17: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:11:01.27 ID:u1+Fwgaf0
困っている誰かに横から声をかけ、本を取ってあげて、「これでいい?」と声をかける。
そして相手は予期せぬ手助けに困惑しつつ礼を言う。
そんなシチュエーションに、憧れがあったのではないだろうか。
はっきりとした憧れがあったというより、本を取れないあの子を見て、フィクションの中でよく見かけるシチュを想起した、というほうが、豊音の心情を言い表すには正確か。
とにかくそんなわけで、豊音はあの下級生が棚の上段に手を伸ばすのを見て、ワクワクしていた。
憧れを実現させるチャンスが到来し、ソワソワしていたのだろう。
――これが、あの子に興味を持った理由。
豊音はあの子に、本を取ってあげたかったのだ。
しかし、あの子は「本が取れない」という問題を自己解決してしまった。
踏み台を使って上段の本を取る。そんな当たり前の手段で、目的の本を手にしてしまった。
そのため豊音のワクソワはトーンダウンした。
――つまり、この時あの子への興味が減じた。
しかし、豊音のちょっとした憧れを実現させるチャンスは終わらない。
あの子は持っていく本を間違えて、再び棚の前に戻ってきた。
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