新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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29: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/03(火) 00:39:41.55 ID:5kzXp0UHO

アナスタシア「ミナミ……?」

美波「ううん、なんでもない。新しいスマホはどう?」

アナスタシア「調子、いいです。ミナミの声、よく聞こえるから」


まっすぐ情を向けてくるアナスタシアの声に、美波は微笑みを浮かべる。他愛ない会話をしばらく続けていると、美波は気持ちが浮遊していくのを感じた。

冷えているが寒くはない冬の日、風は起こらず、控えめであるだけに心地良い鈍い陽光を浴びていると、周囲の空気がもっと気持ちの良い場所があるよとでもいうふうに身体を持ち上げ上空のところまで運んでくれる。地上の風景は色や形で家々や工場や公園や森や海などを見分けられるが、浮上にしたがいそれも難しくなっていく。地上のものの輪郭はだんだゆとぼやけ、色彩も薄くなっていき透明に近づいていく。上空での鳥類は地面や木に止まっているときとは異なる、大気によく浸透する声を使って会話していた。上空では雲がソファに、太陽の光がブランケットになっている。

リビングのソファに腰を下ろしていた美波は、気づかぬうちに足を伸ばし、楽な姿勢をとっていた。




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