新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
12: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/03(火) 00:16:49.27 ID:5kzXp0UHO

美波が律と共に食事の準備をしていると、父親が圭と慧理子を連れて帰ってきた。美波は作業の合間に、キッチンから三人の様子を伺ってみた。ぎこちなさを見せるものの、隣りあってソファに腰掛け夕食の匂いを堪能している父と妹。弟はそんな二人から離れたところにいて、背中を向け窓の外に目を向けている。

美波は、弟はいったいなにを見ているのだろうと不思議に思い、同じ場所に視線を向けた。窓の外には何も無かった。圭は食卓につくまで背中を向け暗闇だけが広がっている外の世界をじっと見つめていた。手元が照らされたキッチンから弟のいる場所を見ると、そこだけ光と闇の境界がなくなっているように思えた。弟はまるで洪水みたいにに押し寄せてくる暗闇をその身で受け止めながら、黒く染まる空間を肺が裂けるまで飲み込もうとしているかのようだった。

少しして夕食の準備が整った。父や慧理子、それに圭も灯りに包まれた食卓についた。五人で食卓を囲んだ。かちゃかちゃと食器の鳴る音がするだけで、会話はほとんどない。それが家族全員での最後の食事になった。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice