐ姿を見せるが、すぐさま強気な言葉で立て直す。彼が並べた言葉は9割が事実と言っても良い。確かにピンチを乗り越えてきたからこその今である】
【しかしながら足りない1割は、正直あの状況を自分一人で乗り越えるアイデアが無かったから。いや、その強運も実力だと無理やり自身で納得する】

……――――そうだったな。命を選別すんのがお前、全部平等に見るのが俺。そんな感じだろ、確か。
コーネリアスは……もう死んだヤツだからうろ覚えだけどよ、確か「闘うことが命を輝かせる」って言って、そいつが生きる価値ある人間……みたいな思想だっけ?
お前とは分け方が違うってことか、多分。そんで――――GIFTは能力者か否かってとこで選別してるって所か?

カノッサ全体の思想がコーネリアスのそれってわけじゃねーっぽいが、GIFTは皆一緒みたいなモンだろ。……じゃあGIFTの方が気に入らないっぽいな、テメェからだと。

【顎に手を当てて考え込むような動作で朧げな記憶を辿り言葉を零す。改めて理解するのは、自分とは対極の位置に近い思想である、ということ】
【ロウ自身が言うように、命を分ける分けないという違い。悪人でも命は奪うべきではない、と命を平等に見るロウは、きっと青年からすれば反吐が出る思想かも知れない】
【コーネリアスも命を分けた。GIFTも命を分けた。しかしどれも、青年の其れも含めて全く分け方が異なる。故に琴線に触れているのかも知れないな、とロウは思考した】

【青年がロウの疑問に答える。青年自身のこれからと、その立場を口にしていく】
【それを黙って神妙な面持ちで―――否、やや俯いている為帽子に表情が隠れてはいるのだが、しっかりと聞き、そして微かな沈黙の後口を開いた】

正直よくわかんねぇが、まぁ……彼女の正義の意志に従った行動をしてる――って思っていいのか?
だから今のお前は……まぁ、以前も避けてたらしいけど……『無駄な殺人』もしない――――と。

……じゃあ全然問題ね―じゃん! なんかてっきりガチで危ねぇヤツかと思ってたんだが……実はそうでもなかったんだな。
こうやって殺さずに強盗犯を捕まえてるしよぉ……まぁ思想は俺的にはまだ危ない感じはするんだが、やってることは俺らとなんら変わりもねぇ。
正義か悪かって分けるとしたら完璧に正義側の行動だし。あー、びびって損した……。

【人を殺しかねない危ない思想と雰囲気を持った男。当時はそのような印象が確かあったような気がするのだが、ロウは彼をこう判断した】
【……なんだかんだで、仲間側だと。この行動、そして彼が紡いだ言葉。世界を良くしようとする手助けをしている。そうならばやっていることは自分たちと一緒だ】
【――――と。そう分かった瞬間、男は深くしゃがみこんで息を吐いた。先程のピンチに続いて青年と会ったのだ、やはり精神は張りつめていたらしく】
【ようやくその緊張が解けた故のそのリアクション――――というわけらしい】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/04(木) 00:12:49.15 ID:c2eBYETN0
>>716

……確かに、色々と危ない場面を潜り抜けてきたのは事実らしいね……
そうじゃなきゃ今のこの瞬間、生きてる事は無いだろうし……

【なにやらハッタリっぽくはあるのだが、今まで死線は潜り抜けてきたというその言葉には説得力がある】
【何を元手にしてかは分からないが、ともあれロウには今までを生きて切り抜けてきた実績があるのは確かだ】
【……ならば尚更先ほどの状況が介入なしならばどうなっていたが気になるのだが、そこはもうifの話だろう】

あぁ、その通りさ……僕に言わせれば、戦わなくとも輝く命はある。だからこそ僕たちは『人間』なんだ……
それを踏みにじろうとしたから……僕は、いや……僕たちはコーネリアスを殺したのさ。また誰かが死の無念に囚われてしまう。それを許すつもりは無かったからね……
あんな存在を生かしていたら、それこそ命の輝きは闇に葬られる……人が人として生きている意味が無くなる。それは許さないさ

【何故、青年はそれを許さないのか。スタンスを共有しながら在り方を異にするその理由を、明確にしていく】
【人間が人間として輝く事、それをこそ青年は求めている。人間には、無限の可能性がある。だからこそ――――それを闘争に限定する事を、青年は許さない】
【そう思ったからこそ――――密かな殺人鬼は、大舞台で悪の首魁を討つ決意を固めた。それが真相だった】

……『GIFT』もそうだろう。進化論でも謳っているつもりなんだろうかねぇ……アレが言うのは、弱肉強食の世界さ、極論すればね……
人の在り方を、先に進めようとでもいうのかもしれない。だが……それを『自分たち』に対して言うのは、ただの傲慢さ……
もしも彼らのトップが能力者ではなく、「新たな時代の礎となるために」とでも言っているんなら、ある程度の理解はしようと思うさ……
だけど僕に言わせるなら、アレはただの己の優越感の自己正当化に過ぎない……そんな連中に、人間たちの命を刈り取らせは、しないよ……!

【そしてそれは、『GIFT』に対しても同様だ。彼らは自分たちの優越性を正当化する為に、それを『思想』などとぶち上げ、それによって行動しているに過ぎない、と青年は語る】
【そんな傲慢の下に、要らぬ破壊がふりまかれる事は容認できない。だからこそ自分は否定する――――】
【青年の、青年なりに思索の重ねられたのであろう言葉は、明瞭な己の意志をそこに乗せていた】

…………!?
……あぁ、そうさ……彼女と出会って、僕は変わった、間違いなくね……
それ以前は、お前の言う「ガチで危ないヤツ」だったし、だからこそ彼女とも最初の出会いを得たのさ……
……本当に、共通の敵としてのコーネリアスがいたから、こんな奇縁を結ぶ事になったんだ。不思議なものさ……

…………まぁ、そんな訳さ。お前とも無駄な敵対はしない。あくまで僕の基準での『無駄』ではあるけど、ね

【あからさまに警戒を解いたそのリアクションに、一瞬驚きを感じる。こうもあっけらかんとした態度を取られるのも、何かひっかかりを覚えるが……】
【ともあれ青年は、ロウの総括したその言葉を肯定する。以前とは違う思いが、今の自分にはあるのだと】
【かつての自分は、言うところの危険人物である事に間違いは無かった。だが、戦いの中で意外な程に、自分は変わったのだ――――と】
【それを思うと、青年自身も言う様に、人と人を結びつける縁――――その端緒になるものは本当に思いもよらない事があると、その妙に思いを馳せて】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/04(木) 00:34:38.57 ID:cE5BDrY8o
>>717

……なんか難しい事言ってんな。俺はマジシンプルだぜ?
人の命を奪うことは、その人の過去も未来も今も奪うことだ―――断じて許される行為ではない
一番大切なものは絶対に他人から奪ってはいけない。だから多くの人の命を奪おうとするカノッサやGIFT……コイツ等から人々を護らねばならない

アイツらの思想がどうとかこうとかんなもんは知らない。兎に角平和を乱したり大量虐殺しようってんなら……この俺が許さねぇってヤツだ。
――――ま、こんなこと言っておいてなんだが、お互いの正義を貫くだけだろ。GIFTに関しては……想いは違えど、やるこたぁ同じってね。

【軽く頬を掻きながら、青年の思索が重ねられた言葉に対してロウは言葉を返す。俺はお前ほど考えちゃいない、もっと単純な答えだ――――などと】
【彼が嫌う答えかも知れないが、相手の思想を聞いておいてこちらが言わないと言うのも少し気持ちが悪いらしく。その不殺主義を、改めて口にする】
【命を奪う行為が問題だ。そして俺も出来る限り、奴らの命を奪わずに対抗するんだよ。ま、アホのやることさ――――などと笑いながら付け加えて】

おう、ケッコーケッコー。にしてもお前の言う「彼女」には俺も感謝しなきゃな……それが無けりゃあさっき助けてもらうことも無かったろ?

【敵対はしない――――との言葉に軽い感じで返答。そして続けるは、そこまで青年を変える「彼女」への興味でもあった】
【確かに「彼女」が青年を変えていなければ青年はロウを助けなかっただろうし、そもそもその前に敵対して戦闘に発展していたかも知れない】
【いや、更に言うとコーネリアスも倒せていなかったのかも――――と考えると、その「彼女」の貢献度は余りにも大きかった】



719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/04(木) 01:04:00.60 ID:c2eBYETN0
>>718

……自分が何をすべきか、自分が何をして生きるべきか……命の価値と向き合うなら、これを考えなきゃならなかったってだけの話さ
……全ての命が平等だとは、僕は思わない。理不尽に師や恋人まで金目当てに殺されたら、全て同じ命などと、到底言えないさ

【難しい事などではないと、青年はそう主張する。戦場に立つ理由を問いかける事は、戦う事の前提条件だろう、と】
【それを確かに組み上げればこそ、自分で自分を信じる事が出来る。それこそが、戦う為の原動力なのだと】
【――――原動力と言う事なら、それは己に納得できれば良い話であって。ロウよりもそうした『元手』を必要とする性格だったのかもしれない】

……だがまぁ、貫くって言うなら、勝手にすれば良いさ。それがとんでもなく難しく、理想主義的だって言う事は、分かって言ってるんだろうからね……
その果てに、『殺さない事で殺される』様な事があったら、その時には冥福ぐらいは祈ってやるさ……

【相容れない思いを抱いている事など、以前の邂逅で分かっている。そこで対立しない限りは、そのままで構いやしない】
【本当にそれに殉じるのであれば、もう何も言わないと、青年は若干の皮肉をこめて首肯する】
【周りを見ろ、とでも言いたげではあったが、もしかしたらそれも承知したうえでのこのスタンスなのかもしれない、と】
【だとしたら、後はその理想に殉じるだけだろう。違う理由で戦う人間など、別に珍しい存在でも何でもない】
【その誰かが、恐らくは知らぬうちに足りないものをカバーしてくれるのかもしれない――――命の輝きを肯定する青年は、そんな事をふと思った】

…………――――八攫 柊。長い髪で、刀を振るう、櫻系の女性剣士さ……
会えばお前も分かると思うよ。彼女の気高さ、意志の強さ、心の強さを…………僕が、それに気付いた様に……
己の信じる道を、ただ己の腕だけを頼りに、命を可能な限りに取りこぼさない為……その為に、命を脅かす存在と、戦う…………
……貫く意志があると言うなら、彼女に会ってみると良い……あの強さは、心を打たれる強さだ……

【ふと、そのまま『彼女』と言う代名詞のみで語るのも妙かと思い直したのだろう。八攫と言う名前を青年は告げる】
【彼にとっては、彼女――――八攫の存在こそが、真に命を輝かせ、その為に己の力を振るえる人間の姿だった】
【そして今は、八攫の為に、八攫の助けになる為に、彼は行動している。粛清による人間賛歌を謳う事を、止めてまで】

…………そういえば、僕の名前も話していなかったねぇ…………
――――シャッテン=シュティンゲル。2度の死を、悪運と柊に救われて、今は柊の意志に殉じて戦う、単なる日陰者さ……

【今までそれで不都合が無かったので、忘れていたのだろうか――――青年――――シャッテンは、ようやく自分の名を名乗る事を思い出した】
【かつても今も、その形こそ違えど、ただ思う事は1つ――――人間のより良い未来を目指す為に、その力を振るう存在】
【かつての殺人鬼は、日陰にありながら心の中に確かな光を見出していた】

/すみません、そろそろ限界です……
/ここで切るか、明日に続けるか、お任せしますー
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/04(木) 01:37:59.28 ID:cE5BDrY8o
>>719

……そりゃそうかもな。アンタほど理不尽な死を体験してないからこそ、俺はこんな事言えるのかも知れねぇってのもわかる。
でも俺には俺の経験があるし、そこから生まれた俺だけの価値観ってのもあるさ。そんでそれが――――不殺だったってことだろ。
俺もお前も勝手にするさ、まさにDo your businessってヤツね。価値観は押し付けるもんじゃねぇ、貫くもんだってようやく分かったのもここ数年なんだけど。

【ロウの考えに青年が賛同しないのと同じく、ロウも彼の考えには賛同しないだろう。しかしそのことに問題など、ない】
【目的さえ同じならば、理由など揃える必要はない。GIFTに対抗するという意見で一致しているなら、思想などどうでもいいとも言える】
【理解できない考え方や価値観が世の中には山ほどあって、それをお互いに尊重する。尊重までは行かなくとも、押し付けることだけはない】
【――――そのようなことにようやく気付けた、と語るロウ。思想の孤独を恐れずに、一人だけになろうともその思想を信じ貫く。それが今の彼だった】

……あ、知ってる。会ったことないけど――――っつーか大会にも出てたし。
まぁアンタが惚れる信念だ、さぞかし熱いハートを持ってるんだろうなァ。

【ロウも大会に出場した身であり、そして彼女の闘いも目にしている。疾風の如き速さを持った剣士であり、相当な強者であるとの印象】
【やはり強き者にこそ、強き意志が宿るものなのか――――?などと思いながら、どこか納得した表情を浮かべ、そして】

……知ってるよ。SCARLETはさ、自警団のデータベースとか結構漁れるんだぜ?
まぁそっちが名乗っても無いのにいきなり名前呼ぶのも気持ちわりぃだろうから黙ってたけどよ。

――――ん、パトカー近ぇな……おいシャッテン、俺こいつ持ってくけどいいんだな? このマーシャル・T・ロウの手柄になっちまうけどいいんだなオイ?

【シャッテン=シュティンゲル。ロウの脳内には既にその名前がインプット済だった。。要注意人物としての把握だったが、もうそのような扱いで彼の名を覚えるべきでない】
【思想は異なれど、一部同じ目的を歩む人物。敵ではなく、味方の一人として、その名を再度ロウは脳内に刻み込んだ】
【――――路地裏に近づいてくるサイレンの音。きっと宝石強盗がこちらに来たという情報が何処かから届いたのだろう】
【ロウは強盗犯を担ぎ上げると、シャッテンに尋ねる。彼が首を縦に振ればそのまま担いだまま去っていくし、横ならば乱暴に置いてから手ぶらで去っていく】

【どちらにせよ、マーシャル・T・ロウは依然とはなんら変わりない不殺馬鹿であり、思想では一生相容れない予感をロウは微かに抱く。でもそれで構わないとも思っていた】

/ありがとうございました、ここで〆とさせていただきます!
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/04(木) 01:56:58.82 ID:c2eBYETN0
>>720

……あぁ、そうだね……敵でいない限りには、何も言うつもりは無いさ……それも恐らくは、柊の意志だろう……
何かを守るために戦うのなら、その限りにすれば良い……僕の本位とは言わないが、それが彼女の願いだから……

【――――組み上げて、組み上げて、それによって不条理なやりきれなさを怒りと原動力に変えて、己の生きる意味を『取り戻した』】
【そんな体験をしているシャッテンからしたら、己の手に入れた『それ』は、正にかけがえの無い物である】
【だからこそ、それを知らしめようと、以前にロウの不殺主義に異を唱えたのだが――――今のシャッテンに、それをする理由は無かった】

……そう言えばそうだったねぇ……彼女、実は意外と有名人なのかもしれないや……

……それは間違いないよ。あんなにも輝く命など……僕は、かつての先生ぐらいしか見た事がない
彼女のあの命の輝きは、本当にこの世界に2つとない、尊く、在り難いものなんだ……あの輝きが、今の僕を照らしてくれる……

【――――それだけ、シャッテンにとっての八攫が大きく、またその交流も大きな存在だったのだろう】
【己の意のままに、ではなく、無駄な衝突は避ける様に――――いつしか、彼から血の臭いは遠ざかり始めていた】

……は……?
――――なんだ、知っていたのか……道理で、名前も知らないのに自然と会話出来ていると思ったよ……
名を以って相手を知ってるなら、違和感も少なく言葉を交わせる訳だ……

【なんだか拍子抜けした様な様子のシャッテン。たった1度の邂逅からそんなデータに照合して知っていたと言うのも驚きだが】
【それよりも、すんなりと言葉を交わせていた理由として、妙に腑に落ちるものを感じていた】
【なんだかもったいぶられていた様な気もするが、そんな事はもう些細な事なのだろう】

……あぁ、構いはしない。僕は手柄に興味がある訳じゃないしね……そこは勝手にすると良いよ

【足元に闇を展開し、その『中』へと沈みこんで行くシャッテン。偶然の邂逅ではあったが、強盗犯を奪うような真似をするつもりはなかった】
【ただ、これが八攫の為になっただろうか――――そんな事を自分に尋ねながら、闇の中に消えていく】
【何かが守れるなら、それに越した事は無いのだと。闇の中で再び、あの輝きの鮮烈さを思い出していた】

/遅くまで乙でしたー!
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/04(木) 06:10:59.73 ID:k1WujVPJo
>>702>>704
お友達、お友達かぁ……そうね、私もボスやみんなといると楽しいわ!!
一人でいるって、寂しいもの

でも、ボスたちは仲間だけど、お友達っていうわけじゃない、のかなぁ……
ボスやみんなは、あんまり楽しそうじゃないことの方が多いし……

【双方に向けられたらしい言葉に、答えたのはしかし、ベティーのみであった】
【まだ子供らしさを残しているベティーとは違い、カニバディールやデュアル兄弟は闇に浸かり切っているが故】
【リーベの変わることのない微笑みに、怪訝そうな表情を浮かべるばかりだ】

【異形どもなりの理由。ないことはない。彼らも彼らなりの道を辿って、ここに立っている】
【だが、やはりその内実は醜悪な悪意に満ち溢れた暗闇である】
【いつの日か、リーベがその闇の中を覗き込んだ時。果たして、彼女はそれでも手を差し伸べるのだろうか】


んー、多分みんなが見てるのとそんなに変わらないと思うよ?
直接……手袋越しとは、やっぱり違うの? 私のお目目もそれと同じ? そんなの、考えたことなかったなあ……

あら、リーベお姉さんも興味あるの? それなら、スカーベッジのおじさんに頼んであげるわよ!!

【真面目そうにリーベがそう語れば、ベティーも真剣に悩む様子を見せる】
【己の考えだけを押し付けるわけでもなく、そんなリーベの在り方は、ベティーの精神に少なからず影響しつつあった】

【握られた掌は、暖かく。されど、冷たい肉の触手はそれを許さない】


(なんだ……? 今の感覚……揺れ、か?)
(彼奴の能力か……回避をせずとも迎撃出来た。そういうことか? やり合うには面倒だな……)

ああ、望んで私に付いて来る人材は、私にとっては非常に貴重なのでね
ヒューハ、ハハ……これは一本取られたな。お前が『隠しルート』を見つけ出せるか、せいぜい見物させてもらおうか


うん、また会いましょうね!! きっとよ!!

ヒューハ……いいだろう。その分、殴り返させてもらうがね

『ああ!? 舐めてんのかてめぇ、こら!!』「やめろ、時間の無駄だ」

【闇の中から、少しずつ小さくなっていく返答が聞こえてきて。最後のリーベのセリフが廃ビルの壁に反響すれば】
【それを最後に、完全に気配は消えた】

【その後、新たな顔が書き加えられたリーベのチラシを、顔中にピアスをつけた男が眺めて笑っていた、らしいが】
【それもまた、別の話】

/せっかくなので、最後にもう一つ返して終わりとさせていただきます!!ありがとうございました!!
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/04(木) 06:43:35.24 ID:5lzqzSGa0
あの、新参なのですが今どんな状況か分かりません、教えてください
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/04(木) 06:56:52.16 ID:9ntqzK7oo
>>723
//いらっしゃいませ!早速ですが、このスレはロール専用のスレなのです
//なのでまずは>>1のURLから掲示板に飛んで、【舞台裏の酒場】という
//雑談スレに顔を出してみることをオススメします。
//お昼は余り人が居ないですが、皆さんどんな質問にも答えてくれますので!
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/04(木) 07:53:29.32 ID:5lzqzSGa0
分かりました
取りあえず行ってみます
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/04(木) 17:02:42.99 ID:pFpgIV+UO
【路地裏】


ふゥ――。


【巨体を包むは黒い呉服、顔を覆うは無精髭】
【脇差しと無名の刀は、怪しくも妖しい空気を纏っている】
【戦利品であるろぼろのインバネスを纏うも、息を吐けば白くなるのは最早必然であり――】
【妙に居心地の良さを感じる血生臭い路地裏を堂々と歩んでいた。】


【彼の後ろには、当然のように切られた人間、死に絶えてはいないようだが――】
              ・・・・・・・・・・・
【自身が手掛けたとはいえ――それに興味は無さそうだ。】
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/04(木) 17:26:49.08 ID:vdjU4nbVo
なぁ、赤木とかいうゴミクズはマジでどの面下げて戻ってきたの?
お前は恥という言葉を知らないのか?
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/04(木) 20:34:04.95 ID:X21SLGu2o
【砂浜】
【冬の海と言えば思い切り叫ぶものだと言う人が居るだろう】
【或いは足場の悪いそこだからこそ鍛練に向いていると言う人も居るだろう】
【若しかすれば寒中水泳に勤しむ風邪をひき難い人種が跋扈している可能性も有る】
【が――――】

かーっ 出来た出来た。会心の出来だってぇ

【寒空の下、1人で成人男性すら見上げる様な無駄に力の入った砂のお城を作り上げる馬鹿野郎はこの人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪のこの男性位だろう】

【寒々しい空の下、寒々しい恰好で一仕事終えた彼は満足気で】

…………さって、どうするかなぁコレ

【完成したはいいものの、その後の処分をどうするかと腕を組んで悩み出す】
【簡単に崩れない様に波の来ない場所で作ったのが失敗だったか】
【破壊の魔法でも使えればまた楽なのだろうが、生憎とその様な便利なモノは無く】
【男は困った様に城を見上げて「かーっ」と溜息にも似た声を漏らしていた】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/04(木) 22:33:13.94 ID:LejdEzIdo
【路地裏】

【今日も今日とて銃声が響き渡ってる。静かな暗殺劇も多いが】
【こういうギャングの抗争みたいな事のほうが一般的だったりする】
【命中率コンマ以下の弾け飛ぶ弾丸は当たりのものを構わずにぶっ壊していく】
【それでもライフルとショットガンの止めどない攻撃はコンマの命中率でも十分だ】

『俺らも偶には運がいいな。なんせ国際指名手配犯だ』
『ああ、そうさ。一発食らわせりゃ、一発で昇進、SCARLETもあるかもな』
『生きたまんま裏社会に引っ張ってきゃ一生遊んで暮らせるぐらいの謝礼もあるしな』

【ライフルの弾倉を交換する男。作業着のような服には自警団の腕章と徽章が付いている】
【二人組みはここらの正式な自警団員らしい。ボルトを引いて男は銃を構え直す】

【その路地裏の奥、彼らの狙いはビルの壁に背を貼り付けて様子をうかがっている。コイツ】
【背が高い痩せたサングラスを掛けた男。黒スーツに青シャツ、白いネクタイ】
【右手の黒いリボルバー拳銃とくわえた煙草だけが唯一の武器だ】

ジーザス…コレじゃどっちが悪者わかったもんじゃない

【煙草を投げ捨てて、靴の踵でもみ消す。人気がないと言ってもこれだけ銃声がしていれば】
【誰かが飛んできてもおかしくはない。まあ、大抵の場合自警団なので状況は悪くなる一方だが】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/04(木) 23:21:09.79 ID:R/C7O2vdo
>>729
【五月蠅い。其処に踏み入れた直後の率直な感想がそれだった】
【彼女もまたこの路地裏に至るに相応しい人間だった。こんな風に銃弾飛び交う轟音と鉛玉の嵐へと遭遇したことは、何度か経験している、が】
【その少女―――――黒い詰襟制服に、その上に更に黒い二重回しを羽織る黒づくめ、両腰に朱と黒の鞘の太刀を納めた少女は、どちらかと言えば】

「……もうちょい静かにやれんの?節操無いわぁ……」

【その得物が示すとおりに、刃を以って死を成す、「静かな暗殺劇」側の人間であった。ただまあ、それだけならば、特に気に留める事もなった】
【問題は路地から歩み出た途端の事。目の前を弾丸が通過し、鼻先を掠りかけて行った】

「――――――――――ッ!!! あったま来た、やったらぁ……!!」

【――――― 切っ掛けは其処から、後は止まる事を知らない】
【自警団の二人組の背後へと、裏路地を迂回し、彼女は突然に現れた。両の手に握るのは、剥き出しになった白い刃、形となった殺意】
【二重回しを翻し、疾駆を止めず、その勢いのままに、刃を一本ずつ、両者の首へと向けて振るった】
【結果は言わずとも分かろうが。そのまま直撃するのならば、ごとりと二つ、よく詰まった脳味噌の桶が、「殺ぎ落とされる」】
【果たしてそれが成されれば。鮮血へと振り返る事も無く、意識をスーツと、咥え煙草の彼へと、ビル越しにいるであろう彼へと向ける】

「……まだだ、まだ腹立つ。―――― アンタの首も"殺ぎ落とす"。其処、動くな」

【その言葉は、怒気に満ち満ちていた。それは殺意が鈴の様に音を成した様で。ブーツの踵がぶつかる音を、明確な定規として】
【ゆっくりと、彼の下へと歩み出す】

/まだよろしければ……!
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/04(木) 23:26:34.98 ID:/xtbq5/g0
【曾て戦場とされていた地。今となっては只の野原となっており、土を掘り返せば偶に骨が見つかる事が名残とされる程度】
【そんな場所に佇む人物が一人。――――傍らには、魔物達の亡骸が転がっていて】


「お前等にも言葉が通じるなら話し合いで無駄に死ぬ事も無かっただろうが…………まあ、今更言っても遅いか
悪いが、空腹の連中に自分の身を差し出してまで満腹にさせる慈悲は俺には備わって無くてな
悪戯に苦痛を長引かせた訳でも無し、それで勘弁してくれ」

【そのどれもが首が切り落とされた以外に外傷は無く、青年の実力を示す事にもなろう】
【――――かといって、無傷で済んだ訳でも無く。腕を切りつけられたか、血が流れるけれど本人は気にした様子も無い】
【軽装の鎧、風貌からして軍人の様にも思えるか】

【外見から判断するに、歳は大凡二十代。蒼髪であり、暗い朱の瞳を持った隻眼の人物】
【手にした剣の切っ先から滴る鮮血を振り払ったなら古びた布を巻き、腰に提げ】
【――――顔の左に走る傷跡。瞼が閉じられたままである事から、開かない事が知れるか】


「しかし、何だ…………流石に連日野宿ともなると疲労も蓄積するな……
もう少し歩いて宿でも探すか、その時間を惜しんで此処を今日の寝床とするか……いや、流石に此処は血生臭い」

【特に建物だとかも無い此処は見通しが良い。故に、遠くからであっても青年の姿は容易に発見が可能で】
【――血の臭いに気付いてか、それともこの時間に居る事を不思議に思ってか。何であれもしも近づくのならば数瞬早く気付いた青年が視線を向けるけれど】








【満月の夜――――人々からその存在を忘れ去られ、ただ朽ち行くだけの遺跡】
【嘗ては祈りを捧げるのであっただろうその場所も今となっては誰一人として訪れる事は無くなった……が】
【今宵は、無礼にも其処に座る女が居た。金色の髪に、同じ色の双眸。何よりも特筆すべきは背に生やした純白の翼】

【在りし日の其処を思い、思慮に耽っている訳でも無い様。ただ単純に単純に月光浴を楽しんでいるのか】



「――――今日は星も月も良く見える良い夜だ。風も心地良いし…………ボクだって偶にはこんな夜も、ね」

【漏らした言葉は誰に向けた物でも無い。ただ、何と無く慈しむ様に己の座る台座を掌で撫で】
【バサリ、と一度羽ばたかせた翼。純白の羽が月光を浴び銀色となって風に舞い】

【辺りに人気は無い。だからこそ、この女の存在も相対的に目立つというもの】
【もし、女の存在に気付いて近寄ったならば――――「ボクに何かご用かな」なんて言葉と共に、緩んだ笑みを向けるのだけれど】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/04(木) 23:29:00.89 ID:TAmDnoFC0

「―――――――――君たちに一つ教えて≠げよう」

【声。それは舞台に立つ役者の様に尊大で、聞くもの全てに少なからずの嫌悪感を齎すもの。】
【別段声色が可笑しいとか、反響している等と言ったわけでは無い。単純に気色が悪い¢カ在を声に具現化させたこのような生理的≠ネ嫌悪感。】
【関わってはならない、触れてはならない、見てはならない、聞いてはならない。思考が乱れること数秒、感じるのは絶望=B】
【殺される。死ぬ。死にたくない。其処まで飛躍することも無いが、間違っているわけでもなく。たかが声一つであるというのに歪≠連想させる。】
【たかが安物の服とジャンバーを着た赤色の男に気圧される者など要るものか】【そう思うのなら、覗いてみるもいいだろう】

【無理にして作られているわけでもない若い男の声が、殺伐とした雰囲気であった路地裏へと木霊し。静寂を肯定と称し言葉を紡ぐ。】

「狂気≠ニは」

「この世全ての生き物に須く存在しなければならない物であり」
「遍く生命体が自らの思考、思想、矮躯に内包しなければならない感覚であり」
「自らの狂気で世界を埋め尽くし、自らの狂気《りそう》で世界を塗り替える。いわゆる一つの小世界=v

「――――――まぁ、嘘ですが」

【男。】【それに相対するようにして存在するのは少女と二つの赤いキャンパス。】
【どちらもタンパク質≠ナあるという事は全く同じな物の、絶対的な相違点として動くか否か≠ニ言う事があげられる。】
【少女は何故だろうか震えており、この場合動いていないのは当然赤=B】【児戯によって塗りつぶされた塗り絵の様に―――その姿は紅々しい。】

「狂気≠ニは」
「必ずしも孕まなくてはならない物でなく、寧ろその存在自体を忌避されるもの」
「人間に潜む罪であり、人間に潜む悪であり、人間に潜む善足り得るもの」
「手繰る者によってはいくつもの絶望を撒き散らし、或いは唯一の箱舟を建造する礎にすらその身を変える」
「自らの狂気《しんねん》で世界の歴史を左右させる。いわゆる一つの開拓者=v

「――――――これも、嘘」

【ゆったりとした足取りで少女へと近づく足。この場において動くものは少女と男しかおらず、その片割れたる少女は恐怖に震え腰を地面に下ろしている。】
【必然的に動いているのは男という事になり、向けられている方向定められた道は紛れも無く少女へ続くもの。およそ十一歩と半歩に至る時間を、時間を掛けて消費していく】
【急ぐ必要がないのは、急ぐ必要が無いから。】【焦る必要がないのは、焦る要素が無いから。】
【躊躇う必要がないのは、躊躇う気が無いから。】【震える少女に近づくのは、その頬に触れたいから。】


「狂気≠ニは」
「人間にとってなくてはならない感情の集合体たるもの」
「思考に潜む歪みであり、心に潜む歪であり、体に巣食う異物たるもの」
「一つ間違えれば宿主を食い破って外界へとその身を曝し、人から人へと喚染する」
「自らの狂気《げんそう》で自らを食い殺す。いわゆる一つの自滅因子=v

「――――――またまた、嘘」


【触れる】【触れる】【攖れる】【觝れる】【少女へと近づき、頬に触れる】
【その動作は酷く優しく、酷く醜く】【加えてとても罪深い=z

「狂気≠ニは」





                                 「―――――――――――― は  て  、  何  だ  っ  た  か  な  ?  」




【白いページに、赤の絵の具を塗りたくる】
【子供の遊び】【只の児戯】【蛋白(たんぱく)消ゆる】【その刹那―――――――――】


//凍結となる可能性が大ですが…………
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/05(金) 16:24:35.26 ID:oRj41AePO
>>726でちょいと待ってみますァ
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/05(金) 19:10:21.03 ID:gi9LTVM9o
>>790
//既に寝落ちしておりました。すみません
//またの機会あれば是非よろしくお願いします!
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/05(金) 20:18:13.98 ID:IXx64N+Ko
【砂浜】
【冬の海と言えば思い切り叫ぶものだと言う人が居るだろう】
【或いは足場の悪いそこだからこそ鍛練に向いていると言う人も居るだろう】
【若しかすれば寒中水泳に勤しむ風邪をひき難い人種が跋扈している可能性も有る】
【が――――】

かーっ 出来た出来た。会心の出来だってぇ

【寒空の下、1人で成人男性すら見上げる様な無駄に力の入った砂のお城を作り上げる馬鹿野郎はこの人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪のこの男性位だろう】

【寒々しい空の下、寒々しい恰好で一仕事終えた彼は満足気で】

…………さって、どうするかなぁコレ

【完成したはいいものの、その後の処分をどうするかと腕を組んで悩み出す】
【簡単に崩れない様に波の来ない場所で作ったのが失敗だったか】
【破壊の魔法でも使えればまた楽なのだろうが、生憎とその様な便利なモノは無く】
【男は困った様に城を見上げて「かーっ」と溜息にも似た声を漏らしていた】
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 20:30:11.47 ID:AHkoG7BBo
【昼の国――ゼン=カイマ近郊、ヴォルキーグの地下墳墓前】

【墳墓、とはつまり古い墓である。此処に集まった者達の背後には】
【豪奢にも大理石を貴重とし、苔むしてもなお荘厳なその入り口が控えており】
【そして其処を塞ぐように一人の巨漢が居た。名は、フレデリック・シャリエール】

【本件の依頼人であり、案内人。かつては世間をよくも悪くも騒がせたが――】
【今では、厳格な大司教として都市をまとめて居るとか。よく知るものも居るはずで】


全員揃ったな……よろしい、改めて状況を確認しておくぞ
 聞いていなくて後で死んでも責任は取らん。……葬儀くらいは出してやるがな


 さて、アーグという人物が居る。およそ100年前の、我が前任者だ
 ……が、聖人ではない。教会から見れば布教の版図を拡げ、様々な術式を生み出した人物だが
 その裏の顔は逆らう異教徒を術の実験台にして排除していた、などという一面を持つ。

 そのアーグが先日、"エッダの安息所"という……この付近の、また別な墓所で蘇ったらしい
 現在は結界で封をしているものの、放置するわけにもいかん。そこで貴様らには
 この"ヴォルキーグの地下墳墓"、その最下層に存在する"安息所"へのトンネルを確保してもらう

 かつては盗賊が使ったものだそうだが、安息所の最下層……アーグの待つ場所へ、直接通じているはずだからな。
 ……だが逆に見れば、奴もまた其処を使ってこちらに来ている可能性が有る。

 実際、既に先遣隊が墳墓内を彷徨くアンデッドや悪霊を確認しているのだ
 故に相応の覚悟を決めてもらう。……ここ最近の騒ぎで、私も自前の槍を奪われていてな
 そのせいか、私は阻まれて内部に入ることが出来ん。救助は望めないこと、先に告げておこう――


【厳しい顔での状況説明。わからぬことが有れば今のうちに言え、と付け加えて】

【それから、彼は近くに張られたキャンプの方を示した。其処にはひと通りの銀製の武装が置かれており】
【曰く『全て祝福済みだから使っても良い』とのこと。アンデッド相手と有れば、役に立つはずだ】
【ちなみに弾丸も存在する。口径でバラつきがあるため、20発程度ではあるのだが。】

//続きます
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 20:31:30.18 ID:AHkoG7BBo

それと、貴様らには一人に一つ……この"銀のインゴット"を持って行って貰う。
 私自らが破邪の術式を組み込んだ、謂わば退魔のお守りといったところか
 
 最深部にたどり着き次第、このインゴットを適当な場所に置くように。
 それだけで場所の確保には十分な結界と成るだろう……また、もし危険を感じた場合は
 このインゴットを強く握りしめて、"戻りたい"と念じろ。セーフティネットにもなっているのでな

 ……或いは、強大なアンデッドに投げつければ手榴弾のような攻撃にもなりうるが
 渡すのは一人一つだけ……貴重なものだ、失くす事のないようにな。


【銀のインゴット――やや小さめの、1つあたり1kgほどのものである】
【フレデリックの部下が一つひとつを参加者に手渡すと、いよいよ準備は終わり】

【地下墳墓への入り口は完全に開け放たれ、ヌルい風が諸氏の頬を撫でる】
【内部は陽光が差し込み、何ともきれいなものだったが――向かって、右】
【神官の待機所が有るという方向からは、何か異様な空気が漂っていた】

【調べても良い、だろうが――地下に向かう道は真っ直ぐ奥だ。奥へ向かいさえすれば】
【右、左への小道。或いはまっすぐ進めば、なんとエレベーターが存在する】
【なんでも数百年前の人物が残した秘術の成果だとか。理論上は、直接最下層手前まで行けるそうだが…――。】

//こちらでイベント開始の全文となります。
//参加者の皆様、今夜はよろしくお願い致しますッ!
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/05(金) 20:57:27.60 ID:FKfaNDd3o
>>736>>737

【銀のインゴットを受け取る参加者の中に、それを陽にかざして見る男がいた】
【長身に赤い外套。目元までかかる不揃いな黒髪。雑踏に紛れてしまえばわからなくなりそうな風貌だった】


 ……破邪に退魔、か。イマイチ、俺のとは相容れなさそうだな


【つまらなさそうに呟くとインゴットを外套の中に仕舞い込み、興味の視線を大司教へと移す】

 で、あいつが宗教都市の偉いやつ、というわけか……案外、普通だな
 もう少し後光が輝いているかと思ったが

【もう一度つまらなさそうに呟いて、男は墳墓の入り口、更にそこから内部へと向かう】
【中に入ると男の表情は少しばかりか愉しげなものへと変わった】
【好奇心のままに壁や床に目線を巡らせ鼻歌混じりでどんどん奥へと進んで行く──が】


 ……何故こんなところにこんな近代的なものがあるのだ!
 大昔のよく分からん滑車だの何だのを使う錆び付いた何かがあるんじゃないのか!!


【エレベーターを見るなり怒号。期待を裏切られたことへの怒りをそのまま言葉に乗せて叫んだ】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/05(金) 20:59:36.82 ID:rWuppesFo
>>736-737

……ふむ。先にも聞かされたが、その死に損ないは断じて捨て置ける存在ではあるまいの

幸いにしてわらわは死霊共とはそれなりに相性も良いのでな
――鬼が出ようが蛇が出ようが、残らずまとめて冥府に叩き返してやるのじゃ


【フレデリックの説明――依頼を受ける際にも聞いた其れを耳にして】
【不敵な笑みを浮かべ、自信に満ちた言葉で応じている一人の少女がいた】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げており】
【肩付近にはバスケットボールほどの大きさの、淡く光る白い"虫"のような物体が浮かんでいた】

【SCARLET所属、カミナ・ゲルギル】
【最終決戦の折に互いに姿を見かけることくらいはあっただろうが】
【直接話したこともなく、カミナとしてもフレデリックに関しての事件は資料でしか知らない身だ】
【故にこの場では特段多くを語ることはなく、ただ一参加者として輪に加わっていた】


うむ……ぬっ、思った以上に嵩張るものじゃな
まあ、ちと違和感はあるが……帯にでも括りつけておけばよいか

とにかく任務了解なのじゃ……くくっ、わらわが来たからには失敗などあり得んからの
御主は茶でも飲んでゆるりと帰りを待っておるがいい


【受け取ったインゴットを懐にしまい、帯で押さえつけるようにして固定すると】
【一度フレデリックに向けてニヤリと笑いかけてから】
【長い髪を風に靡かせ、ひらひらと手を振って墳墓の中へと突入していった】


【――】


(…………分かれ道。さて、内部の構造については多く説明を受けておらんが)


【入ってすぐの分かれ道。真っ直ぐ奥へと進む道と、神官の待機所があるという右の道】
【その場で立ち止まり数秒、黙考した後】


(この道から感じるものは瘴気の類かの? 件の死霊が巣食っておるのは、恐らくこちらか)
(奥も気になるが、やはりここは"害虫駆除"を引き受けておくべきじゃろうな――)


【右の道――神官の待機所に向かって歩を進めだした】


/カミナです! よろしくお願いします!
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:01:51.43 ID:fTvt8Jca0

【冷え切った冬の風は一切を素通りしていた。故にその路地裏にあった全ては、飽く迄淡々と通り過ぎる乾いた寒風に曝されていた。】
【栄華と繁栄の象徴として輝くネオン街の定礎となっているのは、鉄筋コンクリートや舗装路ではない。況してや、眠らない住人たちの不断の努力でもない。】
【存分に欲望と嗜好を満たす人々が安寧を享受できる唯一無二の理由は、高層ビルの下に埋葬されるかのようにして死んでいった無数の屍たちに他ならない。】
【彼ら彼女らは死んだ。或いは、死んでいく。故に、欲望の毒牙から逃れられる人間が無作為に選別され、生き延びる。知らず知らずのうちに生き延びた人間は、巨大な墓標の上で変わらぬ日常を送る。】
【それは、弱肉強食と呼べるような理路整然とした理屈ではない。どこまでも運命的な、単なる理不尽に過ぎない。そして、この地上に運命の絶えた日はなかった。】

『――あ、ッ、ぁぁ……ぁ、……!』

【素通りするはずの寒風は、本日の犠牲者の一人だった。ひとえに乾燥と冷温だけを運んでいた彼は、充満する血腥さに殺され、その性質を異なるものとさせられた。】
【学生服の少女はか細い声を上げながら、窓もコンクリートも一面均等に紅色で塗りつぶされた壁面へと、追い詰められていた。痙攣したかのように震える彼女もまた、本日の犠牲者の一人だった。】
【少女の腰には二挺の拳銃が差されていた。だがそれは無意味だった。少女の前には、一人の女性が立っていたからである。】

「……捕まえた。鬼ごっこなんて、何年ぶりかしら?
 まぁ、いいわ――私の生まれ故郷では、鬼ごっこにこんなルールがあるのよね」

【シルクハットを被った、軍服の女性であった。腰まで伸びた白金の長髪は、鮮血と内臓の香りを運ぶ寒風の中に揺らめいていた。】
【彼女は、少女の頬を片掌で包み込んだ。澄み切った碧い眼が、息を切らせて怯える少女を覗きこむ。「怖がらなくてもいいわよ、他愛もない昔話だから」と、ぐずる子供をあやすように微笑む。】
【そしてほんの僅かでも彼女が動く度に、少女は足と肩と瞳を一層激しく震えさせるのだった。止めどなく溢れ出る涙と涎が、透き通るように白い女性の手を濡らしていった。】

「『人を捕まえた鬼は、捕まえた人に一つ好きなことができる』――面白いでしょう?」

【ゆるり。女性の指が、少女をなぞる――周囲には、鮮血。腸。血まみれの千切れた学生服。】
【遥か遠くで輝くネオンが、真紅に濡れた女性の頬を照らした。殆ど返り血に染まった女性の顔貌が、艶やかに輝いた。】

/11時まで待機します。
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:06:05.97 ID:d2Rvuone0
>>736>>737
【修道女、ではあるのだけれど。ゼン=カイマの其れとは異なった修道着を着た女が一人】
【緊張な面持ちという訳でも無く、寧ろ僅かに頬を膨らませる様は子供が怒るような其れに似ていて】
【――――まあ、それも後には溜息に変わって消えるのだが】



「マリアからは予め聞いてたけど……全く、どうしてキミの所の大司教サマはキミを含めて異端者が多いんだか…………
ま、良いさ。ずっと前から乗りかかった船だし、マリアの頼みでもあるんだから手伝ってはあげるけど」

【皮肉を混ぜながらもインゴットを受け取ればクルクルと回しながら眺め】
【其れの抱く効果を知れば、取り敢えずはと邪魔にならない様懐にでも入れるのだろう】
【さて、と集った面子を見れば見知った顔も数人。知りうる限りその誰もが大きな戦闘力を得ている事を考えれば、特に援助も必要の無い事】

【何で有れ、此処に居たところで進展する訳でも無し。逆に時間を掛ける程に蘇った人物に時間を与える事となる】
【いざ進もう、何て思った時に先の言葉がふと蘇り】



「それにしても、ボクが返してあげた槍まで奪われるなんて…………しっかりしてよね
見つけたとしてもアレは重いし、そもそも転移水晶に入れるだけの余裕があるかも分からないし…………
大司教サマにも色々と言いたい事はあるけど、それをするにも目先の問題を片付けてからじゃないと」

【唇を尖らせながら漏らしたのは彼に対する文句なのだろう】
【――――結局は軽口だ。言いたい事だけ言えばクスリと笑みを浮かべ、脚は先へと進められるのだけれど】

【先ずは真っ直ぐに進んで件のエレベーターを確かめる事にしたか。動くならば良し、然れど既に何らかの術が掛けられている事も考えられる】
【動かないならば――――手段を変えるだけ。内部の探索方法が少し変わる程度だ】



/グリース中身です!雑談見た限り可能であれば“探索側”でお願い致しますっ!
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:06:36.80 ID:XYBmpoKho
>>736-737

……ゼン=カイマに来い、なーんて言われてたけどよぉ。まさかこんなにも早くその機会が訪れるとは思わなかったぜ……。
ん、このインゴットってそんな便利なのかよ……出来るなら使わずに持ち帰って売るとか……はなんかマナー違反な気がするしダメだよなぁ。

ま、アンデッド退治は多分得意な――筈。弾丸もコッチの銃に仕込んでおいたし負ける要素は――――ああいや、コイツを言ったらフラグだやめとこ。

【青のソフト帽を被った、白シャツに灰色のジレ。ジーンズの上、腰の部分には二丁拳銃用のガンベルトが巻かれ、首元には宝玉のペンダント】
【この男――――かつてフレデリック・シャリエールとも敵対したSCARLETのガンマン、マーシャル・T・ロウ。依頼を受けて此処に集まったうちの1人である】
【先日風の国でばったり出会い、かつて敵対した大司教とも話したばかりだったのだが――――まさかこんなにも早く再開の時が来るとは思ってもいなかった】
【かつては敵同士も、今は六罪王ダグラスの打倒を誓い合った同志。そして巨悪が現れる可能性があるならば、其れを潰そうとするのが正義の役目】
【報酬など関係なく、ロウにはこの依頼に参加しなければならない理由があった。ロウは銀のインゴットをポケットに入れ、自信ありげに笑う】

……おぉう、流石に嫌な雰囲気――――こっち、だな。いつもなら避けちまおうかと悩むところだが……今回は迷わず行かせて貰うぜ?
理由は勿論……自信があるからさ。ちょっくらコンビニ行ってくるくらいの気持ちでぱぱっと済ませてくるからよぉっ!

【アンデッドには火が効くというゲームから蓄えた知識。この一点だけでロウの自信は作られていたのだが、サポートアイテムが更にその自信を補強する】
【焔の弾丸を使役できる故にロウは何となくだが大きな自信を持っていた。右手には能力の赤い自動拳銃、左手には銀の弾丸を詰めた本物のリボルバー】
【本人からすれば万全の装備。故により濃い危険を匂わせる右の道――――神官の待機所へと足を進める】
【言葉には緊張のきの字も無いようだったが、その瞳は鋭く砥がれ、五感は既に周りの全てを警戒していた】

/ロウですお願いします!
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/05(金) 21:08:40.06 ID:6hdIshlp0
>>736>>737
【墳墓の闇を裂く様な、きらり輝く銀髪を腰まで】
【骨に皮が張り付いたような体に、きりりとしたブレザーを纏う少女】
【体は小柄で、顔つきは幼く、どう見ても頼りにはならなそうだけど】
【この場にいる数人は彼女のことを、細身に宿した強靭な力を知っているはず】

【頷きで市況の説明に相槌を打つ少女は大柄な司教に臆する様子はなく、緊張も見られない】
【銀のインゴットを受け取れば、パンと拳を手のひらを合わせ】

お化けを全部やっつけて道を作ればいいのね!

【・・・・・・と、非常に単純に理解したらしい】



【墓の中へ入り、早速現るのは分かれ道】
【直進か、右か。そして右の方からは異様な雰囲気があふれ出る】
【それが何であるか、詳しいことは少女にはわからない。が、不味い物がある証拠なのは少女にも分かる】
【―――だからこそ、少女は迷わずに右の道を選ぶ】
【危険な道であるならば、自身が率先して前に出る。盾となる。それがブレザー右胸についたワッペンが示す"緋色の盾"】
【SCARLETである自身の役目であると少女は信じていたから】

//ネモです。本日はよろしくお願いします!
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:11:00.31 ID:viq4U1RK0
>>737

【―――ゼン=カイマの長により語られる説明、注意事項。厳めしい顔も相まって厳粛な空気が流れる中】
【恐らく注意して耳を傾けているであろう集まった面々と共に、一人の女性も彼の傍に立って注意事項を聞いていた。】
【この女性は彼をよく知る者≠フうちの一人。いや、知っているどころの話ではない……】

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、いつも被っている白いキャスケットは今日は頭には無く】
【着ている服も私服ではなく、嘗て着ていたあの退魔の性質も備えた白いローブ。首元には十字架のネックレス】
【手には大きな盾。これも彼なら知っている物だろう。左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。】
【身長は高くも低くも無いけれど、すらっとした足や豊かな胸元のお蔭でスタイルは良い―――外見はこんな感じ。】
【――其処にあるのは、きっと彼にとっては最も身近な女性……他ならぬ、彼の妻の姿だった。】

【たった今語られている話は、他でもない自分が体験し彼に伝えた事。恐らくこの中の誰よりも話の事は分かっている筈で】
【アンデッドや悪霊の類も霊廟の中で出くわしたから知っている。槍を奪われたことも知っている。……状況が、もはや軽視できないという事も。】
【だからこそ、注意も怠らない。前回窮地に陥った事を忘れず、今度こそ夫を心配させぬように気を付けなければ】
【取り敢えず、質問を一つ。これがあるか無いかでは大違いとなる事を―――】

……貴方、一つだけ宜しいですか?

以前霊廟に潜った折も、途中まで指輪を通して会話が出来ましたが……今回も出来そうで御座いますか?
貴方へ逐次状況を報告したり、指示を送ってもらう事が出来るかできないかでは大きな差が御座いますから。

それと、…―――出来れば、その……貴方の声を、聞いていたいので……


【……最後の方は恐らく照れも入っているのだろう、少し頬を赤らめて小声になる一面もあったが】
【要約すれば、以前と同じく指輪を通して連絡が取れるかという事。閉所なだけに、入っている間外部と連絡を取れるか否かは重要な話】
【確認が終われば「では、行って参ります!」と一言告げて、もう一度彼の傍に寄れば】
【そっと彼の頬にキスをする。周りが見ている所ではあるが……まあ、これから危険な場所に赴く妻への為に、大目に見て欲しい】


【―――入り口に入れば、道を真っ直ぐ向かう。脇道もあるが、こういう場所は何があるか分かった物では無い】
【先は向かえば、まさかのエレベーター。ロストテクノロジーという物だろうか、これに乗れば下に降りられるのか】
【兎に角乗ってみる。どうなるかどうかは分からないけれど―――】
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:11:52.49 ID:viq4U1RK0
//書き忘れていましたが、マリア中身です!よろしくお願いします!
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 21:19:31.80 ID:AHkoG7BBo
>>738

【エレベーターの造形に関しては――本当に箱型の空間、としか言いようがない】
【大理石の壁、床、そしてレバーすらもない内部。少々窮屈さすら感じるかもしれない】

【だが、明るい。コレも魔術の成果なのか、松明一つないのに真昼のように足元も見える】
【強いて懸念をあげるとすれば、乗り口に落下防止の柵などが存在しないこと】
【下手をすれば身体をすりおろされるような構造だが――其処は流石に古代の品、というところか】

>>741

……それを私に言うな。流石に100年前の先達の事など知らん
 どうも自身が死する前に情報も消していたようだが……む…。

 ふン、なんとでも言え。槍を取り返せば願いの一つでも聞いてやる
 分かったらとっとと最下層に向かうのだな。
 ……中でマリアと協働することが有れば、その時は頼むぞ

【軽口への返事はいつも通りの真面目くさったもの。ただ、末尾には】
【この場にもその姿が見える彼の妻への思いが覗いていたりもして】

>>744

む……?……あぁ、そういうことか。それであれば、可能だ
 前回の反省を活かして遮断や途絶が無いように出来る様にも、な。
 多少声が遠のく可能性は有るだろうが……気を付けるのだぞ、マリア。

【見知った顔の中でも最も縁の深い相手。左手の指輪をみせて、小さく笑えば】
【問題はないという答え。――そうと分かれば、引き止めるものもないだろうか】

>>ALL
【エレベーターにマリアが乗り込むと、周囲の大理石がきらりと緑に一瞬光り】
【僅かなラグを挟んで、下方へとゆっくり動き出す。現代のそれよりも動きは滑らかで】
【なんとも、魔術の神秘を思わせる製造物であった。――先にも言ったが、スイッチのたぐいはない】

【感圧式、なのだろう。乗ったらすぐに起動するのだから、マリア以外の二人はすぐさま飛び乗るか】
【或いはそのまま見過ごしてしまえば、次の物は来なくなってしまうだろう】
【判断の時間は実に短い。エレベーターか、脇道か。そうこうする間にも、大理石の床は下に向かっていて】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/05(金) 21:25:15.48 ID:Vkrutu+lo
>>740


 あら―――私の知ってる鬼ごっこと、少しばかりルールが違うようね。
 私の住んでた地域では、こうだったわ。

               『―――鬼は倒せる。捕まりそうなら、攻撃しても良い。』

                                                     ってねッ!!

【視界を埋める真っ赤な空間内に、響くのは一発の銃声と低く唸るような獰猛な声。】
【女性の物である事はなんとく分かるだろうが、それ以上の事は分からない。ただ、声色から察するに―――……、】
【恐らくそう歳行った人物の物ではないのは確かだ。むしろ若い少女が、無理して大人びた声を出す様な、そんな印象すら抱かせる程。】

【中空から響いたその声と、銃声が轟いた直後、少女と軍服の異端者の間に飛び降りるようにして】
【一つの影―――"群青色"の何かが真紅のフィールド内に出現する。いや、舞い降りた、というのが正しいか。】
【放たれた銃弾は軍服の女性を真上から貫こうと真っ直ぐに撃ち下ろされ、丁度その影の来訪と同時に襲い掛かるだろう。】


 ……ひっどい光景ね。銃を持った女の子に、それを殺そうとする気狂いの女。
 一つだけ聞いてあげるわ、アンタ……能力者でしょ? 能力者よね? 能力者に決まってる。

 ―――もしそうなら丁度良かった。さっき町でヘンテコなビラを見っけてイライラがMAXだったのよ。
 相手なさいな、鬼ごっこの続きはこの妖しげな女の子より……元気一杯の私の方が、よっぽど愉しいわよ?いや……、

                                       楽しませてあげるわ、きっとね。

【弾丸は丁度肩口を狙うような弾道だったが、はたして命中するかどうか、それは疑問だ。】
【この少女がダメージの確認をするまでもなくペラペラと話している事からも分かる様に、あくまで牽制の一発でしかなく】
【命中率など度外視した、かなり当てずっぽうな発砲だったのだ。単純に気を逸らせればそれでいい、くらいの意識はあったが、それだけ】

【恐らくはこの狭い空間を作り出す両脇のビル、その頂上から飛び降りてきたのであろう群青色の存在は不可思議な格好をしていた。】
【全身を覆い尽くす防護マントは見たままの、深い青色で彩られており、頭部は機械式のバイザーの様な物で包まれ表情が分からず】
【背丈で言えば160かそれ以上か、分からなかったが声色と逢わせて恐らくその正体は"女性"、それも"少女"であると分かる筈だ。】

【―――惨劇の最中、空中から弾丸と共に飛来したこの娘がなんなのかは良く分からなかったが。】
【マントに刻まれた"7"という数字が意味する物を理解できれば、なんとなくその存在を解する事も出来るだろうか。】
【カノッサ機関、この世界を象徴する悪の一つで巨大組織、その上位ナンバーズに位置する"7"を纏ったこの少女、只者ではない。】

【―――ともあれ。どんな存在だろうといま行われようとしている物はタダ一つ。】
【状況から判断して能力者であることが濃厚そうな軍服の女性と、その能力者を付けねらうカノッサのエージェント。】
【ブラッド・バスに血生臭さをブチ撒けた様なこの空間に、相応しい格好の存在が三人。始る者は一つしかない、そう一つだけ―――。】


 能力者は……皆殺しだッ!!

【月が雲に隠れる。静かな風が、ぴゅう、と吹き込んだ。】
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 21:25:15.84 ID:AHkoG7BBo
>>739

随分と心強いことだな?……だがその言葉、そのままの意味で取らせてもらおう
 期待しているぞ、カミナ・ゲルギル――気は抜かんようにな

>>742

……任務完了の折には、持って帰ってもよかろう。値打ちは有るはずだ
 もっとも、私で有れば恐れ多くてそんなマネは出来ないが……。
 ……フッ、よく来たな。お前にも、其処のカミナという少女同様期待しているぞ?

>>743

……ふむ、お前も"SCARLET"だったか。ならば外見は問題あるまい
 だが、無茶は許さん。私の目の前で死なれては後味も悪いからな
 何か有れば、先ほど渡したインゴットを使うことだ……―何か有れば、な

>>ALL

【奇しくも右の道に向かうものは全てがSCARLETの隊員。それぞれにフレデリックが言葉を返すと、探索が始まる事となる】
【といっても全員が気付いたように、その向かう先には墳墓などない。なにせ、地下ではないのだから】

【入ってすぐ右の道は、全て石畳。柱は大理石で、時折茂った苔が頭を撫でる】
【だがそれだけで、下に行くどころか時折階段すら存在し、上へ上へと向かうこととなる】
【やがて木の大戸が存在するものの、開ける事は容易。強く押せば女性の力でも開くだろう】

【そこに至るまでの話だが――気分が悪くなるような空気、魔力、或いは雰囲気が漂っており】
【さながらそれは瘴気≠ニいって差支えのないモノ。扉の前に立てば、ピタリと止む辺り】
【不穏さを感じさせずには居られない。さて、開ければ不意打ち、ということも無さそうだが――。】


【扉を開け放って内部を見れば、いささか埃をかぶってはいるものの】
【そこそこに豪華な調度品や、簡素ながらもベッドが幾つか】
【そして修道服のかかったタンスなどが其処にはあって】

【他に目に付くものといえば2つ。一つ目は、中央のテーブルに置かれた一冊の本だろうか】
【なんてことはない、ただの小説――しかし問題は、本が埃の上に置かれているということで】

【二点目は、部屋の奥に置かれた石像であった。一体は、槍を備えた僧兵の姿】
【そしてその左右を飾るように聖書を手にした子供の像と、相対するような魔物の像】

【魔物のそれは特にディティールが秀逸で、背は230cmもあるだろうか】
【腕や胴体は細くピッタリとしたドレスのような服の造形で、爪は伸びすぎて丸く捻くれており】
【厭らしい笑いを浮かべる顔を見れば、目元を隠すマスクすらある。実に手の込んだ一作であった】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/05(金) 21:30:32.59 ID:FKfaNDd3o
>>741>>744>>746

 あっ

【マリアが乗った途端に動き出すエレベーター。しかも意外と早い】
【脇道など迷うこともなく男はエレベーターに飛び乗った】

 乗るなら乗ると言え!置いていかれるかと思ったじゃないか!

【少しだけ怒った様子の男はマリアに文句を言うと大理石の床に胡座をかいて座り込んだ】

 しかし、大司教の妻が一緒とは何とも心強いな!
 全員が危機に陥ったらお前以外は見捨てられるのではないかな?

