新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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943: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:33:47.05 ID:TPJ777ywO


佐藤「あ!」


ぱん、と乾いた音がした。永井の頭が思いっきり仰け反り、身体が暗闇に落下していった。永井が握っていた麻酔銃が風に吹かれ、はらはらと布切れのように遠くに流されていく。

佐藤はバスに乗り過ごしたみたいにそれらを見送った。


佐藤「どうしよう……飛び降りて追いかけようかな」


佐藤は動力を切った草刈機を所在なさげに肩からぶら下げていた。真剣味のかける声で佐藤が悩んでいる横で平沢が弾切れになった拳銃を捨て、留めていたジャケットのボタンに手をかけた。


佐藤「いや、やめとこう。これが壊れちゃうだろうし。それに……」


佐藤はストラップを肩から外し、草刈機を無造作に屋上に放った。がたっという鈍い音が響き、同時に平沢が脱ぎ捨てたジャケットが風に舞って飛んでいく。

平沢が拳闘の構えを見せる。白いTシャツは腹部が血に染まっていて、出血部である右脇腹には四つ折りにされたタオルが当てられ、ガムテープで固定されている。ショルダーホルスターには永井の腕を切り落とすのに使ったナイフがまだ残っている。


佐藤「いいよ、やろうか」


平沢に同調した佐藤が同様の構えを取る。
勝負の終わりがどうなるかは互いに承知していた。


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