15: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:08:07.31 ID:u1+Fwgaf0
周りを見渡す。
少し離れた席に、先ほどのあの子の姿があった。
私の背後にある本棚から持って行った本をぱらぱらと捲っている。
彼女はすぐに本を閉じ、再び立ち上がった。
おそらく探していた内容の本ではなかったのだろう。
持って行った本を戻すために、彼女は必ずもう一度、私の背後の棚までやって来る。
そして必ず、棚の上段に手を伸ばす。
……これは都合が良い。好機である。
白望「……」
彼女が本棚に近づくのを待って、私も立ち上がった。
そして彼女が本棚の前に到着する寸前、彼女がこれから使うであろう踏み台を引きずって、別の本棚の前に移動した。
少し困り顔で、周りを見渡す彼女。
他の踏み台を探しているのだろうが、図書室に数個置かれた踏み台は、すべて離れた位置に散っている。
彼女は逡巡した挙句、けっきょく背伸びをして最上段に手を伸ばした。
その様子にほんの少し罪悪感を覚えたが、すぐに踏み台より便利な助っ人が来るだろうから、気にしないことにする。
本を戻そうと悪戦苦闘する彼女を見て、豊音が嬉々と立ち上がった。
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