【先ほどのやり取りを横目で見ていたらしく、皮肉った笑みを浮かべながら更に続ける】
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:41:13.00 ID:d2Rvuone0
>>746>>744
「石頭の愛妻家は怖いなぁ、もう
――――頼まれなくても頑張るけど、マリアなら守る事に長けてるし大丈夫さ」

【からかう様に笑いながら答えれば掌をヒラヒラと振りながら去り】




【友人が乗り動き始めたエレベーターに対しては考える素振りを見せたが】
【三人同時に動くよりも手分けした方が効率が良い、と考えたのだろう】
【危険は増すのかも知れないが……何より、彼女は信用出来る上に一度他の墓地にも潜ったのだから――――ならば、自分は上の方から虱潰しに探して行くか、と】


「マリア、そっちの方は任せたよ
色々と突き止めるのも大事だけど、キミは色んな子に慕われてるんだから程ほどに……ね」

【友人へと声を掛ければ、後は別な場所の探索を開始するだけだ】
【――――さて、向かうのは途中に見えた脇道。何も無ければ何かが起きる/見えるまで進むだけ】
【槍の奪還や通路の確保。脇道を進むのは本命では無いかも知れないけれど、もしかすれば手助けの何かが見つかる可能性も考えて】
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/05(金) 21:47:07.02 ID:rWuppesFo
>>742

(確かあやつは……マーシャル・T・ロウじゃったか)
(かの戦の折にはよく見れなかったが、噂通りの腕前ならば心強いものじゃ)


【同じ道を選んだ者の一人、ロウに向けて視線をやって心の中でそう思考する】
【ゆっくりと語り合う時間はないが、背中を任せる味方としては申し分ない】

【噂に聞いた通りの腕前ならば、互いにフォローし合うことも可能であろうと】
【その存在を頭の中に留めながらも、道の奥へと歩を進めていった】


>>743

御主の活躍は聞いておるが……くれぐれも、無理はするでないぞ

実力を疑っておるわけではないが、此処は既に何が起こるか予想も出来ぬ死地じゃからの
くれぐれも、一人で気負うことのないように……今宵の御主は一人ではないのじゃからな


【同じ道を進んだもう一人の仲間にそう声を掛けて】
【許されるならば肩を軽くポンと叩いて共に奥へと向けて進んでいく】


【――】


(これみよがしに嫌な空気じゃの……まるで、わらわ達を誘っておるようじゃよ)
(全く、死に損ないというものはどう転んでもタチが悪いから嫌いなのじゃ)


【"神気"を操り、邪を払う特性を持つカミナは、そういった気配には敏感である】
【漂う瘴気に眉を顰めながらも、扉を開け放ち中へと侵入する】


【目に留まるのは一冊の本と無数の石像】
【本の様子――まるで、つい最近置かれたようなそれも気になるが】
【それよりもカミナの目を引いたのは石像たちであった】


"がぁごいる"、というのじゃったか? ……如何にも今にも動き出しそうな造りじゃの
さて、何処から掛かってくるものかの――


【カミナは入口付近から動かず、その場で"術"を行使する】
【周囲の空間が小さく無数に歪み、其処から薄く白い紙が4枚出現――】
【それらは宙に浮かびながらひとりでにパタパタと折られ始め――数秒程度で"折り鶴"へと姿を変えた】

【4体の折り鶴は、それぞれ部屋の内部へと散らばり】
【1体は本の方へ。残り三体はそれぞれ僧兵の像、魔物の像、子供の像へと向かっていく】
【周囲を観察するようにぐるぐると回った後、確かめるように表面を嘴で軽くつつこうとするだろう】


(何か――妙な点はないか?)


【鶴の特性は"感覚共有"。鶴の見る視覚を頭に過ぎらせながら】
【それらに危険がないかを、使い捨ての斥候によって探ろうと試みるだろう】
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:49:13.80 ID:viq4U1RK0
>>746

―――ええ、勿論です。また貴方を心配させてはなりませんもの!

【指輪を通して連絡出来ると分かれば安心したような笑顔を浮かべる。心なしか嬉しそうなのは、きっと気のせいではない】
【ともあれ気を付けるようにと言われれば、こくりと大きく頷いて他の面々と共に墓の中に突入する】

【―――内部は霊廟と同じくよどんだ空気と饐えたような臭いが漂う。お世辞にも心地良い環境とは言えないけれど】
【そんな事を気にする余裕はない。まっすぐ進めばやがて目の前に現れたエレベーターに乗り込む―――】

【……一瞬緑光が閃けば、僅かな間をおいてエレベーターは動き出す。普通の昇降機なら起動の瞬間にクンと掛かる衝撃も感じられず】
【恐らく現代とは異質な技術の類なのだろう。心の中で少しばかり感心しつつ、マリアはエレベーターで降り続ける――】


>>749

【そのエレベーターの中。急に僅かばかり怒気を孕んだ声が己に跳んできたものだから、マリアは驚いたように目を見開き】
【やがて座り込んだ彼の言葉に、優しげな微笑みを湛えつつ応じる……尤も、暗所で表情は良く見えないかもしれないけれど】
【少なくとも、皮肉に乗せられるような人物ではない事は窺えるか―――】

申し訳ございませんでした、私も乗るだけで動くとは思っていなかったもので御座いますから……
―――旦那様は、皆様を見捨てるような男では御座いませんよ。

>>750

ええ、任せて下さいな!……そうですね、大切な皆を悲しませないように頑張らないと……
……グリース。貴女も私の大切な友達なのですから、無理をしないで下さいな。
無事で帰ってきてください、約束です!

【友人へ言葉を返すと、此処で一旦お別れ。別の道を探索する彼女/友の身を案じつつ、別行動となる】
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 21:49:52.30 ID:AHkoG7BBo
>>750

【脇道をゆけば、しばらくは何もない。敵は居ない、というだけで】
【足元には何本かのワイヤーがあって、下手に踏み切れば毒矢が飛んできたり】
【或いは気配を探れば、ようやく辿り着く小広間に敵が集まっていることも分かるだろう】

【幸いにして、敵は気付いていない様子。部屋を覗きこめば、左右の壁に幾つかの棺があり】
【奥には高貴な人を祀るための石台が一つ。ミイラと副葬品が其処にあるのだが】

【ちょうど其処に群がるようにして、何体かのスケルトンやミイラが居たのである】
【墓に眠るものが墓荒らしをする、という具合か。異常が起きているのは確かな様子で】

【しかしコレまた幸いなのは、敵がグリースに気付いていない事。そして、壁際をゆけば次の道に行けること】
【その道は地下への階段のようだ。どうするかを選ぶのは自由だが――。】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/05(金) 21:50:06.84 ID:rWuppesFo
>>751
/安価入れ忘れてました!
/後半は>>748宛です!
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 21:51:44.06 ID:AHkoG7BBo
>>749>>752

【暫くの間、エレベーターは何事も無く動き続ける。機械の駆動音もなく、僅かに風を切って。】
【30秒ほども下降すると乗り口から地下の大空洞が見える。地下水脈があるのか、小川のような物も見え】
【地表からの太陽光も入っている為に、植物すら茂っている。小高い岩の上には石棺が一つ】

【――中々幻想的な光景だが、いつまでもそれを楽しむことは出来ない】
【なぜなら周囲三方の壁に魔法陣が出現し、エレベーター内の空間がネジ曲がり】
【更には空間そのものが歪んで、一挙に壁が遠ざかる。さながらそれは、闘技場のような広さにまで歪み続け】
【更には魔法陣の奥、壁を叩くようなドンッ、ドンッ!という音すら響きだす】

【このまま残れば攻撃を受けるのは必定――さればどうするか。守るか、逃げるか】
【まだ高いが、洞窟の小川に飛び込むことも出来る。乗り口は遠いが、走って飛び出すことは出来そうで】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:54:29.17 ID:XYBmpoKho
>>748 >>751

じょーだんだよ、ジョーダン。ま、なんの因果か全員SCARLET。つまりここでしくじればSCARLETの価値を思いっきり下げちまうってこった。
――――しかも俺がこの中で一番ベテラン。任しとけ……あとあとで殴らせろこのクソリア充が。

【責任を背負っているような言葉の後で、夫妻のラブラブ具合に暴言を吐き捨て――――そのままロウは荘厳な建物の中へと侵入】
【SCARLET3人で濃厚な危険の香りに真正面から立ち向かっていくことになったのだが、足を進めれば進める程、背筋に冷たさが走り生存本能がこの場所を拒む】
【ロウは小さく苦笑いを浮かべながらもその歩みを止めずドアの前へとたどり着き――――ふぅ、と小さく息を吐いた】

(なんだよ、マジで不気味じゃねーか……ここで嫌な圧力が消えるのも、余計にビビるんだよ)
(――――ま、ここまで来て退くわけにはいかねーし、そもそもんなことカッコ悪くてできやしねぇ……じゃ、御開帳――――)

【ロウか、他の2人のどちらか。誰かがドアを開ければ見える光景は、神官の使う部屋――――のような】
【その中でもロウの目を引いたのは、奥に置かれた大迫力の石像。ロウはその中でも、最も危険な臭いを漂わせていた魔物の大きな像にゆっくりと足を近づけた】

おう織守、お前もこっちが気になる感じか? まあそうだよな……俺的には明らかにこの魔物が浮いてるっつーか。
……オカルト的な現象を予想すれば、コイツが動き出す――――とか? へへ、なんか被害妄想が……。


【どうやら自分と同じく織守も石像が気になったらしく。自分なりの違和感を彼女に伝えて――――そして更に警戒を深める】
【敵が未だはっきりとしない現状では細かな情報交換も必要。その点ではSCARLETで固まったのは幸運なのかもしれない、と密かにロウは思った】
【銃口を向けたまま像のつま先から頭のてっぺんまで凝視するロウ。出来が良すぎる為か、今にも動き出しそうに見えた】


757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/05(金) 21:56:55.91 ID:6hdIshlp0
>>748>>742>>739
【三人の内、自分にかけられた言葉だけが"期待"でなく"心配"】
【ひ弱そうな自分に対し、二人は歴戦の猛者であり実績がいくつもあるのだから仕方ないのだが】
【少女はそのことを知らないし、そう割り切れる年でもない。少しムキになって】

絶対死なないし、何があっても逃げないの!

【・・・・・・心配は寧ろ、逆効果のようで】



・・・・・・あ、カミナ!ロウ!

【たたかれた肩、振り返ると目に映るのは恩人の姿】
【共に右へと進んだ二人は幸運にも顔なじみで】
【一人は自分を今の道へ導いてくれた恩人、もう一人は尊敬する先輩】
【そんな二人と共に進めるとなれば、張り切らないわけが無い】
【気付けの意味で自分の頬を軽くたたいて、心の中で拳を握る】



【扉を開けて部屋の中へ】
【真っ先に目を引いたのはこの埃まみれの部屋で一つだけ、埃も何も無い一冊の小説】
【一つだけ時間軸が違うような違和感を感じて、その違和感に惹かれるがまま本を手に取り】
【ページを一つ、めくってみる】
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 21:59:27.39 ID:fTvt8Jca0
>>747

「――あら、まァ」

【既に大気に侵されることで赤黒さを孕み始めた月下の狩猟場には、只管に犠牲者の啜り泣く声が響いていたが、それは一つの銃声と共に掻き消された。】
【乾き始めた血を下地にして、真新しく鮮やかな鮮血が上塗りされた。女性の肩口には底の知れぬ肉の洞穴が開き、無尽蔵に血液を噴き出していた。】
【女性は不思議そうな表情を浮かべたが、すぐにまた穏やかな笑みを浮かべた。そしてビビッドトーンの存在に向き直りながら、憐れな犠牲者の足を振り向きざまに蹴り飛ばし、へし折った。】
【甲高い絶叫は湿り気を帯びた壁に多く吸い込まれ、遥か遠くのネオン街まで響くことはなかった。犠牲者の身体は吹き飛ばされ、闖入者たるアクセントカラー――少女の足元に転がった。】
【苦悶に歪んだ表情は透き通った体液と深みを持った深紅色に汚れきり、新しい関節を造られた両足の太腿は早くも酷い紫色に膨れ上がり、あまりにも不自然な方向に曲がっていた。】


「へぇ、そんなルールもあるの。……どうもこんばんは、お嬢さん。『素晴らしい』ところでしょう?
 そうね、私は――ううん、でも厳密に言えば、私は『ただの生き物』でしかない、かな」

【加害者たる女性は、まるで街角で知り合ったばかりの茶飲み友達と出会ったかのような調子で少女に語る。悠然たる足取りで、少女と犠牲者に近付きながら。】
【長身の彼女は精巧な仏蘭西人形にも似た顔立ちをしていた。煌めく長髪は艶やかで、その微笑みは何処かの名家の婦人のようでもあった。血に染まっていない素肌は、触れれば溶けそうなほどに白かった。
【そして、彼女のシルクハットは赤黒かった。彼女の軍服は赤黒かった。彼女のロングブーツは赤黒かった。ネックレス代わりに首にかかったドッグタグも、襟元に付いた何かの徽章も錆塗れだった。】
【彼女の背中には、彼女の背丈ほどもある「何か」――太く長い得物が、血の染みを得た襤褸布に包まれた上で背負われていた。ロングブーツが、微かに歪んだ。】

「ふふっ、それも確かに良さそうね――決めた。今日の晩御飯、メインディッシュはあなたにするわ」

【彼女は、少女へと跳んだ。真っ直ぐに、迷わずに。その動きは単調であった。悶える犠牲者を跳び越えて、背負った「何か」に手をかけ、その質量を以って少女を粉砕せんとしていた。】
【――そして、先程女性に開いた紅い風穴は、何故か既に消え失せているのだった。】
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 22:03:21.80 ID:viq4U1RK0
>>755

【エレベーターで30秒ともなると、結構な深さとなる。……なるというのに、やがて見える大空洞には日の光が差し込んでいる】
【これは中々の光景。まさかこの場で鮮やかな緑色を目にすることが出来ようとは……などと感心している暇はないようだ】
【――空間がグニャリと歪む。乗り口以外の三面に現れた魔方陣は空間事エレベーターを広げ、さらに衝撃音まで響くこの状況】 
【どうする?―――考えずとも、とどまり続けるのが上策では無いという事くらい分かる。ならば、為すべき行動は一つ!】

―――えいっ!

【逃げるが勝ちと判断するや否や、マリアは出口へ向かって一目散に駆け出す。これが中々速く、引退してなおまだまだ衰えていないことを窺わせるか】
【出口に到達すれば、一気に飛び降りる。ちょっとやそっとじゃ破れない丈夫なローブは、こういう時に役に立つ】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 22:04:59.20 ID:AHkoG7BBo
>>751

【――さて、折り鶴が探索を始めて石像を突く。だが、感触はコンコンと言うもので】
【どうやら本当に石なのか、妙な動きもない。作りが精巧であることを除けば、ただの石か】
【強いていうなら―――幻聴でなければだが、くつくつ、と笑う声が響いた気もしたが。】

>>756

【見れば見るほど不気味な像だ。人がモチーフにも思えるが】
【それであれば背が高すぎるし、目を隠す理由が全くない】
【爪にしても、ただ切らないのでもこうはなるまいという様子であって】

【――いつまでも見ていると、意識が吸い取られてしまいそうな要望だった】
【思い込みかも知れないが、本当に何か、悪影響を及ぼして居るような――。】

>>757

【机に置かれた本の中身は"消えた島の話"という】
【いわゆる都市伝説モノ。ある海域には霧に紛れて漂う島があり】
【其処には神や、神獣が。或いは怪物が棲むというお話である】

【開かれていたページは"雷神さま"の項。島には何人もの神様が居て】
【特に力が強いのが彼だという。その力の説明、なのだが――】

>>ALL

【調べれば調べるほどに、異質であった。石像はあくまでも石であり】
【しかしロウやカミナはその細かな異常にも気付く事ができるはずだ】

【また、部屋の中央に居るネモからはまた別な物も見えるだろう】
【例えば、そう――魔物の像に対峙している僧兵の手にある槍の刃が】
【急にぎらりと光ってから、像の腕ごと急に崩れ落ち】
【魔像の傍に居るロウを頭蓋から叩き割るようなコースで、落ちてゆくこと。】

【そして或いは、カミナの背後で大きな木戸が急に、音もなく動き出し】
【そのまま閉じるだけではなく――部屋の内部に押し込まれるように、勢い良く押し開かれ】
【カミナを重量のある扉で叩き飛ばそうとする所、だとか。】

【――その全ては実際に起きる事。ロウもカミナも、気付けばネモの注意より早く行動できるハズだった】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 22:11:09.31 ID:d2Rvuone0
>>753
【流石に鼻歌交じりに歩く事は出来ない、とは予め予想していた事】
【幾つかのトラップには警戒をしていた故に発動させる事も無く】
【――――妙な気配、とでも表すべきか。感じたその場所へと視線を向けてみたならば、その通りの状況】

【然れど気付いていないならば通り抜けようとするが…………溜息と共に脚を止め】
【握ったのは双銃。敵が敵ならばそのまま進んでしまおうとも考えたが、異質な存在が居る訳でも無い】
【ならば時間がそう掛かる訳でも無いのだから骸が荒らされるのを止めてやろう、とでも思ったか】


【…………次には、幾つもの乾いた音が響き渡る事となるか】
【ただの鉛弾では無く、己の教会にて祝福した銀の弾丸。一介のアンデッドならばその効果は記す必要もあるまい】
【狙いは全て頭だ。今までの相手に比べれば大した事も無い、と踏んだ故の行動】
【或いはそのアンデッド達から何か情報が掴める可能性も僅かながらに考えたのか】
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/05(金) 22:14:27.45 ID:FKfaNDd3o
>>755>>759

【エレベーター内で発動したトラップ。空間が引き伸ばされて謎の音が聞こえ始めてからやっと、男は呑気に立ち上がった】

 空間歪曲に封印か?術者はなかなかだな……ん?

【立ち上がっても尚逃げずにその様相を観察していたが、視界の端で同乗者が飛び降りるのが見えた】
【どうするか、と一瞬迷う。いつもならば目の前で発動する魔術は全て見届けるが今日の主題はそれではなかった】
【何より同乗者がいなくなってしまった。一人で残ってもいいが、それでは面白くない】

【数秒とかからずに思考を纏め上げ、アインはエレベーターから小川に向けて飛び降りた】
【落下中に風の魔術で落下速度を減少。小川に着水する】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 22:18:16.72 ID:AHkoG7BBo
>>759>>762

【飛び降りたのなら、結構な高さ。小川があるとはいえ、その水は冷たくて】
【岩や土に見をぶつけないようにしても――幾らか不利益はあるだろうか】
【ちなみにこの水脈、流れに逆らわなければ更に奥へも行けそうだった、というのは余談であり】

【ともかく、おりた先は先ほど見た大空洞。安置された棺は動くこともなく】
【周囲に広がる緑と陽光が心地よい。奥には上り階段、背後には下りの階段が】
【そして飛び降りたエレベーターを見れば、更に下へと向かう所であるものの】

【その乗り口からは巨大な腕が何本も覗き、這い出そうとしては失敗を続け】
【やがて術の力に負けて、下方に消えた。――いや、白い塊が後を追うように見水に落ちた】

【――この白い塊、今は何も起こさない。しかし罠の名残りと思えば脅威なのは確かであり】
【早々に先へ向かうか、排除するかする必要があった。或いは、棺も調査対象ではあったが――。】


>>761

【銃撃の嵐が吹き荒れると、無防備であった最下級のアンデッドたちは崩れ落ちる】
【やはり雑魚は雑魚だ。銀の弾丸、祝福済みともなれば威力は抜群らしく】


 ―――ぉおぉぉおおオオっ!何たる事を仕出かすのか……異端の女よ!
  我が……我が配下たちを無残にも魂ごと引き裂くとはッ!嗚呼……あァッ!!


【むく、と起き上がるのは雑魚が群がっていた一体のミイラ。安置されていた以上は高位のはずだが】
【全身を包帯で覆われて起き上がる姿は、何ともさもしい物があって】
【彼――おそらくは彼でいいはずだ――はかたわらの杖を手に取ると、その先を向け】

【何事かつぶやいて、グリースめがけて飛び出すのは強烈な雷撃の術】
【身を焼き、或いは肉を穿つ一撃であった。杖という媒介のお陰か、発動はひどく早かった】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/05(金) 22:21:11.58 ID:Vkrutu+lo
>>758

【―――もとより、犠牲者を助ける為に出現したわけではなかったとはいえ。】
【幾らなんだって蹴飛ばして、へし折って、そのまま放置って言うのは流石に―――なんて。】
【そんな悠長な事はどうやら言って居られる状況ではないらしい、この女、想像以上に"ヤバ"そうだった。】

 (……ッ!? 当たった……いや、それはともかくとして、弾丸が命中してるのになんだってこんなに―――、)
 (冷静? 嘲笑? 効いてない……? 分からないけど、こいつどう考えても普通じゃない……!!)

 ……そう。タダの生き物でしかない。じゃあ、能力者と同じね。人間以外のなんかのバケモノ。
 正体はよくわからないけど、怪物である事に違いは無い。害する悪党、それだけ条件が揃えば十分……そして。
 おまけに気狂いで、その上どうにも弾丸すら効かないときたら……ふふっ、うふふっ……!! いいわ、最高じゃない、それでいいッ!!

【―――だが、今は戦闘の時間だ。待ちに待った戦闘の時間だ。恋焦がれた戦闘の時間だ。】
【ならば相手は危険で強い方がずっといい、うんといい、それが一番に決まっている。だからこそ、全力で。】
【ただのエモノではなく、何時もの仕事の延長上でもなく、気分を晴らすその一転だけに、自分がスッキリする為だけに―――】

 お嬢さん? やめてよ、私はそんな風に呼ばれるほど出来た人間じゃないわ。
 むしろこう呼びなさい―――Nemesis<復讐の女神>と。カノッサ機関、ナンバー・7の実力、味わうがいいッ!!

【お互い、哀れな犠牲者はそっちのけ。それもそのはず、これは正義の味方と悪魔の化身の戦いではない。】
【野良犬と野良犬のどこまでも果てしない噛み合い、殺し合いだ。其処に深い意義も純然たる理由も、何一つ要らない。】
【ただあるのは生死のみ―――ネメシス、そう名乗った彼女は突撃してくる女目掛け片手を振り上げると、高らかに宣言した―――!】


                        "Summon Insects"     (  ―――来たれ、我が眷属よ―――   )
 
                           "Scorpion"    (  ―――猛る甲殻で仇敵を打ち破れッ!!―――  )

【するとどうだろう―――振りかざした彼女の右手に即応する様に、地面が盛り上がるとコンクリートに亀裂が入った。】
【轟音と共に弾けとんだブロック片が、多量の土砂が宙を舞うその間に"ソレ"は姿を現す―――強大な外骨格に、大きな鋏。】
【そしてその後部には余りにも長過ぎる尾っぽと、先端の針から毒を垂らしつつ―――まるで竜の様に尾っぽを振り上げ、ソレは唸った】

 サソリって食べれるの? まあでも、殻剥いたら中身はぷりっとしてそうよね。
 コイツの場合は、人一人が食べれる量なんて超えてるくらい、肉厚もボリューミーだけど、ねッ!!

【―――身長5m前後はあろうか、巨大なサソリが軍服の女と、そしてネメシスの間に現れて】
【その強大なボディーと、そして分厚い外骨格で女の侵攻を食い止めようとするだろう、その硬さは正に鋼鉄。】
【勢いがついていたのなら、それだけでもうカウンター・アタックとなりうるほどの強度を持つ巨体の出現。果たして、どう出るか。】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/05(金) 22:28:23.96 ID:6hdIshlp0
>>760>>751>>756
【開いた本の中身は何てことのない都市伝説の類のように見えた】
【たくさんの神様だとか、怪物だとかが住んでいた消えた島の話らしいけど】
【この部屋の中には関連性のあるものは見当たらない】
【今開いている項、雷神さまとやらもこの部屋には関連性はなさそうだ】
【石像の姿も神様というよりは悪魔か、怪物と言ったほうが似合う】

【他に怪しいものはないかと部屋を見渡していた時。】
【僧兵のヤリが唐突に光を放ったかと思えば崩れ落ち、ロウの脳天を砕こうと―――】

―――危ないっ!!

【甲高い声が部屋の中に響き、同時に少女が床を踏みつけ、飛ぶ】
【細い足からは想像も付かないような轟音が鳴り、流星の如し速さで空を駆け、落ちる槍が届く前に殴り吹き飛ばそうと】

【危機は再びやってくる】
【次はカミナの背後にて、ひとりでに木戸が閉じ勢い良く押し開かれようと】

カミナっ・・・・・・避けてっ!

【既に飛んでしまった少女、向こうへ向かうのは間に合わない】
【何でも良い、少しでも扉の勢いを弱めてくれと少女が取った行動は投擲】
【肩にかけた鞄を引きちぎり、力いっぱい、扉に向けて投げつける】
【鞄の中身は鉄製のガントレットが二つ。重量、威力は十分にあるはず】
【せっかく作ってもらった武器をこんな風に遣うのは気が引けたけど仕方ない】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/05(金) 22:28:46.63 ID:rWuppesFo
>>756>>757>>760

古今東西、動く象など定番の仕掛けじゃよ
わらわの"妹"も似たような術を使っておるしな……有り得ぬ話ではあるまい

まあ、こうもあからさまじゃと……逆に他の像を疑いたくなるが――


【ロウに対してそう返しながらも、折り鶴による偵察を続ける】
【一見してただの石像にしか見えない……が、そう思いかけた折に、妙な声が聞こえた気がした】


……気のせい、と捨て置くのは危険じゃな
やはりこの部屋は"何かある"ようじゃ。……気を引き締めてかかるがよ――


【二人に注意を促そうとした瞬間、突如として異変が起こる】
【僧兵像の腕が突如として崩れ落ち……】


――っ! ロウ、今すぐそこから離れるがよい!
やはり、仕掛けがありおったか…………――――!?


【……ロウに咄嗟に呼びかけると同時に、自身の後ろで起こる異変にも気がつく】
【閉じるまでは、無音であり気がつくことは出来なかったが】
【内部に押し開かれる瞬間生じた空気や塵の動きなどから、背後に何らかの危機が迫っていることを察し】
【即座にその場から飛び退り、寸前のところで扉を回避することに成功した】


ちぃっ……姑息な真似をしおって!

悪霊だか亡者だか知らぬがさっさと姿を現すがいい!
隠れて様子を窺う腹積もりならば――このまま部屋ごと浄化してくれるのじゃ!


【カミナは腰に下げた剣を引き抜き両手で握って構えながら、周囲に怒鳴りつけるようにして声を叩きつけた】
【同時に抜かれた刀身が淡く光り、"神気"――祓いの力を内包する聖の気を纏わせながら】
【飛ばしていた鶴たちを戻して、己の周囲を囲うようにして展開し――四方を窺いつつも様子を窺った】

【神職ではないカミナでは広範囲の浄化など出来ず、せいぜい触れるか剣を通して流し込める程度の技量である】
【放った言葉は焚きつけ炙りだすための虚偽だが、何らかの変化を促せるだろうか】
【カミナは警戒心を極限まで強め、何が起ころうとも見逃さず対応できるようにと備えていた】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/05(金) 22:33:33.66 ID:XYBmpoKho
>>760 >>765 >>766

……つーかなんで目隠し――――いや、なんかちょっとだけ気分悪くなってきたかも知れねぇ……見るのやーめ……ッッ!?

【ロウの気のせいかも知れないがただの像にしては不可解な点が多かった。目を隠していることもそうだが、丸まった爪】
【元々そういう表現をして作られたのかもしれないが、オカルト的なモノを想像したからかなんだが「作られてから伸びて丸まった」かのように思えて】
【警備で有名な美術館に展示されている国宝級の作品を目にしたことも何度かあったが、其れに引けを取らない――――否、優っている程の造形に感じた】
【それでも美しい――――などという気持ちは一切芽生えず、何だか逆にモヤモヤが何故か心に湧き出るというか。ロウが目を反らそうとした瞬間――――】

――――うぉぉあああああッッ!? っぶねぇっ、なんだよコレェ……ッ!? やっぱあんぞココ、何かあるって……!!

【二人の警告が耳を貫く。視界の隅に見えた僧兵の腕が、音を立てながら崩れ落ちる。遅れてぎぃん、という金属音――――】
【ロウは瞬時に尻もちをつき両手に持った銃をクロスさせ、頭上で刃を受け止めていた】
【あと数秒早く視線を反らしていたら、ロウの死角から刃が襲い掛かり――――脳天をソフト帽ごとかち割っていたに違いない。一気に大粒の汗が頬を伝った】
【自分だけで済めばよかったが、織守にもそのポルターガイストのようなことが起こる。その刃を跳ね除けてからロウは動揺しながらも、2人に注意を呼びかける】

うっわ死ぬとこだったぁ〜〜〜〜ッッ!! 何がアンデッドだ、そんなもんよりもよっぽど怖えっつーの……!!
織守ぃっ、大丈夫か……!? ネモぉっ、お前も気ィ張れよ? 前会った時みたいに気ィ抜いてるとマジ洒落になんねぇからコレ!!

【特にネモ。以前のことがあるだけに心配――――なのだが、他人に気を配っている余裕も正直そこまでない】
【……というか、先程も二人の声が無ければ防げたかどうか。注意しろ、と言える立場に今この男があるのかは気にせず、兎に角注意しろと言い聞かせる】
【付きっ切りで彼女のサポートは出来ないことに心の中で舌打ちをしながらも、ロウは直ぐに立ち上がり周りを見て身構えた】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/05(金) 22:34:17.80 ID:rWuppesFo
>>765

――承知しておるのじゃ!


【タイミングは>>766で扉を回避する寸前であろうか】
【突然の奇襲を無傷で回避できたのは、ネモの援護の効果も大きいだろうか】
【それが動きを緩和していなかったら、体を一部を打ち据えられ少なくないダメージを負っていた可能性もある】
【転がるガントレットを視線の端に見やりながら、カミナは心の中で少女へと感謝の念を送った】


/補足のレスです!
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 22:34:19.93 ID:viq4U1RK0
>>763

【冷たい水の中に身を落とす。……ローブという服の性質上、濡れてしまえばすっぽりと体を覆っていた布地は体に張り付いてしまい】
【本来ボディラインを目立たせないようなデザインである筈の其れは、逆に彼女の健康的な肢体の輪郭を露わにすることになる】
【―――尤も、それを気にする人など恐らくこの場にはいないのだけれど】

【立ち上がって小川をざばざばと歩き進めれば、見えるのは階段二つとエレベーターの乗り口……と、其処から零れ落ちた白い塊】
【恐らくエレベーターに仕掛けられた罠だろう。間違いなく危険を及ぼす物とみて間違いはあるまい、対処するに越したことはない】
【念の為に以前霊廟でも使用した聖の力を持つ白光をその右手に生み出し、弾丸状に形成して塊に目掛けて解き放つ】
【白い塊が動いたりでもしない限りは、ある程度高速で解き放たれた聖光の弾丸はまず外れる事は無いだろうが……】


【対処が終われば、此処が分かれ道という事もあり指輪を通じて夫に現状を報告する。】

―――貴方、聞こえますか?
只今内部で乗ったエレベーターに仕掛けられた罠を回避する為に、内部のエレベーターから降りて洞窟に辿り着きました。
此処から上りと下りの階段が続いております。……私は下りの方へ進みます。

今の所、濡れた以外は特に傷を負うこともありません。少し冷たいですけれど……
では、また報告すべき事があれば連絡致しますね。

【―――話し終えれば、言葉通りにマリアは下りの階段に進む。待ち受ける物は一体―――】
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 22:34:50.60 ID:d2Rvuone0
>>763
【想像通り、容易く葬る事が出来】
【続けて地下に行こうかと思えば……響いたのは声だ】
【なる程、と一人納得をすれば銃を握ったままに振り向いて】


「助けたと思ったら逆に怒らせちゃったみたいだね?
――――ボクにとっちゃ知った事じゃ無いけど。…………じゃあ、キミもその配下と同じ場所に行こっか
大丈夫、次は幾ら騒がしくてもまた起きるなんて事は無いから、さ」

【素早く紡いだ詠唱。然れど其れは攻撃に転ずる物では無く、守る為の物。更に正確に表せば弾く物】
【右手にその術式を纏えば、その雷撃に対して目を細めて――――受け流すようにして壁へと弾く】
【…………とは言え、流石に完全無傷とは行かぬもの。右腕には火傷の跡が残るも……今は、具合を見るよりも反撃だ】

【左手に握る銃口の先は、やはり彼の頭】
【――――そのまま引き金を引けば、今度こそ確実に葬らんとするのだけれど】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/05(金) 22:37:24.71 ID:FKfaNDd3o
>>763

 なんだよ冷たいじゃないか……!

【水面に顔を出して口に入った水を吐き出すや否や、水温に文句をぶつける。文句は熱量を持たないので暖かくはならないが】
【周囲を見渡すと棺に登り階段、下り階段、そしてエレベーターから落下する塊が視界に入った】

 あー、なんだ、これは?迷路か?
 もう少しこう、石畳の床や壁にスイッチまみれの迷宮を想像してたんだが、また期待はずれか!
 全くつまらんな!

【バシュッ!という音と共にアインの周囲で巨大な水飛沫が巻き上がる。風圧によって自分を水面に押し上げた影響だ】
【風の魔術の応用により、アインは水面の上に立っていた】

 さて、どうするかな……
 とりあえず、あれから見るか

【そのまま水面を歩いていき、棺の元へと向かう。邪魔がなければ、勿論開けるだろう】
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/05(金) 22:38:30.69 ID:GeuUmPoCo
【夜―――公園】

【日が暮れ、そこにいた人の多くも消えたその中で、幾つかの音が響いていた】
【風を切る音、金属を打つ音、砂を踏む音――――それから、荒い呼吸の音】
【その全ての中心にいるのは、一人の少女。両手に握るは長さの異なる長短一組の双剣で】

――――――はぁッ!

【一歩を踏み込んで振るった長剣が、硬い音を立てて止まる。その先にあるのは黒いヒトガタ】
【西洋甲冑の影に厚みを持たせたような、そんな姿をしたヒトガタが、少女の繰り出す刃の一つ一つを、確かに受け止めていた】

はっ…………はぁ……――――かなり、動かせるようにはなったわね……。
ぁあ……、ようやく、といったところ、かしら……?

【――――そんな光景が少し続いた後、少女は双の剣を納め、地面へと腰を下ろした】
【西洋鎧とドレスを一体化したような、所謂鎧ドレスがガシャリと音を鳴らす。】
【白い肌に張り付く銀色の髪を鬱陶しそうに払い除ければ、少女は大きく一つ、吐息して】
【目立たないものではあるが、少女に関して一点、妙な点を挙げるならば。座り込んだ地面に彼女の影が無い、という点で】

【そんな少女の前、ヒトガタはただそこに立ち尽くすようにしていた】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 22:42:11.67 ID:AHkoG7BBo
>>765>>766>>767

【ネモの迅速な行動、カミナの警戒心の高さ。或いは、ロウの機転】
【幸いにして惨事は怒らず、石像の腕は砕け、木戸もまた叩き壊され】
【受け止められ、殴り飛ばされた僧兵の槍は壁に深々と突き立っていて】


――姑息な真似だなんて失礼なァ。敵の手の内を探るは上等手段
 それも墓に……墓にッ!他社の墓に盗掘でもない用事を持った連中を
 どうして攻撃せずに居ろと言うのかッ!?否と神は仰せだ――

 神がッ!そう仰せなのだからッ!!…――死んで頂く、今この場で。
 拳士銃士、そして術士ッ!皆々様には此処で死んで貰ウゥゥゥゥッッッ!!


【動き出すのは子供の像。手にした聖書は石のページがパラパラと捲れ】
【其処に、石像でありながら血涙を流しながら、部屋の全てが揺れ動く大きさの叫びを発し】

【直後に動くものがいくつかあった。一つは、先ほど壁に突き刺さった槍であり】
【これがふわりと浮いてから、ネモの胴体を串刺しにしようと凄まじい早さで迫ってゆき】

【更にこちらは家具類。タンス、ベッドが浮かび上がると、カミナ目掛けて吹き飛んでゆく】
【量が量だけに、直撃を受ければ文字通りに潰れてしまうことだろう。容赦や隙は、さして見えず】

【そして最後にロウだったが、彼には再度僧兵が攻撃を仕掛けることとなる】
【動き出した片腕の僧兵像は巨体で相手を押しつぶすように、残った腕で殴りかかりながら迫っていって】
【その全てを眺めるのは子供の像であった。魔像は――不気味だが、動かなかった】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 22:52:15.16 ID:AHkoG7BBo
>>769

――洞窟に落ちたか…。傷がないのなら、それで良い
 其処は下りで問題ないはずだ、奥にはこの地の由来となった
 ヴォルギーグが眠っているハズ……無論、無条件では入れなかろうが

【下りの階段に進むのもまた良しとの答え。しかし、無条件では入れない――】
【何処と無く不穏さを思わせる言葉であったが、先ずは進むのが優先か】

【降りてゆけば、一階、二階と広い作りになった広間に出る】
【左右の壁にはところ狭しと棺が並び――部屋の各所には亡霊も見える】
【半ば透けた姿だが、手には剣や弓がある。まだ気付かれては居ないが、数が非常に多く】
【この先の警戒を伺わせる警備網、といったところであった】

>>771

【棺を開ければ、内部には当然ながら時間の経った遺体が一つ】
【そして副葬品なのか、恐竜や龍の腕を象ったような金のアイテムが共に眠っていて】
【値打ち者にも見えたが――作りが妙に精巧だ。取らずともよいが、気にかかるかもしれない】

【また、同空間に存在する白い塊はもぞもぞと水を吸って動き始めていて】
【まだなんとでもなりそうではあったが、早いところ場所を変えたほうが良いようにも思えた】
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 22:56:48.37 ID:fTvt8Jca0
>>764

【跳んだ彼女は手にかけた「何か」を引き抜き、振り下ろした。少女が喚び出した一匹の蠍が血染めの大地を割り、斬撃を外骨格にて食い止めれば、行き場を失った風圧が周囲を引き裂き、咆哮が拍車をかけて大気を揺らす。】
【襤褸布は微かな鎌鼬と僅かな火花を正面から受け、そして弾け飛んで散った。舞う破片は一面の血溜まりに落ちて、丁度粉雪が溶けるように染め上げられる。】
【顕れたのは、一本の大剣であった。滑り止めの溝以外に一切の装飾を排した剣柄。無数の鉄板によって不規則に組み上げられた、少女の二の腕ほどもある横幅の分厚い刀身。】
【鍔すらないその剣には、無数の罅割れが生じた血糊がこびりついていた。そして鉄板の隙間には、未だに湿っている死肉が夥しく食い込んでいるのだった。それは化物の大口であった。】
【同時にそれは、尋常ではない重量を有していることも容易に推し量れた。彼女は鉄塊を片手で握っていた――しかしなお彼女は、それを振り回すのにさしたる労力を要することもなかった。】

「そう、ネメシスというの。ふふ、いい名前……私は『クラリス・“アクア”・トファーニア』――
 貴女も、喜んでくれるのね――私も、嬉しいわ。貴女、とても爛々としていて、『美味しそう』だから」

【恍惚と愉悦を吐露しながら、彼女は斬り付ける身体を後方へと飛び退かせた。そしてその碧い双眸は、殆ど目前の脅威を見ていなかった。】
【ただその向こう側で、自分と近似した――或いは同種の悦楽を感じている少女を、穏やかな目線で見つめていた。】
【――だが彼女が鋼の甲殻を有する蠱毒の主に一切の感興をそそられていないかと言えば、それは明確な偽であった。】

 しかも、オードブルまで用意してくれるなんて。……でも、テーブルマナーくらいは守ってほしいもの、よ?」

【彼女は駆け出す。両手で鉄塊を握って。そして、再び跳ぼうとする。先ずは大地を蹴り、そして既に赤黒くなり始めた壁面を二つ目の足場として、蠍の巨躯よりも高く。】
【振り下ろされる圧倒的質量、真っ直ぐに狙うのは蠍の針。溢れだす猛毒を隠さないそれを、彼女は先んじてへし折らんとしていた。】
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 22:59:15.82 ID:d2Rvuone0
>>74
「龍、ねぇ……ダグラスの事もあるしあんまり良い思い出は無いけど…………
これ自体は団長サマに聞いたりする方が良いかな……」

【――――何かを象られた其れを手にすれば、一体何の為に使うのかと考えたけれど】
【恐らくは自分で探るよりもその手に詳しい者に任せた方が良いと踏んだか、今は水晶で送り届ける以外何かする訳でも無く】


【新たな厄介事が起きるまで律儀に待つ必要も無い。ならば後は地下へと潜るだけだ】
【壁伝いに地下へと潜れば本来の目的を果たさんと探索を再開するのだけれど――――……】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 23:01:01.23 ID:AHkoG7BBo
>>770

【放たれた弾丸がミイラの頭部を穿つ寸前、再度室内に雷撃が響く】
【見れば額を抉る直前で弾丸が捉えられていて、ミイラの顔がニヤリと歪み】


馬鹿めがッ!我がインドラの杖の前に、弾丸なぞが効くと思うたのか!?
 笑止よ、笑止ッ!我が配下と我を同列に甘く見たのが貴様の失態――死ネぃ、異端者めがッ―!!


【捉えた弾丸をお返しするとばかりに、再度電撃をグリースに飛ばす】
【今度は喰らえば肉を削ぎ落とすほどの威力を持ち、なおかつ弾丸も溶けかけながら混じっていて】
【直撃だけは避けたい所、だが――しかし、このままではキリがない】
【遠距離が主体となれば、近づきさえすればとも思われるが――?】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 23:03:24.89 ID:d2Rvuone0
/ギャー!思いっきり自分宛の安価を見誤ってる!!本当に申し訳無いのです……
/お恥ずかしながら>>776を取り消して頂きたくですね……
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/05(金) 23:05:41.64 ID:FKfaNDd3o
>>774

【棺の中はなんと金。売ればカネになる、盗掘者が主目的とする物品だ】
【勿論、アインもそれらを手に取る。ただし、目的は副葬品そのものではなくそれを取ることによって“何か”が起きることだ】

 ……向こうのも試すか

【罠があるかどうかはともかく待っている間の暇つぶしとして、白い塊の方に意識を向ける】
【それに向けて片手をかざすと、アインと同程度の直径を持つ巨大な火球が瞬時に形成】
【白い塊へ一直線に飛来する】
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/05(金) 23:06:43.51 ID:rWuppesFo
>>765>>767>>773

ふんっ! 石像などに身を隠して
こそこそと様子を窺っておる輩を姑息と言わずして何と呼ぶ物か!


其れに神が仰せじゃと? 誰かに命令されなければ考えることすら出来ぬ木偶風情めが!
貴様のような三下の駒風情、万と揃えようがわらわ達の命を奪えるものか――!!


【石像から放たれた台詞――誰か、バックに強大な存在を匂わせる其れに勢いよく啖呵を切りながら】
【内心ではその"神"という何者かに対して】


(……"神"、話の流れから察するにアーグという者のことと考えるが妥当か)
(それとも別の何かが介入しているのか、どちらにせよ……面倒な事件になりそうじゃの――)
 

【などと思考を過ぎらせながらも、直後に発生した事態に対して反応する】

【突如として無数の家具が浮遊しカミナ目掛けて飛来する】
【心霊現象の代表格であるポルターガイスト、もしくはサイコキネシスの類か】
【四方に展開した鶴との視覚共有でそれらの姿を捉え】
【自身を押しつぶそうと迫る姿をしかと脳内にビジョンとして浮かべながらも】

【カミナは服の中に仕込んでいた術を発動】
【着物の背に細く長く刻まれたスリットから白い"翼"が現れると】
【即座に刻まれた特性を発動――"飛翔"、"加速"】

【宙に飛び上がって離脱することでタンスを回避し、続いて襲いかかるベッドの端を足先で蹴って】
【反動で勢いをつけながら、更に特性による"加速"を上乗せし】
【一本の矢の如き勢いで"子供の像"に向かって一気に接近しようと図る】


【同時にカミナの左右の空間が歪み、それぞれに1.5m四方ほどの紙が出現】
【カミナの飛翔に追従しながらも、先程の鶴同様に空中で見えない手で操られるようにパタパタと折られ始める】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 23:13:20.84 ID:AHkoG7BBo
>>779

【副葬品を取ると――ガコン!という音がして、周囲の壁が動き始め】
【やがて始まるのは、水の流入。そもそもの水源以外にも堰き止めてあったものが】
【周囲の壁から滲み、溢れだす。その勢いは凄まじく、水かさは徐々に高まり始め】

【白い塊に向けて巨大な火球もまた、水に飲まれて消されてしまう】
【塊自体、水に飲まれるのだが――直前に、女性の姿が見えた気がするだろう】
【ドレスを来て、ハットを被った白い女性。だが、荒れる水は地下にも注ぎ込み始めている】
【急がなければ後がない。探索するのであれば、膝まで水に浸かる必要が出てくるが――】
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 23:14:42.30 ID:viq4U1RK0
>>774

この先にその方が眠っている……となれば、確かに何かしら有ると考えて間違いは無さそうで御座いますね。
罠か、霊の類か……内容は分かりませんが、何かが待ち受けている筈。
……くれぐれも警戒します。では、進みますね―――

【夫の助言をしっかりと頭に刻み込み、階段に足を進める。一歩一歩、警戒して確かめるように足を降ろして行き】
【やがて広間に出ると、其処には霊廟の時と似たような光景――即ち、棺がたくさん並べられている】
【当然の如く亡霊も見える。各々手に武器を取り、哨戒するような動きで周囲を警戒する様はまるで護衛兵のよう】
【……進むには少々骨が折れるか。しかし、進むしかあるまい……幸い亡霊たちは此方に気付いていない―――ならば】
【先手必勝あるのみ。真正面から立ち向かうのは下策。気付かれていないと言うアドバンテージを活かし、この場を切り抜ける!】

【切り札は勿論マリアの持つ聖の力。気付いていないのを良い事に、凝集させた熾気を広間のど真ん中に解き放つ!】
【塊は「凝集させる」という行動のお蔭で、広間の真ん中で強烈な光を伴い炸裂する。勿論これはそのまま攻撃にもなるが】
【最大の目的は目くらまし。突然強烈な光が炸裂すれば、嫌でも注目は其方に集まる筈】

【―――その隙に、マリアは先に進もうとする。これで絶対数も減るうえに注目も防げて、対処すべき相手は大幅に減るだろうか】

783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 23:22:07.08 ID:d2Rvuone0
>>777
「――――死ぬ?生憎だねぇ…………今時のイキモノはキミが生きていた時代よりも大分しぶとくなってると思うよ
例えば……ボクみたいな人外とかは特に、ね?」

【弾丸は脇腹を掠める事となった。肉は抉れ、血が流れるのだからただの修道女ならば其処で戦意を喪失する事だろう】
【後は嬲られ、死を待つのみなのだろうが――――この女は違う】
【覗かせたのは怯えでも何でも無い。簡潔に表すならば“笑み”だ】

【双銃が耀き始めたかと思えば其れは一本の突撃槍と化す】
【強い聖を持つ其れは、一介の聖職者程度ならば耐えきれずに“焼かれる”程のモノだ】
【走れば傷口から鮮血が滴る――――だが、止まらない。寧ろ勢いは増すばかり】



「ボクからすればキミの方が異端者だ
さあて、自称信仰深いキミ――――……死後は何処に運ばれるのかみものだねぇ?」

【狙いは心臓だ。突き刺す、よりも貫くと表せる程の勢い】
【石台に縫い付ける――――否、石台ごと砕かんとする程の勢い。即ち、再度詠唱を紡がせる間すらも与えまいと】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 23:32:17.55 ID:AHkoG7BBo
>>779

【気を引く、という案は正解と言っていいだろう。光が炸裂すれば】
【亡霊たちは一斉にそちらを向いて、マリアには一切気付くこと無く】
【道なりに進めば、この広間の二階に進むこととなるだろう】

【幾つかの扉が有り、奥に真っ直ぐ進める造り。】
【しかし注意すべきは、広間を出る為の最後の扉にはレバーが5つも並んでいて】

【その上にこういった文言があることだった――『神が原初に創りし物は』】
【レバーの上には星や土、水を象ったレリーフ。ある一つの上には明かり代わりか松明もあって】

>>783

【雷撃の奥で聖女が笑う。そう思えるような壮絶なシーンの、直後】
【インドラの杖というアイテムを持った男は、石台に叩き付けられるようにして動きを止めていて】
【あまりに一瞬のことであったせいで、分からなかったが――その魂は、消えていた】

【身体の中心に大きな穴。からからと、強力無比な杖は転がり落ちて】
【先端にはめられていた黄色い魔力石を残して、木杖は腐り落ちてしまい】


―――おおォ、なんと無残なりやガウチよ……我が、我が配下よ!
 
 なあ、そうであろう?聖女に胸を貫かれて死ぬ聖職者などそうは居るまい
 死後の世界はきっと地獄だ、力に驕った者の末路よな……あぁ、何とも悲しや
 ……時に貴様、出来るじゃないか。どうだ、宗旨替えなどしてみないかッ?


【ケタケタと笑う声は尚も止まず。敵は居ないが――頭に響くような、不快な声で】
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/05(金) 23:35:39.82 ID:6hdIshlp0
>>780>>773>>767
【敵が姿を現した。本を持つ少年と、悪魔と、僧兵。その三つの石像が動き出した】

わかってるの!もう油断は無いの!

【壁に突き刺さっていた槍が浮き上がり、すさまじい速さで迫る】
【しかし少女は冷静に、油断は無いとその言葉を証明するように】
【最小限の動き、上半身を少しずらすことで槍を避ける】

【カミナとロウの方にも攻撃が見えたが、あの二人は自身の何倍も強い】
【現にカミナはもう攻撃をやり過ごしたようだ。ロウもなんとかなるはずだから】
【今は二人を信じ、自身も攻撃へ向かう】

【地面を転がりガントレットを回収、装着。直後に本を持つ石造の元へ】

ふん!
神様に頼るような奴に、あたしたちが負けるもんか!
あたしたちが死ぬ前に、お前たちをぶっこわしてやるの!

【全ての攻撃はあの像の叫びより始まった。あんな派手な合図、怪しいのは誰でもわかる】
【渾身の力で前方へ飛び、その速度は弾丸のよう。両手を腰に構え、像の元まで届いたならば】
【ただただ全力を以って、その両手を放つ】


【神―――そういえば、さっきの本】
【さっきの本の内容は神様たちがいる島のお話だったような、と、そんな考えが一瞬浮かぶものの】
【戦いながら考え事をする暇は少女に無く、思考は一旦止まる】
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 23:35:50.31 ID:AHkoG7BBo
//っとすみません、安価間違いですね
//>>784の上は>>782、マリアさん宛です。
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/05(金) 23:37:43.47 ID:XYBmpoKho
>>773 >>780 >>785

うおっ喋ったぁっ!? なんだよ完全にホラーじゃん、どうなってんだよぉっっ……!? なんだ霊か? 霊なのか!?
――――いや寧ろ好都合、兎に角本体はテメーだと分かったッッ!! こんな苔臭い所で死んでたまるかってんだァッ!!

【びくりと大きく身体を震わせ、声の方へ顔を向け――――石像が血の涙を流しながら物騒な言葉を使う様に、背筋を凍らせた】
【絶叫して逃げ出したくなる気持ちを抑え、無理やり其処に好機を生み出す。……いや、確かに好機。相手が分かればこちらも対抗できる】
【銀の弾丸をフルに詰めておいた左のリボルバーを動き出した像へと向けるのだが――――そう簡単にはいかないらしく】

うぉああああっっ!? ったく俺こういうの結構ビビるタイプなんだって……!
通じるか解んねぇがやるしかねぇ――――銀の弾丸≪Silver Bullet>>ォッッ!!

【巨体が銃撃を遮らんと殴りかかり、ロウは前転して其れを躱しながら発砲。精密射撃が得意なロウだからこそ、姿勢が崩されても撃てる】
【弾丸は勿論正確に――――「叫んだ像」の手首、聖書を持っている其れへと向かう。恐らくあれが本体。そのような判断からロウは前転回避しすぐさま発砲した】
【放った弾丸はフレデリックから貰った銀の其れ。石像相手に通じるかは疑問だが、霊ならばきっと効果はある筈――――!!】

……何が神じゃオラァッ、その神がアーグってヤツか!? 俺はマーシャル・T・ロウ、そのアーグって奴をもっぺんぶっ潰しに来たぜェェッ!!
オラいるなら出て来いよアーグッッ!! 俺達SCARLETが相手だ、ジジイは大人しく地底で眠ってな!!

【織守が思考する一方、ロウはその思考を瞬時に言葉に出していた。啖呵を切ったのに続いたからか、ロウも強気な言葉を重ねた】
【いや寧ろこうやって自分を奮い立たせないと、戦闘のテンションが保てない。どっちにせよ復活していたならば倒さねばならず、この言葉は逃げないという意志】
【不気味な場所、恐ろしい現象に恐ろしい見た目の霊と思わしきナニカ。気を抜けば泡を吹いて失神しそうだからこそ、このような攻撃的な言葉を並べて気持ちを保つ】
【SCARLETのガンマンが、こんなところでビビってたまるか――――そのような負けん気を燃料にして、ロウはテンションの焔を維持していた】




788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/05(金) 23:42:32.30 ID:FKfaNDd3o
>>781

【ガコン、という怪しげな音がした瞬間に目を輝かせながら周囲を素早く見渡し始める】
【壁から水の流入が起こっていることにはすぐに気がついた】


 おお!多少はマシなことが起きるじゃないか!!


【危機を感じるどころか大喜び】
【水が流入する勢いで波打つ水面では維持が困難なため、足元から空気を噴出して跳躍】
【風の魔術により空中に浮かび上がった】


 ……今女の影が見えたような?
 いいぞいいぞ、面白くなってきたじゃないか!


【状況の変化にやっと楽しくなってきたと、アインは無邪気な笑みを浮かべる】
【浮遊状態のまま女性の姿が見えた箇所へ行き周囲を見渡す】
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 23:44:29.76 ID:viq4U1RK0
>>784

【難なくと言っていいだろう。亡霊たちの気を惹くことが出来たマリアは戦わずして二階に辿り着くこととなる】
【……傷つかずに済んで良かった。この身が傷つけば悲しむ人がいるという事を知っているだけに―――】

【さて、二階にはいくつかの扉がある。それを逐一開いて行き、奥へ奥へと進みゆくマリア……が】
【最後の扉にはレバーが居つつもある。……成程、正しいレバーを引かねば扉は開かぬという事か】
【……恐らく、間違ったレバーを引いてしまえば罠が待ち受けていることだろう。さて―――】


【―――こんなもの、マリアならば/大司教の妻ならば迷う筈もあるまい。】
【書かれていた文言は、『神が原初に創りし物は』。―――光だ。光を作り、世界を昼と夜に分けたのだ】
【恐らくこの松明は光を表しているのだろう。人が入らぬ場所にありながら、今の今で点り続けているのだから……】

【マリアは迷わず松明の下にあるレバーを引く。さて、結果はいかに―――】



790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/05(金) 23:46:31.40 ID:Vkrutu+lo
>>775

【―――それは、剣と呼ぶには余りにも大きすぎた。なんて、謳い文句の漫画があった、そんな事を思い出す。】
【尋常ではない巨大さ、そしてそれを軽々と扱うその腕力に愕然としていた為だろう、ネメシスは若干、呆けていたのだ。】
【一太刀で斬り伏せられるとも思いがたい自らの眷属、だが其れが二撃、三撃と続いたら? 外骨格の隙間を抜かれたら? 】


 (……やっぱり、普通じゃあないわね。剣を使うことや、機動力をとってもそう、女の為せる業じゃ、ない。)
 (なら身体能力強化系……? いや、でも単純にそんな能力で語れる様な物じゃない気がする……この女は、もっと……ッ!)

【圧倒的な質量のそれを、そうだとは感じさせないほどの身軽な動き。ネメシスはその挙動を、機械式のバイザーで確認する。】
【簡易的な測定装置が相手のそれを物体の大きさ、予測される材料、そして動きの速度から計算し、割り出す―――矢張り、重い。】
【だがその重さが一体どれだけ彼女にデメリットとなっているのか、それすら分らないほどの高い運動能力で、跳躍、跳躍―――ッ!!】

 ……クラリス。クラリスね、覚えたくないけど、耳に残りそうな名前。いいわね、悪くないわ。
 ミドルネームまで教えてくれるなんて、バケモノにしちゃなんだか殊勝じゃないの、助かったわクラリス。
 だって―――"クラリス"なんて名前、どこにも有触れていて、私ももうそんな名前の女を2、3人は殺しているから、ねッ!!

【おかげで見分けはつきそう、だなんて語ったネメシスは飛び上がった彼女の身体を補足、すかさず"Scorpion"に指示を出す。】

 ―――……ッ! 針か、初手でそこを狙いに来るとはね、いい度胸だわ!!
 Scorpion、せっかくだし相手してやりなさい、アンタの自慢のイチモツで、ソイツを木っ端微塵になさい!!

【その声に反応するかしないか、早いか遅いか、定かではないがサソリは瞬時に其れに反応、対応。】
【跳躍からの斬り落としで自前の針を狙う女に対し、"尾"の先端ではなく―――"甲殻"の部分で攻撃を受け止めた。】
【素早く尾を前後させて、脆い針の部分を攻撃から避けさせたのだった。だが、おかげで甲殻にはガリリッ、と罅が入る―――同時。】

 ―――がッ、くっ……ちぃっ、なんて重い……ッ!!

【"何故か"、ネメシスが背後で呻く。これは矢張り―――そういう、事なのだろうか。】
【だが熟考している場合ではない、サソリは着地するか、しないかは分らないが即座に反撃に出るだろう。】
【尾を振り回しながらまずは旋回、背後に回らせまいと尾を鞭のようにしならせ一撃を放ち、そして正面を女に向けると同時、更に】

 ―――砕けッ!!

【今度は鋏による刺突を繰り出そうとするだろう、いずれも命中すれば相当なダメージを与えうるであろう強烈な攻撃、だった。】

 テーブルマナー? はんっ……。悪党が随分と細かい事を気にするのねぇ?
 私そういうかたっ苦しいの苦手なのよ、クラリス、アンタはフルコースでも食してる気分だろうけど、それ大間違いよ。
 これから料理されるのはアンタ、その鋏でバラバラに引き裂いてッ……すり身にしてから、更に盛り付けて盛大にブチ撒けてやるッ!!
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 23:47:25.37 ID:AHkoG7BBo
>>780

【くつくつ、と笑う声。頭に直接響くようなそれは】
【カミナの背後で一挙に砕けて木片とかした、家具類の轟音でかき消され】
【そしてそのまま、接近は成功するだろう。難しいことではない、が】


なんて愚かな事をいうのか…――自分で自分がわかっていないのか?
 あぁ、なんと……僅かに100年でこうも信仰心が衰えてしまうとは……!

>>780>>785

 ……お前たちのような小娘がいけしゃあしゃあと物を言うのは勘に触るな、そうだろう?
 紙切れや力をちょいと扱えるからといって随分と偉そうではないか
 だがこの場において偉いのは私だ、何せ私こそがマスター……この部屋を支配するものなのだからな。

 …――では出始めに、貴様らから死ね。


【接近すれば――直後に子供の石像は内側から砕け散る。破片を大量に周囲にバラ撒いて】
【さながらその威力は手榴弾のようでもあり、カミナとネモを狙った攻撃であることは明白だった】
【そして、聞こえる声も違う。急におちょくったような、男とも女とも付かない声に変わっていて】

【攻撃の非道さや、まず威力。えげつないと言わざるを得ず――何より突発的なカウンター】
【近距離で大量に飛来する石の破片を、カミナとネモがどう捌くかが対処の肝となり】

>>787

―――カ、ハハッ…!馬鹿を言え小僧、神は天上におわします神ただ一人よ!
我は我、大司教アーグは大司教アーグに決まっておろうがッ!

……さて、出て来たぞ?出て来たらどうしたら良いのかな、小僧
あぁ、そうだ、良いことを思いついた……
貴様が散々に褒めちぎった爪の味を楽しませてやろうじゃないか、なあ?

