二宮飛鳥「美波さんにボクの歌が歌えるわけがない」
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17:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 09:08:39.16 ID:jKZID4Vr0
「私、実は飛鳥ちゃんに憧れてるんだ」

「え……?」

「飛鳥ちゃんは私と違って強いから、自分というものを持っているでしょう? だから、周囲に合わせたりしなくても、生きていける」

「ボクはそんな大層なヤツじゃない。ただ大衆に流されるのが気に入らないというだけさ」

「ううん……私は飛鳥ちゃんを尊敬してるし、眩しく見えるよ。私はそんな風にできないから……」

「美波さんの眩しさも、ボクにとっては得難い輝きさ……。誇るべきだよ」

屋上を撫でる風が、美波のなめらかな髪を揺らす。

飛鳥の前にいるのは、弱さと不安を抱えた、一人の少女だった。

繊細さを隠してオトナの仮面を被っている、一人の少女だった。

美波に感じていた違和感の正体がようやく判明した。

強固で精巧な仮面をつけていたということだった。

そして、その仮面を外し、勇気を出して一歩踏み出した相手を、傷つけてしまった。


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