新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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945: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:39:06.68 ID:TPJ777ywO


BM(永井) 『……先……行ってて』


言い終わった途端、IBMは驚くべき軽やかさでビルの壁面を昇っていった。その軽やかさは猿の木登りよりも鳥の飛翔のほうに近い運動を示していた。軽業めいた動作で一分もしないうちに天辺まで上り詰めたIBMが最後に片腕の力だけで持ち上げた身体を屋上に着地させ顔を上げると、鼻血を出し瞼を切った佐藤が息を切らした様子で夜気を肺いっぱい吸い込んでいる姿とその足元に倒れ伏してピクリともしない平沢を見てとった。タオルを当て止血を施していた腹部の傷からあらたに出血し、佐藤の靴先を黒く濡らしていた。


佐藤「いやぁ……タフな人だったよ!」


IBMの姿を認めた佐藤がまだ抜けきらない興奮に染まった声で語りかけてきた。

IBMは突発的に『あ、あ、あ』、と音節を区切った絶叫を発しながら、佐藤に向かって飛び出していった。


佐藤「はは!」


同じタイミングで佐藤も真正面に駆け出した。ビルの東側から走ってくるIBMと直角をなすように、屋上の南側に向かって佐藤はスリルを味わいながら疾走していく。


佐藤「断頭はできなかったけど期待しているよ!」


佐藤が叫ぶ。IBMはコースを斜めに修正して佐藤に接近していく。

追い風が吹いて佐藤の背中を押した。目下に街の灯りが風景として拡がって見えた。



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