121: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2015/05/19(火) 20:05:17.52 ID:AAAmLQu+O
  
 「ジュウ様」 
  
 「……悪かった、ちょっと忘れてただけだ」 
  
 「いえ、ジュウ様は何も悪くなどありません。ご無事でなによりです」 
  
 その通り、ジュウは何も悪いことはしていない。 
 単純に、忘れていただけである。 
 何を忘れていたのかといえば、雨への定期連絡だ。 
 先日の騒動の後、雨はジュウに対し異常なほど過保護になった。 
 あれからこっち、毎朝ジュウの自宅まで迎えに来るし、昼休みには必ずメールか電話で連絡をしなければならない。 
 それを忘れると、こうして教室までジュウの無事を確認しにやってくる。 
 最初の頃は連絡を入れてもやってくるので教室でいい注目の的になっていたのだが、どうにかこうにか説得し、今は連絡だけに収まっている。 
 ジュウとしては朝の迎えも要らないのだが、「いつ敵がやってくるかわかりません」ということで譲れないらしい。 
 ジュウは辟易しつつも、半年もすれば落ち着くだろうということで諦めた。 
  
 「では、失礼します」 
  
 「おう」 
  
 綺麗にお辞儀をする雨。 
 そのまま去ってくれればいいものを、顔を上げた雨は、そのままジュウを見つめてくる。 
  
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