【魔像の姿が、元の場所から消えていた。奇怪な声はロウの背後から耳元で囁かれ】
【振り向く頃には、その首に両手が迫っている。首を締め付け、爪で切り付けようと腕が振るわれる】

【――あぁ、そうだったのだ。石像に化けていたのは、最初からこのアーグだったとしたら】
【230cm程もある身長や、奇形としか思えない手足の長さや、爪の状態や】
【或いは目元もそうだった。その全てが大司教などより、悪魔のように見える人物が其処に立っていた】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/05(金) 23:52:24.28 ID:d2Rvuone0
>>784
【目論見は成功。取り敢えずは目の前の脅威を排除した事を、自らの感覚で実感】
【これだけの大穴を空けてやればまた起き上がる事もあるまいと一先ずの安心】
【――――足元の魔力石に気付いたならば其れを拾い上げて、掌で転がすようにして眺めていた最中に響くのは件の声だ】



「さあね?どうだろ。これまでに聖職者だろうが何人もこうして殺した事があるから、ボクからすれば珍しい事でも何でも無いさ
…………で。宗旨を替えてみないか、だっけ?
悪いけど姿を見せない人にそんな事を言われた所で頷く筈も無い

――――何より、ボクは神サマだとかが好きがじゃないから」

【探った所で姿が見えない。だが、まさか幻聴でもあるまい】
【…………突撃槍を双銃へと戻したならばそのまま地下に進もうとするが――――脚も止まり】



「そうそう、アーグって人に用があるんだけど知らないかな?
…………それとも、まさかキミがそのアーグだったりするのかな
ま、答えは何であれボクの邪魔はして欲しくないんだけど」

【先の存在もまた何者かの配下に在った。――――ともすれば、声を響かせるその者こそが大本だろうか】
【問うたのは実に単純。声の主こそがアーグ本人で在るのか否かを知るためのものだ】
【仮に本人だとしても、実体が無ければどうにも出来ない…………が。本人か否か知るだけでも十分な収穫と言える筈で】
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/05(金) 23:59:28.44 ID:AHkoG7BBo
>>788

【水嵩が増すのに合わせて、地下へ向かう道に石の扉が出現し、道を断つ】
【だが気にせず女の姿を探すなら、水流の中に沈む白が見えるだろう】

【やはり格好はドレス姿。チューリップをひっくり返したような下膨れのドレスと】
【其処にシルクハットのような帽子を被った、齢18ほどのお嬢様】
【――水底に居なければ良いのだが、生憎と人とは思えず】

嗚呼、ヴィサスお姉様の敵が居る…――殺さなくては。
 あの、そこな殿方?宜しければ、私と此処でダンスなど如何ですか――?

【不思議と声は届く。水流が触手の様に巻き上がると、男の手足を絡め取ろうとし】
【成功すればそのまま水底に沈めんと、強引なお誘いを掛けて】

>>789

【流石は――と言うべきか。松明の下にあるレバーこそが正解だったらしい】
【しばらくすると仕掛けの動く音がして、石扉がギリギリと音を立てて動き始め】

【そして、開ききると同時にマリアの方へと死体が倒れ込む】
【と言っても出血はない。ミイラになりかけの、聖人らしき衣装の女性だ】
【確か、この先にはヴォルキーグという人物の墓しかないはずだが】
【盗掘された、ということだったか。――とすれば、この人物は】
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 00:06:46.62 ID:EosOYWb+o
>>792

…――ほう!我に用とはまた嬉しい事を言う、このアーグに用か!
 して、何用だ?今はちと…――取り込み中でな!
 小娘を二人と小僧を一人、首をねじ切って生き血を啜らねばならん。

 ……邪魔?邪魔とは失敬な、いやまあ……良いだろう?
 100年も暇だったのだ!復活するまでどれほど窮屈だったことか!

 世界中の棺桶が小さいのは知っているか?修道女ならば知っているだろうッ!
 とてもではないが私の背では収まりきらんものを
 奴ら無理矢理に膝を折って埋葬したせいで立つのもやっと……ん?

【『何の話だったか』――と、ひどく惚けた様子での返事があった】
【相手は、アーグまさにその人。それも戦闘中のようだが】
【答えを返す程の余裕がある。或いは、先ほどの雑魚や、杖の男も】
【全て彼が弄んでいたのだとしたら――中々悪趣味な相手なのは、すぐに分かるだろう】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 00:15:46.86 ID:EhgJv1vpo
>>793

【石の扉が出現してもアインは構わず女の姿を探した】
【周囲にくまなく視線を這わせると、水底にその姿を捉えた】
【赤衣の魔術師の口元に、獰猛な笑みが浮かぶ】


 ──生憎だがさすがの俺も水中は少し厳しいんでな
 ダンスがしたければまずはお前が出てこい!!


【水流の触手を十分に引きつけてから急上昇により回避】
【足元にいる女に向けて手をかざし、火炎を直射。瀑布の如き膨大な炎が水流や水面に降り注ぐ】
【いかに強大な火炎であったとしても水を突破することは不可能。目的は水蒸気による目くらましだ】
【それらが視界を遮れば、蒸気を突っ切って漆黒の触手が女の手足や首に巻きつかんと向かっていく】
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 00:16:14.51 ID:uD1ploPHo
>>791>>785>>787

――――っ!


【カミナは言葉を返すより先に、行動を選択した】
【石像より放たれた不気味な声の意味と、破裂せんとする僅かな予兆】
【回避――否、タイミング的に既に範囲外から離脱することは難しい】
【思考をフル回転させ、瞬時に取捨選択をして即断即決――】


ぐっ……ぬ――――っ!


         【<貴宝院流不折正方形一枚折り・鬼面×2>】
              

【翼の特性による逆方向への"加速"で急ブレーキと後退、その反動に全身の筋肉が軋ませながら】
【同時に周囲に展開してた4匹の鶴と、左右の"折り紙"を使っての防衛を行った】
【其れは鬼の顔を模した、分厚く巨大な折り紙】
【特性により獣の皮の如き強度を得ており、即興の盾程度には役に立つが】

【不意のカウンターに対応が追いつくはずもなく、破片の幾つかが鬼面をすり抜けカミナを襲う】
【着物の端を、頬を、一番痛手なのは左肩に深く突き刺さった破片であろうか】
【翼の片方も無残に破られて、空中制動を出来なくなったカミナは、鮮血を散らしながらも地を転がった】

【そして4匹の鶴は――>>785、ネモの援護を行おうとする】
【4匹の内2匹が攻撃から身を守る盾となり、破片一つを引き換えにズタズタの紙キレになり果てんとし】
【残る2匹はネモの服の端を捕まえようとして、成功したならば渾身の力で後方に向けて推進し】
【少しでも爆心地から遠ざけて被害を減らそうとするだろう】


(……――油断したかの、随分と手酷くやられたものじゃ)


【カウンター攻撃によるダメージは、決して安くない】
【攻撃を受け止めた折り紙は使い物にならなくなり、カミナの機動力の源である"翼"を破損した】
【左肩のダメージは、術師としての戦い方を重視したならば大した被害ではないが】
【それでも激痛と、流れ出る血は継続的にカミナの神経を磨り減らすこととなるだろう】

【しかし、この程度で少女の闘志が折れることなどない】
【剣を片手で構え直し、歯をギリ……と噛み締めながら射殺すような目をアーグ――魔像の方へと向けて】


――ふん、埃まみれのボロ臭い墓の親玉風情がよくぞきゃんきゃん吠えおるわ!
のこのこと正体を表したことを、冥府の底で悔いるがいいのじゃ!


【シュ――と、鋭い動作で右腕を振るい手に持っていた剣を投擲する】
【狙いは魔像の右肩部。命中した場合刃を通して浄化の力、"神気"が追加ダメージを与える可能性もあるだろう】
【完成まで時間がかかるという欠点を持つカミナの、苦し紛れに近い攻撃ではあるが】
【ロウを援護する上で何らかの効果を及ぼすことが出来るだろうか】


【同時に、カミナの左右の空間が歪み2m四方の紙が出現――空中でパタパタと折られ始める】
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 00:16:31.59 ID:dEJQYdy50
>>793

【どうやら正解だったようだ。鈍い音と共に石造りの扉はゆっくりと開いてゆく――】
【答えを知っていたとはいえ、レバーを引いた瞬間は少しばかり緊張で鼓動が早くなった。もし間違っていたならばと】
【……それも杞憂だったと分かった今では、安堵の表情で開きつつある扉に向かう―――すると】

―――!

【ドアが開くと同時に何かが/誰かが倒れ込む。驚いたように飛びのき、恐る恐る倒れ込んだ何かを見ると】
【―――それは、女性の亡き骸だった。衣装から察するに、高位の聖人……そういえば、この墓は】
【盗掘の被害に遭っていたという話だった。もしや、彼女は―――】

【気になる点がある。ミイラになりかけとはどういう事だろうか……?】
【墓の規模や年代から見て、死後かなりの期間が立っているとみて間違いない。完全にミイラになっているなら分かるが】
【ミイラに「なりかけ」というのがどうも引っかかる。……兎に角、今は夫に報告しなければ】

―――貴方、聞こえますか?
只今、墓の深部にある扉を開いたのですが……女性の亡き骸を発見しました。
纏う服から見て、高位の聖人と見て間違いないでしょう。……恐らく、彼女こそこの墓の主かと思われます。
どう致しましょうか。何か気になる点が無ければ、私が丁重に埋葬し直すのですが……

【―――問題が無ければ、マリアは丁寧に亡き骸を持ち上げてこの先にある墓まで持って行き】
【祝福と埋葬を彼女の手で丁寧に行い、安らかに眠るよう祈りを捧げることだろう―――】
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 00:19:32.45 ID:y8MCUdeDO
【街中】

────っ、くし!

な、なんだ……?
つい先ほど、激烈にこのチラシを批判された気がするぞ……?


【真夜中。そう、もう、よい子は寝てしかるべき、真夜中であった】
【ひとけがないのをこれ幸いと、街中の電柱やら空きスペースやらにぺたぺたぺたぺたとチラシを貼る者が、約1名】
【それは夜色の長髪と夜色の瞳をした、18歳ほどの少女だった】
【黒いロングコートを纏い、背に布で包まれた刀剣らしきものを背負っている】

【ちなみに貼り付けまくっているチラシの内容は、こうだ】
【「探し人──この子を見つけたらご連絡ください」】
【「連絡先:×××-××××-×××× リーベ」】
【それらの言葉の下には、落書……いや、似顔絵×2があった】
【ひとつはでかでかと、「7」と番号が書かれた側に、子供の描いたようなニコニコ笑顔の芸術品】
【もうひとつは、ぐるぐる金髪の完璧スマイル。目元にやたら線が引かれているのが特徴の、前衛的作品】
【2つの絵?のまん中には、やたらとバランスの悪くやたらカラフルな「お星さま」マークがデンと据えられていた】

【──くしゅんくしゅんとくしゃみを連発させながら、今度は街の掲示板に、張り紙をぺたり】
【ちなみに無断張り紙は、なんちゃらかんちゃらとかいう軽犯罪にあたった……気がする】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 00:25:50.26 ID:kQ9k8s310
>>794
「ん、嗚呼…………用って言ってもそう大層な事じゃ無いよ
強いて言えば二つ位なんだけど…………」

【片眉を吊り上げたのは、まさか本当に本人だとは思わなかったからだろう】
【話が本当であれば、意識を様々な場所に移している事になるか。或いは、そも実体は大して必要でも無く術が大きく優れているのか】
【先程貫いたばかりの骸を脚で退かしたりしながらも話を進め】


「…………一つ。キミが奪ったカテドラルを返す事
もう一つ。五月蠅い口を閉じて今度は百年じゃなく永遠に寝てる事
棺桶が窮屈だったなら全身を折って入りやすくしてあげるし、何なら火葬してコンパクトにしてあげるけど
――――大して難しいお願いをしてる訳じゃ無いと思うんだけど、どうかな?」

【クスリ、と笑いながら述べたのは実に単純な話だ】
【特に後者に至っては“死ね”と言って居る様なもの。緩んだ笑みのままで告げるのだからどれ程まで真面目なのかも分からないが、かといって冗談にも思えず】


「それにしてもキミも不幸だねぇ。多分、ねじ切る事も血を啜る事も出来ないんじゃない?
ま、それについては直ぐに分かるだろうけどさ」

【仲間が戦っているというのに焦燥感も無く。或いは信頼の現れか】
【何であれ、“お願い”に対する答えを待つのみだ。前者も容易く答えてくれるとも分からないが――――カテドラルの場所が分かれば、それなりに目的を持って探索もし易くなるかとでも考えたのだろう】
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 00:29:56.04 ID:ZKvZPxkSO
>>790

「あらあら、物騒だこと……その点、貴女は始めて会う名前ね。
 どんな味がするのかしら? 今から、楽しみよ」

【振り下ろした鉄塊が鋼鉄の装甲と衝突し、蠍の表皮に亀裂を発生させる。】
【重力に満ちた金属音が轟けば、路地裏の血腥く冷えた空気が振動する。それに続いた二回目の火花は更に大きさを増し、鮮血化粧の女性の顔を一瞬だけ照らした。】
【女性の両腕に、ほんの僅かな青筋が生まれる。それは彼女が更なる力を産んでいることの証左だった。】
【彼女は自らの得物を手掛かりとして、自身の肢体を全て大気に浮かせながら、空中にて鍔迫り合いを演じていた。彼女の尋常ならざる腕力が成せる技に他ならなかった。】
【それでもなお、彼女の表情は貼り付いたような笑みではなかった。飽くまで穏やかかつ物静かな、婦人めいた微笑。】

「……どうしたの? 随分と辛そうじゃない。
 まだまだ私は、戦えるのだけれ――」

【しかしその表情は、ここに来て大きく歪んだ。「ど、ッ……!!」辛うじて続けた一言と共に溢れるのは、吐瀉物のように噴き出した鮮血だった。】
【旋回からの叩き潰す一撃を真正面から食らった彼女は、当然のように骨を崩され、内臓を潰された。】
【そして続いたのは、暴虐な鋏による一条の刺突。空中に無抵抗で吹き飛んだ彼女を抉った鋏は、金属質の輝きを失い、そして彼女の潰れた小腸と胃を得た。】
【打撃により柔くなった彼女の肉体は、続いた刺突によってほぼ半分に裂けた。不快な、或いは興奮するような圧砕音と共に、女の肉体は自らの得物と共に血溜まりの地面に叩きつけられた。】
【少女の言葉は現実となった。彼女は原型も留めない死を遂げた。】
【辛うじて残った頭部からは、砕けた頭蓋から大脳が飛び出していた。そして苦悶の表情を浮かべ、彼女は自身の血で顔面を塗りつぶしていた。だが。】

「――くすっ、ひどぉい……私じゃなかったら、死んでるところよ?」

【――不可解な笑いが、唐突に現れた。それは紛れもなく、彼女の声色だった。しかし、彼女は遺言すら残らないような死を迎えた筈だった。】
【そう、筈だった。歪んでいたはずの表情には、再び微笑みが浮かんでいた。】


「そんなに、私の肉が食べたいなら……
 ……ほらどうぞ、お上がりなさい」

【千切れたはずの首から、肉が分裂するように肩が産まれる。そこから更に産まれた右腕が、先程まで彼女の胴体だった肉塊を少女へと放り投げた。】
【明らかな熱を持った一つの拍動が、冷え切った大気を揺らした。その中心で鼓動しているのは、女が振りかざした大剣であった。】
【彼女は生き返った。否、あまりにも異常だったが、彼女は最初から死んでなどいなかった。既に肉体は半身が再生し、残るは下半身を残すのみとなった。】
【だがその再生速度は、初めに少女が女性を撃ち抜いた時のそれよりも、遥かに遅くなっているようだった。】


801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 00:31:19.20 ID:THIOiT400
>>798

あー、お姉ちゃん、いけないんだー。

【繰り返されるくしゃみ、くしゃみ、くしゃみ、――辺りにコショウでも散らばってるのかと思うほど】
【冬の時期だしそろそろ誰も近づかないところか、離れていくような光景だ。誰も、そんなものはもらいたくなく】
【それなら、そのまま、誰も通り過ぎるのかと思えば……比較的少女に近い位置から声がするのだろう】
【この時間に不釣合いな子供の声だ。それなら嫌でも目立つ、――少女が振り向くなら】

【そこに立っているのは、予想通りというべきか。少女……とも呼べない、女の子が一人居て】
【くしゅくしゅのクリーム色の髪をピンク色で刺繍の入った赤いケープの、そのフードの中にぎゅっと押し込み】
【おっきくてまるいタレ目は真夏の青空と同じ色をしていた。右目の下には、毒々しく紫色の蝶の刺青が刻まれて】
【白を基調にした、ワンポイント程度に赤を散らしたワンピースの服装、ふくふくに膨らんだそれは、いかにも冬服の様相で】
【靴は爪先の丸いおでこ靴。多少ヒールのある靴を履いても、その身長は、130にも満たないくらいの幼さ】

それに、お姉ちゃん、きっとお風邪なの! だったらね、こんな場所に居ないでね、おウチに居たほうがいいのよ!
だってね、あのね、そういう、ポスターとか張るのって、ダメなことだって聞いたわ!
そういうのはね、えっと、……ああいう、決まった場所に張るのよ! なの!

【そんな彼女はよく見れば赤い指のない手袋に包まれた手のひらでハンカチなど差し出していて、その後、】
【「こっちがいいかしら?」なんて言ってキャンディも差し出してくる。のど飴でもなんでもない、イチゴミルクのキャンディ】
【どちらかを受け取ってもらえるなら嬉しそうな顔を、受け取ってもらえないなら、少ししょんぼりして――それから】

【紡ぐ言葉、指差す方向。……見れば、彼女の指の先には選挙用の枠組みのあるアレがあって】
【アレにこそ貼ってはいけないと思うのだが、彼女、子供だから良く分からないらしい(?)】
【指摘した彼女はドヤ顔である。ふんすと鼻息を荒く鳴らして、】

剥がすならね、手伝ってあげるわ!

【なんて、親切さまで見せてくれるのだ。――というか、就学前っぽい幼女が居ること、冷静に考えるとすごくおかしいのだが】
【辺りに保護者らしき人影は見受けられない。それなら、この子、お一人様なのだ――それが、すごく違和感だった】
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 00:33:15.82 ID:EosOYWb+o
>>795

【大量の水蒸気が発生すれば、水中からの視界はゼロになる】
【水の触手はそれを証明するように力を失い、反対に黒い触手が手足に伸びる】

【しかし――ダメ。触手は一度は手足に絡むものの、ぬるりと滑ってしまい】
【水の奥でにやりと女性が笑ったかと思うと、自ら水上に姿を見せる】
【その姿はドレスのようだが――決定的に違う。粘液が、全身から溢れていたのだ】

無駄ですわ。私にはそんなもの効きませんもの……
 ……でも、決定打も無い。そんな時は……お別れがよろしいですわね?

【ナメクジ、という単語がまっさきに浮かぶだろう。肌にしても、人らしくない】
【ドレスは全て体皮。そこから滴る粘液が、ポチャンと水に落ちると】
【瞬間的に周囲の水が一挙に吹き上がり、男の視界を塞ごうとして――女性はそのまま、水の向こうに消えようとする】


>>797

――ああ、聞こえている。高位の聖人、女性となれば……間違いあるまい
 その人がヴォルギーグだ。盗人共が、不敬にも遺体を弄んだに違い無い

 済まないが、埋葬は頼みたい。後日私や他のものも赴こう
 今は形式など簡素でいい……頼んだぞ、マリア。
 ……そういえば、周囲に更に地下へ降りる階段などはあるか?
 ヴォルギーグの墓自体は最下層ではないのだ、そこから下に盗賊のトンネルがあるはずだが……。

【――墓は直ぐ側であった。奥の部屋には豪奢な飾りがあるものの、荒らされており】
【棺もひっくり返っていて、枯れた華は踏み砕かれ、副葬品は欠片も残っては居ない】

【探せば、側の小部屋に無理やり掘り抜いた螺旋階段が見つかるだろう】
【ここまで来れば、もうゴールは間近だ。が――チキチキ、という耳障りな音が、曲がり角の奥からするのだった】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/06(土) 00:34:00.52 ID:gNAU1aR40
>>791>>796>>787
【油断は無い。確かに油断は無かった。が】
【弾け飛ぶ石像、それはまるで手榴弾のように衝撃波と破片を撒き散らす】

っ・・・・・・ああっ!!

【誰にでも分かるような合図―――馬鹿だった。露骨だとは思わなかったのか】
【罠だったんだ。あれは。】
【放った手を戻し防御しようとするも間に合わない。そして破片が迫り】
【破片の一つが少女の顔面に触れるか否かの瞬間、間に入った折り紙が一つ身代わりとなり】
【また別の折り紙が後方へ逃がしてくれた。おかげでダメージは腰に一つ破片をかすめた程度に軽減されたが】

カミナ!大丈夫!?
神様とか言うくせに、卑怯なことするの・・・・・・・

【その引き換えにカミナが、手痛い傷を負っていた】
【頭の中が情けなさで埋まる。自分を責める気持ちで一杯になる。】
【でも、それで戦闘に支障をきたすほど少女はもう弱くない。仮を作ったならば】

そんなことしないと勝てないのね!じゃあ、あたしはなおさら負ける気しないの!
ごめんなさいカミナ・・・・・・この分は、あいつをやっつけて返すの!

【そうだ、敵を倒して返せばいいのだ】

【少女は真上へ回転しながら飛び上がり、天井に脚をつけ、蹴り、隕石の如くロウとアーグの間に入るように降下し】
【ロウの首を締めんとする手へ振り下ろし、振るわれる腕をガントレットで受け止めようとし】
【少女の目的は自身の体でアーグの視界を埋めることで、ロウが距離をとり、カミナが攻撃の準備を整える時間を稼ごうとしていた】
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 00:42:48.18 ID:EosOYWb+o
>>799

何だって?カテドラルを返して永久に眠りこけろ……?
 ……なんと、全身の骨をへし折って火葬にまでしてくれるのか!
 それは素晴らしいじゃないか、なんと慈悲深き修道女だ!だが……

 ――イヤだねェ!そもそもからしてカテドラルは我が宝物よ!
 誰が雷の付呪をしたと思っているんだ?ん〜?インドラの杖も私の作だぞッ!

 ケ、ヒャヒャ……!不幸、不幸だって?それはどうかな……?
 生憎とこのアーグは100年前も100年後も抜け目ないのだよ、ところで傷の具合はどうかね?
 是非指で穿り返してから電流を流して、貴様の悲鳴を聞きたいものだな
 ……それとも歯を食いしばって耐えるかな?それも悪くない、良いものだ
 心より先に体のほうを屈服させるというのは……ん〜、どういう意味合いでも悪くはない

【卑下た笑い、その会話。とてもではないが、フレデリックが聖人に思える落差がある】
【こういう人物を許容していた100年前の教会とは――イヤ、それだけの力があったのか】

【ともかく、今は言葉が切れてしまったから、コレ以上の会話はなかった】
【返事の一つとして、近くの壁にはエッダ≠ニいう焼き印が現れるが】
【要するに来い≠ニいうことだろう――先に進めば、水の溢れる大洞窟(>>795)の外側を巡る回廊を降りることとなる】
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 00:44:57.70 ID:EhgJv1vpo
>>802

【女を捉えることができなかった触手は黒い霧と化して消滅】
【水蒸気が晴れて、アインは変わらない位置で滞空したまま女が出てくるのを待っていた】


 なんだなんだ、聖職者どもはナメクジを飼う趣味があったのか?
 ……仕方ないな、その誘いに乗ってやるか!


【手元で周囲の大気を集中させて圧縮し拳大の大きさの球状に固める】
【それを吹き上がった水壁に向かって射出。内部で炸裂させて、急激な体積膨張による圧力で壁に強引に穴を開ける】
【出来上がった穴を用いて──仮に水圧等々に負けて穴が出来なかった場合でも──女の元へと突撃する】
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/06(土) 00:46:54.93 ID:2puglcKoo
>>800

【少女の呼吸は―――少しずつだが乱れ始める。そう、鍔迫り合いを演じ、連続攻撃を放った直後からだ。】
【まるでサソリの体力と連動するように、彼女の体力も少しずつだが減ってっているのだろうか。そんな事を、予感させる。】
【少なくともネメシスは油断こそしていなかった、だからこんな強烈な連撃を叩き込む事が出来たし、その結果として―――して。】

 (―――仕留めたッ!! よしっ、一撃入って、あとは―――ッ!!)

【最初の尾っぽが先ず彼女の、クラリスの胴を薙いだ。そして直後に、休む間も与えずに鋏が直撃―――。】
【その身体は骨格のレベルからぐしゃぐしゃにひしゃげ始めるだろう、まるでM1戦車に轢かれたナチスの兵士だ。】
【このまま滅茶苦茶になっても可笑しくないし、血の泡を吐き出しながら息絶えても別段異論は唱えられないような、状況。】

 ……ふんっ。辛そう、辛そうに見えた? ……当たり前でしょ、戦闘ってのはそんなもんよ。
 どんなヤツが相手でも、能力者やバケモノなら全力をぶつけるのが礼儀ってもんでしょ?
 アンタだって例に漏れないわ、クラリス。私は全力を投じた、アンタは其れを受けた。それだけ。

 ―――結果はどうにも、案外呆気なかったけどね。ま、これも運命だと思いなさ――――――――――――、

【喋った、だと?"私じゃなかったら死んでる"、だと!? いや、可笑しい、誰であってもこんな―――!!】
【こんなことが、ありえるのかッ!! 滅茶苦茶にひしゃげて、もげた首から鮮血を次々噴出しながら、肉が繋がっていく。】
【肉と肉の間から骨が生れ、神経が再生し、そして全てが元通りになっていく……なんだ、これは。この目の前の、怪物は一体なんだ!】

 なっ……なによっ、こ、れ……っ!? あ、アンタ一体……ちぃっ!!
 食べるわけないでしょう、気持ちが悪いッ!! くれてやるわっ、Scorpion!! そいつを粉々のミンチにしてやりなさいッ!!

【先程までの強気な姿勢も瞬間的にだが影を潜める。当然だろう、余りにも、余りにも猟奇的過ぎる光景だ。】
【血なんて見慣れていたけど、それにしたってこの目の前の惨劇は今まで以上だ。まるで切り株映画でも見ているかの様。】
【スプラッタ・ムービーやスナッフ・ポルノにしたってここまで酷くはないだろう、地獄の中から這い出てきた悪魔の声が脳裏に突き刺さる。】

【ネメシスはたまらず叫んでいた、吹き飛ばされてきた肉塊を蹴り返すと同時、サソリに"踏み潰せ"と指示を出し】
【再生している彼女の身体を押しつぶしてやらんとばかりに、巨体でもってマウントポジションを取りにいくだろう。】
【だがげに恐ろしきは巨体と体重よりもなによりも、その鋭い脚部か。これもまた重量と合わさって大きな、武器となり得るが】
【反面、下部は装甲となる外骨格が存在せず、または存在していても薄い―――これは、一つのチャンス、とも呼べるだろう。】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/06(土) 00:49:33.94 ID:i5Ro48Rio
>>791 >>796 >>803

うるせぇ俺宗教関係はサッパリなんだよッッ!! おまけに神とかこれっぽっちも信じてねぇ……っていったらフレデリックに怒鳴られそうだけどな!!
だからつべこべ言わずにさっさと大司教アーグを出しやが――――

――――――――れ……? うぉおあああああああああああッッ!!! いつの間にコイツ――――!!

【突然声の方向が変わった。大きくなった。否、いつの間に背後を取られていた】
【――――ぞくり。恐怖が背を貫き、ロウは絶叫しながら振り向き仰け反る。いや、間に合わない――――機動力の無さはロウ自身が最も理解している】
【脳内には魔獣の爪がロウの内臓を引っ張り出す映像まで見えたが、凶悪な両手が自分へと迫る中、視界の隅にネモの姿が見えた】

(ネモ……ッッ!? お前――――!!)

【ネモの援護が決まれば、ロウは無傷で距離を離すことが出来る。兎に角ネモの援護が無駄になることは無い、ダメージを多少喰らったとしても死には直結しない筈だが】
【少しでも攻撃を遅らせれば、その攻撃は肌を裂くに過ぎないのかだから。最悪首絞めだけは逃れられると思うが……】

【もし距離が取れた、との前提で物事を進めるのならば。ロウは右銃を消し、そして両手で左に持っていたリボルバーを握りしめ、そしてMirage Magicians≠ニ呟く】
【その言葉に銃が共鳴し、魔翌力を爆発させ光を放ち、そして姿を変える。先程の拳銃とは全く異なる姿、デザイン、そして威圧感】
【分類するならば、リボルバー式の装飾銃だろうが―――其れにしても規格外のサイズ。30cm近い全長であり、そして綺羅びやかに輝いている】
【色は紅、名は『Phoenix Heart』 。全体がメタリックレッドで爛々と輝き、黒のグリップには首から下ろしていたはずの宝玉が埋め込まれ―――】
【長い銃身には不死鳥の装飾が彫られ金で彩色されている。シリンダー部に刻まれた「NK」の文字は、不殺を示すNonkilling≠指していた】

オラァぁあああッッ!! 悪霊退散成仏しろやボケぇぇええええッッ!!

【他の宗教用語を使うという煽りと怒りの声を乗せて、ロウは左銃のトリガーを引くのだが弾丸は大きく左に逸れ――――否、違う】
【弾丸は「く」の字の如く曲がり、魔像から見て真横の角度から脇腹を射抜かんと襲い掛かる――――!!】



808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 00:50:36.66 ID:y8MCUdeDO
>>801

【──「え、また子供?」】
【そう。まず真っ先に思ったのが、それだった】
【だって前回チラシ貼りをしていた時も、ょぅι”ょに声をかけられたのだ】
【今度は何だろう、首が取れてる系な子だったり腸がはみ出てる系な子だったりするのだろうか──】
【そう思って振り返れば、こう言えば少し悪い気はするが「普通の女の子」がそこに立っていた】
【なんたって前のょぅι”ょが視覚と聴覚を遮断された上に拘束具まで着ていたのだ。そんな感想も、きっと仕方ないことだった】


……え、い、いけなくはないぞ!だってこれは人探しなんだからな!
って、剥がすな剥がすな!!今までの苦労が台無しじゃないか!あのな!剥がすな!
それにあっちのスペースはな、ダメなんだぞ?もっとえらい、テレビに出たりする人が使う用の場所なんだ!


【──だがそんな感想をぼんやりと抱いている暇はない。早く止めなければ、チラシが全部剥がされてしまう!】
【だからとりあえず、飴を手にしたり少女のあれこれを問い詰める前に、大慌てでチラシ剥がしを止めに入る】
【けれどもそのあと、「どうもポスター貼るのはダメらしい」という言葉を聞けば一時フリーズ。その後解凍】


……え、だ、ダメなのか?
そ、それは困ったな……でも人探しだし、えぇ……ダメなのか……

い、いやしかし!決まった場所に貼るというのは名案だ!明日にでも警察署に許可を取りにいこう!だが剥がすな!


【解凍後はなんやかんやで自己完結】
【しかし剥がすなと言うのだから、多分「許可とりゃいいだろ」みたいなアホ思考の元の行動であることは間違いない】
【──その後はやっと飴に手を伸ばし、そのまま口に放りこんで、にっこり】
【ハンカチの方よりは、飴玉の方がよかったらしい。「飴玉だけで大丈夫だ、ありがとう」と相手に告げ】
【最後の最後。「こんな遅くまで、どうした?」なんて問いかけを投げるのであった】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 00:53:10.44 ID:dEJQYdy50
>>802

―――やはり、そうで御座いましたか……分かりました、私が丁重に埋葬しておきます。
……こうも荒らされては、安らかに眠ることも出来ませんものね。
私の祈りで安らぎを取り戻せるかどうかは分かりませんが……少しでも彼女が喜ばれるなら。

……階段、で御座いますか……えっと……あっ、ありました。あそこで御座いますね。
下に降りる階段があります。埋葬が終わり次第、降りてみようかと思います!

【……墓は酷い有様だった。荒らし尽された棺には最早何も残っておらず、その上ひっくり返っていて】
【花は無残にも踏みつぶされて―――死者への礼儀など欠片も感じさせない、不埒な盗賊の仕業。】
【―――しかし、盗賊の仕業に憤るよりもこの聖女を埋葬し直そう。きっとその方が彼女も喜ぶ】
【彼女とて、こんな所に放り出されていてはおちおち眠ることも出来るまい。マリアは取り敢えず棺を元に戻して】
【簡単に祈りを捧げて埋葬し直す。―――副葬品は無くなってしまったけれど、その代わりに彼女の祈りが届けばよい】
【最後にもう一度、優しく微笑めば……意を決したようにマリアは先へ続く階段を降りる。】


【向かう先に鳴る音。この音は何だ……良い予感のするものではない】
【罠か、もしくは別の何かか……何が起こるか分からない場所なだけに、警戒心は最大に保ったまま進む】
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 00:58:32.61 ID:THIOiT400
>>808

【確かにそこに立っていたのは見た目普通の幼女だった。くしゅっとした癖毛と、あどけなさマックスの笑顔が目立つ】
【どちらかといえば元気めの子供だ。それが、余計に、この夜とは不釣合いで――普通ならオヤスミしてる時間だ】
【それに、右目の下。どちらかといえばタトゥーと呼ぶべきかもしれないが、とかく、そんなものが刻まれているわけで】
【1人で出歩いていることからも、きっと、“まっとう”ではないのだ……そんな予感が、どこかして】

ヒト探しなの? お姉ちゃん、ヒトを探してるのね! ……えっ、じゃあ、剥がさないの!
でもね、あのね、こういう場所に張っちゃダメだって、聞いたの――――え゛っ。

あそこって、オジサンの写真とか、貼っていい場所じゃないの!?

【なるほど納得という顔だ。それから剥がさないというのも約束してみせて、だけど、貼るのはダメだ!なんて】
【言って――すぐにガーンという顔をする。いや、たしかに、おじさんの写真を貼る場所なのだが――とまあ、】
【この子、なかなか良く喋る。ころころと良く喋って、表情もよく変わる。ぴょこぴょことどうでもいい動きも多く】

あのね、お姉ちゃん、私もヒト探し、手伝ってあげるわ! えへん、私ね、これでも、ヒト探しはやったことあるのよ!
私のお姉ちゃんをね、ずっと探してたんだから! あのね、あのね、私ね、探すのプロだよ!

……見つからなかったけど

【人探しだし……そういう少女の言葉に、彼女はピコーンと来たようだった。頭の上に豆電球のエフェクトが見えた気がして】
【すぐに胸を張ってそんなことを言うのだ。一緒に探してあげる――となれば、この子、いい子(?)ではあるよう】
【だが、探すのプロって言葉まではいいとして、続く言葉はダメだ。そこだけ妙に真顔で言うものだから、落差が激しく】

あ、でもでも、2人で探したらね、きっとね、イイコトあるよ!

【すぐにそのダメさをごまかすように、彼女は特にニコーっと笑うのだった。――信用していいものだろうか】

あ、あのね、私は、お散歩! お月様が綺麗だからね、ウサギさんを見に来たの!

【――うん、多分、悪い子じゃないのだが。ちょっと、頭にファンタジーフィルムが掛かっているようではあった】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 00:59:59.60 ID:EosOYWb+o
>>803

卑怯……?卑怯だと!卑怯と言ったのかね、この小娘は!
 カハ……クフ、フフフッ……!馬鹿を言うんじゃあないぞ

 『卑怯』などというのは弱者、敗者の負け惜しみに過ぎんなあ!
 我が手の内を全く探れなかった貴様ら小娘の失態ではないかね!?
 違うというならなんとかして見給え……あぁ、それは、邪魔のつもりかね?
 それなら私も奥の手を使ってしまおうか、大丈夫だ――本当に『奥の手』だから

【ガギッ、と音を立ててロウに振るった手がネものガントレットに止められる】
【だがアーグは気にする事もなく――その服の、胸部をバクゥ、と開くと】

【もともと肩の辺りから伸びている腕とは別の、更に二本の手が内から伸びて】
【その手に持った麻痺毒たっぷりのナイフを二本、至近距離でネモに向ける】
【狙う先は胸と喉。どちらも刺されば――死を望めるような一撃であり】

>>796

あああああ、あっあっあ〜……フフン♪悪くない気分だ、そうだな!?
 カミナとか言ったか、紙折りの娘め……サクラの技術かね?
 恐ろしく厄介だ、だが非常に弱々しいな?火は好きかね?或いは水なんてのは如何かなぁ〜?

【腕は、四本。いや、それでなくとも高位の術者故か――ネモの妨害を意にも介さず】
【空中に50cmほどの水球と火球を1つずつつくり上げると、カミナ本体目掛けて射出する】
【喰らえばびっしょりと濡れるか、こんがりと燃えるか。属性の力は、普通のそれより圧倒的に強く】
【僅かに一瞬触れるだけでも火傷し、水は中々振り払えないという厄介なパワーを孕んでいた】

>>807

【アーグの攻撃が唯一届いていないのがロウであり、唯一攻撃を届けたのも彼だった】
【曲がった弾丸は細い脇腹を痛烈に打ち抜き、アーグの背後にばしゃっ、と黒い斑点を作り上げる】

ん〜……?何だね今のは、痛いじゃあないか……来いというから来たのに、無礼なガキが。
 ……ククッ、成仏などするものか。この日のために何年耐えたと思っているんだ?

 お前のような半端者が私と対峙だなどと冗談だろうと、たまに世界を疑いたくなる
 神も中々お冗談が上手い、と…――ほれ、弾丸はこれくらいのサイズだったか?
 狙う場所は……折角だ、威力も段数も二倍にして返してやろうじゃないか!

【――ダメージが無いのではない。何か秘密が――攻撃を受けてもひるまない理由がちゃんとあるのだ】
【それが分からない。或いは、ただの弾丸では決して倒せないのか】

【ふう、とアーグが息を吐けば、そこに空気が形を持って、大きな弾丸と化し、射出される】
【狙う先は言ったとおりにロウの両脇腹。えぐり抜くような一撃で、喰らえば無論のこと――。】

>>ALL

【アーグの力が圧倒的、というのは既にこれでわかっただろう。――人とも思えない形状で有ることも、だ】
【ならばどうするか。聖の属性をぶつければ良いが、カミナ以外にその使い手は居ない】
【――使い手は、だ。他にも手段が必ず有る。必ず、絶対にと言い切れる程の手段が。】
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 01:02:59.07 ID:kQ9k8s310
>>804
「あー、ったく…………耳障りなお爺ちゃんは嫌いだよ?
偉そうに自分が作っただとか主張した所でボクからすればだから何だって話

しっかし、さっきの杖もお爺ちゃんが作ったならよっぽど雷が好きなんだねぇ。何なら人間コンセントにでも仕立て上げよっか?
――――ま、兎に角耳障り目障りだ。次は棺桶に白木の杭でも沢山打ち込む様にお願いしないとね」

【顔を歪めるでも無く、言葉には言葉を返すのみ。皮肉には皮肉、罵声には罵声】
【情報が正しければ元大司教。然れど人物像は其れとは掛け離れている】
【少なくとも人徳で成り上がった訳では無さそうだと考えれば、丁度焼き印が見えて】



「ボクも甘く見られたなぁ…………これ位で“心配”される様じゃあね

――――さて、折角のお誘いだから乗ってあげようか。どうせなら収穫も多い方が良いし
それにしても雷、ね…………」

【此処で退く理由も無い。痛みがあっても其れは行動を不可とするものでは無いのだから】
【先に拾った魔力石を眺め、やがてはインゴットと同じ様に仕舞えば誘われるままに歩みを進めるのだろう】
【降りた先、何が待ち構えていても良い様に警戒を続け】
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 01:06:32.67 ID:EosOYWb+o
>>805

【強引に水壁を叩き壊して接近を測れば、水源の奥――水の流れる先】
【つまりは地下水脈に逃げ込もうとする女性の姿が見えるだろう】
【だが、背中は晒していない。女性もまた、彼が攻めてくるのをわかっていたようで】

強引なお誘いは嬉しいけれど、獣のようなお誘いはイヤですの。
 ……けれど、ダンスに付き合って頂けたのはとても楽しかった……♪

 お名前も知らない殿方様?宜しければ今度、ドラクレア島においで下さい
 沢山のお客様がいらっしゃいますのよ。我が主、ヴィサス様も其処に――。
 …――それでは今宵は、本当にお別れですわね?

【最後に数発、水の銃弾のような物を足下の水面から男の方に叩きこむと】
【僅かな隙を見せてから、彼女は水脈に姿を消す事となるだろう】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 01:12:06.32 ID:y8MCUdeDO
>>810

【オジサンの写真。あぁ、うん。そうだ。確かにそうだ。否定の仕様がない】
【しかも普段テレビに出ることないオジサンだ。ぶっちゃけサラリーマンと混じったら間違いなく見分けがつかない】
【だが──それをどう彼女に説明しようか。説明してもわかる年齢には思えない……!】

【──などなど。いろいろ考えた挙げ句、夜色の少女が弾き出した答えはこうだった】


そうだぞ!おじさんの写真を張る場所だ!
でもな、ただのおじさんの写真じゃない!
普段は見ることもない、でーっかい建物に住んでて、やたら偉そうで実際偉いおじさんの写真だ!
あそこに貼ってあるおじさんの写真にいたずらすると怒られるんだぞ!覚えておくといい!ふふん!


【──ひどく、稚拙な説明だった。こいつの頭は幼女レベルなんだろうか】
【百歩譲って、相手の思考に合わせたという考え方もできなくはないが……それにしたって、やり方はもっとあるだろうに】


【それでも、人探しが得意だと聞けば彼女の表情がぱあっと明るくなる】
【もう、続くネガティブな言葉なんて間違いなく聞こえちゃいない】
【それくらい、もう切羽つまっていたのだ。多分】


──じゃあ、2人で探すか!
期待しているぞ、人探しのプロ!
ふふん、これだけ人の多い街だ!見つからなくったって仕方ないさ
ついでに月のウサギも見ることにしよう、今夜は月がきれいだからな!

あぁ、そうそう。せっかく2人で人探しをするんだ、お互いの名前を知らなきゃな!
私はリーベ!リーベ・エスパス


【「──お前は?」】
【そう、問いかければ。リーベは貼ってあるチラシガン無視のまま、相手の手をそっととり】
【そのまま、深夜の散歩……いや、人探しに出ようとするだろう】
【もっとも、彼女だってこんな深夜に探し人が見つかるなんて思っちゃいない】
【どちらかといえば──ウサギさんがよく見える場所へ移動する意図が、そこにはあった】
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 01:13:07.18 ID:EosOYWb+o
>>809

【埋葬を終えて奥に進み、キチキチという音がするのを警戒して進めば】
【姿を見せるのは――虫。おおよそ、ムカデが鎧のような甲殻と】
【そして鉄のハサミと言って差し支えのない顎を手に入れた、そんな昆虫が其処に居て】

【よくよく奥を見れば、山と積まれた粘液状の物体が存在している】
【何処かから流れてきた虫が、運悪くトンネルで営巣した――そんな所か】

【しかし、流石に昆虫は感覚が鋭敏なのか、ウネウネと身体を左右に揺らしながらマリアに近づいてきて】
【間髪入れずに跳びかかり、左のふくらはぎを食い破ろうとするだろう】
【顎の力は凄まじく、放っておけば肉を食いちぎられるのは時間の問題で】

【アンデッドと違って良いのは、弱点がわかりやすい生物であるということ】
【背面はダメだが――魔術も効くだろうし、腹部などは柔らかそうなものだった】
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 01:17:23.88 ID:EosOYWb+o
>>812

【魔力石にはかなり強力な雷の付呪が施されている。が、素手で触れても問題はない】
【作品として非常に高度な出来なのは確かだ――ともあれ、まずは先に進むしか無く】

【他所での戦闘が激しすぎるせいか、向かう先には大した敵も居ない】
【時折スケルトンやゾンビじみた存在もうろついては居るが、銀の弾丸で一撃で屠れる上に】
【何か、落ち着きが無い。奥へ奥へと進めば、やがては大広間の二階(>>774)へ出るだろう】

【階下では亡霊たちがざわざわと彷徨いているが、幸い気付かれては居ない様子だ】
【道なりに行けば、ヴォルギーグの墓に続く扉は開いている。或いは、亡霊たちを片付けてもよかろうが】
【此処は数が多かった。ざっと数えても20体――武装もしっかりとしたものだった】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 01:18:01.24 ID:ZKvZPxkSO
>>806

「私が何者、ですかって?
 ――ふふっ、いいわ。答えてあげる」

【少女は狼狽した。されど、彼女の微笑みは変わることがない。こんな嫌悪は最初から予見していたかのように、ただ平然としているのだった。】
【異常であった。腹を潰された時の苦悶からすれば、彼女にも痛覚はあるはずなのだ。況してや全身をバラバラにされたのだから、仮に斯様な再生力を有していたとしても微笑める道理はなかった。】
【しかし、現に彼女は人当たりの良い破顔を続けながら、こう自らの出自を語り始めるのだ――】

「――島崎重工生化学研究開発部門第7実験班主導次世代先鋭兵器製造計画「ナーヴス・オブ・スティール」第二世代実戦型、実験体No.2448。それが、私の出自よ。
 愛称は「レディ・レッド」。」これも好きだけど、やっぱり自分で考えた『クラリス』の方が気に入ってるわ」

【一頻り言い終えれば、飛びかかるのは少女が喚んだ蠍の巨体。女性の下半身は大腿まで再生していたものの、回避行動を取れるほどまでには回復していない。】
【クラリスが攻撃を喰らう度、その肉体の再生速度は徐々に遅くなるようだった。まるで、彼女の有する生命力を少しずつ削っていくかのように。】
【故に、幾ら不死身のような肉体を有していたとしても、反撃の暇を与えなければ、やがてはこの忌々しい婦人を殺すこともできる――されど。】

「あァ、でも――せっかく恵んだ食べ物を粗末にするなら、お仕置きが必要よね?」

【化物である彼女が、自らの回避を足を用いて行う必要が、果たしてどこにあるだろうか?】
【彼女はその両掌を臓腑と血液と脂でぬるついた地面に添え、そして肘を曲げて――飛びかかる蠍の腹、装甲のない部分目掛けて跳び上がった。剥き出すは彼女の牙、その顎筋にて食らいつかんと。】
【それはある種、滑稽でもあった。しかし彼女の瞳は血走っていたし、蠍の腹を喰らおうとするその牙の間は、既に黒く変色した肉片と視神経にて隙間なく埋められていた。】
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 01:18:15.16 ID:EhgJv1vpo
>>813

【水壁を突破して女の姿を探す。すぐに見つかった】
【水面から放たれた弾丸に気づかず、足や腕などに掠める。その衝撃でバランスが崩れて落下】
【両足と片手から水面に衝突すると同時に空気を噴出して衝撃を緩和。そのまま水面に立ち続ける】


 すまないが、“今の俺”は行儀が悪くてな!
 そのままで良いんだったらその誘いにも乗ってやろうじゃないか!
 是非とも大勢の客と共に、酒宴を開いてくれよ!


【水脈へと姿を消す女に向けて両腕を広げながら、誘いへの快諾を大声で叫んだ】
【不気味な生物に聞き覚えのない島に人命。この男が興味を持つのには十分過ぎる】
【アインは満足げな笑いを浮かべていたが──波を引くように消えた】


 ……で、ここからどうするんだ?


【残ったのはまた面白くない状況】
【一転して不満げな表情をしながら、周囲を見回しながら歩く】
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 01:21:59.57 ID:THIOiT400
>>814

偉いオジサンなのね! じゃあ、じゃあ、きっと、すごいオジサンなのね!
だって、偉かったら、すごいわ! きっとね、すごいオジサンなの! えっと……、……、

――こーんくらい、きっと、きっと、すごいよねっ!?

【あそこはオジサンの写真を貼る場所、覚えた。そこに写真を貼られるのはスゴイオジサン。覚えた】
【でっかい建物に住んでて偉そうで偉いオジサン。オッケーだ。完璧に覚えた。とにかく、めっちゃスゴイのだ!】
【そして彼女は大きく手を広げる。そうして、あまりの広げっぷりに自らバランスを崩してわたたっとなりつつも、】
【これくらいっていうのを必死に表してみせるのだ。……だがしかし、幼女の手の長さ。出来た“これくらい”はお察し】

【ふんふんと彼女は上機嫌で頷いている。少女の作戦はきっと大成功だ。きっと彼女の脳にも理解が出来た】

わかったのなの! 2人で探せばね、きっと、見つかるし、楽しいこともあるよ!
……やったあ! あのね、あのね、明日は満月だって、テレビで言ってたわ! だから――

お月様のウサギさんも、きっと、おモチつき大会してるの! だからね、きっと、綺麗に見えるわ!

【いかにも自信たっぷりに彼女はコクリと頷く。自分がしたネガティブ発言も忘れてしまったかのよう】
【ちなみに彼女は年単位で人を……姉と呼び慕う人間を探して、結局、あっちから連絡を取ってくるまで会えなかった】
【それくらいのヒト探しスキル。なんかもう、……なんかもう、一般人でさえもっと上手くやる気がしてくるレベル】

私はね、ファラエナよ! リーベお姉ちゃん、よろしくなの!

【ファラエナ――どこか異国の国の言葉で“蛾”を意味する言葉だ。だけど彼女はそんなの気にせず】
【ぺこりっと大げさに頭を下げて上げると、その衝撃でケープのフードがふさりと落ちる、クリーム色の毛がわっとあふれ出し】
【ぺたぺたとそれを手で整えると……そうしていた手をきゅっと取られて、ぱぁーっと笑顔が鮮やかになっていく】

じゃあね、まずはね、あっちよ!

【プロだなんていわれたから上機嫌だ。彼女が空いている手で指差し突撃しようとするのが、めっちゃ路地裏でさえなければ】
【子供のお遊びとして付き合えるのだが――流石にそっちはどうだろう。ファラエナの頭が足りないのか、それとも、】
【そこは入っても平気な場所だと認識できるくらい、“強い”のか――とかく、ぼうっとしてればリーベは何度も手を引かれ】
【はやくー!なんて無邪気に誘われまくることになる。――リーベの意図なんて、もちろん、彼女は気付いていなかった】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 01:27:28.96 ID:dEJQYdy50
>>615

【こんな場所だ。アンデッド、亡霊のような類のものや罠などは想定していたが―――流石にこれは想定外だった】
【まさかの虫である。それも、巣作り中の。見た目からして肉食っぽそうな奴。これにはマリアも吃驚する】

―――ッ痛……!?

【これがマリアではなく某自然学者なら目を輝かせていたのだろうが、マリアはそうは行かない】
【アンデッドや亡霊・化け物から鬼まで戦った事のある彼女も、虫は苦手のよう。声にならない悲鳴を上げて】
【瞬間、ピリッとした痛みが彼女のしなやかな筋肉に覆われたふくらはぎに走る。その痛みに一瞬マリアは顔を歪めて】
【虫に罪は無いとは分かっているのだが……咄嗟に凝集させた光の塊を足元目掛けて炸裂させる】

【(熾気は、敵意のある者と死霊など魔の類のものにしかあの強烈な熱を発揮しない。当然虫に魔の力や敵意がある筈もなく)】
【(流し込まれる聖の力に当てられて麻痺状態になる事はあっても死ぬことは無い。暫くすれば、また巣作りにも戻れるか……)】

【無事に(?)虫が麻酔状態になれば、こんな場所はさっさと抜けようとばかりに先を進む。やっぱり虫はあまり好きではないらしい】
【それでも動かなくなったであろう虫を殺そうとしなかったのは、恐らく無為な折衝をしたくなかったから……】
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 01:29:09.07 ID:kQ9k8s310
>>816
【道なりに歩み、道中邪魔となりそうな存在は屠り】
【――――大広間の二回へと辿り着いたならば、視線を下へと移動して】
【悩んだのは本当に僅かな時間であった。アーグの存在が確実となった今、不必要な傷を増やすわけにも行かず】

【未だ気付かれていない事を良い事に先に進む事にしたのだろう】
【歩みは止まる事が無く、そのまま開いた扉を通過する形となって】
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 01:29:21.96 ID:EosOYWb+o
>>818

【女性も消えてしまえば、洞窟は水音で溢れる虚空と化す】
【水はようやく止まったものの、既に地下への扉は水没しており】
【顔を見せる棺桶にも既に遺体しか無い以上――撤退が得策か】

【出口は天井に空いた穴から直接というのでも良いだろうし】
【或いは、最初に言っていた銀のインゴットを使っても良いか】

【でなければ――いっそ外に出て、また入りなおして別の道という強引な道もある、が】
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/06(土) 01:31:47.99 ID:uD1ploPHo
>>803>>807>>811

(――っちぃ、完全に人間を辞めておるのじゃ)
(あの姿、生半可な攻撃では意味を為さんじゃろうな……何か、策は――)


【異形と呼んで差し支えのないアーグの姿と、その圧倒的な力量】
【其れを眼で、肌でひしひしと感じながらも頭は意外なほどに冷静に働き続ける】
【格上の相手――などいつもの事だ。正義の味方をやっていれば、殆ど全ての戦いが其れに該当するのだから】
【常に劣勢を強いられながらも、希望を捨てず立ち向かう者こそが"世界の盾"足り得るのだ】


水遊びに火遊びなどと、耄碌した爺が今更童心にでも帰ったつもりかの?

その程度の浅知恵が、わらわに通じると思うならば試してみるがいい!
貴様のその鼻っ柱ごと根こそぎ叩き潰してやるのじゃ!!


【飛来する火球に水球――どちらもカミナの術にとっては天敵である】
【触れれば瞬く間に燃え上がり、またはふやけて力を失ってしまうことだろう】

【しかし、其れに対してカミナは"真っ向から立ち向かう"】
【左右で形成していた折り紙――それぞれ巨大な狼の頭部となった其れを】
【両方共自身の前方に、重ねるようにして操作して立ち塞がらせ】
【二つの凶悪な威力を持つ球体を受け止めた】

【だが当然、防ぐことが出来るのはほんの一瞬だ】
【一枚は瞬く間に炎上し、もう一つはふにゃふにゃになってその場に崩れ落ちる】
【それに加えて勢いを殺しきることも適わず】
【カミナは少しだけ右方に回避するも、負傷していた左腕に更に火球が掠め火傷が刻まれる】

【皮膚を焦がす激痛を、しかし奥歯が砕けるほどに噛み締めて悲鳴を嚥下し】
【カミナはここで――一つの術を発動した】


【燃え上がる折り紙の後方から突如として、無数の小さな"紙"が溢れ出す】
【それは百枚にも及ぶ指先に乗るようなサイズの、桜色の"紙吹雪"であった】
【カミナの切り札の一つ。細胞のようにして"着物"を構築する紙を分離させ操る術である】

【紙吹雪は大きく散開しながらも、四方八方からアーグに襲いかかる】
【威力は乏しく、アーグからしたならば命中したとしても蠅に集られた程度にしか感じないだろう】
【狙いは頭部を中心として、身体に纏わりつく"攪乱"する事であった】


(この状況で奴に有効な攻撃手段――そして、奴に一番"近い位置におる"者は――)


ネモ――今動けるならば……"アレ"を使うのじゃ――ッ!


【この墳墓に侵入する前に説明を受けていた――強大なアンデッドに投げつければ手榴弾のような攻撃にもなりうる、と】
【現状アーグという名の怪物に通用する攻撃手段として最初に思い浮かんだのは"其れ"であった】
【故にカミナが取ったのは攪乱。少しでも他者の行動を通しやすくする為に――】
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 01:34:19.59 ID:y8MCUdeDO
>>819

【「そう、そうだぞー!お前かしこいな!」】
【──なんて、楽しげに幼女を誉めるリーベ】
【だが誉めてる側も相手に引っ張られて子供っぽくなっているのは、きっと気のせい】
【元よりわりと子供っぽい性格なのだ。少なくとも、あめ玉ひとつで笑顔になるくらいには】


む?今日は満月──?そう、ならきれいにウサギが見えそうだな
きっと2人一緒だから、ウサギ以外にも面白いことが見つかりそうだ!

……って、え、え、え!?ま、待て待て待て待て待てファラエナ!
そっちは路地裏だぞ大丈夫なのか!?
それともなんだ、最近は女の子に声かけられたら路地裏に行くのがトレンドなのか──!?


【「よろしくな、ファラエナ」──そう言った直後に引っ張られる手】
【まさか行き先が路地裏だなんて、思ってもみなかったのだろう】
【慌てて止めるも、猛プッシュされてしまえば断る理由なんて彼女には存在しない】
【「まったく、仕方ないなプロは──」なんて、少しだけ呆れた口調で言葉を漏らせば】
【なんだかんだで楽しそうに、2人きりの路地裏散歩を満喫するに違いなかった】
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 01:36:11.16 ID:EosOYWb+o
>>821

【亡霊を無視して進めば、その先には高位の聖人を弔う一室にたどり着く】
【荒らされた後だが――棺には、丁寧に葬られた女性の遺体】
【恐らくこの人がヴォルギーグか。それにしては、随分と状態が良いが――】

【――道なりに進めば、螺旋階段を降りることとなるだろう】
【そしてその先で出会うのは、もう一人の修道女であって】

>>820

【名も知れぬ、しかし巨大で驚異的な蟲は、血肉を貪らんと顎を締め付けるが】
【熾気――強い聖の力に酔うようにして、キチキチという音が止むと】
【ぐたり、と崩れ落ち、足下でひっくり返って腹を晒しながら気絶する】

【さほどの敵でもない、というところか。――そうこうする内に、背後から気配が近付いてくることだろう】

>>ALL

【――昆虫の巣や卵を上手い具合に避けて進めば、ようやく開けた場所にたどり着く】
【おそらくは長く続く、エッダの安息所行きのトンネル――その入口だ】
【周囲には野営の後も有り、手頃な石台もいくつか設置されていた】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 01:40:54.70 ID:EhgJv1vpo
>>822

【周囲をくまなく、隙間なく探しても何もなし。罠っぽいのもなし。道もなし】
【水音と共にアインが歩く水面からの音だけが虚しく響くばかり】


 ……何もなし、か
 どう考えてもここは最深部ではないな。他の連中が行った道が当たりだった、か
 さて、どうするか


【行動を思案する彼の視界に入るのは水没した地下への扉と、天井の大きな穴】
【飛んで上に出るというのも手だったが、ここでインゴットの存在を思い出した】


 …………うーん
 あまり俺に向いているとは思えんが、折角の貰い物だから試さないわけにもいかんな!
 一度戻ってから別の道でも探すか


【聖なるもの、と聞いていたために何だかあまり好きではなかったが嫌悪感よりも好奇心が勝った】
【銀のインゴットを手に取り、念じる】
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 01:45:34.82 ID:THIOiT400
>>824

【えへへっと笑う彼女も、見た目どおりに子供っぽい。それなら、2人、なんだか姉妹みたいに見えるのかも】
【それから彼女はふっと気付いたように、自分の分のキャンディも取り出して舐める。そして、ほっぺたを飴で膨らませ】
【にぎにぎと繋いだ手を握り締める。子供めいて暖かい体温、それからリーベの体温、グルグルと混ざって】
【つい嬉しくなってしまうのだ。機嫌よさげに、彼女は、ぶんぶんとその繋いだ手を数度大きく振るい】

そうだってね、お天気のお兄さんが言ってたよ! だからね、明日……、今日は、満月なの!
そうなの、きっとね、ネコさんも居るし、綺麗な石とかも落ちてるよっ。

リーベお姉ちゃんの探してるヒトだって、きっと、でっかい石の下とかに隠れてるんだわ!

