24: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/03(火) 00:33:25.26 ID:5kzXp0UHO
圭の二度目の返答を聞いた美波は、唐突に理解した。弟は、わたしの求めるものを求めていない。
圭はコーヒーを飲み終わると、カップを手に持ったままの美波の横に立ち、空になったカップを水で濯いだ。流しで水を切り、食器乾燥機に洗ったコーヒーカップを置くと、椅子にかけてあったマフラーと床のバッグを手に持ち、二階の部屋へと消えていった。
美波はひとり、溶けきらなかった砂糖が沈殿するカップに視線を落としながら、自らの思い違いにやっと気づいた。この八年間ーー年が明ければ九年になるーー、わたしたちがはなればなれになった八年という時間は、どうあっても取り戻しようがないのだということに、なぜいままで気づかなかったのか。
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