951: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:46:29.74 ID:TPJ777ywO
夜が白みはじめた。
中継車はオフィス街を抜け住宅が立ち並ぶ一帯へと進み、河川敷のほうへ移動した。中野は中継車を橋の下に停車させた。橋は低く、中継車の車高から一メートルも離れていなかった。あたりには人影は見えなかったが、早朝のランニングを習慣にしている付近の住人がそろそろ現れてもおかしくなかった。
中野は助手席から下りてきた永井にむかって言った。
中野「永井、どうやって隠れ家へ帰る?」
永井は中野に応えず、スイッチャーの置いてある後部のドアを開けた。
泣き腫らしたアナスタシアが怯えたように瞳を揺らし永井に眼を向けた。永井の眼にはあいかわらず感情が見えず、アナスタシアを眺めるその表情はまるで壁でも見てるかのようになにもなかった。
永井は取り出したスマートフォンをアナスタシアの眼前に放り投げた。
永井「おまえが復活してる様子を撮影した動画が保存されてる。端末ごと処分しろ」
永井は平沢の死を告げたときと同じ声の調子でアナスタシアに語りかけた。
アナスタシアは思わず身を乗り出した。しかし口を開いてもちゃんとした言葉を作れないで、ただ口をパクパクと動かすことしかできなかった。
永井「これでもう戦う理由はないだろ」
最後通牒を告げた永井はそそくさとアナスタシアの視界から立ち去った。
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