236: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 15:13:51.41 ID:y5a/8HOy0
 更なる追撃が来るのではないかと身構えた我が輩たちだが、幸い【Ball】の編隊はMi-28の撃墜で戦果としては幾らか満足したらしく再びトゥロマ川の方へと飛び去っていった。 
  
 (#ФωФ)「対空警戒と深海棲艦の新手に引き続き注意を続けろ!グルージズェ、負傷者の様態は!?」 
  
 「左腕が完全に断裂、出血多量!物陰に運び治療します!」 
237: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 16:13:00.73 ID:y5a/8HOy0
 無論【Ball】はその特性上爆装・雷装時の機動力低下が【Helm】よりも激しい、爆装時の搭載可能弾薬量が【Helm】に比べて大きく落ちるなど欠点も多い。つまり、空母棲姫等が扱うごく一部の特種仕様機体を除くと艦娘それ自体に対する決定力にかける。通常兵器に関しても、複合装甲を持つ戦車や装甲戦闘車、対空砲車には有効打を与えられないケースがある。また最高速度は結局近代戦闘機に遠く及ばないため、追いかけっこになれば追撃のしようが全くない点は【Helm】と共通の弱みだ。 
  
 だが、生身の人間や装甲の薄い車両、そして何よりも戦闘ヘリなど機銃で十二分に火力が足りる戦力に対しては【Helm】以上の脅威にすらなる。 
  
 まさしく、今の我が輩たちのように。 
238: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 20:33:51.44 ID:y5a/8HOy0
 まるでその通信が聞こえていたかのように、そしてその通信を待っていたかのように。 
  
 深海棲艦側の戦列から、一斉に無数の──それ以外に表現のしようが無い──艦載機が空へと舞い上がる。トゥロマ川から、対岸から、市の近隣から、何百、何千というレシプロエンジンの音が響いてくる。 
  
 《【Fighter】武蔵よりCaesar、凄まじい数の敵機が発艦している!!全機が此方に向かってくるぞ!!》 
239: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 21:05:07.90 ID:y5a/8HOy0
 《西村艦隊の本当の力……見せて上げる! 
  
 主砲、副砲、撃て!!》 
  
 《気合い、入れて、行きます!! 
240: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 21:56:08.71 ID:y5a/8HOy0
 (#ФωФ)「航空隊全機、総攻撃に移れ!全火力を投入し最大限損害を拡大せよ!」 
  
 《《《Roger》》》 
  
 すかさず、今度は此方の航空隊が周囲から分散した敵群体にジェット音を高らかに鳴らしながら肉薄する。大半は空対空兵装に切り替えたF-35だが、本来対地攻撃専用機であるはずのA-10も二個編隊ほど混じっている。 
241: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 22:34:06.08 ID:y5a/8HOy0
 十何発目かの空対空ミサイルが群体の中で弾け、少なくとも20機は下らない敵機が爆発に吹き飛ばされた。間髪を入れず“傷口”に別角度からバルカン弾が撃ち込まれ、更に幾つかの機体が砕けてぼとぼとと墜落していく。 
  
 『『───!?!?』』 
  
 『『………───!!?』』 
242: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 23:10:32.31 ID:y5a/8HOy0
 周辺に飛来した砲弾が次々と炸裂し、熱風が頬を撫でる。大地震のような揺れにともすれば足を取られそうになるが何とか踏ん張り、倒壊した施設の残骸や砲撃痕を飛び越えてとにかく前進していく。 
  
 《敵の砲撃だ!散開s 
  
 《至近弾で半数がやられた、後t 
243: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/09/07(木) 23:32:27.12 ID:y5a/8HOy0
 本日ここまで。明日は出張先への移動と諸々の作業があるので21:00ぐらいから更新できればと思います 
244:名無しNIPPER[sage]
2017/09/08(金) 00:32:07.44 ID:YzPVXAKA0
 おつおつ 
  
245: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/08(金) 21:07:25.61 ID:1z/IxxL8O
 『『────!!!』』 
  
 「残念、通さないわよ!!」 
  
 叢雲はそのまま左手から、急降下してきた【Ball】のを迎撃する。機銃掃射と高角砲によって進路を遮られた編隊は一機が機銃の餌食となり、他の機体も突貫適わず忌々しげに上空で反転し離れた位置で隊列を立て直しにかかる。 
246: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/08(金) 22:11:14.27 ID:1z/IxxL8O
 「えいやっ!!」 
  
 気合いと共に手刀が一閃される。 
  
 声だけを聞けば、空手部辺りで稽古に精を出す年頃の少女のように爽やかで可憐なものだ。きっと朝方に街角で耳にしたなら、微笑ましい心地になれることだろう。 
484Res/548.20 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20