【――なるほど、彼女がヒト探しを成功させられなかった理由が、なんとなく分かる気がした】
【ネコが居たらネコのほうへ、綺麗な石があれば綺麗な石のほうへ、ころころと意識を引っ張られまくって】
【その挙句、探してるのは人間なのに石の下とか覗いたりする。そんなんで、見つかるはずが、ないのである――残念ながら】
【この女の子に頼っても、少なくともお目当てのものは見つかりそうになかった。それだけは、強く、予感でき】

大丈夫なのよ! あっ、でもね、あのね、ちょっとね、コワいヒトとか居るよ!
だからね、リーベお姉ちゃんがヤなら、別の場所でもいいよ、なのっ。

【コワいヒトが居るというのは認識しているらしかった。それなら、それなら、……信じがたいのか、この子、強いのか】
【ぐいぐい引っ張っていって半分くらい踏み込んだところで、彼女は足を止めて――初めて、どうするのかをリーベに問うのだ】
【ただ平和にお月見散歩をしたいなら、改めてこの場で宣言すれば、きっと言うことを聞いてくれるはずだ】
【まん丸の蒼穹色の瞳がじっと見上げてくる。――変わらずニコニコ笑顔なのが、なんとも、気の抜ける】
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/06(土) 01:45:48.21 ID:2puglcKoo
>>817

【島崎重工。聞き慣れない名前だ、カワサキ重工やら富士重工やら、その辺のメジャー所なら聞き覚えもあるが】
【どうにも彼女の耳には聞いた事のない社名、そして知りえる筈のない部署と実験計画の顛末、それがこの女の、正体か。】
【なるほど、詳しい事までは分らないが、概ね理解できた。この女はどこかの軍需興業で作られた生物兵器、正真正銘の怪物だ。】

 ……バイオ・ウェポン<生物兵器>……、!?
 ハッ……そういうこと。なんとなくだけどこれで納得がいったわ、その異常な生命力も、そのお陰、ってワケね……!

 (だとすれば……いや、再生能力はさっきに比べて格段に落ちてる……恐らくは、無限に再生出来るわけじゃあ、ない……)
 (それに動きは速いけど攻撃能力に関しては今の所未知数、主に剣によるそれ以外は見られない……なら、火力でどうにか……!!)

 レディ・レッド。いいえ、クラリス―――ま、どっちでも良いわ。でもアンタにはピッタリの名前じゃない。
 もう二度、三度とアンタは血達磨にさせられるんだからね、この私の手で……クリムゾン・クラリス(血塗れクラリス)さぁん?

【巨体が逃げる事の出来ないクラリスへと圧し掛かっていく―――これでもう終わりかと、そう思ったそのとき。】
【信じられない光景をネメシスは目にするだろう。そう、剣で応戦するでも、回避をするでもなく彼女がとったのは―――】
【バイティング<噛み付き>、……確かに、戦場では当たり前の行為。だが、だがしかし、巨大サソリの胴体目掛けそんな事をするとは!】

 ぺしゃんこになって―――な、ぁっ!? か、噛み付いて……ッ!?

【グチャリ。柔らかい肉が、とてつもない顎の力によって食いちぎられる獰猛な音が木霊した。】
【グチャリ。グチュリ。グチュグチュ、ブチュリ。蠍が呻く。キバが突き刺さる。蠍が呻く。肉が削がれた。】
【押し潰しどころではない。飛び掛られた状態で、下腹部に取り付かれた蠍は彼女を叩き潰さず普通に着地してしまい】

【結果的にはその猛攻に身を晒す事になってしまう―――そして滅茶苦茶に暴れまわろうとするも、そこは下腹部。】
【蠍の脚も、そして鋏もそこに届く事はない。タダ只管、巨大な昆虫は身もだえし、阿鼻叫喚の叫びをあげながらのた打ち回った。】
【そしてそれによってダメージを受ける者がもう一人。そう、この昆虫の使い手であり主たるネメシス本人が、まさにそうであって―――。】

 あ、がぁァァッ!? い、ぎっ、ひぐぅっ……!! 、ばか、ばかじゃないのあんっ、た……つぅっ、ああ、くッ……!!

【―――ドクン。痛みが走る。ネメシスが胸を押さえてふらり、と壁に寄りかかると同時、蠍がのた打ち回っていた尾っぽを】
【ようやっと身体の下にいるクラリスに届かせて、そして引き剥がそうとするだろう―――だが、その尾は先程一度鎧を破壊したソレ。】
【この至近距離ならば逆に迎撃すらも―――可能、だろうか。】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/06(土) 01:53:34.04 ID:gNAU1aR40
>>823>>811>>807
【自身の両手で相手の両手を封じたと、そう思ったのに】
【突如開く胸の穴から、現れるのは二本の新たな腕と、それに握られた刃】

(だめ・・・・・・避けられない・・・・・・)

【腕は使えず、振りほどこうとしても間に合わない。逃げることができない】
【頭をどれだけ回しても、刃から逃れる方法が見つからない】
【絶望が、少しずつやってくる。ひた、ひた、ひたと、頭の中に絶望の足音が聞こえてきた―――】
【―――その時】

【桜吹雪が二人を覆い、それがアーグの頭部に纏わり付く】
【そして一瞬、ほんの一瞬でも刃の動きが鈍ったのならばその刹那に】
【喉につきたてられた刃に噛み付き、抑える。自分の体を構成する強化細胞は胸を一刺しされたぐらいじゃ死なないんだ】
【動けなくなるほどのダメージは負うだろうが、その前に決めてしまえばいい話】

―――わかったッ!

【胸に深々と突き刺さる刃、広がる痺れを、痛みを必死でこらえて懐のインゴットに手を伸ばし】

今こそぜんぶっ・・・・・・返すの!!

【インゴットを握り締め、最後の一撃を、神速の右ストレートをアーグの顔面めがけて撃つ】
【人を超えた力を誇る少女の拳も、アーグには聞かないのだろう。拳だけなら】
【今の少女の手にはインゴットが、聖なる爆発を起こす手榴弾が握られている】
【もし少女の拳がアーグに触れたのなら、握られたインゴットが爆発を起こし】
【聖をまとう衝撃波が零距離でアーグを襲う】
【そして自らも衝撃で吹き飛び、麻痺毒で動けなくなったネモがロウとカミナに対して】
【あとはおねがい、と、そんな視線を送るのだろう】
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 01:53:38.68 ID:kQ9k8s310
>>825>>820
(墓荒らし……にしては随分と礼儀正しいみたいだけど…………まさか、ね)

【遺体を発見すれば、思いの外未だ原形を残したままである事に驚いて】
【墓荒らしともなれば大概遺体を其処等に放置するなり下手をすれば四肢をもいで売りさばく者まで居る】
【――――だからこそ、葬られたままであるその姿に違和感を覚えたのだろう】

【何であれ、先に進まねばなるまい。やがてその先に見知った姿があるならば】



「やっほ。少し振りだね、マリア。そっちの方は大丈夫だった?
ボクの方はアーグと直接話す機会があったけど…………それについては歩きながら、ね」

【緩い笑みと共に言葉でも向けるだろうか】
【元気か、問う本人が脇腹より血を流しては居るが――――そう気にした様子も無いのだから大事には至らないのだろう】
【一人よりも二人。この状況、特に分かれ道がある訳でも無いのだから共に行動した方が危険も無いと考えて】

【歩きながらアーグについて話すも、それは本当に触りの部分だけ。今はゆっくりと話すよりも目的を果たすのが先なのだから】
【――――開けた場所へと到着すれば、ふとインゴットの存在を思い出して手にするのだろう。休憩するにも進むにも先ずは入口の確保でもしようかと考えたか、適当な石台にでも設置しようとするけれど】
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/06(土) 01:55:38.93 ID:i5Ro48Rio
>>811 >>823 >>829

おいおい効くんじゃねぇのかよ……!! あいつパチモン渡したんじゃねぇだろなぁ……ッッ!! あ、渡したモンって―――な〜る、そういうことね……。
……つーかマジ命拾いしたぜ、ネモ。 正直お前に助けられるとは思わなかった。織守、サポートに回ってくれてサンキュー……だからよぉッッ!!

アイツに貰った「この秘密兵器」で――――!!

【渾身の一撃が効かない――――そのことに困惑する表情を見せるも其れは一瞬。そう、渡されたのは銀の弾丸だけではない】
【皆に渡されたアレがあるじゃないか、とロウは右手でポケットをまさぐり、「秘密兵器」を取り出した。――――そう、銀のインゴット】

今直ぐにこのクソ大司教を成仏させっから――――!!

【ロウは其れをひょい、と上に放る。天井に当たるギリギリまで上がり、そこから落ちていくのだが――――それに遅れて、銃声が一発】
【宝玉の力を利用した技、弾丸憑依Fat man=Bこれは弾丸の重量が途中で一気に増し、軌道が急降下するというものなのだが――――――】
【この弾丸を投げたインゴットの上を通るな軌道で放ち、丁度インゴットの真下に差し掛かるやや手前で発動。弾丸は一気に急降下】
【急降下した弾丸がインゴットに当たり、100s超の重みと弾丸の威力を貰ったインゴットは急激な速さを持って落下。――――その先には、アーグの脳天】

――――テメェ等2人の分奢ってやるから飯でも行こうぜッッ!! ―――― H o l y  S t r i k e =I!!!!!!

(ネモも近距離から使うだろうし……俺は遠距離から俺らしくコイツを当てる……!)
(最悪片方でもいい、だから――――必ず当てないといけない……!!)

【兎に角、インゴットをロウなりに、いやロウだけの方法で撃ち出すことには成功した。あとは当たるか、そして効果があるか――――】
【此処で決める。此処で仕留める。此処で勝つ。此処で、此処で、此処で。今じゃないと、ダメなんだ。だから、だからだから――――!!】

――――――――いっけぇえええええええええええええええええええええッッッ!!

【放たれた空気の弾丸を躱しながら撃ったはいいのだが、空気の弾丸は壊れた石像の破片やらなんやらを巻き上げ、礫がロウの身体に無数の小さな傷を作り出す】
【しかしそんなことはどうでもいい。此処しかないんだ。これが効かないときっと負けなんだ。そのような想いを込めてロウは叫んだ】
【着実に削られていく体力、そしてどの技も一撃必殺を思わせる程の威力。早いうちに決められないと勝利の光はどんどんとか細くなるばかりだとロウは覚悟していた】
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 01:55:56.98 ID:EosOYWb+o
>>826

【インゴットを手にとって念じれば、ぐわんと空間が歪む感覚】
【ひどい頭痛がするかもしれないが――どうやら聖の属性を用いるわけでは無いようで】
【男は、気付けば視界が明るくなっていることだろう。理由は簡単、外に居るからであり】

……戻ったか。ひとまず一人は無事に、ということだな
 確か、アインとか言ったが……何か、内部で発見はあったか?

【近付いてくるのは最初に任務を説明したフレデリック】
【改めて見ると、縦にも横にも奥行きも有る男であった】

【――さて、此処からは男の判断で少々結末が変わる事となる】
【彼の収穫は龍の手を象った金のオブジェクトだろう】
【が、報告せず――ということも出来る。逆に、報告すれば渡さざるを得ないはずで】
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 01:57:41.35 ID:y8MCUdeDO
>>827

ふふ、もしかしたらそうかもしれないな
私の探してる子はな、虫を使う能力があるんだ……

──、────!!!
い、いやファラエナ!案外そうかもしれないぞ!なんてことに気付いてしまったんだ……!
虫使いだったら、虫みたいに石の下に隠れてたって不思議じゃあない──!


【──きっとこの2人は、出会ってはいけない2人だったに違いない】
【「貼り紙をする」なんて発想があったのは、18年くらい生きてきて身につけた思考ではあったが】
【それ以外の考えは、間違いなく「残念」以外の何者でもない】
【彼女たちだけでは、絶対に探し人が見つかるはずないのは、明確な事実だった】


……ふふん、なぁにお前が行きたいなら行くさ!
路地裏の方が虫いそうなところは多いし、なんたってプロのいうことだからな!
いざとなったらお前を抱えて飛んで逃げる!


【ふふん──そうやって笑えば、今度はリーベから率先して路地裏へ行こうとする】
【とはいえ、ファラエナがリードを取るのであれば、彼女はそれを拒否することはなく】
【ニコニコ笑顔を見ては、またふふんと笑うのであった】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 01:59:47.48 ID:EhgJv1vpo
>>832

【空間の歪曲──目にするのは今日で二度目だ。自分に作用するのを見れるのなら、だが】
【頭痛に顔をしかめはするが、それ以上にこの効力の方が彼の意識を引きつけた】
【転移が終わり、軽く頭を振って意識をはっきりとさせる】


 よくわからんナメクジ女がいたぞ。あとはこいつだ


【外套の中から金のオブジェクトを取り出して投げ渡す。金品財宝の類は殆ど興味がない】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 01:59:48.71 ID:dEJQYdy50
>>825>>830

【あまり気分の宜しくない虫の巣を抜ければ―――後ろから近づく何者かの気配。その正体は誰かと振り向けば】
【其処にあったのは親友の姿。顔を見て少しばかり……いや、大いに安堵した表情を浮かべたマリアは】
【二言目には彼女の傷を心配するのであった―――】
【(マリアには目立った傷は無い。少し濡れているのと脹脛を虫に咬まれたの以外は、此処まで無傷で来れている)】

―――グリース!?どうしたんですか、その傷は!?
平気ですか?貴方は傷の治りが早い事は知っていますが……やはり心配になってしまうのですよ。

……ともあれ、こうして無事に合流できて良かったです。
さて、今回の目的はこのトンネルの確保とインゴットによる結界の展開でしたが……
……このトンネルが、その目的地のようですね。

―――もしもし、貴方。只今トンネルの入り口に着きましたよ。
グリースとも無事合流できました。これからトンネルの確保と結界の展開を行います。

【指輪を通じて夫に連絡を入れれば、グリースと同じくマリアもインゴットを石台に設置して】
【――さあ、もう道はトンネルのみ。】

……さあ行きましょうか、グリース。貴女がいれば何よりも心強いです!

【―――友と一緒ならば、どんな場所でも怖くは無い。彼女は強いと身を以て知っているから、これ程心強い者は居ない】
【勿論、自分も他人に全て任せてしまう程弱くは無い。進む道の先に何があろうとも、共に戦う覚悟は出来ている―――】
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 02:07:17.86 ID:THIOiT400
>>833

…………――!

【な、なんだって。まあるい目がさらに丸く見開かれる、何気なく言ったことだったし、過去の自分がしてきたことだったけど】
【それで見つけたのはゲジゲジとかダンゴムシばっかりだったから、ダメなのだと思っていた。それが、ワンチャンある……?】

そうなの! きっと、居るかもしれないわ! ……あのね、リーベお姉ちゃん。

【彼女は胸元で手をグッと握るとキッと眉を吊り上げる。それから、至極真面目な顔と声になったと思えば、】

……ゴミ箱とかの下にも、虫さんは結構居たわ!

【――残念ながらド真面目だった。1ミリもふざけていない、100パーセント、純粋に、真面目である】
【だのにこのクオリティなのが子供たるゆえんだろうか。――と言ってしまうと、リーベに失礼になるのだが】
【とにかく、二人は波長が合うみたいだ。とにかく重大な事実として、その経験則を彼女はリーベに伝えると】

リーベお姉ちゃんは飛べるのなの? あのね、私も、飛べるんだよ!
昔ね、お友達のお姉ちゃんにね、これつけてると空を飛べるよって指輪をもらったんだけどね……、

……使わなくても、飛べるかな!?って思って練習したらね、できるようになったの!

【わぁと嬉しそうな顔をする。そしておそろいだ!なんて喜んで、彼女は、そんなことも教えてくれる】
【ついでに飛べるようになった経緯も教えてくれるが、まあ、それは余談として――】

――じゃあ、レッツゴー! なの!

あっ、ちょっと待ってなの、ここね、暗いからね、明るくするのっ。

【そして彼女は握りこぶしを天に掲げ、景気づけとする。それから、リーベに手を引かれる形で歩いていく――のだが】
【その前に、その手をくいと引いて立ち止まらせようとするだろう。それで、何をするのかと思えば】
【彼女の体から魔力がふわっと零れて――くるくるとその体の傍で渦をまく、ゆっくりと何かの形を作っていく】
【やがて出来上がるのは、20匹くらいだろうか。蝶――いや、蛾だ。光でシルエットを作られた、光の蛾】
【触れてみればモチモチとする手触りと暖かさ。そう、彼女の魔力は、午後の日差しと同じような、光と似る性質があって】

【――とにかく、そうやって明かりを点ければ、準備は万端。何も無ければ、二人はそのまま路地裏に入っていくのだろうけど――】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 02:13:56.89 ID:EosOYWb+o
>>823

耄碌した爺ぃ〜?さあて何のことだか分からん"のう"、カミナよッ!
 カカカッ、寝ていた間も含めれば、今年で242歳だが……この頭脳は衰えんのよ!
 
 …――そも、貴様こそ鼻っ柱を叩き折ってやりたい小娘ではないか
 貴様が泣いて詫びる顔が見たい。手足を少しずつ切り取って
 滴る血をタップリと杯に注いで貯めておこう。饐えた頃に飲ませてやるのだ
 無論、その頃には手足などとうに豚の餌だ……大丈夫だ、私は治癒も得意だからな。
 あの絶望に打ちひしがれた顔、全てを諦めて腐った己の血液を啜る姿ッ……!

 悪くない、実に良い……。……ん?鬱陶しい真似を、紙切れが……。

【恐ろしく下品で、腐った考え方。しかし子供のように純粋にケタケタと笑うと】
【己の放った魔力球が成果を出したことを確認して、その笑みは邪悪な物に変化する】

【――しかし、紙吹雪。いや、桜吹雪というべきか。それが吹き荒れると】
【攻撃力がないことにすぐ気付いたようで、捻くれた爪で紙片を掴めばじゅう、と燃やし】

>>829>>831

【にわかに、そして急速に戦局が変わる。カミナを威圧し、魔力を叩き込み】
【ネモにはその手でナイフを突き立てて、遠く離れたロウには風の弾丸を送りつけた】

【――その状態からまず全てを変えたのは、もう動けないと踏んでいたネモの一撃だった】
【渾身の右ストレートが目元を隠す拘束具ごと頬を抉り、直後にインゴットが爆ぜて上半身を襲い】

【更に追撃とばかりに、威力と重さを増したロウからの"プレゼント"が振りかかる】
【二度に渡る爆音と衝撃は、室内の埃を否が応でも巻き上げて、一時的に視界を奪い】
【やがて届く攻撃の成果は、声として。うめき声が、まずは三人の耳に届く事となり】


 おォォぉ、っ……何だコレは、銀か……!おのれ若造どもが……
  どこで覚えたッ、こんな古典的な手を…――あの大司教もどきかッ!

  ……ぬゥぅぅ…!だが……だが、残念であったな愚かな小さき者共よ……。
  私は死なんぞ、この程度で……ちと身体の一部が吹き飛んだくらいで、死ぬものか…!
  あァ、光が眩しい……この眼で明かりを受けるのも遠く100年越しの刺激よな……!


【――上半身は、肩から肺にかけてが。脇腹は背骨が露出し、黒い腐汁が床をびしゃりと汚していて】
【顔をみれば、外れた拘束具の向こうには目玉があった。しかし一つだけだ――左右対称ではない】

【"モノアイ"とでも言えばいいのか。これでようやく明らかになった。奇形≠ネのだ】
【ありえないほどの高身長、手足の構造、数、そして頭脳や性癖に至るまで――全てが捻れている】
【だからこその強さ、と言い切っていいのかわからない。しかし、かろうじて人間であった、ということはこれで分かり】

>>ALL

だが……仕方あるまい。このまま戦って貴様らを縊り殺すのも良い、が……
 それでは今後の楽しみが無い…ッ!ク、フフ……あのシスターの言うとおりか!
 
 中々面白いではないか、この時代の能力者というのは……
 ……アーグの名を忘れるなよ、若造ども。"ドラクレア島"だ、あの島で……フッ。
 楽しみではないか、コレは楽しみだ……必ず貴様らを私の奴隷にしてやる、慰み者に……帰る、か…――!

【――発生するのは黒い霧。アーグの肉体は瓦解するように霧に包まれて】
【やがて風に流され、気付けば全く姿は消えていた。――逃げた、のか】
【瘴気とでも言うべきそれも無くなった途端に、部屋は落ち着いた】

【コレ以降も探索へ移る事は可能だが――まず、助けを呼ぶのが先決かも知れなかった】
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 02:22:54.00 ID:y8MCUdeDO
>>836

【ここに来て、やっと得たヒント。もう、リーベにとっては大・大・大・大・大ヒントである】
【だが、その後真面目な表情になったファラエナを見れば、ついつい彼女だってぐっと口を結び】
【ごくり、と生唾を呑み込んで相手の言葉を待つ──その数秒が、リーベにはひどく長く、思えて】


────!!!!!
わ、わかった!!ゴミ箱の下だな!!
さすがすぎる人探しのプロ──な、なんて頼りになるんだ……


【──普通に考えれば、ゴミ箱の下にいるカノッサ機関員とか惨め以外の何者でもない】
【だがまぁ、他人の発言をわりかし信じてしまうリーベにとっては、この流れは仕方ないのかもしれなかった】
【もしも。もしもリーベの「探し人」と再会するとき、「ゴミ箱の下探してました」──だなんて言えば】
【その場で罵声と銃弾飛び散る映画顔負けの熱いバトルが繰り広げられることは間違いないはずだ。きっと。Nemesisの人ごめんなさい】


む、ファラエナも飛べるのか!
なら安心だな!しかし練習したとはえらいぞファラエナ!

……って、うわぁ──きれいだな
これがファラエナの能力、なのか?
ふふ、これなら、暗くったって安心だ


【──ふわり。周囲を飛び回る光を思わず手にすれば、伝わってくるのは暖かな感触】
【堪らず指先で更に手触りを試してみれば、もちっ。もちもちもちもちもちもちもちもち】
【──リーベにうっかり摘まれてしまった蛾は、不幸なことに、彼女が飽きるまでモチられるに違いなかった】

【その後路地裏に入れば、基本的にはファラエナの道案内に従ったり、宣言通りゴミ箱の下を覗いてみたり】
【それでも道を不良が塞いでいればそのルートは避けたり、血が垂れていたら見せないようにしたりと】
【一応、年上らしいことは、するのだ。思考はとても、バカっぽいけれど】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 02:23:35.75 ID:EosOYWb+o
>>830>>835

【インゴットを揃って石台におけば、後は術式が自動で起動して】
【周囲にじわりと暖かな結界が広がってゆき、トンネルも奥まで照らしだされる】
【生憎と、今日は此処までの進行が限界か。槍も"向こう"にある様子で】

――着いたか。今こちらでも、インゴットの魔術が起動したのを確認した
 ひとまず任務成功と言うところだな……其処に、グリースが居ると言ったな

 それなら、アーグの奴が今しがた撤退したらしいと伝えてやってくれ
 随分と濃厚な闇の魔力を伴った風が、ちょうど奥へと流れていった所でな
 ……済まないが、そちらに救助隊を送らねばならん。自力で戻ってこれるか?

【フレデリックからはそんな返事。トンネルの確保が完了した、と有れば任務終了だ】
【その向こう、エッダの安息所はアーグの棲家。まずは戻る事が優先とのことだった】

>>834

……ナメクジ女?アーグの奴が召喚した、ということか……。
 生憎と、ゼン=カイマに関する限りではそういったキメラのような話は聞いていないのでな

 それと、この金の龍腕も始めて見たが……副葬品というところだな
 随分と意匠が凝っている辺り、使い道も有りそうだ。
 ……ところでお前、ドラクレアという名を聞いていないか?

【――話は、案外短いものとなる。ドラクレアとは、カスケード海淵という海域に彷徨う島だとか】
【そこに六罪王が居るとか、手がかりは知らないか、とか。どう答えても構わないし】
【どちらにしろ、これで任務自体は完了。報酬は後日、ということで解放される事となるだろう】


//お三方に関しては、こちらのレスを以って一応探索終了とさせて頂きます。
//続けて対応も可能ですので、時間の余裕などを見てご自由にして下さいませ
//それでは、一度……本日はご参加いただきありがとうございました!お疲れ様でしたっ!
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/06(土) 02:28:32.62 ID:gNAU1aR40
>>837
//すいませんね落ちます・・・・・・
〆は明日にでも書きますので!
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 02:28:41.01 ID:EhgJv1vpo
>>839

 その名前ならナメクジ女から聞いたな
 そこに主人がいて、客人を呼ぶんだと……なにかお前は知っているのか?


【問いかけについては知っていることを答えた。その情報に何の意味があるか自分には分からない】
【返答にこちらからの問いを混ぜる。大司教を捉える瞳には好奇と獰猛さが共存していた】

//探索イベントお疲れ様でした。少しだけおつきあいくださいな
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 02:33:39.95 ID:EosOYWb+o
>>840
//問題有りませんよー!こちらで伝え忘れてしまいましたが
//戦闘も実質的に終了ですのでっ!お疲れ様でしたー!

>>841

……知っている、というほどではないが、其処に友人が居る。
 元だがな。今では奴はただの六罪王……カノッサの首の一人だ

 ダグラス・マックスウッドという名を知っているのなら、奴が其処に居るという事だよ
 何を企んでいるのか知らんが、色々な場所に火種を仕込んでいるようだ
 大方そのナメクジというのも……貴様、其処に行く気か?

【好奇心と獰猛さを兼ね備えた彼の瞳に、真っ直ぐとした鷹のような眼で答える】
【この堅物に限って嘘はないだろう。やがて反対に、件の島に行くきかと尋ねかけて】

/もちろんですとも!では、もうしばしよろしくお願いしますね〜
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/06(土) 02:35:16.85 ID:2puglcKoo
/申し訳ないです!
此方ネメシス中身ですが、少々眠気が酷いので今夜は一旦此処で切らせてもらいます、すみません!
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 02:36:24.12 ID:THIOiT400
>>838

【彼女もヒントだと思って発言した。だから、少しタメたし、声も、ぐっと真面目っぽくしてみたし】
【ゴミ箱の下――ゴミ箱の下に隠れてるなんて、機関のヒトでなくてもヤバさを感じる。多分、近づいちゃいけない類だ】
【彼女は人間を何だと思っているんだろう……でも多分ちょっとヌケているだけだ。いい子だけど、ヌケていて、ちょっと……バカ……】

えへん――。

【とにかく彼女はドヤ顔だった。そして幼さしかない顔に、それが、よく、似合うのだ】
【腰に手を当て胸を張る。張られる胸は当然ぺったんこだし、むしろ、おなかのほうがぽこっとしているかもしれないし】
【だけどそれは肥満とかでなくて、いかにも幼児体型なのだ。見れば、腕も、足も、ちょっと短めだし、頭はデカい】
【――いくら探しビトを知らないにしてもいろいろとヒドい。もしそれで怒られたなら――この子を連れ出して、土下座させればいいだろう】
【つまり何が言いたいかというと、前もってのごめんなさいである。土下座の準備は出来ている(真顔)】

なのよ! だってね、空飛べたら、ぜーったい、気持ちいいもん!
鳥さんとかね、楽しそうでしょ、私もね、やりたかったの! ――あ、

そうなの! 私のね、能力なのよ! ……あのね、あのね、リーベお姉ちゃんには教えてあげるけど……。
これね、いっぱい使ったらね、光がなくなっちゃうの! だからね、あのね、お昼のうちにね、お日様浴びて、いっぱい溜めるのよ!
それでね、そしたらね、また、光るの! 

【空が飛びたいから練習したら飛べるようになった。それってどんなボー○ンダ……ちょっとよくわからないけど】
【この能力の応用だろうか? それから彼女が声を潜めて説明してくれる、……つまり、日光浴が出来ないと無力化するらしい】
【さり気重大な事実なのだが、彼女は対して気にした様子もない。「今日もね、お日様浴びたのー」なんてのほほんと言い】

【摘ままれた蛾はなす術もなく、というか、そんな様子でモチられていた。あまり力を入れると、壊れてしまうから】
【ほどほどにしておくのがいいだろう――まあ、1匹2匹ダメになってしまっても、まだまだ変わりはたくさん居るけれど】

【――そうして2人は路地裏を散策する。あっちだこっちだと適当なことを言うファラエナや、ゴミ箱の下を覗くリーベや】
【不良を避ける2人、野良猫を見つけて駆け寄っていくファラエナ、逃げられてしょんぼりする顔、血だれを隠してもらったり】
【とにかくしばらく歩いただろうか。差し掛かるのは、廃ビルの入り口――それを見て、彼女はピンと何か思いついたように】

そうだ、お月様、見るんだったの! リーベお姉ちゃん、休憩しよー!

【そんなワガママをしだすのだ。そろそろ疲れたから、休憩したい――だなんて、そんな、お誘い】
【彼女が指差しているのは、廃ビルのその屋上。見れば、一応柵なんかもあって、それなりに高いものだから】
【そこからなら確かにお月様が見えそうだ。――もう少し散策したいなら、それに従うけれど――?】
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/06(土) 02:40:04.36 ID:uD1ploPHo
>>829>>831>>837

――枯れた老害風情が、妄言をつらつらとよく吐きおるのじゃ
その豊かな想像力と無駄によく回る舌だけは褒めてやっても良いぞ?

して……そろそろ戯れは終わりじゃ
貴様の醜悪な姿は見るに耐えぬのでな――腐った脳にしかと"現実"を刻み込んで、地に堕ちるがよい


【アーグの語る聞くに堪えない内容の思想に、心の底からの軽蔑と不快感を表しながらも】
【ネモとロウ……頼れる二人のパートナーのインゴットによる攻撃が炸裂する様子をしかと視界に入れた】
【即興のメンバーにも関わらず、多くを語らずとも互いを助け合い協力出来ているこの状況に】
【ふっ……と思わず口元が緩み、笑みが零れてしまった】


ハッ……下品な口上だけではなく負け惜しみも上手いではないか

そんな貴様を評価して、わらわが直々にこの言葉を送ってやる――"おととい来やがれ、糞爺"
醜いその身体を今から綺麗に磨いておくがよい。次会ったときは念入りに磨り潰して地獄に送ってやるからの


【去っていくアーグに対して、吐き捨てるようにして声を叩きつけると】
【カミナはその場で膝を付き……左肩を抑えてその場にしゃがみこんだ】
【額からは夥しい脂汗が流れ、走り続ける激痛に耐えながらも紙を生み出して】
【包帯のようにグルグルと巻きつけ、自身に応急処置を施した】


……さて、どうしたモノかの

まだインゴットを置く作業を済ませておらんが
このまま皆で探索を続けるのはちと難しいやもしれん……特に、ネモはすぐにでも医者に見せるべきじゃろう

一先ずは脅威も取り除いたことじゃしの
わらわとしては一度表まで戻り、状況を立て直した上で再度突入するか
他の探索者に委ねるべきかと思うのじゃが――


【そこで一度言葉を切って、仲間である二人に視線を向けて彼らの意見を待つ】
【どのような答えを出すにしても、恐らくはカミナは其れを尊重して従うことだろう】
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 02:40:29.90 ID:EhgJv1vpo
>>842

 女の誘いは断れん性分でな
 ……お前に分かるか?

【アインはにやりと、意味深に笑った】


 それに、カノッサの六罪王であれば興味もある。流石にその地位で弱いということはないだろう!
 俺の好奇心と闘争欲を満たすのに相応しい。一期一会ともいうしな
 諸々の理由から、あの場所に行く十分な理由が俺にはあるというわけだ


【続けて理由の詳細を語る。その声色は子供が知らない場所に探検に出る無邪気さがあった】
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 02:42:18.85 ID:kQ9k8s310
>>835>>839
「まあまあ、ボクの事を心配してくれるのは嬉しいけどキミが知ってる通りの身体だからね
心配ご無用ってヤツかな。其れに――――今日は此処までみたいだ」

【盗み聞き、と言う訳でも無いけれど。アーグの撤退と同時に“こちら”も戻る指示を聞いたならば無理に先に進む事も無い】
【もしかすれば見えないだけで槍は直ぐ其処なのかもしれない。けれど、勇猛果敢に進んだところで良い結果が得られると限らないのは十分理解して居る】
【――――“戻ろうっか”何て言葉をマリアに向けたならば、今一度辺りを見渡して】



「ボクとしてもキミに怪我をして欲しくないし、要らない傷を負わせたら団長サマが五月蠅いからね
…………アーグも居なくなったなら後は片手で十分なのばっかりだし、そう気を張る必要も無さそうだけどさ

――――あー、後。団長サマに後で幾つか伝えておく事が在るとでも言っておいてよ
必要な情報かもボクには分からないけど」

【クスリ、と笑みを見せたならばそのまま歩み出すのだろう】
【戻る最中、行く手を阻む者が居たとしても銃弾を浴びせて屠るのみだ】
【加えれば来た道を戻るだけ、そう苦労する事も無く当初の場所へ戻れたならば良いのだが――――】

【戻れたならば戻れたで、彼に少し伝えるべき事と問うべき事もある】
【どちらにせよ、任務も終われば長居する事もあるまいが……】


/少し続けるか否かはマリアさんの方にお任せ致しますー!
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 02:46:03.60 ID:EosOYWb+o
>>846

……さて。私は妻以外の女の誘いは受ける気はないのでな
それに、良く石頭と言われるような人間だ。分からない、と答えておこうか

あぁそれと、奴は弱いぞ。恐らく、純粋に戦いという一面ならチンピラにも劣るだろう
凄まじく虚弱なのだ、アレは……その代わりに、頭脳と能力が冴えている。
どういう連中を取り巻きにしているか分からんし、かつては月を落としたことも有る。

そういう相手を強いと取るか、弱いと取るかは自由だが……満足したか?

【お固い大司教様――というイメージにピッタリの回答か】
【しかし、楽しげに語る彼、アインの様子を見ると、小さくフッと笑って見せて】
【他に聞きたいことは有るか、と尋ねつつ、ペンを取って紙に何かをサラサラと書き始め】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 02:52:15.44 ID:dEJQYdy50
>>839>>847

【トンネルを確保し、結界も張る事が出来た。恐らくこれで今回の目的はほぼ達成出来たと見ていいだろう】
【……トンネルの先へ行こうかと意気込んだところで、夫からの連絡が入る。今回はもう戻れという事らしい】
【少しばかり肩すかしを食らうような格好となってしまったが、まあいい。目的は達成できたし、何より】
【無傷で帰ってこれる。グリースも傷を負っているものの平気そう。……これが、一番嬉しかった】

分かりました、伝えておきます。……アーグは撤退しましたか。これは良かったと言うべきなのでしょうか……
ともあれ、皆さまが頑張って下さったお蔭で窮地は脱したと言っていいのでしょう――後で感謝を述べなければなりませんね。

私は平気です。幸いにも傷を負うことなく此処まで辿り着けましたので、自力で戻れるかと!
ふふっ―――私の姿を見て貴方がまた慌てたりしたらいけませんもの。今度こそ無事で帰れそうです!

――――――

ええ、では戻りましょうか。歩けますか?駄目なようでしたら、私が背負ってあげます!
ふふん、私も結構力持ちなんですよ?グリース一人ぐらい何てことはありません!
……無理しないで下さいね?私も、貴女にこれ以上怪我をして欲しくないのですから……

……伝えたい事?ええ、一応旦那様には言っておきますが……――もしもし?グリースが、貴方に伝えたい事があると―――

【―――かくして、探索は終わりを迎える。グリースが自力で歩けないというのなら背負って帰るし】
【大丈夫ならそれはそれで、一緒にしゃべりながらでも帰るのだろう。やがて出口に辿り着けば】
【今度は無事な姿で夫の元まで辿り着き、まず初めにすることと言えば―――やっぱり、そっと彼に寄り添う事であった】
【……さて、グリースの話とは一体?】

//もう少しだけ続けて終わる形にしましょうか!
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 02:52:42.81 ID:y8MCUdeDO
>>844

ま、まるでソーラーパネル(?)だな……
いやしかし、その年齢で自分の能力をしっかり理解して使いこなすだなんて、ファラエナはすごいな!
私なんてまだまだ能力の力加減がわからなくなることが多いのに
ふふん、これじゃあまるでファラエナが年上みたいだな!

【ファラエナの能力の秘密だって、「リーベお姉ちゃんには教えてあげる」だなんて言われれば、またまたひどく真面目な表情となる】
【そして話を聞き終えれば、やっぱり楽しそうな表情でファラエナを誉めちぎるのだ】
【それにしたって、力加減ができないとか、威張ることでもないのに「ふふん」と笑うとことか】
【なんだかもう、どちらが年上だかわからなくなってしまいそう】

【さらにはもう、なんの遠慮もなくモチられる蛾】
【きっとリーベは、猫がいれば撫でまくって嫌われ】
【犬がいれば構いまくって嫌がられるタイプの人間だ】
【それをはっきりとさせるように、路地裏で猫を見ればファラエナと一緒に追いかけまわすし】
【野良犬を見れば興味本位で「わんわん!」なんて吠えてみせたりする】
【──真夜中の、お散歩。場所が場所だけど、そこにはなんだかとても、のほほんとした空気が、あった】

【そして廃ビルへと誘われれば、またまたふふんと笑い】
【きっと、驚かせようとしたのだろう──ぎゅっとファラエナを抱えてから】
【地面を大きく蹴って、柵なんて気にせず、屋上までびゅうんとひとっとび】
【屋上に着地すれば、着地地点がびしりとひび割れたけど──たぶん、能力によるものだ。気にする必要はない】
【──もっともファラエナが嫌がるのなら、きっと地道に階段で屋上までいくのだろうけれど】
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 02:54:10.99 ID:EhgJv1vpo
>>848

 月を、か……それだけの大事を示されれば弱いと考えるのは難しいな!
 これは会うのがより一層楽しみというものだ!


【新しく入った情報に興奮した様子で叫び祝福するかのように両腕を大きく広げる】
【何かにつけて大袈裟な彼の癖だ】


 いやぁ、聞きたいことはない。“酒宴”のときが待ち遠しいぐらいだな
 強いて言うならお前たち夫婦のことぐらいだ、堅物と堅物ではつまらんぞ?
 せめて皮肉に皮肉で返せるぐらいにならないとなぁ


【エレベーター内でのマリアとの会話を思い出してアインの表情は不満そうになっていく】
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/06(土) 02:56:09.71 ID:i5Ro48Rio
>>837 >>840 >>845

【連続する爆発。舞い上がる埃。響く呻き声はアーグの其れで。――未だ視界が朧の中で、勝利が直ぐ傍にあるのをロウは感じた】
【――――しかしながら見えた光景は、吐き気を催すようなグロテスクさと邪悪を兼ね備えたアーグの肉体】

……うぇっ、なんだありゃァ……!? 随分と気持ちわりぃ姿じゃねーか「元」大司教さんよぉ……っ!!
そんで訂正しろ。アイツは――――フレデリック・シャリエールはまぁ、ちょいムカつくとこもあるけどよぉ。……お前と違って決して「もどき」じゃねぇ。

――――それだけ解ったら成仏しな、クソジジ――――ッッ!? くっそ、逃げられんのかよォッ……!!

【ネモの援護があってか、ロウ自体はあまりダメージを受けていない。故に銃口を醜い現在のアーグに向けることが容易であり】
【ロウは間髪入れず銀の弾丸を放つのだが――――突如霧に包まれたアーグの身体に当たることは無かった。そう、逃げられたのだ】
【クソ、と言葉を吐き捨てて怒りに震えるロウだが、直ぐにそんなことをしている場合ではないと気付く。――――ネモの様子を、気にしないと……!!】

おいネモ、大丈夫か……!? お前マジ頑張ったよ。だって俺、お前に助けられたんだぜ?
――――織守、お前の言う通り一旦戻ろう。俺はネモに命を救われた、だから余計にコイツの容態は気になる。
直ぐにでもコイツを安全に治療を受けられる場所へと運ばなきゃなんねぇ。じゃ……よい……しょおっと! ……一旦戻ろうか。

【すぐさま動けないネモの下へと駆け寄り、様子を見る。どうやら命には別状は無さそうだと安心するも、なるべく早く安全に治療が受けられる場所へと移さないといけない】
【故に織守の意見に反対する理由はなく、ロウはネモを背負って外に運ぼうとした。一度戻ってから、2人で出直そう――――とのこと】
【なんなら殆ど無傷の俺が一人で突入してもいいとまで言うが、兎に角一旦戻ることは決定事項だろう】
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 03:04:05.47 ID:THIOiT400
>>850

タイヨーコーハツデンみたいだって、お母さんは言ってたわ!
あのね、あのね、私ね、……あっ。――え、えーと、……、ええと。

……わ、私ね、すごいからね、分かるのよっ!

【太陽光発電。まあなんとなくそれっぽいことを連想する能力だ、彼女は、本能的にお日様の光を欲する】
【実際エネルギーが切れてくるとテンションがなんとなく下がる。だけど、太陽を浴びているとぐんぐん元気になるのだ】
【花か何かだろうか。それとも太陽光でラリれるタイプの新人類だろうか。まあ、そんな冗談はともかくとして】

【――今、明らかに何かを隠した。ごまかした。どう考えてもごまかせていないのだが、それでごまかした気になっている】
【ちょっと「しまった」って顔で胸を張っている。……だって、まさか、自分の正体を教えてしまったら、嫌われるかもしれない】
【せっかく仲良くなれたと思うのに、それは、イヤだった――そしてその事実は、彼女が、こうして夜に出歩く理由にも繋がり】
【知りたいならば、突いてみればいい。ごまかした意思を尊重してくれるなら――何も知らない友達として、過ごせるだろうか】

【野良猫、野良犬、野良人間……ネコは追いかけて、イヌも追いかけて、人間には、能力で作ったカイロ(仮)をあげてみたりする】
【やっぱりどこかヌケているが、悪い子ではないようなのだった。2人揃えば、テンションもうなぎのぼり的にのぼって】
【件の廃ビルにたどり着く頃には、なかなかの運動量だったのではなかろうか。下手すれば汗もキラリとするほど――】

……――わっ、きゃ!

【そして彼女はリーベを屋上に誘う。その裏では、自分の翼を見せて驚かせてやろうという意思があって、悪戯心めいたそれは】
【しかし、リーベの悪戯心に負けて、発揮されることはない。その体をぎゅっと抱えられれば、「はてな」という顔をするのだが】
【そのままひとっとびなんてするなら――驚いた声を発する。自分で制御できない浮遊感というのは、もしかしたら始めてかも】

すごいの! リーベお姉ちゃん、ぴょーんってして、すごいのっ!

【して、2人の姿は屋上にある。わぁわぁとはしゃぐ姿、すごいすごいなんて足りない語彙で彼女はリーベを褒めようとして】
【ひび割れた地面にも「スゴい!」などと言う。ヤンキーみたいな座り方で言うから、毛糸のパンツがモロ見えなのだけど】
【欠片でパズルなんて始める彼女にはそんなのどうでもいいことみたいだった。――なんというか、自由だ】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 03:05:37.00 ID:EosOYWb+o
>>851

あぁ、それで街が一つ消えた。……会うというなら止めんが
その酒宴、つまり例の島だが……行くのであれば、精々気を付けろ
……行き方はこの紙に書いた、餞別だ。最も其処まで送ってくれる船が居るかも分からんがな

【ペンを止めて紙を折り、それを渡す。中身は海域の情報で】
【仮に船でも借りてその辺りを探せば、実際に島へ辿り着けるはずで】

……私はつまらないと思ったことはない。
それに、あいにくと私は不器用だ。皮肉にも真面目に返して生きてゆくさ

む……あぁ、皮肉の得意なシスターがそろそろ戻るそうだ
グリースという名だが……何なら話でもしてみたらどうだ?

>>847>>849

【――グリース、そしてマリアの二人が無事に帰還すれば、ちょうど話し込むフレデリックの姿を見ることだろう】
【最も、妻である彼女が寄り添えば、まずはひどく大事そうに抱き止めて】

…――さて、話が有るということだったな。今、ちょうどこのアインとも話をしていた所だ
途中で出会ったナメクジ女にドラクレア島≠ノご招待された、とかでな。

何か、中であったか?或いは、やはりと言うか……その島の話か?
それともアーグの話か……前者であれば、場所は突き止められた。
だが後者はやはり情報が無い。処分したのだろうな、あの男め……

【瞳をグリースに向ければ、傷が気にかかるもののまずはこちらの要件を伝えてしまい】
【それから一応、というように『治癒でも?』と尋ねかけるのだった】
【――答えは分かりきったようなものだったが、聞けるようになっただけ少しは大人になったという具合か】
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 03:11:35.40 ID:EosOYWb+o
>>845>>852
//舞台裏でもお伝えしましたが、戦闘の方は一応終わりですので
//お二人も本日のところはお休みいただいて大丈夫です!
//最後が尻切れトンボで申し訳ないっ!お疲れ様でした!
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 03:14:39.18 ID:EhgJv1vpo
>>847>>849>>854

 なんだ、サービスがいいじゃないか
 何、船がなければ歩くか飛んで行くさ

【紙を受け取って外套に仕舞う】
【それからちょうど戻ってきた二人の方にもつられて目を向ける】


 やれやれ、聖職者三人とはな!ここはまさしく地獄だ
 しかもそのうち二人が堅物同士の恐ろしい夫婦とあっては俺としては縮こまるしかない!


【折角紹介もされた……ことが関係あるかはさておき】
【肩を竦めた後小さくなるフリというか動きをして、早速一つ冗談を飛ばした】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 03:15:53.06 ID:y8MCUdeDO
>>853

【──屋上にきてみれば、ひゅうひゅうと駆け抜けていく風がどこか、心地よかった】
【少しにじんできた汗だって、冷気にあたればすぅっと冷えていき】
【ふうと息をついてみれば──真っ白な呼気が、ふわりとひとつ】

【パズルをしているファラエナを見れば、リーベは満足げに笑い──】
【空を見れば、少し傾き始めた満月が、ぽっかりと浮かんでいた】
【地上と違ってここならば、何かに視界を遮られることはなく】
【ぺったかぽったかモチをついているウサギが、しっかりと見えた】


……ところでファラエナ
さっきは、何を言いかけたんだ?


【ふわりと、つまんでいた光を離す。温もりがじんわりと、風の中に消えていく】
【まだ、地上で遊んでいた時。確かにファラエナは、なにかを言いかけた】
【でもそれは、いろんな遊びに押し流されて、うやむやになって──】
【それでも、その「不自然な間」のことを、リーベは忘れていなかったのだろう】
【一息ついて、身体が少しだけ冷えてきた今──白い息と一緒に、そっとそっと、問いかけてみた】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/06(土) 03:16:41.04 ID:uD1ploPHo
>>852>>855
/把握しました!皆様お疲れ様です!
/最後にロウの方に締めのレス残して終わりますね!
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 03:23:01.83 ID:kQ9k8s310
>>849>>854
【心配は要らない、と告げて結局は自分の脚で歩む事になるのだろう】
【適当に話されるのは、心の荒む様な時を忘れる事が出来るような世間話】
【――――出口に付いたならば、二人の仲の良さを示す様な光景。ニヤニヤと笑いながら紡がれたのはやはり何時もと変わらぬ軽口で】


「あーあ、とても仲が宜しいようで。マリアも嬉しそうだし、ねぇ?
――――別に傷は心配する程じゃ無いさ。少なくともキミに殺され掛けた頃に比べれば天と地の差だよ

……なめくじ女?何だかヌタヌタしてて嫌だね。こう……アーグのお爺ちゃんって色々と卑猥?」

【道中で会うことの無かった相手。蛞蝓、と例えられるならば純粋な人間とも異なるのだろう】
【魔獣やらを配下にしていても特に何も思わないが――――蛞蝓、との言葉に苦い表情を見せて】
【先に言葉を掛けられればそのどれでも無い、とキッパリと首を左右に振って見せた】


「先ず第一に聞いておきたいのはキミがダグラスをどうするのか。今が何であろうと、以前までは彼と交流があったんだ――――そうでしょ?
もしも彼と未だ何か繋がりがあるんだとしたら、ボクはボクの方で色々と動くよ
…………ま、今のキミを見るに答えは分かってるけどね
ドラクレア島については前にダグラスと戦った時にご丁寧に場所まで教えて貰ったよ
――――まあ、正確には誰かが紙を置いていったんだけど、生憎その時は顔を見る気力も無くてさ

後は元々カテドラルはアーグの物だったらしい事と、雷の力もあのお爺ちゃんが付呪させた事を伝えておこうかと思ってね
雷、と言えばこんな物も拾ったけど――――一応キミ達の管轄の場所でしょ?返した方が良いなら返すけど
……いまの所伝えたい事と言えばこの程度かな」

【以前まで六罪王と繋がりを持って居た事からして、まだ警戒を抱いて居る――――……否、警戒は抱いて居ないか】
【現状を見ればまた彼と組むとは考えがたい。然れど、問うのは念の為も含めて】

【続けたのは彼の得物についてだ。カテドラル――――彼自身が一番知る物について、一応の報告】
【そして懐から取りだしたのは件の魔力石。コレをどの様に処分するか、とだけ問うて】
【――――島についても知っているならば、今の所は深く問う事も無い。後は己の教会の方でも色々と報告しなければいけないのだから】
【純白の翼を広げつつも、其れ等の事に対しての反応を待つのだけれど】
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/06(土) 03:25:36.21 ID:uD1ploPHo
>>852

うむ、ならば事は急がなくてはな……

様子を見るに何らかの毒物が仕込まれておったのじゃろう
ただ一時的な麻痺を引き起こすだけならばよいが……タチの悪いものならば後遺症になりかねん

そやつの事は任せるのじゃ、今宵一度ネモの騎士として……無事に外まで送り届けてやるがよい
わらわは少しばかり、ここで休んでから後に続くのじゃ――


【ふぅ……と大きな息を吐きながら、近くの壁にもたれ掛かりロウにそう告げて】
【「急ぐがよい」、と最後に言い残すとしばし目を閉じて体力の回復に務める】
【流石に消耗が大きかったのだろう。すぐには動けず、ネモを抱えたロウに運んで貰うわけにも行かない】
【それに少しだけ、この場で気になることもあったのだから――】


【――】


【その後十分ほどで呼吸を整えたカミナは、放り投げた剣と部屋に置かれていた"本"を手に取ると】
【移動用の折り紙を生成し、それに乗って地上まで戻ってきたという】
【テントまでふよふよと折り紙の上で寝転がりながら帰還したカミナは】
【内部での報告をして、拾った本を手渡すと――テントの隅に身体をゴロリと横たえて朝まで泥のように眠っていたという】

/お疲れ様でした!
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/06(土) 03:29:08.73 ID:i5Ro48Rio
>>860 >>855
/把握です、明日にでも返事返しますー! 皆様お疲れ様です!
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 03:31:22.28 ID:THIOiT400
>>857

【空にはまん丸お月様、見上げれば空に落ちてしまいそうな錯覚を覚える、それぐらいに、暗くて、冥い】
【宇宙ってどんなところだろうと考えてしまわざるを得ないような光景だ。あの向こうには、何があるんだろう】
【空気が無いってどういう状態だろう。息ができないって何だろう。お水の中みたいなのかな――そんな思考がぐるぐるする】
【彼女は早々にパズルに飽きてしまって、そんなことを考えながら空を見ていた。宇宙に、行ってみたいな、なんて】

【――ああ、だけど、きっと、無理だ。だって自分はニンゲンじゃないから、ヒトじゃ、ないから】
【それが、少し寂しくなる。残念だと思う、……でも、喉をかきむしって慟哭するほど、無念ではない】
【誰かが行くなら、そのヒトと友達になっていろいろ教えてもらおう、なんて思う、そんな性格だったから】

ん…………、

【そんな彼女が、初めて、言いよどんだ。しゅんと眉をハの字にして、口は、ヘの字にする】
【そうしてしばらく「あー」とか「うー」とか言っていたのだけれど――やっぱり、隠し事は、苦手だと思った】

……リーベお姉ちゃん、私のこと、ヘンだって、言わない? 私のこと、キライになったり、しない……?

【だから、言うことにした。だけど、それは、尋ねたかった。……変だと言う、嫌いになる、そんな答えをされたらどうしようと重いながら】
【だけど、たとえばそういわれたとしても、彼女は、言っただろう。――ワガママだが、隠したままで友達になるのも、嫌だった】
【でも、何も知らないままで友達になりたい、という気持ちもあった。……複雑だった、幼い心では混乱してしまうぐらいに】

――――あのね、お姉ちゃん、私ね、ニンゲンじゃないの、なの。
ニンゲンじゃなくてね、ケツァル・コアトルって言って……モノを壊したり、ニンゲンを殺したりする、“へいき”なの。

私にはね、姉妹がね、何人も居てね、みんな、ケツァル・コアトル(そう)なの、私たち、みんな、造られたの。
それでね、私たちにはね、ご主人様(マスター)が居て――私にも居るのなの、お母さんがね、居るのよ。

【そして彼女はぽつぽつと自分のことを話していく。人間じゃない、だけどヒトに似せた、生物兵器であること】
【姉妹――ケツァル・コアトルには別個体も居ること、マスターと呼ばれるヒトが居ること、そういった、ことから】

でも、最近は、どの子にも会ってないのなの。だから、分からないけど――――、

あのね、私はね、“そういうの”ヤなの、誰かを怪我させたりなんて、したくないって、思うの!
だから、私、……“兵器”なのをやめたいって、……みんなに言ったら、怒られちゃうかも、しれないけど――。
――喧嘩するの、イヤなの。みんなでね、仲良くしたいの。みんなでね、遊ぶほうが、私は、好きなの。

……私ね、きっとね、失敗作なの。だって、だって、……。

【もっと、自分の考えていることまで。他の個体は知らない、だけど、自分は、そんな役目は嫌だと思う、だなんてこと】
【戦いたくないだなんて、兵器として間違えている。間違えているというのを、なんとなく分かりながら――だけど、イヤだって】
【でもこんなのを言ったなら、他の子たちに怒られるかもしれない。それもイヤだった、もうずっと会っていない、姉妹たち】

【サラは元気だろうか、ルーチカはマスターと仲良くしているだろうか、カエデは、どうしているだろうか、…………】

みんなと会いたいよう……。

【――そんなことを考えたら、会いたくなる。生物兵器なんてとんでもない存在の癖、潤む目は、ただの子供とおんなじで――】
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 03:41:11.08 ID:dEJQYdy50
>>854>>856>>859

えへへ……

【霊廟の折と同じく、抱きしめられると安心したような柔らかい笑みを浮かべる。尤も、今回は傷は負っていないのだけれど】
【こうして貰うだけでも十分過ぎる程に安らぐ。探索の疲労が吹き飛ぶと言ってもきっと過言じゃない】
【……その結果、親友に何だか意味ありげな笑みを送られもう一人の人には冗談を飛ばされてているのだけれど……】
【マリアは二人の反応に苦笑いで応える。……それでも離れようとしない辺り、夫婦仲も窺えるか】
【さて、マリアも彼の腕の中でグリースの話を聞くことになるだろう。語られる内容は一体―――】

―――
……私も、気になります。彼の事を、今後どうして行くのか……

【―――問われたのは、かつての夫の友……ダグラスをどうするかという事】
【マリアとしてもその話は気になる所。きっと夫なら道を間違える事は無いと信じてはいるが】
【……それでも、親友は親友だ。嘗てグリースと自分が敵対する立場にありながら友人として認識していたように】
【ダグラスと彼の関係もまた、立場上敵対したからと言って消えてなくなる物では無い。―――そこを、どうするのか】
【マリアも彼の答えを待つ。彼は何と言うのか―――】

【他にも、彼の槍が元々アーグの物だったらしい事や魔法石の事が報告される。これに関しては自分はあまり関係ないか】
【ともあれ、これで話は終わりだろうか。恐らく何時ものように親友に頭を撫でられて、それで今日はお別れということになるか】
【そうなれば、恐らく夫と共にゼン=カイマに帰ることになるだろうか】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/06(土) 03:45:50.36 ID:EosOYWb+o
>>856>>859>>863

……ふン、なんとでも言え。貴様らの言葉程度で揺るぐ意志でも無い。

アーグに付いては伝聞程度だが……まあ、卑猥と言えばそうなのではないか?
そもそも、異教徒を実験材料にして新術を生み出すような人間だ
他に何をしていても驚かんさ。……カテドラルも、経緯を思えば納得できる

アレはそもそもゼン=カイマに伝わる宝槍だ。付呪が施されようと
奴がかつて大司教だったことを思えば自然……で、ダグラスだったな

【話が六罪王の元友人に及ぶと、ふと服をめくって右腕を見せる】
【黒鉄の合金で出来た義手。人の手よりも冷たく、固く、強情で】
【その指を握りしめて拳を作ると、ニヤリと笑って見せ】

――殴るさ。これはマーシャル・T・ロウにも聞かれたことだが
奴は我が友であった男だ。右の拳で殴り抜けて、目を覚まさせてやる
……それと、その魔力石は貴様にやる。要らんのであれば置いてゆけば良かろうて

アイン……貴様にも重ね重ね言っておくが、ドラクレア島には気をつけることだ
そもそも怪しい場所だが、危険な存在がどれだけ居るか分かったものではないからな。

>>ALL

……さて、他のものも戻ってきたようだ。容態が思わしくないものも居る
私はそろそろそちらの対応に戻らせてもらうぞ
マリアも、疲れているとは思うが手を貸して欲しい。お前の術が必要だからな

それと、報酬や……ドラクレア島か。その辺りの情報については、私の方でまとめておこう
後日、ギルドにでも送りつけてやるとするさ。では……用がなければ、私はこれで…――。

//と、時間も遅いですし本日はこの辺りで〆とさせて頂きます!
//改めて、今回はイベント並びにそののちにもお付き合い頂きありがとうございましたっ!
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 03:48:39.29 ID:EhgJv1vpo
>>864
//お疲れ様でしたー!
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 03:54:27.30 ID:dEJQYdy50
>>864
//お疲れ様でした!こちらの〆は一旦睡眠を取ってから落とす事にします……!グリースさんの方も私にお構いなくお休みして下さって構いませんので!
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 03:56:33.77 ID:y8MCUdeDO
>>862

【──たくさん遊んで、たくさん笑って】
【一緒にいたのは、少しだけだったけれど】
【それでもきっと、リーベはおしゃべりだってことは分かる】
【そんなリーベが、ずっとずっと、黙っていた】
【ファラエナが話し始めて、話し終わるまで──ずうっと、静かに話を聞いていた】
【そして────】


……お前は、本当にすごいな、ファラエナ


【────そっと、彼女はファラエナを、抱きしめようとした】


失敗作なんかじゃ、ないさ。絶対、そんなことない
だって、みんなで仲良くしたり、遊びたいって思うのは人間だって難しい
私は、たくさん見てきた。恨むやつも、憎むやつも、戦うだって
そのたびに思うんだ──みんなが、幸せになる方法はないのかって
きっと、ファラエナ……お前みたいなやつがたくさんいればいいんだと思う

決して、「お前は人間だ」なんて私は言えない
お前が兵器だってことは、変わらないんだ
でもな──人間にだって難しい考えを、兵器のお前が持てるってのは、本当にすごいことだと思う
失敗なんかであるものか!むしろ──素晴らしいとさえ思う

モノを壊し、ヒトを殺すと言ったな。だけど──それだけじゃない
お前の力は、誰かを守れる力でもあるはずだ

こんな冬の、寒い日──あの灯りがあるだけで、どんなに人が救われることだろう
みんなが寝静まった夜──空を飛んで、病人がいることを知らせることだってお前はできる!


ファラエナ──寂しいのは、分かる
私だって、今は旅の途中だ。お父さんとお母さんには、もう何年もあっていない
でも……寂しさを埋めるくらいの「出会い」は、ないだろうか──?
私は、「みんな」の代わりには、ならないか……?


