12: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:54:51.61 ID:xMQ2bOga0
 「ええ、そんな……プロデューサーさん無しだと……もりくぼの責任も重大……」 
  
 早くもプレッシャーで胃を痛めそうになる森久保。 
 勿論、今まで一人一人の誕生日を大切にしてきたプロデューサーのことである。 
 努力に努力を重ねた末のどうしようもない結末であり、 
 一番悔しいのは彼自身であろうということも皆分かっている。 
 分かっているからこそ、もどかしい。 
  
 「……分かりました。残念ですけど、お仕事じゃ仕方ないですもんね。 
 プロデューサーさん、頑張ってきて下さいね」 
 まゆはあっさりと引き下がった。これも、また至極真っ当である。 
 プロデューサーに迷惑をかけることをまゆは好まない。 
  
 ────だが。そのまま、まゆが諦めようとしていた時。 
 不意に、プロデューサーがまゆに提案した。 
  
 「……なぁまゆ。今日の夜って、空いてるか?」 
  
 「えっ?はい、特に用事はありませんけど……」 
  
 「前倒し……ってのも変な話ではあるんだが、誕生日を祝わせてくれないか。 
 ……そこで、まゆに渡したいものがあるんだ。 
 良かったら今日の夜、一人で事務所に残っていてほしい」 
  
 「残る……ってことは、今日事務所でお祝いするってことですか?」 
  
 記念日に拘るのも大事なことだが、都合がつかないなら前倒しでも全然構わない。 
 一番欲しいのはプレゼントでもパーティーでもない、彼からのお祝いの言葉なのだから。 
 そう思い、嬉しさから声が弾んだまゆだったが。 
  
 「半分合ってて、半分違うかな。まあ本当に俺の自己満足だから、 
 無理に付き合わなくても構わないんだが……二人っきりで話がしたいんだ。 
 それで……出来れば行きたい場所もある。車で乗せていく感じになるな」 
  
 「……???」 
  
 まゆの思考が?で埋め尽くされる。しかし、プロデューサーの方も 
 次の仕事までの時間が差し迫っており詳しい説明をしている余裕がなかった。 
 だから、簡潔にそう述べた。 
  
 「そこで、大事な話をしたいんだ。……着いてきてくれるか?」 
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