新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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953: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:53:41.65 ID:TPJ777ywO


中野「どこ行く?」

永井「おまえはまだマークされてない。ふつうに帰れるだろ」

中野「おまえは変装でもするのか?」


中野は立ち上がるかちょっと迷ったが、永井が後ろを少しも気にしないで歩き続けているので結局は立ち上がりあとを追った。

中野の気配を察知した永井が振り向いて言った。


永井「僕は、やめる」


永井の言葉はアナスタシアにも聞こえた。それがどういう意味の言葉かすぐにはわからず、アナスタシアは眼を赤くしたまま虚をつかれたようにきょとんとした。

曇天から雨が一滴落ちてきた。途端に雨は激しさを増し、周囲の光量もひときわ暗くなった。


中野「は……あ!?」


驚きに不意をつかれた中野がやっと口を開いたとき、永井はまた歩き出していた。


中野「待てよ、どういうことだよ!?」

永井「目標を下方修正する」


慌てて駆け寄ってくる中野に対して、永井はあくまで平静だった。


永井「おまえらが来てから僕は、ふつうの生活水準を取り戻すために戦ってきたが、佐藤は止められなかった。だから、もう文化的な暮らしはあきらめる! 山奥や大海原とか、社会も佐藤も関係のないところで生きていく。海がいいかな……いつか海外に流れ着くかも」

中野「佐藤を止めなきゃやべぇんじゃねぇのか?」

永井「だろうな」


永井はそっけなく応えた。




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