美玲「To give you」ありす「Answer」
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4: ◆S6NKsUHavA[saga]
2017/05/30(火) 23:47:49.47 ID:McTk8PE80
「友紀さんにお願いする……? 友紀さんも、私と一緒に歌ってくれるんだぁ……」
「お、なになに? 何の話?」

 突然話題を振られて、一転して興味津々の友紀。またもや複雑な表情を浮かべる美玲に変わって、小梅が説明した。

「美玲ちゃんのユニット、輝子ちゃんも乃々ちゃんも、別のお仕事で来れなくて、新曲を代わりに歌ってくれる人を探してるんだって」
「なるほどー、それは残念……で、代打にあたしが入るって事? いいよいいよー! 美玲ちゃんのお役に立てるなら、お姉さん張り切っちゃうから!」

 事情を聞いて笑顔でそう答える友紀だが、美玲の表情は晴れない。何となく彼女の考えていることを察したプロデューサーだが、敢えて彼女の口から言葉が出るまで黙っておくことにする。
 しばらくして、何かを決意したような表情で美玲が答えた。

「ごめん、ユキ。やっぱりダメだ」
「えー、なんでー?」

 残念そうに口をとがらせる友紀に対して、美玲は言葉に迷いながらもはっきりと言った。

「この曲は……∀nswerは、答えを探すための歌なんだ。ウチとショーコとノノ、バラバラの個性のウチらが、限界を超えた先に答えを探し出すための歌……ファンの皆に、ウチらが見つけ出した答えを示すための歌」

 そう言って、美玲は左目の眼帯をゆっくりと外した。初めて彼女がそれを外した所を見て、友紀は驚いたように目を丸くする。まだ眼帯無しでいることに照れくささを感じる美玲だったが、深呼吸一つすると改めて友紀の方を見据えた。

「ウチは、自分のカラを破って、この歌を歌えるようになったんだ。ショーコも、ノノも。この歌は、そうやって自分の中にあるカラを打ち破って、答えを見つけに行きたいヤツらと歌いたいんだ」
「そっか。じゃあ、仕方ないなぁ」

 美玲の言葉を噛みしめるようにして、友紀。眼帯をつけなおした美玲はまた少しだけ恥ずかしそうにうつむくと、小さな声で「でも、ありがと」と呟く。友紀は「気にしない気にしない!」と彼女の肩をポンと叩くと、軽くため息をつくプロデューサーに向けて言った。

「美玲ちゃんのパートナー、こっちでも探してて良い? 当てがあるわけじゃないけど、少しでも力になりたいからさ」
「あぁ、助かる。こちらで見つかったらすぐに連絡を飛ばすようにするよ」
「オッケー! じゃ、小梅ちゃん借りてくね! 美玲ちゃん、また後で!」
「お、おぅ!」

 美玲とプロデューサーに向けて軽く手を振って挨拶すると、友紀は小梅をつれて部屋を出て行った。残る二人はしばらく扉の方を見ていたが、どちらからとも無くため息をついてそれぞれの作業へと戻った。
 しばらく書類整理をしていたプロデューサーが合間にちらりと美玲の方を窺うと、彼女は愛用のソファに寝そべってファッション雑誌に目を通していた。と言っても、心ここにあらずと言った感じで、さっきから同じページのまま全く動く気配が無い。今日何度目かのため息をつきながら、彼は心の中でぼやいた。
 何とか、良いパートナーに巡り会えれば良いのだが。




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