藤原肇「ただ静かに、あなたのそばで」
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12:名無しNIPPER[saga]
2018/05/05(土) 00:41:53.62 ID:6HNBSVHX0

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 「何処でしょうか、ここは」

 「俺も名前は知らない」

雲に隠れていた月が見え始め、凪いでいた風が吹き始めた。
肇と二人、ほの暗い桜のトンネルを歩いていく。
時たま思い出したように電灯が突っ立っていて、眩しいくらいに周囲を照らしていた。

 「相葉さんに教えてもらった場所なんだ」

 「少し、歩きにくいですね」

 「転ぶなよ」

遊歩道から少し外れ、土のままの道を進む。
すぐに行き止まりになって、小さな広場へと辿り着いた。

 「ほら」

 「ありがとうございます」

少々汚れていた木製のベンチに持って来た布を被せる。
隣へ座らせた肇に水筒を手渡すと、軽く首を傾げられた。

 「こちらは?」

 「緑茶」

答えつつ、俺の分のフタを捻る。
春の月夜に湯気が立ち昇った。
注ぎ、啜る。
知らずの内に息が漏れたのは、俺がどうしようもなく日本人だからだろうか。


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