レッド「無口だし幽霊」
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1: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:03:26.37 ID:pZdGRdJL0
【シロガネ山にて挑戦者を待つ少年とは…!?レポーターが迫る!】

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2: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:03:52.71 ID:pZdGRdJL0
読者諸君は知っているだろうか? 最近オカルト界、そしてトレーナー界で囁かれている噂を……
それは『シロガネ山のレッド』だ。レッド、とは? まずは彼の事を紹介しておくべきだろう。
彼は三年前、裏社会を牛耳っていたロケット団を一人で倒し、そしてチャンピオンに上り詰めた少年である。
しかし、彼はチャンピオンに就任してすぐに失踪してしまった。
話は戻り、『シロガネ山のレッド』についてだ。シロガネ山は険しい山で、リーグにその実力を認められたトレーナーのみが入る事を許される。
以下略 AAS



3: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:04:20.74 ID:pZdGRdJL0
私はゴールドスプレーでいっぱいになったリュックサックを背負い、シロガネ山へ潜入した。
ドードリオが遠くで高い鳴き声を上げるのを聞きながら、洞窟へと足を踏み入れる。
空気は冷たい。吐く息が白くなるほどだ。このような環境に少年がいるというのか?
噂は本当なのだろうかと不安に思いつつも、それを確かめるのが私の仕事だと気合を入れ直し頂上へ向かった。
私は道中、凄まじいものを見た。野生のポケモンたちの縄張り争い……いや、バトルだ。
以下略 AAS



4: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:04:48.47 ID:pZdGRdJL0
しばらく進んでいき、私はようやく頂上へ辿り着いた。
洞窟を抜け、外へと出る。激しい吹雪が吹いていて、立っているのがやっとだった。
地面が続いているのを確認して、少しずつ先へ進む。そして、その先に人影が見えた。
少年だ。十歳ほどの少年が立っている。
赤い帽子に、赤いジャンパー。この雪山にいるにしては、あまりにも軽装過ぎる。
以下略 AAS



5: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:06:02.01 ID:pZdGRdJL0
そして、一歩、一歩とこちらに近付いてきた。
私は動くことができなかった。立ちすくんだまま、彼が近付いてくるのを見ていた。
突然吹雪が強くなり、立っていることもできず、尻もちをついてしまった。
正面からは深くかぶった帽子のせいで見えなかった彼の表情が、今ははっきりと見えた。
彼は、無表情でこちらを見下ろしていた。そして、私に伝えた。
以下略 AAS



6: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:08:22.20 ID:pZdGRdJL0
その後のことはあまり覚えていない。
来た道を必死に走って、走って、すぐにでも他の人がいるところへと行きたかった。
道中、あんなにも恐ろしく感じた野生ポケモンたちを気にする余裕もなかった。
ふと気が付けば、ふもとのポケモンセンター前にいた。新品のダウンジャケットはぼろぼろになっていた。
あの噂が本当なのか。彼がレッドなのか、私は確かめることができなかった。
以下略 AAS



7: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:08:50.55 ID:pZdGRdJL0

『月刊 オカルトの友11月号』  2009年11月15日 発刊

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8: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:09:24.66 ID:pZdGRdJL0
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あの時、実際彼は口を開いたのだ。
「なんだ……挑戦者じゃないんだ」と。
彼は決して喋らないと事前に聞いていた私は驚いて、少年の顔をじっと見つめてしまった。
以下略 AAS



9: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:10:24.21 ID:pZdGRdJL0
どういう意味だ、と言いかけた私の声をかき消して、彼は続けた。
「一番最初に、噂になったのは……本物のレッドかもしれない」
「だけど、十三歳の子供が。こんなところで生きていける訳ない……でしょ」
「……もう死んだよ、レッドは。雪崩に巻き込まれて……」
彼は淡々と言った。しかし、君は先ほど自分をレッドだと言ったじゃないか。私はそう言い返した。
以下略 AAS



10: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:11:11.27 ID:pZdGRdJL0
生きようとしている。彼は確かに、生きようとしていると言った。
彼は幽霊なのだと、先程自分でほとんど明言したようなものなのにも関わらず、だ。
そして、彼は「生きている」とは言わなかった。生きようとしている。命を得ようとしている。その段階だと。
私は訳がわからず、いや、正直に言えば目の前に居る少年が恐ろしく、何も言えなかった。
彼はザクザクと音を立てて雪を踏みしめ、私のすぐ近くまで来て、私の顔を覗き込んだ。
以下略 AAS



11: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:11:59.45 ID:pZdGRdJL0



「……僕は、本物の"レッド"になる」

以下略 AAS



12: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:12:28.23 ID:pZdGRdJL0
あれから、もう九年が経とうとしている。私はあの日の事を、彼の事を忘れることができなかった。
彼との約束通り、私はトレーナー達を煽るような記事を出した。
そのせいかはわからないが、あの後多くのトレーナーが彼に挑もうと山へ行き、彼に会ったのだという。
今や、彼は『生きている』というのが当然の事となっているようだ。
先日は、アローラ地方でのバトル施設でグリーンジムリーダーと共にバトルをしているのが目撃されたらしい。
以下略 AAS



13: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:13:04.98 ID:pZdGRdJL0

「記者タケモトの独白」  2018年4月8日  リーグにより発行禁止  原稿は────により焼却処分

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14: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:14:42.23 ID:pZdGRdJL0
おわり


15:名無しNIPPER[sage]
2018/04/19(木) 23:04:11.59 ID:p89C76CSO
乙です。

無口とか幽霊とか〜の方も更新待ってました。。

フィーゲフンゲフンギャルゲーも楽しみにしています。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage]
2018/04/21(土) 15:58:01.79 ID:peJamW0UO
乙です
待ってました!


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