35:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 12:50:39.53 ID:nZJI/gt30
  
  
 2人は懐かしそうな顔でくつろいでいる。少し、居心地が悪い。 
  
 真姫さんとことりさんの周りだけが、気だるげで、けれど自信にあふれたセピア色の空気だった。 
  
  
 どれだけ声をあげても、どれだけ笑っても、私の声は届いていない。 
  
 2人は高い高いところに腰を掛けて、じっと私を見つめているのだ。 
  
  
 それに、真姫さんの瞳は相変わらず綺麗な紫色だった。 
  
 クラシック・ピアノみたいな音色で、静かに私に問いかけてくる。 
  
 ―――何のためにここまで来たの? 
  
  
 大丈夫、もう見つかってる。 
  
 私はもう一度ステージに立つんだ。 
  
 全部全部取り返して、輝く小原鞠莉に戻るんだ。 
  
 それで、その後は。 
  
  
 鞠莉「その後、は……?」 
  
  
 鞠莉「いいえ、変なこと考えちゃダメ、今は集中、集中……」 
  
 大丈夫、大丈夫。 
  
 もう一度って、決意したもの。 
  
 「大丈夫」は最近の口癖だった。 
  
  
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