新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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952: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:52:35.64 ID:TPJ777ywO


アナスタシア「ニェット……! ちがいます、アーニャは……」


弱々しい言葉を呟きながらアナスタシアが永井を追いすがった。足取りは心もとなかった。曇天模様の空はいまにも雨が降り出しそうで強い風も吹いていた。ふらふら歩くアナスタシアに強い横風が吹き付けてきた。バランスを崩したアナスタシアが草の生い茂る河川敷に倒れこんだ。中野があわててアナスタシアのもとに駆け寄り、こけた拍子に手から零れ落ちたスマートフォンをアナスタシアへと返した。

中野は無力感に苛まれているアナスタシアを複雑な表情で見ていた。いまでも女の子であるアナスタシアが戦うことに内心反対だった。フォージ安全ビルでの要撃作戦においてのアナスタシアの役割はIBMを用いた後方支援だったから、中野も渋々納得したに過ぎなかった。一方で中野もアナスタシアに自分と同じように佐藤と戦う理由があることを理解していた。中野はそういった感情を無碍にできる人間ではなかった。しかし現状を冷静に鑑みると、このままアナスタシアが戦闘に参加し続けるのは賛成できかねた。黒服たちが死んでしまった以上、次の戦闘はアナスタシアも前線に立たざるを得ないだろうし、アナスタシア自身も立ちたがるだろう。

中野は顔を上げて永井を見やった。永井はアナスタシアとは完全に手を切り、もはや他人同士だといわんばかりに歩き続けていた。


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