38:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 19:19:25.88 ID:KUeinQmiO
 それは、とてもありがたかった。 
 あの日から、どうしても学校に行く度に、肺が圧迫されるような緊張を感じていたから。 
 特に、教室に入るとダメだった。怪我について心配してくれる同級生もまだいて、それが私の心を波立たせた。 
  
 「曜ちゃん、おはよー」 
39:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 19:45:24.34 ID:KUeinQmiO
 昼休み。 
 千歌ちゃんが梨子ちゃんに宿題を教えてもらっている間に、私はお手洗いに向かった。 
 なんだか、別れたって聞いたのに、元通りになってる。 
 むしろ、前よりも垢抜けた感じ。なんだろ。 
 でも、二人の仲が悪くならなくて良かった。それだけは、本当。 
40:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 19:46:21.51 ID:KUeinQmiO
 ちょっとここまで 
 また1時間後くらいに 
41:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 20:58:49.66 ID:BCTrOgblO
 「行くよ、梨子ちゃん」 
  
 「待って、追いかけないの?!」 
  
 「なんで」 
42:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 21:14:05.97 ID:BCTrOgblO
 いくら褒めてくれても、仲良くしてくれても、そういったことは昔からあった。 
 千歌ちゃんは、どうだろう。小学生の頃の事なんて、引き合いに出されても困るよ。 
 本当か嘘かなんて気にしたくもない。 
  
 「頑張って上に行こうとしたら、あれくらい普通にあるんだよ。勝負の世界は、もっと厳しいしさ。みんなプライドだけは一人前だもん。私だって同じだよ。嫉妬もすれば悪口も言うよ。梨子ちゃんだって、そうでしょ? ピアノのコンクールは、みんながみんな、一緒に頑張ろうって、そんな千歌ちゃんみたいな事言わないよね? 個人競技は、自分との戦いなんて言うけど、結局、大会はみんなの中の一位を決めるものだから、切っても切り離せないし。周囲の期待はやっぱり数字に集中するし。結果を出せば、誰かを蹴落とすことに繋がる。頑張れば、誰かを傷つける。そういうものだよ」 
43:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 21:37:10.04 ID:BCTrOgblO
 「梨子ちゃん、前に言ったよね。その怪我は自分のものだって。なら、私も同じだよ。今のは私の問題だから、梨子ちゃんが気にする必要なんてない。私、何かおかしなこと言ってるかな?」 
  
 小さな頃から一緒にいたわけじゃないから。 
 同級生や千歌ちゃんのように、私の事、よく知らないから。 
 梨子ちゃんには、これ以上知って欲しくない。 
44:名無しNIPPER[sage]
2017/06/11(日) 21:50:10.32 ID:FekztsJxo
 曜ちゃん… 
45:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 21:52:45.90 ID:BCTrOgblO
 触れずに離れていった手が、どうしても気になってしまって。 
 梨子ちゃんの背中側の制服の裾をつかんだ。 
 いけないと分かっていた。 
 だって、千歌ちゃんがいるのに。 
 私が甘えていい人じゃないんだよ。 
46:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 22:07:44.98 ID:BCTrOgblO
 夜になった。 
 家では、同級生の死を悼む会のはずが、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ。 
 酔っ払いはこれだから困る。 
  
 「曜〜!? 曜〜?! どこ行った〜?!」 
47:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 22:16:51.30 ID:BCTrOgblO
 ああ、なんだかんだ言って、私もパパに何かを期待してる。 
 それが裏切られたら、がっかりするんだ。 
  
 「私は……」 
  
48:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 22:25:16.65 ID:BCTrOgblO
 酔っ払いの間をかいくぐって、みとねえの車に飛び込んだ。 
  
 「あれ、曜ちゃんなんだかお酒臭くない?」 
  
 「え、うそ」 
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