【──彼女は決して、ファラエナを否定なんてしなかった】
【それどころか、ファラエナの身の上を知って尚、彼女と友達で在ろうとしていた】
【間違えてなんていない──むしろ、素晴らしいだなんてそんな言葉は】
【ファラエナの心に、どう、染み入るのだろうか】


/お、遅くなってごめんなさい
/あと少しで終わるかもですが、ちょっと眠気MAXなので、明日に持ち越していいでしょうか……?
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 03:58:31.86 ID:THIOiT400
>>867
/持ち越しでもちろん大丈夫ですよ! こちらも、そろそろ眠たかったので……
/明日でしたら普通に午後くらいから再開できるかと思いますので、都合のいい時間に呼んでいただけたらと思います
/余力があるようでしたら今晩中にお返ししておきますので、お先に休んでくださいな!
/ひとまずお疲れ様でした!
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 04:10:02.83 ID:kQ9k8s310
>>863>>864
「――――……本当にキミ等の所は問題ばかりなんだから
殴ろうと何しようと全然変わらなかったら“始末”しちゃうからね
まあ、キミが友達思いならダグラスをどうにかしてくれる事を祈っておくよ

……あの石頭が前よりもちょっとだけ柔らかくなった所は褒めてあげよっか」

【その答えを聞けば十分だ。魔力石については後々考える、とだけ返して懐に戻し】
【――――彼自身にも、そしてマリアにもまだ用事は残っているのだから無駄に話して長引かせる訳にも行くまい】
【先程の治癒の提案と言い以前よりも僅かに柔らかくなった、と受ければからかう様に笑って見せて】


「槍が無いからって負けた言い訳には…………嗚呼、考えてみれば前にも同じ様な事を言ったっけ
最低でもマリア達だけは守りなよ?それこそ、無駄に大きいその身体を盾にしてでもさ
あ、そうそう。今回ボクはお金要らないや。お金は困ってないし何ならその代わりにあの石を貰う場合の代金って形で

――――それじゃ、ボクもそろそろ帰ろうかな。まだコッチも色々と残ってるし
団長サマが居るなら大丈夫だろうけど、マリアも気を付けなよ?何かあったら何時でも呼んで良いからさ」

【別れ際、友人の頬を数回突いて遊んだならば己の所属する教会に帰るために空へと羽ばたき】
【舞い落ちるのは数枚の羽。その場の者達に小さく手を振ったなら、女の姿も直ぐに遠くへと失せる事だろう】
【…………数日後、大司教宛に「やっぱりあの石を貰う」との旨が書かれた実に簡素な手紙。友人には、生活の足しにとお金が送られた事か】

/主催様、皆様お疲れ様でありましたっ!
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 04:20:48.38 ID:THIOiT400
>>867

【その静寂が、少しだけ、怖かった。たとえば自分の性格、うるさいとか言われるなら、どうにかできるけれど】
【兵器として生み出されたことだけはどうしたって変われない。或いは、そんなこと言われたことを“なかったことにして”】
【何もかもの記憶も、マスターも喪ってしまうという方法はあったけれど――それは、それだけは、したく、なかったから】

【どんな言葉も、受け入れるつもりだった。まだ幼い心には、それは、きっと痛いだろうけど――】
【誰かを傷つける代わりに自分が傷つくなら、きっと、それでもいいと思えたから】

【――だけど、リーベが取った行動は、まるで違っていた。ぎゅっと抱きしめられて、体は少しびっくりに強張る】
【小さな体だ。人間として生まれてきたなら、まだ、就学も危ういような年頃。そして、これで、生物兵器だ】
【造った人間が幼女趣味だったのか性格が悪かったのかは今となっては確かめようがないけれど――】

だって、みんなで、遊んだら、きっと楽しいわっ。みんなでね、……そうなの、お歌みたいに、
みんなでお山に登って、天辺で、おにぎりを食べるの! そしたらね、きっとみんなとお友達になれるのよ、なの!

……でもね、ご本とか、お歌とか、全部ホントじゃないってね、スカーベッジお兄ちゃんが言ってたの。
スカーベッジお兄ちゃんのお母さんはね、お兄ちゃんのこと、……殺そうとしたんだって、言ってたの、
私ね、そんなヒトともね、友達になりたいって思うのかな――あのね、よくね、分からなくなっちゃった。

みんなとお友達になりたいけどね、あのね、無理なのかな――。
それは、私が、ヒトじゃないから無理なの? それとも、ヒトでも、ダメなのかな……。

【友達100人できるかな。……少し前の自分なら、できるって、きっと、何の疑いもなく言えた】
【だけど、知ってしまったのだ。子供をいじめる親のこと、――子供にひどいことをする、お母さんのこと】
【彼女は性善説みたいなもので純粋培養された。彼女のマスターがそうしたのだ、わざと、そんなお話だけを与えて】
【他人を疑わなかった。お母さんは子供を愛してるものだと思ってた、……自分のお母さん(マスター)みたいだって】

【(だけど、彼女のマスターだって。こんな幼い見た目の彼女を、たとえニンゲンじゃないとしても、夜中に出歩かせて)】
【(頬のそれだってシールの類じゃない。柔肌に針で刻み込んだ、正真正銘、消えない刺青/タトゥーなのだから)】
【(――全うじゃない。でも、彼女は、そうとは思わない。大切な、大事な、優しいお母さんだと、信じている)】

【お日様が大好きなひまわりみたいに、或いはお日様そのものみたいに輝いていた、笑顔が、翳る】
【だけど、――どんな分厚い雲だって、いつかは晴れるのだ。彼女は、元々の性格から、雲が長続きしづらい】
【リーベの言葉にぱちくり瞬く、そうして、そっと体を離そうとする、叶うなら、じっとリーベの眼を見つめて】

ううん、あのね、リーベお姉ちゃん、大好き! だってね、お姉ちゃん、とっても優しいの!
だってね、私、姉妹(みんな)に会えたら嬉しいけど、それとおんなじくらい……リーベお姉ちゃんに会えなくなったら、ヤだよ!
リーベお姉ちゃんだって大切なの、みんなね、大切だよ! お友達だもん、いっぱい、大切なんだから!

【みんなに会えないのは寂しかった。同じ目的で生み出された子供たち、何度も会って、話したりして】
【いつしか会えなくなった。どこで何をしているのだろう、よく考えるけど――だけど、それは、】
【他の誰に会っても嬉しくないなんてそんなことにはならない。新しい友達が出来たら嬉しいし、友達と会えば、楽しいし】
【――とっくにリーベだって友達認定しているのだから。新しい友達、大事な友達、一緒に居て、楽しい――から】

だからね、みんなに会えたら嬉しいけど、会えなくっても、平気なの!
だってね、リーベお姉ちゃんも、みんな、みんな、お友達だからっ。

【ネガティブが長続きしないタイプだ。さっきしょんぼりしてみせた顔なんて、もう、どこかへ行ってしまって】
【すぐに、にこーっと笑ってみせる。それから、改めて、――今度は自分から、ぎゅっと抱きつこうとして】
【周りを飛んでいる蛾たちは変わらず我関せず。傍から見れば不思議な光景だったろうが――当人的には、悪くなかった】
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 07:59:50.03 ID:ZKvZPxkSO
>>828
/申し訳ありません、寝落ちしていました……
/土日の午後9時以降から空いていますので、宜しければ凍結をお願いします。
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 09:32:35.18 ID:y8MCUdeDO
>>870

【「スカーベッジ」──つい最近、どこかで聞いたような名前だった】
【だがそれをどこで聞いたのか、思い出している暇なんてない】
【今のリーベは、間違いなくファラエナのことで頭がいっぱいだったから】

【──抱きしめた相手が腕の中できゃ、きゃ、と笑う様子を見て、なんだかほっとした】
【そしてお返しとばかりに抱きつかれれば、ふふんと自然に笑みが零れ】
【友達だなんて言われれば、零れた笑みなんてもう隠しようがなくなってしまう】
【それでも──まだ、話を終わらせるわけにはいかなかった】


──私も、ファラエナが大好きだ
私だって、みんなのことが大好きなんだ
叶うことなら、会う人みんなと友達になりたい

でもなファラエナ──世の中、「悪い人」がいるのも本当なんだ
人を殺すやつだっている。恨むやつも、憎むやつも
なんちゃらお兄ちゃんとやらが言ったのだって、ほんとうかもしれない
お前のほっぺたのちょうちょだって──ほんとは、小さなお前に施すものじゃない

それでも──そういう「悪い人」と友達になるのは、不可能なことじゃないんだ!
……どうしても、どうしても無理なやつもいる。どうしようもないやつもいる
けど、そういうやつら以外とだったら、不可能なことじゃないんだって、私は信じてる!

もっとも……そういう「悪い人」と友達になるのは大変だ!
なんたって相手は悪いことしてるからな!!
戦おうとしてきたり、騙そうとしてきたりだってするさ!
でもそういう戦いだとかを切り抜けて、ちゃんと相手の話を聞いて、相手を「理解」して……
きっと、そうすることで、やっと友達になれるんだ

決して──決して変なんかじゃないさファラエナ
ただ、ファラエナの言うことを実際にするのは、とっても難しい
本当にファラエナがみんなと友達になりたいなら、もしかしたらどこかで、誰かと戦うことになるのかもしれない
戦う覚悟が出来て、戦う力が身に付いて──それでも、同じことが言えるんなら
……きっと、ファラエナの夢は叶う。きっと、きっとだ!!


【偶然、だったのだろうか──】
【奇しくもリーベだって、ファラエナと似たような思想を持っていた】
【「誰とでも、友達になれる。誰だって信じられる」──性善説を、素で信じるタイプの】
【リーベ・エスパスとは、そんな人間だった】

【それでも、ファラエナよりも少しだけ長く生きている分、性善説だけでは生きられないと知っていた】
【だから──今の相手にはちょっとだけ難しく、つらいかもしれないであろうことを】
【なるべく相手が理解できるよう、でも、伝えたいことは歪めないよう、言葉に表していく】

【せっかく戻ってきた笑顔の暖かさを、また曇らせることになるかもしれない】
【それでも、それでも──出来たばかりの小さな友達が、なんの覚悟も、決意もなく、テロのど真ん中につっこんで】
【さらにはテロの首謀者に対し「友達になろう?」だなんて──そう言うことは、否定できない可能性】
【そんなことをしてしまえば、最悪あっさり死んでしまうことだってありえる】
【──そんなのは、リーベはイヤだったから】
【だから……ファラエナにとってはつらいであろう話を、あえてしたのだ】

/時間空いたので返しておきます!
/たぶんお昼間はレス時間安定しませんが、夜になれば安定するかと
/では今日もよろしくお願いしますね!
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 11:32:03.96 ID:dEJQYdy50
>>864>>869

【マリアもグリースも、問いたかった点は同じ。即ちダグラスを、彼の友人としてどう接するのかという事】
【……分かっている。彼なら間違わないと信じているけれど……どうしても、彼の口から直接聞きたくて】
【二人して問えば、返ってくる答えは―――ああ、やっぱり信じた通りの物だった】

―――それを聞けただけで十分で御座いますよ。
……目を覚まさせてやって下さいな。貴方だからこそ、友人であるからこそ伝わることもきっとあるのですから。

【その答えを聞けば、もう心配する事もない。ただ何時もの通り、心から信頼するような微笑みを添えて】
【小さく頷いて言葉を返せば、この話は終わり。後は……事後処理をせねばならないだろうか】


【時を同じくしてマリアと同時に墓を探索していた者も戻って来る。―――酷い傷だ、激しい戦闘があったらしい】
【恐らくは、アーグと直接戦闘になったのだろう。傷を見るだけでもその力の強大さが伺える―――】

……ええ、勿論。貴方の頼みなら、疲れなんて平気です!幸い私は無傷ですし……
傷ついた方々の為に、私ももう少し頑張りましょう!

【急いで対処しなければ。―――同じ事を思っていたらしく、彼からも手を貸して欲しいという言葉を掛けられれば】
【当然と言うように頷く。夫を支え手伝うのも妻の役目なのだから……治療の為にもう一踏ん張り頑張る】

ふふっ、貴女がそう言ってくれるならとても心強いです!
……貴女が友達で本当に良かった。―――ありがとう。

グリースこそ、何かあればいつでも私を呼んで下さいな。
貴女なら、滅多な事は怒らないとは思いますが……

―――さて、治療を始めましょうか。貴方、準備は出来ていますか?―――

【その前に、グリースとの別れ際の会話。ぷにぷにと頬を突かれて、少し擽ったそうな表情を浮かべて】
【……やがて飛び立つ友人の姿を、手を振り返しながら見送る。その姿も遠く空へ消えたなら】
【彼女は夫と共に暫く治療に当たることだろう―――】

【―――余談、贈られたお金には後日感謝の手紙が送られる。追伸には「また今度、一緒に遊びに行きましょう!」と書かれていた】

//遅れ馳せながら主催者のフレデリックの方並びに参加した皆様、お疲れ様でした!
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 14:02:29.15 ID:THIOiT400
>>872

【普通に路地裏に入っていくような子だ。いわゆる“悪いヒト”というのは、きっと、見たことがあるはずで】
【きっとそのヒトたちともおんなじように友達になろうとして、失敗している。――壊されたりすることがなかったとしても】
【それはただ生物兵器としての力で、相手と仲良くなったからじゃなくて……それなら、】

【さっき自分がリーベにヒントを与えた(あんなのだけど)みたいに、今度は、リーベの言葉がヒントだと思う】
【それなら、きちんと真面目に聞くのだ。難しいこと、少し苦手だけど……それでも、一生懸命】

うにゅ……だったら、私ね、どーしてもダメなヒト以外と、お友達になりたい!
みんなでお友達になって、一緒に遊ぶのっ、楽しいことしてたらね、悪いことなんてね、したくなくなっちゃうの!
きっとそうだわ、みんなで仲良くなれば、カノッサのヒトだって、いいヒトになるの――なの。

【だけど彼女はまだ見た目どおりに幼いなら、きっと、その言葉を本当には理解できていないのかもしれない】
【それでも彼女はそんな風に信じていたし、できると思っていた。絵本みたいに、悪者の動物さんとも仲良くなれるって】
【どうしようもなく夢物語。相手によっては怒られたり窘められたりするくらいの、つたないものだけれど】

【――偶然出会っただけのリーベが、同じような考えを持つ、ヒトだったから】

う……、……でもね、? 私ね、戦うのって、嫌いよ、……なの。
だからね、あのね、ああいうところを歩くときはね――こうやって、!

ぴかーってしてね、飛んで逃げるの!

【でも、戦うのはヤだなあなんて思うのだって。それをしたら、相手もこちらも、痛いのだし】
【うーんと悩んでしまう。みんなと仲良くなりたいけど、戦わないでいい方法って、ないものかって】
【だけどそんなの、大人ですら思いつかないほうな方法。子供の頭で浮かぶわけがなくって――それなら、】

【自分がどうやって戦わずにあの空間で生き延びてきたのかを、教えてくれる。即ち、】
【暗闇の中でいきなり膨大な光を解き放つ目潰し作戦――だった、かざした手からぶわっと一瞬で広がるまばゆさは、フルじゃないものの】
【確かに狭くて暗い路地裏の中でされたら大変なことになりそうで。……確かに物理的なダメージはないだろうけど】

【――それから彼女ははふうと息を吐いて】

……戦わなきゃ、ダメなのかなぁ、……。

【なんて、呟くのだった。――きっと、生物兵器という生まれから、それなりの力は持つのだろう彼女も】
【性格の一点で戦いを苦手とするようになっていて。その身に宿す魔力は、子供とは思えないくらいの量だが――】
【まさかいきなり戦場に赴くほど命知らずではないだろうが、今はまだ戦いたくないと思う。――そんな、ワガママ】

【――でも、夢をかなえる方法はなんとなく分かった気がする。強くなれば。強くなって、今と変わらない気持ちを持っていれば】
【……あとはどうやって戦わずにやるか、なんてことを、一生懸命考えているような顔を、しているのだった】

/すいませんお返事が遅れまして……これからでしたら、スムーズに返せますので
/今日もよろしくお願いします!
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 15:36:00.68 ID:y8MCUdeDO
>>874

【「みんなで仲良くなれば」──その言葉を聞くと、リーベは大きく頷いた】
【たとえ悪人であろうとも、悪事を働く理由は、絶対にある】
【例えば孤独感。例えば嫌悪感。憎悪に、嫉妬に、いろいろな、負の感情──】
【それらを全部取っ払って、究極的には「友達」になったり、相手を「理解」してあげれば】
【そうすればきっと、世界はちょっとだけ、平和になる】
【──そう、リーベは思っているのだ】

【もちろん、その思想に壁があることだって分かってるし、何が障害になるかもなんとなく理解している】【でも──それをファラエナに語れば、きっともっともっと、難しい話になる】
【だから、今はファラエナの言葉に、頷くだけに留めておくのだ】


……目潰しか、なかなかやるな
確かに隙を作ってしまえば、逃げるのは簡単だ。いいアイディアじゃないか!

しかし──そうだな……
戦わずに、できる方法、か……


【──そして、続く彼女の呟きに、リーベは黙りこんでしまう】
【何せ、今まで自分の理想を、戦うことで半分叶えてきたのだ】
【争いを挑んでくる者相手に、語りかけてばかりだと死んでまう】
【故に、とりあえず相手を落ち着かせ、黙らせるために拳をふるってきた】
【──だから、戦わずにすむ方法なんて、なかなか思い付かない】
【そんなものは、むしろリーベが教えてほしいぐらいかもしれず】


……ダメ、だな
私はまだまだ未熟だから、戦わずに相手を抑える方法が、どうしても思い付かない
お父さんやお母さんなら、なにか考えがあるかもしれないが──
──ふふん、まぁ頼らずにすませたいな。そうでないと旅の意味がない


【そう、一旦話を区切る】
【信頼している両親なら、なにか妙案があるに違いないとリーベは半ば確信していたが】
【両親に頼らず自力でなんとかしたい──というのは、当然出てくる欲求だった】
【だってもう、後数年で成人を迎えるのだ。いつまでも、親の力を借りるわけにはいかない】


たぶん……これは、ファラエナにとっても、私にとっても大きな課題だろう
たくさん、いろんなことを知って、いろんなことを、経験して──
そうやってやっと、答えのヒントが出てくるのかもしれない
……難しい、難しい問題だ

でも!そう──きっと、「2人」なら……!
いや、3人、4人、5人なら……!
きっと、ファラエナの求める答えだって、わかるようになるかもしれない!
……私は、そう思う。これは、すぐに分かる問題じゃ、ないんじゃない、かな──


【そう。人探しを、2人でやったときのように】
【いろんな人に話を聞いたり、いろんなことを経験すれば】
【答えそのものは無理かもしれないが、ヒントぐらいは見つかるかもしれないと】
【そう言って、「どうだろう?」とでも言いたげに、少しだけ首を傾げてみせるのだ】

/こちらこそ遅れてごめんなさい
/たぶんこれからは普通のペースで返せるかと思います
/では改めて、よろしくです!
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 17:04:12.18 ID:THIOiT400
>>875

【こんなに大きな世界を平和にする方法、きっと、彼女はそんなことを考えていなかった】
【みんなと友達になりたい。みんなのことを知りたい。みんなと遊びたい――そんな兵器らしからぬ願望でもって】
【彼女はこんなことを言っている。……もちろん、その後に、世界が平和になったら嬉しいけれど】

【誰だってお日様の下で遊んだら楽しいのだと、信じていた。だって、あんなに、暖かで、安らぐもの】
【寝る前に飲むホットミルクくらいしか、他には思いつかないから――だから、みんなで、そういう風にしたい】
【――彼女は、きっと、まだ、リーベがなんとなくでも気付いている壁に気がついていない。ただ、そんな夢を見て】

【その後。リーベの言葉を待って、彼女は息まで止める。戦わずに出来る方法――それが、知りたいから】
【あんまり長く黙り込んでいるとどんどんファラエナの顔が赤くなっていく。……それでもまあ、そのうち、】
【あっこれやばいわみたいなことに気付けば息をするので心配ないのだが。それくらい真面目、ということで】

そっかぁ……。

【――そして、その返事にはちょっぴりしょんぼりとするのだ。お姉ちゃんでも分からないなら、どうしたらいいかって……】
【自分のお母さんに聞いたら教えてくれるだろうか。――ううん、教えてくれない気がした、いつもみたいに】
【自分で考えなさいっていうだけな気がした。だから、どこかで、家じゃないところで、その答えを見つけなきゃいけない】

――――そっか!
リーベお姉ちゃんの言うとおりなの、みんなでやったら、何か分かるかもしれないわ!
えっとね、確かね、櫻の国の言葉でね、あったのよ、そういうの……、……三人……三人……、

【言葉は同じ。だけどテンションはずいぶんと違う。――ぱぁーっと暗がりを照らしてもらえたみたいに、瞳は輝いて】
【1人じゃ分からない、2人でも分からなかった、それなら、3人、4人、5人……たっくさん、巻き込んでしまえばいいじゃないか!】
【三人寄れば文殊の知恵という言葉もある。残念ながら彼女は「も、もんじゃ?」とか言っているから頼りにならなそうだけど】
【それでも、それは確かに名案だった。いろんなヒトに出会う、友達になりながら、悪いヒトとも友達になる方法を、探す】

――みんなと友達になって、みんなで考えて、頑張ればいいのよね!

【なんだ簡単じゃないかと思った。友達になるの、得意だし――お話したら友達だと思うタイプである――】
【考え事は苦手だけど、みんなでやればきっとどうにかなる。大人ってスゴい、そう、信じているから】
【――リーベを見上げる視線は、尊敬みたいな色だった。やっぱりみんなで考えたら、いいことが思い浮かぶんだと、知って】
【「リーベお姉ちゃん、ありがとうなの!」だなんて、とびっきりのひまわりスマイルが、リーベに向けられた】

/すいませんっ、次か次の次ぐらいのレスまでは安定しないと思うのですが、お返ししておきます
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 17:21:51.74 ID:J5k+WpRho

【周囲を建物に囲まれて形成された路地裏は昼間でも仄暗い。その微かな暗さがこの場所を陰惨なものに変えていた】
【絶え間ない乾いた空気の破裂音が響いていた。銃撃戦の音だ。弾丸が壁や地面に衝突、レンガと石を削っていく】
【銃を連射しているのは二人の自警団。男と女の一組だ】


 「マフィアの商談の現場に出くわしたとはいえ、二人で強襲するのは正しかったの!?」

 『バカ言うな!相手はたったの二人、応援なんか呼んでたら逃すし手柄にもならないだろ!』


【二人は揉めながらも訓練された手早い動きで交互に曲がり角から飛び出し、射撃、また隠れるという一連の行動を繰り返す】
【一方で、彼らが狙っている箇所、障害物の先からの応射は少ない。自警団からの銃撃が止んだときに何発か撃つ程度だ】


 「ねぇ、相手の様子がおかしくない?さっきから一人しか見えないわ」

 『武器持ってるやつが一人しかいないんだろ。そいつを倒しちまえば終わりだ!』


【男が興奮した様子で答える。女の言う通り、応射をしているのは毎回同じ人物だった】
【しかし男はそんなことは気にせずに射撃を続ける──彼の銃撃音に、ゴン、という鈍い落下音が混ざった】
【銃弾を撃ち切ったことで銃の遊底が下がったまま止まる。最後に排莢された空の薬莢が軽い音を立てて転がった】
【いつも通り素早く物陰に隠れた男だったが──銃撃音が止んだ】


 『おいどうした、まだ止めるときじゃねえぞ……』


【男は怪訝に思って隣の物陰を覗いた】
【灰色だった地面は何故だか赤黒く染め上げられ、その上にサッカーボールのような黒い球体が転がっていた】
【風に煽られて球体が転がる。それは彼の相棒の頭部だった。黒く見えていたのは彼女の毛髪だったのだ】


 『あ、あぁああああ!!』


【男は恐怖に目を見開き喉の奥から捻り出されたような叫び声をあげた。持っていた銃を落とし突然のことにパニックに陥った】
【──その背後に別の人影が降り立っていた】
【150cmの背丈に茶色の外套。フードからは薄いブロンドの髪が覗いている】
【顔は白地の上に真っ黒の眼孔と切れ目のような薄笑いを浮かべた不気味な仮面で覆い隠している】

【その人影は指の間から鈍い銀色の刃を伸ばしていた】
【未だに気づいていない自警団の男、その首目掛けて音もなく刃が振り抜かれる──!】
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 17:28:32.64 ID:y8MCUdeDO
>>876

た、確か──さ、3人よれば、も、……もんじゃ、……じゃなくて……
え、えぇと……ね、念珠の知恵?


【おしい!──まぁ、名前からして、櫻の人間でないものに、ことわざを聞こうったって、だいぶ無理がある】
【これでもだいぶ正解のことわざに近くなったほうではないだろうか】
【それにしても──念珠の知恵。これから葬式でもあげにいくのだろうか】

【まぁ念殊の知恵はさておいて──ファラエナがぱあっと笑顔になれば】
【幼い子供の笑みなのだ。リーベの表情だって、自然と緩んでいき】
【最後にはもう、ファラエナと、ついでに自分を励ますかのような元気いっぱいの笑顔となる】


そう、そうだ!
みんなで考えれば、きっといいアイディアだって浮かぶんだ!


【──ふふん。そう言って、またリーベは笑い】
【いい子いい子とでもいうかのように、ファラエナの頭をそっと撫でようとするだろう】
【そして────】


ん……もう、だいぶ遅い時間になってしまったな
月──うん。月、見たら帰るか?


【──気付いたら、浮かんだ満月もだいぶ傾いていた】
【ふと思い返せば、「ウサギを見る」という目的は果たせてないような気がして】
【そっとリーベは、ファラエナを促してから満月へ視線を送る】

【ファラエナが望むのなら、リーベはまだ彼女のおしゃべりに付き合うだろうが──】
【それでも、もう少しで東の空は白み始める】
【月が沈んでしまえば、彼女たちの「真夜中散歩」も、終わりを迎える時間になるはずで】

/了解でっす!
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 18:05:36.17 ID:THIOiT400
>>878

【「もんじゃ」とかおいしそうだし、「念珠」とかお葬式だし、でも、それは大した問題ではなく】
【なんかそれっぽいことが大事なのだろう。なにせ意味は通じているみたいだし、それなら、気にすることではない】
【彼女はのんきに「それなの!」なんて言っているが間違いである。2つ混ぜれば――正解にはなるけど】

私ね、みんなにね、聞いてみる!

【とりあえず、まずは、情報収集だ。いろんなヒトに聞いてみて、いろんな答えを、聞いてみよう】
【うんうんと頷けば鼻息もフンスーという感じで荒くなる。もうやる気十分、やる気と元気があれば、子供は完璧である】
【――そして頭を撫でられれば、今度は少しだけ照れたように笑うのだ。くしゅくしゅの髪は、少し、くせっけ気味だけど】
【非常に細くて柔らかくてさわり心地がいい。髪質まで、子供っぽくて】

うん、もうちょっと、リーベお姉ちゃんとお月様見て、帰るの!

【はっとこの場所に来た目的を思い出した。「あー」なんて声で視線を上げれば、空にはぴかぴか、お月様】
【浮かぶ模様をじっと凝視しながら、「ウサギさんなの!」なんて言えば、ころころと上機嫌そうに彼女は笑い】
【それから、ふと思いついたみたいに――リーベの手、また、繋ごうとするのだろう。ぎゅっと、手袋越しの手だけど】
【その高い体温はきっと伝わるし、リーベの体温も、きっと、また、彼女へと届いていくはずで――】

【――月がどんどんと傾いていく。“友達”とお話をしていれば、時間なんて、あっという間で】
【流石に夜更かしの彼女も眠たくなってきたらしい。ふわあなんて大きなあくびを何度も繰り返すようになり】
【そうすれば、そろそろお開き――ということになるだろうか。時計の針は、もう、朝に近い時刻を指差していたはずだから】

/こっから安定してお返しできますっ、お待たせしました!
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 18:31:46.37 ID:y8MCUdeDO
>>879

【「みんなに聞いてみる」──そう元気よく言われれば、もう頷く以外にはない】
【うんうんとファラエナの頭を撫でながら、「妹がいればこんな感じか?」とすら思ってしまう】
【そしてふと──自分は「この答え」を、どう探そうかなんてことに、思いを向けてみた】
【既にある程度自分のやり方は確立されていた。そこから、「戦わずにすむ方法」を見出だすのは……】
【それは多分、ファラエナがそれを見つけるよりも、もっともっと時間がかかりそうだと、そう感じた】
【もし自分が「答え」を見付けられるとしたら──ファラエナとは違い】
【戦って、戦って、戦いの果てにやっと、掴めるものかもしれないとすら、思うのだ】
【──「戦わずに、すむ方法」 自分自身、まだ分からない方法】
【なんて宿題を、この子に課してしまったんだろう。そう思うと、少しだけ気持ちが重くなった】

【それでも──ふわふわの髪と、素敵な笑顔を感じてしまえば】
【すっと、沈みかけた気持ちもどこかにいってしまった】
【──「私は、間違ったこと、言ってない」 そう、心の中で思ってから】


……ん!そうだな!月、見てないもんな!
あぁ……そうだ!

──帰る時は、飛んで帰らないか?


【握られた手を、ぎゅっと握り返す】
【そのまま月を見ながら、多分朝までいろんなことを2人は話し合うのだろう】
【好きな食べ物だったり、好きな場所だったり、最近あった楽しいことだったり──本当に、いろいろ】

【そうして、空がだんだん紫色になってくれば、最後にちょっとした悪戯っぽい笑みを浮かべて提案ひとつ】
【多分、ファラエナの飛ぶ姿が見たいのだろう──さっきは見れず仕舞いだったのだ】
【ちなみに、リーベが継続的に宙に浮くためには、妖精みたいな「飛翔」なんかじゃ決してなくて】
【空中の何もないところを定期的に蹴って、ぴょんぴょんと「跳び」ながらの移動になる】
【見た目的には──そんなに、きれいでも、かっこよくも、ないのだけれど】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 18:45:28.13 ID:THIOiT400
>>880

【難しい宿題――彼女は、きっと、そうともまだ気付いていなかった。自分が目指す先、何が待ち受けるのか】
【きっと難しいし、辛いし、苦しい。或いは悲しいかもしれないし、絶望することすら、あるかもしれないけれど】
【それでも、求めてみるのは悪いことじゃない。誰にも、悪いことだなんて、言わせないし】
【みんなで仲良く遊びたい――その願いも、きっと、未熟でも、よっぽど間違えていることでも、ないはずだから】

――そうする! リーベお姉ちゃんと、飛んで帰るわ!

【――まあとにかく、彼女の意識はこっちに逸れてしまったようだった。ぱぁあと顔を煌かせ】
【それにワクワクしながら、それでいて、お月見も、おしゃべりも、楽しみながら。時間はあっという間に過ぎ】
【地面の端っこのほうから、だんだんと、色味が変わっていく――きっと、その向こうには大好きな太陽が待っていて】
【そうなれば、そろそろお開きか。立っているのも疲れて、床にぺたんと座っていたのを、立ち上がれば】

【(余談だけれど、流石に冬空の下。寒いだろうと思って、彼女は、能力を使って、何か大きな塊を作り出していた)】
【(それはモチモチというかゴワゴワというかそんな手触りをしていて、ぼんやりと光を放つほか――熱も一緒に放っていて)】
【(石油ストーブとかに比べたら残念だけど、それでもまあ暖かい。簡易式の、ストーブなのだった)】

【でもそれももう要らない。えいやっと意識を“そう”すれば、“それ”はばららっと崩壊していって】
【小さな欠片も大きな欠片も、光の蛾の形になって、ばさばさとどこかへ飛んでいく――そんな、演出を加え】

あのね、私のおうち、あっちなの! 良かったらね、途中まで、一緒に行きたいな――。

【それから彼女は“あっち”のほうを指差す。街外れのほうだ、よっぽど郊外ではないけれど】
【途中まで一緒に来てもらえるようなら、彼女はきっととっても嬉しそうにする。それから、僅かな吐息で集中して】
【魔力を背中から溢れさせると、それを、編み上げていく――ほんの数秒で出来上がるのは、光で作られた1対の翼だ】

【リーベの飛ぶ方法と違って、こちらは、王道っぽい飛び方だ。ちなみに翼の形状は天使、みたいなものであって】
【多分お話とかで憧れたのだろう――ちっちゃな体におっきな翼。まあ、それなりに、似合っているようだった】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 19:03:01.37 ID:y8MCUdeDO
>>881

【誰かと一緒に並んで飛ぶなんて、なんだかとても久しぶりな気がした】
【むしろそんなことが今まであったのかすら、疑わしいぐらい】
【一緒に帰ることを快諾されれば、それこそ子供みたいな表情を浮かべ】
【その流れで、光のストーブがふわりとどこかに散らばれば、やっぱり子供みたいに大はしゃぎ】

【そしてファラエナが翼を背負えば、「クリスマスにぴったりだな!」なんてきらきらと笑うのだ】
【真面目なときは、とことん真面目になるけれど、子供っぽくはしゃいだりもする】
【気分の上下が激しいのも、やっぱりなんだか似ている2人なのかもしれない】

【途中まで一緒どころか、きっとリーベはせがまれれば家の前までだって行ってくれるはずだ】
【ぴょいんぴょいんと空中で弾みながらファラエナについて行くのは、少しだけ大変そうだったが】
【それでも、誰かと一緒というだけで、リーベはだいぶ楽しいらしい】
【きっと、別れの時が来てしまえばひどく名残惜しそうにするだろうけれど】


──今日は、会えてよかった!
また一緒に、月を見たり、猫を追いかけたりしような!


【最後の最後は、そう笑って、彼女を家に返すはずだ】
【そのあとファラエナがリーベを見送るのであれば──街の方角に、ぴょいんぴょいん跳んでいく彼女が、見れることだろう】


【ちなみに翌日──】
【宣言通りリーベは「チラシ張り」の許可を取るには取ったのだが】
【所定の場所以外のチラシは、剥がすはめになったとか、なんとか】

/このあたりでしょうかっ
/長い間ありがとうございました!お疲れさまでしたーっ!
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 19:14:47.31 ID:THIOiT400
>>882

【きらきらと笑うリーベの笑顔に、ファラエナも、また、感化されたようにきゃらきゃらと笑い】
【夜更けだというに、ここだけ早く太陽が昇ってしまったようだ。それくらい――暖かで、和やかな時間】
【だけど――家の前まで、というのは、ちょっとダメらしいのだ。なんでも、お母さんがダメというかららしく】
【結局案内されたのは、家の傍の道沿いまで……ここからは歩いて帰るの!なんて宣言をして】

あのね、私もね、楽しかったよ! なの!
リーベお姉ちゃん、またね――! また遊ぼうね!

【そのまま、明け行く空の向こう側にぴょんぴょんと跳んで行く彼女の姿を、見送ったのだという】

【――そうして帰った家の中は冷たく褪めた、電気すら全て消された、室内】
【多分母親は寝ているのだろう室内を、彼女は、音を立てないようにそっと進んで行って】
【自分の部屋の自分のベッドで、ぐっすりと眠りにつく――そして、きっと、楽しい夢を見るのだった】

/おつかれさまでした!
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 20:24:45.87 ID:J5k+WpRho
//まだ>>877で募集しております
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 20:45:18.61 ID:THIOiT400
【風の国――UNITED TRIGGERの事務所兼酒場の店舗内】
【満月のお月様が天で輝いて、冷たい風が、邪魔をする雲を押し流していく】
【もしも誰かが暖かいお酒や食べ物を求めてその扉を開くなら――ふわりと零れる空気は、ひどくあったかだった】

…………う、うーん……、名前……、名前……。
ご飯食べられそうな名前……、路地裏のひとたちのためだって、分かる名前……。

【――だけど、この時間なら酒場として営業しているというに、給仕の「いらっしゃいませ」もなんにもなく】
【疑問を持つなら、すぐにその姿を見つけ出せるはずだ。店の壁際の席、頭を抱えるようにして唸る、メイド姿】
【黒い髪を今日は後ろで三つ編みにして、黒と赤のオッドアイはぐぬぬと伏せられる。右耳だけのピアスは、宝玉の欠片をあしらったそれで】
【赤布に橙で花柄を入れた着物のデザインを真似たメイド服に、黒布のエプロン。ふわっとしたボリュームのスカートが特徴的で】
【足元は編み上げのロングブーツ。抜けるように真っ白な肌の、少女――未成年にしか見えないが、確かにここの給仕である】

分かりやすい名前……名前……、……名付け方……、……、――、違うの、子供の名前じゃなくって……。

【どうやら何かの名前をつけるのに困り果てているらしく、広げたノートの前でペンを片手、うんうんと唸る声だけが続き】
【そのうち困り果ててぱかっと携帯と開くと何かを検索、――すぐに呻きながら、携帯を閉じることになる、のだが】

お金がないひとでも、無料(ただ)でご飯が食べられるとこだって、分かる、名前……。

【――それから彼女はふぅとため息を吐いて物憂げに頬杖をつく。そうして、一人……物思いに耽るのだが】
【ここは店で、そして今は営業時間中である。怒られたって仕方なく、というか、むしろ、怒ってやるべきで――】
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/06(土) 21:07:14.23 ID:ZNLlg0QTo
>>884
まだいますか?途中で落ちそうですが絡んでも宜しいでしょうか?
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/06(土) 21:12:58.36 ID:ZNLlg0QTo
>>886
っとすいません。これやっぱり無しで…
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 21:26:38.78 ID:dEJQYdy50
>>885

【酒場の扉が開き、其処に現れたのは―――およそ酒場には縁が無さそうな、小さな少女と母親……親子連れであった】

【母親らしき女性はベージュのトレンチコートに黒いマフラー。すらりとした足に黒いスキニーパンツを穿いて】
【ブラウンの瞳は澄んで、冷たい夜風に鳶色の長髪を揺らす。成長した子供を持つ母親とは思えぬ若々しい顔には活発そうな笑顔を湛えて】
【一方の娘は可愛らしい桜色のセーターに子供用のジーンズ、その上に温かそうな白いコート。うさぎの形の耳当ても可愛らしく】
【首には白いマフラーを巻き、母とはちがった美しい黒の長髪を持つ。浮かべる笑顔は母に似ていて、親子であることを窺わせる】
【姿を見れば、何度か会ったことのある親子だと分かるか。酒場にはミスマッチな二人が此処に来た理由も……】

「こんばんはー!」
こんばんは鈴音ちゃん、衣織と一緒に約束通り来ちゃいました!……あれ?

【……元気よく声を掛けるも、応答がない。どうやら考え事をしているようで、此方には気付かずに唸っている……】
【いつまで気付かれないのかは分からないけれど……二人は何か思いついたように顔を見合わせてニッと笑うと】
【そーっと鈴音の方に忍び寄り、やがて気付かれぬままに彼女の背後に立ったなら―――】


「だーれだ!」


【娘と思しき少女が、その小さな手でバッと鈴音の目を覆う。―――今の今まで寒い外に居たから、きっとその手は冷たくて】
【びっくりさせてしまうかもしれないけれど……むしろビックリさせるための悪戯でもあった】
【振り向けば、其処には親子二人が悪戯っぽい笑みを浮かべて立っている筈だ。さてさて、考えに考えて頭が煮詰まっている鈴音にこの悪戯は成功するのか……】


889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/06(土) 21:27:46.59 ID:i5Ro48Rio
>>860

……織守、お前も大丈夫か? お前も一緒に背負って運ぶことも出来るが……ああ、いいのか。
何か危険な目にあったらよ、変に勿体ぶらずにインゴット使って戻ってこい。んじゃ、急がねぇと……!!

【重苦しい雰囲気も消え失せ、タダの苔臭いだけになった道を大急ぎで走る。背負う彼女を揺らさないように、慎重になりながらも迅速に】
【それにしても彼女は軽く、そして首に巻きつく両腕は細い。この身体で、この細腕で――――自分を護ってくれたんだ。そう、改めて認識する】
【彼女が改造人間であることは知っているが、それでも小さな体で正義を担うということはどれだけ厳しいだろうか】

【――――彼女を背負うロウの手に、グッと力が入った。太腿や脹脛に刺さった石の破片がジワリと痛むが、そんなことを気にしている場合じゃない】
【確りと歯を食いしばりながら、彼女を運び――――目の前に見えるは光。耳に届くは声。そのままロウとネモは外へと脱出し、ネモは直ぐに医療班に届けられた】

……あれだ、飯はまた今度な。俺の命を救ったんだ、腹破裂されるくらいに食わせてやる……!

【運ばれていくネモに言葉を送ってから、ロウはその場で胡坐を掻いてしゃがみこむ。体力的にはそこまで問題ではないが、精神的疲労が大分募っていた】
【最後の一撃に要した集中、恐怖により削られる神経――――そして何度も死にかけたという事実。張りつめた緊張の糸がここでようやく切れた、というわけで】
【一度大きく長い溜め息を零せば、胡坐のまま深い眠りについた。一旦――――と言っていたが、結局2回目の突入はなかったのであった】

/遅れましたがお疲れ様でしたー! ありがとうございました!
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 21:31:28.34 ID:LIuT0TP60
>>828

【女の犬歯が蠍の腹に牙を立てて柔い組織を引き千切れば、粘着く緑青の血液が飛び散って女の顔をまた染め上げた。】
【上空では冷えた強風が吹き荒んでいるようで、月を隠す薄雲は取り払われ、差した月光が木賊色に濡れた女の顔を艶やかに照らした。】
【彼女は未知たる肉の味に満足を覚えたようで、二度三度と再び喰らい付けば、憐れな蟲の咆哮が再び路地裏を揺らした。】
【反撃として繰り出された尾撃を、女が躱すことはなかった。再び女の身体が吹き飛び、もげた頭部から蟹の腱のように神経と骨が引き摺り出された。】

「――あァ、悪くない味ね。食感も味も、海老と蟹を突き混ぜたような、不思議な感じ。
 これだけあるんだから、中々食べ応えがあるわ。貴女の言う通りね」

【そして、折れた頚椎から再び骨と肉と神経が溢れ出る。首筋が生まれ頭蓋骨が生まれ、それにうっすらと肉が付き、髪が腰まで伸び、眼窩に碧い瞳が生まれ、また少女へと微笑みかけた。】
【彼女の生命力は、生きとし生ける物を何か喰らうことによって蘇る。捕食者として蠍を喰らった彼女は、それによって得た肉と体液を肉体の再構築に消費した。】
【故に、彼女の食欲はまだ満たされていなかった。手負いの蟲を外骨格から針の先端まで喰らい、その向こう側で悶える少女の髪も骨も頭蓋も解析器具も脳髄も胸筋も腕も足も血の一滴も喰らい尽くすのが彼女の目的。】
【そうすれば漸く、彼女の晩餐は一先ずの終わりを告げる。】

「それじゃあ、もう一回。『いただきます』」

【――彼女のその一言で、大気が拍動する。乾いた血がこびり付いた一枚の窓硝子は、それに耐えかねて破砕された。】
【拍動は規則的だった。その度に、何処かの窓硝子が割れた。元凶は、地面に突き刺さった彼女の剣だった。】
【それが、あまりにも大きな心音を響かせて、脈動していた。足元に立っていたその剣を、彼女は引き抜いた。】
【――同時に、剣は一際大きく拍動した。路地裏の窓硝子は、総て割れた。一部の破片が女に降り注いだが、彼女はそれを意に介することもなかった。】
【彼女の足が、関節を起点に歪んだ。また彼女は、跳んだ。高く、高く、蠍の背丈よりも。彼女の体に刺さっていた硝子は総て風圧に引き抜かれ、流星のように彼女は紅い軌跡を残していった。】
【彼女は剣を構えていた。刺突の構えであった。放物線の頂上に辿り着いた彼女は、ゆっくりと蠍の脳天に切っ先を合わせて――】

/お返ししますー。
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/06(土) 21:36:18.84 ID:7MVEpb8+o
【路地裏】
【表の光も、喧噪も、夕飯の香りなどとても届きはしない】
【祈りの声は闇に消え、鉄錆に似た血の香りが否応なしに鼻孔を突く】

【そんな場所に広がるちょっとした噂】
【知る人ぞ知ると言う程のものではなく、本当に誰かがポツリと話題にした程度のもの】
【「腕の良い砥ぎ師が居る」と言う噂】
【店も持たず、時折フラっと現れてはゴザを敷いて砥石と水だけ用意して路地裏の佇んでいるそうで】

……ん、かーっ。眠いってぇの

【その噂の中心人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性は噂通り】

【暗がりの少し開けた場所で、ゴザを敷き。砥石と水を張った桶を用意して欠伸と伸びを同時にしていた】
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/06(土) 21:37:40.59 ID:uD1ploPHo
【路地裏】

「ぐっ……はっ――! く、糞……この、卑怯者めが……!」

卑怯? はてさて、仰る意味が判りかねますね
何故、私が貴方様の流儀に合わせて差し上げなくてはならないのでしょうか?

【薄暗く、血生臭い空気の漂う路地裏の奥地で何やら人の声が響いていた】
【その声を辿ったならば、その一角で繰り広げられる光景を目にすることができるだろうか】

【自警団の制服を着た二十代後半ほどの男性が、二人の黒装束の隠密に組み伏せられ】
【憎悪に満ちた表情で、目の前でニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべる"男"を睨みつけていた】

【身長は約160cm。茶色の短髪に垂れ目の猿顔をした男だ】
【黒地に白のストライプが刻まれたスーツを身に纏い、その胸にはカノッサの証である逆五芒が刺繍されていた】
【腰には得物であろうか、全長40cm程の朱塗りの棒が括りつけられている】
【猫背気味の姿勢が更に身長を低くみせ、面立ちも合わせて卑小な雰囲気を醸し出していた】

「[ピーーー]なら、殺せ……! お前達なんぞに俺の正義は屈服しないぞ……!」

そんな、[ピーーー]などと物騒な! 貴方様のような異能持ちは使い道が幾らでもありますからねえ!

ご心配なく、次に目が覚めた時には正義などと面倒な事を考えなくて済むように
きちんと"調整"して差し上げますので――ゆっくりとお休みなさいませ……

【「キキキッ」と、独特の耳に障るような笑い声を洩らしながら】
【男は懐から小さな注射器を取り出して、自警団の男性の首筋にそっと突き刺し薬品を注入する】
【睡眠薬の類であろうか。すぐに効果が現れ、身体は弛緩し昏睡状態に陥った】

【男の部下であろう小柄な隠密達は、哀れな犠牲者の腕を掴みずるずると闇の中へと引き摺っていこうとする】
【もし誰かここを通りかかる者がいたならば、この凶行を止める……もしくは"手伝う"事も可能であろうか】


【――】


【とある街外れ 小さなお店の中】

よいしょ……うん……しょっと……
ふぅ、今月分の部品だけでも結構な量だなぁ………

【人通りの少ない町外れの一角に建つある店】
【安価で依頼を引き受けるマジックショップとして、近隣で少しだけ名前が売れているその店の中に】
【ダンボールを抱えてせっせと駆け回る一人の少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年である】

年末は……ちょっとだけお客さんも増えるしね
今から気合入れて頑張らないと……冬の新商品、売れるといいなぁ

【何処も忙しくなる年末。この店も例外ではなく、それを見据えて少年は一層気持ちを引き締めていた】
【ダンボールを両腕でがっしりと抱えて、ちょっと危なっかしくふらふらしながらも】
【荷物を店の奥までゆっくりとした足取りで運びこんでいく】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「冬到来! あったかい魔法のアイテムあります!」という張り紙が見える】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 21:47:52.91 ID:THIOiT400
>>888

【全くもって駄目な店員だった。常連らしいおじさんたちが時折彼女を呼ぶのだけれど】
【「もうちょっと」とか「あとすこし」とかそんな言葉でごまかされている。……今宵、店は、ほとんど回っておらず】
【――頑張っているのはそうなのだろうが、少し、やり方がまずいようだった。――だけど、まあ、】
【客も常連なら事情も知っていて。それなら、なんだか、上手いこと行っているらしいから……いい?】

ひっ……、!?

【とにかく、彼女は、元気な挨拶にも気付かなかった。唇を指先でゆがめるようにしながら、思案に耽って】
【そうやって考え事をしていると、普段の彼女とは違う印象。あどけなさ――というのも、少し引っ込むように見え】
【――だけど、すぐに崩壊する。視界を奪われて、しかもそれは妙に冷たくて、なんだこれって、脳内は一瞬でパニック】

あ……や――え?

【多分心拍数とかはかっていたらすごいことになっていただろう。結局、彼女は、誰だか当てられないまま】
【一部始終を見ていた酔っ払いたちに笑われたりしながら、きゅっと身体を縮こめて、目隠しされるがままになって】

あ……あ、……衣織――皐月も……。

【――手を外してもらえたら、即座に確認。やっと分かれば、安心したように息を吐いた――はずであって】

い、いらっしゃい、……――。

【まだどきどきしているらしい。少々ぎこちなく告げられる歓迎の言葉、それから、店内を見渡せば】
【――どうやら、気付かないうちに空き席はここだけのようだった。壁際のテーブル席、そこに二人をどうぞといざなって】
【テーブルの上のノートはさっさとたたんで胸に抱いてしまう。――そして、「本当に来てくれたんだ」なんて、今更、】
【“普通”っぽい声で言うのだ――なんだかもう、遅い、気がするけど……】

/すいません気付くの遅れました……
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 22:11:30.31 ID:dEJQYdy50
>>893

【ぺたりと張り付いた小さな手は、外気に晒されてそれなりに冷たかった筈だ。小さく悲鳴が上がって】
【ドッキリ悪戯は大成功。鈴音の小動物チックな可愛らしい反応に、皐月も衣織もにししと悪戯っぽい笑みを浮かべて】
【それから衣織はそっと手を離す。振り向いてくれたなら、今度はいつもの明るい笑顔に変わって改めて挨拶する】

「えへへ……来ちゃったよー!ビックリした?声を掛けても何も反応してくれないんだもん……」

ごめんなさいね、ちょっと驚かせ過ぎちゃったかな?何か考えてるみたいだったけど……

【告げられる声が、まだ少しぎこちない。驚かせ過ぎちゃったかなーと今頃になってちょっぴり反省もして】
【案内されると親子は一緒にその席までついて行き座る。酒場というのは初めてなだけに、見知った顔が居るのが心強い】
【取り繕ったようにいつもの声で言ってくる鈴音。今更誤魔化してもあんまり意味は無いけれど……うん、ビックリしている鈴音も可愛らしくていいと思う】

「鈴音ちゃんが来てって言ってたからね。お仕事中の姿はどんな感じかなって見に来たんだけど、」

……ちょっぴりお仕事中に何か考えてたでしょ。何か考え事でもあるの?
―――あ、そうだ。CM、見ましたよー!家でテレビ見てたら急に鈴音ちゃんが出てくるんだもん、ビックリしちゃいました!

「あの格好、とっても可愛かったよ!……でも、どうして水着とメイドさんの服だったの?」

【座席に座ると、鈴音に他愛無い会話を繰り広げる親子。店の中に入った時の鈴音の様子やら】
【―――例のCMの事も。この親子、水の国に住んでいるものだから……丁度、CMの放送圏に入ってしまうのだ】
【ゴールデンタイムに親子二人でテレビを見ていたら、いきなりあざt……可愛らしい鈴音の姿が映し出されたものだから】
【二人してビックリして顔を見合わせたなんて、余談。……その日の夕飯時の話題は、水着とメイド服という謎の組み合わせは一体何だったのだろうという話になった】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/06(土) 22:13:01.98 ID:gNAU1aR40
>>860>>889
【流れてく血と麻痺毒、薄れていく意識】
【指先までもう感覚がなくなってる。まぶたを開いているのが辛い】
【もうすぐ、落ちる。そんな時】
【ふっと体が浮き上り、頼もしい背中に乗せられる】

ロウ・・・・・・えへへ
言われたとおり、油断しなかったの!がんばったの!

【褒められた。嬉しい。にやけ顔がこぼれる】
【結局動けなくはなっちゃったけど、ちゃんと守れた。たてになれた】

【自分の成長を実感して、自分は無力でないんだと思えて少女は上機嫌】
【医療班に運ばれるときも、少女は笑顔のまま眠りに付いた様で】

//遅くなり増したがイベントおつかれさまでしたー!

896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 22:26:40.26 ID:THIOiT400
>>894

【もう寝耳に水みたいな感じだった。暖かい手ならまだしも、外の寒さに冷やされまくった両手なら】
【そりゃあもう――って感じ。しかも自分はこの暖かい空気の中で、ずっと、居たものだから……】

【でも、まあ、場面は変わって。自分は席を立って、ノートを胸に抱いて、二人を席に通した頃合だ】
【何か妙に硬い笑顔を浮かべて立っている。まだ引きずっているのだ、……小心者である】
【だけど放っておけばだんだんと氷の解けるみたいに態度は軟化していって――だって、もともと、友達なのだし】

あ、えっと、……その。…………――――!

【何か考えていたよね。そう言われたら、彼女は一瞬ノートをちらっと見て、説明しようとするのだけど】
【そこに重なる言葉、CM見た、……見たって? あれを? ……見られてしまった? 知り合いに?】
【いや、見られるだろう。というか見るだろう。だって幼馴染の親友からもメールが来たのである、この間】

【「天音さんが茶吹いたの全部喰らったんですけど、心当たりはありますよね?」みたいな、微妙に責める語調のメール】
【誰にも触れられたくなかった。いやそんなの無理だけど、確かにみんなに知ってほしいのだけど、……知り合いだけ見逃してほしい】
【ギャーみたいな顔で固まってしまうのだった。「えっと」とか「あの」とか「その」とか、続く言葉は意味を成さず】

なかったの……、……水着とあの服しか、なかったの……!

【ノートを小脇に抱えて、彼女は両手のひらで顔を覆う。そうして必死に言うのだ、自分のセレクトじゃないって】
【最終的に着たのは自分だが、選んだのはセリーナである(責任転嫁)だけど水着よりは何倍も良かったのだ(自分への慰め)】

……あのCMでセリーナが言ってたこと、えっと、……路地裏に居るような、孤児の子……その子たちが。
お金とかなくても、暖かい、普通のご飯食べられたらいいなって思って……、……セリーナにお願いしたの、ここを、貸してって。

わたしの家でやっても、きっと誰も来てくれないけど――ここでやるなら、もしかしたら、少しでも、信じてもらえるかもって……。

【でもすぐに立ち直る。一応そうやって誰かが見てくれたというのは救いになる、……些か服装のインパクトが大きいらしいが】
【それでも、まあ、話題にならないよりマシだろう。うん、きっと、そうだ、――それなら、着た甲斐もあるもの、だ、……】

――――それの名前を考えてたの。完全無料の、孤児とか、そういうひとたちのための、レストラン。
でも、どういう名前をつけたらいいのか分からなくて……、……わたし、普段、ぬいぐるみとかにしか名前付けないから――あ、

ごめんね、ちょっと待ってほしいの……あ、えっと、飲み物はどうしよう? お酒もあるけど、お茶とかジュースもあるよ。

【とにかく彼女は出来ればあの格好には触れられたくないような顔をする。……多分、辛いことがあったのだ。きっと、】
【だから真面目な方向に話の矛先を向けながら――と、そのとき、他の客席から、「鈴音ちゃんお酒持ってきてよ!」なんて声がして】
【それで彼女はぱちくりすると、片手で軽く謝ってから――最後に注文だけ取って、そちらのほうへ行ってしまおうとするだろう】
【二人は大事なお友達でありお客さんだけど、他のお客さんも同じくらい大切だ。――それなら、仕方ないと待ってもらえたら嬉しく】

【告げた飲み物が届くのはほんの二三分だが、彼女の手が空くのはもう少し後だった。十分ほど待てば、】
【「ごめんね――でも今日はちょっと空いてるんだよ」なんて言いながら、彼女は戻ってくるはずだから】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/06(土) 22:31:16.77 ID:J5k+WpRho
//まだ>>877で募集しております
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/06(土) 22:34:56.48 ID:2puglcKoo
>>871
/此方こそ申し訳ないっ、ちょっと今夜は忙しくて連絡できませんでした><
明日の夜十時以降とかになってしまうと思うのですが、もしよければ凍結解除お願いします!
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 22:40:32.45 ID:LIuT0TP60
>>898
/了解しました。
/お返事は>>890に置きましたので、では明日の夜10時ほどからまたお願いしますッ。
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 22:55:30.88 ID:dEJQYdy50
>>896

【そりゃあ見るだろう、宣伝用に撮影されたCMなのだから、昼夜を問わず何度も放送されるのは当然で】
【まあ、よっぽどの確率で奇跡でも起こらない限り、見なかったという事はあり得ない。つまりは……鈴音の知り合いほぼ全員に知れ渡っている可能性がある訳で】
【……でも、別にいいと思う。誰が何と言おうとテレビに映る鈴音は可愛かったし。横に居た大胆なお姉さんは男性の目に留まっただろうし。】
【宣伝としては大成功だろう。情報はこうして広く知れ渡っていくのだから、マスメディアの威力とは恐ろしいものだ……】


そうでしたか。……鈴音ちゃんの水着姿もみたかった気もしますが……

「……あ、えっと……鈴音ちゃんに水着は……――ううん、なんでもない。
 とにかく、あのお洋服もとっても可愛かった!えへへ……今度私も作って着てみようかなぁ……」

【……さてさて、その当の本人は目の前で恥ずかしそうに顔を手で覆って服は鈴音のチョイスでは無いあれこれ訴えかけている】
【水着とメイド服という謎チョイスは、二択を迫られて苦渋の末に選んだとのこと。……水着でも良かった気もするけど】
【(―――衣織は、話を聞いて鈴音が水着はNGだろうなと納得していた。体に刻まれた刺青や刻印を晒すわけにはいかないだろう、と)】

【……そして、どうやら衣織はあのメイド服も模倣して作れるらしい。こと服に関しては、衣織の才能は恐ろしいものがある―――】


【見た目のインパクトは絶大だが、肝心なのは伝えたい内容。勿論親子二人もその内容はしっかり覚えていたみたいで】
【お話もその事に移る。……やっぱりあの格好は鈴音にはキツかったようだ、あまり触れて欲しくないと言っているみたい】

「そっか……じゃあ、鈴音ちゃんはみんなを助けようと思って頑張ろうとしてるのね?」

……鈴音ちゃんは、誰かの為に何かを為そうと出来るのですね。うん――鈴音ちゃんの想い、きっと皆に伝わりますよ。
そうやって頑張っている人を見ればね、そのうち皆信じてくれるようになります。どうか、折れずに頑張って下さいね!

……で、その活動の名前が思い浮かばない、と……あ、私はビールで!衣織は何が飲みたい?

「私はオレンジジュース!……ねえ鈴音ちゃん、そのお名前……私達も一緒に考えてもいい?ほら、えーっと……三人寄れば文殊の知恵って言うし!」

【―――そうして注文をした飲み物が届けば、鈴音の手が空くまでゆっくり飲みながら待つことだろう。手が空いた頃合いには】
【「お疲れ様!」なんて労いの声を掛けて。―――さて、名前の話だったか―――】
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 23:09:14.05 ID:THIOiT400
>>900

【あのメール以来幼馴染にも会えなかった。恥ずかしいのである、プリクラみたいなくだけた写真でも恥ずかしいのに】
【写真屋さんの写真とかホームビデオとかすっ飛ばしてテレビである。公共の電波。めっちゃくちゃ公共である】
【もうちっちゃくなって消えるかと思うくらいはずかしかった――直後は何か疲れから「もっと頑張れたんじゃね?」とか思ったけど
【――もう無理である。楽しむ余裕なんてちっともなかった、…………セリーナだけは楽しそうだったけれど】

【てことはやっぱり知り合いはみんな知っているのだろうか。つらい。穴掘って埋まりたい……埋まれないけど】

【とりあえず、そうして、十数分後。他のお客さんの注文をとったりお酒を出したりし終えた彼女は、ようやく戻ってきて】
【その際ノートはどこかにおいてきたようだった。どこかってカウンターの中だけど、まあ、見えないからどこか――である】

……ん、でも、わたしが考えなきゃなって、思うのもあるの。わたしが、考えて、お願いしたことだし……。
でも、思いつかないし……、――、……手伝ってもらうくらいなら、いいかな……、……セリーナには内緒だよ?

【そしてそんな提案をされれば、彼女は一瞬、少しだけ困ったように眉を下げ。そういったことを言うのだった、つまり、】
【自分の案で自分の提案だから、自分で世話をしなきゃと――だけど、さっきの様子の通り、どん詰まっているらしいなら】
【建前を言っておきながらも、心は揺らいでいた。……結局、それなら、お願いしようかな、なんて態度をして】

【ぱたぱたとカウンターの中にノートを取りに行く。戻ってきた彼女の手には、ノートと、ちょっとしたお皿】
【「一緒に考えてくれる分のサービス」なんて小声で言って提供するのは、手作りのマカロニサラダだ。とりあえず、と出して】

他にも食べたいものがあったら言ってね、わたしが作るから、その間、待っててもらうことになっちゃうけど――。

【それから、机の上のメニューもついと滑らすように差し出して。ちゃっかり宣伝しながら、彼女も空いた席に座るのだろう】
【給仕が思いっきりサボろうとしている。――普段は真面目にしているから、たまには、許してもらえるだろうか(?)】

【ちなみに、メニューは手書きらしい。かわいらしい丸文字で書かれているのだが、難しい漢字の場所に差し掛かると】
【急にきちっとした字体になる。――すごい緊張して書いたんだなあ、というのが良く分かる仕上がりになっていて】
【王道のおつまみっぽいメニューもあれば、ちょっと小洒落たおつまみ、それからリゾット、みたいなものもあり】
【未成年の衣織にも楽しめそうな食べ物もちゃんとあった。――そう、あと、】

【「今日はデザートもあるの、ティラミス、作ってみたんだ」】
【そんな言葉も、付け加えられて】
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/06(土) 23:31:42.13 ID:dEJQYdy50
>>901

【恥ずかしがることないのに。可愛いんだからもっと自信を持てばいいのに。……そう思うのは、きっと当事者ではない故の無責任な考え】
【恐らく恥ずかしかっただろう。……どちらかというと内気な少女がカメラの前で宣伝なんて、本当に勇気を振り絞った結果だろうに】
【………自分なら多分無理だ。大学の宣伝用パンフレットに自分の顔が乗っているだけでも少し気恥ずかしかったのだから……】

【十分と少し後。頑張って働いた鈴音が戻ってくれば、二人は「お疲れ様!」と声を掛ける。……実際、本当に良く頑張っていた】
【一人でてきぱきとお客さんの注文を捌いて、時には料理を自分で作って……そんな鈴音の姿を見る二人の眼差しは、感心と尊敬の色さえ帯びて】

「いいのいいの、手伝う≠セけだから!えへへ……ちょっとくらい、困った鈴音ちゃんを助けたいな!」

私も考えてみます!……名付けなんて、この子の名前を考えた時以来ですねー……

【お願いされれば、快く引き受ける。何せ友達だもの、困っているなら一緒に考えることぐらい許される筈。】
【一人では煮詰まってしまった考えも、三人ならきっともっと良い案が浮かぶ。折角大きな事を始めようとするのだ、名前は素敵な物の方がきっと良い】

【サービスで出してくれたマカロニサラダには、二人して目を輝かせる。手作りな上にお世辞抜きで美味しそうだもの、喜ぶに決まっていて】
【「他にも」なんて言われれば、そりゃもうやっぱり食べてみたくなる。というか此処に来た目的の半分は鈴音の手料理を食べる事だ】
【(因みにもう半分はCMの真相を知る事。……やっぱりあのCMのインパクトは大きかったから……)】

それじゃあ、私はおつまみでも頼みましょうか!鈴音ちゃんのオススメをお願いしますね!

「えっと、えっと……私はグラタンで!ね、ね、デザートも頼んでいい?」

……そうね……せっかく鈴音ちゃんが作ってくれてるんですもの、頂きましょうか!

【という訳で、皐月は鈴音にお任せでおつまみを頼む。衣織は大好物のグラタン。……そして、二人ともティラミスを頼んで】
【ワクワクしながら手料理の完成を待つことだろう。厨房から漂うおいしそうなにおいが鼻腔を擽る……】
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/06(土) 23:44:17.77 ID:THIOiT400
>>902

【どっちかといえば隅っこが好きだ。そういう目立つのは――それこそセリーナみたいなひとのほうが似合う】
【それにしても緊張してよく見ていなかったけど、あの水着、すごかった気がする……自分に自信があるって、すごいなあ、なんて】
【自分もああいったスタイルだったなら自信も出ただろうかとも思って。無いもの強請り、ため息で流す】

じゃあ、……じゃあ、ちょっとだけ……。……調べてみたけど、ぜんぜん、分からなかったの。
お店の名前の付けかたなんて、なかったし――その、わたし、インターネットって、あんまり得意じゃ……。

【そしてそれから、彼女はそんな風にお願いする。ちょっとだけ、手伝ってもらうだけ、だから、いいだろうと】
【大半は自分で考えればいいのだ。うん。きっとそうだ。――だって、なるべく早く決めたほうがいいみたいだから】
【テレビのひとたちがチラシを作ってくれると言ったけど……名前が決まっていたほうが、絶対、いいはずだって、思うし】

おつまみのお任せと、グラタン、ね――じゃあ、あの、ちょっと待ってね。

【とりあえず彼女は注文を受け付けて、また厨房のほうに向かっていく。その際、ノートは置いていくから】
【まあ今まで何を考えたのか――見てみるのもアリかもしれない。もしそういう意味合いでノートのページをめくるなら】

【\おなかいっぱい/ってセリフを喋らされているツチノコとか、そういった、絵が……あれ、名付け案は?】
【なんかツチノコがいっぱい書いてある。もしかしたら普通の蛇がおなかいっぱい→おなかふくれなのかもしれないけど】
【どう見てもツチノコです、本当にry ……本当に名付け案、思いついていないらしいのだった】

【――ちなみにティラミスは後で出すつもりらしい。それを、軽く、説明していったことだろう】
【先に出てくるのは、皐月の頼んだおつまみのほうだ。さくさくのガーリックトーストに、二種のディップソースを添えたもの】
【アボカドのディップとトマトのディップ。ガーリックトーストはお酒のつまみにもなるような味付けがされていて】

【グラタンは焼いてるから待ってね――とのこと。とりあえず戻ってきた彼女は、】

分かりやすい名前がいいかなって思うの、だけど、分かりやすい名前って、どんなのかなって思って……。
……0円食堂とか、かわいくないし……。

【ていうかそれ某テレビの企画である。多分セリーナに却下される、なんとか自力で思いついたアイデアらしいが】
【パクりにしか見えないので却下される運命。ノートに書かれたたくさんのツチノコ(満腹へび)は、なんともファンシーなら】
【なんだかかわいい名前をご所望、らしい――かわいくて、でも、ちゃんとそういった無料で食事が出来る場所だと、分かるもの】
【――なかなか難しいことを、考えているようだった。だから詰まったとも、言えるのだけれど――】
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 00:23:43.19 ID:+PbIemNN0
>>903

「まかせて!一緒に考えたら、きっといい案が浮かぶと思うの!」

【……そりゃあ店の名前を付けるサイトなんて無い。子供の名付けのサイトならいっぱいあるけれど……】
【インターネットは万能ではないという事。便利な世の中だけれど、何でも分かるようにはなっていないみたい】
【という訳で、初めに手伝うと言い出した衣織は満面の笑みで「協力するよ!」と言わんばかりに頷く】
【皐月も皐月で、一緒に考えようかと思っているらしく早速首を捻っている。……この親子、こういう事にはノリノリだ】


【鈴音が厨房へ向かうと、親子はぺらりとノートのページを捲ってみる。参考までに。そう、あくまで参考までに今までの経過を見ようと】
【……しかし、期待していた名前の没案は其処には書かれていなくて……なんか、いっぱいツチノコが書いてある】
【皐月も衣織も、思わずくくっと小さく笑ってしまう。なんというか、落書きの内容が可愛い。】
【どこかユーモラスな姿をして、可愛らしいのだけれど……うん、問題は其処じゃない。―――名前の案は?】
【……つまりは、思い付いていないという事だろう。頭を捻っても良い案が出てこなかったのだろう……】

【……先に出て来た皐月のおつまみ。運んできてくれた鈴音に「ありがとう」と一言、笑顔を添えて】
【早速頂く。二種類の味が楽しめるって所が、気が利いてるなぁなんて。娘にも少し分けてあげて】
【揃ってさくさくとトーストを頬張る。なんか食べ方や仕草がすっごい似てるのは、きっと親子だから】

「分かりやすい名前……うーん……」

あ、0円しょk……いえ、なんでもないです。

【皐月が何か言いかけた所で、食い気味に「かわいくないし」とばっさり切り捨てられる。……直球なだけに皐月もすぐに思いついたらしいが】
【0円食堂は……うん、それはどっちかというとタダで食材を貰う側になってしまいそうだ。止めておいた方が良い】

【尚も頭を捻る親子二人―――急に、衣織が何か閃いたようにポンと手を叩いて】
【どうかな?と期待を交えた笑顔で、思い付いた名前の案を鈴音に提示してみる。その内容は……】

「ね、こんなのってどうかな?
 『クロッカス』って…お花の名前だけどね、花言葉は『あなたを待っています』なの。
 どんな人でも来てくれるのを待っていますよーって……そんな想いを込めて。
 あとは、『ゼラニウム』は『無償の愛』で……そのまま、無償で愛を込めたお料理を食べさせてあげるって意味!
 どっちもかわいいお花の名前だから、いいかなって思ったんだけど……どうかな。」
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 00:46:09.28 ID:jNDCEH5u0
>>904

【彼女は蛇が好きである。猫とか犬も好きだけど、群を抜いて、圧倒的に、蛇の一強】
【だから落書きもつい蛇になってしまうのだろう。……ページをめくると、たまに、猫の絵が居たりして】
【ちなみに画力は普通程度だ。なんかまるっこいのを描いている分には、かわいらしく見え】

【フランスパンのガーリックトースト。指先でちょっとつまめて、二つのソースで味も変えられて】
【二人だからというのでちょっと多めにパンを切っているのだが、まあ、やっぱり、他のお客さんには内緒だ】

【――分かりやすい名前、というので、みんなで頭をひねってしまう。世の中の、たとえば、】
【おしゃれな居酒屋さんとかはどうやって名前を決めているのだろう。……同じくらいに、悩むものなのだろうか】
【皐月が言いかけたのは彼女は気付かなかったようだ。一瞬「はてな」という顔をしたが、気にした素振りも見せず】

……クロッカスと……ゼラニウム? そっかあ、お花の名前……、……。
クロッカスもゼラニウムも食べられるお花だし……、食べ物をやるなら、いいのかな――。

クロッカスってサフランの仲間なんだよ、色も香りも、あんまり出ないみたいだけど、……。

【そして衣織の案。お花の名前……その発想はなかったらしい。今、言われて気付いたような顔をして】
【お花――お花。それなら幼馴染が花屋で仕事をしているのもあって、なんだか近しい気がするのだが】
【花言葉……となると、よく知らない。知っているものは知っているのだが、それで脳内検索できるほどの量はなく】

花サフラン……とテンジクアオイ……、だよね、たしか、……んぅ――。

【和名を考えてみる、が、なんとなく音とイメージが一致しない。少なくとも、和名と、風の国という立地は一致しない気がして】
【さらに個人的なことを言うなら、ゼラニウム、苦手だった。……匂いがあんまり好きじゃない。悩めば、ごく僅かに眉をひそめ】

風の国だし……、風に関係するお花、……たんぽぽ、とか、――もみじも、かなあ。
あとはつくしとか……、ううん。

【お花――という言葉からヒントを得て。思考が移ろうのは、風の国……に関係しそうな、お花のこと】
【やっぱり種子が風で飛ぶというのが一番分かりやすく思い浮かんで、挙がるのは、その辺りの有名どころ】
【つくしについては胞子だから違うとは思うのだが。まあ、――なんだかにょっきりしててかわいいし、いいのだろうか(?)】

【――しばらく頭を悩ませると、彼女はまた厨房のほうに戻っていく。そうして、今度は、グラタンを持ってきて】
【「新じゃががあったから、今日はポテトグラタンなの」だなんて言う。――マカロニは、サラダのほうに使ってしまったらしい】

そっかあ、花言葉って、思いつかなかった――、

【ちゃっかり自分の分のお茶まで持ってきて、この子、堂々とサボるつもりのようだった】
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 01:03:17.44 ID:+PbIemNN0
>>905
//すみません、明日朝早いのでそろそろ凍結でもよろしいでしょうか……?
//明日はお昼の3時以降からずっと空いておりますので!
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 01:09:01.22 ID:jNDCEH5u0
>>906
/それで大丈夫ですよー!
/こちらも3時ごろからでしたら問題なく再開できるかと思われますです
/おつかれさまでしたっ、また明日よろしくお願いします!
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 01:09:57.87 ID:+PbIemNN0
>907
//はいっ、ではまた明日お願いします!
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 01:37:42.27 ID:yf+OCUl50
【人が余り近寄る事も無い険しい山道。精々旅の道や修行を目的とした者が訪れる程度で】
【今宵月明かりに照らされる其処を歩くのは一人の少年】
【纏っているのは何処かの軍服であろうか。布に巻かれた長物を肩に掛けながら歩みを進め、中腹に存在する秘湯へと辿り着けば担いでいた荷物だとかを下ろし】


「うーん……疲れた…………山を越えるにはまだ時間が掛かりそうだし…………ちょっとの休憩位良いよ……ね?」

【例えこの時期であっても長い時間山を歩けば流石に汗ばむ】
【更には直ぐ其処に温泉があれば疲れを癒やすのに打って付け。キョロキョロと辺りを見渡し、魔物だとかが居ない事を確認したなら脚を捲り湯に浸からせて】

【これまでの疲労を取るかの様に大きく伸びをすれば謂わば至福の時にも等しく】
【――――十代前半の子供が年寄り臭く湯の中で下腿をマッサージしたりとしている様は中々に滑稽かもしれないが】


【何はともあれ、殆ど人が訪れる事も無いこの場では水の音さえ良く響く】
【況してや硫黄の臭いに気付いたならば此処に辿り着くのも容易な事】
【仮にその場に寄るのなら丁度子供の背後から近寄る形となり――――その先は訪れた者次第、か】












【街の中――――商店街の一角、其処に存在するカフェにて】
【最早温くなり始めたコーヒーをテーブルに放置したまま小難しい表情で古書を読む女が一人】
【手入れの施された金色の髪はよく目立つだろうし、何よりもその女が纏っている物。詰まりは、修道着が何よりも存在を際立たせているか】

【やがて溜息を吐いたならば古書を閉じ、コーヒーを一啜り】
【「不味っ……」なんて失礼な言葉を呟けば憂鬱そうに表紙でも指先で撫でるのだろう】


「あーあ……全く、解読はボクの仕事じゃ無いと思うんだけど…………
大体にして教会に其れ専門の人も居るんだからソッチに任せれば良いのに……」

【ブツブツと紡がれる文句は果たして誰宛の物かは分からないけれど】
【その古書、見る者が見れば櫻の物である事も知れよう。内容は――――何処かの伝承か】

【この場に似付かわしくない修道女は嫌でも目立つ存在であり、現に何人かの者達が視界の隅で観察していたりもするのが現状】
【店員に対して愛想を向ける程度の事は出来る性格の様でもあって】
【そんな女に興味を抱いてか、古書に惹かれてか――――或いは、腰に提げた双銃を疑問に思ってか】
【何にしても、話し掛けようと近寄ったならば同時にそちらへと視線が送られるのだけれど】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/07(日) 02:21:38.62 ID:BQy6chRFo
>>909

確かに、古書を辿るような方とは思えませんね―――――――

【視界の外から声が響くその声は新雪に染み入るように清い】
【それに当てられて振り返れば人の姿が1つ】

大衆の憩いの場に不似合いな修道着、テーブルにはコーヒーと古い書そして極めつけに腰に吊るした2つの銃
なんでしょうかこの組み合わせは?私としましては、そうですね……今後何やらよろしくない事態に発展しそうな雰囲気を感じます

【作り物のように整った顔立ち、ガラスのような紫白の瞳、一本一本が極上の絹糸のような長い白髪】
【ロシアンハットにトレンチコートそしてブーツまでもが一切の純白、雪の化生が権現したような姿】
【微笑みも無し、ただ感じた事だけをそのままに躊躇いも無しに連ねて】

過去ならまだしも未来の具体的な事は分かりませんが……
よろしくない、しかしながら面白そうではありますね―――――――ああ、相席してもよろしいでしょうか?

【ちょこんと首を傾げて尋ねる、可愛気の無い姿】
【抱えたプレートにはミルクレープとカフェオレ、店を利用している客だというのは分かるけど】
【しかし他の席を使う事はせず、それはそのまま修道女への興味の証左となる】

【相席の許可を得られたならば小さく頷き「ありがとうございます」と零して】
【テーブルを挟んで向き合うように優雅に努めて席に着くだろう】
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 02:30:32.68 ID:dY/Qvc5j0
 【そこは人の寄る気配のない廃墟だった。静観の闇に覆う天の雲。僅かに見えた月あかりすら、今は多い見えぬまま】
 【一部では有名な心霊スポット、廃墟マニアでは有名な、瓦礫に塗れた整備の届いていない場所】
 【ただの廃墟と一線を画する理由としては、そこに魔力的な、つまりは違和感を感じさせる物があるからだった】

――なぁ、母さん。

 【種明かしを最初にするならば、心霊スポットとして、動く人形が出ると噂になった理由は、彼女だ】
 【崩れた一室、蜘蛛の巣と誇りの混じる見るからに、あからさまな場所で、挙句学生服を女は着ていた】
 【学生という訳ではなく、ただ喪服に近いから、という理由で学ランまでつけてはいるものの、短い灰色の髪は悲壮を連想させ】
 【胸元の盛り上がった、少々同年代に比べれば育ち過ぎた膨らみは、俗にいう怖い話にあるグラマーな女性そのもので】
 【それが却って住み着く学生の霊がいる、等と嘘が広まってしまった】
 【動く人形も彼女のせいなのだが、それは割愛しておこう】

最近これなくて、ごめんね。
返事がないのはなんとやらって……まあ、元気にやってたんだよ?

 【話しかけるのは、お墓と呼ぶにはやや粗末なつくりの墓標】
 【名前が刻まれているが最早掠れて全部を見る事もできそうにない】
 【ただ、整備はしているのか、掠れてしまった傷跡のような物以外は、比較的綺麗に見える――周りに比べて、という錯覚かもしれないが】

……最近さ、疑問ができちゃって。

 【普段はもう少し勝ち気な口調だが、しおらしいのはそういう場だからか、呼ぶ通り相手が母、であるからか】
 【墓の前で立ち尽くしながら、話す声は不思議とよく通る。その廃墟の外にいたとしても、声が聞こえる、と分かる程には】

――友達って、なんだろうね。できた事ないから、よくわからなくて。
母さんなら、分かる?

 【――そこは不思議と魔力を帯びていた。違和感をがあった。寄ってはならないという、ある種聖域に似た感触があった】
 【それが明確に一線を画する理由だった。目の前を通っただけでも、ここは何か、違うという違和感を生じさせる場所。ぞくりとした嫌悪感を辺りに巻きながら、それでいて一部の物好きを通らせる捻くれた時空】
 【その魔力は感知できれば遠くまで帯びてくる。その違和感は感じ取れば離れていても誘われるようで、つまりは、誰でも迷い込める、迷宮でもあった】
 【そして、迷い込んだなら、その根元へと足を不思議と運んでしまうような――――】
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 02:46:36.26 ID:yf+OCUl50
>>910
「…………それさ、ボクのことを馬鹿にしていると取っても良いのかな」

【所謂ジト目、と呼ばれる其れであろうか。溜息混じりに手をヒラヒラとさせれば、それは相席の許可を示すものと捉えて良いのだろう】
【櫻の何処かについて記された其れは一介の学者程度では到底明かす事の出来ないもの】
【――――だが。同時にこの女が其れを読むのに似付かわしくないのは確かだ】
【其れを自覚しているからこそ唇を尖らせる様にして言葉を紡いだのだけれど】



「今は何処も彼処もよろしく無い事だらけさ。其れが一つや二つ増えた所で大した問題でも無いよ、きっと
――――にしても可愛くないなぁ。結構久しぶりなんだからそう澄まし顔じゃ無くて『グリースさん、お久しぶりですっ♪』って抱き付いてきてくれても良いんじゃない?ボクとしてもそんな感じに慕ってくれる子が増えれば嬉しいし。ねえ、白妙
……いや、やっぱり無しで。キミが急にそんな風になったらボクも接し方に迷う」

【ニヤリ、と笑って見せればからかう様な言葉。ただ――――想像してみれば、その後どうすれば良いのかも分からない】
【無かった事に、と告げた時だけは如何せん真面目な表情なのだからこれまた滑稽なのだけれど】

【さて。コーヒーをもう一度啜ったならば其の古書と――――様々な事が纏められた紙を一枚其方へと送って】



「キミにとって面白そう、かは分からないけど
今は六罪王やらが動いていたり話題のゼン=カイマでまた一悶着起きそうだったり…………世界からして見れば、悪い方向に動いているのは確かみたいだ

まっ、今はこの銃も休ませてる所だよ。何しろつい先日に使ったばかりだしね」

【紙には曾ての大司教が復活した事等先日の出来事について纏められているのだろう。古書の方は、古の妖怪に関する事】
【――――何処かの小さな国で革命が起きそうだの何だのと紙にはその他にも様々な事がまとめてあり】
【ざっと世界の動きを見るならば簡潔に纏められているのだから丁度良いか】
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 02:59:21.82 ID:idcK538bo
>>911
【彼女が此処へと来た理由は、言ってしまえば偶然だ。ただ、心霊スポットの噂位は知っていた】
【然し"所業"から、亡霊や怨念の類を気にする人間じゃない――――― だと言うのに。其処は、彼女を搦め取るに足る魔性に満ち足りていた】
【ゆっくりと、気配と足音を殺しながら歩み入り。崩れた廃墟の中、ほんの粗末な墓の前に座るのは、亡霊と呼ぶには随分と輪郭がはっきりしている少女】

「人形も友達が欲しいって言うなら――――――――それは何とも、浪漫な事で」

【廃墟の壁に凭れ掛かって。それは祈りか、或いは縋りか――――― 最早もう此処にはいないのであろう人物に向けたその言葉に、茶々を入れた】
【何処かの男性物の襟詰軍装を僅かに押し上げる胸の膨らみは女性の物。二重回しを身に纏い、白い手袋を身に着ける白い肌の彼女の姿は】
【宛らモノクローム。然し微かな身動ぎにその視線を追ってみれば、片側の腰に浮かぶのは黒と朱の鞘に納められた差料】
【朱鞘の太刀の鐺が小さく壁を引っ掻き、小さく音を立て――――― それを追う様に、彼女は。そんな彼女に危害を加えようと言う意思はなけれど】
【まるで自分に酔った様に、或いは何かを夢想する様に、或いは、何かを思い出す様に。顎の下に指を当てる】

「ただそう、友達は―――――――――― 自分が心の底から大好きだと確信できて。

 自分も、相手も。お互いの事を良く知っとって。

 その上で嫉妬に狂える程に、大切だと思える人間―――――――――― それこそ」

【壁に付けていた背中を離して。ゆっくりと彼女の背後へと歩み寄ろうと足を伸ばした――――― 相も変わらず、其処に敵対の気配は無いだろう】
【彼女自身の意思としてもまた、殺意の欠片も彼女に与えようとは思っていない。その言葉は、自分の体験談から来る物で、親切心や】
【例えば、自慢したい、と言う感情も含まれた、言うなれば至って普通の人間心理の働いている「お話」―――――で、ある】

【あるがそれが――――――――――】


「殺してしまいたくなるほどに、と」


【"彼女の求めるそれと噛み合うかは"、別として、だが】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/07(日) 03:07:34.36 ID:BQy6chRFo
>>912

一応私にもテンプレートがありますのでこの個性の変更はお断りします
早々簡単には懐かないですしまして甘えるなどという事は――――――――
それこそ生命の1つ2つ差し出していただかなければ、割にあいません……ねえ?

【澄ました顔が崩れる事も無し冗談が冗談に聞こえないというのは質が悪い】

六罪王、ゼンの街……不安の種は尽きない物ですね
悪い世界、そうしない為に貴方も先日のように戦っているのでしょう?ならば良し、という事で……

【出来事は既知の事のように眉1つ顰めずに銀のフォークでそっとミルクレープに切れ目を入れる】
【粉砂糖が溢れて皿の白に融けてゆく、一切れ口に入れ……】

んう……甘いモノも偶には悪く無いですね――――――――で、この古書
騒乱の元凶にでもなるのでしょうか、古の妖怪……蛇か狼か大鷲か……尤も櫻の事ですから違うのでしょうけど
となれば……八つ首、九つ尾どちらにせよ……ふふふ、面白そうですね

【ここに来て漸くクツクツと笑みを浮かべる】
【その笑みは傍観者特有の物、関わりの無い安全な場所で出来事の顛末を楽しむ在り方】
【だがそこに悪意なく、そしてだからこそ人の感覚には遠いのか】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 03:17:06.95 ID:dY/Qvc5j0
>>913
 【――増えた】
 【一人、そこに明確に】
 【敵対の意は感じないだけに、またいつもの廃墟マニアか物好きか、と片隅で思いつつ】
 【……今の、慣れない自分が人に見られていなければいいんだけれど、と呑気な事を考えられる位には、気を落ち着かせているのは】
 【元々こんな場所で戦う気持ちがないからなのかもしれない。そも母の墓の前で血を洗おう等と想う筈もなく】
 【女は真面からは到底離れ相容れないが、情という感性においては常人より慈しみが僅かばかりあった――まあ、これもズレているが】

――聞いてたのかよ。趣味悪いな。
そういう時は黙って立ち去るとか、精々今来ましたよ、みたいに誤魔化す物じゃないのか?

 【ああ、聞かれてたのか。困ったという風に小さく口から息を漏らせば、横目に廃墟の壁を見て】
 【幾分か募った羞恥を逸らすように暫くそうした後に、開いた口はそれに対する愚痴じみた物。(もしかしたら、頬に乗った少しばかりの赤みに気づけるかもしれないが)】
 【そして、改めて視界に女性を入れれば、それが今までの冷やかしの連中とは違う事も理解できた】
 【まずは、刀を持っている事。どうもお洒落には見えないというのは、今までの経験と】 
 【――先日であった少女のように、それを持ち得るだけの風貌を併せ持っていると女が感じたからだ。女にとって、その先日の出来事こは思い出したくない事だからか、気分がやや落ち込んだが、それは別の話】
 【今までのが自ら来たというなら、目の前の女性は誘われるべくして誘われたというべきか。女は自らが出している魔力の流れには気づいていない為に、ある種の偶然として片づける事にした】

……あー、前半は分かるんだけどよ。殺しちまったら、意味なくねーか?
死んだら友達じゃねーっていうか……それとも、独り言だったか?

 【女はまあ、こんな発言をするくらい友達とか、友情に関してはピュアである。真っ白で染まる事なく】
 【それに対して疑問点があるのならば倫理観と自らの経験からの憶測で、それ以上は測れない】
 【独り言にも思え、反応するかも悩んだが、それでも返事を返したのはやはり自らの疑問点だったからだろう】
 【その口調が、まるで自らの体験談だった、とでもいう風に聞こえたともいうべき理由だが】
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 03:31:18.92 ID:yf+OCUl50
>>914
「全く、命を要求するなんて高い上に贅沢な餌代なんだから……

――――ボクとしても人が沢山死ぬ事を望んでる訳じゃ無いからね
半分は自分の為で、もう半分は腐れ縁って所かな。それにしても、随分と軽く言ってくれちゃって
ボクなんて何時も生きるか死ぬかの仕事なのに」

【今の世の中は確実に悪い方向へと向かっている。対するかのように正義も立ち上がるが――――結局、悪というのは滅びない存在】
【イタチごっこだけれど其れをしなければやがて取り返しの付かない所まで向かってしまうのだから】
【憂鬱げに吐いた吐息は冷たい空気に溶けて】


「――――人間くさくないのにそう言う所は人間くさいよね、キミ

ま、一匹の狐の話さ。櫻で暴れ回ってる悪い狐の、昔話
本当はもう目覚める筈も無かったんだけど…………どうにも、ボク等教会が追ってる悪魔が関与したみたいでね
生憎そっちにまで手を回す程の余裕が無いのがボク等の現状だけど、知り合いの巫女さんもちょっと面倒な所に入り込んじゃったから少し位は手助け出来ればとは思ったんだけど

どう言う訳かボクがこの本を解読しろなんて流れになっちゃってさ。アルカ……ああ、こんな作業が好きな子が居るんだからそっちに任せてくれれば良かったのに」

【悪狐がまだ其れだけの力を持つ以前の話。ただ、記される文字は今の文字とも異なり――――或いは、地域独自の其れか】
【漏らした愚痴は誰に向けるものでも無く。他の者に任せれば自分は楽が出来たのに、なんて】
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 03:48:29.41 ID:idcK538bo
>>915

「いやぁ……それはすまんね。ウチは配慮とか、遠慮とか、そう言うの、知らんもんで。何しろ、学が無い。

 然し――――――― ウチにそーゆーのがあったんなら、そのほっぺに出来たお天道様を、雅に書き綴れたかもしれんね」

【彼女の言葉は如何にも困ったと言った色、少なくとも歓迎はされておらず。ただ、それだけでは無い事は、自分の瞳で偶々、見て取れた】
【朱色の差した彼女の頬に。そんな歓迎されない態度に、少しだけ口角を吊り上げて皮肉交じりにそう返す】
【言い終わってからやっぱり自分にはそう言うセンスが足りないな、何て自己反省を一瞬だけ】
【然し続く彼女の言葉は完全な拒絶では無く。自分の言葉に疑問を持ってくれるくらいには、関心を受けた事に、少々面食らう】

【殺しちまったら、意味なくねーか?】


「まぁ、ねぇ」

【白紙であり純真無垢であり穢れの無い、或いは最初の彼女を見れば。その言葉遣い、その内容に触れればそれは予想もつく様な、純粋な疑問】
【実にその通りである。殺してしまえば、其処に残るのは雑然とした負だけ。良い事なんて一つたりともありはしない】
【だが――――― 例えば人間は、空腹を我慢できるだろうか。例えば人間は、瞬きを我慢できるだろうか。そんな単位の言葉運び】

「殺したら全部終わる。何もかも消える。壊れるとかじゃない、消えてしまう。でもそんな事は分かっとる。
 でもウチは羨ましい。心の中を占める、そんな友達がいるのならば―――――それは素晴らしい人で―――――ウチの心は汚いから。

 だから、ウチは耐えられなくなる」

【それは変わらず、夢想の様な"経験談"。手袋に覆われた右手を、月光に透かすように伸ばし―――― 月は、雲に隠れて出ていないけれど】
【過去に置き去りにしてきた出来事を。さも当然とばかりに、彼女の心などどうでもいいと、それは只々自慢話だ】
【自分には。過去にこんな風に思えるくらいに狂おしいと思える友達がいたのだと】


「だから、ウチは斬った。ウチにとっての友達って言うのは、そう言う物だった―――― さて。

 君には、そう言う"子"は、おる?お母さんだけじゃなくて、ウチにも聞かせて欲しいわぁ」


【ただ、ほんの僅かにだけ。諦観や。何とも有り触れた後悔の念を、そのモノクロームの魔眼に滲ませたと思えば、それは夜闇に食われてく】
【彼女の両肩を、後ろから、両手で、ぽん、と手を乗せて。それからまた、茶化す様に、今度は彼女に問い掛けてみせる】
【擦れた様に見せかけているのか、それとも本当に擦れているのか―――― けれども、純粋な彼女には。果たしてそれはいるか、なんて】
【それは特に意味の考えていない問い掛け。例えば、"友達へとそうするかのような"。まるでそれは、"リプレイ"の様に】
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/07(日) 04:02:11.90 ID:BQy6chRFo
>>916

餌が無ければ私とて死んでしまいますので……さてさて―――――――

【かたん、とフォークを置いて渡された紙面に掌を】
【蛍火のような白亜の光がワンテンポ置いてから溢れ、現れしは白く縁取りされたレンズ】
【透き通る硝子体の中央にはデフォルメされた「瞳」が刻印され……】

案件は九つ尾の方でしたか、私も九つという数字には縁がありますが……
それにしても悪魔も関わっているとなると尚の事ややこしいですね……いやあ実に大変そうです

大変そうですので貴方の知人として少しだけお力を貸しましょう

【早口の後で白亜の輝きは唐突に大きくなり店の中を塗り潰す】
【その最中に見える白妙の表情は今日一番の笑顔、ただしそこはかとなく邪悪な感じだったという】

所詮は簡易の術式ですのでプロテクトの有無、累積情報の充実具合によりますが……
指先1つでも掛かればそれで重畳です―――――――

【輝きは瞬きの内に消え、白妙の声も同じく……】
【光が過ぎ去って瞳を開けばそこには僅かな変化が1つ】
【レンズとは即ち覗き見るという意味を持つ、今回に関してはこの古書の内容を「覗き見る」】
【しかしただ覗き見るのでは無い、白妙といフィルターを通して覗き見るのだ】

【レンズは光を集め上方に白い石版のホログラムを形成する】
【抽出した情報を解析した形無き書物……無論その精度は先に白妙が述べた通り確実ではない】
【それでも欠片でも残れば今後の行動の指標になる、か……】
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 04:14:27.46 ID:dY/Qvc5j0
>>917
 ? ……なっ、てめっ――〜〜〜〜っ!!!!?????

 【一瞬、正に刹那ばかりの間をあけた後、ほっぺのお天道様、の意味を理解し即座に頬へと手を添えるように動かせば】
 【ひたりとつけた指から、今は引いたが僅かな熱があったのが分かる。隠していたつもり……だったのだが、というは反応から分かるか、少なくともそれを悟られないようにしていた様子】
 【普段ならこうも露わにはならないのだが、どうも墓前だからか、そういう日だからなのか、理由の内、一から五くらいまでしか汲み取れないが、女は日頃に比べて奥底の辺りが緩い状態にあった】
 【声にならないような、堪えるような声を上げれば、そのお天道様≠ヘほんの少しの頑張りを見せて、夜には似合わぬ熱を灯す】
 
……なーにが学がない、だよ。能ある鷹の部類じゃねーか。
そういうの猶更悪いっつぅんだよ。

 【じぃ、と向けた目は恨めし気に女性を捕えていた。次に出た言葉もやはり愚痴】
 【流石に隠し切れない、と諦めたのか、顔の赤さは僅かに残るまま、もういいや、と睨みを聞かせた目つきをやめて】
 【ムキになればなるだけ、言われるだけかと踏んで、それ以上の行為は無し、にした】
 【――ただ、僅かばかりの抵抗として、背を向ける。ふんっ】

――羨ましい、ね。

 【女性の話を聞き終えて、何気ない内に、恐らく殆ど無意識のうちに呟いた言葉はそんな物で】
 【肩に乗る僅かな重みと、人としての体温――随分と距離感を縮めてくれるな、なんて思いながら、自らの思考に耽る】

 【――けども、それも数秒。頭を探るなんて、それだけの時間で十分なんだ】
 
 【渇望。その点に置いて、女は理解を示す事が出来た】
 【羨ましい、手に入らない。見るのも嫌だ――だから、壊してしまいたい】
 【私も欲しい。でも誰もくれない。だから人に渡るのを見たくない。見てるとぐちゃぐちゃになってしまいそうだから】
 【――実際は、そう思っているだけで、やはり手を伸ばす努力をしていないだけなのだが、女はそれに気づかないし、気づいても気づかなかったフリをする】
 【如何して? ――――少々面倒な、ちょっと歪んだ乙女心故に、本人から言わせるか、自分で気づいて欲しい所】

斬ったって、それでか?

 【自らが呟いたソレを誤魔化すように、ただ敢えて自然に思える話題にすり替えたのはそういう事が得意だからか】
 【腰にさしてある鞘の中には、恐らく刀が入っていて、斬ったというのなら、それなのだろうか】

あー……先に答えるか。
いねえよ、いない。ずっと一人。

 【――今日は偉く正直だな、と綴りながら女は思った】
 【こんな事をいうとは思っていなかったし、しかしいざ本能に任せれば、すらりと出てくる言葉の数々】
 【こんなさばさばした見た目と口調ではあるが、やはりどこか取り繕っていた自覚は心の奥底ではあるようで、それに驚かざるを得なかった】

――そうだな。アンタの話が自慢話なのか、それとも懺悔なのか後悔なのか……。
どれかわからないって位には、その気配もなかった、かな。

 【そんな、自分の総てと言えそうな程の友達――それを持てた幸運か、手に入れてしまった不幸なのか】
 【手にかけた喜びか、心の枷になったのか。そんな自分に対する後悔か】
 【どれとも汲める。強いて言うなら――という答えがでない辺り、女はそういう経験がない】
 【だから、こうも物理的に距離を詰められて戸惑っている部分もあるのだろう。リプレイという考えすらわからない。何せ女にとってはこれがスタート、な訳で】
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 04:45:32.00 ID:idcK538bo
>>919
【頬に添えた手―――― それから彼女の口から吐き出されたのは、声にならない声、それは照れ隠しとか、そんな類に見えて】
【意地の悪そうに彼女は頬を緩ませる】

「さーて、ウチ、馬鹿だから、分からんわー。
 何で真夜中なのに、お天道様が出とるのか……いやー、わっからんわー」

【白々しい。白なのに絵に描いたように、何て言うのはおかしな話だが、その通りに余りにも彼女は白々しく、彼女の頬へじっとりと視線を向けて】
【ちょっとした鼻歌交じりに、のらりくらりとヘラヘラ笑って、次いで出たその愚痴の様な言葉ごと受け流す】
【睨み付ける様な彼女の双眸も、今では頬の僅かな赤みを引き立てるだけの良いアクセントにしかならず】
【そんな光景を見せ付けられれば、それはもう、気分は上々、と言ったところか】

「――――――――。……ほだよ、こっちの朱色の鞘ので。ズバッと」

【彼女の呟き、それが無意識から出たものかなのかは、彼女には理解し難かった―――― だが、其処に在る物は】
【似たような物を持つ者として、ほんの僅かにだが、何かを感じ取ることが出来た】
【何処となく近しい存在。ほんの僅かな邂逅ではある物の、彼女にはそんな気配が感じ取れた――――この、小さな乙女の両肩の、内側にある物が】
【ドロドロで、グチャグチャであるとしたら。それは―――――――― 仮にそれがあったとして、決して相容れない事は分かってはいる】
【故に、彼女は。彼女もまた誤魔化す様に、彼女の言葉に下通りの順序で、先ずその問いに答え乍ら、視線を僅かに其処へと落として、彼女の背後へとまた戻す】
【―――――――――― 誤魔化そうと考えていたのに、裏目に出た事に、こっそりと歯噛みした】

「……ほっかー。友達、いなかったんかー……ぼっちだったん」

【一言余計ではあるが。今の彼女は、殊勝にもと言うべきか。少なくとも、柄に合わず、彼女は随分と落ち着いた思考の中に耽っていた】
【素直に答える彼女にほだされたのか―――――――――― そんな脱力感を滲ませた言葉通りに。彼女は、より一歩、近付いた】
【より近くなったその背中。そしてその向こう側を覗こうかとする様に、突然に】
【背丈は其処まで変わらない、だから少しだけ背伸びして、彼女の右肩へと、顎を乗せようとしていた】

【殺意は無い】


「ならさ――――――――――」


【だがそれは直結している】


「折角だし――――――――――」


【それは必ず辿り着く】


「―――――――――――――――――――― ウチと、友達にならん?」



【御丁寧に自ら説明して見せた】
【その先に在る物が何か。其の言葉が何か。何に繋がっていて、何に辿り着く。それは答えが、過程が、公開された数式のような物である】

【だがそれは嘘のように。敵意の欠片も無く提案する】
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 04:57:35.86 ID:yf+OCUl50
>>918
「大変そうとか言ってくれる割には随分と楽しそうだね
全く…………力を貸してくれるのは有り難いけど、もっと目立たない方法で――――――ああ、もう」

【やれやれ、と言わんばかりに首を振って見せ。突如の光に対しては店内に居た者も驚く……が、其れは女が適当な事を言ってその場を凌ぐのだろう】
【その笑みは害意を抱く者の其れでは無いにしろ、善意のみを抱く者が見せる其れにも見えない】
【――――だが、自分一人で探るよりはよっぽど効率的だと理解もしていたか止める事も無く】


「それで…………ボクにはよく分かんないけどそのガラスを見てれば何かが分かるの?
まあ、ボクからすれば過程がどうであれ知れれば良いんだけど……」

【古書の内容を知ろうとすれば、特に阻むような術式が掛けられている訳でも無く】
【――――ただ。ある一定以上理解すれば其れは“映像”として脳裏に―或いは白妙本人に―流れる事となるのだろう】
【謂わば、文字で記録を残したのでは無く当時の事を映像にとして残したのがこの古書】
【即ち、記されていた文字も映像を送り込むための呪文だと考えるのが道理か】



【――――さて。先ず其処は一つの小さな村であった】
【然れど子供の笑い声が響き、村人達が発展や生活の為に働くような所では無く……伝染病や不治の病に犯された者達がただ死を待つだけの村だ】
【当然水も腐るが其れを飲む他ならず、栄養も無い作物を実らせるがそれ以外に喰らう物も無く】
【やがて人々は救いを求めた。長らえたい訳でも無い。裕福に暮らしたい訳でも無い。せめて人として死ぬ事が出来れば、と】

【――それから数日、一匹の妖狐が偶然と其処を気に入り住まう事となる。何故そうなったのが、何時そうなったのかは記されていないのか或いは態と記されなかったのか】
【所詮病だとかは妖怪には関係の無い事。高尚な僧でさえ触れたがらない者達に命が尽きるその瞬間まで手篤く看護をしてやり、其れも長年続けばやがて神格化され】
【天狐、空狐。其れはどちらも善狐のみが昇華出来る存在とされる】
【だが、驕ることも無くどれだけの歳月が経っても同じ事の繰り返し、同じ別れの繰り返し。嫌にならないのか、と問われればどうして好いてくれる者達を見捨て嫌いにならねばいけないのか、と】

【更に歳月は巡り――――如何に善の妖怪であっても所詮妖怪は妖怪。大体の人間からすれば“悪”】
【その村の病こそが件の妖狐の仕業だ。いや、遠くの村が滅んだのも妖狐の仕業だ。そも、あの妖怪を殺してしまえば村の者達の病も治り世の憂い事も全て消えるのでは無いか】
【勝手な憶測は人々を駆り立て、近隣の村々の者達や里の者達、延いては城の者による大規模な討伐隊を作り出す事となる】

【村の者が誤解だと言えば妖怪に靡いた悪しき人間だと嬲り殺され、真実を伝えようとも其れは誰の耳を通る事も無く噂を悪しき方へ成長させるだけの糧となり】
【ならば、と妖狐が自ら赴いて首を落とさせようとするが――――其れだけは駄目だ、と村の者達に止められ】
【そうこうしている内に村へと討伐隊が辿り着く事となる。瞬く間に広がる炎。掲げられたねじ曲がった正義に、対抗するのは奇しくも救われる対象であった筈の村の者達】
【――――病に犯された者達と健常な者達との戦いなど、結果を予想するまでも無い。一方的な虐殺、歴史には“妖怪に従う愚か者達の住まう巣窟を一晩掛けずに破壊した英雄達”として残る事となる】

【話はこれで終わり。その後妖狐がどうなったのか、村がどうなったのか、結成された討伐隊の後も分からない】
【…………否。それ以上先はまた異なった呪文。そしてその先こそが悪狐が生まれる由縁となる話なのだろう】
【知った所で何が起きる訳でも無く、知らない所で不都合が生まれる訳でも無い。読み進めるのも止めるのも、それはレンズの役割を持つ彼女に選ぶ権利がある筈で】

/っと、申し訳無いのです……中々に眠気が強く……
/可能でしたら持ち越し或いは置きへ移動の方をさせて頂けたらと……!
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 05:15:20.63 ID:dY/Qvc5j0
>>920
……いつか覚えてろよ。

 【結局、三流悪役の覚えてやがれ、みたいな。そんなしょっぱい返事以外が浮かばない】
 【鼻歌まで込めて上機嫌されれば、むすっとした態度以外で返す事なんてできない。見せていないが、顔はやっぱりつっけんどんで、ちょっと不満そう】
 
――そのっ! 視線やめろって!
 
 【じっとり、ねっとりとした視線に我慢できず、僅かに顔を振り向かせてやめろ、何ていえば】
 【すぐさまがーっと唸って、結局相手をする始末。またしても溜息をはぁ、と吐いてはヘラヘラとした様子の女性に呆れを示すが】
 【その場から動かない辺り、全体的に嫌だって訳ではない、のかもしれない】【かもしれない、だけだけど】

なぁ。それってさ。
アンタの友達は、どうだったんだ? 納得してたのか、とか、そういう事。

 【何でそんな事を聞いたんだろう】
 【そういう愛の形、何て寛容な考えをしているつもりはなくて、只自分みたいな好きな用に奪う側なのか】
 【そこに多少なりとも、合意の上の何かがあったのか、何て考えるのは】
 【ただ、同族だと知って安心したいだけなのか。それともそういう物もある、と自分を正当化したいのか】
 【――駄目だ、わからない。とここで思考を投げたのは、自分の本質を、矢張り何処かで拒んでいるからか】

るっせ、一言余計だ。

 【ぼっち、そう言われるような生き方だったから言われるのはそこまででもないが】
 【さっきの様子からすると、わざと言っているんじゃないかと思えて、なら皮肉でも混ぜられるかと浮かべ、先に釘でも打っておこうと――】

――ちょっ!! アンタ、何してっ――


 【だから、こうやってこてん、と右肩に顔が乗るのは完璧に予想外で】
 【思わず体をぴくん、と跳ねさせて、声も上ずって、今までで一番大きなものになり】
 【あたふたと心の中で忙しなく動くのは心臓の鼓動。とくんとくんと早く脈打つソレに頭が追い付かないのか、少しの間を許せば、そこに入るのは女性の声】



――――――――え?



 【しん、と静まってしまった、逆に】
 【それは、友達がどうなったか、何て話を聞いたのにこんな話をした女性にではなくて】
 【唐突すぎる話題だな、とかそう思ったからでもなくて。聞き間違えたとか】【聞きのがした訳でもなく】


……何、で?

 【純粋に、如何して?】
 【ほぼゼロ距離にある顔へと目を向けて、僅かに顔を傾かせながら尋ねる】
 【臆病な女には、理由がないと納得できない】【友達っていうのは、そういうなんとなく、でできるものなんだけれども】
 【つまりは数式が出来る前の、どうしてその数字を当てはめたのか、何て所に疑問がとんでしまった訳で】

 【――そこに狂気とかがあるかは、置いておくとして】
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/07(日) 05:39:21.70 ID:BQy6chRFo
>>921

(ああ、またこの類――――――――)

【掠れる景色、シフトする世界、ねじ曲がる時間軸】
【この現象に耐性があるとしても慣れるには程遠く……】

【映像を見つめる自分の姿はさながら映画館でスクリーンを見ているよう】
【こちらの好き嫌いに関わらずその物語は進んでゆく、そうこの物語は既に過去の物語】
【過去に生きた人々とそれに寄り添う事を良しとした妖怪の一頁】

【物語はどうしようもなく報われない】
【誰一人として救われない、何一つ叶わない……】

(―――――――だからとて目を背ける権利は無い)

【人の罪業による闇の歴史】
【報われるべき者達が滅び、裁かれるべき者達が栄えるなどと……人の罪業の深さよ】
【見つめる紫白の瞳はどこまでも冷たい「凍える瞳」だ、丁度冬の夜空に輝く月にも似て】

【白妙の瞳を通した映像は石版へとダウンロードされる】
【現実で投影されている石碑には端から文字が刻まれる、自分以外の者に伝える為の物】
【例え自分がどうなろうと役目は果たさなければならない悪狐生誕の物語を知り如何な害があろうとも】

選べと云うならば私に停滞は許されない、我が名に於いて物語を開きましょう

【悠然と佇み白妙は次の頁に手を掛ける】
【躊躇いは無い、傍観者としての義務を果たすだけなのだから】

/了解いたしました!明日はお昼ごろならいられますので!
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 05:43:18.78 ID:idcK538bo
>>922
【ぴくんと跳ねた身体。声が上ずって、顔を見ずともその心内環境が分かる――――― 本当に。その少女は純真無垢なのだ】
【故に、"何で"。そんな問い掛けが飛んでくるとは露程にも思っていなくて、前持った解答は用意おかなかった。】
【ただ『仲良くしていれば何時の間にか友達』だ】
【彼女の経験はそう言っている―――――――――― だから、その問いかけに答えるには、少し時間がかかる。故に、先にこっちを】

「ほだねぇ……多分、いや、絶対。ウチの押し付けだったわぁ、あれは」

【初めて人を斬った時。目前の少女が、友人が、最初に言った言葉は、「なんで」という疑問だった】
【理解も納得もしていなかっただろう。死にたくなかっただろうし、そんな愛の形は、その者一人の中だけで完結していた、余りにも自己中心的な物だった】
【ただの押し付け、余りにも自己中心的な嫉妬と羨望による凶刃。それに友人は斃れた――――― 彼女の最後は、何を思ったのか。知る由も無い】
【ただ。ただ一つだけ。頭の中にグルグルと、残っている光景がある】

「ほでもねぇ……その子はね、最期にウチの名前を呼んでくれた。
 それだけはただ、無性に嬉しかったわぁ」

【ただ。彼女の"何で"と言う質問を先延ばしにする為のその解答は、何故だか自分の中に意味があるような気がした―――――望んでいるのか】
【嘗ての、友人関係と言う物を。あの心地良かった時間を。破滅に至ると分かっているのに―――――いや―――――それは――――― もしかして】

「だから、いつでもいい。ウチもずっと覚えとくから」

【けれどその考えが終わりに至ると同時に、彼女への答えが完成した。その到達を以ってして、彼女への理由とする事にした】
【それで納得されるかは、分からないけれど】


「―――――――――― "私も"」


【彼女の鼓動が跳ね上がっているというのなら、その鼓動は余りにも平静を装っていた。それが、今、経験したことをもう一度歩もうとしているからか】
【友達が欲しい。もう一度名前を呼んでもらいたい。親しい人が欲しい。寄り添う人が欲しい。例え、もう一度それを繰り返す事があっても】
【否、それは。それは――――――――――】


「友達が、欲しい」


【別の数式を教えて欲しい。間違った答えでもいいから、違う答えに辿り着く答えが欲しい。願わくば――――――――――】
【果たして自分がどんな顔をしているのか分からないが――――― 恐らくだが、酷くつまらない顔をしているだろう】
【ちょっとだけ頬を緩めて、居心地の良さそうに目を細める――――― それは実にくだらなくて、それは余りにも普通の形をしている筈だ】


「それじゃ、いかんかな?」


【それは何とも情けない事だ。自分から斬り捨てた物をまた求める。嫉妬して羨望して結局全部終わってしまうと言うのに、だ】
【こうして此処に足を踏み入れたのは。こうして何かを感じ取ったのは、まるでこうする為だったのかとでも錯覚する】
【今度は自分の、余りにもどうしようもない愚劣さに。こっそりと、歯噛みした】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 06:05:32.28 ID:dY/Qvc5j0
>>924
――――そっか。

 【余りにそっけない三文字だけれども、何処か小さく、涼しげで、悲しそうに】
 【――それは幸運だったか、不幸だったか、女は目の前の女性を自分の同類だと思ってしまった】
 【簡単に言えば、同じ気持ちだったのかな、と勝手に自分と相手を重ねて】
 【理解されない、欲しいと思った感情を、彼女も持ってるのかな、とか、そんな曖昧に考えては】
 
……わかるような、気がする。
いや、全部はわかんねーけど、半分……いや、三分の一くらい、は。

 【気に入らないから、届かないから――っていうのは、手に入れる前の考えで】
 【彼女の場合は、手に入れた後からの発想――多分そこが違うんだろうな】【だから、半分】
 【いや――半分もわかっていないから、三分の一程】


……アンタに同情する訳じゃねえし。
その、アンタの友達も、可愛そうだからこういう言葉はあんま言わない方がいいんだろうけど、さ。

 【っていうか、癪に障るかも……なんて、予防線をぺたりと張って】
 【何度か言葉を濁した後に、そうっと彼女の頭へと手を乗せて、優しくあやす様に撫でた】

母さんが、泣きそうな時はこうやってくれた。
まあ、こういう事しか覚えてないし、私はそんな母さんだとか、そういうのとは違うから。全然効果ないかもしんないけどさ。

……辛かったよな。アンタも

 【理解されない――もっと言えば、必死すぎて、手で殺めてしまった】
 【女の――入間の理解の及ばぬ所ではない。それ所かそういう点に関しては、むしろ自分と重なるのかな、と】【経緯と理由は違えど、これだけははっきりと、理解する事ができた】
 【頭まで撫でたのは、入間なりの気遣いのつもり、なのだが】【少々ズレているだろうか】

……入間。
穢土宮 入間。

 【段々と落ち着いてきた。けれどもまだ早鐘を鳴らす心音は――多分、こうやって密着している彼女には伝わってしまうのだろう】
 【友達が欲しい――たった一言言えなかった自分の負けだと認めて、観念したような――どこか嬉しそうに、名前を教えた】

名前、アンタも教えてくれよ。
その子≠ンたいにできるかhわかんねーけどよ。
……呼んで欲しいんだろ。名前。

 【いけんかな、そんな問いには直接的に答えず】
 【じゃあ代わりにイエスの意味での言葉として言ったのは、名前を聞かせてくれ、なんて素直じゃない一言】
 【流石に自分でも、どうかなと思う所があったのだろう。向けていた顔を僅かに反らして、もごもごと僅かに言葉をくぐもらせた後の一言】
 【心音も早くなった気がする。少しでも察しがよければ……】【いや、僅かな頬の赤みにも気づいたのだから、全部漏れてしまうだろう】




 【私も、友達が欲しい。友達になってくれ。って】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 06:32:17.89 ID:idcK538bo
>>925
【辛かったよな。アンタも】

【今度こそ、自分の心臓が跳ね上がった――――― 自分の頭へと乗せられた手は――――― とても温かかい】
【それは久々に感じる物だった。血飛沫に付随する温もりじゃない。加速度的に失われていく体温じゃない、確りと、血が通っていて】
【彼女の手は。例えそれがズレていようとも。それがどうしようもなく素晴らしい物であったことは確かだ】

「―――――――――― ん、いや……嬉しい」

【分かるとか。分かんないとかどうでもいい。二分の一でも三分の一でも四分の一でも百分の一でも千分の一でも万分の一でも億分の一でも】
【ただそれが自分に向けられた、同情とか、そういうどうしようもなく温い物を伴った行為であることが……最早、現実味を帯びていないと思うまでに】
【嬉しくて仕方が無かった】
【だから。もっと、もっと、もっと】

「――――― 宮藤。宮藤帯刀……千夏。千夏は忌み名……だけど、呼んでいい、いや。
 呼んでほしい―――――――――― うん、呼んで欲しい」

【其処まで名乗るのは、随分と久方振りだ。口に出すのも或いは随分と前の話だ――――― 呼ばれた事なんて、本当に、何年も前の話だ】
【だから、呼んで欲しい】
【確かに自分は説明したのに、私の友達になれば、いずれ貴方が死ぬことになるかもしれないと――――― 確りと、そう言った筈なのに】
【それでも受け入れてくれた貴女には。自分の名前を呼んで欲しい。何時かのどこかに置き去りにしてきた、自分の名前を】

「―――――――――― だから」

【彼女の心音が早くなっているのが分かる。こんな風に近くにいれば嫌でも分かる――――― 人の鼓動について、自分はとにかく敏感だ】
【それは酷く心地よく感じた。そしてそれに裏腹に、自分の呼吸も、早くなっていくのを感じた――――― やってきた所業の数々故に】
【心臓の鼓動には敏感だった。そんな物無くなってしまえばいいと思っていたのに。今だけは、ずっと何より心地が良い】
【だから。だから彼女の様に、今度は此方が頬を朱に染める番だ。それはしかも、余りにも、贅沢な理由を伴って】


「ウチも――――― 呼ばせて、欲しい。穢土み―――――――――― 入間、って」


【それできっと、成立したのだろうか。彼女の中では果てしなく続く夢幻回廊の如く―――――――――― それは確かに、幸福を享受する】



【嗚呼。また、友達が出来た。今度こそ、今度こそ―――――――――― 違う、答えを】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 09:41:21.42 ID:dY/Qvc5j0
>>926
……そっか。

 【嬉しいと言われれば、それが正解の解答であったかはともかくとして】【それでよかったんだな、と安心する】
 【――友達って、こんな感じなのか? とドギマギしつつ、やっぱりやり過ぎじゃないだろうか、何て考えつつ】

なら、よかった。

 【取り合えず、自分のした気遣いを、嬉しいと言って貰える事は心がどきりとするのに】
 【嫌なものだと感じない。なんだろう、こう……と、頭の中で考えた辺りで、それを明確に表す物が浮かばなかった】【とにかく、嫌じゃない】

宮藤……分かった、千夏だな。千夏。

 【忌み名――名前とは別に用意された、本物の名前だったか】
 【そんな物まで聞かされたら――――いや、それを教えてくれるという事は、恐らくは、そういう事なんだろう】
 【――彼女のいう友達、とやらもそう呼んでいたのだろうか】【――如何してか、一瞬そんな事を考えてしまった】
 【……いや、なんとなく想像がついた。ついたけれど】【――そうであってほしくはない、かも】

千夏――私、友達とかよく分かんないからさ。
あー……その、色々教えて欲しい、な。
名前も、私が千夏って呼んでるのに、苗字じゃ他人行儀だろ?



それに――私も、親がつけてくれた名前で、呼んでほしい。



 【たった、一つ、たった一つだけ入間の母親が、入間にくれた物】【それが、名前】
 【相手が真名まで教えてくれたというのに、こちらだけ苗字なんて少し遠慮しすぎじゃないかと】

――さっきみたいにぐいぐい来るかって思ったのに、結構千夏も臆病なんだな。

 【それが何処かおかしくて、にっ、と笑えば千夏の後頭部へと載せていた手でわしゃわしゃ、と髪を少し乱暴に動かす】
 【これも無意識中に、可愛いな、って思って手が出たまでの事】
 【友達だから殺したくなる。何ていうのを聞かされた側は、そこまでそれを気にしておらず】
 【それが為せば成る、という発想なのか。それともどうにかなるという意味なのか】
 【――受け止める何て意味なのか。それこそ本人のみが知る、といった所か】
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 11:16:37.16 ID:w5/wSuiSo
>>892で夜くらいまで置いておきます!
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 12:21:12.96 ID:+PbIemNN0
>>905

【指でつまめるから、おつまみとしては丁度良い。おやつとしても美味しいから子供でも食べられる】
【何より、鈴音の愛情がいっぱい入っているからとっても美味しい。料理は愛情とはよく言ったものだ】
【料理には人を笑顔にする力がある。美味しい物を食べれば、どんな人だって自然に顔がほころぶし】
【料理を通じて作った人の気持ちも伝える事が出来る。何より、お腹一杯食べれば心も体も満たされる】

【きっと鈴音も同じ事を思ったのだろう。食べる事さえ満足に出来ない子供達に料理を作ってあげる事で】
【―――自分で作った料理を通じて、幸せを知って欲しい。きっと少しでも笑顔になって欲しいんだ。】


―――風の国、……風、か……

【……そうとなれば、もっと真剣に考えなきゃ。0円食堂なんて適当な名前はもってのほか、もっともっと】
【心のこもった素敵な名前にしなきゃ……。皐月の顔も心なしか真剣味を帯びて、頭を捻っているようだ】


【一方で衣織はお花の名前という方向を提示した。残念ながら挙げた二つの名前はあまりしっくりこなかったみたいだけれど】
【ゼロの状態から方向性を示せただけでも良かった。考える方向があるか無いかでは、きっと大違いだから】
【衣織もあどけない顔を顰めて考える。風に関係する花……スギ?……いや、それはあまりにも渋すぎる】
【(因みに、つくしにも花言葉はある。「向上心」という、すくすく伸びるつくしによく似合う言葉)】
【(もっと言えば花なんて無い筈のよもぎ、果ては植物ですらないマッシュルームなんかにも何故か花言葉はある)】
【(……要するに、あんまり花に拘る必要はないみたい。調べれば、割とどんな植物にも花言葉はあるから)】

【やがて鈴音の手でグラタンが運ばれれば、衣織は一旦考えるのを休んで美味しそうなグラタンに目を輝かせる】
【折角作ってくれたグラタンだもの、美味しく頂きたい。「いただきます!」と作ってくれた鈴音に嬉しさいっぱいの声で告げて】
【頬張る姿はなんだか子リスみたいな小動物チックな可愛らしさを備える。嬉しそうな笑顔なのは言うまでもない―――】


(植物の名前、花言葉……出来れば鈴音ちゃんのお店って分かるのがいいよね……。鈴……鈴、かぁ……――――あっ!)
――――そうだ!

