神谷奈緒「晴れは雨があってこそ」
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16:名無しNIPPER[saga]
2017/09/16(土) 23:24:12.12 ID:KS3A+iW2O
「すっかり……忘れてたよ、ハハ」

乾いた笑いの奈緒とは対照的にプロデューサーは満面の笑みを向ける。

「これ、開けてもいいのか?」

「もちろん」

渡された包みを開けると、中から出てきたのは数枚の写真と、綺麗にラッピングされた箱だった。その写真に写っていたのは、なんとすべて奈緒が映されたものだった。事務所で凛と雑談している写真、スタジオで加蓮と歌っている写真。そしてトライアドプリムスでの初ライブの時の写真。その全てが、奈緒の満面の笑みを写したものであることに気が付いた。

「Pさん、これ……」

プロデューサーは優しく微笑みながら言った。

「奈緒が一番活き活きしてる時のことを思い出して欲しくてな。最近なんだか奈緒が落ち込んでいるみたいだ、って加蓮にも言われてたし」

「……!」

ぽろぽろと涙がこぼれる。やっぱり自分は馬鹿だ。大馬鹿だ。自分のことしか見えていなかった。周りの人達はみんな、奈緒の事をこんなにも想ってくれているのに、自分は何もみんなに返せていない。その不甲斐なさと、だけど確実に感じる嬉しさに涙を流した。

「!そういえば……」

手に持っていたラッピングされた箱を開けてみる。中から出てきたのは、二重に重なって揺れる三角形のアクセサリがついたブレスレットだった。

「綺麗……」

ブレスレットを持ち上げてみると、光の当たる角度によって色の淡さが変わる、綺麗なブルーの石が使われていた。それはまるで、トライアドプリムスというユニットと奈緒自身を表しているようで。

「Pさん……」

「なんだ?」

「ありがとう、本当に嬉しいよ……ありがとう……!」

とめどなく溢れる涙を拭うこともなく、ただただ泣く奈緒の頭を、プロデューサーは撫でてくれた。その手のひらの感覚が何だかとても優しくて、あんまりにも恥ずかしくて絶対に声には出せないけれど、ずっと続けていてほしい。そう思ったのだった。


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