19: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/03(火) 00:25:56.49 ID:5kzXp0UHO
ちいさな諦めが、慧理子の顔に乾いた微笑みをつくった。
美波「大丈夫だよ。まだ時間はかかるけど、圭がきっと病気を治してくれるから」
自分が直接妹のためにできることがないのをもどかしく思いながら、それをおくびにも出さず、ただ自分が確信していることを口にして、美波は慧理子を慰めようとした。
姉の言葉をきいた慧理子は、一瞬で不快とわかる表情に顔を歪め、そしてさきの言葉を吐いた。兄のことを耳にした途端、まるで兄の存在そのものが美波の大切にしている思い出を台無ししまったかのように、忌々しさを現しながら慧理子はベットに戻った。
美波「どうしちゃったの、慧理ちゃん」
美波は、慰めがこんなふうに作用するとは思ってもみず、戸惑いが押し寄せるなか、なんとか妹に尋ねた。
慧理子「信じらんない。あの人、姉さんにもそんな態度なの?」
美波「あの人って……ダメよ、慧理子、兄さんのことそうなふうに言ったら。圭は……」
慧理子「そんなの自分のためよ」
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