喜多見柚「アタシにとっての奇蹟」
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18: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:20:17.47 ID:WtWlSgcZ0


 面白いコトは好きだ。でも面倒なコトは嫌い。アイドルってふりふりを着て、なんか歌ったり、踊ったり? どう考えても前に出ていくようなタイプじゃないアタシには向いてないような気もする。でも、なんとなく、面白そうだって、楽しそうだって思う。ぐるぐるする考えを上手くまとめられなくて、天井を見上げて呟く。


「……アタシがアイドルねー」

「そういう柚はどうして1人でぶらぶらしてたんだ?」

「えと、うんと。なんか面白いコトないかなーって」


 お兄サンは、笑って、そいつは楽しいクリスマスだって言った。バカにしているようには見えなくて、なんだか恥ずかしくなってしまう。


 ちょうどいいタイミングで、パンケーキが来た。横目で見ていたケーキは、目の前で見るともっと美味しそうで、お兄サンにたくさん感謝しとこうって思った。きっとひとりじゃそんな気分になれなかったから。


 それからは、他愛のないアタシの話をたくさんした。好きなもの、嫌いなもの、趣味とか特技とか、高校でバトミントン部の副部長をやってること、パッツン前髪とパーカーと缶バッジが譲れないものだってこと。それから、特に語るようなことがないってことさえも。


 どこにでもあるようなフツウの話も、お兄サンは、おおげさに楽しそうに聞いてくれた。これはつまんないかもって思うトスも、上手く拾ってくれるから、気持ちの良いラリーみたいにお話するのが楽しくなって。アタシはへんてこなクリスマスを楽しみ始めていた。


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