【ミリマス】紗代子「ワガママな私はアナタだけに」
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3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/11/19(日) 19:45:47.24 ID:8QMfH7fA0

そうして紗代子は微笑むと。

「それに、安い物でもないですし」

「至言だな。俺もこのコートとは数年来の付き合いで――」

「だからって、プロデューサーみたいにケチケチしてるワケじゃありません。
そのコート、もう随分くたびれて見えますけど……買い替える予定とかはないんですか?」

言って、たい焼きをまたひと齧り。男は恥ずかしそうに頬を掻き、
「しかしな、愛着があるんだコイツには」と笑い返す。

彼の着ているコートは紗代子が指摘した通り、幾年もの冬を越えたツワモノの色味を放っていた。
……つまり色褪せ擦り切れボロボロの、古びたコートだったのだ。

「ついでに言うと、金もない」

「……だと思ってました」

予想通りの一言に紗代子は肩をすくめると、公園の入り口に陣取る屋台に目をやった。
仕事終わりの帰り道、男から「腹減ったろ?」と奢ってもらったばかりの店である。

さらには自分の手元にあるたい焼きと、男の傍らに置かれたお土産の入ったビニール袋
(中身はたこ焼きとたい焼きの詰め合わせだ)を一瞥し。


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