【―――皐月も何か思いついたようだ。顰めていた顔は得心の入った笑みに変わり、グイッと体を乗り出して】
【お茶まで持ってきてる鈴音に自分の考えた名前を言ってみる。今度は○円食堂みたいな適当な名前ではない】

鈴音ちゃん、「すずな/鈴菜」って名前はどうでしょう?鈴音ちゃんの作ったレストランですから、「鈴」のつく植物がいいかなーって……
春の七草のひとつ、蕪の別名です!食べ物をあげるお店の名前にも丁度良でしょ?……あとね、蕪の花言葉は「慈愛」なんです。

私、思うんです。料理を通じて、子供達に笑顔になって欲しいと思う事……それって愛なんじゃないかな。
鈴音ちゃんが、温かい料理と一緒に温かい愛も恵まれなかった子供達に与える……そんなレストランになればいいなって思います。

【―――食事と一緒に、子供達に愛を伝えて欲しい。お腹と一緒に、心も満たされるような……そんなレストランになって欲しい】
【「慈愛」の言葉を持つ鈴菜の名を借りて、そんな想いを託して……】

//少し早いですが、お返ししておきます!安定して返せるのは3時以降になりますが…
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 13:23:55.29 ID:idcK538bo
>>927
【こうして頭を撫でられるだけで。自分の心は溶けていくかの様】
【嘗ての自分は果たしてどうだっただろう――――― 自分は果たして。過去の自分はこんな風に、昂る事があっただろうか】
【分からない、思い出せない。だけど、だけど――――― この時間は、永遠に覚えていたい】

「よかった」

【千夏。千夏。そう、それは私の名前。大切な人だけが呼んでもいい名前、自分の名前――――― 呼ばれるだけで】
【心が瓦解していくような。嗚呼それは本当に。溶けてしまいそうな程に温かくて、余りにも過ぎた物にすら感じられる】

「うん。ウチの名前。大事な人にしか呼んじゃいかん、ウチのほんとの名前。」

【私の―――――私の昔の友達は―――――あの子は私をどんな風に―――――そんな事を考えるのは、きっと只無粋なだけ】
【此処に在るそれに甘んじてもいい】
【この宮藤帯刀千夏と名乗った少女は。その本質を辿れば、劣等感が人一倍強い臆病者だった。こうして彼女にほだされてしまったら】
【誰かと話す為だけに作られた殻を破ってしまえば、その中に在るのは酷く柔らかいもの】

「……ウチだって。そんな、別に無神経な訳じゃないんだわ」

【ムスッとちょっと機嫌を壊した様な、わざとらしく眉を顰めて不満そうに。もちろんそれは真では無く、それは喜びの裏返し】
【だから一度苗字を呼んだ、でもそんな彼女は―――――――――― 彼女もまた、自分の事を、名前で欲しいと、言ってくれたのだ】
【"親がつけてくれた名前"。彼女はそう言った。何処となく、誇らしいような。その言葉は、また別の温かさがあった、ような気がした】
【一瞬だけ、其処に在る小さな墓へと視線を動かした。其処に眠る彼女の母親は、果たしてどんな人なんだろう】
【きっとこんな風に温かい人なんだろう―――――――――― 自分の親とは違って。きっと、見捨てたりなんて、しないような】




「―――――――――― 入間」

【彼女の手が先よりも少しだけ乱暴に千夏の髪を跳ね上げては、それがすぐに元に戻って、往復によってそれがまた跳ね上げられる】
【そんな中において、最初にちょっとだけぴくんと動いただけで、さしたる抵抗も無く、彼女の手の動きを受け入れて】
【それから、彼女の名前を呼んだ】
【誰かが名乗ってくれる。誰かが呼んでいいと言ってくれる。嗚呼それは愛おしくて仕方がない、彼女の名を口に出せば】

「入間。入間。入間!入間ぁ!!」

【それは堰を切ったように流れ出す。何故ここまで自分を否定しないのだろう、何故ここまで自分を肯定してくれるのだろう】
【彼女の肩にかけた手と顎を一旦離して―――――――――― まるで直ぐにその残り香に恋しくなったとでも言うべきかの様に】
【両の手を彼女の首へと回して抱き付こうとした。殺意の欠片も無いけれど、もしかしたらそれが何時それに変じるかは分からない】
【けれど】

【私も頑張るから】

【だから嫌いにならないで】

【余りにも不可解で、余りにも嬉しくて愛おしい。それは美しく羨ましい。嗚呼それは、妬ましい程に――――――――――】
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 13:55:29.63 ID:yf+OCUl50
>>923

【頁は捲られ、殆どの者が知らぬ章へと物語は進み】
【――――いざ妖狐が村に戻れば全てが無くなっていた。人も、村も、墓も】
【討伐、などとは所詮建前ではないか。何故罪の無い者達が死ななければならないのか。誰に罪を為した訳でも無いのに何故殺されなければならないのか】
【女は全て汚され、男は絶命する寸前まで嗜虐心を満たすかのように苦痛を与え続けられ。子供とて同じ事】

【まるでゴミの扱いだ。己の大義名分から外れた者は悉く悪。事実でどうであろうと、力が無ければどうして其れを変えられようか】
【無力は罪では無い。然れど、力が無ければ泥を払う事も出来ず好きな様にねじ曲げられた歴史を残される事となる】
【…………こんな者達を生かして良いのか?先ず憎しみは村を滅ぼした者達に向けられた】
【…………保身しか考えない人間と言う種を生かして良いのか?】


【討伐隊の者達が妖狐が戻った事に気付いたのだろう。醜悪な見た目、残虐な性、見れば気が触れる――――等々好きな様に語られていたが、実際目の当たりにしてみればただ巫女装束を纏った女にしか見えない】
【僅かに呆気にとられた様だが、女ならば好都合。大義のためだ、罪にはならない。大義の為だ、好きな様に扱っても罪にはならない】
【中には下卑た笑みを見せていた者も居る事だろう。それぞれの得物を手に、飛びかかろうとする――――刹那。その一瞬の内に大半の者が姿を消した。否、“消された”】
【骨も無く、まるで始めから其処に存在しなかったかの如く。初めの内は残された者達も何が起きたのかも分からなかったのだろう】
【だが、次第に理解し始めれば皆が理解したはずだ。敵うはずが無い、勝てる筈が無いと】


【勝てないと知れば命乞いをしたり、逃げ戸惑ったり。先の事なんかまるで嘘の様】
【やがて始まるのは殺戮。此処に居る者達を、延いては人間達を滅ぼす為】
【人間を生かして良いことがあるのか?所詮はこんな者達だけ、己の命が危険に晒されれば相手に平伏してでも生き延びようとする醜い生物】
【自分が守るべき物は全て奪われた。他でも無い、その人間達に奪われた。――――頬を伝った雫が落ちるのは、まだ彼女がその行為を根から善しとは思って居なかった証左】
【――――それでも、しなければならない。報いてやらねば、害は取り除かれなければ。自分は人間を好いていた、だからこそ害を摘み取らねば】


【人とは英雄に憧れ英雄譚を好む。化け物、とされる者もその者の視点から見れば話が180度変わる事も珍しくは無い】
【コレも、その一つ。恥の残る真実は改竄され今に伝えられた話】
【――――ただ。更に進めば話も少しずつ変わってくる。怒りに塗りつぶされた妖狐は無関係な者も殺め、やがては其れが歯止めが利かない程に大きくなり】
【時が経てば最早何故殺しているのかも分からなくなった。何と無く悲鳴が心地良い様な、その程度だ】
【ねじ曲げられた話。神サマになれず、殺める事に喜びを見出すようになった悪狐と化した妖怪の話】


【数多くの破壊を最後に、その古書も役目を終え浮かんでいた映像も消える事となるか】
【戻れば辺りは先と変わらぬ景色。紡がれた物語も最後の最後まで読み終わり】


/っと、恐らく4時辺りまでが限界かと……!
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 14:26:42.20 ID:jNDCEH5u0
>>929

【――ごみ箱をあさって、ようやく食べ物を手に入れるような生活。ほんの数年前まで、彼女も、そうだった】
【ガキ大将みたいなリーダー格の孤児に奪われたり、必死に隠れたりして、なんとか、廃棄のパンとか、手に入れて】
【もちろん、暖かくなんてない。ちゃんとした食べ物の形なんてしてないことが多いし、そんなの】

【そんなの、食事じゃないと思いながらも、――それを食べるしかない、生活】

【――そんな子たちに、温かいものは温かい、冷たいものは冷たい、ごく普通の、普通の食事というものを教えたかった】
【誰かが自分のために作ってくれた食事。自分だけで食べていい食事、……誰にも奪われなくていい、誰からも奪わなくていい、】
【そういったものを、提供できたら――と思った。そう思って、今回のことを、セリーナに、話してみた】

…………風の名前って、いっぱい、あるんだよね、?
えっと――、その、風花とか。……北風とか――。

【その結果が俗いメイド服でテレビ出演なのだが。まあそれはそれだ、ひとまず、置いておいて】
【風――というので風の名前がやけに多いことを思い出す、脳内にあるそれが、その二つというのもどうかと思うが】
【これはこれで花関係ではある。だけど――、「つめたそう」なんて自分で呟いて、没にしてしまうのだろう】

【ちなみに、面白い花言葉だと、薔薇の棘なんてものにも存在したりする。大体は、草ならなんでもいいゆるい判断基準で】
【ところで薔薇の棘の花言葉というのは、薔薇の棘だけ集めて「これ“不幸中の幸い”な!」とかやるのだろうか】
【それともただ棘と葉がある枝だけ渡されるというのも、なんだか、……いや、すっごく、寂しいように思えるのだけど】

【――グラタンをおいしそうに食べてくれるなら、彼女も嬉しそうだ。そういった笑顔を見たい、それが、最近の働き甲斐になっていて】
【それが派生して、“0円食堂(仮)”にもなったのだろうから。お金のない子、そう言う子にも――笑ってほしいって】

【とりあえず自分の分の持ってきたお茶を飲んで、考え込む。花の名前、花の名前――そうしていたら】
【この店に咲いた花が、いつか種になって。この国の風で、どこかに飛んでいって……】
【またどこかで、誰かのために花咲くような。そんなイメージが、ふっと、脳内に浮かぶ】
【鮮やかな黄色いお花、――さっき、自分で言った、たんぽぽの花のイメージ】
【まだ少し寒い時期に花を咲かせて、だんだんと暖かくなっていく時期の、花の、代表的なイメージ】
【(――あ、これいいんじゃないかなって思った。思って、その瞬間、)】

――――ふっ、

【皐月が声を上げるものだから息を詰まらせる。びっくりしたのだろう、……さっきから驚かされっぱなしだが】

すずな――蕪? 蕪の花言葉って……、……そうなの、?
慈愛……、蕪の花言葉って、慈愛なんだ、……――すずな……、すずな、

【それから彼女は思考を潜らせる、すずな……蕪。なんとなくころんとしててかわいくて、葉っぱもわさわさしててかわいくて】
【それならかわいさは合格だろうか。名前も、――蛇も好きだが鈴も好きだ。あの音も、ころんと見た目も、大好きなら】
【これもいいなあ――なんて思う。無料レストラン“すずな”。……語呂も、悪くないように思えるし。――だけど】

/すいません、長くなっちゃったので切ります……
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 14:27:23.63 ID:jNDCEH5u0
>>929>>932

……あのね、でも、――あ、別に、皐月のが駄目なんじゃなくて……。
今ね、ちょっと思いついたの。聞いてほしいな、……さっきの、たんぽぽ、なんだけど――。

……――UNITED TRIGGER(ここ)で、こういう、お花が咲いて、種になって。
その種が、この国の風で、いろんなところに飛んでいって……それで、どこかで、また、お花が咲くの。

そうやってたんぽぽが増えていくみたいに、誰かに優しいことも、増えていくと、嬉しいなって――思って。

――それに、たんぽぽって、まだちょっと寒い時期に咲くでしょ。でも、もう、春になるときに咲くの。
だから、冬のおしまい、……これから暖かくなっていけるようにって、お願いも、篭めて――。

【自分の脳内にあったときはすごくいい案みたいに思えた。だから、ちょっと、ドヤ顔めいた表情になってしまっているが】
【基本的にはやさしめの、力の抜けたような笑顔だ。膝に手を置いて、背筋を伸ばして、自分の考えを聞いてもらう】
【つい最近も似たようなことをした気がするが――最近、なんだか、今までしなかったことばかり、しているみたい】

【――だけど、言い終えると少しだけ恥ずかしそうにする。いい案の幻想が解けて、急に、かぁと顔が熱くなる感じがする】
【「それに、明るい、黄色だし……」なんて後からごまかすように付け足すのだが、何がどうごまかしになるかは、一切不明】

【(ちなみに、二人が来るまでは、「ま、まんぷくごはん……?」とか首をひねっていたような、子だった)】
【(それが、急場ごしらえとは言え、一応まっとうな感じの案を思いついたらしくて、それなら、やっぱり二人のおかげ)】
【(お花のことなんて思いつきもしなかった。花言葉のことも、もちろん。――たんぽぽの花言葉は、“真心の愛”とは知らないまま】

/今日もよろしくお願いします!
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 14:39:36.88 ID:dY/Qvc5j0
>>930
学がないなんて最初に言ってたとは思えないな、本当に。

 【やれ最初に随分と洒落た言い回しでからかってきやがってと思っていれば、今度はやや遠慮がち】
 【何処の口が言うのやら、何処となく機嫌が悪そうな様子でも、表情を僅かに変えるだけで顔は動かさない】
 【つまりはこれも、そこまで悪い気はしてない、という奴だろう。ちょっと前に同じような事をされて、似たような気分だった手前よくわかる】
 【――数分前にからかわれた時は、一人で居るのがほんの少し、寂しかっただけだけれども】
 【――こう、今一人になったら多分もっと辛いだろう、と】【自分が一人になった時の事を浮かべ、僅かに手の動作を忘れて刹那に耽る】
 【……一度失ったのに追いかけるのは、愚かなのか、それとも満たされないから、なのか】



――うぉっ! どうしたんだよ千夏――――



 【その静寂を破るのは、何回もの自らを呼ぶ声】
 【先程の悠然とした態度からは想像できない、切羽詰まった様子の見せられれば、少し声を荒げざるを得ない】
 【背中から手を回される事に対しては抵抗を見せず、むしろ、やはりどうしたのだろう、という方向に疑問があるようで】
 

……


 【……そういえば、泣いている時――私が泣いている時】
 【母さんはなんといって、私を慰めてくれただろうか】


はいはい、入間はここにいますからね。


 【目を瞑り、僅かに唇を緩めて、やれやれ、といった風に息を吐くも】【呆れという意味ではなく、しょうがないな、何て優しげな意味で】
 【こんな感じだったか、と想起するのはビルの隙間での路地裏生活】
 【しょっちゅう泣いては母さんを困らせて、その度に慰めてくれたっけ、な……】
 

だからそんなそんな呼ぶなって。


 【安心させようと、廻ってきた手をぎゅ、と握り返して、な? と背中を向けたまま】
 【ただの寂しがりやなんだと理解したのは、ようやく】


あー……母さん、友達、できたみたい。


 【そういえば、最初にそんな事をお参りのついでに言ったんだっけ、な】
 【一応報告しておこう……目の前を見れば、言わずともわかるだろうけど】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 15:19:14.87 ID:idcK538bo
>>934
【ここにいる。今自分を受け入れてくれる人が其処にいると言うのなら。変に余裕ぶる必要は無いのだから】
【学が無いのは本当なのだから。だって、だからこうしている。洒落た言い回しをする事も、余裕のある動きも本来ならば性に合わない】
【こうやって荒唐無稽に其処に誰かがいる事―――――――――― 彼女がいる事を確認する事。それだけで精一杯で、それ以上の事は出来ない】
【それ以上も求めないし、だから】


「うん、うん。ここにおる!入間はここにおる!」


【其処にいるだけでいい。言葉を交わしてくれるのならば、自分の手を握ってくれるのならば、自分の身体に血が通っていくようだ】
【今、宮藤帯刀千夏は幸福の只中にいる。だから】

だから――――― お願いがあります。

或いは神様でも、或いはそこに眠る彼女のお母様でも良い。許してください。
自分はどんな罰でも受けます、だから。今こうしていられる事を許してください。
或いはこの後この人に嫌われて、殺されたっていい―――――だから―――――だから今度こそは。

【今度は殺したくありません。今度は終わらせたくなんかありません。今度は消したくありません】
【自分の殻を脱ぎ捨てて、それを受け入れてくれた彼女を自分の手で。殺されるならば幾らでも許容できる、でも殺したくなんかない】
【毛先の一本まで、この自分を「友達」何て言ってくれた。こんな風に自分の手を握り返してくれる「友達」に―――― 全部尽くします】

【致命的なまでの欠陥を抱え。致命的なまでの依存が宮藤の中で成り立った】
【そして初めて―――――――― そうだ。初めてだ。悠然とした態度も捨てた。洒落た言い回しを棄てて、自分を良く見せる事を忘れた】
【此の衝動に折り合いを。此の衝動の否定を。此の衝動から逃げ出したいと。此の衝動を如何にかしたい―――――】

「ねえ」

【何だって斬る。誰だって斬るし、今なら斬れる。彼女の障害になる物があるならば、何だって斬り伏せて傅いて見せる】
【自分は斬殺鬼でいい。それで誰かに疎まれるなんて馴れっこだ。だから―――――】

「ウチは入間の為なら何だって斬れる。それで嫌いになったっていい。けれど」

「どんな風になってもいい。どんな形でもいい。憎悪でも良い。何でも良い。だから、"最期"まで――――――――――」




「―――――――――― 私の事を、見ていて」



【嘆願でも懇願でも良い。思いついた言葉は、きっと大体が当てはまっている事だろう】
【彼女の母親が見ていれば、否。見ているのかも知れないが――――― 何と思うだろう。許してくれるだろうか】

【ただ。彼女は気の済むまで。彼女へと回した手を、暫くは離そうとはしなかった】
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2014/12/07(日) 15:45:33.84 ID:IUndBnqXO
>>931

─────────……っ……!

【余りにも悲惨な出来事を目の当たりにし言葉に詰まる、しかし白妙というシステムに涙を流す機能は無い】
【ただ、壊れそうな己の内の何かを掬い上げるように胸の前で手を組み祈るだけ】
【物語に加わる事を禁じられた物に唯一出来る精一杯の抗い】

【そうだ、人の悪性はこんなにも醜悪だ】
【されど人の善性は一人の妖怪には光とも云えよう】

【妖狐が守ろうとしたのは人間、妖狐を滅ぼそうとしたのも人間……】

或いは……人などという生き物さえいなければこんな悲劇は起きなかったのでしょうね
同族殺しなどという愚かを犯し何が霊長の支配者なのか……

【頁は閉じられる物語は終わる、誰一人として救われないままに】
【ただ人を救おうとした妖狐さえ深淵より尚深い澱みに堕ちて……】

【やがて目が覚める─────】

────────さて……部外者ながら読み解かせていただきました、しかし私はこの物語を語りません
この物語を見て何を感じどのような行動をするかは現在を生きる貴方が果たすべき物、こちらをお渡しします……

【刻まれた石碑は物語を綴る古きよりの手紙】
【白妙が指先で撫でれば音も無しに小さな白い石へと姿を変える、コトンとテーブルに落ちる音は軽く拾い上げてみても大した重さは無い】

【白い石を握り思念を高めれば白妙が見た光景と同じ物を見られるだろう】

貴方が直接見て判断する事こそが貴方の義務であり権利…………
ただ、私はかの妖怪を想わずにはいられません……人を想い人に虐げられ人を殺めたかの妖怪
ただ寄り添う事を選んだだけだというのに物語はどこまでも残酷です─────

【白妙は人に寄り添わず人を見つめていた、妖狐は人に寄り添い人を愛した】
【根源にある物は恐らく変わらない、というのに互いの末路はこうまでも違う】
【共感などと似合わない話だが、それでも……】
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 15:57:59.25 ID:+PbIemNN0
>>932-933


「風の名前?うーん……えーっと、春一番とか、木枯らしとか……?」

【風の名前は多い。誰が付けたのか知らないけれど、その数は2000以上なのだとか……吹く風にこんなに沢山の名前があるなんて】
【……でも、これもしっくりこなかったみたい。花に関係するなら「桜吹雪」なんて表現もあるけれど、あんまりレストランぽくは無いか】

【……花言葉って、誰が付けるんだろう。どんな植物にも大体花言葉はあるのだけれど、どうやって付けたのだろう】
【どこかに生えてる花を引っこ抜いて、「これは親父の失策!(タケツネバナ)」とか「これは「捨てられた恋人!(オダマキ)」とか】
【……可愛い花に付ける言葉が「捨てられた恋人」なんて、あんまりだ。ついでにオダマキのもう一つの花言葉は「愚か」……何だかオダマキが不憫になってくる】
【どうしてそんな言葉をチョイスしたのだろう……オダマキに恨みでもあるのか……】


【美味しい物を食べている時の人の顔は、とても幸せそう。今の衣織の顔だって、顔を無邪気に綻ばせて喜んでいる】
【……こんな顔を見れば、きっと「作って良かった」と思える筈で。それが働き甲斐になるって気持ちもとてもよく分かる】
【皐月も毎日同じ事を思っているもの。毎日ご飯を作ってあげて、衣織が「美味しい!」と言って笑っている時が一番幸せ】
【そんな娘の笑顔を見れば、自分まで幸せな気持ちになってくる。……きっと鈴音も同じ気持ちを味わっているのだろう】
【笑顔になって欲しい、美味しい食べ物で幸せになって欲しい……そんな鈴音の温かい愛は、きっと子供達にも伝わる筈】


【―――皐月が大声を出すものだから、驚かせてしまったらしい。急に大声を出してごめんなさい……】
【でも、思い付いたことはきっちり伝える。どうかな?って、……でも。―――鈴音は自分でとっても素敵な名前を思い付いたみたい】

【ふわりと鈴音の顔がゆるむ。優しげな、とっても素敵な笑顔で、彼女の思い付いた名前が鈴音の想いと共に語られる……】

ふふっ……―――温かいなぁ。鈴音ちゃんの気持ち、とってもあったかい。
そうですね。こんな温かさがいつかお花畑みたいに世界中に広まれば……それは、とっても素敵な事だと思います!

「鈴音ちゃんが「それがいい!」と思うなら、きっとそれが一番だよ!
 ―――世界中に温かさが広がって、たんぽぽの花がいっぱい咲くように。いいなぁ、すごくあったかいよ―――」

【皐月も、衣織も、思わず柔らかい笑顔になる。鈴音の優しさがとても温かくて……二人して、「それが良い!」と口を揃える】
【―――今はまだ小さな種だけれど。何時か世界中に広がって、花を咲かせて、温かさが増えていけば。そんな想いを込めて】
【名付けられた花の名前に、託された言葉。鈴音の真心の愛は、きっと世界中に花を咲かせるに違いない―――】

【二人とも、そろそろ各々が食べているトーストとグラタンを食べ終えるようだ。ならば、そろそろデザートの頃合いか】
【鈴音の手料理は、お世辞ではなく美味しい。きっとこれなら子供達を笑顔にさせられる筈――】
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 16:20:54.19 ID:jNDCEH5u0
>>937

【風の名前――彼女は良く知らなかったけど、知人なら知っているだろうか。あの子……なんだか、風っぽい(?)し】
【今度聞いてみようかななんて思いながら。だけど、風の名前は、……ちょっと違うかな、なんて、思うのだった】

【そういえば金魚草とかもひどい花言葉だったように思う。黄色い薔薇とか、そういった、ごく普通のものまで】
【誰が決めているのか。それでお金をもらったりしたのか。――世の中の不思議の一つである、そして、きっと、解明されることはない】
【まあ、それはそれだ。適当に今度、花屋でバイトしている幼馴染に聞いてみよう、だなんて思う。聞いてばっかりだが、】
【そして、風の名前はともかく、誰が花言葉考えたの――なんて、十中八九困らせるのだが。……余談だから、いいのだ】

【昔は、ただ、おいしいものを食べたいだけの食い意地だった。それが、いつか、おいしいものを他のひとにも食べてほしくなって】
【誰かに作る楽しさ、おいしいと言ってもらう嬉しさ、知って。それが、だれかに、暖かさを教えられることも、気がついて】
【彼女は自分に特に特技とか、ないと思っている。得意なことより、苦手なことのほうが多いと思っている。だけど、】
【“これ”――料理なら、きっと、得意なんだって、胸を張って言えるのだ。そして、それは、他のみんなのおかげでもあって】

――――、

【ぱぁ、と、その表情が明るくなる。ちょっと恥ずかしげに俯いていたのが、太陽を浴びたお花みたいに、綻んで】
【やっぱり自分の考えたことを認めてもらえるのは嬉しいものだ、嬉しいし、安心するし、――気弱な彼女だとそうなってしまう】
【でも二人がよさげだと言うなら、彼女はノートを広げて、ツチノコ(?)の隙間に、たんぽぽ、と一単語書き添え】
【ペンのお尻を唇に当てるようにしながら、「たんぽぽ……」なんて呟くのだ。……うん、きっと、悪くないって】

【――なんてしていたら、二人のお皿はそろそろ空っぽになる。あ、と小さな声、かたんと立ち上がるのは少し唐突で】
【待ってて、なんてちょっと悪戯ぽく笑って、彼女はまた厨房に入っていく。その道中、別の客にビールを頼まれて】
【それを提供してから、戻ってくる彼女の手には、――お皿が二つ、それを机においてやれば】

【そこにはティラミスとアイスが乗っている。どちらも手作りで、アイスのほうには、いろんなナッツが練りこまれて】
【添えられているフルーツは蜜柑と葡萄、葡萄のほうは……えっと、なんとかかんとか(品種名)で、皮ごと食べられるものだ】
【異国のものらしい。食べるとなぜだかしゃきしゃきして、葡萄らしくない歯ごたえ。だから面白いって、添えたのだが――】

……――二人のおかげで、思いついたの。さっきまで全然思いつかなかったもん、どうしたらいいのかなって……。
だから、お礼、――どうせ他のお客さんはあんまり食べないから、多め――うまく出来たと思うの。
……あ、飲み物もあったほうがいいかな――、牛乳とかあるよ、紅茶も――。

【またお礼だ。本当のことを言うとさっきのマカロニサラダは自腹だけど、……こっちは、余らないための処置として】
【酒飲みの酔っ払いばかりだとあんまりスイーツは出ないらしい。たまに出るには出るのだが――少し多く作りすぎたか】
【そんなことを苦笑気味に言いながら。――きっと、飲み物も少なくなっていることに気がついて】
【何かほしいなら言えばすぐ持ってくるだろう。それが終われば、そうでなければ、彼女はまた席について】

【なんだか楽しげにノートにたんぽぽとかの絵を描き出すのだ。デフォルメチックの、いかにも女の子が描きそうなもの】

【ちなみにティラミスはコーヒーのほろ苦さが目立つ、一応、酒飲みでも楽しめるような味になっていて】
【アイスは胡桃だとかの砕いたのが混ぜられて、アイスの水分を吸ってむっちりとするナッツは、不思議な歯ごたえで面白い】
【どちらも甘さは控えめなほうだ。それなら、衣織にはちょっと苦いかもしれないけれど――よっぽど甘くないわけではないから】
【それでももうちょっと――ということなら、蜂蜜だとかもあるから、言ってみればいいだろう。少し、言いづらいかも、しれないけど――】
【――ちなみに添えられている果物は普通においしい果物だ。甘いものの後だと蜜柑がすっぱくなるので、そこだけは注意だが】
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 17:04:55.33 ID:eO92s0DaO
【場末の酒場──集会所とも言うべきか。】
【時折コルクボードの掲示板にクエストが張り出されているから、そういった人間が数多く集う。】
【血気盛んな連中が、この日も多く来店していた。】


……(どうすっかなァ……)


【紫色の頭髪と、紫を基調とした服装の青年──名をカルロ・セシリアという──はカウンター席の隅についた。】
【マスターや常連ともある程度顔馴染みらしく……軽く挨拶を交わして、適当に酒を飲む。】
【飲みながら──先のクエスト(イベント)に参加できなかったことを憂いていた。】


(纏まった金が手に入るチャンス──体調崩して参加できなかった……これはいてェよな……。

今張り出されている依頼も……"面倒な連中"に占拠されてるしなァ……。)──あ、マスターつけでたのむ。


【「はいはい」──呆れた様子で相づちを打つお髭だんでーなマスターを尻目に】
【もくもくと酒をすすめていた。】
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 17:09:10.82 ID:+PbIemNN0
>>938

【真心を込めて与えられる温かさは何物にも代え難い。与えられた物に籠った心が、心に温もりを与えるのだ】
【―――けれど、路地裏の子供達はそれを知らない。親は亡く、与えられる事も無く、ただ奪い/拾うだけで】
【そんな子供達だからこそ、きっと鈴音の与える料理は何よりも心を温かくして喜びを感じる筈。】
【ともすれば、温かさを知る事で子供達の人生が変わるかも。料理が好きなとある優しい少女のように―――】

【俯いていた顔をぱあっと綻ばせて喜ぶ鈴音。その様子は、それこそ道端に咲くたんぽぽのように明るく可憐で】
【……それなら、やっぱりたんぽぽって名前はお似合いのように思える。だって、たんぽぽみたいな少女が運営するのだから】
【その春みたいな温かさと優しさを、食べ物という種に載せて子供達に伝えて―――笑顔の花が開けば、とっても素敵】


【一通り美味しい料理を食べ終えると、見計らったように鈴音が立ち上がる。先程までの優しい笑みとは違う、いたずらっぽい笑顔を残して】
【ぱたぱたと厨房に去って、暫くすれば二つのお皿を持って戻って来る。その二つが二人の前に並べられれば】


「……わぁ―――」
 ……わぁ―――

【二人は恍惚めいた感嘆の声を上げて目を輝かせるのだった。いつの世も女の子は甘い物には目が無いもので】
【輝く目線の先にあるものは、勿論スイーツ。鈴音特製のティラミスとアイスクリームが、二人の目にはまるで宝石みたいに輝いて見えるのだった】
【寒い日に、温かい部屋で冷たいアイスを食べる。なんだかとても贅沢な気分を味わえる……】
【鈴音は「お礼」と言うけれど。……とても豪華なお礼だ、ともすればお釣りが出てしまうくらいに】
【早速二人はティラミスとアイスを食べ始める。何も言わずとも二人で半分こにする辺りは、親子の仲の良さも窺えるか】

【魅惑のブラウンのケーキを、一かけら口に放り込めば……ふわっと広がるほろ苦さと甘さが存分に少女の舌を魅了して】
【思わず笑みが零れるくらいに美味しい。シロップなんて要らない。衣織は先程にも増して嬉しそうに食べている―――】
【皐月も、なんだか少女時代に戻ったみたいに可愛らしい笑顔を浮かべている。これがもうすぐ40歳のオバサンの姿とは思えないくらいに】
【アイスも美味しい。クリームの濃厚なコクにナッツの香ばしさが絶妙にマッチして、大人でも楽しめる味に仕立て上げられている】
【これを全部鈴音が作ったと言うのだから凄い。こんなのどこで習うんだろうか】


「ね、鈴音ちゃん!……よかったら今度、作り方教えてほしいな。私も鈴音ちゃんみたいに料理が上手になりたくって……
 お裁縫は出来てもお料理はまだまだだから……おねがい!」

【……好奇心旺盛な少女は、得てして自分でやりたくなるらしい。鈴音に今度会った時にお料理教室を開いてもらうようにお願いしている】
【手先は不器用ではないから、飲み込みも早いだろう。知りたがりの少女に、鈴音は色々教えてくれるだろうか―――】


【美味しいものは自然と食べるのも早くなっていく。舌鼓を打ちつつ存分に鈴音のスイーツを堪能すれば、そろそろ残りも少なくなっていく】
【―――衣織が何やらごそごそと自分のカバンを漁っているのに気が付くだろうか。こっそり何やら作っているみたいだが……】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 17:29:20.23 ID:jNDCEH5u0
>>940

【真っ暗で、何もなくて、誰も居なくて、下手をすれば自分さえ居ないような世界。寂しくて、悲しくて、でも涙も出なくて】
【もう誰かも分からない何かを怨んで、ただ、魂を穢すだけの世界。彼女が居たのは、そんな場所だったけれど】
【その手を掴んでくれたひとが居た。その中から連れ出してくれて、ぎゅっと、抱きしめてくれたひとがいた】

【――いつか、“そのひと”と同じみたいに、なれたなら。いいな、って、思うのだ。でも、】
【いきなりそんなのは、きっと、彼女には難しい。だから、最初は――こうやって、少しずつの練習】
【うまくいったらいいなぁなんて思う。どきどきする、少し不安で、だけど、楽しみでもあって】
【ちゃんとできるかな――頑張らないと。応援してくれたひとたちのために、みんなのために、……自分のために】

……おいしい?

【きらきらとした二人の目。食べるのを見て、尋ねるのは、そんなことだった】
【落書きの途中、ふっと机に肘をついて――にこにことしながら、二人が食べる様子を見ている】
【やっぱり喜んでもらえると嬉しいのだろう。特に、彼女、褒めてもらったりするのが好きな性質だから――余計に】

【いつか誰かに食事のたびに聞いていたみたいに、尋ねる言葉は、無意識だった。頷いてやれば、ふわあーっと嬉しそうにするのも、同じ】
【机の下で足を緩く絡ませて――、それから思い出したように自分の分のお茶を飲む。冷えた温度が、温かい身体を抜けていく】

うん、――いいよ、また、おいで。夜だと、忙しいから、あんまり教えてあげられないと思うけど……。
あ、……ごめん、昼間も、ご飯作るんだった――、……え、えっと、……土日なら、大丈夫だと思う――。

【あっさりと頷く。駄目なんて言う理由は無かったし、悩む理由も、特になかった】
【教えてあげるからおいでだなんて言う、夜のお店の仕込みがてら、簡単な調理とかを教えてやれば――なんて考え】
【だけどすぐに、昼間は件の食事を振舞うことになっているのだと思い出せば、慌てたように謝罪をし】
【――ちょっと前まで用事なんて夜、ここで仕事するくらいだった。それが気付けば、わっと忙しくなっていて】

【――だけど、嫌じゃないから不思議だ。楽しみだった、忙しいのも、大変なのも、ひっくるめて、楽しそうだったのは、確かで】

【二人が食べている間、彼女はやっぱりノートに絵を描いていた。だけどさっきまでと違うのは、なんだか、】
【チラシ……みたいなもののイメージらしいこと。たんぽぽって名前と、ちょっとした絵と、――やっぱり件のツチノコ】
【よっぽどツチノコ(多分違う)が好きなのだろう。それから首をひねり、普通の蛇も描き足して】
【ものすごくメルヘンちっくなチラシ案を完成させると、腕を伸ばして遠くで見たり、近くで見たり、そんなことをしている】
【ときどき二人の食べる様子を見て、飲み物が無いようなら、お水でも持ってきて――そんな風にしながらの、時間】

【衣織が何かしているのには、……多分気付いていたと思うのだが。何を言うでもなく、緩く首をかしげるだけだった】
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 17:38:02.11 ID:dY/Qvc5j0
>>935
……何?

 【その一言は、何気ない尋ねとは違って聞こえた】
 【重い、重い一言。――そうだ、本来はこっち側なんだって、理解させてくれる。一場の蜜を啜り、甘い潤いで喉が満たされれば】
 【――十分だ。私は夢追い人じゃない】
 【もう一度、眼を閉じる――脳裏に浮かんだ景色は――――】



 【何かを誓った、あの日の紅い空】【――何かって、何だ?】【駄目だ。拒否、反応】



ちげーよ、千夏。
嫌いになんかなれない。私も同じなんだよ。どうしてもしなくちゃならない事がある。
――――やってる事は三流脚本だよ。しょうもないかもしれないけれど。私からすれば一流の人生だ。
今を、大事な今を常に想って生きてる人の為に。

――――当然のように明日が来るなんて思ってる奴に、誰かの明日を渡したくないんだ。


 【血に染まった光景に、それを当然としか思わない世界】
 【私の世界をぐしゃぐしゃに壊した必然を、私の奇跡で塗り替える。そこを私の当然で塗りつぶす】
 【――――あれ、何だ? 私の世界って?】【――――探せない、拒否、反応】

なぁ、千夏――私の為なら何でも斬れるって―――いや、斬れるんだよな。そうじゃないと言わないもんな。

 【強く。ほんの少し強く手を握る。それは自信か恐れか、どれだったか――】【多分、全部】【見た目通りの、まだ成人もしてないただの女なのだから】
 【――――自らの矛盾に気づかない振りをして、嘘をついて、只自分の我儘を終わらせたいだけの、傍迷惑な女】


――私の剣になってくれ、千夏。


 【でも、そんな奴についてきてくれる人がいるんだから】【世界は不思議な事に、廻っていると言わざるを得ない】
 【――そんな手の甲の境目に僅かにちらつくのは、カノッサ機関の紋章。服の裾が僅かに乱れ、そこから覗くソレは――カノッサ機関、No.6としての、穢土宮 入間を示していた】

私だけが見れる。私だけの剣に。

 【――母さん。母さん】
 【私、頑張れそうだよ。当然が絶対になる世界。必然を皆で起こす世界】
 【――――間違いを認めず、狂いと誤認し、入間はその手を、大事そうに握っていた】

//こんなところで〆でしょうか……?
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 17:59:37.90 ID:+PbIemNN0
>>941

【上手く行くかどうかは分からないけれど―――鈴音の心に温かい優しさが在る限り、きっと大丈夫】
【頑張る勇気を、笑顔が後押ししてくれる筈だから。……だから、頑張って幸せを伝えていって欲しい】
【きっといつか、一面に咲くたんぽぽの花みたいに―――鈴音の周りに、笑顔が広がる日が来るから】


「とってもおいしいよ!私もこんなの作れたらなぁ……」

鈴音ちゃん、本当にお料理が上手なんですねー……ね、衣織はお母さんの料理と鈴音ちゃんの料理、どっちが好き?

「両方好き。あのね、おかあさんのお料理も鈴音ちゃんの料理もあったかいの。なんて言うか、とっても似てるんだ。
 美味しいなぁってだけじゃなくてね、心もあったかくなるような……そんな気がする。」

【おいしい?って、訊かれるまでも無い。聞かれれば勿論と言うように二人はこくりと頷いて各々の感想を伝える】
【―――衣織曰く、鈴音の料理と母親の料理は似ているとのこと。どちらも心が温かくなるような料理】
【鈴音の料理に込められた想いは、母親が我が子に込める愛情に似ている―――そういう事なのだろう】

「ほんと!?えへへ……それじゃあ、お休みの日にはまた来るね!
 ―――目標はね、お母さんや鈴音ちゃん……あと、お友達の佳乃ちゃんに食べてもらうことなの。喜んでもらえるように、頑張らなきゃ……」

【鈴音が頷いてくれれば、衣織は嬉しそうに笑ってみせる。こんなに料理が得意な鈴音だから、きっと色々教えてくれるだろう】
【―――衣織の目標もまた、大切な人に喜んで欲しいということ。大切な人が喜んでくれるって、何よりも嬉しいもの―――】

【先に食べ終えた衣織は、まだごそごそと何かを作っている。それは皐月がティラミスを食べ終えるまで続いて】
【皐月が丁度「ごちそうさま!」と告げたころに、それは完成する。―――ふと、衣織は視線を上げて鈴音を見遣って】
【ニッと明るく笑みを浮かべて、鞄から今し方完成した「何か」を取り出す―――】


「鈴音ちゃん、これ……私からのプレゼント!美味しい物を一杯食べさせてくれたからね、そのお礼だよ。
 どう、かな?レストランで鈴音ちゃんが頑張ってる時に、名札代わりに付けて欲しいなって思って……」


【それは、フェルトで作ったたんぽぽの形をしたブローチだった。こんな感じの、黄色い花びらが可愛らしい手作りで(http://i.imgur.com/eFvcfHv.jpg)】
【レストラン営業時に付けて欲しいなと思って作ったらしい。喜んで貰えればうれしいのだけれど……】
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 18:18:53.91 ID:jNDCEH5u0
>>943

【――おいしい、と言ってもらえたなら、やっぱり、彼女はひどく嬉しそうにはにかんだ】
【そういうことを言われるともっともっと食べてほしくなる、――だけど、そんな気持ちはぐっと我慢して】
【にこにこと笑うことで発散する。「ありがと」なんて、声も、ひどく柔らかく溶けていて】

……お母さんがね、教えてくれたの。最初は目玉焼きとか、そういうのばっかりだったけど……。
いろいろなお料理を教えてくれたの、煮物とか、カレーとか、本当に、いろいろなお料理。

だからかな、きっと――、わたしは、お母さんになったこと、ないけど――。

【そう、彼女の作る料理の基礎は、母親が作ったものだ。もっといろんな、変わったもの、よっぽど洒落たものは、】
【家もなく何もなく放浪していたときに、店の裏のごみ箱とかから、知った味なのが多いけれど――そうでないものは】
【母親に教わったものが多かった。それなら、そう感じるのは――きっと母親のおかげだって、そう呟いて】

【料理は相手の身体にもなるもの。だから、適当に作ったり、わざと変なものを入れたり、そういうのは、駄目だと思っていた】
【いつもきちんと作るのがルールだと思っていたし、相手への礼儀だとも思っていた。そりゃあ、間違えるときもあったりするけど】
【胡椒一振りのつもりが蓋が取れててんこ盛り、とか、やったこともある。だけど、そうでない限りは――ちゃんと、そう、決めていた】
【それに、せっかく食べるのだからおいしいと思ってほしい。親であったことはないから親心ではない、でも、少し、似ている】

佳乃ちゃん――? ……うん、いつでも来て、ね。

【佳乃ちゃん。その名前にと説明に、友達かぁ、なんて、少しだけ吐息がちになって】
【きっといい子なんだろうと思考する、――それから、いつでも、だなんて安請け合いするけれど】
【実際のところ、件の計画が始まったら、土日すら忙しくなりそうだ。それなら、思ったよりは構ってあげられないかも】
【――それでも、精一杯頑張ってくれるはずだから。気が向いたら、来てみれば、いいはずだった】

【最後にちょいちょいっと軽く手を加えて、ノートのチラシ案は完成する。……結局、プロに任せることにはなるものの】
【何か自分でもちょっと考えておいたほうがいいんじゃないかと思って――本音を言うと、楽しいからやっていたのだが】
【そんな風にしていたら、衣織が。ごそごそしていたのを取り出して――探し物でも見つかったかな、なんて、のんきな思考】

……え、?

い、いいの――?

【完全に何も考えてなかったのが見て分かるだろう。元から丸い目は余計にきょとんと丸くなって、ぱちくり瞬いて】
【差し出されたそれを少しこわごわ、という感じで受け取る。それから、ひっくり返したり、そのままにしたり、して、見て】
【それから優しく両手で包み込むと、衣織の暖かさが伝わってくるようだった。ふんわりと、やさしい、衣織の温度】

……――ありがとう。

【そして、胸元にそれを宛がってみる。赤と黒がメインの今宵の服装には、少し、鮮やかな黄色は浮いてみるけれど】
【これはこれで差し色みたいになって綺麗でもある。――「使わせてもらうね」って鈴の音が、返事した】
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 18:50:18.73 ID:+PbIemNN0
>>944

【幸せを伝えるというのは、相手が笑顔になるだけじゃない。―――こうやって誰かが笑顔になる事で、自分も笑顔になれるから】
【そうやって、誰かが誰かを笑顔にして、自分も笑顔になって……笑顔がどんどん広がってくれればいい】
【きっと、これから何度もこうやって鈴音は笑うのだろう。そうあってくれれば、これ程素敵な事は無い】

「そっか、お母さんが……そだね、だから似てたんだ。お母さんみたいだなって思ったの……」
 
【鈴音が心を込めて作ったであろう料理は、かつて母親に教えて貰ったもの。―――似た温かさを感じたのは、そのためか】
【いや、それだけでは無い筈だ。鈴音の、笑顔になって欲しい、美味しいと思って欲しい……そう思う心が、似ていたのだ】
【鈴音は親になった事が無いけれど、いつの間にか親に似た心を身に付けていた。―――親心も、子供に笑顔になって欲しいという心だから】
【……もしくは、これから温かい料理を通して子供達の母親みたいな存在になるのかもしれない】
【恵まれなかった子供達に、母親のように愛を恵むような……そんな存在になってくれればいい】


「うん!絶対来るからね!」

【いつでも来てねと言われれば、うん!と大きく頷く。この様子だと、本当にいつでも来るかもしれない】
【……忙しい鈴音にあまり手を掛けさせては良くないかもしれないけれど。きっと、また近い内に料理を習いに来る筈だ】
【皆に喜んで貰う為に、鈴音からもいっぱい学んで……いつか、鈴音にも喜んで貰いたい】


【鈴音にそっとプレゼントを渡す。黄色いたんぽぽのブローチはついさっきまで衣織の手の中にあったから、衣織の手の温かさを帯びていて】
【驚きの交じった感謝の声が聴ければ、衣織も嬉しそうに頷く。あどけない顔が、笑顔でくしゃっとなって】
【プレゼントって、渡した人が驚いてくれたら一番嬉しいもの。そうやって喜んでくれれば、プレゼントして良かったと思える】

「えへへ……どういたしまして!

 うん、似合ってる。そのブローチが、鈴音ちゃんの優しさの象徴みたいになってくれればいいな―――」

【……さて、美味しい料理と飲み物を堪能した所でそろそろお別れの時間か。二人は帰り支度をして立ち上がる】
【今度会う時は、お料理を習う時だろうか。もしかしたらレストランの様子を見に行くかもしれない】
【どちらにせよ、きっと頑張っている鈴音の姿を見れることには違いない。―――本当に、頑張り屋さんだ】
【レジまで足を進めると、お会計。美味しい食べ物のお値段は幾らくらいだろうか】

//すみません、次に返せるのは8時以降になりそうです!
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 19:12:32.63 ID:jNDCEH5u0
>>945

【そうやって思えるようになったのも、彼女の成長だろう。少なくとも、数ヶ月前、一年前、――には思わなかったこと】
【いろんなひとにあったし、いろんなことがあった。その全てが、確かに、今へと繋がって……こうした形で実って】

お母さんは、死んじゃったけど――、お母さんの作ってくれたご飯の味は覚えてるの、おいしかったし――。
毎日食べてたもん、忘れないよね、……今でもね、たまに、同じ味に作れたら、嬉しいんだ。懐かしいなって、思うの。

【母親は死んでしまった。目の前で、真っ赤になって、……それは、今でも、忘れられない、嫌な記憶だけど】
【昔は、母親のことを思い出すと、それも一緒に思い出されてしまった。だから、なるべく考えないようにしていたもの】
【だけど、気付けば、母親の料理の味や楽しい思い出と、あの、思い出――分けて考えられるようになって、それも成長の一つ】
【もう居なくなってしまった。だけど、ちゃんと、居たっていう証拠が残っている。――だから、もう、悲しくない】

うんっ。

【まあ、でも、一応――、計画がある程度落ち着く頃に来たほうが、ちゃんと相手はしてもらえるだろう】
【最初の頃なんてばたばたして、やれ仕込みだとかで、土日まで使ってしまいそうだし――】
【そんな状態では衣織もあんまり楽しくないだろう。……お茶くらいは出す、と、思うけれど】

【――母親がくれた名前。昔は、自分には似合わないものだと思っていた。花言葉と、全く違う、って思っていた】
【桜の花のよう、楽しそうにしている人にたくさん囲まれて、育ちますように――その意味を篭めて、桜花。それが彼女の本当の名で】
【違う名前を使う、だけど、捨てたわけじゃないし、忘れたわけじゃない。少しくらいは似合うようになっただろうか、桜の名前】
【今度の桜の時期は両親のところに行こうと思った。――お墓がどこにあるのかは知らないけど、自分で決めた、墓標の桜の木】
【いつか家族で行った、思い出の木――そういえば、あそこ、春はたんぽぽがすごかったなあ……なんて、思い出し】
【がんばってるよ、毎日楽しいよ、……そうやって、教えに、行きたかった。たとえ、褒めてもらえないとしても】

あ、ありがとうございましたー、

【お会計、ということになれば、彼女も席を立って、追いかけていく。厨房から、頼まれたもののメモ書きも持ってきて】
【まあ――ごく普通の酒場、という感じだ。高くもないし安くもない、あんまり安いと、お店として成り立たないしだろうし――】
【そして値段を告げて、受け取って。終われば、お開き――ということになるのだろう、……少し違う、気もするけど】

/りょうかいですー
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/07(日) 19:55:24.96 ID:idcK538bo
>>942
【何を考えていても良い。何を思っていても良い。貴女が其処にいればいい】

「―――――――――― 分かった」

【例えその先が血の海だろうと、私は渡っていく。渡っていくしかない。幸せな事に私は、貴女の事が愛おしくて、絶対的でたまらないから】
【貴女の為ならば何だって斬れる。貴女以内の物だったら―――――――――― 例え自分だって。殺ぎ落としてみせる】
【宮藤の手を握る、彼女の手が、少しだけ強くなった。それに合わせて、彼女に抱き付くその腕に、ほんの僅かに力が入った】

「ウチは入間の剣になる。入間の脚本を三流じゃ終わらせん。私は貴女の明日に殉ずる。

 入間だけに握られる、その為になら―――――――――― だもんで」

【世界を敵に回したって良い。その腕に刻まれた混沌機関の刻印に気付かないふり何てする必要も無い、何故ならば】

【『私の世界は貴女そのもの』】

【だからこんな世界を書き換えよう。貴女の望むままに、貴女の言葉通りに私は剣を振るおう。貴女のエゴのままに剣を振るって見せよう】
【私はその為ならば。混沌の徒にだってなってみよう。世界大逆に駆け抜けて見せよう。人類一人一人に残さず刃を突き付けて見せよう】
【些細な事だから】
【必要としてくれた。握ると言ってくれて、そして握ってくれた。自分の名を呼んでくれた。それだけで、それを成すに相応しい事】


「ずっと、そうやって―――――――――― 私の名前を呼んで」


【それが狂いでも良い。間違いだって構わない。ただ―――――――――― 宮藤帯刀千夏と言う少女の全てを彼女へと捧げる】
【狂犬であろう。彼女の望む物はすべて私が――――― 斬り伏せて道を拓こう。どれだけ血に塗れたっていい】
【だから一つだけ。本当にわがままで、本当に勝手な願いなのは分かっている】
【私の中に渦巻く『斬殺者の衝動』を乗り越えて。貴女は死なずに、私の手を、もう一度握って欲しい】


【嗚呼こんな物。最初からそこになければ良かったのに】


/はい、大丈夫です!徹夜からの長きに渡る絡み本当にありがとうございましたぁぁ!!!
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/07(日) 20:39:35.43 ID:+PbIemNN0
>>945

【訪れるのは頃合いを見計らって。あくまで本業はレストラン、教えて貰うのは手が空いてる方が良いに決まっているから】
【迷惑が掛からないように、比較的空いているであろう時間に来ることになるだろう。そうして、料理を教えて貰えれば】
【いつかみんなに振舞えるように、頑張る筈だ。この少女は、どんな事にも一生懸命に取り組む子だから―――】

【―――二人は鈴音の本当の名前は知らない。……いや、「鈴音」も彼女の本当の名前であるには違いないのだが】
【自分を生んでくれた母親が、子供に様々な願いを込めて付ける名前……それはきっと、どんな人にも特別なもの】
【皐月が娘に付けた「衣織」という名前もそう。衣のように、誰かを包み込んで受け止めてあげられるような、優しい子に育ってほしいと】
【今はもうこの世に居ない夫と、共に考えて付けた名前。特別な、たった一人の誰よりも大切な娘に付けた名前】
【鈴音の母親もきっとそう。誰よりも大切な、自分の娘の名前に込めた願いは、何よりも強いものに違いない】
【……気が付いているだろうか。今の鈴音は、沢山の人に囲まれて、いろんなことを経験して、成長して―――】
【―――気がつけば、こうやって誰かを笑顔に出来る人に育っているという事を。母親の願いは、敵いつつあるという事を。】
【迷い道、回り道はあっただろうけれど。―――桜の花は、こんなにも素敵に育っている】


【お会計は財布に痛すぎないくらいの丁度良いお値段。まあお酒もビール一杯だけだし、其処まで高くはつかないか】
【お金を鈴音に渡す。―――おや?渡すお金が少し多い……。おかしいと思って鈴音が皐月の顔を見れば、悪戯っぽい笑顔が浮かんでいる筈で】
【小声で告げる言葉は―――】

レストラン「たんぽぽ」の、ささやかな開店祝いです!
……色々と大変な事もあるでしょうけど、決して折れずに頑張って下さいね。応援しています!

「それじゃあ、またね!今度は一杯、お料理教えてね!」

【衣織がぎゅっと鈴音に抱き付けば、それがお別れの合図。親子二人は鈴音に手を振って、手を繋いで家に帰る事だろう】
【―――鈴音の新しい挑戦。実を結ぶ日が来るのは、きっと遠くない筈だ―――】


【余談。後日、もう一人「CMを見ましたよ」という手紙が鈴音の元に舞い込む筈で(鈴音さん、とっても可愛かったです!とも書かれている)】
【差出人はマリア・シャリエールとある。「レストランの件でお話したい事が御座います。何時でも良いので其方に伺いたいです!」とのこと】
【応対するにしても、準備などが落ち着いた後になるか。取り敢えず返事だけでもしてやれば嬉しい―――】

//ここで〆という事で、お疲れ様でした!
//最後の3行にも書いた通り、連続にならないよう後日何時でも良いのでマリアとロールして下されば幸いです。
//緊急を要する話ではないので、そちらの都合に合わせて頂ければ!
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/07(日) 20:44:35.95 ID:82CMBtF/o
【路地裏】

【鮮血が飛び散った。赤黒い液体が地面や壁に降りかかってそれらを赤く染め上げていく】
【頭部を切り落とされた首から、心臓の鼓動で押し出された血液が噴水のように噴出】
【身体は膝から崩れ落ち遅れて宙を舞っていた頭が落下。鈍い音を響かせて、転がった】

【隣に立っていたのはたった一つの人影だった。150cm程度の背丈に、返り血で赤く染まった茶色の外套】
【フードからは薄いブロンドの髪が覗き顔は白地の上に黒い眼孔が二つ、切れ目のような黒い薄笑いを浮かべた不気味な仮面で隠していた】
【挙がっていた右手を下ろす。拳を作った指の間からは刃が三つ伸びていて鈍い銀色の切っ先から血を滴らせていた】


 ……これで仕事は終わりか


【声は男のものだった】
【指から出ていた刃が光を伴って消えていく。右手を袖の中に隠して柄を仕舞う】

【凄惨でありながら静かに行われた暗殺の現場だった。仮面に隠されて男の表情は見えない】
【外套の隙間から見える十字架が月明かりを微かに反射して輝いていた】
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 20:46:05.64 ID:K43L9hCdo
【街中】

【時折吹き抜ける冷たい風に体を縮こまらせながら、人波は流れて行く】
【そんな様子を視界の端に捉えながら、男は手の中の画面を流れる文字を追っていく】
【背中に感じる街灯のポールは、コート越しにも、ヒンヤリと冷たかった】

――――――寒いな。

【―――黒のPコートに、白いスラックス。首元にはワインレッドのマフラーを巻いて】
【ヘアゴムで一纏めにした長めの金髪も、最近は少し、伸びすぎた感もあり】
【左手はポケットの中へ。右の手には携帯端末を握って。凭れて立っていても尚、スラリと背の高いのがわかるか】

【チラリ、視線を上げれば。視界に飛び込むのは、仲睦まじげな若いカップルの姿】
【それを見るや、男は大きく吐息して。そういえば、イルミネーションを目にする回数が増える時期で――】

――どうせ、今年も仕事が恋人ですよーっと……。
…………くそっ、気分まで寒くなってきちまった……。

【――――ありがちと言えばありがちだが、寂しいぼやき。】
【そういえば男の手にしたこの端末―知っている者でなければわからないだろうが―UTやSCARLETのメンバーが持っているもの、だったか】
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 20:55:43.25 ID:jNDCEH5u0
>>948
/すいません、食事がまだでこれから食べるので
/〆のお返事遅れてしまいますっ、申し訳ないです!
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 21:13:27.63 ID:Nkv0t87/0
>>949
【首から上が地面に落ち、鈍い音を立てる】

【それと、ほぼ同時】
【外套姿の男が事の終わりをつぶやくのを知ってかしらずか、闇の中からこんな声がかけられる】

「すみません――貴方は今、幸せですか?」

【その声はなんとも言えない情念にまみれていた】
【そうであってくれと願う醜い心と、そうでなければいいと思ってしまう精神】
【その双方によって声はねっとりとした、ぬらつく冷たさを帯びていた】

【その方向を見れば、青年がいる】
【こけた頬、まばらな髭、黒いざんばら髪は後ろだけ極端に長く、それをひとまとめに】
【そしてその目は、月のように澄んだ金色をしていた】

【その後ろには、人間ではないどころか、生物ですらない存在 。しかし呼吸し思考する機械の獣が追従している】
【その姿は大狼。それも、尋常な大きさではない。背の高さは大人の肘程度で、体調は路地裏の闇に未だ尾の先が見えず、判然としない】

【青年は奇妙な造形の噴水を一顧だにせず、その口を真一文字に結び】
【愚直なほど真っ直ぐに、外套の男を見つめている】
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 21:15:59.82 ID:DjD+9dDNo
【路地裏】
【表の光も、喧噪も、夕飯の香りなどとても届きはしない】
【祈りの声は闇に消え、鉄錆に似た血の香りが否応なしに鼻孔を突く】

【そんな場所に広がるちょっとした噂】
【知る人ぞ知ると言う程のものではなく、本当に誰かがポツリと話題にした程度のもの】
【「腕の良い砥ぎ師が居る」と言う噂】
【店も持たず、時折フラっと現れてはゴザを敷いて砥石と水だけ用意して路地裏の佇んでいるそうで】

……ん、かーっ。眠いってぇの

【その噂の中心人物】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性は噂通り】

【暗がりの少し開けた場所でゴザを敷き。砥石と水を張った桶を用意して欠伸と伸びを同時にしていた】





【同時刻、公園】

【4つの杭にロープを張った簡素なリング】
【互いに殴り合うだけが目的にしては広く、長柄の武器すら余裕で振り回せそうな程であり】

ん…会心の出来

【リング作成と言うちょっとした日曜大工を終えて満足気にするのは1人の女性】
【女性にしては短めの黒髪と、赤い上縁眼鏡の奥には髪と同じ黒の瞳が窺えて】
【スーツを着込んでいるが女性用では無いのか比較的体の線が出ている様には見えず】

……なんだっけ?挑戦者、求む?

