7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:11:14.24 ID:+jykf0ly0
「新人なんだしー、大したことできないんだから手え抜くなんてありえんてぃーっしょ。ふつーじゃね?」
彼女はなんてことないように言った。
自分はどうだったろう。あまり思い出したくない。
新人なんだからとその立場に甘え、できないことを正当化する人は多いように思う。だから、少なくとも普通ではないはずだが。
「まあ確かにキツヤバだけど! まぢ予想以上だったわー」
へらっ、と笑った。来た時の笑顔と、まだなんら変わりもしなかった。
見張っている必要もないだろうか。
そう判断して、上がり時間までその場の作業を任せた。彼女一人で終わる量ではなかったから、できるところまででいいと伝えて自分は別の仕事に取り掛かった。
その日の作業は思っていた以上に順調に進んだ。工期や工事計画を組み直す必要もなさそうだ。
夜と夕方の間とも言える時間に作業は一旦終える。
朝から勤務していた同僚たちは上がる時間だ。
そういえば、彼女に終了時間は伝えていなかったな、とその元へ走った。
彼女は言いつけ通りにずっと働いていたようだった。西日を横身に受けながら猫車を押している。やはり積もる疲労には勝てるわけもない。遠目からでも身体がガタガタになっている様子がわかった。
「……あっ、親方〜。なに? 終わりなん?」
顔にも疲労の色が出ていた。お疲れ様、どうだった? と尋ねた。聞くまでもないことだ。
「いやもー、マジヤバたん。色んなとこパンパンだよ〜」
愚痴を言いつつも、彼女は笑顔だった。もちろん疲れのせいか朝ほどの元気なものではなかったが。
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