美玲「To give you」ありす「Answer」
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◆S6NKsUHavA
[saga]
2017/05/30(火) 23:47:00.45 ID:McTk8PE80
「あの……それ、私じゃダメ……かな」
「え?」
しかめっ面をしていた美玲も、驚いて声のした方を振り向く。その先には、開いた扉からひょっこり顔を出した同僚の少女・白坂小梅が長い袖をひょこひょこと揺らしていた。
「おう、おはよう小梅」
「おはようございます、プロデューサーさん。美玲ちゃんも、おはよう……」
「お、おはよう……」
挨拶しながら部屋に入ってくる小梅に、美玲は虚を突かれたような表情で挨拶を返す。そのまま彼女が備え付けのソファにぽすっと腰を下ろすまでを見送っていたが、ややあってハッと気付いたように言った。
「じゃなくてッ! さっきの話、ホントか? コウメ、ウチと一緒に歌ってくれるのか!?」
食らいつくように上半身を傾ける美玲に、小梅はくすりと笑いながら頷く。
「うん……その代わり、美玲ちゃんは私とLunatic Showを歌ってね。私も、輝子ちゃんの代わりを探してたから……」
「任せとけッ! ウチがショーコの分まで叫んでやるぞッ!!」
そう言って美玲は自分の胸を叩いた。これで、一人は確保出来た。残り一人。
「……コウメは、他に誰か心当たり無いか? ウチと一緒に歌ってくれそうな、信頼出来るヤツ……」
「えと……もう一人って事だよね……」
小梅は垂れ下がる袖を顎に当てながら、考え込むような仕草をした。プロデューサーが「いっそ二人じゃダメなのか」と横やりを入れるが、美玲の無言の威嚇にあって肩をすくめる。人数を合わせるのも、彼女なりのこだわりらしい。
しばらく二人でうんうん唸っていたが、ややあって小梅が顔を上げて言った。
「幸子ちゃんは、どうかな。Lunatic Showの時も一緒に歌ってくれたし、激しい曲でも、多分大丈夫……」
「サチコ……うーん……」
候補に挙がった名を聞いて、美玲は再び顔をしかめる。輿水幸子は別のプロジェクト所属だが、小梅や輝子ともユニットを組んでおり、美玲とも知らない仲ではない。相性の面では悪くないはずだが、美玲が結論を出す前にプロデューサーが再び横やりを入れた。
「幸子は出れんぞ。テレビの生放送に出るからな」
「あ、そうなんだ……残念……」
言葉通りの残念そうな表情をする小梅とは対称的に、美玲はほっとしたような、複雑な表情をする。それを見て不審に思ったプロデューサーだったが、それを尋ねる前にさらなる来訪者がやってきた。
「おっジャマしまーす! 小梅ちゃんいる?」
そう言って元気よく部屋に入ってきたのは、幸子と同じプロジェクトに所属の姫川友紀だ。彼女も美玲や小梅と親交があり、今回の宮城公演への参加が決まっている。今日は小梅とその件で打ち合わせの予定だった。
場の雰囲気がやや沈みがちなのを見てきょとんとする友紀を見て、小梅がポンと手を叩く。
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