【ゲームセンター何かに在る格ゲーを思い出しながら、リングを作るポールの上に座って】
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 21:19:51.83 ID:w5/wSuiSo
>>950
/スレ立て大丈夫ですか?
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 21:27:15.01 ID:K43L9hCdo
/次スレですー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1417955166/
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/07(日) 21:30:07.45 ID:82CMBtF/o
>>952

【声がした方向に反射的に振り返る。闇の中にいたのは奇妙な人影に、もっと奇妙で厄介なもの】
【相手の声、状況、そして言葉。その全てが気に入らないものだった。彼は忌々しげに舌打ちをした】


 ……宗教勧誘なら余所でやりやがれ。釈迦に説法する気かてめえ


【恐ろしい形相と状況に反して声は若く口調は乱暴なチンピラのようだった】
【仮面の下に隠れた視線は青年ではなく後ろの獣に向けられていた。暗殺者が暗殺の現場を見られた以上、生かしてはおけない】
【だが暗殺者にとって人以外の相手は専門外だ。隙を作る必要があった】


 どうしてもやりたいっていうんなら、話を聞いてやらなくもねえがな?


【話を続けながら頭の中で攻略法を考える】
【接近戦が出来るようには見えない。だとするならば獣を引きつけた上で近接に持ち込み、一撃で仕留める】
【自然な動作に見えるように、左半身を少しだけ前に出して両手を袖の中に隠す。素早く構えを取るために】
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 21:30:57.01 ID:w5/wSuiSo
>>953

ハハハハハハ――――ッ!!


【突如として響き渡る野太い男の笑い声】
【むしろ「HAHAHAHA!」と表現することが正しいような快活な其れは】
【公園の入り口の方から女性の方へと近づいてきていた】


【そこに視線を向けたならば、一人の男の姿が目に映るだろう】

【身長の頃160cm程度、古ぼけた白い道着に身を包んでいる】
【その身体には道着の上からでも判るほど、岩を切り出したような見事な筋肉が宿っており】
【手には拳部に薄い鉄のプレートが備えられた手袋、顔には鼻上までを隠す藍色の"マスク"を付けていた】

【靴も足袋もつけず、太く厚い素足で地面を踏みしめながら】
【マスクマンはリングの傍まで近づいていった】


さながら草拳闘場といったところだね! うむうむ、青春時代を思い出すようだ!

そこのお嬢さん、こんな場所で試合をやっているのかね?
ランニングの途中につい目に付いたものでね、よければ話を聞かせて欲しいところだよ!


【裏表のない笑みを浮かべながら、明るく勢いのある声で女性に対してそう訊ねる】
【挑戦者――現時点では純粋にこの催しに興味を持ったという段階であろうか】
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 21:47:13.28 ID:jNDCEH5u0
>>948

【そう、確かに、この名前も彼女の名前だ。むしろ、今の彼女が生まれたときに、もらったもので――】
【二度生まれたようなものだ。だけどその人生は途切れなく続いていて、そこが、普通のひととは少し違う】
【――お母さんと会いたいなあ、なんて、ふっと思った。そしたら、いろんなことを、お話したいのに】
【もうこの世界には居ないひと。そして、きっと、――人間と違った存在になってしまった自分には、もう二度と逢えないひと】

え……、そんなの。でも、――、セリーナに聞かなくっちゃ、……。

【お金が多い。そういうことには敏感だ、“あの”セリーナのお店だもの、レジのお金には細かくて】
【しばらく押し問答することになるだろうか、受け取れないだの、駄目だの、聞いてこないといけないだの】
【だけど――最終的には負けてしまうのだ。「じゃ、じゃあ……」「駄目だったら、返すから……」とかなんとか言って】
【多かった分のお金はポケットに入れる。それで、後で、セリーナのほうに聞きに行くつもりなのだろう】

【そんなこんなで二人は帰っていく。レストランの名前も仮だが決まった。後は、これまた、セリーナにお伺いを立てるだけで】
【駄目って言われたら、どうしようか――少し考えて、考えるのもやめる。きっと大丈夫だって、そう考えて】

【――後日手紙が届く。家……ではないだろう、きっと、UTの事務所のほう】
【最初は「はてな」って顔をしていたのだが、中を開けば、用件は分かって――少しはてな顔をしていたが】
【だいじょうぶです、という返事を書くのだろう。ただ、平日ならば、朝のほうが嬉しいことを書き加え】
【火曜日の朝は忙しいです――ということも書いてある。それ以外は、身体のことを気遣うようなものが書いてあったりして】
【最後にはかわいいデフォルメちっくな蛇が\おまちしてます/とかいうセリフを言わされている。お気に入りらしい(?)】

【(ちなみに、彼女の手紙、文字が丸っこいのはいいのだが、難しい漢字とかはほとんど使われておらず)】
【(たまに使ってあったと思うと、そこだけ自体がかっちりしている――まあ、頑張って書いた、のが見て分かる仕上がり)】

【後は、郵便局でかわいい切手を選んでもらって。お手紙を送り返す、……手紙なんてもらったのは初めてだから、嬉しかったのだという】

/というわけでおつかれさまでした!
/了解です、こちらは大丈夫ですよー、一応今年度中なら暇してますので
/いつでも呼んでいただけたらと思いますっ
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 21:49:19.77 ID:Z4qmuJNjo
>>950

【街の彩りももう冬一色の頃合だ。都会の星は相変わらず見通し辛いが、この時期はそれが地上に降りてきたかのように煌びやかになる】
【故郷から出てきたばかりのころは戸惑ったものだが、今はチカチカと眩い偽物の星を眺めるのも別段嫌いではなかった】
【これで色恋のひとつでも嗜む男だったのなら、その星の合間で仲むつまじく談笑する男女の姿に、小気味良い嫉妬のひとつでも浮かべられるのだが――――】


よぉよぉ、ご同輩。
辛気臭ぇ顔してどうしたよ?


【たちこめる桃色の雰囲気の中で手持ちぶさたになった男が考えついたのは、たまたま見かけた同業らしき青年に声をかけてみたりする程度のことであった】
【獣が唸るような低い声。容姿は鼻が高く彫りの深い顔立ちで、上背があって筋肉質。男はそんな、いかにも異邦人といった風体で】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして、首からはドッグタグを下げている】
【他にも、身の丈程もある革製のケースを背負っているのがよく目立った。ただ黙って立っている分には他人を威圧する雰囲気があるけれど】


仕事上出会いが少ないのはわかるが、せっかくハンサムなんだからよ。
そんな顔してっと余計に女が逃げるんじゃねーか?


【細部をよく見れば、短い黒髪は寝起きそのままみたいにボサボサで、ただでさえ垂れ気味の両目はダルそうに窄められていて】
【何より、恥も外聞もなく子供のように肉まんを頬張っているのが特徴的だ。イメージ的には寝起きの猛獣といったところ】

【男はずけずけと無遠慮にそちらの隣に移動すると、抱えた紙袋から新しい肉まんを取り出して「食うか?」などと明け透けに笑ってみせる】
【この男、果たして何者か――――は、先ほどの「ご同輩」という台詞と、腰元のポーチに縫いつけられた緋色の鷹≠フマークから一応推測できるか】


/スレ立て乙です!
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 21:50:10.85 ID:Nkv0t87/0
>>956
【前々から思っていたのだが、どうも宗教勧誘に間違えられる確率が高い。】
【次の犯行の際には、言うことを変えてみようか】

「宗教の類ではないのです――そして、あなたが幸せでないなら俺はあなたに相対する気もない」
「ですが…あなたがそういう目をするのなら、俺は――――俺の幸福のために、貴方の命を貰い受ける」

【その顔に浮かんだのは笑み。】
【人を今、この場で殺害した相手だというのに、それを全く気にしない。手練れであるかとか、異能者であるかなど、どうでもよい風だった】

【相手の動きとは前後が逆。】
【左半身を引き、半身になる。その動きは自然で、かつ慣れたものだった】
【その手には何も握られていない。前に出た左手は平手、奥で構えられた右手は握り拳】

【そして、その隣に悠然と狼が並んだ】

「カノッサ機関No.8 ユーリ・ハセ」

【告げた。其の名と、所属する組織の名を】

「推して参る」

【そして触発の戦闘は、先(セン)を取るための見(ケン)の時間へと―――なるのだろうか】
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 21:50:11.06 ID:DjD+9dDNo
>>957

【何気に人生初の日曜大工で火照った体を冷ましていると、横の方から叩きつける様な笑い声が聞こえてきて】
【のそ、と言う擬音が似合いそうな程ゆったりとした動作で振り返り男の方へ向くと】

ん、こんばんは…
……挨拶は、大事。うん。

【男の質問に答える前に、まずは挨拶を1つ】
【そうだよね?と尋ねる様に首を傾げて、挨拶し返されるのを待ってから…】

草拳闘と言うか…草闘技?矢でも鉄砲でも、何でも。
…対戦相手は、今の所私だけだけど。出来たてだし

【それからようやく男の質問に答えだした】
【ポールから降りて地面に立つと、男を見下ろす形に。168cmと割と身長は有る様で】

富も、名誉も得られないけど
余計なしがらみが無いからこそ…楽しい、かも?

【少なくとも自分はそう思うのだけど、分かって貰えるだろうか】
【先程とは逆に首を傾げながら言葉にし】
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 21:56:18.67 ID:tR03xZ/ao
【夜、公園にて】
【日の出ている間は子供連れや放課後の子供達で賑わっていたであろう此処も、日が沈み暫くすると静けさに包まれる】
【空は薄い雲に覆われており、ぽつぽつと設置された街灯と自販機の光だけが、寂しく公園を照らしていた】

「…………」

【そんな公園の中心に、彼女は一人佇んでいた】
【幼さは抜けきっていないものの顔立ちは整っており、瞳は切れ長で紅色】
【艶やかな黒髪を後ろで一つに結っており、肌は白磁の様にきめ細かや】
【学校指定の黒いブレザーに身を包んでおり、足元は黒タイツと編み上げのブーツを着用している】
【いつも背負っているスクールバッグと竹刀袋は、近くのベンチに立て掛けられていた】

【両手で新品の木刀の柄を握り締め、中段に構える。呼吸を整え、目を閉じて、世界を閉じる】
【閉塞していく世界。音も色も無い己の精神世界の深度を高め、より奥へと落ちていく】
【まだ靄がかかったように暗くて、粘度のある闇に支配された其処へ、落ちて、落ちて、まだ落ちて】
【ふと感じる、痛み。先日カノッサ機関の構成員との戦闘で受けたダメージは、未だ彼女の身を蝕んでいた】
【先日退院したものの、医者からは絶対安静を言いつけられている――――とはいえ、それを無視しているのは明確なのだが】
【痛みとともに途切れる集中力、辿り着いた壁を前に限界を感じ取る。おそらくまだ先はあるのだろうけど、今は此処が限界らしい】
【薄く目を開き、ぼんやりと夜の闇を捉え、深く息を吐きだした。閉塞した世界を広げるように、閉じ込めていた殺気を徐々に開放していく】
【空間を侵蝕する鋭い殺気、冬の気温より冷え切った其れは、研ぎ澄まされた刃の如く場を満たす】
【強風が公園を吹き抜け葉を散らし――――其れ≠ヘまさしく刃の様に、枯れ葉を切断した】
【よく見なければ気付け無いだろう。風に乗り彼女へと近づいた枯れ葉が、何の前触れも無く両断されたのだ】
【当然彼女は微動だにしていない。一定まで殺気を広げ終えると、彼女は集中を解いて深呼吸をした】

「――はぁ。…………まあ、こんなものかしら」

【剣気――――たった今彼女が行使した技術の名である。此れは理から外れた異能ではなく、技術の極地なのだ】
【気を威に変換する。やっていることは単純だが、容易に使いこなせるような技術でもない】
【彼女の家に代々伝わる術の奥義、其の一端らしいが――――現実に物理的干渉が出来るほど強力な殺意など、ある意味異能より余程恐ろしい】
【そんなわけで夜の空の下、刀を振るわずに彼女の鍛錬は進んでいく】
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/07(日) 22:02:59.76 ID:82CMBtF/o
>>960

【注意を逸らすつもりで会話を続けていたがどうやら失敗のようだった】
【面倒なことになったと思いながら、はぁ、と聞こえるぐらいの大きさでため息をつく】

【袖から両手を出す。それぞれの指の間には小さな柄が3つずつ、計6つ握られていた】
【魔力を通してそれらから刃を顕現させる。特殊な刃は通常の剣と同じ強度と切れ味だが持ち主にとってのみ軽い】
【両腕を交差させて左右に向けて一気に振り抜いて剣を全て投擲。獣と青年それぞれに3つずつの刃が回転しながら向かっていく】

【投擲と同時に彼らに向かって駆け出す。剣の投擲など防がれて当然、狙うのは対処後の隙だ】
【しかし敵の能力が分からない以上、対処の形も想定できない。接近しつつ相手の対処を待つ】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 22:04:16.76 ID:w5/wSuiSo
>>961

おっと、私としたことが……年甲斐もなく興奮してしまったようで申し訳ない!
こんばんはお嬢さん! 今日もいい天気で何よりだね!


【たははは、と申し訳なさそうに笑いながら】
【自分の頭を片手でわしゃわしゃと掻く仕草を見せながら挨拶を返した】


ほほう、正真正銘の"何でもあり"かね――うむ、実に面白いではないか!

ああ、君の言う通りだとも!
武術家の戦(いくさ)にとって必要なものは富や名誉などというものではない
ただ己の鍛錬がどれだけの高みに在るか、其れを確かめるために死ぬまで身体を虐め続ける大馬鹿者だ!

故に――余計な欲が混ざらない君の"草闘技場"は純粋だと、私は思うよ?
もっと形になったならば、私のような馬鹿がこぞって技を競う場になるだろう!


【彼女の言葉を全面的に肯定し、白い歯を見せて実に愉快そうに笑う】
【この男――見た目通りの"馬鹿"、それも"武術馬鹿"である】


それで、対戦相手が君だけ――という事は君は準備が出来ていると思っていいのかい?

私の名前は"ミスターM"!
もし君の都合が許すならば是非とも、そのリングを最初に使わせて貰いたいところなのだが――


【「――どうだろうか!」と、ニコニコと人の良い笑みを浮かべて彼女に問う】
【もし承諾を得られたならば、このミスターMという男は嬉々としてリングに上がるだろう】
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 22:08:32.11 ID:w5/wSuiSo
>>964
/あっ、やばい……すっごい所間違えてました
/「ミスターM」じゃなくて「ミスターY」ですorz
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/07(日) 22:21:29.97 ID:I1aHlB9o0
>>962

【静けさに包まれた公園、そこにいるのはただ一人の少女】
【目立つであろうがこのような時間に人などめったに来ず、ただ刀を振る音が聞こえていた】
【だが、一定までの殺気それが鋭かったのか、それを感知してふらりとこの公園に訪れるものがいる】

 はは、あの殺気を放ったのはお前か?

【かつかつと靴の音を響かせてこの公園に訪れれば件の少女へと顔を向ける】
【このような寒い時期に半袖の服を着ているがそれをフォローするかのように黒いジャケットを着て】
【下には黒で少々長めのズボンをはいていて、頭の髪はぼさぼさだ】
【しかし最も目立つのは逆五芒星刻――カノッサのエンブレムすなわちこの男はカノッサの構成員だ】

 なあ、おい、すげぇなあの殺気は濃くはなかったが鋭かったぜ

【笑みを、獰猛な笑みを深く深く浮かべながら少女に目を向ける】
【強い存在――彼が彼女に見たのはそれだった、基本彼は女子供は襲わない、それが彼の主義だから】
【だがこの少女は別だあれほどのさっきを放てるならば、強者だ】

 なあ、お前――死合わないか?

【そのように聞いてから彼は武器を召喚する】
【召喚したのは槍、それを構えて少女の返答を待つ】
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 22:23:18.84 ID:K43L9hCdo
>>959

【『あぁ?』と低い声。顔自体は手元に向けたまま、視線ばかりが声の側へと向けられて】
【些か不機嫌なようにも感じられるが―――まあ、道端で声を掛けられたなら、反応はこんなものか】
【ゆっくり、足下から顔へと全身を見、それから緋色の紋章を確認したなら。ようやく、顔をそちらへと向けた】

……女の子に声掛ける時までこんな顔してねー、っつーの。
毎日ナンパしてるわけでもねえし、たまのオフくらい、イイ男休んでもいいだろ?

【イイ男=c…そう自称する男は、どうにも軽そうなもので。寄ればわかるだろうが、香水の爽やかな匂いまでして】
【髪にしたって、眼前の彼がボサボサなのに対し、やたらと艶がある。よく手入れがされているのであろう】

【――隣に彼が来たならば、男は端末の画面を消し、ポケットの内へとしまって】
【それから、ふう、と吐息を一つ。生じた白が消える頃、また、口を開いた】

ん…………貰っとく。

ところで、だ。――――天下のSCARLETサマが、こんな所で肉まん食いながら何やってんだ?

【彼が取り出した肉まんを受け取ったなら、一口を齧る。それを飲み込んだところで、次は食べるのではなく、問う為の開口】
【この様子で仕事中、なんてことは流石に無いだろうな。俺じゃあるまいし――――などと考えるのは、おかしな事なのだが。】
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 22:28:11.93 ID:DjD+9dDNo
>>964

必要以上の追撃は、ダメ。
仲良く喧嘩が、モットーです

【凄く変だが仲良く殴り合う事だけが譲れぬルール(?)だそうで】
【要は異種親善試合的なアトモスフィアだそうだ】

…個人的には、これで完成。
強さに格式が出来れば、名誉が生まれる……

【「闘技場」じゃいけない、飽くまで誰でも…それこそ通りすがりですら参加出来る「草闘技場」】
【富も名誉も罪すらも全てが遠く、比肩するべきは己と目の前の相手の「強さ」だけ】
【古代のコロッセオすらドン引きな純粋な漢比べの場所である】

【そして、愛想よく笑いながらド突き合いして下さいと告白する男…ミスターYへと】
【ここでようやくほんの少し、悪戯っぽい笑みと言う表情と浮かべて見せながら】

………ダメ。

【まさかのお断り。しかし、彼女はそのすぐ後に言葉を続け】

…最初に使うのは、私と。貴方。
独り占めは、ダメ。絶対。

【デートは2人でするものだ。そう言う様に喉からクスリと笑い声を漏らして】
【ポールに張られたロープの上へと飛び乗ってから、リングの中へ降り立ち】

不束者ですが宜しくお願いします……なんて、ね?

【入っておいで、とミスターYを手招きし】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 22:30:35.56 ID:Nkv0t87/0
>>963
【その投擲に反応したのは狼だった】
【首をはねられた屍体の首を見れば、その切れ味は悪くないものと見える】
【しかし、鋼鉄を貫くことが能うほどではない、という読み。】

【ゆえに、その身をナイフと青年の間に割り込ませるように跳躍し、そのナイフを弾く】
【ユーリの視界は封じられたに等しい。それに乗じて相手が接近を仕掛けてくる】
【そして、ユーリはその接近を察知できない】

【はずであったがユーリはその接近を捉えていた。なぜならば、狼の目がその様を克明に見つめていたからだ】
【そして、そのまま】

「蝕狼式機術―鋼刃ノ三、牙刀双連」

【折りたたみ、曲がり、合一し、一瞬のうちに狼は銀色の片刃剣二振りに『変形』した。それを左手は順手で、右手は逆手で握りしめる】
【一瞬前まで巨躯と言ってよいだろう狼に塞がれていた視界が晴れる】
【接近していた外套の男に左手に握った片刃が横に閃く。その鋭さ、速さは敢えて、ある程度戦闘の心得があれば回避の容易い速度だ】

【この戦い方はユーリの癖と言っても良かった。】
【弱者ならばその左で取れる。まあまあできるものならばそれを見切り、躱す。そして強者ならば、その次の段階。右の刺突に対応できる】
【そのまず一段階目。左の横薙ぎを見た男の反応は果たして。】

【相手を侮った戦い方である】【それは、路地裏で『仕事』をこなすほどの相手に、どこまで通用するのか】
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 22:41:29.83 ID:w5/wSuiSo
>>968

ははは――全く以て非の打ち所もない素晴らしい持論だね!

そうともな、ランクが生まれるならば公式の場で腕を披露すればいい!
このような場であるからこそ出来る戦いをしていきたいものだ!


【ドン引きどころか真っ向から褒めちぎる。】
【どうやらこのマスクマン、この女性のことを"漢"として見込んだようで】
【実に心地が良さそうに彼女の語る言葉を耳にしていった】


…………うぅむ、昔から私はどうにも女心というものが判らなくていけないね

レディの方からエスコートさせてしまうとは
故郷の妻に見られたら「てめえ玉ついてんのか!!」と脳天を割られているところだよ!


【無骨な見た目の通りというか、そういった方面の気遣いは不得手のようで】
【何やら少々バイオレンスな身の上を交えながらも】
【少し不器用そうな表情を口元に浮かばせて――】


ああ、喜んで! 私の方こそ無作法な身でありますが試合――よろしくお願いします!


【――地面を強く蹴り、爆散させながらも跳躍】
【一飛びでリングの上に降り立つと、姿勢を正し深々と頭を下げて礼をした】

【開始の儀式。これが終わったならば――すぐにでも決闘は始まることだろうか】
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 22:47:00.92 ID:tR03xZ/ao
>>966

【――足音。気配。声。殺気を掻き消し一定の集中力のみを維持しながら、耳だけを傾ける】
【一般人の線は薄いだろう、常人ならば殺気に触れてその場へ近づこうだなんて思わない筈だ】
【どこか陽気で明るい声。愉しそうな――そう、まるで新しい玩具を手に入れた子供のような、弾んだ声】

「……ええ、そうよ」

【問に肯定の意を返し、だらりと木刀を右手に持って力を緩めた】
【嫌な予感は大抵当たる。彼女が今まさに感じているのは其の類のものであり――いいや、嫌な予感と言い切るのは早計か】
【自分の意志を貫き通すために、力が欲しい。進み、償い、変革するために強くなりたい】
【一番手っ取り早く強くなる方法はたった一つ、強い者との戦闘経験を詰むこと――少女は、視線のみを男へと送り】

「嫌だ、なんて無粋な答え――――返すと思う?」

【木刀を握り締めると、男へと向き直った。カノッサのエンブレム、どうやら自分は機関とどうも縁があるらしい】
【彼が先日出会った女より強いかどうかは分からないが、カノッサ機関に所属している以上弱いという事は無いだろう】
【怖くない訳ではない。次こそ死ぬかもしれない、そう思うと身体が震えそうになるけれど】
【強くなりたい、変わりたい、其の思いが嘘ではないと証明するために、彼女はせめてもの強がりだと言わんばかりに涼し気な微笑を浮かべ】
【集中力を高め、殺気を研ぎ澄まし始める――――かかってこい、そう言わんばかりに】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 22:53:13.81 ID:Z4qmuJNjo
>>967

【見知らぬ他人にいきなり声をかけられる――――というのは、こちらではあまり愉快なことではないらしい】
【それぐらいはとっくの昔に承知していたが、まあ、これは習慣みたいなものだった。体に染み着いた悪癖といってもいい】
【自分が不躾であることを自覚しているがゆえ、不躾な態度を返されるのもたぶん慣れているのだろう。男は自分のペースを崩さない】


………かーっ、言うねえ兄ちゃん。
俺にもそういう茶目っ気のひと欠片ぐらいはありゃ、ちったあモテたのかねぇ……。


【冗談なんだか本気なんだか、ナルシズムに満ちた軽薄な台詞。男は妙に芝居がかった動作で頭を抱えてみせる】
【明らかに自分と違うタイプの人間だとは思ったが、それで気分を害すようなこともなかった。むしろ少しだけ羨ましいくらいで】
【何せ、ちょっと徹夜して街を歩けば良くて鳶職悪くて暴漢の扱いだ。仕事の事情もあってとうてい女っ気とは縁遠いのである】

【ふと香る香水の匂いに若干顔をしかめる。つまり男の場合、まずその良さを理解するところから始めなければならないのだけれど、】
【男を磨くテクニックよりも今懐に仕舞われたモノの出自の方が気になってしまうあたり、その日はまだ遠そうだった】


何やってるかと言われると………何もやってない、としか言えねえな。
厳密に言えば、何かやってきた帰りというか。
まぁ、仕事がひと段落着いたんでちと休憩中ってところだ。

そういう兄ちゃんは、今日はオフっつってたか。
普段はどこで働いてんだい?


【見た目通りの健啖ぶりを発揮して、男はもう二個目の肉まんを頬張り始めていた。口の中を空にするなり男は説明し始める】
【SCARLETの仕事、といえば大体想像はつくだろう。男のジャケットに残っている真新しい汚れや傷からも内容は伺えた】
【……実際は、こんな半端な時間帯に公的な休憩時間などあろうはずもなく。本当は詰め所に帰って報告書を作らなければならないのだけれども】
【サボりを悟られないよう適当に誤魔化して、男は若干目を泳がせる。間を埋めるように今度は、そちらの働きぶりについて問うてみたりするのだった】
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 22:58:45.84 ID:DjD+9dDNo
>>970

ん、平気…ぶつかり合うなら、対等が良い
……それに、お面被ったのは、変な人が多いって知ってるし

【エスコートする側される側なんて、最初から上下関係が出来て居ては比肩する意味が無い】
【真っ当に、真っ向から、今から全てを競い合うのだから、まっさらな状態が良いとの事で】
【そして関係ないが身内にもミスターYみたいな風貌の人間が居るとか何とか】


……飛鳥馬、七生(あすま、しちせい)
流派は、色々?ん……宜しく、ね

【腰に提げたグローブ、拳頭部分にだけ鋲の付いたそれを確りと嵌め】
【相手が頭を下げると釣られる様に小さく頭を下げつつ名乗ってから……】

疾ィッ!!!!

【「始まって」からの彼女の動作は速かった】
【鋭く素早い動きで踏み込んで、小手調べと言わんばかりに少し大振りのアッパーを男の顎へくれてやろうとし】
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/07(日) 23:03:50.33 ID:82CMBtF/o
>>969

【相手の読みは正解だ。如何に切れ味が良くても鋼鉄を裂くほどではない】
【甲高い金属音を響かせながら6つ全ての刃が弾かれて地面に落下し壁に突き刺さる】

【塞がっていた視界が開き両者の距離が縮まる】
【二振りの剣を構える敵の一挙手一投足を魔力によって強化された動体視力と反射神経が捉える】

【横薙ぎの一閃は容易に見えた。まずその初撃を踏み込みつつ屈んで回避】
【続く第二撃の刺突を半身を前に出すように90度回転させて更に回避しつつ接近。背中を剣が掠めていく】

【刺突後の伸びきった腕を左手で掴み左足を引きつつ引き寄せる。同時に右足で踏み込みながら右の肘を腹めがけて突き上げる!】
【相手の前へ出ようとする動きを利用した強烈な一打だ。魔力で強化された筋力で打ち込めば一般人なら一撃で沈められるほどの威力がある】
【だが相手は一般人とは程遠い。果たしてどの程度のダメージが望めるか……】


//描写の都合上、左手を掴むという確定描写を入れてしまいましたが、さかのぼって掴もうとする手を避けたり弾いていただいて大丈夫です!
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 23:19:27.39 ID:w5/wSuiSo
>>973

では、始めようか七生くん! いい試合にしよう!


【マスクの額に刻まれた「Y」の文字を月光に燐かせながら】
【空間を揺らすような裂帛の声と共に――試合は始まる】

【ミスターYは深く腰を落とす】
【足の位置を組み替え、左足を前足とし左拳は人中直線上、右足を後ろ足とし左拳は下丹田上に被せるように添える】
【その状態からトン、トン、とリズミカルな上下のフットワークを交えて"臨戦態勢"を整えると】


はぁ――――ッ!


【開幕早々、凄まじい速度で懐まで飛び込んでくる七生に対して】
【ミスターYが行ったのは"攻防一体"の返しであった】
【トン、と僅かにバックステップをすると同時に、前に出した左手の拳を解いて掌を開き】
【アッパーに合わせるようにして横合いから振るい、七生の腕に添えるようにしてそっと掌を触れさせようとするだろう】

【"払い"。受ける、避けるでもなく力を"逃がす"事で相手を無力化する防御法だ】
【もし決まってしまった場合は、どのような技術か外側に向かって弾くような力が生まれ】
【腕を大きく逸らされることで、その場で体勢を崩されてしまう可能性があるだろうか】

【崩されてしまった場合は、次の瞬間に残った右拳による正拳が腹に向けて放たれる事になる】
【「伝統派空手」。基礎中の基礎とも言える日本の代表的な武道の一つ】
【「後の先」に長ける其れが、ミスターYの修めた戦闘術であった】


【堅牢にして実直。下手に手を出せば受けから即座に凶悪な返しが飛び出す要塞じみたこの漢】
【七生はどのようにして攻略し突き崩すだろうか――】
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 23:19:29.02 ID:K43L9hCdo
>>972

【半ば冗談で、半ば本気。先の言葉から察するに、ナンパをしている様子だが、多少なりとも自信が無ければ、そうできる事でもなかろう】
【―――ただし、ナンパはよくするものの彼女はいない。上手くいっても飲み友達℃~まりであって】
【ただ、それは今、彼の知る由も無いこと。今わかる事と言えば、彼の顰めた顔に対し、小さく笑ったことで】

――――なーるほど。そういうところ≠ヘ、似てるみたいだな。
それなら、声を掛ける相手には気を付けた方がいいぜ?
マジメなやつだと、何言われるかわかったもんじゃねえから、な。

【仕事中に色々と≠キるのは、この男にとってはままある事。】
【そんな男からすれば、彼が誤魔化そうとした事も、今の情報から察するのは容易くて】
【ニヤリ。口の端を持ち上げながら、ちょっとした忠告などしたりして】

……俺か?俺は、自警団所属だ。
ああ、それから――――――――UNITED TRIGGERと。
これでも、六罪王と戦った事だってあるんだぜ?

【さて、彼の問い掛けに答えて口にするのは、二つの正義組織の名】
【特に後者。この答えを聞けば、先ほど気にしていたモノの出処もわかるだろう。】

【―――この軽そうな男が、代表的な巨悪のトップと戦っている姿は、想像し難いかもしれないが。】
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/07(日) 23:21:14.79 ID:I1aHlB9o0
>>971

【無粋な答えを返さずに、こちらへと返答をよこす少女】
【さらに殺気を研ぎ澄ましていく、かかってこいと言っていわんばかりにだ】
【その殺気は彼にとって、心地よかった】

 キハハハ、いいなぁその殺気実に――気持ちいいいぜ

【獰猛で残酷な笑みをさらに深く浮かべな、槍を構えて、深く腰を落とし――一気に疾走した】
【距離はある程度、離れてはいるがこの疾走で一気に間をつめていく】
【そして、間をつめて槍の攻撃範囲内に入ったのなら、その速さを生かした突きを放つ】
【疾走した速さが加わって槍の突きは速い、最初の攻撃から全力だ】
【とはいえ速さ任せの粗がある――速さに任せすぎた、だからこの攻撃を防げば彼は隙をさらすことになる】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/07(日) 23:28:55.40 ID:Nkv0t87/0
>>974
【しまった、右腕を引き寄せられながら思考は冷静だった】
【思考する剣との緊密な連絡。脳が二倍に増えたような錯覚】

【導き出した結論は】
【引かれる動きに抵抗せず、しかし左足は確固たる目的を持って動いた】
【震脚。あるいは踏鳴と呼ばれる、強く地面に足を踏み込むという動作を、相手の右足の上へ落とす】

【そして、息を吐きつつ力を込め衝撃に備えた。が、威力は殺しきれるものではない。】
【ぶつかる、というより突き刺さる、という表現が正しいような肘。】
【骨の折れる音は聞こえてこない。息を吸うことに違和感と苦痛――だが、それだけだ】

【ならば、と。】
【左手の片刃を自らに差し込むような動き。もちろんそこには、懐に入った相手が居る】
【半身で打ち込んだ姿勢ならば、それが刺さる位置は相手の左背側だろう。】

【それが目的の震脚、相手をここに「縫い付ける」ための】
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 23:43:32.51 ID:tR03xZ/ao
>>977

【なにか隠し球がある可能性は否めないが、今のところ相手は槍術の使い手と見て間違いないだろう】
【槍。刀より扱いやすく、何より間合いが広い。間合いの広さは戦闘を有利に運ぶための条件の一つであり、なにより恐怖心を薄れさせる】
【目の前の男の場合恐怖心など関係ないかもしれないが――――ともかく、槍の長さは彼女にとっては非常に厄介だ】

「あら、そう……なんなら殺気だけじゃなくて、こっちも受けてみたら――――」

【右足を引き左半身を相手へと向け、木刀の剣先を自分から見て右後ろへと向ける】
【本来、彼女の戦い方――――いいや、殺し方は先手必勝を地で行く、超攻撃的なモノである】
【一撃に全力を賭け、其の首を落とす。威力は高いが隙は大きい、だが一撃で決めてしまえば其れも関係ない】
【だがそれはあくまで相手を殺す方法であり、戦う方法ではない――そして今彼女が求めているのは殺人の技術ではなく、闘争の技術だ】
【殺すのではなく、戦う。殺すのは最終手段であり、あくまで戦い勝てる強さがほしい】
【だからあえて先手を譲り、待ちの姿勢を取った――――男が戦い慣れているならば、彼女の様子を見て理解出来るかもしれない】
【彼女は戦い慣れていない。一方的な殺人と戦闘ではわけが違うのだ、彼女は殺人の場数は踏んでいても戦った事は殆ど無い】
【そして何より致命的なのは、彼女が扱う殺人術――――処刑術と呼ばれるそれには、近づく為の歩法と殺すための斬撃はあれど受けの技と回避の技が一切存在しないのだ】
【学んでない以上、攻撃を受け止めるなり躱すなりするにしても、己の身体能力のみを頼って行う事になる】

【集中する。比較的動体視力だけは高い為、攻撃を目で追うことは出来た――――だが反応できるかどうかは別問題であり】
【突きが放たれた。一歩遅れて体を左にずらし回避をしようとするも、右腕を槍の穂先が掠め取っていく】
【彼女は只の人間だ。身体の耐久度に至っては其処らの同い年の少女と大差無い――掠っただけで、深く肉が抉られる】
【血が溢れる。激痛に歯を食いしばりながらも、なんとか一撃で死ぬ事だけは回避できた】
【同時に訪れる攻撃の機会。此処を逃せば次はいつ隙が出来るか分からない――――痛みに集中を妨げられながらも、左足で踏み込み】

「――――どうかしら、変態さんっ!!」

【右下、下段から迫り来る木刀での一撃。相手の右太ももを狙って放たれた其れは、風を切りながら進んでいく】
【速度はそこそこ、十分に見切れるだろう。攻撃後に必然的に生まれる隙を小さくするために、威力も其処まで高くはない】
【狙いは相手の機動力を少しでも下げること――――威力をあえて低くしているため、其処まで大きな隙は生まれない】
【だが傷を負い集中力を既に欠き始めているため、彼女の攻撃後の隙を狙うことも不可能ではない筈だ】
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 23:47:39.56 ID:DjD+9dDNo
>>975

【自分の振り上げている拳が、その威力に対して微かな力で横合いに流されるのは即座に理解…いや察知出来た】
【同時に目の前の相手は思った以上に「出来る」人物だと思い知らされ】

【―――直後に、自身の腹へと鋭い一撃を。鈍い痛みを覚えさせられた】
【直撃と言っていい、普通ならばその場に膝を突いていただろう】

【が…正拳突きを繰り出したミスターYは嫌でも気付かされるだろう】
【その女、飛鳥馬 七生の腹が人の持つ「硬さ」とは異質な事に】
【自己強化。急な事で十全な効果こそ発揮できなかったが持ち前の根性と負けん気も合わさり、開始早々の一撃を耐えて見せ】

―――

【最早踏込すらせず、お返しと言う事も無く。空振り振り上げた右腕の肘を、自分の腹へと突き込まれたミスターYの右腕目掛けて振り下ろす】

【なんと奇遇な事か…彼女も本来は、後の先を得意としていた】
【しかし其方とは違って此方は「耐えて、殴り返す」と言う男らしい方向性でだが】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/07(日) 23:47:51.32 ID:82CMBtF/o
>>978

【攻撃の直前、足に震脚を重ねられる。抵抗するだけなら重ねる必要はない。何故?】
【疑問の答えが判明したのは攻撃の直後。背後から迫り来る凶刃。当然、彼には見えていない】
【だが──仮面の男はその不可視の一撃を、“全く見ずに”対応した】

【縫い付けられた片足は動かしようがない。ならば、とそれを軸に微かに身体を左回転させる】
【敵の右腕を離し左腕を振るって背後から来る剣を側面から弾く。それによって生まれる時間は一瞬だろうが十分だ】
【すかさず右手で相手の顎めがけて真下から強烈な掌底を放つ。肘打ちほどではないが脳震盪を起こすには十分な威力がある】
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/07(日) 23:53:14.34 ID:Z4qmuJNjo
>>976


……らしいなぁ。ただでさえ普段クソ真面目な部下にせっつかれてるし、同業に叱られるのは勘弁願いたい。
ま、兄ちゃんがマジメなやつ≠カゃなくてよかったよ。俺の人を見る目を曇っちゃいないらしいぜ。


【鼻腔に張り付いた匂いを誤魔化すように、男は肉食獣じみて盛んに肉まんを頬張った。まさしく『色気より食い気』の体現だ】
【やすやすと休憩≠フ真意を悟られてしまっても一切悪びれず、男はむしろ別の意味での同業が見つかったことを嬉しがった】
【その辺、器量が大きいというべきか適当というべきか。少なくとも、男は目の前の彼が軟派で不真面目そうだったからこそ話しかけたらしい】
【男は言わなくてもいいのにそれをわざわざ口に出して、わざとらしくおどけてみせるのだった】


ほぉー……。ハハッ、優男かと思ったら、どうやらとんだ大物引き当てちまったみてぇだな!
かくいう俺も自警団とSCARLETの二束の草鞋でな、実はおたくの同胞と何度か共闘したこともあるんだが――――。
UTかぁ、兄ちゃんから見てあそこはどうだ? 居心地はいいか?


【六罪王と戦って、こうして生き残っている――――さらりと付く嘘にしてはあまりに大きい内容だ。一瞬だけ、男の双眸が引き締まったように見えたが】
【それを事実と確信できる何かを直感的に感じ取ったのだろうか。あるいは単に気質上の問題かもしれないけれど、とにかく信じることに決めたらしい】
【楽しそうに笑って新しい肉まんを齧り、自身もちょっとした来歴を語る。これが自警団員でいいのか……という疑問は、もしかするとお互い様か】

【軽い口調を崩さないまま、男はUTについて追求する。形は違えど同じ正義を追う者として、こういう興味はある意味自然なことなのかもしれない】
【もっとも、情報というより感想を求めているような口ぶりには本人の性格がよく現れているけれど】
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/08(月) 00:01:51.64 ID:owBAxnWe0
>>981
【ひ、と笑いが出た】

【近接格闘は得手だ。それは間違いではない。そして、正しく言うならば】
【武器を使った戦闘全般が得意だった】

「蝕狼式機術 鋼刃ノ十二 放狼火 単(ひとえ)双(ふたつ)」

【言うが早いか、体を大きく反らせた。右腕が放されたのに任せて。左腕がはじかれたのに任せて】
【そして、両手の剣が変形したのは銀色に光る38口径拳銃。】

【そして、足を踏み切り、後ろへ『跳び』、引き金を右、左、右。】
【合計三回。狙いはいずれも面積の大きく、ぶれずらい胴体。しかし今の姿勢、状況では牽制にしかならないのかもしれない。】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 00:07:30.45 ID:GLXNmRYto
>>980

(硬い――――ッ!?)


【拳に伝わるのは、まるで岩でも殴りつけたかのような異質な感触だ】
【鍛えているだろうとは当然予想していたが、想定していたのは飽く迄も"人体"の範囲】
【本来は有効打になっただろう一撃は、しかして浅く即座の反撃を許してしまう】


ぬ、ぐっ……――!!


【この距離だ、振り下ろされる腕をステップで避ける時間など許されない】
【何よりも殴った際に生じたゼロコンマ数秒の動揺が決定的であった】
【腕の"引き"が間に合わず、右前の中頃に七生の肘が鋭く突き刺さった】

【こちらには能力的な補助は一切ない】
【まるで電撃が走ったかのような衝撃と激痛に眉を顰め苦悶の声が歯の間から洩れ溢れた】

【これでこの戦闘中に右腕は十全には振るえない】
【安く見積もっても骨に罅は入っているだろうと、Yは即座に判断した】

【離脱するべきか――否、彼女の機動力は確認している】
【退いたならばそれよりも早くその拳はYへと到達し、生じた一瞬の隙を穿たれるだろう】
【つまり取るべき手段は一つ……息が触れ合うような"超接近戦"だ】
【それを認識したYの表情は――】


ハハ、ハハハハハハハ――――ッ!!


【――喜悦。武に魅入られた修羅の其れであった】

【お返しと言わんばかりに放たれるは顔面を狙った"左腕上段順突き"】
【ステップを止め、その場で一瞬踵を浮かせた後にダン!と足裏で地面を叩き】
【生じた力を身体の捻りにより上へ、上へと伝導】
【突き出した腕に捻りを加え、インパクトの瞬間に拳を握りしめる――ここまでの工程を一呼吸の間に行う】

【一瞬でも早く、少しでも強くと先達により考案され】
【45年を数える鍛錬により身体に刻み込まれたその拳は、命中したならば突き抜けるような衝撃を生み出す】
【技術によってゼロ距離であろうとも破壊的な威力を実現させる努力の結晶だ】

【早々に血生臭いインファイトに突入したこの戦い】
【互いの体得した武は、この後にどのような展開を紡ぎ出すだろうか――】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 00:15:30.49 ID:XPDchzRgo
>>983

【如何に強化された動体視力、判断速度、身体能力といえどもこの至近距離の銃弾は対処できない】
【鈍い音が三度響いた。銃弾の全ては狙った箇所に命中。しかし貫通はしない。それどころか流血さえもなかった】
【仮面の男が着ている外套と更にその下の衣服は特殊な作りで耐衝撃性能に優れている。銃対策というわけだ】

【とはいえその衝撃の全てを殺せるわけでもなく、3発の銃弾は彼の動きを完全に静止させた】
【銃撃が終われば当然追撃に移る。後ろへ跳んだ相手に追従するように接近。左手の指の間から刃が現れる】
【銃撃によって開けられた距離を剣による刺突で強引に埋める】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/08(月) 00:20:03.61 ID:BsMuN9RB0
>>979

【彼に恐怖心はある、それは断言できる、なぜならそれがなければあっさりと死ぬからだ】
【だがそれ以上に彼はバトルジャンキ−だ、恐怖心は戦いの高翌揚感に包まれて抑えられてしまう】
【だからこそ、あの突撃を迷いなく実行できた】

 ハハヒヒ、ひどいなぁ変態とは

【そのような軽口を叩きながらも彼は風を切りながらくる一撃の回避の動きをしようして――止めた】
【彼にとってこの攻撃は耐え切れる、日頃しっかりと鍛錬をしている】
【さらには攻撃武器は木刀、ならば切り傷など気にする必要もない、打撃はされるがこの程度問題にならない】
【ならばこそ、彼はこの攻撃をあえていなさず、脚に力を入れて――攻撃を食らった】

【その攻撃は威力は小さい、しかし小さくともしっかりとダメージは食らった】
【打撃で少しばかり脚の力が抜けかけるがそこは気合で耐える】
【そして一気に少女へと反撃の体勢へと素早く移った】

 次の攻撃はちときついぜぇ!

【脚に力を入れたぶんの貯め、さらに腰を捻ってそこから一気に槍を横へと払った】
【狙いは腰部分、穂先ではなく柄の中央部分がその腰部分の攻撃の主体となる】
【つまりは打撃としての攻撃、さらにそこには足の力が貯められており速い】
【だが少女はこの攻撃には大きな隙をさらしておらず冷静に行けば防げる攻撃だ】
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/08(月) 00:28:14.70 ID:owBAxnWe0
>>985
【着地。後ろに滑りながらも足の裏からのランディングに成功した。】
【顔を上げれば――相手はすでに動き出している】

【思案、銃は効き目が薄い様子だが、先ほどの斬撃は弾く必要があった。拘束を解いてまで】
【あれを握られたままだったら、自分の意識は刈り取られていたかもしれない】
【つまり、防刃性能は薄いと見るのが妥当】

「蝕狼式機術 鋼刃ノ七 双斧嵐牙」

【二挺の拳銃は二振りの手斧に、腰を落とした獣のような姿勢で、手を下し気味に構え】
【右手の大振りな縦振り。狙いはその左手の先、白刃閃く刺突の先端―――!】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/08(月) 00:30:17.11 ID:LwHVQ0lio
>>982

【彼と話している最中であっても、男の視線は時折、往来の側へと向けられる】
【そんな時、視線の先にいるのは大体が若い女性。そういった辺りが、この男らしい%_であり、自警団らしくない%_であった】

【さて、彼がUTについて問い掛ければ、男は少しの間、考えるような表情を見せる】
【その様子は、考えてみたこともなかった、といったような具合で。】

居心地、か…………。

セリーナの性格もあってか、基本的には緩いし、かなりいい所だと思うぜ?
――――何より、女の子も多いし。

…………まあ、最近は色々あったけど、な。

【口にする名は、今や超有名人と言っても過言ではないであろう、リーダーの名前】
【それから、また口の端に笑いを浮かべていたけれど。続く言葉を発する時には、それも消えていて】
【少し前、世間を賑わせた話題。昼の国の宗教都市、その大司教と六罪王に関する一連を覚えていたならば、察しもつくか】

そういえば、俺もSCARLETのメンバーとは何人か会った事あるな。
瑛月とか……ミドナとか。つっても、ミドナと会ったのは戦場じゃなかったけど。

【それから、今度は彼の属する組織の話。数人だが、面識のある人物の名を挙げてみて】
【特に考えあっての発言ではなかったけれど、少しばかり、彼の反応を見ていた】
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 00:32:41.21 ID:cCG5tECko
>>984
【マトモに喰らったとは言え、七生にとって今、腹に痛みがある事は驚くべき事実であった】
【能力が十全では無かった、打点をずらす事すら出来なかった。言い訳は幾らでも出来るだろう】
【しかし、自信が有った。咄嗟にでも能力を使えば効きはしない。受ける覚悟さえ決めれば止められる……それらが「慢心」だと気付かされた】

ニ――――――ヒッ

【不器用に、此方も大きな笑みを浮かべ返す】
【大きな声で笑う事にこそ慣れていないが確りと。貴方の様な「強き」に出会えた喜びをその顔いっぱいに浮かべて――――】

【閃光にも似た己の顔を狙った一撃を、上体ごと頭を仰け反らせて躱し】
【否…微かに遅れたか、かけていた眼鏡が弾かれ。額からパッと鮮血が散る。浅い傷、幸い視界を覆う程の量の血は出て居ない】

そ、こぉ!!

【仰け反った上体を引き起こしつつYの左わき腹を目掛けて右の拳をフック気味振るって】
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 00:35:12.11 ID:XPDchzRgo
>>987

【刺突は斧の一撃により叩き落される。落ちた剣に引っ張られて左腕が落ちる】
【気にもとめずに今度は右手による刃の一閃を首めがけて振るう】
【それが防がれれば左の刃で振り上げ、右で刺突と、連続で攻撃を重ねる】
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 00:36:02.26 ID:XPDchzRgo
//>>990の最後の文は【それが防がれれば】を【それがもし防がれれば】に変えてくださいすいません
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/08(月) 00:40:08.07 ID:8wke+NPzo
>>986

【防ぐ、躱す、痛みを恐れるならばそうするのが正しいだろう。彼女も痛みを好む様な人間ではないため、そうすべきなのだろう】
【普通ならば其の何方かを選ぶはずだ。其れこそが正しい選択だ――――だからこそ、彼女は其の何方も選ばなかった】
【今のやりとりで実力差が在ることは分かった。無論自分が劣勢、相手はやり慣れている上に技術も高い】
【ならば多少のダメージに頓着していては勝つことは出来ない、意表を突き其処からさらに攻撃に繋げなければ勝機は無いだろう】

「殺気を受けて気持ちいい、なんて言ってる人は変態でしょう?」

【故に彼女は攻撃が受け止められたと判断した其の瞬間、次の行動を開始していた】
【回避でも無く、防御でもない――――前進。相手の間合いに入ってしまったならば、いっその事其の距離をゼロにしてしまえばいい】
【槍の間合いの広さは恐ろしい。だが逆に間合いが広いからこそ、得物が長いからこそ、距離を詰められ過ぎると十分な性能が発揮できない】
【刀も其の点では同様だが、自分が接近する側な以上前もって準備を行うことは可能であり、近づいてしまえば取り回しも刀のほうが容易である】
【よって彼女は前に進んだ。一切の躊躇いなく、そうすることを最初から決めていたかのように】
【振り払いも、近づけば威力を下げることが出来る。躱すという思考は捨て、攻撃を受け止めるべく息を吸い――――】

(――――まずっ!!)

【脇腹へと直撃する攻撃、近づいていたため威力の半分ほどは殺せたが、それでも痛いことに変わりはない】
【何より問題なのは、彼女が万全の体調ではなかったということ――――前回の戦闘からダメージが完治していない事が、此処に来て仇となった】
【槍の柄が直撃したことにより、傷口の一つが開く――――熱、滲み出る血。ああ、確かにこれは不味い】
【吸い込んでいた空気が一気に口から吐出され、一瞬動きも止まってしまう。だが此処で止まったら、絶対に自分は勝てない】
【たった一歩でいい、距離を詰めろ。痛みすら無視した強制信号が彼女の身体を無理矢理動かし、相手との距離を極限にまで詰めようとする】
【もし動きが詰められた場合、前進の速度と全体重をかけた木刀の柄≠ェ、男の鳩尾めがけて突き出されるだろう】
【体格差、体重差、技術、経験、総てが劣っている以上、勝つならば『急所』に『全力』の一撃を加える他ない】
【そして其れはおそらく一度外せば、もう二度と当たることはないだろう――――この一撃で、勝敗は決すると言ってもいい】
【此れが外れれば、傷口が開き始めた少女に勝機はない。もとより体力もあまりなく、血を流し続ければ失血で倒れるのも時間の問題】
【まさしく全力の一撃が、男へと向かって放たれる――――――――】
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/08(月) 00:49:02.67 ID:owBAxnWe0
>>990
【右、曲線を描く一刀は首へ】
【大きく払う動き。トップヘヴィな斧という武器は、大きく振ることによって破壊力を増す】

【胴体まで切り込むのはリーチの観点から、先ほどの体術を鑑みても避けるべき。】
【であれば、そして。一合目からおそらく五分と経っていないはずなのに、焦れる】
【戦闘不能へ追い込む術を考えて―――】

【右手の刃を弾かんと見えた軌道、大きく振るわれたそれが狙うのは、前腕半ば。腕の内側を狙う一撃、その成否はいかほどだろうか。】
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 00:50:14.32 ID:GLXNmRYto
89

――――見事ッ!


【放った拳は、七生によって回避され眼鏡を掠めただけで空を切る】
【しかしYの胸に宿った感情は悔しさや驚愕ではなく――"よくぞ避けた"という賞賛】
【相手が強く高みにあるほど、自身をもまた引き上げてくれる】
【窮地とすら呼べない戦いなど、興じるに値しない遊戯に他ならず】


【回避から連なる反撃の一手。しかし、既にYは体勢を立て直している】
【突きは"引き"までが一連の動作だ。放った次の瞬間には手元まで引き戻されている】

【上体を引き起こす時間……それだけあれば十分すぎる】
【放たれるであろう攻撃を、筋肉の動きから読み取ると即座に対応する】
【重ねられた実戦の内に培われた"見切り"、其れにより左脇腹に向かうフックへと】


破ッ……――――ッ!


【左掌をストンと"落とす"。接触する寸前に七生の右手首に触れようとし】
【成功したならば、掴んで自身に向かって引き寄せるようにして相手を"崩そうと"する】

【この行動が成立した場合、七生の身体は前方にグイっと倒れこむようになる可能性がある】
【その場合は腹部目掛けて槍の如く重く鋭い右膝蹴りが叩き込まれんとするだろう】
【相手の勢いも利用したカウンター気味の蹴打。直撃した場合凄まじい衝撃が与えられるかもしれない】

【しかし、足を出すということは相応のリスクも孕んでいる】
【強力な分外した際の隙が大きく、そのまま足を取られる事も考えられるからだ】
【もしこの"受け"を乗り越えられた場合、一転してYを窮地に立たせる事も可能であろう】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 00:51:26.04 ID:GLXNmRYto
/>>994>>989宛です!
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/08(月) 01:05:45.50 ID:wk4+7rEpo
>>988

【男が往来を見やるのに釣られるように、この男もまた時折往来へと視線をやる。といっても、こちらは目的もなく視線をさ迷わせるだけだ】
【まあ、女性を目で追うのもしゃもしゃ顎が動き続けるのも、節操がないという意味では変わりないけれど――――】


セリーナか……実は俺も、一度あいつと組んで六罪王とやりあったことがある。
確かに戦力的にも相当のモンだったし、何より気のいい姉ちゃんだったなぁ。あの時の印象は間違ってなかったってことか。

……俺は関われなかったが、またぞろ昼の国方面で動きがあったんだったな。
だが、そう悲観することもねぇさ。UTもウチもやられっ放しで終わるほど脆い組織じゃない。そうだろ?


【硝煙と魔力の匂いを思い返しながら、男は虚空を見上げてそんなことを言った。「あと美人だったし」と笑い返すのも忘れず】
【リーダー当人と共同戦線を張ったのは一度きりだが、UTは彼にとって何かと背中を預けることの多い組織であることに変わりない】
【仲間≠ェ良いヤツであるのは、彼にとっても嬉しいことで――――男はたったそれだけを理由に、あえて色々≠笑い飛ばしてみせた】
【暢気と言われればそれまでだが、ここまで豪胆だといっそ、さしたる根拠もないのに何故だか頼もしくも見えるから不思議だ】


……そうか。奇遇だな、どっちも知ってる名前だよ。

なぁ――――同じような質問で悪いんだが。ミドナはお前さんから見てどんなヤツだった?


【彼はそのご機嫌な調子を崩さないままに、男の口から顔見知りの名が出たことを楽しそうに驚いてみせるだろうか】
【――――何気なく浮上してくる固有名詞の途中、一瞬だけ、銀色の双眸に影が落ちたようにも見えたけれど】
【それもほんの刹那のこと。男はあくまで共通の知り合いの話題で花を咲かせる程度の軽い調子を保ったまま、また感想≠求める】
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 01:14:03.85 ID:XPDchzRgo
>>993

【大振りな斧による反撃は攻撃への対応としては完璧だった。しまった、と思ったときには遅かった】
【腕の内側から前腕部に斧の刃が入り皮膚から筋肉を切り裂いていく】


 ──ぐ、うぉおおおおおおおッ!!


【仮面の男が激しい痛みに絶叫を漏らす】
【斧は腕の中ほどで止まっていた。本来なら両断していても全くおかしくないが、これも彼の術による結果だった】
【鮮血が飛び散り、仮面の男の腕や相手の青年の腕を真っ赤に染め上げる】

【だがこれで怯むような男ではなかった】
【左手に持っていた剣を全て捨てこちらの攻撃を防いだ側の腕を掴む。逃げられないようにした上で、左足で足払い】
【更に払った左足でそのまま震脚──強い踏み込みと同時に強引に右腕を斧から引き剥がし後ろへと伸ばしながら】
【左肘で宙に浮いているであろう敵の腹部に肘打ちを放つ】
【身体を開きながら放つ肘打ちはかなりの衝撃だ……が、初撃ほどの威力はない】


//今回もまた掴む描写に対して弾いてもらって大丈夫です!
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/08(月) 01:15:35.84 ID:BsMuN9RB0
>>992

【自分の攻撃が相手に届いた手ごたえはきっちりと確認できた】
【威力の半分ほど殺されたが、それは彼にとっても規定していたこと】
【そのため素早く払った槍を少女が一瞬で止まったすきに戻そうとする――だが】

 ああ、がんばれ!

【相手は止まらない今の一撃を受けても止まらない、だからこその賞賛だからこその応援】
【古傷が開き血が出るが相手はあきらめずに全力でこちらに一撃をくらわせに来た】
【弱いものいじめはつまらない、だからこの少女の気概は好ましい】

【だからこそ彼はそんな少女の全力に答えるようにこちらも全力で応じた】
【相手は鳩尾に一撃をくらわせようとしてきた、この攻撃をくらえばいかにすべて勝っているとはいえ大ダメージを受ける】
【だから彼は槍から両手を槍から離して両手でクロスを作り、鳩尾部分の防御へと回した】
【そして、その全力の突きは彼の防御している両手に直撃する】

 ぢぃ、ヒハ!

【両手に直撃した全力の突きは彼を後ろへと下がらせる威力があった】
【さらに両手の腕の骨が悲鳴を上げて折れるかもしれないと思わせ、皮膚が破れる】
【だが、彼はこの一撃を防いだのだ】

 キヒヒヒヒ、ヒハハハハハ
 最高だ最高だ、お前の全力は最高だったぞぉ!!

【それは喜びであろう、この少女の全力は彼を喜ばせるには十分だった】
【現に彼の腕は腫れていて、破れた皮膚から血が流れ出ていた】
【そして彼は少女に追撃などをしようとはしない、この全力は文字通り全力なのだろうと予想しているからだ】
【さらに理由があるとすれば彼女を今殺せば後々の楽しみがなくなってしまうからだ】

 キヒ、あーあーあー、だがもうちょっと成長すればもっと楽しめるようになれるな
 そのときが楽しみだ…くひ

【一人でそのように喜んで、一人不気味に笑っている】
【今その視線などは少女に向かってはいない】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 01:18:48.96 ID:XPDchzRgo
//すいません、>>997は肘打ちをする段階ではそちらの腕を離しています。描写漏れです、ごめんなさい
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 01:18:52.33 ID:cCG5tECko
>>994

【やはり想像以上に相手は“速い”】
【一瞬だが相手の腕を取ろうかとも考えていたが、そうしていれば更なる隙を曝していた事だろう】
【そう思っての安堵…と、相手の強さから来る恐怖にも似た緊張感が思わず笑みを深くしてくれて――――】

【放った左腕を――掴まれた。そこから崩しに持って行かれるが…違和感を察知出来るだろうか】
【やけに簡単に引っ張られる…いや、上体を起こす勢いが止まらない、それどころか崩しに合わせて逆に相手の下へと“踏み込む”】
【前のめりにならず、相手の左半身へと向かって寄り添う様になる為、右膝蹴りも届かないだろう】
【ただ前へ前へと進んで、拳も振るえぬ程密着すれば――――】

―――――コォッ!

【短い発気の息吹と共に、自由な左手をYの胸へと触れる様に当てようとする】
【「寸勁」 ほんの短い距離で強い衝撃を相手へと与えるある国の妙技】
【まともに殴り、蹴りを喰らわせれる相手ならばほぼ使う事は無いだろう。しかし相手は間違いなく「格上」】
【未熟な自分だからこそ持てる全て…相手の持たぬ技をも駆使せねばならないと感じたのだろう】
【普段使わぬ、使う機会が有っても多少無理して殴りかかる七生は珍しくそれを使った】
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