950: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:45:33.90 ID:TPJ777ywO
アナスタシア「いのちを、かけてた」
アナスタシアは自失の状態からなおも抜け出せないまま、ぼそりとつぶやいていた。
アナスタシア「いのちをかけて、たたかってた」
自分はそうではなかったとそう言いたげな口調でアナスタシアは言った。言い終わった瞬間、アナスタシアの瞳から涙が止めようもなく溢れ出た。
ーーなぜ、亜人であることを明かさなかったんだろうーー
アナスタシアの内心を占める罪悪感の主な要因はこの一言に集約できた。永井や中野のようにはじめから作戦に参加していれば、IBMをもっとはやく送り込むことができたかもしれない。そうなっていれば誰も死ななかったかもしれない……
咽び泣くアナスタシアの嗚咽の声を聞きながら、中野を唇を血が滲むほど強く噛んだ。ハンドルを握る手にも力が入り、指先が真っ赤になっていた。
永井はあいかわらず窓に額を預けていた。景色を眺めていると、飛び行く街灯の白い光が規則的に永井の顔を照らした。そのたびに暗く沈んだ瞳に光が写り込んだが、光ったのはあくまで反射した街灯の光だけだった。
永井は感情のない瞳を車が走行しているあいだ、ずっと外に向け続けていた。
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